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1949/05/01 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 法務委員会 第36号
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1949/05/01 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 法務委員会 第36号

#1
第007回国会 法務委員会 第36号
昭和二十五年五月一日(月曜日)
   午前十時四十三分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○理事の補欠選任の件
○継続調査承認要求の件
○司法書士法案(衆議院提出)
○土地家屋調査士法案(衆議院提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤修君) ではこれより法務委員会を開きます。先ず最初に理事の辞任及び補欠選任の件を議題といたします。理事でありました宮城タマヨ君が理事を辞件いたしたい旨の申出がございました許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(伊藤修君) 御異議ないものと認めます。
 次に後任者の選定についてお諮りいたします。選任の方法は如何いたしましようか。
#4
○大野幸一君 只今議題になりました理事の選任の件につきましては、成規の手続を省略して委員長一任の動議を提出いたします。
#5
○委員長(伊藤修君) 大野君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(伊藤修君) 御異議ないようでありますから、私から松井道夫君を理事に御指名いたします。ではこれで休憩いたします。
   午前十時四十五分休憩
   ―――――・―――――
   午後六時三十三分開会
#7
○委員長(伊藤修君) それではこれより法務委員会を開会いたします。
 この際お諮りいたしたいことがあります。本委員会の継続調査についてお諮りいたします。その趣旨を申上げます。
   〔長谷川專門員朗読〕
   継続調査要求書
一、調査事件
 検察及び裁判の運営等に関する調査
一、理由
 本委員会は、司法及び検察に対する旧制度時代の弊害を除去し、これが向上を計るとともに、その民主的運営と能率的処理を期するため、客観事情の推移に伴う検察、裁判、行刑等の制度とその運営の実情を調査し、時宜に適切なるところに従つて、或は立法の資となし、或は関係機関に示唆、勧告すること等を目的として「検察、裁判の運営等に関する調査」を進めており、現に司法制度に関する事項、新刑事訴訟法の運用に関する事項、青少年犯罪に関する事項、五井産業事件に関する事項等を調査しているが、本件調査は、五井産業事件に関する事項を除いては、いずれも検察裁判等の運営上極めて重要であり、その調査対象は社会事象の変化を映して複雑多岐に亘り、進行中の調査を中断することは、周到なる調査結果を得る上において、替え難き不利不便がある故に閉会の場合においても、継続して本件の調査を行いたい。
 右本委員会の決議を経て、参議院規則第五十三條により閉会中において、なお右の調査を継続することを要求する。
  昭和二十五年五月一日
    法務委員長 伊藤 修
   参議院議長 佐藤尚武殿
#8
○委員長(伊藤修君) 以上の継続調査について御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○委員長(伊藤修君) それでは継続調査を要求することに決定いたしました。
  ―――――――――――――
#10
○委員長(伊藤修君) それでは司法書士法を議題に供します。昨日に引続きまして質疑を継続いたします。
#11
○大野幸一君 質疑をいたします。第一條の第二項中の「他の法律において制限されているもの」とは具体的にどういうことを意味するのでしようか。
#12
○衆議院議員(川本末治君) お答えいたします。「他の法律において制限されているもの」と規定しておりますが、これは具体的に申上げますと、弁護士法、弁理士法、公認会計士法、或いは更に今回立案せられております土地家屋調査士法等を指しておるのでございます。
#13
○大野幸一君 次に第二條の資格に関する規定は、今少しく一般的なものにできないものでしようか。例えば「学校教育法(昭和二十二年法律第三十六号)による高等学校又は中学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による中等学校若しくはこれらと同等以上の学校を卒業し法律事務に関し三年以上の実務の経験を有する者」というような一号を加える必要はないものでしようか。又本條第一号列記の職名中に追加すべきものはないでしようか。この点をお伺いいたします。
#14
○衆議院議員(川本末治君) 司法書士の資格につきまして試験制度によるか、或いは認可制度によるかにつきましては、質問の際十分考慮いたしたのでありますが、元来司法書士は恰も公証人と同じように一つの区域内において大体何人ぐらいを設けるかというような問題もありますし、又司法書士の職務上検察庁或いは裁判所の構内等で業務を行う場合が非常に多いのであります。さようなことからいたしまして、広く試験制度によつて一般より募集した場合には、その人の人柄などを知ることができないのであります。認可制度にいたしまして、その人物などを十分調査した上で認可するという制度が最も適当だと考えましたので、かように立法いたした次第でございます。
#15
○大野幸一君 最後に第九條についてお尋ねいたしますが、九條は現行法と同様の規定であるが、現行法では本條違反の行為に対し罰則の規定がない。然るに本法案では、第二十一條で「一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。」ことを定めております。然るに弁護士法第七十二條では非弁護士の法律事務の取扱禁止の規定を設け、その違反行為に対しては二年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処すべきことを定めております。従つて本條は弁護士法第七十二條の行為以外の行為をも対象とするものと解せざるを得ないのでありまするが、その行為は具体的には如何なる行為を予想しておるのですか。
#16
○衆議院議員(川本末治君) お話の通り弁護士法の規定は本法に比べますると、可なり重い刑を以て臨むことになつております。而して弁護士法に規定しておりまする違反行為と申しますると、弁護士にあらずして弁護士の業務を行つた者でありますが、本法に規定しております事項は司法書士がその範囲を越えて訴訟行為に関與した場合でありまして、一方は弁護士業務を弁護士にあらざる者が行なつた場合であります。本法の場合は司法書士がその範囲を越えた場合でありまして、両者は行為の点におきまして異なつておりますので、結局弁護士法に比較しまして本法が刑罰が軽くなつておる次第であります。
#17
○大野幸一君 後のためにもう一、二点お伺いして置きたいと思うのですが、本案には現行法第三條にあるような法務局の長、又は地方法務局の長の司法書士に対する監督の規定がありませんのですが、懲戒の規定は残されておる。懲戒権がある以上、その前提として監督規定の有無に拘わらず、必要な監督はできるものと了解して差支ないのですか。
#18
○衆議院議員(北川定務君) お説の通り本法では法務府が包括的に司法書士並びに司法書士会の監督をする規定を設けておらないのであります。ただ認可の場合におきまして、法務府は認可の内容を調査するに当りまして、或る程度の実質上の監督をなし得ることになつておるわけであります。又懲戒の際、認可を取消す際にも実質上の監督権と申しまするか、或る程度の監督をなすことができるのでありまするが、一般的に常時法務府がこれらの者を監督することはできないのでございます。
#19
○大野幸一君 今一点、法務府設置法によりますると、法務総裁は司法書士に関する事項を管理することになつております。法務府設置法及び本案全体の趣旨から見て司法書士に対する法務総裁の一般的な監督権、従つてその監督の責任は従来通りであるものと了解して差支ないでしようか。
#20
○衆議院議員(川本末治君) お説の通り法務府設置法には司法書士に関する事項という一項目が設けてありますが、これは司法書士の認可等に関する事項でありまして、監督に関する規定ではないと解せられるのであります。従いましてこの規定を以て法務府が司法書士並びに司法書士会を一般的に監督すると解し得られないものと存じております。御承知の通り大正八年に設けられました代書人規則、それが一部改正を受けました司法書士法等におきましては、專ら司法書士が取締の対象となつておりまして、これらの自治というものを認めておらなかつたのでありまするが、新しい憲法の下におきましては、かような規定は人権の尊重の立場からいたしましても妥当でないと考えられましたので、特に監督権というものを認めなかつた次第でございます。
#21
○大畠農夫雄君 資格の問題ですが、第二條の二号によりますと「前号に掲げる者と同等以上の教養及び学力を有する者」とこう書いてありますが、大体第一号の標準というものは分らないのであります。二号の「前号に掲げる者と同等以上の教養」というのは尚分らなくなつて来るのであります。具体的に言うと一体どんなものなのです。
#22
○衆議院議員(川本末治君) 具体的に申上げますと、例えば新制高等学校を卒業した者、或いは旧制の中学校を卒業した者というような程度のものでありまして、且つ実務の経験を有するというような者を指しておるのでございます。
#23
○大畠農夫雄君 そうしますと、第一号のこういつた実務を何年かやつて、而も中学校以上、或いは高等学校以上を卒業した者、これが大体標準になるわけですな。
#24
○衆議院議員(川本末治君) その通りでございます。
#25
○松井道夫君 只今の試験制度を採らないのは、人物などを見てやるのだというような御説明であつたと思います。試験をやつてもやはり人物を見るのと変りがないのじやないかと思いますが、その点をお尋ねします。それから單に一号のような規定ですと、法務局又は地方法務局の長の認可を受けるということになつておるのでありますが、この認可というのはやはり情実、因縁等に左右されて余り資格のない、余り適当な者でない者を任用したり、多少專断に流れるということは止むを得ないことでないかと思うのでありますが、その点は如何ですか。
#26
○衆議院議員(北川定務君) 第一点の試験制度にしてもいいではないかというお説でありまするが、試験制度にいたしますると、或る程度の成績を得た者は合格させなければならないということに相成りまして、これを司法書士に全部ならせるということにいたしますると、従来の建前が公証人と同じように大体人数が各地方によつて定まつておるわけであります。これを試験制度にいたしますと、その人員は非常に増加するという結果に相成りまするので、これが認可制度にいたしました大きな理由の一つでございます。
 次に第二点でありまするが、「前号に掲げる者と同等以上の教養及び学力を有する者」というような漠然とした規定を設ければ、認可をする人の情実に流れる虞れがあるではないかというお尋ねでございまするが、これは地方によりましては適当な司法書士になれる資格を有する者が少ない場合が非常にあるのであります。さような場合に余り嚴格な規定を設けておきますると、司法書士を結局認可することができないために、一般の人が非常に迷惑を蒙るという虞れがありましたので、比較的易しい資格にいたしまして、而も認可をする人にお任せするということにしてあります。この認可につきましては、法務府令でいずれ認可に関する事項につきましては詳細な規定とか、或いは場合によつては試験制度を用いるとか、或いは人物考査をするとかいうような具体的な制度が設けられることと存じまして、情実に流れるようなことは比較的少ないのじやないかと考えられる次第でございます。
#27
○松井道夫君 只今御答弁になりましたことによりますると、余り数が多過ぎるようなふうになつても困るから、試験制度というものにしなかつたということなんでありますが、憲法には職業選択の自由というものを認めておりまして、苟くも力があつて、その志望があるということですと、やはりなれることにするのが当然じやないかというように考えられるのです。その点例えば弁護士などは、これは数が多いから認可を拒否するというようなことになつていないわけです。多過ぎて弊害を生ずる場合は想像されるのですけれどもそれはない。司法書士というものは何か特殊な者であつて、今の憲法の観点などから言つても差支ないものであると思いますが、その点、更にお尋ねしたいのですが、この罰則を見ますると、八條については規定がないように思うのですが、私の見落しかも知れませんが、折角こういう行為を禁じておりながらそれに罰則がない、外の方にはあるのでありますが、これだけにはない。尤も懲戒という制度があるのですから、それでやればいいという御趣旨とも思われまするが、尚疑問を免れないと思います。その点をお尋ねします。それから十六條によりますると、「司法書士会の区域内に事務所を有する司法書士は、その司法書士会の会員となることができる。」ということに相成つておりまするが、働く認可を得たけれども、その後の実績によりますると、余り公正な事務のとり方でない、同僚に対する関係、その他品性も余りよろしくはないというような司法書士でも、司法書士会の方では無條件に入れる義務があるのか、その点お伺いいたします。
#28
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 只今の松井委員の御質問に私からお答えいたします。第一点のこの司法書士について認可制度をとり、国家試験制度をとらなかつたという点が憲法の職業選択の自由に牴触の虞れなきやという点につきましては、もともとこの司法書士というものは、やはり人権の尊重と申しますか、比較的下層の方々を相手にしてその人達の権利の尊重を図るという点に、司法書士の職務の大半があるように思われるのでありまするが、さような意味合からいたしますると、その業務の適正化を図るということが、非常に必要なことになりまするので、従来からこれは法務総裁の監督に属していたのでおります。併しながら時運の進展と共に、そのような全部的な監督をそのまま続けて行くということが如何かと考えられまして、この度の改正になつたのでございますが、その点から鑑みまして、全面的監督はともかくも、最終的な形では法務総裁或いはこの法務局の長が懲戒権を持つことによつて、その事務の適正を図るという点で、これは公共の福祉の点から、やはりそのような保障が必要だという点から考えられて、かような形をとつたのでありますので、憲法上の問題もないものかとこう考えております。
 それから八條の問題はこれは御尤もな御質問なのでございますが、従来もこれはありましたが、これに対しては罰則がなかつたということと、かたがたこの度外の面については罰則をつけたということは、多少開きがあるように見えるのでございますが、御存じのようにこちらの方に大変御迷惑をかけまた弁護士法の規定で、これに該当いたしますもので、双方代理の規定がございますが、その点につきましても、やはり同様に相当きつい、これよりももつと詳しく双方代理を禁ずる規定を置いたのでありますが、それについては罰則をつけてありました。そのような関係からいわばその前例を踏襲いたしまして、これはやはり懲戒事項ということに止めることがよろしいかと考えて、そのようにいたした次第であります。
 第三点の十六條に関しましては、これは実際の運用の面から申しますと、可なり不都合を生ずるということは十分に考えられるのでございますが、もともとこの法律は司法書士の実態が過去三十年間において、相当に充実して参りまして、或る程度の能力があるということを認めた上の立法でございますので、そのような若し不都合な者がありますならば、それはやはり懲戒その他の形で適当に善処ができるのじやないかとこう考えております。又第十八條で法務府令で多少業務の執行に関しましては、行き過ぎがありますならば、その点についての多少のチエックはできまするし、その命令に違反した場合にはそれが又懲戒事項になるということで、結局はやはりこの司法書士に対する監督も行き届くことができるのではないかと、こう考えております。
#29
○大畠農夫雄君 第二條についてもう一遍お伺いしたいのでありますが、第二條の第一号によりますると、この裁判所の事務、これをやつた者は特権を持つような感じを持つのでありまして、そういつた実務が必要であるということを條件とするならば、法律事務所におつた者もやはりそういうことに携わつておつて、実際には実務に携わつておつた、そういう人はどういうふうになりますか。
#30
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 私からお答え申上げます。先程も北川議員からの御説明にもあつたのでございますが、多少補充的になりますが、これは第二号というものは第一号のいろいろな直接裁判事務、或いは検察事務その他に従事した者と同等の教養及び学力と申しますか、実際の場合には例えば村役場の書記を長くしておつた者とか、或いは村長の職務に長くおつた者もございまするし、只今の御説明にありますように、弁護士事務所に長くおつたというようなことで、全くこの裁判所事務官を三年勤めたよりも或いはそれ以上の知識があると認められるならば、第二号で適格であるということは十分考えられるのでございます。要はこの司法書士と申しますのは、裁判などでなかなか得難いような書式、その他をその場で直ちに仕上げて行くというようなところに、仕事の重点がございますので、今の御質問の点は確かにその通りの取計らいができることだと考えております。
#31
○大畠農夫雄君 認可制度にした点について疑義があるのですが、元来認可制度というのは、特権を與える制度であつて、開放的なものじやない、従つて民主的なものじやない、今までの認可制度によつて特権を與えられた司法書士というものは、非常に世間から非難の的であり過ぎる、朝早く行かなくても裏から金を廻せば遅く行つた人が先になる、こういうような事実が沢山流布されておる。もう私達もよく承知しておる。そういうことは大きな特権を與えられたがために、自分達の独占的なものだというような観念も相当ある。中にはやつているうちにいろいろな情実がありまして、正当な業務を取扱うということができない。併しそのことは認可という特権があるからという大きなハンデイキャップを持つておるために、平気でそんなことをしておる。又頼みに行く人も決してそれを不思議と思わない。裏から廻れば何とかなる、こういうようなことになつておつて、先に松井委員から言われたような、試験をしたからと言つて、採用試験じない、資格試験をするのであつて、資格を取つておつたからと言つて、何もそれが開業しようと、すまいと勝手だ、司法書士だつて勝手だ、弁護士も開業しようと、しまいと勝手でありまして、試験制度を採つたからと言つて、敢えてこの趣旨に悖るような精神にはならんと思います。むしろ開放的に試験をして、やりたければやる、こういうふうにすべきが当然じやないかと思うのでありますが、どうしてこういうふうに特にこういう点についてのみ認可制をとつたか。例えば按摩さんにしても、鍼医さんにしても試験制度になつておる。この司法書士にのみ認可制度を採つたというのはおかしい。これはどういうわけですか。
#32
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 御質問の趣旨は誠に御尤もでありまして、私達、私達と申しますと口はばつたいのでありますが、私もお手伝いしたのでありますが、かような司法書士法の改正の経過に当つては、可なりそのような点も十分に検討いたしまして、結論的にはやはり現在の段階では認可制度が妥当であろう、将来の問題はさて措き、この次の課題にしようということでこの形を採りました。事柄の性質上、例えば東京或いはその他の繁華な都会地においては或いはそのようなことがあるかと思いますが、一歩非常に辺鄙な土地に参りますると、司法書士というものも必ずしもその人を得ないし、そうして可なりよい人を得ることに苦心しておるというような実情でございます。さような関係からこれを試験制度など採りますことによつて、一層そういう点の、需要に満たないというようなことになるのではないかというようなことを惧れましたことと、それから現在におきましては、認可制度のそういうような多少の不都合ということが考えられますので、例えば認可を拒絶する、認可を受けた者に対してこれを與えないという点が一番やはり問題が多いのじやないかと思いますので、その点につきましては、これは特に新らしい行き方と思いますが、聴問の制度を置きました。これはやはりお言葉のように多少でもこの制度を民主的にしようという努力の一つの現われでございます。この程度で一応の段階としては改正をし、更に今後の推移を見るということで御了承願えたら結構かと考えます。
#33
○松井道夫君 これは念のためにお尋ねして置くのですが、聴問という制度がよく分らないのですが、聴問というのはどういうことをするのか、それからもう一つ十三條の聴問の戒告を除いた意味について御説明願います。
#34
○衆議院法制局参事(福原忠男君) この司法書士法案では、聴問が二つの形を採つております。今の御質問の点は、或いは第四條の関係の聴問かと思いますが、普通の聴問と申しますと、大体は懲戒のような場合の第十三條の聴問というのが普通の形であつて、四條における聴問というのは珍らしい形と考えております。併し要は先程申上げました通り、認可制度の適正を図り、民主化を図るという線に沿つての新らしい構想でございます。そうしてこの聴問と申しますのは、行政庁が一定の処分をいたします場合に、その処分が適正であるということを保障するために、広く民意を聴くということがその基本でございまして、この第四條の場合も、予めこの法務局或いは地方法務局の長が認可を與えないという場合には、事前に一定の期日に、拒絶する理由について本人を呼び出した上でその者の意見を聴く、その者の意見を聴いて、更に又法務局の方から言えば、なぜ断わるかという点をよく納得させるという趣旨で開く、こういうことでございます。尚これは公開で行うのでございます。それからこの場合によれば若し拒絶される理由が明らかであつて、本人に不利益な場合に、これは本人がこれを求めなければ聴問は必ずしも開けませんから、本人の名誉を傷けるということも多少考慮して、「認可を申請した者の請求により」というふうに表現したわけであります。それから次の十三條の聴問に関しましての趣旨の大体は、これは普通の営業権を與える場合にある聴問の形でございます。営業権を奪う場合の聴問の形をそのまま採つたのでございます。何故に戒告についてこれを書かなかつたかと申しますと、戒告というのは可なり軽度のものでございますし、直ちに司法書士の権利義務について影響しない、そういう点もございますので、又聴問というのも相当費用もかかりますものでございますし、煩雑な手数を要するまでのこともないと考えまして、殊更に除いた次第でございます。
#35
○委員長(伊藤修君) 他に御質疑がなければ、質疑はこれを以て終局することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○委員長(伊藤修君) では質疑はこれを以て終局いたします。直ちに討論に入ります。
#37
○大野幸一君 本員は本案に対して一部修正案を提出いたします。修正案の全文を読み上げます。
  司法書士法案に対する一部修正案
 司法書士法案の一部を次のように修正する。
 附則第八項中「、その地を管轄する法務局又は地方法務局の長の認可を受け」を削る。
というのであります。その修正案提出の理由は、立案の際整理すべきものを全くの過失によつて存置されているものを解しますので、ただこれを整理したに過ぎないものであります。
#38
○委員長(伊藤修君) 討論はこれを以て終局することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○委員長(伊藤修君) 討論はこれを以て終局いたします。直ちに採決いたします。先ず大野委員の提出にかかるところの修正案について採決を行います。修正案全部に御賛成の方は挙手を願います。
   〔総員挙手〕
#40
○委員長(伊藤修君) 全会一致修正案通り決定いたします。
 次に修正案を除く原案全部を問題に供します。原案全部に御賛成の方の挙手を願います。
   〔総員挙手〕
#41
○委員長(伊藤修君) 全会一致原案通り可決すべきものと決定いたします。
 尚本会議における委員長の口頭報告の内容につきましては、委員長に御一任願います。多数意見者の御署名を願います。
  多数意見者署名
    大野 幸一  大畠農夫雄
    遠山 丙市  松井 道夫
    岡部  常  鬼丸 義齊
  ―――――――――――――
#42
○委員長(伊藤修君) 次に土地家屋調査士法案を議題に供します。本案も昨日に引続き質疑を継続いたします。
#43
○遠山丙市君 本法の立法の目的は調査士を保護することにあるのか、又は調査士を監督取締るということにあるのかどうか、この点がはつきりしておらないのでありますが、お答え願います。若し調査士を保護することが目的とするならば、その理由はどういうのであるか、若し又監督取締ることが目的であるならば、誰が監督するか、その登録機関が法務局、又は地方法務局であることから一応これらの官庁が監督権を有するとも解されるのでありますが、明瞭を欠きまするので、こういう点は明文を以て規定を入れて置いたらどうかと思うのでありますが、お伺いいたします。
#44
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 御質問に対して私からお答え申上げます。この法律で初めて創設いたします土地家屋調査士というものに、この土地家屋調査士を保護し或いは監督するということは実は法律の問題といたしましては直接のものではなくして、この法律が立案されます経過から申しますと、土地台帳、家屋台帳というものが現在ございます。これは権利関係の基本たるべき台帳なのでございますが、従事ややもすればその記載が極めて不正確であつてそのために権利関係の紛更を生じ、或いは統制経済面における供米その他についても、統制にも相当の障害を来たしておつたということは事実でございます。それでこの度土地台帳、家屋台帳が従来の大蔵省の所管から法務府の所管に移りました機会に、これがやはり法務府と申しますと、最も人権尊重の最後の基盤でございますので、そこにおける台帳において不正確であつてはならないというところから、その台帳の正確性を期するという点を第一の目的として、この土地家屋調査士法というものが作られておるのでございます。従いまして土地台帳、家屋台帳の正確性を期するということから、それに対する調査、測量、申告手続をする業者に対しましては必然的にこれを保護するというよりは、むしろ取締の面が強く浮び出て来るのでございます。本法につきましては、その点からこの調査士の業務について相当に適正を保つという点の規定を設けまして、その趣旨を明らかにしておるものでございます。尤もこれは仮設的なことでございますが、土地家屋調査士というものに対して国家的な試験を行いますので、その強化といたしましてはそれらの試験に合格した者がこの業務をやりますならば、その者がその点では保護される。従つて試験をしないで、いわばもぐりでこれをやるということになれば、これに対しては処分が要るということから、それに対して本文を設けたのでございますが、これは必ずしも法律の目的ではない、こう申上げてよかろうかと考えております。
#45
○遠山丙市君 次は、本法によつて土地家屋調査士という職業が法律上認められるということになりますね。どうもこの職業を認める必要性というものの根拠が乏しいように思うのですが、承つて置きたいと思います。そうして並びに、こういう工合に立案せられることでありますから、いろいろな例を御参考になつたと思いますが、例えば諸外国に土地家屋調査士又はこれに類するものを法律的に認めた例があれば承わりたい。
#46
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 先程私の説明が足りませんものでしたから、再度御質問をさせまして恐縮であります。この土地家屋調査士が何故必要であるかと申しますると、先程申しましたように土地台帳、家屋台帳の記載というものが、よく世間でも言われることなんでございますが、台帳面では何町歩である、或いは何町歩しかない、ところが現実にはそれの数倍の土地であるということが往々にしてあるのでございます。そのことは従来届出について非常に当事者の、届出をなす人を信用したと申しますか、その者の届出をそのまま鵜呑みにして、その台帳ができておるという実情にあると思います。従いましてその台帳が今度はいろいろな方面から登記その他の簡略を計るという点で、飛躍的なこの度の土地台帳法、家屋台帳法に関する改正が行われます際に、それを最も権利の基本として正確なものにするというために何らかの措置が取られなければならない。そのために先ず第一に考えられますことは、そのような台帳を備付けております役所において、その正確を期するということが最も正しい行き方かと考えるのでございます。そのためには法務府などでも内々御研究になつたのでございますが、相当人件費その他に巨額なものが要る、数億に及ぶものが要るのではないかという程の厖大な予算を必要とするというようなことが考えられるのでございます。尚又そのように役所で台帳の正確を期したといたしましても、その後毎日のように届出でられます申請というものが、極めて不正確な事実に基いてなされますものなら、それは一種の百年河清を待つというようなものでございますから、絶えず惡い届出が出て来ておりますから、いつまで経つても台帳の正確が期し得られないということになるかと思います。従いましてこれらの狙いは、届出自体が極めて正確であるということを保障するための制度としてこれを設けたのであります。そのためには従来からその方について土地の調査員と言つて、税務署の嘱託を受けておるというような測量士などがいますので、そういうような者を捉えまして、その業態の者に対して、そのまま受入れるのはどうかと思いますので、これに対して国家試験を行い、その上で職務を適正に行うということについて、若し行わないとならば、これについて刑罰を科するということにいたしまして、この法律を作つた、こういうわけでございます。それ故いろいろな考え方でこの台帳の正確を期するということがございますが、それが最も手近な而も効果的なやり方ではないか、こう考えて立案したものでございます。
#47
○遠山丙市君 外国の立法例は……
#48
○衆議院法制局参事(福原忠男君) それはでございますね、実は測量その他の関係から申しまして、やはりいろいろと段階的にはあつたと思いますが、的確にこのような制度があつたということについては、実は十分の研究ができておりません。最も司法書士その他を研究いたしました場合に、やはり司法書士や或いは土地家屋調査士について……自分の権利を主張するについて他人の代理を受けるということは、弁護士制度以外に余り制度がないのじやないかと考えております。日本の民度が低いということが、或る程度こういうものの立法を必要とするのじやないかと考えられます。これは或いは研究が行届いておりませんから、改めて又申上げる機会があるかと思います。
#49
○遠山丙市君 次は土地家屋調査士という職業を法律上認めることになりまして、従来誰でもできた土地家屋の調査測量、又は申告等が今後は事実上調査士の手を通じなければできないということになる。そういたしまするとこれに伴なつて生ずる弊害というものも、相当あると考えます。現にこの間委員会を通過しました司法書士法があるために法務関係、裁判所関係の一切の書類はその手を通じなければ容易にこれらの官庁に提出することができない、むずかしい、こういう点は考慮しなければならないのじやないかと思います。若しそのような弊害が生ずれば調査士は一種の特権を有する職業化して、国民一般にこの法律ができたために不便と迷惑をかけるような虞れがあるのじやないか。そういう点についてお考えを願いたいと思います。
#50
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 只今の御質問でございますが、その点はこの立案に際しましても非常に注意を要したところでございますが、種々検討した結果可なりそういう点についても保障的な面をつけて立案をいたしたつもりでございます。先ずこの土地家屋調査士を経なければ、必ずこの調査、測量或いは申告手続ができないかと申しますと、これはそうではなくて、これは極めて限定された土地台帳、家屋台帳の登録について、必要な測量であり調査である。そうしてその調査、測量の土台と申告手続についてのみ、この土地家屋調査士の業務としたのでありまして、その土地でも若し本人で、本人がそのようなことをするならばこれはできることになるのでございます。第一條で他人の依頼を受けてこういうことを業務にするということについての一つの業態を認めたのでありますから、他人から依頼を受けないで、みずから届出ができる能力がある者ならば、それを禁止する意味ではありません。更に又申告手続につきましても、それが單なる所有権の移転であつて、所有権者の名義変更というようなものがございますなれば、それは調査測量を基本にしての申告の手続を要するというものでございませんので、特に第十八條で取締つている非調査士の取締においても、その点を明確にするために、「調査若しくは測量又はこれらの結果を必要とする申告手続をすることを業とすることができない。」と断つて、極めて制限した意味でこの調査士の業態を認めておる、こういうことになるのです。
#51
○遠山丙市君 それから調査士の報酬の基準は調査士会がその会則、第十四條四号で定めるところによることになつておりますが、この基準に従わずに報酬を受けた調査士に対する処分というものはどうなるのです。それから調査士会は第十三條によつて、その設立は任意である、従つて調査士がこれに加入すると否とは任意であると解されるのでありますが、調査士会がその会則に従わない調査士に対する処分としては、除名ということが考えられますが、併し除名されましたところで、その調査士は登録を取消されるわけではないと思うのです。そのわけは第十二條に法務局長、又は地方法務局長は、本法又は本法に基く命令に違反した場合でない限り、調査士を懲戒に付することができないと、こう書いてあるのです。それでありますから、そのまま業務を続けて行くことができると思うのですが、その点についてお聞きしたいと思います。
#52
○衆議院法制局参事(福原忠男君) この調査士の報酬の基準というものは、この法案では調査士会の会則に委ねてあるのでありますが、その点についてこれを守らなかつた場合、或いは会員として加入しないで、その基準とは著しく違つた高い報酬を取るというような場合については、如何様な処置をするかという御質問と承つたのでありますが、その点は可なり立案に際しましても、如何様な形で処置するかということに苦慮したのでありますが、一面先に御審議願いました司法書士会についても同様なのでございますが、この司法書士の自治能力というものを認めるということになりますと、調査士会についても或る程度自治能力を認められて、そうしてやはり司法書士会と大体同様の形をとるというような建前から、かような形になりましたものですから、その点についての最後的な懲戒権の発動とか、或いはその登録の取消というような処置が取れないという点については、多少の問題が残るかと考えます。併しその点はこれも法務総裁の所管事項でございまして、第十七條で法務府令へ或る程度の委任をしてございます。その委任事項は極く限定してございますが、その中に「業務執行に関して必要な事項」とございますので、この調査士の報酬というものは、業務執行について最も重大な関係のある事項でございますので、その点についても或る程度の適正な取締ができるのではないか。でそのような法務府令が出ました場合には、その法務府令に著しく違反する場合に、それに対して違反したような場合には、やはり十二條の発動を見ることができて、極端な場合には登録の取消にまで及ぶということも考えられる、こう思うのでございます。
#53
○遠山丙市君 最後に一点だけ……。調査士は二つ又はそれ以上の法務局又は地方法務局の管轄地域に同時に数ケ所の事務所を設けることができるかどうかという問題であります。例えば東京、浦和、千葉という三ケ所にできるかどうかということ、若しできるといたしますれば、その場合に各地の法務局又は地方法務局にそれぞれの手続、登録手続をしなくちやならんものかどうか承わりたい。
#54
○衆議院法制局参事(福原忠男君) この第八條に事務所の規定がございますが、この事務所の設置の基準というものは、法務府令で定めるということになつておりますが、この業態が台帳の正確性を期するという意味からいたしますと、若し法務局或いは地方法務局の管轄を異にするところで二ケ所の事務所を持つということは、その業態自体から言いましても、正確を期する点について欠けるところがあるように考えられます。従いましてこれは恐らく法務府令の定める基準というものにも、事務所は一人の調査士について一ケ所ということが原則であるというように考えられます。又この第八條第二項ではその点が大体裏書されていると思うのでございますが、他の法務局或いは地方法務局の管轄区域内に事務所を移転する場合には、登録移転の手続を要するということが決めてありますが、これなどは今申上げたような基準が大体一ケ所に落着くであろうというような裏書にもなろうかと、こう考えております。
#55
○衆議院議員(田嶋好文君) 今のお尋ねにちよつとお答えいたしたいと思うのでありますが、その点私達委員会の立案でも問題になつたのでございますが、第八條に明確な規定を設けましたのは、「法務府令の定める基準に従い。」ということで、法務府令にその処置を與えたことが第一であります。第二ははつきり書いてありませんが、今説明されましたように、移転手続をしなければならないという規定は、その半面におきまして事務所を一ケ所と当然されますので、法務府令においても第二項を尊重して、そうした意味の基準を定めるものと考えてこれを作つたのでございます。
#56
○遠山丙市君 御説明のようにその第八條本文と、それから第二項のところで、まあそういうことは頷かれるのでありますけれども、この弁護士会でも事務所の数の問題じやなかなか御承知のように揉めたものでありまして、どうもこれじやぱつとしないように思うのでありますが、やはり今御説明のようなことで、大体一つの事務所より認めんというようなことに落ちつくということになるのでしようか。これは会則上頗る私は疑問だと思いますから、重ねてお伺いいたします。もう少し明文によつて何かきちんと定めたらどうでしようか。
#57
○衆議院議員(田嶋好文君) その点は実はこの立案に当りまして、法務府ともよく打合せをいたしたのでございますが、法務府の意見もこれによつてその趣旨に沿い得る、こういうことでございましたから、その件に対して私達はそう信じておるわけなんであります。
#58
○松井道夫君 私はこの土地家屋調査に該当する方の関係は、余り存じておりませんので、今お尋ねするわけですが、現在そういつた方々は、別に何ですか。今度はまあ土地家屋調査士というものになられるわけですが、現在は何と言つておられるのですか。
#59
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 現在はかような名称というものは必ずしも決まつておりません。又それから税務署関係その他でも、その名称を特に調査員、嘱託した調査員というようなことに言つておる場合がございます。併しただ單なる調査員ではちよつと分らないのでございますが、併し要は土地家屋について或る程度の調査を委託するというような形をとつて調査員という名前をとつておるわけであります。その他は法令上のはつきりした名称はないわけでございます。
#60
○松井道夫君 通称もないわけでございますか。
#61
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 通称は測量士という言葉を使つております。それというのは、昨年こちらで建設委員会を通りました測量士法との関係で、その測量士という名前を今はお使いになつておらないと思いますが、従来は測量士という名前でいたしておりました。
#62
○松井道夫君 やはり裁判所関係の依頼人から依頼を受けて、手数料のようなものを取つておられるのですか、或いは税務署の方から報酬を受けるのですか。
#63
○衆議院法制局参事(福原忠男君) やはり依頼者から一定の報酬を受けておるものでございます、併し定期的に土地台帳、家屋台帳について調査というようなことがございまして、そういう場合には税務署の委託を受けて調査をいたしますが、その場合にはそれぞれ手当を国からこれは支出されていたように考えます。
#64
○松井道夫君 そういつた方は、従来は組合とかそういつた組織は何もなかつたのでしようか、どうなんでしようか。
#65
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 必ずしも強固なものとは認められないのでございますが、やはり各地においてそれぞれの必要に応じて、何と申しますか組合風のものができておりましたし、全国的にもそういうものの、全国測量士会と言いますか、日本測量士会と申しますか、そのようなもので大体会員は数千名に上つていたかのように聞いております。
#66
○松井道夫君 それからお尋ねしたいのですが、今の土地台帳、家屋台帳が登記所の方の関係になつておるという場合に、従来その登記所関係の代書人という方が相当おられて、いろいろ家屋とか土地とかの、主として土地関係でありますが、世話をしておられる。そういう方々と仕事の上でいろいろ衝突が起きたり、果してどの範囲が土地家屋調査士のやられることか、或いはどの範囲が代書人でやつてもいいのかといつたような、いろいろ混乱が起るような気もいたすのですが、その辺はどういう意見でしようか。
#67
○衆議院法制局参事(福原忠男君) そのことでございますけれども、それは私共立案に際しましても、十分に新らしい制度でございますので、従来からの既存の業種に対しまする侵害があつてはならない。その方に吸収されて、こちらの調査士法が何ら存立の意味がないというようなことになつてはならないというので、多少苦心をいたしたのでございますが、結論的に申しますと、土地家屋調査士法案の第一條におきまして、土地家屋調査士の仕事を極めて限定いたしまして、これを土地台帳、家屋台帳の登録について必要な調査測量及び申告手続ということにいたしまして、それのみに限定し、而も又非調査士がそれをなしてはならないと、十八條においては、先にも申上げましたように、調査測量、それからこの結果を必要とする申告手続についてのみ非調査士の取締をするというふうにいたしたのでございます。この結果従来の司法書士は土地台帳、家屋台帳につきましては税務署の所管でございましたので、これは司法書士の仕事の範囲でなかつたわけでございますので、これを土地家屋調査士にやらせることにより、司法書士の既存の業種を侵害するというようなことは、全然結果的に起らないことになるのでございます。而も見方によりまするならば、この土地台帳、家屋台帳が法務局、地方法務局の所管になりましたので、その範囲においては、若しこれが特別に調査し或いは測量することによつてのみ、申告手続がなされるというものでない限り、先程申しました所有権者の名義変更とかいうようなものでありますならば、これは司法書士が十分に調査土法第一條に基きましてできますので、多少司法書士はやはり土地台帳、家屋台帳が法務局、地方法務局の所管になりましたことによつて、業態は殖えて来るということになるかと考えます。又逆に今度は土地家屋調査士が司法書士の職務に入り込むかどうかという点につきましては、先程も言つたように極めて限定しておりますので、これは司法書士の職務に何ら入り込む余地はないものだと、こう考えております。
#68
○松井道夫君 例えば依頼人が測量士なら測量士に測量して貰つて、單に申請の申告手続だけを代書人に依頼した。そういつたような場合に、やはり代書人はそれができないで、同じ登記所におられる調査士の方に廻さなければ処罰されるということになつておるのですか。
#69
○衆議院法制局参事(福原忠男君) お説のような場合は、多少何と言いますか、本人が測量し調査した場合でございますか、本人が測量し調査したものを基準にして、ただこの届出のみを司法書士に依頼したという場合といたしますと、これはやはりその部分は司法書士としては引受けられないことになるかと考えております。
#70
○松井道夫君 それから報酬のことについてお尋ねしたいのですが、これは司法書士の方では法務総裁がこれを定めるというような規定があつたと思います。ところがそれと比べて調査士の方は調査士会ができれば調査士会で基準を作る。これは非常に実質的で、司法書士と比較すれば非常に結構なことですが、第一に分らんのは司法書士、この方は法務総裁ということになり、調査士の方は実質的に定めるということが分りませんし、それから調査士会ができないと、各自自由に勝手に決めた基準で報酬を貰うことができるというように思われるのですが、私條文の見方が足りないかも知れませんが、その辺どうですか。
#71
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 報酬の点はやはりこのような立法の場合は非常に問題になる点でございます。そして今司法書士法案と並べますと、その点の差は極めて著しく目立ちますが、これは土地家屋調査士と司法書士の業態の相違がここに現れていると、こうお考え願いたいと考えるのであります。それと申しますのは、何分にも司法書士の方はこれは従来長年の業務の実態がございまして、又仕事の性質上から專らこれは机の上での書類の作成ということになるのでございます。ところが調査士の方はこれと違いまして、例えばどこどこの籍に山林が何町歩あるというようなことの調査と申しますものは、これはその場に行つて調べなければいけないことなのでございます。その場合の測量も、例えば平地の何町歩というものと、山の中の何町歩というようなものと、それぞれ違いますので、それについて一定の基準をここで法務総裁が決めるというようなことも実はなかなか容易にでき難いと考えるのであります。尚その点は何分にも新らしい制度でございますので、或る程度この業態が確立しますならば追々とこの業務執行について適正な監督方法、或いは方針についての基準というようなものもできるかとも考えますが、一応過渡的には実能力を先ず與えてみて、そうしてその実能力にふさわしいものが調査し、よければそれで済みますし、実能力を與えたことが理想的にその実態にそぐわないとなれば、或いはその際には法律を改正いたしまして、適正な取締の方法を講ずるということも十分考えられると思いますが、一応新らしい制度を開きます上において、このことも考え、その点については十分検討いたしましたが、この程度しかできないでいる、こういうことになつております。
#72
○大畠農夫雄君 この法案の大体骨子は取締というのでありますけれども、取締という言葉は結局営業者として登録をした者以外の者がやるから、それを取締るのだと、こういう意味であつて、敢えて取締らなくても差支えないという者を取締ることになるのじやないかと思うのですが、この法律ができるからそういう取締をするのであつて、本来ならばそういう取締をする必要がないと思うのです。何故そういうふうに限定するのか、先ずそれを一つ、それからこの法律ができますると税務署では必ずこの調査士の測量がなければ書類を受付けない、こういうことに恐らくなると思います。そうなるとそこに自分で、或いは知人、親戚なんかで、特に適正に調査をする者があつてもそれを利用することができないとするならば、やはり民間にそれだけの負担をさせることになるので、これは大いに考えなければならん。こういうふうに思うのです。そういう点はどうなんですか。
#73
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 最初の御質問にお答えいたします。この法律の趣旨が取締にあることは申上げたのでございますけれども、この取締は二つの面で行われておる。先ず第一は調査士というものの制度を置きまして、その調査士を取締るという面と、それからかような調査士制度を布いてこれに対して取締をするという半面には、非調査士を取締らなければならない。こういうところからこの二つの形が取られておるわけでございまして、御指摘の点は第十八條の取締でございますが、これは非調査士についての取締でございますが、調査士そのものに対する業務上の取締と言いますものは、ここで申しますと、第九條、第十條、第十一條というようなものがその主なるものでございまして、それの違反というものについては十二條で懲戒を行うというふうに取締つておるのでございます。やはり重点は調査士そのものについての取締というものに可なり重きを置いておる。こう御理解頂ければ結構かと思います。
#74
○大畠農夫雄君 それから税務署で指定された調査士以外の者が調査した場合に、その書類を受理するかどうか。
#75
○衆議院法制局参事(福原忠男君) その点はこの法律ではやはり他人の依頼に応じて調査士がやるということでございますので、直ちにその場合受理できないとか、或いは受理してはならないというような事柄ではないのであつて、若しそれが正確なものであるならば、勿論受理しなければならないことは当然だと考えます。ただこれは言わないでもと思いますが、この土地台帳、家屋台帳につきましては、直ちにそれが課税の対象になるというようなところから、可なり当事者は自己の利益を図るために、実際よりは小さく、小さくと届出がなされるというのが実情でありますので、その点については、従来は税務署に一定の職員を置きまして、その実測をするということになつておるのでありますが、実際上にはなかなか容易に行われなかつたために、実際の土地台帳、家屋台帳に或る程度の不正確というものができておるかと思います。それでその点については多少事務的の取扱があるかと考えますが、法律的にはやはりそれを受理できないとか、或いは受理してはならないものであるということにはならないと、こう考えます。
#76
○大畠農夫雄君 この法律を作りますと、結局そういつた測量に対する技術が向上するとか、或いは適正な調査ができるとかというふうに一応見なければ、こういつた法律は必要がないのです。そうだとすればどういうものを使つて、どういうふうにするかというふうな機構か何かの規則が出るのですか。
#77
○衆議院法制局参事(福原忠男君) この法律が若し制定できますならば、その際は附則にもございますように、法務総裁の所管事項になりますので、この法律の施行によつて必要な範囲の省令というようなものは、是非共置かなければならない、制定されなければならないとこう考えております。
#78
○松井道夫君 先程の質問に対する答えがちよつと抜けておつたかと思いますが、折角調査士会ができて、一定の基準を決めたのに、その調査士会に入らない者が、自分で独自の基準を作つて報酬を貰つておるということになりますと、相当この調査士会の秩序を乱すようなことになりはしないかと思うのですが、少くとも同じ管轄区域内に事務所を持つておるという人は、この調査士の多数の人達の会ができた場合に、やはりその報酬の基準に従わなければならん。何とかその辺の混乱に対する配慮というものが必要でないではないでしようか。それからもう一点、これはまあ法律技術的のことですが、十一條に、「調査士は、その業務に関して虚偽の調査又は測量をしてはならない」とあつて、拜見すると頗る異様に感ずるのでありまして、虚偽の調査又は測量をしてはならんということは、これは言うを俟たない、聊かおかしいのであります。おかしく感ずるのであります。二十一條に「第十一條の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。」そういう罰則の関係上十一條をおかれたのならば、こういう十一條というものは必要はない。その業務に関して虚偽の調査又は測量をした調査士は一年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処するというように二十一條を書けばいいと思うのですが、その点についての御意見をお伺いいたします。
#79
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 御質問の第一点は、調査士の報酬の点でございますが、これはやはり第十七條の法務府令の中で、業務執行令で或る程度のものについては監督ができるということで、措置する外はない。一応は先程申上げましたように、自治能力を與えまして、そして自治能力にふさわしいことでこの法律が適正に運用されたかを見まして、その上で或る程度のことを考えなければならない。若し自治能力がないものならば、はつきりと明文をおかなければならない、こう考えます。第二点の十一條の点は、御尤もなのでございます。実際は、これがやはり先にも申上げましたように、土地家屋調査士法案の眼目は十一條にあると申してもいいのじやないかと思います。而も勿論罰則を付することが、刑罰を付することが先ず第一でございますが、その外にも刑罰までは行かなくとも、自粛的に業務の停止をするとか、或いは登録の取消をするということも考えられますので、十一條は懲戒事由にもなるというところで、それで特に十一條を抜き出したのでございます。
#80
○大畠農夫雄君 この調査士の方は、例えば今司法書士がやつておつた仕事、登録に関する司法書士がやつておつた仕事、そういうものはできるのですか。
#81
○衆議院法制局参事(福原忠男君) できないことになつております。
#82
○大畠農夫雄君 調査の測量に関する申告手続はできるのですね。
#83
○衆議院法制局参事(福原忠男君) さようでございます。ちよつと言葉が惡かつたからあれですが、この調査士法の第一條で、「土地台帳又は家屋台帳の登録につき必要な土地又は家屋に関する調査、測量又は申告手続」の場合の、土地台帳、家屋台帳の申告ということは、今までは税務署にございましたので、司法書士の職務ではなかつたのでございますが、この台帳の方の法規が変りまして、税務署の方から地方法務局の方の所管に移りまするので、それで若しそのままでこの土地家屋調査士法というものができませんならば司法書士が全部その仕事をするという結果にはなるかと思いますが、併し業務の性質上、単なる代書事務ではなくて、現実にその実態調査と申しますか、山林、その他の土地、或いは家屋の事実に即した申告がなされなければならないので、司法書士の従来の業務とは違うものがあるというところから、調査士というようなものが考えられた次第でございます。
#84
○大畠農夫雄君 そうなりますと、調査士の仕事というものは、いわゆる事実行為そのものをやるのであつて、手続行為として形式行為というものは、一応司法書士に頼まなければ駄目だ、登録する場合には……、こうなるのですか。
#85
○衆議院法制局参事(福原忠男君) これは調査測量は、勿論土地家屋調査士の職務でございますが、それに附随しまする申告手続も、勿論土地家屋調査土ができるので、その点は司法書士にお願いしなくてもよろしいことになるのです。
#86
○大畠農夫雄君 それを先程から聞いておつたのです。
#87
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 申告手続を特に司法書士に頼まなければならないというわけではございません。土地家屋調査士がみずからいたします。
#88
○大畠農夫雄君 こういつた法律命令はできるのですね、代理行為が……
#89
○衆議院法制局参事(福原忠男君) できるのであります。それは土地家屋調査士法の第一條の中に、「土地台帳又は家屋台帳の登録につき必要な土地又は家屋に関する調査、測量又は申告手続をすること」と、こういうことになつております。
#90
○大野幸一君 司法書士法と共にこの法律の第一條には、この法律の目的というものが書かれていないために非常に誤解を生ずると思うのですが、これによつてはいわゆる一定の調査申告手続をなすを業とする者だけを対象としておるが、仮に我々が建築いたしまして、大工さんに図面を引いて貰つて、それでそれを土地台帳及び家屋台帳に申告手続をする場合に、調査士に依頼しなければならないという根拠は私はないと思いますが、この点先程の御答弁中明らかでなかつたのですが、若しそうだとすると、これは一般国民に及ぼす影響が非常に重大なもので、例えば十坪の簡単なバラックを建てても、調査士に若干の報酬を支拂わなければならないのであります。私はそういうふうな解釈をしていないのであるが、これを明らかに一つして頂きたいと思うのでありますが、どうですか。
#91
○衆議院議員(田嶋好文君) これは特に第一條で決められたことでありまして、特にこの法案の重点だと思いますから、重ねて御説明をいたしたいと思うのでありますが、そうした場合本人がやることには差支ないのでございまして、ただ本人が土地家屋調査士に依頼してやる場合、その依頼を受けてやる人の業務の内容を第一條で規定したわけであります。ですから、本人がおやりになる場合はこれは勿論制限するものではございません。
#92
○大畠農夫雄君 そういう点なんですが、本人が選択する自由権を持つておるにも拘わらず、この登録された土地家屋調査士以上に技術を持つている人があつても、それを使うことができないとすれば、非常に国民は迷惑である。尚更費用を負担しなければならないということになりますと、この法律を施行することによつて国民に、先程大野委員から申しましたように、負担が非常に多く掛つて来る。詰らないこういつたものについてそう国民に負担を掛けるというよりも、もう少し国民に自由を與えて、そうして少くとも大体においてその測量登録しなくとも正確だと認められるものは分るのですから、その程度においてできなければならんと私達はこう思うのです。これを嚴格に解釈すれば幾らでも国民は負担してやらなければならんということになるのでありまして、その点が少し我我疑問に思うのですが、如何ですか。
#93
○衆議院議員(田嶋好文君) 実はそういうようなお説も成り立つかも知れませんが、半面今の土地家屋台帳法の制定によりまして、申告手続に正確を期さなければならないという点から考えて見ますと、そうした面に対して相当信用の置ける人を国家が持たなければならない、こういうことが前提になるわけでありまして、手放しということになりますと、どうも土地家屋台帳法を制定した趣旨に沿わないことになつて参ります。この法のできた前提は、土地家屋台帳法の制定が前提になつておりますので、どうしてもその制定に沿つた法律をここに作るということが、第一に考えて頂きたいところでございます。尚、国民の負担を大きくしやしないかという点でございますが、成る程国民の負担を大きくするかも分りませんが、半面、例えば弁護士会におきましても、非弁護士という者がありまして、却つて弁護士よりも負担を大きくする場合がありますように、不規則な測量士に頼むことによりまして、却つて信用がおけない結果を招くばかりでなしに、国民の負担が重くなるということも考えられるのでありまして、それらと対照いたしてみますと、信用のおける、而も一定の基準によつて賃料を拂つて安心して依頼ができるという線を選びますことがよいではないかと、こういうふうに私達は考えておる次第であります。
#94
○委員長(伊藤修君) 外に御質疑ありますか……それでは質疑はこれを以て終局することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#95
○委員長(伊藤修君) それでは質疑はこれを以て終局したものと認めます。本案につきましては、討論を省略いたしまして、直ちに採決することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#96
○委員長(伊藤修君) それでは直ちに採決することにいたします。本案全部を問題に供します。本案全部御賛成の方の挙手をお願いいたします。
   〔総員挙手〕
#97
○委員長(伊藤修君) 全会一致原案通り可決することに決定いたしました。
 尚、本会議における委員長の口頭報告の内容については、予め御一任を願います。御賛成の方の御署名を願います。
  多数意見者署名
   大野 幸一  大畠農夫雄
   遠山 丙市  松井 道夫
   岡部  常  鬼丸 義齊
#98
○委員長(伊藤修君) 本日はこれを以て散会いたします。
   午後八時七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤  修君
   理事
           鬼丸 義齊君
           岡部  常君
   委員
           大野 幸一君
           大畠農夫雄君
           遠山 丙市君
           松井 道夫君
  衆議院議員
           北川 定務君
           川本 末治君
           田嶋 好文君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       長谷川 宏君
  参議院法務局側
   参     事
   (第二部長)  福原 忠男君
ソース: 国立国会図書館
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