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1979/12/05 第90回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第090回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号
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1979/12/05 第90回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第090回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号

#1
第090回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号
昭和五十四年十二月五日(水曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 瀬野栄次郎君
  理事 小沢 一郎君 理事 小宮山重四郎君
   理事 石野 久男君 理事 日野 市朗君
   理事 貝沼 次郎君 理事 中林 佳子君
      狩野 明男君    椎名 素夫君
      中村喜四郎君    中村 弘海君
      船田  元君    保利 耕輔君
      上坂  昇君    田畑政一郎君
      木内 良明君    瀬崎 博義君
      林  保夫君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      長田 裕二君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     下邨 昭三君
        科学技術庁計画
        局長      園山 重道君
        科学技術庁研究
        調整局長    勝谷  保君
        科学技術庁原子
        力局長     石渡 鷹雄君
        科学技術庁原子
        力安全局長   牧村 信之君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       児玉 勝臣君
 委員外の出席者
        原子力安全委員
        会委員長    吹田 徳雄君
        外務大臣官房外
        務参事官    井口 武夫君
        運輸省港湾局管
        理課長     佐々木建成君
        運輸省港湾局計
        画課長     藤野 慎吾君
        特別委員会第二
        調査室長    曽根原幸雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○瀬野委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
#3
○石野委員 安全委員会の委員長さんにお聞きいたします。
 スリーマイルアイランドの原発の事故につきましては、その後いろいろな調査が行われておるようでありまして、五十二項目の注意事項も出されておるようでございますけれども、その前にスリーマイルアイランドの原発の現状はどんなふうになっておるというふうに皆さんの方ではとらえておられますか。
#4
○牧村政府委員 TMIの二号炉は依然として運転停止の状況でございまして、この炉の対策につきましては、現在NRCでいろいろ検討が進められておるようでございますが、現状におきまして、若干の進展と申しますと、容器内の放射性廃液あるいは放射性ガスの処理が一部実施されつつあるということでございまして、総体的にこの炉をどういうふうに持っていくか、あるいは再稼働するかということにつきましての見通しはまだ立っていない。私どもも、正確なと申しますか、決まった方針をNRCが打ち出しているというふうには聞いておりません。現時点でよく言われておることでございますが、再稼働をいたしまして、炉心内の除染であるとか原子炉内の燃料、炉心構造物の撤去等を行って再稼働するとしても、少なくとも四、五年ないし六年ぐらいの期間が必要であろうというふうなことは、NRCの発表等からもうかがえるところでございます。
#5
○石野委員 そのような状態のもとで、この原子力発電所というのは、経済的には成り立つというふうに見通されましょうか。
#6
○牧村政府委員 ただいま非常に長期間を要するということの理由の一つに、どのくらいその除染等の措置に金がかかるかということも非常に問題になるところではないかと考えられております。しかし、それがどのくらいの経費で済みそうかという公式的なあれはまだ発表されておりません。したがいまして、その炉を再稼働するときにかかる経費が幾ら幾らかかり、それを経済的に保ち得るかどうかというのは、これからNRCでいろいろ検討が進められ、また電力業界の方でも検討が進められるものではなかろうかと考えております。したがいまして、いまのところ、非常に高くつくであろうということは考えられますけれども、何とも言えない段階ではなかろうかと考えております。
#7
○石野委員 まあ一説には十億ドルとも言われ、あるいは二十億ドルとも言われておりますから、この修理だけでもなかなか建設以上の金がかかっちゃうだろうと思われます。
 そういうことになりますと、この炉自体は、この事故によってすでに経済的にもあるいは技術的にも、もう廃炉にした方がよっぽど有利なんだというような、私、実は向こうを視察しましての感じでございますけれども、そういうような感じに対しては委員長はどういうふうにお感じでございましょうか。
#8
○吹田説明員 私は、ああいう事故というものが全部の発電所に同時に起こる、そういう仮定を置きますと、原子力発電所というのはあり得ないというように思います。その確率というのは非常に小さいと考えられますし、小さくすることができると考えております。したがって、いろんなケースが考えられまして、復旧しない場合には最も高くつくのであろうかと思っておりますが、復旧の可能性は十分あろうかと思いますが、局長がいま申し上げましたように、現在のところ十分はっきりはしておりません。
#9
○石野委員 確率は少ないのかもしれませんが、もう現に起きてしまいました。ラスムッセン報告では隕石が落ちる程度だというくらいに言われた事故、これは微細な事故についてもそう言われたのですが、それよりもはるかに大きい事故が現に起きておるわけです。だからこれは、すべてに起きるということではなくても、やはりあの事故の大きさということについての感覚、受けとめ方というのはシビアでなければいけない。これを安易に受けとめるということは、私は危険だと思うのです。
 そういう意味で、委員長のいまのお話からしますと、聞きようによっては大して心配要らないのだというような聞こえ方にもなってしまう。しかし委員長がそういうようなお話をされますと、ちょっとこちらもそうじゃないよと言いたくなってしまうのだけれども、どうなんですかね。
#10
○吹田説明員 私、TMI事故からいろいろ学んだのでございますが、五十二項目を挙げておりますけれども、私自身といたしましては、アメリカのような条件を与えますならば、TMI事故というものが起こり得るということは事実でございます。
 それともう一つは、その確率をできるだけ小さくすることができる。われわれの観点からいたしますと、やはりその段階に至るいろんなバリアをできるだけ強固にいたしますと、ああいう事故は非常に起こりにくいということでございます。
 もう一つは、やはり人間と機械との相互作用というのが非常に重要である。
 実はこの二つでございます。したがって、この二つの点に関しましては、私たちは、TMI事故から十分に学びまして、わが国の原子力発電の安全性の向上に役立てて、その確率をゼロに近づけなければならないし、なし得ると考えております。
#11
○石野委員 いま、そのような御意見のようですけれども、日本の原発がそのようにはなかなかいっていないように思いますし、そこへいく前に、私は、スリーマイルアイランドの原発事故というのは非常に示唆に富んでいると思っておりますし、そしてアメリカではそうだけれども、日本ではそうじゃないという考え方については、委員長はしばしばそれを言いますけれども、私は、それはちょっと安易感に偏り過ぎているのじゃないだろうかという感じがするのです。基本的には、設計は向こうの設計を中心にして、基本にしているわけでございますから、マニュアルの方式にしても何にしても、日本式のものはできるかもしれませんが、やはりそういう安易な考え方はよろしくないと思います。
 それにしても、この中から学びとるものとして五十二項目の注意事項を皆さんの委員会は出しておられるわけですが、この委員会の出しました五十二項目の具体的な実行ということについては、委員長は各原子力発電所に対してどういうふうに対処していかれるのでしょうか。また現に、どういうふうにやっておられるか、そういう点についてひとつお話をお伺いしておきたい。
#12
○吹田説明員 五十二項目の中には、すでに現在、発電所において実行しておるものも含んでおりますので、われわれといたしましては、先ほど申し上げましたように、審査、それから審査以後のいろいろな段階におきますところの安全性を向上するためのそのバリアをできるだけ強固にする検査、あるいは使用前その他の運転管理、そういうところに重点を置きまして、あの五十二項目のうちの大部分はすでに運転しております発電所に適用されておりますが、しかし、新しいものになりますと、あの五十二項目のうちを十分分類いたしまして、直ちに審査に反映すべきもの、審査に反映するにいたしましても、ある基準を決める必要があるもの、そういうものでございますと、基準部会に下げまして、急を要するものでありますと、暫定指針というものをつくりまして、それを審査に反映いたしますとか、あるいは審査以後に必要な手当てをする必要がございますと、それは運転あるいは施工の際のいろいろな注意事項を、われわれとしてはその中から指摘して、申し送ることになっております。
 それから防災でありますとか、あるいは安全研究に長期を要するようなものもあの中に含まれておりますもので、一律に全部をすぐにということはございませんが、できるだけ早い時期にあれを実行に移していきたいと考えております。
#13
○石野委員 できるだけ早い時期にということは、時間の制限は必ずしもないわけですからね。
 そこで問題は、スリーマイルアイランドで起きた事故について、それの実態把握をどのようにするかということとの関連が非常に大きいと思うのです。たとえば炉の中心温度が二千度ぐらいまで上がっておるだろうということが言われておる、そしてまた燃料棒にしても一部溶融があるだろうということが言われておる、そういうようなことを認めて対応するのと、そんなことはあり得ないのだ、日本ではそんなことはあり得ないのだという形で対応するのとは全然違うと思うのです。その場合、委員長が言われるように、日本ではあり得ないのだという発想でいきましたら、五十二項目はあったってこれは節穴と同じようになっちゃう。そうでなく、やはり現実にスリーマイルアイランドではこういう事態が出ている、炉の中心温度は二千度以上超えている、燃料棒が溶融しているという事実を認めるとすれば、アメリカであったことは日本でもあり得るはずなんですよ。そうすると五十二項目の適用というのは、なるべく早くではだめなんだろうと思うのです。これは実行に移さなくちゃいけないし、また、そのための具体的な対策を立てなければいけないのじゃないかと思うのですが、きょうは時間も余りありませんので、細かいことは申しませんけれども、委員長の態度、つまり五十二項目に、いわゆる目に魂を入れるかどうかという問題、それはあなたの態度の問題にかかっていると思う。私は、なるべく早くやらなければいかぬだとか、アメリカのようなやり方でやればそうなるけれども、日本では違うのだというような考え方でおられたら、この五十二項目は何の役にも立たないと思うのですが、その点はどういうお考えでおられるのか、もう一度お考えを伺いたい。
#14
○吹田説明員 いまのお話のように、私たちは、TMI事故からできるだけ学び取る点は学び取って、わが国の原子力施設の安全性の向上に役立てたい。いまおっしゃいましたように、アメリカで起こったのだから日本で起こるであろう――私、先ほど言いましたように、TMI事故から学びます一つは、アメリカのような状況を入れていきますとああいうTMI事故になるということでございまして、日本でもそういう事故のないようにするためにはどうしたらよろしいか、私たちは、ああいう事故を防ぎ得ると考えておりますが、それは理論的に言いますと必ずしもゼロではございません。したがって、われわれは、それをゼロにできるだけ近づける努力をする必要があります。
 これからできるだけ早く五十二項目を実施すると申し上げましたが、その前に、私の申し上げましたのは、すでに実行できることは実行をしておるのでございます。ですから、事故後直ちに実行できることはいろいろな意味の総点検でございまして、そういう意味で、わが国の原子力施設の安全性の向上というのは、五十二項目で指摘する前にすでに行われておったと思います。われわれ安全委員会といたしましては、常に国民の健康と安全を確保するという立場に原点を持ちまして、わが国の原子力施設の安全性の向上に努力いたしたいと考えております。
#15
○石野委員 日本でいま起きている原発の事故というのは、どういうものがありますか。
#16
○児玉(勝)政府委員 最近起こっております事故といたしましては、これは運転中に起こりました事故ばかりではございませんで、定期点検中または停止中のもので起こっているものを含めまして申し上げますと、福井県では、電気事業用の原子力発電所は七基ございますけれども、本日現在、点検中のものが美浜の一号及び二号でございますが、それから高浜の発電所二号、大飯発電所一号の計画四基がとまっているわけでございます。
 その中で、美浜の二号につきましては、十月の二十四日に蒸気発生器の細管からの冷却水の漏れのために点検をしておりますし、それから高浜の発電所の二号機につきましては、十一月の三日に一次冷却水の漏れのため、いずれも定期点検中の調整運転時に原子炉が停止しております。
 高浜発電所につきましては、これは一次冷却水が、推定でございますが、約八十トンばかり格納容器のサンプに漏れてたまったというようなことで、これは従来日本の中でもなかった非常に重大な事故とみなして、それについての処置を行っておるところでございます。
 それから、大飯発電所の一号機につきましては、十月の九日に、二台あります余熱除去ポンプのうちの一台に、回転翼の軸はめ込み部の肉厚が薄いことなどによりまして、ひび割れがあったことから、その回転翼を取りかえるというようなことをいたしております。
 それから、PWRにつきましても、十一月の三日に、高圧復水ポンプの前にございますフローリレーの故障によりまして停止するというようなことが起こっております。
 以上、最近のを申し上げました。
#17
○石野委員 いま二十基ほどある炉の中でこれだけの事故があるわけです。これはPもBもどちらにもいろいろあります。もちろん、これはいろいろケースも違うと思うのです。違うけれども、やはりこういう事故があり、特に高浜の二号炉のように、一次冷却水がこんなに多量に漏れちゃっているという事故もある。理由はどうあろうと、これは大変なことだと私は思います。
 そういうことになりますと、委員長、日本ではスリーマイルのようなケースはないのだということかもしれないけれども、別な新たなケースは出てくるわけです。だから私は、委員長のスリーマイルの教訓に学ぶという姿勢にやはり非常に疑問を持つのです。あなたは、安全委員会の委員長ですからね、原子力委員会の委員長とは違うのです。安全委員会の委員長の姿勢はもっと違わなければいけないのじゃないだろうかと私は思うのです。特に安全委員会ができたというその経緯にかんがみても、もっとシビアでなければいけないと思うのです。シビアであっても日本の原子力産業なら産業に対して決してダメージを与えることはないと思うのです。むしろそれの方がいいのじゃないかと思うのです。これは姿勢の問題ですからあれこれ言えませんけれども、どうもやはり委員長の姿勢は安全性についてまだ偏り過ぎているというように私は思う。これは私だけじゃないと思うのです。そういうような姿勢はあなた自身の持っている特質でもございますけれども、しかしあなたは、委員長としては公人ですから、もうちょっとやはり姿勢を厳粛にしてもらいたいという希望だけ申し上げておきます。
 時間の関係がありますからあとのことは別にいたしますけれども、しかし少なくとも、この五十二項目を具体的に実行するということになりまして私やはり一番思いますのは、先ほどから人と機械との相互関係が必要だということもおっしゃられておりまするけれども、やはりここまできますると、既存のものは別としても、建設の問題については、炉自体についての点検なり、設計点検とかなんとかというような問題で非常に厳しくなければならないのじゃないかと私は思うのです。それからまた、安全審査体制につきましても、やはりこのスリーマイルアイランドの事故に学ぶべき体制づくりを考える必要があるのじゃないか、こういうように思います。
 こういうような根本的な再検討というものがどのように行われているか私はわかりませんけれども、少なくともそういうことが着々と進んでいかないことにはこの教訓は生きてこない、このように思うのです。委員長はそういう点についてどのようなお考えをなさっておりますか。
#18
○吹田説明員 石野先生のおっしゃるとおりでありまして、私たちは、審査から運転管理までTMIから得られました教訓を直ちに実施にできる限り移しておりまして、安全委員会といたしましては、やはり設立の趣旨は十分心得て運営しているつもりでございますが、これからも一層そういうことに留意してやりたいと思っております。
#19
○石野委員 今度の事故は、当初段階でいろいろ推測しておったことと、だんだん事態が明らかになってまいりますると、ずいぶん違ったものがやはりたくさん出てきていると思うのです、スリーマイルアイランドの事故につきましては。たとえば放射能漏れの経路の問題につきましても、当初考えておったようなこととは大分違うのじゃないかというような最近の事象が出てきております。ですから、やはりアメリカはアメリカ、うちはうちだ、こういうような考え方は抜きにして、アメリカのスリーマイルアイランドの経験というものが、もっとシビアにいろいろな施策の中に、あるいはあなた方の指針の中に入ってこなければいけない、このように私は思うのです。
 そういう意味で、できるだけ安全性を皆さんによく認めてもらうというような発想に基づく行動というものは極力避けるべきであって、むしろ安全性を確立するために当事者に対して厳しく指示を与える、こういう態度でなければならぬと私は思うのです。
 原子力委員会が今度学術会議とシンポジウムをやりましたが、共同でシンポジウムをやりました考え方の基本はどこにあるのですか。
#20
○吹田説明員 安全委員会が設立されましたのは、やはり行政懇の提言に従いましていろいろ施策を施しておりますが、その一つに、専門家によるシンポジウムがございます。これはいま石野先生がおっしゃいましたように、私たちは、学問的に安全を確立するというところに非常に重点を置いておりまして、それが結局は長い目で見ますと日本のためになると考えております。したがって、学問的に正しいか正しくないかをまず確かめるということが一方で行われる、そして一方では行政的にその実際の行為が行われる、この両方が必要であろうと思います。私たちは、行政懇の提言に従いまして、専門家によるシンポジウムをやったわけでございまして、これからもその線に沿ってやりたいと考えております。
#21
○石野委員 安全委員会の委員長として学問的に信憑性を確立する、それをやはり行為の中へ移すためにシンポジウムをやったのだということですが、学術会議の中にはこの問題に対して違った意見を持っている学者諸君もたくさんいられる、そういうようなものに対してシンポジウムの効果、そういう学術会議とあなた方のシンポジウムを行ったときの効果というものは、どういうふうに客観的なものを持っておるのでしょうか、また、それに対して委員長はどういう期待をかけておるのですか。
#22
○吹田説明員 私は、基本的には日本における原子力施設は日本人で守らねばならない、いま言いましたように、われわれのいわゆる行政のいろいろな施策がやはり学問的に裏づけられなければならない、そのためには日本の国におきまして最も代表的な学者の機関でございます学術会議が学問的な点でその深さを増していくというのは、われわれ安全委員会に課せられたる責務の一つだと考えておりますが、それが直ちに行政に反映するかどうかは、そのシンポジウムの結果をすぐに反映する考えはございません。
#23
○石野委員 学問的にあなた方の仕事が裏づけられることの必要性を痛感する、それはそのとおりだと思います。その場合に、学問的に裏づけられるという場合に、学術会議に期待するものがどういうものがあるのかということを私は聞いているのです。
#24
○吹田説明員 学術会議は、いま言いましたように、日本における学者の内外における代表機関でございます。それからもう一つ、やはり原子力委員会時代からこういう問題が持ち上がっておりまして、学術会議におきましても、こういうシンポジウムに意義がある、そういうことで共催いたしました次第でございます。
#25
○石野委員 委員長が学術会議を学者の代表機関だというふうに見られることに私は別に異議をはさみませんが、その代表機関である学術会議の中に異論があって論がまとまっていないときに、それをやはり学術会議の代表だというふうなとらえ方をしました場合に、あなたのお考えになっているような学問的裏づけということについての信憑性を損なうことになりゃせぬだろうか。あなたは科学者だから人情論じゃないと思うのです。科学者であるだけに、学術会議というものに対してあなたはどういうような見方をしているかということをここで聞いておきたい。こういう異論があって学術会議の中には非常に厳しい反対意見があるというようなときに、それと話し合いをするのが効果があるのか、むしろそこをまとめてもらってから後学術会議と話をするということの方がよかったのではないかというふうに私は思いますが、なぜそういうことについての着眼がなかったのでしょうか。
#26
○吹田説明員 私は、学術会議の原子力研究連絡委員長を長年務めておりますが、学術会議の中にはいろいろな意見の人が集まっておるというのが特徴でございます。ですから、いま石野先生がおっしゃいましたように、いろいろな意見が出るということこそ学術会議だと思いますが、それは学術会議の中のことでございまして、私たちとしては、それをどうこうするということは考えておりませんで、学術会議内部のことだと考えております。
#27
○石野委員 私は、異なことを聞くのですが、あなたが学術会議を全然知らないで、外から学術会議は学者の代表機関だというようなとらえ方をしている場合は、そういう御意見があってもまあ仕方がないなと思うのです。しかし、いまおっしゃったように、あなたは、学術会議の中で重要な役割りをしてきて、中の事情をよく知っているわけだ。知っているあなたが、あえてそれを無視したという態度をとるということに疑義を持つのです。わかっているのになぜそういうようなことであの状態を容認していこうとするのかということを聞きたいのです。
#28
○吹田説明員 シンポジウムというのは、もともと賛成、反対、そういうものに重点を置かずに、何が正しいか、何が正しくないかというのでございますから、それはいろいろ反対もあれば賛成もある、そういう学者が参加することがあのシンポジウムの意義のあるところでございますので、学術会議側ていろいろな意見があって――石野先生は恐らくパネリストの方々のことを言っておられると思うのですけれども、あれはパネリスト選考の過程でいろいろな人に恐らく当たったと思いますが、そういうことで賛成も反対も、恐らく学術会議としてはいろいろなことを考えたものと私たちは受け取っております。
#29
○石野委員 これは後で学術会議の会長さんに意見を聞かなければわからないけれども、学術会議の中を十分知っていらっしゃる安全委員長が、シンポジウムにおいて一定の安全施策を行う上において有利な資料を引っ張り出し、そして大衆に対して理解を進めさせるようにしようという意図でやられたことでございましょうが、学術会議の中であれだけの騒ぎがあるということを知らないのではなくて、知っていて、そしてあえてそれを押し切っているということに私は疑義を持つ。そういうようなことでは、客観的な立場をあなたに期待することが非常に困難だというふうに思うのです。だから私は、あなたのお答えは、むしろそういうような点でのお答えを欲しかった。どうも委員長にはそういう意味では反対する者は仕方がないのだというような割り切り方があるように見えまして、率直に申しましてちょっと残念ですよ。
 今回のシンポジウムであなたがかち得た成果というものは、二、三の点はどういうものがありましたか。
#30
○吹田説明員 異なる意見の専門家が一党に集まって、わが国の原子力の安全性の基本にかかわるようなことを討論したというのが一番大きいと思います。
#31
○石野委員 それは一般論ですが、原子力安全委員会として、あなた自身が、このシンポジウムでこの委員会の仕事をする上で具体的に成果があったと思われることはどういうことでございますか。
#32
○吹田説明員 最初から私たちはすぐに安全委員会の仕事に反映させるということは毛頭考えてございませんでして、そこで述べられた意見を十分消化し、そしてやりたいと思っておりますので、すぐにあれから行政に関係するようなことを引き出そうとは全然いまのところ考えておりません。
#33
○石野委員 私は、安全委員会の持つ役割りというものは非常に大事だと思うのです。
 何遍も抽象的なことを言うようでございますけれども、原発は世界的に二つの傾向があると思うのです。一つは、安全性の観点からもう余りこれに期待すべきでないという意見と、それから大体石油がこんな状態だから何としても原子力発電に頼らなければならないということで、それを施策の上で積極的にやろうという意見と二つあると思うのです。しかし、それにもかかわらず、最近、むしろその積極論者の中でも安全性を確保することがどんなに大切かということを、スリーマイルアイランドの事故なり、あるいはその他各国においてまだセンセーショナルに報道はされていないけれども起きている問題が多うございますから、そういうことを中心にしてやはり安全への慎重な態度をとるべきだということが強くなってきていると私は思っております。
 わが国における安全委員会の果たす役割りというのは、むしろその委員会が成立した当初の原点に戻りまして、そして安全の問題についてもっとシビアな立場でいくべき態度をとらなければいけない、このように私は思います。ことにこの五十二項目をあなた方の方から注意事項として出されている以上は、この問題についてはもっとやはり厳粛に対処していただかなければいけないのじゃないか、こう思いますので、やはり吹田委員長がこの委員会をリードされるに当たりましての姿勢の問題は、委員長自身、自分はそれでいいんだとお思いでしょうけれども、どうも私たちが見ておりますと、先ほど申しましたように、そう思われない線がある、やはりどうも安全への方向に偏り過ぎて、事故をできる限り、危険性なり問題点というものをなるべく抑え込んでしまうというように見える姿勢があるんですよね、これは注意してもらわないと困ると思うのです。
 シンポジウムのあり方なんかにつきましても、私は、むしろああいう状態であるならば、もっと学術会議の中で問題の処理をされた上でやるべきでなかったかと思ったりしておりますけれども、あなたがそういうことをあえてせずにやられたことについても疑義を持ちます。
 このシンポジウムの呼びかけはどちらからなさったのでしたか。
#34
○吹田説明員 これは先ほど言いましたように、原子力委員会のときからこれが続いているというように、会長さん、それから当時の井上委員長代理、私たちの列席のもとに、そういう認識がございました。
 それと同時に、安全委員会といたしましては、やはり最初のシンポジウムというのは、先ほど言いましたように、日本の学者の学界の代表機関である学術会議に相談して、広い視野でまず行うのは学術会議であろう、そういうふうに実は考えておりまして、どちらからということなしに、お互いに、学術会議側も共催を評価してやることになりました。
#35
○石野委員 私がくどくそういうことを聞くのはほかではないのです。今度のシンポジウムがああいう形になりまして、警官が入るなどというような、早く言えばぶざまな形で、しかも門を閉ざしたような形のシンポジウムになったのでは、これはあなた方の考えていたことと大分違うのだろうと思うのです。
 一つお聞きしますけれども、今度の経験にかんがみまして、これからも原子力安全委員会として学術会議とのシンポジウムを組むに当たって、学術会議内においてあのように異論が沸騰しておるときに、それでもあえて今後もシンポジウムをやる考え方であなたはおるのですかどうですか。そこのところをひとつよくお聞かせ願いたい。
#36
○吹田説明員 安全委員会といたしましては、先ほど言いましたように、行政懇の提言に従いましてやはり施策を施しております。ですから、シンポジウムというのは、専門家が学問的にいろいろな意見を出し合って深めていく場でございますから、必ずしも常に学術会議とあのような共催関係を持つということとは限りません。ただ、いろいろな条件が整いましたならば、学術会議と共催をいたします。
 それで、学術会議の方もわれわれの方もそれぞれ主体性を持ちまして、伏見会長がよく言われるように、二人三脚のかっこうでやれるものはやりますが、同一歩調でございませんと二人三脚は走れません。ですから、歩調が合いましたならばあるいはシンポジウムをやりますが、シンポジウムは必ずしも学術会議と共催するという条件のもとではございません。
#37
○石野委員 非常にややこしいのですが、双方が主体性を持って二人三脚でやる、それはそのとおりだと思うのです。その場合に、主体性ということの中で、学術会議の中にどんな混乱があっても一部の人々があなた方とのシンポジウムをやるというときには、あなたはどういうふうな態度をとられるかということを実は私は聞きたいのです。あなたは、主体性がある向こうがやることなんだから、内部にどんなことがあろうとそんなことは知らないのだ、話し合いがまとまればそれでいいじゃないかということで今後もシンポジウムをやるのですか。それとも向こうがシンポジウムをやろうとしても、学術会議の中であんなに混乱があるという事態があったときに、あなたは、向こうの主体性だからそんなことはどうでもいい、話し合いさえまとまればいいのだというような非常に割り切った形でいくのか。しかし、向こうにそんな混乱があるならこれはおかしいじゃないかというようなことで、シンポジウムはそういうような場合にはやらないという態度をとるのか。これは非常に大切なことですよ。率直に申しまして非常に微妙です。どういう態度をとりますか。
#38
○吹田説明員 われわれの考えておりますシンポジウムというのは、学術的に専門家の集まりでございまして、常に学術会議と共催するという条件が必要条件としてあるとは考えておりませんので、適当なわれわれの所掌の中で学術会議と共催するのがよろしいと判断した場合には共催いたしますが、たとえば非常に問題を深めていくために少人数のシンポジウムの方がより効果的であるという場合には単独でも開く場合もあります。
#39
○石野委員 そのことの意味は、シンポジウムというものは賛成、反対の者が寄り集まるのだからということで、賛成の者だけ集まって反対の者は追い出されてしまうというようなことになったら、これは意味がなくなりますね。
 だから、私が聞きたいことは、あなたは、単独ででも条件が整えばということなんですが、その条件の整うことの認識ですね、ここに、あなたの認識と一般大衆の認識との間に余りに大きくかけ離れているものがあるとすると、これは非常に問題が残ると思うのです。判断の問題ですから何とも言えませんけれども、少なくとも安全委員会の委員長というあなたは、そういう問題について、やはり皆さんが、だれが聞いても理解のできるような態度をとっていただくこと、そういう信頼感がないと、あなた方のやることに対して客観性が非常に持ちにくくなってまいります。
 だから、委員長のいわゆる姿勢の問題とも関係するのですが、シンポジウムの持ち方について、少なくとも学術会議というのはわれわれの感じる限りにおいては学者の集まりですから、余りとらわれないでだれでも同じような意見が出るようにということを私たちは期待しているわけです。賛成、反対どちらも入り得るような体制がなければシンポジウムの意味はないと私は思うのです。今回の場合はそうじゃなかったと思う。
 そういうようなものを、われわれの税金でつくっておる委員会、しかも日本の国の原子力に対する安全をすべて任しておるあなたに今後もやられたのじゃ困ると私は思うから、それであなたの意見を聞いているのですが、もう一遍ちょっと聞かせてください。
#40
○吹田説明員 学術会議は運営審議会で共催を決定いたしまして、今回の場合考えてみますと、総会でそれを承認しておりまして、学術会議の意思の決め方について、こちらといたしましてはとやかく言うことはできないと考えます。
#41
○石野委員 そうですか。総会で決められたことであるから、ああいうような混乱が起きても、おれは知ったことじゃないのだという態度であられるというふうに私は認識してお聞き取りしますけれども、それでよろしいですね。
#42
○吹田説明員 安全委員会のシンポジウムというのは、わが国の学者、研究者の幅の広い参加を呼びかけておりまして、それが最も重点的にシンポジウムをやるかやらないかを決定する要素になろうと思います。
#43
○石野委員 それは一般論を言っておるので、具体的な問題があるからその具体的な問題について私はあなたの考え方を聞いているんですよ。学術会議は総会で決めた、総会で決めたから私はやったのだというあなたの結論なんですよ。しかし外から見れば、あれだけの大きなことがあり、しかも反対をする諸君が原子力についてなり、あるいは学問についてそんなに不定見な方ではないと私は思うのです。皆さんみんな権威のある方がおると思うのです。ことに私が知る限りにおいては、原子力についてスリーマイルアイランドなんかの問題についての考え方などでは、やはり相当事前から的確な判断をしておった方々が多いと思います。あなたがわが国はそんなことはないと言い切ったときに、あの問題について相当的確な判断をしておった方々が多いんですよ。それで、その後アメリカの大統領委員会が出した報告書は、ほとんどその人たちの意見と余り狂っておりません。どちらかと言えば、あなたの言っていることが間違っているのですよ。なぜそういう間違っておる人の意見が通っちゃって、間違っていない正しい判断をしておった人々の意見をあなたは聞こうとしないのですか。私は、そういうところに疑問を持ちますよ。
 日本の原子力安全委員会の態度がそういうような立場であるということでは大衆は信頼できない。私は、むしろ日本の原子力行政がやはり一億の国民に対して安全を確保するために、信頼のある機関となってもらいたいのです。学者の方々にもそういうことを期待したい。シンポジウムはそのためによりよいものになってほしいのです。
 だから私は、やはり意見のある方々のなにがどんな場合でも受けとめられるような体制をつくるためには急いではいけないと思います。学術会議は主体性を持っておりますから、あなたがそのように取り扱うのは結構ですけれども、学術会議の中で問題がある場合には、しばらくながめておってもいいのじゃないですか。それでも決して損にはならないと思いますよ。ぼくは、そういうような態度を少なくとも安全委員会の委員長にとっていただきたいと思っております。
 問題は、学術会議の中の問題はあなたに聞いても仕方ありませんから、他日またお聞きすることにしますけれども、少なくとも相対でシンポジウムをやろうとするときのあなたの構えというものが偏り過ぎていますよ。そんなことではだめですよ。幾つかの意見があるのです。意見が幾つもあったら、安全委員会というものがその幾つかの意見を全部入れるというときに、学術会議ではなくてあなたの立場がそれでなければならない。あなたがすでに違った意見を排除しているシンポジウムを持っている、それではまずいんですよ。広範にとか幅広くとかあるいは総合的なとかいろいろなことを言ってみたところで、実態は排除の理論がそこに入っているようなシンポジウムでは何の役にも立たないですよ。私はそう思う。皆さんの中からいろいろな意見が出されて、また、あれだけの行為がありましたから、安全については非常に遠慮深い会議になったように思います。
 しかし、いずれにしましても、あのシンポジウムの持つ意味というものは、私は、必ずしも安全委員会の原子力政策に対する態度としてそぐうものではないように思うのです。これは注意していただきたいと思います。
 学術会議の方の問題については、私はまた他日学術会議に聞きますけれども、委員長には、やはりどういうことがありましょうとも、仮に向こうに主体性がありましょうとも、向こうにトラブルがあり混乱があるようなときには、そういうものと相対でやるということは決していいことではないのだというぐらいのことは常識として私は考えていただけると思うのですけれども、いまの私の申し上げていることはあなたには通用しないようですが、依然そうでしょうか。
#44
○吹田説明員 何回も申し上げますが、安全委員会のシンポジウムというものは、できるだけいろいろな学者の意見が出るようにこれから運営していくわけでございまして、その問題あるいは条件が整いますと学術会議と共催いたしますが、そうでない場合にはわれわれは独自の立場でやっていく考えでございます。
 いずれにいたしましても、わが国の原子力に関する学問的な深みを増すということは、わが国にとって非常に重要なことでございます。
#45
○石野委員 同じことをいろいろ何遍も言われますが、その条件が整えばという条件の中に、あなたは、必ずしも共催でなくて独自でやるという場合、その独自でやるという判断の条件として、今回の場合なんかは、一応の条件としては単独でやらんならぬような条件になるというようにお聞きしていいのですか。
#46
○吹田説明員 われわれといたしましては、よくああいう事情を検討いたしまして、どういう条件のもとにおいてわれわれのねらうような学問的な深みを増すことができるかということを今後検討していきたいと考えております。
#47
○石野委員 私は、少しはわかるような気がします。だけれども、やはり共催という場合と単独という場合とは意味か違ってくるわけですね。単独で多くの人の意見を聞くというのと共催で聞くというのは場が違いますから、共催の場合に相手方がどういうような状況であるかということを無視して、何でもずっと行政懇からの引き継ぎの事項でございますからというようなことで、押せ押せでやるようなことになったのではいろいろな問題が残るだろうと心配するから私は言うのです。
 だから、学術会議との共催を組むに当たっては、学術会議の中が、総会で決定されたことが裏も表もない決定であったということであればこれは何でもないですよ、だけれども、決定は多数決で決まっておるでしょうけれども、そのことを中心にして行為が起きた場合に、反対の諸君が行動を起こしますね、当然のことですよ、そういう行動が起きたときに、それをあなたの方は無視するわけにいかないと思うのです、それは学術会議の独自性の中における行動ですからね、そういう場合に、相手方の独自性の中には不十分なものがあるのだということを見たら、それと対等のとか相対のシンポジウムなどというのをやっても、それはあなたの当初期待するようなものにならないはずなんです。
 こういう点は自今十分注意してもらいたいと思う。それでないと、われわれもあなた方に対し期待をすることはできなくなる。いま一度委員長のお答えをいただいておきたいと思います。
#48
○吹田説明員 安全委員会としては、いろいろな意見の人をシンポジウムに加えるという基本線は変わりません。そういうことをわれわれとしては当初考えておりました。ああいうシンポジウムを初めてやるのでございますから、やはり試行錯誤的なことをわれわれとしては考えざるを得ないのです。それで私としては、十分検討いたしたいとは考えております。
#49
○石野委員 余り弁解じみたことを言わないで、もうああいうような状態のときはやらないとはっきり言えば私もよくわかるんですよ。だけれども、あんなことがあっても、私の方でまたあれこれ考えて条件が整えばということになってしまったのでは、われわれとしては、ちょっとあなたの声を素直に聞くわけにはいかなくなる。さらっと言ってくださいよ。
#50
○吹田説明員 私は、あれが完全に失敗だったとは考えておりません。
#51
○石野委員 じゃ、ああいう場合でもまたやるというわけですな。
#52
○吹田説明員 ああいう経験を踏まえまして、今後、学問的に深みを増すためにはどういうふうに持っていったらいいかというのか、やはり試行錯誤の非常に重要なところでございますので、十分検討していくことはわれわれとしてやぶさかではございません。
#53
○石野委員 十分検討してください。この問題だけやっておると時間がなくなってしまう。
 ところで、あのシンポジウムの経費はどういうような分担になっておるのですか。
#54
○牧村政府委員 事務局である科学技術庁と学術会議の事務局が相談いたしまして、経費を分担して支出しております。
#55
○石野委員 どういう比率の分担になっておりますか。
#56
○牧村政府委員 会場費その他の経費が科学技術庁でございまして、学術会議の方が雑費的なものを引き受けて支出しております。
#57
○石野委員 具体的に、その雑費は幾らぐらいになって、会場費が幾らでということだけちょっと言ってくれませんか。
#58
○牧村政府委員 ただいま資料を持っておりませんので、至急取り寄せて、後ほど御報告させていただきたいと思います。
#59
○石野委員 それじゃそれは後で下さい。
 もう時間がありませんけれども、石油が非常にいろいろな問題を醸し出しておりますが、代替エネルギーとして、政府は、特に科学技術庁が原子力等を非常に重要視しておるわけです。石油の代替エネルギーとしてハードなものとソフトなものの考え方、ソフトエネルギーをどういうふうにエネルギー政策の上で来年度予算で取り上げようとしているのか、これは科技庁も通産も両方かかわっておると思いますけれども、その考え方を、どちらからでもいいですから聞かせてください。
#60
○園山政府委員 お答えいたします。
 御指摘のように、石油の問題が非常にむずかしくなっております。
 政府といたしましては、昨年の七月にエネルギー研究開発基本計画というのを定めております。これは二十一世紀をにらみまして、今後十年間程度のエネルギー関係の研究開発の基本計画を定めたものでございます。これは政府全体のものでございますけれども、この中で、石油代替のエネルギーとして最も有望なものと考えております原子力開発だけでなくて、石油、石炭など各種燃料の開発利用技術と一緒に太陽、波力、地熱などのいわゆる自然エネルギーの利用技術、さらにエネルギー有効利用技術といたしまして、省エネルギーの問題、廃熱利用の問題につきましてプロジェクトを設定するというようなことで、研究開発を幅広く進めるという考え方に立っておるわけでございます。
#61
○石野委員 その場合、省エネルギーというのは、エネルギーの中でどういうふうに位置づけようとしておりますか。
#62
○児玉(勝)政府委員 ただいま先生おっしゃいますように、代替エネルギーの中で省エネルギーというのか非常に大きなウエートを占めておるわけでございます。いろいろな代替エネルギーの開発もございますが、省エネルギー関係としては、たとえば工業技術院におきますムーンライト計画というようなことで、エネルギーの転換効率をいかに高めるかという問題、それからもっと大きな観点でまいりますと、産業構造そのものを大消費エネルギー産業から付加価値の高い産業に移行するということで、長期問題と短期問題に分けまして、省エネルギー問題を解決していきたいと考えております。
 省エネルギーの具体的な目標といたしましては、総合エネルギー調査会の需給部会が八月三十一日に出したところでございますけれども、昭和六十年に一二・一%、六十五年には一四・八%、七十年には一七・一%というような、従来にない省エネルギー率の向上を図りたい、こう考えております。
#63
○石野委員 原子力の問題については来年はどのように対処するつもりですか。これは科学技術庁と両方になりますが……。
#64
○石渡政府委員 現在、来年度予算要求をしている段階でございますが、私ども昨年九月に策定いたしました原子力委員会の原子力研究開発利用長期計画に沿いまして、まず安全の確保を第一義といたしました原子力発電の一層の定着化、現在の軽水炉体系の定着化を第一の柱とし、第二の柱といたしまして、ウラン濃縮、再処理等の自主的な核燃料サイクルの確立、三番目に、将来の発電炉の本命と考えております高速増殖炉等の新型炉の開発等の施策を進めてまいることを考えております。
 なお、財政の問題がございまして、現在、これらの計画の予算を獲得するために、一般会計予算に加えまして、仮称でございますが、代替エネルギー対策特別会計といったものの創設を考えまして、通産省ともども、代替エネルギーの開発を促進してまいりたいと考えている次第でございます。
#65
○石野委員 これは、もちろん予算規模にもよってくるのだと思いますけれども、原子力の予算の面では、今年度の予算よりも幅広くプラスにするのですか、それともマイナスになるのですか。どんな方針ですか。
#66
○石渡政府委員 お答え申し上げます。
 若干丸めた数字でございますけれども、本年度約千六百億円の予算でございます。来年度は約一千億の増を期待している次第でございます。
#67
○石野委員 そのふえる分は主にどういうところへ使うつもりですか。
#68
○石渡政府委員 お答えいたします。
 まず、大きくふえますのは、安全対策の強化拡充でございます。その次に、核燃料サイクルの確立、それから高速増殖炉、俗称FBRと申しておりますが、この原型炉の建設に着手をいたしたいと考えておりますので、これも増額になります。さらに、核融合の設備の建設を促進するために、やはり相当額の増額を考えている次第でございます。
 なお、金額的には若干小そうございますが、保障措置関係あるいは核物質防護関係の対策の強化も税額の対象になると計画しております。
#69
○石野委員 その場合の安全対策についてですが、人員を相当程度ふやすつもりでおりますか。
#70
○石渡政府委員 安全対策の強化のために人員増を相当考えております。
#71
○石野委員 時間がありませんので、これは大臣に伺いますが、安全性の問題は非常に大事だと思うのです。
 それで、来年の予算でどういうふうになるのか私はわかりませんけれども、やはり技術開発なり新型転換炉なり、あるいは高速炉だとか核融合とかにもいろいろ使うと思いますけれども、安全対策のための予算を相当組み込んでもらうことが非常に大事だ、こういうふうに思うのです。
 同時に、これは科技庁だけではなくて、安全委員会の予算がまた別にあるのだと思いますけれども、安全委員会の体制というものについて――いまはほとんど科技庁が背負っておるのですが、同じような人員をふやすについても、安全委員会に引き当てられるべき人員、これは相当程度考えてもらわないといけないのではないかと私は思う。それで、細かいことはわかりませんけれども、もう予算はできているのかどうか知りませんが、そういう問題について大臣の所見だけを聞いておきたいと思うのです。
#72
○長田国務大臣 原子力の開発がこれから非常に大事だという姿勢で政府はその研究開発利用に取り組んでおりますが、お説のように、安全の確保ということがその大前提になっておりますことは、私どもも十分承知しているところでございます。したがいまして、これからの各方面にわたる研究や開発、あらゆる面につきまして、安全についての考慮を相当払わなければならないと思っておりますし、あるいは政府関係の機関の人員の問題、あるいはその他の経費はもちろんのことでございますが、さらに防災対策等につきまして広くこの安全対策が進められなければならないわけでございまして、これから各方面に一層注意をいたしまして、予算の要求そのものが完全に通るような時代でもございませんけれども、私どもとしまして、そのような面に特に注意をしてこれから進めてまいりたい、このように考えております。
#73
○石野委員 これで終わります。
#74
○瀬野委員長 次に、田畑政一郎君。
#75
○田畑委員 石野委員の御質問に引き続きまして、原子力安全についてお伺いいたしたいと思います。
 実は、先般開かれました原子力安全委員会と日本学術会議共催のシンポジウムでございますが、このシンポジウムにおきまして、先月の二十七日に最終のコミュニケを発表されたわけでございます。その際に「原発事故情報の収集、蓄積、整理、公開のシステムを制度化することの緊急性について意見が一致した。」、こうなっておるわけでございますが、そういう趣旨のコミュニケが発表されているわけです。
 ただ、これには一つの経過がございまして、これの発表に出てまいりました日本学術会議の伏見会長は、この中から「公開」という文字、原子力問題については大変基本的なことでございますけれども、「公開」という二文字を削って、そうして発表したわけなんです。なぜこれを削るのかということから記者会見でいろいろ意見が出まして、その結果、この「公開」をさらに加えて二度目の発表をしておる。なぞそういうことになったのかということについて、これは実は吹田原子力安全委員会委員長が、ひとつこの「公開」という文字だけは取ってもらいたいということを強く要請されたために、初回の発表では「公開」の二文字を切った、こういうことが世上言われておるわけでございますが、そういうことが事実とすれば、これは私、まことに日本の原子力行政にとっておもしろくないことだと思うのでございますが、この際、原子力安全委員会委員長から明確な御見解を承りたい、こう思うわけでございます。
#76
○吹田説明員 まず、局長から答えていただきまして、私、その次に申し上げます。
#77
○牧村政府委員 若干、先生の御質問のバックグラウンドを先に御説明させていただきたいと思います。
 今回のシンポジウムを行いましたわけでございますが、その翌日、それぞれの機関の見解を新聞に発表したわけでございます。その記者会見で発表すべき内容につきまして、双方で大幅な意見の食い違い等がないよう意見交換をいたしております。
 新聞報道で言われております、ただいま先生の「公開」のくだりについて安全委員会側の考え方は、パネリストの間でも必ずしも事故情報の取り扱いについての内容が全く一致したわけではなかったことは事実でございます。その代表的なものとして、一つは、資料の公開そのものが全然なされていないという御意見を踏まえての御意見、それからもう一つは、相当のものが公開されているのだけれども、そういうものを十分整理して学者等がそれを解析あるいは研究に利用する方法と申しますか、システムがなお整備されていない、こういうものを整備すべきであるという御意見とに若干分かれたわけでございます。そういうような状態のシンポジウムの意見を集約するに当たりまして、単に「公開」という言葉についてその中身がかなり違っておったと安全委員会の方ではお考えになられたわけでございます。
 それからもう一点は、安全委員会としては、通産省等から出てまいります事故、故障のデータについては、委員会に報告されたものについてはすべて公表するということが発足以来の鉄則でございます。そういうことで、最近におきましては、ほとんどの事故、故障は公表されておるのが実態でございました。
 このようなことが安全委員会側のお考えであったわけでございますか、日本学術会議の談話の原案には「事故情報の収集、蓄積、整理、公開のシステムを制度化する」云々というふうにございまして、あたかもいままで公開していないというふうに誤解されかねない表現であったように思われましたので、「公開」についての書き方を慎重にお願いしたいということを学術会議の方にお願いしたわけでございます。学術会議の方では、その要請を入れられて記者に発表いたしましたが、発表の段階で会長がまた「公開」というのを復活されたと聞いておりますけれども、これは学術会議の御判断でなさったものであろうかと思います。
 いずれにいたしましても、安全委員会としては、私ども事務局としても、資料の公開ということについては今後とも積極的な態度をとってまいりますし、このデータを研究者の方々にも利用できるようなシステムをつくることについては、安全委員会としてもいろいろ御検討をしていただくべき今後のテーマであるというふうには考えておるところでございます。
 以上、バックグラウンドを中心に御説明させていただきました。
#78
○吹田説明員 私が伏見会長に電話をいたしましたのは事実でございまして、それは先ほど申し上げましたように、共催する以上は二人三脚式に、それぞれの主体性と同時にやはりお互いに連絡することが義務でございます。それでございますから、お互いに信頼しながら、われわれの意見も率直に述べまして、いま局長が言いましたように「収集、蓄積、整理、公開」こういうふうに並べますと、安全委員会がスタートいたしまして、できるだけ事故、安全性に関することは公開していこうという姿勢を貫いておりますので、たとえば安全委員会に正式な資料として提出されたものは「安全月報」に全部載せてございますし、そういう意味で、この「公開」というのが、そういう狭い意味と、それから非常に広い、トータルシステムとしての公開、あるいはフィードバックとしての公開、たとえば利用とかそういう意味も含めた非常に広い意味の公開、いろいろなパネリストのお話を承っておりましても、私たちはそういうふうに感じました。
 それで、実際安全委員会がすでにできるだけの公表をしておるということを実は盛りたかったのでございまして、伏見会長がこういうふうにまたもとに返しましたのは、やはり学術会議側の考えでございまして、それはそれなりに私たちとしては尊重いたしたいと考えております。
#79
○田畑委員 このシンポジウムは、一部紛争が起きましたように、いわゆる反対派からだろうと思うのですが、原子力発電所批判派の方からかなり強い批判があったように承っております。これは新聞紙上でです。会場でも相当もめた。そして結局最終的に、原子力安全委員会が「公開」という二文字を切ってもらいたい――二文字を切るならば、これはあなた、ずっと切っていくならいいですよ。後からまた入れる。それは伏見学術会議会長が入れたのだと言ってしまえばそれまでかもしれませんけれども、それではあなたのところで共催した値打ちはないじゃないですか。私は、これを切ってくれと言って、また後から入れる、こういうところに問題を感ずるのです。
 私、なぜこういうことを知ったかといいますと、これは新聞で知ったわけです。毎日新聞に野間宏さんがこのことについて書いているわけです。なぜ日本の原子力安全委員会が「公開」の二文字を切らなければならないのか、ここに原子力の問題があるのじゃないかということを指摘しているわけなんですね。そういうふうに、言うならばそういう原子力問題を研究している科学者の方々、また、ひいては国民全体から、何となくこの原子力安全委員会が公開を渋っているのじゃないかというような疑いを持って見られるということをつくったということは、私はまことに遺憾だと思うのです。だから、それは公開というてもなかなかそこまで手が回らぬものもあるでしょう、あるけれども、原子力安全委員会が設けられているということは、公開を旨とするということが基本になっているわけですからね、だからそれが、何か一般の人との会合なら別ですけれども、学術会議との会合あたりでわざわざ切らなきゃならないということを言われること自体が、それはなるほど中にはいろいろ議論があったかもしれません、しれませんけれども、私、これは非常におもしろくないことじゃないかというふうに思うのです。
 だから、この辺から日本の原子力行政というのがやはり国民一般から疑いを持って見られるわけでございますから、これは委員長としましても、公開はあくまでも鉄則として守るということをあらゆる機会にやはり強調してもらわなきやならないのであって、それを差し控えてもらいたい、この二文字だけは除いてもらいたいというようなことは、これはもう絶対に私は言ってもらいたくないと思うのです。
 大体経過を見てもまずいですよ、正直なことを言って。素人から見ても、一遍引っ込めた、また書いてもらった、それはまずいですよ。
 その辺について、きょう今日において委員長はどう考えておられるか、一遍お聞きしたいと思います。
#80
○吹田説明員 田畑先生のおっしゃるとおりでございまして、私は公開というのをそのように非常に広くとりますと全く同じなんですけれども、ここに並べましたように「収集、蓄積、整理、公開」、こういう意味の非常に狭い公開でありますと、われわれがすでに安全委員会といたしましてはやっておりますこと、つまり事故、故障データが公開されてないという誤解を生ずるのではないかということを恐れたので伏見会長に申し上げたのでございまして、公開全体については、シンポジウムの後の記者会見でも言いましたように、私たちとしては、トータルシステムとしての公開ということは非常に関心を持っております。
#81
○田畑委員 このシンポジウムは、過去のことも問題かもしれませんけれども、これから先のことでしょう、スリーマイル島の事故の批判というか検討からしてどうあるべきかというようなことをいろいろ議論するわけですからね。もちろん過去のことはいろいろ議論になったと私は思います、しかし、これは前向きの問題なんですよ。いままで公開しているから、今度「公開」という文字を書くと、前に公開していないように思われるというのは、これは消極的というか、何か理屈では成り立たないとは断言できませんけれども、これは私、ちょっと何というか、これから先のいろんな原子力行政について、あるいは科学者の方の研究についていろいろ議論をする場合に妥当性を欠いていくと思います。現に結局、最後は入れたわけですからね。
 だから委員長、今後はこういうことはないと、やはりそれは言うていただかなきゃいかぬのじゃないかと私は思います。それでないと、何となく非常にこもっているようにみんなに見えるわけですね。それでは私はおもしろくないと思いますから、この際、はっきりしていただきたい。私は、新聞に記事がなければこんな話はしないのですけれども、あったから特に申し上げておくのです。
#82
○吹田説明員 お考えはよくわかります。
#83
○田畑委員 それでは、本論に入りたいと思うのでございますが、すでに御案内のように、私の出身地の福井県には現在九つの原子力発電所がございます。これが非常に事故続きでございます。率直に言って、県民は原子力発電所に対して非常に不安を抱いているというのが、偽らざる今日の実態でございます。
 話の順序からいたしまして、一応どういう状況になっているのかということを、通産側から簡単にかいつまんでお伺いしたいと思います。
#84
○児玉(勝)政府委員 福井県の原発で現在定検または停止中のものは四基ございますけれども、そのうち美浜発電所の二号機につきましては、蒸気発生器細管からの冷却水の漏れということで現在修理中でございます。それから高浜発電所の二号機につきましては、十一月三日に一次冷却水の漏れのために、これも定期検査を中途でやめまして、現在その対策をとらしておるところでございます。それから大飯発電所の一号機につきましては、十月の九日に二台ございます余熱除去ポンプのうち一台に、回転翼の軸はめ込み部の肉厚が薄いことによるひび割れが発見されまして、それの取りかえをいたしております。また美浜の一号につきましては、従来から蒸気発生器細管の減肉に関する冷却水の漏れがございましたので、それの対策をとっておりまして、サイクリング運転を現在実施しておるという状況でございます。
#85
○田畑委員 そうすると、いま稼働しておるのはどことどこですか。
#86
○児玉(勝)政府委員 稼働しておりますのは、美浜の三号機、それから高浜の一号機、それから原電の敦賀が動いております。
#87
○田畑委員 率直に申しまして、たとえば大飯二号機なんかも、大飯一号機と同じような事故が発生しておるわけでございまして、やはりいま、そういった事故関連でとまっておるのが多くて、これは稼働率が非常に低いわけですね。そこで、やはり地元民といたしましては、こういった事故続きというものに対して大きな不安を抱いておるわけでございます。
 こういうような状況に相なっておるわけでございますけれども、これに対しまして、最近十一月三日に高浜二号機が一次系の冷却水が八十トン漏れるという事故が発生いたしました。部品の問題でこれは問題になっているわけでございますが、これに関連いたしまして、この後、原子力安全委員会委員長としましては、これは関西電力の体質に問題があるのだというような御趣旨の談話が出されておるわけでございまするが、これは一体どういうことを意味しておるのか、お伺いしたいと思うのです。
#88
○吹田説明員 体質というと誤解されやすいのですけれども、そうでなくて、関電の一連のああいう故障とか事故というのをながめてまいりますと、そもそも関電の中のああいう事故、故障に対する責任というのは、電力会社がよくこれを自覚する必要がございますが、そういうことから考えますと、あの幾つかの事故に共通するところは、品質保証に関するところでございます。ですから、その共通点を引き出しますと、あの事故が非常に関電の炉に起こっているということを考えますと、やはり会社の中では品質保証に対しまして少し甘いのではないか、そういうのが私の真意でございます。
#89
○田畑委員 電力会社は品質保証について甘いのじゃないか、こういう委員長の御指摘でございます。一応、そういうことは事故全体を見ますと考えられるかもしれぬと思うのであります。
 ただ問題は、それでは原子力安全委員会がそういうものに対して果たしてどのようなチェックといいますか、やり方をしておられるのかということについて、私、やはりいろいろ疑問が残るのじゃないかと思うのです。
 たとえば大飯一号機でございますが、大飯一号機は御案内のように非常に大きい出力を持っておりまして、国内からも大変注目をされていたわけでございます。この一号機は、御案内のように、ことしの春、アメリカのスリーマイル島におきます原子力発電所に事故が起きまして、ことしの四月十六日から運転停止をいたしておったわけでございます。ところで、この一号機のいわゆる検査をやりまして、そして安全解析が出たわけでございますが、この再開につきましても、地元の方では大変疑問を持っておりまして、もう少しきちんとしたところの検査といいますか、十分な体制をとってもらうべきではないかというふうに考えていたわけでございますが、これが運転を再開しましてから間もなく、七月十四日に大飯一号機におきまして、いわゆる主蒸気弁、逃し弁ですね、圧力スイッチのブルドン管にひび割れを生じているわけでございますね。そうして約二十分にわたってECCSが作動するという事故が起こっております。
 こういった問題につきまして、調べられた結果を私ども聞いておりますと、結局、ステンレスの表示をされていたものが、実際調べてみたところが銅合金製のものであった、こういう結果が出ておるわけでございます。一体なぜステンレス表示のものが銅合金製になっておったのか。これだけ長く大飯一号機は危ないぞ、危ないぞと言って地元も不安視しているし、安全委員会にたくさん来ましてお願いに上がっておるにかかわらず、結局、こういう不始末になぜなるのかというようなことを、私ども率直に言って思うわけなんですよ。
 この点については、通産も関係あると思うのでございますけれども、一体、なぜこういうアメリカから持ってきた品物が、いわゆる部品が、結局材質が違うということが発見できないのかということについて非常に疑問が多いわけでございまして、お伺いしておきたいと思うのです。
#90
○児玉(勝)政府委員 最初通産省の方から若干御説明させていただきます。
 ただいまの、ブルドン管が本来ステンレス製でなければならないところが銅合金製であったということでございますが、それをさかのぼりまして、昭和五十年の六月ごろこの工事が行われていたわけでございますけれども、その辺を調査いたしました結果を申し上げたいと思います。
 五十年六月ごろ、このブルドン管はバークスデールという会社のものでございました。これはアメリカの会社でございますが、その会社からのものを取りつけたわけでございます。その取りつけの問題については、これは三菱重工が工事しているわけでございますが、このスイッチの納入に際しましては、代理店を通じて三菱重工に納められましたが、そのときの受け入れ検査におきましては、外観検査、寸法検査、それから機能検査が行われておりまして、材料につきましては、ラベルの照合ということをいたしまして、刻印までの照合をしなかったということがわかったわけでございます。そういうことで、本来注文どおりのものが来るべきところが、これはバークスデール社の品質管理も悪かったわけでございまして、同じようなスイッチが、ステンレス製と銅合金製のものが同じたなに置いてあったというようなことも後でわかったわけでございます。そういうふうに、部品をつくっている会社の品質管理、それを受け入れる会社の受け入れ検査、それから、それを組み立てるときの品質管理、そういうものがおのおの不十分であったということが言えるかと思います。
 そういうことで、そういう部品の会社の品質管理も含めまして、今後、こういうことが二度と起こらないように、三菱重工、いわゆるメーンコントラクターといいますか、主契約者を通じまして製作の品質管理というのを十分強化していきたい、こう考えております。
#91
○田畑委員 次いでお伺いしたいと思うのでありますが、これは十月五日でございますが、大飯一号機と全く同じか、ほぼ同じの大飯二号機でございますが、これが余熱除去ポンプの回転翼のはめ込み部分にひび割れが発見され、そのひび割れを調べましたところ三カ所ある。なぜそういうひび割れが生じたかということにつきましては、軸のステンレス材の強度が不足しておった、設計、製造上の欠陥である、こういうことになっております。したがって、この大飯二号機につきましては、いわゆる運転を停止いたしまして検査に入っておるという状況でございます。一号機はECCSが働くし、二号機はひび割れがわかる、そしてとめる、こういう状況です。
 これは二つとも日本で一番大きい原子力発電所です。結局、なぜ強度不足なんという問題が最初取りつけるときからわからなかったのか。わからぬでとまったのだというだけでは困るのであります。そうでしょう。これを一体どういうふうに防止しようとしているのか、どうなっておるのかということは私ども非常に疑問に思っておるところであります。いかがですか。
#92
○児玉(勝)政府委員 いまお話になりました余熱除去ポンプ回転翼の設計と施工の問題でございますが、ちょっと細かい話にわたりますが、回転翼軸はめ込み部のキーのみぞがございますが、そのみぞのコーナーの先端部の厚さは、設計上は〇・七五ミリとするということでやったわけでございますけれども、これは鋳物の表面の仕上げをやっている最中にだんだんそれを削ってしまいまして、最終的に〇・四ミリということになってしまったわけでございます。そういうことで、この〇・七五ミリの値というものが確実に確保できていなかったということが一点ございます。それから〇・七五ミリということも、実は、そのキーのいわゆるはめ込みのところにかかる力から考えますと、若干小さいのではないかということで、さらに、その裕度を持たせることといたしまして、その製作、施工の裕度も含めまして、今度一ミリ以上ということにいたしております。(田畑委員「これから一ミリ以上にするの」と呼ぶ)三ミリにするということで設計を変えております。
#93
○田畑委員 この十月五日の大飯二号機の余熱除去ポンプの回転翼のはめ込み部分の裂傷ですね、この裂傷は、この同じ型の大飯一号機を調べましたところ、これは四日後の十月九日、同じところにひび割れを生じておる、そこで、直ちに運転を停止して定検を早めて検査に入っておる、こういう状況ですね。
 いまあなたおっしゃるところを聞いていると、〇・七五ミリなければならぬところがちょっと薄かった、こういう話です。これから厚くしよう、こういうわけですね。まあ厚くするのはいいですよ。ところが、〇・七五ミリ規格になっているものが大飯二号機につけてある。一号機が同じようにひび割れが生じているのはどういうわけですか。一号機は〇・七五ミリあったのですか、どうですか。これも言うてみると、あなたらはいろいろ言うけれども、これは普通のそこら辺に住んでいる人から見ますと、何だこれは、どうなっているのだ、日本で一番大きい原子力発電所を迎えておいて、両方ともだめだというのはどういうわけだということになるわけなんです。いかがですか、これは。
#94
○児玉(勝)政府委員 二号機におきまして、いま先生おっしゃいましたような事故が発見されましたので、直ちに同じ機械を取りつけている、同じ仕様で設計されているところの大飯の一号機にもそういうおそれがあるということでとめて、運転中でございましたが、これは余熱除去系でございますので運転中は使えませんので、とめたまま、その除去系のポンプを分解点検させましたところ、やはり同じようなコーナー部にひび割れが発見されたわけでございます。したがいまして、同じ設計で同じ施工であったので、そういうようなひび割れが起こっていたということが発見されたわけでございます。
#95
○田畑委員 では、念のために聞きますが、やはり〇・七五ミリなければならぬのが薄かったわけですか。
#96
○児玉(勝)政府委員 おっしゃるとおり、薄かったわけでございます。
#97
○田畑委員 こうして二つの原子力発電所でそれぞれ規格より薄かったということ、これがなぜ電力会社なり、あるいは通産で明確にわからなかったのか。また、安全委員会というものがあるわけですからね、もっとも安全委員会といったって、どこまでも全部調べるわけじゃないとは思いますけれども、なぜ同じようなことが起こるのかということについては、これはやはり私は非常に疑問に思います。
 だから、この規格というものに対して、きちんと見る、品質についてちゃんと見る、材質について調べるというようなことを、やはり根本的に怠ってきた原因が私はこれにあらわれていると思うのです。だから、その辺これから一体どうするのか。これも三ミリにするのですか、一号機も。
#98
○児玉(勝)政府委員 一号機につきましても、二号機と同様、厚さを厚くいたしまして、設計施工の裕度を高めるということにいたしたいと思います。また、この問題につきましては、製作の設計に関する裕度のとり方について十分考慮するように、また、製作後の検査という問題についても十分検討するように、メーカーに対して注意しております。
#99
○田畑委員 次いでお伺いいたしますが、十一月三日高浜二号機において、驚くなかれ八十トンの第一次冷却水が漏れた。この事故を私はテレビで聞いてびっくりしたのです。その足で高浜原子力発電所へ飛んでいったのですがね。ともかくこういうような大事故が起こる。もしこれにいろいろな操作ミスなり複合的なミスが重なってまいりましたら、これはアメリカのスリーマイル島を笑っちゃいられないという状況になるわけです。
 これもいろいろ聞いてみると、何か一次冷却水関係についておるところの温度測定用の栓、その予備栓が一本だけ、これがステンレス製のものをその栓にしなければならぬものが銅合金になっておった、こういうことですね、新聞その他を見ますと。
 一体、なぜこういうことが起こるのかということですね。銅合金とステンレスは色は一緒だというのですが、色は幾ら一緒でも、これは重大なことにかかわるわけですからね。しかも何もこんな東京の町の中で仕事をしているわけじゃないんですよ、狭い格納容器内で仕事をしているのですから、私はそんなに間違うはずはないと思う。なぜこういうことが起こったのかということを調べましたか。
#100
○児玉(勝)政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、私たちといたしましても、今回の高浜二号機の事故は、非常に重要な問題を含んでおると思いまして、厳重にその事故の状況と、それから、その対策について調査し、さらに電力会社に対して警告を発しておる次第でございます。
 まず、原因の問題でございますが、過ってその銅合金の栓を取りつけたということではございますが、それまでに至る問題が、先生御指摘のとおり非常に問題であると思っております。
 それで、その作業のやり方、特にこれは関西電力の職員そのものが実施した作業でございまして、その作業の仕方について、請負等の作業におきましては、作業計画書というものできちっとやるわけでございますけれども、これは定期点検中の作業ということもございまして、その作業計画書を作成することなく、口頭でその作業の指示があったということで、その作業者自身がその作業の内容について十分な理解をしていなかったのではないかという点が指摘されるかと思います。
 それからさらに、作業員が現場に参りまして、温度検出器の取りつけをしようと思ったわけでございますけれども、その状況から判断いたしまして、その温度検出器取りつけの位置を自分の判断で変更してしまったというようなことがございまして、これもまた口頭指示のために、どういう図面でどういうふうにやるかということも実はなかったということが重要な問題であろうと思いますし、また作業員が、命令されたことについて十分な理解もなく、その作業内容を変更するということも、また、これは重大なミスであるというふうに思っております。
 またさらに、その工具箱の中に銅合金製の栓が混入していたということ自身が非常に問題でございまして、本来工具箱というのは、そういう部品を入れる箱ではございませんで、作業が終わりましたら、工具箱の中を点検して工具類が全部そろっているかどうかを調べなければいけませんし、さらに今度貸し出すときには、その内容についてチェックの上貸し出し、その作業をさせるという意味で、作業工具の管理というのも十分でなかった。また、その作業に必要な部品というのは、本来、物品倉庫からの払い出しによって決まるわけでありまして、そういうような払い出し管理というのがまた不十分なために、その管理されていない部品が工具箱にあったというようなことは、もはや部品管理の意味では全く言語道断な問題であるとわれわれは考えておりまして、非常に問題にしておる点でございます。
 それから、さらに作業員が栓の材質を確認せずに取りつけたということで、これは実は、作業員に対してはその栓を取りつけるという作業指示がないわけでありますから、本来栓をするべきではないわけでありますが、それをたまたま応用作業として栓を取りつけた、しかもまた、その栓がステンレス製でなかったということで、さらにミスが拡大したということであろうかと思います。
 そういうことで、非常に多くのチェックポイントがないがしろにされていたということでもございますので、そういう点、会社全体のいわゆる品質管理問題が不十分であるということを指摘しておりまして、その点について十分反省するように求めております。
#101
○田畑委員 これは大きさはどれだけの栓なんですか。
#102
○児玉(勝)政府委員 内径が〇・九センチでございます。外径でいいますと約二センチぐらいのものだと思います。
#103
○田畑委員 そういう小さいものです。特殊なものです。ですから、よく似たものがよく工具箱にあったね。私は、神様みたいな、神話みたいな話を聞いているような気がしてならないのです。ちょっと取りつける者が工具箱を間違えたのだ、品質管理が悪いのだと言うのだけれども、よくそんなものがあって、ちょんとはまったものだと私は思うのです。新聞で発表されていることを幾ら聞いても、私どもにはどうも理解できないわけだ。それほど厳重ないわゆる格納容器の中で作業しておって、しかも工具箱を持ってきたら、ちょうど合うのがあって色も一緒なのではめておいた、こういうわけですね。そんなことが果たしてあるのでしょうか。私は、あの発表だけではどうしても納得できません。これは明らかに根本的に品質管理というのですか品質保証というのですか、そういうものがまことにルーズになされている結果であるというふうに考えざるを得ないのです。
 確かに、あなたのおっしゃるとおり、栓をせぬでおけばよかったのじゃないか、一つ予備があったのだから、作業指令が出ていないのだからね。せぬでおいたら果たしてどうだったか、調べたのですか、実際。恐らく疑問だと思いますね。だから、ルーズないわゆる管理体制というか補修体制をやっているというところに私は問題があると思う。通産はもっと徹底的に事態を解明する必要が私はあると思う。そんなおとぎ話のようなことを言っていても、われわれは本当に実感として受けとめられませんよ。
 それで、これについて関西電力は処分を発表していますが、これをやった人はだれですか。やった人に対する処分は行われましたか。
#104
○児玉(勝)政府委員 作業をやった者に対しては厳重注意の処分が行われております。
#105
○田畑委員 社長はどういうことになっているのですか。
#106
○児玉(勝)政府委員 社長、副社長、専務、常務、それから管理部長までは一割の減俸で二カ月という処分を受けております。
#107
○田畑委員 社長、副社長など幹部諸君は減給処分というきわめて厳しい処分を受けておるのに、その実行行為者である当事者は厳重注意で終わっている。この処分の内容も、私どもから見るとまことに推理小説そのものでございまして、ここに現場のいわゆる直接の労働者の人というのですか、補修係を処分できないところの管理体制があるのではないかという疑問を私は抱かざるを得ないのです。そんな八十トンからの第一次冷却水が漏れてこれだけの事故になったのだから、事は何とあれ、これだけの幾つかの原因があってやったわけですから、それが全部守られていないところに問題がある、だから、実際の実行行為者は最高の処分を受けなけければならない、にもかかわらず軽い処分で済んでいる、そして管理者だけがかなり重い処分で世間体をつくろっておるんですね。
 なぜそういう処分になったのだろうかということを私ども考えざるを得ないんですよ。そうすると、これはやっぱり現場労働者に問題の責任を着せるべきではなくて、管理体制それ自身に対して責任が重きにかかっておるということになっているのじゃないか。そうならば、結局、現場におけるところのいわゆる材料の管理等につきましては、原子力発電所をなぶるについては、まことにそれにふさわしくない、いわゆるずさんな管理体制が行われているのじゃないかという疑問を持たざるを得ないのです。どうですか審議官、そういう疑問を持ちませんか。私は持つのだけれども……。
#108
○児玉(勝)政府委員 先生おっしゃいますように、確かに品質管理というのは、その現場の人のいわゆる自覚といいますか、規律というものが非常に大きな意味を持つわけでございます。今度の場合も、まさに作業現場の人のいわゆる規律の問題それから自覚の問題というものが大きく問題にされるわけでございますけれども、同時に、その規律を守るためのいわゆるルールというものがやはり明確でなかったということが指摘されようかと思います。
 そういう意味で、本人の責任よりは、そのルールをつくり、なおかつ、それを遂行するように指導していなかったということについて、われわれは非常に重要な問題として、そういう両者の責任を勘案いたしまして、どっちかといいますと、やはり管理者の方に責任が大きいのではないか、こう思っております。
 そこで、関西電力といたしましては、ダブルチェックのための担当課長の配置とか、それから保安規定の下部規定になりますが、原子力発電所の補修に係る品質管理要綱というものを新たに定めまして、品質管理に関するルールというものを確立するということにしております。
#109
○田畑委員 これは私、素人でございますから、口幅ったいことは申し上げられませんが、たとえば今度の事故が起きた栓でございますね、こんなもの、日本国じゅうに百も二百もあるわけじゃないでしょう。恐らくこの高浜二号機の中に五つある。それがほかの原子力発電所にもあるいは四つか五つついているところがあるかもしれませんけれども、そうすると、その松の材料というのは五個か十個しか要らないんですよ。そうでしょう。わずかしかつくっていないのです。大量生産で何百とつくっているのじゃないんですよ。余分があるわけじゃないのです。ごくわずかなところにわずかしか使わないわけなんです。もうその穴の大きさも決まっているんですからね。そうでしょう。そんなものを銅合金と間違うということ自体が私は納得できないですね。
 だから、やはり大量生産でこういう品物ができているわけじゃないのですから、きちんとしたところの保管体制というのはこれは考えておかなければならないのじゃないか。委員長にお答えいただきませんが、そういうことにしていただかないといけない。何百何千とできているものをたまたま間違うたというならこれは別ですよ。そんなもの、そこしか間に合わないんですよ。わずかなものなんだ。それ自体すらきちんと保管されていない。ほかのネジをつけるというようなこと、まことにこういうものの運営については残念だと私は思うのです。だから、そういった点はきちんとしていただきたい、こう思います。
 それから、先ほど申しました十月九日、大飯一号機のポンプ回転翼のひび割れが見つかりました。そのとき同じ日に、同じ大阪一号機におきましてECCSの水漏れがあった。これは蓄圧注入系タンクから一次冷却水が約一トン漏れておる、これは一トン漏れておるけれども放射能を浴びてない、しかもネジやなんか締めたらとまったということからいたしまして、本件は事故でないということで今日まで発表されなかったところ、地元の方から、そういう事故があったのじゃないかということが指摘されて今日新聞に出ておる、こういうことになっておるんですね。
 なぜこれを発表しなかったのか。これはたまたま、これがあってから約一カ月ほど後に、高浜二号炉の八十トンの水漏れが出ているわけなんですね。そうすると、なるほど放射能は浴びてないかもしれないけれども、一トンからの水が格納容器内に流れたということになれば、やはりこれは注意して見なければならないのじゃないかと私は思う。
 こういうものを考えまするときに、事故というのは一体何なのか。先ほど公開ということがあったけれども、発表に値するものというのは一体何なのか。この問題を取り上げたら、バケツ一杯水がひっくり返っても発表するのか、こういう話があったという話でありますが、それとこれとは私は違うと思うのです。私どもの聞いている範囲内におきましては、アメリカあたりにおいては大体年間四十件平均の事故が公表されている。わが国はそれに比較して事故が少ないんですかね。余り公表されてないというようなことも学者の方は言っておられるのでありますが、こういう一次系に作用するような、あるいはECCSに作用するような水が漏れたときには、これは何ともないのだからと言って遅滞なく関係者に知らせてやるというようなことぐらいの行政態度がなければいかぬと思うのでありますが、いかがでございますか。
#110
○児玉(勝)政府委員 先生おっしゃいますように、いろいろなトラブル、われわれとしては、一般的な補修作業の一環で緩んでいるバルブを締めるということは、別に事故とも故障とも感じてはいないわけでございますけれども、われわれとしては当然発表する。それから法律上決められているようなものというのは、主要工作物の損壊とか人身事故とか、それから発電所がとまるような発電支障事故とか、それから放射線の障害事故とか、そういうようなことについては当然やらなければいかぬと思いますが、ただいま先生がおっしゃいましたようなものは、油の漏れで増し締めするとか、それからパッキングを取りかえるとか、それから定期点検がございますので、運転中でもいろいろ機械を起動してみまして、不都合があればそこを取りかえる、そういう普通の点検操作の中にいろいろな修理をするとか、そういうこともみんな入っておりますので、その辺が非常にむずかしい点で、決してわれわれとしては事故を隠すとかなんとかいうことはありません。それから外部の方々に迷惑をかけるようなことを隠すとか、そんなことは毛頭考えてないわけでございます。
 そういうことで、公開のルールがどうも、いま言われるように、われわれとしては一生懸命公開しているつもりなんですが、いや、こういうことも、こういうこともということで、それがどういう一つの規範によってやるのかということがそのときどきによって変わりますので、実は非常に困っている点でもあるわけでございます。
#111
○田畑委員 いま重立った福井県におけるところの原子力発電所の事故問題について申し上げたわけでございます。しかし、これ以外にもたくさん私の手元にはございますが、きょうは時間の限りがございますから、これを全部一つ一つ聞くわけにいかぬ。しかし、いずれにいたしましても、こんなにたくさん次から次からと問題が起こったのでは、地元はどうにもならないわけでございます。そして、この中で言えることは、やはり原子力発電所のいろいろな部品を含めまして、品質の問題で輸入したものについてこれをどう点検するか、あるいはまた、つける場合にどのように点検するか、あるいはそれをどのように管理するかといったような問題も含めて、これは非常に重大な問題になってきていることだけは間違いないと思うのです。これは安全委員長も十分見ておいていただかなければならないのじゃないかと私は思うのです。したがいまして、そうした問題について原子力安全委員会が今後どういうふうに対処されるかということをひとつ聞いておきたいと思います。
 と同時に、もう終わりでございますので、県側からもこうした問題についていろいろな要望が参っておりますが、これについて一体どうするのか、この事故を原因としたいろいろな要望につきまして、どのように対処するのかということについては、これは大臣からひとつ御発言をいただきたい、こう思います。
#112
○吹田説明員 安全委員会といたしましても、一連の事故、故障というのに共通したことは、御指摘のように品質保証ないし品質管理という点が非常にまずいということでございます。
 第一次の責任は、これは電力がそのつもりで強力にその体制を整えることがまず必要です。その次には、やはり発電炉の一貫性から考えますと、これは通産がやはりそういう責任を十分果たしてくれる、そういうことでございます。安全委員会は、そのダブルチェックの精神と、もう少し高い立場から、他の原子炉に対してもこういうことが起こり得るのではないか、そういう立場をとって、いつもこの問題を慎重に検討いたしまして、通産に対しては抜本的な対策を至急考えるように、そして通産の方では長官の私設の委員会をつくって人選しておるようでございますが、今後とも、こういう品質保証ないし管理に対しましては安全委員会としては十分に注意を払っていきたいと思っております。
#113
○児玉(勝)政府委員 県の方から通産大臣あてに要望が出ておりますが、それは四項目にわたりまして、第一が、原子力発電所に関する検査をどのように今後やるのか、それから設置者内部の自主検査の強化充実をいかに指導されるのかということについての問い合わせで、具体的に説明してくれという点でございます。
 それから、第二の問題につきましては、原子力発電所に使用します部品について、品質保障制度の導入を図って、使用上誤りのないようにチェック機能を導入してもらいたい。
 それから第三番目が、運転管理専門官をサイトごとに常駐させて、その処置権限を強化し、立地市町村、県に対する連絡機能を付与されたい。
 それから四番目は、国県、立地市町村間の情報交換を迅速かつ的確に行うためのホットライン等を早急に整備してもらいたい。
 そういうことでございまして、一から三につきましては、早速その対策について御説明を近々したいと思っております。また四につきましては、これは予算を伴う問題でございますので、来年度の予算によって実現したい、こう考えております。
#114
○長田国務大臣 ただいまの第四の問題等は、防災対策全般にも関連いたしますことで、連絡、指導その他の体制を関係各方面としっかり整えてまいりたい、そのように考えております。
#115
○田畑委員 これは大臣に申し上げておきますが、原子力問題はアメリカでも非常に大問題になっております。わが国でも次々と問題を生じているのです。あなたは大臣になられたわけですから、ひとつその辺十分この安全対策というものについては配慮してやっていただきたいと思います。
#116
○長田国務大臣 安全委員会その他関係機関とよく連絡をいたしまして、そのような方向で努力をする所存であります。
#117
○田畑委員 終わります。
#118
○瀬野委員長 午後一時四十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四十分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十八分開議
#119
○瀬野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。木内良明君。
#120
○木内委員 関西電力高浜二号機における一次冷却水の大量漏洩事故についてお聞きします。
 この事故は、温度測定用検出器取りつけのための五つの座のうち、検出器を取りつけていない予備座を閉止するためのプラグが破損したことが原因とされています。すなわち、本来ならステンレス製のはずの部品が実際は銅合金製であったことによるものですが、関西電力は事故直後、これを単純なミスとして発表しております。確かに部品のつけ間違いという意味では単純ミスということでしょうが、事故原因が単純であるだけに、さらに引き起こされた事故の規模が、わが国の原発史上、八十トンもの一次冷却水が格納容器内に漏れたといったことなどから考えて最大級であった。そうした意味から、きわめて重大な事故であると私は受けとめているのであります。部品百万個と言われる巨大なこのシステムの中で、直径二センチのたった一個の部品が不良であったことが重大事態を今回のようにもたらしたわけで、電力会社並びに通産省の部品の品質管理や点検のあり方が厳しく指摘されなければならないと思うわけであります。
 そこで初めに、なぜステンレス製であるべきはずのバイパス配管の栓が銅合金製のものになっていたのか、その理由についてお聞きしたいと思います。
#121
○児玉(勝)政府委員 ただいまの木内先生の御指摘、まさに一個の小さな栓ではございますが、品質管理という問題からいきますと、非常に大きな、また重要な意味を持っているということで、通産省といたしましても深刻に受けとめておるわけでございます。
 ただいまの御質問の黄銅製の栓が使用されたというのはどういうわけかということでございますが、関西電力の調査によりますと、一つといたしましては、建設時以降は八分の三インチの黄銅製の栓は購入しておりません。しかしながら、下請企業が数回購入しているということが判明しております。それから関西電力所有の工具箱の中にボルト、ナット等と一緒に種々の栓が実際に存在しておりましたが、直ちに工具箱の点検を行いまして、その中にどういうものが入っておるか調べさせたところ、こういうことが判明いたしました。下請企業においては、栓の出し入れの管理にどうもはっきりしていない点もあるということで、工事用の残材が工具箱の中に入っていたのではないかということであります。言うならば、関西電力の工具箱の中の点検も不十分であったし、下請企業における部品の管理も不適当であった、そういう工事中のいろいろな品質管理の不備というのが、運転後になりましても、その残材が残ったまま工具箱が使われておったということで、ちょうど今回の温度検出器の栓を設ける――また先ほどちょっと申し上げましたが、栓を設けろという作業指令が実は出ていないわけでありますけれども、この作業者が気をきかせて栓をしたのがたまたま銅合金であったということでありまして、わざわざステンレスと間違えて銅合金製のものを持っていき、つけたということではないわけでございますが、いずれにしろ、工程管理を含めまして品質管理が十分でなかったということは言えるのではないかと思います。
#122
○木内委員 工具箱の中に銅合金製のものが入っている、これは全く考えられないミスであります。どうして工具箱の中に入ったか、その辺の調査の結果について御報告いただきたいと思います。
#123
○児玉(勝)政府委員 この発電所ができましたのが四十九年でございますので、それ以降、実は十分な工具箱点検が行われていなかったということであろうかと思いますが、いわゆる建設時の残材が残っていたということが言えるのではないかと思います。そういうことの管理の不十分さということでありますが、なぜ入ったかという詳しい経路については、いまのところ十分な確証のあるストーリーというものがわかっておらないわけでございます。
#124
○木内委員 十分な確証のある調査がまだなされておらない、事故が起こって相当期間たっているわけでありますけれども、いまだに部品の間違いの原因が克明に調査されていないというところに問題があると私は思うのです。特に工具箱の点検も長い間行われてなかった、こうした過去のミスを今後にどうつなげていくかというのが、指導監督する側の通産省の立場であると私は思うわけでありますが、事故の調査が十分できていないことの原因は何でしょうか。
#125
○児玉(勝)政府委員 事故の原因が十分解明できていないのは、この品質管理におきますルールができておりませんので、その記録が残っていないということが大きな問題点であろうと思っております。
#126
○木内委員 記録が残っていないためにこうした重大事故の原因調査がおくれているということでありますけれども、こうした記録について克明に行われるような体制は事故の直後からとられたかどうか、お聞きします。
#127
○児玉(勝)政府委員 十一月十五日付をもちまして、通産大臣から関西電力の社長に対して強い警告とその調査を実施するよう、それから、その対策について指令をいたしまして、十二月一日付で関西電力からその返答が参っております。
 その中で、まず実施をする問題といたしましては、銅合金製とステンレス製で同じ口径の栓を使っておりますけれども、今後それは使わないように改善するということを考えております。したがいまして、銅合金製のものがステンレス製に使用されるということは、もともと口径が偉うことによって使用されないということでの品質管理を行うこととしております。さらに資材だなとか工具箱の保管、管理を十分充実するということで、これは管理責任者を設けますし、また台帳を設けまして、その実施状況をダブルチェックするという体制を整えております。それから保安規定の下部規定といたしまして、原子力発電所の補修に係る品質管理要綱というのを新たに定めまして、それを実施する。それから本社内にプロジェクトチームを設けまして、今後の品質保証のあり方についてさらに継続的に検討していく。それから、こういう品質保証の重要さについて、全社的な通達を出して従業員の自覚を促す。それから補修員に対する訓練を行う等々のことを実施することが言われております。
 通産省といたしましては、それらの問題がただ文面だけでなくて実際に具体的にどういうふうに機能しているかということにつきまして、近々立入監査をする予定でございます。
#128
○木内委員 いま私がお聞きしましたのは、関西電力が事故発生当初言われたように、単純なミスである、ささいな作業であったために起こった事故だというふうな報告が行われておるわけですけれども、事故が起こった際、こうしたささいな作業に至るまでこの原因が究明されるだけの体制あるいは記録が残されるような体制にこの事故を契機としてなったのかということをお聞きしているのです。
#129
○児玉(勝)政府委員 今回の品質管理要綱に基づきまして、そういう記録の保存、それからその管理の状況については明確になることになっております。
#130
○木内委員 それからお答えの中に、こうした規模の作業であったために作業計画書をつくらずに、あるいは作業の具体的な指示を行わずに着手させたという事実があるわけでありますけれども、この点いかがでしょう。
#131
○児玉(勝)政府委員 口頭指示によって作業を実施したというふうに報告されております。
#132
○木内委員 審議官にお聞きしますが、こうした工事の場合、口頭指示で十分だとお思いですか。
#133
○児玉(勝)政府委員 少なくとも一次冷却系、二次冷却系の重要部分につきましては、作業計画書を設けて、その作業計画書が妥当なものであるかどうかというチェックを受けた後作業に入るというのが適当な方法であると思います。
#134
○木内委員 ということは、この事故はやはり通産省の指導が十分でなかった、あるいはまた現場のそうした作業計画書等が整備されていなかったということが大きな原因の一つですね。
#135
○児玉(勝)政府委員 確かにそういう作業の手順について手抜かりがあったということは認めざるを得ないと思います。
#136
○木内委員 いま申し上げた点については、単に指導だけでなくて、ぜひ指導に基づいた具体的な現場における実施が行われるよう厳しく願いたい、こういうふうに思います。
 この問題の部品でありますけれども、米国クロフォード社製のものであって、原発一個で同型、同サイクルのものが一次冷却系で約五十個、それから空気系統などは千個を超えるというふうに言われています。強度を必要とする一次系に使用されるものはステンレス製、色は銀色、空気系統などは銅合金製で金色である。要するに、この二種類は目で見てもすぐに区別のつく部品なんですね。にもかかわらず間違っている。これは先ほどの作業計画書等の問題とはまた別に、何かここに重大な作業員の精神的な面の管理の問題ですとか、あるいはまた作業環境の欠陥が指摘されてしかるべきではないかと私は思いますが、その点はいかがですか。
#137
○児玉(勝)政府委員 先生のおっしゃるとおりの現場の状況というものでありますし、それから作業服を着ておりますので、やはり触覚といいますか、同じ物を持ったときの感じというのも違ったのではないかと思います。
 そういう意味で、大体この作業をすること自身が問題ではありますけれども、ただ作業をするにしても、そのくらいの判別というのが本人にもしあればそういうことはなかったということは言えると思いますが、若干作業者に対して過酷な条件であったかとも思いますが、そういう作業状況にあったことも否めないと思います。
#138
○木内委員 作業員にとって過酷な作業条件であったということでありますけれども、これは今後どのように改善されますか。
#139
○児玉(勝)政府委員 作業のやり方といたしまして、先ほど申し上げました作業計画書によって行われますが、作業計画書の中身は、いわゆる作業工程管理とそれから品質管理と二つあるわけでございまして、作業工程管理というのは、作業の方法、それから作業の目的、工法というものが決められておりますし、それから一方の品質管理の方は、どういう部品を何個どこにどういうふうにつけるかということのチェックがあるということでございまして、いわゆるその作業の仕方と、それから取りつけるべき部品の関係というのは、別々のチェックでもって行われるものかと思います。したがいまして、作業員に渡されるものは、作業員自身がその品質が何であるかということを確認するまでもなく品質管理の専門家がそれをやることで、作業者はその作業工程に伴ってその与えられた部品を取りつけるということで、おのおののチェックポイントを多くして間違いのないようにするのがいいのではないかと、こういうふうに考えております。
#140
○木内委員 今回の事故は関西電力でありますけれども、非常に関西電力は事故件数が多い、頻発しております。
 たとえば、ほかのPWRの設置社、四国電力、九州電力の管理体制に比較して関西電力の体質といいますか体制の甘かった点、こうした点についてはどういうふうにお考えでしょう。今年四月以降発生した二十五件の原発事故のうちで、関西電力の事故が十五件を占めている、こうした点も考えあわせてお答えいただきたいと思います。
#141
○児玉(勝)政府委員 関西電力は日本で初めてPWRを導入した会社でございまして、そういう意味で、新しい技術を開発するという点でいろいろな問題に逢着するということで、それを解決しつつ今日に至っているわけでございますので、そういうような新しい技術に対する問題におけるラッセルの役目ということも一つは言えるのではないかと思います。
 ただ、関西電力といたしましては、発電所が三カ所に分かれておりまして、管理面において三つのおのおの違った所長さんが管理するというところが、ほかの会社に比べますと若干違う点かと思います。そういう意味で、本店で考えております品質管理のフィロソフィーというものが、末端にまいりますといろいろと、現場に働きますおのおのの人たちの考え方によって具体的な方法が変わっていくということで、一方では作業の効率化を求められ、片方では品質管理の厳重さを求められるというようなことでの現場での規律というものがだんだんと薄れていくという点があろうかと思います。そういう点、これは各発電所につきましても、今度は調査をいたしましたが、各発電所におきましても若干いい、悪いの差がございます。
 したがいまして、この品質管理というのは、単に考え方を言っているだけではなくて、実際に現場でどうしているかということが非常に問題であるわけでございますので、そういう現場での問題、要するに課長、係長、担当、それから本当の末端の作業者に至るまでのルールとその自覚というのがやはり一番大きい問題ではないかと思います。
 その点、関西電力につきましては、現場が非常に離れて三カ所にもなっておりますし、それから、そういう問題の判断ということについても、いろいろ多くの判断がつけ加えられたことがあったのではないかと思います。
#142
○木内委員 スリーマイル島原発の事故に関連して、大飯一号機の安全解析が四月から六月にかけて行われましたけれども、その結果に基づいて設備の変更は特に行わないが、運転員など人員体制の充実、原子炉運転の細則などのいわゆる改善そのほかを図ったと会社側から報告されています。私も現地に行った同僚議員から詳しく事情を聞いたわけですけれども、このスリーマイルの事故を重大な教訓として、各部面における改善あるいは安全確保ということが行われてしかるべきだというふうに思っておりますけれども、こうした改善策の中で保守、点検、補修といった面についてどういった人員体制の充実、さらにまた細則の改善が図られたか、こうした点についてお聞きします。
#143
○児玉(勝)政府委員 このたびのTMIの事故に関連しまして、その運転管理についての特別監査を実施したわけでございます。その点で、保安規定に準じまして運転操作に関する不都合さという問題は、今度の特別監査を通じまして改善が行われたわけでございますが、いま先生おっしゃいましたように、補修の問題ということについては特に触れておりません。補修員の資質の向上という問題については、今度のTMIの問題については指摘しておりませんでしたので、今回その補修員の教育について十分な手だてをするように指導しているわけでございます。
 現在、電力会社に入社いたしましたそういう技術系の職員は、入社後一年間、原子炉の仕組みとか放射線管理等の基礎的な教育を受けますが、原子力発電所に配属をされた後さらに一年間その見習いをいたしまして、そして現場に配属されるということになっておりますけれども、今回の問題を契機にいたしまして、品質管理問題、それから工程管理ということがいかに保安の上で重要であるかということについて再教育をするということにしております。
#144
○木内委員 何回も申し上げるように、これは大変大事な問題ですから、ぜひ具体的な現場においても間違いなく実施されるように、ひとつ指導をお願いしたいと思うのです。
 原発のこの機器、部品の品質保証の問題でお聞きします。
 この問題は、原発のいわゆる信頼性にかかわる重要な問題であるということから考えて、今回のこうした事故が起こったことを一つの引き金として、全国の各原発の機器、部品の品質検査について再度の総点検を実施する必要があると私は思いますけれども、すでにその措置をとられたかどうか、あるいは不十分な面については今後どのように具体的な措置をとられるのか、お聞きします。
#145
○児玉(勝)政府委員 この品質管理の問題につきましては、先生ただいまおっしゃいましたように、高浜二号の問題を契機にいたしまして、品質保証活動の不適切に起因するということで、関西電力はもちろんのこと、それ以外の会社についても十分注意を喚起する必要がございますので、十一月十五日に通産大臣から関西電力に厳重な注意を与えるとともに、品質保証活動の点検を指示しております。それから、ほかの電気事業者に対しても品質保証活動の徹底を指示しておる次第でございます。
 これに対しまして、関西電力といたしましては、十二月一日に品質保証活動に関する回答書が出されまして、それによりますと、保安規定のもとにございます原子力発電所の補修に係る品質管理要綱というものをつくってルールを定める、一次系設備及び重要な二次系設備の工事の品質管理については、特にその手続を改めて実施するということでございます。それからまた、各発電所に品質管理にかかる専任役職者を二名配置いたしまして、それぞれ品質管理、作業管理を徹底するということで、品質の管理、作業した後のチェックというものを十分に徹底するということでございます。それからさらに、本店内に品質保証のあり方についてのプロジェクトチームを設けるということで、継続的にさらによりよい品質管理のあり方について検討していくということでございます。各発電所につきましても、逐次そういう改善策を提示してくるものと思っております。
#146
○木内委員 いま審議官から品質保証の改善策ということをお答えいただきましたけれども、特に今回の、高浜の二号機ですか、原発事故の後、関西電力から品質保証についての具体的な改善策が報告書として出されております。この中で、受け入れ、払い出し検査のチェックシートというものがありますけれども、これはどういうものでしょうか。
#147
○児玉(勝)政府委員 これは電力会社といたしまして、部品を購入はいたしますが、それを各発電所の資材保管庫に現場用に小出しに出すわけでございます。それで、その小出しに出しました資材保管庫から実際の現場に必要な資材を作業者に渡すという段階において、その受け入れ、払い出し検査チェックシートというのは、その作業者に対してどういう品物をどれだけの量出したかということがわかるようにするシートでございます。したがいまして、それで作業を終わりますと、今度は取り外しました、たとえば古くなったものを持って帰りますと、その員数を集めまして、またそれを受け入れるというかっこうで、その受け入れの中で放射能で汚れておるものにつきましては今度は廃棄をするということで、その廃棄の先まで全部、何月何日にどういう品質のものを、どういう作業によって起こったものを廃棄したということが全部わかるようなかっこうのシートをつくるということでございます。これによって品物の受け入れ、払い出しがすべてわかるということで、いわゆる部品の品質管理ができるというものでございます。
#148
○木内委員 このチェックシートが整備されることによって完璧な品質保証、品質管理というものは行われるでしょうか。
#149
○児玉(勝)政府委員 このチェックシートにおきまして受け入れ者の責任、これはもちろん捺印が必要ですし、それから払い出しのときの使用者の責任、それからたな卸しの責任者ということで、おのおのの責任者がずっと全部そこでチェックをするかっこうになっておりますので、従来に比べまして格段と品質の管理について明確になる、こう思っております。
#150
○木内委員 この受け入れ、払い出し検査チェックシートの整備によって記入される項目としてこういうことが報告されています。品名、仕様、数量、受け入れ時の検査結果等の記録というふうになってきています。これはあくまでも品名、仕様、数量並びに受け入れ時の品物の部品の検査結果というふうになっているわけですけれども、私はここで、高浜二号機が一時問題になりましたときの、A、B、CポンプのうちのAポンプの破損事故が発見されたことがありますけれども、これにちょっと言及してみたいと思うのです。
 これは、このチェックシートで記録されるところの品名、仕様、数量には当てはまらない部分でありますけれども、製造工程における焼き戻し温度の違いによって強度あるいは耐熱、耐久性というものが変わってきて、実際の機能面で大きな差が出てくるということの例証であります。たとえば焼き戻し温度千百五十度にしたものは米国においては無事故で順調に運転されていたけれども、この破損のあったのはそうではなかった。検査の結果、実際千度Fであったために材料の疲労強度あるいは靱性というものが低くなっている点に着目しなければいけない破損が実は発見されたわけでありますけれども、このメーカーであるところのパシフィック・ポンプ社では、その焼き戻し温度をその後千百五十度までに変更している。こうした点における検査あるいは品質保証という問題について申し上げれば、いま御説明のあったこのチェックシートでは十分じゃない。したがって、こうしたたぐいの事故は今後かなり起こり得るというふうに判断せざるを得ないわけでありますが、その点はいかがでしょう。
#151
○児玉(勝)政府委員 私が先ほど申し上げたチェックシートの内容は、現場におきまして修理をするという非常に小さな工事の部品の管理というふうに御理解いただきたいと思います。
 いま先生がおっしゃいました高圧注入ポンプの軸の問題は、これはまさに設計、それから工事そして据えつけという、大きな工事の品質管理と言っていいのではないかと思いますが、そういう点につきましては、このチェックシートは、少なくともこの大きい問題についてはやっていないということでございます。
 ただ、このポンプの軸についてはどういうような点検をしておるのかといいますと、これはパシフィック・ポンプ社で一括購入されたわけでございますけれども、関西電力がウエスチングハウスを通じて直輸入したわけでございますが、その軸のチェックといたしましては、その軸におきます材料のいわゆるミルシート、どういうものがまざっているかという成分シートでございますけれども、そういう意味のシートによって点検をしたわけでございます。それで、それの材料の化学成分とか機械的性質とか熱処理条件とかというのは、その時期において検討はしておったわけでございます。しかしながら、千度の焼き戻しというのが、当時関西電力としては適当な温度である、またウエスチングハウスもそういう仕様でパシフィック・ポンプ社に言っておりましたので、そういう仕様のものであるということは、要するに設計者のいわゆる仕様どおりということで受け入れたというふうに感じておりますが、その後アメリカにおきまして、同類の軸が折損するというような事故が四、五件起こりまして、それからその焼き戻し温度を変えたということで、現在はそういうことが防止できたというふうに考えております。
#152
○木内委員 米国のメーカーの仕様どおりの部品が欠陥であったということですか。
#153
○児玉(勝)政府委員 この焼き戻し温度の仕様はそのとおりでございます。
#154
○木内委員 いまこの検査チェックシートでは、この規模の品質保証についての検査はできないというお話ですけれども、それでは一体どこでやるのでしょうか。
#155
○児玉(勝)政府委員 こういう大きな機械の問題につきましては、これは設計時におきまして、どういうような設計の考え方に基づいて、どういうような材料によって行うかという審査をメーカー、それからユーザーにおいて行うということでございます。
 また、この機械が、仕様機械としまして、われわれ通産省におきます工事計画の認可にかかわる場合には、材質の問題については工事の認可の際にその審査をするということに相なると思います。
#156
○木内委員 メーカーとユーザーで行うということですけれども、そのユーザーのどこでやるのでしょうか。
#157
○児玉(勝)政府委員 具体的な工事の建設所が開設されるわけでございますけれども、その建設所の専門家とメーカーの設計担当との間において行われるわけでございます。その妥当性について、工事計画認可の中で行うような大きな機械でございました場合には、認可時に国の認可を受けるということがございます。ただ国の場合には、こういう性能を出すという問題で個々の材料についてどうしろという問題まではいまのところタッチしておりませんので、恐らく、このポンプが認可要件にはなっておりますけれども、ポンプのいわゆる性能、どれくらいの揚程でどれくらいの水量を出すという性能についての認可はいたしましても、個々の設計の問題については、いまのところ認可事項ではないというふうに思っております。
#158
○木内委員 要するに、ユーザー側の専門家がこれを検査するということですけれども、目で見て検査するわけですね。形状を中心とした検査に終始するわけで、それ以上の検査はいまの段階では行われていないと判断していいでしょうか。
#159
○児玉(勝)政府委員 これはユーザー側といたしましては、仕様が決まりましたら、その仕様どおり工場において実際に行われているかどうか、それから、それの材質のQAについてはどういう配慮をすべきかということが決められますので、そのとおりに行われているかどうか、それから工場の実際に製作しているところでの検査というのか実施されております。
#160
○木内委員 これは部品の形状とか使われる段階での配慮とかいった問題ではなくて、私が聞いているのは材質の問題、いまの高浜二号機について申し上げれば、強度、焼き戻し温度に至るまでの検査を一体どこでやるかということです。
#161
○児玉(勝)政府委員 材料につきましては、これは材料メーカーがいわゆる加工メーカーに納入いたしますけれども、そのときのギャランティーの中で試料片の検査、その検査の結果を添付しまして、これと同じ材質ということを証明して、その製品の材質を保証するというかっこうになっております。
#162
○木内委員 いまのお話を聞いていますと、この検査の実際というのはメーカー側にゆだねられていて、メーカーの言いなりであるということだと思いますが、どうでしょうか。
#163
○児玉(勝)政府委員 非常に専門的な問題にもなりますので、その点は確かに、材料なり加工なりおのおのの、いわゆるメーカーに対する信頼というか信用ということでやっております。ただし、ギャランティーとしてどういう点とどういう点が客観的に証明される必要があるということが明示されている場合には、その問題について、明らかにその品質の問題について保証するようにしなければいけないということであります。
#164
○木内委員 どうもおかしいですね。メーカー側との信頼関係の上でこれを信用するということですと、メーカーの言うとおりとにかく信じなくちゃいけないようなぐあいでいままで来たわけです。したがって、今日までの間にこうした事故が起こっているわけであります。特に米国のメーカーについては、事故が起こった段階で、信頼関係が壊されて、一々確認をし、さらにまた調査をしなくてはいけない、こういうことになってきたわけであります。
 私は、この検査体制、いまのお話ではちょっと納得できないと思うのですが、どうでしょう。
#165
○児玉(勝)政府委員 確かに先生おっしゃるとおり、材料から物ができて実際に実用に供されるまでの間にはいろいろな関所がございますので、そういうおのおのの関所において合格していくということで実用に付されるわけでございます。したがいまして、一番最初のやはり材料についての品質保証、それから加工における品質保証、それから据えつけにおける品質保証というものは、もうすべてその当事者の問題が第一でございます。
 それから第二の、いわゆるチェックがどういうふうに入るかという問題でございますが、これは民間同士のチェックにおいて行われるものと、それから官において、国においてチェックすべき問題というふうにだんだん分かれていくのではないかと思います。
 この品質という問題は、一義的にはやはりメーカーの問題であり、またユーザーができる限りのチェックをしたとしてそれを保証する。それは一々鉱石を投入するところから立ち会っているわけにもいきませんので、いわゆる同じバッチの中から出ました材料の一部の試験片の試験記録を、ユーザーがそれを確認するというような、そういうことでの品質管理の保証の仕方ということを重ねていくしかいまのところはないのではないかと思います。
#166
○木内委員 要するに、民間同士の確認によってつくられたところの部品を使うということの域を出ていないのが現状です。ということは、現状が続く限りこうした事故は今後も起こる。特に今回のこの高浜二号機の充てん高圧注入ポンプの損傷の原因とされたこのAポンプのような破損事故が起こった場合、やはり同じような御答弁に終始するのではないかと私は思います。
 すなわち、いまのお話では、この品質保証の検査の体制は何も変わらない、民間にゆだねているのだ、メーカーの言うとおりこれを信じて使うしかない、こういうことですけれども、いかがでしょうか。
#167
○児玉(勝)政府委員 この品質管理というのは、とりもなおさず、製品のよしあしということでございますので、メーカーといたしましては、まさに死活問題になっているわけでございます。そういう意味で、一つの教訓が得られましたら、それをもとに、よりよいものをつくるということでメーカーが努力するということにその問題が動いておりますので、単に同じものを使ってまた同じ事故が起こるということではなくて、よりよいものをいかによくつくるかということに刺激が加えられていくというふうに感じております。
 そういうことで、品質管理でよりよい品質管理というのは、常にこれは検討していかなければならない問題でございますので、今後とも、メーカーにおきましても、ユーザーにおきましても、また国においても、どういうようなチェックをすべきかということについて検討していきたいと思っております。
#168
○木内委員 いずれにしても、現状では十分でないというお話でありますので、私は今後、この委員会で品質保証あるいは検査体制については引き続き機会をとらえて御質問申し上げますので、ぜひともまた検討をお願いしたいと思います。
 いずれにしても、いまのお話は十分ではない。民間にゆだねられた、その言われたとおりの部品を使って事故が起こる、現状ではそういうことでありますので、重大な欠陥である、この点を指摘するわけであります。
 時間がありませんので一点だけ、連絡通報体制についてお聞きします。
 この原発事故に関連した連絡通報体制というものが十分整備されていないことには国民的合意が得られないどころか、地元住民の不安をかき立て、さらにまた国民の原発に対する国民的合意が形成され得ない結果となる原因になりますので重大な問題だというふうに思っております。今回の事故は十一月三日の午前五時半に発見された。五時三十六分現場の当直長によって原子炉が手動で停止をされた。その後、実は約一時間半の間連絡通報がほかのどこにも行われずにきている。そうして第一報が入りましたのが県段階に入った。通産省の方には全然来ていない。県当局者はあわてふためいて通産省にこれを電話で入れた。国としてはどういう措置をとるのかと県は、通報をするためでなく指示を仰ぐ連絡をした。通産省の電話の担当者は、まだ何も聞いていないので答えられないと言って答えに窮しているんですね。そうした通報体制の現実の姿というのは妥当かどうか、簡単に答えてください、時間がありませんから。
#169
○児玉(勝)政府委員 ただいまの通報の問題については、まことに適切でないと思います。
#170
○木内委員 本来いたずらに地元住民の不安を駆り立てるような通報体制あるいは十分でない面というものが多々あるわけでありまして、私も報告書を見ました。規則なりあるいは通報体制が整備されたとされておりますけれども、これは重大なミスであります。原発の問題はやはり通産省が指導監査する立場にあって、最後の責任は通産省、国にあるわけですから、その国に第一報が入らずに、そうして地元の県あるいは市町村から連絡が来るというような事態は大問題であります。どうかその点についての適切な今後の処置をお願いするわけであります。
 与えられた時間がまいりましたので以上にいたしますが、最後に、今回の高浜原発の問題あるいは私が御質問申し上げた内容について、きょうは科学技術庁長官もお見えでありますので、こうした事故を契機に、また今後、どうした姿勢で行政にあるいは関係の問題に取り組まれるか、所信をお伺いして終わりたいと思います。
#171
○長田国務大臣 先ほどから御指摘の事故等につきましては、第一次的なチェック官庁であります通産省あるいはまた原子力安全委員会等とも十分な連絡を今後とりまして、チェック機能の充実あるいは内部の作業管理の徹底あるいはまた防災対策全面の見直しと申しますか整備と申しますか、そういう点などに一層注意をし、力を注いでまいるつもりでございます。
#172
○瀬野委員長 次に、貝沼次郎君。
#173
○貝沼委員 私は、きょうは海洋開発の問題を議論したいと思いますが、その前に児玉さん、先ほど木内委員の質問のときに、ポンプを三つ購入してあったのに、そのうちの一つがシャフトが折れたわけですけれども、その場合アメリカで焼き戻し温度が千度ではまずいということがわかった、その後、いかにも二つはいいのが入って、一つだけ千度のものが残っていたような感じを受けましたけれども、あの三つのポンプは一緒に購入しておるんですね。それで、その三つの中に一つだけ温度の違うのがあった、それが現場ではわからなかった、こういうことなんですから、したがって、ただ千度のものが三つ入っておって、それで、それがまずいということがアメリカでわかったのだけれども、日本でそれはかえられていなかったという話ではないんですね。そうではなしに、三つのポンプを購入して取りつけてある、ところが、そのうちの一つがシャフトが折れた、なぜ折れたのだろうと思ってアメリカに問い合わせをしてみたら、たまたまその一つが千度の焼き戻し温度であったということかがわかった、これはまずいものであったということが後でわかった、こういう話なんですね。ですから、先ほどの答弁は私は、ちょっと違うと思うのですけれども、いかがですか。
#174
○児玉(勝)政府委員 いま先生おっしゃるとおりでございます、実際の問題としては。先ほどのお話は、軸の管理をどうするかという話がありましたので、その辺の軸の管理の仕方をということで申し上げましたので、実際の実態の問題を申し上げたつもりではないわけであります。
#175
○貝沼委員 この原子力の問題は、もう何回も私はやりましたのできょうはやりませんが、ただ大臣、こういう品質の問題は、確かにチェックするということはむずかしいことだと私は思うのです。一たん壊して見るわけじゃありませんから、むずかしいけれども、その辺のところが納得を得られるような体制ができていないと国民的合意の形成はきわめてむずかしい、こういうふうに思いますので、先ほどの大臣の答弁でひとつよろしく進むようにお願いしたいと思います。
 それから、海洋開発の問題でございますが、実は八月の十五日、海洋開発審議会から第一次答申が出されました。大平総理大臣に出されたわけでありますが、この答申を受け取った総理大臣は今後どういうふうに扱うのが本当なんだろうかということであります。
 それで私は、総理大臣が受け取ったわけですから、当然総理府で何らかのことをするのかなと思って総理府にきのう聞きました。そうしたら総理府は、総理大臣が受け取ってもわれわれはそんなこと知ったことではない、関係ない。きょう実は、ここで私はそれに対してどう取り組むか聞きたいと思って、政府委員としてお願いしたわけですけれども、行かないというわけでだれも来ないですね。答えることできない。それから科技庁が全部関係するのかと思ったら科学技術の関係のみであって、科技庁はまた違う。各省にまたがっておるというようなことで、一体これだけ膨大な答申が出、相当金をかけてやっているわけですが、これは総理大臣受け取って、何をだれがどうしたらいいんでしょうね。
 そこで、これは答弁する人がいないらしいので、大体科技庁でまとめて答弁するという約束があるようですからお聞きいたしますが、どうされますか。
#176
○勝谷政府委員 お答えいたします。
 実は八月の答申は中間の答申でございまして、この中間答申を受けまして、今年末をめどにいま最終の推進策についての審議を続けていただいておるわけでございます。したがいまして、八月には、とりあえずこういう目標を掲げたいと思いますということを和達会長から総理に直接お話をいたしまして、これに引き続いて、これを推進するための推進策いかんというのを早急にまとめて総理のところに提出する旨申してあるわけでございます。したがいまして、事務的には各省とともに総理府にも逐一連絡はいたしておるわけでございますが、最終の案がまとまりました段階で報告いたしましてお答えをいただくことになるのではないかと思いまして、現時点では総理府で直ちに答えるという段階にないことを御了承いただきたいと思います。
#177
○貝沼委員 いまの答弁、中間答申ということでしたけれども、これは私がきのう確認したところでは、中間答申じゃないそうですよ。第一次、第二次、だから前半と後半に分けて答申をするというのであって、これは単なる中間ではない、こういう答弁がありましたけれども、いま中間答申という話がありましたが、どっちが本当ですか。
#178
○勝谷政府委員 中間と申しましたのは、二〇〇〇年のビジョンと一九九〇年の目標とを一応こういうふうに掲げますという目標についての一次答申をいたしましたが、その目標に対してどのような推進手段でこれを達成さすかの第二次答申をもって、本一、二次答申で全部が完結するという意味におきまして、先ほど申しましたのが、正確には誤っておるかもしれませんが、私どもこの次の最終の答申をもってすべてが完結する、かような意味で中間的と申し上げたわけでございます。御了承いただきたいと思います。
#179
○貝沼委員 それから、この答申を科学技術庁が庶務を担当して審議会から出されたわけでありますが、総理の手元にわたってどういうふうにするかは私わかりませんが、何らかの手を打たなければならぬわけですね、その打つ場所がない。大体この答申をつくるまでは科学技術庁の方でこの庶務をやりますが、答申が出された後はどこが事務局をされるわけですか。
#180
○勝谷政府委員 この点につきましても、いま審議会の最も重要な焦点になっているところでございまして、実は審議会の場でいま議論が行われております点を中間的に申し上げますならば、審議会といたしましては、最終のこれをまとめる基本法と、これを推進する委員会とを設けるべきではないかという提言をされるように聞いております。しかも実は、一九八〇年の前半にこれをまとめるようにすべきではないかという提言をいたすが、この提言をどのような中心官庁が推進すべきかも含めて、この答申を受けたならば政府で早急に検討してもらいたいという答申になるやに聞いておるわけでございまして、いま先生のおっしゃった点は、その答申を受けまして関係各省相集いまして、いまの点の相談をすべきものと考えておるわけでございます。
 実は先生、御存じと思いますが、すでに海洋科学技術の面では、総合的に推進するための機関としては、海洋科学技術開発推進連絡会議というのを関係十四省庁で構成をいたしておるわけでございますが、これは技術の面でございまして、海洋開発全体についての場かないわけでございます。それも、答申を受けましたならば、関係各省相集いまして検討すべきものではないかと考えておるわけでございます。
#181
○貝沼委員 大体いまの答弁で第二次答申の内容、方向が私は出ておるように思います。一番大事なのは、ただいまお話がありましたように、海洋開発は十四省庁にもまたがっておるわけでありますし、また日本の将来にとって非常に大事であります。と同時に、いま海洋法会議等の関係を考えてみましても、日本の海洋に対する考え方がはっきりしていなければこれは困るわけですね。こういうようなところから、海洋開発というものは、やはりまとまった一つの基本的な理念なりあるいは政策を打ち立ててやっていかなければならないというところから、私ども公明党といたしましては、前々から、海洋開発基本法を制定せよ、あるいは海洋開発委員会をつくりなさい、あるいはそのほか、細々と条文までつくって提案したいきさつがあるわけでありますけれども、いまだ実現しておりません。しかし、第二次の答申にそういったことが望ましいという方向のものが盛り込まれるような観測でありますから、私は非常に喜ばしいことだと思いますが、いずれにいたしましても、これはつくるのが私は正しいと思っております。
 したがって、いっその第二次の答申が出るかということでありますが、これについては何かございますか。
#182
○勝谷政府委員 二次答申は、いま先生方、毎週二回ぐらいお集まりをいただきまして、最後の起草委員会を進めていらっしゃいます。その起草委員会の案をもとにいたしまして審議会が開かれるわけでございますが、大勢は、いま先生申されたような方向での意見が出されておりますが、ある委員は明らかに、この時点での基本法、委員会の制定は困難ではないかという御意見の委員もいらっしゃるやに聞いております。しかも現実は、大変な問題でもございますので、いつできるということを御確約は申し上げられませんが、いまの目標は、できれば年内、年内は無理でも年明け早々に出していただくように事務当局としてはお願いをいたしておるところでございます。
#183
○貝沼委員 この答申の出される期日、これを私、前から海洋開発については聞いてきましたが、そうしたら、これがだんだん延びていくわけですね。たとえば、去年の終わりごろこの第一次が出る予定であった、ところが、出るかと思ったら変わって、今年の春という話があり、それがまた延びて、ようやく中間答申が出た。ですから、いまの話もどれくらいまで聞いていいのか、私よくわかりませんけれども、とにかく急がなければならないと私は思うのです。
 その一つの例として申し上げたいと思いますが、たとえばマンガンノジュールの開発の件がございます。これはもう私がくどくど申し上げるまでもなく、非常に魅力あるものであります。陸上資源が枯渇の傾向にある今日に、人類共有の財産であり、人類に残された最後の資源、こう言われるマンガンノジュールの開発でありますが、これは資源のないわが国にとっては、しかも使うことにかけては非常にたくさん使う国としては、非常に重大な問題であり、国際的にもこれは開発をしなければなりません。それはもう当然だと思うのです。
 そこで、詳しいことは言わないにしても、これはアメリカのメローの試算によりましても、太平洋におけるマンガンノジュールに含まれる金属量という試算があるわけでありますが、これも大体マンガン団塊が一兆七千億トンもある。陸上なんかもう非常に少ない。たとえばその中で、特にニッケルなどは陸上では六千万トンしかないのに、太平洋だけでも百六十余億トンもあるとか、こういうふうになっております。しかも日本などは、こういうマンガン、ニッケル、銅、コバルトについてどれだけ出るのかというと、もうきわめて微々たるものであり、ほとんどこれは輸入しておるというようなところから考えると、将来の、将来というよりも、いますぐ日本の資源政策としてはこのマンガンノジュールの開発ということは非常に重大な問題になってくる。
 ところが、これについても、たとえば海洋法会議が開かれ、そしてこのマンガンノジュールの開発スキームを審議している海洋法会議が、どうも話によりますと、来年じゅうに合意に達しようではないかというスケジュールが大体確定しておる。一九八七年、昭和六十二年でありますが、このころに各国の批准を経て、そして海洋法条約が発効して鉱区申請の受け付けが開始される見込みであるとなっているわけですね。
 これを表にしてずっと見ますと、一九八〇年、昭和五十五年に合意をされて、そして大体昭和六十二年、一九八七年、このころ批准をして海洋法条約ができて鉱区の申請をする。ところが、この鉱区の申請ができるのは、その開発の技術の保有が問題になるわけですね。その技術を持っていなければ鉱区申請が認可されないというような問題がありますので、それまでに日本のマンガンノジュール開発の技術というものが実用段階までいっていなければ、日本はもうこの鉱区の申請をすることはできない。つまり太平洋なら太平洋の優良な鉱区、マンガンノジュールのたくさんあるような、マンガン銀座と言われるようなあたりはほかの国の人に占領されてしまって日本は入れないということになるわけですね。
 こういう愚なことはしてはならないと思うので、そこで、このマンガンノジュール開発の技術というものは非常に大事になってきている。大事になったにもかかわらず、日本の海洋開発の方向が全然わからない。それでは単なる技術だけしかできない。しかも期間としてはもうあと七年ぐらいしかないというようなせっぱ詰まったところまで来ておる。しかも、その技術たるや、非常にリスクの多い技術でありまして、なかなかうまいこといかないということになっておるわけでありますが、こういうことを考えた場合にも、私は、この基本法あるいは基本的な海洋開発の方向というものをはっきりさしておくことが急務であると思うわけであります。
 したがって、その答申をまず急いでいただくということと、同時に、このマンガンノジュールの開発の問題についていま政府はどういうふうに取り組んでおるか。特にアメリカ、西独とか先進諸国においては、海洋法会議がうまくいかなければその前に単独で国内立法をつくって、そうしてもう自分たちでやろう、そして海洋法ができ上がった段階でまた考えようではないかというような強硬手段まで出ておるようでありますが、日本の国は一体どう考えておるのか、その辺のところを教えていただきたいと思います。
#184
○井口説明員 海洋法会議と諸外国の動向についてお答え申し上げます。
 確かに先生の言われますように、海洋法会議は来年二会期を経て何とか終わりたいということで、先進国、後進国とも努力いたしておりまして、そういう形で来年終わる可能性が現在ある程度あるということは申し上げられますが、実はその点に関しましては、まだ再来年ぐらいまで交渉が続くという可能性もございます。
 しかし、先生の言われるように、八〇年代の半ばには当然海洋法条約が発効して、深海海底開発についても国際的な法的枠組みができ、国際機関が発足していくという事態が予想されるわけでございまして一今後、深海海底のマンガンノジュールあるいはさらに今後発見されるであろうその他の鉱物資源等につきまして、国際機関あるいは国際的な枠組みの開発体制というものを、特に資源の輸入に依存している先進工業国が重視していくという世界的な趨勢はおっしゃるとおりでございます。
 特に米国は、昨年下院はすでに通りまして、上院で通らなかった。ことしは深海海底の開発の国内法を、さらにもう一遍上下両院で通す動きがございまして、すでに上院では委員会を全部通っております。恐らくSALT条約が片づけば本会議にかかるということでございます。下院の方も外務委員会を除いては全部通っております。
 それから西ドイツの方でも、すでに昨年の十二月から立法を与野党が出しまして、実は与野党の支持のもとで深海底の立法をつくっております。
 そういう状況でございますから、確かに海洋法条約がまとまっても、発効するまでの暫定的な期間は、深海底の開発について、米国、西独のような技術を重視する国は、すでに立法をして、海洋開発の体制を進めていく、条約が発効すれば、そちらに乗り移るという趣旨の考え方であると了解しております。
 わが国がそういうものに出おくれるということは、やはり問題だろうと思いますが、他方において海洋法会議が現在交渉中でございまして、国内立法というのも本来暫定的な性格を持つということでございまして、海洋法会議の動向、それから、その他の先進工業国でも立法準備をしている国とまだそこまでいっていない国もございますし、海洋法会議の最中にこういう立法をすることについて途上国がきわめて反発しているという点がございまして、そういうものを踏まえながら、さらに、いろいろ政府部内で本件について打ち合わせていくべきであろうというふうに考えます。
 ただ、すでに本年、前の園田外務大臣のときに、外務省といたしましても、こういうものを内々で準備するという時期にはもう達しているという趣旨のことをお答え申し上げた経緯がございます。
#185
○貝沼委員 そういうわけでありますので、基本法の制定並びに委員会の設置、こういうものを強く要望して終わりたいと思います。
#186
○瀬野委員長 次に、中林佳子君。
#187
○中林委員 私は、まず原子力発電の安全性について質問したいと思います。
 ことしの三月二十八日に起きたアメリカのTMIの二号炉の事故は、原子力安全委員会の調査特別委員会の第二次報告書で、炉心上部の約三分の一はデブリ状になっているものと考えられると指摘するほど、かつてない大事故だったわけです。国内でもスリーマイルの事故にかんがみて、運転中の大飯一号機をとめまして安全点検をし、運転再開後間もなくECCSが作動するという事故を含めて、ことしになりまして、電気事業法あるいは原子炉等規制法による報告を拾っただけでも、二十三件も事故やトラブルが発生しているのです。しかも、これはBWR、PWRのいずれのタイプにもトラブルが続いているわけです。つい先日も、関電の高浜二号炉で一次冷却水が八十トンも漏れ出すという大事故があったばかりであります。これらの結果は、日本の国民、とりわけ、その原発周辺の住民は、一層大きな不安にかり立てられております。
 そこで、お尋ねするわけですが、アメリカ大統領が特別に設置した調査委員会であるケメニー委員会の報告の中に、最大限実行できる限り、新しく設置されるプラントは人口密集地より遠方に立地すべきであるということがあるわけです。このTMI二号炉の場合、人口密集地は、約十マイル離れた人口約六万八千人、これは一九七〇年の統計ですが、ハリスバーグであるわけです。ですから、ここで言っている報告は、これ以上の遠方が望ましいということを指しているのでしょうか、そこをお伺いいたします。
#188
○牧村政府委員 アメリカの場合、この基準をどこにするかということにつきましては、まだ決定を見ていないわけでございますが、一つの提案が行われておることは事実でございます。
 それで、低人口地帯は、ただいまちょっと手元に資料を持っておりませんが、たしか二十マイルの範囲であったかというふうに記憶しております。
#189
○中林委員 最大限実行できる限り、新しく設置されるプラントは人口密集地より遠方にということは、ハリスバーグよりも遠方だということですね。
#190
○牧村政府委員 ケメニーの報告書で言っておりますことにつきましては、まだアメリカでは何も決めているとは聞いておりません。
#191
○中林委員 そういうことをケメニー報告では一応示唆しているわけですね。私は、やはりハリスバーグよりも遠いところというふうに言っていることだと思うわけです。原子力安全委員会の調査特別委員会のこのケメニー報告を受けて、わが国の安全確保対策に反映させるべき事項の検討課題に、できる限り人口密集地より遠方に立地すべき旨のことが挙げられていないわけですが、狭い国土しかないわが国こそ、安全確保の見地からこういうことが採用されるべきであるというふうに思うわけですが、安全委員会としてこの項目を取り入れていく考えがおありなのかどうか。
#192
○牧村政府委員 先生御指摘の五十二項目の中に、端的にケメニー委員会が言っておりますようなことは出ていないわけでございますが、特に安全委員会といたしましては、かねてより日本は日本のサイト、敷地の選定に当たっての基準というものが必要でございます。現在もその基準を持っておるわけでございますけれども、安全委員会が昨年できまして以降、それの慎重な検討を開始することを、下部の専門部会でございます基準部会に、すでに諮問と申しますか、検討を命じておりまして、いまその専門の先生方の中でいろいろな御議論をいただいておるところでございます。
 したがって、アメリカの方針あるいはNRCの方針等も参考にしつつ、わが国のように人口密集、密度の高い、国度の狭い国において、安全を保ちつつ、どういう敷地の基準を考えていくかということはきわめて重要な問題でございます、きわめて重要な問題でありますが、決して短期間にこういうものができるものではない、たとえば日本と同じような状況にございますドイツの行き方、安全工学的な防御を強化して、アメリカとは違うサイトポリシーを追求していこうという国も実はあるわけでございますので、そういう点も踏まえつつ、日本として新しいサイト、敷地の基準につきまして検討をいまやっていただいておる最中でございます。
#193
○中林委員 日本の原子炉かほとんどアメリカを手本にしているということからもかんがみて、ぜひこのケメニー報告のこうした課題を取り入れていただきたいということを申し添えておきます。
 続いてお伺いするわけですが、わが国の営業中の原発の場合、TMIと同様十マイルすなわち十六・一キロ以内に人口密集地、あるいは十マイル以内に十四万人未満のところがありますか。
#194
○牧村政府委員 ただいま手元に人口の調査の資料を持っておりませんが、日本の場合、十キロ圏内で、敷地の境界から十キロぐらいのところで人口が比較的密集しておるところが何件かあろうかと存じます。
#195
○中林委員 ぜひその資料を取り寄せていただきたいと思います。
 わが国の安全確保対策に反映させるべき事項の防災関係の中で(2)の(3)の一般公衆の被曝線量の評価には、メルトダウンの事故についての評価も入れるのかどうか、お伺いしたいのです。
#196
○牧村政府委員 現在、原子力発電所の平常の運転時におきましては、敷地境界において年間五ミリレム以下の被曝線量になるように、これは裸でそのサイトの境界にずうっと立っておったときに受ける線量でございますが、それを目安にしまして安全審査をいたしております。現実には、原子炉の実際の運転では、それをはるか下回る〇・一とかコンマ数ミリというような段階でございます。
 それから、万々一の事故があったときに受ける基準としては、年間二十五レム以下に抑えるという基準ができておりまして、わが国の防災対策の緊急時の場合の住民等の指標線量の規定となっておるわけでございますが、現在、安全委員会におきまして、その辺の緊急時の対策をとりやすくする技術基準につきまして検討を進めておるわけでございます。
 先生御指摘のメルトダウンを云々ということでの対応は必ずしも考えておりませんで、原子力発電に万々一の事故があったときに、一般公衆の被曝をできるだけ低く抑えるような対策をとる線量あるいは放射線レベルをどういうふうにしたらいいかという考え方で、いまの防災対策上の線量が検討されておるところでございます。
#197
○中林委員 万々一の事故と言われましたけれども、実際にスリーマイル島で起こっているし、メルトダウン寸前の事故であったということは疑いのない事実なわけです。ですから、ぜひ被曝線量の評価には、そういうメルトダウンの部分も入れるべきだということを主張して、時間がございませんので、次の質問に移らしていただきます。
 周辺住民は、先ほども言いましたように、大変な不安を抱いているわけです。とりわけ島根原子力発電所は、県都松江市、これが人口十三万ですが、わずか九キロしか離れておりません。近いところでは五、六キロの範囲というような非常に密接したところにあるわけです。それにもかかわらず、中国電力は現在の約二倍の出力の二号機建設を予定し、しかも、もう調査がほとんど完了に近いという状況で、いよいよ建設になるのではないかと言われております。この島根原子力発電所の周辺の住民は、漁業をやっているわけですが、温排水の影響で大変な被害を受けているわけです。二号炉が建設されますと、その温排水の量もさらに、いまの倍ではなくて数倍になるのではないかと言われているように、そういう意味からも大変な問題を含んでいるわけです。
 ですから、スリーマイル島の事故の教訓を受け、しかもケメニー報告を受けて、今後日本で新たにつくられる、いわば県都か非常に近いこういう島根原子炉二号機の新たな建設というようなことが無理やりにごり押しされることは好ましいことではないと思うわけです。
 そこで、大臣にお伺いしたいわけですが、こういう非常に県都に近いようなところで無理やりにごり押しにやっていくということについてのお考えをお伺いしたいのです。
#198
○児玉(勝)政府委員 ただいま先生おっしゃいました島根の二号機につきましては、あすこに増設をしたいということの意向は前々から聞いております。そして調査も大分進んでいるように聞いておりますが、先生おっしゃいましたように、ごり押しとかいうようなことで建設をするということは非常に好ましくないことでございますし、さらに原子力発電所の建設というのは、これはどこにたてましても、安全審査ということで安全であることが確認された上で建設されるという手続もございますので、その点、松江市の近くにあるということも十分勘案いたしまして、原子力安全委員会のダブルチェックも受けました上で建設というような手続にさしていただきたいと思っております。その点、先生のただいまおっしゃった御懸念についても十分おこたえできるようにしたい、こう考えております。
#199
○長田国務大臣 原子力発電の日本のエネルギー問題に対処する上での重要性ということは、もちろん非常に大きな比重を占めるわけでございますが、同時にまた、原子力開発利用について安全性をしっかり確保して国民にそれを理解していただく、そういうことがこの原子力開発の前提条件だということを、私ども一同深く考えているところでございます。
 スリーマイルアイランドの発電所の事故につきましては、そのような観点から相当深刻にとらえているということが申せるわけでございます。同時に、日本の原子力安全委員会、その他関係各庁あるいは民間等におきましても、少なくとも若干の事故なども経まして、その点につきましてきわめて厳粛に、厳しい構えでこれに取り組んでいるということも、先ほど来るる御説明のとおりでございまして、私は今後とも、安全管理のために全体として一層留意してまいるという方向、そういうような構えでこの問題に取り組んでまいるつもりでございます。
#200
○中林委員 それでは、原子力安全の問題は以上におきまして、次に、防災科学技術の方面でお伺いしたいわけです。
 これは島根県八束郡美保関町の美保湾一帯での異常高波についての問題です。
 美保関町といえば、関の五本松でも有名な風光明媚なところでもあるわけですが、ここに美保湾の「境港要覧」というのがあります。この概況という項目の中に、自然地形と外港埠頭及び防波堤により、冬季の北西風及び春秋の北東卓越風から完全に遮断され、港内は至って静穏であると記されているように、きわめて恵まれた湾であるわけです。
 しかし、ことしの五月十四日、低気圧到来のときに異常高波が発生いたしまして、対岸の美保関町の方で倉庫一棟全壊県道十数カ所決壊、防波堤破損、重油入りドラムかん十八本流失などの被害が続出しましたし、また、さきの台風二十号でもさらに高い波が押し寄せてまいりまして、県道が一層破壊される、あるいは交通不能になる、漁港、港湾などの大きな被害が出たわけです。
 この異常高波の原因は、昨年末より工事が本格化している対岸の鳥取県境港市竹内地区に造成されつつある竹内工業団地七十ヘクタールですが、この岸壁工事による反射波によるものだと、美保関町民、とりわけ漁民は考えているわけです。
 ことしの六月からさらに波がだんだん高くなっておりまして、六月、七月は、海崎港という港湾がありますが、ここには船がつけられないでほかの港に漁船が避難をする、十月もほとんどほかの港へ自動車で行って、そこから船に乗って漁に出るという状態になっているわけです。
 島根の住民は工事を中止しろと要求しているわけですし、鳥取県の企業局側は続行を主張するというぐあいに、原因が科学的にはっきりしていないからトラブルが起きているわけなんです。そういうことで、この原因を早くはっきりさせる、そういう科学技術的な究明が早急に求められている状況です。
 この竹内工業団地は、鳥取県が事業主体となっておりまして、昭和五十一年九月二十八日に申請をし、昭和五十三年二月二十日に運輸省から認可されているものです。その認可に当たりまして、公有水面埋め立ての環境影響調査をやっているわけですが、私は、この影響調査にかんがみて運輸省にお尋ねしたいわけです。
 運輸省の第三港湾建設局境港工事事務所は、昭和四十九年七月十六日から八月二日まで約半月にわたって二点四層の潮流観測を実施しておりますが、その特徴を一言で言ったらどういうことになるのですか。
#201
○佐々木説明員 お答え申し上げます。
 アセスメントの段階におきましていろいろと運輸省の出先で調査をいたしておるわけでございますけれども、四十九年の調査につきましては、その埋め立て計画によります埋め立て地と、それから防波堤を設定いたしました場合を想定いたしまして、現時点における潮流の流況と、それから埋め立て地と防波堤が設定されました後におきます新しい流況を算出いたしまして、埋め立て後の予測をいたして相互に比較をいたしておるわけでございます。
#202
○中林委員 その特徴はどういう特徴だったのですか。
#203
○佐々木説明員 そのときの調査といたしましては、調査をいたしました期間か――直轄の調査のデータをいま持っておりませんので、後ほどお答え申し上げたいと思います。
#204
○中林委員 時間がございませんので手間を省かせていただきますが、環境アセスメントを見させていただきますと、美保湾は日本海から大きく楕円状に食い込んだ形状をなしており、流れは島根半島の先端地蔵崎から右回りに流入し、湾内で大きな時計回りの流れをしている、こういうアセスメントがあるわけです。
 では、四十九年の調査は、小野式流速計を使用いたしまして二点四層観測だったのですが、五十年の調査は、調査ポイントの数と使用器具はどうだったのか、これをお答え願います。
#205
○佐々木説明員 調査をしました時点を教えていただきまして、後ほどお答え申し上げたいと思います。ちょっといま手元にございませんので……。
#206
○中林委員 それでは、調査のことが続くのでわかるかどうかというのがちょっと不安になってきたのですが、昭和四十九年の調査は十五昼夜連続に対して、五十年の調査はわずか二日間になっているのですね。これはどうしてそういうぐあいに期間を短くされたのかわけを知りたいのですが、わかりませんか。
#207
○藤野説明員 ただいまの御質問に対して、直接わけをというところは、いまここでお答えできるだけの十分な資料を持ち合わせておりませんけれども、一般的に現地調査いたします場合に、ある時期には十五昼夜連続観測をやったり、またポイントによりましては、こういったたとえば一日間あるいは二日間という比較的短期間でデータを収集する場合もございます。
 一般論としてお答えさせていただきます。
#208
○中林委員 だから、五十年の調査の調査ポイントをお聞きしているわけですけれども、そちらの方がお答えにならないから回答が出てこないのだろうと思うのですが、それでは、その点後からよろしくお願いします。
 じゃ、この時点はわかるのじゃないかと思うのですが、潮流調査が四十九年は七月、さっき言ったように十五昼夜、五十年がわずか二日間、七月二十四日から七月二十五日まで、いずれも夏になっているわけですね。その他、春とか秋とか冬の調査はしてないのでしょうか。それはなぜなのか、聞かせていただきたいのです。
#209
○藤野説明員 いま御質問の点につきましては、ちょっとわかりかねます。改めて調べまして、お答えさせていただきます。
#210
○中林委員 この工事、そして工事の結果、海岸浸食に及ぼす影響調査について、こういう潮流の調査は非常に不十分ながら若干やられているわけですが、波浪の調査も当然必要だと考えられるわけですが、運輸省のお考えをお聞きしたいわけです。波浪調査はないのですか。
#211
○藤野説明員 波浪の調査は、現地調査の方法もあれば、また、そのときの既存のデータに基づきまして机上でエスティメーションする、推計をする方法もあったりいたしまして、もろもろの手法をもってそういう計画に対応しているわけでございます。
#212
○中林委員 そういたしますと、五十一年七月十六日に竹内の埋め立て事業についての公聴会というのがやられておりまして、鳥取大学の宮腰先生がこのように言っているのです。「今回の調査には、波浪調査、特に季節風の強い時期の波浪調査、あるいは沿岸流の調査が全く含まれておりません。この点は、極めて重大な欠陥があると言わざるをえません。」と述べて、さらに「この環境影響評価の内容は極めて不十分であります。特に海岸浸食に関しては、重要な冬期の波浪沿岸に関する現況調査、並びに工事を行った場合の影響評価が行われていないので、これを行う必要があると思います。」、こう公述をしているわけですが、運輸省はこの公述を御存じですか。
#213
○佐々木説明員 お答えいたします。
 申しわけございませんが、いま承知いたしておりません。
#214
○中林委員 承知してないということは、運輸省が認可するこういう重大な問題で、こういう学者の人までが言及していることについて存じ上げていないということは、認可の基準が一体どこに置かれているのかということが大変疑わしくなるわけです。その点いかがお考えでしょうか。
#215
○佐々木説明員 お答え申し上げます。
 公有水面埋立法で、出願がございました場合には、一定の免許基準がございまして、その中で、環境保全等も一つの基準になってございまして、具体的には、申請書の添付書類といたしまして、環境保全についての図書を添付させて、それを私どもの方で審査をしてチェックする、運輸大臣の認可を要するものにつきましては、私どもの方でチェックをいたしております。
#216
○中林委員 先ほどから聞いていますと、皆様おわかりのように、きわめて不十分な環境アセスメントであるし、それを見て運輸省が認可をしたということになりますと、これは大変政治的にも問題があると言わざるを得ないわけです。
 私、もっと質問したかったわけですが、時間がございませんので一つだけ運輸省にお聞きします。
 いまこういう問題が起きまして、原因究明の調査をされていますが、どういう調査をされているのか、お聞かせください。
#217
○藤野説明員 現地に波高計――波高計といいますのは、波の高さをはかる器械、それから波の向きをはかる器械、両方ありますが、波高計等を設置すると同時に、周辺の海底の深さの状況なども最近の状態を調べるなどいたしまして、複雑な美保湾内におきますところの波の挙動といいますか動きの状態をいま当たっているところでございます。
#218
○中林委員 五月十四日の、一番最初に大きな被害がありましたときの波高計の状態はどうだったのでしょうか。
#219
○藤野説明員 承知いたしておりません。
#220
○中林委員 私が聞いたところによりますと、この日は波高計のぐあいが悪かった、動いていなかったということが明らかになっております。そういうことで、この環境アセスメントそのものが大変欠陥があるということもおわかりいただけたと思いますし、いま原因究明を運輸省がやっていらっしゃるわけですが、それも、波高計もわずかしか置いてないとかあるいはそれだけで本当に向きだとか強さがわかるのかどうかというのもきわめて不安な状態があるわけです。ここで私はいま、運輸省がこの美保湾の問題では、科学的に究明をするという点できわめて抜かりがあると考えるわけです。
 そこで、大臣にお伺いしますが、こういったケースは全国で初めてのケースなわけです。しかも漁民がいま日々の生活に困るということで早急な解決を求めているわけですが、お聞きのように科学的な究明がきわめて不十分というところで、科学技術庁としても国立防災科学技術センターを設けて平塚支所での研究などもあるわけですから、そういうことを十分生かしていくべきだと考えるわけですが、大臣、いかがお考えでしょうか。
#221
○勝谷政府委員 最初にちょっとお答えさせていただきたいと思います。
 ただいまの点につきましては、目下その工事を中止されておりまして、運輸省の方で九月から来年の三月まで、いまのお話によりますれば、相当長期にわたっての波浪観測、風の向き、風速観測をおやりになるやに聞いております。そして来年の四月に解析をされまして、同時にシミュレーションテストを運輸省の方で行われるやに聞いております。私どもは、そこらの結果を踏まえて、運輸省の方から技術的な面での共同研究その他についてのお申し出があれば、お受けすることについて検討いたしたいと思っておりますが、現時点では、その検討結果を見守りたい、かように考えておるところでございます。
#222
○長田国務大臣 ただいま研究調整局長がお答えしましたような取り運びにしたいと思っております。
#223
○中林委員 お聞きになったらおわかりのように、運輸省としてきわめて不十分だし、自分が認可したところをいわば調査しているような状況ですから、政治的に見ても非常におかしいと私は思うわけです。
 そこで、運輸省から共同研究というような提案があればというようなことでしたが、積極的な科学技術庁の対応を望みまして、私の質問を終わらせていただきます。
#224
○瀬野委員長 次に、瀬崎博義君。
#225
○瀬崎委員 先般、日本学術会議と原子力安全委員会共催で、アメリカのTMI事故に関する学術シンポジウムが行われておりますね。このコミュニケによりますと「原発事故情報の収集、蓄積、整理、公開のシステムを制度化することの緊急性について、各パネリストから意見が出され、吹田委員長もこれを安全委員会で積極的に検討する姿勢を示された。」と述べられているわけであります。
 まず、吹田委員長に伺うわけなんですが、原子力開発を国民的合意のもとに進めようというならば、その第一歩として、このシンポジウムでの学者の一致した意見の尊重と、これに対する誠意ある対応が非常に大切なことではないかと思っているのですが、いかがでしょうか。
#226
○吹田説明員 御承知のように、学術会議と共催の際に合意しましたことは、あのシンポジウムというのは、学問的に深く掘り下げる、あるいは学問的にどういう問題があるかということを検討するところでございまして、それにTMIという事故をテーマにして学術会議と共催でやったわけでございます。したがって、そこにあらわれましたいろいろな意見を直接行政に結びつけるという考えはございません。ただ、そこで出されましたいろいろ学問的に貴重な意見は、われわれとしてはよく吸収いたしまして、これからそれを、たとえばいま瀬崎先生がおっしゃいました、つまり事故データあるいはデータバンクとか、その一連の、公開のトータルシステムといいましょうか、起こりました事故を単に公開するだけでなくて、広い意味でそれを利用して、次の設計なり運転管理に反映さすというフィードバックが非常に重要かと思いますが、そういう点に関しましては、われわれとしては非常に貴重な意見だったと思います。しかし、それを直接すぐに行政に反映さす考えはございませんで、そういう問題に対しましては、安全委員会としては、適当な専門部会がございますので、そこで十分検討して、行政に反映すべきものは反映していきたいと考えております。
#227
○瀬崎委員 安全委員会の方としては、いわゆる原子力開発、研究に、いまのトータルシステムとして公開の何らかの制度が必要だという趣旨で、それを専門部会で積極的に検討したい、そういう決意を表明されたのだと思うのです。
 同時に、これは政府としても、こういう貴重な意見が当日参加された学術会議、安全委員会双方六人の一致した意見として出ている以上、これに耳を傾け、現在政府のやっていることはどこに問題があり、何を改善しなければならないかという検討にはやはり入るべきだと思うのです。一応政府を代表して、これは科学技術庁長官、大臣としての所信を伺っておきたいのです。
#228
○長田国務大臣 原子力安全委員会は、独立機関としての若干の機能を持っておりまして、その判断を私ども尊重してまいりたい。全体の考え方としましては、原子力の安全問題あるいは原子力の開発、利用の問題につきましての学問的な論議が活発になされて前進していくことを心から希望し、期待している、そういうことを申し上げます。
#229
○瀬崎委員 ということは、もし安全委員会が、先ほど吹田委員長がおっしゃったように、専門部会でこの問題を検討し、この中から行政に反映させるべきものはこれこれだという形で一定の結論を出された場合には、それは尊重して具体化のために努力する、こう受け取っていいですね。
#230
○長田国務大臣 原子力安全局をお預かりしている者として、あるいは科学技術全般の開発を担当させられている者として一応そういうふうに考えます。
#231
○瀬崎委員 六人の全部の方々の発言に私も精通したわけではないのですが、代表的な方々のこの部分の御発言をとりましても、たとえば阪大教授の石谷清幹さんの場合は「米国では安全関連事象統計は、すべてNRCに集められ、「ニュークリア・セーフティ」に毎年発表されるので日本でもこれを利用することができる。ところがわが国の原発の事故・故障について統計を調べようとしても、どこにあるのかも知れないが、われわれには入手の方法がない。原発の事故・故障のデータを蓄積、分析、交流のできる公開制度の確立が望ましい。」、こういう御発言がありますね。
 それから、原研の佐藤一男さんは、TMI事故の一年半前にデイビスベッシー原発で発生した事実は、TMIの初期事実と酷似しており、これが十分に分析されていればTMI事故はこれほどの大事故にはならなかっただろう、米国では報告制度が整備されているが、わが国では異常の報告制度は体系的に整備されているとは言えないという指摘をされています。
 それから、京大教授の木原正雄さんの場合は、詳細設計の段階、使用前検査の段階、定期検査の各段階において報告はすべて非公開にされていることから、原子力三原則の公開の原則に基づいて報告書の公開を義務づけるべきであるというふうにおっしゃっています。
 こういうふうな発言に照らして、結局、現在のわが国は事故情報が十分公開されていないという指摘を前提として、いまのトータルシステムを求められてくるのじゃないかと思うのです。
 特にこれに参加されております吹田委員長としては、わが国の現在のこういう情報の報告であるとか公開の制度で一番問題だなとお考えになっているのはどの辺ですか。
#232
○吹田説明員 安全委員会が発足いたしましてから、安全確保の非常に重要な要素は、これまでの事故、故障を十分吟味してこれを公開すると同時に、やはりその意味するところを分析し、評価して、蓄積して、次の設計なり管理に反映さすことでございますが、残念ながら、これまでは必ずしもその全体のバランスがとれていると言うことができません。われわれといたしましては、安全委員会をスタートいたしましてから通産を通じまして得ます事故、故障のいろんな報告をできるだけ掘り下げまして、その正式な資料というのは全部安全委員会の月報に載せております。したがって、石谷さんもちょっと触れておりました、どこへ行ったらいいかということでございますが、それは公開資料室はもちろんでございますが、安全委員会の月報にそういうものは十分出ております。ただし、それを分析し、評価し、システムとして次のステップにフィードバックするというところが非常に欠けているように思います。
#233
○瀬崎委員 ケメニー報告の中にこういう指摘があります。「原子力発電は潜在的に本来非常に危険なものである。したがって、大きな事故を防ぐために安全確保が十分であるかどうか絶えず点検しなければならない。」「大破断事故は、非常に速い反応を必要とする。それゆえ、対応は自動化された機器に依存している。しかし小さい破断事故は、ゆっくりと発展するので、そのコントロールは人間の動作に依拠することになった。これがTMIの悲劇である。」「このような小さな危機の故障の組み合わせば、巨大な事故よりたびたび起こりうるので、これについては広範、全面的な研究が必要である。」、非常に傾聴すべき指摘だと思うのです。
 そういう意味で言うならば、十一月三日に発生いたしました高浜原発二号炉でのロックというのですかバルブというのですか、あれの破損によって起こった八十トンの一次冷却水漏れ事故、確かにこれはごく小破断ではあるけれども、そういう点では、起こりやすく、きわめて重大であると見なければならないと思うのですが、いかがでしょう。
#234
○牧村政府委員 先生の御指摘のケメニー報告の中に確かにそういうのがございまして、従来の安全審査で小破断、特に液相と気相が分離するような場合、これがTMIの事象等でございますが、そういうような小破断につきましての研究開発が行われていなかった。それから安全審査におきましても、その小破断の影響については、それよりも大きい破断についての影響でカバーしておる考え方でございまして、私どもとしては、TMIの事故の後、すべてのPWRについていろいろ解析したのは先生御存じのとおりでございますが、この問題の研究開発の必要性についても、安全委員会の指摘によりまして、現在、来年度の予算におきまして予算化をしておるところでございます。
 それから、高浜の二号機につきましては、加圧器の逃し弁から一次冷却材のあることを知りながら運転するというような運転が行われておるわけではございません。また、冷却材の漏洩が小さかったというようなことで、原子炉をとめまして、冷却する際にECCSが作動するというようなこともなく、十分運転員が正常の冷却をしていったということは、通産省から安全委員会に提出されました報告書でも明らかでございます。
 この点につきましては、やや手前みそではあるかもしれませんけれども、TMI事故後、原子炉の運転員のTMIがらみの事故対応の教育をしたということが非常に効果があったのではなかろうかと安全委員会でも御判断されております。このように、先生御指摘のように、運転員が的確に対処するということは、この種の事故におきまして非常に大事なことであろうかと考えておるところでございます。
#235
○瀬崎委員 その通産省の報告に基づいてそういう判断をされているということなんだけれども、問題は報告なんですね。TMIの場合ですと、事故シークェンスに関するNRCの発表は、事故発生後秒単位で、運転操作内容であるとか原子炉の状況を示すデータが発表されておりまして、これも第一次報告、第二次報告がありますが、一次報告は二百ページ、二次報告は五百ページという膨大なもの、各種の資料がそろっているわけです。
 これに対して高浜二号機の場合ですが、運転がなかなか正確に対応した、手前みそながら通産の報告でそう判断するとおっしゃるのだけれども、その高浜二号炉の場合、われわれに届けられた報告書というのは、十一月五日、十一月十二日、十二月三日の三回で、合わせて実質十ページ程度のものですね。
 中身は、十一月三日の午前五時三十分、一次系Aループ温度測定用配管で流量低でアラームが発信した。次いで、格納容器の放射能モニターの指示値が上昇した。それで原子炉を手動で停止した。十一時ごろ、これも口頭説明ですが、第一回目格納容器内に入って漏洩個所を確認した。そして午後二時二十分ごろに弁を閉じた。その後の調査で予備座プラグの損傷が発見された。大体これぐらいですね。これ以上のことは、私どもの得ているこの報告書から全然読み取れないし、聞いた範囲でもこれ以上のものは出てこないですね。
 そこで、安全委員会としては、これとは別の、もっともっと秒単位といいますか、TMI並みの細かい報告書というものを通産からはとっていらっしゃるのですか。
#236
○牧村政府委員 私どもの方は、通産省の方から事故発生後の原子炉の温度、圧力の変化につきまして、シークェンスを追いまして時系列の報告を受け、それを私どもの方は当庁のクラブの方にもそれをお見せして説明するというようなことをいたしております。
#237
○瀬崎委員 それはもちろん、安全委員会の方もそういうものに基づいて判断されたと思うし、そういうのはちゃんとさっきおっしゃった資料には全部掲載される、こういうことですか。つまり、TMIのNRC発表と比べて十分対応し得るような資料として、安全委員会の手元にそういうものが寄せられているかどうかをお聞きしているわけです。
#238
○吹田説明員 これまで安全委員会にはできるだけの資料は提出させておりますが、ただ、私たちが見ましても、生のそのままでありますと全体の傾向というのは非常に読みにくい、そういうものでありますと、別に図面を出させましてやりますから、生のそのままを全部公開した方がいいのかどうかということはこれから検討したいと思いますが、とにかく中身が、おっしゃるように時間にどう変化していくかというのが十分わかるようなデータを出したいと思っております。
#239
○瀬崎委員 そういうことも先ほどのシンポジウムでいろいろ求められている公開資料の内容として検討事項に入っているというか、現在でもそれは要望があれば幾らでもそういうことは公開できる、そういう意味ですか――いや、ちょっと吹田委員長に。
#240
○牧村政府委員 実態を申し上げたいと思います。
 ただいまの件でございますが、そういう専門家がフィードバックしていろいろな研究に使う等のデータが整理されて、あるいは分類されて、出されていないところをシンポジウムの二、三の先生方に御指摘を受けたわけで、これは非常に傾聴すべき、また重要なことであるということでございまして、その点について今後、先ほど吹田委員長が申し上げましたように、関連する専門部会等において、そういうシステムをどうしたならばいいかということを検討させたいというお考えを委員会がお持ちであるということを申し上げたわけでございます。
#241
○瀬崎委員 それはそれでいいことだから、ぜひ検討を進めていただく。
 もう一つ、いま少しお話が出ました、つまり生のデータ、詳しいものが知りたければ幾らでも詳しいものが知り得る状態にあればいいんですよ、たとえばこれは手動で停止と、こう言われているのですが、私ども素人ですから全く常識的に考えますが、本来ですと、多重防護の概念から言えば、手動でたとえば失敗した場合でも自動的にとまるようになっているから安全なんだという理解があるわけなんですね、だからこの際、果たして手動でとめたことが正しかったと言えるのか、本来ならば自動でとまるべきだったのかなどということがわれわれには疑問に思えるわけなんです。
 そういう判断として、たとえば原子炉内の圧力、温度の変化がどうであったのか、あるいは格納容器内の放射能の変化がどうであったのか、あるいはサンプの水位がどうであったのか、要は、今回のあのプラグが飛んだことに起因して異常がどこにどう出ているのかを調べようと思えば、すべてのデータを見て異常のあるところ、ないところを見なければならないと思うのですが、そういうものも求められれば当然その報告は出てくるし、また出された報告は専門家の求めに応じて幾らでも公開できる、こういうことになっておればいいのです。なっていなければ、そこも一つ問題だと思うのですが、いかかでしょう。――いや、これは安全委員会の方に、吹田さんが御出席なんでね。
#242
○吹田説明員 データは安全委員会としてはできるだけ出したいと思いますか、その現象が、いまのたとえば手動と自動でございますけれども、ちょっと忘れましたが、たとえば手動は最後のバックアップであるということは一般に言われますけれども、明らかに自動にいくまでに現象がわかっておりますと、やはりそのときも手動でやるという場合もあるわけです。ですから、おっしゃるように、どうしてそういうところに手動をしたかというような説明を裏づけるようなデータ、そういうものはぜひとも出させるつもりでございます。
#243
○牧村政府委員 通産省から出されましたデータは、今回のケースの場合、自動的に動くべき圧力以上のところで原子炉の異常、要するに一次冷却水の漏洩を発見して、運転員が、おいでおいでも自動に当然なるべきあれを手前に手動でとめたということがはっきりわかるデータを添えてお持ちいただいておるということでございます。
#244
○瀬崎委員 時間が来ておりますので、最後にまとめて聞いておきたいと思うのです。
 それは、いまの手動が正しかったか自動であるべきだったのかということについては、少なくとも専門家が何か自分の研究のために見たいというときにはわかるような資料があってこそ、初めて納得し得る結論だと思うのです。一方的に通産の方がそういう資料を添えて手動でよかったのだと言ったからそれでオーケーなんだということでは、チェックの意味が全くないと思いますので、先ほどの委員長のお答えどおりひとつ今後進んでいただきたいと思います。
 実は十二月三日、関電が通産省のいろいろな指示に対する報告書を出していますが、ここに載っていることは、当然いままで行われているであろうと思われることが皆これからということで載っているわけでしょう。本当に驚きでありまして、たとえば部品については受け入れ、払い出し、廃棄も含めてこれからチェックシートをつくってやります、それから施工段階における作業計画あるいは作業計画書、検査項目のチェックシート等もこれからつくっていきます、それから品質管理のチェックもこれからやります、そのために品質管理担当課長とか作業管理担当課長もこれから置きます、というんですね。従来こういうことなしによく無謀なことがやれたものだなという印象を持つのだけれども、それはそれとして、なお関電のこの報告自体にわれわれも疑問を感ずるわけです。
 たとえば温度検出器の、九月十一日ですか取りつけ作業を行ったが、このときに当初の位置とは違ったところへ移しかえているわけですね。それももともとステンレス製のロックがしてあるものをわざわざ外してそこへつけかえた。それはどういう判断によったかというのは、すべて関電の報告書が出ております。電線管の方にケーブルが近づくようにとかなんとか書いてあるのだけれども、こういう高度な判断も含めて一切上司がタッチしないで、全く作業員単独の判断だけに任されておったというふうなことがもしあったとしたら、実にずさんな会社だったなあということになる。だから逆に言えば、私どもは、そんなことはあり得ないというふうな疑問も持っているわけなんです。通産省はそういうふうなことを疑問と思わないのかどうか、これが第一の不思議です。
 それから、特に温度検出器を一個ふやした、電算機につなぐためにでしょうが、これについては何も関電の作業員が直接にやったのではなくて、下請に発注しているわけなんですね。しかし、この下請に発注する場合にまさか発注書もない、工事仕様書もないというようなことは考えられない。それでは下請は仕事をしないだろうし、一体値段はどうなっているのだという問題が起こってくる。こういうものはあったのかなかったのか。ちゃんとそういうものもコピーを取り寄せて、果たしてこの報告書の妥当性を通産省は検討したのかどうかということも疑問として残っているわけなんです。
 それから、いろいろ申し上げたいのですが、時間超えておりますのであれですが、関電のごく初期の報告では、建設時点で三菱重工がつけ間違えたのだというようなことを通産省に言ってきているわけでしょう。私も当初は、そのまま報告を受けたわけです。ところが実際、銅合金製のロックだと、こういう高温高圧のもとではせいぜい二百時間もてばいいというのでしょう、それが四年ももったというようなことになってくると、これは見当外れもはなはだしいわけです。そんなことすら関電の幹部、責任者はわからなかったのだろうか。それとも、わかっていてあえてそういうことを言ったのだろうかというふうな気がせぬでもないのです。
 そこで、いま私が三つほど申し上げました疑問点を通産省はどういうふうに考えたのかということをお答えいただくことと、それから委員長にお願いしたいのですが、どうも原子力基本法が改正されて事実上の安全審査が通産省に行って以来、通産省の態度は電力会社をかばい過ぎるという感じがするんですね。つまり行政と企業との癒着関係がある意味ではやっぱりきつくなったと思うのです。そうなると、国会がこの問題を厳しく追及する以外に国民の安全を確保する道は薄いわけですね。したがって、事は非常に重大なので、一度当委員会に関電社長を呼んで集中審議する、そういう機会をぜひつくっていただきたいと思います。お願いしておきたいと思います。
#245
○児玉(勝)政府委員 ただいま先生御指摘の点についてお答えしたいと思います。
 第一が、下請の発注書というものが一体あるのかという問題でございますが、発注書はございます。ありますが、取りつける場所について実は明示してないという問題がございまして、それで直営の工事をやっている人がその隣につけろということによってそのポジションが決まったというふうになっております。したがいまして、そういう点、下請に対する仕様書のずさんさということ、それから直営工事の命令示達の不十分さということ、そういう点が指摘できると思います。関西電力はこの問題は非常にわずかな取りかえ工事であるというようなことを言っておりますけれども、われわれとしては決してそうは思っておりませんし、品質管理の上での重大な欠陥であるというふうに感じております。
#246
○瀬崎委員 関電が最初建設当時、三菱の責任だと言ったのは……。
#247
○児玉(勝)政府委員 それから、建設当時あったというふうに申しましたのは、これは当初、所長に当直の者が報告を上げましたときに、そこで作業をやっていることをどうも知らなかったようでありまして、それで一切、工事といいますか建設後手をつけていないところから蒸気が出たということから、所長が総合的な判断をしないで直ちにわれわれの方に報告したということで、当初私たちも、実はどうしてそんなところから出たかということで、重工を呼びまして詰問した経緯もございます。そういうことで、十分現状を把握しないで報告したということが間違いのもとであったと思います。
#248
○瀬野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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