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1949/02/02 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 内閣委員会 第1号
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1949/02/02 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 内閣委員会 第1号

#1
第007回国会 内閣委員会 第1号
昭和二十五年二月二日(木曜日)
   午前十一時三十二分開会
  ―――――――――――――
 委員氏名
   委員長     河井 彌八君
   理事      カニエ邦彦君
   理事      中川 幸平君
   理事      佐々木鹿藏君
           梅津 錦一君
           一松 政二君
           城  義臣君
           紅露 みつ君
          深川榮左エ門君
           市來 乙彦君
           下條 康麿君
           竹下 豐次君
           町村 敬貴君
           堀  眞琴君
           三好  始君
  委員の異動
十二月二十二日委員竹下豐次君辞任に
つき、その補欠として山内卓郎君を議
長において指名した。
十二月二十六日委員山内卓郎君辞任に
つき、その補欠として竹下豐次君を議
長において指名した。
一月二十六日委員中川幸平君辞任につ
き、その補欠として大屋晋三君を議長
において指名した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○外務省設置法の一部を改正する法律
 案(内閣提出)
○理事の補欠互選の件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(河井彌八君) これから内閣委員会を開会いたします。
 外務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。政府より本案提出の理由の説明を願います。
#3
○政府委員(川村松助君) 只今から外務省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を説明申上げたいと思います。
 外務省の機構の一部を改正するために、外務省設置法の一部を改正する法律案を提出いたしました。行政機構を簡素化するために審議会等を極力整理いたしまして、政府の方針に副うて外務省は中央連絡協議会、地方連絡協議会、出入国管理連絡協議会、在外公館等借入金整理準備審査会については、中央連絡協議会及び出入国管理連絡協議会を廃止することになりました。在外公館等借入金整理準備審査会法は、昭和二十四年六月一日に公布されましたが、その施行令が十二月の二十日に公布施行されたのであります。そのために本審査会を外務省設置法に規定いたした次第であります。
 次に今般の占領軍民事機構の改組の結果、関東地方民事部は、東京と神奈川、靜岡両県のような重要な都県を新たに管轄することになりました。その重要性と事務内容の複雑性とが一段と増大いたしまして、外務省といたしましては、占領軍の管轄区域に対応いたしまして、連絡網の整備、事務局を設置して占領軍との連絡に当つておる次第でありますが、先に述べました関東民事部の重要性の増加に対応いたしまして、新たに関東連絡調整事務局を設置いたしまして、事務連絡に遺憾なきを期したいと存じておる次第であります。
 以上が提案理由の大要でありまして、どうぞ愼重に御審議の上御採択を頂きたいと思います。
#4
○委員長(河井彌八君) この際何か御質疑がありますれば御発言願います。それでは尚、島津政務局長から逐條についての御説明があるそうですが、それをこの際お伺いいたします。
#5
○政府委員(島津久大君) 外務省設置法の一部を改正する法律案につきまして逐條御説明を申上げます。審議を願いますのは、外務省設置法の一部を改正する法律案、二枚になつておりますものでございます。これと現行の外務省設置法、両方を対照して御覧を願いたいと思います。
 先ず第十二條でございまするが、この中「中央連絡協議会、出入国管理連絡協議会」とございますのは、「在外公館等借入金整理準備審査会」に改める、と申しますのは、中央連絡協議会及び出入国管理連絡協議会を廃止いたしまして、新たに在外公館等借入金整理準備審査会を設置するという意味でございます。行政機構簡素化の一環といたしまして、各省庁に附属する審議会等を縮減する審議会等整理方針というものは、かねてから行政管理庁で検討されておつたのでございますが、十一月四日の閣議で決定をいたされた次第であります。これに基く個々の審議会等の存廃は十二月四日の閣議で正式決定をされまして、外務省は、中央連絡協議会、地方連絡協議会、出入国管理連絡協議会、在外会館等借入金整理準備審査会のうち、中央連絡協議会及び出入国管理連絡協議会を廃止することになりましたものでございます。中央連絡協議会は、外務事務次官を会長といたしまして、連合国官憲との連絡に関連する各行政機関の事務の緊密な連絡を図るために、関係行政機関が協議するための機関として運営されて来たものでございます。出入国管理連絡協議会は、外務事務次官を会長としまして、出入国の管理並びに不法入国の取締及び不法入国者等の送還に関する関係行政機関の事務の連絡調整を図るために、関係行政機関が協議するための機関としまして昨年九月以来運営されて参たものでございます。これれら二つの協議会が取扱つて来た事項につきましては、今後は必要の都度、関係機関の係官の協議によつて処理して行きたいと考えております。在外公館等借入金整理準備審査会は、太平洋戰争の終結に際しまして、在外公館、邦人自治団体等が引揚費、救済費等に充てるために在留邦人から借入れた資金を、国の債務として承認するための審査を行うための機関であります。審査会設置に関する法律は、昭和二十四年法律第百七十三号として公布されまして、昭和二十四年十二月二十日、政令により施行、即ち昨年十二月以来、審査会が設置されておりますが、これを新たに設置法に規定した次第でございます。外務省設置法の第十二條及び第十四條の改正は以上の点の改正でございます。
 次に、設置法の第十七條を改正いたしまして、新たに関東連絡調整事務局を設置することとなりました。連絡調整事務局は、地方にありまして連合国官憲との連絡に関連する各行政機関の事務の調整を主として掌るものでございまして、連合国官憲の管轄区域に対応しまして、横浜を初め全国十一ケ所に設置されております。ところが、今船連合軍民事機構が改組されまして、昨年十一月三十日を以ちまして府県單位の民事部は全部廃止せられまして、地方における民事事務は、全国八地区に存する地方民事部が直接これと管轄することになりました。これを関東地方について見ますると、従来東京都、神奈川、靜岡、両県の各民事部は、第八軍の直轄下に置かれておりまして、埼玉、千葉、群馬、栃木、茨城、山梨及び長野の七県民事部は関東地方民事部の統轄を受けておりましたが、今回の改組によりまして、各都府県の民事部は廃止され、東京都、神奈川、靜岡両県は新たに関東地方民事部の管轄下に編入されることになつたのでございます。従来、第八軍及び関東地方民事部との連絡は、横浜連絡調整事務局が当つて参りましたが、関東地方民事部の重要性の増加に対応しまして、ここに新たに関東連絡調整事務局を設置しまして、関東地方民事部との連絡に当らせ、横浜連絡調整事務局は、規模を縮小いたしまして、第八軍司令部との連絡に当らせることといたしたのであります。
 以上が十二條、十四條、一七條の関係でございまして、この附則につきましては、施行期日及び機構の改革に伴う関係法令の改廃を規定した次第でございます。
#6
○三好始君 数点について順次お尋ねいたしたいと思いますが、先ず第一番に、在外公館等借入金整理準備審査会は、これは今回新たに設けられるということでなくして、すでに昨年の十二月以来設置されているということでありますが、これを今回外務省設置法の中で確任したようなものでないかと思うのですが、ただ審査会を設けることだけを規定して、審査会がどういう組織、所掌事務を持つているかについては、全熱規定がないのであります、こういう行政機関だけを設けて、全然組織、所掌事務などについて規定がないという立法の仕方は、他に私記憶がないのでありますが、なぜこういう立法の仕方をとられるのか、御説明を承わりたいと思うのであります。
#7
○政府委員(島津久大君) 在外公館等借入金整理準備審査会法の第二條に、只今お話のように、「借入金の整理に必要な準備をするため、外務省に在外公館等借入金整理準備審査会を置く。」ということを規定してございまして、その内容につきましては、政令に讓りまして、昭和二十四年十二月二十日、政令第六百九十一号、在外公館等借入金整理準備審査会法施行令というもので仕事の内容を規定している次第でございます。
#8
○三好始君 そういたしますと、他の法律、政令に規定があるというので、ここに何ら規定がなされなかつたというようなことでありますが、そうであれば、他の法律、政令に委任するような意味を挿入するなり、何らかの形で体裁を整える必要があるのではないかと思いますが、それをされないのはどういうわけなんですか。もつと具体的に申しますと、在外公館等借入金整理準備審査会法或いはその施行令が別にあるわけですが、審査会については、審査会法によるといつたような規定を設けると、一応形が整うのではないかと思うんですが、ただ行政機関だけを設けて、それについてどういう組織を持つているのか。どういう所掌事務を持つているのか。全然設置法に規定がないというのは少し変じやないかと思つてお尋ねいたしているわけであります。
#9
○政府委員(島津久大君) 只今の御質問は、別に法律があつても、外務省設置法の方に何かそれとつながりを規定した置かないと変じやないかという御質問と思います。
#10
○三好始君 さようでございます。
#11
○政府委員(島津久大君) その点は必要がないということで、在外公館等借入金整理準備審査会法が先にできており、それに具体的なことに全部規定しているので、関連を謳わなくても、両方とも関連しているので、別につながりを付ける規定は設けませんでも、実際上の支障はないと考えます。
#12
○三好始君 私は設置法に、一定の機関を設けて、それに対して組織、所掌事務を全然設置法自身で規定しないのは少し体裁が整つておらないじやないかということは、つまり形式的な立場からお尋ねいたしたわけでありますが、実質的に申しますと、こういう行政機関の設置に関連する法律を作るときに、設置法と切離して單独に作つたというところに一つの問題があるのじやないか。これは設置法立案当時予想されなかつた問題ですか。或いは予想されておつたが、何か理由があつて別個に切離して法律として作つたものですか。
#13
○政府委員(島津久大君) 設置法当時には予想をしていなかつた事項でございます。
#14
○三好始君 そういたしますと、設置法立案、或いは規定後にこういうものが必要になつて来たので、設置法改正の手続でなしに單独の法律とした制定するに至つた、こういうわけでありますか。
#15
○政府委員(島津久大君) 只今の御解釈の通りであります。
#16
○三好始君 そうしますと本来ならば、外務省設置法を改正して、在外公館等借入金泉理準備審査会を設けるのが正しい行き方であつたのを、便宜の措置をとられたというふうに解釈するのでありますが、いずれにいたしましても、すでに昨年来存在する機関を、一応外務省説置法の中にあとから確認したような形で挿入するのが、今回の改正案の一つの内容になつておるのでありますが、私はそういう時期の前後はありましても、一応外務省設置法自身の中にも、審査会は、別に定める番査会法によるとかいう規定をやはり挿入した方がいいのじやないか、こういう感じがするのでありますが、それについてはつながりを付ける必要がないと思つて、こういう法案を出したという御説明でありましたので、それ以上のことは申上げないことにいたします。
 次の問題についてお尋ねいたしますが、第十七條の改正についてなんですが、横浜連絡調整事務局は、第八軍司令部との連絡に当るだけの役割になるわけでありますが、この横浜連絡調整事務局は、他の連絡調整事務局とどういう関係を持つことになりますか、お尋ねいたしたいと思います。
#17
○政府委員(島津久大君) 從來は横浜の連絡調整事務局は、他の連絡調整事務局の事務を統合総括するような事務もやつておつたのでございますが、今後は他の調整事務局と同じ立場に並んだ恰好になるのでございます。
#18
○三好始君 横浜連絡調整事務局と関東連絡調整事務局を別個に設けねばならないような特別な理由があるのかどうか、これを一本にすることができないだろうかということを、或いは常識的な見方かも分りませんが、考えるのであります。それを別に設けた理由について承わりたいと思います。
#19
○政府委員(島津久大君) 関東連絡調整事務局を置きましたのは、司令部側の機構に対応いたしまして、司令部の方でできたものに合せて作りました次第でございます。尚、横浜の連絡調整事務局をつしましたのは、民事関係の事項が、第八軍から司令部の方に移されましたけれども、尚第八軍が存在いたしまして、第八軍関係の事項、殊に治安問題その他第八軍の関心を持つております仕事が相当まだございますので、その関係上、横浜の事務局を縮小いたしまして、存置することにいたしたのであります。
#20
○三好始君 私がお尋ねいたしたのは、関東連絡調整事務局が、今の横浜連絡調整事務局で行う予定の事務を合せて行なつて行くことができないかどうか。從來は一つで双方のことをやつておつたわけでありますが、今度これが二つに割れて新たに一つ増したことになるわけですが、これを関東連絡調整事務局でやれないものかということであります。
#21
○政府委員(島津久大君) 只今御質問の点は、地理的の事情によるのでございまして、横浜と東京と離れておりますと、横浜の仕事を東京で緊急に処理することが非常に不便な関係もあるのでございます。極力横浜の機構は縮小いたしまして、経費、人員その他の点でも拡張になつた恰好にはなつておらない次第でございます。
#22
○三好始君 附則に関してお尋ねいたしたいのでありますが、附則第三項の「出入国の管理に関する政令」の問題でありますが、これ政令によつて、外務省設置法が相当部分改正されたわけであります。そういう国会としては相当愼重に審議して制定された設置法が、ポツダム政令によつていつの間にか変つているということになるわけでありまして、可なり重大な問題だと思うのでありますが、この政令が設けられるに至つた事情、それからこの政令の内客で、設置法に関係する部分が、設置法制定当時全然予想されておらなかつたかどうか。そういつたような問題についてお尋ねいたしたいと思います。
#23
○説明員(矢口麓藏君) 御説明申上げます。第一の御質問に関しましては、仕事の内容に対する御質問であつたと思いますが、外国人、主としていわゆる朝鮮人、台湾人等の不正入国の防遏並びにこれが送還に関することを仕事の実体といたしておるのでありまするが、この仕事は各省に跨つておりまするので、例えば海上保安庁、国家警察本部、大蔵省税関部、その他農林省の食糧関係、配給関係の方面等といろいろ複雑なる関係がありまするので、これを外務省の入国管理部において総合調整しようというためにできたものであります。
 第二の御質問に対しましては、この設置法ができた当時には、こういう事態が全然予想できなかつたということを申上げて置きます。
#24
○三好始君 一応私の質疑はこれで終つて置きますが、又あとからお尋ね申したいことがあるかと思いますが、一応終ります。
#25
○委員長(河井彌八君) 一、二私から伺いますけれども、改正の結果、定員にどういう影響があるかということをお伺いしたいのですが。
#26
○政府委員(島津久大君) 定員には関係ございません。
#27
○委員長(河井彌八君) 尚、申しますが、減少するのか或いは増加するのかという意味で伺つたのですが、現在のままでやるという意味ですか。
#28
○政府委員(島津久大君) 増員をしないで行きたい……。
#29
○委員長(河井彌八君) 増員しない。尚一点伺いますが、経費の、予算の関係はどうなりますか。
#30
○政府委員(島津久大君) 予算にも増減はございません。
#31
○委員長(河井彌八君) もう一つ伺いますが、最近非常に祕密の入国、出国の事実が多いということが伝えられておりますが、そういう事項についてどのくらいな人間が一応入つて来ておるか、出て行つておるか、或いはそのルートはどうなつておるか、或いはそれの取締の事実はどうだとかいうような点について、何か詳しい説明ができれば伺いたいと思います。
#32
○説明員(矢口麓藏君) お答えいたします。終戰後今日まで、不正入国いたして参りました朝鮮人、台湾人、その他、なかんずく朝鮮人が主でありまするが、その概数を把握することは極めて困難なんでありまして、これが即ち不正入国の特質であるのでありますから、法務府の想定しているものと、国家警察の想定しているものとの間に相当の開きがございますが、三十万乃至二十万、或いは十五万と申上げた方がいいと思いますが、三十万乃至十五万と一応の推定がございます囲即ち終戰後四ケ年の間に三十万乃至十五万の、この点は先程申上げました密入国でありますから分りませんが、諸般の情勢を見まして、それだけの人間が入つて来ております。仮りに法務府の推定するごとく三十万といたしますと、三十万余ということになつておりますが、私内輪に申上げまして何でございますが、八万近くの不正入国者が年にあるという驚くべき事実があるのであります。これが不正入国者の総数でございまして、そのルートと申上げますと、まあ台湾関係は比較的少うございますから、朝鮮を主体にして申上げますと、南朝鮮、北朝鮮、なかんずく南朝鮮の釜山、あの一帶の沿岸から出発しまして、山口県、福岡県、長崎県、島根県この線が一番多いのでありまするが、最近海上保安庁、国警等の防備がその方面に強化せられました関係上、彼等は第二のルートを選びまして、遥か、鹿兒島方面から神戸方面、紀州方面にやつて来るという一つのルートもあります。もう一つは、東北地方に出て来まして、富川、石川、新潟、山形という、この隙を狙つてやつて来るのも相当ございます。もう一つは、聊か奇異にお感じになるかも知れませんが、瀬戸内海に入つて来て、瀬戸内海の方から岡山あたりに、広島あたりに上陸するといつたふうな、各種各様のルートがございます。要するに防備の手落を狙つてやつて来るという一言に盡くると思います。従来は気候によりまして、即ち冬季の間は少く、春、夏、秋にかけて多かつたのでありまするが、最近の情勢は、気候に無関係で一年中同じような率でやつて来ると申上げても差支はございません。
 第三点に、防遏の手段につきましては、海上保安庁が第一線に立ちまして……その前に申上げなければならんのは、不正入国は、必ず密貿易と表裏一体をなしております。自然これが取締に当つておりまするのは、海上保安庁の外、大蔵省税関部の人達が懸命なる努力を拂つてやつております。殊に対島、山口、福岡、長崎、あの線は相当に強化しつつやつておりますが、いずれにせよ、皆様御承知の通り日本の警察官なり、海上保安庁の勢力というものは、占領軍の意向によつて極めて制限されておりまするので、力足らず、而かも武裝の程度十分でなく、そのために先程申上げました三十万以上乃至は十五万近くの密入国者が四ケ年の間にあるという如何わしい事態が展開しておるのであります。
 御質問の線には外れるかも知れませんが、最近議会でも問題になつており、新聞紙上を賑わしておりますところの、一月に入つてからの八隻の日本船舶の拿捕につきましては、我が日本側におきましても、その重要性を認めまして、極力司令部側なかんずく外交部の援助を得て韓国側と折衝しておりますが、幸にして司令部側の非常なる力の入れ方によつて先ず円満裡に解決し、今後は先ずこういつたふうのことが繰返されないであろうという見通しが付いております。以上を以てお答えします。
#33
○委員長(河井彌八君) ついでに伺いますが、私共が聞いております密入国者の数はもつと多いように聞いておるのでありますが、大体三十余万というのは一番多いと見ての政府の方の御見解ですか。
#34
○説明員(矢口麓藏君) もし少し、内目内目に申上げたのでありますが、通常の常識となつておりますのは百万と言つております。これは主として、従来は勿論朝鮮人でありますが、そのうちの六十万が正規入国であつて、四十万が不正入国とこういう常識になつておりますが、併し諸般の事情も考えますと、これは聊か行き過ぎじやないかというので、先程のようなことを申上げたのです。実は皆様御承知の通り、今から三年前に外国人登録令というものを施行いたしまして、それに登録した朝鮮人が六十万ちよつと出ておるのであります。このたび登録令を改正いたしまして、新たに一昨日を以て登録を完焦したのでありまするが、その八五%近くまで登録しております。六十五万のうちの八五%登録するということは、前に正式に入国した者がいわゆる証明書を貰うのであります。その証明書を新らしく今度取換えるのでありますから、今度登録した者はすべて合法的な手段によつて入国した者であると認定していいのであります。残りの者がどれだけあるかということになるのでありますが、農林省の配給関係者の統計によりますと、七十五万あるそうであります。そういたしますと、まあそれ以外に幽霊人口或いは地下に潜つている人間を加えますと、七十五万に十五万加えると九十万という数が出る。大体この辺が正しい数字じやないかと、こう推定いたしております。
#35
○委員長(河井彌八君) もう一つ伺います。今の御説明は主として韓国から入国する人のことでありますが、台湾若しくは中華民国の方から来る数はどれくらいですか。
#36
○説明員(矢口麓藏君) この中国関係と申しましても、現在入りつつありまするのは、殆んど台湾だけでございまして、これは誠に寥々として年に五百人以下というくらいで、精々そのくらいである。五百人にも達しないのじやないかと、これは極めて漠然たる数字でございまして、この点は先程から繰返しております通り不正入国でございます。その外に申上げなければなりませんのは、いわゆる三十度以南の奄美大島、沖繩が、御承知の通り外国扱いといいますか、日本の統治権が及んでおりません関係上、向うから参ります人も或る種の規則に反すれば、いわゆる不正人国者としての烙印を押されることになつておりますが、この点は数は私持ち合せておりませんけれども、若干数ある、相当数ある筈であります。
#37
○委員長(河井彌八君) もう一つ伺います。只今お話の韓国、主として韓国から入国する人の方は、韓国人だけでそういうことをやるのか、内地人がそれの手引をしておるのかというような点が可なる重要だと思いますが、そういうことについての政府の調査の結果を伺いたいのです。
#38
○説明員(矢口麓藏君) お答え申上げます。先程申上げました通り、不正入国は必ず密貿易を伴いまして、密貿易をするために不正入国をするのもありますし、或いは不正入国を目的として、かたがた密貿易をやるというのもあります。いずれかに目標があるのでありますが、いずれにせよ、両者不可分のものであります。調査は困難でありますから分りませんけれども、大体彼等の、彼等といいますのは朝鮮人関係の人達の話を聞いてみますと、極端な場合には四隻に一隻成功すれば元はとれると、三隻に一隻だけ成功すれば、成功というのは密輸入を完遂すればという意味でありますが、元はとれるというのでありまして、ましてや三隻とも成功した場合には非常な收得になる、こういうのであります。それでこれは参ります者はいわゆる朝鮮人、韓国人でありますけれども、日本人側のいわゆるそういつたものを商売とする密貿易団とでもいいますか、その手引によつてやつている者があることは明らかなことであります。これらの点は国警等によつて相当嚴重に取締り又は逮捕しておりますけれども、その根柢を洗う段階にまではまだ達しておりません。これを要するに主体は朝鮮人でありますが、日本人がそれに協力している、手引しているのは事実であります。
#39
○三好始君 今のお話に関連するのですが、密貿易によつて取扱われている物資はどういうようなものでしようか。
#40
○説明員(矢口麓藏君) 各種各樣でございますが、一番向うから参りますものは薬品類、サントニン、ペニシリン、こういつたものは香港経由でどこからか入つて来るらしいようでありますが、牛皮、それから高級の纖維製品、これはやはり香港経由で来るものを流しているわけであります。こちらから参りますものは文房具、化粧品、比較的低廉なる纖維製品、こういつたものが主体をなしているようであります。密輸入でありますから、米とか鉱石といつたふうなものは嵩む関係上取扱わない。軽量で値打のあるものということになりますと、自然そういうことになつて参ります。
#41
○委員長(河井彌八君) 何か御質疑はありませんか。
#42
○三好始君 他に質疑がないようですから、本日はこの程度で散会して次回にいたしたらどうでしようか。
#43
○委員長(河井彌八君) 如何でしようか。外務省設置法の一部改正法律案につきましては、審議は今日はこの程度に止めて置こうと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○委員長(河井彌八君) 御異議ないと思います。
#45
○委員長(河井彌八君) 尚、一件、理事中川幸平君が辞任になりましたのですが、それで大屋晋三君が委員になりましたので、理事の補欠選挙が必要であります。これをどういたしますか。
#46
○三好始君 委員長に一任したいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
#47
○委員長(河井彌八君) 御異存ないと認めますから、委員長が決定いたしまして、適当な方法で発表いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     河井 彌八君
   理事
           佐々木鹿藏君
   委員
           一松 政二君
           城  義臣君
           市來 乙彦君
           竹下 豐次君
           町村 敬貴君
           三好  始君
  政府委員
   外務政務次官  川村 松助君
   外務事務官
   (政務局長)  島津 久大君
  説明員
   外務事務官
   (管理局入国管
   理部長)    矢口 麓藏君
ソース: 国立国会図書館
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