くにさくロゴ
1979/11/29 第90回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第090回国会 本会議 第3号
姉妹サイト
 
1979/11/29 第90回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第090回国会 本会議 第3号

#1
第090回国会 本会議 第3号
昭和五十四年十一月二十九日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三号
  昭和五十四年十一月二十九日
    午後一時開議
  一 国務大臣の演説に対する質疑
    …………………………………
 第一 電波法の一部を改正する法律案(内閣提
    出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
 日程第一 電波法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
    午後一時三分開議
#2
○議長(灘尾弘吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#3
○議長(灘尾弘吉君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。飛鳥田一雄君。
    〔飛鳥田一雄君登壇〕
#4
○飛鳥田一雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、大平総理の所信表明に関連して、わが国の政治、経済、外交の主要な問題について御質問を申し上げます。(拍手)
 まず御質問を始めるに当たって、私たちの立場を申し上げておかなければなりません。すなわち、政治はあくまでも国民一人一人のためのものであって、決して国民が政治の道具ではないということであります。あたりまえのことでありますけれども、最近、特に国民不在の政治が多いことにかんがみまして、あえて申し上げておきます。
 御承知のように、私は、ついせんだってアメリカを訪問いたしました。日米の相互理解を深めたいと願ったのでありますが、その中で、あるアメリカの婦人に、お国ではなぜ一つの党から二人の首相候補が出るのですかという質問を受け、答えに窮した覚えがございます。そこにはデモクラシーの原則はなく、権力争奪の問題があっただけだからであります。しかも、その間、私たちは一カ月以上もの政治空白を余儀なくされました。一カ月の間には、インフレが再燃し、失業の増加など国民生活の不安は増大いたしました。不幸にしてこの間失業者の一人となった国民の方々は、どんな心持ちでこの一カ月間の空白をながめておられたのでしょうか。また、冬を迎えて寒空におののく主婦たちは、どんな気持ちであなた方の抗争をながめていたのでしょうか。この空白を生み出した責任をどうおとりになるのか。単なる陳謝では済みますまい。天を恐れる心持ちをお持ちになりませんか。
 なるほど、あなたは今国会において陳謝されました。しかし、国民は美辞麗句を望んではいません。あなたの真情を込めた言葉を首相就任と同時に伺いたいと願ったのであります。野党はこぞって特別国会において、すでに首相の所信表明演説を求めたはずであります。確かに言葉はきれいでした。しかし私たちには、またまた次の疑問が生じてくるのであります。
 あなたは、国民にとって非常に重要な文部大臣のポストをどうお扱いになりましたか。ある党との交渉の具に供しませんでしたか。あなたの法務大臣は、大臣失格の放言をなさいませんでしたか。また、第二次大平内閣には、大がかりな買収選挙や脱税未遂の方々が閣僚として入っておられませんか。もし大平総理が本気で政治倫理、綱紀の粛正を強調されるのならば、今回の空白後、初の仕事である組閣においても、みずからそれを実践せらるべきであったのではないでしょうか。(拍手)
 政府首脳がこのような状態では、国民はもちろん、行政諸機関が納得してその方針に従うはずがありません。総理は、政治倫理と綱紀粛正を行動の上で証明するため、国民の疑惑と不信を招いた閣僚を入れかえるぐらいのことは即刻おやりになるべきではないか、所信を伺いたいと思います。(拍手)
 いまや国民は、金権による政治の腐敗、政治汚職、すなわちKDD事件や鉄建公団事件等に飽き飽きしておられるのであります。綱紀粛正だとおっしゃるのならば、一刻も早く清潔な民主政治を回復して、政治不信を克服することが今日の急務であります。
 わが党は、各種事件の徹底究明を行ってまいりましたと同時に、このための政治家、高級官僚の資産公開法、情報公開法等を制定して密室の官僚政治を改革すること、大企業の経理内容の監査監督制度の確立あるいは政治家の第三者あっせん収賄罪の創設など、具体的対策をすでに法案として前国会に提案し、審議を促してまいったのでありますが、与党の方々は全く協調の姿勢を見せませんでした。総理は、通常国会にこれらの対策を提案する御意思がおありかどうか明確にしていただきたい、このように考えます。(拍手)
 さて、一九八〇年代を目の前に控えて、わが国の政治も経済も社会も大きな転換を迫られております。一九七五年以来のいわゆる低成長経済というものは、大幅な国債、地方債等の増発、すなわち借金財政による景気てこ入れにしかすぎなかったのであります。しかも、明年度からは借金財政による景気刺激が不可能となり、貿易はいま逆調に転じ、輸出も鈍化しております。その上、労働者は低賃金と首切り合理化、農民は大幅な減反と米価の切り下げを強いられているという状況でありまして、この状況の中で個人的消費の伸びを期待することは不可能であります。これに加えて、石油を初め諸物価の上昇は必至という情勢であります。激しいインフレ物価高と不況が同時に進行するスタグフレーションが激化し、資源・エネルギーの制約や高齢化社会への移行が際立つこの八〇年代の情勢について、大平総理はどのような展望をお持ちなのか、見解を明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)
 特に、総選挙後初の国会であり、来年の予算編成を迎えるこの臨時国会において、このことは明確にしておいていただく必要がございます。
 総理、あなたは前回の就任以来、結局あなたがなさったこと、なさろうとしたことは、しょせん大蔵官僚流の経済合理主義、帳じり合わせにすぎず、大衆増税、福祉切り下げ、公共料金引き上げなど、国民の負担を一方的に強いる道でしかありませんでした。もしそうだとすれば、一体どこに政治というものの意味があるのでしょうか。そうしたやり方は、しょせん庶民の切実な願いや、はだのぬくもりが伝わらない特権官僚の考え方でしかありません。まさにこの道であなたはつまずき、国民の厳しい審判をお受けになったのであります。つまり、八〇年代の政治、経済、社会の諸矛盾を解決するには、発想の転換及び政策の転換が必要なのであります。
 私たちはその第一歩として、あらゆる格差と不平等の是正を考えなければならぬと存じます。
 最近の公社、公団、事業団などに相次ぐ不正経理や国の補助金のむだ遣い、天下り官僚の高額退職金や大企業、大資産家の脱税事件などが相次いでおりますが、その反面では、大企業と中小企業の格差がますます広がり、労働災害もこの三年間ふえ続け、国民健康調査では病人が増加し、住宅需要実態調査でも住宅に困っている点があるという世帯が全体の四割にも及びました。すなわち、五年前に比べて経済、社会のあらゆる分野で格差と不平等が拡大しているのであります。したがって、いま私たちのなすべきことは、不公正税制の是正を初め、大資本や特権的な高額所得を得ている階層の負担を重くし、不平等、不公正をなくし、格差解消を図ることでなければなりません。これこそが八〇年代の政治の大きな柱となるべきであります。(拍手)
 不公正をそのままにしておいて国民に新たなる負担を求めるという大平総理の従来のやり方は、国民の納得しないところであります。総理は、格差と不公正の是正に立ち向かう勇断をお持ちになっているのかどうか、ここにお伺いをいたしたいと考えるのであります。(拍手)
 第二の転換の課題は、雇用の安定であります。
 現在、大企業は、減量経営の上に高収益を上げております。しかし、その陰で多くの人々が雇用不安におびえているのであります。農民は減反政策の犠牲にされ、零細商店は大店舗の進出によって整理され、雇用問題は高齢化と関連して一層深刻になろうとしております。人を減らしてもうけをふやすという原則ではなしに、八〇年代の政策こそは、雇用をふやすことにこそ置かれなければならないのであります。
 総理は、雇用安定を八〇年代の重要課題と位置づけ、改革の第一歩を踏み出していかれるのかどうか、雇用効果を最重点施策として推進するお考えなのかどうか、お伺いをいたします。
 政策転換の第三の課題は、エネルギー、食糧問題でございます。
 八〇年代の最も重要な政策の課題の一つがエネルギー問題であることに大平総理もお触れになりました。ただ、気になりますことは、原子力等の代替エネルギーの開発を推進すると言われたことであります。原発の安全性は、まだまだ十分に立証されておりません。どんなささいなミスが原因となって、わが民族百年の未来にまで禍根を残すような事態が生じないとは限らないのであります。その上、私たちは、わが国の原子力開発が将来突然軍事利用に転化されるかもしれないという危険性を考えないわけにまいりません。余りにも大きなるリスクなるがゆえに、わが党は、原発建設に断固反対であることをここに改めて申し上げておきます。(拍手)
 したがって、当面のエネルギー対策は、輸入石油の安定的確保になお努力すること、内外の石炭、さらに液化ガスの拡大利用を強めること、実情に応じた地域エネルギー供給システムを推進すること、総合的な省エネルギー政策をより強力に進めることなどが中心となるべきであります。同時に並行して、これまで政府が怠慢でありました中長期対策としてのソフトエネルギー研究開発を積極的、計画的に推進しなければなりません。
 このうち、この石油の安定的な輸入は、わが国経済と国民生活を守る重要課題でありますが、この点であえて申し上げておきたいのは、今日、単に利潤追求を目的とした私企業ベースの取引だけで安定輸入を図れるはずがないということであります。すなわち、わが国の石油商社がメジャーなど国際独占資本に追従したエコノミックアニマルである限り、早晩、円滑な輸入の道は閉ざされるに違いないのであります。わが国が平和、中立、非同盟の姿勢に立ち、アメリカ追従の外交姿勢を転換し、また、石油関連企業については、それらを公的管理下に置き、国の責任を明確にすべきであります。この点、大平総理の御見解を伺っておきたいと思います。(拍手)
 食糧問題、農業問題につきましては、後ほど行われます同僚議員の質問に譲りたいと存じますが、ただ一つだけ触れさせていただきますと、今日、主要食糧の自給率が四〇%を割ったわが国は、先進諸国の中で最低の自給率となったことであります。わが国の資源の有効利用と農民生活と経営の安定、将来の世界人口と食糧の展望、国民食糧の安定的確保など、あらゆる面から考えてみまして、食糧自給度の向上を改めて農政の基本に据えるべきだとお考えになりませんか、総理の所信を伺いたいのであります。(拍手)
 いままで私は、八〇年代を展望しつつ、やや中期的視点に立って総理の姿勢を伺ってまいりました。次に、来るべき予算編成を控えまして、当面の課題の二、三についてお尋ねしておきます。
 最近の卸売物価は、政府の本年度経済見通しを大幅に上回る急上昇を示しています。消費者物価の上昇も、十月末で四・二%に達し、政府経済見通しの年度間四・八%は達成されず、終局的には七%以上となることはないでしょうか。
 また、国際収支の状況も不均衡が拡大しつつあります。政府経済見通しでは年度間七十億ドルの黒字と想定したものが、現在すでに赤字は五十四億ドルとなって、大きな見通しの狂いが生じております。
 総理は、経済運営はうまくいっていると思われるのか、この経済動向に対しどう対処されようとするのか、特に最近の円安傾向と物価の悪循環をいかに処理なさるのか、経済見通しの大きな狂いについて、その責任の所在を明らかにしていただきたい、こう思います。
 また、来年度予算の編成期を迎え、大蔵原案が十二月二十三日ごろに発表されると伝えられておりますが、目下伝えられる幾つかの動きの中には、国民が大きな不安を抱かざるを得ない項目が続出しておるのであります。この取り扱いをどう総理はなさるのか、具体的にお聞きしておきます。
 すなわち、老人医療の有料化、老人ホームの負担増、老齢福祉年金の抑制、健康保険の薬代半額患者負担、入院費の一挙五倍の引き上げ、児童手当の廃止、義務教育教科書の有料化、学校給食の一部有料化など、福祉や教育費を切り下げ、国民負担増を図ろうとしておるのであります。もしそうだとすれば、これこそ大衆増税がいやなら福祉と教育費の切り捨てをするぞと言わんばかりの、自民党政府による国民生活への攻撃ではありませんか。(拍手)政府はこれを予算削減の対象と、編成の中でなさるのかどうか、はっきりお答えをいただきたい、こう存じます。(拍手)
 また、小中学校の四十人学級については、全政党一致で決議されているのでありますが、この各党一致の要望にこたえる措置を新年度予算編成の中でお始めになるのかどうか、総理のしかとした御答弁を願いたい、このように存じます。(拍手)
 さらに、政府・自民党は、たばこ値上げに続いて、消費者米価、国鉄運賃、郵便料金、国立大学授業料、電気、ガス等の公共料金の一斉値上げを意図していると言われます。これがもしそうなれば、インフレ、物価高に拍車をかけ、国民生活を圧迫することは火を見るよりも明らかであります。総理は一体、物価上昇を抑える自信がおありなのか、物価安定について具体的な対策を国民の前に示すことができるのか、むずかしいことではなく、私たち国民に十分にわかるような答弁をいただきたいのであります。(拍手)
 さらにまた、明年度予算で、福祉、教育の後退をさせず、インフレを抑える国民生活優先の予算を組みますためには、不公正税制の思い切った是正を断行するとともに、前年度予算の中から、不急不要の補助金、特に法律に基づかない予算補助の大削減をすべきだと考えます。総理は、この際、予算編成の方針についてどうお考えになっているのか、明確な答弁を願いたいと考えます。
 さらに、いま国民が財政運営に一番求めておりますのは、財政のむだを省き、税の公正を確立するために、それを国民に納得のいくようなガラス張りの民主的財政にすることであります。
 すなわちその第一は、財政民主主義を確立するということでなければなりません。
 そのためには、まず、財政投融資計画及び公社、公団、事業団の予算を国会の議決対象とすることによって、鉄建公団のような悲劇をなくすべきであります。
 また、憲法第九十一条は、「内閣は、國會及び國民に射し、定期に、少くとも毎年一回、國の財政状況について報告しなければならない。」と義務づけているはずなのに、いまだにそれが実行されておりません。速やかに政府は、中央財政白書を策定して、公表すべきでありましょう。国民に十分に知らせるということなしに納得を得ることは不可能であります。
 第二には、財政制度審議会、税制調査会などといった審議会や調査会の構成メンバーに、市民代表、労農代表、中小零細企業代表などの委員をふやし、その運営と構成を民主化し、国民参加を許すべきであります。このことが必要であります。これをおやりになる意思があるかどうか伺いたいと思います。
 第三には、わが党の主張する行政効果審査制度を創設して、予算執行の行政指標を利用して公表し、投資のむだを省き、民主的、効率的にすることであります。
 第四は、いわゆる行政改革についても、単に強引な定員削減や、手当たり次第の首切り合理化で片づけていこうとするのではなく、広範な国民各階層の代表が参加する民主的な行政機構改革委員会を設け、すでに任務の終えた公社、公団、事業団等の整理統廃合を大胆に進め、むだで不合理な行政機構を、国民の監督下に民主的に改革すべきであります。
 私は、このような行財政の民主的改革によって、何よりも国民の前に情報を公開し、密室の運営を打破することができ、その結果として、現在極端なまでに中央集権化した国の官僚支配体制に鋭くメスを入れることができるものだと考えております。(拍手)これに加えて学閥人事の打破を断行されるとすれば、その影響は行政機関の内部にとどまらず、広く社会的に好ましい波紋を広げていくことになるでありましょう。いかがでしょうか。私たちがいま申し上げました幾つかの民主的改革を実行なさる御決意があるかどうか、お伺いしたいと思います。(拍手)
 もちろん、この場合も、地方自治に対するいままでのような政府の態度を抜本的に改めることなしには官僚支配の民主的改革も行われません。一言で言って、三割自治のいまの仕組みではだめなのであります。現状のままでは、分権も、自治も、行政改革も有名無実にすぎません。田園都市国家構想とか、地方の時代とかいった美辞麗句はもうたくさんです。(拍手)それよりも各省庁の縦割り補助金行政を即刻やめて、メニュー別一括方式で自治体に自主性を持たせ、自治省など、中央の干渉を抑えることがいま重要ではないでしょうか。抽象的な言葉だけのお答えではなく、民主主義と地域に住む住民の自治と自主性を具体的に保障しようという熱意のある気持ちをお持ちかどうか、お聞きしたいのであります。(拍手)
 最後に、私は、日本とアジアの平和保障、平和創出の課題について質問をいたします。
 政府は先ごろ、来年の春、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドが加わって実施される環太平洋海上合同演習に対して、わが国の海上自衛隊を参加させると発表せられました。それはいわゆる有事のための連絡と海上交通路の確保を目的にするというのであります。一体これはどういうことでしょうか。
 政府は、ことし六月、現職の防衛庁長官を初めて韓国に派遣せられました。この八月には、沖繩で、県民挙げての反対を無視して、戦争の悪夢を再現するような大規模な米軍の大合同演習に自衛隊参加を強行いたしたのであります。それに続いて今度は、憲法だけではなく、自衛隊法の規定にさえ背いて公然たる海外派兵の突破口をつくるおつもりなのか。中部太平洋での海上合同演習によって、日米安保条約のいわゆる極東の範囲さえ押し広げようとするおつもりなのか。海外派兵ではありませんか。総理のはっきりとした、この点についての御答弁をいただきたいと思います。(拍手)
 こうして矢継ぎ早に自衛隊の軍事演習が展開され、国際的にもそれが拡大されていくのを見て、わが国民並びにアジアの諸国民は、日本がいつの間にか再び軍事大国への道を歩み始めたのではないかと深刻な不安を感じているのであります。大平総理は、中国訪問の後、来年早々オーストラリア、ニュージーランドを訪ねると伺いますが、総理は、これらの訪問が純粋に平和友好のためのものであり、軍事的問題は一切話題にしないと断言できますか、ぜひ明らかにしておいていただきたい、こう思います。
 いまわが国の近隣で平和を確保するためにきわめて重要なことは、申し上げるまでもありませんが、それにかかわるものは朝鮮半島の情勢であります。そこでは、いまだに二十三年前の戦争の後始末さえできておらず、停戦協定の当事者である米国と朝鮮民主主義人民共和国との和平会談すら開かれておりません。しかもわが国の政府は、一方的にこの韓国の反動的権力、資本との癒着を進め、韓国民衆の広範な不信と抵抗にさらされてきているのは御存じのとおりであります。
 私は、韓国における最近の政変以後、韓国民主化の傾向が強まり、朝鮮の自主的平和統一の機運も進むに違いないと望んでおりますけれども、その過程の中で、わが国政府の従来の態度に対する朝鮮の人々の批判が一層広範なものとなることは必至であります。総理は、この情勢をどのように考え、今後いかに対処されようとするのか、お伺いをいたしたい。(拍手)
 朝鮮半島における平和と安全の問題が、わが国のそれと分かちがたい関連を持っていることは申し上げるまでもないのでありますが、それは、ともに米国の極東戦略に組み込まれた体制だからであります。すなわち、米韓軍事同盟に連結して、日米安保条約が結ばれているからであります。
 しかしながら、このような戦略体制は、もはや過去の冷戦構造を土台として成立したものであり、今日のいわゆる多極化構造のもとでは、古き時代の遺物であるにすぎません。しかも今日、世界の軍事戦略は、ほとんど全面的に核戦略が支配しております。したがって、日米安保条約への依存を続ける限り、わが国はいやおうなしに、米国の核のかさを当てにすることによって、わずかにみずからの安全を守るよりほかに仕方がないのであります。それが一体、真の安全でありましょうか。
 世界人類のすべてが、TNT火薬に換算いたしますと、一人当たり百トン以上にも匹敵する核の破壊力におびえつつ暮らして、なお、その核兵器を当てにして生きている状態が一体いつまで続けられると総理はお考えになるのでしょうか。人類文明の矛盾の極限ともいうべきこの事態は、十年後も二十年後も果てしなく続けられなければならないのでしょうか。
 私はそうではないと思います。とりわけ、わが国は世界に先駆けて、非武装、戦争放棄を明記した輝かしい平和憲法を持っております。すなわちそれは、完全全面軍縮、恒久平和の国となることによって、「国際社會において、名譽ある地位を占めたいと思ふ。」と宣言しているのであります。
 わが党は、日本国憲法のこの理想を高く掲げて、しかも当面、現実的な第一歩として、わが国の安保、自衛隊反対の運動とともに、西南太平洋、東北アジア地域における非核武装地帯宣言の運動を精力的に進めております。すでにオーストラリア、ニュージーランドの労働党、朝鮮民主主義人民共和国の各指導部、さらにはワルトハイム国連事務総長などが、わが党の提唱と運動に対して積極的な賛意を示しているのであります。
 大平総理、まさに一九八〇年代こそ、経済的にも成長し、世界的にも影響力を強く持っているわが国が、憲法の輝かしい精神を生かすべき時代ではないでしょうか。(拍手)そのために、人類文明史上最大の矛盾、核戦略体制、すなわち日米安保体制から脱却して、平和の国日本を建設する道へ具体的な歩みを進めるべきではないか。私は、この点について大平総理の明確な御見解と御決意を求めて、質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(大平正芳君) 飛鳥田委員長の私に対する第一の御質問は、先国会をめぐって一カ月余に及ぶ政治空白を招いたが、その責任をどうとるつもりかということでございました。
 先般の所信表明においても申し上げましたとおり、先ほどの総選挙の結果に対してこれをどのように受けとめて、これに対する政治責任をどのように考えていくかということにつきましては、自由民主党内に御承知のように論議が起こったわけでございます。このこと自体は民主的な政党として御理解いただけると思いますが、問題は、これが非常に長引いたこと、そしてそれが異例な方法によらざるを得なかったことでございますが、これは挙げて総裁である私の不明のいたすところでございまして、深く責任を痛感いたしております。
 このことによりまして招きました行政の停滞に対しましては、これを鋭意取り戻すべく目下努力をいたしておるところでございます。
 さらに委員長は、私の内閣の閣僚人事について、政治の倫理、綱紀の粛正の見地から考え直すべきところがないかという御質問でございました。
 私としては、各閣僚の人格を信頼して、その見識と能力を評価して入閣をしていただいたのであります。私は、各閣僚が厳しい政治倫理の要請を踏まえられて、りっぱにその職責を果たしていただけるものと期待をいたしております。
 委員長はさらに、政治の腐敗を一掃して政治倫理を確立する方途について、方法と決意をただされたのであります。
 このことにつきましては、所信表明でも明らかにいたしましたように、再発防止協議会の意見も参考にしながら、政治資金の明朗化、企業の自主的監査機能の整備、行政上の手続と責任の明確化、制裁法規の整備強化などにつきまして、早急に諸般の準備を進めておりまして、関係法規の改正につきましては、成案を得次第、国会へ提出したいと考えております。
 政治家の資産公開につきましては、事の性質上、国会の審議にまちたいと考えております。
 情報公開法につきましては、現在、御案内のように公示、閲覧等の制度がございますし、各省庁において白書等の形で各種の措置が講じられておりますが、プライバシーの保護、公務員の守秘義務、企業秘密の保護などの関係もございますので、全体としてこの点につきましては慎重に検討させていただきたいと思います。
 委員長はさらに、スタグフレーションに対する懸念を表明されて、その打開策をただされたのであります。
 私は、若干飛鳥田さんと見解を異にするわけでございますが、わが国経済は、現在、消費者物価の安定を図りながら、民間需要を中心として着実な拡大基調にございます。雇用情勢も漸次改善に向かっております。したがって、現在のところスタグフレーションの心配はないものと考えておりまするけれども、今後におきましては、内外に多くの不安定要因、制約要因もございますので、わが国といたしましては、十分みずからの持つ対応力を発揮いたしまして、また、七〇年代のもろもろの経験を生かしながら、スタグフレーションを招くことのないように慎重な配慮をしていかなければならぬと考えております。そのためには、ニューフロンティアに対する研究開発を進めますとか、代替エネルギーの開発を初めといたしまして、競争条件の整備、それから経済社会の活力維持のために人材を養成するとか、あるいは良好な労使関係を確立するとかいうことに一層努力しなければならぬと考えております。
 さらに次の御質問は、経済社会における格差と不平等の是正、働く人の生活と福祉を守らなければならないではないかという御指摘でございました。
 全く同感に存じます。個人の自由が保障されて、各人の能力と努力が正当に報われることは民主主義の大原則でございます。また、経済的には物価が安定しておるということが不公平を避ける基本であると承知いたしております。したがって政府は、そういう観点から不合理な格差の発生を排除しながら、高い生活水準と福祉内容の実現に努力して、今日、先進諸国のいずれの国にも劣らないだけのかなりの成果をおさめることができたものと考えております。今後は、高齢化社会の到来に対応いたしまして、一層社会保障等に力を入れて、不公平の是正、格差が生ずることのないように努めてまいらなければならぬと考えております。
 次に、雇用政策についてのお尋ねでございました。
 先ほど申しましたように、雇用状態は漸次改善の跡が見られますけれども、八〇年代には、エネルギーの制約、国際環境の悪化等がございますならば、これは仰せのように、八〇年代の経済政策の最重要課題として受けとめなければならぬと私も考えております。とりわけ、わが国のように急速に高年齢化が進んでおる段階におきましては、特に気をつけなければならぬと考えております。そのためには、雇用対策とあわせて、産業構造につきましても周到な配慮を加えていかなければならぬと考えております。
 労働時間の短縮でございますとか週休二日制の問題につきましては、健全な労使関係をその方向に持ってまいるように引き続き勧奨を続けてまいりたいと考えております。
 次に、エネルギー対策についてのお尋ねでございました。
 仰せのように、石油にかわるエネルギーの開発利用は、これを精力的に進めてまいらなければならぬことは御指摘のとおりでございます。政府といたしましては、十年後には石油依存率を西欧並みの五〇%程度にすることを目標といたしまして、代替エネルギーの開発を推進してまいりたいと考えております。また、省エネルギーと並行いたしまして、石油輸入の多角化も、御指摘のように鋭意進めてまいらなければならぬと考えております。
 原子力につきましては、御指摘の安全性の確保には周到な配慮を払いながら、信頼性の高いエネルギー源としてその平和利用を図ってまいるつもりでございます。
 御指摘のソフトエネルギーの開発は、仰せのとおり政府としても推進してまいるつもりでございますけれども、石油関係企業に対しまして公権力が介入しなければならないというようには、残念ながら私は考えておりません。
 食糧の安定確保の問題でございますが、わが国において供給可能な食糧は可能な限り国内生産にまつことといたしまして、中核農家の生産性を高めながら食糧の総合的な自給力の向上に努めてまいりたいと考えております。
 今日の経済状況を見て、政府の見通し等との関連でどのように判断しておるかという御質問でございました。
 先ほども申しましたように、昨年秋以降の内需を中心とする景気の拡大基調がいま続いております。生産活動も比較的順調に推移しておりまして、経済成長率はおおむね政府の経済見通しに近いところになるのではないかと判断をいたしております。
 消費者物価は、これまでのところ安定しておりますが、今後卸売物価の上昇の影響が見込まれますけれども、これまたおおむね政府の年度見通しはほぼ達成できるのではないかという展望を持っております。しかしながら、卸売物価と国際収支につきましては、御指摘もございましたが、石油など国際商品の値上がりと円安傾向等が重なりまして、残念ながら大幅な狂いが生じておることは否定できないのでございます。しかしながら、このところ円安のため輸出数量は順調に増加に転じておりますので、経常収支も漸次改善に向かうことを期待いたしております。
 委員長は、老人対策でございますとか、あるいは教科書の無償交付でございますとか、四十人学級等の幾つかの項目を挙げられて、今度の予算編成に当たってどのような心構えで当たっておるかという御質問がございました。
 政府としては、厳しい財政事情を考慮しながらいま予算編成作業中でございまして、五十五年度の予算案を通じて具体的にお答えいたしたいと存じますが、予算編成の過程におきまして、社会党を初め各党の御意見も承る機会を持ちたいと考えております。
 それから、物価政策についてのお尋ねでございました。とりわけ、公共料金対策についてのお尋ねでございました。
 政府は、十一月二十七日に関係閣僚会議を持ちまして、目下の経済情勢にかんがみまして、公共事業の適正な執行、生活必需物資の供給確保とその価格の監視、石油製品等の便乗値上げの監視、公共料金の抑制等、八項目にわたる当面の物価対策を決めたのでございます。日本銀行も先般公定歩合の引き上げ措置を講じましたことは、御案内のとおりでございます。とりわけ、公共料金につきましては、極力その抑制に努めてまいりますけれども、海外要因など、みずからの経営努力で吸収することの不可能なもの等につきましては、合理的な程度の是正を行うことは御理解をいただきたいものと思っております。
 いずれにいたしましても、公共料金の引き上げは万やむを得ないものに限るよう最大限の努力を傾注してまいるつもりでございます。
 その次には、不公平税制の是正と補助金の整理についてお尋ねでございました。
 不公平税制の是正につきましては、毎年これを実行いたしておりますが、ことしは、とりわけ利子配当を総合課税に移行すること、企業関係の租税特別措置の見直し等を鋭意いま行っておるところでございます。
 補助金は、その役割り、効果等の総点検をいま行っておるところでございまして、従来の制度、慣行にとらわれないで積極的に廃止、減額、統合等をいま鋭意進めておるところでございます。予算案を通じてごらんをいただきたいと考えております。
 それから、財政民主主義の立場からいろいろな御提言がございました。
 私は、今日の予算の編成は、国民各層の意見を踏まえまして、経済情勢に即応して内閣が編成して、国会で十分に御審議をいただいておりますので、密室の編成とは考えておりません。
 それから、財政投融資計画につきましても、産業投資については特別会計で、また運用部資金あるいは簡保資金等につきましては、これまた特別会計で、国会の審議の対象になっておりますことは、委員長も御承知のとおりでございます。
 ただ、公団、事業団の予算について、これを国会の直接の審議の対象にしろという御意見でございますが、公団、事業団の業務並びに会計につきましては、国会において種々の機会に御審議をいただいておるように思いますので、財政民主主義は十分今日でも貫かれておると考えておるわけでございます。
 それから、その次には、財政制度審議会、税制調査会の構成を民主化しろというお尋ねでございますが、すでに国民各層の御意見を幅広く反映できるような構成に配慮いたしておるつもりでございますことは、御理解をいただきたいものと思います。
 それから、行政整理についてのお尋ねでございました。
 行政効果の審査でございますけれども、これは会計検査院あるいは行政管理庁、また各省庁の自主的な効果の測定、国会における国政審議等を通じまして、いろいろな角度から効果の測定が行われておると思います。仰せのように、この改革は国民各層の意見を十分聴取しながら、民主的に行われねばならぬことは御指摘のとおりでございますが、新たな改革委員会を設けるというようなことをまつまでもなく、現にありまする行政監理委員会等の活用を通じて、御指摘の効果を上げてまいりたいと考えております。
 それから、地方制度、地方自治財政の充実についてのお尋ねでございました。
 地方公共団体の自主財源は、今日、全体として五割程度になっておると思いますけれども、一層地方の自主性を高める必要があると私も考えておりまして、地方制度調査会の答申を踏まえて目下鋭意検討中でございます。補助金も、地方行政運営の自主性推進という見地からも、冗費の節約という見地に加えて、こういう見地からも見直しをいま行っておるところでございます。
 それから、中部太平洋における海上合同演習についてのお尋ねでございました。
 これは毎年行われておりまする海上自衛隊のハワイ派遣訓練の充実になりますので、ことしも海上自衛隊に参加をさせることにいたしたものでございます。わが国としては、この訓練の主催国である米国との共同訓練を念頭に置いたものでございまして、第三国とのそれを目的としたものではございません。
 また、この訓練が中部太平洋で行われることは、安保条約に言う極東とは何のかかわりもない事柄であると考えております。安保条約に言う極東は、わが国が米国に提供いたしました施設の使用目的との関連で規定されておるものと承知いたしております。
 申すまでもなく、私のオーストラリア、ニュージーランド訪問は、軍事問題とは何のかかわりもございません。
 それから対韓政策でございます。
 朝鮮半島に安定がもたらされ、朝鮮民族の統一が行われることは、われわれの強く希求してやまないところでございまして、われわれといたしましては朝鮮半島が軍事的な緊張を見ることのないよう、平和と安定が取り戻されるよう常に期待いたしつつ、そういった国際環境ができ上がるように、日本といたしましても側面から御協力しなければならぬと考えております。
 最後に、日米安保条約と非核武装地帯の設置問題に触れられたのでございます。
 委員長の仰せになるように、核兵器の廃絶は人類の究極の目標でございまして、その達成のためにわが国は最大限の努力を払ってまいる決意でございます。
 一方、現実の安全保障政策は、世界の現状を踏まえた上で手がたく実行しなければなりませんので、日米安保条約は紛争の抑止力として今後とも堅持してまいるつもりでございます。
 非核地帯の設置問題でございますが、これは適切な条件が整っておれば、核拡散防止の目的に資するものと考えられますけれども、現実のアジア地域におきましては、そういった条件がいま整っておるようには私には考えられないことを申し添えておきたいと思います。(拍手)
#6
○議長(灘尾弘吉君) 内閣総理大臣から、答弁を補足したいとのことであります。これを許します。内閣総理大臣大平正芳君。
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(大平正芳君) 私の内閣の組閣に当たりまして、しばらく文部大臣を私が兼任さしていただきました経緯は、御案内のとおりでございます。これは、文部行政を軽視するということではなくて、大事な文部行政でございまするので、より適切な人材を確保いたしたいと存じて、しばらくそのための時間をかりておったまでのものでございます。また、綱紀粛正問題とは一切関係がないのでございます。私が兼任いたしておりました間も、文部行政の重要性にかんがみまして、私は、毎日相当の時間を文部行政に割愛いたしておりましたこともあわせて御理解をいただきたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(灘尾弘吉君) 加藤六月君。
    〔加藤六月君登壇〕
#9
○加藤六月君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、第二次大平内閣の施政に関し、特に重要な問題につき若干の質問を行うものであります。
 冒頭、四十日間の政治空白と国政の停滞を招いたことにつき、国民皆様に対し、心からおわびを申し上げます。この間、私たちは、議会制民主主義、政党政治につき、あるいは自由民主党とはいかなる政党か、政権政党の責務等々につき議論し、悩み、苦しみ、国家の将来と国民生活を憂えながら、総選挙における国民の審判を厳粛に受けとめようとしたのであります。何とぞ御寛容のほどお願い申し上げます。
 まず最初にお伺いしたいことは、第二次大平内閣の政治姿勢についてであります。
 さきに行われた総選挙の結果は、大平総理も言われるように、わが自由民主党及び大平政権に対し、厳しい反省を求めたものであります。第二次大平内閣は、この国民の審判を謙虚に受けとめ、反省すべき点は真剣に反省し、国民の期待にこたえる政治を行わなければなりません。
 すなわち、国民の期待とは、一九八〇年代は、経済大国日本が、国際的に吹き荒れる資源・エネルギーを中心とした中で、資源小国日本の苦しみと悩みを解決しながら、国民生活の安定と充実をいかに図っていくかであります。
 また、政治、経済、外交、国防の面において厳しさを一段と増す国際環境の中で、平和を確保し、安全保障をいかに推進していくかであります。これらについて総理の明確な御答弁を期待いたします。
 さきの総選挙において、わが自由民主党の優勢が論じられながら、予想外の敗北を喫した主な原因の一つは、大平内閣の大衆増税指向の姿勢に国民がはっきり拒絶反応を示したものです。一つは、解散後次々に暴露された公務員、特殊法人等関係者の倫理感、責任感の欠如に対する国民の激しい怒りと不信感であると判断しています。総理はこの点いかにお考えでしょうか。
 私は、第二次大平内閣が真に国民の信頼を高める道は、内外の諸情勢のきわめて厳しい中に、山積する緊急重要な政治課題を適切迅速に解決し、希望に燃える八〇年代の基礎を固めることであると信じます。
 そのため何よりも大事なことは、さきの総選挙における国民の審判を正しく受けとめ、国民の求めるところに従って政治を行うことと、立場を異にする方々とも虚心坦懐に話し合い、その理解を得て必要な政策を遂行しなくてはなりません。(拍手)
 以上、第二次大平内閣の政治姿勢に関し、改めて総理の所信をお伺いしたいのであります。
 私の質問の第二は、国民が限りない憤りを感じている鉄建公団、国際電電の乱脈きわまる経理や、一部の官庁、地方団体の公費の不正、不当使用の問題であります。
 最近次々に暴露されつつあるこれらの事件は、国民に奉仕すべき公務員、特殊法人関係者が、一部とはいえ、公費の使用についていかにルーズであり、倫理感、責任感を欠いているかということを証明するものであります。
 総理も言われるように、これが政治に対する国民の信頼感を著しく傷つけており、まことに遺憾にたえません。速やかに一連の事件を徹底的に究明し、責任者を厳しく処分して、国民に陳謝しなければなりません。
 また、今後再びこのような事件が再発する余地のないよう、綱紀の粛正を徹底するとともに、特殊法人のあり方、公費経理の制度、仕組み等にわたって改革を加えなければなりません。それが国民の審判にこたえる道であり、また、公費のむだ遣いを排除して財政再建に資する方法でもあります。
 長い間常識ではとうてい理解できないような乱脈経理を続けてこられたのは、制度や組織に欠陥があるのではないかと思うのでありますが、一つの要因は、その幹部の人事構成と適正なる運用を欠いたことにあります。
 鉄建公団、国際電電に限らず、特殊法人の主要人事の選考について、いわゆる天下り人事に必要な制約を加えることが乱脈経理や業務運営の沈滞を防ぐ道であると信ずるのでありますが、いかがでありましょうか。特に、公務員の大先輩である総理の御見解を承りたいのであります。
 第三の私の質問は、大平総理が特に強調された財政再建と行政刷新であります。
 国政の正常な運営とその発展は、健全で正常な財政基盤を前提としてこそ可能であります。
 近年のわが国の財政運営は、石油ショック後の深刻なインフレ不況の克服を最優先とし、きわめて大胆な公債依存政策をとってきたのでありますが、幸いにしてその目的はほぼ達成されたのであります。今後は、速やかに大幅な赤字財政から脱却し、健全財政に再建することが希望ある八〇年代を築く前提条件であります。財政再建の道は、歳出を削減することと財源を増強することの二つしかないことは言うまでもありません。
 わが自由民主党は、さきの総選挙の公約において、歳出の削減のためには、行政の機構制度の簡素化、効率化、補助金等の抜本的洗い直し、いわゆる三K問題等の合理化、効率化により、財政負担の軽減等を断行し、財源の増強のためには、景気回復基調の定着により自然増収の増大を図り、経済社会七カ年計画に盛られた高水準の社会保障、教育、文化等に要する所要経費の足らざる面については、国民皆様の理解と納得を得て応分な負担をしていただくことをお願いしたのであります。
 全国民が一致して強く求めているのは、高度経済成長時代に急速に肥大化し、複雑化し、能率的でない現行の行政の機構制度にメスを入れ、安定成長時代の財政に適応する簡素で能率的な安い政府をつくり上げることであります。
 現在、国、地方を通ずる公務員の総数は、公社、公団、事業団等の特殊法人を含めて約五百万人という膨大な数になります。しかも、これらの公務員等の給与は、財政がいかに赤字であっても、親方日の丸で、毎年度ベースアップと定期昇給が機械的に行われる仕組みになっており、また、退職後の年金も民間よりはるかに優遇されているのであります。
 この膨大な公務員のための人件費その他が、財政圧迫の大きな要因になっていることは申すまでもありません。
 第二次大平内閣が、財政再建のためまずすべきことは、肥大化した行政機構のぜい肉を落とし、簡素で活力のある機構に改革することであります。しかし、これは、いざ実行となると決して容易ではありません。
 それは、行政の簡素化、能率化という抽象論にはだれも異存はありませんが、現実に定員を削減し、機構を簡素化するという具体論に入ると、関係当局を初め、その側に立つ政治家、関係団体等がこれに強く抵抗し、これを押し切るだけの決定と政治力が伴わないからであります。
 第二次大平内閣が、真に財政再建に役立つだけの行政改革の実を上げるためには、まず政府・与党が完全に意識を統一することはもちろん、野党各党とも腹を割って話し合って、その理解を得、強い政治力を背景として断行することが何よりも必要であります。
 第一次大平内閣は、すでに一般公務員定数を五十五年度以降五カ年間に四・二%、総数三万七千人を削減する計画を決定しましたが、従来、この種の定員削減計画の取り扱いを見ますと、削減は削減、増員は増員として、年々新規増を決めてきたため、公務員定数の絶対数は減っていないのが実情であります。
 私は、さきの総選挙において示された国民の意思を尊重し、国家公務員だけでなく、特殊法人、地方団体を通じてさらに徹底した定員の削減計画を立て、その絶対数を年次計画によって確実に削減するよう計画を練り直すべきであると思うのであります。
 行政改革の第三は、補助金行政の抜本的洗い直しであります。
 財政の赤字増加の最大の原因は、補助金、負担金等の年々の大幅増加であります。五十四年度一般会計予算の補助金、負担金等の総額は約十三兆円、すなわち予算規模の三分の一を占めています。
 五十四年度の補助金等予算の内容を分類しますと、法律に基づくものが八一%を占めており、これが財政事情のいかんにかかわりなく年々大幅に増大するため、財政の赤字が急増するのであります。
 これを抑えるための一つの課題は、現在の複雑にして不均衡な医療保障制度や年金制度を、国の財政事情に適応するよう効率的で公正な制度に改めることと思います。
 また、今後急速に進む高齢化社会において、財政負担に耐えることのできる効率的で公正な社会保障体制を確立するためにもこれが必要であります。
 長い間、既得権として定着している法律上の補助負担金制度にメスを入れることは、これまた強い反対が予想されますが、これを避けては財政再建は不可能であり、私は、第二次大平内閣が強い決意を持ってこれを実行すべきであると思います。(拍手)
 以上、財政再建と行政刷新に関し、大平総理の明確な御所見を承りたいのであります。
 第四は、エネルギー問題についてであります。
 エネルギー資源のきわめて乏しいわが国にとって、その長期的な安定供給を確保することが、国民経済、国民生活の安全保障の絶対的条件であることは言うまでもありません。
 ところが、最近の世界の石油事情の動向を見ると、東京サミット後も不安の様相をますます加えています。イラン原油の大幅減産の長期化、中東産油国の資源温存政策と、また、とどまるところを知らぬ根強い値上げ攻勢、アメリカのイラン原油輸入の停止等、世界の石油情勢はなお激動を続けています。さらに、十二月中旬に予定されているOPEC総会、いわゆるカラカス会議では、原油輸出価格の再度の大幅値上げを決定することが確実と見られています。
 とのような最近の世界の石油事情の動向が、特に石油に弱いわが国の経済と国民生活に大きく影響することは必然であります。現に、経常国際収支は大幅黒字基調から一挙に大幅赤字基調に逆転し、円相場は大幅に下落し、これに伴って原油を初め輸入物価は急上昇し、また、国民生活に密着する灯油、軽油等の石油製品も飛躍的な大幅値上がりを見せているのであります。
 私は、今後ますます不安になると予想される世界の石油事情に対し、東京サミット後に立案されたエネルギー長期政策をさらに拡充し、前進させることが第二次大平内閣の重要な責務であると信ずるのであります。
 特に短期、中期の対策として重要なことは、省エネルギー政策の強化であります。石油代替エネルギーの開発導入の促進はもとより基本的な政策でありますが、これは相当の年月を必要とする長期的な対策であって、短期、中期的な対策としては、省エネルギーの徹底による石油不安の克服が最も実際的な対策と思います。
 総理は、すでに実行中のエネルギー消費五%の節約をさらに上回る規模にする方針を表明されましたが、それが期待どおりの実効を上げるためには、具体的な対策が伴わなければなりません。
 私は、必要性の乏しいエネルギー消費の節減をさらに徹底することはもちろん、エネルギー利用の効率化、産業における石油燃料の転換、民生における石油消費の削減等の施策をこれまでの計画以上に強化すべきであると考えます。
 特に、エネルギー対策の成否を決するものは予算と資金の確保であります。私は、第二次大平内閣がエネルギー対策を当面の最優先政策として位置づけ、責任を持って必要な予算と資金を確保し、その重責を全うするよう強く望むものであります。
 以上、エネルギー対策に対し、総理の御見解を承りたいのであります。
 次にお伺いいたしたいのは、農水産政策に関してであります。
 国民食糧は可能な限り国内で自給し、安定供給を確保することが、国民生活の安全保障の条件であることは言うまでもありません。これは世界の共通政策でもあります。
 わが国の総合食糧の自給率は七一%、穀類の自給率は四〇%にすぎません。この自給率を高めることがわが国の農政の基本であります。食糧の自給率を高めるためには、現在の過剰な米の生産を、不足している麦、大豆、飼料作物等に転換させることが最も効果的であります。それには、そのための対策を拡充強化することが必要であります。政策は、しっかりした科学的な見通しに基づいて、わが国の農業の進路を定め、農家が希望と意欲の持てるような農業政策を確立すべきであります。(拍手)
 水産においても、二百海里時代に対応し、遠洋漁業、沿岸漁業、栽培漁業等の発展に十分な配慮が必要であります。これが八〇年代の基本的課題の一つと考えますが、大平総理は、わが国の農水産業をどのように導き、どのように育て上げようとされているのか、所信を承りたいのであります。
 第六番目の私の質問は、物価問題についてであります。
 本年に入ってからのわが国の経済事情は昨年とは様相を一変していますが、中でも私が最も心配しているのは物価の動向であります。卸売物価指数は、本年八月以来、前年同期に比べて一〇%台の上昇を続け、十一月上旬にはついに一五%以上の大幅な上昇となったのであります。このような卸売物価の高騰は、石油ショック後の狂乱物価時代を除き、わが党立党以来例のないところであります。
 消費者物価はいまのところまだ比較的安定はしていますが、すでに灯油等の生活に密着した石油製品を初め、石油関連製品、木材及び木製品、皮革、羊毛製品、非鉄金属並びに化学製品等は値上がりを続けています。近い将来、電力料金、ガス料金の大幅値上げが行われることは確実であり、さらに、消費者米価、郵便料金等の公共料金の引き上げも計画されているようであります。
 これらの値上げと卸売物価急騰の波及等で、再び高物価時代に転ずるおそれが多分にあるのであります。そうなると、物価、賃金の悪循環を招き、インフレを誘発し、これによる中小企業、雇用関係問題等が懸念されることは必至と思われます。インフレは国民生活にとって最大の敵であります。断じて防止しなければなりません。八〇年代の夜明けがインフレの年になってはならないのであります。
 私は、第二次大平内閣が物価の安定に全力を傾け、インフレのない八〇年を開くことこそ、国民にこたえる最も緊急な責務であると信ずるのであります。
 大平総理は、現在の憂うべき物価の動向に対し、具体的にはどのような対策を進められるのか、また、物価の先行きをどう見通しておられるか、承りたいのであります。
 最後に、外交関係についてお伺いいたします。
 総理は、十二月初旬に中国へ、また、明年一月には豪州、ニュージーランドを訪問されることを明らかにされました。
 わが国がその国際的地位にふさわしい責任と役割りを果たされるため、これらの諸国を訪問されることはまことに時宜を得たものと思いますが、一つ、気になることがあります。それは中国への膨大な円借款問題であります。
 わが国経済が上昇の一途にあったときは、あるいはさして問題になることではないかと思いますが、いまや、財政再建の苦しい時代であります。また、かねてからの経済協力関係にある韓国、ソ連を初め、ASEAN諸国の動向あるいは米国、EC諸国の思惑等、この中国に対する長期的円借款については非常に注目していると聞いています。政府としては、当然これらの国際情勢を踏まえて検討されていることとは思いますが、この点について総理の御見解を承りたいのであります。
 いま一つは、わが国固有の領土である北方四島についてであります。
 わが国は、ソ連政府に対し、この四島の返還を絶えず要求し続けており、国際的にもその正当性は認められているにもかかわらず、ソ連はこの四島の中の択捉島、国後島のみならず色丹島にも軍事基地を設けたことであります。これは、国民が最も懸念していたわが国固有の領土に対する主権に関することで、政府は強くソ連に対し抗議し、その撤去を求めるため最大の努力を払わなければなりません。(拍手)
 政府は、どのように対処されているのか、総理の御答弁をお願い申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#10
○内閣総理大臣(大平正芳君) 加藤さんの私に対する第一の御質問は、さきの総選挙に示された国民の審判に対してどのような政治姿勢で臨むかという御質問でございました。
 御質問の中に八〇年代に有効な対応をしなければならないこと、わが国の平和を確保し、安全保障を堅持していかなければならぬという基本的な政治姿勢についてお触れになりました。私も加藤さんの仰せのとおり同感に存じております。七〇年代の経験と教訓を生かしながら、八〇年代の展望を明らかにしながら、政治の責任を果たしていかなければならぬと考えております。また、日米安保条約を軸といたしまする安全保障体制を手がたく堅持いたしまして、八〇年代の安全保障に対応してまいらなければならぬと考えております。
 加藤さんは、さらに、総選挙敗北の原因についてのお尋ねでございました。
 私は、この選挙を顧みまして、まず、政府・与党に気持ちの上でおごりがあり、簡素で効率的な行政に対する熱意が十分でなかったことが敗因の一つでなかったかと反省をいたしております。また同時に、厳正なるべき政府並びに政府機関に倫理観の欠如が御指摘のようにありましたことも、国民から厳しく指弾を受けたゆえんであったと反省をいたしております。したがいまして、まず綱紀の粛正と行政の刷新に全精力を傾けて当たらなければならぬと考えております。
 さらに、加藤さんは、立場を異にする方々とも十分な話し合いをし、その協力を得ながら、当面の困難な政治課題にこたえる用意がなければならぬという御指摘でございました。
 私もそのとおり心得ておるわけでございまするし、総選挙における国民の審判もまたそういう方向を志向されておったものと考えております。
 鉄建公団、国際電電の乱脈経理に関連いたしまして、加藤さんの仰せになりましたとおり、その真相の解明と厳正な処分、再発防止に十分気をつけねばならぬということは、御指摘のとおり心得ております。
 さらに、特殊法人の役員の選考基準についてお触れになりましたが、これは昭和五十二年十二月にすでに閣議決定がございまして、この閣議決定のラインに沿いまして、民間人を極力登用する、たらい回しの人事を極力抑えていく、それから役員の任期を原則として六年以上は認めない等、数々の制約が決められておるわけでございまして、そういう選考基準というものを厳守いたしまして、御期待にこたえたいと考えております。
 その次に、財政再建についてのお尋ねでございました。
 仰せのように財政再建は緊急の課題であり、昭和五十五年度予算におきましては、すべての歳出につきまして厳しい見直しを行いまして、財政再建の第一歩とする必要があると考えております。
 ところで、わが国の社会保障は、制度的には国際的に見ても遜色のない水準にあると思いますけれども、今後、高齢化の進展等に伴いまして、現行の水準を維持していくだけでも、その費用負担は大幅に増大していくことが予想されるわけでございます。したがって、仰せのように、今後社会保障等を推進していくに当たりましては、従来にも増して制度の合理化、給付と負担の公平化等を着実に図ってまいる必要があると考えます。五十五年度の予算編成に当たりましても、以上のような考え方に立ちまして、国民福祉に配慮しながら、制度、施策の適正化を進めてまいりたいと考えております。
 御指摘の老人保健医療制度、児童手当等の問題につきましても、政府部内で現在慎重に検討を進めておるところでございます。広く各界の意見に耳を傾けまして、国民の御理解が得られるような形で結論を得たいと考えております。
 健康保険法改正案につきましても、今回この国会での御審議をお願いしたいと考えております。
 それから、補助金の制度の見直しでございます。財政再建は緊急の課題であり、その歳出の削減に当たりましては、その三割を占めるところの補助金にメスを入れなければならないではないかという御指摘は、そのとおりであると考えております。とりわけ医療、年金等社会保障につきましては、制度的には国際的にいま申しましたように遜色がないところへ来ておりますけれども、高齢化の進展等により、現行の給付水準を維持していくだけでも大変な負担になることは、いま申し上げたとおりでございます。したがって、今後社会保障を推進するに当たりまして、制度の合理化には特段の工夫を加えてまいるつもりでございます。
 次は、エネルギー政策についてのお尋ねでございました。
 ますます環境が厳しくなってくるので、これまでのエネルギー政策を根本的に見直す必要があるではないか、特に省エネルギー政策については特段の工夫をこらす必要があるのではないかという御指摘でございます。そのとおりに私も考えておりまして、今日までのところ、一応五%節約はほぼ達成できておるように思いますけれども、環境の厳しさを加えるに従いまして、これをさらに強化していく必要を痛感いたしておるところでございます。
 それから、加藤さんはさらに、代替エネルギーの開発につきましては、何をおいても必要な財源を確保して、実効が上がる開発を進めなければならないではないかという御指摘でございます。仰せのとおりでございまして、必要な予算につきましては、苦しい財政状況ではございますけれども、最優先の課題の一つとして、政府部内でいま鋭意具体的な検討を進めておるところでございます。
 それから、食糧政策についてのお尋ねでございました。
 現在、農業者、農業団体、地方自治体の協力を得ながら、水田利用再編計画を通じて大豆、麦、飼料作物等への転換を一層推進しておりますが、これをさらに進めてまいるつもりでございます。
 また、来春には農業の長期展望を確立いたしまして、わが国の食糧の総合的な自給力の向上に努めてまいるつもりでございます。
 それから、沿岸漁業、遠洋漁業の機会をできるだけキャッチいたしまして、二百海里を迎えた水産業の振興には、漁業外交を初めといたしまして積極的な努力を傾けてまいる所存でございます。
 それから、物価政策につきましては、先ほど飛鳥田委員長にもお答えいたしたとおりでございますけれども、先般、政府におきまして、公共事業の適正な執行、それから生活必需物資の供給確保と価格の監視、とりわけ石油製品の便乗値上げの監視、それから公共料金の抑制等一連の物価政策を決めたわけでございます。日本銀行におきましても、公定歩合の引き上げによりまして、警戒的な姿勢をいま進めておるところでございます。
 しかしながら、私は、第一次石油危機の際に見られたような狂乱物価の状況が再び招来するものとは考えていないのでございます。あの当時におきましては、生産財ばかりでなく、資本財も消費財も一遍に騰貴を見たわけでございますけれども、今日の状況を見ておりますと、海外要因に刺激された生産財が騰貴を示しているわけでございまして、ほかの領域は比較的平穏に推移いたしております。国民の態度も大変自重的でございます。私は、政府と国民が協力して冷静に事態に対処いたしますならば、再び、過去にありましたような狂乱物価というような事態はこれを回避することに成功するのではないかと考えております。また、そうしなければならぬと考えております。
 それから、中国に対する円借款についてのお尋ねでございました。
 この件につきましては、政府といたしまして、中国の現代化計画に対しまして応分の協力をするという基本方針をわれわれとしては堅持いたしております。もっとも、これは、われわれの財政、経済力の範囲内においてでなければならぬこと、とりわけ周辺の諸国とのバランスもよく考えなければならぬこと、軍事的な協力にわたらないようにしなければならぬというような点を十分念頭に置きまして、目下鋭意検討いたしておるところでございます。
 それから、北方領土におけるソ連の軍事力の増強問題について、状況の説明を求められたわけでございます。
 北方領土におけるソ連の軍事力の増強は、わが国が返還を求めておる固有領土における行動であるという意味におきまして、きわめて遺憾に思っております。政府としては、重大な関心を持って受けとめざるを得ないと考えておりまして、かかる認識に基づきまして、二月と十月の二回にわたりまして、ソ連政府に対し、厳重な抗議申し入れを行ったところでございます。ソ連政府に真剣に受けとめてもらう必要があると考えております。
 政府としては、この対ソ申し入れに対するソ連側の出方を見守りながら、今後とも、筋を通すべきものは筋を通し、言うべきことは明確に言うという、毅然とした態度をもって対ソ折衝を進めてまいりたいと考えております。
 先ほど、飛鳥田委員長に対するお答えの中で、法務大臣の御発言について、私の答えがございませんで失礼いたしました。法務大臣の誤解を招くような御発言がありましたことは、大変遺憾でございまして、その点につきましては、慎まれるよう御注意申し上げておいたところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(灘尾弘吉君) 竹入義勝君。
    〔竹入義勝君登壇〕
#12
○竹入義勝君 私は、公明党・国民会議を代表して、大平総理に対し、当面する緊要な課題に論点をしぼって質問をいたします。
 まず、総理の政治、行政に対する姿勢についてただすものでございます。
 総理、あなたは、自民党の安定多数確保を掲げ、過去一年間の大平政治の信を国民に問うとして、野党また与党の一部の猛反対を無視し、解散、総選挙を強行いたしました。その結果、国民は大平政治に厳しい審判を下したのであります。
 総選挙後、総理は、自民党内の政権抗争を国会に持ち込み、一党から二人の候補を出し首相指名を争うという、議会史上に例を見ない、まさしく前代未聞の醜態を演じたのであります。第二次石油危機、インフレ再燃に直面した国民の不安を黙過し、大義名分なき解散を強行して以来、実に政治空白は二カ月余にも及んだのであります。総理は、このような事態を招いたことに、いかように反省し、政治責任をどうとるのか、重ねて再び明確にしていただきたいのであります。
 さて、政府機関の綱紀の紊乱は、まことに目を覆わしめるものがあります。鉄建公団の不正経理操作に端を発し、KDDの密輸事件と経理の紊乱に至る、閉ざされた行政内部の慣行化された不正問題が次々と明らかにされております。綱紀粛正は、単なる指示や通達で解決されるものではありません。これら一連の不正行為に対する総理の断固たる決意を明らかにしていただきたいのであります。
 行政の民主化を徹底し、合理化、簡素化を図ることは、総理の公約であり、また財政再建以前の問題であり、急務であります。特に、百十一に及ぶ特殊法人、多数の認可法人のあり方と、統廃合とあわせ、役員等の退職金、給与の削減見通し、天下りの規制強化と民間人起用の原則の確保について、明確な方針をここに示されたいのであります。
 長期にわたる機構積み上げで肥大化している中央省庁の機構の簡素効率化、特に公務員総数の八〇%を占めている地方出先機関の統廃合と地方事務官の廃止、これに伴う事務事業と財源の地方移譲をどうするのか。また、公務員の定員削減計画については、一定期間は退職者の補充を中止することを原則とし、配置転換を行うこと。さらに、定年制の方針について具体的にお答えを願いたいのであります。
 ここで、私は、綱紀粛正のための会計検査院の機構、権限の強化措置とともに、行政管理機能と権限を強化、確立するための行政管理庁の行政委員会への改組及び行政監察委員制度を創設すべきことを提案したいのであります。
 また、国会に行政改革特別委員会を設置することもあわせて提案をいたします。さらに、この委員会は、行政改革のために必要な法律の見直し、洗い直しを行うこと、また、一定期間を限って予算関連の法律は時限法とすることを検討すべきであると思いますが、これらについて総理の所見を承りたいのであります。
 また、政治家自身の綱紀粛正も重大であります。
 総理が諮問機関として特設された航空機疑惑問題等防止対策協議会では、政治浄化のための対策、企業倫理の確保、行政の公正確保等の対策を提言をいたしております。
 この提言に基づく具体的施策の実行は総理の公約でもあります。なかんずく、政界浄化、政治倫理の確立について、個人の政治資金の届け出の義務については、総理が自治省に検討を命じられたようでありますが、さらに現行政治資金規正法附則第八条の個人献金中心への移行などとあわせ、政治資金規正法の抜本的改革について、どのような方針で検討されておられるのか、次国会に提出する用意をされておるのかどうか、伺いたいのであります。
 また、総理の言う「公正で金のかからない選挙制度のあり方」とは、具体的には何を考え、何を指しておるのか、この際明確な見解を求めたいのであります。
 政治倫理確立のために、国会に政治倫理委員会を設置し、政治倫理綱領を衆参両院の決議により定めるべきでありますが、総理の所見を、また自民党総裁として、この際明らかにされたいのであります。
 なお、総理が所信表明で、政治家の資産公開等について積極的な発言をされておられるわけでありますが、総理みずからが資産公開をされる意思があるのかどうか、この際お聞きをしておきたいと思います。(拍手)
 さて、次に、エネルギーとその関連問題についてであります。
 輸入石油の現状は、需給と価格両面から、六月のOPEC総会、東京サミット以後、さらに憂慮すべき変化が起こっております。テヘランのアメリカ大使館占拠人質事件に始まったアメリカとイランの関係は依然として緊張状態を強めており、さらにサウジアラビアとパキスタンでの事件発生は、中東政治情勢の複雑さを示し、その解決には容易ならざるものを感ずるのであります。このことは、世界の石油情勢のみならず、世界の平和維持の上にも暗い影を落としていると言わなければなりません。
 そこで、具体的な問題の一つとして、政府は、イラン政変以後のイラン石油化学コンビナートについて、あえて国の資金を投入したのでありますが、バザルガン政権が総辞職した今日、イランの政情の先行きから見て果たしてイランが国有化するおそれはないか。
 さらに、暗黙の了解事項であった石油供給の三〇%の増加についても疑問があります。これらの諸点について、政府の見解と対策をこの際、明確にしていただきたいのであります。
 現在、わが国の原油輸入の現状は、五十四年度上期において、備蓄を除いて、計画を百九十五万キロリットル上回っております。しかし、下半期の見通しでは、備蓄ができない上に、十ないし十二月期は約四百万キロリットル、また、一月から三月期は約六百万キロリットルの輸入の不足が生ずると伝えられております。
 この不足に対しては備蓄の取り崩しの手を打ったとしても、来年度の需給についてはどのように見通しておられるのか。五十五年度経済と不可分の関係から、政府の見通しと対策を明確にしていただきたいのであります。
 エネルギー問題が世界経済のみならず政治問題として複合化する中で、政府の輸入石油対策として、金さえ出せばよしとする考えが基本になっていると言わざるを得ません。
 世界の中で大消費国であるわが国としては、中東諸国に対し説得力を持ち、納得されるわが国の中東政策を確立すべきであると思うのであります。
 総理が言われるとおり、エネルギー問題が最大の課題である以上、西欧諸国の首脳の石油産出国への訪問の頻度と比べてまことに少ないわが国にあって、この際総理みずからが中東に赴くべきであると考えるのでありますが、総理の所信を承りたいのであります。(拍手)
 同時に、中東諸国以外の産油国対策に一層の努力を尽くし、政府は輸入の確保に総力を挙げるべきであります。また、そうなりますと重質油の輸入が増加することが避けられませんが、重質油の軽質化技術開発は、A重油については商業ベースに乗って企業化され、灯油、軽油等の中間製品の生産開発については、いまだに研究段階であり、その促進措置とともに重質油備蓄も含め、受け入れ体制を整備すべきであります。これらについて政府の対策をお答えを願いたいのであります。
 さらに、原油価格は六月のOPEC総会の取り決めの上限価格を突破し、急速な円安為替相場と相まって、昨年十二月末と比べ九〇%も高騰しております。
 政府は、高騰する石油価格に対し、市場原理によって需給の円滑化を図ることを基本としておりますが、石油製品価格を自由に野放しにすれば、常に経済的弱者がその犠牲となることは自明の理であります。それを放任してよしとするのか。そうでないとするならば、その犠牲をなくするためにいかなる措置を用意しておられるのか、明確なお答えを願いたいのであります。
 こうした中で、家庭生活と不可分の灯油価格の高騰は、消費者の大きな不安となって、供給、価格両面の安定を要求する運動が各地に広がっております。灯油小売店の入荷は不安定であり、価格は一かん東京区部では約一千百五十円となっていますが、わが党の試算では、十一月価格で九百二十円程度が適正価格となり、先取り便乗値上げの疑いが濃いと言わざるを得ません。
 前国会でも要望したとおり、便乗や不当な値上げを防止するため、政府みずから全石油製品の適正価格を公表すべきであり、生産から小売店までの流通経路に対して具体的かつ強力な指導を改めて強く要求するものでありますが、総理の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 国民から政治に与えられた命題は、インフレなき景気維持をいかに果たすかであります。
 わが国の経済は、財政とともに多くの難問に直面し、石油情勢の急速な悪化を契機に、インフレと不況への同時進行、いわゆるスタグフレーションに陥る懸念が強まっております。事実、十一月上旬の卸売物価上昇率は前年同月比で一五・二%にも及び、騰勢はさらに強まろうといたしております。円安が続く中で、消費者物価も、電気料金の値上げ等が実施されるならば、二けたに近い上昇率が予測されるのであります。こうした厳しい現状に対し、政府は事態の推移をただ静観しているとしか言えないのであります。現状のままに推移することは、結果として、物価の騰勢に歯どめをかける有効かつ適切な対策を失い、著しい景気後退を招く強力な総需要抑制策をとらざるを得ない状況をつくり出すことになると言わざるを得ません。その際の政府の責任はきわめて重大であります。
 そこで、まず、総理は、当面する物価情勢をどのように認識しておられるのか。狂乱物価の再現の懸念がある中で、これを防止するために具体策を直ちに講ずる用意があるのかどうか。また、その内容がおありであればお答えを願いたいのであります。
 今日まで政府は公共事業の繰り延べ措置をとり、公定歩合を三回引き上げてきたのでありますが、公定歩合を今後どうするのか、為替市場の円安対策はどうするのか。また、マネーサプライの目標値を定め、それを基準に金融政策を運用すべきであると考えますが、総理の見解を伺いたいのであります。
 消費者物価については、年末を迎えている折から、特に石油製品価格の高騰、円安による輸入製品の値上がりから、年末年始を契機とした物価上昇が憂慮されています。そこで、強力な年末年始物価抑制対策を要求するものでありますが、政府の対策を示されたいのであります。
 また、明年はすでに国鉄運賃、郵便料金、電気、ガス料金等の大幅値上げを初め、消費者米価、麦価等の値上げが見込まれております。これまで公共料金の上昇率は消費者物価の上昇率を大幅に上回り、公共料金の値上げは諸物価を押し上げる要因となってまいりました。赤字だから値上げをするという安易な姿勢は、今日の物価情勢の中で通用するものではないことを強く認識すべきであり、これを抑制すべきであります。総理の考えを承りたいのであります。
 一方、企業は、エネルギー価格、原料価格の高騰と円安の悪循環に金利上昇が加わり、一部の輸出先導部門を除く企業経営は厳しさを加えてくるでありましょう。すでに中小企業の倒産は危険ラインとされる千五百件を突破する状況にあります。公定歩合の引き上げ、金融引き締めの影響は強く、中小企業に対する金融機関の選別融資の動きも見られ、年末を控え倒産の増加が憂慮されております。したがって、特に本年の年末融資については特別の配慮をすべきことを要求するものであります。倒産防止対策とあわせ政府の対策をお示しをいただきたいのであります。
 さて、スタグフレーションへの懸念が強まる中で、企業の減量経営は人員削減に集中するおそれが多分にあります。そうでなくても、依然として完全失業率は二%台で推移し、有効求人倍率は〇・七台にとどまっております。特に中高年齢者の求人倍率は〇・一であります。十人に一人しか職につけない雇用環境に置かれております。
 わが党が五十四年度予算修正要求の中で、政策要求の柱とした雇用開発と創出機構と機能の充実、とりわけ大企業ほど悪い高年齢者の法定雇用率の遵守義務措置、六十歳を下限とする定年制の実施に通ずる中高年齢者雇用差別禁止法の制定は、中長期的な経済情勢の展望と老齢化社会の進行の中で社会的公正を確保する基本的な施策であり、かつ緊急性を伴うものであります。その実現に対する総理の決意と所信を承りたいのであります。(拍手)
 以上、経済の現状から展望して国民が憂慮している点について、きわめて重点的にお尋ねをいたしましたが、ここで政府の五十四年度の実質成長率、消費者物価、卸売物価等の見通し、五十五年度の経済見通しを具体的に明らかにしていただきたいのであります。
 次に、五十五年度予算編成と財政再建についてであります。
 政府は、五十五年度予算編成においては財政再建に主眼を置く方針のようであります。私は、しかし、一般消費税の導入等大衆増税中心の再建策は絶対に認めるわけにはまいりません。またそれは、総選挙において、国民の強い拒絶を受けたことからも明らかであります。
 総理は国民の意思を尊重し、一般消費税の導入を断念されたと思いますが、総理の導入断念とは五十五年度のみなのか、五十六年度以降も含むのか、この点もあわせて明確にされたいのであります。(拍手)
 財政再建の前提として国民が強く要求する行政改革及び綱紀粛正を掲げてスタートした第二次大平内閣が、その決着を見ないうちに、もし五十六年度に一般消費税を導入することを示唆するならば、それ自体国民に対する重大な背信行為であり、行政改革にかける総理の姿勢を疑わせるものがあります。財政再建は、行政改革だけで十分な成果が得られるとは言えないとしても、総理みずからが言うチープガバメント、すなわち小さな政府の実現に全力を挙げ、みずからの行政姿勢と財政上の成果の実態を国民の前に示し、国民の要求にこたえるべきであります。
 私は、さきの臨時国会の代表質問において、財政再建に当たっては、経済の安定成長に基づく税の自然増収、不公平税制の是正を柱に、行政改革、補助金の整理、合理化等を内容とする中期財政計画の策定によって進めることを提案を申し上げましたが、それを再び提案をいたします。
 私は、物価を抑え、景気維持を図り、税の自然増収による財政赤字の解消が最も正当な再建策と思っております。五十四年度の税の自然増収は、政府見通しでも二兆円に及ぶとされることからも、総理に再考を促し、その見解を再び問うものであります。
 政府は、すでに、増税できない場合には超緊縮予算を予定し、歳出削減の柱に福祉予算の切り捨てを置いているようであります。児童手当、老人医療無料制度、義務教育教科書の無償配布等を廃止するということは、弱い者を犠牲にする財政再建策であって、絶対に承服できるものではございません。(拍手)
 現在、いずれの世帯も子供の養育費、教育費の負担増で苦しんでおり、また、母子家庭や父子家庭が急増いたしております。それだけに児童手当制度の果たしている役割りは大きいことを認識されるべきであります。また、老人医療の後退は、それ以前に、国民健康保険を初め各種保険制度の改革、老人保健制度の創設こそ検討されるべきであり、老人に共通する健康不安に対して温かい行政の手を差し伸べるべきであります。
 さらに、義務教育教科書の無償配布は、憲法第二十六条の義務教育無償の精神を敷衍する施策のほんの一部であり、これだけでも定着させ、子供の教育を国が責任を持って行うことは、福祉社会としての当然の施策であります。
 にもかかわらず、大平内閣が財政再建元年とする五十五年度予算編成の歳出削減の第一課題として、一般消費税など大衆増税にかえてこれを取り上げるとするならば、あなたの言う福祉社会の建設や活力ある社会、家庭基盤の充実は、全くの絵そらごとにすぎないのであります。この福祉切り捨ては明らかに国民への挑戦であります。
 今回の衆議院総選挙において、総理は一般消費税問題で国民に挑戦して痛烈な拒絶に遭いましたが、またもやその二の舞いになることは容易に想像されるのであります。(拍手)この問題について、総理の明確な答弁を求めるものであります。
 財政再建の基本が入るをはかり出るを制す、このことに置くことは言うまでもありません。
 その第一は、行政経費を思い切って圧縮することであり、その第二は、投資的経費の財政効果を徹底して追求し、極力景気の維持を図り、民間の活力を生かし、国民大衆の支持と協力の得られる経済運営に努力すべきであります。
 他面、省エネルギーにも十分配慮し、事業の緩急を選ぶべきであります。
 その意味から、大型プロジェクトは後回しにして、公共事業を思い切って国民生活関連事業にしぼるべきであります。つまり、土地購入とその関連経費を要しない国民生活の足元にある、たとえば老朽校舎の建てかえや低質の公共住宅の建てかえ、一時間に五十ミリ程度の降雨ではんらんする多くの中小河川の改修等の防災対策などを中心として、国民に歓迎される緊急施策を積極的に進めるべきであります。
 財政再建という大きな課題を抱える中では、三全総よりも国民の目にはっきりわかる公共事業を優先して行い、国民生活と政治を結合して地域経済の振興を図ることが緊要であり、時に適した施策であると言わなければなりません。そのことはまた、地域経済の担い手である中小企業対策にもつながるのであります。この私の提唱について、総理の所見をお答えをいただきたいのであります。
 五十五年度予算の規模が四十二兆円台と見込まれる中で、巨額な国債の消化についていかなる見通しを持たれるのか。同時に、国債の発行がインフレを引き起こさないためにも、公債管理政策の確立が強く要求されるのでありますが、これに対する総理のお考えをこの際お示しをいただきたいのであります。
 最後に、外交、防衛問題についてお伺いをいたします。
 総理は、来月五日、中国を訪問し、日中首脳会談に臨むことを明らかにいたしております。
 私は、日中平和友好関係は、わが国においても、アジアの平和にとっても、今後、ますます重要度を増すものであるとの認識に立ち、さきの国会におきましてもその早期実現を総理に促してきたところであります。
 今回の首脳会談は平和友好条約調印後初めてのものであり、いわば八〇年代の日中関係のレールを敷くものでなければならないと思うのでありますが、総理は、日中首脳会談に臨む基本的な態度、目的、さらに日中関係の前途にいかなる認識を持たれておるのか、所信を承りたいのであります。
 また、日中間で定期外相会議あるいは定期閣僚会議を開催するような考えがおありなのかどうか。中国側から要請のあった五十五億ドルの円借款に対しいかなる対応をなさるのか、あわせてお答えをいただきたいのであります。
 さて、アジアにおきましては、ベトナム軍のカンボジア侵攻がもたらしたカンボジア難民問題が切迫した状況となっております。
 ワルトハイム国連事務総長をして「人類史上かつてないカンボジアの悲劇」と言わしめたこの問題は、一刻も早く解決されなければなりません。すでに難民の七割は病気を患っておることが指摘され、医療、食糧の援助は急を要することが報告をされております。
 わが国政府としては、今後、インドシナ難民対策にどう対処するつもりなのか、ここに具体策を示すべきであります。
 同時に、難民に冷淡な日本との国際的批判にどうこたえていくのか。また、定住条件の緩和、定住枠の拡大、難民条約への参加なども含めて、政府の方針を明らかにしていただきたいと思います。
 次に、海上自衛隊の環太平洋合同演習参加についてであります。
 来春に、中部太平洋でアメリカ第三艦隊を中心に、四カ国で実施される合同演習に海上自衛隊が初めて参加を決定した問題はきわめて重大であります。防衛庁では、純粋に自衛隊の戦術技量の向上を目的としたものに限れば、米国以外の国が加わった合同演習に参加しても、憲法、自衛隊法の精神に反しないとの説明で正当化しようとしております。
 そこで、憲法、自衛隊法の精神とは何か、防衛庁がこれらを勝手に解釈し、既成事実を積み重ねることが許されるのかどうか、総理の明確な見解を求めるものであります。(拍手)
 以上、きわめて緊急かつ重要問題について私は総理に申し上げました。この私の質問と提案に対し、総理の率直、明快な答弁を求めて質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#13
○内閣総理大臣(大平正芳君) 竹入委員長の第一の御質問は、先般の政治空白に対する責任問題でございました。
 この問題につきましては、飛鳥田委員長にもお答えいたしたところからお聞き取りをいただきたいのでございますが、一切の責任は自民党総裁であります私にあるわけでございます。したがって、私といたしましては、国会と国民に対しましてこの責任を果たす意味から申しまして、停滞いたしました行政のおくれを一日も早く取り戻さなければならない、内閣を挙げていま全力を挙げておるところでございます。
 それから、第二の御質問は、政府及び政府機関の綱紀の紊乱に対する具体的措置とその決意についてのお尋ねでございました。
 これにつきましては、先ほども飛鳥田委員長にもお答え申し上げましたとおり、真相の解明と責任者の厳重な処分、それから予算の計上と執行の再点検、内部の監査の徹底と勤務体制の厳正化を図りますとともに、公団等役職員の給与の適正化もあわせてやってまいる決意でございます。
 それから、行政の民主化と簡素化につきまして、御提言を兼ねての御質問でございました。
 仰せのように特殊法人の統廃合でございますが、政府におきましても計画を立てて、計画的に進めてまいるべく、いま努力中でございます。
 第二に役員の給与の適正化の問題でございますが、先ほど申しましたように、予算の計上、執行の再点検を通じまして、御期待に沿うように適正化を図ってまいりたいと考えております。
 それから、天下りの規制、民間人の登用問題でございますが、これは五十二年の十二月の閣議に示されておりまするように、民間人の登用を極力推進してまいります。
 それから、たらい回しの異動は原則として行わないということ、高年齢者の起用は努めて避けるということ、さらに役員の長期留任は原則として避け、六年を限度とするというような方針は、今後とも厳重に守ってまいりたいと考えております。
 それから、竹入委員長は、地方の出先機関の統廃合についてお尋ねでございました。
 地方への事務並びに権限の移譲、財源配分の促進につきましては、地方制度調査会からも先般答申をいただいておりますので、それを踏まえて目下検討中でございます。
 それから、地方事務官の問題。長い、古くして新しい問題でございますが、現在関係省の間で協議中でございます。
 それから、出先機関の具体的な統廃合でございますが、これは十一月九日の閣議で方針を決めまして、年内に計画を取りまとめて逐次これを実行に移してまいるつもりでございます。
 それから、竹入委員長は、行政監察委員会は検討に値する提案ではないかということでございます。せっかくの御提案でございますので、私どもとしても検討させていただきたいと思っております。
 ただ、国会における行政改革特別委員会の設置問題は、国会の問題として各党の間で御審議を願いたいものと思います。
 それから、政治腐敗の一掃を期するための措置でございますが、これは先ほど飛鳥田委員長にもお答え申し上げましたとおり、政府に設置されました再発防止協議会の意見も参考にしながら、政治資金の明朗化、企業の自主的監視機能の整備、行政上の手続と責任を明確化すること、制裁法規の整備等を中心にいま検討いたしておりまして、成案を得次第国会の御審議を求めるつもりでございます。
 政治家の資産公開につきましては、事の性質上、国会の御審議にゆだねたいと思っております。私自身は、就任に当たりまして、すでに公開をいたしております。
 それから、情報公開法につきましては、先ほど飛鳥田委員長にお答え申したとおりでございまして、いろいろな見地から全体として検討すべき余地が十分ある御提案であろうと考えております。
 次は、石油、エネルギー問題でございます。
 輸入石油のことしから来年にかけての展望についてお尋ねをいただいたわけでございますが、すでに委員長も御指摘のとおり、上半期は計画を若干上回る輸入確保をいたしております。下半期につきましてまだ定かでございませんけれども、若干の狂いが仮にございましても、備蓄が百日を超えておる状況になっておりますので、今需要期に需給のヒッチが生ずるものとは私どもは考えていないわけでございます。
 明年どのような展望になるかということでございますが、先般の所信表明でも申し上げましたように、世界全体といたしましてのマクロ的に見た場合の需給はそんなに狂いはないわけでございます。問題は、数量よりむしろ価格にあるのではないかと考えておるわけでございまして、そういう石油価格高に対する対応を、日本の対応能力を挙げて当たらなければならぬと考えておるわけでございます。
 それから、先般のイランの石油化学コンビナートの国有化問題でございますが、イラン政府におかれましても、責任者が変わりましたけれども、国有化する意図はないという保証をいただいております。また、供給の三〇%増の問題につきましては、引き続き先方の反応を期待いたしておるところでございます。
 それから、私の中東訪問が緊急を要するのではないかという御要請でございました。私もスケジュールをやりくりいたしまして、できるだけ早い機会にそういう訪問の機会を持ちたいものと念願いたしております。
 それから、中東以外の産油国対策につきましても、仰せのとおり、極力政府としても周到な配慮はしてまいるつもりでございます。
 それから、重質油の軽質化問題、この技術開発問題でございますけれども、これは鉄鋼、電力、石油業界等一体となりましていま取り組んでおりまするし、政府も所要の補助をいたしておりますことは委員長も御案内のとおりでございまして、この計画は精力的に進めてまいるつもりでございます。
 石油価格対策でございますが、これは市場原理を中心といたしまして便乗を抑えていくという政府の基本方針は、いま変える必要を感じておりません。
 それから、灯油その他石油製品の供給と価格の安定問題でございますが、この間の所信表明にも申し上げましたとおり、灯油並びに石油製品につきましては十分の在庫が確保されております。したがって、便乗の値上げを抑制していく限りにおきまして国民の期待にこたえ得るものと私は考えております。
 ちなみに、去年の一年前に比べまして、原油の値上がりは八五・五%に当たっておりますけれども、たとえば灯油の場合は五一・五%にとどまっておるということも御指摘申し上げておきます。
 それから、委員長は、スタグフレーションを避けてインフレなき成長を確保するために、物価情勢をどう認識しておるか、そして物価政策としてどのように考えておるかという御質問でございました。
 先ほども加藤君の御質問にお答えいたしましたとおり、私は、いまの物価情勢がかつての狂乱物価の前夜であるというようには見ていないわけでございまして、なるほど、御指摘のように、卸売物価は、大変な海外高、円安のために予想は大きく狂っておりまするけれども、それにもかかわらず消費者物価につきましては、政府の見込みを大きく離れておるわけでは決してないのであります。
 また、全体の物資が上がっておるわけじゃございませんで、生産財が海外高を受けまして値上がりを示している以外は比較的鎮静いたしておりますことは、各界、各層が非常に自重した態度で今日の国際情勢に対処していただいておるためだと見ておるわけでございまして、われわれといたしましては、海外高、つまり私どもの努力でいかんともしがたいものは別といたしまして、これに便乗するような値上げを極力抑えていくことによって物価の鎮静化を図ってまいりたいと考えております。
 また、公共事業の適正な執行を初めといたしまして、先般政府が決めました八項目の物価対策で当面必要にして十分な物価対策になるのではないかと考えております。
 金利並びに通貨供給に関する金融政策でございますが、これは日本銀行当局を信頼いたしまして、その適時適切な対応に期待をいたしたいと考えております。
 その次は、委員長は、年末の物価対策、それから年末対策について数項目の御質問がございましたわけでございますが、政府といたしましては、年末生鮮食料品の供給並びに輸送を確保すること、灯油、LPGの需給と価格の安定を図ること、それから適切な情報を消費者に提供するように昨日も決めたところでございまして、遺憾のないようにやってまいりたいと考えております。
 公共料金につきましては、飛鳥田委員長にもお答え申し上げましたとおり、海外高等、われわれの経営努力でいかんともしがたいものはやむを得ないといたしましても、そういったものでない限りにおきましては、これを極力抑えてまいるという従来の方針は堅持していきたいと考えております。
 それから、倒産対策でございますが、これは緊急融資制度とか信用保険の特例でございますとか、あるいは倒産防止共済制度の活用、それから商工会議所における特別相談等の制度を通じまして、遺憾のないように対処してまいりたいと考えております。
 それから、雇用問題についてのお尋ねでございました。私どもといたしましても、経済政策の最大の課題は雇用を維持、開発することであると承知いたしておるわけでございまするし、とりわけ高年齢化が進む中におきまして、中高年齢者を中心に雇用開発、創出の機会をつくり出していくことがわれわれの雇用政策の眼目でなければならぬと心得ておるわけでございまして、雇用問題政策会議、雇用開発委員会等の活動を通じてこれを推進してまいりたいと考えております。公明党が御主張に相なっておりまする定年延長の法制化問題につきましては、御要請に応じまして、目下雇用審議会に御審議を願っておるわけでございます。
 それから、財政再建問題についての御心配とお尋ねでございました。五十五年度はわれわれといたしましては、財政再建の第一年度にしなければならぬと考えて、いま厳しい財政事情のもとで、鋭意歳入歳出全般にわたりまして見直しをいたしておるところでございますが、一般消費税につきましては、かねて申し上げているとおり、国民の理解が熟していないわけでございまして、国民の協力を得なければこの政策も実を結ぶことにならぬと判断いたしまして、五十五年度の導入はいたさないことにいたしております。
 五十六年度以降をどうするかという問題でございますが、いま竹入委員長も御承知のように、経済はだんだん低成長化しております。社会はだんだん高年齢社会に移行しつつございまして、歳入歳出のアンバランスということはますます拡大することがあれ、これが縮小するということは考えられないような時代になりつつあるわけでございまして、五十六年度以降をどうするかというような問題につきましては、歳入ばかりでなく歳出も含めまして相当思い切った見直しをしなければならないという感じをいま持っておるわけでございまして、具体的なことをいまここで明確にお答え申し上げる用意がございませんで、とりあえず五十五年度の予算案をごらんいただいて、それからひとつ、五十六年度以降の問題につきましてはまた改めて御相談をいたしたいと思います。
 中期財政計画の策定を通じて財政再建はやるべきでないかという御提案でございまして、ごもっともでございます。中期財政計画の作案につきましては、政府においても鋭意検討いたしておりますが、余りにも不確定要素が多いので、御期待に沿うような計画についてまだ成案を得るに至っていないことは御了承いただきたいと思うのでございますが、それまでの間は、試算とかフレームとかいろいろな形におきまして問題を提起して御審議をいただくようにいたしたいと考えております。
 それから、福祉予算をどのように計上していくつもりかということでございますが、これは五十五年度の歳入歳出予算の中でひとつ答えを出していきますので、飛鳥田委員長にも申し上げましたとおり、予算編成過程でまた公明党の御意見も十分拝聴いたしたいと考えております。
 それから、公共事業の生活関連事業への移行と申しますか、比重をそういう方面にシフトしていかなければならぬじゃないか、こういう御指摘でございます。
 これは前々からある論議でございますし、事実、予算案をごらんいただければおわかりのように、漸次そういう方向に、あるいは上下水道でございますとか、住宅でございますとか、公園でございますとか、教育施設とか、社会福祉施設とか、そういう方面にだんだんと重点が移りつつありますことは委員長も御認識いただいておると思うのでございますけれども、なお一層そういう方向へ持っていくようにわれわれとしては努力をいたすつもりでございます。
 それから、国債管理政策についてのお尋ねでございますが、国債市場の状況を見ておりましても、御案内のとおり、何といっても国債発行額をまず減らすことが第一の国債管理政策でなかろうかと考えて、明年の再建第一年度におきましては相当額の減債を実現しなければならぬと考えております。
 またその中でも、発行に当たりまして、全体として経済、金融情勢に即応して、それとの調和を図らなければならぬことは当然でございますが、国債の種類、それから発行方式、そういったものの多様化は今後も精力的に続けていきたいと考えております。また、市場の拡大、個人消化の促進もあわせて努力していきたいと考えております。
 それから次に、日中首脳会談についてのお尋ねでございました。
 日中両国の間には、国交正常化以来、基本条約もできましたし、それから実務協定もほとんど整備してまいりました。貿易も着実に増加してまいりましたし、人の交流も各層にわたりまして大変進んできました。信頼と理解が深まっていることは御同慶にたえないと考えております。
 私といたしましては、こういう段階で首脳間におきまして隔意のない意見の交換を遂げる機会を持つことはきわめて自然なことと考えておるわけでございまして、アジアを中心といたしました世界情勢、それから二国間の諸問題等につきまして率直に先方の首脳と話し合いの機会を持って、彼我の理解を深めていくということに努めたいと考えております。
 竹入委員長の言われる外相定期協議あるいは関係閣僚会合等の設置は考えないかということでございますが、私は、この種の定期的な会合を持った経験にかんがみまして、むしろ随時両国の閣僚の対話が行われる方が望ましいのではないかと考えておりまして、いまそういう定期的な会合を提案するというつもりは持っておりません。
 それから、対中借款につきましては、先ほど加藤君にお答え申し上げたとおりの気持ちで対処したいと考えております。
 それから、インドシナ難民対策でございます。
 委員長からも、大変冷淡ではないかというおしかりを受けたわけでございますけれども、日本の社会は大変閉鎖的でございまして、インドシナ難民と縁を持った方々が少ないわけでございまして、日本に定着しようという希望者が非常に少ないわけでございます。しかしながら、これまでの定着条件、受け入れ条件を緩和いたしまして、定着枠を拡大いたして、各省一致いたしまして、その目標を満たすべくいま努力をいたしておるところでございます。
 しかし、こういうことでは申しわけないと思いまして、われわれといたしましては、国連の難民委員会に対しましては、世界最大の拠出国の一つとして相当の財政的貢献をさしていただいておるわけでございます。今後とも日本といたしましては、その力に応じた協力は惜しみなくやってまいらなければならぬと考えております。
 それから、中部太平洋に海上自衛隊が参加する演習問題でございますが、これは自衛隊の任務遂行に必要な範囲内で行う訓練にすぎないのでございまして、憲法、自衛隊の精神にもとるものでないと私は確信をいたしております。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○玉沢徳一郎君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明三十日午後二時より本会議を開きこれを継続されんことを望みます。
#15
○議長(灘尾弘吉君) 玉沢徳一郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 電波法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
#17
○議長(灘尾弘吉君) 日程第一、電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。逓信委員長小林進君。
    ―――――――――――――
 電波法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔小林進君登壇〕
#18
○小林進君 ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 本案は、海上における人命の安全のための無線通信に関する最近の国際動向に応じて船舶局の無線電話の聴守義務等について所要の措置を定めるとともに、宇宙における無線通信の実用化に対応するため人工衛星局の技術的条件等を整備するため所要の規定を設けるほか、規定の整備を行おうとするものであります。
 本案は、十一月二十七日本委員会に付託され、昨二十八日大西郵政大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑を行った後、討論もなく、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#21
○議長(灘尾弘吉君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十五分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  大平 正芳君
        法 務 大 臣 倉石 忠雄君
        外 務 大 臣 大来佐武郎君
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
        文 部 大 臣 谷垣 專一君
        厚 生 大 臣 野呂 恭一君
        農林水産大臣  武藤 嘉文君
        通商産業大臣  佐々木義武君
        運 輸 大 臣 地崎宇三郎君
        郵 政 大 臣 大西 正男君
        労 働 大 臣 藤波 孝生君
        建 設 大 臣 渡辺 栄一君
        自 治 大 臣 後藤田正晴君
        国 務 大 臣 伊東 正義君
        国 務 大 臣 宇野 宗佑君
        国 務 大 臣 小渕 恵三君
        国 務 大 臣 長田 裕二君
        国 務 大 臣 久保田円次君
        国 務 大 臣 正示啓次郎君
        国 務 大 臣 園田 清充君
        国 務 大 臣 土屋 義彦君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 角田禮次郎君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト