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1979/11/30 第90回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第090回国会 本会議 第4号
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1979/11/30 第90回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第090回国会 本会議 第4号

#1
第090回国会 本会議 第4号
昭和五十四年十一月三十日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第四号
  昭和五十四年十一月三十日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の
   続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑   (前会の
 続)
 議員請暇の件
    午後二時三分開議
#2
○議長(灘尾弘吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
#3
○議長(灘尾弘吉君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。湯山勇君。
    〔湯山勇君登壇〕
#4
○湯山勇君 私は、日本社会党を代表して、昨日の飛鳥田委員長の質問に引き続き、総理の所信表明について質問をいたします。(拍手)
 大平総理は、政治倫理の確立について述べられましたが、航空機汚職そのものについては一言もお触れになりませんでした。まことに遺憾だと存じます。さきの通常国会は、航空機汚職の究明をめぐって与野党が対立し、ついにすべての審議が中断のまま異例の幕切れとなりました。次の臨時国会でも、野党の強い要求を無視して解散の挙に出たものであって、この解散が汚職隠しの解散と言われたのはそのためであります。(拍手)
 したがって、今次総選挙は、この航空機汚職をこのままにしておいてよいかどうか、主権者に問う選挙であったはずでございます。
 金権腐敗の構造汚職は、単にロッキード、航空機汚職だけではありません。五十三年中に、百三十二の自治体で百六十件の汚職が発生いたしております。自治大臣は御存じですか。どうなさるお考えですか、お伺いします。
 さらに、その害毒は教育界にも及んでおります。国立大学教授の収賄も摘発されております。文部大臣は御存じですか。KDDの贈り物もこれと決して無縁ではありません。このような政治、社会環境が青少年の非行、不良化の原因になっていることも見逃すわけにはまいりません。現に、田中元総理が五つの大切十の反省を提唱し、文部省はこれを受けて、青少年の徳性涵養について社会教育審議会に諮問をいたしました。その直後ロッキード事件が起こりましたために、この諮問は五年たった今日なお答申が得られず、たなざらしになっております。文部大臣はどうお考えになっておられますか、お伺いいたします。(拍手)
 このような事実を見、かつ憂えている国民が、総選挙において、航空機汚職を徹底的に究明し、その根絶を図れという意思表示をしたことは当然であり、総理はこれにこたえなければなりません。
 ところが、総理の所信表明は、要約すれば、これから気をつけますということだけであって、これでは国民は承知いたしません。航空機汚職はまだ究明されてはおりません。五億円は賄賂か、政治献金か、だれに渡ったか、何に使われたか、灰色はだれか、道義的、政治的責任はどうなったか、中断されたままになっております。政治の倫理を言う総理は、今後どのように対処されるかを、総理・総裁として国民の前に明らかにする重大な責任があります。(拍手)このことについて、総理の明確な御答弁をお願いいたします。
 このことに関連いたしまして、法務大臣の発言が問題であります。本来ならば、大義親を滅して国民の期待にこたえると言わなければならない法務大臣が、ロッキード被告の青天白日を願うということは、一体どういうことでしょう。(拍手)総理は記者の質問に答えて、法相は基本的な秩序を守る大事な大臣であるから、一番円熟した、老練な、経験豊かな方にお願いしたと言っておられますが、法務大臣は総理の御期待にこたえているとお考えですか。この際、総理は、政治倫理を確立するため、総理自身が大義親を滅し、泣いて馬謖を切ることを身をもって示すべきであります。(拍手)総理の御決意を承りたいのであります。
 次に、文部大臣の選任についてお尋ねいたします。
 昭和四十九年二月八日、本院予算委員会で、私は、当時の田中総理に対して、文部大臣の選任について時間をかけて質問をいたしました。その中で、教育について総理大臣のやらなければならない最も大事なことは、全国民から信頼される文部大臣を選任することである、戦後、教育の大転換が無事にできたのは、当時田中耕太郎、安倍能成、天野貞祐等のりっぱな文部大臣が事に当たったからである、総理はほかのことは何もしなくてよいから、広い視野で、全国民から信頼される文部大臣を選任してもらいたいと申し上げました。
 当時、三木副総理とともに、大平総理は外務大臣としてその席におられたのであるいは御記憶していただいておるかとも存じますが、次の三木内閣の組閣中に、報道の人から、文部大臣はあなたの言ったとおりになりましたよと電話がありました。それが永井道雄文部大臣でした。
 ところが、今回の文部大臣の選任は、昨日飛鳥田委員長から御指摘申し上げたとおり、他党との取引の具に供せられ、任命はおくれ、文部大臣の地位をどん底に落としてしまいました。どのように総理が弁明されましてもこれは事実であり、全国民がそう思っております。あなたのやったことは、教育の軽視と言うよりも、私に言わせれば教育の侮辱であります。(拍手)総理は国民に陳謝し、その償いをする責任があります。その御自覚があるかどうかお伺いいたします。
 谷垣新文部大臣は記者会見で、教科書無償はやめない、米飯給食を拡大する、教員定数の改善は内藤前文部大臣からも申し送りのとき強く頼まれている、予算の白熱化はこれからだと意欲を燃やしていました。いずれも私は賛成です。実現を望んでおります。
 総理は、兼任期間中、文部大臣としての職責を果たしたときのう飛鳥田委員長に答弁されましたが、文部省に一度でも行かれましたか、部下の働いている姿をごらんになりましたか。文部省に一歩も足を入れないで職責が果たせたと言う人に、電話で済ませた空出張をとがめる資格はありません。
 この際、総理は、文部大臣の述べられた意図が達成されるように最大の協力をすることが、教育を軽視していないということを具体的に示す道だと考えますが、その御意思がおありになるかどうか、お伺いいたします。(拍手)
 次に、財政再建についてお尋ねいたします。
 昨日、総理は、竹入委員長の御質問に対して、一般消費税を五十六年度以降どうするかはわからない旨お答えになりました。
 国民が一般消費税に反対しておるのは、単に負担、利害からだけではありません。国民に何の見返りもなく、ただそれが国の借金の穴埋めに使われる、このことへの反発でもあったわけです。
 選挙中総理が、ずいぶんやるかやらないかで迷われたことも、国民はよく知っております。実施するかしないかは総理の決断で決まることです。(拍手)このことで総理の優柔不断は、直ちに政治の不信につながります。
    〔議長退席、副議長着席〕
五十六年度からやるならやる、やらないならやらないとはっきりした御答弁をいただきたいと存じます。
 一般消費税という歳入の大きな柱が倒れ、円安、石油の値上がり、物価等も予想外の変動がありました。
 そこで、本年八月十日閣議決定した新経済社会七カ年計画は、そのままでは通用しないのではございますまいか。どうなさるお考えでしょう。予算編成までに新しい計画をおつくりになるかどうか、いつ、どうされるかをお伺いいたします。(拍手)
 次に、行政改革についてお尋ねいたします。
 歴代内閣で約束しても官僚の抵抗に遭ってできない、こう総理は国会で答弁されました。ところが、今回は蛮勇をふるってやるとか、肉を切って骨に達するようにとか、物騒な表現で決意のほどを表明しております。しかし、このような決意だけで、果たして国民へのサービスを低下させない真の行政改革ができるでしょうか。決意を裏づける、各省全体を見渡した正確な調査と、資料による合理的な説得力のある計画がなければなりません。今日までその点に欠くるところはなかったでしょうか。それをしないで、ただ各省の特殊法人の数に応じて機械的に割り当てたり、省単位でつぶす手持ちがあれば新設を認める、こういうことであればもはや行管の存在の意味はありません。それならば行管は、行管自体をまず廃止しなければなりません。
 肉を切って骨に達するというのであれば、政府みずからの肉を切ることから始めてはいかがでしょうか。(拍手)大臣に一番近い政務次官です。政務次官経験者の中にさえも政務次官廃止論がございます。いまの各省の政務次官は果たして適材が任命されておるでしょうか。そして、政務次官は本当にその任務を果たしているでしょうか。特に二人政務次官のいる省は一人ではやれませんか。総理にお考えを承りたいと存じます。(拍手)
 行政整理というと、私ははいつもあの「日と風」という話を思い出します。お日さんと風とが旅人の外套を脱がす競争をやった。力任せに吹きまくった風が負けて、暖かい日差しを送ったお日さんが勝ったという話です。示唆のある話だと思います。大平総理は、行政改革に当たって風なのか日なのか、心構えのほどをお伺いいたしたいと存じます。(拍手)
 総理は所信表明で特に三Kを取り上げて、思い切った廃止、減額に着手すると申されました。私はその中の米、食糧についてお尋ねいたします。
 最近、米国とイランの紛争で、イランは米国への石油の輸出をとめ、アメリカではイラン向け食糧の禁輸が論議されました。米国としては禁輸はいたしませんでしたが、港湾労働者が荷役を拒否したので、イラン向けの食糧はとまっていると伝えられております。食糧は石油と同様に、いざというときには直ちに戦略物資になることを証明しております。
 日本の食糧自給率は穀物で四〇%、オリジナルカロリーでも大体その程度です。もし食糧の輸入がとまったらどうなるでしょうか。食糧の自給確保は、国の安全と国民生活安定の基礎であることをしっかりと認識するとともに、輸入食糧依存がいかに危険であることかをしっかりと認識しなくてはなりません。総理の御認識はいかがでしょうか、お伺いいたします。
 農林省では、先般、来年の米の減反面積を本年の三十九万一千ヘクタールから、四国と九州の全水田面積に匹敵する五十三万五千ヘクタールに拡大することを、自治体、農業団体の承諾を得て実施することを決定いたしました。いままでは国会においても団体に対しても、三年間、五十六年度までは三十九万一千ヘクタールを固定すると約束していましたのを、約束を破る不信行為をやったのであります。(拍手)
 その理由として、十月末には六百五十万トンの古米ができる、このままでは食管制度は守れない、食管制度を守るためには減反に賛成せよと言うのであります。その上、昭和六十五年には減反を八十万ヘクタールにしなければならないといういいかげんな長期見通しを発表しておどしをかけております。長期見通しは過去三回一度も当たったことはありません。
 言うまでもなく、食管制度は食管法によって運用さ、れております。食管法の根幹は、米の全量を政府が買い上げてこれを管理することであります。その買い上げ価格は、食管法第三条で、「米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」とあります。この趣旨から言えば、再生産をしてはならないとする減反、生産調整は、食管法の趣旨に反するものと言わなければなりません。農林省は減反を合法化するために、再生産は必要量についてであるというような解釈をいたしておりますが、同じように「再生産ヲ確保スル」となっている小麦は一体どうなっているでしょうか。必要量の五%しか生産されておりません。農林省の解釈では、米も麦と同じ運命をたどってもよい、こういうことになってしまいます。(発言する者あり)一体、今日、農林大臣は、食管法が完全に守られていると思われますか。また、再生産についてどのようなお考えを持っておられるか、お伺いいたします。
 農林省の考えは、食管法を破ることによって食管制度を守るというのですから、明らかに矛盾であります。減反を進めるための欺瞞であります。食管法をどうするのか、あわせて農業基本法をどうするか、総理にお尋ねをいたします。
 いま、やじか何かありましたが、米が余るのを解消するにはどうするか、二つの方法があります。一つは、政府のやっておる減反、生産調整です。この道は食糧の自給率を引き下げ、国の安全と国民生活の安定を破壊する道であります。いま一つは、わが党が提唱している、米の消費を拡大して自給率を高め、国の安全と国民生活を安定させる道であります。
 それには、どうするか。エネルギーの問題については閣議で何度も取り上げ、五%の節約を決め、温室栽培を制限したり、通産大臣はそでをちょん切った省エネルックの服をつくらせたり、先日も、暖房は十九度以下で短時間にするというようなことを決めました。米の消費拡大について、閣議でそういうことを決めておりますか。のみならず、消費者米価を引き上げて、逆な方向をとろうとしております。一体、米の消費の拡大について閣議で論議が行われましたか。私は、寡聞にして、一度もそういうことがあったと聞いておりません。食堂に米だけの日をつくったり、役所やあるいは食堂に米飯だけを供給させたり、給食を全部米にするなどなどいろいろな方法はあります。
 要は、まず政府が真剣に取り組むかどうかです。わが党の計算によれば、百万トンの米の消費の拡大のためには、一億人の人が一日に二十七・三グラム、一合の五分の一、小さな茶わんに軽く一杯多く食べてもらえばよいことになっております。できないことではないと考えますが、農林大臣はいかがですか。(拍手)
 戦後の自民党政治で最大の罪悪は、日本農業を破壊したことであるとわが三宅前副議長は慨嘆しておられます。総理は、日本の将来のため、減反政策をやめて、食糧の自給率を高める政策をとるべきであります。総理の御答弁をお願いいたします。(拍手)一大蔵省当局で議出を抑えるために福祉も教育ももはや聖域ではないと言って、老人医療の無料や、児童手当、教科書無償を切り捨て、健康保険法を改正して、患者負担の激増を提案しようとしております。
 総理は所信表明において、「一九八〇年代は、七〇年代にも増して厳しい試練と新たな課題が待ち受けていることが予想される」こう申しておられます。厳しい試練のときにこそ弱い人たちへの福祉を強化することが政治の常道であり、正しいあり方であります。八〇年代を試練の年と考えている総理がこのような暴挙を許すはずはないと信じておりますが、御所信を承りたいと存じます。
 最後に、エネルギーの問題につきましては、昨日、飛鳥田委員長から御質問がございました。わが国のエネルギーがきわめて不安定であることが、ドル以上に円が安い一つの原因であるとも言われております。
 石油資源は可能な限り開発しなければなりません。さきに英国は北海油田の開発に成功いたしております。中国では揚子江流域で良質油の油田を開発したと伝えられております。期待されている尖閣列島の石油を日中共同で開発することについては、わが党の訪中使節団がその門戸を開いてまいりました。五日に総理は訪中されますが、この尖閣列島の石油の調査開発を速やかに進めるよう、その促進方を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(大平正芳君) 湯山さんの第一の御質問は、先般の総選挙におきまして、国民が航空機汚職の徹底的な究明と根絶を求めておると思うが、私の認識はどうかというお尋ねでございました。
 航空機汚職問題につきましては、御案内のように、刑事責任はいま裁判所において問われておりますけれども、政治責任の問題は依然として国会を中心として究明がなされておるわけでございまして、今後もこの解明は続けられていくものと思いまするし、政府もこれに対しまして十分協力していかなければならぬと考えております。
 総選挙に示された国民の意思はきわめて重大であると私も受けとめております。政治倫理の確立は一層急がなければならない緊要な課題であると心得ております。そのため、私の所信表明においても、また昨日の代表質問を通じても明らかにいたしましたように、政治資金の明朗化を初めといたしまして、種々の具体的な対策を早急に進めてまいる所存でございます。
 倉石法務大臣の御真意はみじんも疑うものではありませんけれども、御発言が誤解を招くおそれがありましたことは遺憾でございますので、今後こうした発言は慎んでいただくように注意いたしておるところでございます。
 私は、文部大臣の選任に当たりまして、文相の重責にふさわしい人材を登用すべく努力を傾けてまいったわけでございます。これを軽視する、あるいは政争の具にするなどということはみじんも考えておりません。
 湯山さんは、これに関連いたしまして、教科書無償の堅持、米飯給食の推進、四十人学級の実現などについての私の所信を求められました。
 すべての財政支出について、現在御案内のように厳しい見直しをいたしておるところでございまして、教科書無償給与制度の問題についても、政府部内で現在検討を行っておるところでございます。広く各界の意見に耳を傾け、国民の納得が得られるような形で結論を出したいと努力いたしておるところでございます。
 学校給食への米飯の導入につきましては、年次計画によりその推進を図っておりまして、鋭意計画達成に努めてまいる所存であります。
 義務教育諸学校の学級編制の問題につきましては、国及び地方公共団体の厳しい財政事情を考慮しながら、政府といたしましていま慎重に検討しておるところでございます。(「文部省に行ったことがあるか」と呼ぶ者あり)
 私が文部大臣在任中はきわめて短期日でございましたので、文部省に登庁する余裕はありませんでしたけれども、文教行政の重要性にかんがみまして、これにいささかも支障を来すととのないよう、毎日事務当局を招致いたしまして、必要な報告を受け、必要な指示を与えておきました次第でございます。
 その次の御質問は、財政再建に関連いたしましてのことでございます。
 かねがね申し上げておりますように、五十五年度をわが国の財政再建の第一年度にすべく、いま鋭意努力をいたしておるところでございます。
 五十六年度以降がどういう状況になるかということでございますが、これはまだ将来のことで定かでございませんけれども、経済が低成長に向かっておることは確実でございまするし、高年齢社会の進展を初めといたしまして、歳出需要の増高は避けられないわけでございますので、歳入歳出のアンバランスは拡大こそすれ、縮小する見込みはないと考えております。したがって、五十六年度以降の財政再建の問題は、きわめて険しい課題になってまいろうかと心配をいたしておるところでございます。
 したがって、この問題にどう取り組んでまいるかは、一つの税目を取り上げるか取り上げないかという問題よりも前に、歳入歳出全体につきまして相当思い切った、中長期的な観点から本格的な解明をやっていかないといけないことになるのではないかというのが、いま私の持っておる認識でございます。
 次に、新経済社会七カ年計画を改定する必要があるのではないかというお尋ねでございました。
 本年八月に策定されました新経済七カ年計画は、内外の諸条件の長期的な展望の中で、昭和六十年度の経済の輪郭を描き、中長期の政策の方向、基本的なあり方を示したものでございます。このような中長期にわたる展望のもとに策定された計画を、いま直ちに改定する考えは持っておりませんけれども、最近において円レートの低下が見られましたし、また卸売物価の上昇等が続いておりますので、これらの内外の情勢の動きにつきましては、今後注意深く見守りながら政策の推進に当たりたいと考えております。
 行政改革の進め方について湯山さんは、調査資料の積み上げの中で納得の得られる形で進めるべきであるという御意見を含めてのお尋ねでございました。
 行政改革の立案に当たりましては、当然のことながら、各分野の行政が社会経済の変化や行政需要の動向に十分適応したものとなっているかどうかについて、個別に十分見通しを立てて、適切な、合理的な内容の計画案を策定して実施していくということを基本の方針として据えなければならぬと考えております。
 行政の簡素化、整理につきましては、実際これは実行上むずかしい面もございまして、政府部内においてある種の目標を立てて、これを目安とするというようなことはあり得るかと思っておりますけれども、一律に機械的な基準を定むればそれでよいという安易な考え方はとっておりません。
 政務次官制度を改めるべきでないかという御意見でございました。
 私は、今日任命されておりまする各政務次官は、国会議員として経験と知識をお持ちの方々であり、各省庁におきましても、それぞれ十分その力量を発揮していただけるものと期待をいたしております。
 また、所掌する事務が特に複雑で多岐にわたる省におきましては、政務次官を二人お願いいたしておるわけでございますが、現状から考えまして、これを一人にしぼらなければならぬとは考えていないのであります。
 行政整理、行政改革に当たりまして、旅人の外套を脱がす風でありたいのか、日でありたいのかというお尋ねでございますが、もとより私は、実態を踏まえ、国民の願望にこたえて、実効が上がる行政改革に精進しなければならぬ立場でございまして、お答えはおのずから明らかであろうと思います。
 食糧の自給についてのお尋ねでございました。
 国民に食糧を安定的に供給することが国政の基本であることは申すまでもございません。このため、国内で生産可能なものは極力国内生産で賄うことといたしまして、総合的な自給力の向上を目指して努力してまいりたいと考えております。
 食管法、農基法をどう考えるかということでございました。
 現行の食管法につきましては、法律の規定の内容と現実の実態が乖離いたしておりまして、その是正が必要な面がありますことは明らかでございます。しかし、これを具体的にどのように取り扱うかにつきましては、食管制度全体との関連において検討を進めなければならぬと考えております。
 農業基本法には、農業の生産性の向上等農政の基本的考え方が広範に取り入れられておりますので、いま直ちにこれを改める必要はないと考えております。
 政府は、減反、生産調整によらないで、消費の拡大によって米の問題解決を図る必要があるのではないかという御意見でございました。
 米の消費拡大につきましては、政府も各種の方策を用意いたしまして実行に取り組んでおるわけでございます。しかしながら、国民の食生活の実態は、せっかくの消費拡大の願望にもかかわりませず、米の消費が一向にふるわない現実もまた否めないわけでございます。したがって、米の消費拡大だけで米の需給均衡を図ることは至難のわざであるわけでございまして、各方面の理解と協力を得ながら、米の生産調整を実施して米の供給量を減少させていくことがどうしても必要であると御理解を願いたいと思います。
 湯山さんは、老人医療の有料化、児童手当の廃止、健康保険患者の負担の強化等は絶対に実行してはならないという御見解も含めての御質問でございました。
 わが国の社会保障は、制度的には、たびたび申し上げておるように、国際的に見て遜色のない水準にすでに達しておると思います。今後、高齢化の進行によりまして、現行の給付水準を維持していくだけでも大幅の費用負担が予想されることは想像にかたくないことでございます。したがって、今後社会保障を推進していくに当たりましては、従来にも増して制度の合理化、給付と負担の公平化等を着実に図ってまいる必要があることは御理解いただけるかと思います。
 五十五年度の予算編成に当たりましても、そのような考え方に立ちまして、国民福祉に配慮しながら、制度、施策の適正化を検討してまいりたいと考えております。
 御指摘の老人保健医療制度、児童手当等の問題につきましては、政府部内で現在検討を行っておるところでございますが、広く各界の意見をお聞きし、国民の御理解が得られるような形で結論を得るよう努力しておるところでございます。
 また、健康保険改正法案につきましては、国会の御審議をお願いし、その早期成立を図りたいと考えております。
 次に、尖閣諸島石油共同開発の促進が図れないかという御質問でございました。
 わが国を取り巻く資源環境にかんがみまして、わが国といたしましても、尖閣諸島周辺を含む海域における石油の資源開発には大きな関心を持っております。しかし、この海域の石油開発に関しましては、その踏むべき手順といたしまして、まず、日中間で大陸棚の境界画定につき話し合う必要があります。今後、日中間の境界画定問題等について中国側と意見交換を行った上で、共同開発の問題も含め、慎重に対処してまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣後藤田正晴君登壇〕
#6
○国務大臣(後藤田正晴君) 私に対する御質疑は、地方団体の綱紀の乱れに対して、自治大臣はどう考えておるのか、こういう点でございましたが、御指摘のように、五十三年度の汚職事件は、件数で百三十件、関係職員二百八十八名の多きに上っております。まことに心を痛める、憂慮すべき事柄である、かように考えておるわけでございます。
 もちろん、この種の事案といいますのは、いわゆる探知犯でございます。したがいまして、捜査力との相関関係にございます。したがって、あらわれてきた数だけでにわかに判断することはできないのでございます。問題は、暗数がどうなっておるか、こういうことであろうと私は思います。そういう点を考えました場合に、最近の状況を見て、これまた、私は実態は憂慮すべき状況にあるのではないのかという推測をいたしておるわけでございますが、まことに遺憾でございます。
 この点につきましては、やはり地方自治に対する住民の信頼そのものの根底を揺るがすということになりまするので、こういう点につきましては、自治省といたしまして、これが防止の対策を従来とも講じておるわけでございます。しょせんはやはり自治体の長並びに職員各位の個人個人の自覚の問題、心をどう戒めるか、こういう問題にならざるを得ないと私は思いますけれども、自治省といたしましては、その自覚を促すために、具体的に起きた事件についての状況、なぜそういう事件が起きたのかといった背景あるいは防止のためにとられた手段、そういったことを自治体に私どもとしてはお知らせをして、そしてあらゆる機会をとらえて職員の皆さん方に十分それを教育の場で教えていただくということ。さらにはまた、組織、機構の面で相互牽制の組織、機構を打ち立てるということ。もう一つは、やはり危険な職場に長く在職させるということを避ける、あるいはまた新規採用の際の性格調査とか、こういった人事管理の面について十分留意をするように、自治省としては地方団体とも相協力しながら、今後こういった事案の防止に努力を重ねてまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣谷垣專一君登壇〕
#7
○国務大臣(谷垣專一君) 湯山先生からの私に対しまする御質問は二つあったと思います。
 一つは、汚職等の問題が教育界に聞こえるけれども、知っておるのか、どうするつもりだ、こういうことでございます。
 言うまでもございませんが、ことに教育関係の職務に従事しております者は、常に自分の使命をよく自覚をして、姿勢を正して、社会から信頼を受けるような努力を続けなければならないと考えております。
 従来から文部省は、そういうことにつきましても、それぞれ関係の方面に注意を喚起しておりますが、御指摘がありましたような事案が、数はそう多くはございませんとは言いつつ、ありますことは、まことに遺憾なことでございます。私といたしましても、当然に教育関係者の綱紀の保持につきまして、重ねてその趣旨の徹底を図ってまいりたい、かように考えております。
 御質問の第二点は、社会教育審議会に諮問をした青少年の徳性の涵養という問題がたなざらしになっておるがどうしたことか、こういう御指摘であったと思います。
 しばらくの間確かに時間がかかっておりますが、昨年の九月以来、審議会におきましては、小委員会あるいはそのための委員会を特に開いていただきまして、すでに十七、八回の審議を重ねていただいております。答申案の骨子につきまして、鋭意努力をしていただいておりまするので、期待をいたしておる次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣武藤嘉文君登壇〕
#8
○国務大臣(武藤嘉文君) 湯山先生にお答えをさせていただきます。
 その前に、今度の水田利用再編対策の転作目標の数量の改定に当たりましては、先ほど御指摘のとおり、三年間は原則的に固定をするという形になっておりまして、それを変更せざるを得ないということに対しましては、まことに申しわけなく思っておる次第でございます。
 しかしながら、現在、先ほど御指摘のように、米の在庫が六百五十万トンに達したというこの現実の事態を踏まえますと、将来食管法の根幹を揺るがすことにもなりかねない状況だと思いまして、皆様方の御理解を得たいということでお願いをいたしておるわけでございます。
 次に、食管法における米の再生産確保の趣旨の問題でございますが、これは先ほども御指摘のように、私どもは、やはり国民の消費に必要な量、これだけは直接的な方法で買い上げるということでございますが、それ以上の分につきましては、現在のように生産調整をやるということについては食管法の違反とは考えていないので、御理解をいただきたいと思います。
 なお、米と麦につきましては、御承知のとおり、米については直接統制、麦についてはある程度間接的な方式をとっておることも先生御承知のとおりでございますので、そういうことで御理解をいただきたいと思います。
 しかしながら、今回のこの水田利用再編対策におきましても、日本に必要とする小麦その他の食糧についての自給率をより高めていくということも含めて、水田利用再編対策はやらせていただいているわけでございまして、ぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 次の問題は、米の消費の拡大についてもっと努力をすべきではないか、それはどう考えるかという御指摘であったかと思います。
 確かに、いま国民の一人一人が大体一日に御飯を茶わん半分ぐらいを食べれば、御指摘のとおり百万トン増加することは確かでございますが、食生活その他生活様式が変わってきておりまして、その中で、より米の消費を拡大をするために私どもとして努力をしていかなければならないのは当然でございまして、今後とも、そういう意味においてより啓蒙宣伝に努め、また、学校給食等においてもより多くの米食の増加に協力を願い、またあわせて、国民の皆様方によりおいしい米が安定的供給ができるように努力をしたい、こう考えておりますので、どうかよろしく御理解をお願いしたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○副議長(岡田春夫君) 金子満広君。
    〔金子満広君登壇〕
#10
○金子満広君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、当面する国政の重要問題について内閣総理大臣にお尋ねをしたいと存じます。
 私は、総理の所信表明を注意深く聞きました。しかし、残念ながら、そこには総選挙での自民党に対する国民の厳しい審判を謙虚に受けとめる態度がなく、従来型の路線の延長を表面上の低姿勢で粉飾したものと言わざるを得ません。
 そこで、まず私は、総選挙の結果と大平内閣の政治姿勢についてただしたいと思います。
 八〇年代の日本の進路を国民に問うた総選挙から、早くも五十日余が経過をいたしました。しかし、この間、大平総理と自民党は、まじめな政策論争とはおよそ縁のない、国民不在の醜い権力抗争に明け暮れたのであります。そのため重大な政治空白をつくり出してきたことは、国民がひとしく指摘しているところであります。
 この選挙で、国民は、いわゆる安定多数を目指した自由民主党の増税の押しつけ、福祉の切り捨て、汚職隠し、財界、大企業奉仕の基本政策に、はっきりと拒否回答を与えたのであります。ところが、総理は「公約を実行することが私の責任のとり方だ」とがんこに主張して、総理の座に居座り、総理になるや「国民の意思を誠実に受けとめる」と述べました。誠実に国民の意思を受けとめるなら、国民の拒否した増税などの公約は捨てるべきであります。「公約を実行する」とは一体どういう内容の公約を実行するのか、よくわかるように説明していただきたいと思います。(拍手)
 次に、第二次大平内閣の政治姿勢についてであります。
 総理、あなたが自民党内で多数を占めることができたその背景に、金権腐敗の典型とも言うべきロッキード事件の田中角榮元総理の強力な後押しがあったことは天下周知の事実であります。これこそ第二次大平内閣の性格を浮き彫りにしたものだと私は思います。
 しかも、見逃すことのできないのは、法務大臣が、事もあろうに、ロッキード事件関係者が青天白日になることを念願すると発言したことであります。検察庁がロッキード事件についてその犯罪の立証に努めているときに、検察を指揮監督する任にある法務大臣のこのような公式発言は、その職責に照らして絶対に許せないことであり、法務大臣の資格に欠けるものと断ぜざるを得ません。(拍手)総理が本当に綱紀粛正を行うということであれば、注意などで済む性質の問題でないことは明らかであります。倉石法務大臣を罷免すべきでありますが、責任ある答弁を求めたいと思います。
 なお、総理は「国民の非難を招く事件については厳正な処分を行う」ということを述べましたが、この点で、倉石問題ともあわせ、国際電電不正事件や選挙違反や脱税などで国民の疑惑と非難を受けている閣僚については、世の人の批判を受け流し、開き直らずに、みずから厳正な措置をとるべきであると考えますが、総理の決意のほどを改めて伺いたいと思います。(拍手)
 次に、国民生活と財政、福祉、エネルギー問題についてただしたいと思います。
 改めて指摘するまでもなく、国民生活と日本経済はますます深刻な事態を迎えております。大企業が史上空前の利益を謳歌しているのに、他方では、中小企業の倒産は月千件以上が連続五十カ月に及び、ことしの十月にはついに千五百件の大台を超えるに至りました。また、完全失業者も依然百万人台の高水準を続けているのであります。さらに、物価は、卸売物価の前年比一五%を超える急騰がいよいよ消費者物価に波及し、狂乱物価が再現されようとしています。このとき、いま厳しく問われているものは、国民生活、中小企業、農業を守る経済政策か、それとも従来どおりの財界、大企業本位の政策ということか、その問題であります。
 ここで最大の問題となるのは、一般消費税など国民に対する増税の問題であります。
 あの総選挙の中で、この一般消費税は痛烈な国民の非難にさらされました。自由民主党の少なからぬ諸君も反対を口にせざるを得なかったほど、国民から明確に拒否されたのがこの一般消費税であります。にもかかわらず、総理が所信表明でこの一般消費税に一言も触れなかったのは、きわめて重大であります。
 しかも、政府は昨年十二月以来、三回にわたる一般消費税導入の閣議決定を今日なお取り消しておりません。自民党も今年一月の党大会決定を取り消していないのであります。さらに、竹下大蔵大臣は就任早々、五十六年度以降間接税を中心に増税したい、一般消費税もその有力な一つだと述べております。加えて、自由民主党は、総選挙後の特別国会では、全国から新たに寄せられた百六十七万人に上る一般消費税中止を求める請願の採択に反対をして、これを葬り去ったのであります。
 総理は、昨日の答弁で、五十五年度中は導入しないが、五十六年度以降相談したいと述べました。それならば、五十六年度以降については一般消費税導入をあくまで行うというのですか、あいまいさを残さずに、この際、この問題では明確に答えていただきたいと思います。(拍手)すでに、日本共産党・革新共同は、いかなる形のものであれ、将来にわたって一般消費税の新設、導入に反対する決議案を本院に提出しておりますので、このことをも踏まえて答弁を求めるものであります。
 次は、財政危機の打開についてであります。
 いま政府、財政当局は、財政再建に名をかりて、来年度予算で老人医療の有料化、児童手当の廃止、また教科書の有料化、さらには四十人学級の見送りなどを計画しています。そしてさらに、国鉄や郵便料金、健康保険料などの大幅値上げをもくろんでいることも周知のことであります。このようなやり方が国民生活をますます圧迫し、日本経済と財政危機を一層深刻にすることは明らかであります。
 今日の財政危機は、政府が不公正税制を温存をして、国債を乱発して、大企業のために湯水のごとく財政資金をつぎ込んだためにつくり出されたものであります。この仕組みにメスを入れない限り、財政危機を打開することは絶対にできません。
 危機の打開は、第一に、大企業、大資産家優遇税制を一掃することであります。租税特別措置法の抜本的な改正はもちろんのことでありますが、大企業の利益隠しのための莫大な各種の引当金など、法人税法それから所得税法の本法に立ち入った税制改革を行うことが急務であります。
 第二は、一機百億円もする、しかも疑獄がらみのロッキード社のP3Cとかグラマン社のE2Cとかダグラス社の、しかも最近あの欠陥戦闘機で指摘をされておりますF15などの大量の購入を初め、憲法を踏みにじって膨張してきた軍事費を大幅に削ることであります。このことはすでに国民多数の声となっていることを改めて指摘をしておきます。
 第三は、鉄建公団、国際電電を初め、百十一に上る特殊法人の組織と運営の抜本的な改革、さらに公安調査庁の廃止、防衛庁の定員削減など民主的な行政改革を積極的に行うことであります。
 以上の三つの点を実行するならば、四兆円から五兆円に上る新しい財源を確保することができるのであります。これこそが今日の財政危機を打開する具体的な、しかも抜本的な道筋であると信じますが、総理のこの改革への決意を伺いたいと存じます。(拍手)
 さてここで、私は、社会福祉の問題、特に総理も所信表明で言われました高齢化社会の問題について触れたいと思います。
 現在、わが国は六十歳以上の方々が千四百万人を超えています。総人口の一二・六%に達しています。この長寿は国民として大いに喜ぶべきことであります。しかし、いまこの高齢者の生活の実態は、決して長生きしてよかったと言えるような状態になっておりません。現に三十九万人の寝たきりの老人を初め、医療、年金、社会福祉、住宅、そして仕事など、未解決の問題はお年寄りの肩に重くのしかかっているのであります。まさに老後保障の総合的な確立は八〇年代に課せられた国民的責務であり、現行の福祉水準を後退させるなどということは言語道断であります。福祉の向上は、政治が追求しなければならない人類普遍の義務的課題であります。この見地に立って、さきに日本共産党・革新共同は、老後保障問題を総合的に検討し、その対策を確立するため、老後保障問題特別委員会を国会に設置するよう提案したのであります。
 総理は、福祉の向上を切に求めている全国のお年寄りにこの演壇から、今後どのように対処していくのか、具体的に答えていただきたいと思います。(拍手)
 さらに、体の不自由な方々の問題でありますが、周知のように、再来年は国連決議に基づく国際障害者年であります。政府はこれを機会に、わが国の立ちおくれている障害者、障害児対策を抜本的に改善するため、障害者の参加を保障した具体的措置を政府の責任で至急確立すべきであると考えますが、総理の所見を伺いたいと思います。(拍手)
 次に、エネルギー問題についてただします。
 大変厳しい冬を迎えようとしているいま、国民の不安は、灯油の確保を初め、エネルギー問題に集中しております。エネルギー危機を抜本的な方向で打開するため、その政策の転換が求められておるのでありますが、周知のように、かつて七割を超えていたわが国のエネルギーの自給率は、この二十数年来、政府の石炭の取りつぶし、石油依存の政策のもとに、世界に類を見ないほど急速に低下をしてまいりました。ついに一割を割っております。現在、エネルギーの総使用量の七割以上が石油でありますが、その大半はアメリカを中心とする国際石油資本、メジャーによって支配されているのであります。今日、わが国経済と日本国民に重大な打撃を与えている原油価格の高騰や供給量の削減も、石油メジャーの暴利追求と国際的な投機が原因であることは、ホワイトハウスの秘密報告でも指摘しているとおりであります。エネルギーの自主的供給基盤を崩壊をさせ、わが国のエネルギーの供給と管理を利潤本位のメジャーと大企業、大商社に任せてきた歴代自民党政府の責任が改めて問われているのであります。
 いま政府のとるべき第一の対策は、石油が国民生活と日本経済にとって不可欠の存在となっており、その価格が他のすべての公共料金以上に公共的な性格を有するに至ったその現実に立って、石油をメジャーと大商社、大企業の投機の対象とさせないための具体的な措置を講ずることであります。石油元売り各社、大商社の輸入契約の公開、原価を含む経理の公開の義務づけに踏み切るべきときであると考えます。すでに灯油は一かん千二百円を超えている地域が出ております。この便乗値上げはやめさせなければなりません。
 総理は、昨日の答弁で、問題は数量よりも価格だ、このように述べましたが、まさにその価格を抑えるためには、石油需給適正化法と買占め売惜しみ防止法、この二法の発動をこそすべきであります。
 そして、第二に必要なことは、アメリカに追従した中東外交姿勢を根本的に改めることであります。
 大来外務大臣の、イランが輸出禁止したアメリカ向け原油を日本は買うべきでない、こういう対米従属発言というのは、日本の石油確保を一層困難に陥れるものと言わざるを得ません。産油国を敵視するこのような姿勢を直ちに改めて、平等互恵の経済関係をこそ打ち立てるべきであると考えます。
 第三に、二千万トン維持に限定した国内の石炭政策を改めて、保安を確立し、労働条件の向上に留意しつつ、閉山鉱を含むすべての鉱区の再調査と、国の責任による抜本的な安全採掘技術の開発とともに、国内の石炭産業の復興に踏み出すことであろうと考えます。
 以上の三点について、総理の所見を求めるものであります。
 次に、国民の怒りがいま集中している国際電電、鉄建公団など特殊法人の不正事件及び航空機疑獄問題などについて、その解明を具体的に求めて質問をいたします。周知のように、鉄建公団の公金流用による裏金づくり、不正経理事件の表面化に端を発した行政機関の不正、腐敗は、大蔵省から防衛庁、防衛庁から環境庁などの中央諸官庁、そして国際電電から電電公社、住宅公団、中央競馬会などの特殊法人へと次々に広がり、いまや底なし沼のような状況を呈しております。
 まじめに働く国民とその生活実態から本当にかけ離れた一連のこれらの事件は、長期にわたる自民党政治のもとで培われてきたものであります。政界と財界と官界の悪質きわまりないこの癒着構造の実態を浮き彫りにしたこれらの事件、これは全く民主政治とは相入れないものであります。
 そこで、私は、次の諸点について具体的な提起を行いながら、総理の見解を聞きたいと思います。
 まず第一は、不正、腐敗事件をなくすためには、何よりもその全容を徹底的に解明し、国民の前に公表すべきであります。贈収賄や不正事件に関係した政治家及び関係者の氏名とその内容、これを政府として独自に調査し、公表することであります。これが第一です。
 第二は、国会での真相解明のために、自民党は証人喚問に応じることであります。
 第三は、現在百十一を数える特殊法人の予算、決算を国会の承認制にするとともに、会計検査院の権限を強化することであります。
 そして第四は、政界、財界、官界の癒着のベルトになっている高級官僚の特殊法人への天下りを厳しく規制することであります。同時に、この特殊法人の役員の常軌を逸したあの給与、数億円に上る退職金などを速やかに是正をしなければなりません。
 以上の具体的な提起について、これを速やかに実行する意思があるかどうかを伺います。(拍手)
 さらに、航空機疑獄事件を徹底的に究明することは言うまでもありませんが、汚職政治を本当に一掃するためには、次の三つの措置を法的に確立すべきであると考えます。
 その一つは、企業、団体からの政治献金を一切禁止することであり、献金は個人に限定することであります。その二は、贈収賄事件に対する公訴時効の期間を大幅に延長することであります。その三は、国民による行政監視を強化するため、情報公開法を制定することであります。
 この三つは金権、腐敗政治をなくす上で決定的な意義を持っていることを強調して、総理の見解を求めたいと思います。(拍手)
 さらに、総理は所信表明で、政治倫理の確立に関連をして、金のかからない選挙制度ということに触れました。しかし、金のかかる選挙をどの党がやっているかは国民がよく知っているのであります。(拍手)もしこのことを理由にして小選挙区制を導入するというのであれば、事は議会制民主主義の根幹にかかわる重大問題であります。大平総理は、今年一月三十一日の参議院本会議でのわが党の宮本委員長の代表質問に答え、小選挙区制を持ち出すようなことは考えておりません、このように明確に答弁をしておりますけれども、この態度は今後とも変わりないのか、この際、しっかり確認をしておきたいと思います。(拍手)
 最後に、私は、わが国の安全と世界の平和の問題について若干の質問をしたいと思います。
 総理は所信表明で、日米関係の維持を基軸として国際社会に対応していくという従来の方針を繰り返しましたが、八〇年代を前にした今日の国際情勢の流れは、親米、反共独裁政権の相次ぐ崩壊であります。そして、平和と民主主義、非同盟、中立勢力の急速な前進ということであります。ところが、この世界の大勢に反して、政府は対米従属の日米安保条約の危険性を一層増大さしています。私は、このことを踏まえて具体的問題で質問をいたします。
 まず、環太平洋合同演習に自衛隊が参加するという問題であります。
 去る十月二十三日、海上自衛隊幕僚長は、来春、中部太平洋で実施されるアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド四カ国海軍による環太平洋合同演習へ自衛隊が参加することを明らかにしました。これは日米安保条約締結後初めての重大事態であります。
 この合同演習とは一体何ですか。それが環太平洋地域の有事の際の集団的軍事干渉態勢の確立を目指したものであることは明瞭であります。この環太平洋合同演習への自衛隊の参加は、戦技訓練、つまり戦争技術の訓練だということが言われておりますが、この合同演習は明らかに日米共同作戦と自衛隊の行動区域を一気に太平洋全域にまで広げるものであり、海外派兵そのものであると言わざるを得ません。まさにこの環太平洋合同演習は、集団自衛権の名による共同作戦への参加を前提としたものであります。
 政府は、これまで憲法上集団自衛権は禁止されていることを一度ならず国会で答弁してきましたが、私は、この憲法違反の合同演習への自衛隊の参加計画を取り消すよう強く要求し、総理の所見を伺いたいと思います。(拍手)
 次に、在日米軍基地とアメリカの中東作戦との関係についてただしたいと思います。
 わが国の横須賀を母港とした米第七艦隊がいまインド洋、アラビア海に出動していることが広く報道されています。しかも、その出動が、カーター大統領がイランへの軍事介入を示唆しているもとで行われていることはきわめて重大であり、安保条約の危険性を改めて国民の前に明らかにしています。
 政府は米第七艦隊のこのような出動をどう考えているのか。もしこれを容認するならば、日本はアメリカの中東への軍事脅迫に加担していることになるのであります。日本と中東諸国との友好促進を願い、平等互恵の原則に基づくエネルギー問題の新しい解決を望むものであれば、総理は、当然、中東諸国へのアメリカの軍事行動に在日米軍基地を使用させないことを内外に宣言し、アメリカ政府にその旨厳重に申し入れるべきであります。総理の責任ある見解を求めます。(拍手)
 外交問題の最後に、総理の中国の訪問に関連して一言ただしておきたいと思います。
 中国政府は、この春ベトナムに対し武力による侵略を行いましたが、その後もベトナム再侵略もあり得るとの言明を繰り返し、最近十一月に入ってからも外交当局者が第二次懲罰なるものを示唆しているのであります。こうしたとき、総理は訪中して経済援助を約束することを言明いたしましたが、いま再侵略の動きがあるとき、このことを不問に付したまま、ただ援助をするということであれば、それは中国のベトナム再侵略を事実上日本政府が激励することになると考えます。
 総理が真にアジアの平和を望むなら、訪中に際し、日中平和条約でも確認している、いずれの地域においても覇権を求めるべきでないとの条項に照らして、このような中国のベトナムに対する再侵略発言と干渉を中止するよう率直に中国政府に申し入れるべきであります。(拍手)
 また、すでに日本とベトナムの外務大臣との間で合意しているベトナムに対する援助は、国際的義務でありますから、遅滞なくこれを実行に移すことが日本政府としてとるべき態度であると考えます。これがアジアの平和に通ずる道であります。総理の明確な答弁を求めます。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(大平正芳君) 金子さんの最初の御質問は、私が首班指名を受けるに当たりまして公約の実行が私の責任のとり方であると言ったが、私の言う公約は総選挙で国民の拒否に遭ったではないかという御意見でございました。
 自由民主党が公約を掲げて先般の総選挙に臨み、二千四百万を超える方々の熱心な支持をいただいたわけでございまして、われわれが掲げました公約につきましては、自由民主党として可能な限りその実行に当たらなければならない政治責任があることは当然だと考えております。
 所信表明で私が国民の意思を誠実に受けとめると申し述べた趣旨は、国民は政策の選択を自由民主党一党だけに頼るのではなく、自由民主党が謙虚に、政治的立場を異にする方々とも十分な話し合いの上、国民本位の政治を行うべきであるという国民の意思、その意思は誠実にこれを受けとめなければならないということを私は申し上げたわけでございます。御理解をいただきたいと思います。
 それから第二に、綱紀の粛正に関連いたしまして、倉石法相の発言が取り上げられました。倉石法相の真意はいささかも疑うものではありませんけれども、誤解を招くおそれのある御発言は慎んでいただかなければなりませんので、その旨御注意申し上げたわけでございます。
 また、国際電電問題、数々の選挙違反問題、その他多くの問題につきまして、綱紀を正してまいらなければならぬことは当然の責任でございまして、これにつきましてはえりを正して対処してまいりたいと考えております。
 財政再建の問題について金子さんは言及されたのでございます。とりわけ、五十六年度以降の財政再建と一般消費税の導入問題についてただされたのでございます。
 先ほど湯山さんの御質問にもお答え申し上げましたように、五十六年度の財政状況というのは、私は大変厳しくなるものと予想いたしておるわけでございまして、一つの税目の採否というような問題を取り上げる前に、財政全体を、歳入歳出全体を根本的に見直さなければならぬような重大な局面に逢着せざるを得ないと考えておると申し上げたわけでございまして、そういうことの解明から取り上げなければならぬ環境になるのではないかということをいま考えておるということをお答えとして申し上げておきたいと思います。
 それから、金子さんは、財政再建に関連いたしまして、老人医療の有料化、児童手当の廃止、教科書の有料化、四十人学級の見送り、公共料金の値上げ等を絶対避けなければならぬという趣旨の御意見を込めての御質問でございました。
 財政再建は申すまでもなく緊急な課題でありまして、五十五年度予算におきまして、すべての財政支出について厳しい見直しを行いまして、再建の第一年にしたいと考えております。したがって、今後社会保障等を推進していくに当たりましても、従来にも増して、制度の合理化、給付と負担の公平化等を着実に図っていく必要があると考えております。したがって、御指摘のような問題につきましては、現在慎重に検討を進めておるところでございますが、広く各界の意見を聴取し、国民の御納得が得られるような形で結論を出してまいる所存でございます。
 租税特別措置についてのお尋ねでございました。
 租税特別措置につきましては、金子さんも御承知のように、毎年これを見直しておるわけでございまするし、また、租税特別措置でございませんけれども、法人等の引当金等の是正につきましても検討を進めてまいったところでございますけれども、本年度はこういう厳しい財政事情でございますので、利子配当の総合課税移行のための具体的措置を講ずるほか、企業内の租税特別措置につきましても、抜本的な見直しを行うべく、いま精力的に検討を進めておるところでございます。
 また、引当金は、特別措置と言いがたいもので、課税所得の合理的な計算の仕組みでございますけれども、これにつきましても、繰入率等につきましては厳重に見直していきたいと検討中でございます。
 それから、防衛費の削減についてお尋ねがございました。
 防衛費も一般の国費と同様に厳重に査定をいたして、国民の納得のいく規模で計上をいたしたいといませっかく検討中であることを御承知願いたいと思います。
 行政改革について、特殊法人の組織と運営についての抜本的な改革について言及がございました。
 特殊法人のあり方につきましては、時代の趨勢に即応いたしまして最も効率的なものにしなければならぬことは当然であると考えております。これまでも諸般の整理合理化や新設抑制をとってきたところでございますけれども、今日のような状況にかんがみまして、この際かなり思い切った整理、合理化を行いたいと考え、十一月九日の閣議におきまして、現在、政府部門において鋭意具体的な整理、合理化を進めるに当たりまして、年内にまず計画を決めて順序正しく実行に当たるよう指示いたしたところでございます。
 公安調査庁、防衛庁等の定員削減等につきましての御意見でございますけれども、こういった各省庁につきましても、人員の問題につきましては他と同様に削減をお願いするようにいたしたいと考えております。
 高齢化社会に備えて医療、年金、住宅、定年制を含む老齢保障の総合的な対策を図るようにという御質問でございました。
 確実に到来が予想されておりまする高齢化社会に備えるためには、住宅対策、雇用対策、社会保障を初め総合的に推進する必要があることは申すまでもございません。
 社会保障につきましては、すでに申し上げておりますように、国際的に遜色のない水準には達しておりますものの、将来の世代が過重な負担の増高を来さないように、制度の効率化に配慮しながら制度の適切な運営に努めてまいりたいと考えております。
 それから国際障害者年についてのお尋ねでございました。
 これはただいま開催中の国連総会におきまして具体的なプログラムが決まるものと承知いたしております。その決まりを踏まえて、政府としてもこれに取り組んでまいりたいと考えております。
 エネルギー対策につきまして、石油の価格政策についてのお尋ねでございました。
 私は、第一に、たびたび申し上げておりますように、石油の価格政策としては、需給の均衡を図るように全力を挙げるということが価格政策の基本だと考えております。
 第二は、市場原則を可能な限り尊重してまいるということでなければならぬと考えておりまして、伝家の宝刀である公的権力がむやみに介入することは価格政策の上で必ずしも適切ではないと考えておるわけでございまして、当面、われわれの価格政策で今日まで円滑に推移してきておると思っておりまするし、いまこれを改める意図は持っておりません。
 中東政策についてのお尋ねでございます。
 中東地域とわが国は資源の供給関係あるいは相互依存関係がございまするし、中東の世界政治、経済における立場というものも十分踏まえた上で、中東の和平達成、中東諸国に対する経済技術協力等につきましては、わが国としても、わが国の国力に応じて十分協力していかなければならぬと考えておりまして、アメリカはアメリカの立場でおやりになるわけでございましょうが、日本は日本の自主的な立場において、今後政策を展開してまいるつもりでございます。
 石炭対策につきましてのお尋ねでございます。
 代替エネルギー問題が非常に大事な課題になっておりますことは御指摘のとおりでございますが、わが国の国内炭政策は、当面二千万トン出炭を目標といたしまして万般の政策を実行いたしておりますが、いま若干二千万トンを割っておりますけれども、われわれとしては、この目標は何としても達成いたしたいと努力を続けてまいるつもりでございます。
 採炭技術につきましても、生産性の向上とあわせまして、安全の確保を図るため、政府助成のもとに、急傾斜炭層等における採炭掘進、運搬の機械化等にも努力をいたしておるところでございます。
 特殊法人、中央官庁等の不正、腐敗に対する措置でございますが、仰せのように、事態の徹底した解明がまず第一でございまするし、それを踏まえた上で、責任者の処分を厳正にやらなければなりませんし、厳正な指導、監督も行ってまいらなければならぬと考えております。
 国会における証人喚問の問題は、国会の問題として各党の間でお話し合いを願いたいと思います。
 特殊法人の予算を国会の承認を求めるようにしてはどうか、財政民主主義の立場から、飛鳥田委員長からも同様の御意見を拝聴いたしたわけでございます。
 公団、事業団の予算、決算につきましては、今日まで、国会の直接の議決にかかわらしめることなく、主務大臣の認可、承認等によることといたしておりますけれども、公団、事業団の業務及び会計につきましては、種々の機会に国会の御審議をいただけるものと考えますので、特に現在の仕組みを改めることは考えておりません。
 会計検査院の権限の拡大でございますが、今日までも、会計検査院がその任務を十分に果たすことができますよう政府は協力してきたつもりでございますけれども、今後ともこの方針に従って対処してまいるつもりでございます。
 高級公務員の天下り規制、これは金子さんも御承知のように、昭和五十二年の暮れの閣議決定ですでにその基本が示されておるわけでございますので、これを忠実に遵守して御期待にこたえたいと考えております。
 特殊法人の役員の給与、退職金でございますが、これは御案内のように、去年もことしも改定を見送ることにいたしております。退職金につきましては、昨年四月から二割の引き下げをしたと聞いておりまするけれども、現在、人事院になお官民の格差等について御調査を願っておりますので、その結果を踏まえた上で適切な処置を講じたいと考えております。
 汚職政治一掃のために企業献金を禁止してはどうかということでございますが、企業も社会的な存在である以上、その献金をとめるわけにはまいりませんけれども、漸次これを個人献金に振り向けるような努力は怠ってはならないと考えるものでございます。
 贈収賄の時効期限の大幅延長問題、これはわれわれといたしましても、こういう公訴時効期限の延長問題は取り上げて国会の御審議をいただくようにいま検討を進めておるところでございます。
 情報公開法の制定につきましては、すでに官庁のもろもろの情報が、公示、閲覧、白書、いろいろな形で、いま国民の知る権利にこたえておるつもりでございますけれども、情報公開法を制定するにつきましては、企業秘密との関係あるいは公務員の守秘義務との関係等、いろいろな観点から、十分検討しなければならぬ問題を含んでおりますことでございますので、十分広い見地から検討させていただきたいと思います。
 小選挙区の問題でございますが、私は、選挙区制のあり方の問題は、選挙のルールでございまして、各党共通の土俵づくりの問題でございますので、政府からとやかく提言を申し上げるのは適当でないと考えております。国会におきまして、各政党が緊密な連携をとられながら、その論議の動向を踏まえて、政府としてこれに協力してまいるという姿勢でいきたいと思いますので、小選挙区制をわが政府として、政府のイニシアチブにおいて提案するというようなことは考えておりません。
 それから、今回南太平洋におきまして、海上自衛隊の演習参加の問題を取り上げられましたけれども、これは単なる戦術技量の向上を目的とした訓練でございまして、海外派兵の道を開くというようなものでないことを御承知願いたいと思います。
 第七艦隊の移動につきまして、安保条約の適用地域との関連においてのお尋ねでございました。
 随時わが国の施設、区域に寄港することのある艦船が、わが国を出港後、どういう地域、どこをどう巡航するかということは、安保条約の適用の拡大を意味するものとは考えておりませんことを御承知願いたいと思います。
 それから、中国問題でございますが、私は近く中国に参りまして、首脳と隔意のない意見の交換を遂げてまいるつもりでございます。仰せのように、アジアの平和と安定を願う立場から、インドシナをめぐる紛争が、早急に、平和裏に解決されることを強く私も希望いたしておりまして、今後ともASEAN諸国等と協調しながら、できる限り外交努力を図ってまいりたいと思います。
 わが国としては、中国の行動が覇権であるか否かという観点からではなく、紛争をあくまでも平和的手段によって解決されるべきであるとの立場から自重方を求めておるわけでございます。
 また、本年度の対越援助につきましては、目下鋭意検討中でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○副議長(岡田春夫君) 佐々木良作君。
    〔佐々木良作君登壇〕
#13
○佐々木良作君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、総理の所信表明に対し、若干の質問を行います。
 総理は、さきの解散、総選挙を曲がり角解散と称されました。確かに激動の七〇年代が終わり、変革の八〇年代が始まろうといたしております。人々は、核と公害、汚職と不公正のない社会に向かって、歴史の流れが変わることを期待しております。
 内の諸情勢は、政治的にも経済的にもまた社会的にも、いまや大きな変化のうねりを見せつつあります。総理も、この歴史的諸情勢に日本政治が正しく対応するために、今次解散を曲がり角解散と銘打ってこれを断行されたのでありましょう。しかし、その結果は、自民党勢力の敗退に伴い、党内派閥抗争は激化し、首班指名選挙に二名の候補者を立てて争うという前代未聞の醜態をさらけ出し、ために政局は著しい混迷に陥り、長期にわたる政治空白を招きました。歴史の方向と国民の要望に沿って、曲がり角を正しく曲がるための姿勢を整える目的を持って断行された解散、総選挙とは、およそ正反対の結果を招来したのであります。(拍手)
 大平総理の、解散権を行使された内閣総理大臣としての責任はまことに重大であります。申しわけ的な国民へのわび言葉ではなく、総理が解散、総選挙にかけられた期待とその結果との相違について事態を明確にし、責任を明らかにした上で率直な御所見を述べられんことを望むものであります。(拍手)
 次に、総理がその適切な処理をするためには絶対多数の威力が必要だと判断された昨今のわが国重要課題は、ますますむずかしくますます深さを増しつつありまするが、難産の上ようやく誕生いたしました第二次大平内閣の基盤は、失礼ながら、解散前に比し、お世辞にも強化されたとは申せません。(拍手)政府としてやらなければならないことと、やり得る力とのギャップは一層拡大されたのであります。総理は、このギャップをどのような政治手段で埋め、曲がり角的新時代の難問題処理に立ち向かわれるのか、その方針を承りたいのであります。その問題は、総理として当面最大の課題でありましょうけれども、国民にとってはより重要な現実問題であります。しかとその方針を承りたいと存じます。
 念のために申し上げますが、所信演説で述べられたように「自民党と立場を異にする人々の意見にも耳を傾ける」程度の対応では、すでに総理が幹事長時代に実験済みのところであります。さればこそ絶対多数を求めて解散、総選挙を断行されたはずでありまするから、このことを申し添えた上で、確たる答弁をお願いする次第であります。(拍手)
 次に、総理は今回の組閣に当たって連合を模索されたと伺いますし、この問題は、八〇年代の日本政治にとって重要な課題でもあると考えられまするので、この際、私は、一般的政治論としての連合問題について、いささか具体的に私見を申し述べながら、総理の御所見を伺います。
 第一は、いわゆる連合の意味についてであります。
 私は、連合とは一定の政治課題を推進するための政党間の協力関係の設定とでも定義づけられないかと考えるのであります。したがって、それには政党間の協力関係を国民の前に明らかにするための、たとえば共同提案、共同修正、または政策協定などの形式的共同行為が多分必要となるでありましょう。
 また、連合には、一議案、一法案ごとにそれを実現するための部分的な連合から、数個の政策体系を共同で実現しようとする幅と量とを持つ連合、さらには諸政策体系の総合的実現を図るため包括的な政治責任を共同にする連合政権まで、幾つかの形態が考えられるでありましょうが、いずれの場合も、連合の接点となるものはあくまでも政策でなければならぬと考えるものであります。(拍手)私が、かつて「政策連合」という言葉に固執した理由もことにあります。
 政策を離れて政権を維持し、または政権を奪取することを目的とした連合は、それは党利党略的野合とでも申すべきものでありまして、国民と無関係のものであり、政治の堕落、邪道とも断ずべきものであります。大平総理の従来の連合的手法は、どうやら権力保持のための勢力補強手段か、もしくはせいぜい国会運営上の便宜手段のごとくでございまするが、真意はいかがでございましょうか。総理の連合論に対する識見と同時に、理解の仕方を明らかにされんことを望みます。
 二番目に、いわゆる連合時代の基本認識について伺います。
 欧州先進諸国におきましては、すでに本格的な連合時代に入っておると言われます。ある調査によれば、欧州議会制民主主義国の戦後政権はその多くが連合政権であり、特に四十カ月以上続いた長期安定政権の八〇%までが連合政権とのことでございます。そして、それらの連合政権がよって立つ客観的基盤となっているのは、一つは、一般に価値観が多様化し、国民の要求が多元化してきた結果、一党支配的体制では国民要望が満たされにくくなったこと、二つには、外交、防衛の面からも、経済、通貨などの面からも、客観的情勢が余りにも重大深刻化し、党利党略が優先しがちな政党の対立抗争を許さない情勢になってきたことのようでございます。これが国民をして連合政権を選択せしめ、政党側もこれに対応せざるを得なくなって、欧州のこのような連合時代をば形成しておると考えられるのであります。
 このような連合政権の客観的基盤や国民の要望が、日本では欧州と比べ、そんなに大きく異なっているとは考えられません。総理が絶対多数の力によって乗り切ろうと判断された国の内外の諸情勢の困難がそのことを物語っておりまするし、各種世論調査においても、わが国においても七〇%以上が連合政権を望んでいるもののごとくであります。今後わが国においても、連合ないし連合時代の到来、少なくともその客観的基盤の成熟は必須であると言わざるを得ません。
 しかるにもかかわらず、わが国の場合、欧州先進国との重大な差異が、政党側にあるように考えるのであります。連立政権への客観的基盤の成熟にもかかわらず、それに対応する政党側の主体的条件がいまだ成熟しているとは言いがたいからであります。
 このような矛盾に対してどのように対応すべきかを含めて、連合時代の到来という問題に対する総理の基本認識を伺いたいと存じます。(拍手)
 次に、私は、当面する政治課題について、問題提起の立場から重点的に伺います。
 すべての諸課題の大前提は、どなたも触れられておりまするように、政治倫理の確立と公務員の綱紀粛正にあることは言うまでもございません。この点についての総理の所信表明並びに御答弁は、言葉としてはまことにりっぱ過ぎるほどでもございます。われわれも対策的提案はすでに幾たびか繰り返したところでありまして、要は真剣な取り組みにあるのみであります。私は、同僚質問との重複を避け、いまは大平総理の今後の姿勢を厳重に監視し続ける態度を表明するにとどめます。
 当面の課題の第一は、八〇年代の最初の年に当たります来年度予算案編成についての基本的姿勢についてであります。
 総理の公約は、自然増収は優先的に国債の減額に回し、当然増的経費や緊要な新規政策に充てる財源は、既定経費の徹底的洗い直しと歳入面の不公平是正とによって生み出すという方針でございました。私は、まずこの総理の方針が変わりないか、その方針を堅持されておるかどうかを改めて確認する意味において、総理の決意表明を求めます。そして、その方針の上に立って、第一に徹底的な行財政改革への着手、第二に日本型福祉国家への創造作業の開始、第三にエネルギー及び食糧の安定確保政策の策定の三つの重点施策の実行を求めます。
 総理は、財政再建について、その問題の出し方を誤りました。そのために、財政再建そのものをも混迷化させました。その政治責任はきわめて重大であります。財政再建の入口は、民間の場合と同様、あくまでも経費節減であり、したがって、行財政改革の断行こそがすべてに優先するものであります。(拍手)このことは今回の総選挙において示された最も明白なる国民意思でもあります。行革の具体案はすでにわが党におきましてもたびたび発表しておりまするし、選挙中の公開質問の形でも明らかにしております。また、民間労働組合を含め、各方面からまさに出尽くしの感さえあります。残されているのは政府の決断だけであります。私は、大平総理がこの問題につき、まさに政治生命をかけられるべきことを直言するものであります。(拍手)
 政府は、かつて昭和二十九年度予算編成に際しまして、一兆円予算の大目標を掲げ、あらゆる抵抗を排除し、既定経費に大なたをふるってみごとに成功いたしました。私は、二十九年の例にならって、補助金整理のための特別立法も考慮すべきことを提案しますとともに、行革の実施には、まず隗より始める意味をもって、大蔵大臣、あなたは、まずみずからの地方財務局と府県財務部の廃止を、また行管庁長官は同庁所管の地方出先機関の廃止を、まず決意さるべきであることを勧告するものであります。(拍手)総理並びに大蔵大臣の明快なる答弁をお願いいたします。
 次に、高齢化社会への第一歩といたしまして、定年延長、基礎年金構想、老人医療の制度確立を求めるものであります。
 先ほども話がありましたように、行政費の徹底的切り詰めの要求にもかかわらず、原則的に福祉後退は許さるべきではありません。基本的に日本型福祉社会建設目標のほかに、特に今日的課題として、高度成長がもたらした生活格差の是正のため、福祉はその唯一のとりでであり、同時に、景気後退防止のための大切な大衆購買力の一源泉でもあります。特に、高齢化社会への対応は遷延を許しません。総理の責任ある答弁を求めます。
 次は、エネルギー対策であります。
 総理は、きのう、きょう、最近たびたびにわたりまして、当面の石油輸入について楽観的見通しを示され続けておりますが、上期輸入を支えたものは、御承知のとおり、スポット買いによる買いあさりであります。そして、最近メジャーによる供給削減が急展開しておりますが、その中で、契約更改期が迫っておる事情を考えられるならば、今後の輸入量確保こそは決して容易ではございません。価格問題の物価への影響とあわせて、重ねて警告を発するものであります。
 そして、より深刻なエネルギーの問題として、私は、その基本対策たる中長期のエネルギー見通しが全く不透明であることを改めて問題提起するものであります。
 総理は、本年初頭の施政方針演説以来、事あるごとにエネルギー危機を国民に訴えてこられましたが、肝心の政府自身が、そのエネルギー対策につきまして中長期の方針を確立してはおりません。あるものは、まさに作文としか言いようのない需給暫定見通しだけであります。あえて作文と申しまするゆえんは、そこに盛られております基礎的数字は、輸入石油量、原子力、石炭等の代替エネルギーの開発、省エネルギー率、さらに資金計画等々どれ一つをとってみましても、実行可能な条件は何一つ整備されておらないからであります。
 現状から見て、昭和六十年段階で原子力発電三千万キロワット、六十五年段階で五千三百万キロワットの開発を実現できる見通しがどのような裏づけをもって保証されているのでありましょうか。石油よりも二、三〇%はデメリットのある石炭火力を、どのような指導と助成をもって民間にやらせることができるのでありましょうか。昭和六十年までに代替エネルギー開発に必要な四兆円余の資金は、一体だれがどのような負担をするのでありましょうか。
 総理は必ずしも十分御理解ではないかもしれませんけれども、現在の政府のエネルギー政策は、言葉だけあって実行される計画は皆無と言うべきであります。(拍手)いろいろなエネルギー問題についての、あるいは代替エネルギーについての夢物語のような問題ではなく、いまやらねばならぬことをはっきりといまやることを要求するものであります。
 総理も御承知だと思いますけれども、原子力発電のリードタイムはおよそ十五年です。石炭火力でも多分八年は必要でありましょう。しかるに、いまから六年後の昭和六十年、十一年後の六十五年のエネルギー計画は、いま申し上げましたごとくにまさに作文で、実行計画ではありません。政府として余りにも無責任ではございませんか。
 最近の予算編成期に当たって、エネルギー当局の最大の関心事が代替エネルギー開発公団新設のようでありまするが、そのような入れ物づくりに狂奔する前に、国民にエネルギー供給を確保するために、本当の意味の実行計画を策定し、その実行の裏づけ保証をこそ急ぐべきではありませんか。(拍手)
 総理並びにその道に十分通じておられる通産大臣の答弁を求めます。
 さらにこの際私は、わが国の新エネルギー開発研究に当たって、特にちょっと申し添えて、希望いたします。
 最近、特にアメリカにおきましてもてはやされていると聞きまするオイルシェール研究、及び東京サミット以来国際協力が一段と前進した核融合についての大平内閣の研究姿勢を確かめておきたいと存じます。
 総理または担当閣僚の答弁を願います。
 さらにこの際、食糧の安定確保と農政の展開について、総理の所信をただします。
 先ほどもございましたように、政府はしばしば食糧の自給度向上を長期的基本方針とする旨を発言しておりましたが、それにもかかわらず、来年度の米の生産調整について、今年度に比しさらに相当量の上積み方針を検討中と聞きます。これは、五十三年一月閣議決定の三カ年固定方針を覆し、政府の約束違反として、また新たなる農業者の憤激を買うことは明らかであります。
 しかも、減反に見合う主要食糧増産の措置が皆無の現状において、事実上農地の荒廃を拡大するばかりであります。農業団体及び農業者も、過度の米作依存の現状を改革することに真剣に取り組もうとしつつあるとき、そのふんまんを激発するのみの逆行農政はまさに愚劣そのものであります。(拍手)
 いまこそ、食糧安定確保の国策に沿って、バランスある日本農業の将来像を明らかにし、長期的に実行計画を策定し、着実にその実現にスタートすべきであります。
 政府の反省を求め、責任ある答弁を求めます。(拍手)
 次に私は、激動する国際情勢に対応する総理の基本的政治姿勢について伺います。
 七〇年代の十年間に、わが国マスコミなどがショックと報道し、わが国政治が無準備のままその対応を迫られた事件が九つありました。この年一回平均の多発ショックの大部分は、ニクソン・ショック、ドルショック、石油ショックなどのごとく、国際情勢の激変に基づくものであります。まさに世界の激動期の象徴とも理解すべきでありましょう。
 しかし、わが国においても、国際的相互依存時代についての認識は相当に浸透しておりまするし、一般的な国際情報も相当に豊富であります。日本国民がそれほど国際情勢の認識に薄いとは考えられません。むしろ日本政治の受けとめ方がショッキングな事件として対応した場合が多かったのではなかろうかと考えるのであります。(拍手)もしそうだとすれば、その責任の多くは日本の政治自体にあるわけであります。
 その原因について私は、一つは、外務官僚組織が古い世界秩序に相応する枠組みの中に定着しておって、旧秩序の崩壊や第三勢力の台頭という国際情勢の激変に敏感に対応する体制に欠くるところがあったのではなかろうか。二つには、政府ないしは日本政治自体に、激動的変化に対応する能力が貧弱であったことをも反省すべきであると考えるのであります。
 総理は、今回の組閣に当たりまして、外務大臣に適材的民間人採用を敢行されました。この機会に、国際的激動期にふさわしい外務省自体の積極的な構造的、人事的大改革に着手されんことを要望するものであります。(拍手)
 同時に、政府は、次の数項目の問題について、速やかな政治決断をなすべきであります。
 その一つは、今回の対中国借款問題について、額の問題はともかくとして、方式はいわゆるアンタイドローンの形をとるべきこと。この問題をめぐりまして、自民党内に基本的な政治意見の対立があると聞きまするし、行政官庁間にも方式についての意見の対立があるようでございまするが、総理の毅然たる決断を求めるものであります。(拍手)
 その二は、ベトナム、カンボジア難民問題に対し、受け入れ、救援両面において、アジア民族としての温かい態度をはっきりと打ち出すこと。
 その三つは、今回のイラン事変に対し、石油問題のほかに、国際通貨、国際金融問題につきまして想定し得るあらゆる異常事態の発生に備え、当面の対処とともに、中長期的展望を踏まえて周到な準備を怠らないこと。私はこの問題について、特に産油国の石油代金蓄積資金の今後の行方に対してむしろ注意が最も肝心だと思うからであります。
 以上、政府がショッキング・メーカーにならないために、激動的国際情勢に対処する総理並びに大来民間外務大臣の基本認識及び対応姿勢を明らかにされんことを要求いたします。(拍手)
 次に、わが国の安全保障問題に対する総理の取り組み姿勢について伺います。
 各質問者も触れられておりましたが、一つ、北方領土内のエスカレートするソ連軍事基地化問題について、日本の対ソ抗議申し入れに対し、ソ連側からは逆抗議的応答が返されたと聞きますが、その後の交渉経過も、政府の態度についても何の報告もございません。
 二つ、来春中部太平洋で行われるアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド四カ国海軍の合同演習にわが国海上自衛隊の参加が決定していると伝えられますが、その理由、目的、参加規模などについても一切明らかにされてはおりません。
 三つ、最近米国防省筋から、わが国の防衛費増額や、特に海上交通路の安全確保のための防衛力の強化などについての要請があり、同時に、米軍のアジア離れの一環とも疑われるいわゆるスイング戦略についても肯定的な態度が示されたと伝えられますが、これらに対するわが国政府の対応はかいもく不明であります。
 これらの問題については政府は、いたずらに軍事専門家的見識や特別の政治的見解の横行にゆだねるのみでありますが、まず政府のなすべきことは、国会や国民に向かって見解を明らかにして内容を報告し、そして論議を起こし、それこそコンセンサスの行方を見詰めるべきではございませんか。(拍手)
 最近、アメリカ政府は米ソ世界戦略の中で、伝えられるソ連側の通常軍事力の増強に対し、対応姿勢を模索中のようであります。対日要請もその一環のようであります。したがって、このような情勢の中で、わが国が西側国に属し、わが国の安全が米軍事力に依存する度合いの大きさから見るならば、これらのアメリカの対日要請は一応当然との見解も成り立ちます。
 私の個人的見解として私は、リムパック参加に反対するものでもありませんし、北方領土内のソ連軍事基地化の拡大に脅威を感じないものでもありません。むしろアジアにおける東西軍事力のバランスが崩れつつあることに、わが国の安全のため危惧の念を深めつつあるものの一人であります。(拍手)
 しかしながら、わが国は平和憲法を持ち、自衛隊の行動にも厳しい枠がはめられておることも明白なる事実であります。同時に、防衛問題についての国民コンセンサスは皆無に等しいほど未成熟であります。こここそ最大の問題であります。
 したがって政府は、国際情勢の変化に応じてわが国の安全のために防衛力を強化し、または自衛隊活動を拡大しようと考えるならば、まず最初になすべきことは、国会の防衛論議を起こし、政府としての見解を明らかにしつつ、国民コンセンサスづくりに向かって最大の努力を払うべきであります。(拍手)このことこそシビリアンコントロール体制への出発点であります。断じて憲法及び自衛隊法のなし崩し的事実行為を先行さすべきではありません。(拍手)しかるに歴代自民党内閣は、わが党のたび重なる防衛委員会設置の要求に対しても公党間の約束を実践せず、故意に国会論議を避け続けてまいりました。この責任こそ重大であります。
 日本国民の安全を守るべき最高責任者たる大平総理は、最近における国際情勢、特にアジアにおける東西軍事力の変化についてどのような認識に立ち、今後どのように対処されようとするのか、その基本姿勢を明らかにすることは日本国民への当然の義務と言うべきであります。
 総理の責任ある態度を国民に向かって表明されんことを要求いたします。(拍手)
 最後に私は、私が最後のしんがりの質問でもあるゆえをもちまして、あえて申し上げます。
 総理は、がけっぷち内閣と言われるその巌頭に立っておられます。総理が死中に活を求める道を選択されようとなさるならば、それは、大変失礼ではありますけれども、すでに終えんを迎えつつある自民党政権の立て直しにではなく、新たな時代に向かって日本民族の運命を切り開くことに死力を尽くされることでございましょう。わが党は、是々非々路線に従ってわが道を行きます。しかし、総理が事なかれ主義的立場に立って逡巡され、なすべきことにちゅうちょされるならば、そのときはためらうことなく断固たる決意をもってその局面に立ち向かいます。このことを念のため申し添えて、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(大平正芳君) 先般の解散権の行使、総選挙における国民の審判、その後の政治空白、一連の問題に対してどのように責任を感じておるかという御質問でございました。
 私は、一番いい時期に解散権を行使すべきであると考え、そのように実行いたしたつもりでございます。しかし、それが予想に反しまして厳しい反応として返ってまいりましたことは、それはそれとして厳粛に受けとめて、政治運営に生かしていかなければならぬと考えております。
 その後の政治空白の問題につきましては、たびたび御説明申し上げておりますので、重複を避けさしていただきたいと思います。
 政府としてやらなければならないこととやり得る力とのギャップをどのようにして、どのような政治手段で埋めるかということでございましたが、もとより、これは総選挙に示された国民の判断にもありまするように、自由民主党が謙虚な気持ちで、立場を異にする方々との協力も得ながら、国民の理解と協力をつなぎながら、国民本位の政策を実行するということによって、やり得る力とやらねばならぬこととのギャップは埋めていかなければならないと考えております。
 連合についての所見を求められたのでございます。
 私は、自由民主党が安定多数をいただいておろうとおるまいと、野党の協力を得ないと政策の円滑な遂行ができないととは万々承知いたしておるわけでございます。野党の協力を得ることは、権力の延命あるいは補強というものではなくて、国民本位の政策を実行するために求めなければならない厳粛な政治手段であると考えなければならぬと思っております。
 これが形式的にどういう手順を踏んで、どういう段階があるかというようなことは、私は評論家でございませんからコメントを避けたいと思いますが、問題は、国民本位の政策をこれから真剣に実行するに当たりまして、謙虚な気持ちで皆様の御協力を得る方法を探索してまいることが私の任務であろうと思っております。
 もとより、公党間の協力体制の形成でございまするから、委員長も仰せになりますように、野合ではなくて、政策本位のものでなければなりませんし、その政策は国民本位のものでなければならぬことは、申すまでもないと考えております。
 第二の問題は、今日の時代をどう見るかということでございますが、外交、防衛、経済、通貨等、客観情勢が非常に深刻化しておりまして、あらゆる力を結集して対応しなければならないような厳しい客観情勢であるという御指摘は、私も全く同感に存ずるところでございます。
 そういう中で、どのような協力形態を模索してまいるかは、そのときに出来いたしましたイシューごとに真剣に考えていくべきものと私は存じております。抽象的にいま論じるものではなくて、具体的問題が出た場合に真剣に検討、探索すべき問題であると考えております。
 次に、来年度の予算編成についての基本方針でございますが、これは、五十五年度予算におきまして財政再建の第一歩を踏み出したいという基本方針にはみじんも変わりはないのでございます。
 そのためには、委員長も御指摘になりましたように、歳入歳出両面にわたりまして徹底的な見直しを行わなければならないと存じまして、いま鋭意その方向で作業を進めておるところでございます。したがって、従来申し上げておりました基本の方針にみじんも狂いがないことを改めて言明させていただきます。
 それから、行政改革でございますが、これは、わが政治生命をかけて行えという激励につきましては多といたします。私といたしましても、全精力を傾けてこの課題に取り組んでまいらなければならぬ、行政の改革を最優先的な課題としてこれに積極的に取り組んでまいる方針でございます。
 具体的には、公団、事業団等特殊法人の整理合理化、地方支分部局、付属機関等行政機構の整理合理化、補助金、行政事務の整理合理化を含めて、行政改革に関する実施計画を年内に策定いたしまして、それに従いまして着実に実効を上げていくということで進めておるわけでございます。
 それから、高齢化社会についての対応をお尋ねになられたのでございます。
 今後の高齢化の進行に伴いまして、雇用問題あるいは老人の所得、医療、福祉サービス問題等、短い年月のうちに高齢化社会に備えた対応が迫られておりますことは御指摘のとおりでございます。
 これらの課題に対応するために、雇用面におきましては、特に高年齢者に対する雇用対策を推進いたしまして、企業の六十歳定年が六十年までに一般化するよう努めることにいたしております。
 また、社会保障におきましても、将来の世代の過重な負担増を避けることを配慮しながら、制度の適正な運営を図っていく必要があると考えております。
 御指摘の老人保健医療制度につきましては、広く各界の意見を聞きながら、国民の納得がいくような検討をいま進めておるところでございます。
 基礎年金構想でございますが、これは確かに一つの有力な御意見であると思いますが、いろいろ検討すべき問題が多いと考えております。
 政府としては、年金制度基本構想懇談会、関係審議会等の御意見を踏まえて、今後、年金制度のあり方につきましては鋭意検討を進めてまいるつもりでございます。
 代替エネルギー対策、単なる作文ではないかという御指摘でございます。
 政府は、十年後に西欧並みの石油依存率五〇%を目標といたしまして、原子力、石炭その他の石油代替エネルギー源の開発に精力的に取り組んでまいるつもりでございます。この問題につきましては、アメリカ初め諸外国との技術協力も、いま御指摘のオイルシェールその他につきましては進めてまいるつもりでございます。
 核融合の研究姿勢でございますが、わが国の核融合研究開発は、日本原子力研究所が中心になりまして、大学等の協力を得ていま精力的に推進されております。同研究所におきましては、国際的に最先端の水準にある核融合試験装置の建設が目下進められております。
 一方、核融合炉の実現のためには、克服しなければならない多くの課題があることは委員長も御指摘のとおりでございます。この分野におきましては、世界的な協力が必要とされるところでございまして、米国等との密接な協力を進めまして、二十一世紀のできるだけ早い時期に核融合炉が実現するように努力いたしたいと思います。
 食糧の安定確保でございますけれども、来年度の水田利用再編対策における転作の増加は、著しい米の需給不均衡の解消のため、緊急やむを得ない措置として御理解をいただきたいと思います。
 日本農業の将来像を明らかにせよという御指摘につきましては、現在行っておる農政の見直しの結果等を踏まえて、長期的な展望に立ちました施策の推進を図って、明るい日本の農業の展望を開きたいと考えております。
 国際情勢に対処する基本的な認識と対応姿勢についてのお尋ねでございました。
 今日の国際情勢は、一九八〇年代に向けて、政治面におきましても、経済面におきましても、厳しさを加えつつあるものと判断いたしております。そういう国際環境の中にありまして、わが国が平和を確保して一層の発展を図ってまいりますためには、それにふさわしい責任と役割りを積極的に果たしていかなければならない、貢献をやっていかなければならないことは言うまでもございません。わが国としては、日米友好関係の維持を基軸としながら、世界各地域の諸国との協力と対話を推進いたしまして、平和と繁栄のため、積極的に貢献してまいりたいと考えております。
 対中国借款の問題につきましては御意見を承りました。目下、最終の詰めにかかっておりますので、参考にさしていただきたいと思います。
 難民対策につきましては、受け入れ枠の拡大、援助資金の増額につきましては、鋭意努力をしてまいりましたし、今後もしてまいるつもりでございます。
 石油の需給並びに国際通貨情勢の微妙な変化につきましては、御指摘のように終始注視を怠らないようにし、適時適切な対応をしなければならないものと承知いたしております。
 それから、安全保障につきましてお尋ねでございました。また、御意見を含めての御見解も披露されたわけでございますけれども、防衛問題につきまして、国民のコンセンサスづくりに資するため、国会におきまして活発な防衛論議が展開されることは、私としても好ましいと考えております。そのためには、政府もできるだけ協力をいたしたいと考えております。
 最近の国際軍事情勢でございますけれども、米ソ二大国を軸といたしまして、東西関係における一方において競争、一方において協調という基調は変わらないものと見ておりますけれども、ソ連の顕著な軍事力の増強と西側の反応、中国の国際社会における行動、中東、インド洋地域の動向など、国際軍事情勢はきわめて流動的でございますし、インドシナ半島にもまだ緊張は絶えていないわけでございます。したがって、また、北方領土へのソ連の地上軍の配備など厳しい状況も見られるわけでございます。
 われわれといたしましては、これに対しまして二月と十月の二回にわたりましてソ連政府に抗議いたしましたけれども、いままだ反応は見られないことは大変残念に存じております。
 政府といたしましては、今後とも自衛力の質的改善と日米安保体制の信頼性の維持に努力をいたしまして、この流動的な情勢に対応してまいる決意であります。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#15
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問は二点でございます。
 まず、補助金整理につきまして、二十九年のときのごとく、法律でもってこれを一括整理する勇断をふるえ、こういう御趣旨でございます。
 総理からも申しましたように、補助金整理合理化の計画を年内に策定いたすことになっております。
 そこで、今日行っております作業は、まず、五十五年度予算で廃止あるいは減額をできるもの、これを一ついま手がけております。二番目には、時限をつけて、奨励的、政策的意味を失う時期をおのずから予測して整理するもの、それから一律的にはどうしても法律でもって削減するにはなじまない、たとえば義務教育国庫負担の問題等がございます。それらは別といたしましても、なおその中に一括して整理することの可能なものがあるかないかということを鋭意検討しております。
 ただ、二十九年は、いわゆる地方交付税制度という、期を画する行政の変化があったということが背景にありましたので、参考にしてこれから検討さしていただきたいと思います。
 それから二番目は、まず隗より始めよ、いわゆる地方財務局、財務部を廃止するという考え方を持て、こういう御指示であります。
 いま私どもがやっておりますのは、昭和五十二年十二月の行政改革推進についての閣議決定をもとにやっておりまして、ことしの一月、小樽財務部が廃止されたというにとどまっております。したがって、これまた、いま行政管理庁長官のもとで、年内に地方の支分部局の計画も策定されることになっておりますので、行政管理庁とも協議の上、ただいまの委員長の御意見は私どもとして十分参考にさしていただきます。(拍手)
    〔国務大臣佐々木義武君登壇〕
#16
○国務大臣(佐々木義武君) 私に対する御質問は六点あったかと思いますが、第一点は、イランの政変に伴いまして、メジャーからの石油供給減が予想されているが、今後の輸入対策はどうだ、あるいは価格はどうか、国内の需給環境をどう見ておるかという御質問だったと思います。
 第三・四半期の十月−十二月期におきましての輸入の見通しは、ただいまのところでは七千万キロリットル程度が確保できるものと見込んでおります。しかし、五十五年の一−三月、すなわち第四・四半期でございますけれども、これにつきましては、産油国の生産水準が非常に不確定な要素が多うございまして、輸入量の見通しは、いまのところ確かではございません。
 なお、十月末の備蓄の水準は、民間備蓄が九十五日程度で増加していますし、公団の備蓄、すなわち国家備蓄が七日分ございまして、百日強ただいま備蓄されております。
 国際石油情勢は依然不確定な要因が絡んでおりますし、流動的でありますが、御指摘のように原油輸入を可能な限り確保するよう、ただいまあらゆる努力を尽くしておるところでございますが、場合によりましては、第四・四半期等におきまして、必要によりましては備蓄を弾力的に活用して、少なくとも、いま持っております国内の石油需給計画は崩さずに、需給計画を確保していきたいというふうに考えております。もちろん、これとともに、国民の冷静な対応と石油の消費節減の徹底が実行されるならば、石油製品の需給バランスはおおむね維持できるものと考えてございます。
 それから第二点でございますが、第二点は失礼しました。第一点の輸入価格の問題でございますけれども、これはまさしく御指摘のとおりでありまして、産油国の値上げあるいはスポットの比率が大変高まっております。また円安傾向が強くなってきておりますので、大幅な値上げが必要であることは御指摘のとおりでございまして、今後も決して楽観を許さないものがございます。ただ、原料が上がった分だけは国内の製品にも、これは価格にある程度転嫁するのはやむを得ぬことだと思っておりますけれども、しかし、不適当な便乗値上げ等が行われないように、今後とも十分監視を続けていくつもりでございます。少し長くなりましたが、恐縮でございました。
 第二点でございますけれども、いまの政府の持っておる長期エネルギー需給見通しは単なる作文じゃないか、あるいは石油の輸入量、代替エネルギーの開発、省エネルギー等は資金計画等の裏づけが十分あってやっているのかという、まことに手厳しい御指摘でございます。
 いまの持っております需給見通し計画は、先生もよく御承知のように、東京サミットで合意いたしました国際的な責務を踏んまえまして、これに長期にわたるエネルギーの需給安定確保を図りたいという念願から立案されたものでございますが、各計画は目標を確実に達成できるのかといいますと、これは官民挙げまして最大の努力を賜って確保し得るものと観念しておりまして、そのための手段といたしまして、まず御指摘のございました輸入石油の確保、これはどうするのだという点がまず一番当面のむずかしい問題だと思いますけれども、これに関しましては、産油国との関係等強化いたしまして、経済協力等通じまして、何としても新たな供給源を確保するとか、いろいろ昭和五十四年十一月三十日の方法を講じまして、目的どおり確保していきたいということで、ただいま努力中でございます。
 原子力とか石炭、LNG等の代替エネルギーの開発問題でございますけれども、これは財源をどうするかという問題あるいは推進する中核体をどうするかという問題等ございまして、ただいまその検討を各省とともに続けておる最中でございます。
 省エネルギー問題につきましては、御承知のようにことしは五%の節約目標でございましたが、来年はさらにこれを上乗せしなければならぬような状況になるのではなかろうかと思いまして、せっかくただいま準備中でございます。
 第三点は、第三番目と申した方が適当かもしれません。第三番目の御質問は、原子力発電の六十年度三千万キロ、あるいは六十五年度の五千三百万キロというのは一体可能な数字なのかという御指摘でございます。
 まことにこれは的確な御指摘でございまして、先生も御承知のように、一基一基、各原子炉に関しまして、その予定あるいは立地等も勘案しながら、精密に実は計算して積み上げた数字でございますけれども、果たしてそれでは、いまの国民的なコンセンサスあるいは安全等に対する認識等を洗い出しまして確実にそれが可能かと言われますと、今後大変な努力を要するものと覚悟しておりまして、政治生命のある限りこの問題にひとつ努力してみたいと思っております。(拍手)
 第四点は、石油よりもメリットの低い石炭にかえると言うけれども、一体どうするのだという御指摘でございます。
 これは、石炭対策に関しましては、御承知のように、海外炭の開発輸入とかあるいは環境問題とかあるいは石炭の利用技術の開発とかいろいろございますけれども、いま一番御指摘の点は、重油から石炭にかえるその設備の転換に際しまして、一体国はどういう処置をとるのだという点が中心かと思いますけれども、これに関しましては、無利子の融資を相当たくさん予算に織り込みまして、今度予算要求をしておりますので、それが満足されますれば進め得るものと私は考えてございます。
 それから第五番目でございますけれども、代替エネルギー開発の問題でございますが、お話しのように、十カ年で四兆という膨大な予算を組んで、これの財源をどうするか、あるいはそれを遂行する中核的な機関をどうするか、大変重要な問題でございますので、ただいま鋭意関係各省と検討中でございます。
 最後のオイルシェールの問題でございますけれども、これは石油公団等が中心になりまして、ただいま技術調査の段階でございます。
 最後でございますが、良作先生は、エネルギー問題には大変御造詣の深いのはよく承知しています。またわれわれの先達でもございますので、今後とも御指導のほどお願い申し上げたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣大来佐武郎君登壇〕
#17
○国務大臣(大来佐武郎君) 佐々木委員長の第一の御質問は、変転する世界情勢に対して外務省はどうするのかという御質問でございました。
 近年、国際情勢の展開には目まぐるしいものがあり、他方、わが国の国力も著しく向上して、世界第三位の経済力を備えるに至っておりますので、外務省としては、この新しい情勢に対応するため、本省、在外を通じ、必要な機構を整備するとともに、各般の制度についても種々改革を行っております。
 たとえば、在外公館について見れば、戦後独立した開発途上国においてわが国は順次大使館、総領事館を設置し、開発途上国にある公館は全体の三分の二に達しております。これらの公館は、厳しい自然環境等に所在するものが多く、ここに勤務する職員は、その中で非常な努力を重ねております。
 しかし、外交事務は近年著しく増大しておりまして、たとえば外務省の扱う電信料もこの十年間に約十倍に増加しておりますので、外交の実施体制の強化を図ってまいる必要があると存じております。
 さらに、通常の外交ルートのほか、学界、言論界、実業界等、各種のチャンネルを通ずる対外的な対話を促進し、また外交機関への民間人の起用、省内外の専門家の活用などにも意を用いまして、開かれた外交の実現について努力してまいりたいと考えております。
 第二が、対中国円借款についてのアンタイド問題でございますが、これは目下政府各省最後の詰めの段階に入っておるわけでございます。私といたしましては、この借款資金の効率的な利用とか、あるいは中国の市場をわが国が独占するのではないかという、欧米諸国にあります強い懸念を取り払うためにも、できるだけ原則的なアンタイというものが望ましいと考えております。もとよりアンタイの方法についてはいろいろな形がございますが、今後私といたしましては、引き続き各般の事情を考慮しつつ、原則的なアンタイ化に努力してまいりたいと考えておるわけでございます。
 ベトナム、カンボジアの難民に対して心のこもった援助を速やかに行うべきではないか。これは、インドシナ難民問題あるいはベトナム、カンボジアの難民問題は、人道的な面から見ても大きな課題でございます。外務省といたしましても、さきに緒方貞子さんを団長とするミッションを現地に派遣いたしまして、その視察の結果に基づいて今後の促進対策を検討中でございます。
 年内にも民間からの希望者を加えた政府ベースの医療チーム等を派遣し、難民キャンプの近くに医療基地を建設するほか、医療品、食糧、医療車その他各種車両等の諸施設を急速に具体化してまいりたいと思います。
 なお、この件につきましては民間の自発的な盛り上がりも大変重要でございます。最近、わが国でもこの問題に関する関心が高まってまいりましたことを心強く感じておるわけでございます。
 最後に、イランにつきまして、国際金融制度の問題の御質問があったと思いますが、現状ではまだそれほど国際通貨制度に混乱は起こっておりません。イランについては諸種の問題が起こっておりますが、全般としてはまだそれほど大きな混乱は起きておりません。しかしながら、この事件を契機といたしまして、長期的には今後、石油輸入を中心とする決済通貨の多様化が従来以上に進む可能性も考えられます。仮にそういう状態が生じますと、国際通貨としてのドルの役割りが若干後退することも考えられるわけでございまして、この場合、マルク、ポンド、フラン等の通貨と並んで、円がどの程度国際通貨としての性格を強めていくか、あるいはどの程度国際通貨としての役割りを担っていくかという問題につきましては、本来通貨当局の判断すべき問題でございます。
 ただ、基本的には、取引者の主体的判断にかかわる問題、円の信用が国際的にどの程度あるか、ほかの国々の人たちが円を使おうという気持ちになるかどうか、そういう点がございまして、自然な形で、またわが国の経済力に見合った形で円が国際化していくことは望ましいことだと考えております。(拍手)
#18
○副議長(岡田春夫君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#19
○副議長(岡田春夫君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 加藤万吉君から、海外旅行のため、十二月三日から十一日まで九日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○副議長(岡田春夫君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
#21
○副議長(岡田春夫君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  大平 正芳君
        法 務 大 臣 倉石 忠雄君
        外 務 大 臣 大来佐武郎君
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
        文 部 大 臣 谷垣 專一君
        厚 生 大 臣 野呂 恭一君
        農林水産大臣  武藤 嘉文君
        通商産業大臣  佐々木義武君
        運 輸 大 臣 地崎宇三郎君
        郵 政 大 臣 大西 正男君
        労 働 大 臣 藤波 孝生君
        建 設 大 臣 渡辺 栄一君
        自 治 大 臣 後藤田正晴君
        国 務 大 臣 伊東 正義君
        国 務 大 臣 宇野 宗佑君
        国 務 大 臣 小渕 恵三君
        国 務 大 臣 長田 裕二君
        国 務 大 臣 久保田円次君
        国 務 大 臣 正示啓次郎君
        国 務 大 臣 園田 清充君
        国 務 大 臣 土屋 義彦君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 角田禮次郎君
        外務省条約局長 伊達 宗起君
ソース: 国立国会図書館
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