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1979/09/06 第88回国会 参議院 参議院会議録情報 第088回国会 本会議 第3号
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1979/09/06 第88回国会 参議院

参議院会議録情報 第088回国会 本会議 第3号

#1
第088回国会 本会議 第3号
昭和五十四年九月六日(木曜日)
   午前十時三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  昭和五十四年九月六日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(安井謙君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る三日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。小野明君。
   〔小野明君登壇、拍手〕
#4
○小野明君 私は、日本社会党を代表し、さきの総理の所信表明演説に対しまして質問を行うものであります。
 まず、総理の政治姿勢について伺います。
 その第一は、衆議院の解散についてであります。
 総理、あなたは八月臨時国会という異例の国会召集を行われました。当然、この国会は、与野党一致の生活関連法案、また航空機汚職の徹底究明など、国民が注目する懸案を審議するための臨時国会でなければなりません。しかるに、政府・自民党は、すでに解散の日はおろか、投票日さえ組み込み、政治日程を決めているのが実態であります。
 総理、あなたは、昨年、福田前総理のもとで幹事長を務められた際、大義名分なき衆議院解散に強く反対をされた経過がございます。ところが、総理。総裁の座に着くや否や、にわかに態度を一変させ、陰に陽に解散風を吹かせ、世論を解散に誘導したではございませんか。一体、あなたが昨年解散に反対したときと比べ、いかなる新しい大義名分ができたというのでありましょうか。あるのは、巷間伝えられまするように、選挙を行えば党内での政権担当者たる大平総理の政治基盤が強まるという、党利党略どころか、派利派略以外の何物でもなく、まさに国民を愚弄するものだと思いまするが、総理の明確な御見解を伺うものであります。
 第二は、航空機輸入疑惑の解明に対する総理の姿勢についてであります。
 総理は、かつて、航空機汚職事件の解明に最善の努力をするという決意を表明されました。しかし、その発言とは逆に、かつてロッキード事件究明に熱意を見せた三木元総理の熱意の片りんさえもうかがうことができず、疑惑を解決する姿勢がほとんどありませんことは、羊頭を掲げて狗肉を売るたぐいと言わざるを得ないのであります。現在までに解明されたのは検察による刑事責任の追及のみであり、政治家の政治的、道義的責任の究明は全く不十分であって、そのために社会党を初め野党は政治家の証人喚問を強く要求してきたのであります。
 総理、昨日の御答弁は、検察に任しておけばいいではないかと、こういう印象を強く受けたのでありまするが、国会の果たすべき役割りを総理みずから否定をされておられるのではないでしょうか。前国会において松野氏の偽証問題と岸元首相の証人喚問が必要不可欠の課題となった経過を無視され、自民党の体質に合わないと言われるのでありましょうか。
 総理、あなたは、この間の航空機汚職問題に対する姿勢を改め、国民や野党の要求に謙虚に耳を傾け、今臨時国会において松野氏の告発と岸氏の喚問を図り、この問題の徹底究明を行うべきであると思います。偽証問題で総理は昨日主観性を云々されました。しかしながら、松野氏の偽証は客観的な事実なんであります。この事件に対する徹底究明の御決意の有無を伺いたいのであります。
 このことと関連して、この種一連の疑獄事件に連座した政治家が、自民党の県連段階ではありますが、推薦あるいは公認され、予想される総選挙に出馬すると言われております。国民の政治への信頼を回復する観点から許さるべきではないと存じます。私は、ここで提言をいたしたい。総理のリーダーシップの名において、かりそめにも疑惑を持たれたかつての政府高官、自民党の政治家は公認、推薦を取りやめること、国民はそこを聞きたいと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
 次に、政財官三位一体となった構造汚職の根を断ち切る再発防止について伺いたいのであります。
 政府は、航空機疑惑防止対策協議会を設置し、協議会は、昨日、この種汚職事件の再発を防止するため、政治倫理の確立という基本的方向を出され、総理もまたすでに所信を表明されたところであります。このことが総理のリーダーシップのもとに具体性を持って実現されまするならば、一歩前進と評価するのにやぶさかではございません。しかしながら、汚職防止の姿勢を示しているだけで、今後一体どう展開するのか、一向に具体的ではありません。また、前国会で刑法改正案がやみからやみに葬られた経過を見ても、これではさきのロッキード事件の際と同様、国民を欺瞞する単なるアドバルーン、あるいは事件に対する幕引きと言われてもやむを得ないのではないでしょうか。
 真に汚職の防止を実現するのであれば、道は足元にあるではありませんか。たとえば、社会党が主張しておりまするように、国会の国政調査権の充実、情報公開法の制定、議院証言法の改正、政治家の資産公開、証券取引委員会の設置と会計検査院の権限強化等の抜本策を講じるべきであります。同時に、自民党内ですら主張されております選挙浄化法、これは昨日もわが党下平副委員長も触れておられるのでありますが、これを検討し、この国会に提出して審議を受けるぐらいの熱意があってしかるべきではないでしょうか。
 以上、航空機疑惑の徹底究明、再発防止の具体的施策を講じてこそ、総理の言われる信頼と合意が第一歩を踏み出す、それ以外にないと思うのでありますが、総理の率直明快な御見解を承ります。
 次に、外交、防衛問題について質問をいたします。
 その第一は、山下防衛庁長官の発言に見られる、ことさらにソ連の脅威を強調し、内外の緊張をあおり立てる態度についてであります。
 さきに発表された防衛白書は、意図的にソ連の軍事力の増強ぶりを強調し軍備増強の口実にしようとするねらいが露骨にうかがえるのであります。そしてまた、現職防衛庁長官として初めて韓国を訪問した山下長官が、朴政権の国防大臣とともに極東ソ連軍の増強に重大な関心を表明し、共同して対ソ警戒論をぶち上げるがごときは、アジアの緊張緩和に逆行する、まことに外交的見地から見ても思慮分別を欠いた行動と言わざるを得ないのであります。
 さらに、山下長官は、訪米の際、ブラウン国防長官等から、「ミンスク」の極東配備について行き過ぎた脅威論にくぎを刺されたとのことであります。ところが、山下長官は、帰国後の記者会見におきまして、ソ連の軍事的脅威が増大しているとの認識で一致したと語り、米国側は脅威という言葉は使っていないはずだとする外務省見解と食い違いを見せたのであります。一体、総理は山下長官からどのような報告を受けておられるのか、また、総理自身、さきの所信表明におけるソ連論から見てどのような御見解であるのか、はっきりと伺いたいのであります。
 いまわが国外交に求められているのは、いたずらにソ連の脅威をあおり立ててそれを軍備強化の口実にするのではなく、中国に対すると同様、ソ連に対しても確固たる平和友好の路線を貫く中立外交の推進であります。総理はこの点どうお考えになるのか、あわせて承りたいと存じます。
 このこととも関連し、つい最近、沖繩県民の感情を無視して行われた米軍の大演習についてであります。
 このフォートレス・ゲールと称される演習の性格は、山下長官の訪韓とそれに続く訪米のさなかに実施されたことの中に明確に示されております。これはまさに日米韓三国の軍事一体化をさらに推し進め、朝鮮半島の緊張緩和に逆行するものと断ぜざるを得ないのであります。しかも、この大演習には、自衛隊の参加を否定していたにもかかわらず、自衛官が参加していたのであります。このことの責任も含め、総理の御見解を求めます。
 次に、いわゆるシビリアンコントロールについてお尋ねをいたします。
 昨年の栗栖統幕議長の超法規的行動の発言以後も、制服組の積極的発言は依然として後を絶っておりません。特に、本年三月、永野陸幕長が、近い将来政府の防衛計画の大綱を修正する必要があると語り、さらには陸上自衛隊と米海兵隊との共同訓練を準備中であるとの発言や、あるいは空中戦闘訓練に米軍のB52や空母を加えたいとの竹田空幕長――現統幕議長でありますが、その発言など、きわめて危険であり、果たしてシビリアンコントロールは確保されているのであるかどうか、疑問とせざるを得ないのであります。総理の所信を明らかにしていただきたいと存じます。
 次に、石油エネルギー問題について質問をいたします。
 さきの東京サミットは、第二の石油危機に対処すると称し石油輸人抑制策をめぐってなりふり構わぬ先進資本主義国相互の駆け引きに終始したと言えないでありましょうか。いまわが国に求められていることは、産油国や発展途上国との間における平和外交による平等互恵の協力関係の確立であります。総理はマニラのUNCTAD総会において発展途上国の意向を反映させると意気込んでおられたのでありまするが、東京サミットでは南北問題は片すみに押しやられ、他方でOPECの値上げ決定を非難するなど、むしろ発展途上国や産油国とのみぞを深める結果にしかならなかったと見ざるを得ないのであります。
 そして、サミット後、通産大臣の中東諸国訪問、外務大臣の中南米訪問が行われましたが、発展途上国との友好を深める長期的視野に立った平和外交ではなくて、単なる油ごい外交ではないのかとの疑問を持たざるを得ないのであります。わが党は、積極中立の自主的平和外交こそエネルギー確保の唯一の道であると主張をいたしたいところであります。
 政府は、石油の代替エネルギーとして原子力発電の大々的な推進を主張しております。これまで、自民党政府は、安易に石油に飛びつき、国内の石炭産業を荒廃させてまいりました。この反省に立たず原子力発電に依存しようとすることは、きわめて危険と言わなければなりません。さきのスリーマイル島事件やわが国の頻発する事故から見ても、西独における廃棄物処理問題を見るまでもなく、今日原子力発電は国際的にも安全性に大きな疑義があり、実用段階ではなくて研究段階にとどめるべきだと考えます。わが党は、中長期の観点に立つ石油の代替エネルギーとして、石炭の油化、水力、地熱、太陽熱など、ソフトエネルギーの積極的活用によって、安全性を欠く原子力に依存しなくても十分に可能であることを明らかにしておるところであります。総合エネルギー政策並びに原子力発電の安全性についての総理の御見解を伺います。
 さて、次に財政再建問題について伺います。
 まず問題にすべき点は、今日の財政危機はだれの責任でもたらされたのかということであります。
 それは、言うまでもなく、歴代の自民党政府の責任によるものであります。社会党は、昭和四十年度の国債導入以来、一貫して国債発行に反対をしてまいりました。国債発行は、財政規律を弛緩させ、インフレを招来し、国民生活を破壊することは必至であるからであります。今日の状態は明らかにわれわれの主張の正しかったことを証明しておるではありませんか。自民党政府は、財政新時代の名のもとに、国債発行のたれ流しを続け、自然増収が多額に見込まれたときでさえ火種論と称して高度成長のため産業界に安易に金をばらまいてきたこと、これこそが今日の財政危機を招いている根本原因ではありませんか。財政破綻の責任を国民の前に明らかにすることこそ議論の出発点なのであります。
 第二点は、財政再建の手段と方法についてであります。
 総理は、財政再建のためしばしば大衆増税を主張しておられます。最近も、年間収入二百万から四百万円台の家庭や独身世帯を特に取り上げて税負担の軽いことを指摘し、増税を示唆したのであります。額に汗して働く国民を圧迫し、弱い者いじめを図る自民党・大平内閣の性格を如実に示すものであります。増税を言うのであれば、その相手は富める者、現在の税制で優遇されている者、大きな利益を上げている者、すなわち大企業や富裕者が対象とさるべきであります。そのためには、利子・配当分離課税等の資産所得優遇税制の廃止、過大な各種引当金などの大企業優遇税制の撤廃等、不公平税制を徹底的に洗い直すとともに、わが党が主張する富裕税、土地増価税の創設、法人税への累進税率の導入等を図るなどの税制改正を行えば、土地増価税を除いても年間約三兆円の税収が可能なのであります。このような不公平税制を放置したままで大衆課税を強化しての財政再建は、みずからの政策の責任を国民に転嫁する以外の何物でもありません。総理の言われる八〇年代曲がり角論は、まさに財政再建を国民大衆へ責任転嫁するためのカーブ切りと言わなければならないと思います。昨日総理の言われた新たな負担とは一体何であるのか、この際明確にしていただきたいのであります。
 さらに、一般消費税について伺います。
 社会党を初め野党が強く反対しておる一般消費税の導入に総理は積極的に熱意を示しておられます。また、新経済社会七カ年計画にも一般消費税が現に組み込まれておるのであります。そうであるならば、総選挙前にその方向を明らかにするのは不利であるというこそくな態度をとらず、明確にその旨を宣言し、予想される選挙の争点とすべきであると思います。国民を欺く総理の姿勢は断じて許されないのであります。不公平税制の是正の意思ありやなしや、また、一般消費税の導入を図るのか図らないのか、昨日の御答弁でも一向にはっきりいたしておりません。あわせて、この問題をめぐり自民党首脳部においてさえも食い違いがあるようでありまするが、その実相をも含め、明確に御回答を願いたいと思うのであります。
 次は、国債の償還についてであります。
 本年度の国債費は、利払いだけでも三兆四千億円、債務償還の積み立てを加えると実に四兆円と、予算の一割を超える状況に達しております。しかも、昭和六十年度には発行後十年後に現金償還する赤字国債の期限が到来するなど、利払い、建設国債の償還費を加えた全国債費は巨額なものとなることは火を見るより明らかであります。本当に赤字国債の現金償還を行う意思があるのかないのか、建設国債同様借換制度を導入しようとするのか、それとも財政インフレを想定してそれによる目減りを期待しておられるのか、総理の国債償還に対する方針を伺いたいと存じます。
 次に、経済問題に移ります。
 当面の差し迫った問題は物価問題であります。そこで、まず物価見通しについて伺います。
 政府は、昭和五十四年度経済見通しで卸売物価上昇率を一・六%と見込みました。しかしながら、昨年以降急騰しており、年率で二けた台、七月に至っては年率二五・三%という大幅な上昇を示しております。政府見通しが全く誤りであったのであります。総理は本年度卸売物価上昇率をどの程度と見込んでおられるのか、その見通しを伺います。
 第二点は、便乗値上げの防止についてであります。
 今回の卸売物価の急騰は、特にOPECの原油価格引き上げによる石油製品の値上げもさることながら、これに便乗しだ値上げが見受けられることは事実であります。たとえばガソリンは輸人原油とほぼ同じく六カ月で三割程度上がっております。ガソリンの約半分は税金分でありまするから、原油の値上げが製品価格へ転嫁されたといたしましても一五%程度の上昇、揮発油税を考慮いたしましても二〇%程度の上昇にとどまるはずでありますのに、三一%もの上昇となっておるのは、明らかに便乗値上げの証左でございます。灯油、軽油についても同様であります。わが党の調査でも、七月段階で十八リットル当たり九十円の便乗値上げがなされ、千円以上の価格も現に存在しております。
 しかるに、総理は、七月十二日、日本証券経済倶楽部での演説で、価格は市場の実勢に任せると語りました。何という無責任な発言でありましょうか。国民生活に多大な影響を与える問題について、介入しないと公言、昨日の御答弁でも再言明されたことは、庶民に背を向け業界に顔を向ける不遜な姿勢と断ぜざるを得ないのであります。この際、生活関連物資等の買い占め売り惜しみに対する緊急措置法の発動、また、石油業法十五条の発動により、買い占め売り惜しみ、便乗値上げに強力に対処すべきであると思いますが、具体策をお示し願いたいのであります。
 第三に、消費者物価についてであります。
 消費者物価は、卸売物価に比べれば比較的落ちついておりますものの、次第に上昇傾向を強めております。このような時期に、九月一日からのタクシー運賃大幅値上げを認めたことは、公共料金の値上げによる消費者物価上昇に拍車をかけるものと言わなければなりません。さらに、来年度には、政府は、国鉄運賃、郵便料金、消費者米価、各種手数料の引き上げを表明しており、消費者物価急騰の環境づくりをしているようなものであります。政府は、一体どのような方針をもって物価対策、特に公共料金の抑制を図るのでありましょうか、また、昭和五十四年度の消費者物価見通しの四・九%は可能であると見ておられるのかどうか、伺いたいのであります。
 次に、雇用問題について伺います。
 長引いた不況も回復に向かい、大企業は莫大な増収増益に沸いております。しかし、完全失業者は、昨年七月に比べ一万人増の百十六万人と発表されております。熱心に求職をしておる事実上の失業者は、五百万人を超えていると言われ、しかも増加の傾向にあるのであります。大企業は景気の回復過程においてさえ減量経営の名のもとに人員整理など労働者を犠牲にしてまいりましたが、それを放置してきた政府の責任はきわめて重大であると言わなければなりません。特に中高年齢層や女子の雇用は深刻であります。
 政府は、この際、保険給付期間を過ぎてなお失業中の中高年齢者に対する失業手当制度の創設、高年齢者雇用率の活用強化、再就職の促進、女子の雇用機会の拡大など、具体的積極的な措置をとるべきであります。そして、社会党が提案をしてまいりました解雇規制法の制定、完全週休二日制、週四十時間労働のための基準法の改正、六十歳以上への定年延長法の制定はいずれも緊急に必要とされるのでありますが、総理にこれを実現する意思はありましょうか。あるとすれば、その実施のめどをあわせてお聞かせ願いたいのであります。
 経済問題の最後に新経済社会七カ年計画について伺います。
 新計画の特徴は、財政再建が大きな目標となり、社会保障が軽視されていることであります。国民所得に対する社会保障移転比率は七カ年間で二%にとどまり、昭和五十年から現在までの上昇率四%の半分にすぎません。ここには社会保障軽視の思想が露骨にあらわれ、総理の唱える日本型福祉社会の欺瞞的性格が如実に示されておるのであります。八〇年代を前にして、ウサギ小屋に住む働き中毒と批判されるわが国の現状は、社会保障の立ちおくれの克服を迫っております。新計画の中に、公共事業計画と同様、社会保障部門別の長期計画を策定し、調整のとれた総合的な施策を推進すべきであると思いまするが、総理の御見解を伺います。
 最後に、教育問題についてお尋ねいたします。
 まず、今回の第五次学級編制及び教職員定数改善計画についてであります。
 学歴主義の教育はいま荒廃を深めております。そのため、学級編制の基準を国際的な流れである二十名から三十五名程度にすることが必要であります。文部省は、最近新たな計画を策定し、一学級当たり四十名を定数とすることを発表いたしました。しかし、本計画は、従来の計画が五カ年であったにもかかわらず、二倍に近い九カ年を要する超長期計画となっておりますことは悠長に過ぎると言わざるを得ません。この際、従来と同様五カ年に縮め、その早期達成を図るべきだと主張いたします。総理の地方文化論にもこれは通ずるものだと存じますが、御見解を伺います。
 なお、この際、文部省による地方教育長の面接許可問題について伺います。
 文部省は、今年三月より、地方都市の教育長に対し、従来の書類審査から秘密裏に面接することを行いました。これは文部省の言うことを聞く教育長選びをねらったものであり、教育の国家統制を強め、地方教育行政への一層の介入を図るものであり、今日要請されておる教育の地方分権に逆行する許しがたい行為と断ぜざるを得ません。直ちに中止すべきであると思いますが、総理の御見解を承りたいのであります。
 以上、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(大平正芳君) 小野さんの最初の御質問は、政治姿勢に関することでございます。
 第一は、いわゆる解散についてのお尋ねでございます。
 経済もようやく回復いたしまして、第一次石油危機の混乱も収拾することができたのではございますけれども、わが国の当面する問題といたしましては、エネルギーの制約でございますとか、厳しい財政事情等がございまして、容易なる状況ではないのでございます。この前の総選挙がございまして三年近くを経過しておりますので、このあたりで政局を一新いたしまして新たな姿勢で新たな時代に対応すべきではないかという見解もようやく国民の理解を得つつあるように思うのでございます。こういった事情を踏まえて、民主政治の公正、活力のある展開を図る上から申しまして、政局の問題につきましては私は真剣に対処いたしたい考えを持っております。
 第二の問題は、疑惑解明の問題でございます。
 刑事責任の所在は明らかになりましたけれども、小野さんの言われるように、政治責任、道義的責任の解明は、国会、世論の場で広く展開されておるわけでございます。政府も国会の国政調査権の発動にはできる限り協力してまいりましたし、今後も協力してまいるつもりでございまして、いささかも疑惑の究明を抑えるというような気持ちは毛頭ないのであります。
 ただ、権威ある国会がこの問題に対処されるに当たりましては、政府が取り調べました結果、岸氏自体につきましては本事件に全然関係がないということ、そして、松野君の証言につきましては、主観の絡む問題もございまして刑事局といたしましてこれを告発できるかどうかについて自信が持てないというような報告を受けておりまするので、国会が御判断される場合にはそういう事情を踏まえた上で賢明に判断されることを期待いたしておるわけでございまして、いささかも疑惑の究明をおろそかにしようなどというととは考えていないわけでございます。
 第三の問題は、疑惑に絡まる方々に対する公認とか推薦とかいう問題でございます。
 これは自由民主党は天下の公党といたしまして適当に処理いたすつもりでございます。
 第四番目の問題は、再発防止の問題でございます。
 仰せのように、われわれの重大な任務は再発防止にあるわけでございまして、昨日も政府の協議会から御提言をいただいたわけでございます。これには個人の政治倫理の確立がございます。その中でも、個人の政治資金の明朗化を図るということにつきましては、速やかに政治資金規正法の改正を提案しなければならぬと考えております。ただし、個人の資産の公開の問題、倫理憲章の制定というような問題は、国会のお立場におきまして御検討をいただかなければならない問題と心得ておりますので、近く政府からこの提言を踏まえて国会に御要請をいたすつもりでおります。
 第二に、企業の倫理の確立でございます。グラマン事件、ロッキード事件も企業の倫理に絡まる問題でありましたことにかんがみまして、私どもは、企業の自己監査制度の充実強化ということを踏まえての商法の改正問題等につきましては、いち早くそういう方向で措置しなければならぬのではないかと考えております。
 それから制裁法規の整備強化問題でございますけれども、賄賂罪あるいは脱税事犯等についての罰則の強化あるいは公訴時効期間の延長の問題等につきましては、速やかにそういう方向で具体的な措置を進めてまいるつもりでございます。
 金のかからない選挙制度あるいは選挙の運営について考えるべきではないかという御提言が各方面からもございますし、自由民主党内からもございます。この問題につきましては、国会、政党が絡む選挙のルールの問題でもございますので、政府がイニシアチブをとるよりは、国会、各政党と連携をとりながら検討を進めてまいるつもりでおります。
 第二の御質問は、外交、防衛に関する問題でございます。
 山下長官は、訪米、訪韓の報告を私にいたされましたけれども、ソ連の極東軍の配備について、これを脅威と見ておるとか、これを軍備増強をねらいとして提起するとかいうような報告は全然ございませんでした。ソ連の極東における軍備の配備が強化されておるということは、そういう情報はわれわれも伺っておるわけでございますが、われわれとして、これが日本に対する顕在的な脅威であるとは受けとめていないのであります。
 それから第二に日ソ関係のあり方についてのお尋ねでございますが、私が演説でも申し上げましたとおり、ソ連は重要な隣国でございます。われわれは漁業、経済協力、貿易を初めといたしまして、各般の交流をいま相当濃密に日ソの間に発展させておるわけでございますので、ソ連も日ソ関係の進展には満足されておることと思うのでありまして、こういう各般にわたる交流関係を一層強めながら、懸案の領土問題につきましてはソ連の理解も得ながらしんぼう強く交渉いたしましてこれを解決して平和条約の締結にまでこぎつけたいという念願を依然として強く持っておりますことを御理解いただきたいと思います。
 沖繩の演習問題、自衛隊幹部の発言問題等につきましては、防衛庁長官から答弁をお願いいたすことにいたします。
 第三は、石油エネルギー問題についてのお尋ねでございます。
 東京サミットの評価でございますが、石油の需給が不安定になっております今日、東京サミットにおきまして石油消費の七割を占める主要国の首脳が集まりまして石油の節約、それから輸入のシーリングの具体的な設定ということにこぎつけましたことは、石油の世界的な需給の安定に大きく寄与したものと評価いたしております。この東京サミットにおける南北問題は、先進主要国は石油の値上げによりましてそれだけの資源を産油国に移さなければならぬ立場にありまするけれども、それだけ援助能力が張まったといえども、われわれ以上に苦しんでおるのは石油を持たない開発途上国であるという見地に立ちまして、一層南北問題に対する関心を高め、援助を強めていこうでないかという合意が成立いたしまして東京宣言に盛られましたことは、小野さんも御承知のとおりかと存じます。
 それから石油の供給を多角化しなければならぬということはわれわれの常々から考えておるところでございまして、中近東に過剰に依存する事態は決して健全ではないわけでございまして、非OPEC諸国、中国、中南米諸国との外交を強化してまいるということは当然考えなければなりませんので、外務大臣、通産大臣が最近中南米を訪れましたゆえんのものも、また中近東諸国を訪れましたゆえんのものも、そこにありますることは、御理解をいただきたいと思います。
 第四の原子力発電を中心といたしまする代替エネルギーの開発についての御意見を交えての御質問でございました。
 小野さんがおっしゃるように、この問題は総合的なエネルギー対策として受けとめなければならぬと考えております。政府といたしましては、第一に信頼のおける代替エネルギー源として原子力を考えておる、石炭を考えておる、それからあなたのおっしゃるように水力、地熱、太陽熱等ソフトエネルギーを考えておることは御案内のとおりでございますが、御心配の原子力発電に絡まる安全性につきましては、周到厳正な配慮を加えて関係住民の理解と協力を得ながら進んでまいるつもりでございます。
 第四の御質問は、財政再建の問題でございます。
 第一は、財政危機を招いた責任はどこにあるかというお尋ねでございます。
 すべて、よいことも悪いことも政府にありますことは、当然のことでございます。石油危機がございまして以来、この大きな不況のあらし、衝撃を受けました日本経済を守り、日本の国民の生活を守るために、まず財政が出動いたしましてこの危機を収拾いたしたわけでございます。そのために、財政は後遺症を持って相当疲労の状態にあることでございます。この選択は、私はたびたび本院におきましても申し上げたのでございますが、誤っていなかったと思うのでございます。ただ、問題は、この残された後遺症をできるだけ早く治療してまいる、このことによってわれわれの政治責任を果たさなければいかぬわけでございまして、そういう意味で財政再建をわれわれは強くお願いをいたしておるわけでございまして、御理解をいただきたいと思います。
 第二に、その手段方法でございますけれども、小野さんも御指摘のように、歳入、歳出全体にわたりまして鋭意見直しを行い、むだを省いていかなければならぬことは当然でございます。行政定員、行政機構、補助金、その他万般にわたりまして見直しを行うことによって財源を浮かしながら財政の再建に当たらなければならぬと思います。また、幸いに景気もようやく回復の軌道に乗りましたので相当程度の自然増収も期待できるわけでございますが、そういったものを一切合財鋭意活用いたしましてなお足らない場合はどうするか。なお足らない場合というのは、赤字公債の絶対額を減らしていくことに対しましてなお不足する場合はどうするかということが私どもの仕事でございますが、その場合におきましては、国民の理解を得ながら、国民の理解の得られる方法で新たな御負担をお願いせざるを得ないのではないかという態度でおるわけでございます。
 それから第三の問題は一般消費税の問題でございます。
 そういういよいよ切り詰めていってこれだけ足らぬと言ってきた場合に、これを既存の税制で賄うか新税を起こすかというのは、手段方法としていろいろあろうかと思いますが、その具体的検討は五十五年度の予算で答案を出さしていただきたいと考えております。何となれば、幾ら足らないかということはまだ明らかでないからであります。財政当局は、そういう場合も想定いたしまして、もし国民の理解が得られるならば一般消費税を考えることも一つの方法ではないかと提起いたしまして、世論の検討にまったわけでございます。
 一般消費税につきましては、私どもも党の内外を通じまして非常に強い反対があることはよく承知いたしておりまするし、物価政策その他の立場から、また課税技術その他の立場から、十分検討せにゃいかない余地がずいぶんあることも承知いたしておるわけでございます。問題は財政再建をなし遂げることでございまして、私どもが必要とする財源が他の方法によって得られるのでございますならば、何も一般消費税に固執する必要はないと考えておるわけでございますが、どうしてもほかに道がないということが明らかになった場合におきましてはこのことについて一般の方々の御検討をお願いすることがあるかもしれない、そう考えております。
 第四は、赤字公債の償還問題でございます。
 小野さんが御指摘になりましたように、建設公債につきましては借りかえの道を開いているわけでございますけれども、赤字公債につきましては、私ども、百分の一の定率繰り入れ、それから剰余金の繰り入れ、それから予算繰り入れ、三つの方法によりましてどうしても償還してまいらなければなりませんので、これを借りかえていくという考えは持っておりません。
 第五番目に経済問題についてのお尋ねでございました。
 卸売物価は、確かに小野さんの御指摘のように上げ足が早くなっておりまして、一・六%という目標の達成は残念ながら不可能でございます。これを相当大幅に改定しなければならぬと考えておりまするけれども、われわれは、これは海外で、たとえば石油であるとか、木材であるとか、あるいは皮革であるとか、海外からの資源の高値に由来するものでございますが、この高値というものをできるだけ悪影響を与えないように物価政策上排除しながら極力抑え込んでいくつもりでございますが、遺憾ながら相当大幅の改定をしなければならないという事情にあることは正直に告白をせざるを得ないと思っております。
 ガソリン、灯油、軽油等の価格でございますが、私はこれは一番根本はこの需給を安定さすことだと思うのでございまして、需給が安定する、そしてそれに対する消費者が信頼をするということがございますならば、小野さんが言われるように、標準価格の設定でございますとか、さらに進んで石油三法を適用しなければならぬという事態は起こらぬと考えておるわけでございまして、いま私どもはそういう手段にまたなくても需給の均衡はとれ得るものと確信をいたしておるわけでございます。
 それから消費者物価の見通しでございますが、四・九%はただいまのところ達成できるという自信を失っておりません。なるほど海外からの資源高もございますけれども、極力われわれは慎重な経済運営に徹しまして、消費者物価の目標は何としても守りたいし、守り得るのでないかと考えておるわけでございます。
 それから雇用問題についてのお尋ねでございましたが、雇用は、逐次雇用の機会自体は拡大いたしておりまするし、有効求人倍率も改善をいたしておるわけでございまして、私ども当面明るい方向に向いておると思いますけれども、具体的なお尋ねでございますので労働大臣からお答えをいたします。
 それから新七カ年計画と福祉政策との関連でございますが、新七カ年計画も、社会保障の部門別な長期の展望を見ながら、現在国際的水準に達しました給付水準というものを老齢化が非常に進んでおる段階におきましても落とすことのないようにやらなければならぬという考えをもって作案いたしておるつもりでございます。
 教育の問題につきまして二つのお尋ねがございました。文部大臣からお答えすることにいたします。(拍手)
   〔国務大臣山下元利君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(山下元利君) お答え申し上げます。
 先月沖繩で行われました米軍の演習には、自衛隊関係者は参加いたしておりません。ただ、米側からの招待を受けまして陸上幕僚長以下三十六名が単に演習を見学しただけでございます。
 次に、シビリアンコントロールについて申し上げます。自衛隊は防衛庁長官であります私の指揮命令に完全に服しておりまして、また、陸空両幕僚長の発言に特段の問題があるわけではございませんで、シビリアンコントロールについての御懸念は当たらないものと考えております。(拍手)
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。
 東京サミットでエネルギー問題が大きく打ち出されて南北問題が片すみにやられようとする空気があったことは、御発言のとおりであります。
 わが方の総理は、ボンのサミットにおける次のサミットでは南北問題は十分討議しようという約束があったこと、第二番目には初めてアジアで開かれたこと、第三番目には深刻なエネルギー問題は先進国にも影響をするが開発途上国に対する影響はきわめて深刻である、こういう点から終始イニシアチブをとり、南北問題について討議をし、総会の宣言でごらんのとおり、資金の流れの増大、食糧面、エネルギー面における協力、人づくりを含む経済・技術の協力と宣言文に取り上げられ、開発途上国、特にASEANからは日本のイニシアチブを高く評価されているところでありますから、御理解を願いたいと思います。
 次に、アフリカに参りましたが、アフリカは、御承知のとおりに、石油の出る国はナイジェリアだけであります。ナイジェリアからはわが日本は石油はいま買っておりません。一言一句もアフリカ諸国で資源の問題を相談したことはありません。
 中南米に入るに先立ち、内外記者会見で、資源の相談に来たのか、こういう話がありましたから、私はことさらに、初めてよその家を訪問して物をねだるような不見識なことはいたさぬ、こう言って中南米に入ったわけであります。メキシコでは、通産大臣がやっておられた石油の問題の懸案がありましたからこれは出ましたが、その他の国では一切私は資源のことは話しておりません。
 中南米とアフリカはつながっております。しかも、中南米とアフリカが今後世界平和のためにどのように発言権が増大してくるか、しかも平和のためには非常な影響力を持つ国であることは、私よりも小野さんの方が御理解が深いはずであります。そのような国々と長期的な視野に立って友好関係を結び、相助けて世界の平和と繁栄に貢献するパートナーとしての役割りを結ぶことが私の訪問の目的であります。
 江崎通産大臣が中東へ行かれましたときにも十分相談をして、物ごいではないように、各国の国づくりに協力するという日本政府の意向を表明をされて非常に成果があったものと考えます。
 資源については、小野さんのおっしゃるとおりでありまして、私は、開発途上国、OPEC、こういう国々と長期的視野に立って友好関係を結び、世界の平和と繁栄に貢献することが日本の資源の確保と安定に通ずる道であるということは、御意見のとおりであります。(拍手)
   〔国務大臣栗原祐幸君登壇拍手〕
#8
○国務大臣(栗原祐幸君) 小野さんにお答えをいたしますが、小野さんの雇用情勢に対するいろいろ御見解がございました。政府といたしましても雇用情勢につきましては十分な配慮と関心を持っておるつもりでございます。
 御指摘の点、たとえば失業給付の日数の延長とか、給付率の七〇%アップとか、あるいは中高年齢の失業者に対する手当の創設というようなことでございますが、私どもは、ただいま申しましたとおり重大な関心を持っておりますが、現行制度で一応御期待に沿っておるのではないか、そう考えておりますので、いまのところ、せっかくの御提案ではございまするが、新たな措置をとるつもりはございません。
 それから高年齢者の雇用率の達成の問題、大企業ですね、それから女子の雇用差別禁止対策、あるいは週休二日、あるいは六十歳定年等について政府はやる気があるかどうか、こういう御意見でございますが、やる気は十分ございます。いま行政指導にせっかく取り組んでおります。特に、定年制の延長の問題につきましては、雇用審議会等で法制化をも含んで十分に御検討いただく、そういうことになっております。
 なお、使用者の一方的な判断、恣意的な判断で解雇をするということについてどうかということでございますが、判例でも御案内のとおり、使用者が恣意的に一方的に解雇するということはこれはしてはならぬと、そういうふうに判例で定着しておりますので、その定着した慣行にならって処理すべきものと思います。
 ただ、減量経営に籍口して解雇をするということは、厳に戒めなきゃなりませんので、私、労働大臣に就任以来、通産大臣等とも一緒になりまして、企業側に強くそういうことのないように要請をしております。ただ、どうしても企業が生き延びなきゃならないという場合には、その実態は労使の判断するべきことでございますので、労使の良識にまつ、こういう考え方でございます。(拍手)
   〔国務大臣内藤誉三郎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(内藤誉三郎君) 小野さんから御質問のありました小中学校の学級編制の標準の問題につきましては、昭和四十九年の衆参両院の文教委員会の附帯決議並びに昨年の衆議院文教委員会の定数小委員会の報告の趣旨に沿い、文部省としては昭和五十五年度から九カ年計画で改善を図るべく来年度の概算要求に所要の経費を盛り込んでおりますが、今後財政当局と十分御相談してまいりたいと考えております。
 なお、小中学校の児童生徒の数は、昭和五十七年度に最大となり、しかもその大半が過密地域に集中するという実態を考えますと、これらの地域を中心として一時期に過度な財政負担の集中を来すような御提案は、困難な点が多く賛成いたしかねることを残念に思います。
 次の問題は、教育長の承認の問題でございますが、教育長は、その職務の内容と職責の重要性にかんがみ、適材を得るということがきわめて大切であります。そのため、文部省では、教育長の承認に当たり、書面による審査のほかに、必要に応じ教育長候補者と面談することは有益であると考えております。こうした取り扱いは、法律によって定められている承認制度を適切に運用するためのものであり、教育の国家統制とか、教育の地方分権に逆行するとは私どもは考えていないのであります。
 どうもありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(安井謙君) 山崎竜男君。
   〔山崎竜男君登壇、拍手〕
#11
○山崎竜男君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、政治姿勢のあるべき姿を初め、当面する内政、外交の重要課題にしぼって総理大臣に質問したいと存じます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 総理の著書「私の履歴書」によりますと、大平総理は、讃岐の農家の生まれで、小さいころから野良仕事に駆り出され、田植え、草取り、稲刈りはもとより、牛馬の世話に加えて副業の真田編みに追われ通しの毎日であったということです。私が少なからぬ感動を覚えましたのは、サトウキビを栽培して白下糖をつくる大平少年の思い出であります。「四斗樽につめられて固い結晶になるころ、町から商人が天秤棒をかついで買取りにくる。天秤棒は正直であるが、商人はかならずしも正直とはいえなかった。たくみに分銅をごまかして平然と重量を告げる。そのずるいやり方に対して、居合わせた大人たちはだれ一人なんの抗議もしない。幼い私には、それがとてもくやしかった。」とあります。為政者にとって最も大切なことは、このように不正を憎み、権力におぼれてはならないということであります。国民とともに歩んで、その痛みをともに分かち、どんな場合でも公正さを貫くことであります。華やかだった超高度成長の夢が去り、堅実だが控え目な経済政策への切りかえに伴って、分配が乏しくなればなるほど社会における公正さはより厳格に求められるようになります。それが政治に対して従来にも増して強く要求され、政治の要諦となるのは当然の帰結であります。
 大平総理の少年時代を語るエピソードは、力による支配を排し、何事にも公正であることをとうとぶ精神の重さを伝えています。その人が、今日、内閣総理大臣として、とりわけ総選挙に訴えてみずからの信を問うに当たり、信念とする政治理念とそれを支える政治姿勢のあるべき姿についてあなたは改めて国民の皆さんに語りかけるべきではないでしょうか。
 さて、総理、あなたは所信表明演説の中で曲がり角という時代認識を示しておられます。これは政治経済から文化に至るさまざまな分野で質的転換が強いられているいまの時代認識をあらわしたものと理解しますが、総理が曲がり角と言うのであれば、その先をどのように見通して八〇年代に向けてどんな国づくりを目指しているのか、まず最初にその指針を伺いたいと存じます。
 恐らく、総理に曲がり角と言わせた最大の根拠は、エネルギー情勢の根本的な改革をベースとした認識でありましょう。石油を中心とするエネルギーが極度に制限され、原油価格の値上げは天井知らずという今日の世界的な事態は、産業革命以来の近代文明がようやく行き詰まった深刻な姿と言えます。このことが象徴的に表現されたのがさきの東京サミットで、東京サミットがまさに石油サミットと呼ばれて世界の注目を集めたゆえんのものであります。今回の東京サミットは、従来の政治ショー的な先進国首脳による会談ではなく、第二次石油危機を背景にして各国首脳が懸命の話し合いによって合意点を見出しました。これは、石油をめぐる新たな国際協調、秩序の確立の上から、まことに意義深かったと言えましょう。特に、主要先進工業諸国が自発的に一九八五年までの石油輸入目標を具体的に設定したことは、東京サミットがエネルギー政策について歴史的な成果をおさめたことを物語っております。わが国の歴史に新たな一ページを飾る超弩級の国際会議を成功裏に導いた大平総理の献身的な努力を私は高く評価いたします。
 しかしながら、大事なことは、約束事を取り決めることではなくて、これをいかに実行するかであります。今後ともわが国の経済が安定成長路線に乗り、六%程度の成長を目指していくにしても、エネルギーなしにはこの成長を維持することはできません。多くの国民の最小限度の要求は、現在の家庭生活の水準を守ってまず生活を安定させ、将来にわたり徐々に充実させていくことであります。こうしたささやかな国民の願いも、エネルギーの安定供給の保証がなくてはかなえられるはずがありません。総理の主張する家庭基盤の充実と潤いのある生活設計の夢はもろくも崩れざるを得ないのであります。
 今日、わが国の農業は油づけ農業と言われております。石油で育つ野菜や果物の温室栽培面積はいまや世界一になっています。狭い耕地で安定収益を図り、食生活の多様化に対応する農業のあり方として当然の姿でありますが、今後の油不足の状況いかんによっては石油に依存した農業が打撃を受けないとも限りません。このことは、ひとり農業だけでなく、漁業もまた例外ではありません。幸いいまは適度の供給によって需給のバランスが保たれていますが、構造的な石油不足時代が到来してきている中で政府は今後の石油輸入の確保についてどのような見通しと対策を持っているか、見解を承りたいと存じます。
 エネルギー対策の第一は、省エネルギー政策の推進であります。
 政府は、IEAの申し合わせや東京サミットの精神に基づいて、石油消費の節約を達成するため、三月以降省エネルギー運動を展開しているようでありますが、江崎通産大臣の省エネルックばかりが目立って、その割りには効果が上がったという報告を聞かされておりません。エネルギー危機に対する国民や産業界の受けとめ方にもいま一つ緊張感を欠いた印象を受けますが、これでよいのでしょうか。省エネルギー政策の根本は、エネルギー制約時代に見合った産業構造への切りかえを柱に、省エネ製品の開発、企業や家庭、学校での省エネ教育の徹底などによる生活様式と生活意識の転換にあります。これは省エネ時代の文化のありようを問うきわめて重要な課題であり、二十一世紀における文化の創造につながる文化の質的転換を促すものと考えますが、総理の認識をお聞かせ願いたいと存じます。
 第二は、石油にかわる代替エネルギーの開発と導入を促進する問題であります。
 技術的には、さしあたって石炭液化を中心に石炭の利用を拡大すること、原子力発電施設の増設を柱とする原子力の平和利用を拡充していくこと、LNG――液化天然ガスの開発輸入、長期計画に基づく水力、地熱、太陽エネルギーの再開発と利用などが指摘されています。
 このうち、一つ指摘しておきたいことは、酸素資源を節約しなければならぬ時代が遠からず来るのではないかと思われることです。世界的な森林資源の減少、それに加えて海洋汚染による植物プランクトンの死滅、人口の増加等を考えれば、石油、石炭、ガス等、いずれも酸素を消費するエネルギーを未来永劫使用するということが不可能になる時代が来ないという保証はないと考えられます。その意味でも、酸素を消費しない水力、地熱、風力、波力、太陽熱等、いわゆる脱石油、脱化石エネルギーの利用の開発と、それまでの間の原子力利用ということは、酸素を消費しないエネルギーであるという点で非常に大事なことであると考えられます。政府は、これらの代替エネルギーのホープと目されているものに対してどのような考えを持っているのか。さらに、代替エネルギーによって石油の依存率を八〇年代の終わりまでには七五%から五〇%に引き下げると言っていますが、どうやって実現するのか、所見を承りたいのであります。
 いずれにいたしましても、代替エネルギーの開発推進には莫大な財源が必要であり、このための国民的合意の形成が重要になってまいりました。エネルギー新税構想や道路財源となっている揮発油税の見直し論が伝えられるのもこのためだと思われます。脆弱なわが国のエネルギー基盤に対して将来のエネルギー供給の安定化を図るには、代替エネルギーの研究開発とその実用化の促進に思い切った投資を行うべきだと考えますが、総理はこのエネルギー対策財源の確保についてどのようにお考えでしょうか、承りたいと存じます。
 この問題について財源措置と並んで重要なことは、一つは安全性の問題であり、いま一つは新たな公害発生の懸念とそれに伴う環境対策であります。原子力発電所の建設一つを取り上げてみても、地域住民との信頼関係がなくては何事も進展いたしません。科学技術に裏づけられた完璧なまでの安全性と万全の環境対策を整備して国民の理解と信頼を得るための仕事は政治が分担すべき課題であります。政府はこの分野の認識をいかに厳しくしても厳し過ぎることはないと信じます。
 制約を受けるのは、エネルギーだけではありません。各種の資源、食糧の制約が一層厳しくなることが予想されます。政府は、これらの制約から国民生活を守るため、万全の施策を講ずる必要があります。特に重要なのは食糧問題だと思われます。この際指摘しておきますが、政府は五十五年度、今年度より五〇%も上回る減反を農家に強いる予定であると聞いております。なるほど米の生産過剰は周知の事実でありますが、今年度、品質問格差の導入を図り、農家の実質収入減につながる政策を打ち出した上に、さらに来年度大幅な減反計画を強行されることになります。これは農家の農政不信にさらに拍車をかけることになるばかりでなく、農家の生産意欲を鈍らせ、その生計の基盤すら失わせる可能性のある重大な決定になるおそれさえ予想されます。政府は、農家の収入が実際に減少することのないように十分の配慮をする等、愛情のある慎重な検討を重ねるよう、注意を喚起しておきます。
 次に、財政の再建について伺います。
 わが国の財政が大量の国債に依存してきわめて不健全な形になっていることは周知のとおりであります。歳入の不足を赤字国債で補うという安易な予算編成を繰り返した結果、国債の発行残高は今年度末には五十九兆円にも上るものと予想され、巨額な国債の発行はすでに市場における消化の限界を超えるに至っています。もしこのまま大量の国債依存を放置するならば、遠からずして悪質な財政インフレを招き、産業経済に取り返しのつかない打撃を与え、生活設計を根底から覆し、その損害ははかり知れないものがあります。さらに、インフレは、社会的に恵まれない立場の人々にとりわけ厳しい影響を及ぼし、社会的公正を著しく損なうことにもなりかねません。そうした意味からも、年々拡大の一途をたどる公債に依存するわが国財政を速やかに健全財政へ脱却させるための財政再建は、一日も早く達成されなければなりません。
 財政の建て直しには、まず何よりも現在の歳入、歳出の徹底した見直しが必要だと考えます。歳入面では、現行税制のもとで税負担の公平が徹底して貫かれているか、徴税漏れがあるのではないか、洗い直しをしっかりやる必要があります。一方、歳出面では、健保・米・国鉄のいわゆる三K問題解決への足がかりを含め、財政支出の徹底した合理化と効率化を図ることが財政再建の第一歩であります。政府は、五十五年度予算編成に当たり、財政の再建を目指して既存の歳入、歳出についてどのような見直しを行ってその第一歩を開こうとするのか、見解を伺いたいのであります。
 申すまでもなく、財政再建は、単にインフレ防止という消極的な理由にとどまらず、国民生活を守り、国民のニーズにこたえて適時適切に手を打っていく、みずみずしい対応力を持つための必須条件でもあります。このためには財源の充実が必要でありますが、景気回復の定着による税の自然増収を図ることが先決だと存じます。したがって、景気対策は、物価対策との兼ね合いから極端な追加措置は見送るとしても、引き続き手を抜いてはならない施策の一つであります。
 そこで、総理に伺いたいのは、新たな負担の可否の問題であります。これまで、政治は、とかく目先の利益にとらわれて国民におもね、迎合を繰り返してきたきらいがあります。国民もまた、それになれて安易に政治に依存するという風潮が続いてきたことは否めない事実であります。こうしたことから見ても、政治家ならだれも好きこのんで評判の悪い新たな犠牲を国民に強いるようなことはしたくないはずです。それにもかかわらず、総選挙を前にしたこの時期に、何ゆえ増税と誤解されるような問題提起をするのか、いま一度わかりやすい御回答を求めたいと思います。
 財政再建は、新たな負担をしなければ必ずしも達成できないものとは限りません。歳入、歳出の両面にわたってあらゆる努力を試みた結果、どうしても必要に迫られた場合に、政府もこれこれしかじかの努力をしたがまだ少しお金が足りないので、そこで物は相談だが国民の皆さんの理解をいただける範囲で新たな負担をしていただくことになるかもしれませんというのが総理の真意ではありませんか。改めて明快な答弁を求めます。
 そこで、財政再建に関連して、その踏み絵とも言うべき行政改革について伺いたいと思います。
 就任当初、行政改革に積極的とは言えなかった総理が、肉を切って骨に及ぶ覚悟でやると言うまでになりました。これは、当座の手直しにとどまらず、本格的な簡素で効率的な政府を目指す方針を示したものと受け取れます。自由民主党は、これまで、行政改革の重要性を繰り返し主張し、具体的な提案をしてまいりましたが、最近ようやくこれを受けて厳しい定員管理、定年制の具体化、高齢者給与の抑制、各般にわたる行政事務の整理、特殊法人の整理統合などの改革が進められようとしております。しかし、パーキンソンの法則にもありますように、ほうっておけば膨張する官僚機構にメスを入れることは、当事者の役人だけでなく、与野党の抵抗、反対が必至であり、それだけに万難を排して実行に移す強固なリーダーシップと勇断が要求されます。オリンピック記念青少年総合センター法改正案という特殊法人整理法が二度の通常国会と二度の臨時国会を経ていまだに審議未了となっている実情を見るとき先が思いやられますが、この厄介な問題に真剣に取り組む総理の決意を改めて求めるものであります。
 今日、地方の時代と言われますが、総理の提唱する田園都市構想ともマッチして地方分権が一層徹底され、市町村の自主性を深め、自治能力が高められるのは結構なことと存じます。それと同時に、地方自治体でも、地方公務員の定員管理や定年制、国家公務員をはるかに上回る給与や退職金、さらには後を絶たないやみ給与の支給など、多くの問題が解決されないままになっているのも事実であります。政府は、適正を期すべきこれらの問題に今後いかに対処していくつもりか、伺いたいのであります。
 私は、これまで主としてエネルギー政策と財政再建を取り巻く課題についてさまざまな問題を提起してまいりました。そして、いずれもかってない困難な政策転換や理解されにくい政策の遂行が迫られている問題ばかりであることも明らかになりました。それにいたしましても大事なことは、どの課題を取り上げてみても、国民の信頼と合意、理解と英知の結集がない限り実行不可能だということであります。これは政治に対する国民の信頼がない限りだめだというのと同じことであります。すべての根幹は政治への揺るぎない国民の信頼感にあります。航空機疑惑が政治と国民をつなぐ信頼のきずなを阻害したことは否めません。その回復にどう対処するかは、ひとり政府にとどまらず、政党、党派を超えて政治が真っ先にこたえるべき最重要の課題であると存じます。政府は、きのう、航空機疑惑問題等防止対策協議会から、政治倫理の確立を目指す提言を受けたと聞いておりますが、言葉の遊戯に終わらせることなく、現実の政治に確実に反映させていく総理の決意を承っておきたいのであります。
 さて、外交問題であります。
 日米関係につきましては、短期間のうちに総理の訪米とカーター大統領の来日というビッグイベントが実現したことに象徴されますように、農畜産物の扱いや政府調達をめぐってぎくしゃくした当時の不安は一掃され、日米相互の協調体制はかつてない良好なものと見受けられます。
 そこで、一つ伺いますが、伝えられる総理の年内訪中は事実でしょうか。隣国との友好を一層確かなものにすることに異論はありませんが、わが国にとってソビエトとの関係改善も同様に重要な外交案件であります。年内の中国訪問が事実とすれば、その目的と合わせて対ソ外交の進め方についても総理の基本的な考え方を伺っておきたいのであります。
 隣国と言えば、朝鮮半島の動向もわが国にとっては気がかりであります。日韓友好の増進に一層の努力を払うとともに、朝鮮半島の平和と安定に寄与すると所信表明演説で言明された方針に沿って政府が引き続き努力するよう期待いたします。
 また、特にASEAN諸国とは、同じアジアの民として、心の触れ合いを持って平和と繁栄を分かち合うパートナーであり、わが国はその国づくりに協力すべき立場にあります。園田外務大臣の言うとおり、わが国のためにASEANがあるのではなく、ASEANのために日本があるのであります。総理はUNCTADの演説において開発途上国の人づくりを強調され、このための奨学資金を毎年百万ドル、向こう十年間供与することを明らかにされたほか、福田ドクトリンを忠実に守っていくことを約束されました。政府がこうした方針に基づき具体的な施策として約束を着実に実行していくことを期待いたします。
 いずれにしましても、地球社会の到来の中で、国と国との交わりは一層大切になると同時に、複雑でむずかしいものになってきています。万誤りのなきよう慎重な展開を政府にお願いしておきます。
 戦後三十有余年、国民の皆様のたゆみない努力と国民の強い支持のもとに政権を担当してきた自由民主党内閣の実績により、私たちは世界にかつて例のない豊かな社会を築き、国際社会における重要な責務を背負うまでに成長いたしました。わが党は、この事実に思い上がることなく、常に謙虚に反省し、国民の合意の上に立ってさらに研さんを積み、民族の英知を結集して八〇年代の危局を乗り切り、二十一世紀への展望を切り開いていくことを国民の皆様にお約束して、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(大平正芳君) 山崎さんの最初の御質問は、政治姿勢についてでございました。
 申すまでもなく、自由民主党内閣の責任者といたしまして、議会制民主制を中央、地方を通じて堅持し、活力のある公正な自由市場経済体制を堅持しながら、日米安保条約、自衛力の整備を軸とする安全保障体制を踏まえて、信頼と合意に基づく政治を着実に進めさしていただきたいと念願しておるわけでございます。
 曲がり角に来た八〇年代の展望はどうかというお尋ねでございます。八〇年代はどういう試練が私どもを待っておるか定かではございませんけれども、恐らく、石油を初め、資源の供給、あるいは食糧問題、通貨問題等、安定化に向かう展望をつかみ切ることはできないのではないかと考えております。よほどの決意を持って政局に当たらないといけないのではないかという緊張を覚えておるところでございます。しかしながら、これまでの経過から見まして、八〇年代は経済重視の時代というよりは文化を重視する時代になるのではなかろうか、地方の活力と地方の自主性を尊重する時代になるのではなかろうか、国際的協力がいよいよ強く要請される時代になるのではないかというような展望を持っておるわけでございまして、そういうことを考えながら慎重に責任を果たしていかなければならぬと考えております。
 第二の御質問は、エネルギーの問題でございます。エネルギー問題の重要性に対する基本的認識につきましては、山崎さんと私は全く同一でございます。
 第一の御質問は、省エネルギーは単なる石油という商品の需要の抑制にとどまらないで、産業の構造、生活の様式、あるいは進んで生活意識にも関連する問題ではないか、二十一世紀の文化の質的転換を促すという性質のものではないかという御指摘でございますが、全くこの点につきましても私も同感に存ずるのでございまして、そういう視野から省エネルギー問題に接近していかなければならぬと考えております。
 第二の石油代替エネルギーの開発導入の問題でございます。これにつきましては先ほど小野先生にもお答えいたしたところでございますけれども、われわれといたしましては、信頼性の置けるエネルギー源として原子力、石炭、新エネルギーをいろいろ考えておるわけでございますが、八〇年代の終わりには、現在二%にすぎない原子力をエネルギー源のシェアといたしまして一〇・九%、それから海外石炭、現在一一・六%でございますが、これを一五・六、LNGが二・九を九%、それから新エネルギー、わずか〇・一%の現状でございますが、これを五・五%程度、そして輸入石油、いま七四・五%輸入石油に依存いたしておりますものを五〇%程度に引き下げようじゃないかという目標を設定いたしました。これは総合エネルギー調査会の需給部会の作業で出てきた数字でございますが、おおむねこういう目標を目標といたしまして代替エネルギーの開発、そしてその活用に当たりたいと考えております。
 それからそのためには財源の確保が第一じゃないかという御指摘でございます。そのとおりでございます。しかし、財源につきましては、これは主としてその調達は民間セクターの問題になると思いますけれども、研究開発を中心といたしまして相当政府がめんどうを見なければならぬ面もあろうかと思います。官民の分担の問題、受益者負担のあり方の問題等を踏まえて具体的な検討を進めていきたいと考えておりますが、ただいまどのぐらいの財源が必要であるか、年次別の具体的な数字を申し上げられるまでの用意はまだ持っておりません。
 それからエネルギーの安全性と環境整備、これは政治の責任として周到な配慮が望ましい、とりわけ酸素不消費のエネルギーの開発という点に力をいたさなければならぬという御指摘はごもっともに存じます。
 それから財政再建の問題でございます。
 これは、仰せのように、既存の歳入、歳出の徹底した見直しがまず第一でございます。それには、税の面におきましてもただいままでも鋭意不公平税制の是正の問題でございますとかあるいは既存税制の見直しを鋭意やってきたわけでございますが、さらに一層深くこの問題に立ち入って見直しをしなければならぬと考えておるわけでございます。
 それから歳出の問題につきましては、ひとり行政費ばかりでございませんで、定員、機構につきましても、また補助金につきましても相当思い切った見直しをいたさなければならぬとサマーレビューを通じていま鋭意やってまいっておるところでございます。
 それから先ほど申しましたように、経済が幸いに回復の軌道に乗りまして、きょうの発表にございますように、自然増収も相当期待できる状況になっておりまするけれども、そういったものを一切合財傾けましてどうしても赤字公債の絶対額を来年度から減らしていく、そして五十九年度までには少なくとも赤字公債からは完全に脱却したいというのが私が構想いたしておりまする財政再建の目標でございます。そのために、既存の歳入、歳出の徹底した見直しと自然増収を傾けてなお足らないという場合こそ新たな負担――あなたの御質問の新たな負担でございまして、この問題がどのぐらいの金額になるか、そしてそれをどういう税目にお願いするかという具体的な決定はまだ政府はいたしていないわけでございまして、五十五年度の予算の編成で具体的な答えを出したいと考えておるわけでございます。
 それから次には行政改革についてのお尋ねでございます。
 行政改革につきましては、政府は毎年毎年人員の削減に努めてまいりまして、この十年間少なくとも中央に関する限りにおきましては人員の増加はないわけでございますが、これから来年度を起点といたしましてさらに新たな計画を策定いたしまして、いままでよりも大幅の定員の削減計画をいま打ち立てつつあるわけでございまして、明年度を起点といたしまして人員の削減に思い切って対処しなけりゃならぬと考えております。
 それからなかなか進まなかった配置転換の具体化にも決心して当たらなければならぬと考えておるわけでございます。
 機構並びに特殊法人等につきましては、その膨張を抑制することはもとよりでございますけれども、役割りを終えたものにつきましては、その整理、整備を考えていかなければならぬと思っております。
 それから地方分権の問題でございますが、仰せのとおりでございまして、また地方の時代を迎えまして、いままで中央集権に偏り過ぎておったという認識はあなたと共通に私も持っておるわけでございます。近く地方制度調査会の方から御答申がいただけるわけでございまして、これを踏まえた上で御指摘の方向に全力を挙げたいと考えております。
 地方におきまして、やみ給与その他感心しない慣行が見られるということははなはだ残念でございまして、自治省を通じてこれは指導をいたしておるわけでございますけれども、地方自治体におかれましても今後十分自粛していただきたいものと念願しております。
 その次の御質問は、政治倫理の確立の問題でございます。
 これは小野委員に答えましたとおりでございまして、きのう受けました対策協議会の御提言につきましては、直ちに実行するもの、国会等に要請するもの等を振り分けまして、早急な実施に向けての努力を精力的に傾けてまいるつもりでございます。
 最後に、外交問題でございます。
 年内訪中は事実かということでございますが、私は全世界の多くの国から訪問の招待を受けておるわけでございます。また、方々の国から政府首脳等が訪日をされておるわけでございまして、彼此勘案いたしまして、国際的に非礼にならないように、政治日程の許す限り外国訪問を考えなければならぬと考えておるわけでございまして、中国に対しましても政治日程の都合さえつけば年内にでも実現したいものと念願しておることは事実でございますけれども、具体的な日程等につきまして外務省でいま検討いたしておるところでございます。
 対ソ外交の基本的考え方につきましては、先ほど小野さんにもお答えしたとおりでございます。重要な北の隣国でございまして、各般にわたりまして日ソの間の理解と交流はいよいよ深まっておりますことを私は評価いたしております。今後もこの信頼と交流は揺るぎなく続けていかなければならぬと考えておりまするし、不幸にしてまだ解決をしていない領土問題等につきましては、しんぼう強く交渉をいたしまして、何とか平和条約の締結にこぎつけたいものと考えております。
 韓国との間の問題でございますが、隣国でありながらお互いに理解が十分であるとは言えないと思うのでございまして、今後理解と友好を進めてまいること、そして朝鮮半島をめぐる国際環境を整えるということに応分の日本も貢献をしなければならないのではないかと考えております。
 開発途上国との問題でございますけれども、開発途上国に援助協力することは大事だと思いますが、とりわけ開発途上国のマンパワー、人づくりの問題に御協力申し上げることがその国の立場から見ましても大変望ましいことではないかと考えておるわけでございまして、農業開発、 エネルギー開発とあわせまして、その国の人づくりに協力する、教育、技術等の面におきまして御協力申し上げることに重点を置いて政府援助を考えたいと存じております。
 ASEANとの連帯はいよいよ強めていかなければならぬと考えております。御指摘のように、約束いたしましたことは実行していくという外交的信頼を落とすことのないように引き続き努力をしてまいることに御理解をいただきたいと思います。(拍手)
#13
○副議長(秋山長造君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○副議長(秋山長造君) 御異議ないと認めます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午前十一時五十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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