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1978/05/11 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 科学技術振興対策特別委員打合会 第1号
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1978/05/11 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 科学技術振興対策特別委員打合会 第1号

#1
第087回国会 科学技術振興対策特別委員打合会 第1号
昭和五十四年五月十一日(金曜日)
   午前十時五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         塩出 啓典君
    理 事
                源田  実君
                長谷川 信君
                松前 達郎君
                藤原 房雄君
                佐藤 昭夫君
    委 員
                上條 勝久君
                熊谷  弘君
                望月 邦夫君
                森下 昭司君
                吉田 正雄君
                中村 利次君
                柿沢 弘治君
                秦   豊君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   参考人
       電気事業連合会
       副会長      正親 見一君
       原子力資料情報
       室        高木仁三郎君
       東京工業大学教
       授        河村 和孝君
       動力炉・核燃料
       開発事業団理事
       長        瀬川 正男君
       日本学術会議会
       員        中島篤之助君
       日本原子力研究
       所高温工学室長  青地 哲男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
 する法律の一部を改正する法律案(第八十四回
 国会内閣提出、第八十七回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(塩出啓典君) ただいまから科学技術振興対策特別委員打合会を開会いたします。
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案について参考人の方々から御意見を聴取することにいたします。
 午前中は電気事業連合会副会長正親見一参考人、原子力資料情報室高木仁三郎参考人及び東京工業大学教授河村和孝参考人の御出席を願っております。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、御多忙中のところ貴重な時間をお割きくださり、当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本日は、ただいま議題といたしました法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を承りまして、当委員会における審査の参考にいたしたいと存じておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事の進め方について申し上げます。お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 それではこれより参考人の方々から御意見を承ります。まず、正親参考人にお願いいたします。
#3
○参考人(正親見一君) 電気事業連合会の副会長をしております正親でございます。
 陳述申し上げまする前に、先生方には平素から私ども電気事業の運営に対しまして温かい御理解と御指導を賜っておりますることをここに厚くお礼を申し上げたいと存じます。
 本日は、先生方に電気事業者といたしまして、核燃料サイクルの確立、特に使用済み燃料の再処理に関しまする事業化について私どもの考え方を御説明申し上げ、また御意見を述べさせていただく機会を得ましたことを厚くお礼を申し上げます。
 ここでまず最初に、原子力開発に対する電気事業者の基本的な認識について一言申し上げます。
 私ども電気事業者といたしましては、国の総合エネルギー政策に沿いまして、電力の安定供給に万全を期するということを基本といたしております。万々御承知のとおり、一次エネルギーにつきまして従来から化石燃料、特に石油に八〇%程度依存しておりまするが、きわめて資源に乏しいわが国といたしましては、当然省エネルギーを強力に推進しながら、二次エネルギーである電力の確保のためにウラン資源の最も効率的な利用によりまして、原子力を柱として国内の水力さらに石炭はもとより、輸入による天然ガス及び石炭その他資源の多様化によりましてエネルギーの安定確保に努める所存でございます。
 このエネルギーの中軸となす原子力につきまして私ども電気事業者といたしましては、わが国の軽水炉から高速増殖炉へとの基本路線に沿いまして、いわゆる自主技術による軽水炉の改良標準化とその定着化に全力を傾注しておる次第でございます。同時に、原子力開発に必要な一連の核燃料サイクルの確立を図り、将来の高速増殖炉の開発を急ぎ、もってわが国エネルギーの確保による電力の安定供給を期する所存でございます。
 申すまでもなく、これらはすべて安全を最優先とした環境の保全のもとに、国民の皆様方の深い御理解と合意を得て進めなければなりません。このためには政府関係御当局の強い御指導と十分な御援助をいただくとともに、関係諸先生方におかれましてもこの上ともより一層の御理解と御援助を賜わりまするよう切にお願い申し上げる次第でございます。
 次に、最も大切な安全性の確保について申し上げます。
 従来より電気事業者といたしましては、業務運営の各部門における安全性の確保は、これを経営の基本といたしております。特に原子力の開発に当たりましては、昨今の諸外国の事例をも教訓といたしまして、念には念を入れ今後一層その安全性に万全を期しまして、国民の皆様方の御理解を賜わりつつ進めてまいりたいと思っております。
 なお、今回の米国のスリーマイルアイランドの原子力発電所で起こりました事故につきましては、電気事業者といたしましてこれを重大なものとして受けとめ、早速九社から成る調査団を現地に派遣いたしまするとともに、事故対策特別委員会を設けまして、直ちに各発電所の総再点検を行うなど、この種の事故の発生防止に最善の努力を傾注しておる次第でございます。
 第三番目に、核燃料サイクルの確立につきまして私どもの考え方を申し上げさしていただきます。
 わが国の原子力発電は、一九六六年、日本原子力発電株式会社のいわゆる東海発電所十六万六千キロワットが運転に入りまして以来、おかげさまで現在では十九基、千二百六十八万キロワットが稼働しております。さらに今後原子力発電の規模の拡大に伴いまして、その発電に支障を来さないようウラン資源そのもの並びに濃縮ウランの確保を初め、発電所から出まするいわゆる使用済み燃料の再処理、さらには廃棄物の処理処分等につきまして必要な対策を官民総力を挙げて推進することがきわめて肝要と考えております。
 まず、天然ウラン並びに濃縮ウランの現時点の確保状況でございまするが、天然ウランはカナダ、アフリカ、オーストラリアから一九九〇年すなわち昭和六十五年まで約十五万ショート・トン、一九九五年、昭和七十年でありまするが、これまでに約十八万ショート・トンを確保しております。また、濃縮ウランにつきましては、アメリカのDOE、フランスのユーロディフに合計約六千万キロワット相当分の濃縮役務契約を完了しております。これによりましておおむね一九九〇年――これは昭和六十五年になりますが――ころまでに必要なものは一応確保しているものと考えております。
 しかしながら、世界的な原子力発電所の増加によるこの需要増が予想されまする一方、ウラン産出国の輸出規制等国際的な不安定要素も内蔵しておりまするので、今後わが国でのウランの長期安定確保のために多大の努力が必要であり、自主開発の必要性も増大してまいっております。このためわれわれ電気事業者といたしましては、関係業界の御協力を得まして、昨年の二月、ウラン資源確保対策委員会を発足させ、長期的視野に立ってのウラン資源の確保に努めております。
 なお、ウランの濃縮につきましても、わが国では御案内のとおり、動燃事業団がいわゆる遠心分離法により人形峠においてパイロットプラントの建設が進められており、私ども電気事業者もその技術開発が一日も早く完成することを期待しておる次第でございます。
 さて、ただいま御審議を賜っておりまする原子炉等規制法の改正による再処理の事業化につきましての私どもの考え方を述べさしていただきます。
 御高承のとおり、ウラン資源にきわめて乏しいわが国といたしましては、軽水炉で使用いたしました燃料を再処理いたしまして、それによって得られたウラン並びにプルトニウムを活用して、再びこれを軽水炉あるいはATRさらには高速増殖炉の燃料としてそれぞれに利用することは、資源の有効利用また活用の面からぜひとも行わなければならないと存じておりますし、また国の基本政策でありまする軽水炉から高速増殖炉へとの路線を着実に進めるためにもきわめて大切なことと考えております。
 大変僭越で御承知のこととは存じまするが、たとえば百万キロワットの原子力発電所から一年間に取り出されます使用済み燃料は約三十トンでございまするが、この中には約二十八・八トンのウランと約二百五十キログラムのプルトニウムが含まれておるのでありまして、これらを再処理することによって回収しまして有効に再利用するわけでございます。
 ここでわが国の現状を申し上げますと、先ほど申しましたとおり、現在十九基、千二百六十八万キロワットの原子力発電設備が稼働しております。これらの発電用原子炉からはすでに原電の東海発電所のガス炉分を含めまして約千百トンの使用済み燃料が取り出されております。さらに今後の原子力開発の進展に伴いまして使用済み燃料の量はますます増大することになり、ちなみに現在の政府の長期計画でございまする一九八五年、すなわち昭和六十年度の原子力開発規模を三千三百万キロワット、一九九〇年、昭和六十五年ですか、これを六千万キロワット程度といたしまして、その時点までの使用済み燃料の発生量を試算いたしますると、約八千トンを上回ることになります。この使用済み燃料につきましては、まず動燃事業団東海再処理工場への再処理委託を行い、同工場の処理能力を超えるものにつきましては国内の第二再処理工場が完成するまでの間のつなぎといたしまして海外へ再処理を委託をいたしております。
 その内訳を申しますると、一九九〇年までといたしまして動燃事業団東海再処理工場に対しまして約二千トン強をお願いし、海外委託量のうち欧州再処理会社、URGでありますが、これに約千五百トン、さらにイギリスのBNFLとフランスのCOGEMAに合わせて三千二百トン、合計約七千トンとなっております。
 このように、当面の再処理につきましては対策が立っておりまするが、未対策でありまする一九九〇年以降につきましては、いわゆる民間での再処理事業を行うことが期待されておる次第でございます。
 御高承のとおり、原子力発電所の建設認可に当たりましては再処理が必須の条件となっておりますし、私ども電気事業者といたしましてもみずからの発電所で排出した使用済み燃料はみずから処理するのが当然のことと考えております。
 ここで、今日までの準備状況と新会社の一応の構想の概況について一言触れさせていただきます。
 準備状況につきましては、五年前に発足いたしました濃縮再処理準備会で事業化に必要なもろもろの問題の調査研究、計画の具体化に努めてまいりましたが、昨年の四月、同準備会を発展的に解消いたしまして、新たに私ども電気事業連合会内に再処理会社設立事務室というものを設け、引き続き再処理に関する立地調査、再処理関連技術の調査研究を行うなど、新会社の設立の準備を進めてまいりました。
 ここで、新会社の構想につきまして、青写真的でございまするが、簡単に申し述べさせていただきます。
 新会社は、再処理施設、同付属施設の建設、運転を目的といたします。これらの会社の構成員は、私ども電力会社を中心といたしまして、電気機械メーカー、金属鉱業、化学工業を初めといたしまして、エンジニアリング会社等民間産業界の総力を結集することといたしたいと考えております。用地面積はおおむね二百万坪程度といたしておりますが、これは将来、再処理されたウラン等の成型加工も同じ場所で行えるような考え方も持っております。再処理施設の処理能力を一応一日当たり五トン程度といたしました場合、これに要する工事資金は現在価格で四千ないし五千億程度と見込んでおります。第二再処理工場で必要といたしまする技術につきましては、動燃事業団の東海再処理工場で得られました経験とその技術を最大限に活用させていただく所存でございます。特に、これに必要な技術者につきましては、従来から動燃事業団にその養成をお願いしておりましたが、昨年、幹部技術者を各電力会社が追加派遣するなど要員の充実を図ってまいりました。また申すまでもなく、国内のメーカー、動燃には専門家が育っておりまして、私どもは当面必要な技術者は確保できるものと考えております。
 御高承のとおり、今回の法改正の骨子が、再処理事業を行おうとする者は、一つ「再処理施設が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと。」、二つ「その指定をすることによって原子力の開発及び利用の計画的な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。」、三つ「その事業を適確に遂行するに足りる技術的能力及び経理的基礎があること。」、四番目といたしまして、「再処理施設の位置、構造及び設備が使用済燃料、使用済燃料から分離された物又はこれらによって汚染された物による災害の防止上支障がないものであること。」につきまして内閣総理大臣の御指定を受けることになっておりまするので、今後私どもは関係方面とも十分にお打ち合わせをしながら進めてまいる所存でございますので、何とぞ民営による再処理事業が一日も早く取り進められまするよう諸先生方の特段の御高配を賜りたくくれぐれもお願い申し上げまして私の冒頭陳述を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#4
○委員長(塩出啓典君) どうもありがとうございました。
 次に、高木参考人にお願いいたします。
#5
○参考人(高木仁三郎君) 高木でございます。
 御承知のように、スリーマイルアイランド原発事故によって、いま原子力発電の全体がその全過程において、安全性だけでなくて経済性も含めまして根本から見直すべきときに来ているというふうに思われます。その観点からいたしますと、本法案の前提になっていますような原子力発電計画の拡大を前提とした再処理事業の拡大、さらに民間移行というステップをいま図るべきときではないというふうに私は考えております。当然にも問題は原子力発電全体にわたっていることでありますが、時間の関係もありますので、再処理問題に限りまして先ほど申しましたことと関連しまして私が問題と考えていることを述べさしていただきます。
 まず最初に、やはり再処理工場あるいは再処理事業ということの持っている危険性という問題を重視しなければならないと思いまして、その観点から一、二述べてみたいと思います。
 まず、再処理工場というのは基本的に非常に多量の、原子力発電所一カ所よりもより多量の、しかもそれを化学的に処理するということで、非常に人間環境に触れやすい形で多量の放射能を取り扱うというところでありますから、当然にも放射能に伴う危険というのがいろんな形であらわれてまいります。
 まず第一に指摘したいことは、一般に余り多く指摘されていないことなのですけれども、再処理工場も原子力発電所と同じように非常に大きな事故を起こす可能性を持っているということであります。それは先日のアメリカのスリーマイルアイランド原発の事故にありましたと同じような形で、冷却能力の喪失に伴う使用済み熱料の過熱による溶融事故、それに伴う放射能漏れということが起こり得ることでございます。特にただいま議論されていますような再処理工場の大型化に伴ってこの危険性は非常に大きく増すと思いますけれども、一般の原子炉以上にそれに対する守りと言いますか、安全対策というのが再処理工場の場合になされていないというふうに考えられます。
 それから二番目に、放射能の問題に関連しまして、日常的な放射能汚染の問題ということを指摘したいと思います。一般に再処理工場は原子力発電所の一年分の廃棄物を一日に出すと言われるような――まあ比喩的な言い方でしょうけれども――言われるぐらいに大量の放射能を取り扱うわけですし、その放射性物質の日常的な施設外への放出ということも原子力発電所の比較にはならないわけです。東海再処理工場の一年間のホット試験の実績を見ても、その放射能放出量は決して軽微ではないと考えるわけです。しかも、皆様御承知のように、東海再処理工場はこの二年間、まあ実質的には一年ですけれども、ホット試験というのをやってきましたけれども、それは実際規模の、ほぼ実際のフル稼働のレベルの二十分の一程度の処理量しかまだ処理していないわけですから、実際に本格的な処理が行われるようになった場合の汚染はやはり深刻に考えないといけない問題だと思います。さらに、大量に蓄積してくる放射性廃棄物、特に放射性廃液ですけれども、廃液の長期的な保存というのの展望がきわめて技術的には少ないというふうに考えられます。そうしますと、すでにアメリカ等で盛んに起こっていることですけれども、廃液タンクの放射能漏れによる事故ということも今後起こり得ることですし、それによる環境汚染ということも起こってくることだと思います。また、施設の長期的な使用に伴う、老朽化に伴う放射能汚染ということも今後深刻化してくることと思われます。そのように考えますと、今後の東海再処理工場の本格操業、さらに本法案の成立に伴って予定されています先ほどお話がありました年間処理能力千五百トン級の大型商業再処理工場の操業に伴う環境の放射能汚染はきわめて深刻であるというふうに私は考えます。
 それから、放射能の問題に関連しまして第三点目の問題として触れさしていただきたいのは、労働者の放射線被曝の問題でございます。
 すでに東海再処理工場においても幾つかの労働者被曝――被曝といましても、これは皮膚等あるいは衣服等が汚染する、あるいは外部から放射線が当たるという問題と、体内に取り入れてしまう、飲み込むあるいは吸飲するということによって取り入れてしまうという問題と両方あると思いますけれども一という若干の問題が起こっていますけれども、今後の大型化に伴ってはさらにこの問題は大きくなってくると思います。
 この問題に関連しまして特に皆様の関心を仰ぎたいことは、現在低レベル放射線の人体への影響に関してはかつてと認識がかなり改まりつつあって、いままで考えられていたよりも一けた程度大きな効果を、すなわち少ない線量でがんや遺伝障害が起こるという認識が深まりつつあります。そういう意味では、許容量の切り下げということが早晩起こってくるというふうに私は考えます。すでにそういう方向で検討されている、ICRPにおいても、あるいは各国それぞれにおいても検討されているという状況がありますし、また再処理工場は非常にプルトニウムを大量に使うことで、そのことはまた後で申し上げたいと思いますけれども、プルトニウムの使用の許容量というのはやはり一けたぐらい下がるという趨勢に現在あると思われます。そういうふうに放射線の許容量が下がってきますと、作業そのものの仕方が全然違ってくるわけですし、作業効率も違ってきます。それに伴う事業のむずかしさということが出てくると思いますし、それは単に人体、環境への影響というだけでなくて、経済性の問題にも影響を与えてくることだと思われます。
 放射能に伴う危険性の問題はそのくらいにいたしまして、次に技術的な未熟さといいますか、もろさといいますか、その点について簡単に触れたいと思います。
 世界各地の再処理工場の歴史を見ましても、再処理工場は大きな技術的なトラブルを起こしてきたし抱えていると思います。たとえばイギリスのウィンズケール再処理工場の事故やアメリカのウエストバレー再処理工場による環境汚染、あるいはアメリカのGE社がモーリスにつくろうとしました再処理工場の建設途中における計画の中止といったような事態はそのことを示す二、三の例だと思います。東海村の再処理工場を見ましても、二年間のホット試験期間中まるまる一年間は酸回収蒸発かんの細管穴あき故障によって休止することになったわけです。これらのことは、強い放射能と酸液にさらされるプラントが持つ宿命とも言えるものだと思われますし、第二次大戦中以来三十数年の歴史を持つ再処理の技術がいままでずっと一貫して持ってきた問題だと思います。このことは環境への放射能漏れ、あるいは労働者の被曝といった形をとるだけでなくて、やはり再処理事業の経済性そのものを危うくするものでありますし、商業的な事業として再処理事業が成り立つかどうかということについてはきわめて大きな疑問を抱かざるを得ないわけです。アメリカが再処理工場を凍結していますのも、単に核拡散防止上の観点というだけではなくて、再処理工場がこうやって商業化するに適さないという判断を含んでいるというふうに私は考える次第です。
 次に、プルトニウムの問題について簡単に触れたいと思います。
 プルトニウムは皆様御承知のように、非常に毒性の強い物質で、一グラムが四千万人分もの許容量に当たるというような猛毒物質で、その半減期は二万四千年と長いわけです。もちろん再処理工場というのは使用済み燃料からプルトニウムを抽出することを主目的としているわけで、また、そのプルトニウムを再利用することを前提としているわけですが、再処理工場で取り扱われますプルトニウムの約一%というのは行方が把握されない、いわゆるMUFと言いますけれども、こういうものにどうしてもならざるを得ない。一%というのはきわめて控え目な値だと思います。一%と言いますと小さいようですけれども、東海再処理工場の場合でも年間二トンほどのプルトニウムを取り扱うことになりますから二十キロ、大型工場では百キロ以上にも達するわけで、それは先ほどの一グラムが四千万人分の許容量ということから考えても非常に大きな問題だと思います。もちろん、この把握されない分が全部環境に漏れるということではありませんけれども、その一部でも漏れたらということを申し上げているわけでございます。しかも、現在アメリカのロッキー・フラットプルトニウム工場、これは核兵器用にプルトニウムをこの間ずっと製造、再処理、それから核兵器製造をやってきたところですけれども、その周辺におけるがんや遺伝障害が顕在化しているという事実がございます。
 このプルトニウムの問題に関連しまして、いわゆる軍事転用、核拡散の問題ということが次の問題として挙げられると思います。プルトニウムは非常に安易な原爆材料ですけれども、プルトニウムを通じてのいわゆる核拡散がいま世界的に問題になっているのは皆様とうに御承知のところだと思いますし、いわゆるINFCE、国際核燃料サイクル評価の中心課題ともなっているわけであります。先ほど申しましたように、この問題で一番大きなのは、一%近くは把握されない部分がどうしても出てきてしまう、それは管理の限界がその辺に設定されてしまうという問題としてあると思うわけでございます。一%といいましても、先ほど申しましたように小型原爆にしますと何発分、何十発分もつくれる量に当たるわけですから、深刻だと思います。これは新聞報道ですけれども、CIA等の情報によりますと、イスラエルはこのようにしてアメリカからプルトニウムを得て、すでに核兵器を製造しているという報道がございます。その真偽はわかりませんが、そういうことも十分可能だと思います。まして大型再処理工場が、しかも民間の手に移されるならば、管理上非常にむずかしい問題が出てくると思いますし、商業機密という問題とも非常に関連してくると思います。さらに、プルトニウムの利用がいま当分は具体的にめどが立たないという状況の中では、プルトニウムがそういって取り出されることによって蓄積するということは、より多くの危険を呈することになると思います。
 続きまして、本再処理事業が一番の目的としています経済的な効果、エネルギー経済的な効果という問題でございますが、この問題についても大きな疑問があるわけでございます。再処理の技術は、いままで述べましたような観点から技術的に大きな問題を抱えています。それはまた経済性にも疑問を投げかける一つの根拠になります。また、再処理の経済性という問題はプルトニウム利用の経済性という問題に非常に大きく依存してまいります。取り出されるプルトニウムが利用価値が非常に大きくなければ当然再処理事業の経済性も悪化するわけですけれども、高速増殖炉や軽水炉による燃焼、いわゆる軽水炉リサイクルも実用化の展望は立たない状況だと思います。そのため、経済性だけでなくてエネルギーの有効利用という観点からも疑問が出されるわけです。非常に巨大な投資をし経費をかけて操業しても、技術的な問題から稼働率が低く、また製品でありますところのプルトニウムも利用できないとすれば、エネルギー収支上もつり合わない、まあ言ってみればプルトニウムは結局石油を使った二次エネルギーに堕してしまうのではないかというおそれがあります。それに現在経費として再処理のあるいはいわゆる核燃料サイクルのバックエンドの経費として正当には取り入れられていない廃棄物の処理費等を加えますと、今後プルトニウム利用のあるいは再処理の経済性というのはさらに悪化する可能性があります。
 以上簡単に申し上げましたけれども、以上のような観点から、私は現在は再処理プルトニウム利用の人間や環境に対する影響、経済的、エネルギー論的側面をもう一度根本から再検討し直すべきときに来ていると考えます。また技術的な側面でも、たとえばINFCEが行っているのはそのような意味を持っていると考えます。また、仮に使用済み燃料の処理のために――使用済み燃料が非常にたまってきているわけですからその処理のために再処理事業が必要であるとしても、現在の状況では原発建設計画の延期という状況が生まれて来ていますので、一九八五年三千三百万キロワット、一九九〇年六千万キロワットという設備容量の計画は大幅に後退すると思います。その際には再処理への需要もいままで行われている見積もりよりははるかに下回ることになると思います。そういう観点から考えましても、現在技術的にもINFCE等でいろいろな検討が行われていまして固まっていない段階で、性急に民間移行や大型化を推進すべき必然性はなく、その性急な推進は大き過ぎるほどのリスクを持っているというのが私の考えです。したがって、私はこの法案に反対する次第です。
 最後に一つつけ加えさせていただきますと、再処理工場はそれに併設してプルトニウムの転換工場、それからプルトニウム燃料、混合酸化物燃料加工工場を併設することを必然化します。それはいままで申しましたようなことと同じ観点から、文字どおりのプルトニウム工場として非常に大きな危険性をもたらすとともに、経済性の問題も非常に不確定の要素を抱えている事業でございます。
 以上でございます。
#6
○委員長(塩出啓典君) どうもありがとうございました。
 次に、河村参考人にお願いいたします。
#7
○参考人(河村和孝君) 河村でございます。
 原子力の開発はイエス・バットというようなことがよく言われています。これはバット以下の条件が満たされたときに初めてイエスであると、そういうことがよく言われているということでございます。再処理並びに今後日本でやっていこうとされています第二再処理工場、特に第二再処理工場でございますが、これは私は本質的にはイエス・バットという形でいくのではないかというふうに考えております。問題は、バットというものの中身であるというふうに考えます。私は、バットの中身を二つの観点からお話ししてみたいと思います。
 一つは、技術的な面でございます。もう一つは、国際環境的な面でございます。技術的な面につきましては、私は三つの点を挙げてお話をしてみたいと思います。
 技術的な面の中身の三つと申しますのは、一つは、スケールアップという問題でございます。二番目の問題は、バーンアップ、燃焼度という問題でございます。それから三番目の問題は化学の問題であると、そういった三つの問題点を挙げてお話をしてみたいと思います。
 まず初めのスケールアップという面でございますが、すでに動燃事業団の東海事業所におきましては、一年約二百十トンのプロセスというふうに言われております。今度第二再処理工場をつくるといたしますと、千五百トン・パー・年ということになります。これは当然スケールアップ、約七倍のスケールアップをしていこうということになるわけでございますが、普通の化学工業の場合には、スケールアップというのはこれは日本は得意な分野であるというふうに思うわけでございます。たとえば平面的なものを立体的なものにしていくというようなことでかなりスケールアップはできると思います。具体的な例をたとえば再処理というものに限ってお話しいたしますと、再処理の中心をなすものはミキサセトラといいまして有機溶媒抽出が基幹になっております。その基幹の形は、いまは平面的であります。それを立体的に、縦型にいたします。これをわれわれはパルスカラムと言っておりますが、縦型にするということによりましてスケールアップという問題は解決されていくというふうに考えるのが普通でございます。もちろんそういう方法にいくと思いますが、原子力の場合にはスケールアップに伴いまして一つ大きな問題があるということを指摘しておかなければならないと思います。
 その問題は臨界という問題でございます。核燃料物質がある量を超えますと爆発を起こす、この問題がございます。したがいまして、現在われわれが持っておりますスケールアップ、日本が持っておりますスケールアップの技術、そういうものをそのまま核燃料の場合のスケールアップに応用していくということは非常にむずかしいわけでございます。すなわち臨界量というものを避けつつスケールアップをしていく、大きくしてしかも量をふやさないということになりますと、そこでわれわれは中性子を食う毒と言います、ポイゾニングと言いますが、そういう毒物質をプロセスの中に加えてやる。これは原子核的に見た毒物質でございます。そういう毒物質をたとえば水溶液の形で加えるか、あるいは何かごろごろした玉のような形で加えるか、その辺のところがまず問題になってくると思います。そういうことを考えますと、いきなり七倍というものに持っていく前に、一つその臨界量の問題をどうやって乗り越えていくかというような、たとえば一つのモックアップ装置というようなものを組んでからでないとなかなか移せないんではないかと、それが私の第一の述べたいことでございます。
 これは同様に敷地の問題についても同じようなことが言えると思います。動燃の東海の工場におきましては現在約三十万坪ぐらいだと思いますが、これを第二再処理工場にするということになりますと、先ほど正親さんからもお話がありましたように、大体二百万坪ということになりますと、約七倍になるわけです。規模が七倍になってしかも面積が七倍になるということは、技術的に放射性を取り込めておく技術はさっぱり進歩してないではないかと言われてもまあ仕方がないということになろうかと思います。その辺のところが、量は七倍になって、敷地面積がたとえば三倍ぐらいで抑えられるということにでもなれば、今後の技術的な面の見通しというものは非常に明るくなるというふうに思うわけでございます。以上が一つの問題点でございます。
 それから、技術上の二番目の問題点といたしまして、燃焼度の問題というのを挙げておきたいと思います。核燃料というものを平和利用に使います場合には、核燃料というものをたくさん燃やさなければならない、これは経済的に非常に重要な要請であるということになります。たとえば日本の場合ですと、二万八千メガワット・デー・パー・トン、そういう量を燃やすことになります。ところが、軍事の方はどうかといいますと、なるべく燃料は燃やさないというのが軍事の方の立場でございます。約十分の一ぐらいしか燃やさない、ほんのちょっとしか燃料は燃やさないでやっていくというのが軍事の方のことでございます。それはなぜかといいますと、239プルトニウムというものが少しの燃焼度のときに非常にピュアーな状態で出てくる、これをたくさん燃やしてまいりますと、240プルトニウムがそこに入ってくるということになります。239プルトニウムだけ欲しいのに240プルトニウムが入ってくると、これは余りよくないということになるわけですから、したがいまして、燃料というのはなるべく燃やさないというのが軍事の方からの要請になるわけです。民間の方の要請は、先ほど言いましたように、なるべく燃やそうということでございます。そうしますと、先進諸国におきまして、たとえばイギリス、アメリカ、フランス、特に日本の場合にはサンゴバン・テクニク・ヌーベルというフランスの技術を輸入しているわけでございますが、そういった先進国におきましては、実際に核燃料再処理の技術というものは、燃焼度が少ないものの技術しか持ってないということになるわけでございます。そういうものをたとえば参考にいたしまして、われわれの方でいろいろこれからやっていくというわけなんですが、そうしますと、結局燃焼度を多くした場合、いわゆる平和産業につながった燃焼度を多くした場合の核燃料の再処理というのはどこの国も持っていないということになるわけであります。これは先進国といえども持っていないというふうに言わざるを得ないと思います。そうなりますと、これはどの国も一線に並んでいるわけでございますから、これから第二再処理工場をもしつくっていくということにいたしますと、日本で自前の技術を苦労をしてノーハウというものを蓄積していかなければならない、その後にいわゆる第二再処理工場がくるんではないかと、これが私の述べたい第二点でございます。
 それから第三点、ケミストリー、化学ということをお話いたしました。再処理工場というのは化学的なプロセスです。いわゆるケミカルエンジニアリングに属するものでございます。原子炉は機械エンジニアリングあるいは電気エンジニアリングという部類に属するものでございます。こういう、機械、化学というかなり技術的に差のあるものをこれからつなげていこうというわけでございます。原子炉のシステム全体として見た場合に、そういう機械、電気、化学というものが不連続な点がなくつながっていくということがシステム的に見た場合に一番望ましい形であるというふうに私は思います。
 一つの例といたしまして、たとえば再処理というのは化学的であるということをお話しいたしました。そういう面から見ますと、むしろ原子炉をもっと化学的な原子炉にした場合には、たとえば化学的な原子炉といたしまして溶融塩原子炉というのがございます。これは非常に化学的な原子炉でございますが、たとえばそういう溶融塩原子炉に再処理というものをつけた場合、これは理想的ないわゆるケミカルエンジニアリング的な立場の一つの原子力のシステムになるわけですが、そういうことも考えられるわけでございまして、逆に見ますと、核燃料を中心にして見た場合には、新しい炉型戦略というものが別の戦略になってくるというふうに考えられるわけでございます。しかし日本では軽水炉という一応戦略が出ておりますが、その軽水炉というものをあくまでも堅持するということになりますと、核燃料の再処理のいわゆるケミストリーのプラントというものを、いわゆるメカニカルなエンジニアリングにつないでいく、その際に決して木を竹で接ぐようなことがあってはならないというのが私の第三点の問題点の指摘でございます。
 以上が技術的な面での指摘でございまして、次が国際環境的な面での指摘をさせていただきたいと思います。
 核燃料の評価につきましては、すでにINFCEで、国際核燃料サイクル評価というもので作業が進んでおります。その結論がどういうふうになるか、これはちょっとわからないわけでございます。たとえばIFB、国際核燃料銀行というものの設立の方に動くか、あるいは地域核燃料再処理センター、RFCCと言いますが、そういうものの設立に動くか、あるいは日本でやっているように各国の方で各自で再処理工場を持ちなさいというふうに動くか、これはちょっとわからないわけでございますが、日本では第二再処理工場をつくっていこうということになります。ところが、たとえば国際的な面での結論が、RFCC、地域核燃料再処理センターというものをつくりなさいと、たとえばそういう結論が出たといたしますと、第二再処理工場で走っております日本のシステム、体系というものをどういうふうにマッチさせていったらいいだろうか、その辺の問題をひとつよく考えておいていただきたいというのが私の論点でございます。
 それで、すでにそのRFCCというものにつきましては、東ヨーロッパ並びに西ヨーロッパにおいて実績がございます。これは核燃料というものを一つの国ではなくして多くの国が相互チェックしながら進めていこうではないかと、そういう構想に基づくものでございます。もしそういう構想が大幅に取り入れられる――取り入れられるということは国際的に取り入れられるということになりますが、そういうことになりましたら、それでは日本はどういう立場に置かれるであろうかということを考えてみますと、日本は恐らくアジア地区のRFCCのセンターになるのではないかというふうに考えられるわけであります。そうなりますと、日本が動燃事業団を中心にいたしまして蓄積してまいりましたいろいろ技術的な面のノーハウ、こういうものはやはりアジア地区の多くのほかの国々に流れていくということになります。これは相互チェックのたてまえから当然でございまして、その辺の問題をどういうふうに解決していくのか。あるいはもう一歩進みますと、アジア地区のセンターになりますと、韓国あるいは台湾、これはすでに原子炉を台湾の場合六基持っていると思いますが、そういうものの燃料まで日本が再処理しなければならぬということになります。で、民間の方に第二再処理工場が移っているということにいたしますと、いわゆる国と国とのレベルでの話し合いというものがそういう際に必要になるわけです。たとえば台湾から持ってきた燃料から出ます高放射性廃棄物あるいは中放射性廃棄物、低放射性廃棄物、そういうものを日本で引き取るのかどうか、あるいはそういうものを出した国に返してやるのかどうか、その辺の議論がたとえば一つの問題として起こってくるわけでございますが、そういうものに対してやはり国と国との間の話し合いというものが必要になってくるわけでございます。そういった場合に、日本で走らせております第二再処理工場というものを、民間でやっていますものをどういうふうに変えていくか、あるいはどういうふうにマッチングさせるかということが一つの大きな問題になるのではないか、そういうふうに考えるわけでございます。そういうものをあくまでも拒否いたしますと、日本はやはり国際的な面から見た場合に、原子力でのいわゆる孤児ということになるわけでございまして、知識集約産業であるとか、あるいは社会的に非常に影響力の強い原子力の産業というものが、やはり国際的に見た場合に孤児というような形になって取り残されるということは、日本としては非常にうまくない形であるというふうに思うわけでございます。
 以上私は、イエス・バットというようなことのバットの中身につきまして、技術的な面と環境的な面、それからの問題点というものを幾つか指摘さしていただいたわけでございます。
 以上でございます。
#8
○委員長(塩出啓典君) どうもありがとうございました。
 それでは、これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
#9
○長谷川信君 若干お尋ねをいたしたいと思いますが、御案内のとおり、きょうは国会が衆議院、参議院全部ストップいたしておるわけでありまして、いま機能をいたしておりますのがわが科技特委員会だけであります。国会の中で最も良識ある委員会だというふうに承知をいたしておりますので、そのように御答弁をお願いいたしたいと思うわけであります。
 なお、私は全く専門家でないのでありますので、申し上げることもきわめて雑駁であり、また御答弁もできるならなるべく簡明、率直にお願いを申し上げたいと思うのであります。
 正親さんにお願いをいたしたいと思いますが、まあ私ども子供のころからいろいろ学校で教えられたり、また聞かされたりしておることで、科学技術の振興並びに研究はやはりリスクを伴って、そしてそのリスクを乗り越して人類、まあ今日こういうことになっておるということはいろいろ歴史の示すところであるということは私も承知をいたしているわけでございますが、ただ原子力の場合は断じてリスクは許されない。これは私どももよく承知をいたしておるところであります。
 そこで、昨今問題になっておりますのは、原子力関係の事業並びに研究等々でリスクが一体どのようなことになっておるのか、これが国民の関心であることは御案内のとおりであります。アメリカのスリーマイル問題等々もこの科技特委員会でまさに延々長々として審議をされておるわけでございますが、私ども承知をいたしておるところでは、わが日本の原子力関係の事業の安全性のチェックはまさに世界に冠たるものがある。アメリカよりフランスよりイギリスよりも、あるいはソ連、中国は及ばず、まさに世界に冠たる安全チェックが厳重であるというふうに承知をいたしておるわけでございますが、これから再処理事業あるいはいろいろ原子力関係の事業が、まあいろいろ御案内のとおりになっているわけでございますが、電気事業関係の最高責任者の一人である正親さんは、昨今のいろいろの問題を踏まえて、日本の原子力関係事業の安全性についての感想並びに所見の一端をまずお伺いいたしたいと思うのであります。
#10
○参考人(正親見一君) お答え申し上げます。
 昨今のスリーマイルアイランドの原子力発電の事故に関しまして、電気事業者といたしましては、これはきわめて重大なものと受けとめております。したがいまして、これを経営のトップの問題として、わが国においてこの種事故の発生防止に最善の努力を傾注すると、この意味で一層安全の徹底を期してまいりたいと考えておりまするが、各社の社長みずからが原子力の問題につきましては陣頭に立つ覚悟を決めまして、P型B型を問わず安全の再確認と安全運転の徹底を期します。そのための各社ごとの最善の努力を傾注することにいたしまして、そのために業界といたしましても今後すべての事故を考えまして、この事故に対する情報の収集あるいは諸対策、さらに検討と、そのために事故対策特別委員会を設置いたしますとともに、調査団をアメリカへ派遣し、実態の把握に努めました。現在この調査結果につきまして鋭意内容の検討を行っているところでございまするが、一方、通産省御当局からは、今回の事故にかんがみまして、わが国の原子力発電所の安全確保にさらに万全を期する観点から、私どもの原子炉設置者に対して再点検の指示に引き続き、現在特別監査が行われております。各社とも設備及び運転管理上の安全を再確認いたしますとともに、念には念を入れて安全運転に努め、したがいまして、先月の社長会議におきましては、今後わが国のエネルギー安定供給を確保していくため、安全を最優先にした運営によりまして、早期に原子力に対する国民各位の安心と信頼の回復に努める決意を新たにいたしました。
 第二番目には、各社とも経営のトップの問題として原子力安全管理体制を強化し、それぞれの組織を充実いたしました。
 第三に、内部の情報連携並びに対外活動のあり方についても、もう一度これを見直しまして、改めて情報管理体制の改善を図りますことを申し合わせております。
 そして、これらのことは、各社において社長みずからが原子力発電所並びにこれに関連する諸車業の保安管理委員会を設置するなど、具体的に計応がすでに図られております。今後とも電気事業者といたしまして積極的にこれに対処してまいる覚悟でございます。
#11
○長谷川信君 次にお尋ねをいたしたいのは、これは正親さんにお尋ねをするのはむしろ釈迦に何とかのきらいがあるのでありますが、けさのテレビで出ておりましたが、アメリカのどこかの州でガソリンをもう二、三日前から配給切符にして、延々長蛇の列をなしておる画面が出ておりましたが、あれだけ自国産の石油があって、しかも四ドルから買って買って買いまくったアメリカが、やっぱりいろいろございましたが、とうとうああいう規制をやらざるを得なくなった。日本は一滴も国内石油は出ないわけでございますし、なおまた昨今は一バレル十九ドル、あるいは二十ドルを超えておるようなかっこうになっておる。しかし、いま日本でそれではほかの代替エネルギーがあるかというと、電気事業団の御調査によりましても、地熱、風力あるいは波とか、そんなものは十年、十五年たっても十万キロワットに至らないというふうなことで、もう厳しい安全チェックをやった上で原子力問題に対してわが国が対処しなければならないというのは、これは一つのやはり宿命であるかもわからない。あるいは考え方によってはもうそういうふうに方向づけられるものであるかもわからない。しかし、日本の国はどうして――通産省の御説明を聞きましても、あるいはお役所の説明を聞きましても、ここ三カ月は大丈夫であります、二カ月は心配がございませんというふうな御説明だけで、アメリカがあれだけストックがあって、あれだけ自国産があって――まあ日本とは全く様子が違うのでありますが、それでもあれだけやっておるのでありますが、いまのエネルギーの専門家のあるいは最高幹部の一人である正親さんは、やっぱりその辺の日本のいまのエネルギーの現状を踏まえて、どのようにお考えになっておりますか。
 それから、それに関連をして、再処理の問題あるいは原子力のいわば電気等々の問題について、もう歯に衣を着せないで、本当の気持ちを率直にひとつ御披瀝をいただき、御感想を承りたいと思っているわけであります。
#12
○参考人(正親見一君) お答え申し上げます。
 実は、数日前に帰ってまいりましたが、電気業界といたしまして昨今の石炭問題をも含めましてアメリカ、イギリス、それからヨーロッパ諸国、オーストラリア等、資源国はもちろん各国のエネルギーの調査団を出しました。その報告は詳細聞いておりませんが、ただ帰りましたときのあいさつ、団長から私に報告されました報告の概要をちょっと簡単に申し上げますと、いま先生の御質問のとおり、資源を持っておる国、アメリカそれからたとえばイギリスのように北海湾を持っておるとかいう国、あるいはドイツの石炭を持っておる国というもの自体がエネルギーに対する関心が非常に深い。日本のように持ってない国が実は恥ずかしいぐらいエネルギー節約をやっている。大統領みずからがテレビに出まして国民にエネルギーの必要を説き、たとえば自分の国に石炭はあるけれども、千九百何十年、あるいは二〇〇〇年に油も石炭もなくなるから、いまから国民自体が、産業界自体が積極的な節約をしなきゃいかぬということを、挙げてこれに努力しておる。この状態とその真剣味を見てまいりまして、日本国内でのエネルギーの節約というものに対して、もっと徹底的にしなきゃいかぬ、もっと大事にしなきゃいかぬ。従来のような、ただ合理的な使用とか活用とか有効利用という面では、日本ではとても間に合わないのじゃないかという心配を痛感したということを報告を受けました。なかんずく資源を持っておるドイツにしましてもイギリスにしましても、特に資源のないフランス、これはウランをある程度発見したわけでありますが、この国におきましても、将来のエネルギーを考えれば原子力がまず第一である、これが中軸であるということでありまして、国民に対して、原子力を選ぶか、あるいはこれを選ばなければフランス人、ドイツ人は凍え死ぬ、どちらをとるかということを切実にテレビで訴えていたそうであります。
 したがって、総括いたしますと、エネルギーのある国は各国ともまず第一を原子力に置き、次に石炭を第二の柱として、いわゆる脱石油の方向を、現在の問題じゃなくて、長期的に自分の国の問題としてこれを取り上げておるということを報告を受けまして、私どもは従来以上に覚悟を新たにしまして、一次エネルギーの節約はもとより、電気自体の節約というものに対して、せっかく政府がいま提案しておられます省エネルギー法案が通過いたしますれば、これに呼応しまして、あらゆる努力によって国民の文化生活、産業の発展、あるいは生産の維持のために、何としても原子力とその次に考えられる石炭問題を早急に取り上げましてこれの対応策を講じたいというのが、きわめて最近、この二、三日前に帰ってまいりました調査団の報告でありまして、資源を持っている国自体でも外へ出すことに対して非常に厳しい。自分の国のエネルギーが何年もつか、これに対していまからどう対応していかなければいかぬかということを非常に厳しく政府、民間が認識しつつあるということでございまして、日本のようにまずエネルギーのない国、これがもう一度原点に立って日本の国民のためにぜひ見直さなきゃならない、かように考えております。
#13
○長谷川信君 もう一つお伺いをいたしたいと思いますが、再処理の必要性について、昭和六十五年以降に稼働するという御説明を毎々承っておるわけでございますが、そうしますと約十年ちょっと時間があるわけでございますが、いまからこれに真っ正面から取り組んでいかなければならぬのでございますが、あるいは時間だけでなくて金の問題もあるでしょうが、それで六十五年よりも早くなるのか、あるいは遅くなるのか、六十五年予定どおりぴしっといくのか、その辺のことを専門家の御立場でお聞かせをいただきたいと思うわけであります。
#14
○参考人(正親見一君) 第二再処理工場の法案の改正につきましては、実は三年前にお願いを申し上げた次第でありまして、当時法案を通過さしていただければ十五年はかかるということは、先ほど申しましたように動燃事業団の工場にお願いすることと、現在英仏にお願いしておる契約が六十五年、一九九〇年までしかありませんので、そこいらを考えますと、用地問題を初め、先ほど来諸先生方からいろいろ技術的な御提案もありましたとおり、これらのものを総括して研究してまいりますとどうしても十数年はかかる。現在非常に急いでおりますのは、十五年を予定しておりましたのがもう十二、三年ということになりまして、それでは海外へ委託すればいいじゃないかと言いましても、各国とも、フランスもイギリスもそれ以上は恐らくやってくれないというふうに考えておりますので、さような意味で、早くこれを御承認いただき通過さしていただきますればぜひ一日も早く着工したい。
 一番時間のかかりますのはやはり用地問題だと思っております。私ども原子力発電所の経験からいきまして、用地取得には相当の期間、短くても三年から五年、長いのは十年かかっております。したがいましてこの再処理工場の用地取得には発電所のそれよりももっとかかる、またかけなければいかぬ、かけて皆様の御理解と御協力を賜らなければならぬということでございますので、ただいまから始めますれば恐らく用地交渉だけでも十年あるいは五年というものは覚悟しなければいかぬ、かように考えております。
 実は用地につきましては、先ほど申しました私どもにある再処理会社の準備室で、いわゆる机の上での問題でありますが、六十数カ地点を候補に出しまして、これを物理的さらには環境の面からチェックいたしましていま十数地点にしぼっておりますが、新会社ができますれば、まず第一にこの地点をしぼりまして早速交渉なり成立できますように御理解が得られますように進めたい。
 なお、先ほどのいろいろの技術的な御指摘、特にバットの方につきましては、私どももいろいろ問題があることを承知しております。また外国でのいろいろの事故、新聞その他から出ておりますことは一々報告を聞いておりまして、これも調査をさしておりまするが、いまから十年以上かかる間には各国が共同研究、あるいは日本独自の研究によりましてこれらの問題が解決していくものと信じて、日本の国のエネルギー確保のためにはやはりリサイクルによるところの燃料の有効利用というものが最大の課題だと考えておりまして、電力業界といたしましては全社を挙げて真剣にこれに取り組んでいくという覚悟でございます。
 以上でございます。
#15
○吉田正雄君 参考人の皆さん本当に御苦労さまでございました。
 最初に高木仁三郎さんにお尋ねをいたします。
 ただいまのお話で、再処理工場の危険性が技術的な未熟性やプルトニウムによる環境汚染によってきわめて深刻なものであること、さらに核拡散の問題、そして再処理が経済性の面からも引き合わず、国民に大きな負担を強いるものであるということがよくわかったわけです。
 そこで、二点についてお尋ねをいたします。
 第一点は、先般のスリーマイルアイランド原発事故は、原子力の開発に大きな警鐘を鳴らしたものというふうに受けとめておりますけれども、再処理工場の大事故の可能性と、それによる災害の規模がどの程度になると考えられるでしょうか、お尋ねをいたしたいと思いますし、またプルトニウムの猛毒性が先ほど述べられましたけれども、再処理工場はどのような障害を周辺住民に与えるのか、もう少し詳しくお聞きをいたしたいと思うわけです。
 それから第二点は、高速増殖炉、軽水炉へのプルトニウム利用が推進派の人々によっていとも簡単に論じられておりますけれども、果たして技術面や経済性の面から容易に可能なのかどうか、私はきわめて疑問があると思うのですけれども、この点についていかがでしょうか、お尋ねをいたしたいと思います。
#16
○参考人(高木仁三郎君) お答えいたします。
 最初の、まず大事故の可能性の問題でございますが、先ほど簡単に触れましたことをもう少し詳しく説明さしていただきます。
 御承知のように、再処理工場に入ってまいります使用済み燃料というのは、百五十日ないし二百日ぐらい冷却した燃料なので、原子炉停止直後の炉心の放射能に比べれば短寿命の、寿命の短かい放射性物質は減っているわけですから少ないわけですけれども、別の面から言いますと、大規模の再処理工場は何炉心分もの使用済み燃料を同時に貯えることになるわけですから、そういう意味では放射能を集中化させるわけでございます。それは初期の段階では、冷却後に移送された使用済み燃料でありましても、使用済み燃料プールにおいて冷却を続けなければ途端に加熱してしまう可能性のあるものでございます。その冷却が、たとえば冷却プールの漏れ、あるいは人工的な冷却装置の故障ということによりまして冷却に失敗しますと、使用済み燃料の中に含まれている放射性物質の崩壊熱によりまして温度が自己上昇を始めまして溶融大事故という可能性があるわけでございます。
 たとえばここに一つの計算例がございますけれども、西ドイツのIRS、原子炉安全研究所――これは安全審査なんかにかかわっている西ドイツの公的な機関でございますが――でやりましたIRS−二九〇報告という一つの再処理工場の事故想定というのが、これは本格的な事故想定として、事故評価として出た貴重な例だと思いますけれども、それによりますと、一口で言いますと、千五百トン級のいま計画されていますような大規模再処理工場で事故が起こりますと、使用済み燃料貯蔵プールないし高レベルの放射性廃液貯槽の冷却系に事故が起こると仮定いたしますと、大量に放射性物質が環境中に放出され、百キロの遠方でも致死量の十倍から二百倍――致死量というのを六百レムというふうに仮定しますと、その十倍から二百倍に上る放射線を被曝する可能性がある。これは最大限事故を想定しているわけでございますが、その場合ヨーロッパないし日本のような人口過密地域では非常に大きな被害が出ると思われます。すなわち、百キロで十倍から二百倍と申しましたけれども、ちょうど致死量六百レムの領域が千キロに及ぶという想定になっています。そうしますと被害者は数千万人に及ぶという可能性を示唆しているわけでございます。そういう一例がございます。
 それから二点目、プルトニウムの被害につきましても、これも一つの実例を出さしていただきます。これは先ほど簡単に申し上げましたけれども、プルトニウムを歴史的に一番長く取り扱っている一つの例としましては、アメリカでロッキー・フラット兵器工場というのがあるわけです。コロラド州にあるわけですけれども、コロラド州の保健局のジョンソン博士という人が出しているデータでございますが、その周辺のAB二地点において白血病と肺ガンの発生率を調べていると、最近この二、三年の間に統計的にも有意と思われる白血病あるいは肺ガンの増加が見られてきているという報告があります。これはプルトニウムによる例だと思いますけれども、一つのデータを申し上げますと、同州内の対象地点では、人口十万人当たり白血病が三・三人、それに対しまして、A地点では十二・二人、B地点では十一・六人というふうに――ABというのはロッキー・フラット工場の近くにある地点でございます。これは再処理もやっていますけれども、プルトニウム工場も含めて核兵器全体をつくっている工場でございます。
 それから肺ガンについては、対象地点で人口十万人当たり二十八・六人、A地点で三十一人、B地点で三十六人。これはいまだ統計的には有意でないということも正直に申し上げておきますけれども、その可能性は出てきている。
 それから奇形に関しまして、遺伝的な障害でございますけれども、誕生児千人に対して、対象地点では十・四人。しかし、これはAB地点と違いますけれども、やはり近くのアルヴァタという都市の例では十四・五人というふうに、これはジョンソン博士によれば、統計的に有意の差であるというふうな被害が実際に出てきております。一例としてプルトニウムのお話を申し上げました。
 で、高速増殖炉あるいはプルトニウムの軽水炉リサイクルの問題、すなわち、プルトニウムがどれだけ利用できるのかという問題でございますが、プルトニウム利用の一番の本命は高速増殖炉になるわけでございますが、高速増殖炉については経費の点で非常に大きな問題が出されていると思います。技術的にも実用化までにはまだ大きなステップがかかるというふうに考えられます。
 特に建設費に関しましては、現在、場所にもよりますし、地理的な条件にもよりますけれども、軽水炉の場合に二千億から三千億という経費でございますが、いろいろな見積りでは、高速増殖炉の建設費というのはその倍から三倍まで実用化する段階ではいくのではないかというふうに言われています。それだけの建設費をかけて採算性があるかどうかということは一つの問題であります。
 それから先ほど言いましたように、プルトニウムの利用に関して、プルトニウムの毒性というものの再評価が行われて、その毒性が非常に高いということになる可能性が非常に強い。そうしますと、プルトニウムの取り扱いに現在よりもさらに厳しい制限が加わることによってさらにこのプルトニウム利用の経済性というのが悪化する可能可があると思います。
 さらに、高速増殖炉は、黙っていればプルトニウムがふえてそのまま燃えていくというものではありませんで、やはり少なくとも一年に一回の再処理を、高速増殖炉の使用済み燃料の再処理を必要とするわけです。プルトニウムの再生をせずには使えないわけです。これは既存の軽水炉型の再処理工場に比べれば、さらに技術的にも高度の放射能とプルトニウムを扱うという意味で、高度のものを要するわけで、そのための再処理というのはまた別途考えなくてはならない。その経費も高速増殖炉によるプルトニウム利用に当たっては考えざるを得ないということになるわけで、余りにも未知数が多過ぎて、いま高速増殖炉についての明るい展望ということにはなかなかならないというふうに思います。
 以上です。
#17
○吉田正雄君 どうもありがとうございました。
 次に、正親見一参考人にお尋ねをいたします。幾つかというよりも、お聞きをしたいことがたくさんありますけれども、限られた時間でありますので数点にわたってお尋ねをいたします。
 まず最初に、電気事業連合会の「再処理事業の推進方策について」というパンフレットがございますけれども、それに関連をして三点お伺いをいたします。
 第一点は、事業推進計画によりますと、五十三、五十四年度に候補地点を調査し、五十四年度から三カ年間で用地取得を行うようになっておりますけれども、ただいまのお話によりますと、机上ではあるけれども六十数カ地点調査をいたしておるというふうな話がちょっと出ましたけれども、現地調査を含めて調査がどの程度まで進行をしておるのか。また、予定候補地というものが決まっておるのかどうか。ここで名前を挙げることは困難だと思いますけれども、少なくとも予定地というものがすでに考えられておるのかどうか、お伺いいたしたいと思いますし、また、この用地買収に当たって、電源三法による交付金の特別優遇措置を講ずることが望ましいというふうに述べられておりますけれども、さらに特別の優遇措置というのはいかなることを考えておいでになるのか、お尋ねをいたしたいと思うんです。
 それから第二点は、新会社の役員構成をどのように考えておいでになるのかということです。全産業界挙げてというふうなお話があり、国の積極的協力を望むことが強調されておりますけれども、そのような関係から、関係省庁の高級官僚の天下りが現に取りざたされており、その点がどうなっておるのかどうか。これはこの新規事業会社だけでなくて、従来からも官僚の民間への天下りというものがしばしば国会でも論議をされてまいったわけですが、この新会社についてもすでにそのようなことが取りざたをされておるということを私は聞いておるわけです。そういう点で、その事実はどうかということです。
 それから第三点は、約五千億円と見込まれる建設資金について国の積極的な資金援助を要請するということが述べられておりますけれども、新会社へ国の出資を期待しておるのかどうか。そうだとすれば、その金額はどの程度のものを予定をされておるのか。また国や日本開発銀行の長期低利の融資というものも期待をされておりますが、それはどれくらいの額を期待をされておるのか、当初にこの三点についてお尋ねをいたします。
#18
○参考人(正親見一君) お答えいたします。
 地点の候補につきましては、現在のいわゆる準備室、先ほど申しましたように机上での調査でございまして、もちろん、現地も時々行って調査しておると思いますが、あるいは専門家を通じて調査もしておりまするが、先ほど申しましたように、物理的と環境の面から、特に海に面した海岸地帯が必要だということ、あるいは防護の問題等考えまして、現在十数カ地点にしぼられておりますが、現地調査はまだいたしておりません。したがいまして、新会社ができますれば、早速この地点をもとにいたしまして具体的に地点を決定したい、かように考えております。
 それから第二番目の御質問の電源三法優遇措置云々ということがあると思いますが、これは用地の取得に際しまして、できれば電源三法の運用によって御援助を賜りたい、かような意味でございます。
 その次の、新会社の役員構成でありますが、まだ準備会を、委員会をつくっておりません。これから検討いたしまして、先ほど申しましたように、電力業界、電気機械業界、化学業界、あるいは金属、ケミカル、あらゆる業界の方々の総動員をして会社をつくりたいと思いますので、この役員はまだ決定いたしておりません。発起人会ができましてからこれが決定することになっておりまして、ただいま御質問のいわゆる天下りという話を伺いましたが、私自体この事務室の監督をいたしておる者といたしまして、さような話は全然聞いておりません。
 第三番目の資金の四千億ないし五千億現時点で必要と考えておりまするが、これはまず先ほどお話のございましたように、できるだけ低利・長期の融資をお願いしたいということは、やはり開発銀行さんにお願いするよりほかないが、自分たちといたしましては、民間の問題として自己資金並びに市中銀行からの融資によってこれをやりたい。この比率がどれくらいになるか、まだそこまで詰めておりませんが、たとえば過去の原子力発電会社等の例を見ますと、六割程度あるいは七割ぐらい御融資いただければというふうなことも期待はしておりますが、まだその辺は詰めておりません。新会社が発足いたしますれば、その場で役員どもが決定することと存じております。
#19
○吉田正雄君 この計画書の中にも、エネルギー危機の回避ということと、将来の代替エネルギーの主要的な役割りを果たすのは原子力だというふうに述べておいでになりますが、この点は非常に論議のあるところだと思うんです。代替エネルギーの多様化ということがいま世界的に大きな、また、注目をされる課題になっておるわけでして、原子力以上にさらにアメリカにおいては石炭の液化・ガス化ということに取り組んでおりますし、太陽熱、太陽光線、風力、波力、潮力というもろもろの代替エネルギーの開発というものがこれから真剣に取り組まれようとしておるわけです。そういう中にあって、日本ではとりわけエネルギー危機ということが言われて、特に夏の甲子園の例などを取り上げて、かつての戦時中じゃないけれども、国民に何か消費を強いるような傾向、風潮というものが最近強まっておるんじゃないか。しかし、一体エネルギーが足りないという場合に、国内でどこで一番エネルギーが消費をされておるのかということを国民はほとんど知っておらない。しかし、官庁統計によっても民生用というのは石油においてわずか一六%、電力総エネルギーにおいても二一・五、六%というものであるし、それから家庭用に限って言うならば約一〇%にしかすぎない、これはもうはっきりしておるわけです。そういう点で、きわめてまだ危険性の高い原子力エネルギーに全力を傾注をしていくというのは、本当の意味での将来のエネルギー問題を考えた場合に非常に危険性があるんじゃないかという感じが私はするわけです。そういう点で私は電気事業連合会としてはその他の代替エネルギーの研究開発にもう少し力を入れていくべきではないかというふうに思いますが、その点お聞かせをいただきたいということと、それから一昨年の再処理工場をめぐる日米の共同声明というのがありますし、日米原子力協定というのがあるわけです。これらを見ましても、アメリカとしては核拡散の観点から、日本の再処理工場の建設についてはきわめて慎重な態度をとっておることは御承知のとおりです。しかもINFCEの討議結果というものがまだ出ていない現状で、日本が主要な措置をとるということはいまできないわけです。そういう点で、もし仮にこの再処理工場の建設運転にアメリカの同意が得られないというふうなことになったら、私は大変なことになるんじゃないかと思うんです。そういう点で、一体アメリカの合意を得られる見通しというものを電気事業連合会としてはどのように考えておいでになるのか、見通しをどのようにお持ちになっておるのかお伺いをいたしたいと思います。
 最後は一つ要望になりますけれども、従来、原子力開発については安全性よりも開発が優先をしてきたということが言えると思うんです。そのために昨年、例の原子力基本法あるいは規制法等の改正が行われて、安全とそれから安全行政に非常に力を入れるということになったんですけれども、従来電力会社がとってきた態度を見ますと、美浜の事故を初め数多くの今日までの事故に対してとった電力会社の措置等についてやはり問題があるんじゃないかというふうに私は思うわけです。そういう点で、今後原子力の安全という面に関して、やはりもう少し積極的な態度というものを電力会社がとっていくべきではないか、秘密主義というのは決して好ましいものではないということで、この点は特に私は要望をいたしておきたいと思うんです。
#20
○参考人(正親見一君) 第一点のエネルギーの多様化の問題だと思いますが、先ほどもちょっと長谷川先生にお答えしたのでありまするけれども、世界各国とも自分の国のエネルギーを自分の国でできるだけ長く使って外部へ出したくない、相当輸出できる可能性のある国でさえも長期的に見てこれを抑制していかなければだめだという全体のムードの中で、資源エネルギーを持たない、特に少ない日本の国といたしまして、水力あるいは小水力、地熱発電さらにはまた石炭の利用、石炭の量も限度がございますので、やはり輸入によらなきやならぬ。私どもといたしましては、あらゆるエネルギーを電気にして供給に不足を来たさないように努力するという方針は、政府御当局の御指示もありますが、業界といたしましてもこれに最大の努力を傾注しております。したがいまして、ただいまお話のありました各種の資源に対する研究というものは電力中央研究所を持っておりますし、その他外部の機関にお願いいたしましてこの研究を進めております。ただ先ほど申しましたように、各国ともやはり化石燃料あるいはその他の燃料というものに限界がある、やはり原子力はどこの国でもエネルギーの大きな柱として、先ほど申しましたように次の問題として包蔵力のある石炭というものを当面さらにまた長期的にこれをいかにして利用するかということが大体共通の認識のように伺っております。したがいまして、日本におきましてもこの二つの柱を大きなテーマといたしまして、ことに石炭につきましては、過密した日本の国の中でこれを直接利用するということはなかなか問題が多い、高炉センターをつくるとか、あるいは灰処理、灰捨てをどうするかとか、さらにまた発電所自体から発生するSO2だけでなくてNOx、さらに粉じんというものの技術開発がおくれております。各国ともできておりません。よその国、広いところではそれほどの公害対策は必要ありませんが、日本ではこの対策は特に必要であると考えておりまして、目下電源開発株式会社の竹原の火力発電所で特にNOxの問題について研究を進めておりますし、これも一メーカーだけではいけないというので、他の電力会社におきましても、ボイラーメーカーのそれぞれ協力を得まして公害防除設備の研究開発を急いでおりますし、さらにまた御高承のとおり、米国との共同あるいは日本独自のいわゆる石炭の液化・ガス化についてもきわめていま積極的にこれに取り組んでおる次第でございます。
 第二番目の御質問は……
#21
○吉田正雄君 日米交渉。
#22
○参考人(正親見一君) 御高承のとおりでございまして、ことに再処理問題につきまして日米でかなりの交渉がございました。昨年ですか、一昨年ですか、東海村の再処理工場を運転するに当たりまして、動燃事業団を中心に日米の政府間の交渉をいたしました。その際に、結論だけ申しますと、日本で再処理工場を民間であるいはその他の方法でやるということにつきましては基本的に合意を得ております。それからこの法案を審議し、工場を建設、計画するということについても、これは一応合意を得たと聞いております。ただ先ほど御指摘のとおり、もしつくってだめならどうかとか、INFCEを待ったらどうかというような御意見のように思っておりますが、実はINFCEの場におきましてもそうでありますが、先ほど来たびたび申しておりますように、私どもはやはり少資源国としまして、いわゆる原子力を中心に軽水炉、高速増殖炉路線というものを進めていくための核燃料サイクルの確立ということにつきまして、これは原子力政策の基本でありますと同時に、これはINFCEなど国際的な場においても強くこの方針を主張しております。これは日本だけじゃなくて、ヨーロッパ諸国も共同してこの主張をしており、また政府にも強くお願いしておるところでございまするが、大変私的になって恐縮ですけれども、私どもの連合会の中にある先ほどの準備室におる田宮氏がINFCEの場にすでに出ておると同時にその主査もいたしておりまして、日本の立場を強く要請し、各国との特にヨーロッパ諸国の応援を得て、御協力も得ておりまして、アメリカに対して、あるいはその他の国に対しても強くこれを要請し、漸次われわれの期待している方向に動きつつあるというふうに聞いておりまして、私どもとしましては、これが国際的な問題として日本の原子力政策が予定どおり遂行できるものと一応信じまして、できるだけ早い機会に着工して準備しておかないと後で取り返しがつかなくなるというふうに考えております。特に核不拡散という問題から、これがいろいろ日米交渉で出ておるわけでありますが、私の個人的な考えから申しますと、核不拡散ということは、いわゆるプルトニウムの管理だと思います。その途中の問題をとやかく言うのは筋が違う。したがいまして、プルトニウムを国際的に貯蔵するという方向で、そういう構想でINFCEにおいても検討され、その方向で進んでおるということで私どもも当然そうあるべきだと、かように考えておりますので、先ほど来申しましたように、日米交渉における第二処理工場についての法律の改正、会社設立、用地調査等については何ら支障ないとの米国側の意向があったと承っておりますので、従来どおりの方針で進めさせていただきたいと、かように存じております。
#23
○藤原房雄君 本日は、参考人の皆様大変お忙しいところ御苦労さまでございました。
 わずかの時間でございますので、何点かにしぼってお尋ねをするわけでございますが、最初に正親参考人に、先ほど来いろいろお話ございましたんですが、まあどちらかというと、エネルギーの日本の現状の中で――エネルギーの必要性の中から原子力の必要性、そしてまたその中から出てまいります再処理問題ということで、日本の現状の中で原子力発電というものの持つ意味合いというものを、先ほど来いろんな角度からお話ありまして、私どももそれはそれなりに認識をいたしておるところでありますが、さて、その必要論とともに、国際環境がそれを許すような状況であるか、また技術的にそれが進められるかどうか、こういういろんな角度から考えてみますと、やっぱり何点か疑義を抱かざるを得ないと、こんな気がするわけであります。
 お尋ねしたいのは、このたびのアメリカにおける原子力発電所の事故に、業界といたしましても調査団を派遣しまして積極的にその実態を把握し、経営の方針としても安全性を確保するということに柱を置いているんだという先ほどお話がございました。この調査団の結果についてはいろんな角度から取りまとめられておられるんだろうと思いますが、私どももいろんな情報の中から、やはり自主技術の開発とか技術者の養成とか、そういうものが大事になってくると、こういうことも一つの大きな今後に対する課題としておくみ取りいただいているんじゃないかと思います。そういうことで、私どもも二十数時間にわたりましてこの法案の審議を続けてまいりましたが、その中でこの自主技術の開発また技術者の養成ということが非常に重要な問題だということでいろんな議論があったわけでございますが、高木参考人やまた河村参考人のお話の中にもございますが、まだまだ技術的にもろさがあるということが何点か、しかも非常に主要な部分についての御指摘もあったわけでありますが、これが建設に当たりましては、少なくとも十年以上先のことになるわけで、その十年の間には技術的にも相当進歩するだろう、こういうことも当委員会でもいろいろな論議があるわけでありますが、先ほどお話のございましたように、技術的な面についての改良、進歩ということと、それから現在準備室でいろんな技術者の養成等についても動燃事業団の技術を中心として吸収していらっしゃるんでしょうけれども、これが推進するという段階になりまして、こういう問題を推し進めるに必要なる技術というものが現在のこの準備室の中でどのように今日まで受け継がれてきたのか、そしてまた動燃事業団の技術というものがどのような形で生かされるのか、また今後官民挙げてこの問題については研究開発なさるんだろうと思いますけれども、この民営ということと、それから動燃を初めといたします技術というものが今後どういう形で官民の協力関係というものが進められていくのか、この辺のことについて簡単で結構でございますが、お述べいただきたいと思います。
#24
○参考人(正親見一君) 日本の原子力発電が欧米に比べて自主技術の点であるいはおくれているんじゃなかろうかというふうな御質問のように承りますが、わが国の原子力開発は御承知の西独とほぼ同じ開発の過程をたどってきております。当初は技術導入の形をとってまいりましたが、今日ではわが国でも原子力発電所の国産化率はいま一〇〇%近く達しております。軽水炉の改良標準化も確立されつつございまして、現状におきまして、その技術レベルに大きな差はなくなっていると考えております。
 核燃料サイクルについて見ますと、再処理につきましては、フランスですでに実用規模のものが運転を始めており、西独でも小規模の施設が運転してきているなど、わが国よりも先行はしてきておりまするが、わが国におきまする東海村のいわゆる動燃の工場が運転を開始しておりまして、その差はなくなってきたと言ってよろしいと存じております。昨年、私はヨーロッパの各再処理工場も見学してまいり詳細に見てまいりましたし、日本の東海村の工場も十分見ておりまして、その点はまず差はないと、日本はよくあれだけできたというふうに実は感心しております。
 また濃縮工場につきましても、フランス、西独に若干のおくれをとっておりますが、わが国でも、これは御指摘のとおり、自主技術の開発の結果、先ほど申しましたように、岡山県の人形峠にパイロットプラントをつくっておりまして、これの技術につきましてもかなりりっぱなものと言えると思います。濃縮工場につきましても、私は諸外国のを全部見てまいりました。
 なお、高速増殖炉につきましては、わが国では、実験炉の「常陽」が運転をしておりますが、すでに大型実証炉に相当するものを開発するところまで進んでいる。特にフランスは一九八三年に実証炉をつくると言っておりまして――昨年あたりは、私が行きましたときは、一九八五年と言っておりましたが、さらに進みまして八三年に実用化する、八五年には本当に商業化するというところまで行っておりまして、この点日本はややおくれておるように考えておりまするが、先ほど参考人からも御指摘のありましたように、高速増殖炉をつくることは非常に急ぎまするが、やはり自主技術という考え方から、各国の様子も見ながら、これも参考にして、現在のところでは一九九〇年を目途に開発を進めておるという現状でございます。
 次に御質問の……
#25
○藤原房雄君 まあ結構です。
 続きまして、高木参考人にお尋ね申し上げますが、いまの正親参考人にお話したのと共通する面がございますが、先ほど来、世界各国のいろいろな再処理工場を初めといたします事故の多いことと技術的なもろさということについてお話ございましたが、現時点で考えましても、これから設計段階にこれはもちろん入るわけでしょう。立地条件やいろいろなことを勘案しまして進めるに当たりまして、十数年先になるということで、十年ということになりますと、相当技術的にも進歩するだろうということで、現在世界の再処理工場等で起きておりますトラブル、故障または事故、こういうことも今後の技術開発によって改良される、克服できる面と、十年の経過の中でそこまではなかなかいけるのかどうかと、こういう問題には二つの見方があるんだろうと思いますけれども、先のことでありますし、また、それぞれのケースの問題でなかなかこれはむずかしいことになろうかと思いますけれども、高木参考人としましては、現在起きております諸問題、それらのものが数年または十年近い間にはどの程度まで克服できるか、どうしても残るべき問題としては、何点かはどうしても残るというふうにお考えになっているのか、その辺どうなんでしょうか。
#26
○参考人(高木仁三郎君) お答えいたします。
 不確定要素が非常に多い話でございますが、再処理工場の技術に関しましては、ポイントとしましては何点かあると思います。
 一つは、やはり先ほどから申しましたように、非常に大量の放射能を扱う技術、それをうまく閉じ込めておけるかどうかという問題が一点でございます。
 それから第二点目は、やはり非常に大きな放射能を扱うということと関係しますけれども、しながらも非常に多種多様なパイプをつなぎ合わしたような化学工場でございますが、一たんトラブルが起こりますとその修理が非常に長期化する、すでに東海村の再処理工場の例がありますように一という問題がございます。それから、その修理そのものが不可能になってくるというようなこともあるような問題がございます。
 それから三点目に大きな問題は、やはり廃棄物の、特に廃液、液体廃棄物の処理が可能かどうかという問題でございます。大きく言いますとこの三点が非常に大きな問題としてあると思います。
 確かにこれから十年という期間を考えますと、その中で現在の技術の改良、修正ということは行われると思いますが、本質的な問題については、この三点についてはやはり基本的な問題として残ってしまうというふうに考えます。特に廃棄物の処理の問題に関しては、現在固化技術等も研究開発がなされているようですけれども、私の考えでは経済的な側面も含めて考えれば十年という期間にはおよそ完成し得ない技術であるというふうに考えます。そういう観点からいたしまして、現在はむしろ地道な基礎的な問題を検討すべき段階であって、千五百トン規模ということを前提とした設計に入りますれば、十年後といいましても、すでに基本的なことはすぐにも着手することになるわけですから、将来禍根を残すことになるというふうに私は考えます。
#27
○藤原房雄君 河村参考人にお尋ねを申し上げますが、いま日本の国は軽水炉路線を突っ走っておるわけですが、私どももこういうエネルギーの多様化ということの中で、原子力につきましても軽水炉路線だけではなくて、やっぱりいろんな形のものを持つことが必要ではないかと、こういう議論もあり、しかし、これはほかのことと違って、技術的な蓄積とか期間、経済的なこと等を考えますと、そう簡単に多方面な路線がとれるわけじゃございませんで、非常にむずかしいことだろうと思うんでありますが、CANDU炉のこととか、きょうお話ございました溶融塩炉とか、こういうようなこと等について、やはり基礎的な研究というものもあわせて実用的なものにまで目を向けて日本の現状としては進めるべきであるというふうにお考えなのか。きょう先生のお話の中にもその点ちょっと溶融塩炉の問題、お話しございましたんですけれども、日本の現状の中で将来を見通したときに、こういう問題についてはどのようにお考えになっていらっしゃるか。まず一点お伺いしたいと思います。
#28
○参考人(河村和孝君) ただいま御質問ございました原子炉型の多岐路線ということについてお答えいたします。
 現在日本の政策はウラン・プルトニウム路線というのをとっておりますが、ウランの資源が枯渇した場合にどうなるかということ。それから、プルトニウムが特に核拡散防止上非常に好ましくない元素である。そういうことを考えますと、ウラン・プルトニウム以外に核燃料を考える、いわゆるこれを代替サイクルと言いますが、これはINFCEの重要な課題でもあるわけですが、それを考えておく必要があるのではないか。これは長期的に見た場合です。そう考えます。
 そうしますと、すぐ浮かんでくるのがトリウム・ウラン・サイクルというサイクルでございます。まず資源的に見ますとトリウムはウランより四倍よけいにあるということです。ウランの次にくるのがトリウムであると考えることは非常に自然であるというふうに思います。
 それから、核拡散につながりますプルトニウムのよくない点は、トリウムを使いましたトリウム・ウラン・サイクルによってはこれが除去できるという点でございます。と申しますのは、できたプルトニウムは薄めることができないわけであります。それがそのまま爆弾の材料になるわけであります。トリウム・ウラン・サイクルでございますと、トリウムを親物質といたしましてできました233ウランというのは、核分裂性でないウラン238で薄めることができるわけです。いまのちょうど軽水炉と同じ場合になります。軽水炉の場合は、核分裂性の235というものを二から三%入れる、そうしますと核原料にはならないと言われています。そういうことができるわけであります。そういうことを考えますと、将来トリウム・ウラン・サイクルというものをやはり真剣に考えていかなければならないと思います。
 そういうことに立脚いたしますと、再処理事業が十年先であるとか、あるいは二十年の予定であるというようなことで議論を進めてまいりますと、再処理事業の終わりの方では、むしろトリウム・ウラン・サイクルが少し入ってくるんではないかというようなことが考えられるわけであります。それに対してどういうふうにわれわれとしては技術的な面からマッチさしていくか、あるいはどういうふうにいま既存の設備を改良していくかと、きょうはお話ししませんでしたけれども、非常に重要な点ではないかというふうに考えています。たとえば、トリウムを燃やすいい炉といたしましては、先ほどちょっと触れておきましたけれども溶融塩原子炉という、これは非常に化学的にすばらしい炉がございます。
 以上でございます。
#29
○藤原房雄君 それは先生のお考えとしましては、現在そういうことが考えられる中で並行してやはり研究を進め、または対処する対策と言いますか、十年、二十年の先を見通して進めるべきであると、こういうお考えだというふうにとってよろしゅうございますか。
#30
○参考人(河村和孝君) そのとおりでございます。
#31
○藤原房雄君 それから、当委員会でもいろいろ議論したんでありますが、スケールアップの問題、先生からきょう端的にお話しいただいたわけでありますが、これは規模が七倍になるということで、ただ係数が七になるということじゃなくて、それに伴う諸問題が数多くあるだろう。しかし、私どもは技術的にこういう問題についてなかなかわからぬものですからきょう先生からお話しいただいたわけですが、臨界量のこと、そのほか、スケールアップに伴います問題、これはやっぱり技術的なこととしてもいろんなことが出てくるんだろうと思いますけれども、もう少し詳しくお聞かせいただければと思うんです。
#32
○参考人(河村和孝君) スケールアップに伴います一番大きな問題は臨界の問題だと思います。臨界のことにつきましては、日本では、少なくとも現在のところ全く経験がないというふうに言わざるを得ないと思います。したがいまして、先ほどお話しいたしましたように、これにつきまして、やはりモックアップ装置、もう少し量を多くして、それでスケールアップにつながるもう一つの装置というものをぜひつくってテストしていかないと、臨界量を超えた場合の事故というのは非常に大きなものでございますから、むしろ一番大きな事故ではないかというふうに考えるわけでございますので、その辺のところは将来禍根を残さないように、時間をかけてでも着実なノーハウの蓄積をして、スケールアップへの移行をしていくということが必要だと思います。もしそれをやらないとするならば、東海事業の設備、これは二百十トンでありますが、それを七基つくれ、七台つくれということになるということになります。
 それから、スケールアップに伴いましてもう一つの問題は、取り扱う放射線の量がふえてまいります。それを遠隔操作でともかく処理をしなければならないということになります。そうしますと、いま通産省を中心にしてかなり進んでいると思いますが、たとえばロボットの技術というものをもう少し改良いたしまして、原子力の方でも特に再処理のプラントの中でのロボットの活用、あるいは遠隔操作の活用、その遠隔操作も人間がどこまで近寄れるか、そこから先はどうしてもロボットでなければならないというようなことをはっきり決めておいて、しかも一たん事故が起こりましたらそのロボットにやらせる、そういうことが必要になると思います。
 また、いろいろ事故その他を考えてみますときに、問題は、事故を起こしそうなラインというものをあらかじめ複数持っているということがやはり非常に重要であるというふうに思います。一つしかないために、そこの事故が全体のラインを殺してしまうということはあくまでも避けなければならないわけでございますから、複数のラインを持っていつでも交換できる、しかも、それが、できればロボットによってかえられるということが望ましいというふうに考えているわけでございます。
#33
○佐藤昭夫君 きょうは御苦労さまでございます。
 まず、電気事業連の正親さんにお尋ねをいたしますが、再処理工場の安全性については国際的にも未確定な問題がいろいろありますし、現に東海の再処理工場でも事故が頻発をしている、こういう現状で、わが国の第二再処理工場を民間化した場合に、その安全性について具体的にどう確信を持っておられるか、先ほども高木参考人からは十年を見通しても解決困難な問題が予想されるということも言われているわけですけれども、いや、こう解決できますという確信がおありなのかという問題が一つです。
 それから冒頭のお話で、みずからの発電所から排出をした燃料はみずから再処理をするのが当然と考えていますと、こういう立場から、第二再処理工場については民間でという考え方の理由にそのことに触れられておったと思うんですけれども、しからば、将来の廃棄物の処理、これも民間で扱っていこうという、高レベル廃棄物も含めてお考えなのかということです。
 それからもう一つは、先ほどの吉田委員の御質問にありました第二再処理工場の建設に当たって、国費の負担をどの程度希望されておるのかということで、御答弁が日本開発銀行や市中銀行、そういうところからの六、七割の融資をというお話でありましたけれども、日本開発銀行というのも国が管理をする銀行ではありますが、国費による直接の出資、融資、これをどの程度希望されておるのか、ちょっと御参考にお聞きしたいと思います。
#34
○参考人(正親見一君) お答えいたします。
 再処理工場での技術について自信があるかという最初の御質問でございますが、先ほど来るる申しておりまするように、諸外国の例並びに動燃事業団の東海工場の現在の運転状況並びに過去のトラブルあるいは現在の運転方法、建設経過等を十分踏まえまして、私どもは予定どおりうまくいくというふうに信じております。
 再処理施設の安全性の確保につきましては、設計施工あるいは運営管理の各面にわたりまして、国の厳格な基準と規制のもとにこれを実施させていただきますことはもちろん、再処理の分野は特に厳しい国際的な監視のもとに置かれております。したがいまして、厳重なIAEAの保障措置を受けることになっておりますので、十分御信頼をいただけるものと存じております。最近一カ月余りの間に国外での再処理工場あるいは廃棄物施設のトラブル等が発生しておりますが、動燃事業団のトラブルにつきましては、午後、瀬川参考人からお聞きいただけばいいと思いまするが、国外の再処理工場のトラブルにつきましては、私どものところでは新聞報道あるいはそれを通じていろいろ情報の持ち合わせをしておりますが、できる限り再処理工場の建設期間に間に合うように、なお時間もございますので一層調査、検討を進め、皆さんの御期待に沿いたい、かように考えております。
 次に、廃棄物処理に対する電力会社の取り組み方でございますが、原子力発電に伴いまして発生するところの低レベル、中レベルの放射性同型廃棄物につきましては、現在は各原子力発電所の敷地内に安全に保管されております。これらの低中レベルの放射性廃棄物の最終処分に関する安全性並びに処分技術の確立につきましては国の責任で進められることになっておりまするが、これにつきましては、現在、国及び原子力環境整備センターを中心に鋭意検討が進められておるところであります。
 一方、再処理に伴い発生いたしまする高レベルの放射性廃棄物の処理処分につきましては、先ほど来お話のありましたように、ガラス固化技術がフランス、イギリス等で開発中でございまして、フランスにおきましては試運転ができる段階にまで来ていると聞いております。また、わが国におきましても、動燃事業団等におきましてガラス固化を含めた処理処分技術について研究中でございます。一方、昭和五十一年十月の放射性廃棄物対策につきましての原子力委員会の方針によりますると、高レベル廃棄物の処理は再処理業者が行うが、その技術の実証は国が行い、その処分は国の責任で行うということに相なっております。したがいまして、私どものは廃棄物の処理につきましては国で開発されました技術を十分に利用させていただくつもりでありまするが、それと並行いたしまして、海外での技術開発状況をも調査の上、最もよい方法を採用したいと考えております。また処分方法の確立につきましても、さらに時間がございますので、国において一層強力にその研究を推進していただきまして政策を立てていただきたいと、かように考えております。
 なお、資金に対する御質問の中で、国費を予定しておるのかというお話でございますが、先ほどお答え申しましたように、私どもは国費でなくて――国による出資は考えておりません。開発銀行その他からの融資で賄っていきたいと、かように考えております。なお、その比率は、先ほど申しましたように、新会社が設立しました上で役員会で決定すると思いますが、先ほど申しました私の個人的な考えといたしましては、六、七割程度でなかろうかということでございます。
#35
○佐藤昭夫君 それでは高木参考人と河村参考人にお尋ねをいたしますが、高木参考人の最初のお話で、今回のスリーマイル事故という形で露呈をしたように、これはわが国の軽水炉にも全面的な見直しを行うべき必要を示しているという問題やら、いわんや軽水炉以上に重大な問題が内包されておる再処理工場について、これを民間化していくということについては危険だという御意見が最初に述べられておりましたけれども、一つお尋ねをいたしますのは、わが国の原子力行政の安全性を確保する上で、これはつとに原子力基本法が当初制定をされた段階でも一番大きく議論をされました自主・民主・公開の三原則ということがうたわれております。ところが、諸外国と比較をして、日本の場合には政府や電力企業がとかく原子力に関するいろんな資料や情報を全面的に公開をすることを渋る傾向があるという、この点が日本の場合非常に大きな問題であるというふうに私は感じておるわけですけれども、たまたま先生がお仕事をなさっています肩書きが原子力資料情報室ということで本日伺っておりますのでお尋ねをするわけですけれども、アメリカを初め諸外国と対比をして、日本の政府や電力企業の、せっかく原子力基本法という法がありながら、こういう原子力に関する資料や情報の公開という問題について、どういうふうにごらんになっているかということと、本当に国民に責任を負って安全性を確保していく上で、たとえば日本でも情報公開法といったようなものを制定をして法的にも明確にする、また専門家や国民が情報の公開入手を必要とした場合には、法的にもそれが進められる整備をやるということが必要ではないかという議論が今日あろうと思いますけれども、こうした問題について先生の御見解をお尋ねをいたしたいと思います。
 それから、もう時間が余りありませんので、ついでに河村先生にお尋ねをしておきますが、イエス・バットという表現で、再処理工場についての判断をするに当たっては、かくかくの幾つかの前提条件というものが必要だというふうに言われておりまして、その中では私もきょう改めて勉強させていただいた部分もございますけれども、問題は、いま国会では、今期国会でこの第二再処理工場を民間化しようという法案を一日も早く決着をという意見が一部にあります。こういうことが先生の御研究、学問的な見解に照らして、いま第二再処理工場は民間でいくんだという結論を下すことについては一体どうお考えなのか、その点をお尋ねいたします。
#36
○参考人(高木仁三郎君) 手短にお答えいたします。
 私どものやっております原子力資料情報室の経験に踏まえまして、情報の公開の問題をお答えいたしますと、まず、日本では商業機密の壁ということが非常に厚いという問題があります。これは特に、今回再処理工場が民営になっていくという問題から考えますと、商業機密ということで、すべて情報が公開されないという問題が大きな問題ではないかというふうに思います。すでに私どもがたとえば東海村の再処理工場に行きましても、肝心な技術的な問題については、ほとんど何も見せてもらえない。それはサンゴバン社との関係における商業機密の問題ということで公開されてない部分が非常に多いという経験がございます。
 それから、情報公開法というようなものが必要ではないかという御指摘でございますが、私はその点については全面的に賛成いたします。アメリカにおいては情報の自由法といわれる、いわゆるフリーダム・オブ・インフォメーション・アクトというものがございまして、それによって、原子力関係の情報が秘密にされていたけれども最終的には出てきたというのが物すごく多いわけです。それが私どもの研究、検討の上でも非常に大きな参考になっているということがございます。日本でもそういうことが可能になるようなことが皆様方の努力でできますならば私たちとしては非常に助かることだと思います。
 それから、公開の問題で一つぜひ私が触れておきたいことは、アメリカや諸外国の例に比べまして、日本では、政府特に通産省ですけれども、あるいは電力会社の内部で問題が処理されていてなかなか外に出てこないという、そういう意味での公開がされていないという問題と同時に、公開できるだけのちゃんとした資料を備えていないということは往々にしてあることでございます。つまり事故が起こっても、これは大したことなかったということで、その事故の原因であるとか徹底した対策というものを検討しない。そういう資料をつくらない。だから、資料があっても出てこないというのではなくて、資料がないという状況というのが、そういう態度というのが非常に私たち気になることでございます。一つの例で申しますと、美浜1号炉の燃料棒破損の問題というのがございましたけれども、これも電力会社の方からは出てこないで、民間の側からの告発によって明らかにされてきたことでございますけれども、そのときにも結果としてわかったことは、公開されるまで、ようやくそういうことがあったということがわかる時点までにおいて、何ら積極的なその問題の検討というのがなされていなかった、それを待って初めて検討が行われたという、そういう側面があると思います。その点を指摘したいと思います。
#37
○参考人(河村和孝君) ただいまの御質問に対しまして一番重要なことは、やはり安全性が確保できるかどうかというところにかかっていると思います。それで、この比較は余りいいかどうかよくわかりませんが、たとえば軽水炉と再処理施設というものを比較してみた場合に、どっちが安全かということがありますが、放射能の保持量その他では圧倒的に再処理工場の方が不利だというふうに言えるわけですが、逆にどういう状態で運転されているかということを考えますと、軽水炉の場合は高温高圧です。したがって非常に爆発しやすい状態になっている。それに対しまして再処理の方は常温常圧でございます。これは本質的に爆発しないシステムでございます。そう考えますと、再処理の方が安全であるというふうに考えるのが自然かと思います。そういうふうにいろいろファクターによって、どっちが安全であるとか、どっちが安全でないとかということを一概に決めるということは非常にむずかしいわけでございます。特に再処理の場合は、先ほど来ずっと強調しております臨界の問題がありまして、これについてはまだわれわれはほとんどノーハウを持っていないということが実情であります。これのノーハウを一日も早く決めて、そしてそれの見きわめをつけた上で、一番重要なのは、総合的に判断してイエスという言葉を言うのが一番いいと思います。現在の世の中は非常に価値観というものが多様化しておりますし、あるいはいろいろなことをディスカッションしていく場合に、問題点を非常に極端にしぼるとか、あるいはもう非常に具体的な問題点にしぼって、それで判断を求めるという場合が非常に多いわけです。これをワン・アイテム・システムあるいはシングル・イシュー・システムと、ある点だけについてイエス・オア・ノーを聞くという、そういうこと。あるいはそれが日常茶飯事のように感じられる場合があるわけですが、特にわれわれは広いすべての面から見て、それが整合性がとれて、そして非常に客観的にそれが正しいといったときにイエスという判断を下すべきであるというふうに思うわけでございます。
#38
○中村利次君 どうも参考人の皆さん、御苦労さまです。
 河村参考人からはイエス・バットの参考御意見を伺ったわけであります。特にバットの部分につきましては、私は、エネルギー源としての原子力は選択に値する安全性を確保した上でこれは積極的に開発をしなければならないという立場をとっておりますから、バットの部分は貴重な参考御意見としてお伺いをいたしました。その中にはトリウム燃料サイクルとしてのトリウム・ウラン・サイクルの問題を含めて、どうも大変ありがとうございました。大変に短い時間でございますから、特に質問はございません。
 高木参考人からはノーという立場での御意見を伺ったわけであります。これは再処理工場に対する御意見がノーであるというだけでなくて、エネルギー源としての原子力の利用そのものがやっぱりノーであるというお立場であろうと拝聴いたしました。
 確かに御指摘になりますように、原子力発電所では多量の放射能を扱うわけでありますし、再処理工場ではより以上に多量の放射能を扱うわけである。また事故、故障が絶対、断じてないのかと言えば、可能性を否定するわけにも――これは何も原子力に限らず、あらゆる事柄に対して、私は可能性を否定するわけにはいかぬと思うんです。地球が破壊する可能性だって、これはもう何万年、何十万、何百万、何千万年の中には否定できないかと言ったら否定するわけにはいかない。森羅万象ことごとく私は否定できないと思いますから、そういう意味では原子力の場合も事故、故障の可能性についてこれを否定するというわけにはいかぬと思いますが、エネルギー源としてこれを選択するに値する安全性は確保されていると私は思うんです。多量の放射能を閉じ込めておく、そういう技術というものは、あるいは工学的に言っても、現在すでにそういう意味での安全性は確保されていると思いますが、先生の参考御意見の中で伺いました、方向性として、たとえば労働者の被曝の問題ですね。これは確かに原子力発電所でも、私から言わせると定検のやり方、期間等々の問題を含めて、トータル・マン・レムをいかにして減らしていくかということを考えていかなきゃならぬと思うのです。また環境に与える放射能の影響ですが、低レベル放射能によって白血病、がん等がふえる可能性の問題等に絡んで、国際的に許容量の切り下げがあるんではないかという御意見でございました。私も許容量の切り下げはそういう傾向にあると思うんです。しかし、これは可能な限り低くという方針に基づく許容量の切り下げという意味ではまさに私は同意でございますけれども、しかし低レベルの環境に与える放射能によってがん、白血病等が発生するという点については、私、大いにこれは疑問がございまして、それでしたら、よく言われますように、たとえば関東、関西においては自然界から受ける放射能の量が違います。また世界各地でいろんなやっぱり差異があります。高いところでは、インドあるいはブラジルなんかでは五百ミリレムから千ミリ、二千ミリに及ぶ自然界からの放射能を受ける地方もあるわけでありまして、五十ミリのところ、百ミリのところ、百五十ミリのところよりも五百ミリ、千ミリのところが白血病、がんの発生率が高いというデータはないわけであります。
 それから、可能な限り低くという立場に立った被曝許容線量が、ミリレムに直しますと五千ミリレムである。ところが現在、原子力発電所の境界での環境に与える放射能はその千分の一、二千分の一程度であるということになりますと、やっぱり低レベル放射能による白血病、がんの発生をはやし立てるのは、エネルギー源を原子力によって求めることに対する反対のあおり行為にすぎないのではないかと私は考えるわけです。また、医療用では百ミリ、二百ミリ、あるいは歯科での、あごなんかのレントゲンなんかはもう五百ミリあるいはそれ以上という照射が行われまして、これはどちらを選択するかということで、大した議論にはならないと思います。そういう点について、どういうぐあいにお考えになるのか、これが第一点です。
 それから経済性の問題ですけれども、現在もう御承知のとおり、石油の価格が大変な値上がりですね。それから石炭の利用も、これは当然私は大事なエネルギー源として考えていかなきゃならないと思いますが、これはやっぱり環境に与える影響等のこともあって、液化あるいはガス化――ガス化はかなり先でしょうが、可能性が早いと言われる液化ですら、かなりこれは目先の問題じゃないわけでありまして、こういう問題を含めますと、エネルギーの高価格時代というものは、これは私どもが避けて通れない、どうしても避けることのできない高価格エネルギー時代に入ることは残念ながら間違いないと思うんです。そういうエネルギーの価格問題等を含めて、原子力発電なりあるいは燃料再処理の問題では経済性がないとお考えなのかどうか、申しわけございませんけれども、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
#39
○参考人(高木仁三郎君) お答えいたします。
 第一点目でございますが、多様な問題出されましたけれども、簡潔にお答えしたいと思います。
 まず第一に、私どもの考えでは、現在、たとえば五十ミリなり百ミリというレベルの環境放射線もがんや奇形の発生につながっているというふうに考えます。それはわれわれが現在のところ避けて通れない環境放射線であっても、これから人類の進歩に伴ってむしろそれも逓減化されていくべきものであると、それが世の中の進歩というものだというふうに考えております。そのことによってがんや奇形の発生率を現在よりも下げていくことが望ましいのであって、これがいまのようであるから、それより大した量がなければつけ加えていいというのは、世の中の進歩の逆の考え方だというふうに私は考えます。
 さらに申しますと、たとえ環境基準で原子炉敷地の境界五ミリになっていったとして、何もなくてそのとおりに守られたとしても、原子炉から出てくる放射能は人工の放射能でございます。人工の放射性物質は、われわれがいまがんや奇形の発生につながっていると申しましたけれども、そういう天然の放射線と違った性質を、つまりそれをわれわれが排除したりするような代謝機能を持っていないようなたぐいのものを含んでおります。それは人間だけでなくて環境すべてそうですけれども、そうしますと、生物が濃縮するということがございます。ですから、放出源において量を抑えたとしても、濃縮過程において、たとえば魚あるいは農作物に濃縮されてきて、それを人間がとることによって実際食物連鎖においてはより多くの被曝があるということはあります。そういう点も私は御考慮願いたいというふうに考えます。
 長くなりますのでエネルギーの方の話に入らせていただきますけれども、私はエネルギー問題としての原子力を考える場合には三つぐらい問題の視点を考えなければいけないのではないかというふうに考えます。
 まず第一は、一次エネルギー全体の中に原子力がどういう比重を持つかということでございます。原子力の場合には、当面十年、二十年という射程で考えましても、電力としてのエネルギー生産というふうにしか考えられません。そうしますと、いま日本の石油消費の中で電力生産に回っている分というのは恐らく二十数%だと思います。二二、三%だと思います。そうしますと、その中のたとえば数十%を原子力でたとえうまく置きかえがきいても、その効果というのは石油全体として見れば数%にしかならないのではないかというふうに考えられます。そういう意味では、原子力は一般に考えられているほど一次エネルギーにおいては代替エネルギーとしての効果は小さいというふうに考えられます。むしろその観点から、さらにそれに加えて、いま稼働率の低下ですとか、あるいは石油価格に伴ってウラン価格も上昇しているというふうに、決して石油価格に独立して原子力の価格が存在していないという問題があります。そういうことからすれば、原子力がエネルギー価格が全体として高目になってくるという時代に相対的に有利となるというふうな保証はないというふうに私は考えます。
#40
○中村利次君 もう時間が大変切迫してまいりましたけれども、五十ミリレムであってもがんの発生等に影響ありと、こういう御意見でございましたが、私は五十ミリレムの地方、百ミリレムの地方、五百ミリレムの地方、人間が生きておりますのは何も百年、千年、五千年、一万年のオーダーではなくて、長い期間生き続けてきておるわけでありますけれども、そういう大変に格差のある自然放射線を受けながら、がんの発生率、白血病の罹病率というものはやっぱり千ミリレム、五百ミリレムのところは多いんだというデータがございませんということを申し上げたんですが、そういうデータをお持ちかどうか、お持ちかお持ちでないかだけをお伺いいたします。
 それから、もう時間がなくなりますから、正親参考人に大分私は実は質問をしたかったんですけれども、もう時間がなくなりそうですから……。ただやっぱり経済性の問題もありますし、それから安全性の問題もありますし、また技術の問題も、再処理というのは、動燃が二百十トンというまだまだ大変に少容量のものではございますけれども、技術を開発、改善を続けながらやっておって、動燃の技術をどういうぐあいに導入していくのか、これは私は恐らくそつはないと思いますが、その動燃の技術を継承するだけでよろしいのかどうか、それ以上のことをお考えになっておるのかどうか、その技術の継承あるいは開拓等について、これは非常に関心の深いことだと思いますから。それから、経済性の問題も私はこれはぜひ聞いておきたいと思うんです。
 それから、これは質問ではありません。役所からの天下りというのは、私もこれは大変に追及の対象にするところです。しかし再処理技術というのは、動燃という特殊法人から、国の機関から技術を受け継いでいくわけでありまして、それに安全性の問題もあるいは技術の問題もよりすぐれたものを開拓されることを私はぜひ期待をいたしますけれども、しかしそういう面ですぐれた技術を役人の中から導入をするのをはばかる必要は全くないと私は思う。ですから、役人の天下りは否定しますが、技術を確保し、これを改善向上させるための導入に対して小心になられる必要は全くないと思いますから、これは私の意見として申し添えておきます。
 以上です。
#41
○参考人(高木仁三郎君) お答えいたします。
 その種のデータは、どういうふうにコントロールをとるかによって非常に違ってまいります。たとえば環境にはいろんな要因があります。それを全部込みにして見ざるを得ないわけです。ですから、それによって非常に複雑な要因が出てきて、かなりやはりコントロールされた条件下でのデータでないとしっかりした答えが出ないことになります。コントロールされた条件下では、最近ではずいぶん低線量のレベルでがんや白血病あるいは遺伝障害が起こるというようなデータは出てきていると思います。そういう文献はあります。
#42
○中村利次君 どうもありがとうございました。
#43
○参考人(正親見一君) ただいま経済性、安全性、技術性の問題、最も重要な問題でありまして、私ども真剣にこれに取り組んでおります。
 先生から御質問の、特に動燃の技術に頼っていてそれだけでよいのかという御質問ですが、動燃事業団ができまして今日までの事業団の努力、海外の技術の導入その他によりまして現在のあれほどの技術を持っておることに対しまして、いわゆる白紙からあすこまでいきましたことに対して非常な敬意と信頼を払っております。したがいまして、私どもの技術者につきましては、先ほど申しましたように、ケミカルを初め民間企業にもそれぞれ専門家がおり、あるいは電力会社といたしましても、動燃が発足したときから、役員並びに職員を送り込んでおりまして、ともに勉強をさしていただいております以上に、昨年から二十数名の幹部職員にここで特別訓練をさしておる、しかし、民間の人とわれわれの電力会社の者だけでできるとは思っておりません。当然動燃事業団での経験者あるいは専門家というものにぜひ再処理工場に来ていただくことをお願いしたい、また、それを中心に動かしてまいりませんと、ことに建設経験のある方を中心にしていきませんと、やはり安全性、技術面において問題があると思っておりますが、ただ、どこまでも日本の自主技術というたてまえから、やはり動燃の技術を中心に、これを信頼して十分に受け入れて効果を上げていきたい、かように考えております。
#44
○秦豊君 秦でございます。本日はどうもありがとうございます。
 先ほどから拝聴さしていただきました。諸先生言われましたように大変勉強になっております。私なりにきわめて独断に満ちた分類をさしていただくと、失礼かもしれませんが、正親さんはお立場上進め進めで、いつも青の信号がついている、高木さんはかなり明確に反対で、信号で言えば赤だと、河村教授は御専門のお立場を反映されてイエス・カンマ・バット以下ですから、そうなると黄色だというふうな印象で拝聴したわけです。
 正親さんにちょっと伺っておきたいのですけれども、きのうも事業連合会の幹部の方にちょっとレクチュアを受けたんですが、ちょっと気になっておりますことを短い時間に伺っておきたいと思います。
 皆さんの青写真を拝見すると、一九九〇年稼働、一期から三期にわたる必要資金がたしか四千七百数十億円と。いま伺っていると、正親参考人はまあその六、七割を長期低利の開銀融資に依拠したいと。これはまあ法改正を必要としないだろうから、あるいは可能かもしれない。回り回って納税者皆さんの税金に依拠するという部分が多いわけですね。それで、あの青写真でははなはだ明らかじゃなかったけれども、すべてある新社の設立を策定される場合には、特にこの場合は二百万坪なんていいますと、当今非常に稠密になっている立地条件の中で、この法律ができ上がって、さて二百万坪を探し初めましょうと、四つの島で、三十数万平方キロメートルで、これはかなり荒唐無稽なんですね。だから、すでに準備室から、あるいはいままでの準備の段階の中で、立地という条件を抜きにしたプランニングはぼくは非常に非現実だと思うんですよ。かなりいままでに大体どのあたりにというふうな環境調査、これはもうすでにかなりお進めになっているんではないかと思うんですが、いかがですか。
#45
○参考人(正親見一君) 立地の問題につきましては非常にこれは慎重にとり進めたい、先ほど申しましたように、現在までの原子力発電所の建設に対しまして、職員、幹部一人一人が現地に駐在いたしまして、うちへも帰らずに本当に地元の皆さんの御理解を得るために努力してまいったんでありますが、御指摘の二百万坪が果たして要るのかどうか、あるかどうかということだと思いますが、一応そういう方向で机上での環境調査なり図面調査を終わっております。
 そこで、ただ二百万坪というのは概略と申したんですが、実際の工場の建物の坪数は二、三十万坪になると思います。したがいまして、環境保全ということ、その他防護ということを考えまして、一応二百万坪程度、しかもこれに適する場所があれば、その中で皆様の合意が得られれば、これをぜひ実現したいということで、これはどこまでも準備室におけるところの青写真と考えていただきたいと思いますが、できるだけそれに近い方向で最大の努力をしてまいりたいと、かように考えております。
#46
○秦豊君 これは国会でのいわゆる一般的な政府相手の質問じゃありませんから、余りぐいぐいはいたしませんけれども、ただ環境調査を終わっていると言われる以上、XYZは別にして適当な候補地を想定されたというのは素人でもわかるわけですが、たとえば下北半島とは申しませんし、奥尻が当て馬であり瀬戸内海は架空であり、徳之島は非現実であるという、これはまあぼくのひとり言、以下独白なんだけれども、やっぱり何か事業費の、特に第一期を拝見しますと、用地の接収費の見込みがかなり低く抑えられているんですね。かなり僻遠の地という印象がまずばんと来るわけですよ。さっきの河村教授のスケールアップの話、ぼくは非常に共感をしたんだけれども、それにしても一体どういうところを策定していらっしゃるのか、依然として気になる。私がいま申し上げた独白の部分は正親さんによると全く非現実ですか。
#47
○参考人(正親見一君) 先ほど申しましたように、現在十数カ所の地点にしぼっておりまして、あとはその中で地域の皆様の合意を得られる地点というのが恐らく一番大事な問題になろうかと思います。実は、誘致されておるところもございますし、また全然誘致のないところで、むしろそれよりもこっちがいいというところも独断で想定しておるデータでございまして、その報告を聞いておる範囲でございまして、私は現地も見ておりませんが、しかし、これはやはり新会社ができてからの役員の決断と努力によるものでありまして、ただいまこの場でどこどこがよさそうだということは御遠慮さしていただきたいと思っております。
#48
○秦豊君 それはそうだと思います。周辺地価の値上がりを誘発するのは野党議員としては不本意ですから、それはわかりますけれども、大体十数カ所もあって、かなり有望な感触の強いところがあって、新社スタートというと、もうかなり短い期間に策定ができるという段階であることぐらいの印象を持ってもそう間違いじゃないようですね。
 そこで、私ははっきりしておいた方がいいと思いますが、高木さんと河村さんがおっしゃったように、私見としては、せめてINFCEのリポート、結論が終わってからおもむろに始動することでも私はいいと思ったんで、今度の法改正には反対の立場です。既成事実の蓄積を急ぎ過ぎる、こういう前提に立っているから、これはもうなかなかかみ合わないと思います。しかし基本的に私は、中村先生も質問されてましたけれども、一体民営になじむのかどうか、根本的に。株式会社日本何々何々再処理会社になるわけです、長い社名に。これに一体なじむのかどうかという点に私はどうしてもすとんと腑に落ちない。一九九〇年にあの規模で処理を始動されるとしても、一体株式会社という業態でこれを行うというよりも、何か使命感過剰のような感じがいたしまして、国家の総合エネルギー政策にわれわれ企業は奉仕するのである一まことに崇高ではあられるが、一体株式会社にはなじみませんよ。その辺をどういうふうにプランニングされ、どういうふうに計慮をされて、なおかつ民営株式会社に結論づけられたのか、参考のために伺っておきたい。
#49
○参考人(正親見一君) 昭和五十二年のいわゆる原子力委員会での核燃料サイクル問題懇談会、それから通産省の総合エネルギー調査会の原子力部会において、それぞれ別途にこの再処理事業を国営にするか、半官半民にするか、民営にするかということを真剣に検討されました。その結果が双方ともにそれぞれ再処理工場は民間で行うというふうに答申されたわけであります。したがいまして、再処理事業は国際的な面も配慮しつつ、これはもう当然官民挙げてのコンセンサスのもとでこれを最も効率的に推進しなければならないと私ども考えております。したがいまして、現在御審議中のこの規制法を、動燃事業団並びに原研しか行うことができないようになっているこの再処理事業をぜひ民間にも門戸を開放していただいて、この御答申に沿うように事業化を推進してまいりたいと、かように考えておるわけであります。民間で再処理を推推するに当たりましては、わが国産業界全体の問題としてと先ほど来申しておりますが、これは電力を中心として、やはり各業界が総力を結集してやるべきこれは大変重大な事業だと私ども覚悟しております。そう簡単にできるものではない。一般の企業とはかなり違います。したがいまして、これには全社を挙げて全力を傾注するという覚悟をしておりまして、先ほど来申しましたように、発電所をつくるときにも、政府を初め関係御当局、さらには民間の方、地元の方々にもいろんな御協力を賜っておりますが、この再処理事業につきましても、やはり同じようにこれは国のプロジェクトであり国の仕事であるというつもりで、いろいろと政府に御協力を賜りまして、経営主体は民間であった方が事業効率の面から言ってよいと、私はかように考えております。と同時に、先ほど申しましたように、みずから出たものをこれを他人にお願いするというふうな考え方自体がやはり間違っておる。どこまでも責任はわれわれにあるんだというふうな考え方でこれを進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#50
○秦豊君 コストのことをちょっと伺っておきたいんですが、たとえば手元資料では一九七三、四年ごろの使用済みウラン一キログラムについての再処理費は大体百ドル、当時のレーティングをドル三百円にすると大体三万円ですね、百ドルだから。それから七六年の西ドイツの例では、そのコストが大体四倍になって四百ドル、十二万円になってはいませんか。現状を、たとえば英、仏との長期契約の中で、さっき正親さんが言われたものは一体キログラム当たりどれぐらいになっているのか、参考のために伺いたいのと、それから私たちのラフな計算だと、キログラム当たり二十万円近くに達するのではないかと思います。さっき中村先生からは石油のバレル当たり単価の高騰というふうな話があり、したがって相対的に原子力再処理その他のコストはそう高くないんだという印象の御質問があったわけですけれども、それに対して高木参考人の方からは、全体的に考えねばならぬというお話もちょっとあった。そうすると、発電コストを考えた場合に、一キロワットアワー当たりにどんどんこれが上乗せされていかなければならない。貯蔵費、これをどう見ていらっしゃるのか。特に廃棄物処理、これをやりますと、全部それを積算しますから、積算したものが基準のコストになるんだから、そういうものを含めて商業採算に合うという結論がなぜ導き出されたのかが、なおかつわからない第二点です。どうでしょう。
#51
○参考人(正親見一君) お答え申し上げます。
 国内再処理工場の経済性はどうかということでございますが、国内で再処理を建設する場合には、海外に委託する場合に比べまして経済性のあることは当然だと思います。ちなみに、いま御質、問の海外価格との比較を行ってみますると、現在契約しておりますイギリスのBNFL、フランスのCOGEMAへの再処理価格はトン当たり九千六百万円であります。これに対しまして、国内再処理工場のコストはトン当たり約八千七百万円と推算しております。また輸送費に対しましては、BNFLなりCOGEMAに対しましてはトン当たり約二千七百万円でありますが、国内の場合にはこの輸送費は恐らく半分以下になるのは当然だと考えております。
 それから、再処理を行うことによりましてウランそのものの節約になる。この節減量に関しましては幾つかの試算がございまするが、大ざっぱに言いまして、天然ウランで二五%前後、濃縮役務で一五%前後の節約になると、こういうふうに考えまして、これらのメリット等を総合勘案しまして経済性は成り立つと、かように計算しておるわけでございます。
#52
○秦豊君 あと若干残されておりますので、高木さんに、いま正親さんが言われた最後の部分ですね、天然ウランに例をとられて二五%の節減と、そのことが採算性を助けていると、一つのファクターだと言われたのですが、そのことを含めて、高木さんの御見解からすると、いまの正親さんの主張はどういうふうになりますか。
#53
○参考人(高木仁三郎君) お答えいたします。
 いろんな推定があります。推定によっては、確かにいまおっしゃいましたような二五%、一五%程度というデータもありますけれども、たとえばフォード・マイター報告なんかから見れば、その推定には不確定要素が多過ぎると、先ほど申しましたように、廃棄物の処理の問題ですとか、そういった観点からして不確定要素が多過ぎる。そういう不確定要素を考えると、私の考えでは、いわゆる経済性の問題は別にして、資源節約という効果を考えて、数%程度以上に出るかどうかということについて疑問に思っています。
#54
○秦豊君 終わります。
 どうもありがとうございました。
#55
○委員長(塩出啓典君) 他に御発言もなければ、午前中の参考人の方々に対する質疑はこれにて終了いたします。
  この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたり、当委員会のために貴重な御意見をお聞かせくださいまして、まことにありがとうございました。委員一同を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 午後二時に再開することとし、これにて休憩を
 いたします。
   午後一時七分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時二分開会
#56
○委員長(塩出啓典君) ただいまから科学技術振興対策特別委員打合会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、参考人の方々から御意見を聴取いたします。
 午後は、動力炉・核燃料開発事業団理事長瀬川正男参考人、日本学術会議会員中島篤之助参考人及び日本原子力研究所高温工学室長青地哲男参考人の御出席を願っております。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、御多忙中のところ貴重な時間をお割きくださり、当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本日は、ただいま議題といたしました法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を承りまして、当委員会における審査の参考にいたしたいと存じておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事の進め方について申し上げます。お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 それでは、これより参考人の方々から御意見を承ります。まず、瀬川参考人にお願いいたします。
#57
○参考人(瀬川正男君) 瀬川でございます。
 初めに私の立場を申し上げますと、私は、日本のエネルギーの将来とか、あるいは石油問題の今後の動向というものを考えますと、原子力は今後一層の努力を重ねまして信頼し得る代替エネルギーとして前進することができるという立場において、原子力の平和利用というものは徹底的に推進すべきであるというふうに考えております。また、私どもの動燃事業団は、設立以来、日本の国情に適した新型動力炉の自主開発とか、あるいはウラン濃縮、再処理を含む核燃料サイクルの技術的基盤の確立に取り組んでまいったわけでございます。こういう各分野の技術開発と、またその技術の実証化というものを動燃は進めて、逐次民間にその技術を引き継ぐということが私どもの任務であるというふうに考えておる次第でございます。
 立場はそういうことでございまして、私どものやっております東海村の再処理施設の建設あるいは試運転の経過を述べますと、御承知のように、東海の再処理施設というものは、年間の使用済み燃料の処理を二百トンというものを設計上の容量としまして、昭和四十六年六月に着工いたしました。四十九年十月に工事を終了して、引き続いてすぐ化学試験、つまりケミカルテストに移りまして、さらに五十年の九月からはウランを使ってコールドテスト――ウラン試験と言っておりますが、コールドテストを実施して、五十二年三月までこれを行ったわけでございます。
 この間かなり、予想以上の手直しとかあるいは改良も加えたわけでございますが、さらに、その後半年の間は御承知のように日米原子力協定による交渉などがございまして、それが済んで、五十二年の九月から実際の使用済み燃料を用いるホット試運転に入ったわけでございます。このホットの試運転は、比較的に燃焼度の低い使用済み燃料から、だんだんと燃焼度の高い使用済み燃料に移行して、その間、各機器の作動あるいは性能に関する試験を行い、また、安全性を確認しながらホットテストを進めてまいりました。このホットテストにおける各段階におきましてデータ、資料を整理して、環境影響もその都度チェックする、それによって各段階の試験結果を政府に報告を行うという作業がかなり大幅に行われたわけであります。しかし、残念なことに、このホット試験の最終段階である総合試験の後半で、昨年の八月二十四日でございますか、硝酸を回収する蒸発かんで、非常にわずかなものでしたが、放射能の漏れが発見されて、以来、現在も修理工事を続けておるわけでございます。
 このホット試験の内容といたしましては、最初に原子力研究所のJPDRの燃料、引き続いて東電の沸騰水型の福島炉の燃料、その次は関西電力の加圧水型の美浜炉の使用済み燃料という順序で処理いたしまして、合計十九トンを処理しましたが、それによって、ウランの回収は十八トン、また、プルトニウムの回収は八十五キログラムを得ております。このウランもプルトニウムも、その純度から見まして、この試験の性能が非常に良好であったというふうに考えております。
 なお、蒸発かんのトラブルは、加熱部のパイプと管板の溶接部に微小なリークがあるということが確認されまして、現在撤去作業と新しい蒸発かんを国内で加工、製作を始めておりまして、本年の秋にこの新しい蒸発かんによって再開される見通しでございます。
 その次に、運転経験からの感想というようなことを申し上げますと、いま申し上げましたように、試運転は当初の計画に比べて大幅な時間を費やしましたが、その途中で、いま申し上げましたように、データの整理とか報告とか、その都度その都度に労力を費やして、また、数多くの実践的な手直し作業あるいは改良を加えたために、かなりの時間を費やしたと思っております。しかし、そういう経過が再処理施設の操作性あるいは安全性、また、性能に関するチェックとかあるいは機器類の保守――メンテナンスでございますね、そういう保守と、あるいは放射能に対する除染の作業とか、あるいは非常に大事な問題としては再処理工場における放射線の安全管理体制、それから核燃料物質取り扱いのための計量管理、そういう一連の技術について非常に貴重な経験と資料が得られたと思っております。こういう経験から、私どもは、再処理技術というものは非常に高度の化学技術、ケミカルな技術、それに加えまして非常に幅の広いエンジニアリングが必要である。また、さらに高いレベルの放射能処理技術をつけ加えたものであるという点が再処理の特徴であると思っております。つまり、単純な化学工業ではないんだということでございます。
 そういう性質でございますから、トラブルの発生に対処しては、手直しと改善等が常に伴う、また、放射能の除染等の困難な作業を伴いがちであるということが言えると思います。しかし、現存までのかなり回数の多いトラブルというものも、内容的には大きな事故につながっていくというようなことはなかったというふうに考えられます。また、このトラブルにおきましても、従業員の被曝も規制値を超えるということはほとんどなかったということが言えると思います。したがって、これらのトラブル対策というものは、技術的に今後解決可能な種類のものであるし、また、今後の努力の積み重ねで処置方法もだんだん確立されつつあると私は見ております。したがって、基本的な再処理技術というものは私は確立し得るということは言えると思いますが、さらに将来は、いま申し上げたことのほかに、周辺技術ともいうような遠隔操作、あるいは遠隔操作に基づく保守、メンテナンス、そういうものを十分に織り込むようにすべきである、また、予備の機器をプロセスの中に増加する方向をとるべきである、そういうことによって運転の安定性とかあるいは安全の向上を期待できるというふうに考えます。
 以上述べましたような経験、多分にノーハウ的な経験もあるわけでございますが、民営工場の設計とか建設には十分生かしていけるのではないかと思います。また、民営工場が建設に着手するまでの間は時間的にまだ二年ぐらいあるかと思いますので、その間に東海の経験は一層積み重ねることができるというふうに考えております。さらに、現在東海のプラントには電力会社から二十人ほど研修生を受け入れておりますが、その人たちが技術の修得あるいは試運転経験に従事しておりますので、こういう人たちも今後十分役に立つことであるというふうに思っております。もちろん、私どもの動燃の方からも技術者の派遣とか諸般の協力は十分惜しまないつもりでおります。
 最後につけ加えまして、民営による第二次再処理工場というものは、立地の選定から概念設計、それから詳細設計、続いて安全審査等を経て建設にかかり、運転開始までには長期間を要するということを考えますと、その体制づくりというものは急いでやるが方がよいのではないかと思っております。もちろん、その間に、私どもはいままでの経験もこれからの経験も生かして技術的な基盤の確立に努力する覚悟を持っておりますが、また、私の感じといたしまして、民営工場のためには、国内のあらゆる産業、電気事業、化学工業、重電機産業等の十分な協力、参加を得るような体制をつくるための準備が非常に大事ではないかと考えております。また、この時間的な余裕のある間に、私は、再処理プラントにおける各種の機器類の国内製作の努力も進める必要があるというふうに考えております。
 以上、簡単でございますが、所感を申し上げておきたいと思います。
#58
○委員長(塩出啓典君) ありがとうございました。
 次に、中島参考人にお願いいたします。
#59
○参考人(中島篤之助君) 中島でございます。
 それじゃ、座ったままで御説明をさしていただきます。
 私は、いままで原子力研究所と動力炉・核燃料開発事業団だけに再処理事業が許されていたものを民間に移すという法案については、現在の段階では大変時期尚早であって、現在の技術の発展段階その他から見て時期尚早であって、むしろ非常に危険であると考えておる立場から、私の意見を幾つか申し上げたいと思うのであります。
 まず第一に、これは皆さんよく御承知のことかと思いますが、実は、核のエネルギーというものは核燃料再処理に限りませんが、核のエネルギーというものが軍事利用と非常に分かちがたく結びついたものであるということは、もう三十年前に有名なアチソン・リリエンソー報告の中の冒頭に、非常に強いインターコネクションがあるんだということが述べられておるわけですけれども、以来三十年たちまして、この関係が、大変残念なことに、たとえば核兵器の利用がなくなって、廃絶されて、そして安心して平和利用ができるという現状ではないわけでありまして、三十年前よりももっと危険な巨大な核兵器体系が一方に存在するということは御承知のとおりであります。それから、その中でも有名な、たとえばマイター報告、これはカーター大統領が最近出したマイター報告の中では、原子力の平和利用と軍事利用を分かつ分水嶺をなしているものがきょう問題になっております再処理の技術であるというふうに述べられているわけであります。それで、今度の法案の中で、もちろん新しくつくられるであろう民間の再処理工場の場合、それが平和利用以外のものに転用されるというような場合には総理大臣はもちろん許可をしないんだという法律に当然なっておるわけですけれども、その保証がそれ以外には何も見当たらないということをやはり指摘しておく必要があるのではないかと思うのでございます
 それから、いま瀬川理事長もおっしゃいましたけれども、日米核燃料交渉というものは、そもそもやはりアメリカが核燃料再処理工場、従来の核燃料再処理工場というものはそのままではそれは即核兵器工場であるという認識があったればこそ、非常に厳しい、ある意味では非常に、何といいますか、日本では想像もしてなかったような困難な交渉になったということは皆さんも御承知のとおりでありまして、この点を考えましても、いまどうして急いで民間にそれを移さなければならないかということについて私は理解しかねるわけであります。それが第一の点であります。
 それから第二に、民間の再処理工場と申しますか、その再処理の技術が非常に困難なものである。これについては、繰り返すまでもありませんが、御承知のように、現在、いわゆる軍事利用の再処理工場は別といたしまして、民間の再処理工場では成功しているものがないというふうに申し上げてよろしいと思います。というよりも、試験工場でありますけれども、とにかく動いていたのが動燃の再処理工場だけであったというような状態があったわけでありまして、これは私前も申し上げたことでありますが、一九六〇年代の初めには、いわゆるアトム・フォー・ピースが始まりまして十年ぐらいたった時期では、民間でこういうものを企業化してうまくいくんじゃないかという考え方がありまして、そしてアメリカの例でございますが、アメリカのニュークリア・フュエル・サービスという企業が実際に核燃料の再処理をいたしました。これは当時のお金で三千万ドルぐらいの費用を費やして工場ができ、実際に再処理をやったんでありますけれども、一九六六年から操業を開始いたしまして六年間操業いたしましたけれども、七二年に操業を中止しております。運転を中止しております。その理由としては、一つは従業員の被曝が非常に増大したということが一つの理由でありますし、もう一つは、六十万ガロンと言われておりますが、六十万ガロンというのは一ガロンが四リッターとしますと、二百四十万リッターの高レベル廃棄物が許容限度いっぱいにたまってしまったと、それから工場を、施設を新たにつくり直して拡大したいということで一回停止をしたんですけれども、その後、追加の費用が余りにも巨大だということで、結局企業的には放棄されてしまっておるわけであります。それで、六十万ガロンの高レベル廃棄物は現在ニューヨーク州という州政府の管理になっておりまして、州政府は大変これをお荷物にして、何とか連邦政府の所管に移したいということを考えているそうでありますけれども、とにかく企業的にも失敗であった。それから、そのうちの実際に処理しました燃料も、三分の二ぐらいが政府関係の燃料を処理したんだということでありまして、これは一つの実績でありますけれども、六年間で六百三十トンの燃料を処分したにすぎないということが記録されておるわけであります。
 で、そういうふうに、これはアメリカの場合には実は軍事用の再処理工場はちゃんと動かしておるわけでありまして、十分な技術的背景を持っている国だと私は思うのですけれども、その国にしましても、それを企業的に成り立たせてやるという点では非常に困難があるということをその一つの例として申し上げたわけであります。実は、そのほかにも、GEが企画しましたモーリス工場がせっかく完成したところで技術的に見通しが甘かったということで放棄されておりますし、それからその後ごく最近完成しておって操業するばかりになっておったアライドケミカルズのバーンウエルというところにあります再処理工場も、これは今度問題になっております千五百トンぐらいの大規模な工場だそうでありますが、それもいま企業的な運転開始ができない、そういう困難に遭遇しているというふうに伝えられております。
 それで、私がもう一つ申し上げておきたいのは、民間企業の形態をとった場合に、特に日本の場合に、原子力基本法に明記されております原子力三原則、中でも公開の原前ということが確保されるだろうかということを学術会議の立場としては申しておかなければならないのでありますが、今度の法案を拝見いたしましても、それは当然基本法に従うという規定があるだけで、民間になったからより公開されるというような保証は全くないのではないかというふうに考えるわけであります。
 それから、時間がありませんから次に進ましていただきますが、この再処理事業の一つの特徴と申しますか、再処理の結果生じてまいりますいわゆる放射性の高レベル廃棄物の問題があります。これも民間の処理ということになるのかどうかということが明瞭ではございませんけれども、この問題は昨年衆議院でいろいろ議論されましたときにも、現在原子力安全委員会の委員をしていらっしゃいます田島先生も、民間再処理ということはともかく、高レベル廃棄物ということについては国がやはり責任を持つということを考えなければならないのではないかという御意見を述べておられましたけれども、私も全く同感でありまして、これは当然国として心配せざるを得ない問題であります。たとえば、高レベル廃棄物を適当な処理ができて、仮に陸地処分をするというようなことを考えた場合でも、それを一体どこへ保管するのか、どういうふうにして保管するのかということが民間企業でできるとは私には考えられませんから、その点をぜひお考えいただく必要があろうかと思います。
 実は、高レベル廃棄物の処理処分の問題につきましては、この機会に申し上げておきますと、国際学術連合、ICSUという機関がございます。インターナショナル・カウンシル・オブ・サイエンティフィック・ユニオンズの略でありますが、そのICSUがこの問題を全く非政府機関として、つまりノンガバメンタルな形で取り上げようと、つまり、科学的に政府に拘束されない立場で自由に議論をしようではないかということで、いまその準備がいろいろ進んでおる。昨年の秋のICSUの理事会でこのことが決まりまして、そして今後ワーキンググループをつくって話し合いをしよう、各国の科学者の間で話し合いをしようと。で、実はICSUには学術会議が加盟しておりますので、いまそのための国内の対応体制をつくらなければいけないということがあるわけでありますけれども、日本からは鉱物学の御専門であります渡辺武男氏が委員としてこれに参加されることになっているわけでありますが、実はその状況を伺いましても、見通しが全く立ったということではなくて、ただ、原則としては自分の国で発生した廃棄物は自分で処理するんだという原則を一応立てて進まざるを得ないけれども、果たしてそれが日本で可能であるかどうかというような点も考えなきゃいかぬ。ですから、私はこの問題に関連して申し上げておきたいのは、再処理事業を始める前には、むしろ高レベル廃棄物の処理処分問題についての見通しをあらかじめ立てた上で着手しても遅くないと申しますか、実は開発手順としては当然そういうことを行っておくべきであるというふうに思うわけであります。
 それから次に、これが民間に移った場合は特にそうであろうと思うのですが、再処理の事業そのものの維持というものを実は考え直す必要があると私は考えております。と申しますのは、核兵器をつくりますときには、再処理工場と申しますのはつまり核兵器に直接つながったプルトニウムを抽出する工程でございまして、これはどうしても必要な工程だということは明らかでありますけれども、平和利用という立場から考えます場合に一体どうなるかということであります。つまり、これは申し上げるまでもないことかもしれませんが、仮に再処理工場が工場であるというふうにいたしますと、その製品は何であるか。これは、どういう燃料を処理するかによって当然製品は変わってくるわけでありますけれども、仮にウランを処理すると、日本の場合にはかつて天然ウランを燃料に使った原子炉がございまして、その場合には減損ウランが出てくる。しかし、これは残念ながら用途がないであろう。それからもう一つプルトニウムが出てくる。これは、ずっと以前に日本で再処理事業を始めますときに、亡くなられました大山先生を委員長とする委員会がございまして、いろいろ議論された報告書を最近読み直してみたんですけれども、それにもそういうふうに書いてございます。プルトニウムはとりあえず用途がない。高速炉が完成しなければ用途がない。それはしばらくためておくよりほかないだろう。問題は、軽水炉で使います濃縮ウランを処理した場合に出てくる減損ウランは、これは用途があるはずであります。というのは、二・六%ぐらいの濃縮度のウランを原子炉に入れて燃焼させまして、そして燃焼した後でも一%近くのウラン235を含んでいるわけでありますから、これは当然用途があると考えられやすいのですけれども、実は、それが用途があるためにはその後のプロセスがちゃんと立っていなければいけない。たとえば、それをウラン濃縮工場に回すことは考えの上ではできるわけでありますけれども、実際上はいろんな困難がありまして行われておりません。こういうような問題について、工場を動かして製品はできたけれども使い道がないというようなことでは実は困るわけです。
 それから、日米核燃料交渉が起きました原因はほかならぬそのプルトニウム問題でありまして、それが核兵器に直結しないか、軍事利用に直結しないかというようなことからいろいろな問題が出されたことは皆様御承知のとおりでありまして、私がここでいま具体的な例を二、三挙げたわけでありますけれども、これは濃縮ウラン問題がどうなっていくのかということも含めまして、核燃料サイクル全体をどういうふうに考えるか。つまり、きょうの政府の説明書でありますが、提案理由によりますと、ウラン・プルトニウム・サイクルで進めるであろうということが書かれているだけでありまして、これが現在進行中の核燃料評価会議その他国際的な動向から見てそのままでいくのか、あるいはもっとそういう立場を、政治的な立場を離れましても、たとえばトリウムを使うというようなことを考えた場合には別のサイクルが当然考えられる、その場合には当然違った核燃料サイクルが成り立ち得るはずでありますし、したがって、違った核燃料再処理のあり方が出てくるということになろうかと思います。私は、そういう問題の再検討こそ先行すべきでありまして、時間が非常に長いことかかるからいますぐ民間に移して着手しなければならないというのは大変根拠薄弱ではないかというふうに思うわけであります。
 で、実はもう一つ申し上げなければなりませんことは、最近米国で、皆さんも御承知のように、スリーマイルアイランドの原子力発電所が事故を起こしたわけであります。きょうは再処理の問題でありますが、その問題の教訓という点で考えますと、原子力の技術について根拠のない非常に容易な楽観をしていたのではないか。つまり、事故は起きないのだというふうな考え方をとっていた。これは、技術的にそういう考え方をとっていたというだけではなくて、あるいは安全装置そのもの、がそういう内容であったということのほかに、安全審査等々も事故は起きないのだとむしろ考えてやっておられたのではないかと言わざるを得ないわけであります。今後は、事故はやはり起こり得るものとして安全をきちんと考えるということが当然必要になってくるのではないかと思いますけれども、その点が実はわが国の場合にも、再処理技術の取り組みに対してもやはり非常に容易だったのではなかろうかということを申し上げざるを得ないのであります。
 動燃の再処理工場が、いまここに瀬川さんがいらっしゃいますが、非常に困難に遭遇していらっしゃるわけでありますが、いろいろ調べてみますと、やはり私がさっき申し上げました、よその国ではやはりいろいろな理由で企業的に成功していない。動燃の工場は別に企業的ということではなくて、技術的に自主技術が確立できればそれでよいのだと私は思いますけれども、それにしても、再処理というものについて十分自主的な立場で技術を蓄積するということであったかどうかについては私は大変疑問を持っておるわけであります。そういうことが端的にあらわれておりますのが、実は研究開発手順が逆転していたのではないかという点であります。これは最近の原子力発電所の事故もその例でありますが、たとえば非常用炉心冷却装置、ECCSということで大変有名になりましたけれども、そのECCSというものを安全装置だということで一方では原子炉に取りつけてしまって原子力発電所を認可し運転する、それからECCSの試験等々をやるというのは、これは明らかにおかしいのでありまして、そんなに急ぐ必要はないのであって、ECCSならECCSというものの納得のできる実験が終わった後でそういうことをやればよろしいということが言えるかと思います。
 そういう点で、わが国における再処理につきましては、私の再処理そのものについての立場を申しますと、これは、原子力の開発をやるということであれば、とにかく真剣に検討すべきテーマであることは明らかでありまして、わが国でも二十年以前から再処理をどうすべきかという議論はされておったのでありますけれども、大変残念なことに、たとえば基礎研究――私は原子力研究所におりまして原子炉化学部という化学の部門におるのですけれども、そこの最初のテーマはやはり核燃料再処理の基礎研究ということであるわけですが、大変申し上げにくいのですが、隣におる青地さんのところで原研が最初に工学試験施設をつくったことがございます。工学試験施設をつくりますと、もう基礎研究の方はやらないでよろしいというわけではないのですが、とにかく予算もつかなくなり、仕事はしなくなるというようなことがある。大変これは困ったことですけれども、日本の大変悪い例であります。それから、お隣の動燃が、パイロットプラントか何かしりませんが、再処理工場をおつくりになりますと、今度は工学試験施設は閉鎖される。これが歴史的な事実でありまして、これは全く逆であると私は考えるわけです。動燃の再処理工場ができたならば、基礎部門はもっと強化し、そしてたとえば工学的な試験施設というものは運転しておるというような体制でなければ、原子力のような奥行きの深い技術というものは本当はやっていくことができないと私は思うのでありますが、いままでの開発のやり方は、大変残念ながらそうではなかったということを事実でもって私は申し上げることができるかと思います。
 時間が余りありませんが、もう一つだけ、安全審査につきましてもやはり申し上げておきたいのは、最近の、さっき瀬川理事長も触れられた蒸発かんの故障にいたしましても、実は安全審査段階で溶接欠陥で小さいブローホールがあるということがちゃんと書かれております。私見て驚いたんですけれども、しかし大したことはないんだということで、それは結果としては軽視されて、そして長い間工場がとまるということに私はなったのではないかという感じがいたします。間違っておったら御指摘いただけばよろしいのですけれども、公表されております安全審査資料で見る限り、そういうふうになっておるという状況がございます。やはり原子炉技術について少し甘く考えていたのではないかというふうに申し上げざるを得ないのであります。
 そういういろいろな点からいたしまして、私は、まず民間再処理工場をつくる前に日本の研究開発体制そのものを基礎から手順を正してつくり直すと申しますか、もう一度再吟味する、核燃料サイクルの再検討を含めてそういうことをやるというのが先行すべきであろうと思うのであります。
 以上でございます。
#60
○委員長(塩出啓典君) どうもありがとうございました。
 次に、青地参考人にお願いいたします。
#61
○参考人(青地哲男君) 青地でございます。
 私、化学工学を専攻しまして昭和三十二年に日本原子力研究所に入りまして、四十五年まで再処理の研究に従事してまいりました。その間主として担当いたしましたのは、いま中島さんがおっしゃいました湿式再処理に関する工学試験というものでございました。これは、実際にJRR3という国産1号炉と言っております天然ウランの金属燃料、バーンアップの低いものでございますが、これを使いまして工学規模でピューレックス法により再処理をする、その試験を行うというものでございまして、私といたしましては、所内の関連部門はもちろんのこと、所外としましては、当時の原子燃料公社、大学、民間企業、そういったところの御協力を仰ぎながら、また、三十九年からは再処理の安全専門審査会というのができまして、そこの御審議を経ながらその計画を進めてまいりまして、それで四十四年の初めには大体所期の目的を果たしまして、プルトニウム二百グラムをとるというおまけがつきまして計画を終了したわけでございます。
 その後は、原研におきます業務というのは再処理から離れましたけれども、再処理の経験者ということで、先ほどの安全専門審査会でございますか、そこのメンバーに加えられて、主として施設グループの中でもプロセスとかプロセス機器、そういったところで国の安全規制に御協力しているものでございます。
 大変長くなりましたけれども、そういった再処理に関係しております技術者として、そういう立場から再処理の技術面に限って意見を述べさしていただきたいというふうに思っております。
 まず、軽水炉燃料の商業用再処理工場ということでございますけれども、これはすでに御案内のとおりに、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、そういったところではピューレックス法を使って五トン・パー・デー規模の大きな工場を計画しているわけでございます。
 ピューレックスの方は、中島さんもおっしゃいましたように、天然ウランの金属燃料につきまして、低いバーンアップのものにつきましては数万トンの経験がもう世界的にあるわけでございますし、それから軽水炉の酸化物燃料につきましても、世界的に見ますと、数百トン、千トン近い経験があるかと思います。したがいまして、そのプロセスとしてピューレックス法というのを使います限りにおいては、ほぼ安定したプロセスであろうというふうに思います。しかしながら、天然ウランの金属燃料、低いバーンアップのものにつきましての経験と比べますと、まだ実績が大きいというわけではございません。それで、英、仏、独、こういった国々におきましても、プロセスの最適化ということで、研究開発といいますか、開発実証というのが進められているわけでございます。で、五トン・パー・デーというような大きなプラントでございますと、当然規模が大きいわけですから、環境規制といいますか、安全規制を含めて高い安全性というものの確保が要求される。そのもとで高い稼働率というのが要求されるわけでございます。したがって、そういうふうなものへ向かっての開発というものが、おのおのの国で、いままで自分たちが持っている施設、たとえば西ドイツのごときは四十トン・パー・年ぐらいの小さな規模、動燃さんのプラントの五分の一程度のところから千四、五百トン・パー・年というような規模の工場の計画をしているわけでございますけれども、それはそれなりにきっちりとした研究開発といいますか、むしろ開発実証計画をもって進んでおるわけでございます。
 それで、そういうものを大きく分けてみますと、一つは、安全基準の策定に関するようなもの、もっと言いますと、環境規制から来るものにこたえるような開発実証、たとえて言いますと、オフガスの放出を低減化するとか、それから先ほど出ておりましたような高レベル廃棄物の固化とか、そういったような仕事が一つあるかと思います。
 もう一つは、高い操業性ということでございますので、信頼性、それから経済性、そういったものを含めたものに向かっての開発といいますか、むしろ実証という分野があるかと思います。
 三番目には、再処理は、一番重要なかなめとなりますのは、申すまでもなく、高速炉の場合でございまして、高速炉でございますと、臨界管理とか放射能のレム、いわゆる溶媒損傷とか、そういった面が厳しくなるわけでございます。放出も厳しくなります。したがいまして、それに向かっての新しい進んだプロセス、たとえば廃液をリサイクルするようなプロセス、そういったような研究開発も進められているわけでございます。
 世界的に見て、商業用再処理工場をつくろうというところは、自前の技術でそういうものを確立し、かつ、そういうものとして国際協力を進めていく、そういったことをやっていると認識しております。
 一方、わが国のことを考えてみますと、先ほど瀬川理事長からるる御説明がございましたように、動燃のプラントは年間二百トンというような、ドイツに比べますと結構大きなプラントで、それでいろいろなトラブルはございましたでしょうけれども、フェータルなものではなく、実証データといいますか、そういったものが蓄積されつつあるわけでございます。それに加えまして、放出の低減化ということで、たとえば放出ガスのクリプトンでございますとか、それから高レベル廃液の固化の試験とか、そういったものが計画されておりまして、近い将来にはそういったものに対する実証データというものの蓄積が期待されるものと考えております。
 それからそのほかに、動燃におきましては、ナショナルプロジェクトとして高速炉の開発の推進を図っておられますけれども、炉ばかりではなくて、高速炉燃料再処理の研究開発が三年ぐらい前から進められておりまして、先ほど申しましたように、軽水炉の燃料よりも、さらに臨界管理、それから溶媒の損傷、そういったようなものが厳しいものに対して、これはナショナルプロジェクトでございますので、大学や原研も御協力しておりますが、特にメーカー、メーカーと申しましても重機械メーカーだけではございませんで、金属とか、それから化学工業とか、そういったところを指導されて研究開発をしておられるわけでございます。
 そういったようなことを背景にして、外国から安易に技術導入するというようなことを考えずに、もしも国内技術だけで商業用再処理工場をつくろうとするといたしますとどういうことが考えられるかといいますと、まず、システム設計とかプロセス設計につきましては、動燃の再処理工場のデータないし経験の蓄積で十分対処できるというふうに考えております。
 二番目に、機器設計でございますけれども、機器設計につきましては、当然これは、操業の安定性といいますか、信頼性ということを増す、ひいてはそれが施設の安全性につながりますので、そういったものについてメーカーが設計を進める上に必要な実証試験というのを当然やるべき分野が多いと思います。すべてがそうではございませんけれども。そういったような意味でモックアップ試験というのが必要かと思います。たとえば、動燃工場におきましては、これは御案内のとおりに、抽出工程にミキサセトラを使っておられます。ところが、四トン、五トン・パー・デーのプラントになりますと、抽出工程には、諸外国の例を引きますと、パルスカラムというふうなものとか、遠心型の抽出器というようなものを使っているわけでございます。したがいまして、そういったようなもののモックアップ試験というものが必要かと思います。
 それからその次に、今度は、先ほどメインテナンス、保守のことが出てまいりました。高い操業率を上げるというふうな観点から考えましても、保守に手間取るようなところであるとか、それから保守をすると従業員に大きな被曝を与えるといいますか、そういったようなところについては二重に施設をつくるとか、これは先ほど瀬川理事長おっしゃいましたような話でございますけれども、遠隔保守というふうなことも考えなきゃいけない。もしも遠隔保守ということを考えますと、当然その継ぎ手類について等のモックアップ試験というふうなものが必要になるかと思います。
 で、その次にいよいよ機器の製作とか検査、それから施設の建設、それから運転管理といいますか、そういうふうに入っていくと思いますけれども、そういったものは、動燃再処理工場の経験とか、それからそこにおきます訓練――先ほどお話を伺いますと、電力会社さん等からそのための人をもう出しておられるようでございますけれども、そういったようなことで始まる訓練、それからモックアップ試験を通じての経験、訓練、そういったようなもので対処できるかというふうに考えます。
 で、幾つか課題というふうなものを挙げましたけれども、これは、国としてやるべきものとか一たとえば安全基準の策定であるとか、安全審査のために必要な基礎研究、こういったようなものは国でやらなければいけないのではないか。その中で、あと、国がやった方がいいだろうとか、民間がやった方がいいだろうとか、それから民間でやるべきであるというふうなものと、幾つかあるかと思いますけれども、国でやるのに比べて民間でおやりになった方が効率がいい例もたくさんあると思います。したがいまして、実際に商業用再処理工場の建設が始まる、また運転が始まるという長いスケジュールを考えてみますと、なるべく早く体制を整えて、そして開発実証といいますか、そういうものに着手すればスケジュールに間に合うのではないかというのが私の考えでございます。そういうための道を早く開くべきではないかと思っております。
 以上でございます。
#62
○委員長(塩出啓典君) どうもありがとうございました。
 それでは、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#63
○長谷川信君 参考人の各位に心からお礼を申し上げたいと思います。
 まず、瀬川理事長さんにお尋ねをいたしたいと思いますが、先ほど理事長のお話を拝聴いたしておったのでございますが、当面の日本国のエネルギー事情にかんがみまして、原子力関係の事業の推進は必ずやらなければならない、これは私ども全く同感であります。特に、先ほどお話がございましたように、ほとんど一〇〇%に近い形で石油を輸入をしておる。しかも、午前中も申し上げたのでありますが、アメリカではもうかなり大幅な石油規制が行われようとしておる。日本もこれからやるのかやらぬのかわかりませんが、二カ月大丈夫だとか三カ月大丈夫だというふうな予測はいたしておりますが、長期の予測は全く立っておらない。そういう面で、この原子力関係の事業の推進は進めなければならないというお考えに対しましては、瀬川参考人と全く同感であります。
 ただ、いろいろ国会の中でも、また街の中でも議論されているのでありますが、いま一番問題になっておりますのは安全性の問題であります。特に、昨今スリーマイル島の故障といいますか、事故といいますか、これらを踏まえて、国会でも、この科技特委員会もまさに三十時間に近い時間をこれに費やしておるわけであります。これは当然のことでございますが、ただ、私どもは、過去のいろいろな科学技術、あるいは過去のいろいろの研究等の過程、歴史を見ますと、これはどうしてもやっぱりいろんなリスクを経ておる。たとえば水力電気でもかなりいろんなリスクを経ているわけでありますが、ただしかし、この原子力関係については絶対にいささかともリスクは許されない、一〇〇%の安全を確保しなければならぬという、何といいますか、世論あるいは国の方針、あるいはお互いの心構え等については、これはもう当然な話だと思うんです。そういう意味で、専門家であり、また、これから処理施設のいわば最高の、何といいますか、指導者である瀬川参考人から、スリーマイル事故等を含めました――私ども聞いておるところでは、日本の原子力関係事業の安全性というものはまさに世界に冠たるものがある。午前中もある委員からお話がございましたが、歯のレントゲンの十分の一、二十分の一のレム等についても厳しいチェックが行われておるのでありまして、まさにこれはわが国の安全チェック制度はアメリカよりもフランスよりもイギリスよりも厳しく、なお厳正、厳重であるということを私ども聞かされておるわけでありますが、御専門の立場から、今回のアメリカの問題も含めまして、これから再処理施設あるいは原子力事業等の面での安全性について、御見解あるいは御感想を承っておきたいと思うわけであります。
#64
○参考人(瀬川正男君) ただいまのお尋ねにつきまして、私は特に炉の方の専門家でもないので、御満足のいただくような説明はできないわけでありますが、ただ、御承知のように、軽水炉はアメリカの技術の導入をやって、さらにそれを国内のメーカーが十数年にわたって磨き上げてきたので、私は、日本の軽水炉も、同じ軽水炉であっても、この間のスリーマイルアイランドの炉よりは、安全性の面では、原子炉周りの個々のコンポーネントの設計等につきまして、スリーマイルアイランドの炉よりは日本の軽水炉の方が設計上からも安全性ははるかにいいというふうに見ておりますが、ただ、設計だけではだめなんでありまして、やはり保守規定とか運転管理技術、あるいは運転管理の体制、そういうものがちゃんと守られなければ幾らりっぱな設計でもそれはぼろを出すわけでございますから、そういう意味で、私は、あの事件をこの際謙虚に受けとめて、日本側でも自分のところの設計を見直したり、さらにそれ以上に、運転管理の体制、ルールというものをもう一遍吟味し直すというようなことによって、原子力は、冒頭に申し上げたように、より一層確実な前進ができるということを信じておりますが、また、それとあわせまして、軽水炉のほかに日本にはさらに新型転換炉とか、あるいは高速増殖炉というものが、日本の国情に合った炉が必要である、つまり、軽水炉をどんどん伸ばしていきながら、かたがた新型転換炉も組み合わしていく、それで二十世紀末から二十一世紀の初めにかけまして高速炉時代が来るという考え方は、十二年前にこの動燃事業団の設立のときの法律の趣旨というものは、私は現在でも少しも考え方を変える必要はない、むしろますます日本は軽水炉とかあるいはプルトニウムを利用する新型転換炉、高速増殖炉、これを加えていく必要があるというふうに考えております。
 そんなわけで、私どもは、この十二年の間にひとまず高速増殖炉の実験炉は大洗に完成いたしましたし、また、新型転換炉はまだ十六万キロワットの原型炉発電所でございますが、昨年臨界になって、昨年の六月から出力試運転に入って、さらにことしの三月本格運転に入ったわけでございますが、いずれにしても臨界以後一年数カ月の間この新型転換炉もきわめて順調に動いているということが私は言えると思います。それはなぜかと言いますと、私どもは、この自主技術開発というものが、自分の手でいろんな実験設備を考えて、その実験設備によって炉のいろんなコンポーネントをその設備によって自分で試験し、自分で改良していくということができるわけでございますし、また、そういうことをずっと積み上げてきた技術者を手元に置けるというようなことによりまして、たとえば、いま申し上げた新型転換炉の原型炉発電所の運転開始に際してどういう点をチェックしておくべきか、どういう点を手直しておくべきかということはきわめて対応が早いし、また、それだけの勘が常時働くということで、自分たちで積み上げてきたということは非常に安全性の向上、確保につながるものであるというふうに私は考えるわけでございまして、やはり導入技術に対しても自主技術開発と同じような態度でみがきをかけろとかいうふうなことが安定な運転につながっていくもとであるというふうに考えております。
#65
○長谷川信君 もう一つお聞きいたしたいのは、先ほども参考人から若干御意見が出たのでありますが、この再処理問題の過程の中で軍事面にこの再処理事業が作用するのではないかという危惧の議論が若干いろいろ御案内のとおりあるわけであります。私どもは、戦争の被爆国である日本、特にこれだけあの当時本当に、何といいますか、骨の髄までしみ込んだわが国のあの被爆国の考え方あるいはその経験からして、さような心配はさらさら毛頭ないと私どもは考えておるのでありますが、まあ、いろいろ街の中では若干の議論もあることも御承知のとおりであります。これは瀬川参考人からお聞きをするのが妥当であるかないかわかりませんが、技術者の立場から、あるいはまた、長い間この種の事業の経験をされておる瀬川先生のお立場も踏まえて、これも感想で結構でありますが、若干お聞かせをいただきたいと思うわけであります。
#66
○参考人(瀬川正男君) いま最初におっしゃった点はどういうことですか。済みません。
#67
○長谷川信君 先ほども中島参考人からもお話がございましたが、この再処理問題についていろいろ行われておる議論の中で、これがややもすると軍事面に若干作用、連動する可能性、危険性があるというふうな中島参考人の御意見もございましたし、街の中にそういうような議論も若干あることも私ども承知をいたしているわけでありますが、まあ、これは私ども被爆国の日本国の国民感情、あるいはあれだけ大変な経験をした私どもが、もうゆめゆめそのようなことはあるわけはない、またやってはならないということはもう百も二百も承知をいたしているわけでございますが、せっかくの機会でございますので、専門的な立場からも、また、動燃の最高スタッフの一人として、その辺の感想、所感の一端を御披瀝を賜りたいと思うわけであります。
#68
○参考人(瀬川正男君) 再処理工場が軍事面に利用されるか否かという、まあよくこれは話題になることでございますが、確かに、再処理工場というのは、一番大きなポイントは、使用済み燃料の中にできているプルトニウムを回収する。もちろん、このごろは十数年前と違いまして、プルトニウムだけ回収するのが再処理であるということではなくて、ウランも回収するということが最近は再処理のメリットの一つになっておるわけでございますが、いずれにしても、プルトニウムを回収するプルトニウムというのは明らかにプルトニウム爆弾の材料になる。まあ五キロないし十キログラムあれば爆弾一発になってしまうという点で、しばしばその点が問題になるわけでございます。
 これに対しまして、私どもは、まず第一に、いわゆるフィジカルプロテクションという、よく一口にPPと言っていますが、要するに、核物質防護対策、防護体制、このフィジカルプロテクションの体制をいかにするかということはやはり最近最も大きな問題でございまして、私どもも、先ほど申し上げましたように、四十九年末に工場が完成して以後、その防護体制に対しましてはかなりのいろんな体制を組んだり、あるいは防御施設をつけ加えたりいたしまして、外部からの侵入に対する防御手段というものは厳重にやっておるわけでございますが、そのほかに、御承知のように、国連機関による、IAEAでございますか、IAEAによる保障措置に基づいて、再処理工場にはIAEAの査察がかなり厳しく行われておるわけでございますが、もちろん、日本はこの保障措置に関する国際条約に入っておりますので、当然日本の再処理工場はこのIAEAの査察を受けなければならないわけでございまして、私どもも、工場ができましてからこのIAEAの査察員に対しまして十分な協力をやっておる。査察員が工場に来ても余りいやな気持ちのしないように、感じのいいようにしながら十分協力しておるつもりでございますが、そういうIAEAの査察が非常に厳重にあるということ。
 さらに最近は、もっと査察というものを強化すべきであるというようなことが特にアメリカを中心にして言われておるわけでございまして、御承知のように、一昨年からいわゆるカーター構想等に基づいて国際的に国際核燃料サイクル評価の会議が行われておるわけでございまして、私どもこれをINFCEと言っておるわけでございまして、このINFCEのいろんな話題も、プルトニウムの国際共同貯蔵というような点に非常に最近は議論が集約されつつあるようでございまして、このプルトニウムの国際共同貯蔵機構というものが仮に実現すれば、現在よりも一層再処理工場からのプルトニウムの出し入れというのは常時監視されるという事態が来るのではないかというふうに最近はみなされておるわけでございますが、もちろん、このINFCEの会議は来年の春まであるわけでございまして、そのころにはプルトニウムの国際共同貯蔵構想が確立されるのか、あるいは国際核燃料銀行というものが飛び出してくるのか、その辺はちょっと私もいまはっきり申し上げるわけにはいかぬわけですが、いずれにしても、ますますプルトニウム等の出し入れは国際的に厳重になるということ、そういう方向は明らかになっております。
 また、私どもは、一昨年の日米交渉の経過から見まして、できるだけプルトニウムというものを単体で貯蔵しない、あるいは単体で輸送しないという方向をとるために、プルトニウムというものは常にウランと共存して存在する、つまり、すぐ爆弾には使えないような混合体にしておくという意味におきまして、私どもは、ウラン、プルトニウムの混合体に関するいろんな技術開発を現在東海村において進めておりますが、そのうち、混合転換技術という分野につきましては、私どもは近いうちにかなりの見通しを持つことができるのではないかというふうに考えております。
 そういう意味で、プルトニウムが軍事に利用されないようにするための国際的ないろんな努力とか、あるいは協調機構とかというものが非常に最近は前進しつつあるということと、もう一つは、いま申し上げましたように、プルトニウムが単体で存在しないような方向を見出していくというような技術的な面もまたかなり進歩していると思います。ちょっと長くなりましたが……。
#69
○長谷川信君 時間がございませんので、あと一つお聞きいたしたいと思いますが、瀬川参考人は本当の御専門家でいらっしゃるわけでありますが、常に技術は進歩発達するということでございますが、いまの現段階ということでなく、この工場が仮に完成をしたとすれば、十年あるいは十三、四年後ということになる。その間の技術の進歩というものは当然これは予測をされ、考えられると思うんですが、いま現在、放射能廃棄物処理の研究開発あるいは放射性物質の低減化が、これ、御専門の立場で、これから完成をする時点、十年、十五年先までどの程度――これは全くの、何といいますか、予測というか、将来の問題で結構でありますが、いまの現状のままであるはずはないと思う、必ず進歩発達することは間違いがないと思うのでありますが、どの程度まで、十年、十四、五年の間にこれが低減化の研究が進むのでありますか、いかがでございますか。御専門の立場で御解説を賜りたいということであります。
#70
○参考人(瀬川正男君) 御質問の趣旨につきましては、先ほど青地さんからもちょっとその点に触れておいでになったようでありますが、私どもも、いまの廃棄物の放射能の低減対策というものは、東海村の再処理工場の着工後におきましても、建設途中でかなりいろんな対策をつけ加えるとか、あるいは試運転の途中でいろんなことを考える、それから新しい技術開発を実施に移すというふうないろんなことをやっておりますが、いずれにしましても、東海村のプラントは、安全審査のときに決められました環境に対する放出放射能の規制値でございますね、これを私どもは建設途中にさらに低減し得るというようなことで、たとえば安全審査におきましては、海に流す放射能は一日一キュリーまでということになっておったわけでございますが、その後私どもは、海に流す液体廃棄物、低レベルの液体廃棄物でございますが、それの放射能は安全審査で認められたものよりもさらに一けた下げて運転できる、大体十分の一キュリーで抑えていくというふうなことを、廃棄物処理場にたとえば新しい蒸発かんを置くとかいうふうなことによって液体放射能のレベルも下げていくということは現在実施に移しつつありますが、そのほか、安全審査のときは気体廃棄物から、つまり煙突からお空に出す気体廃棄物からクリプトンを取るということは別段強制されていなかったわけですが、私どもは、ひとつ世界に先駆けてこの再処理工場の気体廃棄物からクリプトンを回収してやろうというふうな野心を起こしまして、現在クリプトン回収設備を再処理工場の中で追加する工事を進めておりまして、これは五十七年の初めごろに恐らく動かせるのではないかと思っておりますが、このクリプトンをとるということによって環境に対する放射能レベルはさらに下げられると。もちろん、いま申し上げたクリプトンの回収技術というものが世界じゅう商業工場でこれをやるべきだということにはなっていないわけでございまして、私どもは、そういうこともひとつ動燃事業団ではやってみようという、技術開発ということで進めておるわけでございます。
 それから液体廃棄物でも、特に高レベルの液体廃棄物につきましては、先ほどお話のあったように、これを固化して貯蔵する。まあ私どものプラントが年間二百トン本当に処理すれば、高レベル廃棄物を固化してガラスの中に閉じ込めるガラス固化体、それが年に十トンか十五トン出ると思いますが、第二再処理工場のように千トンないし千五百トンの処理工場でございましたら、固体廃棄物、高レベル廃棄物を固化しても、六十トンとか七十トンとか、年にそういう固化体が出ると思いますが、これもガラス固化の技術としてすでにフランスはこれを実証化してプラントをつくっているようでございますが、私どもも高レベル廃棄物のガラス固化のための試験設備を現在建設中でございまして、恐らく昭和六十年ごろまでにガラス固化を日本でも実行できるかどうかという見通しはつけられると思います。したがって、第二再処理工場で昭和六十五年ごろに運転をするというお話なんですが、第二再処理工場につけようと思えばつけられるようなタイミングは一応考えながら進んでおるつもりでございます。
 大体以上のようなことでございます。
#71
○松前達郎君 お三方の参考人には大変御苦労さまでございます。
 先ほどからいろいろと御意見をお伺いしておったわけでございますが、その中で私自身いま非常に痛感したことがあるわけなんです。と申しますのは、ちょうどこれはかっての原子力基本法を変えるとき、果たしていまの発電用原子炉が商業炉としての完全な資格を持っているかと、そういう問題について討議もされたわけなんですが、どうも最近になりますと、アメリカの事故等の問題もあって、いまからまた再び再確認をしなきゃならぬようなことも起こりつつある。自主開発ということがうたわれておるのではありますけれども、どうも現実は自主開発ではなかった、自主開発でないからそういうことが後から追っかけて必要になったんじゃないかというふうに感じるわけなんです。ですから、原子力開発、特に原子力の平和利用については、やってみれば何とかなるんだというふうな感じではこれはうまくないんじゃないか。やはり将来の問題まで考えて対処していかなきゃならないことではないかということを私痛感をいたしたわけでございます。
 そこで、最初に瀬川参考人にお伺いしたいんですが、第二工場を民間でやるということがいま議論の中心にもなっておるわけなんですが、この民間でやることを、どうして民間でぜひともやらなきゃいけないかという問題と、それからもう一つは、民間でやった場合にメリットもあるということをおっしゃっておりますし、そのメリットは一体どこにあるのか。それから、これはメリットばかりじゃないと思うんで、必ずデメリットもあるはずでありますので、このデメリットは一体どこにあるか、そういうことについて忌憚のない御意見をちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
#72
○参考人(瀬川正男君) 民営問題の前に、いまお話しの、やってみれば何とかなるんじゃないかというような気持ちで私どもは自主開発はやってないつもりでございまして、私どもは、先ほど申し上げたように、徹底的に前へ進めるという自信ができ上がるまではモックアップというものはあくまで繰り返すという、そのための犠牲というものは非常に大きいし、また、そのための予算というものは膨大なものになるわけでございますが、自主開発というものは非常に時間と金と人手というものは予想外に必要とする、予想以上の苦労があるものであるということを私どもは非常に痛感しておるわけでございますが、それは別といたしまして、ただいまの民営再処理工場というのがいいか悪いかということにつきましては、動燃事業団も国の機関ということでございますから、私どもは、そのために動燃事業団としてはやはりパイロットプラントをつくって、技術の基礎を固めるというのが動燃の任務であると。それで、ほぼ技術的基盤ができたら、後は商業規模のプラントは当然民間でお考えになっていただくというのが基本的な私どものような事業団の任務であると考えておりますし、また、そのための東海村のパイロットプラントは、先ほどの青地さんのお話のように、他の国と同様にピューレックス法をもとにしている。恐らく、第二次再処理工場もピューレックス法というものをもとにするという意味におきまして、すでにピューレックス法はイギリスでもフランスでも商業規模としてやっておるわけでございまして、ピューレックス法を採用する限り、私は、千トンプラントも民営で準備される道を開くべきではなかろうか、また、そういう道を開いておく方が、冒頭に申し上げましたように、化学工業とか、重電機とかあるいは電気事業とか、そういう主要な産業界が一体になってこの再処理技術を商業規模にする場合の準備を進められるのではないかというふうに考えるわけであります。
#73
○松前達郎君 それから、これは中島参考人と青地参考人にお伺いしたいんですが、多少技術的な面を先ほどいろいろとお伺いいたしたんですけれども、再処理技術、いまの動燃でやっておられる技術だけに限らず、一つのサイクルとして考えた場合の総合的な再処理技術ですね、廃棄物まで入れてです、そういった技術というものが現段階で実用化あるいは商用段階といいますか、商用的な価値を持つ段階までに到達しているものであろうかどうか。先ほどの御意見、いろいろ伺う中では、基本的な問題については確立されたと考えるというようなことをおっしゃったと思うんですが、基本的な問題だけでは、技術だけでは、じゃ将来必ず大丈夫かという保証もない。したがって、見通しも多少入るかもしれませんが、再処理技術の問題で商用段階に入っているのかどうかということをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#74
○参考人(中島篤之助君) それでは私から簡単に申し上げたいと思います。
 実は、さっき青地参考人も申された、基本的なところでは確立したと思うとおっしゃった意味は、現在、世界の主流になっている再処理の技術というのが、いわゆる湿式のピューレックス法と呼ばれるものについては、いわゆるピューレックス法として基本的なところは確立したというふうに私は聞きまして、その意味では私も同意いたします。そのとおりだと思いますが、実は、再処理技術の可能性としては原理的にもかなり違うものがたくさん試みられましたし、それは実は、そういうものは一たんやられたけれども、完成しないで放棄されたものもある。ただ、それをよく調べてみますと、いま瀬川参考人もおっしゃったように、立場を変えますと非常に変わってくるだろうと私は考えているわけです。それはどういうことかといいますと、混合抽出法というようなことは、いままでの再処理技術では目標ではなかったわけでありまして、つまり、いままでの技術というのは、やはり軍事技術として純粋なプルトニウムを抽出するということのために方法が練られ、改良されてきたと私は申し上げてよろしい。ただ、それを普通の平和利用のものにも転用すると。ですから、いろいろな実績から見ましても、天然ウランを照射してやりましたイギリスの再処理工場なんかが一番実際の運転経験としてはたくさんあるわけですけれども、これはいわゆる燃料の燃焼度は非常に低いものについてやられたわけです。いわゆる商業用ということで始まった軽水炉についてはまだ実績は非常に少ないというのが私は実情であろうかと思いますし、それから、先ほどちょっと一言だけ申しました、GEがつくって失敗した半乾式法による再処理工場というのは、これはアクアフルオロ法と呼ばれる方法でありまして、これは大変野心的な試みだったんですけれども、うまくいかなかった。しかし、それはそこでうまくいかなかったから放棄すべきかということは、また視点が変われば変わってくる。それからもう一つ見方を変えまして、たとえばトリウムのサイクルを扱うということになったら、現在の再処理法が妥当かどうかということは非常に疑問であります。これはたとえば、現在実現している一つの方法としては、原子炉を運転しながら再処理もしていくというようなことがすでに溶融塩原子炉なんかで行われておりまして、これは原子炉も一体になって変わってくる。
 ですから、再処理というのは、現在動燃でおやりになっておるようなピューレックス法のああいうものだけが再処理だというふうに考えるのは、技術の立場から言えば非常に狭い見方ではないかと思います。それから、それが実証されているかと言えば、技術というのは結局安全と経済という二つの点から決まっていくもので、その両面から見て、現在の技術はどれも軍事用という点を除けば成功していないと言わざるを得ないと、私はそう思っておるわけであります。
#75
○参考人(青地哲男君) 再処理のプロセスというのは、いま中島さんがおっしゃいましたように、いろいろございます。一番最初に、確かに原子爆弾をつくるためにプルトニウムをなるべく純度を高く分けようというようなところから始まったというのは否定できないと思います。しかしながら、それはまあ原子炉が最初そういう潜水艦だとかああいったものから始まった、または原子爆弾をつくるためにつくられたという、そういうような登場がそういうことでございますけれども、そういう時期から三十年たちまして、世の中がそういったものだけで律せられる時代ではなくなってきておるわけだと思います。中島さんもおっしゃいましたように、何をとるかということは経済と安全の両面から考えてとっていくものであるということでございまして、いまのサイクルを考えますと、原子力委員会の基本路線というのもございますように、軽水炉から高速炉へいくんだと、そういった基本路線から考えまして、たとえばトリウムが入ってくるというのはもう少し後ではないか、それから、そういったようなことを考えますと、現在はウラン・プルトニウムをFPから分けて、核分裂生成物から分けて、そして使うということが考えられると思います。それにはやはりピューレックスが一番安全であり、経済的であるというように私は考えております。
 それから、先ほどの確立しているかどうかということにつきましては、もちろん見方でございますけれども、全世界で千トン近い実績を持っているということと、それからこれから十年、十五年先に開発実証の時期を持っている、期間を持っている、で、なるべく早く着手して、自主技術と申しますか、そういうものを蓄積していくことが必要だと、また早くやればできるという、先ほど申し上げましたような線から言えば、再処理のメインのプロセス自体については基本的に技術は確立したと申し上げてよろしいかと思います。
 それから廃棄物の固化というような問題につきましては、これから実証をする、または社会的な要因もございますでしょうし、これから考えていかなくちゃいけない問題だと思いますけれども、高レベル廃液がたくさん出てまいりますのには、稼働いたしまして、それから何年かためて、それから工学貯蔵というふうな方法も考えて、それで社会に受け入れることができるようなちゃんとした処分を考えてやるべきであるというふうに私は考えております。
 以上でございます。
#76
○松前達郎君 すっきりしたような、何といいますか、確立体制というのが、いろんな観点があるでしょうけれども、まだ余りその辺がはっきりしないような感じがするわけなんですが、まあ建設しながら自主技術の開発をしていくというふうに受け取ってもいいような感じもしないわけではないんですが、これは私の言い過ぎかもしれません。しかし、そういった面から考えると、やはりもとへ帰って、国がやっぱりこれに対してやるべきであって、民間がやるべきでないという、そういう段階にまだあるんじゃないかと私は思うのですけれども、その辺はいろいろと議論のあるところだと思います。
 そこで、もう一つだけお聞きしておきたいんですが、廃棄物の処理ですね。これを先ほどお聞きいたしますと、高いレベルの処理技術が確立されつつあるというふうにおっしゃったわけなんですが、処理技術はいろいろと開発されているだろうと思いますが、その処置とか管理ですね。最終的な管理ですね。そういう問題については一体現状はどうなっておるでしょうか。それについて中島参考人にお伺いします。
#77
○参考人(中島篤之助君) 実は、原子力の技術というのが軍事利用と非常に結びついているんだと、私そういうことだけを申し上げて、具体的な数字を申し上げませんでしたが、いまの廃棄物の問題でちょっとそのことを申し上げてみたいと思うのですけれども、一九七六年までに――これはマイター報告に出ている数字でありますけれども、アメリカがマンハッタン計画、つまり原爆計画以来蓄積した高レベルの放射性廃棄物の量は、たしか七十八万立米ぐらいになっておる、で、それが自然に減容していま三十万立米ぐらいという非常に膨大な量が蓄積されておる、なお年間軍事生産のために二万立米ぐらいずつのものが蓄積されつつあるということが書いてございます。実は、それに比べますと、いわゆる平和利用のサイクルから出てまいります高レベル廃棄物の量というのは非常に小さいのでありまして、さっき私が申しましたNFS工場では六百三十トンの濃縮ウラン燃料を処理したけれども、六十万ガロン程度の量の廃棄物をつくったというようなことでありまして、まずやはり核兵器関係で出てくるものが非常に大きいんだということを一つ申し上げておきたいと思うのです。
 それから、これは青地さんが高度の技術と言われたんですが、初期はそういうものをただ軟鋼のタンクに入れてためておく、軟鋼のタンクに入れますから、硝酸か何かになっていると溶けてしまいますから、それをアルカリで中和をするというようなことをやりましたために、中和されたのはいいんですが、それが自然に析出してケーキの状態になったりしておる。それからもう一つは、初期の段階のものではプルトニウムの抽出率が非常に悪かったものですから、現在でも、つまり数%まではいっているかどうかしりませんが、数%というぐらいのプルトニウムがそういう高レベル廃棄物にまじっている、そういうものをアメリカは抱え込んでしまっておるわけであります。これはまあ、日本ではそういうことはもう二度とはあるまいと思いますけれども。で、最近高度になったというのは、それを一つは、硝酸の溶液のまま今度はステンレスのタンクに貯蔵するということになって、幾らかその点では改良されたと言っていいわけであります。
 それから、それをガラス固化体にするというところまでがいわゆる処理でありまして、その後は結局いろんな処分――それを処分と申すのでありますけれども、それを、私がさっき冒頭で申し上げました国際学術連合でやろうというのは、むしろそちらに重点がありまして、そのときに発生国で一応基本的にはそれを処分するということを考えますと、日本ではそれが非常に困難である。たとえば、一つの方法は地中処分ですね。従来ですと、岩塩坑なんかが非常に安全なんだと考えられておったんですけれども、最近では、放射性高レベル廃棄物の固化体も相当な熱を出すために、岩塩坑も安全ではないというのが定説になっておりまして、それで再吟味をしなきゃいかぬというようなことでありますし、それから海中投棄、海洋投棄は、これは高レベル廃棄物については国際的に合意されて、できないということになっているわけであります。
 それからそのほかに、南極の氷に埋めるとか宇宙空間に打ち出してしまえとか、少しSF的ないろいろな話がございますけれども、これはどれもまだ実現しているわけではない。
 それから、ガラス固化ではなくて、もう少し熱に強いということで、最近、オーストラリアのある岩石学者が、一種の岩石の中に放射性物質を閉じ込める方法、一種の処分法ですけれども、これだったらわりに地中処分がやりやすいんではないかというようなことが言われておりますが、これは一つの提案の段階でありまして、まだそれが認められ、あるいは工業的な方法が確立したということではないと思っております。
 先生のおっしゃるように、特に最後の処分の問題につきましては、いろんな困難が非常にはっきりしておって、どう解決するのかは見通しは立ってないと私は申し上げていいんじゃないかと思います。
#78
○松前達郎君 どうも最終のところが余りすっきりしないような感じでございます。これは何も再処理の問題だけではなくて、原子力の平和利用に関しての一番大きな問題じゃないかというふうに私は思っておるわけなんです。
 そこで、これは午前中にもお話があったわけなんですが、いま動燃で再処理をやられている、その技術がある程度いま実際に動いていると。ですから、今度の第二工場については、これをただスケールアップすればいいんだという考え方は非常に危険なんじゃなかろうか。七倍程度にスケールアップすればでき上がる、工場はでき上がるという考え方じゃまずいんだという御意見があったわけなんです。その原因としては、その一つの問題点としては臨界の問題があると、大量に放射性物質を集中させますと当然そこに臨界の問題が出てくるわけですから。そういったような問題があるというふうに言われたわけなんですが、これについて、やはり新しい技術というものがその中にも導入されませんと、ただ集めてスケールだけ上げればいいということではできないんじゃないかという気がするわけなんですが、その点について、先ほど私申し上げた、建設しながら開発、あるいは新しい研究も並行してやるんだというふうなことを申し上げたわけなんですが、非常に将来にかけて相当もくろみを含んだ計画であるような感じも抱かざるを得ないわけなんです。ですから、先ほど中島参考人がおっしゃったように、私自身もこれは経験あることなんですが、やはり一つのものを完成させるというときには、まず最初に、研究開発手段の順序立てというのが非常に重要であると、基礎的な問題をまず解決しながら、それをさらにどんどんと発展さして、最後に実用化に入っていくという順序ですね、これが非常に大切だということをおっしゃいましたが、全くそれは同感なんでありますが、そういった問題を含めて、これ、もしこの第二工場がつくられるとなると、そういった技術的なバックアップ体制ですね、サイド・バックアップといいますか、そのバックアップ体制というのを並行してやられるのかどうか。そのときに動燃が恐らく相当大きな関連を持つんじゃないかと私は思うんで、その点について瀬川参考人からお伺いいたします。
#79
○参考人(瀬川正男君) 御質問の趣旨は商業再処理技術はまだ未熟じゃないかというような点であるというふうに思いますが、先ほどから青地さんもおっしゃったように、私は、民営再処理工場もやはり湿式のピューレックス法を採用する、これは間違いないと思いますし、イギリスでもフランスでもドイツでも、また東海のプラントでも、ピューレックス法をもとにしてプラント設計をやっておるわけでございまして、私は、そのピューレックス法の基本的な技術というものはやはり再処理のためには間違いなくやれると思うわけでございますが、ただ、われわれの経験からいたしまして、このピューレツクス法の再処理プロセスも、もっとプロセスエンジニアリングとして商業的な方向に積み上げていくという必要はあるかと思います。しかし、第二再処理工場の詳細設計が固まるまでの間に私は二年はまずあると思うわけでございますが、すでに私どもも、この東海のプラントは御承知のようにフランスのサンゴバンの技術をもとに設計したわけでございますが、やはりほぼ十年近く前の考え方で設計されている、もちろん私どもは、建設工事中にいろんな改善は施しましたし、また、現在でもそういう改良は加えつつあるわけでございますが、いずれにしても、プロセスエンジニアリングとしてさらに完璧なものにするためにはどういうことをすべきかということを、私どもは十分この試運転の経過から、かなりの考え方を固めておるわけでございまして、この次のプラントは何をつけ加えるべきか、そうすれば安定な運転ができる、あるいは従業員の被曝も少なくなるとかいう具体的な材料はたくさん私ども持っておるわけでございますし、したがって、それをこの次の第二プラントでは取り入れていけば、私は商業プラントとしては実現可能であるというふうに考えますし、また、私どもは過去の経験で一つ不満な点はあるわけでございます。
 それは何かと言いますと、私どもが建設の過程で、もう少し日本の化学工業とか、鉄鋼関係とか、そういうところにもっと強力に参加させておくべきであったということを痛感しておるわけでございますが、何しろ再処理工場というのは一体採算がとれるんだろうかどうだろうかということで、私どもはいろんな化学工業に話しかけても、つき合ってくる会社もあるし、つき合ってこない会社もある。皆採算性というものを非常に注目するわけでございますが、私は、そういう点は、民営第二工場ということを道を開けば、やはり電気事業等が中心になって、化学工業あるいは重電機産業等に強力に働きかけていけるんではないか、したがって、日本の化学工業とかあるいは重電機産業の従来の優秀な技術でもって参加すれば、プラントエンジニアリングとしては私どもの東海プラントよりははるかにすぐれたものをつくることは可能であるというふうに考えます。
#80
○松前達郎君 ちょっと内容が変わりますけれども、瀬川参考人に一つだけお伺いしたいのは、エネルギー資源の多様化というんですか、分散化というんですか、そういう問題から、最近では、原子炉のタイプとしてCANDU炉の問題がずいぶんいろいろと論議されておったわけですね。このCANDU炉の導入に関して、たとえば日本とカナダの原子力協定議定書を見ますと、みなし協定というのが入っていますね、技術開発の分野で。そこの中に再処理の問題も挙がっておるわけなんですが、この問題と、今後この開発をしていこうという第二工場あるいは現在動燃でやっておられる再処理の開発ですね、今後の研究も含めた問題との関連があるかどうか。これ、ちょっと私よくわかりませんが、もし御意見がございましたらおっしゃっていただきたいと思います。
#81
○参考人(瀬川正男君) このお答えは、私がやるよりも、本当は科学技術庁とか外務省とかいう方からお答えすべき筋合いのものであると思いますが、日加原子力協定の変更された内容につきまして、特にただいまのみなし規定の問題とか、あるいはカナダ産のウランを再処理するときはカナダが査察する権利を有するとかというふうな点につきましては、これは外務省のお答えすべきことだと思いますが、いずれにしても、私どもはかなり不安の念を持たざるを得ない、私の立場としては。これは政府がいろいろ善処していただけるものと私は思っておりますが、そういう政府の善処を、特に御質問があったのを幸いにして、政府にお願いしたいと思います。
#82
○藤原房雄君 きょうは参考人の方、大変御苦労さまでございます。
 わずかな時間でございますので、二、三点にしぼりましてお聞きいたしたいと思いますが、これは午前中からいろいろお話がございましたのであれでございますが、先ほど中島参考人からもお話がございましたが、この研究開発の手順が日本の場合非常に逆じゃないかというようなお話もございましたが、いずれにしましても、今日まで動燃事業団が中心となりましてこの再処理を中心といたします技術開発が進んできたわけでありまして、先ほど瀬川参考人からもお話がございましたが、しかし、いろんな段階を経てホット試験にたどりついた、ところが、最終段階でああいう蒸発かんのトラブルが起きたわけでありますが、実際的にはこのテストで十九トン処理したということで、こういう実績はあるんだというお話でございますけれども、実際は、当初それほど大きな事故ではないということでありましたけれども、過日動燃事業団の関係の方からいろいろ事情はお聞きいたしましたけれども、まあ全面的に改修をして、そしてやり直すといいますか、一部の手直しでなくて、全面的にこれを改修してやろうということで時間がかかるんだということでございますけれども、こういうことですと、ホット試験も十分なテストができたとは言えないということになるんじゃないかと思います。
 こういうことを考えますと、まだ試験段階で行われておりますこの東海の第一工場ですらホットテストの資料というものが十分にそろっていない、こういう段階で、いろんな立場の方々、いろんな立場から論議をされておりまして、特に今回のこの法案、民営に道を開くということで、しかも、民営ということも電気事業連合会を中心といたしまして準備室ができておりまして、これは十数年後にはということでありますから、過日来各委員からお話がございますように、将来十年間の技術的な開発というものに大きく依存する面が出てくるという、こういうことで、現在確立された技術というもので私どもは判断するということが本当は大事だと思うんですけれども、先に対する担保みたいなものが非常に大きいわけですね。これあたり、動燃事業団の責任者という立場で、今回のこのホット試験も、最終段階とはいいながら、連続試験を全面的にやったわけでもない。こういうことで、基本的には、先ほどお二人からお話ございましたように、再処理のこの原理的なことについてはある程度評価はあったといたしましても、工学的といいますか、運転の段階ではやはり問題が残るんじゃないかという気がしてならないんですけれども、この辺どうでしょうか。
#83
○参考人(瀬川正男君) いわゆるホット試験の最終段階でつまずいたということは、これは非常に私どもも申しわけないことでございますが、ただ、一昨年の九月から昨年の八月まで、つまり最終総合試験のちょうど真ん中でつまずくまで、その間約一年間、冒頭に申し上げましたように、原子力研究所の炉の燃料、それから東電福島炉の燃料、それから関西の美浜炉の燃料等、三つのキャンペーンをやって、一応その経過で諸般の必要なデータは私はほぼ出そろったと、最後の第四キャンペーンの総合試験といいますのは、実はこれは受取試験でございまして、それまでの三つのキャンペーンを総合してさらに再確認しようという、つまり性能の確認でございますか、つまり、設計の保証値のギャランティーをやるという意味の総合試験でございまして、私は、総合試験の前半、これも福島炉の燃料でございますが、それを含めて四つのキャンペーンにおいて、試験によって得らるべきいろんな知見というものは一応ほぼ出そろっているんではないかと、つまり、意見をまとめるのには一応十分であるというふうに考えております。
 しかし、蒸発かんのトラブルでとまったというのは、これは非常に私も残念に思っておるわけでございますが、あの蒸発かんの放射能漏れも、蒸発かんの中から蒸気の方に放射能がまじってくる、蒸気の方にまじってくる放射能は濃度的には規制値以下の濃度である、したがって、当初私は、総合試験が全部終了するまでそのまま強行運転しても別段規制で引っかかるということは理屈の上ではないんじゃないか、だから総合試験は全部終わりまで強行すべきであるというふうに考えておったわけでございますが、しかし、一応原子力行政上のたてまえからしても、少しでも放射能が何か漏れておるんじゃないかというのをそのままで試験を続けてもいいんだということは、これは現状ではちょっとまかり通るわけにはいかぬようでございまして、ひとまず私どもは、蒸発かんに穴をあけて、どういう原因でそういう放射能漏れが起きたかというふうなことも一つのわれわれの経験として、むしろそれを利用するという意味で、解体作業等も非常に慎重に進めております。また、それを契機に、特殊鋼材料はとりあえずはヨーロッパから輸入するけれども、急いで日本の鉄鋼メーカーに同じような種類のものを開発させるという手段も進めておりますし、また、海外から持ってきました材料を、今度は蒸発かんをつくるのに国内で溶接加工をやることによって国産化を図ろうというやり方を現在とっております。
#84
○藤原房雄君 いま理事長さんの、参考人の御意見ですと、意見をまとめるには十分な資料が整ったんだというお話でございますが、いずれにしましても、こういう事故があって、理事長さんが、これはひとつ規制値以下でもきちっとやっていこうという御意見を出されたんならいいんですけれども、理事長さんは強行しようという御意見だったということですから、先ほどお話がありましたように、スリーマイルアイランドのことを通して中島参考人もおっしゃっていましたが、やっぱり安易な気持ちがあったというところに問題があるということで、やっぱり厳しく見ていただいた方がよろしいんじゃないかと思います。
 そうしますと、これは秋にはほぼ改修ができるというふうにも聞いておるわけですが、この後の手順といいますか、今後どういう手順で試験、テストを進めていらっしゃるのか、そのことをちょっと。これは今後のことについてお聞きしたいと思います。
#85
○参考人(瀬川正男君) 秋までに蒸発かんを新しく設置しまして、総合試験の残り半分を続けてやるわけでございますが、これはそれまでの試験より一段と燃焼度の上がったものが選ばれると思いますし、恐らく、また関西電力の美浜炉の使用済み燃料を使うことになると思います。一応それによって全部振り返ってデータを整理してお役所に本格的運転のチェックをしていただく、つまり、改めてまた安全審査が加えられるということになって、それを経まして本格運転へ入ると思いますが、いずれにしましても、私どもがウランテストから本格的な使用済み燃料の試験、これを非常に間を置きながら進めてきたのは、各段階を終えるごとにいろんな知見を加えて、また、環境にどういう影響があったか、それを各段階ごとに調べて資料を整理してお役所に報告する、こういうことが非常に厳密に行われてきたということが、わりにテンポがゆっくり来たような経過でございます。いずれにしても、総合試験を終わって、それまでの全体のデータ整理がお役所へ出されて、それから本格運転の認可をいただくと、そういう手順になると思います。
#86
○藤原房雄君 午前中にも参考人の方からの御意見がございましたが、この再処理問題につきましては三つのことが大事なことだということで、一つは大量に放射能を閉じ込めるということ、二つ目はパイプをつなぎ合わせる部分が非常に多いということ、三つ目には廃棄物の処理という、こういうことが完全になされなきゃならぬということで技術的に非常にむずかしいんだと、こういう問題については今後十年間の技術進歩があったとしてもどうしても基本的には解決し得ない問題が残るのではないかという御意見がございました。私も、やはりこの現在の状況を見まして、先ほど瀬川参考人からもお話がございましたように、ケミカルな部面や、また金属材料的な面や、そういうそれぞれの部門での協力体制というものが強力に進められていかなければ解決し得ない問題もあるだろうと、こういうお話もちょっとございました。今日までそういう協力体制がなかったということで、今度は民営になりますとそういう点は進むんだろうというお話がございましたが、いずれにしましても、こういう技術的な問題については解決しなければならない、乗り越えねばならない問題として残るわけでございます。現時点におきましては、いろいろな問題についてテスト、改修ということで、一つ一つ手直しをしたり改修をしたりということで技術を積み重ねておる、蓄積をしておる、こういうことですが、いよいよこれが民営に移りますと、今度は試験ということじゃございませんで、これはもう採算ベースで物事を考えなきやならない段階に入るわけでございまして、基礎から積み上げてといいましても、やはりこれは限界があるだろうと思います。こういうことで、この三つの問題について、今後十年間、十数年ですね、この民営の実際稼働するという、これまでの間に技術的にこういう問題については十分な見通しが――見通しがあるのかないのかなんということを聞くのはちょっとおかしいんですけれども、その点について。
 私どもやっぱり、これは技術的な問題についてはいささか現時点では問題が残るんじゃないかというふうに基本的には考えておるわけですが、ただ、技術的に私どもは詳しいそういう専門家じゃございませんで、きょういらっしゃった参考人の方からそれぞれ参考意見としてお聞きするということも一つの大事なことだろうと思いますので、お聞きするわけでございますが、お三方に、再処理工場というのは大量に放射能を閉じ込めるということと、パイプをつなぎ合わせる、こういう部分が非常に多いということ、それから廃棄物の問題、こういうことについて今後進歩するであろう技術というものに信頼を置くといたしまして、十数年の後に、まあ完全ということはこれはいろいろな条件がありますから一概には言えないのかもしれませんけれども、民営で十分やっていくだけの技術進歩というものはなし得られるのかどうか、そこらあたり、十年先ですからちょっとむずかしい話ですけれども、ひとつお考えなり見解なりでも、それぞれのお立場でお述べいただきたいと、こう思いますが、どうでしょう。
#87
○参考人(瀬川正男君) いまの御質問の前に、先ほど私が蒸発かんの運転を強行しようと思ったということにつきまして乱暴じゃないかというおしかりも受けましたが、強行してもいいという意味は、まず、その放射能のレベルがきわめて小さいということと、その放射能は決して外部に出ることにならないのでありまして、ボイラーの方にまじってくる、したがって、そのボイラー用水を閉じ込めながら廃棄物処理で処理していけばいいということでございまして、強行しても決して被曝するわけでもないし、工場の外にまき散らすわけでもないわけでございまして、そういう意味の強行ということでございます。
 それから、十年の間に商業用技術として完成できるかということにつきましては、私はやはりそれは可能であるということを先ほどから繰り返し申し上げておるわけでございまして、そのために私は今後第二再処理工場の詳細設計、安全審査、それから建設に着手、その間やっぱり二年、三年かかると思いますので、その間に私どももさらに一層いろんな経験をつけ加えることができるということと、私はもう一つ、全産業がいい技術者を集めてプロセスエンジンニアリングとしてもっと安全なプロセスをつけ加えていくということは、私は大いに期待していいんじゃないかと思う次第でございます。
 またその間、海外の再処理に関するいろんな情報等もできるだけ金で集めるというくらいの意気込みで、広く国際的な積み上げも吸収していくということによって私はみがきをかけるということは十分可能だと思うわけであります。
 それから、たとえば第二工場で一日五トン処理で、年間は千トンかせいぜい千五百トン、まあ千トン程度の処理量というふうに一応説明されるわけでありますが、それはやはり一日五トン処理でも年間は千トンぐらいだということは、一つの処理業務と次の処理業務の間に十分つけ加えるべき手段をつけ加える、あるいは手直しをさらにつけ加える、そういうような考え方で、一日処理五トン、年間千トンというような考え方をするのが大体再処理工場の考え方のようであります。まあ念のために……。
#88
○参考人(中島篤之助君) 先ほど瀬川さんは十九トンで試験による成果は十分であったというふうにおっしゃったんですけれども、そういうことでありますと、私がさっき開発手順ということで申したことは、これは青地君を前においてなにですけれども、原研の試験設備というのは十トンの設備でありまして、それから、青地さんも言ったパルスカラムをすでに使ったというようなことからいっても、これは廃止すべき装置じゃなかったというふうに私は思うんです。ですから、試験を積み上げるということだったら二百十トンもの工場をつくる必要はなかったわけで、これは最初の計画では決して――いつからパイロットプラントになったか私は知りませんが、いつの間にかパイロットプラントになってしまっている。それはなぜかというと、原子力開発の計画が最初に動燃の再処理工場を計画したときは大体七百万キロワットぐらいの原子力発電開発規模を考えておりましたから、それに見合うものとして二百十トンというのは考えられたんでありまして、それに引き比べて原子力発電の部分が非常に肥大してしまった、原子力産業としてつり合いのとれないようなかっこうにふくれ上がったところからいまのような問題が起きておることが一つです。
 それからもう一つ、これは決して瀬川さんの責任ではないというのは、日本の大変私ども改良していただきたいと思いますのは、外資導入あるいは外国技術導入ということになりますと、研究開発は――これは大蔵省の考え方なんですけれども、やっちゃいかぬということになるわけです。これは軽水炉がまさにその例でございまして、プルーブンであるということで導入いたしますと、その開発研究はやってはいかぬということで、研究者が仮にやりたいと言っても、予算もあるいは人員も保障されないというのが非常に害をなしておるわけです。私は、瀬川さんがさっきおっしゃったように自分たちの手で自主技術を積み上げることが安全確保につながる道だというのは、本当にそのとおり私も賛成いたしたいと思うんでありまして、実はそういうふうにやってなかったということがむしろこの際反省すべき点であるということであろうと思います。
 それから、十年後にどうかという点でありますが、これは十年ぐらいではなかなかむずかしい、いわゆる完全な閉じ込めというのは非常に不可能だけれども、と私は思いますけれども、そのやり方としては、むしろ大変回り道のように見えるけれども、少し戻ってもいいから積み上げるということが私は非常に大事だということであります。
 私は、最近ある雑誌に非常に率直に動燃のおやりになったいろいろな開発手順について御批判を申し上げまして、やはり少しいろいろスケジュールに迫られてお急ぎになったんじゃないか、もっとゆっくりなさってかえってよかった、たとえばウラン試験の段階でいまの蒸発かんとかそういうことは見つけることができたかもしれませんし、労働組合からもいろいろの指摘があったのをあえて無視されて、当時私はそういうことはどうかということを申し上げたんですけれども、そういうことをいま感じておるわけであります。
 それから廃棄物処理の問題につきましては、私がさっきから申し上げておりますように、その処理の方法についてはガラス固化とか岩石固化とかまだとにかくメソッドというのが出てまいりますが、最後の処分の問題、地中処分かあるいは海洋処分かという問題は、これはむしろ科学者、技術者の範囲を超える、何といいますか、環境問題といいますか国際政治問題といいますかあるいは社会問題といってもいいと思いますが、本当に国民の合意をどうやって得たらいいかというような種類の問題になっておりまして、仮に地質学的にも立地上もいいという場所が見つかっても、住民が賛成しなければできないというようなことになりますから、これはよほど原子力開発全体について信頼が得られるような状態で進めると、それのぼくは前提になるのはやはり原子力三原則であろうと思うんで、それが厳しく、やっぱり厳守されるような状況で進められなければいけないんじゃないかというふうに考えております。
 それから二番目のパイプの材料問題でありますけれども、これは私も実は日本は非常に優秀なステンレス生産国であって世界第一の輸出国であると、それをしかも外国のものをわざわざお使いになる必要はないんじゃないかということを申し上げました。いま瀬川さんのお話を伺いますと、完全に同じではありませんが、そういう方向で御検討をいただいておるということは、大変私は何というか結構なことだというふうにむしろ思っております。
 ただ、この溶接の技術の問題とかなんとかというのは人の養成にもかかわります。つまり溶接工の技能にかかわる問題と、それから検査の体制の問題でありまして、これはやはり経験を積むと、で、経験以上、つまりそういう意味で言えばスケールアップというのは非常に慎重に一つ一つやっていくというのが常道であって、その点ではやや少しステップを飛ばしている。これは現在の原子力は全部そうだと私は思っておりますが、慎重であってほしいというふうに考えております。そういう手順を踏めば、十年先にはかなり見通しが立つだろう、完成するということはとうていもう私は言えない、そういうふうに思っております。
#89
○参考人(青地哲男君) お二人の参考人がお話しになったことのまん中ぐらいの話になると思いますけれども、まあ冒頭にお話し申し上げたこととか途中でいろいろお答えいたしましたのの繰り返しになると思いますけれども、先生方がおっしゃっておられますように、その開発の手順というのをきちっとするということは非常に大事だと思います。
 それで、ただ基礎研究というのが、まあ私日本原子力研究所におりまして、基礎から応用までの幅広い分野におりまして、基礎研究というイメージが大学的な基礎研究というような感じで受け取られますんですけれども、そういったものも必要だと思いますけれども、今回のたとえば第二再処理工場の問題は、瀬川理事長もおっしゃっておられますように、二年ぐらいで詳細設計が固まるようなことではなくて、もう少しゆっくり、時間がかかる。環境規制その他はもっとやかましくなるでしょうし、安全審査のやり方ももっと厳しく当然なるだろうと思っております。そこで、せっかく、もちろん動燃の再処理工場というのはフランスからの技術導入が出発かもわかりませんけれども、先ほどから御説明ございますように、いろいろと改良、手直しが行われ、まあ国産化といいますか、そういうものが進んでいるというふうにも、言いかえると自前の技術というのがだんだん積み重なってくる。そういったことから、開発実証の手順というのをしっかり考えて、そして進んでいけば、先ほど挙げられました三点の問題は何とか見通しがつくんじゃないか。で、処分の問題は、先刻お答え申し上げましたように、社会的アクセプタンス、社会に受け入れられるかどうか、むしろこれは哲学的な問題に関係するようなことなので、またゆっくりと考える時間は十分にあるというふうに私は思っております。
#90
○参考人(瀬川正男君) ちょっとつけ加えさせていただきます。
 ただいま中島参考人から、動燃のホット試験は十九トンだけで、青地さんの方でやった再処理試験室は十トンやっているというお話だったんですが、しかしそれは大分内容が違うことでありまして、再処理試験室の方でやったのは、回収プルトニウムはあれは二百グラムでございますね。私の方でやった十九トンの内容はプルトニウムにして八十五キロという数字になっておりますので、内容的には大分そこで、同じようなものだとは決して言えないと思うわけであります。また、私どものホット試験の前に実はウラン試験を約二年間やっておりまして、したがって硝酸の回収蒸発かんの運転というものは単にホット試験の間だけではなくて、ウラン試験の間もやはり硝酸でさらされておったということになりまして、硝酸の回収蒸発かんはウラン試験を含めると三年半ほど運転されたということになりますので、ある程度の消耗はくることは考えざるを得なかったと思います。
 以上、つけ加えさせていただきます。
#91
○佐藤昭夫君 どうも皆さん御苦労さまでございます。
 最初に中島参考人にお尋ねをいたしますが、動燃の再処理工場で、岩波の「科学」五月号に出ております先生の論文によりますと、試運転といいますか、化学試験以来二十六回、ごく最近を入れますと五月の初めにも少しトラブルがあったそうですからさらにふえるということですが、そういう事故、トラブルが多発をしているということでありますけれども、さっきも藤原委員の御質問と瀬川さんとの中で、例の酸回収蒸発かんのあの事故の評価をめぐって応答がありましたけれども、これらの一連の多発をしております事故、トラブルについて、動燃並びに科技庁、とかくマイナートラブルとしてこれを扱うという傾向が強いというふうに私は思うわけですけれども、しかし、単なるそういう操作上の若干の手落ちとか、そういうマイナートラブルですべてを片づけるわけにいかない構造的欠陥といいますか、システム上の欠陥といいますか、こういう問題が起こってきているんではないかというふうに思いますけれども、中島先生の御意見をお尋ねをいたしたいと思います。
 それから二つ目は、御存じのようにスリーマイル事故、あの問題に端を発して、あの事故をどういうふうに評価をするか、そこからわが国の原子力発電所についてもその安全性について全面的な見直しをすべきだという議論が起こってきておると思いますけれども、原子力安全委員会の指示によっていま運転を停止しております、そして安全性の解析が関西電力と通産省の手によって行われておりますいわゆる大飯原発について、実は私も当委員会で取り上げましたけれども、例の上部炉心注水系、UHI、これはかえって有害であるという原子力研究所の一九七六年のそういう報告書が公式に出ているわけでありますけれども、政府側はこの三菱重工高砂研究所の実験の方がより妥当性があるんだと、そういう立場で、かつての、当初の大飯原発の安全審査をパスをさせたんだという見解でありますけれども、この問題について先生の御意見があればお聞かせをいただきたいと思います。
 それから三つ目は、これを機会にお尋ねをいたしたいと思いますが、学術会議の会員でいらっしゃるわけですけれども、私ども新聞報道などで、あのスリーマイルの事故が起こりました直後、またきのうまでやられておりました学術会議総会として、原子力安全委員会に対する学術会議の名前による一定の申し入れもなされておるわけでありますけれども、日本の科学者、研究者を結集をします一番の公認の組織でありますこの学術会議、ここで先生も原子力問題の特別委員会のメンバーのお仕事をなさっていると思いますけれども、ここ最近、わが国の原子力行政のあり方についてどういう改善を行う必要があるのかという問題で学術会議の中でどういう御議論がなされておるのか、この機会に御紹介をいただきたいと思います。
#92
○参考人(中島篤之助君) 非常にたくさん問題が一度に出ましたので、それではまず最初の動燃の事故については、大変潜越ですけれども私の論文をお読みくださると、私が書きたいことはかなり率直に書いたつもりでありますが、私はやっぱり一番残念だったのは、これはやはりわが国の長い伝統といいますか、慣習としてやむを得なかったのかもしれませんが、外国技術を導入して何とかなるだろうと考えた。で、まあサンゴバンというものを信用して、たとえばこれは一番最初の安全審査の最後のところに、サンゴバンというのは経験がある会社で、その技術を導入してやるんだから大丈夫だというふうなことが安全審査報告書にも書いてあるようなことでありまして、これと、先ほど瀬川理事長が、ATRなんかでともかく自分たちで積み上げてやったというのとの間に、もちろんいろいろな改良をなさったということは私も承知しておりますけれども、そういう点が実は根本原因としてある。それが一つです。
 それからもう一つは、やはりマイナートラブルというようなことをおっしゃったとすればこれは大変遺憾なことでありまして、むしろ事故というのは、私の論文にも書いておきましたけれども、これは技術上は非常に貴重な、最も貴重な経験でありまして、これが技術を発展させる土台になるものでありますから、これをよく、まあ私どもがこの機会に希望したいのは、それを細部にわたってやはり科学者がアクセスできるような形で公表していただいて、それでいろいろな議論がやっぱりできるようにするということが非常に望ましい。それがすぐ責任であるとかどういうことだというようなことにならずに、非常に貴重な経験として蓄積されるというような体制が非常に欲しいと思っているわけです。実は一昨年の前期の学術会議におきましては、別にこの再処理工場だけでなくて、原子力施設のいろいろな事故情報というのは非常に貴重なものであるので、これを集めてそして一定の形でプリントしてパブリッシュするようなそういうシステムというのが必要なんではないかという勧告を政府に対してやっております。これはすでに科学技術会議に対しても説明をいたしておりまして、これはアメリカでは実はオークリッジの研究所の中に――比較的小さい組織でそういうことはやれるのでありまして、逆に原子炉の事故なんかをわれわれはアメリカの雑誌でもって知っているというような大変残念な状態がありまして、日本でもこれはやる気があればできるのだからやっていただきたいというふうに申し上げたことがありますけれども、そういうことを今後も考えていただきたいと思っております。
 それからもう一つは、やはり安全審査体制ということで一言申し上げておきたいのは、実は核燃料再処理というのは、原子力施設として見ますと、原子炉以上に環境に対してインパクトの大きい施設だと私は思うんですけれども、にもかかわらず、何といいますか、安全審査体制としては、つまり前の、原子力基本法が改正される前の制度でありますと、科学技術庁の一種の直営事業みたいなことになっておりまして、例の「むつ」事件で問題になりました安全審査、基本設計だけをやる安全審査会しか実は制度上はなかったようなことになっておりまして、これでは大変まずいというので、実は一度原子力委員会でお目にかかったときもそういうことを申し上げて、実際には安全審査会を、今度は詳細設計からウラン試験の段階、それからその次のホット試験の段階ごとにその審査会がそのまま温存されて、いわゆる大山委員会的表現をかりれば、高名な大学の先生方に、まあ大学の先生方ばかりではないんですが、そういう人たちにパートタイムで結局審査をやらす、それが工場の実際竣工検査までそういう方々にやらすという実はシステムになっている。これは私ははっきり制度上の欠陥だろうと思います。これはむしろ国会の方で直していただくようなことをお考えいただけないかというふうに考えておるわけです。この再処理工場に関しては、現在でもそういう体制ということになっておるということを申し上げておきたいと思います。
 それからもう一つは、そのマイナートラブルというのは、これはまあいろいろ恐らく国会あたりで追及をされるからそういう御返事をなさるとは思いますが、むしろ動燃の事故で私が気になっておりますのは、技術士の欠陥だけでなくて、一つは体制上もう少し、何といいますか、私は大変失言、まあ大変乱暴なことを書いておりますが、本当に職場で民主主義は保障されているだろうかということを書いたんです。これはもう違っているというんならそうおっしゃっていただけばいいんですが、実際の従業員の意見をどんどん取り入れるようなシステムに果たしてなっておるだろうかということが大変気になっております。この事故の経過をながめておりまして、なっておるということを申し上げたい。と言いますのは、いろいろな事故がどうも――たとえば具体的なことを申し上げた方がいいのかもしれませんが、一つのセクションと一つのセクションの間の相互連絡がどうも非常に悪い、それで思わざる事故が発生しているというような感じが非常にいたすわけです。それは今度の蒸発かんの事故でも、ずっと昔のガンマ線の被曝事故というのがございましたけれども、その場合でも、共通しているのはどうもそういう点で、そのために、これは外部には被曝はしてないかもしれません、放射能は出てないかもしれませんが、従業員の被曝というのは私は相当無用な被曝がふえていはせぬかということを心配しておるわけであります。
 再処理工場のことについては一応その程度のことを申し上げまして、次に進ましていただきたいと思いますが、スリーマイルアイランドの事故につきまして、学術会議では、これは私なんか原子力研究所におりますものですから、幾らかむしろぼけておりまして、そうでない会員の方々からは非常に重大だという――むしろ原子力を専門としておられない委員の方々の方が、率直な感じとして、これはどうなんだということで問題が出されまして、いろいろ議論をいたしました。
 で、その第一回目の議論をやりましたときに実は一番問題になりましたのは、安全委員会が三月の三十日に日本ではああいう事故は起こり得ないんだとおっしゃったことに対しましては、もうすべての方が一致してあれはおかしいと、それから伏見会長も大変困るということで、電話で早速吹田原子力安全委員長あてに、安全委員会は最後の言葉を言うべきであるということを申し入れられたということをわれわれの委員会の方にも来ておっしゃっておられましたけれども、この点では、その後安全委員会はすべての原発を点検するということで、せっかく三月二十七日に営業運転に入ったばかりの大飯原発をあえてとめて点検するということになったのは、そういう意味では国民が大変信用する、安全委員会の国民の信頼という点では非常に評価が上がったことだったんではないかというふうに私どもは考えているわけです。
 ところがその経過を見ておりますと、学術会議が実は率直に心配しておりますのは、前回の原子力基本法の改正によりまして原子力発電が通産省の所管になったために、通産省が今回は原子力安全委員会の指示、指示といいますか要請どおりにとめて点検するということになりましたけれども、学術会議なんかの方ではかえってあれでいいんだろうかと、原子力安全委員会の権限は十分なんだろうかということについて皆さんはむしろ危惧を持っておられまして、それはどうしてそういうことになったかと申しますと、アメリカのNRC、原子力規制委員会がどういうことをやったかということと対比いたしまして、まず機構的に非常に小さいのではないか、これはもう皆さんよく御承知のことと思いますが、NRCというのは二千七百二十三人のスタッフを持っておる非常に膨大な機構でありますし、安全委員会の方は、まあ安全委員の方五名のほかには非常に小さい事務局、十数名の事務局を持っていらっしゃるにすぎないというような点で、余りに弱体ではないかということがあります。それからもう一つは、学術会議の中でも原子力安全委員会というのはNRCと同じように行政委員会であるとお考えになっていた会員もたくさんいらっしゃるわけでありまして、それが違うということがわかりましてから大変驚いておられるというのが学術会議の一般的な反応であろうかと思います。ところが、外部から聞こえてまいりますのはその反対でありまして、とめたりすることはかえって問題であるというような意見が科学技術庁関係の某高官からなされているというようなことがまた大変心配されておりまして、逆に原子力発電所をとめる権限があるような安全委員会は困るんじゃないかというような意見があるということを聞いて、それは大変困ったことだというふうに私どもは考えておるわけです。
 それで、いま佐藤議員がおっしゃいました大飯原発のことでありますけれども、私、このことは学術会議の昨日の政府への申し入れの際の提案理由の説明にこのことを会員全部に御説明申し上げたのですけれども、実は大飯原発と申しますのは最新式の加圧水型炉、ウエスチングハウス社の最新型の原発でありますが、最新型ということは実証済みということではないのでありまして、それで、最新型のゆえんというのは、一つは格納容器が非常に小型化されております。これはアイスコンデンサーというものを使いまして、百万キロであるにもかかわらず非常に小型の格納容器を使う。しかし、格納容器が大きいということは事故の際に有利なわけでありますけれども、それを小型化したために、これは別名効率化したわけでありますけれども、それだと安全性に疑念が生ずるわけで、それを確保するためということでつけられたのがさつき御指摘のありましたUHI、アッパー・ヘッド・インジェクション・システムであります。
 これは、加圧水型炉の圧力容器の上面というのは、加圧水型では制御棒が上についております。沸騰水型は下から制御棒が入りますが、加圧水型は上から入りますから非常に複雑な構造になっておりますが、そこのところへパイプ、実際には制御棒の案内管を通って水を注入するというような非常に複雑なシステムになっております。まあしかし、考え方の上でどういう点が進歩しているかと申しますと、これはモーターを使わないで一種の蓄圧系ですね、つまりモーターがあるということは電源がなくなってしまった場合には作動いたしませんから困るわけですけれども、安全装置としては問題があるんではないかと、だからいわゆる圧力を、初めからガスで圧力を加えておいて少量だけでも水が入るようにしようという考え方がこのUHIであります。
 これは実は大飯で初めて採用されたシステムなんですが、この軽水炉全体がこういう点私非常に問題だと思うのですが、実際はテストされていない装置であります。で、科学技術庁から原子力研究所にテストの依頼がございまして試験をしたのがROSAIIの試験でありますが、その結果はこういうふうになっております。むしろ冷たい水をそういういまのような上部から注入すると蒸気の凝縮作用が起こってしまう。つまり熱い蒸気が充満しているところへ冷たい水が入りますから蒸気が凝縮して水になって、それで原子炉の中がかえって減圧される。それによって炉心を冷却している水がかえって何といいますか吸い上げられるような作用がROSAの装置では起こった。もちろんこれは規模と条件が実際の炉と違うわけでありますから、そのときに起こった原研の実験データ、たとえば原子炉の炉心の温度が非常に高温になったというような温度のとおりに実炉の場合がなるということを言うつもりはないということは研究者が言っておるわけですけれども、そうではなくて、むしろそういうふうに熱い蒸気のところへ冷たい水が入ると凝縮減圧作用が起こるということは非常に一般的なことだから、これについては安全審査のときに十分そういう考え方を取り入れてほしいということを警告いたしまして、実際にはこれは中間段階の試験の段階で安全審査会に中間報告が出されておるようであります。たしか安全審査は五月の――千九百何年でしたか、ちょっと……。
#93
○佐藤昭夫君 七六年。
#94
○参考人(中島篤之助君) 七六年ですね。七六年の五月の十九日か何かの日付の安全審査でどういう評価を行ったかという結果が出ておりますが、それには中間報告が出されただけだというふうにわれわれ承知しておるわけであります。それで、そこでは原研の結果は参考にしたというふうに書いてありまして、そのかわりに三菱の高砂研究所で行ったデータをとったというんですけれども、これは私大変意外なことだと思いますのは、高砂研究所の実験というのは非常に小規模のものでありまして、原研のROSAの実験というのはこれは現在のところでは一番大規模な模擬実験であろうと思うわけです。それで、原研の実験の後で、最近ウエスチングハウスがセミスケールの実験を、MOD3という名前のセミスケール実験をやっておりますが、MOD3という実験は、燃料棒の長さは実炉と同じ長さでありますが、燃料棒の数はせいぜい二十五本ぐらいのものでありますのに、原研のROSAは燃料棒の長さの方はたしか二分の一ですけれども、燃料棒の数はたしか百本以上あるという大変大型な装置でありまして、そういう点をどうしてああいう判断になったか、私ども理解に苦しむわけであります。ですから、その点も実は安全委員会としては十分にお考えいただきたいと思っておるわけです。運転を再開するに当たっては十分考えていただく必要がある。
 ちなみに、大飯原発と申しますか最近の加圧水型炉というのは安全性よりもやはり効率を追求しているわけでありまして、初期の原子炉に比べますといわゆる炉心の一単位容積当たりの発熱量が非常に大きいわけです。たとえば、原研にあります動力試験炉というのはこれは自然循環型でありますけれども、それの五倍以上の熱出力と申しますか、百五キロワット・パー・リッターぐらいのたしか出力だったと思いますが、非常に効率化されておる。これは一面非常に危険だと、水がなくなればすぐメルトダウンにつながるということが問題であるというふうに思います。
 それから三番目の問題ですけれども、学術会議の総会で、昨日、会員の皆さんの賛成を得て安全委員会に申し入れをしようということになったのは非常に簡単なことでございまして、第一点は、原子炉事故の起こった場合の住民の安全対策と申しますか、生命、身体及び財産を保護するための責任体制の検討を行ってもらいたいということを言っておるわけです。で、これは、実はいま私が申しました生命、身体、財産という言葉は災害対策基本法に出てくる言葉なんでありますけれども、これはその方面の方の御注意で見てみますと、原子力関係の事故については災害対策基本法の適用外になっておるわけであります。それで、一方原子力安全委員会の所掌任務の第一に、原子力の安全の確保に関する政策を審議決定するということがあるわけで、その意味からも、まだ発足したばかりでありますが、安全委員会としても独自にそういう対策を立てていただきたいというのが第一項の趣旨でございます。
 それから二番目は、現在資源エネルギー庁がチームをつくりまして全国の原子力発電所の――これは加圧水型だけではなくて沸騰水型にも及ぶというふうに聞いておりますが、いわゆる特別保安監査ということを実施しておられるわけです。しかし、われわれ科学者の立場から見ますと大変心配な点は、それに科学者がどうも一人も入っていない。悪く勘ぐると科学者というのは後でもって必ずどこかでそれを公表したりするから外したわけではないと思うんですけれども、とにかくそういうことをおやりになっているので、その結果をわれわれが後で検討ができるようにしてほしいということがあるわけですが、その前に、安全委員会としてその特別保安監査をどういう方法でやるのか、その方法とそれから監査の結果と両方を独自に安全委員会ではチェックされるべきであろうと。これはダブルチェックをするのが任務だということをおっしゃっておるわけですから、当然そうなさっていただきたいというのが第二項でありまして、それを公表してほしいということが三番目であります。内容はそういうことでございます。
 それで最後に、原子力行政についてどう思うかということでありますが、実は今度のスリーマイルアイランドの事故で、私は、前の基本法の改正は軽水発電炉がプルーブンであるということを前提に通産省に所管が移行したんだろうと思います。ですから、研究開発用の原子炉は科学技術庁に残るということになったんですけれども、そういうことをもう一度私――私と申しますよりも学術会議のかなりの委員の方々は、どうもやっぱり実証炉というふうに決めてああいう改正を行ったのは少し早過ぎたんではなかろうかということが最大の問題であろうかと思います。しかし、そういうことになってしまったとすれば、本当に安全委員会が、行政委員会的権限を持った諮問委員会ではありますけれども、もっと権限を強めて、そういう安全確保のためにもっと強化されるのでなければ非常に問題ではないかということが次の問題です。
 それからもう一つ、スリーマイルアイランドの事故が起きまして改めて考えなければいけないのは、わが国の人口密度が非常に稠密だということであります。これは今度事故が起きたスリーマイルアイランドの原発のありますペンシルベニア州というのはアメリカでは比較的人口の多い地方でありまして、TMIの原発も、いわゆるアメリカのメガロポリスでありますニューヨークとかフィラデルフィアとか、そういう地方に電力を供給するための原子力発電所でありますけれども、しかし周辺八郡のたしか人口密度というのは平方キロメートル当たり九十人程度でありまして、大体周辺八郡というと日本の福島県ぐらいになりますけれども、福島県がたしか百五十人以下であります、百四十八人ぐらいでしょうか。福井県はもっと多くなります。百八十六人ぐらいになります。ですから、改めて私きのうそういうことも報告をいたしまして、やはりよほどの何といいますか、謙虚に受け取めるという一言で言いますが、よほど重大なふうに考えて対策を早期に立てる必要があるのではないかというふうに考えておるわけであります。
 全部にお答えになったかどうかわかりません。
#95
○佐藤昭夫君 あとのお二人にも御質問したいんですけれども、ちょっと時間を超えておりますので、失礼いたします。
#96
○中村利次君 本当にお三方どうも御苦労さまです。率直にこれは私も外交辞令でなくて、大変に傾聴すべき参考御意見を伺いました。中島参考人の結論は、いわゆる再処理法案は時期尚早といいますか、中島参考人の立場からは賛同できないという結論であろうとは思いますけれども、しかし御意見を伺いますと、私は原子力の平和利用は積極的に推進すべきであるという立場ですが、そういう立場から伺っていても非常に傾聴すべき御意見もございました。
 たとえば、軍事利用と平和利用は不可分である。したがって再処理は軍事利用と平和利用の分水嶺という引用をなさいましたけれども、これは私は否定できないと思います。ただ、科学者としての中島参考人にこういう御心配をかけなければならないというのは、これはまあこのことは明らかな政策課題であり政治課題でございますから、政府がこの軍事利用と平和利用についてしっかりした政策を持ち、やっぱり立法府の私どもがもうこれは監視をしておるつもりですけれども、国民の皆さんに御心配をかけないような体制をばっちりやっぱりつくっていかなければならないことだと思います。これは私はやっぱりそういう御意見もあるということで、今後も心して、断じて軍事利用にしない体制を続けていかなければならないとつくづく考えているわけです。
 そこで、まあこれは政策課題として、政治課題として、軍事利用は断じて行わないという体制を確立、存続をしなければいけませんけれども、先ほど瀬川参考人のお話の中にございました管理保存体制といいますか、単体としてプルトニウムを保存するんではなくして、ウラン・プルトニウムの混合体として保存管理をする技術開発を進めておるというようなことでございます。そういう点については政治の取り組みとしてはっきり確立するのと同時に、技術的にそういう技術の開発についてどうお考えになるか、まずお伺いをいたします。
#97
○参考人(中島篤之助君) 混合抽出法というのはカーター氏が言い出したわけでありますが、私はいままでの再処理――きょうは青地君も言いましたけれども、いわゆる確立したというそのピューレックス法というのは、本来どうもプルトニウムを純粋にとるために科学者が一生懸命やってきた方法でありまして、それを先生がおっしゃるような御趣旨で、それを開発、何といいますか、これは主として核ジャック対策なんかのためにウランをまぜとけと、そういうようなことはできないかというのは、これはできることはできるんですけれども、それがいわゆる工業技術として確立するというためには、まず基礎段階があり、それが実際に工場でどれだけそれがまた効果があるかというようなことを試すには相当時間がかかると私はむしろ思っておりまして、むしろその点ではカーター氏はかなり便宜的に、本来政治で解決すべきものを科学者の方へしりを持ってきたなと私はむしろ思っておるわけです。まあそういうことです。
#98
○中村利次君 私もやっぱりこれは本来政治が解決すべき課題であって、科学者の皆さんにそういう御心配をかけるのは筋違いだとは思いますけれども、やっぱり国民的ないろんな課題に対してはいろんな政治の態様、あるいは技術開発というものもあわせ考えていかなければならないことではないかと思うんです。
 時間が非常に短こうございますから、いろいろ実は時間をかけてお伺いをしたいことがたくさんございますけれども、先ほどからかなりスリーマイル島の教訓についての引用がなされておりますから、私もこの点について、私は実は中島参考人とはスリーマイルアイランドの教訓につきましては発想を異にしておりまして、三月三十日の安全委員長の、日本では起こり得ないという見解に、私は全くそのとおりである。なぜかといいますと、これは日本の場合、アメリカの場合だって私は何といいますか、違反運転をやっていたということではこれは済まない。メインポンプがトラブルを起こしたときに補助ポンプが全く、まあ補助ポンプが一台しかなくてそれがどうも起動しなかったというんならまだ話はわかりますよ。しかしアメリカにおいてもスリーマイル島では三台の補助ポンプがあったと承っておりますけれども、これを何か、時間がございませんから細かいあれはよしますけれども、とにかく弁が閉じられて全部起動しないような形で原子炉が運転されていたなんということは、これはもう日本ではとうてい考えられないことで、ですから私は大飯の停止についても異議ありと言っておりますのは、あの解析の、幾つかおやりになっておりますけれども、四台の補助ポンプが全部作動しなかったという場合のチェックをおやりになっておる。自分たちが一台の点検は、これはもう常に絶対という言葉を表現を使うことはどうだか知りませんけれども、補助ポンプは主給水器がトラブルを起こした場合には間違いなく起動できるようにというので点検はするけれども、それは一台であって、あとの三台は常に起動できるような体制でなければ原子炉の運転はできないことになっておる。ですからこれをスリーマイルアイランドの教訓として、全部とまった場合にはどうだといってこの間やっているわけでありますけれども、まさにこれはまあ過ぎたるは及ばざるがごとしと私は思うんですよ。
 それから、途中いろいろありますが、これは十分や二十分ではとてもできませんから、最後の、建屋内から放射能を帯びたあれですね、逃がし弁が閉じないで蒸気が流れて、それが建屋内の床にあふれてこぼれ落ちて、それを自動的に補助建屋にくみ出したと。これは日本の設計ではそういうことはできない設計になっておるはずでありますから、仮に補助ポンプが起動できなかったということでもうその先は終わりと私は思うんです、日本の場合には。しかしそれを百歩を譲って仮にああなったとしても、最後の締めくくりで補助建屋にくみ出すことは設計上も断じてないと。そうなりますと、スリーマイルアイランドの教訓は私は教訓として学ばなければならない。しかし、その事実を正しくそれを受け取ってこれにどう対応するかというそういうことが、私は正しい教訓を学び取る、貴重な経験として学ぶということだと思いまして、何かやっぱり国民の皆さんを不安に駆り立てるようなそういうやり方、取り上げ方で学ぶ教訓は私はないと思うんですよ。これはまあいろんなあれがございまして、短い時間で御意見を承ることができるかどうかあるいはわかりませんけれども、どうお考えになるか、私が指摘をしたような点についてのお答えをいただきたいと思います。
#99
○参考人(中島篤之助君) 時間がないそうでありますから非常に簡単に申し上げますと、これは実は今回の学術会議で二日目の日に、大阪大学の石谷清幹教授から安全技術の原則という講演を特別に実はしていただいたわけです。これは今回の事故に関連があったからそういうお話を伺ったんですけれども、実はその事故で一番学ぶべき教訓は、要するに事故は起きると考えて対処することということに尽きるんだと思います。非常に問題でありましたのは、起きないと考えてやっていたんではないかということが実は非常に問題でありまして、これは余り適切な例ではないかもしれませんが、最近日本で出ております百科事典をいろいろ引いてみると、原子炉の安全性という項目があるわけなんですが、そこでは、みんな起きないことになっておるんです。それは、みんなお書きになっている方は元原子力委員とか、そういう方々がお書きになっておられまして、こういう重大事故を想定したりなんかするけれども、事故は起きないということになっているんだというふうに書いてある。これはわれわれも含めて、やっぱり相当私も批判的なことを言ったけれども、やっぱり起きない、まさか起きないだろうと思っていたのが起きたというのをまず私は教訓にすべきだと。この点が第一なんです。
 それで、先生のおっしゃったように、実は環境にどのぐらい放射能が出たかとかなんとかということについてはまだデータがほとんどありませんで、われわれ安全委員会にお願いいたしまして、学術会議の方にも安全委員会が入手されたデータをいただけるようにお願いしてありまして、それはもうすでに実行されておりまして、きょう実は第一回目を学術会議で私受け取ってまいりましたけれども、ゆっくりと検討したいと思っているわけです。
 それで、何といいますか、私がむしろ言いたいのは、今度の、いま乏しいデータですけれども、環境に出た放射能の量、これは原研のある専門家の推定によりますと、一番少なく見積もって百六十万キュリー、それから多い場合数百万キュリー、あるいはその十倍ぐらい、千数百万キュリーになるかもしれないというような推定があります。ただ、幸いにしてこれはキセノンという寿命の短い放射性物質が大部分でありますから、ヨードのようなものは比較的少ないということですけれども、しかし、いずれにせよこういうものの出た量は、最大の想定事故、安全審査のときに考えたものよりははるかに多いということが一番問題なんです。ですから、結局やっぱり事故というのは考えてないことが起こったんだという現実を直視すべきだというのが私が第一に申し上げたい点で、先生のおっしゃるように、確かに日本ではそういうことは起こらないというよりも、実はアメリカでも起こらなかったはずなんであります。アメリカの安全審査でもああいうことは起きなかったはずなんでありまして、それをただ電子計算機の計算で大丈夫だというふうに考えたところにどうも非常に問題があったんじゃないかというふうに私どもは考えております。
#100
○中村利次君 ちょっとかみ合いませんけれども、お二方には申しわけございません。時間がなくなりまして、どうも済みません。
#101
○秦豊君 秦でございますが、きょうは本当にありがとう存じます。
 実はよんどころなく党務で外出をいたしておりましたが、失礼にわたらないように、お三方の御意見は私どものスタッフがメモりまして、私がそれを読み取った上で出席をいたしておりますので、最低のエチケットを守って質問をさしていただきたいと思います。
 瀬川さんにちょっと伺っておきたいんですが、ここまで日本の原子力開発がやってまいりまして、私自身はこの法改正には反対の立場です。なぜ急ぎ過ぎるか、なぜ民営か、この基本的なところがどうしても腑に落ちない。そういう前提であえて伺うんですが、瀬川さんの認識の中では、たとえばアメリカのニューヨーク州のウエストバレーにあったNFSの再処理工場、あれは確かに六六年に操業を開始した。しかし、七一年の十一月にはよんどころなく操業中止に追い込まれた。このややティピカルな失敗の例ですね、これは瀬川さんの認識の中ではどういうふうにそしゃくされているのか、なぜ行き詰まったのか、この辺ちょっと参考のために伺わしてください。
#102
○参考人(瀬川正男君) NFSの例につきましては私どもずいぶん検討したこともございますが、いずれにしましてもNFSのプラントをつくった時代と、それから私どもが東海プラントを設計した時代と、あるいは今後の民営再処理工場が設計される時代と、その間にかなりの年数の差がございまして、たとえばNFSが建設されたころの環境に対する規制、そういうものと私どもが東海プラントを建設したときの規制、あるいは私どもの工事が終わったころの環境に対する規制、これは非常に差がございまして、私はNFSの工場が規制されたころで、御指摘のような年数で操業が行われて、ある程度改造を要すべき段階に来たときに、そのままの姿で改造はとうてい困難である、むしろ新工場をつくった方が安上がりであるというふうな規制上の問題が非常に大きく響いたんではないかと思います。それからもう一つは、廃棄物処理対策というものが非常に時代おくれであったということが言えると思います。
 それから、御指摘ではなかったんですが、例のGEのモーリス工場でございますか、あれも非常に鳴り物入りで半乾式のプロセスであるとか、あるいは非常にコンパクトであるとかというようなことで、日本に来ても大分宣伝されましたが、私どもも着工する以前にそれを大分聞きに行ったわけですが、私どもはそれを聞いておる間に、このGEの工場は動かないんじゃないかというふうにも考えたわけです。つまり再処理工場をコンパクトにつくるということは、再処理工場というのは途中でいろいろな手直しをやるということはどうしてもつきまとうのでありまして、コンパクトにするということは手直しをきわめて困難にするということと逆行するわけでありまして、そういうふうに時期時期によって非常に考え方が変わってきたという点が非常に大きな原因かと思います。
#103
○秦豊君 私自身は瀬川さんがおっしゃった後のある部分、たとえば高レベルの廃棄物の固化技術、この展望が全く持てなかった。後は周辺一帯の汚染がもう調べれば調べるほどはなはだしいから、瀬川さんのお言葉をかりればそこの再建は無理で、新しくつくった方が早いと。ところが、それももう世論が許さないほど典型的な汚染源になったわけですね。だから行き詰まったと私は思っています。
 そこで、なおかつ瀬川さんに伺っておきたいんですが、それでは二時からの瀬川さんの御意見をメモで拝見をいたしますと、瀬川さんはやはり基礎研究も十分やってきた、遜色はないと、国際レベルに対してというふうにも受け取れる御意見を述べておられます。一種のこれはバラ色の未来論だと思いますね。技術革新論だと私は思うのですけれども、しかし、それではこういうことはどういうふうに処理されますか。たとえば、再処理工場でよく言われておりますMUFの問題、マフと俗称されております扱うプルトニウムの一%がどうもトレースができないという問題に対しては、日本の技術水準ではすでにそれは完全に解決されておりましょうか。
#104
○参考人(瀬川正男君) ただいまの、要するにプロセスとして途中で消えてなくなるMUFの問題につきましては、私ども非常に真剣に取り組んできたわけでありますが、最初に申し上げたウランを使うコールドテストでございますか、その段階では途中で消えてしまうウランがかなり多いので私ども心配いたしましたんですが、先ほど申し上げましたように、ウランテストそのものを約二年にわたって――ずいぶん長い期間でございましたが、その間に大分ウランの不明量、MUFも非常に改善されまして、その経験からさらにホット試験になりまして、MUFの一番大事なのはプルトニウムのMUFのわけでございますから、これは非常に成績がよかったというふうに私は思っています。一%なんかよりはるかに下で試験をやることができたというふうに、MUFの点では私は大丈夫だというふうに思っております。
#105
○秦豊君 中島参考人、いま瀬川さんがお答えになったホット試験のところのパーセンテージですね、MUFの、あれは中島参考人のお立場からお述べになるとどういうふうになりますか、あれは正しいんですか、それとも疑わしいんですか。
#106
○参考人(中島篤之助君) 私きょうMUFのことはちょっと調べてこなかったんですが、たしか御発表になっていると思いますが、一%を切ったらそれはいい方じゃないでしょうかね。
#107
○秦豊君 そこで、たしかこれは一九七七年に東京・ワシントンで日米間にかなりシリアスな交渉があって、さんざん日本政府も対応にしどろもどろであった例の日米間の、特に東海村をめぐる交渉があって、落着をしたときの、合意したときの共同声明を見ると、日米「両国は、プルトニウムが核拡散上重大な危険性を有するものであり、軽水炉でのそのリサイクルは、現時点では、商業利用に供される段階にはなく、その尚早な商業化は避けられるべきであるとの見解を共有する。」と、これが日米間にあれほど厳しかった交渉の決着点ですよね。いま七九年ですね、満二年たっていない段階で、そんなに日本の科学技術庁や通産省や動燃の瀬川さんやその他多くの方々や電力業界の皆さんがすわとばかりに意気込むほど技術的なレベルが急速に二年間で高まり、そのことが国民の合意を形成しつつあるとも私は思えないんですよね、実のところは。だから、私自身はもちろんいろんなものを調べますけれども、なぜ急ぐかという一番素朴な――私ども素人ですから、私は。素朴だが頑強なこの疑念ですね。あなた方専門家はさりげなく大丈夫だ大丈夫だ、大丈夫なことを積み重ねた、MUFも一%を切っている、諸外国よりむしろちょっと進んでいるんだとおっしゃる、そこまでおっしゃってないけれども、だからいいんだというふうな御説明なんですけれども、中島参考人にこれはぜひ伺いたいんですが、なぜ業界並びに私の申し上げた方々はお急ぎになるのか、果たしてその路線は安心できるのか、その辺ぜひお伺いしたい。
#108
○参考人(中島篤之助君) 実は私は冒頭陳述でなぜ急ぎ過ぎるのかわからないという立場を申し上げたんですが、私がむしろこの法案に反対だというのは、いま言ったような国際情勢との対応を見きわめないでこういう法案が出されていることも一つの理由でありまして、非常におかしいと。それで、いま秦先生がおっしゃったとおり、商業再処理、つまりプルトニウムを軽水炉に循環するということができないとしますと、これは高速炉ができるまではプルトニウムはとっておかなきゃならぬということに当然なるんで、そんなに急いでいま法案を通して民間にということは必要ないと私は思います。
#109
○秦豊君 たとえば、じゃ瀬川さん、これは瀬川さんに伺うか科学技術庁長官か新しくできる新社の社長かこれはわかりませんね、あらゆる人に伺わねばなりませんが、たとえば、将来方向としまして、通産省が構想しているようなのは一種の核燃料パークというか、パークというとやや語感がロマンチックになりますが、しかし、大変危険な広大なエリアを考えている、システムを、核燃料サイクルの確立と称して。ところが、INFCEの方向あるいはヨーロッパのあれを見ると、INFCEはまだ結論が出ていませんが、たとえば、RFCC、こういう核燃料再処理の地域センターのようなものを構想するという場合は、やっぱり北東アジアでは日本ということに勢いなりますよね。それがミクロネシアに、あるパークのある使命を持った空間ができるのか、それはわかりません。主たる技術的なグループというのは日本でございましょう。ところが北東アジアというのは、特に核をめぐる問題では非常にデリケートな国々が集まって形成されている地域である、中ソ対立も険悪である、あるいは朝鮮半島と考えますと、そういうところに、今度はそういうものを技術的に担う中枢部分としては民営の会社として機能する日本の新社があるわけですね、一方は国、国、国がひしめいているわけですね。果たして、そういうこと一つをとっても、私は民営という企業体の形態が、機構が妥当なのかという点がわからないんです。これも中島さんに伺っておきたいんです。
#110
○参考人(中島篤之助君) その点は、実は同じことを私昨年の衆議院の科技特でRFCCのことに触れまして、ヨーロッパの場合にはそういう経験があるけれども、日本では非常に事情が違うということを、たしか六月一日の――きょうここへ持ってまいりましたが、一応申しておきました。それで、その成り行きもわかりませんが、いま通産省が急いでおられる一つの理由は、これはプルトニウムの問題もあるけども、実は廃棄物処理の問題をいままでのパターンでいくと、やっぱり再処理した高レベル廃棄物を固化して何とか処分するんだという一つの考え方がありまして、それからやっぱり何とかしないと、発電炉の方だけが肥大化しちゃっているということから、ほうっておくとトイレなしマンションという汚名はいつまでたっても消せないということからお考えになっているんではないかと。しかし、それを本当に確信を……、で、民営ということで私非常に疑問に思うのは、実は、動燃の再処理工場も実際につくりましたのは日本揮発油――日揮・サンゴバンがやったわけで、十分、かなり民間が実際はつくるということになるわけで、民間の力が国がやったら動員できないように言われるのは私は全く理解できないです。むしろ、責任体制からいっても私は高レベル廃棄物なんかは当然国が考えるべきであろうと思っているわけです。この点では、先ほど御紹介しましたように、昨年も田島先生もそういうことには御賛成であるということでありますから、民営をなぜおやりになるのか、大変困ると。私としてはむしろ心配なのは、民営になることによって企業機密その他のために、原子力基本法にいうところの公開の原則なんかが侵害されるようになっては非常に困るという立場も申し上げたわけです。
#111
○秦豊君 なるほど。
 若干ございますから、瀬川さんに最後に。
 この電気事業連合会のあれをちょっと拝見しますと、おたく、つまり「動燃事業団の技術成果を最大限に活用しつつ」、こうなっているわけですね。以下いろんな分野があって、「機器開発」と「プロセス開発」と「放射性廃棄物の処理」というのが三部門並んでいるわけです。これはしかし、この中で一番むずかしいなと、手ごわいなというのは一番最後の廃棄物処理の分野じゃないんですか、どうなんですか。
#112
○参考人(瀬川正男君) 私は、廃棄物処理はプロセス技術よりはテンポがおくれていることはこれは確かに御指摘のとおりだと思います。しかし、廃棄物処理のうち低レベル廃棄物あるいは中レベルあるいは気体廃棄物、その辺は大体私は、私どもが現在技術開発をやっておりますが、これは多分に可能性はある。で、御指摘は多分高レベル廃棄物のガラス固化というようなものがまだ余り進んでないじゃないかという点が主ではないかと思いますが、しかし私どもはまず第一に、高レベルの液体廃棄物は今後五年間ぐらいは特殊なタンクへ貯蔵できるというふうに、初めから長期貯蔵を一応織り込んでありますし、その間私どもはガラス固化の技術開発を進めるというための設備を現在建設中でございまして、このガラス固化の技術開発を国内でやって、昭和六十年ごろに、すでに現在フランスが実証化しているガラス固化技術と比べてチェックして、どっちがいいかわかりませんが、そのころにこの民営再処理工場にガラス固化を採用する。そのときに、動燃がやった技術を採用するか、現在すでにフランスがつくっておるガラス固化技術を採用するか、それはわかりませんですが、いずれにしても私は昭和六十年ごろには見通しはつけられると。もっとも、それ以前にフランスはフランスのガラス固化技術を買えということは恐らく言うてくるとは思いますが、しかし、日本でもできないことはないと思います。それと、最近たとえば旭硝子さんのような会社がようやく腰を上げて本格的にタイアップするという意思表示をしておりますので、私は、日本の技術は一応これに対策を講ずることができるというふうに考えております。
#113
○秦豊君 どうもありがとうございました。終わります。
#114
○委員長(塩出啓典君) 他に御発言もなければ、本日の参考人の方々に対する質疑はこれにて終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には予定時間をオーバーしたにもかかわらず長時間にわたり当委員会のために貴重な御意見をお聞かせくださいまして、まことにありがとうございました。委員一同を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後五時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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