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1978/05/09 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 科学技術振興対策特別委員会 第10号
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1978/05/09 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 科学技術振興対策特別委員会 第10号

#1
第087回国会 科学技術振興対策特別委員会 第10号
昭和五十四年五月九日(水曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         塩出 啓典君
    理 事
                源田  実君
                長谷川 信君
                松前 達郎君
                藤原 房雄君
                佐藤 昭夫君
    委 員
                岩上 二郎君
                熊谷  弘君
                後藤 正夫君
                中山 太郎君
                望月 邦夫君
                山崎 竜男君
                吉田 正雄君
                中村 利次君
                柿沢 弘治君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       金子 岩三君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      半澤 治雄君
       科学技術庁振興
       局長       山口 和男君
       科学技術庁原子
       力局長      山野 正登君
       科学技術庁原子
       力安全局長    牧村 信之君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        児玉 勝臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   説明員
       警察庁警備局警
       備課長      依田 智治君
       防衛庁防衛局運
       用課長      児玉 良雄君
       国土庁長官官房
       防災企画課長   柳   晃君
       消防庁地域防災
       課長       中川  登君
   参考人
       動力炉・核燃料
       開発事業団理事  中村 康治君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
 する法律の一部を改正する法律案(第八十四回
 国会内閣提出、第八十七回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(塩出啓典君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(塩出啓典君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、本日の委員会に動力炉・核燃料開発事業団理事中村康治君を、また、来る十一日の委員会に電気事業連合会副会長正親見一君、原子力資料情報室高木仁三郎君、東京工業大学教授河村和孝君、動力炉・核燃料開発事業団理事長瀬川正男君、日本学術会議会員中島篤之助君及び日本原子力研究所高温工学室長青地哲男君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(塩出啓典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(塩出啓典君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○吉田正雄君 先般の委員会でも、原子力発電所の事故に伴う災害の発生、これに対する対策というものをどう講ずるのかということでいろいろお尋ねをしてまいったのですが、なおはっきりいたしませんし、残された部分もございますので、本日さらにこの問題について継続をしてお聞きをいたしたいと思います。
 この前もお尋ねをしたんですけれども、「原子炉立地審査指針及びその適用に関する判断のめやすについて」というのが昭和三十九年五月二十七日に原子力委員会で決定をいたしておるわけです。ところが、この目安というものについては最後のところにこういうふうに書かれておるわけです。「上記めやすは、実際に原子炉事故が生じた場合にとられる緊急時の措置に関連するめやすとは異なった考え方のもとに定めたものである。」と、こういうふうに書かれておるわけです。したがって、現実にそれでは原子炉事故が発生したと想定した場合の具体的な防災対策あるいは応急対策というものについてどのような計画なり対策というものが講ぜられておるのかという点、この前からお尋ねをしておるわけです。とりわけ、災害をどのように分類をし、この災害の中には当然原子炉事故そのものの規模というものが前提になって、たとえば最大事故であるとかあるいは想定事故というものが出てくるわけですね。その事故に応じて放射能漏れが出てくる。その放射能漏れの程度に応じて、呼び方は一級でも一種でもいいですけれども、そういう災害というものが何段階かに分けられると思うのです。それに応じた防災対策というものが立案されておるのかどうか。このことをまず当初にお聞きをしたいと思うのです。
 もうちょっと具体的に申しますと、たとえば最大事故が生じた場合、放射能漏れが出る。その場合に一体何キロくらいまで、その当時の気象条件によっても違うと思うのですけれども、ちょうどこの前もお話し申し上げましたような、原産会議でやっているような、たとえば、どれだけの放射能漏れがあって、気象条件に従ってどの範囲までがどの程度の放射能漏れがあるのかというふうな想定を行った対策、こういうものが現にあるのかどうなのか。当初にお聞きをしたいと思うのです。
#7
○政府委員(牧村信之君) 現在の安全審査におきます立地の目安につきましての先生の御指摘は御指摘のとおりでございますが、万々一の事故時におきます災害対策に対しまして、このような事故想定に基づく対策を立てるという方針で現在のところは臨んでいないわけでございます。
 以前にも説明申し上げたかと思いますが、災害が起きまして防災対策を実施するに当たりまして、退避等の基準というものを放射線審議会で御議論いただきまして、そこの答申をいただいた線量によりまして、地域住民の被曝を防止する目安線量を定めていただいておりまして、それに基づいて防災業務計画の退避等の施策を講じるという体系を現在とっておるわけでございます。したがいまして、先生の御指摘のような事故想定をして、それに合致した対策をモデル的につくっておいてそれで対処するという方式を現段階ではとっていないということでございます。この点に関しましては、スリーマイルアイランドの事故等を参考にいたしまして、万々一原子力施設で事故が起きたときに、効率的にワーカブルな事故対策をとるための技術指針につきましては、現在の住民が受けるであろう線量の目安をつくっておくということが一番いい方法かどうか。この辺についてはいろいろな議論のあるところであろうかと考えておりまして、私どもといたしましては、その辺の考え方につきましては、原子力安全委員会にこの事故対策等に関します特別な専門部会を設置を決定しておりますが、そこで各専門家の御意見等を徴しつつ御議論をいただきたいというふうに考えておるところでございます。
 それから気象の問題につきましては、原子力施設の設置をいたします場合に各種の気象条件を設置前から入手しておりまして、その原子力施設が設置される地域の風向き等の気象条件というものは把握されておるわけでございますので、事故時におきましてもそのデータが活用されるわけでございますが、何分にも緊急時における災害予測というようなことからは、なおそのデータを使って的確に予測する手法というものをこれから考えていかなくちゃいけないんではないか。一部アメリカにはそういう手法が開発され、今回の事故に当たりましてもそういうものが活用されたということを言われておりますので、その辺の調査を十分いたしまして、これもそういう点について必要な試験研究を行いまして、実際に事故がありましたときに都道府県等が適確な指示を出せるような解析手法というものを確立していきたいというふうに考えておるところでございます。
#8
○吉田正雄君 この前いただいた各県の防災計画の中で、茨城が一番最初に計画ができ上がったと思うんですけれども、この茨城県の場合を見ますと、第十二節のところで「原子力災害応急対策」、ここで、災害の分類を「第一種」、「第二種」、「第三種」、「第四種」というふうに分けてあるんですけれども、この分け方の文章表現というのはきわめて抽象的なんです。したがって、この分類については科技庁側では科学的にはどういう基準といいますか、判断の根拠というものが何に基づいてなされるのか、もし決まっておったらお聞かせ願いたいと思いますし、特段の基準がないというふうなことであれば、それはそれで、全国的にやはり統一された基準でないと困るわけですから、そういう点では統一的な基準というものを今後おつくりになる考え方がおありなのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
#9
○政府委員(牧村信之君) 県によりましては、先生御指摘のような一種、二種、三種というような定め方をしておることは事実でございます。これの考え方は、大体におきまして県が対策本部をつくり、あるいは地元の市町村がそれに対応した本部をつくるような際の地域の指定と申しますか、事故の大きさによってこの地域だけでいいというようなことを配慮した規定であるようでございますけれども、私どもの方の指導基準の方からはっきりしたその辺の方針が示されていないことは事実でございます。私ども今回の問題を契機に、そういうようなきめ細かい指導をぜひしなくちゃいけないんじゃないかというようなことで、いま鋭意検討中でございますが、この事故想定との絡みとなりますと非常に技術的な問題との絡みがございます。したがいまして、そういうような問題は安全委員会の御検討の結論を踏まえてやりたいと考えておりますけれども、現段階で早急に対処しなければいけないということを考えておりますうちの一つとしては、万々一の事故が起きましたときに、中央でそういう点を都道府県を十分指導できるような体制をまず政府間でつくる必要があるということ。それから専門家を直ちに派遣いたしまして、県並びに市町村が行う防災対策に対して適確な助言を与える専門グループを派遣いたしまして、それの助言を得つつ市町村が適確に対応できるようなことを早急に検討すべきである、そういう体制整備を早急にすべきであるということで、いま関係省庁と協議しつつ鋭意やっておる、その指導、助言の体制につきましては可及的速やかに体制をつくることを考えておるところでございます。
#10
○吉田正雄君 大体わかりましたけれども、私は、この分類といいますか、想定というものは非常に大切だと思うんです。非常に高度な科学的な知識と、それから観測機器、さらにはその防災体制に必要な装備等非常にすぐれたものがなければいけないわけで、市町村段階でそれだけの体制があるというふうには現状では考えられないわけです。そこで、それなりの基準というものをやはり科技庁、所管官庁で早急に策定をして自治体に周知徹底をしていく必要があるんじゃないかというふうに私は思っているわけですので、その点ひとつ十分配慮していただきたいと思うわけです。
 次に、同じく茨城の場合が一番詳しく書かれておりますから見たんですけれども、災害基本法によりますと、五十八条からじっと六十何条のところにわたって、退避であるとか、あるいは立入禁止というふうなことが言われておるわけです。茨城の場合を見ますと、どの町内の皆さんはどういうぐあいに退避をする、さらには退避場所が掲げられておるわけです。この退避場所が、学校が中心というよりも、全部学校を退避場所に指定をしてあるわけですけれども、この収容能力の問題よりも、事故の規模によってこの退避場所が実は退避場所としてはきわめて不適格だという、きわめて原子炉に近いところが非常に多いんですね。ちょっと見てみましたら、十一の市町村にまたがっておるわけですけれども、八十三カ所の退避場所のうち五キロメートル以内が十七カ所です。想定人員が二万五百五十人になっているわけです。それから十キロメートル以内になりますと五十七カ所、七万九千八百八十七人。最近人口がふえているのか減っているのかちょっとわかりませんが、これはたしか昭和四十九年の四月一日現在の数字なんですが、こういう結果が出ておるわけです。そういたしますと、先般のスリーマイルアイランドの事故から見ましても、五キロ以内とか、場合によっては十キロ以内という小学校なり中学校というものが、実は避難の場所としてはきわめて不適格ではないかということも想定をされるわけですし、仮にそれが適格であったとしても、次に一体どういうふうにして避難をさせるのかという具体的な避難のやり方、これは私は大変じゃないかと思うんです。当初報道されたスリーマイルアイランドの場合ですというと、約三十分間くらいというのは三十メートル道路が自主的に避難をする人たちの車によって渋滞をしたということが言われておるわけです。したがって、この避難先へどのように誘導するのかという点については、これはもう科技庁とか通産ということではなくて、私は消防庁あるいは警察庁、さらに深刻な事態によっては八十三条に基づく自衛隊の派遣というふうなことも出てくると思うんです。
 そこでちょっと消防庁にお聞きをしたいんですけれども、消防庁の方では茨城県の原子力災害応急対策については、これはもちろん地元でも協議をされておると思うんです。したがって、第一種、第二種、第三種、第四種という災害区分に従って、たとえば第四種等の場合、具体的に避難というものが市町村長なりによって発動されるというふうな場合、どういうふうに退避をさせるのか、具体的な何か計画がおありでしょうか。このことは同様に治安対策とも絡んで、警察とも十分協議をするということがこの中に書かれてあるわけです。たとえば、「原子力災害の特殊性に鑑み、退避地区及び立ち入り禁止地区の警備の方法及び警備に従事する職員の防護措置等について、あらかじめ治安当局と充分協議しておく。」ということですので、私は当然これは協議が済んでおるんじゃないかというふうに思うわけです。
 ちょっとくどくなりましたが、そこで改めてもう一回お尋ねしますと、消防庁の場合には、こういう茨城県の防災計画等については十分事前に協議がなされておったのかどうかということと、具体的にこれらの退避、避難命令が出た場合の誘導等について、消防庁がどのような任務分担を負わされておるのか。まずこの点、消防庁にお聞きをしたいと思うんです。
#11
○説明員(中川登君) ただいま御質問のうちの、警察との協議の問題は、これは協議をやっております。
 それから、避難の方法でございますけれども、避難といたしましては、一応一般防災計画の方に避難のために使う車だとか船舶だとかいうふうなものはどれだけあるかということを調べておりまして、それを集めまして、それによって避難するというふうに相なっております。
#12
○吉田正雄君 先ほどもちょっと数字を申し上げましたけれども、十キロメートル以内ということになりますと、五十七カ所、約八万人の人間を避難をさせなきゃならないんですよ。八万人というと、これは大変な数なんです。自家用車で逃げる方もあるんでしょうけれども、自家用車を持っている人ばかりでもありませんでしょうし、寝たきりのお年寄りであるとか、あるいは病院の入院者であるとか、あるいは学校の児童生徒等の避難、これは何万人ということになりますと、もうその辺の自動車会社のバスなんかではとても間に合わない。そういう点で、茨城県の場合には、具体的にこういう避難という事態が出たときに、一体どういう輸送体制がとられるのか。これは消防庁とあわせて警察庁にもお聞きをしたいと思うんですが、警察庁ではこの辺どのようにお考えになっているのか。また、その場合の交通規制等もあると思いますし、これだけの人間をもし避難をさせるとすると、一体どれだけの時間がかかるのか、こういうことも、もしわかったらお聞かせ願いたいと思うんです。
#13
○説明員(依田智治君) 茨城県警の方では、県の防災計画等に関連しまして、突発事案対策の措置要領と、それから地元の勝田警察署でも、放射能漏れ等に対する警備計画というのはつくっておりますが、いま御質問のような、具体的に車両が何台で何分かかるというようなものにつきましては、実際には詰めてないというのが現状でございます。
 現在、あの事故以来、警察本部長を長として、原子力施設対策委員会というのを設置して、そういう具体的な問題について関係機関等とも検討を進めてまいりたいということで鋭意努力しておるという状況でございます。
#14
○吉田正雄君 現状御説明のとおりだとすると、事故が起きた場合、私は大変な事態になるんじゃないかというふうに思うのです。まず、誘導すべき消防庁なり警察庁なり、それから、これは自衛隊にもお聞きをしたいと思うのですけれども、仮に災害出動命令が下令された場合、一体どの程度の防護をして、どの程度出動できる態勢にあるのか、いま言ったように、避難民をどれだけの自動車を用意してという計画はいまのところはっきりしないということですので、それはそれとして、警察なり自衛隊なりにいま言った八十三条に基づく緊急出動命令が出たという場合に、その出動部隊がまず避難しなければならない二次災害というふうなことでは困るわけですから、そういう点で、どれだけの防護態勢というものが、装備がなされておるのか。また具体的に避難を誘導する、さらには情勢に応じて、立入禁止という措置がとられるわけですから、そうした場合の交通制限等、私は相当の人員というものを必要とするのじゃないかというふうに思うのです。
 そこでまず、警察庁では各施設を有する県にどの程度の装備があるのか。これは、北海道にありますと言って、北海道から福井まで持って行くなんといったんじゃ、これは役に立たないわけですから、そういう点で、現に原子力発電所が設置をされている県の消防庁なり県警なり周辺自衛隊のそういう緊急事態に即応した出動態勢、これがどの程度現状で可能なのかどうなのか。これは私は国土庁にもよく聞いておいていただきたいと思うのです。これは全体計画になっていると思いますので、そういう点で、各県ごとに一体どの程度のものがあるのか、現状がわかったらまずお聞かせ願いたいと思います。
#15
○説明員(依田智治君) 前回にもお答えいたしましたが、五十三、五十四年度で百四十程度の被曝防止器材を関係府県に整備するということで、具体的に茨城では現在二十近くというように聞いておるような状況でございますので、これではどうしても被曝防止服を着装して出なければ危険であるというような状況下では大部隊は出動できない。まあ結局、周辺対策に当たるということになりますので、これにつきましても鋭意今後検討していかなければならないというふうに考えております。
#16
○吉田正雄君 自衛隊の方に、防衛庁にちょっとお聞きをしたいのですが、見えておりますでしょうか。――
 どういう事故が起きるか、私どもとしては、事故が起きない、安全性の確立のために最大限努力をしてもらうということは、これは当然なことなんですけれども、しかし行政のあり方としては、まさに万々一に備えて、仮に事故が発生した場合にどういう対処のやり方をするかという点で、やっぱり計画がなければいけないと思うのです。
 そこで、普通の地震、火災と違うわけでして、最悪の場合、汚染源を拡大をしない、極力縮小するというのが、私はこの原子力災害の基本原則だと思うのです。冷酷な言い方をするならば、死の放射能を浴びた、あるいは死の放射能というものを積んだ、あるいはいっぱいつけた自動車というものが周辺に向かってどんどん拡大をしていくということになったら、これは私は収拾がつかなくなると思うんです。そういう点で立入制限、逆に言うと、ひっくり返して、その地域の住民というものを一定地域に、ちょうど伝染病のように隔離をする事態だって私は最悪の場合生じてくるんじゃないかというふうに思うんです。そうなりますと、もう消防庁であるとか、場合によっては、もう警察自体の治安維持という範囲内ではその事態というのは処理し切れないのではないかと私は思うんです。そうなった場合に、自衛隊として立入制限から、避難ではなくて、逆に隔離というふうなことになった場合の出動準備態勢が一体整っておるのかどうか。これは先ほども申し上げましたように、放射能防護という、そういうものがなければいかぬわけですけれども、そういう態勢が一体自衛隊にあるのかどうなのか。
 さらには、私はもう一つ法的な面でお聞きしたいと思いますのは、立入制限とか避難は命令ができるというのは法上書いてあるんですけれども、隔離というのが災害法の場合に、法的にそのことは一体隔離ができるのかどうか、この点は所管官庁がどこになるのかちょっとわかりませんし、この辺どこか書いてあったらちょっとお聞かせ願いたいと思いますし、もしなければ、将来そういう事態の発生に備えて、国土庁あたりでその点での法整備というものが当然私はなされていかなければいけないんじゃないかというふうに思っております。
 ということで、当初に防衛庁にお聞きをしたいと思うんです。これも原子力発電所施設を持っておる各県ごとにそういう出動態勢というものが現在あるのかどうなのか。
#17
○説明員(児玉良雄君) 自衛隊は、災害が発生した場合には都道府県知事等の要請を受けまして防災関係機関の実施する防災応急対策の実施を支援することになるわけでありますが、何をするかにつきましては、災害の態様であるとか、あるいは都道府県知事の要請の内容、たとえば派遣を要する人員であるとか装備であるとか、そういうような知事等の要請の内容、それから関係機関との調整の上で、具体的に個々にどの事案に即して何をするかを決められることになろうかと思います。それで、住民を避難させるとか、あるいは一定の地域に引きとめるとかいうようなことにつきましては、自衛隊の災害派遣時の権限としまして、人の生命または身体に危険を及ぼすような事態に立ち至ったような場合には関係者に必要な警告を発するとか、あるいは危害を受けるおそれのある者に対してその危害を避けしめるための必要な限度で引きとめるとか、あるいは避難をさせるとか、そういうような措置を警察官がその場にいないときに限って行うことができることになっております。この場合にも、やはり知事等の要請に基づいて関係機関との調整の上で、避難の誘導をするとか、輸送するとかいうようなことが具体的にそのときそのときで決められることになろうかと思います。
 それで、このような態勢が平時整っているかどうかにつきましては、原子力施設に限らず、自衛隊の各部隊は地域に応じまして警備区域、隊区と言っておりますが、こういう担当区域を持っておりまして、その地域内で発生したことについては、まずその部隊がその災害に対処するという仕組みになっております。これは各方面、各地域について全部同様でございます。
#18
○吉田正雄君 八十三条の「災害派遣」のところでは、第一項では確かに「都道府県知事その他政令で定める者は、天災地変その他の災害に際して、」「部隊等の派遣を長官又はその指定する者に要請することができる。」というのが第一項にあるんですが、第二項のただし書きになりますと、これは知事や市町村長の要請がなくても、「天災地変その他の災害に際し、その事態に照らし特に緊急を要し、前項の要請を待ついとまがないと認められるときは、同項の要請を待たないで、部隊等を派遣することができる。」ということで、私はむしろ原子炉災害等の場合には、状況によってはこういう事態も当然予想されることだってあり得ると思うんです。結果を待ってからと言っておったのでは、まさに原子力災害の特殊性からして間に合わないということがあるわけです。そういう点で、自衛隊としてはあっちこっちと協議をしているとか、あるいは科学技術庁の持っておる防護服を借りてなんということにはならぬと思うんです。そういう点で、いま自衛隊としては、そういう災害が出て、独自で緊急に出動するというふうに判断をされる場合、一体どの程度の部隊が派遣できるのか。これは特に放射能防護という観点から、どの程度の人員というものが派遣できるか。もしわかったら現状をお聞かせ願いたいと思います。
 また今後、どういう点で欠けておるからどの程度の装備というものをこれから備えていかなきゃいけないという、そういう点でも何かお考えがあったらお聞かせ願いたいと思います。
#19
○説明員(児玉良雄君) いま御指摘の自衛隊法八十三条の第二項、緊急を要する場合には都道府県知事の要請を待たずに部隊等を派遣することができるという規定を適用すべき場合ではないかというお尋ねでございますが、これは通常、水害であるとか、あるいは火災であるとか地震であるとかいうような、ある程度の経験もあり、私どもで判断できるようなものについては八十三条二項が適用されることはあり得ると思いますけれども、原子力災害のように、きわめて高度に専門的な知識を要するものにつきましては、私どもはその知識、能力などについて十分持っておらないわけでございまして、私どもの判断だけでこの八十三条第二項を適用して部隊を出動させるということはできないと思っております。
#20
○吉田正雄君 それはそれで結構ですけれども、できないというのは結構なんですが、この前もちょっとお聞きしたんですが、まだ余りはっきりしなかったんですが、いま自衛隊として出動要請があった場合、単なる交通整理とか、通常の水害、火災と違って、いわゆる放射能から身を守るという、そういう観点での装備部隊というのがどの程度出動できるのか、概数わかったらお知らせ願いたいと思います。
#21
○説明員(児玉良雄君) 原子力災害に際しまして自衛隊の部隊に派遣を命ぜられた場合に、何を具体的に行うか、それによって違ってくるかと思いますが、出動し得る部隊、これはたとえば東北地方でございますれば福島県の場合、第六師団の部隊が出る。あるいは関東甲信越地方であれば静岡県にある部隊が出るというふうに、先ほども申しましたように各部隊がそれぞれ担当区域を持っておりますので、その災害の種類であるとか、そのときの応援すべき活動の内容に応じて部隊を出動させることとしております。したがって、その目的に沿うものであれば、あらゆる部隊を派遣させることが可能であると考えております。
 なお、航空機を持っております部隊につきましては、周辺の地域に所在する部隊に限らず、その所要の航空機をその基地から緊急に派遣をするということも考えております。
#22
○吉田正雄君 これ以上お聞きしても、ちょっとそれ以上の回答は出てこないと思いますが、再度消防庁と警察庁にお尋ねをいたしますけれども、やはりこの災害発生の当初は消防庁なり警察の果たす役割りというのが私は非常に大きいと思うんです。そういう点で現状でどうかということになりますと、私はきわめて不十分だと思いますし、また具体的な計画が、いままで各省庁間で十分連絡、協議の上どれだけの装備が必要かというふうな論議というものが余りなされておらなかったように承るわけです。そういう点で今度のスリーマイルアイランドの事故というものを契機にして、消防庁なり警察庁としては、独自にはどういう判断なり、将来に向けてどうあるべきかというふうな点を部内で検討されておったらその検討内容をお聞きをしたいと思いますし、総合的には国土庁が私は取りまとめをされると思うんですが、まず主管官庁としては、消防庁、警察庁はどういう考え方をお持ちか、あるいは来年度予算等に向けて何かお考えがあるのかどうかお尋ねをしたいと思います。
#23
○説明員(中川登君) 消防庁といたしましても、災害の程度がどういうふうになるかということはわかりませんので、そういうふうな災害の程度等がわかりましたならば、これは原子力安全委員会等で検討しておりますから、それがわかりましたならば、その結果を踏まえて対処していきたいと、そういうふうに考えております。
#24
○説明員(依田智治君) 警察庁としましても、起こり得る被害の想定、そういったのはまた専門家の方でいろいろ詰めていただきまして、そういう結果を踏まえて、現状はなはだ不十分な状況でございますが、何とか来年等に向かって予算措置等努力してまいりたい、このように考えております。
#25
○吉田正雄君 科技庁にお尋ねしますが、いまの消防庁、警察庁の答弁を聞きましても、事が事だけに具体的にどういう災害が想定されるのかということが明確にならないと、装備等についてもどの程度の装備が必要なのかどうもわからぬと、こういう答弁なんです。したがって、科技庁としては今後いつごろまでに――その程度のことはしかし現状でもわかると思うんですね、どの程度の装備が必要かということはわかると思うんですが、そういう点ではいつごろまでにその辺の基準といいますか、事故の規模等を想定して協議をされるのかお尋ねしたいと思います。
 それから国土庁にお尋ねいたしたいと思いますのは、いままでのずうっと質疑を聞いていておわかりのとおり、原子力事故というものが発生した場合の具体的対策というものがまだ確立をされておらないというふうに思われるわけです。したがって、国土庁としては各省庁の連絡調整機能というのを果たしていただくことになると思うんですが、それこそ事故はいつ起こるかもわからないわけです。そういう点で一体いつごろをめどに防災基本法の基本的な見直しといいますか、法改正も私は必要だと思うんです。というのは、原子力災害については災害基本法の中には一言も触れてないんです。しかも、この災害基本法ができたのは実は原子力損害賠償法の後なんです。後ですから、当然原子力損害が発生するということがわかっておった後につくられた法律でありながら、その中に重要な原子力災害について一音も触れられておらない。「その他」という中に包含をされておったのかどうかわかりませんが、触れられておらないこと自体、私はやはり大きな手落ちであったんじゃないかというふうに思うんで、今後のめどとしてはどういうふうに考えておいでになるのか、これは最後に国土庁にお尋ねをいたしたいと思うんです。
 それから、大臣、いまお聞きになっておっておわかりのように、事故が起きたら大変ですから、事故を起こさないということがこれはもう最大なんですね。何といってもこれが第一義です。しかし、そうは言っても人間のなすことですし、それから今後も原子力事故というのは、やっぱり人間のやることですから、人間のミスというものは絶対なくすことはできないわけです。そういう点で万一に備えてやはり早急に中央における防災基本計画というものをもっと確立をする必要があると思いますし、それからいま各県を見ましても非常にばらばらなんですね。いろんな基準も統一をされていないということなので、私はやはり早急にこの具体的な防災計画というものをつくっていく必要があると思いますし、それから単なる机上の計画であってはいざというときに役に立たないと思うんです。アメリカ等でも幾つかの州では年に一回実際に避難訓練というものが行われておるわけです。そういう点で、私は防災計画とあわせて実際の訓練というものを、これは毎年やるというのは大変でしょうけれども、少なくとも三年なり四年なりに一回くらいというものは避難訓練も行う必要があるんじゃないか、それによってまた防災計画というものの見直しがなされるんじゃないかと思うんですが、この辺に対する大臣の考え方を最後にお聞きしたいと思うんです。
#26
○政府委員(牧村信之君) 具体的な災害想定をどういうふうにするのかという御質問でございますが、これは先ほども御説明申し上げましたように、現在の安全審査におきましての事故想定におきましては、ややもすると核分裂生成物が一度に大量に放出するということが果たしてあるかどうか、万々一の場合にあるかどうか、通常は何らかの原子炉施設の事故があって逐次出ていく場合の事故もあるというような非常にむずかしい問題でございます。したがって、現在の災害対策に使っておりますのは、住民が――一般人でございますが、二十五レム以上浴びますといろいろな障害が起きてくるおそれがある、そういう積算線量を下回るように対策をとっていくという考え方で従来やってきたわけでございます。先生御指摘の具体的な災害想定ということに当たりまして、そういう住民の受ける被曝量との兼ね合い等非常に技術的にむずかしい問題があろうかと思います。どういうふうにすれば災害対策を万々一あったときにワーカブルにしていくかという点で非常にむずかしい点があろうかと思っておるわけでございます。したがって、その辺の問題につきましては各専門家にお集まり願って安全委員会で鋭意検討していただきたいと、できれば年内にはそういう結論を出して、現在の都道府県並びに各省の防災計画等に盛り込んでよりよいものにしていこうというふうなことを考えていきたいということで、原子力安全委員会に技術的な問題についてはお願いしておるところでございます。
 それからもう一点、先生も御指摘ございましたけれども、原子力施設で事故が起こりましたときには、設置者並びに国も協力してその事故の拡大防止ということが一番重要であろうかと思います。そういう点につきましても今後の努力が必要であろうかと考えておる次第でございます。そういうような各省庁でいろいろ御相談申し上げて防災基本法に基づく災害対策をぜひ早急に整備してまいりたいと考えておるところでございます。
 なお、机上計画ではだめで、避難訓練の御指摘もございましたので、この訓練をどういうふうにしたらいいのかということも今後重要な検討課題として検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#27
○説明員(柳晃君) お答え申し上げます。
 幾つか御質問がございましたが、まず災害対策基本法が原子力発電所の事故関係の点で抜けておるんではないかというような御質問でございますが、この点につきましては災害対策基本法の二条で災害について定義をしておりまして、その定義は、地震とか洪水とか、そういった自然災害のほかに、大規模な火事だとか、あるいは爆発、ガス爆発とか、あるいはそれと同じ程度のもので政令で定めるものということで、放射性物質の大量放出が原因となって被害を生ずるようなものも災害になるという定義をしてございますので、まあ原子力発電所も放射性物質の大量放出というような形で中に包含されているというふうに理解しております。
 それから次に、中央防災会議等で関係省庁と今後どう詰めていくかという点でございますが、その点につきましては、現在曲がりなりにも国のレベルにおいて、あるいは地方のレベルにおいて防災計画がございます。しかし防災計画は、事原子力発電所に限らず、まあ理想を申せば毎年あるいはある程度の時間を置きまして、ときどき見直して、その時点その時点で求める理想に近くかつ現実的であるようなものを修正しながらつくっていくというのが防災計画の一般的な考え方でございまして、したがいまして、原子力発電所の関係につきましてもそういうことが求められているということはよく理解しておりますが、何分にも現在持っております防災の各種の計画を見直すときの前提となるべき、あるいは前提として考えるべき事故の想定あるいは被害の想定等につきまして、専門家の方々からの結論を仰いで、それを待ってからでございませんと、どういうふうに見直していいかという点がなかなかわかりませんので、まずそれを専門家の方にしていただいて、その上で中央防災会議に関係の深いメンバーであります関係省庁と協議いたしまして、できるだけ、すぐできるものは早く、あるいは少し時間をかけるものはかけた上で改定作業等を進めていきたい、かように考えております。
#28
○国務大臣(金子岩三君) ただいま政府委員から詳細に御説明申し上げましたが、吉田先生のこの防災対策についての御指摘は、私はもう全く同感でございます。早急に取りまとめるよう鋭意ひとつ各省庁の連絡を緊密にして、御指摘の点を十分踏まえて早く結論を出したいと思います。
#29
○吉田正雄君 次に、これは直接防災そのものではないんですけれども、実は原賠法との関係で若干お尋ねしたいと思うんですが、もし原子力災害が生じた場合に、直接汚染された飲食物の廃棄措置であるとかあるいは売買禁止、あるいは汚染された土地の使用を一定期間禁止をする、たとえば畑作とか稲作というものを禁止をするというふうな措置がとられるわけですね。こういう場合に、原賠法との関係で一体基準というものがあるのかどうなのか。一応防災計画の中にそういう飲食物の摂取の禁止、制限という項目があるわけですね。そういう項目がある以上、いま言ったような飲食物の廃棄措置であるとか、あるいは土地利用の禁止、こういうものに対する基準がないと、これまた仮に各県ばらばらであったり、統一的でないということになると非常にややっこしい問題が出てくるんじゃないかと思うんで、これが現状どうなっているのかということと、それからこれはちょっとさっき落としたんですが、直接的な防災というよりも、放射線障害を受けた者に対する専門医師、あるいは医療機関、こういうものがどういうふうになっているのか、具体的に原子力施設を所有しておる県なり市町村の専門医師あるいは医療機関の数がどれくらいあるのか、あるいはそういう登録制度というものを設けておるのかどうなのか、こういう点、現状がどうなっておるのか、将来そういうものについてきちっと登録制度を設けていく必要があるのかどうなのか、どういうふうにお考えになっているのかということと、それから通産省に対しては、通産省の防災計画を見ますというと、これは四十八年の七月二十五日につくられて、非常に詳細にいろんなことが書いてあるんですけれども、原子力災害については、第2の「防災に関する組織」の1の「防災に関する事務の分掌」のところの「資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課」のところで「原子力発電用施設による災害防止に関すること。」というのが一行しか書いてないんですね。何かほかに具体的なあれがありましたら、どこにあるのかちょっとお聞かせ願いたいと思うんです。
#30
○政府委員(山野正登君) 原賠法の適用の基準の問題でございますが、まず先生御質問の、原子炉の運転等によりまして汚染飲食物とかあるいは汚染田畑の使用禁止といったふうな損害が発生しました場合に原賠法適用はどうなるかという点でございますが、これは原賠法の二条の「定義」にございますように、核燃料物質もしくは核燃料物質によって汚染された物の放射線の作用による損害であれば、これが御指摘のような汚染飲食物とかあるいは汚染田畑についての財産的損害であっても原賠法による賠償の対象になるというふうに判断しておりますけれども、個々のケースにつきまして、どの程度のものであればこれが原賠法に言う原子力損害に当たるかどうかということ、つまり被害者が原子力事業者に賠償を請求する基準といったふうなものはございません。これは先生御承知のように、原子力損害賠償法というのは、そもそも民事賠償について定めた法律でございますので、そのようなケースがあった場合には被害者の判断で賠償の請求は行うべきものであるというふうに考えておるわけでございまして、国としてこれについての基準を定めるといったふうな性格にはなじまないものではないかと考えておるわけでございます。ただ私どもとしましては、当事者間でなかなか話し合いがつかないといったふうなことももちろん想定されますので、そのような際にできるだけ話し合いがスムーズにいくように、法律にもございますが、原子力損害の賠償紛争審査会という制度もございますので、そのような場を活用しまして和解の仲介といったふうなことをいたしまして、できるだけ円満裏にこのような賠償が行われるようにという努力をしてまいりたいと、このように考えております。
#31
○政府委員(児玉勝臣君) ただいま先生御指摘の通産省の防災業務計画の中におきます原子力災害防止の内容でございますが、ただいま先生おっしゃいましたように、まず組織的な問題といたしましては、三ページの一番下にございますように、資源エネルギー庁公益事業部の原子力発電課が原子力発電用施設による災害の防止に関することの所掌を行うということがまず書いてございまして、それからその後九ページでございますけれども、そこにはいわゆる予防の処置ということで、「電気工作物について、各種の検査その他適切な監督又は指導を行う。」ということでございまして、災害が発生した場合または災害発生の予防のために――電気事業用に使われております原子炉ばこれは電気工作物とみなしておりますので、これで読んでいただくと、そういうことで検査またはその他適切な監督、指導を行うということになっております。それからまた、十二ページのところには「情報の収集及び伝達等」という項目がございまして、そこで各省庁間のいわゆる情報を収集、伝達、それから通商産業局長をしましてその所轄の、管轄内の災害の対応ということで考えてございます。
 それで、ただいま省内でいろいろと検討中でございますが、通産省の災害業務計画の考え方は、大体、被害に遭った人たちを通産省の所管物資の中でどのようにそれを供給、確保するかという一般的な事項に主に重点を置いてありまして、いわゆる加害者的にといいますか、自分の所管物資を所管しているところが被害を――被害というか、加害者的な立場になるということについての問題を余り意識しておりませんので、その点についていま内容について検討をしたいと、こう考えております。
#32
○政府委員(牧村信之君) 食糧の制限の問題で線量的な問題につきましては、先ほど来御説明しております目安線量の中に、集積線量ではございますけれども、ヨードであるとかストロンチウム、セシウム等につきましての目安線量を一応決めてございます。
 それから医師の登録につきましては、地方の防災計画の中に登録制度までやっておるところは余りないようでございまして、事故が起きましたときに日赤であるとか地域の大学病院、地区の医師会等の協力を得るというような規定の仕方をしておるところが多いわけでございます。この点も今後厚生省等の御指導で、場合によりましては登録制度の問題も検討しなければいけない問題ではないかというふうに考えているところでございます。
#33
○吉田正雄君 次に、先般のスリーマイルアイランドの原発事故に関連をして二点ほどお尋ねをいたしますが、まず第一点は、今日まで保険会社によって支払われた損害賠償の内訳と金額はどうなっておるか、わかったらお聞かせ願いたいと思います。
#34
○政府委員(山野正登君) 本件につきましては現在なお調査中でございますが、これまでに判明した情報を申し上げますと、これは米国のNRCの法規部にただしたところでございますが、四月の三十日までに保険会社が支払った金額は合計で百七十一万七千ドルということになっております。この支払いの内容は、州知事の勧告によりまして避難した周辺五マイル以内の学齢前の子供または妊婦のいる家族に対して支払いが行われているということでございます。さらに、その他の避難した人に対しては各人の申し立てに応じて保険会社がケース・バイ・ケースで処理しているということでございますが、このケース・バイ・ケースの処理の内容というのは現在のところまだ不明でございます。
#35
○吉田正雄君 それから、先般報道されておりましたけれども、住民代表が十数億ドルに上る損害賠償というものをこれは裁判所に提起をしたということが報道されておりますが、この内容についてもしおわかりでしたらお聞かせ願いたいと思います。
#36
○政府委員(山野正登君) 実は本件につきましても現地に派遣しました職員を通じてNRC等において詳細な内容を入手しょうと努力をしておる最中でございまして、現在までのところ私ども一持っております情報と申しますのは、新聞報道の域を出ない状況でございます。いずれ判明しましたら御報告申し上げたいと存じます。
#37
○吉田正雄君 次に、このたび大平総理がアメリカを訪問して、いわゆる日米首脳会談で日米科学技術協力協定というものが結ばれたわけですけれども、この協定の案文というのは非常に簡潔に書かれておるわけですけれども、もう少しこの協定の内容について具体的なものがあったらお聞かせ願いたいと思います。たとえばここには経費のことは書いてありませんが、報道等によると前の福田内閣時代から十億ドルということが盛んに言われておったわけですけれども、十億ドルなのかどうなのか、あるいは各分野別の経費の割合というものが概略どの程度になっておるのか等、もうちょっと具体的に内容が詰まっておったらお聞かせ願いたいと思います。
#38
○政府委員(山口和男君) ただいま先生からお話のございましたエネルギー研究開発に関する日米協力基本協定の件でございますが、この協定は御案内のとおり全体といたしましては前文と十一条からできておるわけでございますが、その主な内容は協力分野につきましては、核融合、石炭液化、光合成による太陽エネルギー転換、地熱エネルギー、高エネルギー物理その他合意する分野ということで六分野プラスアルファが挙げられておるわけでございます。
 なおこの分野の中で当省の重点分野といたしましては、核融合と石炭液化について取り上げるということがうたわれております。その分野の中の主な協力のプロジェクトにつきましては、この基本協定の中には出てまいっておりませんが、日米の間で事務的にいろいろ話し合いをいたしておりますところを申し上げますと、核融合の方につきましては、一つはダブレットIIIという非円形プラズマ実験装置、これは米国がこれから建設しようとしておる実験装置でございますが、これを利用いたしまして日米で共同研究をやるということが考えられております。どういうように協力をしていくかという点につきましては、現在細部について日米間で交渉中でございます。核融合につきましては、このほかに相互に情報交換を行うと、あるいは専門家の交流等を行うというようなことが考えられておりまして、これらにつきましては科学技術庁あるいは文部省が担当省庁といたしまして、今後小委員会等で具体的な実施の方法を詰めていくという予定になっております。
 それから第二の分野でございます石炭転換でございますが、これは主として日本側では通産省が担当いたしておりまして、これにつきましても二つばかりその方式が考えられております。一つは直接水添液化法という方式でございますが、これは日本で開発をされておりまする方式でございまして、これに米国が参加をしてくるということでございます。それからもう一つはSRCIIというプロジェクトがございまして、これは逆に米国側で開発を進めておるものでございます。これに日本側が参加する。また、このSRCIIにつきましては西ドイツがやはり参加をするという話が進んでおります。石炭転換につきましては、このような具体的なプロジェクトを想定しつつ今後さらに具体的な詳細な点を詰めていくという予定になっております。
 その他の分野につきましては、小委員会等で今後さらに話し合いを進めつつ具体化を進めていくということになろうかと考えられております。
 金額の点につきましては、先ほどの新聞発表で示されております、十年間に約十億ドルというような金額が挙げられております。これは、この協定は一応十年という有効期限で発足するわけでございますが、この十年間における先ほど申し上げました分野でのプロジェクトのおおよその規模を示すという意味で一応暫定的に推定をしておるものでございます。したがいまして、具体的な個々のプロジェクトの積み上げの数字ではございません。ただいまのところ、日本側におきましては昭和五十四年度に日米協力協定の関係の経費を一応計上いたしておりますが、それを申し上げますと、核融合につきましては科学技術庁と文部省とが担当してまいりますが、約二十五億円を五十四年度の予算に計上いたしております。石炭液化につきましては、これは先ほど申し上げましたように通産省が担当いたしますが、全体で八億円ぐらいを五十四年度に計上いたしております。光合成につきましては、これは科学技術庁と文部省でございますが約八千万円。それから高エネルギー物理、これは文部省が担当して行いますが約二億円。その他事務関係経費等加えまして昭和五十四年度には総額約三十六億円を日本側で計上いたしております。金額につきましては以上のとおりの状況でございます。
#39
○吉田正雄君 そうすると、ここの協力協定に盛られておる内容の個々具体的なものについては今後の小委員会の中で煮詰められていくということですね。
#40
○政府委員(山口和男君) 御指摘のとおりでございます。
#41
○吉田正雄君 なお、この首脳会談の中で例の再処理問題をめぐってどのような話し合いがなされたのか。話し合いがなされたとしたらその内容はどういう内容であったのかお聞かせ願いたいと思います。
#42
○政府委員(山野正登君) 今回の日米首脳会談におきましては、再処理問題というのは独立した議題としては取り上げられておりませんで、原子力平和利用問題につきましては、これは先生も共同声明で御案内と存じますが、一般論としまして、今後日米双方は増大するエネルギー需要に対応するために核拡散の防止及び安全性並びに環境保護の要請と合致した原子力の平和利用を一層促進することが緊要であるという共通の認識に達したということが盛られておりますが、その程度のお話し合いがあったというふうに承知いたしております。
#43
○吉田正雄君 事前の事務レベル段階での話の中で、この問題については、通産でも科技庁でも、米国側とは全然首脳会談に向けての事前の準備段階で話し合いはなされなかったんですか。
#44
○政府委員(山野正登君) 事務レベル段階でもこの原子力の平和利用と核不拡散強化という両立問題につきましてはいろいろ話し合いがございましたが、しかし再処理問題だけを取り上げての話し合いというのは一切ございませんでした。
#45
○吉田正雄君 そこでお尋ねをしたいんですけれども、御承知のようにこの再処理法案がここでいま審議を開始されているわけですね。私をして言わしむれば、一昨年の例の日米原子力協定をめぐっての話し合いの経過からしても、また世界的な核拡散のきわめて危険な状況というものが最近またいろいろ取りざたをされておるというふうなことがあったり、さらには再処理工場の――再処理工場のというよりも、再処理技術がまだ私は完全なものだとは思っていないわけですけれども、そういう中で日本でなぜこの第二再処理工場の建設を急ぐのか。リードタイムが非常に長く要るんですという説明はわかりますけれども、何が何でもこの国会で成立をさせなきゃならないという緊急性を持ったものとは私は思えないわけですし、さらには一昨年の例の日米協定の内容からしても、まだINFCEの最終結果というものが出たというふうにも思われないわけですし、そんなこともあって、この再処理工場を急ぐ真意と言ったらいいですか、そういうものがどうももう一つはっきりしないわけです。それほど重要であるならば、なぜいまの日米首脳会談でも積極的にこの問題について論議をしなかったのか不思議でならないわけです。
 私は、この背景といいますか、真意の中に何かもっと別のものが隠されておるんじゃないかという気がしてならないわけです。準備段階といいますか、そういう準備会社的なものがすでに発足をしておるわけです。まあ会社ではありませんけれども。そういうことで、私はもうすでに新しい再処理会社の役員構成等も構想されているんじゃないかという気がするわけです。そんなこともあって、何が何でもこの国会でこの法案を成立させないと何かぐあいが悪いことが起きてくるという、そんなこともあって私はこの再処理法案をひとつこの国会で上げたいということになっているんじゃないかという気がしてならないんです。その辺一体どうなんですか。率直に聞かしてくれと言ってもなかなかこれは言いづらい問題なんですが、それはいかがなんでしょうか。
#46
○政府委員(山野正登君) わが国で原子力の開発利用を進めるに際しまして一番重要な問題というのは、燃料とするウラン資源が国内にないわけでございますので、外国から輸入しましたウラン資源というものを最大限に活用するということがわが国が原子力平和利用を進める上におきまして欠くことのできない要件になっておるわけでございます。そういう意味で、使用済み燃料を再処理してそのプルトニウムを再利用するということのために、できるだけ早い機会に国内に再処理能力を持ちたい、自立の再処理工場を持ちたいということを考えておるわけでございまして、その技術を国内に確立しますために動燃事業団の東海再処理工場というものも建設し運転しておるわけでございますが、これに引き続きまして第二再処理工場というものもできるだけ早く建設したいと考えておるわけでございます。
 現在の再処理の需給関係を考えてみますと、東海の再処理工場の行います再処理量と、それから、やむを得ずただいま海外に役務を委託いたしております海外委託分、これらを合算しますと大体昭和六十五年ぐらいまでの再処理需要というものは賄い得るのでございますが、それ以降についてはまだ何の手当てもないわけでございますので、私どもは、その時点以降の再処理需要につきましては何とかして国内の工場でこれを処理してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。この再処理工場の建設には、これまでの調査によりましても、十二、三年という非常に長いリードタイムが必要なわけでございますので、その点を考えますと、ただいま準備に着手いたしませんと昭和六十五年ごろの運転開始ということが非常にむずかしくなるわけでございますから、そういう意味で私どもはできるだけ早くこの法案の成立をお願いしたい、できるだけ早く具体的な準備活動に入りたいというふうに念願しておるわけでございます。したがいまして、政府がこの法案の成立を急ぐ真意は何かという先生の御質問でございますが、これはまさに今後のわが国の原子力平和利用を円滑に推進するためというのがその真意であるというふうに申し上げるべきではないかと考えます。
 それから、日米共同決定との関連でございますが、この日米共同決定に盛られております内容と申しますのは、日本国及び合衆国がINFCEの期間中「プルトニウム分離のための新たな再処理施設に関する主要な措置はとらないとの意図を有する。」という表現になっておるわけでございまして、こういったふうな文言が生まれました背景としましては、先ほど私が申し上げましたような、日本のエネルギー事情に基づく原子力の今後の進め方というものを日本側から十分に米側に説明しまして、米側もそれを理解した上でこの文盲はでき上がったわけでございまして、その結論としましてINFCEの期間――当時は二年と考えられておったわけでございますが、その間は新しい再処理工場をつくるための主要な措置はとらないことにしましょう、これはわが方がそういう意図表明をしたわけでございますが、その際にあわせて、主要な措置ではない、法律の改正でございますとか、あるいは再処理会社の設立であるとか、さらに用地の選定、取得といったふうなことは、これは進めていきますよという了解もあわせてあるわけでございまして、そういう意味でただいまお願いしております法案の成立を急ぐということと、それから一昨年の日米共同決定とは何ら矛盾しないというふうに考えております。
 それから第四点の、日米首脳会議でなぜそれほど重要な問題を取り上げなかったのかという点でございますが、これは確かに重要な問題ではございますが、今回の日米首脳会談におきましては、もっと基本的な原子力平和利用を今後進めるに当たっての基本姿勢といったふうなことにつきまして両首脳は話し合いをされたわけでございまして、その中のこのような個別、具体的な問題についての話し合いというのはなかったわけでございます。これは今回の日米首脳会談の両首脳の共通の認識を踏まえて今後別途に日米間で政府間交渉をして、現在の共同決定期間以降の運転方法について日米間で再度協議をしていく、このような運びになろうかと考えております。
#47
○吉田正雄君 一昨年の例の日米共同声明の中にも、いま局長のおっしゃったことがここに書かれておるんですけれども、この中で「使用済燃料の貯蔵の可能性並びにその他再処理に代わる技術的及び制度的な代替策を含めINFCEPの結果を考慮に入れる」というふうなことがここに書かれているわけですね。これと関連をして混合抽出法の実験ということがうたわれておりますし、さらに「混合抽出法が技術的に実行可能であり、かつ効果的であると両国政府が合意するならば、在来の再処理法から全面的な混合抽出法に速やかに変更される。」と、こういうふうなことがうたわれておるわけです。最終的にその重要な措置というものが、単なる法案の整理であるとか土地の取得であるというものは触れないんだという説明なんですけれども、私はそのことよりも最終的に日米の合意がなければ再処理工場をつくってみても運転はできないと思うんです。そういう見通しがないのになぜ急ぐのかということがまず一つ大きな疑問なんです。しかも、技術的には混合抽出法は可能であろうということが言われているわけですね。ただ、金が余りにもかかるということで、経済性の面からこの混合抽出法についてはいろいろ問題はあろうかと思うんですけれども、技術的には可能だということは言われているわけですね。そういう点で、私はあくまでもこれに固執をされるその真意というのがいま言った二点からどうもわからないんで、見通しをまず聞かしていただきたいと思いますのは、混合抽出法の実験がこの二年間どのように行われてきたのか、その成果はどうなのかということと、それから最終的に日米で合意に達しなければ、どんなに国内の法案を整理をしようと土地を買収しようと最終的に再処理工場の運転は不可能なんですね。その見通しがないと私はまだ思っているんですが、その見通しをどのように立てておいでになるのか、その点をまずお聞かせ願いたいと思います。
#48
○政府委員(山野正登君) まず、この混合抽出についての研究開発の状況からお話しを申し上げますが、混合抽出法につきましては、昨年の二月から東海の再処理施設の中の運転試験設備において、一つはウランとプルトニウムの混合試料を用いた混合抽出試験、それからいま一つは、実際の再処理に際して得られる混合溶液を用いた混合抽出試験というものを実施いたしております。これらの試験の結果というのはいま評価中ですが、さらに要すれば詳細な試験というものを進めまして、今後この東海施設に混合抽出が適用できるかどうかといったふうな可能性、その効果といったふうなものはことしの七月ごろを目標に評価したいというのが現在の立場でございます。
 それから、この混合抽出の研究に関連しまして忘れてならないのが混合転換の研究でございまして、これは混合転換ができなければ混合抽出をしましても意味がないわけでございますが、混合転換の方につきましても各種の混合転換法によりまして、実験室規模でございますが、いろいろな研究を五十三年度行っており、かつスケールアップした装置の製作、据えつけも行っております。この混合転換法の技術的な評価についても本年の七月ごろに行いまして今後実用化の見通しをつけたいというふうに考えておるわけでございます。現時点におきまして、現在単体抽出で行っております九十九トンに次ぐ次の再処理というものが、単体抽出でいくのか混合抽出でいくのか、その見きわめというのは現時点ではまだできていないという状況でございます。
 それから、米国が将来日本が再処理することに同意するかしないか、その見通しがないのに再処理工場をつくっても仕方がないではないかという点でございますが、これは御指摘のように、日米原子力協定に従いますれば、アメリカ原産の使用済み燃料を再処理する場合には米国との共同決定というものが必要なわけでございますが、この点について前回日米間で十分に話し合いをしまして、わが国の核不拡散問題に対する姿勢を含めた原子力平和利用に対する態度というものを米側は十分に理解をしまして一昨年の共同決定に実を結んだわけでございますが、同じようなことは今後も私どもは期待し綴ると考えております。
 具体的に申し上げれば、ただいまINFCEの場におきまして八つの部会に分かれまして、先ほど先生が共同声明の中で御指摘になりましたような使用済み燃料の貯蔵とか再処理にかわる技術的な方法とか、まあいろいろなものを含めて検討をしておるわけでございますが、その中の第四作業部会、これはわが国が共同議長国を務めておる部会でございますが、その部会の中の検討におきまして、これは個別の国のプロジェクトをどうするこうするという場ではございませんけれども、しかしわが国あるいはわが国と非常に似たような状況にございます西ドイツ、そういった国の主張する方向、具体的に申し上げれば、再処理をしてプルトニウムというものを軽水炉に利用しましたり、あるいは高速増殖炉に利用するという方向、そういったふうな方向が、相当な規模の発電国にはきわめて有利であり有益であるといったふうな認識は生まれつつあるところでございまして、恐らくそういった方向でこれらの報告というものはまとめていかれることになろうかと考えております。これは今後各国が原子力平和利用を進めるに当たりましてINFCEの結論というのは非常に大きな影響があるわけでございますので、そのINFCEの結論の中にいま申し上げましたような内容が盛り込まれていくということになれば、わが国の立場というのは、米国のみならず、多国間の場でも十分に理解され得るというふうに私どもは確信を持っておるわけでございまして、そういう意味で、ただいま再処理工場の建設準備に着手して、これが将来その努力が全く水泡に帰するといったふうなことにはならないであろうというふうに考えております。
#49
○吉田正雄君 いま最後に局長が、そういう心配は要らないんじゃないかという、ならないだろうということをおっしゃったんですが、私は「むつ」以上にこの問題というのは大変な問題だと思っておるんですよ。しかもいまだにハイレベル廃棄物の処理、管理というものについての技術が確立をされていないし、さらにその場所についても世界的にいま悩みの種なんですね。聞くところによれば、国際的にこのハイレベル廃棄物というものをどこか太平洋の孤島に処理をしようかとか、いろいろなことが言われておるわけなんですね。そういう点で、再処理工場の問題というのは、よくトイレなきマンションという言葉がありますけれども、現状においていまだに廃棄物の処理、管理というものが見通しが立っていない。そこにさらに再処理という、より原発以上に危険なそういう再処理工場というものをつくっていくということについて、その最終的なめどが一体立っておるのかどうなのか、私はこのことも重要だと思うんです。そのめどのないままにとにかく再処理工場をつくればいいんだという、こういうことでは困るんじゃないか、その見通しがどうなのかということと、それからアメリカ側が日本の立場というものを十分に理解をしてくれておると、だから、心配ないだろうという推測、推定でこの再処理工場の建設を進めたということは、「むつ」以上により大変な問題というのを出発当初から抱え込んでいるのじゃないか、そしてもう法案が通ったから何が何でもつくらなきゃいかぬという、そういう方向へみずからを駆り立てていく結果になるのじゃないかという点がきわめて心配なんです。
 そこで先ほどちょっと答弁がなかったので、前に柿沢委員が質問されたときに局長の方からも若干あったと思うんですが、この再処理工場の設置をめぐってどういう法人というか、会社が構想されておるのか、まだ準備段階だというふうなことをこの前おっしゃっておったんですが、私はもうすでに単なる準備段階じゃないと思うんです。もう法案が通って急がなきゃならぬといっていま局長の答弁でも出ているように、一体その会社というものはどの程度のものか、すでに私はある程度のものは構想されていると思うんですが、それもちょっと詳しくお聞かせ願いたいということで、きょうは一応その程度で私の質問は終わりたいと思うんです。
#50
○政府委員(山野正登君) 第二再処理工場の民間における準備状況でございますが、これはただいま電力会社のお集まりでございます電気事業連合会の中に再処理会社の設立の事務室、これは準備事務室でございますが、これをつくっておりまして、いろいろ準備を進めておるということでございまして、この中でいろいろな準備のための諸調査等を行っておるわけでございます。
 で、これまでに描かれております第二再処理工場のおよその輪郭といったふうなものは、再処理方法につきましては従来行われております湿式のピューレックス法でいこう、また再処理工場の規模としましては日産五トン、一日当たりの再処理量が五トンという規模、またそのための第二再処理工場の所要の敷地としましては六百六十万平米程度のものが必要であると、それで運転開始目標を昭和六十五年と、そういったふうなおよそのもくろみで、この法案が成立しましたときには早速電力会社が中心になりまして化学会社、メーカー等関連の業界の参加も得て第二再処理会社を設立して具体的に用地の選定取得といったことに入っていこう、そのような姿勢でおるわけでございます。
#51
○委員長(塩出啓典君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩をいたします。
   午前十一時三十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三分開会
#52
○委員長(塩出啓典君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#53
○藤原房雄君 前回はアメリカにおきますスリーマイル島事件等につきまして若干御質問を申し上げ、本法案につきましても若干の質問をいたしたわけでありますが、衆議院におきましてもあらゆる角度からいろんな点について質疑があったようでございますが、大別いたしますと、アメリカとの日米交渉に関連いたしますこと、それから再処理というものが――これは過日来御質問申し上げておるわけでありますが、世界の再処理工場、しかも民営ということになりますと、相当大きなもので――大きい小さいは別にいたしましても、いろんな成果を上げている工場が非常に少ない。こういう中で、技術的に未成熟というか、原理的にはいろんなことが確立されているのかもしれませんが、工学的というか実際的にはまだ完成されてない、そういう部門が多いのではないか、こういうことを中心としまして過日来いろいろ御質疑を申し上げたわけであります。それとともにスリーマイル島の事故を、参考といいますか、これは単にアメリカに起きたこういう事故ということではございませんで、今後の原子力行政の中でこれはどのように私どもは受けとめなければならないか、こういうことについて過日来若干の御質問を申し上げたと思うんであります。しかし、その中でも、今後の課題といたしましては高レベルの廃棄物対策はどうするかということや、午前中も質疑ございましたが、アメリカとの日米交渉の中で再処理の問題についてはどういうお話になるのか、国際的な問題等あわせまして質疑を進めてまいりたいと思うのであります。
 最初に、過日来の質疑を踏まえましてお尋ねしたいのは、どちらかというと原子力発電所というのは発電施設ということで、電気事業法という法律にのっとりまして厳しくいろんな面についての――これは原子力だけではございませんで、火力全般についてのいろんな問題についての規制があるわけでございますが、再処理工場ということになりますと、これは一つの機械――発電機が動くという、こういうことじゃございませんで、化学処理その他の施設といいますか、こういうことになる。しかしそこで取り扱われる物はプルトニウムを初めといたしまして、やはり環境に対するより大きな危険な物が取り扱われるということでは同様に監視を厳重にしなきゃならないだろうと、こう思うわけでありますが、そういうことで過日のアメリカにおける事故等勘案いたしまして、日本の今日の原子力発電所の建設の立地基準というものが、一応基準はあるわけですけれども、非常に歴史的な経過の中から現時点ではちょっとそぐわないといいますか、もう少しきちっとしたものにしなきゃならないということを痛感するのでありますが、これは「立地審査指針の概要」という昭和三十九年の五月原子力委員会で決定したものが中心となって事故の定義とかそれから区域とか、こういうものが定められているわけでありますが、アメリカや諸外国では、特にアメリカ等においては区域等にいたしましてももっと大ざっぱな、何レムに抑えるとか、こういう表現になっている。区域それから定義、広さ、こういうことで、区域のことは非居住区域、低人口地帯、人口密集地帯からの距離とかこういうことで表現されておるわけですが、これはやっぱり今度の事故等を考え合わせまして、福島を中心とするまた敦賀を中心といたします密集地帯等に対しましては、もう少しこういう問題については具体的に掘り下げて検討をなすべきではないかと、こういう原子力発電所または再処理工場、こういうものと居住地域との距離、こういうものについてもう一歩、今回のこういう事故等考え合わせますと、踏み込んだ具体性のあるものにこれは検討すべきじゃないかと、こう思うんですが、この点についてはどうでしょうか。
#54
○政府委員(牧村信之君) まず、立地基準につきましてでございますが、先生御指摘のとおり、わが国の立地基準は三十九年に制定いたしまして以来、それほど改正がないわけでございます。しかし、現在安全委員会の基準部会におきましてこの辺の改正すべき必要があるかどうかにつきましては今後検討をする方針を出しておるところでございます。ただ、わが国の原子力発電の安全審査に当たりましては、重大事故あるいは仮想事故等を想定し、その事故の影響を敷地内にとどめるという考え方から、非居住区域、低人口区域というものを設定しておることも事実でございます。しかも、運用におきましては、この低人口区域も原則として原子力施設のサイト内におさまるように措置をさせておるというような観点からは、諸外国の立地の基準とは非常にゆるいということはなかろうかと考えておるところでございます。しかしながら、今回の先生御指摘のようなスリーマイルアイランドの事故等の経験をいろいろ生かしていかなくちゃならないという考え方は安全委員会におきましても真剣に考慮しておるところでございますので、今後そういう点を踏まえて、この立地基準につきましては安全委員会の専門部会で鋭意検討していただきたいというふうに考えておるところでございます。
#55
○藤原房雄君 三十九年当時これを設定するに当たりましては、いろいろな角度から検討して定められたと思うんでありますが、確かに今日までのこの技術の大きな進歩の中で改善された面もあり、三十九年のものが必ずしも変えなければならないというふうに短絡的に考えているわけじゃ決してないんでありますが、しかし、この「事故の定義」というところにあります「重大事故」とか「仮想事故」とかいうことをいろいろ論議した時点では、このたびアメリカで起きましたような事故というものは考えられたのかどうか。日本の国はどっちかというと国土の狭い面積の中でということがまくら言葉にすぐ使われるわけでありますが、そういうことと安全性の確保ということとはこれはもう当然切り離して考えなければならぬわけでありまして、比較的大きな事故といいますか、平時といいますか、工学的な事故等についての対策ということでありまして、今回のようなスリーマイルアイランドのようなああいう事故がこの時点で想定されていたかどうかということになりますといろいろ議論のあるところだと思います。いま局長さんからのお話でそういう点も含めてということでありますが、こういう事故を契機にしまして、確率論で今日までいろんなことが言われておりましたけれども、しかし、現実に事故が起きたということを踏まえますと、やはり、より厳密にこういう問題については考えていくべきであると私は思いますし、さらに都市との距離――敷地内でなるべくこれを抑えるということでありますけれども、重大事故の場合にはやっぱりその敷地内と敷地の境界と都市と、こういういろんな関係性が出てくるんだろうと思いますが、また原子力発電所または再処理工場、いずれにしましても、こういう処理するものの距離というものも、日本のようなこういう集中的にあるような形のものが果たして将来危険性をはらむようなことがないのかどうか、こういうこと等も考え合わせてこの点については十分な検討が必要だろうと思いますが、こういうことについて部内でもいろんな論議がありまた御検討があったらお示しいただきたいと思います。
#56
○政府委員(牧村信之君) 現段階でこの基準につきまして安全委員会発足後専門部会をつくり委員を任命するという手続を踏んで近々基準部会というのが発足することになっておる次第でございまして、したがいまして、先生御指摘のような格段の動きがいま私ども安全委員会の事務局で行われているわけではございません。しかし、立地基準のほかにもいろいろな、現在安全委員会が従来の原子力委員会の基準を引き継いで使っておるものの中にはその他の古い基準もございますので、精力的に見直しをするという方針のもとに作業計画を立てておりますので、いましばらくの御猶予をいただきたいと、かように考えるところでございます。
#57
○藤原房雄君 これはどこになるか、科技庁になるんですか、今度のアメリカにおきまする原発事故を参照といいますか、この問題から日本の国としてなすべきこととして、きょう午前中もいろいろな避難体制とか住民対策とかいろんな御論議がございましたが、最近新聞の報ずるところによりますと、原発対策、防災対策として原子力安全委員会のもとに原子力発電所等周辺防災対策専門部会というものを設けて検討するというようなことが言われておりますが、これは決定をしたのか、今後これを検討しようというのか、そのあたりはどうでしょうか。
#58
○政府委員(牧村信之君) 先生御指摘の専門部会はすでに安全委員会におきまして設置の決定をいたしております。それで、一部の先生がまだ任命し得ない状況でございますが、事柄の重要性にかんがみまして今月中に実質的に会議を発足させることも考えていま事務的な手続を踏んでおるところでございます。この専門部会におきましては、けさほど来いろいろ御指摘もございました防災対策に当たりまして、どういうふうな技術的な配慮からいろいろな防災対策を考えていくか、主として技術面の問題を検討していただくというようなことで運営を考えておるところでございます。
#59
○藤原房雄君 当委員会におきましても私も何度か、もちろんまた同僚委員からもお話ございましたが、やはり、こういう専門的な問題の処理でありますから、専門家によるこの組織体制というものが整備されてなきゃならぬだろうということと、また、きょう午前中もいろいろお話ございましたけれども、警察の出動とか自衛隊出動といいましても特殊なことでございますから、それ相応の体制または医療機関、こういうものも当然必要になるだろうと思います。それらのことについては、緊急時に派遣する専門家の組織体制の整備や緊急モニタリング要員や診療、治療に当たる医療機関、こういうこと等を骨子にしてということが報じられておるわけでありますけれども、そのとおりですか。
#60
○政府委員(牧村信之君) 先生御指摘のただいまの三つの点のほかに、緊急時におきます連絡体制の整備等を含めて、この問題は関係省庁で早急に具体案をとって、当面万々一の事故のときに地元県並びに市町村の防災本部との連携をとり得るようにいたしたいと考えておるわけでございますが、そのほかのいろいろな技術的、専門的な事項につきましては審議に時間がかかることも予想されますので、そういう専門的な事項につきましては、安全委員会の専門部会で専門家の参加並びに関係各省庁の協力を得まして審議を進めていき、その結論を逐次関係各省庁並びに地方公共団体の行います防災計画に盛り込んでいこうという二段構えで進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
#61
○藤原房雄君 これの正式の名前は「原子力発電所等」と、「等」という字が入っているわけでありますけれども、これは原子力発電所のほかにはどういうものを想定していらっしゃるのでしょうか。
#62
○政府委員(牧村信之君) この「等」の中には私ども研究開発段階あるいは研究用の原子炉並びに再処理施設を主要なものとして頭に描いておるところでございます。
#63
○藤原房雄君 先ほどお話ございましたが、これは二段構えで進めるということでございますからあれですが、連絡体制につきましても、過日の報道によりますと、原子力発電所の所在する市町村長さんがアメリカへ行かれていろいろな討議の話の中で、大体連絡体制というのは非常に重要な議題の一つだったようでございますが、去年の宮城沖地震のときにもこの連絡といいますか、住民サイドから見ますと情報というものが非常にとりにくい。私も災害対策にずっと長くおりましたので、そういうことでいろいろなことを提言したことがあるんですが、放送施設等もこういう緊急時のときには正確な情報を流すようにやっぱり協力体制ができなければならないじゃないか。電話でということで、電話は殺到しましてなかなか個人的にはつかみ得ない、こういうことで平時には考えられないようないろいろなことがこういう異常時のときには起きるということで、そういういままでの過去のいろんな災害等の、しかも原子力というときになりますと、心理的にも非常な不安感がつのるわけでございますので、幅広い、そしてまた各般の諸情勢を踏まえて、こういう問題をひとつ今回の教訓としてぜひ確立していっていただきたいものだと要望をいたすわけであります。
 それから、国内の加圧型軽水炉につきましては、大飯の1号をとめて点検するということで全部が停止して、いま解析をし、そしていろいろ検討をなさっているようでありますが、この大飯の1号については今日までも当委員会でいろいろ議論のあったところでありますけれども、相当に安全の確保といいますか、当初はとめる必要がないんじゃないかというようないろんな論議もあったところでございますが、いろいろ解析をする中から、やっぱりもう少し検討すべき点が出てきたように報じられておるんですけれども、この辺の経緯というのはどうなんですか。通産省はいらっしゃいますか。――通産省はきょうはいらっしゃらないようなので、それはまた後ほどにいたします。
 で、そういう原子力安全委員会のもとにできます専門部会、それを中心としての体制の確立をひとつ要望いたしておきます。
 それでは再処理問題に入りますが、過日当委員会におきまして、民営に移管するということについて、なぜ民営でなければならないか、民営への道を開くのかということでいろいろ質疑をいたしたわけでありますが、再処理の必要性、そしてまた民営への窓を開くということに対しての問題についてはいろんな角度から議論もあったところでありますが、その中でやっぱり民営ということになりますと経済性というものを度外視するわけにいかないということで、過日もちょっとお聞きいたしましたが、手元に資料がないということで後日というお話でございました、再処理しないでウランを使い捨てにする場合と、リサイクルで再処理をする、再利用するということで燃料コストの比較ですね、これはどういうことになりますか。いろんな比較の方法があるんだろうと思いますけれども、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。
#64
○政府委員(山野正登君) 再処理の経済性につきまして、前々回でございましたか、再処理をしないでウラン資源を使い捨てにする場合と、再処理をしてウランとプルトニウムのリサイクルをして再利用を図る場合、この両方の比較で、私の記憶によりますがということで、マクロでリサイクルをする方が大体一割前後安くなるのではないかということを申し上げたのでございますが、この根拠としまして二、三の調査の例を御報告申し上げたいと思います。
 一つは、米国のNRCの行いましたGESMOと呼ばれる報告書によるものでございまして、これはこの検討の対象期間を一九七五年から二〇〇〇年までとしまして、二〇〇〇年時点における発電規模を五億キロワット、それから考えられます炉型の構成は軽水炉としまして、この軽水炉にプルトニウムを利用する、つまりプルサーマルを行うという前提でどうなるか、それ以外にもいろいろな前提条件はあるのでございますが、そういう前提で試算をしました結果としまして、リサイクル方式、つまり軽水炉にプルトニウムをサーマル利用をする方が使い捨てにする場合に比べまして燃料サイクルの経費が二〇〇〇年までの累積で約八%安くなるという結論が出ております。
 それから、同じく米国のエネルギー省の前身でございますエネルギー研究開発庁、ERDAの調査結果を見ますと、これは調査の対象期間を一九七六年から二〇〇〇年までとしまして、二〇〇〇年時点における発電規模を五億キロワット、炉型の構成は同じく軽水炉にプルトニウムをサーマル利用するという前提で試算をいたしておりますが、この場合はリサイクル方式の方が使い捨て方式の七%安くなるという結論になっております。これも同じく二〇〇〇年までの累積での評価でございます。
 それから、わが国で行われました調査としまして動燃事業団が行ったものがございますが、これを見てみますと、検討の対象期間を一九七五年から二〇〇〇年までとしまして、発電規模を二〇〇〇年時点で一億二千万キロワット、炉型の構成を軽水炉へのプルトニウムのサーマル利用、それから新型転換炉と高速増殖炉へのプルトニウムの利用という炉型の構成を前提に試算をしました結果としまして、リサイクル方式の方が使い捨て方式に比べて一〇%安くなる。これは前二者と違いまして二〇〇〇年時点における評価でございます。
 こういったふうな数字が出ておりまして、前提によって大きく変わるものではございますけれども、傾向としまして大体一割あるいは一割弱程度リサイクル方式の方が燃料サイクル経費が安くなるという結論が出ておるようでございます。
#65
○藤原房雄君 ウランの有効利用ということや、また安全性確保とか、ただいまの有効利用の中で経済性ということ等も考え合わせて数%の経済性もあるんだということのようではございますが、これはいろんな試算によっていまのお話のように差異があるだろうと思うんですが、私どもが今日この時点でこの法案の審議に当たりまして危惧することというのは、諸外国におきましても、先進国といわれるアメリカ、フランス、西ドイツ、まあこれらの国々におきましても再処理の大型の施設というものが十分な稼働をしていないというところに、しかも民営レベルではまだまだいろんな問題があって今後の計画という、こういうことでありまして、現在十分な運転がなされていないというところに非常に危惧の念を抱くわけでありまして、今後の技術開発、そしてまた現在までの技術の積み重ね、蓄積、こういうものが確立されて、少なくとも十数年後には日本としても十分なものができるだろうという将来の技術の発展というものに大きく依存しているといいますか、それは技術が進歩していくことは当然だろうと思いますけれども、少なくとも現段階におきましては民営というレベルでの世界各国でも十分な運転をしておるものがないという、こういう将来に大きな期待感といいますか、こうなるであろうということが大きな問題であるとは思うんです。しかし、これは不可能なことではなくして、逐次その技術が蓄積され、そしてまた解決をされつつあるということも私ども認めるにやぶさかではございませんけれども、そういう点で十年先、二十年先と、十数年先のことであるということから、どうしても今日出されておりますいろんなデータなり、また述べられておることに対して非常にまあ注意深く見なきゃならないという問題もそこにあるわけであります。
 一つ考えてみましても、アメリカにおきまするこのたびのような事故がありますと、原子力の場合にはちょっと部品を取りかえてというわけにいかない大きな事故につながる場合がしばしば――東海の第一工場につきましても、過日来いろんな説明を受けておりますけれども、実験段階ということで慎重にいろんな対策を講じているとは言いながら、やはり相当の期間停止をしておるということ等を考えますと、この第二工場の建設に当たりましても、現時点から第二工場の建設に対してこうあるべきだということに対しては、私どもこれを審議する立場としては非常に不透明といいますか、確信の持てない点が多々あるわけであります。そういうことから今後――今日までの問題についてはいろんな問題が処理され、そうしてまた技術的な面についてはそれなりの蓄積としての技術はあろうかと思いますけれども、今後の課題としまして、私どもは今回のこの法案の審議というのは、一つの窓を開くといいますか、こういうことを前提とするとか、いろんなそういう前提条件のもとに審議をするのであって、これは十年先のことでありますから、やっぱり厳しく、今後の推移については当委員会等が報告を受けるなり、またいろんな角度から問題については審議をするとか、そういう一つの歯どめといいますか、そういうものがなければならないんじゃないか。十年先になりましてから、当初この法案のできるときに、どういうことが論議されたか、いろんなことが振り返られるんだろうと思いますけれども、ただ単にこの法案に賛成とか反対とかという、そういう単純な態度だけではなくして、やっぱり審議する私どもも法案を提出する政府側も、ともに十数年先ということに対しての私どもはやっぱり厳しい物の見方というものが必要だろうと、こう思うんであります。そういうことで、私どももいろんな角度からいろいろ論議をするわけでありますが、政府としてもまた担当の科学技術庁としましても、十年先のことであるだけに皆慎重な態度でこの問題についても論議をし、そうしてまた、今日までこの法案提出に当たりましても検討を加えてきたんじゃないかと私は思うんですけれども、こういう実現が十数年先に対して、現時点で私どもがどう臨むかということは、私どもも今日まで十数年議員生活をしておりますが、こういう法案というのは余りございませんで、私どものとる態度というのは非常にむずかしいというふうに考えておるんですけれども、担当の局長または大臣、こういう問題についてはどのようにお考えになっているか、まずその点をちょっとお伺いしたいと思います。
#66
○政府委員(山野正登君) 藤原先生御指摘のように、確かにこれは十年余りという非常に長いリードタイムを持った、長い道のりを持った建設工事でございますので、その間におきまして絶えず私ども関係者としましては、民間を含めまして細心の注意を払いながら本計画を進めていく必要があると考えております。で、今後の技術開発というものは、これは当然積極的に取り入れなければなりませんし、また体制を進めるに当たっての推進体制のあり方、あるいはまた安全確保のための規制体制のあり方といったふうなことにつきましても、今後の十何年かの間、絶えず私ども当委員会の引き続いての機に応じての御審議を経た指導を得ながら進めていく必要があるというふうに考えておるわけでございまして、現在までに積まれた努力のみに甘んじて、あとは安易に考えておるということでは決してございませんで、引き続き官民を挙げて御指摘のような努力を重ねていきたいというふうに考えております。
#67
○国務大臣(金子岩三君) 具体的なことは政府委員からいろいろお答えしておりますが、基本的な姿勢は御指摘のとおりでございまして、今後、原子力の研究開発は当然いままでよりもより以上にやはり力を入れていかなければならない。わが国のいわゆる資源を持たない国であるがゆえに、特にこれに熱心に取り組んでいかなきゃならないと思うのでございます。したがって、これは安全が大前提で、いつも申し上げますとおりでございますが、安全はもちろんのこと、いわゆるこの種のものを民間にやらせるということは、やはり国の立場で国費でやるのよりも、どちらかというとずさんになりがちじゃないかというような懸念も当然だと思うのでございます。したがって、これから先十数年かかってこれが完成するまでは、やはり政府の責任は当然私はいままでと同じような責任を分担してこれを推進しなきゃならない。いわゆる三年がかりでこの法案を御審議いただいておるのも、やはり慎重を期するがゆえに国会の方でも時間をかけて御審議いただいておるわけでございますが、今後これの改正までにも、当然政府がその責任は負ってこれを推進していかなきゃならない、このように政府の責任を今後もひとつ十分とっていくべきと決意をいたしております。
#68
○藤原房雄君 今度のこの法案の改正につきましては、当初出された法案が二分されまして民営に一つの道を開くということと、それから再処理施設について内閣総理大臣の使用前の検査や定期検査を受けることを義務づけるといいますか、こういうこと等を規定して、そのほかの関係規定を調整するという、こういうことだろうと思うのでありますが、民営化問題につきましては、それがよりベターであるかどうか、これらについては過日来の委員会でもいろいろな角度から議論をし、私どももそれなりに決して理解できないことではないのでありますが、安全性ということと経済性ということと、またこれから非常に変化の激しい社会の中で、十年先のことをいまここでいろんな論議をしたことがどれだけの規制といいますか、になるのか、いろいろなことを考えると議論のあるところだと思いますが、というのは、やっぱり膨大な投資をしてなさなければならない、こういうこと、そしてまた、人の生命にかかわる重大な再処理工場ということで、やはり民営に道を開くにはそれなりの厳しい規制というものがなければならないと思います。今日までもいろいろ論じられておりますように、電力会社というのはどちらかというと、事故があっても率直にその事故の報告がなかったり、こういうことで非常に関係者のひんしゅくを買うようなことがしばしばありました。こういうことが絶対ないような歯どめも必要だろうと思いますし、また経済性のことについても、先ほどいろいろお話し申し上げましたけれども、相当な巨額の投資をして建設をする、しかも、先ほどの局長のお話のように、リサイクルすることによって経済性が高まるというお話でございますが、過日来のアメリカにおきますあのスリーマイルのような事故がどういう形で起きないとも限らない。一たび事故が起きますと、それは非常な多額の投資を必要とするということ等を考え合わせますと、民営に道を開くということはそれなりの二重にも三重にも厳しい規制をし、そしてまた十分な検討を加えた上でなければこれはなかなか容易に認め得ないものだというふうに考えざるを得ない。こういうことでいま大臣からもいろいろお話ございましたが、これは審議をする私どもにもそれなりの責任もあるわけでありますが、立法府としてはそれなりの監視の目を光らしていかなければならぬと思いますけれども、当局としましても十分に今後の推移をひとついろんな形で見守っていくようにしなければならないと思います。
 それで、今度のこの法案の改正のことについてちょっと二、三お聞きしたいと思うんですが、ちょうどいま通産省の審議官がいらっしゃいましたので、さっきは当委員会には必ずいらっしゃるのだと思っているものだからうっかりしましてあれですが、先ほど原子力発電所等周辺防災対策専門部会のことについて、いろいろ原子力安全委員会のもとに置かれますこの専門部会のことについて質疑をしたわけでありますが、それなりの科技庁からの考え方、そしてまた今後に対する私の一つの提言も申し上げたわけでありますが、大飯の1号炉が当初はとめる必要もないのだというふうに言われておりましたが、いろんな角度から検討した末点検することになりました。点検してみますと、おいそれと簡単に――解析の結果が通産省からいろいろ中間報告か何か出たようでありますけれども、原子力安全委員会としましては、もう少し疑義があるということで運転再開にはまだ至っていない。そういうことでどういう点がいま問題になっているのか。そしてまたこの検討にはどのぐらいの時間を要するのか。またほかのいまちょうど定期検査でとまっておりましたものについても同様な政策が――政策といいますか対処か必要なのかどうか、その辺のことについてはどうでしょうか。
#69
○政府委員(児玉勝臣君) まずお答えする前に、おくれて参りましてどうも申しわけございませんでした。
 ただいま先生おっしゃいました大飯発電所の加圧器水位計に関連しますECCSの解析の問題でございますけれども、この件につきましては四月の二十四日に解析の中間報告をいたしまして、その後五月一日にエネルギー庁としてはその解析結果からどういうような判断をしたらいいかということで、エネルギー委員会の方にその結果に基づく処置について御説明いたしたわけでございます。
 その処置といたしましては、二つのケースについて解析いたしましたけれども、その二つのケースともにプラントが安全に停止するということが一応解析の上でははっきりいたしましたので、現在の施設のまま運転しても差し支えないものと考えております。
 また、一次冷却水の移送を早期に遮断するために、原子炉圧力低信号によりまして格納容器サンプ移送系を遮断する回路を付加するということにいたしたいと、そういうことで安全委員会の方にその御意見を求めておるという状況でございます。特に安全委員会の方についてはその発電炉部会という下部機構におろされまして、それについてさらに検討を加えていただいておるところでございまして、そのグループに対して私たちとしていろいろと御説明を申し上げているという状況でございます。通産省として何か宿題を特にいただいておるというところでは現在はございません。そういう意味で安全委員会の御審議をお待ちしておるという状況でございます。
 また、大飯以外のPWR型のECCSに関連する解析につきましても、引き続きただいま計算をさせておりまして、逐次結果が出てまいると思います。それが出てまいりましたところでその処置について判断いたしたいと、こう考えております。
#70
○藤原房雄君 法案の審議に入ってますので多くを聞くつもりもないんですが、今回の検討の中でエネルギー庁として原発の保安規定を改善すべきじゃないかという結論が出されたように報じられているんですけれども、これはどうですか。
#71
○政府委員(児玉勝臣君) 保安規定の見直し、それから運転要員のいわゆる訓練状況につきまして、その見直しを三月三十一日の資源エネルギー庁長官名で各会社に見直し作業を申し渡したところでございまして、十日にその結果が参りまして、その後内部での検討、それからさらにその中間報告といたしましては二十四日の日に安全委員会の方にその中間的な取りまとめを御提出しております。ただ、その全体的な、どういう問題について指示をするかという最終的な詰めがまだ終わっておりませんで、それも近々まとめまして各会社に示達したいと考えております。
#72
○藤原房雄君 それじゃ、ちょっと法案のことに入りますが、「再処理の事業に関する規制」、「事業の指定」、ここのところは先ほど来いろいろあったわけですが、第四十四条ですか、現行と改正案と比較したのがございますが、ここの第四十五条「(設計及び工事の方法の認可)」、ここのところで二番目の「(使用前検査)」、こういうところがございますが、原子力発電所ですと原子炉等規制法及び電気事業法によっていろんな歯どめというか、規制があるわけですね。ところが再処理施設につきましては電気事業法は適用にはならぬわけでしょう。こういうことで、使用前検査というのはどの法によってどういうことが中心にこの検査が行われるのか、その辺は法文にのっとってちょっと御説明いただきたいと思うんです。
#73
○政府委員(牧村信之君) まず、この再処理事業は原子炉等規制法によりまして今後規制をしていくわけでございますが、先生御指摘の四十四条におきまして指定制をとりました理由についてお答えいたします。
 再処理はプルトニウム等の貴重な核燃料物質の再生産をする目的で行われるわけでございます。しかも、わが国にとりましてプルトニウムあるいは残存ウランを有効に活用するということは、国の原子力政策を進める上にも非常にきわめて重要な役割りを占める、言ってみれば核燃料サイクルのかなめの事業でございます。こういう観点から考えますと、再処理をし、その生産されたプルトニウムあるいは残存ウラン等の流通過程におきましても計画的に利用が図られる必要があることは言うをまたないところでございます。しかも、将来予想されます再処理工場というものは、現在民間でも日産五トンというふうな計画で進められておるやに聞いておるわけでございますが、原子力発電所のようにそれほど数多く要るものではございません。したがいまして、この再処理事業というものは能力のある特定の者に行わせることが、わが国の原子力開発事業を平和利用の開発に当たりましてもまた安全の確保を図る上におきましても特定の者に限定して行わせる必要があるという判断から指定制度を設けた次第でございます。従来の原子力発電所等の建設に当たっての許可制でございますと、一定の資格があれば許可がとれるということではございますが、それよりもさらに厳しい規制等は制限を行う意味におきまして指定制度をとらしていただいておるということでございます。
 また、四十六条に「(使用前検査)」を新たにつけ加えさしていただいておりますが、従来の再処理工場の規制におきましては施設の検査は行われておったわけでございますが、動燃の再処理施設の経験等を踏まえ、現在試運転をやっておるわけでございますが、実質的には動燃の再処理工場の安全確保のためには監督命令によりまして性能検査的な規制もあわせて行っておるところではございますが、民間の再処理工場におきましても、従来の施設を検査し、この施設ができ上がったということで直ちに運転に入らせるということに加えまして、試運転を行わせてその施設の安全の確認を行い得るように、これは現在の電気事業法におきます発電所においてもこの性能検査という同様のものがあるわけでございますが、こういうものを加えた使用前検査という――施設検査とプラス性能検査が加わったものを使用前検査という形で改めさしていただいておるわけでございます。これによりまして再処理施設の安全確保により万全を期したいという趣旨で追加さしていただいたものでございます。
#74
○藤原房雄君 ただいまの施設検査それから性能検査、あわせてやるのが使用前検査だということでございますが、それと同時に、建設に当たりまして事業者は事業者としていろんな技術を駆使して建設に当たるんでしょうけれども、原子力発電所と同じには見れないかもしれませんが、電気事業法によりますといろいろな検査がございますですね。再処理施設に対して、まあ民営と公営との検査で違いがあるなんということを私言っているわけじゃないんですけれども、やっぱり法にのっとった厳しい検査項目、こういうものが設定されて厳しくチェックをすることが大事だと思いますし、また定期検査等におきましても、やはり民営と公営との相違ということではないんですけれども、やっぱり過日来いろいろ論議ありますように、ダブルチェックということでやっぱり厳しい諸点検についての検査項目というものもなければならないだろうと私思うんですが、原子力発電所と比較してどうこうというわけにもいかないんでしょうけれども、いずれにしても原子力発電所の場合には原子炉等規制法に伴う検査項目、また電気事業法にのっとります検査項目というようにそれぞれの項目にのっとっていろいろな角度から検査をするようになっているわけですけれども、再処理施設の建設の検査、また定期検査等における検査項目でそう大きな差違はないのかどうか。私は細かい技術的なことになりますと十分に承知できないわけですけれども、この辺のことについてはどうでしょう。再処理事業についても、設計、工事方法の認可四十五条、施設検査四十六条、保安措置の順守四十八条、保安規定の認可五十条、こう定められておりますけれども、こういう項目と並びあわせまして十分な――現在動燃事業団や原研等でやっておりますこういう形のものだけでいいかどうか、もっと検討を加えなきゃならない問題はないのかどうか、その辺はどうでしょう。
#75
○政府委員(牧村信之君) 今回の法改正をお願いしております点につきまして、特に規制の強化等を図る意味で先ほど使用前検査につきまして御説明したところでございます。この使用前検査は当然設置の許可を、指定を受けた事業者が工場をつくっていよいよ事業を開始する前に各般の検査を受けるというときに、試運転を行わせ性能もあわせて確認するということを行わせるように強化したわけでございますが、そのほかに先生御指摘のように、発電炉等と同様に毎年一回定期的に施設の性能を確認する定期検査の条項を新たに追加させていただいております。この規定を整備することによって、この定期検査は国が行うことといたしておりますので、さらに国が定められた定期検査を厳重に実施し、安全規制を強化することを考えておるわけでございます。
 またそのほか再処理事業特有のものといたしまして、非常に重要な核燃料を取り扱う施設でございますので、使用計画の届け出の義務も課しておるわけでございます。これは再処理から出てまいりますウランあるいはプルトニウムを計画的にわが国の平和利用に使い得るような万全の措置をとり得るために新たに設けたものでございまして、これらは定期検査あるいは核燃料の査察等の実証にも必要な情報をとるという観点からも必要不可欠なものと考えておるところでございます。その他保安規定の認可等につきましては、従前の規制法の、原子炉と同様な規制が引き続き行われるということに相なっておるところでございます。
#76
○藤原房雄君 まあ、中間検査そのほかのことについての所要の規定をということでございますから、ぜひひとつ検討をしていただきたいと思います。
 で、先ほど申し上げました何点かの問題の中で、やはり十年先ということでありますからなにでありますが、何といっても当初いろいろ議論のありましたように、技術者の養成ということが非常に大事な項目になるということは過日来いろいろ論議になっております。今日までの日本の現状からいたしますと、原研それから動燃事業団、ここでそれぞれの技術者が訓練を受けるといいますか、実際にタッチをなさって、そうした中で経験を積み重ねて技術の蓄積というものがなされておる唯一のところと、こう言っても過言じゃないだろうと思います。これから現在第一工場のおよそ七倍というほどの大きなものが十数年先とは言いながら計画されるわけであります。こういうことで人の教育訓練という、技術者の教育訓練ということが非常に重要な今後の課題だろうと思います。アメリカはどちらかというと自動化が非常に進んだ技術ということで、余り人を使わないということのようでありますが、フランスではそうでないということもいろいろ言われておるようなわけでありますけれども、日本の場合は今後に向かってこういう施策を進めるにはやっぱり計画的な体制が確立されなければならないと、こう思うんです。唯一の再処理技術者の養成機関といいますか、技術の蓄積の場であります動燃の再処理工場、まあいろいろ試行錯誤して進めておるようでありますけれども、現在この再処理工場の定員というのは一体何名いて、そしてどういう形でそれぞれの部門でこの技術というものの積み重ねというものが進められておるのか。こういうことは非常に大事なことだと思うので、これは本当は動燃事業団の方にお聞きすればよろしいんでしょうけれども、もし手元に資料がございましたらお述べいただきたいと思います。
#77
○政府委員(山野正登君) 動燃の再処理工場の陣容でございますが、ただいま再処理工場の職員の配置というのは、総勢四百十三名でございますが、その内訳としましては、管理関係で二十七名、運転関係で二百四十五名、保守関係で五十名、分析関係で七十一名、これに試験研究要員二十名、締めて四百十三名でございますが、この工場要員以外にも本社の再処理部門に二十四名、それから関連の研究開発部門に三十一名という人員を配置いたしております。で、先生御指摘のように、動燃の工場で将来の第二再処理工場に備えまして要員の訓練というのは非常に重要な問題になっておるわけでございまして、ただいま申し上げました要員のうちメーカー等からの出向職員というのが百五十七名おります。こういった出向職員というのが動燃事業団におきましていろいろ勉強しまして、そのうちのかなりな陣容は将来の再処理工場に生かしていく人材になるというふうに考えておりますが、それに加えまして、さらに電力業界から幹部職員を五十一年の四月から三名、さらに昨年の六月から十五名の研修員合計十八名でございますが、これをただいまの再処理工場に派遣いたしておりまして、いろいろ研修をさしておるという状況にあるわけでございます。
 それで、動燃工場におきまして先生御指摘の教育訓練というものにどのように配慮しておるかという点でございますが、これはただいまの工場を建設するに先立ちまして、詳細設計の期間中に幹部職員十五名を約半年間フランスのラアーグ工場に派遣しまして再処理技術というものを勉強させますとともに、原研の再処理特別研究室の職員三十六名も二年間派遣しまして再処理の運転のトレーニングを受けさせるといったふうな教育訓練を過去に行っております。さらにコールド試験に入りました後におきましても、各種の試験の過程を通じまして運転員にオン・ザ・ジョブ・トレーニングということを中心にしまして各種設備の操作方法についての技術習得といったふうなことにも努めさしております。
 それから、先ほど申し上げました各社からの出向者でございますが、こういう方々もできるだけ将来の再処理事業に技術を生かせますようにいろいろな現場に均等に配転する、配置をするといったふうなことを心がけておるわけでございます。それからさらにこの職場に新しく入ってくる職員もあるわけでございますが、出向者も当初はこれに該当するわけでございます。五十三年度三十六名おりますが、こういったふうないわゆる新規職員に対しましては、現場に配属されます前に一週間程度関係の法令とかあるいは核燃料物質の取り扱いの方法、事故時の措置といったふうなことにつきまして座学をさせまして、その後現場に配属されました後におきましても三週間程度の講義と実技訓練といったふうなものを行っておるわけでございまして、将来にこの技術をできるだけ生かすべく教育訓練には格段の努力をしておるさなかでございます。
#78
○藤原房雄君 いろいろ今日までの現状をお聞きしますと、それぞれの将来を考えながらやっていらっしゃるようでありますが、特にこの出向社員も相当いらっしゃる。百五十七名ですか。こういう方々が再び再処理という、ここで身につけたものが当然生かされる方向でなければならないだろうという、そういう点についてもいろいろ配慮するということですが、これは会社のことですからどういうことになりますかあれですけれども、やっぱり非常に息の長い仕事であるだけに、教育訓練を受けた人がやがては幹部となり、またその部門にいつまでも携わっているというわけにはいかないということで、やはり二年なり三年なり教育を受けて、その教育訓練を受けた者がすぐその工場で役立つということではないだけに非常にむずかしい問題があろうかと思います。そしてまた現在四百十三名という定員はどういう基準で決められたのかわかりませんが、今後また、まだまだ技術的に進めていかなければならない部門があるにもかかわらず、この四百十三名という決められた定員の中で今後の第一工場よりもさらに大きな工場建設のために、教育訓練の場としてこういう陣容といいますか、こういう体制でいいのかどうかということについても少なからず疑問を抱くわけでありますが、十年という長い先のことでありますから、そしてまたそのときそのとき訓練を受けた人たちが必ずしもその部門にずっといるというわけでもないでしょう。こういうことを考えあわせますと、再処理施設に関しての唯一の人材育成の場ということでありますと、何か現状だけでいいのかというそんな感じもするんですが、また出向社員、電力会社からも何人かいらっしゃっているということでありますが、ことしは十五人ですか、これらの方々も会社の方で若い方がいらっしゃるんだろうと思うんですけれども、五年十年するうちに定年を迎える方や、また別の部門にいらっしゃる方や、こういう方がいらっしゃるということで、きちっと、定員の基準というのはどういうふうに決めるのかわかりませんけれども、現在こうだから必ずしもそれが蓄積された技術として将来にも生きていくというふうに、そしてまたいろいろな部門にエキスパートとして責任ある立場でいかなければならない方々、そしてさらに今回のような事故がございますと、一層一人一人の技術者の技能というものが要求されるときに、いまのような形で果たしていいのかどうか、そういう点では、非常に先の長い話でありますし、物を考える基準がないので、いいのか悪いのかという大ざっぱな話でまことに申しわけないのですけれども、定員の基準とするものは一体どこにこの基準が定められておるのか、これは予算制度ですから恐らく予算の枠で抑えられているんだろうと思うんですけれども、そうであるならば、やっぱり将来重要な部門である再処理工場につきましては、これはもっと大臣から御努力いただかなければならない。こういうことでぜひ人材の教育訓練、技術者の教育訓練ということについては特段のひとつ配慮をしなければならないだろうと私は思うんですが、この間のことについて現状どうかということと、将来に向かってまた改善すべき点は改善すべき点として御所見を承りたいと思いますが、どうでしょうか。
#79
○政府委員(山野正登君) 先生御指摘のように教育訓練と申しますのは非常に息の長い話でございまして、現在の時点の教育訓練の現状というのをただいま御説明申し上げたわけでございますが、今後第二再処理工場が運転開始をするまでの十何年かの長い間にわたりまして、引き続きこのような教育訓練というものは続行していく必要があるというふうに考えておるわけでございます。先ほど申し上げました再処理工場の要員とそれから研修生というのはこれは別でございまして、現在の再処理工場の運転、保守、整備等に必要な人員というものは確保されておると考えておりますが、これに加えて相当数として先ほど申し上げましたような外部からの研修生も受け入れておるということでございまして、このような努力というのは今後も進めてまいりたいと考えております。第二再処理工場の要員というのは、現在電気事業連合会の考えておるところでは、第二再処理工場としては現在の東海工場を上回る倍近い陣容が要るわけでございますので、それを考えましても、今後引き続き所要の人員の養成訓練の重要性というのは先生御指摘のとおりであろうかと考えております。
#80
○藤原房雄君 いたずらに外国との比較だけで私論ずるんじゃないんですが、フランスにおいては、公社は八百何ぼだったか、規模かなんかからいってもちょっと違いはあるんですけれども、相当な陣容を抱えてやっておるということが言われております。またアメリカにおきまする再処理工場――日本はどちらかというと、フランスの技術を導入したということで、フランスとの比較ということになるんだろうと思いますが、大体規模とかを比較するというのは非常にむずかしいかもしれませんけれども、ここらあたり比較したところではどんなことになりますか。
#81
○政府委員(山野正登君) 動燃の東海再処理施設は、先ほど申し上げましたように四百十三名でございます。これは五十四年三月現在でございます。これに対しましてフランスのラアーグの再処理工場の例を見ますと、ラアーグの再処理工場と申しますのは、規模としましては、天然ウラン用の再処理工場としては年間八百トンの再処理能力を持っておる、軽水炉用のヘッドエンドを付加した場合には年間四百トンの規模を持っておる工場でございますが、この工場におきまして、五十二年十月現在の数字でございますが、約千名という陣容になっております。これは工場の規模は、わが方は年間二百十トンでございますから、これに比べますとかなり違うわけでございます。単純にこの処理能力に比例して人員があればよろしいというわけではなくって、恐らく能力は小さくとも比例して小さくはならない、つまり最小の所要人員というものは、いかに能力を小さくしても、あるものとは考えますけれども、まあまあ私ども素人目に見たところでは、この年間二百十トンと年間八百トンという処理能力の規模の比較においては約四百名、約千名、ほぼ妥当なところではないかというふうに考えております。
#82
○藤原房雄君 時間になったようでございますので以上で終わりますが、これは今後の問題について、大事な人材育成の教育訓練の問題についていろいろお聞きいたしました。あとは、高レベルの廃棄物等、これらの問題をどうするかという何点かにしぼられるんだろうと思いますが、今日までもいろいろ質疑がございましたので、一点だけお聞きしておきますが、この第二工場のアウトラインというのは、過日もいろいろお話ございました。建設から操業までどのぐらいかかるかとか、工場規模がどうかとか、資金がどうかとか、いろんなお話あったんですけれども、先ほどいろいろ申し上げた点から、立地条件ですね。これはまあ今回のことなんかも踏まえまして非常に厳しいといいますか、いろいろ検討しなければならない大事なことだろうと思います。また、住民の理解ということ等もあわせまして、過日来のいろいろの質疑の中では、現在まだ名を挙げてどこということは決まっていないということでありますけれども、少なくともこの再処理工場を建設するに当たって、立地条件としてはどういうところが好ましいとして、そうしてまた敷地等につきましてもこれは準備室の中でいろいろ研究、検討をなされているんだと思いますけれども、準備室は準備室といたしましても、この事の重大性の中からいたしまして、少なくとも敷地についてはいろいろな地理的条件の中で、先ほど申し上げたいろいろな点も踏まえまして、科技庁として一応考えていらっしゃる立地条件、こういうことが主要なことだということについてはいろいろ御検討なさっておると思うのですけれども、その点をちょっとお伺いして終わりたいと思います。
#83
○政府委員(山野正登君) 第二再処理工場の立地の要件でございますが、これは先生御指摘のように、電気事業連合会の中でもいろいろ検討をしておるところでございまして、現在までのところ、たとえばこの一つの要件としましては、使用済み燃料の輸送の便ということを考えまして、海岸に隣接していることが望ましいということとか、あるいは建設をいたします主要施設等の関連におきまして、全体の面積は約六百六十万平米、そのうち施設用の面積としましては約百七十万平米が望ましいといったふうなあらましの見当はついておるわけでございますが、私どもはこのような地理的、物理的な条件に加えまして最も大事なことは、やはりその地域で地元の方々の理解と協力が得られるかどうかという点が最も重要であるというふうに考えておるわけでございまして、この点につきまして、今後民間におきまして立地点の選定、取得に際しまして最も意を尽くすべきところであると考えますし、またこの地元の理解と協力を求める際に、やはりその背景としましては国民的な理解というものがなければならないということは当然のことでございますので、そういう面におきまして科学技術庁を含めまして政府の責任というのも非常に重いと思っております。そのような面において私ども関係者としても大いに力を尽くしたいというふうに考えておるところでございます。
#84
○佐藤昭夫君 最初に、日米会談に関する問題で少しお尋ねをしておきたいと思いますが、古田委員の質問にもありました、再処理問題の扱いが今回の日米会談でどうなったかという点については、今次会談では深く議論にはならなかったという答弁であったわけですけれども、いずれにしてもこの問題は夏の段階――八月、九月の段階で決着をつけなくちゃならぬ問題ということになっているのは明白であるわけです。
 片やこの第二再処理工場については、現在電気事業連が考えておる計画でいきますと、いわゆるピューレックス法でやる計画になっておる。ところが、現在は五月ですけれども、ですからあと三カ月ないし四カ月という段階、その段階で再処理についての手法というか方法というか、これの重大な違いが起こるということになった場合に、非常にそこにむだが起こるわけですね。で、どうしても合点できないのは、日米協議における再処理の問題での結論が出た段階でこの再処理法案についての結論をつけるというやり方が一番至当なんじゃないか。なぜしゃにむに、もう一日も早くこの法案を上げてくださいという言い方をするのか、そこが合点にかぬわけですけれども、これは三カ月ないし四カ月ずれたらどういう支障が出るのですか。
#85
○政府委員(山野正登君) まず日米共同決定の性格というものをちょっと御説明申し上げますが、一昨年行いました日米共同決定と申しますのは、動燃の東海工場における米国原産の使用済み燃料の再処理をすることについて日米共同決定をしたわけでございます。この一昨年の共同決定以降の運転方法につきましては、御指摘のようにことしの夏までにその運転の方法、つまり引き続き単体抽出で運転をするのか、あるいは混合抽出に移行するのかといったふうなことを含めて次の日米共同決定が要るわけでございますが、これは第二再処理工場とは関係のない話でございます。第二再処理工場の運転方法というのは、先ほど申し上げましたように、ピューレックス法を考えておるということを申し上げましたが、このピューレックス法の中で、将来混合抽出をとるのか、あるいは単体抽出でいくのかというのは、これは今後の問題でございまして、ただいま第二再処理工場につきまして、東海で現在運転しておりますような単体抽出を予定しておるというわけではないのでございます。その点をよく一つは御理解をいただきたいと存じます。
 したがいまして、この夏までに行われるであろう日米共同決定、次の共同決定を待ってこの法案の処理をすればよいではないかという点につきましては、私どもはそのように考えていないわけでございまして、あくまでもこの夏までに行う日米共同決定と申しますのは、東海の再処理工場の運転についてであり、ただいまお願いいたしております規制法の改正というのは、それ以降の第二再処理工場を建設するための準備でございますので、その辺を分けて考えておるわけでございます。したがいまして、ここでもって三カ月ないし四カ月という期間を空費することなく、できるだけ早い機会に成立、御承認をいただきまして必要な準備に入らせていただきたいというふうに考えております。
#86
○佐藤昭夫君 そんな御答弁なさったって、それは詭弁でね。確かに字面の上では、一昨年の日米共同決定というのは東海再処理工場の扱いの問題、それをいよいよことしの夏に決着をつけるということになっているんだいうことであるにしたって、そのことが勢いわが国で第二再処理工場をつくる場合に、それがどういう方法でやられるかという問題に必ず問題が波及をしてくるというのは理の当然の話で、あなたがそんなことを言われたって、それは詭弁だと思うんですよ。
 私の尋ねている、三カ月ないし四カ月ずれて、どういう具体的支障が起こるんですか。実際に第二再処理工場の運転開始をやるというのは、いまから十年余り先のことですね。この十年余り先を見通して、いま三カ月、四カ月ここがずれて、何か具体的支障は起こりますか。
#87
○政府委員(山野正登君) 運転開始の予定が昭和六十五年でございますから、そういう長い期間の中で、現時点で三カ月、四カ月ずれて、物理的にこのようなふぐあいが生じますといったふうなことにはなるまいかとも考えておりますけれども、しかしながら、先ほど申し上げましたように、正当な理由があって待たなければならないということであれば、これは私どもももちろん甘んずるわけでございますが、そうでない場合には、できるだけ早くこの成立を御承認いただきまして、一日も早く準備行動に入らしていただきたい。と申しますのは、昭和六十五年の運転開始ということを考えますと、ただいますでに昭和五十四年でございますので、当初考えておりましたリードタイム十二年あるいはそれ以上という時間はもう十分にないわけでございますので、そういう意味で、一日も早い成立というものを切望いたしておるわけでございます。
#88
○佐藤昭夫君 わかりました。一日も早く成立を切望はしていると、しかし三カ月、四カ月ずれて、目に見える形でのこういう具体的障害が起こるというわけではありませんということだと思うんです。
 長官にお尋ねをいたしますが、日本の原子力開発について、確かにウラン等資源の多くを残念ながらわが国は外国に依存せざるを得ないという実情にはありますが、しかしわが国の原子力開発のあり方、原子力行政の進め方については、努めて自主性を貫かなくちゃならないという、この基本的立場についての御見解はどうですか。
#89
○国務大臣(金子岩三君) 自主的立場を貫くという考え方には佐藤委員と全く同感でございます。
#90
○佐藤昭夫君 そうしますと、この再処理問題が一つの端的な例だと思いますけれども、アメリカの政策というか、カーターの政策によってわが国としてはいろいろ進めてきた。もちろん私申し上げているのは、第二再処理工場をいますぐつくる、このことについてよろしいということをさらさら言っているわけではないのだけれども、当局が進めてこられたわが国の再処理について、いろいろ進めてきた研究の蓄積の上に立って、これがよかれかしというように思っておるこれが、アメリカの政策、カーターの政策によっていろいろ、まあ言うなら振り回されるということは、芳しくないことですね。
 そこで、どうですか。せんだって首相と大統領との会談もやられた、またサミットも予定をされておる、そうして夏には再処理工場の問題についての決着の日米協議もやらなければならぬと、こういう日程がずっと控えているわけですけれども、現在の日米原子力協定をもっと日本の自主性が保障をされる方向に改正をするということを考えるべき時期ではないかというふうに思うのですけれども、その問題についてはどういうお考え方ですか。
#91
○政府委員(山野正登君) 今回の日米両首脳の共同声明にございますように、「増大するエネルギー需要に対応するため、核拡散防止並びに安全性及び環境保護の要請と合致した原子力の平和利用を一層促進することが緊要である。」、これは両首脳の共通した認識がうたわれておるわけでございまして、ここに盛られておりますように、原子力の平和利用を進めるに際しまして、核拡散の防止を図るという点につきましては、これは米国の主張であるのみならず、わが国も全く同じスタンスに立っているわけでございまして、そういう意味において、今後平和利用を進めるに当たっては、日本も米国に劣らず核不拡散の強化を図ろうという基本姿勢を持っているわけでございます。
 先生御指摘の日米原子力協定を貫く精神と申しますのは、日米間で原子力平和利用についての協力を進めながらも、核不拡散についてはこれを強化しようという精神でございますし、また、ことしの年初以来、日米間で原子力協定についての改定の話し合いが始まっておりますが、これも原子力平和利用を損なわない範囲において核の不拡散を強化しましょうという共通の意図に基づくものでございます。そういう意味で、私どもは米国が今後日米の原子力改定協定におきまして、核不拡散の強化を逸脱した、わが国の平和利用の基本的な権利まで脅かすようなところまで米側が不当な制約を主張してくるといったふうなことは、従来の日米関係から考えてあり得ないというふうに考えておるわけでございまして、あくまでも不拡散を強化しながらも、NPTにうたわれております原子力平和利用の権利というものは守っていくというのがわが国の立場でございますし、米側も十分にこれを理解しておるというふうに考えております。
#92
○国務大臣(金子岩三君) ただいま政府委員が答弁申し上げたとおり、今日までのアメリカとの関係の環境は御承知いただけると思うのでございますが、自主開発の基本的な姿勢は佐藤さんと私は全く同感でございますが、振り回されておるということがなきにしもあらずということも考えられますけれども、やはりアメリカが一番基本的に日本を――日本から見ると振り回されておるかのように受け取るのは、やはり核不拡散の問題じゃないでしょうか。この問題はやっぱり国際協調の上に立って平和利用に徹する、こういうことでいくことが私はやはり日本のためにも、そしてまた原子力の先進国であるアメリカの技術もやはり当然協力を受けることがある、やはり自主開発には大きなプラスである、こういうふうな考え方から自主開発を基本的な姿勢で進みながら、やはりアメリカとの協調は必要である、このように考えております。
#93
○佐藤昭夫君 私のお尋ねをしたこの問題に必ずしも沿った形での答弁になってないと思うんですけれども、きょうはこの問題を主たる質問にも予定をしておりませんし、あれですけれども、実際いまの日米原子力協定というのが本当に対等、平等、互恵という名前にふさわしい内容になっているかどうかという点をひとつ長官としてもよく検討をしていただいて、この点については長官も、アメリカに振り回されておるという点がなきにしもあらずと思いますけれどもということも言われましたけれども、一遍そういう角度から本当にこれが対等、平等の関係かということでよく内容を検討をしていただくということで、次回この点はさらにお尋ねをしたいと思います。
 今回のこの科学技術協力協定の中で特に核融合と並んで――核融合については従来から言われておりましたけれども、石炭液化の問題がかなり大きく取り上げられてきておるという感じを持つわけですけれども、これも吉田委員の質問に対して多少の通産省からの答弁がありましたけれども、私思いますのに、そういう石炭液化の新しい共同研究を進めていく、わが国独自としても通産省としていろんなこれから作業をやっていこうというふうに新聞に報道されているわけですけれども、石炭見直しの問題が両国間でこういうふうに大きく登場をしてきているんですが、ところが、実際に日本の現在の石炭開発の計画というものは、例の年間二千万トン体制ということで、もっぱら輸入炭に依存をするという、この形がもうずうっと続いてきているわけですね。石炭の液化の問題について言えば、一九五六年までかなりわが国は独自の研究もやってきた、国際的にも評価をされる研究もその時点で言ってまとまっておった。ところが、例のエネルギー革命論ですか、ということで、もう石油にぐうっと傾斜をしていくこの政策の中で、その研究が一九五六年以来打ち切られるということになってきているわけです。
 お尋ねをするんですけれども、この石炭問題の新たな見直しということが登場をしてきておる今日時点で、国内炭の生産並びに開発計画を見直しをしようという意図は通産省に現在あるのかどうか、この点はどうですか。
#94
○政府委員(児玉勝臣君) ただいま先生おっしゃいますように、石炭というのが脱石油のやはり一つの担い手として非常に重要な地位を占めるとともに、その脚光を浴びてきたということは御指摘のとおりだと思います。
 そこで通産省といたしましても、石炭の国内炭の生産維持ということを真剣に考えておるわけでございますが、何せ石炭の賦存状況の問題それから労働コストの上昇、そういうことからいきまして、どうしても外国との競争が非常にむずかしいということで、いまのところまだ二千万トン維持というところがようやっとでございます。何しろ外炭と国内炭との価格差も相当ございますし、石油と石炭との価格差、最近は円高の問題は大分もとへ戻ってまいりましたけれども、当初というか、今年初め、それから昨年の暮れぐらいには相当な円高の問題で石炭と石油の間には価格差があったということで、非常に競争力が弱体であるということで、何とかその競争力をつけたい、しかし現在の二千万トン以上に維持するのは非常に無理ではないかという観測でございます。
#95
○佐藤昭夫君 この問題は、そういう競争力でむずかしさがあるというふうに言われてますけれども、それは、言うならみずからの政策が招いた結果でしょう、次々炭鉱をつぶしていく、そういうことの中から、新しい炭鉱をもう一遍つくり直そうというのはもう莫大な費用が要るということを初めとする……。とにかく国内資源を求める重要な一つとして石炭の問題というのが登場をしてきておる。埋蔵されておる資源量なんかについては、これは学者や研究者の中でも、大いに日本の場合、まだ開拓の余地があるという意見もかなり出されておるという点で、大いに議論をしなくちゃならぬところの問題になってきておると思うんですよ。こうした点で、これもきょうは、審議官しか通産側から出ておいでになりませんからなんですけれども、通産省としてもいよいよ石炭の問題について改めて検討をするべき時期へ来ているんじゃないかということを特に提言をしておきますので、持って帰ってもらってよく検討をしておいていただきたいというふうに思います。
 時間がありませんので次へ進みますが、大飯の安全解析の結果について幾つか質問をいたしたいと思いますが、まず安全委員会は現在何を――と言いますのは、五月の一日と四日に検討会を開いていろいろ検討をしたというふうに新聞に報道されておるわけですけれども、中旬、さらに専門家に委嘱をしたいろんな検討の結果を取りまとめるという報道もされておりますけれども、エネルギー庁から出された報告に対して何をいま検討をしておるのかということと、それから一部報道では、安全委員会が当初要求をした解析の内容と違う面があるという報道がなされておる新聞もありますけれども、この点についてはどういうことなのか、まず局長にお尋ねします。
#96
○政府委員(牧村信之君) 大飯のECCSの解析につきましては、四月十四日に委員長談話で、通産省の解析を行った結果を見て所要の措置をとった上で運転を再開するという通産省の意向を了承したわけでございますが、その後通産省におきまして、四月の二十四日でございますけれども、安全委員会に対しまして、その時期までに行いました解析の中間報告が提出されたわけでございます。これは中間報告でございまして、通産省はその解析の結果から大飯についてこういう措置をとるという結論を出したものではございません。その後五月一日になりまして通産省から解析結果に基づく措置の通産省の考え方が説明されたわけでございます。で、安全委員会はこの件に関しまして専門的に検討する必要性を認めまして、原子炉安全専門審査会の発電炉部会という特設部会がございますが、そこにおいて技術的な審議をすることを、この五月一日に通産省の考え方が出された段階で同部会に検討を指示したところでございます。この発電炉部会では、先生御指摘のように、五月一日並びに四日に会合を開いておりまして、ここで通産省の解析の結果に基づく通産省の考え方等につきまして説明を受けたわけでございます。その説明を受けた後、発電炉部会におきましては主としてECCSの専門の先生方、数名の先生方に作業グループをつくっていただきまして、そこで現在その中身を検討しておるところでございます。
 なお、四日におきまして先生方の方から通産省に対して通産省の解析の中身について種々な質問が行われておりまして、それらに対する技術的な裏づけを持った通産省の説明が現在行われておるという段階でございます。部会としては、そういう専門家の結論を踏まえて近々部会を開催し、結論が出ればそれを安全委員会に報告するというような手順で安全委員会における審議が進んでいくことが予想されております。
#97
○佐藤昭夫君 それで、前々回の委員会でも実は私の方から大飯の原発の安全性にかかわる問題について幾つかの質問をしておきましたけれども、今回の通産の報告、この解析の結果、ここで使用されておるコードはマーベルだということを前々回答弁がありましたけれども、このコードはいわゆる過渡現象の解析コードだということですね。
#98
○政府委員(児玉勝臣君) 先生おっしゃるとおりでございます。
#99
○佐藤昭夫君 それで、この報告によるケース2、このケース2はいわゆるスリーマイル島の原発事故と同じ一次冷却材喪失事故の想定に基づくものということでなっていると思うんですが、これを解析できるのは、前々回の当委員会ではサターン6を修正をした解析コードというふうに答弁をされたんじゃないですか。
#100
○政府委員(児玉勝臣君) 通産省からはそういう御答弁はした覚えはございません。
#101
○佐藤昭夫君 そうしますと、この解析を行うに使ったコードはマーベルだけでいったということですか。
#102
○政府委員(児玉勝臣君) そのとおりでございます。初めからマーベルで行っております。
#103
○佐藤昭夫君 もともと、スリーマイル島の原発でも本来安全性の解析をやって大丈夫だというふうに言うておったはずだと思うんです。それが今回加圧器から一次冷却材が噴出して炉心損傷にまで至るそういう事故に至ったという……、いわゆる安全性解析というのは、いろんなパラメーターを入れながらそういう模擬計算をするという性質のものだというふうに私は思うわけですけれども、そういう解析コードによる模擬テスト、これが妥当性があるかどうかというこの判断をする基準は、結局は実測と一致するか実験と一致するかという、ここで検証をやるということが必要だと思うんですけれども、その点についての見解はどうですか。
#104
○政府委員(児玉勝臣君) マーベルというこのコードは、先ほび先生おっしゃいましたようにプラントの過渡現象を解析するコードでございまして、プロセスのいろいろな諸量の外乱に伴う詳細な解析ができるということでございまして、多ループのプラントの物理的熱的、熱水力特性を二つの等価ループに分けて取り扱うという特徴のあるコードでございます。このコードは安全審査にもすでに従来から使われておるコードでございまして、それで運転時の異常な過渡変化及び事故の多くの項目の解析に使われておって、実際の計算の結果とそれから実験の結果というのが本文の三十二ページにございますように、これは大飯1号機の負荷遮断試験をいたしましたときの実測とそれから計算の結果を比べたものでございまして、このような一例として提示したわけでございますけれども、非常によくあれとは似ておるということでこれを採用したわけでございます。
#105
○佐藤昭夫君 そのマーベルを使った結果というのはこれだけですか。
#106
○政府委員(児玉勝臣君) いえ、その結果と実験との整合を比較できるようなものはまだたくさんございます。
#107
○佐藤昭夫君 具体的にはどんなものでございましょうか。
#108
○政府委員(児玉勝臣君) 大飯の原子炉でございますと七五%の負荷のときのいろいろな水位、これは圧力とそれから加圧器水位だけでございますけれども、それ以外のパラメーターについても実測とその計算結果の間の比較というデーターがございます。
#109
○佐藤昭夫君 これは私一つの常識として言うわけですけれども、そもそも最初の大飯原発の安全性の解析をするに当たって使った解析コード、それで安全でございますという安全審査をやったわけでしょう。それと同じものを今回こう使っていろんな仮想事故を想定をして、しかし使う解析コードはマーベルを使って安全でございますという、これで安全だというふうにみんな自信が持てるんですか。
#110
○政府委員(児玉勝臣君) このマーベルは大飯の炉の特性を非常に正確に表現しておるということでありまして、あとインプットといたしましていろんなところの、たとえば大破断、小破断、それから今度のように加圧器のところの逃がし弁の「開」固着といいますか、そういうような事故のインプットを入れたということでございます。したがいまして、原子力のいろいろな振る舞いを従来使っているマーベルに解析をさせたということであります。
#111
○佐藤昭夫君 いろんな仮想事故に対してのテストをやったんですから、いろんな新しいインプットを入れたというのはそれはまあいわば当然のことで、これ牧村さんも専門家だから聞きますけれども、大飯原発の最初の安全審査のときに使ったその解析コードと同じやつで、そして、そのときにオーケーとなったものと同じ解析コードでやったら、オーケーという結果が出るのはあたりまえのことじゃないですか。
#112
○政府委員(牧村信之君) 通産省の方からマーベルのコードが過渡現象を評価する上で非常にすぐれたコードであるという認識は、私どもも変わるところではございませんが、現在、安全委員会の専門家の間でいろいろ議論をしておると先ほど御説明いたしましたが、この場合のポイントといたしまして、先生方がいま盛んに御議論いただいておることの中に、マーベルコードが現在大飯のECCSの過渡状況における性能を検討するのに十分妥当なコードであるかどうかということは、一つの検討項目の中に入っておることは事実でございます。
 それから、このようなコードはそのほかにもいろいろあるわけでございまして、先ほど先生からサターンについてのお話もございましたが、これはアッパー・ヘッド・インジェクション、別のECCSを解析したときのコードに使ったことを先般の御質問に答えたわけでございまして、いろいろなコードを駆使して解析しておるわけでございますが、現在のところ、大飯の発電所の過渡現象を解析するのにはこのマーベルコードが妥当なものであるというのは専門家のほぼ一致したところでございますが、今回の検討に当たっては、それにさらに先生方の御検討をお願いしておるという段階であることは事実でございます。
#113
○佐藤昭夫君 やっぱり安全委員会の専門検討会でも、マーベルの妥当性について念を入れての検討がやられているというお話ですけれども、私は本当に、同じマーベルで、言うなら、それだったら大丈夫という結論が出るのは初めからわかってる話という気がしてならぬわけです。
 角度を変えて聞きますけれども、前回もいわゆるUHIの問題を提起をいたしましたけれども、本来UHIが増設をなぜされたのか。圧力容器上部の構造の複雑化、プラント全体も複雑化をして、不良、故障の要因を増大をさせるものじゃないかと思うんですけれども、UHIを増設をした考えですね、それは何ですか。
#114
○政府委員(牧村信之君) 当時、大飯にアッパー・ヘッド・インジェクンョン――UHIを設置の変更許可をした主な理由は、この大飯の発電所というのは、日本におきます他の軽水炉と違いまして、アイスコンデンサーを内蔵しておるタイプでございます。したがって、このアイスコンデンサーを内蔵した軽水炉の特徴として、非常に格納容器が小さくし得る設計でございますが、それをさらに万全を期するためにUHIを追加した方がより万全であるという考え方から、このアッパー・ヘッド・インジェクションのECCSを追加したというのが一番大きな理由であろうかと思います。
#115
○佐藤昭夫君 格納容器を小型化する、そのためにUHIをつけたということだと思うんですけれども……。
 で、前回の答弁をもう一遍ちょっと整理をしますけれども、この大飯の七六年の安全審査、その論理というのは、さっきもありましたサターン6をUHIの増設に伴う修正をしたもの、これをこの解析に使って、それで妥当だと、で、その解析の結果、ECCSは満足に作動すると、だからオーケーと、まあ簡単に言ってしまうとこういうことですね。
#116
○政府委員(児玉勝臣君) ただいまのお答えをする前に、ちょっと先ほど私、御答弁で間違いがございましたので、訂正さしていただきたいと思います。
 マーベルで大破断の解析をしたというふうに申し上げましたけれども、これは間違いでございまして、大破断はサターン6でやっております。それからマーベルは、これは非常に小さい極小破断といいますか、今度のような、逃がし弁のような小さな破断のときの炉内の過渡変化ということでございますので、私の最初申し上げたことは間違いでありましたので、訂正さしていただきます。
#117
○佐藤昭夫君 それなら、そもそも最初のやつはどうやったわけですか。
#118
○政府委員(児玉勝臣君) 最初のやつは、大きい破断のものはサターン6で解析しております。
#119
○佐藤昭夫君 小破断は。
#120
○政府委員(児玉勝臣君) 小破断はサターン6のスモールLOCAというのでやっております。
 それで、ただいまの御質問にお答えさしていただきますが、UHIの実験、これは三菱重工において行われました実験の成果を入れたかっこうで、そのECCS作動時の条件をよりよくするためにUHIというのをつけたわけでございますが、それの解析はいま申し上げましたようにサターン6でもって解析をした上で、炉心上部に注入された冷却水の挙動というのが十分にその効果あるということで、炉心の健全性というのが保たれるという結果が出たわけでございます。
#121
○佐藤昭夫君 そこで、このUHIの解析に使用されたサターン6修正型の妥当性、それの裏づけは例の三菱の高砂研究所のUHIの冷却水の炉心への落下現象実験、これがまあ基礎になっている。で、もちろんそれ以前にもウエスチングハウス社が熱力学的な実験をやってるわけでありますけれども。しかし、この安全審査で参考にしたという言い方はされてますが、原研のROSAIIの実験結果、この原研のレポートでは、このサターン6の修正型の解析コード、これには問題点があるということを指摘をしている。この関係をどういうふうに取り扱ったのか、そこをもう一遍説明してください。
#122
○政府委員(児玉勝臣君) 原研の報告書では、UHIが有効に作動しないと、それは、炉内の中からのいわゆる噴き上げ力によりまして、上からの水が中に入らないということがあるという指摘でございます。しかしながら、この原研の実験――ROSAIIプロジェクトにおいての加圧水型原子炉の一次冷却器を模擬した試験装置で行ったUHIの作動実験というのは、これは蒸気またはその二相流体への冷水の注入というのが非常に激しい凝縮効果を起こすことから炉心まで到達しにくいという事実が報告書でも説明されているわけでございます。しかしながら、この実験はきわめて小規模のものでありまして、実用炉の特性を十分に模擬したものとは考えられませんので、そのまま実用炉に当てはめることはできないとその結論においても明示してございますので、そういう意味でこの実験は非常に貴重な実験であることは間違いないわけでありますけれども、実用炉へそのまま適合するということはどうも無理であったというふうに聞いております。
#123
○佐藤昭夫君 原研のROSAIIの実験の目的、これはレポートの中にも出てくるわけですけれども、三点あると。一つは「UHI付きのPWRのLOCA過程の確認。とくに、UHI注入時の流体条件、炉心上部における流動パターンの時間変化、および上部ヘッド内の水の非均質効果の影響に注意する。」、それから二番目に「UHI注入条件および破断条件を変えて実験し、炉心冷却に対する影響を調べる。また条件により予想していなかった現象が生ずるか否かを調べる。」、それから三つ目に「実験結果をもとに既存のループコードのUHI付きPWRの」OCA解析に対する適用の妥当性を調べる。」、すなわちサターン6修正型の妥当性を調べるという三つの目的を掲げている。そうして実験の結果どういう結果が得られたかということで、「上部ヘッドにおける流体の混合はそれほど完全ではなく、熱的に大きな非平衡状態が生じ得る。」、二つ目に「蒸気または二相流体中への冷水の注入は激しい凝縮減圧効果を持ち、それが一次系各部の流動のパターンを変化させる事がある。」、こういう本質的な二点が明らかになったんだというふうにレポートに書いているわけですね。そしてこの原子力研究所のPR出版物「原子力安全性研究の現状」一九七六年版、この中にも出てくるわけでありますが、特に、「UHI注入水の持つ凝縮減圧効果が少なくともROSAII試験においては炉心冷却に有害であったことは確実である。」少なくとも何名かの研究者の共同研究による研究レポートとして、危険だというこのレポートが出ておったということだけじゃなく、研究所として公式に発表しております原子力研究所のPR出版物ではありますが、「原子力安全性研究の現状」という色刷りの表紙の一九七六年版に、こういうのは有害だ、UHIというのは有害だと――念のためにページ数申しておきましょうか、三十六ページに出てきます――というふうに書いておる。ですから、このスケールの大小の違い、それを機械的に適用することについては云々ということももちろんこの原研のレポートに触れている、そのことも私は知っています。知っていますけれども、しかし、ここまで原子力研究所の出版物に明記をしておるその問題を、そういうスケールの違い、パラメーターの違いがあるから、まあこれは採用しなくてもいいというふうに判断をつけたということでいいんでしょうかね。
#124
○政府委員(児玉勝臣君) ただいまのUHIの問題につきましては、原研の研究成果がどうのこうのということじゃございません。これはまた一つの事実として非常に重要な研究であったということであります。JAERI−Mの六七〇七号の一番最後の結論のところにも、この「ROSA−II(UHI)試験それ自体についていえば、装置上の限界から構造物の蓄積熱、炉心発熱量および燃料棒の蓄積熱、ダウンカマ間隙、各部流動抵抗、ポンプ特性等いろいろの点で模擬が不完全であると考えられ、したがって、たとえば実験で得られた燃料棒表面温度の挙動をそのまま実炉にあてはめる事などは全く無意味であると言える。あくまでも、上述の1)、2)の事実を安全解析モデルに導入する事によって、a)〜b)等の現象の有無やその程度を評価すべきものである。」、こういうことで、確かにこの中で得られるいわゆる実験の成果があります。しかし実際に水が入るかどうかというような実験については、これはROSAの容量が大きいので、要するに炉体そのものが小さいものでございますので、炉体の温度の蓄積熱というのが非常に大きな影響を及ぼしたというふうにもこの実験者みずからおっしゃっている点もございますので、そういうことを補足した意味で三菱重工で大きなものでのモデルの実験をやったわけでありまして、そのときに実際水が入ることを確認しておるわけであります。したがって、だから、原研のそういうような実験と、いま私が申し上げたようなところの言葉じりだけをとらえて採用しないとか何とかということではなくて、原研の成果のいいところ、それから実炉に近い大型実験のいいところと、両方を勘案して安全審査をしていただいたということでございます。
#125
○佐藤昭夫君 しかし、いまあなたがお読みになったところに後続けて出てくる文章が、しかしこういうことはきわめて一般性の大きい現象であり、この事実を安全解析モデルに導入することによって有害な現象の有無やその程度を評価すべきものであり、「この方向での研究が今後、各方面で強力に推進される事を期待する。」という文章がその後に続いて出てくるわけですね。この原研レポートが出ましたのは一九七六年九月、大飯原発の安全審査オーケーを出したのはそれに先立つ一九七六年五月です。当然こういうかなり大規模な一つの共同研究ですから、しかも当時の原子力委員会の安全審査会あるいは当時の通産省技術顧問会には原子力研究所からの参加をなさっておる方もあるだろうし、このROSAIIの研究の内容というものについては中間的な報告なんかも耳にされておったこととは思いますけれども、このレポートの結論が出るまでに、それに先立つ五月にもう安全審査オーケーという結論が出されたというこのやり方についても私は非常に疑念を持つんです。これほど、よく注意をしなければ大変なことになるかもわかりませんよという、こういう警告を含めた研究が片や出ているのに、わずかの月の違いですけれども、それに先立つ五月にもうぽんと安全審査の決着をつけてしまっている。こういうやり方について、私はどうしても不安を持たざるを得ない。こういう状況で、そこらの関係のものについてはどういう扱いに当時なったんですか。
#126
○政府委員(牧村信之君) 先生御指摘のように、五十一年の五月の十七日に部会におきまして大飯の解析を、部会報告書を決定いたしまして、その日の審査会に報告されて決定されているわけでございます。先生御指摘の原研の実験でいま御指摘がありましたデータが出ましたのが五月の上旬でございまして、当時の原子力委員会の専門審査会の五月十七日に実は部会が行われておりまして、原研からその結果が報告されておるわけでございます。で、当時の審査会では、先ほども通産省の方からも御説明がありましたように、この実験が小さな炉心を模擬した実験であるためにいろいろな条件が実証炉と違っておるということを踏まえつつ結論を出されたように聞いておるところでございます。実はこのROSAの研究の成果につきましては、その後も日本の研究あるいはアメリカの研究というものに対しての関心は、日本並びにアメリカのNRC、規制委員会におきましても非常に注目されておったところでございまして、原研の研究結果を含めてその後も両国の専門家の間でいろいろな会合が開かれておるところでございます。この原研におきますその後のROSAの研究結果等も入れましていろいろなアメリカと日本の間で検討会等が持たれております。その際には当然原研のこのデータも詳細に議論され、原研の研究者もその中に入りまして検討が加えられまして、約二年経過した時点におきまして、そのような議論の結果を踏まえてECCSの安全審査に用いられております先ほど先生の御指摘にございましたサターンの6の評価の妥当性につきましてもいろいろな検討が行われ、若干の新しい評価モデルの変更も、それらの、原研だけではございませんけれども、アメリカの実験結果等も踏まえて変更が行われ、関西電力の大飯につきましては、UHIの設計圧力の変更というようなことも行っておるわけでございますので、先生御指摘ではございますけれども、このROSAIIの一連の研究というものは、わが国の規制をするコードの開発等に大いな貢献をしたと私どもは考えておるところでございます。
#127
○佐藤昭夫君 もう一つ念のために聞くんですけれども、このサターン6修正型のこの解析コードは、原研レポートで問題として指摘をしておる凝縮減圧効果、この物理現象を加味したものになっていますか。
#128
○政府委員(牧村信之君) それを加味したものになっておると聞いております。
#129
○佐藤昭夫君 聞いておりますって……、確かですか。――
 それで、とにかく当初の安全審査の判断に当たっては三菱高砂の実験の結果をより評価をしたと、しかしこの高砂の実験というのは炉心に相当する発熱体がないものですね。一方、原研でやったROSAIIというのは、確かにスケールは小さいけれども、曲がりなりにも発熱体を持って原子炉を模擬をした。ですから、どっちが一体原子炉のいろんな性能をより表現をするかという点から考えてみたら、常識的に見たって、この原研のレポートで指摘している問題がもっと重視をされる必要があったんじゃないかという点については、きょういろいろお聞きをしましたけれども、私の疑問は依然としてなくなっていません。で、大飯原発の本来の安全審査にまず問題があったんじゃないか。ここが土台になって、そして同じ解析コードを使用してスリーマイルと同じような仮想事故を想定をした安全性テストをやった。このことについても、いかに安全だというふうに言われても大変疑わしいというふうな疑問は依然としてきょうの質問でもぬぐい切れません。
 そこで、最後に要求をしますけれども、大飯の原発の当初の安全審査に使用した解析コード、これは公表できますか。牧村さんがさつき、聞いていますというような言い方もされるから、なおさらそのことを言いたいんです。
#130
○政府委員(牧村信之君) このコードはウエスチングハウスのコードでございますので、いまここで提出できると私が申し上げるわけにはいかない、多分ウエスチングハウスの商業機密等に属するものが相当入っておるということでなかなかむずかしいコードではないかと考えられます。
#131
○佐藤昭夫君 一つは、ウエスチングハウス社が開発をしたコードだから、それに依存をして日本の原子力発電所の安全性審査の武器にしておるというこのやり方自身も問題ですし、それから、本当にそれが確かかということでいろいろお尋ねをする中で、公表できますかと言えばはっきりしない。ぜひこれは公表をできるように必要な措置をとってもらいたいということを要求をしておきます。それが公表されない限り、私はその疑問は依然として氷解しません。
 それからもう一つ通産省に尋ねますけれども、前回、関西電力が行った解析を通産の技術顧問会でいろいろ検討をしましたということであったわけですけれども、その検討に参加をされた技術顧問の人数と氏名を公表をしてほしいと言うたら、それは公表いたしますというふうに答弁なさいましたね、審議官。ところが、私のところへ届いたのは技術顧問全員の名簿が届いて、この中のだれが検討に参加をしたか、それを発表することは差し控えたいと言う。なぜですか。
#132
○政府委員(児玉勝臣君) 技術顧問というのは、先生御案内のとおり、特に法的責任があるわけじゃございませんで、われわれの技術的ないろいろな知識の補完といいますか、サゼスチョンをしてもらうという意味の、まあ援助者というかっこうでございまして、顧問会というものが一つの組織を持って活動しているということではなくて、われわれのそういう物事を決めるときに一つのサゼスチョンを与えてもらう。結局責任は通産省が負うわけでございますので、何かそういうことで問題があるとすれば、その当面の問題についての解決なり、それから対応ということは私たちとしてやるべきことであって、顧問の先生自身が何月何日にどこで何をやったかというようなことで、いろいろと公表されたりするという筋合いではないのではないかと、こう思ったわけでございます。
#133
○佐藤昭夫君 いまの答弁は納得できませんよ。この四月の二十四日、あなたらが新聞記者に発表なさったあの文書にも、私の質問でも尋ねたら、いや、ちゃんと技術顧問の検討を受けてますというので、いろいろ尋ねてみたら、二時間ぐらいの検討だったということがはっきりしたわけですけれども、法的に格づけをされておる審議会とか、そういうものとは違うということであるにしても、私は疑いを持っているんですよ。本当にどれだけ技術顧問の人が検討なさったんだろうかということで、きわめて限られた人数の人が短時間ちょちょっとした、こういう検討になってるんじゃないだろうかと。本当に担当の技術顧問の人たちが十分責任を持った念入りな検討がやられたのかと、関西電力からの報告に基づくエネルギー庁見解がまとめられるに当たって。という点については大いに疑いがあるということで、これはなぜ発表できないんですか。いまの理由では納得できません。
#134
○政府委員(児玉勝臣君) 通産省のそういう技術的なものの決定の仕方に御疑問があるということでございますのであれば、その当日集まりましたのは、青木成文先生以下七名でやっております。
#135
○佐藤昭夫君 もうこのことだけで時間とれませんから、その七名の氏名も発表してください。本当に国民のそういう期待と負託を受けて、安全審査の審査会の先生なり技術顧問の先生、これは安全審査、安全性の点検をやっていくわけでしょう。だから正々堂々と名前を発表なさったらいいじゃないですか。自分の学問的良心にかけても発表なさったらいいと思うのです。ということで、氏名まで発表できますか、いまここで逐一聞きませんけれども。人数は七人ということになっています。どうですか。
#136
○政府委員(児玉勝臣君) 氏名も発表いたします。
#137
○佐藤昭夫君 問題を次に進めますけれども、法案についていろいろ質問をしていく便宜上、当局の方にお願いをしましたら、幸い「第二再処理工場の建設推進上の課題及びその対策」ということで、こういうものをまとめていただきましたので、これに沿って幾つかの問題をお尋ねをいたしたいと思います。
 その前に、どうしても第二再処理工場を民間へ移行をしなくちゃならぬ積極的理由、国の管轄ないしはいまの動燃事業団のような国の指導のもとの事業団、特殊法人、これではぐあいが悪い、どうしても民間でならなくちゃならぬのだという積極理由は何ですか。
#138
○政府委員(山野正登君) わが国におきましては、先生御承知のように、私企業体制というのが基本になっておるわけでございまして、どうしても私企業でやるのが不適当な場合に限って政府ないしは政府関係機関がこれを行うといったふうな体制になっておるわけでございます。この意味で、現在民営で行われております電力事業の一環として、再処理事業というものもそのシステムの中に組み込まれるべきである、つまり民営で行われるべきであるというのが私どもの考えでございまして、再処理事業を民営化することによりまして、民間の資金面、技術面等の活力を活用することができる、その方が官営でやるよりもよかろうということでございます。
#139
○佐藤昭夫君 それだけですか、理由は。
#140
○政府委員(山野正登君) そのとおりでございます。
#141
○佐藤昭夫君 このいただいておる資料で資金――建設に当たっての資金でありますけれども、「日本開発銀行の融資等を含め、関係省庁間で協議しつつ、今後の資金調達の円滑化のための方策を検討」をするというふうに書いてありますが、今後の問題だから確定的なことは言えなくても、おおよそ考え方として、開発銀行も含めて国の資金による資金援助をどの程度、何割程度考えているんですか。
#142
○政府委員(山野正登君) 将来建設されます第二再処理工場の所要資金というのは、これは現在電気事業連合会の見当によれば、きわめて大ざっぱな数字でございますが、現在価格で約五千億円程度というふうに言われておるわけでございますが、細かい資金計画につきましては、この法案の成立を待って設立されます再処理会社においてつくられるという運びになろうかと思います。この再処理会社でつくられた資金計画によりまして、再処理会社が必要な政府資金の融資というものを要望してくると思われますので、この要望にこたえる形で、将来開発銀行の融資等を含めて、関係省庁間で協議して具体的な融資額を決めるといったふうな運びになろうかと思いますので、まだ民間の資金計画もないいまの段階で、開発銀行の融資は何割程度を考えておりますということをまだお答えできる段階ではないということでございます。
#143
○佐藤昭夫君 何か通産の方、意見があるみたいですね。
#144
○政府委員(児玉勝臣君) いま原子力局長が申されましたように、事業計画が確定次第、関係省庁の間で協議いたしまして、その資金の調達について万全を期したいと、こう思っております。
#145
○佐藤昭夫君 しかし、それはどうですか、私は大変無責任な法案の提出の仕方じゃないかと思うのですよ。民間へ移行をすると、しかし何がしかの国家資金による援助は当然やっていくんでしょう、しかし額はわかりません――たとえて言えば、半分以上国家資金の援助をやったら、看板は民間、しかし実質は半分以上国家資金援助がやられておるということだったら、ていのいい、国民の税金を使って民間企業を援助をしていくということになるわけでしょう。だから、おおよそのめどというものが当然法案提出の段階で明らかにされてしかるべきじゃないですか。どうですか。
#146
○政府委員(山野正登君) あくまでもこの政府資金の融資というのは、相手方の要望、要請を待って決めるべき問題であるというふうに考えておるわけでございまして、相手方の資金計画もない段階で、政府側が一方的にどの程度の融資をするということを言うのは不適当かと考えます。
#147
○佐藤昭夫君 ますますおかしくなってくるんです。相手側の要望と言って、その民間企業の要望に沿って国家資金をいろいろ出していきましょうということで、そんな無責任な話というのはないと思います。本法案はまだ来週に向けて審議を続行していくわけでありますから、審議終結までにもう少しそこらの問題の考え方については当局は明確にできるように内部の検討をやってもらいたいというふうに思います。
 第二再処理工場に関する安全性の問題で、いただいております資料では三つここに書かれていますが、「設計・建設段階及び運転段階における厳格な安全規制の実施」、それから二つ目に「安全基準の整備」、三つ目に「放射性物質放出低減化等の研究開発の推進」という、この三つが今後いろいろ検討対策を講ずるべき課題ということで挙げられていますけれども、安全規制の問題、安全基準の問題、非常に範囲が広いわけですから、いろいろお聞きをしたい点はありますけれども、きょうはもう余り時間がありませんし問題をしぼってお尋ねをしておきますが、現在の動燃事業団の東海の再処理工場でもう事故が次々連発をしているということは、逐一その事例を申し上げるまでもないと思いますけれども、こういう経験ですね、現にやっておる東海再処理工場の事故続発というこの経験の上に立って、新しくつくろうとする第二再処理工場の安全規制、安全基準をどういうふうに一層完璧なものにしようということを考えるんですか。
#148
○政府委員(牧村信之君) 先生御指摘のように、再処理工場は蒸発かんの漏れがございまして現在とまっておるわけでございますが、その対策につきましては、先般から御説明しておりますように、ことしの秋ごろを目途に蒸発かんを新しいものをつくってそれを据えつけて運転再開に持ち込もうという計画を動燃が現在進めておるわけでございます。その他の事故、トラブル等につきましては、動燃の再処理工場というのはなお実験段階も含めた試験研究開発段階の要素も持った施設でございますので、われわれといたしましては、そのようなトラブルに対処をいたしまして原因究明を行いその対策を講じるということで動燃の再処理工場の本格化の運転に持っていきたいというふうに考えておるわけでございますが、その経験を生かして私どもも安全確保のための規制をさらに万全を期していくべく努力しなければいけないものと考えておるわけでございます。
 そこで、今回の法律改正によりましても、民間の再処理事業者には指定制度を設ける、あるいけ使用前検査の規制手段を新たに追加する、あるいは年に一度の定期検査を行わせるというふうな規制の強化を行っておるわけでございますが、それだけでは私どもなお十分でないのではないかと考えておりまして、現在原子力安全委員会の下部機関に安全基準の専門部会、核燃料関係の基準部会がございますが、ここで動燃の再処理施設の経験を踏まえまして新たにつくられる民間の再処理工場の規制基準の整備を図ってまいりたいということで、すでに部会の設置を終えておりまして、新しい民間の施設の指定の届けが出るまでにまだ数年の期間があろうかと思いますので、それまでに十分新しい技術の進展等も踏まえつつ基準等の整備を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#149
○佐藤昭夫君 御答弁が抽象的でよくわからぬのですけれども、私がきょう特にお尋ねをしたいなと思っているのは、実際にこの再処理工場で働いておられる労働者の方々の被曝の問題なんです。実はごく最近ですが、五月の四日、動燃の再処理工場で二人の作業員が防護服と手袋を着用していたにもかかわらず鼻の中と頭髪にそれぞれ汚染を受けて被曝するという問題が起こっている模様ですけれども、この内容について、事業団から参考人も来ていただいていますのでお尋ねしておきます。――簡単でいいです。どの程度の汚染だったかということをはっきりしてほしい。
#150
○参考人(中村康治君) お答えいたします。
 去る五月四日午後六時四十五分ごろ、東海事業所再処理施設の主工場の隣にございます付属廃棄物処理場の地階のAの〇五三という保守室でございますが、そこで点検作業を終えた作業員二名を、これは通常やるわけでございますがモニターでチェックしたところ、ごく微量の汚染を発見いたしました。一人は、先生がおっしゃるように、鼻孔検査をいたしまして汚染を読み取りましたが、ベータ・ガンマとして十四ピコキュリー、換算いたしますとつまり一兆分の十四キュリー、カウント数にいたしまして毎分約十カウントというきわめて低い水準のものを検出いたしました。
 他の一人は、頭髪部に局部的に、同じくベータ・ガンマとして、今度は面積になりますが、平方センチ当たり一・五掛ける十のマイナス五乗マイクロキュリー、つまり一千億分の一・五キュリーということになりますが、そういう汚染を発見いたしました。これは私どものやっておる管理区域内の許容表面汚染の約七十分の一という程度でございます。
 いずれも直ちに、つまり数分以内に洗浄除染いたしまして、そこで再検査いたしましたところ、これは取れているということを確認いたしました。さらに念のために全身カウンターして全体を調べたところ、体内摂取はないというふうに測定されました。
 原因といたしましては、マスクをしておるんですが、このマスクを手で触れたために鼻を汚したと、一つはそうだろうと。それからもう一つは、ゴム手袋をはめておるわけですが、作業中に髪を自分でさわったという、そんなことで考えております。
 この辺の数字は、いま申し上げましたように、私どもの法令で決められている、あるいは内部基準として設定しているもののはるか下、あるいは測定器の検出限界ぎりぎりというようなものでございます。しかしながら、現にこの種類の作業はほかのところでもやっておりまして、そこでは大部分こういうトラブルなしに作業をしております。したがって、私どもといたしましては、従業員に対する反省資料として、こういうことがあったから気をつけろと、こういうので、社内に安全ニュースという制度を持っておりますが、これを掲示して全員に再反省を求めました。
 去る三月二日この委員会でも御討論いただいたようでございますが、あらかじめ定められた一定の一連の管理手順に従って直ちに発見されまた除染されたものという、その範疇のものでございますが、しかしながら、低いものでありましても注意なりあるいは工夫によってそういう従業員の被曝を十分低くしたいということでございまして、できるだけこういったことを抑えていくという注意は従来もやっておりましたし、これからもやっていかなければならぬと思っております。したがって、こういう異常と認めたものについてはそれを……。
#151
○佐藤昭夫君 そこまでで結構です。
 もう時間が迫ってますのであれですけれども、動燃に重ねてお尋ねしますけれども、頭髪に汚染したということですけれども、作業をする際には頭を防護する防護帽のようなものを着用することになっておるんじゃないのかというそのことと、それからいまの事故というかトラブルというか、それについては科学技術庁の方には報告があったのか、その報告は原子炉等規制法に基づくものなのか、双方に尋ねます。
#152
○参考人(中村康治君) 私ども、こういう作業をするところでは、その施設、その部屋のその部分の空気の汚染率あるいは床面の汚染率は事前の作業環境の監視ということで測定しております。その測定では、空気中の放射能レベルからいきましてマスクだけをするということで十分だというふうに考えております。しかしながら、手先はいろんなものに触れるということで、先ほど申したゴム手袋をはめております。大体それでかぶせているわけで、いわゆる上から落っこちてくるほこりを、むだなものを受けないということで帽子はかぶっております。ところがこのあたりを手でさわったという報告、申告をしておりますので、結局手袋からついて汚れていったと。先ほど申しましたように、レベルとしては内部基準にも達しない低いものでございます。
#153
○政府委員(牧村信之君) このトラブルにつきましては、四日に起こったわけでございますが、たまたま連休中でもあったこともあって、五月七日の月曜日に科学技術庁は報告を受けております。トラブルの内容が非常に軽微でありますので、この報告は法律に基づくものとしてと科学技術庁は受け取っておりませんが、従来から軽微なものであっても報告を求めておりますので、それによりまして動燃事業団から報告されたものでございます。
#154
○佐藤昭夫君 七八年の三月二十日に同じく再処理工場のOTLでの放射性ミストの漏洩事故というのがあった模様ですけれども、特に何ピコキュリーの汚染事故だったのかということと、原子炉規制法に基づく扱いはどうなったのか。
#155
○参考人(中村康治君) 御指摘のトラブルは五十三年三月十六日でございます。途中経過を省略いたしまして観測の結果だけを申し上げます。
 鼻スミアーをやって、その後、鼻スミアーでは何がしか残っているということがわかりまして、いわゆる全身カウンターにかけて確認をいたしました数値を申し上げますと、ある一人は十のマイナス九乗キュリーのけたで申しまして、十三、九、十四という程度でございます。これを五十年間そのままその位置で体に残っておったという極端な仮定をいたしましても、その五十年間の累積線量は〇・五から〇・八ミリレムというふうに考えられております。その後も私どもの社内のやり方として本人たちの追跡調査をやっておりますが、半年後にはバックグラウンドに下がっております。
#156
○政府委員(牧村信之君) この報告も規制法に基づく報告ではございません。従来からの慣例によって軽微なものも含めて報告せいという報告によってとっておりますが、今回につきましては、この件につきましては若干の内部被曝があったわけでございますので、動燃には十分に今後こういうようなことのないように安全マニュアル等を遵守するようにということで、担当課長の方から指示したところでございます。
#157
○佐藤昭夫君 もう時間がありませんからあれですけれども、私が前回三月二日の当委員会で質問したときに、規制法に基づく基づかないはともかくとして、しかしそういう報告体制については一遍見直し、検討をやる必要もあるんじゃないかということを局長は答弁をなさっておったんです。ところが片一方、私の手元へ届けられました動燃のホット試験期間中に発生をした事故、故障の一覧ということで、規制法に基づく報告だということに限定はされておりますが、いまの問題はここには含まれていないということで、しかし問題の性質が、いま明らかになりましたような被曝事故、体内被曝という事故になっておる。こういう点で果たしてこれでいいのかという重大な問題が残るわけです。一遍この点は、もうしかし時間が参りましたので、もうやりとりする時間がありませんし、そのことを指摘をしておいて私終わります。
#158
○中村利次君 原子力の平和利用、原子力発電等につきましては、これは賛否両論あって、原子力の開発をやめなければ電気料金は払わないという人も中にはいるわけでありますから、こういう方たちは、いま政府から提出されておるいわゆる再処理法案、原子力発電をやめてしまえという立場に立てば、これはもう再処理法案なんというものはこんなものは全くもってのほかということになるわけでありますけれども、しかし、賛否のいろんな議論はありますけれども、現実に千三百万キロワットに近い原子力発電が営業運転を現にしておるわけであります。もっともこれは定検のために休止中のもの、あるいは最近スリーマイル島の事故に関連をして政府の指導によって停止中の大飯1号等がありますけれども、とにかく千二百六十七万五千キロですかな、何かとにかく千三百万キロワット近い原子力発電が営業運転をやっておるということになれば、これは廃棄物の処理をどうするかということ、それから核燃料サイクルをどう確立するかということ、これはやっぱり避けて通れない、どうしても対応しなければならないことでありますから、私は国会が二年もかかってこの規制法の一部改正がまだ参議院の本委員会で決着をつけるに至っていない今日ただいまという点については、これはわれわれのやっぱり責任として大いにある意味では反省もしておるところでありますけれども、とにかく再処理の問題は海外に依存をしなきゃならない。いろんな面で自主技術の開発ということがもう非常に強く強調されるわけでありますけれども、私どもはみんな賛成、これは。そういう意味からしますと、やっぱりエネルギー源としての原子力が現在をする限り、第二再処理の問題を急がなければならぬというのは、これはもう当然過ぎるほど当然であって、そこにはいわゆる動燃みたいな政府機関によるものであるか、民間によるものであるかという議論だけだと思いますが、日本の電気事業はこれは民有民営で、いろんな議論もございましょうけれども、私どもはずうっとかなり、三十年あるいは三十年前後前には電気事業一元化を唱えていたんですが、昭和二十六年に九分割、いわゆる発送配電一元化の九分割の電力再編成が行われて、その後三十年近い歳月がたっておりますけれども、私は日本の電気事業の形態は成功であった、したがって、三十年前後前に私どもが唱えていた一社化、一元化、これは当時は民主化と唱えていたわけでありますけれども、こうならなくてよかったという、これは答えとしてそういう実感を持っておるわけでありますから、したがって、この電力源、エネルギー源として原子力の平和利用を図る限りは、電気事業民有民営の実態に照らした再処理のあり方もこれはそういう方向で考えなければならないのは当然のことであろうと思います。ただ、このエネルギーというのは産業活動の源泉であり国民生活に不可欠のものでありますだけに、いわゆる民間の役割り、民間事業者の役割り、政府の役割りというのも、これはもうあるのが当然であって、だからこそ私は昭和五十年代、いわゆる六十年までのエネルギー対策の中の、何といいますか資金の需要について、その一〇%は公的負担というのもそこから出ておると思うんです。だから、一〇%程度の公的負担が正しいか、あるいは足りないのか多過ぎるのか、これはいろいろ議論のあるところでございましょうけれども、やっぱり政府の役割りというのも、エネルギーに対する私は当然これは大きな役割りがある、そういうぐあいに考えております。
 後ほどこの規制法案についての質問もしてみたいと存じますが、やはりあくまでも私は前提になるのは、エネルギー源としての原子力はどういう位置づけになっておるんだということだと思いますから、現在、これは五十三年度末でも結構でございますけれども、電力の設備容量の中に占める原子力発電の割合はどの程度になっておりますか。
#159
○政府委員(児玉勝臣君) 一〇・八%でございます。
#160
○中村利次君 オイルショック以降、私はあちらこちらでもそう言っているんですけれども、非常にオイルショックによって、狂乱物価だとか深刻な不況だとか雇用不安だとかいろんな、諸悪一度に来たるみたいなそういう不幸なことがたくさん重なりましたけれども、しかし、あれによる深刻な不況によって産業用エネルギーが非常に落ち込みましたからね。エネルギーだとか電力というのは実際にはそれほど深刻に騒がれなくてもよかった。非常に落ち込んじゃったんですね。ところがその落ち込みというのは、実は深刻な不況で雇用不安を伴って国民生活を荒らしたわけでありますけれども、しかし、ここへ来てやっとエネルギー事情、電力需要というものが上向きになってきておるようである。これは現に、去年の夏は猛暑でございましたけれども、夏のピークは新しい記録を去年はつくったはずであります。どうもことしの夏は水不足になりそうである。私は本委員会でもいつか、水不足になって給水制限をやらなければならなくなってからあわてるんじゃなくて、もうわかっているんだから、一月からでも二月からでも、漏水を防ぐ、水圧をちょっと下げるだけでもかなりの効果があるそうですから、そういう対策をやったらどうかということも申し上げましたけれども、ことしの夏、水不足になりそうでありなおかつ猛暑であるという予想等で想定をしますと、再び電力需要なんかはこれは新しい記録をつくるということになることはほぼ間違いないと思います。夏のピーク時用で、仮に、仮にですよ、原子力発電のすべてが稼働しないということになりますとどういう事態になりましょうか。
#161
○政府委員(児玉勝臣君) 原子力発電に依存しております会社のいわゆる違いといいますか、そういうシェアによりまして大分その深刻さは違うかと思います。その中でも関西電力それから四国電力というのが非常に大きなウエートを占めておりまして、関西電力におきましては、原子力が全部ダウンいたしますと、これでは他の電力会社からの融通それから特約需要の調整というようなことをいたしましても予備率は〇・四%ということで、ぎりぎりのことに相なるわけでございます。
#162
○中村利次君 これは広域運用をやって確かに電力の融通が行われるわけでありますけれども、しかし、いま審議官のお答えをいただきましたように、すべてが完璧、一〇〇%完璧な融通体制があるというわけでもないわけでありますから、したがって、それは関西あたりが一番深刻でしょうけれども、それでは、可能な限り融通をしたとして、大飯1号を夏のピーク時に運転再開をしなかった場合の関西の需給関係はどうですか。大体予備力率が〇・四%程度ですか。
#163
○政府委員(児玉勝臣君) 先ほど申し上げましたのは原子力発電所全部ダウンした場合ということでございましたので、大飯1、2号ともに供給力としては入っておらないわけでございます。それで、その周辺の電力会社からの融通を最大限見込みましても予備力は〇・四%ということでございますので、火力発電所の事故または公害による発電の停止というようなことがありますとたちまち需要制限というような事態になるわけでございます。
#164
○中村利次君 こういう仮定のことですからなかなかお答えをいただけるかどうかわかりませんけども、とにかく、確かに地域によっての格差がありますね。格差はありますけれども、このまま原子力発電を、現在営業運転中、定検中のものを含めて全部停止をして、そしてその他の原子力を除く水力、火力等によって電力の需要を賄うということになりますと、現在ただいまあるいは昭和六十年の想定で、大体需給のバランスはとれないんだからアンバランスになるんだけれども、アンバランスの度合いはどの程度になりましょうか。
#165
○政府委員(児玉勝臣君) 非常にむずかしい御質問なのでなかなか適当なお答えになるかどうかわかりませんが、現在あります原子力発電所の供給力が全部落ちたといたしますと、八月のバランスで九社合計の供給力は〇・九%ということになりまして、それで各社別によりましては、たとえば東京とか関西とかそれから四国がほとんど予備力がなくなるというようなことになるわけでございます。それで、ただいま御質問の原子力が全部なくなるということになりますと、昭和六十年度一億七千六百万キロワットの電源が要るというところで三千三百万の原子力がないという勘定になりますと、一八・八%の穴があくということになります。また六十五年二億一千九百万の電源設備が要るところへ持ってまいりまして六千万ないということは二七・四%の穴があく。これは少なくともピーク時のバランスといいますか、設備のバランスでございますので、この供給力との換算というのはまた違った意味合いを持っているということは御承知のことだと思います。またアワーについてはもっと大きなウエートの穴があくということでございます。
#166
○中村利次君 まさに確かにおっしゃるとおり全国平均六〇%というような負荷率がこれでいいのか、これはいろんな問題がありますよ。東京なんか五〇%ちょい。ですからとにかく立地問題でこれほど困難をきわめているときに負荷率が六〇%ぐらいで、果たして何か打つ手はないのかといういろんな問題がありますけれども、おっしゃるとおりこれは異常な状態に、だんだん原子力を無視して考えるとなっていく。ところがどうも困ったことには、予備率八%程度のものがなければ電力の正常な供給はできませんよと言ったって、これはなかなか、それじゃその予備率が五%になり二%になりマイナスになったらどういうことになるんだと言ったって、そういうあれが現実に起きてみなければなかなか言えない。だから私は原子力全部をとめてしまえという乱暴な意見がまかり通っていると思うんですよ。国民の皆さんこれはおわかりにならないわけだ、こういうことは。
 予備率が赤字になったらどうなるとか、三%、二%になったらどうなるという事態が、日本の場合にはどういうのですかね、どういう表現がいいんだか知りませんけれども、成田なんかでも鉄塔が例の過激派によって倒されたところが、招集がかかったら百人も二百人もさっと一遍に集まって、そして供給に大して支障がないように復旧をしちゃったというような、そういう働きバチの標本みたいなのが日本の国民性でありましょうから、とにかく電気が空気か水みたいになっちゃって、スイッチひねってみて電気がつかなければ、むしろそれに対してものすごい憤りを感ずる。電気が足りなくなったらどうなるんだという点の意識がきわめて乏しい。
 そして、先ほども申し上げましたように、原子力をやめなければ電気料金は払わないという方たちの検針の結果を聞いてみますと、国民世帯の平均電力使用量の数倍お使いになっていて、そしてその原子力の開発は直ちにやめろ。これでは実際首尾一貫しないことなんです。私も実はこのエネルギーのバランス、電力の需給バランスという点については大変に前々から深刻な心配をしているんですけれども、やっときのう、資源エネルギー庁の天谷長官が衆議院の商工委員会で、五十二年の六月に発表された総合エネルギー調査会の例の「長期エネルギー需給暫定見通し」の見直しをした方がいいだろうとかなんとかというようなことをおっしゃったそうでありますけれども、通産省としてはそういうやっぱり構えというものがおありなんですか。
#167
○政府委員(児玉勝臣君) いま先生おっしゃいましたように、現在の長期エネルギーの計画というのは、五十二年の六月に策定いたしました総合エネルギー調査会の暫定見通しに基づいております。それで、その後のいろんな事象、たとえば低成長時代に入ったということ、たとえば、円高になりましたし、それからまた石油事情を考えましてもイランの政変ということもございます。また今度スリーマイルアイランドのように、せっかく原子力の安全問題についての信頼が高まっておるときに水をかけるような問題がありまして、また原子力の見通しということについてもなかなか楽観を許さない、そういうことで、需要の減退ということ、それから供給力の不足ということ、そういうことを両君勘案いたしまして、このバランスというものを考えなければいかぬのではないか、そういう機運は通産省内部にも出ておりましたが、しかしその改定の時期はいつにすべきかということについては、昨日天谷長官も申しておりましたように、中東情勢だとか、それから米国の原発事故の影響の見通しというようなことがはっきりした時点で検討するのがいいのではないか、こう思っています。
#168
○中村利次君 私も軽々に暫定見通しの見直しをなさいと言うつもりはございません。しかし、これはもう私は前々からこの暫定見通しは達成できませんぞということを言い続けてきた手前で、かといってそれは政府が達成できませんと言ったんじゃ身もふたもございませんから、やっぱり達成する達成すると言ってこられたんだけれども、やっとこれが見直さざるを得ないという、そういうことをおっしゃるようになったと思って、実はけさの新聞を見て私はほっとした。これはそうですよ。
 そこで、この暫定見通しの維持ケースでも促進ケースでも何でも結構ですが、昭和六十年度、六十五年度というのを見てみて、省エネルギーの昭和六十年一〇・八、石油換算八千万キロリッター、これは水かけ論になりますからやめますけれども、具体的にたとえばまあここに載っかっております水力、一般水力、揚水、地熱、国内石油・天然ガス、国内石炭、原子力、LNG、海外石炭、こういうものをずっと見ていって、原子力の比重というものがやっぱりだんだん高まってきておるんだけれども、原子力を仮にすべてやめたとして、それではどこに代替エネルギー源を求めていけるのか、これはあくまでも選択ですから、私は、これはここでその可能性があるとすれば、いい悪いは問いません、これは後ほど私は大いに論じたいと思いますが、石炭以外にはないんじゃないかと思うんです、この割りでいきますとね。地熱の六十年百万キロ、六十五年三百万キロというのは達成するのはきわめて困難である、どんなにがんばっても。それから国内石油・天然ガス、これははもう論外といたします。国内石炭二千万トン出炭体制は私はとりにくいと思う。千八百万トン台でぎりぎりいっぱい。それから原子力はまあこれは落とすとしますと、こいつを代替するとすれば、どう見渡しても、どこへくっつけるんだと言ったら石炭以外にはない。ところがそうなりますと、大体昭和六十年促進ケースで一億二百万トンの石炭を一億七千万トンぐらい輸入をしなければ、そしてその中の六、七千万トンぐらいは一般炭の輸入で石炭火力発電所にしないと原子力の代替たり得ない。これはほかにはどう押し込んでみたって絶対にこれは代替たり得ないと私は思うんですけれども、児玉審議官いかがでしょう。
#169
○政府委員(児玉勝臣君) ただいま先生おっしゃいますように、原子力がスローダウンしたときにそれを補っていくものとしては石炭というのが一番大きな問題になろうかと思います。それからまたLNGということになりますが、まあ海外石炭におきましても、いまおっしゃるように、いまでも昭和六十年促進ケースで一億二百万トンという現在よりも約倍ぐらいの石炭を輸入するという計画になっております。特に一般炭にしてみますと五倍ぐらいの拡大策というふうに考えておりますので、まあそれ以上にさらに石炭を拡大するというのは非常にむずかしいし、それからLNGにつきましても、これまた現在の六倍ぐらいの量というふうに考えておりますので、それにさらに上乗せということは非常にむずかしくて、これは単に量的な問題じゃなくて、おのおの海外開発とかその依存する先、たとえばLNGですと、有望なLNGの供給先というのがやはり中東に偏在しますので、やはり同じ中東、脱石油という意味から言っても、LNGはいいとしても供給力の分散ということにならないということでありますし、まだ、相手の国の工業力の違いというようなことで、うまくタイアップしていけるかどうかという問題もございます。まあ石炭につきましても、これもまた準備期間というのが相当かかりますので、非常に原子力がスローダウンしたときには、ほかの方に転嫁するという余地が余りないように私は思います。
#170
○中村利次君 私も全くそう思うんですが、LNGの対策促進ケースの三千万トンというのも、いまはなかなかLNGも順調にいっているようでありますけれども、昭和六十年三千万トンが達成できるかというと、私はいろんな問題を承知しておるつもりでありますだけにきわめてむずかしいと思いましたから、あえてこいつは外したんですけれども、それにしましても、この三千万トン何とかして達成していかなければならないと思いますが、石油が目先あるいは中期的に見れば量的にはそう大した心配はないでしょうけれども、価格の上ではこれはもうかなり深刻な対応をしなければならないことになるだろうと私は思うんですよ。で、アメリカの新エネルギー政策を見、それからアメリカのこのエネルギー戦略といいますか、そういうものをいろいろ見てみても、あるいはわが国の五%省エネルギーの結果がどうなるだろう、あるいはこの五十四年度の石油の輸入、五十三年度に比べて七・九%増加の輸入の計画をしなければならないといういろいろなことを考えますと、これはOPECによる石油価格の値上がりというものは何といってもこれは防げない。このIEAが、むしろ加盟国が五%以上の石油の節約に成功をするような好ましい事態にでもなればOPECの石油値上げの足を引っ張るということも考えられますけれども、しかしそういうことにはなりそうにないと言えば、やっぱりこれは石油の価格の高騰というのはきわめて日本経済にとっては、あるいは国民生活、雇用問題等を含めてかなりこれは深刻な問題になる可能性がある。
 それから、中期、長期的には量、価格両面での心配が石油ではあるということになりますと、しからばそれにかわるものはこの二十世紀あたり何だと言えば、やっぱり石炭かあるいは原子力か。その石炭はきわめて大事な、それから地球上の埋蔵量も豊富であって、石油にかわるものにしなければならないから、私はこういうのをこの目先、中期的に見てじゃんじゃん輸入をして、そして石炭火力でもたいて、環境問題なんかで国民の間に不信感でもつくっちゃったら、もう将来のエネルギー対策というのはどうにもならぬ。ですから、石炭はきわめて大切な地球上のエネルギー資源として、液化、ガス化等を含めて、これはもう大事に大事に国民の合意を得たエネルギー源として将来使っていかなければいかぬ。
 ですからそういうことを考えますと、これは原子力の開発を順調に進めていく以外わが国の生きる道はどう考えてみたって――私はそうじゃないんだという議論があったらもうそれをぜひ伺いたいと思うんですが、そういう議論は政府は聞いたことがありますか。
#171
○政府委員(児玉勝臣君) 先生のおっしゃる意味は、非常に現実的な路線の選択という意味ではまさにそういうことであろうと思います。先ほど石油の価格の高騰のことにもお触れになりましたけれども、まさにいまOPECが価格の上昇の予告をしておりますので、したがって品薄にいまなってきております。それですから、本来石油の非需要期に入りまして油の値段が下がる時期になっておるにもかかわらず、依然としてじりじりと上がっておりますし、六月ごろにまたOPECの値上げという、そういうときの一つの油の投機というのをどうも促しているのではないかというふうにもわれわれ考えておりまして、どうも実際に使われている油よりどこかたまっている油が多いのではないかというようなこともあります。したがいまして、そういう油というのが従来のような低価格安定ということじゃなくて、一つの投機物になるような、価格によって需給バランスがいろいろ行われるというような事態にもなってまいりますので、非常に油の供給というのが、そういう意味では価格を含めてまた不安定になるということであろうかと思いますので、そういう点、石炭なり原子力なりというもので安定して供給されることが非常に望ましいんではないか、こう思っております。
#172
○中村利次君 これは確かに残念なことですけれども、日本の原子力がアメリカからの輸入であるということもあって、何かアメリカがくしゃみをすると日本が大病になるような、アメリカがこう言った、アメリカのカーター大統領が原子力の開発についてはスローダウンをする、FBRなんかはもうこれは開発は当分見合わせであると言っている。日本が何を騒ぐんだ――全くもっとものように聞こえて、アメリカなんかエネルギー資源大国ですからな、石油だって大変な資源大国。いつも言うように石炭なんかだってそれは物すごい資源大国。その他の核燃料、ウランにしろあるいはオイルシェール、オイルサンド、とにかく私に言わせると、アメリカが表面上看板では大変に省石油の看板をかけて、それからガソリンの配給制だとか、あるいは排気量のでかい車からは課徴金を取るとか取らないとか、排気量の小さい車には報奨金を出すとかいう、そういうきわめて極端な省石油政策を表面上とりながら、なおかつ石油の輸入をやってやってやり過ぎちゃって、やり過ぎてドル価値を下落さして国際通貨問題にまで影響をさせるというこういうやり方なんというのは、私は少しこれは思い過ごしかもしれないけれども、資源大国としてのアメリカは、石油の価格は上がったってちっとも困らない。むしろ代替エネルギーが、たとえば石炭の液化なんかが石油の値上がりによって採算ベースに合うようになれば、あるいはその他の代替エネルギーなんかが石油価格の上昇によって非常に何というか安価な代替エネルギー源になるということになると、アメリカなんかまさにこれは左うちわだ。それを全く無資源国の、石油なんか、まるで、九九・八%輸入ですから。石炭なんか唯一の日本の地下資源といいながら千八百万トンしか――原重油関税から巨額の助成金をつぎ込みながら千八百万トンぐらいしか掘れない。これを二千万トンに掘り増ししょうといったって、できないでしょう。ほかに何があるか、エネルギー資源が。その日本が気楽に、アメリカのカーター大統領がこう言っているああ言っている――冗談じゃない、経済だって忍術使って景気が回復するわけじゃあるまいし、エネルギー対策だって手品を使ってエネルギー対策が成立するわけじゃないわけでありますから、省エネルギーをどう実現をするか、それから石油にかわるエネルギー源をどう安全に正しく確保するか、こういうこと以外には全くないと思うんですけれども、しかしまあ現実問題として、私は言い分は山ほどあるけれども、アメリカのスリーマイルアイランドの事故が国際的な原子力の平和利用、その開発にかなりの影響を与えることはこれは避けられないんじゃないかと思いますよ。
 ですから、主張は主張、現実は現実として、そうなりますと、これに対してどう対応されますか。
#173
○政府委員(児玉勝臣君) スリーマイルアイランドの発電所の事故によりまして、原子力開発の最も基調となっております安全問題について国民が大いなる不信感を持ったということは否めない事実であろうかと思います。そういう意味で、日本の国の原子力平和利用というのはこれは何といっても安全第一でございますので、まずその安全に対する信頼性の回復というのに努めなければいけない。これは官民挙げて行う必要があろうかと思います。
 したがいまして、通産省といたしましても、一つ一つの発電所についての監査をしたり保安規定の見直しをしたり、そして定期点検の立ち会いのときも十分の検査をする、それからサイトに検査官を配置する、そういうようなことでその安全に対する真摯なる努力を続けて、国民から安全に対する信頼を回復したい、こう考えております。その上で原子力の開発というものに理解と協力を得たいと、こう思っております。
#174
○中村利次君 そうでありましょうけれども、とにかく私は、昭和六十年に三千万キロワット近い一これは昭和六十年というと、もう計画は立っておるわけでありますから、したがってこれはもう現時点ではっきり見通しがついておる。
 ところが、たとえば宮城県の女川にしろ、それから鹿児島県の川内にしろ、川内なんかは、私の承知するところではいわゆるこれはもう、反対同盟の活動というのはなくなってはいなかったけれども、そいつを激しくやるとかえって浮き上がるような情勢にあった。ところが、今度のスリーマイルアイランドのあの事故は、そのサイトの首長さんたちをして――私はあの事故が正しく、正確に認識をされて、その上で政府もあるいは立法府も、あるいは地方自治体もそこの議会も、正しい、正確な認識の上に立って慎重なこの対応、対策をするというのは当然だと思うんですね。ところが、私がこんなことを言うと、それは知事さんだとか市長さんなんかは、ふざけるな、おれは正確に認識しているんだとおっしゃるかもしれないけれども、とにかく何か政府がはっきりした安全対策を出すまで一時保留してくれとかなんとかという申し入れがあっているでしょう。それは政府にもあっておる、電力会社にもあっておる、こういうものに対してどう対応されておるのか。
 それから、国民の皆さんがやっぱり安全性について疑問を持たれた。その点について私はやっぱり、繰り返して申し上げますが、あの事故に対する正確な認識の上に不安を持たれたものに対しては、これは私は正しい対応をやっぱり政府がやらなければいかぬと思う。ところが、あおり行為というのに乗っかって、何かいかにもそのあれによって日本の原子力発電のすべてが安全上問題ありと、こういう認識の上に立たれた場合、それに対してどう対応するのか。これは通産省もあるいは科技庁も、原子力サイトにおいて過去にいろんな反対運動がありました。ビラ、チラシのたぐい、そういうものが非常にばらまかれ、あるいは看板なんかをつくって立てられた。その内容について承知をされていらっしゃいますか。
#175
○政府委員(児玉勝臣君) 看板や何かのいろいろなビラその他につきましては、大分時間がおくれた後当方には入っておりますけれども、どういうビラだとか物がそこで配布されているかというの
 はわれわれも承知しております。
#176
○中村利次君 やっぱりそういうものをごらんになって政府は正確な認識というものを持っておられないと、対応を誤ると私は思いますよ。全くそれはでたらめなビラ、チラシなんというのが大量にばらまかれているわけですからね。とにかく原子力発電の推進が日本の核武装に直結しているようなあおり行為というんですか、それから安全性について全く根拠のない地域の方たちの不安感をあおるようなそういうものを、私は本委員会にも持ってきて出したことがありますよ、参考人がおいでになったときにはね。このチラシについてどう思いますかと言ったら、いやそのチラシはおれたちが出したものじゃないというお答えでしたけれども、やっぱり反対運動をおやりになっておるどなたか、どの団体かが出したことは間違いないんですよ。ですから、いままでもそういうことが繰り返し繰り返し行われてきた。今度のスリーマイルアイランドの原子力発電所の事故についても、あの事故、これはもう大変重大な事故であり、あるいは残念な事故なんです。まことにもって私どもにしてはけしからぬと思う。その事故、原因から結果まで、それから環境に与えた影響、こういうものを正確に国民の皆さんに認識をしていただくようなそういう行動が、原子力の平和利用に賛成派であっても反対派であっても、その上に立って賛否を論ずる姿勢でなければならぬと思うんだけれども、そうじゃなくてそれ見たことか――大飯の停止だってそうですよ。私は大飯の停止についても、四台もある補助ポンプが全部起動しなかったという想定のもとにチェックをするなんてそんなばかげたことを自分たちが、とにかく一台だけで三台は常に起動できるような状態に置かなければ原子炉の運転はできない、その日本で、四台とも全部起動しなかったという想定のチェックをするというのは現実離れをしていると思いますけれども、それでも、安全追求に行き過ぎがあってもそれはその方がいいという立場から、それは結構だと思います。
 しかし、そういうことをやるために大飯をとめたことが本当に国民の皆さんの、政府が安全性について、徹底的に安全性を追求してやっておるんだから、原子力の安全性については政府が責任を持っておるという信頼が果たして大飯の停止によって生まれたかどうか。私はそういうものが生まれたのなら大飯の停止は非常に価値があると思うんです。仮に何か転ばぬ先のつえみたいなことを徹底的にやったとしても、そのことは大変に評価されていいと思うんですよ。ところがそうじゃなくて、大飯はやっぱり安全性に問題があったから、危険だからとめたんだ、だから原子力発電のすべてに反対しようという者に利用されるとすれば、政府は何をやっていたんだということになるんですよ、これは。むしろ国民の合意を得るそういう方向にいかないで、国民の合意を取りつけにくいようなそういうことに利用されたとしたら政府の責任はきわめて重大だと思うんですが、こういうことを質問するのははなはだこれは政府にとっては迷惑千万かもしれませんけれども、いかがですか。もしお答えになれたらお答えいただきたいと思うんです。
#177
○政府委員(児玉勝臣君) 先生のおっしゃるような解釈も確かにあろうかと思います。しかし、われわれといたしましては、やはり先ほど申し上げましたように安全第一という意味で、安全に対していささかも国民から指摘を受けるというようなことのないようにしなければならぬということで、安全委員会の方と御相談をしながら今回の停止を決めたわけでございますので、その辺御了承いただきたいと思っております。
#178
○中村利次君 まあそういう御答弁以外にはなかなか答弁しにくいでしょうから、そういう御答弁で了承いたします。
 そこで、もう時間も少なくなりましたから、この原子炉の設置についても、これは言うまでもなく、私どもはエネルギー源としての原子力の開発は何としてもこれは避けて通れないというよりも、むしろ安全性の確保を前提としてどうしても開発を進めなければならないという立場からしますと、再処理がやっぱり、東海でたったのあれは二百十トンでしたかね、これはフル操業をやったとしてもとにかくどうにもならぬ。しかし、あれは動燃で再処理技術のわが国におけるパイオニアとしての役割りを果たされたわけでありますから、そこで原子力の開発の推進度合いに見合った再処理工場の設置というのを考えるのが当然である。で、先ほども申し上げましたけれども、日本の電気事業というのは民有民営でございますから、そういう意味で民有民営の再処理工場が考慮されるのはこれも当然である。
 その場合、再処理工場に限らず、やっぱり政府の役割り、何といってもこれは国民生活、産業活動の原動力としてのエネルギー、電力でありますから、したがって民有民営の事業の果たすべき役割り、民有民営の電気事業であっても政府の果たすべき役割り、こういうものがあるのは当然だと思うんです。そういう意味で、原子炉の設置以上にこれはやっぱり再処理工場については安全性というものが追求されるはずですが、そういう点についてはどういう対応をお考えでしょうか。
#179
○政府委員(牧村信之君) いま先生御指摘のように、わが国の再処理施設としては動燃事業団の東海村の施設があるわけでございますが、これを日本の貴重な経験にいたしまして、日本に必要な将来の再処理施設の安全確保を図っていくということがきわめて重要であるという考え方はお説のとおりであろうかと思います。で、今回の法律改正によりまして、再処理施設を民間においても行えるようにする変更の法律の改正をお願いしておるわけでございますが、その考え方にいたしましても、やはり再処理の建設運転に当たりまして、安全を確保するということを大前提に置いた法改正をお願いしておるつもりでございます。
 で、まず最初に、再処理工場というものはそれほど多数の工場を必要とするものではございませんので、特定の資格を持った者に指定いたしまして行わせる、十分技術的な能力もあるところを限って行わせるという指定制度の採用、それから建設し運転に当たりまして、従来の規制法におきます規制では、性能を確認する際に、単に施設の検査だけでございましたが、今回は原子炉と同様に性能検査の条項を加えさしていただきまして、使用前検査という制度を採用しております。で、ここで施設検査が終わりました後、実際の試運転をいたしまして、その再処理工場の性能を確認した上で本格操業に入らせるという制度をつくっております。
 それから、毎年一回定期的に政府の定期検査な受けるというような仕組みを、これも原子炉と同様な規定を新たに追加いたしまして定期検査を行うというふうなこと、その他必要な、たとえば使用計画の徴取等の所要の整備を行いまして、安全の万全を期したいというふうに考えておるところでございます。
 なお、前回の法律改正で原子力安全委員会の設置をお認めいただきましたときに、安全委員会が行政庁の行いました安全審査等につきましてダブルチェックを行うことに法律の改正が行われたわけでございますが、再処理におきましても必要な安全審査を行う、安全委員会におけるダブルチェックも行うというふうな万全を期することは原子炉と同様に考えております。
 それから、これから民間の再処理施設が建設に入りますまでに、われわれといたしましてはその安全性を審査いたしますいろいろな諸基準、審査基準等の整備も図っていかなければならないということで、動燃の再処理工場の経験を生かしつつ、そういう審査基準の整備を図るように、現在安全委員会のもとに基準のための基準部会をつくりまして、鋭意検討を加えておるところでございます。
#180
○中村利次君 工場の設置あるいは設置後の運転についての安全性の問題ももちろんあるわけでありますけれども、いろんなやっぱり関連の安全性の追求というのが必要になってくると思いますね。たとえば、今後どういう地点に原子炉が設置されるか、いまのところは大体福井県あるいは新潟県、福島県、それから関西が大飯、それから四国の伊方、九州は玄海に、まあ建設地は川内ですか、しかしそういうところからやっぱり再処理工場に廃棄物の輸送が当然これは伴わなきゃならない。そうなりますと、やっぱり当然そういう点についてもこれはもう事前にばっちりとその地域住民の皆さんの不安を取り除いておいて、いざそのときになっていろんな問題が起きないような対策というものは当然行われなければならないと思いますけれども、そういう点についてはいかがですか。
#181
○政府委員(牧村信之君) 使用済み燃料等の輸送の安全の確保につきましては、これもきわめて重要な問題であるわけでございます。この輸送につきましては、実は前回の基本法等の改正の際に確認制度を、輸送容器等を事前に確認する制度、あるいは輸送に当たりましての輸送方法の確認をする制度等の整備を実はあの改正の際に行っていただいておりまして、日本の安全輸送に対する規制の体系はほぼ整備されたと考えておるところでございます。これらの輸送は、使用済み燃料等につきましてもすでにIAEAにおきましてかねてから国際基準がつくられておるわけでございます。わが国も、このIAEAの輸送に関する国際基準に合致した、あるいは物によりましては厳重な方法で規制しておるところでございますが、わが国の輸送の技術基準につきましては、このようなIAEAが一九七三年に放射性物質の安全輸送規則というものを定めておりますが、この規則に沿いまして、日本の事情も加味する必要がございますので、当時の原子力委員会での御検討、それをもとにいたしまして、安全基準を法制化するに当たりましては、放射線審議会の議決をいただいたものにつきましてすでに法制化をしておるところでございます。
 で、具体的に申し上げますと、使用済み燃料の輸送の際には、幸いにいたしまして発電所の物揚げ港から海上輸送されて、恐らく現在の場合ですと東海村に運ばれてくるわけでございまして、比較的一般公衆が関与しない海上ルートを通ってきております。そこで、現在の規制の仕方といたしましては、一部陸送並びに海上輸送ということで行われておるわけでございます。で、陸上並びに海上輸送におきましても、使用済み燃料を入れる容器の確認につきましては、先ほど申し上げました技術基準に基づいて確認された容器に確認された積みつけを行いましたもので輸送する、また輸送する船につきましては、運輸省の方の関係法令で十分な安全審査をされた難沈構造の船をもって輸送するというふうな規制を行いまして、万全を期しておるところでございます。
 そこで、一般的に申し上げましてその輸送容器等の確認行為は科学技術庁が行いまして、輸送方法につきましては運輸省が行うというふうな仕分けをもちまして現在規制が行われておるところでございます。
#182
○中村利次君 これはプルトニウムの輸送問題、あるいは核ジャック対策、いろんなものがまだあると思います。
 それから、これは大体政府のお考え、計画といいますか、この法案を提出されるに当たって大体昭和六十五年ごろを見込んだ第二再処理工場の建設というようでございましたから、この期間も、第二再処理が民間において行われるという場合でも民間の技術の習得、吸収といいますか、そういう点についての期間も非常にあることでありますし、それから、こういう法案を提出される以上は全く何もおやりにならないで提出されたわけでもないでしょうから、現在ただいまでも業界からは動燃あたりにも出向して習得中の人もあるはずでありますし、そういう点についての政府の、しかしそうであっても責任がある御答弁を私はいただいておきたいと思いますが、まだ本法案は本日ただいま議了するわけじゃございませんから――私はいま議了してもいいと思いますが、やっぱりそうもいきませんから、だからまだ幾らかの時間が私にも与えられると思いますので次に譲りますが、さっきのあれでIAEAのいまの安全局長のあれで思い出したから質問をしますけれども、この国際的な被曝許容線量は五レムですね。日本で電力労使で協定しておるのが三レム、私がやったときには三レムであった。これはミリレムの単位に直せば、言うまでもなく五千ミリレムが国際被曝許容線量です。先ほど、規制法の定めはどうあろうとも、どんな小さな、私はモニタリングをやって一ミリレムが計量されたからこれがトラブルであるかどうか、どういうのかわかりませんけれども、一ミリレムであっても〇・五ミルレムであってもやっぱり報告を求めておられるのですか。
#183
○政府委員(牧村信之君) 事故の、あるいはトラブルの報告につきましては、もちろんたとえば再処理工場あるいは原子力施設等、放射性物質を扱っておる施設からでございますと、事故の中には当然放射性物質を被曝するというようなものがあるわけでございます。その様態によりまして報告の形が違うわけでございますが、現在の段階におきましては、非常に細かい、規制法では要求していないような事故、トラブルにつきましても、地域住民の関心の非常に高いところでございますので、事細かに報告を求めておるのが実情でございます。かねてから私どももたとえば再処理施設のトラブル等につきまして、あるレベル以下のトラブルにつきましては所内に公表して、またそれをある一定期間まとめて外に出していくというふうなことで、そのたびに報告するようなシステムでない、まとめてやる方法というようなものも検討はしておりますけれども、なお現段階におきましては地元市町村あるいは報道関係の方々の御了解もなかなか得にくい状況で、やはり個々に、現段階においては事細かく発表した方がだんだん理解を深めるもとになるというふうな認識でございまして、私どもも現段階ではそういう方法で進めておるところでございます。行く行くは何らかの合理的な公表の仕方を考えてまいりたいとは思っておりますが、現状においては、先生御指摘のように個々の非常に細かいものまでも発表するという方式を現在とっておるところでございます。
#184
○中村利次君 これは私は本当に大いに疑問があるのですよ。これは被曝許容線量五千ミリレムというのは年間被曝ですけれども、瞬間被曝であったってこれは同じですからね、許容線量ですから。それから、内臓のレントゲン透視をやる。あるいは私みたいな歯が悪い者は歯のお医者さんに行きますと、やっぱりレントゲンを撮られる。歯はここよりも大体倍あるいは三倍の被曝をするわけですよね。ミリレムに換算をすると百ミリ、二百ミリから五百ミリレムぐらいの被曝をする。これは放射能管理の上から一ミリレムでも報告しなければならないということになると、どえらいことですからね。ですから、これはいわゆる核兵器の被爆国としての日本の特殊事情からそういうあれをおやりになっているのかどうか知りませんけれども、私はそのことが国民の皆さんに安全性についての政府の姿勢が信頼されるのならば何にも言いません。しかし、一ミリレムという、あるいは百ミリレムという被曝――被曝という表現すら、一般の方に被曝なんて言ったら目をむかれるのですから、ですからそういう表現すら問題のような、百ミリレムはどうだとか、あなたはレントゲンを撮れば二百ミリレムぐらい被曝しているのですよと言えばびっくりするぐらいですから、そういうときに一ミリレムや〇・五ミリレムの被曝まで一々報告しなければならない、そういう現状というのが果たして私は国民の信頼を得るために役立っているのかどうか。役立っていると断定ができるのなら私は結構だと思う。しかし、これはやっぱり再考をしていただくことを私は求めたいと思いますが、きょうはこれは御答弁は要りません。
 それで最後に、これもあっち飛びこっち飛びで申しわけございませんけれども、石炭問題で私はもう一回どうしても最後に要望しておきたいと思いますけれども、私は先ほど申し上げましたように、石炭は地球上のかけがえのないやっぱりエネルギー源でございますから、環境を損ねないような石炭の利用をどうしても、これは私どもも考えていかなければならぬ。そのために、原子力がもしも立地問題なんかで計画よりもおくれた場合に石炭火力でこれにかえようというようなことになりますと――私は何でこういうことを言うかというと、現にそういうあれがもうあるんですよね、石炭火力にかえようという。これはいま石炭の利用をしなさいと言っている人たちですら、私はやっぱり集じんあるいはSOx、NOx対策、それから灰処理、こういうものでいろんなあれが出てくれば、マツクイムシで枯れた松を石油火力のあの発電所の煙で枯れたんだと言って、だれもそういう事実は信じないのに言いつのって引かない人すらいるわけですからね。ですから、石炭を本当にたいて――大量にたきますとこれは現在では石炭火力が一番環境に与える影響は大きい。だから、そうでないように将来技術の開発をして、液化ガス化前に、集じん技術の開発から、SOx、NOx対策、それから灰捨てをどう技術開発するか、これは困難な問題ですけれども、その灰処理をどうするか、そういうことを本当に、石炭をエネルギー源として利用することに国民の皆さんからの不安やあるいは反対を受けないような対策を講じていきませんと、原子力と同じように石炭も遠い将来に向かって中期、長期的にかけがえのないエネルギー源ですから、これをいまの原子力と同じようにまたまた騒がれて、こんなのはもうやめちまえなんということになったら、日本のエネルギー源なんというものは全くこれはおかしくなっちゃって、それで国民生活はめちゃめちゃになる危険性がありますから、石炭の利用についてはひとつ当面は本当に慎重にやってくださいよ。余りエネルギーの選択に急な余り――大事なエネルギー源なだけにひとつ大事にしていただきたいと思います。
 終わります。
#185
○委員長(塩出啓典君) 本案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会をいたします。
   午後五時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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