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1978/05/30 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 科学技術振興対策特別委員会 第12号
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1978/05/30 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 科学技術振興対策特別委員会 第12号

#1
第087回国会 科学技術振興対策特別委員会 第12号
昭和五十四年五月三十日(水曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     上條 勝久君     後藤 正夫君
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     玉置 和郎君     上條 勝久君
     中山 太郎君     北  修二君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         塩出 啓典君
    理 事
                源田  実君
                長谷川 信君
                松前 達郎君
                藤原 房雄君
                佐藤 昭夫君
    委 員
                岩上 二郎君
                上條 勝久君
                北  修二君
                熊谷  弘君
                後藤 正夫君
                永野 嚴雄君
                望月 邦夫君
                山崎 竜男君
                大木 正吾君
                森下 昭司君
                吉田 正雄君
                中村 利次君
                柿沢 弘治君
                秦   豊君
   国務大臣
       内閣総理大臣   大平 正芳君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       金子 岩三君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      半澤 治雄君
       科学技術庁原子
       力局長      山野 正登君
       科学技術庁原子
       力安全局長    牧村 信之君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        児玉 勝臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
 する法律の一部を改正する法律案(第八十四回
 国会内閣提出、第八十七回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(塩出啓典君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十六日、上條勝久君が委員を辞任され、その補欠として後藤正夫君が選任されました。
 また、本日、玉置和郎君及び中山太郎君が委員を辞任され、その補欠として上條勝久君及び北修二君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(塩出啓典君) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 総理に対する質疑時間等につきましては、理事会におきまして協議し、各質疑者に御通知申し上げたとおりでございます。大変窮屈な時間でございますが、質疑される方並びに答弁される総理大臣の御協力をお願いをいたします。
 それではこれより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○松前達郎君 本日は総理に御出席をいただいたわけでございますけれども、時間が余りございませんので、総理に本法案に関連した事項について質問をさせていただきたいと思います。
 原子力エネルギー開発に関しましては、わが国も核物質を保有する国、こういうふうになったわけでございますが、今日核拡散問題が国際的に非常に重大な問題となっておるわけでございます。わが国で核燃料・原料物質の再処理及び濃縮などが大規模に行われるようになるといたしますと、わが国も最終的にはプルトニウムなどの保有国となってその責任を生ずるような事態になるんではないかと、かように考えられるわけでございますが、それに関して幾つかの御質問を申し上げたいと思います。
 まず最初に、アジアにおける先進国として核拡散防止に関してわが国が果たすべき役割り、これについて総理はいかがお考えでしょうか。
#5
○国務大臣(大平正芳君) わが国は第二次世界大戦という苦い経験を踏まえまして、戦後の内政、外交の運営上の一つの大原則といたしまして非核三原則という政治原則を打ち立ててまいりまして、これを軸にいたしまして内政、外交上最善を尽くしておるわけでございます。そのことは、アジアにおけるわが国の立場といたしまして、わが国が平和愛好国であるということ、またそれを実現する具体的な方途として非核三原則を堅持しておるということを理解し評価していただくゆえんになっておるのではないかと思うのでございます。しかしながら、わが国は核の軍事利用ということにつきましては神経質なほどに警戒的でございますけれども、平和利用につきましては、この安全性に十分の留意を施しながら追求してまいるという立場をとっておるわけでございまして、このことにつきましても、わが国の置かれた立場から申しましてアジア各国から理解を得られるものと私は考えております。
#6
○松前達郎君 これはもう総理も十分御存じのことだと思うんですが、パキスタンですね、このパキスタンのようにウラン濃縮工場をつくり上げてしまう、パキスタンの事情から見ますとこれは明らかに軍事利用ではないか、こういうことが言われておるわけなんですが、アメリカもそれに対してパキスタンに対する経済援助を打ち切ろうとか、そういうふうな行動に出たのが報道されておるわけでございます。わが国の周辺国でこのような動きがあることも予測されるわけなんですが、これらについてわが国が今後どう対応していくか、その点について総理の御意見をお伺いいたします。
#7
○国務大臣(大平正芳君) パキスタンにつきましては、最近同国が核兵器製造につながり得る原子力開発を行っておるとの情報を根拠に、米国がその国内法に基づきまして同国に対する経済援助を停止いたしましたことは、新聞等の報道を通じまして承知いたしております。
 わが国としては、米国の援助停止の理由となりました情報を確認し得る立場にはありませんが、万一右情報が事実であるとすれば、南西アジア、ひいては世界の平和と安定にとりまして重大な影響があり得ることであると考えまして、深く憂慮いたしておるところでございます。
 その他の国々につきましては、軍事目的のための原子力開発ということについては承知いたしておりません。
#8
○松前達郎君 原子力基本法の中に公開の原則が述べられておるわけなんですが、公開の原則というのは原子力平和利用への担保である、こういうふうに考えられておるわけでございます。核の情報の公開という問題が、最近では核拡散やあるいは核ジャックなどの危険をもたらすんではないか、こういう考えも出てきておるんじゃないかと思うんです。
 そこで、今回の法案が民間企業による再処理事業ということでございますので、ここに一つ大きな問題が出てくるんではないか。企業秘密の面から公開の原則を踏み外すようなことがありはしないか、こういうことが考えられるわけでございますが、この点について平和利用への担保という観点から総理は今後どういうふうな指導をされるのか、その点について御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#9
○国務大臣(大平正芳君) 公開の原則は、自主の原則、民主の原則と並びまして原子力基本法に定められておる大原則でありますことは、御指摘のとおり心得ております。この大原則は官民を問わず、原子力開発利用に係るすべての者が順守すべきものであると思っております。政府としては、再処理事業が民営となりましても、企業秘密の名のもとにいたずらに公開を拒むということのないよう十分指導してまいるつもりであります。
#10
○吉田正雄君 ただいま議題となっています使用済み燃料の再処理によって得られるプルトニウムと燃え残りの濃縮ウランの回収と再利用は、エネルギー危機の解決に役立つどころか、多くの未解決の問題を抱え、今日人類が背負っておる核の十字架に、さらに商業面から新たな十字架を背負わんとするきわめて重大な選択を国民に迫るものであります。それだけに、軽々に結論を下し、悔いを後世に残すことがあってはならないのであります。私は、本法案に反対する立場から主要な問題点を指摘し、大平総理の見解をお尋ねいたします。
 第一点は、今日のエネルギー危機をもたらしている主要な原因についてであります。
 危機の原因を中東の政治情勢やOPECの政策に置きかえるのは基本的に誤りであることをまず申し述べなければなりません。石油を初めとする化石燃料は有限であり、それだけに人類共有の資源、財産として有効に利用されなければなりません。仮にも一部特定の国家や一時代の人類によってこれが消費し尽くされることは許されることでありません。
 特に西側先進工業諸国が産油国の安価な石油を大量に消費することによって今日の経済的繁栄を築いてきたのに対し、産油国、開発途上国がその犠牲になっているとの批判が出てくるのは当然であります。しかるにOPECが原油の価格を引き上げ、産油量抑制を行うことがエネルギー危機をつくり出していると大騒ぎをし、産油諸国のこれらの措置を逆に非難するような西側先進諸国の態度こそ本末転倒と言わなければなりません。
 とりわけ、わが日本は、無資源国でありながら高度の工業大国として大量のエネルギーと資源を諸外国に依存しています。それだけに、わが日本民族が今日を生き、将来の長きにわたって子孫の安全と生存を期するために、他国民との協和、恒久の平和を念願し、全人類が平等の恩恵と幸福を享受できるよう、差別と隷属、搾取の全廃に向けて真摯な努力を尽くすべきであります。
 当面する東京サミットで、エネルギー問題を先進国の独善的立場で経済面からのみとらえるのではなく、全人類共通の課題として正しい解決の方向性を見出すよう最善の努力を尽くすのが大平首相に課せられた使命ではないかと私は思うのであります。
 エネルギー問題の解決は、基本的には経済の安定的な定常成長と再生可能な太陽系エネルギーの許容範囲内でのエネルギー消費しか許されないという認識に立つことが必要であります。今日のような高度成長を優先させたエネルギーの大量消費が、熱汚染による環境破壊をもたらし、人類の生存に大きな危機を与えていることも明らかであります。
 以上申し上げたような観点から、省エネルギーに積極的に取り組むとともに、原子力以外の無公害再生可能な新エネルギーの研究開発に努力することが、先進工業諸国、とりわけわが国の責務であると思いますが、いかがでしょうか。
 また、東京サミットにおいても、以上指摘した諸点について各国首脳に理解を求め、解決に向けて努力をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#11
○国務大臣(大平正芳君) 人類がエネルギーを、長く安定した石油の廉価な供給の上に安住してまいりましたことは事実でございまして、その秩序が破られたからこれは産油国の方が悪いなどと私は考えておりません。そういう状況がいつまでも続くというような観点から、いま吉田さんが御指摘のように、右油代替エネルギーあるいは新エネルギーの開発を怠ったということは隠れもない事実でございまして、これは先進工業国を初め、エネルギー消費国の皆が考え直さなけりゃならぬことだと思っておりまして、産油国が数年前石油の値段を急に上げたことを一方的に非難するような気持ちは、私には毛頭ございません。
 それから第二に、しかしこういう状態になりました以上、最善を尽くして対応策を講じなけりゃならぬこともまた厳しい現実でございまして、いま仰せのように、われわれはまずこの大事な人類の資源であるエネルギー源を大切にしなければなりません。したがって、エネルギーの消費節約ということにつきましては、みずからの経済の運営、生活の運営すべての面におきまして考えなけりゃならぬことだし、また省エネルギー技術の開発には一層精力的に努力しなければならぬものと考えております。
 第二に御指摘の、石油代替エネルギー源の開発あるいは新エネルギーの開発等につきましては、格段の努力を払わなければならぬことは仰せのとおりでございます。その点につきましては、われわれといたしまして相当大胆な政策を立案し実行に移さなければならぬと考えておりますけれども、たまたま財政が大変苦しいときになってきておりますけれども、泣き言を言っておれませんので、いろいろな工夫をこらしまして、そういう方向にエネルギー政策をもっていかなければならぬと考えております。
 それから最後にサミットでございますけれども、御指摘のように、今度の東京サミットにおける議題の中では、何と申しましても時節柄エネルギーが最大の議題、最も緊切な議題になることと想像されるわけでございます。それだけに、この会議をホストいたしておりまするわが国といたしましては、エネルギー政策につきまして先進国の間で実効性のある合意が達成できますように最善の努力をしなければならぬと思っております。すべての問題についてりっぱな答案が必ず用意されるという自信はございませんけれども、その方向に向かって最善の努力をいたしまして世界の期待にこたえなけりゃならぬと考えております。
#12
○吉田正雄君 第二点は、カーター大統領つまりはアメリカの原子力政策との関連についてであります。
 一九七五年、フォード財団は、公正な立場から原子力の立場を明らかにすることを計画をし、マイター研究所に委託をして二十一人の人々によって核エネルギー政策研究グループを組織し、一年余りにわたって調査研究を行ってまいったところです。
 この二十一人の中には、現国防長官ハロルド・ブラウン・カリフォルニア工大の前学長、それから先日までINFCE、国際核燃料サイクル評価の議長をしておりましたA・チェイズ・ハーバード大学教授、前原子力問題担当国務次官補のJ・S・ナイ・ハーバード大教授の三人が含まれており、七七年に発表されたレポートは、カーター政権の原子力政策の基底をなすものとして有名であります。
 結論的に申しますと、この報告書は、プルトニウムの再処理、リサイクルについて、広範な立場と領域から検討を加えた結果、プルトニウムによって核燃料の経済性や供給確保は改善されない、増殖炉の経済性は過大評価をされてきた、軽水炉よりも資本コストが高く経済的に現段階で競争できない、その非経済性、再処理によって生ずる新たな廃棄物の処理、管理が実証されていない、核拡散や流通過程における盗難、潜在的な巨大な社会的費用などを考慮して、実験的なものであっても商業用の再処理、リサイクルは国の政策として認めるべきではないと述べておるわけです。
 そこで総理にお伺いします。カーター大統領の原子力政策、すなわち高速増殖炉に対する消極的な態度、プルトニウムの再処理、リサイクルに対する否定的な態度、核拡散防止の方針と、わが国が推進しようとする民営第二再処理工場の建設の施策は合致するとお思いになりますでしょうか。合致しないとしても推進をされるおつもりでしょうか。
 以上、私の質問を終わります。
#13
○国務大臣(大平正芳君) カーター大統領は、御就任以来核不拡散のための政策を進められて、国内的には高速増殖炉の開発計画の変更、商業用再処理の延期などを行われるとともに、国際的には核燃料サイクルの評価を行うことを提案し、これを受けてINFCEが発足いたしましたことは私もよく承知いたしております。このINFCEにおきましては、五十数カ国の参加のもとに検討が進められて、明春には結論を得べく鋭意検討が進められておると承知しております。
 わが国としては、核不拡散については米と志を同じゅうするものでありますけれども、核不拡散措置の強化の余り、原子力平和利用が不当に損なわれてはならず、核不拡散と原子力平和利用を両立させるとの立場を強く主張して各国の理解を求めておりまして、INFCEの報告においてもわが国の立場は十分反映されるものと期待しております。
 以上のような状況でございますので、第二再処理工場の建設については、国際的な理解のもとで推進することが十分可能であると私は考えております。
#14
○藤原房雄君 時間も非常に短いので端的にお尋ねいたしますが、いまもある程度触れられたんですけれども、この法案によりまして、わが国も自主的な核燃料サイクルが確立するということになるわけでありますが、それに伴いまして、いまもいろいろお話ございましたアメリカの核不拡散のこういう制約や、また、日米原子力協定、こういうものによりましてある程度の制限を受ける、いまも総理からお話ございましたように、国際的にその理解を深めるということでありますけれども、これは日本としては相当な努力をいたしませんと、まあINFCE等の動きを見ますと理解が深まりつつあるということも言えますけれども、これは国際的な問題でありますから、各国がやっぱりそういう眼で見るようでなければなりません、主要国はアメリカかもしれませんけれども。こういうことで今後原子力の平和利用、今後またこの法案によりまして再処理の第二工場、現在の東海村にあります七倍からのものを建設するということでありますけれども、国際的には相当な働きかけといいますか、理解を求める動きがなければならない、こういうことに対する総理の認識と今後の国際協力、国際理解を求めるための努力、どういうことをお考えになっていらっしゃるか、まず、その点についてお伺いしたいと思います。
#15
○国務大臣(大平正芳君) わが国のエネルギー事情を考えてみますと、申すまでもなく、きわめて足の弱い、エネルギーに弱い国でございまして、先ほど吉田さんにもお答えいたしましたように、長い間石油の安定供給が確保されましたので、その恵まれた条件の上で経済成長をかなり長い間享受することができたわけでございますが、これに不安が出てまいるということになってまいりますと、事態はいよいよ深刻なものを感じるのでございまして、いま石油に代替するエネルギーの開発にいたしましても、新エネルギーの開発にいたしましても、一朝一夕でできるわけではございませんで、まずは、いまの段階におきまして一番信頼性のあるエネルギー源は何としても原子力でなければならぬという立場にあるわけでございます。
 これにつきましては、安全性を確保せにゃならぬという問題が根底にございますだけに、国の外ばかりでなく、国の内におきましても周到な理解と支持を得るように政府としては最大限の努力を果たしてまいらなければならぬわけでございまして、そういうことを全力を挙げて理解と協力を求めるように当たらなければなりませんし、安全性を確保しながら平和利用を進めてまいるということにわれわれは努力していかなければならぬと思うんであります。
 しかし、それだけに頼っておるということではいけないわけでございますので、先ほど吉田さんからのお話もございましたけれども、新たなエネルギー源の開発、また石油代替エネルギーの開発にもこれまた大胆な施策を用意いたしまして、これに対応してまいらなければ原子力の利用についても理解が得られないんじゃないかと思うわけでございまして、エネルギー問題はそういう意味におきまして、いま政府が当面しておる最大の問題でございまして、内政的にも外交的にもいわばプライオリティーの一番高い課題になっておると思うのであります。そういう認識を政府全体として持ちまして、各省挙げてこれに当たってまいるつもりでございますので、国会におかれましてもよろしくひとつ御指導と御支持を賜りたいと思います。
#16
○藤原房雄君 まあ国際的にはいま申し上げたこと、それから国内的にはアメリカにおきますスリーマイル島の原発事故、またスイスやオーストリア、こういうところの国民投票で云々と、こういうことも原発に対して非常に厳しい眼で見られているという、こういう環境の中にあります。いわんや現在、日本にあります、原子力の所在いたします市町村周辺住民も非常な不安におののき、またこのたび大飯原発の安全解析等を進めておるわけでありますが、こういう中で安全性の確立という、国内的には安全性というものが国民にどう理解され、そしてまたどう説得されるかということが非常に重要なことになるわけでありますが、特に再処理工場におきましては、多くのプルトニウムを初めといたしますものを処理するわけであります。こういうことから、過日の委員会におきましても私申し上げたんですが、科学技術振興というものは、またいまの大臣のお話にもございます、エネルギーというのは最大の課題だというようなことでありますが、原子力は成熟した技術であるかどうかということになりますと、いろいろ議論のあるところだと思いますが、ある部門によりますと、まだ研究段階で、実用というのはいろいろな試行錯誤の段階ではないかという部門もございまして、再処理に対しましてはそういう点の論議が非常に多かったわけでありますが、過日の経団連におきますお話の中にも、この科学技術振興のために重点的に国の予算を、国民総所得の三%とかいろいろ言われておりますけれども、重点配分をして科学技術の振興、資源のない日本の国の生きる道は科学振興にあるのだということを中心といたしましてのお話があったようでございますが、まあそこの席には総理も御出席なさっていらっしゃったようでありますけれども、やっぱりいまいろいろこのエネルギーの必要性、日本の置かれている現状、これはよくわかるわけでありますが、その安全確保のためにはやっぱりそれなりの基礎的な研究と実用段階に対する積み重ねというものが非常に重要であり、これに対するものがそぐようなことがあってはなりません。過日の委員会でも科学技術庁長官、現場へ行ってみるとなかなか大変のようだというお話もありまして、これは私も大臣にぜひひとつ来年度の予算にはがんばってもらいたいというお話を申し上げたんですけれども、総理もぜひひとつ、このエネルギーを重要視するという、最重点だというお話、予算ですべてが解決するということじゃございませんが、研究費、研究に対する予算、こういうものがやっぱり安全性確保をより積み上げていく上において重要な課題ではないかということを痛感をいたしております。これに対する、ひとつ大臣の所見をお伺いしたいと思うんであります。
#17
○国務大臣(大平正芳君) 科学技術関係予算、とりわけエネルギー政策に必要な予算の確保につきましては、前々から大変強い要請が、政府部内からはもとよりでございますけれども、経済界からも寄せられておるわけでございます。ことしの予算の編成に当たりましても、そういう強い要請がございますが、政府は御承知のように、予算にシーリング制度をとっておりまして、これ以上当年度の予算よりこの程度を超える概算要求は慎んでもらいたいというようなことをやりましたけれども、科学技術庁に関する限り、そういうことに便法を講じまして所要な予算を確保した経緯もございました。いろいろな工夫をこらしましてこの要請には最大限こたえなきゃならぬと私ども考えておるわけでございます。
 ところが、先ほども申し上げましたように、たまたま財政再建に手を染めなきゃならぬ厳しい段階が来ておりますので、どのようにそういう環境の中でこの予算を確保してまいりますか、非常に頭をいま痛めておるところでございます。これは各省、国全体の各方面の理解と協力が得られなければなかなかできない相談だと思いますので、この点につきましてもまた御理解を得まして、このエネルギー関係の予算をふやすばかりでなく、ほかを抑えることも御協力をいただかなければなかなかいけない筋道も御理解を承りたいと思います。いずれにいたしましても最善を尽くしてまいるつもりでございますので、御鞭撻を願いたいと思います。
#18
○藤原房雄君 科学技術の振興には伸び率何%はなじまない。しかも、現在こういう環境の中にあるわけでありますので、その点は総理も十分に御理解いただき、まあしかし、国の予算全体を掌握する立場にありますといまのような御答弁になるのかもしれませんが、戦後は日本が復興するために石炭産業を中心としてこれを最重点にやってきた、この再建の道は決して誤りでなかったろうと思いますが、やっぱりエネルギーというものは産業の基幹になるわけであります。いま抱えております諸問題解決のためにやっぱり全力を尽くしてもらいたいという意味で申し上げているわけでありますが、エネルギーの重要性を説かれる――いま御答弁ございましたけれども、全体観の上に立ってしなきゃならぬこともあろうかと思いますけれども、ぜひひとつ最重点で進めていくべきだと私は重ねて申し上げておきたい。
 当委員会におきましてこの法案に対しまして四十時間近い審議が行われてきて、慎重な審議が重ねられてきたわけでありますが、この法案が成立いたしましたとしましても、第二再処理工場の運転開始までに十年以上という長い歳月を要するわけであります。この間、核燃料サイクルと核不拡散をめぐる国際会議や日米交渉の動向等も流動的であり、また再処理事業の技術開発面等においても今後検討を要する問題が数多く残されているようであります。本法案の審査を終了するに当たり、十年以上も先のことに何の歯どめもなく無条件に運転を認めることには、委員の一人として私自身ももちろんのこと、当委員会といたしましても不安を抱く、こういう指摘が同僚委員からもあったのであります。よって、本法の施行に当たっては、政府は、再処理工場の運転開始に至るまでの間に、内外の諸情勢の変化等に慎重にかつ柔軟に対処するとともに、再処理工場の建設計画の進捗状況、安全審査の経過並びに結果等を適時当委員会にも報告しつつ事を進めるぐらいの慎重な対応が必要であると考えるのでありますが、この点について総理の決意のほどをお伺いをいたしたいと思います。
#19
○国務大臣(大平正芳君) 再処理工場の建設等に当たりましては、内外の諸情勢の変化等に慎重かつ柔軟に対応すべきことは御指摘のとおりでございます。政府としては、原子力委員会及び原子力安全委員会の意見を十分に尊重して対処してまいりたいと思います。また、これに関して国会で御議論いただくことは、第二再処理工場の安全性に対する信頼を高め、国民の理解と協力を得るという観点からも好ましいと考えております。国会の御要求に応じまして御説明、御報告を申し上げることは当然と心得ております。
#20
○佐藤昭夫君 まず初めに、先般の日米科学技術協力協定の中で、石炭開発の新たな見直し、石炭液化の共同研究が決められたわけでありますが、しかし、これも原子力開発と同様にアメリカの政策的意図に強く従属、組み込まれるのではないかという危惧があると思うのです。
 そこで総理にお尋ねをしますが、一つは、わが国も二五%の資金拠出を行うことになる石炭液化共同研究の成果は平等に活用できる保障はあるのか、何か具体的な取り決めがあるのか。
 二つ目は、石炭液化が新たに登場してきていることから考えて、わが国も長年にわたる石炭切り捨て政策を転換をして、国内炭の立て直しに向けて政策的見直しを行うべきではないか、かように思いますが、どうでしょうか。
#21
○国務大臣(大平正芳君) 第一点の、日米が共同で研究に当たる石炭液化の成果について、わが国が対等、平等に利用する保障はあるかという御質問でございます。
 長期的な世界エネルギー需給の安定を図るためには、石炭液化技術の研究開発がきわめて重要であることにかんがみ、先般締結された日米エネルギー科学技術協力協定に沿って、現在SRCII、石炭液化プロジェクトについてわが国独自のプロジェクト評価作業を進めておるところでもございますが、この作業結果を踏まえ、わが国が正式にこのプロジェクトに参加していくに際してはわが国の負担に応じた公正な成果の配分、利用が行われることが当然の基本的前提条件であると心得ております。
 それから、第二点でございますが、長年にわたる石炭切り捨て計画を改定して、国内炭開発を進めるつもりはないかという御質問でございますが、石炭はその賦存量が膨大であり、世界的に広く賦存しているので、主要な石油代替燃料であることは間違いないと考えております。
 このような観点から、最近のイランを中心とする国際的な石油情勢の流動化並びにIEAにおける石炭利用拡大の採択等を背景に、内外で石炭の見直しが進められておることもよく承知いたしております。政府としても石炭鉱業審議会の答申、これは五十年七月にございましたが、この線に沿いまして第六次石炭政策を推進しているところでありますが、以上の背景を踏まえて、石炭の利用拡大には一層努力してまいることとし、特に貴重な国産エネルギーである国内炭はその長期的な生産の維持に努めることにいたしたいと考えております。
#22
○佐藤昭夫君 スリーマイル島の原発事故に端を発して、わが国の原発についても安全性の全面的な見直しと、事故に備えての防災対策の樹立が大きな世論となっていることはもう御承知のとおりだと思います。原子力安全委員会は、ようやく五月二十一日、防災対策専門部会の初会合を開くというまことに遅い状況でありますし、科技庁、通産省は当面の防災指針を考えておりますが、たとえばその内容として防災対策発動地域は八キロメートルというふうにしているなど、依然大事故は起こらないという考えで、これでは自治体や住民の不安はなくならないと思います。それというのも、すでに一九五九年、科技庁の委嘱で原子力産業会議が試算をいたしました、御存知と思いますが、事故被害想定では十六・六万キロワットの原発で最大事故が起こると、二十五キロ内に死者が出る、百六十キロ内で緊急立ち退き、二百キロ以内で農業制限や戸外活動禁止をする必要があるという試算の報告になっています。
 そこでお尋ねをいたしますが、現在わが国でも百万キロワットを超える巨大原発が次々建設をされていますが、もしもこれが事故を起こした場合の被害を想定をして、それに基づく防災計画を政府としても至急検討すべきであると思いますが、どうでしょうか。
 もう一つ、この防災計画において、当然放射線モニタリングや要員増など、自治体に対して一定の国からの財政援助が必要になると思いますが、明年度予算を待つことなく、当面必要なものについては今年度予算の中でも工夫をして措置をするということをぜひやってもらう必要があると思いますけれども、どうでしょう。
#23
○国務大臣(大平正芳君) 原子力発電所に絡まる防災対策につきましては、災害対策基本法で定めるところに従いまして必要な措置がとられることになっております。防災計画をつくるべき範囲、対策を講ずべき放射線レベル等につきましては、原子力安全委員会において外国の事例も参照しつつ検討いたしております。この結果がまとまり次第、速やかに各機関の防災対策の一層の充実、整備に役立ててまいることといたしております。
 この防災計画樹立のためには、もとより御指摘のように経費がかかるわけでございますが、一応現行の予算におきましてもいろいろな対応ができることはございますけれども、これで不足するというふうな事態が起こりますならば、その検討の結果を踏まえて、政府としては適切に対処しなければならないものと思っております。
#24
○佐藤昭夫君 後段の予算措置の必要性の問題についてのお答えは以上で伺っておきますけれども、前段でお尋ねをいたしました、当面科技庁、通産省が考えておるのは八キロというここを目安にして防災対策の発動をするという、これではさっき私が言いました、かつての原産会議の報告では、二十五キロの範囲では死人まで出る、何百キロという、百キロ、二百キロ、ここにまで大きな被害が出るという、最大事故が起こった場合にはこういうことになるんだという報告になっている、このこととの関係で、八キロ程度の防災対策発動ということでは、余りにも――依然として大きな事故は起こることはあり得ぬのだという考え方に立っているのじゃないか。ここの防災対策の考え方の根本的出発点を明確にして防災対策を検討してもらう必要があるのじゃないかということで聞いておりますので、そこに焦点を合わせてお答えください。(「委員長」と呼ぶ者あり)もう時間がありませんので、総理に聞いておりますので……。
#25
○国務大臣(大平正芳君) それはいまお答えいたしましたとおり、放射線レベル、それから防災計画をつくるべき範囲、対策等につきましては、原子力安全委員会において外国の事例も参照しながら検討しておるということをいまお答えしたのでございまして、この結果のまとまり次第、速やかに各機関の防災対策の一層の充実、整備に役立てるようにしていくということは先ほど答えたとおりでございます。
#26
○佐藤昭夫君 外国の事例も参考にしながらという、そこが問題なんですけれども、もう時間ありませんから、最後にもう一つだけ聞いておきますが、最初の松前委員の御質問のお答えで、わが国における原子力開発の軍事利用は断じてやらぬ、非核三原則を貫いていくんだということを明言なさいましたけれども、しからば、そういう非核三原則という、これを貫く上で、原子力諸施設については国の施策として、民営にするよりも国営でいく、核物質の管理、保有は国が責任を持つということの方が望ましいと思いますが、その点の見解はどうですか。
#27
○国務大臣(大平正芳君) 先ほどもお答えいたしましたとおり、原子力の開発利用は非核三原則を踏まえてやらなければならぬことでございまして、これは経営形態がどうであれというようなことを超えた大原則でございますので、官民を問わずこの原則には拘束されるわけでございまして、わが国の原子力の平和利用は今後ともこの大原則を踏まえて推進してまいるつもりであります。
#28
○中村利次君 私は、総理に対する強い要望を中心として、短い時間ですけれども質問をしたいと思いますが、総理は、エネルギー問題は国内的にも国際的にも最大の課題であるということをおっしゃっている。私も全くそのとおりだと思うんです。よく言われます堅実な経済成長も福祉社会も国民生活の安定も、すべてこれはエネルギーの裏づけがなくて、手品、奇術みたいに現出できるものではないわけでありますから、当然エネルギーの裏づけがなければならない。
 三月一日、二日、あるいは今月の二十一、二十二日にIEA閣僚理事会が開かれて、いろいろな合意をしたばかりでありますけれども、これは石油の節約もやりませんと、私は、量よりも、目先、まず値段、価格の上でも大変なことになるという危機感を非常に強く持っているわけです。
 ただその場合、総理も、エネルギーは国内的にも国際的にも最重要課題であるとおっしゃるけれども、果たして大平内閣がその認識の上に立ってそういう対策、対応をしていらっしゃるかということになりますと、私は、まだまだ言い分がたくさんあるわけでございまして、たとえばアメリカにも言い分がある。これは江崎通産大臣もIEAの閣僚理事会でかなりのことをおっしゃったようでありますけれども、アメリカにも言い分がある。しかし、日本も、IEAで五%の石油節約を決めて具体策を発表しながら、政府の五十四年度の石油の輸入計画というのは、五十三年度に比べて七・九%、約八%増であるということになりますと、これはやっぱり、石油の節約を五十四年度も五十五年度もやるんだ、そしてそれは実効を伴うものにするんだという言い分が非常に空念仏に終わりはしないかという心配が多分にある。アメリカにしろ日本にしろ、私はアメリカと日本の石油の消費量というものは、OPECを中心とする石油価格形成にも重大な影響を持ちながら、これは地球上の決定的課題になると思うんですよ。
 ですから、そういう意味からすれば、石油の節約は本当に実効を伴ってやらなければいけない。政府がひとつ先頭に立ってやってもらわなければいけませんが、石油、これの値段とそれから量の見通し、そのバランスの見通し、それから代替エネルギーを考える場合に、原子力、石炭、太陽熱、核融合、それから潮力、波力、地熱、いろんなものがございますけれども、目先あるいは中期的に見て裏づけがあるものは何かといったら、これは原子力、石炭以外にはないと私は思う。それは政府の暫定長期見通しでも、LNGもあります、対策促進ケース、維持ケース、あります。あるいは地熱発電もあります。それから技術開発に大変に努力をされていて、いまや波力発電、これなんかでももう成功しています。しかし、石油の代替エネルギーとして実用的なものは何だといったら、やっぱり石炭か原子力以外にはない。石炭は大事なエネルギー源です、石油の大事な代替エネルギー源です。しかし、液化・ガス化にすらクレームがつくほど、液化が絶対であり、ガス化が絶対とは言い切れないところに、私はまだ石炭を代替エネルギーとして用うる場合の科学技術の研究開発というものが必要になってくると思う。ましていわんや石炭をそのままたく、これは政府の計画もかなり石炭火力の計画があるようでありますけれども、この場合には、いまの原子力の安全性以上の細心の注意と科学技術の開発を伴いませんと、大事な代替エネルギー源としての石炭の用い方について将来にわたって悔いを残すことになりかねない。そうなりますと、はっきり言って、当面一番可能性のあるものは原子力であるということになりますと、原子力はいま千三百万キロワット近く、全電力に占める割合というものはもうすでに一一%に近くなっているわけでありますから、アメリカのスリーマイルアイランドのあの事故に照らして、全部これをやめろという何か運動があるようでありますけれども、もしこれをやめましたら、現在ただいますでに電力不足ですね、どこに国民生活の安定、どこに福祉社会の実現があるかということになるわけでありまして、そういう忍術使いや手品使いみたいな言い方に対して、政府が右顧左べんをされるのはまことに私はおかしいと思うんですよ。大飯原子力の停止にしても、あれは安全委員会の結論でありましょうけれども、とにかくほかに手はなかったか。それから、スリーマイルアイランドの原発事故を見てごらんなさい。環境に与える影響、防災対策なんというのが物すごく騒がれて、すごい危険であるというぐあいに伝えられておりますけれども、人間の生命あるいは健康に与える影響、いわゆる地域環境に与えた放射能の影響はどうかということを現実の報告で正確に見てみますと、一番高いところで発電所の境界線で二十ないし二十五ミリレムということは、国際被曝許容線量は五千ミリレムでありますから、二百分の一以下である。しかしながら、二十ミリ二十五ミリレムの放射能が測定されるということは確かに異常事態です。ですからあってはならない。しかし、許容被曝線量に比べたら二百分の一あるいはそれ以下というものを、いかにも大変だ、えらいこっちゃという、そういう受け取り方をして騒ぎ回るところに、本当のエネルギー対策というのがあるのかないのか、問題は選択でありますから、そういう問題を一切含めて、何といってもこれは大平総理が先頭に立って、正しいエネルギー政策、原子力行政というものを確立されないことには、これは日本国民の将来というものはあり得ないと私は思うんですけれども、総理の御答弁を伺って、これで時間が終わったわけですから、私の質問は終わるわけです。
#29
○国務大臣(大平正芳君) 中村さんの御指摘におきまして、エネルギー政策がいま長い政策の中でファーストプライオリティーを持っておるという認識は私ども共通にしておるということ、そしてこの政策を推進するに当たりましては現実的でなければならぬということ、仰せのとおりでございまして、いまわれわれの手元にある信頼性のおける現実的なエネルギー政策としてはいろいろな問題ありますけれども、原子力に頼らざるを得ない状況にあるということは、私と中村さんと認識を帰一いたしておるわけでございます。
 ただ違っておる点は、政府は少し謙譲で消極的に過ぎやしないか、もう少しその点は積極的になれということでございます。政府は余り高姿勢になりますと、国会からもおしかりを受けますから、その点は心得てやるつもりでございますけれども、熱意におきましてはあなたに劣らない熱意を持って当たるつもりでございますので、御支持をお願いいたしたいと思います。
#30
○秦豊君 総理、おおむね心強い激励の後には必ず反対の意見があるものでありまして、私はこの立場に立ちます。
 さっきからずいぶん言われておりますが、スリーマイルアイランドの事故を新たな契機ととらえたアメリカ側の原子力産業界の動向を見てみますと、教訓の受けとめ方が日本より素早くて非常にタフなんですね、ある意味で言えば。そして全体としては、アメリカの原子力発電の稼働率が、いま私どもの手元の数字では六〇%台に下がっています。そのアメリカ原子力産業界の首脳たちのコメントをいろんな媒体で拝見しますと、こう言っているんです。アメリカの原子力産業にとっては、原子力発電に対する新たな市民的合意の形成こそが最大の課題でなければならないと、こういうとらえ方です。つまり教訓から学ぼうとしているわけですね。日本の場合には、残念ながら私見は中村先生とも、恐らく大平総理とも違うと思いますが、日本の原発開発の歴史は確かに欧米に比べれば浅い。歴史は浅い、もろい、基盤も広くない、根も深くおりていない。しかし果たして――果たしてと言う前に、日本の場合には基礎研究と実用化という場合がきれいなサイクルでつながっていて切れ目がないんだと、だから基礎研究をうんと充実すれば実用化に裨益するんだというあたりまえのグルントは形成されていないという認識を私は古くから持っているんですね、残念ながら。それで一番マクロでとらえた場合には、この根の浅い日本の原子力産業の歴史、端的に狭義でとらえれば、原発開発の歴史というものについて一番基礎的に埋めるべきであった市民的合意の形成あるいは社会的合意の形成が、私に言わせれば十全ではなかったのではないかと私は思っているんですが、総理はどういう御認識でしょう。
#31
○国務大臣(大平正芳君) どこまでコンセンサスが得られておるかという点につきましては、あるいは秦さんと私と見解を異にするかもしれませんけれども、政府といたしましては、原子力発電等の開発に当たりましては、相当精力的にその周辺の住民の方々ばかりでなく、広く国民一般の理解と協力を得るための努力は払ってきたつもりでございますし、また、安全性の確保につきましても、可能な限りの手当てを講じてまいっておるわけでございますので、私どもといたしましては、最善を尽くしておるつもりでございますが、なお、これで十分であるとは決して考えていないわけでございまして、今後もこの問題につきましては相当しんぼう強く対処していかなきゃいかぬと思っております。ただ、こいねがわくは、国民の側においても謙虚にひとつ受けとめていただいて、一緒に考えるというような雰囲気ができますことを期待いたしておる次第でございます。とりわけ国会と政府との間におきましては、いろいろなやりとりを通じておること自体国民的な啓発には相当のメリットを得ておるのではないかと考えております。
#32
○秦豊君 一番根元にある問題は、全エネルギー分野における原子力開発の位置づけという問題が根元にあると思うんですね。ところがアメリカの開発の歴史を調べてみましても、たとえば今度スリーマイルアイランドで大変問題になったECCS、急速炉心冷却装置、この場合なんかは航空機の設計や何かと全く違っていて、大型コンピューターによるやや複雑なシミュレーションで代行する、つまりコンピューターの中で安全計数を測定するわけであって、生の実験とか材料力学とか、そんな関係はないわけですよ。そういうものに依拠している。つまり、安全と判定するということが観念の世界になっているんですね。この手にして、手ざわりがあって、手ごたえがあって、安全なんだ、それ進めというわけではさらさらないんです。そういう根本的な欠陥を持っていると私は思うんです。だから、たとえば中村先生なんかとよく議論を個人的にするんですけれども、先生の場合は青い信号をいつもともしていらっしゃる、原子力発電について。長官もそうです、総理も恐らくそうです。こちらは赤の信号をともしている。隔たりは大きい。これはやむを得ないんです。なかなか議員間討論しても距離は埋まらない、しようがない。こういう距離は永田町と政学問じゃなくて、やはり市民と国会、科学技術庁、電力業界との間にも私はあると思うんですね。そういう議論をいつまでもしていてもしようがないが、要するに原子力を選択するかどうかというのはいわば社会的な選択だと思うんですね。だから、リスクは当然なんだからがまんしなさいというオクターブを余り上げ過ぎると、第一問で申し上げたような合意の形成はおのれの影を踏むようなものだと私は思うんです。リスクはリスクなんだと、それは文明的に繁栄の生活を手にするためにはもう不可避なんだと、フェータルなんだという言い方は、余りそれを言い過ぎると私は合意の形成ができないと思いますが、重ねて総理、いかがでしょう。
#33
○国務大臣(大平正芳君) 原子力政策を離れて、合意形成の一つのメソドロジーみたいなことになると思いますが、確かにそういう御指摘のような点は十分配慮をしながら、われわれが合意形成に当たりまして取り上げる政策手段あるいは広報手段というものにつきましては、御指摘のような点は十分注意してかからなきゃならぬと思います。
#34
○秦豊君 それから、もうそろそろ時間のようでございますから最後の質問です。
 今度の法案なんですけれども、この法案は電力業界を中心にして、恐らくは三菱系列などが非常に能動的に参加をすることによって新しい民間会社が、株式会社ができるわけですね。電気事業連合会の資料を拝見すると、一九九〇年ごろからの稼働が予定されています。いわゆる核燃料サイクルの確立であるとか核燃料については自主技術を蓄積するんだということが一種の業界の大義名分になっているわけなんです。ところが、こういうことについて先ほどから同僚委員からも御指摘がございましたけれども、カーター政権になって初期といまの段階では、やや対日核政策に微妙な変化がきざしていると思います。軟化したと言う専門ジャーナリストもいますし、学者もいらっしゃる。私もややそうではないかと思う。つまり、何か孫悟空のような存在であった日本の核開発が――釈迦の手の上を飛び回っているにすぎなかった日本の原子力産業界全体が、これをやや巨視的に見れば手を飛び出して、ある意味で言えば核自立化路線に日本みずからも方向を転換しつつあるのではないかという危惧を私は感じざるを得ない。しかも、今度の再処理なんというのは、西独やアメリカの例を見るまでもなく、そもそもが民営にはなじまないという見解をどうしても私はぬぐえないんです。やっぱり今度の法案がそういう核自立化を促進する、のめり込むんだと、その大きなステップになるんだという認識を私は持っていますが、最後に総理のお考えを伺っておきたいです。
#35
○国務大臣(大平正芳君) わが国は、原子力基本法の精神に従いまして原子力の開発利用は平和目的に限るということを基本方針としてまいっておりますことは御承知のとおりでございます。この法律に基づきまして、平和利用を担保するために原子炉等規制法により厳重な規制を行っておるところでございます。また、一方、非核三原則を国是として堅持いたしておりますことも御高承のとおりであります。これらによりまして、わが国は再処理も含めまして原子力の平和利用を今後とも貫いてまいる所存でございまして、御指摘のように、核自立化路線というものに結びつくというものでは決してございません。
#36
○委員長(塩出啓典君) 大平総理大臣御退席していただいて結構でございます。
 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○委員長(塩出啓典君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#38
○松前達郎君 私は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に関し、日本社会党を代表して反対の討論を行います。
 原子力の平和利用に関しては、特に原子力発電においてその安全性、放射線による人類への影響などが憂慮されておりますが、一方、わが国のエネルギー需給の予測などから、原子力発電が石油にかわるエネルギー源であるとして開発が推進されているのも事実であります。
 しかし、最近における米国スリーマイルアイランドの原発事故によって、いま世界各国で原子力開発の見直しや安全性の再検討が行われる傾向が出てきつつあるのも事実でございます。
 このような状況のもとに、私たちはいまエネルギー開発の歴史の分岐点に立たされているといっても過言ではありません。強いて言えば、当面のエネルギー事情から、私たちの子孫の生命や生活を担保にして今後さらに原子力開発を強力に進めるべきであるかどうか、また、子孫の繁栄を目指して緊急に他のエネルギー源の開発に全力を注入すべきかであります。この判断はきわめて慎重に、しかも時間をかけ、国民の声や有識者の意見、科学技術の確実な裏づけなしに軽率に行うべきではありません。
 今日のわが国の原子力開発の推進は、もっぱら電力事業の立場からの推進が底流として流れているのは否めないのでありまして、政府は電力エネルギー生産面を強調し、消費面での強力な省エネルギー対策や、原子力に比べはるかにクリーンなエネルギーの開発、さらにリサイクル可能なエネルギー源の開発等はその経済性が合わないなどということでおろそかにしているのではないでしょうか。
 私たちはいま、まず第一に直ちに着手すべきは省エネルギーであり、クリーンなエネルギーの開発であり、生活におけるエネルギーの合理化であり、また電力エネルギーの消費の再検討であると考えます。同時に電力だけがエネルギーでないことも十分考慮する必要があると思います。
 一方、原子力の利用に関しては、大きな問題として軍事利用の問題があり、わが国が核保有国となる資格を持つことについては、平和利用を原則とするとは言え、各国の注目するところであります。核拡散防止の努力にもかかわらず、核保有国が次々と増加する傾向が見られるのも事実であり、いまや核戦力は大規模な総合的軍事力よりも効果的で経済的で強力な戦略兵器であり、大国のように膨大な軍事力を持つことができない小さな国でも保有することができるのであります。アジアにおいても潜在的核保有国が増加する傾向があり、原子力平和利用に徹するわが国の核拡散防止への責任は重大と言わざるを得ません。
 このようなときに本法案が提出されたのでありますけれども、再処理工場が稼働するのは十年以上先のことであるとは言え、慎重に検討が行われるべきだと考えるものであります。
 私が本法案に反対する理由の第一は、再処理関連技術が今後の技術開発に期待する面が多過ぎることや、公開の原則と微妙な関係を持つ企業秘密の問題などから、民間企業が大きな規模の再処理事業を行う時期及び段階ではないという点であります。さらに放射性廃棄物の最終処分の技術的確証が確立されていないこと及び再処理は民間、廃棄物処分は国がやるといった中途半端な点があることなどから、相変わらず責任体制が明確でないという点にあります。
 第二の理由は、再処理工場の稼働によって生産される核燃料等の利用計画が、計画はあっても実際に経済的、効果的に十分に利用できるかどうかの確実な見通しがない点と、プルトニウム等の管理体制についても確たる方針や見通しがないままに出発することであり、国際的なエネルギー戦略との関連において、大規模な再処理事業を一刻を争って推進する必要はないと考えるからであります。
 以上、本法案の持つ問題点を挙げましたけれども、私は、再処理を大規模に民間によって、しかも急いで行うことについて大きな危惧を抱き、本法案に反対せざるを得ないのであります。
 討論を終わります。
#39
○長谷川信君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となっております核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の採決に当たり、賛成の討論を行うものであります。
 国内ウランの資源に乏しいわが国において原子力開発利用の円滑な推進を図るためには、核燃料の有効利用を図り、自主的な核燃料サイクルを早期に確立することが必須の要件であり、このため、使用済み燃料の再処理体制を早急に整備をする必要があります。
 このような観点から、再処理事業の民営化の道を開くとともに、安全規制のより一層の強化を図ろうとする本法案は、きわめて大きな意義を有するものであります。
 特に、再処理工場の建設には、今後十数年の長期間を要することを考え合わせれば、一刻も早く本法案の成立を図る必要があります。
 以上述べましたように、わが党は、本法案の有する意義はきわめて大きく、かつ、その成立は緊急を要するものであると考える次第であり、したがいまして本法案の採決に賛成をするものであります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#40
○藤原房雄君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。
 今日、先進国では、エネルギー資源の確保は重要なことであり、特に国産エネルギー資源に乏しく、また産業構造が、エネルギー多消費型であるわが国にとって、重大かつ困難な課題であります。
 また、核燃料サイクルの確立は、核燃料の有効利用上重要な意味を持つものであり、したがって、わが党としても、再処理課題は、避けて通れないことと認識をしております。しかしながら、現段階においては本法案に対し、反対せざるを得ないのであります。
 その第一に、現在、原子力施設に対する不信感が、日本はもとより世界的に、原子力発電の歴史の中で最も高まっているからであります。
 アメリカのスリーマイル島原子力発電所の事故は、ようやく定着し始めたかに見えた原子力施設の安全性への信頼感を一挙に吹き飛ばしてしまいました。放射能という特殊な危険物を扱う原子力施設の建設は、国民の合意と協力なしに進むものではありません。いまは、自主・民主・公開の三原則を踏まえながら、原子力施設の事故、故障、トラブルを限りなくゼロに近づける安全運転の実績を積み重ね、国民との対話も重ね、失われた信頼感の回復に全力を挙げるのが最優先の課題ではないかと思うのであります。第二再処理工場の建設は、それから論ずべき問題であると考えるのであります。
 その第二は、現在における世界の商業用再処理工場の操業状況がきわめて悪いという点であります。
 各国の工場は、技術的な問題で操業を停止するものもあり、またほとんどが設計、試運転の段階でストップしている状況であると聞いております。わが国においても、今年二月、動燃再処理施設廃棄処理工場で放射能廃液が施設外に排出されるという事故があるなど、再処理工場の前途に不安を感じないわけにはいかないのであります。
 その第三は、再処理工場による環境汚染についてであります。
 再処理工場からは、気体、液体及び固体廃棄物が放出されますが、これらの廃棄物は、原子力発電所から排出される廃棄物に比べきわめて大量であり、人体に与える影響が憂慮されます。
 その第四は、放射性廃棄物、特に高レベル廃棄物の処分の問題であります。
 この処分の方法についても、地層中への処分の可能性を調査研究するにとどまり、その方向は何ら具体的なものはないのが現状であります。
 最後に、実際に第二再処理工場が運転を開始するのは十数年先となっているわけでありますが、その期間の諸状況の変化、また運転開始までの具体的な計画等、またどのような型で進めるかも明確でなく、何のチェックもなく十数年先の運転を認める本法案に対して、不安を抱かざるを得ないのであります。
 以上の理由によって、本法案に反対をいたすものであります。
 これをもって私の討論を終わります。
#41
○中村利次君 私は、民社党を代表して、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対し賛成の討論を行います。
 原子力は、石油代替エネルギーの中心となるべきものであり、昨今の石油をめぐる厳しい情勢を見ると、わが国にとって原子力エネルギーの開発利用を一層推進する必要があることは明らかであります。
 このためには、原子力の開発に対し、安全の確保を大前提としつつ、その位置づけを明確にして確固たる姿勢で臨むとともに、核燃料の有効利用を図り、自主的な核燃料サイクルを早期に確立することが必須の要件であります。
 なかんずく、核燃料サイクルのかなめである使用済み燃料の再処理体制を早急に整備することが必要であり、将来の再処理の需要に対処するため、一刻も早く商業規模の第二次再処理工場の建設に着手する時期に至っております。
 このような観点から、わが国における自主的な再処理事業体制の確立を図り、かつ、その安全規制を強化充実しようとするこの改正法案は大きな意義を有するものと考え、ここに本法案に賛成をいたします。
#42
○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表し、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する本法律案に対し反対の討論を行います。
 去る三月二十八日に発生したアメリカのスリーマイル島原発事故は、「原発は安全」という神話を根底から覆し、現在の軽水炉発電システムそのものの安全性について根本的な再検討の必要性を提起しました。特にわが国における原子力発電量はアメリカに次いで第二位、平地面積当たりの発電量はアメリカの十四・四倍で、世界の中でも群を抜いた原発過密国となっています。もしもわが国で大きな事故が起こった場合、その被害ははかり知れないものと言えましょう。
 このような現状において、事故を防ぎ国民の安全を守るために大飯原発1号機の運転再開は慎重に検討することを初め、原子力発電の安全性を全面的に見直し、重大事故時の被害評価に基づいた具体的で実効性のある防災計画、地域避難計画を策定し、その体制を確立しなければなりません。そしてアメリカ従属と原子力発電一辺倒の政府のエネルギー政策の抜本的な転換とともに、原子力開発政策、安全審査のやり方とその基準、原子力安全委員会のあり方を含む原子力行政の再検討などが強く迫られているのであります。
 こうした中で、いま議題に供せられております本改正案は、わが国の原子力発電所において発生する使用済み核燃料の再処理事業を民間に行わしめようとするものでありますが、肝心の再処理技術の研究開発は特にまだその緒についたばかりであります。現在の再処理技術は、プルトニウム爆弾を製造するための軍事用技術として発展したものであり、今日満足に運転している商業用再処理工場は一つもないという現状であります。
 このような技術開発の現段階を無視し、またわが国における自主的な基礎からの研究開発を放棄して、政府及び動燃事業団は技術導入による東海再処理工場の建設、試運転を急いでまいりました。この結果、プルトニウム溶液蒸発かん事故など、その多くが人身被曝を伴う重大事故を次々に引き起こし、現在、酸回収蒸発かん事故によって長期の試運転中止の状態にあります。
 わが国において再処理技術の確立を図るためには、もっと慎重に基礎研究から進めていかなければなりません。しかも再処理技術のこのような段階で再処理事業を民間に行わせることは、安全上国民に対して無責任だと言わざるを得ず、これがわが党が本改正案に反対する第一の理由であります。
 第二に、そもそも再処理事業は民間企業の枠にははまらないことであります。
 再処理過程において原子力発電に伴って発生する放射能の九九・九%が被覆管の外に出ます。この大量の放射能による環境汚染及び従業員被曝の防止のための安全施設には莫大な費用を要するものであり、この経済上の問題を主な理由として再処理工場の建設を断念ないしは放棄した外国の例も伝えられています。もしも民営による再処理工場が強行されるなら、逆に国民の安全が切り捨てられるに違いありません。
 第三に、高レベル放射性廃棄物の処理処分については、技術上未完成であるとともに、本改正案においても、再処理事業者と国の責任に何ら明確な規定を設けず、将来の問題として残すことになっています。国民の安全にとって最も重大な高レベル放射性廃棄物の扱いを法的には空白のまま、政府と財界がしゃにむに民営による第二再処理工場を建設しようとする態度は無謀のきわみと言わなければなりません。
 第四は、軍事転用に対する憂慮の問題であります。
 政府は、企業秘密の保護を口実として、東海再処理工場についても、また原子力発電所や原子力船「むつ」の事故についても、詳細な情報の公開を渋ってまいりました。また非核三原則についても、政府は昨年十二月の国連総会で核兵器持ち込み禁止決議に、唯一の被爆国でありながら反対の立場に立ったのであります。
 このように、現に原子力の平和利用三原則に反する原子力行政、そして国会決議である非核三原則を軽視している政府のもとで、千五百トン規模の再処理工場の建設が進められるということは、わが国に核武装の危険な有力な根拠をつくり出すものと言わざるを得ません。真に安全を優先した原子力の平和利用推進の見地から言えば、再処理民営化は時代逆行であり、むしろ核物質の民有制をやめて国有制に転換するとともに、原子力平和利用三原則を忠実に具体化した民主的な核物質管理体制を確立することこそが急務になっているのであります。
 以上、指摘した本改正案の持つ重大な問題点と危険性などを理由として、わが党は本改正案に対して強く反対し、私の討論を終わります。
#43
○柿沢弘治君 私は、新自由クラブを代表して、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対し賛成の討論を行います。
 原子力発電所から出る使用済み核燃料を再処理し、回収されたプルトニウム及びウランを再び核燃料として利用するいわゆる再処理技術を確立し、再処理工場を保有することは、ウラン資源に乏しいわが国が原子力開発利用を自主的かつ効果的に進めていくために必要であると考えます。
 わが国における再処理は、動燃事業団の東海再処理施設ですでに蓄積された技術と経験を踏まえ、民間の総力を結集して、自主技術の積極的な開発により第二再処理工場の建設を可能とする段階に至っていると思います。
 本改正法案は、このような時期に当たって、わが国における本格的な再処理事業体制の確立を図り、かつ、その機会に再処理事業に対する安全規制を充実強化しようとするものであります。再処理施設の建設が長期を要する事業であることを考慮すると、わが国におけるエネルギー確保の長期的視点に立って本法案の成立を図るべきものと考えます。
 ただ、再処理を中心とする核燃料サイクルの確立に関しては、近年、核不拡散の観点から種々の国際的制約が厳しくなっております。わが国としては、原子力開発についての自主的な立場を貫いていくためにも、政府は国際的な交渉の場でなお一層の真剣な努力を行う必要があると考えます。
 また、最近、西独にその例を見るごとく、再処理、廃棄物処理等のダウンストリームの開発に関し深刻な立地難の問題が生じており、民間再処理工場の立地に当たって地元の理解と協力を得ることができるか否かが決定的な意味を持つに至っております。したがって、政府においてもこれらの問題に対し適切な対策を講ずることが不可欠の前提であります。
 さらに、今後核燃料再処理事業を担うことになる関係民間事業者が安全性確保について厳しい責任感を持って今後建設、運営に当たることが必要であることは論をまちません。
 わが党としては、政府及び民間事業者がこのような対策に最大限の努力を払い、いやしくも国民各層に不安を生じせしめることのないよう努めることを強く求めて、本法案に賛成するものであります。
#44
○秦豊君 私は、社会民主連合を代表して、本法案に反対の討論をいたします。
 総じていま言えることは、日本の原子力発電はなお実験研究、試行錯誤の段階であって、まだまだ実用を当然とする段階ではないとする一部専門家の意見を私もまた共有いたします。
 たとえば、現実に引き起こされたスリーマイル島の事故におきましても、その最も重要なポイントをなすべきECCS、緊急炉心冷却装置にしてからが、先ほど大平総理に対する質疑でも申し上げたとおり、これまでいかなる意味合いにおいても実物実験を一度も行っていない――行っていないというよりは行い得なかった。つまり大型原子炉の設計はすべてコンピューターによる一定のシミュレーションにのみ依拠しているのが実態ではないでしょうか。このことを言いかえれば、最も重視さるべき安全性が、安全の観念と期待に寄りすがっており、実証性を何ら裏づけてはいないことを忘れてはならないと思います。また、コンピューターに寄りかかったいわゆる安全神話をもてあそぶべきでもありますまい。
 さらに、日本の原子力発電は、基本的な国民合意を置き去りにしたままで、既成の事実だけを性急に積み重ね過ぎたのではないでしょうか。十分な検証を踏まえ、豊富な情報と着実な手順を尽くした上で発足をしたかどうかについても当事者でさえ確信を抱いてはおりますまい。
 いま私が引用した二、三の脆弱な基礎の上にあえて民間による再処理工場、事業を実現することは、したがってきわめて危ういと言わねばなりません。
 さらに反対の立場をつけ加えれば、今回の法案の内包するきわめて重大な意味合いとその企図は、自主開発技術の蓄積に名をかりて核自立化路線を目指すものであり、核開発についてのあらゆるフリーハンドの確保をねらう方向であることをまた見逃すことはできません。
 そもそも、核燃料サイクルの確立という重大な一環を担っている再処理を民間の手にゆだねようとする動機がどうしても私には理解ができません。再処理という領域自体が、さらに申し上げれば、そもそも民営という業態になじまないものであることを強く申し上げておきたいと思います。その稼働が一九九〇年であるからとして、その間における技術的進歩にいたずらな幻想を抱くことは全く合理性を持ち得ないものと言わざるを得ません。
 以上の二、三の理由により、社会民主連合としては本法案に反対を表明するものであります。
#45
○委員長(塩出啓典君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○委員長(塩出啓典君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#47
○委員長(塩出啓典君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 長谷川君から発言を求められておりますので、これを許します。長谷川君。
#48
○長谷川信君 私は、ただいま可決をされました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、公明党、民社党及び新自由クラブ四党共同提案による附帯決議案を提出をいたします。
 以下、案文を朗読いたします。
     核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一、核拡散を防止しつつ原子力の平和利用を推進するとのわが国の基本的立場を国際的に貫くよう最大限の努力を払い、使用済燃料の再処理を中心とした自主的な核燃料サイクルの確立に努めること。
 二、いわゆる第二再処理工場の運転開始までには十年以上という長期間を要することにかんがみ、施設の建設等にあたっては、この間の内外の諸情勢の変化等に配慮しつつ、原子力委員会及び原子力安全委員会の意見を十分に尊重して慎重に対処すること。
 三、再処理事業の実施にあたっては安全基準の整備等によって安全の確保に万全の措置を講ずるとともに、再処理工場の運転についても周辺環境への影響等に十分留意して行うこと。
 四、再処理工場の建設及び運転のために自主技術の開発を推進し、動力炉・核燃料開発事業団において蓄積された技術と経験を十分活用するとともに、技術者の養成、訓練に努めること。
 五、再処理工場から発生する放射性廃棄物の処理処分の技術に関する研究開発を一層推進すること。
 六、再処理事業の実施にあたっては、平和目的に限るとの基本方針を堅持し、国内保障措置の一層の充実を図ること。
  右決議する。
 以上であります。
 委員各位の御賛同のほどをお願いを申し上げます。
#49
○委員長(塩出啓典君) ただいま長谷川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#50
○委員長(塩出啓典君) 多数と認めます。よって長谷川君提出の附帯決議案は、多数をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。
 ただいまの決議に対し、科学技術庁長官から発言を求められております。この際発言を許します。金子科学技術庁長官。
#51
○国務大臣(金子岩三君) ただいま、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の上御可決いただきましてまことにありがとうございました。
 私といたしましては、ただいまの議決をいただきました附帯決議の趣旨を十分尊重いたしまして原子力行政の遂行に全力を尽くしてまいる所存でございます。
 何とぞよろしくお願い申し上げます。
#52
○委員長(塩出啓典君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#53
○委員長(塩出啓典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後二時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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