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1978/05/09 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 交通安全対策特別委員会 第5号
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1978/05/09 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 交通安全対策特別委員会 第5号

#1
第087回国会 交通安全対策特別委員会 第5号
昭和五十四年五月九日(水曜日)
   午前十一時六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月八日
    辞任         補欠選任
     山中 郁子君     内藤  功君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         竹田 四郎君
    理 事
                竹内  潔君
                林  寛子君
                安恒 良一君
                阿部 憲一君
    委 員
                高橋 圭三君
                高平 公友君
                野呂田芳成君
                福岡日出麿君
                降矢 敬雄君
                小山 一平君
                浜本 万三君
                上林繁次郎君
                内藤  功君
                森田 重郎君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  森山 欽司君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       三原 朝雄君
   政府委員
       内閣総理大臣官
       房交通安全対策
       室長       三島  孟君
       警察庁刑事局長  小林  朴君
       警察庁交通局長  杉原  正君
       運輸省鉄道監督
       局長       山上 孝史君
       運輸省自動車局
       長        梶原  清君
       労働省労働基準
       局長       岩崎 隆造君
       労働省労働基準
       局安全衛生部長  野原 石松君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        村上  登君
   説明員
       通商産業省機械
       情報産業局車両
       課長       堀田 俊彦君
       運輸省自動車局
       業務部長     角田 達郎君
       労働省労働基準
       局監督課長    小粥 義朗君
       会計検査院第五
       局長       小野光次郎君
       日本国有鉄道理
       事        馬渡 一眞君
       日本国有鉄道理
       事        藤田 義人君
   参考人
       日本鉄道建設公
       団総裁      川島 廣守君
       日本鉄道建設公
       団理事      藤田 雅弘君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○交通安全対策樹立に関する調査
 (上越新幹線大清水トンネルの火災事故に関す
 る件)
 (改正道路交通法の実施状況に関する件)
 (バスの左折事故対策に関する件)
 (自転車の整備等事故防止対策に関する件)
 (春の交通安全運動実施に関する件)
 (日本国有鉄道の車両の安全対策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(竹田四郎君) ただいまから交通安全対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨八日、山中郁子君が委員を辞任され、その補欠として内藤功君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(竹田四郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 交通安全対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に、日本鉄道建設公団総裁川島廣守君、同じく理事藤田雅弘君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(竹田四郎君) 交通安全対策樹立に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○安恒良一君 私は三月二十日、上越新幹線大清水トンネル内に起きました坑内火災事故に関しまして、十六名というとうとい人命を失っておりますこの問題について、本日は、それぞれ、運輸大臣を初め関係の皆さん方にいろんなことをお聞きをしたい。
 それはなぜかというと、結論から言いますと、私はこれは過ぎた日に衆議院の運輸委員会においてもかなり議論されておるんでありますが、私は人災だと、避けようと思えば避け得たことを十分やらなかったから起きたんじゃないかというふうに実は考えて、大変遺憾に思っています。そこで、そういうことが再び起こらないようにきちっとしなければならないというふうに考えます。たとえば五十二年の七月十五日に同じく上越新幹線の湯沢トンネルで事故が起きているわけであります。その場合に労働省の方からはかなりこの問題についていろんな通達が出ている。その通達が守られておったならば、こんな大事故にならなかったんじゃないかなというふうに、私は通達を取り寄せていろいろ中身を検討してみますと考えます。
 そういう意味から、まず質問の第一といたしましては、運輸大臣お見えでございますから、運輸大臣から、私の手元には起こった状況とか、地図とか詳細にありますから、概略運輸大臣が衆議院の運輸委員会でお答えくださった後、いろんな御調査その他もされているようでありますので、この事故問題についての今日時点における運輸大臣としてのお考えを報告を兼ねて承りたい、こう思います。
#7
○国務大臣(森山欽司君) 去る三月二十日の上越新幹線大清水トンネル坑内における火災事故にかんがみまして、日本国有鉄道総裁及び日本鉄道建設公団総裁に対しまして、直ちにトンネル工事の安全面について総点検を実施するように指示いたしましたところ、四月二十日両総裁から報告書の提出がありました。
 国鉄については、三月二十七日から四月三日までの間に、工事中のトンネル三十カ所、鉄道建設公団については、三月二十七日から四月七日までの間に、工事中のトンネル二十六カ所に対しまして、それぞれ本社課長等を派遣し、災害防止設備機器の取り扱い・点検状況及び異常時の即応体制について点検を行いました、現在工事中のトンネル五十六カ所の施工状況はおおむね良好でありましたが、さらに安全の徹底を期するため、坑内における火気使用時の管理体制の徹底、消火器の型式の統一等、六つの項目について早急に改善を行うように、国鉄・公団より現地機関並びに事業者を指導いたしました。これにつきましては、設備改善など多少準備期間を要するものでも五月中にはすべて完了させるつもりであります。
 以上の報告を受け、早急に必要な措置を終え、この種の事故の再発防止に万全を期するよう、私から両総裁に重ねて指示したところであります。
#8
○安恒良一君 いま起こった事故――建設工事における事故防止総点検の結果について、私手元に資料いただいていますし、それを運輸大臣言われたわけですが、私お聞きしたのは、まず運輸大臣としてどういうお考えなのかということですからね。こんな事故を起こしたことは運輸大臣としても大変遺憾なことじゃないかと思うんですが、そういう方面の意思表明があなたから全然ないのに私驚いてるわけです。あなたの今日時点におけるお気持ちを含めてお聞きしているわけですからね。これだけの事故を起こしておきながら一言のあれもないんですか、あなたとしては。
#9
○国務大臣(森山欽司君) 衆議院の審議後におけるその後の経過という点を重点に報告を申し上げましたが、日本鉄道建設公団を監督する立場から、今回の事故につきましてはまことに遺憾とするところであります。亡くなられた十六名のとうとい犠牲を無にしないためにも、このような事故が二度と起きないように関係方面を指導監督すべきだと考え、直ちに安全総点検の指示をいたしたところであります。その点につきましては、先ほど御報告を申し上げたのが現状でございます。
 火災の発生原因につきましては、現在関係機関において調査中でありますので、その原因の究明を待って、所要の措置を講じたいと考えております。
#10
○安恒良一君 警察庁の方がお見えになっていると思います。
 これも衆議院で議論したときは、非常に土砂の降下等があって現場検証が大変困難だということで、その時点において、わかる時点においての話がいわゆる警察庁からあってます。それから相当日にちもたっておりますから、現場検証等含めて、現在のこの問題の捜査の段階について――きのうお聞きしましたところが、何かまだ発生現場まではなかなか行けないというような状況にあるというふうにちょっと聞きましたが、しかし、わかる可能な限りにおいて、いまの時点において、その後、衆議院で報告された後、捜査が進んでいると思いますから、どういう状況になっているのかという点について警察庁の方から言ってください。
#11
○政府委員(小林朴君) おっしゃるとおり、まだ危険な状況が続いておりまして、状況によりますと、五月の一日ごろから四十日ぐらいまではその危険な状態が続くというようなことでございますので、現場の最も中心部になるようなところにおきましては来月後半ということになろうかと思いますが、この安全のまあ状態といいますか、工事が進んでいけばいくほど、それに先立ちまして、できるだけ検証を進めてまいりたいというようなことでやっておるわけでございます。
 現在までに工事の関係者大体百名ぐらいから事情聴取をいたしました。また、工事関係の会社五カ所等の捜索も終わりました。そういうようなことで、事故によりまして落石などが続いておりますので、三百メートルほどの坑内につきましてはまだ検証はできておりません。
 これの事件の原因となりましたことにつきましても、そのようなことでございますので、関係者の供述等からの推定の域を出ないというようなことでございましたけれども、また、この消火の段階において出火の責任者あるいは消火の活動におきましての不注意なところはなかったかどうか、あるいは避難誘導上における責任はどうであったか、救援の措置等についての段階では手落ちはなかったか、あるいは防災設備の管理上の責任についてはどうであるかというような観点を中心にいたしまして、現在捜査中でございます。
#12
○安恒良一君 そうしますと、まあ火災の起こった原因というのは確定的ではないけど、大体衆議院の運輸委員会でお答えくださったとおりに考えていいわけですか、当時捜査課長が答えてますね。
#13
○政府委員(小林朴君) 大体そのとおりだと思うわけでございますが、例のドリルジャンボ掘削機を解体するためにガス切断器を用いて切断作業中に、まあ作業によりまして生じました火花あるいは溶解をいたしました遮熱のボルト、鉄片等がドリルジャンボの中段に堆積していました油のしみた木くず等に落下をしてぼやが起こって、それからまあ火災になったのではないかというような推定でございます。
#14
○安恒良一君 労働省見えてますね。――労働省にお聞きをしたいのですが、労働省としては、五十二年の七月二十五日付で労働基準局長が、当時起きましたところのいわゆるこのトンネル――新幹線の湯沢のトンネル事故が起きました後、トンネル工事における火災防止について、ということで通達を出されています。これも私の手元にありますが、二つお聞きをしたいわけです。
 これはかなりきちっとした通達になっておるんですが、問題は、この通達が今回の事故を起こした現場において守られておったのかどうか、そういうことについての点検などをされたのかどうか。それからいま一つは、さらに、こういう通達を出したにもかかわらずに大事故が起きた。そして今回の場合は残念ながら十六名ものとうとい命がなくなった。そうしますと重ねて、この通達だけでは不備があるということで、新しく通達を出されたのか、もしくは出す用意があるのか、もしくは、この通達のどこにいま少し補強した方がいいというふうにお考えなのか、そういうことについて、いわゆる労働安全を担当する労働省としてのお考えをまずこの問題で聞かしてください。
#15
○政府委員(野原石松君) 先生御指摘の通達は、二年前に湯沢トンネルの火災が起きた際に、その発生状況にかんがみまして、トンネル工事中における坑内火災を防止するための措置事項を具体的に示したものでございます。
 そのうち、火気を使用する場合の措置につきましては、通達に示すとおり、ガス切断を開始するに先立って、その現場の木くずなどの可燃物をあらかじめ除去するか、あるいはそれらの物に不燃性の覆いをかけておいたならば、このような火災は未然に防止することができたんだというふうに考えております。
 それから、仮に火災の発生を見ましても、避難用具の備えつけ、あるいはそういった緊急時における退避の訓練、こういったものが通達に示すとおりに実施されておったならば、あのような大きな被害を伴うところまではいかなかったんではだかろうか、もっと最小限度の被害で食いとめることができたというふうに考え、大変遺憾に存じております。
 そこで、私どもとしては、実はこの通達をつくって早速関係の業界に要望し、また同時に地方の労働基準局にこれを流しましてその実施状況を確認をするというような手だてを構じておったの下ありますが、このように実際には必ずしもその趣旨が生かされていなかったという点を非常に反省をいたしまして、現在四月から五月にかけまして全国のトンネル工事、主なもの約五百カ所ぐらいを重点的に、主として火災防止の措置がこのようにとられておるかどうかといったような観点から総点検をやっておるさなかであります。したがいまして、その結果を見、さらにまた、いま究明が行われております今回の大清水のトンネル火災の原因等々を総合的に勘案をし、この通達をさらに補強する。場合によっては法制面においても若干の手当てが、改正が必要ではなかろうかというふうに考えております。いずれにしても、近い将来にそういった面での補強をやりたいというふうに考えております。
 その場合、やはり問題になりますのは、ああいうトンネル工事における現場の状況が非常に変わってきます。そういう中において、管理をどのようにフォローしていくかというような管理体制の問題、それから緊急時の措置、こういった面をもっともっと補強する必要があるんじゃなかろうかというふうに考えております。
#16
○安恒良一君 労働省にお聞きしたいんですが、私はまだ総点検中だ、総点検をした上で補強する、こういうことでありますから、それはまた改めてそういう点検の結果について委員会でいろいろお聞きをしたいと思いますが、たとえばいまの時点で考えられることはないんでしょうか、いまの時点で。たとえば避難用具など十分であったのかどうか。これだけの長い坑道の中で煙が充満をしてまいりますと一酸化炭素――COが出てまいりますね。それに対する十分な処置がここはとられておったんだろうかどうか、こういうことを私なりに点検をしてみますと、そうでないわけですね。そうしますと、これからもトンネルで事故が起こる。火災が起こらないようにすることが第一ですが、万が一起こったときに避難をしなければならない。そのときに避難が十分できるような避難用具と、たとえば「呼吸用保護具その他非常の場合に労働者を避難させ、又は救出するため必要な用具を備えること。」と、こういうことになっておりますね。ところが、どうもここのやつを見ますと、「救出をするため必要な用具」、これも不十分ですが、若干備えつけておったようですね。それ以外の避難のための呼吸用保護具というものがそこにあったのかどうか、この現場に。私が調査する限りにおいてはなかったと、こういうふうに思うんですが、そういう点は労働省は安全を担当する面からいって、ここの事故について本当にこの通達が守られておったのかどうか。この通達が守られておれば、まず火災が起こらなかったんじゃないかということがありますね。しかし、そのことは残念ながら起こってしまった。そこで、せめて起こったらとうとい人命を亡くさないようにするということについてはやっぱり避難だ。そうすると、どうも避難用具等についても不十分ではなかったかと思うんですが、その点はどうですか。
#17
○政府委員(野原石松君) 先ほど緊急時の措置について、もっと補強する必要があるのではないかということをお答え申し上げましたが、実はその趣旨は、その後先生がまさしく御指摘になりましたように、空気呼吸器、そういった緊急時の避難器具の備えつけが必ずしも十分でなかった。このことは通達でも実は示しておったわけでありますが、そういう問題がクローズアップされたからでございます。実際に今回のケースについて調べてみますと、空気呼吸器は坑内には実は備えつけられておりませんでした。坑外、その坑口のところに一個と、それから元請の前田建設の事務所に九個と、トータルで十個あったわけでありますが、そのうちの二個を使用して前田建設の作業者が二人現場へ救出に向かったわけでありますが、これはボンベのキャパシティーから言いますと三十分しかもたないということで、相当の距離が火災の発生地点まで坑口からあったわけでございますので、途中でそれがなくなりまして、ついにそこで引き返すことができなくなった。こういうことで二名の方がとうとい命を失われたわけでありますが、そこで、そういったことから言いますと、そういう空気呼吸器の機能の限界というようなものについて、あるいはその適切な使用法についての十分な訓練がされていなかったのではないかというような面も指摘できるわけであります。
 それからいま一つ、防毒マスク。これは一酸化炭素用の自己救命器と言われておりますが、これについてもどうなっておったかということを調べてみたわけでありますが、これは坑内外ともに配置されていなかった。鉱山なんかの場合には実はこの備えつけが義務づけられておるわけでありますが、そういった面をいろいろ総合的に考えてみますと、やはり火災というものは未然に防止するのがたてまえでございますけれども、万一発生した場合に被害を最小限度に食いとめ得るように、こういった救急用の器具の設置並びにそれが的確に使用されるように関係者に対して十分な教育訓練を行うということが大事でありますので、そういった観点から、さらに通達を補強し、場合によっては法制面での手当ても講じたいというふうに考え、そのことを先ほど申し上げたかったわけでございます。
#18
○安恒良一君 まあ労働省は安全衛生を指導監督する立場だから、えらいいまお聞きする限りにおいて、公団側なり建設会社なりが不十分だったというふうに一生懸命部長言っていますけれども、私は後から公団側に証言させますが、公団側に聞いたところ、労働省の指導を受けて空気マスクの設置は義務づけられておりますと、しかしCOを防ぐ防毒マスクについてはそういうことは指導受けておりません、だから指導どおりに実はやったんだと、この前私が非公式に私の部屋に呼んだときにはそういうことを言っているわけですね。そうしますと、あなたたちの通達を見ますと、「呼吸用保護具その他」と書いてありますから、その中に防毒マスクが入っておると言えばそれまでですが、具体的に、本当に基準局長そういう指導をあなたたちはしておったのですか、いま言ったように、これだけの、長いトンネルを掘るときに。私は、空気呼吸器も非常に重要だと思いますね、これは救出の場合、また逃げる場合。しかし、当面まず防毒マスクというものは、私は、これは一酸化炭素の濃度がある一定の度合いになると用を果たさないことを知っています。しかし、こういう坑道を逃げる、しかも長いとき、それがあれば一酸化炭素に倒れなくて済んだ人もあると思います。ところが、全然ないものですから、一酸化炭素中毒に陥って亡くなった方がぼくはたくさんあると思うのですね。ですから、いまの防毒マスクの効能とか、いわゆる救急用具の空気呼吸器の効能、こういうことも私は研究しておりますけれども、しかし少なくともそういうものが坑内の中にも作業現場にもあるべきだと思うのです。これだけの長いトンネルを掘るときは、作業員に一人一人防毒マスクはまず持たせる。しかし、それだけでは十分ではありませんよ。ありませんけれども、あればかなりぼくは違ってくると思う。空気呼吸器というのは一台何十万する、耐用年数等いろいろあるということも聞いています。しかし、一酸化炭素を防止する防毒マスクなんかをさせるということについてきわめて必要なことだと思いますが、労働省は本当にそういう指導をしておったのかどうか。それからまた、ここの場所について、起こった後いろいろやっておるようですが、起こる前に安全点検なんかを、たとえば湯沢でこういう事故が起きて、五十二年七月二十五日付でこういう通達を出され、そして今度発生するまでの間に労働省みずから現場のそういうことについての立入調査なり、発生前にそういうことを十令したのかどうか。この通達が守られているかどうかということを労働省としてはされたのかどうか、そのことについてお聞きしたい。
#19
○政府委員(野原石松君) 通達そのものはいろんなトンネル工事を実は想定しておりますので、かなり一般的な形で措置基準を示しております。
 そこで、実際には、監督官あるいは専門官が現場へ出向きまして、トンネルの坑口から一体切り羽のところまでどのくらいの距離があるかとか、あるいは断面の大きさはどうだとか、いろいろな状況を勘案しながら、それではこういう現場ではこの程度の空気呼吸器でいいとか、あるいは場合によってはこういったマスクが要るんじゃないかといったようなことをそれぞれの現場の実情に応じて具体的に指導をする、こういうかっこうで現在のところきております。
 そこで、そのためには、監督官なり、あるいは専門官のそのものの知識の程度を高めることが必要でありますので、そういう面での研修を、これは本省レベルで毎年計画的に実施をしておる。そういうことによって現場の状況に追随できるような、それに対応できるような実のある監督指導ができるように持ってきておるということでございます。
#20
○安恒良一君 人の聞いたことを聞いてそのとおり具体的に答えてください。
 私はそんなことを聞いたんじゃないでしょう。いわゆる三月二十日の上越新幹線大清水トンネルの火災事故が起こる前にあなたたちは指導監督をしたのか。いまあなたが言ったように、具体的に入って距離が幾らある、坑道の直径半径が幾らある、そういう状況の中でここにはこういう器具が必要だということの指導監督をしたのかと聞いておる。そんな一般論を聞いてない。
#21
○政府委員(野原石松君) 失礼いたしました。
 この現場につきましては、実は昨年二回実際に監督官が現場へ乗り込みまして、その状況をつぶさに見、必要な改善事項について具体的な指示をしております。
#22
○安恒良一君 はい、わかりました。
 それじゃ、必要な改善事項について指導した、何と何を指導しましたか。それを言ってください。
#23
○政府委員(野原石松君) これは、具体的には火災の防止ということではありませんが、軌道装置の関係で非常に問題があったと思います。それから、現場の環境測定というか通気状況、こういうものにも問題があったので、それらの事項を含めまして数件指示をいたしております。
#24
○安恒良一君 そのときは、やはりいまあなたがおっしゃったように避難用具等もちゃんと調べられたでしょうね。避難用具等については何にも指示はなかったんですか。また不備はなかったんですか。
#25
○政府委員(野原石松君) もちろん通達はすでにその時点で出ておりますので、通達の趣旨がどのように実施されておるかということについてはチェックをしております。
 ただ、いま私が申し上げましたのは、法令に違反した事項についての改善指示というものが先ほど申し上げた内容のものだということでございます。それ以外に通達例そのものについてももちろん具体的な指導はしておるということでございます。
#26
○安恒良一君 いや、だから聞いておるのは、指導しておきながら事故が起きた、事故が起きて、今度ぼくが聞くと空気用具も不十分だった、それからガスマスクも不十分だったと、こういう答えになる。二回もあなたたちは指導しておって、具体的にしかもこの局長通達が出ておるじゃないですか。この局長通達に基づいて、法令は法令、局長通達が守られているかどうか、同じ新幹線で前にそういう事故があったからこれわざわざ出したんでしょう。このとおりいっているかどうかと二回も立入検査したらなぜ調べないのですか、なぜ。避難用具はどうなっているかとか、それから避難訓練はどうなっているかとか、それからいま言っているように現場作業の監督者はどうなっているのかと、そういうことをどうして調べないんですか。調べておれば当然勧告はされておるはずでしょう。公団側は、後から聞きますけれども、私たちは空気呼吸器等は労働省の御指示どおりにやっておりましたと、こう言っているんです、この前。まあきょうはどう言うかわからぬよ、これからずっと聞いていくけれども。あなたたちが二回も立入調査したんだ。二回も立入調査したけれども、空気用具というのはいまあなたが言ったとおりしがなかったんでしょう。それから、ガスマスクなんか一個もなかったんでしょう、ガスマスクなんか。これだけの長い距離に、労働省としてはあれですか、基準局長あなた聞くけれども、ガスマスクも何も要らぬというのかね、これだけの長い坑道をやるのに。そういう指導を君たちはしているのかね。そこをはっきりしてください。
#27
○政府委員(岩崎隆造君) 先ほどから安全衛生部長が申し上げておりますが、昨年二度監督指導をしております。ただ、その場合の現場はまだ掘削過程でございまして、今回の実際に火災が起きましたのはもう掘削過程が終わりまして最後にジャンボ掘削機を解体する作業過程で起きた火災なもんですから、その時点、その作業の状態そのものについて私どもが監督指導をやるちょうどそのタイミングになっていなかったということは率直に認めざるを得ないと思います。
 それから通達で示しておりますものも、現地でどのように受け取っているか、多少私どもも反省しなければならぬと思いますのは、先ほど安全衛生部長が申し上げたように、実態としては坑内に備えつけてなくて、坑外ないし事務所に備えつけがあったわけでございますので、これは機能として十分果たし得ないわけでございますけれども、私どもの通達内容を平たく読みますと、坑内坑外の備えつけは必ずしも明確に指示してございませんので、あるいは受け取る側の指導を受ける方の側あるいは監督の監督官そのものも坑外にあるいは事務所に設置されていたということをもって一応形として条件を満たしておるというようなことの受け取り方をしておったかもしれません。その辺は現地のことをまた十分に調査してみなければわかりませんし、今後反省して、今後の指導の際にはその点の徹底を期したい、このように考えます。
#28
○安恒良一君 ぼくはきょうは監督の立場から入っているから労働省だけを責めているようだけれども、まず労働省としても、私はきょうは労働大臣、ほかのあれで呼んでないけれども、きちっと反省をしてもらいたいと思う。あなたたち自身が本当に労働安全行政を担当する立場から二回も――いま言ったことなんか理由にならないんだよ。去年入ったときはまだ掘っている段階だった、掘ってしもうて起こった事故だ、しかしこのトンネルの延長がどれだけになるかというのはわかっているんで、わかっているときに入っているんで、そうすると、これだけのトンネルの延長には火災が起きた場合なんかはどういうことが必要かというのは、これは労働省が一番専門にこれをやっているんだから、その限りにおいて指導監督をしておれば、たとえばいまあなたが言ったように、空気呼吸器というものを外に置いておってどうするのか、これは救出のときには使えるでしょう。逃げるときには使えないんじゃないですか、空気呼吸器は。外にも中にも置くのは、そんなものは常識なんだよ。こんなものは外に置いておけばいいということじゃないんだよ。通達がはっきりしないじゃないんだよ。そんなことを局長あなたが言っておるから、あなた自身の頭が狂っているんだよ、そうでしょう、あなた自身の頭が。空気呼吸器というものは外にも中にも置いておかなければだめなんだよ、外にも中にも。この通達ではっきりしてなかったからいかぬので――そんな考えがあなたたちにあるから人間のとうとい命がなくなるんだよ。もう少し労働基準局として指導監督をするならするらしく――だから私はこれを聞いたんだよ。これについてその後直すところはないのかと、感ずるところはないのかとぼくは聞いたんだよ。一般論ばかり答えて――常識でしょう、あなた。そんな空気呼吸器、用具を外と中に置くなんてだれが考えたって、素人でもわかることなんだよ。そういうことをどうして――二回も入っておったらこれは当然外にも中にも必要な個数を置くべきだという指導をあなたたちはやるべきじゃないですか、どうですか、そういう点は。
#29
○政府委員(野原石松君) 今回の事故の経緯を反省をし、先生御指摘のように、今後さらにそういった面で監督指導の内容を充実させていきたいと思います。
#30
○安恒良一君 それじゃ労働省には、明確に言っておきますが、もう一遍この通達を読み直して、そして足らないところは早急に補足をする。たとえば延長何キロなら何キロとか、何メートル以上については防毒マスクなら防毒マスク等も備えつける必要があるということ、そういうこと。
 それからいま一つは、もう一遍いま点検しているそうですから――そういうおざなりの点検ではだめなんだよ、おざなりの点検では。本当にこの通達が守られているかどうか。さらに今回の事故から考えて、あなたも認められたように、この通達の不十分さがあるわけだから、その不十分さを補った上で速やかに全国のトンネルについては総点検をしてもらいたい。そうして再びこんな事故が起こらぬように、この労働行政の面でもしてもらいたいということをまず労働省には言っておきます。
 そこで、今度は少し公団側にお聞きをしたいんですが、まず公団側としてこのような事故が起きたことについて現在の段階でどういうふうにお考えになっているのか、それからどのような、今後再び事故を繰り返さないための具体的な処置をしたのか、こういうことについて。
#31
○参考人(川島廣守君) お答えを申し上げます前に、公団といたしましても在来安全を最大の優先課題といたしまして事業を遂行してまいったわけでございますが、それにもかかわりませず十六名という貴重な人命を損ねましたことにつきまして、御遺族の方はもちろんでございますが、その意味において広く大きく世間をお騒がせ申し上げましたことについて心からおわびを申し上げる次第でございます。
 ただいま先生からお尋ねのございました件でございますが、先ほど運輸大臣からの御答弁にもございましたように、当公団といたしましては、三月の二十六日から四月の七日までにかかりまして、当公団の現在施工中のトンネルが二十六トンネルございますが、そのすべての工区につきまして、それぞれ本社から課長を派遣をいたし、現地についていわゆる総点検を徹底して行ったわけでございます。その結果、先ほど御答弁ございましたように、二十日の日に運輸大臣にその内容について御報告を申し上げ、さらに具体的に指示をいただいたわけでございますが、私といたしましては、私の名前で四月の十八日付をもちまして総裁通達を出しました。先ほど申しました総点検の結果の内容を事細かに具体的にこれを記しまして今後の安全対策に万全を期するよう通達をいたし、さらにまた四月中におきまして、六項目ございますけれども、そのうちのほとんどのものにつきましては、安全訓練でございますとか、あるいは安全教育でございますとか、そういうものについては全公団の組織に徹底をいたして実施をいたしました。なお、施設等につきましては若干時間を要するものもございまするので、これも遅くとも今月末までには全部完了をいたしたいと、こういうつもりで現在施工を進めておるわけでございます。
 そこで、お尋ねに具体的にお答えを申し上げたいと存じますが、今回事故の起こりましたのは水上にございます保登野沢工区という工区で起こったわけでございますが、この現場につきましては非常用のサイレンを早速に備えつけまして、これは十三カ所ございます。構内電話は十二カ所等をつけまして連絡警報設備の増強をまず図りました。
 第二は消火器の機種の統一を図ることを大臣にも御報告申し上げた次第でございますが、その趣旨にのっとりまして、今回は蓄圧式のあわの消火器を構内に備えつけると同時に、防火砂をあわせて用意いたしました。さらにまた中継所が含めまして六カ所ございますが、ここには防火用水、それからいま申しました消火器及び防火砂こういうものも一斉に全部備えつけを終わりました。さらに今後これらの点検管理につきまして徹底を図ってまいりたいというのが第二でございます。
 第三番目の問題といたしまして、非常灯を現在までのところ二十カ所設置を終わりまして、さらに七十カ所追加増設中でございます。さらに先ほど来先生のお話にもございましたような避難用のマスクをとりあえず百個準備をいたしまして、これをいま申しました休憩室及び車でございますが、バッテリーカーでございますが、バッテリーカーにそれぞれ備えつけを完了いたしたわけでございます。さらに四月の三日の日に安全に対しましての訓練、教育を、全員百五十名ほどおりますけれども、これにつきまして安全教育をすべて終わり、さらに四月の二十四日の日に安全点検パトロールを徹底して行い、以上のようなことをこの災害が起こりました保登野沢工区につきまして行ったわけでございますが、その他のものにつきましても、先ほど申しましたように、一応施設面とそれから教育訓練の面とあわせて実施をいたした次第でございます。
#32
○安恒良一君 まあ、きょうはこの委員会でいろいろしかられるということで万全の準備をされてきていますが、私は総裁にお聞きしたいんですが、いま言われたようなことはかなり衆議院の運輸委員会で同僚委員からも御指摘があり、私などは事故が起こったときに非公式にそれぞれお伝えをしたんですが、なぜそういうことが前もってされなかったのか。それは初めてじゃないわけですよね。御承知のように、上越新幹線酎驕gンネル内における火災事故が起きているわけですよね。それで、そのときはたまたまとうとい人命がなくならないで幸い非常によかったわけですね。しかし、それに基づいていわゆる労働省からはきちっとした一応の通達が出ているわけです。その通達の中にいろんなことが書いてあるわけです。たとえばいまあなたが言われたようなことについても、今回の場合でも警報装置が非常に不十分だった。だから非常用の電話であるとか非常用のサイレンであるとか、そういうものがあればもっと早くこの事態がみんなに知らせられて、私、当日働いておったこれだけの工区の中にいろんな散らばって皆さんが働いておられたんですが、それにわかったと思うんですよね。まあこれからも起こり得るかもわかりませんから、新しくされたことは結構なことですが、どうしてそのとうとい人命がなくなる前に、またもしくはこういう事故が起こる前にその鉄建公団としてはそういうことされなかったのか、私はそれがわからない。まあ鉄建公団としては、それぞれ各請負に請け負いをさせる、そして請け負ったら請け負ったところが、たとえば何々組なら何々組が製品として仕上げて、それで引き取るんだ、こういう請負関係なんだと、こういう発想が頭の中にあるんじゃないか。しかし、幾ら請負関係であろうと、それは今回の事故について請け負ったところのこの組の責任であるということもあると思います。しかし、これだけの工事を鉄建公団が実際上施行しているわけなんですから、どうして前回の事故から今回の事故までの間にいまあなたが言われたようなことを十分されなかったんですか。そういう点についてはどう考えられます。
#33
○参考人(川島廣守君) 確かに、先生からお尋ねがございましたが、私も全くそのとおりだといま痛感をいたしておるわけでございます。話に出ました労働基準局長の通達もいただき、その直後におきましては、直ちに公団といたしましては支社長会議を開き、さらにまた担当の工事部長の会議も開きまして、湯沢のトンネルに多くのものを学んで安全対策にこれ努めたつもりであったわけでございますが、いまおっしゃられましたような施設がなぜできなかったかという点につきましては、いま改めて――田町いろいろなことを考えたわけでございますけれども、施設の面において十分ではなかったということが一点と、それからもう一つは、いまお尋ねがございましたように、訓練、教育というような面、そういうような面においても大変に不十分であったということを実はいまさらながら大変痛感をして、深くおわびを申し上げる心持ちでいっぱいでございます。
#34
○安恒良一君 いわゆるあなたたちが本当に湯沢のトンネルでこういう問題が起こったときにいろいろ考えたとかいろいろ何とか会議やったと言うけど、それはまあ会議はやったかどうか知らぬけど、親身になってそこで働いている労働者なり、そういう人々の命のことについて考えられておったとは私は考えられない。いまになるといろんなことやったと言うけど、いろんなことやってないじゃないですか。たとえば一つのことをひとつこれから聞いていきますけれど、いわゆるぼやが起きたと、消火器が作動しなかったと、こう言っているんですね。消火器が作動しないなんて常識で考えられないんですよ。それは操作ミスなのか、それとも消火器自体が悪くなっておったのかということがある。これも、ああいう湿気の多いところでは消火器というのは定期的にきちっきちっと点検をしておかないと作動しないんですよね。そういうようなことをされたか。されておれば今回の場合でも、いわゆる解体作業中に付近に燃えやすい物を置いておくそのことがもう間違っているわけなんだ。そういうものを置いてはいけぬと書いてあるわけだ。ところが置いてあった、燃え移ったと、そこで消火器を使った、使ったところが消火器が作動しなかった、それで大火事になっているわけだ。だから消火器の点検を十分されたのかどうか。それからまた、そういう作業を行う場合には監視人を配置しておかにゃいかぬと、こう書いてある。そして監視人が消火器を持っておればその監視人が消火器を、監督の立場の人がぱっとやればよかった。ところが、どうも今回の場合、監視人が配置されておったのかどうかということについてもわからぬ。ですから、あなたたちは口では、こういうところに引っ張り出されると、実は前事故起こして次の事故までいろんなことやったんですが、訓練が足らなかったとかなんとかかんとか言うけれども、そんな問題じゃないじゃないですか。消火器のこと一つ、それから監視人のこと一つをとっても、それからいわゆる非常を知らせるためのサイレンとか電話とか、この事故が起きてみてこれ点検してみると全然なっちゃないじゃないですか。いまになってあなたは、非常用のサイレンをつけましたとか電話を設置しましたと言うけれども、現実に十分な連絡体制というのが、事故が起こったときに事故を全員に知らせる体制というのは全然できてなかったじゃないですか。何をやったんですか。湯沢のいわゆるトンネル工事現場に起きたときにいろんな会議をやったとおっしゃるんですが、会議をやったんなら、あなたたちはその結果、湯沢トンネルで事故が起こった後、今回の事故が起きるまでに、この大清水トンネルについては施設の面等で何と何を改善したんですか。何と何をあなたたちは改善したんですか。
#35
○参考人(藤田雅弘君) 私どもが湯沢のトンネルのああいう火災事故がございまして、幸いにも人命には支障はなかったわけでございますが、これを教訓といたしまして、労働基準局長からの御通達もございましたので、私どもといたしましていたしましたことは、坑内電話は大清水トンネルにはこれはずっと備えてございました。で、非常用のサイレンと申しますのは、今回の事故の場合はたまたま掘削作業が全部終わっておりましたために、これは言いわけめいてまことに恐縮なんですが、通常の場合は手動式のいわゆる発破をかけます場合にサイレンを鳴らすわけでございます。そのサイレンが、緊急用のサイレンとして一応こういう場合には使用するということで、そういう設備になっておったわけでございます。消火器とそれから先ほど来お話しございました空気呼吸器等も御指示に従って、私ども空気呼吸器等につきましては、その避難用具につきましては知識が乏しゅうございまして、これはいろいろ各方面のお話を聞きまして、当時十個程度をそれぞれこれは備えておけばいいというようなことでございましたので、そういうことで、私ども大体上越新幹線の各工区とも長大トンネルにつきましてはそういう備え方をいたしました。避難訓練等もやらしたわけでございます。
#36
○安恒良一君 このトンネルで当時何人働いておったんですか。それから最盛期にはこのトンネルの中で大体何人ぐらいの人が常時働いていましたか。
#37
○参考人(藤田雅弘君) 当時、この事故の起こりましたときには五十四人でございますが、大清水トンネルの最盛期のときは約二千人近い方が働いておったと思われます。
#38
○安恒良一君 そんなときに、いわゆる避難用具というものの知識が乏しかったからなんて不謹慎じゃないですか。十個程度備えてどうするんですか、空気呼吸器をたった十個程度備えて。当時でも五十何名働いていた。最盛期には場合によれば二千人からの人が入って仕事をしているときに十個程度備えつけておって火災が起こったときどうなるんですか。知識が乏しいとか乏しくないとか言う前の問題じゃないですか。あなたたちは人の命を何と考えているんですか。もう少し人の命について考えなきゃ。しかも前に一遍そういうあれが起こっているわけでしょう。起こって、そして幸いそのときには人命に支障はなかったんだけれども、そこで通達が出たわけですよ。それをたった十個程度、しかもほとんどが坑外に備えつけておくような形にして、それだけの事故が起こったときどうするんですか。全く私は、あなたたちはそういうことについての感覚がないと思う。そういう責任はどうするんですか。知識が乏しかったからで済みますか。亡くなった十六人の人間は生き返りますか。生き返らないじゃないですか、どうするんですか。私は総裁に聞きたいんだけど、あなたたちはこの事故の責任をどうとるのかということ。たとえばはっきり言うと炭鉱における爆発がありますね。通産省の鉱山保安局長は過去において大きい爆発があれば全部詰め腹ですよ。それから、国鉄総裁、桜木町の事故以下いろんな事故が起これば詰め腹です。みずから責任とっています。炭鉱の場合には何回もそういう例があります。だから通産省で鉱山保安局長になるのをいやがられるという話すら当時聞いたことを私は考えるんですね。そういうようなことから考えて、あなたたちが万全の体制をとっておられたなら別だけど、いま聞く限りにおいては湯沢の経験ということを全然生かしてない。いいかげんな防護体制しかとってない。そしてその中で起こった事故。だから私は人災だと言う、人災だと。そしてそういう人災を起こした以上はこの責任をどうおとりになるんですか。
 それから、これは運輸大臣にもお聞きしたい。運輸大臣は笹川良一さんに、おまえさんもうぼつぼつ年をとったから下がれとか、それから全日空ですか、のいわゆる社長に対して、黒い霧、いろんな問題があったんだから、おまえさんはあんまり全日空の社長として不適当だなどということをいろいろ言われて、なかなか勇気のある運輸大臣だというそういう御批評も新聞その他でも出ておったり、もしくはちょっと言い過ぎじゃないかなどという御意見もあるようですが、いずれにしましても私は運輸大臣としてそういうことをされていることについて私は私なりに評価しています。そういう角度から見まして、今回のようないま運輸大臣お聞きのとおりなんです。湯沢において事故が起きた後の公団側のとっておる処置というのはなってない。湯沢から出たこの通達をきちっと守っておけば私はこんな大事故にならなかった、なってない。いまになってあれもつくったこれもつくったとこう言っている。こういう点について、まずひとつ、あなたは運輸大臣として、鉄建公団というのは運輸省の監督下にあるわけですから、どうこれを責任をとらさせるつもりなんですか。笹川さんや全日空の社長にも勧告をするぐらいの勇気のある方なんですから、ましてや自分のところのいわゆる監督下にある鉄建公団で、いま言ったような管理者側としての火災防止に対する万全の体制をとってなかった。万全じゃなくてほとんどとってなかった。それが私は今回の十六名の人が亡くなった大きなあれだと思いますから、そういう意味から言ってその点についてはどうされるんですか、お考えをお聞かせください。
#39
○国務大臣(森山欽司君) 先ほども申し上げましたように、火災の発生原因は現在関係機関において調査中でありますから、その原因の究明を待って所要の措置を講じたい。いまお話しの点も十分参考にして考えていきたいと思います。
#40
○参考人(川島廣守君) 先ほど先生のお話もございましたように、現在の制度といたしまして、請負契約ということになっておりますので、そういう意味では今回の事故の起こりましたことについての道義的責任あるいは社会的責任については深く痛感をいたしておるわけでございます。今後は、先ほど来お答え申し上げておりまするような安全対策の万全を期して、二度とこのような事故の起こらないことに努めることが私どもの責任であると、かように脅えておる次第でございます。
#41
○安恒良一君 ぼくが、請負契約になってるからということで、それをやや助け舟的に考える。そこにあなたのもう人間的な良心の麻痺があるわけなんだよ。私は雇用形態は工事の請負契約ということになっておるのは知ってます。しかし、あなたたちがすでに新幹線の湯沢トンネル工事においてこのような事故を起こし、その後監督官庁からもそれに備えるための指示、示達がなされてる。そういうことをあなたたちが万全に、請負であっても請負をしているところとの間に話し合いをし、そういう施設をされておるならば、今回の場合には、こういうとうとい人命は亡くならなくて済んでるかもわからない。もしくは被害をまだ最小限度に食いとめることができたかもわからないんだよ。そういう点の反省が十分でなくて、今後起こらないように一生懸命すると。あたりまえのことですよ。今後起こったら大変なことだよ。また、もう今回の経験にこりて、いろんな施設をすることは、これはあたりまえのことなんだよ。まだいろんなトンネル工事やってるんだから、そんなことはあたりまえです。しかし、私はそれだけでは済まぬでしょうと、こう言っている、それだけでは済まぬでしょうと。こういうやっぱり事故を起こしたときは、事故を起こしたように、お互いに出処進退を明らかにして、そしてそれから事故を起こさぬようにしていくと、こういう戒めが必要だと思う。しかし、あなたにはその気がないようですから、森山運輸大臣に私は篤とお願いしておきます。いま捜査中だということですから、結論が出るでしょう。出たところでひとつこういう問題については、再びこのような事故を起こさないために、やはり出処進退なり、きちっと処罰をするところは処罰をすると、そういうことがないと、これでもう二回起きているわけですからね。二回目に残念ながら十六名というとうとい命が亡くなっているわけですから、私は亡くなった方々に対して労災補償をやるとか、それからその他プラスアルファを出すとか、金で済む問題じゃないんです。もちろん労災補償を十分にしなきゃならぬし、遺族の方に対して、さらに手厚い弔慰をしなきゃならぬことは当然です。それからそれと同時に、やはり責任者というものは責任をとって、そして出処進退を明らかにして、そのことによって今後こういうことが起こらぬような、ぼくはやっぱり戒めをきちっとしていくと、こういうことがあってしかるべきだと思います。ですから、どうかまあ捜査中であるから捜査が進んだ事態で十分考えたいと、こういう御意向でございますから、それはひとつ私の強い希望として運輸大臣に申し上げておきます。
 それから、鉄建公団の総裁以下関係者は、とにかく請負なんだからこれは請け負った方が悪いんだと、おれたちはまあ今後事故を起こさぬようにすればそれでいいということで済むのかどうか、静かにもう一遍考えてみてください。そしてその上で、私はきちっとするものはしてほしいと、こういうふうに、この点については思います。どうかそういう点で、運輸大臣、いまあなたも言われましたように、捜査中なんですから、捜査が完了した時点で再びこういうことを起こさないようにきちっとけじめだけはひとつつけてください。よろしゅうございますね。
#42
○国務大臣(森山欽司君) 先ほど申し上げたとおりであります。
#43
○安恒良一君 それから、鉄建公団の総裁、あなたたちももう一遍よく自分たちの置かれておる立場、そういうもの等を踏まえて――結局あれでしょう、あなたたちはいま言っていることは、こういう防護装置その他をきちっとすればそれで済むと、こういうふうに思っているわけでしょう。この事故が起こってから、責任の問題なんか部内的にはどうにも何にもないんでしょう。あなたを含めて、それからあなたの直接こういうものを担当している人たちを含めて、何もあなたたちはそういうことについては、これは工事そのものが請負契約であるから仕方がないと、こういうことなんでしょう。
#44
○参考人(川島廣守君) ちょっと言葉が足りませんで……。私らといたしましては、請負契約であるから公団に責任がないということを申し上げているつもりは毛頭ございません。今後は、そのような制度のいかんにかかわりませず、人命の尊重、安全の確保が最優先であるというふうな心構えで一生懸命努力してまいりたい、かように考えている次第でございます。ただいま先生から御指摘のございましたような点も含めまして、十分全職員を挙げまして、戒心をいたしてまいりたいつもりでございます。
 さらに、いま処分の問題がお尋ねございましたが、現地の契約当事者でございます新潟新幹線建設局長の本間君を厳重注意の処分に、三月二十三日付をもって懲戒委員会を開いて行った次第でございます。
#45
○安恒良一君 そういうことだろうと思うので中を聞いたんですがね。もうこれより以上、私は細かく言いません。だけど、新潟の局長を厳重注意処分をしたなどということで遺族の方が浮かばれますか。私は浮かばれないと思う。死んだ方も浮かばれないと思う。ですからこれより以上言いません。これはあんたたちがみずから考えることですから、あなたたちが今後どういうふうにされるかということは私は今後成り行きをじっと見守っておきます。そのことだけを申し上げておきたいと思います。
 それじゃ次のことに移りたいと思います。三原長官もお見えでございますし、これからまた春の交通安全週間も始まる、こういうふうに聞いております。そこで私がお聞きしたいことは、昨年の十二月に道交法の改正がされまして、その結果かなりいわゆる三悪追放等にも非常に役立っている、過積み問題等もうまくいっている、こういうことの中間報告は聞いたわけです。
 そこで、その後の状態がどうなっているかということと、それと今度の春の交通安全運動を、それらを踏まえた上でお考えになったんだろうと思いますから、そういうことについての説明をひとつしていただきたいと思います。
#46
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたしますが、ただいま御指摘のとおり、昨年改正を見ました道交法の成果は非常な成果を上げていただいたということは感謝をいたしておりますが、この点についてでございますが、道交法の改正前に広報関係の徹底が図られたというようなことを私どもは考えるわけでございます。その結果、道交法の施行とともに、運転者はもちろん関係者の方々にも非常な道交法の順法についての心構えと申しますか、準備態勢ができておったのではないかということでございます。
 いま御指摘のように、過積載の自粛の問題でございますとか、あるいは酒酔いの運転の減少、暴走族の抑制等がその結果として非常によい結果が生じておるわけでございます。したがって、この道交法のそうした成果というようなものを一時的なもので終わらせてはならないという反省に立っております。ぜひこれを定着さした体制に持っていかねばならぬということを考えてまいっておるわけでございます。
 そこで、私ども乱月十一日から行います春の全国交通安全運動におきましても、この改正道交法の定着を図るということを基本的な前提といたしまして進めてまいる方針でおるわけでございます。しかしまた反面、実は検討をしてみますと、死者の数はおかげで非常に減少いたしましたけれども、事故件数はどうも最近になりまして少し増してきたというような一つの現象が出てまいっておりまするし、また負傷者の数もそういうような結果から増加をするというようなことがございますので、交通安全に対します施策はやはり厳しい受けとめ方をしてまいるべきだと考えておるわけでございます。したがって、交通安全基本計画に基づきまして各種の施策を総合的に推進してまいることといたしておるわけでございますが、中でも国民全体の御理解と御協力を得るために、特にひとつ配意をしてまいりたい。したがって、そういう立場から春の交通安全運動につきましても具体的な施策を進めておるわけでございます。一昨日決裁をいたしまして、これらの処置をいたしておるところでございます。
#47
○政府委員(杉原正君) それでは、法改正後の状況につきまして御報告をいたしたいと思います。
 便宜、改正前――昨年の一月から十一月までと昨年の十二月からこの三月末までの四カ月間を見まして、一月平均でどういう形になっておるかということについて申し上げたいと思います。
 過積載の関係でございますが、これは大変に業界の自粛が行われまして、この改正道交法が施行されまして後の過積載の取り締まり件数でございますが、これは月平均に置きかえますと、丸い数字で申し上げますと、大体五千五百件、一月平均取り締まりでございますが、改正前はどうかといいますと、一月平均一万五百件をやっております。ですから、街頭でかなりの検問をいたしますけれども、この取り締まり件数が半分になるぐらい自粛が行われておるという状況でございます。
 また、違反の内容、特に過積載は最大積載量をオーバーして積むわけでございますが、最大積載量の二倍積んでおると、十トン車に二十トン積んでおるというふうな、そういう二倍を超えて過積をしているというふうなものの割合が、改正後は全体の違反の二倍以上積んでいるのが九・四%ぐらい、これが改正前は一七・二%ぐらいが二倍以上積んでおったというふうなことでございますから、そういう意味の違反をしましても、違反の態様というものは非常に従来に比べて自粛をされているということが言えると思います。
 それから、特にこの過積載は、他の道交法の違反と違いまして、非常に構造的なものでございまして、使用者とか荷主が過積載を下命したり容認したりするということが通常でございます。そこで、この改正後の状況につきますと、この過積載の下命容認事案で検挙したものが、改正前は月平均百三十三件であったものが、改正後は、下命容認で背後責任を追及したものが百六十五件ということで、約二五%背後責任の追及の方は逆にふえておるということでございます。
 なお、この過積載の下命容認事件等で悪質なものにつきましては、自動車の使用制限の措置を講じておりまして、ただいま現在、すでに処分を、過積載によりまして自動車の使用制限をしましたものが三件、手続中のものが八件ということになっております。
 なお、これは使用者の自動車の使用制限でございますが、さらにその荷主等がこういう過積載というものを使用者に向けて下命容認の教唆をやっておるというふうなケースにつきまして、ただいままでに二十七件を検挙しておるという状況でございます。まあこれ、過積の問題、やはり一つの安全な輸送秩序ということに欠かせませんので、さらに今後手を緩めないでやっていきたいというふうに考えております。
 それ以外に、改正道交法の施行後の特徴的な点を申し上げますと、例の酒酔い運転でございますが、酒酔い運転は一度で免許が取り消しになるというふうなことに法改正でなったわけでございますが、この取り締まり、酔っぱらいそのものの取り締まり件数が半減をしている。それだけ夜間等の酔っぱらいの事案が少なくなっております。酔っぱらいによります死亡事故も、取り締まり件数が半減したのと同じように半減をいたしております。
 それから、自転車乗りの死亡事故が非常にふえておりましたが、改正道交法施行後は約二割方自転車の死亡事故が減っているという状況でございます。
 ただ、先ほど総務長官からもお話がありましたように、死者につきましてはかなり改正道交法の施行後減っておりますけれども、事故の件数、それからけが人、これが少しふえる状況にございます。また、歩行者とか自転車乗りの全体に占める事故率というのが、かなり高い状況が続いておることと、それから原付自転車等二輪車の事故、自動二輪、この事故がふえておるというふうな点等が見受けられます。決して楽観は許されない状況でございます。われわれそういう点を踏まえ、あるいは企業の安全管理体制の強化というふうなものを進めていかなければならないと思っておりますので、この安全運動等の機会にそういう点を強く訴え、措置を講じて、事故の増勢に歯どめをかけるチャンスにしたいというふうに考えております。
#48
○安恒良一君 改正道交法というのは、いま言われたように、三悪の追放とか過積のほかに、少なくとも当時われわれが改正道交法を議論をするときにも、死亡はだんだん減っていると、しかしいわゆる事故件数なりそれから負傷者、そういうものがあると、この傾向は続いておったわけですね。
 そこで、今回の改正道交法の中にそれらの問題も取り入れて、われわれがここの委員会としてはずっと議論をしてきて、だんだん死亡が減ってきた、次は今度は、いわゆる負傷者や事故件数自体を減らすんだと、こういうことで改正道交法はやったつもりなんですがね。ところが、なるほどいま言ったように、死亡とか過積とか、酔っぱらい運転、いわゆるその三悪の方はかなり実績を上げておるようですが、逆に負傷者がふえているとか事故件数はふえているということになると、そうすると、そこはどこに原因があるか。それともまだ改正道交法の趣旨が十分徹底されてないということなのか、それともまだあの改正道交法自体に、そういう面から見ると不十分さがあったと、こういうふうに考えられるのか。どうですか、そこのところ。
#49
○政府委員(杉原正君) 今回の道交法の改正、まあこれ、定着をさすというのがことしの交通警察の最大重点でございまして、これなかなか改正したものが一、二カ月ですぐ定着するというのは非常にむずかしいわけでございますが、これを何とか定着をさすということを一つの目標にいたしております。
 それから同時に、衆参両院の改正時の附帯決議をいただいておりますが、これはもういずれも私どもが当面力を入れてやっていかなければならない問題でございますし、特に免許制度、いわゆるドライバー対策というものにつきましては、この前の改正道交法はほんの一部だけ手をつけたにすぎません。いま、免許制度研究会等を通じまして、これの抜本策というふうなものを考えていきたいというふうに思っております。
 そういう意味で、さらにこの改正道交法についても、他の行政施策も当然必要でございますが、法の整備というふうなものも当然これから取り組んでいかなければならない大きな課題であるというふうに考えております。
#50
○安恒良一君 そうしますと、長官、ここでお願いしておきたいんですが、まあ交通安全運動非常に結構なことなんですが、私はいま杉原さんが言われたこと、非常に重要だと思いますのは、やはりこれからはもちろん三悪の追放に一層努力しなきゃなりませんが、本委員会としてやらなきゃならぬことの一つとしては、やっぱりこの事故件数、負傷者数を減らすためのことをうんとやっていかなきゃならぬと思うんです、本委員会で。その意味から言うと、一つは、いま言われたような改正道交法の趣旨徹底と同時に、道交法議論のときにいろいろの附帯決議を衆参委員会でも上げていますから、そういうことのやっぱり完全な実行をやる中で、なるほど負傷者も減ってきた、事故件数も減ったと、こういうことが本委員会で議論ができるようしておかなきゃならぬと思います。そういう点について長官としても格段の――よく交通安全運動というのは、どうもその期間中だけのやや行事的になるわけですね。逆にこれ皮肉なことを言うと、交通安全運動期間中に事故がふえたなんということも往々にして前はあるわけです。これはまあ本委員会でも議論して、どうもちょっとドライバーが緊張するんじゃないかという議論が、やりとりがあったぐらいですから、この十一日から森の全国交通安全運動が行われるわけですから、そのときにまた運動期間中に事故がふえたんじゃこれ意味ないんですからね、これ。そういうことがないように、ひとついま二つの点についてきちっとしていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#51
○国務大臣(三原朝雄君) 御指摘の点十分ひとつ注意をいたしますが、私も具体的に検討してみると、いま附帯決議等にもございますドライバー初め国民に対しまして道交法改正の趣旨の徹底をやはり十分図るということが大前提になろうと思いますが、中身を検討してみますと、どうも最近、子供さん、それから婦人の方が自転車なり、あるいは原付自転車等をお乗りになる、こういう事故が非常に増加をいたしておりますから、今回は特にこの茶の間における、家庭における交通対策というようなものを特に今回は重点的にひとつやりまして、いま御指摘のような線について十分な配慮をして、とにかく事故件数をなくし、減少させ、また負傷者を減少させるという方向で、特にこの春の週間は努力してまいりたいと思っております。
#52
○安恒良一君 次に、運輸大臣と自動車局長においで願っていますので、バスの事故防止についてちょっとお聞きしたい、もう時間が余りありませんので。
 過日、本委員長の計らいでわれわれもこの大型トラックにおける事故防止のための大型ミラーの設置その他については実地に国会に持ってきていただいて見ているわけです。その後、新聞で拝見をしますと、この種の事故というのはやはり大型トラックだけではないという意味で、今後パスにもそういう大きいミラーを設置をすると、こういうことについてちょっと新聞で拝見をしたわけです。
 ですから、一つはバスによるそういう大型トラックと同じような事故が、いわゆる左折なら左折をするときの巻き込み事故等がどのように起きているのかということと、それと、それがための具体策として、ちょっと新聞で見たんですが、どのような計画でやっていこうとされているのか、この点について、ひとつバスにおける大型ミラー等の設置問題についてのお考えを聞かせていただきたいと、こう思います。
#53
○政府委員(梶原清君) 大型トラックにつきましては先生御案内のとおりの安全対策を講じてまいっておるわけでございますが、パスにつきましても、昨年の事故件数を見てみますと、全国で二百八件のうちバスの件数が七件という状態でございます。トラックが百九十八件に対しましてバスが七件、こういう状態でございますが、しかし事故が起きておることは間違いがないわけでございます。
 そこで、パスにつきましては、先生御案内のとおり、運転者の目の位置がトラックは地上から二・三メートルないし二・五メートルでございます。それに対しましてバスは二メートルということで、目の位置が低いために前方とか左側方の視界がトラックに比べてバスの方がすぐれておると、こういうことが一つ言えると思います。それから、乗降とびらに透け透けと申しますか、ガラスが使用されておりますので、左側方の直接視界がトラックに比べてすぐれておると、こういう点があるわけでございますが、私どもといたしまして、先ほど申し上げましたように、バスにつきましても左折時の事故が皆無ではないわけでございますので、このバスの安全性をさらに高めますために、現在その対策の必要性とか技術的な方策等につきまして内部で技術的に検討を進めてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
#54
○安恒良一君 そうですか。まだ検討中ですか。何か新聞で見ると、いまのバスにすぐつけられないけれども、これから新しく新造なりもしくは購入するものに何かやや大型トラックと同じような義務づけ的なことが書いてありましたが、その点はまだこれから検討中と、こういうことですか。
#55
○政府委員(梶原清君) バスにつきましての左折事故対策といたしましてはミラー関係が中心になろうかと思うわけでございますが、先ほど申しましたように現在自動車局内部で検討中でございます。できるだけ早く成案を得たいとは思っておりますが、検討の段階でございます。
#56
○安恒良一君 わかりました。
 そういうことで検討中ということであるならば、やはり事故が若干起きているというならば、事故を防止をしなきゃならぬと同時に、ミラー対策にしましても、トラックと違ってなかなかバスはそう簡単にうまくトラックのように設置できるのかどうかという技術的なことも私はあると思うんですね、これは率直なことを言って、バスの構造から言っても。そういう意味からいって、その点については、やはり事故防止が重要であると同時に慎重にひとつ御検討をお願いをしたい。このことをお願いして私の質問はこれで終わります。
#57
○委員長(竹田四郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後は一時三十分から再開いたします。
   午後零時二十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十七分開会
#58
○委員長(竹田四郎君) ただいまから交通安全対策特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、交通安全対策に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#59
○阿部憲一君 最初に、改正道交法の施行後の諸問題について、向点かお伺いしたいと思いますが、昨年十二月の一日から改正道交法が施行されましてから、ちょうど半年ばかりになりますが、この改正の成果というものが多少この半年間後に明確になってきたのではないかと思いますが、そこでまず、罰則及び行政処分の強化によって交通三悪のうちの飲酒運転による死者が急激に減っているという形がありましたが、飲酒運転による検挙数を含めてどのような実態になっているか。また、あわせて今日の改正の成果で特別なものがあったならばお伺いしたいと思いますが。
#60
○政府委員(杉原正君) お答えをいたします。
 この改正道交法の施行後の酔っぱらい運転でございますが、改正によりまして酔っぱらい運転の場合は一回だけで運転免許の取り消しということになりました。運転ドライバーに飲酒運転の自制を促したことになったと思います。改正前後の比較をいたしますのに、昨年の一月から十一月までと、昨年の十二月からたまたまデータが三月末までの四カ月間にどういうふうなかっこうになっているかということで、月平均で申し上げますと、酔っぱらい運転の検挙件数でございますが、昨年の一月から十一月までは月平均四千四百四十一件の酔っぱらい運転が街頭で検挙されておりました。それが十二月から三月までの一月平均は千九百十六件ということで、特に十二月は酒を飲む機会が多い月でございましたが、あれだけの検問体制であれしましたけれども、約二分の一以下に減少しているということでございまして、もうかたり酔っぱらい運転というのが半減をしたというんとでございます。それから、この酔っぱらい運転というのは重大事故に結びつきますので、この酔っぱらい運転によります死亡事故の発生状況について言いますと、去年の十一月までの一月平均は酔っぱらいの死亡事故は六十六・七件発生しておりましたが、改正後の十二月から三月までの一月平均は三十八・五件ということで四二・三%減少している、半減に近い結果になっているという状況が出ているわけでございます。
 なお、その他の道交法改正後の問題といたしまして数点ありますが、一つはトラックの過積載の問題でございます。これも大変に自粛がされたようでございまして、従来は年間十二万件くらいの過積の取り締まり、月大体一万件やっておりましたものが十二月以降は約五千五百件というふうなことで、街頭でいろいろ検問し検量いたしましても過積で検挙される件数というのは非常に少なくなっている、それだけ自粛をされている。それから、いわゆる過積のオーバー率というものが非常に減少をしてきているということでございます。
 なお、この過積載の絡んだ死亡事故――ブレーキが効かなくなったり道路が曲がり切れなくなったりするというのが過積の特徴でございます。制動距離なんかが非常にブレーキを踏んでも長くなります。そういうことで、この過積載の絡んだ死亡事故について見ますと、道交法改正前は月平均十六・五件トラックの過積が絡んだ死亡事故があったわけでございますが、それが改正後は十一件ということでうんと減ってきております。なかんずく、営業用自動車が改正前は月平均七・一件ありましたものが改正後は三件ということで、非常に激減をしているということが言えるように思います。
 それから、特に道交法の改正で非常に効果がいまのところ出てきておりますのは、例の暴走族に対します共同危険行為の規定を新設をしていただ、いたわけでございますが、これが一つは背景になっておるかと思いますけれども、この暴走族がいまのところ大変に影をひそめております。余り御迷惑をかけるような事案が少なくて済んでおるわけでございます。ただ、われわれの態勢を毎土曜日、土曜から日曜日にかけてうかがっているような状況が毎週あるわけでございまして、これに対してはやはり手を抜くことなく対応していかなければならぬというふうに考えているわけでございます。
 特に改正道交法の施行後、自転車についていろいろな手当てをいたしました関係もあり、また自転車については、これは検挙ということじゃなくて、街頭の指導警告を、自転車の構造上の整備不良、あるいは自転車の通行方法をいろいろ明確にいたしました。その関係の指導警告を大体月平均二十万件ぐらいやっておりますが、この結果、自転車につきましては二割近い死亡事故の減少というものが出てきておるというふうなことが言えるのじゃなかろうかというふうに思います。
#61
○阿部憲一君 飲酒運転に対する処分の強化によって非常に成果を上げたということは非常に結構なことだと思いますが、労働省にちょっとお伺いしたいのですけれども、この飲酒運転に対する処分の強化によって首都圏などにおいては運転代行業というのが非常に繁盛をしていると、こういうことを聞いておりますが、この運転代行業に対する法的な規制はないようでございます。現在の自由営業の形でもって、安全上、労働基準法上の問題があるのではないかと思いますが、この辺についてお考えを承りたいと思います。
#62
○説明員(小粥義朗君) 運転代行業で、実は二年ほど前に群馬県で交通事故がございました。それ以前から運転代行業が相当行われつつあったわけですが、ここ数年非常に数がふえているというふうにも聞いております。その運転代行の仕方が実はいろいろな形態がございまして、車を業者がみずから持って運転者だけを雇用してやるケースもございますし、他方、車は運転代行者自身が持ってきてそれでやるというケースもございます。そういった面で果たして基準法の適用になる労働者と見ることができるかできないかという問題もございますけれども、少なくとも雇用労働者と見られるケースも結構ございますので、これについては当然労働基準法は適用になるわけでございます。その場合に問題になりますのは、運転代行業務それ自体は、これはたとえば深夜にまたがることがほとんどでございますけれども、拘束時間は――これは群馬の例で申し上げますが、大体六、七時間ぐらいで、しかもその中での実際の運転時間と申しますか、それは通常三時間程度ということでございますから、運転代行業務それ自体、特に労働条件はきついとかいうことにはならないのでございますけれども、ただその運転代行に当たる人が通常昼間別の仕事についていて夜アルバイトとして運転代行をやるケースが間々ございます。そうなりますと、これは労働基準法の三十八条で事業場を異にして働く場合でも労働時間は通算するという定めがございます。したがって、昼間別の仕事についていて夜運転代行をやるのであれば、その労働時間は通算して一日八時間以内を原則とするというたてまえになるわけでございます。その辺が、運転代行業務に応募する方は必ずしも昼間の勤務のことを明らかにしない向きもございますので一概に把握しにくいという点もございますけれども、その昼間の勤務を持っているがために夜非常に過労になって運転代行業務を行っている際に事故を起こすといったケースもございます。さらには、運転代行業務が昼間と通算すれば八時間を超えるということになりますと、当然割り増し賃金の問題といったことが出るわけでございます。必ずしも適正にそれが払われていないといった面が労働基準法上の問題としては出てまいるかと思います。
#63
○阿部憲一君 この問題について運輸省の御見解はどうでしょうか、どなたか。
#64
○説明員(角田達郎君) いま労働省の方からお答えがありましたように運転代行業につきましてはいろいろな形態がございますが、顧客にかわりまして顧客の自動車を運転するという、本来の意味でのといいますか、運転代行という問題につきましては、これは道路運送法上は旅客運送を行っているとは認められませんので、同法上の問題はないというふうに考えております。ただ、その代行運転の範囲を超えまして、運転代行業者あるいは運転代行業者に雇われている者の車でもってお客さんを運んでいくというようなことになりますと、これは道路運送法上の問題になってきまして、無免許営業とか、あるいは無許可の有償運送とかいうような問題が発生してまいります。こういうような問題につきましては、これは道路運送法上の秩序を乱すものとして、私ども警察等との御協力を得ながら積極的に取り締まりをしていく、こういうような体制で臨んでおるわけでございます。したがいまして、お客の車に代行業者が乗っていってお客にかわって車を運転していくという限りにおいては、これは道路運送法上の問題にはなり得ない、こういうことでございます。
#65
○阿部憲一君 先ほど警察庁の局長からのお話で、過積載につきましても非常に成果を上げてきたということは結構なことだと思いますけれども、これは、特にこのような結果を生んだのも、運転者はもちろんのこととして、業界一般においても相当自粛してきているんじゃないか、その結果じゃないかと思って結構なことだと思っていますが、それでもなおいわゆる一匹オオカミと申しましょうか、そのような運転者がおりますし、また悪質な業者による下命も見受けられると思いますが、悪質な運転者やその背後にありまする悪質な事業者に対する取り締まりですが、このような実態はどのようになっておりますか、お伺いします。あわせて、これらに対する対応策としてどのような措置を考えておられるかお伺いしたいと思います。
#66
○政府委員(杉原正君) この過積載というのは一匹――一人でやっているというケースもありますが、多くはやはりいわゆる企業、使用者に雇用されておるという、しかも下命容認の事案で行われているというケースが多いわけでございまして、私ども街頭で過積載を取り扱います場合には――もうどのドライバーもこんな過積をして運転したくはないわけで、非常に危ないわけでございます。――なぜそういうことになっているんだということを、必ず背後責任といいますか、それを徹底していきたいということで、この十二月から三月末まで過積載の取り締まりの中で使用者等に対する下命容認として背後責任を追及いたしましたものが約六百六十件ほどあるわけでございまして、過積載そのものは減りましたけれども、背後責任の追及の方は昨年の一カ月当たりに比べますと二五%ぐらい逆にふえておるというふうな状況でございまして、さらに単に使用者だけではなくて、これを荷物を積ませるいわゆる荷主側、これがやはり問題になるケースが中にございますので、この六百六十件の背後責任の追及の中には二十七件の荷主の下命容認の教唆幇助として事案を処理したものもあるわけでございます。そういうことで、この点は安全な輸送秩序を実現するという観点から、今後もこういう物の考え方を貫いていかなければならないというふうに思っておりますが、これは、せっかく自粛をしておられるこういうことが定着をしていかなければなりません、それには関係省庁のいろんな施策も当然必要になってまいりますので、いま総理府を中心にいたしまして過積載防止対策連絡会議というものを関係省庁で持っております。この辺を中心にした総合的、根源的な対策がさらに進められていかなければならないものであるというふうに考えております。
#67
○阿部憲一君 なお、この改正道交法の影響として新たに義務づけられました例の停止表示板ですね、あれが当初は供給不足ですか、なんかでもっていろいろトラブルがあったようでございますが、現在では過当競争ぎみでもって逆ににせものまで出ているというようなことを聞いておりまするが、これに対してどのような実態になっているか、またこれに対してはどういうふうな対策を講ぜられているか、あわせてお伺いしたいと思います。
#68
○政府委員(杉原正君) 当初は品不足というふうなこともございまして、いかにも国家公安委員会の型式認定を受けているというふうなことで、かなり粗悪品が売られたというふうなケースを耳にいたしました。そこで、昨年末と本年に入りましてから、もう二回にわたりまして関係業界にこういう型式認定を受けてないものの中に粗悪品があるので、そういうものを購入することのないように注意をいたしますと同時に、この停止表示器材の型式認定業務の促進を図りまして、正確なあれは、いま製造している最中でございますので毎日毎日台数が変わってまいりますが、千数百万台のものがもういま型式認定を受けて市中に出回っている、もう大体欲しい人は手に入るという大体状況になってきておりますので、それに伴いまして粗悪品というものはもうほとんど市中からなくなっている。中には、私どもこの型式認定を受けた者につきましてはTSマークという証票を張っているんでございますけれども、大阪等の事案でTSマークを偽造しましてそれを張りつけて売るというふうなケースがございました。これにつきましては私文書偽造と行使容疑で事件を検挙しているというふうなケースもございますが、もうほとんどいま変なものをつくりましても売れないという状況まできておるようでございます。そういうことで、この型式認定を受けました正式な表示板が街中に出回ると同時に、こういう偽造品を使われますとそれ自身が性能に合わない、性能に合いませんとこの使用している人自身が道路交通法の違反に問われることになるわけでございますので、そういうことのないようにさらに普及活動に努めてまいりたいと思いますし、特にこの安全運動等の期間にこれをかなり積極的に周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
#69
○阿部憲一君 この停止表示板についてですけれども、もう一つお伺いしたいのは、例の身障者が乗っている場合ですね、身障者としては停止表示板をつけなきやならぬ場合に、車外に出てこれを後ろにつけるということになれば非常に動作を行う上において支障があるわけでございますし、同時にまた危険も伴うわけですが、これに対しての何と言いましょうか、いい名案はないものでしょうか。
#70
○政府委員(杉原正君) これはまさに先生御指摘のとおりでございまして、通常の停止板ですとそれを持って車の後方へ行ってそれを立てかけなければいかぬ、そのこと自身が非常に身障者の方にとっては大変なことでございます。
 そこで、いま私どもこの身障者の方々につきましては、外に出なくても、たとえば自動車の屋上に簡易に取りつけられる回転式のようなものが考えられないかというふうなことで現在改正後ずっと鋭意検討を続けておりまして、近くこの身障者用の停止表示板――これは板にならなくて回転灯になるかもしれませんけれども、そういう成案も近く得る段階になっております。それができますとそれを基準化いたしまして型式認定の対象に取り入れていきたいというふうに考えております。
#71
○阿部憲一君 道交法の改正の効果と相まって、先ほどもお話がありましたけれども、交通事故による死者数は大分減ってきたと。非常に結構なことですけれども、この事故発生件数が微増していると、このように伺っていますが、この実態はどうなっているか、承りたいと思います。
 それからまた、昨年前半は死者の数の発生が異常にふえた年なので、対前年度比では減少の正確な比較にはならない、このようにも思われるんですが、最近の動向と今後の見通し等についてお考えを承りたいと思いますが。
#72
○政府委員(杉原正君) 交通事故の発生状況を、先月末、四月末現在で申し上げますと、発生件数におきましては三・六%増、それから死者につきましては五・二%減、それからけが人につきましては一・八%増と、こういうことでございまして、死者数はかなり減っております反面で発生件数とけが人というものは増加をしているという状況でございます。かなり自動車台数あるいはバイク等が増加をいたしております。こういう事故の発生そのものがふえつつあるというふうなことがかなり短期的なものなのか、あるいはそうでなくてかなりこういうものが続くのか、必ずしもいまの段階で何とも言えませんけれども、ただ非常に厳しい情勢であるという認識をいたしているのは事実でございます。こういう交通情勢がかなり激化する中で、交通事故そのものの絶対数を減少させ、そういう減少傾向を定着させていくということにつきましては、今後もかなり広範囲な対策が必要であると思います。特に交通警察といたしましては、運転者対策、それから企業におきます安全運転管理対策、あるいは総合的な交通規制等を中心にいたします安全対策、そういうふうなものにこれから本腰を入れていかなければならないと思っておりますし、特に、いわゆるドライバー対策というふうなものを国会でも御指摘を受けたわけでございますけれども、ドライバー対策というふうなものに本当に本腰を入れる施策というものを、基本的に、抜本的にこの際考えていかなければならぬ時代ではないかというふうに考えております。
#73
○阿部憲一君 今般の改正道交法が成果を上げることができたというのは、やはり何といっても取り締まりの強化、これに重点を置かれた、これが一因だとは思いますが、それでは、今後これに関連してですけれども、単に取り締まり強化に重点を置くというだけでなくて、やはり安全教育あるいは環境改善、科学技術の活用等を十分に取り入れて交通事故をなくするように努力していかなければならぬと、こう思うわけでございますが、この辺について何かよいお考えはお持ちですか、それとももうすでに実行に移そうとなさっておるかどうか改めて承りたいと思いますが。
#74
○政府委員(杉原正君) 確かにいま御指摘のように、道交法という事柄の性質上、秩序を確保するということで、どうしても取り締まり面とか処罰面というのが多くあるわけでございますが、基本的にはやはり私ども、これだけの車社会の管理ということになりますと、ドライバーなり住民なりのわれわれの仕事に対する理解とか共感というものに支えられたものでなければこれらの大量行政というものはやっていけない時代になっておるという認識でございます。それには取り締まり――悪質なドライバーに対しては徹底してやはり措置をするというのが国民の皆さん方の大方の御要望だと思いますが、ドライバーそのものというのは、もう本当に国民皆免許時代でございますので、国民の方そのものであります。そこで、安全な運転ができるような交通環境というものを、施設的に、技術的にやはり開発をしていかなければいかぬというふうな問題、それからドライバーに対する安全教育面、こういったものをやはり体系的、組織的につくっていかなければならないというふうなことがございます。それから同時に先ほども申し上げました、大半のドライバーというのが会社等に雇用されているというふうなことでございますので、そういう企業内の安全運転管理の体制というものをもっと強化をしていかなければならない。それからドライバーも、いわゆる悪質なドライバーもいる反面、無事故、無違反でまじめに運転をなさっている方があるわけでございますが、その人らが新しい車社会の担い手として誇りを持って運転してもらうような施策について、必ずしも従来われわれのドライバー対策は十分でなかったという反省をいたしております。そういう方策について、昨年の道交法の改正で若干そういう無事故、無違反な人に、処分の執行猶予の制度というものを取り入れたわけでございますが、そういうことからさらにもう一歩踏み出して、そういう誇りを持って運転してもらうように、どういう方策があるかというふうなことを現在考えているわけでございまして、ハードの面と、そういう組織的ソフトな面でやっていく、そういうふうなものを調和させたドライバー対策というものに本腰を入れていきたいというふうに考えております。
#75
○阿部憲一君 今度警察庁では自転車安全整備士ですか、という制度の新設を決めたと承りましたが、本制度の創設の原因と申しましょうか、背景と申しましょうか、それからその内容について簡単に御説明願いたいと思います。
#76
○政府委員(杉原正君) 実は自転車利用者のいわゆる交通事故が年々多発をいたしておりまして、この死者数について見ましても、一昨年は千八十三人、昨年は千百十三人というとうとい人命が失われておるということでございます。
 それで、その自転車事故というのがどうしてこうふえるのかということでありますが、一つには、従来自転車についてしっかりした行政がなかったという反省があるわけでございます。昨年の道交法の改正で、自転車の道交法上の地位というものを明確にする、通行方法等も、自転車ということで特別の節を設け、また自転車そのものの構造、装置というものが何にも決められておりませんでした、そういうものがこの道路交通の場に出てくるのに、どういう装置のものでなければならないのかというふうなことを道交法の領域で明示をすることになったわけでございます。特に構造、装置の面と、いわゆる自転車の安全な乗り方の普及面、この両面が徹底されないと、この自転車事故というのは減らないということでございます。
 一つは、この構造、装置の面でございますが、昨年道交法を改正して、そういう装置の面についていろいろ規定をいたしましたので、自転車につきまして、月平均十二万件余のいわゆる自転車の構造、装置、ブレーキが効かぬとか前照灯がついてないとかいうふうな事柄についての街頭指導をやってきております。それから同時に、約十一万と同じような数でございますけれども、自転車の正しい乗り方の指導警告をやってきた。これがことしになりましてから自転車事故が少し減ってきた両方の方策だと思いますが、これを行政的に進めていこうとしますと、街頭で警察官が注意をしただけで、あと気をつけなさいよと言うだけでは十分な対策とは言えない。そこで、全国に四万店余の自転車商の方がおられるわけでございますが、この人方が、これはもう安全協会等々と自転車のいわゆる無料修理点検日なんというのを設けて従来やってきておられる実績がありまして、今度自転車についてそういう道交法上の地位が明確になった機会に、自転車商の方々としても、われわれもいろんな形で協力をしたい、自転車を売っているだけじゃなくて、自転車事故を一人でも少なくするように協力をしたいというふうなお話もあったわけでございまして、今度自転車安全整備士ということで考えておりますのは、一つには、そういう街頭で警察官が自転車の構造、装置が不備だと、これを直してもらわなければだめだというふうに言ったことを後で自転車の修理点検ということで担保する制度とあわせて、自転車商そのものに、自転車を売るときにあるいは点検整備の機会に、自転車というのはこういう乗り方ですよと、こういうことを守らなければいけませんよということをいろいろ普及をしてもらうというふうなことにしていったらどうかということでございまして、そういう全国的な点検整備の体制を整備をすることと、安全利用を促進するための受けざらとなる自転車安全運転整備士制度というふうなことで考えたわけでございまして、これは特定の公益法人、具体的には日本交通管理技術協会という財団法人を考えておりますが、この協会が自転車の点検整備と安全利用の指導に関する技術審査を行いまして、その合格者に自転車安全整備士という称号を付して、これを通じて一層の点検整備と安全利用の確保に努めていこうという性質のものでございます。
#77
○阿部憲一君 いまいろいろと承りましたけれども、私は自転車の整備の良不良という基準というものは何で判断するのか。また、自転車の構造上の安全基準については、昨年改正されました道交法によって詳細に規定されたところであります。こういうことから見ますと、改正道交法がわずか五カ月でもってこのような今度は新しい制度を創設するというのでは、少し性急と言いましょうか、もう少し道交法を改正した点の経過を見た上でもってこのような新しい制度をつくるべきではないかとも思われるわけですけれども、性急にこのような制度をつくろうということと、それから改正道交法の周知徹底を図って、もう少し同法に基づいて指導を強化することの方が、むしろその方に重点を置くべきであって、制度をまた新設するというのは、その経過を見た上でやるべきではないかと、こうも思うのですが、その点いかがですか。
#78
○政府委員(杉原正君) 今回の法改正によりまして、いろいろ自転率の制動装置とか、反射器材とか前照灯、いろいろな基準が定められておりますので、この基準に適合しないもの、あるいはこれを備えていないものがいわゆる整備不良の自転車ということになるわけでございます。先ほど申しましたように、整備不身という観点だけでとらえましても、月間十一万件余の街頭での指導警告が行われておりまして、指導警告はもうずっとこれから先もやっていくわけで、罰則はありますが、別に自転車について罰則を適用しようなんということはいま考えておりませんし、何とかこの整備不良車両でない安全な自転車が街頭に出てもらいたいという趣旨によるものでございまして、そういう道交法を定着させるための街頭指導というものはこれからもずっと続けていきたいと思っております。
 ただ、街頭で指導をいたしまして、それが点検整備をしていただきませんと、指導警告だけで済んで後がそのままになってしまうということでございますので、そういう周知徹底と指導を図るためにむしろこの新しい安全運転整備士の制度を活用していくことが効果的であるというふうに考えております。
#79
○阿部憲一君 現在自転車の保有台数は約四千七百万台、こういうふうに言われていますけれども、そのうち整備不良車は何%ぐらいあるものかお伺いしたいと思います。
 それからいまのこの制度が創設される目的は、整備不良車を一掃し、そして自転車事故を減らすということであるわけでございまするから、五十二年度及び五十三年度中の自転車の事故による死者数はどのくらいか承っておきたいと思います。それからさらに、そのうちで整備不良に起因するものはどのくらいあるか。また構成率で見ますとどのくらいになるか、この新しい制度の実施によって整備不良自転車を一掃する見通しはどうかというようなことについて御説明願いたいと思います。
#80
○政府委員(杉原正君) 点検整備が――現実に全体の四千七百万台とも四千八百万台とも、まだ実態は正確に把握されておるわけでもないほど多いわけでございますけれども、そのうちどの程度のものが整備不良自転車であろうかという全国的なデータがまだありません。業界等のあれですと、五割というふうな、半分ぐらいということが言われております。現に警視庁で、実は昨年からことしにかけまして、ある特定の警察署で、走っております自転車を調べてみますと、多いところでは七割、少ないところでは五割ぐらいがやはりいわゆる道交法で決めております自転車の構造、装置に合わない、あるいは欠けておるというふうな状況があるようでございます。
 それから死亡事故も、先ほど申し上げましたように、年間千人以上の自転車に乗っておる方の死亡事故があるわけでございますが、その中で自転車の装置の欠陥によってそれが死亡事故になったかどうかということの事故分析はいたしておりますが、実は自転車が車とぶつかってあれした場合には、自転車が大変な損壊を受けておるのが実態でございまして、ブレーキがどういう状況だったのか、あるいは尾灯なんかも皆壊れてしまいますので、その辺のところが必ずしも現場検証の結果で十分に把握できないというきらいはありますが、全体の車のそういう構造の不備と装置の不備というふうなのが実態的にそのぐらいあるといたしますと、一般の事故の際にもそれがかなり影響しているということは言えるのではなかろうかというふうに思っております。
#81
○阿部憲一君 通産省にちょっとお伺いしたいのですが、いまの警察庁で考えております安全運転整備士というのですがね、これと似たような制度を通産省でお考えになっているように承りましたが、その概要について御説明願いたいと思います。
#82
○説明員(堀田俊彦君) 自転車の組み立て検査につきましては、昭和二十九年度でございますが、昭和二十九年以来財団法人の日本車両検査協会というのが実施しております自転車技術検定制度というのがございます。全国の小売業者――ごく少数の例外もあるようでございますけれども、ほとんどすべてがこの検定の合格者でございます。
 昨今自転車利用の一層の安全を期するためにはさらにその検定基準の質の向上を図る必要があるという認識が高まってまいりまして、警察庁と同日付で告示をいたしましたけれども、その告示で想定をいたしております組立整備士――これは仮称でございますが、組立整備士制度は、従来業界の自主的な制度でありました自転車技術検定制度を、修理、整備技術についての審査を強化するなどいたしました上で通産大臣の認定制度に格づけするというものでございます。
#83
○阿部憲一君 このいま承りました組立整備士ですが、これと、先ほど説明をいただきました警察庁の安全整備士との関係、私ども非常にわかりにくいと言いましょうか、どうしてこの二つも同じようなのが必要なのかというふうに不思議に思いますけれども、このような制度が並立しているということは、むしろある意味においては行政の重複になるような気もいたしますが、この辺について私どもこういうものは一本にならぬものかとも思われますが、これは関係者の警察庁並びに通産省の方々の御意見を承りたいと思います。
#84
○政府委員(杉原正君) 先ほど通産省の方からもお話がありましたように、通産省で行われますのは、自転車の品質の向上等を目的として自転車の組み立て整備を対象に実施をされるように承っております。
 それに対しまして、私どもが認定しようとしております自転車安全整備士の技能審査でございますが、これは道路交通法の領域で、今度いろいろ安全基準が決められておりますが、これに準拠いたしました、それに合う点検整備ということと同時に、道交法で自転車の乗り方がいろいろ書いてあるわけでございます。通行方法が規定をしてありますが、こういうもののいわゆる安全利用のための指導の技能、知識についても審査をしていこうということでございます。
 このように二つの資格の性質及び審査の内容が異なりますので、一元化はむずかしい面がありますけれども、自転車の整備技能の審査に当たりましては受験者に余分の負担をかけることのないように関係者と緊密な連絡をとって、同一の日時、場所における共同試験あるいは試験の一部免除等の細かい措置をこれから相談して一元的な運用の仕方を考えていきたいというふうに考えております。
#85
○説明員(堀田俊彦君) 両制度の趣旨、ねらいにつきましては、ただいま警察庁から御説明ございましたように、やや観点を異にしてスタートしておるものでございます。ただ、実際に審査する場合には両制度で重複する部分が出てくることも予想されますし、両制度とも受験者は同じ自転車の小売商等であろうかと思われます。したがいまして、具体的な実施段階におきましては両省庁が相協力し、協議をした上で受験者の迷惑にはならないように調整を図ってまいるつもりでございます。
#86
○阿部憲一君 自転車の事故防止とともに、被害者救済という最も重要な問題が残っているわけでございますが、この自転車については自動車のように制度がはっきりしておりません。
 そこで、まあいろいろ問題があるわけですけれども、とにかく被害者は、被害者救済ということがはっきり保障されておらないわけですね。そこで、また一方加害者にしても、このような莫大な損害賠償を負担しなければならないというようなことも起こり得るわけでございますし、いずれの例をとっても不幸な事態と言わざるを得ません。
 そこで伺いたいのは、現在自転車側が加害者の場合の被害者救済措置としてはどのような制度があるか伺いたいし、また、このような制度がもしも不完備としたならば、被害者側にとっても、また、加害者側にとっても救済措置として新しい何らかの制度をおつくりになるお考えがあるかどうか。あわせて伺いたいと思います。
#87
○政府委員(杉原正君) 自転車によります被害者の救済につきましては、被害者自身の加入する傷害保険とか、加害者の加入する損害保険制度でいまのところカバーする以外はないわけでございますが、現場の立場で見ておりますと、このような保険制度が余り普及をしておりませんので、そういった面の普及が図られることが非常に必要だなということを考えております。
#88
○阿部憲一君 道交法の第八十八条一項二号ですか、この規定によって聾唖者に対しては自動車免許が与えられないことになっているわけですが、警察庁では何か四月から始めた免許制度の全面見直し作業に合わせて聴覚、言語障害者にも免許資格を与えるという方向でもって法改正を検討し始めたと、こういうふうにも聞きましたけれども、これについてどのような成り行きになっていますか、お伺いしたいと思います。
#89
○政府委員(杉原正君) 例の昨年の道交法の改正で衆参両院の附帯決議を受けまして、この国民皆免許時代に適応した運転免許制度のあり方を検針しようということで、議員の方を御委嘱いたしまして、先月の三日に第一回の運転免許制度研究会を開催したわけでございます。
 この研究会のテーマの中に、視聴覚障害者について免許制度をどのように考えていくのかということを当然大きなテーマの一つに考えておるわけでございます。
 この身障者――聴視覚等の障害者についているいろな技術開発みたいなものが一つあります。そういうものと関連をさして、どういうふうな制度をやっていったらいいかというふうなことにつきましても、十分関係の専門家の御意見も聞いて対処していきたいというふうに考えております。
#90
○阿部憲一君 この聾者の一部については、四十八年の道交法の規則の改正によって免許の取得が可能になったわけですけれども、これまでにどのくらいの人が免許を取得していますか。また、聴力の不足に関連した事故の事例はありますか、どうか。あわせて伺いたいと思います。
 ついでに、聴覚障害者用の安全装置の開発状況はどのようになっていますか。
#91
○政府委員(杉原正君) 聴覚障害者につきまして、現在補聴器使用の条件つきで運転免許を受けることが四十八年八月以降認められております。聴覚にかなりの障害がある方でもそういうことで免許を受けることが可能でございまして、五十三年――去年の末で、この条件つきで免許を取っておられる方が七千百六十九人ということになっております。
 それから、この聴力の不足に起因すると思われるような者の事故でございますが、その聴力の不足に直接的に結びついているかどうかというのは、必ずしも明確ではございませんが、たとえばこの中で、これは散見される程度でございますけれども、これらの人々に特徴的な事故としましては、同乗者と手でお話をなさるというふうなことがありますので、そういう手話をなさるときのわき見運転によります事故。それから、ほかの車がクラクションを鳴らして注意を喚起したことに気づかないで起こされた事故等もあるようでございますが、数が多くなくてきわめて散見される程度のものでございます。
 それから、昭和四十九年から五十年度にかけまして、例のいろいろな技術的な問題でございますけれども、厚生省の方で聴覚障害者用の自動車安全用器具、いわゆる音を光にかえるような、そういう装置の研究について一応試作がなされておりますが、この実用化するにつきましては、音の方向性の確認というふうな問題がございまして、交通安全上の問題からその辺をさらに突っ込んで検討してみたいというふうに考えております。
#92
○阿部憲一君 交通事故は年々減少傾向にありますけれども、その中で子供の事故が若干増加傾向にあると聞いております。どのような実態になっているか御説明を願いたいと思いますし、また、そのような子供の事故についての主な原因について伺いたいと思います。
#93
○政府委員(杉原正君) 昨年の例で申し上げますと、十五歳未満の子供さんの死者は千二百二十人でございまして、これは全体の死者の一三・九%。それから、けが人の場合は全体のけが人の一六・七%になっておりまして、子供さんの事故は死者ではわずかでありますが、十二人減少、けが人では三千四百人の減少と、こういうことでございます。
 子供さんの事故そのものはそういうことでございますが、年齢的に見ていきますと、死者の場合でございますが、六歳以下の幼児につきましては昨年はマイナス四十九人、五・八%減ということでございますが、小学生と中学生が増加しておりまして、小学生の場合には六・九%、中学生の場合には一六・八%増加をしておるという状況でございます。
 子供さんの事故につきましては、態様別に見ますと、歩行中の場合が一四・六%、自転車乗用中が三四・二%、その他が一・二%、こういうことでございます。歩行中では、飛び出しが三五%、それから車の直前直後の横断が三二・六%、両方で約七割を占めております。それから、自転車乗用中、自転車に乗っておる場合でございますが、これはいわゆるハンドル操作の不適当、これが二一%、交差点におきます安全通行違反が一七・七%、一時停止違反が一一%ということで、この三つで全体の五割近くを占めているというのが実態でございます。
#94
○阿部憲一君 いまの子供に対する事故が非常に残念なことでございますけれども、これに対する対策は。ちょっと簡単に。
#95
○政府委員(杉原正君) 学校での教育あるいは家庭での教育というのが非常に大事でございますので、こういう具体的なデータを関係の向きに御提示申し上げながら、これの安全教育の普及徹底の促進方をお願いしておくことが一番基本であるというふうに考えております。
#96
○阿部憲一君 先般のゴールデンウイーク期間中の交通事故の死亡者の実態について簡単に御説明願いたいと思います。
#97
○政府委員(杉原正君) ゴールデンウイークの期間につきましては、件数で二百十件、死者で二百二十三人ということで、七%から六%増加をいたしておりますが、やはりふえましたのは、いろいろ内容を見ますと、行楽に行く事故と帰りの際の事故、これが昨年に比べて約二〇%ふえておるというふうな状況がございますし、また自動二輪とかバイクによるものがゴールデンウィークの期間中多かったように思っております。
#98
○阿部憲一君 やっぱりこのゴールデンウイークと言われるようなときに交通事故に遭って、非常に不幸に陥るということは非常に悲しいことであるし、お気の毒なことだと思いますので、これは今後もあることでございますけれども、ゴールデンウイークに限って大した差はないと存じまするけれども、この事故が多くなるということについてのいまの結果から見まして、今後それに対して、特にゴールデンウィークにはどうしたらいいかというような何かお考えがあったら対策をお伺いしたいと思います。
#99
○政府委員(杉原正君) 中身を見ますと、やはり一つには無理な運転計画を立てて遠出をいたしますし、また、その遠出をした先の地理がよくわからないというふうなこととか、あるいは一晩中運転していくというふうなことで過労や居眠りによる事故が多いということと、それからふだん余りハンドルを握っていない人が車を運転しますために不なれからくる事故、それから休みという解放感によります事故、あるいは飲酒運転の事故というふうなものがございます。
 やはり、こういう休みの行楽に伴う事故でございますので、運転者の講習会あるいは安全運転管理者の講習会等の機会を利用いたしまして、無理のない、ゆとりのある運転をやっていただくような事柄についての普及活動というものをさらにこれから進めていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
#100
○阿部憲一君 時間も参りましたので最後に一言お伺いしますが、春の交通安全運動が十一日から二十日までの十日間、全国一斉に行われるわけでございまするが、本年の重点目標及び特徴について簡単に御説明願いたいと思います。同時に、運輸大臣もお見えになっておりますので、大臣としての交通安全に対する御所見を承りたいと思います。
 以上をもって私の質問を終わりたいと思います。
#101
○政府委員(三島孟君) ことしの春の交通安全運動は、例年は四月に実施しておりましたけれども、ことしは選挙等の関係もありまして、一月延ばしまして五月の十一日から十日間実施されることになっております。
 事故の状況等については先ほど来お話があったと思いますけれども、最近の事故の状況等を踏まえまして、ことしは重点としまして三つ掲げたわけでございます。一つは歩行者及び自転車利用者、特に子供と老人の交通事故の防止、それから二つ目には自動二輪車及び原動機付自転車の交通事故の防止、三つ目には安全運転の確保とシートベルトの着用の推進、この三つを重点として掲げたわけでございますけれども、先ほどお話ございましたとおり、実は昨年十二月施行になりました改正道交法が非常に効果を発揮しておりますので、これが一時的に終わらないためにも、その定着化を図るということを基本としつつ、いろんな運動を進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#102
○国務大臣(森山欽司君) 運輸省の自動車関係の行政につきましては、安全第一を旨として進めてまいる所存でございます。
#103
○内藤功君 国鉄の安全の中心というべき車両の安全問題に関連をしまして、車両の購入問題の具体的な例を挙げて御質問したいと思います。
 まず、国鉄の資材購入の中に占める車両の購入費について、昭和五十二年度の実績の金額及び全体に占めるパーセンテージはどんなふうになっておりますか。
#104
○説明員(馬渡一眞君) 五十二年度の資材の購入実績は総額で三千六百七十三億円でございますが、その中で車両として購入いたしました金額が千百七十六億円、全体に占める割合は三二%でございます。
#105
○内藤功君 車両は国鉄の資材の中でも最大の買い物であります。そこで、昨年十月のダイヤ改正で国鉄から姿を消しましたディーゼル機関車のDD五四、この問題についてお尋ねしたいんですが、このDD五四のメーカー、それから年度別の導入台数、配置個所、それから一両当たりの購入価格はどのくらいであったか。
#106
○説明員(藤田義人君) お答え申し上げます。
 ただいま先生が申されましたDD五四でございますが、いわゆるエンジンが千八百二十馬力の亜幹線用の車両でございまして、当時国鉄として何とか無煙化を進めなければいけないということで、国のエネルギーの資源有効活用という問題もありましたし、政府の勧告もありましたし、また蒸気機関車の老朽化で早くこれを何とかしなければならない。また飛行機、自動車の急速な進歩があります。そういう中で一番おくれたのがこの本線用のディーゼル機関車でございます。その他電気機関車、電車、自動車等は相当技術開発が進みましたができませんでした。で、そのころわが国のこのような大馬力エンジンの技術がない時代でございます。いろいろ苦労した中でDD五一のツーエンジン、いわゆる二千三百馬力のディーゼル機関車とそれから千三百五十馬力というような、いわゆるいまのエンジンを一台持っておりますディーゼル機関車、このちょうど中間に位するDD五四、いわゆる千七百から千八百馬力のエンジンを何とか開発したい。いろいろと、山陰線のような亜幹線におきます旅客列車がいまだに、その当時SL運転で非常なばい煙で、カラス列車とか言われまして……
#107
○内藤功君 ちょっと、経過はいいんですがね、経過は簡単でいいですから、メーカーとか導入台数とか、数点端的に答えてください。
#108
○説明員(藤田義人君) そういう中で、実はメーカーの問題でございますが、いわゆるいま言ったようなことで技術がございませんので、たまたま国内の三菱重工が西ドイツのマイバッハと技術提携しておりましたエンジンがちょうどこれに適当するということで採用しました。そういうことから、メーカーとしましては三菱重工、年度としましては四十一年度に三両、四十二年度に五両、四十四年度に九両、四十五年に十二両、四十六年に十一両、都合四十両を四十六年の時点までに購入いたしました。
 なお、御質問の配置個所でございますが、いま言いましたような目的で亜幹線用ということで山陰に充当させようと、福知山機関区に三十二両、それから米子機関区に八両――これも最終的にはいろいろ問題がありまして、後で申しまするような問題が出まして、福知山に全部四十両を集合させたというような経緯がございます。
 なお、一台当たりの購入につきましては、当初六千八百万円というような価格になっております。
#109
○内藤功君 その四十両すべてが去年までに廃棄処分になったんですが、年度別に何両ずつ廃棄されたかを、長い説明要りませんから、その点を答えてください。
#110
○説明員(藤田義人君) いまの廃車両数で申し上げますと、五十一年が二十二両、五十二年が十両、五十三年の八両ということで、一応用途廃止の手続、なお廃車を進めております。
#111
○内藤功君 ディーゼル機関単の法定耐用年数は何年ですか。
#112
○説明員(馬渡一眞君) 十八年でございます。
#113
○内藤功君 この四十両すべてが耐用年数に満たないで廃棄処分になったわけですが、このDD五四について四十両のうち一番長く使ったのは何年何カ月か。それからついでに聞きますが、一番短いのは何年何カ月で廃車になったか、廃棄にされたか。平均で何年何カ月か、これを養えてください。
#114
○説明員(藤田義人君) 一番長いものは十年一カ月でございます。一番短いものは四年十カ月、特にこれは心臓部のコンバーター――逆転器の破損がありました。そのような修復不可能な故障が発生して廃棄しました。平均としましては七年四カ月という状態でございます。
#115
○内藤功君 非常に短いですね、十八年の耐用年数に比べて。長くて十年ですね。
 どうですか、国鉄で導入した車両のすべてが、しかも四十両というような車両のすべてが耐用年数に満たないで、みんな耐用年数に満たないで廃棄されてしまったという実例はほかにないでしょう。
#116
○説明員(藤田義人君) いまの御質問でございますが、先ほど言いましたように、外国の技術提携を受けたエンジンであるだけに、いろいろと修復に対して努力いたしましたが、やはり使用条件が違うといいますか……
#117
○内藤功君 いや、そういう例があるかないかです。
#118
○説明員(藤田義人君) また、そういう中で非常に問題がありまして、ほかの車両の故障発生の傾向から見まして非常に特異な状況でありまして、いまおっしゃるように、われわれとしても非常に残念でございますが、短い期間でやったと、ほかにはこういうケースはございませんでした。
#119
○内藤功君 私は三月の下旬に、調べるために福知山機関区に行ってきたんです。そうしましたら、一両だけDD五四が福知山機関区の放射十一番線上に、これは廃車決定は内部的にされているそうでありますが、存在しておりました。これは昭和四十六年製作のものですから三三号機、まだ八年しかたっていない。
 ちょっと大臣、これですね、これがいま問題のDD五四なんです。ちょっとごらんに入れておきます。雨の日に行って撮影をしてきたんですが、まだ新しいという感じが、これは写真の感じでいいですが、しませんか。
#120
○国務大臣(森山欽司君) 大変いい男前に写っておられます。
#121
○委員長(竹田四郎君) ちょっと、立って答弁してください。
#122
○内藤功君 いや、非常に新しい車体だというふうに感じませんか。
#123
○国務大臣(森山欽司君) そうですね、非常に古いものだという感じはしません、写真だけじゃちょっとわかりませんけれども。
#124
○内藤功君 このDD五四の車両の故障件数がまた問題であります。昭和四十一年に導入しましたが、四十一年、二年、三年と、この初期の三年間で、走行キロ百万キロ当たりの事故件数、これはどうなっておりますか。
#125
○説明員(藤田義人君) いまの、当初四十一年入れましてからの三年間の百万キロ当たり故障件数、それは本線で特に故障を起こしたというA故障件数でございますが、二三・九、二四・七、二四・二という傾向値でございます。
#126
○内藤功君 その後一たん減ったんですが、また四十七年、八年、九年、五十年、五十一年と、こうふえてきているんです。これも後で質問し出す。そうしてしかも、四十九年、五十年、五十一年あたりでは平均の約十倍、百万キロ当たりの事故件数が十倍という多発を示しておるんですね。
 そこで、次に私はお聞きしたいのは、DD五四はすでに昭和四十三年までに八両導入して、その八両は、いまお答えのような、非常に高い、百万キロ当たりの件数二四・七、二四・二というふうな数字を示している。こういう時点で、国鉄としては欠陥の多過ぎる車であるということが当然おわかりになったはずなんですね、八両の時点で。しかも四十三年六月には、山陰本線の湖山駅で機関単の推進軸が折れて脱線転覆事故を起こしている。この事故は御存じですね。
#127
○説明員(藤田義人君) はい。
#128
○内藤功君 そうして、その欠陥があって、それも克服されないままに四十四年以降、四十六年までにあと三十二両が導入をされたと、そうして四十両になった、こういう経過であります。その結果、全部耐用年数に満たないままで昨年までに廃棄処分ということになったわけです。これは欠陥が多過ぎるということを気づきながら、残りの三十二両を次々と導入していったと、ここのところに私は大きな原因がある。八両を入れて、八両が湖山駅の脱線転覆事故を含めて大きな事故を起こして、しかも百万キロ当たりの件数が非常に多くなってきている。この時点で私は国鉄として何らかのやはり対応措置をすべきなのに、漫然とここに入れていったと、ここに問題があると思うんですが、ずばりここらあたりのお考えをまず聞いておきたいです。
#129
○説明員(藤田義人君) 先ほどDD五四を入れましてからの三年間の百万キロ故障を申し上げましたが、この数字以上に、その前、三十八年にDD五一は百万キロ当たり五三二件という数字が出ております。そのように車両、また設備等、初期故障というものがございまして、いわゆるそれからの使用条件に合った育て方をしていかなければならない。育て方といいますのは、いろいろといわゆる部品の強度のかかりぐあい等、そういう改造を進めるということが必要でございます。しかし、先ほど申しましたように、これはマイバッハのパテントを持った部分の、いわゆる主要なエンジン、コンバーター等に大きな問題が出てきたということで、これについても何とか日本の国土に合ったような、使用条件に合ったような改造をしようとする努力、また新しい車両でございますし、そういうことに対する運転の、先ほど言いました福知山機関区なり、また鷹取工場等でいろいろと技術の勉強をして努力しました。そういう結果、その後件数は若干減ってまいってきております。
 先ほど先生が御指摘の、次に廃帝に至る経緯でございますが、一時そういうふうにいろいろな努力の結果、件数は減ってまいってまいりましたが、一番大きな、先ほど来申しておりますエンジン、コンバーター等がいわゆるマイバッハのパテント等の問題がございまして、意のごとくいろいろと改善、改良ができません。そのために貨物列車、月に百八十本ないし百九十本の運休を出すに至る、このような非常に苦しい状況になりました。ほかの車両の開発傾向と違う、いま言いましたような非常な難点がございまして、百万キロ当たりの故障件数がその後またふえてきた、こういうような状況でございます。
 なお、御質問にございました四十三年六月の事故でございますが、これはいま言いましたエンジン、コンバーターの問題ではございませんで、いわゆる推進軸、プロペラシャフトの十字継ぎ手におきます故障がその事故に発展したということで、その前に気動車の技術もございますし、こういう面についてはいろいろと改良に対する努力を進めておりますが、エンジン、コンバーターというものについてはまた別の問題、非常にいわゆるディーゼル機関車の生命を決するところで非常に問題があったというのが技術的な状況でございます。
#130
○内藤功君 私の方はいろいろ国鉄の技術関係の方の書かれたものなども調べてみました。おわかりと思いますが、たとえば上西尾源太郎という人がおります。これは本社運転局車務課にいた技術関係の方ですな。この人が一九七七年五月のある雑誌――「鉄道ファン」という雑誌です。これにこう書いているんですね。「往々にして発生した機関故障や車両故障が初期故障時から、なかなか収斂しきれなかった。」と、こういうことを言っております。
 それから永瀬和彦さん、これは車両設計事務所の主任技師をやっておられる方だと思います。永瀬さんは「国鉄ディーゼル機関車の歩み」という文献の中で「実用実績はあまり芳しいものでなく、機関や変速機のトラブルが相次ぎ、長期にわたりいろいろと対策を講じたが、事態は好転せず車両の半数以上が故障休車する事態が発生」をしたと。そして原因については、同氏は、「直接国鉄などの車両にたずさわる技術者が関与し苦労を重ねて開発した国産品でないため、欠陥故障部品の積極的な改良手段を講じようとしても、すべて当初の設計意図やノウハウを本国」――これはドイツですな、西ドイツです。「本国へ照会し、その指示を受けねばならず、これらに多くの手数を要し、必ずしも使用サイドの必要とする抜本的かつ適切な措置が講じられなかった」、以下続きますがね、こういうふうに述べておるんですね。
 まず質問は、これらの文献について当然御存じだと思いますが、またこれらの筆者についても御存じだと思いますが、これについて国鉄部内の技術者が言っていること、これは間違いないでしょうね。
#131
○説明員(藤田義人君) 前段の西尾源太郎氏の述べておられる問題につきましては、いわゆる先ほどDD五四の初期故障、それからいわゆる故障の発生が少なくなった、減衰する状態、これとDD五一の初期故障の発生からそれが故障件数が少なくなっていく減衰の状況、これが違うところを述べているというふうに理解します。
 なお、永瀬氏の述べているところは、先ほど来私が申し上げておりますように、いわゆるマイバッハの問題からいろいろとその点の改良改善を進めるのに非常に苦労をしたと。たまたまDD五一の方の問題は、冒頭申しましたようにいわゆる主要幹線用の車両として二千二百馬力でございまして、ツーエンジンの二千二百馬力、DD五四はワンエンジンで千八百馬力でございます。そういう亜幹線用を何とか開発したいということでこのDD五四に取り組んできた。そういう経緯の中で、いま言われたお二人の方の印象がこのような文章になったというふうに理解します。
#132
○内藤功君 結局、あなたの答弁、それからこのお二人の論述を私は総合して細かい技術論をここでやる余裕はありませんし、またその場でもないと思いますから、大きく見た場合に、これはエンジン、変速機などの車両としては一番大事な中心部分、その欠陥だと、そしてその欠陥が耐用年数十八年持ち切れなかったと、そこで廃車にしてしまったと、大変な経済的損失だと思うんですね。これは、国鉄としては売買契約の目的物たる商品あるいは製品について重大な瑕疵があるものだという前提に立って、メーカーである三菱重工に対して、これは公の立場である国鉄としては当然損害賠償請求の検討はなさったと思うし、これをやるいろんな用意はしたと思うんだが、そういうことはしたかどうか。それから実施したかどうか、その損害賠償の要求を。これ大事なところだと思うんです。大きなきずのある商品買わされているんですからね。これはどうですか。
#133
○説明員(馬渡一眞君) 通常の場合で申し上げますと、車両につきましては、投入後の一年間、
  〔委員長退席、理事安恒良一君着席〕
これはもし故障等が出ました場合に瑕疵の補修ということで、現在でも一年間の、各メーカーにつきまして全部同じようにやっておるわけでございます。で、この場合に私どもといたしましては、実は今回この事件と申しますか、この事故に対しましては早く使える状態にするということを最も大事なことだというふうに考えまして、三菱重工業の方に特に故障を起こした部品の取りかえというようなことを、できるだけ早く部品が手に入りますような手段を講じてもらったり、あるいは技術者を現地に派遣をしてもらったりというようなことで、メーカー側と共同して改善をする努力というかっこうで、これの早く完全なものに仕上げる努力をその当時いたしたわけでございます。
#134
○内藤功君 早く完全なものに仕上げる努力は努力として、しかし完全なものにならなかったわけなんです。そうすると、三菱重工は、メーカーの方は、最初からこれは十年でおしまいになっちゃいますよ、これは四年九カ月で中には廃棄になるのがあるかもしれませんよというようなことは言ってないはずだ。これはもうりっぱに国鉄として耐用年数は使えるものとして、その前提に立ってやった以上は完全にこれが直らない以上は、損害賠償の要求を考えるのは、これはユーザーとしては常識だと思うんです。そうすると、してなかったと、いろいろ言われましたけれども。要するに、そういう損害賠償の要求の検討はしたことはない、こういうことですね。
#135
○説明員(馬渡一眞君) 損害賠償の要求をいたしておりません。
#136
○内藤功君 その内部検討もしなかったと、こういうことですか。損害賠償要求をするかどうかの内部検討もしなかったということですか。
  〔理事安恒良一君退席、委員長着席〕
#137
○説明員(藤田義人君) いまDD五四の瑕疵の問題、またその賠償請求の問題でございますが、このDD五四が突如四十一年生まれたわけではございませんで、その前に三十六年から三十九年にかけましてDD九一というこの母体になる車を長い間、国鉄としましても、先ほど冒頭言いましたような必要性から、技術開発を進めるべく、いわゆる三菱の方から借用して、借用料ももちろん払っておりますが、そういう形で一緒にこれを開発する経緯がございました。なおかつ、先ほど馬渡理事が言いましたような、そういう瑕疵担保の問題等やり、また積極的なメーカーの方の協力もありまして、いま言ったような請求には至ってないということを御理解願いたいと思います。
#138
○内藤功君 これは全然損害賠償要求をしないという理由にはならないと思います。DD九一がどうであろうと、それはDD五四の前の車でありまして、DD九一はたった一両でしょう、これは。そしてしかも、これは試運転中にも何かシリンダーが割れるという事故を起こした、そういういわくつきのものでしょう。DD九一がどうのこうのということは理由にならない。これはやっぱりメーカーの三菱重工に損害賠償を要求しなかったということは、はなはだ私は国鉄の措置としては合点がいかないということを申し上げておきたいと思うんです。そこで私は、まあこれは次第にむだ遣いだったという疑いを濃くするわけなんです。
 国鉄の資料によりますと、DD五四を廃車にしたかわりにDD五一という、これはさっき大臣の前にお見せした写真の中にDD五四と並んで隣の番線に入っているのがDD五一でございます。このDD五一の新車を十六両、この福知山機関区に導入しているんじゃございませんか。
#139
○説明員(藤田義人君) 先ほどお話ししたように、亜幹線山陰線用のディーゼル機関車としてDD五四を配置したし、それで旅客列車、貨物列車を牽引して仕事を進めておりましたので、それが使えない場合にはそれにかわるものとして、たまたま幹線用で開発してきたDD五一ではございますが、この四十九年ごろ、安定した車両に育ってきておりましたので、その列車を確保する意味でDD五一を投入したという経緯で、いまの先生の御質問のように両数を入れてまいりました。
#140
○内藤功君 DD五一の方の損害賠償はやらないと。まあよけいなことを言うようですが、労働者が国鉄の施設の中にビラを張ったとかいうとき、それからストライキやったときにはこれは損害賠償の訴訟を最近非常におやりになっております。これと比較するのはどうかという意見もありましょうけれども、そういう非常に損害賠償訴訟に積極的な国鉄が、こういうメーカーから瑕疵のあるものをつかまされたと――それに対して損害賠償という訴訟はある程度冒険はつきものですよ。しかし、きずものをメーカーからつかまされたユーザーはやっぱりきちんとここのところはやっておかにやならぬと、特に国鉄のいま財政の困難なときに思うんです。
 さて、それは繰り返しになりますが、一方、そうしておいて、今度は新車を、DD五一をどんどん入れていく。それは、もう二重に私は大メーカーに、言葉はきついですが、食い物にされているという感じがいたします。
 検査院来ておられますか。――会計検査院にお聞きしますけれども、本件について、このDD五四の廃棄問題について検査院として調査をしたことがあるかどうか、調査をしたことがあるとすれば、どういうふうに調査をし、また現状はどうかという点を伺いたい。
#141
○説明員(小野光次郎君) お答えいたします。
 このDD五四型ディーゼル機関車の件につきましては、本年の二月に本院で、国鉄の鷹取工場につきまして会計実地検査を行いましたときに調査をいたしました。
 その調査の結果につきましては、DD五四型ディーゼル機関車につきまして廃車解体を行っておったわけでございます。この廃車解体につきましては三十九両行っているわけでございますが、この機関車は、先ほど国鉄からお話がございましたように、全部で四十両を四十一年度から四十六年度にかけて購入したものでございます。その全部を五十一年度から五十三年度までの三カ年で廃車しているわけでございます。このように耐用年数に比べまして短い期間使用しただけで四十両とも廃車するというようなことに至ったことは、これは従来にもないきわめて異例な事態ではないかと考えられるわけでございます。
 そこで、本院といたしましても、DD五四型ディーゼル機関車の一号車が導入されました四十一年度にさかのぼって児直し検査を実施することとし、当時の関係資料を要求しておきました。そして、まず導入の経過、契約の内容、納入の際の受け入れ検査の適否、用途廃止の決定及び解体業務の経理等の諸項目について目下鋭意検討を行っているところでございます。
 ただ、何分にも規定では資料の保存期間が五年でございますので、当時の十分な資料が得られないおそれがございます。そこで、私どもの方といたしましても既往年度の関係資料をでき得る限り徴しまして、遺漏のないように十分調査をする所存でございます。
#142
○内藤功君 いま検査院の答弁の中で、導入の経緯についても鋭意検討をしている、それも含めて検討をしているというお話があったんです。
 そこで私も、これは昭和四十一年当時、どんな理由でこのように短期間にその後廃棄処分せざるを得なくなったこのDD五四という車種を、しかもいろいろさっき担当理事は言われましたが、ディーゼル機関車のエンジンをつくった経験のない三菱重工に任せた理由は何かと、この点について疑問に思うところなんです。これを、いろいろいままで言われておりますが、DD五四以前に機関車用、ディーゼル用のエンジンの実績がないその三菱重工にやらせた理由、これをもう一度端的にお話し願いたい。
#143
○説明員(藤田義人君) この本線用ディーゼル機関車のDD五一、DD五四がいま話に出ておりますけれども、それ以前にDD五〇というディーゼル機関車がございました。これは一千馬力のディーゼル機関車でございますが、スイスのズルツァまたMANのエンジンを搭載しました三菱重工がつくったディーゼル機関車でございます。そういう意味で、そのディーゼル機関車のメーカーとして経験がないということには当たらないと思います。
 ただ問題は、先ほど来申しましたように、千七百から千八百馬力というような亜幹線用馬力についてのわが国としてのディーゼルエンジンの開発が非常におくれていたという中で、マイバッハと技術提携をしておりました三菱、これがちょうどその亜幹線用になおかつ保守上非常によろしいワンエンジンということで、三菱にDD五四を購入するような形になってきたという経緯でございます。
#144
○内藤功君 そうすると、前にDD五〇のとき、ズルツァそれからMAN――ズルツァというのはスイスですね。MANは西ドイツですね。そういう経験があるから大丈夫だろうと思ってやったと、こういうことなんです。私はまず結論から言うと、ドイツとかスイスとか三菱とかいう名前、ある意味において虚名に目がくらんで技術上の検討不十分のまま飛びついたという印象があるんです。
 この昭和四十年の十月に三菱重工と国鉄の最初の当初契約のとき、国鉄部内の技術関係者の意見はどうだったんです。
#145
○説明員(藤田義人君) その当時の意見を私、直接また聞いておりませんが、先ほどありましたように昭和三十五年から昭和五十年までに蒸気機関車を廃止して、エネルギーの有効活用また無煙化対策等、そういうことで電化またディーゼル化を進めていくという非常に大きな命題のもとに、このいろいろな機関車の開発も進めてまいったわけでございます。そういう中で、DD五一は千百馬力がツーエンジン、いわゆる両方に二つ抱いているような機関車でございまして、それなりに保守上やはり手がかかる。やはりワンエンジンが欲しいということで、千八百馬力前後の亜幹線用の車両ということで、何とかこれを開発しなければならない。これに対する各メーカーとのいろいろな共同開発等の問題もあったと思いますが、しかしたまたまこの中で、特にDD九一形式の車が使用する中から、一番その目的である亜幹線用に使えるということで、旅客のばい煙禍――災い等を早くなくすこと、また動力近代化計画を進めることによって、いわゆる国鉄の経済を、そういう経営ロスを少なくするべくそういう観点に立って、この技術開発に進んでいたわけでございまして、結果的にいろいろと問題が発生しましたが、いわゆるそういうような客観情勢の中で、この亜幹線用車両としてのDD五四の開発に取っ組んでおったというのが、この四十年ごろの空気だということは十分推察できるところでございます。
#146
○内藤功君 ところが、この導入したのは四十年十月、私の持っているのは「交通技術」四十年八月号、その当時の雑誌ですが、ここで国鉄の当時の臨時車両設計事務所におった玉置光夫という人、この人は五十年に退職されて、大宮工場長をやられて退職されて、現在ある会社の工場長をやっている人ですがね、この人の論文を見ますと、さっきあなたがほめていたズルツァ、MANということについてこう言っているんですね。「さきにズルツァ、MANで非常に苦はいをなめ現在なおかつ致命傷が解決されていない経験をもつわれわれとして本機」――本機というのはDD五四ですね。「本機も十分に慎重に扱っていく必要があると思う。」ということを言って、もうズルツァ、MANで非常に苦はいをなめたということを言っているわけです。ですから、さらに技術者として当時この三菱重工はそういう苦杯をなめているからして、簡単にこれでまたDD五四のマイバッハというやつを入れるということに賛成する意見があったとは私は思えない。むしろこれは批判的な意見ですよ、技術者として精いっぱいの意見。しかももう一カ所では、玉置氏は、「日本ではドイツやアメリカ或いはソビエトのように4、000〜五、〇〇〇PS級の機関はまず不用の見透しであって、DD51クラス」――五一ですよ。あなたがこれじゃいかぬと言った「51クラスで十分だと思う。」と、こうはっきり言っておるんです。ですから、いまあなたは当時の意見はよくつまびらかでないがという前提の答弁だが、当時のことをよく調べてみる必要がある。こういう技術者の意見があったということですよ。この点はいかがです。
#147
○説明員(藤田義人君) いま先生がおっしゃいましたように、MAN、ズルツァの問題があったことも私も仄聞しておりますが、この両方の機関車はディーゼルエレクトリックでございまして、いわゆるトルクコンバーターによって駆動するディーゼル機関車ではございません。もちろんエンジンについての問題がございますが、先ほど申しましたように、いわゆる千馬力級のエンジンでございまして、われわれが望んだのは亜幹線用の千八百馬力、いわゆるそういうわずかな違いとは思いますが、非常にディーゼルエンジンとしては苛酷な条件がございます。千と千八百といいますけれども相当その中身は違います。いわゆるズルツァとMANというものとマイバッハとそのようにいわゆる同一視するということについては、若干問題があると思います。
 なお、この使う中におきまして、四十一年には鉄道技術研究所も入りまして、四十一年九月に性能試験をやり、この使用方についてもいろいろ今後の問題を投げかけながらも、十分使えるという方向で、これに対する技術的な結論を受けて、われわれとしてもこの開発に進んできたわけでございます。
#148
○内藤功君 いまの答弁でもこの玉置氏の危惧は消えないと思いますね。同じく「交通技術」の中には、この土岐実光というこれは当時国鉄の臨時車両設計事務所におって、現在は東急車両におられる方のようですが、この方はこう言っておるんです。外国との技術提携イコール優秀ということにはなり得ないと、その理由は、「たとえばエンジンを形成する多数の部品はそのほとんどが部品の専門メーカーによって作られているのだが、これらの部品メーカーは、これまで日本で長年にわたって発達してきた手法に基く技術を持っているが、外国技術提携のものはそれらと生れが違うため製法が異り、技術の基盤がない。」トラブルが起きやすい、材料や熱処理についても「日本の技術に適さぬ場合がある。トラブルが発生したとき、日本のメーカーが自力で対策が立てられないので、海外提携メーカーに問合せると、先方は知らん顔をしているか、通り一ぺんの返答しかよこさない。こちらはこちらで基礎がないから対策がたちにくい。こんなことから」「日本の設計の方が安心だと考えるようになってきた」と、非常にはっきりこれは言っているわけです。国鉄の部内でこういう意見が技術者から出ているのですね。それで、私は調査に行ったときに聞いてみた。そうしたら、この福知山機関区では、国鉄を退職した人を三菱重工が採用して、嘱託で一年間機関区に置いていたそうですな。それから、事故が起きても国鉄の者にはメーカーは秘密を口実に説明しない。それから事故が起きると、その現場の検修体制ではできなくて、それでよく鷹取工場へ持っていってメーカーが全部やるということもあったと。部品がなくて修理ができなくて何日間もウヤですね、運休が続いたこともあるというようなことも私ども聞いてきたんです。これは、もし何かこれについてあなたのお考えがあれば――こういうこともやっぱり早期廃車の大きな原因に私はなっていると思うのですね。
#149
○説明員(藤田義人君) いま先生がいろいろ申されましたように、確かにわれわれとして国内で技術開発をし、それでいわゆる使用条件も十分わかっているわけですから、それなりのいろいろな育て方といいますか、改良改善の仕方がございます。たまたま先ほど来申しておりますように、このエンジンはマイバッハ、またコンバーターもそういうことで非常に問題があります。DD五一そのものの生いたちがいわゆるいままでのわが国の非常に低馬力、百六十馬力ぐらいのエンジンから積み上げてきまして、最後期は五百馬力の六シリンダーをVの十二シリンダーにするということで一千馬力にする。そういうようないろいろな積み重ねをやってきましたが、やはり亜幹線用の千八百馬力級というものが、またワンエンジンの方が保守がしやすいというねらいでこの問題に取り組んできた。いわゆる技術というものは、結果から見ればいろいろとそのような事態でわれわれなりのいろいろな反省を持っておりますが、いわゆる技術開発をする過程というものは非常に一寸先はやみの中から何とかその可能性を見出すような、もちろんそれ以前の慎重な姿勢の中から技術開発というものを進めてまいらなければならないと思います。そういう姿勢の中でマイバッハの千八百馬力級を採用してきた。
 なお、部品についても、先生おっしゃられましたように、いわゆるエンジン、コンバーターについての部品についてはパテントがございますから、西ドイツのマイバッハの方とよく協議をして、それに対する改良改善は了解を得なければ新しくかえることができない。そういうために非常に部品を取りかえるための時間というものがかかる。また工場の方は、やはり年間の作業量というものが計画的に積み上げられてありますから、このような臨時に入るためには、工場のそのような作業形態をいろいろ調整しまして入る時期というものを徹底しなければなりません。そうなりますと、その間入場を待つという形になってまいります。そういうようなことが頻度が多く、最後の廃車決定の前後におきましては非常にそのような事態が多発してきた。先ほど故障発生件数の中で申し上げましたような事態に至ったというのが状況でございます。
#150
○内藤功君 私は国鉄の部内にはすぐれた技術者さんがいっぱいいるんですが、こういった技術者の意見を十分に聞かないで、技術上の十分な検討をなさないで非常に急いで昭和四十年時点に導入をしたということはもうはっきりしていると思うのですよ。それから結果としても、この耐用年数半分という、はるかに満たない短期間に廃棄されたということもこれも事実としてはっきりしている。これはやっぱり導入の経過というものを検査院も鋭意調査をしていると言われました。国鉄自体としてもやっぱりこれは調査をしてもらいたい。大きなこれはむだ遣いだと思うのです。三菱重工の内部の製造過程に瑕疵があったという疑いも十分ある。それを今度は三菱重工に請求しないとなると、請求しないで、損害賠償の要求もしないで買った側に今度は責任がくることになりますよ。そこらあたりの問題もここは厳重に考える必要があると私は思うのであります。私はこういう意味でDD五四の購入経過について疑問をここで提起をして、国鉄当局、運輸省としてもこれを調査するように要求をしたい。
 特に、ここでもう一つ提起をしておきたいのは、この購入契約、当初の導入契約のときに、これは三両とか四両とか入れるのじゃなくて、もう初めから四十両というような量産ですね。ワンセットで四十両という形で契約しておったのじゃないですか。その間の購入の実態はどうなっていますか。
#151
○説明員(藤田義人君) 購入の実態と申しますか、四十両でセットになっていたんじゃないかということでございますが、先ほど来お答え申し上げておりますように、亜幹線用ディーゼル機関車、いわゆる山、坂、またトンネルが多いところの旅客の方々が非常に煙の災いを受けておりますので、何とか亜幹線用の車両として、これを機関車として育てたいということでこの計画をしておりましたが、当時の資料を見ましても百六十両程度をこういう亜幹線用の車両というものをやるような考え方も一部にあるようであります。別に、四十両でセットという考え方は、われわれの輸送面から見ましても考えられないというふうに思います。
#152
○内藤功君 ところが、私は、これ三菱重工の「三菱重工技報」という一九六六年第五号の雑誌でありますが、この重工の方では、国鉄と当社間で量産型として製作したものだと、その名称はDD五四型液体式ディーゼル機関車だと、こう言っているんですね、量産型だと。私は、ですからこういった点についても購入経過を調べて、こういうむだ遣いというものがいまの国鉄に絶対あってはならぬです。これは約三十億円に上ります、一台六千七、八百万ですから、四十両ですから。三十億というと国鉄の一日の収入の半分だと言われていますね。大きいです、これは。
 さて、DD五四を導入した昭和四十一年当時の国鉄の監査委員長はだれだったんですか。こういうときは監査委員長というものが目をちゃんと光らしてなきゃいかぬでしょう。だれですか、これは。
#153
○政府委員(山上孝史君) 岡野保次郎さんのようであります。
#154
○内藤功君 その人はどういう経歴の人ですか。どこの会社の社長ですか。
#155
○政府委員(山上孝史君) 前に三菱重工業の社長をおやりになった方だそうでございます。
#156
○内藤功君 これじゃDD五四が欠陥だとわかってもメスが入れられないのは当然だと思いますよ。この間から監査委員会に労働組合を入れるとかいうような御提案もあって、これについては私きょうは論及しないが、徹底的にこの監査委員会を民主化する必要があります。特に国鉄と大きな額の取引のある、密接な関係のある大企業の社長経験者などは絶対入れないようにしなきゃいかぬと思うんです。これ、大臣どうですか。
#157
○国務大臣(森山欽司君) 国鉄の監査委員長が国鉄と取引ある会社の出身者であることは必ずしも好ましくないと思います。
#158
○内藤功君 こういう点も考えて労働組合、利用者の代表を入れることは当然でありますけれども、さらにこういうことも目を光らせなきゃいかぬと思うんです。時間がそろそろありませんので……。この問題だけじゃないんですね。ちょっと横にそれて恐縮ですが、私は昨年の運輸委員会、予算委員会その他でも数回にわたって新幹線工事にかかわる排水管の購入問題で久保田鉄工ほか二社が資材価格を不当につり上げて大もうけをしている事実を指摘をしましたが、検査院、この結果を簡潔で結構ですから、この私の指摘は正しかったかどうか、この点答えてもらいたい。
#159
○説明員(小野光次郎君) 昨年の四月三日の予算委員会、それから五月九日の運輸委員会におきまして、東北及び上越新幹線高架橋工事におきます排水設備に使用されております硬質塩化ビニール管の価格につきまして非常に高価であるという御指摘を受けたわけでございます。
 で、私ども直ちにこの問題について調査に入りまして、先生から御指摘がございましたことは事実でございました。したがいまして、会計検査院といたしましては、直ちにこれを国鉄に対しまして質問を発したわけでございますが、国鉄御当局も非常にこの問題については誠意を持って当たられまして、直ちに経済的な丸型の管を――これは一般に市販されているものでございますので、市況価格がございますので、非常に経済的な方途を講ずるような対策を立てております。
 そこで、会計検査院といたしましても、昭和五十二年度決算検査報告におきまして「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」ということで掲載いたしまして報告さしていただいたわけでございます。
#160
○内藤功君 最後に、すでに昨日運賃の値上げの答申が出て、これを大臣の方は二十日からいよいよ実行しようという段階に来ているんですね。平均八・八%、大変なこれは値上がりです。私がもう詳しく言うまでもない。一方でこういう国民に対して値上げを要求している。一昨年のあの運賃法改正――運賃の値上げを事実上自由化すると、大臣と総裁の判こでできるということになれば、こういうふうに一年の間に四回も値上げするということは起きるぞと、それは国鉄の再建は政府の出資と国鉄自身の合理化努力とそれから利用者の負担の三つでやるんだと、利用者だけじゃないよとあのとき言いましたけれども、私らはそうじゃないと、必ずこれは安易な利用者負担に来るよと。その結果としては、この安易な利用者負担、そして安全問題なんかは、もう国鉄運賃の審議は国会ではやられないからして、実にルーズになるよと、その危険を私ら指摘した。ほかの委員の方も指摘したんですよ。ですから私どもは、これがもうはっきり危険として出てきていると思うんですね。
 私は、こういうまず車両の三十億円に上るむだ遣いというものを、やっぱり検査院だけじゃなくて、国鉄当局がみずから徹底的にきわめてもらいたい。
 きょう安全の問題、時間の関係で入れなかったけれども、安全の問題でも、この車は始動時の振動が非常に激しいんです。つまりがっくんとこうくるわけだ。がっくんとくるということは、始動時の振動が激しい。そのために頭を打ったり、むち打ち症になった人もいると言われておるんです。こういうような機械を入れておいて、そしてしかも耐用年数の半分で廃車にしてしまっておるということは、はなはだ遺憾なんです。私は、きょうここで提起したこの問題をはっきりさせるまでは、運賃の値上げの答申が出ても、大臣としては判こを押さぬと、これは国会でここまで言われたんだから、これはまず徹底的に調べると、あなたの就任するすでに十年余り前のことだけれども、やっぱりこういうむだ遣いはきちんとさせて、今後ともこういうむだ遣い、浪費の起こらない体制をして、国民に納得させていくということをまず先決にするという、そういう政治姿勢をとらなければ、これはもう国民は納得できませんね。だから値上げの判こを押す前にこの問題をはっきりさせると。これをはっきりさせなきゃ、それまでは値上げの判こを押さないと、こういう姿勢を大臣はとってもらいたいと思うんですが、どうです。
#161
○国務大臣(森山欽司君) 先ほど来お話を承っておりまして、大変参考になりました。十分御趣旨のほどを今後の国鉄の運営に生かすように努力をいたします。が、運賃値上げは五月二十日を予定して一定の手続をもって進んでおりますから、それはそれとしてやらしていただきます。
#162
○内藤功君 それじゃだめなんですよ。前向きにやるように前段で言っているけれども、後段の答弁じゃだめなんです。それじゃ、結局われわれが運賃値上げ自由化法のときに、総裁と大臣の判こ一つで――まあ判こ二つで自由になっちゃうよと言ったとおりなんです。もう国会でもって、運賃法の審議で、おかしいからストップだと、ちょっと待ったと言うことはできない。国会がストップできなければ、大臣のところでちょっと待てと、その値上げ待ったと、待ったとこう大みえ切るのはあなたしかないんですよね。それしかないんです。それがあなたは、値上げは値上げでちゃんとやらしてもらいますと、検討は参考にさしてもらいます。――これじゃだめなんです。ここはひとつ、私は再度あなたにお聞きしたい。ほんとに国民生活を考えているのかどうか。国民生活にこの運賃の値上げでいろんな影響を与えますよ。あなたは栃木県でしょう。小山から上野までの定期券運賃どのくらい上がるかわかりますか。――どのくらい上がります。物すごい値上がりでしょう、通学定期。それなのに国民に対しては、これは聞いたことは参考にする、値上げは既定方針でいくと、これじゃいかぬです。重大な問題ですよ、三十億円の問題ですから。三十億――小さい問題じゃないですよ。国鉄の一日の収入の半分だと言われている。まずこれをはっきりさせると、早急にはっきりさせると。参考にするだけじゃなくて、自分で調査をすると。そして、それでなければ安易な値上げには自分は判こを押さぬと、こう言えないですか。
#163
○国務大臣(森山欽司君) まあ私は私のやり方がありまして、そのやり方はいままでの大臣とはまた多少趣を異にしている点はおわかりだと思いますが、先ほど私が申し上げたことで御了解願いたいと思います。
#164
○内藤功君 まあ、さっき他の委員から御指摘の笹川氏の問題などを、全日空の社長問題などをあるいは言っているのかもしれない。それとこれは違いますよ。ほかの問題でどんないい姿勢とったって、この一番国民生活に響く問題、物価値上げの引き金になるという問題、これで、お話は承りました、それと値上げは別です、こういう政治姿勢はだめですよ。私は納得できない、それは。ほかの点では納得できるものもありますよ、正直言って。この問題じゃだめなんです。どうなんですか。それは、あなたは真剣にこの国民生活に及ぼす運賃値上げの影響というのを考えていないんでしょう。幾らでも値上げというものは、大臣の判こ一つでできる。国鉄の赤字だと、国鉄再建案もできていない、それで値上げだけやっていくと。一番安易な道をいまたどっていると思うんです。あなたは、国鉄の運賃の値上げについては、一番安易な、取れるところから取る、抵抗力のないところから取る、こういう考え方の持ち主ですか。
#165
○国務大臣(森山欽司君) 国鉄の運営につきましても、いままでとは違ったやり方でやっておるわけでございますから、先ほどの方針でやらしていただきます。
#166
○内藤功君 これは非常に国民としては切実な問題なんです。一年間に四回値上がりしているんですね。そうして学生でも、私の知っている学生で山梨県の都留から通学しているのがいますよ。三カ月でいま三万四千円ですってね、定期券が。それは大変なものです。それでもやっぱり通学しているんですね。これ、まだ上がる。大変な問題ですよ。私は、これはもう国鉄の値上げは限度に来ているだろう。大臣は、自分の任期中はもう値上げやらぬと、もう値上げはこれでやらぬと、あとは国鉄自身の努力と政府からのこの援助というものを――これはむずかしいにしても、その方向で努力をする。値上げもここらで限界だという線を示さないと、私は非常に心配するのは、文字どおり無制限な、歯どめのない値上げの洪水というのが出てくると思うんですよ。私は、その点について、大臣がどう考えているかという問題、これを聞いておきたい。
#167
○国務大臣(森山欽司君) 御承知のように国鉄の再建は、国鉄の徹底した努力、それから政府の行財政を裏づける運賃値上げ、三本立てでやるたてまえになっております。が、私は特に、私鉄等を初めとする他の交通機関との関連から言って、常識的に見て限度ではないかということを、すでにきのうの新聞でもそのこと載っておりますから、一回新聞をよくお読みになられて、私の考え方を御理解ください。
#168
○内藤功君 時間が来たので、私はこの問題の調査、国鉄としていつごろまでにどういう方法でやるか、この点を最後にお聞きしておきたい。――国鉄のいまの問題の調査を運輸大臣としてはどういう姿勢で、いつごろまでにおやりになるつもりか。
#169
○国務大臣(森山欽司君) きょうここに国鉄の幹部おるわけですから、早速にでも私のところへ報告があるはずでございます。おおむね、問題になった事項をいままでのようにほっておくことが許されないような体制に徐々になりつつありますから、恐らくこれからすぐ私のところに報告に来るんじゃないかと、こう思います。
#170
○内藤功君 そのことを私は強く要求をしておきたいと思うんです。
 大体ね、これをやはりはっきりさせない限りはおれは判こを押さぬぞと、このくらいの政治姿勢がなきゃいかぬと、私は最後にこれだけひとつ申し上げておきます。
#171
○委員長(竹田四郎君) 本件に対する本日の質疑はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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