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1978/03/19 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 決算委員会 第3号
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1978/03/19 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 決算委員会 第3号

#1
第087回国会 決算委員会 第3号
昭和五十四年三月十九日(月曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月一日
    辞任         補欠選任
     内藤  功君     安武 洋子君
 三月七日
    辞任         補欠選任
     降矢 敬義君     山本 富雄君
 三月八日
    辞任         補欠選任
     黒柳  明君     矢原 秀男君
 三月九日
    辞任         補欠選任
     山本 富雄君     降矢 敬義君
     矢原 秀男君     黒柳  明君
 三月十日
    辞任         補欠選任
     増岡 康治君     成相 善十君
 三月十二日
    辞任         補欠選任
     成相 善十君     増岡 康治君
     岩崎 純三君     浅野  拡君
 三月十三日
    辞任         補欠選任
     浅野  拡君     岩崎 純三君
     降矢 敬義君     小澤 太郎君
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     沓脱タケ子君     神谷信之助君
     三治 重信君     柄谷 道一君
 三月十七日
    辞任         補欠選任
     岩崎 純三君     石破 二朗君
     小澤 太郎君     降矢 敬義君
     黒柳  明君     相沢 武彦君
     神谷信之助君     沓脱タケ子君
 三月十九日
    辞任         補欠選任
     石破 二朗君     岩崎 純三君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         寺田 熊雄君
    理 事
                岩崎 純三君
                楠  正俊君
                降矢 敬雄君
                野口 忠夫君
                和泉 照雄君
    委 員
                伊江 朝雄君
                岩上 二郎君
                永野 嚴雄君
                増岡 康治君
                穐山  篤君
                佐藤 三吾君
                安武 洋子君
                柄谷 道一君
                喜屋武眞榮君
                野末 陳平君
                秦   豊君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 田中 六助君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       三原 朝雄君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       金井 元彦君
   政府委員
       内閣法制局長官  真田 秀夫君
       国防会議事務局
       長        伊藤 圭一君
       人事院総裁    藤井 貞夫君
       人事院事務総局
       任用局長     長橋  進君
       人事院事務総局
       給与局長     角野幸三郎君
       内閣総理大臣官
       房会計課長兼内
       閣参事官     京須  実君
       内閣総理大臣官
       房交通安全対策
       室長       三島  孟君
       内閣総理大臣官
       房広報室長兼内
       閣官房内閣広報
       室長       小玉 正任君
       内閣総理大臣官
       房管理室長    小野佐千夫君
       内閣総理大臣官
       房総務審議官   大濱 忠志君
       総理府人事局長  菅野 弘夫君
       総理府恩給局長  小熊 鐵雄君
       青少年対策本部
       次長       松浦泰次郎君
       日本学術会議事
       務局長      田中 金次君
       公正取引委員会
       事務局長     戸田 嘉徳君
       警察庁刑事局長  小林  朴君
       警察庁交通局長  杉原  正君
       公害等調整委員
       会事務局長    永山 貞則君
       宮内庁次長    山本  悟君
       皇室経済主管   福留  守君
       行政管理庁長官
       官房会計課長   田代 文俊君
       行政管理庁行政
       管理局長     加地 夏雄君
       行政管理庁行政
       監察局長     佐倉  尚君
       沖繩開発庁総務
       局長       亀谷 礼次君
       沖繩開発庁総務
       局会計課長    永瀬 徳一君
       沖繩開発庁振興
       局長       美野輪俊三君
       大蔵省主計局次
       長        禿河 徹映君
       厚生省社会局長  山下 眞臣君
       労働大臣官房審
       議官       谷口 隆志君
       建設省道路局長  山根  孟君
       自治大臣官房審
       議官       石原 信雄君
       自治大臣官房審
       議官       花岡 圭三君
       自治省行政局公
       務員部長     砂子田 隆君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        道正  友君
   説明員
       内閣参事官    栗林 貞一君
       内閣総理大臣官
       房参事官     手塚 康夫君
       厚生省援護局援
       護課長      田中 富也君
       労働大臣官房秘
       書課長      宮川 知雄君
       労働大臣官房労
       働保険徴収課長  今井 好昭君
       労働大臣官房統
       計情報部雇用統
       計課長      佐野  厚君
       会計検査院事務
       総局次長     東島 駿治君
       会計検査院事務
       総局第一局長   前田 泰男君
       会計検査院事務
       総局第四局長   岡峯佐一郎君
   参考人
       沖繩振興開発金
       融公庫理事長   岩尾  一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○昭和五十年度一般会計歳入歳出決算、昭和五十
 年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十年度国税
 収納金整理資金受払計算書、昭和五十年度政府
 関係機関決算書(第八十回国会内閣提出)(継
 続案件)
○昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書
 (第八十回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和五十年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第八十回国会内閣提出)(継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(寺田熊雄君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る三月一日、内藤功君が委員を辞任され、その補欠として安武洋子君が選任されました。
 また、去る十六日、三治重信君が委員を辞任され、その補欠として柄谷道一君が選任されました。
 また、去る十七日、黒柳明君が委員を辞任され、その補欠として相沢武彦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(寺田熊雄君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 岩崎純三君の一時委員異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(寺田熊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 それでは、理事に岩崎純三君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(寺田熊雄君) 昭和五十年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、内閣と、総理府のうち、総理府本府、行政管理庁及び沖繩開発庁と、それに関係する沖繩振興開発金融公庫の決算について審査を行います。
 この際、お諮りいたします。
 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(寺田熊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(寺田熊雄君) 質疑通告のない松浦青少年対策本部次長、田中日本学術会議事務局長、戸田公正取引委員会事務局長、永山公害等調整委員会事務局長は退席していただいて結構です。
 なお、真田内閣法制局長官、伊藤国防会議事務局長、藤井人事院総裁、山本宮内庁次長、岩尾沖繩振興開発金融公庫理事長は、後刻再び御出席を願うこととして、一時退席していただいて結構です。
 それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#8
○野口忠夫君 昨年の十月の九日の予算委員会で行政官庁の各省、各庁、公団等に暴力団グループが入り込んで、そして押し売りを強制して、各省庁、公団、出先機関等、相当広範囲にわたって市価の十数倍というような法外な価格でこれを買い取っていたという事実の究明が、昨年の十月九日、予算委員会でわが党の福間委員から指摘されたのは御承知のとおりであります。
 本日は五十年度の決算の最終日でありまして、こうした機会に、一方ではグラマンとかダグラスとか、構造汚職的な問題で大分騒いでおりますけれども、日本における暴力団組織が行政官庁の中に入り込んで、暴力に屈して法外な価格で国民の血税を消費したというようなことは、非常に決算上からも大きな問題であろうというように考えられますので、一応ここで取り上げて、この問題をもう一度決算委員会の立場で審議したいと、こういうふうに考えます。
 問題の提起の端緒は、内部的な告発という問題ではなしに、千葉県警察が暴力団の一味のグループを逮捕することがきっかけとなってこの問題が国会の中で審議されるようになった経過は御承知のとおりでありますが、昨年のことでございますので、それ以後の経過があろうと思いますが、警察関係で、現在までに暴力団グループが官庁街に入って、力でもって日本の行政をひん曲げたという、現在までに判明した被害状況ないしはその件数、その後の処理の結果等について、時間は三十分でございますので、概略御報告願いたいと思います。
#9
○政府委員(小林朴君) お尋ねの件につきましては、千葉県警察におきまして、昨年の六月に被害相談を受けたことから端緒を得まして、捜査を開始をいたしました。現在までに、国防会議帝憂会と自称する被疑者別府忠四十歳、外八名を検挙いたしました。恐喝罪の容疑で約四十件、一千三百六十万円余、それから迷惑行為防止条例違反の容疑――これは押し売りを防止するものでございますが、その容疑で約二百二十件、一億二百万円余、合計いたしまして約二百六十件、一億一千五百六十万円余を立件送致いたしております。なお、これらの被害は四十都道府県の範囲にわたり、被害を受けた官公庁も、中央官庁及びその出先機関、地方公共団体並びに公社等、延べにいたしまして約二百六十カ所に及んでおるというのが概況でございます。
#10
○野口忠夫君 日本における暴力団の介入というようなことの中で、国民の皆さんに非常な日常生活上暴力的手段によって不当な圧迫を加えて、その不安を助長しているという状態は、もう新聞紙上等でずいぶん明らかでありましょうが、この暴力団組織の壊滅ないしはその資金源の根絶等のために警察当局がいろいろ苦労をし努力をしていることについては了とされるものでありますが、さらに今後これは大いに御奮闘願わなくちゃならぬと、こう思いますが、しかし、こうした不祥な問題を解決するための完全な根絶の対策というのは、単に警察力だけでこれは完全にできるものではないと私は思うものでありますが、特に国民生活の安全を守るという立場から言えば、共通の立場に立っている行政官庁等は積極的に協力を惜しむものであってはならないと、積極的に協力をしてこうした壊滅のためにやってほしいというように思われるわけでありますが、今回のこの事件を見ますと、まるで暴力に屈してしまって、その暴力団の資金源の調達に協力したような行政官庁の姿が二百六十件、二百六十カ所、こういう状態になっているんではないかというように思うわけであります。これはまさに、警察当局の考えている、暴力団組織を壊滅して国民の生活の安定を守ろうというような努力とは相反することを行政官庁が何かやってきたような感じがするわけでありますけれども、警察当局は、調査の過程においてそういう点についてどのような感じを持たれておるか、お聞きしたいというふうに思うわけであります。
#11
○政府委員(小林朴君) こういう押し売りのグループと申しますか、こういうものは、一たび弱味を見せますとその情報が次から次と内部で流れてまいりまして、いま延べにしてと申しましたように、二回も三回もやってきまして押し売りをするというのが手口でございます。まあそういう意味では、なるべく早期に警察の方に連絡をしていただきまして、こういうものの取り締まりを早くやるというのが第一ではなかろうかというふうに思うわけでございます。
#12
○野口忠夫君 警察側の調査過程の中でお聞きしたいことがあるわけでありますが、徳島県でこの種問題がありまして、千葉県警の方から調査に調査課の方が出向かれたそうであるというようなことを聞いておるわけでありますが、その際その県庁の相当の幹部の方が、この種のことは例年のことだと、おつき合いのようなものだというような発言がありまして、問題究明ということよりは何か事犯を隠蔽するかのような態度があって、どうも各行政機関の中には、暴力団と癒着しているようなことではないかというようなことを私は聞いているわけでありますが、何かこの種問題は単に今回特に起こった問題ではなしに、行政官庁の中における長い間の暴力団とのつながりというようなことが慣例、慣行になっているようなふうにお聞きしているわけでありますけれども、警察当局の調査過程の中ではそういうことには感じられませんでしたか。
#13
○政府委員(小林朴君) 徳島の事件は昨年の五月二十五日に発生をした事件でございまして、この事件も千葉県警において、先ほどお話しのとおり、恐喝事件として検挙しておるわけでございます。その中で、県の相当な幹部の人が、何か毎年のことのようだというような話があったというようなことがどうかということで私ども調べてみたのでございますけれども、どうもその点ははっきりはいたさないわけでございます。しかしながら、われわれのところではこういう手口を官庁売ということを言っておるわけでございますが、官庁を主体にして押し売りをするという、そういう犯罪の手口があるわけでございまして、こういうものにつきましては、昔から――昔はクリップを売るとか、よく事務用品を売りつけるというようなことがございましたけれども、ロープの問題につきましては私今回初めて経験するわけでございます。
#14
○野口忠夫君 新聞等にも書かれていることでありまして、明らかにならないということはちょっとおかしいとは思うんですけれども、どうも私たち通常はお役人というのは非常にお偉い方である、国民サイドの立場で言いますと、なかなか近寄りがたい威厳を持っている方々だという印象が強いんですね。国民の皆さんには相当の権威ある態度をとっていらっしゃる。どうもその辺、暴力団のおどしで素直に――いいと思ってやっておるはずはないと思うんですよ。悪いことを承知の上でそういうことをやっている。どうもこのことを考えますと、何か暴力団にこうべをたれざるを得ないような、そのことのためには、どうも困っちまうような痛いところを何か握られているというようなことが今回の問題の根源になっているんではなかろうか。これだけの権威を持つ日本の行政官庁の皆さん方が、一暴力団のおどしに向かって強い姿勢で臨めない、それに屈服して不当な支出に協力してしまったと。何か痛いところを握られているんではないかというような国民の批判も生まれてくるのは当然であろうと思うんですけれども、警察当局の調査の過程の中でそうしたことを感ずるようなことがあったかないか、お知らせいただきたいと思います。
#15
○政府委員(小林朴君) 迷惑防止条例の適用が多いというようなことから御推察をいただきたいと思いますけれども、非常に彼らが粘るわけでございまして、そういうことで困惑をしてそれを受け入れるというようなことが多いんではなかろうかと、こういうふうに思うわけでございます。
#16
○野口忠夫君 粘られても、何もないのに粘られるだけではこの種問題が発生するとは思われないわけでございますから、やっぱり警察当局としては、売りつける暴力団の側の姿もあろうと思うけれども、反面、買う側の立場に立った者の問題は一体どうなのかというようなこともあわせてやっぱり御検討願わなくちゃならぬかと思うんですよ。過日の予算委員会で当時の加藤公安委員長がこの問題に対して発言をなさいまして、どうも行政官庁からこうした被害についての告発が全くない、積極的に協力してもらって暴力団解明にひとつ私はやりたいと思うんだけれども、なかなか告発をしない、何か隠蔽しようとするようなかっこうになっていることはまことに警察業務推進の上で困るので、今後はひとつ大いに協力してほしいというようなお話があったわけでございますが、何かそういうものを隠してこの種問題の中で隠蔽していこうというようなかっこうのものが、そうした不安を持たすものがあるんじゃないかというふうに思われるわけでありまして、いまのお話では粘られて困ったというのですけれども、粘っただけの問題というのは粘る方の悪さだけですけれども、粘られてこの種問題をやっているというような問題は、このことはまた重要な問題ではないかというふうに思うわけであります。
 私はそういう点から考えますと、売る側の暴力団の問題を警察当局は取り上げられましたけれども、買った側の方のこの行政官庁の、市価の十数倍というような常識はずれの法外な価格で、一公務員の恣意によって財政支出がされているという、こういう行為、これが改められることなく続いていくということになりますと、全くこれ大問題ではないかというふうに思うわけでありますが、いわば私財産に対する刑事的な罰と合わせて、公の財産に対するこうしたやり方というものは、同じように犯罪というものに私は関連するんではなかろうか、こういう考え方が持たれるわけですけれども、買う側についての行政的な官僚の恣意によって公の財産を私支出したようなこの種問題を、警察当局の検討の中では、私のような意味での一つの犯罪的な問題として取り上げるべきではなかろうかというふうにも思うんですけれども、その辺のところはどうなんですか。
#17
○政府委員(小林朴君) 私どもはこの事件につきまして、昨年の六月以降に、一都一道二府三十六県にわたりまして、延べ九千五百名の捜査員を動員して徹底した捜査をやりまして、一応の事件というものは解決を見ておるわけでございます。今後もこういう問題につきましては十分に監視をいたしまして、警察へ届け出があり次第、十分徹底した捜査をやってまいりたいというのが警察側の立場でございます。
#18
○野口忠夫君 行政のこの種問題に対する売る側と買う側、この間の中における警察当局の御検討というものが両者に向かって行われない限り、この問題の本当の根本的な解決というものは残っていくんではないかというような感じが私はするわけです。いまのお話では、ちょっと私も新聞等で拝見したんですけれども、千葉県警としては、この問題が進行すれば、背任横領みたいなかっこうになるんではないかというようなことも言われておったのですけれども、その辺のところは今後検討を慎重にしていくということでございますので、時間がありませんから先に進みます。
 自治省にお伺いしますけれども、徳島県の土木部長さんというのですか、この方が暴力団に押しつけられまして高価な買い物をした。それが予算化されていなかったものですから、勝手に県庁のOBの方が天下っていられる鹿島建設の業界に働きかけられまして、この金の支出のために、徳島県が指名入札する業者の方々に肩がわりをさせたというようなことが新聞に報道されているわけでございますけれども、こういうことが事実あったのですか。これに対する対策を自治省はどんなふうにしたのですか、お聞きをしたいと思います。
#19
○政府委員(砂子田隆君) 徳島県の土木部長の件に関しましては、ただいまのお話のあったようなことを聞いておりますし、私たちが徳島県に対しまして調査いたしました結果も同様のことでございました。ただ、この土木部長のところに暴力団が参りまして、トラロープの購入を強要いたしましたところが、土木部長といたしましては、それは買えないということで一時間ほど応答しておったようでございます。結果的には注文書を発注しないということで、その日はもう少し考えさしてくれということで別れたのですが、たまたま隣の部屋におりましたOBの方が、それは大変土木部長さんお気の毒ですということで、自分の方から申し出て、非常に高いトラロープを買ったというふうな結果になっておるようでございます。
 このようなことが起きますことは大変私は遺憾なことだと存じますし、地方公共団体におきます物品の購入につきましても、常々法令に従いまして厳正に行われるべきであるということは当然のことでございますので、今後とも公共団体が物品の購入に対しまして支出をいたしますときには、必ず法令の規定に従って厳正な態度で臨むように指導いたしておるところでございます。
#20
○野口忠夫君 そういう事実があったということでございますけれども、県庁が指名入札する業者にこうしたような金を県庁の役人が出させるということは、大分いま地方公共団体の中には公共事業をめぐっての汚職が、不正事件がありまして、自治省としても一生懸命調査をし、努力をしていることは知っております。しかし、こういうことが慣例、慣行になってあたりまえみたいなかっこうで行われているようなことは、非常にこれは大問題ではないかというふうに私は思われるわけでございますが、小さなロッキード、グラマンみたいなことになるんじゃなかろうか。とかく行政官庁と、それから財界との癒着なんというような問題がある中で、金銭的な問題も絡んでいつもそんなふうにお役人の中が動いているとすれば、これは大問題ではないかというふうに思うんです。
 時間がもうあとなくなっちゃいましたが、会計検査院の方にお伺いしたいんですけれども、この押し売りなどの暴力的な行為に屈して法外な額で購入するに至ったというんですけれども、これは会計検査上はちゃんと報告されていると思うんですよ。何ぼのものを何ぼで買って支払ったということは会計検査上明らかであろうと思うんですが、この会計手続がどうも私はどのようになされたのかについて、はなはだ疑問にたえないわけなんであります。五十二年度の会計検査が、不当事項として林野庁の不当支出を指摘しているようでありますが、これは指摘事項を読んでみますと、契約権限を持っていない上司のお役人の方が押し売りに負けまして、それで約束しちゃっている、契約している。その契約を下の契約権限を持っている会計課長さんあたりのところにおろして、これはひとつ払っておいてくれないかと、こういうような上司の命令で払わせた。それで、会計課長さんは余り調査もしないで、上の方からの言うことだからというので支払ったというような、こういう不当事項の指摘があるわけでございますけれども、これじゃ公金を使っていく会計というものに対して国民が信頼するわけにはいかなくなるんじゃなかろうか。いろいろのことがその他にも類推されるわけでありまして、この種問題を通じて国民の信頼というものは失われていくことがどうも考えられるわけでございますけれども、会計検査院は、そういう意味では国民の信託を受けて責任を持っておるものでございますから、その方がそういうことをつかみ得なかった、こういう点のところには大きなミスがあると思うんですけれども、会計検査院の御見解を承りたいと思うわけであります。
#21
○説明員(岡峯佐一郎君) お答えいたします。
 今回の事件が新聞報道されましたのはたしか昨年の八月十八日でございました。昭和五十二年度の決算検査報告に掲記しました林野庁の例でございますが、これにつきましては、実は昨年の六月六日、参議院の農林水産委員会におきまして、丸谷先生から林野庁に対しまして、林野会計の中で物品購入が高いものがあるように見受けられるというような御発言がございました。私どもは、これは貴重な検査資料と判断いたしまして、六月、直ちに検査を開始いたしまして、新聞報道されます前の八月十日につきましては、一営林局でございますが、すでに私の名前をもちまして照会をさしておりました。その後広がりを見せましてまとめたものが昨年の検査報告掲記事項でございます。
#22
○野口忠夫君 時間がありませんので、実は私のところに各省庁の御報告をいただきました。いろいろ御調査願って各省庁からいただいたものがあるわけですが、中身は申し上げることをやめます。ですから、この種問題は単に林野庁だけでないわけで、各省にあるわけで、会計検査院としてはこれはずっとこれから調査をし、それに不当な事項があればさらに不当事項として公にしてそうして明らかにすると、こういうことに、これから残余の問題についてどのようにお使いになるか、お伺いしたいと思うんですが。
#23
○説明員(東島駿治君) 林野庁関係につきましては、先ほど私どもの局長が御説明いたしましたように、五十二年度の決算検査に関連があるということで調査をし、検査報告に掲記したわけでございますが、たまたま同時に新聞発表になりました他省庁につきましては、五十三年度の経理ということでございますので、五十三年度決算検査に反映するようにただいま鋭意検査を実施中でございます。やがてこれが検査が終わりましたら何らかの処置をいたしたいと、このように考えております。
#24
○野口忠夫君 林野庁で不当事項として指摘されましたが、今後出てくる問題もやはり不当事項として御指摘になられてこれを公にするということでございますね。
#25
○説明員(東島駿治君) お答えいたします。
 他の省庁におきましても恐らく同じような事例が見受けられると思いますし、その中のこの種事件につきまして、特に国会に報告するにふさわしい問題が多分出てくると思いますが、そのようなときには検査報告に掲記したいと、このように思っております。
#26
○野口忠夫君 内閣官房長官にお伺いしたいと思いますが、この問題が予算委員会で摘出されましたときに、前総理大臣の福田さんは、全く初耳でびっくりしたと、これは許すべからざることであると、「何とか相談をいたしまして厳重に対処いたします」、こういう答弁がこの前の予算委員会でなされているわけでありますが、官房長官は内閣の大番頭であろうと私は思いますので、この種問題について、この前総理の発言を受けて官房長官として何らかの対策をいままでとられてきたと思うんですけれども、どんなことをなすってきたか、お伺いしたいと思います。
#27
○国務大臣(田中六助君) まあ政府といたしましては、この種の問題は、政府の継続性からももちろん前福田総理の意向を私どもも受け継いでおりますし、こういう官庁の綱紀の粛正、そういうものについては私ども精いっぱい努めてまいっております。これからも関係者の自覚と反省を促して、今後とも前福田総理の意向をそのまま受け継ぎまして、この種事件の発生については十分対処してまいりたいと考えております。
#28
○野口忠夫君 これからというようなお話だけのようでございますけれども、私もどこに一体お聞きしていいかちょっとわからなかったんですよ、これね。関係各省はみんなその中に含まれる、まあ言えば不当な支出を行った立場にあるわけです。その関係各省だけの問題として扱っていくだけでは、基本的な、国民の信頼を取り戻そうとするような政治の姿勢を改めるという基本の課題にはならないわけで、やっぱり前総理発言に従って、官房長官の方から総理に助言するなり何らの調査をするなり、なかなかこの問題の奥底にあるものは根が深い。単に暴力団の悪さというだけではなしに、日本の行政機構の中にあるいろいろな汚職、腐敗、癒着というような問題がこの際国民に信を問う意味では改められなけりゃならぬと総理も言っている。いまの内閣はそれを一つの看板にして国民の前に立っている。そういうようなことを言葉の上で言われながら、実態として一体改めるための努力がどんなになされてきたかについてはいささか疑問なしとしないわけであります。
 大分、選挙も近い今日の状態の中で、国民をだましていくことはもうできない時代に来ているんじゃなかろうか。国民が信頼するのは、具体的な事実の前に立ってのみ信頼するんではなかろうかとわれわれとしてはそう思わざるを得ないわけであります。暴力団という売る者の立場だけ、これは警察当局が十分やってきて、いまは公判にかけてこれやっているが、これを受け取る側の方にある行政的な姿勢の正しさというものは、これはもう本当に内閣を挙げて取り組むべき問題ではなかったかと思うんですけれども、何となくしり切れトンボになって、会計検査院の不当事項の報告くらいで終わってしまうだけで、何ら内閣の姿勢の中に、こういう問題はなくさなくちゃいかぬと、政治家は国民の信頼を取り戻すためにがんばらなくちゃいかぬというような問題がどうも見られないように思われてならないわけであります。
 予算執行の権限は行政官が持つわけであります。予算に計上された行政経費というのは、憲法に規定され、国法によって国民が義務として納入している苦しい生活の中から出血する血税であります。その血税が、暴力に屈して、不当な圧力に屈して、そうして一公務員の恣意によって自由にそれが使われるような、こういうことが今日の行政官の中にあるということがこの問題で明らかになっているとすれば、私はどうもこれは放置しておくことのできない決算上の問題であろうというふうに考えられるわけでございます。
 先ほど、これから検討してということでございますから、御検討いただくのは結構でございますが、もう昨年これはやっているにもかかわらず、何らどうもやるところがない。こういう面については、今日の政治不信の根源をなす行政の姿勢を正すとか、言葉どおりこれに真剣に取り組んで、やはりこの種の問題がなくなるようにしない限り、日本の政治に対する国民の不信はなくならないし、不信がなくならなければ世の中の混乱というものはますます助長されるであろうと憂慮されるわけでございます。ひとつ、本腰を入れてこの問題に対して――官房長官に私文句を言っていいのかどうか。これは大蔵省にでも言うのか、どこに言っていいのかわからぬのですよ。きょうは、みんな各省全部来てもらって、各省大臣全部頭を並べてもらってお聞きしたがったんです。何を、言葉だけうまいことを言っておっても、実態としては本当に血の出るような血税が公務員の恣意によって動かされるなんというようなことを許すわけにいかぬのだ、これは。そういう意味で、私は、時間もないからみんな呼ぶわけにはいきませんでしたので、あなたは内閣の大番頭なんだから、ひとつ閣議等に発言なされまして、日本の暴力団の壊滅とか、行政の姿勢を正すとかという意味での御発言を十分願って、心を込めてやってもらいたいと、そのお気持ちをお聞きして私の質問を終わりたいと思うんですが。
#29
○国務大臣(田中六助君) 野口委員御指摘のように、政府としては、予算の執行、そういうことは十分配慮しなければならないことでございますし、改めて申すことはないと思いますが、私ども心を正して、綱紀の粛正という実効性につきまして十分配慮して今後ともまいりたいということをお約束申し上げたいと思います。
#30
○野口忠夫君 終わります。
#31
○佐藤三吾君 まず沖繩開発庁、警察にお聞きしたいと思うんですが、沖繩県の戦後の最終処理と言われました七・三〇交通変更につきまして、ちょうどもう八カ月近くなるわけです。この間の交通変更に伴う事故の概況なり安全対策、これはもう幾つか、交通安全対策特別委員会なり本院の中で約束されたり、稻村前長官が現地へ行って約束した事項がございますが、こういった問題がどの程度進捗しておるのか、それから交通変更に伴う損害補償、これがどういうふうにやられておるのかをまずお聞きしたいと思います。
#32
○国務大臣(三原朝雄君) 御指摘の七・三〇と申しますか、沖繩県におきまする交通方法の変更に伴います、それに対する対処、また沖繩において前稻村長官が御発言を申し上げて、いろいろ意見の交換をしたこともあるわけでございます。そういうものを含めて、その後の実施をいたしておりまする経過を申し上げてみたいと思いますが、第一には、いま申されました病院とか交通公園あるいは交通管制センターでございまするとか、安全運転学校等を含めての特別事業でございますが、この点につきましては、沖繩県の交通方法の変更に伴い県民がこうむっておりまする有形無形の損失に対しての代償の趣旨でいわゆる特別事業をやろうということで意見をまとめてまいったわけでございまするが、来年度の予算から実施いたしたいというところで、六十億の当時申し上げました約束の中で、十二億五千万の予算を計上いたしまして、いま申し上げました内容について県側と十分連絡をしながらその実施に取り組んでおるという現況でございます。
 次には個別対策でございますが、これは前長官がケース・バイ・ケースで十分ひとつ検討さしてくださいということを発言をしておるわけでございますが、この点につきましては、個別事業の転換でございまするとか、あるいは店舗の移転等を希望される方々に対しましては、長期低利の特別融資制度をつくって、積極的にこれを活用願うということで取り組んでまいっておるところでございます。
 次に、お約束をいたしました中に道路関係があるわけでございます。この点につきまして、第一に沖繩自動車道の南部延伸につきましては、沖繩県から強い要望がございましたし、政府といたしましても強力に推進してまいりました結果、地元の町村とも話し合いがつきまして、昨年の秋、国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経まして、本年三月、建設大臣から工事施行の命令を受けておるわけでございまして、現在におきましては、日本道路公団がこの命令を受けて関連予算を計上して、これが実施にかかっておるという現況でございます。
 次に、道路関係で三交差点の整備についてお約束をしたわけございまするが、その一つの安謝交差点につきましては、現在計画の調査を進めてまいっておる段階でございます。
 次には、山下垣花交差点につきましては、一部用地をもう買収をいたしまして、今後の工事推進に努力を続けておるわけでございますが、次の古波蔵交差点につきましては、これは工事の主体は県でやっていただいておるわけでございまするが、これはすでに工事にかかっておりまして、五十四年度内には完成をする見通しでおるわけでございます。
 大体以上が現地で前長官が発言し、またいろいろな機会で御相談を進めました問題の内容でございまするので、その経過を御報告申し上げました。
#33
○佐藤三吾君 警察庁。
#34
○政府委員(杉原正君) 七・三〇の交通方法変更以後の状況の中で、交通事故の発生状況でございますが、これをたまたま対比しますために、昨年の八月からことしの二月までと一昨年の八月から去年の二月まで、時期の、シーズンもございますので、これで対比をいたしてみますと、七・三〇以後とそれ以前の対比で、交通事故の発生件数が八百五十三件、これは対前年比でマイナス百九十二件、パーセントにいたしまして一八・四%減っております。
 交通事故によります死者の数は、八月からことしの二月まで四十人でございまして、マイナス九人、一八・四%になっております。
 けが人でありますが、これは七・三〇実施後二月までで千十三人、マイナス二百三十九人、一九・一%。いずれも約二〇%に近い減少になっております。
#35
○佐藤三吾君 いま三原長官から七・三〇の状況を御報告いただいたんですが、長官は就任後現地へ行きましたか。
#36
○国務大臣(三原朝雄君) 非常に短い滞在時間でございましたが、参りました。
#37
○佐藤三吾君 私の調査では、この変更に伴って転職をしたり、それから廃業しなきゃならぬという、こういう業者の皆さんが百十七件から百三十件ある。これは、私は昨年は交通安全対策特別委員会の方におったんですが、その際に、七・三〇の実施に当たって、これはわが党の安恒議員が質問をしたんですが、たとえば交通変更に伴いまして、そのために損害を受ける業者が出てきたり、店が出てきたり、家屋が出てきたり、こういった問題については、このこと自体が、まあ言うなら沖繩県が求めてやるわけじゃなくて、国自体が責任でやる事項ですから、それに伴う補償については内閣の責任でもって全額補償をやるのかやらぬのかと、こういう追及をした際に、これらの調査は国の責任でやるかと、やったものについてはひとつ国が責任を持つかと、こういう指摘をしたことがあるんです。これは議事録を見ていただければわかると思いますが、それに対して稻村長官は、国の責任で調査をし、そして国の責任で、ケース・バイ・ケースもあるけれども、実施をしたいと、こういう回答をしておったんです。
 ところが、いよいよ調査の段階になりますと、総理府はこれを拒否しましたですね。転廃業の実態調査を拒否しました。そしてやむなく県が主体でやった。その数がいま申し上げた百十七から百三十件が出されておる。どうしてこれは拒否したのか。同時に、百三十件近く出ておる内容を見ると、いま長官の答弁では、長期低利の特別融資という措置しかいま言っていないですね。これらに対する補償というのはそういうもので片づく問題じゃない。そういうケースもあると思うんですね。完全にそれを補償するという前提で七・三〇を実施したわけだから、当然それは責任ある措置をとらなきゃならぬと思うんですが、その点について県の要請にどうこたえようとしておるのか、この点についてひとつ長官の方から答弁いただきたいと思います。
#38
○政府委員(三島孟君) 政府といたしましては、いま先生御指摘の問題につきましては、七・三〇実施後も政府の交通方法変更対策本部も現地の体制もそのまま残して、できるだけ実態把握に努めてその処置に当たると、こういうふうにお話し申し上げておる次第でございます。その実態把握につきましては、私ども一般的な調査はしておりませんけれども、県を通じて、あるいはそれぞれ個別に御相談のあったものにつきましては、いろいろ事情をお聞きするなりあるいは現地調査等をいたしまして実態把握に努めました上、それぞれ適当な措置を講じてきておると、こういうことでございます。
 それから、政府といたしましての基本的な考え方は、先ほど長官からお話ございましたように、県民のこうむります有形無形の損失に対する代償という趣旨での特別事業につきましては、先ほど申し上げましたように、五十四年度十二億五千万の予算措置をお願いしておるわけでございますし、また個別に事業の転換なりあるいは移転を希望する方に対しましては特別融資制度の道を開いたと。そのほかまたいろいろ御要望のございましたものにつきましては、それぞれ検討さしていただきまして必要な措置をとらしていただく、こういう方針で臨んできておるわけでございます。
#39
○佐藤三吾君 長官。
#40
○国務大臣(三原朝雄君) いま私は一般的なお答えをした感が――私自身もいま具体的な個々のケースについて御指摘がありましたので、御指摘のとおりだと思うわけでございます。そこで、私もこの点については長期低利の融資制度を新たにつくることによってすべてがそれで解決するのかどうかという問題と、それからいま百三十件近いという御指摘でございましたが、そういう個々の問題はそれで解決できないということを現地で聞いたが、この問題はどうなっておるのかということを私も実は関係部局に照会をいたしたところでございます。現在のところでは、いま申し上げましたように、長期低利の融資、それで足らない分は枠の拡大までして対処いたしたいと考えて、それで賄えるものと考えておりますということでございましたが、しかし、いま御指摘のように、問題はやはり残っておるという事態は、私が現地に行ったときもその問題がありましたので、その点については個々にもう少し掘り下げて検討を進めてほしいということをいま要請をいたしておるところでございます。
#41
○佐藤三吾君 三島さんと言ったですかね、あなたの答弁は全然答えていないんだね。私が言ったのは、総理府は、長官が委員会の中で、責任を持って調査をして、そうしてそれに対する補償は国の責任でやりますと、こういう回答をしておるわけですね、内閣として。その問題について、当然これはあなたの方の総理府の方で調査をしなきゃならぬ。ところが、それは拒否している、前例がないと。第一、七・三〇なんて前例があるはずがないじゃないですか。そうでしょう。それを前例がないということで拒否している。そして、やむなく県は相当な調査費を使って調査をせざるを得なかった。その調査の結果については、いまあなたの言う答弁を聞いてみると、実態に即してと。具体的に県から要請が何件あって、この何件についてはどういう処理をするのか、そこを私は聞きよるわけです。同時にまた、調査になぜ前例がないと――前例があるはずがないじゃないか。そういうことで拒否したのか。そこを聞きよるわけです。そこをきちっとしてください。
#42
○政府委員(三島孟君) 政府といたしましては実態把握に努めるということを申し上げてきておるわけでございます。実態把握に努めた上、それぞれいろいろな御要望があった問題につきましては、それぞれのケースに応じてその措置を検討すると。私どもなぜ実情調査をしないかということにつきましては、実はこの問題につきましては、前々から県の方からも、またいろいろな方からも御要望がございましたけれども、なかなか直接補償するということはむずかしゅうございますので、直接補償を前提とした調査はいたしませんけれども、できるだけ実態把握に努めてその措置を検討さしていただくということを申し上げておる次第でございます。また、いま県の方で独自に実情調査をおやりになっておられるようでございますけれども、いずれまたまとまり次第国の方にも上がってこようと思いますので、その段階でその実情調査の結果につきましてはまた御検討さしていただくと、こういう方針でございます。
#43
○佐藤三吾君 どうもあなたの答弁を聞いておると、何か能面をかぶったような答弁をするんだけれどもね。あの七・三〇ということは異例な事態だから、沖繩では大変反対しておったんですよ。そうでしょう。その前の、いわゆる七・三〇の前の国会における稻村長官の答弁としては、何とか七・三〇を成功さしたい、そういう気持ちもあったでしょう。だから、それに伴う補償については責任を持って国の方で調査をし、実施をしますと、こう約束したんです、沖繩の現地に対しても。いま三原長官の話でもそうでしょう。その後に三原長官が行って、やはりこの問題について相当陳情を受けておるはずです。そうでしょう。だから、これは何とかしなきゃならぬということで事務当局にその調査をさしておると、こういっておるわけでしょう。
 ですから、こういう問題について私はまず第一に、国会なり国民に対して内閣が責任を持って言ったことについては、事務当局は勝手な判断ですりかえるんじゃなくて、まともに答えなきゃならぬと思うんですよ。その姿勢がないじゃないか。もっと言うと、七・三〇を成功させるために沖繩県民を一時的にだましたにすぎないじゃないですか、やることは。そんなことが不信になっていろいろと反対闘争なり、その他の問題が起こっておるわけでしょうが。そういう姿勢はひとつぜひ改めていただきたいと思います。
 これはひとつ長官、もうすでにこういう事態が起こっておるわけですからね。この問題について県の方から出されておる内容については、長官の責任で納得する、納得できる解決をする、この確認ができますか。
#44
○国務大臣(三原朝雄君) いま執行部、おしかりを受けておりますが、これは私がやはり責任はとらねばならぬことだと考えているわけでございますが、いま担当者が申し上げておりますように、これは初めての全県挙げての出来事と私は思うわけでございます。この有形無形の過重な負担に対しましての処置は、全県下に対する処置もいたしておるという気持ちもこの担当者においてはあろうと思いまするが、しかし、私はやはりいま御指摘の個々の事態、この補償と申しまするか、そういう趣旨の対処というようなものが、現地に参りますと融資制度だけではどうも解決しませんということ、解決をしていないなあということを現地で受けとめておるわけでございます。それには、いまの、いままでの総理府の方針としては、大体長期の低利融資でそれの拡大をしてやるというようなことで賄えるものだと判断をしておるようでございますから、どうもそれだけでは現地は解決をしてないぞと。そこで、まあ現地におります出先の私どもの機関とともに、県当局とのそういう問題点の話し合いをして、今後の対処をひとつ合意のできる線で対処をせなければならないという私は考えでおるわけでございまするので、そういう点について、まずは現地での話し合い、それを受けて対処してまいりたい、そういう責任を持って遂行いたしたいと考えております。
#45
○佐藤三吾君 いま長官の答弁で私も納得する点があるんですが、もう一つ念を押しておきたいと思いますのは、いわゆる長官のその姿勢と――これは内閣の姿勢でもあろうと思うんですが、事務当局の姿勢というのが基本的にずれがある。ですから、私はあえて念を押しておきたいと思うんですが、現地で納得するような解決の方法、その方法の中には、たとえば長期融資の問題もあるでしょう。しかし同時に、直接補償という問題がある。こういった問題も含めて、納得できるような方法で解決したいと、こう私は受け取りたいんですが、それが一つ。この問題は御存じのとおりに、稻村長官も七・三〇を実施するに当たって再々言明しておりますし、まさに戦後処理の一環として対処したいと。だから本土全体に前例があるとかいうことはもうあり得るはずがないんですし、ですから、本土の基準で比較検討するという問題ではなくて、沖繩のあの戦後処理という一環としてこの問題を解決する、この姿勢とあわせて、いま長官の言った発言を確認しておきたいと思いますが、そういうことでよろしいですか。
#46
○国務大臣(三原朝雄君) 私は一般的な責任としてはいま言われたことは理解できるわけでございますが、ただ、制度的に見て、補償行為かどうかというようなことになりますとなかなか問題があろうと思います。したがって、そういう何か代償的なものとして、これは処置せなければならぬなあと。それが法に示す補償というようなことにはならぬかもしれません。が、しかし、その精神的なものは、戦後処理という沖繩が受けました大変な御苦労に対して、こういう問題をあわせて考えなければならないことである。そういう他の出来事と違うと、沖繩県という特殊な事情下にある問題であるという受けとめ方はいたしてまいらねばならぬ、そう考えておるところでございます。
#47
○佐藤三吾君 わかりました。ぜひそういう姿勢で対処していただきたいということを、私もこの際ひとつ要請しておきたいと思います。
 そこで、先ほど長官の御答弁のありました特別事業ですが、これは今年度十二億五千万で、四年間計画で完全にやると、こういうお話があったと思うんですが、これは当初稻村長官は、三年間でやるとたしか私どもに約束をしたことだと思うんですね。どうしてこれが四年間になったのかが一つと、この四年間という期間は、これ以上、また来年になったらこれが六年間になるとか、そういうことはないということについて確認できるかどうか、長官いかがですか。
#48
○政府委員(三島孟君) 特別事業につきましては、一応当初は三年計画でその実施を図ろうという考え方でございましたけれども、その後、実は特別事業につきましては一応六十億の範囲内で三年間で実施を図ろうという考え方でございましたけれども、もともと特別事業につきましては、当初県から出ておりましたのは、病院とか交通管制センターとかそれから交通公園でございましたけれども、もう一度県の方で計画を練り直すと。その事業内容につきましては県の方に一応お任せして、もう一度再検討していただいて、国の方にもひとつ御相談していただこうと、こういうことになっておるわけでございます。そうした県の方でもう一度事業計画を練り直すと、こういう事情やら、財政全般の事情を勘案しまして、四年の範囲内でひとつ実現を図ろうと、こういうことになっておるわけでございます。それで、それぞれの毎年度の事業計画につきましては、県の方から御相談があった段階でひとつ御一緒に検討して進めてまいろうと、こういう考え方でございます。
#49
○佐藤三吾君 そうすれば、国の責任では三年でやる予定だったけれども、県の方の都合で四年になったと、こう受けとめていいですね。同時に、これはいつそういう――まああすこは知事選がございましたからね、その前なのか後なのか、その変更の問題についてお聞きしたい。
#50
○政府委員(三島孟君) まあ県の方の都合だけではございません。県の方の御検討の状況等も勘案しまして、またそれぞれ私ども予算折衝でいろいろ御相談申し上げた上そういうことにしたわけでございますけれども、予算要求の段階で、一応その四年間で実現を図ろうと、こういうことになったわけでございます。
#51
○佐藤三吾君 どうもわからぬね。県の都合だとさっき言いながら、今度は県の都合だけでもないと。
 これは三原長官、もういろいろ言っても時間がございませんが、この問題については今度は四年間で確実にやるんですね。
#52
○国務大臣(三原朝雄君) この概算要求を受けて、私は最後の予算折衝の際に、いまの問題を現在の新しい県の執行部の方々もお見えになって種々折衝をし、大蔵折衝をいたした経過もございます。したがって、いまの一つの目標といたしましては、三年という一つの目安でおりましたけれども、四年にしていこうということをお互い話し合いの上でしたことを、私自身が立ち会っておりますので承知をいたしておりますので、これをまたずるずるずらしていくというようなことは慎んでいかねばならぬ、大体四年をめどに完成をいたさねばならぬという考えでおるわけでございます。
#53
○佐藤三吾君 それではつぶれ地問題でちょっと二、三お聞きしたいと思います。
 一昨年以来私この問題を取り上げてきておるのですが、大体いままでの状況を見ると、国と県道については大体一〇〇%国庫負担という方向が進められておるようですが、これは五十七年までに解決するという約束は確実に守られますかどうかということが一つ。その後の状況についてどうなっておるか、この点もひとつあわせてお聞きしたいと思います。
 それからもう一つ問題になっておるのは、いま、市町村道だと思うんです。これは当時の調査では約八百億程度の予算がかかるということだと思うんですが、一体この結果どういう状態になっておるのか。これは開発庁ですか、おりますか。お願いします。
#54
○政府委員(美野輪俊三君) お答えいたします。
 ただいまの御質問は二点ございまして、一点は国県道の進行の状況、それからもう一つは市町村道の問題、こういうことであろうかと思いますが、まず、国県道の未買収道路用地の買収につきましては、先生御承知のように、復帰後の地価の高騰というようなことがありまして、若干当初の計画よりもおくれを来しておりますが、ただ、昭和五十三年度から始まりました第八次道路整備五カ年計画、この計画の期間内におきましては、私どもこの国県道のつぶれ地買収を概成させたいと、こういうことで努力をいたしておるところでございまして、来年度予算におきましても、国県道のつぶれ地買収の経費といたしまして二百四十億ほどの予算を計上をいたしておるところでございます。これによりまして、本年度末には面積で約二分の一弱、金額では約三分の一まで五十四年度末にはこれを達成させたいと。また先ほど申しましたように、第八次五カ年計画期間内には一〇〇%ということにはこれはなかなかまいらない話だと思います。権利者との調整等々の問題もございます。そういったことで、一〇〇%とはまいらないと考えておりますが、しかし、これをおおむね完了させるということで現在進めておるところでございます。
 それから次に、お尋ねの一般市町村道のつぶれ地の問題でございますが、これは先生も御案内のように、四十七年以降その実態の調査を進めてまいってきたわけでございます。これは本年度、五十三年度におきましてこの調査を完了するという予定になっております。このため、昭和五十四年度からは、この市町村道の一般つぶれ地の買収に一部着手しようと、こういう考え方で来年度の予算には国費で十億円を計上をいたしております。基本的な考え方といたしましては、この実施に当たって現行の諸制度を活用していくと。そういう基本的な考え方のもとに、幹線市町村道のつぶれ地につきまして、これを補助率を十分の八で補助するという考え方でございます。
 なおこの場合、市町村の財政負担が過重にならないように、現行の市町村道の見直しによりまして、これは適格なものにつきましてはこれを県道に格上げをする。これを県道にいたしますと、この際の補助率十分の十ということになりますので、問題を軽減させる、あるいは補助対象となります幹線市町村道への格上げを検討する。あるいはその裏負担の問題等につきまして、できるだけ市町村の財政が過重とならないように関係省とも現在協議をしておるというのが現在の状況でございます。
#55
○佐藤三吾君 大体国県道については五十七年までに完了する。一〇〇%いかないにしてもほぼ完了する、国の負担でですね。それは確認できました。
 問題は、市町村道のつぶれ地については、たしか県の調査では四百六十万平方メートルだと思うんですが、このうち一級道、二級道の幹線道路については、いまあなたの答弁で県道に格上げすると、こういうふうに受け取っていいんですか。たとえば一、二級地というのは、県の調査によると約百九十万平方メートルになりますが、これについては県道に格を上げて十分の十でやるんだと。そうしてその残りの中で、残った約二百六十万平方メートルの面積については、これはその中からまたさらに幹線道路の部分については、幹線道路の部分とその他と区分けをして、これについてはいまあなたの答弁では十分の八を基本に置きながら、裏負担については国の各省と連絡をとって、市町村に負担のかからないようにしたい、ということは全額負担をするということだと思うんですが、そういうふうに受け取っていいんですか。
#56
○政府委員(美野輪俊三君) お答えいたします。
 ただいまの御質問の一点は、現在の一、二級道路全部が県道に格上げされるかと、こういう御質問でございますが、これらは私どもそのように考えておりません。県道につきましては、御承知のように県道につきましての基準が定められてございまして、この基準に適合するものにつきましては、これをできるだけ県道に格上げをするということで多少とも市町村の負担を、地元の負担を少なくしていこうと、こういう考え方でございまして、それがどの程度に適格であるかというような点につきましては、県の調査あるいは関係省との協議、これを現在行っておる段階でございます。それから、その他の残ります市町村道につきまして、現在これらの市町村道の見直しを全面的に行っております。そういうことの中で、やはり適格なものについては、これを一、二級市町村道にしていくということで十分の八の補助対象道路となると、こういうことでございます。
 ただ、現在のところ、先ほどもちょっと申し上げましたように、その市町村道の見直しの作業が若干おくれておりまして、県を督励をいたしておるところでございますが、県並びに関係省と協議を鋭意行っておるところでございまして、その余の扱いにつきましては、そういった基礎データ、基礎的な資料をもとにいたしまして関係省と今後鋭意協議をしていきたい、こういうことでございます。
#57
○佐藤三吾君 いまあなたのおっしゃったいわゆる一、二級地の県道に格上げのいわゆる県道基準というものに基づいてやるということですが、その基準の内容は一体どういうことなのか。もしそういうことになれば、いま県が調査して出しておる約百九十万の中でどの程度が、何%がその基準に合致するのか。それともう一つは、一体何年計画でやろうとしておるのか、市町村道のつぶれ地解消の問題は。さらに市町村道の中で、一、二級地、いわゆる残された一、二級地を県道に格上げして残された市町村道の中で何%程度を幹線道路という基準に合致するというふうに考えておるのか。この点はひとつもう一遍聞かしていただきたいんです。
#58
○政府委員(美野輪俊三君) ただいまの県道への基準でございますが、これにつきましては道路法第七条の中に基準が規定されておるわけでございまして、これによりまして適格なものを昇格をさせていくと、こういう考え方で進めておるわけでございます。
 どの程度上がるのかと、こういうお尋ねでございますが、先ほども申しましたように、なかなか各路線につきましてこれを一々検討していかなきゃならぬというような、事務的にかなりの問題がございます。そういったことで、現在鋭意県を督励いたしまして、また関係省とも協議をしておるという段階でございまして、ただいまのところ、どの程度県道に格上げできるかということにつきましてお答えできる状況にないわけでございまして、その点御了承いただきたいと思います。
 それから、市町村道のうちで、その他道路のうち幹線道路になるものはどのくらいあるのかという同様のお尋ねでございますが、これにつきましても、同様に全体的に沖繩の幹線道路網の見直しを行っておるという状況でございまして、私どもといたしましては今後の問題の検討の基礎的なデータになるということでもございますので、できるだけ早急にこの作業を進めたいというふうに思っておりますが、まだその結論が出ておらないという段階にございます。
#59
○佐藤三吾君 私がこの問題をなぜしつこく聞くかというと、これはまさに沖繩の特殊的な事象ですね。いわゆる戦争中と戦後、本人たちと関係なしに、軍の命令もしくは占領政策、こういうことで一方的に取り上げられて、そして、しかも国道、県道については直ちに復帰後その補償措置がとられてきておる。しかし、市町村道についていまお聞きのとおりにまさに戦後三十年間放置されてきた。土地所有者から見ますと、自分の土地が道路に使われて一銭も役立たぬと、こういう状態の中で三十年間放置されてきておる。ですから、そういった状態を何とかしてなくさにゃいかぬということでこの問題をずっと取り上げてきておるんです。だから、私はやっぱりこれが終わらないと沖繩は戦後が終わらないと言ってもいいんです。過言ではないんです。ですから、そういうような問題だけに、やはり長期の期間をかけるんではなくて、できるだけ予算をつぎ込んで短期に問題を解決するという方法をとらなきゃならぬと私は思うんですね。
 もう一つの問題は、いま市町村道全体を見ますと、金額にしますと約九百億近い額になりますね。これは土地ですからどんどん値上がりしてきますわね。そういう性格を帯びておるわけですから、その裏負担、たとえば二割としても、沖繩の市町村はほとんどパンクします。再建団体に転落する。だから沖繩の市町村としては二割の負担はできっこないんです、初めから、この問題は。同時に、二割の負担をしなきゃならないような性格のものでもないんです、これはさっき言った戦後処理の問題としても。そういう意味から見れば、あなたがおっしゃるこの十分の八というのは、まあこれは一つの建設省が持っておる基準の中でやられておることだと思うんですが、そういう基準を度外視して処理しなきゃならぬ問題だということで、この国会の中でもずいぶんこれは追及されてきた。そしてまた政府もそのことにこたえようという努力をしてきておる性格のものですよ。ですから、そういう問題であるだけに私はしつこく追及しておるわけですが、いまあなたがおっしゃった、何かもやもやという、十分の二については関係各省と協議するというような言い方をしておりますが、これは、関係各省というのはどこの省ですか。そしてどういう内容でこれを裏負担を保証しようという考えを持っておるのか、それひとついかがです。
#60
○政府委員(美野輪俊三君) 私ども、先ほど申し上げましたとおり、やはり相当の市町村地元負担が生ずるということは、一つの大きな問題として考えておるわけでございまして、そういったこともございまして、一つには、適格のものにつきましてはこれをできるだけ県道に上げる、あるいは市町村道のうちできるだけ補助対象となるものを拡大するという考え方、さらにただいまの十分の二の裏負担、こういったものを私どもとしてはいろいろ考えておる、問題意識として持っておるわけでございます。
 そういったことで、関係省とは具体的にどういうところかということでございますが、これは建設省あるいは自治省等々と協議をしておりますし、また今後とも協議を進めてまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
#61
○佐藤三吾君 建設省、自治省はいかがですか。
#62
○政府委員(山根孟君) 御指摘の市町村道のつぶれ地問題でございますが、幹線市町村道につきましては二つに大きく分かれるわけでございます。幹線市町村道が位置境界が不明な地域に存するものとそうでないものがあるわけでありますが、位置境界が不明な地域については、建設大臣が沖繩開発庁長官と協議をして指定をする路線を対象といたしまして、補助率が十分の八でございます。なお、この特別な措置を講ずる必要があると認められるときは、補助金を交付をいたしました翌年度に予算の範囲内におきまして交付金を交付する、つまり十分の二の範囲内で交付金を交付する、こういう考え方にいたしておるわけでございます。
 その他の一般地域については、幹線市町村道を対象として補助率を十分の八ということにいたしております。道路行政の範囲としましてはこれで対処してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#63
○政府委員(石原信雄君) 沖繩の市町村道のつぶれ地の問題につきましては、私どもは、基本的にはこれは一種の戦後処理の問題として市町村の負担が極力軽減されるべきであると、このように考えております。
 ただいま道路局長からも説明がございましたように、このうち位置境界不明地域内の幹線市町道につきましては、十分の八の国庫負担のほかに、十分の二の部分につきましても別途交付金が支出されまして、実質的に財政負担はないという形で処理されるわけでありますが、幹線市町村道以外の市町村道についてはそのような特例はございません。
 また、位置境界不明地域外の市町村道につきましては、幹線市町村道の場合には十分の八の国庫負担がありますが、その十分の二の負担については、現在の制度では交付金の交付ということは予定されておりません。
 また、幹線市町村道以外の市町村道の場合には、現行制度では全額市町村の負担になる、こういう状況になっております。私どもといたしましては、市町村の財政負担が極力軽減されるように制度が組み立てられるべきであると、このように考え、また関係省庁にもお願いしておるわけでありますが、現在の補助体系等の制約からただいまのような形に落ちついているわけであります。
 そこで、この現行制度のもとで生じます市町村の財政負担につきましては、この各団体に年次別にどういう形でこれが出てくるのかによって対応の仕方が変わってくると思います。特定の団体に非常に財政負担が集中するということでありますれば、これにつきましては、当然まず第一次的に地方債の発行を認めてもらう。さらに、その償還費の負担がその団体の財政運営に大きな圧迫要因になるということでありますれば、交付税の算定の段階でこの扱いを考えていかなきゃいけない、このように考えております。
 いずれにいたしましても、私どもは、このような現行制度の中で可能な限り、市町村道のつぶれ地の取得に要する経費が国庫負担対象になり得るように関係省庁において御配慮をいただきたい、このように考えております。
#64
○佐藤三吾君 石原審議官、いまあなたがおっしゃった中で、道路局長の回答などから見て、大体いま県が出しておる要求額と対比しまして、いわゆる自治体負担になる額は大体どの程度を算定しているのか、言ってくれませんか。
#65
○政府委員(石原信雄君) 現在の制度といたしまして、位置境界不明地域内の場合には、一級、二級市町村道、幹線市町村道になれば実質的に財政負担はないわけでありますから問題ないわけですが、その他の市町村については全部市町村の負担になる。
 それから位置境界不明地域外の場合には、幹線市町村道について十分の八の国庫負担でありますから、十分の二の地方負担は制度上やむを得ない。
 それから、その他の市町村道については、現在まだ扱いが決まっておりませんが、制度的には市町村の負担というたてまえになっております。したがいまして、私どもはいまの負担が決まっております十分の八の国庫負担、十分の二の地方負担、これは現行の制度の制約の中ではやむを得ない、このように考えております。
#66
○佐藤三吾君 いや、私は、県が出しておる要求の額から見てどの程度になるかを聞いておるんです、いわゆる自治体負担は。
#67
○政府委員(石原信雄君) その金額的にトータルで市町村負担がどの程度になるかにつきましては、まだその総額をつまびらかにいたしておりません。
#68
○佐藤三吾君 道路局長、いまあなたがおっしゃった中で、境界不明地域の幹線については、これは十分の八の国庫負担、十分の二については翌年交付金で満配を見る。しかし、その他の地域の中ではいわゆる幹線道路については十分の八を見ると、十分の二は裏負担だと、これは自治体で負担してもらうしかない。しかし、それにもかからない市町村道については全額自治体負担だと。大体その比率というのはどの程度に見ていますか。
#69
○政府委員(山根孟君) お答えを申し上げます。
 幹線市町村道として現在調査が完了いたしておりますものは、先ほど先生が数字を挙げて申されましたように、百八十九万九千平方メートル、その他の市町村道は二百六十七万八千平方メートルということでございます。この幹線市町村道の百八十九万九千平方メートルのうち、講和条約発効前のつぶれ地面積が百七十四万八千平方メートルございます。このうち位置境界が不明な地域が十四万八千平方メートルという数字が調査の結果でございます。
#70
○佐藤三吾君 そうすると、あなたのさっき言った答弁を見ると、二百六十七万平方メートルの中で幹線部分については十分の二が自治体負担になると、こういうことですか。そうして幹線道路の百八十九万平方メートルの中で十四万平方メートルの部分が国庫全額負担で、残りは十分の二は自治体負担になると、こういうことですか。
#71
○政府委員(山根孟君) 仰せのとおりでございまして、なお詳しく申し上げますと、百七十四万八千平方メートルのうち位置境界不明地域十四万八千平方メートルが十分の二に対する交付を対象といたしておる面積でありまして、残余の百六十万平方メートルが地方に負担をいただく対象というぐあいに考えておるわけでございます。
#72
○佐藤三吾君 いまお聞きのとおりですがね、大臣。実際まだ最終的に出ていないようですけれども、しかし、幹線道路の百八十九万の中でいわゆる全額国が負担するというのは十四万平方メートルですね、裏負担十分の二の部分で。あとは裏負担十分の二はやってもらわなければ困るというのが建設省の見解。さらにその他の、それにかからない二百六十七万平方メートルの中は、これはその中からどの程度幹線部分に算定するか今後の問題でしょうが、恐らくいまの実態から見ればスズメの涙ほどじゃないかと思うんですけれどもね。その部分については、十分の八を国で負担するが十分の二は裏負担をしなけりゃならぬ。残りの部分については全額自治体負担、こういう考えが建設省の考えのようですね。大臣いかがですか。
#73
○政府委員(美野輪俊三君) 数字の関係でございますので、少し整理をして手元の資料で申し上げたいと思いますが、市町村道のつぶれ地、私どもで調査をいたしました五十二年度末までの状況でまいりますと、全体で市町村道つぶれ地四百五十七万平米ございます。そのうち講和発効後生じましたつぶれ地が約四十九万平米ございます。これは沖繩の特殊事情によりがたいということで対象外になるわけでございますが、対象内になります道路のうち、位置境界不明地域内にありますものが約四十三万平米、これは当時の公示価格、基準値の平均価格を使用して算定しますと約百五十五億ということになるわけでございます。それから位置境界不明地域外、一般つぶれ地、こう言っておるものでございますが、これが三百六十五万平米、金額にいたしまして六百六十六億ほどになるものと私ども推計をいたしてございます。
 まず位置境界不明地域内の幹線その他の割合でございますが、現在の調査の結果によりますと幹線一、二級が十五万平米、これが約四十九億、それからその他が二十七万九千平米、これが百七億、こういう形になってございます。それから位置境界不明地域外、これは幹線が百六十万平米、金額で三百十億。その他の市町村道が二百五万平米、三百五十六億、これが現在の状況でございます。
 ただ、先ほど来、結果的にどういう負担割合になるのかというようなお話がございましたが、これにつきましては、先ほど来申し上げますように、できるだけ地元の負担を軽くしよう、軽減を考えたい、こういうことで、このうち可能なものは県道に格上げをする、あるいは市町村道の幹線網の見直しをやりまして、一、二級を可能な範囲内でこれを広げていくというような形で、現在沖繩の市町村道全体につきまして、県を督励をいたしまして、また建設省とも協議をしながらその見直しをやっておるところでございます。したがいまして、最終的に国費による事業量がどのくらいになるか、あるいは地元の負担がどのくらいになるかということは、ただいまちょっと申し上げかねる状況にあるということを御理解をいただきたいと、このように思っております。
#74
○佐藤三吾君 いまあなたが挙げた数字だけを見ましても、その他の三百五十六億、それから百六十万平方メートルの三百十億の中の十分の二、さらにまた、境界不明地域の中で、いま建設省の答弁からくると十五万平方メートルしかできないと言っているわけですから、こっちの二十七万の部分の百七億というのは地元負担になる。概略しますと約五百億程度自治体が負担をしなければならぬという数字が出てきておるわけです。こういう、いま沖繩の自治体の財政実態の中で五百億自治体が負担するということになると、これはもうオール再建団体に転落しなければならぬ、それがいま沖繩の財政実態ですね。
 そこで、たとえば今度五十四年度予算で十億計上した。これは開発庁ですか、建設省ですか。十億計上した、五十四年度で。これは十億というのは、この予算総額、市町村道のつぶれ地の解消という総体から見ると一体何年計画を考えているのか、ぼくらこれもちょっと聞きたい点です。一体十億というのはどういう発想で計上したのか、とても気の遠くなるような話になるしかないんですが。しかし、この十億の中で二割の二億がいわゆる自治体負担にならなきゃならぬということで、これは沖繩でいま大変な問題になっている。とうとうこの三月議会では市町村は受け入れできないのです。議会で十分の二の予算は計上できない、こういう結論にいまなっておるわけです。そうすると、県の方は、それなら――いま西銘知事が言っておるのですが、これは、ここもちょっと聞きたいと思いますが、市町村が受け入れなければ県道のつぶれ地にこの十億を回したいと。そんなことができるのかどうか、ちょっと聞いておきたいと思うのですが、そういうことを言っておる。この点いかがですか。
#75
○政府委員(美野輪俊三君) まず、どのくらいの期間でこの問題を処理する考えかというお尋ねでございますが、先ほど来申し上げておりますように、まだ市町村道の見直しもできておらないというようなことで、全体の事業量がどのくらいになるかということもまだ正確には見当がつきかねる状況にあるわけでございます。私どもとしましては、沖繩のつぶれ地の問題、これはやはり早急に緊急に処理していかなければならぬ問題だという基本的な認識を持ってございますが、ただ、現実にこのつぶれ地を買収していくということになりますと、国県道の経験等にかんがみましても、また権利関係の調整等を考え、あるいは市町村における執行体制といったものも考えますと、現実にはかなりの長期間を覚悟しなければいかぬのではなかろうか。もちろん、私どもとしてはこれをできるだけ早急に処理したいという基本的な方針は今後ともとっていきたい、このように思っております。
 なお、この大きな金額の中での十億というのがどうなのかということでございますが、これはもちろん十億相当の金額を今後とも維持していくということではございませんで、私どもといたしましては、やはりこういう現実につぶれ地の買収に着手をする初年度として、制度としてこれを開いていきたいという考え方もございますし、また県からの要請をフルに生かしまして五十四年度予算には十億円の予算を計上をいたしておるわけでございます。
 それから、現在の地元の方の情勢でございますが、やはり市町村道の見直しがおくれておるというようなところからいろいろ検討すべき問題が現在残っておるということは先ほど来申し上げておるとおりでございまして、私どもとしてはその見直しを早急に進め、また関係省とも十分に協議をしてできるだけ早期に結論を出したい、このように考えております。
 また、新聞の報道等によりますと、県が県道のつぶれ地にこれを流用したいと、しなければならぬかというような記事も出ておるようでございますが、私どもといたしましては、やはりこの解決方式につきまして昨年来県市町村とも鋭意協議をしてまいりまして、基本的には地元の了承も得ておることでもございますので、もちろん予算に計上いたしました趣旨からいたしましても、これを市町村道のつぶれ地買収に充てていきたい、こういうことで今後とも臨んでいきたい、努力したいと、このように考えております。
#76
○佐藤三吾君 時間がありませんから長官にお聞きしますが、いま言ったような実情ですね。これはもう私が何回も言っておりますように、政府の答弁の中でも出ておりますが、言うなら、沖繩というつぶれ地の実態というのは、戦時中は軍の命令なり、戦後は占領下の一環としてやられた事項であって、この補償を本土の一つの基準に照らして云々という議論には私はならぬと思うのです。むしろ、やはり戦後処理の重大な問題であるし、私は沖繩の今日にとっては最大の問題じゃないかと思うのですね。そういう問題であるだけに、早急にこれは処理するということが第一。国道、県道についてはもうこれはすでにかかっておりますけれども、いま申し上げたように、市町村道はこれから始めるわけです、もう戦後三十数年たって。そういう問題ですから、これはもう早急に解決する。しかしそのためには、いま開発庁の方の答弁がございましたように、市町村の財政負担を伴うというところに長期の原因があるような言い方に聞こえました、私は。ですから、市町村の財政負担をなくしていく、国の責任でやる。大体国道、県道については国の責任で満額やる、市町村道についてはこれは国がなかなか責任持てないというやり方、この発想そのものに私は問題があると思うんです。戦後処理という観点に立つなら一緒なんです。この問題について長官の決意をお伺いしたいと思うんです。
#77
○国務大臣(三原朝雄君) この問題は、御承知のように、沖繩法案を御提案申し上げて御審議を願いました際に私は防衛庁長官をいたしておったわけでございまして、当時からこの問題がやはり一つの大きな問題でありましたし、私自身も、みずから非常な責任を感じてあの法案を通していただいた経過もあるわけでございます。したがいまして、未買収道路用地の処置につきましては、いま各関係省庁から御説明ございましたが、全貌として完全な把握がまだできておりませんし、また、いままでの経過等からこの際見直してひとつ整備をせなければならぬ。そのやはり基本的な精神は戦後処理の問題であり、沖繩の特殊事情、県民の立場からやはり問題の処理をするということが基本になくては私はなかなか結論が出まいと思います。しかし、国の財政事情等もありまするが、精神的にはそういう精神を踏まえて処置すべきものである、特に市町村、自治体の現況等を見てまいりますれば、一層私はその感を強くいたしますし、そういう精神をもって、しかも困難であるからいつまでかかるかわからぬというようなことであっては申しわけないと思いますので、そうした見直し、見通しを立てて、計画樹立ということまで持っていきまして、現地との合意を得るということを詰めてまいらなければならぬと思いますが、やはりある程度の目安を立てながらひとつ取り組んでいくという姿勢も必要であろう、そういうことを感じておるわけでございます。
 しかし、きわめて困難な問題であるということも予想いたしておりまするけれども、いま御指摘のように、ひとつのんべんだらりにならぬように、ある一つの目安を立てながら具体的にこの処理を可及的速やかにしてまいる、その原則にはやはり地元負担をどうして軽減をしていくかというところに配慮しながら処置してまいらねばならぬなあと、そういう決意でおるわけでございます。
#78
○佐藤三吾君 これは官房長官、内閣にかかわることでもあるし、あなたのひとつ意見もぜひ聞いておきたいと思うんですが、さっきの自治省答弁によると、どうしても制度上できない部分については交付税もしくは地方債ですか、こういった考え方もある、こういう言い方が出されましたが、しかし、問題はやっぱり私は建設省がどう決意するかということが基本でなければならぬし、開発庁はいま長官の発言のように、早急にひとつ責任を持って解決したいという発言もありました。で、問題は、これはそういう意味では各省にまたがる性格のものを持っておるだけに、官房長官としても、この問題に対して私見解を聞きたいと思うのは、一体この問題をどうとらえ、どう処理しようとするのか、その点についてあなたのひとつ見解を明らかにしていただきたいと思うんです。
#79
○国務大臣(田中六助君) この沖繩の未買収土地の処理問題でございますが、いま総務長官並びに事務当局が答えておりますように、非常に重大な問題でございます。したがって、私どもも強い関心を持っておりますが、今後とも現行制度の枠内で市町村、これらの負担を軽減することはどうしてもやらなくちゃいけませんので、現実的にこの問題に取り組むと同時に、この処置は多岐にわたっている、各官庁のいろんな部門にわたっておりますので、それを総合的にまとめて解決を図りたいというふうに考えております。
#80
○佐藤三吾君 あなた、いまの総務長官の発言を聞いてないな。現行制度の枠内でということになれば、さっき言ったようなことになるわけです。そうじゃなくて、戦後処理の一環としてこの問題はやはり解決していかなきゃならぬと、これが三原長官の言った答弁だったと思うんですが、その点に違いがあるんですか。
#81
○国務大臣(田中六助君) 戦後処理の枠内ということと現行制度の枠内ということが、あなたはこれはちぐはぐじゃないかという指摘でございますけれども、やはり戦後処理ということにつきましても法律がございますので、やはりこの枠内でという頭を置いておかなくちゃいかぬという考えからそういうことを申したわけでございます。
#82
○佐藤三吾君 次に進まなきゃならぬと思うんですが、時間的な制約がありますが、もう一遍ひとつ官房長官の見解を聞いておきたいと思うんです。この沖繩問題、このつぶれ地問題というのは、もう私が先ほどから何遍も言っているように、戦時中は軍の命令と戦後は占領政策の一環としてやられたことでしょう。しかも、この問題について、いまの各事務当局の答弁を聞けば五百億近い出費が必要になってくる、自治体負担が。それはとても自治体としては、いまの沖繩の財政現状から言ったら再建団体に全部なっちゃう。そんなことはできっこない。五十四年度のわずか十億の二割の計上についても市町村はそれは負担できないと、こういう実態にある。ですから、この問題についてはそういう地方自治体の現状から言っても、さらに歴史的な経過から言っても、現行制度のいろんな問題がありましょうけれども、それを乗り越えて国が責任を持って全額補償していく、この基本線を置いた上で解決するというのが私は総務長官の答弁だと思っているんです。官房長官、いかがですか。
#83
○国務大臣(田中六助君) 市町村の負担軽減をするということは、やはり政治としては考えなくちゃいかぬというふうに思っております。したがって、どこにウエートを置くかという御指摘だと思いますが、制度もございますが、やはり市町村の負担軽減ということにも大きなウエートがあるというふうに考えます。
#84
○佐藤三吾君 あなたの発言は何を言っているかわからぬけれども、この問題については内閣の大番頭として、建設省や自治省やいろんな各省にわたる部分もあるでしょう、大蔵省も。あるけれども、三原長官がさっき発言したような内容でひとつ責任を持ってやっていくと、こういうふうにあなた言えないですか。
#85
○国務大臣(田中六助君) 要するに責任を持ってやっていくということが言えないかということでございますが、やはり私どもも市町村の負担、それから現実の沖繩、戦後の沖繩というようなものを考えますときに、大きな責任はございます。したがって、責任を持って対処するという考えは総務長官と同じでございます。
#86
○国務大臣(三原朝雄君) 決して私は後退をしていまの官房長官の御発言に関連して申し上げるわけじゃございませんが、先ほど佐藤議員のお言葉の中に、全額国庫負担で一切の責任を持って遂行いたしたいというお言葉がございましたが、私はその精神を踏まえてということでございますので、地元負担がゼロであるというようなことを、いま私自身が関係省庁もおられるのにそういうことを申し上げることができませんので、その点はひとつ、そうした精神を踏まえながら私は遂行いたしたい、そういうことを申し上げましたので、御了承願いたいと思います。
#87
○佐藤三吾君 時間がないですから、またこの問題は次の委員会の中でも議論してまいりたいと思いますが、そこで、特殊法人、公益法人の認可に移ってまいりたいと思います。
 特殊法人、認可法人、公益法人、こういう法人がたくさんあるわけですが、ひとつこの定義と、あわせてどういう実態にあるか、五十年以降いわゆる財政危機以降、この認可廃止の状況は一体どうなっておるか、こういった点について、これは総理府ですか、行管庁ですか、いかがですか。
#88
○政府委員(加地夏雄君) 私の方からは、特殊法人と認可法人のいまの御質問の点について御答弁申し上げたいと思いますが、現在特殊法人の数は百十一でございます。で、特殊法人の数が一番多かった昭和四十二年の時点と比べますと、当時は百十三でございましたから数の上では二つ減ったと、つまり四十二年度以降約十余年にわたりまして特殊法人の数は横ばいになっておるという状況でございます。その間、御承知のようにやはり行政需要が非常に強うございまして、特殊法人の新設要求は相当出てまいったわけでございます。したがいまして、数の上で申し上げますと、この四十二年から今日まで新たに特殊法人の設置を認めたのが十七でございます。それに対しましていわゆる特殊法人の廃止をやりましたのが十九と、こういうことでございます。その廃止いたしました十九の中でいわゆる行政改革の一環といたしまして廃止をいたしましたのが八つと、その残りは毎年の特殊法人の審査に当たりまして、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドの考え方によりまして新しい法人をつくる場合に廃止をしていったと、こういうことでございます。
 そこで、四十二年度以降の特殊法人の整理、合理化の状況をごく簡単に申し上げますと、四十年代四十二年から四十六年ごろにかけまして百十三の特殊法人の中で九つの特殊法人を取り上げまして、六つを廃止し、三つを合理化いたしました。さらに最近の状況は、御案内のように一昨年の行政改革の閣議決定等を中心にいたしまして、二十一の特殊法人を取り上げまして、そのうち五つを廃止すると、すでに廃止をしたものが二つでございます。今後廃止をすることになっておるのが三つと、その他の十六法人につきましては、たとえばその特殊法人の内部組織の縮小でございますとか、あるいは部門ごとの改廃とか、そういった措置を現在講じておるわけでございます。
 次に認可法人でございます。
 認可法人の数は、現在九十二ございます。これをやはり四十二年当時で比較いたしますと、七十二でございましたので、約二十ふえているという状況になろうかと思います。
 そこで、特殊法人と認可法人が一体どういうふうに違うのかということでございますが、特殊法人は、御案内のように、これは本来国が行います事業を国以外のそういう法人をつくりまして、国が強制的に設立をいたしましてその法人にやらせる、いわば代行をさせる法人でございます。それに対しまして認可法人は、これは国以外の事業、つまり事業の性格が違うわけでありますが、国以外の事業を主として民間の方々等を中心にいたしまして法人の設立をいたします。それに対してそれぞれの主管大臣が認可をいたします。そういう違いがあるわけでございます。
 しかしながら、認可法人の場合でも、御案内のように、いわゆる民法上の法人と違いまして、国がそういった認可法人に対しまして積極的に助成をしたり、あるいは監督をする必要があると、こういう観点から、たとえばその設立につきましては、特別の法律をもってその法人の設立を規制するとか、あるいは助成等については、いま申し上げましたように助成、監督をやっておるということでございます。
#89
○政府委員(小野佐千夫君) お答えいたします。
 各省庁が所管しております民法第三十四条の規定によります公益法人の数は約四千五百、内訳といたしましては財団法人二千六百、社団法人千九百でございます。また、都道府県知事の所管しております公益法人の数は約九千と伺っております。
#90
○佐藤三吾君 大蔵省にお聞きしますが、特殊法人の役員の報酬、退職金規程ですね、これはどうなっておりますか。その報酬の基準というのは、大体何をベースに決めておるのか、この点はいかがですか。
#91
○政府委員(禿河徹映君) 特殊法人の役員の給与並びに退職金の基準でございますが、法律上はその大部分の法人につきましてはそれぞれの設置法でございます各公団法とか事業団法等によりまして、その給与、退職金の基準を主務大臣の承認にかからしめてございます。その中で、さらに主務大臣はその承認に当たりましては大蔵大臣に協議をするというふうになっておるわけでございます。
 それが法制的なたえまえでございますが、実際に主務大臣が承認をし、あるいは私どもの方に協議がございました場合の運用でございますが、一般的に申しまして、従来から広く公務部内におきますところのバランスあるいは民間の実態等、そういうものを総合的に勘案いたしましてその基準というものを運用いたしておるわけでございます。
 大変抽象的で恐縮でございますけれども、そういうことで従来から取り扱ってまいっておったわけでございまして、なお具体的に二、三例を申し上げますと、たとえば公庫とか大規模の公団について申し上げますと、総裁が現在月額百万五千円、理事が六十九万円。それから中規模の公団、大規模の事業団におきましては、総裁並びに理事長の給与が月八十七万円、理事が六十七万円というふうに相なっておるわけでございます。
 以上が給与の関係でございますが、退職金の支給につきましては、五十三年度、昨年の四月から改定をいたしまして、これは在職期間一月につきまして俸給月額の百分の三十六支給するというふうな扱いにいたしております。これも民間の企業の役員の退職金の支給状況等を勘案いたしまして、それまでの百分の四十五であったものを二割落としまして百分の三十六にいたしたと、こういうことでございます。
#92
○佐藤三吾君 そうしますと、いまあなたの説明によると、特殊法人の場合には大体民間の実態が報酬の基準になっておるという、一つの理由に挙げていますが、これは行管庁ですか、百十一の総裁、理事長の中で民間人は何人おりますか。それで残りの人、いわゆる官僚の天下りというか、出身の者は何人おりますか。
#93
○政府委員(加地夏雄君) いま御質問の特殊法人の役員の構成につきましては、実は私ども直接の所管でございませんので数字は把握いたしておりません。これは総理府の方から御答弁いただいた方がいいと思います。
#94
○説明員(栗林貞一君) 特殊法人の役員のいわば出身別の構成でございますが、五十四年の一月一日現在で申しますと、総数が、常勤の役員でございますが七百九十七人おられます。それで、そのうち公務員から直接この特殊法人の役員になられた方が三百二十四人でございまして、それ以外は民間あるいは法人部内、その他ということになっております。それと、いま申しました三百二十四人に、さらに公務員経験者と申しますか、一たん民間などに行かれましてそれから特殊法人の役員になられた方を加えますと四百八十九人ということになるわけでございます。
#95
○佐藤三吾君 百十一の理事長、総裁の比率はどうですか。
#96
○説明員(栗林貞一君) 総裁、理事長等は、現在常勤の方々が百六名おられますが、それについてただいま民間あるいは国家公務員別に正確にはじいておりません。
#97
○佐藤三吾君 認可法人の場合は一体どういう分布になっていますか、わかりませんか。
#98
○説明員(栗林貞一君) 私ども内閣官房といたしましては、特殊法人の常勤役員につきまして具体的な選考に当たって内閣官房として協議を受けるという立場にあるわけでございますので、認可法人については把握しておりません。
#99
○佐藤三吾君 そこで大蔵省に聞きますが、このいわゆる特殊法人の報酬については民間の実態をベースに決めたというんですが、いまお聞きしました数字だけを見ましても、三百二十四名公務員がいらっしゃるんですね、公務員出身が。ちょっとこの民間を回ってきた人を含めると四百八十九名いらっしゃる。これらの人はそれぞれ役所の中で次官、局長という経歴を踏んでやめられて入ったと思うんですが、当然それには年金がついていますね。年金が併給されますね。その年金の部分については、この給与、給与というのですか歳費ですか、それから削除して、年金と合算でこのたとえば総裁の場合に百五万というのを支給されておるのか、百五万プラス年金が加味されておるのか、それはどうですか。
#100
○政府委員(禿河徹映君) 特殊法人の役員の給与につきましては、そういう年金の受給の有無とかその金額は考えておりません。
#101
○佐藤三吾君 そうしますと、結果的には民間ベースで定めておるけれども、それにプラス年金が加味されておると、こういうことになりますね。これはそうしますと、民間から入った人との間に、お互い――閣議決定の基準を見ると、民間でも有能、適切な人材ということになってせっかく入れておるけれども、そこに差が出てきますね、収入で。この点はどう考えていますか。
#102
○政府委員(禿河徹映君) 確かに御指摘のとおり、公務員からそういう特殊法人の役員等にかわられた方につきましては別の年金が支給されておられる方が大部分だと思います。ただ、私どもこの特殊法人の役員の給与を考えます場合に、やはりその前歴のいかんを問わず、その法人の役員といたしまして一定の任期の中におきましてその法人の経営の責に当たるという方につきましては、やはり他の所得と申しますか、年金等をひっくるめましたそういうもののいかんによってその役員の給与を勘案いたすということは現在やっておりませんし、また、そういうことをやるということは、同じ責任を持ち、同じ職務内容を遂行いたします場合の給与のあり方といたしまして、やはりその給与の面では、その職務内容に応じ、責任に応じてしかるべき給与を支給するのが妥当であろうと、かような考え方で対処いたしてきておるわけでございます。
#103
○佐藤三吾君 官房長官、いまお聞きのとおりですがね。いま全国の都道府県の場合は、たとえば部長、知事、副知事をやめた場合に、何というのですか、こういう住宅公社であるとかどこどこの開発公社であるとか、そういったところに二年ないし三年就任していますね。その場合にはいわゆる現給保障が原則ですね。したがって、たとえばこの年金の部分を差っ引いてそして現給保障する、これがこの基本になっておるわけですね。で、いわゆるこの年金の官民格差という問題がいろいろ言われる中で、一番大きな原因は何かと言うと、高級官僚の格差ですよね。一般公務員と民間との格差というのはほとんどない、ベースとしては。これは健保と共済を比べてみれば、健保の高い部分だってある。しかし、高級官僚が年金がずば抜けて高いものだから、したがって、今度のいま予定されておる法案の中でも、共済年金なり恩給法の中でもこの部分についてはやはり規制しなきゃならぬという、政府みずからいま検討しておるときですよね、年金のやり過ぎということで。そういうようなときに、その高額の年金と、これはまあ後で大体平均どの程度の年金が出ておるのか、いまの現行で次官でやめた場合にどの程度になるか、見ればわかると思うんですが、こういう年額を出して、そうしてしかもそれは給与と別個だということで百五万なら百五万を保障する。あなたは選考前にこれについては協議にあずかるわけですね、閣議決定で。民間の人の場合との差別も出てくる。こういった問題について、あなた自身は選考の責任者としてどう考えていますか。
#104
○国務大臣(田中六助君) 佐藤委員御指摘のように、たらい回し人事と、それから特殊法人から特殊法人へかわるときの給与の現額ということは閣議決定されておりますし、私も選考に当たってはそのような方針から進めておるわけでございますが、民間人あるいは官僚出身と申しますか、天下りの人たちとの差別というようなものは、選考の過程において別に差別しているわけではございません。
#105
○佐藤三吾君 いま私の言った質問、趣旨がわかりますか。
#106
○国務大臣(田中六助君) いま答えたことで趣旨はわかっておるつもりでございます。
#107
○佐藤三吾君 いや、私が申し上げたのは、あなたは選考のときの責任者でしょう、閣議決定にかける場合は。そうでしょう。そこで、私が聞いておるのは、いま大蔵省から聞きましたように、民間人の場合百五万――たとえば一つの総裁の場合ですね、公務員から来た者も百五万と、公務員の場合にはそれにプラス年金が加味される、こういう実態がいま明らかになったわけですけれども、これは全国の地方公務員の場合には、副知事、知事もしくは一般の部長クラス、一般職の場合なら総務部長以下部長クラス、こういう場合には現給を保障するという前提に立って、年金を差し引いた額で公社や事業団の理事長とか、もしくは会長とか、こういう職についておるわけですね。そうすると、高級官僚だけいまの日本の実態から見ても特別に優遇されておると、こういう実態というものが浮き彫りになったわけです、給与の中でも。この問題についてあなたは一体どう考えるかと聞いておるわけです。
#108
○国務大臣(田中六助君) 選考に当たりましては、年齢、たとえば役員の場合は年齢制限が六十五歳とか、総裁、副総裁あるいは理事長など七十歳とか、いろいろございます。経験もあるでしょう。そういうようなところから勘案して選考しておりますが、具体的な給与に関しましては、たとえば大蔵省出身であるとするならば、あるいは大蔵省の関係の公団あるいは公社の役員というような場合は、その省で年金とかそういうものを加味して決めております。
#109
○佐藤三吾君 あなた、事務手続を聞いておるんじゃない。あなたは官房長官としてどう思うかと言っているのだ、この問題を、そういう実態を。いままでの決めておる経過を聞いておるんじゃない。国民感情としてどう思うかということを聞いておるんです。
#110
○国務大臣(田中六助君) そういう年金の関係と給与の関係が差があるということにつきましては、私ももう少し合理的に考えなくちゃいかぬのじゃないかというふうに思われますし、確かに国民感情としては、そういう差別があるということについては大きなな疑惑を持たれるということについては、納得できます。
#111
○佐藤三吾君 いいですか、いま私が言っているように、この特殊法人というのは政府の代行機関でしょう、全額国費ですね、国民の税金です。そうでしょう。そういうところの役員についたということは、たとえばいま局長をやめてここへついてきても――次官をやめてここに就任しましたよ。そうすれば次官の給料よりうんと高いわけだ。百万じゃ高いですよ。次官はいま何ぼですか。
#112
○国務大臣(田中六助君) 事務当局にお答えさせたいと思います。
#113
○政府委員(禿河徹映君) 現在次官が月に七十八万八千円てございます。
#114
○佐藤三吾君 だから、次官の給与よりうんと高い。それはそれ相当の責任もあるでしょう。しかし、それにプラス年金を加味して、そうしてそれについていままで平然として、しかもその上に、あなたにこの点委員会で追及したように、たらい回しで次々に閣議決定にも違反してやっていく、こういうことに対して官房長官として、大平内閣の番頭としてどう思うのかと、こう聞いておるわけだから、きちっとしなさいよ。
#115
○国務大臣(田中六助君) ここでやはり基本的な問題としてはっきりしておかなくちゃいかぬ問題は、役員とか総裁、副総裁あるいは理事長、副理事長などの報酬といいますか、給料はあくまで給料でございまして、年金、そういうものはやはり年金として給与と加味して一緒に考えることは私はできないんじゃないかというふうに思われます。
#116
○佐藤三吾君 あなたは何かむうっとしておって、事務当局の言うとおりに答弁しよるようにあるけれども、一人の政治家として、同時に内閣の番頭として、こういう実態がよろしいと言うんですか、やむを得ぬと言うんですか。そうじゃなくて、さっきのあなたの答弁に片りんがすらっと出たように、やはりこういう問題については検討し直して、国民の納得を得るようなものを考えなきゃならぬ、これが信条じゃないんですか。どうですか。
#117
○国務大臣(田中六助君) 現行の制度としてやはり決まりがあるわけでございますし、したがって、そういう給料と年金というものの差別はこれは忠実に守っていかなくちゃいかぬというふうに考えます。しかし、あなたのおっしゃるように、政治家としていろいろ不合理があるんじゃないか、あるいはそういう国民感情を逆なでするようなことになるんじゃないかという御指摘につきましては、十分考えていきたいというふうに思います。
#118
○佐藤三吾君 それで、時間がございませんから、ちょっと金井長官の意見を一つだけ聞いておきたいと思いますが、先ほど行管庁の方から説明を受けると、特殊法人が百十一、それから認可法人が九十二、政府所管の財団法人になると四千五百、こういう状態をいま報告なさったんですが、最近の傾向を見ると、確かに特殊法人については規制を厳しくしておるものですから、さっき御説明があったように、四十三年から若干横ばい状態で、むしろ二つ減ったんだという報告が出てくる。ところが、言うならば公益法人という名のもとに、事実上田の業務を代行するような財団法人なりそれから社団法人ですか、そういうのが次々に生まれてきておる。たとえば昨年は自治省が五月に、市町村の固定資産税ですね、その固定資産税を決めるのにいままでは自治省の税務局でやっておった。それを固定資産税評価システム研究センターといった、こういうものをつくって、ほとんど業務は国の業務を肩がわりするようなかっこうでやってきたんですね。これについては市町村からこの負担金を取ってやる。その負担金については交付税で充てると。何のことはない、言うならば国の税金でもってオール措置するというやり方なんですね。こういうのが次々にできてきておる。これに対して長官として見解、どういう見解を持っておるのか、お尋ねしたいと思います。
#119
○国務大臣(金井元彦君) ただいま御指摘の点でありますけれども、実態においてお話しのような内容のものも多々あるわけだと存じます。そこで私ども、直接権限として持っておるものはこれは特殊法人だけでございますけれども、認可法人につきましてもやはり注意を払うと。それから公益法人につきましては、これはまあ各省なりあるいはまた各地方団体において認可しているものがたくさんあるわけでございますので、これらにつきましては大分前に一度調査をしたことがあるようでございますけれども、やはり余り乱にわたらないようにこれについて注意を払う必要があると、かように存じております。
#120
○佐藤三吾君 自治省いかがですか。
#121
○政府委員(花岡圭三君) 先ほど例に引かれました資産評価システム研究センターと申しますのは、地域におきます固定資産等の諸資産のストックに関する統計的基礎の整備、またその量や価格の形成の要因に関する調査研究、それから評価方法の研究等を行うことによりまして、国富の状況の把握とかあるいは土地政策、あるいは住宅政策の推進、地域の計画の合理的な策定等に資するとともに、地方団体におきます固定資産の評価の適正化にも資すると、そういう目的で設立されたものでございまして、その主な業務は調査研究及び研修でございます。
 したがいまして、この調査研究した結果につきましては、都道府県なり市町村に対して配付する。そうすることによって地域における資産の評価についての参考資料とする。また地方団体の評価事務関係者の評価技術の研修を行うことによりましてこの資質の向上に努める。そのために講師の派遣なり研修会の開催を重点的に行おうという目的のものでございまして、これは決して自治省の行う業務を肩がわりさせるものではございません。
 また、税務行政の研修に要する経費につきましては、これは地方団体にとって一般的な必要経費と認められますから、地方交付税の積算基礎に算入されているものでございます。
#122
○佐藤三吾君 交付税で裏負担をすると、これは五十三年度から始めたわけですね。五十三年度から始めたということは、逆に言うならば――この研究センターをつくるに当たってあなたの方から通達が出ていますね。その通達内容を見ると、これこれの負担金については交付税で後でめんどうを見るのでよろしく頼むという通達を出していますね。ですから、この評価システムというか、システム研究というか、それを想定して交付税で措置しておることははっきりしておるわけです。いかがですか。
#123
○政府委員(花岡圭三君) この税務行政に関する研修に関しましては、従前から市町村あるいは都道府県におきましても、各ブロック等におきましていろいろ研究会等を催しております。そういったことについての負担というものは従前からあったわけでございます。で、私どもとしましても、できるだけこういった標準的な経費というものは交付税で見られないものだろうかというふうな気持ちでおったわけでございます。たまたまその時期は一致いたしましたけれども、そういった一般的な税務行政の研修ということは、これは市町村にとっては重要な問題でございますので、こういった経費を標準的な経費として算入していくというふうに考えておるわけでございまして、なお今後ともできればこれを増額してほしいというぐらいに私ども思っておるわけでございます。
#124
○佐藤三吾君 時間がございませんから、もう少しこれは深く掘り下げていきたいと思ったんですが、せっかく会計検査院が見えておると思いますので、この交付税の裏負担についての見解をお聞きしておきたいと思います。
#125
○説明員(前田泰男君) 資産評価システム研究センターと申しますか、これがどういう仕事をやっておられるのかはちょっとわれわれの方ではわかりかねるわけでございますから、一般論として申し上げさしていただきたいと思いますが、ただいま先生がお話しのような事実があり、それが地方交付税交付金の算定基準の中にたしか六千――これちょっと金額ははっきりいたしませんが、入っておると思います。これにつきましては、私の一般的な考え方を申し上げますと、資産評価というのは、われわれ検査に当たります者にとりましても非常にむずかしいことである、実にむずかしいものだと私考えておりますが、したがいまして、やっぱり研修ということは相当要るんではないかと、そのように考えます。会計検査院当局でも、この資産評価というものに従事します職員の研修というものはかなりの方に来ていただいてやっておるわけでございますので、これが研究センターそのものにいく金だとおとりになるか、あるいはそうじゃなしに、研修そのものが非常にむずかしい問題だと、このように考えてみますると、若干の――その金が著しく不当に高ければ別でございまするが、ある程度の金でございましたら、あながち不当と言うには当たらないのではないかと、そのように私は考えております。
#126
○佐藤三吾君 時間がありませんからきょうはこれで質問を残しますが、最後に官房長官。いま御報告のように、特殊法人、公益法人、認可法人と、次々に、これ合計しますと約五千ぐらいの法人組織がつくられておる、こういった形で、しかも最近そういうことで次々に――これは自治省だけじゃないと思うんですが、一遍これは私も調べたいと思いますし、ぜひこれは、総理府になるんですか、行管庁になるんですか、この関係の資料をいただきたいと思っておるんですが、こういう安上がり政府ということで一方で言いながら――効率、簡素な政府と言い直しましたけれども、しかし一方では、国の業務をどんどんどんどん代行する代行機関に類似するような形でもって法人がつくられていく傾向に対してどういう考え方を持っておるのか、お聞きしておきたいと思いますし、同時に、先ほどのこの関係の資料については、特に行管庁の方でまとめていただいて、一応、特殊、認可を含んで私の方に提出していただきたいと、こういうふうに思いますが、官房長官の見解をお聞きしてきょうの質問を終わりたいと思います。
#127
○国務大臣(田中六助君) 資料は、行管長官もおられますので、お約束申し上げたいと思います。
 どう思うかと。特殊法人、認可法人、三つの法人を含めまして五千を超す法人があるということは、私ども効率ある安上がり政府を標榜している政府といたしましても、非常にこれは考えなければならないことでございますし、特殊法人は御承知のように行管の担当でございますし、認可法人は直接の監督はありませんけれども、全体として政府には大きな責任がございますので、十分その点を考えて、今後配慮、対処していきたいというふうに考えます。
#128
○委員長(寺田熊雄君) 行管庁の方は、資料の問題よろしいか。
#129
○国務大臣(金井元彦君) これは、ちょっと大分不明確な点があるのでございますけれども、いずれにしても必要な資料でございますから、私どもの権限のない分につきましても、各省に依頼いたしまして資料を集めたいと、こう思っております。
#130
○委員長(寺田熊雄君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時四十分まで休憩いたします。
   午後零時四十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十三分開会
#131
○委員長(寺田熊雄君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、昭和五十年決算外二件を議題とし、内閣と、総理府のうち、総理府本府、行政管理庁及び沖繩開発庁と、それに関係する沖繩振興開発金融公庫の決算の審査を続けます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#132
○和泉照雄君 私はまず行政改革問題について官房長官にお伺いをいたします。
 大平総理が今国会における施政方針演説において、「行政は国民のものであり、国民の活力の活発な展開を促すことが行政の任務であることに思いをいたせば、行政は簡素で効率的なものでなければ」ならないとお述べになりました。行政改革を重要施策の一つに据えている大平内閣の誕生とともに、チープガバメントと、いわゆる安くつく政府という言葉が一つの流行語のようになった感がございます。行政改革の問題は、これまでも歴代の内閣が取り上げてきて、しかも余り実効を上げることができなかったなかなかむずかしい問題であることは承知しているのでございますが、これまでのようにわが国の経済が順調に成長しているときはそれで済んできましたが、昨今のように打ち続く不況の中で、国家財政はその三〇%を超える部分を国債に頼らなければならぬ状況の中では、まず政府が考えなければならぬことは、国民に負担の増を押しつける増税などの方法ではなく、行政のむだを省くまさに簡素で効率的な政府であるための努力でなければならないはずであります。
 しかし、この行政改革を内閣発足当時の看板の一つに掲げていた大平内閣のその後の姿勢を見ますと、断固として行政改革を実行しようとする決意が感じられないようでございます。むしろ、だんだん重荷に感ずるようになっているのではないかと思うようになったのは私一人ではないと思います。こうした行政改革に対して後退の印象を一層強く与えたのが、去る八日の参議院予算委員会における総理の言葉の言いかえであります。すなわち、安上がりの政府という言葉は誤解を招いている、効率的な政府というのが正しい考え方だと述べられ、その後の記者会見で、官房長官も、今後はこの表現でいくことにしたと言ったと報道されています。さらに翌九日の閣議では、簡素化という言葉を追加して、簡素で効率的な政府というのを政府の統一見解にしたと報じられています。総理は、確かに施政方針演説では、安上がりの政府という言い方ではなく、「簡素で効率的」という文言を使っておられます。しかし、この「簡素で効率的」というのを一般的に安上がりと言ったとしても、それは単に言葉の問題であって、目指すところは真にむだのない行政であることは当然であると思います。言葉の上で安上がりの政府と言ったとしても、行政が言葉どおりのただ安上がりでさえあればよいなどと単純に考えているわけではありません。たとえば雇用問題などのように、いま最も国民の必要な行政には多くが割かれる必要がありましょう。ただ、これだけ膨大な行政機構の中にはずいぶんとむだも多いから、これを整理するのが当然で、そのようにして簡素で効率的な行政が実現すれば、それがすなわち安上がりの政府ということになると私は考えます。どうしてそのように言葉にこだわられるのか、何か含むところがあるのではないかと私は考えるものでございますが、その辺の理由についての官房長官はどのようにお考えなのか、お伺いしたいのでございます。
#133
○国務大臣(田中六助君) この問題は非常に古くて新しい、新しくて古い問題でございまして、委員御指摘のように、チープガバメント、つまりそのまま直訳しますと、安価な政府あるいは安上がりの政府というようなことになると思います。総理が、簡素でしかも効率のよい政府というふうに、効率のよいということをつけ加えたことは、何か行政簡素化に対する後退を意味するんじゃないかという、端的に言えばそういう御質問でございますが、御指摘のように、すでに一月十六日の閣議でも、簡素で効率のある政府ということ、それから施政方針演説でも同様にうたっておりまして、したがって、総理の見解あるいは総理の思い、構想、そういうものはスタートのときから今日まで変わっていないわけでございます。ところが、チープガバメントという、つまりテープという、安価、安いという、ただ簡素というようなことだけにとっておるということを、実は私、新聞記者会見でも、たびたびチープガバメントあるいはプアガバメントあるいはシンプルガバメントとかいろいろ言われて、何か統一する必要があるんじゃないかということをたびたび聞かれておったわけでございますが、ただ直訳しますと、非常に簡素、安上がりの政府ということだけで言われるものですから、つまり、もう一つの効率のある、能率のある政府ということが置き去りにされておるわけでございます。アダム・スミスの夜警国家時代とは違いまして、現在は、委員もすでに御指摘のように、経済的にも社会的にも、あるいは福祉、そういう面から、非常に機構があるいは行政そのものが膨大になって、あの時代とは大きくさま変わりをしているわけでございます。したがって、小さいことが即いいこと、あるいは何か非常に国民にアピールするというようなことは実は本当のことではなくて、効率のある、あるいは能率の高い、多いことがやっぱり加味されなければならないという政府の考えもありまして、簡素にして効率ある政府というような言い方をしたわけでございます。
#134
○和泉照雄君 閣議では一応了解事項として、簡素で効率あるということになったように聞いておるんですが、いま官房長官のお話では、効率を非常に正面に押し出されて、簡素という、行管庁長官がいろいろ言及されてつけられたということが非常に影が薄いような感じがいたすわけですが、そういうことになりますと、いろいろと一般消費税の問題で国税庁の増員とかそういうことも言われておる現状では、やはり行政改革の方はかけ声だけであって、本当はやる意思がないんじゃないか。先ほどの午前中の答弁でも、官房長官は簡素で効率あるという御答弁をされると思いましたら、安上がりの政府という、逆行するような答弁もありまして、非常に言葉の遊びでこの行政改革をとらえておるんではないか。あるいはまた混乱があるんじゃないかというような感じもするんですが、そこらあたりはどうなんでしょうか。
#135
○国務大臣(田中六助君) 安上がりということと簡素ということは、実は私の概念ではイコールでございまして、別に区別はないというふうに考えております。
 それから、簡素が先で効率あるということが後だというような、あるいは効率あることが先で簡素が後だというようなことのこだわり方は私自身はしていないわけで、簡素が先であってもあるいは効率が先であっても、私どもが簡素な政府をつくろうと、つまり、予算のコストのかからない政府機構にしようという意図はさらさら減退しているわけでもなし、また違った方向を考えておるわけでもございません。
#136
○和泉照雄君 次は行管庁長官にお尋ねをしますが、行政改革については、時の為政者がよほどしっかりしたリーダーシップを持っていないとなかなか実現できないのは、これまでの沿革を見てもはっきりすると思います。
 去る衆議院の予算委員会で大平総理は、行政改革に関連をして政治家が軽々に乗り出しても役人の方が強いと、まさにやる気がないような、やる気があるのかと疑われるような弱気の発言があったようでございますが、今回の安上がりの政府等の言いかえなどは、どうも大平総理の姿勢は後退の姿勢ではないかと、こういうふうに思わざるを得ないのでございますが、行政改革の責任大臣である行管庁長官の御見解をお述べ願いたいと思います。
#137
○国務大臣(金井元彦君) 大分言葉の問題が混乱を招いたようでありますが、この点につきましてちょっと注釈を加えさせていただきたいと思うんですが、安上がりという言葉に関連をいたしまして、衆議院の予算委員会で質問がございました。それは、安くつく、安上がりという名に隠れて、福祉その他必要な経費をも抑えようとするんではないかと、こういう意味の御質問がありましたので、総理は、そうでないということを強調をされたわけであります。そのために、簡素化する、むだを省くという点がちょっと何かネグレクトされたような印象を与えたようでありまして、そのために翌日の閣議におきまして、簡素化するということと効率化をすると、つまり、時代の進展に伴って必要なものについてはそれはやっていくと、しかしながら、むだは省かなきゃいかぬと、こういう意味で総理が施政方針演説でも述べましたし、なおまた、一月十六日の閣議了解においても表題として用いましたところの簡素にして効率的と、こういうことに言葉を統一しようじゃないかと、こういうことになった次第でございまして、総理の姿勢というものも別に後退をしておるわけではございません。ただ、そのときそのときの御質問のぐあいによりまして、そうではないんだという意味を強調される場合に、あるいはそれじゃ逆の場合はどうだと、こういう反面的な推測をされる場合があるということでありまして、その点いささかも当初の方針は変わっておりません。
 そこで、簡素化すると、あるいは機構改革をするという点について、役人の抵抗が強いような意味のことを総理がおっしゃっておりますが、これは、機構改革とか何とかということはそう簡単にはなかなかできるものではないと、相当な苦労が要るんだという意味をああいう言葉で表現されたのでありまして、むずかしいからやらないと、こういう意味ではないというふうに御理解をいただきたいと存じます。
#138
○和泉照雄君 それで、行管庁長官はどういうような決意かということを聞いておるんですよ、そこらあたりの説明はよくわかっておるんですから。あなたがやる決意があるかどうか。
#139
○国務大臣(金井元彦君) 私は、いまの時世というものが、これは時によっていろいろ時世の重点というものが変わってまいると思うんでありますが、非常にいま厳しい世の中になっておりまして、そういうことを前提として考えた場合に、行政機構なりあるいは行政費用というものは、できるだけむだを省くということは積極的にどんどん進めなきゃいかぬと、こういうふうに考えておる次第であります。
#140
○和泉照雄君 次は、国の行政事務の地方移譲という点についてお尋ねをいたします。
 地方統一選挙を控えまして、特に国と地方との行政についての見直しが強く叫ばれている昨今でありますが、そうした中でも、国の行政権限の自治体移譲についての諸問題がクローズアップされております。行政管理庁としては、国の行政事務の地方移譲について基本的にはどのようにお考えかをお伺いしたいと思います。
#141
○国務大臣(金井元彦君) 国の権限を地方に移譲するということにつきましては、私どもはできるだけそれはやるべきであると、こういう考え方でおります。しかしながら、今度は各省の立場になりますと、自分の所管している仕事については、できるだけ末端まで自分で扱って完全にやりたいという強い意欲があること、これも事実であります。そこで両者の調和の問題が起こってくるわけでありますが、私は、原則的に考えた場合には、できるだけやはり地方に移譲し得るものは移譲すべきであると、こういうふうな考え方を持っておる次第であります。
 ただ、この地方移譲の問題につきましては、かねてから地方制度調査会等におきましても重要な問題として検討を続けておるところでありまして、やはりこれらとも十分連絡をとりながらやってまいりたいと、かように考えております。
#142
○和泉照雄君 行政管理庁の立場としては、できるだけ移譲を推進するという方針はよくわかります。そういう方針で進められるべきではないかと、こういうふうに私も思いますが、ただこの際、下手をしますと国の行政事務の中でも荷物や厄介物というようなそういうような感覚のものを地方に移譲しがちだと、あるいはまた財政的な裏づけが十分ないものを移譲するという、そういうような傾向が生まれたらまずいんじゃないかと、こういうふうに思いますが、その辺のところはどういうふうにお考えでしょうか。
#143
○国務大臣(金井元彦君) いまの御指摘の点は、どちらかと申しますと、各省庁ではやはりできるだけ自分の責任においてやってまいりたいという意欲が強うございまして、めんどうなものだけは地方へ押しつけようと、そういうような例は余り実はないように思えるんであります。ただ、地方へ移譲いたします場合には、これはやはりそれに相当する費用も要るわけでありまして、これは相伴って考えるべきものだと、かように考えております。
#144
○和泉照雄君 次に、行政の効率的なという立場から、わが国の縦割り行政から生ずる問題点についてお尋ねをしたいと思います。
 わが国の行政が余りにも画然とした縦割り行政であるために、さまざまの面で効率的な行政が阻まれていると見受けられる面が少なくありません。たとえば身近な問題として、農薬による人体への汚染でも、農林省の所管と厚生省の所管が分かれており、一般国民の理解とはほど遠いものがあります。サラ金の問題にしましても関係省庁が六つもあります。そのため省庁間の調整に手間取っているようでありますし、国際的な各種の協力関係においても関係各省が個別に行っているケースが余りにも多く、横の連絡を十分にとった総合的行政体系というものが余りにも欠如しているように思われますが、この点については行政管理庁はどのような見解をお持ちか、お伺いをいたしたいと思います。
#145
○政府委員(佐倉尚君) ただいま先生御指摘のような縦割り行政による弊害でございますが、私ども各省庁の行政を拝見いたしまして、そういう例が間々あるというふうに感じております。一般的に申し上げれば、そういうことはなるべく各省庁の間で話し合って、どちらでどういうところまでやるというふうに考えていくべき性質のものだと思っております。ただ、その個々の問題につきましては、なかなかその各省の行政にそれぞれ関連があるわけでございまして、そういう問題につきましていま先生のお話しのようなことが起こるわけでございます。それで、私どもとしましては、いま御指摘のような問題につきましては、できるだけそのように先生の御指摘されたような点が解決されるように努力していくつもりでございますが、農薬等の個別の件につきましては事務手続の現状を詳しく私も承知しておりませんので、さきにお答えしたとおり、窓口事務の改善といったようなことも大いに関係がございますので、そういうことを通じて関係省庁において今後とも努力していく必要があろうかというふうに思います。さらに私ども、関係省庁がお考えになる上においていろいろと御意見を申し上げたり何か積極的にしていきたいというふうに考えております。
#146
○和泉照雄君 長官にお尋ねをしますが、国民が役所に用事ができた場合、一つの役所だけで用件が済まないで、あちらこちらとこうたらい回しされるということは私自身も体験があるわけでございますが、いかに役所というものが、膨大かつ細分化された機構の中で自分たちの守備範囲だけを後生大事に守っているかを物語る事象ではないかと思います。簡素で効率的な行政を掲げられた政府としては、この点はぜひ改めなければならない問題ではないかと思いますが、行政管理庁としては十分に検討をしておられるとは思いますが、これについてはどのような御見解をお持ちか、お聞かせ願いたいと思います。
#147
○国務大臣(金井元彦君) ただいま御指摘の点でありますけれども、これはまことに国民の側からすると困る問題でありまして、御案内のように行政管理庁には行政相談という仕事の部面があるわけでございまして、これは中央にも地方にもございます。ここであっせんをいたしまして、いまのようなたらい回しというようなものでなくて、結論づけるということのあっせんをいたしております。いままでにもそういうことで解決した事例もございますが、この面は国民の皆さんにももう少しPRを積極的にいたしまして、解決を促進するようにいたしたいと、かように考えております。
#148
○和泉照雄君 そういう行政指導という行政監察局あたりの機構よりは、その窓口、窓口でこう横の連携がとれるような何かシステムを考えていただきたいと、このことは要請しておきます。
 次に、行政監察局長にお尋ねをいたしますが、行政監察と会計検査院及び大蔵省との関係について再度お尋ねをします。このことは私が昨年三月二十七日の昭和四十九年度決算の中の行政管理庁の審査に際して、行政管理庁の監察業務のよりよい効果を期待するために、監察の内容によっては会計検査院との連携が必要ではないかとの質問をいたしました。佐倉行政監察局長からは、行政管理庁の行政監察と会計検査院の会計検査とはその機能、目的等が若干違うが、必要に応じ会計検査院の意見を聞き、資料も使わせてもらい、また行政管理庁の調査結果を会計検査院の方に連絡するということは従来もやっており、こういうやり方は非常に重要だと考えていると、このような答弁をいただきました。時間の関係でそれ以上お伺いはできなかったのでございますが、この点についてもう一度伺っておきたいのでございます。私としては、行政管理庁と会計検査院は積極的に、もっと言えば制度化してでも連携を密にして、効率的に検査、監察業務を進めるべきだとのつもりで申し上げたのでございますが、前回の御答弁はそのように積極的な考え方が含まれていると理解してよろしいかどうか、お尋ねをいたします。
#149
○政府委員(佐倉尚君) 昨年先生から御指摘、お話のございました点等でございます。さらにお尋ねでございますけれども、私ども必要に応じて会計検査院と積極的によく連携をとっていく、いろいろその個別の事項について連絡が必要であろうというふうに考えられるものについてはやっていくということは積極的にやっていきたいというふうに考えているわけでございます。ただ、先生もお話しのとおり、会計検査院と私ども行政監察局というものは、やはりその設立の趣旨、目的等が違いますので、制度的にその間に協議体制をつくっていくということはいままでもやっておりませんし、今後もその必要はないのじゃないかと。必要なその都度、個々の問題について必要と判断される場合によく連携をとっていく、これを積極的にやっていけば事が足りるのではないか、そういうふうに考えております。
#150
○和泉照雄君 いまの御答弁では余り積極的なそういう御意向ではなかったように理解をせざるを得ないんでありますが、私が昨年質問をした後、昨年の六月九日、会計検査院と行政管理庁とが検査、監査の効率化を話し合ったと、こういう情報を聞いております。昨年の六月九日でございます。また十月の九日の読売新聞にも、「行政管理庁は、各省庁の事業内容にメスを入れ、改善を求める「行政監察」を効果的に実施するため、大蔵省と会計検査院と連携、協力を図ることで合意、近く三者で具体的な方法について話し合うことになった。」と、このように報道をされておるようであります。私は、私の質問に対して行政管理庁が早速対応してくれたものと、このように善意に解釈をしました。その姿勢を高く評価したのでございますが、その後この問題について他のところでの質疑を見ますと、どうもそうではないらしい。従来の必要に応じて相談する、連携するという姿勢を一歩も出ていないようでありますが、一体これはどうなっているのか。新聞などに報道されたのは事実ではないのか。また、積極的に話し合う必要がないとするならば、その理由は何か。再度お尋ねをいたします。
#151
○政府委員(佐倉尚君) ただいま新聞記事を御引用になりまして、昨年六月に会計検査院と話し合ったということでございますが、これは課長レベルで、先ほど私が申し上げましたように、個別の仕事、私どもがやっております監察に関係しまして、会計検査院の御意見をあるいは伺った方がよろしいのではないか、あるいはこちらの御意見を会計検査院に申し上げた方がいいのではないかというふうに判断できるようなものは積極的にやっていこうではないかというようなことを話し合ったことはございます。
 それから、十月に云々という新聞記事でございますが、これは何を指しているのか私どもよくわかりませんけれども、たとえば大蔵省のいろいろ予算執行上の検査についても、必要に応じ、たとえば私どもが補助金等を拝見する場合にはやはり大蔵の意見を聞くというようなことが必要になってまいりますので、会計検査院等の場合と同じように、これも個々の問題につきまして十分に連携をとり、情報を交換していくということを積極的にやるということでございます。
 でございますので、先ほど私が御答弁申し上げましたように、個々の問題につき必要に応じてやることをさらに積極的にやっていこうということでございまして、それを制度化するといったようなことは考えておりませんし、また、その必要もないのじゃないかというふうに思っております。
 その理由をお尋ねでございますけれども、私どもの監察は、行政の執行について、実施について、その内容をいろいろと拝見し、行政の運営の改善を図っていくわけでございます。これは政府の部内監察として行われるわけでございまして、行政機関の業務全般の実施状況を対象にしております。また、会計検査院は、よく御存じのとおり、憲法の規定に基づきます内閣から独立した部外の検査の立場でございますので、国の収支決算の検査を実施するものでございまして、やはりその立場上若干の違いがある。これを制度化して連携をとる制度をつくるということはやはり必要ではなく、必要に応じて連携を積極的にとっていくということがよろしいのではないかというふうに考えられるわけでございます。また、大蔵省の場合には、財政当局の立場で予算執行の適正化を目的とするいろいろな監査を実施しておりますけれども、これは特に業務の内容が、先ほども例に引きましたように、私ども補助金等を拝見する場合には、当然大蔵省の意見を聞いたり、こちらの意見を申したりということがございますけれども、全般的に制度化する必要があるとは特に考えられないということでございます。
#152
○和泉照雄君 行政管理庁がことしの一月にお出しになった「農業構造の改善対策に関する行政監察結果に基づく勧告」というのがございますが、これは会計検査院の方の第四局第一課ですか、そういうところと話し合いをされて、農業構造改善というのは非常に専門的な分野でありますから、あなた方が監察をされるのについては専門的ないろんな意見を聞かれる方が私は当然かと思いますが、そういうようなときに、この会計検査院の第四局の第一課あたりの意見を徴しておやりになったかどうか、その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
#153
○政府委員(佐倉尚君) 先生お話しのとおり、なかなかこれは専門的な部分もございました。しかし、この程度のものであれば行政監察局の方で十分調査ができると判断しまして、事前に連絡をとり、御意見を聞いたことはございません。ただ勧告の済みました後で、私どもの意見を会計検査院の方にいろいろお知らせ申し上げたということはございます。
#154
○和泉照雄君 行管庁が行う勧告は、勧告を受けた省庁は三カ月以内に対応措置を行管庁に回答すること、このようになっておりますが、効果ある対応措置を期待するためには勧告に重みがなくてはならないと、私はこのように思いますが、その辺のところはいかが御認識ですか。
#155
○政府委員(佐倉尚君) 先生のお話のとおりだと私どもも存じております。
#156
○和泉照雄君 あなた方のこの勧告を見ますと、非常に貴重な御意見も多々あるようでございますけれども、昭和五十年の会計検査報告によりますと、農業関係で不当事項というのが三十三項目ございますが、その中で農業構造改善事業に関する不当事項が十四件ございます。その不当事項の中で一番最大の原因というのは、補助事業に対する認識が十分でなかったということが指摘をされております。であるならば、行政監察の面でも、こういうようなことを連携をしながら、その根本原因である補助事業に対する認識が十分でなかったという点についての深まりのある監察をすることが、私は農林水産省に対する適切な監察、勧告ではないかと、このように思うわけでございますが、その辺はいかがお考えでしょうか。一点は、機械、施設の遊休だとか、そういうことはあるんでございますけれども、それ以上に突っ込んだことを監察をし勧告をするためには、やはり会計検査院と連携が必要じゃないかと、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#157
○政府委員(佐倉尚君) 先生の御指摘、私もごもっともな点があると思います。ただ、この農業構造改善の対策に対する行政監察につきましては、不当事項等、会計検査院の方から御指摘があったわけでございますので、その辺は当該対象の省庁でございました農林水産省の方も御存じのことでございます。また、私どものこの農業構造改善に関する行政監察もかなり広範囲にわたっておりまして、補助金は一つのポイントではございましたけれども、そういう点で特に会計検査院の方の御意見を事前に聞くことはいたしませんでしたけれども、今後ともよく考えまして、必要の場合には先生が御指摘のようなふうに連携をよくとっていきたいというふうに考えております。
#158
○和泉照雄君 今後考えましてということよりは、前からこういう指摘をしておるわけでございますから、やはりそういうような積極的な考え方で会計検査院の御意見を聞かれた方が、たとえば機械とか施設の遊休というものも補助事業の理解が十分でないために起こったと、こういうような指摘でございますので、そこらあたりの連携をうまくやることがよりいい農林水産省に対する私は勧告ではないかと、このように思いますので、姿勢を改めていただければ幸いだと思いますが、この辺はいかがですか。
#159
○政府委員(佐倉尚君) ただいまのお話でございますが、意見を聞く必要があるような事柄については十分積極的に連携をとって御意見を聞くようにいたしたいと思います。
#160
○和泉照雄君 次は、会計検査院の方にお尋ねをしますが、行政管理庁としてはやはり余り積極的なそういう意図がないようでありますが、やはり一歩進めて、効果的な、国費を使うわけでありますから効率的な予算の執行という面からも、計画的、定期的にそういうふうな具体的な問題については話し合った方が、検査とか監察とかいうものはより効果的に行われるということ、これは自明の理だと思います。
 そこで、この問題について二、三やりとりをしましたが、会計検査院としてはこの点についてはどのようにお考えか、検査院の方の御見解をお知らせ願いたいと思います。
#161
○説明員(東島駿治君) 確かに、先生がおっしゃるように、いろいろ連携をとりながら検査をやっていくということは非常に必要なことでございますが、私どもと監察局との間の立場の違いということは、先ほど佐倉局長がおっしゃったとおりでございまして、立場の違いからなかなか協調がうまくいかないという点はあるいは少しはあるかもわからぬと思います。ただ、両者とも目的としましては同じでございます。すなわち、会計経理の適正化を図る、あるいは行政執行の効率化を図るというその目的は同じでございますので、いままでも私どもの検査報告ができましたとき、あるいは監察局の勧告が出ましたときには、お互いに資料の交換あるいは必要な説明会を持っている例もございまして、また、たとえば私どもが何かひとつ問題をやりたいという場合にも、過去に勧告が出ておればそれを非常に参考にし、検査の資料にしているということは大いにやっているところでございまして、今後もそういう監察局の勧告結果については大いに参考にしながら検査をやっていきたい、このように思っております。
#162
○和泉照雄君 じゃ、次は総理府の方に移りますが、世論調査のことについて若干お尋ねいたします。
 政府は膨大な予算を擁して広報活動を行っておられますが、国がその政策を進めていく上でいろいろの広報活動が重要な役目を果たすものであることは当然でございます。こうした政府の広報活動というものは、過去の経験からして、政府の都合のよい方向に国民を引っ張っていく、いわゆる世論操作などが行われる危険性もまたきわめて大きいと言えると思います。われわれ国民は、政府の広報活動には重大な関心を持って見守っていかなければならないと思う次第でございます。しかし、実際にはどのような形で広報活動が行われているのか、どのようなプロセスで世論調査が行われているのか、必ずしも判然としないものが少なくありません。本日はこうした多岐にわたる政府の広報活動の中で世論調査にしぼってお伺いをしたいと思います。
 総理府から発表される世論調査を見てみますと、まことに広範多岐にわたっております。総理府広報室で編集している「月刊世論調査」によって見ましても、五十四年二月号には食生活・食糧問題、外交問題についての世論調査の結果が掲載をされております。
 そこでまず最初に、このような広範多岐にわたる調査のテーマの選定についてはどのような手順で決定されるのか、お伺いをいたします。
#163
○政府委員(小玉正任君) 総理府広報室の行っております世論調査のテーマは、各省庁がその施策の参考に資するため世論の把握が必要であるとして当広報室に要望するところに基づいて決めております。
#164
○和泉照雄君 これらの世論調査はすべて委託によると思いますが、委託先はどのようなところであるのか、これまで委託した機関の中で代表的なものについて、機関名と委託テーマをお知らせいただきたいと思います。
#165
○政府委員(小玉正任君) 当広報室の世論調査の実施は民間の調査機関でございます社団法人新情報センター、社団法人中央調査社などに委託しております。
 本年度すでに実施いたしました主なテーマを申し上げますと、国民生活、著作権、海外旅行、雇用問題、外交、食生活と食糧問題、自衛隊・防衛問題、消防・地震、都市再開発等でございまして、これらはいずれもただいま申し上げました二つの民間の調査機関に委託して行ったものでございます。
#166
○和泉照雄君 その民間の委託先というのは一カ所だけですか。
#167
○政府委員(小玉正任君) ただいま申し上げましたように、主なところは二カ所でございます。
#168
○和泉照雄君 世論調査というものは、設問の仕方によってはずいぶん異なった結果が出るものであるということは一般に知られるところでございます。広報室で、あるテーマについて調査、委託する場合、設問について種々の条件を出して設問をされるのか、全く委託先に任せてやっているのか、その辺のところはいかがですか。
#169
○政府委員(小玉正任君) 広報室で行っております世論調査の設問は、調査を依頼してまいりました省庁と、調査の実施をいたします調査機関と、当室との三者で協議いたしまして、一般に認められております科学的方法に基本を置いております。格別の意図のもとに設問に条件を付すというようなことは一切行っておりません。
#170
○和泉照雄君 ところが、先ごろ自衛隊の防衛問題に関する世論調査が発表されましたけれども、これに対してはさまざまな批判があるようでございます。設問がまずいとか、あの設問では答えとして出てくるのは当然だとか、こういうような、いやしくも多額の国費を使って行う調査については、このような批判を受けることは政府もその調査方法について深く私は反省をすべきではないかと思います。広報というのは、私はある一つの目的に向かっていろんなことを行うことが広報の一つの活動だと思いますが、世論調査というのは、国民がどういうことを考えておるかを吸い上げるのが本当の世論の調査じゃないかと思うんです。そういうことになりますと、この設問自体が非常に私は重要な問題になってくるんじゃないか。ですから、そういう批判を受けること自体がやはり広報室のあたりではいろいろと検討をされる必要があるんじゃないかと、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#171
○政府委員(小玉正任君) 先日発表いたしました「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」の結果でございますが、新聞の一部にそのような御指摘もいただいたわけでございます。しかし、この調査は三年に一度ずつ行っておりますいわゆる時系列比較の調査でございますので、質問も質問の順序も同じ形式を踏んでいたしたものでございますので、あのようなことになったわけでございます。
#172
○和泉照雄君 まあ三年ごとにおやりになって、同じような設問の仕方、ずっと調査してみたらそのとおりの傾向でありますけれども、総理府が防衛庁の委託を受けておやりになったこの調査と、あなた方がおやりになった一年前、防衛庁自身がやっておるんですよ。「広報対象の分析に関する調査」というのを防衛庁自体でやっております。委託先は新情報センターですか。あなたの方も新情報センター、この防衛庁も同じ新情報センターでございます。設問を見てみますと、ほとんど同じものが半分ぐらいあるんですよ。「広報対象の分析に関する調査」ということには私はよく理解できるんですが、そこに設問をされたものが、「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」の中から引用されておるということについては、非常に設問自体に問題があるというような感じを持つわけですが、この辺の、こちらの方は二十二問中十二問が一緒、こちらは二十六問中十二問が同じ設問の仕方でございますが、これについてはどのように御理解しておられますか。
#173
○政府委員(小玉正任君) 当広報室で行っております「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」は、先ほど申し上げましたとおり、防衛庁の要望に基づきまして三年に一度ずつ実施しております時系列比較の調査でございますので、五十二年に防衛庁が調査を行ったことも存じておりますが、これは私どもと違った観点から実施しているものと承知しております。したがいまして、私どもは三年に一度の調査を昨年の十二月に行った次第でございます。
#174
○和泉照雄君 長官にお尋ねをしますが、いまいろいろ質問をしておる中で、広報ということとその一つの世論調査ということは、やはり国民の意識の中にどういうようなものがあるかということを吸い上げることが私は世論調査じゃないか、こういうふうに思うわけでございます。そうなりますと、いままでの設問の仕方をある時期になったらお変えになった方がいいんじゃないか。たとえて言いますと、いま国会等でも論争の的になっておることについて国民はどういうふうな意識をお持ちになっておるかということ等も一つの大きな問題ではないかと思いますが、自衛隊を是認する方向に世論を引っ張っていくような設問の仕方という批判を受けるよりは、そういうような防衛自体についての基本的な問題の世論調査を私は吸い上げることが非常に大事じゃないかと思いますが、その辺のお考えいかがでしょうか。
#175
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたしますが、先ほど政府委員から申し上げましたように、決してわれわれは世論を誘導するというようなために世論調査はいたしておりません。あくまでも御要請を受けます各省庁から、こういう調査をしてほしいという御要請を受けて、それをお互いに専門的な立場で検討し、科学的、しかも客観性を持たせながらその世論調査のテーマを決めてまいる。しかも、それを三年に一回やはり同じケースでやった方が比較検討するのによくはないかというようなことで、三年に一回ずつやっておるということはいま申し上げたとおりでございます。
 その中で、防衛庁がまた同じような内容を、ある程度重複はいたしておるようでございまするけれどもやったというようなことをいまお話を承りながら、そして最後に和泉議員の御指摘の点を私もお聞かせいただいておってしみじみ感じたのでございまするが、特に現下のような非常に流動する経済情勢、社会情勢、そういう情勢の中、しかも国民が抱いておりまするいろいろな希望等もあろうと思うわけでございますが、それが固定的な状態ではなくて非常に流動しておる、しかも激変をする現在のような状態の中では、そういう同じケースでやるということよりも、もう少し検討をして新しい世論調査の方法を生み出すべきではないか、またそれが誤解を招くような結果にならないということに通じはしないかという御指摘でございました。私も、いま政府委員と先生の御指摘等を彼此勘案をいたしまして、これは新しく検討を要する問題ではないかなという受けとめ方をいたしておるわけでございまして、鋭意そういう御意見を踏まえて検討をさしていただきたいと思うところでございます。
#176
○和泉照雄君 次に私がお尋ねしたいのは、旧日赤従軍看護婦の処遇についてお尋ねをいたします。
 私は、昨年の四月二十五日の本院内閣委員会において、元従軍看護婦の国家補償について若干質問をいたしました。
 そこで、五十四年度予算において一体どのような処遇をなされたのか、御説明をお願いしたいと思います。
#177
○国務大臣(三原朝雄君) 性格についてお尋ねでございますが、旧日本赤十字社の救護看護婦に支給いたします慰労給付金は、兵役の義務を持たない女子の方が、当時の陸海軍大臣から命令を受けた旧日赤自体が、その看護婦の方々に赤紙召集をやりまして、そして戦地等に派遣をいたしたわけでございます。そこで、旧日赤の戦時救護事業をこれによって遂行したわけでございまするが、さらに戦後の抑留等の事情もあるようでございます。非常に長期にわたった勤務をされた方もあるわけでございまして、これらの苦労を忍んでまいりますると大変なことであったろうと。そこで、これに対して、日本赤十字社がこの方々に対して特別の措置をして、この特別慰労給付金を支給いたしたいというふうなことになったわけでございまするが、これに対して国といたしましては、そうした日赤のおやりになることに対しまして助成をするというような措置をいたしたのがこの旧日赤救護看護婦の方々に対しまする慰労給付金の性格でございます。
#178
○和泉照雄君 この問題については、わが党を初め各野党は、当初旧日赤従軍看護婦の処遇については、恩給法の適用を主張して要求してきました。しかし、五十四年度予算を見ますと、われわれの要求によって若干なりとも改善の跡は見られますけれども、恩給法適用を外して、慰労金という性格のあいまいなものとして措置をしておられるようでございます。
 そこで、恩給法の適用除外の理由と、さらに慰労金の性格について納得のいくように説明願いたいと思います。
#179
○政府委員(小熊鐵雄君) 恩給と申しますものが、かつて官吏とかあるいは軍人といったような方々に対する年金制度であるということは、これ先生すでに御承知のとおりかと思います。
 ところで、いま問題になっております日赤救護看護婦でございますが、こういった方々は戦前からそういった身分による恩給の適用というものはなかったわけでございます。私ども、この日赤救護看護婦の処遇につきまして、大臣からの命令もございましていろいろ検討したわけでございますが、昨年以来国会でいろいろ問題にされました当時、すでに前の稻村大臣からも申し上げておりますように、これを恩給で処遇することはむずかしい、恩給以外の何らかの方法で処遇したい、こういうお約束をされたわけでございまして、私ども検討に際しましても、恩給は非常にむずかしい、したがって恩給以外の方法で何か処遇できないか、こういう話でございまして、そういう形で検討してまいりまして今回のような処遇の形になったものでございます。当初から恩給適用除外、こういう形じゃございませんで、何とかして救済したい、何とかして処遇したい、こういうことからいまの恩給法以外の方法で処遇すると、こういう形になったわけでございます。
#180
○和泉照雄君 あなた方の言う慰労金というのは、いままで身命を賭して国に報じてきたこういう人たちに対して真剣に補うというそういうことではなくて、私の感じからすると単なるつかみ金でそういう問題を解決しようというような、そういうような感じをぬぐい去ることができないわけでありますが、各党の合意による文書によりますと、「恩給制度を準用し、戦地加算を考慮して兵に準ずる処遇とする」、こういうような合意事項がありますが、このような合意事項をそのとおり守られたのかどうか、その辺を確認しておきたいと思います。
#181
○政府委員(小野佐千夫君) お答えいたします。
 旧日本赤十字社救護看護婦の処遇につきましては、陸海軍大臣の命令に基づき、旧日本赤十字社において赤紙召集し、戦地等に派遣され、旧日本赤十字社の戦時救護事業を遂行したという特殊事情を踏まえまして、兵たる旧軍人に支給される普通恩給等を考慮いたしまして、その処遇内容を定めることとしたと伺っております。
#182
○和泉照雄君 じゃ、それならばそのような恩給を準用して、また兵のそれに準ずるというようなことを、今回の日赤の従軍看護婦さんたちの処遇にどのようなふうに、どのような程度に準用されておるのか、御説明願いたいと思います。
#183
○政府委員(小野佐千夫君) お答えいたします。
 旧日赤救護看護婦の処遇内容につきましては、戦地等の勤務期間及び戦後海外で抑留された期間に対しては旧軍人と同様の加算年を認め、その期間が兵たる旧軍人と同様に十二年以上となる者に対しまして日本赤十字社が毎年慰労給付金を支給することとしております。その額につきましても、兵たる旧軍人に支給される普通恩給の額等を考慮いたしまして、実勤務期間の長短に応じて、十万円から三十万円までの額を支給することとしていると伺っております。
#184
○和泉照雄君 では、支給の要件はどのようになっておるのか。それから、支給対象人員ですね、これはどういうふうになっておりますか。
#185
○政府委員(小野佐千夫君) お答えいたします。
 恩給制度及びその他の公的年金制度における老齢年金等の支給開始年齢を勘案いたしまして、五十五歳以上としております。
 それから、女性の身でありながら赤紙召集を受け、戦地等で長年苦労されたことに対して給するものでございますので、本人限りとしております。
#186
○和泉照雄君 それから、人数です。
#187
○政府委員(小野佐千夫君) 失礼いたしました。
 支給対象人員は約千百名でございます。
#188
○和泉照雄君 私がいただいた資料によりますと、千二百名というふうになっておりますが、そこらあたり、百名の誤差はどうして生じたんでしょうね。「日赤従軍看護婦に対する慰労金の支給について」の案によりますと千二百名となっておりますが、予算措置は千百名という、この百名のずれというのはどういうことで起こったんですか。
#189
○政府委員(小野佐千夫君) お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、支給開始年齢が五十五歳ということになっておりまして、まだ五十五歳に本年度中に達し得られない方が約百名いらっしゃるわけでございます。
#190
○和泉照雄君 もう少し詳しく、実在職の三年から五年が何名で、それから六年から八年が何名、九年から十一年が何名、十二年から十四年が何名、十五年から十七年が何名、十八年以上が何名、それを詳細にお答え願います。
#191
○政府委員(小野佐千夫君) お答えいたします。
 実勤務期間三年から五年の方が八百四十七名、それから六年から八年までの方が七十九名、九年から十一年までの方が百三十七名、十二年から十四年までの方が二十三名、十五年から十七年までの方が四名、十八年以上の方が二名でございます。
#192
○和泉照雄君 確かに戦地加算を入れて、慰労金の受給資格、実在職年三年で加算を入れて十二年に計算ということは、この点では準用されておると思うのでございますが、しかし、肝心の慰労金の給付面では格段の落差が、私の調査によると見受けられます。たとえて言いますと、恩給法の改正、今国会に出されております改正法案によりますと、普通恩給の最低保障額は六十五歳以上の人でも六十四万七千円でございますが、この日赤の方々は二十六万円、三分の一強という、そしてまた実在九年以上の方々が短期の場合の保障が四十八万五千三百円であるのに十八万円、実在九年未満の方が三十二万三千五百円であるのにかかわらず、十四万円という、半分以下という、非常に給付面で、準用するとあるけれども、準用の言葉に匹敵しないようなこういう金額であるというわけはどういうわけでしょう。
#193
○政府委員(小野佐千夫君) お答えいたします。
 日本赤十社といたしましては、支給開始年齢に見合う兵たる旧軍人に支給する普通恩給の額等を目安といたしまして算出したものと聞いております。そして、その給付水準はほぼ同一水準にあるというふうに考えておるわけでございますが、なお、慰労給付金という性格からいたしまして、年金たる恩給の年齢による特別措置は及ぼさないこととしております日本赤十字社の措置は、適当であるというふうに私どもでは現在判断いたしております。
#194
○和泉照雄君 兵に準ずるということになりますと、給付額も、やはりそういうような加算年限と、年限は準用しておっても、給付金が半分以下ということになりますとこれは相当考慮の余地があるんじゃないか。また五十五歳ということで、本人限りという、遺族ということは、その方の抱えていらっしゃる両親等のことは余り考慮していないということは、これは私は男女同権に反すると思うのですが、そこらあたり、本人限りにした理由はどういうことでしょう。やはり従軍看護婦の方々は、青春を犠牲にして、そしていまでも御両親を扶養しておる方も中には相当数いらっしゃるようでありますが、こういうことになるとどうなるのでしょうか。
#195
○説明員(手塚康夫君) この問題、先ほどから先生いろいろお話ございましたように、きわめて特別な制度として今回予算措置を講じたものでございます。したがって、いわゆる公的年金的なものとわれわれ理解しておりません。したがって、慰労金という性格があいまいだと先生おっしゃいますが、恩給あるいはその他の公的年金とはやはり違ったものとして理解しているわけです。恩給の場合にはやはり一種の約束論と申しましょうか、たとえば軍人の場合であれば戦地で戦没することもあるわけです。その場合には遺族のことはめんどうを見るからということで出すわけなんです。しかし、今度の場合には、事後的に過去を振り返りましてそれぞれの慰労に対して給付しようということでございますから、まあ御本人の労苦、これに対して給付金は出しますが、その他の御家族の方まで出すのはかえって不適当ではないかということで除いております。
 金額面にいたしましても、恩給そのものを持ってきたわけではございませんでして、資格面はかなりの程度近いものにいたしましたが、給付面においては、やはり年功部分に対する現在の給付、これに着目をいたして金額算定をしておるわけでございます。恩給面では、いろんな社会情勢に応じて老齢者に対する優遇措置等いろいろ講じておるわけですが、まあこれもそこまで反映させるのが適当かどうかということで、現在のような補助金の対象限定をいたしたわけでございます。
#196
○和泉照雄君 長官にお尋ねをします。
 いままでの質問のやりとりで、従軍看護婦の国家補償の内容がかなり問題のあることを指摘をしたつもりでございますが、総括的にこの問題について今後はどのように善処をされるつもりなのか。あるいはまた、特に慰労金については今後毎年予算措置を講ずることになると思いますが、その際に物価、賃金その他の要因をもとにしての給付水準のスライドということはお考えにならないのか。先ほどの兵の準用のことに対しましても、半額以下ということになりますと相当問題が出てくるんじゃないかと思いますので、この点も含めて御答弁を願いたいと思います。
#197
○国務大臣(三原朝雄君) 実は私、この旧日赤救護看護婦の問題、ちょうど国対委員長をいたしておりましたときの問題でございまして、非常な論議が交わされて、最終的に私どものところに持ち込まれた事案でもあるわけでございます。したがいまして、私といたしましても当時を思い起こすのでございますが、いま和泉議員から御指摘のような幾多の問題をはらんでおったことも承知をいたしております。その間、総理府を中心にして十数次にわたっての検討が進められて、旧日赤救護看護婦の方々に対する特別な事情に基づく特別措置が決定をされた経過を思い起こすわけでございます。
 それについても、いま御指摘のように、軍人との関係に差別があるではないかという御意見もあるわけでございまするが、当時のわが国の官吏、軍人に対するそういう恩給制度との関係等で、そういうような事態の中での出来事でもございまするが、現時点において何か特別の対処はできまいかということで、日本赤十字社においてこうした慰労のための給付金制度ということで処遇いたしたいという御提案があり、それに助成をするということになってまいりました。
 そういう経過をたどっておるわけでございまするが、そのときにも問題になりましたが、一応の区切りをつけて、旧陸海軍の看護婦についてはどうなんだというような問題も同時に出てまいったのでございまするが、それは旧日赤救護看護婦の方々と現場における働きは非常に似通っておりまするけれども、当時の法律上の立場から見てまいると、なかなか同じ軌を一にして処遇することは困難であるというような大方の結論が出て今日に至っておるのでございまして、それがまた再び一つの問題提示を受けておるわけでございまして、そういうことを彼此勘案しながら、私も数次にわたってこの問題の検討を命じて今日に及んでおるわけでございますが、結果的には現状においてはきわめて困難な情勢下にありますというようなのが現時点におきまする結論的なものでございまするけれども、いま先生御指摘のような、一つのやはり掘り下げて検討をする問題もあるかなという、私はまだ多少のそこに割り切れない心境も持っておるわけでございまして、しかし、今日まで一応総理府において出してまいりました結論的なものは、先ほど政府委員がお答えを申し上げた事情、内容でございます。
#198
○和泉照雄君 私は、あと国家公務員の定年制の問題、これを質問をする予定にしておりますが、できる限りのところまでやってみたいと思いますので、あとできませんところは関係の委員会でやりたいと思います。
 次は、国家公務員の定年制についてお伺いをいたしますが、今国会においても経済諸情勢から民間企業の定年延長が問題となっております。同時に、国家公務員についてもその退職のあり方について問われているわけでありますが、国家公務員においては従来より定年制はなく、各省庁ごとにそれぞれの形式で勧奨退職をしておるようでありますが、まずその退職の実態について、また平均定年退職年齢についてお伺いをしたいと思います。
#199
○政府委員(藤井貞夫君) 定年制に直接関連をいたしての御質問でございますので、私からまとめて一応申し上げておきたいと思います。
 現在、各省庁で退職勧奨をやっておりますことは事実でございます。これは職種によりまして大変多種にわたっておりますので、その年齢につきましてもまた多種多様になっておることは御承知のとおりでございます。ただ、最も中心的でございますのが、何といっても行政職俸給表適用を受けておりますいわゆる行(一)、行(二)の該当職員、これが圧倒的に多数でございますし、これが一番典型的な職種でございますが、これについて見ますと、各省庁において、職員構成その他でこれも事情が違いますけれども、おおむね行(一)につきましては五十八歳と六十歳が多い、それから行(二)につきましては六十三歳と六十五歳が多いと、これが各省庁を通じての一般的な傾向でございます。
#200
○国務大臣(三原朝雄君) ただいま人事院総裁から大要の御説明がございましたが、担当主管の庁といたしまして、御承知のように、ただいま、この定年制の問題は何と申しましても公務員の身分に関する重要な問題でございまするので、人事院総裁が申されましたように、ただいま人事院に定年制についての研究をお願いいたしておるということでございます。その結果を待ちまして総理府といたしましては今次国会等におきまする予算委員会、衆参でのいろんな御議論がやはりこの問題出ておるわけでございまするが、そういうものを、両者を踏まえながら最終的には慎重に決定をいたしたいという準備をいたしておるところでございます。
#201
○和泉照雄君 次は労働省にお尋ねをいたしますが、民間企業の定年制の実態はどのようになっておるか、お答え願いたいと思います。
#202
○説明員(佐野厚君) 労働省が昭和五十三年一月一日現在で調査を実施いたしました雇用管理調査によりますと、定年制を定めている企業の全平均が産業系で五十七・二歳になっております。なお、定年年齢を区分いたしますと、五十五歳を定めておりますのが四一・三%で一番多く、また六十歳というのが三三・七%というふうになっております。
#203
○和泉照雄君 以上でもう時間が来ましたので私の質問を終わりますが、残余は関係委員会で行いたいと思います。
 終わります。
#204
○安武洋子君 私は、準特殊法人とも言うべき特別認可法人について御質問申し上げます。
 最初に、行管庁にお伺いいたしますけれども、特殊法人とは、行管庁設置法の第二条四の二項によりまして、「法律により直接に設置される法人又は特別の法律により特別の設立行為をもつて設立すべきものとされる法人」、こういうふうに定められております。また、「特別の設立行為」とは、政府が命ずる設立委員が行う設立に関する行為、これは特殊法人総覧の定義でございますが、こういうふうになっております。特別認可法人は、法人の目的、機構、業務等は国の法律によって決められております。その点では特殊法人と何ら変わりがございません。しかし、ただ設立行為そのものが政府の命じる設立委員が行うのではなくて、発起人が定款及び事業計画等をつくって設立の認可をすると、こういうことで特殊法人と区別されているだけでございます。
 それで、けさほどこの特別認可法人の数でございますけれども、同僚議員に対しまして九十二というふうな御答弁がございました。この九十二の中には、国家公務員の共済組合の各省庁別の組合など、こういう下部組合が含まれておりますので、現在私どもは上部組合だけで質問させていただきたいと思うんです。と申しますのは、私どもは各省庁にお願いをいたしまして、こういう資料を提出していただきました。これによりますと、現在五十一というふうになっていると思います。それで、資料を差し上げて、これに基づきまして質問を続けてまいりたいと思いますので、ちょっと恐れ入りますが、これそちらの方に差し上げてくださいますか。
 その前に、私、特別認可法人というふうに申しましたけれども、正式には一体どう言うのかということを一つお伺いいたしとうございます。それからまた、この特別認可法人の定義があれば簡単に教えていただきとうございます。
#205
○政府委員(加地夏雄君) 先生ただいま御指摘のように、特別認可法人が私どもが通常申しております特殊法人なのかあるいは認可法人なのかという問題でございますが、御指摘の特別認可法人がいわゆる認可法人ということでお答え申し上げたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 先ほど御指摘のように、特別の法律に基づきまして設立される法人は二つございまして、一つは特殊法人でございます。それから、他の一つは認可法人でございます。特殊法人がどういうものであるかについては、ただいま御指摘のとおり、行管設置法の二条の中に規定されておるようなものがわれわれが特殊法人と申しておるものでございます。で、それ以外の、特殊法人以外のもので特別の法律によって設立されておるもの、それを認可法人と、こういうふうに理解しておるわけでございます。
#206
○安武洋子君 実に漠たる定義でございますが、私、この資料に基づきまして所轄省庁別の認可法人の数を申し上げとうございます。厚生省が四、自治省が四、通産省が七、文部省が一、警察庁が一、農林省九、運輸省七、郵政省一、経企庁一、労働省八、大蔵省六、建設省一、科技庁一と、合計五十一法人というふうになってございます。この中で、政府の出資の有無を見てみますと、政府が出資しているのが二十三法人、出資をしていないのが二十八法人ございます。
 それで政府は、昭和四十二年三月の七日、閣議申し合わせで、「行政組織の簡素化について」と、それからさらには四十三年二月の二日、閣議決定で、「今後における行政改革の推進について」、こういうふうな申し合わせとかあるいは閣議決定、こういうもので特殊法人の整理再編成及び簡素化の方向を打ち出しておられます。それ以後、例年の予算編成に当たっては、その方針の一つに行政機構の簡素化をうたい、そして特殊法人の増加を抑制されておられます。その結果、昭和四十二年度百十三法人が、昭和五十三年現在では設立十七、廃止十九で、百十一法人でマイナス二法人というふうになっております。こちらの方は確かに減ってございます。
 しかし一方、特殊法人と何ら変わらない機構を持つ認可法人の方でございますけれども、これを見てみますと、昭和四十二年度二十五法人でございます。ところが、これが五十三年現在になりますと、設立は二十六、廃止はゼロでございます。五十一法人、ちょうど倍にふえております。私はこれは隠れた特殊法人の増設というふうに思うわけです。こんなに行われては、幾ら行政の簡素化とかあるいは特殊法人の整理再編成をうたってみても、ざるで水をすくうようなものではないかと思いますけれども、行政管理庁長官、いかがお考えでございましょうか。
#207
○国務大臣(金井元彦君) いま御指摘のように、特殊法人の方は減っておるけれども、認可法人の方は非常にふえていると、これは事実そのとおりでございます。特殊法人につきましては行政管理庁の方に権限があるわけでございますけれども、認可法人の方にはそれがございません。さような関係もあり、なおまた法人それ自体の設立行為等が異なっておるというふうな点からいたしまして、あるいはこの認可法人に対する規制が幾分か緩やかな結果になっておるということは言えるんじゃなかろうかと、こう思います。
#208
○安武洋子君 午前中の質疑の中で、長官は、認可法人についても全体としてやはり政府が責任を負わなければならないというふうな御答弁がございました。そしてわずかのふえではございませんで、倍増しているということは、私は大変大きな問題ではなかろうかと思うわけです。しかもその中身は大変問題でございます。
 続けて御質問申し上げますけれども、これは内閣官房長官にお伺いいたしとうございます。これは昭和四十年五月十四日、「公団公庫等役員の選考について」、こういう閣議口頭了解がございます。さらに昭和四十二年二月七日、「公社、公団等役員の人事について」、こういう閣議口頭了解要旨がございます。さらには昭和四十二年二月九日、「公社、公団等役員の人事について」という事務次官等会議の申し合わせで、いわゆる天下り問題、これに対処をなさっておられます。少し中身を読んでみますけれども、この中身は、「公団公庫等役員の選考について」、四十年五月十四日の閣議口頭了解の中の中身でございます。「公務員出身者から選考する場合は関係省庁の職員にとらわれず広く各省庁から適任者を選考すること」、「公団公庫等相互間のたらい廻し的異動は極力これを避けること」、こういうふうな項目がございます。で、この公社、公団、公庫等と、「等」がついてございます。この「等」には特別の認可法人は入っているんでしょうか。それをまずお伺いいたします。
#209
○国務大臣(田中六助君) いまの類例の中に認可法人は入っておりません。
#210
○安武洋子君 ちょっとはっきり聞こえなかったです。
#211
○国務大臣(田中六助君) いまのお問いの中に認可法人は入っておりません。
#212
○安武洋子君 それで、この認可法人は、設立をするときもあるいは機構管理も、これは全く政府のチェックがないわけです。天下りへのチェックもないわけです。あるのは所管官庁の業務等の監督だけなんです。これでは特殊法人の設立を幾ら抑制してみても何にもならないというふうに思うわけです。各省庁にとりましては、かえってこの認可法人の方が第三者の干渉がないと、こういうふうなことで、設立するのにメリットがあるということになりかねないと思うわけです。これでは私は、天下りのための機構をつくって天下りの温床をつくることになりかねないというふうに思うわけです。
 現に、数字的に見てみましても、五十法人――これは一法人というのは、警察庁の自動車安全運転センターのこの資料をいただいていないのでちょっとこれ不明でございますが、五十法人の中で給与の出ている役員が、私どもの調べでは二百二十四人中、元高級官僚出身者、いわゆる天下り組でございます、これが二百二十四人中百五十二人、六八%でございます。三分の二以上いる、こういう実態でございますが、こういう実態を一体官房長官はいかがお考えでございましょう。先ほど私が申し上げましたように、「公務員出身者から選考する場合は関係省庁の職員にとらわれず広く各省庁から適任者を選考すること」となっております。確かにこの「等」には認可法人は入ってはおりませんけれども、こういう実態を一体いかがお考えでございましょうか。
#213
○国務大臣(田中六助君) 認可法人につきましては、やはり特殊法人と同様に、これをふやすというようなことについては政府も十分心がけなければいけないというふうに思っております。認可法人が野放しにということになっておるわけではなくて、やはり予算編成時あるいは認可をする場合、あるいは関係法案を審議する場合などに十分配慮をしているわけでございます。特に人事につきましては、各省でやはり主管大臣が一応当たることになっておりますので、チェックの場合は全くないというわけではございません。
#214
○安武洋子君 しかし、これはいま私が申し上げましたのは、五十法人中の元高級官僚出身者の占めている人数でございますけれども、農林省を一つとってみますと、農林省の九つの法人中、有給役員は二十三人でございます。その中で天下り組が二十人でございます。この二十人のうち十九人、九五%が農林省出身でございます。
 それから、もう一つ例を申し上げますが、労働省でございます。労働省は八つの法人がございます。この八つの法人中、有給職員四十三人中天下り組が三十一人でございます。このうち二十五人が労働省の元高級役人、八〇・六%でございます。これは余りにもひどいというふうにはお思いにならないでしょうか。
#215
○国務大臣(田中六助君) 農林省が九十数%、あるいは各省がいろいろ八十何%あるというそのパーセンテージから見ますと、まさしく私も多いという気持ちあるいは感じを受けます。
 しかし、御承知のように、これらの認可法人、特殊法人も含めましてでございますが、法人機構は国の行政事務を代行さしているわけでございますし、ある程度の経験あるいはある程度のそういう線を通じた意識というものが必要じゃないかという観点からすれば妥当な線も出ます。ただ、御指摘のように、余りにも私どもの政府の方針からすれば多いパーセンテージじゃないかというふうに考えます。
#216
○安武洋子君 まさにこういうことを放置なさいますと、この認可法人をたくさんつくっていくと、そこが完全に天下りのための機構になり天下りの温床になるというふうなやはり批判を免れないと思うわけです。また、事実そのとおりになっているということをまだお示しいたしとうございます。
 特殊法人の高額の退職金につきましては、私ども三谷議員が衆議院の予算委員会の中で指摘をいたしております。しかし、認可法人も全く同じ現状でございます。給与の面でも各省庁の最高官僚である事務次官でございますが、事務次官の給与は七十八万八千円、この事務次官の七十八万八千円を上回るポストというのが、何と私どもの調査では十八もございます。
 それだけではございません。特殊法人の場合は、法人の規模のランク別で各役職員の給与の最高額が決められておりますね。ここにいただいておりますけれども、「特殊法人の給与額(月額)」で、「公社・銀行等の法人」とか、あるいはその次のランクは「公庫・大規模公団等の法人」、その次のランクは「中小規模公団・大規模事業団等の法人」、その次は「中小規模事業団・その他の法人」、そしてそのもう一つのランクは「その他(小規模)の法人」というふうになりまして、それも総裁、理事長、その次は副総裁、副理事長、その次は理事、その次は監事と、こういうふうに全部ランクづけがございます。そして、これで給与の最高額を抑えているわけです。
 ところが認可法人にはこのような規定が全くございません。そこで、どういう事態が起きているかと、一例を挙げさしていただきます。
 まず、経企庁所管の総合開発機構なんです。この経企庁所管の総合開発機構というのは職員はわずか三十二人です。ですからこちらのランクづけでいきますと、一番下の「その他(小規模)の法人」になると思うんですが、この一番小規模の法人になろうかと思うところの理事長さんでございます。この方の給与が百六万五千円、これでは公庫や大規模公団の長、たとえばここの表で見ますと、日本住宅公団総裁、この方の給与は百万五千円でございます。この百万五千円よりも百六万五千円は上回ると、こういう状態が出てまいります。長官、おわかりでございましょうか。
#217
○国務大臣(田中六助君) はい、いま統計を見ております。
#218
○安武洋子君 じゃ次をまた申し上げます。
 日本銀行総裁。日本銀行総裁は二百二十万でございます。副総裁百六十万でございます。国権の最高機関である両院議長や、それから一国の総理大臣、ここに資料がございますが、百五十五万円でございます。日銀法の第十六条、これを見てみますと、国の法律に基づいてつくられて、内閣においてその職に命ぜられると、こういうふうになってございます。こういう内閣においてその職に命ぜられる法人の長が、立法、行政府の長よりも、長官、はるかに高い給料を取っているわけでございます。
 私はこれもべらぼうなことだと思いますけれども、給与が単に高いという問題だけではないと思うんです。特殊法人には、給与の上限が先ほども言いましたように決められて、抑えられております。しかし、認可法人は高給野放しでございます。この高給野放しの認可法人の問題というのは、特殊法人と認可法人との間の問題でもある、あるいは行政府、立法府とそれからこういう認可法人との間の問題でもあるというふうに考える必要があるのではないかと思うわけなんです。こういう問題について一体どのようにお考えでございましょうか。御答弁をお聞かせ願いとうございます。
#219
○国務大臣(田中六助君) 立法府と行政府それぞれ違っておりますし、これの給与はどうだということで、その差が大き過ぎると、あるいは任免権を持つ政府の、日銀総裁の給料と国会の議長さんの給料が大違いだということ、あるいは特殊法人と認可法人との差別の給与をどう思うかということでございますが、非常に答弁に窮するわけで、長い間のしきたりもあるでしょうし、そういう差がどこから出ておるかということも考えてみなくちゃいけませんし、いずれにしても、いま御指摘のように、日銀総裁と行政府の長、これはまあこれによりますと約五、六十万の差があるわけですが、これはちょっと大きい差かなというふうに思っております。といって、いますぐこれをどのように是正するかということにつきましては、すぐお答えができない次第でございます。
#220
○安武洋子君 いまの同じ問題で、行管庁長官の御見解を伺いとうございます。
#221
○国務大臣(金井元彦君) 行政管理庁としては、実は権限がないわけでございますけれども、この前、衆議院でもその点でお尋ねがありまして、まあ国務大臣という立場から、やはりこれは適当な調整は考えるべきであるという意味のお答えをしたんでございます。ただ、このいまの日銀総裁とかなんとかというのは、まあこれはやや枠内へぜひ押し込まなきゃ困るというものかどうか、そういうような点についてはいま少しく具体的に検討する要があると思いますけれども、しかし、いま非常に時世が厳しくなっておりまして、いろいろ国民の間からも批判が出ておるこの状況にかんがみて、認可法人等につきましてもあるいは特殊法人につきましても、その給与等については検討をしなければならぬ問題であるなという意味のことを御答弁をしたわけであります。
#222
○安武洋子君 いま天下り官僚が渡り鳥問題も起こしております。特殊法人から認可法人へと渡ったり、あるいは認可法人から認可法人へと渡ったり、非常に多額の、給与だけではなく退職金も受け取っているというふうな問題もあるわけなんです。
 そこで、私はやはりこういう認可法人を野放しになさるというふうなことは、国民の目からは明らかにこれは天下りの温床だと、こういうものは放置できないのではないかという声が起こってくるのは当然だと思うんです。いろいろの設置の理屈はつけられます。しかし、私はちょうど交通安全特別委員会の委員といたしまして、自動車安全運転センター法ですか、その審議をいたしました。で、この審議の中で、当時の福田一国務大臣でございます、非常にざっくばらんな形でこの認可法人をつくるときのお答えをなさっておられます。どういうふうなことをおっしゃっておられますかといいますと、非常にざっくばらんな形でおっしゃっておりますので読ませていただきたいと思いますけれども、定年後のことなんですが、
  後どこかへ行くといっても、警備隊何とか、民間の警備本位の会社とかいろいろなそういうようなところだけで、警官というのは私は余りいままではそういう意味では実際問題として恵まれていなかったと思うのですよ。
  私は、理屈で言われるともう頭を下げないわけにはいかないような気もするのですが、そういう情の面から――情を余り政治に取り入れてもいかがかと思うけれども、私はやはり警察の関係の人にも何か一つくらいはあってもいいのじゃないか。何にもないのですよ、これは。私も最初説明を聞いたときに、あなたと同じことを言ったのですよ。似たようなものがあるじゃないか、どういうわけでそういうことになるのだと言ったところが、警察には一つもございませんという話を聞くと、むげにどうも、これまた類似のものを二つも三つもつくるということになればあれだけれども、一つくらいはひとつという、この一つくらいはというのには弱いのですね、やはり。まあ事実そういうことも政治というものに、ある意味でのよそとの比較で情の面も入れてもやむを得ない、これは私はそういう感じでお願いしょうという気になったわけであります。
  それはまあお願いする以上は何か理屈をつけなければいけませんからね、やはりいろいろと政府委員が答弁したように言うておるわけですけれども、と、こういうふうにあっさりと、やっぱり天下りのためにつくるんだということを御答弁なさっていらっしゃるわけです。で、私はさっきの渡り鳥の問題でも、特殊法人よりも、やはりこの認可法人の方がチェックがないだけにひどい形で行われているというふうに思うわけです。
 そこで、行管庁の長官にお伺いいたしますけれども、このままでは、認可法人を放置すれば遠からず特殊法人を上回ってしまう数になるのは、私は時間の問題だと思うんです。
 で、官房長官もお考えいただきたいんですけれども、この認可法人をこのまま放置しておくと、やはり先ほどの、非常にざっくばらんにおっしゃっているわけですけれども、天下りとか、それから高額給与とか高額退職金、こういうことで非常にこういう温床がどんどんできていくわけですね。ということは、このまま放置すればもう大きな問題になると、放置できないというところまで量と質の問題としていま発展してきていると思うんです。そういうふうにお考えいただきたいわけです。
 そこで、ここで私はやっぱり政治的な判断を下していただかなければならないと思うわけです。特殊法人に準じた形で、やはり統括官庁、これを私は一つは明確にしなければならないと、こういうことはもうなおざりにできないと思うんです。
 政治判断を私は三大臣に求めたいと思いますけれども、一つは行管庁の長官に対しまして、機構統括官庁として行管庁長官はどういうふうにお考えになるのかと、これをお聞きいたしとうございます。
 それから次は、人事等を統括されている内閣官房長官に対して、これは政治的にどう判断なさるのかということをお聞かせいただきとうございます。
 さらに、総務長官にお伺いいたしますけれども、先ほどから私の論議をお聞きいただいたと思うわけなんです。この認可法人の実態を私はおわかりいただいたと思うわけですけれども、日ごろ各官庁間の連絡を図っていらっしゃる、そういう立場、広い視野から見て、総務長官としてどのようにやはり考え、どのように対処なさろうとするのかと、そういう三大臣の私は政治判断をお聞かせ願いとうございます。
#223
○国務大臣(金井元彦君) まあ、いま安武委員は、機構の点からどう考えるかという私に対する御質問でございましたが、やはり機構は全般として簡素化するという基本方針のもとに、特殊法人に準じてと申しますか、さような気持ちをもって、認可法人の新設に当たりましてもチェックをすることが適当なりと、こう考えております。ただ、まあ現在では、御承知のように、行管といたしましてこれを明確にチェックできる立場にはおりませんけれども、これはまあ大蔵省とも十分連絡をとりまして、大蔵省は予算の際にこの問題にタッチするわけでございますので、十分連絡をとりながら肥大化を防いでいくということに努力をいたしたいと、かように考えます。
#224
○国務大臣(田中六助君) 安武委員の御指摘は、認可法人の現実、現状から見て、政治的判断をどう思うかということでございますが、先ほど私が御答弁申し上げましたように、また行管庁長官がいま指摘しておりますように、大蔵省の予算をつくるときに、やはりこれは十分考え、考慮に入れなければいけない問題でございますので、そういう予算面から一つ考えると。それから、やはり関連法案というものがございますので、この法律との関係、それから認可する時期、そういうものも十分考えられますし、それから給与を決める場合に、主管大臣はやはりその主管省の予算全体から考え得ることができますので、横の連絡を十分とりつつ、やはりこれに対処していくことが得策だというような政治判断を持っております。
#225
○国務大臣(三原朝雄君) 公務員人事を担当する立場でございますので、もうこの天下り、渡り鳥あるいは退職金、給与の多寡等は衆参において非常に長い間論議なされてきた問題であることも私も承知をいたしておりまするが、ただ、私ども、直接これを担当する省庁ではないという立場もございまするけれども、いま私に対する御質問は、国務大臣という立場、また公務員人事全体を主管する大臣としてという御意見のようでございまするので、率直に申し上げまするならば、ただいま官房長官も申されましたように、主管する省庁の良識が一番大事だと。その主管省庁もいろいろとこの問題については、認可の際から運営の問題等について私は対処しておられるものと信頼をするわけでございまするけれども、結果的にいま御指摘のような問題が出ておるという事実等もございまするので、まずは関係省庁において、大蔵が予算の面でチェックをする、他省庁は認可等の問題でチェックをされるという立場もあるようでございまするから、そこ自体でまずはひとつ良識に基づく運営がなされておると思いまするけれども、一層御注意を賜らねばならぬじゃないかと。また、それでもなおかつ問題が解決しないというならば、両大臣から言われましたように、私ども全く連絡役でございまするけれども、話し合いの上で、そうしたことについての対処、連絡の労をとる必要があるかな、そういうようなことで、いま言われた問題をこのままの状態でいいのかどうかということについては、私もやはり問題意識を持っておるところでございます。
#226
○安武洋子君 いま主管官庁の良識が必要だというお話がございましたが、一つ例を申し上げますと、先ほど私が例を出しました自動車安全運転センター、この設置法がかかってまいりましたけれども、これは昭和四十九年に行管に特殊法人として設立の伺いを出したわけです。しかし、政府の抑制方針もありまして認められなかったというふうなことで、内容は全く一緒。しかし設立だけは認可法人として出てきたわけでございます。これは審議の中ではっきりそういうふうなことが政府答弁で出ているわけでございますので、この各関係省庁がこういうことをなさっているわけなんです。ここを厳しくチェックしていただくのが私は必要ではなかろうかというふうに思います。行管庁の長官がチェックするのが適当なんだというふうなことで御答弁ございましたけれども、やはり私は、いまなるほどどこの省庁がそういうチェックをしていくのかということになるとそういうチェックがないというところが問題ですので、政府として全般的に大きな責任を持っていただいて、厳密なチェックをやはりしていくという体制を早急に考えていただきたいというふうなことを申し添えます。
 それから、会計検査院にお伺いいたします。いまのところチェックがない、ないということになっておりますが、こういう法人に対しまして何らかの形で第三者的なチェック、これを行えるところというのは会計検査院だけでございます。もちろん、これは出資とか補助が出ているところに限られるわけでございますけれども、五十二年度の会計検査院の報告の中でも、特殊法人のむだ遣いというのがこれは数多く指摘されております。認可法人も同種の問題があると思うので、私は今後厳格な検査をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#227
○説明員(東島駿治君) 特殊法人につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、政府出資の度合いあるいは孫出資というようなことで、それぞれ担当課に分担さして検査は厳重にやっているところでございまして、今後ともそういう面の検査は厳重にやっていきたいと、このように思っております。
#228
○安武洋子君 会計検査院は現在院法改正を準備されているというふうに聞いております。この改正に対しまして会計検査院の強化に反対、財界四首脳自民に表明というふうな、財界が非常に渋っているというふうな報道がなされております。しかし、会計検査を円滑に充実させていくという上で必要な法改正というのは、こういう圧力に負けずにやはりやっていただきたい。今国会に提案できるように会計検査院としても努力をしてほしいというふうに思いますが、いかがでございますか。
#229
○説明員(東島駿治君) 私ども法律の提案権はございませんので、ただいま政府にお願いして、先ほどおっしゃいました会計検査院法の権限強化ということをお願いしているわけでございますが、これについて、ただいま先生おっしゃいましたように、財界の反対というようなことは新聞で存じております。また、衆議院の予算委員会の総括のときに、総理大臣及び関係各省の大臣の方の御答弁も十分聞いておりますが、これは先生御案内のとおり、衆参両議院の決議によって権限強化、院法の改正がなされるわけでございますので、私どもとしましても、今国会中にできるだけ成立するように、私どもとしてできるだけの各省との調整とか、そういうことには努力している次第でございます。
#230
○安武洋子君 いまもお話がありましたように、会計検査院には法案提出権はございません。閣法として提案するにはやはり関係各省庁の理解と協力が必要であろうと思うんです。各省庁が積極的な姿勢で意向が固まるように、各省庁のまとめ役である官房長官と総務長官がそれぞれのお立場でやはり努力していただくというふうなことをお願いいたしとうございますが、お二人の決意をお聞きいたしとうございます。
#231
○国務大臣(田中六助君) 各省の連絡、それから各省がもう少し認可法人について十分な対処をするように心がけるよう、私どもも心がけていきたいと思います。
#232
○国務大臣(三原朝雄君) 官房長官と同じ決意でございますが、各省庁の自主的な積極的な動きを私どもは期待をするわけでございまするけれども、そうした連絡をやる必要があるという点につきましては、いま官房長官がお答えになりましたように、この問題について検討をいたしたいと考えます。
#233
○安武洋子君 次は、労働行政の問題について御質問申し上げます。
 いま雇用問題が深刻化いたしておりますけれども、職業安定所は、職業安定法の第一条の「(法律の目的)」のように、「各人に、その有する能力に適当な職業に就く機会を与えることによって、工業その他の産業に必要な労働力を充足し、以て職業の安定を図るとともに」云々というふうになっております。しかし、いまこのような法の目的のようには、職安行政の実情を見るとなっていないと思うんです。
 私、少し数字的なものを挙げさせていただきますが、職安行政の業務、人員の推移を調べてみますと、新規求職申し込み件数と申しますのは、昭和四十二年度に比しまして、昭和五十二年度は三十七万三百十八人と一四%ふえております。それから月間有効求職者数というのは、百五十三万七千三百二十人と三五%ふえております。それから雇用保険適用事業所数、ごれも昭和四十二年に比べまして四十六万九千カ所、被保険者数は三百九十四万五千人と、約四百万人ふえております。これは事業所数、それから被保険者数とも約二倍になったという数字があらわれております。また、統計にあらわれました完全失業者といいますのは、昭和四十二年には六十三万人でございますが、昭和五十二年には百十万人と、七五%増加いたしております。
 こういう数字から見ましても、職安の窓口では失業者の求職相談とか、あるいは保険給付業務とか、求人開拓とか、こういう業務量が激増しているということがわかるわけです。ところが、安定所の定数と申しますのは、昭和四十二年には一万四千六百二十六人。ところが、昭和五十二年には一万三千百四十二人。千四百八十四人、一〇%削減されております。
 一方、基準行政の方を見てみましても、労働基準法適用事業所数、これは四十年には二百十七万、五十三年には三百十一万、こういうことで、四三%もふえております。労働者数も、四十年二千六百三十万、五十三年は三千六百五十九万で、三九%ふえております。それから業務上の疾病の発生件数は四二%ふえております。労災支払い件数、これも三〇%ふえております。年金受給者数、これも十五倍にもふえております。これで、監督署、基準局、この業務もまた激増しているということが数字で出ております。しかし、ここでも定員は四十年の八千八百十七人が五十三年八千四百十六人、四百一人減って五%減というふうになっております。
 これでは、業務量の増加と反比例して人員はどんどん減っているというふうなことで、職安も基準行政もこの基本的な仕事がやはりなおざりになるのではないか、もうこれは数字が出ております。たとえば定期監督実施は四十年百九十一件で、八・八%です。しかし、これが五十二年では、定期監督を実施した件数が百三十三件に減少して、実施率というのが四・三%。四・三%というのはもうこれは重大な問題だと思いますけれども、こういうテンポで全事業所を監督してまいりますと二十年はかかろうというふうなことになります。ILOも勧告をしておりますように、年に一回全事業所をやはり監督しなければならない、こういう観点に立ちますと、五千人の監督官の増員が必要だというふうな膨大な業務量があるというふうなことが、これは労働省の統計でもわかるわけです。
 職安、基準行政ともこういうふうに業務が非常に激増している、しかし、それに見合うような定員の増加が図られないばかりか、かえって人員が削減されているというふうな状態です。こういう現状であることに、労働省いかがでしょうか、間違いないでしょうか。そして、職安、基準行政本来の使命を果たしていく上で、いま私が仕事の問題でも非常にこれでは問題があるというふうに申し上げましたけれども、定員が少ないということは非常な隘路になっているのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
#234
○説明員(宮川知雄君) 業務量の増大というものを一口に数字的に説明することは非常に困難でございますが、ただいま数字を挙げて御指摘ございましたように、その業務量の変化あるいは増加というものを図る目安としてのそれはあると思います。それで、いま御指摘になりました数字はそのとおりでございます。
 それから、仕事を進める上の隘路ということでございます。実際非常に厳しい定員管理が普通長い時間にわたって行われております。これは労働省だけではございません。やはり必要なところに人を配置し、適正な業務体制を確保していくということは大変大事なことだと思います。そういう意味でまいりますと、人の少ないのは非常にきつい話でございますが、ただ、昨年、まあ五十三年ということになりますが、それからいまお願いしております五十四年と、関係省庁の御理解もかなり得られまして、増員についてかなりの措置がとられてきていると、そういうのが実情でございます。
#235
○安武洋子君 単に失業者とか被保険者数が増大したというだけではないと私は思います。中身を見てみますと、雇用、失業の問題に対処するために実にさまざまな法や制度ができて、業務の内容というものが非常に複雑化していると思うんです。その面からも業務量が私はふえていると思います。昭和四十年から労働省関係では三十の法律が改正されたり、新規につくられております。そして四十四年、徴収一元化法、この制定に際しまして、約千名の職員が必要だと労働省ははじき出されております。しかし、この法律は四十七年に施行されておりますけれども、逆に百二十九名の職員が減っております。そして五十年に全面適用になった際にも、対象事業所は二百七十万カ所です。しかし、またまた定員は削減されて四十一名減らされております。
 現在、私は全面適用というのはこれはきわめて重要な問題であると思っております。昭和二十二年に失業保険法が適用されましたけれども、いろいろな変遷があったにせよ、いま九十五万事業所が未適と推定されているわけです。労働省は事務組合などを通じて適用を図っておられますけれども、しかしそれにも私は限界があると思います。五人以上が当然適用であった時代から、二十五年もかかって未適事業所をなくそうということでやってきたけれども、未適事業所を数多く残したまま現在もまだ九十五万カ所が未適事業所だと推定されるような状況です。しかも、いま残っているところというのは非常に零細な企業である、そこの事務能力一つをとってみても非常な手間暇がかかる。こういうふうな未適事業所が放置をされているということは、労働者にとっては現行法の恩恵にすら浴せないというふうな労働者も出てきて、非常に法のもとの不平等を生じる、こういうふうな重大な問題でもあろうかと思うのです。一日も早い全面適用、これをやるのが私は法をつくった以上はあたりまえのことだというふうに思うわけです。労働省にお伺いいたしますけれども、いまの定員から見て、この全適というのは完全にできるのかどうか、どういう見通しをお持ちでございましょうか、簡潔にお答えいただきとうございます。
#236
○説明員(今井好昭君) ただいまの御質問でございますけれども、おっしゃいましたように、昭和五十年の四月から労働保険は原則的に全面適用になっております。しかし、そのための事務体制というのを直ちにあれすることは大変困難でございまして、そのために、ただいま先生おっしゃいましたように、事務組合を通じまして、中小の零細な事業所は一括して適用するというふうな方策をとっておるわけでございます。しかし、事務組合を進めるにつきましてもやはりそれなりの行政体制は必要であるというふうなことで、私どもいろいろ関係方面の御理解を得て、近年、昭和五十年でいいますと二十七人、五十一年五十二人、五十二年五十人、五十三年五十人、五十四年の予算におきましては三十九人というふうな定員の増をお願いをして、それを見ているわけでございます。
#237
○安武洋子君 そんなこと聞いてないんです。もう少し端的にお答えいただきたい。
 全面適用が本当にそんなものでできるのですか、できるはずございませんでしょう。そういう点を私はお答えいただきたいわけですよ。法ができている以上、全面適用、こんなものすぐやらなければいけないわけです。しかし九十五万事業所、未適事業所と推定されるものをわずかそのぐらいの増員でできるわけないわけなんです。
 それで、ちょっと時間がないので急ぎますけれども、職安では失業予防とかあるいは雇用安定のために、非常にいろいろな失業者や事業所に対しての給付金とか奨励金、こういうものを出しておりますけれども、この数が百二十を超えているわけです。もうよっぽどのベテランでなければこういうことを覚えられない。監督署の業務でも手間暇のかかる業務が非常に多いのです。たとえばここに私これだけのものを持っておりますけれども、これは第三者の行為によって労災保険を給付するために、職員が実地調査にも行かなければいけないわけです。非常に手間暇かかるんですが、その書類だけでもこれだけたくさんあるんです。この膨大な書類を見てください。二十九回もの手続をやらなければならない。これだけ事務が複雑化しているんです。これは人員削減と全く実情に合わないというふうに私は思います。
 それで、政府はいま中高年の問題を重点施策の一つにされておりますけれども、非常に中高年の雇用を安定さすということは重要なことです。その中でさらに重要な役割りを背負ってなさるのが高年齢者雇用安定指導官というふうに思うわけです。この指導官というのは、中高年法の高年齢者雇用率の達成の促進とか、あるいは定年に達する労働者の職業の指導とか職業紹介とか、非常に重要なお仕事をされるわけですけれども、中高年者の職業の指導というのは一朝一夕にこれできるものじゃございません。日ごろから中小企業などを回って求人開拓をしたり、あるいはときには経営の指導にも参加をする、相談にも乗るというふうな知識とか経験が求められるわけなんです。しかし、この高年齢者雇用安定指導官という数を調べてみますと、現在二百三十七名なんです。全国で安定所というのは四百八十一あります。ということになりますと、職安二つにたった一人しかいない、こういうことです。
 私のおります兵庫県でも十八職安、七出張所、四分室ございます。しかし、この指導官というのは、わずか九名でございます。これは金井長官も地元でございますのでよく御存じだと思いますけれども、こういうふうにしか指導官が配置されていないわけなんです。これほどいま中高年の失業問題、雇用問題が深刻なときに、こういう職員の配置では社会の、社会的な問題になっているこういう中高年問題にこたえることはできない、本当に解決することはできないと思うんです。
 労働省自体も四十八年九月の建議で、職安行政はこれ以上合理化する余地がない。人が相手でございます。ですからそこに来る人、相手は物じゃございません。いろんな生活から、いままでの社会で過ごしてきた経験からと、いろんなことを積極的にくみ上げてその人にふさわしい職をあっせんし、そしていろんな給付金を出していくというふうにやらなければならないわけです。ですから積極的に増員しなければならないと、こう言っているわけです。しかし、増員されないどころか、削減に次ぐ削減と、やっとことしだけはプラマイゼロというありさまです。ですから、地方自治体十六府県議会それから六十八市議会、七町村議会、こういうところから、労働行政職員の増員と行政体制確立に関する意見書、こういうものが出ております。地方自治体がこのような意見書を出すというのはよほどのことなんです。私はこういう意見書を尊重すべきだと思います。
 また、国権の最高機関であるこの国会でも、労働行政については法改正ごとにたび重なる職安、基準の増員、待遇改善、こういう附帯決議が出ているわけです。また請願も全会派一致で採択もされております。それにもかかわらず、再三再四のこういう国会の意思、こういう意思がいままで実行されていない。これは私は国会軽視、怠慢としか言いようがないと思うんです。
 ですから、いろんなアンケートがとられておりますけれども、離職者に冷たい職安だと、頼りにならない職安だと、こういうことが言われております。しかし、個々個々の職員は本当に全力を挙げて職務を遂行するのにがんばっている。そのことは職安出身の私が一番よく知っております。私はやはりこの国会の意思を尊重して速やかに増員、待遇の改善を行って、やはり一番国民がいま関心を持っているこの雇用の問題の中心になるこういう労働行政が、行政がスムーズに行えるように行管としても配意検討すべきだと、こういうふうに思いますが、金井長官の御意見を承らせていただきとうございます。
#238
○国務大臣(金井元彦君) ただいま安武委員の御指摘の、雇用問題は非常に重要な問題であるということはおっしゃるとおりだと存じます。ただ、具体的の問題につきまして私よく詳細を承知しておりませんので、その点はよくひとつ主管省とも検討をいたしまして考えていくのが至当でないかと、こう存じております。ただ、いま安武委員のお話の中にもありましたように、人数をふやしたからといってすぐ役に立つわけでもありませんし、そういうような点はひとつ具体的の問題としてよく話し合いをしていきたいと、かように考えます。
#239
○安武洋子君 「労働行政の業務と定員」というふうなことで労働省がこういう一つの冊子をつくっておられます。この中にもっとさらに詳しく本当に実情も出ております。いまのように関係省庁とよく話し合いをされて私はやはり適切な配慮を願いたいと、そのことを申し添えまして質問を終わらせていただきます。
#240
○柄谷道一君 満州開拓史によりますと、内原訓練所から送り出されました満州開拓青年義勇隊員の数は八万六千五百三十名に達すると記載されておりますが、厚生省、それは間違いございませんか。
#241
○説明員(田中富也君) 間違いございません。八万六千五百三十名でございます。
#242
○柄谷道一君 その隊員のほかに、これを養成した教師等もそのほかにあるわけでございます。
 そこで、総理府にお伺いしたいわけでございますが、旧満州開拓青年義勇隊関係で恩給法の対象となっている数はどの程度でございますか。
#243
○政府委員(小熊鐵雄君) 満州関係で幾人かというのはちょっとわかりかねます。
#244
○柄谷道一君 私の承知いたしておりますのは、教師関係、これは恩給法の適用になる。しかし、一般隊員は恩給法の適用がなされていない、こう理解するんですが、そのとおりですね。
#245
○政府委員(小熊鐵雄君) 先生いまおっしゃいましたように、恩給法において開拓義勇隊の先生になられた方、これは恩給法としてのいろんな身分もお持ちの方がそのまま行かれたというようなケースが多うございますし、また向こうへ行かれましても、非常に年端のいかない子供たちに基礎教育を与えるとか、そういったことを、言うなれば戦時中の教育行政の一環を担ったというふうなことから、恩給法そのものではございませんが、通算をいたしております。こういうことになっております。しかし、隊員につきましては、いま先生おっしゃいましたように、恩給法の適用にはなっておりません。
#246
○柄谷道一君 厚生省にお伺いいたしますが、戦没者遺族、戦傷病者の援護法、私の調べたところによりますと、これの対象になっている隊員は、弔慰金二千九百二十件、遺族給与金二千三百三十件、障害年金四十四件、合わせて五千二百九十四件がその対象になっていると、こう理解いたしておりますが、そのとおりですか。
#247
○説明員(田中富也君) そのとおりでございます。弔慰金二千九百二十件、遺族給与金二千三百三十件、障害年金四十四件でございます。
#248
○柄谷道一君 厚生省が本年度、旧満州地域に慰霊巡拝団を派遣する、こういう予算が計上されております。そのときの厚生省の発表によりますと、旧満州地域で戦没されました数は二十五万名に達すると。負傷者の数は定かではございません。現在これすべて合わして五千三百件ぐらいでございますけれども、旧満州で義勇隊関係で死没もしくは負傷された方々のすべてが現在の援護法でカバーされているわけですか。
#249
○説明員(田中富也君) 援護でほぼカバーされているというふうに認識しております。
#250
○柄谷道一君 総理府長官にちょっとお伺いしたいんでございますが、いまお聞きいたしましたような現状でございます。で、このたび政府はさきの質問にもございましたように、旧日赤救護看護婦に対しましては、いわゆる恩給法でもない、また援護法でもない、特別の措置を講じられようとしているわけでございます。しかし、戦後処理の一環として考えますならば、いま私が指摘いたしました旧満州開拓青年義勇隊員の問題もございます。また、戦争中物資の輸送に当たり、兵士と同じ辛苦をなめました徴用船員の問題もございます。また、実態上は日赤救護看護婦と変わらない、むしろ実態上は日赤救護看護婦よりもむしろ前線に出動しておったという陸海軍看護婦の問題もございます。いろいろ戦後処理の一環としてこれをとらまえますならば、なお多くの問題を残しているというのが現状ではないかと、こう思うのでございます。この問題は非常に大きな問題でございまして、一総理府というよりも、むしろ政府全体で検討すべき問題であろうと思います。本来であれば総理大臣に対しまして所見を伺うべき問題かもしれませんが、総務長官が出席されておりますので、ひとつ国務大臣という立場から、これらの問題に対する長官のお考えをお伺いいたしたい。
#251
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたしますが、私自身、終戦前十数年、外地勤務をいたしておったのでございます。いま満州開拓義勇隊のことを言われますると、当時の訓練生であった義勇隊のことをしのび起こすのでございます。また日赤看護婦あるいは陸海軍の看護婦の方々等も想起できるわけでございまするし、なおまた船員の方々が、手操り船などを徴用されて、それに乗って輸送勤務に当たられたことも承知をいたしまして、目の当たりに当時のことを思い浮かべるのでございます。
 そこで、私は今日まで、いま指摘されました各種の方々の問題について、旧日赤救護看護婦についての処遇がなされたが、それは当時の法律に照合し、あるいは恩給法なりあるいは援護法等に照合して、いろいろ検討の末旧日赤救護看護婦に対しての処置がなされた。その他の方についてもいろいろと検討を進めてきた経過は承ってまいっておるわけでございまするが、これは当時をしのんで何とかならないものかという、心情的には痛切にそうした点を考えておるわけでございます。そこで、予算の措置をいたしますときに、そうした問題が国会の中からも提案をされておりましたので検討を進めてまいりましたが、現在時点におきましてはきわめて至難な問題であるというような実態に立っておるわけでございまするが、なおしかし、いろいろな御意見を聞きながら検討をする余地はないのかということで腐心をいたしておるというのが私のいまの考えでございます。まあ国務大臣としての考えであるわけでございます。
#252
○柄谷道一君 まあそれ以上の答弁はなかなかいただけないものと思いますけれども、この問題について引き続きまして、やはり内閣におきましても何らかの援護措置がとれないか、これらについては十分引き続いての検討を強く要請いたしておきたいと思います。特に、いま問題になっておりますのは、まあすべてがそうなんですけれども、同じ病院で、同じ戦地で看護婦として働きながら、片や日赤関係は特別措置が受けられた、従軍看護婦の方はその措置の外に外れている。これはひとつの不公正ではないかという声が逐次高まりつつあるわけでございます。私は、この問題につきまして別の機会に、予算委員会の分科会等で、資料等も取りそろえましてひとつ深く御質問をいたしたい。現在、予告ではございませんが、それまでの間にひとつ総務長官、厚生大臣ともお話し合いを願いまして、引き続き検討の中で、特にこの陸海軍従軍看護婦を取り出して現在以上の御答弁がいただけるように、ひとつ真剣にこれは御検討おきを願いたいと思うわけでございます。
 続きまして、行政改革の問題に移りたいと存じます。
 私は、予算委員会の総括質問の中で、大平総理に対しまして、総理の当初言われましたチープガバメント、これは安上がりの政府という翻訳よりも、むしろ簡素で効率的な政府と受けとめてもらいたいと、こういう答弁があったわけでございますが、総理に対して、現状はそうなっているとお思いですかと、こう質問しましたところ、現状はそういう状態に至っていない、こういうお答えがございました。しからばということで、ゼロベースの発想、いわゆるゼロからスタートするというこの志向を行政改革の中に取り入れるお考えはございませんか、こう質問いたしましたところ、それを肯定される答弁がございました。したがって、総理のお考えがそうであるとすれば、行政管理庁長官として、今後このゼロベースに立つ行政改革を強力に進められるものと、当然こう思うのでございますが、長官の御所見をお伺いします。
#253
○国務大臣(金井元彦君) ただいま御質問のゼロベースの問題でございますけれども、まあこれは恐らくはアメリカのゼロ・ベース・バジェットという発想に基づくものを御指摘になっていると存じますが、まあ総理はそういう考えでやらなければなかなか大変な事態なんだと、こういう意味の御答弁があったと、こう思うのでございます。いわゆる増分主義でなしに、ゼロベースからという予算査定方針を総理は肯定されたのでございますので、私はやはり予算編成に当たってはさようなことで行かれることが至当だと、こう考えております。
 なお、じゃそれを拡張して、各機構についてもゼロベースで全部洗い直すかと、こういうあるいは御趣旨の御質問かと存じますが、何と申しますか、いまやっております――これは行政簡素化とか効率化という問題は絶えずやっているわけでございますが、現在といたしましては、大体一昨年暮れの福田内閣のあの行政改革についてというのが、あの当時といたしまして一志全体について洗ったような形になっておりまして、それに基づいての方針を出しておりますので、それを継続的にやっておるようなことでございます。それに本年の一月十六日の閣議了解をさらにつけ加えたと、そうして絶えずその見直しをしながら進めておると、かようなことでございます。
#254
○柄谷道一君 一昨年、福田内閣の閣議決定による行政改革の推進、そして大平内閣になって決められました閣議決定、これは一言で言いますと、いわゆる増分査定主義と私は受けとめるわけでございます。私が提起いたしました問題について、総理がゼロベース発想に立とうということは私は重大な意味合いを持つ答弁であったと、こう思うんですね。これにはやはり検討の期間も必要でございましょう。その間何もしないで時を過ごすということにはまいりませんから、いま長官の申されましたような方向でのつなぎの改革が進められる、これは当然のことだと、こう思うんです。しかし、それだけでは思い切った行政改革ができないわけでございますから、当然これと並行してゼロベースに立つ行政改革の検討というものが進められるべきであろうと、こう思うんでございます。その点いかがでございますか。
#255
○国務大臣(金井元彦君) これは物によって若干そこに差異があると思うんでございますが、本当に行政機構の大きな骨格に関するような問題につきましては、これはそう単純にまいりません。その内閣としてかなりの決意を持ってやらなければならない問題であろうかと思います。しかし一方、ぜい肉をできるだけ絶えず取っていくという問題につきましては、これはもうある一つの長期間の展望においてその成果をひとつ評価をしていただくと、こういうことになろうかと存じます。たとえば特殊法人等につきましては、これはやはり絶えず見直しをしておるわけでありますが、ただいまといたしましては、一応特殊法人も全般に洗いまして、あのときの閣議決定の趣旨というものが示されておりますので、それのむしろ実行ということにいま力を入れているわけであります。しかし、それじゃそれを金科玉条に考えているかと申しますと、これは時勢も変わりますし、やり方をまた変えて、あるいは改廃というふうな問題も扱っていくと、かようなことに相なろうかと存ずる次第であります。
#256
○柄谷道一君 御趣旨のような御答弁なんですけれども、一月十八日付のたとえばサンケイ新聞の論評を読みますと、「これが安上り政府計画か」と、まことに手厳しい見出しで、「大平首相は「一利を起こすは、一害を除くに如(し)かず」という立場をとり、減らすよりはふやさないことに重点を置いている」「いまのような姿勢では安あがりの政府は実現できない」「こと行政改革に限っては、大平首相も剛球型に転じるべきである」、こう論評いたしております。また、同日の東京新聞によりますと、「大平内閣の行政改革は派手なこと、荒っぽいことを好まない首相の性格をそのままに“守りの行革”“地道な行革”に特色がある」、こういう状態では思い切った改革はできないであろうということを指摘しつつ、首相の現在のような態度では官僚の抵抗は押し切れない、「指導力に裏付けられた“攻め”の姿勢が必要である」。いずれも、現在大平内閣の行政改革に対する基本姿勢の転換を求めるこれが各新聞の論評であり、また国民の各階層も、増税、大平内閣の方針である五十五年度の一般消費税の導入のその以前に、思い切った行政改革の断行こそ必要であるというのが、これはもう国民世論であると思うんですね。総論はもう国民世論は成り立っているわけです。問題は、それを受けて、各論としての思い切った行政改革をいかにすれば実現できるか、これにいまかかっていると思うんですね。問題は、もう行政改革の必要性はわかっているわけで、問題はハウツーなんです。その改革の、今後思い切った改革の実践の方途についてひとつ長官の御所見をお伺いしたい。
#257
○国務大臣(金井元彦君) 大平総理の発言と申しますか、そういうものに関連し、あるいは一月十六日の閣議了解に関連をしまして、いま柄谷委員御指摘のような論調が新聞に見えたわけでありまして、少し態度が消極的でないかという意味のことを言われましたのは御指摘のとおりだと、こう存じます。ただ、非常に目立つ大きな機構改革と申しますか、これはやはり言った以上は私はやらなきゃいけないと、こう思うんであります。そこで、大平総理がやや消極的な意味にとれるような発言をされましたのは、表明をして実行ができないということはこれは一番いけないことだと、こういう点を考えられての発言だと、こう思うんであります。これはあるいは語弊があるかもしれませんが、福田内閣が非常に行政改革については積極的な姿勢をとられたと、こう思うんでありますが、実際は結果的には途中でややその気魄どおりにいかなかった点があるというふうな点を、やはり反省と申しますか、そういう上に立って実質的効果を上げるようにしたいと、こういうことであります。そうかといって、何か小刀であちこち削っているというふうなことでは、これは国民の方から見て、私はやはり行政改革よくやったということにならないと、こう思いますので、やはりかなり大きな改革につきましては、これはもう一般的にどうこうというようなことはできないことでありまして、やはり特殊のものを取り上げてここで決意をして断行すると、こういうことでなかろうかと、こう考えております。
#258
○柄谷道一君 私は、真の行政改革というものは未来への構想というものを持たなければならないと、こう思うんですね。具体的にハウツーの問題で時間が余りありませんのでお伺いするんですが、私は予算委員会で二つの問題提起をしたんです。そのうちの一つの、国会内に行政改革の特別委員会を設けてはどうか。これはまあ国会内の問題ですから、これは各党間で話し合われるべき問題と思います。それは一応横に置きまして、もう一つは、これは思い切った未来を展望しての改革を行おうとすれば、やはり民間の活力等も導入した大規模の審議会というものを設けるべきであろう、こう思うんですね。
 第二には、これは横浜国立大学の成田教授が指摘しておる問題でございますが、行政管理庁が横並びの官庁の一つの外局になっているということでは行政改革は進まない、行政改革を本気で進めようとするならば、内閣直属のいわゆる法制局並みの地位に行政管理庁を置かなければならないのではないか、行政管理庁自体をそういう形に切りかえていくということでなければこの改革は望めない、このことを指摘されているわけですね。
 私は本当に大平さんがゼロベースに立とうという意欲を持っておられる、これは評価します。しかし、それを本当にやっていこうとすれば、いま言いました二つの問題に真剣に取り組む、そういう舞台づくりをする、それなくしては私は竜頭蛇尾に終わってしまうのではないかと、こう思うんです。行政改革をやろうとする場合、これ抵抗が大きい、大変なことだと思います。それを乗り切るために、私は同県人としての長官に大きな期待を持つわけでございますが、そういう方法を検討されますか。
#259
○国務大臣(金井元彦君) いま二つの点を御指摘になったわけでありますが、官民からなるところの審議会を設けて大々的にやったらどうかと、この点でありますけれども、私は結構だと思うんですけれども、これは昭和三十七年でございましたか、佐藤喜一郎さんを長とするところの審議会ができまして、三年間かかってずいぶんこれはよく検討され、かなり思い切った意見を出しておられます。これは今日見ましてもやっぱり生き生きとしておると私は思うんでありますね。あれ以上のものをまたやろうとすれば、やはり相当な日数を要し、結論はまた似たようなものができるのでなかろうか。むしろ佐藤委員会、臨調の結論というものをむしろ決断をもって実行に移すという方が実際的ではなかろうかと、こんな感じを持っております。
 それから、行政管理庁が横並びの役所であってこれはやりにくいのじゃないかという点は、これは私も若干そういう感想を持っておる次第であります。ただこれを、それでは別途のたとえば会計検査院のような独立した役所にしてやった方が効果が上がるかどうかと、こういうことにつきましては、これはいま少し検討を加えてみないと、果たして本当にどちらが効果が上がるかという点につきましてまだ確信のあるお答えをするところまでいっておらないわけであります。
#260
○柄谷道一君 時間が参ったのでこれで質問をやめますけれども、私は臨調は高度経済成長時代のいわゆる入り口に当たる時期だったんですね。いま本当に国家財政の危機が叫ばれ、減速経済下に入っていっておる。そういう新しい局面を迎えて、私はもう一度洗い直す、これは必要だろうと思うんですよ。同時に、いま言いました行政管理庁の位置づけにおいてもここで一工夫していきませんと、私は行政管理庁そのものをやめろという意見にまで発展しかねないような危惧を持つわけです。この点につきましては、きょうは総理府長官もいらっしゃるわけでございますので、ひとつ大平内閣の取り組まなければならない一つの重要な課題として十分に御検討願いたい。
 最後に、いま地方選挙のさなかでございますが、画一と集権から多様と分権へと、地方の政治の時代だと、これがよく言われているわけです。そうなりますと、シャウプ勧告から三十年経過しております。中央と地方の行政機能の分権化の問題、これに対応するいわゆる税制、財源の問題、これらが今後の行政改革の一つの重要な柱になろうと思います。これに対する長官としての御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
#261
○国務大臣(金井元彦君) ただいま御指摘になりました地方分権と申しますか、この問題私これは考え方が二つあるんじゃないかと、こう思うんですが、一つはできるだけ事務を簡素化すると、こういうふうな意味のものかと、こう思うんであります。できるだけ移譲をしていく、身近なものは地方でやっていく、こういう観点だと思いますが、もう一つは、もう少し発想を異にいたしまして、地方自治というものを基本に考えるということがやはり民主主義の一つの根幹につながるものでもあるというふうな、基本的な別途の発想があろうかと思います。終局は同じものを目標とするにしましても、そこのところに若干の発想の差異があるんではなかろうかと、こう思います。
 私はやはりできるだけ地方に自主性を持たせる、権限を持たせるという行き方というものが正しい行き方でなかろうかと、かような考え方を持っております。ただ、それには裏づけが伴わなければいけませんので、事務配分と同時に財源の配分というものが着実に行われるということが必要であると、こう存じます。ただ、その際に一つの困難な問題は、非常に地方によりましてのばらつきが財源的に大きいという問題をどう解決するか、いわゆる自主財源の考え方の問題がそこに伴ってまいろうかと存じますが、この問題は私は自治権の問題とも関連いたしまして、いま少しく積極的にこれは掘り下げ推進すべきものでなかろうかとこう考えております。
  〔委員長退席、理事楠正俊君着席〕
#262
○喜屋武眞榮君 私のきょうの質疑の一つでありました、沖繩の未買収道路用地の補償、いわゆるつぶれ地の補償につきましては、たまたま先ほど佐藤委員が取り上げていただきましたので、くどくど回り道を避けたいと思いますが、そのやりとりを通じて私がつくづく感じますことは、三原長官の沖繩開発庁長官としての沖繩問題解決に対するその姿勢に対して、敬意を表するとともに大きな期待を寄せるものであります。たとえばあの手この手で格上げの問題とか、あるいは見直しを今後しなければいけないとか、そして困難ではあるけれども、これは避けて通るわけにはいかない、まさにそのとおりであると思います。
 そこで、内容につきましては、先ほど佐藤さんが詳しく尋ねてくださいましたので、私は結論的にその問題について触れたいと思いますのは、いまさきにもございましたが、沖繩の問題はすべてと言ってもいい個々の問題、戦後処理の中身の一つであります。このつぶれ地の問題も原点に返って処理すべきものである。なぜこのような問題が起こったかといいますと、結局は、県民の意思にかかわらず戦争の犠牲から起こった問題であり、ならばそれは国の責任において解決すべきものであるという、この原点を忘れてはいけない。
 そこで、やりとりの中で抵抗を感じましたのは、枠内でという田中官房長官の言に私は抵抗を感じたので、枠内操作では沖繩問題は根本的な解決はできないということなんであります。沖繩の問題は特殊な配慮によってしか解決できない、こう思いまして、この特殊な配慮をさすが沖繩担当の長官だと私は敬意と期待を寄せるのもそこにあるのであります。そこで、建設省の態度にしましても官房長官の態度にしましても、非常に消極的で何かしら枠内の範囲内で努力しようという、こういう感じを受けましたので、それをひとつ内閣内におきましても、閣議におきましても、ひとつラッセルの役割りを演じていただいて、特殊な配慮をもって解決していただきたい。たとえば十分の八の問題は一例、その他の道路の分の格上げは一応努力されるという約束がありましたが、その他のつぶれ地の十分の二格上げによる財政的な配慮は市町村分担軽減が約二百五十億になると言われております。ところが、その他の道路分の地方負担が二百八十億になる、このことが問題なんです。このことによって、いわゆる貧困地方財政が破綻をするという、そうであるからこそ十分の十を要求し、知事あるいはその関係市町村長が束になって十分の十を要求しておる、これは戦後処理の一環として私はとらえていただくならば、当然原点に立って、戦争の犠牲、国の責任において処理すべきであると、ごう思うわけですが、長官のそのことについて私は再確認をいたしたいと思います。
#263
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたします。
 先ほども私は申し上げましたように、沖繩の問題と取り組む場合には歴史的なやはり過去の問題、そして戦時中の問題等がやはりどうしても私は忘れることはできないことである。それから、戦後におきましても、戦時中に受けました幾多のそうした過重な負担、犠牲、それに現在基地を大きく負担願っておるという日本の安全保障上の問題等もあるわけでございます。そうした沖繩におきまする戦後処理の問題につきましては、私は一般的な他の都道府県と同格にして考えることはできませんともちろん思うわけでございまするし、また国も、そうした立場に立っていろいろな事業の推進を図り、沖繩開発庁を設置をして諸般の事業を推進し、本土並みの体制に持ってこよう。そうしてまた、予算的にもあるいは税制関係におきましても特別な配慮をいたしておることは事実でございますけれども、しかし、いま具体的な問題を一つつぶれ地問題を取り上げましても、しかし問題は簡単にまいらないという厳しい状態がございます。そういう点を考えてまいりますれば、先ほど原則的な大前提を私は申し上げましたけれども、そうしたやはり政治の姿勢でこの問題と取り組まねばならぬ。法の枠内あるいは予算の枠内だけで問題を処理しようということは、これはなかなか許されない事情がある、私はやはり政府委員諸君にもそうした気持ちを申し上げてまいっておるところでございまするし、今後幾多の問題もまだ残っておりますが、残った問題につきましてもそういう一つの姿勢でこの問題と取り組んでまいることによって、現地の県民の方々なり、あるいは県庁の方々との話し合いも合意に達するものではなかろうか。そういうような姿勢で今後も沖繩の振興開発につきましては責任を持った対処をしてまいりたい、そういう決意でおるところでございます。
  〔理事楠正俊君退席、委員長着席〕
#264
○喜屋武眞榮君 御期待申し上げるがゆえにあえて申し上げますが、歴代の開発庁長官もその姿勢はまことによろしかった。ところが、その姿勢に行動の裏づけが県民の要望にこたえてなされたかということに不満があったわけなんです。どうかひとつ、その姿勢を行動の裏づけをもって正真正銘沖繩担当開発庁長官としての責務を果たしていただきたいことを強く重ねて要望するわけでありますが、戦後三十四年復帰八年、いまさら申し上げるまでもなくあの海軍中将太田司令官は、沖繩県民の犠牲に後世の県民に対して遺憾のないようにこたえてもらいたいという遺書を残しておられることはいまさら申し上げるまでもありません。長かりし三十四年復帰八年、ところがいまだにこの問題一つとらえても解決されておらないというこの事実、私はぜひひとつ長官の在任中にこの問題を解決してくださることを期待を寄せるものであります。ひとつよろしくお願いをいたします。
 次に、やはり戦後処理の一つの、これもまたもう十何年来問題になっております対米放棄請求権の問題。この放棄請求権の問題につきましても、件数にして十二万余件、金額にして一千一百億円という金額の資料を添えての要望が出ておる。この問題に対しても、政府は国の責任で適正な措置を講ずるということを言ってこられた。具体的な措置はところがほとんど今日までなかった。やっと漁業補償権が五十三年度から特別支出金の名目で開発庁予算に計上された。初年度に十億、三カ年計画で三十億、漁業補償振興のために使うと、こういう名目で打ち出された。これにつきましても、特別支出金という名目そのものの内容についてもいろいろお尋ねしたいんですが、私の要望したいことは、この陸上の分ですね、陸上の分の補償を、五十三年の五月、関係省庁連絡会議が発足した。請求内容の洗い直しに着手しておられることも存じ上げております。そして三原長官は、去年の十二月の十四日の参議院の沖特委だったと思いますが、五十五年度に必要な予算化をすると、こう言明しておられます。この言明に間違いはないと思いますが、いかがでしょう。
#265
○政府委員(亀谷礼次君) いま先生お尋ねの中でも御言及がありましたように、対米放棄請求権のうちで、いわゆる海上の漁業関係につきましては現年度及び明年度それから再来年度の三カ年でこれを措置をするということで、先生も御案内のように、沖繩県側とも御了解をいただきましてただいま措置中であるわけであります。
 残りました陸上の問題でございますが、お尋ねの中でも御言及がありましたように、すでにこの五十三年度におきましても、関係省庁によりますところの連絡会議を開きまして種々の調査検討を進めますとともに、その過程におきまして、現地いわゆる県あるいは関係市町村長の方に御出席をいただきましてそれぞれの御意見も承ったわけであります。なお、関係省庁会議の中の幹事会によりますところのメンバーで現地調査もすでに行ったわけでありまして、いろいろな方法をとりながら、地元側から御提出の各項目ごとの被害の内容、それから米国民政府が施政権を行使していた時代におきますアメリカ側によってとられました措置等、あるいはそういうものを検討いたしました上で今後政府としてとるべき措置の内容等の検討を逐次現在進めてきておるところでございます。
 先生からも御言及がありましたように、漁業以外の陸上の事案につきましては、項目で十三項目、件数はただいまお話にありました十二万件約一千億という膨大なものでございまして、内容もそれぞれの事案によって非常に複雑多岐でございまして、なお解明をすべき点も残されておるのでございます。いま冒頭申し上げましたように、これらを含めまして連絡会議の各省庁を煩わして疑問点の解明に努めますとともに、全体の処理方針の検討を行っておる最中であります。先般長官から御答弁ございましたように、でき得れば五十五年度においてその一部の予算化を図るべく、それを目途に現在作業を進めておるところでございます。
#266
○喜屋武眞榮君 そうしますと、現在の処理方針ですね、その処理方針が具体化しておるのであるかどうか、そうして五十五年から一応予算化するとなると、それは何年計画でこの問題を解決しようという、こういっためどを持っておられるかどうか、お聞きしたい。
#267
○政府委員(亀谷礼次君) ただいまお答え申し上げましたように、項目が十数項目、件数で十二万件という何分にも膨大な件数でございますし、中身にわたりますと、先生もすでに御案内かと思いますが、相当数の案件がいわゆる資料がないわけでございます。それぞれの御本人の方の口頭申し出によるところの事案が相当数あるわけでございます。こういった問題、さらにはそれぞれの事案がそれぞれ特殊な問題も含んでおりますので、これらの問題を一括整理をしまして、先ほど申し上げたような米国民政府時代にとられた既定の措置、あるいは今後それを基本的にどういうふうに仕分けをするかという問題を早急に詰めまして、できるだけ早急にそれの予算化を図るような方向で現在整理中でございまして、いま私ども直ちにこの席で、それぞれの事案について具体的にこういう方針をいま固めつつあるということまでは申し上げることができないわけでございます。
#268
○喜屋武眞榮君 県民は一日千秋の思いでこの問題がどのようにいつ解決されるか、そしてそれが具体化するか、めどがつくかと、このことをひとつお忘れないように。
 ところが、十二万件という内容の複雑さからすると、長官も先ほど述べられたように、非常に困難であると。私はそのお言葉を聞くたびごとにいつも申し上げたいことは、困難であればあるほどその仕事の解決はやりがいがある、困難と不可能を混同して、困難は――本当にやってやろうという努力、誠意、愛情、理解、沖繩への償い、こういう気持ちが起こるならばこの困難は克服できる、ところがその気持ちがないとするならば、むずかしい、いわゆる不可能とすりかえてそれは避けて通るかもしれません。そうすれば時日はますます長引いてくる。この問題を避けて通るわけにはいかない。私は解決するまではどこまでも食い下がって、またかまたかと言われても、私は県民の側に立ってそして国の責任を追及する決意でありますので、どうかひとつその県民の心を理解していただいて、一日も早くこの問題を解決していただきたいことを強く要望いたすわけであります。
 次に、地籍明確化作業について。これまた戦後処理の困難な問題の一つであります。私はよく言うんです。沖繩という宿命の島は極楽と地獄の抱き合わせである、この地獄を一日も早く払拭して本然の姿、沖繩の心、沖繩の文化、沖繩の自然を取り戻すことが極楽の沖繩を取り返すことだ。ところが、現実は余りにも厳しい、余りにも悲劇が多過ぎる。その一つが地籍の明確化作業。人間だって、戸籍があって初めて人間の人間たるゆえんである。その地籍もブルドーザーで敷きならして、戦場の山河なしという現状が今日まで続いておる。この地籍明確化について、防衛施設庁は昨年の十二月でしたか、地籍明確化作業の中間報告をまとめて発表しておられます。そこで、沖繩開発庁管轄分の進捗状況は一体どうなっておるのであるか、まず開発庁の立場からの地籍明確化の現状はどの程度いっておるのであるか、そしていつまでにきちっとこれを完了される計画であるか、予定であるか、それをお聞きしたい。
#269
○政府委員(亀谷礼次君) 沖繩開発庁が所管をいたしております予定面積、これは先生も御案内かとは思いますが、約二十五平方キロメートル、関係市町村が十九市町村に及んでおるわけであります。一昨年地籍明確化法が制定されまして以来、県当局とも鋭意連絡を緊密にとりながら現在まで進めてまいったところでございますが、現在のところ、昭和五十三年度末――本年度末までに、私ども所管をいたしております先ほどの地域につきましては、十・八平方キロメートル、約四三%の調査を完了する予定でございます。これらの土地につきましては、引き続き国土調査法に基づきますところの調査の成果の認証申請を行うことといたしております。そういうことでございますので、今後の残りました部分につきましても、できるだけ速やかにこれの所期の処理が終わるよう、防衛施設庁当局とも緊密に連絡をとりながら進めてまいる所存でございます。
#270
○喜屋武眞榮君 現在までに進めてこられたのは、もっと具体的に、関係市町村はどこどこですか。それから、調査作業を終了し、政府の認証が決定して明確化作業が完全に終了したものがあるか、あるとすればそれはどこどこか。それから、認証申請中のものはあるのか、あるとすればそれはどこどこか。申請準備中のものがあるか。それから今年度中に――先ほどちょっと聞き漏らしましたが、どれぐらい終わる予定か。全体が終了するのはいつまでに終了する予定であるか、これはめどですから、予定を持ってもらわなければいけない。以上の点、具体的にお尋ねします。
#271
○政府委員(亀谷礼次君) 一昨年この法律が制定されましてから、ただいま御答弁をいたしましたように、逐次作業を進めてまいっておるわけでございますが、昭和五十二年度、いわゆる法律が制定されました年からすでに着手されている分、これが全体の面積で申しますと、法律の制定前のを含めまして小字ブロック数で六十五、この中には西原村、読谷村、沖繩市、それから佐敷村、それから沖繩市の別の一部、こういったところがすでに着手されて、現在、先ほど申しましたように一応の合意を見まして手続をやっておるところでございます。なお、五十三年度におきまして行われておりますところが――失礼いたしました。その中ですでに認証済みの地域が西原村の一部、それから沖繩市高原の一部、合計約一・二平方キロメートルあるわけでございます。
 そういったことで、先ほど申し上げましたことに敷衍して申し上げますと、全体で二十五平方キロのうち約十・八平方キロ、四三%について調査が完了しておりますが、その中で具体的に国土庁との手続が終えまして登記所に送付されておるものが全体の五%あるわけでございます。ただし、残りの分につきましては、先ほど申し上げましたようにすでに認証の手続中でございますので、近く結了するものと考えております。なお、昭和五十四年度におきましては約三・四平方キロメートル、この中には那覇市あるいは浦添市、それから与那原町等、新たに着手するものが加わってまいりますが、これらのものを予定しております。
 そういったことで、残りました未調整区域十四・三〇平方キロメートルにつきましては、市街化が進んだ区域等もございまして調査の困難な面も加わってくるかとは思いますが、私ども県とも緊密に連絡をとりながらいろいろと調査を推進することにいたしておりますので、あわせて、特に長官からも、法の制定の趣旨にかんがみできるだけ速やかにこれらの所期の目的を達成するよう御指示もあったところでございますので、法に定める期間を目途にできる限りこの調査が完了するように今後努力いたしてまいる所存でございます。
#272
○喜屋武眞榮君 この地籍の明確化は、どちらかというと基地の外よりは中の方が困難ではないかと一応思われるわけですが、その困難な基地内の、いわゆる防衛施設庁関係さえも位置を中間発表しておりますね。それからしますと、基地の外をむしろ先んじてぐんぐん作業を進めて、もうここまできましたと、こういうことを県民に知らしてもらうべきだと思うわけでありまするが、逆に基地の中の中間発表を先にしておられる。こういうことを、まあ慎重を期して一生懸命にやっておられると思いますが、どうかひとつその要望にこたえて一日も早く、いや一刻も早く、これは防衛庁長官時代にも三原長官は三年以内にはやってみせると、こう言い切ってもらったわけでありますので、どうかひとつそのお約束にたがわないように、ひとつ最善の努力を払っていただきたい。
 時間が参りましたので、開発金融公庫。この沖繩開発金融公庫の内容を、時間がありませんので、お尋ねしたいこともたくさんありますが、一つだけ。住宅資金の貸与状況と今後の見通し、それがどうなっておるか、これが第一点ですね。
 一応お尋ねして、まとめて御回答願いたい。
 それから貸付残高が、この表からしますと相当残っておる。これは理由は何なのか、貸付残額。これが第二点。
 それから第三点。住宅資金の最高貸付額、それから建物の最高坪数ですか、これと、家族構成や家族の職業のたてまえから、その最高基準がありますね、それを上回って住宅、建物を建てたい、その場合に、最高基準以上にオーバーした分に対しては、自己負担をすれば、それは私が思うのにはそれは可能であっていいのではないか。いわゆる開発金融公庫の最高基準、規格ですね、それと貸出金額が決まっておりますね。その範囲内では――家族構成やその仕事の上からどうしてもそれ以上に広げたい、こういう場合に、オーバーした分に対しては、自己負担を……
#273
○委員長(寺田熊雄君) ちょっと喜屋武君に御注意します。五分超過しておりますので、簡単にお願いします。
#274
○喜屋武眞榮君 失礼いたしました。自己負担をすればいいと思うんですが、それに対する規制があるようですが、これに対する見解、以上を求めまして、あとの問題は次に譲りたいと思います。
#275
○参考人(岩尾一君) 沖繩金融公庫の貸し付けについての話でございますけれども、第一点の住宅の現在の需要と将来の見通しというお話でございますけれども、御承知のように、本年度の個人住宅の貸付枠は六千八百という予定をしておったわけでございます。ところが、実際に行いましたところ、現在の集計で大体六千五百二十六戸ぐらいの予定でございます。特に昨年十二月に行いました第三回の募集におきましては、千戸の予定で募集をいたしたのでございますけれども、実際に期間内においでになりましたのは七百四戸でございました。したがって私らの感じでは、大体住宅公庫のお金で住宅を建てるというのは、需要は大体いいところへ来ておるのではなかろうか、こういうふうに見ております。しかしながら、実際にはその中身の方についてはいろいろ問題もございますので、来年度は大体ことしと同じぐらいの戸数を準備いたしまして、そうして貸し付けの限度だとか、あるいは償還のやり方とか、そういうところをよくすることによって県民の需要に応じたい、こういうふうに考えております。
 それから二番目の貸付残高が多いというのは、これは毎年毎年貸しておりますし、非常に長期の金でございますから、したがって残高は非常にふえていく。長い間に返していただくお金でございますから、残高が非常にふえていくというふうに御理解いただけたら結構かと思います。
 それから三番目の最高基準でございますけれども、これは本土の住宅金融公庫と同じ内容といいますか、規格でございまして、ただ、貸し付ける金額は本土よりも多い。たとえば本土が五百五十万でありますのを沖繩の場合には六百二十万というふうに多くしております。そういうことをやっておりますけれども、本土の方がいま申しましたような規模を決めておりますのは、やはりいい住宅をつくりたいということがございまして、やはり政府全体で考えておる適正な住宅をつくっていくというところに重点を置いておるものですから、規模も抑えてこういう規格でやってほしいということを、制限というとあれですけれども、限度を決めておるわけでございます。したがって、それ以上のものをおつくりになるというときには、公庫のお金はお貸しできないというふうになっております。
#276
○喜屋武眞榮君 だから、自己負担すればいいわけですね。
#277
○参考人(岩尾一君) 自己負担というのは、そのオーバーした分だけを自己負担するのではなくて、公庫資金そのものが貸せないということになります。
#278
○喜屋武眞榮君 ああ貸せない、そうですか。
#279
○秦豊君 きょうは本館の方で証人喚問の真っ最中でありまして、まあ多くの目はほとんどそちらの方に行っておりますけれども、しかし、あえて田中官房長官と日商岩井、もう一つ岡崎工業という企業の関係だけは今後のためにぜひとも伺っておきたいと、こう思います。
 いま、一部に上場されている企業で、北九州市の八幡に本社のある岡崎工業という企業体があります。筆頭株主が三井物産。新日鉄も大手の株主。この会社自体は、土地の造成、不動産売買、それから土木、建設等々も重要な部門の一つです。この岡崎工業という会社のことは、長官御存じですか。
#280
○国務大臣(田中六助君) よく知っています。
#281
○秦豊君 かなり古く上層部とのおつき合いがあるやに私どもは承知しておりますけれども、間違いはございませんか。
#282
○国務大臣(田中六助君) 古くからつき合いがあります。
#283
○秦豊君 そのおつき合いは、いまでも続いていらっしゃいますか。
#284
○国務大臣(田中六助君) 岡崎工業の前の社長の春雄さんのことを言っていると思いますが、岡崎工業は、倒産したかどうか知りませんが、いずれにしても経営者が全部かわりまして、いまの社長は入江さんといって、新日鉄から来ております。したがって、岡崎春雄さんとは、社長をおやめになって、息子さんとは時折会っておりますけれども、御本人とはなかなか会う機会がございません。
#285
○秦豊君 そこで、そこまでわかりましたんですが、官房長官は、日商岩井の海部八郎氏を岡崎工業に紹介をされたか、あるいは岡崎工業の依頼を受けて日商岩井の海部八郎氏を紹介したのか、それはどちらが申し出になったのかはまだわかっていないんです。しかし、少なくとも日商岩井の海部八郎氏を岡崎工業と引き合わしたと、岡崎工業に紹介をしたという過去の事実関係はございますか。
#286
○国務大臣(田中六助君) 海部氏を岡崎春雄さんに、岡崎春雄さんを海部氏に紹介したことはございません。
#287
○秦豊君 それ、そういう事実がないという否定をされたわけなんですけれども、私どもの知る限りでは、現在この岡崎工業というのは、日商岩井とタイアップをして、鹿児島県の姶良地区、また福岡県内の何カ所かで宅地造成とか住宅の建て売り販売をやっている。そのときに、事業のある段階で岡崎工業が日商岩井とのタイアップを欲し、その仲立ちをしたのが田中現官房長官であると、私は少なくとも承知をしているんですけれども、紹介をされた事実はあくまで否定されますか。
#288
○国務大臣(田中六助君) 紹介した事実はございません。
#289
○秦豊君 ならば、岡崎工業のために福岡県内の土地の収用というか、あるいは取得というか、こういうことについて、長官が具体的に貢献をされた幾つかの出来事はございますか。
#290
○国務大臣(田中六助君) ございません。
#291
○秦豊君 私自身の調べでは、田中官房長官と海部八郎氏は、かつてはやはり相当お親しかったという印象がどうもぬぐえないんです。ところが、なお調べてみると、どうも最近の数年間はやや隔たりがあるんじゃないかなと、つまりぬくもりが冷めていると。まあ冷めていてよかったのかもしれませんですけれどもね。少なくともちょっと距離があるやにうかがえる。しかもその原因が岡崎工業ではないかと、私は少なくともいままでの調べでその印象を持っているんだけれども、あなたが海部氏と岡崎工業との関係を否定されているから、一種ののれんに腕押し的になります。なお側面から調べてみますけれども。海部八郎氏とは最近なぜか数年はやや疎遠ぎみであるということについてはいかがですか。
#292
○国務大臣(田中六助君) 私は衆議院では――この委員会でしたか、五、六年海部八郎さんに会ったことはないと言いましたが、それ以上かもわかりませんし、海部八郎さんと何かあって疎遠になったかという御質問でございますが、別にそういうことはございませんし、何か土地のそういう問題で疎遠になったんじゃないかという秦さんの御質問でございますが、具体的な事実を御指摘願いたいと思います。そういうことはございません。
#293
○秦豊君 それでは、きょうは証人喚問、それから恐らく審議がもっと進めば、政治家と日商岩井、さらに多国籍企業と政治、そして再発防止、こういうことに衆参両院の眼が次第に向いていくと思います。きょうは岡崎工業と日商海部八郎、田中官房長官との関係をあなたは全面的に否定された形ですので、その点あたりから私たちは改めて調べ直し、次の機会にゆだねたいと思います。むしろ政治家と企業あるいは金の関係はこれから両院で審議が深まるわけですから、そのときのために基礎的に伺っておいたわけです。
 それから全然違った……
#294
○国務大臣(田中六助君) ちょっと待ってください。委員長。
 海部八郎さんを私が知っておる、岡崎工業の社長を私が知っておる、そういうことから、二人がやっておることを私に結びつけて、さも大きな何かを残すような御質問であなたはおられますが、私としては非常に残念なことでございますし、含みのあることをおっしゃってもらうことは非常に迷惑で、私自身がいま官房長官というポストにあるので、あなたはそういう質問で含みのあることを残して次のものに残すというようなことでございますが、私にとっては非常に迷惑でございます。その点をあなたに言っておきたいと思います。
#295
○秦豊君 わかりました。
 あなたはそうおっしゃいましたが、私どもの調査では、岡崎工業とあなたはつながりは否定されなかったが、日商とのつながりは切ってしまわれた、否定された。そこまで私どもの調査はまだ具体的に、どの土地のあっせんとか、どの案件というふうには深まってはいない。だから基礎的にまず伺ってみた次第です。含みでも何でもありません。次の機会を待ちたいと思います。
 それから、これは三月十五日に官房長官が発言をされているわけですが、報道関係の中では微妙な発言というふうになっている例の閉会中の解散問題ですね。これをあなたはちらっと発言されていて、議運等でもちょっと話題になっているようでありますが、これはその後も、この報道が行き過ぎていたのか、あるいはこれは発言の真意を伝えていないというふうな気持ちをいまお持ちなのか、いわゆる閉会中も解散が可能ではないかとか、閉会中の解散も研究しなければならないと報道されているこの三月十五日のニュースですね。いまこの時点ではいかがですか。
#296
○国務大臣(田中六助君) 三月の十五日に私は衆議院の議運の理事会に呼ばれまして、解散問題を云々しておるようだが、解散というのは国会が開会中しかできないと、したがって解散は政府の権限に属するが、国会の開会ということが前提であると。したがって、国会の開会は国会が決めるべきで、しかもその当初は議運の理事会、委員会にかけなくちゃいかぬので越権であるというような、そういう責め方でございました。私はその点、実は解散という言葉は使っていないわけでございますが、そういうことでいずれにしてもそういうような御質問がございまして、もしもそういうことになれば悪うございましたということで帰ったわけでございますが、私の頭にかすめたのは、解散ということが国会開会中でなければできないんだろうかという私自身の自問自答がございましたので、記者会見で、どういうことを問われたかという質問が定時の記者会見でございましたので、ありのままを申し上げて、ただ、国会が開会中でなければ解散ができないという断定の仕方はどうかなと、これは一つ研究課題だねえという軽い自問自答みたいな形で申し上げたわけでございます。
#297
○秦豊君 真田法制局長官、これはぼくの知る限りではそういう前例はないんですよ、閉会中にいきなりぽんと解散があったとか。やはり官房長官が打ち合わせどおり重いドアを開いて、議場の後ろから紫のふくさを持ってきて、それで議長、ここで意味不明の万歳、万歳というどよめきが起こらないとやはり解散じゃないという先入感を私持っているものだから、閉会中解散、法制上は妨げはないとおっしゃりたいのですか。仮に妨げはないというならば、どういうものを根拠としてそういう解釈が成り立つのか、ちょっと後学のために伺っておきたいのですがね。
#298
○政府委員(真田秀夫君) お答えを申し上げます。
 お答えというよりは私の考え、理解しているところを申し上げたいと思いますが、衆議院を解散するという、これは厳密に言えば天皇の国事行為でございまして、御承知のとおり、内閣の助言と承認によって天皇の名前で衆議院の解散が行われるわけでございまするが、その解散の時期については憲法上どこにもその制約がございません。もともと衆議院の解散という行為は、それは時の政府が国民に向かって自分の政策あるいは自分のその内閣の存続についての国民の意思を問いかけるという非常に政治的な行為でございますが、そういう性格から見まして、憲法上どこにもその制約がない、時期について制約がないということは、もっぱら政府の政治的な判断に基づいてやるべきものであるというふうに理解されるわけでございます。この点につきましては、いろいろ学説を調べてみましたけれども、もうほとんど全部と言っていいくらい、理論上は国会の閉会中でも衆議院の解散は可能であるというふうに書いてございます。ただ、おっしゃいましたように、明治憲法以来現在まで国会――まあ昔は帝国議会でございますが、議会なり国会の閉会中に現実に衆議院の解散が行われたという事例はございません。
 なお、念のために申し上げますと、現在の憲法が審議されましたいわゆる制憲議会、その制憲議会におきまして、やはり閉会中のもちろん新憲法による衆議院の解散というのがあり得るのかという御質問がございまして、当時金森国務大臣が、それは非常に慎重にやらなきゃいかぬことは当然であるけれども、理論的に所見を言えということを申されますならば、もちろん解散はできるものと思っておりますという明確な御答弁がございます。御参考までに申し上げました。
#299
○秦豊君 そうしますと、憲法上も妨げはないと。それはわかりました。確かにそうですよ。しかし、じゃ具体的に閉会中大平政権がいつどうやるか、もっぱら総理の専権事項だとは思います。それもよくわかる。わかるが、実際に閉会中で衆議院の本会議場に議員が一人もいない、ドアが固く閉ざされているというような場合、どういうような手続で――手続はわかるが、どういう形式で解散に至るのですかね。どうなんですかね。
#300
○政府委員(真田秀夫君) 先ほど申しましたように、いまだかつて前例がないわけでございますので、その前例をもとにして御説明するわけにはいかないわけでございます。ただ理屈上は、国会の本会議が開会されている時期に、例の紫色のふくさを持って議長にお届けする、議長が、ただいま解散の詔書が出ましたという朗読をされまして、そうして各衆議院議員の方が、どういう意味合いか知りませんが、万歳を唱えてそこで無事解散ということになるわけなんですが、ただ、いままでに、本会議が開かれておらない時点で解散が行われたことはあるんです。その場合には、本会議が開かれておらないわけですから、ただいま申しましたような万歳の機会が実はなかったわけですが、その場合はどうしたかといいますと、議長に――もちろん事務総長を通してでございますが、議長に内閣の方から解散の詔書をお届けして、そして議長が各会派の代表者を議長室にお招きになってそして解散の旨をお伝えになる、そういうことが行われたようでございます。したがいまして、それがやや似ていると言えば似ている先例ということになりますので、もし閉会中に解散が行われると――もちろん仮定の問題でございますよ、仮定の問題として閉会中に解散が行われるということがありとすれば、それはただいま申しました本会議が開かれておらない時点において行われた解散の場合の手続に準じて、議長室に議長はいらっしゃいますから、議長のところへお届けして、議長がしかるべき手順を踏んで各会派の方にお伝えになると、こういう御手続を踏まれることになるだろうと思います。
#301
○秦豊君 それから、これは簡単な御答弁で結構ですがね、法制局長官としては、政府サイドから検討してくれよと、ちょっと念のためにというサウンドがあったのか、あうんの呼吸で何となく自主的にいまの問題をお調べになったのか、その点だけまず。
#302
○政府委員(真田秀夫君) 私は、職務上内閣及び各大臣に対して憲法を初め法律上の見解を申し述べる地位にございます。しかし、いまの閉会中の解散の可否については、正式にあるいは文書をもって私のところに内閣官房サイドから御照会があったわけではございません。ただ、御存じのとおり、予算委員会におきましては私と官房長官とは常に隣り合わせのいすに座っておりますので、衆議院の予算委員会における質疑の途中に官房長官からそういうお話がございまして、私はかねがね先ほど来申し上げておりますような考え方を持っておりますので、それでそのことを申し上げました。
 なおついでに申し上げますと、もし閉会中は国会解散ができないのだという解釈をとりますと、たとえば国会の会期の最終日なり、あるいは非常に会期の終了間近に衆議院において内閣の不信任案が可決され、または信任案が否決されるというようなことがあった場合に、憲法六十九条は、そういう場合には十日間、つまり内閣は十日間、総辞職をするか解散をするかどちらかの選択をしなさいという選択権を与えているわけなんで、いま申しましたように、会期の終了間近、つまり十日以内の間近に衆議院において内閣の不信任案が可決されたような場合にはもうその選択ができないというような不都合なことになりますので、それでやはり閉会中においても解散ができるのだという解釈の趣旨は、憲法六十九条から見てもやはり是認されてしかるべきであろうというふうに考えるわけでございます。
#303
○秦豊君 やっぱりだんだん何かリアルな話というかな、実感のこもる話にやがてなりましょうよ、これは。
 金井長官と官房長官、お二人にちょっと伺っておきたいのですが、大平総理も衆議院段階から、早くもグラマン、ロッキード事件にかんがみて、いわゆる再発防止、またアメリカの上下両院のなした努力、ホワイトハウス周辺がなした努力を踏まえて若干御答弁はあるんですよね。原則論とか認識を伺っていると時間ばかりかかりますから、具体的に、たとえばアメリカの動きの中で、ロッキードヘの反省としてたとえば連邦選挙法をまず七四年に改正した、情報の自由に関する法律をさらに有権者本位に変えた、つまり行政が秘密を持たないという前提の。それから七七年には上下両院で倫理規則を強化した。それで、御存じのように七八年の十月に政府倫理法が成立、カーター政権の思い切った措置、そして政府の行政機構の中に政府倫理局が新設されたことはもう御存じのとおりです。大平総理の答弁はその辺までいっていないし、世論の反応は、大平政権というのは事件解明に消極的であるというのが六二%ですから、皆さんにとっては残念でしょうが、私も消極的であるという認識を持っている。そうすると、ぼくは十二月のこの決算委員会でも田中長官がちょうど衆議院に行かれてだめだったもんだから加藤副長官に申し上げた。いまはたまたまダグラスだが、やがて事件が仮に延長し、拡大し、延びた場合に、一つ一つの事件について周章ろうばいするんじゃなくて、やっぱり政治とモラル、政治家の資産公開を含めたトータルなとらえ方をそろそろ日本の政治はなすべきではないのか、行政はどうだと。で、衆参両院に倫理委員会、政府には綱紀粛正委員会的な機構をつくったらどうだというお話をしたことがあります。いま確かに行政改革機運ではある。しかし、まあ盛り上がってはいない。御存じのとおりですが、私たちは野党の一員ですけれども、こういうことのために何か機構をつくると。たとえば倫理局、名前はちょっとバタ臭いですけれども、何でもそれに類したものをつくろうというアクチブなお考えが行管庁長官にはおありでないのか、あるのか。そのことはやはり官房長官とお二人から同じポイントで伺っておきたいんですが、いかがでしょう。
#304
○国務大臣(金井元彦君) 私からお答えするのが適当かどうか、ちょっと若干疑問はありますけれども、ただいまお話しの件でありますけれども、ロッキード事件の再発の防止ということで、これは三木内閣の当時であったと思いますけれども、閣議了解がなされました。そうして法改正等幾つかの項目がそこで決められたと、それに基づきまして法改正を国会に提案してただいま継続中というものもあるわけでございます。
 で、アメリカの点を御指摘になりましたが、私も実はアメリカのことを余り詳しくは存じませんけれども、この倫理局のごとき思想というものは、やはりこれはアメリカの事情というものをもとにしてできているように思うわけであります。何かその財産、つまりその問題に近いところにいる人はその財産を何か公開するだとか、あるいはまた何等親以内の者はそういうポストについちゃいけないとかというようなことも内容になっているようでありますが、日本の場合は、私はまずさしあたりといたしましては、やはり五十一年の十一月のあの閣議了解には相当項目が決められておるわけでありまして、これをやはり早く実施に移すということをやるべきではなかろうかと、かような考えを持っております。
#305
○国務大臣(田中六助君) 御意見として承っておきます。
#306
○秦豊君 伊藤さん、国防会議にいらしてかなりもういすが暖まったと思いますけれども、あなたに一つだけ伺っておきたいんです、時間がもうそろそろ切迫しておりますので。
 というのは、防衛庁の中で、いま統幕を中心にして、たとえば統合長期見積もり、それから、五十三年度中期業務見積もり、五十三中業と言われている作業が行われておりますよね。これは昭和で言えば五十五年から五十九年度までを展望した、つまり国防の基本方針、防衛計画の大綱、それをさらに煮詰めた当面の実施を裏づける考え方ですね。ところが、防衛庁設置法の六十二条にはさまざま並んでいて、第二項の五に、総理大臣が必要と認めた国防に関する重要事項は国防会議でやっぱりかかわるべきだという規定もあるんです。ところがぼくの見解では、統合長期見積もりとか、あるいは中期業務計画とか、まさに毎年毎年の予算の背景をなす大きな作業は六本木だけでやっていて、国防会議はついに関与しない、さわれないというあり方は基本的に大変おかしいという私は認識を持っている。そういうことこそ設置法第六十二条第二項の五の国防上重要な事項だと私は思うんですよ。だから、国防会議のあり方に関連して、その点だけを伺っておきたい。
#307
○政府委員(伊藤圭一君) いま先生がおっしゃいました統合長期見積もり、それから中業の問題でございますけれども、たとえばその統合の長期見積もり、これは軍事技術、あるいは軍事情勢の長い先の見積もりでございます。このこと自体を国防会議が判断するということではないような事項だと思います。これは、たとえば防衛庁の方から、長い間の技術的な推移、そういったものについて必要のある場合に説明を求めるということはあり得ると思いますけれども、国防会議でこれを聞いて、これを判断し決めるというようなものではないような気がするわけでございます。
 それから、中期業務計画でございますけれども、これは防衛計画の大綱ではないわけでございまして、従来の長期計画というのは、五年ごとに、今後五年間どういう方向にこの防衛力を持っていくかというような計画自体でございましたので、これは防衛計画の大綱として国防会議の御決定をいただいておったわけでございますけれども、現在の中業というのは、この五年間防衛計画の大綱に基づいて防衛庁がいわゆる予算を平均的に使用する、ある時期非常に多くなるというようなことのないように、主としてリプレースの計画を中心にやっていることでございますから、このこと自体が防衛庁の案でございまして、これは毎年毎年予算化される都度変わっていく性格のものでもあろうかと思うわけです。したがって、毎年の予算に計上されます防衛力整備の考え方、内容というものは国防会議の御決定をいただいておるわけでございますから、そのもの自体を国防会議で決めるというような性格のものではないというふうに考えております。
#308
○秦豊君 委員長、最後に一問。
 いまのは、国防会議もかかわれと、知っておくべきだという前提で言っているので、あとは内閣委員会にいたしましょう。
 最後に、委員長のお許しを得て一問だけ宮内庁サイドに伺っておきたいんですが、昭和五十二年四月二十六日の当院内閣委員会で、宇佐美長官時代に実はお願いをしておいたことがあります。それは、天皇陵墓等の問題は国民共有の財産だという前提で、皇室の国民に対する文化的貢献という側面を含めて、できる限り、たとえば、陵墓百十一、陵墓参考地四十六、しかし、学者によれば、そのうちの十分の一も特定ができないというほど、特に八世紀以前ははなはだあいまい、まるで神話の世界、歴史的でないというふうなことを含めて、どういう根拠でどう特定できるんですか、そろそろ文書で回答してくださいというお願いをしておきました。長官は去られた。あなた方は残っていま宮内庁行政をやっていらっしゃるのだが、もしまとまっていれば中間的にそういうものも報告をしていただきたいのと、それからこれももう時間がはみ出しているからはばかられますけれども、一体、神武から始まって懿徳、孝昭、孝安になって、いまの天皇陛下が百二十四代だと。しかし、日本ほど歴史と神話が混在している国はないし、一体どういう根拠で、いや一代神武、百二十四代裕仁天皇というふうな区分がオーソライズされているのか。その辺はもちろん、これは歴史論争、国史論争ではないにしても、少なくとも、元号論議があらためて内閣委員会にかかろうというときに、念のために伺っておきたい興味あるポイントの一つです。ですから、このこと自体がもう時間がはみ出していますので、だから答弁をお許しいただけるかどうかわかりませんが、これだけ申し上げて、あとは別な委員会にゆだねたいと思います。
#309
○委員長(寺田熊雄君) 簡単に。
#310
○政府委員(山本悟君) ただいまの御指摘ございました五十二年の四月二十六日の先生の御質問、私どもも資料によって承知をいたしておるわけでございまして、当時の、そのときの先生のお考え方あるいは宮内庁としての考え方、それぞれの立場からの答弁も宇佐美前長官もいたしていると存じております。
 天皇陵の決定理由を記録してあります代表的な資料といたしましては、これは先生御案内の谷森善臣が幕府の山陵奉行の調べ方といたしまして探索、考定いたしました考証記録でございます「山陵考」、あるいは内閣の記録局の編さんいたしました「法規分類大全」、これは明治二十六年に公刊されておりますが、こういったようなものを根拠にいたしまして、それぞれの時期に陵墓、御陵というものが考定されておると、こういうようなことになっておると存じます。それらの資料に基づきましての概括的なそれぞれの個々の分につきましての考定の考え方、主なものにつきまして先生のところに御説明に参ることはもちろん結構でありまして、後ほどまた参上さしていただきたい、かように存じます。
 それから、現在の歴代天皇の代数の確定のその経緯といいますか、ということでございますが、明治以前におきまして、古くは六国史あるいは神皇正統記あるいは本朝皇胤紹運録と、こういったような各種の記録によりまして、明治以前におきましてすでに百二十代程度のそれぞれの代数というものがあったわけでございます。もちろん資料によりましていろいろ多少の誤差は、差があるわけでありまして、全部が同じであるというわけではないと存じますけれども、そういった、何と申しますか、正史と申しますか、朝廷の命によってつくられた歴史というような意味におきましてそれぞれの歴代天皇の代数が書かれていると、あるいは代数、数としては書かれていないけれども、この方からこの方というそれぞれ系図が書かれていると、こういったような歴史書というのがあるわけでございます。
 明治維新の後になりましても、直ちにそういった代がぴしゃりと決められたわけではないようでございまして、明治二十四年の二月十六日、勅裁によりまして、神武天皇を第一代とすること、あるいは南朝を正統とすること、北朝五代は後亀山天皇の後に付載する――付して載せるという意味でございますが、付載するといったようなことが決められまして、御歴代天皇の順序といいますか、というのがほぼ確定をしたと、こういうようなことになっているようでございます。
 その後におきましても、例の長慶天皇というようなことになりますと、これは大正十五年の十月でございますが、詔書によりまして、「大統中長慶天皇を後村上天皇の次に列す」というような詔書が出ておりまして、そこによって決められているというようなことになっているようでございます。たとえば長慶天皇というようなことになりますと、やはり皇位につかれたかどうかというような史実の照合といったようなことがその時点におきまして非常に詳しく調べられましてそういうことが行われたというようなことでございまして、そういったものを――歴史でございますけれども、それを積み重ねていきまして現在は百二十四代ということになっているわけでございます。
 簡単でございますが。
#311
○楠正俊君 ただいまの秦委員の前半の土地の問題、岡崎工業とそれから日商岩井の海部さんと官房長官が何か、三つどもえになって何かやったがごとき御質問がございましたが、これは非常に不穏当に私らは感じますので、理事会を開いていただきたいということをお願い申し上げます。
#312
○秦豊君 そこでじゃ私も申し上げましょうね。
#313
○委員長(寺田熊雄君) よろしい、どうぞ。――それではこの問題は理事会で協議して決めることにいたします。それでよろしいですな。
#314
○秦豊君 じゃいますぐやりますね。
#315
○委員長(寺田熊雄君) いや、後日。
 他に御発言もないようですから、内閣と、総理府のうち、総理府本府、行政管理庁及び沖繩開発庁と、それに関係する沖繩振興開発金融公庫の決算についてはこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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