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1978/03/28 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 予算委員会第四分科会 第1号
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1978/03/28 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 予算委員会第四分科会 第1号

#1
第087回国会 予算委員会第四分科会 第1号
昭和五十四年三月二十八日(水曜日)
   午後一時三十三分開会
    ―――――――――――――
昭和五十四年三月二十八日予算委員長において、
左のとおり本分科担当委員を指名した。
                上田  稔君
                嶋崎  均君
                田代由紀男君
                鍋島 直紹君
                秦野  章君
                粕谷 照美君
                片山 甚市君
                太田 淳夫君
                馬場  富君
                小笠原貞子君
                柳澤 錬造君
    ―――――――――――――
   分科担当委員の異動
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     粕谷 照美君     安恒 良一君
     馬場  富君     多田 省吾君
     多田 省吾君     相沢 武彦君
     小笠原貞子君     小巻 敏雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    主 査         嶋崎  均君
    副主査         太田 淳夫君
    分科担当委員
                上田  稔君
                田代由紀男君
                鍋島 直紹君
                秦野  章君
                粕谷 照美君
                馬場  富君
                小笠原貞子君
                柳澤 錬造君
   国務大臣
       文 部 大 臣  内藤誉三郎君
   政府委員
       文部大臣官房長  宮地 貫一君
       文部大臣官房会
       計課長      西崎 清久君
       文部省初等中等
       教育局長     諸澤 正道君
       文部省大学局長  佐野文一郎君
       文部省学術国際
       局長       篠澤 公平君
       文部省社会教育
       局長       望月哲太郎君
       文部省体育局長  柳川 覺治君
       文化庁次長    吉久 勝美君
   説明員
       警察庁刑事局保
       安部少年課長   古山  剛君
       建設省都市局都
       市計画課長    高橋  進君
   参考人
       東京大学学長   向坊  隆君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○主査及び副主査互選
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十四年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十四年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十四年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
  〔秦野章君主査席に着く〕
#2
○秦野章君 ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。
 本院規則第七十五条により、年長のゆえをもちまして私が正副主査の選任につき、その議事を主宰いたします。
 これより正副主査の選任を行いますが、選任は投票によらず、主宰者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○秦野章君 御異議ないと認めます。
 それでは、主査に嶋崎均君、副主査に太田淳夫君を指名いたします。
    ―――――――――――――
  〔嶋崎均君主査席に着く〕
#4
○主査(嶋崎均君) ただいま皆様方の御推挙によりまして、第四分科会の主査を務めることになりました。皆様方の御協力を得まして、その責務を果たしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、審査に入ります前に、議事の進め方についてお諮りいたします。
 本分科会は、昭和五十四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、警察庁、北海道開発庁、環境庁、文部省、厚生省、労働省及び自治省所管を審査することになっております。
 また、三月三十日の委員会において主査の報告を行うことになっておりますので、議事を進める都合上、主査といたしましては、本日は文部省、明二十九日は、午前の部労働省、午後の部環境庁及び厚生省、三十日午後の部は警察庁、北海道開発庁及び自治省の順序で進めてまいりたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○主査(嶋崎均君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○主査(嶋崎均君) 次に、お諮りいたします。
 各省庁予算審査の冒頭、各省庁から聴取する予算の細部にわたる説明は、これを省略し、それぞれの審査日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○主査(嶋崎均君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#8
○主査(嶋崎均君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和五十四年度総予算中、文部省所管審査のため、本日の分科会に参考人として、東京大学学長向坊隆君の出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○主査(嶋崎均君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#10
○主査(嶋崎均君) 昭和五十四年度総予算中、文部省所管を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#11
○粕谷照美君 最初に、私は公立大学に対する国庫補助についてお伺いをいたします。各大学におきましては、国立は全額国庫、私学は私学振興助成法で、公立大学に対する助成というものを文部省としては一体どのような形で考えていらっしゃいますか。基本的な理念はどうなっておりますでしょうか。
#12
○国務大臣(内藤誉三郎君) 公立大学への補助は、これは原則としては設置者負担でございます。実態につきましては大学局長から御説明をいたさせます。
#13
○政府委員(佐野文一郎君) 大臣からお答え申し上げましたように、公立大学の維持運営につきましては、地方自治のたてまえから、地方交付税で財源措置をするのが原則ということでございます。地方交付税の学生一人当たり単価につきましては、御案内のように逐年改善の措置がとられてきているわけでございます。しかし、国・公・私立の大学全体のバランスのとれた発展を図るという文教行政の立場がございます。そういった立場から、公立大学に対しましても、教育研究設備の助成等を初めといたしまして、一定の範囲で補助の充実を図ってまいっております。基本的に、公立大学に対する国の助成のあり方がどのようなものであるべきかという点につきましては、公立大学というものの位置づけであるとか、あるいは国、地方公共団体の財政状況等を勘案する必要がございます。さらに基本的には地方自治のあり方にもかかわることでございますので、今後関係者あるいは関係省庁とともに十分研究してまいりたいと考えておることでございます。
#14
○粕谷照美君 基本的に大臣がおっしゃったような時代からはずっと情勢が変化してきていると思うのですね。やっぱりその情勢の変化に対応するような補助政策というものが行われなければならないと、こう思っておりますけれども、いただきました公立大学協会の資料、昭和五十三年度予算というのを見ますと、学生現員一人当たりの経費だとか、いろいろな細かな資料が微に入り細に入り出されているわけです。特にその出された資料の中で、公立大学の収入に占めます国庫補助金の割合というのがあるんですけれどもね。奈良医大が二二・三%、和歌山医大が一八・三%などというのは、これは非常に高い方でして、医大でない山口女子大なんていうのは〇・三だとか、あるいは下関市大などというのは〇・一だとか、中には〇・〇などという熊本女子大の例なんかあるんですね。最低が〇・〇で最高が一八・三などというような、こういう数字というのは一体どこから出てくるというように大学当局としてはお考えでしょうか。
#15
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のように、私の持っております資料におきましても、昭和五十一年度の資料でございますが、公立大学の場合には、国庫支出金の占める割合が全体として二・九%というような数字になっております。御案内のように、また先ほどもお答えを申しましたように、原則的には設置者負担という対応をしながら、逐年教育研究設備費の助成であるとか、あるいは公立の医科歯科大学あるいは看護大学に対する経常費の助成であるとか、そういった措置はとってはきておりますけれども、やはり国立大学に対する国のかかわり方と、公立大学に対する国のかかわり方の間には、基本的に相違がある。そのことがその結果になって出ていると考えております。
#16
○粕谷照美君 経常費補助が医科、歯科、看護糸に限られているわけですね。しかも、その額がきわめて低いと、こう私は判断するんですけれども、内訳は大体どういうようになっておりますでしょうか。
#17
○政府委員(佐野文一郎君) まず公立大学への補助が全体としてどういうものが行われているかということでございますが、昭和三十八年度から学生の実験実習用の設備充実のために、理科教育設備費補助金を措置をしております。その後教官の研究に要する設備の購入のための研究設備費補助金、これを四十一年度から実施をいたしております。さらに、教員の海外諸国における調査研究等のための在外研究員の在外研究費の補助、これを四十三年度から計上をしております。五十年度から小学校教員養成コースを置く公立大学に対して教育費の一部を補助すると、これは具体的には一大学だけでございますが、それを実施をしております。また、昭和五十一年度からは公立芸術大学の学生の教育に要する経費の一部を補助をいたしておりますし、さらに、五十二年度からは公立の大学、高専における身体に障害を有する学生のための身体障害学生用設備費の補助というようなものも実施をしているわけでございます。
 また、いま御指摘の公立の医科歯科大学の専任教員の給与費等の経常的な経費の一部を昭和四十八年度から補助をいたしております。さらに、公立の看護関係の学科の専任教員の給与費等につきましても、昭和五十年度から補助を始めているわけでございます。
 五十四年度の予算では、これらについて合計三十七億八千四百万円の計上が行われております。
#18
○粕谷照美君 原則が設置者負担というところから考えてみますと、その三十数億円でも非常にいま文部省としては努力をして出した、国としてはがんばっていると、こういう結論が出るんだと思いますけれども、それでは、いままで出されていなかった私立大学などに対して、あのような法律ができて、出されていったということから考えますと、その私大との関連では、この額は一体どういう見方を文部省としてはしていらっしゃいますか。
#19
○政府委員(佐野文一郎君) 先ほどもお答えを申し上げましたけれども、現在公立大学等に対する地方交付税の措置状況がどのようになっているかを御説明申し上げますと、四十九年度、たとえば文科系でございますと、学生一人当たりの単価が十万円であったものが、五十三年度には二十三万円に拡充されておりますし、また、理工系では三十三万円のものが、七十万円に拡充をされているというような措置がとられているわけでございます。
 公立大学につきましては、地方交付税をもってその維持、運営に要する経費を基本的には措置をするという措置がとられておりますから、私立大学の場合とは事柄を異にするということだと思います。
#20
○粕谷照美君 異にしていても結構なんですよ。その割り振りといいますか、比率といいますか、そういうものは一体どういう額になっていますでしょうか。
#21
○政府委員(佐野文一郎君) ただいま御指摘の割り振りという御質問の意味をちょっと取りかねているわけでございます。五十一年度の数字でございますけれども、高等教育費について、そのお金の出どころを先ほど申し上げましたけれども、公立の場合には国庫支出金の占める割合が二・九%、私立の場合にはこれが一一・九%ということになるわけでございますが、公立の場合地方支出金が九七・一%を占めておりますけれども、この九七・一%の地方支出金というのは、先ほど来申し上げておりますように、実質的には地方交付税が支えているわけでございます。
#22
○粕谷照美君 そうしますと、その九七・一%は地方交付金が全額支えているというように理解をしてよろしいですか。
#23
○政府委員(佐野文一郎君) 全額を支えているというわけにはまいらぬと思います。
#24
○粕谷照美君 大学局長おっしゃるように、それを支えていると、全額でなくても大半を支えているということでありましたならば、公立大学協会がぜひ国庫補助をきちっと制度をつくってもらいたいという要望をするはずがないと私は考えるのですけれども、その辺がきわめて少ないからこそ要望があるのではないかと、こう思うわけです。
 それで、五十四年度の予算案で初めて公立大学等運営調査費三百万円が計上をされております。これはこの公立大学経常費に対する国の補助制度確立を目指すということに目標があるのか、どういうことが目的でこの新しい予算というものがつくられたのですか。
#25
○政府委員(佐野文一郎君) 最近、公立大学に対する国の助成のあり方については、いろいろと問題が提起をされております。公立大学の側からは、いま先生御指摘のような、経常費助成をもっと理工系その他にも導入をしてほしいとか、あるいは施設費に対する補助というものを実施してほしいとか、いろいろな御要請が出ているわけでございます。しかし、公立大学に対してどのように国が助成のあり方としてかかわるかという点については、先ほど来お答えを申しておりますように、設置者負担の原則の問題、地方自治の問題等がありまして、これは軽々には対応のできないことでございます。こういったいろいろと提起をされております問題につきまして、公立大学あるいは関係行政機関の職員、その他学識経験者の協力を得まして、公立大学の経営状況等の実態について調査を行う。そして、それとともに、公立大学の運営のあり方についても検討をしようということで、公立大学等の運営調査費を計上をしたものでございます。これは直接的に公立大学に対する補助制度の確立ということを目標とし、それを前提として設けている調査費ではございません。もう少し基本的に事柄を検討したいということでございます。
#26
○粕谷照美君 大臣にお伺いしますけれども、その実態を調査するといいましても、実態調査が終わったならば、ある程度こういうようにしていきたいという目標がなくて、実態調査というのはないと思うのですよ。たとえば、児童、生徒数を、一クラス児童数を四十人にすると、しなきゃならないけれども、さて実態はどうなのかなというような形で調査をするのか、単に現在の実態はどうであるかというような形で実態調査をするのかというのは全然意味が違うと思うのです。私は文部省というのは非常に実態調査すばらしいものがあると思いますので、その点は高く評価するわけですけれども、やっぱりこれは実態調査したからには、よかれと思って文教行政というものを行わなければならない、こういうふうに考えておりますけれども、文部大臣としてはこのような実態調査が行われた後で、一体どのような決意をお持ちになるのか。する前から答えられませんというのじゃなくて、やる前からまず一つの理念というものがあろうかと思いますけれども、お考えをお聞かせください。
#27
○国務大臣(内藤誉三郎君) いま大学局長が申し上げましたように、実態を把握することがまず根本なんで、そこから私はいく。いま先ほど申しましたように、設置者負担の原則できたわけですね。しかし、あなたのおっしゃるように、私学助成の問題も関連ありますから、そこでいまの公立大学でいろんな陳情もございますから、いま交付税でどの程度まで保障されているのか、交付税じゃどうしても困る点があるのか、そういう問題も関連がありますから、いまあらかじめどうするんだということを決めてかかるわけにはちょっとまいりませんが、結論は、公立大学が今後発展するように、それは公立大学がなけりゃ国立でめんどう見なきゃならぬでしょう、医学部なんかはね。それをせっかく医学部を公立で持っているんだから、そのために文部省でも経常費の補助までいたしていますけどね。いずれにいたしましても、公立大学の実態がどこに問題があって、どう改善したらいいのかということが明らかになった上で、文部省もしっかりした対策を立てたい、こう思っております。
#28
○粕谷照美君 公立大学が今後発展するようにという大原則があるということで、私はまあ安心しておりますけども、ぜひその原則が生かされるような形で今後の文教行政を展開をしていただきたい、こう思うわけですけれども、まず公立医科大学等の施設整備補助制度、この確立のためにということで、最初の文部省の予算要求の中には四億ちょっとのものが出ておりましたけどね、予算案にはゼロになっているわけです、削られたんだと思うんですよね。その原則として助成をしないというのは、先ほどから何回も何回もおっしゃっているように、設置者負担だということがここのところでもやっぱり厳しくあったのかどうかということをお伺いいたします。
#29
○政府委員(佐野文一郎君) 一般的な管理運営費につきましては、先ほど来お答えを申し上げましたように、文教行政として国・公・私立大学のバランスのとれた発展ということを考える趣旨から、特に必要と思われるものについては、国が直接助成をするという道を開いてきておりますけれども、施設費等の基本的な経費については、これはまさに設置者負担の原則が貫かれるべきであると考えておりますし、私どももこの施設等の基本的な経費にまで、補助を一般的に拡大をするということは考えていないわけでございます。
#30
○粕谷照美君 一般的に拡大することを考えていないと、こうおっしゃいましたけども、一般的でない場合にはやることもあり得るということではないんですか。現に例外があったんではないかと思いますが、どうでしょう。
#31
○政府委員(佐野文一郎君) 昭和五十二年度に奈良県立医科大学が学生の入学定員を六十名から百名に増員をいたしました。この際に、増員に伴って緊急に必要となる校舎の新増築に必要な経費の一部、これを特例措置として三億円余り補助したことがございます。しかし、これは私どもは必ずしも今後の同様のケースについて、定員増であれば措置をするというようなことを、国として制度づけた、あるいは方向づけたものとは理解をしておりません。やはり今後生じてくる事態について、それぞれ個別に対応する必要があると考えております。御指摘のように五十四年度の概算要求の際に、学生増募に伴って整備を必要とする校舎、あるいは付属病院のうちの学生の臨床教育のために特に付加をする必要のある講義室等につきまして、補助をしようということを考えて要求をした経緯はございます。しかし、これも奈良県立医大の場合を前例とし、それがあるからということで概算要求をしようと考えたのではないので、やはり概算要求の時点における医科大学側の事情というものを十分に考えて、こういう形での補助を考えることができないかということを要求の形で明らかにしたわけでございます。実際問題としては、これはそれぞれの対象としようとした、医科大学における整備計画が整いませんので、これは削られたというよりも、むしろ私の方でおりたという形で今年度は経緯をしたわけでございます。
#32
○粕谷照美君 医者の数が足りないのか余るのか、いろいろと議論があるところですけれども、なかなかこれからは公立大学におきましても、入学定員を増加をさせるということも非常に困難な状況が出てくると考えているんですよね。そうしますと、類推すればもうほとんど、奈良県立医大だけは特別であって、その後はもうこういうような事例は考えられないというように、私はいま大学局長の御答弁を伺って感じたんですけれども、ではなぜ奈良県立医大だけが特別だったんですか。それはどうでしょうか。
#33
○政府委員(佐野文一郎君) 奈良県立医大だけが特別であって、ほかは措置をしないという意味で申し上げたわけではございません。現に五十四年度でも私どもは概算要求をしているわけでございます。しかし、いま申し上げたのは、奈良県立医大に対する措置が開かれたということをもって、学生増募を伴うものであれば、その必要な施設については国が助成をするということが、制度的に前例として道が開かれているというようには私たちば理解をしていないということでございます。やはり今後生じてくる各大学の状況というものを十分に考えて、それに対していかに対応すべきかということを考える必要があると思っております。
#34
○粕谷照美君 よくわかりました。制度的に開かれたのではないけれども、ケース・バイ・ケースであるというように理解をしてよろしいですか。
#35
○政府委員(佐野文一郎君) 今後のそれぞれの医科大学の整備計画というものがあるわけでございますが、それについて医科大学側から要請があれば、それぞれの計画について十分に検討をし、そのうち国が助成をすることがふさわしいものがあるかどうかを検討をし、もしふさわしいものがあれば、それについては個々のケースについて要求をしていくということは私どもも考えたいと思っております。
#36
○粕谷照美君 では具体的にお伺いいたしますけれども、去年の文教委員会の委員派遣で、和歌山県立医大に行っているわけですね。和歌山県立医大の方から今度の再開発整備計画の説明をいただき、その整備計画に伴ってぜひ国庫補助をお願いをしたいと、こういう要望があったと思いますけれども、和歌山医大がどのような規模で再開発計画を行おうとしているのか、教えていただきたい。
#37
○政府委員(佐野文一郎君) 和歌山県立医科大学が校舎、病院等の全面改築の計画をお持ちであるということは承知をしておりますけれども、現在まだその全体計画は固まっていないと考えております。昨年私どもが概算要求をする時点で、和歌山医科大学が持っていた整備計画は、基礎校舎、付属病院、臨床学舎、図書館、講堂等を含めまして、全体で十万二千三百六十三平米の計画面積のもとに、六十三年の三月までを工期として、逐次年次を追って実施をしたいということをお考えであるということは聞いたわけでございますけれども、この計画自体がさらにいわば再検討をされている段階であって、まだ全体計画は固まっていないと考えております。
#38
○粕谷照美君 これは昨年の十一月の二十八日の文教委員会で報告をされ、そして承認をされて議事録に載っているわけなんですけれども、大体和歌山県の財政規模が年間二千百億円、そのうち一般財源は千百億円、さらに県単独の投資的事業に充当できる財源は約六十六億円だというんですね。それに対して再開発整備事業費は二百億。その主な財源である起債の償還額を合計すれば三百億円になると、こう言っているわけです。県当局から当事業のために毎年三十数億円を支出することは、県財政にきわめて大きな影響を与えるので、本学の施設整備に対して国庫補助を実現されたいとの要望が出されたと、こう言いまして、ずっと分析をしながら、やっぱり公立医科大学の施設に対する国庫補助の実現を早急に検討する必要性があると感じた次第であるという結論になっているんですね。この県単が六十六億円、その中で毎年三十億円を県立医大のために出していくということは非常に大変なことだと、こう思うのですね。文部大臣、こういう和歌山県立医科大学の再開発計画、十分御存じだったでしょうか。
#39
○国務大臣(内藤誉三郎君) 私はまだ詳細に和歌山医大の実態は存じておりませんけれども、これは私はやっぱり医大というのは無医大県解消というので、もし和歌山医大がなければ当然国でこれは見なけりゃならぬ学校ですから、私も何かしなけりゃならぬなあという気持ちは持っております。
#40
○粕谷照美君 私もいまの文部大臣のお言葉、非常にうれしく伺ったんですけれども、無医大県解消、無医大県解消といいましても、公立に依存している県もあるわけですしね。それからもう私立医科大しかない。それでも医大がありますよという考え方をしている。そこのところにも非常に問題があろうかと思います。したがって、この和歌山医科大学がこのような再開発整備計画を行うということに対しては、文部省としても国家としても、やっぱり重大な関心をもって助成がされるべきであろうかと、こう考えているところでございます。
 それとあわせまして、私は意見を申し上げたいと思うんですけれども、五十二年度に行いましたこの国立医科大学学生増募施設緊急整備事業、これに限定をしないで、老朽施設の改築及び増設をも含めて、国庫補助の実現を早急に検討する必要があると、こういうふうに私は考えるんですけれども、大臣としてはいかがお考えでしょうか。
#41
○国務大臣(内藤誉三郎君) これは地方財政計画の問題ですから、先ほど申しましたように、設置者負担の原則がありますから、まず自治省がどういう態度でやるか。これは交付税の問題もあるし、起債の問題もある、いろいろあるわけですよ。自治省ではどうしてもこれはやっていけないと、どうしても国から直接補助をするようにというようなお話があれば、これはまた大蔵省とも相談しなけりゃならぬと思いますけれども、従来の経緯もありますから、私どもそう簡単にこの問題を解決することは困難だと思いますが、今後よく検討さしていただきます。
#42
○粕谷照美君 それではこの問題はそれで終わりまして、次に移ります。
 昨年だったと思いますけれども、立川の女子高がヒマラヤに登山をいたしましたね。ずいぶん有名になりました。私あれは成功してよかったなあと思いますのは、もう一つはもし事故でもあったならば、高等学校においてこのようなことをやることについての批判だとか、補償の問題だとかがわんわん出てきたんだろうと思うんですけれども、しかし、いまはもう女子高生ですらヒマラヤに女子だけで登山、挑戦をしていくというようなことが行われるような時代になっていますし、私も先年――私は新潟県の両津市の出身なんですけれども、東京両津の会というのがありまして、一年に一回ずつ集まるんです。そこで一人の女性にお会いしたんですけれども、ヒマラヤの女性登山隊のお一人だったということで、大変いろいろなお話なんかも伺って、楽しかったんですよね。そういう時代に南極観測隊員になぜ女性が入らないのだろうかという疑問を一つ持っていました。特にテレビなんか見ますと、よその国では女性隊員なんかもずいぶん参加しているようでありますのでね。それで、一体南極観測隊員は、どのような募集体制をとられるのかということについてお伺いをしたい。
#43
○政府委員(篠澤公平君) 隊員の募集でございますが、御案内のように国立極地研究所におきまして、そこが中心となりまして、南極観測の計画を毎年毎年立てておるわけでございます。その計画に従いまして、これに協力をする全国の大学、あるいは研究所等の極地関係の研究者の方が集まってつくるわけでございますので、そういう方々から大学、研究所を通して隊員の推薦をお願いをするということでございます。この推薦は必ずしも複数、大ぜいの方の推薦をいただいて、その中から適任者を選ぶということよりも、具体的な計画に即しまして、たとえば地磁気の関係を研究する研究者、あるいは地質等を研究する研究者という個別のことでお願いをしていく。そういった形で推薦をお願いした方につきまして、大変厳密なまた身体検査を行うわけでございます。夏隊十人、越冬隊三十二人というのが、たとえば二十次の場合でございますけれども、そういった個別の御推薦と、個別の非常に厳密な身体検査を実施いたしまして、その選考に通った方を、最終的には文部大臣が本部長であります南極地域観測統合本部におきまして承認するということで、少数の隊員を任ずるかっこうになっております。
#44
○粕谷照美君 文部大臣、では本部長としてお伺いいたしますけれども、こういう中に女性隊員が入っていくということについて、どういうお考えをお持ちですか。先日の予算委員会で志村愛子委員がいろいろ各大臣に質問しておられましたね。特に自衛隊の中にも女性を入れろとか、あるいは自衛隊の医科大学校にも女性を入れたらどうかというような質問です。自衛隊に触れることについてはわが党としては問題がありますけれども、しかし、よその国では女性兵士もいるではないかというような意見なんかもたくさんあったわけですけれども、私はそうではなくて、この南極観測隊員に女性が行けるような条件というものを逆につくっていく必要があるんじゃないだろうか、こういう気持ちを持っていますが、いかがでしょうか。
#45
○国務大臣(内藤誉三郎君) 実は私も昔から南極観測隊とよく一緒に、私行ったわけじゃないけど、必ず竹芝桟橋まで行って見送ったんですけど、南極観測隊員が行くのは長期間なんですよ。しかも、長期の間男だけでやっているんですけど、果たして女の人が行った場合に、事故が起きないだろうかという気持ちが私は非常に強いんで、余り長期間の問題で、それで男ばっかりですからね、そういういまの観測隊の事業が円滑にできればいいが、できなけりゃ困るということが一つと、しかし、女性が参加したために事故が起きないかどうか、そういう点を私は懸念をいたしておるのでございます。
#46
○政府委員(篠澤公平君) 大臣の御懸念私どもも全く同じでございますが、二十次では夏隊十人、越冬隊三十二人でございます。二人実は飛行機の事故がありましたので帰ってまいりますので、現実には二十次の越冬隊は三十人になるわけでございますが、夏隊といいましても向こうに着きまして約一カ月半、「ふじ」から基地までのヘリコプターの往復による基地の設営、その間を見ての観測ということで、一人の隊員が三役も四役もこなすという大変厳しい、場合によってはドラムかんも担がなくてはいけないという大変厳しい労働条件があるわけでございます。かてて加えて長期間ということになりますれば、当然南極の特有な非常な厳しい自然環境もあるわけでございます。またアメリカ、ソ連等の基地の設営と比較いたしますれば、まだ日本の基地は必ずしもそこまで十分には設営できていないという問題もまだ残っているわけでございます。
 それから、さらにもう一つの困難な条件を挙げさせていただきますれば、四十人という編成でございます。これをそう大きくするわけにもまいりません。生活の関連のいろいろな準備ももちろんありますし、燃料から一切合財の規模がふくれることにもなりますので、そういう意味では一騎当千といいますか、精鋭を集めて四十人でこなしていくということでございます。
#47
○粕谷照美君 諸外国ではどのような形で行われていますか。
#48
○政府委員(篠澤公平君) 具体的な数字は私いま手元に持っておりませんが、聞くところによりますと、ソ連の基地、アメリカの基地、アルゼンチンの基地には女性の科学者が参加しているやに聞いております。ただ、地理的な条件が大分違うようでございまして、いま申し上げました基地は、たとえば、冬期間であっても南アメリカ等からの連絡も可能であるとか、飛行機による連絡も可能であるというふうに伺っておりますので、日本のように、たとえば越冬を考えますれば、まさに一年間現地にとどまらざるを得ないということと条件が大部違うように思います。
#49
○粕谷照美君 大臣がお考えになっていらっしゃるその事故が起きないかという問題は、一年間という長い期間のほとんど男ばかりの中に女性がいることによる事故であるのか、あるいは非常に身体的に厳しい条件の中だから、女性は南極には向かないんだという、もし身体上の事故があっては大変だという、そういうお考えなのか、ドラムかんなんかも非常に重く大変なんで、労働基準法というわけにもこういうところはいかないと思いますけれども、考えてみればとても女の人には耐えられない労働であるというような事故をお考えなんですか、どういう事故のことがあるんでしょうか。
#50
○国務大臣(内藤誉三郎君) 私、双方ですけれども、南極という非常に極地でございますから、気候、風土が非常に違って、果たして女性が耐えられるかどうかという問題が一つ。それから男だけの世帯ですから、そこに女性が何人か入った場合に、男女間の問題も私は出てくると思うんで、そういう意味で、やっぱりそこに行くなら安全性だけは確保できなければいかぬから、それについて私はいま自信がないというわけです。
#51
○粕谷照美君 ちょっと大臣問題ですね。体だけがんじょうな人をやるわけじゃないでしょう。思想も堅固で、きちっとした人たちを送り出していくわけですから、男女間の問題なんといった私はそういう心配は要らないと思うんですけれども、ちょっと古いんじゃありませんか、どうでしょう。
#52
○国務大臣(内藤誉三郎君) やっぱりそれは粕谷先生のようなお若い方なら、私は頭が古いのかもしれませんけれども、やっぱり集団で、男ばかりなんですよね。その中に少なくとも男女同数ならいいけれども、何人かの人が入った場合に、私はその点が一つの心配点、それだけじゃないですよ。南極という極地ですから、気候、風土全部違うんだから、そういうところへ女性が行って、それはヒマラヤと違うんですよ。そういうところと違うから、私は身体的にも、あるいは肉体的にも耐え得るかどうかという、それも心配なんです。
#53
○粕谷照美君 大臣の御心配は大変ありがたいことだと思いますけれども、たとえば基地の整備がソ連やアメリカに比べて非常に劣っている、こういうような条件が将来緩和をされていくということでありますと、よその国の女性にできて、わが国の女性にできないなんということは非常におかしいし、よその国の越冬隊にできていて、わが国の越冬隊だけが女性が入ると男女間の問題が起きるだろうなんという心配があるということ自体もおかしいので、そういうようなことも含めて、これから検討をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#54
○国務大臣(内藤誉三郎君) よく検討させていただきます。
#55
○政府委員(篠澤公平君) ただいまるるむずかしい困難性の問題を申し上げましたけれども、具体的に申し上げますれば、研究者の層の問題も実はあるかと思います。それから、研究者以外の方はすべてこれは設営関係、機械を操作し、あるいは発電機を操作し、トラクターを運転するといったような方ばかりでございますので、適当な方が得られるかどうかということが問題点だろうと思います。
#56
○粕谷照美君 一応そういうことについての御検討をお願いをいたしまして、次に移ります。
 私、おととし農林水産委員会に所属をいたしまして、ちょうどあの二百海里問題が沸き起こったときでしたので、これは各学校においてどういうような形でこの漁業問題を取り組んでいるんだろうかと思いまして、新潟県のある水産学校から教科書を取り寄せて見てみたんです。大変なんですね、記述がすごく古いんですね。したがって、私が言いたいことは、この教科書が現実にそぐわないものであるけれども、どのような形で文部省としてはこのそぐわない教科書を変えていくか、正していくか、そして正しい水産に関する知識を子供たちに教えていくかという観点で質問したいと思うんですが、最初に、五十年発行の本を見てみましたけれども、統計資料が四十五年のものなんですね。教科書をつくるのに大体三年ぐらいかかるということを聞いておりますから、統計が古いのもそれはしょうがないと思いますけれども、もしこれをそのまま信ずれば、これは三月十日に印刷をして、三月の二十日に発行というふうになっているんですね。それほど早い能力がある教科書発行なんですけれども、統計の数字を直すなんということはわりと楽なんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#57
○政府委員(諸澤正道君) 教科書の中の統計の資料であるとか、あるいは客観的な事実が時代の進展に応じて変わってきたというような、いわば内容を検定という立場で吟味する必要のない修正は、発行者において申請があれば直ちに認めるということでやっておりますから、一般的に言えばわりに早くこれはできるわけなんですけれども、ただ、いまおっしゃった水産の教科書ですね、これはちょっとぐあい悪いんですけれども、検定するには余りにも採択部数が少ないものですから、民間で引受手がないと、そこで国がかわって、そこにありますように「文部省」となっておりますのはその意味ですけれども、著作者になっておりまして、種類がかなりたくさんあるものですから、ちょっと物によっては手が回りかねるという実情がございますことを率直に申し上げます。
#58
○粕谷照美君 私もいただきましたら、まず四冊がばっと送られてくるんですね。ずいぶん本がたくさんあるんだなと、こう思いましたけれども、一体どのくらいこれは発行されているんですか、全国で。
#59
○政府委員(諸澤正道君) ちょっといま手元に資料を持ってきておりませんけれども、高等学校の水産高校あるいは水産課程というのは一、二、三年を通じて一万八千人ぐらいなんですね、子供が。ですから、一学年では六千人ぐらいで、それも漁労とか、水産製造とかいろいろ分かれてますから、したがって、教科書によっては年間ほんの数百部というのが相当あると思います。
#60
○粕谷照美君 そうしますと、文部省編にしていますけれども、これ大分文部省がお金を出しているということになりますか。
#61
○政府委員(諸澤正道君) これは、こういう水産の教科書とか、特殊教育の教科書等、需要の少ないものは、文部省の予算にその編集費を計上しまして、それで現場の先生や大学の先生等にお願いして原稿をつくっていただいて、出版権の設定を民間の出版業者にさせるということですから、発行は民間の教科書会社がいたしますけれども、原稿作成まで国がする、こういうかっこうになっております。
#62
○粕谷照美君 そういたしますと、なおさら国が原稿を出しているわけですから、その内容にとっては重大な誤りがあった場合には、どういうような形で現場におろしていくことになりますか。
#63
○政府委員(諸澤正道君) いま御指摘の点は、この御質問の通告を受けまして、私、大変恐縮ですけれども、けさ急いで読んだので不勉強なんですけれども、いまの二百海里時代と言われる今日の漁業のあり方について、四十年代の著述だと、どうしてもそのころの日本の漁業界の立場を説明しておりますから、かなりちぐはぐになっている、これは率直に認めるところでございまして、一般的にはそういうふうに変わってまいりまして、内容を大幅に変えなきゃならぬものは、文部省著述の場合に、その編集委員を集めてまた直していただくというようなことをやっているわけですけれども、いま申しましたように、この漁業関係は非常に種類がたくさんある上に、採択部数も少ないというので、申しわけないがつい後回しになっているというようなことでございまして、やり方としては、そのときどきに、情勢の変化に応じて適宜訂正加除をしていくということをやっているわけでございます。
#64
○粕谷照美君 まかり間違いますと、拿捕をされたり、罰金刑を食わされたり、拘置されたりするような重大な水産法規の問題についても、なかなか間に合うようにはできていないんですね。たとえば、百四十五ページを見ますと、大変問題があるんですね。わが国が「未加入の国際条約については法的拘束はないが、国連加入国のわが国としては、じゅうぶんその精神を尊重し国際協調に努力することが必要であり、漁業者もそれに協力し不必要な国際的摩擦を避けるよう努力すべきであろう。」そこまではいいんです。「しかし」、そこからが問題ですね。「たとえば、ほぼ国際慣行化されつつある領海および接続水域や公海に関する原則を除いては、わが国およびわが国漁業者の利益を不当に制限する相手国の制限に服する必要はない。」と明確にこう断定しているわけですね。この辺のところは、これでよろしいんですかね。
#65
○政府委員(諸澤正道君) この教科書は、さっき御指摘がございましたように、四十三年の発行で、二百海里をわが国が漁業水域として暫定法を設定したのが、先生水産委員をやっておられた年で五十二年らしゅうございますが、そのころを境にして、アメリカ初めソ連等がみんな二百海里宣言をして、今日農林省の漁業白書によりますと、二百海里をとっておられる、あるいはとろうとする国は、海岸を持つ国百カ国のうちの七割に達したという、これは非常に急激な変化なんですね。ここに書いてある部分は、その基礎として、後の方を読みますと、どうも領海三海里説、そして、その接続水域十二海里という前提で議論をしているようなんですね。ですから、おっしゃるように私これきわめて不適当だと思います。だから、これは直させます。
#66
○粕谷照美君 直していただけばよろしいんですけれどもね。私自身がやっぱり考えますのは、この新しい国際情勢に本当に先生が自信を持って教えていけるような資料というものを、早急にやっぱり教えていかないと、特に農林水産に関する問題点は私はきわめて問題が大きいのではないか、諸外国との関連でも大きいのではないかと思いますので、対策を早急にとっていただきたいと思います。しかし、いままで文部省何にもしなかったということではないと思いますので、その辺の御努力をお伺いいたしまして、私は質問を終わります。
#67
○政府委員(諸澤正道君) 教科書としては、おっしゃるようにちょっとぐあい悪いんですけれども、われわれの方としてはこういう新しい動きについて、最も信頼できる資料の一つとして、たとえば、農林省でいま申しました水産白書でございますね、こういう資料は、出されるたびに取り器せて、県の教育委員会へ送って、これをもとにひとつ指導資料をつくってくれというようなことで、抜粋をしたりして送付するというようなことをやっておるわけでございまして、その他できるだけいろいろな機会に資料を提供するというようなことで、これからもやってまいりたいと思います。
#68
○秦野章君 きょうは東大の向坊総長にお越しいただきまして、お忙しいところ大変ありがとうございました。
 学生騒動以来、おなじみなわけでもございますが、今度の文学部出火事件に関する学生の問題について、あるいは大学の対処の仕方の問題について、昨日総長の声明も出されたし、いろいろの経緯について発表されたことを私も承知しておるわけでございますが、きょうはこの出火事件それだけではなく、いろいろ御意見も承り、私どもの考えているところも申し上げて、基本的には私どもも、文部省も、大学当局も、日本の東京大学のようなところが、やっぱり活力のあるりっぱな大学になってほしいというこの念願の立場から、いろいろ討議をしてまいりたいと、こういうような次第でございますので、御了承いただきたいと思います。
 きのう総長声明が出された中で、「文学部出火事件に関する学生の責任について」というところがございますね。これが大分長いんだけれども、この中で、大変大学当局も御苦労されておられることがよくにじみ出て、かつ事案の真相というようなものも要領よくまとめられていると思うのです。その中で、部分部分をちょっと拾いますと、「「文学部学生院生有志」の諸君らは、昭和五十二年春より東京大学の歴史を批判し、創立百年記念事業に反対する運動を進めてきた。このこと自体には、咎めるべきものはない。しかしその運動は、次第に激しくなり、単なる説得活動を越えて、相手を多数でとりかこみ、長時間拘束状態に置いて「追及」するという形をとるにいたった。とくに山木信教授(当時文学部長)に対しては、面会の強要に始まり、約十回にわたり拘束状態において「追及」したすえ、同年十月二十六日、長時間にわたる「追及」の後、彼らの主張を認めさせ、そのことを確認する文書を掲示させるに至った。」このことから山本教授は昭和五十三年三月二十三日に文学部長の職を辞するに追い込まれたわけですね。やめられた。「昭和五十三年一月二十七日、募金活動への非協力を要求して、文学部長室とその周辺区域に「坐り込み」をはじめ、さらに五月頃には「拠点闘争」と称して、同区域を他学部学生および学外者をまじえた集団の宿泊拠点とするにいたった。文学部教授会は、文学部学生大会において結成された「団交を実行する会」との問で、話し合いによって問題を解決するよう努力をつづけた。」と。しかし、「三回目の学部交渉に際し、数人の教官を翌日早朝に至るまで十七時間にわたって拘束し「追及」した。」ということもございますね。もちろん「「坐り込み」に対して、文学部長はたびたび退去勧告を繰り返してきたが、同年八月二十三日、正式に同月末までの退去を要求した。」と、しかし、その要求には応じないと。「かえって文学部教官、職員の同区域への立入りを妨害した。こうした事態のもとで、同年九月二十二日、火災が発生した」とある。この火災が発生した後、総長、文学部長が結局「評議会の議を経て懲戒処分に付せられた」わけですね。「責任ある立場にある以上当然であるが、総長および文学部長の指示に従って行動していた事務職員も処分の対象となったことは、私としては遺憾」だと、こう総長はおっしゃっている。相手方、学生の方はどうかというと、依然として不退去を続けて、そうして総長の決断によって警察を導入して三名を逮捕した、実力行使で入って。そういう結果になったんですけれども、この現場にいた学生は、文部省の報告によると、――時間が短いので私もはしょりますけれども、六名という者が確認をされていますね、この総長の声明にもそう書いてある。
 私はこの総長の声明を拝見して、いかにもこの暴力が依然としてばっこし、不退去が相当続いて、それに対して、言うならば結果責任というような責任であろうと思いますけれども、総長とか文学部長、前の文学部長はやめる、そういうものが懲戒処分、職員も懲戒処分だと、それで相手方は何の処分も受けないというこの結果についてのバランスというのか、一体こういうことは――まあいろいろいきさつがあることはこの声明の中にもあるんですけれども、外から見まして大変バランスがとれていない。こういうようなことのパターンの上には、問題の解決というものが生まれてこないんではないかという心配があるわけです。それで、総長さんも文学部長も処分を受けた、職員まで処分を受けた、それで学生は処分しないということについては、われわれは外側ですから非常に奇異の感を持つんですけれども、総長御自身はいかがなものでしょう、率直なところは。
#69
○参考人(向坊隆君) お答えいたさせていただきます。
 文学部での事件、特に火災を起こしましたことにつきまして、まことに国家、社会に対して申しわけないと存じておりまして、私ども重大な責任を感じておる次第でございます。
 ただいま秦野委員から御指摘の点につきましては、まことに社会からごらんになりますと、大学というところは何をしておるんだろうという御批判があるのは十分了解できるところでございますが、今回の文学部の事件の経緯の中で、学生が部屋に座り込むとか、あるいは先生を追及するというような行為は、これはもう大学として許せない行為でございますけれども、大学の処分というのは、部局からの申請がございませんとこれは取り上げないわけでございまして、その学部で、そういう事態にもかかわらず、話し合いで何とか解決しようという努力をなさっておられる間は、私としてはまあ何もできないわけでございます。文学部としても、ここに八月二十三日に文学部長が退去命令を出されるまでは「坐り込み」という表現を使っておりまして、私に、占拠状態だから排除してくれというような要請は何もございませんでしたのです。私も困ったことだと思いながら、文学部の努力を見守っておったというわけでございます。
 それで、排除をいたしました時点におきましては、文学部も確かにこれは占拠であって、排除すべきものであるという考えを固めておられましたし、文学部での非常な御努力にかかわらず、退去させることが不可能であるという見きわめがついた時点で、私としては緊急事態と判断して、警察力を要請して排除した、そういう状態でございます。
 火災の後、私どもは何をしたかと申しますと、まず、これは私どもの管理責任をはっきりさせるべきであると考えまして、最初に取り上げたのは、評議会で私及び文学部長の責任を審査してもらったわけでございまして、その審査の結果、懲戒処分というのが決まりましたので、私どもはそれを受けて文部省に上申した次第でございます。
 その後は、もちろんその間もその出火の事実の把握、それから出火の原因の調査等は大学なりにいたしましたけれども、これは大学の力では出火の原因は把握できませんです。それから、出火の直接責任者の責任は、これは文学部で特別に委員会をつくられまして、詳細に検討されたわけです。その結果も、どうしても出火の直接責任者は特定することができませんでしたので、文学部が今回出された上申では、ごらんくださいますように、文学部長が占拠として退去を命じたにかかわらず、居残りまして、そうしてそのためにこの出火事件の原因をつくったと、直接の出火の責任者と特定はできませんけれども、そういうことで出火の原因をつくったと見られる三名の学生に対して、処分をすべきであるという結論を出されて、上申してこられたわけでございます。
 その上申書は、二つの部分から成っておりまして、一つは懲戒処分の提案でございますが、それに対して、「本学ではここ十年程学則にもとづく学生の処分は行われていませんので、その点もご配慮の上、よろしくお取り計らい願います。」という二つの部分からできております。これを受けまして、私どもといたしましても、まあ詳細に検討いたしました。東京大学におきましては、御承知の大学紛争のときに、学生と教官との間に確認書というものを交わしまして、それに一応縛られているわけでございます。これをまあ詳細に検討いたしました結果、確認書によってこの処分の適用範囲及び処分の手続については、制限あるいは修正されたところはございますが、処分制度そのものは否定されておらないということを、確認書及びその前後の文書を詳細に検討いたしまして、私としては判断したわけでございます。したがって、文学部の場合にも、この処分の申請をなさったということは、ぼくは妥当なことであったと、大学として不当なことをなさったわけではないと判断したわけでございますが、一方にこの十年間東京大学で処分がなされなかったという事実がございます。この事実は、処分するような事件がなかったからではございませんで、処分して当然であると世間でもお考えになるような事件が幾つかあったわけでございますが、それについての処分上申がなかったために処分が行われなかったわけでございます。その処分の上申が行われなかったという理由でございますが、これが一般社会ではなかなか御理解いただきにくい点と存じますけれども、学内におきまして確認書が交わされた後に、いろいろこの確認書の解釈につきまして違った意見ができまして、この確認書が交わされた以上処分ば一応たな上げになったんであるという考え方を持つ者が相当いたわけでございます。学生諸君の間には特にそういう考え方が強かったと思います。それで、私といたしましては、その間新しい処分制度も制定されませんし、それから確認書によって制限されていることはどういうことで、どういう処遇手続をとるべきだという、そういうことについての明示も大学側から行われなかったわけでございます。そういう状態のままで今回処分するということは、やはりその後に学内で、学生ばかりでなく教官にも疑義を残すおそれがあるという判断をいたしまして、今回の文学部の事件については懲戒処分を行うことは適切でないと、しかし、こういう行為は当然処分の対象となり得るものであるので、東京大学で懲戒処分制度というものは否定されておらない、そしてどういう点が適用範囲として制限されており、どういう処分手続をとることになっておるかということをこの際明示いたしまして、今後こういうことが起こった場合には、私が明示したところに従って処分を行い得るものであることをこの際はっきりさせると、その組み合わせと申しますか、そういう諸措置が最も現時点においては適当であろうという判断を下して、この措置というものを決めまして、それを評議会に諮りました。一週間を経て評議会の全員一致をもって私の措置が了承されたわけでございます。それで、この措置が了承された機会に、私はさらにその措置をとるに至った考え方をはっきり見解及び声明という形で詳しく文書として出しましたわけでございまして、それは評議会できのう決まったわけでございますが、本日の時点で学内広報として学内には周知させたと、そういう次第でございます。
#70
○秦野章君 いま総長のおっしゃった、先般の警察官を入れて、そして不法状態を排除なさったときには、これは総長自身がこれは緊急事態だとこう判断されたわけですね。
#71
○参考人(向坊隆君) はい、さようでございます。
#72
○秦野章君 そうすると、緊急事態だと判断をされるならば、結局不法事態を排除することは、総長御自身が緊急事態だということを判断されればできるわけですね。
#73
○参考人(向坊隆君) はい、それはもう、緊急事態という場合には。
#74
○秦野章君 それで、昭和五十三年でしたか、学部交渉に際して、数人の教官が前の日から翌る日の朝まで十七時間にわたって拘束をされているといったようなものが、総長の緊急事態というものに当てはまりませんか、いかがでしょう。
#75
○参考人(向坊隆君) お答えさせていただきます。
 私は事後報告を受けておるわけでございまして、今後そういう事態について報告がありまして、部局から排除の要請がありました場合には、これは排除を要請することになります。
#76
○秦野章君 総長自身この声明の中で、このような不法事態というものはとうてい認めることはできない、厳しく追及してしかるべきだというお言葉があるわけでございますが、私は問題はここから出発すると思うんですね。ところが、ここから出発するんだけれども、例の確認書の問題があって、そこに必ずしも、出発するといってもいろいろ紆余曲折が予想されるんですが、まずその前に大学局長ね、教育基本法と東大の学部通則で、学生の懲戒処分の根拠がありますね。学部通則二十五条か、教育基本法十三条でしたか、そこはどうなっているか。
#77
○政府委員(佐野文一郎君) 学生に対する懲戒処分につきましては、学校教育法の十一条に、これは幼稚園から大学までを通じてのことでございますけれども、「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、監督庁の定めるところにより、学生、生徒及び児童に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」という規定がございます。これを受けまして、学校教育法施行規則の十三条に懲戒の規定がございます。「校長及び教員が児童等に懲戒を加えるに当っては、児童等の心身の発達に応ずる等教育上必要な配慮をしなければならない。」あるいは「懲戒のうち、退学、停学及び訓告の処分は、校長(大学にあっては、学長の委任を受けた学部長を含む。)がこれを行う。」等々の規定がございます。東京大学は、学則第二十五条におきまして、大学における懲戒処分について規定をしているわけでございます。
#78
○秦野章君 いまの説明の中の、つまり構成要件ね、構成要件というのは、どういうときに懲罰を受けるかということの中にあるでしょう、二十五条と十一条。そこのところが肝心なんです。
#79
○政府委員(佐野文一郎君) 失礼しました。
 退学の事由が同じく学校教育法施行規則十三条に規定をされております。「次の各号の一に該当する児童等に対して行うことができる。」ということで各号列記がありますが、それは第一に「性行不良で改善の見込みがないと認められる者」、第二に「学力劣等で成業の見込みがないと認められる者」、第三に「正当の理由がなくて出席常でない者」、第四に「学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者」、以上でございます。
#80
○秦野章君 この四項の「学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者」というのは法律ですね、学校教育法。それを受けたと思うんだけれども、東京大学学部通則では、やはり「学生としての本分に反する行為があったときは、学部長は、総長の命により、これを懲戒する。」と、こういうふうに基本的にはなっているわけですね。これは生きているわけですね。生き続けているわけだと思うんです。そこで、先ほど総長おっしゃった確認書との関係なんですけれども、まず第一に、この確認書というのは、私も在職中、先生もお見えくださったりして、いろいろ苦労をお互いにしたわけですけれども、この確認書、いま考えてみてもそうなんだけれども、確認書ができて、つまり学校側と学生側が一種の団交のような形になって相談をして確認をした、あの背景というものは、私はやや異常な背景の中に生まれたと、こう見るべきだと思うんですが、いかがでしょうか。簡単で結構です。
#81
○参考人(向坊隆君) 秦野議員のおっしゃるとおり、あれがつくられました背景は、何と申しても異常なものがあったと思います。しかし、確認書がつくられる過程は非常に理性的な対話の場で行われましたので、いわゆる団交でわあわあ言っている状況でつくられたものではございません。
#82
○秦野章君 背景が異常だと、話し合いをしてつくられるものも異常になる危険性というか、可能性があると思うんですよね。私はその中で、たとえばこれは医学部も学校側もちょっとおかしいところがあったと私どもも思っているわけですよ、正直言って。しかし、それにしても教授二人の退官につき「適切な措置をとる。」と、退官をさせるんだというみたいなことを学生側と話し合って確認をしているわけですね。あるいはまた、そういった確認書の中にある同じような状況下においてできたことですけれども、これは「処分制度については、今後相互で検討する。」ということになっている、今度の場合も、十年間処分の方法がわからなかったからできなかったんだということの原点だと思うんでございますけれどもね。懲戒処分について、「大学当局は、その原則として、客観的に学生・院生の自治活動への規制手段としての役割を果してきた「教育的処分」という見地をとらぬ」、「教育的処分」というのは、要するに客観的には学生の自治活動への規制手段だと、こう決めつけているわけですよ。もちろん、一方的に処分しないとか、学生の意見、処分される者の意見を聞くなどということは私は必要なことも当然認めるんですけれども、「教育的処分」というものはないんだというふうに確認書の中ではなったと思うんですね。一体、大学も単なる研究所じゃなくて、やっぱり教育機関であるということは教育基本法ではっきりしていますから、教育基本法からいくと、教育する者とされる者はやっぱり立場が違って、立場が違ったところから関係が生まれて、そして教育されるにふさわしくない者は、ときには教育権の効果として一つの処置を受ける、それを処分と言っていいのではないか、これは私は非常にきわめて当然のことのように思うわけですけれども、東京大学は確認書でこういうことをやったものだから、処分というものは「教育的処分」じゃない、秩序維持の方なんだ、こういうふうに変わったように思うんです。
 そこで、文部省にちょっとお聞きしますが、ほかの大学との比較で、一体そういうふうに学生の処分というものはなっているのかどうか。カンニングやったと、これは全く「教育的処分」だろうと思うんですね、処分としては。ほかの大学との比較において――国立大学ですよ、大学局長どうですか。「教育的処分」ということはないということが通るのかどうか。秩序と、それから規律という問題だけの処分なのか。教育機関であるから、研究だけしているんだということじゃなくて、教育という言葉がある以上、私はそこらに一つの基本的な問題があるような気がするんですが、どうでしょう。
#83
○政府委員(佐野文一郎君) 「教育的処分」ということにつきましては、当時の加藤総長代行による解説がございますが、その解説によると、「「教育的処分」というのは、本人に反省を促し、これを改善するためとか、あるいは他の学生の見せしめにして悪事を防止するためとか、なんらかの意味で教育者としての被教育者に対する立場上の権威にもとづく配慮に従って処分をするという意味をもっていたと思われる、このような考え方は、高校までは十分の意味をもつとしても、大学においては、学生を独立の人格として扱い、主として教育・研究上の規律違反に対し、大学の一構成員に対する懲戒として処分をするという立場にたって割り切って考えるのが適当であると考えられる。」このような解説をしておられます。大学において学生を独立の人格として扱って、主として教育、研究上の規律違反に対して大学の一構成員に対する懲戒を加える、いわば大学というものの秩序というものを乱す者に対して大学を防衛をする、そういう観点で懲戒処分をするというのは、その限りにおいては私は理解できないことではなかろうと思います。しかし、学生の懲戒処分は、事の性質上当然本人及び他の学生に対して訓戒的な効果を持つものであることは明らかでございますし、また学校教育法に定めておりますように、懲戒処分は本来教育上の必要に基づいて行われるものでございます。したがって、やはり確認書が定められた時点におきましても、「教育的処分」を行わないということは、おおよそその大学は懲戒処分を行わないということになるのではないかというような誤解を生じたきらいがございます。新しい処分制度を御検討になるときには、そういった点について大学側で十分慎重な御配慮を賜りたいところと考えております。
#84
○秦野章君 総長、この点、私の意見についてはいかがにお考えですか。
#85
○参考人(向坊隆君) お答えさしていただきます。
 この確認書の例の「教育的処分」についての考え方は、ただいま大学局長が引用されたような文章になっております。今回もこの「教育的処分」とは何かと、そういうものが大学では一切行われ得ないかどうかということも十分に検討いたしました。それで、大学における処分というのは、考えようによってはすべて「教育的処分」であるという見方もできますけれども、そこまで広げなくても、「教育・研究の場としての大学の規律・秩序を乱す」という表現におきまして、この「教育・研究の場としての大学」というところに、秦野議員が御指摘になったような意味での、教育の場として歯然しなければならぬ処分というものは含まれ得ると私どもは解釈したわけでございます。
#86
○秦野章君 総長の昨日の見解ですね、「現在の懲戒処分制度についての総長見解」というものの中で、総長は先ほどおっしゃったような四つの行為、「次のような行為が含まれる。」と、こう書いてある。その第一は、「大学の構成員に対して暴力を加える行為」まずこれがトップへきているんですね。私これ見て、これはあたりまえのこっちゃなと、こう思ったんだけれども、「大学の構成員に対して暴力を加える行為」の中には、学生同士の暴力がある。それから学生が先生に対する暴力がある。これはいずれも確かに文字の上からいけば、大学の構成員に対しての暴力なんだけれども、この学生同士の暴力と、学生が先生に対する暴力とは価値が同じであろうか。つまり「教育的処分」じゃないというふうに踏み切っちゃうと、あるいは同価値の暴力ということになっているんではないかという危惧が私はするわけですね。つまり同程度の暴力ですよ。暴力の差があれば、これは違うには違いないんだけれども、同程度の暴力だった場合に、これは基本的に大事なことなんだけれども、学生同士の暴力と学生が先生に対する暴力とは同価値であるかどうか、この点を明確にする必要が私自身はしているんだけれども、文部大臣どうですか、まず文部省の方。
#87
○政府委員(佐野文一郎君) 教官に対して暴力を加える場合と、学生同士でけんかをした場合とは事柄は当然異なると思います。
#88
○秦野章君 総長の方はいかがですか。
#89
○参考人(向坊隆君) 大学では必ずしもそうはっきり学生同士と、学生と先生だから、それは違うとは必ずしも言えないと思っております。それは大学はやはり学生を一人前の人格として扱うという立場をとっておりますので、そういう意味からいえば、先生が学生に暴力を加えるのもよくないし、学生が先生に加えるのもよくない。学生同士でも暴力をふるうのはよくない。ですから、そういうものを仮に評価する――評価すると申しますか、処分の対象にして量刑を論ずるような場合には、その場合場合に従って細かく検討しなければいけないと思いますけれども、一般論といたしましては、別に考えることは必ずしも適当でないと、大学の場合ですね、そういうふうに考えております。
#90
○秦野章君 大学は確かに、ここに書いてありますが、加藤元総長の見解に、学生を独立の人格として認める、だから教育的処分はないと、それが前提になっている。高等学校になると独立の人格ではないと、こういうふうに言えるであろうかという疑問があるんですね。というのは、大学も歳で言うなら二十歳未満もおりますし、大学入った途端に独立の人格になって、それからちょっと前の高等学校時代は独立の人格ではないと。独立の人格と言えば、私はやっぱり高等学校の学生も独立の人格ではなかろうか。問題は、独立の人格であるんだけれども、対先生、相対的な問題ですね、対先生と対学生では違うのがあたりまえではないか。このことが確立しない限り、教育者と被教育者という立場が非常に不明確になるし、私はそこらの問題についての、ケース・バイ・ケースとおっしゃれば、すべてケース・バイ・ケースなんだけれども、あらゆる条件が同じであった場合に、学生と先生と、学生同士というものが、大学のキャンパスの中における暴力について、私は同価値だということは問題のような気がする。いま一度先生いかがでしょう、これ。
#91
○参考人(向坊隆君) 御指摘のとおり、大学生は一人前の人格で、高校生の場合には違うというようなことは私は申せないと思います。しかし、学校が対象とする学生を考えます考え方は、高校と大学ではあるいはある程度違うだろうと思うんですね。大学の場合には高校に比べてより一層学生の人格を一人前の人間として取り扱わなきゃいけないんではないかと、そういう考え方がございます。議員の御指摘のように、すべての条件が同じであった場合には、学生同士の暴力と先生対学生の場合とは、それは違えて考えなきゃならぬかと、そういう場合もあり得ると思いますけれども、一般論として私ども申し上げられるのは、やはり大学というところは学生を一人前の人格として扱う度合いが学校の中で一番高いところである、そういうふうに御了解いただきたいと、そういうふうに思います。
#92
○秦野章君 以上の点が、これが総長見解の中の四つの項目の第一の「大学の構成員に対して暴力を加える行為」ということで、これは懲戒の対象になりますよという一つの言い方でございますね。その四つの中の三つ目に、「破廉恥な犯罪行為」というのがあるんですよね。それで、私はなぜ、こんな重箱のすみをつつくようなことを言うかというと、実はそうじゃなくて、教育基本法なり、東大の学部通則なりに、学生の本分に反したことをやったらもう処分食うんだと、こう書いてあるわけですね。それにもかかわらず、今度は破廉恥ということを一つの項目に挙げられた。というのは、基本法だとか、学部通則だとかは、少し大まか過ぎるから少し各論が欲しい、細則みたいなものがあった方がわかりがいいということで、こういうような発想が根底にあったかとも思うんですけれども、幾らこれを詰めても、これは加藤元総長が解説の中で言っていますけれども、学生の本分は何かと言ったら、その中身というものは時代とともに変わると書いてあるんですよ。私はそれはそのとおりだと思うんですよ。そして、たとえば「破廉恥」と言ったって、その中身はぐるぐる変わるわけではないですか。だから、学生の本分に反するようなことをしたらいけないと法律が書いてあり、東大の学部通則、これは評議会で決めた自律の法でございましょう。この中で書いてあれば、それに基づいて、裁量行為でございますから、処分は。規則裁量じゃなくて裁量行為ですわな。裁量行為だから、それで処分をすればそれで事足りる。ほかの大学は多分そうしているんだと思うんですが、大学局長、どうなんです、ほかの大学は。
#93
○政府委員(佐野文一郎君) 各大学それぞれ東大の学部通則と同じような規定を処分については持っているわけでございます。その運用に当たって、懲戒権者の裁量行為として行われていることは御指摘のとおりでございます。
#94
○秦野章君 そこで、私はなぜこういうことを言うかというと、次々細かくつくっていって、こういうように項目をおつくりになっても、たとえば処分の制度がまだできないということになれば、またやっぱりできないんではないかという感じがする、それと破廉恥というのは何だろう、いまの話の続きになりますけれども、我妻さんの意見だと、破廉恥罪とは「廉直性を欠き、道義的非難に値する不純な動機原因からされる犯罪。たとえば殺人罪・窃盗罪・放火罪。わが刑法は破廉恥犯・非破廉恥犯を処刑上区別していないが、原則として禁錮は非破廉恥犯に適用されるものと解されている。」、こう言っているんですよ。それから鵜飼さんですね、鵜飼先生は、道義的に非難されるべき動機、心情に基づいて行われることを常態とする犯罪、たとえば放火、殺人、詐欺罪など。一般には禁錮を避けて懲役の対象とされるが、実定法上の明確な区別はない。これは確かにそうです。法意の変遷に伴って非破廉恥犯との限界は流動的であり、一方ではかような区別の意義を否定する見解もある。こんなこと言ったって、もう余り意味がないという見解もある。そうすると、学生の本分に反することだと、こういうのと、破廉恥というふうにこう区別しても、若干の差はあるかもしれませんけれども、中身が流動的でもあるし、やっぱり学生の本分に反するということに帰ってくるんですよね。
 そこで、この破廉恥な犯罪行為、まあ大学の試験における不正行為みたいなものは、一番はっきりするんですけれども、その他のものは、やはりこういうふうに区別されたことは悪いとは思いませんけれども、これで解決したことにはならない。一番基本的な問題は、こういうものをどうやって処分するのか、その処分の手続ですね、これは今日まで十年間できなかった。今後はひとつやろうじゃないかというお気持ちなんでしょうけれども、これはどういうような手順で、今後いつごろどういうふうにおつくりになるのか。それからまた、緊急事態だと、総長が学部長から報告があってかなりの事態なら緊急処置もできるという場合もあるわけですけれども、それは非常に異例な場合でございまして、大学もやっぱり警察力導入なんかなるべく避けるという姿勢でございましょうから、学内の秩序という立場から見たときに、やはり処分の制度、方法、これをいつおつくりになるのか。これが大学の中でできないということなら所詮何もできない、こう思うんですが、この点についてのお見通しなりお考えはいかがなものでしょうか。
#95
○参考人(向坊隆君) お答えさしていただきます。
 ただいま秦野議員の御指摘になりました四項目では、むしろ大学の本分にもとるとしておいた方がいいぐらいで、こういうものを挙げたのはかえってあいまいにするという御指摘ございましたが、私どももこれをやるときの議論の中で、そういう議論をいたしました。
 ここに四項目挙げました理由を申し上げますと、私どもの立場は、学部通則二十五条は生きておる、処分はできると。そしてその学部通則二十五条には、学生の本分にもとる行為が対象になると書いてある、それも生きておる。しかし、この確認書によって制限を受けている項目がある。それは何かというと、その後に出てまいります、学生の正当な自治活動は対象にしない、それから、ストライキがあったときに、そのストライキということ自体では処分をしないということをそこで確認しておりまして、これは制限しているものでございます。それを除いた学生の本分ということになるわけで、それではそういう書き方をしようかという議論もございましたけれども、それではわかりにくいだろうというので、例示としてこの四つだけを挙げたわけでございます。
 特に、破廉恥な犯罪行為というのが一番これはあいまいであるということは、御指摘のとおりの議論が私のところでもございましたけれども、その他の三つだけでございますと、社会で当然罰せられるような破廉恥な犯罪行為でございますね、窃盗とか、その他のものは、社会では罰せられても大学では罰しないのかという、ほかの例を挙げるためにそういう議論がまた出てきやしないかという配慮をいたしまして、そのあいまいなところの残るのも承知の上でこの第三項目を入れた次第でございます。
 それから処分の手続でございますが、私どもは、この見解及び後の声明で申しておりますとおり、現行で処分はでき得る、その処分の手続につきましては、確認書の中で、一方的な処分をしないということを言っております。その一方的処分はしないということを検討いたしました結果、第一にば、本人からの事情聴取の手続を必ずやるということ。しかし、この手続をとるということは、本人が事情聴取に応じない場合、幾ら呼びかけても応じない場合には、これは権利を放棄したものと見て先に進むことができるという解釈ができると思います。
 それから、もう一つ大学の中で問題になりますのは、紛争の場合でございまして、紛争の場合には、一方の当事者である、たとえば一つの学部の教授会の判断だけで処分するというのは、これはやっぱり一方的処分であるということをこの時点で認めておりまして、そういった場合には、評議会あるいはその他当事者の教授会とは独立な機関を大学としてつくりまして、公正な審査を経た上でこの処分をするということで、この一方的処分ということを避けることができると考えておりまして、そういう手続を踏むことによって処分はできると、そう考えておる次第でございます。
#96
○秦野章君 そうすると、これからは、確認書というものはずっと尾を引いて存在するようだが、あっても、処分制度というものを、暫定措置をおつくりになるとか何とかいうことも書いてありますけれども、そういうことがなくてもできるということですね。それでよろしいですか。
#97
○参考人(向坊隆君) おっしゃるとおりでございます。
#98
○秦野章君 そういうことであるならば、確認書の評価といいますかね、やっぱり時代が流れてきておりますから、あの当時から十年たってますから、確認書を読んだそのまんまのものと、これを今日の時代に当てはめたときには、やっぱり実質的に変わっているんだというふうに解釈してよろしいんじゃないでしょうかね。そのまま生きているんじゃなくて、やっぱり解釈には、論理解釈、文理解釈、拡張解釈、いろいろ解釈があるわけですけれども、やはり解釈というものがだんだん変わってきているというふうにお認めになるわけですか。
#99
○参考人(向坊隆君) 確認書とその解説が出ました時点で、私どもは、ああいう文書というのは解釈がいろいろあるものだということを感じた次第でございまして、御指摘のように、解釈そのものは、やはり背景なり時代によって変わるものだと思います。
 それで、私の今回出しました見解なるものも、現時点における私なりの確認書の解釈がここに出ておるわけでございまして、これに対して学内ではやはり批判等もあるかと思いますけれども、私としては、総長の責任においてこの見解をとるということを発表した次第でございます。
#100
○秦野章君 文部大臣は確認書の今日評価はどういうふうにお考えになっておるか。
#101
○国務大臣(内藤誉三郎君) 私はやっぱり、国立大学については文部省は大幅に自治を認めておりますから、大学でいろいろお決めになるのは結構ですけれども、大学も、これは治外法権じゃないんだから、やっぱり文部省令なり、文部省の方針が決まっているんだから、学校教育法なり、学校教育法施行規則、それを踏んだ上で大学を運営していただきたいと思うのです。ですから、確認書について、いま総長のお話のように、時代とともに変わるとおっしゃる――そして私は、やっぱり天下の東大ですから、国民の期待に沿うようにりっぱに運営していただきたいと思います。
#102
○秦野章君 いま医学部で精神病棟の問題が、大変また御苦労なさっていると思いますけれども、東京大学医学部の文書の中で、これからの方針として、例の病棟で学生が実習できないという問題については、五十四年からは四年生の病棟実習を実施させる、それから教授、助教授が適当と認めた患者を入院させる。いまは勝手に外から入っている。これは五十四年度からおやりになるということですから、これは大変これで一歩前進というかね。ただ、その三番目に「無籍者の出入り」については漸次解消するよう努力する、この無籍者というのはどういうのを言うんですか、これ。無籍者が勝手に出入りしているというんですけれども、これは実際はどういうことなんでしょうか。
#103
○参考人(向坊隆君) お答え申し上げます。
 無籍者と申します表現を、医学部の方でそういう表現をしておりますが、これは現在赤レンガで治療に携わっている人の中で、大学での職員の肩書きを持ってない人がおりますので、それのことを言っております。その人たちが、大学の正規の職員以外の人に治療を任せるという状況は正常でございませんので、それの解消を一日も早くしていただきたいということを私どもからはお願いしているわけで、それに対して医学部からその解消の努力をする、そういうことを言ってきておるわけであります。
#104
○秦野章君 無籍者の出入りということはそういうことだと、やっぱり学内の秩序といいますかね、そういうものに明らかにこれ、学生じゃありませんから、大学構成員じゃないと思いますけれども、大学の一つの秩序の中で、こういう無籍者が勝手に入って診療しているということは放置できない問題だと思うんですね。これは漸次解消するというんだけれども、こういうのは一遍にできないものかという感じもするんですよね。これは全くもう理屈のないことであって、まずいことだと思うんですけれども、この具体策はここにありません。ただ努力をするということですから、ひとつ総長の方からも――こういうことが発端になっていろいろ大学が治外法権的な存在になりがちである。それからまた暴力の拠点になるということも可能性がある。というのは、ここに「東大精神病棟」という本があるんですけれども、これはこの本の取材の新聞記者に対して医学部の先生が、石川さんという講師ですが、得意げに語ったとある。それは浅間山荘事件のときですけれども、先生これお読みになったかもしれませんが、ちょうどあの事件の前だった、何人かの連合赤軍が男女連れだって赤レンガにやって来た、しばらく泊めてほしいというので泊めたと、リーダー格の男の顔を見たら指名手配で見た顔だと、それが森君であったと、こういうのがあるんです。爆弾を持っていたので、病院に爆弾は困るよと言ったら、あした帰るからということで長逗留はしなかったということを石川講師が言っているんですね。そういうふうにやっぱり暴力の拠点になるということになってくる可能性もありますので、無籍者の出入りなどというものは、やはりきちっとこうやっていただかなければならぬと、こう思うんですね。
 最後に、時間も参りましたから、私は処分につきましては、学生は処分をいやがっているかもしれません。しかし、教育を受ける者は、教育者によって教育的処分としての懲戒を受けることはもう当然なんではなかろうか。それなくして、権威というもの、いい意味における権威というものがなくしては、大学の存在すらなくなる。東京大学というのは一つの権威ですよ、そういう意味においては非常に私は大事なことだと思いますし、そのために処分を受けたから、その処分を受けた学生がひどい目に遭うということはないんですよ。まあ先生も御存じのとおり、私は警視総監時代にずいぶん学生も逮捕になりましたよ。何万となったでしょう。あの中からやっぱり天下をとる人間も出てくるだろうと私は思うんですよ。だから処分を受けることにあんまりへっぴり腰になることはない。懲役を受けてもりっぱになる人だってあるんだ。私は世の中には何でも丸くおさめようということの中ではやっぱり実りある解決ができないこともある。ときには波乱を生んでも、やはりそこに活力のある衝突があっても仕方がない、ある程度。そういうふうに、歴史というものは私はそういうもんだという感じがするんです。東大総長に私そんな説教みたいなこと申しわけないけれども、私も大変手をやきましたからね、学生運動では。その私の体験から言いますと、過激学生も生まれながらの過激学生じゃなくて、生まれたときはみんな同じだし、何かの勘違いや都合でやってるんで、きゅっとおきゅうすえりゃまたよくなるということで、教育者の姿勢としては私は当然ではなかろうか。そういうことによって、やっぱり未来が疑いなく若者の手に渡るわけですから、私はしっかりした処置というものは大切ではなかろうか、こう思うのでございまして、これは私の意見として申し上げます。
 また、総長の常時補佐をしていらっしゃる平野先生なんかも前から私も存じ上げていますが、私の意見、きょうまあ速記録もできますけれども、意見に対して反駁なり、あるいはまた御所見があったらまた承って、国会も全然他意はないんですよ。やっぱり大学が正常化する、いい教育の殿堂になる。文部省も国会もみんなそうだと思うんです。そういう意味で御足労いただきましたので、あしからず御了承を願って、私の所見に対していろいろ御意見がまたあろうかと思いますけれども、それはまた改めてお聞かせを願う機会をつくりたいと、こう思うんでございます。どうもありがとうございました。
#105
○馬場富君 最初に、青少年の非行問題について質問いたします。
 最近、年少者の非行が非常にマスコミ等でも取り上げられておりますが、中には悪質な非行が非常に多くなって、いま非常に憂慮されておるところでございますけれども、中でも年少者の自殺等が頻発しております。この点を警察庁の方で調査されておると思いますが、その実情をひとつ御報告願いたいと思います。
#106
○説明員(古山剛君) ただいまお話ございましたように、少年非行並びに自殺がふえておりまして、大変憂慮いたしておるところでございます。昨年中の少年の自殺は八百六十六人でございまして、前年に比べまして約一〇%増加いたしております。小学生が三三%増加でございます。中学生がちょっと減りまして二六・四%減っておりますが、高校生が一五%増ということで、これは五十二年と五十三年のそれぞれの上半期の比較で、年間数字は出ておりませんが、比較いたしますとそういうことで、やはり若干全体としてはふえる傾向にございます。
 それから、刑法犯少年の方でございますけれども、これも昨年は刑法犯少年全体で一四・八%増ということでございまして、過去、最高の増加率でございます。しかも年齢別に見ますと、十五歳、十六歳、あるいは十四歳といった年少のところがふえておりまして、それに対して十七歳、十八歳、十九歳というところは比較的増加率が低いということになっております。学職別に見ますと、昨年と一昨年では中学生が一五・九%増、それから高校生が一八・八%増ということで、大変ふえている。小学生の場合は、比較的増加率が少なくて、プラス八・七ということになっておりますけれども、そういった年少者の非行、あるいは自殺というものがふえているということについて大変憂慮している状況でございます。
#107
○馬場富君 次に、やはりそれに並行して犯罪等もかなりふえておる状況でございますが、特に年少者の中の刑法犯ですね。そういう関係の数字と、%と、それからもう一つは、やはり生徒が教師に暴力を働いたというようなものもあるでしょうし、それから暴走族の少年が補導された問題もございますし、それからシンナー等の乱用によって問題が起こった関係もあるんではないかと、こういうふうに思うのですが、その点の御説明を願いたいと思います。
#108
○説明員(古山剛君) 刑法犯少年の学職別、昨年一年間の全体に占める割合を申し上げますと、高校生が三七・三%、それから中学生が三一%と占めておりまして、合わせまして六八・四%ということで、三分の二以上占めておりまして、しかも全体の中でもその増加率が特に高いということで憂慮されるわけでございます。
 それからその次に、校内暴力の関係でございますけれども、これは実は大変潜在性の強い事件でございますので、私どもの把握をしただけではどうこう言えないかもわかりませんが、一応私どもで把握いたしました五十三年中の教師に対する暴行事犯、その他生徒同士の集団を背景とした暴力事件等を含めますと千二百九十二件でございまして、件数といたしましては前年に比べて三一%減少いたしております。ただ補導人員の方は六千七百六十三人でございまして、逆に六・六%増加しているという状況になっているわけでございます。
 それから暴走族でございますけれども、これはかなりふえておりまして、暴走族少年の不法事案のうち、交通事故とかあるいは交通違反等を除きました、いわゆる普通の刑法犯で補導いたしました数が三千八百六十七人でございまして、やはり前年に比べて一三%ふえております。しかも、その中でも強盗とか、あるいは暴行、あるいは脅迫といったような、そういう非常に悪質なのが大変ふえているという状況でございます。
 それから、シンナー等乱用少年でございますけれども、これも実は大変ふえておりまして、憂慮にたえない状況でございますけれども、昨年シンナー等乱用少年で補導いたしました数が三万九千六百十五人でございまして、一昨年に比べまして二一・六%ふえております。しかもその中で、高校生が二三%増、中学生の場合は一九・九%増ということで、全体の平均よりはちょっと伸びが少のうございますけれども、やはり二割近くふえているということで、大変問題が多かろうというふうに思うわけでございます。
#109
○馬場富君 いま数字をちょっとお聞きしますと、自殺者も相当の数に上りますし、年少者の。そういうことで、実は自殺者の間では、一人の自殺者の背景には、十人のやはり未遂者がいるんじゃないかということも言われておりますし、またその背後にはやはり千人のそういう予備者がおると見ていいんじゃないかというのがもっぱらの専門家たちの話でございます。そういうことからいきますと、日本全国見ますと七百八十四万人のそういうような不安な状況の子供がおるということが実は考えられると思います。それからもう一つは、刑法犯の問題等におきましても、全刑法犯の件数の中の三二・八%に達しておるというような数字がこの子供の中に出てきておるというような点もこれはっきりしてきております。
 こういうような問題をずっと見まして、ここで大臣にお尋ねいたしますが、こういうような実は実態がいまの年少者、特に教育を受ける子供たちの中に起こっておるというのが日本の実態でございます。やはり将来の日本をしょって立つそういう青少年が、このような状態では将来が非常に心配されるわけです。そういう点について、この現状をどのように大臣は認識してみえるか、また、どのように考えてみえるか、御説明願いたいと思います。
#110
○国務大臣(内藤誉三郎君) 御指摘のとおり、いまの青少年の実態見て、本当にこれでは私も死ぬに死に切れない気持ちです。これで日本の将来はいいんだろうか、こう思います。
 そこで文部省としては、まず教育課程の改正を行いました。大体むずかしいんですよ、教科書が。私だって小学校六年の子供の教科書わからないですよ。ですから、もっと基礎的、基本的なものを精選して、そして人間性豊かな教育をしようというので、このたび教育課程の大改正をしたわけですから、しばらくこの経過を見さしてもらいたいと思います。
 それから、いま一つは、教師の問題ですね。親の問題、教師の問題、親も大事ですが、教師がやっぱり私は子供の実態をよく見て、本当に温かく育ててほしいと思うんです。子供が来る前に、朝礼の前に、子供がどんな様子で来ているのか、その実態を見ていただく。そういう親切な先生、心の通う先生、それから友達同士のつき合い、これも大事ですよね。それから試験地獄です、昔は塾なんかなかったですよ、このごろはみんな塾へ行ってますよ。こんなことやってたらだめですよ。そういう意味で思い切って入試改善やった。この入試改善もまだ第一回ですから、十分な成果は上がってないけれども、それでも第一次はおおむね妥当だという評価を得ているし、二次も大分問題を縮小して、整理して、そして内申書や、それから人物考査、あるいは論文、作文、人間を見るような二次試験もやった。ですから、この試験問題、入試改善、これも一つの課題ですね、これもやらなきゃいけない。
 それからいま一つは、一番大きいのは何といっても親ですよ、私は自分で父親を胃がんで亡くしてしまったから、母親に育てられた。やっぱり母親ですよ、子供ばね。ですから、そういう意味でお母さんが本当に子供のめんどうを見てくれるお母さんね。そこで、このごろは核家族ですから、親が働きに行っちゃって、子供は毎日テレビばかり見ているんですよね。それでは困るから、そこで母親学級とか、総合講座とかと言って、文部省でも広範に家庭教育の改善をやっているわけですよ。こういうことで、私も不十分ですけれども、何とかしてこの状態を打開しないと、私もあなたと同じように、日本の将来どうなるんだ、これじゃ死ぬに死に切れない気持ちです。よろしくお願いします。
#111
○馬場富君 そこで、もう一つ警察の方にお尋ねいたしますが、年少者の自殺の原因についてはさまざまあるようでございますが、そういう点について警察のお調べの中でのひとつ分類と、件数、五十二年度で結構でございますが、御説明願いたいと思います。
#112
○説明員(古山剛君) 少年の自殺の原因につきましては、大変むずかしい問題でございますけれども、一応第一線で認定いたしましたのを集計したところによりますと、一昨年の少年の自殺、七百八十四人ですが、そのうち学校問題というのが二百十九人で二七・九%、これが最も多くなっております、それから、そのほか異性問題、百七名で一三・七%、それから家庭問題、九十五人で一二・一%というような状況でございます。
#113
○馬場富君 そういういまの数字とあわせまして報道等を聞きましても、まあ識者によっていろいろ見方やとらえ方がずいぶん違うと思いますけれども、そういう点について、この問題等につきましても、また教育全般につきましても、もっと根本的にこれを分析して考えなきゃならぬという点が考えられるわけです。そういう点で、また父母や教師等が正しいやはり子供観を持っておるかという問題等についても、一つは問題点が起こってきております。そういう点で、子供を取り巻く生活、あるいは文化、教育等の環境の健全化を図り、そしてこういう問題を防いでやらにゃいかぬということが、この問題からとれるわけですけれども、そういう点について現状の客観的把握、あるいは原因の科学的分析、こういうものに基づいた総合的な対策が必要ではないかと、こういうように私は考えるわけです。
 そういう点で、先般も私は、こういう育児の関係で非常に権威を持っていらっしゃる愛知医大の教授で、久徳さんという教授がおるわけです。この方は育児と小児ぜんそくの日本の権威でございますけれども、この方がいろんな自分の意見の中でこういうことをおっしゃっていました。日本の三十年来の政治というのが、一つは現在の子供たちを崩したとも言えると。その中で特に高度経済成長が人間形成をだめにしたと。特に子供の力強さやたくましさというのは、人間の育児本能と、集団本能が最も大切だと。その中で経済至上主義による地域離れや、核家族化等が、子供を健全に育て、教育するに必要な育児本能、集団本能というのを崩してしまったんだと。その結果が勤勉あるいは節約、団結あるいは耐乏といった行動の規範が、快楽あるいは浪費、疎外、反抗、便利さといったようなものに変わってしまったということが言えると。この点についていま日本が気づかなければ、いまの子供が大人になったときには大変な時代が来るんじゃないかということを警告してみえるわけでございますが、こういうやはりひとつの考え方から推しましても、これはひとつの一方的な見方かもわかりませんが、そういうものを総合してみても、教育という問題はいま文部省がやっていらっしゃる段階等だけでは解決ができない重要な問題が起こっておると、こういうふうに見なきゃいかぬと思います。そういう点で先ほども申しましたように、そういう総合的な対策等を考えていく立場において、青少年問題研究所というような具体的な問題等を一つは考えて、各方面のそういう考え方の人たちを集めて、そしてこれに対する研究をいまから考えながら、そういうものが父兄や、あるいは教師や、あるいはそういう一般社会等にも理解されていくというような運動を起こさなかったならば、これは大変じゃないかと、そういう点についての大臣の見解をお尋ねいたしたい。
#114
○国務大臣(内藤誉三郎君) お説まことにごもっともでございますが、現在は総理府に青少年問題対策協議会ができているんです。関係各省が集まって、そこでいろいろ研究協議を続けておりますから、この結果、いま先生御指摘のように、やっぱり青少年問題研究所をつくった方がいいというような結論が出れば、それも一つの私は方向だと思いますが、いずれにしてもいま総理府が中心で関係各省集めて連絡協議会をやっておりますから、しばらくその経過を見さしていただきたいと思うんです。
#115
○馬場富君 それはお言葉を返すようですけれどもね、あの総理府がやっておる会議は、結局やはりもう懇談会ですよね。そんなことで、先ほど大臣が死んでも死に切れぬとおっしゃいましたが、そのとおりじゃないか、やはりこれは日本のいま政治に携わる者の全部の悩みじゃないかと思う。そういう点で、ぼくはそんな懇談会的なもので解決するようなものじゃないと思う。そういう点では各界の日本の権威を集めて、衆知を集めて、私は日本の将来のためにどうしたらいいかということを真剣に考え、またこれについて相当の予算も持ち、力を持って、日本全体に、教師、あるいは親や、あるいは社会等についても、理解をさしていくという運動を巻き起こさなかったならば私はだめだと思うんですね。そういう点でもう一回ひとつ見解をお聞かせいただきたいと思います。
#116
○国務大臣(内藤誉三郎君) お説のとおり各方面の意見を盛り上げてやらなければならぬと思うんです。しかし、何といっても青少年の大部分はこれは文部省ですから、文部省がこれはやっぱり一番の責任が私はあると思いますし、厚生省もあるし、総理府もあるし、関係各省でやり、そしてやる場合に、単なる懇談会ではだめで、おっしゃるように学識経験者を集めて、そして十分検討さしていただきたいと思うんです。研究所をつくったらいいかどうかというような問題は、その次の私は課題にさしていただきたいと思います。
#117
○馬場富君 研究所ということはすぐということは申しませんが、研究所をつくるのは後のことですけれども、その前にそういうような動き方というものが一つあると思うんです。そういう点についてひとつ大臣の方でも早急に考えていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
#118
○国務大臣(内藤誉三郎君) 御趣旨に沿うように努力いたします。
#119
○馬場富君 次に、じゃそういう青少年の問題について、具体的な問題としてひとつ質問していきたいと、こう思います。
 その一つには、警察関係等の意見を聞きましても、やはりいまの高校の学区制の問題にも一つ原因があるんじゃないか、こういう点についてどのようにお考えか、担当の方からひとつ説明していただきたいと思います。
#120
○政府委員(諸澤正道君) 高等学校の学区制につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律によって、都道府県の教育委員会は公立学校について、その教育の機会均等と、高等学校教育の普及を図るために、学区制を設けなければならないと、こういう定めがございまして、それによって、各都道府県で学区制をつくっておるわけですけれども、大ざっぱに申しますと、一学校一区、つまり小学区制というのが京都府でやっておりますが、それ以外は一学区に二校ないし六校ぐらいを中学区制と言い、それ以上を大学区制と言っているわけですけれども、大部分の県ではこの中学区制を中心にして実施をしておるという実情でございまして、文部省としましては、この学区の問題はやはりそれぞれの県において、当該県における実情、あるいは高等学校の歴史等ございますんで、県の判断によって適切な定めをしてもらいたいと、こういうことで指導してきておるわけでございます。
#121
○馬場富君 それは確かに学区制は設けられておりますけれども、いろんな状況等もございますが、非常に拡大された学区という考え方の見方ですね、だから、たとえば警察なんかの意見等を聞いてみましても、少年の犯罪の中でやはり通学という問題がかなり犯罪の動機となっておる点もずいぶんあるわけです。そういう点については、もっと小学区ということを対象にしたような考え方を持つべきではないかと、われわれも実態を見てみまして思うわけです。確かに学区制は考えられておりますけれども、やはりこう広い範囲の学区制というか、考え方ですね、ここらあたりはどうでしょうか。
#122
○政府委員(諸澤正道君) おっしゃるように、小学区制にすれば、中学校や小学校のように学区が決まってしまうわけですから、特定の高校へ入るということになるわけでございまして、いま御指摘のような通学上の便、不便、あるいは教育上の影響等を考えますと、それは一つの考え方ではございましまうけれども、やはり高等学校教育というものは、後期中等教育としてそれぞれ能力、資質がきわめて多様化した子供を、ある程度本人の志望も入れて、あるいは学業の進度も認めて、その上で選択の余地を認めるというのが、これはやはり一般的に見た場合、国民の私は要望だと思うわけでございます。したがいまして、おっしゃるような点の御懸念は、それはそれとして、十分今後改善していくとしましても、学区制自体をそのゆえにもって小学区制にみんなするようにというのは、やはりもう少し検討してみたいと、こういうふうに思うわけでございます。
#123
○馬場富君 次に、大学のやはり問題でございますが、大学の入試について、かなり今度改正はなされましたけれども、まだまだ入試についての問題が青少年の問題につながっておるという点で、この大学入試についてどのように考えてみえるか。
#124
○政府委員(佐野文一郎君) 先ほども大臣からお答え申し上げましたように、五十四年度から共通一次を導入した新しい入試のあり方を国・公立大学については実施をしたわけでございます。現在までのところでは、共通一次の内容につきましても、おおむね積極的な評価を各方面からいただいておりますし、また二次試験の内容についても、従前に比べまして学力検査の科目数がかなり減っている、あるいは推薦入学なり、面接、小論文の実施校がふえる。また選抜の方法についてもいろいろな工夫が出題その他に当たって加えられているというような点があるわけでございます。しかし、当初の予定よりはかなり減りましたけれども、二段階選抜、いわゆる足切りの問題がございますし、また大学によっては、科目数が依然として二次試験の場合に多い大学もございます。これらの問題点が残っているわけでございますが、こうした二次試験に関する問題については、今回の実施の経験を踏まえまして、各大学でこれから改善の検討が進められていくわけでございます。共通一次の内容についてももちろん大学入試センター、あるいは国立大学協会でさらに今回の実施の経験を踏まえて検討が進んでまいります。いずれにしましても新しい入試のあり方というものが、所期の方向に沿って育っていくように、私どももできるだけそうした各方面の努力を助けていきたいと考えております。
 なお、入試の改善を考える場合に、どうしても国、公、私を通じた、私立大学まで含めた全体の改善を考えなきゃなりませんけれども、実際問題として私立大学の共通入試への参加というのは、日程の関係なり、あるいは実施科目数の問題など困難な問題がございますので、なかなか進んでいないというのが実態でございます。しかし、積極的な意向を示している大学もございますので、いま申しましたような日程、あるいは実施科目というような問題について、どういった調整が可能かということを含めて、さらに国・公・私立を通じた入試の改善、そのあり方について、関係団体等と検討を進めていきたい、このように考えております。
#125
○馬場富君 特にいまの話の中に出ましたが、国・公立の大学のいわゆる二次試験と、これは私立大学の試験は私は問題点があると思うんです。特に私立大学の試験についてどのように考えてみえますか。
#126
○政府委員(佐野文一郎君) 私立大学はそれぞれその大学の建学の趣旨と申しますか、学風と申しますか、そういったものをお持ちでございますし、それに従って選抜をされているわけでございます。文部省としては国・公・私立を通じて、それぞれの年の入試の問題については検討をいたしまして、適切なもの、不適切なものについて、事例を挙げて改善のための資料をつくって関係者に配布するというような努力をいたしておりますけれども、まずそういった私立大学の独自の学風というものを前提とした上での、それぞれの私立大学での改善の御努力というものをいただかなければなりません。と同時に、やはり先ほども申しましたように、共通入試というものを、国…公立だけで終わらせていいということではないと思いますので、私立大学までを含めて、新しい入試のあり方というものを考えていくと、国・公立の入試の改善の輪をもっと広げるという努力をしてまいりたいと思っております。
#127
○馬場富君 特に試験や、これからの子供たちの勉強の中でかなり問題になっておるのは、子供の成績を判断する五段階評価による通知表制度が用いられておりますけれども、これ等についても、私はそういう点でやはりもっともっと改革をすべき問題があるんじゃないかと、このようなことが本当にその子自体の力をあらわしたものでもないだけに、それが一つの基準となって個々の能力が伸びないような、そういう弊害も起こっているんじゃないかと思いますが、この点どうでしょうか。
#128
○政府委員(諸澤正道君) 五段階評価というのは、現在小・中学校で使っておるわけでございますが、これは学校に備えつけなければならない帳簿として指導要録というのがあり、その指導要録の記載の仕方として、子供が一学級なり、学年において、全体の子供の中でどういうくらいの位置づけにあるか、成績の評価がどうあるかということを記録することによって、言ってみれば、ほかの一般先生方の指導の資料にしたり、あるいは卒業、入学の際の証明の材料にしたりと、こういう使い方をするわけでございますが、御指摘のように、通信簿というのはそうではなくて、教師が子供なり、子供の親に、この子の一学期、一年間の成績はどうであったかというものを通知するものでありますから、そこで仮に五段階評価で言えば、国語が一だという場合に、一というその評価自体は五段階評価として指導要録に残すにしても、子供個人に対する通知としては、その子供が国語が評価としては一であっても、しかし、前の学期から比べて話すこともずっと進んだ、あるいは字を書くことも一生懸命になったという、そこをとらえて、あなたのお子さんはこういうことはよくなりましたよと書くのがまさに通知簿でございますから、それはおっしゃるように、形式的な指導要録をまる写しするんでなくて、五段階評価をそのまままる写しするんじゃなくて、子供の一人一人のいわば努力の跡を丹念に追って、それが子供の次の努力への手がかり、足がかりになるような記載の仕方でなきゃいかぬ。私どももそういう意味で、この五段階評価と通知簿というのは性質が違うんですよ、だからそこを混同しないで、通知簿については十分工夫をしてやってくださいということを指導はしておるわけですけれども、なお十分でない点があろうかと思いますので、先生御指摘の点はまことにごもっともでございますが、今後もひとつそういう趣旨で通知簿がつくられますように努力をしたいと、かように思うわけでございます。
#129
○馬場富君 次に、特に日本においては、教育の中で価値に関する教育という点が重きを置かれててない、この点、価値に関する教育と、政治思想教育の分離がやはり不十分だという点があるわけです。それで、教育の政治的中立を確保する観点から、やはり学校教育で価値に関する教育が必要以上にこれはおろそかにされておるんではないかという点でございますが、これからの時代の中で、価値や心に関する教育をどう実現するかということは、大きな私は検討課題じゃないかと、こう思うんですね。そういう点ではどのような御意見かお伺いします。
#130
○国務大臣(内藤誉三郎君) 実は昭和三十三年に、私が文部省の初等中等教育局長のときに、実は教育課程の大改正を行った。それで道徳教育やって、日教組の諸君から大分たたかれたけれども、道徳教育を中心に、これは教科でないから、この道徳教育と各教科、教育活動を全部を通じて、道徳教育、価値観を確立しよう、これがねらいでございまして、今回もその方針には変わりはないわけでございます。
#131
○馬場富君 次にもう一つは、りっぱな子供をつくるためには、家庭教育の充実が一番大事だと思います。そういう点についての御見解をお願いいたします。
#132
○政府委員(望月哲太郎君) お答え申し上げます。
 家庭教育が子供たちの健全な育成のために大変大きな力を持つということは、改めて申し上げるまでもないわけでございます。ただ、家庭教育自体は、親が家庭において子供たちに施す私的な教育でございますので、文部省といたしましては、行政の立場では、親御さんたちが家庭で子供さんを教育される場合に知っておかれたらいい知識なり、情報なり、あるいは子供のしつけ方の方法なり、そういうふうなものにつきまして、いろいろと社会教育の場において、御両親の方を対象にいろいろな企画をいたしております。
 一つは「親の目・子の目」というテレビ番組を全国で必ず毎週三十分ずつ放映するようにいたしておりまして、家庭においてお母様方がそれを見ながら、子供の家庭の教育についていろいろと知識を持っていただくような、そしてまた、ごらんになった方々がときどき集まられていろいろお話し合いをしていただくようなことも、各県の教育委員会等で工夫をいたしております。それからいま一つは、最近核家族になりましたために、子供さんが生まれてもなかなかどうやって育てていいかわからないという親御さんが多いものでございますので、各県に補助金を出しまして、はがきでまず親御さんたちにいろいろ知っていただきたいことを御連絡申し上げる。また、はがきでもっていろんなことを御紹介をいただく。それをもとに巡回指導をやったり、あるいはテレビでいろいろとそういうものについても必要な放送をして御参考に供しておる。そのほかに、家庭教育学級というものを五千学級補助の対象にいたしまして、いろいろと地域の方々にお集まりいただきまして、家庭教育の問題についていろいろと知識を深めていただく。それからさらに、五十四年度から新しい事業といたしまして、先ほど大臣も申し上げましたけれども、家庭教育総合セミナーというものに対して補助金を考えております。これはやはり家庭教育が、地域に即した家庭教育というものがやはり必要だということで、それぞれの県に補助金を出しまして、それぞれの県で各分野の専門家にお集まりいただいて、問題点を整理し、かつそれをもとに、御両親の方、あるいは関係者の方に集まっていただいて、研究集会を開いていただいて、それを基礎にいたしまして、必要な資料をつくって、各方面にお配りをして、理解を深めていただく等の施策を講じておりますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、家庭におきますところの教育というものは、大変子供たちの健全な育成に必要なことでございますので、いま申し上げた角度から、文部省といたしましてもいろいろと努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
#133
○主査(嶋崎均君) もう時間になりました。
#134
○馬場富君 最後に、こういうやはり子供たちの教育のために、いまいろんな意見も出ましたけれども、やはり学校と家庭と地域社会が一本となった、そういうまず具体的な話としては、話し合いがうんとなされることから、一つは解決の糸口は生まれると、こう思うんです。そういう点について、そういう三者の定期的な協議をなされるような、一つは協議会等も文部省等は指導すべきではないかというような点がありますし、最後にもう一つは、大平総理が経済中心から文化時代の到来を総理も演説されましたが、まだ今年度の予算の中にはその中身はございませんけれども、そういう点について、やはりその中では一つは人間文化という中心は何かと言えば私は教育だと思うんですね。そういう点についてこの政治の中心の中に、もっともっと教育を優先さした、そういう考え方をぐんとここに打ち出さなければならぬ、こう思うんですが、この二点について御答弁願いたいと思います。
#135
○国務大臣(内藤誉三郎君) お説のとおり、教育が私は一番根本だと思うので、やっぱり皆さんだって、何と言ったって、やっぱり自分の子供と孫ですよ、かわいいのは、最後は。これがりっぱにならなかったら日本の将来はないわけですから、私も教育一筋に四十年来たわけですから、私も文部大臣になった以上は、この教育の重責を全うしたいと思って、私も一生懸命やって御期待にこたえたいと思います。
#136
○馬場富君 それにもう一つ、いまの三者協議会というのをひとつ文部省としても指導すべきだ。
#137
○国務大臣(内藤誉三郎君) いまPTAというのがありまして、PTAが大体お母さんたちがなっていますから、学校の先生とお母さん、そして子供、どうするかというようなことでPTAがその役割りを果たしているんじゃないかと私は思うんですがね。
#138
○馬場富君 その点が現在のPTAでは不十分である。やはり先生、地域社会、親と、ここらあたりがやはりもっともっと話し合える場というのを、もちろんPTAもそうですけれども、文部省が提起すべきじゃないか、こういう点です。
#139
○国務大臣(内藤誉三郎君) いまお話しのように、もっと広地域の、PTAよりもっと広い範囲で教育問題を懇談協議するような機関があった方が望ましいと私も考えておりますが、実施上はなかなかむずかしい問題だと私も考えております。
#140
○小笠原貞子君 ごらんいただいたと思います。きっといい風物だなと思っていただけると思うんです。私も小樽近うございますから、もう小樽に行くたんびにこの運河に行きまして、そしてこの石造群をながめますと、本当に殺伐としたいまの中で、心が休まる思いがいたします。この小樽というのは、いまは経済的に非常にさびれてきた町でございますけれども、北海道開拓に占める小樽の存在という立場から見まして、私はこの運河と石造群を何としても守っていきたいという立場から、これからお伺いするわけでございますが、これは私が申し上げるだけではなくて、村松貞次郎東大教授、この方は神戸の異人館ですね、それから長崎のグラバー邸のある南山手地区と、それと小樽のこの運河の石造群、これは日本の近代史を象徴する三大景観だと、こう言われているわけです。そしてこれは、小樽だけの方たちが何とかしようというふうに考えているのではなくて、非常に皆さん御努力くださいまして、小樽には守る会というのがあり、札幌には考える会、また東京には愛する会という会がつくられました。また日本建築学会や、それから日本ナショナルトラスト観光資源保護財団ですか、こういうところもこれは価値があると、こういうふうに言われております。そこに入ってらっしゃるメンバーというのは、たくさんのメンバーがございますけれども、ちょっと抜き書きいたしますと、作家の瀬戸内晴美さんなんかも、私先ほど言いましたように、小樽に行けばこの運河を見て、日本の近代史の文化に心が温まるというふうに、随筆、日記にお書きになっていらっしゃいますし、北大の犬飼哲夫さん、それから作家の夏堀正元さん、野田宇太郎さん。それから鳥類の中西悟堂さん。また漫画家のおおば比呂司さん。それから作家の鶴田知也さん。吉田精一さん、国語学者ですけれども。それから評論家の瀬沼茂樹さん。それから作家の八木義徳、三浦綾子さんだとか、それから小樽の出身の画家の国松登さん、伊藤仁さん。名前を挙げていけば、時間がございません、あと省略いたしますけれども、こういうたくさんの専門家の方や、それから文化人の方々、そして市民などが、そういう方たちが何としても守っていきたいと、こういうふうに言ってらっしゃるわけです。これはまさに日本の文化保護行政から言っても大事な問題じゃないかと、そう思うわけです。そして、これも日本の近代史的な立場からの文化保護という立場に立ちますと、これは一地方自治体の問題ということではございませんで、もっと大局的な立場からの処理を必要とする段階にいまきたと思うんです。いろいろお伺いいたしましたけれども、まあ本格的な学術調査というようなことはまだしていただいていないわけなんでございます。そこで、まずこの文化的遺産であるという、重要だということを、文化庁としても当然もういままでもおっしゃっていました。その点ははっきりさせていただくことと、それから市も調査いたしましたけれども、市の段階の調査でございます。学術的な立場での調査というところまではいっておりませんので、学術的な調査をきちっとしていただきたい。これは市の当局としても望んでいることだと思います。そういう意味から小樽市の教育委員会にもぜひ文化庁としても働きかけるというようなことをお願いしたいというのが第一の質問でございます。
#141
○政府委員(吉久勝美君) 先生ただいま御指摘の、小樽運河、倉庫群の文化財的価値につきましては、私どもといたしましても、先生と全く同様に考えているわけでございます。文化庁といたしましては昭和四十八年度、九年度にまず全国調査をいたしたわけでございますが、この小樽運河、倉庫群につきましては、初年度にこれを文化庁自身が取り上げて調査をいたしたわけでございます。四十八、四十九を終わりまして、昭和五十年に非常に価値のあるものであるというような判断のもとに、小樽市に調査をするように指導いたしまして、調査につきましては、実は二分の一の国庫補助金を用意いたしておるわけでございます。その補助金を差し上げるから学術調査をするようにということで、小樽市に対しまして指導したわけでございますが、小樽市当局におきましては、そのときすでにいろいろな御意見、反対運動等もございまして、若干後回しに、もう少し時間をかしてもらいたいというようなことでございまして、昨年さらに建造物課長自身が市当局に参りまして、市長にもお会いいたしまして、積極的な保存の方向で、まず学術調査を実施すべきだというようなことで指導いたしてまいっておるわけでございますが、市当局はまた別途調査をすでに御実施のような状況でございます。私どもといたしましては、そこら辺の状況を見ながら、前向きで指導してまいるという態度は今後とも持ち続けてまいりたいというふうに考えます。
#142
○小笠原貞子君 おっしゃったように、文化庁としても、これは非常に価値があるということで、いろいろ御努力いただいていることはありがたいと思います。それだけの価値を認めて御努力いただいているのに、小樽の方の市当局がなかなか腰を上げないというようなところはまた後で問題になりますけれども、その辺のところはわれわれとしてまたやっていかなきゃならないと思いますが、端的にお答えいただきたいんですけれども、たとえば、市の方で住民なんかともコンセンサスができて、保存地区としての指定の申請がされるというような場合は、当然重要伝統的建造物群保存地区という立場で指定するというふうにお考えになっていただいているかどうか。時間がございませんので、あるかないか、一言でどうぞ。
#143
○政府委員(吉久勝美君) その点につきましては大いにあるわけでございます。
#144
○小笠原貞子君 ありがとうございました。これまで全国的に十四地区、全国で指定されたという状況から見ますと、自治体が率先して一生懸命やって、そうして文化庁はそうだといって、お力をかしていただいているんですけれども、小樽の場合はちょっとこれまたなかなか逆でございまして、小樽市自身が本当にがんばって申請するようにというようなことをしなければならないわけなんでございます。そうするためにも、やっぱり文化庁としても、私も考えたんだけれども、課長も行っていただいたり、いろいろ御指導いただいていると思いますけれども、トップクラスの方たちでの視察するとか、それから文化庁主催で各いろんな専門家とか、住民とかの事情聴取するとか、公聴会で聞くとか、専門家による調査団というような問題、派遣なども具体的に考えていただきたいと思うわけなんです。双方賛成、反対というのがございます、地元では。そこで、文化庁も苦労していらっしゃるわけなんですけれども、やはりそれを同じテーブルに着かして、そうして小樽市としてのコンセンサスを得るというのにも、小樽市だけに任せておくのではなくて、やっぱりそこのところをイニシアとって、文化庁に何らかのお力をかりたいというふうに考えているものでございます。今後ともそういう御努力、いま言いましたような点についてやっていただけると思いますが、いかがでございますか。
#145
○政府委員(吉久勝美君) ただいまの件についてでございますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、前向きでこの問題に対処したいという気持ちは大いに持っているわけでございます。ただし、先生御承知のように、いわゆる通常の文化財と違いまして、ここでは多くの方々が生活しておる。また産業も営まれている、かなり広いところでございます。したがって、こういうような広い地域にわたって、これを伝統的建造物群保存地区として文化財保護行政の見地から保存してまいるというためには、どうしても地元住民の合意ということが必要なわけであります。そのためには、市みずからが率先して、そういう合意を形成するような話し合いということを、市自身がしなくちゃならぬことでございます。そういう点につきまして、市もかなり自覚をいたしておるわけです。その点については十分指導しておるわけでございまして、そこを、文化庁自身が学術調査団を編成して乗り込んでいくとか、あるいは文化庁自身が公聴会をそこで開催するのではなくて、市自身が調査団を構成して調査をなさる、あるいは市自身が公聴会をなさるということは大いに結構で、私どもも指導いたしております。したがって、市が公聴会を実施する場合に、ここのいわゆる倉庫群の文化財的価値がどうかということを十分市民にわかるように説明してほしいということで職員の派遣を求めるならば、私どもは喜んで派遣をする用意がございます。また調査団にひとつ来てもらいたいということならば、必要な調査団の陣容等についていろいろ指導するという用意もございます。要はしかし、市自身が市民の合意を形成するような気持ちになってやっていただくならば、私どもは必要な援助、指導等は惜しまない、積極的にいたしたいと思っております。
#146
○小笠原貞子君 大変力強いお言葉で、ありがたいと思います。いろいろ、その立場で私たちも、皆さんもやっていらっしゃるのだけれども、なかなかそこまでいかない。そうしますと、大きな立場から言いますと、その地元で申請が上がってこなければ、どんな大事な文化財でもそのまま消えちゃうというようなことになってしまっては、これまた大変な損失になると思うわけなんです。だから、いまおっしゃったような立場での努力は当然いたしますけれども、どうか、文化財としていろいろな方たちが評価されているものが、地元のあれがないからというので消えちゃってしまえばもう終わりでございますので、何とかお力をおかりしたいと。まあ文化庁としてのお立場もございます。そこはわきまえてお願いをしているわけでございますので、今後ともよろしく御援助のほどお願いしたいと思います。
 それから、今度は運河と、それから石造倉庫群、周辺の景観、これは一体のものとしてやっぱり重要なものだというふうに考えておりますけれども、どういうふうにお考えになりますか。
#147
○政府委員(吉久勝美君) 先ほどの写真にもありましたように、確かに石造倉庫群とその周辺を取り巻く運河、これはいわゆる一体のものとして歴史的風致を形成しているというふうに考えるわけで、これらは一体として伝統的建造物群保存地区として保護するのが望ましいというふうに考えております。
#148
○小笠原貞子君 実は小樽にも、いま残っておりますここだけではなくて、有幌地区の、御承知だと思いますが、石造群というのもございましたのですけれども、これが、道路をつくるというようなことで、ひっかからないのに全部取り壊しになってしまったというようなことがございますし、それから、小樽新聞社の社屋だとか、旧手宮駅長官舎というような、非常にいま考えれば惜しい建物がたくさんあったのですけれども、これみんな解体されてしまったわけなので、またこの二の舞を踏まれては困ると。本当に大事な文化財としての保存を私は何とかやっていただきたい、そう思うわけなんです。
 運河の部分保存、それから記録保存というようなものについてどう考えていらっしゃるか。臨港道路が通った場合には、二、三の石造倉庫がつぶされるだけだと市の方では言っております。残る三分の一の運河は公園として保存できるというふうに市は言っている。しかし三分の二の運河がなくなるということになりますと、これはいまのお考えとしてはちょっと残念だなと私は思うのですけれども、文化庁でも一体として残したいというふうにお望みになっていらっしゃるのじゃないかと思います。その辺また一言で。
#149
○政府委員(吉久勝美君) 私どもといたしましては、先ほどの倉庫群及びこれをめぐるところの運河全体として保存されるというのが最も望ましいという考え方で指導してまいっておるわけで、部分保存の考えは持っていないわけでございます。
#150
○小笠原貞子君 それでは、建設省にお伺いしたいと思います。
 市の方の計画でいきますと、一部を運河公園にするというふうな構想もございます。しかし、その運河公園にするという場合にも、都市計画の変更が必要になるのではないかと思うのですけれども、いかがでございますか。
#151
○説明員(高橋進君) そういう計画があるように聞いております。そういう計画を実現するためには都市計画の変更が必要かと思います。
#152
○小笠原貞子君 臨港線の代替の案なんでございますけれども、いろいろ検討いたしまして、一番いいのはアンダーパス方式というので、下を通していただければ一番いいということも検討されてもよいのではないか。技術的だとか、いろいろ経済的な問題もあって、むずかしいという問題があるかもしれませんけれども、アンダーパスを含めたあらゆる可能性を追求していただけないのだろうかと。そもそも市の当初案では、ここを六車線ぐらいに広げたいとこう言っているわけです。臨港線に過度の交通量を集中させているというところが問題だと思うのですね。道路というのは全部が六車線でつながりますとすうっと行きますけれども、ここだけ六車線にしても、今度つながる道路が四車線だということになったら、ここだけふくれ上がっても何にもならないということになりますと、通過交通の回避策として、アンダーパスもいいし、また全体の道路として、いま小樽−仁木線の工事を促進してほしいというのもございますし、ちょっとこれは遠回りだから、郊外のバイパスの新設というようなことも考えなければならないのではないかと。非常に大きな問題でございます。しかし、やっぱり一度やっちゃいますと大変なことになりますので、慎重にこういうあらゆる可能性を求めて御検討いただきたいと思いますが、いかがでございますか。
#153
○説明員(高橋進君) 地方公共団体におきます街路をどうするか、ネットワークをどうするかということにつきましても、基本的には当該地方公共団体が案をつくりまして、それで、この場合は道路でございますので知事決定でございますが、知事さんが決定する際に建設省の方の認可を受ける、こういうことになっております。基本的には、いま申し上げましたように、地方公共団体がどういう道路のネットワークをつくるのがいいのか、それにはもちろんその文化財の保護、保全ということも十分考慮しながら、またいろいろなほかの要素、たとえばこの場合ですと港の機能とどうリンクするのかとか、あるいは財政的な問題とか、いろいろな総合的な案をもとにして考えるものでございます。現に小樽市におきましても、先生いまおっしゃいましたように、いろいろな案を比較検討いたしまして、案を考えておるようでございますが、建設省といたしましては、当該地方公共団体がいろいろな総合的な町づくりの観点から、これがいいというものにつきまして考えてまいりたいという態度でございます。
#154
○小笠原貞子君 それも先ほど文化庁にもお願いしましたように、市としては何せ道路だけしか目がないのですよ、はっきり言うと。文化なんというような頭ないんですね、悪い言葉で言えば。といたしますと、やっぱり道路そのものというものだけではなくて、都市全体の計画という立場で考えるためにも、建設省としても、いろいろな、こういう場合にはこうなるというようなところで、ぜひお力をかしていただきたいということなので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、都市計画として決定されたというふうに市側は言うわけなんです。しかし、調べてみますと、この都市計画というのができたのは昭和四十一年なんです。四十一年といいますと、大臣、あの高度成長の中でもう道路道路というようなそういう時代でございました。市民生活全体への社会的な影響とか、歴史的環境への配慮というようなものが、はっきり言ったら軽視されていた時代だと思います。だからこそ、文化財保護法の五十年の改正で、都市計画法の中に伝統的建造物群保存地区というものが取り入れられたという経緯がございますし、さきの三全総でも歴史的文化的環境への配慮というものがうたわれてきたと思うのです。これらを考えますと、それぞれの個性ある町づくり、そして都市づくりに対しての新しい価値観がここから生まれて、そしてそれが反映されたと、重要な文化的、歴史的条件についての国民の再認識がここまで来たと、これを尊重しなければならないと私は思うわけなんです。
 昨年の十二月一日に筑波会議というものがございました。これは筑波大学と余暇開発センター、後援は通産省、文部省にやっていただきました。ここのシンポジウムの報告を見ますと、コミュニティーと文化という中で、小樽運河の問題が取り上げられているんです。歴史的環境への認識に基づく都市づくりに、小樽は全国的なモデル都市に再生するという課題をこの筑波会議でも投げかけられているわけです。こうした立場から考えますと、小樽市は文化的、歴史的環境との調和、先ほども問題出ました新しい価値観に基づく都市づくりとして、やっぱり注目できるところではないかと。この点について十分これがいかに大事かと、こうやればできるということのコンセンサスは私はできると思うんですね。そういう意味で、道と市とも、また建設省としても、文化庁としても、また一段と御努力をお願いしたいと思いますが、これはいいということでしょうね、簡単に。
#155
○説明員(高橋進君) いま先生がおっしゃいましたように、一般的に町づくりに当たって、そういう歴史的な文化資産といいますか、そういうものの保存をも十分考慮に入れるべきだということは、まさにこれからの都市計画行政にとっても必要なことだと思います。ただ、当該小樽の場合、文化財保護行政の立場からは別途ありましょうが、町づくりの観点からそれをどう組み入れていくかということにつきましては、これはまさにそれぞれ市民の皆さん、あるいは地方公共団体それぞれがどうそれを考えていくかというところに尽きるわけだと思います。そういう意味で、建設省といたしまして、ここの小樽市の当該石造群なり、運河なりが、文化的の保存に非常に価値があるかどうかということを、一方的に、建設省の立場としては言うのは適当ではないんではなかろうかというふうに考えております。
#156
○小笠原貞子君 それは専門外ですからね。だけれども、文化庁の方でそれは大事だと言われれば、それを無視して建設省は道路をつくればいいというものじゃないと。だからやっぱりそれを含めて、道路という、町づくりというものを考えていただきたいと言うんだから無理なことを言ってないわけで、それは御理解――首振っていらっしゃるからいただけると思います。そういう意味で一致するというふうなことになってほしいと思うわけなんですね。その一致させるための一つの問題なんですけれども、都市計画法はほぼ五年ごとに見直しということが行われて、基礎調査が実施されております。昭和四十七年の調査では、小樽市の基礎調査というものが出されているわけなんで、これはたくさん、十三項目からの内容で調査されております。それをずっと見ました。その十三項目の中の第五項目の建築物の用途ですね。それから構造、面積、延べ面積ということで、この石造倉庫群の図解を絵をかいて示しているだけなんですよ。それで最後の十三項目目に相当する、つまり地域の特性に応じて、都市計画策定上必要と見られる事項というところでは、何らこの石造群、運河というものに対して歴史的、文化的遺跡についてのそういう価値観を持った調査というものになっていないわけなんです。そこにやっぱりコンセンサスを得るのに大変不十分な点が私はあったのではないかと、こういうふうに考えるわけでございます。そういうわけで、新たな要素として、文化庁のさきの見解であれば、歴史的、文化的環境の保存ということは正当な評価として考えていただけたわけでございますから、今度はたしか五十五年ですね、都市計画。五十五年に行われる基礎調査の項目の中に、やっぱりもう昔と違うんだと、価値観というものは。そして、まさにいま本当に、さっき大臣も言われましたけれども、高度成長で物は与えられたけれども本当に私は心は取られちゃったと思います、日本の現状を見ますと。そういう意味から、都市づくり、道路計画一つにしても、そういう価値観が、いま新しい、そして本当の人間としての価値観というものの立場に立って、そういう都市計画の基礎調査というものを私はやってもらいたいと、これが非常に大事だと思いますので、そういう点についても、道や市なんかにも建設省としても、そういう立場で御理解をいただいて、いろいろと御援助や御指導もいただきたいと、そう思うわけでございます。いかがでございましょうか。
#157
○説明員(高橋進君) 先生おっしゃいましたように、五年ごとに都市計画の基礎調査を行うことになっております。これには当然そういった文化的な面も、歴史的な伝統の保存、こういったような面につきましても、当然調査の対象にしてしかるべきと思います。昭和五十五年度に小樽市においては行われる予定でございますが、そういった要素につきましても、その調査の対象にするのが適当であろうというふうに考えております。
#158
○小笠原貞子君 ありがとうございました。私ね、本当にいまもう一たん失われた文化というものはつくり変えられませんよね。だから本当に経済成長だけじゃなくて、人間の心を豊かに、日本の文化というものを大事にするということを本当にいま必死の思いでお願いもしているわけなんです。
 日光の太郎杉の問題でも私もずいぶん心を痛めました。四十八年東京高裁の判決の中に、こうした行政の単純な開発至上に警鐘を鳴らした背景がいまと同じ問題だと思うわけです。一度失ったら二度と取り返しがつかないものだと。また、経済の振興、市民生活の保全、環境保護には必ず一致するというところがあるはずなんだと、そのためには時間も要るでしょう、費用も要るでしょう、仮に十年かかったとしても、それを探求していくということが、本当にいま私たちに与えられた課題だと思うわけです。そういう意味でも、建設省としても、基本的に地元のコンセンサスを、私たち粘り強く求めていきたいと思います。もう重ねる質問になりますが、そういう本当に道路だけというのじゃなくて、もう豊かな文化というものを頭に入れていただいて、御援助、御指導いただきたいということを重ねてお願いしたいと思います。
#159
○説明員(高橋進君) そういった観点も含めまして、総合的な観点から町づくりを進めるように指導してまいりたいと思います。
#160
○小笠原貞子君 時間も迫りましたので、大臣にお伺いしたいと思うわけです。本当に大臣も死ぬにも死ねないなんておっしゃったけれども、死なないで元気でがんばっていただきたいと思うわけですけれども、やっぱりいまお聞きになったように、これは重要な文化財としての価値のあるものだ、それをみんなで守っていこうじゃないかと、そして小樽だけの問題じゃなくて、日本のこういう三大景観の一つをりっぱに守り通してきたという事業をここで挫折させるのか、それとももうこれを成し遂げるのかというのは、まさに大臣の決意というものが大きな役割りがあると、そう思うわけなんです。一番問題にしております地元とのコンセンサスなんですけれども、もう小樽市はこういうのを出しましてね、そして臨時公報を出して、三百万の予算を使って、道路をつくることばっかりやっているわけなんですよ。これに対して具体的にいろんな学者の方たちやなんかの反論も踏まえ、そしてまた、これ具体的にこういうものも出しているというわけなんです。だから私は、これを突き合わせて話し合って、そして文化庁の方からも専門家の方に来ていただくと、そうしてみんなもう町をよくしようという立場での、そういう話し合いというものを私は必ずしなければならないし、できると、そう思うわけなんです。そうして大臣に私はもう本当にその立場上聞いていただきたいのだけれども、コンセンサスが必要だということで、地元で小樽商大の井上、長谷川ゼミ合同研究班というのが運河の意識調査をいたしました。これ各地区別に軒並みに意識調査をやったわけですが、全体として八百軒回りました。そして運河はぜひ保存すべきだ、保存するというのが四六%、まあ道路でつぶしてもいいやというのが二七%、わからないというのが二七%、これでいきますと守りたいというのが非常に多いわけですわね、半分近くございます。
 それからまた強調したいんですけれども、先ほどからの議員の質問がありますけれども、いま大事なことは、文化を守るということは、年寄りの懐古趣味でもない。私は、やっぱり文化を守ることが、いまの育っていく青少年にどういう力を与えて、どういう生きがいを与えるかという問題ですね。この間も私また行きまして、そしてお年を召した方や、いままでやっていた方はもういいですと、非常に新しい力で、しかも若い方たちでこの運河を守ろうというのが非常にいま盛り上がっているわけなんです。去年の夏にはポートフェスティバルというのをやりまして、この運河のあそこのところで、そして数万人の人が来ているわけです。だれも援助してくれません。そういう若い人たちが実行委員会つくりまして、みんなで百八十万円集めたと言っていました。そして来てくれたのが、職場から来た若い働く人たち、それから婦人ですね、それから学生さんという若い人たちで、私も初めて会ったような人たちなんです。そこで学校としても、先生方でもこれ大事だと考えていらっしゃる先生が、高校生の意識調査をこれまたアンケートで調査なすったわけなんです、高校生の三千九百四十二人を対象に。その中で運河をつぶしていいというもののパーセンテージは二四・五%、それから運河を守らなきゃいけない、反対しなきゃいけないというのは実に七一・二%なんです。それで、その人たちと話し合って、私は本当に涙が出るほどうれしかったことは、そういう若い人たちが、高校生たちが、自分の町、郷土を本当に愛しているんですね、そしてこの郷土、経済的には疲弊してきたけれども、だけど小樽にはこんなすばらしい財産があるんだと、これを守るのはわれわれが守るんだという姿勢なんですね。私は、いろいろな手だてを加えられても、説教じゃ子供たちに生きがいを与えられません、非行をなくせません。こういう具体的な問題で、もう行政も、政府も、住民も、親も、青年たちも一緒になって、これをしっかり守ろうというその運動の中で、本当の価値観というものが身についてくる、私はこれは非常に大事なことではないかと思いますので、そういう立場で私はきょう伺いました。大臣としての御決意を最後に伺って終わりたいと思います。
#161
○国務大臣(内藤誉三郎君) 私は、小笠原さんからこんなすばらしいお話聞いて、本当に心が温まるような感じがするので、こういうすばらしい文化は、一遍つぶしたらもう二度と出ないんです、日本文化の伝統ですからね。私は倉敷へも行ったことあるんですよ。倉敷が、あれが指定されてほっとしたの。私も北海道へ何遍か行って、小樽のあそこ見ましたよ。小樽高商へも行ったし、あの場所を見たけどね、あの運河と倉庫一体ですから、この文化財を失うことは、これは日本の偉大な損失だと思う。大平内閣は文化中心の内閣ですから、私も建設大臣に話して、やっぱりこれだけは何とかしてほしいんですけれども、問題は地元ですよね。地元の人の理解と協力を得なければいけないから、私も必要があれば地元へ行って、皆さんにお話ししてお願いもしてみたいと思います。文化庁と一緒になって、建設省に協力をお願いしたいと思っています。これだけは残しておきたい、後世に残す誇りがなくなってしまうから。そういう気持ちで私も一生懸命努力さしていただきたい。
#162
○小笠原貞子君 ぜひいらしてください。歓迎いたします。どうもありがとうございました。
#163
○柳澤錬造君 最初にお聞きしてまいりたいことは、これきのうの読売新聞にも出ていることなんですが、文部省が中学生の全国スポーツ大会を公認をしたことなんです。読売新聞でも「いささか遅きに失した感じもするが、反面、中学生スポーツの過熱を心配する声も上がっている。」ということが書かれているわけです。ですから、その辺がどういうふうにかじ取りが行われるかということになっちゃうんです。余りやり過ぎて、勝負事や賞品目当てだとか、興行化目当てを助長するようなことになったら、これ何にもならないから、ですからそういう点で、全国スポーツ大会の公認が、心身ともに健全な児童の育成に役立つのだという、その辺の保証がどうなっているかということなんです。
#164
○政府委員(柳川覺治君) 御指摘のとおり、保健体育審議会で御答申をいただきまして、中学校の全国大会を学校教育活動として位置づける、その上で年一回生徒の参加を認めるという内容の御答申をいただきました。しかも答申の中では、その実施に当たりましては、地方ブロック大会での選抜された者をもって構成する全国大会を実施していくという形をとりまして、全国大会が、規模あるいは経費、あるいは生徒の学業負担等の点などで、無理のない、適正に実施されるということに十分配慮された御答申をいただいたわけでございます。
 中学校の全国大会につきましては、現在各種の競技大会が数多く開催されております。これは学校教育活動の外での実施という形をとってまいりましたために、経費負担の問題、あるいは事故が起こった場合の補償の問題、その他運営上種々の問題がございましたので、このたびの答申によりまして、その改善を図りまして、生徒の参加する運動競技が、適正に行われることを期した答申でございます。文部省といたしましても、この答申の趣旨を踏まえまして、いま先生御指摘のとおり、中学生のスポーツの過熱ということを一方的に来たさないような十分な配慮をした指導をしてまいりたいと思っております。
#165
○柳澤錬造君 予算を見ましても一千万ですね。だから一千万ぐらいのお金出して補助してやっても、それほど大したこともできないということにもなるんだけれども、しかし、もういままでやってきておって、それでもうこの読売新聞でないけれども、文部省も「知らぬ顔の半兵衛」ができなくなったから、ここで公認するようになったんだと書かれている、そういう経過もあったと思うんですよ。だからそれだけに、予算上からいけば、一千万の補助で大したことないけれども、これからの先行きに、いま申し上げているように、過熱のしないように、やっぱりそういうことをやってよかったんだということになるような、その辺の御指導をしていただきたいということを申し上げて、二番目の問題に入るんですが、これは大臣聞いていただきたいんです。
 学校の教員の採用試験の問題。各都道府県の教育委員会が教員の採用試験を行って、それで合格すると教員名簿に登録するわけなんです。ところが実際に、何というのですか、登録されたのと採用されたのと違うんですね。昨年のを見ましても、東京都の場合は――昨年といって、この五十四年ですが、教員採用試験に二千五百三十五名が合格していながら、実際に採用されているのはその半分の千三百名、神奈川県の場合もそうなんです。千五百五十四名の合格者に対して、実際に採用されるのは七百名にしか過ぎない。しかも採用試験というのは、九月に一次試験、それから十一月に二次試験が行われて、合格か否かというのが決まっちゃう。実際に採用するか否かというのは、その翌年の三月なんです。そこで、いま言ったように、採用試験に合格して登録されておって、三月が来たら、いえあなたは結構ですということになって、じゃあといって、よそへ行かれなくなっちゃうんですね。民間の企業はもうみんな決まっちゃっているんです。ですからその辺のところが、いつごろからこういうやり方しているのか私も知らないんですけれども、その辺についての改革をなされるお気持ちがあるのかどうかということをお聞きしてまいります。
#166
○政府委員(諸澤正道君) 教員の採用の手続につきましては、ただいま先生が御指摘になったようなやり方をやるわけですけれども、これは昭和二十四年ですか、教育公務員特例法が制定されまして、教員の採用は選考によるんだというたてまえでそういうことになったわけです。そこで一次、二次の試験をやりまして合格者を決めるわけですが、その合格者の意味合いが、県によって多少違うんですけれども、東京なんかは、要するに、一定の資質以上と判定されれば、これをいわば採用候補者の名簿に載せてあげますよということで、したがって、東京のその採用試験の案内を読みますと、たしか書いてあると思うんですけれども、試験に合格しても必ず採用されるとは限りませんよと、こう書いてあるんですね。これはそれだからいいというものじゃないんですけれども、そういう試験の趣旨がいま申しました一定の水準以上だと判定されると、その名簿に載せて、そのうちから逐次どこに何々教科の先生が必要だという場合に拾っていくと、こういうやり方をすると、その合格者と実際の採用者の開きというのが県によってまた違うことは事実なんです。たとえば、愛知県なんかは、私の記憶では、試験の合格者と採用者がかなり接近しているはずなんですね。それで、それはそういうふうにその試験の案内に書いてあるんです。そこはやはり東京あたりになりますと、その次の年にどこにどれだけの欠員ができるかというのが、実は秋の段階でははなはだ不確定なものですから、そういうこともあって、ある程度そこに幅を持たせるということがあるようでございまして、全般的にはなるべくそういう幅をなくして、せっかくの期待感を裏切るようなことのないように、ひとつ指導してもらいたいということはやっておるわけですけれども、現状はどこの県でも大体五十四年度の新規採用を最終的に決定して、人事異動を全県的にセットするのが恐らくここ一週間ぐらいのうちの県の教育委員会でやっているわけですね、ですからそこまでに至らないと最終的にはセットできないという事情もありますんで、そこのところはどうも完全に合格者は全部というのは実態としてかなりむずかしい面があると思います。
#167
○柳澤錬造君 大臣ね、聞いていただきたいのは、いまの局長の答弁なんというのは、昭和二十年代ならば、さっき昭和二十四年から始めたと言うんですから、始めてみて、こうこうしかじかのことになっているのだでこれは済むんです。もう三十年もたっているわけなんです。それで、この前もいっか数年前、不況なときに民間企業で採用を内定をしておったのが、いよいよ春になったら不況でだめになったといって、その採用取り消しをして、世論の袋だたきに遭ったんですね。民間の企業ならそうだと思うんです。それがこういう教員とか、官庁ならばそういうことが許される、そういうことは必ずしも採用するとは言ってないんですよという、それじゃ私は済まないと思うんです。
 それでこういうことがどうして起きるかという一番私は大きな理由というのは、教員に定年制がないでしょう。いろいろ肩たたきをやったり、何なり、もう退職勧奨したりやってて、大体来年はこのぐらいやめるんじゃないかということで数を用意をしまして、それで登録しておくんだと、ところが、やめるだろうと思ったのがやめないから結局採用できなくなってしまう。だから、これ定年制がしかれれば、当然もう来年定年が来るのが何人だということがはっきりするんだから、じゃその穴埋めに八百人なら八百人の定年の穴埋めなのは採用をしておかなければいけないというので、そんなに狂いはしないですよね、これは。ですから、そういう点で前段の問題について私は大臣の御見解が聞きたいのと、それから、教職員の定年制採用に、この際それがきちんとすればそういう問題も解決するんだから、その辺どうお考えになるか。
#168
○国務大臣(内藤誉三郎君) 御指摘のとおり、いま局長が申しましたように、採用するときは早くするんだけれども、最終段階で何人やめるかわからないんですよ、やめたあとだけが入るというわけで、これは長年の慣行なんですよ。そういう点で、大変に御迷惑かけていることは私もよく存じあげているんですけれども、いまお話の定年制の問題、これは文部省だけの問題じゃないから、よくひとつ人事院とも協議して、これも一つの解決の方法だと私も思います。しかし、定年制は教員だけというわけにいきませんから、人事院とも協議して、関係各省と協力しながら、一つの解決策だと私も思いますので、今後検討さしていただきたいと思います。
#169
○柳澤錬造君 定年制の方は確かにそういう関係がありますから、そういう点で前向きに検討をしていただくというお答えで。
 それからもう一つ、余りにも合格通知をした人と、採用の乖離があり過ぎる、そういう点についても、定年制ができないからほうっておくのではなくて、もう少し改革をするというお考えをお持ちになっているかどうか、お聞きしたい。
#170
○国務大臣(内藤誉三郎君) 当然それはそうです。何か資格さえあれば取っておくなんて非常に私は不親切だと思うんです。何人ぐらいやめるかということは、もう一遍よく都道府県教育委員会で大体めどをつけて、そうしてこの人数なら大丈夫だという、それをめどを立てて、採用決定すべきであって、それは資格があったから入れるなんという無責任な態度はやめていただきたいと私は思います。
#171
○柳澤錬造君 わかりました。じゃそういうことで大臣進めていただいて、次に、体験学習の導入の問題なんです。小・中学校の学習指導要領が改定されまして、小学校については五十五年度から、中学校については五十六年度から新学習指導要領が実施されることになりました。現在そのために移行措置がとられているのですが、この改定の大きな特色の一つというのは、学校行事の一つの行事として、勤労、生産的行事、いわゆる、体験学習を初めて設けたわけなんですが、この勤労だとか、生産という行事の移行措置というものの過程で、各学校がどういうようなことを実施をしているかということが一つです。
 それからもう一つは、私が言いたいことは、体験学習というか、そういうものを学校の行事の一つにしておかないで、教育課程の中にもう取り入れて、先ほど大臣も、何というのですか、人間性豊かな、お勉強、お勉強だけじゃなくて、本当に人間完成をさせていくために、そういうものが必要だと思うんです。ですから、そういうような本当の真の教育といいますか、そういうものはみずから苦しんで、みずからつくって体験をして、自分で考えてものをやっていくという、そういう体験学習を教育課程に入れるというお考えはないかどうか。
#172
○政府委員(諸澤正道君) いま先生のおっしゃった教育課程という意味は、国語、数学という教科と並んでという意味だろうと思うんですけれども、いまの学習指導要領の立て方は、そういった各教科と、それからクラブ活動のような特別活動ですね、それと学校行事、これを全部合わせて教育課程の内容と言っているわけで、ただ、したがいまして、いまの勤労体験学習の具体的中身として、たとえば、植物を採集、育成するとか、あるいは動物を飼うとか、あるいはいろいろ木工工作をやるとかというようなものを、教科の時間のような中でやるか、あるいはいま言ったような学校行事、あるいはクラブ活動でやるかという違いはございますけれども、いずれも学習指導要領に言うところの教育課程の中へ組み込んでやりなさいという意味で、それは学習指導要領をつくったわけでございます。
#173
○柳澤錬造君 そうすると、教育課程の中に入っている。
#174
○政府委員(諸澤正道君) 入っているわけです。
#175
○柳澤錬造君 ヨーロッパのなんかはわりあいにそういう点が行われておって、私も生産性本部の若い人たちのセミナーに連れていかれまして、山の中へ。三日間ぐらい泊まり込みでやった。最後の日は何のスケジュールがあるのかと思ったら、その町のところを流れている小川へ行きまして、スコップとあれを持って行って、一日じゅうそのどぶ掃除をやっている。だから村の村長さんも大変喜んでいる。ところが、そういうことをやらしたその若い人たちが後になって非常に感激をしている、こんないいセミナーなかった。何かセミナーというと、一生懸命みんな話を聞いてやるだけだと、そういう自分でこうやるということが非常に効果があるということをつくづく思ったんですが、大臣、どうかいま教育課程に入っているんですというから、もうそれ以上申し上げませんで、十分それをやっていただきたいと思います。
 それから、もう一つ、時間がないので、ベトナムの留学生の問題で、これは大臣、昨年の予算委員会のときにも私取り上げて聞きました。それで、そのときには外務大臣が、官費は文部省の管轄、私費は外務省の管轄になっているということを言われました。それで、総理からも言われて、文部省一本にそれを総括してやるようにしなくてはいけないではないかということを言われているんだというお話があったんですが、その辺の整理がついたんですか、どうですか。
#176
○国務大臣(内藤誉三郎君) 文部省一本にいたしました。詳細は局長から。
#177
○政府委員(篠澤公平君) ただいまのお話につきましては、官費は文部省、私費が外務省という分け方も実は問題があるかという感じもいたしますが、具体的な課題の解決といたしましては一本にいたしたわけでございますが、それは従前外務省の所管でございました国際学友会、これを五十四年度から文部省の所管にするということで現在予算もお願いしているわけでございます。
#178
○柳澤錬造君 いや、そんな言葉なんかどうでもいいんで、別に私が言っているんじゃないですよ、これは。園田外務大臣が言った言葉を私が言っただけなんですね。それで、今度はそういうふうにしたいと。
 それから、大臣ね、ベトナムの留学生がいろいろ問題を起こしておって、こちら側の日本の政府の扱いで話題といいますか、留学生が困っていることもお聞きになっていると思うんです。その辺について、きょうはもう時間がございませんから細かいことは省きますけれども、もうちょっとやっぱりそれこそ先ほどの大臣が言った、心と心の触れ合いの、そういう感じの与えられるようなやり方をしていただきたいと思うんです。
 一昨日になりますか、この間の予算委員会でもベトナム難民で私が質問いたしまして、これは、総務長官の方からはもう発想から根本的に考え直すという答弁があったんです。いままでのやり方は間違っておったと。それで、これは人道上というか、人類愛というか、そういう基盤に立って考えなくちゃいけないことで、いままでのやり方は間違っておったんだから、その点で根本的に考え直して取り組みますという御答弁があって、私も非常に感謝申し上げたんだけれども、留学生についても、私はやっていただきたいとお願いをするんですけれども。
#179
○国務大臣(内藤誉三郎君) まことに同感でございまして、どうも日本に来た留学生が、帰ると排日になっているんですよ。これじゃ何のために留学さしたか意味ないと思うんです。ですから、日本に来たら温かく迎えて、そして帰ったらやっぱりその国のために尽くし、日本と協力するような、どうせ帰れば指導者になると思いますから、そういう人を大切にしてくれるように、文部省も積極的にやりたいというので、実は外務省所管の国際学友会を文部省へ移して、ここで宿舎を改善していきたいと。そういう意味でここにいらっしゃる間は、文部省も親切にやりたいと思ってます。
#180
○柳澤錬造君 そしてもうそこへつけ加えて、もう大臣のその答弁を聞いて私も本当は感謝申し上げます。
 どこの国がとか、日本の受け入れ側がと言いますと、これはやはり記録がとられているから差しさわりあるんで避けますが、私がやはり東南アジアの向こうへ行ったときなんかも、しみじみと言われたことは、たとえば技術を習いに来ているのは企業へ来る。そういうのも会社が仕事を教えるためのことは一生懸命こうやっているわけなんです。昼間のそれが終わると後は寮へほうり込んで、その中でどういう状態になっているか。日本のだれが来てその連中にどういうおちょっかいをしているかということには全くノー・タッチだ。学校も同じだというのです。せっかく留学やって、一生懸命勉強する。勉強するについては一応いろいろなことを日本の政府はやっている。後寮に帰った私生活の面で、どういう状態に置かれているか、もう全然見てくれない。だから勉強はした、あるいは技術は覚えたかわからぬけれども、それ以外のそういうふうな寮生活とか、何かのところでとんでもないことを身につけて帰ってくるのです。だから、帰ってくればいま大臣おっしゃったとおりなんですよ、日本のことはちっともよく言わないというのですよ。何のためにあなたたちはそうやって技術教育や学校教育やってくれているのか、もう少し考えなさいよということをしみじみ言われたことがありますので、その点特に今度は文部省の所管になられたのですから、大臣の方から特に、日本の国内のことはまた日本の関係でということになるけれども、そういうアジアから来ている人たちには温かく迎えて、本当に日本に来てよかったなあと言って、国へ帰って、そして今度は逆に日本との関係が友好関係の深まるような、そういう役割りを果たす人たちが生まれるような扱いをしてあげていただきたいということを最後に申し上げまして、私は終わりたいと思います。大臣の所見が何かあれば。
#181
○国務大臣(内藤誉三郎君) 全く同感でございます。ですから、やはり日本に来た留学生が楽しく生活できるように、それから、外国人ができれば日本人と一緒に宿舎にも住むとかして、お互いが友好を深めるような、そういうようなことでもっと親切に扱ってあげたいと思う。これはやはり私は日本のある意味では宝だと思う、日本に来ているのは。この宝を大事にすることが文部行政の大事な仕事だと私は考えています。
#182
○柳澤錬造君 終わります。
#183
○主査(嶋崎均君) 以上をもちまして文部省所管に対する質疑は終了いたしました。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時五十七分散会
    ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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