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1978/03/15 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 予算委員会 第8号
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1978/03/15 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 予算委員会 第8号

#1
第087回国会 予算委員会 第8号
昭和五十四年三月十五日(木曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十四日
    辞任         補欠選任
     栗林 卓司君     井上  計君
 三月十五日
    辞任         補欠選任
     佐藤 昭夫君     市川 正一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         町村 金五君
    理 事
                井上 吉夫君
                岩動 道行君
                糸山英太郎君
                嶋崎  均君
                久保  亘君
                瀬谷 英行君
                多田 省吾君
                内藤  功君
    委 員
                浅野  拡君
                石破 二朗君
                上田  稔君
                亀長 友義君
                熊谷  弘君
                下条進一郎君
                鈴木 正一君
                鍋島 直紹君
                成相 善十君
                秦野  章君
                林  ゆう君
                降矢 敬義君
                真鍋 賢二君
                八木 一郎君
                山本 富雄君
                粕谷 照美君
                小柳  勇君
                野田  哲君
                広田 幸一君
                福間 知之君
                矢田部 理君
                吉田忠三郎君
                和田 静夫君
                相沢 武彦君
                太田 淳夫君
                矢追 秀彦君
                矢原 秀男君
                市川 正一君
                神谷信之助君
                井上  計君
                中村 利次君
                山田  勇君
                柿沢 弘治君
   国務大臣
       内閣総理大臣   大平 正芳君
       法 務 大 臣  古井 喜實君
       外 務 大 臣  園田  直君
       大 蔵 大 臣  金子 一平君
       文 部 大 臣  内藤誉三郎君
       厚 生 大 臣  橋本龍太郎君
       農林水産大臣   渡辺美智雄君
       通商産業大臣   江崎 真澄君
       運 輸 大 臣  森山 欽司君
       郵 政 大 臣  白浜 仁吉君
       労 働 大 臣  栗原 祐幸君
       建 設 大 臣  渡海元三郎君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (北海道開発庁
       長官)      澁谷 直藏君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       田中 六助君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       三原 朝雄君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       金井 元彦君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  山下 元利君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       小坂徳三郎君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       金子 岩三君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  上村千一郎君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  中野 四郎君
   政府委員
       内閣法制局長官  真田 秀夫君
       人事院総裁    藤井 貞夫君
       人事院事務総局
       任用局長     長橋  進君
       人事院事務総局
       給与局長     角野幸三郎君
       総理府人事局長  菅野 弘夫君
       警察庁長官官房
       長        山田 英雄君
       警察庁刑事局長  小林  朴君
       行政管理庁行政
       管理局長     加地 夏雄君
       行政管理庁行政
       監察局長     佐倉  尚君
       防衛庁参事官   岡崎 久彦君
       防衛庁長官官房
       長        塩田  章君
       防衛庁防衛局長  原   徹君
       防衛庁経理局長  渡邊 伊助君
       防衛庁装備局長  倉部 行雄君
       経済企画庁調整
       局長       宮崎  勇君
       経済企画庁国民
       生活局長     井川  博君
       経済企画庁物価
       局長       藤井 直樹君
       経済企画庁総合
       計画局長     喜多村治雄君
       経済企画庁調査
       局長       佐々木孝男君
       科学技術庁原子
       力局長      山野 正登君
       科学技術庁原子
       力安全局長    牧村 信之君
       環境庁長官官房
       長        正田 泰央君
       環境庁企画調整
       局長       上村  一君
       沖繩開発庁総務
       局長       亀谷 礼次君
       国土庁長官官房
       審議官      四柳  修君
       国土庁大都市圏
       整備局長     堺  徳吾君
       法務省刑事局長  伊藤 榮樹君
       外務省アジア局
       長        柳谷 謙介君
       外務省欧亜局長  宮澤  泰君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    千葉 一夫君
       外務省経済局長  手島れい志君
       外務省条約局長  伊達 宗起君
       外務省国際連合
       局長       賀陽 治憲君
       外務省情報文化
       局長       加賀美秀夫君
       大蔵大臣官房審
       議官       米里  恕君
       大蔵大臣官房審
       議官       天野 可人君
       大蔵省主計局長  長岡  實君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       大蔵省理財局長  田中  敬君
       大蔵省国際金融
       局長       宮崎 知雄君
       国税庁長官    磯邊 律男君
       文部省初等中等
       教育局長     諸澤 正道君
       文部省大学局長  佐野文一郎君
       文部省体育局長  柳川 覺治君
       文部省管理局長  三角 哲生君
       文化庁次長    吉久 勝美君
       厚生省公衆衛生
       局長       田中 明夫君
       厚生省医務局長  佐分利輝彦君
       厚生省薬務局長  中野 徹雄君
       厚生省社会局長  山下 眞臣君
       厚生省保険局長  石野 清治君
       厚生省援護局長  河野 義男君
       農林水産省経済
       局長       今村 宣夫君
       農林水産省構造
       改善局長     大場 敏彦君
       食糧庁長官    澤邊  守君
       通商産業大臣官
       房審議官     島田 春樹君
       通商産業省通商
       政策局長     宮本 四郎君
       資源エネルギー
       庁長官      天谷 直弘君
       資源エネルギー
       庁公益事業部長  豊島  格君
       中小企業庁長官  左近友三郎君
       運輸大臣官房審
       議官       杉浦 喬也君
       運輸大臣官房観
       光部長      出元伊佐久君
       運輸省鉄道監督
       局長       山上 孝史君
       運輸省航空局長  松本  操君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   寺島 角夫君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   神保 健二君
       建設省計画局長  丸山 良仁君
       建設省都市局長  小林 幸雄君
       建設省河川局長  稲田  裕君
       建設省住宅局長  救仁郷 斉君
       自治大臣官房審
       議官       石原 信雄君
       自治大臣官房審
       議官       花岡 圭三君
       自治省行政局選
       挙部長      大橋茂二郎君
       自治省財政局長  森岡  敞君
       自治省税務局長  土屋 佳照君
       消防庁次長    鹿児島重治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       外務省情報文化
       局文化事業部外
       務参事官     平岡 千之君
   参考人
       宅地開発公団総
       裁        志村 清一君
       日本銀行総裁   森永貞一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十四年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十四年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十四年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(町村金五君) ただいまから予算委員会
   を開会いたします。
 昭和五十四年度一般会計予算
 昭和五十四年度特別会計予算
 昭和五十四年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(町村金五君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和五十四年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁森永貞一郎君及び宅地開発公団総裁志村清一君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認めます。
 なお、出席時刻等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(町村金五君) それでは、昨日に引き続き瀬谷英行君の総括質疑を行います。瀬谷君。
#7
○瀬谷英行君 昨日、日商岩井に対する強制捜査が行われたわけでありますが、すでにその前に参議院では証人喚問等について細部が決定をしているわけであります。
 そこで、法務大臣に冒頭お伺いしたいんでありますけれども、この捜査の進展がどのように展開するのかちょっと私どもにもわかりません。そこで、証人喚問は、これは日商岩井関係、海部証人を初め日商岩井関係の人が出席をすることになっているのでありますけれども、この証人喚問が支障なく行い得るのかどうかということ。それから今後の捜査方針というものはどういうものか。これは法務大臣として答えられるところと答えにくいところとあるでありましょうが、われわれとしても、証人喚問を予定した以上はいろいろと考えなければならないところがありますので、その点をまず最初にお伺いしたいと思います。
#8
○国務大臣(古井喜實君) 証人喚問の問題ですけれども、これは国会の立場において、国会の権限としておやりになることでありますから、それはそれで予定どおり進行なさったらよい、そういう筋道のものだと私は思っておりますから、進行されたらいいだろうと思っております。それが捜査の方の関係とどう絡むか、これはちょっと私としては触れにくい問題でありますけれども、国会は国会で進行されたらよかろう、そう思っております。
#9
○瀬谷英行君 証人喚問は証人喚問としてやるつもりでおるのです。ただ、そのつもりでいたら主が抜けてしまったというのではやりようがないでしょう。そこで遠回しに一体その点はどうなのかということをお伺いしたわけなんです。
#10
○国務大臣(古井喜實君) 理屈の上では、ぶつかったり絡み得る問題だと思いますけれども、それはちょっと私の方としては、どう予定する、どうなるということは触れにくい問題でありますから、こちらはこちらで予定どおり進行されたらどうかと。それでこちらの方には差し支えないんじゃないかと思いますので、そういうふうに御了承願いたいと思います。
#11
○瀬谷英行君 それでは、予定どおりに進行をさせていただくというふうに理解をいたしておきます。
 次に、外交問題についてお伺いしたいと思うのでありますが、実は、中越戦争の問題であります。これは「謎の国・カンボジア」、NHKの編集なんですが、去年の秋に取材をした内容がここに出ております。これを見ますと、非常にわれわれも奇異の感に打たれたのでありますが、「首都のプノンペンの中心街は、まさに音のない世界であった。かつて二百万人がひしめき合って、喧騒に満ちていた街角から人々は姿を消してしまった。ホテルも商店も映画館もかたくシャッターがおろされていた。」、無人の町になっておった、こういうことなんです。これが去年の秋の取材で出ております。こういう事態からポル・ポト政権の崩壊ということになり、これが今度は中越戦争へ発展をしているわけなのでありますが、一体、この中越戦争というものの現状、あるいは今後の見通しといったものはどうなのかお伺いしたいと思うんです。
#12
○国務大臣(園田直君) ベトナムと中国の紛争は、御承知のごとく平和的解決の方向へ大きく動きまして、まず中国軍の撤退、それから話し合いという大筋は合意されて、中国軍の撤退は逐次進んでいるようではありますけれども、ベトナム側の情報によると、なお中国軍はあちらこちらにおって紛争が行われておる、こう言っているわけでありますが、結局は国境の紛争でありますから、国境が明確でなくて、中国は撤退したと言い、ベトナムはそれはベトナムの領内であるから撤退してないと言う。そういう個々の紛争及び戦闘行動が若干続いているようではありますけれども、大筋においては平和解決の方に大きく動いていることは喜ばしいことと存じます。
 わが方は、両国に対して、速やかにこの状態が終わって平和的な会談のテーブルに着くように両国に要請をしているところであり、かつまた、それに対してわが国がやることがあればいかなる役割りでも果たそうということを通告をしているところでございます。
#13
○瀬谷英行君 中越紛争の一つの口実は、カンボジアにおけるポル・ポト政権の崩壊なのでありますが、カンボジアは、現在、日本に対しても外交官を派遣しておらぬということをお伺いいたしましたが、このカンボジア政権の崩壊というのは、内戦というふうに見ていいのか、あるいはベトナムの侵攻のためというふうに見てよいのか、どのような判断を下しておられるのですか。
#14
○国務大臣(園田直君) カンボジアのポル・ポト政権とは、わが方も大使を派遣しておりませんし、向こうも派遣しておりませずに兼任でございまして、北京におる佐藤大使と北京におるカンボジアの大使が接触をやっているところでございます。
 カンボジアの内情については、いろいろ情報がありまして、いま御紹介されたようなこともわれわれも聞いているところでございますが、正式には外交関係はいまなお北京で両方の兼任大使が接触をしている、こういう状態でございます。
#15
○瀬谷英行君 中越紛争に関連して、ベトナムに対する救援米の凍結といったようなこともわれわれ聞いたわけでありますけれども、それは現在どういうことになっておるのでしょうか。
#16
○国務大臣(園田直君) ベトナムとわが国との関係は、非常に順調にいっていると私は判断をいたしております。
 経済協力並びに救援米の問題は、一切凍結はしてはおりませんばかりでなく、約束したことでございますから、どんどん進めていって、経済協力の方はパーセントにしたら九割近くまでは進んでいると思いますが、救援米については貸与でございますから、この貸与の条件等の合意が必要でありますが、今度の紛争で手が回らぬのかどうか、その条件は言ってきておりませんけれども、わが方は進んで約束した協力は実際にできるように相談しようという申し入れ等を向こうにやっておりまして、当初は、中国の副主席が訪日した直後、ああいう事件が起こったものでありますから、日本がこれに理解を与えたという誤解があったようでありますが、その後、この誤解も一掃されて、ベトナム政府は事あるごとにわが国に対しては友好的な連絡を行っておるところでございます。今後とも、経済協力については、ASEANの懸念等もありますから慎重にはやりたいと思っておりますけれども、約束したものを御破算にするようなことではないと、私はこのように判断しております。
#17
○瀬谷英行君 中国とベトナムとの紛争について、われわれは一つの不安を持つのでありますが、中国は、ケ小平さんが、言ったことは必ず実行すると言って、そしてその制裁を武力侵攻の形でやってのけたわけです。しかし、これでは一体今後どうなるだろう。もしこの論法でもって、じゃベトナムに中国が制裁を加える、その中国にソビエトが制裁を加える、そのソビエトにアメリカが制裁を加えるといったようなことが循環をしたらえらいことになっちまう。したがって、こういうやり口というのは思慮深き政治家が軽々しくやるべきことではないと私は思うのでありますが、その点はどうですか。
#18
○国務大臣(園田直君) 理由のいかん、経緯のいかんを問わず、紛争を力をもって解決をし、他国に軍隊を入れることは反対であります。この点は、われわれは強く中国にも警告を発しております。
#19
○瀬谷英行君 アジアの平和のためには、南北朝鮮の問題あるいは台湾の問題といったようなことがあるわけでありますが、台湾の国際的地位は一体どういうことになるんでしょうか。
#20
○国務大臣(園田直君) 米中正常化によって台湾と中国との関係は大分変わってきたようでありますが、米国も米中正常化によって台湾との関係を切ろうとは考えておりませんし、各国とも、投資その他を見ましても、現在の台湾の地位は当分はこのままで続くと考えております。
#21
○瀬谷英行君 中国には、もう大分久しい前から台湾解放というスローガンが掲げてあったのを私も記憶しているのでありますが、言ったことは必ず実行するということを言われると、台湾解放もベトナムと同じような筆法でやりはしないかという不安が一つ残るわけです。もしそんなことになったらこれは大変なことになるわけでありますが、それは、そのような場合には、これは内戦と見るのか、侵攻と見るのか。一体、日本の立場はどういうことになるんですか。
#22
○国務大臣(園田直君) 台湾地域を武力をもって中国が解放するという懸念はほとんどなくなった、このように私は判断をいたしております。米国と中国の正常化の主なる論議の焦点は台湾の取り扱いということにあったようでありまして、中国は台湾を武力解放しないとは言わないものの、その後の言動によると、大分変わってきております。私もまた、中国に対しては、台湾が中国の領土の一部であるならば台湾地域を敵国扱いされることは決して穏当ではない。むしろ進んで、自分の領土であると言うならば、台湾の安全、繁栄というものに努力されてこそ国際世論というものは理解を示すだろう、こういうことを言っておりますので、台湾地域で武力紛争が起こるという可能性はほとんどなくなった、こう考えております。
#23
○瀬谷英行君 武力紛争が起こらなければいいわけでありますが、起こった場合にはこれはえらいことになるということなのであります。
 そこで、その武力紛争については、南北朝鮮の場合も同じだろうと思うのであります。これは武力紛争のおそれはない、なくなったというふうに判断をしてよろしいのかどうか。
#24
○国務大臣(園田直君) 中国並びに北の方は緊迫した状態にはない、逐次緩和されておる、少なくとも北の方から武力で南の方へ侵攻することは絶対にあり得ないということをしばしば主張いたしております。南の方は、逆にそうではない、トンネルが何本掘られた、こういう事件があった、非常に緊迫している、こういうふうに言っている。両方が真っ向から判断については主張が違っておりますが、しかしながら、少なくとも朝鮮半島における南北の対話というのが平行線であっても進められた、開かれたという状態において、南北の対決、緊張というものは話し合いの方向に逐次進むと判断をいたしておるわけです。
#25
○瀬谷英行君 いま外相が言われたような方向であるならば、米韓の合同演習などということはわれわれにとってもきわめて不安な材料となるわけであります。これは他国のことでありますから、とやかく言うことはできないかもしれませんけれども、われわれとしてはやっぱり武力による紛争の解決ということは避けてもらいたい、こういう希望があるわけでありますが、その点はわれわれの希望として表明しておきたいと思います。
 そこで、今度は日ソの外交問題の打開方策であります。いままで何回もお答えがありましたことは、平和条約の締結と日本への一括返還問題、これは一緒にやらなければいけないんだ、こういうふうに言われておりますが、これは、しかし、相手の答えはノーという答えしか出てきていない。一体、今後、どのように日ソの外交問題を打開されるつもりなのか、お伺いしたいと思います。
#26
○国務大臣(園田直君) 日本とソ連の間の友好関係を進めることは、両国間ばかりでなく、アジアの平和のためにきわめて緊要なことでありますから、腐心をしているところでございます。ソ連と日本の間には、四島返還問題という厳しい問題がありますけれども、それ以外は、御承知のとおりに利害の共通する問題は非常に多いわけでございます。そこで、一方には話し合いのできる問題から逐次誠意を持って話し合いを進め、解決をしながら、四島返還というのを大前提として粘り強くやるつもりでおりますが、事務的な会議あるいは民間の経済合同会議あるいはその他の会議等は順調に進められておることは御承知のとおりでございます。
#27
○瀬谷英行君 平和条約が結ばれないことはまことに残念なことでありますが、しかし、四島一括返還と平和条約の締結をセットにしていると、向こうは領土問題は解決済みである、こちらの言い分も向こうの言い分もいつも同じなわけです。それを繰り返しておるだけなんです。鐘と撞木が同じわけですよね、鐘と撞木が同じならば、響く音色もまた同じということになってしまう、いつまでたったってらちが明かないんですな。これを一体どうやって打開するかということですね。その点、外相としての一つの方策があるかどうかお伺いしたい。
#28
○国務大臣(園田直君) これはきわめて大事なところでありまして、四島返還、領土の問題御承知のごとく、共同宣言を出すときに、領土の問題が未解決でございましたから、条約を結ばずに共同宣言で両方合意でやったわけであります。そこで共同宣言には領土の問題が明記してあるわけであります。そこで、平和条約を結ぶについて、領土だけたな上げをして結ぶということは断じてとらざるところであります。このまま押し合いをしておってもということでございますけれども、ここは大事なところでありまして、この領土問題が解決をしなければ平和条約その他のことは一切進まないのか、あるいはまた、場合によっては分割してできるのか、あるいは領土問題を後にして条約が結べるのか。その可能性が日本にあるとなれば、私は、領土問題についてはソ連はますます返さない、知らない、解決済みであるという態度が強くなると存じております。これは判断の相違でありますけれども、われわれは、あくまで領土問題の解決はすべてに優先をする、それを前提にしてすべての問題の友好関係を進めていきたい、この点は堅持するつもりでございます。
#29
○瀬谷英行君 われわれから見れば、ソビエトのようにあんな広大な領土を持っている国がこんな小さな島のことでなぜかたくなな態度をとるんだろう、こんなものは返したっていいじゃないかという感じは持つのでありますけれども、しかし、択捉と国後の問題について、先般も上田議員との間にいろいろやりとりがございましたけれども、択捉と国後が昔千島列島であって、歯舞、色丹が北海道であったということは、それは下田条約のころの決定は別といたしまして、一九四五年、終戦前までの状態は、日本の千島列島の定義の中に択捉島は入っておるわけですね。これは当時の教科書に「千島列島とは択捉島以下三十余の島をいふ。」と書いてあるわけです。この点、文部大臣にお伺いいたしますが、これは国定教科書に書いてあるのでありますが、これは違っておりますか、違っておりませんか。
#30
○国務大臣(内藤誉三郎君) 戦前の教科書でございますが、戦前の教科書は文部省が編集いたしましたから、間違いはないと私は信じています。
#31
○瀬谷英行君 文部大臣も太鼓判を押して、間違いはないと言っているわけです。ところが、外務省の局長は、それは違うと、択捉島と国後島は千島列島じゃなくて、北海道だと言うんです。しかし、そういう言い方は私は無理があると思うのですよ。それも昔からそう言っているのなら別ですけれどもね。終戦後十年もたってからそういう論法が出てきたわけです。しかも、サンフランシスコ条約で千島列島放棄ということになっちゃっているわけです。ここに私は無理があると思うのです。
 だから、ここで私は無理なことを通そうとしてもなかなか通らないんだから、まずこういう問題を解決するには国際司法裁判所に提訴するかどうか。国際司法裁判所で受け入れられないならば、その裁判所に受け入れられるような条件をどうしてつくったらいいかということからいろいろと考えていかなきゃならぬのじゃないかと思うのでありますが、どうですか。
#32
○国務大臣(園田直君) 国際司法裁判所への提訴は、御承知のとおり、相手国が了承しなければできないわけでありまして、これについてはソ連がいまのところは了承いたしません。
 なお、国後、択捉については、いろいろ論議のあるところでありますが、明治維新政府ができまして以来、いろいろ変わっておりますが、国後、択捉は北海道の根室の行政区域内に入っているという事実もございます。
#33
○瀬谷英行君 その種の証拠は、これはやはり学校で教えている教科書をわれわれは教わってきたわけで、恐らくいまここにおられる閣僚の年輩だったならば、いずれもこの教科書を教わってきたわけだから、国後、択捉は千島列島と、こういうふうに記憶しているわけです。歯舞、色丹は北海道と。これはこの間の外務大臣の答弁の中でも、そういう点が、歯舞、色丹が千島と一緒に入っておったからあの地図はおかしいじゃないかという発言はたまたま出てまいりましたけれども、これは千島列島の中に択捉島が観念として入っておったからそういうことになったんだというふうに理解せざるを得ないのです。
 そこで、今後の問題として、相手が納得しなきゃならぬということになりますと、どうやって納得をさせるか。お互いに侵さず侵されずということは防衛庁の方針にあるのでありますが、侵さず侵されずの約束をかためるためには、たとえば善隣友好条約を検討するというようなところから始めていくということは考えられませんか。
#34
○国務大臣(園田直君) 先ほど申し上げましたとおりでありまして、私は、グロムイコ外務大臣には、北方四島領土の問題について話し合う態度を見せるか、あるいは誠意ある態度を見せるならば、その後の条約、協定等についてはこちらも弾力的に臨む気持ちはあるということは通告をしてございます。
#35
○瀬谷英行君 侵さず侵されずというふうに防衛庁のPRはやっておるわけであります。本当にそれならば、侵さず侵されずの約束を対象国であるソビエトとやるということが、これは日ソの外交のためにきわめて重要なことだろうと思うのでありますが、総理の考え方をお伺いしたいと思います。
#36
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりに心得ておりまして、いま不幸にして侵されておる状態でございますので、それに対しまして鋭意先方の翻意を促してまいらなければならぬと存じております。
#37
○瀬谷英行君 E2Cの問題に入るにはちょっと時間がございませんから後日に譲りますけれども、このE2Cといったようなものがなぜ必要なのかということを考えてみると、その対象国のソビエトに対する警戒から出ているわけです。したがって、まず、こういうものをいろいろな問題を生じて買い込むよりも先に、買わなくてもいいような手段を講ずるのが一番いい方法ではないか、そのために外交というものがあるのじゃないかと思うのであります。E2Cを買うよりも、買わなくても済むというための外交方針というものを当然具体的に考えていくべきではないかと思うのでありますが、総理の見解を最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#38
○国務大臣(大平正芳君) 外交努力は不断にやらなければならぬことでございまして、E2Cの導入があったからといって外交努力を怠っていいという筋合いのものではないと思うのでありまして、両方とも周倒に進めてまいらなければならぬものと思います。
#39
○瀬谷英行君 終わります。(拍手)
#40
○委員長(町村金五君) 以上で瀬谷君の総括質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#41
○委員長(町村金五君) 次に、神谷信之助君の総括質疑を行います。神谷君。
#42
○神谷信之助君 昨日、検察当局は、日商岩井に対して強制捜査に踏み切られました。報道によりますと、RF4E十四機導入で一機三万ドル計四十二万ドル、それから事務所経費二百三十八万七千六百三十四ドル、計二百八十万七千六百三十四ドル受領しているということであります。これ自体は、正当なものならば当然隠す必要はありません。ところが、四十五万ドルを簿外資金化しようとする。ということは、これが不正な目的のために使用するという意図を持っておったというように考えられますが、この点検察当局の御見解を聞きたいと思います。
#43
○政府委員(伊藤榮樹君) 何らかの意図で、この四十五万ドル、少なくとも四十五万ドルについては、正規の受け取り方を秘匿したいという気持ちがあったであろうと思われますが、その内容等につきましては、現在捜査中でございますので、御容赦をいただきたいと思います。
#44
○神谷信之助君 つまり、全日空の例でも明らかだと思うのです。藤原証言によりますと、日商岩井が政治工作に金を使ったということを聞いたという趣旨の証言もしております。したがって、こういう裏金というものが政界工作の資金になった可能性、これはきわめて濃厚だと言わなければなりません。当然こういう疑いを持って捜査当局は捜査をお進めになっていると思いますが、いかがでしょう。
#45
○政府委員(伊藤榮樹君) 再々お答え申し上げておりますように、今回のダグラス・グラマン問題につきましては、いろいろな疑惑と言われますものが報道され、あるいは議論されておるわけでございまして、検察当局としては、それらを全部念頭に置いて捜査を続けておる次第でございます。
#46
○神谷信之助君 報道によりますと、逮捕の理由に私文書の偽造というものがありますが、これは契約書を偽造したということなのでしょうか。私どもの調査で調べたところでは、契約書の偽造だけではなしに、日商岩井ロンドン支店が一九七七年の二月に仲介手数料として四十五万ドルを代理受領しているという事実をつかんでおりますが、これが隠そうとしたいわゆる四十五万ドルではないのかどうか。これが事実といたしますと、外為違反の疑いの一つにもなっているのではないかと思いますが、この点はいかがですか。
  〔委員長退席、理事岩動道行君着席〕
#47
○政府委員(伊藤榮樹君) 御指摘のように、問題になっております四十五万ドル、邦貨換算一億三千万円余りになるかと思いますが、これにつきましては、日商岩井ロンドン支店がダグラス社から代理受領したもののようでございます。これにつきまして契約書をいろいろつくっておるわけでございますが、その契約書と申しますのが四通ございまして、ブリティッシュ・カレドニアン航空から日商岩井にあてましたアウストラル航空会社に対する航空機一機の販売が実現すれば日商岩井に販売価格の五%相当の金を払うということを内容といたしますブリティッシュ・カレドニアン航空特殊プロジェクト担当取締役D・H・ウォルター氏名義の約定書、それからアウストラル航空会社に対する航空機二機の販売に関し日商岩井の役務の報酬として販売価格の五%相当の金を払うということを内容といたします同じくウォルター氏名義の約定書、それから一九七六年三月五日売り主ブリティッシュ・カレドニアン航空と買い主アウストラル航空との間にBAC111−500シリーズ航空機二機を売買する旨の右申し上げましたウォルター氏及びアウストラル航空購買担当取締役ホセ・ガルシア両氏名義の契約書、それから同じような契約書、ただし日付が若干違いますが、この合計四通を偽造したと、こういう関係になっておるわけであります。
#48
○神谷信之助君 外為との関係は……。
#49
○政府委員(伊藤榮樹君) 失礼いたしました。
 ボーイングの関係につきましては外為法違反を掲げておりますのに、ダグラス関係につきましてはこれを掲げておりませんのは、特に説明を求めておりませんけれども、察するに、その関係の外為違反は成立しない、名目がすりかわってはおりますが外為法違反の構成要件には当たらないと、こういう判断ではないかと思います。
#50
○神谷信之助君 それでは、国税庁にお尋ねをいたしますが、国税庁はこれまで国会の答弁で、F4ファントムについては百九十八万五千ドル、それからRF4Eについては四十三万千二百ハドル、これがMDCから日商岩井に入っておるというように答弁をされております。ところが、今回、RF4Eに関して、四十三万千二百ドル以外に二百三十八万七千六百三十四ドルが事務所経費として入っておったということが明らかになりました。この二百三十八万七千六百三十四ドルのうち、四十五万ドルは、いま話がありましたようにロンドン支店が代理受領しております。そうすると、残りの百九十三万ドル、これは日商本社に入金されておるということになると思うのですが、この点国税庁はつかんでおられるでしょうか。
#51
○政府委員(磯邊律男君) ただいままで日商岩井に対する税務調査のことについてはできるだけ詳しく御答弁申し上げたつもりでございますが、御承知のように昨日から東京地検特捜部の方にいって強制捜査に入りました。したがいまして、現在検察庁の方で容疑事実になっていることと税務処理上の関連につきましては、ここしばらく御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
#52
○神谷信之助君 百九十三万ドルについてはすでにつかんでおられたのかおられなかったのかという点はどうですか。
#53
○政府委員(磯邊律男君) しばらくその点につきましても御答弁をお許しいただきたいと思います。
#54
○神谷信之助君 御答弁なさらなければ仕方がありませんから次に進みます。
 法務省にもう一遍お伺いしますが、逮捕された山岡航空機部長、それから今村補佐、しかしこのような重要な事項が彼らの独断でできるはずがないと思うのです。当然、上層部、たとえば海部氏、あるいは亡くなられた島田氏、これらの指示が少なくともなければならぬというように見るのが当然だと思いますが、いかがでしょうか。
#55
○政府委員(伊藤榮樹君) 逮捕状の被疑事実には「他の航空機部員と共謀して」と、こう書いてございまして、海部氏あるいは島田氏との共謀関係は一応うたわれていないわけでございます。その辺につきましては今後の捜査の問題だろうと思います。
#56
○神谷信之助君 逮捕の時点ではその点はまだ明らかになっていないけれども、恐らくそこに捜査が進展するであろうというのが常識だと思うのですが、そこで防衛庁にお尋ねをいたします。
 防衛庁の方は、これまでRF4Eについて何らの疑惑はないというようにおっしゃってまいりました。私どもが三菱重工を初め防衛庁に納入している業者にいろいろ聞いておりましたが、防衛庁の方では、たとえば通関料とか保険料、商社に対する手数料、あるいは銀行諸掛かり、それぞれそのほか事細かく厳密に査定をして、そしてそれに対して当然の手数料は手数料として防衛庁として決めるというやり方をとっておられるようであります。そうすると、RF4Eについても、価格を査定をする際、当然こういう項目について厳しくチェックされていると考えなきゃなりません。その中で、こういう裏金、表に出ておらなかったようなもの、これがそのチェックでわからなかったのかどうか、この点はいかがでしょうか。
#57
○政府委員(倉部行雄君) RF4Eにつきましても私どもとしましては会計上の手続によりまして十分調査をし、契約したわけでございます。今回の二百三十八万ドルの件につきましては、私ども、ダグラス関係のSECの報告の脚注のところに事務管理関係の経費という表現がございまして、この内容につきましてダグラス社に照会をしたことがあるわけでございますが、きのう伊藤刑事局長も御答弁ありましたと同じ私ども見方をしていたわけでございます、そのダグラス社からの答弁によりまして。それにつきましてはSECの報告におきましては適切かつ妥当なものであるということがございまして、そういった性格であるというふうに見ておったわけでございますが、その送金の受け取りの仕方に関しまして今回問題になったというふうに理解しているわけでございまして、いずれにしましても、強制捜査が行われましたので、私どもはその結果を見て対処いたしたいと、こういうふうに思っております。
#58
○神谷信之助君 そうすると、二百三十八万ドルは当初わからなかった、ダグラス社に照会をしてわかった、こういうことになるのですか。
#59
○政府委員(倉部行雄君) 私どもSECの報告によりまして知ったわけでございます。
#60
○神谷信之助君 そうすると、厳しくチェックしているというのが、結局はチェックできなかったということではありませんか。長官、この点どうですか。
#61
○政府委員(倉部行雄君) これはこの飛行機の価格について十分私ども調査をいたしまして、品代として適切なものであるという結果によりまして契約をいたしたわけでございます。
#62
○神谷信之助君 そうすると、二百三十八万ドルは価格の中に入っていないということですか。
#63
○政府委員(倉部行雄君) これにつきましては私どもは原価の費目として特に調べたものではございませんが、そういう意味におきまして原価との関係ではそれがどういう影響を及ぼしたかということは非常にむずかしい問題でございますが、私どもとしましては、この飛行機自体の価格というものを調査して、適切なものであるというふうに調査の結果によりまして契約をしたわけでございます。
#64
○神谷信之助君 原価が適正であるかどうかはわからぬわけですか。
#65
○政府委員(倉部行雄君) 当時見積もりをとりまして、これは飛行機を買うときには通常やるわけでございますが、見積もりをとりまして、あるいはまたいろいろな情報をとりまして、内外の資料の分析その他によりまして価格が適切であるというふうに当時調べたものでございます。
#66
○神谷信之助君 そうすると、二百三十八万ドルを含めて原価は適正であると、こういう判断をされたということですか。
#67
○政府委員(倉部行雄君) 原価の中に特別の経費としてその分が直課されてないということでございまして、私どもは飛行機の値段自体を調査いたしまして先ほどから申し上げておりますように契約しておるわけでございまして、そういった先ほどの二百三十八万ドルの経費というものがどういう形で価格に影響を与えるかということは非常にむずかしい問題でございまして、私どもとしては飛行機の品代自体の調査をしまして契約をしておるということでございます。
#68
○神谷信之助君 いや、あなた方がチェックをされたいわゆる通関料、保険料その他いろいろな名目の項目があります。それで、その項目の中には二百三十八万ドルは入っていなかった、そういうわけでしょう。そうすると、原価の中に二百三十八万ドルが入っていると考えざるを得ない。こうなるでしょう。二百三十八万ドルはどこに入っているということになるのですか。
#69
○政府委員(倉部行雄君) ダグラス社が必要としましたそういった経費につきましてどこにその経費を割り掛けるかという問題は、経理的にダグラス社自身を調査しないとわからない面がございまして、
  〔理事岩動道行君退席、委員長着席〕
私どもの権限からいきましてそこまでは調べられないということで、私どもはその飛行機の価格自体をいろいろな角度から調査して適切であるということで契約をしておるわけでございます。
#70
○神谷信之助君 適切だとおっしゃったその価格の中に二百三十八万ドルぐらいが入って、しかもそれが何に使われるかわからぬ、そういう裏金にも一部回っているという状況も生まれているわけです。これはどうですか。
#71
○政府委員(倉部行雄君) 先ほど申しましたように、二百三十八万ドルにつきましては、ダグラス社の方でいわば使った金と等しいことに性格的にはなるわけでございますが、その送金した経費自体につきましては、先ほど申しましたようにSECの報告では適切妥当なものであるというふうな表現があるわけでございまして、その受け入れの仕方につきまして捜査が行われておるということでございますので、その辺の捜査の結果を待ちたいというふうに思うわけでございます。
#72
○神谷信之助君 SECの脚注で適切妥当であったということになる。それは、そうすると、価格の中に適切なものとして含まれる、これは当然であります。問題は、それを受け取った日商岩井がどう使ったか、これはまあ別の問題。問題は、防衛庁がそういうものを含めた価格が適切だということで承認をされている。ですから、こうなりますと、E2Cについて不正は絶対にあり得ないというようにいままで防衛庁長官はお答えになってきたけれども、このように厳重なチェックを通ってきたRF4Eの問題で商社の方はいろいろな形でごまかしをすることができる。これは国民は信用するわけにいかぬのです。ですから、そういう意味ではこの予算についての執行停止ぐらいではだめであって、こういった問題は本当に国内に明らかにする、そういう信用ができるような状態をつくるためにももう直ちに削除して、そして捜査の進展いかんによる処置、これらを待つべきだというように思いますが、いかがですか。
#73
○国務大臣(山下元利君) お答え申し上げます。
 RF4Eの問題につきましては、先ほど来政府委員からるる御答弁申し上げておりますし、そしてまた、いまの二百三十八万ドルにつきましてはSECの脚注等も参照しておりますが、ただ、何と申しましてもこの問題は昨日関係当局の御調査が入ったばかりでございますので、私どもはその調査の結果を見守りたいと思うわけでございますが、ただ、RF4Eの場合は一括購入でございますが、E2Cの場合は繰り返し申し上げますとおりに政府間契約の問題でございまして、FMS方式でございまして、したがいましてこれはRF4Eの場合はまだ司直の御解明を待たねば私どもとして何も申し上げられませんけれども、E2CにつきましてはFMSでございますので、これは絶対入り込む余地はないと、これはもう確信いたしておる次第でございますし、また、その仕組み全体から見ましても、どういうことになるかはこれは私どもまだ結論は申し上げられません。けれども、少なくともE2Cにつきましてはこのようなことは起こり得ないということははっきりいたしておるわけでございます。
#74
○神谷信之助君 いかようにおっしゃろうとも、E2Cの防衛庁への売り込みに対して日商岩井は一定の役割りを果たしたことは事実。したがって、政府間取引に仮になりましても原価の中にそれらの一切の経費が含まれるであろうこともあり得るわけです。そういうことを、現にRF4Eではそういう複雑な経理操作をやっていること、これが明らかになって日商の強制捜査になったわけです。ですから、政府間取引だから不正はないというように断定はできない、このことをきのうの強制捜査は国民の前に明らかにしている。総理、ですから、この点では、執行停止というだけではなしに、直ちに私は削除せよと、これが国民の声だと思うのですが、いかがですか、総理の見解をもう一度聞きたい。
#75
○国務大臣(山下元利君) かねがね申し上げておりますとおりに、E2Cに関しますところのFMS契約によりますと、代理店の手数料は一切入らないという仕組みになっておるわけでございまして、しかもそれはアメリカの政府と日本の政府とが厳正な手続に従いまして、しかも武器輸出管理法によりますところのアメリカの国会の承認を得ました上でやるわけでございまして、これについては一切不正は入る余地はございません。また、RF4Eにつきましてもわれわれといたしましては厳正に手数料等は計算いたしまして支払っておるわけでございますが、ただいま仰せの問題につきましては昨日から出ておりますので、これにつきましてはいずれ司直の解明を待つわけでございますから、私どもとしてはこれは厳正に品代等は計算しておるわけでございます。ただ、こうした問題が起こりましたけれども、E2Cにつきましてはこれからの問題でございますし、しかも政府間契約でございますから、一切そういうことが入り得る余地はないことを御理解賜りたいと思う次第でございます。
#76
○神谷信之助君 総理、どうです。総理の答弁……。
#77
○国務大臣(大平正芳君) 私は防衛庁の防衛庁に関する限り一切不正はございませんという言明を信頼いたしております。
#78
○神谷信之助君 この問題は時間の関係で後日また引き続き追及することにいたしますが、これは許すことはできないと思うのです。
 さらに検察庁にお伺いしますが、刑事局長も海部メモの内容になっているこの事実についても踏み込んで捜査をするとお答えになっておりますが、そこで、海部メモにあります六五年七月二十四日の岸氏、フォーサイス副社長、海部氏、中村氏らの会合、及び二万ドルの授受、この事実などについても御調査なさっておられるでしょうか。
#79
○政府委員(伊藤榮樹君) いわゆる海部メモが捜査の対象の範囲内に入ってまいりますのは、有森氏の告発事件、あるいは福田赳夫氏からの告訴事件、こういうものをめぐって検察が取り組まなければならぬことになるわけでございまして、その捜査に必要な限度で、その海部メモと言われるものの作成の状態、あるいは場合によってはその内容にまで踏み込んで捜査をしなければならぬと思いますけれども、先ほどお尋ねのような点にまでもうすでに捜査をしておるかどうか、これは私まだ報告を受けておりませんが、恐らくまだそこまではいっていないのじゃないかと思います。
#80
○神谷信之助君 これは当然そこまで踏み込んでいかなければ真相が明らかにならないと思うわけです。
 ファントムの決定のために日商とそれから政治家が防衛庁の人事にまで介入をしたという重大な疑惑が明らかになってきています。海原参考人が、後から考えると機種選定を左右する人事異動、そしてそれに佐藤首相のサイン、あるいは岸、佐藤勢力を代表する松野頼三氏の政治介入があったことを当時の故浦野政務次官から聞いたと、こういうように発言をし、そして大人の推理として背後に日商岩井がいたと述べております。防衛庁人事に対するこういう政界工作についても検察庁は当然捜査をなさると思いますが、いかがでしょう。
#81
○政府委員(伊藤榮樹君) 再々申し上げておりますように、古い出来事につきましては時効等の関係がありますので直接捜査の対象にはならぬわけでございますが、新しい事柄を捜査をいたしますのに必要な限度においては、一般論として申し上げれば、背景事情の把握のために関心を持つということは当然でございますが、ただいまのその人事介入の問題につきましては、確たる根拠もなしにそういう点についても捜査をいたしますというようなことはちょっと言いかねるところでございまして、一般論として捜査上必要があれば必要なことは捜査をすると、こういう程度に御理解いただきたいと思います。
#82
○神谷信之助君 総理にお尋ねしますが、いまの局長の答弁のように、時効等の問題もあって直接犯罪対象の事案として捜査をするというのはいろいろ問題があるようにおっしゃっております。しかし、チータム証言によりますと、松野氏はE2Cの採用においても重要な役割りを演じた形跡が強いわけです。また、わが党の訪米調査団に対して、グラマン社の責任ある人物は、松野氏の暗号名がPFだったという証言もしております。こうなってまいりますと、疑惑を晴らすためにもこれらの政治家の証人喚問が必要だと、そして国民の前に明らかにしなければならぬというように思うのです。ところが、自民党は国会議員の証人喚問に強く反対をしておられまして、つい最近行う証人喚問にもこのことが実現をしませんでした。首相は、自民党の総裁として、少なくとも今日この岸、松野両氏についての証人喚問、これは応ずる必要があるんだというように思いますが、どういう態度をおとりになっておられますか、総理・総裁の見解を聞きたいと思います。
#83
○国務大臣(大平正芳君) これはかねがね申し上げておりますように、政府は、それぞれ捜査当局を初め関係当局が解明に当たっておる最中でございます、その解明には鋭意当たらなければならぬという立場で処理いたしております。それから国会の方の国政調査権には御協力を法令の許す範囲でいたさなければならぬ立場にございます。国会においてどのようなことをされますか、これは国会がお決めになることでございまして、各党が御協議をいただいてやられることでございまして、私は出先の自由民主党の関係者を御信頼申し上げております。
#84
○神谷信之助君 国会が決めることだというのは逃げ口上だと言わなきゃなりません。総裁としての指導性が問われているわけです。時間がありませんから、この点だけを指摘をして次の問題に移ります。
 次に一般消費税の問題に入りたいのですが、総理、衆議院の予算委員会二月十六日ですが、わが党議員の一般消費税の導入について歳出増が避けられないのじゃないかということを指摘をし、したがってこのような大衆課税の方法でなしに、財源を確実に確保できるわが党の考え方も示して総理の見解を求めました。これに対して、総理は、重要な問題提起であり、政府としても吟味するとお答えになっております。その後どういうような吟味をなさったか、まず伺いたいと思います。
#85
○国務大臣(大平正芳君) 一般消費税問題をめぐりまして衆参両院におきまして御論議をいただいておりますことを感謝しております。この論議を通じましても明らかでございますように、この問題の処理に当たりましては、現在の歳入歳出両面にわたりまして相当思い切った見直しが行われないと、新たな歳入政策を導入しようとしても国民の理解が得られないということを、私も申し上げておりますし、各党の方々もそういうラインで論戦を展開されておるわけでございます。したがいまして、この五十四年度の予算におきましても、歳入歳出にわたりまして政府は政府として見直しをいたしたわけでございます。私は、これをもって一般消費税導入の地ならしができたとは考えていないのでございますが、歳入歳出面にわたりましてかなりの見直しを行い得たものと考えておるわけでございます。しかし、今後、この国会の内外を通じましてことしは財政再建の問題につきましてもう一度いろいろ論議を深めていただく、政府におきましても歳入歳出両面にわたりまして見直し作業を進めていかなければならないと存じて、そういう方向でいま各省庁で検討をいたしておるところでございまして、そのことにつきましては、具体的に項目によりまして御質疑がございますならば、それぞれの担当のところからお答えいたすことにいたします。
#86
○神谷信之助君 それでは、少し一般消費税について具体的にお尋ねをしていきたいと思います。
 大蔵省にお尋ねしますが、民間の鉄道、国鉄、営団交通、それから公営交通などの営業主体別に、運賃に対する消費税課税、これがどうなるか、御説明いただきたいと思います。
#87
○政府委員(高橋元君) 昨年の十二月末に税制調査会から一般消費税大綱という答申がございました。その大綱の中の考え方では、国、地方公共団体の営みます事業と、それから公共法人の営む事業のうちで民間事業と競合しないもの、これらについては非課税とすべきであるというお考えであります。ただいまお尋ねのケースについて当てはめてみますと、営団地下鉄は、私企業でございますから、これについては一般消費税が課税、それから公営交通につきましては、これは地方公共団体営でございますから非課税ということになります。公共法人である国鉄につきましては、民間事業と競合するかどうかというそういう基準についての判定が具体的な問題になるわけでございますが、民間事業と競合するというふうに認めます場合には課税という答えでございますけれども、競合があるかないか、その競合をどのような基準で判定するかということにつきまして現在主管省その他関係の方面と協議を行っているところでございます。
#88
○神谷信之助君 運輸大臣にお尋ねしますが、同じ運賃の中で、このように課税されるもの非課税のもの、こういう矛盾が生まれてまいります。運輸大臣としていわゆる運賃政策上この点についてどういうようにお考えですか。
#89
○国務大臣(森山欽司君) 一般消費税の導入に当たりまして交通サービスをどのように扱うか、十分検討を要する問題だと考えております。ただいま大蔵当局からその点についての当面の考え方が示されてございますが、そういうことをはっきり伺うのはいま初めてであります。一般的に一般消費税相当額は消費者に転嫁されることになりますから、交通サービスについて課税内容が異なれば、それぞれ運賃に及ぼす影響も当然異なってくる。それは問題だということはよくわかります。検討を要する問題であるというふうに考えておりますが、これが具体的にどういうことになりますか、現段階においてそれ以上ちょっとまだ私どもの考えはまとまっておりません。改めて……
#90
○神谷信之助君 いやいや、運賃政策上はどうですか。そういう課税されるもの非課税のもの、これは運賃に値上げするものと値上げしないものができますね。
#91
○国務大臣(森山欽司君) ただいまの大蔵当局の話ですと、経営主体が、国がやっているか、あるいは地方自治体がやっているか、あるいは一般私人がやっているかによって課税するか課税しないかが異なると、こういうことでございますから、これはまあそういう観点から見ればそういう考え方ができると思いますけれども、運賃の額の観点から言いますとアンバランスを生じますから、その点について一利一害というものがあろうと思います。ですから、最終的にどう考えていいかということは、これは慎重に考えにゃいかぬ、まあそういうふうに考えております。
#92
○神谷信之助君 まだ運輸大臣は腹が決まっておらないようでありますが、仮に国鉄運賃が対象ということになりますと、最近毎年のように運賃値上げがやられておりますから、消費税率が仮に五%とすれば、それが加算されて値上げをしなきゃならぬと、こうなります。ところで、実際それをやりますと、現在六十円、八十円、百円という最短距離の国鉄、民鉄関係の運賃、これが仮に五%とすれば三円、四円、五円ということになります。ところが、自動販売機、これは大体十円単位になっていますから、そうなると十円値上げという可能性も生まれる。いわゆる便乗値上げが避けられないということになってくるおそれもあるのですが、運輸大臣、どうお考えでしょう。
#93
○政府委員(高橋元君) 運輸御当局からお答えのあることかもしれませんが、いまお尋ねの点は、昨年税制調査会で議論を進めました際にいろいろな点から掘り下げられたことでございますので、私からお答えいたします。
 運賃は御承知のように認可制でございますから、賃率をもって決定されるということかと存じます。したがって、六十円のものが六十三円にということでなくて、賃率でまあ五%相当額の、たとえば一般消費税相当分をアップするとすれば、それは一円当たりのキロメートルというもので調整がつくではないだろうかと。ベンダーの問題につきましてもいろいろ議論をいたしまして、ベンダーの種類の取りかえというのは相当めんどうなことでございますから、現行のベンダーで十分切符の販売というものも可能ではないかと、こういう御議論がございました。
#94
○神谷信之助君 結局のところどういうことです。便乗値上げになる、あるいは逆に値下げになるということですか。
#95
○政府委員(高橋元君) ただいまのその税制調査会での御議論でも、便乗値上げを排すべきこと、それについて各般の準備をすべきこと、まあヨーロッパ諸国でも一般消費税、付加価値税導入の際に便乗値上げの排除の努力が重ねられたので、そういう先例等も勘案して十分行政的に努力すべしという御議論がございまして、ただいま申し上げました賃率の決定の際でも、まあその点は運輸御当局の問題ではございますけれども、便乗値上げもそれから値下げもないような形で五%の税負担を吸収することは可能であるということの御議論がありました。
#96
○神谷信之助君 いまの自動販売機をそのまま使用するようにして、そして率で仮に出しても、五%程度の消費税率ということになりますと、そういう端数が出てくるのは当然なんですよ。だから、この点では便乗値上げは避けられないことになるのではないかというように私は指摘をしておきたいと思うのです。
 それで文部大臣にお伺いしますが、今日、毎日の新聞というのは国民にとっては文化的な食糧となっています。したがって、ヨーロッパ諸国では非課税措置をとっておるわけですが、わが国の国民の文化的水準をさらに一層高める、豊かにしていくという見地から、文部大臣としてこれが課税対象になるということについて、好ましいとお考えでしょうか。
#97
○国務大臣(内藤誉三郎君) 新聞の消費税につきましては、文化政策上非常に大事な問題なので、その点を十分考慮しながら政府部内でいま検討中でございます。
#98
○神谷信之助君 好ましいのですか、好ましくないのですか。
#99
○国務大臣(内藤誉三郎君) 政府部内で検討中でございます。
#100
○神谷信之助君 いや、文部大臣の御見解、あなたの見解を聞きたい。政府部内の検討はわかりますよ、それは。検討しなくちゃならない。だから、人に決めてくれじゃなしに、文部大臣のあなたの見解はどうなんですか。好ましいですか。
#101
○国務大臣(内藤誉三郎君) いや、私は先ほど申しましたように文化政策上非常に重要な問題ですから慎重にやりたいと思っておりますが、いま政府部内で検討中ですから。
#102
○神谷信之助君 文部大臣としては好ましくないというお気持ちだというように理解をいたします。
 さらに、民間との競合で問題になりますのが、公共法人の中に住宅公団の家賃があります。これは当然一般消費税の課税対象になるというように思うのですが、いかがでしょう、大蔵省。
#103
○政府委員(高橋元君) 先ほど国有鉄道の場合について申し上げたと同じ考え方でございますが、公共法人の営みます事業で民間事業と競合するものにつきましては、この税は中立性の確保ということを基本的な考え方としておりますので、その場合には課税ということでございます。ただし、具体的に住宅公団の賃貸住宅が民間事業と競合するかどうか、その競合をどういう基準で判定するかという問題がまだ残っておりますので、その点につきましては国有鉄道の場合と同様、現在関係の当局と協議中でございます。
#104
○神谷信之助君 建設大臣にお伺いしますが、一般消費税がかかるというと、公団家賃をまた五%値上げするということになりますが、どうでしょう。
#105
○国務大臣(渡海元三郎君) ただいま大蔵省当局から述べましたとおり、目下協議中でございますので……
#106
○神谷信之助君 消費税がかかれば家賃を上げにゃいかぬでしょう。
#107
○国務大臣(渡海元三郎君) かかればという仮定の質問につきましては、私ちょっといま答えかねますけれども。
#108
○神谷信之助君 そうすると、公団の賃貸住宅の家賃に五%かかった場合、公団が負担をするということもあり得るということですか、家賃に乗せ
 ないということならば。
#109
○政府委員(救仁郷斉君) 大臣がお答え申し上げましたのは、まだ協議中で、上げるとも上げないとも決まっていないということで……
#110
○神谷信之助君 だから、もし……。
#111
○政府委員(救仁郷斉君) もし仮定の事実としてそういったことになれば、家賃を上げるか、あるいは他の方法で財政的な措置を講ずるか、これはまたいろいろな方法があろうかと思います。
#112
○神谷信之助君 そうすると、家賃にかけないという場合もあり得ると。ですから、たとえば国、地方公共団体の営む事業は非課税でありますから、国の公務員住宅、あるいは地方自治体の公営住宅、この家賃は非課税ということになりますね。ですから、片一方公団住宅の方は家賃に消費税がかかる、片一方公営住宅は家賃にかからぬ、こういう矛盾が起こったのでは、これは住宅政策上きわめて好ましくない、こう思うんですよ。この点、建設大臣の見解をちょっと聞いておきたいと思います。
#113
○国務大臣(渡海元三郎君) もしそうなりましたら御指摘のとおりでございますから、そういったことにならないように十分配慮さしてもらいます。
#114
○神谷信之助君 わかりました。そうすると、公団家賃にもし課税をされるということになれば、単純に家賃に加算をするということをしない別の方法を検討したいというお考えをお持ちだというように理解ができるわけであります。
 そこで、もう一つ次に大蔵省に聞きますが、屎尿やごみの収集ですね、これは民間業者が行っている場合は当然課税対象になると思いますが、いかがですか。
#115
○政府委員(高橋元君) 事業者が国内において対価を得ていたしますサービスに対する対価、その収入につきましては課税されるという原則でございますから、ただいまお示しの私営のごみ処理業者の場合には、ごみ処理収入について課税になるというのが昨年末の一般消費税大綱の考え方でございます。
#116
○神谷信之助君 そこで、自治大臣にお聞きしますが、自治体直営のごみ、屎尿の処理、これは非課税になる、しかし業者がやれば課税をされると、こうなるんです。ところが、直営でやるか業者にやらせるかというこの区域の決定は自治体がやるんです。住民には選択権がない。住民に選択権がないのに税金がかかる人とかからない人、そういう不公平な取り扱いが起こる。これについて、自治大臣、どうお考えですか。
#117
○国務大臣(澁谷直藏君) これはいま各省にお尋ねになられたのと同じケースでございまして、今後消費税の具体化に当たって関係方面とも十分協議をして結論を出したいと考えています。
#118
○神谷信之助君 次に、国と地方の配分問題に移りますが、さきに自治省が提出なさいました地方財政収支試算、これでは交付税とそれから地方税、これらを合わせましたものの国と地方の配分割合、これはどうなっていますか。
#119
○国務大臣(澁谷直藏君) 先般提出いたしました収支試算におきましては、国と地方の税源の配分の割合は現行どおりと、こういう前提で試算をいたしております。
#120
○神谷信之助君 現行どおりというのは、具体的には数字は……。
#121
○国務大臣(澁谷直藏君) それはいろいろなケースがありますから、要するに現行の配分の割合は変えないと、こういう前提で試算をいたしております。
#122
○神谷信之助君 そうしますと、現行と変わらないということであれば、五二、三%が地方に配分をされるという、そういう想定で収支試算をつくられているわけでしょう。
#123
○政府委員(森岡敞君) 税源配分と、交付税を含めた財源配分と二つ問題がございますが、税源配分につきましては、国税と地方税を合わせましたものの中で、国税分が二、地方税分が一でございますから、三分の二と三分の一という配分割合は変わらないという計算をしております。それから交付税の算定につきましては、国税の増税分のうち、従来の国税収入全体の中で交付税の対象税目である三税収入の割合、これが大体八〇%強でございますが、その分は交付税の増収として反映させていただくと、こういう計算をいたしております。年度年度によってかなり差が出てきますが、この計算でいきますと大体半々ということに相なろうかと、かように考えます。
#124
○神谷信之助君 大蔵省にお尋ねしますが、国の財政収支試算では新税の地方への配分はどうお考えですか。
#125
○政府委員(高橋元君) 国、地方の税源配分でございますが、この収支試算の中の考え方は、国、地方の税源配分がおおむね二対一という形で従来推移してまいりました。それが事務配分を反映しているということであろうという想定を置きまして、昭和四十八年から五十年までの平均の税負担率を上回る部分につきまして負担のアップ分について二対一で配分するような仮定を置きまして計算をいたしました。
#126
○神谷信之助君 大蔵大臣にお伺いしますが、いま自治省の説明では、地方財政収支試算では、一般消費税を含む増税分といいますか、新税分といいますか、これについても地方税源とそれから交付税を合わせて大体半々で分けるということで試算表をおつくりになっておるわけですが、大蔵大臣はこれは了承されているわけですか。
#127
○国務大臣(金子一平君) 一般消費税を導入いたしました場合の地方への配分をどうするかということは、目下両省で協議中でございます。地方消費税は何%ということで、これは各都道府県に配分いたしまするけれども、それじゃ、やはり窮迫度が違う市町村がございますから、そういった窮迫度を勘案した地方への配付を交付税でやるのか譲与税でやるのか、そこら辺は別でございますが、どの程度の配分にするかを目下両省で検討中ということでございます。
#128
○神谷信之助君 だから、自治省の地方財政収支試算の国、地方半々という考え方、これは了承されて自治省は提出されているわけですか。
#129
○国務大臣(金子一平君) いまの収支試算は、恐らく、これは国でも同じでございますが、七カ年計画によった収支試算でございまして、一般消費税の導入を前提としてこういうふうに分けますよというところまでは私はいっていない、国の収支試算でも同様で……
#130
○神谷信之助君 いやいや、あの収支試算の数字は了承されたのですか、大蔵大臣は。
#131
○国務大臣(金子一平君) それはまだ了承というわけではございませんで、配分の額自体が決まっておりませんから。
#132
○神谷信之助君 自治省は配分しているんです、勝手に。
#133
○国務大臣(金子一平君) それは大体の見当をつけておやりになったと思うのでございますが、その配分の率自体はまだ決まっていないわけでございます。
#134
○神谷信之助君 総理に聞きますが、了承していないとしますと、あの収支試算表を見ますと、国の方はそんなにやるつもりはまだ決めていない、地方の方は半分もらいますと、こうなっている。どっちかに大穴があく収支試算表ですよ。それが大蔵省と自治省と別々につくられている、こういうことにならざるを得ないと思いますが、いかがですか。これはもう大蔵大臣の経験豊かな総理だからすぐわかると思う。
#135
○政府委員(長岡實君) お答え申し上げます。国の財政収支試算でございますが、五十三年度に国会に御提出申し上げました資料では、経常部門のその他のところに括弧書きで地方部分を書いたわけでございます。それは現行制度で三税の三二%をはじけば内数字としてこうなるという表示をしたわけでございますが、ただいま神谷委員から御指摘の新税が導入された場合に一体どういう配分をするかという問題につきましては、現在、率直に申し上げましてまだ大蔵省と自治省の間で話を詰めておる過程でございます。そういうこともございまして、五十四年度に御提出申し上げました国の財政収支試算をごらんいただきますと、経常部門の歳出のその他は地方財政部分を特に明示いたしておりません。したがいまして、その配分の方法いかんによりましてその他の中でどれだけが地方に回るかということが決まってくるわけでございますが、そこはまだ未知数にしてあるわけでございます。
#136
○神谷信之助君 国の方はそれを未知数にして、そうして財政の赤字を克服すると。地方の方は半分もらう計算をして同じ時期にちゃんととんとんになるようにすると。これが出ておって、そして予算の議論をやれと言っても、私は大変なことだと思う。まだそういう段階なんですね、一般消費税そのものについて。
 さらに、もう一つお伺いしていきますが、食料品を非課税品目にすることによって逆進性が緩和されるというようにおっしゃっていますが、この点についてお伺いしたいと思いますが、一般消費税が導入されますと、米の生産費にどういうような影響があるのか、御説明をいただきたいと思うのです。
#137
○国務大臣(渡辺美智雄君) 税金の話ですから、全然影響がないとは申しませんが、影響があると思うほど影響はないというように私は思います。といいますのは、たとえば――詳しいことよくわかりませんよ、具体案が出ていないのですから。仮に百万円の農地を買ったと、二ヘクタール持っていると。ところが、五%仮に最高取られたと、五万円だと、一ヘクタール二万五千円と。その農地が十年もつと思ったら一ヘクタール二千五百円、一反歩二百五十円と。二百五十円で十俵ということなら一俵当たり二十五円ということですから、まあ影響があると思うほど影響はない。したがって、風がちょっと吹いたことの方がもっと影響があると、こういうことだろうと思います。
#138
○神谷信之助君 まあ風が吹いた方が、あらしが起こった方が、それは影響が大きいのは決まっているんです。問題は、それが生産者米価の値上がりにどういう影響を与えるかということになるわけです。私ども食糧の統計資料に基づいて、米の生産費、それでいろいろ試算をしてまいりました。いわゆる直接的にもろに消費税がかかるであろう物財費関係、これらを五%とし、それから種苗費とか労働費、こういったものについて、これは企画庁の言われる税率の半分ぐらいとおっしゃるから、二・五%として計算をしてみますと、生産費に対して約二・八四%ぐらいは上がらざるを得ない。少なくともあらしが吹いたよりはそんなにひどいことにならないにしても、生産者米価の引き上げをせざるを得ないというような状況が起こる可能性というのは当然あり得るわけでしょう。この点いかがですか。
#139
○国務大臣(渡辺美智雄君) ですから、先ほどお答えいたしたように、全然ないとは申しません。少しはある。一俵で何十円とか幾らとかあるかもしらぬ。しかし、生産者米価というのは、掛かりだけでなくして、労働生産性の問題もあるわけですから、天候の問題もあるし、いろいろありますから、それは毎年二時間ずつの一反歩当たり生産性が高まっていれば、その中でもう完全に吸収されてしまう。ですから、それはほかの条件が全部同じで税金の部分だけが重くなるんだということになれば少しはあるだろうと。それはちょうど農機具を使ってガソリンを使えば生産者米価に影響があるかという話と同じですからね。ガソリンをどんどん使っておっても、労働生産性が上がって全部吸収されていると、賃金の部分だけは上がっているから、そういうものが米価に反映しているということですから、結果的にはこれは計算をしてみなきゃわからないということだと思います。
#140
○神谷信之助君 計算してわからないというのは、計算なさっているんですか。
#141
○国務大臣(渡辺美智雄君) 計算をしてみないと、大綱がまだ詳しいことがわかっていないわけですから。私は大した影響はないと、こう思っております。
#142
○神谷信之助君 私どもが計算をしてみますと、やっぱり生産者米価に影響が出てくる。逆ざやを生まないという政府の方針からすると、当然したがって消費者米価の値上げをせざるを得ぬということになります。食料品は非課税といたしましても、いま、一つ米ですけれども、米価の問題を言いましたが、同様のことがずっとそれぞれに起こってくるわけですが、総理にお尋ねいたしますが、これでは逆進性が緩和されるということにはならぬじゃないかと思いますが、いかがですか。
#143
○国務大臣(大平正芳君) 先ほどからの御議論を聞いておりますと、税金として考えておるわけでございますから、影響がないような手順はないわけでございまして、どこかに影響は出てくると思うのでありまして、問題はどういう税の構造を工夫していくかということでございますが、いずれにいたしましても、ある程度の影響はなければおかしいので、あるのは当然だと思います。
#144
○神谷信之助君 こういうように影響が出てくるわけであります。いま時間がありませんからほかのものには触れませんが、多くの矛盾を抱えている一般消費税であります。ですから、私は、これは提案をすべきではないということがますますはっきりしてきたというように思うんです。
 それでは、今日の財源問題をどうやって解決するのかということでありますが、私どもは、すでに御承知のように、一般消費税を導入をしなくても、第一に大企業優遇税制の改革、あるいは第二に軍事費の大幅な削減、第三に公共事業の生活基盤重点への転換、第四に国民本位の行政改革を行う、こういうことで財政再建ができるということを提起をしております。
 具体的に申し上げたいと思いますが、お手元に資料を配付いたしました。第一表、大きい表であります。これは五十二年度の申告所得の上位二十社について特権的な優遇措置を廃止すると――この中身は何を廃止するかは表をごらんいただいたらわかると思いますから説明を省きますが、これだけでも、試算によりますと、大きい紙の三枚目の数字の欄の三つ目の欄の一番下、丸がしてありますが、千九百四十七億円増収になります。さらに資料の第二をごらんいただきたいと思いますが、この上位二十社に対して、わが党の主張する税制改正、その内容はここに書いてありますから省略をいたしますが、この内部留保分に対する税収を単年度で見ましても九百七十億、こういうことになります。それから資料第三、これでごらんのように、すでに廃止をいたしました会社臨時特別税ですね、これを復活をさして課税をするとしますと、上位二十社だけで三百八十四億の増収が可能となります。これはわずか上位二十社の例をとったわけであります。
 ですから、非常に問題の多い大衆課税の悪税であるこの一般消費税を導入するよりも、こうした大企業優遇税制の改革こそ早急に実施をすべきであると思うわけです。これは大企業優遇の財政制度を相変わらず続けるのか、それとも大企業にも中小企業や国民並みに税金の負担をしてもらう、そういう態度をとるのかということの違いだというように思います。総理の見解をお尋ねしたいと思います。
#145
○国務大臣(金子一平君) いま資料をちょっと拝見しただけでございますが、資料の2に出ております各種引当金、準備金については相当思い切った圧縮をいたしております。これを全部廃止しろという御意見かもしれませんけれども、たとえば退職給与引当金なんぞを全部なくしたらそれこそ大きな影響もございますし、毎年毎年こういった税収自体が定期的に入るというようなことはとうてい考えられません。また臨時利得税も特別税でございますが、先般やった過去の経緯がございまするけれども、相当無理な税金であって、会社が合理化をやったところが課税になって、合理化をやらないところが税金を納めんで済むというようないろんな弊害もございまして、私どもは、こういったことで現在の財政の赤字を埋めるわけにはなかなかいくまいと考えておるのでございます。
 また、あなたの党でお取り上げになっております益金不算入等の法人・個人の仕組みの基本にかかわる問題につきましては、これは十分検討せにゃいかぬことでございまするけれども、なかなか簡単に結論が出せない問題でございますので、やはり毎年毎年相当の税額を上げようとすれば勢い何らかの方法による増税を考える段階にいま来ておるというふうに私どもは考えておる次第でございます。
#146
○神谷信之助君 総理の答弁の前に、ちょっといま間違っていますからね、大蔵大臣。退職給与引当金は廃止をすると言っているのじゃありません、繰り入れ率を半分にする。それも五年間の経過期間を置いて半分にするのですから、これは訂正しておきます。その上で総理の見解を聞きます。
#147
○国務大臣(大平正芳君) これは両院を通じまして今日までもずいぶん論戦をやってきた問題でございまして、第一に何が租税特別措置かということから、あなたの方と私の方と見解を調整せにゃいかぬと思うのでございまして、企業会計の原理から申して当然やらなければならぬことまで特別措置ということで切り詰めていきますと、結局、企業の維持ができなくなる、将来に対する税源を枯渇さしてしまう危険が伴うんじゃないかと私は憂えます。したがいまして、その点は、両方議論のベースをきちんと合わしていかなければならないのではないかという点を一点申し上げておきたいと思います。
 それから第二点は、先ほど大蔵大臣も言いましたように、いろんな工夫をいたしますけれども、今日の財政危機を克服していく場合におきまして、われわれが不足すると見る財源は大変巨額なものになるんじゃないか、在来の既存の税制をいじって浮かす程度ではとても間に合わないんじゃないかというように思っておりますので、どういうところに財源を求めるかという点にはいろいろ御議論があろうかと思いますけれども、政府は、いろいろな点を考えまして、一般消費税ということが一番選択としては賢明じゃないかというように考えておるということだけを申し添えておきます。
#148
○神谷信之助君 それではスモン被害者の救済対策の問題に入ります。
 まず、総理にお伺いしますが、四つのスモン判決についてどうお考えかお聞かせいただきたい。
#149
○国務大臣(大平正芳君) 政府といたしましては、この判決におきまして政府の法的責任を直ちに問われるということに対しましては直ちに承服できませんので、その点はさらに上位の裁判所の判断を仰がなければならないのではないかと考えておりますが、しかし、現実にスモンの患者の皆さんの現状は放置しておけないのではないか、それに対しましてできるだけの措置を事実上講じなければならないのではないかと考えておりますが、詳細は厚生省の方からお願いしたいと思います。
#150
○神谷信之助君 総理に重ねてお伺いしますが、スモンは世界最大の薬害の事件だと言われています。この悲惨な薬害事件、これは患者の責任で起こったんでしょうか、その点どうです。――総理、どうです。簡単なことだ、むずかしいことじゃない。
#151
○国務大臣(橋本龍太郎君) 患者の責任で起こった病気ではございません。
#152
○神谷信之助君 総理はどうですか。
#153
○国務大臣(大平正芳君) 私も詳しくは存じませんけれども、患者の責任であると断定はできないのではないかと思います。
#154
○神谷信之助君 それじゃ製薬会社の責任でしょうか。
#155
○国務大臣(橋本龍太郎君) 現在、訴訟の進行中の状態でありますので、その点についての意見は差し控えたいと思います。ただ、私どもとしては、一日も早く一括解決を図りたいということで和解に努めておるわけでありまして、そうした努力を今後とも続けてまいりたいと思っております。
#156
○神谷信之助君 国の責任はどうお考えです。
#157
○国務大臣(橋本龍太郎君) 現在、訴訟を進行中の部分についての意見は差し控えさせていただきたいと考えております。現在、四つの地裁判決が出ておるわけでありますが、その法的な公正につきましては上級審の御判断をなお仰いでおる部分があるわけでありまして、意見は差し控えたい、そのように思います。
#158
○神谷信之助君 ひとつ総理にお伺いしたいんですけれども、私はそれでは非常に責任をあいまいにしていると思うんですよ。スモン患者の皆さんは国が承認をした薬ですから安心をしてお飲みになった。その結果、自殺をしなければならなかった人あるいは失明をした人、全身不随になった人、非常に多くの方々が悲惨な状態で二十年間も放置されてきているんです。やむなく裁判に訴えてもうすでに八年たっております。その間にもスモン患者の方々は一人また一人と亡くなっているんです。被害者のこういう実態を素直に見るなら、私はこれ以上放置をすることは許されぬと思う。法律上の責任についていろいろ言い分があるかどうかは別にしても、早期に少なくとも全面的な解決を図る必要があると思いますが、その御意思があるかどうかお伺いしたいと思います。
#159
○国務大臣(大平正芳君) その点につきましては私も同感でございまして、法律問題といたしましてはなおむずかしい問題でございまして、検討せにゃならぬ問題は残されておると思いますけれども、しかし、患者の早期救済という見地からは各種の施策はどんどん進めていかなければならぬものと思います。
#160
○神谷信之助君 厚生大臣、早期かつ全面的解決のめどをいつに置いておられますか。
#161
○国務大臣(橋本龍太郎君) 御承知のように、問題の解決に当たりまして難航した原因が幾つかありました。ただ、その中で和解を拒否しておりました田辺製薬につきましても、そのほかの部分は別といたしまして、患者の救済という一点に関しましては政府の方針に同調するということをすでに申し出ております。
 また、投薬証明のない患者の方々の救済につきましても、現在、可部判決の延長線上の問題として東京地裁に御判断を仰いでおるところでありますので、そう遠くないうちに私はそれに対する見解を示していただけると考えております。
#162
○神谷信之助君 具体的には。
#163
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは裁判所の問題でありますから、具体的にいつお示しをいただけるかということは私にはわかりません。ただ、できるだけ早い機会にこれをちょうだいできることを私どもとしては祈っているわけでありまして、これを踏まえて一括解決のための努力をしたい、そのように考えております。
#164
○神谷信之助君 まだ早期解決を進める上で幾つか問題がありますが、その一つの問題として鑑定問題があります。この状況はどうでしょう。
#165
○国務大臣(橋本龍太郎君) スモン訴訟における鑑定は、裁判所が著名なスモン関係の臨床医の方十五名を選んでいただいて行っているわけでありますが、いまのところ順調に鑑定は行われていると考えております。
#166
○神谷信之助君 具体的にちょっと言ってくださいよ。
#167
○政府委員(中野徹雄君) お答え申し上げます。
 現在、患者数で大体四千前後の者がございますが、裁判の進行の状況に応じましてその鑑定に付されます。鑑定に付された者の数が二千四百で、その中ですでに鑑定結果が示されている者が千八百ございます。当初、患者の方々にはこの鑑定に非常に時間がかかるという御心配があったようでございますが、私どもの判断といたしましては、非常に急速に、かつ円滑に鑑定が進行しているものというふうに考えます。
#168
○神谷信之助君 昨年、薬務局長は、患者団体に対しては昨年中に全部終了するというようにおっしゃっていたようですけれども、そうなっていない状況です。
 もう一つお尋ねしますが、この鑑定なさった結果で、主治医がスモン患者という診断をして裁判を提起をしている中で、鑑定の結果スモン病ではなかったという人はおられましたか。
#169
○政府委員(中野徹雄君) 現在まで鑑定結果が示されておりますところの千八百名につきましては、つまり鑑定がもうすでに示されている者ですね、結果が示されている者については、先生の御指摘のようなノーという返事の者はございません。
#170
○神谷信之助君 福岡あるいは広島判決では、この鑑定抜きで、そのかわりに統一医師団あるいは一主治医の診断結果、これを採用しているわけであります。一方、厚生省の方もすでに診断の基準を公表されています。したがって、こういった主治医の意見あるいは診断、これらを尊重して、鑑定制度にこだわらないで認定を促進をするということ、これはひとつ早期解決を進める上でも必要なことではないかと思いますが、いかがですか。
#171
○政府委員(中野徹雄君) お答え申し上げます。
 私どもといたしましては、現に進行中の鑑定は、御承知のように、東京地裁が原告、被告両方の意見を聞いて、その上で、かつまた申請手続としましては原告側から出された申請に基づいて採用された統一鑑定方式でございます。私どもといたしましては、やはり国民の納めた税金を使用いたしましてその事柄の解決を図る、患者の救済を図るということの重大性にかんがみますれば、やはり全国統一的なかつ公正な認定ということから考えまして、現行の鑑定方式によるべきものというふうに考えております。
#172
○神谷信之助君 診断の結果スモン病と認定された患者が鑑定をしても一人もノーというのはなかったというのが現在までの実情だし、そしてしかも診断基準が公表されているんですから、この点はひとつ、裁判のいまの状況もありますからなんですが、早期解決を真に図ろうとするならば、鑑定制度にこだわらずに、これを促進できる方法を具体的にやっぱり検討する必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
#173
○政府委員(中野徹雄君) 私どもといたしましては、鑑定の進行速度が非常に心配されていたようなことがなくて、非常に円滑かつ迅速に行われているということ、それから診断基準も実は四十五年につくられたものでございまして、これによれば鑑定が非常に容易であるという説もあり、一方でやはり神経内科系統の専門家の意見によりますと、高度の専門家の判断を要するという意見も分かれておるところがございまして、先生の御指摘は一つの御意見だと思いますが、私どもは現在の統一鑑定方式を改める意思は現在のところございません。
#174
○神谷信之助君 そういうがんこな態度をとっていたんでは、私は進まないと思います。
 それで、これは厚生大臣ひとつその点はかたくなな態度をとらないで、いろいろ検討してもらいたいと思いますが、いかがですか。
#175
○国務大臣(橋本龍太郎君) 検討はいたします。
 ただ、東京地裁におきましては、御承知のように、患者側から鑑定を要求されたというような経緯もございますので、こうした点も私どもとしては踏まえて考えていきたいと思っております。
#176
○神谷信之助君 患者のグループもいろいろありますから、それらの方々の意見も含めて、後で触れますが、やってもらいたい。
 第二は、投薬証明のない人の問題ですが、先ほどはその点についてもお触れになりましたが、投薬証明のない人たちについても差別なしに投薬証明のある人と同じ水準で解決すべきだと思いますが、この点厚生大臣いかがですか。
#177
○国務大臣(橋本龍太郎君) 一括解決を図りたいと申し上げております中には、当然、そうしたものも含んで考えておるわけでありまして、その考え方のもとに東京地裁の御判断を仰いでおるというのが現状でございます。
#178
○神谷信之助君 さらに全面解決のためには、一時金のほかに、これから後のいわゆる生活保障の確立の問題、これも避けられないと思いますが、いかがですか。
#179
○国務大臣(橋本龍太郎君) よく御承知のように、すでに和解患者につきまして千名をはるかに超えるところまで来ておるわけでありますけれども、最低一千万から最高約五千万円ぐらいの一時金、そのほか重症の患者に対しては製薬会社から月額十万円または六万円、物価スライドつきの介護費用が支払われるという内容であります。ですから、国としては、金銭的に評価できるものについては判決または和解の一時金の中に含まれておると理解をいたしておりますけれども、いわゆる恒久対策として実施すべきものについては、患者の要望も踏まえ、一般施策としてすでに実施に移しておるところでもありまして、これは今後のお話の中で、また金額的なものとは別に、患者のニーズに対する福祉サービスの面から等考えられる部分はあろうかと思っております。
#180
○神谷信之助君 いま、今日までの四つの判決は、一つは、国と製薬三社の法的責任を明確にしている点、それから第二には、損害賠償額も可部和解時の水準を超えて原告の請求額に近づいてきているという特徴があります。政府は、この四判決の重みというのを十分受けとめて、すべての被害者団体と十分に話し合って、これからの生活の保障の確立をも含めまして、さらにまた四千七百人の、いわゆる原告の救済はもちろんですが、すべてのスモン被害者の救済の促進ができるような十分な関係患者諸団体との話し合いを行う、そして全面的にかつ早期の解決を図る、こういう方向で万全の努力をすべきだと思うんですが、その点での厚生大臣の見解、決意を聞いておきたいと思います。
#181
○国務大臣(橋本龍太郎君) 法律上の議論とは別に、この問題の早期解決を図ることは非常に大きな社会問題であると私どもは考えております。それだけに、今後とも、この問題の一括解決というものに対して全力を挙げてまいりたい、そのように考えております。
#182
○神谷信之助君 全力を挙げてやるとおっしゃっておりますが、ス全協の方々に対して、昨年、薬務局長が責任を持って製薬会社との交渉ができるようにすると約束をなされたようでありますが、これがまだ果たされていません。こういうことではなかなか信頼をされないのではないかという点を指摘をしておきたいと思うのです。
 最後に、総理に重ねてお伺いしますが、スモン患者の皆さんは何の責任もないのに今日まで長い間、長期にわたって悲惨な生活を強いられてきています。しかも、この苦しみのわかる政府なら、あるいはまた国民生活の安定こそ政治の要諦と考える政府なら、仮に政府としての法律上の主張があるにしても、右手で剣を振り上げながら、左手で握手を求めるかのような控訴は私はすべきではないと思うんです。また、このような国の姿勢では製薬会社に対しても正しい指導がやれない、そういう批判も当然だと思うのです。真に早期かつ全面的解決を願うならば控訴取り下げを再検討なさってはいかがかと思いますが、お伺いしたいと思います。
#183
○国務大臣(大平正芳君) お尋ねの件につきましては、政府部内におきまして十分検討いたしました結果、国の責任に関する判断につきましては、今後の行政に与える影響も重大であり、さらに上級審の判断を求めるべきであるとの結論に達した次第でございます。御了承をいただきたいと思います。
#184
○神谷信之助君 これで午前は終わります。
#185
○委員長(町村金五君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。
 午後一時から委員会を再開し、神谷君の質疑を続けます。
 これにて休憩いたします。
   午前十一時五十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時六分開会
#186
○委員長(町村金五君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和五十四年度総予算二案を一括して議題とし、神谷君の質疑を続行いたします。神谷君。
#187
○神谷信之助君 選挙の公正は保証されなければなりません。そこで、総理にまずお尋ねいたしますが、筑波大学の学生が買収選挙で摘発をされました。まあ不起訴になりましたが、彼らはそれほど悪いことをしたとは思っていない、アルバイトのつもりだと言っています。あるいはまた、石川県の野々市町の町長選挙で札束が乱れ飛んで、町会議員十八人中わが党の議員を除いて十七人が逮捕されて、三月議会も開催をされないという事態が起こっています。さらには、選挙に対する自由の妨害、あるいは会社の経済支配力を利用したところの利害誘導などが広く平常の状態のような形で進行している。これは選挙の公正をきわめて害するものとして私は憂慮にたえないと思うんですが、この点についての総理の見解をまずお伺いしたいと思います。
#188
○国務大臣(大平正芳君) いま挙げられました事案は、いずれもきわめて遺憾な事案でございまして、選挙の公正を期する立場から、私どもといたしましては、今後この事案の処理自体を含めまして対策に万全を期して、こういった事態の再発を防止することに全力を挙げなければならぬと思っております。
#189
○神谷信之助君 自治省、公選法の第二百二十一条の利害誘導罪の構成要件について簡潔に説明をしてください。
#190
○政府委員(大橋茂二郎君) 公選法第二百二十一条第一項第二号の利害誘導罪の構成要件でございますが、第一には、特定の候補者の当選を得もしくは得しめ、または得しめない目的をもって誘導行為がされることということが一つでございます。第二は、誘導行為が選挙人または選挙運動者に対してなされることということが第二でございます。第三が、誘導行為が選挙人または選挙運動者自身の特殊の直接利害関係を利用する、あるいは選挙人または選挙運動者と関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等の特殊の直接利害関係を利用して誘導するものである。以上の三要件であると承知いたしております。
#191
○神谷信之助君 この特殊の直接利害関係について、自治省の見解をお伺いいたしたいと思います。
#192
○政府委員(大橋茂二郎君) 特殊の直接利害関係と申しますと、特定の、あるいはある限られた範囲の選挙人もしくは選挙運動者あるいはその者の関係する団体にとってのみ特別にしかも直接に利害関係があることをいうものでありまして、一般の選挙人または選挙運動人に共通する利害関係や間接的または反射的な利害関係、たとえば当選したら減税に協力するというようなことは、ここでいう特殊の直接利害関係には該当しないというふうに考えております。
#193
○神谷信之助君 さらにその内容、利害関係であるというその内容が具体的にどういうことになっていますか。
#194
○政府委員(大橋茂二郎君) ただいま例示として申し上げましたが、たとえば社寺等に関しまして、社寺に寄付をする、そうすれば、それに対して引きかえにおまえは投票をするかというような形の場合が具体的な例でございます。
#195
○神谷信之助君 したがって、この特殊の直接利害関係の中には、会社内における人事関係あるいは会社と下請会社との間の取引関係、これも含まれるというように一般論としては解してよろしいか。
#196
○政府委員(大橋茂二郎君) 会社における政治関係というものは、しばしば御論議になりますが、会社自身は一つの社会的実在として政治的行為ができるということでございますので、その認定はなかなかむずかしい。ただ先ほど申しましたような、当選を得、得しめ、または得しめない目的を持って直接の利害関係があれば該当すると……
#197
○神谷信之助君 いや、特殊の直接利害関係の中に含まれますかと言っている。
#198
○政府委員(大橋茂二郎君) そういうような場合は、個々の具体的な事例に即してやはり判断しなければ、にわかには断定できないというふうに考えられます。
#199
○神谷信之助君 一般論としても。
#200
○政府委員(大橋茂二郎君) はい、さようでございます。
#201
○神谷信之助君 通産省に聞きますが、商工会議所法の第四条三項及び中小企業等協同組合法第五条三項、これが特に設けられている趣旨、それについて御説明をいただきたいと思います。
#202
○政府委員(左近友三郎君) 中小企業等協同組合法等におきまして、「組合は、特定の政党のために利用してはならない。」という規定がございます。これは組合というものがあくまでも相互扶助の精神に基づきまして、中小企業者等が共同の事業を行うという組織でございますので、これに政治的な色彩がつかないようにということで、中立性を守るということを決めてあるというふうに解釈をしております。商工会議所等も同じであろうというふうに考えております。
#203
○神谷信之助君 警察庁に聞きますが、五十四年の三月に、かたおかしろう外四人が大阪府警本部長に対して告発をいたしました。その告発の事実について御説明をいただきたいと思います。
#204
○政府委員(小林朴君) 本年の三月七日に公職選挙法違反で、これは利害誘導罪でございますが、大阪府警に告発をされた者がございます。
#205
○神谷信之助君 その告発の事実について説明をしてください。
#206
○政府委員(小林朴君) 堺市内のある会社で、関係の業者を集めて選挙運動の依頼をしたというような意味のものでございます。
#207
○市川正一君 関連。
#208
○委員長(町村金五君) 関連質疑を許します。市川正一君。
#209
○市川正一君 ただいまの問題について、共産党として現地調査に参りまして、私も参加いたしたのでありますが、それに関して関連の質問をいたします。
 告発状にも明らかでありますけれども、被告発人の職務を見ますと、たとえば外注管理課長、これは下請の外注関係を管理しております。こういう立場にある者が勤務時間中に下請関連会社の代表を集め、そして新日鉄の経済的支配力に支えられた商取引関係あるいは雇用関係をバックにして特定候補を支持する方針を伝え、そして紹介者の名簿の提出を指示しております。現にその結果として、当日集められた下請の一つである奥村組では、ここにありますが、関西支社の庶務課、その名による文書、「このたび、新日鉄――当社堺営業所より、強力な協力依頼がありましたので、無理なお願いとは思いますが、よろしくお願いします。」こういうことで、こういう用紙まで添えて、そしていわば票読み活動を指示しております。こうした新日鉄のやり方は、公選法二百二十一条の利害誘導罪に該当するものであると考えますが、国家公安委員長、速やかに厳重な捜査を求めるものでありますが、御見解を承りたい。
#210
○国務大臣(澁谷直藏君) 御指摘のような企業ぐるみの選挙についてのいろいろな議論があることはもう御承知だと思います。
 ただいまの事件につきましては、すでに告発されておりまして、警察で捜査中でございます。いずれ適正な結論が出てまいると思います。
#211
○市川正一君 厳正でかつ厳重な捜査を期待いたします。
 次に、先ほど神谷委員の方から、中小企業等協同組合法の第五条、商工会議所法の第四条の質問をして、説明を承ったのでありますが、私は大阪に参りまして、たとえば大阪府中小企業団体中央会が、太田会長名で傘下の組合や企業の代表者に、別組織の大阪中小企業政治経済研究会への加入を呼びかける、あるいはまた太田会長が特定の支持候補を支援する集会を呼びかける、その代表人となってあいさつも予定する、こういうことがございました。これは幸いにも、文書は取り消し廃棄処分にする、あるいはまた呼びかけ人をやめるなどの良識ある是正がとられましたが、なおその文書の中には、政治経済研究会の事務局が全国中央会に置かれているとされております。文書を出しております。一般論としてもこのような協同組合あるいは商工会議所などが、経済活動を目的とする団体が、特定の候補のために活動することは、選挙の公正を害し、その趣旨からしても好ましくないことと考えますが、通産省、いかがでございましょうか、しかるべき措置を伺いたい。
#212
○国務大臣(江崎真澄君) 中小企業団体中央会というお話ですが、中央会は政治的中立の明文の規定はございません。いまお示しのように、大阪中小企業政治経済研究会というものをつくったもののようですが、それは個人の資格でつくったのかどうなのか、そのあたりに問題があるように思いまするから、よく調査しないとはっきりしたお答えはできませんが、団体として行動することは、先ほど中小企業庁長官がお答えしたとおりでありまするが、個人の資格で政治経済研究会をつくって、これが政治活動をするということであれば、これはおのずとまた話が別になってくるというふうに思います。
 それから、大阪の商工会議所の大阪商工振興研究会、これは調査しました結果によりまするというと、あくまで個人の資格であります、商工会議所メンバー以外の者も参加しておりますという回答が来ておる次第でございます。
#213
○市川正一君 会長としてやってやっていますから。
#214
○神谷信之助君 通産大臣、昨日資料を渡してあるんですがね。大阪府中小企業団体中央会の会長の太田さん、同時にまた大阪中小企業政治経済研究会の会長の太田さん、ですから大阪府中小企業団体中央会会長の太田さんの名前で文書が出ている。これは政治的中立をうたっています先ほどの協同組合法の五条等からいっても、法の趣旨からいっても問題がある。したがって、太田さんは、わが党の指摘に対して、これはぐあいが悪い、好ましくないということで、すでにこれは廃棄をしてお取りやめになった。ところが、その中には、全国的にそれやっていますと、そして事務局は全国中央会に置いていますと、こうなっているんです。全国に同様なことが行われる、あるいは全国中央会のところに事務所を置いて全国的にその運動を進めていると、こうなれば、しかるべき措置が必要ではないか。
 さらに私どもは、選挙にもう入りましたが、それに対して、したがってそういう疑惑の起こるようなことのないように、通産省としてもしかるべき指導はおやりになる必要があるんではないか。この点についてお伺いしたい。
#215
○委員長(町村金五君) 神谷君、時間が参りました。
#216
○国務大臣(江崎真澄君) いわゆる中小企業団体の中立性の問題につきましては、選挙のたびにすでに指導しておりますし、今回も中立性確保の指導をした次第でございます。
#217
○神谷信之助君 終わります。(拍手)
#218
○委員長(町村金五君) 以上で神谷君の総括質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#219
○委員長(町村金五君) 次に、中村利次君の総括質疑を行います。中村君。
#220
○中村利次君 十三日のロンドン、ニューヨークの外為市場で円が急落をいたしました。十四日の東京外為市場でやはり円が急落をいたしました。この原因と、この急落に対する御所感をまず承りたいと思います。
#221
○国務大臣(金子一平君) 最近の円・ドル相場は、日本の黒字幅がだんだんと縮小してまいっておりますし、特に石油問題で、先行きの見通し観が大変むずかしくなったというようなことを背景にして円安の傾向をたどっておると思います。特にエクソン社の石油供給を削減するという通告が報道されました十三日の海外市場で円が急落いたしまして、十四日の東京市場の円相場も二百九円台となりましたけれども、海外市場での円の買い戻しの動きを受けました本日の東京市場のただいまの相場は二百七円台、そこまで戻してきております。いわば円の黒字幅の圧縮ということと石油の先行き見通しという点が、こういうような円安になりました原因と私どもは考えております。
#222
○中村利次君 石油問題、石油の需給関係に絡んでどうも国際通貨が波乱をする、中に投機も入るというような点については、日本は特にエネルギー資源小国ではなくて無資源国ですよ。無資源国で、石油の需給バランスが崩れた場合には、エネルギー需給バランスが崩れた場合には、もうこれはとんでもないことになるということの証左だと思うのです。
 そこで日銀総裁、どうも御足労を煩わしましてありがとうございます。積極的に介入をされたということが伝えられますけれども、積極的介入をされるのかどうか。それから、その理由についてまずお伺いいたします。
#223
○参考人(森永貞一郎君) 昨年十一月にアメリカがドル防衛策を発表いたしましてから全面的にドルが強くなっておるわけでございますが、特に円との関係で強くなっている。言いかえますと、ドイツマルク、スイスフラン等の安値率に比べまして円安率の方がはるかに大きいことは御承知のとおりでございまして、その背景にはただいま大蔵大臣から仰せられましたような背景があるわけでございます。
 昨日、一昨日、少し変化が大きかったわけでございますが、それにはやはり市場合理の行き過ぎがあるような感じがいたします。投機的な円売りがかなりまじってきておるような感じがするわけでございまして、変動相場制でございますので為替相場は市場の決定にゆだねなければなりませんけれども、投機的な要因でその変動が余りにも大きいような場合にはやはりこれをならす必要があるわけでございますので、そういう事態に際しましては果敢に売り介入もいたしておるのが現状でございます。さすがにきのうの相場は少し行き過ぎまして、欧米におきましても少し円高に変化いたしまして、きょうは少し二百七円台というようなことで落ち着いておるわけでございます。介入につきましては、変動相場制でございますので、やはり激動を緩和するという観点から実施いたしておるのでございまして、そのときどきの為替市場の情勢に応じて適切な処置をとっていくということだと存じます。幸い本日は落ち着いてまいりましたので、それほど大きな売り介入をしない状態になっておる次第でございます。
#224
○中村利次君 円高の場合にもやっぱり介入をされたわけですね。円安の場合にも積極的に介入をされる。これは円高にしても円安にしても、いずれも日本経済あるいは景気、物価、ひいては国民生活に重大な影響があると思うのですけれども、国民のほとんどは素人でございますから、そういう経済のメカニズムというのですか、そういうものについてはどちらかといえば弱いと思うのです。ですから、円高のときにも介入し円安のときにも介入する、一体どうなっているのだと、こういう感じは確かにあると思いますが、その点についてひとつもう少し御解明をいただきたいと思うのです。
#225
○参考人(森永貞一郎君) 為替相場は為替市場の需給によって決まるわけでございますが、その背景にはその国の経済の状態、それを反映した為替市場における需給関係が反映されるわけでございますので、変動相場制のもと、その市場で決まります相場を無理やりにある一点に固定し、あるいはある方向に誘導するというようなことは避けなければならないと思いますけれども、円高にしろ円安にしろ、余りにも大きな変化がございますと、そのことが国民経済に大変混乱を招く心配がございますので、円高の場合も円安の場合にも、投機的な理由などによって大きな変化が起こるような場合には介入をいたしておるということでございます。もちろん希望といたしましては、余り為替相場が大きく変化せず、比較的落ち着いた安定した範囲内で推移することが望ましいのでございますが、変動相場制のもとではやはり経済の実情、為替市場における需給の実情を反映して変動はやむを得ない、その変動が余り大きくなった場合に介入するという、そういう立場でございます。
#226
○中村利次君 これは、まだいろいろ経企庁長官あるいは総理の御見解等も伺いたいところですけれども、全く時間がありませんので、日銀の総裁、大変どうもありがとうございました。
#227
○委員長(町村金五君) 森永参考人には御多忙中のところ御出席いただきまして、ありがとうございました。御礼申し上げます。御退席いただいて結構でございます。
#228
○中村利次君 次に進みますけれども、この第二次大戦で中国の東北地区、いわゆる旧満州ですね、ここは終戦直前ソ連の参戦という特殊事情がありまして、太平洋地域の戦場とは条件的に異なるものがあるわけでありますけれども、この遺骨の収集あるいは慰霊等について、長年にわたって御遺族あるいは満蒙開拓団ですか、の皆さんの強い御意向があったようでありますが、いろんな理由でこれはどうも問題にされなかった。そのいきさつと現状について厚生大臣のお答えをいただきます。
#229
○国務大臣(園田直君) 私の方からお答えをいたします。
 いまの問題は、御承知のごとく、ただいまお願いしている予算の厚生省所管の中にこの遺骨収集団の費用が計上してあるわけでございます。そこで、厚生大臣からも私に強く要望がありましたし、私も大事なことだと考えておりましたので、先般中国の副主席が訪米の帰り道にお寄りになったときに、中国の外務大臣と私と相談をいたしました。御承知のごとく、日本の遺族の気持ちというのはよくわかりますが、また中国には中国の国民感情があるわけであります。もう一つは友好条約締結によって過去のいやな戦争はお互いに忘れよう、こういった時期でもありますので、遺骨収集団というのはどうも何だかそぐわない気がするから、いまおっしゃった慰霊巡拝団ということで検討してみよう、こういうことでいま具体的な検討をお願いしている段階でございます。
#230
○国務大臣(橋本龍太郎君) いまの外務大臣の御答弁に補足させていただきます。
 旧満州地区における戦没者数は、軍人軍族六万六千四百名、一般邦人十七万九千名程度と言われております。計二十四万五千四百名であります。引き揚げ時に送還をいたされました御遺骨の数は三万八千九百柱、残留遺骨数は推定約二十万六千五百柱でありまして、そのうちに一般邦人は約十四万柱、そのように考えられております。
 いま外務大臣のお話にありましたような経緯で、いま外交ルートをもちまして慰霊巡拝についての交渉をお願いいたしておるわけでありますが、今次大戦におきまして、中国側は日本の約三十倍に及ぶ犠牲者を出しておるわけでありまして、これまでの中国側の姿勢から見ましても、なかなか旧満州地区における慰霊巡拝というものは容易ではないと考えております。しかし、外務大臣に非常な御努力をいただいておりまして、外交ルートの上で御交渉を願い、本年度中にぜひとも慰霊巡拝の実施をいたしたい、そのように私どもとしては希望いたしておる次第であります。
#231
○中村利次君 中国には中国の国民感情があると思いますし、また日本の御遺族あるいは関係者にもやっぱりそれなりの私はいろんな要望があると思います。それに基づいて、過去を忘れて永遠の平和を樹立しようという、その平和友好条約ができた機会にこの問題を取り上げて要請をされたというのは、きわめてタイミングとしてもよかったと思いますが、感触はいかがでしょう。
#232
○国務大臣(園田直君) いま具体的な検討をお願いしている段階でございますけれども、厚生省に計上された予算がむだにならないように、具体的な方法が出てくると判断をいたしております。
#233
○中村利次君 大いに期待いたしますけれども、五十四年度といいますと、特に東北地区は非常に寒冷地区ですから、よほど急ぎませんと、いわゆる何月ごろでしまうか、九月か十月、いや九月ということはないでしょうけれども、十月か十一月ごろまでに実現をしなければこれは問題にならないと思いますが、いかがでしょう。
#234
○国務大臣(園田直君) 事務当局も、先般中国のアジア局長が来たときにこの話を詰めておりますので、御希望のようにできるものだと考え、なおこの上とも一層の努力をいたします。
#235
○中村利次君 私は、これは外務大臣が直接行ってという、そういうオーバーなことを言うつもりは全くありませんけれども、特殊な例としてどうしても実現をしていただけると確信をしますが、どういう方法で今後の交渉をされるのでしょう。
#236
○国務大臣(園田直君) その方法をいま詰めておるわけでありまして、許すか許さぬかということを詰めておるわけじゃございません。大体そういうことでやろうということで方法を詰めておるわけでございますから、いましばらくお待ちを願いたいと存じます。
#237
○中村利次君 これももっとお伺いをしたいとこです。しかし、何とかこの五十四年度内に慰霊巡拝ができる、こういう努力を外務省としては全力を尽くしておやりになる、こういうぐあいに受け取ってよろしいですね。
#238
○国務大臣(園田直君) そのとおりでございます。
#239
○中村利次君 積極的な御努力をひとつお願いをいたします。
 次に、五十四年度の沖繩開発庁の予算に尖閣諸島の調査経費が計上されておるわけであります。これはどうも伝えられるところによりますと、森山運輸大臣があすこにヘリポートをつくるんだ、それらの調査の費用であるということのようでありますが、事実はどうでしょうか。
#240
○国務大臣(三原朝雄君) 御指摘のように、ただいま御審議を願っております総理府におきまする調査費として三千万を計上いたしております。このこと自体は森山運輸大臣の言われたことについて多少の関連を持っておりますので、その計画、企図を申し上げてみたいと思います。
 尖閣列島は、御承知のようにわが国固有の領土であることは明確であるわけでございます。ところが、現在まで同諸島の実際の自然条件でございまするとか、あるいは地形地質等の調査が行われておりません。そういうことでございまするので、私どもそうした実態を調査して、地域振興をどうしたらよかろうかということを探ってみたいということで実は調査費を計上いたしているわけでございます。それに対して、何しろ非常に風の激しい地帯でございまするし、船着き等がなかなか困難な事情もあるということで、その調査に要しまするいろいろな資材等の運搬について、いろいろなことをただいま検討いたしておるところでございまするが、そういう点について、森山運輸大臣としては、おれの方の巡視船等の利用で協力してやってよろしいぞという御意見等があり、また船による輸送が困難であるというならば、ヘリなどで行けばうまくいくのではなかろうか、そういう点において、簡単なヘリポート等を設置するというようなことは考えられぬかというような御意見があったことは承知をいたしておりまするが、そういう点は専門家あるいは学術上のいろんな問題もあるものですから、そういう立場の有識者を集めまして、いま検討を行っておるという現時点でございます。
#241
○中村利次君 これは私も大いに期待をいたします。総務長官と同じように、やっぱり尖閣諸島は日本の固有の領土でございますから、私どもがいろいろ考えますのは、日中平和友好条約を締結するに当たって、外務大臣が北京にいらして尖閣諸島の問題についていろんないきさつがあった。しかし、私はやっぱり三千万円の調査費をつけて、固有の領土であるという姿勢をはっきりしようという点については、これはもろ手を挙げて賛成であります。どういうことになりましょう。
#242
○国務大臣(園田直君) 尖閣列島に対する支出については非常に微妙な問題でありまして、外務大臣としてはいささか見解を異にするものであります。それはくどいようでありますが、日中友好条約締結前に尖閣列島に漁船団が押し寄せたという不穏な事件がございました。そこで、北京で私は、この尖閣列島については、御発言のとおりわが国の固有の領土であり、いままで何ら問題はなかったところであります。この尖閣列島周辺に地下資源があるというような話が出だしたころから、まず台湾からそれはわが方の領土であると言い、次に中国からそういうことが言われた。しかし、わが方としては紛争地帯ではない、これはわが国の領土と、こういうことで通してきたわけであります。
 そこで北京におきましては、私はこの日本の主張を申し述べて、そしてこの前のような事件があっては困る、こういうことを言ったのに対し、向こうの副首相は尖閣列島はいまのままで二十年でも三十年でもよろしい、この前のような事件は起こさない、こういうことでありましたから、それ以上私は深追いする必要はない。日本の領土であるということは主張し、中国からあのような事件は起こさないということを言ったわけであります。しかしながら、わが方としてはそうでありますが、相手国の立場をいえばわが方の領土であると一遍言った面目というか、そういういきさつがあるわけであります。したがいまして、私はこういう時期にこの尖閣列島に漁民なりその他の日本の漁船の避難港であるとか、あるいはこれを安全にするためのヘリポートであるとか、こういうものをつくることはいささかも構わぬと存じますけれども、ただその工事がこれ見よがしに、おまえの方は文句つけたが尖閣列島はおれの方の土地だぞと、これでもか、これでもかという誇示をするための施設はやらない方がよろしい。同じやるにしても日本の国内情勢上必要なものならばおやりになっても結構だと。いささかそういうニュアンスが違った感じを私は持っております。
#243
○国務大臣(三原朝雄君) いま外務大臣の御答弁がございましたので、これを補足する立場で申し上げてみたいと思うわけでございます。
 総理府の予算というのは、先ほど申しましたように、現在まで自然的、地理的条件、そういうものの調査が非常に不十分であるという事態を踏まえて、なおまた沖繩初め九州各県の船の漁業地域でございまするので、たくさん行っておるというような現状、そういうものを踏まえて、地域開発という点で調査をしてみたいというわけでございます。
 それから、いま外務大臣の言われましたような、そういう中国との関係等を十分顧慮しながら、そういうような立場、なおまた、いま申し上げましたような自然的、地理的、あるいは海の水深等の調査でございまするので、純然たるそういう意味での調査を実施したいということで、いま申し上げました外務大臣の意見等を踏まえて、学識経験者なりの意見を聴取をいたし準備をいたしておるということでございまして、その点をひとつお含みを願いたいと思うのでございます。
#244
○中村利次君 総理、お疲れでしょうけれども、やっぱり領土問題はきわめて大事な問題でして、外務大臣はいささかニュアンスが違うとおっしゃったが、大体同じようなものだと思いますけれども、外務大臣もやはり漁船の避難場所だとかヘリポートをつくるのは結構だけれども、これ見よがしにどうだどうだというようなことは慎みたい。私もごもっともだと思うのですが、大平内閣としてそういうことで尖閣諸島の領有権についてしっかりした姿勢をとりたいという点については確認をしてよろしいですか。
#245
○国務大臣(大平正芳君) もうすでに有効な支配が確立しておるわけでございまして、その支配に揺るぎがない限りどのような措置をとるかは地元の県の御意向もいろいろおありでございましょうし、御相談の上差し支えないことじゃないかと思っております。
#246
○中村利次君 結構であります。その上に立って、ちょうど十年前のECAFEの調査で大変な石油資源があるという結果が報告をされておるわけであります。その点、開発についての取り組みといいますか、いかがでしょう。
#247
○政府委員(天谷直弘君) お答え申し上げます。
 ECAFEの調査は物理探鉱でございまして、この物理探鉱によりますと尖閣列島の西北方海域の方に、非常に厚い第三紀層の堆積があるというような報告がなされておるわけでございます。そこで、どれくらい本当に埋蔵量があるかどうかということは、さらに地震探鉱、試掘というようなことを行わなければ推定は困難でございます。まず、その海域の開発をいたしますには、そういう調査も必要でございますが、いまのところこの尖閣列島は固有の領土でございますから、その陸上の領土及びその領海内におきまして探鉱開発をするということは、もちろん問題がございませんけれども、領海の外に出まして開発をするということに関しましては外交当局の御配慮等もあると存じますし、これにつきましては、いまのところ民間企業もそれをやるというような態勢を示していないというような実情でございます。
#248
○中村利次君 まだ、いろいろ突っ込んでお伺いしたいことがございます。この尖閣諸島の問題も資源問題に絡んで、私はかなり重大な問題だと思いますけれども、これは場を改めてお伺いをしたいと存じます。
 次に、エネルギー問題がイランの政変を契機としてかなりクローズアップされてまいりました。これは私も最近言われておりますように、石油は量と価格の面でよほどこれは慎重に対策を誤らないようにしないと、特に日本の場合は先ほども申し上げましたように無資源国です。ですから受ける打撃はきわめて大きいと思っています。
 そこで、このイランの政変後の、これはきわめて私は流動的だと思うのですけれども、どういうぐあいにお考えになるか。あるいはまた中東も、おとといあたりからいろいろございました。しかし、これもきわめてまだ流動的と見るべきだと思いますが、まず外務大臣いかがでしょう。
#249
○国務大臣(園田直君) イランの政情は御発言のごとくきわめて流動的で重大な関心を払っているところでありますが、いままでのところでは第一はイランの治安回復の問題があるわけであります。自動小銃を初め二十万丁の兵器が民間に渡っておる。そのうち二万丁が政府に回収された。そこで現政権とホメイニ師の側近にある革命委員会との間の摩擦がいろいろとりざたされておるところでありまして、現政権は逐次足がためをしながら、石油その他についても御承知のごとく逐次具体的な政策を発表いたしております。一方革命委員会、いわゆるホメイニ師の側近は、第一は現政権が回教共和国としての徹底した点がない、妥協的な政権であるということ。もう一つはいろんな警察権の行使等を勝手にやっておる、こういうことでホメイニ師と首相との間はうまくいっているが、側近と首相の間がうまくいってない。そこで総理の辞表説、辞表を出したなどという情報が流れてくるわけでありますが、その後ホメイニ師は現首相に対する全面的な信頼ということを表明をされ、そして革命委員会の方にも現政権と相談するようにという話し合いもあって、二、三日前から現政権は逐次石油その他の政策を出しているわけであります。したがいまして、現政権としては、われわれが見るところではきわめて手がたく進めているようではありますが、いまなお、御発言のとおり、いま申し上げた事情でありまするから、今後の状態については十分注意を払う流動的な要素が残っているわけであります。
 なお、わが国とイランの新しい政権との間は、外務省は通産省と緊密に連絡をしながら事前にいろいろ相談をしておりますので、きわめて順調な関係にあることを御報告いたしておきます。
#250
○中村利次君 そういう情勢の上に立って、特に石油問題を中心として、これに絡んで円が急落をしたり、とんでもない事態が続いておるわけであります。
 エネルギーバランスといいますか、石油のバランスについてはどういう具合にお見通しか伺います。
#251
○国務大臣(江崎真澄君) 三月一日、二日にIEA――国際エネルギー機関の理事者クラスの会議がありまして、天谷エネルギー庁長官がそれに出席したわけです。そこで、イランの政変のために一日当たり二百万バレル世界の消費量が欠け込む。これは五%足りないということである。御承知のように、昨年まではむしろ五%余っておるというような場面で、多少だぶつきぎみで値段も安く、安売り競争が行われるというような事態でありました。ところが、足りないというと、これはまあ人間心理のおもむくところ非常な不安、動揺がありますし、それからまた、スポットものという、一時しのぎのために手に入れなければならないもの、が二十ドル以上、二十四、五ドルというようなふうに暴騰をいたしまして市場気配をあふります。そういうことを前提にして、この一日二百万バレル分、五%を石油消費国である参加十九カ国が積極的に節約をしよう、こういうことで決まったわけでございます。したがいまして、従来、一月二十二日、省エネルギー・省資源対策推進会議で三%目標の節約を継続してきたところでありますが、今日総理府総務長官のもとで五%節約を徹底しようということで、これを決定して、あすの閣議で了承を求める、こういう段取りで進んでおるわけでありまして、五%節約はわが国として何が何でも実行をいたしたいという決意で臨んでおるわけであります。
 いつも申し上げておりまするが、一−三月の最需要期は、おかげで七千四百万キロリットル入手は確実という情報を得ておりまして、これは昨年同期よりも二百万キロリットルだけ多い入手でありまするので、当面は支障はない。しかし、先行きについてはまだ不安定要素がたくさんありまするので、その節約についてはぜひひとつ徹底して行ってまいりたい、こういうふうに考えております。
#252
○中村利次君 全く石油問題では一喜一憂というのでしょうか、きのうはエクソンがカットをするというので肝を冷やし、きょうの報道によれば三井物産その他長期契約を結んだというのでほっとするというような、実にどうも困った状態でございますけれども、しかし、先ほど申し上げましたように、これは量と価格、私は量の面でも決して楽観は許さないと思いますが、特に価格では、何かうわさされますと、新聞等に商社あたりから発表をしておりますのは、OPECの価格決定待ち、いわゆるOPECに準ずるということが言われておりますが、やっぱりうわさではバレル十八ドル前後ぐらいではなかろうか。これはいま大臣がおっしゃいましたスポット価格というものがもう二十ドルをかなり超えて、えらいことになっておるわけでありますけれども、これはいかがでしょう。
#253
○国務大臣(江崎真澄君) 先ほど申しましたように、足りないというと人間心理が不安、動揺しまして高値を呼ぶ、これはどうも需給の原則からいってとめてとまらないことでありますが、そのためにはやっぱり足りない分、要するに五%を節約する、この節約をいかに実行するかということが高値を抑える一番早道である。
 それから、これもしばしば申し上げてきたことでありまするが、IEAの今度の対応の仕方というのは、あの前回の石油ショックにこりて、あれで消費国があわて過ぎた、そのためにもうけたのは石油関連業者だけである、本来消費者は被害者の立場であった、したがってまず節約と、五%を本当に加盟国で節約が実行できればとんとんというわけですからね。したがって、その需給不安をなくそうというまず原則に立ったこと。それから環境は、日本の場合でも、かつての五十九日分が九十二日分、これは一月一日現在ですが、その備蓄があったということ。それからまた、前はOPEC対消費者というわけで対立関係でありましたものが、今度はサウジを初め協力態勢に立って、何とか増産によってイランの欠けた分を補おうというような感じで努力をしておってくれること、これなど大分情勢も違いますから、やはり落ちついた対応をすることが必要だ。しかし、先ほどもおっしゃいましたように、日本には油はありませんので、節約の基本方針を推進することはこれは努力しなければならない。これは申し上げるまでもないことだと思います。今後大いに五%達成に向かって努力をしてまいりたい。
 それから値段につきましては、これは今後の問題もありまするが、先ほど申し上げたようにまず節約する、これは消極的な値段抑圧策かもしれません。しかしこれは効き目があると思いますね。それから入手をやはり確実なものにしていくこと、これは大事なことだと思うんです。いろんな情報がこういう不安、動揺のときですから入り乱れ飛びますが、外務省とは緊密に連絡をしながらわれわれも情報を的確に入れる。それからまた、業者はこれは上がり下がりによって大変な値幅が出まするので、相当情報の確保に努力しておりまするので、そのあたりにも気を配っておるというわけであります。なお、今後値段が暴騰したりしないように、買い付けに当たっては十分意を用いるようにという行政的な指導は、輸入業者にエネルギー庁長官の方から粘り強くやっておる、これからも続けていく、こういう態度でございます。
#254
○中村利次君 しかし、この無資源国の日本の反応というのは鈍いですね。もうおっしゃるとおり、周章ろうばいして四十八年のオイルショックみたいなパニックを招来してはいかぬと思いますけれども、しかし、資源大国のアメリカがこのイラン問題に絡んではもう一月の三日に直ちにその具体対策を出した。日本は一月の二十三日でしたか、それも三%ですね。そして、いまおっしゃった三月の一日、二日、IEAの理事会で五%を出した。日本の見方が甘かったということにイコールなると思うのですが、そういう点はいかがでしょう。
#255
○国務大臣(江崎真澄君) 私は必ずしも甘かったとは思っておりません。それはやはり内心非常に重大に考えながら対応をしておったわけです。で、これも御理解いただけると思いまするが、ことしはせっかく立ち直りかけたこの景気をどうかして持続したいというとき、そして明日は雇用対策について当委員会でも集中審議が行われる。景気を持続するということと雇用を確保するということは、これは不可分一体です。したがって、そのためにどうするかということを苦慮しながら大口需要者、たとえば製鉄とか発電とか、そういうところには石炭の混焼もしてもらいたい、代替エネルギーLNGの輸入も進めてもらいたい、いろいろ行政指導をしながら、また節約も協力を求めながら大口規制はそのかわりしない、それは景気の問題があるからだ。しかし節約は願いたいということできておるわけです。したがって、一番大きく影響するのは冷暖房でありまするので、この間も要らざることですが、実は参議院の予算委員室はちょっと温度が高過ぎるというわけで、あれから確かに下がりましたですね。そういうことで、やはりまずわれわれ官庁から守りませんとこれは実行できません。したがって、あのときは二十度の制限でございましたが、きょうの決定では十九度に下げる。しかも、暑さ寒さも彼岸までと言いますから、彼岸明けの三月二十二日からは暖房は打ち切る、ただし北海道とか寒冷地帯は別でございます。そういう対策を立てたわけです。したがって、夏なども従来は二十五度ぐらいの冷房というのが標準だそうでありまするが、暖房と同様に三度差をつけて二十八度程度にしていこう、これは六月の梅雨明けごろの気温だと言われまするから、新聞などにも言われておりまするように、当然ノータイ、ノー上着というような問題も具体的に取り上げていかなければならぬかというふうに思います。
#256
○中村利次君 追加の二%分については、これはこれからお決めになるわけですね。
#257
○政府委員(天谷直弘君) お答え申し上げます。
 追加二%の主な項目は、いま大臣から御説明申し上げました冷暖房温度の変更、これが非常に大きい項目でございます。
 それから第二点といたしましては、産業界に対する協力依頼でございますが、前回は産業界に対して一般的な節約依頼、特に産業界の事務所における節約依頼等はもちろん官公庁に準じてやっていただくようにお願いをしているわけでございますが、生産部門においては、特に節約の御依頼をしなかったわけでございますが、今回は電気事業等の分野におきまして原子力、それからLNG、こういう方の稼働率を上げていただきますことによりまして石油の節約をしていただく。それからまた、石炭に転換が可能な発電部門につきましては、石炭への転換の努力をしていただくということで石油の消費を減らす、これが大体三百万キロリットルくらいになるというふうに思っております。
 それから、その他の産業におきましても、燃料転換及びエネルギー使用の効率向上というようなことで百万キロリッターくらいの節約ができるのではないかというふうに考えておりまして、そういう点で産業界の協力を御依頼申し上げる、こういうことで合わせまして二%くらいの節約の向上が可能であるというふうに考えておるわけであります。
#258
○中村利次君 これは私は逆らうわけじゃありませんが、たとえばLNGだとかあるいは原子力の稼働率を高めて、それから石油を石炭に切りかえられるところは切りかえて三百万キロ、これは全く裏づけがないと思うのです。ですから、そういうことをおやりになると、結果として、下方修正をやらなきゃならない結果になりますので、これは時間があれば私は一つ一つ、たとえば原子力は去年あたりから稼働率はいいんです。これをどういうぐあいに、原子炉というのは、御承知のように、休止したり石炭や石油みたいにたいたり簡単に操作できるものじゃございません。それからまた、石炭なんかでも、いま七百二十万トンぐらいの石炭を火力でたいておりますけれども、これは専焼、混焼とありますけれども、石油の三百万キロリッター分も百万キロリッター分もの燃料を切りかえるというそういうものじゃございませんよ。もう少し、具体的にできないことはおやめになって、できることをひとつ私は要望したいと思うのです。
#259
○国務大臣(江崎真澄君) おっしゃるとおりだと思います。したがって、この数字を出すのに当たりましては、やはり電力業界ともいろいろ話し合いの上で積み上げてきたわけでありまして、この五%が実行ができないということではこれは口頭禅に終わってしまいます。そんななまぬるいものじゃございませんので、できるだけ協力を得るようにということで話し合いはいたしてここへきておる、こういうわけでございます。
#260
○中村利次君 私は、IEAというのは国会と違って専門家ですから、これはできるできないということはわかりますよ、私がわかりますからね。それはひとつ再検討をお願いをしたいと思います。
 時間が少のうございますが、ことし石炭が幾らかダブりぎみだそうですけれども、これはなぜでしょう。
#261
○政府委員(天谷直弘君) 御指摘のとおり、いま貯炭が三百万トン程度になりまして、非常にふえているわけでございますが、一つは従来予想しておったよりも鉄鋼業の景気が悪うございまして、生産量が従来想定しておったよりも下の線でいっているということ。それから特に北海道の暖房炭でございますけれども、これが石炭以外のものに設備が転換してしまいまして、暖房炭の使用が従来予想しておったよりもなかなかその線までいかないというようなことが主な原因かと考えております。
#262
○中村利次君 何か山元貯炭が三百六、七十万トンぐらいはできそうだという、日本はまあ原重油関税から一千億余りつぎ込んで、えらい手厚い助成をして千八百万トン台しか掘れない、これはどうなんだといういろんな議論がありますよ。その炭がどうも山元で三百六、七十万トンも貯炭されるというまことに不思議な現象がありまして、私はこの対策なんかも伺いたいのですが、まずは時間が尽きそうでございますから、本当は「長期エネルギー需給暫定見通し」等を一々チェックをしたいと思うのですが、そういう時間もございません。
 問題なのは、その暫定見通しに、昭和六十年、省エネルギー八千万キロリッター(石油換算分)、それから原子力は促進ケースで三千三百万キロワット、合わせて一億一千万キロリッター分以上、私は非常に困難だと思うが、もしできればイコール日本は一億一千万キロリッター以上の油田を開発したということです。ですから、その点についてこれができるのかできないのか詰めたいと思いますけれども、私は原子力については二千六百万キロワットという現状維持ケースならできますね。三千三百万キロというのは非常にむずかしい、それから省エネルギーの八千万キロリッターも非常にむずかしいと思うんですが、通産大臣の御所見いかがでしょう。
#263
○政府委員(天谷直弘君) 原子力の三千三百万キロワットにつきましては、御指摘のとおりわれわれもなかなかむずかしい問題であるということはよく意識をしております。できるだけ最大限の努力を傾けて、何とかこの三千三百万キロワットにこぎつけたいとは考えておりますけれども、非常にむずかしい問題があるということは私どももよく承知をいたしております。しかしながら、この原子力のように、掲げた数字に対しまして非常に目標達成が困難なものもございますけれども、他方LNGとか石炭につきましては、六十年度あるいはもう少し延びて六十五年度くらいを考えますと目標よりかなり上までいけるというものもございますので、ならして考えますと、ここに掲げてある対策促進ケースの数字というものは、総計で考えまして達成不可能なものであるというふうには考えていない次第でございます。
 次に、省エネルギーの八千万キロリットルでございますけれども、これも非常にむずかしい問題ではございますが、しかし、たとえばGNPの伸び率に対するエネルギー消費の弾性値、こういうものを見てみますと、昭和四十八年の石油危機以前におきましてはこれが一・一くらいの非常に高い数字でございましたけれども、昭和四十七から五十二年度に至る期間を調べてみますと、これが驚くべきことに〇・三八というところまで下がっておるわけでございます。こういうわけで、不暑気という点もございますけれども、しかし企業、それから国民が節約をやりました結果GNPに対するエネルギー弾性値は著しく減っておるということは、著しく省エネルギーが行われているということの証左でございまして、こういう努力を反映いたしまして、一部は不景気であるということは認めなければいけませんが、そういうことを反映いたしまして、昭和四十八年と現在とを比べてみますと石油の輸入量は少しもふえていない、そういうような状況でございます。今後景気が回復いたしますれば、あるいは弾性値も〇・三八というような低いものではなくて、もう少し上がるかとは存じますけれども、しかし昭和六十年度まで一生懸命努力いたしますならば八千万キロリットル程度の節約はできると考えてよろしいのではなかろうか、あるいはぜひともしなければならないと、覚悟しなければならないというふうに考えております。
#264
○中村利次君 弾性値が非常によくなったのは、これはもうほとんどが不況のなせるわざですよ。それから、非常にむずかしいけれども石炭なんかは予想以上に輸入できそうだ。私はこれはむしろ非常に危険を感ずるのでありまして、昭和六十年、計画によると一億二百万トンの石炭を輸入をして、そして国内一般炭を合わせて二千万トン余りを火力発電所でたかして九百八十万キロの火力発電所をつくろうという。六十五年は石炭をどれだけたくかというと、六十年で二千万トン、六十五年では四千万トン余り石炭をたく、えらいことですよ。いま七百二十万トン余り石炭をたきますが、これは灰捨て場から脱硝、脱硫、それから集じん、そういうものが問題になって、昭和五十年の実績五百十万キロがいま三百六、七十万キロワットに減っているんです。こいつを六十年に九百八十万キロワットをやって、そして灰が六十五年には六百万トンぐらい出る勘定になりますよ。ダンプが百万台も百五十万台も日本列島を走り回るというような状態になりかねない。
#265
○委員長(町村金五君) 中村君、時間が参りました。
#266
○中村利次君 はい。
 そうなりますと、私は原子力以外にはない。これは時間がなくなってしまいましたから申し上げることはできませんけれども、稼働率をよくするたとえば一つの手段として定検――日本は西ドイツ、ヨーロッパ等に比べても問題にならないぐらい、そしてトータル・マン・レムはかえってふやしておる。定検等についての再考慮の余地がございますか。これで私は質問を終わります。
#267
○政府委員(天谷直弘君) 御指摘のとおり日本の定検日数は西ドイツ、アメリカ等と比べますと長いという実情がございます。今後も炉型の標準化、改良化等をやりますとさらに定検の日数を縮めることが可能になると思いますが、現段階におきましても徹底的にチェックいたしまして、定検の日数を縮めるよう努力をいたしたいと存じます。
#268
○委員長(町村金五君) 以上で中村君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#269
○委員長(町村金五君) 次に、山田勇君の総括質疑を行います。山田君。
#270
○山田勇君 連日、長時間にわたって総理初め各閣僚の方々には大変御苦労さまのことと存じます。せっかく国民の皆さんの茶の間に通じるテレビ中継であります。政治を国民にわかりやすくといった点からも、この際、総理初め政府の皆様方には親切ではっきりとした答弁を質問の初めにお願いする次第でございます。
 総理は、昨年十二月、自民党総裁選挙におきまして党首に選ばれ、その後の国会で、幹事長問題などお家の事情でちょっともたつきはしましたものの、首班に指名され、政権の座につかれたわけでございます。細い目を一層細くされ、にこにこ顔で国民の前に登場されました。国民と政治との距離をなくしたいと言われた総理に対し、また、同じ官僚出身の人物ということではありましたが前の福田総理と違ったタイプの総理として、その容貌などから温かい誠実さを国民は期待したものであります。
 ところが、総理になられて数カ月しかたっていませんが、これは私だけのひが目かもわかりません。しかし、最近の総理の態度、しゃべり方などが二、三カ月前の総理就任当時とはいささか違ってきたように私は見受けられます。それは、言わしていただくなら、権力者意識が頭をもたげてきているというようなことではないでしょうか。国民の多くも、テレビなどマスコミを通じてのことではありますが、総理に対する期待が薄れつつあるのではないかと思います。最近の新聞などによる世論調査でも、大平内閣の支持率が発足当時より大分低下しています。
 総理の、政治と国民の距離をなくすといった考え方について、心境を交えて、その意図するところをお聞かせ願いたいと思います。
#271
○国務大臣(大平正芳君) 本来、政治は国民との間に距離があっていいはずはございませんし、政策を実行する場合に国民の理解と協力をいただかないと実効が上がらぬことは、山田さんも御承知のとおりでございます。したがいまして、われわれといたしましては、まず政策の立案に当たって国民の願望を精力的にくみ取るように努力をしなければならぬと存じております。また、そのようにいたしておるわけでございます。政策の実行に当たりまして、できるだけ親切に御理解をいただくようなPRに努めなければならぬと存じております。しかし、何といっても、根本は、政治をやる主体になる立場、われわれが権力意識を持たないこと、国民と一緒に苦楽をともにするということ、一緒に汗をかくということ、そういう心構えが大事だと思うのでございまして、もしあなたから見て、私に権力意識が台頭したのではないかというようなことがあるとすれば大変それは恐ろしいことでございまして、そういうようなことのないように戒めていかなければならぬと思っております。
#272
○山田勇君 私は、かつて、いまは亡き佐藤榮作総理大臣に、もう十年ばかり前のことですが、当予算委員会で発言をし、「榮ちゃんと呼ばれたいとかねがねおっしゃっておりましたが、いまもその気持ちにお変わりはございませんか。」とお聞きしましたところ、総理とは対照的なあの大きな目をむかれまして、いささか憮然とした態度で「時と場所を考えてください」とおっしゃいました。私は、榮ちゃんと呼ばれたいという言葉の意味が、国民から親しまれたいという意味だというふうに受け取っていましたので、ただ、いまもその大衆政治を目指すお気持ちをお持ちですかというふうに尋ねたんですが、どう勘違いされたのか、総理ににらまれたことがございます。権力というものはそれを手に入れた者でなければその魅力はわからないとは思いますが、私は何も総理に愛称で呼ばせてくれと言うのではありません。民主国家の日本です。総理は十分おわかりでしょうが、国民大衆の立場に立った政治を行ってほしい、初心を忘れずにということを申し上げているのでございます。官僚出身者は冷たいとかよく言われますが、要は総理の国家指導者の人間性に期待をするものであります。われわれ野党議員の話の中で、今回の予算委員会等におきまして、やあ総理は攻めにくい、非常に物が言いにくいというふうなことをしばしうわさされます。それは総理の人間性だと思うのです。ですから、その人間性、国民と政治との距離をあけないような政治をぜひ総理心がけていただきたいと思います。
 続きまして、総理に、航空機にまつわる疑惑についてお伺いいたします。
 戦後の日米関係の中で日本の航空機は全面的にアメリカメーカーに頼ってきたわけでございますが、二十一年前の第一次FX、すなわち第一次自衛隊次期主力戦闘機の選定をめぐる疑惑に始まり、今回のE2Cに関するグラマン疑惑まで、自衛隊機の購入には数々の黒い影がつきまとってまいりました。アメリカの航空機メーカー、日本の大手商社、日本の政治家、そして国防会議の議長であるその時々の総理大臣が疑いの焦点になるようなことでは、国民の側からすれば政治には信頼が置けなくなることは当然であります。一機何十億という高価な航空機の購入にまつわる取引の中で国民の血税の一部がだれかの手に吸い取られているのではないかと考えなければならないことは、われわれ国民にとっては大変不幸なことであります。戦後長年続いてきた保守本流による政権のたらい回しは、考え方によれば臭いものにふたをし続けることができたとも言えるわけで、構造的汚職などと言われるゆえんでしょう。自衛隊機購入に当たって、そこに贈収賄の不正があったのではないかという疑いが持たれ、これがはっきり解明されない場合には、国民としては当然納税意欲にも影響を及ぼすのではないでしょうか。幾ら国防が大事だからといって、事件の解明とは別にしてE2Cの購入の必要性を説いても説得力はありません。国防が焦眉の急であるならば、なおのこと、口先だけではなく、積極的に早急に解明の方策を立てなければ、国民はただいらいらするばかりだと思いますが、総理、いかがでしょうか。
#273
○国務大臣(大平正芳君) 国民の間に航空機の輸入をめぐりまして疑惑がありますることは御指摘のとおりでございまして、それは政治の信頼にかかわる問題でございますから、徹底的に究明し、真相を解明いたしまして、国民の前に納得のいく処理をしていくということでなければならぬと思います。
 それから第二に、そういったことは行政に当たりまして起こしてはならぬことでございますので、第二にはそういう問題が再発しないように行政府はもとよりえりを正して事に当たらなければならぬと考えております。
 第三に、現在究明が行われておるわけでございますけれども、これは精力的に徹底的にやらなければならぬと考えております。それを踏まえた上で厳正な公正な処理をするということに努めなければならぬと考えております。
 民主政治というものはありがたいことでございまして、こういったことは残念なことでございますけれども、それが国民の間に明らかになりましてどのような手順でどのように処理されていくかは国民が茶の間でごらんいただけるようになっておることだと思うのでございまして、それができないような体制は私は困ったものだと思いますが、われわれの民主政治というものはそういう意味でありがたい仕組みでございますので、この民主政治という体制を大事にしていくということが根本に要請されておるのじゃないかと思います。
#274
○山田勇君 この十九日には有森氏が証人としてもう一度国会に喚問される予定になっておりますが、さきの衆議院における証人喚問では、有森氏の証言拒否を続ける姿がテレビを通じて国民の前に異様なものとして映りました。すでに告発もされているわけですが、有森氏のとった態度は、自己負罪拒否の原則から言えば、一方的に批判することはできません。議院証言法によれば、刑事上の訴追または処罪を招くおそれのある事項について証人は証言を拒否することができるとあります。しかし、疑惑の解明が重大な課題となっている現在、有森氏の証言は何にも増してもぜひ必要であります。有森氏に刑事免責を与えた上で証言を求めることはできないことでしょうか。刑事免責については、ロッキード捜査の際、コーチャン氏外三名に対して検察当局は刑事訴追を放棄している前例があります。あのときは、三木総理大臣が検察当局のこの方針に理解を示し、積極的に嘱託尋問の実現に努力された経緯があります。疑惑の解明が国民に大きな利益をもたらすとすれば、有森氏が証言拒否をしない環境をつくった上で証人喚問をなすべきだと思うのですが、いかがでしょうか。これは総理並びに法務大臣、法制局長官によかったらお答えをいただきたいと思います。
#275
○政府委員(伊藤榮樹君) まずもってお断り申し上げますが、国会でおやりになります証人喚問につきまして政府の方におきましてこれについて何らかのアクションをとるということはいささかどうかと思いますが、そのことは別といたしまして、ロッキード事件の際のいわゆる不起訴の宣明というものについてでございますが、いろいろな事情が重なりまして万やむを得ずしてとった措置であるということを御理解願いたいのでございます。
 すなわち、まず証人に立つコーチャン氏等の人々は、自己負罪の特権を打ち破るためにアメリカで法制化されておりますイミュニティーという制度のございます国土で育った人たちであったということ、それからその人たちから証言を得ることが捜査上何としても欠くべからざる事柄であったこと、それからさらにコーチャン氏らは捜査当局の任意の事情聴取に応じないでこれを断っておられたこと、それからさらにそれらの方々はわが国へ来る可能性がきわめてございませんためにわが国の裁判権等を行使することができる可能性がゼロに近いような人たちであったこと、そういうことから、不起訴の宣明をすることによって失われます利益の大きさと証言を求めることによって得られる利益の大きさとをはかりにかけました場合、明らかに後者すなわち証言を得ることによる利益の方が大きかったわけでございます。そこで、そういった国土に育った人に証人として証言してもらうために異例の不起訴の宣明ということを行ったわけでございます。
 しかしながら、翻ってわが国内の問題を考えますと、もともとイミュニティーという制度を持ちませんわが国におきまして、いきなり検察当局が特定の方について不起訴のお約束をするということが一般的に適当でないことは言うまでもないわけでございまして、要は、アメリカなどにおきましては、議会において御証言になる場合にもイミュニティーという制度が法律として確立されておる、わが国においてはそういう制度がないということの理解の上に立って十分慎重に考えなければならぬことではないかと思っております。
#276
○山田勇君 ロッキード捜査での嘱託尋問調書によって現在の公判で重要な事実が次々に明らかにされております。真相を国民の前に明らかにする点では前回のそういう形の効果というものは大変高く評価しなければいけないと私は思っております。
 続いて、石油ショック以来の長い不況のトンネルを何とか抜け出そうということで官民挙げてその打開に努力を続けてきましたが、ようやくその明かりが見えてきたというのが現状のようです。しかし、一方では、百二十四万人とも言われる失業者、構造不況業種の深刻な状態、石油問題など、先行き決して楽観は許されないのであります。過去数年政府がとってきた公共事業など財政支出を大幅にふやせば、それが引き金となって民間の設備投資や個人消費に火をつけて景気を回復してくるといった財政主導型の予算編成が五十四年度も引き継がれております。公共事業関係費の伸び率が予算の全般の伸び率一二・六%に比べまして二二・五%と高いのを見てもわかるのですが、五十二年度、五十三年度は特に上積みまでして景気浮揚を図りましたが、経済成長率はいずれも見通しを下回り、五十三年度の国際公約とも言える七%の目標が六%にも無理な状態のようであります。一方、国の借金とも言うべき国債はふえ続け、五十四年度も十五兆二千七百億円、国債の予算の中に占める依存度は三九・六%にも達し、財政体質はますます悪化しております。国民一人当たり七十万円程度の借金を背負うことになると聞いておりますが、この国債の大量発行は国民の最も恐れるインフレに通じる危険性がある。いや、すでにもうその徴候は最近の卸売物価指数等にあらわれているのではないでしょうか。このような過去数年の財政主導型景気浮揚策、国債大量発行の借金財政は改めるべきではないかと考えるのですが、いままでとってきた方策に誤りはなかったのか、反省する点はないのか、総理並びに大蔵大臣にお尋ねをいたします。
#277
○国務大臣(金子一平君) いま御指摘の財政主導型の予算を毎年組んできたことに対する反省はどうかということですが、石油ショック以来非常な不況に落ち込みまして、特に去年のごときは補正予算まで組んで大型の規模の景気刺激型の予算を組んでその執行をやってまいりましたから、やっとここへ来て景気の前途に対する明るさが出てきたと私は考えております。石油ショック以後、世界の経済は、これは日本も含めてですが、大きな変動期に入ったのでございまするから、なかなか従来の経済理論、財政理論だけで景気の立て直しができないようになりました。それだけに政府としましても非常な苦労を重ねてきたわけですが、この調子ならばどうやらトンネルを抜け出すことができるという判断がやっとできるところに来たのだと思うのです。
 ただ、こういう状況で推移いたしましただけに、あなたのいま御指摘のような大量の国債を発行せざるを得なくなりまして、それが一つの国民経済の発展のための足かせになっていることもまた事実でございます。私どもはこういった大量の国債発行から脱却することに鋭意これから努めなきゃならぬと思うのですが、五十四年度の国債発行のこの規模ではまだインフレに突入する危険があるということは私は心配する必要がないと思っております。いろいろな方策を講じまして、繰り返してもうこの席で申し上げたことですから詳細申し上げませんけれども、中期の国債を大量に発行したり、消化先をいろいろ工夫をいたしましたり、条件の変更をやったりして、まあ何とか消化できるのじゃなかろうかと考えております。したがいまして、明年度のこと自体は心配はないといたしましても、こういう状況をこれ以上繰り返しますと、それこそもう公債発行に限界が来つつあるのですから、不消化になって日銀のしょい込みにでもなったら大変なことでございます。それだけに、一般的増税というようなことをお願い申し上げてひとつ御議論をやってくださいと言っているのは、あなたの御指摘のいまのインフレの心配をわれわれとしても将来の問題としてしなきゃいかぬということにあるとお考えいただきたいと存じます。
#278
○山田勇君 大蔵大臣にちょっとお尋ねをしておきますが、国家の予算でいわゆる景気のバランスをとるというこういう形の国というのは、ほかにもありますか。
#279
○国務大臣(金子一平君) 世界各国がそれぞれ苦労をいたしておりまするけれども、特に日本が大量の国債を発行せざるを得なかったということでございます。それは、もとはと言えば、やっぱり石油資源がございませんから、大部分を原材料、資材を外国から輸入して輸出で食っていかなきゃいかぬ国ですから、そういうところに日本の経済の制約があろうかと思います。
#280
○山田勇君 財政が苦しくなったから再建するのには増税という安易なパターンの中で一般消費税が登場し、五十五年度より実施を目指して論議の対象になってきましたが、一般国民にとっては税に対する不平不満が満ち満ちておりますのにこれ以上の増税はとうてい耐えられないというのが本音だと思います。租税特別措置における企業や医師に対する優遇税など不公平税制について国民はよく知っています。税収がなければ国家財政は成り立たないことは当然ですが、その集め方、使い方に国民が納得し、合意が得られなければ政府に対する不満は解消いたしません。一般消費税は低所得者ほど税負担が大きくなる仕掛けになっております。中小零細業者は価格に上乗せもできず、自分が背負い込む結果になるかとか、どうも弱い者いじめの税制のような気もするのですが、いかがでしょうか。もし実施された場合、試算ではどのくらいの税収を上げることができるのでしょうか。そして、国民一人当たりどのくらいの負担になるのでしょうか。
#281
○国務大臣(金子一平君) まだ税率その他決まっておりませんけれども、仮に五%といたしますると、三兆円くらいの税収が上がるのではないかと考えておるわけでございます。
 そこで、いまあなたの御心配になっておる弱い者いじめということになりませんように、これは仮に五%なら五%の税金は負担していただかなきゃいけませんけれども、中小零細の企業に格段の御迷惑をかけるというようなことになると困りますから、いまの段階では二千万円以下の年の売り上げの業者にはこれを納税義務者にしないとか、二千万円から四千万円までの方には軽減税率で税金を徴収するとか、いろいろな細かい工夫をいたしております。特に一般大衆の負担ということもこれは相当考えなきゃいけませんので、一般消費税が五%で実施されますると消費者物価には二・五%ぐらいの上積みになるという計算が出ておりますから、特に零細所得者に対する負担を考慮いたしまして、食料品は免税にする、これは世界各国でない例でございますけれども、いろいろな措置をとって福祉対策とあわせて零細所得者に対するきめ細かい施策をこれからもとってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#282
○山田勇君 一般消費税導入ということは、私としては反対でございますが、もし実施されるようなことがあれば、いま大臣がおっしゃったような格段の配慮をいただきたいものと思います。それで、医師優遇税は各委員がもうこの委員会では常に言っておられます。これは国民の一番覚えやすい不公平税制のボスなんですよ。だから、それをまず外すということ。国民感情から賢明な大平内閣としてはぼくは非常に残念に思うのです。これは厚生大臣も御努力なさっているでしょう。武見さんの大きな政治圧力の発言だとかいろいろありますが、感情的にまずそれを外すということ。まだまだあるんですよ。われわれ低所得者が家を買ったときの中古家屋に対する免税措置だとか、いろいろなものがない。そういう税制問題はいっぱいあるんですが、とりあえず国民はこの医師優遇税を外してくれたら感情的には納得するものもあるように思うのですがね。
 続いて次の質問に入ります。
 文部大臣にお尋ねをいたします。ここにちょっと、これは新聞の切り抜きが小さいものですから、うちの秘書さんに朝からかいてもらった。うちの秘書さんは美大を出ているものですからこういうのをかくのが得意なものですから。これは先日の朝日新聞に出た漫画なんですが、この絵をよく見てください。大臣にもわかるように大きくかいてきたんです。これは、こっちの方にも、ちょっと、テレビを意識して、どうぞ見ていただきたいと思います。これですが、これは卒業式の漫画なんですよね。ごらんのとおり、卒業式の際、校長先生とか先生はプールの真ん中の特別つくられた式場にいて、卒業生が一人ずつ細い橋を渡って卒業証書をもらっているという絵なんですが、ごらんになりましたでしょうか。漫画の解説をする必要はないのですが、生徒の暴力から身を守るため、式場を生徒の集団から隔離して、いざとなれば後ろにあるヘリコプター、これは自衛隊機じゃありませんよ、このヘリコプターで脱出するという意味だと思います。そこで、漫画としてはこれは大笑いできるのですが、現実に生徒が教師に暴力をふるう行為は日常的にもいろいろ報道され、ここに持っているだけでも「注意され先生切る」「先生に集団暴行 十六人を補導」「先生を殴る、蹴る」というふうなことが報道されております。これはもう御承知のとおり日教組の集会などでもいろいろ報告をされております。特に卒業期には多発する傾向にあるようですが、文部省としてはどのようにこの傾向を見ておられるのか。「螢の光」に涙を流し、「仰げば尊しわが師の恩」というふうに感謝して校門を出ていった私たちの時代の思い出は現在ではもうないのでしょうかね、大臣。教師と生徒のつながりが、もちろん全部でないにしても、このように荒廃してしまった原因は、文部省としては、大臣としても、どういうふうにお考えになっておられるか、御所見をぜひ伺いたいと思います。
#283
○国務大臣(内藤誉三郎君) 私も、山田さんと同じように、私ども小学校のころはこんな事件はなかったですよ。それで、みんな卒業式には本当に涙で別れたようなことです。ところが、暴力事件がこのごろ随所に出ることを見ますと、私も心が真っ暗になってくる、どうしたらいいかと思ってね。やっぱり平素から先生が子供をしっかり把握することが大事だと思うんですよ。そうして、生徒同士の相互関係、相互信頼というものがなくなったのじゃないかと思って、これが一番大事じゃないか。勉強勉強も大事だけれども、勉強よりももっと大事なのは人間関係ですよ。そういう意味で実はことしから新指導要領の改正を小・中・高等学校しまして、もっと基礎的、基本的なものに整理して、そしてそれをしっかり教えて、あとは人間関係を育てることにこれからやりたいと思って、特に教師と生徒の信頼関係、これが一番大事で、これがあれば私は暴力事件がないと思っているものですから、一層指導してこういうことが絶対に起きないように私も全力を傾けたいと思いますから、どうぞよろしくお願いします。
#284
○山田勇君 教育一筋に内藤文部大臣は来られた方です。これからのそういう温かい師弟愛に満ちた学園をつくるためにも文部大臣の格段の努力を私たちは期待いたしております。きのう、当委員会の瀬谷委員の話の中で、孫の宿題も教えられない、これは本音だと思います。これは非常に好感が持てます。瀬谷議員がおっしゃったように、総理、塾へ行ったことありますか、ありません。塾に行かなくても総理大臣になれるんです。私なんか高等小学校を出ただけだって国会議員になれるんですから。いや、教育の究極的な目的は人間の形成にあると思うんです。その教育さえ忘れなかったら、カリキュラムを一つくらい外してでも、師弟と話し合う時間をぜひつくれるような教育指導要領というのを指導していってもらいたいと思います。大臣、期待をいたしておきます。
 それと、もう一つ大臣にお尋ねをいたします。養護学校が設置されました。その中で、各自治体の中で、問題というほどでもないにしても、いままで一般学級の中でまざっている子供をゴボウ抜きの形で、義務設置だから、できたからというところでその子供を連れて行きますが、そういう点について文部大臣はどう思っておられますか。
#285
○国務大臣(内藤誉三郎君) 従来特殊学級におります者を持っていくことはしないんで、要するに、心身の障害児に対して一番いい教育はどうしたらいいかと。やっぱり私はその人たちの能力と適性に応じた教育をしてやるのが一番いいと思うんですよ。そういう意味で、いままで特殊学級におる子はそれは持っていくわけじゃないけれども、重度の障害児の子供はやっぱり療養施設に入って訪問教師までやってそこでやっているんです。ですから、そうでない、重度でもないけれども相当重度のものは、やっぱりその子の能力や適性に合うような教育をするためには特殊学級の方がいいのじゃなかろうかと、こういうので特殊学級をやったわけですけれども、一般の特別学級に合う子を引き抜いてそこへ持っていくというふうな考えは持っておりません。
#286
○山田勇君 先日各報道の方でも報じられているんですよ。一般学級の中にまざって、不自由な手の中であの小さい子供がぞうきんをぐっとしぼって渡してやるんですね。そうすると、不自由な手でばあっと掃除しているんですよ。一般学級の中へまざってでも、そういう小さい子供が自然に助ける、体の不自由な人に愛を与えるといいますか、助けていくという友愛の精神、協調の精神というのがその一般学級の中で――養護学校はわれわれが願望してお願いしてつくった。この努力は高く評価されていいんです、そういう学級なり学校ができてくるということ。それを否定するものじゃないんですが、いままでずっと福祉行政がおくれた中のひずみとしてそういう人たちが一般学級へせっかくまざってやっているんだから、それをゴボウ抜きのような形の中でやらないように、これは御答弁は結構でございます。こういう問題はたくさん自治体で起こっていると思うんです。ひとつ格段の御配慮をいただきたいと思います。
 続きまして、恵まれない不自由な人々に温かい政治をという立場から厚生大臣に身体障害者の問題について質問をいたします。
 身障者の方々は、身の不自由を物ともせず社会の一員といたしまして各界で活躍をされております人たちも多いのですが、現代はモータリゼーションの時代ですので、車を使用しておられる方がたくさんおりますし、年々これはふえているわけでございますが、身障者の方で車を保有しておられる方は全国でどのぐらいおられるのでしょうか、それが第一点。
 こういった人々に対して、自治体の一部では、ガソリン税に相当する分を助成しているところがあるんですね。その例は、山梨県で月五十リットルまで一リットル当たり三十四円五十銭、東村山市では月八十リットルまで一リットル四十五円、鳥羽市では月五十リットルまでで一リットル当たり四十五円と、若干自治体によっては助成内容は違いますが、国からの助成なしで、自治体も御承知のとおり非常に赤字財政なんですが、単独事業として一生懸命身障者に補助をしております。このほか、東京都下でも三鷹市とか東大和市、清瀬市など、まだ数市がございますが、こういったことは自治体に負担をかけずに、助成金を国から出すか、国が統一して行うか、いずれにしても全国的に差別なく実施する方向が一番私はよいと思うのですが、まあこれは自治省の所管でもありますし、自治大臣の、こういう各自治体でやっている助成の問題、並びに所管である厚生大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
#287
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず第一点のお尋ねでありますが、身体障害者で運転免許を取得しておられる方の数は、五十三年の十二月末現在で総数九万一千三百八十二名であります。その中で相当多くの部分が車両限定の対象となる方でありまして、これが七万七千四百七名、義手、義足の装着をしておられる方が三千百二十五名、それから補聴器を使用しておられる方が七千百六十九名であります。いまの御議論は、確かに私も一つの考え方だと思います。ただ、国としてはむしろ自動車を使用される、また保有される重度の身体障害者に対して、現在一部の地方自治体でおやりのような燃料価格の中の揮発油税分だけを助成するという方法よりも、むしろこういう日常生活費の一部と見られるような経費については、年金でありますとか、こういった所得保障対策の充実によって対応する方が本筋だと私は思います。むしろ、身体障害者の方々の社会復帰の促進という観点からは、確かに御指摘のように自動車が非常に大きな役割りをしておるわけでありまして、いま身体障害者の方々のための自動車改造の費用の助成、また自動車取得の際における自動車取得税及び物品税の減免、また自動車保有にかかる自動車税の減免等の措置を講じておりますし、五十四年度から今度は自動車の操作訓練に必要な費用、それに対する助成を新たに創設いたしました。また、有料道路の通行料金の優遇措置等も関係当局によって実施をしていただいておるわけでありまして、こうした問題が大変に必要なことであることは認めますけれども、むしろ自動車というものに対応する対策は、いま申し上げたような形で進めるのが本筋であって、御指摘のような観点からは、むしろ私は年金制度等の充実で対応する方が正しいのではないかと、そのように思います。
#288
○国務大臣(澁谷直藏君) 身体障害者に対するガソリン税に対する補助を地方自治体として実施しておる地域があることは、御指摘のとおりでございます。これはそれぞれの地方自治体が自治体の単独の福祉施策として実施しておるところでございます。自治省といたしましては、自動車税あるいは軽自動車税、自動車取得税、こういう税を減免するように通達を通じましてできるだけの施策を講じておるところでございます。
#289
○山田勇君 昨年の代表質問でも婦人の地位向上について取り上げましたが、まだまだ男女の差別はいろいろな面に残っております。三月十二日に東京高等裁判所の控訴審で、男性より五年早く五十歳で定年退職をさせられるのは女性に対する差別だとして訴えておりました日産自動車の女性従業員の方が、その主張を全面的に認められる判決がございましたが、男女別の定年制を定めている企業はまだほかにもたくさんあります。労働省はその改善のために行政指導を行っていると聞いておりますが、一層指導を強化してほしいと私は思います。
 総理府は、婦人問題について、五十二年一月に国内行動計画をつくりました。現在は婦人の政策決定参加を促進することに力を入れているようでございますが、実際に各種審議会など婦人の参加状況はどうなっておりますでしょうか、総務長官にお伺いをいたします。
#290
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたします。
 御指摘のように、国連婦人の十年が宣言されてちょうど、ことしで国連婦人の運動が展開されて四年目、来年がちょうど中間年次に当たるわけでございまするので、わが国におきましても、いま申されましたように、婦人の地位の向上、それから各職場におきまする婦人の進出ということを一つの活動の方針としてこれを努力しておるわけでございまするが、いま御指摘のございましたことを数字を申し上げますと、昭和五十三年の六月現在、中央審議会等におきまする婦人の委員数は百七十一名でございます。五十二年の四月は百五十一名でございましたから、総数におきましては相当伸びてまいったと思うのでございます。なお、婦人を含まない審議会数は百二十一あるわけでございます。これも、五十二年の調査によりますと、百五十四でございましたから、この点におきましても相当数婦人の進出が認められてきた、そういう数字があらわれておるところでございます。
#291
○山田勇君 公務員などの採用は男女の差別なく行われておりますか。国は率先して男女の差別なくすべての職種に門戸を開放すべきだと思います。きのうの新聞各紙は、某百貨店の女性重役の出現を大々的に報じております。こんなことがニュースだねになるということは、民間企業ではまだまだ女性を重要ポストに配置することが少ないということの証拠だと思います。仕事を持っている女性は二千万人からいるわけで、そのうち雇われて働いている女性は千二百五十万人もいますが、大部分の女性は身分が不安定で安い賃金で働いております。婦人の地位の向上については、かけ声だけではなく、国として積極的に具体的に計画を立てて実行しなければなりません。総理は、さきの施政方針演説に対するわが第二院クラブの市川房枝議員の質問に対し、女性は家庭の中にいて良妻賢母であるのが理想であるというようなニュアンスの答弁に聞こえたわけですが、まあこれは男のエゴ的な発想ということと同時に、娘を持つお父さんの母性の物の考え方だと思いますが、女性が社会に進出している現代では時代おくれの考えと言わなければなりません。総理、次の内閣改造には、思い切って婦人の大臣を誕生させてはいかがですか。広く社会一般にも有能な人材を求めて、ぜひとも婦人の地位向上のシンボルとしても女性大臣の誕生を期待するものですが、総理のお考えをお聞かせください。
#292
○国務大臣(大平正芳君) 御婦人が男性と同様にあらゆる機会に平等な機会を獲得されるということでなければならぬと思いますが、現実にはなかなかそうなっていないということも事実でございます。私は、女性の方が世の中に出ることが男性より少ないから女性が差別とは決して思わないのでありまして、女性の方は陰におられても大変大切な役割りを果たしておると思うのでございまして、非常に影響力を持っておられると思います。しかし、外に出られて男性と同様な職場において堂々と能力を生かされるということは大変結構だし、それはまた保障されなければならぬと思います。
 大臣でございますが、過去におきましても女性の大臣が私の記憶でも二人あられたと思います。いま、大臣の場合は、比較的国会議員の方が多いわけでございますが、女性議員の方が残念ながら少しずつ減ってきておるようで、これは心細いことでございますけれども、しかし、国会議員以外からも国務大臣は選任できることになっておりまして、大臣を希望されて非常にすばらしい方がおられますならば台閣に加わっていただくことにいささかのちゅうちょも感じておりません。
#293
○山田勇君 次は、日本の防衛について若干お尋ねをいたします。
 日本の防衛と自衛隊に対する国民の意識を調査するため、昨年十二月総理府が行った世論調査の結果がこの三月四日発表されましたが、「自衛隊はあった方がよい」というのが八六%と高率になっております。また、「日米安保体制と自衛隊で日本の安全を守るべきだ」とする意見が六一%と、これも高いパーセンテージを示しております。四十七年、五十年、今回と三年ごとの調査では、逐次「あった方がよい」という数字がふえているようでございますが、この傾向について防衛庁はどのような見解を持っておられますでしょうか。
#294
○国務大臣(山下元利君) この三月に発表せられました総理府の世論調査によりますと、御指摘のように自衛隊に対する国民の皆様の御理解が高まりまして、特に八六%という方々が自衛隊があった方がいいとお考えでございます。これは過去で最高の支持でございます。これは私ども、多年にわたり先輩が並み並みならぬ努力をしてくれたこと、それからまた、私どもの努力していること、並びにまた昨今の国際情勢を見ました場合に、国の防衛に対する自衛隊の役割りということにつきまして、評価し御期待をいただいていることのあらわれだと思うわけでございますけれども、しかし、私どもはこの結果を冷静に受け取りまして、その国民の御期待にこたえるように真剣に努力せねばならないと一層引き締めて考えておる次第でございます。
#295
○山田勇君 調査に際しての設問の仕方など調査方法に問題があるとも言われていますが、この点についてはどうお考えですか、長官。
#296
○国務大臣(山下元利君) この点につきましては、実は総理府の方が民間機関に委託されまして、しかもその標本の抽出等につきましても一般の例によって行われているわけでございますが、設問の仕方等につきましても十分な配慮をされておりますので、われわれはこの結果を得られましたことにつきましては、きわめて客観的にこの数字が出たのではないかと思うわけでございます。
#297
○山田勇君 日中平和友好条約が結ばれた今日、日本にとって脅威になると考えられるのはどこの国ということになるのでしょうか、長官。
#298
○国務大臣(山下元利君) 私どもの防衛の基本は、とにかく直接間接の侵略を未然に防止すると、そういうことでございますけれども、いまどこの国を対象としてそのことを考えているわけではございませんで、専守防衛という中において国の平和と安全を守っていくというわけで、どこの国をその対象として考えているわけではございません。
#299
○山田勇君 長官に続いてお尋ねをいたしますが、民間防衛についてどういうお考えでしょうか。原爆の洗礼を受けた日本国民にとって、核戦争の脅威については知り過ぎるほど知っているわけです。一たび核戦争に巻き込まれたとき、一瞬にしてわれわれ市民もその惨禍に巻き込まれてしまいます。中国などでは地下ごうが至るところで大規模に構築されているそうです。核兵器時代に市民の退避施設を整備するのは常識だと言う人もおります。日本の国内で核攻撃に対する退避施設がつくられているようなところはあるのでしょうか、また、世界の民間防衛体制は大体どういう水準で推移しているのか、その辺、わかる範囲内で結構でございます。
#300
○国務大臣(山下元利君) 特に、アメリカ、ソ連、御指摘の中国、あるいはスウェーデンもございますが、西ヨーロッパの諸国におきましては非常に民間防衛に熱心でございます。退避所の設置でございますとか、それから食糧医薬品の備蓄、あるいは防災組織の整備とか、特にアメリカなどは、この三月から、いままで民間防衛の任務は国防省が持っておりましたけれども、今度は国防省と、それから消防庁、保健局、それから災害局でございますか、そういうのを統合いたしまして一つの大きな組織を持って民間防衛に当たっております。これは御指摘のように、やっぱり核防護ということを熱心に考えていると思いますが、その点わが国におきましては先ほど申しましたように専守防衛でございますが、こんなことはあってはなりませんけれども万一戦場になるようなときには、住民の方々の防護であるとか、避難の問題とか、真剣に取り組まねばならないと思っておりますし、昨年の防衛白書でもそれはきちんと書いているわけでございます。率直に申しまして、諸外国の例のようにはまいっておりません。これは御了解願えると思いますけれども、関係各省とも十分協力して行わねばなりませんし、防衛庁だけでは手の届かぬものでございますが、それよりも何よりも一番大事なのは、国民の皆様の民間防衛に対するコンセンサスであろうと思います。そうしたコンセンサスのもとに進められねばならないと思いますけれども、そのコンセンサスづくりにつきましてただいまの御指摘は私は大変時宜に適したものだと思っているわけでございますけれども、決して私どもはこうした問題をゆるがせにすることなく真剣に取り組んでまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
#301
○山田勇君 わが国の安全を守るための防衛関係予算が二兆一千億近くあるのに、民間防衛は知らぬ顔というのもちょっとおかしな話ですが、だからといって、いますぐ退避施設をつくる予算を組めだとかということを言っているのではありません。いまの日本国民にとってはそういうことになれば戸惑いをかえって覚えるのじゃないかというふうに思います。これは長官もおっしゃるとおり大変むずかしい問題だと思います。ひょっとすると、日本の安全は確立されていて、国民自体の防衛なんか考えなくてもよいんだが、有事立法だとか北方の脅威だとか騒ぐのは、防衛予算を獲得するための便法だとか、早期警戒機を早期に購入するための手段――まあそういうことでは決してないと私は思いますよ。しかし、過去の歴史を見ますと、昔の軍隊はことさら事変を起こしては危機感をあおり、そして軍事予算の獲得に狂奔したこともあるようです。まさか現在の防衛庁関係の人々がそういうことはないとかたく信じます。日本の国の安全を願って日夜勤務に精励されているということは十分理解をいたします。しかし、軍備だけが安全保障のすべてではないということも事実であります。この際、平和憲法を遵守するという意味からも、いたずらに防衛費をどんどんふやすことだけを考えず、むしろ削減することによって世界じゅうに平和愛好国としての日本の姿を示し、そして削減した予算は教育と文化の交流に充てる。国際交流を深めれば深めるほど国と国との理解が進み、総合的な安全が保障され平和が維持されると思いますが、総理のお考えはいかがでしょうか。
#302
○国務大臣(大平正芳君) おおむね山田さんが言われたことに賛成でございます。
#303
○山田勇君 そこで、総合安全保障という言葉も出ましたところから、外交が平和の中に占める役割りは非常にぼくは大きいと思います、大臣。そういった点から、外交の一環として国際交流の大切なことは言うまでもありませんが、その母体とも言える国際交流基金についてお尋ねをいたします。
 この基金の目的と業務の概略、予算規模などをお聞かせください。
#304
○説明員(平岡千之君) お答えいたします。
 国際交流基金は昭和四十七年に設立されまして、文化交流を通ずる国際間の相互理解、すなわちわが国の文化を外国に紹介するとともに、外国の文化に対するわが国の国民の理解を深めるということが目的でございまして、その予算規模でございますが、これは基金の規模ということになるわけでございまして、当初五十億から出発いたしまして毎年大体五十億ぐらいずつ、時によってはゼロのこともございますし、百億のこともございましたが、今年度のいま国会で御審議いただいておりますこの予算にも五十億の増資を計上しているわけでございまして、この五十億を加えますと四百五十億になるわけでございます。そこで、この基金からの運用益、すなわち銀行等に預けましたこの利子収入でもって事業を行っているわけでございますし、大体、いまのところ三十億前後でございまして、それ以外に管理費と申しまして、人件費とは別個、直接に国家の予算から補助しているわけでございます。
#305
○国務大臣(園田直君) いま実情は御報告したとおりでございますが、交流基金というのはきわめて重大なものではありますが、その仕組みが、基金を積み立ててその金利でやることになっておるわけでありますので、運用上非常に困難なところでございます。
#306
○山田勇君 あのね、外務大臣、この団体は外務省の唯一の外郭団体だそうですね、余り広く知られてないです。ぼくは、実は私事ですが、カナダの大学から頼まれて片岡さんにお会いをしましてね、るるその説明を事務局で受けたんです。実にすばらしい仕事をしてはるんですよ、大臣。あの乏しい積み立ての資金の中から、それは百人の平和外交官にまさる仕事をなさっている、各国からの感謝状だとかね。その中で大蔵省の出先の方たちと一体となって一生懸命やっておられるんです。ただもう私は敬服いたしました。ですからね、私は、このようなすばらしい基金がますます拡充強化され、国際相互間の理解を深めるという意味で国際友好親善を一層促進されるよう、もう実力大臣なんですからね、予算ももう少しいただくようにしてこの交流基金を伸ばしてください。これは下手な外交官を百人あっちこっち回すより物すごい――いや外交官の方に大変失礼ですが、これは表現上そういう不穏当な発言をしますがね、実にりっぱな仕事を小規模の中でやっておられるということで、私は大変敬意を表する意味で、きょうは特に来ていただいたようなわけでございます。
 続きまして、残された時間がもう二分ということなんでね、嫌煙権の問題をやるので専売公社の方もお見えなんですが、ちょっと時間をオーバーしますと後の新自由クラブにいろいろ問題があるんです、テレビが入らなかったりしてね。それではちょっと困るんでね、公平でありたいと思いますので。
 運輸大臣、国鉄運賃値上げの問題について一点だけお聞きをします。
 先日から、経企庁長官等のお話、運輸大臣のお話、伺っております。私たち運輸委員としましてたくさんの電話をいただきますが、初乗り百円というものに対する抗議だとか、値上がりはけしからぬという抗議は中には一、二点ありましたが、その中で一番の問題が通学定期なんです。一
 そこで先ほど来四月一日実施で百九十億、それを経企庁長官がこれじゃちょっとぼくものめぬよという形で、五月二十日というふうに話し合いがあって百六十五億、二十五億のもう予算上すでに損失をしているということなんですが、もう一歩私は突っ込んで考えますと、七月の一日に私はこれは実施してもらいたいんです。これはもう百歩譲ってですよ、七月一日。そうすると学校が夏休みに入るんです、そうすると各家庭でこれはバランスが非常にとりやすいんですよ。その間全然乗らないかといえば切符を買って乗るんですから。まあぼくはこの数字をちょっと言われるのはあれなんで、五十億ぐらいの減収なんです。その間、切符も買いますし、学生は帰省なんかで動きますから、二十五億プラスで五十億、苦しい財源ということはわかります、財政上ね。わかりますが、これは諮問のまだ期間ですからぼくは言うんです。こういう声を反映してもらいたいのです、諮問に。七月一日となると、どうなんでしょう、これは経企庁長官を含めて、これはもう強く私お願いをするんですが、お願いいたします。
#307
○委員長(町村金五君) 山田君、時間が参りました。
#308
○山田勇君 はい、どうも済みません。
#309
○国務大臣(森山欽司君) 学生の通学割引、いままで八割引きであったやつを七割七分程度にとどめてもらいたい。まあ私どもは値上げをしないで済むものならしたくないのでありますけれども、御承知のような国鉄財政で、助成前の赤字が一兆二千億円もありますものですから、やりたくないことを涙をのんでやらなきゃならないというようなことでございます。
 特に、御説のとおりの学生割引については、その気持ちはよくわかります。ただ、国鉄運賃法に、法律によりますとね、割引は一カ月ないし三カ月は法律によると五割、それから六カ月以上が六割ということになっている。実際はその五割、六割の割引率をさらに上げましていままで八割でやっておった。しかし、ここのとこ運賃値上げをやるので、どうも通学定期だけをそのままほっておくわけにいくまいということで七割七分ということにいたしまして、大変申しわけないような結果だと本当は思っておりますが、もう背に腹はかえられず、やむにやまれぬというので国鉄の方からそういう提案が出てまいりましたので、私どもはそれを受けて運輸審議会にかけて、審議中でございます。
 しかし、この問題につきましては、基本的な気持ちは私はあなたと同じです。ですから、昨日でございましたか一昨日でございましたか、文部大臣も心配しておられました。ですから、文部大臣ともよくまた改めて御相談もいたしてみたいと思っておりますし、これから運輸審議会の審議の経過――これは一応運輸審議会にお任せしたわけでございますから、主務大臣である私が、国鉄の窮状を承知しながら、またこれに水をかけるのもいかがかということで苦慮しておりますので、きょうの御意見は御意見ということで十分承りましてですね、また改めて御報告をさしていただきたい、こう思います。どうもありがとうございました。
#310
○山田勇君 どうもありがとうございました。(拍手)
#311
○委員長(町村金五君) 以上で山田君の総括質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#312
○委員長(町村金五君) 次に、柿沢弘治君の総括質疑を行います。柿沢君。
#313
○柿沢弘治君 当予算委員会で質問するに当たって、大平総理が以前にお書きになった書物などに目を通させていただきました。たくさんお書きになっていらっしゃるのを拝見してびっくりしたわけですが、そしてその中で政治家大平正芳の誕生と成長に当たって池田元総理との出会いが大変大きな役割りを果たしていたということを再確認をいたしました。ある巨人との出会いがその人の運命を変えて、そうしてその人の大成への刺激と栄養素をふんだんに注入する、そして大木に育っていく、大変すばらしいことだと思いました。
 総理は、池田総理の身近にいて、池田政治をつくる立場にあったわけでございますが、池田政治から何を一番学ばれたと思っておられますか、まずお伺いをいたしたいと思います。
#314
○国務大臣(大平正芳君) 何と申しますか、政治に対する主体的なまじめさというものを感じたわけです。具体的な事実を丹念に究明して、それを踏まえて政策を苦吟して考えていくという姿勢と、それから、きわめてざっくばらんな民主的ならいらくな御性格に魅力を感じました。
#315
○柿沢弘治君 池田内閣のキャッチフレーズであります低姿勢、寛容と忍耐、これはいずれも大平総理の造語と聞いておりますけれども、いまでもこの二つを総理の政治信条とされていらっしゃるわけでしょうか。
#316
○国務大臣(大平正芳君) 寛容と忍耐ということは当然なことでございまして、政治の根底にあることでございまして、私が言わなくても当然のこととして通用しておると思っております。そういう造語を私の専売特許とするつもりは毛頭ありません、したこともありません。
 それから低姿勢という言葉でございますが、私は低姿勢ということを言うたことはないのです。これは正姿勢と言ったことはありますけれども、高くもなく低くもなく、正しい姿勢でなければならぬということは言うたわけでございますけれども、池田政治は何か低姿勢ということにも評価されてしまいまして、世間にそれがひとり歩きしたものですから、打ち消しようもなく至っております。
#317
○柿沢弘治君 私がいろんな本を読みながら感じましたことは、池田さんには元来高姿勢といいますか、むしろ決断と実行力といったような面がお強い方だったように思うわけです。そうした前提の中で女房役といいますか、官房長官としてお仕えなさった大平総理が、低姿勢、もしくは寛容と忍耐という振りつけをされた、その二つの要素が巧みにミックスをして、ころ合いの味を出していたという感じがいたすわけでございますが、そうお思いになりませんでしょうか。
#318
○国務大臣(大平正芳君) 池田さんはそう寛容な人ではありませんでした。大変性急な人でございましたし、姿勢はどちらかといえば高い方に傾斜する傾きを持った人でございましたから、あなたのいま御指摘になられることはある程度肯綮に当たっておるところがあると思います。
#319
○柿沢弘治君 そうしますと、池田さんの身近に長い間お仕えになった大平総理は、そちらの方も十分学ばれ、おくみ取りになったというふうに考えてよろしゅうございましょうか。
  〔委員長退席、理事岩動道行君着席〕
#320
○国務大臣(大平正芳君) いやまだまだ私は修行中でございまして、まだ至らないことばかりです。
#321
○柿沢弘治君 実は、そんなことをお聞きするのも、低姿勢、もしくは正姿勢かもしれませんが、寛容と忍耐、これらは元来その方が持っている自己の哲学といいますか、信念といいますか、もしくは政策というものを円滑に実現させるための一つの方途だと考えるからでございます。したがって、それ自身が政治の目的ではないのではないだろうか。つまり実現しようとする目的がない低姿勢とか、寛容と忍耐というものは、単に政権を維持するための手法といいますか、手練手管ということに成り下がってしまう。そう考えるわけですけれども、大平総理、その点についてはいかがでございましょうか。
#322
○国務大臣(大平正芳君) それは半分賛成ですけれども、半分はそうでないと思います。寛容と忍耐というのは手段である、事をなす手段であるということでなくて、本来、民主政治というのは寛容であり、忍耐を旨としなければできないものだと思うのでありまして、そしてそうすることが、あなたの言われるように、政策を実行して効果を上げる有効な手だてであることは否定いたしませんけれども、そういう目的を達するための手段として、寛容と忍耐というものを考えるということにはいささか私は抵抗を感ずるんです。
#323
○柿沢弘治君 一つお聞きしたいと思いましたのは、中央公論の六五年の十月号に「回想の池田内閣――池田さんの追い求めたもの――」というものを書いておられます。
 大変名文でございますが、その中に総理になられ、総裁になられた池田さんに対して、大平総理が
 「とうとうあなたも総裁になられましたね」と申し上げた。「うん……」と答えられて、しばらく池田さんは黙っておられた。
 「あなたは、東京に出てこられた当時、いつの日か今日の地位につけるものと思っていましたか」私は重ねてたずねたが、もちろん池田さんの答えは、「否」であった。
 「本来、期待していなかった地位につかれたとすれば、現在あたえられた地位におられることが、いかに短くとも、文句のいいようもないわけですね。極端にいえば、朝に組閣して、夕べに斃れてもやむをえないのではないでしょうか。また、政権維持をいつまで許されるかは、国民が決めることであって、あなたが決めることではないと思います。」
 こうおっしゃっていられますけれども、こう池田さんに進言をされた総理の真意といいますか、何をお考えになっておられたのか、お伺いをしたいと思ったわけです。
#324
○国務大臣(大平正芳君) そこに書いてありますように、政権を長くやるとか、短くやるとかいうのは政権の主体が決めることではなくて、国民が決めることであるということを言いたかったわけです。
#325
○柿沢弘治君 大平総理は、あなたが総裁選で勝利をおさめて、総理大臣に指名されたときも同じ心境でございましたでしょうか。
#326
○国務大臣(大平正芳君) そのときも今日も変わることはありません。
#327
○柿沢弘治君 つまり、総理総裁になられても、その地位を保全するためにきゅうきゅうとするということではなくて、その実行する政策のよしあしで国民の判断を仰ぐ、それによって政権の長さがおのずから決まる、そういうお考えと理解してよろしゅうございましょうか。
#328
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりです。
#329
○柿沢弘治君 といたしますと、大平政治の目指すものをもう少し明瞭に出して、実現への指導力をお示しをいただきたいと思うのは私だけではないと思いますが、いかがでございましょうか。
#330
○国務大臣(大平正芳君) それはどういうことでございましょうか。私、政権を預かりまして三カ月余をけみしたわけでございまして、その場その場で考えなければならぬことを考え、計画し、提案しておるわけでございまして、現にいまここで予算案を御提示申し上げて、御審議をいただいておるわけでございまして、こういうことと別に何か壮大な政策をほかの部屋で用意しておるというようなことはございませんで、しつらえたものは成案にいたしまして、国会の御審議を仰ぐという手順をじみちに踏んでまいるつもりでございまして、現にあり合わせのものを出して御審議をいただいておるわけでございまして、今後も、事態の推移に応じまして次々とおぜん立てをいたしまして、御審議をいただくようにいたしたいと思っております。
#331
○柿沢弘治君 と申しますのも、池田総理には所得倍増計画という大きな計画があり、それを実現するために総理は身命を賭したということを大平総理もいろいろなところで書いておられます。そうしたものがあって初めて国民の審判を仰げると思うわけですけれども、この三カ月総理の政治手法を私も拝見をいたしまして、いささか危惧の念を持つわけでございます。
 というのは、大平総理の目指すものの何となくあいまいさ、総理の意思がわかりにくい、そうしたもどかしさがいろいろな意味で、信頼と合意という呼びかけに応じて総理の身近に近づく人たちに対して結果的にかえって不信の思いを生むんではないか、そしてそれを増幅していないだろうか。今度の予算修正問題の過程を見ながら、私はそうした感想を持つわけでございます。総理御自身は落ちつくところへ落ちつくまでしんぼう強く待つ。それもよいと思いますけれども、そのために回りの人たちが手負いになる、少しずつ手傷を負うということですと、そうした手法は長続きをしないのではないだろうかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#332
○国務大臣(大平正芳君) 私自身は、もしいま柿沢さんが言われますように、あいまいさのゆえに非常に御迷惑をかけておるというのなら、私は大変これ考えなきやいかぬと思うのです。
 ただ、私は、いまの時代が大変むずかしい時代、転換期でございまして、どのような方向にどういうことをどの程度どうやったらいいかということに対しましては、非常に苦吟をするわけでございまして、明快に将来の展望はこうだと言うて自信を持って国民を引っ張っていくというほど私は偉くないのです。いまの時代はとてもむずかしくて選択に苦悩をしておるわけでございまして、もしあいまいな点がありとすれば、非常に苦悩しておる姿だとお受け取りをいただきたいと思うのでございまして、私の政治手法で何か深謀遠慮がございまして、そういうことをやることが事柄を出す戦略として適当だからやっておるというような、そんなことは毛頭ないわけでございまして、もしそういうことがありとすれば、それはもう重大なことでございますので、よほど気をつけていかなければならぬと思います。
#333
○柿沢弘治君 総理のお話を伺って少し安心をいたしますが、たとえば予算修正をめぐる公民との形式修正の問題、新自由クラブとのいわばジグザグ折衝といいますか、行ったり来たり、都知事候補選定の問題等でわかりにくさはなかったでしょうか。
#334
○国務大臣(大平正芳君) 私としては、新自由クラブに対しましても、公明党に対しましても、民社党に対しましても、相手に対する信頼と尊敬の念を持って、そのお立場を十分考えて、平等な立場で事を処理しようと苦心いたしたつもりでございまして、自民党が大きな政党であるからとか、政権を担っておるからとかいうことで、皆さまにいわゆる高圧的な感じが持たれるようなことがあっては大変だと思いまして、
  〔理事岩動道行君退席、委員長着席〕
小心翼翼としてやったわけでございまして、そのことはむしろこの三党からは評価していただきたいとさえ思っております。
#335
○柿沢弘治君 評価するのはもうしばらく見させていただきたいと思いますが、大平総理はかねてから部分連合論者として知られております。しかし、予算に関する限り見ますと、五十二年度予算は自民、新自由クラブ、民社の三党賛成で成立をいたしました。五十三年度は自民、新自由と二党になりました。そして五十四年度は自民党単独で、予算委員会否決、単独で逆転可決ということになりました。その意味では福田内閣当時よりも連合の姿が後退したということになるわけですが、これはなぜだとお考えでしょうか。
#336
○国務大臣(大平正芳君) それは全然後退したとは考えていないのです。予算案をめぐりまして、野党との間に私は年々歳々理解が深まってきておると思いまするし、また政策を共通にする分野が広くなってきておると思うのでございます、実質的に。で、去年、おととしは、それでもなお依然として大幅の減税政策というのは隔たりがございましたけれども、ことしはそういう若干の物価調整減税を野党の方は主張されましたけれども、大きな政策減税というようなことは断念されたようでございまして、ようやく予算を中心にいたしまして、与野党の間の距離というものはだんだんと私は実質的に狭まってきておると思うのであります。
 ただ一点、この形式修正をやるか、やらぬかということでございまして、ちょうど円周の接点においての処理の仕方、技術的な問題でございまして、それは確かに賛成される、賛成されないということは大事なことに違いはございませんが、けれども、民主政治はそういう結論も大事でございますけれども、過程も大事でございまして、予算委員会が終始円滑に、予定どおり充実した審議を展開していただいたということ、そして先般も申し上げましたように、暫定予算を各政党が避けるべきであるということで一致していただいたこと、これは大変な私は前進であったと思っておるわけでございまして、接点における形式的な処理という点だけからこの問題は評価してはいけないのじゃないか。そのことももちろん大事でございます。
 それで、ことしの場合、おととしの場合と両方とも、形式修正が問題になったわけでございますが、おととしの場合は、野党のお話が決まりましたのがたしか三月九日であったと思います。三月九日で、これから修正案をつくりまして、本会議を経て参議院へ送るということになりますと、もう暫定予算必至でありました。で六百三十四億の低所得者対策というものを、予備費で特定するか、しないかだけですから、私は勘弁してもらいたいということを再三主張したのですけれども、民社党さんの方でなかなか御承知になりませんで、それだけのことをすればいい、それを特定するんだから、正直に予算を直したらいいじゃないかと。それが相当時間はかかりますけれども、もうすでに暫定予算のあのかきねを越えてしまっておりましたので、もうそれではそういうことはあえて仕方がなかろうと観念したわけでございますけれども、ことしは、この問題は、暫定予算が必要かどうかという非常に際どいところで問題になっておりましたから、もしそういう修正案を出しまして、国会の運営が円滑にまいればよし、万一支障が起こった場合には暫定予算にならざるを得ないという懸念もございまして、ことしは多少私わがままだったかもしれませんけれども、形式修正はひとつ勘弁してもらいたいということを申し上げたにすぎないので、それまでの経過を見ますと、予算案の審議、予算案の実体につきまして与野党の間の距離はうんと狭まってきておると思います。これにつきましては予算編成前から野党の御意見もいろいろ聞くことに努めてまいりましたし、また、とりわけあなたの政党、あなたの属する政党との間では、去年のいきさつもございまして、その後も終始公党の間の連絡はとってきたつもりでございます。したがって、後退したということでなくて、相当与野党の間の理解は前進したというように私は考えております。
#337
○柿沢弘治君 私は、今回の予算修正劇の結末を残念に思っている一人でございますけれども、それが部分連合への前進ではなくて、むしろ後退になった。しかも、その総理の決断が、これも新聞等を通じて聞いているだけでございますけれども、野党に対する配慮よりも党内に対する配慮が優先をした、派利派略といいますか、それから解散へのきっかけ、思惑、そうしたもので動かされたと聞いているわけでございますけれども、そうであるとすると、与党と野党の間の本当の合意の成立というのは今後も望めない、そう考えて残念に思った一人でございます。もう一度その点について、簡単で結構でございますが、御意見を伺えればと思います。
#338
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど説明申し上げたのが私の真意でございまして、あなたの言われるように手の込んだことをやれるような、私、性格じゃございませんので。
#339
○柿沢弘治君 もう一つ伺いたいのは、中道政党への、私ども中道かどうかというのが党内でも問題でございますけれども、対応として、新自由クラブでも公明党、民社党でも、無原則的にどっちかやすくつき合える方とつき合うという両てんびんのかけ方があったように思うわけです。これは私は感心できないと思います。
 なぜならば、総理のおっしゃる部分連合というものは、やはり共通の目標を持つものの間の協力関係でなければならない。そうでなければ連合ではなくて、単なる政党間の野合になってしまうというふうに感ずるからでございます。政府・与党のつくった予算に対して、いままでどおり、あれをふやせこれをふやせという形の増額修正を求める政党と、明年以降の増税を回避するために不人気ではあっても支出の削減を、減額修正を求める政党と両てんびんをかけるというのは、タイプの違った女性二人と一緒にお見合いをして、どちらでもなびいた方と一緒になろうというような主体性のない男性のお見合いに見えますけれども、いかがなんでしょうか。それとも、新自由クラブと公明党、民社党の要求が百八十度違う、符号がプラスとマイナスとの違いだということを総理は十分御認識をなさっていらっしゃらなかったんでしょうか。
#340
○国務大臣(大平正芳君) 相手の政党が大きいとか小さいとか、それから事柄が重いとか軽いとかいうようなことで態度を二にしちゃいかぬと私は考えております。一つ一つのことに、事柄の緩急、軽重にかかわらず、相手側の政党が強い大きな政党であるか小さい政党であるか、そんなことにはかかわりなく、真剣に取り組んでいったつもりでございます。今後もそのつもりでございます。
 それから第二に、確かに各党の修正要求は変わっておりました。そうしてあなたの方は確かに減額要求があったと思いまして、私は大変勇気のある御提言だと考えて、これはこれからわれわれが財政再建どいう大事業に取り組まなければいかぬわけでございますし、財政再建は政府がひとりでできることではございませんし、自民党だけの力でできるはずはございませんし、何としてもこれは広く国会の御支持を得なければならぬ、協力を求めなければいかぬわけでございますが、その中であなたの属する政党がそういうことを勇気を持って御提言をいただいたということ、これは私どもも大変勇気づけていただいたことでございます。それに対しては高く評価いたしております。
#341
○柿沢弘治君 私たちも、年金の増額とか雇用対策の充実、それ自身にもちろん反対ではありません。しかし、四割も借金財政だという状態の中で、さらに借金をふやすような増額修正というものを本当に責任政党として求めるべきかどうかということを真剣に考えたわけでございます。ですから、総理の中にこれ以上借金をふやすべきでない、財政再建のためにやるべきことはほかにあるという確固たる信念がもしおありだったとすれば、他の野党との予算修正の話に半身でも、もしくは三分の二ぐらい体を乗り出すということ自体が私には理解ができないわけでございますが、そうした確固たる信念はお持ちの上でやったわけではなかったわけでしょうか。
#342
○国務大臣(大平正芳君) 予算案は、柿沢さんも御承知のように、全体の国としての年次計画でございます。でございますから、国政全体の数字的な表現でございます。ところが、それは自由民主党とその政府が相談をして決めて編成して国会の審議を求めるという仕組みになっております。もとより事前に野党の御意見も伺っておるし、また、御審議を通じましていろいろな御意見を伺っておりまするし、去年、おととしとこの議場を通じて展開されましたいろんな御議論はこれを整理いたしまして、予算案にできるだけ組み込む努力はいたしてあるつもりでございますけれども、何と申しましても自民党政府の提案でございます。
 自民党は全体の投票総数において半数以下の政党でございますから、それが国全体の計画を提示しておるわけでございます。したがって、われわれは、本来これはベストの党案として出しておりますので、皆さんの御理解を得まして無傷で賛成を得たい、得るつもりで全力を挙げておるわけでございますけれども、しかし、各野党の御要請という点につきましては真剣に耳を傾けていかなければならぬことは当然だと思うわけでございます。そういう意味で勇気が足らなかったという御批判はあろうかと思いますけれども、できるだけ可能な限り野党の御意見に応じて、それを実現する方向で与党も考えていくということであらねばならぬと思いまして、自民党と各党との間のお話し合い、全野党とのお話し合いをさしていただいたのでございます。そのことは決してわれわれが勇気がなかったというよりは、われわれが野党の御意見をできるだけ謙虚に聞かなければならぬということがわれわれの任務であろうと考えたからにほかなりません。
#343
○柿沢弘治君 いろいろとありがとうございました。
 次に、増税か支出削減か、財政再建の本筋は何かということについてお伺いをしていきたいと思います。
 総理は、安上がりの政府ということは私の用語ではないということを十二日の当予算委員会の糸山委員の質問に対する答弁でおっしゃいました。本当に安上がりの政府という言葉をお使いになっていらっしゃらないでしょうか。
#344
○国務大臣(大平正芳君) このチープガバメントという言葉を安上がりの政府というように訳したわけだと思うんですが、この始まりは。それはいま私どもがねらっておるのとどうもぴたっとこないわけでございますので、私は施政方針演説でもそういう言葉を避けたつもりでございまして、そういうことよりは簡素で効率的な政府という方が正しいのではないか。つまり安上がりの政府を忌避するとか、それから後退するとかという意味では決してなくて、そういう表現は余り適切じゃないんじゃないかということでございまして、最近、私はそういう言葉を使わぬことにいたしておりますが、何か使った経緯が――またどっかから探してこられたんですか、それを。
#345
○柿沢弘治君 どうもお見通しのとおりでございます。
 一つは、大平基本政策、自民党総裁選のときにもはっきりと写真入りの大きなお顔と一緒に安上がりといいますか、安くつく効率のよい政府という表現を使っておられます。それからいろいろ本を見ておりましたら、昭和二十八年「財政つれづれ草」というところでも、わざわざ一章を設けて安くつく政府ということを書いておられます。もちろんチープガバメント、アダム・スミスのころとは違うけれども、それにもかかわらず、やはり安くつく政府をどう打ち立てていくかに精進を惜しんではいけないと思うと結ばれていらっしゃるわけです。長い間の安くつく政府に対する総理の執念が最近ここへきて少しぐらぐらと揺らいでいるように思うわけですけれども、そんなことはございませんでしょうか。
#346
○国務大臣(大平正芳君) 安心いたしました。安上がりでなくて、安くつく政府だったんですね。安心いたしましたが、それはともかくとして、私は揺らいでいないどころか、ますます志をかたくしてこれと取り組まなきゃいかぬと考えておりまして、これからわれわれが取り組まなければならぬ財政再建は、それとの真剣な取り組みの成否にかかっておるものと思うのであります。
#347
○柿沢弘治君 総理は、国会でも、華々しい行政改革ではなくて、じみちに定員削減、補助金整理、事務の簡素化に努めるとおっしゃっておられます。その意味で、少しその辺をお伺いをいたしたいと思います。
 まず、定員削減ですけれども、行政管理庁の長官にお伺いをいたしますが、四次の削減で五十四年までに二万八十一人確かに削減をしておられますけれども、同時に、その間に増員が二万六千二百九十四人ある。結果として純増が六千二百十三人になっているわけですけれども、国民が望んでいるものは本当の意味の実質的な定員の減ではないんでしょうか。
#348
○国務大臣(金井元彦君) ただいま御指摘の定員削減の件でありますけれども、御承知のように、第四次の削減ということを一方でする傍ら、片一方でやはり新しいニーズがあるわけでありますから、その方へまた増員をする、こういうことであります。特に第四次におきまして結果的に増員になっておるというのは、御承知の医大のない県を解消するということで、引き続いて医大のない県にどんどん医大をつくってまいりました、これが約七千名でございます。ですから、実質におきましては、私はやはり削減になっておる、こう見ておる次第でございます。
#349
○柿沢弘治君 実質的な増員ではなかなか納得してもらえないと思います。
 それから公務員の給与の問題ですけれども、最近、公務員志望が非常にふえている。私のころはずいぶん月給が安かったように思うのですけれども、最近はよくなったんだろうと思います。そういう意味でも、ことしの五十四年度予算の中でベースアップ財源千四百十六億を計上しておられます。これは給与改善費、総合予算の名残でございますけれども、これはやっぱり高度成長期の遺物なんじゃないだろうか。これからの民間春闘、そして人事院勧告に予断を与えるような給与改善費をあえてこのむずかしい財政状況の中で組む必要がどこにあるのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
#350
○国務大臣(金子一平君) そういう点も考慮いたしまして、五十三年度予算の半分にいたして圧縮して計上した、こういうことでございます。考え方としては、大体、あなたのおっしゃるようなことで考えておる次第でございます。
#351
○柿沢弘治君 もう一つ、給与の面では昨年の人事院勧告で指摘されましたように、高齢者を比較いたしますと、公務員の方が民間を上回っています。たとえば五十八歳−六十歳では一九・一%上回っている。六十歳以上だと二六%も公務員の方が高いというすでに調査が出ておりますが、一月十六日の閣議了解にこれをことしの政府の方針として入れておられないのは一体なぜでしょうか、政府はその改善をするつもりがないのでしょうか。
#352
○国務大臣(金井元彦君) ただいまお話しの高齢者の給与の件でありますけれども、この点は、閣議了解を得る際にも、これを入れるかどうかということについて検討をいたした次第であります。ただ、この問題は定年制の問題と絡んでおりますし、なおまた、定年制の問題につきましてはただいま人事院におきましてこれを検討いたしまして、近く何らかの結論を出す、こういうことになっておりますので、それとあわせて実施に移したい、かようなことで今回は入れなかったような次第であります。
#353
○柿沢弘治君 そうしますと、ボールは人事院に投げられているということですが、人事院総裁にお伺いする前に、公務員の定年制導入の問題については政府としてはどうなっておりますでしょうか、総務長官。
#354
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたしますが、一昨年の十二月に閣議におきまして定年制を実施するという方針が決定をされたことは御承知のとおりでございます。それに基づきまして、総理府におきましては、これは公務員の身分に関しますきわめて重要な問題でございまするので、人事院にただいま検討をお願いをしておるわけでございまして、大体、今月いっぱいぐらいの御検討を願えば結論が出るのではなかろうか、詰めの段階に入っておると思うのでございまして、その人事院の御意見を踏まえて対処いたしたいと考えておるところでございます。
#355
○柿沢弘治君 そうしますと、高齢者の給与の改善の問題、定年制の問題、人事院としてはどのような方針で取り組んでおられますか。
#356
○政府委員(藤井貞夫君) お答えいたします。
 定年制の問題につきましては、いま総務長官からもお話がございましたように、一昨年の閣議決定の線を受けまして、去年のたしか二月三日でございました、総務長官の方から私どもあてに、事柄は公務員の身分に関する重要な問題であるからしてひとつ人事院の意見を聞かしてもらいたいという正式の要請が参っております。
 元来も、定年制の問題については、人事院といたしましても、これは退職官吏に関する重要な案件であるという認識は持っておりまして、いろんな角度から検討は続けてまいっておるところでございます。ただ、正式に総務長官の方から要請があったこともございますので、それ以来非常に精力的にいろんな作業を進めてきております。詳細のことは時間の関係もございましょうし、差し控えたいと思いますけれども、大体におきまして、公務員内部の年齢構成あるいは高齢者の職員の構成において占める比率あるいは退職勧奨の実態、その他につきましていろいろ検討を重ねております。各省庁からも実際に実情を詳細に承りまして、検討の資料を集めております。また、民間との対比ということもこれも大変重要でございます。昨年もそういう意味で民間の定年制の実施状況、また再雇用の関係なり、定年延長の問題等を中心にいろいろ検討を加えてまいっておりますし、さらに外国の制度というものにつきましても、われわれ直接に調べたものもございますし、また外国公館を通じまして各国に要請をして調べてもらっておりまして、これが大体集まっております。現在、鋭意分析をいたしておるようなわけでございます。それらの諸資料、また諸情勢等を踏まえまして、いま最後の詰めを急いでおるということでございます。
 総務長官からお話がございましたが、今月いっぱいでということは、これは多少無理があろうかと思います。事柄が重要でございますので、詰めをする場合にもやはり慎重な配慮が必要であろうということで、いろいろな角度から検討をいたしておりますので、三月いっぱいというようなことはちょっと無理かと思いますが、しかし、正式の要請もあったことでございますので、できるだけ早い機会に結論を得て、それぞれ措置をいたす、勧告を要することがあれば勧告をする、報告を要することがあれば報告をするという措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
 また、もう一つの問題の高齢者の給与の問題でございますが、いま御指摘になりましたように、実際の調べをやってみますると、高年齢者については、その給与が民間と比較いたしました場合に、大変較差が開いてきております。むしろ公務員の方が非常に高いという結果がはっきりと出てきております。公務員の給与を調べます場合においては、御承知のように官民較差ということで総合較差を出しまして、それを基礎にして配分をいたします。いろんないままでの状況から、すぐに高齢者ということで直ちにカーブをつけて昇給停止その他をやるということもなかなかむずかしい面もございましたので、現在は、五十八歳以上の者について昇給延伸の措置を講じております。ただ、それだけでは間尺が合わないという実態が出てきておりまして、その分だけどうしたって若い人が、言葉は悪いですが、割りを食うということになってきておりまして、若い人の較差というものは民間に較べて公務員の方が悪いという数字がはっきり出てきております。そういう点もやはり是正をする、限界はございますけれども、是正をするということが必要であると思いますので、昨年の勧告の際に、この点をはっきり取り上げまして、至急に検討して結論を出すということを言っております。その線に沿って、現在、この問題についても鋭意検討中でございまして、できるだけ早い機会にこの問題についても現実の措置をやっていただくように申し上げるということで、現在、鋭意作業中であるということでございます。
#357
○柿沢弘治君 大幅な借金財政、そして一般消費税の導入、増税増税という声の中で、そうした公務員の給与の問題についての民間の関心も高まってきておりますので、ぜひ人事院としても是正のために積極的な手を打っていただきたいと思います。
 そのほか、中央省庁の機構の問題、そして地方支分部局の整理の問題、補助金整理の問題、いろいろお伺いをしたいと思っておりましたが、細かくなりますので省略をいたしますけれども、どれ一つをとってみても、たとえば特殊法人百十三の中で、五十年から減ったのは二つだけ、いままあ二つ三つかかっているようですけれども。それからふえたのは中央省庁では、中南米局がことしできた。減ったのは部、審議官等であるということでございますし、補助金についても、廃止になったのはことしの予算でも七百四十五億。しかし、並行して新規の補助金が九百七十億もできているわけで、結局、純増になっているとしか言いようがないわけでございます。その意味で、大平総理は歴代自民党内閣は相当な実績を上げてきたと国会答弁でも自讃をしておられますけれども、自讃をするにはまだまだ内容が乏しいというふうに考えられるわけでございます。その意味で、そうしたそれぞれの努力の積み重ねも必要ですが、いまの財政構造を思い切って変えていくには、やはり大型の補助金、たとえば三Kの赤字等に思い切ってメスを入れるという姿勢が必要なのではないかと思いますけれども、その点について総理いかがお考えでしょうか。
#358
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、行政費の節減あるいは行政機構の縮減は全然やっていないんじゃないかというような声がありますから、そうでなくて、実際は相当自民党内閣も苦労して、定員を抑え、機構の膨張を抑圧し、補助金の整理もじみちにやっておるのでございますということを申し上げたかったんでございますが、これまでの実績を大いに誇るほどの実績でないこともまたあなたの御指摘のとおりでございます。
 とりわけ、いまのような財政が大変危機的な状況になってきておるわけでございまして、何としても仰せのような点にメスを入れなければ、とうてい再建のめどが立たないと思います。この著名な三Kというものにつきましては、特に関係者の奮起を促して、この再建にかからなけりゃならぬと思っておりまして、この予算の御審議が終えますと、直ちに来年の仕事に早目にとりかかりたいと存じておりますので、また、この上とも御鞭撻を願いたいと思います。
#359
○柿沢弘治君 五十四年度予算の問題は、そうしたものに対しての切り込みの努力というものが見られないということだと思います。
 米の赤字、食管会計の問題についてお伺いをしたいと思いますが、永六輔さんが、つい先般、米穀通帳をみんなもらいましょうという運動を始めました。五十四年度予算では米穀通帳の作成費は幾ら入っておりますでしょうか。
#360
○政府委員(澤邊守君) 約五百九十万円入っております。
#361
○柿沢弘治君 これは何世帯分でしょうか。
#362
○政府委員(澤邊守君) 購入通帳は消費者向けだけではなくして、卸売業者、小売業者等もございますが、総額で、ただいま申し上げました約五百九十万になるわけでございますが、一般消費者向けにつきましては、現在の世帯数の、五十三年度の実績で見ますと、二%の通帳を印刷をしております。
#363
○柿沢弘治君 ほとんど持っていない家庭が多いと思いますが、持っていなければ三年以下の懲役、三万円以下の罰金ということのようですけれども、渡辺農林大臣の奥さんはお持ちでしょうか。
#364
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは私は台所をのぞいていないのでよくわかりませんが、恐らく持っていないんじゃないかと思います。
#365
○柿沢弘治君 もうお一方、法律の番人でいらっしゃる法務大臣はいかがでしょうか。
#366
○国務大臣(古井喜實君) 家内の方がしっかりしておりますから、ちゃんと持っておりますから。
#367
○柿沢弘治君 さすがに法の番人でございます。
 しかし、この購入券によらぬ米の売買が法律上罰せられるというのに、それが一切行われていない。なぜこんな法律や制度が残っているのでしょうか。この点について農林省としてはなぜ意欲的に改善に取り組まないのでしょうか。
#368
○国務大臣(渡辺美智雄君) この問題は一番頭の痛い問題でありまして、私もなかなかこれはすらすら答えられないのであります。
 御承知のとおり、食糧管理法がございます。これは戦時立法、昭和十七年にできたものであって、国民の食糧を確保する、そういうことが主たる目的で、その中で、「配給ノ統制ヲ行フコトヲ目的トス」ということが書いてあります。配給の統制を行うわけでありますから、当然、それについてはその米穀類の配給計画というものをこしらえてきちっと統制をしなきゃならぬということになってまいりますと、一人でよけい食っちゃったりなんかしちゃ困るわけですから、みんな平等に食べてもらわなきゃならぬという仕組みになっておるわけであります。したがって、現在、消費拡大というようなことで、本当は御飯をたくさん食べてもらった人にはごほうびぐらいやりたいぐらいの、時勢から言えば、これは本当に相矛盾するものだと、実態論からは。
 しかし、食管法を改正するとなりますと、騒ぎばかり大きくてなかなか問題がある。やっぱり国民全体の理解がなければ手をつけられない。したがって、私は、こういうような質問が出ることはもう非常にいい、これは結構なことだと私は思うんです、実際の話が。そうしてやはり経済立法ですから、経済立法というものは、経済の変動に応じて変えていかなければいろんな矛盾が出てくるわけです。人を殺したら悪いとか、どろぼうをしちゃ悪いとか、人をだましちゃ悪いとかいうのは、これは明治時代も大正時代も、昭和になっても同じだからいいけれども、こういうような経済立法というものは経済の変動に応じてやっぱり実態に合わせる。しかし、一方において農家の不安や消費者の不安をなくすようなPRをきちんとさしておいて、そして実態に合わせるようにしなきゃならぬ。それがいままでできていなかったということは事実であります。
#369
○柿沢弘治君 ぜひ農林水産大臣の勇気をもってこの問題に取り組んでいただきたいと思います。
 農林水産省の行政はともすれば消費者不在だと言われますけれども、六百万トンの過剰米を抱えながらなぜ消費者米価をこの二月に上げなければいけないのか。米離れを助長することになると思いますけれども、その辺についても経済合理性が全く働いていないと考えざるを得ないわけですが、いかがでしょうか。
#370
○国務大臣(渡辺美智雄君) それもまことに素朴な国民感情としてあるんです。ただ、米がこんなに余っておるときに、しかも高いではないか、何で値上げをするんだと、渡辺大臣は厚生大臣のときはよかったけれども、農林大臣になったらばかだなんてテレビなんかでもずいぶん私はやられました。
 私は、しかし、そういう意見があっていいと思うんです。いいと思うんですが、御承知のとおり、七千億円の赤字というようなものがあって財政上にっちもさっちもいかぬ。しかし、その内訳を分析してみるというと、一つはコスト逆ざや。コスト逆ざやの中は、要するに管理経費と売買逆ざやに分かれておる、それが七千億円になる。しかし、一食当たりに直すというと、これは売買逆ざやが高く買って安く売るという差額が四円三十六銭でありまして、改定前は五円三十八銭あったわけです。あとは六円何がしというものが管理経費であります。したがって、私といたしましては、予算も組めないような、農政の前向きの金も出せないということでは、もうおまけをこれ以上つけておったんでは会社がつぶれちゃというような状態なものですから、その補助金というおまけの部分のうちで一円二銭だけはおまけを減らさしてくださいと、おまけを。というようなことで、十一円八十銭のおまけのうち一円二銭、補助金ですね、正確に言えば補助金に相当するものです、政府負担ですから。その分を要するに消費者に負担をしていただいたと、こういうようにひとつ御理解をいただきたい。そうすれば、あなたのおっしゃる安上がりのむだのない、むだな補助金を使うなという趣旨にも大体合致するんじゃないだろうか。一挙にはできませんけれども、少しずつと。こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
#371
○柿沢弘治君 消費者の方にばかりしわ寄せをされないようにということを期待しておきます。
 と言いますのは、農家の所得を補償する、これも私も賛成ですけれども、たとえば北海道の米がすでに市場で六十キログラム一万円になっている。政府に持ち込むと一万七千円で売れるものがすでに市場でそうなっている。これは市場の自主性であり、経済の一つの論理が貫徹をしているのだということも、これを無視するわけにはいかないと思うわけです。そういう意味で、米の問題は私ども消費者としても大変関心の高い問題でございます。
 総理大臣に伺いますけれども、よくお歳暮に砂糖を使いますが、砂糖一キログラムとお米一キログラムとどちらが高いとお考えでしょうか。
#372
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは御指摘のように、お米一キログラムは標準米で一キロ三百十二円五十銭。自主流通米は大体四百五十円前後、高いのは五百円なんというのもありますが、大体一キロで四百五十円前後です。お砂糖の方は、きょうの相場が大体スーパーその他で小売末端価格が二百三十三円前後ということですから、自主流通米の場合にはお砂糖の倍の値段がするということであります。
#373
○柿沢弘治君 それなら、お歳暮にどうぞお米をというような運動はしておられますか。
#374
○国務大臣(渡辺美智雄君) これも本当に私もシャッポを脱がなくちゃならぬような話なんですが、御承知のとおり、配給切符がなければ、お米を買った者は、売った者も三年以下の懲役と、そうですな、三万円以下の罰金と。食糧管理法第八条の四で決まっておって、そこで配給切符を渡して国民に食糧を確保するという仕組みになっておるわけですから、不足時代の法律ですから、したがって、これはお米を使う者は、要するに消費者が自分の生活のために政府からお米をもらう、あるいは業者が人に販売するためにその購入券によってお米を政府から配給を受けるという仕組みになっておりますから、自分のためのお米はあげますが、人にくれることはやりませんという仕組みになっておるわけですね。
 しかし、これなどもやはりいまは確かに、いま言ったように、お砂糖の倍もするなら、いい米をお歳暮でくれれば喜ぶ人も確かにありますよ、それは。ですから、そういうようなものが一々法律違反だというようなことではやっぱり実態に私は合わないと思います。したがって、私は、一遍、ここらの点はこの食管法の中でも、何と言いますかね、皆さんが騒ぐほどの本当は話じゃないんですよね、ですから、よくPRをしながらお歳暮に使えるようにこれは直していきたい、かように考えております。(「お中元も」と呼ぶ者あり)お中元にもやらしていただきます。
#375
○柿沢弘治君 これは米の消費拡大にも役立つことですから、ぜひこの夏までに間に合うようにお願いをいたします。
 それから食管の赤字負担がいま八千九百五十九億円ございます。一般消費税五%ということで三兆円弱ということですから、そういう意味では、一般消費税五%の三分の一はこの補助金に使われるというぐらいの感じになるわけです。消費者の立場に全部それが恩典としてかかってくるとしても一食当たり十一円の補助金だ。そうした効果の薄いといいますか、そういうものを税金で負担していくならば、どんなに増税をしても間に合わないという気がいたしますけれども、大蔵大臣、いかがでしょうか。
#376
○国務大臣(金子一平君) 先ほど来、話が出ておりますように、総理からもお話がございましたように、三Kと言われるものは公共負担、お互いの負担を増加するとか、自助努力を大いにやってもらって、これは赤字を減らしていかなきゃいかぬのです。
 それで、いま一番私どもが将来の財政の問題として考えなきゃいかぬと思っておりますのは、社会保障費、社会福祉の費用がだんだんふえますから、これを将来一体どうやってお互いに負担していくかという問題です。そういうことを考えますると、私どもとしては、一般消費税をこの際導入して、こういった方面に充てることを真剣に考えていかないといかぬのじゃないかと考えておる次第でございます。
#377
○柿沢弘治君 もう一つの大きな支出項目である健康保険、医療費にも移りたいと思いますが、その前に、きょうから畜産審議会が開かれている。牛肉の値段の問題が話題になるわけですが、いまえさが一〇%−一五%下がっているという状況の中では、当然、計算値としては、牛肉の値段は数%下げられると思いますけれども、そうした方向でお考えをいただけるのでしょうか。
#378
○国務大臣(渡辺美智雄君) 牛肉、それから豚肉、加工原料乳の値段を今月中に決めなけりゃならないということでございますが、その中で一番問題にされるのが牛肉の値段でございます。
 これは私はかねて考えておったんですけれども、豪州の値段と日本の値段とを同じにしろと言われましても、とてもこれはできない。向こうは、もう何千ヘクタールというところで牛を放し飼いしておって、そのまま屠殺でこうやりまして、それでそのまま市場に出すわけですから、日本でも平均飼っておるのが大体買い入れ価格が五百七十円ぐらい、それを平均売り渡しが千百三十二円ぐらいで売っているわけです。差益金を取っているから、だから高い、もっと安くしろというわけなんです。しかし、国内のものはほとんどが十八カ月もえさを食べさしてその肥育をしておるということで、競争にならぬわけですね。
 しかし、私は、牛はやっぱり日本の資源だと思っているんです。豚や鶏は草を食べませんが、牛と馬、ヤギは草を食べる動物で、日本は草が非常に多い、雨も多い。したがって日本の国土にある意味では非常に適したものであるというような点から、何とかこれを定着さしたいと思っておりますので、当分の間――輸入牛肉を非常に下げて売るということになれば、せっかく牛の牧場やなんかこしらえて、いま政府がやっていることがめちゃめちゃになってしまうというような点でやっぱり保護政策を与えておるわけでございますが、何とかうまく国内の肉と外国の、せめてフローズンのグラスフェッド、草だけ食った牛ですね、のやつは差が違ってもいいじゃないか、かなり違っても。これは外国の肉で草しか食ってないよ、しかもフローズンだよ。こっちの肉は日本のやつで、ちゃんと手入れして、ビールまで飲ましている――ビールはまあ別としても、飲ました肉で違うんですということで消費者の御理解を得られるようにすれば、輸入牛肉をある程度下げて、日本の肉がある程度高くても混乱が起きないというようなことであるならば、私は、輸入牛肉についての問題は売り渡し価格を多少下げていくということは、それは十分に考えたい。それから国内産の問題は、計算の仕方が一応決まっておりますから、その計算の方式で出たものをちゃんとやって、政府の価格としていたずらに政治加算をするというような状態でありませんから、それはいたずらな政治加算はいたしません、それは約束します。
#379
○柿沢弘治君 大変心強い話ですが、政治の場へ出ますと、ともすれば生産者の声を代表した上げろ上げろの大合唱になります。それが消費者にとっての政治不信の一つの根源になっているということを考えれば、この問題について農林水産省は十分消費者の立場も考えた行政をとっていただきたい、お願いをいたします。
 それから健康保険の問題でございますけれども、いま日本の医療関係の補助金が三兆三千億と言われております。しかし、先進諸国では、アメリカもドイツもフランスも国庫負担はしていないと聞いておりますけれども、どうでしょうか。
#380
○国務大臣(橋本龍太郎君) 国庫補助の方法等の詳細の部分については不明でありますけれども、医療保険制度を採用している主要国の中で、日本のように多額の国庫資金を医療保険に投入しているところはないと私どもも承知しております。
#381
○柿沢弘治君 医療が国民のために安価にといいますか、身近に手に入るということは結構ですけれども、たとえば、いま医療費はすでに十兆円、一人当たり十万円に上っていると言われております。しかも、その中の三割ないし四割が薬代だ。薬は、薬価基準が高いために、四割程度のものが架空に支払われている。非常に粗っぽい議論ですけれども、四兆円の四割とすれば一兆六千億が必要もない経費として支払われている。つまり一兆六千億はむだな薬代として、これも良心的なお医者さんではなくて、どちらかというとぼろもうけをするような大きなお医者さんに払われている。そして何億円の長者番付の上位を占めている。かなりの部分が国民の税金だということでは、国民もばからしくて税金を納める気にならないのではないでしょうか。薬のむだ遣い、現実の売買価格よりも高い薬価基準、この引き下げは何とかならないのでしょうか。
#382
○国務大臣(橋本龍太郎君) 薬価基準について確かに御指摘のような問題をしょっちゅう私ども言われます。従来から、銘柄別収載の採用でありますとか、薬価調査方法の改善というようなことで、その適正化に努めてはまいりました。ただ、依然として市場価格と薬価基準価格との間に相当な乖離があるという御批判を受けておるわけでありまして、中医協等におきましても種々問題の提起がなされております。医療制度の基本的な見直しの最重要項目の一つとして、薬価の算定方法等についても、今後、中医協等の御意見も伺いながら検討を進めてまいりたい、そのように考えております。
#383
○柿沢弘治君 橋本厚生大臣の御努力をぜひお願いを申し上げたい。というのも、いまの一兆六千億のむだな薬代というのは、ちょうど一般消費税、五%の消費税を導入したときの三兆円の半分に当たるわけです。そんなことまでして一般消費税を入れなければいけないのか、これが偽らざる庶民の声だと思います。その点を改めないで、ただ増税増税と言っても国民が納得をしない。その二つの例として食管と医療の問題を指摘をしたわけでございます。
 ほかにさまざまな赤字、大型の支出の削減の問題があると思いますけれども、時間の関係で省略をいたします。
 医師税制についてお伺いをいたします。不公平税制の是正も国民大多数の願いだと思います。その意味で医師優遇税制について、政府が五十年税制調査会の答申よりも後退した改正案しか出さなかったということに大多数の国民は激しい憤りすら抱いていると思います。私たち新自由クラブが衆議院の予算修正審議の際に、その修正を政府に迫ったのもそうした声を代弁したものだったと思います。修正問題の最終段階で、大平総理が、三年をもって廃止の方向で改定に努めるという提案をされた。そこまで踏み切られたということは一歩前進だと思いますし、私は大変高く評価をしたいと思います。予算の修正問題は壊れましたけれども、この総理のお考えは変わらないと私ども期待をしてよろしゅうございましょうか。
#384
○国務大臣(大平正芳君) 御期待いただいて結構です。
#385
○柿沢弘治君 総理の御答弁をいただきましたので、私どもも期待をし続けたいと思いますが、その際、問題になりますのは、従来の金子大蔵大臣の答弁でございます。当分変えるつもりはないということを本会議でも、そして当委員会でもおっしゃっておられますが、それを修正すると考えてよろしゅうございますか。
#386
○国務大臣(金子一平君) いろんな経緯があってここまで来たわけでございますが、私どもは、今度の改正は、長年のああいう七二%のやつを一挙に切りかえるわけにまいりませんから、何というか、一時のクッションとしてああいう制度を設けたと考えておりますが、これは常時見直さなきゃいかぬと思っております。来年、再来年とすぐ変えるつもりは毛頭ございませんけれども、いま総理の仰せのように、もう一度見直す時期が当然いつかは来ると考えておりますから、御了承いただきます。
#387
○柿沢弘治君 国民とともに期待をしたいと思います。
 では、第三の問題である首都の市民の命は守られているかというテーマについてお伺いをしたいと思います。
 東京に大地震が来たときの被害の状況というものは、都の防災会議の被害想定でも倒壊家屋二十万一戸焼失家屋七百五十万一戸死者三万五千六百七十五人、負傷者六万三千二十六人と言われております。こうした東京都の危険に対して、大規模地震対策特別措置法も制定されました。政府として大地震対策を積極的に進めていただきたいと思いますが、五十四年度ではどのような方針で取り組むおつもりですか。
#388
○国務大臣(中野四郎君) お答えを申し上げます。
 大都市震災対策につきましては、昭和四十六年に中央防災会議が策定されました大都市震災対策推進要綱に基づきまして、応急対策及び恒久対策が進められておりますのですが、基本的には災害に強い都市づくりを行うということが重要な課題と考えられます。
 このため、第一に、人口、産業の適正配置を図ることによって過密の解消を進めていきたい。第二には、既成市街地における体系的な空き地の確保をすることが必要であります。第三には、建築物の耐震不燃化の促進をする必要があります。第四は、もう御承知のとおり交通の問題であります。通信、水、エネルギー等の大都市機能を支える施設の防災制度強化を図っていきたい、かような考えで今日努力にいそしんでおるわけでございます。
#389
○柿沢弘治君 建設省は、五十四年度予算要求で不燃化建築の助成制度、防災建築事業費補助というものを要求したそうですが、認められなかったと聞いております。なぜでしょうか。
#390
○政府委員(小林幸雄君) お答え申し上げます。
 避難地、避難路の整備には従来から重点を置いて進めてきておりますが、御質問の件は、この避難地、避難路の周辺の建築物を耐火構造化する、これを促進しようという要求をしたわけでございます。ただ、これを一年見送りまして、調査費でもう一年勉強することにした経緯は、実は再開発問題がその後非常に議論になってきまして、単なる耐火建築促進だけではなくして、既成市街地の再編あるいは再開発、そういうふうなものとシステマティックに一貫した総合的な制度としてもう少し時間をかけて考えたらどうか、こういうふうなことで一年間勉強することにした次第でございます。
#391
○柿沢弘治君 不燃化の問題は緊急を要する問題だと思います。国の予算化を待ちかねて、たとえば東京の墨田区では、区の独自の事業として不燃化促進助成事業費一億四千万円を予算化しております。この制度については建設省は聞いておられますか。
#392
○政府委員(小林幸雄君) 墨田区が私どもと同じようなことを考えて、区独自でこれを五十四年度から実施しようとしておることは承知いたしております。私どもといたしましては、基本的には先ほど申し上げたような考え方でございますが、五十三年度から発足しましたこの防災建築計画作成費補助、この制度がございますので、東京都に対しましてこの補助金を出しまして、墨田区の計画につきましても、先ほど申し上げましたような単に耐火建築の促進という観点のみならず、再開発その他の全般的な計画とあわせてこれを推進するように指導していきたいというふうに考えております。
#393
○柿沢弘治君 建設大臣、大蔵大臣、ぜひお聞きをいただきたいのですが、これは関東大震災で大被害を受けた下町の住民と地方自治体の悲鳴の叫びだというふうにお考えをいただきたい。その意味で、国がこの制度を早急に実行するという形で御検討いただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
#394
○国務大臣(金子一平君) 建設省とも連絡いたしまして、あるいは国土庁とも十分検討させていただきます。
#395
○国務大臣(渡海元三郎君) 当然のことでございますし、本年度予算においてもぜひ実現したい、こう思ったのでございますが、いま防災対策計画を各自治体につくらすということでやっていただいております。いま都市局長が答えましたように、市街地再開発のモデル地区もこしらえてやっております。これらを研究して、もう一年よく研究するという提案をのんだんでございますが、そのためには、各自治体における計画を立てますその予算は三倍にもふやしまして、鋭意研究をしていただくように努力をいたしております。今後とも努力を続けたいと考えております。
#396
○国務大臣(中野四郎君) 私は柿沢さんと違って、少し年をとっております。大正十二年の関東大震災のお話が出ましたが、当時十六歳で、実際上にその被害に遭った被災者の一人であります。当時の深刻な、いわゆる恐ろしさというものを身をもって体験しております。しかも、災害を担当する国土庁の長官といたしまして、万全を期す心構えで努力をいたしてまいるつもりでおります。
#397
○柿沢弘治君 国土庁長官の力強いお言葉をいただきまして、私も大変安心をいたしました。ぜひお願いをいたしたいと思います。
 いろいろと質問を用意したのですけれども、時間の関係もあります。一つ非常に心配になりましたのは、大地震が起こって被害者が出たときの応急医療体制の問題でございます。
 民間の篤志家の方でよく調べた方がありまして、私も資料を見せられて慄然としたわけでございますが、国公立病院、それから大学病院、その他の大震災時の救急医療体制というのはどうなっておりますでしょうか。
#398
○国務大臣(橋本龍太郎君) 厚生省といたしましては、昭和四十年から、集団的に発生する傷病者に対する救急医療対策について、公的病院、大学病院等、医療機関の震災時における診療機能などを踏まえながら、地域の実情に即した対応を考えるように指導してまいりました。
 東京都におきましては、東京都地域防災計画において、大体、医療救護の対象者二十一万名と想定をしておられます。これに対して、医療救護を行う救急救護施設を定めていただいておりますし、また災害の発生に備えての事前措置を中心とした、よく御承知の東京都震災予防計画を策定していただきまして、初動医療体制の整備と同時に、後方医療施設の整備、また医薬品、血液等の確保について計画的な整備を進めていただいております。
 私ども厚生省としても、こうした大規模災害に対しての対策については、関係自治体と十分に相談をしてまいりたいと思いますが、ことにこれから東京都で申し上げますならば周辺の地方公共団体、他の府県との連携を十分に考えていただくように、こちらからもお願いをしておるところでございます。
#399
○柿沢弘治君 大地震の応急医療体制整備のために病院を東京近郊に配置するということはいま厚生大臣からも御指摘がありましたけれども、そうした事業が計画されている――宅地開発公団もその一環として努力をしていられると聞いておりますけれども、公団の総裁おいでいただいておりますが、御説明をいただきたいと思います。
#400
○参考人(志村清一君) お答えいたします。
 私どもの公団は大都市周辺におきましてニュータウンの建設に努めておりますが、従来のニュータウンのように、ベッドタウンだけでは困るというのが地元の要望でございまして、都市の核になるような施設をぜひ持ってきてほしい。その中でも第四次産業とでも申しますか、教育とか保健とかいうふうな関係を強く要望し、中でも医科大学とかその付属病院が欲しい、こういう希望は強いのであります。
 もちろん地域医療にも役立ちますし、都心部からそういう施設が移りますれば、いわば過密の解消にもなる。同時に、先ほど先生から御指摘がございましたように、ある篤志家が医科大学の諸先生といろいろ研究会を持ちまして研究したところによりますと、相当大規模の、十万坪程度の敷地を持った大学病院、付属病院というものを設置すれば、ニュータウンの中でございますから関連公共施設等も相当整備してまいりますし、そこで十万坪の余裕がございますと、災害対策の拠点としての医療拠点が可能である、ぜひそういうものを考えていきたい、こういう御要望もございまして、いわば一石三鳥と申しますか、ということができるんじゃないかということで、私どものニュータウン計画の中におきましても、誘致施設用地といたしまして土地利用計画上相当の余裕をとっておりまして、そこに御希望があれば大学等も、あるいは付属病院に来ていただくように段取りをいたしたいということで計画をしております。
 現実に、ある私大の付属病院をそのニュータウンにつくりたいという御希望がございまして、千ベッド程度の計画がございましたが、お金が三百億ぐらいかかるようでございまして、こういう経済情勢でございますので資金のめどがつかぬということで、一応ストップをして、今後、さらに検討しようということになっております。もう一つのある大学では、付属病院だけでなくて、大学そのものも移したいという御希望がございまして、この問題につきましては私どもも相談に応じながらいろいろ検討はいたしておりますが、実はいろいろな問題がございまして、なかなかすぐにできるという課題ではございませんが、私ども工夫をいたしたいと思っております。
 中でも一番問題になりますのは、先ほど申し上げた付属病院の移転と同じように、お金の問題でございます。この資金的な手当てにつきまして何らかの手当てを、五十四年度の計画ではございませんが、今後の計画においてお考えいただければ、たとえば首都圏等でも工場とか大学等の新増設をチェックするために制限区域の指定がございまして、その見返りとして地方に分散する工場については補助金なり低利融資なり跡地の買い上げなりという措置がございます。大学の病院等につきましてもまあ過疎地ではございませんけれども、近郊地帯でございますが、そういうところに移転して防災拠点的なものになるなら、そういうような資金的な優遇措置をお考えいただければ、学校側も病院側もわりあい熱心でございますので、可能になるのではないか、かように考えている次第でございます。
#401
○柿沢弘治君 大震災の救急対策として、そうしたものに対して国として何らかの手が差し伸べられないかと思いますが、厚生大臣もしくは文部大臣、建設大臣、御意見を伺いたいと思います。
#402
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大学並びに大学付属病院につきましては、私ども所管外でありますけれども、仮にたとえば民間の医療機関でそうした体制のために新たな場所に新たな病院を立地させるというような場合については、私どもこれから工夫をしてみたい、そのように感じます。
#403
○国務大臣(内藤誉三郎君) 東京都内の大学付属病院二十四病院中、救急告示を受けている病院は十七病院であり、また大学病院は救急告示の有無にかかわらず、多数の救急患者を受け入れているのでございます。
 それからなお、大震災等の災害時においては、これらの救急機能拡大とあわせて医師、看護婦の派遣等の協力が必要でございますので、このために文部省では防災業務計画を作成して各大学付属病院に対して体制の整備を指示しておるのでございます。
#404
○国務大臣(渡海元三郎君) 病院、大学等の受け入れに対する土地対策は、いま公団の総裁から述べたとおりでございますが、建設省といたしましては、直接の所管は厚生省、文部省でございますが、都市再開発の一環として受け入れ側と都市再開発の事業と両々相まちましてその推進を図る、こういった方針で臨みたいと思っております。
#405
○柿沢弘治君 国土庁長官、いかがでしょう。
#406
○国務大臣(中野四郎君) 医療体制も大切でありまするが、震災の起こった瞬間というものは、国民の一人一人がしっかりと落ちつくということ、この心構えが第一なんです。それからの対応策というものはおのずからそれぞれの機構が用意をしておりまするので、万全が期せられると私は信じております。
#407
○柿沢弘治君 それでは、これで最後にいたしたいと思いますけれども……
#408
○委員長(町村金五君) 時間が参りました。
#409
○柿沢弘治君 この首都圏の大震災対策、これはいわば地下にひそんだ仮想敵だというふうに私は思うわけです。というのは、数十万の人命が奪われるかもしれない、一つの戦争に匹敵するものだと思います。しかも首都でございますから、その安全対策は国の安全保障にも直結する問題だ。総理のお命にもかかわるというふうに考えるわけでございますので、人命尊重の観点からもこの大震災対策、首都の安全対策について、ぜひ総理としても前向きに積極的にお取り組みをいただきたいと思いますが、総理の御所見を伺いまして、私の質問を終わります。
#410
○国務大臣(大平正芳君) 仰せの点、十分体しまして、各省庁を督励して努力をいたします。
#411
○委員長(町村金五君) 志村参考人には御多忙中のところ御出席いただきまして、ありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。御退席いただいて結構でございます。
 以上で柿沢君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)
 明日は午後一時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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