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1978/03/16 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 予算委員会 第9号
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1978/03/16 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 予算委員会 第9号

#1
第087回国会 予算委員会 第9号
昭和五十四年三月十六日(金曜日)
   午後一時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十五日
    辞任         補欠選任
     井上  計君     栗原 卓司君
     中村 利次君     柄谷 道一君
     山田  勇君     下村  泰君
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     夏目 忠雄君     遠藤 政夫君
     石破 二朗君     林  寛子君
     小柳  勇君     安恒 良一君
     矢追 秀彦君     小平 芳平君
     市川 正一君     渡辺  武君
     神谷信之助君     沓脱タケ子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         町村 金五君
    理 事
                井上 吉夫君
                岩動 道行君
                糸山英太郎君
                嶋崎  均君
                久保  亘君
                瀬谷 英行君
                多田 省吾君
                内藤  功君
                栗林 卓司君
    委 員
                浅野  拡君
                上田  稔君
                遠藤 政夫君
                亀長 友義君
                熊谷  弘君
                下条進一郎君
                鈴木 正一君
                田代由紀男君
                鍋島 直紹君
                成相 善十君
                林  寛子君
                林  ゆう君
                降矢 敬義君
                真鍋 賢二君
                八木 一郎君
                山本 富雄君
                粕谷 照美君
                小柳  勇君
                野田  哲君
                広田 幸一君
                福間 知之君
                矢田部 理君
                安恒 良一君
                和田 静夫君
                相沢 武彦君
                小平 芳平君
                太田 淳夫君
                矢原 秀男君
                沓脱タケ子君
                渡辺  武君
                柄谷 道一君
                下村  泰君
                柿沢 弘治君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  金子 一平君
       厚 生 大 臣  橋本龍太郎君
       通商産業大臣   江崎 真澄君
       労 働 大 臣  栗原 祐幸君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (北海道開発庁
       長官)      澁谷 直藏君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       田中 六助君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       三原 朝雄君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  山下 元利君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       小坂徳三郎君
   政府委員
       人事院総裁    藤井 貞夫君
       人事院事務総局
       任用局長     長橋  進君
       人事院事務総局
       職員局長     金井 八郎君
       総理府人事局長  菅野 弘夫君
       総理府統計局長  島村 史郎君
       防衛庁参事官   古賀 速雄君
       経済企画庁調整
       局長       宮崎  勇君
       経済企画庁国民
       生活局長     井川  博君
       経済企画庁総合
       計画局長     喜多村治雄君
       経済企画庁調査
       局長       佐々木孝男君
       大蔵大臣官房審
       議官       天野 可人君
       大蔵省主計局長  長岡  實君
       文部省初等中等
       教育局長     諸澤 正道君
       厚生省社会局長  山下 眞臣君
       厚生省児童家庭
       局長       竹内 嘉巳君
       厚生省年金局長  木暮 保成君
       通商産業省産業
       政策局長     矢野俊比古君
       工業技術院長   石坂 誠一君
       資源エネルギー
       庁長官      天谷 直弘君
       労働大臣官房長  関  英夫君
       労働省労働基準
       局長       岩崎 隆造君
       労働省婦人少年
       局長       森山 眞弓君
       労働省職業安定
       局長       細野  正君
       労働省職業安定
       局失業対策部長  北村 孝生君
       自治大臣官房審
       議官       石原 信雄君
       自治省行政局長  柳沢 長治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   参考人
       東京都労働安定
       審議会委員    中 丈之助君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十四年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十四年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十四年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
○資料の提出要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(町村金五君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 委員の異動に伴い理事一名が欠員となっておりますので、この際、その補欠選任を行います。
 理事の補欠選任につきましては、先例により、その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に栗林卓司君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(町村金五君) 昭和五十四年度一般会計予算
 昭和五十四年度特別会計予算
 昭和五十四年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(町村金五君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和五十四年度総予算三案審査のため、本日の委員会に東京都労働安定審議会委員中丈之助君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認めます。
 なお、出席時刻等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(町村金五君) 本日は、お手元の質疑通告表のとおり、雇用問題等に関する集中審議を行います。
 それでは、これより質疑を行います。遠藤政夫君。
#9
○遠藤政夫君 きょうは、雇用問題の集中審議に当たりまして、四十八年のオイルショック以来、わが国の雇用、失業問題は非常に深刻な状態が今日なお続いております。そういう中で、大平内閣の五十四年度予算におきましては、この雇用問題を最重点課題として取り上げられたことはもう御承知のとおりでございます。こういうさなかに雇用問題、雇用政策について、一体、基本的にどういう考え方で政府は取り組まれようとしているのか、その基本的な姿勢、考え方についてお伺いしてみたいと思うわけでございます。
 最近、労働市場の状況は好転を見ておりますけれども、なおかつ一月の完全失業者は百二十七万人、昨年の一月に比べてもまだ必ずしも好転しているとは言えないような状態でございます。失業率二・三%。諸外国に比べますと、失業率の数字だけを比べますと、必ずしも悪いというわけではございませんが、ストレートにヨーロッパやアメリカの諸国との比較はできませんが、こういう中で、いままで政治は人間本位だとか人が中心だということがしばしば言われてまいりましたけれども、雇用政策、雇用問題がそういう政治の最重点として、あるいは経済運営の重点課題として取り上げられているとは私は必ずしも考えられない面があるわけでございます。
 ちなみに、アメリカのフォード大統領が大統領に就任しました際に、アメリカの深刻な失業情勢を前にしまして、もしアメリカの失業率が六%を上回るようなことになったならば、そのときには何はおいてもこの失業問題を最重点にして国政の運営に当たっていこう、こういう宣言をしたことがございます。わが国のいままでの状況を見てまいりますと、雇用政策が重要だと言われながらも、ややもすれば、この雇用問題、雇用政策が産業政策の後追い、しりぬぐい的な様相を呈してきたことは、私はこれは否み得ない事実である、こういうふうに考えておるわけでございます。四十八年のオイルショックの後、四十九年、五十年と、私は、四十九年の秋に、五十年になったらわが国の失業者が百万を超えるであろう、百万を超えても決して雇用不安を起こすような心配はない、したがって当時の総需要抑制政策を強力に進めるべきであるということを申し上げたことがございますけれども、しかし、それにいたしましても、高度成長時代には、労働力が足りない、だからいかにして労働力を確保するか。今度は失業状態が厳しくなってまいりますと、この失業者をどうやって就職をさせるかと、こういったことで、いつの場合も産業政策のしりぬぐい、後追い的な政治行政が進められてきたということを私はひしひしと感じておるわけでございます。
 高度成長時代であれば、私はそういうこともある程度放任されてもやむを得ないし、また、それでよかったのかもしれませんけれども、そういった高度成長時代の夢がもう二度と今後は期待できないということになりますと、やはり本来の立場に返って、人を中心にしてこの雇用政策を経済運営の政治の最重点課題としてもう少し真剣に考えなければならないのではなかろうか。産業政策に優先しろとまでは申し上げませんけれども、少なくとも産業経済政策の運営とこの雇用政策とを車の両輪としてパラレルに考えるくらいの姿勢を持つべきではなかろうか、かように考える次第でございますが、経済企画庁長官並びに労働行政担当の労働大臣の御見解を伺いたいと思うわけであります。
#10
○国務大臣(小坂徳三郎君) お答え申し上げます。
 今年度、五十四年度の経済運営の基本に、雇用の拡大並びに安定ということを、経済成長と申しますか、緩やかな成長と同時に、第一の目標に掲げております。ただいま遠藤委員のおっしゃったような傾向はなきにしもあらずであったのでありますが、昨今の情勢を見まして、やはり百二十万、三十万という失業は、特に昨今におきましてはそれが家計の中心者であるとかいうことがきわめてわれわれにとりましては社会的に重要な問題であると考えておりまして、六・三%程度の経済成長の中で、ぜひ失業率の増大を食いとめるということを基本的な命題にいたしております。
#11
○国務大臣(栗原祐幸君) ただいまの御所見、私は同感でございます。いままでの雇用政策というのは、言うなれば高度経済成長期であった、そのために人手不足だった、そういうために産業政策といいますか、自然にほうっておけば何とかなるということでございましたけれども、オイルショック以来は大変な不況になった。それに対して産業政策の後追いをしている、後始末をしているということにつきましては同感でございます。
 いまこの雇用問題が非常に脚光を浴びておりますけれども、これはある意味におきましてきわめて厳粛な脚光でございまして、この際に、いままでのいろいろの施策についてわれわれは基本的に考え直さなきゃならないと思います。産業政策と相まって、後追いでないように、先行性を持ってやらなきゃならぬと考えております。今度、新経済社会七カ年計画というのが策定中でございますけれども、この中でも、期間中に完全雇用を達成するようにできるだけ努力する、早くできるように努力するというような文言がございますけれども、労働省といたしましても、逐次、この計画の中へ雇用問題を積極的に取り入れるように努力していきたい、こう考えております。
#12
○遠藤政夫君 いま労働大臣から新経済社会七カ年計画のお話がございましたが、この基本構想の中では、完全雇用を目標にしてその失業率を一・七%という想定がなされているようでございます。私、以前担当いたしておりましたときに、昭和五十年代前半、前期の中期経済計画では完全失業率を一・三%台ということで設定をされたように記憶いたしております。それが今回は一・七%、こういうことでございますが、これからの経済運営の目標としてその一番大きな課題が、いまお話が出ておりますように、完全雇用を目標にしてということでございます。
 完全雇用という言葉は非常にいろんな場合に使われるんでございますが、同じ完全雇用を目標にした計画でも、三年前には丁三%であり、今度は一・七%になっておる。私たちはまずこういった問題に取り組む前に、完全雇用とは、一体、その概念はどういうものなのか、どういう程度のものを政策目標として考えていくべきか、こういうことをはっきりしておく必要があるんではなかろうか、こういうふうに感じるわけでございます。
 そこで、企画庁長官かあるいは宮崎局長さんにこの完全雇用を、こういった計画構想をつくられる場合に、どういうことでお考えになっておるのかお伺いいたしたいと思います。
#13
○政府委員(喜多村治雄君) 完全雇用の状態かということにつきましては、先生御高承のとおり、一義的にこれを示すことは困難でございまして、われわれの今度数値を出しますに当たりましては、雇用指数等を多角的は分析しなきゃならぬということで、まず第一番目は労働需給が総量としておおむね均衡しておる状態、需要不足に基づくところの失業がほぼ解消され、かつ第二番目といたしましては、労働市場の状況が物価の安定を損なうことがないという状況、これを二つの状況として考えたわけでございます。
 このような観点に立ちまして、最近の労働の市場条件を顧みますというと、最近は、女子の就業志向の高まりでありますとか、産業構造の変化等、今後も予想される市場条件の変化を考慮いたしますというと、完全失業率を一・七%程度以下にすることがほぼ完全雇用に近い状態ではないかと考えた次第でございます。
#14
○遠藤政夫君 いま御答弁になりましたように、これから産業構造の変化、これから六十年までの数年間にも相当大きな変化が見込まれるだろうと思いますし、それから過去に比較いたしますと女子の就業意識の変化、あるいは労働力の高齢化に伴いまして、当然以前であればリタイアしたであろうと考えられるような高年齢層が依然として労働市場に残ってくる。こういったいままでと大きく事情が変わってきておりまして、そういった要素を考慮に入れますと、いまお話しになっておりますような一・七%というのは、これは目標として高い目標を掲げることは悪いことではありませんけれども、前回の場合一・三%は高過ぎはしないかということを私は再三申し上げた記憶がありますが、にもかかわらず今回は一・七%以下に抑えるとおっしゃるのですが、むしろ一・七%、そういう数字にこだわること自体に問題がありはしないか。もし強いて数字を挙げるならば、もっと現実的に摩擦的な失業、その他女子、高齢者、こういった実態から考えますと、私が四十九年当時、百万になっても心配ない、雇用不安は起こらないということを申し上げたことがございますが、それと同様に、もっと高い数字を現実的に考えて、これでも十分大丈夫なんだというところを踏まえて、これからの政策運営に当たるべきではないだろうか。
 たとえば、いますでに完全失業者百二十七万、三月、今月は恐らく百四十万近い数字が出るだろうと思いますが、季節調整をして、ならしていきますと百十数万、百二十万以下になると思います。これを完全雇用という状態、一体どれくらいにしたらいいのか。仮に数字で挙げれば百万から百五万ぐらい、率にしてあるいは二%近い数字であっても完全雇用と言えるんではなかろうか。これはいろいろ議論のあるところではございますけれども、そういうことを考えますと、ただ計画の上で高い数字だけをといいますか、率として低い数字を挙げることが必ずしも好ましいことではないんじゃないか、こういうふうに考えておりますけれども、企画庁長官いかがでございましょうか。
#15
○国務大臣(小坂徳三郎君) ただいま委員の御指摘の一・七%でもなお低過ぎるではないかという御所論につきましては、やはり、私は、現在の経済運営そのものが民間経済主体の運営でございますし、また予測できないような事態が非常に起こっておりますから、そうしたことを考えますると、なるべく低目の数字の方がいいんであろうとは思いますが、しかし、六十年までの七カ年計画の最終の姿を一応描いた場合に、労働力人口を五千八百三十万人と計算しております。現時点では五千五百五十五万人ぐらい。で五十四年度では五千六百二十万人ぐらいになって、それが六十年には五千八百三十万人とふえる。それに対しまして、ただいま仰せになりました、完全失業が大体百万とおっしゃいましたが、ちょうどわれわれの計画も六十年の時点で五千七百三十万人の方々が、有効求人倍率で言うと大体一倍というところでわれわれ計算しておるのでありますが、大体百万人と出ております。
 前回の計画で一・三%というのは、いわゆる非常に高度成長の真ん真ん中の事態の完全失業率でございますから、これは望み得べくもない。しかし、実数において百万、現状から二十万人程度のあれでございますけれども、しかし、一方、労働力人口が相当大幅に増加しておりますので、そうしたことから差し引きいたしますと三百万人近い方が新たに職につく。有効求人倍率は大体一倍程度というところで一・七という程度ということを申し上げております。
#16
○遠藤政夫君 私は何も失業率をもっと高くしろということだけ言っておるのではございませんが、この計画をつくられる場合に、失業率を低く抑えるがために、そのために、それを達成するためには成長率をもっと上げなければならぬ、そういうことのための方便に使われがちであったということを私は申し上げたいわけでございます。
 ですから、いまお話しのように、確かに五千七百三十万人ということであれば一・七%で百万を超えることになります。むしろそういった実際の数字それ自体の問題よりも、私は、本当に現実的に達成可能な完全雇用、それに向かっての政策運営なり努力はお願い申し上げたい、こういうことでございます。
 そこで、今年度の予算につきましては、労働大臣の大変な御努力によりまして十万人の雇用開発、雇用創出ということで予算が計上されておりまして、雇用開発事業、定年延長奨励金の非常に画期的な改善が行われております。こういった予算措置がとられておりまして、雇用雇用と野党各党の委員諸君からお話がありましても、この本年度の政府の予算については何らこれをもっとどうしろと言い得ないくらいに充実されていることは、もうこれは私どもが自民党として自負しておるところでございます。ただ、問題は、こういったせっかくこれだけの予算が計上されておりましても、十万人の雇用創出、これを実現できるかどうかということになりますと、私は大変問題がありはしないか、こういう感じがいたしております。
 と申しますのは、いままで雇用安定事業なり、こういったたぐいのものが制度化されておりましても、実際にはなかなか利用されない、それだけの効果が発揮できずに終わってしまっております例が多々ございます。そういう意味でせっかくのこれだけの画期的な雇用創出のための措置が講ぜられておるわけでございますから、何としてもこの十全な効果を上げるためにそれ相当の行政努力をぜひお願いをしたい。
 一つの例を挙げますと、四十九年のオイルショック後の失業予防策として雇用調整給付金制度が設けられましたときに、五十年度の予算に百四十億余りの予算が計上されておりまして、これにつきましては、行政末端の出先機関の努力もありまして、非常に効果的に運用されました結果、約四倍の六百億近くの雇用調整給付金の支給が行われまして、これによって実態として約三十万人の失業を防止できた、こういうふうに考えられております。せっかくの今回のこの雇用開発事業を効果あらしめるためには、よほど思い切った行政指導をしていただかないと――私も行政の経験を持っておりますが、どうしても役人は自分たちの責任ということをまず頭に浮かべる関係からも、消極的にこの運用を考えがちでございます。よほど思い切ってこれを弾力的に運用をさせるということを、大臣を先頭に各関係機関が協力をしませんと、せっかくのこの開発事業の予算が消化できない、こういうことになりはしないかということを私は非常に懸念をしておるわけでございます。そういう意味でも、末端への浸透、外部に対するPR、こういうことにつきまして具体的にこの運用の方策をお考えになっておるか、大臣の御所見を伺いたいと思うわけでございます。
#17
○国務大臣(栗原祐幸君) お説のとおり、いろいろの給付金を出しましても、それが消化されていなかったというのは過去にあるわけです。中には非常に消化されたものもある。しかし、消化されていないという御批判をいただいておるものも数多くございます。この点につきましては率直に反省をしておるところでございます。
 ただ、いま遠藤さん御心配の今度の中高年齢者の雇用開発給付金でございますけれども、これは相当、率にいたしましても、期間にいたしましても、張り込みましたから魅力があると思うんです。いままでのやつは余り魅力がなかったですね、金額的にも、期間的にも。そこへ持ってきまして、景気が非常に悪いときですと幾ら張り込みましても人を雇えませんけれども、うんとよくなったというわけではございませんが、ちょろちょろだんだんよくなってくるというところでございますので、これはお説のとおり、PRの仕方いかんによっては相当消化できるんじゃないか。むしろ私どもといたしましては、一応予算に計上したものよりも多く出ると困ると悲鳴を上げるぐらいこの制度が利用されるように積極的に対応しなきゃならない、そのためには乱用は防止しなければなりませんけれども、積極的な弾力的な運用をしなければならない、こう考えております。私も、この間、経済団体の方々にもお会いをし、労働団体の代表の方々にもお会いいたしましたけれども、労働省のPRを工夫をこらすだけでなしに、もう機会をとらえて各方面にこの制度について理解を求めるように努力をいたしたいと思います。
 なお、詳細な点について御必要とあらば政府委員から御答弁をさせます。
#18
○遠藤政夫君 いま大臣からお話がございましたけれども、たとえば一つの例で、PRの点でいかがかと思いますのは、今回の予算が五分の四の補助だと、で労働省で、たとえば十万円の賃金であれば八万円補助が出ますという言い方をされた。それをどういうふうに誤解されたのか、野党側からこれの追加要求の場合に、八万円を十万円にしろという要求が出ているくらい、そういうふうに本当にきちんとPRがされれば、そういう誤解は起こらないわけですけれども、八万円の補助が出ると思い込まれている。たとえば二十万円の賃金であれば十六万円になるはずなんです。ですから、そういったことを各出先の第一線機関は、昔と違いまして、企業の中に入っていって求人開拓をするとか、あるいは、こういうきわめて有利な制度があるから、これを使ったらどういうふうに労務管理がうまくいくとか、あるいは失業を防止できるとか、こういうことにまで立ち入って行政を指導するような体制になっておりません、いま。これはいろいろ過去にいきさつがあって、できるだけ企業に立ち入らないようにというような指導が行われた時期もありまして、この関係でこういった立ち入った指導がきわめて不足をしているような状態になっておるかと思いますが、そういった意味で、私は、第一線機関の職員諸君の努力もさることながら、これに対する指導、思い切った積極的な発言を大臣以下がなさっていただきませんと、第一線機関はどうしてもしり込みをしがちだと思います。私もそういう経験がございますので、重ねてこの点大臣からよく御指導をいただきますことをお願い申し上げておきたいと思います。
 それから続きまして、こういった雇用情勢の中で、これからいろいろなむずかしい問題がたくさん出てまいりますが、その中で大きな問題を取り上げてみますと、一つは中高年齢者の問題だと思います。で、わが国は人口の高齢化が急激に進んでまいりまして、ヨーロッパの高齢化しております状態の大体四倍ぐらいのスピードで高齢化が進んできておる、こういう状態で、労働力人口につきましても、六十歳−六十五歳以上の労働力人口が急激にふえてきております。これからますますこういった中高年齢者の雇用の場を確保するということが何よりも最も緊要の課題だと私は考えるわけでございますが、ところが、現実は、戦前の日本人の平均寿命が五十歳以下でありますときに行われておりました五十五歳定年というのがいまだにまだ大勢として行われている、こういう状態でございます。
 数年前から、政府におきましては、この定年延長ということを強力に進めてきておられますけれども、現実の問題としては、こういった不況の深刻な中にありまして、定年を延長するということはそれだけコストアップにつながる、こういうことでなかなか進展を見ておりません。今回、五十四年度予算編成に当たりまして、野党側から定年延長を法制化したらどうだ、こういう御意見も出ておるようでございますが、定年延長をこれから具体的に進めていくことは、どうしてもこれは最も必要なことではありますけれども、労働大臣としてこれをどういうふうにお進めいただく御決意なのか、法制化はできないものなのか、法制化の問題を含めて御見解を承りたいと思うわけであります。
#19
○国務大臣(栗原祐幸君) 遠藤さんはその道のべテランでございますので、先刻御承知の上での御質問だと思いますが、定年制の延長の一番大きなネックは、御案内のとおり年功序列の賃金体系と、それから退職金の問題、人事管理の問題でございます。この問題についてメスを入れない限りにおいては、たとえば法律をつくってそれをやれと、もしそういうことをやりますと、何にもそういう労使の間の話が練れていない間にやりますと、いまもおっしゃったとおり、これがむしろコストアップにつながって、その結果減量経営にむしろ逆につながってしまうというおそれもあるわけです。そういう意味合いで、この問題については、本当に労使の話し合いを徹底的にすべきじゃないか。そのために企業別とか産業別に定年延長の問題を指導しておりますけれども、その方はその方でしかとやっていかなきゃなりませんが、なお経済界の代表の方々あるいは労働界の代表の人たちにも全体の雰囲気を盛り上げるために、ぜひこの点について思い切って考えてもらいたいということをやっているわけなんです。
 で、私どもがそういう代表者の方々といろいろとお話をしていることはもうすでに新聞紙上でおわかりだろうと思いますが、特に私どもが注目しておりますのは、関西におきまして労使の方々が実質的な六十歳までの定年延長ということについて合意をされた。本委員会でも申し上げましたけれども、経営者もえらいけれども労働組合もえらい、この問題は避けて通れない、これを打ち破った関西の労働組合の方々に対しても私は敬意を表したわけでございます。
 そういうことでございますので、われわれとしては行政指導を徹底していく、そのために創意工夫をこらす。事務当局にもいろいろと指示をしておるのでございますから、後ほど必要とあらば説明をさせますけれども、行政指導を徹底していくというところに重点を置いているわけでございます。しかし、いまお話しのとおり、今度の予算修正に際しまして、自由民主党と野党の方々の間でいろいろとこの問題についての御議論もございました。それは私どもは十分に承知をいたしておりますので、誠意を持って検討いたしまして、適切な処置を講じたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#20
○遠藤政夫君 いま労働大臣からお話がありましたように、この賃金問題を抜きにしてはこの定年延長問題は考えられない、これは私もよく承知いたしております。
 そこで、労働省に伺いたいのは、五十五歳定年で、そこからほうり出されて転職をした人たちの賃金の実態を簡単に説明してください。
#21
○政府委員(細野正君) お答えいたします。
 中高年齢者の再就職賃金でございますが、五十二年における賃金構造基本統計調査で申し上げますと、勤続一年未満の男子労働者の賃金につきまして、四十五歳から四十九歳層では十四万四千三百円、五十歳から五十四歳層では十四万一千七百円、五十五歳から五十九歳層では十二万七千六百円ということでございまして、これを同一年齢層の全体の労働者の賃金を一〇〇として比較しますと、四十五歳から四十九歳層で七〇%、五十歳から五十四歳層で六九%、五十五歳から五十九歳層で七三%、大体おおむね三割程度下がっているということが申し上げられるかと思います。
#22
○遠藤政夫君 いま御説明がありましたように、五十五歳定年でやめた人たちの再就職賃金は、大体、いい人で二割、悪い人の場合は、うんと下がった人の場合、四割ぐらい、平均的に見ても大体三割ぐらい下がっている、こういういま御説明がございました。これが私は実態だと思うんです。
 そこで、先ほど労働大臣からお話がありましたように、定年延長なり六十までの雇用の場を確保していくためには、現在、長年日本で行われております年功序列型の賃金体系というものに手をつけない限りは、定年延長は絶対に望めないということははっきりしておるわけでございます。実は、私も五年前に労働組合の大会に参りまして、千人ぐらいの組合員を前にして、五十五歳定年を延長する、これは組合の運動方針としてやってほしい、と同時に、そのときには賃金を下げるべきだ、退職金も打ち切るべきだ、賃金を下げ退職金を打ち切って年功序列型賃金に手を加えることによって六十歳までの定年延長をやるべきだ、こういう主張をいたしましたところが、千数百人の組合員大衆からやじ一つなく、むしろ拍手がわいた。これは組合としては言えないことではあるけれども、何としてもこれはやらなきゃならぬということは、私は、労働組合の組合員諸君もよく承知していることだと思うんです。
 ところが、労働省は、この指導に当たりまして、賃金を下げろとか退職金を打ち切れとか、こういうことを具体的に触れることはタブーだということでなかなかお触れにならない。労働条件について、労働省が介入あるいは積極的に行政指導をするようなことはぐあいが悪いとおっしゃる。しかし、定年延長をしろということも同じことなんです、やはり労働条件に関することでございます。私は、定年延長をどうしてもやるんならば、労働省が積極的に、二割賃金が下がっても、労使双方にとって、働く人たちにとっても使用者にとっても、その方がプラスなんだと。時間がありませんから詳しいことは申し上げませんが、そこまで具体的に積極的に行政指導をしない限りは、私は、定年延長はなかなか進まないんじゃなかろうかという懸念をいたしております。
 こういう労使の問題は、できるだけ慣行を積み上げていって具体的な成果を上げることが望ましいわけでございますが、日本はややもすれば何でも法律で決めた方が手っ取り早い、法律で決められれば、お上の決めたことならばという傾向なきにしもあらずであります。そういう意味で、私は、こういった年功序列型賃金体系に是正を加えることも含めて、訓示的な法律の条項をつくることも一つの考え方ではなかろうか、こういう感なきにしもあらずでございます。こういうことも含めて、ひとつ十分に御検討いただければ幸いだと、かように考える次第でございます。労働省はもっと、憶病にならずに、賃金を下げろということを言って、定年延長を進めていただきたい。それが私は働く人たちのためにもより幸せになることだと、かように確信をしておる次第でございます。
 それからもう一点、この中高年齢者の問題と並んで重要な問題は、これからどうしてもこういう雇用情勢が厳しくなってまいりますと、そのしわ寄せを受けやすいのが身体障害者、いわゆる弱者と言われている人たちでございます。身体障害者の雇用問題につきましては、数年前に身体障害者雇用促進法の改正が行われまして、実はこれは、私、こういう席で大変おこがましいんですが、私がタッチをいたしました法律でございますけれども、これで一・五%の雇用率が使用者に義務づけられております。そしてこの雇用率を達成しない企業に対しては一人当たり月額三万円の納付金、いわゆるよく罰金と言われておりますが、課徴金というようなことが言われておりますが、納付金が徴収されることになっております。その納付金が昭和五十三年度でたしか百九十億近く、九九%の納付率だと思いますが、雇用促進協会に入っております。
 これの運用の状況を実は伺いたいと思っておりますが、時間がありませんからそれは省略いたしますが、納付金は、これだけたくさんの金が入ったにもかかわらず、予定されたこの運用の状況ははなはだ寒心にたえないものがある。こういうことで、私が知っておりますだけでも、全国数カ所の地域の関係者の方々からかなり厳しい批判の声が出ております。この納付金制度がとられましたことは、この納付金を利用することによって身体障害者の雇用を進めていこう、より快適な作業環境をつくり上げて身体障害者の雇用を安定さしていこう、こういう趣旨であるわけでございますが、実際には、これもまた先ほど申し上げましたように、PR不足であること。たとえば一・五%の雇用率が達成されていない。したがって、その企業から納付金が納められている。しかし、その企業では非常に努力をして、身体障害者を雇っている。ところが、そこには助成金は全く支給されていない。これは助成金は雇用率を達成しなければ支給されないであろうという、そういう先入観にとらわれて、何にももらっていないし、また行政の側もそれに対して助成の措置をとろうともしていない、こういうことが非常に大きな原因にもなっているわけです。私は、ぜひ身体障害者雇用促進協会の納付金制度の運用について、いままで以上に積極的にひとつ労働大臣の御指導をお願い申し上げたいと考える次第でございます。
#23
○国務大臣(栗原祐幸君) 御趣旨はよくわかりましたので、御激励の言葉として拝聴し、善処いたしたいと思います。
    ―――――――――――――
#24
○委員長(町村金五君) 次に、井上吉夫君の質疑を行います。井上君。
#25
○井上吉夫君 ただいま同僚遠藤委員から御質問のありました最後の質問に関連をいたしまして、私は、こういう雇用情勢の悪化しているときに一番しわ寄せの出やすい身体障害者に対する雇用の問題を中心として御質問を申し上げたいと思います。
 先ほど遠藤委員から御質問がありましたように、身体障害者の雇用納付金制度の運用状況を見てみますと、五十二年度で身体障害者の雇用納付金として入った金額が九十六億円、これが運用された金額は雇用調整金で七億、報奨金で三億、助成金で七億の十七億であります。したがって差し引き計算いたしますと七十九億、大部分の金額が納付金として積まれたまま次年度に繰り越されるという勘定になると思います。五十三年度につきましては百八十七億円の納付金と見込まれるわけでありますが、調整金として出された金額十六億、報奨金六億、助成金についてはまだ正確な数字をお伺いしておりませんが、おおよそ五十二年度、五十三年度の傾向を見ました場合に、ほとんど全く同じような形で、納付金として納付された金額の大部分が活用されていないのではないかという感を深くするわけであります。
 なお、このことに関連をいたしまして、現在でき上がっております身体障害者雇用促進法の中で、いわゆる肢体不自由児、俗に言う身体障害者と精薄児の取り扱いが違っております。中身については細かく言うまでもありませんけれども、助成金は精薄者を雇った場合も対象になるけれども、調整金なり報奨金の対象にならないという、こういう区分けの仕方は一体どういう考え方に基づいているものであるのかどうか、その法律の作成の根拠といいますか、区分けの理由というものをまずお伺いをしたいと思います。
#26
○政府委員(細野正君) 御指摘の精神薄弱者の方の法の適用に対する取り扱いにつきまして、これは雇用率の立法過程におきましても非常に問題のあったところでございますが、結論的には、一つは精神薄弱者の方が雇用に適するかどうかという点についての判定が非常にむずかしいという問題が一つあったわけでございます。それから二番目には、適職の開発がなかなか進んでいなかったということ。それから三番目には、社会生活指導の面で特別な配慮が要るのじゃなかろうかというふうな、大きく分けまして三つのことが問題になりまして、そういうことで直ちに身体障害者と同一に扱うことにつきましては困難であるという結論でございまして、そういうことで、先ほど申しましたように、五十一年に改正されました現行法では、身体障害者の雇用率制度は適用しない、こういう扱いになっているわけでございます。
 なお、雇用率自体については、いま申し上げましたとおりでございますが、これはさっき先生からも御指摘ございましたように、身体障害者の方について適用される制度の中で助成金等は精薄の方にも適用になる、そのほか精神薄弱者の方を雇用された場合には、身体障害者についての雇用率の未達成のための納付金自体につきましても、これは同一の扱いで減額がされるという形で、納付金とのかかわり合いも一応現在はやっておるというふうな状況でございます。
 なお、先ほど申し上げました三点の問題につきましては、現在、能力の判定、適職の開発等につきまして、職業研究所あるいは専門のところに委託するというようなかっこうで鋭意研究を進めているわけでございますが、一方におきましては、事業主を初め国民一般の方の理解が進むということももう一つの大きな要素でございまして、そういう意味で研究成果等も見ながら今後とも検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#27
○井上吉夫君 理由を三点挙げられました。ただ、しかしながら、雇用率の適用の場合の、たとえば一般企業におきます一・五という義務づけは、これは計算上たとえば一・四%身体障害者、〇・一%精薄者を雇い入れた場合も納付をしないでよろしい、一・五を達成したという扱いにはなっておりますけれども、少なくとも法律の上では明らかに扱いを区分している。適職の問題かれこれを考えてみましても、あるいは働く能力、意欲、そういう点を考えてみましても、その一・五を達成する場合の選択は企業の側でまるごと一・五を身体障害者で埋めてもよければ、自分の事業の内容から見て何%かは、あるいは〇・何%かは身体障害者を入れてもちっとも差し支えないという、そういう選択は可能なはずであります。そしてごく軽度な精薄者という場合に、一体、身体障害者とその能力においてどれほどの差があるか、そういう点がありますと同時に、これらの団体は、扱いの区分ということに対する大変な精神的なあるいは社会的な評価というものに大きな、何といいますか、いら立たしさを感じていることは明らかであります。
 先ほど局長からもお答えがありましたが、とりあえず、たしか一昨年でしたか、制定いたしました身体障害者雇用促進法の中ではこういう形になってきていたけれども、その後、いろいろ検討を進めている過程にあり、いずれ関係省とも御協議しながらということでありますから、どちらかと言えば身障者対策のその他の面で、そのほとんどを担っている厚生省といろいろ御協議をなさって改正等のこともお考えになると思いますが、私は、この機会に、できるだけ早急に具体的な打ち合わせもされて、この雇用促進法の見直しをしてほしい、精薄者もその対象の中に算入して同一の扱いができるという、そういう扱いにしてほしいと心から希望するものであります。
 なお、この機会に、雇用促進法に基づく五十二年度、五十三年度の雇用者の中で、身体障害者と精薄者と分けて数字がわかっておれば、お知らせを願いたい。なお、全体の総数についてもわかっておれば、お知らせを願いたいと思います。
#28
○政府委員(細野正君) 先生御存じのように、身体障害者雇用促進法の雇用率の実施状況につきましては、これは毎年六月一日現在で調査をいたしておるわけでございます。
 まず、全体の数字を申し上げますと、五十三年、昨年の六月の雇用されております身体障害者の数全体でございますが、これが十二万六千四百九十三人、実雇用率にして一・二%、こういう状況でございます。
 なお、精神薄弱者の方は、実はこの数の中に入っておりませんで、調査の対象になっておらないのでございまして、したがいまして数自体を申し上げられるような状況にないわけでございますが、ただ、現在、全体としての身体障害者それから精神薄弱者の方それぞれのいろいろな状況についての総合的な調査を実施しておりまして、その中で、ある程度、いまお尋ねの件なども判明してくるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#29
○井上吉夫君 ここで厚生大臣にお伺いいたします。
 身体障害児及び身体障害者の総数並びにその中で精薄児並びに精薄者の数が幾らになっているか、さらに精薄者の中で重度はどのぐらいになっているか、重度を区分けをいたしまして、施設収容者数と在宅者数の区分がわかっておれば、お知らせを願いたい。
#30
○国務大臣(橋本龍太郎君) いま身体障害者全体につきましての数字をちょっと手元に持ち合わせておりませんので、これは後刻御報告を申し上げます。
 いま心身障害者、特に精神薄弱者についての数字だけありますので、それを御報告を申し上げますが、精神薄弱児者の数は、四十六年の十月に行いました実態調査では三十五万六千三百人と推計されておりました。そのうち十八歳未満の方が約十七万、十八歳以上の方々が十八万六千三百人という推計になっております。
 その障害の程度で申しますと、重度が大体八万二千人、二六・三%、中程度九万八千人、三一・四%、軽度の方が約十三万人、四一・七%、程度が判明いたしておりません方が二千人ぐらいおります。
 また、十五歳以上の精神薄弱者数、在宅の方は約十九万四千二百人程度でありますが、それについての就労状況を見ますと、働いておられる方は約六万四千二百八十人、三三・一%、働いておられない方が十二万九千九百二十人、それから働いておられない方のうちで、心身上の理由によって就労不能と言われる方が九万五千三百五十二名という推計になっております。
 実は、五十年度に実態調査を実施したところでありますが、非常に残念ながら、一部の都道府県において協力の得られない場面がありましたために、統計的な意義を持つ数字が把握できませんでした。早い時期にその実態を把握するように、適切な方法についての検討をし、この失敗を繰り返さないように気をつけながら、五十五年度においてもう一度調査を予定しておるところでございます。
#31
○井上吉夫君 いま御説明いただきました資料は昭和四十六年度の実態調査に基づく具体的な数字をお示しをいただきました。さらに加えて五十年度に悉皆調査をやろうとしたけれども、一部の都道府県でできなかった。これは人権問題云々というようなことなどがあってその調査になかなか応じなかったという経過もあったと私は承知しているわけでありますが、だんだん世の中の理解が進むにつれて、そしてさらにその理解を深めることと相関連しながら正確な実数の把握というのが身障者に対する対策の一番根っこになるのではないかと思います。できるだけ早くそういう努力とあわせて実態の把握をぜひお願いをしたいと考えるわけであります。
 この機会に、厚生大臣に雇用との関係もありましてお伺いをいたしますが、その全体の把握をした後に、身体障害者の学校を出た後の長い人生を何とかして生きがいのある生きざまとして生涯を通していけるかという、このことはきわめて大きな厚生行政の中の問題だと思います。前提は先ほど言いました実態調査でありますが、さて、その数が押さえられた場合に、どういう区分けでやればいいであろうか。実は、私自身がそういう子供を持っておりますので、学校を終わった後、この子が生涯どういう人生を過ごすであろうかということが一番親にとっての心配事であります。同じ関係者の一番の心配事は、学校に在学する間はどうやらこうやら肩の荷がおりておりますが、それを卒業して後の十八歳以上の施設かれこれというのは、施設の種類によりましては、いわゆる訓練の期間として数年、一、二年ないしは若干の年限の延長は認められるにいたしましても、生涯その施設で暮らすことはなかなか容易でない仕組みになっている場合が多い。
 一番理想的なのは、少なくとも何とかなる範囲の者は父兄とともに在宅をしながら適当な働き場に通うという姿が一番望ましいことだと思います。その手段の一つとして、たしか一昨年から通所援護事業というのが、これは全国団体が非常に大きく希望をしながら、一カ所について七十万円の助成金を交付することで発足をいたしました。初年度十五カ所、去年三十カ所、ことし四十七カ所ということで、ようやく全国の都道府県に一カ所ずつこれができるようになった。わずか七十万円の金額であります、一カ所について。そしてその効果というのはかなり大きなものがあると私は聞いておりますが、利用の状況がわかっておればお聞かせをいただくと同時に、私が承知している限り、その利用の状況というのはきわめて有効に活用されている。しかも、父兄並びに理解の深い人たちのボランティア活動というものを背景としながらりっぱに生きがいを見つけようとする努力を重ねているということであります。
 ある対象者はそういう形で救われる。どうにも生活自体からめんどうを見なけりゃならぬ者は居所を一つにして、そこに指導訓練士を入れると同時に、可能な限りの仕事の場を提供するという、もう少し度合いの高い対象者に対する施策が必要でありましょう。もっと重度の者については、これはやむを得ません。いまあります福祉施設というものでもって生涯その場で暮らす、そして仕事ということを期待することはどだい無理であるという、大まかに分ければそういう三つの対象に分けられるのではないか。
 軽、中、重というぐあいに分けるならば、少なくとも軽という対象者は一般の雇用の場に十分吸収できるのではないか。そしてさらに言うならば、軽度の中では通所援護という仕組みのほかに、先ほど申し上げております身体障害者雇用促進法の適用で、いわゆる身体障害者と一緒にしながら一般的雇用の場に吸収することが一番望ましいでしょう。そういう区分けを画然と分けながら、それぞれが十分に全部に網が張られて、そこに落ちこぼれのないやり方をするというのが私は身体障害者に対する厚生行政の筋道ではないかと考えるわけであります。そういう意味を含めて、先ほどは労働大臣に強く法律の見直しをお願いをしたわけでありますが、ここで先ほど申し上げました通所援護事業の成果、わずかに二年でありますけれども、御意見を賜りますと同時に、その成果が私が見ているほどいいものであるならば、さらに積極的に大幅に伸ばしてほしいという、そういう期待を込めて御意見を賜りたいと思います。
#32
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは井上さんの御質問の冒頭にありました厚生省だけではなく、労働省あるいは教育の方の担当である文部省の方とのネットワークを十分につくれという御趣旨にも合致する話でありますから、基本的には私どもは本当に省庁の壁を越えて各省が連携をとりながら対応していかなければならぬ問題だと考えております。
 そしてその中において、いま御指摘のありました通所援護事業、これは御承知のとおり全日本精神薄弱者育成会が大変強い御要望を出され、事業主体としてみずから活動されるということになりましてスタートをしたものでありますが、御指摘のとおりに非常に有効な役割りを果たしております。一体にこれは心、体の種別を問わず、障害児、障害者全体に言えることでありますが、そのハンディはハンディとしながら一般の人々と公正な競争の機会をどう確保してあげられるかということが一番の私は対策の根本になるべきことだと思います。そういう中で私どもこの通所援護事業というものに当初から期待をいたしましたものは、一つは、この場を通じて精神薄弱者の方々自身が生活のリズムをつくり出す、生活のリズムをつくり出す上にいかにそれを形づくるかのケアをする。一方では、生活の場としての役割りを生み出す。そうしてその中における生活指導とか職業訓練というものがやがてその方々の社会復帰の基本になるということを目標にしながらモデル的にスタートをさせたものであります。
 こうした施設は、御指摘のとおりに、その施設の立地する周辺の地域住民の方々にもこうした問題に対する啓発の役割りを果たし、地域社会が挙げてこうした問題に取り組む一つの基盤にもなるわけでありますし、できるだけ広く市町村単位、また父兄の方々の横の連携のとれる範囲において、できるだけ幅広く運営をされることが望ましいことは間違いありません。いまこうした地方自治体あるいは親の方々が主体をなしておられるものも百六十カ所ばかりになりましたし、通所施設そのものも百カ所を超えて同じような機能を果たしておるわけでありますので、私どもとしては、今後、こうした方面の育成というものには国としても一層の力を入れていかなければならないものと、そのように考えております。
#33
○井上吉夫君 最後に、ことしは養護学校義務制実施の記念すべき年であります。文部省に、身体障害児の養護学校あるいは特殊学級ごとの実数なり、あるいは就学の猶予あるいは就学免除の数等をお伺いしたいと思いましたが、これは取りやめます。
 それを聞こうとしたねらいは、私の承知する限り、文部省におきます学齢児におきます生徒実数の押さえ方というのは、いろんな統計の中でかなり確度の高いものだと承知をしております。ところが、先ほど来申し上げておりますように、なかなかに厚生、労働の分野で先ほど申し上げましたような実数を把握するというのはそれほど容易ではありません。そしていままでもそういう資料が完璧なものとしては備わっていないと見るわけであります。
 そこで、この機会に、私は、特に文部省が担当する学校の場でも、学校を卒業した後はもうおれたちの受け持ちの区域ではないということではなしに、一般の健常な子弟の場合はあるいは手を放してもいいでしょうが、学校を卒業する時期に一番思い悩む父兄なり本人の立場を考えますと、その行き先を十分に整えるという必要がある。そのことのために、厚生大臣からお述べいただきましたが、文部省と厚生省の間、あるいは労働省との間に、さらに緊密な連携をとって、その間にすき間のないようにぜひ施策を講じてほしいということでございます。どうかひとつ、学齢以前は厚生省の担当、学齢期間中は文部省、そして学校を卒業したら厚生省か労働省という筋道になろうと思いますので、どこがどう幹事役を受け持つかは別として、その全体に絡まる身体障害者のめんどうはどちらかといえば厚生省が全部を見ていただくと思いますから、できればお話しの上、厚生省あたりで幹事役でも引き受けていただいて、三省の間に十分の連携がとれるように施策の展開をお願いをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
#34
○遠藤政夫君 最後に、労働時間短縮の問題がよく取り上げられておりますが、これに関連して、週休二日制の問題について大蔵大臣に御要望を申し上げたいと思います。
 きのうの新聞で、石油の危機に関連しまして、エネルギー節約の関係で週休二日制を推進することについての検討、こういったことが話題に出ておりましたけれども、労働省では前々から週休二日制を推進することにしていろいろな措置が講じられてきております。先般来、国家公務員につきましても人事院勧告で週休二日制を試行的に実施される。あるいは大蔵委員会で金融機関についても週休二日制、銀行法の改正が検討されておるやに伺っておりますが、実は、この問題については、労働時間短縮という問題と関連して考えなければならない問題でございますが、いまちなみにわが国の労働時間の実態を見てみますと、もうすでに年間総労働時間が二千時間を割っております。ということは、週当たりの労働時間に引き直しますと、週当たり四十時間強。これは実労働時間、総労働時間でございますから、残業時間をこれから差っ引きますと、所定内労働時間はすでに三十八時間弱ということになります、細かい数字は申し上げませんが。
 そこで、私は、もちろん諸外国と同様に週休二日制が普及することは大変結構なことだと思いますが、日本人は働き過ぎだと、だから週休二日をやれというのは、私は、まことにおかしな話。いま申し上げました数字はもちろん三十人以上の企業の労働時間の実態でございますから、むしろ、問題は、三十人以下の小零細企業にあるわけでございます。
 で、私は、こういった所定内労働時間がすでにもう四十時間を割っている、三十八時間弱というような実態からしますと、昭和二十二年にできた四十八時間労働制というものはこのまま手をつけられないのかどうか、労働時間のあり方というものはいかにあるべきかということをまず基本的には検討をすべきではなかろうか。その上に立って、業態に応じ、あるいは労使の関係において週休二日制がいいのか、週休三日がいいのか、あるいは週休一日がいいのか、おのずから決められるべきことであって、公務員が先頭に立って週休二日をやる、働き過ぎだから週休二日をやるというのだったら、公務員の現在の労働時間の実態は三十八時間だと思います、これをもし土曜日休んだら、土曜日三時間だとしても三十五時間になってしまう、こういうことになります。そしてそれが銀行と公務員が週休二日、土曜日休むことによって小零細企業にいやおうなしに押しつけることになってしまう、これは私はゆゆしき問題だと思います。そういう意味で、大蔵大臣には、銀行関係の週休二日については慎重に御検討いただきたいということを御要望申し上げる次第です。
 以上で終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#35
○委員長(町村金五君) 次に、和田静夫君の質疑を行います。和田君。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#36
○委員長(町村金五君) 速記を起こして。
#37
○和田静夫君 先日の衆議院の予算委員会の雇用集中審議の会議録などを通読いたしましたが、一通り問題点は指摘をされていると思うのです。労働省側の答弁から考え方も大体わかりました。そこで、私は、そうした討議を前提として、やや角度を変えてきょう質問したい点があります。そのために参考人にも御出席をいただいたのであります。
 まず素朴なことから伺っておきたいと思いますが、現在の失業者数、失業率を教えてください。
#38
○政府委員(島村史郎君) ことし一月の完全失業者数は百二十七万人でございまして、完全失業率は二・〇六%でございます。
#39
○和田静夫君 この数字を出した失業の定義ですね、これを実はお役人じゃなくて大臣に求めたいわけです。
#40
○国務大臣(田中六助君) 失業の定義でございますが、近代経済学者のジョン・メイナード・ケインズなどは、ゼネラルセオリーつまり一般理論で、二%程度までは完全失業者でないというふうに言っておりますし、わが国でもいろいろ失業率の読み方を変えております。たとえば、アメリカの場合でも四%から五%までぐらいは完全雇用が行われておると。日本の場合でもケインズのそういう二%あるいは二%まではというようなことを言っておりますが、いまの私どもが基準としておりますのは、和田委員も御承知のように、一九五四年のILOの基準をそのまま基準としておると思っております。
#41
○和田静夫君 統計上の失業の定義はどうですか。
#42
○政府委員(島村史郎君) 完全失業者の定義は、調査期間中――これは大体月末にやっておりますので毎月末を含む一週間ということでございますが、調査期間中に少しも仕事をせず、仕事を持たずに仕事を探していた者、及び以前に求職活動をしてその結果を待っている者ということでございます。
#43
○和田静夫君 そこで、いま言われたことをこういうふうに要約していいですか。調査の時点、月末の一週間に一時間以上働いた者は失業者ではない、それでいいわけですね。
#44
○政府委員(島村史郎君) さようでございます。
#45
○和田静夫君 これが統計に出ている数字である、それでよろしいですか。
#46
○政府委員(島村史郎君) 完全失業者として把握されている数字でございます。
#47
○和田静夫君 一週間のうちに二時間働いたらそれはもう失業者ではない、完全失業者ではない。私はそういう人の場合は失業者と同然であるというふうに実は考える。そういう意味で、総理府の統計というのは信用がならないのではないだろうか。
 そこで伺いますが、時間で換算し直してもらって、週に一日、二日、三日、四日、五日と、それ以上働いている人数ですね、それからその総数に占める割合がわかりますか。
#48
○政府委員(島村史郎君) 私の方で把握いたしておりますのは、一週間に働く時間で切っておりまして、一時間から十四時間、十五時間から三十四時間、あるいは三十五時間以上というようなかっこうで実は調べておるわけでございます。
 それで、従業者について申しますと、これは昨年の十二月の数字でございますが、就業者全数が五千二百八十七万人、そのうち一時間から十四時間働いている者が百四十七万人、十五時間から三十四時間働いておりますのが六百四十九万人、三十五時間以上が四千四百六十七万人という数字でございます。
#49
○和田静夫君 私は、潜在失業者というのは、総理府の統計にあらわれているものの数倍になるというふうに考えますが、それは概略的にそうでしょうかな。
#50
○政府委員(島村史郎君) いま申しましたたとえば一時間から十五時間働いているという人は、潜在的失業というふうに考えられるかもわかりませんが、実はこの潜在的失業という定義が非常にまだ経済学的にはっきりしておりません。したがって、私どももいろいろクロスしたデータを出しておるわけでございますが、私どもは就業しておりながらしかも追加就業を希望している者という概念でそういう数字も実は出しております。それを見ますと、これも昨年の十二月の数字でございますが、約八十一万人という数字が出ております。
#51
○和田静夫君 まあ財界の指導者の一人も私がいま言ったようなことを言っているわけですがね。
 そこで労働大臣に伺いたいのですが、労働行政において失業者数というのはどういうふうにとらえますか。
#52
○政府委員(細野正君) 行政的に失業者というのを一元的にどうとらえるかというお尋ねかと思いますが、これはたとえば統計的に言えば総理府の完全失業者の数を使っておりますが、そのほかに、たとえば失業保険の受給中の方々の数、あるいは安定所に対する求職者として求職活動中の方、それぞれがそれぞれの行政の対応に応じて使っているわけでございまして、一律的に失業者というものは行政的にこういうふうなものだというふうな取り扱いはしていないわけでございます。
#53
○和田静夫君 官房長官ね、先ほど答弁いただいたのですが、いまのやりとりをお聞きのとおりでありまして、私は本当の失業者をとらえていない現在の統計、そういうものをもとにした行政というのはナンセンスなんだろうというふうに思うのですよ、実態的に考えるとね。やっぱり失業者の実勢をとらえるような統計方法に大平内閣というのは改めるべきだろう。その辺を総理のかわりに官房長官から見解を求めておきたいわけです。
#54
○国務大臣(田中六助君) 統計のあり方としては、実態に沿った統計というのが私はやはり当を得ていると思います。したがって、いろいろ定義をつくるのにその裏づけとなる統計というものが不完全、あるいは大きな疑問を持つような情勢ならば、十分改めていかなければならないというふうに考えます。
#55
○和田静夫君 まだ幾つか官房長官に質問があるのですが、何か出先のお話によると早く帰してくれということですから、お帰りになる前に一つだけちょっと建設大臣を呼んでいませんから官房長官から聞いておきたいのですが、いま一つの大きな問題になっているのは、失業した世帯主ですね、これが住宅金融公庫から金を借りている、その住宅ローンの返済を就職の見通しがつくまで延ばしてくれぬだろうかというのが今日非常に大きな問題なんです。どうです、大平内閣としてそういう措置をおとりになるお考えはありませんか。
#56
○国務大臣(田中六助君) 住宅問題は、わが国にとっても大きな問題であると同時に、私どもの大平内閣にとりましても緊急に充足していかなくちゃいけない問題でございますし、新年度予算におきましてもかなりのめんどうを見ておるつもりでございます。しかし、諸外国に比べましてまだまだ住宅問題は劣っておりますので、その点は和田委員のおっしゃるような方向で検討していきたいというふうに考えます。
#57
○和田静夫君 大蔵大臣、いまのよろしいですね。私の言った趣旨で検討するということはそれでいいですか。
#58
○国務大臣(金子一平君) おっしゃっているのは、民間の住宅ローンの話ですね。十分検討させます。現実を調査してみましょう。ある程度そういう際に対する救済策を講じておると思いますが、なお検討させます。
#59
○和田静夫君 大づかみに雇用情勢を見ますと、いわゆる七三年秋の石油ショック以降、製造業が百十七万人の減、サービス業が百十七万人の増、卸・小売で百二十五万人の増、産業間に大きな変動が生じているわけです。これが今日の雇用問題の根底であると私は考えるのでありますが、労働大臣、この現在起こりつつある変化をどう認識されますか。そして、それに中長期的観点からどう対処されますか。
#60
○国務大臣(栗原祐幸君) いわゆる造船業を初めといたしまして構造不況業種が出ておる。それから製造業より第三次産業と、そういう方向へ移動をしておる。それからそういう構造不況から離職者が目立っておる。それから老齢の労働力ですな、高年齢の労働力というものがふえておる。女子の労働力が非常にふえておる。そういう産業構造的にもあるいは年齢的にもあるいは性別的にもいろいろ大きな変化が来ておると、こういうように考えております。
 これに対しましてどう対処するかということでございますが、御案内のとおり、新経済社会七カ年計画、この計画の中で、前半は物価の安定ということに注意を払いながら経済成長を確実なものにしていく、後半においては雇用問題の需給ギャップを縮めていく、こういう構想でございますし、また、この構想の中に、いま作成中でございますから、われわれ労働省側として雇用問題について積極的な提言もしてまいりたいと思いますし、いま第三次雇用対策基本計画というものを見直しておる最中でございます。
#61
○和田静夫君 通産大臣がいわゆる減量経営の行き過ぎ、雇用調整の行き過ぎを慎むべきだという趣旨の発言をされましたね。そこで、まず労働省に伺いますが、この行き過ぎというのは、たとえば製造業における時間外労働の増加など幾つかの指標、そういうものがあると思うのですが、どういうふうにとらえられましたか。
#62
○政府委員(岩崎隆造君) 時間外労働につきましては、昭和五十年、五十一年ぐらいは非常に落ち込んでおりました。ただ、四十八年以前においては相当大きな数字になっておりましたのが、五十二年以降、五十年、五十一年の落ち込みよりは多少上向いてきておりますけれども、まだそれ以前の時間外労働と比べますと相当下回っているというのが実態でございます。
#63
○和田静夫君 経済企画庁長官が急いでいるようでありますから、ちょっと唐突な感じがしますが、もう少し前提を詰めてからでないと実はまずいのですが、私は、現下の急を要する雇用情勢に対して、具体的に、どの産業、どの業種、そしてできればその根拠としてどの企業に何人、何百人という雇用状況を数字でつくる、それを総括して、言葉がいいかどうか知りませんが、ガイドラインをつくるべきだと、そういうふうに考えているんです。統計的でも推計的でもよいんですが、雇用に関するそういう天気図とでもいうようなもの、あるいは情勢図というものをつくって、企業に対してガイドラインを示して行政指導をする、そういうような方法を労働省、通産省、経済企画庁が協力をすれば、今日的なものに対応するものとしてもっとできるのではないだろうか。各政党、労働省で今後、先ほどもちょっと答弁がありましたように、雇用創出の研究やら機構をつくっていこうという提案が動き始めているときでありますから、それはそれとして、当面ガイドライン政策というものを鮮明にしていくという方法をお考えになってよいのじゃないだろうかと思うのですが、いかがでしょう。
#64
○国務大臣(小坂徳三郎君) 個別企業にわたるものまでというのは私はまだなかなかむずかしい面もあると思いますが、いわゆる全体のトレンドと申しましょうか方向と、成長とかあるいはその業種の発展というものとにらみ合わせて、ある程度の雇用数というものを概定していく作業を、いま委員がお示しになりました方法は私は非常にユニークであるし、またそれが一つの行政としての具体的な対応にも通じるようにも考えまして、これは関係省庁ともよく話し合ってみたいと思います。やはりそうしたものがあることが、先ほども委員のおっしゃいました完全失業ということに対しての国民の何かこう割り切れない感じとそれを融和する意味でも必要なことではないかと思います。ただ一つ問題なのは、将来の動向といたしましては、やはり第三次産業、社会文化的方面、こうしたものを伸ばしていきたいと思っておるわけでありますが、それにもちろん一つの政策的な意図も加えたものを考えてみるということはひとつやってみたいと思います。
#65
○和田静夫君 通産大臣、いま申しましたように、私は、雇用情勢図、そういうようなものをわかりやすく明示する、そして潜在的な求職なり求人情勢の動きと行政指導の方向を総括する、そういう作業をやっぱりPR活動の一環としてもやったらいいだろうというふうに思うのです。通産大臣はどうですか。
#66
○国務大臣(江崎真澄君) お説のようにやっぱりそれはぜひ必要だと思いますね。やりたいと思います。だんだん雇用も前よりは徐々に改善されてきておりますが、先ほどお話にあったように、確かに製造業では百十七万人、これがサービス業に吸収をされた。それから本来もっと合理化されてしかるべき小売・卸といったようなところでおっしゃいましたように百二十五万人ふえていますね。これはスーパーマーケット、大型店ですな、こういうものがわりあい主勢力を占めて、これもサービス面での雇用がふえたというふうに思います。
 そこで、今後PRをどういう点にしていくかということは、いま企画庁長官も触れておりましたが、やはり第三次産業、サービス産業、これはふえますね。第三次産業といいましても、たとえば電力であるとか商業関係、金融、それから保険、運輸関係がありますね、それから通信、いろいろな分野にわたるわけでありまするが、これがサービス関係の経済化といいますかそういう広い分野において雇用が吸収されまするので、おっしゃるように、そういうPRを含めて周知徹底するような努力をしていくこと、これは私やっぱり大事なことだと思います。それからこれは経企庁長官も言っておりましたように、教育とか文化、保健というようないわゆる国民的ニーズが高まっておる面における雇用の増大、これも考えられますね。その次には、やっぱり知識集約型というか、付加価値の高い産業が要請され、構造改善がなされていくということになりますと、これは勢い機械産業が活発にならなければなりません。これはなるといって待っておる性質のものじゃなくて、しなければいけませんね。そういう意味でPR活動の必要をおっしゃったと思いまするが、十分留意いたしたいと思います。
#67
○和田静夫君 総務長官、おくれていらっしゃいましたからちょっと注文だけつけておきますけれども、先ほど来官房長官にかわって答弁してもらいまして、事務当局から答弁してもらいました。
 問題は、完全失業率なり失業者数なり、総理府の統計のとり方というのをもっと実態に対応したものにすべきだという私の主張に対して、官房長官はそのことをほぼお認めになっていますから、その辺は十分に今後相談をされて、改善すべきものは改善をしていただきたい。それだけの意見だけ申し上げておきます。
 三月十二日に、東京高裁は、定年に男女差別を設けることは違法であるとの判決を下した。日産の定年制は、理由もなく女性労働者を差別するもので、法秩序の基本である男女平等に反するという明確な理由が述べられております。第一審も明確に男女差別定年制を無効としておって、日産がさらに上告していたずらに時間かせぎをせずに、社会的な良識に従うことこそ、会長が経団連の副会長をお務めになっているほどの巨大企業の社会的責任を果たす、そういう意味の立場にいらっしゃるわけですから、私はそういうのが道だと思っているんです。判決に対する労働大臣の御見解はすでに粕谷委員の総括の質問で承りましたので、いま私が述べた部分について労働大臣の見解を承りたいと思います。
#68
○国務大臣(栗原祐幸君) 労働省といたしましては、男女の定年制に差別があっちゃいかぬ、それから結婚による退職制度、そういうものもこれは解消しなきゃならないということで年次計画を立ててやってきたわけでございますので、そういう意味からいたしますと、粕谷委員の御質問にも答えたとおり、私は今回の判決は妥当なものである、こういうふうに考えておるわけでございます。
#69
○和田静夫君 私は、いま申しましたように、巨大企業が社会的責任を果たすというようなことから考えれば、上告などというようなものはやっぱり良識に反する、そういうふうに思うんですが、この判決が確定した場合は当然のことですが、現在、男女差別定年制をしいている諸会社に対して撤廃をされるよう行政指導を強化される、そういうふうに認識しておいてよろしいでしょうか。
#70
○国務大臣(栗原祐幸君) 企業の上告権について行政当局として云々することは、これは適当でないと思いますので差し控えたいと思いますけれども、われわれといたしましては、企業にも男女について定年制を差別するということについてはこれは慎まなければならない、そういう社会的責任の一端がある、こう考えております。
#71
○和田静夫君 参考人に伺います。
 まず、本題に入る前に、各都道府県に雇用安定審議会が設けられておりますが、その活動の実情を聞かしてください。
#72
○参考人(中丈之助君) お答えいたします。
 現在、雇用安定審議会という制度が職業安定法に基づいて実施をされているわけですが、その法律の第十二条には、地方職業安定審議会は、月に最低一回以上開催をしなければならない、こういうふうに明文をされているわけですが、実際には年に三回ないし四回というような状況になっております。同時にまた、回数が少ないということは、審議会の運営が大変形骸化をしておりまして、実質上法律が予定をしている雇用の安定あるいは職業紹介の充実、こういうことについて十分の実益を効果的に上げていない、こういう状況下にあります。したがいまして今日雇用問題が大変大きな課題になっているわけですから、法律の制定に基づきまして、法の明文化に基づいた審議会の運営ができますように、政府当局に私の方からも強くこの機会に御要望を申し上げておきたいというふうに思うところです。
#73
○和田静夫君 労働大臣ね、この雇用安定審議会、何か予算の関係だとかなんとかと言って、法が命ずるような形ではどうも行われていない現状にあるようです。したがって、この強化についてどういうふうにお考えになりますか、活動の強化。
#74
○政府委員(細野正君) お答えいたします。
 最近、雇用問題が重要になるにつれまして、地方の職業安定審議会の開催回数も漸次ふえてきております。一方、政労使あるいはそれに学者の方も加えまして、四者構成みたいなかっこうでのいろいろな雇用問題についての対策会議みたいなものが別途またできておりまして、これもまた開催回数が漸次ふえてきておるわけでございます。そういう両方の形で雇用問題がいろいろ地方においても御議論がだんだん活発になってきておりますが、なお一層、特に来年度の、先ほども御議論がございましたけれども、十万人雇用の実現のためにもそういう点を中心にして、その実効が上がるような方策について、この安定審議会等におきまして活発な議論、それから効果を上げるための施策等についての御議論をされることを私どもは期待をしておりますし、そういう指示をいたしたいというふうに思っているわけでございます。
#75
○和田静夫君 参考人は東京都の労働安定審議会委員でありますから、参考人に伺いますが、第一に職業安定所の社会的機能についてなんですが、どうも職業を見つける場所、いわゆる求人求職の労働市場としては最近十分に機能していないというような意見をかなり耳にするわけです。東京都の安定審議会委員として見聞されたところを、この機会に、素直にお聞かせいただければ幸いだと思います。
#76
○参考人(中丈之助君) 本来、職業安定所、いわゆる通称職安というところは、通常まじめに働いている、いわゆる失業状態にない人の立場では関係のないところにあるわけですが、そこで、そういう人たちがある日突然企業の倒産あるいは解雇、こういうふうな自分の意思に関係なく強要されて退職をされる、こういうことの中で雇用保険の給付を受ける。こういうところから職業安定所との関係が生まれてくる。そこで、御案内のように、法律ではいわゆる再就職の意思のある人でなければ雇用給付をしない、こういう関係になっているわけですから、したがって一回退職をした場合には、どうしても雇用給付を受けるために職業安定所の門をくぐる。それから職業安定所の方は、法律の規定に基づいて本人に就労の意思があるかどうか、その確認に基づいてこの給付を行う。こういう関係に今日あるわけですが、実際にこの職業安定所に行った場合に、本人の希望するような再就職の場所が大変少ない。
  〔委員長退席、理事岩動道行君着席〕
こういうところが今日の実情下にあるのではないかというふうに思うわけです。
 そこで、そういう状況がどうして生まれてくるかということが問題なんですが、たとえばここに民間の企業が出している「就職情報」、こういうパンフが今日多数発行され、これが大変最近ではベストセラーというような状況にまでなりつつあるという状況が一般にあるわけです。そういたしますと、国の機構として職業の安定ということについての制度があり、そうして全国的なネットワークをとっているにもかかわらず、職業安定所に依拠するよりは、こういう民間の職業紹介の内容に依拠する、こういう点は今日大いに検討してみる必要がぜひあるのではなかろうかというふうに思うわけです。
 ところで、そういうふうになりまする原因は、一つには職業安定所が雇用給付という関係と、それから失業者に対して職業の紹介をする、この紹介業務について非常に今日手不足の状況下にあるのじゃないか。その手不足の原因というのが職業安定所に働いている職員が、ここ年々歳々予算の削減という関係で大変人員の縮小がなされ、新規の職場の開拓、こういう点について大変手不足の嘆きが各現場の第一線からは特に強く指摘をされているところです。したがいまして職業安定所が今日の状況に対応して十分その機能を発揮するためには、職業安定関係の職員の充実並びに予算の増加等につきまして、円滑な機能が発揮されるような処置というものをぜひこの機会に御検討方をいただきたいというふうに御要望を申し上げておきたいというふうに思います。
#77
○和田静夫君 参考人、第二に、現在の雇用事情でありますが、職安で求人求職がある、それに十分に機能をしていない面があるとすれば、もう少し工夫できないのかという気が客観的にするんですが、どういうふうにごらんになっていますか。
#78
○参考人(中丈之助君) まず、労働市場という考え方ですが、いわゆる一般の今日の資本主義社会経済の中で労働力の売り手並びに買い手というような関係にあって、高度経済成長の時代には経済成長に応じて労働力の不足ということが強く言われる、そういう段階では引く手あまたで就職の機会というものは大変多かったわけですが、今日では状況が変わってきている。同時に、今日の厳しい状況の中では、先ほど来の御質問、御意見等の中にもありましたが、それぞれの産業等の実情によりまして一方では大量の人員整理が進行する、しかし、その反面、労働力が不足をするという産業あるいは企業の状況になっているわけですから、そういうような状況に対応して職安という機能が有効に介在をしてくる、そういうような体制の処置というものが大変大切になるんではないか。
 しかし、一般的に職安の機構というものがいわゆる雇用保険の給付の場所、したがって職に対しては自分自身の努力で開拓をせざるを得ない、こういうふうな職安に対する一定の不信というんですか、あるいは期待が薄い、こういう状況下にあることによって円滑な機能が大変阻害をされているんではないかというふうに思うわけです。したがいまして、今日の産業の状況の中では、就職の機会というものをきめ細かく対応していく、こうなれば十分その努力に対して求人の開拓をすることが可能な状況になってくるんではないのか。
 それから、いま一つ大事な点は、先ほど政府側の答弁にもありましたが、今日の産業再編、構造の変革ということの中で、従来の自分が天分として持っていた技術を新たな技術に展開をしていかなきゃならない、こういうふうな技術革新に伴う状況の変化等も生まれているわけです。ところが、そういう職業訓練あるいは技術訓練の関係につきまして、現在の職業訓練の状況というものが今日の状況に積極的にマッチをしているのかどうかということについて大変疑問な点が出ております。
 今日、造船というような点が大変不況産業として言われておるわけですが、たとえば、そういう地域の中で、逆にそういう造船に関係をする技能を教えるというような職業訓練の実態。これでは新しい技能を持って新しい職場に再就職を促進させるというんではなくて、その不況業種の延長線上にそういう技能の訓練をするわけですから、実際にそのことが職業安定の技能訓練に直結をしていかない、こういう点を行政の内容としては検討を加えていく必要があるんじゃないか。
 逆に、民間の関係で、たとえばラーメン教室というような場所がより多くの人たちを糾合して、そこから新しい生活の場を持っていく、こういう状況等が卑近な私たちの周りにあるわけですから、そういう点等、きめ細かいひとつ職業訓練の内容の変革あるいはそれに伴う財政処置あるいは御検討方というものを積極的に行っていくことがこの機会に大変大事な関係になっているんではなかろうかというふうに考えているところであります。
#79
○和田静夫君 参考人、これで最後にしますが、職安の機能をもう少し有効にする方法はないだろうか。
 御存じかと思いますが、たとえば川崎市などでは、川崎市職業安定所、神奈川県、こういうような形で労働対策として職業紹介の補助的作業を大臣これやっているんですがね。それから私が社会労働委員長のときに社会労働委員会として関西に出ましたが、たとえば大阪では、府下主要安定所九カ所に高齢者コーナー及び府下の主要ターミナル五カ所に高齢者職業相談室を設置している。これも府と職業安定所と大阪市という全く三位一体でやっているわけですね、非常に成果を上げている。兵庫県も神戸市などの発想でそういう形が生まれているわけです。
 参考人、私はそういう市町村レベルの努力がなぜ機能をするのか、話を聞いているとわかる気がするんです。たとえば職安に行くのはどうも行きにくい、市役所の広報などを見ていて、そして市に訪れていって職業相談をする、こういう機会がある。そこで職安の機能改善との関係というものを委員としてどういうふうに考えられますかね。
#80
○参考人(中丈之助君) いまの御指摘にもありましたが、川崎市で労働対策本部を設けて市の広報に求人情報等を載せるなどして、職安の補助的な事業をやっていることを承知をしております。こういう試みが成果を上げるということがある。いま御指摘のように、職業安定所というものが体質的にその門をくぐりにくい、こういう関係に気分的にあるのじゃないか。ということは、先ほど申し上げましたように、職安ということがイコール失業者の行くところ、こういうような、失業者というイメージは大変暗いものを持っているわけですから、そういう意味合いからいいますと、市役所というようなところは逆に生活の延長として身近なところにある、そういう関係がこういう事業を積極的に伸ばしている、こういう関係になっているんではなかろうかというふうに思うわけです。
 したがって、市町村レベルの段階でも、そういうような職業紹介等の問題が実務的に行うことができるような処置というものが必要になっていくんじゃないか。しかし、実際には、職業安定法の関係でそういうことが法律上できない状況になってきている。あるいはまた今日地方財政の危機と言われるような状況の中で、各市町村とも財政上あるいは人事の関係で大変困難な状況下にあるわけですから、そういう意味合いからいいますと、一定の実益を各地方の中で上げているという成果があるわけですから、そういう成果を具体的に一般化をさしていく、そういうための呼び水として政令都市等を中心にして、とりあえず現在の法律の改正を行いながら一定の処置をとっていくということが今日必要になってきているんではなかろうかというふうに思うわけです。
 さらにまた、民間の関係等で、将来の公的サービス部門の拡大等々を考えていった場合に、今日、市町村レベルの自治体がもっと積極的に雇用の対策、雇用の開発等について精力的な活動を行っていくということは、国全体の雇用安定の強化拡大等の立場からも大変必要なことではなかろうかというふうに考えております。以上であります。
#81
○和田静夫君 労働大臣、いまお聞きのとおり、幾つかの問題点が指摘されました。現行制度の枠でとらえますと答弁されるのはなかなかむずかしいと思うんですが、少し広い視野に立って考えてみますと、私は御参考になったのではないかと思うんです。
 まず第一に、職安の機能低下と指摘された点、これはどういうふうにお考えになりましょうか。
#82
○政府委員(細野正君) 職安の機能低下ということで挙げられましたのは、一つには、求人が少なくなってきているというふうな問題、あるいは職安を利用して就職される方の比率が比較的下がりつつあるんじゃなかろうかというふうないろいろな御指摘があるわけでございます。あるいは非常に暗いイメージと結びついているんで、そういう意味で行きづらいんじゃなかろうか、いろんな点の御指摘がございました。
 それで、確かに不況になるとともに求人が少なくなって、したがいまして就職をしてもらうためのサービス活動が非常にやりにくくなってきている、そういう意味での機能の低下という問題は私どもも非常にこの不況下で心配もし、苦心もしてきたところでございます。ただ、先ほども御議論がございましたが、職安の態勢が、従来、いわば労働力不足ということで、求人者が安定所へお見えになる態勢というものにしばらくなれていたというふうなところもございまして、そういう意味で職安がみずから会社、企業を訪れて、そこで積極的に求人を開拓するという、そういう意味での仕組みなり、あるいはこういう問題は、いろいろな企業との俗に言う顔つなぎ的なものが大変重要な役割りを果たすわけでございますが、そういうものが一時とだえていたというふうな、いろんな問題がございます。
 そういう意味で、現在、積極的に、特に幹部職員が先頭に立ちまして各企業へ訪問して、それで求人の確保を図る、あるいは求人開拓のための特別班をつくってそれによって求人を開拓する。その場合でも、むやみやたらと回ったんじゃ効率が非常に悪うございますので、あらかじめ業界の団体等から求人の情報等を得て、ある程度の見当をつけて行く。あるいははがき等で各事業所に求人の今後の見通し等についても伺っておいて、それをもとに出かけていく。いろんな工夫をしてやっているわけでございます。一方、その場合に、一番問題になりますのは、人手が足りないんじゃないか、先ほど参考人からも人手が減ってきているという御指摘がございました。この点につきましては、ここ数年、非常に私どもも労働大臣を先頭にお願いしまして、職員の定数の確保ということを努力をいたしておりまして、昨年、それからいまお願いしております予算の中では、ネットでの安定所の職員の増をお願いしているというふうなことで、その点につきましても、かなり最近いろいろな苦労をしているわけでございます。
 それからさらに、職安のイメージアップという問題でございますが、最近、あるいはお気づきかと思いますが、幾つかの安定所で実験をやっておりますが、その実験の中の一つには、先ほどこれも参考人から御指摘がありました、保険をもらうという機能と、それから職業紹介なり相談を受けるという機能と両方ある、これが一緒にあることに伴っていろいろなイメージの問題とかいろんなことがございます。それから、その仕事の進め方自体にもいろいろ問題がございまして、そういう意味で保険を扱うところとそれから職業紹介、相談をやるところを同じ所の中で分けまして、所によってはこれを入口まで変えてやるというふうなやり方、そういういろんな実験を現在やっております。その実験に伴って必要な職安の庁舎そのものの改善自体もやっておりまして、かなり明るい――たとえば先ほど大阪のお話が出ましたけれども、阿倍野でございましたか、あそこはそういう意味での改善をやりましたときに、一部の新聞にホテルのロビーみたいだというふうな、そういうふうな御指摘がございましたが、そういう意味でのいろいろな改善をして安定所の機能のアップ、イメージアップ等に努力をしているところでございますが、ただ、冒頭に申し上げましたように、こういう情勢の中で安定所の職員が苦戦、苦闘しておりますので、私ども、一層いま申し上げましたような配慮を今後とも続けてまいりたい、こう思っているわけでございます。
#83
○国務大臣(栗原祐幸君) いま政府委員からいろいろ話がありましたけれども、いろいろ職安の利用状況が悪いじゃないかということにつきましては私どもも謙虚に承りたいと思います。
 ただ、御理解いただきたいことは、こういう状況下でございますので、いろいろ縁故その他でいけるものはいってしまう、職安の方には非常にむずかしいものが来ておるというのが一つあると思うんです。それからいま一つには、これは和田さんも御指摘になりましたけれども、職業訓練ですね。どういう職業訓練をしたらいいか、そのためにはどういう職種へ変わったらいいかというやつがまだ残念ながらなかなか見つからない。だから職業訓練というものと結びついて職業紹介ができない。それからいま一つには、安定所の職員の定数が仕事量に応じて少ないじゃないか、もっと積極的に出ていくべきじゃないかという大きな定員、人員の問題があると思うんであります。これらは御指摘のとおりでございますけれども、しかし、御案内のとおり一方では公務員の定数は減らせということでございまして、野党の皆さん方の御協力もいただきまして、労働省はこれでも非常に定員については恵まれている方でございます。その中でどう効率的にこれを利用していくか。先ほどお話のありましたとおり、市町村とか地方自治団体、そういったところ等の方々の御協力もいただく。また、今度は、相談員制度というものを設けましたので、この相談員制度などを活用していきたいということでございます。
#84
○和田静夫君 私は、結局、職安の機能低下などというのは本来的にずっと取り上げてきていますから、地方事務官を自治体にやりまして、身分移管をして、そして機能を充実していけばもっと合理的なものになるんだと思うんです。しかし、これは本来なら総括質問でやるべきことでありまして、いまここで政府の中にある意見の違いというものを浮き彫りにしようとは思っていませんから、解決の仕方は私はちゃんと持っていて言っているんですが、政府でなかなか統一見解が出ませんから、したがってしばらく待っているだけであります。本来は、そういうふうに身分移管をやればもっともっと充実したものになるんですが、その答弁は要りません。
 そこで、いま労働大臣がお触れになりましたように、また局長が言われました、総理府統計局の統計でもって、ともあれ職安の紹介によるものが六・九%にまで落ち込んでしまっているという現実は歴然としてあるわけです。その一つには、やっぱり職業訓練の再検討というのがある。いまお触れになりましたが、その再検討を具体的にはどういう形で改善をされるのか、方針があれば承りたい。
#85
○政府委員(細野正君) 職業訓練局長が来ておりませんが、私の知っている限りでお答えをいたします。
 一つには、先ほど参考人からの御指摘もございましたが、訓練所自体、たとえば地域で見た場合に、造船の地域における訓練所が造船所へ入るための訓練所であった。したがって造船所から離職する方々の再就職のための訓練という形になっていない。そういうふうな実態に着目いたしまして、したがいまして訓練職種というものを、現在及びこれから生ずるニーズというものに合ったように、職種なりあるいは態容なりというものを変えていこうという、そういう意味での訓練の科目なり、あるいは教科内容なりというものの改善という問題が一つございます。
 それからもう一つは、いま申しましたような全体的な科目なり態容の改善というのは時間がかかりますので、したがいまして当面の問題として早急にもうやらなければならない失業者の再就職のための訓練といたしましては、一つには速成訓練を活用する。あるいは民間でやっておる訓練所、あるいは各種学校等で行われている訓練、そういうものを活用しまして、いわば委託訓練を活用していくというふうなやり方でございます。そういう意味での速成訓練、委託訓練を今後弾力的に大幅にやっていこうということ。
 それから三番目の問題としましては、現在の訓練を受けられる場合に、たとえば保険の受給との関係において訓練所へ入る間の待機期間中の問題がございます。したがって訓練所の入所時期をできるだけ弾力的にやろうという、そういう方からのアプローチが一つ。それから特に年輩者の方については、訓練の延長が現在相当やられておりますけれども、相対的に若い人につきましては、訓練所へ入る、その場合に保険の期間が切れて入所の間にギャップがございます、そういう意味でのギャップを埋める。あるいは訓練所を終了してもほとんどの人が就職するまでに若干時間がかかっておりますので、そういう意味での訓練終了後における保険の延長、そういう訓練所自体の入所時期の多様化、弾力化ということとあわせて、一方から今度保険の受給との絡みでそのギャップをなくすというふうな援護措置の充実、そのほかいろんな職業訓練自体が機動的弾力的に実施されるような、そういう方途を現在講じつつあるということでございます。
#86
○和田静夫君 きょうのもう一つの目玉なんですが、私は提言をしたいんですが、この第三点目ですが、自治大臣と労働大臣ね、市町村、特に政令指定都市にも職業紹介などの権限を私は今日もう与えるべきだろうということを痛切に考えるんです。それは川崎の業務を考えてみても、大阪でやっていることを考えてみても、あるいは神戸でやっていることを考えてみても、それはいろいろお話がありましたが、みんな自治体の発想ですよ、今日どういうふうに対応しようかという。そうして協力を職業安定所にしていきます。していくが、最終的には職業紹介の権限を持っていませんからね、ここはやっぱり一つ大きなネックになっているんですよ、どちらが先にお答えになるかは別としまして。
#87
○政府委員(細野正君) お答えいたします。
 職業紹介を充実強化していくために、自治体の協力を得た方がベターであるという点はもう全く御指摘のとおりで、私どももそう思います。
 ただ、問題は、求人求職、つまり需要と供給との結合ということを考えます場合に、これがいろんなところで分かれて需給を結合するというのは非常に問題がありまして、むしろ求人開拓とか求人情報とかそういうものを得る、あるいは先ほどの御指摘のように、いろんなやり方についてのいろんなお知恵を拝借し御協力を得るということは必要ですけれども、最後の求人求職というものはやはり一カ所でもって集中してやらなければ効率の上がらないものじゃなかろうか、そういうふうに考えておるわけでございます。
#88
○国務大臣(澁谷直藏君) 御指摘のように、地方自治体というものは地域の住民と一番密着しておるわけでございますから、そういう意味で雇用、失業問題の推進、解決のために地方自治体の力をかりるということは、これは私はあってしかるべきことだと考えております。そこで、いろんなむずかしい機構上の問題も御承知のようにございますので、私はやはり機関的には職業安定機関、それに地方自治体が側面から補完する、あるいはまたこれを補助する、こういったような形で緊密な連携体制をとっていくことが現実的ではないかと考えております。
#89
○和田静夫君 いろいろ答弁がありましたが、求人の現況についても、それは自治体は真剣に各企業を回って調べて歩いていて、職業安定所のお手伝いをしている以上のことをやっている、逆の立場にあるぐらいなのが現実ですよ、いま。その辺のことをやっぱり十分労働大臣、自治大臣はお考えになっておいていただきたいと思うんです。きょう、ここで最終的にどうしますという答弁をいただこうと思いませんが、私の提案については大平内閣として対応できるように御協議願いたい、こう思うんです。
 参考人、ありがとうございました。
#90
○理事(岩動道行君) 中参考人には御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。御退席くださって結構でございます。
#91
○和田静夫君 ちょっと時間の配分が悪くて、時間がなくなって大蔵大臣への質問はやめにします。
 防衛庁長官、さっきからお待たせしましたけれども、自衛隊員が地方公共団体、市町村、ここの敷地の造成なり道路工事などを請け負っているその現状についてはもうしゃべりません、いただいていますから。
 そこで、こういう状態というのは、私は、法律的に見て、一体、自衛隊の本来の任務とどういう関係があるのだろう、国家公務員が地方自治体の仕事を手伝うのはどういう場合であるのだろうということをいろいろ考えてみる。自衛隊員のこういう形でのいわゆる仕事ぶりというものが地方におけるところの中小零細な建設土木企業に働く労働者の職場を奪っている、こういう状態もいま出ているわけですから、雇用の面から言って、そこをどういうふうにお考えになるか。自治大臣は国家公務員のいわゆる仕事との関係でどういうふうに一体見解をお持ちになるか、これだけ聞いておきたい。
#92
○国務大臣(山下元利君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘の点につきましては、自衛隊法百条の規定によりまして、自衛隊の訓練の目的に合致する場合に限りまして、地方公共団体の委託によりまして余り人力を要しない爆破とか、機械というようなものにつきまして工事を実施いたしているのが実情のようでございます。しかし、それにつきましても、地方の建設業協会の同意を得るとかということをいたしまして、私は御指摘のとおり法の規定に基づきましていたしておりますけれども、そうした地方の中小企業、また雇用関係につきましては十分配慮して進めていかなければならぬと思っておりますし、現実にそのことを配慮いたしておる次第でございます。
#93
○国務大臣(澁谷直藏君) 自衛隊はもちろん本来の目的を持っておりますし、それから地方のいま御指摘のような仕事をやる場合も、その自衛隊の訓練の目的というしぼりがかかっておるわけでございますから、そうみだりに、特に現在のように仕事がなくて業者も困る、働く人も困るという状態の中で、自衛隊がそういう地方の仕事をやるに際しては、私はむしろこれは抑制する方向で対処すべきだと考えております。
#94
○和田静夫君 終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#95
○理事(岩動道行君) 次に、福間知之君の質疑を行います。福間君。
#96
○福間知之君 政府は、ことしの予算で雇用創出を人員で約十万人ほど実現したい、あるいは失業の予防という意味合いで九万から十万人ぐらい失業を防ぎたい、あるいは失業者の生活の安定対象人員百六十三万人ほどを一応見込んでいるわけですけれども、特に、私は、雇用創出十万人というのは、具体的な、たとえば業種とか雇用の形態とか男女の比率とか、ある程度の見通し、計画があるんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
#97
○政府委員(細野正君) お答えいたします。
 五十四年度予算で雇用創出あるいは雇用開発十万人というふうに申し上げておりますのは、その内訳を申し上げますと、一つは中高年齢者の雇用開発給付金、これによりまして五万五千人。それから雇用保険の受給者を雇い入れて教育、訓練をされるそういう事業主に対しましていわゆる開発給付金を支給するわけでございますが、これによって三万七千人。それから御存じの特定不況業種離職者につきましてやはり雇い入れて教育、訓練をされる事業主に対する開発給付金、これで約八千人。合計十万人というふうに考えておるわけでございます。
 なお、その十万人が実行できるかどうか、こういう点についてのお尋ねかと思うわけでございますが、御存じかと思いますが、中高年齢者の雇用開発給付金は現在もやっております。その内容は、賃金の三分の二、二分の一とというものを中年、高年それぞれの方につきまして三カ月、六カ月というふうな制度でやっていたわけでございますが、これを一挙に補助率を五分の四、五分の三に上げ、それから支給期間も中年の方は一年、高年は一年半というふうに期間も三倍、四倍というふうに飛躍的に拡充をしているわけでございます。現在のこの細々やっております開発給付金によりましても、現在ベースでまいりますと、いまの予算の約二倍ないし三倍ぐらいいくほど現在活用されているわけでございまして、そういう状況と、それから先ほど来御議論がございますように、この制度の周知、PRというものを今後徹底して私どもやってまいりたいというふうに考えておりますので、したがいまして、いまの実績から見ますと、この開発給付金の五万五千あるいは全体としての十万人というものは、現在求人がだんだんふえつつございます、一方、その求人の中身も常用の伸び率が高まり、かつ求人を出す企業の規模もだんだんだんだん規模の上の方にまで波及しつつある、こういうふうな状況を見ますと、私どもはこれは達成が可能なんじゃなかろうか、またぜひ達成しなきゃいかぬ、こういうふうに考えているわけでございます。
#98
○福間知之君 わが党はもっと大きな雇用創出を実は希望しているわけでございますが、もちろんこれは予算も伴うことですから、この場では最大限政府は十万人と言わず、ひとつやっていただきたいと要望するにとどめます。
 ところで、いまの御説明の中にもちょっとありましたけれども、一つはいろんな給付金がオイルショック以降かなりたくさん制度化された。それが非常に企業経営者の側でもわかりにくいということが最近報道されています。大体、どれくらい雇用対策のための助成策としての裏づけになる給付金があるのか。また、どうも私調べたところによると、五十二年度でも、PRが足らないということもあったんでしょうが、とにかく結果として予算と実行率を見ますと乖離がかなり大きい。五十二年度と五十三年の今日に至るまでの実績と予算との関係をお知らせ願いたいと思います。
#99
○政府委員(細野正君) 各種の給付金と申しますと、保険関係のものと、それから職業転換給付金関係で申しますと、中高年齢者の方とか、あるいは造船従事者の方とか、そういうふうな特別な対策を必要とする方に対する給付金、この二つにつきましてはほぼかなり消化をされ活用をされているわけでございます。むしろ雇用安定事業関係四事業についてのお尋ねではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。
 この四事業関係……
#100
○福間知之君 雇用改善と能力開発ですね。
#101
○政府委員(細野正君) はい、そうですね。
 四事業関係について申し上げますと、まず、景気変動と雇用調整事業でございますが、これが五十三年の予算と実績で申し上げますと、五十三年度は、予算が景気変動全体で四百一億、実績が五十四億ということでございます。それから事業転換は予算が二百三十四億、実績が約二億でございます。それから改善事業関係で申し上げますと、これも各種のあれがございますが、まとめまして、年齢別の雇用構造の改善ということで定年延長奨励金とか、継続雇用奨励金、高年齢者雇用奨励金、そういうものを全体としまして予算が百十五億で実績が二十七億でございます。それから地域的な雇用構造の改善ということで、地域雇用促進給付金とか通年雇用奨励金あるいは積寒給付金、そういうものを合わせますと、予算が六十二億で実績が十九億でございます。主なものは大体そんなことでございます。
#102
○福間知之君 大臣、いまの御説明のとおり余りにもひどい。五十三年のやつが少しわかりにくいようですが、だんだん各企業経営者も認識を深めていると思いますので、これは消化率は高くなってきていると予測しています。特に、ことしはこの種の関係の予算は大幅に取っているわけでございますので、ぜひこれは宣伝費をかけてでも、あるいは各種の手段でもって周知徹底を図っていく必要がある。でないと羊頭狗肉になってしまいますので、要望しておきたいと思うんです。
 時間が限られていますので幾つかお聞きをしたいと思います。
 次に、高年齢者の雇用率は、五十五歳以上は六%という一つの目安があるんですけれども、実際現状はどうなっているのか。あるいはまた、私はこれはかなり実態はこの目標に比べて低い、こうにらんでいるんですが、そういう場合に未達成の企業に対してたとえば課徴金を課すとか――課徴金かける言うたって、その方が安いんだ、それでいきましょうという経営者も出てきますが、いずれにしても制裁的な意味合いということでは、その種の制裁措置を講ずるとか、あるいは未達成の企業の名前を発表するとか、何か私は手段があると思うんですがね、そういう点はどうですか。
#103
○国務大臣(栗原祐幸君) 高齢者の雇用率が未達成であるというのはお説のとおりでございます。中を調べてみますと、中小企業の方はいいようでございますがね、全体的に。大企業なんですよ、問題は。
 大企業がなぜできないかというのを見ますと、やはり例の年功序列賃金体系、それから退職金、それから人事管理の問題、そこがネックなんですね。ですから、この問題を解決をしない限りにおきましては、たとえば定年五十五なら五十五でやめた、その後高齢者をそれだけで雇えということになりますと、大企業なんかの場合、自分のところの職員を定年で退職さして、よそから高年齢者を雇うというふうなことをしますと、職場の秩序といいますか、これは乱れてしまうわけです。ですから、どうしてもこれは定年延長というようなところに追い込んでいかないと、この問題は解決をしないわけでございます。ですから、私どもは、これは定年延長と根源を同じゅうするという意味合いで、定年延長の問題について積極的に取り組みたいと思います。
  〔理事岩動道行君退席、委員長着席〕
 ただ、福間さんもいまお話しのとおり、それではペナルティーをかけたらどうだということでございますけれども、身体障害者の雇用率の場合も、これは言うなればペナルティーじゃないんですね。俗称ペナルティーと言っておりますけれども、身体障害者を雇った企業はそれだけ経済的な負担がある、雇わない企業よりも経済的負担をしているので相互に補完しようということで、雇わないところからお金をもらっているわけです。ですから、これはペナルティーとは言えない。ところが、高齢者の場合は、そういうことが果たして適当かどうかという問題が残るわけです。したがいましてペナルティーを課するという問題については私どもとしては慎重にならざるを得ない。じゃせめて企業名を公表したらどうかというのはあります。私どもは、その点については検討しなければならぬと考えておりますが、いまの段階では、身体障害者の場合には法律的にそういうふうになっておりますけれども、この高齢者の場合にはそういうふうになっていないということで、これは検討を進めたい、こう考えております。
#104
○福間知之君 これも私はぜひその検討を願わなきやいかぬし、しかも、後ほど少し明らかにしていきたいと思うんですけれども、いわゆる今日のこの中高年齢者の問題というのは、たとえば四十八年のオイルショック以降の長期不況と、それからもう一つは、高齢化社会への突入という観点で重なり合ってきている問題なんですね、私の理解するところによると。したがって高齢者の問題というのはいまからかなり積極的に進めないと、大臣もおっしゃるように、たとえば日本的な賃金システムだとか雇用のあらゆる場面の特殊性を考えたら、それを一つずつ高齢化社会への、あるいはまた企業の雇用形態改変への条件整備として地ならしをしていかにゃいかぬという、これはかなりの時間が私はかかると思うんです。そういう意味では、定年延長の問題とか、あるいはいまペナルティーだとか企業名の公表とか申しましたけれども、それは一つの手段でありまして、より基本的長期的には、いままでの伝統社会の雇用のあり方というものを大きく転換する、その中の一つに職業訓練も重要な意味を持ってくるということだと思いますので、ぜひこれはひとつお願いをしたいわけです。
 ところで、次に参りますが、アメリカでは六七年に六十五歳まで、七七年に七十歳まで雇用を拡大する、こういう年齢差別禁止の法律が制定されたと聞きますが、これについての評価、わが国として参考になるのではないかと思うんですが、いかがですか。
#105
○政府委員(細野正君) 先ほど来御議論ございますような定年延長の問題にしても、あるいは高齢者雇用の問題にしましても、帰するところ年齢差別ということになりますから、そういう意味では年齢差別を禁止するというやり方は非常に根源にまで突き込んだ一つのやり方であるという意味で大変参考になるというふうに思うわけでございます。
 ただ、その場合に一つの問題は、先ほど労働大臣からもお話がございましたように、年齢あるいは勤続によって賃金なりあるいは退職金なり、それが累増していく。あるいは年齢なり勤続の上の人がポストとして上についていないとなかなかその職場の秩序を保つことがむずかしいというふうな、そういう日本特有の一種の終身雇用なり、あるいは年功序列賃金慣行なり、そういうふうなものと密接な結びつきのある問題でございますので、そういう点についてのある程度の割り切りができている欧米、特にアメリカのような国と、それから日本のような、いま申しましたような特別の事情のある国とでは、すぐまねをしてやるということが非常に困難な面があるというふうに思うわけでございます。
 そういう意味で、先ほど先生からも御指摘のように、この高齢者問題、定年延長の問題というのは、それこそ法律なり何なりでやらなければ間に合わなくなるほどの非常に目下の焦眉の急の問題であるという点は、私ども全く同じような気持ちでいるわけでございますが、しかし、それを実施するために必要な前提というものは、これはぜひ労使の間でコンセンサスをつくって実施をしていかなければならぬということでございますので、その条件づくりと、それから定年延長なり、あるいは高齢者の雇用促進なりというものを同時並行的に、しかも急いで実効を上げていかなきゃならぬ。そういうことで、私ども、この実効の上がる方法を現在も検討し、また強化をしていきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
#106
○福間知之君 それにちなみまして、最近、関西における産業労使会議で、雇用延長実現のための方策について労使が合意をしています。この文書を送ってもらっているんですけれども、新しい一つの時代の先取りといいますか、そういう方向に立った有意義な私は内容だと思うんですけれども、これは大臣御承知ですか。
#107
○国務大臣(栗原祐幸君) 私、当委員会でも申し上げましたけれども、関西の労使において実質的な定年延長が合意をされたということは大変結構なことだと思うんです。私のところにも経営者側と労働者側の代表の方々がお見えになりましたが、私は、その際にも、経営者の方々もごりっぱだけれども、労働側の方々もそれ以上にごりっぱだ、敬意を表しますということを申し上げたんです。もうこの問題は避けて通れないわけですね、そういう意味合いでは非常によい例を開いていただいたと思っています。
 私どもはこれに勇気づけられてというわけではありませんが、しかし、さらにこれに勇気づけられまして、経営者側にはもちろん申し上げておりまするし、また労働団体の代表の方々にも過般会いまして申し上げました。その際に、これは御参考までに申しますと、労働組合の方々の言うのには、自分たちもその点について認識していないわけではないが、いままでの労使の慣行からしますと、どうも労働側が要求して経営者がこたえる、こういうあれだった。しかし、われわれの方からもその点についていかなきゃならぬけれども、経営者の方からも声をかけてくれないか、声をかけてくれてもいいじゃないかというような御意見がございました。こういうやりとりを聞いておりまして、私は、相当労使の間が煮詰まってきておる、また煮詰まるような情勢にあるというふうに考えますので、したがって行政指導を徹底していきたい。この労働側の御意見につきましては、経営者側の代表の方々にも今度伝えたい、こう思っております。いままで行政指導、行政指導といきましたけれども、実質的に一つ一つ実効の上がるように、経営側に言うべきことは言う、労働側にも言うべきことを言う、そういうことで逐次進めてまいりたい、こう考えております。大変これは高く評価をしております。
#108
○福間知之君 それは私ども同感ですし、大臣がそのような認識を持っておられることは敬意を表しますけれども、なかんずくそういう中で、たとえば退職年金にかかわる税制面の緩和措置だとか、あるいは不況業種から好況業種への労働移動の円滑化、これは業種から業種あるいは企業から企業ということにもなると思うんですけれども、幾つかこういうふうな政府に対する要望も含まれておるわけです。こういうのをぜひひとつ吟味を願いまして、適切なバックアップをしていくことが全国的にこういう課題を普遍化していくということにつながると思います。
 特に、いわゆる企業別の閉鎖的な年功序列システム、終身雇用システムの制度を少し横に広げていくという意味では、私は、先ほども議論になっていましたが、いわゆる職安とか監督署等の行政がきめの細かい動的な動きを少し必要とする。そういう点では、一部によると、高度成長時代にはかなりやったんだけれども、当時はもう出先機関が各企業から労働力不足でむしろ接待を受けたり何なりして、おかしなかっこうになってしまった、こういう話を聞くんですが、今日は、そうではなくて、もっと人の集まるような、行きやすいような場所に、ターミナルその他百貨店でもいいですから、そんなところへ職安の出店でも置いてやるぐらいのことがやっぱり必要になってくるんじゃないか、そんなことを感じているんですがね。これは特別に御答弁は要りませんが、動的な職安行政というものをダイナミックにひとつやってほしいということであります。
 次に、最近、構造不況の代表業種とも言うべき造船、海運その他で、特に造船の場合、私ここで指摘したいのは、あちらこちらでずいぶん希望退職という名による減量経営が活発になっていまして、けさほどの新聞でも大手の三菱重工とか石川島播磨――石川島播磨に至っては、会社側が希望する予定の二倍以上の四千五百人からの応募者が出たなどと載っていましたが、軒並み大手の造船で同種の減量が行われている。その範疇ならばまだ、問題はなしとしませんが、ある程度の理解もするんですが、一歩突き進んで指名解雇にまで発展しているケースがあり、地労委が入って係争するという事態が出ています。特に住友重機の玉島製作所においては、かなり労使間であつれきが激しくなりましてやったりしているケースも実はあるんです。
 これは労働省の方も、先刻御案内で、しかるべく善処をされていると思うんですが、この種の指名解雇ということについては、事前にひとつそういうことのないように、出先からの的確な報告に基づいて私は善処をぜひ願いたい。裁判ざたになりますと、最近の裁判は昔と違いまして、かなりこれに対しては厳しい企業側への判例がたくさん出ておりまして、そういうことは、したがって判例として残っていく限り余り感心しないわけですね、国全体として、日本の社会としては感心しないので、善処をこれは私要望しておきたいと思います。
 次に、そういう意味で解雇の規制ということにつきまして、わが党は大量解雇の場合など、届け出あるいは審査、勧告等の機能を持ったひとつ制度確立を要望しているんですけれども、これは大臣どのようにお考えですか。
#109
○国務大臣(栗原祐幸君) 減量経営即解雇、したがって解雇規制をつくれ、こういう論法ではなかなかいかないと思うんです。企業が減量経営をするのには一体どういう状況でやるのかというのが問題でございます。一般的に解雇というのは労働組合法なり、あるいは労働基準法で一定の理由による解雇を認められておる、それ以外認めない、判例でも恣意的な解雇はこれを認めないということでございますから、いわゆる企業が生き延びるためには、どうしても企業の体質を健全化しなきゃならない。そのためにいろいろと人減らしをするという場合には、その実態を知っているのは企業それ自体でありますから、また企業の使用者と労働者の方々でありますから、この問題につきまして、私どもは、どちらがいいとか、どちらが悪いとかということは、これは言えないわけでございます。ですから、そういう点については、逃げるわけではございませんけれども、実態を一番よく知っているのは企業の内部の方々ということでございます。
 ただ、問題になりますのは、この減量経営に名をかりて人減らしをするということにつきましては、これは企業に社会的責任を感じてもらわなきゃなりませんので、ここに通産大臣もおられますけれども、私どもは経済団体の代表者の方々にもお会いをいたしまして、減量経営に藉口する人減らしというものは慎んでいただきたいというお話をして、それはそのとおりである、私どももそういう社会的責任は感じておるというお話でございました。しかし、その際に、われわれに要望のあったことは、企業が好んで人減らしをしておるというように一般的に思われてはかなわない。やはり需要がなければ供給はできないんだ。だから、そういう意味合いでは私どももやむを得ずやっているんだ、人減らしをするなんということが非常にうれしくてうれしくてたまらないなんていう、そういうものはございません。そういう部面もよくお考えをいただきたいという御注文もいただいたわけです。私どもはそれはそれでわかるが、しかし、一般的に言って、企業の減量経営というものに藉口して人減らしをすることはぜひ慎んでもらいたい。通産大臣もそれを強調され、企業側もその点については原則的に賛成をしているところであります。したがって結論的に言いますと、法律で解雇規制をすることは適当ではない、私どもは企業の社会的責任についてひとつしっかりやってもらいたいというところでございます。
#110
○福間知之君 大臣の言わんとする趣旨もわかりますが、前の総括のときも私は申し上げたんですけれども、景気がよくなってきたというけれども、ミクロでは、業界企業レベルでは縮小均衡態勢に入って、何が景気がよくなったと言えるのか、これは基本的な大問題だと思うんです。
 法律で解雇規制するのは適当でないとおっしゃいますが、たとえばドイツの解雇保護法とか、スウェーデンの雇用保障法、あるいはフランスの労働法典、あるいはイギリスにおける雇用保護法、それぞれ各国は法律で解雇規制に関して、その性格に多少の幅はありますけれども、持っているんですがね。これ代表的なところを一遍御説明ください。
#111
○政府委員(細野正君) 先生御指摘のように、解雇につきましていろいろな立法を各国が持ち出していることは御指摘のとおりであります。
 概括して申しますと、アメリカ、イタリアはほぼ労働協約でやっておりまして、それで労使間で問題を片づけていく、こういうやり口であります。それからイギリス、スウェーデンは労働組合へ通知をすることを法律上義務づけておりまして、その通知だけが法律上義務づけられておりますけれども、結果的に問題の処理自体は労使の協議ということでございます。それから西ドイツ、フランスはいずれも従業員の代表制度、ドイツで言いますと経営協議会に通知をすると同時に、行政当局にも通知をすることになっております。いずれも一定の期間、ドイツの場合ですと一カ月でございます、それからフランスの場合にも三十日というふうに書いてありますが、いずれも届け出が受理されておりましてから三十日を経過いたしますと、その解雇は効力を発生するということでございます。したがいまして、解雇自体がいいとか悪いとかいうことを行政当局がストレートに判断するという仕組みになっていないように見受けられるわけでございます。ドイツの場合はそれは明確でございますが、フランスの場合には若干そうもとれない規定もございますので、現在、その辺の実情を調べにいま行っておりますけれども、しかし、結果的には、三十日経て自動的に解雇の効力が発生するという点だけはフランスも明確なわけであります。ただ、行政機関がどういうタッチができるのかという点について、条文上では明確でない点があるので、いま調査をしております。
 ですから、達観して申し上げますと、結局、ほとんどが手続規定を持っているということでございまして、そういう意味で言いますと、日本の場合にも、そういう意味での手続規定なり、労使とむしろこれは協議というよりも、解雇の基準自体は団体交渉の対象事項でございますから、労使協議というよりも、もっと労使が共同で決めなきゃならないものでございまして、そういう意味ではほかの国の規定と比べて、さほどわが国の規定がおくれているとは言えないのじゃなかろうか。特にドイツなんかでございますと、労働組合が企業の中に組織を持っておりませんから、結局、経営協議会、あるいはフランスの場合も従業員代表制というのは、そこへ話をしなければいかぬよということ自体を、むしろ向こうの実態から見ると、法律に書かないとそうはならない。日本の場合には、当然、その企業の中にある労働組合と団体交渉をする義務が労働組合法上あるということでございますので、先ほども申し上げましたように、わが国の規定がほかの国の規定に比べて劣っているということにはならぬのじゃなかろうか、こう思っているわけでございます。
#112
○福間知之君 この点は時間がありませんから、ここでやりとりすることはこれ以上いたしません。また別の機会にしたいと思います。
 ところで、欧米に比べて中高年齢者の失業の比重が大きい。また就業機会というものもきわめて困難性を持っておる日本の社会ですから、政府がせっかく進めていこうとする当面の施策、それは最大限それに期待もしたいんですけれども、なかなか十分にはいかないだろう、こういうふうにも思うわけであります。そこで、現在も職業転換事業を予算でことしは二百六十二億ぐらいとっておるようですけれども、その中で五十一億弱が全額国庫負担の給付という金額になっておるようでありますが、特定業種の枠を外して、給付水準を改めて、さらに保険給付の終了した離職者のうち、中高年齢者に対しては、その前の所得の五〇%程度の手当をさらに引き続いて給付する、こういうふうな制度を設けてはどうかと提案をするわけですが、いかがでございますか。
#113
○政府委員(細野正君) 失業者に対する手当関係でございますが、これは先生もよく御存じのように、まず保険給付自体が年齢に応ずる就職の困難度ということで、そこで就職の困難な高年齢者については給付を長くしているわけでございます。それに加えて、これまたいわゆる個別延長の制度ということで、これは現在は四十歳以上の方について全国一律にもう六十日延長を実施しているわけでございます。さらに訓練を受けられたときには訓練延長等のいろいろな延長制度を実施しているわけでありまして、そういう意味で就職の困難度合いに応ずる給付関係についてはかなり各国に比べても充実されたものになっているわけでありまして、これ以上延長することにつきましては、確かに就職がなかなかむずかしいという側面が一面ございますが、逆に保険によって生活する期間が長ければ長いほど再就職の意欲がまた薄れてくるというふうな、そういう別の問題もございまして、そういう意味で、これ以上の延長ということについてはなかなか問題があるんじゃなかろうかなというふうに考えているわけでございます。
#114
○福間知之君 少し長期の問題でお聞きをしたいんですけれども、通産大臣ね、ちょっと目を覚ましていただいてお答えいただきたいんですが、総括でちょっとやれなかったもんですから、この機会に、雇用の問題はすぐれてこれからのわが国の産業構造とかかわり合いを抜きに考えるわけにいかないと思うんです。
 ところで、その産業構造というと、これは自由な経済体制でございますので、まず各業界、企業の自助努力によっておのずからこれは展開がもくろまれていくものだと思うんですけれども、しかし、高度成長が終えんし、減速成長時代に入る、中高年層を中心にした雇用問題も深刻化する、さらに社会全体の高齢化が進んでいく、並み並みならない未曽有の課題を社会的に抱えているわけでございますので、そういう中で総理の言う田園都市、落ちつきのある社会というものをつくるために産業構造がどうあるべきかということはもう識者が重大な関心を持っているんですけれども、つとに当局としても長期のビジョンなるものを掲げておられますが、大臣のいまの時点におけるひとつ決意を伺いたいんですけれども。
#115
○国務大臣(江崎真澄君) きわめて私重要な御指摘だというふうに思います。先ほど和田さんの御質問にも答えましたから、重複を避けながら申し上げたいと思います。
 やはりわが国の産業というものがだんだん知識集約型の産業という形が要請されております。特に素材産業というものは中進国の追い上げが厳しゅうございます。そうなると、今後、こういう変化に対応していくためには情報産業、それから電機、機械、航空機、これがずいぶんおくれているわけですね。ライセンス生産はできるが、独自の開発が実際おくれてしまった。独自のものもありまするが、もっともっとこれを盛んにしたいもんだと思います。それから住宅、それからファインケミカルズ、こういったちょっと例を挙げましても知識集約型の産業というものに大きく期待されるわけであります。それから、いま長い間の構造不況と言われます繊維産業などにおきましても、川下部門と言われるアパレルの部門を助長しようと、これは政府が御承知のように今度は一億五千万円の予算を計上いたしまして、民間からも一億五千万円を協力願って、金額は少ないが、そのアパレル部門、特にかけ声だけではいけませんので、人材養成をしようというところへ一歩を踏み出したわけですね、これなどは本当に大事な問題だと思うんです。これは特に服飾はレナウンだとかワコールだとか、そういう民間企業がそういう人材養成もやったりいろいろ部内研究を進めておりまするが、やはり企業全体として政府がそこに着目をし助成法等を考えたということも、いわゆる知識集約型を推進しようとこの挙に出たものであります。通産省としては、さっき和田さんも御指摘がありましたように、十分そういうことをやっぱりPR、徹底する必要がありますですね、このことを心がけながら、新しい産業構造を形成するべくあらゆる協力を払ってまいりたいというふうに考えます。
#116
○福間知之君 大臣、今月末、いわゆるアメリカのオーエンさんが、サミット担当大臣ですか、おいでになる。ついては、産業調整という一つの課題を話し合いたいと。これは何かボンのサミットでも、どういう表現かは私存じませんけれども、何か含まれているようなことが言われているんですが、これにはどういうように対応されますか。
#117
○国務大臣(江崎真澄君) これは私は直接聞いてはおりませんが、そういう意向を示されたことは新聞その他で聞き知っております。何か外務大臣との会見があったんですかね、そういうときにも話が出たというような話も聞いておりまするが、恐らくサミットにおいてアメリカの産業構造と日本の産業構造、この両極の問題について調整をするということはあり得ないのではなかろうか。やはり先進国全体の立場でどうするか、こういう問題はこれはボン・サミットにおいても取り上げられておりましたね。これは南北問題を含めて、いわゆる先進国、まあ主要国と言った方がいいと思いまするが、の集まりでありまするから、中進国を初め発展途上国とのバランスをどうするかという大所高所に立った議論は、これは私当然あると思いまするが、両国の問題はやっぱり両国でなすべきだというふうに考えております。
#118
○福間知之君 ところで、やや具体的なことで、大臣、昭和円十五年と五十年ととってみますと、たとえばいま第三次産業が雇用面でも非常にウエートが高くなってきたと言われているんですが、数字の上でもはっきり出ているんですね。四十五年は、第一次、第二次、第三次含めて一〇〇としますと、第三次は四六・六%、五十年は五一・七%ですね、雇用の比重はそれだけ高まっていますね。大体、欧米並みの就業パターンにアプローチした、こういうふうに言われるわけです一が、これからの就業機会というものを、だからしたがって第三次と、こういうように常識的には思うんですけれども、かなり問題を含んでいるような気がします。
 ある意味では、私たちがいままで言ってきた公的な需要を満たしていく上での仕事、それに従事する。したがって雇用の確保という面で言いますと、ここに資料が国勢調査から出ているんですけれども、すぐれてやっぱり第三次産業部門というのが多いわけですね。コンピューター関係で電子計算機操作員が二・四倍になっているとか、情報処理技術者一・七倍とか、あるいは社会福祉関係の職種で社会福祉事業専門職員が一・九倍、それから保母さんは一・八倍。教育関係で盲・聾・養護学校教員が一・七倍、幼稚園教員一・五倍。余暇関連職種でずっと文芸家・著述家、デザイナー、音楽家、ファションモデル等の広告マン、写真師・カメラマン、職業スポーツ家、裁断工、いろんな小分類で一応の統計があるんですよ。
 こういうものは、したがってすぐれて民間が中心で多いんですけれども、それ以外にいわゆるよく言われる災害対策だとか水対策とか都市交通とか下水あるいは病院、社会福祉、美術館、博物館、スポーツ施設、公園、保養地などなど公的な
 一つの需要という分野がかなりあると思うんです。そういう点についていわゆる日本の産業構造としてやはり一つの位置づけを私はしていくべきじゃないか。それはいままでの第三次産業という範疇よりも、むしろ第四次産業という――これが適当かどうか知りませんが、そんな気さえするわけですね。そういう点は当局としても吟味されますか。
#119
○国務大臣(江崎真澄君) 御指摘の点はもう全くきわめて大事な点でありまして、これは一つの見通しに立って八〇年代のビジョンというものをわが通産省でも目下検討、作成をいたしておるわけでございます。いま御提示になりました資料と似かよった資料を私も手持ちでございますが、幸い産業政策局長も来ておりまするので、せっかくの機会ですから詳しくお答え申し上げさしたいと思います。
#120
○政府委員(矢野俊比古君) ただいまの御指摘は、私ども全く傾聴に値する御意見と思っております。
 まあ、いままでの傾向といたしまして、いわゆる三次――一次と二次と製造部門、それから第一次、第二次を除きますものを三次ということにしておるわけでございますが、それが卸、小売あるいはサービスというだけで言っているわけではないと思います。いまのような公共部門のニーズというものについて、医療あるいは教育、それから社会福祉、こういった体制を一つの部門として考えてみてはどうか、経済界の中の同友会あたりでも、むしろ三次という範疇から第四次とか五次とかいうふうに分類すべきではないかという意見も出ております。こういった御提言を、あるいは先生の御指摘も十分頭に入れまして、私どもはとりあえずこの五月を目標に、いわゆる八〇年代長期ビジョンの骨格を固めたい。さらにそれを産構審その他で議論を進めまして、少なくとも今年の末か、五十四年度末には最終的な方向づけをいたしまして、皆様方の、世に問うと申しますか、こういうふうな作業を進める、こういうふうに考えております。
#121
○福間知之君 そのことと関連して総理府の統計局長にお聞きをしたいんですが、最近の、たとえば五十年なら五十年ごろから六十年ぐらいに至る間の中高年齢者は労働力でどれくらいふえますか。
#122
○政府委員(島村史郎君) いま手元に持っておりますのが一年間のものしかございませんが、昭和五十二年と五十三年とを比べますと、労働力人口で五十五歳から六十四歳、これが約十四万人、それから六十五歳以上が十七万人の実は増加になっております。大体一年間にそれぐらいの要するに増加になるというふうに私ども思っております。
#123
○福間知之君 じゃ私が、これは日本経済研究センターの調査のデータを少し調べましたら、昭和六十年に至る十五年間に、男女合わせて六百九十四万人の労働力の増加が見込まれるそうです。年率でこれは〇・八%の増で、いままでの速度よりはやや落ちます。そのうちで何と五十五歳から六十四歳まで、まさに高齢者ですね、この高齢者が三百六十八万人ふえる。最もふえる数が多い。六百九十四万人のうち三百六十八万人です。四十五歳から五十四歳までは三百四十万人、三十五歳から四十四歳までは二百六十三万人、逆に減る分は二十五歳から三十四歳までの人は二百五十万人も減るんです。十五歳から二十四歳までの人が百八十万人も減るんです。まさしく労働力の面でも高齢化がもう急ピッチで進むという一応の見通しが、調査が一応妥当とするならば展望として言えるわけなんです。
 だから、これからの雇用問題というのは、まさにいままでとは違った中身のものを持って対処していかなければいけない。高度成長時代のように、年々新規労働力は中卒を先頭にしてどんどんふえていく、若年労働者が中心であったという時代では全くない。ここにこれからの雇用政策というもの、あるいは産業政策というものが、あるいは職業訓練というようなものがきわめて重視されなきゃならぬと思うわけでありますが、これは私は通産大臣に、そういう点を科学的にひとつ踏まえて対処を願いたい、そういうふうに思うわけであります。
 次に、労働省にお聞きしますが、今度の政策の中で、雇用問題の政策会議というようなものの設置、これを考えておいでですが、どういう運営を中身として考えていられますか。
#124
○政府委員(細野正君) 雇用問題政策会議は、一つには雇用創出問題を初め各種の雇用政策の問題につきまして、関係の労使はもちろん、いろんな広い層からお知恵を拝借して、できるだけその実情に即した有効な雇用政策を進めるようにしてまいりたいということと、それからもう一つは、これも先ほど来御議論ございましたように、いろんな各種の施策なり給付なりというものをやっているわけでございますけれども、そういうものについての御理解を得たいという、その二つの側面でこの会議を考えたわけでございます。で、現在雇用創出をめぐるいろんなやり方について、衆議院におきましても各党間のお話し合いがあったわけでございますので、その辺との絡みで、この会議の運用につきましても私どもはそう余り固定的に考えずに、できるだけ実効の上がるものにしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#125
○福間知之君 労働三団体が大臣にも要請に行かれたようでございますけれども、この政策会議に対する要望といたしまして、一つは、機構としては中央と都道府県段階に設置をしていってはどうか、あるいは中央段階では国際的な、先ほど申し上げたような雇用制度の研究、政策、あるいは労使慣行などの情報収集等をやるとカ、地方経済の振興とか、生活環境の改善、民間活力の引き出しを図るための公共投資の効果の点検ですね、多少きめの細かい配慮が労働側でもあるようでございます。まあ、そういう趣旨をぜひひとつ生かしていただきたい。先ほどの関西労使会議等の中身もこういう中で議論を願いたいと思うんです。
 それからもう一つ御披露しておきたいのですけれども、これは政策推進労組会議という民間の主要組合でつくっている機構ですけれどもございまして、昨年の暮れの十二月に、離職後における生活実態と再就職に伴う諸問題ということを調査した結果がございます。時間がありませんから中身を申し上げませんけれども、やはり職業安定所のあり方についての批判とか、それでいてやめた人は求職活動をする上で六七・八%がやっぱり職安を通じて行う、それに期待している、こういう調査も出ております。また職業訓練ということについては、すべての問題点がその調査の結果出ているんですけれども、十分な希望する訓練コースがなかったとか、内容が一般的で充実してないとか、入校時期が合わない、定員が少なくて入校できない、職業訓練の制度として今日の問題点が浮き彫りにされているようなんですけれども、この調査は御承知だと思うんですが、大臣としての心構えをひとつお聞きしたい。
#126
○国務大臣(栗原祐幸君) いまの政策推進労組の方からのお話ですね、これは私のところにも見えまして、いろいろお聞きしました。その中で、私は労働組合としては非常にいい調査をされました。むしろ私どものやらねばならぬことを先にやられたという意味で敬意を表したわけでございます。私どもといたしましてはこれをよく検討いたしましてでき得ることは積極的に取り入れたい、こういうことでいま考えております。
#127
○委員長(町村金五君) 福間君、時間が参りました。
#128
○福間知之君 はい。
 最後に通産大臣、時間短縮問題、週休二日制問題。いかがですか、大分議論が華やかなようですけれども、私は、これはぜひ当面できるところからやるという程度でやむを得ぬかもしれませんけれども、ぜひこれは基本的にはかなり早いスピードで、貿易摩擦解消という観点からもこれはぜひやっていただかないといかぬと思うのですけれども、最後に所信をお伺いいたします。
#129
○国務大臣(江崎真澄君) 最近はエネルギーの節約をめぐりまして、週休二日制であるとか、サマータイムであるとか、これが改めてまた爼上に上がってきた、こういう形で声が上がっておるわけでありまするが、これはエネルギーの節約という端的な問題だけで考慮する話じゃなくて、まさにいま福間さんが指摘されるような立場から十分考慮をされる問題だと思います。私ども個人的にはこれはぜひ推進したいと私は思っておる一人であります。ただ、省レベルでさてどうするかということになりますると、これは関係のそれぞれ省庁がございます。労働省を初めとして、十分そういう調整をいたしまして今後進めていきたいと思いまするが、先進主要国首脳会議に参りまする国々においてはほとんど週休二日は徹底しておるというような事態から考えましても、また雇用の面から考えましても、やはりもう経済的には先進国の仲間入りを十分果たしておるわが国としては解決していかなければならぬ課題だという認識に立ちます。
#130
○福間知之君 終わります。(拍手)
#131
○委員長(町村金五君) 次に、小平芳平君の質疑を行います。小平君。
#132
○小平芳平君 先ほど来の質疑はずっと聞いておりましたので、ダブっては質問しないようにいたしますし、またダブっての御答弁は要求しないわけであります。
 最初に、通産大臣は企業の減量経営の行き過ぎを、それから労働大臣は減量経営に藉口した人減らしは戒めなくてはいけないというふうな趣旨の御発言がありましたが、そこで両大臣に伺いたいことは、具体的にどういうことがいけないのか。確かに減量経営が行き過ぎている、あるいは減量経営に藉口した人減らしが許されない。その言葉としては、質問する側も、そうしてまた答弁する政府側もそういうふうに答弁をしておられますが、どういう場合がいけないかということを素人のわれわれにもわかりやすいような説明がありました、具体例として、こういう場合が行き過ぎなんだというふうに指摘してください。
#133
○国務大臣(江崎真澄君) 重要な御指摘だと私は思います。しかも、減量経営という言葉は経営者側からいくととんでもないと言って、この間労働大臣と一緒に経済四団体の皆さんとも懇談したのですが、言われるわけですね。それから、悪い言葉に、企業内失業者といういやな言葉がありますね、これなども実に失礼な話だと思うわけです。これらはまあ第三者的に評論的に述べられる言葉であろうというふうに思います。
 構造改善を進めることは、生産性を上げる上にもまた合理化をしていく上にもこれはやはり必要なわけでありまして、政府が四〇%近い公債に依存しながら、不健全財政下にもかかわらず、国内需要を喚起したり景気をどう持続させるかという努力をしておるという意味は、やはり構造改善をして次の時代に合うような企業に変貌転換をしてもらう、こういうことを意味しておると思うのであります。したがって、企業内においてそれぞれ努力していただくことは当然でありまするが、せっかく企業が黒字路線で、どうにか生産性向上も合理化もできる、構造改善もできるという段階に、一番人の価値が高いわけですから、それに便乗して、希望退職というような形であるにしろどうであるにしろ、整理をする、これは望ましくないと思います。したがって、具体的に言いますることはなかなかむずかしいことで、企業それぞれの労使双方がやはり話し合いをしてそこで判断が生まれるわけでありまするが、いま私が申し上げたような場面というものは一番極端な悪い場面だというふうに思うわけであります。
 したがって、通産省としてどうすべきかというならば、やはり私どもはこの景気にもっと力をつけるということはひいては企業に力をつける、これが第一だと思うんですね。それからまた、企業そのものも雇用を安定し、企業の経営者と雇用者があって初めて企業経営というものが成り立つわけですから、その社会的意義といいますか、責任と言ったらちょっと言葉が重くなり過ぎるかと思いまするが、やはりそこには経営者としての責任とか、社会的意義というものがおのずとあろうかと思うんです。そういう意義はやはり経営者は経営者として当然考えていただかなければならないというふうに思うわけであります。したがって、今後といえども、まあ経営者にも大いにそういう面では努力をしていただきたいというふうに考えまするが、もう一点われわれ通産省側として心がけねばなりませんことは、構造不況対策ですね、それから中小企業対策、それから新しい法律でお願いしてまいりました特定不況地域対策、こういったきめ細かいやはり産業対策の展開によりまして、今後とも積極的にこの雇用問題が解決される努力、これが通産省としては心がけなければならない問題だというふうに考えております。
#134
○国務大臣(栗原祐幸君) いま通産大臣からお話のあったことに私も大体同感でございます。というのは、小平さんの言うとおり、これは本当に減量経営に藉口しているのだとか、藉口していないのだと、そういう判定ができれば非常にいいんですけれども、問題は、企業の中でそういうことがやむにやまれないものかどうかということでございますから、そういう意味合いでは労使の間で良識ある解決をする、それにお任せをする以外には手はないんじゃないか、こう考えます。
#135
○小平芳平君 ごくかいつまんで繰り返しますと、企業自体は黒字である、そして構造改善その他も進めている、しかし、企業自体黒字でありながらそして将来のための構造改善、設備の改善も進めながら、しかもなおかつ希望退職等でその従業員を減らそうということ、これが典型的なよくない例だ、こういうことですか。
#136
○国務大臣(江崎真澄君) 便乗した解雇ですね。それが希望退職の形をとるにしろどうであるにしろ、余力を蔵しながら簡単に人減らしをするといったような安易についたやり方というものは私はやっぱり好ましくない。やはり企業努力というもののうちには雇用者とのコミュニケーションを深めて、やはりお互いが信頼関係に立って生産を上げていくわけですから、そういう意味に理解いたします。
#137
○小平芳平君 通産大臣は結構です。
 労働大臣に伺いますが、そうした場合に、年齢によって雇用が差別を受けるということ、特に中高年齢なるがゆえに差別を受ける。定年退職の年齢が五十五歳とか、そういうようにごく低いために解雇されてしまうとか、あるいはこれは国会に提案しているからよくごらんになっていらっしゃると思いますが、年齢を理由として退職させるとか、雇い入れを拒否するとか、あるいは年齢を理由として職業紹介を拒否するとか、募集広告に中高年齢は削除するとか、そういう年齢を理由とした雇用差別はよろしくないということ、これは労働大臣の御答弁、あるいは細野局長の御答弁を聞いておりますと、やはりこれは賛成だと思うんですね。年齢差別を禁止するという、雇用に関して年齢差別は許されないということは。そういう精神でおられるということはわかるわけです。ただ私たちも、これを法定化しようという場合も即刻ことしから実施しよう、来月から実施しようと言っているのじゃないわけですよ。やはりある準備期間が必要だということは、当然これは言っているわけです。労働省も将来においては、やはりそういうわが国における特殊事情が現時点はあるけれども、将来においてはそういう雇用差別は禁止されるべきだ、こういうふうに思っていらっしゃるわけですか、いかがですか。
#138
○政府委員(細野正君) 年齢だけを理由にする差別というのは違法だとかなんとかということの前に、合理性に欠けるということだけは言えると思うわけです。したがって、私どももそういう意味での年齢による差別ということについては合理性がないんじゃないかという方針自体は持っているわけでございますが、しかし、先ほどの先生のお尋ねの中で、一定の猶予期間を置けばそのための条件整備がその間にできるではなかろうかという点につきましては、たとえばそれが非常に長い猶予期間を置かれればこれはまたどうなるかわかりませんけれども、これが二年なり三年なりということでございますと、やはり賃金の問題、退職金の問題、あるいは人の配置の問題、これすぐれて労使関係の重要な問題でございますので、その間に必ず話がつくという保証がないわけでございます。したがいまして、非常にその点について理解のある組合がだんだんふえつつあることも事実でございます。しかし、やはり現在固まっている賃金体系を変えるという点についてはなかなか内部的にも、労働組合の内部にもいろいろ問題があるわけでございますから、一年なり二年なり話がつかないでいると、その間に法律によって強制する方だけが先に期間が来ちまってその間に話がついていると、こういうことにもなるわけでございまして、やはり現実の運用の問題としてはなかなか問題があるんではなかろうか、こう思っているわけでございます。
#139
○国務大臣(栗原祐幸君) 年齢差別の禁止法をつくれというような御趣旨にも受け取れますけれども、一つには年齢によって差別するなということですから。私もいろいろいま検討しておりますけれども、日本でこれがなじまないというのは、外国でそれがなじんで日本でなじまないという点についていまいろいろ検討しているんですよ。アメリカなどの場合は能力主義です。だから、日本が全部能力主義でやれるかどうかという問題があるんです。日本の場合には年功序列賃金体系がある。それを能力主義にすぐに変えられるかどうか、そういう問題もございますので、私どもがいまの段階でそこまで踏み切るというわけにはまいらぬというのが私どもというか、私の考え方でございます。
#140
○小平芳平君 まさしく私が次にお聞きしたいのはそこなんですが、年齢だけを理由として雇用を差別することは合理性がない。これは労働大臣も含めた労働省の基本的考え方というふうに受け取ってよろしいと思います。
 そうしますと、じゃあそれが法定化された場合に、果たしてアメリカと日本の違いがあるということ、それで日本の賃金体系は年功序列型賃金であるということも再三答弁しておられますから、そこで、じゃあ労働大臣は、日本の国の賃金は年功序列型で、年功に従って賃金が上がっていくと、何歳くらいまで上がっていくと思っているんですか。
#141
○政府委員(岩崎隆造君) お答え申し上げます。
 私ども賃金構造基本調査というのをいたしておりますが、これには、考え方として学卒で企業の中に入りまして、それからずっとそこに定年まで勤め上げる人たちが多い大企業の場合と、それから中小企業の場合には、ある年齢層からでも中途採用の労働者が相当あります。そうしますと、御存じのようにある程度中高年齢になってから新たに雇用されますと賃金が相当低いというような状況がありますので、中小企業とそれから大企業とは、必ずしも同じようなカーブを描いているわけではありませんが、私どもがその中小、大企業ともに学卒でずっと勤めているという人たちを標準労働者というように考えまして、五歳刻みで見ますと、五十歳から五十四歳あたりが一番高いピークになっているということが調査の結果としてあらわれております。
#142
○小平芳平君 労働大臣は役人の書いた原稿をそこで読んでいるんではなくて、自信を持って答弁しておられるわけですから、そこで、いまの局長の答弁は、賃金構造基本統計調査によりますと、五十歳から五十四歳がピークになっているのは企業規模別千人以上の場合なんです。そのほかの場合は何歳がピークだと思いますか。
#143
○国務大臣(栗原祐幸君) 私も自信を持って答えるためにはいろいろの指標というもの、それをよく調査しなけりゃならぬわけですから。それは事務当局においていろいろやらしているわけでございます。
#144
○政府委員(岩崎隆造君) ただいまお答え申し上げましたのは、十人から九十九人の規模並びに千人以上の規模について、両方とも標準労働者につきましては、五十歳から五十四歳がピークであるというように申し上げたわけでございます。
#145
○小平芳平君 十人から九十九人では幾らですか。
#146
○政府委員(岩崎隆造君) 二十歳から二十四歳層を一〇〇といたします場合に、五十歳から五十四歳層が二五〇・七という指数になっておりまして、その前後を申し上げますと、四十五歳から四十九歳層が二〇七・五、五十五歳から五十九歳層が二二八・二ということでございまして、すなわち五十歳から五十四歳層がピークになっているということでございます。
#147
○小平芳平君 労働大臣は、労働省が調査をしたその基本調査をもとにして答弁しているんでしょう。したがって、企業規模別に見た場合には、五十歳から五十四歳がピークになる企業もあるし、三十五ないし三十九歳がピークになっている、そういう企業もあるわけです、規模別に見た場合にです。にもかかわらず、それをひっくるめてわが国の賃金体系は年功序列だと、頭からそればっかり繰り返すと聞いている方がおかしくなるんです。労働省は何を調べて活用しているのかと思いたくなるわけですよ。
 それから、これは労働省じゃないけれども、人間能力開発センターの調査でも、サラリーマンの賃金上昇は平均四十六・七歳で鈍り始め、五十三・六歳でほぼ完全にストップしていると新聞にも報道されたばかりじゃないですか。そういうことを土台に考えておけば、そんなに、きょうの質疑を聞いておりましても、労働大臣の答弁は、とにかく年功序列型賃金がネックなんですと、その一本やりでしょう。そういうことが理由にならなくなる面もあるということを言っているわけですよ。
#148
○国務大臣(栗原祐幸君) 私の話は一般論でございまして、いま小平さんのおっしゃったとおり、非常に若いところで三十歳−三十五歳がピークだというのもございますね。それはそういう企業もあるでしょうけれども、全体的に言いますと、私は年功序列賃金体系というのが一般企業においてはまだまだ相当のウエートを持っておる、こういう認識でございます。
#149
○小平芳平君 年功序列型賃金が一般企業には根強く残っているのは事実です。それが全部崩れてアメリカ流の能力主義になっているなんて一言も私は言っておりません。ただ、少なくとも戦前とか戦後のわれわれの知っている時代から比べた場合に、現時点では大分崩れてきているという認識の上に立って労働省の政策が展開されるべきだろうということを申し上げているんです。いかがですか。
#150
○国務大臣(栗原祐幸君) 年功序列体系が若干崩れておるということは私どもも認めております。
#151
○小平芳平君 それは若干という表現が当たるかどうか。企業規模別に見た場合は五十歳から五十四歳がピークになる、そういう企業規模別の全国平均と、全く企業規模別に見た場合、三十五歳から四十歳でしたか、そこがすべての全国の平均になる、そういうものと両方現在はあるわけです。
#152
○国務大臣(栗原祐幸君) 一つには、初任給が上がっておるということも、ある種の企業の場合にそういう年功賃金体系が崩れているという現象を起こしている原因の一つではないか、こう思います。
#153
○小平芳平君 じゃ、むしろ賃金体系の問題が労使の間で議論される場合に、中だるみが問題だということを御承知ですか。
#154
○政府委員(岩崎隆造君) 先ほどからのお話の中で、中小企業の場合には中途採用者が非常に多いということから、指数としてそういう調査指標を見ますと、必ずしも五十歳−五十四歳がピークでないという御指摘があることはおっしゃるとおりでございます。
 それから、大企業の場合には、やはり年齢が高くなったということが一つの経験、熟練度、それから管理職層に非常に多くなってまいっておりますので、カーブがむしろ年齢の高い層に立ってきているということから、先生御指摘のような中年層においてむしろ中だるみ的な傾向が出るということもあり得ることだと思います。
#155
○小平芳平君 労働大臣が定年延長定年延長と言われますけれども、この法制化には賃金体系が問題だと言われますけれども、労働大臣がただそのことを強くいつまでも理由にしますけれども、現実は大分賃金体系が変わってきているということ、それは認めますね。
#156
○政府委員(岩崎隆造君) 先ほど大臣も申し上げましたように、昭和四十年代とそれから五十年と比べますと、確かに大企業におきましても、若年層とそれから中高年齢者層との格差が縮まってきております。これは一つには、初任給が非常に大きくなってきていることから、カーブが寝てきているということが言えるかと思います。
 それから、確かに賃金管理の面からも、やはり職能給あるいは職務給というようなものの導入を漸次ふやしてきておりまして、そういうことからも必ずしも勤続年数によって習熟度が常に上昇しているということではなしに、あるところで熟練度というようなものがピークを打つところがありますので、特に職、労と分けますと、労務者層につきましては縮まってきているという傾向が出てきていると思います。ただし、私どもの賃金構造基本調査の数字で申し上げますと、昭和五十年代に入りましてむしろ若干縮まってきた傾向がむしろ開いてきているということが数字として出てきております。そういうことから、早急に、そのような賃金制度の形がまだここ二、三年というようなことでは、改善と申しますと言い過ぎかもしれませんが、この定年延長とか、そういうようなことを実現するための年功序列賃金制度の修正ということが十分に行われてはいないのではないかというのが私どもの認識でございますが、いずれにいたしましても、これは、労使が十分に定年延長ということを踏まえまして、そのためにはどのような合理的な賃金制度を採用すべきかということについて十分に御議論をしていただきたい、このように期待しているわけでございます。
#157
○小平芳平君 そうすると、次に時間の関係で二点一緒に質問します。
 第一点は、この法制化について、雇用による年齢差別禁止の法制化について、労働大臣は審議会に諮るんですか、諮らないんですか。それが一つ。
 それから、この法制化に反対しているところはどこが反対しているんですか。その二点です。
#158
○国務大臣(栗原祐幸君) 審議会の問題が出ましたが、これは過般の衆議院で予算修正をするときに、自由民主党と各党との間で話し合いが行われているものでございます。そういう点に関しましては、当委員会でも申し上げましたとおり、自由民主党が各党に回答いたしました点につきましては、誠意を持って検討して適切に対処いたしたい、こう考えております。
 なお、どこが反対しているかということは、この際、どこどこであると言うまでには至っておりません。
#159
○小平芳平君 いや、自由民主党と、それはよくわかります。わかりましたから、私も聞いておりましたからいいですが、労働大臣はこの法制化について審議会に諮るお気持ちかどうか、計画はどうか、予定がどうか、それが一点です。
 それからどうして、反対がなければ別に法制化を進めていいじゃないですか。
#160
○国務大臣(栗原祐幸君) すべておわかりの上での御質問だろうと思いますが、ただいま私が申し上げましたとおり、自由民主党と各党とのお話し合いにつきましては、誠意を持って検討して適切に対処いたしたい、そういうことで御了承いただきたいと思います。その後どういうふうな議論になってくるか、たとえば審議会をつくった場合にどういうふうになってくるかということについて、私がいま予断を持って答えることは適当でないと考えております。
#161
○小平芳平君 反対は……。
#162
○国務大臣(栗原祐幸君) ですから、賛成とか反対だというような意見を申し上げることは予断を持って言うことでございますから、そういうことは私が言うべきでないということでございます。
#163
○小平芳平君 どうも法制化はそのときでないと、法制化はいまは無理だ、賃金体系その他があってこの法制化は無理だと言っているわけでしょう。その辺はばかに自信を持っておっしゃるけれども、それから後はばかに自信のない言い方をなさるわけですけれども。
 それでは、今度は問題を次に進めまして、希望退職を募集される場合に年齢五十五歳以上というようなことが第一条に入ってきている。したがって、希望退職――希望ですから本当にそんな年齢が五十五歳以上なんて出ることが一体おかしいのですけれども、御承知でしょうが、ある会社の希望退職募集、第一に年齢五十五歳以上、第二に有夫ですね、夫のある女子というぐあいに、こういう年齢差別、そしてしかも、該当される方はすべて年金受給権の発生するまでは会社に勤めたいと、それは当然ですよ、そういうお気持ちになるのは。そういうことに対しては労働省はどう考えられますか。
#164
○政府委員(細野正君) 先ほど申しましたように、能力とかそういうものを抜きにして年齢だけで差別するというのは合理性がないんじゃないかというふうに考えておりますが、いま御指摘のような、いわば企業の緊急事態の中で希望退職を募る場合の基準の中に、いろいろな基準の中の一つとしてそういうものが挙げられていて、それがあくまでも本人の希望に係っている限り、望ましいか望ましくないか、軽い意味での、そういうことは抜きにいたしますれば、そういう本人の意思に係っている以上、これはとかく第三者が言うべき問題じゃないんじゃなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。
#165
○小平芳平君 本人の意思に係っている場合はそれは何歳で退職なさっても御自由なんですが、提案された合理化案をずっと見ますと、希望退職の募集基準は全社員を対象として、一、高齢者並びに再雇用者というふうなこういう提案をされるわけです。これは合理的だと思いますか、思いませんか。
#166
○政府委員(細野正君) 先ほども申し上げましたが、それを強制するというのではなくて、あくまでも御本人の意思にかかわらしめていくというやり方である限り、第三者がとかく言う問題じゃないんじゃないかなと、こういうふうに思います。
#167
○小平芳平君 それじゃ、肩をたたくまではいいということですか。
#168
○政府委員(細野正君) 本人の意思が最終的に尊重されている限り、先ほど申し上げたとおりじゃなかろうかと思うわけでございます。
#169
○小平芳平君 じゃ局長、私が質問をしているのは、本人が五十五歳を過ぎているからその希望退職に応じますと言って、それがいいか悪いかと言っているんじゃないのです。企業が今回の希望退職を募集する条件として、第一に五十五歳以上、そういうふうにして企業が肩をたたくことは、それが年齢差別、年齢による雇用差別で合理的ではないのじゃないかということは言えませんかと言っているわけです。
#170
○政府委員(細野正君) 他の状況を一切抜きにして年齢だけでやるという点については、やはり合理性について問題があるとは思います。ただ、それを第三者がとかく言うというほどのものかどうかという点は、先ほどもお答えしたとおりかと思います。
#171
○小平芳平君 それは労働大臣、第三者がとやかくと言いますけれども、それじゃ希望退職を募集する場合は、五十五歳以上とか五十歳以上とか、そういう年齢で募集することが何ら不合理でもなければ行政指導の対象にもならないわけですか。
#172
○政府委員(細野正君) 企業内の問題でその合理性に若干問題があるからといって、第三者が逐一それについて介入をするというのは私は行き過ぎであろう、こう思います。
#173
○小平芳平君 若干問題があるだけであとは野放し、そういうことですか。それじゃ最初に私が申し上げた年齢による雇用差別は禁止の方向へ行こうということにまるっきり適合しないのじゃないですか。
#174
○政府委員(細野正君) 労働条件その他について年齢でむしろ優遇する制度が片一方にあって、片一方でそういう事情から年齢の高い人についていろいろなコスト面においての大きな問題がある、そういうときに、企業の合理化を図る場合にどういう方々について合理化の対象にしていくかというのは、すぐれてやはりその企業における労使の話し合いの問題でありまして、したがって話し合いによってそういう基準が決まった場合はもちろんですけれども、そうでない場合においても、問題が若干あるなというだけで、逐一行政機関がそういう面について企業の中に介入するというのは私は行き過ぎであろう、こう思うわけであります。
#175
○小平芳平君 あらゆる企業の動きに逐一介入しろなんて一言も言っているわけじゃないのです。そういうような年齢による雇用差別を問題にしているわけです、ずっとこれは衆議院以来。
 次に、労働省としては、定年延長奨励金それから継続雇用奨励金というふうにやっておりますね。これは定年による退職年齢をもっと延ばそうということでしょう。それはあるいは継続雇用をしてほしいということでしょう。そのことは、そういう奨励金を出しますと言うけれども、それによって行政指導するというわけでしょう。だれがどこで行政指導をするわけですか。
#176
○政府委員(細野正君) 奨励金制度そのものは、奨励金を出すことによってそのもの自体が奨励になっておるわけですが、そのほかの行政指導につきましては、これは個別の企業に対する行政指導は主として安定所が行うことになります。それから、業種なり地域なりをまとめて集団的にやる場合には主として県が対象になります。それから、特にその業種が重要な意味を持っているというふうな場合でございますと、これは本省が直接そういう意味でその業界とお話し合いをするという形でやることもございまして、それぞれの行政指導の内容によって、本省、それから都道府県、それから各安定所それぞれが担当するということになると思います。
#177
○小平芳平君 その各安定所ですけれども、安定所がたくさんあるわけでしょう。安定所は四百八十二くらいありますか、基準監督署が三百八十四、労政事務所が二百六十二。それが、要するに安定所が話をすると言ったって、それは退職金や賃金体系との関連だということになりますと、あるいは雇用ということを頭に入れないで労政事務所が何の活躍ができるかとか、そういうことで、きわめてそういう行政指導の態勢というものが縦割り行政の最も弊害になっておりませんか。恐らく、一つの企業があるところへ出張所を出した場合に、そんなに安定所と監督署と労政事務所というふうに三カ所も出しておいたら成り立つ企業はなくなっちゃうというくらいのものがあろうかと思うんですが、いかがですか。
#178
○政府委員(細野正君) 主としてお尋ねの件は、賃金体系との問題を安定所がやるのはなかなかやりにくいから、結局労政事務所なりあるいは監督署なりが協力してやらなきゃならない面が出てくる、したがって、そういう意味でばらばらであるのは問題なんじゃないか、こういう御指摘かと思うわけであります。確かにそれぞれの所管にわたっておる問題がございますから、そういう意味で一致協力してやらなきゃならないという問題はございますが、ただその場合の一つのやり方として、たとえば、先ほど関西の労使会議の例が出ましたけれども、ああいうふうな考え方をその地区あるいはその業種の労使の間において行われることによって、そういう点が原則的な話がついて個別の企業にまでそれがおりてくれば、その上に乗っかって定年延長というものの推進をお願いしていく、こういうふうなかっこうがとれるわけでありまして、やり方をいろいろ工夫して、そういう点については対処してまいりたい、こう思っております。
#179
○小平芳平君 時間が限られておりますので、具体例を申し上げる時間がないですが、そんなばらばら行政で、また労働本省自体が局対局の、まあそれは局と局があるわけですから、その末端へ行きますとそんな簡単に有機的に動いてないということ、もっと有機的に動かなくちゃならないということを申し上げておきます。
 それで次に、今度は在職老齢年金について厚生大臣に伺いますが、六十歳から六十四歳までの方がなおかつ在職していると減額されるわけですね。この二〇%、五〇%、八〇%という根拠、あるいは今度の新年度予算で十四万二千円というこの根拠をごく簡単で結構ですからお答えいただきたい。
#180
○国務大臣(橋本龍太郎君) これはもう小平さんよく御承知のとおりに、もともと老後の生活の所得保障を目的として、退職しておられる方々や六十五歳以上の方々を対象として老齢年金を設立しているわけであります。しかし、現実に六十歳から六十五歳の間において低い賃金で働いておられる方々について、その就業の実態から、働いておられた場合でありましても特例的に年金の一部を支給する、そしてそれによってまあある程度バランスをとって収入を確保するということを目的としておるわけであります。社会保険審議会の厚生年金保険部会の御意見を受けて今回も十四万二千円という標準報酬月額を改定したわけでありますが、大体これでまいりますと、一つの例でありますが、昨年の九月現在で平均年金額が大体八万二千百五十七円でありましたから、十四万二千円の場合をとりますと、これは先生おっしゃるように二〇%です。金額として大体十五万八千四百三十一円になります。また十一万八千円のケースでありますと、これは五〇%の例になるわけでありますが、十五万九千七十九円。同じく八万六千円のケースでいきますと十五万一千七百二十六円と、ほぼ生活をしていただけるに足る収入を確保できる。そういう考え方からつくっておることでありますとだけ申し上げておきたいと思います。
#181
○小平芳平君 労働省でも六十歳を過ぎた労働者が安定所へ職を求める、あるいは再就職をしていくという場合に、その方が厚生年金の支給を受けておられる方であるならば、一体、この結果どういうことになるかというのは御存じでしょうね。要するに、たとえば年金を十万円受けておられる方が新しく就職する場合には、仮に月給八万円ですと年金は二割減額ですから八万円で、合計本人は十六万円ということになるわけです。それから、じゃあ月給が十六万円で雇用されたらどうなるかと言いますと、年金は全部減額されます、停止されますから、やはり受け取る金は十六万円ということになるわけです。
 ですから、雇用なさる方は月給八万円で雇用しても、月給十六万円で雇用しても労働者としては同じ月収になるというわけです。こういうことはおかしいと思いませんか、高齢者雇用が大事だと言いながら、しかも、いまの年金十万円の方の例で申し上げますと、年金は十万円として賃金が八万円だと合計は十六万円。そうして賃金が九万円になると月収は減るんですよ、減額が多くなりますからね。ですから賃金が八万円よりも九万円だと減る。十万円だと減る。十一万円だと同じ。十二万円だと少しふえる。十三万円だとまた減る。十四万だと同じ。十五万円だとまた減るんです。それで十六万円だと、先ほど申し上げるようにまるまる賃金で十六万円。こういうことで、それは厚生年金はいま生活できる年金だというふうな御説明もいろいろありますけれども、こういうことで高齢者雇用ということを労働省が声を大にして叫んだってきわめて不合理がありませんか、いかがですか。
#182
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただ、在職老齢年金を制度として考える場合に、私どもが留意しなければならぬ点というのは三つあると思うのです。一つは在職しておられる方と退職者の収入のバランス、もう一つは、今度は在職しておられる方々の間での収入のバランス、また低賃金収入の方々に対しての配慮、これは私は三つの要素があろうかと思います。
 確かに、そういういま小平さんの言われたような議論も一部にあることは間違いありません。ただしかし、それにおいても、やはり本来の年金、六十五歳から支給開始をする者が、その上積みをすることによって雇用の場がふえていくという実態もまたあるのではないかと私どもは思うのです。現在、社会保険審議会の厚生年金保険部会でいろいろな御議論を願っておる過程の中でも、在職老齢年金が低所得者の方々の所得保障として一定の役割りを果たしていく、だから高齢者の雇用を促進する面があるんだという御意見と、逆にいま御指摘のように、在職老齢年金があるから高年齢者の賃金を抑えているんだという御意見と、実は両論あるわけでありまして、これは私は必ずしもいま御指摘のような考え方を否定はいたしません。しかし、現実にやはりそれが継ぎ足されることによって私は雇用の場を拡大しておる面もあるんではないか、そのように考えております。
#183
○小平芳平君 では厚生大臣、これはどうですか。国家公務員の共済等の改正が今回の国会に出ておりますね。それは年六百万、月平均五十万の方が年金は月十万円で、その年収六百万円までは減額なしでしょう。その違いたるや天地の違いじゃないですか、どうですか。
#184
○国務大臣(橋本龍太郎君) これはそのとおりでありまして、私どもも大変官民格差の最たるものとして日ごろから不平満々であります。むしろ、今後できるだけそのバランスをとっていきたいということを考えておるテーマであります。
#185
○小平芳平君 いや、ですからこの厚生年金を、労働省も高齢者の雇用を進めてくださいなんて、行政指導しますなんて言って――それじゃ雇われる中小企業の方の身になって考えてごらんなさい。私は中小企業にかかわりませんけれども、中小企業のとにかく雇う者としまして、八万円の月給を出しましても十六万円の月給を出しましても労働者は同じ収入しかないわけですよ。ですから、人件費が百万円の場合と二百万円の場合と大きな違いでしょう。そういう違いがあるにもかかわらず、その辺は年金の理論かなんかに押されて労働省はそれはそのままにしておいていくという手はないでしょう。労働大臣いかがですか。
#186
○国務大臣(栗原祐幸君) 年金制度とそれから高齢者雇用の問題、特にそれを雇い入れる企業主との関連の問題でございまして、いま小平さんから一いろいろお話がございまして、私もこれは考えさしていただきたいと思いますが、今後厚生省とよく話をして検討してみたい、こう思います。
#187
○小平芳平君 最後になりましたが、厚生省にもう一点伺いたいのは、東京都で高齢者事業団をやっております。内容は厚生省でもよくおわかりのようですので余り詳しい御説明はいたしませんが、作業の委託を事業団が受けます。おおむね六十歳以上の高齢者に作業をあっせんする形になります。雇用関係とか就労保障というのはありません。受け取った作業賃は全額働いた人に分配をいたします。事務費、運営費等は全額都及び、その第一号は江戸川区で発生しましたが、そういう区とか市で負担をします。
 このことが、東京都のみならず関西にも、またいろんな方面に準備をされ、またできつつあります。恐らく、この事業団の方のお話によりますと、契約金額は本年は十六億円くらいにも上がるであろう、会員数は二万一千人、事業団数は三十一くらいになるだろうという見込みだと言われております。これに対して厚生省は生きがいということで五十四年度予算に新しい施策を盛り込んでいることはよく承知しておりますが、この事業団については法制化するという法的性格を明らかにしてほしいということ、あるいは財政措置を国も講じてほしいという、こういうことが要望で出ているわけであります。厚生省にも出ているわけであります。したがって、厚生省の生きがいの方は市町村がやるわけでしょう。したがって、その厚生省の生きがいは生きがいでそれは推進するとしまして、なおかつ、そういう役所でやる事業でなくて、こうした民間の財団法人というような形で進められている事業にやはり無関心でいるというわけにはいかないと思うのですが、いかがですか。
#188
○国務大臣(橋本龍太郎君) いま厚生省自体がやっていることはもうよく御承知でありますから、それは申し上げません。
 ただ、いまこの高齢者事業団といったような考え方で二つの大きな流れがあるように思います。一つは地方公共団体が直接高齢者に就労の機会を提供する。もう一つは任意団体を設立して高齢者が自主的に運営をされる。それがまた個々のケースによりまして実は形態は千差万別の状況であります。また、その高齢者事業団と言われる中でも、運営形態とか労働法規あるいは社会保険法規の関係等には相当なばらつきがございます。これは東京のような大都市と、また郡部においても私は運営の実態においての差異があることはある程度やむを得ないと思うのです。まあ東京都方式が必ずしも私はモデルとして全国一律に適用できるものかどうか、率直に申して自信がありません。また、こうしたお年寄りに対する対策というもの、地域的、社会的環境の非常に異なる各地域のことでありますから、むしろそれぞれの地域によっての実情に応じた自主的な活動を助長する方が私は運営の妙は発揮できるのではないかという感じがいたします。しかし、小平先生のせっかくの御指摘でありますし、実際上慎重に検討しなければならない課題もたくさんあると考えておりますから、当面事態の推移は見ながらも問題点について十分検討はいたしてまいりたい、そのように思います。
#189
○委員長(町村金五君) 小平君、時間が参りました。
#190
○小平芳平君 終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#191
○委員長(町村金五君) 次に、沓脱タケ子君の質疑を行います。沓脱君。
#192
○沓脱タケ子君 三月の十二日に日産自動車に対する中本ミヨさんの定年差別撤廃の訴えについて東京の高裁の判決がありました。私は、きょうは労働大臣に要請をしておきたいと思うんですが、会社は上告をしないように、そしてまた定年差別を是正するように、この御指導をなさることを冒頭に労働大臣に要請をしておきます。
 きょうは時間がありませんから直ちに本題に入ります。
 今日、百万人を超す完全失業者が二十五カ月も続いておるわけでございます。特に中高年労働者の有効求人倍率というのは、これは五十三年の十月で〇・二一と依然として深刻でございます。しかも減量経営と言われております大企業の戦略ラインに沿って不況産業を先頭に猛烈な人減らし、合理化、それが進められて、その結果が今日の雇用不安をつくり出している大きな要因になっております。
 で、激しい人減らしや減量経営の結果、それでは経営はどうなっているのかというと、これは新聞等でも報道されておりますように、時間がありませんから詳しく申し上げませんが、これは二月の十九日の日経新聞ですが、これでは「企業業績、過去最高に 経常益12・4%増三月期 来期で4期連続増益へ」というぐあいに、大変な増益を出してきているわけでございます。ところが、そういった増収増益、それと直ちに雇用増というのは結びついていないというのが今日の情勢でありますが、今日の深刻な失業、雇用不安を根本的にやはり打開するためには、その主要な発生源となっている大企業の大変な人減らしと合理化、これを社会的に規制する以外にないというふうに考えておるわけでございます。
 そこで、労働大臣に聞きたいと思っているわけですが、わが党の不破書記局長が先日も衆議院予算の総括で申し上げましたが、住友銀行調べによっても、有給休暇を完全にとった場合には九十九万人の雇用がふえる、残業を全部なくしたら三百七十九万人がふえるという指摘を、これはデータを用いてなさいましたが、これは民間の調査なんですね。私ども大阪でも、労働者がたまらなくなってきて、労働者自身が、千人以上の企業でこういう状態になったら自分の企業ではどういうふうにふえるかという算定がすでに始められているわけでございます。そこで、労働省ではこういった点を、つまり完全週休二日制になればどうだ、年休を完全にとればどうだ、残業を減らせばどれだけ雇用がふえるかという調査なり試算なり、そういうものをとっておられるかどうか、それを最初にお聞きしたいと思います。
#193
○政府委員(岩崎隆造君) いま先生御指摘の住友銀行が、昨年でしたか、出されました試算については私ども承知しておりますが、この試算にも言われておりますように、労働時間をたとえば減らす、あるいは週休二日にするという場合には、それに対応した賃金を当然減少させるということを前提にいたしまして、なおかつ、非常に抽象的な試算でございます。
 私ども、具体的に各企業におきましてのそういった労働時間の短縮、残業時間の規制、週休二日制の採用、年次休暇の完全消化というようなものが即どのようにそれぞれの企業においての雇用増に結びつくかということになりますと、一つには、たとえば小企業で、十人、二十人の労働者を雇っているようなところでそういうことを実現いたしましても、その人数が一人になるだろうかとか、あるいはまた具体的には、それぞれの労働者には職種がありますので、それが人数でただあらわしただけではなしに、それぞれの供給と需要というものを労働力の質というものにも見合って考えなければなりません。そういうことから、なかなか試算をするということが困難でございます。私どもも事務的には、いろいろな観点でそういう具体的な与件を考えながら試算をいたしておりますが、まだ具体的に先生にこの場で御説明をできるほどのものにはなっておりません。
#194
○沓脱タケ子君 私は、この点がなぜ大切かといいますと、労働省も行政指導をやっておられるわけですね。週休二日制の推進、あるいは年休の消化、それから残業も減らしなさいと、そういう労働時間の短縮というのは雇用対策上も有効だということを労働省自身が言って、行政指導もやっておられる。で、労働者が本当に人間らしく生きるためにもこれは必要なんですね。総理の言うておられる、いわゆる潤いのある家庭という家庭づくりのためにもこれは必要なんです。しかも、労働時間の短縮というのは世界の趨勢になりつつあります。
 これはたまたま新聞報道であるんですが、たとえば西ドイツの例を見ますと、西ドイツのたばこ業界では、六十歳以上は週二十時間の労働に半減をして、給与はこれまでどおりまるまる支給ということがやられている。さらに、これも同じく西ドイツでございますが、印刷労組の要求では、現在週四十時間の労働を三十五時間に短縮しようということがすでに問題になっている。ですから、労働省は労働時間の短縮の通達は出しているけれども、通達を出しているというのは非常に長いということを物語っていると思うので、民間でも、先ほどのたとえば住友銀行の例を出しましたし、また労働者自身が計算をし出すということになってきているわけですから、少なくとも雇用対策上大事なんで、週休二日が完全にやられたら、年休が完全に消化されたら、いま六十時間の残業協約をせめて三十時間にしたらどのくらいの雇用人員が要るんだというふうな試算、概算ですね、こういうことがどうしても必要ではないかと思う。確かに局長のおっしゃったようにむずかしいことはありますよ。そんなもの、概算でこれだけ出たから、その個々の企業に機械的に当てはめるために計算せいと言うているのと違うんです。むしろ概数でいいのです。こういうふうに労働時間を短縮をすればこれだけ雇用がふえるんだということの国民的合意の世論づくり、そういう世論づくりに寄与するためにも、少なくとも、紙で行政指導をしているよりも、こういう状況になるんだというやっぱりガイドラインというんですか、アウトラインを、目標を示してやるというふうなことがきわめて大事だ。そうすれば、いま労働省がおやりになっておられる労働時間の短縮等に関する指導通達というのは生きてくるわけですよ。いま雇用問題、失業問題というのは集中審議までやらなきゃならぬほど重大な社会問題です。そういうときに、世論づくり、国民的合意をつくり上げていくためにもぜひやるべきであると思うんですが、大臣、どうですか。これはぜひ概数、あるいは指数でもいい、そういうものをやるべきだと思うんですね。
#195
○国務大臣(栗原祐幸君) いまのようなことで労働時間を短縮したらとか、週休二日制にしたならばどの程度雇用が拡大できるかというのは、これは一応計算の上では出てくるはずですね。問題は、コストです。このコストの問題と結びついていきませんと、実態的には雇用の拡大につながらない。私どもの考え方は、週休二日制なり時間短縮ということは、長期的に見た場合これはやらなきゃならぬと思っている。そういう意味ではお説のようにいろいろ工夫をこらさなければならぬと思っておりますけれども、やはりコストの問題も考えなきゃならないということだけつけ加えておきます。
#196
○沓脱タケ子君 計数的にはできるという計数計算の概数をぜひやってみる必要があるということを私は特に申し上げている。これは労働者の側では、賃金が下がって労働時間が減るというのでは話にならぬのですよ。さっき申し上げた西ドイツでも、二十時間に減らしたけれども、労働時間二十時間だけれども、従来どおりの賃金を保障するということはやられている。これは国民的なコンセンサスができないとなかなかできないですよ。だから、労働省は少なくともそういうことをやるべきだということなんです。私、時間の都合があるので余りそれで粘っているわけにいかぬのですが、ぜひやってもらいたいと思うんです。
 それから次に、そういうことが非常に大事だということを前提で申し上げているんですが、たとえば、いまのような大企業における減量経営とか人減らし、合理化というのは、一体、職場、現場ですね、どんなことになっているか、これはもう実際大問題ですね。そういうことからこの問題を提起しているんですが、たとえば、これは通産大臣にきっちりお話を伺いたかったのですけれども、時間がないから、私、若干の状況を申し上げてみたいと思いますが、たとえば従業員数と生産指数ですね、そういうものの変化から見ますと、これは昭和四十二年を一〇〇として昭和五十一年の指数で見ますと、自動車では、従業員数は一二四にしかふえていない。ところが出荷額は四一二です。四倍にふえている。鉄鋼業ではどうかというと、やはり四十二年を一〇〇といたしまして、これは五十二年の指数で見ますと、労働者数は九三・九ですから減っているんです。ところが製品出荷額は三三三・六、三倍以上に上がっている。民生用電気機械器具製造業はどうかといったら、これも四十二年を一〇〇として、五十一年ではこれは従業者数は一一八と若干ふえている。製品出荷額は三七三、三・七倍、こういう状態になっているわけです。
 よけい物はつくっているけれども労働者はふえていない、むしろ減っている。そういうことが個々の企業で見たらどういうことになってくるかというと、たとえば、私は大阪に本社のありますダイハツ工業の実例を見てみた。そうしますと、労働者一人当たりの生産台数というのが、一九六八年四月期の決算では、労働者一人当たり二十八台だった、車をつくるのに。それが七八年の六月には五十五台にふえている。約二倍でしょう。労働者の数はどうなっているかといったら、その六八年には八千五百十七人、七八年には八千三百三十人、約二百人ほど減っている。
  〔委員長退席、理事岩動道行君着席〕
それで車の生産台数は二倍になっている。それは十年間の間に部分的な技術革新があるということは当然でしょう。しかし部分的な技術革新があったとしても、合理化がいかに厳しくやられているかということが、これはもう全く素人でもわかるわけです。こういう激しい合理化というのが労働者の健康を大変破壊してきているという問題が起こってきています。したがって、そういう点でこれはどのように労働者の健康が破壊されてきているか。だから私は、一口に言えば大企業の減量経営、合理化、人減らしというのは、片や失業者群をたくさんつくり、中におる労働者は健康破壊で、労働者はもうへとへとにさせられているという状態になってきているということを感じるわけです。
 具体的に言うならば、たとえば、これはせんだって不破書記局長が申し上げましたけれども、松下電器のコンベヤー労働者の労働実態、これは衆議院で詳しく申し上げたので触れませんけれども、あそこでも、何と働く時間数は時間じゃないんですよ。二万七千秒に点検個所五万個所、こんな状態で職業病が発生しないはずがない。してあたりまえなんだ。ですから、そこで働く労働者はどんな状態かというと、大体婦人労働者でお茶わんを二百ぐらい割っておる人もおる。三十や五十のお茶わんを割っているのはざら。お茶わんや包丁を持ってて落ちてもわからぬ。血が出てても痛いのがわからぬ。夜寝るときには寒くて寒くてゆっくり寝られない。だからどてらを着てマフラーを締めて寝るんだそうです。御主人から何と色気がないなと言われるというところまで人間性が破壊されてきている。健康破壊、人間性破壊まできている。ですから、これはたまたま松下の茨木工場のライン関係の労働者約六百人ほどのテレビ製造部門を見てみますと、そこでは職業病の認定患者が七人、企業内協定の認定患者が八人、通院患者で三十五人、腰痛を訴えている人は六人、とにかく病人として治療をしている人が現在五十六人、約一割です。それ以外の人たちが大体茶わんを落としてもわからぬ、茶わんをどんどん割るというようなまさに大変な状態になっている。ソニーでは四十六年以降に四十人の労災認定患者が出ている。これはもう認定された人ですよ。いま二人が申請中です。さっき触れましたダイハツではどんなことが起こっているかというと、わずか二十五歳の青年労働者がまるはげになっておる。まるはげですよ。これは円形禿髪症で、ぽかっと毛が抜けて、あっちこっち皆抜けて、まるまるっるつるてんになっておる。それで三カ月ほど休んだらしょろしょろ生えてきたというのです。それで出勤してきてまたそのしんどい仕事したら、またはげてしもうて、もういまはつるつるてんだそうですよ。おられますよ。それから、そんな頭の毛が全部抜けるほどじゃなくても、まゆ毛が抜けたり、ひげが第一生えないと言うんですね。そういう自律神経失調症の極限まで来ているという問題、その他薬を持っていない人はないというふうな状態になってきているわけです。そこで、こういう状態ということは、もう減量経営、合理化、超過密労働というのは、さっきも言うたように、一方では失業者をつくる、一方では労働者の健康破壊、もうまさにほうっておけないというところへ来ていると思う。
 そこで、私は特にこれははっきりしてもらいたいと思うのは、コンベヤーシステムと労働者の健康影響への調査ですね、これはお聞きしたらやっておられないようです。これはぜひ調査をやるべきだ。というのは、全然関係のない、これは粉じん職場の労働環境調査を労働省がやっておられますね。これをたまたま見せてもらいましたら、粉じん職場の疲労度の問題でも、流れ作業の中でもベルトコンベヤー方式が疲れをよく感じるという数字が三三・三%で、他の職場よりは格段に高い。さらに、その作業の繰り返しの程度は、繰り返しではないというのは一五%です、疲れをよく感じるというのは。ところが、作業は同じ動作の繰り返しだというところでは二五・六、約二倍近い疲れが起こる。さらにその中で繰り返しの頻度が一分未満のものが一番高い。つまり、流れ作業で同じ動作の繰り返しが短時間なほど疲れが極端にひどいというのが、これは全然関係のないおたくの資料でも出ているんだから、少なくとも重大な問題になっておるコンベヤーシステムですね、コンベヤーシステムと労働者の健康影響に及ぼす変化、この調査をぜひやる必要があると思う。で、その調査をやった上で作業基準を検討するということをやるべきだと思うんですが、これは大臣、どうですか。大切なことだと思う。
#197
○政府委員(岩崎隆造君) コンベヤーシステムにつきましては非常に種々なものがございまして、したがってその作業態様も非常に複雑であり、種々まちまちであります。したがいまして、これを一律的に実態調査をするということがなかなか困難なわけでございます。したがいまして、私どもは特に問題があるような事業場につきましては、当然監督指導はいたしますし、また、個々の申告等に基づきましてその問題を実態調査をして、しかるべき是正措置をするというようなことは当然いたしております。それで、先ほど御指摘のありました松下電器の場合にも、茨木工場でございますが、実際には安衛法に基づきますいろいろな義務はもちろん会社としてもやっておるわけでございますが、労使が十分に事前にいろいろと点検をして予防措置を講ずる、あるいは早期診断、早期治療をするというようなことを講じてやっているように私どもは承知しているわけでございます。
#198
○沓脱タケ子君 それは、コンベヤーシステムというのは作業の態様によってみんな違いますよ。しかしいずれにしてもコンベヤーシステムは一番疲れをよく感じるというのはあなたのところの資料で少なくとも出ている。だからそのことを目的にして、たとえば弱電ではどうなのかと、自動車産業ではどうなのかと、鉄鋼メーカーではどうなのかということの、それはスピードやいろんな違いはあるにしても、コンベヤーの労働者の健康に及ぼす影響調査というようなものを当然やってあたりまえじゃないですか。それやらぬと個々のことだけやっていたら、現に労働災害はふえている、職業病がふえているんだから、当然やりなさいよ。やるべきです、当然。で、大体いまの超過密労働なんて、これは時間がないから余り具体的に言えませんけれども、一分は六十秒なんでしょう。それを労働者の一つ一つの動作を一分を百で割って勘定して動かせるというふうなところまで、まあ人間の能力の限界ぎりぎりまで挑戦をさせるというふうな、そこまで来てるわけです、超過密労働というのは。
 私は、オリンピックの記録ならそれはもうぎりぎりまで挑戦するというのはいいと思う。それは人類の進歩に貢献します。しかし、職場の合理化に能力ぎりぎりまで挑戦するというのは、まさに労働者の健康破壊、人間性破壊、人間破壊につながると思う。だから必要だと思うんですが、大臣どうですか。
#199
○国務大臣(栗原祐幸君) 政府委員もそれぞれやれるものはやるということでございます。やれないものはいかにやろうと思ってもできませんが、やれるものはやりますから。
#200
○沓脱タケ子君 まあ余り押し問答をする時間がありませんから、これはぜひ調査をきちんとやって、そうして作業基準の検討という方向でやっぱり検討するべきだと思うんです。
 それで、時間があとありませんので、私は具体的問題を少し申し上げておきたいと思うんです。そういう状況だから、労働者にとっては、まさに労働時間短縮というのはもう全労働者的要求になっておる。だから労働者はどう言うかというと、いろんな要求はたくさんあるけれども、きょうよりあしたの方がしんどうなる、あすよりあさっての方が苦しゅうなるというふうな作業環境がたまらぬ、何とかしてきょうよりは少し楽になるようにしてもらいたい、そういう意見というのが生の声なんです。そういうことを言う証拠というのは、一つは、たとえば残業がふえ出している。特に悪質なのは不払い残業、サービス残業ですね、これがふえ出している。私に訴えてきておるのはこういう問題なんです。これはぜひ調査してもらいたいと思うんですがね。これはダイハツの本社工場ですが、これは三六協定で一カ月六十五時間の残業協定があるんだそうです。だから四カ月、毎月あったら二百六十時間の残業が協定でできるようになっておる。それが足らないでどんなことが起こっているかいうと、残業してて夜の九時になったらタイムカードを一遍押しに行くんです。大体タイムカードを押したら家へ帰るんですね、それがそうやなくて、タイムカードを押してからもう一遍仕事に戻って一時間、二時間の残業をする。そういうことがどのくらい起こっているかと言ったら、設計部のボデー設計課では五〇%の人たちがそれをやっておる。多い人は三十時間、それから内装設計課でも二、三〇%の人がこういうことをやらされておる。生産技術部のプレス技術課では八〇%の人たちがこういう実態だと。まあそのほかにもまだあるんですが、こういう状態だということを訴えてきております。ですから、これは直ちに調査をして是正をさせてもらいたいと思いますが、どうですか。
#201
○政府委員(岩崎隆造君) いま先生御指摘の件は、私どもはまだ承知しておりませんので、調査をすべきことはいたしまして、しかるべき処置をいたしたいと思います。
#202
○沓脱タケ子君 だから、私が訴えるのだから、いまお話を申し上げたんだから、調査をして、そしてそういう不払い残業というようなものはやめさせなさい。それから、そういうことになってくるといろんな問題が職場では起こってくるんです。職場ではこういうことがまた問題になっている。いわゆる労働災害で指を落とした、それで治療をして、包帯を巻いて、もう痛いから休んで家で寝ていた。そうしたら会社から呼びに来て、とにかく会社へ来て、仕事をせぬでもいいから座っていてくれ――痛い痛いと言いながら座っているというわけです。それを労働者は見ているんです。ですから、そういうことを再々見るので問題になっている。どうして問題になっているかというと、あれはひょっとすると会社は労働災害をちゃんと報告していないのと違うかということで問題になっている。そういうことで職場で問題になっておるのでちょっとお聞きをしたいのですが、ダイハツ本社工場の労働災害の届け出はどういう数字になっていますか。
#203
○政府委員(岩崎隆造君) 具体的な御指摘でございますので、私どもダイハツの本社工場につきまして、あらかじめ御指摘だったのだろうと思いますが、五十三年一月から九月までの四日以上の業務上疾病、災害の届け出は計五件というふうに承知をいたしております。
#204
○沓脱タケ子君 四日以上の負傷と疾病が計五件ですね。それで、たまたま私が管理者会議の打合会で報告をされている数字を入手することになったんですが、それを見てみますと、本社工場では四日以上の件数が一月から九月までの間に三十件。数字が違うんです。職場でそういうことが言われているという問題がありますので、これは当然労安法によって届け出の義務もあることですし、もしうその届け出をしているということになると罰則もあるわけですね。百十九条によって三十万以下の罰則があるはずですが、どういうことになっているのか一遍調査をしていただきたい。数字が違うんです、あなたの方の御報告では五件、私の方は本社工場では三十件ということになっておりますので、罰則も伴うような問題の数字の違いでございますから、ひとつ御調査をいただいて、そして私にも報告をいただきたいし、必要な処置をとってもらいたいと思いますが、いかがですか。
#205
○政府委員(岩崎隆造君) 実態を調査いたしましてしかるべき処置をとりたいと思います。御報告を申し上げるようにいたします。
#206
○沓脱タケ子君 時間がありませんので、あと簡単にお聞きをしたいんですが、問題になっておりますのは中高年労働者の雇用安定、
  〔理事岩動道行君退席、委員長着席〕
特に高齢者雇用というのがいま最大の問題になっております。で、定年延長か高齢者労働者の雇用対策ですけれども、これはわが党の宮本委員長が大平総理と予算問題での会談の折に提起をいたしましたけれども、せめて高齢者雇用率という六%の適用ですね、これの義務化をするように検討したらどうだということを提起いたしましたが、私はこれはぜひやるべきではないかと思うんです。といいますのは、障害者雇用の問題の経験を踏まえるべきだと思うのです。というのは、大企業の障害者の雇用率というのはまだ現状でもなかなか悪いですね。悪いには悪いけれども、課徴金制度として率を達成しないものは罰金というか、ペナルティを払わなきゃならぬということにしたわけですね。法改正をやったわけです。そのことによって法的な世論の喚起、あるいは企業の姿勢も若干でも変わってきておりますね。ほんのわずかだけれども率はふえてきている。この教訓というのは学ぶべきではないかというふうに思うんですが、その点で高齢者雇用についてもいま出しておられる六%というのを義務づける、義務化をするということ、これについて御検討するべきだと思いますが、御見解をお伺いしたい。
#207
○国務大臣(栗原祐幸君) 大平総理が高齢者雇用率も義務化すべきであるという発言をしたといいますけれども、高齢者をいかにして雇用できるか、そういう制度についても、その一環として考えてみてはどうかという話でございます。それを受けまして、私ども労働省としていろいろ検討をしてみたんですが、これは前々から言うように、突き当たるところは日本の雇用慣行であります。年功序列賃金体系というところに突き当たるんです。もしこれを解決しないで、たとえば定年なら定年で退職したと、その後この雇用率を達成させるためにほかから高齢者を雇うということになりますと、自分のところの社員は退職させてそしてほかの者を入れてくるのはどうだというので、職場の秩序を乱すわけです。特に中小企業はいいんですが、大企業がこれは達成してない。そういう意味で、これは法制化をすることによって、義務化をすることによって解決するんじゃないんです。特に身障者の問題もございましたが、身障者とこの高齢者とはその趣を異にいたしますので、私どもはこれはどこまでも行政指導でいきたい、こう考えております。
#208
○委員長(町村金五君) 沓脱君、時間です。
#209
○沓脱タケ子君 法制化をせずに行政指導でいきたいとおっしゃっておられるので、これも身障者雇用の前例にならって、消極的な企業の企業名の公表、そういう措置を講ずる必要があると思うんですが、その点はどうですか。
#210
○国務大臣(栗原祐幸君) これも当委員会で申し上げたわけでございますが、身障者の雇用率につきましては法律的にそういうふうになっておる、ところが高齢者の場合には法律的にそうなっていないというようなことから、これは検討を要したい、こう考えております。
#211
○沓脱タケ子君 終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#212
○委員長(町村金五君) 次に、柄谷道一君の質疑を行います。柄谷君。
#213
○柄谷道一君 雇用政策の目標は、完全雇用の達成とその維持にあろうと思います。そして、このことは一九四四年にILOで採択されましたフィラデルフィア宣言の中にも明らかにされております。いわば国際的通念であると言えると思います。したがって、この宣言を受けまして、一九六四年、ILOでは雇用政策に関する条約百二十二号を制定いたしております。自後十五年に及んでわが国はまだこれの批准を行っていないのでございますが、批准を逡巡される理由について御説明願いたい。
#214
○政府委員(関英夫君) お答え申し上げます。
 先生よく御承知のとおり、ILO条約を批准します場合に、国内法との関係を非常に綿密に調べまして、そしてその関係で批准できるとなった場合に初めて批准するというような方針を現在までとってきておりまして、そういう意味で、百二十二号条約についても種々検討を行ってきたところでございますが、先生のお話にもございますように、完全雇用の促進ということは、わが国におきます雇用政策の、あるいは国の政策の基本でもございます。そういう意味で、この条約の趣旨はすでにわが国においてもおおむね具体化されているわけでございますが、ただ、最近になりまして、この条約につきまして新しい条約をつくるべきだというような動きも出てまいっておりますので、今後の成り行きを見きわめつつ対処したいと、こういうふうに考えておるところでございます。
#215
○柄谷道一君 労働大臣にお伺いします。
 総理も労働大臣も、最近、完全雇用政策、雇用の重要性を非常に強調されておるわけですね。おおむねいまわが国はもう条件を満たしているわけです。いま官房長のお話がございましたけれども、ここで確認したいのですけれども、いまILOで検討されております新条約の検討にわが国として積極的に参加すること、そして、新条約ができました場合は、いままでのように十五年間もほうっておくというのじゃなくて、可及的速やかに新条約を批准する、そういう姿勢で臨んでいただきたいと思うのですが、いかがですか。
#216
○国務大臣(栗原祐幸君) いろいろの経過がございましたけれども、私どもは前向きで検討いたしたいと、こう考えております。
#217
○柄谷道一君 前向きでということは、私のいま指摘しました趣旨に沿いたいというふうに理解してよろしゅうございますか。
#218
○国務大臣(栗原祐幸君) 御趣旨の線を生かしたいと考えております。
#219
○柄谷道一君 次に、ただいまも他の委員より指摘があったわけでございますが、深刻な中高年齢者の雇用情勢、時間の関係からこれは多くを触れる必要はないと思います。しかし、従業員百人以上の企業の実雇用率はいま五・六%でございますが、五十二年と変わっておりません。未達成企業の割合も五七・三%で、これはむしろ五十二年に比べて低下しております。特に千人以上の企業の実雇用率は三・九%、未達成割合は八二・二%に達しております。これはいま労働大臣が納付金制度を設けずに行政指導でやりたい、こういうお答えがあったのでございますけれども、今日までの実態は行政指導をもってしては効果を上げ得ていないという結果をこれは証明していると思うのでございますね。私は、納付金制度を身障者と同じようにとるべきであると、こういう主張を持っておりますけれども、一歩下がって行政指導をもって対処したいとされるならば、従来効果を上げていないわけですから、今後どのような具体的行政指導をやられようとするのか、お伺いします。
#220
○国務大臣(栗原祐幸君) これは毎々申し上げておりますように、これを強制するということが果たしていかがなものかというところから出ておるわけでございます。それは柄谷さんも御承知と思いますけれども、中小企業が達成していて大企業が達成していない。大企業の場合にはこれは定年延長と切り離せないわけです。定年で離職をさしてその後よその方から高年齢者を雇用するということは、職場の秩序を乱すことになりますからね。何で自分のところの者を定年退職さしてほかから入れるかということになりますから、どうしても定年退職という問題に入ってくる。ですから、この点を解決しないでただ義務化するということは非常にむずかしいと、こう考えるわけです。したがいまして、行政指導についていままでの行政指導をよく顧みまして、もっと強く企業に対して行政指導をしなきゃならないのじゃないかという観点から指導をしているわけでございますが、詳細につきましては政府委員の方から申し上げます。
#221
○柄谷道一君 私の質問は二十二分に限定されておりますので……。
 じゃ、逆に質問いたします。私の気持ちは納付金制度を実施すべしという気持ちなんですよ。しかし、大臣がそこまで言われますならば、最低限、たとえば各企業に雇用率達成のプランを提出させる、そしてそのプランが達成できない場合にはこれを天下に公表する、また若年者の職業紹介に対しても何らかの配慮を行う、その程度の行政指導を強められるお考えはございませんか。
#222
○政府委員(細野正君) 御指摘のように、高齢者雇用は、これはたとえどの企業であってもぜひ実現をしなきゃならぬような客観的情勢にあるというふうに私ども考えるわけでございます。そういう意味で行政指導を強化しようということで、先生も御存じかと思いますけれども、大企業で雇用率の特に悪いところにつきまして高齢者雇用率の達成計画というものを作成を命ずることになりまして、この計画がことしの一月から三月の間に基準に該当するものが命令を各安定所長から出しておるはずでございます。それに基づきまして一定の計画期間内にこの雇用率を達成すること。その場合にどういう手段で計画を達成するか、その中に定年延長とか再雇用とかも盛り込みまして、そういうものの達成を実効あるようなものにしてまいりたい。当然、そのあれがうまくいかない場合には、勧告をしたり、あるいは御指摘の若年者の紹介についていろいろな考慮をするというようなことは当然考えるべきであろうと、こう思っております。
#223
○柄谷道一君 労働大臣、これは大平さんも、総裁選のさなか、これは福岡であったと記憶いたしますが、納付金制度を取り入れることについても検討すべきであると、こういうことを述べておられるわけですね。いま直ちにこの納付金制度の実施がいろいろ問題があるとしても、いま私が指摘しましたような行政措置をもっと強化をして、結果いかんによっては納付金制度もとらざるを得ないぞと、そういうやはり姿勢がこの雇用率達成というものを促進していくことになるのではないかと、こう思います。その点ひとつお伺いします。
#224
○国務大臣(栗原祐幸君) 総理からも、その点について、その点を含めて高年齢者の雇用の問題について考えろということでいろいろ検討しました結果、先ほど申し上げましたとおり、大きなネックがある。しかし、大きなネックがあるから、これを義務化することはできないまでも、行政指導をしっかりやらなけりゃならない。いま柄谷さんからもいろいろ有益な御意見がありましたけれども、そういうものを踏まえて私どもは対処していきたいと、こう考えております。
#225
○柄谷道一君 問題を転じますが、政府は本国会に国家公務員共済組合の年金開始年齢を五十五歳から六十歳に改めるという法案をすでに提出されおります。
 そこで、端的にお答え願いたいのですが、私は年金の受給開始年齢を六十歳にするということは、いま検討されております定年年齢ですね、これは当然六十歳以下になることはないと、こう理解してよろしゅうございますか。
#226
○政府委員(藤井貞夫君) 年金の受給開始年齢ということに関しましては、年金自体が職員が退職いたしました後の生活安定と大変深いつながりを持っておることでございますので、われわれといたしましても、定年制問題の検討に当たりましては、年金の受給資格あるいは受給開始年齢、また年金の内容というものについても重大な関心を持って検討いたしておることは事実でございます。ただ、定年制を考えるに当たりましては、そういうことだけではなくて、事柄が公務員制度の根幹に触れる問題でございますので、この間来申し上げておりますように、われわれといたしましては、公務部内における職員の年齢構成なり、退職年金や退職勧奨の実施の状況でありまするとか、また民間におけるこれに対応するいろいろな問題等をあわせて総合的に検討をいたしておる段階でございます。したがいまして、年金の支給開始時についても重大な関心は持っておりますが、ただいまのところ年齢をどうするかということといまの問題とを直接につながらして考えるというところにまでは結論を持っていっていないという現状でございます。
#227
○柄谷道一君 総理府長官にお伺いしますけれども、定年というのは雇用保障なんですね。年金というのは所得保障なんです。これが連結するということが私はそうあるべきだと、こう思うのですね。確かに公務員制度の根幹に触れるべき問題ではございますけれども、しかし、さはさりながら、年金だけの受給開始年齢を先に延ばしてそれ以下の定年年齢を設定するというようなことは、これはもうそんなことを言ったのではあの法案は通りませんですよ。私は、総理府長官として、受給開始年齢と定年とは深いかかわり合いを持つと、こういう認識のもとに今後対応されるものと、こう信じたいのですが、いかがですか。
#228
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたしますが、制度的には先ほど人事院総裁からお話がございましたが、しかし、実質上そうした関連を持って考える面もなきにしもあらずということは、私もそうした考え方に立っておるわけでございまするが、しかし、定年制の問題につきましては、いま人事院総裁がお答えになりましたように、私どもの方におきましては公務員の身分に関する問題でございますし、十分な検討をいまお願いをいたしておるわけでございますので、その御返事を待っていま御指摘のような点も勘案しながら最終的な結論を出してまいりたい、そういうことでおるわけでございます。
#229
○柄谷道一君 厚生大臣にお伺いいたします。
 私は、予算の総括質問の中で、今後のわが国における六十歳及び六十五歳以上の人口比率がどうなるか、厚生年金及び国民年金の成熟度がどうなるか、これについて御質問し、お答えを願いました。現在年金基本構想懇談会が審議が進められておりますが、その中間報告を見ますと、諸外国に比べてわが国の支給開始年齢が早いグループに属するという点と、今後の老齢化現象というものを踏まえて支給開始年齢の引き上げを段階的に実施すべきではないか、こういう中間報告が出されているわけでございます まあ来年度は、本年度ですか、受給開始年齢はいらっておられませんけれども、労働省のいまの計画は、当面五十八歳ですよ、定年延長目標ね。そうして、昭和六十年に六十歳にしようとしておられるわけですね。六十歳を超えて定年が延びるというのは昭和六十年以降なんです。しかも、その計画どおり行政指導で達成できるかどうかにはまだいろいろ問題点を含んでいるわけです。このような定年の現状と、立法化もいろいろ慎重な態度をとっておられるわけですね。定年が六十歳を超える、その時期まで支給開始年齢はこれに連動させるという意味で引き上げを待つと、こういうお答えはしていただけますか。
#230
○国務大臣(橋本龍太郎君) 非常に過酷な質問だと思うのです。ただ、御指摘のような問題点があることは私どもよく承知をいたしております。
 そこで、厚生、労働両省は昨年も懇談会を開催をし、社会保障政策と雇用政策との十分な連携を図るという趣旨での懇談会を持ちました。そしてまた、今後ともに同じような話し合いを引き続き継続して行うことになろうと思います。
 ただ、いまの人口構造の変化の度合い、平均寿命の延び、そして、よく御承知のとおりの年金財政等を考えていきますと、このままでまいりますと、後代負担は非常に膨大なものになることは間違いありません。ですから、私どもとしては、支給開始年齢の問題は、これは費用負担に限界がなければ別でありますけれども、それに限界があることを考えれば、やがてこれはどうしても避けて通れない問題だということだけは間違いないと考えております。ただ、確かに個人の老後生活の設計の基本であり、これを一挙に引き上げるようなことはできませんし、段階的な実施が必要であることも間違いありません。また、定年制、雇用情勢、こうしたものを十分に考慮しながら対応していかなければならない課題であることも間違いがありませんから、これを完全にリンクさせるということをお答え申し上げることは不可能であります。
#231
○柄谷道一君 私は、昭和五十三年五月九日、社労委員会で前厚生大臣にこのことを質問しております。そのときに、小沢前厚生大臣は、定年と支給開始年齢の関連については十分対策を考えないと、ただ開始年齢だけを財政上の理由で引き上げると非常な混乱が起きるので、慎重にこれは対処しなければならぬと思うと、こういう趣旨の答弁をされております。
 そこで、労働大臣ですね、立法化は非常にむずかしい、年功序列賃金があるんだと、こう言われるのですけれども、さきの委員も指摘されましたように、大臣の答弁を聞いていますと、年功序列がどんどん進んでいると、年齢に従って賃金は上がっていると、こういう受けとめ方ともとれるのですけれども、もうそんなことをやっているのは公務員ぐらいのものです。民間の実態は違うんですよ。民間は千人以上の企業でも五十歳から五十四歳がピークで、それからもう賃金は落ちております。百人から九百九十九人の企業では、三十五歳から五十四歳の賃金は横にはっています。十人から九十九人では三十五歳から三十九歳がピークで、それから下がっているんですね。すでにもう民間産業の実態は、定年を延長しなければならぬと、このままほっておったら年金の負担も莫大になっていくわけですから。これに対応する年功序列型賃金の改革、これはもう現実に進んでいるんです。したがって、私は、私たちに対する回答を見ますと、今後政府の審議会で云々と、こうあるのですけれども、年金の成熟度のこれは待ってくれないんですね。それと、いま言う定年の実態、これを絡み合わして、果たして行政指導だけでいけるものかどうか。定年を延長しなければならないということはもう合意なんです。問題はハウ・ツーなんです。われわれは直ちにやれと言っているのじゃないんです。政治自体がガイドラインを設けて、その間に労使の問題点の解決を要請する、そうあるべきではないか、これがわれわれの主張です。この点に対する御返答をいただきたい。
 あわせて、時間がございませんので、わが国の雇用立法は昭和四十九年が転機ですね。それまでは、失業者が出たものを救うと、その立法から雇用保険法、雇用安定資金制度、さらに離職者対策法、いろいろなものが積み重ねられてきました。われわれも努力したし、それは評価するのですが、いま中央、地方合わせますと、省令措置は百を超えるんですよ。安定審議会の委員すら、にわかに質問されてもわからないと言っているんですよ。これは政策推進労組会議の追跡調査によっても、いまの立法が積み木細工で非常に複雑だ、手続がむずかしい、よってせっかくの立法措置が十分に活用されていない、こういう問題点があらわれてきておるわけですね。これは私は関係審議会にこの問題を積極的に諮問しまして、いわゆる統合、一元化、そして手続の簡素化、これに対するメスをふるうべきだと思いますが、この二点について大臣の見解を伺います。
#232
○国務大臣(栗原祐幸君) 定年の問題で、いわゆる年功序列型の賃金体系というのはもう崩れておると、民間ではすでに崩れておると。私は完全であるとは申し上げません。崩れておることは認めますけれども、しかし、やはり大きなネックになっていることはこれがあると思っております。しかし、年金との関係につきましては、私どもは六十歳の定年でそれが年金につながるようにということをこいねがっています。ただ、これは御案内のとおり、厚生省とも十分連絡をとらなければならぬ問題でございますので、その点については今後の検討課題でございます。
 なお、いろいろ審議会その他労働省の施策がどうも統一性に欠けておるじゃないか、複雑でないかと、煩瑣じゃないかという点については、私もその感を禁じ得ません。そういう意味合いにおきましては、これらについて整理統合ということを考えなきゃならないと、こう考えております。
#233
○柄谷道一君 すると、整理統合につきましては審議会に諮ると、こう理解してよろしゅうございますか。
#234
○委員長(町村金五君) 時間が参りました、柄谷君。
#235
○政府委員(細野正君) 当面、非常に御指摘の多い給付金等につきまして、整理統合できるものについては検討しまして、これを審議会にお諮りしたいと、こう思っているわけであります。
#236
○柄谷道一君 私は、このほかに、身障者雇用促進の問題、特に期待を持ってつくられました身障者雇用促進協会の現状と問題点について指摘したいと思っておりましたが、時間が参りましたので、これは予算委員会分科会の際に篤とその内容について御質問することとして、私の質問を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#237
○委員長(町村金五君) 次に、下村泰君の質疑を行います。下村君。
#238
○下村泰君 雇用問題が深刻になればなるほど、一番しわ寄せを食うのは身障者ではないかと思います。ことに先ほど井上先生のお話を聞いて、私も「あゆみの箱」という運動を十六年間続けてまいりまして、身につまされる思いでお聞きいたしました。
 昭和五十三年十一月二十七日、身体障害者雇用審議会の意見書が出ておりますが、これを見ましても、民間企業のつまり雇用率はどんどん低下しているのに納付金だけはふえている。これを労働大臣はどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。
#239
○政府委員(細野正君) 身体障害者の雇用率はわずかながら五十二年から五十三年の間に向上はいたしておりますが、しかし、雇用すべき一・五%という法定雇用率を下回っていることは事実でございまして、したがいまして、そういう意味で納付金が相当徴収されている状況でございまして、それに対する調整金なりあるいは助成金なりの支出がそれに伴っておりませんので、その差額が雇用促進事業団に積み立てられると、その辺は御指摘のとおりでございます。
#240
○下村泰君 言葉は大変きれいに聞こえますけれども、実は企業主側としては、事業主の方にしてみれば、雇いたくない、これが本音じゃないかと思いますが、どうですか。
#241
○政府委員(細野正君) 雇用率の悪い特定業種等につきましては積極的に働きかけまして、そういう意味では一番雇用率の悪い千人以上のところ等については御案内のように若干改善を見つつあるというふうなことで、身体障害者を雇用する気運はだんだんに高まってきてはおりますが、現在の不況の状況等もございまして、御指摘のようにはかばかしく進んでいないというのは事実でございます。
#242
○下村泰君 たしか、五十三年度、この期末におきましては百五十九億七千万といういわゆる納付金がたまるのではなかろうかというような説が出ておりましたが、これは事実ですか。あるいはこれ以上ですか。
#243
○政府委員(細野正君) 五十三年度につきましては、助成金がまだ申請受け付け中でございますので、年度末に蓄積される金額等についての具体的な把握はまだできない状況でございます。
#244
○下村泰君 そうしますと、百五十九億七千万以上になるということは言えますか。まるでまるっきりわからぬということはないと思うのですけれども。
#245
○政府委員(細野正君) 先ほど申しましたように、助成金の申請受け付け中でございますので正確には申し上げられませんが、百五十億までいくことはないのじゃなかろうかと思っております。
#246
○下村泰君 先ほどちらっとお話を伺っておりましたら、その助成金制度の枠を広げて諸種の活用を試みるならば何とかなるのじゃなかろうかというようなお話がありましたけれども、その試みというのは、たとえばどういうふうに、具体的に例を挙げてください。
#247
○政府委員(細野正君) 本年度のといいますか、いま御審議いただいております来年度予算の中で一番大きな目玉として私ども考えておりますのは、身体障害者、特に重度の身体障害者でございます、それと中高年の身体障害者、それから精神薄弱者の方、この方々を新しく採用しました場合に一年間に百二十万、これを二年間継続してその事業主に支給するという、その制度を設けることによりまして身体障害者の雇用促進を図ってまいりたいというふうに考えておりますが、これが一番大きなものでございます。そのほか、従来の助成金制度そのものの要件緩和、あるいは新しく雇い入れて訓練を委託する場合の助成金、その他の新設の助成金等を考えておりまして、そういうもろもろの制度によりまして身体障害者の雇用促進を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。
#248
○下村泰君 ここに「心身障害者の社会復帰対策と雇用対策のあり方(第一プロジェクトチーム報告)」という報告書がありますが、これを拝見しておりますと、「福祉的就労の場の拡大」という項に「障害の重度化、多様化に伴い学校を卒業しても就労の機会のないまま在宅を余儀なくされるものは次第に増大している。これに対処するため、父兄等の手により、小規模の共同作業所等をつくる事例が増加しつつあるが、関係各省はこれ等の今後における発展の方向を見定めつつ、一定の要件を備えたものは、たとえばモデル地区を設ける等の方法によりその育成をはかり福祉的就労の拡大を行うことを検討すべきである。」と、こういうふうに意見が出ておりますが、これに対して労働大臣のお考えはどうですか。
#249
○政府委員(細野正君) 共同作業所につきましては、先生も御案内のように、雇用関係がある作業所とない作業所がございますが、共同作業所の中で雇用関係のあるものにつきましては私どもは助成金等の対象にするということで、現在それの活用等について個々の作業所の方々と連絡をとってその助成金の対象になるなり方についての御指導をしている、こういうふうな状況でございます。
#250
○下村泰君 厚生大臣に伺いますが、労働の方になると作業所、そして片方へ来ると授産所、こういうふうに区別されております。ところが、内容というのはそんなに変わらないんですよ。ほとんど変わらないんです。そのことに関して厚生省としては労働省との連係プレーというのをしていらっしゃいますか。
#251
○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨年下村さんから御指摘をいただきまして以来、ことに身体障害者の社会復帰対策と雇用対策のあり方を重点にして四回ほどの協議、研究を行ってまいっております。そして、その中で一番大きな問題は、いま御指摘の福祉工場に対する雇用納付金制度の助成のあり方についてでありまして、これはいま具体的な助成方法を労働省当局で御検討を願っておる最中であります。
 ただ、一点つけ加えさしていただければ、実は私どもとしては、いまそうした雇用情勢になじみ切らない方々に対して、従来から身体障害者福祉工場あるいは授産所等で対応してきたわけでありますが、現在ようやく三百八十二カ所ほどの施設を持つようになりました。ただし、なかなか民間からのそこへのお仕事がいただけないという状況がありまして、ことしの予算でついに作業開拓指導員、すなわち注文をとってもらうために外に出ていただくための指導員を百六人新たに増強をしなければならぬという状態になりました。これは私どもとしては非常に残念なことでありまして、民間のこうした関連の事業を行う方々につきましても、障害者の福祉向上のためにこうした点についての御協力を私どもはぜひ仰ぎたいと、そのように思っております。
#252
○下村泰君 また意見書に戻りますけれども「労働省においても、直ちには一般雇用へ結びつけることが困難な障害者について、一般雇用と密接な関連をもたせつつ、かつ、一般雇用の形にできる限り近い形での「働く場」の確保を図るための施策を講ずることが必要であり、」と、こういうふうに書いてございます。で、「諸外国における保護雇用制度等も参考にして十分に検討すべきである。」こういう御意見が出ております。
 それで、実は先般の八十五国会の予算委員会、五十三年十月十二日でございます。この日に労働大臣に私はこういうことを言ったんです、藤井前労働大臣に。この納付金というのを活用する方法がないのか、助成金だ何だかんだ言うても、報奨金だと言っても、雇いたくない側に幾ら助成をするからとか報奨金を渡すからと言っても、雇いたくないやつはあくまでも雇いたくないわけなんだ、そこでこの納付金というものがそれだけたまっているんだから、この納付金を何とかその方に活用する方法はないか、それでたとえば共同作業所をつくるとかあるいは仕事を回すとかというような方法はできないものかということを前労働大臣に申し上げましたところ、「いろいろ内輪でも工夫をさしておる最中でございまして、やはり何とか共同雇用をする、そしてそれに対して、雇用関係を踏まえてこれに助成することによって、同じような身障者の立場の人が働き場所を得て、そして仕事をしていくという工夫はできないものであろうかということで、現在事務的に検討させております。」と、こういうふうにお答えになっているのですが、この引き継ぎございましたでしょうか。
#253
○政府委員(細野正君) 先ほど申しましたように、前藤井大臣の御答弁を踏まえまして先ほど申しましたような共同作業所に対する助成金の対象になるような指導とか、あるいは先ほど厚生大臣から御答弁ございましたような福祉工場に対する助成についてもこの報奨金の対象にするというふうなことについてすでに方針を固めているわけでございます。
#254
○国務大臣(栗原祐幸君) 一つには時間がないものですから私は余り御答弁しなかったわけですが、いまいろいろお話を聞きまして、大変貴重な意見でございますし、厚生省とも連絡すべきものは連絡をし、また労働省で処置すべきものは処置をする、そういう方向でいろいろ考えていきたいと思います。
#255
○委員長(町村金五君) 下村君、時間が参りました。
#256
○下村泰君 では一言だけ言わせてください。
 この私の申し上げました質問に対して、前総理の福田首相は、「これは検討というか相談をすることにいたしましょう。」と、ちゃんとお答えをしてくれておりますので、よろしくひとつお願いしたいと思います。お互いにどうも官庁というところは広域暴力団みたいになわ張り争いばっかりやっているところですから、そういうことのないようにしてください。庶民から見ると本当に不思議な存在としか映りませんから。よろしくお願いします。ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
#257
○委員長(町村金五君) 次に、柿沢弘治君の質疑を行います。柿沢君。
#258
○柿沢弘治君 短い時間ですから問題をしぼってお聞きをしたいと思いますが、一つは退職金の問題、そしてもう一つは週休二日の問題でございます。
 先に退職金の問題伺いますが、老後の所得保障という面から最近は年金についての関心が非常に高くなっております。しかし、老後所得を保障する方式としては年金プラス退職金という形で考えないとさまざまなアンバランスが出てくるのじゃないだろうか。民間企業で私の知っている限りで見ましても、東洋経済新報の調査によりますと、定年退職をした人たちが、大企業ですけれども、三千万もらっているところもあれば、五百万ぐらいのところもある。その差が非常に大きいと思います。それから労働省のデータを見ましても、大企業と中小企業の間に格差がある。さらに業種別で見ましても、たとえば運輸業などは非常に低いのに比べて、デパートが大変よろしいとか、業種別の退職金差別というものが老後所得保障の面から大きな問題になっているように思うわけですけれども、しかしこの問題については世間の関心も低い。労働省としてもいままで消極的だったように思います。その点についての労働省の今後の取り組み方をお伺いしたいと思います。
#259
○政府委員(岩崎隆造君) お答え申し上げます。
 いま御指摘のように、退職金につきまして規模別あるいは業種別あるいは企業別というようなことで相当格差がございます。退職金制度そのものの沿革と申しますか機能として期待されているものが、一つには、やはり長年勤続、企業に貢献した者に対する報償的な意味をも持っていたと思います。それからまた、その退職後の生活保障という面も沿革的には持っていたわけでございます。現在でもその機能がなくなったとは申しません。ただ、公的年金等の充実によりまして、その退職金の退職後の生活保障に果たす役割りというものをどういうふうに位置づけるべきか、これは確かに先生御指摘のようにいろいろと検討しなければならない点があると思います。これは賃金制度並びに退職金制度につきまして原則的には労使が自主的に御相談をいただいてお決めいただく制度だというふうに存じますが、私どもも専門的な先生方のお知恵も拝借しまして、今日、特に退職一時金のみならず、公的年金との関係をつなぐような意味での企業年金化させてきているというような御工夫もいろいろありましょうから、そういうような好事例などもつかまえつつ今後検討をし、そしてしかるべき指導ができればそういうことをしてまいりたいと、このように考えます。
#260
○柿沢弘治君 私たち新自由クラブは、自立型の福祉社会ということを主張しております。大平総理もそれを若干直しまして日本型福祉社会ということをおっしゃっているわけですけれども、そういう自立型の福祉社会という考え方からすれば、老後保障をすべて公的年金に依存をするということでは決して望ましい制度とは言えない。その意味では、かつては退職金もしくは企業年金というものは、公的年金を補完するものだと言われていたかもしれませんけれども、むしろこれからは企業年金プラス退職金、一時金というものがもっと助成をされて、それが拡充をすることによって老後保障が完備するという方向で考えるべきではないだろうかと思っているわけです。そういう意味で、まあ厚生年金、公的年金も含めて考えていいわけですけれども、試算をしますと、大体六十歳から十五年平均生きるとして七十五歳まで十五年間厚生年金をもらうと千八百万ぐらいになる。老後保障を考えますと、十五年間でやっぱり三千万は欲しい。三千万ありますと大体月十七万円ぐらいの所得が保障されるわけですから、そうすると厚生年金プラス企業年金及び退職一時金で千二百万を何とか確保できないだろうか。そうしますと、老後所得保障三千万ということが一つの政策として打ち出せるというふうに実は考えていろいろ計画をしているわけです。千二百万まで何とか退職金をそろえていくということがこれからの自立型福祉社会を考える面で重要なポイントになるのじゃないかと思いますが、そうした問題意識で御検討をいただきたいと思いますけども、労働大臣、いかがでしょう。
#261
○国務大臣(栗原祐幸君) 自立型の福祉社会という精神は私は非常に必要だと思います。私は労働大臣でございますから、年金とかそういう問題について担当の大臣でございません。しかし、一国務大臣という立場からいたしますと、そういう意味合いからも年金の内容、そういったものについては検討をしてもいいのじゃないかという考え方を持っております。自立型の福祉年金ということを考えていいのじゃないかと思います。ただ、柿沢さんのいまの御提案ですね、ここでそれは結構でございますとか結構でございませんとか言うほどまだ私としては頭の中が整理できておりません。一つの有益な御意見として拝聴いたしたいと考えております。
#262
○柿沢弘治君 少なくともいままで民間企業の退職金のあり方というものに対して労働省は調査はやっておられるようですけども積極的な取り組みはしていない。そういう意味ではこれから前向きに取り組んで労働政策として生涯給与の問題として検討していきたい、できることは何かやっていきたいという御返事がいただければ幸いだと思いますが、どうでしょうか。
#263
○国務大臣(栗原祐幸君) 検討いたします。
#264
○柿沢弘治君 それでは、ちょうど半分ですから、週休二日制の問題に移りたいと思います。週休二日については、省エネルギーの観点からもう一度検討すべきだという議論が出ているようですが、私は、週休二日の問題は、省エネルギーだけではなくて、雇用機会の拡大といいますか、それとさらに雇用内容、雇用条件の改善、さらには国際的な雇用条件の均一化というか均衡化の面から積極的に進めるべきだというふうに考えておりますが、労働省の取り組み方、そしてそれについて国家公務員の週休二日を今後人事院としてはどうしていらっしゃるおつもりか。その次に、銀行の週休二日制、これが公務員との関連でどうしても取り上げなきゃならない問題だと思いますけれども、その点についての大蔵省の考え方、ぜひお三方からお伺いをいたしたいと思います。
#265
○国務大臣(栗原祐幸君) 週休二日制の問題は、省エネルギーという観点から取り上げるというのはこれは本筋じゃないと思います。副次的な効果はあると思いますけれども、本来的に言いますと、やはり長期的に見まして週休二日制をする、時間短縮をするということは、雇用の面からもまた福祉の面からも国際協調の面からもこれはやるべきものだと、そういうことで私どもは考えておりますが、具体的には中基審なりあるいは両院の決議に基づきまして行政指導をしっかりやれということでございますから、いまの段階では行政指導で徹底をさしていきたいと、こう考えております。
#266
○政府委員(藤井貞夫君) 国家公務員の週休二日制につきましては、御承知のように、現在第二回目の試行をやっておる段階でございます。昨年の四月から始めましてこの三月で第二次の試行が終わるということに相なっておるわけでございます。われわれといたしましては、この結果を収集し、分析をし、問題点を拾い集めまして、対策をも含めて結論を出して措置をいたしたいというふうに考えておるのが現在の状況でございます。いまお話もございましたように、われわれといたしましても、これはやはり世界の大勢であるし、民間におきましてもわれわれの調査対象のところでは約七割というものが安定して何らかの形で週休二日制を実施しているという状況がございます。それ以上に、これもお話がございましたが、省エネルギーとかなんとかということはわれわれ当面のねらいではございませんけれども雇用条件を改善する、勤務条件を改善する、世間並みのことは確保するというような点から、ぜひともこれはやはり一歩、数歩の前進を図らなければならぬというふうに考えておる次第でございまして、現在そういう意味で前進をするという方向で鋭意検討を重ねておるというのが現状でございます。
#267
○国務大臣(金子一平君) 銀行の週休二日制の問題でございますけれども、もうすでに各国では実施していないところはないくらいでございます。ただ、問題は、日本では大企業は大体二日制が普及しておりますけれども、中小企業がそれをやっていない。そこで、こういったことを銀行についてやって中小企業の受けとめ方がどうか、国民的合意が得られるかというところが問題なものですから、いま金融制度調査会で鋭意検討していただいておる最中でございます。私はこれはぜひやりたいという気持ちでおります。結論が出るのは大体ことしの半ばくらいでしょう。しかし、いざ実施するとなると、銀行法十八条を改正せなければいかぬのです。それから関連法案としまして、あなたも御承知のとおり、手形法や小切手法の改正が要るものですから、そこら辺を絡めて、いざ実施ということになれば来年度の通常国会に法案を提出したいなあと思っております。なお、これを実施するにつきましては、郵便局や農協やその他ほかの金融機関の横並びの問題があるものですから、これもあわせて考えたいと、こういうことでございます。
#268
○委員長(町村金五君) 柿沢君、時間が参りました。
#269
○柿沢弘治君 ただ、申し上げておきますが、そろそろやっぱり政府並びに金融機関が踏み切って、それによって中小企業への普及を促進するということが大事な時代に来ていると思います。その意味で、ぜひ両大臣並びに人事院総裁の今後のそうした方向での御努力をお願いを申し上げまして、質問を終わります。(拍手)
#270
○委員長(町村金五君) これをもって雇用問題等に関する集中審議は終了いたしました。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#271
○委員長(町村金五君) 速記を起こして。
#272
○委員長(町村金五君) この際、記録の提出要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和五十四年度総予算に関し、外国航空機購入予算問題について、日商岩井株式会社及び郷裕弘君に対し、お手元に配付いたしました資料に記載してある文書を本委員会に提出するよう議長を経由して要求いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#273
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、その手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#274
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時二十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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