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1978/03/23 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 予算委員会 第13号
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1978/03/23 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 予算委員会 第13号

#1
第087回国会 予算委員会 第13号
昭和五十四年三月二十三日(金曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十二日
    辞任         補欠選任
     野田  哲君     佐藤 三吾君
     黒柳  明君     相沢 武彦君
     青島 幸男君     喜屋武眞榮君
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     遠藤 政夫君     志村 愛子君
     橋本  敦君     立木  洋君
     三治 重信君     柳澤 錬造君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         町村 金五君
    理 事
                井上 吉夫君
                岩動 道行君
                嶋崎  均君
                久保  亘君
                瀬谷 英行君
                多田 省吾君
                内藤  功君
                栗林 卓司君
    委 員
                浅野  拡君
                石破 二朗君
                上田  稔君
                小澤 太郎君
                亀長 友義君
                熊谷  弘君
                志村 愛子君
                下条進一郎君
                鈴木 正一君
                田代由紀男君
                玉置 和郎君
                成相 善十君
                林  ゆう君
                真鍋 賢二君
                山本 富雄君
                粕谷 照美君
                小柳  勇君
                佐藤 三吾君
                広田 幸一君
                福間 知之君
                矢田部 理君
                吉田忠三郎君
                和田 静夫君
                相沢 武彦君
                太田 淳夫君
                矢追 秀彦君
                矢原 秀男君
                神谷信之助君
                立木  洋君
                柳澤 錬造君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       法 務 大 臣  古井 喜實君
       外 務 大 臣  園田  直君
       大 蔵 大 臣  金子 一平君
       文 部 大 臣  内藤誉三郎君
       厚 生 大 臣  橋本龍太郎君
       農林水産大臣   渡辺美智雄君
       通商産業大臣   江崎 真澄君
       運 輸 大 臣  森山 欽司君
       労 働 大 臣  栗原 祐幸君
       建 設 大 臣  渡海元三郎君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (北海道開発庁
       長官)      澁谷 直藏君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 田中 六助君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       三原 朝雄君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       金井 元彦君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  山下 元利君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       小坂徳三郎君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  上村千一郎君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  中野 四郎君
        ―――――
       会計検査院長   知野 虎雄君
        ―――――
   政府委員
       内閣官房副長官  加藤 紘一君
       内閣法制局長官  真田 秀夫君
       人事院総裁    藤井 貞夫君
       人事院事務総局
       任用局長     長橋  進君
       内閣総理大臣官
       房管理室長    小野佐千夫君
       総理府人事局長  菅野 弘夫君
       総理府恩給局長  小熊 鐵雄君
       総理府統計局長  島村 史郎君
       青少年対策本部
       次長       松浦泰次郎君
       公正取引委員会
       委員長      橋口  收君
       警察庁長官官房
       長        山田 英雄君
       警察庁刑事局長  小林  朴君
       警察庁交通局長  杉原  正君
       行政管理庁行政
       管理局長     加地 夏雄君
       防衛庁参事官   岡崎 久彦君
       防衛庁参事官   佐々 淳行君
       防衛庁防衛局長  原   徹君
       防衛庁人事教育
       局長       夏目 晴雄君
       防衛庁衛生局長  野津  聖君
       防衛庁装備局長  倉部 行雄君
       経済企画庁調整
       局審議官     廣江 運弘君
       経済企画庁物価
       局長       藤井 直樹君
       環境庁企画調整
       局環境保健部長  本田  正君
       環境庁大気保全
       局長       山本 宜正君
       国土庁土地局長  山岡 一男君
       国土庁水資源局
       長        北野  章君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  枇杷田泰助君
       法務省民事局長  香川 保一君
       法務省刑事局長  伊藤 榮樹君
       外務大臣官房長  山崎 敏夫君
       外務省欧亜局長  宮澤  泰君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    千葉 一夫君
       外務省経済局長  手島れい志君
       外務省経済局次
       長        羽澄 光彦君
       外務省経済協力
       局長       武藤 利昭君
       外務省条約局長  伊達 宗起君
       外務省国際連合
       局長       賀陽 治憲君
       大蔵大臣官房審
       議官       米里  恕君
       大蔵省主計局長  長岡  實君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       大蔵省理財局長  田中  敬君
       大蔵省理財局次
       長        吉本  宏君
       大蔵省理財局次
       長        迫田 泰章君
       大蔵省銀行局長  徳田 博美君
       大蔵省国際金融
       局長       宮崎 知雄君
       国税庁長官    磯邊 律男君
       文部省初等中等
       教育局長     諸澤 正道君
       文部省大学局長  佐野文一郎君
       文部省体育局長  柳川 覺治君
       厚生政務次官   山崎  拓君
       厚生省医務局長  佐分利輝彦君
       厚生省薬務局長  中野 徹雄君
       厚生省児童家庭
       局長       竹内 嘉巳君
       厚生省援護局長  河野 義男君
       食糧庁長官    澤邊  守君
       通商産業大臣官
       房審議官     島田 春樹君
       通商産業省通商
       政策局次長    高橋  清君
       通商産業省貿易
       局長       水野上晃章君
       通商産業省産業
       政策局長     矢野俊比古君
       資源エネルギー
       庁長官      天谷 直弘君
       中小企業庁長官  左近友三郎君
       中小企業庁次長  宗像 善俊君
       運輸大臣官房長  中村 四郎君
       運輸大臣官房審
       議官       杉浦 喬也君
       運輸省鉄道監督
       局長       山上 孝史君
       運輸省自動車局
       長        梶原  清君
       運輸省航空局長  松本  操君
       労働省労働基準
       局長       岩崎 隆造君
       労働省労働基準
       局安全衛生部長  野原 石松君
       建設大臣官房長  粟屋 敏信君
       建設省計画局長  丸山 良仁君
       建設省都市局長  小林 幸雄君
       建設省河川局長  稲田  裕君
       建設省住宅局長  救仁郷 斉君
       自治大臣官房長  石見 隆三君
       自治大臣官房審
       議官       石原 信雄君
       自治大臣官房審
       議官       花岡 圭三君
       自治省行政局公
       務員部長     砂子田 隆君
       自治省財政局長  森岡  敞君
       自治省税務局長  土屋 佳照君
       消防庁長官    近藤 隆之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房参事官     赤松 良子君
       総理府恩給局恩
       給問題審議室長  手塚 康夫君
       日本国有鉄道副
       総裁       天坂 昌司君
       日本国有鉄道理
       事        藤田 義人君
   参考人
       日本鉄道建設公
       団副総裁     平岡 治郎君
       日本銀行副総裁  前川 春雄君
       元陸海軍従軍看
       護婦の会会長   金子 はる君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十四年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十四年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十四年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(町村金五君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 昭和五十四年度一般会計予算
 昭和五十四年度特別会計予算
 昭和五十四年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、一般質疑に関する理事会における協議決定事項について御報告いたします。
 審査日数は五日間分とすること、質疑時間総計は八百分とし、その各会派への割り当ては、自由民主党・自由国民会議及び日本社会党おのおの二百五十分、公明党百二十五分、日本共産党七十五分、民社党五十分、第二院クラブ及び新自由クラブそれぞれ二十五分とすること、質疑者及び質疑順位等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること。以上でございます。
 右、理事会決定どおり取り運ぶことに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(町村金五君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和五十四年度総予算三案審査のため、日本銀行副総裁前川春雄君、元陸海軍従軍看護婦の会会長金子はる君及び日本鉄道建設公団副総裁平岡治郎君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認めます。
 なお、出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(町村金五君) それでは、和田静夫君の一般質疑を行います。和田君。
#8
○和田静夫君 海部日商岩井副社長が、事務所経費二百三十八万ドルについて、調査団が来たり制服も来られたり、間接経費がかかったと述べたんですが、防衛庁、事実ですか。
#9
○政府委員(倉部行雄君) RF4Eにかかわりますところの技術審査のために四十八年十一月から五十年三月末にかけまして航空幕僚監部等から担当者を常時三名ないし六名派遣していたわけでございます。
#10
○和田静夫君 間接経費は。
#11
○政府委員(倉部行雄君) これらにつきましては、技術審査に関連しまして、日商岩井との間におきまして契約に基づいて実施していたわけでございまして、派遣職員につきましては適切に業務を遂行しておりまして、何ら問題となる事実はなかったわけでございます。
#12
○和田静夫君 接待その他を受けた事実がなかったという意味ですか。
#13
○国務大臣(山下元利君) ただいま政府委員からも事実関係を申し上げましたとおりでございますが、いま御指摘のような事実は全くございません。
#14
○和田静夫君 防衛庁に伺いますが、インドシナ半島の紛争を一つの契機にして、米ソ海軍の極東における配置が変化しつつあるように思われます。この情勢変化をどういうふうに分析されていますか。
#15
○国務大臣(山下元利君) インドシナにおきますところの紛争は、米ソを中軸といたしました東西関係の紛争というよりは、むしろ中ソの関係を背景といたしました共産圏同士の紛争である。したがいまして直接米ソの軍事バランスに影響を及ぼすことはないと思いますけれども、最近の種々の動きを見まする場合に、これはわが国を含め東南アジア全体の安全に影響のある問題でございますので、懸念を持って注目しているところでござい
 ます。
#16
○和田静夫君 ソ連の空母、ミンスクのウラジオストク港あるいはダナン港拠点化の予想も出ているわけですが、こうした場合のASEAN諸国及び日本への軍事的な影響をどういうふうにお考えになっているか。また、アメリカはこうしたソ連の新しい配置が生じた場合に何らかの対抗措置を講ずる、そういうようなことをお考えになりますか。こういう問題について米軍との情報、意見交換は行われていますか。
#17
○政府委員(岡崎久彦君) お答え申し上げます。
 近年におきますソ連太平洋艦隊の近代化を主体とした増強ぶりには著しいものがございまして、また近い将来には、御指摘のとおり、キエフ級空母ミンスクの極東配備が予定されております。これにつきましては、わが国の安全に及ぼす影響や、現在の西太平洋における米ソ海軍力のバランスに与える影響について、防衛庁としても注目しているところでございます。
 ミンスクにつきましては、これは多目的空母でございますので種々な目的に使えるのでございますけれども、アメリカとの関係におきましては、軍事バランスに非常に大きな影響があるというふうには考えておりませんけれども、これが東南アジアあるいはインド洋地域において政治的あるいは局地紛争介入能力として使われる場合は、これは相当な軍事的能力があるというふうに考えております。それに対しましては、米国の方はでございますが、米国も二年ほど前から極東ソ連海軍の増強につきましては非常に深い懸念を持っておりまして、それで、ことしの国防白書におきましても、太平洋地域に最新型駆逐艦でありますスプルーアンス型駆逐艦を配備すると、これは配備済みでございます。すでに九隻配備されていると承知しております。それから、航空母艦艦載機を、現在、いままでF4が主体だったのを逐次FMに配備がえしているようでございます。また、近くロスアンゼルス型原子力潜水艦、ペリー級ミサイルフリゲート艦、F15及びE3Aが西太平洋に配備されるものと承知をしております。
#18
○和田静夫君 情報、意見交換は、米軍との。
#19
○政府委員(岡崎久彦君) 米軍と防衛庁の間におきましては、各幕ごとに、陸は陸、海上自衛隊は海軍、それから空は空でそれぞれ定期的情報交換を行っております。
#20
○和田静夫君 エジプト、トルコに援助を積極化するということですが、これは、外務大臣、真意をお聞かせください。
#21
○国務大臣(園田直君) エジプトからは、先般、エジプトの副首相が来日をされて、その際も経済協力援助について話があったわけでありますが、中東の重要性にかんがみて積極的に協力をする用意をしているところでございます。
#22
○和田静夫君 トルコは。
#23
○国務大臣(園田直君) トルコは、新聞に何か書かれましたが、あれは誤報でありまして、全然これは決定いたしておりません。トルコの経済再建については、重要な地域でありますから関心は持っておりますけれども、まだどこの国からも正式な話はございませんし、検討はいたしておりません。
#24
○和田静夫君 防衛計画の大綱について、防衛庁長官は、八日の本委員会で、昭和五十一年の防衛計画大綱決定時の国際情勢と基本的には変わらないので修正の必要はないと思う、こういうふうに言われたんですが、これは確認しておいてよろしいですか。
#25
○国務大臣(山下元利君) さようのとおりで結構でございます。
#26
○和田静夫君 自衛隊が、日中平和友好条約の締結、米中国交回復後の極東情勢でソ連の軍備増強の懸念が高まったところから、北方、特に北海道の防衛力強化が必要であるという判断が高まっている、で陸上自衛隊では北海道にソ連軍が侵入してきた場合、一個師団程度という想定だという分析もありますが、そういう場合を仮定してコンピューターを駆使して防衛戦略計画を作成しているという情報がたびたび聞かれるんですが、これは真偽のほどはいかがですか。
#27
○政府委員(原徹君) ちょっと御質問の趣旨がはっきりいたしませんが、私どもは防衛計画の大綱を、ただいま長官も申しましたように、これは変えるつもりがただいまございませんので、防衛計画の大綱の範囲内でいろいろの作業はしておりますが、ただいま申しましたようないろんな演習みたいなことは絶えずやっているわけでございますが、特別にソ連というものを頭に置いての作業等はやっておらないわけでございます。
#28
○和田静夫君 現在、北海道に配置されている第七師団に第一戦車団を加えて強化して、機甲師団を新設するということを検討していると言われることについては。
#29
○政府委員(原徹君) その点は、五十一年に決まりました防衛計画の大綱の中で、機動力のある部隊を一個師団つくる必要があると、防衛計画の大綱の中にそういうことがございまして、これはまだ実現を見ておらないわけでございますが、いずれそういう方向にしたいと、それはそういうふうに考えております。
#30
○和田静夫君 外務大臣、私は、こうした傾向を、特に専守防衛の政治的立場から考えましてデメリットについて懸念をするんですが、外務大臣はこうした問題の国際的影響をどういうふうにお考えになりますか。
#31
○国務大臣(園田直君) 恐れ入りますが、ちょっともう一回。
#32
○和田静夫君 いま答弁のあったような形でもって進んでいくわけですな、これが国際的な影響力を私は持つと思うんですね。それについてどういうふうにお考えになりますか。
#33
○国務大臣(園田直君) 外務大臣としては、北方におけるソ連の軍事の強化あるいは北方四島に対する施設等重大な関心は持っておりまするものの、直接日本に対する脅威だとは私は考えておりませんので、ソ連ば重要な隣国の一つであり、何とかして友好関係を深めていきたいと考えているところでありますから、そちらの方面から友好関係を積み重ねていきたいと考えております。
#34
○和田静夫君 防衛計画大綱は修正しないと言われましたが、修正しないとしても、別表の編成、主要装備については改める必要があると統幕は考えていると、そうですが。
#35
○政府委員(原徹君) 防衛計画の大綱に従いましてやるわけでございます。で、大体の考え方は、もちろん装備は古くなれば更新しなければなりませんから、その更新をするときに新しいものに取りかえて近代化をする、そういう方角で進んでおりますことはそのとおりでございますけれども、防衛計画の大綱の別表そのものを変えるつもりはないわけでございます。
#36
○和田静夫君 別表の改正はやられるということですか。
#37
○政府委員(原徹君) 別表の改正は考えておらないわけでございます。
#38
○和田静夫君 中期業務見積もり、いわゆる五次防ですがね、昭和五十九年度において防衛関係費の対GNP比を一%とすることを基本目標と定めたというふうに報ぜられましたが、簡単にどういうことを検討されましたか。
#39
○政府委員(原徹君) 中期業務見積もりというものはまだ決まっておらないわけでございます。
 考え方だけ申しますが、従来は、三次防とか四次防とか五年間の装備調達計画が決まっていたわけでございますが、防衛計画の大綱が決まりまして、要するに別表による部隊の規模が決まりましたものですから、これからは年々やっていくということに切り変わったわけでございます。年々、業務計画というものをつくって、それに基づいて予算を要求をするわけでございますが、その年々予算を要求するもとになる業務計画をつくるにつきましても、主要な事業だけにつきましては大体どんな考え方でこれをやっていくんだと、若干中期的な展望も持たなきゃならないということで、いまそういう意味で中期の業務見積もりというものをやっているわけでございます。これはまだ現在作業中でございまして、ただいまの段階では私もまだ十分聞いておるところまでいっておりませんので、一体、将来、それはどうなるかというところはただいまの段階では申し上げられないわけでございます。
#40
○委員長(町村金五君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#41
○委員長(町村金五君) 速記を起こして。
#42
○和田静夫君 防衛庁長官、この前、大平総理大臣は、有事立法問題について防衛庁が検討を進めているが、いつごろ報告できるかわからぬという答弁をされた。前防衛庁長官は、この前の予算委員会で私に、卵の卵の卵の段階でも実はここに中間報告をする、この予算委員会に。こういうふうに答弁されていたわけですけれども、それはどうなっていますか。
#43
○国務大臣(山下元利君) 金丸前長官がそのような趣旨の御発言をなさったことは御指摘のとおりでございます。われわれといたしましても、有事法制の問題については不断に研究いたしておる次第でございますが、これは冷静に時間をかけて対処いたしておりますので、ただいまのところ、まだそのことにつきまして報告いたす段階になっておりませんのでございます。
#44
○和田静夫君 最近、加藤前自治大臣が閣議メモを発表されたようですね。その閣議メモの内容をずっと見ていきますと、卵の卵の卵の段階でこの委員会に発表する、私はそれが卵の卵の卵の段階ならば論議をしてつぶしますと、こういうふうに金丸防衛庁長官、福田総理大臣とやり合ったわけですね。そうしたら、この問題には触れずにいった方がいいのではないかというような形の閣議の中における話し合いがあって――加藤メモですよ、そうしていまの防衛庁長官の答弁になっている、ずらしていこうと、こんなことじゃないですか。発表できるんじゃないですか。
#45
○国務大臣(山下元利君) いま御指摘のいわゆるメモにつきましては、私も十分承知しているところでございませんけれども、率直に申しまして、私どもは、これは不断に研究いたさねばならぬ問題でございますし、研究もいたしております。が、しかし、まだ現在の段階におきましては、どういう手順で進めていくかというふうなことについてのいろいろ検討をしている段階でございますし、また、こうした問題は冷静に時間をかけて慎重に対処すべきものでございますので、現在そういうふうな考え方を示すべきものはありながらこれを抑えているというふうなことでは絶対ございませんで、目下いま研究しておりますけれども、ただいまのところ、こうして御報告申し上げる段階に至っていないというふうに御了承賜りたいと思う次第でございます。
#46
○和田静夫君 いつごろになったらできるんですか。
#47
○国務大臣(山下元利君) これはまだいまのところ、いつごろということは申し上げにくうございますけれども、また、現在の段階では、まだ御報告申し上げる時期等についても、このこと自体についても、いままだ申し上げる段階でございませんです。
#48
○和田静夫君 官房長官、お待ちしていました。
 この防衛問題の最後ですが、この間、防衛大学校の演説で大平総理が防衛問題について非常に積極的な発言をされたと報ぜられている。この発言の真意、ねらいはどこにありますか。
#49
○国務大臣(田中六助君) 防衛大学の卒業式でございますし、やはりそういう卒業生に対する一つの心構えというようなものがあったと思います。
#50
○和田静夫君 答弁になっていませんけれども、後ほど大平総理大臣と大蔵委員会で相対するときがありますから、そこで確かめましょう。
 卸売物価が十三旬連騰していますね。この原因をどういうふうに判断されるんですか、日銀。
#51
○参考人(前川春雄君) 卸売物価につきましては、ただいまお話がございましたように、昨年の十一月から毎月上昇を続けておるわけです。この要因につきましては、主として海外の商品価格の上昇というものから端を発して、それが国内の物価指数にも反映いたしております。しかし、それだけではございません。そのほかに為替相場が円安にだんだんなってきておりまするので、それが物価上昇にさらに拍車をかけておるという事情がございます。それから、海外の要因ばかりでなしに、国内の需給地合いも多少前とは違って引き締まってまいりました。そういう要因も若干入っておりますが、主たる要因は海外の商品市況の高騰ということだと判断いたしております。
#52
○和田静夫君 そこで、日銀、物価高騰が続けば金融引き締めの措置をとる必要も出てぐると思うんですが、この東京サミット前にはやるべきではないという意見が与党の中にはあるようですね。日銀は、これについてどういうふうにお考えになりますか。
#53
○参考人(前川春雄君) 世界経済の中でわが国が果たすべき役割りというものについては十分な自覚を持って対処しなければいけないというふうに考えております。しかし、それから各国の間で協調的な政策努力が続けられておるということも一方ではございます。全体の世界経済の動きの中で、インフレのない安定的な成長を達成するということは、各国の経済政策としてこの目標としているところでございます。したがいまして、そういう見地から、それぞれの国が国内の経済に対してインフレのない安定成長を達成していくということは、いまの協調的な政策努力を続けるという点から言っても、当然のことであろうというふうに思います。
 現在の段階で、金融政策の引き締めというふうな全く従来とは違った転換をしようとは思いませんが、いまの物価の状況から考えまして、金融面においても警戒的中立的な姿勢をとるべきであろうというふうに考えております。
#54
○和田静夫君 大臣、政府としては、東京サミットに関連させて金融引き締め問題というのはお考えですか。
#55
○国務大臣(金子一平君) 私どもは、今日の景気が漸次回復してきたということは、やっぱり金融緩和と低金利政策を維持したおかげであると思います。民間経済がやっと芽を吹き出したところでございますから、ここで大きな金融政策の転換を図るべき時期ではないと基本的には考えておる次第でございます。
 ただ、いま日銀からも御指摘のございましたように、円安を契機として漸次卸売物価も上がっておりますし、一次産品も海外からのものはだんだん上がってきております。いろんな徴候に十分警戒を要しながら金融政策を今後も機動的に運営しなきゃいかぬと思いますが、それをサミットに関連してどうするということは私どもは考えておりません。経済は生き物でございますから、今後の動きに十分対処していきたい、こういう考え方でございます。
#56
○和田静夫君 東京サミットのテーマが昨年のボン会議と同様ということになったようでありますが、具体的には通商問題あるいは日米の通商関係、それから日本の黒字減らし問題になると言われているわけですが、これに日本はどういう回答をもって会談に臨まれるおつもりですか。
#57
○国務大臣(園田直君) 東京サミットについては、御承知のとおりに、昨日、きょうと二日間各国首脳代表の資格で参加国から集まって会議を開いているところであり、議題、それからこれに対する開催日時、その他考え方等について議論をしておるようでありますが、これはそれぞれ代表者は国に帰って自分の国の首脳の承認を得て、十日後に、同時に発表することになっておりますから、内容については申し上げられませんけれども、いままでしばしば申し上げましたとおりに、世界経済不況の打開ということがこのサミットの目的でございますから、どのように各国が分担をするか、特に南北問題については共同基金等についても心配をしておりましたが、めどがついたようなかっこうでありますから、こういう点も重点にやっていきたいと考えております。
#58
○委員長(町村金五君) 前川参考人には御多忙中のところ御出席いただき、まことにありがとうございました。御礼を申し上げます。御退席いただいて結構でございます。
#59
○和田静夫君 大蔵省の財務局・財務部の問題、懸案の問題ですが、幾つかの点を昨年秋の本委員会でも質問をいたしましたが、大変答弁が見当外れでありましたので、時間もありませんから整理してお尋ねをいたします。
 一つは、補助金監査の問題なんです。これは行政管理庁の荒舩前長官が会計検査院と財務局部の重複したところの行政である、そういうふうに答弁された。後から、横から行政管理局長が、内部監査と外部からの監査との相違があるというようなことは言っていましたが、しかし、実は、問題として指摘をしたのは、そのことこそが行政改革をやるかやらないかということを占う出発点だということで私は問題提起をしたわけなんです。その意味で私は試金石であると言ってよい。
 幸いに、長年自治体の知事を経験された行管庁長官が生まれましたから、この辺で明らかにしたいのでありますが、繰り返して私はあのときも申し上げたのは、ローマ法に番人の番人という考え方があります、それでも安心できないというので番人の番人にさらに番人をつける、こういう番人の番人に番人をつけるということであったならば、これはもう行政機構というものは無限に拡大をしていくではないか、そういうふうに指摘をしたんですね。監査の性質が違うからということで私が言っていることは認めないとするならば、補助金の監査というのは監査を受ける方にも大きな労力を強いるのでありますから、そういう重複を認めるならば行政改革など何一つできない、財政を担当する大蔵省こそが行政簡素化を私ば率先すべきだろう、そういうふうに考えているんです。大平内閣が、総理が何遍も言われましたが、効率的政府を主張される、そういうものである限りは、この問題に私は正面から取り組むべきだろう、そういうふうに思いますが、知事として十分経験――ある意味じゃ怒りをお持ちになったこともあろうと思いますから、そういう観点に立ってひとつ素直な答弁をいただきたい。
#60
○国務大臣(金井元彦君) ただいま御指摘の大蔵省の監査と会計検査院の監査の問題でありますけれども、もうお話の中にありましたように、性格も違うし、なおまた、ねらいとするところは、大蔵省の監査の方は予算執行についての監査で、それがまた次の予算編成等に役立つようにというふうな観点がかなり中心になっているんじゃなかろうか、こう思うんであります。会計検査院のは、これはもう経理、会計が適正に行われているかどうかという点に、適法とかあるいは適正とか、そういう点に重点があろう、こう思います。
 しかしながら、いまお話しのように、行政簡素化をするためにはできるだけ重複を避けるという観点からいたしますならば、これはやはりそういう観点に立っての簡素化というものを私は考えてしかるべきじゃなかろうか、こう思う次第でございます。これはなお現し実にやっております監査の内容についてよく研究をして、それでよく事柄がわかった上で重複を避ける、こういうふうにすべきじゃなかろうか、こう考えております。
#61
○和田静夫君 ぜひやっていただきたいと思うんです。それで、もう長官ね、調査するなんという段階じゃないと思うんですよ、よくわかっているわけですから。
 会計検査院、どういうふうにお考えになります、いまのことを。
#62
○会計検査院長(知野虎雄君) 大蔵省が行います予算執行監査は、会計法四十六条の規定によりまして趣旨、目的がはっきり規定されておるわけでございまして、会計検査院が憲法の規定あるいは会計検査院法の規定に基づきまして検査をいたしますからといって、こっちの方が要るとか要らぬとかというふうなことは私からは申し上げられないと思います。
#63
○和田静夫君 繰り返しませんが、私、大蔵省は予算編成等の関係でいろいろ兼ね合いを持っているということは十分にわかっています。ただし、執行後のことに関しましては、言ってみれば国会には決算委員会がありますし、十分に機能は果たしますし、会計検査院もあることですから、そういう実情というのはやっぱり大切にしてもらって、整理できるところは整理をする、こういうふうに行管庁長官よろしいですか。
#64
○国務大臣(金井元彦君) ただいまお話しのような趣旨によりまして、重複を避けるということについては実行するように努力したい、こう存じます。
#65
○和田静夫君 財務局・財務部の第二の問題でありますが、地方財政調査の問題です。これはもう頻繁に行われているわけです。地方団体がこれに協力をしなければならない法的根拠はない、これは法制局長官が前国会でそういうふうに答弁されているんですが、これは引き続いて確認をしておいてよろしいですね。
#66
○政府委員(真田秀夫君) 昨年の十月の七日に、当委員会におきまして、和田委員からただいま御指摘の御質問が突然ありまして、私は、和田委員の御質問の趣旨は財務局なりあるいは財務部が一般的に地方財政に関する調査を行う、そういう権限があるかと、それに対して地方公共団体がこれに協力しなければならない法律上の義務があるのかという御趣旨の御質問と受け取りまして、それでそういうような協力の義務は法律上生じてはこない、ただ、会計法とかあるいは資金運用部資金法等によって個別に監査なり調査の規定がある場合には、もちろんそれはその調査、監査に対して地方公共団体は応じなければならないことはこれは当然でございまして、先ほど来問題になっておりますように、あるいはこれは検討に値するかもしれませんが、現行法としては、各個別にそういう権限が規定してある場合には、当然、地方公共団体はその調査に応じなければならない、それは考え方はいまでも変わっておりません。
#67
○和田静夫君 したがって前段言われましたように、一般的に地方財政調査について地方公共団体は協力をしなければならないそういう法的な根拠はない。大蔵省が、そして他のすべての中央政府、省庁同じことでありますが、地方自治、地方財政の実情をもし知る必要があったならば、所管者である自治省から資料を取り寄せるように私は改めるべきであろう。法的根拠もないのに直接地方団体に資料を求める、事情を聴取する、そして調査する、そんなことはあってはならないんだろうと思うんです。これができないで、私は、行政改革だとか、あるいはチープガバメントだとかいうようなことはできるはずがないだろう。官房長官、ここは明確に、いま前段法制局長官がお答えになったとおりなのでありますから、ひとつ改める約束をしていただきたい、政府として。よろしいですか。
#68
○国務大臣(田中六助君) 自治省、それから大蔵省あるいは会計検査院、それぞれの機能、あるいはそれぞれの職務によって調査あるいは監査などをやっておるわけでございますので、それがダブって地方自治体に迷惑をかけるというようなことがあるかもわかりませんが、私は、それぞれの職能、機能でやっておるわけでございますので、いままでどおりでいいんじゃないかというふうに思います。
#69
○和田静夫君 いや、これは官房長官、それはさっきから行管庁長官と何遍も一いきさつ話をしましたし、二回にわたる予算委員会の経過もあって、この辺、安上がりの政府というか、効率的な政府というものを大平内閣が主張をされる以上、いま申し上げたようなところというのをやはり改革をされませんと、それは効率的な政府にはなりませんよ。そこのところは十分にお考えになってしかるべきであろう、そういうふうに考えます。
#70
○国務大臣(田中六助君) 和田委員のおっしゃるとおり、簡素にして効率ある政府ということを標榜している政府としては、和田委員のおっしゃることは十分考えていくべき余地はあるというふうには考えます。
#71
○和田静夫君 大蔵大臣、これ前の大蔵大臣の答弁の訂正をここで求めるということで、それは可能でしょうね、これから物を言いますけれども。前大臣の発言は間違っていますから、そこのところは。いいですね。
#72
○国務大臣(金子一平君) どうぞ。
#73
○和田静夫君 村山大蔵大臣は、私に対して、こういうふうに答弁されたんですよ。「別に私は権限争いをやっているつもりではちっともございませんが、大蔵省が膨大な国庫支出金を出していることも御承知のとおりでございます。それから交付税を出しておることも御承知のとおりでございます。」云々と言って「したがいまして、自治省と」云々、こうなっているんですね。それで、私はもう非常なうぬぼれだと思って、いいかげんな答弁なんで、大蔵省が地方交付税などを出しているということではない。これはもう、私は、佐藤総理とも福田総理とも田中総理とも、歴代の総理、大蔵大臣とちゃんと地方交付税交付金というのは間接課徴のいわゆる地方税、こういうふうにもう明確に有権的解釈を確立をしてきたこと。この間時間切れになったから、村山大蔵大臣の言ったことをそのまま逃しておいたんですが、ここのところは訂正をしていただきたいと思いますが。
#74
○国務大臣(金子一平君) 交付税に関する権限は自治大臣に属するものと考えます。
#75
○和田静夫君 いまの大蔵大臣の答弁、これは自治大臣しっかりと、よろしいですね。
#76
○国務大臣(澁谷直藏君) ただいまの大蔵大臣と同じように考えております。
#77
○和田静夫君 公正取引委員長にまず伺いますが、薬事法の改正作業がずっと進んでいるようであります。私、その原案は持っていますが、二次案というやつですが、この前の予算委員会で総括のときにも若干一般質問的な内容で触れましたが、業者に記帳義務を課すことが大きな特徴になっているんです、一つは。これは先日当委員会で答弁を求めなかったんですが、厚生大臣がわざわざお立ちになりまして、「医薬品の在庫管理を的確にしていくこと、品質管理の適正を図る。」「問題医薬品が発生した場合の回収措置等を迅速にし確実にしていくための方法」というふうに答弁されたんです。厚生省の考え方はこれでわかったんですがね。しかし、医薬品流通において製薬メーカーの高値安定を助長するということに私はなるだろうと思う。現金問屋など、現実に存在をするそれらのものを締め出すおそれは十分にある。すでにもう各省の法案協議の段階に入っているわけでありますが、公正取引委員長としては、この点はどういうふうにお考えになりますか。
#78
○政府委員(橋口收君) 三月十二日の当委員会で和田委員から御質問がございまして、そのときはまだ中央薬事審議会の答申が出ておらなかった段階でございまして、意見を申し上げることは御遠慮さしていただいたわけでございますが、その後、審議会の答申も出まして、いま厚生省と各省との間で相談事が始まっておる段階でございまして、当方にもいろいろ御相談がございます。
 立法作業の内容としまして、法令的な表現につきましてもいろいろ工夫がなされておるようでございますが、その精神は、おっしゃいましたように、販売業者に対して記帳義務を課するという趣旨でございまして、審議会の答申におきましても、この規定につきましてはさらに省令段階で念査をする、こういういわば付帯条件がついておるわけでございまして、私どもといたしましては、せっかく政府の内部で調整の段階でございますから、いまこの席でこうだということを的確に申し上げるのはなかなか申し上げにくいのでございますが、ただ、厚生大臣のお答えにもございましたように、これは医薬品全般についての在庫管理ということを含んでおりますので、あらゆる販売業者につきまして、あらゆる薬種のあらゆる品目につきましての記帳の義務を課するということは、行政目的との関係において果たして適正であるかどうか、ある意味ではオーバーではないかという感じすら持つのでございますが、これは独禁法の立場から申し上げることかどうか問題がございますので、独禁法の問題に限定して申しますと、おっしゃいましたような製薬会社の流通管理、在庫管理というものがやりやすくなるという面は確かにあろうかと思います。そういうことによりましてメーカーによる規制の強化がおっしゃいましたような薬価の高位安定に資するという面があるといたしますと、これは競争政策の立場から決して好ましいことではないと考えますので、最終的にどういうふうになりますかはまだ申し上げる段階でございませんが、そういう立場でいろいろと相談をしているというのが現状でございます。
#79
○和田静夫君 さらに公取委員長にお聞きをしておきますが、薬の有効性あるいは安全性を維持するのには、私は、薬を飲む人、この消費者に最も近い段階でチェックをすべきだろう、このためには薬局及び医療機関の管理が必要ということになる。
 ところが、この厚生省の改正案をずっと見てみますと、記帳義務を直接規定した三十七条の二の規定は削除をする。そういうふうに削除はされたのでありますが、第九条の二あるいは第十六条及び二十七条によりまして、薬局、販売業者、製薬会社にだけ記帳義務を課そうとしているわけです。私は、医療機関及び輸入販売業者に義務を課さないで、薬局、販売業者にだけ記帳義務を課するというのは、これはすでに公正取引委員会も指摘をされているようでありますが、現金問屋を事実上締め出すことにつながる。そういうふうにお考えになりませんか。
#80
○政府委員(橋口收君) 和田先生がおっしゃいましたような御意見を、いろいろ私のところにも直接おっしゃってくる方もございます。ただ、法律上現金問屋を当然に締め出すことになるかどうか、これは専門家でございませんのではっきりしたことを申し上げにくいのでございますけれども、いずれにいたしましても医薬品の流通につきましていろいろ問題がある、こういう認識を持っておりますので、今回の法律改正がそういう認識とのつながりにおいて一体どういう意味を持つか。また、先ほどもちょっと触れましたように、販売業者全体に対してそういう義務を課する、つまり流通段階において義務を課するということが厚生行政なり医療行政の立場から本当に必要なものかどうかということにつきまして、いろいろ厚生省と意見を交わしている段階でございます。
#81
○和田静夫君 私が述べましたこの有効性、安全性確保のためには、薬の最終使用者ができるだけ直前の段階で管理することが必要だ。ところが厚生省案では、医療機関を除いて途中の段階だけ記帳義務を課そうというのです。私は医療機関にこそ記帳義務を課すべきであろう、そういうふうに考えているんです。
 それから、販売だけではなくて、現在は膨大なサンプルなどが医療機関で使用されていることはこれは半ば公然の事実であります。これを外して私は適正な管理などというのはあり得ないだろう。厚生省の改正案は、そういう意味では私は大きな脱漏があるん、だろう。医薬品の管理について全体でなく一部だけをとらえようとする、こういうのはちょっと何かに偏っているような感じがするんです。公正取引委員会は、事務的にはこういう点はすでに協議の段階か何かで厚生省に申し入れられているというふうに仄聞をいたしますが、これは公取委員長、公正取引委員会の見解として、いま述べた二点というのは確認ばできませんか。
#82
○政府委員(橋口收君) 流通一般の問題として常識的に考えますと、中間段階につきまして何らかの法制的規制のあるという例は大変少ないのではないかというふうに一般的な見解を持っております。中間段階について何らかの義務を課するというのはよほどの理由がなければならないわけでございまして、流通段階での競争を促進するというその見地から申しますと、そこに行政の手が入るということは、物資の流通なりあるいは価格の競争的条件に対してどういう作用を及ぼすかということはこれは念査をする必要があるわけでございまして、末端の医療機関における記帳義務等々の問題につきまして、私はちょっと申し上げる立場にございませんけれども、一般的に申しまして、危険物とか爆発物というものにつきましては、おっしゃるような規制があるようでございますが、一体医薬品につきましてそこまで必要かどうかにつきましては、ちょっと十分な見解を持っておりません。
#83
○和田静夫君 予算委員会で問題提起をしたことでありますから、恐らく公正取引委員会としてもいろいろ協議をされながら厚生省にそれぞれの申し入れなどというものが行われると思うのですが、そういう場合には、厚生大臣はお従いになりますね。
#84
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、国会に上程をいたしますまでの間、各省協議の段階で十分議論は闘わしていき、私どもの志向する方向というものを納得していただく努力をしていきたい、そのように思います。
#85
○和田静夫君 ところで、この三十七条の三という条項が設けられたわけです。一般販売業と卸売一般販売業とを新たに区別をされる、厚生省令で遵守事項を定めるということにされていますね。区別は二十六条でも規定されておりますが、この意図というのは何でしょう。この概念区分を説明してもらいたいのですがね。
#86
○政府委員(中野徹雄君) お答え申し上げます。
 現在すでに先生御指摘のとおり、二十六条の関係で異なった取り扱いがされておるわけでございますが、私ども、今回の法律改正の一つの主眼点といたしまして、医薬品の効能効果あるいは安全性等につきましての医薬品に関する学術情報のユーザーに対する伝達ということにつきまして、その精度を、正確を期するということを一つの主眼点といたしております。現在、まあ主といたしましてメーカーの責任におきまして、それらの学術情報を伝達するわけでございますけれども、御承知のように、メーカーはプロパーあるいはリテールマンと言われている人たちを使いましてこの情報伝達をやるわけでございます。大量に医療機関に納入をいたしますところのいわゆる専業卸と申しますか、こういうカテゴリーの業者につきましては、やはりメーカーの一種の補完的な役割りから医薬品の安全性、有効性に関する伝達義務をやはり専業卸におきましては責任の一半を負っていただくということを考えておりまして、そのような意味におきまして、専業卸を学術情報伝達の一つの使命を担うものとしての位置づけをするという意味におきまして、単なる小売的な一般販売業者と専業卸とを区別いたしまして法律上の責任を負わせる、こういうことを考えております。そのために特別の区分を設けたいということで、現在政府部内で鋭意検討中の段階でございます。
#87
○和田静夫君 私、実は昨年一月一日に施行されました西ドイツの新しい薬事法、それからアメリカの薬事法も読みましたが、販売業者に記帳義務を課してはいないのであります。世界の例を見ても、販売業者だけに記帳義務を課す法律をつくっている国があるのでしょうかね、あったら教えてもらいたいと思います。
#88
○政府委員(中野徹雄君) お答え申し上げます。
 確かに、法律上の明確な義務づけをしている例といたしまして、私どもの承知しております範囲内におきましては、スイスにおきましていわゆる州の集まりました機構としてのIKSの規定の中にそのような記帳義務の部分がございます。
 日本の場合になぜこれらが必要なのかという御指摘でございますけれども、先生よく御承知のとおり、日本の医薬品の流通機構は、医薬分業が達成されておりますところの諸外国に比べまして、極端に複雑な流通経路をたどるわけでございます。特に、はなはだ嘆かわしいことでございますけれども、市場の一部におきまして必ずしも出所の明らかでない、極端な場合にはいわゆる偽造医薬品のごときものが出回っているケースがございます。これは刑事事件としてすでに何回か表面化したことでございますが、このような複雑な流通経路、それから日本における医薬品の医薬品にふさわしからぬ取り扱いということについてのいわば行政的な改善努力をするという意味におきまして、われわれといたしましては、今回この記帳義務をお願いをするということで考えておるわけでございまして、そのようなわれわれの意図について、何とぞ御了解賜りたいというふうに考えております。
#89
○和田静夫君 私は、そこの部分を否定的じゃないんですよ。ただ、厚生大臣、医療機関に、どうして先行的にやるべきところに義務を負わせないのですか。ここのところがどうしてもわからぬわけですよ。
#90
○政府委員(中野徹雄君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘、私どもといたしましては、末端のいわばユーザーといたしまして、個々の消費者もありまた医療機関もあるわけでございます。薬局につきまして仕入れ等についての記帳義務を課すわけでございますが、医療機関についての御意見はいろいろ国会でも御指摘を受けておりますので、その点をも含めまして現在最終的な法案の形はいかがあるべきか、検討中の段階でございます。
#91
○和田静夫君 ひとつ現実の問題を伺いますが、薬品などの種類、数量、それから製薬メーカー、販売業者、薬局、そうして医療機関、これはどれくらい数がありますか。
#92
○政府委員(中野徹雄君) メーカーの数は非常に小さいものまで含めまして約二千程度であるというふうに記憶いたしておりますが、代表的な医薬品メーカーということになりますと、非常に数が限定をされまして、せいぜい二、三百というふうな感じのものでございます。卸に関して申しますと、先ほど申し上げましたような専業卸の数は非常に限られておりまして、せいぜい六、七百程度というふうなことでございまして、この専業卸の手によりまして医薬品の総出荷額の大体八割前後のものが扱われておるというふうに理解をいたしております。
 薬局の数は、保険薬局の指定を受けていないものまで含めまして大体三万ぐらいでございましょうか。保険薬局の指定を受けているものは二万数千という形でございます。それからその他に、先生御承知のとおりに、薬種商とか配置販売というようなものがそれぞれ二万前後ぐらい数がございます。
 それから医療機関の数といたしましては、私は正確な記憶であるかどうか自信がございませんけれども、いわゆる診療所が大体六、七万というふうな数で、病院の数が大体八千程度でなかったかというふうに記憶いたしております。あるいは記憶違いの面があるかもしれませんが、その点お許し願いたいと存じます。
#93
○和田静夫君 そこで、これらに記帳義務を課した場合に、一体どれくらいの事務負担になると推定されるわけですか。
#94
○政府委員(中野徹雄君) 私といたしましては、実は記帳義務を課することによりまして、記帳義務を課せられる側の業務の増加ということはほとんどあり得ないというふうに考えておるわけでございます。実は、専業卸等につきましては、すでにコンピューター化されているものが非常に多いわけでございますし、当然伝票等がございますから、この伝票の作製、保管というようなことをきちんと法規上の規制をするというようなことで事足りるわけでございまして、むしろ私どもとしましては事柄の正確さを期するというところに一つの主眼点を置いているというふうにお受け取り願いたいと存じます。
 それから、もちろん薬局とかいうふうな場合に、個々のユーザーに対する販売でございますね、AならAという人にこういう薬を売ったというところまで全部相手方を明記しまして記帳するというふうなことはもう当然必要でございませんので、そのようなことは考えておりません。したがいまして、私どもといたしましてはこの記帳義務によって関係者の方々が非常に膨大な手数がかかるというようなことはあり得ないものというふうに考えております。
#95
○和田静夫君 さらに現実問題ですが、記帳義務を課しておいて、その監視はだれがどのようにされるわけでしょうか。言ってみれば、厚生省あるいは都道府県などにそういう能力がいまありますか。
#96
○政府委員(中野徹雄君) お答え申し上げます。
 監視ということにつきましては、もちろん法律上記帳義務を課しまする場合に当然、現在、先生よく御承知のとおりに二千四、五百の薬事監視員が全国に配置されておるわけでございます。この二千四、五百の薬事監視員の方々は大体年間二十五、六万件の何と申しますか、薬事監視、現場に立ち入っての薬事監視を現在実施いたしておるわけでございまして、その結果としまして、違反事項みたいなものが発見される率が約十分の一で、年間二万数千件の薬事法違反のケースが発見をされて、それぞれ是正措置をとっておるというようなことでございますが、私どもは記帳されておるということを行政上の指導によりまして徹底をするということで、その記帳内容について特段に常時それをチェックするというようなことは考えておりません。
 というのは、大臣からも御説明いたしましたように、たとえば不良医薬品の回収問題などが発生いたしました場合に、この場合には日本の流通経路が非常に複雑でありますために、流通経路が明確でございませんとどうしても回収漏れが出るという問題がございます。そのような観点で、もしもそのような仮に不良医薬品を回収すべき事態が生じた場合には当然その流通経路を精査するということでございまして、記帳内容を一々いわばルーチンにチェックをするというようなことはいまのところ考えておらないわけでございます。
#97
○和田静夫君 義務づけておいて、監査するということをお考えにならないという答弁は、どうもこの場限りの答弁のような感じがするんですがね、せっかくの局長の答弁ですが。現在、薬事監視員の監視体制というのは十分御存じだろうと思うのですが、これは兼任職員が非常に多いんですよ。言ってみればほとんどできていない、検定さえメーカー任せと言ってよい状態なんです。ここもまた非常に問題だと思っているんですがね。それなのに帳簿の監視がどのようにできるのかというのはちょっと考えられない。いまのように全然やらないんだと言われてしまえばそれまでですが、やらないなどということはとても考えられませんからね。その点は具体的にどうなんですか。
#98
○政府委員(中野徹雄君) 先ほど御説明いたしましたように、私どもといたしましては、記帳の義務づけをすることによりまして、医薬品が医薬品にあるまじき流通経路をたどるとか、あるいははなはだしきは偽造医薬品などが出回るという現実は非常に私ども恥ずかしいと思っておるわけですが、そういう実態に対する是正努力をしたいというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、行政的に流通経路をチェックするという事態が生ずるのは、先ほど申し上げましたようにその必要がある場合でございます。その必要のある場合には正確に流通経路をたどって回収等が円滑に行われるように考えるということでございまして、常時どこから仕入れているかとか、そういうふうなことは、先生の御発言の御趣旨にございましたように、商取引についてのいわば事項でございまして、これについてわれわれとしては何ら立ち入る意図もないし、またそのようなことは衛生法規としての薬事法の性格上許されないというふうに考えておるわけでございます。
#99
○和田静夫君 自治大臣、さっきから偽造薬品の話が出たり、それから盗品がたくさんあるという話、国家公安委員長として、こういう実態はいまお答えになれますか。
#100
○国務大臣(澁谷直藏君) 申しわけございませんが、つまびらかにいたしておりません。
#101
○和田静夫君 それじゃ自治大臣、いまの論議の中で、この薬事監視員など、結局法改正がされていけばかなりの人員を地方自治体にふやさなければいかぬと思うのです。そういう負担増が求められた場合には自治体定数をふやしていくという、そういう要望には自治省としては応じられるということになりますか。
#102
○国務大臣(澁谷直藏君) まだ厚生省の方から具体的な相談は受けておりません。ただ一般論として、もう和田さん御承知のように、地方自治体も財政が火の車でございますから増員は極力抑制したい、これが私どもの基本方針でございます。
#103
○和田静夫君 厚生大臣、いま自治大臣の答弁があった側面からも、十分改正に当たっては配慮をすべきことだろう、そういうふうに思いますが、これは意見として申し述べておきます。
 製薬会社が大量のサンプルやら、あるいは試験研究費と称する現金ですね、そういうものを国立病院を含めて病院、診療所、医院にもうそれこそばらまく。それを条件に販売が行われる。国税庁は医薬品業界申告指導説明会を開かれる。そしてこのサンプル、研究費などの利益計上、それから薬価で六十万円以上のサンプル、販売促進費について資料箋を切ることを指導される。したがって、実情おわかりのはずでありますから、長官まず説明していただけますか。
#104
○政府委員(磯邊律男君) ただいま先生御指摘のような方向で製薬会社の方を指導していることは事実でありますけれども、いま突然の御質問でございますので、それに関する資料は手元にございません。
#105
○和田静夫君 長官、この添付の金額であるとか、あるいは販売の促進費であるとか、あるいは試験研究費などの医師、病院等に支出されている金額ですね。それから全国規模でもあるいは一部抽出調査でもいいんですが、これはどれくらいの金額でどれぐらいの割合でしょう。それもいまはだめですか。
#106
○政府委員(磯邊律男君) ただいま手元に資料がございませんので、ここで御答弁するのができない状況でございます。
#107
○和田静夫君 それでは、いまの二問については後で資料としていただきます。よろしいですね。
 厚生大臣、国立病院の購入医薬品の競争入札はどういう方法で公示されているか御存じですか。
#108
○国務大臣(橋本龍太郎君) 実地を承知しておるとは申せませんけれども、病院内の薬剤委員会において種類、薬効等を検討した上で、一定期間ごとに所要数量を購入する。そして購入契約に当たりましては、原則として競争入札を行うように努めているということだけは存じております。
#109
○和田静夫君 実は、事実上ほとんどの国立病院は競争入札の公示はしていないんです。入札はほとんどの場合、いつも同じメンバーで行われるという状態なんです。これは局長、確認しておいていいですね。こういう状態だということはおわかりですか。
#110
○政府委員(佐分利輝彦君) 競争入札の場合に、一般競争入札と指名競争入札がございますが、国立病院は主として指名競争入札をいたしておりますので、そのような誤解を招いているのではないかと思います。
#111
○和田静夫君 決して誤解じゃないので、一、二の例を挙げてみますが、国立横須賀病院の五十二年九月二十六日の競争入札では、いつも十四社が参加しているようでありますが、そうすると、当然談合が行われて薬の購入単価というのが高いわけです。そこで事務局が現金問屋を一社新たに入札に参加させようとして、九月の二十二日に書類提出をさせたところが、早速近くの喫茶店で談合に応じるように求められたという事実関係があります。これを断って入札で総額四千五百万円のうち一千万円程度を落札した。そうしたところ、厚生省のキャリア組で、病気のために天下っていました辻薬局長がメーカーに仕入れルートを問い合わせて、そしてその現金問屋におどしをかけた。結局、落札したにもかかわらず納品を三分の二削減をさせた。そういう事件があったわけです。これは私は、明らかに独禁法に違反する不公正な取引に当たりますから、今後すぐ改めさせるべきだと思うのですが、これは大臣どうです。
#112
○国務大臣(橋本龍太郎君) 寡聞にしてそのケースを私は直接存じませんでしたが、これは医務局に命じて調べさせた上で、そういう実態がありましたら是正するにやぶさかではありません。
#113
○和田静夫君 これは一種の不正行為に加担をしたということになりますからね、調査結果が明らかになったら、いまは部署を変わられてしまったのかもしれませんけれども、これはその人自身の責任問題というものも当然あるだろう、そういうふうに考えます。よろしいですか。
#114
○国務大臣(橋本龍太郎君) いま申し上げましたとおり、事実を調査した上で、それに応じた私どもも行動をとりたいと思います。
#115
○和田静夫君 信州大学付属病院では、地元業者が新規入札業者を参加させないために、この新規の入札業者が入るなら地元業者は今後手を引く、そういうふうに一種のおどしをやるわけですね。そして入札から締め出す。これも私は独禁法違反だと思うのです。御存じでしょうか。
#116
○国務大臣(橋本龍太郎君) 国立大学の付属病院は私の所管外でありますので、全然存じません。
#117
○和田静夫君 これは文部大臣呼んでいませんでしたのであれですが、ミドリ十字という製薬会社がある。それでウロキナーゼ、これはあなたの所管ですが、国立甲府病院に落札、納入しようとした現金問屋を締め出した。それは同病院に独占的商品であるプラスマを売らないと言うんですよ。そういう言い方をするわけですね。それで新規入札の現金問屋を締め出す。これも明確に独禁法違反ですよ。
#118
○政府委員(中野徹雄君) 確かに、血漿分画製剤のプラスマネート等は非常に品不足でございまして、そのようなことがもしもございますと、それは非常に問題のケースだと存じます。早速に事実を調査いたしまして、しかるべき処置をとりたい、かように考えております。
#119
○和田静夫君 こういう例を挙げていくともう枚挙に実はいとまがないんです。その意味でよく調べていただきたい。
 それで私は、入札日が明らかにされずに、入札業者が決まっていて、まあ汚職とまでは言わないにしても、そういうにおいのするようなことが横行する。これは最近摘発されている国立第二病院だけじゃない。ここは厚生大臣、十分に調査をされて対処をしていただきたいと思いますが、よろしいですか。
#120
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先般来の事件、第二病院だけを言われましたが、大蔵と両方のケースを踏まえまして、二月の十七日に各国立病院・療養所、また国立がんセンター、国立循環器病センター、同時に各地方医務局に対しまして、医務局長から、こうした事態を再び招くことのないように厳重な通達を出させております。こういう事件が一つ起こりますと、本当に氷山の一角と言われても私どもは返す言葉が現実にないわけでありまして、私は全体の職員は決して御批判をいただくような行動はとっておらないと、厚生省の職員を信頼いたしておりますけれども、こうした御批判を受けておるわけであります。それだけに今後、なお一層の全職員の自覚を促すと同時に、適正なやはり購入実施が図られるように、事務処理方法等についても再点検を命じたわけでありまして、こうした事件の教訓は非常に苦い教訓でありますが、これを生かして再発を防止するように全力を尽くしたい、そのように考えております。
#121
○和田静夫君 総務長官、総括のときに長官がいらっしゃらなかったから注文だけつけておきました、完全失業の率のとり方の問題について。あれから若干時間がたちましたが、何か方針をお決めになりましたか。
#122
○国務大臣(三原朝雄君) お答えいたします。
 先日はどうも失礼いたしました。衆議院の本会議中で申しわけございません。
 完全失業者のとり方につきまして、調査期間中少しでも仕事をした者は就業者として取り扱っておるわけでございます。このことはその際にも申し上げたと思いまするけれども、ILOの基準に基づいて各先進国――アメリカあるいは英国、カナダ等もこれを実施いたしておりまするので、これをすぐ改正をするというようなことはいまのところ考えておりませんが、しかし潜在失業者につきましてはいろいろ問題のあるところでございまして、学者、専門家の間におきましても、この問題につきましては問題として検討を進めておるところでございまするし、そういう意味におきましても、今後この問題は御指摘もございましたし、検討を進めさしていただこうと、そういうことで進んでおるところでございます。
#123
○和田静夫君 実態に即したものにすべきであるということについては官房長官もお答えになっていますし、いまのお答えもありましたので、私は両院がやっぱり雇用の問題の集中審議をやったという意義とのてらいにおいて、やはり急いで改善をすべきだ、そういうふうに思いますので、意見を申し述べておきます。どうもありがとうございました。
 最後の問題でありますが、運輸大臣、前福永運輸大臣は前臨時国会のこの委員会で、大都市交通問題についての私は関係閣僚会議などを起こしながら、新しい年度に向かっての方針というものが樹立をされていかないとなりませんという意見について、福田総理大臣を代理をされてその趣旨に向かって努力をいたしますと、こう答弁をされたわけですが、森山運輸大臣も同じ意見をお持ちでしょうか。
#124
○国務大臣(森山欽司君) 都市交通にいろいろ問題があることは事実でございます。交通安全の問題だとか、あるいは環境問題、あるいは限られた都市空間の効率的利用と省エネルギーとか、いろんな問題があるわけでございますから、そういう問題につきまして、これは一運輸大臣だけができる問題じゃございませんから、よく相談したらよかろう、こういう意味ではおっしゃる趣旨はよくわかります。ただ私は現在の都市交通だけではなくて、総合交通全体を考えまして、政府の基本的な体系というものができたのが昭和四十六年でございまして、自来数年間たっております。そして四十八年には石油ショックがあり、また近来の特殊の石油事情等がございますから、特に省エネルギーという考え方からは、都市交通のみならず、もう総合交通体系全体を考え直してみなきゃいかぬ時期ではないかと考えておりますので、昨年の秋御質疑がありました、都市交通に関する関係閣僚会議より一回り構想を大きくした総合交通体系の練り直しという意味で私はこの問題をとらえていくべきではなかろうか、そういうふうに考えている次第でございます。
#125
○和田静夫君 私はそれで結構だと思うのです、その中に占める大都市交通の意義というものもそこでまた問い直されるでしょうから。そういう意味で、答弁だけではなくて、やっぱり直接的に大蔵大臣、自治大臣、運輸大臣などが関係閣僚として十二分に協議を願う、こういうやっぱり機構があって、そしてそこに対して私たちも意見を述べることができるという配慮というものを、時間がなくなりましたから多くのことを言いませんが、ぜひ求めておきたいのです。
 そこで自治大臣、最後ですが、公営バスが再建途上にある。再建途上にある以上、私は五十五年以降の対策というものは当然お考えになっていると思うのです。これは具体的にはどういうふうにいまお考えになっていますか。
#126
○委員長(町村金五君) 和田君、時間が参りました。
#127
○国務大臣(澁谷直藏君) 御承知のように、再建計画を立てておる公営バス、公営企業に対しまして、五十三年度で例の補助金が打ち切られることになっておったわけでございますが、実態を見ますると、まだ補助金を打ち切れる状態にはなっておりません。そういうことで、五十四年度以降も引き続き補助金を継続する、こういうことにいたしたわけであります。
#128
○委員長(町村金五君) 以上で和田君の一般質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#129
○委員長(町村金五君) 次に、下条進一郎君の一般質疑を行います。下条君。
#130
○下条進一郎君 最初に運輸大臣と国家公安委員長にお尋ねいたしたいのでございますが、実は昨夜来のテレビ、新聞等のニュースによりまして、大清水トンネルが非常に難工事であるとは申せ、非常に大きなまた被害を、人災を生じたわけでございます。けさまでの調査によりますと、十二名の遺体がさらに搬出され、すでに犠牲者が二名出ておられますので、十四名という大変に大きな被害を生じたわけでございます。まことに御同情の限りでございます。いろいろな情報を拝聴いたしておりますと、この問題につきましては天災というだけでなくして、まあ人災と申しましょうか、管理面におけるいろいろな粗漏の累積で起こったやに承っておるわけでございます。まことに残念でございます。たとえば労災関係のいろいろな検査があった後であるとか、あるいはまた、そこに入っております作業員が十分に訓練されていない出かせぎの方が多い、まあそういう問題についての監督、管理が十分でなかったと、いろいろ後から悔やむ問題が出ております。機械の点検も十分でなかった、消火器が使えなかった、いろいろなことがたくさん出ておりますが、済んでしまったことに対してもう一回その原因をはっきり突き詰めて、今後に再びそういう災害が起こらないようにやっていただきたい。それがまず第一の問題でございます。その点につきまして、運輸大臣と国家公安委員長の方から経過の御説明をお願いいたしたいと思います。
#131
○国務大臣(森山欽司君) 大清水トンネルにおける火災事故の発生についてまず御報告を申し上げます。
 三月二十日午後九時四十分ごろ、日本鉄道建設公団において工事中の上越新幹線大清水トンネルの大宮側より約七キロメートルの坑内において出火延焼し、作業員十四名が坑内に取り残され、この救助に向かった二名が死亡するという事故が発生いたしました。運輸省といたしましては事故の重大性にかんがみ、林大幹政務次官を現地に派遣する等、被災者の見舞い等に万全を期した次第でありますが、残念ながら十四名のうち十二名の遺体が発見され、いまなお二名が行方不明となっております。
 原因は、大型削岩作業台を解体中のガス切断機の火花が付近の油類に引火したためではないかと見られておりますが、関係機関と協力の上、その究明に遺憾なきを期す所存であります。
 日ごろから工事中の安全確保につきましては、いろいろ指導してきたところでありますが、このたび不幸にしてこのような事故の発生を見ましたことはきわめて遺憾に存ずる次第であります。今後は同種の事故の再発防止に万全の上にも万全を期するよう指導してまいる所存でありますが、とりあえず鉄建公団及び国鉄に対し、建設中のトンネル工事について、安全総点検を実施するよう指導したところであります。
 ただいま原因について、いろいろなことが報道されておりますことについて御注意がございました。なお詳細に調査をいたしまして、それに対する対策も講じ、また所見も深めてまいりたいと思いますが、自余の問題につきましては事務当局から説明いたさせます。
#132
○国務大臣(澁谷直藏君) 警察としては、この不幸な大災害の原因がどこにあったか、これからその原因の究明に当たるわけでございますが、とりあえず救助隊の問題でございますが、警察官七十名、消防関係七名、こういった人員を派遣いたしましてこの救助に当たっておると、こういうことでございます。
#133
○下条進一郎君 まだ事故が起きてから日も浅うございますので、いろいろの原因の探求について鋭意努力していらっしゃることはわかりますので、徹底的な解明をやっていただいて、再びこのような事故が起こらないように関係御当局の御努力をお願いする次第でございます。
 なお、これに関連してもう一点だけ承らしていただきたいと思いますのは、その犠牲者に対する補償でございます。この問題につきまして、大変に御家族も心を痛めておられるし、またすぐ御家庭の生計にも影響するようなことでございますので、一体こういう場合にはどのような補償なり救済の措置があるのか。それは、国家的な措置と、関係者の会社のいろいろな救済の措置もあろうかと思いますが、そういう問題について運輸当局としては直接関係のある官庁としてどのように考えていらっしゃるか、わかる範囲で結構でございますが、簡単に御説明いただきたいと思います。
#134
○政府委員(山上孝史君) 被害者の方に対します補償の問題でございますが、結論的に申し上げまして、まず労災の補償の制度、これの適用があるかと思います。さらに、それでは賄い切れない分につきまして、責任者、それから適切な補償が確保できるように私どもといたしましても鉄建公団を指導監督する立場から十分にこれを見守ってまいりたいと思います。
 なお、ただいままでわかりました事実関係といたしましては、被害者の方の一名の方を除きまして、鉄建公団から直接請け負っておる建設業者の下請の方のようでございます。そういうこともございますので、下請問題をも含めまして事故原因を徹底的に究明いたしまして、その結果の責任の所在を明確にいたしまして、それで十分に被害者の方に対しましては補償におきまして対応できるように指導監督をしてまいりたいと存じます。
#135
○下条進一郎君 原因の究明とあわせて本格的な救済をやっていただくことは当然でございますが、すぐにもう困る方も出てくると思いますので、一刻も早く手厚い遺族に対する手当てをしていただきたいと特に要望する次第でございます。
 その次は物価問題でございます。
 物価問題につきましては、すでに総括質問の場合にもいろいろと質疑がございましたけれども、その後依然として物価問題のいろいろな懸念がやはり消え去らない、そういう点が私たちの心配の種でございます。これにつきましては、すでに御承知のように昨年末までは大変に順調な足取りをしておったわけでございます。卸売物価にいたしましても、消費者物価にいたしましても、過去に例のないような低水準に安定していた。これは大変に好ましいことでございまして、それが今日の景気浮揚の一つの大きな基盤になっていたと、このように喜んでいた次第でございますけれども、それらが一つ一つ情勢が変わってきたわけでございます。特に外的要因といたしましては海外の主要な原材料というものが上がってきた。これはいろいろと原因がございますけれども、供給面で申しますと、木材、銅、あるいはその他の非鉄、それからまた欧州のナフサ、そういったものが生産制限するとか、あるいは先高を予想しての思惑需要というものが出てきたとか、あるいはそういうものに関連いたしましてさらに多くの国が買い付けを進めるというようなことで市場が堅調になる。加えて、国内の問題にいたしましても、いろいろな過去の経営が減量経営というようなことから、なるべく身軽にしておこうというようなことから、生産態度も慎重になってきている。それやあれやがございまして、現在やはり物価の基礎材の値段が堅調で続いております。またさらに、すでに議論も出ましたけれども、円高ということが過去における物価を鎮静させる大きな要因でございましたけれども、現在はむしろ円安の基調も出ております。こういうことから、さらにまた、国債が御承知のように大変に大量に出てきておりまして、この問題につきましては後ほどまた別に大蔵大臣にも伺いたいと思っておりますけれども、物価関係から申しますと、国債がやはりマネーフローに関係いたしましてかなり連動的な動きをしているというのが過去のトレンドでも出ております。まあそれやらいろいろの問題がございますので、必ずしも悲観する必要はないと思いますけれども、現状の段階ではなかなかこれは問題があるのじゃないかということを懸念する向きも多々ございます。この問題につきまして、物価の番人でいらっしゃいます経済企画庁長官から、最近の状況につきましてどのような御感触をお持ちであるか、まずそれを承らしていただきたいと思います。
#136
○国務大臣(小坂徳三郎君) お答え申し上げます。
 ただいま下条委員の御指摘のとおりの情勢をわれわれも認識しておりまして、特に日本は石油に対しては非常に弱い国であります。こうしたことが、特にイランの動乱等、またようやくおさまり
 つつありますがベトナムにおける中国との戦闘等の事情から、世界的な基礎物資あるいは戦略物資の値上がりがあったことも事実でございます。また、OPECが先般年平均で一〇%の値上げをいたしましたが、その後の情勢に踏まえて、現在スポット的な相当高値の石油が売りに出されているという情報も的確に把握いたしておりますが、いずれにいたしましても、こうした海外的な要因、そしてまた円がやや安くなってきているということ等、これは見方によりますれば実質的な効果と同時に心理的な効果もございます。このような諸事態とともに、国内の内需は非常に大きくいま伸びつつありまして、十月−十二月だけでございますが、内需の伸び率を年率に換算しますと一三%を超えるような勢いでございます。等々から考えまして、二月の二十六日に物価対策の総合的推進という基本的な方針を決めまして、万般に目を配り、やや早目早目に手を打って物価の安定に大いに努力をしてまいりたいと、そのように考えておるわけでございます。特に私は個々の物価情勢について非常に注目したいのは三月二十六日に開かれますOPECの閣僚会議でございまして、もうすでにOPECは本年平均一〇%の値上げを決定しておりますが、その後の情勢を踏まえてこれがどの程度にまた値上げをするのかあるいはしないのか、同時にまたそれに対応しまして消費者諸国がIEAにおきまして五%の節約を決め、わが国もすでに入っておりますが、こうした需要側と供給側とのいろいろなバランスがございますが、こうした中において三月二十六日にはどのような価格が改定されるのか、あるいは据え置くのか、この辺のところをにらみながら十分今後の物価動勢には配意をいたしてまいりたいと思っております。
 しかし、消費者物価並びに卸売物価が昨年五十三年は非常に安定したということは前内閣の非常な功績であったというふうに私は評価して、またこのいい傾向をわれわれとしてもぜひ維持してまいりたい、そのような努力をいたしたいと思っております。
#137
○下条進一郎君 ただいまの御説明の中で石油問題が出たわけでございます。これは私たち日本の基礎原材料の中で占める割合が相当多いわけでございますので、その値上がりというものもやはり影響は無視することはできません。その点についていろいろと市場で言われておりますのは、そういう意味において買い急ぎをする、あるいはスポットものを買うというようなことで値段が高いものが紛れ込んでいるのじゃないか、こう言われておりますが、意外にそうでもないという説もございます。その点について、私たちは、やはり安定的な供給ということとそれから価格というものと、この両方を大事にしていかなきゃならない。一たん値崩れが起こりますと、日本からそういうようなことで世界に引き上げる一つの原動力をつくるようになるわけでございますので、そういうことのないようにしていただきたいと思うのでございますが、通産大臣といたしましては、石油の最近の輸入動向につきまして、いまの量とそれから価格の面についてはどのようにお考えでございますか、お漏らしいただきたいと思います。
#138
○国務大臣(江崎真澄君) 石油をどう確保するかということは下条さんお話しのようにきわめて重要です。これは、この生産をどう継続させるかという問題、それから国民の心理的な問題、両面から私ども配慮をしておるわけでありまするが、幸いなことに、去年の一−三月よりもことしの一−三月は百万キロリットル程度多く入荷することができる、まあ三月末は間もなくですが、もう間違いなく百万キロリットル程度は多く入荷するという見通しが立ちました。四−六も、昨年同期とほぼ同量、上回ることはあってもそれを削り込むことはない、これも量的に確保することができました。そして一方では、五%節約を今後とも強力に推進をしていこうというわけでありますから、値上がり要因というものは今後いまお話しのありましたOPECの総会においてどういう対応がなされるか、値上げは不可避であろうということが言われておりまするが、それがどの程度にとどまるのか、この問題が一つあります。それからスポットものを中心にメジャーなどがいろいろな情報のもとで値段のつり上げを策することはないのかどうなのか、こういう問題も当然の問題として考えられます。したがって、わが国としては量だけは確保できたわけでありまするから、今後国際情勢を的確に把握しながら長期的視点に立って不当な値上げのないように十分配慮をしていくことが大切だと思います。物価の問題を考えるときに一番危険な要素が多いのはこの石油の値段の問題だという認識に立っておりまするので、十分今後ともきめ細かな配慮をしてまいりたいというふうに思っております。
#139
○下条進一郎君 大いにその点を重視してコントロールしていただきたいと思います。
 それから物価問題に関連いたしまして、昨今土地の問題もやはり大きな投機の対象になっているやに聞いておるわけでございます。これは流動性が非常に高いとどこかにあらわれるということでございまして、証券市場にもその余波が出ておりますし、土地の問題も出ておる。こういうことはゆるがせにできない問題だと思うのでありますが、こういう点で流動性の全体の見通し、それに対する対策といたしましては大蔵大臣はどのように考えていらっしゃるか。特にいままで御承知のようにこの場では議論になりましたのはM2が主として議論されておりますけれども、M1も重視して考えなきゃならない問題だ。これは特に昨年の年初が七、八%でありましたのが一〇になっている。M2は昨年の一〇ぐらいなのが一三になっている。この上がりは若干許容限度だと思いますが、M1の上がりが非常に高いということ。さらに、このM1、M2の中に入りません証券関係、これがかなりの量になっておる。短期証券というものは流動市場の中にはいつでもこれは現金に換価できるものでございますから、そういう動きもあわせて、いまの流動関係、資金の流動性というものがどのように動いていて、これをそのままほっておいていいのか、あるいはそれに対してどういうふうに持っていったらいいか。それはもう即、先ほど申しましたような土地の価格の問題にも響いてくるし、これはさらにそれがだんだん上昇いたしますと全体的な物価上昇にもつながってくるということでございますので、非常に大事なポイントだと思いますので、大蔵大臣からその点の御感触を承りたいと思います。
#140
○国務大臣(金子一平君) 下条さんの御指摘の各企業の手持ち流動性の問題、これはいままだ設備投資に動いていませんから、相当の余裕を持って各機関が金を抱えておることは事実でございます。それがあるいは証券市場に流れたり、一部には――土地に私はそう流れておるとは思っていないんです。土地の投機の原因はまた別にあって、むしろいま企業は土地ブームのときに抱えた土地の処分に困っておる次第でございますから、実需に基づく需要は出ておりますけれども、仮需要まで起こっておる段階ではないと思うのでございますが、しかし、こういう手持ち流動性がどれぐらいになっておるか、いろいろ考え方、見方はあると思いますけれども、あちこちへ飛び火しないような注意だけは十分していかなきゃいかぬと思っておる次第でございまして、それに火をつけることのないように、先般ももうたびたびこの委員会で申し上げておりまするように、金融機関に仮需要のための貸し出しの自粛を求めたりいろいろな対策を講じておる次第でございますけれども、今後もM2の動き、あるいはいまお話しのような手持ち資金の動き等に十分注意を払いまして、必要な対策につきましては機動的にとってまいりたいと考えておる次第でございます。
#141
○下条進一郎君 もう二、三物価問題についてお尋ねいたしたいのでありますが、この前からやはり物価をなるべく上げないようにいろいろな施策を講じていただきたいということが出ておりますのですが、過積と申しましょうか、過積みと申しましょうか、この問題も各省にわたる問題でございまして、各場所において議論が出たわけでございます。ところが、それだけに議論は出るけれども具体的にそれじゃどうしたらいいか、現実問題といたしましては、特に中小の運送会社、あるいはそれを使う中小の業者というものがコスト局になるということで大変に困っておるわけでございます。いろいろなところで議論が出ましたけれども、具体的にそれじゃいま何を、検討中だということでございましたけれども、その後何をやっていただいたか。現在、たとえば建設省の方の関連もございましょうし、運輸省の方の関連もございましょうし、あるいは国家公安委員長の方の関連もございますけれども、それをやったために今度これだけ物価の値上がりにはね返ったものが、ある程度トーンダウンしたんだということがございましたら、それを教えていただきたい。それをみんな待っておるわけでございます。関係三大臣からの御検討の結果を漏らしていただきたいと思う次第でございます。
#142
○国務大臣(森山欽司君) 過積み規制につきましては、総理府の総合交通計画室でございますかを中心にして各省で総合的にこの過積みの問題に対応しておって、いろいろ問題がありますから、一省だけでは解決できませんから、知恵を出し合ってこの問題の解決に当たっているところであります。
#143
○国務大臣(澁谷直藏君) 警察の立場では言うまでもなく取り締まりでございますが、従来非常に悪質な過積みの違反が行われて、それが大きな事故の原因になっておる。これに対して、どうしてもこれは是正をしなくちゃならぬという衆議院、参議院を通じての附帯決議も出ておりまして、そういうコンセンサスの上に道路交通法の改正が行われた。この改正道路交通法の施行によってこの過積みの規制の問題が大きく問題になってきたわけでございますが、警察の当局としましては、この改正前と改正後において、改正後警察が取り締まりを非常に厳しくやっておるのではないかという各方面からの意見があるわけでございますが、警察としてはそのようなことはやっておりません。改正前におきましても改正後におきましても悪質な違反というものに重点を置いて取り締まりをやっておるわけでございます。ただ、この問題は、確かに御指摘のような問題を生じてきておりますので、ただいま運輸大臣から答弁がありましたように、関係省庁が協議をして何らかのとにかく対策、結論というものを出していきたい、このように考えております。
#144
○国務大臣(渡海元三郎君) 建設資材は、海外要因と過積みがかち合ったものでございますから高騰があったことは事実でございますが、需給関係は現在のところ非常に安定し、各地方の協議会においてもこれを十分監視しております。
 なお、いま御指摘の運搬方法でございますが、骨材等は船積み、あるいは木材等は貨車積みというふうに指導いたしまして、この分による値段の高騰というものがないように指導しております。
#145
○下条進一郎君 それでは、この点について、くどいようでございますけれども、関係大臣にもう一回申し上げておきたいと思いますが、この前のときと同じように、御検討中とか、いろいろ法規上の障害、むずかしい問題があろうかとは思いますけれども、状況は変わっていないように承るわけでございます。これでは、政府に対して何らかやっていただけるのじゃないか、物価を抑えるという点からも大事だし、また中小企業者の採算の点からいっても大事だと、こういう問題についてはっきり言ってまだ御回答がないような感じで承りましたので、いままだ無理でございましたなら、なるべく早い期間にこの問題の結論を出していただいて関係者の安心ができますようにやっていただきたいと、このように特に要望する次第でございます。
 それから物価全体の問題につきましてまだあと承ることがたくさんあるわけでございますけれども、物価問題はこの程度にいたしまして次に行かなきゃなりませんので、最後に物価問題で締めくくりとして経済企画庁長官に伺いたいと思いますのですが、去年は、先ほど御説明いたしましたように、ある程度他律的な円高というものが影響した、あるいはまた春闘がわりあいに安定した姿で推移してきた、そういうことが全体的に影響いたしまして物価の鎮静ということが出たわけでございます。もちろん政府の御努力もあったと思います。しかしながら、ことしは、そういう意味の他律的な要因による安定要素というものが非常に少ない。それだけによけいことしは政府主導型の物価鎮静政策がなければ、これはもうほっておいたって上がるという要素が幾つもあるわけでございますから、その点は大変に懸念するわけでございます。したがいまして、その点について締めくくりとして経済企画庁長官から、これからの対策についての一つの方針を、確たる方針をひとつおっしゃっていただきたいとお願いする次第でございます。
#146
○国務大臣(小坂徳三郎君) やはり物価を昨今いろいろな意味で重点政策としていくべきだと私は思います。しかし、一方において、われわれも同時に経済的要求としましては雇用の拡大を考えなくちゃいけない。もう一つは、対外調整もしていかなくちゃいけない。要するに、ある程度の経済成長がなけりゃだめだということでありまして、経済成長と物価の安定ということを同時的に二つの目的を遂行していかなくちゃならぬ。そこにいま非常に苦心があるわけでございますが、御指摘のように、いろいろな要因あるいは心理的な要因を踏まえますると、現時点ではやはり物価の抑制に相当なエネルギーを割いていくということもやむを得ないことではないかと思います。
 いずれにいたしましても、この二つの、見方によれば相反する目標を追いながら日本の安定を図っていくということを考えます場合に、選択の幅は非常に狭いわけでございますが、しかし、いずれも早目早目に手を打って、余りドラスチックな大幅な政策を打ち出すということでなしに、じみちではございますけれども、その事態の情勢に応じて的確にしかも着実に政策を施行していくということで今年度は進みたいと思います。
 いずれにいたしましても、非常に急激な景気の上昇はやはり物価に影響いたします。したがいまして全般のトーンといたしましては緩やかな上昇カーブということを常に念頭に置きながら、先ほども委員から御指摘のございましたいろいろな要因を具体的にとらえつつそれぞれの対応策をさらに強く打ち出すか、あるいは緩めるか、そうしたことの中で経済運営の全般の安定的な成長ということを図ってまいりたいと思っております。
#147
○下条進一郎君 物価問題はまだありますけれどもこの程度にさしていただいて、いま御説明の中に成長の問題が出てまいりましたので、その点に若干触れさせていただきたいと思います。
 先日発表されましたQE、四半期ごとの国民所得統計速報によりますと、五十三年の十月−十二月の実質国民総支出は、前期比一・七、年率七%ということが発表されております。五十三年の暦年で五・六ということがすでに数字として出るわけでございますから、それを引き延ばして五十三年度という実質成長率を換算いたしますとこれはどういうことになるか。これは政府の見通しが六%ということでございますけれども、この関連をどういうふうにつなげて企画庁は説明されるのか、その点をひとつ伺いたいと思います。
#148
○国務大臣(小坂徳三郎君) いま委員の仰せられたような情勢でございますが、またわれわれの予測もその程度ということに考えております。特に一−三月の情勢をまだ明確につかんでおりませんが、二月は多少生産の方はそう大きな伸びは示しておらないのでその点を心配しておるわけでありますが、したがいまして、先般もこの委員会で申し上げましたように、まあ数字で言うのもどうかと思いますけれども、五・七%から五・八%くらい、そして六%に行くということは、まあ行ってもぎりぎりであろうというふうに考えております。
 これは、問題はやはり従来ございました円高の影響で輸出が相当大幅に伸び悩んでおることと、また同時に輸入が相当急テンポにふえているということでございまして、GNP全体として見まする場合、この海外的な貿易面の関係を除外して国内だけを見ますと、前から七%程度と申しておりましたけれども、むしろ七%を少し超すような勢いでございます。それが輸入の増大と輸出の停滞ということでマイナスになっておるわけでございますから、全般的に言うなら、国内景気で言うならばわりあいに順調な確実な成長を遂げているというふうに見てよろしいかと思っております。
#149
○下条進一郎君 いまの御説明の中にも漏れ承りましたけれども、やはり当初見通しよりは少し下がるだろうというような感じがちらほら出るわけでございます。
 そこで、われわれは前から常に承りまた主張もしてまいりました日本の経済がやはりソフトランディングして安定成長につなげていかなければならない、そういう意味の悩みがいろいろな形で出ておるわけでございますけれども、この問題について経済企画庁長官あるいはその他の関係大臣がお考えになるのは、要するに対外的と対内的に分けて考えた場合に、それじゃそういうような態勢にいま進んではおりますものの、一体どの程度まで進んだか。たとえば対外的なソフトランディングをするということで均衡を達成するということであるならば、まだまだ多くの問題を積み残しているというのが現状ではないかと思うわけでございます。その点で、いま路線はどの辺に進んでおるのか、そしてこれから年内にはどうなるかということが一つはございましょうし、対内的に言うならば、いまおっしゃったように五十三年度の見通しは若干狂いましたけれども、五十四年度に対してこれをつなげた場合には一体上期と下期というものはどのようにソフトランディングの過程をたどっていくのだろうか、そこらの点のお見通しをお聞かせいただきたいと思います。
#150
○国務大臣(小坂徳三郎君) いま私たちは上期と下期というふうに明確に日本の経済の動向を分けて把握することを考えておりません。また、そういたしますと、やはり上期に上昇をもたらし下期には緩やかになるとかいろいろな政策の展開があると思いますが、いま現状から申し上げますと、日本経済は先ほどから申し上げておるとおりに緩やかな上昇という傾向をとるのが一番いい。これがソフトランディングではないか。また、対外的に申しますと、最近の日本の貿易の状態を見ておりますと、輸出は確かに頭打ちでございますし、やや停滞、減少の傾向でございますが、輸入がふえてきておる。こうしたことで経常収支等も五十三年度全体をくるめますと相当になお諸外国から指摘されるような黒字幅でありますけれども、しかし、この数カ月の状態を見ますと、経常収支の黒字は逐次減少しております。こうした傾向というものは私は政策努力として十分に対外的に説明のつく状態ではないかと思いますし、五十四年度もやはりこうした傾向をずっと続けていくということを基本に考えています。
 ただ、われわれの計画の中で一ドル百九十円で試算をしておりますから、現状が二百円ちょっとである、その差は過去における円高というようなものとは比較にならぬほどの状態であると思いますが、しかし、そうしたファクターを考えましても大体いまわれわれが考えているような状態の中で推移できるし、また国内の需要も底がたく伸びておりますから、これが余りスピードアップしないような形、そしてまず先ほどから申し上げている物価の安定ということ、そしてまた同時に雇用の定着ということ、こうしたことを追求することを考えておるわけでございますから、大体現状のような状態でしばらく推移をしていくということ、そしてまた、何らかの政策的な変化をしなければならぬということが起こるといたしましてもことしの後半になってくるのではないか。これの一番大きな要因は私は石油の価格だと思いますが、こうしたような石油価格が消費者諸国の協力の中で安定的に推移するという方向がいまわれわれが考えております最大の重要な戦略、戦術ではないかというふうに思っております。
#151
○下条進一郎君 そういうこれからの成長の見通しにつきまして、まあ上期と下期に分けてはお考えにならぬというお話でございますが、日本銀行の短期経済観測、短観はかなり近い見通しもとりながらいろいろな検討をしておるようでございますので、経済企画庁の方に置かれましても、一年見通しただけではなくして、上期と下期のトレンドはどんなふうになるのだろうということも国民に知らしていただくとこれは非常にありがたいのじゃないかと思います。たとえば、先ほど成長と物価の関係を両方にらみながらいかなければならないとおっしゃったことは確かにそうでございますけれども、もしここでさらに進んで卸売物価が現在のテンポのようにかなり急ピッチでいくということになった場合には、まあ仮定でございますけれども、そういう場合に、従来、毎年前倒しというようなことで、受注を公共事業中心主導型の予算としては前倒しを常に恒例的にやっていらっしゃった。ことしはそれじゃそういう情勢が変わった場合にはどのような形で予算のそういうような執行を考えられるか、この点を大蔵大臣に伺いたいと思います。
#152
○国務大臣(金子一平君) 今後の経済の推移を見ながら私どもとしては予算執行に万全を期していかなきゃいかぬと思っておりますが、一番さしあたって問題になるのは、公共事業の執行を今年度のように前倒しする必要があるかないかは、これは予算の成立の段階においてすぐ考えなきゃいかぬと思っておりますし、それから金融政策をどう持っていくか、これは先ほど申し上げましたように、いまのところは大きな変更を私どもは考えておりませんけれども、今後の物価の推移、先ほどお話しのようなM2その他の企業の手持ち流動性の動きいかんによっては日銀と十分連絡をとりながら早目早目の手を打っていかざるを得ない、こういうふうに考えておる次第でございます。
#153
○委員長(町村金五君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。
 午後一時から委員会を再開し、下条君の質疑を続行いたします。
 これにて休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三分開会
#154
○委員長(町村金五君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和五十四年度総予算三案を一括して議題とし、午前に引き続き下条君の質疑を行います。下条君。
#155
○下条進一郎君 これから伺いたいのは、歳出関係の問題でございます。
 歳出を適当な規模に抑え込むということは、これはなかなか大変なことでございまして、ゼロベース予算とかいろんな形での提言がすでになされておりますけれども、やはり個々の経費の積み上げということをやってみますと膨大な金額になる。ことしの今度の五十四年度予算につきましては、一般経費につきましてかなり思い切った努力はされておられますものの、やはりこういうような経済情勢の中で、さてその規模は一体妥当であるかどうかということについては若干問題があろうかと思うわけでございます。
 この点に関連いたしまして、よその先進国におきましてもやはりそれぞれ努力しておると思います。日本と違います理由は、租税収入がかなり高い、租税負担率が高いということから、それに見合って歳出を考え、そのギャップの国債の発行高が日本より低いということになるわけでございますけれども、それはそう申しましても、歳出の削減、合理化という問題については先進国はそれなりに努力していると思うわけでございます。その点について、主要先進国はどのような努力をしているか、その努力について日本もかなり見習うものがあるのかどうか、その点が第一点でございます。
 それから、今回の五十四年度の予算の中でかなり経費の節減ということを努力された。私も関係者からいろいろ伺いましたところ、たとえばグリーン料金の範囲をこの程度にしぼるとか、何かいろいろ努力されているようでございますが、さてこの説明を聞きまして私は非常に意外に思いましたのは、民間企業の努力というものはそんなものじゃない、やはりもっともっとシビアな形でやっている。たとえば東証一部上場の企業三百六十社、この合理化というものは大変に涙ぐましいものがある。従業員もかなり減りました。そういうことはいいとは申しませんけれども、減らさざるを得なかったということも、私はその企業の自主努力の中で認められるべき問題ではないかと思うわけでございます。そんなことで五十三年の九月のその三百六十社のあれを取り上げますと、減収増益という形で出てきている。それがさらに今度の五十四年三月には増収増益という形につながるというような、企業としては本当に涙ぐましい努力をしているわけでございます。
 これに反しまして、いわば四割になんなんとする国債発行をせざるを得ない、そういうような国において一体もうあの程度の努力でいいのかという声は私はまず率直に受けとめなければならない問題だと思うのでございます。したがいまして、最初に申しましたように、主要先進国の努力はどの程度やっているんだろうか、この点についてのひとつ情報と、それからもう一点は、やはり範を示すということが私は大事だと思います。で、これは国家公務員がやはり地方自治体の一つの手本になるわけでございますけれども、地方の役場などというものは人員を増加するということはなかなかできない。したがって役場においては少人数で合理的な仕事をするところが多いわけでございますが、そういったところは朝八時にはそんなそろっているわけでございます。そしてまた夕方五時にはもうみんなきれいに帰ってしまう。ところが、中央官庁においては九時はおろか、九時半になったって全然そろわない、そして全部超勤をする、こういう私は経費のむだ遣いがあるんじゃないか。一体、中央官庁では超勤はどのくらいやっていらっしゃるのか。私は、これを全部八時出勤にしてしまえばこれはもう省エネルギーのためにも役立つし、また超勤というものが経費として計上されるものが非常に少なくなる、いろいろなことでまだまだ努力すべきことが残っているんじゃないかと思うのでございますが、それらの点について御回答をいただきたいと思います。
#156
○国務大臣(金子一平君) 新年度予算につきましても相当思い切った経費の節減に努めました。特に経常費部門につきましてメスを入れたことは御承知のとおりでございますが、もちろん私どもはこれをもって決して満足しているわけではございません。国債の発行が五十五年度においてそう私どもは大量に発行できる情勢にはないと考えておりますので、ことしもある程度やりましたけれども、引き続いて五十五年度予算の編成に当たりましても相当思い切った経費の節減、合理化に努めなければいかぬと思っております。
 ただ、御承知のとおり、補助金の八割三分が法律で規定された補助金でございます。その補助金の内訳を見ますと、社会保障関係、文教関係、公共事業関係がこれまた八割を占めているというようなこともございまして、しかも地方公共団体に直接流れる補助金がまた八割何分を占めているというようなことで、いろいろむずかしい点はありますけれども、工夫をこらして予算全体の圧縮をまず図ることが大前提だと私どもは考えておる次第でございます。
 いまゼロベース予算の問題につきましてもお触れになりましたが、各国でどんなことをやっているか、これはひとつ事務当局からまた御説明をさせますけれども、基本においては私どもはことし程度で決して満足しておるわけではございませんで、民間に減量経営を強い、節約を要請しながら、やっぱり国がお手本を示さぬというようなことでは、これはやはりいかぬと思うんです。特に、ことしの財政演説では、地方団体も国にならって大いに節約してくださいよと呼びかけたこともこれあり、私どもといたしましては、せっかく国としての姿勢を今後も厳しく正していきたい、こういうふうに考える次第でございます。
#157
○政府委員(長岡實君) 主要国の財政節減、合理化の努力の例でございますけれども、アメリカにつきましては、下条委員御指摘のように、カーター大統領が七九年度の予算編成からゼロベース・バジェティングの方式をとっております。ただ、これはまだ実態を私ども十分把握いたしておりませんが、相当の効果を上げつつも、一方においては事務量が非常にふえて大変だというような話も聞いております。それから、カーター大統領は、また歳出の規模の対GNP比率を引き下げていくということを一つの目標にして財政収支の均衡を図る努力を宣言をしておられるようでございます。
 それから、西ドイツは、御承知のように一九七五年に法定経費の削減まで含めましたいわゆる財政構造改善法というものを制定しまして、相当多額の歳出のカットを行ったようでございます。どこの国も、財政のあり方につきましては、そのときの経済情勢に適切に対応するような配慮はいたしておりますけれども、御承知のように、ドイツは経済成長よりも物価の安定という方を優先する国民性もございまして、歳出規模の抑制にはきわめて力を注いでおるというふうに理解しております。それから、イギリスは、財政計画に当たります公共支出計画の中で、逐年、計画額を抑えてまいりまして、歳出の伸び率を、名目のGDPでございますけれども、GDPの伸び率以下に抑制をいたしております。それから、フランスは、これは西ドイツと並んで非常に健全財政の国でございまして、いわば現在でもほぼ均衡予算に近いような状態でございます。若干の赤字は出ておりますが、常に財政収支のバランスを念頭に置いて財政の運営を図って、そういう努力をしておる国と聞いております。
 なお、グリーン料金の問題につきましては、実は、一等級以下、すなわち本省総務課長クラス以下の者について、出張の場合に、原則としてグリーン料金を支給しないという線を出したわけでございますが、その場合には、一応民間の企業の実態もある程度参考にいたしまして、ただ、本省の総務課長クラスが民間のどの程度の規模の企業のどの程度のポストの人に対応するかという点、いろいろとり方もあろうかと思いますけれども、ある程度参考にさせていただいて、あの線を打ち出した次第でございます。
 最後に、超勤につきましては、一般会計歳出予算に計上いたしてございます各省各庁の超勤予算額は、総額で約七百億でございますが、御指摘のように、でき得る限り行政事務を簡素化したり工夫したりして、なるべく超勤をしないような方向で努力いたしたいと思いますが、中には勤務形態等によってどうしても超勤が避けられないというような部門もあるわけでございます。
#158
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたします。
 現下の財政状態の厳しい中で、歳出の削減について、私に関係する公務員の給与あるいは勤務時間等についてお触れでございましたのでお答えをいたしますが、国家公務員の給与につきましては、もう御承知のとおり、従来から中立の第三者機関でございまする人事院の専門家としての調査研究の結果に基づきます勧告を尊重するというたてまえでまいっておることは御承知のとおりでございます。今後におきましても、そうしたたてまえは守っていきたいと思うわけでございまするけれども、いま先生の御指摘の点につきましては、十分ひとつ尊重しながらまいらねばならぬという厳しい気持ちでおるわけでございます。
 次に、職員の勤務時間でございますが、登庁、退庁の勤務時間は定めておるわけでございます。この点につきましては、これら勤務時間の実行、管理につきましては、今日までも絶えず注意を促してきておりまするけれども、御指摘のような点に流れておる点も見受けられるわけでございまするので、なお一層ひとつ、こうした時期でございまするし、対処してまいりたいと思っておるところでございます。
#159
○下条進一郎君 私も具体的に給料をどうこうということを申し上げているわけじゃございませんで、たとえば昭和六年ぐらいに非常に財政が悪いときに、公務員給与一部カットということがあったわけでございます。あるところで先輩がおっしゃっておりましたけれども、いま実業界に身を置いていらっしゃいますが、その方はその目に遭った。それぐらいにもう国家公務員がえらい努力をして財政再建に協力した。それで民間も納得したのだと、いまこれをそのまま適用するなんということはできませんけれども、そういう気概を持って事に臨んでいただきたいということを申し上げているわけでございます。
 そこで、財政の問題の中でよくいわれております三Kということがありますけれども、その中で、きょうは特に運輸大臣並びに国鉄の方に伺いたいと思いますが、現在、いろいろと交通網が発達し、時代の要請によってどんどんと変わっておるという状態でございます。そういうときに、たとえば陸海空、こういう総合的な交通体系というものは運輸大臣、運輸省としては、将来の展望をどう考えていらっしゃるのか、非常に私たちわかりにくいわけでございます。
 たとえば空の問題を一つ取り上げてみますと、昔、非常に計器が十分に発達していないころに日本に多くの飛行場をつくりました。そういう飛行場はそれぞれ天候とか気流とか、あるいは霧だとか、そういうものが非常にベターなところに設置されたわけでございます。それがいまどういうわけか知りませんけれども、どんどんそれを公園や何かに転用する。そうしてこれから計器に頼るかもしれませんけれども、むずかしい土地買収で大変頭を痛めなければならないところに新たに飛行場をつくるという、何か財政のむだがあるのじゃないか。いま東京の国際空港成田、それから国内を主とする羽田、こういうふうになっておりますけれども、まだまだこれからは空路というものがもっともっと、狭い日本ではありますけれども、発達するんじゃないか。そういうローカルサービスの飛行場というものがあったっていいんだと、そうなれば、いまある飛行場を何もつぶす必要はないのじゃないか、こういう考えが当然出てくるわけでございます。つくるよりは、つぶさない方がどれほど財政的にむだなしに済むんじゃないか、こういう問題。
 それから新幹線の問題にいたしましても、将来はリニアモーターというのが出てくるのじゃないか、そうするとリニアモーターをいつから取り入れるかというプログラムを組んだ中で、現時点におけるような新幹線の精度でこれからどこまで伸ばすか、そういう全体の新幹線とリニアモーターとの将来の見通しをどう考えていらっしゃるか。特に遠いところの北海道あるいは九州というところの新幹線は、むしろこれから飛行機とのサービスの競合の関係で、なかなかむずかしくなるんじゃないか。どうしても庶民でもだんだんと飛行機になっていく。時間の節約から言っても料金のサービスから言っても、そういうことがある。さらに新幹線は当然各地区において必要でございます。必要でありますけれども、新幹線と在来線の関係をどう考えていかれるか。新幹線ができたところはもう在来線は皆だめになってしまう、こういうことがございます。そういう在来線のこれからの手当てをどう考えていらっしゃるか。
 さらにまた、国鉄自体の民営の各軌道との競合関係においてのいろんな努力の問題でございます。小田急、これは新幹線を比較にすることはできません、スピードも料金も違いますから。しかし、一般の国鉄と小田急とを比べた場合には、小田急の方が速くて安いのです。あるいは品川から横須賀に行くにも京浜電車の方が安いのです。あるいは近鉄も名鉄もそうなんです。その差がかなりある。しかもサービスがいい、こういうことで、国鉄さんがこれからそれらに立ち向かってどのような努力をしていかれるのか。このままでは、私は、当然、国鉄はただ運賃を値上げするだけでなかなかついていけない、運賃値上げすればますますだめになるんじゃないか、そういう問題があると思うんです。そういうことについて総合的にどう考えられるか。あるいは陸運の関連もあります。
 それらを総合いたしまして、まず、総合交通体系に対する運輸大臣の御所見と、そしてそれに対する対策、並びに国鉄は御自身としてどのような企業努力をしていらっしゃるか、その辺、指摘いたしました問題について、その御回答をいただきたいと思います。
#160
○国務大臣(森山欽司君) まず、総合交通体系の問題でありますが、これは昭和四十六年の十二月の臨時総合交通問題閣僚協議会における報告で基本的な考え方が示されております。
 その内容は、各交通機関の競争の原理を活用しながら、それぞれの特性に応じた分担と連携の関係を確立して、効率的な交通体系を形成しようとするものであります。各交通機関の特性とは、たとえばその中心的役割りで申しますと、鉄道は都市間旅客輸送、大都市圏旅客輸送及び大量定形貨物輸送の分野、それから航空機で申しますと、長距離都市間直行輸送及び海狭や山脈越えなどの時間短縮効果の大きい中距離都市間直行輸送の分野、自動車、海運、いろいろありますが、そういうそれぞれの特性に応じてそういう交通体系を形成する。その基本的な考え方は今日も尊重さるべきものが多いのでありますが、昭和四十六年でありますから、その後の経済情勢の変化で、昭和四十八年には石油ショックがありましたし、最近はイラン情勢以後の特にエネルギー問題等がございますから、その省エネルギーの要請などを考慮いたしますと、各交通機関の適切な分担のあり方について、四十六年当時と今日とは大分違ってきているんじゃないかということで、ぜひとも再検討しなきやならないというふうに考えておりますし、私は、閣議におきまして、この総合交通体系の見直し、再検討――経済企画庁長官が中心でございますから、経済企画庁長官を中心にして再検討をしていきたい、こういうふうに考えております。
 国鉄につきましては、近来、能率が非常に落ちておるということはもう事実でございまして、昭和五十四年度の予算案におきましては、助成前の赤字は、九千億円が赤字であります、それから助成の額が三千億円、合わせてみますと一兆二千億円、これが損益計算だけでございますから、設備とかその他の勘定ではなくて損益勘定が一兆二千億円という赤字でありますから、はなはだ問題が多いことは先ほど来のお話しのとおりでございますから、この再建、立て直しを真剣に考えなきゃいかぬ。
 一昨年の十二月に、国鉄再建の基本方針が閣議了解で決められましたので、私どもはその閣議了解の線に沿いまして、昭和五十年代の終わりには収支相償うということを目標にいたしまして、昭和五十四年、ことしの六月ぐらいまでにはおおよそのめどをつけて、八月末の概算要求あるいは来年度予算の最終決定の段階までに、将来を見越した計画を立ててまいりたい。
 その考え方の中心は、まず国鉄がしっかりやるということであり、その経営改善の努力を前提にして、運賃の値上げも必要あらばやらざるを得ませんし、また、国はそれに見合った行財政上の援助をするということであります。しかし、運賃の値上げの問題がもうそろそろ限度に来ているのではないかということはまさに御説のとおりでございまして、国鉄と私鉄の並行路線を比較すると私鉄の方が安いというところが多いと、いま小田急とか東武とか、いろいろのところの例が出ましたが、まさにそういう事実はあるわけでございまして、一般的に私鉄の能率に比べると国鉄の能率が落ちる、中小私鉄よりも落ちるという見方もあるくらいであります。しかし、必ずしも一概にそれは言えませんので、公営の地下鉄などにおきましては、かえって国鉄運賃の方が安いという場合もありますし、またローカル交通において類似のサービスを提供している中小民鉄やバスの場合に、国鉄の運賃の方が一般的には安いという傾向もまたあるわけでございまして、一律にそうは言えません。しかし、概して申しますれば、国鉄の能率は民間私鉄の能率より落ちるということは事実でございまして、この国鉄の再建を速やかに図ることによって、こういう事態の解消、多少時間はかかりますけれども、そして非常にむずかしい問題でありますけれども、しっかりやっていかなければならないと考えておるわけであります。
 国内空港の整備につきましては、御承知の三全総開発計画にのっとって現在策定計画が進められております新経済社会七カ年計画との総合性を保ちながら、この空港計画の充実を図っていく。また、それは先ほど申しました総合交通体系の一環として航空輸送のことも具体的に考えていかなければならないと思っておりますが、その中で、いままである飛行場を公園や何かにして、新しく飛行場をつくるというようなことはむだではないかというような御意見がありましたが、これは立川を利用すればいいというお考えでございましょうか――といたしますれば、私もそういう御質疑があるということで用意いたしました案は、首都圏における空港は、国際線についても国内線についても、ともにわが国の航空輸送ネットワークのかなめとなるものでありますから、長期的見通しに立脚した整備計画の策定が必要であると考えられます。
 まず、今後とも増大の傾向にある国際航空需要につきましては、成田空港を引き続き整備することによって対処する。他方、首都圏における国内航空需要に対しては羽田空港の沖合い展開によって対処していく。立川飛行場につきましては、滑走路の長さが千二百メートル、民航ジェット機を就航させるためには最低限度滑走路の延長が必要であり、本飛行場の周辺はすでにもう御承知のとおり大変市街地化しておりますから、その実現はなかなかむずかしいであろうと考えられるわけでありまして、木飛行場を民間定期航空の用に供することは私どもは必ずしも適当ではないと、最後のところだけちょっと、せっかくのお話でございますが、違った御返事を申さなきゃならないんで、まことに恐縮に存じております。
#161
○説明員(天坂昌司君) 御説明申し上げます。
 国鉄はただいま再建途上にありますことは御存じのとおりでございまして、国鉄が何を目指して再建していくかということにつきましては、ただいま大臣から御説明のあったとおりでございまして、五十二年十二月の閣議了解に載っておりますとおりでございます。
 それによりまして、まず第一段階といたしましては、収支をこれ以上悪化させないというまず努力をしなければならない。そのための一環としまして運賃の弾力化ということもお考えいただきまして、いま鋭意そこでもって第一段階を何とか達成しようということで努力をいたしているわけでございます。しかしながら、企業努力と申しますと収入と支出でございます。収入につきましては、いままでいろいろ問題がございまして、大都市近辺につきましては私鉄との運賃の差というものがだんだん乖離を大きくしてきていることも事実でございます。もちろん地方へ参りますと地方交通の方が高いという例もございますが、何分にも国鉄の運賃体系が全国一律で定めております結果そうなっておりますが、収入の方向といたしましては、もうこれ以上増収に頼りまして再建を図るということはむずかしいのではないかとわれわれ考えている次第でございまして、という結果は、何といたしましても経費を削っていかなければならないということで覚悟いたしております。
 経費の中で大宗を占めるものは人件費でございます。いままでにも人件費の減、合理化につきましては進めてはまいっております。ただいま国鉄職員四十二万でございますが、数年前までは四十七万いたわけでございますが、しかし、それでとどまるものではないというふうにわれわれ覚悟しておりますし、今後、抜本的なそういった意味での合理化をいたしまして、能率のいい効率的な輸送機関としての使命を果たしてまいる基礎を築いてまいりたい、かように考えております。
#162
○下条進一郎君 非常にむずかしい問題でございますから、そう一朝一夕にすぐにもうできるわけではないと思いますけれども、引き続き関係者の方々の努力を特に切望するものでございます。
 なお、空港の整備については、せっかく大臣が御答弁なさいましたけれども、私は、いまのお考えは要するにジェット機を中心とした考え方でいらっしゃるんじゃないかと思うのであります。そういう面であれば、国際空港としての成田あるいは国内空港としての羽田を拡張するということで結構だと思いますけれども、これから将来やはりスピードが要求される、合理化が要求されるということになりますと、中型のいわゆる民間商業機がどんどん必要になってくる。そのときにそれじゃどういう手当てをされるのか。私は羽田なんかとてもとまれないというようなことがあると思います。そういう意味において、その問題についてはやはりこれから第三、第四という飛行場が私は当然必要になる、こう思うわけでございます。その点についてなお御検討していただくことを要望いたしまして、この問題はその程度にとどめます。
 それから次は、歳入の問題でございます。いま歳入関係につきましては、なかなか税収がこういう経済の低迷の中においてはそう大きな期待ができないということで非常に苦労していらっしゃると思うのでありますけれども、私は、これはやはり制度面と、それからもう一つは税制の執行面において、まだまだやはり改善すべき余地はあるんじゃないか、こういうふうに伺うわけでございます。
 いま巷間伝えられるように、一般消費税に対する反対運動が国内的に非常に強いということも私たちは非常に懸念する問題の一つでございます。特に青色申告会という納税の協力団体がまず反対しているとか、あるいは中小企業団体が反対しているということは、これはゆゆしい問題だと私は思うわけでございます。したがいまして、そういうことを解決するためには、やはり制度面においてさらにまだまだいろんな不合理あるいは不公平という問題の改善の余地がないかどうか。政府の税制調査会の答申の中でかなりの問題が提起されておりますけれども、政府の方として取り上げられたものは全部ではございません。したがって、そういうような提言の中でさらにまた検討してみる制度的な問題はまだ残されているのではないか。この点についての大蔵大臣の御所見、これからのお考え方、これをまず伺いたいと思います。
 これに関連いたしましては、私は、先ほど来お話が出ておりますように、非常にむずかしいことではありますけれども、やはり努力すべきは努力するということで、少しでも改善する余地があればいろんなところを手をかけていくことが必要であろう、そういうことを考えた場合に、たとえば一つの例で言えば、法人の経費の中にも、一体、いま経費として認められるものの中にむだはないのかどうか。もう要するに経費ということの看板がかかれば、この間の週刊誌に出ておりましたように、ともかくもう個人でやるのと法人でやるのとではうんと違う。もう法人でやればほとんどみんな経費で落ちてしまう。個人であればなかなかそうはいかないというような、トーゴーサンなりいろんな形での不公平が出てくるということがございますので、そういうようなところでの制度の見直し、そういったことがまだ私は残されているのではないかと思うんでございます。そういう意味において、制度全体についてもう一回洗い直しといいましょうか、あるいは残された面についての改革というものは考えていらっしゃらないかどうか、それを承りたいと思います。
#163
○国務大臣(金子一平君) 税制面での見直し、執行面で改善すべき点ありやなしやということでございますが、税制は、本年度皆様に御審議いただいておる特別措置につきましても、相当思い切った是正策を出しておりますが、特別措置全般についてさらに毎年毎年見直しを進めまして、今日の経済情勢に合うかどうか、もう役割りを終わっているかどうか、終わっていないかどうか、そういう点について検討を進めることはもちろんでございますが、政府税調で従来取り上げられておりましたような問題につきましても、一般消費税というようなものを導入するに際しては、さらに改めて見直すつもりでおることはもちろんでございまして、ほかのものはもう手がつかぬのだ、一般消費税一本やりでいくんだぞというような気持ちではおりません。十分議論すべき点は議論を尽くしてやっていきたい、こういう気持ちでおることを申し上げておきたいと思います。
#164
○下条進一郎君 それでは、少し個々にわたりますけれども伺いたいんでありますが、所得税の申告納税制度と、それから源泉課税制度というのが二本立てでございます。一般の町の声では、やはり月給から天引きされてしまうということでどうも源泉が強い、申告の方が大まかと申しましょうか、寛大であるというような声がございます。それからまた、法人につきましては、現在、大法人と中小法人とに分けた二段税率でございますけれども、本当に小さい方の法人については二八%以下でもいいんじゃないかと、そこにもう少し寛大な措置も必要じゃないかということ、あるいはまた大法人についてはもうちょいプラスアルファを乗せて乗せられないことはないんじゃないかと、こういう四段階説も考えられないことはないんじゃないかというようなことやら、あるいはギャンブルにつきましては、多くは地方でございますけれども、その地方のギャンブルの上がりのほかに、さらに手元に残ります分について、これに対して課税はできないか、国営の場合もございます。
 それからまた、一般のPRについては、負担能力はあるのかないのか。これは一般の経費あるいは宣伝費と、いろんな形で課税の考え方もございましょうが、そういう問題。それから先ほども申しましたように、一般の法人の経費の中で、いわゆる個人との違いのためにいろいろと不公平じゃないかという感じを納税者の頭に植えつけておるものがまだ残っております。ともかくも、りっぱな迎賓館にいたしましても、あるいは個人企業まがいの法人であっても外車で千何百万ものものを堂々と社用で乗っておられるというようなことは、本当にこれ法人の経費を洗い直してみたら、それはないはずじゃないかと思いますんですが、そういうような問題についていかがかと思いまして、御所見を承りたい。
#165
○政府委員(高橋元君) いまいろいろの点でお示しがございましたですが、順を追ってお答えを申し上げたいと思います。
 最初に、給与所得控除の問題を御指摘になりました。現在の五十四年の税収の見積もりで申しますと、課税対象人員の給与総額というのはたしか九十一兆七千億ぐらいでございますが、それに対応いたします給与所得控除の総額は二十九兆八千億、約三十兆でございまして、給与収入に対して三分の一ぐらいの割合を示しております。大ざっぱに申しますと、給与収入のうちで三分の一が給与所得控除、残る三分の一が人的控除、それから生命保険料控除のような所得控除、残る三分の一ないし四割ぐらいが課税所得、こういうことになっております。
 そこで、その給与所得控除が大きいか小さいか、さらに大きくすべきではないかという御指摘かと思いますけれども、大体、平均のサラリーマンというのは収入が三百万ぐらいと思いますが、これに対応いたします給与所得控除は三五%というふうに制度的になっております。これは四十九年の所得税法の改正でさような水準になったわけでございますが、その性格は、申し上げるまでもないんですが、給与に伴う経費の概算控除ということと、資産所得との担税力にしんしゃくというようなことが主な理由となっておりまして、外国の税制等を見ましても、日本の給与所得控除につきまして相応の水準にあるんではないかというふうに、いろいろ検討いたしました際にもそういう答えになっておりますし、私ども、現状ではそういうふうに考えております。また、冒頭に申し上げましたように、かなり税収に大きく影響する問題でもございまして、この点につきましては、せっかくの御指摘ではございますが、給与所得控除をさらに拡大するということは非常に困難ではないかというふうに考える次第でございます。
 それから、中小法人の軽減税率でございますが、この制度が導入されまして以来二十数年たつわけでございますけれども、最初は一億円以上の法人の普通税率と中小法人の軽減税率の開きというのは約五%でございましたが、現在は、御案内のように、一億円以上の法人は四〇%、それから一億円未満の法人と七百万未満の所得というものにつきまして二八%、こういうことになっております。たびたび法人税率を引き上げてまいりました際にも、中小企業の状況等を勘案いたしまして、中小法人の軽減税率というものの引き上げをいたさないという形で経過してきたわけでございます。その点もごしんしゃく、御賢察いただきたいというふうに思う次第でございます。今後とも、それらの各種所得間、また大法人・中小法人間の税負担のバランスの確保ということについては、さらに一層総合的に検討して努力をいたしたいというふうに思います。
 それからギャンブルでございますが、ただいま中央、地方を通じます国公営のギャンブルの売得金と申しますか、売上高は約五兆円ということでございまして、これが相当大きな消費税の税源になるんではないかという御指摘はかねてからございます。税制調査会でもいろいろ御検討を願っておるわけでございますが、ギャンブルの問題は、一つは、よく言われておりますように、のみ行為の問題と関連がある。もう一つは、ギャンブル課税をいたしますと、それによりまして地方公営競技に収入を仰いでおります地方公共団体の財政に対して相応の圧迫になるんではないかという懸念もございます。ギャンブル課税について引き続き検討はいたしておりますけれども、ただいままでのところ、そういう問題点がいろいろ指摘されておりまして、公営競技問題懇談会と申しますか、そこでの御検討の結果を待って、今後とも、これの処理を考えてまいりたいという状況でございます。
 それから広告でございますが、広告につきまして一昨年の税制調査会でこれはいろいろの角度から御検討いただきまして、一つは、広告そのものに課税をしていくという考え方、もう一つは、企業が支出いたします広告費について交際費と同様に一定の限度を設けて、その限度を超過した広告費について損金と見ない、経費を否認するというやり方であります。そのいずれにつきましても非常に広範な角度から御検討願ったわけでございますが、広告費と交際費とはやはり社用消費的な要素がないという点で、広告費の経費性を否認するということにはかなり問題があるんではないかということ。それから広告の媒体そのものにかけてまいるといたしますと、消費者に対する商品知識の普及ということについてそれが阻害にならないかというような問題、いろいろ指摘されまして、これは引き続いて検討を進めておるわけでございます。
 そのほか、法人の経費について放漫にわたるものについて税制上の対処ができないかという概括的な御指摘でございますが、これは一つは法人の経営者の経営モラルの問題というものに大きく依存することだと思います。個々の経費につきましては、業態なり経営の規模なり多様にわたっております中で、特定の法人について特定の経費部分を指定してこれを否認していくということについては制度としてかなりむずかしい問題があろうかと思いますが、ただいまいろいろ御指摘もありましたことでもありますし、一方今の財政、税制の状況でございますから、さらに全体を含めまして一層われわれとしても研さんを積んでいきたいというふうに考える次第でございます。
#166
○下条進一郎君 いま主税局長からの御回答によりますと、私たちが一番心配しております不公平税制、まあ租税特別措置法を含めて全部の中でやはり所得税、法人税というのは一番中心である、それに対してのいろんな国民感情というものがあるわけですから、それをいまの制度を是認する御答弁だけでは、私はやはり一般の人が納得しないんじゃないか。所得税にこういう問題がある、法人税にこういう問題があるということを提言したわけでございますから、それについてはやはり機会をとらえてさらに検討していただきたい、そのように要望いたします。
 それから、税務行政面についても、私は、さらに改善する余地があるんじゃないか。制度をつくっても、それを運用するということが非常にまた別な問題で大事でございます。日本などは非常にその運用がうまくいっている国の一つだとは思いますけれども、この面についてもまだ改善する余地があろうかと思います。
 たとえば、現在、全国に税務署員が五万二千人と聞いておりますが、おる。ところが、都会と中都市あるいは村部というものに分けて考えた場合には、その人口なり所得割りのあれに比例して税務署員の配分が必ずしも適切に行われてないんじゃないか。あるいは税務署の配置も適切に行われてないんじゃないか。ということは、逆に言えば、地方の方にむしろ過度の調査が行われて、そして都市においてはわりあいに手が届かない、こういう問題が現在あろうかと思います。これは執行の公平という面から言えば、私は改善しなければならない問題と思います。
 それから、さらにまた、最近、税理士法の改正問題が浮かんでまいっておりますが、この場合に税理士の地位の向上という問題があるわけでございますけれども、やはり地位の向上というものは、具体的な責任、また具体的な仕事のやることをふやしてもらう。ただもう本当に帳面つけたものを見て、ただ出すというだけではなくして、本当に税務署がいま手が回らないとおっしゃっているわけですから、そういう面での補佐をもっと責任を持って税理士会にもやらしてもらう、それが私は必要だと思います。たとえば運輸省の方では自動車の整備ということについてはもとは陸運事務所だけでございましたけれども、いまは一級整備工場がその生命に関連する非常に大事な車の安全性の見地からも委任されてやっておるわけでございますから、国の大事な歳入についても税理士会にも委任すると申しましょうか、協力を頼む分野ももう少しふやしてもいいんじゃないか、こういう点を私は考えるわけでございます。そういう執行面についての改善が私はまだ残っておる、こう思いますけれども、大蔵大臣どのようにお考えになりますか。
#167
○政府委員(磯邊律男君) まず最初に、現在の税務署の配置あるいはその税務署の実員というものを実際に実態に応じてむしろ都会地の方に集中させ課税の充実を図るべきではないかという御質問でございますが、おっしゃいましたように、国税局あるいは税務署の配分につきましては、納税者数あるいは納税者の事業規模あるいは地域の特殊性等を総合的に勘案しまして、各局及び各署の事務量に見合った適正な配置になるように努めておるわけであります。
 特に経済の高度成長が続き納税者の数が激増していく、また経済力の都市集中が進んだ昭和三十年代から四十年代の半ばごろまでにかけましては、定員配置の大幅な見直しを二、三年ごとに行いまして、さらに、その後におきましても、毎年、必要な調整を加えてきた結果、現在におきましては局及び税務署別の配置はおおむね実情に即したものと考えておるわけであります。しかしながら、やはり経済は刻々に変化しておりますし、それからまた事業もそれぞれの特色、変化を持っておりますので、今後とも、税務環境の変化に対応いたしまして、定員の配置につきましては弾力的に行って、税務の執行面において不公平が起こることのないように、これは私どもといたしても十分に努めてまいりたいと思います。
 それから、その次の御質問の税理士法の問題でございますけれども、御承知のように、現在のように納税者の数がきわめて大きい、にもかかわらず税務職員はそれに対応してふえてない、その結果、かねて下条先生御指摘のように、実調率がきわめて低下してきておるという問題がございます。そのために、われわれといたしましては、税務の執行面において目こぼしといいますか、落ちこぼれがあるといいますか、そういった面で執行面における不公平があってはならないということを常に考えておるわけでありますけれども、そのために努力はいたしておりますが、やはり何といいましても、こういった執行面を通じての適正な課税の実現ということは税務職員だけではとてもできるものではございませんで、やはりそこには税理士の諸先生初め民間の協力団体等の御協力と、それからまた、何といいますか、御援助を得て、こういったわれわれの課税の理想に向かって努力していかなければならない、かように考えておるわけでございます。
 そこで、税理士先生の問題でございますけれども、御承知のように、税理士としての立場は、ただ課税当局のみに偏したものではなくて、中立な立場において納税義務者の信頼にこたえ、そして納税義務を適正に実現し、納税に関する道義を高めるように努力するということに現在の税理士制度の使命があるわけでありますが、これが適切に執行され実現いたしますと税務の円滑な運営に影響することはきわめて大きいものがあることは御高承のとおりであります。そのような見地から、当局といたしましては、従来から小規模事業者に対する記帳であるとか、あるいは決算指導、税務相談等について税理士会の御協力を得ることにしておるところでございまして、また、日常の業務に当たっても、その御意見等を参考にして行政を運営しておるわけであります。
 御承知のように、現在、税理士法改正の検討が行われておりますけれども、これにつきましても、その内容が納税者、税理士、税務行政の三者にとって真に実益があり、客観的に見て改正に値する妥当なものとして関係各方面の御理解を得られるものであることが必要で、われわれもその点に努力しておるところでございます。
#168
○下条進一郎君 引き続き努力していただきたいと要望いたします。
 そこで、歳入と歳出のあらゆる面においてさらに勇気ある努力をしていただきたいと思うわけでございますが、そのギャップがやはりいつになっても問題になりますこの赤字国債の問題であります。現在、政府は十五兆を超える赤字国債、これは建設国債を含めて来年度発行予定でございますけれども、やはりこの間金利の手直しをしても、国債の市場は荷もたれから依然として条件の乖離というか、金利の乖離が残っております。これは私はそれを無理やりにやるんではなくして、やはり自動調整作用という市場の機能をもう少し尊重することが必要じゃないか。そうすることによって荷もたれが自然にあれば、もうそれ以上押し込むことができないんだ、そうすれば歳出の方は自動的に切らざるを得ないし、歳入についてはもっと努力しなきやならないということになるわけでありますが、歳出と歳入を決めてしまって十五兆を発行しなければならない、それについて無理やり努力するということであれば市場に非常な影響が出てくる。そういう意味においては、せっかくの自動調整機能が国債市場にあるならば、それをやはり私は尊重していくべきではないか、こう思うわけでございます。その点いかがでございますか。
#169
○国務大臣(金子一平君) 御指摘のように、やはり市場の実勢を十分尊重しながら国債の発行をしていきませんといかぬと思います。一時、六・一債の金利を上げました後、ちょっと反動的なあれが出ておりますけれども、これは何というか、やはり先行きの金利高の期待感がまだぬぐい切れないという点もあろうかと思います。しかし、これは慎重にひとつ実勢がどうなっているか見きわめながら、今後の消化の努力を進めるつもりでおります。
#170
○下条進一郎君 その国債につきまして、たとえばもう一点私は感じるわけでございますが、あらかじめ予算のときに十年ものの国債の比率をたとえば十一兆なら十一兆と決めてしまうということが本当にいいのかどうか、やはりこれは市場の動きがあるわけです、これから先ずっとあるわけです。そのときに長期債は幾ら中期債幾らと最初で決めてしまわないで、そのときどきの市場に合わせて中期債はこのくらいにすると。中期債の中では二年もの、三年もの、四年ものに分けられた努力をしたわけですから、それを市場に合わせておやりになった方が消化は私はいいんじゃないかと思うんです。いかがでございますか。
#171
○国務大臣(金子一平君) お話の趣旨はよくわかりますが、ただ、財政当局の立場から申しましたら、やっぱり十年ものの多い方が財政運営がやりやすいという点がありますから、当局としてはいろいろ苦労しておると思うんでございますが、今後のこともありますから、十分そこら辺は検討しながら進めてまいりたいと思います。
#172
○下条進一郎君 それじゃ国債の問題はその程度にいたしますが、あと歳入と歳出の問題について一点ずつ、私の考えは非常に乱暴な考えになるかもしれませんけれども、こういう事態になれば、一般消費税を導入するぐらいの決意をしていらっしゃるんだから、その前にもう一つの努力をしていただきたいということでございます。
 歳出につきましては、できる範囲において節約率を掛けられないか、ある程度の。国債を発行する方が国民のためになるのか、あるいは歳出についての一つの節約率を掛けて歳出をある程度しぼるという方が国民のためになるのか、国民は国債がふえてインフレになるのがいいのかという説得をされながらその選択をする余地はないのか、節約というものをどう考えられるかということが一つでございます。
 それから歳入につきましては、先ほど申しましたような制度上の問題あるいは執行上の問題の努力をされてもさらに足りない分については、私は戦時中にやりました付加税これは税務署員をふやさないでいいんです。要するに所得税額のたとえば十万円の人に一割乗せれば一万円乗せるだけ、あるいは法人税もそのように税額に対しての付加税という制度をこういうときに利用してひとつ歳入の確保を図るということができないかできるか。
 要するに、歳出と歳入について、こういう非常事態に対して国債がどうしても消化できない、そういう市場に合わせて、そういう弾力的な歳出と歳入に対する措置を考えられないかどうか、その点の御回答を大蔵大臣からいただきたいと思います。
#173
○国務大臣(金子一平君) これは第一段の問題は、下条さんも十分御承知のとおり、今日の経済情勢において財政面が果たすべき役割りをどう考えるかという政策の問題に帰着するわけでございますから、歳出をカットすることはもちろん大事なことでございますが、やはりそこら辺を考えて財政規模を決めるわけでございまして、カットのやり方としては、お話のようなやり方もありますし、あるいはゼロベースから見直すやり方もありますし、今後、ここら辺は十分注意してやってまいりたいと思います。
 歳入の計画に当たって、所得税、法人税の付加税何割かつけたらどうかと。これは考え方に一理あるんです。戦時中は確かにそういうやり方をやった時代もございます、私も記憶があるんですけれども。これは今日の経済情勢ではもうすでに所得、法人税は限界に来ているんです、若干のあれはあるかもしれぬけれども。すると、ますます不公平感を助長するという問題があるわけでございまして、簡単になかなかそれがいかぬ。まあ一般消費税はお気に召さないかもしれぬけれども、これは直接税で捕捉できない消費による担税力を別の面から補完的につかもうという考え方なんで、私は、筋としては財政論、税制論としてはその方が筋ではないかという考え方を持っております。いろいろ議論のあるところであることは十分承知しておりますし、あなたのような御意見も素直に私どもは十分拝聴し検討さしていただきます。
#174
○下条進一郎君 大変大きな問題で、歳出の削減というのは経済成長との関連もございますから成長に差しさわりのないように、あるいはたとえば先ほど最初にお話が出ましたように、物価の上昇等のコントロールの関係もあわせて考えた場合に、どのように考えるかという問題もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、歳出歳入については常に見直しの見地に立って御検討いただきたいと思います。
 最後に、内閣官房長官と通産大臣に伺いたいと思いますが、中小企業は、いつの時代でも、好況のときでも不況のときでも大変につらい業界でございます、しかも数も多い。この人たちがいまいろんな形で苦労しておるわけでございますけれども、農家の方はもう農林大臣という親分が一人いるわけです。ところが、中小企業については、通産省の方の所管、あるいは運輸省の方もいる、あるいはまた厚生省の所管の方もいる、それぞれのところに散らばっておりまして、おらが親分というものがない。そういう意味において閣内において朝から晩まで中小企業のことを心配していただく大臣が欲しいんだというのが偽らざる気持ちでございますし、この運動は長く続いておるわけでございます。したがいまして、このことについてそろそろもう結論を出していただいて、こういう苦しいときに、政府も、そして恐らく多くの方々が支持してくださる問題だと思いますが、こういう問題について前向きにぜひ取り組んでいただきたい。これについての御所見、また、これからの見通し等について、それぞれ御回答をいただきたいと思います。
#175
○委員長(町村金五君) 下条君、時間が参りました。
#176
○国務大臣(江崎真澄君) 御質問の御趣旨はよく理解できます。
 私も、通産大臣になりましてから中小企業の振興のためにずいぶん精力を費やしておるつもりでございます。ただ、大臣を専任で置く必要があるかどうか、これは置けという下条さんの長年の主張はよく同志として承っておるわけでありまするが、中小企業のたとえば金融、税制の措置、それから近代化とか高度化とか下請産業の振興、こういうような問題というのは、やっぱり通産本省を初め関係各省庁密接に連絡するわけです。それで通産省の場合も、通商が上に来ておりまするが、産業というわけで、その中には、わが国の産業の基盤をなし、しかも重要な部分を占める中小企業が含まれておることはもとよりですし、中小企業庁という形で不自由のないように振興方策を続け、またいろいろ苦情処理にも当たったりしておるわけであります。したがって、行政の簡素化、効率化、これが先ごろ来予算委員会でもしばしば問題になるところでありまするが、そういう面から言って、果たしてどういうふうに対応するのか。問題もあろうかと思いまするが、御熱心に前から主張しておられる御趣旨は私どもも理解いたしておりまするので、国民ニーズの動向を踏まえながら、よく検討をしてまいりたいというふうに考えます。
#177
○国務大臣(田中六助君) 中小企業のわが国経済における地位、そういうものは非常に重要で、認識しておりますが、ただ、これに所管大臣をすぐ置けということにつきましては、やはり私どもとしては金融、財政、それから海外的なもの、そういうものをあらゆる角度から勘案しますときに、やはりそれが独立して所管大臣を置くことがいいのか、あるいはいまの通産大臣がそのまま担当をして十分な配慮を行ったがいいのか、その価値判断には非常に迷うわけでございます。しかし、委員のおっしゃることは多くの人々の一応考えておる、あるいは要望しておることでございますので、その点考慮に入れて対処していきたいというふうに思います。
#178
○委員長(町村金五君) 以上で下条君の一般質疑は終了いたしました。(拍手)
#179
○委員長(町村金五君) 次に、粕谷照美君の一般質疑を行います。粕谷君。
#180
○粕谷照美君 最初に、ダグラス・グラマン等航空機の不正輸入に関する問題について、本日、日商岩井に対する東京地検の強制捜査が行われたと聞いておりますけれども、捜査の状況と容疑事実についての御報告をお願いしたいと思います。
#181
○政府委員(伊藤榮樹君) けさ十時半ごろから日商岩井の二回目の捜索をやっておるようでございます。捜索の容疑事実は前回の容疑事実と全く同一でございまして、前回の捜索の際に足らなかった物件を押収いたしますために補充的にもう一回捜索をしておる、こういうことでございます。
#182
○久保亘君 委員長、関連。
#183
○委員長(町村金五君) 関連質疑を許します。久保亘君。
#184
○久保亘君 補充の捜査ということでありますが、本日の日商岩井に対する強制捜査は、すでに逮捕された二人以外の新たな日商岩井幹部の容疑事実に対する関与の疑いとか、あるいはこれらの刑事責任追及の目的などを含んで行われておりますかどうか、その点を御報告いただきたいと思います。
#185
○政府委員(伊藤榮樹君) 一般論から申し上げますが、特定の被疑者を立てまして、これに関連して捜索をいたします。捜索をいたしました資料などを見ながら、その身柄を拘束しました被疑者その他関係者を調べてまいりますと、最初の逮捕の際あるいは捜索の際には問題点とならなかったような点も浮かび上がってくることがあるわけでございまして、そういう新たな観点から、新たな物件の差し押さえを要する、こういうことが間々あるわけでございまして、そういう観点から補充的な捜索を行うということがときどき行われるわけで、そういう一般論を踏まえまして、今回の補充的な捜索もそのようなものだというふうに御理解願いたいわけでございます。
 ただ、捜索につきましては前と同じ被疑事実でございますから、今度の捜索でもって何かをねら
 っておるというようなことではございません。
#186
○久保亘君 もう一点。
 それでは、今回の強制捜査についても容疑事実は前回と全く同じということでありますが、刑法百六十一条に基づく偽造私文書行使の容疑が含まれていないのは、これはにせ契約書づくりを指示した者、それを行使した者が特定できないために百六十一条が適用されていないのか、それとも特別な理由が存在するのか、それが第一点です。
 それから二番目には、昨日の証言によって、三十万ドルの架空口座から本社経理への資金操作については、五十一年当時の会社幹部によって発見をされ、その命令によって行われたということが昨日証言で明らかになっておりますが、外為法違反容疑については、当然、会社の最高幹部にその責任が及ぶものと考えられるのでありますが、この点については捜査が進んでおるのですか。
#187
○政府委員(伊藤榮樹君) まず、逮捕罪名に私文書偽造があって同行使がないという点の御指摘でございますが、この架空の契約書等を作成しまして、経理担当部門に結局それが備えつけられるわけでございましょうが、それが何のために使う目的で備えつけられるかというところに一つ問題があるわけでございまして、その点は捜査の展開を待って明らかにしたい、こういう検察の意図であえて行使の点が伏せられておる、こういうことであろうと思います。
 それから三十万ドルの問題についての御指摘でございますが、確かに御指摘のような問題点があるわけでございまして、昨日のお二人の証人の御証言を承っておりましても、その辺に一つの問題点があろうかというふうに感ぜられるわけでございまして、その点はまさに今回の被疑事実をめぐって解明を要する点でございます。
#188
○久保亘君 終わります。
#189
○粕谷照美君 午前中にもすでに質問がありましたけれども、大清水トンネル内での火災事故についてお伺いをいたします。
 労働大臣、亡くなられた方々に対しては心から御冥福をお祈りをしますと同時に、また御遺族の方々にも心からのお悔やみを申し上げるわけですが、トンネルの中で火を出してはならないというこの大原則がありながら、しかも、労働省としては、基準監督官が中を前日に点検をしていながらこの事故があったということに対して、一体、いままでどのような安全対策が行われてきたのかという点について最初にお伺いをいたします。
#190
○政府委員(岩崎隆造君) 上越新幹線大清水トンネルの工事に対します安全対策上の監督指導につきまして、昭和五十三年中に二回の臨検監督を行っております。その際、道床の保持、通気量の測定、軌道装置といったようなことについて指導をしております。
 先生御指摘の、事故の直前に群馬の労働基準局並びに監督署が現場を視察しておりますが、これは臨検監督という目的で行ったものでなかったわけでございまして、したがいまして視察の結果どういうことであったかということは、私ども詳細には報告を受けておりません。
#191
○粕谷照美君 亡くなられた方々の大半は出かせぎ者だと、こう思いますけれども、この方々の雇用条件というものはどのようになっておりましたでしょうか。さらに、この方々に対する補償というものは迅速にそしてかつ十分になされるべきであろうかと思います。いままでの大清水トンネル内での事故に対しても私どもは大変な不満を持っているところがあるわけでして、この点についての労働省としての対策をお伺いいたします。
#192
○政府委員(岩崎隆造君) 私どもも、この亡くなられた方々が出かせぎの方が主であったということは承知しておりますが、現在、労災補償につきましては早急に遺族に対する労災保険法に基づきます補償給付を行うように指示をして、調査を進めております。
 さらに、今後の体制につきましては、もちろん、昨年の中央労働基準審議会で建設事業について、特に安全衛生対策につきましての御建議もいただいたところでございますので、それに基づきまして一層の防止対策を充実してまいりたいと考えております。
 雇用条件につきましては、私ども承知しておりますところでは、亡くなられた方のお三方が前田建設の方であり、そのほかは渡辺工業関係の作業員というふうに承知しております。
#193
○粕谷照美君 詳しい問題はいずれそれぞれの委員会でやるといたしまして、労働大臣に、今後このような事故を起こさないための安全対策というものは一体どのようにされるのか、御決意をお伺いいたします。
#194
○国務大臣(栗原祐幸君) お答えをする前に、私からも、被災者の方々の御冥福を祈ると同時に、御遺族の方々に対して弔意を表したいと思います。
 いま政府委員からいろいろお話がございましたけれども、労働省といたしましても、いままでも注意を怠っていたわけじゃございません、それぞれ注意をしておりましたけれども、今回のこの事故に当たりましてさらに意を新たにいたしまして、昨年九月の中基審の建議を踏まえまして、災害防止に全力を挙げたい、こういう気持ちでございます。
#195
○粕谷照美君 それでは、次は、旧日赤救護看護婦さんの処遇の問題についてお伺いをいたします。
 総務長官に大変御努力をいただきまして、今回、初めて、この御苦労をしていただきました旧日赤の救護看護婦さんたちに対しまして慰労金という形でお金が出されるようになったことは、私は大変喜んでおります。しかし、その金額を見た場合には、質的にも金額的にもきわめて不十分な内容である、こう思うのですけれども、昨年の八月三日、関係各位の御努力が実りまして各党の合意が成り立ちまして大変いい結論が出たと思いますが、その三点にわたる合意内容の中で、第二点に「恩給制度を準用し、戦地加算を考慮して兵に準ずる処遇とする。」、こうあるわけです。それで、この「準ずる」という言葉は、私どもの考え方では、いままでの法制上の言葉で言えば、大体同じ、同一とは言わないけれども大体同じ、若干下がったとしてもそう大きな開きはないと、こう理解をしておりましたけれども、この辺についての御判断をお伺いいたします。
#196
○政府委員(小野佐千夫君) お答えいたします。
 旧日本赤十字社救護看護婦の処遇につきましては、日本赤十字社は、陸海軍大臣の命令に基づき赤紙召集し、戦地等に派遣し、旧日本赤十字の戦時救護事業を遂行したという特殊事情を踏まえまして、兵たる旧軍人に支給される普通恩給等を考慮してその処遇内容を定めることとしたと聞いております。
 先生いまおっしゃいました、準じてということの理解度でございますが、日赤の救護看護婦の処遇について、先ほど申し上げました兵たる旧軍人に支給される普通恩給等を考慮してその処遇内容を定めることであるというふうに私どもでは理解しております。
#197
○粕谷照美君 それでは答えにならぬのです。考慮してということと準じてということは、もう全く違うことだと思います。考慮してということと準じてということの、じゃ同一であるということの証拠をひとつお知らせください。
#198
○説明員(手塚康夫君) この問題をいろいろ検討いたしました際、われわれ一つ問題にいたしましたのは、これは兵の軍人恩給の場合には実は一種の約束論になっているわけです。一定の年数があれば年金を出すということになっていた、そういう約束だったわけです。ただ、この日赤の救護員の方々、この方々に対しては、万一戦死された場合あるいは負傷された場合については、日赤内部の給与規程がございましたが、年功給付は全くなかったものでございます。それを今回、顧みて慰労の意味も込めて出すということにしたわけでございまして、兵に全く同じにするというのはいろいろな意味で問題がある。たとえば、当時の給与にしても兵隊さんよりはずっと高い給与をもらっていた。そういった点も考慮いたしまして、「準ずる」というお言葉がございましたが、われわれの方は全く同じという理解はいたしませんで、それ相応のバランスをとった形にいたしたものでございます。
#199
○粕谷照美君 あそこにも元日赤の看護婦さんたちがおいでになっておりますけれども、そのような御返事を伺うと私は腹を立てると思うんですよね。各党合意なんですよ。その各党合意の中に「兵に準ずる処遇とする。」、こうありますのでね、その点については私は大変な不満を持っています。けれども、時間がありませんから次に移ります。
 それでは、ことしの総理府予算要求の段階で、三年計画でまず総額二十五億円の基金をつくる、そして年六%の運用でもってお金を出しましょうということになっていたことが、なぜこのような形に変わっていったのかという、その辺についての御説明をいただきたい。
#200
○政府委員(小野佐千夫君) お答えいたします。
 旧日本赤十字社救護看護婦の処遇に要する経費でございますが、日本赤十字社が基金を設けることも一つの案として考慮いたしましたが、基金によります処遇の適否等を十分に考慮いたしました結果、日本赤十字社に補助金を交付することとしたものでございます。
#201
○粕谷照美君 理解のできる説明ではないと私は思いますけれども、次に移ります。
 それでは、五十四年度の予算案八千七百四万八千円の内容について御説明ください。
#202
○政府委員(小野佐千夫君) お答えいたします。
 まず、今回の措置の対象者でございますが、昭和十二年の七月七日以降、戦地または事変地における旧陸海軍の戦時衛生勤務に服されました旧日赤の救護看護婦長及び救護看護婦の方たちでございまして、その勤務時間及びこれに引き続く抑留期間に旧軍人と同様の加算年を加えた年数が十二年以上ある方々のうち五十五歳以上の方々が対象でございまして、昭和五十四年度以降、日本赤十字社において毎年慰労給付金を支給しようとするものでございます。この慰労給付金の額につきましては、日本赤十字社としましては、実勤務期間の長短に応じまして年額十万円から三十万円までの額を予定いたしております。
 なお、五十四年度の予算額は、先生先ほどおっしゃいました約八千六百万円でございまして、対象人員は約千百名でございます。
#203
○粕谷照美君 どうも政府の対象者約千百名と言いますけれども、五十三年五月十日現在の日赤本社調査は、三年以上一体何人ぐらいになっておりますか。
#204
○政府委員(小野佐千夫君) お答えいたします。
 対象者は約千二百名でございます。
#205
○粕谷照美君 私のいただいております調査では、二千七百二十七人が三年以上と、こういうふうになっていますけれども、その中から何か抜けているんですか。
#206
○政府委員(小野佐千夫君) お答えいたします。
 私どもの方で承知しております数は約千二百名でございます。
#207
○粕谷照美君 それでは、その差は一体どこから生まれたのかということについての御調査を後ほどやっていただきたい。
 あわせまして、もしこの中に該当するのにおかしいという方がおられた場合の救済措置というものは、どのような形で行われるのでしょうか。
#208
○説明員(手塚康夫君) ただいまの数字、私ども日赤を通じていろいろ調べましたものでは千二百八十一名が三年以上、これはもちろん加算年を入れて十二年になるもの、それに限定されておりますんで一つはその差があるかと思います。それと不明の者がまだ若干いると聞いております。そういう方が今後の調査ではっきりした場合には、もちろんその範囲の予算のやりくりは可能かと思いますので、当然、支給することになると思います。
#209
○粕谷照美君 次に、この慰労金というのはどういうことでしょうか、その性格をお伺いをしたいと思います。で、その慰労金が出されました積算基礎は一体どこにありましたでしょうか。
#210
○政府委員(小野佐千夫君) お答えいたします。
 最初に、慰労金の性格でございますが、日本赤十字社救護看護婦に支給いたしますこの慰労給付金は、兵役の義務のない女性の身でありながら、陸海軍大臣の命令を受けた旧日赤の赤紙召集によりまして戦地等に派遣され、旧日赤の戦時救護事業を遂行し、さらに戦後の抑留等の事情により長期にわたって外地にあったという御労苦に報いるために、日本赤十字社が特別の措置として支給するものでございます。国としましては、これを助成するという立場から、この措置に要する経費を補助することとしているものでございます。
 第二点といたしまして、積算の根拠でございますが、旧日赤の救護看護婦に支給する慰労給付金の額につきましては、日本赤十字社としては、支給開始年齢に見合う兵である旧軍人に支給する普通恩給の額等を考慮いたしまして、実勤務期間の長短に応じて算出したものであると聞いております。
#211
○粕谷照美君 その積算根拠と、先ほど御質問を申し上げましたその「準ずる」という具体的な数字についてお伺いをするわけですけれども、現在、国会に提出をされております恩給法改正法案によります普通恩給の最低保障額と比べまして、どのような金額になっておりますでしょうか。
#212
○政府委員(小熊鐵雄君) お答えいたします。
 ただいま恩給の最低保障額の御質問があったかと思いますんで恩給の方からお答えいたします。
 恩給の最低保障額は、これは実在職年と年齢によって区々に分かれております。長期在職者、これは私ども長期と言っていますのは年金の年限に達した人、兵で言えば十二年以上、それから下士官以上であれば十三年以上と、こういうことでございますが、そういった恩給年限に達した長期の方、それでかつ六十五歳以上の方、この方に対しては、ただいま御審議中の予算案の中では六十四万七千円、最低保障額、それから六十五歳未満の方、この方に対しては四十八万五千三百円ということになっております。
 それから短期在職者、この方々は六十五歳以上じゃないと最低保障にかかりませんが、短期在職者の方で九年以上の方、この方には四十八万五千三百円、それから九年未満の方、これは三十二万三千五百円、こういう金額になっております。
 なお、こういった最低保障にかかる方、この方は全体の普通恩給受給者の約二四%に当たっております。
#213
○粕谷照美君 総務長官にお伺いいたしますけれども、いまの説明によりますと、六十五歳以上で十二年以上いれば六十四万七千円恩給としては最低保障がありますと、ところが、この日赤救護看護婦の方々は、十二年から十四年までの方は二十六万八千円でしかないんです。その差まさに三分の一とは申しませんけれども、約三分の一ですね。そうしてさらに十八年以上日赤救護看護婦の方々が年限を持っていらっしゃっても三十万円でしかないわけですから、比較してみますと二分の一ということになります。これがその準じてということになるのでありましようか。最低保障額のその半分とか三分の一なんというのはまさに残酷物語でありまして、慰労金などという範疇に入るものではないと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
#214
○説明員(手塚康夫君) 事実関係をちょっと申し述べておかなきゃいけませんので。
 恩給の方では、最低保障は、老齢者に対する特別な優遇措置というふうに考えているわけでございます。そこで、今回、私ども、いろいろ検討して、日赤の救護員の方に対する慰労、これはやはり戦地で苦労した一種の年功に着目しての措置でございますので、そういう老齢者に対する優遇措置は外しまして、本来の恩給計算で兵の恩給額計算をいたしますと、たとえば十年の方であれば二十六万四千九百円ということになるわけでございます。そういったものに着目して、準じて金額を定めたということでございます。
#215
○粕谷照美君 納得いかないんです。
 長官はいかがお考えですかと質問しました。
#216
○国務大臣(三原朝雄君) この問題につきましては、私自身もいま御指摘のあった点について同じような考え方でいくべきではなかろうかということの意見をただしてまいったところでございますが、今日まで決めてまいっておりまする方針といたしましては、その御苦労に報いる、特殊事情に基づいて御苦労に報いるものであって、これによって生活の保障を図るという年金的な性格をとるということにしていないんだというような方針を決めて、今日の処置をいたしておるところでございます。そういう点で、日赤のとられた方針に沿って、国といたしましては、それに助成をするという立場をとってまいったのでございます。
#217
○粕谷照美君 日赤は何もそういう方針をとられていないのでありまして、確かに、この看護婦の皆さんは、お金をたくさん出してくださいということが目的ではなくて、私たちのした仕事を認めていただきたいということでありますから、それは慰労金でいいという考え方も成り立つかもしれません。しかし、物の道理から考えてみますと、まさに同じ六十五歳以上で、しかも十八年いても三十万円しか出ない方と、同じ戦地におりまして六十数万円出る方とのこの差というのは、幾ら何でも各党合意の「準ずる」には該当しない、私はこう判断をいたします。
 それにつきまして、長官、ひとつお伺いしたいんですけれども、恩給というのは、人事院勧告がありますと、あるいはそれを考慮したり物価の上昇を考慮したりしまして、そして恩給も上がっていきますね、これは一体そのままずっと続くのでありましょうか、慰労金だから、これでいいというふうにお考えなのでしょうか、それ相応の措置というものが今後行われるようになるのでありましょうか。総務長官としては御努力をいただけるのでありましょうか、その辺の御決意をお伺いします。
#218
○国務大臣(三原朝雄君) この問題につきましては、日赤でいろんなこともお考えをいただいておるようでございまするし、この運用につきましては日赤の今後の運用を見ながら対処してまいりたいという考えでおるわけでございます。
#219
○粕谷照美君 それはこのままずっと移行するということではないと理解してよろしゅうございますか。
#220
○国務大臣(三原朝雄君) 日赤の御方針がそういう方向で進められる場合にはそれに対処してまいりたいと。で、私もできますれば、そういうような、いま先生御指摘のような運用がやられることを期待は私自身もいたしておりまするけれども、日赤の御方針に沿いたいということでおるわけでございます。
#221
○粕谷照美君 期待だけではなくて、ぜひ御努力をお願いしたいと思いまして、次に移ります。
 次は、元陸海軍従軍看護婦の処遇についてでございますが、旧日赤救護看護婦については不十分ながら慰労金という形で決着がついております。ところが、同じ戦場で同じ仕事に従事してきた元陸海軍従軍看護婦については全く無視されているわけですけれども、その理由についてお伺いをいたします。
#222
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたします。
 昨年の三月以来、旧陸海軍の従軍看護婦さんにつきましても検討を進めてきたことは御承知のとおりでございます。十数回、検討委員会あるいは調査委員会等で検討が進められてまいりました。なお、私が長官の席を汚しました以後におきましても、私は皆さん方の陳情を数次にわたって受けてまいっておりまするし、何らかこれらの旧日赤看護婦の方々あるいは一般軍属の方々、それらの方々のこと等も勘案しながら、これに対処をしてまいったところでございまするが、現在のところ、いま御指摘のように、何らの処置がとれていないという現状でございまするので、しかし、私自身も外地に長くおりましたし、日赤看護婦の方方の勤務の状態あるいは陸海軍の看護婦の方々の勤務の状態等もある程度承知をいたしておりまするので、これらを対比しながら、何とかこれに対する処置はできないものかなという点を検討を進めさして今日に至っておりまするが、現在のところ、これに対処して特別な処置をするということを決意することはきわめて困難な状態にあるわけでございます。
#223
○粕谷照美君 その理由を伺っているわけで、これは総務長官でなくても事務当局の方からで結構ですから。
#224
○説明員(手塚康夫君) 確かに一部の面につきましては、日赤の救護員の方と陸海軍看護婦の方は同じ勤務についていた面がございます。ただ、たてまえと申しますか、日赤救護員の方の場合には、いわば召集の形で救護班を編成してそれで戦地に行くのが主たる任務でございます。日赤の戦時救護規則によりましても作業は兵たん管区内で行う、特に命令あればその前方で行うこともあるということになっております。ところが、片や陸海軍看護婦の方々の場合には、陸軍病院ないしは海軍病院が採用するということになっておりまして、その勤務も原則として陸軍病院ないしは海軍病院でございます。現実には確かに日赤救護員の方も陸軍病院、海軍病院で勤務していたのも多数おられますけれども、原則としては兵たん病院あるいは野戦病院ないしは仮野戦病院で勤務する、それが仕事になっていたわけでございます。そこら辺やはりかなり違った面もございますので、同じに考えるということはなかなかできないということでございます。
#225
○粕谷照美君 あなた、野戦病院、それから戦地の兵たん病院などに行ってみたことおありですか。私は総務長官はやっぱり軍隊の御経験があるから返事が違うんだと思うんですね、わかるわけですよ。日赤の旧看護婦の方々だって、法律で言えば、あるいは決まりで言えば、私はやっぱり今回のような慰労金は出なかった。それが出るようになったものは、あの戦争中の皆さんの御苦労に対する、法律とか決まりを乗り越えた支給のあり方だというふうに考えるものですから、ちょっといまの説明では何とも納得ができかねます。
 それでは、きょうは参考人が来ていらっしゃいますから、金子さんにお伺いをいたしますけれども、あなた方は内地、陸海軍病院に勤務をしましたね、最初に。それは全く自発的に――お国のためにとか兵隊さんのためにとかという、そういうものでありましたでしょうか。
#226
○参考人(金子はる君) 私は元陸軍看護婦として従軍しておりました金子はるでございます。ただいま東京の江東区住吉二丁目十八の三号に住んでおります。自営業を営んでおります五人家族の主婦でございます。ただいま先生からの御質問に対しましてお答えをさせていただきます。
 個々に多少の差はあると思いますけれども、看護婦の資格を持って直ちに陸軍病院に就職をして勤務しておった者もございました。
 私の場合を申し上げますと、私も地方の外科病院におりましたけれども、兄が日支事変で戦死をし、また後を追うようにして母も亡くなり、幼い妹や弟を抱えて、そして父とおりましたので、やはり母がわりとして、看護婦をやめてそして家庭に入ったわけでございます。ところが、新聞とかラジオで、資格を持って家庭におる者は、陸軍病院に看護婦が足りなくて傷病兵を見殺しにするということで、もうその状況が家庭におるというようなことはできなかったのです。私も母がわりとしておったんですが、家族を考える前に、やはりきょうここにおいでの先生方は当時の状況がよくおわかりだと思います。私もやはり国に奉仕するのには家庭におったんではいけないんだ、家族を投げ捨ててもやはり応募して、そして傷病兵の看護に当たらなければならないという状況に置かれまして、私は栃木県の宇都宮の陸軍病院に応募いたしました。そこで厳しい軍隊教育を身につけさせられました。もう軍隊の命令というものは絶対に服従しなければならないわけでございます。ちょうど十六年の九月でございました。
 そして十二月の八日に大東亜戦争が始まったわけでございます。そしてだんだんと戦況が悪化するに従いまして、ある日、突然庶務課に呼ばれました。そして外地にはもういまは看護婦が足りなくて困っておるんだと、この病院にも司令部の方から今度何名派遣せよという命令が来ておるので、君も今度外地に命令をするから行くんだということで、もう断ることも何もできません。本当に結核患者とか、そのような状態に置かれた者以外は――ちょうど私はそのとき二十一歳でございました。ですから、もう断ることはできずに、そのときにも転属命令ということで命令を受けて、外地に送られたわけでございます。内地の陸軍病院には確かに希望して入った形になるかもわかりませんが、やはりその状況下において家庭におることはできなかったのです。そして宇品に集結いたしますと、そこには日赤の看護婦さんも陸軍看護婦も三百人ほどずつで約六百名ほど瑞穂丸に乗せられまして、そして南方方面に送られたのでございます。
#227
○粕谷照美君 そこまでの理由はよくわかりましたけれども、あなた方は志願だ志願だと言われて差別をされているわけですが、陸軍病院からその戦地に行かれるときに転属命令が出たと言いますけれども、志願なんですから、その命令は拒否できるはずです、自由なんですから。その点はいかがですか。
#228
○参考人(金子はる君) 当時は、もう軍の命令には絶対に従わなければいけないという五カ条がございます。ですから、もう拒否はできません。本当にもう病気以外は拒否はできずに送り込まれたわけでございます。
 ですから、転属命令ということで申告をさせられ、そしてもう外地に行くという命令を受けた時点で、一週間ぐらいの余裕しかなかったのです。そして集結をさせられて、そして船に乗せられて南方方面に私の場合は行かされたので、ほかの部隊の同僚たちも皆そのような形で陸海軍の従軍看護婦も外地に送り込まれておるわけでございます。
#229
○粕谷照美君 その事情はよくわかりました。
 それでは、その次にお伺いすることは、この日赤救護看護婦さんたちとあなた方の戦地における服務に差がありましたでしょうか。それから戦局が非常に厳しくなったときのあなた方の働きというものは、一体、どのような状況でありましたか、お伺いします。
#230
○参考人(金子はる君) 外地での勤務状態というのは、日赤の看護婦さんと私どもは全く変わりはございませんです。私たちはもう陸軍直属ということで、やはり申告も私たちが先に申告をさせられるといったような状態でございまして、全く変わったことはございません。勤務状態も内科病棟、伝染病棟、北支、中支、南方と、いま軍歴簿や何かも届いておりますけれども、日赤の看護婦も海軍も陸軍も皆一緒に勤務したのでございます。内容的にも何ら変わったことはございません。
 もう戦況が悪化してまいりますと、本当の激戦地に置かれました看護婦たちは、軍はもう敵前上陸を目前にしてどこかへ逃げてしまったわけです。そして看護婦は傷病兵を抱えておりますので、やはり衛生兵と看護婦と傷病兵を連れて逃げなければなりません。そしてもう本当の激戦がひどくなったときには、一人の看護婦が爆撃を受けまして――おなかに爆撃を受けたわけです。そしておなかの臓物が飛び出して、それを自分で手で中に押し込めながら、そして自分の皮を手でふさぎながら、私に構っているとあなたたちがやられる、あなたたちが死んでしまうと言いながら、自分がもういまにも事切れるのをわかりながら、そして行け行けと言われ、どうすることもできなくて逃げたわけでございます。それがもうちょうど昭和十九年の十一月ごろから終戦までの逃亡生活と言いましたら、それはもう本当に地獄のようでございました。ですから、もうそのときにも日赤の看護婦も陸軍の看護婦も全く同じでございます。
 また、日赤の看護婦さんは、もう召集と申しましても二年交代で、後交代要員が送られてくるわけでございます。ただし、私たちはもう交代が来ないんです。行ったら最後、なかなかもう戦争の悪いところに置かれております方は内地に帰るということはできません。そしてもう逃亡するときにも、日本の女性らしく決してぶざまなかっこうは見せてはいかぬ、それに敵が乗り込んでくればまず一番先に目をつけるのは女性である、ですからもう声を出してはいけない、頭は坊主にしろ、洋服は軍隊の軍人の洋服を着ろ、そしていざというときには必ず自決をするんだぞと言われ、青酸カリを持たされる者もありました。手りゅう弾を持たされる者もありましたし、私の場合は短刀を身から離しませんでした。そして大和撫子らしく果てるんだということを病院長からもかたく言われておりましたし、そのように、少しも日赤の方とも変わりなく私もやってきたのでございます。その同僚の方もたくさん戦死をしておりますし、また、満州とか中国方面におりました方は次々と転属転属で、軍歴簿が送ってございますけれども、どこをとらえて最後の軍歴の名簿に入れたらいいのかわからないほど私たちは軍直属ということで命令命令で動かされているわけでございます。
 先ほど兵たん病院、野戦病院に救護員は送られたんだということでございますが、軍歴簿をごらんいただけばわかりますように、私ども陸海軍の看護婦も兵たん病院、野戦病院で日赤の皆さんと一緒に勤務をしておったわけでございます。その辺のところをおわかりいただきたいと思います。
#231
○粕谷照美君 自分の身を守るだけでもう精いっぱいなのに、兵隊さんがどこかへ行ってしまって、その後残された病人をあなた方が守って、そしていままで御苦労してこられたわけですね。そういう方々はいまどのような生活をしていらっしゃるでしょうか。私のあなたに対する質問はこれで終わります。
#232
○参考人(金子はる君) 実は、厚生省の方に名簿がなくて調べられないということで、この前、日赤の方から私たちが外されましたときに、そのような答えが政府の方で出されましたので、国でできないものならば、私たちの手で調べようではないかということで、厚生省に代表が足を運びまして、会員を拾い出しました。そして現在六百十七名という入会してくださっている会員がございます。その中で調べますと一月二十日現在で明治生まれの方は三十名ちょっとおるわけでございます。
 現在の状況のお尋ねということで、お尋ねいたしますと言いまして、こういったアンケートをとらせていただきました。その中には最高年齢八十一歳の方もおります。そしてことしになりまして一月に一人亡くなっております。現在も危篤状態を続けまして、結婚もできなかったんだということも、やはり青春時代に、ちょうど二十前後のときに私たちは外地に派遣されましたので、やはり結婚もできなかった。そしてひとり身を通されて現在に至って、入院をして弟さん御夫婦のお世話になっておるという者もおるわけでございます。
 で、何とか私たちは看護婦として、日赤の看護婦さんと全く変わりなく、同じに外地に従軍をして、国のために、国が起こした戦争に私たちは奉仕してきたんです。だのにもかかわらず、やはり所属が違うということで、ここで私たちを取り除かれるということは非常に悲しいことなんです。ですから、明治生まれの方もたくさんおりまして、もう危篤状態の方はあすも知れない命なんでございます。あすでは遅過ぎるんです。弟さんからもう再三私のところに電話がかかってまいります。姉がこの世にいるうちに、国の方から、お姉さんもとにかく従軍看護婦として奉仕をして御苦労さんだったという、日赤の看護婦と同じに認めていただけたんだということを国から聞かせてあげたいので、とにかくあすでは遅過ぎるんだということをもう再三言われておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 本当に参考人としてここに私を出さしていただきましたことに対しまして、お礼を申し上げます。ありがとうございました。
#233
○委員長(町村金五君) 金子参考人には御多忙のところ御出席いただき、ありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。御退席くださって結構でございます。
#234
○粕谷照美君 長官にお伺いいたしますけれども、日赤看護婦の場合には召集令状だったからこれが出された、いまの方々は志願だからだめだと、こう言われますけれども、もう完全に軍の命令で行われてきたということがおわかりだと思いますけれども、その辺についても、どうしても今後考慮をするという余地はありませんでしょうか、いかがでしょうか。
#235
○国務大臣(三原朝雄君) 私自身、外地に十数年おりましたし、なお旧日赤救護看護婦の方々の勤務の状態、また陸軍、海軍の看護婦の方々の勤務状態等も何カ所か拝見もいたしておるわけでございまするので、何とか対処する道はないかということで、先ほど申しましたように、数次にわたって検討をお願いをいたしましたが、その以前に、先ほども申しましたように、十数回にわたって関係機関の方々が昨年の三月から今日まで検討を願った結果も出ておるということでございます。そうして日赤関係の救護看護婦の方々なり一般軍属の方々の取り扱い等を対比して検討をしてまいったことでございます。その結果が、きわめて困難であるということの回答を私は受けたわけでございまするが、しかし、どうしてもまだ問題を私がそれで解決できたというすっきりした気持ちに私自身がならない点もあるわけでございます。したがって、再度検討をしてみたい、そういう考えでおるところでございます。
#236
○粕谷照美君 日赤の救護看護婦の方々の問題につきましては、もう自民党の先生方も、与党でありますが、物すごくがんばってくださったわけですので、ぜひ、いまの総務長官の御返事は大変私うれしく思いましたけれども、先ほどの事務当局の説明で、私はまだなぜ差別をされているかという理由がはっきりいたしません。けれども、いままでの調査で言いますと、一つの理由に、証明書がない、こう言われるわけです。
 厚生大臣にお伺いいたしますけれども、
  〔委員長退席、理事岩動道行君着席〕
引き揚げてこられた方々の証明については、厚生省が管轄をしていらっしゃると思いますが、この辺についてはどのような厚生大臣としての指導をなされましたでしょうか。
#237
○国務大臣(橋本龍太郎君) 陸海軍の従軍看護婦の方々に対しまして、もともと兵籍簿のような個人ごとの一貫した詳細な履歴資料がその当時からつくられておらなかったこと、また、戦時中に作製されました履歴に関する各種の資料が、その後、あるいは戦災、あるいは外地からの引き揚げの際、また戦争直後の混乱の中で失われてしまい、散失してしまっているものが非常に多いという状況の中でありまして、当時の方々の数あるいは在職年数というものを正確に把握することが非常に実は現実に困難であります。
 いま厚生省として援護局が保管をしております資料から現時点で知り得る状況で御報告をいたしますと、昭和二十年一月一日に陸軍で作製をいたしました留守名簿がございますが、これは陸軍の看護婦さんだけでありますが、婦長さんが六百三十名、看護婦さんが四千九百十名、計五千五百四十名、また海軍の従軍看護婦さんにつきましては、終戦時、引き揚げ時に作製されました帰還者名簿によって確認をされます者が二百一名、計五千七百四十一名という数字が辛うじて把握ができる情勢であります。
 また、従軍看護婦でおられた方々が無事帰国をされました場合、これは本当にいまのお話を伺っておりましてもその御苦労はよくわかるわけでありますけれども、現行の恩給法また援護法の対象になっておりませんために、その観点からの調査を今日までいたしておりませんでした。ただ、現存する資料に基づいて、私どもとしては、できるだけその実態把握に努めたいということで努力をいたしておるところでありまして、従軍看護婦の会の皆さんが調査をされました資料がもしプライバシーその他の関係がなく提供していただけるものでありましたならば、私どもとしても、実態把握のための参考資料の一つとして使わせていただきたいと心から願っております。
#238
○粕谷照美君 厚生大臣、実は、従軍看護婦の方方が自分たちでお金を出し合いまして、それこそ各県へ行きまして調査をいたしました。もう結婚されていますから名字が変わっているわけですね。それから住宅にいたしましても転々とされますので、もうその返事が、一通の手紙が返ってくるまでにずいぶん長い時間かかっています。それでも一これだけの人数をきちんと把握をされております。厚生省に頼ってじっと安閑として待っていることができないんだという考え方だったと思います。大変な御努力ですので、いまの大臣の御答弁にもありましたけれども、ぜひ参考にしていただきまして、何とか前進を見ますようにお力添えのほどをお願いをしたいと思います。
 先ほど総務長官から心温かい御回答をいただきました。心強いというところまでいかないのが非常に残念なんでありますけれども、大蔵大臣、ひとつそのときになりましたら、これは予算がないからなんというそういうことではなくて、うんと前進的な形で戦後の処理をしていただきますように心からお願いをしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#239
○国務大臣(金子一平君) 関係大臣と協議をいたしまして、十分対処するようにいたします。
#240
○粕谷照美君 それでは、私はこの旧日赤救護看護婦及び陸海軍従軍看護婦の問題についての質問をこれで終わります。
 次に、教育関係に入りますけれども、文部大臣にお伺いいたしますが、ことし国際児童年でありますのに、大変子供たちの体がむしばまれているんではないかというNHKのテレビ報道がありましたり、あるいはここ数年来どうも子供の体がおかしいのではないかということが大きく世論の中に巻き起こってきています。日教組の教研集会の中でもそのことが大きく取り上げられてきています。で知徳体と、こう言われておりますけれども、体についての文部省の特別な指導、子供の健康を守るということの施策はどのように行われていますでしょうか。
#241
○国務大臣(内藤誉三郎君) お答えしますが、確かにこのごろは、子供の体位は大きくなりましたけれども、体力がないんですよね、それで病気が多くなる。ですから文部省としても、学校の時間はもちろん、クラブ活動を通じて体力づくりをやらしている。それから同時に、家庭、地域を通じても努力をしているところでございますが、御指摘のように、私も非常に心配をしておるのでございます。
#242
○粕谷照美君 文部省には、そういう子供たちの体について身長、体重などというようなもののほかに、もっと子供に、基本的な調査といいますか統計といいますか、そういうようなことをやっていらっしゃいませんでしょうか。
#243
○国務大臣(内藤誉三郎君) お説のとおり、健康診断も十分やっておりまして、従来は四月に一カ月だったんです。このごろは四月から六月まで三カ月間健康診断をやって、そして子供の体力を観察しながら体力づくりをやっぱりしっかりしなきゃいかぬ。私もお話しのように、やっぱりいまの子供たちの一番弱いのは体力がないということですから、そのために全力をひとつ傾倒してみたいと思います。
#244
○粕谷照美君 その体力の問題では、非常に学校給食というものが大きな影響を与えると思いますけれども、この学校給食をやろうとする日本学校給食会とそれから学校安全会ですね、これが統合するということが言われておりますけれども、文部省はすでにいま法律の中でオリンピック記念青少年センター、これをやめようと。今度はそれを一つにして、要は二つのものが一つになるわけですから、非常に行政改革の上では優等生だ、こうほめられているという話ですが、一体、どのような統合をされようとしているのですか。
#245
○国務大臣(内藤誉三郎君) 日本学校給食会と安全会の統合の問題でございますけれども、実は、放送学園を設立するためにはどうしてもやっぱり、放送学園というのは特殊法人ですから、法人を一つつぶさなきやならぬということで文部省でもいろいろ検討した結果――いま慎重に検討しているんですけれども、学校給食会と安全会は非常に関連が多いから、これをひとつ統合の対象にしようかなといっていま検討している最中でございます。
#246
○粕谷照美君 どういうふうに似ているところが多いんですか。統合してもよろしいということは、どこが似ているんですか。
#247
○国務大臣(内藤誉三郎君) やっぱり健康、安全という点を考えますと、学校給食も、これは学校給食を適切にやることが健康のもとでございますし、安全会は、けがしたり、そういういろいろ事故が起きたときの処置をするという意味で関連はあるわけですから、そういう意味です。
#248
○粕谷照美君 すでに四十七年にも同じようなことが言われまして、そして構想があったわけでしょう、子供の健康も含めて三つ一緒にしてやりましょうと、こういうことになりましたら、大蔵省と行管庁から、そんな焼け太りみたいなことはだめだといって反対されて、そしてパアになった経過もあるわけですから、私はいまの説明では納得がいきませんので、十分な解明ができるような説明というものを後ほどいただきたい。また文教委員会でこのことについては質問したいと思います。
 それで、先ほど質問いたしました子供の体位に関連いたしまして、今度できるだけ、お米も余りますので、たくさん子供たちに御飯を食べてもらいましょうということでの動きが非常に大きくなっています。たとえば宮城県の角田市には米飯給食の完全実施が農協の青年部によって決議をされまして、いままで週二回だったのが五日間、毎日御飯を食べさせるということがやられているわけですね。こうなりますと、学校給食会の提案理由から考えてちょっと問題がありはしないか。米食偏重というものを直していきましょうという、こういう提案を文相がやられていますので、この辺のところは、一体、文部大臣としてはどのようにお考えなのか。
 それからお米を食べていただきたいと、こう思っておられるでありましょう農林水産大臣は、こういうような運動についていかがお考えでございましょうか。
#249
○国務大臣(内藤誉三郎君) お答えします。
 やっぱり学校給食というのは、給食の内容が豊富でそして偏らないのがいいと思うんですよ。ですからパンだけに偏ってもいかぬし米だけに偏ってもいかぬというので、文部省としては週二回、六十年までに週二回の米飯給食をやりたい、こういうことでいま計画を進めているのでございます。偏らないように、やっぱり栄養の多様化、食事の多様化、これによって健康増進を図りたい、これが私の願いです。
#250
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私の方は、米が余ったから子供に食わせるんだと、こういう考えじゃないんです。御承知のとおり、いまの若いママさん方は案外大都会ほどパン食が多いんです。子供もしたがってパン、学校でもパン。すると、結局、米を食うことを忘れられたんでは、これは日本民族としては非常に一番適したもので、国内でとれて、それで米は、もうこれは神武以来米を食べてきておりまして、それで非常にみんな健康であって体も大きかった。そういうことを考えると、わが日本国に適して、たくさんとれて健康にもいい。何も外国から買ってきて食わなくたって、そういう米を忘れられては、これは生活の習慣ですから困る。したがって米は日本人である限り忘れないようにしてもらいたいということで、それでは学校給食でぜひ米飯運動をと、健康のためにもいいからということなんです。それが結果的には、米がたくさんとれるんですから、たくさん消費してもらう、その点では結果的にこれもいいということでお勧めをしておるわけでございます。
#251
○粕谷照美君 ところで、農林水産大臣としては、文部省の言う週二回ということについてはどのようなお考え方を持っていらっしゃいますか。
#252
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私の方は、なるべく多い方がいいのはいいんですが、週三回ならなお結構だと思っておるわけですけれども、それは学校のいろいろの方針があるでしょうから、とりあえず週二回もやってないという状態のもとで、そういうところでは困りますから、ともかくそれをやってくれれば、初めてやるところは七割引きにいたしましょうと、初めてこれからやるところは。それからいままでやっておるところは六割引きにしましょうと、しかも新米を出しましょうと、生産県ではなるべくいい米を政府米の中から出しましょうと。学校で出したところが、うちで食っている米はうまかったけれども学校へ来ちゃ米がまずいとか言われたんじゃ、やっぱり米はまずくなっちゃいますから、なるべくいい米を出すように、そういうふうなことで、できればまず週二回が終わってから週三回の話はぜひやってもらいたいと、こう思っておるわけです。
#253
○粕谷照美君 静岡県の豊岡村では愛情弁当持参というのをやっておりまして、必ず持ってこさせるわけですよね。文部省はこの弁当持参ということに対してどういうふうにお考えでありましょうか。
 その豊岡村の村長さんは、こういうふうに弁当をうちから持ってこさせることについて、部落において懇談会を開きまして、部落の人のコンセンサスを得てそして実施をしているという、実に息長い運動をやっていらっしゃる。そういう中で大変評判がいいわけなんですけれども、問題は、学校給食会を通してお米を買うと、いま農林水産大臣がおっしゃったように引いていただける。ところが、こうやって自分のうちから持ってくると、引いてもらえないということで大変困っていらっしゃるわけです。で子供たちが弁当を持ってくるために、うちでも御飯を炊かなければならない、したがって米の消費量がふえるということで、この村としては大変喜んでいるわけですよね。で村長さんが言うには、ぜひわれわれのところにも、そういうことをやっているところにも補助金として、三五%引けとか何とかまでは言っていらっしゃらないわけですけれども、何かお金が出てくるような方策はないだろうかということを言っております。で、この豊岡村のことに大変賛意を表しまして、静岡県知事が県全体でそういうことをやろうではないかというようなことも検討しているというふうなお話がありましたので、その辺についてお二方の大臣のお考えをお伺いします。
#254
○国務大臣(内藤誉三郎君) 愛情弁当の話もよく私も聞いておりますけれども、ただ問題は、いまおっしゃった値引きの問題も一つあるんです。これは渡辺農林水産大臣が非常に骨を折ってくださいまして、従来三五%の値引きだったけれども今度は六割の値引きにしてくださったのですよ。ですから学校給食会を通じないと六割は引いてもらえない、これは一般の家庭に引くというわけにはいきませんから、これが一つの問題。それからいま一つは、やっぱり子供が愛情弁当を持ってくるのはいいけれども忘れたらどうするかという問題が一つあるんです。それから先生と子供が一緒に食べるのが学校給食ですから、先生のお弁当はどうするのかという問題もあるわけです。そういう意味で、やっぱり学校給食というものは学校行事の一環なんです。給食を通じてお互いが仲よくなって、そして楽しい学校生活を送る、こういう意味でございますから、確かに一つのお考えではありますけれども、やっぱり学校教育の一環としてという点からいきますと、やっぱりいまの私は給食制度がいいんじゃなかろうか、いまお話の点、確かに検討に値する問題でございますけれども、今後ともよく検討さしていただきます。
#255
○国務大臣(渡辺美智雄君) 藤森さんの話は、実は私ももう何遍も言われているんです。農林省のいろんな委員なんかもやってもらっておりますから私も懇意な人なんです。その話もいいことだと思いまして、文部省とも話をしてみたんですよ。ところが、弁当を親が全部子供に持たしてくれればいいけれども、中に、くれなくて、金なんかくれる親があるんだそうですよ。要するに学校へ銭を持っていけと、途中でパンを買う、食わずにいられぬから。そういうふうなこと等もあるんだと。やっぱり米を食うときはみんなして米を食った方がいいというふうな話もありまして、それももっともだなあと思って、私も本当にあなたと同じ考えなんです、実際は。私の方が譲りまして、それじゃ弁当の方の補助金をどうするかということになると、じゃどういうふうに分けるか、そうするとでかい弁当を持ってきた人、小さい弁当を持ってきた人とか、それから麦の御飯の入ったのとか麦の御飯の入らないのとかいろいろあるけれども、しかし、それでも構わぬから一律に米代幾らということになると、一人二千円か幾らになるでしょう、恐らく年間を通じれば。それを上げるのも、これもどんなものかなあというようなことになりまして、しかしそのこと自体で村じゅうがまとまって自主的にやるというのならこれも反対する理由はないし、どうするかと思っておるんですが、これはやっぱり給食会というもので一律に文部省がやっているんだから、それを余り邪魔もできませんしね。
 そこで、そういうようなことをやっているところには、米の割り引きというのでなくてもいいから、何か別な、村ぐるみで米の消費拡大に役立つようなことをやっているわけですから、そこには何か別な施設や何かを、ひとつそういう村の意向も聞いて考えて、別な助成の措置があるんではないだろうか、そういうことで、そういうところには何らかのことを考えたい、こう思っております。
#256
○粕谷照美君 文部大臣の弁当持参はだめだという理由はこれは理屈にはなっていませんね。先生が生徒に御飯を持ってこいと言いながら、自分がパンを持ってくるだの、ラーメンを持ってくるだの、そんなことは考えられないですよ、いまの状態では。それほど教育だとおっしゃるのならば、いままで勉強していた机の上で御飯を食べるなんというようなことよりは、もっともっと食堂を早くつくらせて、本当に教育的な給食指導ができるような条件というようなものを早急にやっていただくことの方が私は先決問題だろうと思います。
 それとあわせまして、文部省が考えている精米所要量の見込み、実績、この辺についてはいかがでしょうか。
#257
○政府委員(柳川覺治君) 五十六年までに一〇〇%の学校で週二日の米飯を導入するための所要量が十万トンでございますが、五十四年度は六万六千トンを目標にいま計画を進めておるところでございます。なかなか、従来パン、ミルク、おかずの形態で進めておるものを切りかえていく問題でございますので、この計画の実施については努力を要しますが、幸い、先ほど御答弁がございましたとおり値引き率も高まったわけでございますので、いま教育委員会を通じてその計画の円滑な実効が上がるように努力をしておるところでございます。
#258
○粕谷照美君 私はそれが実施できるかどうかということについて大変な疑問を持っている、といいますのは五十一年は計画を上回りました。五十二年も上回っていますが、五十三年においては七千トン少なくなっているんですね。ところが五十三年度の四万一千トンに比べて五十四年度はもっと多くして六万トンにしようというわけですから、本当にそれが実行できるかどうかは各県の決意にかかわっていると思います。調査をしてみますと、未実施率が五〇%を超す中に青森だとか宮城だとか、お米をたくさんつくっているところも入っているわけですね、この辺の見通しはどのようにお考えですか。
#259
○政府委員(柳川覺治君) 御指摘の米の生産県におきましても、たとえば青森では学校におきまして炊飯をして米飯を導入しておるというところが三七%、米飯を家庭で炊きまして持参しておるというところが六三%というような実情でございまして、新潟県におきましても現在六一%の学校で米飯が導入され、一〇%の学校では持参という形の実態になっております。なお、総じてやはり米の生産県の方が消費県よりも実施率は高うございますが、なかなかに米の生産県でもこのような状況でございますので、今後自校炊飯あるいは委託加工による炊飯設備の体制を整える等で鋭意この計画の実現を図っていくように努めておるところでございます。
#260
○粕谷照美君 日本人だから米を食べよう、私もお米は大好きですからそれは賛成なんですけれども、普通米のつきものはみそ汁ですね。ところが最近牛乳が余ってきた、そのだぶついた牛乳を子供たちに飲ませようではないか、あるいは、ミカンが余ってきた、ミカンジュースをぜひ子供たちに飲ませようじゃないか、こういう農民の運動も事実あるわけです。それぞれの地域で私は給食というものはどのようにするかということを考えればいいと思うんですが、文部省がことしの予算の中に学校給食の副読本を無料で配付する、こういうことを言っていますね。そして費用が農林水産省と業界持ちだというのですね、こういうようなことで副読本を配付しているなんということが教育上あり得るでしょうか、文部大臣いかがですか。
#261
○政府委員(柳川覺治君) 学校給食は児童生徒の心身の発達を期すという目的で行われておるものでございまして、学校給食用物資につきましては、その目的にかなった適正なものを確保するという努力をしておるところでございます。
 すでに学校給食におきましては、戦後再開されました時点から栄養的な観点も考えまして、ミルクの確保を図っていくということで、現実に牛乳が小学校で二百ccの飲用を図っておるところでございます。
 いま御指摘の点につきましては、牛乳普及協会の方で学校給食における牛乳の飲用等の適正な方途につきましての資料をつくるということで、これにつきまして文部省の給食の立場からの監修の依頼がございましたので、これの監修を行ったということでございます。そのことによりまして学校における栄養の確保、また牛乳の飲用等が適正に行われるということを期しておるものでございます。
#262
○粕谷照美君 いや、私が聞いたのは、学校給食は教育だ、教育において配付される副読本に業界がお金を出している。その業界と農林水産省とのお金でもってその本がつくられて配られるということについて、その他にも例があるのか、教育の面から見たらそのようなことが行われるのかどうかということをお伺いしているわけです。
#263
○政府委員(柳川覺治君) 学校給食の目的にかない、かつ、適正に確保されるということの面に立ちまして各方面の御協力を受けるということはあり得ることだと思いますし、このたびのこの問題につきましては、その内容につきまして学校給食の立場からの監修をして、その上で学校に配付されるということで、内容につきましての監修を行っておるということでこの面の適正を期しておる次第でございます。
#264
○粕谷照美君 私はそのことについては非常に問題がありますが、時間がありますから、いずれ後ほど取り上げていきたいと思っております。
 ここに、大臣、「学校給食広報」というのがありまして、五十四年三月一日のものですけれども、それの三百四十六。ヤクルトスワローズの監督の広岡さんという人がいろんなことを書いていらっしゃるわけです、「らんちたいむ」の中に。
 その中でこういうことを言ってらっしゃるんですね。「コーラや炭酸飲料は、グランドから追放しました。甘味一辺倒の炭酸飲料はビタミンB1やカルシウムを体外に排出することになるからです。」、非常に厳しく言ってらっしゃいますね。そして「最近子供の骨がよく折れるというのはこんなところに原因があるのではないでしょうか。」。実に厳しい食生活を選手の方々に強いていらっしゃる。そしてその選手もそのことを最近は理解をしてきた。さらにその選手の御家族の特に奥様方に栄養についてのお話をされているわけですね。
 ところが、学校給食におきましては、男の先生方はなかなかこの栄養という問題についての教育をいままでやってこられないですね。家庭科は女の子、男の子は技術科というふうになりまして、だからこういう問題になるともう全然弱いんですよ。その辺のところの指導というものも含めまして、学校給食がその意義を達成されるための努力についての御決意をお伺いいたします。
#265
○国務大臣(内藤誉三郎君) ただいまの御指摘の点、非常に私も大事な問題だと思うので、やっぱり学校給食はただ食事をするというだけじゃなくて、栄養の問題ですね。子供のときからやっぱり栄養の問題について関心を持たせ、そしてそのことが健康のもとだと私も思いますから、今後学校給食を通じて御指摘の点は十分指導してまいりたいと思います。
#266
○粕谷照美君 最後に、この四月からのすべての障害児に教育の機会を保障するための養護学校の義務設置に伴う問題点をお伺いいたします。
 三月二十一日の朝日新聞によりますと、古川起余子さんという重度の耳の聞こえない女子学生が京大に合格をされたという記事が載っておりました。このお嬢さんは津田塾大にも合格しましたし、東京女子大、同志社大にも入ったのですけれども、最終的に学問の道を生かしていくためにといって京大にお入りになったということですね。私は、学問の道を生かしていく道を歩きたい、つまり働きたいと、こういうお考えを持っていらっしゃることに非常に強く感動したわけですけれども、このことはやっぱりあの記事を読んだ障害児あるいはその親たちに対して非常に限りない励ましであると思うのです。
 その言葉の後ろにお母さんがこういうことを言っているんです。いま養護学校の義務化の問題が騒がれているけれども、うちの子の起余子がこういう状況になったのは普通の学校に入れてもらえたからこそだ。だから、どんなに普通の学校に障害の子供が入るということが大事なことか多くの人に知ってもらいたい、こうおっしゃっているわけです。文部大臣、この点についていかがお考えですか。
#267
○国務大臣(内藤誉三郎君) 御指摘の点まことにごもっともでございまして、要するに、障害児ですから、どの程度障害があるかということが問題なんで、普通学級へ入って一緒にやっていける子なら私はそれで結構だと思うのです。ただ、身体障害者で病院にでも入っているような場合には文部省は訪問教師まで派遣しているんですよ。ですけれど、障害の種類と程度によってどうするかという判断の問題になるから、それはお医者さんとか専門家を含めて就学指導委員会をつくってあるんですよ、県と市町村に。そこの指導委員会でこれはやっぱり普通学級じゃ無理だと、やっぱり障害児の学校に入れなければいかぬという判断をされると――結局その人の幸せはどっちだと、それは普通学級に入れたいという親の気持ちもわかるけれども、これは障害の種類と程度に応じて、その程度が軽ければそれで私は結構だと思うんですけれども、重度障害の場合にはやっぱり本人の幸せにならないと思うので、それは就学指導委員会の御指摘に従っていただきたいと思います。
#268
○粕谷照美君 大臣の、幸せにならないというその幸せはだれが決めるのかという点については私は大臣と考え方を異にするわけですが、時間がありませんから次に移ります。
 文教委員会でも質問いたしましたけれども、長崎大学教授の河原一郎先生のお嬢さん、三女の暁子ちゃんが脳性麻痺で、この間私はテレビを見ましたけれども、涙を出しながら見ているわけですよ。幼稚園の玄関から自分の教室まではって行く。そしてそのはっているのを普通の子供たちは平気で見ている。それでも座れないときには隣の男の子がちゃんといすを出してあげる。お母さんの訓練も厳しいもので、ぴしっとはたいたりして、一人前に自立していくようにというような教育をしていらっしゃるわけですが、このお嬢さんは最終的に指導委員会でもって普通の小学校に入ってもよろしいという結論をいただいた。その理由は何だといったら、暁子ちゃんはボーダーラインだというんですね。もうすれすれだと。で、お母さんの気持ち、御両親の気持ち、本人の気持ち、これ考えて入れましたというのもありますが、私はやっぱりその学校の先生が受け入れると、こう判断をされたのが一つの大きなファクターだと思います。ところが、暁子ちゃんと同じよりも、暁子ちゃんよりもっともっと条件のいい田中留美子ちゃんという方が宮崎にいらっしゃいます。私はどちらにも行ったりお会いしたりしているんですけれども、この留美子ちゃんは軽いにもかかわらず、この学校に入りなさい、つまり普通小学校に入りなさいという通知をまだいただいてないんです。就学指導委員会といいますけれども、指導委員会の中の二人の専門のお医者さは入ってもよろしいと言うんですよ。医者が入ってもよろしいと言っているのに、医者でない方々がそれは普通学校へ行っちゃいけないと言うんですね。こんな就学指導委員会はありますか。
#269
○国務大臣(内藤誉三郎君) お医者さんが診ていいとおっしゃるならやっぱりお医者さんの意見を尊重すべきだと私は思うのですけれども、まあ就学指導委員会でどういう結論を出されたのか私も存じません、具体的な事実は存じませんけれども、せっかく指導委員会のお医者さんがいいとおっしゃるなら、できるだけお医者さんの意見を尊重すべきだと私は思う。
#270
○粕谷照美君 文部省にお伺いしますけれども、養護学校が居住地になくて、入学となれば寄宿舎に入らなければならない。こういう場合の、家族を強制的に分離して移住をするわけですけれども、教育の名においてそれができるという法的な根拠を一つお伺いします。
 それから、寄宿舎のかわりに養護施設に入ってもやっぱり同じような条件になりますけれども、その場合の法的根拠。
#271
○理事(岩動道行君) 粕谷君、時間が参りました。
#272
○政府委員(諸澤正道君) おっしゃるような、障害の子供さんをどうしても寄宿舎に入れろという法律は私はないと思います。それは強制することではないのですけれども、ただ現在の実態を見ますと、盲聾などの場合は大体五〇%ぐらい寄宿舎に入っております。それで養護学校は一番障害の程度がいろいろございますから、二〇%ぐらいになっているかと思うんです。
 そこで、それは決して強制することによって効果を上げようというのではなくて、御存じのように学校の数が少ないので、どうしても通えないお子さんはひとつ寄宿舎へ入れてください。またその寄宿舎へ入らぬまでも、何とかスクールバスを用意しておりますから、それで通えるお子さんはスクールバスでと、こういうことでやっておるわけで、私は決して機械的にやるように指導しているわけではございません。しかし教育の効果を上げるために、おっしゃるようにそういう養護学校対象者は親と一緒にいてそのスキンシップを大事にするということが非常に必要だということも聞いていますけれども、反面また、たとえばいまおっしゃった脳性麻痺の子供さんなんかは、やはり学校へ入るくらいの六つか七つの年ごろに、毎日定期的に歩行訓練とか手足の訓練をやらせる。そしてやらせるためにはそれを専門にやる先生につかないと、普通の学校で勉強させたいという親の気持ちはわかりますけれども、それ以上にやっぱり時期を失して機能訓練をおくらせるということは大変なことだと、こういうこともありますので、私はやっぱり一人一人の子供についてよく親御さんの理解と協力をもらって、必要があればやはり寄宿舎に入っていただいて、そういう訓練を重視してやっていただくということもやらせるようにしたい。あくまでもお互いのよき理解があってこれをやるという前提で指導してまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
#273
○粕谷照美君 では、時間がありませんから最後にいたします。
 この田中留美子ちゃん、宮崎なんですけれども、宮崎県の教育委員会に行きましたら、国会の議事録を見せながらお話をしましたら、国会でそのような討論があったとしても、文書としての指導がなければ五十四年度新入生に関しての弾力的な取り扱いはしないと非常に厳しいわけですね。したがって、どのような指導をしていかれたのかということと同時に、いまのような弾力的なことも考えられるんだという指導もやっぱりきちんと出すべきだろう、こう思います。
 さらにまた、親の方では機能訓練ができないという前提に立っての初中局長の御答弁ですけれども、親にもやつ。はり学校と同じような機能訓練をさせるような指導というものをやらせていくような、それがあったっていいのではないか。したがって、障害児の問題については余りしゃくし定規に考えないで、統合教育の方向を目指して文部省も努力をしていく、親も理解をしていく、養護学校もがんばっていくというような状況をつくり出すための文部大臣の御決意のほどをお伺いして終わりたいと思います。
#274
○国務大臣(内藤誉三郎君) もともと就学指導委員会というのは、障害児の子供の幸せのためにつくった委員会ですね。ですから、その子が本当に寄宿舎へ入れた方が幸せだと、こういう判断をしてやられるわけですから、おっしゃるようにしゃくし定規でやるわけじゃないのです。専門家が集まって慎重に協議してお決めになるわけですから、私はその決定はできるだけ尊重したいけれども、おっしゃるようにしゃくし定規でやることはよくないと私は思っております。
#275
○粕谷照美君 終わります。(拍手)
#276
○理事(岩動道行君) 以上で粕谷君の一般質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#277
○理事(岩動道行君) 次に、志村愛子君の一般質疑を行います。志村君。
#278
○志村愛子君 初めて質問させていただきます。冒頭に当たりまして皆様方によろしくお願いをいたします。
 まず質問は三つございまして、大別いたしまして、まず第一は国際婦人の十年の前期の国内行動計画でございます。二番目は家庭基盤の充実、そして三番目は国際児童年、こういうふうに大別いたしております。
 最初の国際婦人の十年の国内行動計画、これをひとつお伺いしたいわけでございますが、一九七五年、昭和五十年でございますが、メキシコで開かれました国連の国際婦人年世界会議にわが国の代表も参加いたしまして、不肖私も政府の代表顧問として出席をさせていただいたわけでございます。
 その際、男女の平等、婦人の地位の向上などについて各国が十年の計画で取り組むことを決めたわけでございます。この十年計画で取り組む計画をいたしまして、中間時点で再び世界会議を開き、どれほど改善の実が上がったかを見直すことになっておるわけでございます。たまたまその会議が来年の七月デンマークで開催されるわけでございますが、わが国でも代表を派遣して日本における改善状況を報告しなければならないと思います。
 そこで、端的にお伺いするわけでございますが、わが国の改善状況は目標に達して満足すべきものでしょうか。百点満点といたしますと何点をつけられるのでございましょうか。本当ならば総理にお伺いしたいところでございますが、残念ながら御出席いただけませんので、総理府総務長官にお尋ねいたしたいと存じます。お願いいたします。
#279
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたします。
 メキシコにおきまする国際婦人年がございました。その後、ここで会議でお決めいただきましたことに対して、わが国におきましては、婦人問題企画推進本部をつくりまして、ここ三年が経過するわけでございます。いま御指摘の国内行動計画を立てて、これが具体化のために取り組んでおるわけでございまするが、まず前半の重点目標というものを定めて積極的に取り組んでまいっておるわけでございます。
 現況を申し上げますと、まず第一には、行政面に婦人が参画をすることを拡大をいたしたい。なおまた、各種の委員会等におきましても同様、大いに参加をして協力をするような体制をつくりたい。二つ目には、この国内の行動計画の目標を実施をするために具体的な施策を立てねばならぬわけでございまするが、この施策に対処するための予算を獲得をして、新しい施策等も導入していこうというのが第二番目の問題でございます。第三番目には、地方公共団体にもそうした行動計画をつくっていただいて、中央、地方一体になっての体制の強化をしていきたい。第四番目には、婦人の現状と施策等につきましてこれらのものを婦人白書にまとめてみたい。大体そういう数項目の重点目標を立ててこれと取り組んで努力をいたしておるわけでございますが、その結果をいま御指摘のどのくらいの成果を上げておるか、点数でつければ幾らかということでございまするが、この点数につきましては専門家の先生に御依頼をするといたしまして、私は十分満足するものではなかろうと思います。まだまだ問題を残しておるわけでございまするけれども、来年はちょうど中間の年に当たりますから、その際にはまずまずの成果を上げ得ましたというようなことが報告できるように、今後の残された約一年間でございましょうが努力をいたしたい、そういうことで進めておるわけでございます。
#280
○志村愛子君 さすがに三原総理府総務長官のお話、本当に御熱意のほど、ありがとうございます。
 そこで、国内行動計画前期重点目標の十一項目を大体お伺いしたわけでございますが、その中で、特に前期計画のうち、やはり第一に力を入れて特別活動を展開しておられていらっしゃる婦人の政策決定参加の促進、このことにつきましてさらにお伺いしたいと思うわけでございますが、各省庁が持っております各種審議会の委員に婦人を積極的に登用して、政府全体の一〇%に引き上げることになっております。これを調べてみますと、昨年の六月現在では、何と審議会の数は二百八もございますけれども、そのうち婦人の参加しております審議会は八十七でございまして、全体の半数にも足らないといったような状態で、委員の数に至りましては、委員総数が四千八百二十六人のうち婦人の委員はわずか百七十一人、全体の三・五%にすぎない、こういうことがわかったわけでございます。こうして見ますと、目標の一〇%を百点満点といたしますと、この成績は三十五点ということになりまして、これでは落第点ではないかと、こう思うわけでございますが、この状況につきまして、さらにいかがでございましょうか総務長官。
#281
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたしますが、御指摘のとおりだと思います。しかし、まあ参加をすでにいたしております審議会におきましては、その数を増すことに努めてまいっておることは御承知のとおりでございますが、なおまだ参加できていない審議会に対しましては、新しくぜひ参加をさしてほしいということで関係省庁とも連絡をし、お願いをいたしておりまするし、去る二月におきましては、私は閣議でこの問題を提案をいたしまして、各大臣の御協力を承ることにいたしたわけでございますが、その中でも運輸省におきましては、早速この具体的な処置を願いまして、ことしの四月一日から実は職種別の婦人の受験というようなものが新しく全部を認めていただいて、ことしから受験ができると、採用試験に受験できるというような道も開いていただきましたし、各省庁もそういう方向に徐々に向かってまいるであろうと期待をいたしておるところでございます。
#282
○志村愛子君 後にまたお伺いしたいと思っていたようなことの一部、ちょっと先を越された感がございますが、では、なお具体的にどのようにされておりますか、この問題を赤松参事官にお伺いしたいと存じますが、いかがでございましょうか。
#283
○説明員(赤松良子君) ただいまお尋ねの点は、審議会の女性の委員をふやすことについてのお尋ねかと存じますが、その問題につきましては、先生の御指摘のように、大変まだ合格点をとれるという状態でないことは大変残念に存じている次第でございます。長官も申し上げましたように、いろいろと努力はしてまいったわけでございますが、その中で、特に昨秋からは重点を置きまして、各委員会について事前連絡をしていただくことになったわけでございます。この審議会の改正の際に、それに先立ちまして女性を入れるとか入れないとかというようなことにつきまして事前に連絡をしていただくということになっておりますので、その点につきましても改善が期待されるわけでございます。
 なお、これまでは一般的なお願いを各省に対して要請し続けてきたわけでございますが、そのやり方では多少成果もまだ十分でございませんので、これからは重点を決めまして、あるいは個別的に取り組んでまいった方がいいのではないか、このように考えている次第でございます。
#284
○志村愛子君 私は、まだ議席を持ちませんときに厚生省の中央児童福祉審議会委員をお手伝いさせていただいたことがございますけれども、やはり婦人の発言、そういったことが自分の体験を通しましてもやはり必要だなといったことを感じますので、そういったことを層一層お願いしたい、御協力していただきたいと思うわけでございます。婦人の委員が一人もいない審議会が現在なお百二十一もある状態であるということでございますが、せめて、来年の世界会議までにまだ一年ございますので、全部の審議会で婦人委員を登用するようにしていただきたい、これもお願いをしておく次第でございます。推進本部が幾ら笛を吹きましても審議会を持っている省庁が踊ってくださらなければどうしようもないというようなわけでございまして、各省庁の大臣にはさらにこの際御協力のほどを層一層お願いする次第でございます。これはもう大臣その他の皆様にお願いしていることでございます。
 次に、国家公務員の女子職員の採用についてお伺いいたしますが、国内行動計画では女子に広く門戸を開放することになっていますが、いまなお女子に対して採用試験を受けさせない職種、これは先ほどもちょっと総務長官からお話が出ましたようでございますが、あるいは学校もあると聞いております。五十四年度の状況と、この問題についての人事院のお考え、これを人事院の総裁にお伺いしたいと思います。
#285
○政府委員(藤井貞夫君) 現在までいろいろな事情からいたしまして、女性を受けられなくしておるという試験が従来まで実は十一ございました。その内容について、どういう理由でということは時間も何ですから詳細に申し上げませんが、このたび、先刻来お話がございましたように、運輸省関係では一挙に、大変な決断をされまして五つの職種について女性にも門戸を開放するということになったわけでありまして、人事院といたしましてもその点は大変評価をいたしておるような次第でございます。したがいまして、残っておりますのが六つございます。これは国税の専門官、それから初級の国家公務員の採用試験におきまする税務の区分の関係、それから刑務官、それから皇宮護衛官、それから入国管理官、それからもう一つは郵政省の関係でございまして、これは内部事務の関係でどうもやはり女性に開放しても無理じゃないかというような従来の考え方から、郵政の関係でBの職種というのがございますが、これにつきましてはやはり男性に限るんだということにいたしております。したがいまして、現在なお女性に対して門戸を開放しておらない試験の種目は六種目であるということに相なっておるわけでございます。それぞれいろいろ事情がございます。ございますけれども、人事院といたしましても、また全体の国の方針といたしましても、なるべくやはりこれは開放していって、その点にまつわる問題点の解決は別の角度からいろいろ処置をしていくということが筋合いではないかということで、慎重に連携も保っておりますし、各省庁それぞれ大変真剣に御努力はしていらっしゃるわけでございます。そういうことで、漸次いい方向に向かって解決ができるのではないかということでわれわれも期待もしておりますし、今後ともその線に沿って鋭意努力は続けてまいりたい、かように考えております。
#286
○志村愛子君 運輸省では、他の省庁に先駆けて率先このような制限をなくした、大変ハイライトでございますので、運輸大臣の英断と思いますが、森山大臣、いかがでございましょうか、この際ひとつお考えを披瀝していただきたいと思います。
#287
○国務大臣(森山欽司君) なかなか予算委員会で、運輸行政は非常にむずかしいものですから、いいかっこうができないのでありますが、きょうは志村先生のおかげでいささか面目を施すことができましてまことに感激にたえない次第でございます。
 まあ近年、優秀な女性が職場に進出をし出しておりますし、また職場における男女差別撤廃が強く求められております。先ほど総務長官からお話がございましたように、国の行動計画の策定、それに基づく特別活動の実施等に努め、また労働省なども民間事業所に対してそういうことで指導をしているところであります。私も、政府自身が使用者としてやっておる部面については率先垂範すべき立場にあると考えておるわけであります。現在、国家公務員の採用試験の受験資格について男子に限定している職種がなお幾つかあることは、先ほど人事院総裁のお話のとおりであります。総理府では大変そのために御熱心に取り組んでおられ、先ほどここで話をされた赤松参事官等の方々が各省を歴訪して、ぜひお願いしますと言って歩くのでありますが、総論は賛成をしたような顔をして大体本気に取り扱っていないという姿を私は拝見いたしまして、それで私としては、私がいま大臣をやっております運輸省の五職種についてこれを早急に本格的に取り組んで、その場だけで適当な返事をしてお引き取りを願うというようなことをやめて、本気に取り組んで検討せよということを関係局長等に命じたわけでございます。
 いろいろ問題はあります。施設上の問題、たとえば手洗いは別になりますから、これはどうするかとか、ふろ場をどうするとか、深夜業に関する人事院の規則はどうするとか、いろいろそういう問題があったわけでありますが、そういう問題は、人事院の問題は人事院総裁を初めとする関係者の方々の御努力によって運輸省の場合は解決をいたしました。施設等の場合は、要するに男が中心の今日の役所でめんどうくさいという一語に尽きるわけでございまして。ただ、運輸省でも心配だったのは管制官でありまして、航空管制をやっておって、とっさの判断をする際に果たして女の人でどうだろうということでございましたから、これは専門家の方々を集めて、審議会で慎重に審議をいたしましたが、女だから管制官になれないというそれだけの積極的理由はないということがはっきりいたしましたし、また現にアメリカ、カナダ、英国、フランス、ソ連等の国々では、数は多くありませんけれども現に女の管制官もおるわけでございますから、とにかくそういうことでいろんな問題がありましたが、特にこの問題につきましては、人事院の格別のお世話によりまして、五職種について昭和五十四年度の採用試験から女子にも門戸を解放するということになったわけであります。運輸行政につきましては、能力と意欲のある者が男女の差別なく機会を与えられるようなことになったということを胸を張って御報告を申し上げたいと思う次第であります。
#288
○志村愛子君 能力と意欲、まさにそのとおりでございまして、私どもなどが見ておりましても、同じ車を運転しておりましても男性よりも女性でかなりすばらしい方もおられるし、やはり能力の問題も大いにあるのじゃないだろうか。女だから、男だからと、まずそういった概念はこの際なくしていただきたいと思う面もあるわけでございます。
 次に、大蔵省、法務省、警察庁では女子に受験を認めない職種があるようです。これはすでにお話が出ましたけれども、防衛庁では、防衛大学校また防衛医科大学校の受験を許可されていないようでございますが、来年の世界会議までに制限をなくして女子に門戸を開放していただきたいと思うのですが、関係大臣いかがなものでございましょう。まず大蔵大臣、どうでしょう。
#289
○国務大臣(金子一平君) 税務職員の仕事は、御承知のとおり、納税者のところへ出かけて行って調査、検査、あるいは人のいやがる滞納処分をやるような特別の職務でございます。それで、決して能力を認めない、差別待遇をするわけじゃございませんけれども、やはり肉体的な差というものはそこに出てまいりますのと、相当厳しい仕事でございます。それから、仕事の性質上、長く同じ勤務地に置かないのです。三年なり四年なりで転勤させます。女性の方はなかなかこの転勤が自由にできない。親元から通うというような問題がございます。それから、やはりいろいろ統計を調べてみますとね、十年勤めた中で女性は大体十年間に四割かわります。男性は六%です。そういう問題があるものですから、国税専門官試験なんぞはいま受けることを認めてないわけですが、ただ女性を決して差別待遇しているわけじゃございませんので、女性にふさわしい職場がございます。それは税務署の内部の仕事、いわゆる国税局内部の仕事あるいは資料の仕事でございまして、全国の税務署の中には、課長職あるいは係長職のポストに登用されておる女性の方も相当たくさんあることを申し上げておきたいと思います。こういう肉体的な厳しい勤務上の問題があるものですから、まだ私どもこの受験について結論を出すに至っておりません。
#290
○志村愛子君 大蔵大臣、民間の場合ですと、御婦人の税理士さんなんかいますね。こういうのはどうなんでございましょう。税理士としてりっぱに民間ではやってますね。
#291
○国務大臣(金子一平君) 大変女性には優秀な方が大ぜいいらっしゃいまして、どんどん税理士業務に、業界に進出していらっしゃる方多いことは事実なんです。これは内部でおやりになることでございまして、あるいは納税者の家へ行って直接税法の権限に基づいて帳面を出してください、これはどうしたんですかというところまでやる仕事となると、やはり男性と一緒にやれない場合も多いのですね。あるいは脱税の摘発に乗り込むというようなことになりますと、そこにやっぱり、これは警察官でも同じだろうと思うのですが、ちょっと差があると思うのです。しかし内部でいろいろ帳簿の照らし合わせをやったり、納税者を指導してもらうような職種、仕事には私は大変適切なポストではないかと思うので、そういう方面の登用については今後も大いに考えていかなきゃいかぬと存じております。
#292
○志村愛子君 層一層お願いしたいと思います。
 次に、法務大臣にお願い申し上げたいと思います。
 法務大臣、いろいろまだ受験の門戸が開かれていないようでございますけれども、たとえば女囚の刑務所などには、これは刑務官というのでございますか、立場は。こういったような方がおりますけれども、どうなんでございましょう、法務省のお立場として女性に受験の門戸を開くということ、このことにつきましてお考えをお聞かせください。
#293
○国務大臣(古井喜實君) 門戸開放は大賛成でありますが、現状はいまもお触れになりましたように、私どもの方では刑務官、それから入国警備官、これは一般採用試験でなしに、さらばといって採用しないんじゃない、特別選考で採用しておるという、一般の試験の方ではやってないわけですね。そこがちょっと平等でないということになるかもしれませんが、実情を申しますと、刑務官の方は現在四百八十人ぐらい在職しているようです、女性の刑務官が。しかし、これは毎年で四、五十人採用しているのですね、選考で。これは女性の収容施設の方に回すことにしておりますので、男性の入っているところに回すのはよしあしがありまして、そこらもありますので、必要がある、需要がある、それを見計らって選考で採用をする。まあ四、五十人毎年採用しておる、そういう事情があるものですから、女性の収容施設目当てということでありますので、こういうことにしておるのであります。
 それから入国警備官、これはいまでも何だか三十人以上の女性が在職しておるはずです。選考の採用です。ただし、毎年二人か三人ぐらいしか採用できませんので、一般の試験をやるというほどのことにいきません。それで採用人員が非常に少ないものですから、何か近年、二人ないし四人ぐらいな程度のことですから、だから選考で採用をする。しかし採用をしようと、こういうことであります。もっとできたら拡大したい、そう思っております。これはおっしゃるお考えは大賛成です。私どもも大賛成でありますが、森山さんほど女性の実力と真価は実感を持っていないかもしれません、それは頭でわかっておるだけで。男まさりの奥さんをお持ちになっておる方とはそれはちょっと劣るかもしれぬが、自分では劣らぬつもりでおります。
#294
○志村愛子君 ありがとうございました。
 実際には相当数の職員がおられる。あるいはまた、いまおっしゃられましたような入国警備官にも採用しておられる。しかし余りにも数が少ないので試験の門戸は開いていないということでございますが、やはりせめて国内の行動計画の前期として国連の場で発表する場合には、やはり先進諸国の日本は、この女子の就業の場として採用というようなひとつ形を何とかとっていただきたいと、さらに懇望するわけでございます。
 次にお伺いいたしますのは警察庁でございます。
#295
○政府委員(山田英雄君) お答えいたします。
 警察庁の場合は皇宮護衛官の問題であろうと思いますが、結論から申し上げますと、昭和五十五年度から皇宮護衛官の門戸を女性に開放いたすべくいま検討をしており人事院とも折衝しておるところでございます。ただ、従来男性に限っておりましたのはそれなりの理由があるわけでございまして、かいつまんでそれを申し上げさしていただきますと、皇宮警察の護衛官の職務は屋外で単独で見張り、警戒、パトロールをするというような大変厳しい警備警戒の職務が大部分でございます。それから皇宮護衛官の八割が深夜勤務を伴う三交代制勤務でございます。で、要員自体が国家公務員の定員事情もございまして、全体で八百九十八人ということで大変少のうございます。したがいまして、婦人に適性と認められる職種が量質ともに少ないという事情がございます。これは都道府県警察でございますと、交通整理とか駐車違反の取り締まり、少年補導とか地理案内とか、非常に婦人に適性と認められる部門が多いわけでございます。そういう意味で、婦人警察官を二十二都道府県で三千八百人採用しておりますが、皇宮警察はちょっと都道府県警察と条件を異にしておるわけでございます。しかしながら、その御趣旨もございますし、私ども賛成でございますので、来年度以降において開放すべく検討をさしていただいておるところでございます。
#296
○志村愛子君 私もかつて警察大学校講師の一人をいたしておりまして、警察の事情はわかっているつもりでございますけれども、いまの官房長のお話によりますと、昭和五十五年度には採用の門戸をお開きになる予定で検討しておられるということを伺って大変うれしく思っております。ありがとうございました。
 次に防衛庁にお願いしたいと思いますが、いかがでございましょう。
#297
○国務大臣(山下元利君) 御指摘にお答えいたしますに先立ちまして、現在婦人自衛官につきまして申し上げますと、幹部自衛官を含めまして、これは一般看護も全部入れてございますけれども、二千七百八十二人の自衛官がおられまして各方面で活躍していただいております。そしてまた、会計とか通信というふうな職種につきましては、現在でも一般大学を卒業された方が幹部候補生として採用されまして、いま申し上げましたような幹部自衛官として活躍していただいておるわけでございます。ただ、御指摘の防衛大学校、防衛医科大学校の問題でございますが、防衛大学校というのは主として戦闘部隊の上級指揮官として、あるいは幕僚としての能力とかいろいろな点を訓練するわけでございまして、訓練内容、環境等から見まして従来は婦人には適さない、一般通信の方については幹部自衛官として適しているという、こういうふうなことでございますけれども、ただいまの御指摘もございますし、私どもとしてはそういう職務内容、環境等を十分検討いたしまして、これはこうした方面にも活躍していただくということも考えていきたいと思います。ただ、ただいまのところ来年度から直ちに入学試験を受けていただくかどうかにつきましてはもう少し検討をする要があろうかと思いますけれども、前向きに検討さしていただきたいと思います。
 それから防衛医科大学校でございますが、これも普通の医官だけではございませんので、要するに僻地でありますとか厳しい艦艇勤務でありますとか、有事の際の前線の救護所とかというところでございますので、そうした関係で、これまたいままで女性として働いていただくのに適当かどうかということをわれわれは心配しておったわけでございますけれども、これも本年度からそういう勤務職種の適格性ということを検討するために女性医官を採用することになっておりますので、そういったことを見まして防衛医科大学校の入学につきましても、また検討さしていただきたいと思います。
 以上でございます。
#298
○志村愛子君 私、昭和二十五年に警察予備隊の名のもとにスタートいたしました自衛隊をずっとお手伝いしておりますので内情はわかっているつもりでございますが、やはり時代に即応した考え方、特にいま長官の御説明でもよくわかりましたし、また前向きでおられますので非常にうれしく思いますが、御承知のようにアメリカのウエストポイントあたりでは、女子が陸軍士官学校で非常に堂々とやっておられるし、中には男性以上の成績を示している女性もおるようでございます。日本の女性とアメリカの女性とすぐに比べるというわけではございませんが、やはり先ほどのお話の前向きの御検討に大いに期待をするものでございまして、ありがとう存じます。層一層よろしくお願い申し上げます。
 大体こういったようなことでございますが、国内の行動計画を実効あるものにするには、政府だけではなく地方自治体や民間の企業、団体の協力を得なくてはなりませんので、きょうはお忙しくまた御都合もおありのようなので大臣をお呼びしてはございませんけれども、自治省、労働省には層一層またお願いをいたしたいと存じます。これはお願いにとどめておく次第でございます。
 法務大臣にここでまたちょっとお願いがございますが、国内の行動計画では、家庭にあってもっぱら育児や家事に尽くしている妻の働きや、家族従業者として夫の営む家業に従事している妻の働きについて正当に評価されますよう民法関係法規を再検討することになっておりますが、法制審議会の進捗状況はどうなっておりますのでございましょうか。ちょっと伺いたいと存じます。
#299
○政府委員(香川保一君) ただいま法制審議会の民法部会におきまして、お尋ねの民法における婦人の地位の向上という観点から検討をお願いしておるわけでございますが、大きな項目としまして、御承知のとおり、現行民法は夫婦財産制についていわゆる別産制をとっておるわけでありますが、これを改めて共有制にするかどうかという問題、それから離婚の際における財産分与の関係につきまして、基準をより具体的明確にする必要があるかどうかという問題。最後が一番大きな問題でございますが、相続の場合の配偶者、妻の地位の向上という観点から、現在配偶者の相続分が御承知のとおり三分の一でございますが、これを二分の一あるいは三分の二に引き上げるかどうか。それから主として妻の場合に、子供がなくて兄弟姉妹と相続する場合、現在同順位でございますが、これを妻を優先させるというふうな方向で検討するかどうか。
 それから居住権の問題があるわけでございまして、妻の居住権を相続法において保護する問題、それからいわゆる共かせぎの実態もございますので、家事労働以外の共かせぎによるような場合のいわゆる特別寄与分という問題、この点で共かせぎをしておる妻を優遇するかどうか、そういった問題を中心に検討が進められておりまして、ほぼ大方の意見がまとまりつつございまして、本年中には法制審議会の結論をお出し願えるのではなかろうか、その答申を受けまして、速やかに法案を作成して国会に提案したい、かような考えでおります。
#300
○志村愛子君 妻の家庭におきますところの働きを正当に評価いたしますれば、婚姻中につくられた財産は、たとえ夫の名義になっていても夫婦二人のものと考えるのが当然ではないかと思うわけでございます。夫が不幸にして死亡して、その財産を子供が三分の二相続し、妻が三分の一しか相続できないという現行法はいかがかと、こう思っておりましたところ、質問の先をお越しになったようでございますが、国民の意識も妻の法定相続分を二分の一に引き上げた方がよいとする声が非常に今日高まっておるものですから、なお、こういったことをひとつお考えおきいただきたいと思うわけでございます。自分のことを申し上げて何でございますが、私もやはり兼業主婦でございますから、仕事をしながら主人の御飯、みそ汁を炊いて、そして仕事に出てくるということになりますと、やはり男の方の仕事に立ち向かう立場と、女であるがゆえに、やはり家事労働をして仕事に向かう立場というものをしみじみと感ずるときがございます。そういったようなことを考えますと、やはり妻の働く立場というもの、二分の一にせめて引き上げていただきたいということを重ねてお願いするわけでございます。
 次に、さらに法務大臣にこれはお伺いしたいと思うのでございますが、法制審議会には二十三人も委員がおりますのですが、この中には現在婦人の委員はおりますでしょうか、ちょっとお教えいただきたい。
#301
○国務大臣(古井喜實君) 間違っておったら局長から訂正してもらいますけれども、民法部会の方には数名婦人の委員の方がおいでになるはずだと思っております。その部会だけですね、そんないま状況だと思っております。もっともほかの部会にも必要かもしれませんし、またいい人があれば幾らでも婦人の方に参加してもらったらいいと私は思っております。
#302
○志村愛子君 非常に御理解ある御答弁をいただきまして、大いに期待するところでございますが、なおまた細かいことを後ほど書類でひとつ見せていただければと思うわけでございます。お願いいたします。
 専門委員がおりましても、国民の権利義務を審議するような大切な審議会に婦人の委員が万が一一人もいないということであるならば、これは片手落ちではないかと思いますものですから、特にいま婦人の地位の問題にかかわっておるような議題もございますし、またこのような問題を審議しておりますときでございますのであえて申し上げたようなわけでございます。法務大臣には、早急にこういう立場から婦人の委員を入れていただきたいということで再度御検討をお願いする次第でございます。
 来年の世界会議が終わりますと、五年後の一九八五年には国連婦人の十年を締めくくる世界会議が開催されるわけでございますが、その会議を日本で開いてはどうか、こういう声も聞かれておるわけでございます。こういったことはいかがでございましょうか。実は昨年、当時の稻村総理府総務長官が記者会見で何かそのようなことを申されたように伺っておるのでございますが、政府では検討されておるのでございましょうか。第一回がアメリカ大陸のメキシコで開かれまして、二回目がヨーロッパのデンマークということでございますので、その次はアジアの日本という考えも納得できるのではないか、こう思いますので、これは総務長官にお伺いしたいと思います。いかがでございましょう。
#303
○国務大臣(三原朝雄君) 御指摘の一九八五年の世界会議を日本で開いてはどうかという世論のあることも承知をいたしております。また総理府におきましても、研究課題としてこの問題と取り組んでおるわけでございまするが、御指摘のように、世界規模の婦人の会議を開くことによって、世界の国々に対する国際協力の観点という立場からも、できればぜひやりたいという気持ちでおるわけでございます。そこで、外務省はもちろんでございますが、関係省庁ともよく打ち合わせもいたしたいし、また国連の動き等も注視いたしまして、できますればそういう方向で進めてまいりたい、そう考えておるところでございます。
  〔理事岩動道行君退席、理事嶋崎均君着席〕
#304
○志村愛子君 外務大臣も招致について御努力をいただけますでございましょうか。外務大臣にひとつお伺いしたいと思います。
#305
○国務大臣(園田直君) 婦人の十年の締めくくりとして、八五年に世界大会があることはきわめて有意義でありまして、それを日本に迎えようという御発言はまことに興味深い御発言でありまして、総務長官のただいまの発言もありますので、両方でよく相談をして検討したいと考えます。
#306
○志村愛子君 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 そこで、続きまして外務大臣にもう一つお尋ねいたしたいと存じますが、最近外交官というと女性の職場といたしましても花形になっておりまして、年々志願者も多くなっておるような状態でございますけれども、むずかしい試験を突破いたしまして、将来は女性大使の夢を抱えているとも思われます。そこでアメリカを初め諸外国では女性大使の活躍が話題となっておりますけれども、わが国でも女性大使の任用などそろそろお考えになっていただけないものでございましょうか、いかがなものでしょう。
#307
○国務大臣(園田直君) 外務省は女性の方に対する門戸はすべて開放いたしてございます。五十三年度も上級試験二名、専門職試験六名合格をして、男女の区別なしに活躍をしておられます。いま各役所で幹部として活躍をしておられる女性の方を見てみますと、女性だから幹部になられたわけではなくて、やはり男性と比べて個人の人格も人柄も能力も実にりっぱであります。そこで外務省としては、やはり同じだとは言いながら女性の持っておられる特色もあるわけでありますから、なるべく大使、公使を起用したいという検討を進めておるわけであります。すでに公使は任命をいたしまして非常に評判がよろしい。ところが女性の任用は非常にむずかしゅうございまして、特に大使となりますと、第一は家庭の環境。女性の大使が赴任する、そうすると大体そういうりっぱな方の御主人はりっぱな能力を持っておられる方でありまして、扶養家族の御主人なら問題ないわけでありますけれども、家庭の環境、次には任地の情勢、子供の教育と、こういうことでなかなか人選にはむずかしいものがございます。しかし、適任者の方がおられれば逐次そういう方向でやりたいと検討をしているところでございます。
#308
○志村愛子君 外務大臣のお話を伺いまして、何か人ごとではないような、夫の立場もいまつらつら私も考えたわけでございますが、まあそういったようなことで、本当に前向きに検討されておられるという、そのお気持ちを伺っただけでも大変うれしゅうございます。ありがとうございました。
 では続きまして二番目の問題に入らせていただきます。
 大平総理が政策の柱に立てられております家庭基盤の充実についてお伺いするわけでございますが、家庭政策に真っ正面から取り組もうとされている姿勢には、私たち婦人の立場からも大いに期待しているところでございますが、従来から家庭問題といいますと、婦人問題として考えられる傾向がございます。本来は家庭を構成する夫、妻、子供、お年寄り、こうした人々全体の問題であり、家庭を核とする社会全体の問題として考えるべきだと思います。政府では、家庭基盤研究グループなどをつくって取り組んでおられますけれども、どのような家庭政策づくりを考えておられましょうか、ちょっとお伺いしたいと思うのでございます。
#309
○政府委員(加藤紘一君) お答え申し上げます。
 大平内閣ができましてから、国内政策の二本の柱の中の一つに、家庭基盤充実計画ということを出しました。そして、それは先生御指摘のように、これまでの家庭問題というのが、どちらかといえば婦人の立場の問題であるとか、子供の問題であるとかいうふうに一部を区切っておりましたけれども、家庭を構成する全体の人間の相互関係の問題も含めて、家庭というものを一つの核として取り扱ってみようということで取り上げた次第でございます。そして、御承知のように最近のテレビなんか見ますと、家庭の中の嫁、しゅうとの問題、高齢者の問題を扱ったテレビドラマを放映いたしますと大変視聴率が上がるということからも、われわれ政府としてもしっかりと政策の柱を立てていかなければならないという認識を持つに至ったわけでございます。そして、この政策は現在までのところ国づくり、社会づくりの一つの基本理念というふうに私たちは出しておる段階でございまして、この理念に照らして、将来どういった問題を考えていかなければならないか、それを現在いろんな省庁と相談しながら詰めておる段階でございます。家庭の問題全般というのは根の深い、幅の広い問題でございますので、この段階でいま具体的にどういう政策を近々やるということは、まだ申し上げる段階に至っておりません。いま問題点の洗い出しをやっているところと御理解いただきたいと思います。
#310
○志村愛子君 現在、家庭問題を扱っている省庁は総理府、文部省、厚生省など十省庁に上っておりますが、この全体を総括して、家庭政策を担当するところはどこになるわけでございましょうか。
#311
○政府委員(加藤紘一君) もちろん現在厚生省の中に児童家庭局というのがございますけれども、これは先ほど申しましたように、家庭の中の一構成員がある種の問題を生じた場合にどうしようかという観点から問題を取り扱っている傾向がございます。たとえば保育に欠けた子供の場合どうしようかということで母子福祉課がございます。障害児になったらどういうことになるかということで障害福祉課がございます。ただ、先ほど言いましたように、その全体像を扱う省庁というのはいま取りまとめてございません。各省庁がこの私たちの出しました理念に照らして主体的に取り組んでいただきたい。そういう主体性が出てくるように理念を出しておるという段階で、特にどの省というものが現在の段階であるわけではございません。
#312
○志村愛子君 西ドイツ、ルクセンブルク、ベルギーなどでは、いわゆる家庭省といったものがあるようでございますし、オーストラリアでは、家庭省ではございませんが、家庭政策専任の閣僚がいるとか、あるいはフランスでも法改正や新立法の際、その内容が家庭を破壊するおそれがないかチェックする審議会があると聞いております。このような諸外国の先例を見ましても、家庭省といったものをわが国でも将来設けるというようなお考えはいかがでございましょうか。
#313
○政府委員(加藤紘一君) こういう問題を扱う際に、御指摘のような御意見もあろうかと思いますけれども、われわれといたしましては、とりあえず各関係省庁が緊密な連絡をとりながら、この家庭という問題を核として、テーマとして主体的にしっかり取り組んでいく姿勢をまずつくることが第一歩じゃなかろうかなというふうに考えております。したがって、政府部内で統一的にこの問題を扱えるような緊密な連絡の体制をどうしようかということをいま考えておる段階でございます。
 御指摘の家庭省とか、家庭問題専任大臣というのが世界各国幾つかのケースであるようでございますけれども、とりあえず私たちは現在の行政機構簡素化の問題もございますので、そういう組織づくりをいたしますよりも、より積極的に取り組む姿勢で積極性が出てくることの方が重要ではないかなと考えて、担当大臣、ないし省の設置をいま考えてはおりません。
#314
○志村愛子君 老人問題、婦人問題、青少年問題は、それぞれの立場ではいろいろ取り上げられておりますけれども、さてこれをひっくるめました家庭構成の中で、やはり人間関係、こうなりますと、やはり家庭の問題、特に現在の日本社会では家庭のこの人間関係がばらばらという感じでございますし、親子でも対立、人間疎外、いろんな問題を抱えておりますときだけに、家庭の問題は国を挙げてひとつ考えていきたい、こう思うわけでございますが、それにつきまして、真剣に家庭を考える日という意味もありまして、家庭の日というのをいっそ国民の祝日としてつくってはどうか、こういう国民の世論というのが一部に持ち上がって、非常な勢いで私のところへもそういった考えを持ち込んでくるのでございます。そういう世論もあるということでございますので、この際お考えをお聞かせいただけますれば大変うれしゅうございます。いかがでございましょう。
#315
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたします。
 家庭の重要性、またそれが持つ使命等については、いままで意見の交換がございました。そういうものを考える場合に、家庭の日というようなものを記念の日として設定してはどうかという御意見のようでございます。実はただいま総理府の方に参っておりますものに、いま御指摘の家庭の日、それから海の日、山の日、平和の日と、いろいろなそういう御要請があり、まあそれは世論があるからだと思うわけでございまするが、そういう点で慎重にこうした問題について検討をさしていただきたいと考えておるところでございます。
#316
○志村愛子君 どうぞよろしくお願いいたします。
 では最後の質問に入りますが、国連では児童権利宣言採択二十周年を記念いたしまして、一九七九年、すなわちことしでございますが、国際児童年と宣言し、世界各国が児童の福祉向上に活動を展開することになっておるわけでございます。
 政府におかれても、いろいろな記念行事や、施設の建設を計画し、大きな予算を組んでおりますけれども、国際児童年に関する国連決議では、児童なかんずく最も弱く不遇なグループに属する児童の永続的な福祉の向上を目指す努力を国家と地域社会に要望するとしております。
 そこでお尋ねいたすわけでございますが、心身障害児のこの記念行事参加について十分な配慮、こういったことがなされておるかどうか。たとえば総理府の子ども祭りなど集中行事や、厚生省の中央こどもの国フェスティバル、あるいはこどもの城などいろいろな行事、そしてまた施設が計画されておるのでございますが、車いすの子供が参加するにはそれなりの設備、たとえばスロープ、お手洗い、送迎バスの用意、ハンディを補う配慮といったような、このような政策がなければだめでございます。そういったことにつきましてどのようにただいまのところ進展しておるのでございましょうか、ちょっとお伺いしたいと思うのでございます。
#317
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたしますが、国際児童年は広く児童の福祉増進ということを目途としてやっておるわけでございます。その中でも、いま御指摘の身体の御不自由な方々に対して、わが国においてもいろんな行事の際に、そういう配慮をしながら施設等を考えておるかどうかというお尋ねでございますが、御承知のように、全国的にいろいろな行事が行われるわけでございます。その中の一例を挙げますと、ことしの八月に愛知県の児童公園で大々的な一つの行事をやるわけでございます。その際には、この御不自由な方々に対しまして、これらの方々の御参加をまた一面は慫慂をするという立場でもございまするので、会場内のマイクロバス輸送でございまするとか、あるいは車いすを利用される方々のためのスロープ、トイレ等の施設など、そういう点を不自由な方々に対して御不自由をかけないようなそういう準備をいたしてまいっておるところでございます。
#318
○政府委員(山崎拓君) 先ほど国連決議を引用されましての御質問でございましたが、厚生省といたしましてもこれを受けまして、国際児童年の施策の中心に心身障害児対策、母子保健対策を二つの柱として置いております。
 国際児童年の記念行事といたしましては、先生もお触れになりましたが、中央のこどもの国におきまして、国際児童フェスティバルを開催することにいたしておりますが、その際、心身障害児の多数の御参加を期待いたしておるわけでございます。そのために、御指摘の施設整備の点はもちろんでございますが、指導員の介助等につきましても配慮をさせていただくことにいたしております。また、こどもの減等のこれからの施設につきまして、もちろん先生の御主張にありましたような心身障害児の方が積極的に参加できますように配慮してまいりたいと考えておりますが、特にこどもの城につきましては、心身障害児の方が参加できるということが一つの大きなねらいでございまして、その他の施設につきましても必要な、お話のありましたような設備につきまして極力配慮してまいりますことをお約束申し上げておきたいと存じます。
#319
○志村愛子君 一般的に見まして、障害を持った子供たちの日常生活は、先進諸国に比べますとまだまだわが国では残念ながら日の当たらない状態にある。実際に私のようにこういう子供を持った親でなければわからない問題がたくさんあるわけでございます。ましてこのような国際児童年を契機といたしまして、さらにひとつそういった点で御配慮をいただきたいと思うわけでございます。
 また、日本のいまの現状で、国後、択捉、歯舞、色丹の四つの島、いわゆる日本の固有の領土、こういったものに対しまして、これは防衛庁長官おられますのであえて私はお願いしたいと思うのでございますが、どうもこの領土問題につきまして、日本人は長い間島国に育ちましたせいか、よその国のように国に対する意識というもの、領土観といったもの、国を守るといった愛国心、民族意識が非常に私は薄いと思います。たまたま北海道開発政務次官でお手伝いをしておりましたときに、いまの学童たちにどのような状態でこれを指導しているのか、教科書などを調べてみましたところ全く領土問題に触れていない教科書、たまさか触れておりましてもわずか一行、日本のこの現在の状態の中で北方領土はいまだ返されていないといったような程度、あるいはこれを無視して指導しない先生、こういったいろいろのことがわかったわけでございます。そこで、さすがに地元の根室地域の教育委員の手で、教科書の補助として、副読本で固有の領土であるその正しい歴史のあり方というものを教育に使っておりましたけれども、こういったことは本来、文部大臣がおられるとよろしいのでございますけれども、お見えにならないようでございますが、私は日本全土の子供たち、日本じゅうの子供たちに、せめて私たちが健全な間に、正しい日本のあり方として、そして次の世代の担い手としてこういう面をもっとしっかり正しく知らしめたい。本当にいま複雑な国際社会の中に囲まれた日本がこれから先どうなるであろうか、いまの子供たちが二十一世紀を担う時代には一体どうなるであろうか、そういったことを考えますと非常に私は寒いものを感ずるのでございます。こういったことを防衛庁長官、ひとついかがでございましょうか、お考えを伺いたいと思います。
#320
○理事(嶋崎均君) 時間です。
#321
○国務大臣(山下元利君) 次代を担う青少年が国につきましての正しい認識と理解を持たれることが国を守るために一番大事なことである、そのように私は考えておる次第でございます。
#322
○志村愛子君 ありがとうございました。時間が参りましたので私の質問終わらせていただきます。閣僚諸氏、お疲れさまでございました。ありがとうございました。(拍手)
  〔理事嶋崎均君退席、理事岩動道行君着席〕
#323
○理事(岩動道行君) 以上で志村君の一般質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#324
○理事(岩動道行君) 次に、太田淳夫君の一般質疑を行います。太田君。
#325
○太田淳夫君 それでは、最初に、昨日熊本地裁で水俣病刑事裁判の判決が下りましたので、そのことにつきましてお尋ねいたしたいと思います。
 環境庁長官は、担当大臣として、これをどのように受けとめておみえになりましょうか。
#326
○国務大臣(上村千一郎君) 昨日、熊本地裁で、お話しのような水俣病公害に関する刑事事件の判決がございました。環境庁としましては、刑事判決でございますので、直接につながり合うというような点は多くないかもわかりませんけれどもが、水俣病というものが公害の原点であり、そして世界的にも注目されておる公害である、それだけ幅も広いし、深みも深い、解明もいま専心当たっておりますがいまもってなかなか解明ができないというような深い広がりのある問題でございます、それで、環境庁としましては、あらゆる意見あるいは資料というものを謙虚に受けとめて、今後の環境行政というものについて過ちのないようにいたしたいというのが姿勢でございます。そういう点から見ますというと、昨日の刑事判決にはいろいろと重要な判断が示されております。判決の原文をよく目を通したわけではございませんけれどもが、新聞、テレビ、あるいはその他の情報その他を拝見いたしまして承知しておるだけでも、非常に重要な指摘がされております。環境庁としましてはこの点を謙虚に受けまして、そして一つの今後の資料として考えていきたいというふうに思っております。
#327
○太田淳夫君 再びお尋ねいたしますが、水俣病の患者の方々の救済は、認定業務のおくれで遅々として進展しておりませんが、この困難な状況にあって、国として救済のためにもつと強く支援をする、あるいは助成をする必要があると思います。その点はどうでしょうか。
#328
○国務大臣(上村千一郎君) 水俣病に対する患者の救済をする根拠法といたしますれば、いわゆる旧法、昭和四十四年ですかいわゆる救済の旧法がございます。そして、その後実は健康被害補償法という法律がございまして、それに基づきまして医療給付なりあるいはいろいろと障害の給付とかその他遺族、児童その他の諸給付が行われております。これは一般的なものの点でございまして、その中に水俣病の患者に対する救済措置というものがあることは間違いございませんが、この法律ができる一年前に、御承知のように患者側とチッソ側との間で被害に対する補償協定ができております。そういう点につきまして救済措置が行われておるわけですけれども、チッソ側としましても莫大な金額になってくるということで、御承知のように昨年の暮れに熊本県におきます県債の発行というものが出てまいりました。要するにPPPにつきまするものについては堅持していくわけでございましょうけれども、しかし、現実に患者に対する救済ということが行われなくちゃならぬということで県債の発行になったと思います。これにつきまして政府に対しましてもいろいろと要望がございました。この県債の発行その他につきまして円滑にこれが行われるように私どもの方としても考えていきたい、こういうふうに思っております。
#329
○太田淳夫君 最近の環境行政につきましては、NO2基準の緩和を典型例として、後退する一方であると、そういった点で各住民の方から不信の声が強まっているわけです。公害犯罪絶滅のために、公害規制見直し、あるいは監視体制の強化ということはこれはもっと徹底すべきじゃないかと、このように思いますが、その点いかがでしょうか。
#330
○国務大臣(上村千一郎君) 最近の環境行政というものが後退しておるのじゃないかというような御批判、また国会内におきましてもそういう御意見の御開陳がございます。環境庁としましてもこれは謙虚に受けていかなくちゃならぬと思います。私、環境庁の方に参りました際に、ずっと見ますというと、環境庁の諸部署を担当する局長以下一生懸命にやっておると思います。けれども、環境庁が発足したときは御承知のように公害対策基本法を主力に発足しております。公害という問題、対策という問題で発足した。その後、自然環境保全というものが入り、最近は御承知のように快適な環境をつくるというアメニティーの問題が入ってきたと、こういうふうに非常に大きな意識の多様化にもなっておる。しかも、最初の公害という問題につきまして、いま御指摘のように十分解決されたという実情でない、こういう状態でございます。でございますので、専心環境庁としましても当たっておるわけですが、社会情勢、環境というものが非常に複雑化してくる、価値が多元化してまいりますというと、御指摘のようにどうも後退しておるのじゃないかということは、国民の方々の要するにニードに対しまして十分こたえていき切れないという状態がある。だからそういう御指摘になると思いますので、私どもはそのことにつきまして十分反省し、全努力を挙げて御期待に沿うようにいたしたい、こう思います。先ほど御指摘のNO2の問題にしましても、また水質の問題にしましても、いろいろと御批評がございます。NO2の問題につきまして新環境基準を告示した際に――現在訴訟か提起されておるというような状態でございます。これは環億庁としましては公害対策基本法第九条の第三項に、常に科学的判断というものを踏んまえて改正を努力せよということがございます。そういうわけですから、NO2の旧基準につきまして新基準の方が緩和はされておりますけれどもが、これは中央公害対策審議会の答申その他に基づいて科学的な知見に基づいてやっておると、こういう判断でおるわけでございますけれども、しかし、いろいろと複雑化する状態でございますので、国民の期待に十分沿うように規制も強化していく所存でございます。
#331
○太田淳夫君 それでは、次の問題の大清水トンネル事故についてお尋ねいたします。
 先ほども同僚議員から御質問がありましたが、二十日の夜に上越新幹線の大清水トンネルにおいて火災事故が発生いたしました。十二名のとうとい人命が失われたわけでございます。亡くなられました犠牲者の皆様の御冥福を祈るとともに、御遺族の皆さんに心からお悔やみ申し上げる次第ででございます。また、残された方々も早く捜索の実が上がりますよう、そして二度と再びこのような悲惨な事故を繰り返さないことを心から願うものです。最初に運輸大臣から事故の状況と今後の方針を御報告願いたいと思いますし、また、鉄建公団副総裁から事故の原因及び今後の安全対策についてお尋ねしたいと思います。
#332
○国務大臣(森山欽司君) 去る三月二十日午後九時四十分ごろ、日本鉄道建設公団において工事中の上越新幹線大清水トンネルの大宮側より約七キロメートルの坑内において出火いたしました。当時、坑内においては大型削岩作業台を解体中でありましたので、その際、ガス切断器の火花が付近の油類に引火したのが原因ではないかと見られます。坑内には五十四名が解体作業に当たっていましたが、うち四十名は自力で脱出し、十四名が閉じ込められました。また、これの救助に向かった二名のうち一名が自力脱出の後病院にて死亡、残る一名は二十一日午前十時、遺体で収容されました。その後坑内の煙が異常に多い等のため救助活動を中断しておりましたが、二十二日午後三時ごろから数次の偵察隊により坑内の状況の調査を経て、救助隊が同日午後九時ごろ入坑いたしました。その結果、同日午後十二時ごろから二十三日午前三時半の間に順次十二名の遺体を発見し、その身元を確認しましたが、二十三日午前四時半ごろより落石のため捜索活動を中断して現在に至っており、残る二名は依然として行方不明となっております。亡くなられた方々に対しまして心からなる弔意を表したいと思います。
 運輸省は、かねてから鉄道工事の安全について万全を期するように指導してきたところでありますが、特に火災事故については五十二年七月の湯沢トンネル事故を契機として、労働省より労働災害防止の観点から具体的な指示が関係業界に対して出されておりますので、運輸省としてもその完全な遵守を関係方面に指導してきたところであります。それにもかかわらず、今回の事故の発生を見たことは、まことに遺憾に存ずるところであります。
 本事故の発生の翌日、運輸省は政務次官林大幹君及び係官を現地に派遣いたしまして、本日までこの原因の究明に万全の措置をとっておる次第であります。
#333
○参考人(平岡治郎君) 今回大清水トンネルにおきまして大変な火災事故を起こしましたことを深くおわびいたしますとともに、亡くなられました十四名の方の御冥福を心からお祈りいたしたいと思います。
 この原因につきましては現在群馬県警の方でしさいに調査を進めておるところでございますが、いままでいろいろ入りました情報その他を総合いたしますと、ただいま運輸大臣が御報告申しましたように、ジャンボの解体のときにガス切断機を使用しておりましたが、これが何らかの引火しやすいものに引火いたしました。その次の段階といたしまして消火活動をいたすわけでございますが、この消火器が完全に働かなかったというようなことが今回の大きな火災事故につながった原因ではないかというふうに考えております。
 安全対策でございますが、これは二年ほど前に湯沢でこれとほぼ同じようなトンネルの火災事故を起こしまして、その以後この火災に対しましては支社あるいは建設局、こういったところに隧道の火災の防止についていろいろの安全要綱をつくりまして指導徹底方図ってきたわけでございますが、このような結果になったことは返す返すも残念に思っております。
 今後の対策といたしましては、三月の二十一日に運輸大臣から国鉄またはわれわれ公団が現在施工いたしております長大トンネルの総点検をしろという指示を受けております。これは早速現地の方に点検の指示を出しておりますが、われわれ公団の本社といたしましても違った目でもう一回再点検をするという意味で、三月の二十六日から四月の七日にかけて本社の工務関係の課長を全国に派遣いたしまして総点検を行って、二度とこのような事故が起こらないように万全を期したいと思います。
#334
○多田省吾君 関連。
#335
○理事(岩動道行君) 関連質疑を許します。多田省吾君。
#336
○多田省吾君 私は関連しまして二、三お尋ねしたいと思います。
 この上越新幹線大清水トンネルは完成すれば世界一長い山岳トンネルであるということで注目を浴びておりましたが、昭和四十六年春の着工以来すでに死者の方が二十七名、負傷者の方も約六十四名という犠牲を出し、また二名の方がまだ現在行方不明ということでございまして、私も心から不幸にも犠牲になられた方々に御冥福をお祈りいたしますとともに、御家族の方々にお悔やみ申し上げる次第でございますが、先ほど原因のお話がございましたように、さきに北陸トンネル火災事故もあり、また五十二年の七月にはいまお話しあったように湯沢トンネル事故がございました。また、旧線でございますけれども、私も参りましたが、上越線の落石事故等もつい手前でございました。私どももきのう等もいろいろ調査もしたのでございますけれども、残念ながら第二次災害まで起こりまして犠牲者の方を出しているということは大変残念なことだと思います。私は、こういった事故をなくすために、まだ救済途上ではありますけれども、二、三お尋ねしたいと思うのです。
 一つは、二十日の正午ごろ同じ現場で同じケースのぼやがあったということも現地で聞いているのですが、もしあったとすればそのときの消火器は作動したのかどうか、消防庁や警察庁にお尋ねしたいと思います。もし消火器が正常に働いていたらこのような大惨事にはならなかったと思いますし、坑内から作業員の方が持ち帰った消火器八本のうち四本がすでに消火剤の有効期間五年が切れていたという情報もありますけれどもどうか、お尋ねしたいと思います。
 また、防災関係者の話によりますと、外に比べて湿度の高いトンネル内では、五年は有効という基準を疑問視する声もありますけれどもどうなのか、その辺をお尋ねしたいと思います。
#337
○政府委員(近藤隆之君) お答え申し上げます。
 一部報道機関から先生がただいま御指摘になったようなことが報道されたということでございますが、私ども現地の消防本部と連絡をとって事実を確かめておるわけでございますが、二十日の午前中にそういったぼやがあったという事実は、現時点では確認されておりません。
 それから第二点でございますけれども、消火器八本のうち四本がすでに有効期限が切れておったということでございますが、備えつけられておった消火器の種類を調べてみますと、丸山製作所というところでつくりました五〇−一二九及び五〇−一三〇という二つの型でございまして、この型式承認を行っておりますのが五十年の八月でございます。したがって、この型のものはそれ以降しか出回っておらないはずでございますので、そういうことになりますと、五年の有効期限はまだ切れておらないということでございます。ただ、これは帳簿にそういうふうに記載されておるということでございまして、私ども実は現物を確認しておりませんので、さらに調査いたしたいと思います。
 それからもう一点、トンネルの中のような湿気の多いところで五年間の有効期限と言っているが、その基準は問題じゃないかということでございますけれども、通常の場合でございますと、この消火剤は五年間もつわけでございます。この場合消火器が作動したかしなかったかと、実はこの点も問題でございまして、いろいろ調べますと、四台とも作動しなかったという証言もありますし、四台のうち一つは作動しなかったけれども三つは作動したという証言もあるわけでございます。そうして、証言の方にピンを抜いてバルブをきちんと押したかという点になりますと、なおあいまいな点がございます。消火器が完全でございましてもピンが抜かれておらなければこれは作動いたしませんので、そういう作動ミスがあったのかどうかという点もなお確かめなければなりません。
 それからもう一つ、中にあります消火薬剤が固まってしまっておったのじゃないかという問題もございます。つまり、著しい振動で封板が破壊して固まってしまう場合、あるいは水の中につかって固まってしまう場合、こういったような場合がございますので、これらの点につきましては現物がどうなっておったかという点につきましてなお慎重に検討いたしたいと思います。
#338
○政府委員(小林朴君) ただいまの御質問につきまして、警察の方といたしましても実はいろいろなうわさ等に基づきまして調査をいたしておるわけでございます。また関係者からも事情を聞いておるわけでございますが、何分現場が救助活動のために混乱をいたしておりまして、救助第一という形で行っておりますので、いま私どもといたしましても結論はいずれも出ておりません。
 そういうわけで、消火器の問題にいたしましても、それが有効に作動したかどうか、そういうものについてはまだ確定をするような段階に至っておりません。
 以上でございます。
#339
○多田省吾君 救助第一は当然なことでございまして、その他の問題につきましては時日を経た後で質問したいと思いますが、ただ、第二次災害等も起こっている現状におきまして、私は鉄建公団にお尋ねしたいのでございますけれども、現在においても大事なことでございますが、安全確保のために酸素溶断機の取り扱いとか、あるいは消火器の使用法、あるいは二次災害が起きました原因になりました携帯マスクや空気ボンベ等の器具の取り扱い等、あるいはその品質等、十分なる対策ができていたのか、また今後安全確保はどうするのか。
 それからまた、火災が起こったとしても、煙を防げばこれだけの大惨事を防げたのではないかと思われますけれども、この換気口の役割りをする立て坑、あるいは斜坑が非常に少ない、これが坑内火災の煙の脅威を倍加させたのではないか。地形の特殊性が言われておりますが、そうであるならば、なお一層この安全性の確保のために設計の段階で問題があったのではないかと思いますが、鉄建公団ではこの点どう考えておられますか。
#340
○参考人(平岡治郎君) お答えいたします。
 酸素吸入器とかそういう使用器具の使用状況はどうであったかということでございますが、これはそういったものの使用状況は各現場現場でいろいろ状況が違いますので、建設所においてその辺の指導監督はしておると思いますが、細部についてどのような指導監督をしておったかということはちょっとまだわかっておりません。
 それから現在の立て坑の件でございますが、通常長大トンネルを掘削いたします場合には、二キロ、あるいは三キロおきぐらいに立て坑を掘削するのが通常でございますが、これはあくまでも工期あるいは工事費、こういった面から二キロあるいは三キロおきにつくるわけでございまして、今回の大清水の場合には、事故がありました保登野沢の斜坑から新潟方の次の万太郎までの斜坑は、隧道の延長キロで申し上げまして、約十キロぐらい間隔があるわけでございますが、これは保登野沢の斜坑も、斜坑自体の長さが大体五百メーターございます。それから万太郎の方の斜坑は斜坑自体で約一キロメーターございます。ここは地形上、その中間に斜坑のようなものを設けますと、斜坑そのものの長さが二キロとか三キロ、あるいはそれ以上になるというような地形でございまして、この中間に斜坑を設けることは、工費の面から申しましても、またたとえそれがありましても、それ自体が三キロというような長いものになりますので、待避等につきましても一応問題があるのではないかというふうに考えております。
#341
○多田省吾君 次に、国鉄当局に、今後上越新幹線が完成した後において少し問題があると思いますのでお尋ねしておきたいのですが、このトンネルは全長二百七十キロ、そのうち百キロが地下を走りますトンネル新幹線でございますけれども、地元でも、もし新幹線が走っていたら火災が起きたらどうなるかということで大変疑惑を持っているわけでございますが、客車が走り始めた場合の防災体制を国鉄はどう考えているか。
 また、四十七年の北陸トンネル事故以来、火が出たらとめるというのを、最寄駅まで突っ走るというふうに改めたそうですが、大清水トンネルは二十二・二キロを時速二百十キロで走っても十二分もかかるわけでございますが、やはり突っ走るのかどうか、その辺をまずお尋ねしたい。
#342
○説明員(藤田義人君) お答え申し上げます。
 いま先生が御指摘のとおり、四十七年の十一月六日に北陸で列車火災を発生しまして、それを契機に、四十七年十二月から二年有余にわたりまして大学の先生また権威者等にお願いいたしまして鉄道火災対策技術委員会を開き、四十八年また四十九年に実際の車両で火災の実験をやりまして、トンネルの中を火災が発生した列車が走る、そういう試験などをいたしまして、その委員会の提言に基づきまして、車両の難燃化、また長大トンネル内の情報連絡設備、また各種照明設備など、いろいろとこれに対する対策を講じておる次第でございます。
 二番目の御指摘の点でございますが、車両についても先ほど申しましたように難燃化ということで、この点につきましても地下鉄車両に匹敵するほどの不燃材料または難燃材料を使いまして、また新幹線としましても、窓が固定でございますし、また車端に対する、いわゆる次の車両に延焼する、そういう問題につきましても十分な対策を立てまして、その車両をクローズしてしまう、密閉してしまう。もちろんその前に旅客の避難誘導をいたしますし、また初期防火が十分できる時間をつくるようなそういう意味での難燃化対策もございますが、そういう面でこの区間を突っ走っていきたいというふうに考えております。ちょうど二十二・二キロを二百十キロで回りますと、時間的には六分十七秒、またそのほか入れましても大体八、九分程度でございます。何とかこの面について十分対応できるという考え方を持っております。
#343
○多田省吾君 もう一点国鉄当局にお尋ねしたいのですが、いまも鉄建公団から御説明ありましたけれども、斜坑間の間隔が非常に長くて、一番長い保登野沢−万太郎間は十キロもある。今回の事故もここで起こっているわけです。この間に避難場所等をつくる気持ちはないのか。また、今回の大惨事も、火災そのものよりも煙による窒息死あるいは一酸化炭素による中毒死が多いわけでございますが、この煙対策が十分になされていない。地形的にも換気口や避難坑の役目をする斜坑が少ないのでありますから、排煙機等も取りつける必要があるのじゃないか。また、いま関越自動車道の関越トンネルには、換気計画、避難坑などが最初から組み込まれておりますけれども、新幹線と自動車ではスピードは違いますけれども、やはりこういった安全対策を考える必要があるのじゃないかと思いますが、国鉄当局はどうお考えですか。
#344
○説明員(藤田義人君) お答え申し上げます。
 先ほど申しましたように、難燃化対策、また車両に対しても二重窓、また貫通戸に対してもガラスの中に金属ネットを入れるなど、そういうことで十分対応できるという考え方でいろいろの技術開発を進めておりまして、いま御指摘の自動車トンネルと比べまして、いわゆる条件が非常に違うと申しますか、この程度の時間であれば十五分ぐらいは十分もつということで、先ほどの諸先生の提言等を十分参考にしながら進んでいきたい。また、トンネル内は環境が非常に悪いところでございまして、そこに旅客を出すということは危険が非常に多うございますので、極力トンネルを脱出する方向でその対策を講じていきたいというふうに考えております。
#345
○多田省吾君 これは御答弁は要りませんけれども、最後に行方のわからないお二人の方の救助に全力を尽くされることをお願いいたしますとともに、このように世界一長い山岳トンネルの難工事でございます。十分安全対策を考えられ、また今後完成された場合の安全対策も、防災体制、煙対策等十分考えられて、また地震対策等も考えられることを心からお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
#346
○理事(岩動道行君) 平岡参考人には御多忙中のところ御出席いただき、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。御退席くださって結構でございます。
#347
○太田淳夫君 それでは、次の問題に移りたいと思います。
 東京サミットのことにつきまして外務大臣にお尋ねしたいと思いますが、いよいよ前内閣の重要課題であります東京サミットが迫ってきたわけですが、このサミットになりますと、私も去年のボン・サミットのことというよりもあのときいろいろと新聞報道されました写真を思い浮かべます。諸外国の首脳が前を歩いてみえる、後ろから福田総理が何か一人ぽつんと離れてにこにこ笑いながらついて行く、あの姿を思い出すわけですが、白人主義というものもそこから指摘された方もおみえになりますが、やはり日本が諸外国の中で孤立をしているような感じもそのとき感じたわけです。しかし、その後、それぞれ政府も努力をされて信頼も回復されてきたと思いますが、この東京サミットは何としても日本がホストでございますので、外務大臣としてもぜひとも成功させたいと、そういう御意向だと思いますが、その点について政府の方針をお示し願いたいと思います。
#348
○国務大臣(園田直君) 過去数回のサミットで参加国は世界経済の不況打開を論議してきたわけでありますが、いろいろ改善はされましたものの、必ずしも参加国が考えるような拡大均衡という軌道にはまだ乗っていないような感じがいたします。その上に、御承知のとおりに、イラン初め国際情勢、エネルギーの問題、各国が抱えているインフレ、雇用、こういう問題がこの前と違ってだんだん出てきているわけであります。したがいまして、そういう条件を踏まえながら、ぜひこのような情勢の中で東京サミットが経済不況の打開に役立つようなものにしたいと専心努力をしているところでございます。
 そこで、第一回の準備会合がきのうときょうで終わったわけでございます。この準備会合は順調に終わりまして、日にちとか議題も論議したわけでございますが、議題はこの前のボン・サミットで論議されたものが中心でやられたわけのようでございます。ただ、今度参加しました参加国の代表は各国の首脳者の代表という資格で来ておりますので、論議されましたことは、帰ってからそれぞれの各国の首脳者の了承を得て、十日後に各国で一斉に発表すると、こういうことになっておるわけでありますが、次回の第二回会合はワシントンと、三回目はそこの第二回目の会合で決めることになっておりますが、たぶんパリあたりであろうと思いますが、逐次議題、論議等も進めてまいりますので、いまのような方向で成功するよう努力をしたいと考えております。
#349
○太田淳夫君 前回のボン・サミット直前にも、米国は主催国の西ドイツに対しまして厳しい要求をしたと伝えられております。今回の東京サミットの主催国日本に対しても、米国は相次いで厳しい要求をいましておりますね。わが国も万全の準備と対応策を立ててこれに臨みませんと、また一方的な譲歩をさせられるおそれがあるのじゃないかと、このように心配するわけですが、その点いかがですか。
#350
○国務大臣(園田直君) 第一回準備会合の内容は先ほど申し上げた理由で詳しくは申し上げられませんけれども、この会合ではいま言われておるところの日米の経済摩擦の問題あるいはその他の問題は論議にはならなかったようでございます。ただし、これに重大な関心があったことは事実のようでございます。
#351
○太田淳夫君 ですから、日本として万全な準備と対応策を決めて臨みませんと、一方的なまた押し込みがあるのじゃないかと、そういうことでお聞きしているわけです。
#352
○国務大臣(園田直君) その点は私も十分注意しているところでございまして、正直に言って、いま問題になっておりまする日米間の経済摩擦の問題、政府調達の問題、これは、サミット、その前の東京ラウンド、こういうことを考えまして、四月の前半にはどうしても妥結をして、そして東京サミットを迎えたい、こういうことで来週には牛場代表を米国に送ってこの問題の折衝をやるつもりでおります。
#353
○太田淳夫君 欧米諸国から経済援助の拡大要請がいまありますようですが、この経済援助問題は東京サミットのテーマとなる可能性はありますでしょうか。
#354
○国務大臣(園田直君) そういう論議が出るかもわかりません。
#355
○太田淳夫君 新聞報道によりますと、サミットの準備会議で前回と同じテーマが決まったと、南北問題、エネルギーは日本が報告するということでございますが、その中でいまおっしゃったように経済援助拡大が大きなテーマとして取り上げられるのじゃないか、このように思いますが、いまアメリカの対日戦略の基本姿勢の中にもこの経済援助ということが言われております。いままでの政府の五ヵ年倍増を三年倍増にこれは変更いたしました。しかし、それを着実に実行しているのでございますけれども、経済援助でわが国が他国から五年から三年にしたんだから指摘されないという見通しから情勢が変わってきたのじゃないか、このように私たち思うわけですが、その点いかがでしょうか。
#356
○国務大臣(園田直君) 開発途上国に対する経済援助の問題は南北問題の一環として出ると思いますけれども、この問題は開発途上国とそれから援助をする国との問題でありまして、開発途上国では御承知のとおりに膨大な宣言を出しまして、開発援助、その中には三年倍増ということをやっているわけであります。それをドイツ、日本、アメリカに要求をしておる、これは開発援助の大半を三国がやっているわけでありますから。それともう一つは、開発途上国の要求である共通基金であるとか、その他UNCTAD総会の結果も踏まえて問題が出てくると思いますが、ただ、その経済援助の名目のもとに、いまお尋ねになりました真意はエジプトの援助とトルコの援助の問題だと思いますけれども、一つはトルコの経済再建、これは援助というよりも経済再建であります。これについてはなかなか問題も複雑でございまして、かつまた、まだ正式な話はありません。私が先般西独に参りましたときに西独からその話がありました。そこで、私はその場では、アメリカとヨーロッパの先進国が集まって勝手に決めた経済再建の金額を日本に割り当てる、そのようなものは反対だと、こう言ってきましたが、ドイツから、いや、そうじゃないと詳細な説明がありましたが、しかし、これはまだそういう正式の話はございませんし、新聞等には金額なども決まったようでございます。全然まだ検討の段階に至っておりません。エジプトに対する援助は、御承知のごとくエジプトに対しては中東の重要性にかんがみて今日まで日本はこれに重大な関心を持ってスエズ運河初め各種の協力援助をやってきているところでございます。先般エジプトの副首相が参りましてこの点についてさらに要請があったところでありますから、この特殊性から経済援助をやりたいと考えているところでありますけれども、少なくともアメリカの戦略の分担金をこちらが分担するようなことは断じて考えておりません。
#357
○太田淳夫君 それからASEAN諸国の問題でございますが、日本は東京サミットヘのアジアから唯一のメンバーでありますし、その開催地が日本であるという点からしまして、ASEAN諸国等の東京サミットヘの要請を十分に反映すべきじゃないかと、こう考えるわけです。それには東京サミットを前にして、ASEAN諸国の意向をよく聞くべきじゃないかと思いますが、その点の準備はいかがでしょうか。
#358
○国務大臣(園田直君) これは御発言の全くそのとおりでございまして、先般のボンのサミットの場合も私が直接参りましてASEANの国々の要望はこれを承り、そしてボンでは日本が主張して共通基金その他に関する宣言まで持っていったわけであります。UNCTADでは、なかなかこれまだ隔たりがあり心配しておりましたが、大筋はまとまったようでございます。今回も、国会の都合もございまするけれども、お許しを得てできればUNCTADの総会、それからその後のASEANの外相会議に招待を受けておりますから参りまして、サミットに対する要望を細々と聞いて、これを踏まえてやるつもりでおります。
#359
○太田淳夫君 同じく経済援助の問題でございますが、経済援助の中の特に政府開発援助につきましては、GNPの比率でアメリカが〇・二二、ドイツが〇・二七、日本は〇・二一と、こういう状況です。これはDACが提唱している〇・七よりも大幅に低い水準にあるわけです。まして、二月に行われました開発途上国の七十七カ国のグループ閣僚会議宣言でも同様の指摘をされております。この東京サミットでGNP比の〇・七%の政府開発援助達成への具体策を示さないと、南北問題ではサミットは失敗に終わるのじゃないかと、
 これは私たちの考えですが、その点、いかがでございましょうか。
#360
○国務大臣(園田直君) ただいま御審議を願っております予算では、財政当局は財源の苦しい中にも非常に努力をしてくれまして、予算面では〇・三二、実績面で〇・二七ということになっているわけであります。しかし、なかなかまだ〇・七まではほど遠いわけでありますが、一方、米国、西独等においてはアルーシャ宣言に要求された〇・七ということについては消極的なようであります。しかし、わが日本は、特殊なASEANとの関係もございますので、今後いろいろ各方面の御協力を得てまず実績面の〇・三に続いて〇・七に向かって努力をする所存でございます。
#361
○太田淳夫君 次に、やはり東京サミットの成功の条件としましては、現在問題になっています日米経済摩擦の早期解決と、こういうところが必要でありますが、早期解決の見通しはどのようになっておりましょうか。
#362
○国務大臣(園田直君) いま最後に一生懸命努力をやっているところでございます。
#363
○太田淳夫君 この問題には短期的な問題と長期的な問題があると思うのですが、いまアメリカが日本に要求している政府及び政府関係機関の物資調達の門戸開放の要求に対しては、これは両国の合意というのが得られるでしょうか。めどはどうでしょうか。
#364
○国務大臣(園田直君) 米国と日本の言い分にはまだ少々開きがあるわけでありますけれども、しかし、関係閣僚の御協力を得て何とか解決をしたいと、こういうふうにいま一生懸命努力をやっているところでございます。
#365
○太田淳夫君 政府のいろいろな姿勢を見てみますと、アメリカが強く要求すれば門戸開放とか黒字幅の縮小に努力をするんだと、このように諸外国に映っているのじゃないかという心配をするわけですが、事実そういうようなことが私たちにも受け取られます。結局、外圧をかけないと日本政府は動かないと、こういうふうに見られているのは厳しく反省をする必要があるのじゃないかと思います。その点、どうでしょうか。
#366
○国務大臣(園田直君) 強く要求をすればさらに次のところまで譲る、もっと強く言えばまた譲るというような印象があったかどうかわかりませんけれども、それを与えることはきわめて将来にわたっても大事なことでありますから、そういうことがないように、譲れないものは譲れない、譲れるものは譲る。しかも、それは日米の二国間問題ばかりでなくて、世界経済に日米がどのように貢献するかと、こういう大局的見地から話そうと、こういう一線は守っていく所存でございます。
#367
○太田淳夫君 米国議会では保護貿易主義が強まっている。その前に、わが国の対米貿易の大幅黒字、または七%公約の大幅な後退、さらに五十三年度のわが国GNPの実質的伸び率が当初七%目標から実際の成長率は五・八%まで下がった、こういう問題に対する不満というものが大きいのじゃないかと思うのですが、わが国の経済運営が対米摩擦をより大きくした、こういう原因じゃないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
#368
○国務大臣(園田直君) 日本の黒字は対米関係から言いますと逐次圧縮の方向へ来ておって、米国でも専門家はその実情はやや認識をされておりますが、一方、ECの方は、これを総括的に見ますと、やや黒字がふえたような感じでございます。そういうことでECと米国はやや違うわけでありますが、いま御発言なさいましたとおりに、この問題は二つありまして、一つは、当面の摩擦の経済問題、もう一つは、日本のそういう黒子が出るのは構造的にどこかもう黒字がなるようになっている、したがってその問題をもっと研究しなければ、いわゆる日本の中期、長期の経済運営基本方針の展望というものをはっきりしてくれなければ、いま黒字を減らしたからといって後どうなるかわからぬと、この二つの問題があるようであります。現実の問題から言えば、いまの政府調達の問題は非常に深刻でありますけれども、またこの意義の上から言えば、長期、中期の展望というものを理解せしめるということが非常に大きな問題であります。
 なお、七%の成長でございますが、これは大分おしかりを受けたわけでありますが、他国ではこういう世界不況の情勢の中で努力をしたということだけは認めてくれておりまして、これに対する理解はできたと考えております。
#369
○太田淳夫君 ただいま経済摩擦解消については、わが国も中長期の経済展望を明示して理解を求めることはある段階では必要だと、こういう御発言でございますが、この経済展望とは具体的にどういうことをお考えになってみえるのですか。
#370
○国務大臣(園田直君) これはあるいは構造の問題とかいろいろ言われておりますけれども、ただここでわれわれが考えなければならぬことは、仮に日米の問題にいたしましても、日本と米国が何かこう将来の日本の経済運営について約束をする、そうして約束をしたものをうまくやっているかどうかという監視の機関をつくると、こういうようなことは絶対に避けなければならぬ。あたかも日本の経済というものが米国と公約をしてその公約を迫られていくということではなくて、日本の将来の運営について方針を示し、お互いに協力しながら経済成長と同じようにあるいは日本はドルの安定に協力するようにと、補完相まって世界経済がうまくいくようにと、こういう趣旨のもとであって、いま経済運営その他について具体的に発言する時期ではないと考えております。
  〔理事岩動道行君退席、委員長着席〕
#371
○太田淳夫君 最近いろいろと報道されるところによりますと、アメリカはこのサミット及びサミット直前に予定されている日米首脳会談に臨むに当たりまして、対日基本戦略というようなものをつくってこれに臨んでいるのじゃないかということも言われておりますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
#372
○国務大臣(園田直君) そういうことはないと存じます。
#373
○太田淳夫君 これは報道されたところによりますと、四点にわたって書いてあります。「四項目の改善を日本政府に要求することを決めた」米国務省の作成によるというふうにありますが、その点は確認してありませんか。
#374
○国務大臣(園田直君) 新聞等にいろいろ書いてございまするし、なかなか見通しのいい新聞かどうかわかりませんが金額まで書いているところでありますが、今朝も関係閣僚と相談し、協力をお願いしたわけでありますが、いまの時期にどの程度のものをどう開放するか、金額はどうかなどということを言えば、今度はそれをまたおっかぶせてくる可能性も駆け引きでありますからございますから、これについては一切まだけさの段階でも議論したことはございませんし、われわれが言葉に出したこともございません。
#375
○太田淳夫君 いわゆるジョーンズ報告というのがございましたが、その中で、将来日米の貿易問題を効果的に処理するための政策を実施するという証拠が日米両政府にほとんど見られないという発言がその中にありますが、これは米国議会の動きでございますが、政府はどのようにこれを受けとめてみえましたか。
#376
○国務大臣(園田直君) この報告というのは、なかなか日本に対する正当な理解のもとに書かれたものと私は考えません。そこで、外務省はこれをしさいに検討して、事実を一々並べて、そして誤解を解くことに懸命の努力をいたしております。
#377
○太田淳夫君 先ほど外務大臣の御発言の中にありましたように、アメリカに誤りがあれば、誤りがあるんだと言うことは、これはこちらとして正当に発言しなければいけませんし、不明確の点は修正するなどして、わが国の実情というのをはきりやっぱり知らせるべきだと思います。そういった点から、このたびのジョーンズ・レポートの誤りにつきましては、米国政府及び議会に対して、わが国の経済的な事情というものはこういうものだということを文書ではっきり示す、そういう用音心はございませんか。
#378
○国務大臣(園田直君) これに対するコメントは、先ほど申し上げましたとおり、文章にして向こうに届けてあります。のみならず、在米の公館に対しては詳細に外務省のコメントを送って、その間違ったところはこのとおりだという事実を指摘し、あるいは理解を深めるところは理解も深める、こういうことを指令いたしております。
#379
○太田淳夫君 次に、日本とアメリカの摩擦でございますが、アメリカ側は、貿易収支の黒字が過大であり経常収支の黒字が大き過ぎるといつも批判されていました。日本は、経常収支の黒字を海外投資で使って基礎収支で均衡させたいと、こう考えてみえるようです。この間に相当の距離がありますし、新七カ年計画でも日本の考え方は継承されることになっております。下手をしますと、昭和六十年まで日米摩擦の根源と両者の物差しが違ったままになる危険があるわけですが、これではやはり問題の解決にならないのじゃないかと思います。外貨準備高三百三十億ドルもたまっていることからも、ここしばらくは経常収支の均衡策ぐらいを目指すことに踏み切れないかと、このように思いますが、その点どうでしょうか。
#380
○国務大臣(金子一平君) 当面の日米関係の問題としては、貿易収支を極力圧縮してくれよと、日本の黒字を減らしてくれよということで言ってきております。その努力は極力やらなきゃいかぬと思っているのですが、日本の貿易構造から申しますと、御承知のとおり、思い切った製品輸入をやりましてもなかなか黒字は減らないわけでございます。考え方としては、日本の場合は貿易でもうけた黒字を海外援助に使うとか、長期の資本投資に使うかとかということによって日本の国際的責任を果たしていかなきゃならぬ立場にあるのですから、私どもは、先方に対しては、短期的な貿易収支ということよりも、基礎収支でバランスをとるという立場を了解してくれということをいつも強調しておるわけです。本年度も、明年度の見通しにおきましても、基礎収支は大体赤字かまあどっこいどっこいということになるわけでございますので、今後もそういう方向で、これは簡単に向こうも折れてくれませんけれども、主張するだけは主張してまいるつもりでおります。
#381
○太田淳夫君 では、外務大臣、マンスフイールド駐日米大使が、日米の意思疎通を十分にするため日米の協議機関を設けたらどうか、こういう提案をされました。前向きに対処するということですけれども、政府はこの機関の性格及び人的構成についてどのようにお考えになっておみえになりますか。
#382
○国務大臣(園田直君) マンスフィールド大使がやりました演説の内容というものは、在京の大使でありますから、日本に対する理解も相当あると考えて拝見をいたしました。いまの問題はまだ具体的に目的が何なのか、人的構成はどういうふうにやるのか、そしてそれはどういうふうな運営をするのか、こういうことは具体的に示されておりませんけれども、あの演説の趣旨からすると、何か両方から各界の代表を出して、少数にして、そしてこういう問題が起きてから解決するのじゃなくて、事前にいろいろ両国の経済問題を討議してこういう問題が起きないように調整しようじゃないかという趣旨だと考えます。こういうマンスフィールド大使の提案というものは検討に値するものであるとは考えておりますが、具体的な提案でありませんから、これに対する具体的な私の所見は申し述べないことにいたします。
#383
○太田淳夫君 最後になりますが、アメリカばかりじゃなくて、ECからも対日の批判が強くなっております。これはサミットの前になりますといつも起こることだと思いますが、日米間だけの協議機関を持つことになりますと、やはり問題も多くなってくるのだと思いますが、また、日本の黒字全体としては減っているのに、日本とEC間ではなかなか改善されていない、そういう不満も強いようですが、その点はどのように処理されますか。
#384
○国務大臣(園田直君) 先ほども申し上げましたとおりに、対米関係の黒字は逐次縮小の方に向かっておりますが、EC全体としてはややこれが拡大したかっこうになっておって、日本としては非常につらいところでありますが、もう一つは、どうも日本はMTNの問題にしても何の問題にしても米国ばかり重点に話しておって、われわれは従にしておる、これはおかしいじゃないか、日米、日・ECは対等でなきやならぬと、こういうお気持ちも大分あるようでありまして、今般安川大使を向こうに派遣してこれの理解に努めたところでありますけれども、今後ともそういう問題については十分話し合い、そして日・EC関係がうまくいくようにやりたいと考えております。
#385
○太田淳夫君 それでは、次の問題に移ります。
 まず通産大臣にお尋ねいたしますが、石油の節約の問題でございますが、これは三月十六日に閣議了解で発表されました五%の対策、このほとんどは国民の自発的な節約に任せられているということでございます。国民の自発的な節約に任せる部分が多いというのは、これは景気も回復期に向かいつつありますのでそれに悪影響を及ぼしたくないというような配慮も考えられるわけですが、国民の自発的な節約に任せる一方では五%の節約が達成できるかどうかはなはだ疑問ではないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。
#386
○国務大臣(江崎真澄君) お話のように、私どもも五%節約はどうしても達成しなければならぬという立場にあります。これはしかしそうかといって力で押しつけてみてもなかなか思うようにいかない。ドイツなどは、IEAの理事会で価格メカニズムに任したらよろしい、足りないというなら価格は上がる、価格が上がれば節約する、これはまことにどうも明快な理論ですが、日本の場合ですというと、買いだめに走ったり売り惜しみをしたりというようなことにもなりましょうし、そういうわけにもいかない点もあります。
 そこで、私どもとしては、これはまず官庁を中心に模範を示し、一方では国民の協力を得る。それから冷暖房などは相当な影響がありますので、これなどについては十分ひとつ今後とも守るように関係機関を通じて徹底をしてまいりたいというふうに考えております。
 それから前は大口規制ということを十数業種にわたってやったわけです。これは一番節約に手っ取り早い方法ですが、いまおっしゃるように、これは景気を持続する上にもすぐ響きます、雇用にもすぐ響く「」とになりますから、そういうことはしたくない。しかし、大口需要者の特に電力などにおいては、電力部門における石炭、LNG、原子力、こういったものへの燃料転換、これはぜひ進めてもらいたいと思うし、その中でも石炭の混焼、こういったことによってぜひひとつ期待にこたえてもらいたい。きめ細かに今後徹底をさせていく予定であります。数量等については、印刷物でお渡ししてありまするので、繰り返しません。
#387
○太田淳夫君 四十八年のオイルショックのときも省エネルギー対策というのが行われましたけれども、余り実効を上げないうちに終わってしまったわけですね。今回のこの対策というのは、短期の目標ですか、それとも長期目標としてこれに取り組んでいくんですか。
#388
○国務大臣(江崎真澄君) まだ当面という形のつもりであります。それは、四−六についてもおおむね昨年の同期ほぼ同じ量を確保することができる、やや上回るのではないかという見通しが立っております。その後どうなるのかということになりますと、まだ中東方面には不安定要因もありまするし、いまOPEC諸国で相互扶助のかっこうで増産に向かっておってくれますが、これがまあいつまで続くかというような心配もあります。しかし、年内はおおむね五%節約ということで推移できるのではないか。ただ、来年の見通しが困難になりまするというと、年末あたりからはまた別なものを考えなければならないということも予想されなくはありませんが、いまは何とも言えない形でございます。できるだけ冷静に、しかし慎重に対処していくつもりでございます。
#389
○太田淳夫君 私は、この石油の節約につきましては、まあ四十八年のときはいろいろな事情がありましたけれども、単なる呼びかけとか数字の羅列だけで終わってしまうのじゃなくて、やはり国民生活に踏み込んでもっと積極的に、たとえば節約の順位にしましても決めて、それを発表して国民のコンセンサスを得るようなことから、国民の中からこの石油節約についての一つの運動が起きるような方向にすべきじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
#390
○国務大臣(江崎真澄君) おっしゃるとおりだと思います。いま、関係各省庁ともそれぞれの関係一機関を通じて徹底をさせようということで努力中です。たとえば、きのうから本当は暖房は一切廃止と、こういうことですね。比較的この衆参議院というのは高年齢層が多いので、朝だけ暖房をしてあとはとめるというような形で対応しておるもののようです。きのうちなみに各省庁を調べてみましたら、暖房はきのうで打ち切っておるようでございます。
#391
○太田淳夫君 一つお伺いしますが、サマータイムの導入には異論の声も強いようですが、どのようにこれは検討して進められますか。
#392
○国務大臣(江崎真澄君) サマータイムは私どもとしてはやりたいと思っておりますが、これはただエネルギー節約という点だけからでは非常に無理な問題だと思います。サマータイムとか週休二日とか世上言われておりますし、また私どもも口にしたわけではありまするが、これらは労働政策とも十分にらみ合わせながら今後の問題として検討をしていきたいと思います。しかし、できるものならばこれはやりたいというふうに私は考えております。
#393
○太田淳夫君 次に、五月の末に一EA閣僚協議会が聞催される予定ですが、そこで石油火力発電の新設禁止の宣言が議題とされる予定になっていますが、日本が賛成すれば当然この宣言は採択されることになりますけども、この宣言が採択され、そうして近い将来には実行を迫られるわけですが、これに対する日本の対応策はどのようになっておりましょうか。
#394
○国務大臣(江崎真澄君) これはしばしばここでも問題になってきたところであります。石炭にかえていく方向というものは、これはやっぱり日本としても大いに進める必要があるというふうに考えます。ただ、問題なのは、石炭火力発電の環境の問題がありますね。それから従来計画をいたしておりまする産業政策の問題もあります。そういったものなどは現実に即しながらいこうという点は一EAでも言っておるわけであります。しかし、根本精神は正しいことを言っておりまするので、できるだけその線に沿ってわが方としても石炭火力というものを奨励する方向でまいりたいというふうに考えております。
#395
○太田淳夫君 次に、供給の問題でちょっとお尋ねしますけれども、日本は石油供給の大半をメジャーに依存しておりました。しかし、今回のイラン問題で示されましたように、メジャーの石油共給能力は低下する傾向にあります。やはりここで日本の石油輸入形態について抜本的に見直しを迫られているわけですが、DD原油、GG原油による原油の自己調達力、これを高める必要があると思いますし、また、伝えられるところによりますと、民族系石油業界の再編成、こういう考えもあるようでございますが、この再編成につきましては私たちは民間企業の活力を失わないようにその意思を尊重すべきである、このように考えるわけですが、その点はどのような方向にいまありましょうか。
#396
○政府委員(天谷直弘君) お答え申し上げます。
 現在、先生御指摘のとおり、いまわが国の輸入石油の七割近くがメジャー経由ということで入っておるわけでございます。自主開発原油、それからGG原油、中国原油合わせまして一四%程度でございます。それからまた、いわゆる中国原油を除きますのはDD原油が二%程度でございます。今後メジャーのポリシーが変わりまして、いわゆるサードパーティーに対する供給を逐次削減していくというような動きがあらわれておりますので、これに対してどういうふうに対応していくかということが非常に重要な問題になってきておる次第でございます。
 これまではメジャーから買っておった民族系石油が自分で石油を調達しなければならないと、こういうことになるわけでございますから、まず第一番目に民族系の石油会社がすぐれた石油調達能力を持つということが必要であろうかと存じます。石油調達能力というのは、まず何といいましても高値をつかまない、適正な価格で石油を買ってくるという、これもなかなか容易なことではございません。それからまた、今度のイランの例でもありますように、カントリーリスクがございまして、一つの国だけから買っておりますと、そのカントリーリスクをもろにかぶるという問題もございますから、石油の供給源の分散ということも非常に大切なことでございます。それからまた、単に石油を買ってきて精製して売るだけではなくて、探鉱それから開発というような能力も蓄積する必要がございますが、これは非常にお金のかかることでございますから、資本蓄積能力がなければならない。あるいはまた、備蓄の能力ということも涵養しなければならないわけでございまして、大変大きな課題と民族系石油会社は取り組まなければならないということでございます。
 現在の民族系石油会社の体質は残念ながらかなり脆弱でございますので、これを強化するため−に、場合によってはこの再編成等も必要であろうかと存じますが、これは第一番目にまず経営者が判断すべきことでございますから、新しい環境に対応いたしまして経営者が真剣にその企業体質あるいは企業体制の改善をどうすべきかということを考えて再編成を進めることが必要ではなかろう−かと考えております。
#397
○太田淳夫君 いま供給源多角化を図るということをお話しありましたが、アラスカ原油が現在注目されておりますが、このアラスカ原油をわが国に輸入する場合には、どういう条件ならば受け入れることができるでしょうか。
#398
○国務大臣(江崎真澄君) アラスカ原油の問題は、もうしきりに巷間もささやかれておりますし、それからあれは二月の二十二日でしたか、アラスカの州知事が内閣総理大臣それから私のところへ参りまして、ぜひひとつアラスカの石油を買ってくれと。しかし、買う手だてはうまくいきますか。いや、私の方で議会には働きかけます、カーター大統領にも話しかけをいたしましょうと、こういうことでございました。これはもう御承知のように大統領のまず許可がなければなりませんね。それで大統領の許可だけじゃ困るので、同時に議会筋の承認がなければなりません。しかも、いまは東部に向けられて計画しておる三本のパイプラインが未完成であります。計画はあるが、環境問題等でこれも御多分に漏れずなかなかむずかしいようでありますが、さてこれができた暁にはどうなるのか、永久的に供与してくれるのかどうなのか、そういう長期的な見通しも立たないということではこれもいささかわが国としては困るわけであります。もちろん、ドル減らしの面から申しましても、またアメリカと親善関係を深めていく上から言いましても、州知事がそう言っておる以上は、まことに好ましい呼びかけだとは思いますが、これを輸入するためには非常に幾通りものネックがあるということを申し上げておきたいと思います。
#399
○太田淳夫君 昭和四十八年の石油ショック時には、第一次から第四次までの石油事情の緊急時においてそれぞれの対応策が用意されていたわけですが、第三次、第四次の段階で適用される電気事業法及び石油需給適正化法、国民生活安定緊急措置法を発動するとき、いわゆる緊急時とは石油供給を何%削減されたときに当たるのか、その点どうでしょうか。
#400
○政府委員(天谷直弘君) 緊急時に関しましては、何%とかいうようなふうに機械的に決めてあるわけではございません。石油需給適正化法の第四条に「我が国への石油の供給が大幅に不足し、又は不足するおそれがあるため、国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に著しい支障を生じ、又は生ずるおそれがある場合において、その事態に対処するためこの法律に規定する措置を講ずる必要があると認めるときは、閣議の決定を経て、」ということでございますから、そういう事態であるかどうかということは閣議が認定するということであろうと考えます。要するに、現在の段階ではまだそういう事態では全くないというふうに考えておるわけであります。
#401
○太田淳夫君 それでは、最後になりますが、二月の二十日ごろでしたか、江崎通産大臣が団長となってイラン調査団が派遣されるという話がちょっとありましたけれども、これは実現できるのですか。
#402
○国務大臣(江崎真澄君) この問題は、私が発表したのじゃなくて、外務大臣が、イラン側に要請があればイラン再建復興のために協力の用意ありと、その団長としては江崎通産大臣が適任であろうと、こういう談話を出されたもののようです。それは、御承知のように、バザルガン政権、あの政権が発足いたしまして、和田大使がその政権承認、国家承認をもたらしましたときに、バザルガンさんは非常な好意を持って日本には大変な期待を寄せておると。特に石油化学プロジェクトにおける協力は今後も国家の再建のためには日本の積極的な協力を願いたいと。しかも、日本の技術に多くを期待するというわけで、その後の会見においても、石油を輸出再開するときにはまず日本に第一船を差し向けましょうということであれはDDがまず第一船もたらされたわけでありまするが、そういうわけで非常に好意的であったのを受けて、園田外務大臣としては、先方の要請があればいつでも機宜に応じて協力体制をとろうと、それにはひとつあなたにお願いすることもあり得るし、いまから二人でよく相談しながら検討していこうじゃないか、こういう話をかねて承っておったわけであります。したがって、向こうから正式要請がない段階でこっちから出かけていくということはいかがであろうかと思いまするが、向こうから積極的な要請があれば、当然、相手方の信頼にこたえて、できるだけひとつ協調体制をとって期待にこたえることば大切なことだというふうに考えております。
#403
○太田淳夫君 しかし、現地等の帰られた方の話を聞きますと、アメリカとかヨーロッパの要人はしばしば訪問をされていると。日本はそういう緊急のときにしか来ないのじゃないかという批判もあるようでございますし、積極的に今後は通産大臣が先頭になっていろいろな面で、常時と言っては何ですが、そういう緊急事態ばかりじゃなくて、平素から人間的なつながり、信頼関係が生まれるような交流を図るべきじゃないか、こう思います。そして、わが国の援助というのは、どちらかというと、いま話があったように、技術援助ということが多くなってくるわけですが、資源開発に傾斜しますと結局反発を招くことになるのじゃないかと思いますし、長い将来ということを考えますと、技術援助、経済援助ばかりじゃなくて、やはり中東の諸国には人的な資源が多いわけですが、それが未開発のままになっておりますし、そういった教育、文化を含めた援助というものが今後必要になってくるのじゃないかと思います。その点、外務省、いかがでしょうか。
#404
○国務大臣(江崎真澄君) 御意見の点は私も全く同感であります。いま予算審議の最中でありますし、なかなか思うに任せませんが、時間がとれれば御趣旨の線は全く賛成ですから、十分機宜の措置をとり、特にまたいまお示しのような何だか非常事態になって大あわてするということでなしに、平素から通商関係、あるいは経済協力、文化協力――交流と言ってもいいですね、そういった面で交流を深めることは当然私は望ましいことだと思いますので、ぜひ進めたいと思います。
#405
○太田淳夫君 じゃ、経企庁長官がお見えになりましたので、通産大臣どうもありがとうございました、経済成長についてちょっとお尋ねいたします。
 政府は当初年間で一四・五%の原油価格の値上がりならばわが国の経済に与える影響は小さい、こういうことを言っておりましたが、ここにきてそれ以上の原油価格の上昇は確実と見られております。伝えられるところによりますと、一七%か二〇%程度の価格上昇が言われておりますけれども、わが国経済の影響についてどのように見られますか。
#406
○国務大臣(小坂徳三郎君) われわれは、五十四年度の計画の中では、年間平均一〇%の油の値上げを前提にして計画をしておるわけですが、いま、イランの情勢、あるいはまた中近東の情勢、またアジアにおける中国とベトナムの紛争等、そういった問題以来、石油についての動向が雲行きが怪しくなっていることは御承知のとおりでございまして、その中からスポット的に非常に高い値段が出ておる。われわれはいま世界じゅうでこうした高いスポットも一のを買わないような運動ということでそれぞれ非常に努力をしておるところでございまして、日本はまだそうしたものには余り手を出していないが、アメリカが一社手を出したようでございますか、これに対しましてはアメリカ政府が相当強烈な勧告を行ったということをつい最近聞いたわけです。われわれは、日本の物価とか、あるいはまた石油供給に関連して数量もさることながら、やっぱり価格が非常に重要であるというふうに考えておりますが、問題は、この三月の二十六日に行われると聞いておりますOPECの閣僚会議で、果たして現在出されているような値段というものが一般的なものになるのかどうか、その点を非常に注目しているところでございます。同時にまた、IEAにおきましては五%の節約ということを決めて各国ともすでに踏み切ってやっておりますのは、つまりこのOPECにおける閣僚会議においての価格が言うところのスポット価格のようなものにフォローしないための大きな戦略であると私は考えておりまして、現在はそうしたOPECの三月二十六日の閣僚会議の結論待ちでおりますが、私は一面におきましては今度の一〇%の値上げに関しましても卸売物価に〇・七、消費者物価に〇・三程度の影響ということを考えておりますが、これは計算上の問題でございますが、一方において電力価格は円高差益の還元等によって割引をしておりましたが、これは三月で終わります。終わりました時点において、この現在の石油問題が起こっておるのでありますが、私、直接に中部電力あるいは関西電力、東京電力の社長に会いまして、果たして昨年円高差益の還元に際して約束した従来価格の据え置きを今年度もやってくれるのだろうなという話をしまして、それぞれ努力をして守るということを言ってくれておりますので、そうしたことを考えますと、この一〇%の値上げが即そのまま日本の物価水準にダイレクトに電力料金を通じてはね返るということはわれわれの計算よりやや低いというふうにも考えておりますが、いずれにいたしましても非常に問題でございますので、われわれも努力いたしますが、委員におかれましてもお気づきの点がありましたらひとつどしどしわれわれにおっしゃっていただいて、努力を積み重ねていきたいと思っております。
#407
○太田淳夫君 民間の調査あるいはIMFの発表等から見まして、あるいは石油価格の上昇、卸売物価の上昇から見まして、今年度の経済成長率実質六・三%は厳しいのじゃないか、こういう見方がありますが、お考えはどうでしょうか。
#408
○国務大臣(小坂徳三郎君) 六・二%程度と申しておるのは、われわれとしましては、国内、国際関係の必要量を満たすための成長のいわゆるぎりぎりのところだと思っております。一つには、失業率をこれ以上ふやさないという大きな目標、それから景気回復を順調に進めるということ、それからもう一つは、先ほど来御議論にありましたような国際的な経常収支の削減と申しましょうか、こうした三つの問題を追求するための目標でございまして、これをどうしてもぜひ達成したいという気持ちは変わっておらないわけでありますが、もちろん御指摘のようないろいろなこれを撹乱する要因はこれから次々に出てくると思います。しかし、こうした事態に対応して一番現時点で重要なことは物価の安定ではないかと思うので、この二月の二十六日に総合物価対策の推進ということを決めて、まず物価の面に重点を志向しつつおりまして、同時にまた、金利引き上げとか、あるいはまた融資の規制とか、そうしたことをやることをしばらく様子を見てもらうということで、物価にやや重点を置きながら六・三%の基盤の醸成をひとつ続けてまいりたいというふうにも考えておるところであります。
#409
○太田淳夫君 五十三年度の見通しはどうでしょうか。これも七%成長を目指してやってきました途中で修正したりなんかしましたが、現在見通しは大体どの程度いく予定ですか。
#410
○国務大臣(小坂徳三郎君) 端的に結論だけを申し上げますと、やはり円高によりまして日本の輸出が非常に減ったことと、逆に輸入が非常にふえたこと、これで七%目標の修正をせざるを得なかったわけでありますが、一方国内の方の国内需要を見ますと八%程度にいくという見通しでありまして、そのようなことでございますが、結局貿易関係から見ての全体のGNPの成長は六%ぎりぎりか、あるいはまた五・七、八%ぐらいかというふうに考えております。
#411
○太田淳夫君 そうしますと、五十三年度は五・七%かあるいは六%ぎりぎりということですが、五十四年度はこれはまたいまの目標ではそれを上回る成長をしなければならない。アメリカでは六・二%は低過ぎると、こう批判している中ですので、五十四年度がまた五%台でありますと、国際的に見てこれまた好ましくない関係になってくるのじゃないかと思いますが、六・三%程度の成長率を可能とする条件、どういうような条件がそろったら可能だとお考えでしょうか。
#412
○国務大臣(小坂徳三郎君) やはり石油の安定供給と安定価格、私はこれが一番重要なことだと思います。
 それからまたもう一つは、六・三%程度ということを諸外国に対して私は公約する必要は全くないことだと思うのです。自由主義経済でございますし、そしてまた日本の経済自体も二百二、三十兆円の大変大きなものでございますから、これが何%というような形で表現することは非常に不適当だと私は思っておりまして、問題は、外国に対しては、日本の政策目標、つまり経常収支の改善とか、あるいはまた基礎収支におけるバランスとか、そうしたことを達成するということ、国内的には、失業の問題を改善することと、景気をある程度回復していくということ、私はそういう政策目標の達成が公約と言えば公約になるのではなかろうか。パーセントそのものはその結果でございますから、その結果のことを先に公約するというようなやり方は、言い方は変でありますが、きわめて損なことだというふうに思っております。
#413
○太田淳夫君 どうもありがとうございました。
 次は、住宅問題についてお尋ねいたします。
 いよいよわが国も高齢化社会に非常なテンポで進んでいるわけですが、この高齢化社会における住生活の安定のためには、まず本格的な高齢化社会を迎える前に全国的に住宅ストックの水準を十分に高めておくことが必要だと思います。そのために、住宅供給に対する公的介入を強め、実際の住宅供給を公的機関が推進するとともに、住宅金融に一層公的な資金を投入して借入条件を大幅に緩和することが必要ではないかと思うのです。現実には、高齢者に対する住宅対策というのは福祉政策の盲点になっております。特に、ひとり暮らし老人への配慮がされていない。ただ老齢であるという理由で民間の貸し家やアパートからも敬遠される傾向にあります。全国の二百二十万戸余の公共賃貸住宅もひとり暮らしの老人を事実上排除しております。公団住宅にわずかの単身者向け住宅がありますけれども、所得面の要件等で制限されているために実際上若い独身者向けになっています。そういうことで、住宅がないため元気な老人まで無理に老人ホームへ入れて地域社会から断絶されているような姿になっておりますね。こういうような現状をどのように理解して今後の高齢化社会における住宅対策を考えてみえるか、その点をまずお聞きしたいと思います。
#414
○国務大臣(渡海元三郎君) 老齢者人口の増加に伴いまして、住宅政策におきましても、特に老人世帯、また老人同居世帯、これらに対する施策の充実が重要なる問題であると考えております。従来より老人世帯に対しましては老人世帯向けの公営住宅の供給をやってきております。また、老人同居世帯に対しましては、公営住宅、公団住宅等に対しましては優先入居を認めております。また、五十四年度におきましては住宅金融公庫の割り増し貸し付けを倍額にいたしましてその充実を図っておるところでございまして、今後ともこれらの施策を充実することによりまして高齢化人口の姿に合うように努力してまいりたいと思っております。
 いま御指摘のありました単身老人の公営住宅に対する入居問題でございますが、建設省といたしましても、かねて公営住宅への単身入居ということに対しましては公営住宅は地方公共団体が行っておるものでございますから、地方公共団体また学識経験者等寄っていただきまして、単身老人の実態あるいは希望、それからひとり暮らしの条件等につきまして調査を願い、この調査の結果を待ちまして供給住宅をどうやるか、また対象入居者をどう持っていくか、これらのことを継続していま鋭意検討中でございますので、御了承賜りたいと思います。
#415
○太田淳夫君 先進国では、たとえば老人向け住宅建設については公共住宅の何%をひとり暮らし老人や老人向けにするべきだということが義務づけられておりますが、そういった法律面の義務づけ、家賃面における特別措置というもの、こういう点はどうでしょうか。
#416
○政府委員(救仁郷斉君) ただいま建設大臣からお答え申し上げましたように、公営住宅におきまして現在老人単身の方々に対しまして入居させる条件等について鋭意検討を進めております。そういった中で北欧等で行っておりますそういった制度も私ども勉強しておりますが、やはり老人の方方が実際にその地域社会というものから離れられないという実態が非常にございます。ですから、私どもも北欧の老人住宅の団地等を見学さしていただきまして、果たして日本の家族社会の中でああいう姿というのは本当に幸福なんだろうかという面も一面私ども感じております。そういった中で、先生の御指摘もございますので、十分検討さしていただきたいというふうに考えております。
#417
○太田淳夫君 それでは、最後になりますが、勤労者財産形成促進制度についてですが、この制度はできましていま貸し付け制度もあるんですが、非常に不振な状況にあるわけです。これは国の講じている施策は、一つは、財形貯蓄五百万までの利子が非課税になること、あるいは二つには財形分譲融資を行う中小企業の事業主にわずかに利子補給をしている、こういう程度にすぎませんが、肝心の財形貯蓄をしている勤労者が直接持ち家取得をする場合には何らの利子補給もないわけです。そのため、金利が六・三二%で、銀行住宅ローンの七・六二より低いのですけれども、年金積立金還元融資の五・五五%や、あるいは住宅金融公庫融資の五・〇五%に比べますと大幅にこれが高くなっておりまして、それが不人気の原因になっております。この際、第一点は、勤労者の良好な住宅取得を促進し、居住条件を向上するために、国が利子補給を行って、少なくとも年金積立金還元融資並みにすべきじゃないか。第二点は、融資率を費用の八〇%以内と制限しておりますけれども、この率を引き上げるべきじゃないか。第三点は、融資額は貯蓄額の三倍を限度に一千五百万円までとなっておりますが、これを五倍の二千万まで引き上げていくべきじゃないか。こういった思い切った施策が必要になってくるのじゃないかと思うのです。現在加入者は二百五十万人ぐらいおみえになるそうですが、実際にはこういった金利が高い点で不人気であるために脱退される方がふえているようですが、その点からも改善を図るべきじゃないかと、こう思いますが、その点いかがですか。
#418
○委員長(町村金五君) 太田君、時間が参りました。
#419
○国務大臣(栗原祐幸君) 財形持ち家制度の問題で、融資制度の中で転貸融資とそれから分譲融資がございまして、その場合に利子がほかのものと比べてみて高いじゃないかと、あるいは融資率をもう少し上げたらどうだと、あるいは融資額についても二倍と一千万円ですかな、どちらか低い方にしろとなっているけれども、それを三倍と千五百万といずれか低いものにしろと、そういう御要望でございますが、この制度は、御案内のとおり、転貸融資につきましては二年ですね、それから分譲融資についてはまだ六年ですな、ですから、こういう制度ができましてから余り時間がたっていない。それから金利の問題については、他の公的融資との関係もございますし、率についても他とのバランスがあるということもございまするから、今後の推移をよく見まして、これは労働省だけでできる問題じゃないので、大蔵省ともよく相談をいたしまして今後の推移を見て検討いたしたいと、こう考えております。
#420
○国務大臣(金子一平君) 今後労働省とも十分相談しながら今後の状況を見てこの対策を講じてまいりたいと検討さしていただきます。
#421
○国務大臣(栗原祐幸君) 私が三倍と一千五百万というふうに言いましたが、あれを二倍と一千万を昨年三倍と一千五百万に直したわけです。あなたのおっしゃるように、これを五倍ですかに直すというのは、そういう意味でも適当でないということでございます、いまのところはですな。
#422
○委員長(町村金五君) 以上で太田君の一般質疑は終了いたしました。(拍手)
 明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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