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1978/04/02 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 予算委員会 第20号
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1978/04/02 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 予算委員会 第20号

#1
第087回国会 予算委員会 第20号
昭和五十四年四月二日(月曜日)
   午前十時十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二日
    辞任         補欠選任
     黒柳  明君     太田 淳夫君
     神谷信之助君     市川 正一君
     三治 重信君     井上  計君
     青島 幸男君     下村  泰君
     円山 雅也君     野末 陳平君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         町村 金五君
    理 事
                井上 吉夫君
                岩動 道行君
                糸山英太郎君
                嶋崎  均君
                久保  亘君
                瀬谷 英行君
                多田 省吾君
                内藤  功君
                栗林 卓司君
    委 員
                浅野  拡君
                石破 二朗君
                上田  稔君
                小澤 太郎君
                上條 勝久君
                亀長 友義君
                熊谷  弘君
                下条進一郎君
                田代由紀男君
                鍋島 直紹君
                林  ゆう君
                真鍋 賢二君
                山本 富雄君
                粕谷 照美君
                小柳  勇君
                野田  哲君
                広田 幸一君
                福間 知之君
                矢田部 理君
                和田 静夫君
                阿部 憲一君
                太田 淳夫君
                黒柳  明君
                矢追 秀彦君
                矢原 秀男君
                市川 正一君
                橋本  敦君
                井上  計君
                三治 重信君
                青島 幸男君
                下村  泰君
                野末 陳平君
                円山 雅也君
   国務大臣
       内閣総理大臣   大平 正芳君
       法 務 大 臣  古井 喜實君
       外 務 大 臣  園田  直君
       大 蔵 大 臣  金子 一平君
       文 部 大 臣  内藤誉三郎君
       厚 生 大 臣  橋本龍太郎君
       農林水産大臣   渡辺美智雄君
       通商産業大臣   江崎 真澄君
       運 輸 大 臣  森山 欽司君
       郵 政 大 臣  白浜 仁吉君
       労 働 大 臣  栗原 祐幸君
       建 設 大 臣  渡海元三郎君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (北海道開発庁
       長官)      澁谷 直藏君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       田中 六助君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       三原 朝雄君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       金井 元彦君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  山下 元利君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       小坂徳三郎君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       金子 岩三君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  上村千一郎君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  中野 四郎君
   政府委員
       内閣法制局長官  真田 秀夫君
       公正取引委員会
       委員長      橋口  收君
       公正取引委員会
       事務局経済部長  伊従  寛君
       警察庁刑事局長  小林  朴君
       警察庁刑事局保
       安部長      塩飽 得郎君
       警察庁交通局長  杉原  正君
       防衛庁参事官   岡崎 久彦君
       防衛庁参事官   佐々 淳行君
       防衛庁参事官   古賀 速雄君
       防衛庁参事官   番匠 敦彦君
       防衛庁長官官房
       長        塩田  章君
       防衛庁防衛局長  原   徹君
       防衛庁人事教育
       局長       夏目 晴雄君
       防衛庁経理局長  渡邊 伊助君
       防衛庁装備局長  倉部 行雄君
       防衛施設庁長官  玉木 清司君
       防衛施設庁総務
       部長       奥山 正也君
       経済企画庁物価
       局長       藤井 直樹君
       経済企画庁総合
       計画局長     喜多村治雄君
       経済企画庁調査
       局長       佐々木孝男君
       科学技術庁計画
       局長       大澤 弘之君
       科学技術庁原子
       力局長      山野 正登君
       科学技術庁原子
       力安全局長    牧村 信之君
       国土庁長官官房
       審議官      四柳  修君
       国土庁土地局長  山岡 一男君
       国土庁大都市圏
       整備局長     堺  徳吾君
       法務省刑事局長  伊藤 榮樹君
       外務大臣官房長  山崎 敏夫君
       外務省アジア局
       長        柳谷 謙介君
       外務省アジア局
       次長       三宅 和助君
       外務省アメリカ
       局長       中島敏次郎君
       外務省欧亜局長  宮澤  泰君
       外務省経済協力
       局長       武藤 利昭君
       外務省条約局長  伊達 宗起君
       外務省情報文化
       局長       加賀美秀夫君
       大蔵省主計局長  長岡  實君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       大蔵省理財局長  田中  敬君
       大蔵省証券局長  渡辺 豊樹君
       大蔵省国際金融
       局長       宮崎 知雄君
       国税庁長官    磯邊 律男君
       文部省初等中等
       教育局長     諸澤 正道君
       文部省大学局長  佐野文一郎君
       文部省学術国際
       局長       篠澤 公平君
       厚生省公衆衛生
       局長       田中 明夫君
       通商産業省通商
       政策局長     宮本 四郎君
       通商産業省貿易
       局長       水野上晃章君
       通商産業省機械
       情報産業局長   森山 信吾君
       工業技術院長   石坂 誠一君
       資源エネルギー
       庁長官      天谷 直弘君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        児玉 勝臣君
       運輸省鉄道監督
       局長       山上 孝史君
       運輸省航空局長  松本  操君
       郵政省人事局長  守住 有信君
       労働省労政局長  桑原 敬一君
       労働省労働基準
       局長       岩崎 隆造君
       労働省職業安定
       局長       細野  正君
       労働省職業訓練
       局長       石井 甲二君
       建設省計画局長  丸山 良仁君
       建設省住宅局長  救仁郷 斉君
       自治省行政局選
       挙部長      大橋茂二郎君
       消防庁長官    近藤 隆之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       原子力安全委員
       会委員長     吹田 徳雄君
   参考人
       新東京国際空港
       公団総裁     大塚  茂君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和五十四年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十四年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十四年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
○証人告発に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(町村金五君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 昭和五十四年度一般会計予算
 昭和五十四年度特別会計予算
 昭和五十四年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題といたします。
 昭和五十四年度総予算に関し、外国航空機購入予算問題についての集中審議を行います。
 それでは、お手元の質疑者名簿に従い、順次発言を許します。熊谷弘君。
#3
○熊谷弘君 最初に、防衛庁長官に伺いたいと思うんですけれども、今回のSECのリポートが公表され、その後、衆参両院のこの予算委員会での質疑、証人喚問あるいは司法当局の捜査、これらの全般的な事件の展開の中で、とりわけ防衛庁が調達しております軍用機の購入のあり方について幾つかの問題が明らかになってきたと思うわけでありますけれども、こうして参議院の予算委員会での航空機輸入問題についていろいろな質疑が一応の節を迎えたところで、長官は、いままでの防衛庁の軍用機調達についてのやり方についていろいろ反省するところがあったと思うんですけれども、こうした点について、どのように御認識をされておられるのか。さらに、こうした認識のもとに、今後、どのような対応策を講じていかれる所存であるのが、この点について、まずお伺いをしたいと思います。
#4
○国務大臣(山下元利君) お答え申し上げます。
 防衛庁の調達いたしますところの装備、特に航空機のような問題につきましては、従来ともにその選定の経緯に当たりましても十分厳正に執行してまいりまして、疑惑のないように努力してまいったわけでございますが、ただ、従前におきましては、ただいま御審議賜っているような問題があるわけでございますが、そうしたことはいずれ解明を待たねばならぬのでございますけれども、従来ともに、私どもは、純粋に防衛上の見地から、専門的技術的にやってまいったわけでございますけれども、このたびの当委員会におきまする御審議の経過を踏まえまして、一層その趣旨を徹底してまいりたいと思います。
 具体的には、かねがね申し上げておりますとおりに、ロッキード事件の経緯にかんがみまして、代理店契約書を提出させるとか、あるいは価格調査を十分励行するとか、あるいは誓約書を提出させるとか、あるいはまた契約方式につきましてもできるだけ政府間契約方式を取り入れるとかいたしておるわけでございますが、今後ともに、そうした点を十分注意いたしまして、いささかも防衛庁調達に関しましては疑惑の起こらないようにいたしたい、このように決意いたしておる次第でございます。
#5
○熊谷弘君 次に、法務省にお伺いしたいと思うんですけれども、この捜査が順次進められているわけでございますけれども、証人喚問が一応終わったところで、今後の捜査につきまして、どのような基本的な取り組み方を持っておられるか。すでに再三大臣からも各委員会での質疑を通じてお話があったところでありますけれども、一応の節を迎えたところでどのようにお考えになっておられるのか、御意見をお伺いしたいと思います。
#6
○国務大臣(古井喜實君) 毎々申し上げますように、具体的な捜査活動につきましては私からは申し上げることはありませんですが、捜査当局の方は、国会の御審議の邪魔にならぬように、できることなら御協力できるような考えで仕事を進めているのではないかと、そう思っております。
 なお、詳しいことを御必要ならば、局長から申し上げさせます。
#7
○熊谷弘君 もう直接の事務当局からのお話は再三伺っておりますので、時間もありませんから省略いたしますけれども、そこで、実は土曜日における証人喚問におきましても、郷証人から再三お話があったわけでありますけれども、今回の事件、前回ロッキードの事件のときもそうでありましたけれども、われわれが他方で十分注意を払わなければいけないことは、この事件の展開の中で多くの人々が思わぬ名誉棄損に類するようなことにぶつかることが多い。で、これはロッキード事件の際、ウォーターゲートの際、チャーチ委員会の中でも、私、証人に対してもお話をしたわけでありますけれども、アメリカにおいても同様なことがあったわけであります。で、こうした真相解明にもちろん必要なことはどんどんやらなければいけませんけれども、他方で人権侵害に類する、名誉棄損に類するようなことについては十分司法当局も配慮をしていってもらわなければならない。もちろん、われわれも国会の質疑等を通じて行う真相解明の作業の中でそうした点にも十分配慮しなければいけないわけでありますけれども、国会の議論の外で行われるさまざまの報道その他の中で、そうしたことが十分担保されるように、検察当局その他も配慮していただかなければならないと思うわけでありますけれども、この点についてどうお考えでしょうか。
#8
○国務大臣(古井喜實君) これだけの問題が起こったわけでありますから、これが政治不信につながることになっても重大でありますし、でありますから、真相の解明は徹底的にというか、手を尽くしてやらなければいけない、こういうふうに一方では思うわけであります。で検察もそのつもりでかかっておりますし、国会の方におかれても、国会の国政調査という立場からこれについて周到な審議をされる、これは当然なことであると思います。
 ただ、一方、これは前から私も申すことでありますけれども、検察の方にいたしましても、捜査を受けておる人間は、それだけでも非常に迷惑しているわけですし、この人たちの取り調べられた結果、しょせんシロであったという、そういう人の立場も特に考えなきゃいけませんし、いわゆる人権、名誉ということを尊重するという考慮もなけりゃならぬわけですから、そこは扱いについて大切に考えていきたいと思いますし、国会の方におかれてのお扱いは、これは国会でお考えになることでありますが、出過ぎてよけいなことを申せば、国政審議のあり方をどういうふうに進めたら一番能率的で効果的かというようなことを含めて、これからもあることでありますから、国政調査の手続などについてもお考えになることだろうと思いますし、それを期待しておるようなわけであります。
#9
○熊谷弘君 そこで、この派米調査団が、私もその一員として参加してまいったわけですけれども、この委員会における質疑におきましても質問がございましたが、アメリカのSECでは、三百社疑惑のある会社の中で、五十社を選んで徹底調査をやる、そのうちまだわずかしか完全な調査は済んでいないというようなことが言われております。
 また、ウォーターゲート事件、その後のいわゆるコリアゲート事件などと言われるようなアメリカでの動きを見ますと、外国からその国の政治あるいは行政に影響を及ぼすためにさまざまな買収工作が行われるというようなことはしばしばあるわけであります。とりわけ、最近の報道によりますと、南アフリカで日本の国会議員というようなのが名前が出ておる。また、私ども、実は昨年ヨーロッパの過激派の動きについて調査に参りましたときに、しばしばその過激派の資金源として、違法な形で、小さな貿易商社を使って外国からお金が送られるというようなケースもある。このようなことが日本にいまあるとは私申しませんけれども、そういうことについても十分配慮していかなきゃならぬと思うわけであります。
 そこで、とりわけ、この南アフリカで起こっておると報道されております事件につきまして、法務当局はどのような御認識でおられるのか、具体的に調査等を開始しておられるのか、いかがでしょうか。
#10
○政府委員(伊藤榮樹君) ただいまお尋ねの南アフリカとの関係でございますが、私どもまだ新聞報道等によって概略を承知しておる程度でございます。恐らく外務省御当局等によりまして何らかの公式的な説明資料、こういうものが参りますれば、ある程度検討してみる必要はあろうかと思っておりますが、何分いろんな複雑な背景事情があるようでございますので、さしあたりはそういった正式の資料、情報というものを待ちたい、かように考えておる次第でございます。
#11
○熊谷弘君 ただいまのお話でありますと、新聞報道等については一応調べてはいるけれども、新たな情報が入らない限り、まだとりたててアクションはとらないというふうに理解されるわけでありますけれども、法務当局として、外務当局に対して、この問題について関心があり、これについて情報を集めてもらうように依頼をする、こういうようなことはまだ考えていないわけでしょうか。
#12
○政府委員(伊藤榮樹君) 当該報道につきまして一応の関心を持っておるということを事務的に御連絡いたしておりますので、外務省は外務省なりに何らかのお考えがあるのではないかと思っております。
#13
○熊谷弘君 次に、大蔵大臣に伺いたいわけでありますけれども、これも新聞報道をもとにして御質問申し上げるわけで恐縮なんですが、過日、ある新聞によりますと、現在、外国為替管理法について非常に精力的な作業が進められておるという報道があるわけですけれども、今回のこの航空機輸入をめぐるさまざまのいろいろな問題、とりわけ外国為替管理法について具体的にいろいろな問題が出てきたわけです。こういうのを踏まえて、大蔵当局では、こういう事件があるから外国為替管理法についての規制を残しておくというような考えがあるやに報道されておるわけです、事実かどうかわかりません。
 しかし、私は、この外国為替管理法の現在の規制というのは、御存じのように、外国為替管理法は、外国通貨を持つこと自体をまず原則禁止にしておいて、例外的にずっと幾つかの自由を認めていくというようなやり方の法体系になっておる。しかし、これだけ企業、個人の活動の国際化というのが進みまして、これも恐らく法案の改正が提出された段階で詳細に検討し、審議を進めなければならないわけでありますけれども、しかし、私どもが、民間企業でありますとか、そういう方々から話を伺いますと、とうてい企業の実態を知らない規制ではないか、完全に遊離したものがかなりある、全部だとは申しませんけれども、そういうふうな批判も一部にあるわけであります。こういう外国為替管理法の改正と、今回の事件から出てきたいろいろの問題というのを混同いたしまして、そうして権限を留保しておきたいというような形で進めることは、私は、大平総理の言われる効率的で簡素な政府をつくっていく、これはいわゆるレッドテープを排除していこう、不必要な規制をなるべくやめていこうという考え方に総理の考え方はあると思うんです。そういう考え方からいたしましても非常に問題がある考え方なんで、一体、その新聞報道に言う大蔵省当局の考え方は本当なのか、そうだとすれば、私どもとしては非常に問題だと思いますけれども、この点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
#14
○国務大臣(金子一平君) 現在の外国為替管理法、外資法は、御承知のとおり、原則規制でございます。こういう時代にそぐわない考え方を基本にしてできておりまするので、今回の改正に当たりましては、原則自由をたてまえに持っていきたい、こういうことで、通産当局とも相談しながら、作業を進めておる最中でございます。
 それで、ただ原則自由と申しましても、事があった場合に、日本のような環境の国ではやはり一定の規制をやらなきゃいかぬ場合もあり得ますので、従来からいろいろ言われておりましたけれども、外国為替銀行はそのまま存置したいということでいまやっておる最中でございまして、今度のような事件が起こりました場合にも為替銀行をある程度通ずることにいたしましたら、そのチェックができるのではなかろうか、こういうことで、別に今度の問題と関係はございませんけれども、現行の外国為替銀行、たてまえを残す考え方は貫かなければいかぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
#15
○熊谷弘君 私が誤解しているかしれませんけれども、また、この問題についてはこんな短い時間で誤解を生むような形で議論を進めるべきことでありませんので、一応、要望としてお心にとめておいていただきたいと思うわけであります。
 そこで、総理に最後に伺いたいと思いますけれども、今回の事件につきまして、国会の審議あるいは捜査の進展ということで、一つの節を迎えているように思うわけでありますけれども、再三、各委員からも総理の捜査についての取り組み方、今回の事件についての取り組み方については御質問があり、総理の強い決意もわれわれ伺ったところでございます。
 そこで、やはり何といっても、今回の事件の真相解明はもちろんであります、もちろんでありますけれども、基本は、今後二度とこういうことが起こらないようにする、いわゆる再発防止という考え方が一番基本だと思います。そこで、この再発防止を含めて、今回の事件についての総理の決意、取り組みについての決意をお伺いしますとともに、ちょっとお許しをいただきまして一つだけ、直接関連はございませんけれども、御質問申し上げたいわけであります。
 日米間で今回の事件は起こっておりますけれども、外交問題として、政府調達の問題が非常に大きな焦点となっておりまして、牛場代表がアメリカに行かれて、新聞の報道等によりますと、どうやら不調に終わったらしいということで、われわれも大変心配しておるわけでありますけれども、総理は、この牛場さんからすでに報告を受けておられるのかどうか。受けておられるとしたら、一体、どういうふうに今後この問題に取り組む御所存であるのか、最後に御質問申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
#16
○国務大臣(大平正芳君) 航空機輸入に関する問題につきましては、刑事事件としてすでに捜査が行われておりまするし、国会におきましても御審議が行われておるわけでございます。私ども、当面の仕事は、この真相を早く究明しなければならぬ、そして厳正な措置をとるということが第一でございます。そのために政府は全力を挙げないかぬと思っております。
 しかし、それを踏まえた上で、いま仰せのように、再発防止につきまして、これは政治の信頼にかかわる問題でございますので、あらゆる角度から再発防止について考えなければならぬと思っております。前々内閣の当時からすでにこの問題に手を染めておりまするけれども、もっとなすべきことがありはしないか、それは十分私ども検討いたしまして、再発防止のためになすところがなけりゃならぬと考えております。案ができましたら、御審議をいただかなけりゃならないと思いますが。
 それから、第二の政府調達問題でございますが、私は、牛場代表とストラウス代表との間でこの問題は解決していただきたいし、また、いただけるものと期待しておったのでございますけれども、わが方の提案がたたき台にもならなかったということで、実は、非常にショックを受けておるところでございます。なぜそういうことになったのか、牛場さんが帰ってきたようでございますので、きょうおいでいただいて、詳細に御報告を承って、今後の対応策を慎重に考えなけりゃならぬと思っております。まだ伺っておりませんので、この段階で何とも申し上げかねます。
#17
○委員長(町村金五君) 以上で熊谷君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○委員長(町村金五君) 次に、野田哲君の質疑を行います。野田君。
#19
○野田哲君 総理と官房長官には後で、最後に伺います。
 まず、法務省に伺いたいと思いますが、検察当局は、最近、元日商岩井の社員であった有森國雄氏から事情聴取を行ったという報道がありますが、これは事実ですか。
#20
○政府委員(伊藤榮樹君) 捜査の過程でどういう方に来ていただいて事情を聞いたというようなことは、公表しないたてまえになっておるわけでございます。私自身の判断としては、事情を聞いたのではないかというふうに思っております。
#21
○野田哲君 事情を聞いたのではないかと判断をしているということであれば、ちょっとそこから先が質問しにくいのですが、有森國雄氏から事情を聞いたとすれば、それは衆議院の予算委員会の告発によってやられたものか、あるいは福田赳夫氏から海部メモに絡んで告発が行われているように聞いておりますが、それによってやったのか、あるいは検察独自の判断でやられたのか、その点いかがですか。
#22
○政府委員(伊藤榮樹君) 仮定の上に仮定を積み重ね、推測の上に推測をするようなお話になるわけですが、私の判断では、衆議院の予算委員会から証言拒絶で告発がなされたわけでございます。いやしくも国会から告発がなされました以上、これを厳正に受けとめて、なるべく速やかに所要の捜査をすべきことは当然でございますので、まずもって、調べたとすればそういう観点を第一のテーマに置いておるものと思います。
 また、かねがね申し上げておりますけれども、有森氏の証言拒絶の問題と福田赳夫氏の告訴に係る問題とは、大きな観点からしますと互いに関連する部分があるわけでございます。それから、さらに検察当局といたしましては、この航空機輸入問題全体をめぐっていろんな観点から分析、検討をしておるわけでございますので、もし有森氏にお話を承ったとすれば、一点に限定をするとかいうようなことでなく、いろんなことを伺っておるべきであろうというふうに思います。
#23
○野田哲君 伊藤刑事局長も、この本委員会での証人喚問の模様については承知されていると思うのですけれども、有森氏は、この証人喚問で、海部メモとかあるいは政治家との交際について質問をすると、そのことに答えると刑事訴追を受けるおそれがある、こういう口実で証言を拒否しているわけですが、この証言どおりだとすれば、海部メモは実在をして、その内容が外為法違反の動きがあった、そして彼自身がその実行行為にかかわっていた、こういうことを言外に告白をしていると思うのです。あのメモが全く架空のものであるとすれば、有森氏は虚偽の理由によって証言を拒んでいると、こういう別な犯罪行為を犯したということになるんですが、その点については、検察当局あるいは法務省としてはどのように認識をされていらっしゃるわけですか。
#24
○政府委員(伊藤榮樹君) 有森氏につきましての証言拒絶の告発事件、これを調べてまいります際には、ただいま御指摘のような点が中心課題となるわけだと思います。そういう点を検察当局としては慎重に捜査をしておるのではないかと思います。
 ただ、過去に捜査の実務等も経験しました私自身の考え方と申しますか、によりますと、外為法違反で訴追されるおそれがあると言われて証言拒絶をされたわけでございますけれども、常識から言いまして、十年以上前の外為法違反がいまなお刑事訴追の可能性を持って生きておるということはちょっと考えにくいわけでございまして、有森氏が何がゆえにそういう外為法違反というようなものを引き合いに出して証言を拒絶されたか、私自身ちょっと合点のいきかねるところがあるわけでございます。まあそれは私の気持ちといたしまして、検察といたしましては、ただいま御質問のような点を十分念頭に入れながら捜査をやっておる最中でございます。
#25
○野田哲君 警察庁に伺いますが、有森國雄氏は、今回の日商岩井にかかわる航空機問題が発生して以来、身の危険を感じて何かにおびえているような態度をとっている。私どもの耳に入ってくる情報でも、ある暴力団や右翼団体が早い時期に海部メモを入手して、それによって日商岩井の海部氏を脅迫をした。そして多額の金を巻き上げて、その代償として海部メモの真相を知る者に対して、それを語ることを拒否するように強要をしている。そのために有森氏がおびえているんだ。こういうような伝聞があるわけでありますけれども、警察当局に対して有森氏から身辺の安全についてどのような要請があったのか、そして警察はおびえている背景についてどのような調査をやったのか、この点を伺いたいと思います。
#26
○政府委員(小林朴君) 有森氏の身辺保護につきましては、ちょうど二月の十四日が証人喚問の日でございましたんですけれども、その前日の十三日の日に弁護士さんの方から身辺保護の要請がございまして保護に入ったわけでございますが、十五日になりまして、これは成城署の管内でございますが、署長が直接有森氏の宅に電話をいたしまして、どういうようなことであるかということで、話を御本人から聞きたいということで電話をしたわけでございます。その後に有森氏の友人から保護願が出てまいりまして、その保護願によりますと、何か正体不明の電話がかかってきたことがあるというようなことで、まことに恐縮ですが保護をしていただきたいというようなことで、自分と家族の身辺につきまして警戒をしてほしい、それから報道機関の混乱等につきましては防止をしてほしいというような趣旨の願いが出たわけでございます。それで念のために十六日の日に署の幹部が有森氏の宅に直接に出向きまして、本人及び奥さんから事情を聞いたということになっておりますが、そのときには、私が帰国してからは特にそういう脅迫的な言辞の電話はなかったということでございます。しかし、自分が非常に過敏になっておるので何か起きたら困ると思って弁護士さんと相談して警察にお願いしたんだというようなことを申したわけでございます。そのために警察の方としては常時警戒態勢に入っております。警戒の内容をここで申し上げるのはちょっと差し控えさしていただきたいと思いますが、それ相当の警戒をしておるということを伝えますと、それで十分ですという話でございました。
 で、その後、有森さんの方からは直接にそういうような脅かしがあったとかいうようなことについては連絡を受けておりませんで、特に暴力団あるいは右翼の者がどういうふうにしたというようなことにつきましては、警戒の方の情勢といたしましては把握をいたしておらないわけでございます。
#27
○野田哲君 脅迫電話とか、いやがらせというのは、私どものところはもうしょっちゅうかかってきているんですが、ちょっとおびえ方が異常ですよ、伝聞も現にあるわけです。その背景は調査をされなかったんですか。
#28
○政府委員(小林朴君) お答えいたします。
 警備の方といたしましては、そういうようないきさつで、十分本人から事情を聞いて、このごろは重点の警らということをやっておるわけでございまして、パトロールがしょっちゅう参りまして、状況を聞いておるわけでございます。特にそれで変わったことはないという報告を受けておるわけでございます。
#29
○野田哲君 背景については、全然もうせんさくしていないんですか。
#30
○政府委員(小林朴君) 私存じません。
#31
○野田哲君 じゃ防衛庁に伺いますけれども、政府や防衛庁は、E2C、それからF15イーグル、この購入についてはFMS方式によるので、商社の介入の余地や不正工作の余地は全くない、こういうふうな発表をしているわけですけれども、去る三月三十一日の本委員会での証言で、日商岩井の海部前副社長は、MDCからF15について一・五%の手数料が入る、こういうことを証言をしているわけですが、防衛庁はこれについては承知をされているわけですか。
#32
○政府委員(倉部行雄君) 先般申し上げましたように、私どもロッキード事件以降、代理店契約書をとるようにしておりまして、実態はつかんでおります。
#33
○野田哲君 この一・五%の手数料、これはどのような根拠に基づいて支払われるのか。MDCと日商岩井との契約内容を承知をされているんであれば、明らかにしてもらいたいと思います。
#34
○政府委員(倉部行雄君) MDC社と日商岩井との間の代理店契約書のF15に関する中身については、詳細には私ども第三者の立場にございますので申し上げかねるわけでございますが、概略的に申し上げますと、日商の役務の提供に対する対価であるというふうに承知いたしております。
#35
○野田哲君 その程度のことでは、これは困るんでね、一体、一・五%というのは、どういう対価の一・五%になるのか、この点を明らかにしてもらいたい。
#36
○政府委員(倉部行雄君) 日商がダグラス社に提供するF15のウエポンシステムにかかわる役務に対する対価ということで、この航空機の関係の受取額に対しまして海部証言にございました率を掛けるということでございます。
 役務の内容につきましては、たとえば販売のための努力でありますとか、あるいはダグラス社の職員に対する便宜の供与でありますとか、あるいは四半期ごとのレポートの提出、こういったものが役務の内容になっております。
#37
○野田哲君 いまの説明ではどうもまだわかりにくいんですけれども、ライセンス生産をする場合のMDCとそれから国内のメーカーとのライセンス料の契約、これはどういうふうになっているんですか。
#38
○政府委員(倉部行雄君) 金額等につきましては、これは従来から契約の中身につきましては差し控えさせていただいておりますので、御容赦いただきたいと思います。
#39
○野田哲君 どうして差し支えあるんですか。契約の金額、たとえばロイアルティーとかイニシエーション・フィーとか部品代とか、そういうものについてそれぞれ契約されているわけでしょう。その金額を明らかにすることがなぜ差し支えがあるんですか。
#40
○政府委員(倉部行雄君) 従来から一般的にライセンス生産のライセンス・フィー等につきましては、通常、公表されてないわけでございまして、私どももそれをそういうことで従来取り扱っております。
#41
○野田哲君 これは長官に伺いますけれども、装備局長は全く肝心のところになると明らかにしないんですけれども、なぜライセンス生産の金額、契約内容をここの場で明らかにできないんですか。
#42
○政府委員(倉部行雄君) 契約の概要についてちょっと申し上げますと、F15のライセンス生産につきましては御承知のように十五機分でございますが、機体につきましては三菱重工業に対して契約金額が五百五十四億円でございます。それからエンジンにつきましては石川島播磨重工業に対しまして契約金額は約二百十四億円でございます。そのほか川崎重工業、これは主翼それから尾翼等を担当いたしますし、そのほかの搭載機器等につきましては三十数件の契約がございまして、約二百五十六億円ということになっております。それから、いま申されました手数料に関連する部分でございますが、今回、F15のライセンス国産に着手するに際しましてダグラス社から購入する治工具あるいは資材、こういったものの対価として支払われる金額につきましては、私どもは大体二億ドルぐらいになるんじゃないか、この部分に対しまして手数料の対象になるわけでございます。
#43
○野田哲君 いま言ったのは第一次分の十五機だけを対象にしたものですね。総体で九十二機ですね、九十二機でどのぐらいになるんですか。
#44
○政府委員(倉部行雄君) 今回は第一次契約でございますが、第二次契約以降につきましては、まだ具体的に、たとえば国産化率をどのくらいにするかとか、そういったことも十分なまだ計画が立っていないわけでございまして、今後、財政状況その他によりまして予算的に要求をするということになるわけでございますが、ただ、ライセンス生産の一般的な考え方からいきまして、急速に国産化をしていくということになりますので、輸入部分は非常に少なくなっていく、急速に少なくなっていく。今回は第一次分でございますので、最初の治工具とかその他初度の設備等が必要になりますので、輸入部分がかなり高いということになると思いますが、第二次分以降は、先ほど申しましたように、現在予算等を要求しておりませんので、そういう具体的な計画はまだ詰まっていないわけでございますので、御容赦いただきたいと思います。
#45
○野田哲君 九十二機のライセンス生産の中で、日商岩井が受け持つ業務というのはどの分野ですか。部品の輸送契約等日商岩井が受け持つ分野があると思うんですが、その点いかがですか。
#46
○政府委員(倉部行雄君) 国産ができない部分につきましての輸入部分、しかもダグラス社から三菱に輸入される部分に関しての輸入代行等があるんじゃないかと思います。
#47
○野田哲君 それで、結局一・五%のもとになる金額というのは、大体九十二機で――これは第一次の十五機分は契約されているからはっきりすると思うんですが、十五機分で一体もとになる金額はトータルでどのぐらいになるのか、日商岩井が受け取る一・五%の手数料のもとになる金額、それから九十二機トータルでは概算どのぐらいになるか、その点はいかがですか。
#48
○政府委員(倉部行雄君) 今回のF15の第一次契約分につきましては、ダグラス社から購入する治工具、資材等の対価といたしまして支払われる金額は約二億ドルと見込まれておりますので、これに対しまして海部証言で一・五%という率が得られたわけでございますが、これを乗ずる額が今回の代理店手数料の額になるわけでございます。
#49
○野田哲君 十五機で二億ドルが対象になって、それの一・五%。そうすると、未契約の部分がまだ相当あるわけですが、概算として、どのような方式になっていくか、これは今後の問題ですが、九十二機トータルで大体概算どのぐらいが見込まれますか。
#50
○政府委員(倉部行雄君) 先ほど申し上げましたように、全体の第二次契約以降分の国産化の率をどのくらいにするかというようなことがまだ計画されておりませんので、数字を申し上げる段階ではないので、御容赦いただきたいと思います。
#51
○野田哲君 いまの概算でいっても、十五機で二億ドルの一・五%、十五機だけでも日商岩井は大体概算六億ぐらいになりますね。そうすると、あと残りの九十二機トータルでいきますと、これはこれからのずっと進んでいく過程ではだんだんこの率も変わってくると思うんですけれども、いずれにいたしましても十五機で六億ということになると相当になりますね。これは二十億から三十億ぐらいに推定されるんじゃないかと思うんですけれども、いまの説明の中では、やはり販売のための努力が含まれるんだと、一・五%の中には。こういうような説明もあったわけですが、つまり防衛庁長官、FMSにすれば商社の介在の余地はないんだというふうに説明されているけれども、現実に十五機だけでも二億ドルに対して一・五%、約六億が入ってくる。その中には販売努力等の評価も入っているんだ、便宜の供与も入っているんだ、こうなってくると、明らかにこれは日商岩井が売り込みのための成功報酬、工作費だ、こういう性格と受け取らざるを得ない。だから、FMSでいけば全く商社は関係ないんだと、こういう長官の発言、これは訂正をされなければならないと思うんですが、いかがですか。
#52
○国務大臣(山下元利君) F15のライセンス生産にかかわる分につきましては、ただいま政府委員から御説明申し上げたとおりでございまして、これから先の問題につきましては、国産化率が高まりますので、いまはっきり申し上げられませんけれども、少なくともライセンス生産をやるところの国内メーカーがアメリカのMD社からその部品等を購入する場合に、その間につきましての、その段階における代理店が手数料を取ることは、これは私は当然だと思うわけでございます。
 ただ、私が繰り返し申し上げておりますのは、E2Cにつきます政府間契約につきましては、これは全く米政府の方がいたしておるわけでございますので、その間に代理店の手数料が介在する余地はない、このことを申しておるわけでございまして、従来から申し上げていることを私から訂正することはございません。
#53
○政府委員(倉部行雄君) ちょっと申し上げますが、大臣が申し上げましたことに補足さしていただきます。
 FMSにつきましては、いま大臣申されましたとおり、FMSの部分については、代理店手数料、アメリカの場合は不当な代理店手数料自身を、排除しているわけでございますが、関係の国から申し込みをいたしますれば、正当な代理店手数料も排除する、こういうことになっております。一方、最近の代理店契約書によりましては、E2Cの場合もそうでございますし、F15につきましても、FMSについては代理店手数料を取らないということが代理店契約書に明記してありますので、その辺を御理解いただきたいと思います。
 それから、先ほど私が申し上げましたことの若干の補足でございますが、二億ドルがダグラス社から三菱に入る分で、これに対して一・五%というものが乗ぜられるということを申し上げたわけでございますが、この二億ドルのうちの大半は、実は初度に必要な治工具その他でございますので、これは後々の分には入ってこない、それから残りの部分も、これは主としてノックダウン的なほとんど大部分当初の間は輸入しなければいけない、将来になればこれは国産化できるものでございますので、急速に減っていきますので、この点は御了解いただきたいと思います。
#54
○野田哲君 E2Cについてはその介在の余地はないんだと、F15については、いまの説明にあったようなことで、かなりのやはり成功報酬的なものが動いているわけですが、問題は、それ以外にMDCの場合には二百三十八万ドルという問題もいま非常な疑惑の対象になっているわけです、事務所経費などという名目で。こういうふうな問題が解明をされない限りは、FMS方式だから全く介在の余地はないんだと、こういうことはちょっと理解できないんじゃないかと思うんです。
 時間の関係がありますから、もう一つ防衛庁に問題を伺いたいと思うんですが、日商岩井へ防衛庁の制服組からどういう官職、氏名の人が、何人入っていますか。
#55
○政府委員(夏目晴雄君) 現在、自衛隊の将補以上の自衛官で日商岩井に就職しておる者は五名、一佐以上を含めますと七名が就職しておりまして、そのうち五名はすでに退職、現在二名が在職しておるという状況でございます。なお、この七名の内訳につきまして申し上げますと、海上自衛隊が三名、航空自衛隊が四名、こういうことになっております。
#56
○野田哲君 そのトータルで七名の人がどういうポストについたのか、日商岩井の中で。それから、これは官職、氏名を明らかにしてもらいたいと思います。
#57
○政府委員(夏目晴雄君) 七名の内訳を申し上げますと、まず航空自衛隊の升本清空将補でございますが、三十六年の十月に退職しまして部長付ということで日商岩井に入っております。
#58
○野田哲君 何部長付。
#59
○政府委員(夏目晴雄君) 航空機部長だと思いますが。
 それから野間秀太、同じく空将補でございますが、四十四年の十二月に退職いたしまして、同じく部長付ということで入社しております。それから開発喜八郎、これも空将補でございますが、四十六年の十一月に退職しまして嘱託として入社しております。それから海上自衛隊の関係になりますが、寺本昌雄海将補、四十六年の二月に退職しまして、やはり部長付の課長ということで入社しております。それから市川妙水、同じく海将補でございますが、五十年の十一月に退職しまして嘱託として入社しております。それから一佐でございますが、中野重之、一等海佐、四十三年の一月に退職して航空機部の部品課長ということで入社しております。それから松本哲次、一等海佐、五十年の七月に退職しまして、嘱託で入社しておる。
 以上でございます。
#60
○野田哲君 防衛庁の業務に非常に密接な関係のある大手の三菱重工業、それから川崎重工業、石川島播磨、この大手三社で、これは私がある資料から引用したわけですけれども、現在、三菱重工業には将補以上が現在までに二十名、川崎重工業には十三名、それから石川島播磨十名、将補以上が退官して職を得ているわけですが、その氏名と、それから退官したときの官職名、それからどのようなポストについたか、これらは私の方から資料を提供しているわけですが、この私の資料は間違いありませんか。
#61
○政府委員(夏目晴雄君) いま私の手元に、昭和四十九年以降五十三年十二月末日までの五年間の分の資料がございますが、これによりますと、三菱重工に九名、川崎重工に八名、石川島播磨重工に七名の自衛官が就職しておりますが、それ以前を含めますと、先ほど先生からいただいた資料の者がございますが、おおむね、いまチェックしたところでは、これらの方々はそれぞれの会社に就職しているというのは事実のようでございます。
#62
○野田哲君 日商岩井のこの海部商法でも証言をされていることは、やはり航空機の商法についてもユーザーの方がどういう機能のものを欲しているか、この情報を得るところから始めていくんだ、こういう話が出ているわけでありますが、七名の者が日商岩井の航空機部等に入っている。あるいは三菱重工業に二十名、川崎重工業にこの十年間ぐらいで十三名、石川島播磨に十名、将補以上だけでそういうことになっているわけです。それ以下の者を加えるともっともっとこれは多数になると思うんですが、これは防衛庁長官、少し国民の疑惑を晴らすという意味からすれば、異常な天下りの状態ではないかと思いませんか、いかがですか。異常と思いませんか、これ。
#63
○国務大臣(山下元利君) かねがね御答弁申し上げておりますとおりに、自衛隊に勤務した人々が、その停年制が早いというふうな関係もございまして、再就職するということにつきましては御理解を賜っているわけでございますが、われわれといたしましても、審査会を設けまして、そのことがもし公務員のいわゆる天下りに該当するようなものにつきましては審査することになっておりますけれども、いままでその事例はございません。と申しますのは、いわゆるその企業の役員とかいうふうなポストにつくわけではございませんで、そういう該当しない者ばかりでございます。ただ、いま御指摘のように、政府委員からも御確認申し上げたとおりに、再就職にそういう会社に行っておられることは事実でございますが、しかし、会社のいわゆる経営について主要なポストを占めておるわけではないのでございますので、退職者の再就職ということも勘案しながら、私どもとしては、御理解を賜りたいと思う次第でございます。
#64
○野田哲君 また、これは航特等もありますから、あるいは内閣委員会等でこの問題をもっと具体的に私は指摘をしていきたいと思うので、政治献金の問題について伺いたいと思うんです。
 証人喚問の中では、日商岩井からこの十年間、四十三年から五十三年度まで九億八千万円の政治献金をやっている、こういう証言があったわけです。国民協会に三億九千万、政治家個人に五億九千万、自治省の方へ日商岩井からの政治献金トータルで四十三年から十年間でどのぐらいの届けがありましたか。
#65
○政府委員(大橋茂二郎君) 自治省が承知いたしておりますのは、自治大臣所管の政治団体に関するものでございますが、御指摘のとおり、昭和四十三年から五十二年の十年間、日商岩井からの寄付を受けていることにつきまして、官報で公表することになっておりますが、それによりますと、大体一億二千万ということになっております。
#66
○野田哲君 大分これは開きがありますが、国税庁の方では、証言にあった日商岩井の政治献金についてトータルで十年間で九億八千万、この内容は承知されておりますか。
#67
○政府委員(磯邊律男君) 恐らく、これは会社の方から政治家に対する献金でありますが、これは寄付金として全部処理されると思います。したがいまして、国税庁の方といたしましては、これは現在の政治資金規正法のいかんにかかわらず、通常の寄付金として限度計算をして損金に算入を認めるものもあり、あるいは限度を超えたものについては損金算入は認めずに課税処理をしておる、こういうことになって処理が済んでおることと思います。
#68
○委員長(町村金五君) 時間が参りました。
#69
○野田哲君 時間も参りましたから、総理に簡単に伺いますけれども、今度の問題について私もいろいろ国民の皆様の声を聞きました。いろいろ承ったわけですが、帰するところは、やはり政府と自民党の態度が政治家の証言を拒否をしているという態度、このような態度で積極的でない。これはロッキード事件の問題に対して、三木総理が当時内閣を担当していたわけですけれども、このロッキード問題についての扱い方をめぐって自民党内で、総理もこれは参画されたわけですが、挙党協というような動きが起きて、結局、挙党協に引きずりおろされた。これを余りやっていけば、今度は大平内閣に対してまた第二の挙党協ができる、そのことを恐れているから逃げ腰になっているのじゃないかと、こういうのが国民一般の私は率直な声として聞いているわけです。こういう国民の皆さんの声に対して一体どういうふうな感想をお持ちですか。
#70
○国務大臣(大平正芳君) かねて申し上げておりますように、この問題が出てまいりまして、政治不信にかかわる問題でございますので、早く真相の解明を急がなければならない、厳正な措置をしなければならない、国会におきましての調査権の発動に対しましては全幅の協力をしなければならぬという態度で終始いたしておるわけでございます。いささかもこれについて政治的考慮を加えておる覚えは全然ないわけでございまして、自民党内に挙党協的なものができて、私の政権を脅かすというようなことはみじんも考えておりません。
#71
○委員長(町村金五君) 以上で野田君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#72
○委員長(町村金五君) 次に、矢田部理君の質疑を行います。矢田部君。
#73
○矢田部理君 法務省に最初に伺いたいと思いますが、山岡氏らの逮捕以来、すでに勾留期間は満期に近くなってきておりますが、被疑事実の証拠固めは固まったかどうか。ここ二、三日中にいずれにしても処分をしなきゃならぬと思いますが、その辺の状況はどうなっているか、まず伺いたいと思います。
#74
○政府委員(伊藤榮樹君) 山岡外一名の被疑者につきましては、御指摘のように、四月四日に勾留期間が満了いたしますので、その時点では、検察として、法の定めるところに従って処置をすると思います。したがって、その時点に向かいまして所要の証拠の収集その他抜かりなくやっておるのではないかと思います。
#75
○矢田部理君 従来の答弁等で、あるいは証人の証言も含めて、裏金づくりの仕組み等についてはある程度解明ができてきつつあるわけでありますが、問題は、その裏金の行方、使途、これらについてはどの程度検察当局としては解明が進んでいるでしょうか。
#76
○政府委員(伊藤榮樹君) ある程度進んでおるか、相当程度進んでおるか、そんなところではなかろうかと思います。(笑声)
#77
○矢田部理君 笑いが出たように、その程度の答弁というのは、いかにも聞いても聞かなくてもいいような中身になっているわけでありますが、つまり、全体の捜査としてはまだ初歩的な段階なのか、あるいは終盤ぐらいに差しかかっているのか、その辺はいかがですか。
#78
○政府委員(伊藤榮樹君) いずれにいたしましても、捜査に着手しましてからある程度の時日を経過しておるわけでございますから、初歩的あるいは端緒的な段階ではないと言わざるを得ないと思いますが、さりとて、いわゆる終盤に差しかかっておるのかというふうなお尋ねを受けますと、まだまだそういう段階ではないと、鋭意これまでに発見しました犯罪についての証拠の収集に努め、かつ、まだ、再々申し上げておりますように、捜査の対象、検討の範囲が広うございますので、それらを逐一吟味をいたしておりますから、したがいまして、まだ序盤でもなく終盤でもないというような程度のお答えしかできないわけでございます。
#79
○矢田部理君 具体的にこれから伺っていきたいと思いますが、まず通産省なり外務省にお伺いをしたいと思いますのは、百五万のうち四十七万ドルが使途不明金になっています。従来から出ておりましたのは、その使途不明金はサウジの淡水化プロジェクトに使ったとか、インドネシアの電信総局の入札資格を得るために使ったのであるという言い分が故島田氏などから出されているようでありますが、このサウジのジュベール工業団地で淡水化プロジェクトについての入札がたしか昨年の五月に行われました。一位はトーメン、住友重機、二番札が石川島播磨、三番が日商と日立造船グループ。三番手の入札であったにもかかわらず、最終的には落札をしているというようなことが言われておるわけでありますが、この間の経過をまず伺いたいと思います。
#80
○政府委員(森山信吾君) サウジアラビア向けの海水淡水化ブラント、特にジュベール工業団地向けのプラントにつきましては、ただいま先生から御指摘のございましたように、昭和五十三年の四月にサウジアラビア側から入札の招請が行われまして、同年七月に入札結果が発表されたわけでございます。そこで日本側の企業が一位から五位までを占めまして、第六位に外国の企業が入ったわけでございます。御指摘の企業は第三位ということでございます。その後、サウジアラビア政府側で納期あるいは性能等につきまして個別に審査をいたしました。第三位のプロジェクトが最もサウジアラビアにとって有効適切であるという判断があったやに聞いておりまして、第一位のものが必ずしもプロジェクトとして決まるわけでもございませんので、第三位のものはそういういきさつをもって落札が決定した、かように私どもは聞いておるところでございます。
#81
○矢田部理君 インドネシアの電信総局関係の仕事については最終的にはだめになったという話も伝えられておるわけでありますが、日商岩井はどういうかかわり方をしてきたのか、その点はいかがでしょうか。
#82
○政府委員(森山信吾君) インドネシアのプロジェクトと申しますのは、恐らくヌサンタラプロジェクトのことではないかと思うわけでございます。このプロジェクトにつきましては、当初、日本側も調査団等を派遣いたしまして積極的に取り組んでまいったところでございますけれども、アメリカ、西独あるいはオランダ等がファイナンスの条件で大変有利な条件を出したということもございまして、ある時期から日本側が撤退をしたということでございます。したがいまして、いま御指摘の企業は、その後は、日本側のファイナンスがつかないというようなこともございましたので撤退したんではないか、かように私どもは承知をいたしております。
#83
○矢田部理君 国税なり法務当局に伺いたいと思いますが、サウジの淡水化プロジェクトにせよ、あるいはインドネシアの問題にせよ、本来必要な工作資金なり入札関係の費用というのは、当然のことながら本社の経理から出されるべき性質のものだと思いますが、その種関係の経費の流れについて当たっているかどうか、さわっているかどうかについて御説明をいただきたいと思います。
#84
○政府委員(磯邊律男君) 四十七万ドルの使途不明金の行き先につきましては、昭和五十二年の夏から秋にかけまして日商岩井の責任者についてその供述を求めたわけであります。そういったときの資金の流れというものは、一応、われわれの段階ではその説明を聴取したわけでありますけれども、ただ、たびたび御答弁申し上げますように、それに対して証拠書類等がないというゆえをもってわれわれは使途不明金というところでその損金算入を否認いたしたというわけでありますけれども、ただ、この問題につきましては、御高承のように、ただいま検察庁の方でも捜査いたしておりますので、どのような話があったかということにつきましては、今後の解明に任せていただきたいと思います。
#85
○矢田部理君 私が伺っておりますのは、四十七万ドルの使途不明金の流れではなくて、本来の日商がやる仕事については何も裏金を流用しなくても、会社経理からしかるべく経費が計上されていたのではないか、その点の状況はどうだったのかと伺っているわけです。
 あるいはもう一つつけ加えて伺っておきますと、この種プロジェクトの担当部門は一体どこになっているのか、その点も含めて伺っておきます。
#86
○政府委員(磯邊律男君) 確かに矢田部先生おっしゃいますように、本当にそういったプロジェクトを獲得するためにいろいろな資金が要るということであれば、正規の帳簿において支出してしかるべきものだと私は考えるわけであります。ただ、それが最終的に税法上損金算入を認めるか認められないかということは、これは別でございますけれども、通常であれば、そういったのは正規の支出として計上され、その是否認は税務当局の判定にまつというやり方をするのが通常であろうかと思います。
 それからなお、この担当部門はどこかということははっきりいま記憶してございませんけれども、われわれの承知している範囲内におきましては、この問題について詳細に事情聴取いたしましたのは故島田三敬氏でございます。
#87
○矢田部理君 本来ならば会社の表経理から当然計上しているはずだし、また、現にしているだろうとも思われるわけでありますが、にもかかわらず、使途不明金の説明としてではありますが、四十七万ドルを流用したということになりますと、そこにある種の暗さを感ずるのは私だけではないと思うのでありますが、もう一つついでながら伺っておきたいと思いますのは、日商とハリー・カーン氏との関係であります。
 E2Cの密約を解約した時期と前後して、あるいはその以前から中東コンサルタント契約をずっと更新しながら続けてきております。特にジュベールの工業団地の淡水化プロを落札した時期には、七八年には中東契約があるにもかかわらず、わざわざサウジを特定して追加しました。したがって、この四十七万ドルの一部がカーン氏などに流れている可能性、そのカーン氏を通じて日本に還流している可能性、さらにはカーン氏なども介在させつつ当該国の政府高官等に支払われた可能性があり得ると思うわけでありますが、その点、税務なり捜査当局として当たっているでしょうか。
#88
○政府委員(磯邊律男君) サウジアラビアの淡水化公団の関連の支出につきまして、私どもの調査した範囲内におきましては、カーン氏の名前は出てきておりません。
#89
○矢田部理君 検察庁は。
#90
○政府委員(伊藤榮樹君) 御指摘のようなことも一つの可能性として考えられるという意味において一つの見方であろうと思いますが、いずれにいたしましても、現在、検察当局といたしましても、会社の正規の経理から出ないで、いわば暗いところでこの四十七万ドルが蒸発しておるわけでして、その関係は犯罪捜査の対象とすべき可能性が非常に強いわけでございまして、現在、鋭意、そのお二人の身柄拘束中の被疑者の調べとの関連におきまして詰めておるところでございまして、いずれその中身につきまして犯罪の容疑が認められれば明らかになる時期も来るのではないか、かように考えておる次第でございます。
#91
○矢田部理君 ここで、関連して総理大臣、外務大臣に伺っておきたいと思うんでありますが、この間、日商の辻さんが証言をされました。その中で、発展途上国では往々にして領収証がもらえない支出がある。これは従来からしばしば指摘をされてきたことでありますが、日本の企業が海外でかなりの不正支払い、忌まわしい工作が行われているということがいみじくも辻証言によって裏づけられたような結果となったわけでありますが、どうでしょうか、日本企業の海外の不正支払いについて政府としてどの程度実態をつかんでいるか、あるいは今後その実態を調査をして基本的にこの対策を立てる必要があると思われますが、見解を伺いたいと思います。
#92
○国務大臣(園田直君) 外務省は、御承知のごとく、経済協力その他をやっておりますが、特別の受注、金の支払い等には関係しておりませんが、今後、十分調査をして対応の処置をいたします。
#93
○矢田部理君 総理として。
#94
○国務大臣(大平正芳君) 私企業の海外経済活動に伴いまして金の授受がどうなっているかというようなところは、税務当局に関連した仕事だと思いますけれども、その他の部面でそういうことを調べたことがあるのかないのか、私はちょっといまわかりません。したがいまして私企業の海外経済活動に伴いまして相手国の状態がどうであったかというようなことにつきましていまつまびらかにいたしておりませんので、調べてみます。
#95
○矢田部理君 これは政府関係のお金もかなり使われる場合が多いわけでありますから、十分そのお金の行方がどうなっているか、適正に使われているかどうかについては実態を調査をして対策を具体化する必要があるだろうと思いますが、もう一度総理の見解を求めます。
#96
○国務大臣(大平正芳君) 政府の経済協力に関する問題でございますならば、当然、そうしなければならぬと考えますが、また、政府に関する限り、そういうことはないと思いますけれども、私企業の問題につきましていま提起された問題をどのように調査してまいりますか、政府の方でも一応考慮さしていただきます。
#97
○矢田部理君 法務省に伺いたいと思いますが、裏金づくり、百五万ドルにせよ二百三十八万ドルにせよ、この種の不正なお金の動きについて、海部氏が関係していた可能性が非常に強いと思われるわけです。たとえば百五万ドルにいたしましても、みずから契約書にサインをしながら、本社の財経にも報告をしていない、公取にも国際契約として届け出をしていない。ですから、もらったお金を隠すということよりも、契約書からもう隠し始めている。さらには、先般、井上証言でも、島田氏だけが独断でやったとは考えられない、辻証言も同じようなニュアンスをあらわす言葉で証言をしております等々から考えてみて、海部氏自身がこの問題に何らかのかかわりを持っていたと、そのかかわりなしにこの種の操作はできないというふうに思われるわけですが、捜査当局の見解、捜査に即した状況から見て、どう考えられますか。
#98
○政府委員(伊藤榮樹君) 先般の証人喚問でも、御指摘のようなお話が出ておりましたように、それは相当真剣に受けとめなければならない問題点であろうと思います。いずれにいたしましても、これまで海部氏を初め日商の関係の方々を参議院で証人としてお呼びになっておりましたので、捜査当局もそっとしていた面があると思うんでございます。ただいま御指摘のような問題点も含めて早急に解明がなされるものと考えております。
#99
○矢田部理君 同時に、裏金をつくる段階では、日商の財経本部は、あるいは直接かかわっていなかったかもしれないけれども、少なくとも裏金を表に出す過程では偽造その他が行われているわけでありますし、外為法違反の貸借記が行われているわけでありますが、日商の経理もかんでいる、かかわっているというふうに考えられますが、この点はいかがですか。
#100
○政府委員(伊藤榮樹君) ただいまの御指摘もまた一つの観点であろうと思いますが、かかわりの程度は当該営業部に比べて相当薄いのではないかという印象を持っております。いずれにしましても、先ほど来御指摘の裏金の問題でございますが、百五万ドル関係の部分は確かに裏金であると思います。二百三十八万ドル関係の方は、これはいわゆる裏金というふうにきめつけるのは適当であるかどうか疑問があるわけでして、相手方の航空機会社から受け取ったことをないしょにしたいという金、そういう意味の金であったろうと思います。いずれにいたしましても、御指摘のところは早急に解明をなされるべきであろうと思います。
#101
○矢田部理君 そこで、二百三十八万ドルの金の動きについて何点かお尋ねをしておきたいと思いますが、いままで明らかになってきたのは、二百三十八万ドルのうち実際にダグラス社から払われたのは百九十五万ドルであるということ、しかも、そのお金を全額受領したことを隠そうとしたということ、そういうことが明らかになってきております。
 その隠し方でありますが、四十五万ドルの偽造でもわかりますように、ロンドン支店が使われている。言うならばロンドン支店がかなりこの犯罪なりお金の操作の舞台になっていたのではないかと思われますが、このロンドン支店を使ったというのは、何か日米双方からお金の姿を消す、こういうようなこととして使われたのではないかとも思われるわけですが、いかがでしょうか。
#102
○政府委員(伊藤榮樹君) 身柄拘束しております二人の被疑者の処分を目前に控えておりまして、その捜査の中身を申し上げることは切に御容赦いただきたいわけでございますが、ただいまの御推理、これは相当肯綮に当たる可能性のある御推理ではないかと思います。
#103
○矢田部理君 それからもう一つ明らかになってきておりますのは、二百三十八万ドルのお金を、最終的には日米双方で、日商内部でありますが、日商本社と子会社との双方で折半をしたという話であります。そうしますと、日商本社の取り分が九十七、八万ドルになるわけでありますが、そのうち四十五万ドルが偽造契約などを基礎にしながらロンドン支店より入金になっている。残りの五十二、三万ドルは依然としてロンドン支店に残っていると見てよろしいかどうか。
#104
○政府委員(伊藤榮樹君) ロンドンに残っておるということではないと思いますが、いずれにいたしましても、きわめて近い将来、捜査の結果として明らかになると存じます。
#105
○矢田部理君 先般、刑事局長はお金は日米欧にあるというような言い方をされたので、五十二、三万ドルのうち半分ぐらいはまだロンドン支店等に残っているのではないかと思われますが、いかがですか。
#106
○政府委員(伊藤榮樹君) 御指摘の御答弁の際、私は日米欧に現に金が残っておるという趣旨でお答えをしたつもりはないのでございまして、それらをいろいろ駆けめぐっておった金だという趣旨のことを申し上げたわけでございまして、捜査の内容に触れることは心苦しいのでございますが、現在、ロンドンにはないと思います。
#107
○矢田部理君 その駆けめぐり方でありますが、百九十五万ドルの大半が最初ロンドン支店に回る、そしてその大半のお金が今度は日米双方に振り分けられるというような経過をたどったのではないかと、従来の答弁なり私どもの調査の中で思われるわけでありますが、この点はいかがでしょう。
#108
○政府委員(伊藤榮樹君) その金の動きはしかく統一的あるいは簡単明瞭な形ではございませんので、いずれ捜査の結果として明らかになると思いますので、それによって御了承いただきたいわけでございます。いまの御指摘のような簡単明瞭な形ではないということだけ申し上げさしていただきます。
#109
○矢田部理君 まず第一の質問だから簡単に申し上げたんですが、どうもロンドン支店がかなりの舞台として使われた。しかも、現にアメリカ日商にあるお金も、一たんロンドン支店に持っていって、それから米国に戻した、あるいは日本にも偽造なり交互計算勘定を通じて送ってきた、こういう経過のように思われるわけでありますが、それはそれとして、なぜロンドン支店が使われるようになったのか。わざわざアメリカから来なくてロンドン支店経由で表側に出す段階では日本に持ってくるということになるわけでありますが、そういうロンドン支店を使ったことの意味、あるいは米日商に半分程度は渡したということでありますが、このお金の使途、現実に本社経理に入っているかどうか等々については、これは詳細は別として概括的につかんでいるとすれば、その内容をかいつまんで説明をいただきたいと思います。
#110
○政府委員(伊藤榮樹君) そういったすべての点をいま一括して捜査しておるわけでございまして、逐次、名目を変えて表の経理へ上げておるわけでございまして、ですから、その使途ということになりますと、一応、表の経理から使われる、こういう使途になるわけでございます。いずれにいたしましても、大変入り組んだ仕組みをなしておりますので、その点、現在、最終的な捜査の詰めをやっておる段階でございます。
#111
○矢田部理君 起訴の段階、起訴するかどうかは別としても、いずれにしても処分をしなきやならぬ段階でありますから、それはかなりの程度明確になるというふうに伺ってよろしゅうございますか。
#112
○政府委員(伊藤榮樹君) 理論的に処分の種類としては、起訴する場合と処分保留等の場合とあるわけでございますが、仮に公訴を提起するということになりますと、起訴状の中においてある程度明らかになりますでしょうし、若干の背景説明ができる状況になるのではないかと思っております。ただし、さらに将来へ向かっての捜査のために留保しておかなければならぬ分はあるかと思いますが、一応、そういうふうに考えております。
#113
○矢田部理君 これは国税と法務当局と両方に伺いたいのでありますが、もう一つ問題なのはやっぱり海外の子会社、ここでは米日商でありますが、ここがある意味で日本のさまざまな機関の目から逃れて、この種の金の操作の隠れみのになっている。刑事捜査もなかなかできにくいし、もちろん国税の調査等々もこれは外国法人でありますから、手が入りにくい。そこで、法務当局は米日商を十分に捜査の対象にしているかどうか。あるいは国税当局としては一RS等に調査を依頼して、この経理にメスを入れるような努力をしているかどうか、両者からお伺いしたいと思います。
#114
○政府委員(伊藤榮樹君) 検察当局といたしましては、国内における犯罪捜査に関連して証拠固めをする必要のあります場合には、国の内外を問わず、できる限りの努力をするのが当然でございまして、そういう範囲内においては国外にあります現地法人あるいは支店、こういうものでありましても捜査を尽くしておるところでございます。ただ、一般的に子会社と言われます現地法人、これのもろもろを分析しているかと、こうおっしゃいますと、犯罪の嫌疑のない場合につきましては、そういうことができないわけでございますので、必要な限度でやっておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
#115
○政府委員(磯邊律男君) 一般論としてお答えいたしますと、確かに日本の法人の子会社が海外にある場合には、ややもすると、その海外の子会社を通じて本社の利益の操作あるいは税務計算の不正というものが行われがちであります。そういったことから、私たちは、従来、本邦法人の海外子会社につきましては、本社を通じてそういった行為がないかどうかということについて調査しておるわけでありますが、そのほか、御承知のように、国税調査官を数チーム海外に派遣いたしまして、海外においての税務の調査というものをやっておるわけであります。ただ、この場合にはやはり先方の国の主権との調整もございますので、アメリカとの間にはわりあいそれがスムーズに行われておりますけれども、それ以外の国については必ずしもスムーズにそういった海外における調査というものが実行されてないというのが実情であります。
 具体的に、このたびの問題で日商のアメリカの子会社に対して何らかの一RS等を通じて照会したかということでありますけれども、これは全般的にこういった問題に関連して、わが国の法人に課税が起こるような事実があれば通報してもらいたいということは一RSに対して照会をいたしておりますけれども、具体的に日商の子会社について新たなアクションを起こすということは、これは現在検察庁の方で捜査に入っていることでございますので、そういった場合には、従来からの慣例に従いまして、国税は一歩後に退いて捜査の結果を待つというやり方をとっておるわけであります。
#116
○矢田部理君 それじゃ法務当局に再び伺いたいと思いますが、米日商の関係者から事情聴取その他をやっておられますか。
 それから、あわせて伺いたいのは、E2Cの疑惑にかかわって代理店変更の問題がありますが、住商の関係者から、その背景なり経過について当然事情を聞いてしかるべきだと思いますが、その点さわっているかどうか、この二点について伺います。
#117
○政府委員(伊藤榮樹君) 一般論といたしまして、今回の問題を解明するのに必要な手順は十分尽くしつつあると思います。そういう意味におきまして、いろいろお気づきになりまして、御指摘いただきますような点は、検察当局としてもそれなりに気づいていろいろ手だてを施しておると思いますけれども、その具体的内容については御容赦をいただきたいと思います。
#118
○矢田部理君 総理にお尋ねをしますが、E2C問題に絡む疑惑が幾つか指摘をされています。少なくとも次の諸点が明らかにされなければこの疑惑の真相解明はできないというふうに考えられますが、総理としていかがでしょうか。
 その一つは、代理店変更に介在をした政府高官の有無とその内容。二番目には、ハリー・カーン氏または日商から政府高官に支払われる可能性があったか、お金の支払いの可能性があったかどうか、あるいはまた現に支払われたか。少なくとも支払いの計画または約束があったかどうか。8Kレポートに指摘をされている点でありますが、この点が二番目であります。それから三番目には、カーン氏はSECに対するグラマンレポートについて訴訟を提起されました。いずれこの裁判でその内容と結果が明らかになるだろうと思いますが、その結末。そして四番目には、E2Cの導入に関しグラマン、日商等の関係者がどのような工作をしたか、それに政治家を含む政府高官等がかかわっていたかどうか、等々について解明をする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
#119
○国務大臣(大平正芳君) この事件は刑事事件としていま鋭意捜査解明中でございまして、御指摘のような点につきましては、検察当局を初めといたしまして関係当局がそれぞれ解明に努めておるのではないかと考えております。
#120
○矢田部理君 いや、そういうものはやっぱり解明されなきやならぬというふうにお考えになりますか。
#121
○国務大臣(大平正芳君) それは、真相を解明して刑事責任の所在を明らかにしてまいるということに必要で十分な事案の解明は、捜査当局においてやられることと私は信じております。
#122
○矢田部理君 捜査当局が問う刑事責任だけではなく、政治的道義的責任も明らかにする意味で、いま私が指摘してきたような数点については、少なくとも総理は問題の認識を共通にしておられますか。
#123
○国務大臣(大平正芳君) 当面、捜査当局を中心にいたしまして真相の解明が行われているわけでございまして、それによって刑事責任の所在も明らかになってくるというようなことを踏まえた上で、政治的な問題につきましてどのようにわれわれは配慮しなけりゃならぬか、篤と考えていかなければならぬと思っています。
#124
○矢田部理君 ボーイングの問題を二、三伺っておきたいと思いますが、その一つは、大韓航空関係の支払いとして三百六十万ドルが日商を通して渡された――米国日商でありますが、そのお金は現に渡ったのでしょうか。趙という副社長がロサンゼルスまで取りに来たと、そこで渡したという情報もあるわけでありますが、そこで一たん渡したとしても、さらにそれが日本に還流した可能性も同時にあり得ると考えられるわけですが、この点どうなっているか。税務当局ないし捜査当局に。
#125
○政府委員(磯邊律男君) 御指摘の三百六十万ドル、この点につきましては、IRSからの方の情報によりまして私どもは調査をいたしまして、最終的な結論から申しますと、これは日商岩井の収支には関係ないということで処理いたしまして、それ以後の資金の動きというものにつきましては、私どもとしては調査の権限もございませんし、それ以上の格別の調査はいたしておりませんけれども、いままでの資金の動き、その他等を調査いたしました結果では、これは日本に還流したという事跡はないのではないかというのが現在における国税の方の結論でございます。
#126
○委員長(町村金五君) 矢田部君、時間が参りました。
#127
○矢田部理君 もう一問で終わります。
 その点、捜査当局としても重大な関心を払っておられると思いますが、どういう調べの状況になっているのかということが一点。
 それから、せっかく運輸大臣においでいただいておりますので、運輸大臣に最後に一点だけお願いをしたいと思いますのは、日本航空が買った747について百五万ドル追加手数料が入っている。基本手数料はさらに二百五十万ドル入っている。七機の飛行機で一機当たり五十万ドルぐらいの口銭が入っているわけです。直取引だ直取引だと、日商は何もやっていないと言いながら膨大なお金が日商に現実には入っている。それだけ日航は逆に言えば高く買わされていた。運輸省としてこの種問題の措置を具体的にどう考えるか。航空行政の問題も含めて、問題点としてあろうかと思いますので、その点を伺っておきたいと思います。
#128
○政府委員(伊藤榮樹君) 三百六十万ドルの問題については、検察当局もこれを関心の範囲内ということで念頭に置いて捜査をやっておりますが、そのものにつきまして、直接何らかの犯罪の嫌疑を見出したというような報告にはまだ接しておりません。
#129
○国務大臣(森山欽司君) 日本航空が航空機の購入に際しまして商社を介在させないで昭和三十年以来取引をしているということは、この国会でも日航朝田社長から話があったとおりでございます。また運輸省といたしましても、商社は一切介在していないという報告を受けておるのであります。
 しかし、先般国会から派遣されました超党派議員団の調査によりますと、ボーイング社は日本航空に対する販売活動も日商岩井を通じており、また、同社が日本航空に販売する航空機に対しても日商岩井に手数料を支払っていると回答したとのことであります。しかも、いまお話ししましたような調査の進展状態でございますので、このボーイング社の回答は日本航空の説明と相違する点があると考えざるを得ませんので、運輸省といたしましては、早速日本航空に対し、ボーイング社あて文書により照会する等によって、その実態を具体的につかんで至急これを運輸省あてに報告するとともに、ダグラス社についても同様の調査を行うように指示したところであります。
 これを受けた日本航空は、去る三月二十七日、両航空機メーカーあてに照会文書を発送いたしましたが、両社からの回答は今日の段階でまだ着いておりません。
 ともかく、このような実態が明らかになった以上、せっかく直接交渉をし契約をしている民間会社側が知らない間にめんどうな問題に巻き込まれることのないよう、高いものを買うというばかりでなく、そういうめんどうな問題に巻き込まれることのないよう、買い手側として最善の努力を払うことは当然でありますので、運輸省といたしましてもそのような方向で今後航空機会社を指導してまいる所存でございます。
#130
○委員長(町村金五君) 以上で矢田部君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#131
○委員長(町村金五君) 次に、黒柳明君の質疑を行います。黒柳君。
#132
○黒柳明君 防衛庁長官、軍用機の購入についてはFMS方式でいく、それから付属部品につきましてはFMSでいく努力をしたい、こういうふうにおっしゃっていらっしゃいます。ところが、日商の幹部に証人として出てもらいまして、その証言の中では、もう日商岩井は軍用機から手を引くべきだと、こう言っているんです。どうでしょうか。日商岩井がそう言っているんですから、FMS方式だってまだまだ業者との関係が明瞭になっていないんです。しかもその付属部品についてはまだ数年あります。まあ人の補充も必要でしょう、業者を通さなければ。そういうものも含めて、政府として、その中心は防衛庁ですからね。日商岩井が手を引きたいと言うものをこちらが強いて――まあ人の増員とか、それに対する経費がかかるとか、いろんな問題もあるかと思いますよ。それにしましても、これだけ疑惑の起こった問題ですし、相手の商社が手を引きたいと言うんですから、その付属部品も含めまして、ひとつFMS方式にするという前提で、これから数年のいろんな人の配置やなんか、予算の計上やなんかの準備をする、こういうふうに決めてかかるべきじゃないでしょうか。どうでしょう。
#133
○国務大臣(山下元利君) 御指摘の点につきましては、初度調弁はもとより全部FMS方式でございますが、補用部品についてはなお一般の余地があるのではないかという御指摘でございます。この点につきましては、私どもできるだけFMS方式にやりたいと思っておりますけれども、細かい部品等につきましては一般契約によらねばならぬものもございますのですが、したがいまして、できるだけFMS方式にやりたいと思いますが、そうした事情も御了察賜りたいと思う次第でございます。
 したがいまして、また日商岩井の問題につきましてはどのように言われているか、いま御指摘のとおりと思いますが、この点につきましては現在関係当局で御解明中でございますので、防衛庁といたしましてはその推移を見守ってまいりたいと思っている次第でございます。
#134
○黒柳明君 そうじゃない。それはいままでの答弁ですから。日商岩井はここに出てきて、軍用機からもう手を引きたいと言っているんですから、補用部品も含めて、政府の方でFMSにするようにいまから手配をしなきゃだめでしょう。五十七年からですから、まだ三年あります。人の増員も図らなきゃならない、予算も計上しなきゃならないかもわからない、その準備をした方がいいんじゃないですか。捜査の推移は推移ですよ。捜査の推移じゃなくて、現在の段階において日商岩井は反省してます、少なくとも航空機から手を引きたいと言っているんですから、それについて政府が、補用部品につきましてもFMS方式にしなきゃならない、するんだと決めてかかって、その準備をしなきゃならないんじゃないですか、した方がいいんじゃないですかと言ってる。
#135
○国務大臣(山下元利君) 率直に申しまして、補用部品につきましてはまだ先でございますから、それまでにどのような契約方式をとるかにつきましては、私どもも当委員会における御審議等の経過を踏まえまして、最良の方法を選びたいと思っておる次第でございます。
#136
○黒柳明君 また同じことばかり。日商岩井は引きたいと言ってるんですよ。
#137
○国務大臣(山下元利君) したがいまして、日商岩井は引きたいということを言っておられますが、まだ当方としてはそのことを直接聞いておるわけでもございませんし、これはまあ言ってみますとアメリカの会社と日本の商社との代理店契約によるわけでございますので、したがいまして、そのときどきにおきますところの代理店がどこになるかという問題はあると思いますけれども、結論的に申しますならば、いろいろ御指摘ではございますけれども、できるだけFMS方式にやりたいと思います。しかし物によっては、できないものにつきましてはどのような方式がいいか十分検討してまいりたいと思っている次第でございます。
#138
○黒柳明君 自治省にお伺いします。
 先ほど国税庁がちょっとお話しになったのですけれども、山村副社長が指摘しました十年間九億八千万の政治家に対する献金、それから正規に官報に、自治省に届けられる、政治資金規正法に基づいた一億二千万、その差というのはどういうところに行ったんでしょうか。
#139
○政府委員(大橋茂二郎君) 先ほど自治省所管の政治団体が十年間に日商岩井から受けた寄付金について申し上げました。したがいまして、それ以外のものが入っていない。たとえばどんなものが入っていないかと申しますと、日商岩井から政治家個人への寄付というものは入っておりません。それからさらに、昭和五十年の政治資金規正法の改正前は、会費というものを寄付の中に入れてありませんので、したがってその分が入っていない、たとえばそのようなことで相違があり得るということでございます。
#140
○黒柳明君 そこで総理、あのロッキード事件後、御存じのようにアメリカでは再発防止法という非常に厳しいものをつくりました、政治家ないしは高級官僚につきまして。いま御答弁がありましたように、結局八億六千万という金は個人に対するものなんです。ですから、団体に対する規制だけでは今後の再発防止に対しての歯どめにならないわけです。ですから本当にこの事件を、まあロッキードもそうだし、今回の日商岩井ぐるみのこういう事件というものについて、再発防止ということを真剣に考えると、団体だけの規制じゃなくて個人への規制ということもこれから考えなきゃならない、それじゃないと再発防止は不可能である、こう思うんですが、総理、いかがでしょう。
#141
○国務大臣(大平正芳君) いままで再発防止対策といたしまして、贈収賄罪の規定の整備でございますとか、あるいは犯罪捜査についての条約の整備でございますとか、多国籍企業の行動指針の徹底でございますとかいうようなことはやったわけでございますが、現在、その他のことも、若干の法律の改正の検討もいたしております。けれども、その中に政治資金規正法、それから選挙制度のあり方というのが結局仰せのように最後に私どもの課題になるのではないかと考えております。
 政治資金規正法の問題につきましては、この前にもこの委員会で申し上げておりますとおり、五年たてば見直すということになっておりまして、すでに三年分の申告が出てまいりましたわけでございますから、これを検討いたしまして、いまの規制のやり方で果たして目的を達することができるかどうか、それらの点を十分検討した上で、政治団体、政治資金団体とかあるいは政党とかいうもの以外に、個人をどのように考えてまいるべきかということについては、なお検討をさしていただきたいと思います。
#142
○黒柳明君 当然その検討の大きな要素というのはこの日商岩井、まあこれは政治資金規正法の一つの穴かと思うんですけれども、非合法でもないわけでありまして、個人に対して八億六千万が十年間に行っている。これ自体が航空機導入についての何かやましい金であったかどうかこれはわかりません。しかしながら、これだけの疑惑に結びついた日商岩井が出した政治家に対する金というものは、これは何らかの疑惑を生む根源であることは間違いないわけでありますが、この日商の事件というものも当然踏まえていまおっしゃった個人のことについても見直すというふうになるんでしょうね。
#143
○国務大臣(大平正芳君) もちろん、この事件の解明によって得られた知識というものも、われわれの考慮の、検討の対象にならなきゃならぬことは当然と思います。
#144
○黒柳明君 そこで、証人のときに言うべきだったのですけれども、委員長、この八億六千万の個人に対する献金は、ひとつ委員会として日商岩井に個人名、それからどれだけの金額が行ったか、これをひとつ提出していただくよう、理事会に諮っていただけますか。
#145
○委員長(町村金五君) 理事会で協議します。
#146
○黒柳明君 刑事局長、あの一連の日商岩井幹部の証言お聞きになりまして、私は従来からこれはまあ海部商法以上の日商ぐるみの商法であろう、こういうふうに思っていたんですが、なかんずくそんなようなことが見えました、四十七万ドルに対して全く領収もない、八十五万ドルの裏金工作、あるいは三十万ドルの本支会計交互計算等々ですね、しかも相互幹部間でそれを隠蔽するというような傾向が、あの五十一年のロッキードのさなか、企業防衛のときにあったし、私の指摘に対して辻前会長もそれは否定できませんと、こんなこともおっしゃったんですが、まあ捜査当局としましても相当関心も持ったし、刑事局長も重大関心を持っていたと思うんですが、この一連の日商岩井のやり方というのは、会社ぐるみのと、こういう言葉がつけられるようなやり方ではなかろうかと思うんですが、一連の幹部の証言をお聞きになって、どのような感じを持っていられますか。
#147
○政府委員(伊藤榮樹君) 最初にお断りしておきますが、私どもの受け持ち分野は犯罪の捜査ということでございます。したがって、商売のやり方がどうかというようなことは関心もございませんし、論評の限りでもないのでございますが、いずれにいたしましても、私ども注目して見ておりましたのは、御証言になります内容に客観的な事実関係と矛盾するようなお話がありはしないか、もしあったとすると、将来国会において何らかの御措置がありましたような場合に、直ちに受けとめる側として相応の関心を払って見ておったわけでございます。その結果どういう感想を持ったかというようなことは、この段階で申し上げるのは適当でないと思いますので御容赦をいただきたいと思います。
#148
○黒柳明君 たとえば海部さんが三回国会に出て証言をされたわけですが、明らかに食い違い、食い違いというのは当人が訂正されているわけですから、ですから明らかにこれは偽証罪になる、私たちはこういう感触で受けとめたんですが、刑事局長さんはどのように受けとめましたか。
#149
○政府委員(伊藤榮樹君) この後の証言で訂正されたものとして全体を見た場合に、なおかつ客観的な事実関係と矛盾する、あるいは相違する点があるかどうか、こういうところも十分関心を持って拝見をしておったわけでございます。その結果については御容赦を願いたいと思います。
#150
○黒柳明君 三十万ドルと四十五万ドルですけれども、にせの証書がついて交互計算にのっかったわけですが、これはどうなんですか。三十万ドルが私文書偽造と外為法違反、そうなると四十五万ドルも外為法違反になるんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。
#151
○政府委員(伊藤榮樹君) 四十五万ドルに関しましても、客観的に外為法違反の構成要件を充足するような事実はあったのではないかと思います。問題は時効の壁の向こう側かこっち側かというようなことなどがあるために、この三十万ドルと四十五万ドルで犯罪事実の構成が違ってきておると、こういうふうに御理解いただいていいんじゃないかと思います。
#152
○黒柳明君 百五万ドルの中の本社に正規の手続で行った二十万ドル、これに添付された書類も問題があるんじゃないでしょうか。あの百五万ドルの中の二十万ドル、本社に正規の手続で行った、これに添付された書類も問題があったのじゃないでしょうか。
#153
○政府委員(伊藤榮樹君) その点もあるいは問題のある処理であったのではないかとも思われますが、三十万ドルの問題に関連して現在詰めておるところでございますので、詳細は御容赦いただきたいと思います。
 なお、先ほど私、御答弁の際に勘違いをして間違ったことを申し上げましたので訂正いたしますが、四十五万ドルの問題は名目がすりかわっておりますけれども、表の金が表の金として入ってきたという関係にありまして、外為法違反の構成要件は充足しないというふうにお答えすべきでありましたので、おわびして訂正いたします。
#154
○黒柳明君 あの四十七万ドルにつきましては、国税庁は追徴金を取るための調べをやればいいんですが、捜査当局としてはこれは全く、証言にもありましたように領収証も何もないつかみ金だった。当然これに対しては解明をしてなきやならないし、相当の解明が進んでいるかと思うんですが、これはいかがなものでしょうか。
#155
○政府委員(伊藤榮樹君) 御指摘のとおり、この四十七万ドルは要するに裏金であります。裏金であるということは表に出せない目的に使う可能性がある金であるというふうにも見なきゃならぬわけでございまして、国税当局は国税当局としてのお立場で御調査になったようでございますが、やはり御指摘のようにこの四十七万ドルの行方というものを追い求めて、その中に新たな何か犯罪の嫌疑があるんじゃないかという観点で詰めなければならぬことは当然でございます。したがいまして、現在検察当局では鋭意その行方についても調査をいたしておる、こういう段階でございまして、その結果につきましてはまだ公にできる段階ではないと思います。
#156
○黒柳明君 三十万ドルと四十五万ドルで私文書を作成した人は逮捕された山岡以下二人だと思うんですが、これを行使した人はだれになるんでしょうか、日商岩井の会社自体なんでしょうか、社長になるんでしょうか、経理本部長になるんでしょうか、どうでしょうか。
#157
○政府委員(伊藤榮樹君) 私文書偽造行使罪の場合におきます行使と申しますのは、にせものをつくった人間がにせものとは知らない人に本物のような顔をして用いることでございます。したがいまして、現在つかまえております被疑事実自体からいたしますと、行使された相手は財経本部の関係者と、こういうことになっております。
#158
○黒柳明君 財経本部の関係者というと財経本部長と、こういうことに理解してよろしいですか。
#159
○政府委員(伊藤榮樹君) 当面はこの海外経理課といいますか、そこで事務的な整理をする人、あるいはさらにそれをいわゆる決裁するような人、こういう人たちが行使をされたことになると思います。
 それからなお、何のために一体社内で偽造の文書を置いておかなきゃならぬかと、こういうことになりますと、たとえば将来政府関係への物品納入に関する事柄でございますれば、会計検査その他の対象になりましょうし、また一般に運輸行政を御担当になります方、あるいは外為関係を御担当になります省庁、こういうところからの検査等もあるわけでございまして、そういうものも行使の相手方として考えられると、こういうことであろうと思います。
#160
○黒柳明君 行使の相手方というのも当然これは犯罪容疑になるんじゃないでしょうか、容疑、嫌疑がかかるんじゃないでしょうか。
#161
○政府委員(伊藤榮樹君) ただいまの御指摘は、この容疑事実として私文書偽造だけ書いてありまして、偽造文書の行使がうたっておりません。その点を御指摘になっていると思うんでございますが、処理の際にはその辺もきちんとして処理がなされるんではないかと思います。
#162
○黒柳明君 そうすると、あの三十万ドルの私文書偽造、外為違反、四十五万ドルの私文書偽造というのはあのときにおいての当面の逮捕容疑であって、
  〔委員長退席、理事岩動道行君着席〕
あれだけがすべてじゃなくて、いま相当何らかの別件なり別の方向に対しての容疑事実なりが進んでなきゃならないと、こう理解していいですか。
#163
○政府委員(伊藤榮樹君) おおむねそのような御理解でよろしいと思います。要するに、被疑事実として逮捕時に構成できる最もかたいところを挙げておるわけでして、処理の際までにはだんだん事実もふくらむと申しますか、そういう可能性は十分あるわけでございます。
#164
○黒柳明君 最後に国税庁長官、並べて三つばかり。二百三十八万ドルの実態というのはどの程度つかんでるんでしょうか。それから三十一万ドルの未収金、これは国税局として確認はしたんでしょうか。それからもう一点、米国日商に贈与されたと思われる九十七万ドル、これは重加算税の対象にはなるんでしょうか、三点お願いします。
#165
○政府委員(磯邊律男君) 二百三十八万ドルの件でありますが、これは私たちの方の調査では、契約書による配分が東京の本社の方で百十八万八千ドル、それからアメリカの子会社の方で百十九万九千ドルという金額になったわけであります。ただ、その場合に実際に配分されましたのはマクダネルーダグラス社の社員が東京に来た場合の経費等を差し引いておりますから、その差し引いた残りがそれぞれ日本本社、それからアメリカの子会社に配分になるというふうな計算になっておるわけであります。
 それから、ただ最終的にはまだ三十一万一千ドルの未入金というものがありますので、これだけがまだ金額としては日商側に到達しておりません。それでアメリカの日商にこれだけの金が行くわけでありますけれども、これはやはり子会社におきましてもそれぞれの仕事をしておるということがありまして、私どもの方といたしましてはこれは子会社に対する配分であって、しかもこれはすでに手数料として公表に計上されておりますので、重加算税の対象ということはいま考えてないわけであります。
#166
○理事(岩動道行君) 矢原君。
#167
○矢原秀男君 まず総理に伺います。
 航空機問題に対する政治姿勢でございますが、先般、郷証人も上申書云々の問題の中から、民間人は二度も三度も等々の話がございました。野党が一致して証人要求していた政治家二人及び外国人二名の証人喚問要求は、自民党側の反対で実現をしなかったわけです。私は、政治家二人が潔白と言うなら疑惑を晴らすためにも自発的に出られた方がよいと思います。外人もわれわれの感触では喜んで出たいと何回も意思表示があったわけであります。
 そこで総理は、自民党の総裁として指導性を発揮されたらどうかと思うわけでございますが、この点いかがでございますか。
#168
○国務大臣(大平正芳君) たびたびお尋ねをいただく問題でございますが、その問題につきましては党として干渉するという性質のものではないのではないか、いまお言葉にもございましたように、すぐれて個人的な問題だと思うのでございまして、自発的にお出になるということでございますればそれで結構でございますけれども、党としてこれを慫慂するというようなことはいかがかと私は考えておるわけでございます。したがいまして、出先のわが党の関係者から御相談をいただいたこともございません。出先の方々もこれは個人の問題として処理されておるのではないかと思います。
#169
○矢原秀男君 いま総理のお話を伺っておりましても、また各新聞の世論調査でも、これは私もいま率直に感じるわけでございますが、総理は解明に消極的であると新聞の世論調査でもそういう結果が出ております。私も、いまお伺いをしまして全くそういう感を受けるわけでございますけれども、非常に大事な問題でございますので、重ねて今後の解明についての総理の決意をもう一度私は伺いたいと思います。
#170
○国務大臣(大平正芳君) 解明に積極的に貢献せにゃならぬ、それから政府としても解明に全幅の努力を傾けなけりゃならぬという決意に変わりはございません。
 証人の喚問問題でございますが、これに応ずるかどうかは国会がお決めになることでございますが、最終的にはその個人が応諾されるかどうかという視点で考えるべきものと考えておるわけでございまして、そのために解明に消極的であるということは私は承服できません。
#171
○矢原秀男君 そういう御答弁でございますのであれば、しっかりやっていただきたいと思います。
 それから、先般の証人喚問の中から二、三刑事局長に伺いたいと思いますが、まずその一点は、郷証人のお話の中からただしてみたいと思います。一つは一万五千ドルのこの有無の問題でございます。私がダグラスのあの当時の会長やメンバーの方々がら直接お話を伺ったのは、一万五千ドルは渡したのですか――そうでもありません。じゃあ渡さなかったのですかと言ったら、そうでもないんです。当時の会計担当から聞けば書類も何もないと、こういうふうな紛失した有無の問題の中からわからないと。この前も私は質問したと思うのですが、あれだけの経理をきちっとしている会社が、この出金の有無について経理担当すらもこの問題だけに限って非常に法的な僣上の発言をしている。これは逆に疑ってみると、証拠を隠滅したのではないかというふうに言われてもやむを得ないと思うのですね。この金額についてはここでもしばしばお話がございまして、あの当時一万五千ドル、金額的に少ないではないかと言っておりますけれども、現在の価値からいきますと不動産関係では六倍になっております。物価指数からまいりますと四倍になっているわけです。そうすれば二千万近くの現在の価値になるわけでございます。だからこの金額は決して少ない問題ではない。そういう経理があのようにしっかりしているダグラス社自体が、問いただしていけば、証拠隠滅とも思われるようなうやむやな問題の発言をしている。刑事局長、この問題についてはどういうふうに本日までいろいろと調査をされまして感じていらっしゃるのか伺いたいと思います。
#172
○政府委員(伊藤榮樹君) まず公表資料によりますと一万五千ドルが支払われたという表現をとっておりまして、その中の一部がさる筋へ流れたのではないかという問題については、伝聞によるものであって確認はできない、こういうふうに言っておるのでございます。
 さてそこで、それでは一万五千ドルがぽんと渡されたのか、あるいは何らかの他の形で支払われたのか、そこに一つの問題があると思うのでございますが、現在私どもがその関係を明らかにし得るのは、さしあたりはSECの非公開資料に基づくお答えになってしまうわけでございまして、そういう意味でSECの資料の内容に触れることになりますので、お答えを御容赦いただきたいと思うのでございますが、いずれにいたしましても、古いことではございましても一連の流れということで検察当局は相応の関心を払っておりますので、いまはその時期ではございませんが、いずれ明らかになる、こういうふうに考える次第でございます。
#173
○矢原秀男君 郷さんに対するもう一点は、十万ドルのうち最後の五万ドルについてはダグラスははっきりと成功報酬であると、こういうふうに私たちに言い切った以上は、どういうふうな動きを郷さんがされたのであるか、ということは、ここでは飛行機野郎とかいろんな話が郷さん自身から出ておりましたが、だれとだれとだれとどういうふうに接触をしたのか。そうでなかったら成功報酬とダグラスははっきり言わないわけです。そういう点については局長どうでございましょうか。
#174
○政府委員(伊藤榮樹君) どうも後の追加の五万ドルというのは一種の成功に対する報酬といいますか、それを契機として支払ったという印象が強いようでございますが、先般の郷証人の御証言を私は拝見しておりましたけれども、必ずしもどういう動きをされたのか余り積極的な御証言はなかったようでございます。してみると、ダグラス社側と郷さんの側でその役務の内容についての認識の相違があったりなんかしたのかもしれないというふうにも思いますけれども、その辺は具体的な検察の捜査の内容に関することになりますので、この程度の感想ということで御勘弁いただきたいと思います。
#175
○矢原秀男君 次に移りますが、海部氏の告発の有無についてでございますが、参議院の決定の有無に関係なく、当局としてはやはり前向きの姿勢でやっていらっしゃるのかどうか、簡単ではございますがこれを伺います。
#176
○政府委員(伊藤榮樹君) 御質問の趣旨がちょっとよくわからなかったのですが、偽証問題というようなことに関しての御質問であると仮定いたしますと、まあそのような点につきましてはもっぱら国会で御判断になることでございまして、私どもが何も申し上げる筋合いでもございません。また御告発がございませんのに、議院における偽証というようなものが仮にありました場合に、捜査当局が先行してその件について調べるというようなことは適当ではないというふうに思っておりますので、もっぱら告発等の問題につきましては国会でお決め願うことだろうと思います。またそれを離れまして、一般的に海部氏に対する調べをどうしているかという御質問であるといたしますと、先ほども他の委員の御質問にお答えしましたが、同氏はこれまで当委員会で証人としてずっと継続的にお尋ねになっておりましたわけでございまして、検察当局といたしましてもその事態を受けとめまして、あえて事情を聞いたりなんかしていないと思うのでございます。しかしながら、国.会における役目が終了されたということになりますれば、当然検察当局としてもその点について関心を寄せざるを得ないと、かように思います。
#177
○矢原秀男君 いずれにいたしましても、このボーイングに関する問題が大きな焦点になっているわけですけれども、日米司法共助にボーイングを入れるべきではないかと思うわけですけれども、この点どうでございますか。
#178
○政府委員(伊藤榮樹君) ボーイングの問題につきましては、まずもってSECの公表資料の中に、例の大韓航空絡みの三百六十万ドル、その点を除きますと日本の航空業界に触れるところがないわけでございます。そのこと並びにいろんな感触からいたしまして、ボーイング社関係のSECの非公開資料の中身のほどはある程度推測しておるわけでございます。
  〔理事岩動道行君退席、委員長着席〕
そういう観点からいたしますと、ボーイング関係についても、なるほど現在検察当局が捜査をいたしておりますけれども、当該国内犯罪の捜査という観点からいたしますと、ボーイング社関係のSEC非公開資料の入手の必要性についてまだ感じていない、いわば現在までの手持ち資料で間に合っておる、こういう感触を持っておるわけでございます。将来さらに進んでやはりSECの非公開資料等を入手して参考にしたいという事態になりますれば、当然私と連邦司法省の刑事局長との間でまた取り決めを結んで協力してもらうということにやぶさかではございませんが、現状はいま申し上げたとおりでございます。
#179
○矢原秀男君 それからボーイングの問題でございますが、747ですね、これは日商岩井を通して五十四年二月二十八日までに二十四機が日本に購入をされているわけです。運輸省に再度確かめたいと思うわけですが、この二十四機の納入先、この点について御説明を願いたいと思います。
#180
○政府委員(松本操君) お答え申し上げます。
 先生のおっしゃいました数字と多少違っておりますので、私の方の数字でお答え申し上げますが、日本航空に対しまして昭和四十五年度から五十三年度、つまり五十四年の四月一日現在で締めましてボーイングが二十九機日本航空に引き渡されております。この内容は747のLRと貨物用機と国内用のSRでございます。日商岩井を通してというお話でございましたが、これは累次御説明申し上げておりますように、日本航空とボーイングの間は直接契約でございますので、日商岩井を通してということではなく、直接契約がなされ、日本航空の職員が自分で飛行機を操縦して日本まで持ってまいりますので、その間に日商岩井は直接的に介在していない、こういうふうに理解をいたしておるわけでございます。
 なお、御参考までに申し上げますと、全日空としてはあとSR型が三機五十四年四月一日現在で入っておりますので、合計いたしまして日本に存在いたします747、購入いたしました747は四十五年度以降三十二機、こういうことでございます。
#181
○矢原秀男君 いま運輸省からお話がございましたけれども、ボーイングははっきりと、これも会長とかトップ陣が私の質問に対して、日商岩井を通してやっているんだと、こういうふうにはっきり言っているわけですから、ここで何回も質疑がいままでございましたが、日航とボーイングとやっているんだ、日商岩井は関係ございませんと、こういう話であれば、蒸し返すようでございますが、ボーイング社のトップが重ねて私がじかに質問をしても、日商岩井を通してだと言い切っているのですから、いまお話がございましたことはやはり御訂正をしていただかなくちゃいけないと思います。
#182
○政府委員(松本操君) 先ほど別途大臣がお答えしたことでもございますが、航空機の購入に関しまして日本航空は昭和三十四年ごろから直接購入をしておるというふうに私どもにも報告し、かっ先日参考人として社長もそのようにお答えをしております。一方、いま先生御指摘のように、国会の調査団が参りましたときにウィルソンとかいう向こうの会長が、日商を通して行っているのだというふうなことを申したということがございます。したがって、ここに完全に食い違いがございます。私どもはやはりこれを見逃すことができないという観点から、早速に日航の方に対しまして具体的にウィルソン会長が申したということを引用しつつ、国会における朝田氏自身の証言をも加え、この間の矛盾について具体的にボーイングはどのように説明をするか至急回答されたしということを、去る三月二十七日に文書をもってウィルソン会長あてに直接朝田社長から出させました。この回答は現在まだ参っておりませんので、この時点で私は先生の御質問に対して具体的に御返答申し上げる立場にございませんが、しかし私どもの了解、承知しております限りにおきましては、食い違いはございますものの、現実に日航といたしましては三十数名の人間をアメリカに駐在さして、現実にそういうことをやっておりますので、まずそういうことであろうというふうに理解をしておるわけでございます。
#183
○委員長(町村金五君) 矢原君、時間が参りました。
#184
○矢原秀男君 最後の一問だけ。
 そこで、これに関連して国税庁に伺いますけれども、三十二機分の日商岩井の手数料等の内訳、当然申告があったろうと思うのですけれども、総額に対しての日商の手数料等々ですね、その中で使途不明金について処理された問題があればその問題、そうして申告修正というものがもしこの中であれば、いま問題になっている七機以外について御説明をお願いしたいと思います。
#185
○政府委員(磯邊律男君) 私の方にいま手持ちになっております資料は、ボーイングの747の二十二機分について昭和四十七年九月期から五十年九月期までの分でございまして、それぞれの年分の手数料収入というものがございますが、その間におきます手数料収入の総額は、四百五十一万三千ドルであります。日商岩井につきましては航空機部門のウエートが高いものでありますので、私ども日商岩井に対する調査では航空機部門を重点的に調査をいたしておるわけであります。しかし、ただいままでのところ747SR七機分に係る百五万ドルについての不正計算があったということは把握しておりますけれども、それ以外につきましての不正計算というのはただいまのところ把握しておりません。
#186
○委員長(町村金五君) 以上で黒柳君及び矢原君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#187
○委員長(町村金五君) 次に、橋本敦君の質疑を行います。橋本君。
#188
○橋本敦君 まず、捜査に関連する問題から質問に入りたいと思いますが、刑事局長にお伺いいたします。
 海部氏に対する事情聴取の必要性、それを早くやるという方向については御答弁があったと思うのですが、海部氏の事情聴取の必要性は、直接にはいま当面偽証問題とは別に、山岡らの逮捕された事実に関する捜査の必要があってその必要があるということで理解をしてよろしゅうございますか。
#189
○政府委員(伊藤榮樹君) とりあえずの問題としては、先ほど来申し上げておりますように、四月四日が勾留満期でございます。取り急いでその関係についての事情は聞かなきゃならぬと思います。
#190
○橋本敦君 いまおっしゃった、四月四日に勾留満期という関係が問題になりますのは、四月四日になりますと検察庁は山岡らの処分をお決めにならなければならぬ。起訴されれば保釈という問題があるし、あるいは勾留をやめて捜査を続けられるということもあり得るかもしれない。いずれにしましても、山岡らの捜査の関係で、海部氏との間で話し合いをして証拠隠滅のおそれがないとは言えない。そういう意味で、早く調べる必要があると私は思うのですが、そうだとしますと、当然きょうあす、四月四日までに調べが着手されると、こう理解してよろしゅうございますか。
#191
○政府委員(伊藤榮樹君) 具体的な捜査の手順についてのお尋ねでございますのでちょっとお答えしにくいのですけれども、一般常識論として、勾留満期までに調べておきたいと思うんじゃないかと思います。
#192
○橋本敦君 山岡らの容疑事実を見ますと、航空機部員らと共謀してということになっております。したがって、もともと山岡らが実行犯ですけれども、共謀関係があるという想定で捜査がされておりますが、その場合に、島田氏は亡くなっておりますが、海部氏があの私文書偽造等を指示したという事実の有無あるいは了解をしておったというような関係の有無、当然これは事情聴取の対象になると思いますが、その指示しておったという客観的事実を捜査の中で明らかにしておられれば、私は単なる参考人ではなくて海部氏逮捕という事態に発展する可能性が捜査の関係においてはあると考えますが、いかがですか。可能性の問題として。
#193
○政府委員(伊藤榮樹君) 橋本委員のお考えは十分理解できますが、そういう重大なことを私がこの場で申し上げるわけにまいりません。
#194
○橋本敦君 私の考え方という点での御理解はいただいておるようであります。
 ところで、有森氏に関係する問題に話を移していきたいんですが、先ほど刑事局長は、有森氏が外為違反を主張して証言拒否をされたことにつきまして、一般的にはもう十年も前のことなので時効が完成しておると考えられる、その点で合点がいかない点があるというお話がございました。考え方の一つとして、もし有森氏が主張するように時効が完成していない状況を考えますと、たとえば海部メモで日商から岸氏にイニシアルフィー、いわゆる着手金として二万ドル支払ったということがあるわけですが、その着手金の支払いの後、何らかの工作資金が今日まで継続的に支払われている、それと有森氏との関係が、自分は共犯関係にあると考えている、そういう事実があれば、時効ば完成していないと見ることも可能である。こういう点を想定して、こういう可能性について視野に入れて捜査を進められておるのでしょうか。
#195
○政府委員(伊藤榮樹君) 海部メモに記載されたこと上目体が仮に真実であったとしてという前提に立ってのお尋ねだと思うのでございますが、それがまず真実だったと仮に仮定をいたしまして、それに基づいて着手金が払われておったということが事実だと仮定をいたしまして、その後、それに続いて定期的な何らかの金のやり取りがあったということがこれまた事実だというふうに仮定をいたしまして考えましても、今日まで時効が完成していないということは、法律家としてとうてい考えられません。
#196
○橋本敦君 そういたしますと、有森氏の主張についてどうとらえるかという点がなかなか問題になってくると思うんですね。それで刑事局長は、海部メモの内容にまで踏み込んで有森氏から事情を聞く等現実的な調べを進めていくという趣旨の御答弁もなさっておると思うんですが、そうなりますと、海部メモの中にありますいわゆる岸、フォーサイスあるいは中村氏、こういった人との会談があったのかどうかという事実、これも踏み込んで調べるとなれば当然視野に入れて捜査をしなきゃならないと思うんですが、いかがでしょうか。
#197
○政府委員(伊藤榮樹君) 有森氏の証言拒絶罪での告発の問題に関連いたしまして、当然海部メモとの一般のかかわり合いというようなものは捜査の範囲内に入ってくると思いますけれども、その内容が真実であるかどうか、その辺どの程度確かめる必要が生ずるか、この辺は具体的な捜査の経過によってでないと何とも申し上げられないわけでございます。ただ、それよりむしろ福田赳夫氏からの名誉棄損の告訴の関係は、まさに書かれたこと自体によって名誉を棄損されたとされておりますので、仮に現在被告訴人は氏名不詳ということになっておりますけれども、この氏名不詳者がだんだん明らかになるということになりますと、事が公務員の身分をお持ちの方の事実に関することでございますから、そういう意味では記載内容の真実性というものを捜査をする必要も生じてくるわけでございます。これは理屈の問題からそうなるわけで、いずれにしましても捜査の進展の度合いに応じまして、必要があれば当然中に踏み込まざるを得ないと、こういうことであろうと思います。
#198
○橋本敦君 わかりました。
 そういう御趣旨は理解できるのですが、福田さんからの告訴、それから有森氏の取り調べ、両々相まって海部メモに記載されている内容の事実にまで、事態は捜査として進めていく可能性があるということは、いま論理的にも明らかになったんですが、そういたしますと、そういう捜査の進展いかんによっては、海部メモの中に書かれている福田さんだけではなくて、岸さんあるいは松野さんからも事情をお聞きになる必要が生ずるはずだと思いますが、いかがでしょうか。
#199
○政府委員(伊藤榮樹君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、この海部メモというものが海部氏の手に成るものであるということが事実であるという仮定の上に立ち、かつ、その中身が事実あったことを書いたものであるという、そういうことが認められたという仮定の上に立ちというふうに、何段もの仮定の上に立って、もう頭の中での論理として詰めていけばそういう事態もあり得るかもしれませんが、具体的な問題としてはすべて今後の問題と思います。
#200
○橋本敦君 刑事局長もよく御存じのように、有森氏は証言において、私の質問に対して、日本の国内で海部氏のかばんを持って数回岸事務所を訪れたと証言をいたしました。海部氏も岸事務所を訪れたことは全面的に否定はしていない。ところが有森氏は、一たん外国の問題になりますと、外国で岸氏その他の政治家に会ったかということになりますと、外為法違反を理由にして証言を拒否いたしました。このことをうがって考えますと、彼の言う外為法違反の容疑というのは、外国で政治家と会って政治工作をし外国で金を動かしたと、こういうような関係が浮かび上がってくるわけなんですが、そういう点について関心を持って捜査を遂げていただく必要があると思いますが、いかがでしょう。
#201
○政府委員(伊藤榮樹君) 先ほど来承っておりますと、橋本委員は、有森氏が外為法違反に問われる可能性があるという、そういうことを前提としていろいろ御判断になっておるようでございますが、私は、外為法違反で訴追のおそれがあるなどということはもうほとんど考えられない、何か有森氏が外為法を持ち出すのは勘違いしておられるんじゃないかという感じを持っておりますので、その出発点が異なりますので、ちょっとただいまの御質問に的確なお答えができないわけでございます。
#202
○橋本敦君 しかし、あれほど何度も有森氏が外為法違反を理由に証言拒絶をしたということでやっぱり告発までされているわけですからね、そこのところは突っ込んでお調べに当然なると思うんです。だから有森氏に事情聴取をやって、彼の証言拒否が正当であったのかなかったのかという問題を突き詰めていけば、彼が外為法違反だと主張している事実について、その有無と、それで事実を特定した上で時効がどうかと、こういうことを当然捜査としてやらなくちゃならない。これは私の想定ではなくて、事実そういう捜査をやらなくちゃならない、こういう関係で伺っているのですが、いかがですか。
#203
○政府委員(伊藤榮樹君) 検察当局が有森氏をもうすでに調べておるかどうか、この辺は申し上げる限りではないわけなんですけれども、まあ、検察当局がこの告発に対応いたしましていろいろ事情を仮に有森さんから聞いたといたしまして、その場でも外為法違反ということをおっしゃれば当然調べなければならぬでありましょうが、そういうことをおっしゃらないということになると調べる必要がなくなると、そういうようにいろいろ仮定の前提がございますので、どの範囲まで調べる必要があるかというお尋ねについてはまことにどうも答えにくいわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
#204
○橋本敦君 そういたしますと、非常に複雑な問題で、有森氏が国会では外為法違反を理由に証言拒否をしたわけですが、検察のお取り調べで果たしてそう言うかどうかということも一つ問題になってくると、こういうことですね。これはもう、そうなりますと事実をつかんでいらっしゃる検察庁しかわからないわけですから、私は恐らく国会で言ったとおり主張すると思うんです。そう主張すれば、刑事局長もおっしゃったように、いま私が言った点についても捜査は検討を要すると、こうなると思うんですね。
 一般的な問題として伺いますが、仮に日本の商社員が外国で政治工作資金を政治家に渡したといたしますと、政治家については贈収賄罪が成立しますか、職務権限がありと仮定して。渡した日本の商社員については外国で渡した場合贈賄罪が成立しますか。これは刑法論としてお答えいただきたいんですが、いかがですか。
#205
○政府委員(伊藤榮樹君) 日本人が国外で日本の公務員に職務に関して賄賂を贈りました場合を想定いたしますと、当該公務員は刑法四条の国外犯の規定によりまして収賄罪の適用対象となります。これに対して、金を贈った方の人は、わが国において何らかの共謀が行われたとか準備行為が行われたという場合を除外して考えますると、現在の刑法では日本の刑法の適用外のこととして処罰の対象とはなりません。
#206
○橋本敦君 おっしゃるとおりだと私も思うんですね。
 そういたしますと、有森氏が仮に外国で実行行為をしたとしますと、彼自身は日本の刑法で、国内での共謀がない場合、外国での相談でやった場合は、彼は贈賄罪で訴追を受けるおそれがない。やっぱりそうすると、彼が言うように外為法違反しか主張できないと思うんですね。
 そこで、その問題はさておいて、いまのように今日多国籍企業が海外に多くの支店を持ち、そしてまたグローバルな活動をしている。そういう場合に、自分が贈賄の責任を免れるために外国で政治家に工作をした場合、その政治家しか処罰されない、商社関係は処罰されない。これは私は一つは、今日のグローバルな多国籍企業のあり方を考えますと、こういった面の再発防止、こういう面ではこの前、贈収賄罪の刑の加重という刑法改正問題が提起されましたが、ここにも一つ今後の問題として刑法上問題が残されるのではないか、こう思いますが、刑事局長いかがでしょう。
#207
○政府委員(伊藤榮樹君) 前回ロッキード事件が起きました際に、再発防止策ということでその後刑法の一部改正、すなわち贈収賄罪の法定刑の引き上げを国会に提案して御審議を願っておるわけでございますが、ロッキード事件の教訓にかんがみました範囲内でとりあえずの改正案をお出ししておるわけでございます。御承知のように、ロッキード事件の場合では、贈賄の国外犯を処罰することになっておればこんなことにはならなかったのに、というような事態はなかったわけでございます。しかしながら、長期的な見方をいたしますと、地球がだんだん狭くなっておるという現状からは、贈賄についても国外犯を処罰するということとする必要性が相当あると思うのでございます。ただこの問題は、刑法に定めておりますいろいろな他の犯罪との関連もございますので、たとえば刑法の全面改正の案におきましては、一部の他の罪とともに贈賄についても国外犯を処罰することにしておるわけでございます。したがいまして、将来の問題として、私どもとしては当面、刑法全面改正の作業の中でその必要性について、他の罪との権衡等を考えながら、前向きに検討したいと思っておるのでございます。
#208
○橋本敦君 刑事局長に対するお尋ねはもう一問で終わりますが、ざっくばらんに言って、国民は海部氏を含め日商の今回の事件について早期に徹底解明を待ち望んでおると思うんですね。
 そこで、ざっくばらんにお伺いしますが、海部氏はもうすでにきょうでもお取り調べを受けているんじゃないでしょうか。この点はいかがですか。事実がはっきりしておればはっきり言っていただきたい。
#209
○政府委員(伊藤榮樹君) 現在検察当局で事情聴取しておるというふうには聞いておりません。
#210
○橋本敦君 まあ四日までという大体の問題の範囲はわかってきたわけです。
 次に防衛庁に伺いますが、F15の問題についてMDCから日商への一・五%の手数料、これが問題になりました。これは第一次分約二億ドルの一・五%ということですが、この日商岩井が行う役務、これについてはライセンスに入った場合の部品の輸入代行、こういうことについてもこのMDCからの一・五%は中に含まれる、こう理解してよろしいんでしょうか。
#211
○政府委員(倉部行雄君) 部品に関しても含まれると解します。
#212
○橋本敦君 そうなりますと、私はファントムと同じように重大な問題が起こると思うのです。われわれが調査で入手した資料によりますと、このF15に関しましても、日商は三菱重工との間でファントムと同じように委託買い付け業務の契約書、これが締結されている。だから、したがって日商は部品の輸入に関して約二%の手数料と思いますが、三菱重工からも委託買い付け業務の契約に基づいて手数料約二%を受け取る、こういうことになってくるわけであります。防衛庁はこの事実を御存じですか。
#213
○政府委員(倉部行雄君) いまF4のことでございますか。
#214
○橋本敦君 F15にそういう契約があるのを御存じですか、日商と三菱。
#215
○政府委員(倉部行雄君) 私、現在ちょっと承知しておらないのでございますが……。
#216
○橋本敦君 知らなければすぐ調べてください。
 仮にそうだといたしますと、どういうことになるかと言いますと、日商岩井の扱い分がおっしゃったように二億ドル、約四百億円、こう計算いたします、第一次十五機分。そうしますと、それについてMDCから一・五%、約六億円が入るわけであります。一方、三菱重工からいま言った委託買い付け基本契約に基づいて約二%といたしますと、八億円の金が日商に入ることになります。これを単純計算で九十二機分、こう計算しますと、この約六倍ですから合計八十四億円、こういう莫大な金がF15に関連をいたしまして日商岩井に入るということが契約上明らかになってくるわけであります。このF15に関して防衛庁は、ダグラスは何ら不正をしないという誓約書を取っておるというお話ですが、私はダグラスからこれを取っただけでは当然済まされない。これだけ、八十四億と想定される莫大な金が日商に入るということを想定いたしますと、この第三次FXの政界工作をめぐる疑惑もすでに私も指摘したようにあるわけで、刑事局長も関心を持つという御答弁があったわけですが、こういう巨額な金が入るということを想定して日商は今日まで何らかの工作をやっておるんではないか、そのことを徹底的に調べなければならぬということが防衛庁の責任としてあると思うんですね。
 防衛庁長官にお尋ねしますが、いま私が指摘をした手数料の二重取りの可能性の有無、そして日商が今日までF15、巨額のこの利益を目指してどういう工作をやったことがあるかどうか。ダグラスから誓約書を取るだけでは足りません。徹底的に防衛庁として調査をすることをお約束いただけますか。
#217
○政府委員(倉部行雄君) ちょっと事実関係に関する問題がございますので、先にやらしていただきます。
#218
○橋本敦君 簡単にやってください、時間がなくなりますから。
#219
○政府委員(倉部行雄君) このF15に関しまして、ダグラス社から三菱への輸入分につきまして代理店の手数料が乗ぜられるわけでございますが、いま二億ドルとおっしゃられましたわけでございますが、これは実は先ほどもお答えいたしたわけでございますが、この大半はライセンス生産するための初度の治工具であるとか経費が入っておりまして、これは後々には要らなくなるわけでございます。それから残りの部分も、最初はほとんどノックダウンでございますので、この部分は国産化によって減っていくわけでございますので、この二億ドルのベースで考えた手数料が今後もずっと続くということではございません。急速に減っていくわけでございますので、この点を御理解いただきたいと思います。
 それから、二重ではないかという点につきましては、私どもはそのようには考えておらないわけでございまして……。
#220
○橋本敦君 調べなければ、あなたは基本契約は知らぬと言ったんだ。
#221
○政府委員(倉部行雄君) 厳重に先般のF4に関する委託業務関係につきましては調査しておるわけでございます。
#222
○橋本敦君 15について調査しなさいと言っているんです。
#223
○政府委員(倉部行雄君) F15についてはもちろん調査したいと思いますが、二重ということは私どもはあり得ないというふうに思います。厳重にチェックしていくつもりでおります。
#224
○橋本敦君 それじゃ厳重に調査するということですから、調査もしてないで答弁されては困りますよ。
 長官にお伺いしますが、RF4Eの十四機、防衛庁は約百九十八億円を日商に支払って、そのうち六千万円を手数料として認めた。ところが、何度も答弁されているように、この日商が約四十三万ドルのコミッションを受け取ったこと、これは防衛庁はお知りにならない。ましてや二百三十八万ドル、この事務所経費を日商が受け取っていたことも御存じなかった。もしこういうことがわかっておれば、国民の税金で日商へコミッション六千万円払ったでしょうか。もっと厳重にチェックをしたのではないでしょうか。長官、いかがですか。結論だけで結構です。当時わかっておればもっと厳重にチェックしたはずだが、どうかということです。
#225
○政府委員(倉部行雄君) ロッキード事件以前におきましては、十分な代理店契約書等を取ってなかったものですから、いまから考えてみますと、その辺の代理店契約の実態というものを十分つかんでいなかったわけでございまして、私どもそれ以降につきましては厳重にチェックいたしております。
#226
○橋本敦君 わかっておったら六千万円を払いましたか。
#227
○政府委員(倉部行雄君) 六千万円につきましては、これは防衛庁にかわりまして輸入代行をする手数料でございますので、これは当然私ども従来から払っているわけでございますし、今後も一定の基準に基づきまして払うべき性格のものでございますので、二重とは考えておらないわけでございます。
#228
○橋本敦君 二重に払ったとは言っていないんですよ。防衛庁に隠れてこんな巨額な報酬を日商が得るということがわかっておったら六千万円も払ってやったか、もっとチェックしなければならないんじゃないか、こう言っておるんですよ。
 それじゃ長官、答えてください。これだけの合計、いま私が指摘したように、二百八十一万ドルに上る巨額の利益をたった十四機分について日商がもらっているんですよ。これははっきりしているんですよ。これが防衛庁が買われたRF4Eの機体価格に上乗せされてないという証拠ありますか。されている可能性がある。この点について徹底的に防衛庁はいまから調べる必要がある、当時は調べていなかったんだから。いかがですか、長官。簡単に答えてください、総理に一言聞きたいことがあるから。
#229
○委員長(町村金五君) 橋本君、時間が参りました。
#230
○国務大臣(山下元利君) 二百三十八万ドルにつきましては、いま関係当局で御解明中でございますから、私どもから御答弁申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。防衛庁といたしましては、いま政府委員から御答弁申し上げましたとおり、この価格算定につきましては厳正を期してまいった次第でございます。
#231
○橋本敦君 冗談じゃないですよ。あなたは先ほど今後価格調整、検査、チェックはもっと厳重にやると言った。当時はやっていないんだよ、それじゃだめですよ。機体価格に上乗せされているかどうか、総理、調査を命ずべきではありませんか、防衛庁を通じて。価格に上乗せされているかどうか、命ずべきじゃありませんか。いかがですか、国民の税金ですよ。なぜそれが調べられないんです。
#232
○国務大臣(山下元利君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、ロッキード事件の経緯にかんがみまして、われわれとしてはもう価格調査を許可いたしておりますし、今後ともその方針でまいりたいと思います。
#233
○橋本敦君 これはやっていなかったんだから。このときやってないって答弁したじゃないですか。
 最後に伺います。総理、ああいう姿勢で今後F15その他について漫然と防衛庁がやっていくことは国会としては納得できませんよ。機体価格に上乗せされているという可能性があると私は指摘している。そんなものはないという証拠はないじゃないですか。調査すべきですよ。さらに総理にこの点についての検討を伺うのが一点。
 それから最後に伺いますが、日商の政治献金が国会でも問題になりました。裏で隠れた八億六千万の政治献金が行われた。こういう疑惑があるたびにそういう政治献金が問題になるんですが、企業からの政治献金そのものをやめてもらわねばならぬ、こう思いますけれども、しかし、この点は総理のお考えもあるでしょう。しかし、少なくとも日商岩井からの政治献金は官房長官の田中さんには今後受け取らないようにと、こう言っていただく必要が私はあるんじゃないか。また自民党さんとしても、日商岩井からはこういうものは受けない方がよいという御指示を総裁としてあってもいいんじゃないか、こう思います。さらに、日商岩井については防衛庁の指定業者から外すべきである、有資格者名簿から日商岩井はもう切るべきである、こう思いますが、総理のお考えを伺って質問を終わります。
#234
○国務大臣(大平正芳君) 価格調査でございますが、周到厳密にやるべきものと思います。
 それから政治献金の問題でございますが、個人はもとより、政党におきましても十分注意して対処をすることを期待いたしております。
#235
○国務大臣(山下元利君) 日商岩井をどうするかということにつきましては、現在この関係当局において御解明中でございますので、その推移を見守ってまいりたいと思います。
#236
○橋本敦君 そういう姿勢ではだめです。
 終わります。(拍手)
#237
○委員長(町村金五君) 以上で橋本君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#238
○委員長(町村金五君) 次に、三治重信君の質疑を行います。三治君。
#239
○三治重信君 最初に、予算もあす結末がつくように聞いておりますが、これが予算委員会ではグラマン・ダグラス事件についての最後の質問になるわけですが、これがまた総理が最後の決断として予算に入れられたE2Cの解除の問題に問題が展開すると思うのです。一応その執行上は衆議院、参議院の議長の了解を得て政府が実施する、こういうような了解で予算の審議が終了するわけなんですが、議長がいつそれについて了解を与えられるか、また、それはどういう場合に政府に対して了解を求められるのか、これはやはり総理としてその方は議長に対して働きかけをされていかないと、議長としても独自の判断だけで処理できないんじゃないかと思うんですが、政府はそういう議長の判断に対してどういうふうな働きかけを行っていかれようとされますか。
#240
○国務大臣(大平正芳君) E2C関係予算の執行の問題でございますが、これは当然のこととして国民に御納得いただくように処理していくべきものと考えております。衆議院におきましては、この執行に当たりましては議長の判断を尊重してやるべしということでございますし、参議院におきましても同様のお考えのようでございますので、私といたしましては、この事件の解明、今後の推移を見ながら両院議長のそれぞれの御意見を十分拝聴、尊重いたしまして処理したいと考えておりますが、どういう手順でやるかとか、どういう手続をとるかとかいうようなことはいま考えておりません。御意向を尊重せよということを十分念頭に置いて慎重に処理したいと考えております。
#241
○三治重信君 いまの総理の御答弁に関係しているんですが、法務大臣とされては、検察の調査の進みぐあいが非常に影響をすると思うんですが、これについて防衛庁長官の方はできるだけ早くと、まあ一番初めのときには四月にもと、こういうようなお話があったわけなんです。いまだんだん疑惑の調査が進むに従うと、なかなか解明に容易なことではなかろうかと、こう推察されるわけですが、しかし、予算の執行にかかわる問題が控えているわけですから、政府としては漫然と日を送るわけにはいくまい。そうすると、法務大臣の方で中間報告的な一つの理解を得る問題点を整理して総理に進言をし、また両院議長の判断の資にする措置をとらるべきだと思うんですが、そういうことについてどういうふうにいま現在お考えになっておりますか。
#242
○国務大臣(古井喜實君) E2Cの予算問題が政治問題としてあるわけでありますが、私の方の立場としましては、捜査は捜査としてやるべきことだけはやらなきゃなりませんので、その政治問題で捜査をどうする、こういうことばやるべきものでない、尽くすべきことはしなきゃならぬと、そういうふうに思うんでありますが、いまの中間的にある段階でわれわれが御報告をするかせぬかということでありますけれども、これが捜査がこれからどういうふうに進展し、どういう時間がかかるか、きょうははっきりまだ見通しが立たぬように思っておるのであります。
 で、商社関係ですね、商社関係の方は恐らくは近いうちに捜査の本番に入るのじゃないかと私は思うんであります。それとてもはっきり究明するには相当時間がかかる。それに関連しまして、たとえば金がどう動いた、これが政治的にどうかかわり合いを持っているか持っていないかと、こういう問題になりますというと、またその後相当なこれは時間をかけなければ、右にせよ左にせよ結論が出せないんじゃないかと思うのであります。そこで、いつどうというようなことをいま申すことはちょっと困難だと思います。進展の状況を見て、そしてまた中間報告をする価値があるのかないのかも、その状況を見て考えなきゃならぬと思うのであります。しかし、諸般のことを考えて、捜査にも支障を起こさぬようにしながら、その辺のことはよく考えてみなきゃならぬと、こういま思っております。
#243
○三治重信君 お言葉を返すようなんですが、よく考えるということは、当然非常に重要な問題になっているわけですから、そういうことはよく考えるべきことなんですけれども、事は総理が決断をされてことしの予算に入れられたE2Cの予算なわけなんですね。それが政府として実行できないとなると、これはまた後なぜそう無理して入れたんだという政治責任の問題にもなるわけなんです。そこは捜査当局として、捜査は捜査としていくけれども、このE2Cの実行の問題についてのある程度の解除についての議長の判断の資料あるいは意見というものが決められないと、これは事が進まぬと思うわけなんです。そういうふうに判断せざるを得ないと思うんですが、その点はどうですか。
#244
○国務大臣(古井喜實君) 私は、前にも申し上げたと思うんでありますけれども、E2C予算を実行するかどうかという問題は、私はE2Cというものが国防上必要なりや否や、それからこれがもう最適な機種であって他にかわるべきものがないのかどうか、それからまたこれを購入する価格自体が不適正なものであるのかないのか、そういう本筋をはっきりして、何にもこれ自体は心配ないならないということを決めるのが本筋だと私は思うので、それにまつわって、いろんな事態、政治的な問題があったりとか、そういうことは関連して、本筋を乱さないでもそういうことが関連して起こることは幾らでもあるんでありますからして、そういう関連したまつわった問題についてはそれとして、もうあるのかないのかということは究明していく、そういうふうに考えていくのが順序だと私は思っているんです、本当は。思っておりますから、そういう意味では予算の問題は予算の問題、捜査の問題は捜査の問題ということで進行するのが筋のように思います。しかしながら、実際問題としてもうそういう理屈は一応抜きにして、政治的な事情もあるかもしらぬので、よく慎重にその辺のことは考えてみようということを言ったのであります。筋は私は別の問題だと思っているんです。
#245
○三治重信君 そこをひとつ慎重にやられるということでございますが、その慎重の中身が言えないといういまの段階だろうと思うんですが、ひとつこの問題はやはり政府の責任問題というものになると思うんでして、ひとつその点を留意しておいていただきたいと思います。
 それから、こういう調査の問題、ことに政治に対する疑惑に焦点が移ってまいります。そういうときに、他の同僚議員からも御質問があったわけなんですけれども、民間人は容易に証人喚問をする、しかし政治家については全然ないじゃないか、こういうことが言われている。一般の市民から見るとそのとおりじゃないか、こういうふうな判断になると思うんですが、総理はあこれは政治家の個人の問題だと、こういうことでございますが、やはり私は国会の証人喚問の現在の制度、このようにテレビを入れたり、犯罪捜査的な部面が非常に強く出る、こういうような証人喚問のやり方についての批判もあろうかと思いますが、それに対して、国会がこういう政治問題に対して証人喚問なり政治家の喚問について、やはり現在よりかどういう点を改正していくべきだと思われるか。証人が出るのは個人の問題にしても、やはり証人喚問について、政治家については秘密会でやるとか、またいまの証言法をやはり改正しないと無理だと感じておられるのか。その点、この今回の、またロッキード事件からもあるんですが、国会の証人喚問についてとかくいろいろの批判もあるので、この改善方についてどういうふうに考えておられますか、簡単にひとつ。
#246
○政府委員(真田秀夫君) 国会における証人の法律にいろいろ御質問があるわけなんですが、どうも証人といいますのはやはり名前どおり証人でございまして、客観的な第三者について、国政のあり方に関連していろいろ事実を述べてもらうというのが実は証人の性格でございますので、どうも被告人扱いあるいは被疑者扱いのような感覚で運営されるのはいかがかというふうな気がいたしますが、いままでの国会のお取り扱いがそうだというわけではもちろんございませんが、証人というのはそれは訴訟法でもそれは矢田部先生なり内藤先生なり皆御存じのとおり、全くの証人でございますので、お取り扱いについてはやはりその人格をも尊重しながらお調べになる。どうも証人台に立つと何か新聞、マスコミあたりではいかにも何かクロだというふうにすぐ取り上げてしまうというような風潮は、非常に私から見るとどうも正しい行き方ではないというふうに考えます。でございますので、いまの国会証言法のあり方についてもいろいろ検討すべき点はあろうかと思いますが、いま申し上げましたような趣旨に沿って、やはり証人というのはまだシロでもクロでもないので、国政のあり方についての客観的な事実をそこで述べてもらうというふうな精神で、法律の改正なら改正、それから運用についてもその辺の問題についてよくお心配りの上にやっていただきたいというふうに考える次第でございます。
#247
○三治重信君 総理、ひとつ事は国会の運用の問題ですから、自民党総裁として、国会の問題というと、政府側としてこれは国会で処理願いたいと、こういう答弁になるわけですが、自民党の政権担当政党の総裁として、やはり国会における今後のいろいろの国政調査権の一つとして、証人喚問の証言法の関係、私は何か相当改善を図るべき問題が総理の中にあるんじゃないかと思うのですが、そういうことをひとつ今後検討していただきたい、積極的にこれがもっと積極的に利用されるような方法を考えていただきたいと思います。
 時間がなくなりましたので、ごくはしょって二つの問題を大蔵大臣と運輸大臣に御質問します。意を尽くせないことがあるかもしれませんが、ごく簡単に結論だけ言っていただければいいと思いますが、このようにまだ政治家への不正はわかりませんけれども、日商岩井が不正な支出、不正な支払いをやっていることは事実だと思う。これがアメリカのSECのような制度を日本に入れるというのは適正ではないという答弁なんですが、大蔵大臣として今後こういうふうないわゆる不正な支出について、単に税務だけでなくて経理の関係で、もっとやはり会社の責任者の責任を問うような体制にメスを入れていかなけりゃいかぬのじゃないかと、こう思うわけですが、その点についての御意見をごく簡単に結論だけおっしゃってください。
#248
○国務大臣(金子一平君) SECの話には深く触れませんけれども、とにかく海外の政党や公務員に支払いをすることを禁止しておるわけですから、向こうは法律で。それで、あるいは企業が政治献金をやることを禁止しておるわけですから、それをやってないかどうかということを調べるのがSECなんです。そこで、日本の場合はちょっとそういう基本法がなくて、会社の経理を全部ひとつ証券委員会みたいなものをこしらえてやれと言っても、そういう基本法がない限りはなかなか手が広げられないという問題が一つございます。これは立法政策上の大きな問題です。そういう意味で、総合的に検討させていただきたいということを申し上げているわけでございます。
 それからいま一つの、会社に不正経理ありゃなしやを調べろということ自体、これはリベートをやることだって認められておるわけでございますし、なかなか実は税務の執行の面としていまの使途不明金の内容をもっと解明しろということにつきましてもおのずから限度がございます。これは検察権がありませんから、向こうがどうしても勘弁してくださいと言えばそれ以上は出られないという問題がある。ただ、これを今日では重役の認定賞与、賞与と認定して高い税率で課税したりあるいは重加算税を課税するというようなやり方をとっているわけでございますけれども、あるいはフランスの立法例のように最高税率、所得税の最高税率でその分課税して法人から取ったらどうかというような議論も出ておりますが、そういう点につきましては十分検討さしていただきたいと思いますけれども、いまの税の面、普通の報告書だけの監査の面だけで全部を全部押さえるということは、実はなかなかむずかしい問題があります。
 以上でございます。
#249
○委員長(町村金五君) 時間が参りました。
#250
○三治重信君 現在の法制じゃむずかしいということですから、だから不正支払いの防止について、日本的な不正支払いのときには、私は監督責任者までその責任を問うような法律が必要じゃないか、また何かそういう制度が必要じゃないか、こういうことについて適当な処置を考えていただきたい。
 運輸大臣、お待たせして申しわけないんですが、この前の御説明のときに非常に積極的な御答弁をいただいてありがたいのですが、それに一つ加えてのお願いなんですけれども、やはり会計検査院の御説明によると、いわゆる独占販売代理店契約、こういうのが会計検査院の方でまだ十分よく解明されていないみたいにもお聞きしますし、そういう商慣習というような問題について、ひとつ防衛庁の問題も今後響いていくし、民間の飛行機の取引について非常に疑惑の根源がこういうところにあるかと思うんですが、相手の慣習を知らないという問題について、ひとつ今後の御努力をお願いしたいと思うんです。
#251
○国務大臣(森山欽司君) 運輸省が購入する航空機につきまして調査いたしましたところ、中間に入りました代理店が運輸省ばかりでなく航空機製造業者からもコミッションを取っておったという事実が判明をいたしております。したがって、これらの関係商社の責任者を招致いたしまして、取引の明朗化を期するためにこういう事態について十分今後協力してくれるようにということはすでに申し入れておるところでありますが、同じような事態が防衛庁にもあり、また会計検査院の立場もありますから、これらの関係官庁と十分連絡をとりまして、今回の事態を、裏金が、だれのどこに渡ったかということ、このことももちろん重要なことではございますけれども、そういうことにとどまらず、今回の教訓を生かすように、そして取引の明朗化を期するように全力を尽くしてまいりたいと思っております。
#252
○委員長(町村金五君) 以上で三治君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#253
○委員長(町村金五君) 次に、青島幸男君の質疑を行います。青島君。
#254
○青島幸男君 まず、法務大臣は航空機疑惑が表面化した折に記者会見で、この事件は大変に重大で、かつ根が深いというおっしゃられ方をしたと記憶しておりますけれども、私もいろいろ調査をした過程で、まさにおっしゃられるとおり、大変に大きなものを背後に持っているんだという認識を持ちました。
 ちょっと話が錯綜しますので、お手元に、御了解を得て資料を――図かあるはずでございますけれども、これで御説明さしていただきます。まず、トルコにおきましてボスポラス大橋というのをつくるという計画がございまして、これに伊藤忠、日商岩井機械部が幹事会社となりまして、幾つかの企業が入札に参加をするために国際建設協会というのをつくったそうです。そして第一回の入札があったんですが、これは他国に奪われたそうでございまして、そしてトルコ協会というのに働きかけましていろいろ協力を得たところ成功した、第二次入札で成功した、こういうことです。時を同じくいたしまして、日商岩井機械部がF4Eを防衛庁に売り込むことに成功しております。そして、E2Cの代理店が変更になるというようなことをはさみまして、四十七年になりまして、インドネシアからプルタミナを通じましてLNGを輸入しようという話を日商岩井の燃料部がいたしました。再三交渉していたんですがなかなか成功しなかった。で、突然、どういうわけですか、プルタミナの方でファーイースト・オイル・トレーディングを仲介してほしいという要求が出されて、この会社は木下産商系でございまして、御存じのとおり岸信介さんが深い関係をお持ちだということだそうでございまして、そしてこのファーイースト・オイル・トレーディングが介在することになったときに、どういうわけか、燃料部で扱っておりましたものを日商岩井機械部に変更いたしまして取り扱いを、そしてこれも成立をしておるということだそうです。同時に、時を同じくしまして、その時点でRF4Eを、まあダグラスですけれども防衛庁に売り込むことに成功しております。
 それから五十三年になりまして、サウジアラビアで淡水化プロジェクトというのが行われるようになったそうですが、これには日商岩井、トーメン、伊藤忠その他が入札に参加をするわけですけれども、日商は実は三番札のはずなのに、これが落札に成功しておるというので、業界でかなり問題になったといういきさつもございました。それから、この淡水化プロジェクトにつきましては、アドナン・カシオギ氏という方がサウジアラビアで大変に政財界に勢力を持っておられる方だそうでして、この方の代理人、アメリカでの代理人はハリー・カーンだということになっておりまして、また私どもで得た情報によりますと、このアドナン・カシオギ氏の日本代理人が川部さんであるということも承っております。そして、アドナン・カシオギ氏が来日した際には、帝国ホテルのパーティーに岸信介さんも出席しておられるということだそうです。それから、このアドナン・カシオギ氏はトライアッド・インターナショナルという会社を持っておられまして、これがノースロップ、ロッキード、ボーイング等の代理店の代表権みたいのを持っていられる。そして、このトライアッド・インターナショナルはアン・ゴラ航空にかなりの影響力を持っているということだそうでございます。で、この淡水化プロジェクトに第三番札を出していながら入札に成功した日商岩井は、その時期、同時に、同じくしてF15ダグラスとE2Cグラマンの予算化というようなことにも成功しているわけでございます。そしてその前には、当委員会で証人の証言にもありましたように、問題になりました四十七万ドルは、インドネシアの電信関係とそれから中近東の淡水化プロジェクトのための工作費として使われたというふうに了解しておるというふうに証人も証言で述べられておるわけです。
 そういたしますと、私はこの図表をつくりますに際しましてはかなり慎重を期したつもりでございますけれども、実際に国会の中での議事録、あるいは情報通の署名入りの記事――新聞、雑誌その他のですね。それから私どもに直接参りました情報などを集めまして、一応この図式をここにあらわしてみたわけですけれども、大変に疑問に思いますのは、暗合する部分が非常に多くございまして、日商岩井機械部が海外における大プロジェクトを企画いたしますたびにこのトルコ協会――一番最初のトルコの問題ですけれども、トルコ協会の会長はちなみに岸信介さんでございまして、それからLNGの問題にいたしましても、燃料部から機械部に移行して岸さんが介入すると成功する。淡水化プロジェクトについても川部氏を通じ岸さんを通じアドナン・カシオギ氏を通じると見事に成功すると、こういうことでございまして、同時に海外プロジェクトにおいて日商岩井が赫々たる成果を上げていると、時を同じくして航空機の売り込みに成功しておるという事実があるわけです。
 明確に申し上げますが、これから先は私の推測なんですが、たとえば航空機売り込みに政治工作をしても、その成功報酬はそのまま日本円で国内で受け取るようなことはなくて、そのまま海外プロジェクトの方に移行をする、そしてその第一のフィルターを通して海外のプロジェクトの中に持ってまいりまして、当委員会でも証人が明らかにしておりましたが、開発途上国などにおきましては領収証その他の明快な書類がない金が動くこともままあると、暗々裏に工作資金として流れることもお認めになっておられた部分があるわけです。ですからこの海外の大きなプロジェクトに参画するということの手数料あるいは工作費、成功報酬というかっこうで受け取るんではなかろうかと、この工作をなさるある方が。そういうかっこうでまいりますと、国内で航空機の売り込みに政治工作、あるいはかなりの関与をしても、外国に持っていかれたプロジェクトにまずフィルターをかけられて、もう一つそのプロジェクトに関与するということで成功報酬、手数料でもらうというようなことがありますと、現行法上からは贈収賄を立証することは大変むずかしいということになりはしないかと思うわけですね。
 それから、当面問題になっておりますところのボーイング、ボーイングと日航は直取引だと言われておりながら、何だか不明確な百五万ドルが入っておる。この百五万ドルの内訳ですが、突如あらわれてまいりましたアンゴラ航空というのが、これが問題になっております航空機販売手数料の三十万ドルというのを私文書偽造までしてこの疑惑を深めておる点でございますが、そしてこの使途不明金の四十七万ドル、これも間にだれか入っている人がいて、その入っている人の名前とこのメカニズムが明確になることを恐れて島田氏はみずからの命を縮めてしまわれたんではないがという推測もあるわけです。いずれにしましても、ただ単にE2Cの問題ということではなくて、こういうグローバルなかっこうで複合した形に成り立っているんではなかろうか。ですからこういうE2Cの問題を解明するためには、これだけの規模のものを深く追及していって明確にしてこないと疑惑は晴れないんではないかと私は思うわけですけれども、どの程度これについてお調べになっているかその進捗状況とか、こういう考え方で捜査をなさっていられるのかどうか、その点をまずお尋ねしたいと思います。
#255
○国務大臣(古井喜實君) さすがにあなたの見方は大きい。見方が大きいのでまことにどうも敬服しておるわけでありまして、大きく物を見るとあなたの見方も一つの見方として私は成り立つんではないかと思うのであります。
 大体から言うと、日本の企業活動もぐんぐん発展をしまして、国際的にこうやってきますし、それにはまたいろんな力を動員して使いますし、きょうの日本の法律とか制度とか、そういうものが追っついていけぬぐらい企業の方が先に行っちゃったような気がするんですね。ですから、これをいまの法律や制度やなどと関連して処理していこうということは、その意味では非常にむずかしい点があるんであります。で、断片的な処理というようなことになりかねないかもしらぬと思うのでありますが、しかし、こういうふうな見方もまた大いにわれわれも啓発をされて持っていかなきゃいかぬと思います。現実にきょう捜査当局がどの程度の考え方でやっておるか、どの程度のことがやれておるか、あるいは大分あなたの見方とは距離があるんじゃないかと恐れます。恐れますが、これもひとつ大いにわれわれの参考の資料にさしていただきたいと思っております。
 現実的なことは、もしお求めならどれだけのことがこれについてわかっているか、局長からお答えいたせます。
#256
○政府委員(伊藤榮樹君) ボスポラス大橋からサウジアラビアの淡水化の問題にわたるもろもろの日商岩井関係の出来事が整理されて記載されておるわけでございますが、私どもとしてはやはり犯罪になるかならないかという物差しを当てはめながら、かつ証拠を追って、証拠を得た上にまた証拠を積み重ねていくわけでございます。したがって、一定の構想を抱いて、あるいは予断を持って捜査をすることは許されないわけでございますが、そういう意味でいまお示しになりました図面の多くの部分はまだ捜査の対象になっておらないと思いますし、現実はそういうことでございますが、大臣もいまおっしゃいましたように参考にさせていただきます。
#257
○委員長(町村金五君) 時間が参りました。
#258
○青島幸男君 一つだけよろしゅうございますか。
#259
○委員長(町村金五君) 短時間、簡潔に。
#260
○青島幸男君 長々と説明さしていただきまして恐縮ですけれども、先ほども法律の改正まで考えなければあるいは徹底的な解明はできないというようなお話もありましたけれども、少なくともグローバルなかっこうで行われておりますものなので、腹を据えて対処していかないとなかなか解明しにくいのじゃないかと思いますので、相当のところまで上ってきても勇断を持って処していただくように法務大臣にも総理にもお願いを申し上げまして私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
#261
○委員長(町村金五君) 以上で青島君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#262
○委員長(町村金五君) 次に、円山雅也君の質疑を行います。円山君。
#263
○円山雅也君 まず、総理にお伺いいたします。
 正確には三月十七日のこの予算委員会で、本件の疑惑に関連して名前の出た政府高官、国会議員の証人喚問についてのお考えをお尋ねをいたしました。そのときに総理は、こういうお答えをされています。証人に立てるか立てないかは非常に純粋にその人個人の判断だと思う。それから、その方々の純粋な全人的判断でやってもらうのが正しいと思うというふうにお答えになりました。その節は時間切れでさらにお尋ねができませんでしたのでもう少し突っ込んでその点についてお尋ねをしたいと思います。
 そういたしますと、総理のそういうお考えですと、民間人を証人に呼ぶ場合ならばその点を考慮することなく喚問してもいいけれども、政府高官とか議員ならば「全人的判断」を尊重しなければならないということに相なるのでしょうか。
#264
○国務大臣(大平正芳君) 別に、民間であろうと政府高官であろうと私の考えに違いはございません。
#265
○円山雅也君 私がそのとき御質問したのは、なぜ政府高官や国会議員は呼ばないんでしょうかということに対してのお答えだったので、明らかに民間人と区別してのお答えだったんですけれども、総理はその点で、私はそういうふうに考える方が正しいというふうに言われておりましたが、むしろ私の方からするとそれは逆なお考えじゃないかと思うんです。と申しますのは、国会議員もそれから政府高官も当然公務員ですから国民の公僕であることに間違いない、とすればあるじの方の民間人の立場こそ公僕よりもよけいのこと尊重されるべきだし、また、証人は被疑者ではなくて国政調査権に協力をいただく立場でお呼びしているわけですから、とすれば順序としてはむしろ政府高官や国会議員の方がまずみずから率先して国政調査権に協力をすべき責務があると思うし、また国民の疑惑を晴らす責務があるというふうに考える。だから逆じゃないかと思うんですけれども、重ねてお答えをいただきたいと思うんです。
#266
○国務大臣(大平正芳君) 証人喚問に応ずるか応じないかは純粋に個人の問題であると、政党としてこれを慫慂するというようなことは行き過ぎじゃないかということが私の言っているすべてでございまして、ほかに他意はないんです。
#267
○円山雅也君 そうしますと、総理のお考えとしては、政府高官や国会議員をこちらへ呼ぶことは反対ではないんでございますか。
#268
○国務大臣(大平正芳君) まず国会でお決めになられて、御本人が御承知であれば、それはそれとして当然のことと思っています。
#269
○円山雅也君 ところが、国会で呼べませんのは、私ども野党はこぞって呼びたいと言っているんですが、まさに政府・与党が反対されるために呼べないんでございますよ。だとするならば、もし呼ぶことに総理が反対でないならば、総裁のお立場でもあるんですから、むしろ与党の反対を、反対するのは間違いではないかというふうに御勧告をいただいてもいい立場ではないんでございましょうか。
#270
○国務大臣(大平正芳君) たくさんの委員会がございまして、わが党も出先に仲間を送り込みまして、皆さん野党の方々と相談をいたしておるわけでございます。で、いまの証人喚問の件も、当委員会におきまして各党の間の話し合いに自民党も参加いたしましてやっておられることと思いますが、自民党の出先の諸君からどうしましょうかという御相談を私受けたためしはありません。これはその方々の良識によって処理されていることと思うのでございまして、私に御相談があれば、証人になる方の御意向はいかがでございましょうかと、それを尊重して差し上げるのがわれわれの立場じゃなかろうかと、党の方で慫慂するというようなことは行き過ぎじゃなかろうかと申し上げるはずです。
#271
○円山雅也君 大変しつこいようで恐縮でございますが、いま総理が、たまたま党の方から一回もそういうことについて相談がなかったと言われますけれども、じゃあもし総理として党の方から相談されたらば、総理としてはよろしいと、呼びなさいというお答えになりましょうか、それともやはり反対でございましょうか。
#272
○国務大臣(大平正芳君) 私、反対とか賛成とか言っておるんじゃなくて、証人になりなさいとかなっちゃいけないとかいうようなことは党が介入すべきことでないと申し上げておるだけです。
#273
○円山雅也君 では、続いて法務大臣にお尋ねをいたします。やはりいまに関連した御質問でございます。
 三月十七日の私の質問に対しまして、法務大臣はこういうお答えをいたしております。「やはりめいめいの政治的な考え方、信念というものによって自分が自発的に出てやるかやらぬかということを考えるのが、いやしくも国会議員ともあろう人たちは判断はできるはずですから、これはやはりめいめいの自主的な判断を尊重するという、そういう考え方は私はわかるような気がいたすのです。ですから、総理がさっき答えられたことと同じことに帰するわけでございます。」という御答弁をされました。そこで、法務大臣は御専門の立場ですからおわかりと思いますが、たとえば名誉棄損罪を例にとりましょう。民間人の場合、その人がめかけを持っているという記事を書かれても、その記事に公共目的がなければ事実でも名誉棄損罪が成立します。ところが公務員の場合ならば、めかけを持っていると書かれたことが事実でありさえすれば、公共目的の有無にかかわらずこれは無罪になっちゃう。この差は、公務員というのは公僕であって常に国民の批判の目にさらされても仕方がないと。だから、民間人の場合なら事実であってもさらに公共目的がなければ名誉棄損罪は成立するけれども、公務員の場合ならば、国民の目に批判にさらされているんだから、そういう立場なんだから、公共目的なんかなくたって事実であれば名誉棄損罪は成立しないということになるわけなんですね。そうしますと、法務大臣は自主的な判断を尊重されると言われますが、自主的な判断を尊重されるのは逆に民間人を呼ぶ場合であって、政府高官、国会議員は、本件の証人喚問のような場合、むしろそれを度外視しても呼ぶべきじゃないんでしょうか、逆に。その点についてちょっとお考えをお聞かせいただきたい。
#274
○国務大臣(古井喜實君) やはり政治家個人個人のこれは問題になると思いますので、これは個人個人の信念、考えによって自分はどうするということを決めるであろうし、また、そうさせる、そういうふうにあるのが私は正しいあり方じゃないかと思うのでありまして、めいめいの考えということを抜きにして、党として出なさいとか、そういうことを言うのはどういうものだろうか、政治家個人の問題ですから。それは国会でお呼びになるかならぬかはこれはまた国会の独自の立場でお決めになる問題であり、そこに対して、何といいますか、こうしなさい、ああしなさいと国会に言うわけのものでもなし、個人に対して、政治家個人に対して言うべきものでもない。やはりそういうものじゃないだろうか。あとはいわば個人の考えであり、いわば政治的道義的な問題になってくるのでありますから、そういうふうに考えるべきものじゃないかと、終始私はそう思っておるのであります。
#275
○円山雅也君 私が総理にも法務大臣にもお聞きしているのは、積極的にお二人が指示をして出なさいとかそういうことをしろと言っているんではない。じゃあ法務大臣の仮にお考えとしてはどうでしょう、こういう場合むしろ民間人よりも進んで国会議員や政府高官は出るべきだとお考えでしょうか、それとも、いや民間人と区別して国会議員や政府高官の場合は自主的な判断に任せる、それを尊重するんだというお考えでしょうか。
#276
○国務大臣(古井喜實君) 特に国会議員の場合に出ろとか出るなとかということを言うという、だれかがですね、それはまあどんなものだろうかと言っているのであります。それはめいめいの考えといいましても、公の地位を持っておる、立場を持っておる人、それなりの社会に対しても大きな責任を持っておるはずですし、ですからめいめいが考えるときは、そういう立場、あるいは指導的な立場におる人は普通人以上に厳しい考え方を持たなきゃならぬ、そういうものだと思うのでありますけれども、しかしこれはめいめいに強制するとかこうありなさいとか言うべきものではなく、めいめいが考えると。それくらいなまた考えを持つ人が政治家になったり指導的立場に立つべきだと私は思うんです。で、それを他からどうこうというんじゃない、そういうふうになるような早く社会になった方がいい、めいめいがそういうふうに考えるようにですね。私はそういうふうに思うんです。
#277
○委員長(町村金五君) 時間が参りました。
#278
○円山雅也君 あと一点だけ。
 法務大臣、しかし民間人の場合は出てこないと不出頭罪で引っ張ってくるんですよ。それを政府高官の場合だけに限って任意の意思に任せる任せるというどうして区別が出てくるのでしょう。民間人の場合は出なきゃ不出頭罪だとこう言う、政府高官の場合任意の意思だと、その辺の区別はどこでされているんでしょうか。
#279
○国務大臣(古井喜實君) 出てこいということが決まった場合に、そのときに、いや出なくてもいいんだと、これは一つの問題だと思うんです。出てこいという問題になっていないんだから、そこには話が来ぬと思うんです。
#280
○委員長(町村金五君) 以上で円山君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 これにて外国航空機購入予算問題についての集中審議は終了いたしました。
 午後三時から委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。
   午後一時五十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時一分開会
#281
○委員長(町村金五君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和五十四年度総予算三案を一括して議題といたします。
 まず、締めくくり総括質疑に関する理事会での協議決定事項について御報告いたします。
 質疑日数は本日及び明日の二日間とすること、質疑時間総計は百六十分とし、その各会派への割り当ては、日本社会党七十三分、公明党三十六分、日本共産党二十二分、民社党十五分、第二院クラブ及び新自由クラブそれぞれ七分とすること、質疑者及び質疑順位等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること。以上でございます。
 右、理事会決定どおり取り運ぶことに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#282
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#283
○委員長(町村金五君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和五十四年度総予算三案審査のため、新東京国際空港公団総裁大塚茂君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#284
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認めます。
 なお、出席日時等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#285
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#286
○委員長(町村金五君) 質疑に入るに先立ちまして、大平内閣総理大臣から発言を求められております。内閣総理大臣大平正芳君。
#287
○国務大臣(大平正芳君) 政府は、昭和五十四年度防衛関係予算のうち、早期警戒機E2C購入に係る歳出予算十六億七千三百万円及び国庫債務負担行為三百六十三億八千万円については、今国会における予算委員会の審議の状況を踏まえ、慎重かつ公正な執行に配慮し、当該予算の執行については参議院議長の判断を十分に尊重する所存であります。
    ―――――――――――――
#288
○委員長(町村金五君) それでは、これより久保亘君の締めくくり総括質疑を行います。久保君。
#289
○久保亘君 最初に、ただいまの総理の見解表明に関連をして、法務大臣、あなたはE2Cの予算凍結解除の時期に関連をして、記者団に何かあなたの考え方を述べられたことがありますか。
#290
○国務大臣(古井喜實君) いまお尋ねのことですが、院外のことですから余り慎重でなかったかもしらぬですけれども、多分あれではないでしょうか。アメリカの議会が七月から開かれる、そこで、このE2Cを導入するという問題になれば、そのアメリカの議会にかけるという問題があるんじゃないか、そういう意味で、それに間に合わないと一年おくれちゃうというようなタイムリミットがあるんじゃないかと、そういうことは――これは何も私が言うんではない、客観的な事実ですからね、あるいは言ったこともあるかもしらぬと思います。
#291
○久保亘君 総理大臣ね、いま総理が政府の見解を述べられたことに関連をして、閣僚の間で不用意なその種の発言をされるということはきわめて不穏当だと思うんですが、いかがですか。
#292
○国務大臣(大平正芳君) 予算はまだ審議中でございまするし、航空機輸入に関する問題も究明中でございますので、発言は慎重でなければならぬと思います。
#293
○久保亘君 特に、この疑惑解明の責任ある立場にある法務大臣が、アメリカ議会との手続の関係などもあるからそれを念頭に置いて考えにやなるまいというようなことを言われるということは、いま総理が述べられた政府見解がいかにもおざなりな表明ではないかというような印象を与えるんです。
 私は、総理大臣、もしこの疑感の解明が依然として根深いものがあって進まないということになれば、五十四年度の手続上もう執行がやむを得ないということになっても、これはいたし方ないのではないかと思うんですが、別にいま総理大臣がそうなることを望んでおられるという意味じゃありませんけれども、もしこの疑惑がますます深まって、解明しなければどうにもこの国会との約束を守れない、こういうことになりました場合には、アメリカ議会との手続の関係ということよりも、その方が先行して尊重されなければならぬ、こういう立場については私と同じ認識に立っていただけますか。
#294
○国務大臣(大平正芳君) ただいまこの予算の執行についてお決めいただきましたことは、衆議院及び参議院におきましてそれぞれ議長の判断を尊重するようにということでございまして、私といたしましては、両院の議長の御判断を十分尊重して慎重に対処いたすつもりでございます。
#295
○久保亘君 法務当局にお尋ねいたしますが、先ほど集中審議の中で有森氏が外為法の訴追を受けることはないだろう、こういうことでございましたが、有森氏は本委員会において訴追を受けないことが明らかになれば真実を述べる、こういうことを言われておるわけでありまして、したがって法務当局が時効完成を前提にして有森氏の取り調べをされるということになれば、検察当局は海部メモに関する真実を知り得る立場にある、私はこう思うんですが、その点はいかがですか。
#296
○国務大臣(古井喜實君) ただいまの問題は、本当は正確によく知っております事務当局が来た上がいいと思いますが、いまに来ると思いますが、大ざっぱのことはむしろ言わぬ方がいいと思いますけれども、後でいまのを……。
#297
○久保亘君 私が言いましたのは、論理的に言いますと、これは刑事局長が出席していようがいまいがそういうことになるんでありまして、そういう点では、この問題が仮に時効を完成していたとしても、刑事訴訟法四十七条のただし書きに基づいて、この事実が明らかになればこれは公表されるべきものと考えておりますが、法務大臣、いかがですか。
#298
○国務大臣(古井喜實君) 待っていただけないようなんで困るんですけれども、大体十数年前のことが問題になっておったので、それはその問題自身は時効ということになるんじゃないかということはそうなんでありますが、ただし、これがまた事態解明に関連をするところも――それ自体が犯罪になるならぬは別にしまして、というところもあったり、それから告発の問題がありましたり、そういう関連で、これ調べないでいいというふうにまでは考えていないというのが恐らく捜査当局の立場ではないかと、そう思っております。
#299
○久保亘君 それじゃ刑事局長は出席できぬのかな。――あなたは関係ない。聞いておらぬものを答えることない。
#300
○委員長(町村金五君) 私が発言を許しましたから。
#301
○政府委員(真田秀夫君) 委員長から御指名がございましたので、刑事訴訟法の解釈を申し上げます。
 先ほど御引用になりましたように、刑事訴訟法第四十七条というのがございまして「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。」というのが大原則でございます。これにただし書きがございまして「但し、公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない。」と、このただし書きに該当する場合は、もちろん公表して差し支えないというわけでございますが、これはケース・バイ・ケースで非常に慎重にやはり取り扱うべきものであろうと思います。
 といいますのは、この四十七条本文の規定の趣旨といいますのは、これは被疑者、被告人その他の関係者の人格、名誉の問題、それから公判に対する裁判所の判断に対する影響を与えてはいけないとか、あるいは今後における捜査の運用について悪影響があっちゃいけないというような趣旨から本文ができているわけでございまして、その本文にまさる公益上の必要がある場合には、これは公開して差し支えない、こういう規定でございますので、ただいまお述べになりましたように、時効にかかっておりましても、関連事件の裁判所の判断に影響を与えるというようなおそれがある場合には、これはやはりケース・バイ・ケースによって考えなきゃいけないということに相なろうかと思います。
#302
○久保亘君 いまのような話は質問もしないのに出てきて言ってもらうことはないんで、そんなことはわかっておるんです。
 それで、私は、これはやっぱり政府の一つの疑惑解明の責任という立場でお尋ねしているんで、少なくとも、ロッキード事件のときには、三木総理が四十七条ただし書きの問題についてかなりはっきりした立場をここで表明されたことがあります。
 総理大臣、海部メモというのは、いまこれはこの事件の解明に当たっては非常に重要なポイントとなるものです。この真実が捜査当局によって明らかになってきた場合に、これはたとえそのことが時効にかかって犯罪を構成しないとしても、疑惑解明上必要な公益の立場に立ってこの事実は公表さるべきものと、こういうふうにお考えになりますでしょうか。
#303
○国務大臣(大平正芳君) いま捜査が進行中でございますので、この事件捜査が進みまして、問題のことにつきまして判断が出てまいりました場合におきまして慎重に考えなければいかぬ問題だと思います。
#304
○久保亘君 総理大臣は、いまE2Cに出発をした航空機輸入にかかわる疑惑は、捜査や国会の審議を通じて依然として深まっている、疑惑は深まっているという認識をお持ちでしょうか、疑惑はもうほとんど解明をされて問題はなくなりつつあるとお考えになっておるんでしょうか、どちらですか。
#305
○国務大臣(大平正芳君) 政府の捜査当局並びに関係当局は熱心に精力的に真相の解明に当たっておりまするし、国会もまた一生懸命にこの調査に当たられておるわけでございまして、漸次問題の真相が明らかになりつつあると存じております。
#306
○久保亘君 真相が漸次明らかになりつつあるということは疑惑が次第に深まっていると、こういうことなんでありまして、商社の疑惑は全体の問題解決の入り口でありまして、これと政界とのかかわりがどうであったかということを解明することなしには、先ほどあなたがお述べになりました政府見解に基づくE2C予算の凍結解除ということはあり得ない、私はこう思うのですが、いかがですか。
#307
○国務大臣(大平正芳君) いま真相が解明されつつございまするし、政界との関連につきましても明らかに、あるかないのか、あるとすればどういうあり方であるのか、そのあたりが明らかになってくるだろうと思います。その進展をまず見なければならぬと思います。同時に、政府は、予算を編成して、そして成立さしていただきまするならば、その執行に当たる責任があるわけでございまして、この責任を果たしてまいる上におきまして、こういう事案が絡んだ問題であるということを踏まえた上で、両院の判断は、その執行に当たって両院議長の判断を尊重してやれということでございます。私は、両院議長とも賢明なお方でございますから、その御判断を尊重してやるべきであるといま考えておるわけでございまして、具体的にいつ、どういうことでというところまでまだ考えは及んでおりません。
#308
○久保亘君 何度も念押しをして相済みませんが、両院議長の判断を尊重するということは、両院の議長の同意なしには執行されない、こういうふうに考えてよろしゅうございますね。
#309
○国務大臣(大平正芳君) 両院議長のともかく御判断を尊重してやるということでございますから、私といたしましては、その御真意なるものを十分にくみ取ってやらなければならぬ立場にあると思います。
#310
○久保亘君 大平さんの顔を見ていると、これ以上ちょっと言いにくいので、この問題はそれだけにしておきます。
 次に、防衛庁に、三月九日に私が指摘いたしました防衛庁の広告について防衛庁長官は善処を約束されたんでありますが、その結果について御報告いただきたい。
#311
○国務大臣(山下元利君) 御指摘の点につきまして、まず、本広告が一日最低一機が日本の空に接近している旨記述している点でございますが、昭和五十二年度における緊急発進の回数は、本広告記載のとおり、四百九十六回であります。しかしながら、緊急発進は一つの目標に対しまして複数の基地から数次にわたって行うこともありますし、また、一つの目標が複数機であることもあります。したがって、緊急発進の回数は、それが直ちにわが国に接近した航空機の回数または機数を示すことにはなりません。ちなみに、ソ連機のわが国への接近飛行回数は、昭和五十三年版防衛白書にも明らかにしておるとおり、年間約二百回であります。
 次に、「不明機のほとんどは最新鋭のジェット戦闘機」である旨記述している点ですが、緊急発進機が視認したものの多くは爆撃機タイプの航空機であります。
 今回の広告は以上の二点において適切なものとは言いがたく、このような広報が行われたことはまことに遺憾でございます。責任者に対しましては、私から厳重に注意するとともに、今後の広報活動について、より一層慎重、適切を期するよう強く指示したところでございますので、御理解賜るようお願い申し上げる次第であります。
#312
○久保亘君 厳重注意を受けたのは、だれとだれですか。
#313
○国務大臣(山下元利君) 防衛庁の官房長と広報課長でございます。
#314
○久保亘君 この広告については、当初、防衛庁は別の週刊誌を発行しているところへ依頼をされて断られて、また他の週刊誌に依頼をして掲載をしたという経緯があるようですが、それは間違いありませんか。
#315
○政府委員(塩田章君) 間違いございません。そういう経緯がございます。
#316
○久保亘君 その事情を説明してください。
#317
○政府委員(塩田章君) 防衛庁では、各年度、三ないし四の一般週刊誌に広告記事を掲載を行っておりますが、五十三年度は「週刊サンケイ」「週刊文春」及び「プレイボーイ」の三誌に実施をいたしました。実は、いまのお尋ねの点は「週刊サンケイ」に掲載するに当たりまして、当初「週刊ポスト」との間に話が進んでおったわけでございますが、広告代理店が「週刊ポスト」と防衛庁の記事掲載につきまして折衝されました結果、「週刊ポスト」側の御都合で実施が困難であるという連絡を受けまして、結局「週刊サンケイ」にかわったという事情でございます。
#318
○久保亘君 ポストからサンケイにかわりますときに、「週刊ポスト」の方では、その掲載内容について異議があって断られたのですか、どうですか。
#319
○政府委員(塩田章君) 私ども広告代理店と折衝しておりますので、広告代理店と「週刊ポスト」側の事情については詳しくは存じておりませんが、私ども、ただ「週刊ポスト」側の都合により実施が困難であるという連絡を受けているのみでございます。
#320
○久保亘君 「週刊ポスト」側の言い分は、原稿を一見して掲載拒否を御返事しました、内容が有事を想定した自衛隊活動と受け取れるのでありますと、そうじゃないと防衛庁側はしきりに弁明されましたけれども、編集部の姿勢と相入れないと判断して断りましたと、こういうことなんですが、それは間違いありませんか。
#321
○政府委員(塩田章君) その辺の事情につきましては承知いたしておりません。
#322
○久保亘君 少なくとも一カ所へ持っていって断られたら、その断られた事情について調査の上、広告の内容を再検討する機会があったんじゃありませんか。
#323
○政府委員(塩田章君) 先ほど申し上げましたように、幾つかの週刊誌を年間お願いしておりまして、今回の場合「週刊ポスト」が都合悪いということで、検討いたしました結果、「週刊サンケイ」にお願いをしたわけでございます。
#324
○久保亘君 これ以上お聞きしてもお答えにならぬでしょうから、最後に、総理大臣、総理はこのような広告が事実なら許せないことだと先般お答えになりました。許せない事実が明らかになったんですが、ひとつ総理大臣の御見解も承っておきたいと思います。
#325
○国務大臣(大平正芳君) 政府の広報はまず正確でなければなりませんし、正確という意味は、誇張も含んで、真実でなければならぬ、誇張があるようなことがあってもいけないと思います。そういう意味におきまして、いま問題にされておりまする広報は妥当でないと考えておりまして、防衛庁がしかるべき措置をとったようでございますけれども、今後、一層戒めていかなければならぬことと思っております。
#326
○久保亘君 内閣の責任者としては、防衛庁長官に対して一言注意があってしかるべきものだと思いますが、いかがでございますか。
#327
○国務大臣(大平正芳君) 山下長官には、御就任以来、大変真剣に防衛行政を担当していただいておりますので、私としては、その山下長官に評価しかつ感謝いたしております。改めて、この問題につきまして、特に注意はそういう意味で申し上げたことはございませんけれども、今後、こういうことのないように戒めていただけるように注意はいたしたいと思います。
#328
○久保亘君 私、別にいやみで言ったんじゃなくて、これは海部さんじゃないけれども、職務権限上の監督責任というのは非常に重大なんでありまして、しかも防衛庁長官に御就任になってから後起こった問題でありますから、その点はしかとひとつ総理大臣としてお受けとめいただきたいと思うのであります。
 次に、先ほど、刑事局長、法務大臣があなたがいないと勤まらぬ、こういうことでありましたが、有森氏の問題について、訴追を受けないことが明らかになれば海部メモについて真実をここで述べることができる、有森氏はこう証言されておるわけです。で先ほどのあなたの御説明によりますと、時効完成を前提にして有森氏はお取り調べになっていると考えておるんですが、そうすれば、検察当局としては、当然に海部メモに関する真実をお知りになることができると思いますが、そう理解してよろしゅうございますか。
#329
○政府委員(伊藤榮樹君) けさほども御答弁申し上げましたように、有森氏に係る証言拒絶の事件とそれから福田赳夫氏の告訴に係る名誉棄損事件、この捜査を徹底いたしますと、好むと好まざるとにかかわらず、お尋ねの問題に踏み込まざるを得ないというふうに考えております。
#330
○久保亘君 その場合、この海部メモの書かれたこと、その内容が仮に全体的に時効であったとしても、この問題は全体の真相を究明していくために重要な問題でありますから、刑事訴訟法四十七条のただし書きに基づいて公表できるものだと考えておりますが、いかがですか。
#331
○政府委員(伊藤榮樹君) 先ほど申し上げました二つの事件の捜査が終わりまして、仮にそれらに関して公訴が提起されるということになりますれば、関係部分は逐次公判廷で明らかにされるわけでございまして、その限りにおいて、当然、国会からの御質問があれば内容を明らかにお答えをしていく、こういうことになると思います。
#332
○久保亘君 わかりました。国会で御質問申し上げれば内容を明らかにするということでありますから、その点は了解をいたしました。
 次に、アメリカのスリーマイルアイランド原子力発電所の事故についてお尋ねをいたしますが、このスリーマイル島原子力発電所の事故について、政府としてどのような受けとめ方をしていらっしゃるのか、総理大臣の御見解を承りたいと思うのであります。
#333
○国務大臣(江崎真澄君) 所管でございますので、私から先に答弁をさしていただきます。
 この事故に関し、その原因及び状況につきましては、現時点においてはまだ詳細な点は明らかになっておりません。今回の事故は、加圧水型炉の安全対策を考える上で非常に重要な意味を持つものであるというふうに受けとめております。これは正確な情報の入手に努めまして、詳細な検討を進めるため目下鋭意努力中でございます。なお、もしいままでの経緯等詳細が必要であれば、事務当局からよく説明をいたさせます。
 特に、今回の事故が発生いたしまして、通産省としては原子炉の安全対策を考える上で非常に重要な意味を持つものであるという認識に立っております。そこで、三十一日、本来ならば原因が明らかになりましてから関係業界に連携をするのが常識でありまするが、これはやはり緊急の問題でありますから、そういう認識のもとに、直ちに資源エネルギー庁長官をして関係電力業界に対して原子炉の再点検を求めたわけであります。これは保安の管理、それから特に運転管理体制を中心に速やかな再点検をするように、しかも再点検の結果については速やかにと言っておりまするが、一週間以内に返事をするようにと、こういう期限を付しましての注意をいたした次第でございます。
#334
○国務大臣(大平正芳君) いま通産大臣から御報告申し上げましたように、アメリカにおける事故の原因、状況等をまだ詳細に掌握いたしておりませんけれども、重大な関心を持ってその成り行きを見ておるわけでございますが、まず、政府がやらなければならぬことは、この原因と状況を詳細に把握することが第一だと思うのでございます。そのためには所要の要員も派遣いたしまして、それに努めたいと考えております。それを基礎にいたしまして、より周到な安全対策の充実に努力することは当然の務めであると考えております。
#335
○久保亘君 科学技術庁長官、今度の原発事故については、科学技術庁としては予想できない事故であったのかどうか、その点を答えてください。
#336
○国務大臣(金子岩三君) わが国の場合、同型の発電所が八つ入っておりますが、いままでにわかった事故の個所等を考えますと、わが国の同型の原子力発電の構造とは構造が違っていますので、わが国では全く予想のできない事故である、こういう判断を原子力安全委員会で結論を出しておるわけでございます。
#337
○久保亘君 科学技術庁では、この事故が発表されまして直後、原子力安全局長は、この原因がもしわかって、日本の加圧水型発電炉にも共通のものだとわかれば対策を考える、アメリカで使っているものとわが国で使っているものとはメーカーが違うので慎重に調べたいなどと大変のんきな話をされているんでありますが、また、長官は、この軽水炉は完成品になっていない面があるという意味のことを言われたということでありますが、これは事実でありますか。
#338
○国務大臣(金子岩三君) 前段の技術的な問題は政府委員がお答えしますが、後段の完成品云々は、この事故が発表されましてから大変いろんな情報が錯綜して入ってまいりました。で、この事故によって原子力発電をどう考えておるかというような記者諸君からの御質問がございましたから、私は、この事故を謙虚に受けとめて、やはり心情的にはまだ完成の域に達してないなあというような私の精神を申し上げたのでございます。
#339
○政府委員(牧村信之君) ただいま先生の御指摘でございますが、必ずしも私の真意ではございません。この事故は、わが国を初め世界各国の軽水炉を開発している国にとって非常に大きな、いままでかつて原子力発電で起きたことのないような大きな事故でございます。したがいまして、私が炉型が違うから何でもないんだというふうな趣旨にとられたとすれば、私、反省いたしますが、そういう趣旨で申し上げたことはございません。
 実は、この問題を受けましてから、私ども原子力安全委員会の事務局といたしまして非常に心配して、安全委員会におきましての審議に参考に資するためにいろいろの情報を米国等から入手すべく努力しておるところでございます。しかしながら、現在の日本におきます加圧水炉というものはメーカーが違うことは確かでございます。また、そのメーカーの違いによりまして、その設計におきましてどういう違いがあるかということは、今回事故を起こしましたB&W社のものの設計等を確実につかんでいないわけでございますので、明確なことを言う段階ではないわけでございますが、伝えられる原子炉の事故が二次冷却系のポンプのふぐあいからああいうふうに大きくなっていったということをいろいろチェックいたしてみますと、日本においては、一次、二次の冷却系のポンプが壊れましたときには、直ちにその補助ポンプが稼働できるように、弁はいつでも開放されておるというようなこと等を考え合わせますと、日本では若干考えられないような原因が積み重なっていっておるということも事実でございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、その場その場の状況を判断していかなければなりませんし、そういう状況下において安全委員会でも一つの考え方を出していくことも重要であろうかと思っておるわけでございまして、慎重にこの外国の、アメリカの事故の情報をとりつつ今後とも慎重な検討をしていく必要があるものと考えます。したがいまして事故原因等が解明されました暁には、当然、日本の原子力の安全規制のために役立てて、さらに万全の安全規制を進めていかなければならない問題であろうかと考えておるところでございます。
#340
○久保亘君 事故というのは、予想されて起こる事故などというのはこれはないのであります。アメリカの型と型が違うからということでもって、この問題を、日本においてはこのような事故はあり得ないというような結論を下すということは大変私は間違いだと思っております。
 そこで、原子力安全委員長は、二十八日に起きた事故に対して、三十日にようやく原子力安全委員会を開かれたのは、今回の事故はあくまでも対岸の火事だとお考えになっていたのではないか。しかも、この三十日の安全委員会の後、日本ではこのような事故はほとんどあり得ないという御意見をお述べになったようでありますが、それはどういう根拠によるのか、その点をお話しいただきたいと思います。
#341
○説明員(吹田徳雄君) 私、アメリカのこの事故を知りましたのは二十九日でございます。最初に私の感じましたのは、こういう事故は日本で起こしてはならないということでございます。それで三十日九時過ぎから安全委員全員を集めまして五時、六時ごろまで、この事故に関係のある専門の審査委員七人を集めまして、真剣にこれに対して、どういうふうにわが国でこういうのを未然に防ぐことができるかということを検討いたしました。
 で、御承知のように、いま局長からもお話しのように、B&Wとウエスチングの設計は違うということはもちろんでございますけれども、加圧水型でございますので、この点は共通な性質を持っております。われわれといたしましては、その二十九日から三十日にかけましてアメリカから入りますいろんなニュースは非常にまちまちな値、見方でございまして、その中から一番正しいデータ、正しいものは何かと実は検討したのでございます。そういたしますと、これはどのニュースからも読み取れまして、特に規制委員会のデータから読み取れますことは、蒸気発生器の二次の冷却システムに故障を最初に発見しております。そういうこの大きな事故の発端は二次の冷却システムからスタートしたという事実は、これは全部のニュースにほとんど一致しておりますので、私たちはこれは非常に正確に近いデータであろう。それからもう一つ、だんだんニュースが入ってまいりますと、これには非常に人為的な誤操作、誤動作のようなのが非常に重なっているんじゃないかというのも、私といたしましては、共通な正確さでわれわれの委員の頭に入ってまいりました。ですから、その二つのことを私たちは基盤にいたしまして、それらのニュースの中からこの二つは確かであろう。
 さて、日本でこういう大きな事故を起こさないようにするには、いまわれわれは何をなすべきかということを実は真剣に考えたのでございます。幸い、わが国の原子力開発はすでに二十年を超えておりまして、原子力発電の建設、運転の経験は十年以上を超えておりまして、それから安全研究というのは、御承知のように、原研、動燃、放医研または大学、メーカーの安全研究というのは、非常に幸せなことに最近は国際的なレベルになってまいりました。こういうわが国のいろいろな経験と知識とを私たちはバックにいたしまして、その二つの最も確からしいと考えられる事実を基盤にいたしまして、私たちは、早急に、この日本にこういう一大事故を起こさないようにするには、いま打てる手は何であるかということを、実は真剣に考えたのでございます。
 そうしますと、その最初のインプットを二次の冷却システムの故障にやりまして、現在日本にありますウエスチングハウスのPWRに入れてみまして、それから発生いたしますいろんなシークェンスを一応考えまして、アメリカのような事故に到達するにはどうしてできるかということをいろいろ検討いたしますと一それは非常に困難である。つまり非常に起こりにくいというわれわれの判断でございます。しかし、事故というのは、そういう非常に起こりにくいものでございますから、それをできるだけゼロに近づけるには、いま私たちは何をなすべきかということを三十日に考えました。それは核多重防護の思想から言いますと、核防護のそれぞれを非常に完璧にすることなんです。それが完璧でございませんと、アメリカのようにまずなるであろうということが考えられますので、それをいまなすためには設計基準はもちろんでございますが、基本的な設計、それからその運転前の検査、それから定検等に、われわれはいま非常に真剣にそれに取り組む必要があるというのが一つでございます。
 その次は、先ほど言いました、もう一つの非常に確実らしいことは、人的な非常な誤操作でございますから、これをやるには、やはり従業員の保安管理あるいは運転マニュアル、その従業員の訓練ということが、このヒューマンエラーを防ぐには、いまわれわれのなし得る二番目のことであろう。
 したがって、あの委員長談話をごらんいただきますと、いま申し上げました二つのことを実はやりたかったのでございます。それと並行に、やはりアメリカのいろんな原因の真相を知る必要がございますので、専門委員の派遣でございますとか、われわれの力の及ばないことはできるだけ多くの人の知恵をかりて、わが国の原子力における安全規制はわが国でこれを解決しなければならないという気持ちで、実はあの談話をできるだけ早く発表したのでございます。
#342
○久保亘君 そういたしますと、いまわが国において、このような事故を起こさないようにするには何をなすべきかということでいろいろ御検討になるということは、日本ではこのような事故はあり得ないという前提に立っては考えられないことでありますから、これは日本においても原発が存在する以上、予測できない事故に遭遇することがあり得る、こういうことで安全委員会としてはいろいろと今後の対策を御検討になるものと、こう考えてよろしゅうございますか。
#343
○説明員(吹田徳雄君) おっしゃるように、非常に理論的に申し上げますと、それはゼロではございません。しかし、先ほど申し上げましたように、その最後の事故に持っていくためのいろいろな防壁がございまして、その防壁を非常に完全にしてまいりますと、その発生いたします割合というのは非常に少なくなるということも事実でございます。
 しかし、原子力というものは、われわれ人類になじみまして、特に平和利用というのは人類にとってまだそんなに長い歴史を持っておりません。したがって万々一にもそういうアメリカのような事故を起こしてはならないんでございますけれども、もしもそういうことが起こっても、なおかつ、われわれとしてはその災害をできるだけ小さくするという予備のバックアップとして私はやはり考えておく必要があろうかと思います。
 でアメリカのいまやっております事故の詳細なデータはまだ十分われわれのところには入っておりません。その事故がどういう原因で――先ほど申し上げました二つの原因は確かでございますけれども、いろいろなまだ不明瞭なところがございますので、そういう原因といろんなシークェンスが十分わかりましたならば、アメリカで起こっておりますような事故をなるべくゼロにするように私たちは今後努力いたしたいと思います。
#344
○久保亘君 科学技術庁は、こういう重大な事故が発生をして、そして早急にいろいろな調査を進めなければならない時期に、どうして核燃料規制課長、放射線安全課長を一挙に人事更迭されたのですか。
#345
○政府委員(牧村信之君) 現在、科学技術庁並びに安全委員会の委員の先生が、たまたまこの事故が起きましたときにアメリカにおりました。そこで田島先生がしばらくアメリカのワシントンに駐在いたしまして、事故等の原因の収集を科学技術庁の職員でございます安全調査室長と行っておったわけでございます。で、田島先生はもうしばらくしてお帰りになりますが、安全調査室長は引き続き現地にとどめさせまして調査をいたすことにいたしております。で先ほど吹田委員長がお話し申し上げましたように、さらにそのほかにも安全審査委員の先生に出張していただくという決定を本日いただくことになっております。
 で先生御指摘の私どもの方の課長の更迭でございますけれども、これは一応人事上の問題でございますが、私どもが後任としてもらった人間も長く原子力行政あるいは規制行政に携わっておりまして、いま現に原子力のことをやっておる人間でございますので、何らその引き継ぎにつきましては差し支えないというふうに核燃料規制課長については考えております。また、安全課長につきましては、これは労働省との出向人事でございますが、いただく方は、労働省の安全規制行政に非常に卓越した方であるというふうに聞いておりますので、この重要なときに引き続き重要な任務をやっていただけるものと確信して私は更迭に賛成したものでございます。
#346
○久保亘君 役所の人事というのは定期異動になっているから、いろいろ理屈を言われぬでも私もわからぬわけじゃないんです。しかし、今度のように重大な問題が起きているときに、核燃料規制課長と放射線安全課長を同時に、いま事故が起こってこれからいろいろやらなければならぬそのときにぱっと更迭せぬでもいいんですよ。やはりそういう専門の課長というのはしばらくこの問題の調査が終わるまでは引き続きその仕事を担当させてかえればよいのであって、定期異動だからといってその人事更迭をすぐやってしまう、そういうのは今度の事故に対して原子力安全局は真剣に考えておらぬのじゃないかと私は考えておるんです。そうじゃないですか。
#347
○政府委員(牧村信之君) ただいまの米国における事故に関連いたします安全局の所掌といたしましては、原子力安全委員会の安全審査等を所掌する原子力安全調査室長、それから原子炉の規制を担当しております原子炉規制課長、この二名が課長レベルでの責任者でございまして、燃料課は再処理問題、それから燃料加工問題等を所掌しておりますので、この問題に対する直接の私を補佐する責任者は十分いままでどおり確保されておりますので、先生の御指摘ではございますけれども、十分対処できると考えて発令したものでございます。もしこの更迭いたしました人間が原子炉規制あるいは原子力安全委員会で原子炉の審査等を担当する課長であれば、これは問題でございますので、先生御指摘のように、時期を延ばすとかいうような配慮をするべきであったと思いますが、幸いにして若干担当が違いましたので、こういう配置がえをした次第でございます。よろしく御了承いただければとお願いいたします。
#348
○久保亘君 その問題はもうそれ以上は言いませんが、原子力安全委員会というのは、私は、わが国の原子力行政は原発無事故主義というのを前提にして、その安全性を住民にどう説縛するかということに力点を置いてきたのじゃないか。これは安全局も同じことです。私もしばしば原発建設の現地の人たちと科学技術庁で話をしたことがありまして、そういう印象を非常に強く受けるのであります。原子力利用に対する住民の知識が足りないために不安がある、だからその不安を啓蒙してやるという思い上がった行政姿勢というものはなかったのかどうか。その前提は、特にアメリカにおいて事故がないということを裏づけに使ってきた。その根拠が一挙に崩れ去ったわけでありますが、この原発無事故主義を前提にして住民を説得をするというようなその考え方というものが存在していたとすれば、これは根本から改められなければならない問題だと思いますが、いかがですか。
#349
○政府委員(牧村信之君) 原子力安全局が実は発足してそれほど長いわけではないわけでございますが、その前は、確かに先生御指摘のように、原子力局の中で規制と推進の業務を進めてきておりまして、ややもすると推進の方の加担をしておるように思われる面もあったかと思いますが、安全局ができましてからは、私どもは安全確保を任務とする部局であるということに徹して、いささかも推進側に利するようなことをすべきではないということは先生御指摘のとおりであろうと思います。しかしながら、地域の住民の方々と、しからばどんな規制をしておるのかというようなお話をする機会が非常に多いわけでございますが、それが担当者等のややもすればまだ不十分な表現の仕方等があったとすれば、われわれ大いに反省しなければならないと思いますが、そういう住民の方方とのいろいろな対話があるわけでございますので、今後は、そういう点につきましては慎重に配慮して進めてまいりたい、かように考える次第でございます。
#350
○久保亘君 原子力学者の言われた有名な言葉の中に、魂を悪魔に売り渡す覚悟がなければ核エネルギーを人類のものとすることはできないという言葉がありますが、これぐらい原子力の利用というのはわれわれ人類にとって非常に危険な可能性を持つものだと言えると思うんです。
 私は、今度のアメリカの事故を一つのわれわれにとってもみずからの体験として見詰めるならば、この際、原子力安全委員会ではなくて、やはり原子力規制委員会としてこの原子力の利用について強くチェックをしていく、こういう立場にもっと徹すべきではないかと考えるんですが、総理は、今日までの安全委員会の権限や構成を抜本的に見直して、原子力規制委員会としてこの権能を強めるお考えはございませんか。
#351
○国務大臣(大平正芳君) 安全委員会並びに安全局、いろいろ真剣に検討した結果、適切であろうという判断に立ちまして、政府は、そのいまあるような機構で安全政策の推進に当たることにいたしたわけでございまして、そして、私は、その後の状況を見ておりまして、関係当局者はその任務をよく果たしておられると思っておるわけでございまして、いまにわかにこれを改組するという考えは持っておりません。今後の業務の推移を見まして、改善すべき点があれば改善するにやぶさかでございませんけれども、現在の機構で十分対応できるのではないかと考えております。
#352
○久保亘君 先ほど原子力安全委員長は、基本設計、事前検査、安全基準、こういったような問題、それから事故が起きた場合に、その被害を少なくするためにどうするかといったような問題について、速やかにいろいろな検討をしなければならぬだろう、こういうことも言われているわけでありますから、私は、当然に、今日までの設計や事前の検査や安全基準、こういうものに対する見直し、そういうものは政府の責任でも進められなければならないと考えておるんです。そうお考えになりませんか。
#353
○政府委員(牧村信之君) 現在の日本の、先生御指摘の、安全基準等につきましては、これは安全委員会設置前は、原子力委員会が決定いたしまして、それを行政庁が用いていくというシステムをとって進めておったわけでございます。したがいまして安全委員会ができましてから、一つの非常に大きな仕事として安全基準等を現在の新しい技術で常に見直していくということが非常に大きな役目と踏まえておりまして、私ども、安全委員会の事務局といたしましては、すでに安全基準の専門部会を原子力安全委員会におつくり願いまして、見直しの作業を鋭意進めていこうとしているやさきでございます。アメリカにおきます今回の事故を踏まえまして、今後、原因究明等が進んでまいりますと、それを基準の変更に必要なものは基準の変更を御審議いただきまして、それに基づいて各行政庁が原子炉の審査等をいたします審査基準をつくって整備していきたい、かように考えておるところでございます。
#354
○久保亘君 それでは、今度は別の角度からお尋ねいたしますが、今度のこのスリーマイル島の事故でも、アメリカは日本よりも少なくとも原発のいろいろな水準においては同等ないしはそれ以上だと思うんでありますが、このアメリカにおいてさえも会社側が事故をできるだけ小さく見せようとした、情報は混乱をした、地元の住民には真相がなかなか伝えられない、とにかく見えない事故でありますから。そのために非常な混乱が起きているということが伝えられております。
 原子力安全対策について、一体、わが国では事故が起きた場合、これに対してどういう対策をとるのか、その原子炉事故の対策に対して十分ないろいろな計画がつくられているのかどうか。これは担当はどこになりますか、みずから名のり出て答弁をしてください。
#355
○政府委員(児玉勝臣君) 原子力発電を所管しておりますのは通産省でございますので、この原発の事故につきましては通産省がその安全規制についての監督をしているわけでございます。
 万一、事故が発生した場合には、電力会社から直ちに国及び地方公共団体に連絡いたしますとともに、事故を最小限に食いとめるため、保安規定及び運転要領等に基づく必要な対策に全力を挙げることとしております。
 また、事故が外部に影響を及ぼすおそれがある場合には、災害対策基本法で定めるところに従いまして必要な応急対策がとれることになっております。すなわち、地方公共団体はその地域防災計画にのっとりまして、住民の迅速な避難等の処置を講ずることとなっております。また、関係省庁においてもそれぞれ防災業務計画を定めておりまして、相協力して、これら地方公共団体等に対し必要な助言、指示、専門家の派遣等を行うなどの処置を講ずることとなっております。
#356
○久保亘君 大変りっぱな対策ができておって心配は要らぬということのような話でありますから、それじゃお聞きいたします。
 各省庁においても万全の体制ができているということでありますが、最初に、厚生大臣、どのようになっておりますか、この原子炉の事故についてですよ。
#357
○国務大臣(橋本龍太郎君) いま資源エネルギー庁から御答弁がありましたが、原子力発電に対する行政上の対応として、基本的な規制から住民の健康被害の防止等について、科学技術庁及び通産省の完全な所管ということになってしまっておりまして、厚生省としては法制上これに対応する体制にございません。
 かつて二十九年の第五福竜丸事件のときには、厚生省はこれは積極的にタッチをいたしたわけでありますが、その後、科学技術庁の発足と同時に、体制が整備をされまして、放射線医学研究所が設立をされました時点におきまして、いま申し上げましたような観点から、当時厚生省に持っておりましたそうした関係の医学の専門家、これが実は放射線医学研究所に全部移っておるわけでございます。
 ただ、私どもとしては、これは非常に国民の健康上の問題として大きな関心を持つところでありますし、また、長崎及び広島の悲惨な原爆とその被害というものの結果、私どもが所管をいたしております放射線影響研究所等があるわけでありまして、科学技術庁等と連絡をとりながら側面的な協力体制をとるというのが現在の状況でございます。
#358
○久保亘君 文部大臣、この原子炉事故を起こした場合の学校対策は十分にできておりますか。
#359
○国務大臣(内藤誉三郎君) 私どもは、原子炉事故があるということをまだ信じていませんので、それほどの具体的な対策までば講じておりません。
#360
○久保亘君 信じていないと言って、いまあなた事故が起きているんですよ。
 その次、自治大臣。
#361
○国務大臣(澁谷直藏君) 先ほど通産省からお答えがございましたように、災害対策基本法に基づいてそれぞれの関係省庁が防災計画を立てることになっております。
 私の所管といたしましては、警察の関係、それから消防の関係と二つあるわけでございますが、この両者とも災害対策基本法に基づく防災計画を国の立場で毎年策定しております。これを各都道府県に示達をいたしまして、これを受けて各都道府県それから市町村がそれぞれの地域に適合するような地域防災計画を立てておる、こういうことで一応の体制はつくられておるわけでございますけれども、とにかく今回起きたような原子力発電所の事故というものは、幸いにしていまだ日本では起きておりませんので、これに対する対応というものは具体的に整備されてはもちろんおらないわけでありますから、今回のアメリカの事故をひとつ十分研究いたしまして、いままでにつくられておる防災計画に修正すべき点が当然出てくると思いますから、そういった周到な対応を講じてまいりたいと考えております。
#362
○久保亘君 農林水産大臣は、食糧の放射能汚染を防いで、こういう事故の場合に地域住民の食糧を確保する対策についてはどのような準備をされておりますか。
#363
○国務大臣(渡辺美智雄君) 農水省といたしましては、そのような重大な事故を前提とした、原子力に対しての訓練は別にやっておりません。
#364
○久保亘君 環境庁長官は、この問題についてお考えになったことがありますか。
#365
○国務大臣(上村千一郎君) 今回、アメリカで御指摘のような重大な事故が起きておりますので、いろいろと重大な関心は持っておりますけれどもが、一つの公害対策ということになりますると、原子力関係につきましては直接環境庁は関係はしておりませんけれども、関心は持っておるわけでございます。
#366
○久保亘君 まだ各大臣にお聞きすればいいんですが、時間がありませんから、まとめて総理府総務長官、この災害問題の一番の責任者として、あなたは、これらの問題について、原子炉の事故が起きた場合の対策について、これまでいろいろ御検討になったことがありますか。
#367
○国務大臣(三原朝雄君) 現在、特別そうした原子力問題について検討を進めたことはございません。総理府といたしましては、御承知のように、そうした問題が起こったときにそれをどう調整をし、国見との係争等が起こった場合どう処理するかというような点については私どもの所管でございますが、いま御指摘のあったような点については、今後の問題として考えてみなければならぬかなへそういうことでいま承っておったところでございます。
#368
○久保亘君 科学技術庁、通産省は先ほどいろいろと検討しているようなお話でありましたが、具体的に、各省庁は、原発事故に関しては、そういうことがあるなどと考えていないというような前提で、いままでこれに対処してこられたようであります。これでは、もし今度のスリーマイル島の事故が不幸にして日本で起きたとした場合に、この人口密度の高い日本で起きたとした場合には、全く手の打ちようがなく大混乱を起こしたと私は予想をするのでありますが、こういうような問題で、それじゃ具体的な対策をどうするかということになれば、当然に原子炉の事故の理論的な可能性とか、それがどういう被害を及ぼすかというようなことについて科学技術庁は十分な調査をされておらなければならぬと思うんですが、これらの問題について調査をなすったことがありますか。
#369
○政府委員(牧村信之君) 私どもが原子炉の安全審査をいたしますときには、科学的には考えられないような想定事故、これが一番事故として大きいものと想定しております。その一歩手前に、大事故という科学的にはあるかもしれないという事故、この二種類の事故を想定いたしまして、当該原子炉がもしそういう事故を起こしたときに環境にどういうような影響を与えるかということについての審査をいたしております。
 その審査の仕方といいますのは、原子炉の持っております防護壁からどのくらいの放射線を出すかというのがその想定によって出てくるわけでございますが、それが敷地外にどういう影響を与えるかという、サイトの敷地の広さ等の目安に使いまして、ただいま私が申し上げたような事故が起きたときにも、周辺に影響を与えないという必要の敷地の広さ、要するに原子炉と住民が住む可能性のあります距離を確保するという思想で審査をしておるわけでございます。そういう考え方のもとに、一定の放射線量以上が敷地境界線に絶対いかないんだという判断をして、その基準の中におさまるものにつきまして設置を許可しておるというふうな事故想定はいたしておりますけれども、ただいま先生が御指摘の事故想定というのは、出てしまったときのいろいろな問題であろうかとも推察されるわけでございますが、残念ながら、その点につきましては、私ども規制当局の方としては、その勉強はされていないというのが現状でございます。このアメリカで現実にそういう放射線を環境に、原子炉事故によりまして、ばらまいたという重大な事件が発生したわけでございますので、私どもも、そういうような調査研究を、可能であれば、検討していかなければいけない問題というふうに考えておるところでございます。
 なお、先ほどから先生の御指摘の中に地方防災計画につきましてのお話がございましたが、科学技術庁も放射線の障害防止という観点からの所掌業務を持っておりますので、防災業務計画というのをすでに定めておりまして、私どもの行う防災業務計画は、言ってみれば、放射線の障害防止の方の専門家の立場から、地方の公共団体が行います災害予防措置のことにつきまして、情報の収集、伝達、あるいは原子力研究所あるいは放射線医学総合研究所等におります専門家を現地に派遣して、地方公共団体の方々のお手伝いをするというようなこと、必要がありますれば、地方公共団体あるいは原子力事業者に必要な指示をするということを中心とした防災業務計画を定めておりまして、いつでも何らかの事故がございますと、原研、放医研の専門家の方が出動できるような体制まではなっております。しかしながら、これを受ける地域の都道府県の方々がなお十分にそれを御理解できていない面もあるという御不満も出ておりますので、今回の事故の経験等に照らしつつ、引き続き検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
#370
○久保亘君 科学技術庁はいままでメルトダウンを起こした場合、炉心が溶けた場合のその影響について何の研究もされたことはありませんか、一度もそういうことをやられたことはありませんか。
#371
○政府委員(牧村信之君) 私の規制の担当の分野で、そういう調査をしたことはないと申し上げましたが、原子炉等によります従業員等の損害賠償の法律を議論しておりましたときに、科学技術庁が原子力産業会議に調査の委託をやったことがあるというふうには聞いておりますけれども、ただいま資料等も持ち合わせておりませんし、規制部門にそれを使ったことがございませんので、詳細はつまびらかではございません。
#372
○久保亘君 その産業会議に委託した原子炉の事故の理論的な可能性やその損害に関するいろいろな調査、その報告書は科学技術庁はお持ちになっているんでしょうね。
#373
○政府委員(牧村信之君) 私のところには持っておりませんが、原子力局の方で保存しておるはずと思います。
#374
○久保亘君 原子力局はお持ちになっておりますか。
#375
○政府委員(山野正登君) ただいま先生御指摘の問題は、昭和三十四年に科学技術庁から日本原子力産業会議に委託して行った調査でございまして、この調査の報告書というのは私どもの方で保管いたしております。
#376
○久保亘君 その報告書は、いろいろな審査に当たって活用されておりますか。
#377
○政府委員(山野正登君) 本調査は昭和三十四年ごろの調査でございまして、その際に使用しました資料等もきわめて古いものでございまして、先ほど安全局長が答弁いたしましたように、現在の審査基準の策定といったふうなものには活用いたしておりません。
#378
○久保亘君 それでは、現在の安全審査基準に合うようなその種の報告を、その後、おまとめにならないのはどういうわけですか。
#379
○政府委員(山野正登君) ただいまこのようなものを含めまして、安全審査に必要な安全基準を策定するための研究、広く申し上げれば安全研究でございますが、この安全研究につきましては、日本原子力研究所等を中心にいたしまして鋭意進めておるわけでございまして、たとえば現在原研で進めております安全研究の中に、原子力施設等の確率論的安全評価に関する研究といったふうな研究も進めておるわけでございまして、このような安全研究の成果というものが、将来、安全委員会で策定されます安全基準というふうなものに織り込まれていくことになろうかと考えております。
#380
○久保亘君 それは大変私はいま重大な問題を言われたと思うんですね。安全基準をつくっていく上に必要な資料をいまつくっていると言われる。だから、いまの原子力安全基準というのは、必要な資料が欠落したまま開発優先主義で行われているということを原子力の局の方がみずからお認めになっていることになりませんか。
#381
○政府委員(山野正登君) その点は、現在といえども、もちろん安全審査の審査基準はあるわけでございまして、この安全審査基準というものは必ずある程度の安全裕度というものを持っているわけでございまして、これは今後技術の進歩に応じまして、できるだけこの安全裕度というものを数量的に小さくしていく必要があるという使命があるわけでございます。そういう意味におきまして、今後とも、安全研究を進めまして、数量的に安全裕度を小さくする努力をするという意味において、先ほど来の御説明を申し上げておるわけでございまして、現在、安全審査の基準がないという趣旨ではございません。
#382
○政府委員(牧村信之君) 現在、安全審査のための基準はあるわけでございます。そこで私どもの安全基準の中身を先ほど御説明したわけでございますが、先ほど重大事故あるいは仮想事故というものを想定いたしますときに、事故解析に当たりましては、原子炉内に蓄えられた放射性物質が、たとえば、仮想事故の場合には、その全量が外に、格納容器に出てきてしまうというふうな非常に大きな事故を予想しまして、そこから格納容器の外へ漏れていく量を想定いたしまして、敷地の外には一定のレベル以下になるという確認をした上で、設置の敷地の広さを定めていくというシステムをとっておりまして、原子力局の方で昔やりましたそういう想定とは全く違ったシステムで事故想定をし、安全審査を進めていくというやり方になっておることを御理解いただきたいと存じます。
#383
○久保亘君 少なくとも、いまあなたが言われているのは、いわゆる小さな事故、故障、そういうものを想定したものであって、このメルトダウンを起こした場合にどうなるかというような想定などはされてないでしょう。そういう安全審査基準でやったら、原発なんかどこにもつくれるはずないんだ。そういうものは起こり得ないという前提で決められているんじゃありませんか。
#384
○政府委員(牧村信之君) この仮想事故、重大事故におきまして、具体的にメルトダウンがあるかないかという、その想定のとり方はしてないことは事実でございますが、いずれにいたしましても、炉心の中に内蔵いたしております放射性希ガスは全部外へ出てしまう、格納容器に出てしまうというふうな想定をいたしておりますので、被害の状況からいきますと、それほど変わるものではない。そういう非常に大きな仮想事故も想定してやっておるわけでございます。
#385
○久保亘君 メルトダウンの場合と変わらない事故を想定して、いまの安全基準がとられているとすれば、現在、人口のかなり密集している地域に原発がいまのような敷地の規模で認められるはずはないじゃありませんか。
#386
○政府委員(牧村信之君) 直接メルトダウンということを言っておりませんが、メルトダウンをすれば、当然、原子炉の圧力容器が何らかによって破損するわけでございます。で私どもの方の想定は、炉心に内蔵されておる放射性物質が一〇〇%コンテナの方へ出てくるという想定でございますから、非常に大きな事故であることには変わりないと存じております。
#387
○久保亘君 非常に大きな事故の場合に、大丈夫だという安全基準がどこから生まれてくるんですか。これだけの敷地をとっておればそれで大丈夫だということですか。
#388
○政府委員(牧村信之君) 原子炉の場合には、先ほども御説明いたしましたが、炉心とそれから格納容器あるいはコンクリートで囲まれた建屋の中にあるわけでございます。したがいまして、そういうような大きな事故が出てきたときに、放射性物質は格納容器あるいは建屋のコンクリート壁からじわじわ出ていくわけでございます。コンテナの中には一〇〇%飛び出しましても、直接被害を外に与えるあれはどんどん減っていくわけでございます。そういうようなことを想定して、そのソースとなる事故はもう炉心が全部いかれてしまって、放射性物質がコンテナの中に全部飛び出すような大きな事故を想定して、その敷地に及ぼす影響を判定して、その敷地の境界までの距離を全部非居住地域にするというふうな解析をやっておるわけでございます。
#389
○久保亘君 そうすると、今度のアメリカの事故はどういうことになるんですか。いまの日本の安全基準でつくられた原発は、メルトダウンを起こしても、スリーマイル島で起きている事故のように住民が避難したりいろいろなことはやらなくても大丈夫ということですか。
#390
○政府委員(牧村信之君) 現在、アメリカの事故を起こしました原子炉は、最近の情勢によりますと、冷却も徐々にではございますが進んでまいりまして、メルトダウンのおそれというものはNRCの発表によりますと、まずあり得ないだろうということが言われておるわけでございます。現在までに原子炉から外へ漏れた放射性物質はいろいろあるようでございますが、これは私どもの規制の考え方から申しますと、事故が起きて格納容器に漏れました一次冷却水を次の補助建屋の方のタンクに移しておるというような情報が入っておるわけでございます。
 日本の場合は、そういう異常な事態が行われた場合には、冷却水は次の建屋には絶対行かないようなシステムになっております。言ってみれば、弁が開かないようになっておるわけでございます。これがどういう理由でか、アメリカでは外へ移したわけでございます。そこで放射線が外へ漏れてしまったということが伝えられておるわけでございまして、日本の場合、あの程度のことであれば、絶対、周辺に迷惑をかけるような放射性の廃棄物の流出はないと言えるのではないかと考えております。
#391
○久保亘君 いまあなたはアメリカのスリーマイル島の場合にはメルトダウンをもう起こさないだろうということで、そう言われた。先ほどは、メルトダウンが起きたって、いまの安全基準なら住民が避難したりする必要はないし、住民には一切被害は起こらない、こういうふうにさっき言うておられるのですよ。いまの日本の安全基準というのはそういうふうになっておるんですか。それなら、いろんな防災対策なんかつくる必要はないんだ。メルトダウンが起こったって何にも心配することはありません、平常どおりみんな周りの人は生活していけば大丈夫ですと、そういうことを科学技術庁は自信を持って言えるのですか。
#392
○政府委員(牧村信之君) 私の説明が不十分であろうかとも思いますが、その私どもの想定しておるのは、確かにメルトダウンではございません。
#393
○久保亘君 さっきはそう言ったじゃないか。
#394
○政府委員(牧村信之君) はい。メルトダウンではないけれども、炉心の中にある放射性物質が全部外へ、格納容器の中へ出てくるような事故を想定しておる、これは非常に大きいと申し上げたわけであります。で、メルトダウンがあった場合というものにつきましては、今回のアメリカの事故等も踏まえまして、それは今後安全委員会等で御検討いただかなければならない問題ではないかと考えておりますが、現在の場合に、日本の安全基準ではメルトダウンを想定しての事故想定はしていないことは事実でございます。
#395
○久保亘君 安全局長も大変苦労されているようだから、これ以上お聞きしませんが、総理大臣、いまお聞きしてみればわかりますように、一番最悪の状態であるメルトダウンを起こすというような状況になった場合に、一体、この被害はどういう範囲に及び、どんな被害を起こすのかということについての基礎調査も全くない。いまの科学技術庁には全然それはつくられていないわけであります。こういう事故が起きた場合、アメリカと同等の程度の事故が起きたとしても、各省についても、これに対応する対策は全くない。これは大変私は重大な問題だと思うのであります。
 幸い、今日までは事故がなかったから、それはあくまでも仮定のことだと言ってそれを黙認しておくことができたのでありますが、すでにアメリカにおいて人類の重大な体験とも言うべき事故が起きているわけでありますから、この段階で原発事故の緊急時における対策というものを、政府の責任において関係省庁の機関を集めて早急につくられる必要はないでしょうか、その点について総理大臣の御見解を承りたいと思います。
#396
○国務大臣(大平正芳君) せっかくの御提言ですから検討いたすことにやぶさかでございませんけれども、私どもといたしましては、原子力の安全政策の徹底に全力を挙げることが当面の責任でないかと考えております。久保さんの言われる全体といたしましての緊急時の対応策につきましては、もう少し考えさしてください。
#397
○久保亘君 これは起きたらどうにもならないのです。アメリカほどのところでも、いま情報は混乱する、地元民はいろいろな不安に駆られる、避難命令が出たりいろんなことがあるわけです。もし日本で起きたら、第一、警察官がここに出動するんだって放射能を遮蔽する装備などというのはお持ちになっておらぬでしょう。じゃ実際にはそういうことはできぬじゃありませんか。だから、現に日本でも操業されておるんです、この事故が起きた場合に備えて、何をなすべきか、どうしたらいいかというようなことについて、なぜ検討しなければ、それをやるべきかやるべきでないかということに結論が出ないのですか。
#398
○国務大臣(大平正芳君) 地震でございますとか原子力でございますとか、大事故につきましてのいま対応策のところまでまだ行政が十分な手当てができていないことは御指摘のとおりでございます。そういうことを考えて万全の措置を講ずべきであろうかと思いますけれども、現にそういうことをいたしていないわけでございますが、せっかくの御提言でございますから、そういうことを大がかりに考えるべきかどうか、それはもう少し検討さしていただきたいと思います。
 ただ、だからといって原子力安全行政について熱心でないというわけじゃございませんで、これにつきましてはわれわれといたしましては最大限の努力を傾注して当たるつもりでございます。
#399
○久保亘君 大平さんの待ちの政治というのはそういうところにあらわれるのだろうかと、いま改めて思い知らされております。大変積極性がない。それで、一方では、原子力利用ということについて企業の要請にこたえてかなり大胆に進められておる。住民の方にはその不安を解消してくれる対策を政府は何にもやってくれない。こういうことになれば、私は、あなたの政権に対する信頼は一挙になくなるだろうと心配をいたしております。大平政権を維持なさろうとするならば、私がいま提言しましたことについてぜひ積極的にこたえていただきたい。
 その次に、今度は、今回のこのアメリカの事故については、その原因の調査をするために通産省も原子力安全委員会等もいろいろと御努力になっておるようでありますが、運転中の原発を一時停止して、全国的に総合点検を行う必要はございませんか。
#400
○国務大臣(江崎真澄君) これは冒頭にちょっと御説明いたしましたが、まだアメリカの事故自体が、機器の故障なのか操作のミスなのかよくわかっておりませんが、急遽点検喚起をしたわけであります。そこで、電気事業連合会では、運転中の原子炉、これは緊急措置として炉心の冷却装置などの点検を直ちに行う。それから定期検査で運転停止中の原子炉は、試運転を直ちに行って――これは停止中のが七基です。これを行って、アメリカで事故で問題になっておると見られる安全逃し弁のチェックを直ちにする、こういうことで電気事業連合会は対策を進めております。
 それから、先ほど来いろいろ議論が展開されておりましたが、わが国の安全確保のための対策というものはアメリカよりも非常に高いものがあるというふうに、私、エネルギー庁長官から説明を受けておるわけでありまするが、もとよりこういう問題はにわかに起こり、にわかに被害が広がるというようなことも考えられますので、今後、こういうことのありませんように、十分これを他山の石として原因究明をすると同時に、わが国としても、今後、石油代替エネルギーとしては一番効率のある原子力でありまするので、安全性を確保するための努力については最善を図っていきたいというふうに考えます。
#401
○久保亘君 日本は地震の多い国でありますから、今度の事故を考えてみますと、建設中の原発とか立地計画中のものも含めて、もう一遍安全基準の見直しを行うまで一時その進行をとめるべきじゃないか、そうしなければ、たとえば炉心部分の基礎工事などを終わってしまいますと、後からは手直しできないというような問題もあります。そういう意味では、今度のアメリカの原発の事故調査を一応完了するまで、そしてその解析を終わるまでは、現在進行中のものや計画中のものについても、一時、進行を見合わせるということは必要ではありませんか。
#402
○国務大臣(江崎真澄君) ただいまも申し上げましたように、機器そのものの故障なのか操作のミスなのか、そういう点もあります。もとより原子力発電所の建設につきましては、地震国である前提に立って、安全度を確立して、その上に建設してあるというふうに私ども説明を受け、了解をしておるわけでありまするが、いま建設中のものを直ちにとめるということはいかがなものでしょう。やはり十分原因調査をした上で、今後とも、安全を期していくということが大切なように思います。
#403
○久保亘君 原因調査をやった上で、やっぱり安全基準の見直しが必要だということになれば、それではこれらの進行中のものについても停止をして工事をやり直させるとか、あるいは現在の安全基準でもっては周辺地域との関係で不適当と、こういうものについては計画をとりやめるとか、そういう必要がもし今度の事故調査の結果起こってくれば、やむを得ないと、こう考えられますか。
#404
○国務大臣(江崎真澄君) 仮定の問題ですから、お答えがしにくいわけでありまするが、安全を確保していくことは何といってもこれは第一義の問題だと思います。ただ、現在、あの事故があったということだけで建設を見直す必要はないというふうに考えます。日本の安全度の確立基準というものは非常に高い、心配は要りません、こういうふうに聞いておるわけでありまするが、今後にかけまして十分絶えず検討をしていくことはもとより必要だと認識いたしております。
#405
○久保亘君 最後に、総理大臣、今度の事故に関連して、カーター大統領は、原子力発電の安全に関する規則とか安全措置の再検討を迫られることになるだろう、また、今後の原子炉の設計メカニズムや安全基準をもっと厳格なものとしなければならぬだろう、こういうことを述べたと言われておりますが、私は、いま通産大臣が他山の石ということを言われまして、これは通常の比喩からいたしますとそのとおりでありますから、別に言葉じりをとらえるわけではありませんが、私は、原子力発電所の事故というのは、他山の石という見方よりも、日本にとってはまさしくわれわれ自身の体験としてとらえなければならぬ、こう考えております。
 そこで、カーター大統領が言っている安全基準の見直しとか、原子炉の設計メカニズムなどをもっと厳格なものにする、こういうようなことについて、わが国においても、当然、それらのことについては配慮をしなければならない問題であるとお考えになりますでしょうか。
#406
○国務大臣(大平正芳君) 今度のアメリカにおける事故の原因、状況等をつぶさに掌握をいたした上におきまして、日本において必要とあれば考えなければならぬと思いますが、ただいままでのところ、その必要はないと私どもは伺っております。
#407
○久保亘君 政府のいろいろな見解をお聞きして、やっぱり原子力安全委員長が事故が起きたときに言われたように、日本ではこのような事故はまず起こり得ないという認識が総理大臣以下みんなその前提にあって、この事故をやっぱり対岸の火災視しかしていない。私はこの点を非常に遺憾に思います。
 それで、科学技術庁長官にお伺いしますが、今日まで日本の原子力発電所が報告をした事故、故障の件数は大小を含めて幾つありますか。
#408
○政府委員(児玉勝臣君) お答えいたします。
 五十四年三月一日現在におきまして百十一件でございます。
#409
○久保亘君 アメリカの今度の事故も、最初は小さなミスだと言われておったんであります。わが国においても、この十年くらいですか、の間に百件を超す事故の報告が行われているわけであります。何が日本の原発に関する限りは完全無欠、何にもないという認識を持っておられるとすれば大変な間違いであります。しかも、原子力安全行政協定を事業体と自治体との間に締結をしているところがありますが、この原子力安全行政協定においても、最初は一切の事故を直ちに報告するようにと決められていたものを、事業体から厳し過ぎるという申し入れを受けて、小規模のミスはすぐに報告しなくともよいと改正をしたところもあるのであります。そして報告が二、三日おくれて行われるという事例は非常に多いと聞いております。こういう問題は、いまの原子力安全行政についてどこかにもう大丈夫なんだという緩みがあるのではないか。この点について私は科学技術庁長官のきちっとしたひとつお考えを聞いておきたいと思うのです。あなたは百十一件も事故があったということは知らなかったかもしれぬけれども、そういうことを頭に置いて答えてください。
#410
○国務大臣(江崎真澄君) 私の方の所管でございますから、私からお答えいたします。
 あの事故は軽微なものということで私も一通りの説明は聞いておりました。したがって、こういう事故がアメリカに起きたということについて、日本として当然反省をしたり、また戒めていくことは先ほど来お答えをしておるとおりであります。先ほどから機器のミスか運転操作のミスかと言っております点で一番重要な点は、国内の機器を操作する技術のレベルというものは決してアメリカの操作員よりはまさるとも劣らないものがある、質がいいということを説明を受けておるわけでありまして、今後とも、十分ひとつ操作ミスのないよう、また安全が確保されるよう努力をしてまいりたいと考えます。
#411
○久保亘君 時間がなくなりましたので、最後に一つ別の問題でお尋ねいたしますが、E2Cの導入は日米貿易交渉の中では政府調達のやっぱり一環として、既定の事実として論議されているのかどうか、これを凍結した場合、日米交渉に重大な影響をもたらすのかどうか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
#412
○国務大臣(園田直君) E2Cは政府調達の中には入っておりません。
#413
○久保亘君 それからもう一つ、この日米交渉に関連をいたしまして、日米貿易収支の不均衡が日米間の経済摩擦の根底に大きく横たわっているわけでありますが、現在、世界じゅうの経常収支の全体を見てまいりますと、OECDの統計では一九七五年以降急激に各国のトータルの赤字が大きくなっている。つまり、どこかが国家として粉飾決算をやっているのではないかと思われるような状況を示しておりますが、これは一体どういうことなのでしょうか。
#414
○政府委員(佐々木孝男君) いま御指摘いただきましたように、OECDの数字で申し上げますと、七九年の全体の赤字が四百十五億ドルになっております。これは普通で言いますと、いわゆる誤差脱漏というものがございまして、本来言いますとこれはゼロになる性質のものでございます。これがマイナスの四百十五億という数になっておりますが、まず申し上げたいことは、これは第一にはOECD事務局の推計でございます。そしてこの数字はOECD加盟国につきましては各政府からとった数字でございます。なお非OECDの国につきましては事務局が推定することになっております。
 そしてなぜこういう大きな数字になりましたかと言いますと、これはいまOECDの内部でも非常に問題になっておりまして、今月一番新しいOECDのアウトルックにおきましては、昨年の十二月に発表されたものでございますが、これはいま検討中である、それでこの次のOECDの発表、これがことしの六月に発表されますが、そこで分析したものを発表したい。われわれはそれを待ちまして詳細に検討したいと思うわけでございます。
 これは経過的に申しますと、七一年、七二年におきましては、七一年赤字が三十億ドルの赤字、七二年が十五億ドルの黒字でございまして、このくらいはいわゆる誤差脱漏に入るわけでございます。これが急激にふえましたのは、OPECの大幅な値上げが行われた以後でございまして、それによりまして世界の貿易量というものは量的に非常に大きくなりました。同時に、先ほど申しましたように、先進国においては比較的統計は精密なものでございます。ところが、いままで統計を持っておりませんようなOECD、中東を中心にいたしまして、非常に物それからサービス、それから個人間の送金というものの額が非常に大きくなりました。そうなりますと、いわゆる経常で動いていくものと、それから金融勘定で動いていくというようなものが非常に推計上はっきりしない部分が出てまいりまして、これはいま申しましたように、七一、二年まではほとんど均衡していて、自後非常に大きくなりましたことを考えますと、発展途上国との間の先ほども申しましたような物であるとかサービスであるとかというようなものが非常に大きくなる、それによって統計上のいままでの推定方法からではとらえにくいものが非常に大きくなった、このように解釈しております。
#415
○久保亘君 それにしても、確かに七五年度からこれは誤差の範囲を超えて非常に大きな数字になるわけでありまして、七九年度の推計ということでしたが、七八年で三百四十億五千万ドルの赤字になっているわけでありまして、これは多国籍企業とか、いろいろな軍需産業であるとか、そういうものとの関係で赤字を非常に大きく見せかける、黒字を小さく出すというような国家的な操作が行われているのではないかと思われる節もあるんですが、そういうことは全く予測できませんか。
#416
○政府委員(佐々木孝男君) 先ほど申し上げましたように、これはOECD当局の推計でございます。それで公式の統計、比較的とらえやすいもので申しますと、先進国のものは少ない、わけでございますが、したがって、たとえばIMFというもののカレントバランス、経常収支をとりますと、これは非常に小さくなっておりまして、先ほど申しましたように、いままでそういう勘定あるいは統計というものが整備されないところにおいて非常に大きくなるというようなことの方がむしろ大きな原因であるとわれわれは考えております。
#417
○久保亘君 最後に、経済見通しとか、それから大蔵省が出されました財政収支試算などについて、石油価格の問題とか、円高の進行がストップをした状況などからかなりの修正が必要になってきているのではないかと思うのですが、この問題について、その修正を行われない理由と、修正すればどういうことになるのか。
 それから、昨日、発表になりました地価公示によって、急激に地価が上がり始めておりまして、そのことが五十四年度のCPIの政府見通し四・九%にかなり大きな影響を持つのではないか。その原因と、これを抑制する政府の方針といいますか政策、そういうものについて御説明をいただきたいと思います。
#418
○委員長(町村金五君) 時間が参りました。
#419
○国務大臣(小坂徳三郎君) まず、OPECの値上げでございますが、現状におきましては、大体われわれが十月に値上げになると予想しておる部分について、それが繰り上げになったというわけでございまして、これの段階がそのまま推移いたしましてもCPIと卸売物価に対しましては〇・一ずつ程度の値上げの影響があるであろうという程度のことでございまして、したがいまして、これがGNPに対する成長率についての影響はきわめて微弱であると考えます。
 しかし、問題は、いわゆる課徴金と申しますか一種の奨励金と申しますか、これが一バレルについて一ドル上がりますことについては相当の影響があるであろうというふうに考えておりますが、まだこれはそれらの国々との契約の中で実現はしておりませんものですから、これにつきましてはいま申し上げることは早計ではないか、早過ぎるのではないかというふうに考えます。しかし、先般、消費国が全体としまして油の節約を五%やろうということを決め、日本もそれにいち早く実践をしているわけでございますが、このような節約が全世界的に行われますれば、必ずしも私はOPECの今般の値上げがそれにさらに追徴金を取るような形での非常に大きな値上げには発展しないものだと期待しておりますし、そのことをぜひ大きな消費国がさらに結束をしまして節約を強行し、また実践しまして値上げを防ぐということがきわめて重要な国際的な政策になるというふうに私は考えておるわけでございます。
 そのような事態の中で、もう一つは、円高がやや円安に変わったということでございますが、われわれとしましては、計画を立てた当時が大体一ドル百九十円でございましたので、それをベースにすべての収支を考えておるわけでございますが、このところ二百円から二百十円以内のところを動いておりますけれども、われわれとしましては、こうした事態をさらに予測することもきわめて困難でございますし、変動相場制という中で動いていくわけでございますが、大体、われわれの期待といたしましては、百九十円から二百円ぐらいの間を今年は一応いくのではないかという想定をいまだに捨て切れないでおるわけでございます。このような面から見まして、われわれの計画そのものをいまここで変更するという必要もまだないというふうに思います。
 それから、地価の騰貴でございますが、本日の新聞等に非常に大きく報道されておりますが、われわれといたしましては、この情報は、一月の末に、今回は一万数千地点でございますが、五百地点程度のサンプルをいたしまして速報をわれわれはしたわけでございますが、その時点でやはり東京都が非常に大きく上がっていることはわれわれとしまして非常に重要なファクターと考え、また三大都市がおのおの平均の五・五%以上に宅地が上がっておるということを非常に重視いたしまして、二月の初めに閣議でその話が議論され、総理から特に地価抑制について、また、それを投機的な方向に動かないように特段の金融措置を明確にするようにという指示がございました。われわれは、大蔵省が直ちにそれを受けて、土地に関連の投融資等につきまして報告を求めることを各金融界その他に通達を出してもらったわけでございますが、それを受けまして、土地関係のみならず、全般の過剰流動性というものに対しての対策を考えまして、二月の二十六日に物価対策の総合推進というものを閣議で決定し、さらにそれを実践としまして物価担当官会議においてこれを現在までフォローアップをいたしておりますが、やや最近の情勢にかんがみまして、先週の閣議においてそれをさらに追認をいたしますとともに、今週半ば過ぎに物価担当官会議を開きまして、各省庁において懸案になっておる事項の処理がどのようになっているかを報告し合い、さらに、その中から一層対策を進めるべきものがございますれば、その問題について一層の努力を傾けるということで物価の抑制には全力を傾けてまいりたい、そのように思っておるわけです。
#420
○久保亘君 大蔵大臣、国債の問題もあるからね、国債の金利の問題も入れて。
#421
○政府委員(長岡實君) お答え申し上げます。
 財政収支試算につきましては、物価、為替相場、金利、その他、それほど細かく計算をして六十年度までの試算を行っておるわけではございませんけれども、強いて申しますれば、国債の発行の条件、これは国債費として非常にはっきり出てくるわけでございまして、十年ものにつきまして〇・四%の金利を上げまして国債費をどうするかという問題があるわけでございますけれども、この前お答え申し上げましたように、これは五十四年度を通じての月々の国債の発行額いかんによりましてもその年度全体でどのくらいの利払いになるかという金額が変わってくるわけでございまして、私どもは、できるだけいまの予算の中でやりくりをしてまいりたい。
 それでは、五十五年度以降、どうなるかと申しますと、これは五十五年度以降のまた全体の国債の中に占める長期債の割合その他によって金利が変わってくるものでございますから、いまの段階で、これを修正するという考えはございませんが、ほかの条件をすべて同じにしていまの〇・四%金利がふえた場合に、この財政収支試算で申しまして最終年度の六十年度の国債費十一兆七百億円にどのくらい影響があるだろうかという試算は、私ども機械的にやってみますと、約二千七百億円ぐらい国債費がふえるということになります。
#422
○久保亘君 終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
#423
○委員長(町村金五君) 以上で久保君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#424
○委員長(町村金五君) 次に、瀬谷英行君の締めくくり総括質疑を行います。瀬谷君。
#425
○瀬谷英行君 最初に、大臣の日程上の都合があるようでございますので、運輸大臣にお伺いしたいと思います。
 先般、常磐線でダンプカーと電車がぶつかって脱線をして電車が民家へ飛び込むといったような事故がございましたけれども、その事故の原因並びに概況等について御報告をいただきたいと思うのであります。
#426
○政府委員(山上孝史君) 去る三月二十九日午後三時三分ごろに、常磐線の土浦−神立駅間の踏切道におきまして、踏切遮断機を折損させて進入いたしましたダンプカーと普通電車とが衝突いたしまして、先頭の電車は線路下に横転をいたしまして、続く二両目も脱線する事故が生じました。この事故によりまして、ダンプカーの運転手が即死したほか、電車乗務員二名、それから旅客五十五名並びにバイクの通行者一名、合計五十八名の負傷者を生じました。負傷者につきましては、直ちに付近の病院へ収容し加療を行いましたが、負傷された方々が一日も早く治癒されることをお祈りするものでございます。
 この踏切道はいわゆる第一種の遮断機つきの踏切道でございましたが、たまたま立体交差化工事が本年六月に完成いたしますとこの踏切道を除くという予定のやさきの事故でございました。まことに残念でならないものでございます。今後とも、踏切道に対しましてはその改善に一層の努力をいたしまして、踏切事故の防止を期していく所存でございます。
#427
○瀬谷英行君 踏切の遮断機がおりているにもかかわらず渡ってしまったという事情のように聞き取れるわけでありますが、特に酔っぱらい運転をしておったとか、居眠り運転をしておったとか、その種の事情はなかったのかどうか。その原因について、もっともこれは運転手が死亡してしまったので聞きようがないかもしれませんけれども、ある程度推定できるようなことがございますか。
#428
○政府委員(杉原正君) お答えをいたします。
 いま、事故の原因につきましては、茨城県におきまして、交通本部長を長といたします対策本部で原因を究明中でございますが、警報機はどうも無視をしているらしい。遮断機が折れてはいるようですけれども、それがいかなる状態で折れたのかということについては現在原因を究明中であります。これは、相手方が死亡しておりますので、周辺からいろいろ事情を聴取をしていこうということで、目下鋭意捜査中のものでございます。
#429
○瀬谷英行君 特に運転手が酔っておったとか、あるいはわき見をしておったとか、そういったような事情はなかったのかどうか。そういう点、わからないならわからないでこれは仕方がないのでありますけれども、その点は調べてみたのかどうか、まだその点はわからないのかどうか。
#430
○政府委員(杉原正君) 先ほどお話しの点も含めまして現在捜査中でございます。
#431
○瀬谷英行君 大臣にお伺いしたいのでありますけれども、この種の事故というのは、必ずしも運転手が酒に酔ってなくとも起こり得るわけであります。何か物思いにふけっておったとか、あるいは錯覚をしたとかということだってあり得るわけなんです。したがって、運転者の自重を要望するだけではこの種の踏切事故の絶滅を期するわけにはいかないと思うのでありますが、どうしてもこれは立体交差をやって、踏切でもってトラックや乗用車と汽車が平面交差をしないような方法を考える以外にないと思うのでありますが、その意味では立体交差化の工事を進めなければ根本的には問題は解決しないと思うのでありますが、この立体交差化について、一体大臣としてはいかような考え方をお持ちになっておりますか。
#432
○国務大臣(森山欽司君) このたびの事故が、その原因については目下探求中でございますけれども、この六月に立体交差をする予定であったその場所でこういう事故が起きたわけでありまして、もし立体交差をしておったらこういう事故を防げたであろうと私どもも考えるわけであります。踏切の立体交差につきましては、総理府の交通対策本部においてかねてから施策を講じておりますし、踏切道改良促進法という法律もありまして、これに基づく立体交差の指定を行う等、積極的に取り組んできたところでありますが、なおこのような事故があります。今後ともこれらの施策に基づく立体交差化の推進が図られるよう、国鉄を指導してまいりたいと考えておる次第であります。
#433
○瀬谷英行君 国鉄の場合は、財政的にきわめて苦しいわけでありますから、まあ赤字ローカル線を整理できなければ、赤字ローカル線をせめてつくらないとか、あるいはまた交通量の頻繁な幹線の方に設備の投資を重点的に行って立体交差化をするといったようなことが今後の問題として進められなければならぬと思うわけでありますけれども、たとえば百年かけても五十年かけても立体交差化を進めてしまうというふうな一つの計画を立ててやっていかなければならぬのではないかと思うのでありますが、その辺のお考え方がございますか。
#434
○国務大臣(森山欽司君) 国鉄財政が非常に窮迫しておる、赤字でピンチではありますが、何と申しましても安全第一でありますから、これは必要なものはそういう中でもやりくりしてやらにゃならぬと、そのように考えております。
#435
○瀬谷英行君 やるとすれば、私は五十年かけても百年かけてもこれは全部やってしまえと、こういうことを言っているわけなんです。したがって、これは財政的な負担をどこが背負うかという問題を抜きにして、国家的な必要性に基づいてやるべきであるというふうに私は言っているわけですが、その点について。
#436
○国務大臣(森山欽司君) 交通の安全性を重視いたしまして、その方向で検討してみたいと思います。
#437
○瀬谷英行君 今度は郵政大臣にお伺いいたしたいと思うのでありますが、実は昨年何月だったかちょっと忘れましたけれども、前から問題になっておりました郵政のいわゆるマル生と言われる不当労働行為の問題がいろいろと組合の中で話題になっておりまして、そのことについて全逓の打ち合わせの会合があって、その会合の帰りに車を運転していたその全逓の役員の人が踏切事故に遭ったわけです。その踏切は警報機が鳴っておって遮断機がおりたかおりないかというところに本人が飛び込んでしまって即死をしてしまった。こういう事実がございます。何を考えていたか、それはもう亡くなってしまったんだからわかりませんけれども、常識的にまことに理解に苦しむのは、向こう側に車がとまっておった、反対側に。したがって、こっちから行っても警報機が鳴っているし、向こう側に車がとまっているんだから、踏切を無理に渡るなどということはできないはずです。それを渡ろうとして気動車にぶつかってみずからも亡くなったということがあるのでありますけれども、これも考えてみると何か考え事をしていたのじゃないか。会議の帰りだから酒を飲んでいたはずがないし、昼間だから居眠りをしていたはずもない。そうすると、何か考え事をしていて、警報機が鳴っているにもかかわらず飛び込んでしまったのではないかという推定ができるわけです。
 このような郵政の労使の紛争というのは、いろいろな面において影響が大きいわけでありますが、先ごろの委員会でもいろいろとやりとりがございました。そこで、今後の問題として、新規採用者に対する官側の小細工はこれをさせないというようなことから手始めに行ったらどうかというふうに考えるのでありますが、郵政大臣の見解をお伺いしたいと思います。
#438
○国務大臣(白浜仁吉君) 事故のことにつきましては、遺憾ながら私は承知をいたしておりませんけれども、新規採用者に対する訓練の問題につきましては、職員訓練法という法律にも基づいて十分注意しながら不当労働行為などが起こらないように注意して訓練をしていきたいと考えております。
 詳しいことにつきましては局長からお答えさせます。
#439
○政府委員(守住有信君) お答え申し上げます。
 四月から新規採用者も多数入ってくるわけでございますので、この点につきまして労働組合の方からもいろいろな角度からいろいろ指摘がございます。したがいまして、その点につきましてじっくり話し合いを持ちまして、新規採用者の職場における訓練の際に、特定の労働組合への加入や脱退を勧奨したり、あるいはまた正当な労働組合活動に介入したり、そういうことがないように、あるいはまた、管理者を初め訓練担当者がおるわけでございますけれども、それに対します事前の指導あるいは訓練期間あるいは訓練の内容等につきましてその指導の徹底を期するように、最近下部に対しましても指導した次第でございます。
#440
○瀬谷英行君 私も、新規採用者といいますか、新しい職員に対する一つの局長の呼びかけの文書というのを見た記憶がございます。それによりますと、冒頭には採用になっておめでとうございますと、ごく月並みなことが書いてあるんだけれども、月並みなことが書いてあるのは最初の三行ぐらいで、あとはきわめて遠回しに、たとえば全逓なんかに入るなよという意味のことが書いてあるわけです。だから、あれを見ますと、やっぱり管理者が上の方から言われて書いているんだなということがよくわかるんですよ。それで、利口そうに見えても余り利口じゃない証拠には、ちゃんと遠回しに書いてあることはもう意図がわかるようになっているんですからね。だから、そういう見透かされるような小細工をやらせますと、結局現場でもって労使がぶつかり合うということになるわけです。それが結果的には郵便物の遅延といったようなことに結びつくわけでありますから、まずこれは大臣みずからが監督を厳にして、そして管理者に変な助平心を出して組合を無視させるようなことをしないということを厳しく行わせるということが必要だろうと思うのでありますが、大臣はまだ恐らくこういう内容について詳しく御存じなかっただろうと思うのでありますが、その点についての監督と指導というものを十分に行っていただきたいと思うのでありますが、その点についてのお考え方を。
#441
○国務大臣(白浜仁吉君) 訓練、指導という問題は非常にむずかしい問題でございまして、御指摘のとおりのことが起こらないようにということを十分注意しながら従来も行っているというふうに私は聞いておるわけでありますが、今回のいろいろな問題に絡んで私なりに判断をすると申しますか、そうしたことを考えますと、よほど新規採用者に指導をしておかなければ、行き過ぎた行為がありまして、そうして将来にわたって不利なことをいろいろな行動の際に起こしかねないというふうなことも考えられますと、私はむしろ十分にそうした指導をしてもらいたいと考えておるわけであります。
 ところが、なかなか人間のやることでございますから、やはり言葉の使い方などもむずかしいところがありますから、ともすれば不当労働行為的な見方がされるというふうなことも起こりかねないのではないかというふうなことが心配されますので、十分私は労使話し合いの上で注意しながら教育訓練を行うようにしたらばいいということをいまも目下話し合いの途中でそのことを希望し、願っておるところであります。十分注意して指導をしていきたいと考えております。
#442
○瀬谷英行君 それでは、今度は防衛庁長官にお伺いいたしますが、先般もお答えは聞いたのでありますけれども、防衛大学校の卒業式に記念講演をした人が、軍人勅諭というものをまあ賛美をしたと、こういう形になるわけでありますが、言い方は明治天皇のお諭しはまだ生きているんだというふうな言い方なんでありますが、実質的には軍人勅諭というものをきわめてりっぱなものだという意味のことを言っているわけなんですね。しかし、これは考えようによってはきわめて重大な問題を含んでいると思うのです。今後この軍人勅諭の精神にのっとった教育訓練なんかが行われたら、とんでもないことになるわけですよ。そこで、これは単に戒めるという程度では済まされないと思うのでありますが、防衛庁長官の見解をお伺いすると同時に、どのような処置を講じられておるのか、その点もあわせてお伺いしたいと思います。
#443
○国務大臣(山下元利君) 防衛大学校の卒業式に来賓として来ていただきました石田元最高裁判所長官が来賓代表として祝辞を言われました中にいまの御指摘の点がございますけれども、いまお話がございましたように石田元長官は軍人勅諭を礼賛されたとか賛美されたとかいうことではこの点はないと思います。私もその場で聞いておりましたけれども、そうではございませんで、直接には軍人へのお諭しのというふうな言葉を使っておられまして、そこに五つの徳目のことを触れておられまして、これは時代が変わっても忘却してはならないことであるというふうなお話でございます。したがいまして、いま御指摘でございますけれども、私はこの点につきましてはあくまでいまの自衛隊は国民のための自衛隊でございまして、この軍人勅諭が発布されました時代のような天皇のための軍隊ではございません、そのことははっきりいたしておるわけでございます。しかも、その軍人勅諭はすでに戦後効を失っておるわけでございます。石田元長官が引用された徳目は、徳目として普遍的なものが含まれておることを指摘したものでございます。現在、自衛隊では、そうした意味におきまして、国民のための自衛隊を構成する隊員の心構えにつきまして、自衛隊法五十二条の精神にのっとりました自衛官の心構えを準拠といたしまして、使命の自覚、個人の充実、責任の遂行、規律の厳守、団結の強化を重視した教育を行っており、国民のための自衛隊についていささかの疑点もないわけでございますが、今後ともこの趣旨を徹底していくように教育してまいりたいと思っております。
#444
○瀬谷英行君 ここで文部大臣にちょっとお伺いしたいと思うのでありますが、文部大臣は教育勅語については大変御造詣が深いわけでありますが、軍人勅諭を御存じかどうか、この軍人勅諭というものが果たして教育勅語と並んで評価できるものなのかどうか、率直なその見解をお伺いしたいと思うのです。
#445
○国務大臣(内藤誉三郎君) 教育勅語は戦前まで半世紀にわたってわが国教育の基本であったことは、これは事実でございます。そういう意味で、私は教育勅語の中にも今日でも通ずる普遍的な徳目が残されているように思うのでございます。しかし、御指摘のように、教育勅語につきましては、衆参両院で廃止決議が行われておりますので、私どもはこれを復活しようなんて考えていませんが、やっぱり道徳の基本というものはこれは大事にしなければならぬ。日本は資源がないのですから、国際的に信頼と尊敬をかち得る日本人をつくることが私は大事だと思うので、そういう意味で、今度の教育課程の改正に当たりましては、道徳教育を中心に教科活動全部を通じてそしてりっぱな人間を養成するようにいたしたわけでございます。私はいまの軍人勅諭につきましてはそれほど詳しくは存じませんが、「一 軍人は忠節を尽すを本分とすへし」から始まっておりまして、そのことは存じておりますけれども、これも国会においてすでに廃止決議が二十三年にされておりますので、公式の場で発言される場合には、生徒への影響等もございますので、やっぱり慎重な配慮が必要ではなかろうかと考えております。
#446
○瀬谷英行君 私、軍隊手帳というのを持ってきたんですけれどもね。文部大臣は「一 軍人は忠節を尽すを本分とすへし」から始まるというふうに御理解のようですが、そうじゃないんですよ。前文があるんです。そして、まずこの軍人勅諭について言うと、史実と相違しているということが言えるのです。それから内容に問題があるということが言えるのです。
 それで一番初めは「我国の軍隊は世々天皇の統率し給ふ所にそある」というところから始まって、そして「昔神武天皇躬つから大伴物部の兵ともを率ゐ中国のまつろはぬものともを討ち平げ給ひ」と、こうなっているんです。では、わが国の軍隊が世々天皇の統率したもうところにあったかどうかですね。関ヶ原の合戦のころ天皇の軍隊が存在していたかどうか。大坂夏の陣で天皇の軍隊が働いたかどうか。さらにさかのぼって源平の戦いのころ天皇の軍隊が何をしたかということを考えますと、そのころは天皇の軍隊なんというのは存在しなかったわけです。ずっと下がって元禄時代になって、赤穂浪士の討ち入りのころ天皇の軍隊があったかというと、ありはしないですよ。それが復活したのは御維新になってからなんです。だから、「世々天皇の統率し給ふ所にそある」というのは、これは歴史の上から言うと間違いだということになるわけです。
 それから内容に問題があるということは、いま徳目を防衛庁長官は言われました。五つの徳目、それは忠節、礼儀、武勇、信義、質素と、こう五つというふうに分かれているんです。分かれているけれども、内容に問題があるというのは、特に、その中の礼儀を正しくしろということは結構なことじゃないかと簡単に思うかもしれませんが、その礼儀の項の中にどういうことを書いてあるかというと、「軍人は礼儀を正くすへし」と、そこまではいいけれども、「下級のものは上官の命を承ること実は直に朕か命を承る義なりと心得よ」と、こういうのがあるんです。礼儀を正しくしろ、小笠原流でしっかりやれというのじゃないんです、これは。上官の命は朕の命と心得よ、何でも上官の命令は聞けと、こういうことになっているんです。その思想をそのまま真っ正直に遂行してまいりますと、かつて日本が満州事変から支那事変、大東亜戦争、昭和二十年八月十五日と、あの道をたどってしまっているんですよ。さらに、二・二六事件なんというのがありました。二・二六事件でもって、軍人が兵を率いて首相官邸を初めいろいろなところを襲撃してたくさんの閣僚を殺しました。これはやはり上官の命と思って実弾を詰めた鉄砲を持っていって、機関銃を持っていって、ああいう殺戮をしたわけです。これを考えてみますと、軍人勅諭の内容というのはきわめて危険な内容をはらんでおるということが言えるのじゃないかと思うのでありますが、その点について、長官は、徳目は結構だとおっしゃったけれども、内容に問題ないとおっしゃるかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。
#447
○国務大臣(山下元利君) 現在の自衛隊のあり方、また軍人勅諭の点につきましては、先ほど申し上げたとおりでございまして、現在自衛隊においては軍人勅諭を教育の場に使っておるわけはございません。
 ところで、いろいろ御指摘がございまして、その軍人勅諭が出されたときにおける意味合いについての徳目についてお述べになりましたのでございますが、すでに軍人勅諭はその効を失っておりますのでございます。
 ただ、私が申し上げましたのは、石田元長官が祝辞の中で申されたたとえば「信義」とかいうふうな言葉がございますが、これにつきましては、いろいろ軍人勅諭にどう書かれているかということはもうすでにその効を失っておりますけれども、項目としては普遍的な徳目の項目が含まれておる、このことを申したわけでございます。
 以上で御理解賜りたいと思います。
#448
○瀬谷英行君 私は、史実に相違しているということと内容に問題があるということを言いましたけれども、そのほかにもこれはきわめて非科学的な精神主義がここに象徴されているんですよ。軍隊の経験のある閣僚は思い出があるだろうと思うのでありますが、これは全部読むのに十五分かかりますよ。しかも、御丁寧に変体がなでもって書いてある。いま読もうと思ったって、外国語を読むみたいに、これは簡単には読めないです。これを暗記させたんですよね。実にむだなまねをしたものだと思うんです。そして途中でもってとちったり、つっかえたりすると、ぶん殴られたり、立たせられたりする。だから、こんなものを無理やり兵隊に暗記をさせるといったような思想に日本の軍隊の敗因があるのじゃないかという気がするんですよ、非科学的な。敗北の原因もここにありとするならば、むしろ私は、防衛庁長官はいま軍人勅諭は教材に使っていないと言いましたけれども、むしろこの軍人勅諭を教材にして、こういうものを真正直に読んだり暗記させたりしたから日本の軍隊はああいうふうにみじめに負けたんだということを教えるにはいい教材になると思うんですよね。その意味でなら、私は教材に使ってもいいし、私が講師を引き受けたっていいくらいなんです。しかし、逆に、いかに前の最高裁の判事といえども、これを引き合いに出して、いいところがあるんだというようなことを言わせるというのは、もってのほかだと思うんですよ。私は、この軍人勅諭の中に、これは今日でも大事なものだ、いいものだというようなことを指摘できるようなことは何一つないと思うんです。だから、私は、むしろ大事なことは、防衛庁自体が、特に防衛大学等の教育に携わっている人たちに対して、この種の思想というものは全く排撃をするという方向で進むのが本当じゃないかという気がするんですよ。その点はどうですか。
#449
○国務大臣(山下元利君) 大変恐縮でございますが、いまのお言葉の中に、言わせるというお言葉がございましたのですけれども、私どもは、決して言わせるとか言ってもらうというようなことはございません。毛頭考えておりません。ただ、私どもとしては、元の最高裁判所長官というふうな経歴のあられた方を来賓としてお迎えするのを防衛大学校が選びましたについては、これは意味を持っていると思います。そのときに来賓としてのお話の中にこういうことが出たわけでございますが、決してそれで言わせるようなことはございません。しかも、いまの自衛隊のあり方につきましては、私も明確に申し上げておりますとおりに、戦前の軍隊ではございませんで、国民のための自衛隊でございます。しかも、その心構えにつきましては、いま申しましたような新しい心構えをもちまして教育いたしておるわけでございますから、いろいろ御指摘については十分拝承をいたしましたが、私どものいまの自衛隊、また防衛大学校の教育のあり方については、以上をもって御理解賜りたいと思う次第でございます。
#450
○瀬谷英行君 言わせるというつもりはなかったというけれども、言っちまったんですよ、間違いなく。のこのこと防衛大学まで行って、しかも内容を知っているんだかどうかわかりませんけれども、明治天皇のこのお諭しが今日でも生きているぞということを知ったかぶりしてこの人はしゃべったわけですよ。そんなことをさせたことは防衛庁として大きな失態だと私は思うのです。こういう失態について反省してもらいたいということを言っているんですよ。まあいいじゃないかということで済まされないんです。特に、先ほどもちょっと指摘をいたしましたけれども、二・二六事件みたいなことを過去の軍隊はやっているわけでしょう。それも上官の命は朕の命と心得よと言われるから、上官から言われれば大臣でもだれでも鉄砲を向けて殺してしまうんです。それだけじゃありません。戦地に行ってどういうことをやったかというと、これはやはり上官の命令だというんで捕虜の首をはねたり、あるいは捕虜をくくりつけておいて銃剣で刺し殺したり、こういうこともやっているわけですよ。しかも、中国大陸へ侵入しながら暴支膺懲というような言葉を使ったわけです。みずからのやったことを正当化しているんです。こういうことが軍人勅諭というものの精神教育と決してうらはらではないのだということを理解しなきゃならぬと思うのです。その点を私は特に長官に強く指摘したいと思うのでありますから、その点を間違いなく認識をしてほしいと思うのですが、どうですか。
#451
○国務大臣(山下元利君) 申すまでもなく、自衛隊は戦後の民主主義を基調とする平和と安全を守るためにあります。したがいまして、先ほど来申し上げておるとおり、いまの御指摘のような戦前の軍隊とは違うということを私どもは常時心構えとして持っておるわけでございまして、したがいまして、先ほども自衛隊の心構えについて触れました次第でございました。私どもは、民主主義を守る国民のための自衛隊としてその教育を進めてまいりたいと思います。
#452
○瀬谷英行君 総理に今度はまたお伺いいたしたいと思いますが、今度は軍人勅諭じゃないんですけれども、地価の問題です。
 きょうの新聞にも出ておりましたけれども、国土庁の地価公示価格というのが発表になりました。地価が急騰しているわけです。この地価の急騰は、「最近の地価動向」という国土庁でしたかの発表とは大分違うんですね。きょうの発表によると、まあ極端な話が、憂うべき現象であるというふうに見なきゃならぬと思うのでありますが、総理としてはこの問題はどのようにお考えになりますか。
#453
○国務大臣(小坂徳三郎君) 最近の地価、特に宅地の東京、大阪、名古屋の動向はわれわれとして非常に要警戒の推移期であるというふうに考えるわけでございまして、先ほども御答弁申し上げましたように、この地価の上界について今日までなされておりますいろいろな施策がございますが、こうしたものをさらにもう一度特に住宅の宅地供給の面につきましてわれわれとしまして現在検討中でございますが、こうした問題につきましては国土庁が中心で政府ではやっておりますが、一応経済政策といたしまして経済企画庁においてこれを重要な問題として取り上げているところでございます。
#454
○国務大臣(中野四郎君) お尋ねの、ことし一月に中間報告をいたしました、全国平均五・一、そうして住宅地が大体六・三、これが、きょうの、昨日ですか発表によりますれば、全国平均が五・二、それから住宅が六・五、あるいは東京圏では八・八、あるいは東京都におきましては九・九と、こういうふうに公示価格の結果上がってきております。
 それからこれは住宅地の方は非常に〇・二上がっておりまするけれども、商業地におきましてはきわめて低い率でありまして三・一でございます。それから工業地内は二・七というような状況でございます。
#455
○瀬谷英行君 国土庁の資料によりますと、「全国で一・五%の変動であり、この間の地価動向は、全体としては、おおむね安定的な基調で推移しているが、三大圏の住宅地については、強含みの傾向がみられる」と、こう書いてある。総理の見解を承りたいと思います。
#456
○国務大臣(中野四郎君) 四半期の中間報告を先ほど申し上げたのでございまするが、実質上におきましては都心寄りのところがかなりな値上がりを示しておりまするものは、まあ何と申し上げましても需要とそれから供給とのバランスが崩れておるところ、率直に申し上げれば宅地を非常に多く要求するところに供給が足りない、ここいらが上がっておるのでありまして、全国的平均ではそう強いものではないのでございます。
#457
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘のように、地価が騰勢に向いております。とりわけ三大都市圏周辺にその顕著な傾向が見えるという御指摘でございまして、私どもといたしましては、金融、税制.その他を通じまして土地の供給の確保、また価格の鎮静化に努めてまいった次第でございますけれども、こういう傾向は警戒しなければならぬと存じておるところでございまして、今後あらゆる角度から土地政策は再吟味いたしまして、地価の安定並びに宅地供給に支障のないように工夫をしてまいらなければならぬと考えております。
#458
○瀬谷英行君 一体この地価騰貴の原因は何か。こういうことを予想していたのかどうか、あるいは予想外の事態であるというふうに見るのかどうか。金融機関がこの地価騰貴に一役、二役買っているということであれば、それに対する対策は一体どうするおつもりなのか。これは大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
#459
○国務大臣(金子一平君) 仮需要が起こっているとは私ども決して思っておりません。特に都市の周辺におきましては、瀬谷さんも御承知のとおりマンションの建築が急速に進んできておりますし、またミニ開発が活発に行われております。民間の住宅建設の意欲も最近急速に高まってきておるのが実情でございまして、残念ながら宅地供給がそれに伴わないというのがやはり一番大きな土地騰貴の原因であろうと思います。
 ただ、私どもが非常に気をつけなきゃいかぬと思いますのは、金融機関が宅地のための貸し出しをどんどん進めるというような、仮需要のものにまでも要求に応ずることになりますると、こういう下地があるところへもってきてそれに拍車をかけますから、
  〔委員長退席、理事岩動道行君着席〕
先般、金融機関に対しまして、厳正な選別融資をやるようにと、仮需要には応じないようにという通達を、これはもう数年前に出したばかりでございまするけれども、重ねて警告を発しまするとともに、四半期ごとに貸し出しの状況がトレースできるようにやっておるような状況でございます。一部には、企業が手持ち流動性をもてあまして土地の買いあさりをやっておるかのように伝えられておりまするけれども、前の石油ショック、列島改造の当時に相当各方面の企業が不動産の買いあさりをやりまして、それをいまもてあましている状況です。売れないで困っている。だから、そういうところへもってきて企業がまた手持ち流動性を活用して土地を買いあさるかというと、それはなかなか簡単に売れない。土地規制が厳重に行われておりますから、それは私どもは簡単にできないと考えておるような次第でございます。
#460
○瀬谷英行君 いま知事選挙が行われておりまして、東京都知事選挙もなかなか激戦と言われておるのでありますけれども、東京がどうなるかということはこれはなかなか深刻な問題です。というのは、すでに日本の人口の一割が東京へ集中してしまっている。だれが知事に当選しようと、東京のこの過密の状態というものは知事の一存で何とかなるという問題じゃなかろうという気がするのでありますが、政府としてはこの東京の問題あるいは首都圏の問題をどのようにするおつもりなんでしょうか。
#461
○国務大臣(中野四郎君) 首都改造の問題については、過密問題の解決を図るためには、この際長期的な観点から東京大都市地域の総合的なそして抜本的な改造を進める必要がありまするので、このために二十一世紀に踏み込んだ首都改造計画を策定するための調査を昭和五十四年度より実施することにいたしております。そこで、首都機能の配置の問題についてもこの調査において真剣に取り組んでまいることといたしたいと存じております。
 御参考までに申し上げますれば、調査の課題といたしましては、都市構造の改善、防災性の向上、総合的居住環境の整備、巨大都市の限界性への対応、また首都機能のあり方につきましては、調査検討の進め方をば、首都改造懇談会、まあこれは仮称でありまするが、これを開催いたしまして、国民に対するアンケートの実施などによりまして国民合意の方向を見きわめていきたい。そして、国と地方公共団体が一体となって具体的な計画の策定に当たる。調査対象地域は、東京大都市地域、一都三県でございます。それから調査期間は三年から五年の間にいたしたい。昭和五十四年度調査費が大体一億百万ついておりますので、これらによってこの計画を策定推進いたしたいと考えております。
#462
○瀬谷英行君 首都改造計画策定の概要について質問しないうちに御答弁いただいて大変恐縮なんですけれども、いずれにしてもこのままほってはおかれないということになると、首都機能を一体どうするのか、遷都あるいは分都、奠都、改都、何とかしなきゃならぬということになるのでありますが、これは余りのんびりしちゃいられないと思うのであります。ゆっくり時間をかけて調査をしてといったようなことをやっている問題ではないと思うのでありますが、その点はどうなんですか。
#463
○国務大臣(中野四郎君) 事が首都を改造するという非常に大きな問題でありまするだけに、かなりな時間的な必要があるものと考えております。いまその一つの方途をば三年−五年の間に策定いたしたいといそしんでおりまするけれども、いずれにしましても、これはなかなかそう簡単にいく問題ではございませんので、時間的に十分の検討を加える必要がある、こういうふうに考えております。
#464
○瀬谷英行君 関東大震災のような大地震が発生したらどうかということを心配しなきゃならぬと思うんですよ。あのような大規模な地震が発生した場合の災害対策を考えたことがあるのか、一体その場合にはどんなことになると思うのかということです。たとえば電気もとまる、電話もとまる、水道もとまる、ガスもとまる、鉄道もとまる、信号機もとまる、交通は混乱する、火災が発生する、こんなことが一遍に始まるわけでしょう。そのときにどういう事態を想像されますか。また、総理、あなたはそのときどうなさいますか。
#465
○国務大臣(中野四郎君) かつて大正十二年の関東大震災クラスの地震が発生した場合ということをいまの東京の被害に相当してみますると、非常に大きなものであろうと思うのであります。その被害想定としては、昭和四十五年の消防審議会の答申がありますけれども、この答申を受けた形でも中央防災会議において大都市震災対策推進要綱が決定されておりますが、これを基本方針として現在まで政府としての大都市震災対策を進めてきたところでありまするが、しかし、消防審議会の答申では関東大震災の際の倒壊率ですね、それから出火率をば基本的に基礎としておりまするけれども、最近の高層ビルの建設とか、地下街の増加、石油コンビナートなどというものの、出現によりまして、都市内交通のふくそう等々の都市構造の変化に対応する被害の想定は対象とされていないのでございます。これらの新しい形の被害の想定のためには、従来の手法に加えて、地質、地盤の状況、地震の周期等も考慮に入れた検討を行う必要があり、現在新しい手法が検討されつつある現状でございます。
#466
○瀬谷英行君 関東大震災のような、マグニチュード八とか九とかいうふうなちょっと想像できないような大きな地震というものの可能性はないと思うかあると思うか。あったとすればどんな被害状態になると思うか、その点をお伺いしたい。
#467
○国務大臣(中野四郎君) 当然、地震国である日本にないという断定はできません。あるといたしますれば、やはりこれに対応する必要がありまするから、国土庁は国土庁とし自治省は自治省とし、各方面にわたってただいまそれらのいわゆる対応策を立てつつあるのでございます。
#468
○瀬谷英行君 一体どんな状態になるかということを検討さしたことがございますか。
#469
○国務大臣(中野四郎君) これは率直に申し上げますけれども、第一番に関東大震災に相応するような震災があったといたしますれば、私の一番心配しておるのは交通上の問題であろうと思うのであります。この対応はそれぞれのいわゆる関係の省庁において検討はしておりまするが、私らが経験をいたしました実質から申し上げれば、交通上のいわゆる途絶状態に入るのではなかろうか。そういう場合に、一般に避難を命じましても、所等が円滑にいくかどうか大変な心配をしておる一人であります。率直に申し上げればそういう点であります。
#470
○瀬谷英行君 そうなると、行政機能だって麻痺してしまうのじゃないかという気がするんですよ。それから大混乱が生ずるのじゃないかと思う。関東大震災のときは避難する人の荷車に火がついたなんという話がありますけれども、いま荷車に火がつくということはないと思うけれども、そのかわり車に火がついたらどうにもならぬと思うのです。それらのもろもろの災害の状況を想定をして、たとえばこういう状態になるといったような検討をしたことがあるのかどうかということです。
#471
○政府委員(四柳修君) 先生御指摘の点につきまして、御案内のように大規模地震対策特別措置法ができました。そのために東海地域を中心に強化地域の指定を準備しております。東京以前に、関係地域において、どういう事態が想定されるか、これは関係各省も当然でございますし、関係地方公共団体も同じでございますが、それぞれの事態を想定しまして、それに対する災害応急対策をどうするかということを現在計画をつくる方向でそれぞれ検討中でございます。
#472
○政府委員(近藤隆之君) 国といたしまして、関東大震災級のものが東京を襲った場合にどの程度の被害になるかということについて想定したものはございませんが、御承知と思いますが、昨年の六月、東京都がいろいろ検討いたしまして公表いたしたものがございます。それによりますと、これは第二次災害をどの程度まで想定するかということにもかかってまいりますけれども、それからまた、先ほど国土庁長官から御説明ございましたように、高層建築物あるいは地下街、そういったものをどう見るかというようなものがございますが、それらの点については被害額が余りはっきり出ておらないようでございますけれども、いずれにいたしましても、マグニチュード八クラスの災害が東京を襲った場合、東京の震度は六ぐらいになるようでございますけれども、建物のそれによる倒壊数は全体の区部におきまして四・三%程度のようでございます。しかし、関連して火災が発生いたしますと三二・五%が焼失面積となり、三万五千人の死者が出、六万三千人の負傷者が出るというような一つの想定がございます。東京都は、こういったものも前提にし、その後に起きました仙台の地震、あれがまさに都市災害の典型的な例でございますが、そういったものも参考にしつつ、東京都の防災計画をつくっておるという実情でございます。
#473
○瀬谷英行君 これはちょっと想像できないかもしれませんけれども、しかし地震の可能性というのはこれはあり得ることでしょう。その場合にどんな災害が生ずるかということは、あらかじめ考えておかなきゃならぬ。それからどうしたらいいかという対策も考えておかなきゃならぬと思うのですよ。それらの対策について、たとえば行政機能が麻痺したらそのままでいいというわけにいかぬでしょう。そういうことを考えたならば、政府として何をするのか、自治体に対して何をさせるのかということぐらいはちゃんとしておかなければならぬと思うのでありますが、どうですか。
#474
○政府委員(四柳修君) お尋ねの点につきまして先ほど大臣がちょっと触れましたけれども、大都市震災対策推進会議という場で関係省庁寄りましていろいろ検討しているところですが、いま例に挙げられました問題でとりますと、どこに本部をつくるかとか、どういう連絡体制をするとか、どういう形で閣僚以下お集まりいただくとか、そういう方向については、事務的にはほぼまとまっておりますけれども、それを正式の中央防災会議の決定という形ではまだまとまっておりません。ただ、先ほど申し上げました東海地域を想定した地震の場合でも同じようなことが起こる可能性がございます。その計画の中で具体的に近い将来決まると思います。
#475
○瀬谷英行君 大蔵省と国土庁で立川飛行場の返還国有地の処理の大綱についてという案がございますけれども、これは立川飛行場返還後の一応の対応策としてのプランであろうと思うのでありますが、これをどのように役立てるというおつもりなのか、災害対策ということも勘案をして具体的なプランというものをお持ちになっておるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#476
○国務大臣(中野四郎君) お答えをいたします。
 立川飛行場跡地の利用に対しての大綱案の基本的な考え方は、あくまでも首都圏整備計画に基づきまして都市環境の改善とそれから南関東地域における防災機能の充実ということを図るために、このため大規模公園及び広域の防災基地を二本の柱といたしまして地元立川、それから昭島両市の健全な市街地の発展に必要な業務地等の用地も確保することとしております。そういうたてまえで、首都機能の移転につきましても長期的な課題として今後慎重に取り組む必要があると考えております。また、後ほどお尋ねがありましょうと思いまするけれども、首都の移転等の問題につきましても立川飛行場の跡地に移転をするいまは考えを持っておりません。
#477
○瀬谷英行君 いまの語尾の点が余りはっきりしなかったんだけれども、要するに立川跡地に移転をするという考え方はないということなんですね。それでは、それはそれで結構ですが、さしあたってこれを活用するという考え方はいまおっしゃったけれども、じゃ首都移転の問題については具体的に何か構想をいまお持ちになっておられるのですか。
#478
○国務大臣(中野四郎君) せっかくいま検討中でございまするから、ここというようなところば考えておりませんのです。
  〔理事岩動道行君退席、委員長着席〕
#479
○瀬谷英行君 考えていなければ引っ越しのしようがないわけなんです。もし考えるのならば、これは個々の候補地を挙げて移転をするならすると、さっさとしないと、地震の方は待っていないわけですからね。別に地震のためにというわけじゃないんです。私は、超過密地帯の東京都の問題を、切開手術でもしなければどうにもならぬのじゃないかという気がするから、あえて御質問をしたわけです。
 それと、もしもこういうせっぱ詰まった状態になったときに大きな地震にでも襲われたら一体どんなことになるだろう。これは決して他人事ではないんですよ。これは有事立法のことについて福田さんは、まあ万万万一というようなことを盛んに言っておりました。有事立法の有事よりも地震の方が可能性は強いわけですね。したがって、これらの問題については私は政治家としては真剣に考える必要があるのだと思うんですよ。そのために、とりあえず首都改造計画についての調査費一億百万円というものが計上されておりますけれども、これは調査費だけでありまして、具体的な首都移転とかあるいは改造計画というものを立てるという段になると、どのくらいの費用が要るのか、それらの費用の点について大蔵省としては予算は考えておられるかどうか、お答え願いたいと思うのです。
#480
○国務大臣(金子一平君) その移転先もまだ決まっていない状況でございますから、大体の目安がついて国土庁の計画が済んだところで御相談を申し上げようという気持ちでおります。まだ幾らかかるか目安はついておりません。
#481
○政府委員(堺徳吾君) お答えいたします。
 首都機能の移転問題につきましては、首都圏整備委員会時代からいろいろ調査検討は続けてきておるわけでございます。どれくらい費用が要るかという問題でございますが、最近、ごく最近は調査したことはございませんけれども、昭和四十八、九年時代に一応算定したものがございます。これは用地費を除きましてでございますけれども、当時として約四兆円程度という試算が出ておるわけでございます。
#482
○瀬谷英行君 土地価格の問題なんでありますけれども、東京に政府があり、首都機能がますます膨張するという状態では、東京を中心とする土地価格は下がりっこないんですよ。だけれども、ここがじゃどこかに移転しますよ、政府も移転します、それから学校も移転します、皇居も一緒に移転します、残る方はどうぞ御随意にと、こういうことになると、これは大分違ってくると思うんですよ。だから、具体的な地価対策として、移転問題はもっと現実の問題として考えて、政府としては実行する意気込みがあるぞということを示すということが、地価対策上も私は必要だろうと思うのですが、どうですか。
#483
○国務大臣(中野四郎君) 首都問題に関しましては、非常な関心を持って、きわめて最近からそれぞれの学者あるいは各方面から成るところの委員会をつくりまして、そうして真剣に検討し、ただいまお話のあったような問題を解決することに努力をいたしていきたいと、かように考えて、せっかく各方面の関係者にただいまいろいろとお願いをしておるさなかでございます。
#484
○瀬谷英行君 今度は建設大臣にお伺いしたいのでありますけれども、地価がこのようにその後上がる一方である、ちっとも鎮静しない、政府の言うとおりにならない。このまま地価が高騰していくならば、経済政策にも大きく影響せざるを得ないだろう、こういう心配があるわけです。そこで、宅地政策のあり方について住宅宅地審議会からの建設大臣あての答申もあったようでありますけれども、日本の国民の住宅をどうやって確保するか、どうやって確保するかというよりも、より安い価格でもってちゃんとした住宅をどうやって確保するかということは、政府にとっても重要な問題であろうと思うのであります。それらの問題について、建設大臣としての具体的な対策というものはどのような問題があるのか、その点をお聞かせ願いたいと思うのです。
#485
○国務大臣(渡海元三郎君) 最近における地価の高騰の問題につきましては、いままで各大臣から答えられたとおりでございますが、その根本は、結局、需要供給の関係で宅地が不足しておるということが最大限の原因であると、このように考えております。このためには、特に三大都市圏においていかに宅地をつくっていくかということが最大の問題である、こう考えまして、私たちが持っております公的機関、宅地開発公団あるいは住宅公団等によります宅地開発の推進、また民間の優良な宅地開発に対しましては政策金融等を行いましてその増加を図っていきたい。もう一つは、関連公共の施設をつくりまして、その費用も昨年度の補正を入れての三百五十億から本年度は特に六百億に増加していただきました。また、都市計画の五年ごとの線引きの見直しということもございますが、この点におきまして都市計画の線引きの見直しも実行していきたい。また、いまの市街地におきましては、市街地再開発事業を推進してまいりたい。これも東京並びに名古屋、大阪等におきまして、計画を五十四年度予算で進めさせていただいておるような次第でございます。その上に、いままで土地構想のために引き締められておりました土地税制を、良好な宅地増高のためには緩和していただくという税制改正も行わさしていただきまして、以上のような施策を総合的に計画的に実施することによりまして宅地の供給を大ならしめたい、このように努力いたしております。
#486
○瀬谷英行君 東京サミットがあるし、それから日米首脳会談等があるわけであります。アメリカあたりでは、ヨーロッパでもそうでありますけれども、日本の黒字を目のかたきにしているようでありますけれども、それではそれほど日本の国民の生活水準が高いのかどうかということになりますと、事は、住宅問題に関する限り決してそうではないと思うのです。ミニ開発であるとか、あるいは個々の日本の国民がどうやって住まいを手に入れるかという問題になりますと、はるかに高い金をかけて狭い家屋しか手に入れられないというのが実情だろうと思います。むしろ、東京サミットに集まってくる欧米の先進国の人たちに、日本の宅地の実情というものをよく見せてやって、決して日本の国民が彼らが考えるほど裕福な生活をしているのじゃないんだということを認識させる必要があるのじゃないかと思うのでありますが、どうでしょうか。この点は総理にお伺いしたいと思うのです。
#487
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、わが国は食料費、住居費が他の先進国に比べまして生計費の構成上大変重い比重を持っておるということは、御指摘のとおりでございます。したがって、生活費の比較におきましては、今日われわれの国民所得なるものが決して実質的に高いものでないことも御指摘のとおりでございます。これはそれぞれの国の経済の構造の上から申しましてこういう仕組みになっておるわけでございまして、こういうことに対してわれわれ自身が他の国々の理解を求めなければならぬことは当然でございまして、各国におきましてもわが国に対する理解は漸次深まってきておるものと思いますが、なお一層努力をして正当な認識を持っていただかなければならぬことは御指摘のとおりと思っています。
#488
○瀬谷英行君 いま総理が言われたのでありますけれども、正当な認識を持ってもらう必要があると私も思うんですよ。欧米の先進国の人たちにしてみれば、日本を多少買いかぶっている点もあるのじゃないかという気もするわけです。そこで、実態としては、欧米先進国の住宅の状況と日本の国民のそれとを比較をして、果たしてどうな差異があるのかという点、これは建設大臣にお伺いしたいと思うのでありますけれども、具体的にこうだということが指摘できるようなことがあるのじゃないかと思うのでありますが、その点はどうでしょう。
#489
○国務大臣(渡海元三郎君) 住宅建設は、いままで住宅そのものが世帯数に対しまして不足いたしておりましたから、鋭意住宅建設に努力してまいりました。その結果、このごろでは量的には一応解決することができたということで、質的にはまだまだ劣っておる点がございますので、現在の五カ年計画におきましても、規模その他をできるだけ質的向上を図ってやっております。いずれにいたしましても、家族構成並びに地域的な環境のもとで、すべての国民がりっぱな住宅を持ち得るように努力するのが私たちの役目でございますので、鋭意質的向上に努力いたしております。
 なお、各主要国との違い等につきましては、データを持っておりますので、事務当局から答弁させます。
#490
○政府委員(救仁郷斉君) 先進欧米諸国と日本の住宅事情でございますが、これは国際的な統一のとれた統計がございません。したがいまして、直接比較することは困難でございますが、一つの考え方としまして私ども使っております一室当たりの平均人員という指標がございます。これも厳密に申し上げますと、部屋の数え方等が若干欧米諸国と日本と違っておりますので厳密な比較ではございませんが、ただ傾向的には推測できると思います。日本では一室当たりの平均が現在〇・九人ということになっておりますが、これは大体イタリア並みぐらいでございます。アメリカでは〇・六、イギリスでは〇・六、西ドイツで〇・七というようになっておりまして、まだまだストックとしての住宅水準は欧米諸国にはなかなかもう少し努力が要るというように考えております。
#491
○瀬谷英行君 まず欧米の水準に達するためには隘路は一体どこにあるのか、問題はどうしたら欧米の水準並みの住宅というものを日本の国民に約束できるのか、保障できるのかということにあると思うのでありますが、これらの問題はまさに緊急の課題であろうと思うのでありますが、その点はどうですか。
#492
○政府委員(救仁郷斉君) 住宅の居住水準は、結局長年にわたる国民の投資のストックの問題でございます。したがいまして、最近の建設された住宅の水準を見ますと、日本では昨年八十八平米になっておりますが、これはもうすでにイギリス、フランスの水準をオーバーしまして、西ドイツに近づきつつあります。したがいまして、隘路は先ほど先生の御指摘されたような土地問題とかいろいろな隘路はございますが、少なくともそういった住宅の面積といったような点からいたしますと、これをもう少しいい質のものをやはり長年にわたってストックをつくっていくということによって達成できるのではないかというように考えております。
#493
○瀬谷英行君 本委員会でいろいろと問題になりましたE2Cの問題について総理からの見解の表明がございましたけれども、なお今後のこの問題の究明のためにどのような努力が行われているのか、その点について法務大臣からお伺いしたいと思います。
#494
○国務大臣(古井喜實君) 毎々申し上げまするとおりに、検察の方ではそれなりにいろいろな調査を進めてきておりますのですが、大分資料の調査も進んだような模様でありますので、そのうちに商社に対して、さらに一歩進んだ取り調べを始めるのではないか、そういう時期に大体来ておるような気がいたすわけであります。これは検察の独自の調査の問題でありますが、国会のいろいろな御論議もあったようでありますし、いろいろな発言もあったようでありまするし、これも無論かみしめて検察としては総合的に考えておるというふうに思っております。それで、いま一歩前進して調査を進めますとなりますと、さっきも申しましたように、商社関係では本番の調査に踏み込んでいくということになるのじゃないかしら、そういうことにいま思っておりますが、なおそれ以上の具体的なことはいま私からは申すことはありませんので、以上で御了解願いたいと思います。
#495
○瀬谷英行君 いま大臣が言われたような方針で、まあ輪郭がはっきりしておりませんけれども、一歩踏み込んだ調査ということでございますが、証人喚問といったようなことを参考にして一歩踏み込んだ調査が行われつつある、あるいは行われようとしていると、このように理解をしてよろしいんですか。そのところをもっと具体的に御報告がいただけるのならば御報告をいただきたいと思いますが。
#496
○政府委員(伊藤榮樹君) いま大変微妙な捜査の段階にございまして、あと十分ほどお待ちいただきたいと思います。
#497
○瀬谷英行君 それでは総理にお伺いしたいと思うのですが、証人喚問のやりとりをごらんになりましたか、テレビ等で。
#498
○国務大臣(大平正芳君) 全部でございませんけれども大部分聞きました。
#499
○瀬谷英行君 政治家と外国人は、だめだということで合意を得られなかった。だから、私は、この証人喚問で出てきた人がいろいろおりますけれども、果たしてこれでいいのかどうかと、証人喚問のあり方がこれで十分なのかどうかという疑問を持つんですよ。というのは、非常に時間が限られております。それから出てくる人も、呼び出されるのがいやでばたばたした人もおりますし、それから出てきたけれども証言を拒否した人もいる、出てきてしゃべったけれども本当かどうか当てにならない人もいるわけです。したがって、この限られた時間の中であの証人喚問というのが果たして有効に事実の解明に役立つかどうか、あれでいいのかどうかという疑問を持つのでありますけれども、その点はどのようにお考えになりますか。
#500
○国務大臣(大平正芳君) けさほども御答弁申し上げましたように、捜査当局側の捜査解明が進んでおる。国会におきましても、証人喚問ばかりでなく、政府との間のやりとりを通じまして鋭意真相に迫った質疑が行われておるわけでございまして、総体として真相の解明は進んでおると思います。大変複雑な事態でございますけれども、さすが皆さんでございまして相当な進展が見られつつあるように私には感じ取られます。
#501
○瀬谷英行君 先ほどの総理の答弁で、たとえばいろいろと話題になっておるような人たち、政治家等について、個人として出席するなら構わないが、応諾をするかどうかはそれは個人の問題だと、こういうふうに言われた。じゃ、個人として出席を承諾をしたならば、党としてこれを拒否したり抑えたりはしないと、こういう意味ですか。
#502
○国務大臣(大平正芳君) そのようにおとりいただいて結構です。
#503
○瀬谷英行君 それならば、御本人が、おれは出てもいいよと、こういうふうに言われた場合には、自民党としていいとか悪いとかいうことは言わせないといいますか、そういうことはないということですか。
#504
○国務大臣(大平正芳君) 純粋に個人の判断でやっていくべき性質のものでなかろうか。党が介入するのはよくない。介入というのは積極、消極両面あるわけでございますので、本人が出ていこうというものをとめるというようなつもりは毛頭ありません。
#505
○瀬谷英行君 今日強制捜査の対象になっておりますのは外為法とそれから私文書偽造ということでありますが、贈収賄等についての容疑というのはあるのかないのか、これから出てくる可能性があるのかないのか、その点もあわせてお伺いしたいと思うのですが。
#506
○政府委員(伊藤榮樹君) もちろん今回の問題を多角的に検討してまいります際には、贈収賄というような忌まわしい犯罪がわが国内で行われたことがあるとすれば、検察としても看過できないわけでございますから、そういう点を念頭に置いて調査を続けておるはずでございますけれども、今日までの時点におきまして贈収賄によりまして強制捜査に着手するというような段階には立ち至っていない現状でございます。
#507
○瀬谷英行君 そうすると、あくまでも外為法と私文書偽造といったようなことに限られておるのでありますか。
#508
○政府委員(伊藤榮樹君) 少なくとも表面に容疑事実を明らかにして捜査をしておりますのは、仰せのとおり、山岡外一名に対する私文書偽造と外為法違反と、こういうことでございます。
#509
○瀬谷英行君 私文書偽造行使の方はどうなんでしょう。
#510
○政府委員(伊藤榮樹君) 山岡外一名の容疑事実との関連におきまして、当然偽造私文書の行使につきましても捜査を行っておる実情でございます。
#511
○瀬谷英行君 証人喚問の方法について、これは総理自身の見解もちょっと聞いてみたいと思うのでありますけれども、ああいう短時間のやり方でもって、そしてしゃべる方は時計を見ながらまどろっこしいことをしゃべっていればそのうち時間が来てしまう、こういうやり方だと、どうしてもそれ以上の究明というものが事実上しにくくなるわけです。したがって、本当に国会の証人喚問でもって真相をもっと突っ込んで究明しようと思うならば、あれだけでは不十分ではないかという感じがわれわれとしては持たれたのでありますけれども、テレビ等をごらんになっていてどのようにお感じになったか、その点をお伺いしたいと思うのですが。
#512
○国務大臣(大平正芳君) 国会における証人喚問のやり方につきまして、これがいかようにあるべきかというものを判断する能力を私案は持ち合わせておりません。ただ、常識といたしまして、本件の刑事責任の所在につきましては捜査当局がやっておるわけでございまして、国会がどういうところに焦点を置いて究明されるか、それは国会運営との関係におきましておやりになることでございますから、やりようにどういう工夫を加えたらいいか、これは確かに検討に値する問題じゃないかと思いますが、私、それをこうやったらいいというようなことについて適切な判断をまだ持っておりませんので、何とも申し上げかねます。
#513
○瀬谷英行君 法務省としては、国会における証人喚問といったようなことが捜査のためにこれは相まって役に立つということでなければならないと思うのでありますけれども、法務省として喚問の方法等についてどのような感じをお持ちになったか、あわせてお伺いしたいと思います。
#514
○国務大臣(古井喜實君) 法務省というか検察というか、そっちの方の実感をもう少し私以上に関係が深い者からお答えさせますが、私は、皆さんが熱心に国政調査をおやりになっておるし、これはまあ当然の職責でもあるし、大切なことだと思っておりますけれども、拝見しておりまして、国政調査において、これには準備も要るだろうししますが、スタッフもどうも十分でないように思いますし、それから時間も十分でない、もっとみっちり時間をかけてやらないと不十分じゃないかという気もいたしますし、それから手続の上におきましても、いまの純司法的な手続を整えて資料の収集、それから証人、参考人の取り調べ、そういうことを手続を整えてやる、そういうふうにじっくりされぬというと、議員さん皆さんだけの自分でおやりになるという努力では不十分じゃないかという気がしておるんです。そういう意味で、一般審議と切り離して、時間もかけ、それから出ておいでになる方々の立場も尊重できるような姿において、そういう人たちの人権を尊重し、また、真実をもっと追求できるように、あり方というものを整えられることが必要ではないか、よりよくなる道じゃないかという感想がしております。
 それは一般論のことでありまして、さっきお尋ねの問題については局長からお答えさせます。
#515
○政府委員(伊藤榮樹君) 捜査当局といたしましては、国会におきます証人のお調べの状況などは当然深い関心を払って承っておるわけでございまして、各証人の証言の中から捜査上プラスになることも伺えるわけでございます。また、他面、証人の方の証言の中に客観的事実とそごするようなところがあるのかないのかというのは、また別に検察は検察なりの関心を持って伺っておるわけでございまして、そういう意味で、捜査に対してもそういう意味のプラスがあったものと、こういうふうにいま考えておる次第でございます。
#516
○瀬谷英行君 さらに報告すべきことがございましたならば、御報告いただきたいと思うのです。
#517
○政府委員(伊藤榮樹君) 先ほど十分と申し上げたのですが、なかなか確認ができないので弱っておるのですが、私がここへ入っておりますために十分確認ができないのでございますが、日商岩井の前副社長海部八郎氏を逮捕しておるのではないかと思いますが、詳細な確認がいまひとつここへ入っておりますのでとれないで弱っておるわけでございます。
#518
○矢田部理君 関連。
#519
○委員長(町村金五君) 関連質疑を許します。矢田部理君。
#520
○矢田部理君 二、三の関連質問をしたいと思います。
 逮捕という状況に立ち至っているということでありますが、海部八郎氏の逮捕に当たっての被疑事実は、従来逮捕されております二人と同一ないしは同種のものか、あるいは海部氏の容疑については新しい事実関係がつけ加えられているかどうかを第一点として伺いたいと思います。
 さらに、海部氏の逮捕に伴って事態が新しい段階を迎えたわけでありますが、その展開の状況等について特徴的な問題があれば第二問として伺っておきたいと考えます。
#521
○政府委員(伊藤榮樹君) 詳細を確認するいとまがないわけでございますけれども、あらかじめ私が聞いておりますところでは、すでに逮捕、勾留されております山岡外一名の被疑者に関します被疑事実のうち、例の百五万ドルの一件のうちの三十万ドルに関する外為法違反の共犯ということのはずでございます。
 それからこれに伴って将来の発展というようなこともお尋ねでございましたけれども、何分たったいまのことでございまして、すべては今後の捜査の結果にまたざるを得ないと、かように存じます。
#522
○矢田部理君 海部氏の逮捕に伴って、一般的に行われますところの海部氏の自宅等の家宅捜索が行われつつあるかどうか。
 さらには、海部氏の共謀関係でありますが、従来の被疑事実によりますと、山岡氏らがむしろその下の職員と共謀の上というふうに受け取られてきたわけでありますけれども、したがってまた、従来の被疑事実そのものからは海部氏への発展が必ずしも察知し得なかったわけでありますが、その辺の状況は新しい拡大、上層部への波及というふうに当然考えられるわけでありますが、この点はいかがでしょうか、その二点について。
#523
○政府委員(伊藤榮樹君) 御指摘いただきましたように、山岡外一名の逮捕の際には、むしろそれらの人たちより下の立場の人との共謀ということを容疑事実にうたっておったわけでありますが、申し上げるまでもなく捜査は日々刻々進展するわけでございまして、そういう観点からこのたび海部前副社長がこれに関与しておったということが明らかになりましたので、国会での証人としてのお調べの終わるのを待ちまして事案の究明のために身柄を拘束して取り調べる措置をとったと、こういうことでございます。
 なお、いまもう一つお尋ねの捜索等の問題でございますが、これにつきまして私まだどういうところを捜索するか細かい報告を受けておりませんので、的確なお答えができないわけでございますが、当然身柄の逮捕に伴いまして所要個所の捜索をこれからやるのか、もう取りかかっておるのか、まあそんなことではなかろうかと思います。
 なお、先ほど被疑事実のお尋ねにつきまして詳細な資料がございませんでしたのではしょって申し上げましたが、ただいま到着しましたメモによりますと、半枚のものですから読み上げてみますが、被疑者海部八郎は、日商岩井株式会社の機械部門を管掌する副社長であったものであるが、同社取締役兼機械第三本部長故島田三敬、同社同本部東京航空機部長山岡昭一外回部員ら数名と共謀の上、法定の除外事由がないのに、同社の業務に関し、昭和五十一年六月十六日ころ、東京都港区云々日商岩井東京本社において、情を知らない同社東京経理部海外経理課員をして、日商岩井が大蔵大臣の許可を得ることなく非居住者であるカリフォルニア・ファースト・バンク・ロサンゼルスにキヨシ・ニシヤマの名義で当座預金していた三十万ドルを非居住者である日商岩井アメリカン・コーポレーション・ニューヨーク店をして引き出させ受領せしめたことによって生じた日商岩井の米国日商岩井に対する三十万ドル(邦貨約九千九十万円)の債権を、日商岩井の米国日商岩井との交互計算勘定にボーイング・コマーシャル・エアプレーン・カンパニーとの約定に基づく仲介あっせん手数料として借記させ、もって非居住者との勘定の借記をなしたものである、こういうことになっております。
#524
○瀬谷英行君 私は、ここに出てきた証人のほかに、もっと姿をあらわさない大きな主役がこの事件の背景にあるのではないかということをちょっと危惧するわけであります。ここに出てきた人たち、たとえば脇役だけが逮捕されて、主役がのほほんとしているということでは、これはいけないと思うのですね。問題は、ここでもって、たとえばきのうの証人喚問でもあったのでありますけれども、社長も副社長も知らないで常務取締の範囲でもって何億の金を使えるというようなことは常識では考えられないことですよ。したがって、その金の使い道がどこにあるのか、どういうことに使われたのか、それがいわゆる汚職と関係があるのかないのか、そこまでたぐっていけるのかどうか、それらの捜査の見通し等についてお伺いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#525
○政府委員(伊藤榮樹君) お説のように、犯罪を捜査します場合に忘れてはなりません要諦は、小さな悪だけをすくい上げて巨悪を取り逃がすようなことがあってはならないと、こういうことであるわけでございまして、そういう意味におきまして、検察当局におきましては、およそわが国において犯罪が行われた疑いがある限り、これらを徹底的に究明をして、もし上部の方に犯罪に触れるような人がおれば逃がさないで剔抉をしなければならぬ、こういうつもりで捜査をやっておるわけでございます。したがいまして、捜査の結果はやってみなければわかりませんけれども、そういう構えでやっておるということだけを申し上げておきます。
#526
○瀬谷英行君 終わります。(拍手)
#527
○委員長(町村金五君) 以上で瀬谷君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#528
○委員長(町村金五君) 次に、多田省吾君の締めくくり総括質疑を行います。多田君。
#529
○多田省吾君 いま刑事局長から海部前副社長の逮捕が知らされたわけでございますけれども、きょうの午前に、この委員会に証人として来られた辻前会長が取締役を辞任され相談役に就任したと、このように聞いておりますけれども、昭和五十一年六月十一日ごろの逮捕理由ということになりますと、当時の辻社長もある程度関与したと、このように証言でも私たち承知しておりますけれども、このような上層部に今後波及するようなことがないのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#530
○政府委員(伊藤榮樹君) 米国に裏金をつくりましてその一部を表勘定に直すというようなことにつきまして、一応ただいまの時点で捜査当局は海部氏まで調べの結果上っていっておるわけでございますが、その余の段どりがどうなるか、全くこれからの捜査に待つわけでございますが、私自身証人喚問なんかを伺っておりました印象では、辻前会長にまでこの件が及ぶというような可能性は余りないんじゃないかという印象を受けております。
 しかしながら、これまたときどき申し上げておりますように、予断を持って捜査をすることは禁物でございますので、検察としてはいろんな点を考えに入れながら公正な捜査をやるものと思っております。
#531
○多田省吾君 今度の逮捕理由の中には、もちろん海部メモの問題は含まれておりませんけれども、当然関連した問題として、時効になっているかもしれませんけれども、海部メモの詳細等も厳しく取り調べがあるかと思いますが、その点の感触はいかがでございますか。
#532
○政府委員(伊藤榮樹君) しばしば申し上げておりますように、海部メモの問題は有森氏の証言拒絶の件、それから福田赳夫氏の名誉棄損の告訴の件、これに関連してある程度検察は踏み込まざるを得ないわけでございますが、その踏み込む手段の一つとして、御本人が書かれたのではないかと言われておるその人にいろいろ事情を聞くということも非常に有効な手段であろうと思いますので、そういう意味では、いろいろ調べる――順序はともかくとしまして、その問題についても当然関心を払って捜査をしていくことになると、かように考えます。
#533
○多田省吾君 それから海部逮捕理由に絡みまして、私はこの使途不明金の四十七万ドルの金の行方というものが海部前副社長の逮捕によってきわめて短時日に調べがつく可能性があるということを感じますけれども、刑事局長の感触はいかがでございますか。
#534
○政府委員(伊藤榮樹君) 外為法違反に問うております三十万ドルは、しばしば申し上げておりますようにボーイングの百五万ドルの片割れというようなものでございますから、百五万ドル全体の解明をするということがまあ密接に関連する事実関係でございますので、当然その点についても検察としては鋭意解明を現在行っておる最中でございますし、徹底して解明をすると、こういうことになろうと思います。
#535
○多田省吾君 次に私は、米国ペンシルベニア州スリーマイルアイランド原発事故に絡みまして二、三御質問をしたいと思います。
 通産省の資源エネルギー庁は今月早々にも、仮称でございますが原発問題調査委員会を発足させ、原子力発電所定期点検のあり方を検討する方針だと聞いておりますけれども、これがどうなっているか、また今回のアメリカの事故と関連いたしまして、この定期点検のこれからのあり方がどのような内容になりますか。
#536
○政府委員(児玉勝臣君) 資源エネルギー庁といたしまして、原子力発電所が実用化されまして一千万キロということで、またその経験も相当重ねられてまいりましたので、この際その運転の実績を考えまして検査のいわゆる効率化というものを検討したい、こう考えておったわけでございます。委員会の実際の発足といたしましては四月の半ばごろから開始いたしたい、こう考えております。
#537
○多田省吾君 私は、報道等によれば、定期点検時期を現行よりも三カ月繰り延べるというこの定期点検見直し案を検討する予定だと聞いておりましたけれども、こういった事故が起こった以上、私はエネルギー節約という面よりも、あるいは原発の効率をよくするというような面よりも、むしろ重要なのは安全対策である、そういう観点から、今度の事故を通じまして、その事故の前に考えられたこの定期点検見直し案というものは当然練り直さなければならない。むしろ点検ないしは定期点検を強めなければならない、このように感じますが、いかがですか。
#538
○政府委員(児玉勝臣君) 先生のおっしゃいますとおり原子力発電の運営は安全第一でございます。現在も電気事業法に基づきまして非常に厳正な定期点検を行っておりますので、その検査のいわゆる実効をさらに上げると、また効率よく上げるということが趣旨でございまして、今度の事故に当たりましても十分その調査の内容が出てまいりました場合には、それを参考といたしまして検査のあり方、また項目のあり方ということについて考えたいと思います。
 また、先生がおっしゃいますように石油の節約の観点から短縮すると、そういうような意図は一切ございません。
#539
○多田省吾君 今回の事故と同じ型の加圧水型で現在わが国で運転中のものが七基あるわけでございますが、特に美浜一号炉というのが四十九年の七月から昨年十月まで四年間逆転停止をしております。三号炉は昨年の定期検査中、十月、十二月に故障が発見されて現在停止中となっております。メーカーは違いますけれども同じPWR、加圧水型ということで、現地の住民の方々は非常に不安に思っておられると思いますが、美浜一号炉がなぜ四年もの間長期運転停止になったのか、また美浜三号炉の故障の原因と運転再開の見通し、それからわが国においてアメリカと同タイプのこの事故の起きる可能性が全然ないのかどうか、その三点をお伺いしておきます。
#540
○政府委員(児玉勝臣君) まず美浜一号機についてお答えしたいと思います。
 美浜一号機は、先生おっしゃいますように、四十九年七月十七日に蒸気発生器の事故によりまして停止しております。その後燃料棒の折損事故が発見されまして、その事故対策ということで約四年間停止しておったわけでございます。その蒸気発生器の対応策につきまして、それから燃料折損の対応策につきましても一応のめどがつきましたので、一、二次給水系に入っております燐酸ソーダをとるためのサイクリング運転を五十三年十月十二日から開始しております。それで最近第十回目が終わりまして、大体燐酸ソーダ六キログラムを回収いたしまして、ほぼその目的を達しておると思います。これから停止いたしまして、蒸気発生器の健全性の確認をいたしました上、安全委員会等にその報告をいたしまして本格運転の準備を進めたいと、こう考えております。
 次に、美浜三号でございますが、これは五十三年九月の十五日に定期点検に入りまして、十月の五日に制御棒駆動装置クラスター支持ピンというのが蒸気発生器の水室から発見されまして、そのピンが折れておったということがわかったわけでございます。その後、そのピンの周辺の同類の七本のピンを抜きまして検査いたしましたところ、いずれもやはり損傷がありまして、そこで全数につきまして、これは九十八本でございますが、超短波探傷をいたしました結果、すべてのものに損傷ありという指示が出たわけでございます。それで、その原因についてただいま検討中でございますけれども、大体の問題といたしましては、締めつけ応力並びに熱応力が過大であった。それから第二に、材料の熱処理が不十分でありましてその割れに関する感受性が非常に大きいような熱処理が行われていた。それから水室の問題。その三つの問題について今後検討を進めていきたいと思っております。
  〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕
今回アメリカで起こりましたような事故のようなことが、同じようなPWR型で起こるかどうかということにつきましては、先ほど通産大臣がお答えになられましたけれども、まず、B&W社のものでございましてウエスチングハウスのものとは若干異なりますけれども同じ加圧水型のものでございますので、その事故の内容、事故の原因については非常に関心を持って見ておるところでございます。したがいまして、その事故の原因、それからその誤操作等その操作の中身も含めまして十分に検討した上、改修すべき点がありましたら積極的にその改修を進めたい、こう考えております。
#541
○多田省吾君 三月十九日、事故の起こる前ですが、アメリカの原子力規制委員会が原子炉の安全性を保証をする上でのバイブルとも言われておりますラスムッセン報告の支持を撤回したわけです。ところが、わが国はこのラスムッセン報告を基調にしておりますけれども、これをどう受けとめているのかどうか。
#542
○政府委員(牧村信之君) 最近、米国におきまして、ラスムッセン報告につきましてラスムッセン報告の要約の部分がその表現等不十分であるということ、並びにそのラスムッセン報告の中で使いました、いろいろな確率論で使いましたデータについて、なお不十分なものがあるということに対しましてのNRCからいままで使ったものは改めるというふうな公表が行われたわけでございますが、ただ、それだけではございませんので、このラスムッセン報告の中でいろいろ原子炉の確率論的な安全性についての考え方は今後の安全研究あるいは原子炉規制業務に有効なんだと、引き続き検討すべきであるということも言われておることは確かでございます。しかしながら、日本におきます原子力施設の安全性を検討する際には、このリスクをアメリカのように理論的に評価するという方法を直接使っておりません。したがいまして、アメリカのそういう見直しにつきましては、日本の安全審査には影響を与えないものと考えておるところでございます。
#543
○多田省吾君 この問題の最後ですが、原子力安全委員長が三十日に早々と、日本の原発には事故は起こり得ないというような安全宣言とも思われるような発表をしたわけでございますが、いま聞きますと、事故の詳細のデータが全然入っておりませんし、またアメリカの炉と日本の炉を比較する十分な資料もございませんし、日米の構造が違うといっても、こんなに簡単に日本では事故は起こり得ないのだというような安全宣言はできないことと思います。これはかえってわが国の原子炉の安全性を軽く考えているという結果にも受け取られますし、私はこれは監督官庁が取り消させるなり、あるいは十分な調査の上ではっきりした十分な見解を発表させるべきだと、このように思いますけれども、いかがでございますか。
#544
○国務大臣(江崎真澄君) いまの御意見は、私はもう最も大切な点だと思います。カーター大統領も事故の原因については国民にあまねく知悉させるようにしたいということを言明いたしております。したがって、これは国際間にも隠しなく伝わってくるものと思いますし、またわが方も進んで調査をいたしたいと考えております。石油にかわる、いわゆる次期エネルギーとしての非常に重な地位を占める原子力の安全性ということは、特にわが国においては強くその安全性を主張し求めてきたところでありまするだけに、現状を的確に把握して、また今度の事故の実情を十分調査いたしまして、日本の施設と比較対照して国民にわかりやすく十分理解していただけるような説明をいたしてまいりたいというふうに考えます。
#545
○多田省吾君 次に、成田新空港の問題で若干御質問いたします。
 昨年もこの予算委員会で取り上げられたわけでございますが、
  〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕
管制塔乱入事件よりちょうど一年余を経たわけです。横風用の三千二百メートルの滑走路と平行滑走路二千五百メートルの工事、いわゆる第二期工事につきましては、一応地元の自治体と騒音対策やあるいは農業振興対策を前提条件にして慎重に行うという了解があったと思いますけれども、三月六日ですか、運輸大臣が閣議で年内着工の方針、本年中に第二期工事に着工したいというようなことを発言なされたというので地元も態度を非常に硬化しまして、過激派の反対活動にもはずみをつけさせております。まことに私は軽率な発言である、このように思いますが、その後、地元の成田市等の市町村等とも会談されたようでありますけれども、できれば年内というふうに訂正されたそうでございますが、この点に関して運輸大臣また総理はどう思われますか。
#546
○国務大臣(森山欽司君) おしかりをいただいてまことに恐縮をいたしております。成田の問題につきましてはいろいろ問題があります。交通の問題もありますし、騒音の問題もありますし、農業政策の問題もあります。それらの問題について一応のめどをつけて二期工事に手をつけると、こういう考え方が基本でございますから、いますぐやるということではなくて、適当な時期において考えるということであります。しかし、主滑走路をつくってあそこまでいった以上、今後の計画をギブアップするという意味ではないという意味であのような発言をいたしましたので、どうか発言の趣旨について御了解をお願いいたしたいと思います。
#547
○国務大臣(大平正芳君) いままでああいう経緯があった問題でございますので、第二期工事にかかるにつきましてはそれなりの手順を踏んで、平和のうちにやっていかなければならないのではないかと考えております。
#548
○多田省吾君 では運輸大臣に二、三お尋ねいたしますけれども、今後二期工事を行っていく場合どのような手順で地元対策を行っていくのか、具体的な考えがあったらお聞きしたいと思います。それで地元の要望を十分聞き入れ、納得できる青写真を得てから二期工事のことをやるんであって、絶対工事については見切り発車はしない、こういうふうに了解していいかどうか。また、四十万ヘクタールの中に農家あるいは団結小屋がたくさんありますけれども、どのようにして取得していくつもりか。あるいは前運輸大臣は反対派農民の代表の方とも会っておりますけれども、そういった話し合いを行うお気持ちがないか。少なくとも騒音状態等を視察なさるお考えがないかどうか、お尋ねします。
#549
○国務大臣(森山欽司君) 二期工事というのは、一期の工事におきまして御承知のとおり四千メーターの主滑走路を完成いたしたわけでありますが、国際空港として、日本の表玄関としての成田空港を考えます際には、やはり横風用滑走路とかあるいはまた平行滑走路というものの建設を考えていかなければならないと思っておるわけであります。また、それに対する付帯設備も建設していかなければならないと考えております。しかし当面は、一期工事の段階におきましていろいろ地元とお約束をしたことなどもございますし、それらのことにつきまして、これは全部が全部一度にできるというわけではございませんから、めどをつけましてそして次の工事に手をつけるということになろうかというふうに考えております。したがって、現段階におきましては二期工事ということについて、運輸省もあるいはまた新東京国際空港公団も二期工事についてこれを予定を立てて構えているということは全くございません。現在までいろいろお約束をしたこと、あるいはやらなきゃならないこと、そういうことについて鋭意努力をしているというのが現況でございます。
 なお、いまお話がございましたが、地元農民の方々とお話しする必要があるかどうかということにつきましては、これは必要があればそういうふうに考えております。市町村の、あるいは県の幹部の方々とお話ししただけで事が済むとは考えておりません。それ以上の必要があれば、そのことを考えるにやぶさかではないのであります。しかし、いずれにいたしましても二期工事をギブアップしたものではないという現在の私どものスタンスだけはどうか御理解をお願いをいたしたいと思います。
 御承知のとおり、いま三十一カ国と航空協定を結びましたが、この三十一カ国の航空協定を結んだ国々も、いずれも増便を要求しております。なお、三十三カ国がぜひひとつ飛行機を乗り入れたいと言っておる。しかし、いまの成田空港のキャパシティーではこれに応ずることはできないのでありまして、どうしても二期工事というものは考えなきゃならないわけでございます。その時期につきましては、かねてから申し上げましたとおり、いますぐやる気はないが、適当な時期にそれは考えざるを得ないということが率直な気持ちでございますので、どうかわが国の国際航空というものの現状から考えまして、格別の御理解をお願いいたしたいと思う次第でございます。
#550
○多田省吾君 次に、開港後に問題になりました全室防音工事について公団総裁にお伺いしたいと思います。
 私も二、三回調査いたしましたけれども、百八ホンというような大変な騒音、それから午後九時から十一時までが非常に貨物を初めとして集中している。ですから病人、老人の方、子供さん、みんな病気になったりノイローゼになったり大変な被害を受けています。この防音工事の申し込みが非常に少ないわけですが、その原因はどこにありますか、またどうされますか。
#551
○参考人(大塚茂君) 防音工事の申し込みが少ないというおしかりでございますが、私どもが全室防音工事につきまして行動を開始しましたのは昨年の九月からでございます。そういう点から考えまして、対象八百十七戸のうち現在三百八十五戸申し込みがございまして、そのうち三十六戸すでに着工いたしておりますが、従来のペースから見ると、そう遅くはないというふうに私どもは考えております。しかし、私どもの満足するスピードではございません。
 その原因がどこにあるかというお尋ねでございますが、これはいろいろの原因があるようでございます。しかし大きなものとしましては、八百十七戸のうちすでに一室または二軍の防音工事を終っております家が五百五十戸ばかりございます。これらの家では、まず一、二室でどうやら間に合っておる、したがって、全室防音はほかのところで工事をやった様子を見て考えようという方が相当あるようでございます。そのほか、私どもの説明不十分で必ずしもまだ全室防音の方針あるいはやり方が十分理解されてないという点もございますし、古いお家がたくさんございますので、それらを防音工事をやる際に修改築あるいは増築をしたい、しかしそれの資金等についてどうしたらいいかというようなことについてお迷いになっておる、おわかりにならないというような方もあるようでございます。そうした点は、近く私ども戸別訪問をいたしまして、二戸一戸に勧誘に参りますので、そうしたことが終わった段階においては原因も全部明らかになるというふうに考えております。
#552
○多田省吾君 一戸一戸別に説得に当たるということですが、これはぜひやっていただきたいと思いますけれども、いま総裁おっしゃったように、十年後、二十年後改築したいとか、その際の費用どうなるんだ、あるいは空調施設の維持費はどのくらいかかるか非常に不安で、成田市からの補助金で足りるかどうかもわかりません。それから全室防音工事で最高五百九十五万円もらえるならば他の地域に移転をしたい、こういう人もいるわけです。そういうのはどういう説得をするのか。またもう一つの問題として、深夜の午前二時、三時に突然雷が落ちるような物すごい騒音が起こる。これは御存じのようにエンジンテストによる低周波の影響ということで新たな騒音問題になっておりますが、この低周波問題について、その後どうなったかお尋ねをしておきたいと思います。
#553
○参考人(大塚茂君) いろいろ問題がございまして、まず低周波の問題から申し上げますと、これは非常に大きな音がするんでなくて、むしろ音がしないで夜中に戸障子等が微振動を起こすというやつでございまして、これは調査に行きますとなかなかございません。したがって、必ず起こるというものではなくて、家によって四、五日あるいは一週間に一度ぐらい夜中にそういう状況が起こるというようなことがございます。これにつきましては、それの原因でございますノイズサプレッサーの施設者でございます日本航空に、その施設の改善方等をいま研究をさしております。それと同時に、家の方につきましても、たてつけ等の緩んでおる家についてはそれを直すというようなことで救済もされた例もございます。そういうふうな対策を今後進めてまいりたいというふうに考えております。
 それから二十年、三十年後のまた防音工事のやり直しはどういうふうになるかというようなことでございますが、これについては、率直に言いましてまだはっきり決まっておりません。関係方面と前向きに私ども検討してまいりたいというふうに考えております。
 それから暖冷房、空調の維持費の問題でございますが、これは公団が直接負担するというわけにまいりませんので、公団から周辺町村に対しまして周辺交付金というものを差し上げております。その中で各市町村に負担をしていただきたいということをお願いをいたしておりまして、大体各市町村とも空調機一台について三万円、最高六万円というような線で補助を行うという線が大体決まりつつあるようでございます。
 それから、騒音地域民家防音工事をやる地域の方々が、その騒音地域外に移転をしたいという問題でございますが、これは現在の騒音防止法によりますと、騒音区域を指定した地域に、指定の際に現に存在した家屋についてだけ民防を行うということでございまして、移転は第二種区域にある住居ということになっておりますので、現在の騒防法では第一種区域にある家の移転補償ということは残念ながら困難でございます。
#554
○多田省吾君 では最後に公団総裁、それから運輸大臣にもお尋ねしたいんですけれども、一つは飛行時間の制限問題、大阪空港の騒音訴訟では、夜間飛行は午後九時に制限するとの判決があったわけですが、成田はいま十一時、国際線でありますから大変だと思いますけれども、さしあたって十時以降は制限すると、このように努力すべきではないか、このように思います。
 もう一つは、飛行コースで非常に違反が多い。詳しくは申しませんが、成田市で調査したところでも、去年の九月は一九%、十一月三五%、一月四〇%、これがコースどおりに飛んだ回数の割合ですが、まだ六割以上が違反しております。また特に飛行コースを西に傾けるという、気象条件の結果そういうぐあいがありますので、私はこの飛行コースも直してもらいたいし、また新たに騒音地域も見直しをしなければならないのじゃないか、このように思いますがどうですか。
 それから移転の問題も、いま公団総裁はなかなかできないということですが、一種、二種、三種の区別なく、やっぱり騒音区域に指定されたところは人が住むようなところではありませんので、十分な補償をして希望者は移転させる、これは当然じゃないですか、この三点をお伺いします。
#555
○参考人(大塚茂君) 移転の問題については先ほどお答えを申し上げたとおりでございます。
 それから夜間の飛行制限につきましては、おっしゃられましたように国際線でございますし、十時に繰り上げるということはむずかしいと私は考えておりますが、できるだけダイヤを組みます場合になるべく早い時間のダイヤに組むように航空会社等をできるだけ指導してまいりたいというふうに考えております。
#556
○国務大臣(森山欽司君) 国際空港の飛行時間は、国際的に見まして十一時から翌日六時までを除いて飛ぶということになっておりますので、やはりその国際的な慣行の線に沿ってやっていくほかないと思います。しかし、具体的運用につきましては、ただいま公団総裁からお話しがありましたように配慮を加えてやってまいりたいと、そのように考えております。
#557
○多田省吾君 それでは本日の最後に総理大臣にお尋ねしたいんですが、きのう大阪市での記者会見で、いわゆる原油値上げに絡んで、政府が公約された昭和五十四年度の電力、ガス料金、あるいはガス料金の据え置きというものに対しまして、割り増し金あるいは再度値上げ、こういう措置を産油国がとった場合はどうもというようなことを示唆されたと聞いておりますけれども、事実でございますか。
#558
○国務大臣(大平正芳君) ただいままでOPECが発表いたして、そして実行いたしておりまする値上げでございますならば、お約束をいたしました本年度中電気、ガス料金を改定しないでごしんぼういただけるのではないかということでございます。そういうことを申し上げたわけでございまして、これから新しく値上げがあるとか、あるいはプレミアムが大きくつくとかいうようなことになった場合のことにつきましては、これはそういう場合になったときにいろいろ検討しなけりゃいかぬのじゃないかと思いますが、ただいままで実行いたしておる値上げの分でございますならば、据え置きでしんぼうしていただけるということを申し上げたわけです。
#559
○多田省吾君 では、私はやはり政府の公約でございますから、通産大臣にも総理大臣にもお願いしたいのですが、やはり五十四年度の電力、ガス料金の据え置きということは、もう物価問題から照らしましてもこれは絶対に守っていただきたい。少しぐらいのプレミアムあるいは再値上げ等がたとえあったとしても、やはりこれはぜひ据え置きは守るべきだと、このように思いますが、再度お答え願いたいと思います。
#560
○国務大臣(江崎真澄君) 先ほど総理が答弁されたように私も理解をしておりますが、今度の値上げは恐らく六月下旬に響いてくるわけです。したがいまして、プレミアムの分なども、一月、二月からクウェートその他一部では値上げを要請してきておる分もありますが、しかし全般は、全般といいますか、ほとんどは長期取引によって値決めをしたものでありまするので、響くとしても下半期の問題であります。したがって、いま総理が言われましたような事態、どんなプレミアムがついてくるのか、今後たとえば中東の情勢がどういうふうになるのか、そのあたりは、これは願望はあっても神のみぞ知ると、こういう形でございますので、ああいう表現になったというふうに理解しております。しかし、お説のようにできるだけわれわれは原則は守りたい、こう思っております。六月以降の問題でありますし、極力プレミアムなどがつかないようにぜひ節約を実行して、油の値段を抑える方向でいきたいというふうに思っております。
#561
○委員長(町村金五君) 多田君の残余の質疑は明日行うことにいたします。
 ちょっと速記をとめて。
  〔午後七時二十五分速記中止〕
  〔午後八時十四分速記開始〕
#562
○委員長(町村金五君) 速記を起こして。
    ―――――――――――――
#563
○委員長(町村金五君) この際、証人の告発に関する件についてお諮りいたします。
 去る三月十九日及び三十一日に本委員会において宣誓の上証言いたしました証人海部八郎君の証言につきましては、その後理事会において慎重に検討を重ねてまいりました結果、偽証の疑い濃厚なものと認め、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律第八条の規定により告発いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#564
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認めます。よって、海部八郎君を告発することに決定いたしました。
 なお、告発状の作成及びその提出手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#565
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後八時十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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