くにさくロゴ
1949/03/29 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 懲罰委員会 第2号
姉妹サイト
 
1949/03/29 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 懲罰委員会 第2号

#1
第007回国会 懲罰委員会 第2号
昭和二十五年三月二十九日(水曜日)
   午後三時十四分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
十二月十二日 委員宇都宮登君は辞任
した。
十二月二十一日 議長において松下松
治郎君を委員に指名した。
一月二十日 委員赤木正雄君は辞任し
た。
一月二十六日 議長において岡部常君
を委員に指名した。
二月十三日 委員小野光洋君辞任につ
き、その補欠として鈴木安孝君及び栗
栖赳夫君を議長において指名した。
三月二十日 委員栗栖赳夫君辞任につ
き、その補欠として鈴木順一君を議長
において指名した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○懲罰制度及び慣行等に関する調査の
 件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(太田敏兄君) これより懲罰委員会を開会いたします。
 本日は、かねて調査中の懲罰制度及びその慣行等に関する調査につきまして、過般アメリカの議会政治を視察して帰られました高田議員、近藤事務総長、金森国会図書館長等に出席をお願いいたしまして、アメリカの議会における懲罰制度及びその運営等につきまして、見聞になりました点を御報告して頂きたいと思うのでありますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(太田敏兄君) それではそういうことにいたします。先ず高田議員の御報告をお願いいたします。
#4
○委員外議員(高田寛君) それでは私から見て参りました点について御報告申上げます。
 実は議員団の末席を汚してアメリカに渡ります際に、懲罰委員長から、アメリカの議会の懲罰問題の取扱い方について調査して來て貰いたいという御注文を受けまして、この点も調査して参るつもりで行つたのでありますが、アメリカの議会は、運営の方法が日本の議会と大分違つておる点も多くありまして、いろいろこちらで懲罰事犯に挙げられるような事件が非常に少いのであります。從いましてこちらの懲罰委員会に相当するような委員会というものはアメリカには全然ないのであります。むしろこちらに常任委員会の中に懲罰委員会があるということを話しましたところが、アメリカの議員連中は驚いているというような次第なのであります。それでアメリカではやはり議院、つまりハウスの懲罰権は憲法に決められておるのでありますが、この懲罰権の発動ということが極めて稀であるのであります。それで欠席議員に対しても処罰を以て臨むということができる旨の規定はございます。併し実際上は出席を強制するというようなことは全然やつていないそうであります。つまりアメリカの議院当局の説明によりますと、欠席しても選挙民がそれを容認するならば差支えないではないか。それで院としては強制する必要はないのであつて、こういうような欠席議員をどう扱うかということは、選挙民が判断すればいいというような説明もいたしておつたのであります。尚その外に懲罰に該当するような事件が起つても、院が別にそれを処罰しなくとも、選挙民がよくその行動を監視しておるから、そういう議員は次の選挙には必ず落選する、これが何よりも重い事実上の懲罰である。だから議院としては別に懲罰というようなことをする必要はないということの説明を聞かされたのであります。
 それから尚アメリカにおきましても、議員は三分の二の同意を以て除名するということは規定してございます。併しこの実例が又殆んどないということでありました。それから尚又ついでにカナダの議会に参りまして、この点も質問いたしたのでありますが、カナダの議場において、特に我々が関心を深くいたしました点は、その議場において非常に喧ましく騒ぐというような不都合な点があれば、議長が一回注意を発しますが、注意を発しても尚これを改めない際には、退場を命ずるのであります。そのときは、守衞長がその議員の所に出て参りまして、そのときの言葉が面白いのですが、ゼントルマン私について來て呉れというのだそうであります。そうするとこれはもう絶対の問題で、どうしてもついて行かなければならない。そうすると議場から外に出されてしまうので、それでもう議員の権能が行えなくなるので、一番のこれが懲罰であるということを、説明を聽かされたのであります。要するに憲法には議院の懲罰権、つまりハウスの、議院の懲罰権というものは規定してはおりますけれども、国民が選挙した名誉ある議員に懲罰を以て臨む必要があるような事件は、これはその実例が殆んどないので、この取扱方というようなことを説明することはできないというのが結論でございます。
 日本式に考えますと、たとえそういうことがなくても、やはりそういう場合を想定して取扱手続を決めて置かなければ気が済まないというようなことが我々の從來の考え方でありますけれども、英におきましては、実際問題上必要の起らないことはたとえ憲法に決めてあつても、それを実際にどう行うかということは何も決めて置く必要はないじやないか。そういうことが起つたら、その起つたとき処理する。併しそういう事件が起らないからそういう細かい取決めもない。又前例もないので御説明する資料がない。これが結論でございます。要するにアメリカの議会、又カナダの議会におきましても、議場におきましては十分に議員の発言を傾聽する。反対党の議員の発言も、やはりこれが一部の国民を代表している発言としてこれを傾聽するという習慣がよく滲み込んでおります関係上、議場で非常に喧ましく騒ぐというようなことは実際問題として起らない。又一方議長に相当の権限を持たしておつて、万一起つた場合には議長が適当に処理するということで、何ら今まで支障を來たさない関係上、懲罰委員会というようなものを設けるというようなことは、まあ全然考えたこともないというのが、私の知り得ました実情でございます。
 尚又御質問でもございましたら、自分の知つておる範囲において又お答え申上げたいと思います。
 尚懲罰の件につきましては近藤事務総長が、アメリカの議会の事務総長からいろいろ御説明を聽きに行つて來ておりますから、尚一層詳しいことは近藤事務総長から又改めて御説明があろうと思つております。
#5
○委員長(太田敏兄君) 有難うございました。質問がありますればお願いいたします。――ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#6
○委員長(太田敏兄君) 速記を始めて。
 次に金森国会図書館長は別段報告する材料もないとのことでありますが、せめて御感想でもお願いいたしたいと思います。
#7
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 私は参りましても、大体ワシントンで図書館に関する方に主に行つておりまして、議会の様子というものを細かいところまでは立至つて研究いたしておりません。これには参議院の近藤君と、衆議院の大池君が專ら技術的な調査に当つておつたというふうに了解いたしております。私の考えましたところでは、アメリカの議会は相当政治の実質については激しい論争をいたしまするけれども、議会の中におきましての諸般の行動は非常に秩序を守るということが発達しておるらしいのでありまして、ハウスの方へ参りましても、セネトの方へ参りましても、又他の地方の議会へ参りましても、規則は几帳面に守る。その守る前提の下に許されたる範囲の方法で、政治的ないわば、闘争精神を現わすというような秩序ある争いということに重点を置いておるらしいのであります。從つて議会におきまして書物によりますると曾て懲罰をしたという事実はございますけれども、今日それは実際にはなかなか起り得ないことであつて、從つて私共がそれについて研究するという途もございませんでした。それから先程高田さんが言われましたが、実際カナダの方へ参りましても、断片的な話題として聞いておりまするのは、議長の議場の統制をする権能が非常に強いようになつておりまして、例えば議場整理の必要があるという場合には、初めは議長が抽象的に議場において騒いではならんというような勧告をいたしまして、その間は無事でありまするけれども、はつきり名前を挙げて、何何君、秩序に反しておる。こういう名前を挙げて宣言をいたしますると、その人は直ちに守衞長によつて室外に拉致されるということができるようになつておる。事実はないかも知れませんが、守衞長がみずからその時にこそ自分達の仕事が起る。こう言つておりました。こういうことが物語になつておるくらいでありますから、結局実態は平穏無事に行つておるというふうに存じました。一面において非常に訓練がよく行き届いておると、こう思いました。從つて又懲罰について現実の眼で見たお答えができないというような結果になつてしまつたわけであります。
#8
○松井道夫君 金森先生は会議の模様を御覧になつたと思いますが、野次のようなものはやはり飛ぶのでしようか。
#9
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 私共の行つておりました中では、野次は聽かなかつたようですね。それは激しい議場の場合には丁度行き合わせなかつたから何とも言えませんが。
#10
○委員外議員(高田寛君) その点は少し申上げますと、野次というようなものは、先ず私共州議会や、連邦議会で傍聽したときもありませんでしたし、又事実ないそうですな。それで兎に角他人がしやべる以上はそれを傾聽するものとしてこれを敬意を払つて聽くという習慣がよくできておる。併し又非常につまらない議論が出る場合には、野次りはしないけれども、もう勝手に横を向いていたり、中には議場で新聞を出して平気で読んでおるのがおる。要するにしやべることを妨害はしない、併し自分が聽くのがいやならば、外のことをやつているというようなことなんですな。それで人がしやべるときに、それをしやべれないように妨害するというようなことはもう殆んどないという説明を聞かされました。
#11
○松井道夫君 それからまあ日本の議場では、議場の交渉委員のようなものがあつて、例えば事務総長とか、或いは議事部長なら議事部長のところへ行くわけですが、そうすると大勢、委員である者もあるでしようし、そうでない者もあるでしようし、大勢どかどかと行つて秩序が乱れるというようなことがよくあるのですが、議場内のいろいろの交渉とかそういう点は……
#12
○委員外議員(高田寛君) その点はちようど私の見て來たことは御参考になると思うから、御説明申上げます。まあ議場はやはりこちらと同じように並んでおるのですが、そこに与党側と野党側とにそれぞれ議場のリーダーがおるのです。これをマジヨリテイーリーダーと、マイノリテイーリーダー、多数党の何と訳しますか、多数党の院内総務、少数党の院内総務というふうに訳せばいいのではないかと我々話合つたのですが、これが嚴然と控えておりまして、そういう議場のことはその両党の院内総務が全責任を持つてこれに当つておる。外の者は、共和党なら共和党の中の者が、院内総務に注文をつけに行くことはあるけれども、表だつた事務総長との交渉とか、又他党との交渉は、両党の野党、与党の院内総務が責任を持つて当る。そのことがはつきりしておるので、皆一緒に壇上に駈け上がるというようなことは全然起らないのですな。院内総務というものに非常に大きな権限を持たしておるんですな。
#13
○委員長(太田敏兄君) それでは近藤事務総長は議事の都合で手が引けませんので、暫く休憩したいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(太田敏兄君) それでは休憩いたします。
   午後三時三十四分休憩
   ―――――・―――――
   午後五時十三分開会
#15
○委員長(太田敏兄君) 再開いたします。近藤事務総長に報告を承わります。
#16
○事務総長(近藤英明君) 出発前に議員団に対しまして、当委員会を代表せられました委員長から、いろいろな調査項目を頂戴いたしまして、これらの項目を調べて來いというような御要求がございまして、私共はワシントン到著直後、上院の事務総長の部屋で歓迎会を受けました際に、当時私の連絡万端をいたしておりましたゼネラルリーバーを通じまして、当委員会の調査項目を全面的に向うへ渡しまして、尚重ねてその後図書館側との会談の際にも、尚これをもう一遍同じものを渡しまして、回答を求めたいということを申し添えました。その際外に団としての調査項目もございましたので、これも同時に提出いたしまして、どちらにつきましても滯在中に書面で回答を受けることができませんので、それで出発直前にゼネラルリーバーを通じて、これはどうにかして貰えんかということを照会いたしましたにつきまして、議会関係についての話は分つた。それらは調べて上げる。懲罰問題については資料がどうも現実の資料がないので、憲法に明らかに懲罰権があることが書いてあるけれども、尚憲法に從えばこの懲罰には除名権があることが明示されておるけれども、我々が承知をしておるところでは、その例が少しも見付からないので、これ 図書館の立法考査局の方に命じた上、そういう事案があればその事実に対して正確なことを御返事する、かようなことでございましたので、遂に書面は向うで貰うことができませんでした。尚今日までその書面回答は得ておりません。尚帰りました後にこちらでホイツトニー将軍から、向うの方で調査漏のことがあつて調べたいことがあれば言つて貰いたい。何ぼでも便宜を計るから、こういうような申出がマツカタ君から参りましたので、マツカタ君には重ねて先般ワシントンにこの間の調査を御依頼しておるけれども、回答がないので何とかやはり一応こういうことは該当事項がないということを書面で頂戴したい。書面で頂ければこちらで便利だということを帰国後も依頼いたしております。それで途中向うに参りましても、各州、各市、それから連邦の議会等でいろいろ質問会の場合、大体上下両院の事務総長と、私とこちらの衆議院の大池総長で懇談いたしました際も、懲罰の問題につきましては、できるだけ聽いて、そうして返事を得ようとして努力いたしました。それでその間得ましたところで大体向うの返事は例がないので、法規には、憲法に懲罰権がある以外のことはどうもそれ以上のことはないというので、具体的例がないために説明ができかねるということが多かつたのですが、コロンビヤで、サウスカロライナ州の議会に参りましたときに、サージエントアツトアームといろいろ話しましたけれども、あなたの方で今議長の規律権に伴う懲罰権の問題というような問題で、どういうふうに扱つておるか聽きたいと言つたら、どうも懲罰というと、まだそこまでになつた場合は長年守衞長をやつておるけれども例がない。自分として一番困つた問題が一つある。それは三年に一遍ぐらいだが、たしか夜会議を たしましたとき、一杯頂戴してアルコール分を含んで出て來られたので、守衞長は御遠慮下さいというが、本人は醉つておる覚えがないから大丈夫だ、議場に出て非礼なことはしないからというのを、御遠慮下さいと忠告して止めさせた場合があるが、紳士に対して醉つておるからということも言えないし、そういうことが自分としては一番心苦しいということを守衞長が言つておりました。これによつて想像しますと、こういう問題でお困りになる事例は少いのではないかと考えられます。それからその後も各地でこの問題を聞いて見ますと、どうもこういう問題で懲罰事犯として取扱わなければならんという事例は殆んどない。ただ議長の規律権として、議長が一度命じたことは実行されるのだ、発言についてもいろいろ規則があり、或いは両党協議会をする場合もあるが、最終的の発言の決定をする権限は議長にあり、議長が一度決めた以上は、これに從わざるを得ない。だから議長の統制権というようなものは絶対的である。こういう意味の説明がありました。更に懲罰まで持つて行かなければならん事件も議長の権限が強くてそこまで行かないという裏付けじやないかと思うのですが、ただ更にワシントンについてそういう質問をしたあとで、カナダへ参りました。カナダであそこの議会を見学しておる際に、いろいろ目の付きましたことは、非常に靜かな議場で議長が丁度恰も権威の表徴であるかのごとき議長が、高いところでガウンを着て嚴めしく坐つておる。議長が立つて宣告すると全員着席する、廻りにおる給仕が腕組みをしてさつと立ち上る、そういう儀礼が守られておるところを見まして、あそこで事務局と懇談の会が僅か二回ございましたが、十分に私大池君と共に会談する時間を与えられた、その際向うの事務局といろいろ話しまして、こちらで懲罰関係の手続について特に聞きたいというのでいろいろ立入つた点を議長から……特に懲罰になるような事項ということは余りない。自分の方ではこういうふうに扱つておるということで、それは例えばルール違反がある、法規違反のことが行われておるというと、事務総長が議長の前に行つて丁寧に一礼する、「これこれのことは法規違反でございます。」かようなことを言うと議長は直ちに立上る。議長が立つてルール違反があつても全部着席するまでは沈黙を守らなければならない。それでも聞かずに尚ルール違反を継続したらどうなるかと申しましたら、議長はそのときにはどこそこ州、或いはどこそこプロビンスの選出の議員さんという言葉を議長は言われる。そうすればその議員は非常な注意を受けたことになるので、直ちにその行為を止め発言を止めなければならん。若しそれを聞かなければどうなるかと私は勇を鼓して突つ込んだら、その場合には「ミスター誰々、どこそこ選出誰々。」というのです。誰それさんという言葉を使う、こういうことでその場合はどうなるかと申しましたら、その場合にはその議員は……議長と向い合つて守衞長が着席しております。「誰々。」と議長が宣告すると、その人がそつとこちらへついて來て下さいと言つて外へ引張り出してしまう。ひとたび引張り出された人は再び議場において議決があつて、着席が許されるまでは議員としての一切の権能が停止されて議場へ復することはできない。これは最も強い懲罰である。そういう例がありますかと言つたら、自分の時代にはない。自分の前任者の時代にはあつたとは聞いておるけれども、稀れな例に過ぎない。その権限のあることは事実だ、仮に議長が若しそういうミスター誰々というようなことを頻繁に行う、或いは不当にそういうことを行うことが仮りにあつたらどうなるかという質問を私から重ねて追究いたしましたところ、随分考えた挙句に議長はそういうことをすることはないし、そういう批判を受けることはないが、仮に議長がそういう批判を受ける場合があるとすれば、これはハウスにおいて、特にそういう調査委員会でも作つて検討の上、ハウスにおいて議長の行動が間違つておるという議決をする。この場合に初めて議長の退場を命じたことの措置があやまりであるということで、これを取消される。それは法的にはできる、さような自分らの議長の決定を覆すような措置をしたことは聞いたことがない、かようなことがカナダで得た返事でございます。それではその外に何か議員で、懲罰に付された議員の例はないかと聞きましたのに対しまして、年数はいつかは知らんが、よほど前上院の事務総長をしておりまして、その人が今上院の議員をやつておりまして、その人の一代前の事務総長の時分と記憶するけれども、或る国の秘密を売つたというような事件がある議員について起つて、その場合に議院は議決をもつて懲罰をしてこの人を除名した、これは院内の行動ではなく、院外において兎に角 密を売つたという事件が暴露したので、これは議院の体面上許せざることであるとして、議院の権威のために除名を断行することは、カナダの議会における最も目ぼしい大きな懲罰事件である、こういう説明を受けまして、それからワシントンへ参りましてからは、その点につきましては特にいろいろ事務総長等につきまして聞きましたが、先刻申上げました通りどうも例がないということでございます。
 それから懲罰そのものにつきましては殆んど例がつかめませんが、事務総長からも的確な返事がありませんし…法規はないかと言つたら憲法にはつきりしているので、あれでいつでもやれるじやないかという返事でございました。いつでもやつたかというと、その例はございません……それで若しそういう問題が起つたとき同じような質問をあなたの方で議員から質問を受けたらどういう返事をするかと言つたらそういう質問はことが起るまでは受けないだろう、その事件が起つたときに恐らく解決されるような処置が取られよう、だから私は事前にかくあるだろうというような返事をすることは不可能だという返事がありました。
 懲罰の継続審査の問題がいろいろありまして、こちらの質問事項の中にもありました、ことで、懲罰に対する継続調査のための資料は掴み得ませんでした。継続審査はしておるかといつたら、コングレスとコングレスの間にはございません。これは改選と改選の間には継続審査の例はございません。一つのコングレスの間におけるセクシヨンとセクシヨンの間には、継続審査があります、重要な議案についてはハウスの議決によつて行なつておる、例えば現在の非米活動委員会がその例であります。非米活動委員会のごときは、このハウスの議決によつて継続審査をいたしておりますとかような返事でございます。
 尚懲罰委員会というようなサージエントコミツテイが向うの常任委員会にはないということは法規上明らかになつたことであります。一応私の申上げました今日の状況はこの程度のことを申上げたいと思います。
#17
○松井道夫君 向うの議員或いは議員会館といつたような工合はどうなつておりますか、その点聞きたいと思います。懲罰に関連するものとして酒ですね、酒を飮んで議場へ入るようなことは原則としてない、而も夜になつて会議が続行されるような場合もあるということなんですが、この例えば国会の議員食堂といつたようなもので酒を出すとかいうようなことはないのでありますか。
#18
○事務総長(近藤英明君) 今の酒でございますが、これは今のコロンビヤの場合も飮んで醉うて外に見えることがいけない、飮むこと自身は別に禁止されない、議員食堂で飮ましておるかどうか確かめませんし、議員食堂へは議員以外には入れませんし、小食堂で向うの方に御馳走になりました。ちようど私共着いた日に行つて、直ぐ向うの上院で特に議決をいたしまして暫くの休憩を宣して日本の議員団と交歓をするというために議場で握手しました。そのあとカクテル・パーテーをいたしたいということで上院の事務総長の部屋でやりまして、こちらの議長サロンのようなものがついておりまして、事務総長主催で両方のフロアーリーダーをお呼びになりまして、両党の有力者、それからアメリカの有力者、これは議員以外のキーナン氏なんかも來ておりましたから、必ずしも議員だけに限らず、よその方もお呼びになつて、事務総長の事務室においてカクテル・パーテイをお開きになつて、盛んにウイスキーの杯が交換されたことは、事実でございます。かなり愉快にお飮みになつておりましたが、議場に出るときに様子が変つた状況で出られるということは、想像されないのですが、ただ飮んだ後でどつかを歩かれるということは想像できますから、飮んだことが外に現われるということは、あすこの習慣として、私想像のつかない非礼なことだろうと思いますので、酒の飮み方が上手だということにもなると思いますが、現に事務総長も相当愉快に飮んでおられましたし、私達もいい気持で一、二杯頂戴しておつたというような、カクテル・パーテイが行われたという状況でございましたし、午後も確か二時でございましたか、又本会議が始りました。
#19
○松井道夫君 そうすると、向うの議員は、相当酒が強いということになりますね。
#20
○事務総長(近藤英明君) 強いと申しますか、自分の飮んだ状況を外に現わして、乱れた様で人の前に出るということは、紳士としては想像のできない点ではないかと私は考えるのですが、一つは紳士としての立場で飮まれるという点は、議場の秩序の問題ですが、何といいますか、野次があるではないかという疑問を持たれる方がよくあると思うのですが、議場で或る方が討論されます。質疑という形式はございません。殆どデイベイトでございますが、或る方の討論に対して、反対討論がございます。討論の最中に、反対側の方がそれに質問をされるのです。この場合に、勝手に横から発言をして行つて野次をされるという状況はございませんで、随分盛んに御発言がありますが、一々手を挙げて合図をされます。その方を見て何かというような顔をされると、ウイルザ・ジエントルマン・イールド・ツー・ミー、あなたは私に譲つて下さいという鄭重な言葉でございます。その場合に、発言者は極めて気前よく、よろしいという返事をされます。そうすると、発言をなさつた方が、これこれの材料は違いはしないかと、こう言われると、それは御尤もだと言われる場合もありますし、自分の調べたところによればこれこれだと言われて、論旨を進められる。これは明らかに発言者には相当の痛手を加えることになると思いますが、決してこれを拒否されませんで、進んで聞く。その場合に、それが質問されれば、明らかにその時間だけ持ち時間は減るのですけれども、甘んじてこれを受けて、おられるし、同時に相手方も、本人の許可がなければやらないのです。又都合が惡ければ断わつてもよいのだし、断る場合もある。断つた場合には、絶対発言はできないのだと、こういうことでした。つまり紳士として発言する以上は、相手が許さない限り発言はしないが、その代りお許しを得れば発言すると、こういうふうな御説明でございました。
 大体の点は、先程委員長のお手許までお出ししましたのは、これは団といたしまして、出発前に調査項目なるものを作りまして、それで向うに参りまして、いろいろな調査をした点の回答をいたそうじやないかということで、小委員会ができまして、小委員会でそれを編集することになつておりますが、その前に、その小委員会の参考資料として、私だけの調べました、向うで聴取しました点並びに向うから頂戴いたしました資料等を、ここで御回答できるものだけをここに何しましたので、これは団としての調査項目の正式の返事ではございませんので、これは近藤の一個の見解はかように見て参りましたということでございまして、これを御参考までにこちらの委員長のお手許に出しました次第でございまして、この中には一部分は今の懲罰のことに関する部分も含んでいると、かように御承知を願いたいと思います。
#21
○松井道夫君 先程衞士長というお話が出ましたが、衞士は相当数議場内にいるわけですか。
#22
○事務総長(近藤英明君) 議場内に衞士らしい者の顔は見ませんで、衞士長がいるだけでございます。大体建物の中に余りおらないのでございます。数は極めて少いのございます。それは委員会なんかの入口には、委員会は御承知の通り、公聴会のときだけは公開いたしますし、それからその他の場合にはエキゼキユーテイヴ・セツシヨンに、なりますと、いわゆる秘密会で、委員と專門員だけで法案を如何にすべきかということは論議されますので、廊下の入口に、門番といいますか、そういう人の立つているのは見ましたけれども、殆んど建物の中の警備として目立つような人員の配置は、一回もどちらでも見ませんでした。その代り守衞長と申しますか、サージエント・アツターム、これはこちらでは守衞長という観念が非常に低く考えておりますが、向うの守衞長というのは非常な権威のあるものでございますから、これが議場内に着席しておりますのを見ましただけで、その他議員場内に警備のための人員が配置されるというような状況は見ませんし、事実その必要はないだろうと思います。傍聴席には、そういう警備員のような者がおるのを見ましたが、傍聴席には、私共が入つたときにも、警備員がおりまして、あなた方こうだ、ああだと、写真機は持つて入つていいとかどうとか、議場の傍聴席にはそういう警備員の配置を見ましたが、傍聴席以外には見ませんし、建物には出入りが自由になつておりまして、議場の中にもどんどん自由に入れますし、あそこでは議場に入るのを取締る必要はないだろうということだけは感じました。
 デモがあるかということを聞きましたが、日本ではデモが、衆議院で焚火をしたとか、飛び込んで來たとか、どつかの市会が占領されたとかいうことがありましたが、これは言わなかつたのですけれども、あなたの方でもデモがありますかと、国会に対しては、やはり外へはやつて來て、国会の周りを廻つて帰ることがございますと、こういうことでした。別に議場の中に飛び込むとか、それを恐れて警戒しておるような風は全然感じませんでした。
#23
○委員長(太田敏兄君) その建物の外は、警察というものはどうですか。
#24
○事務総長(近藤英明君) おりませんでございます。建物並びに建物の敷地は、一般法によりまして、サージエント・アツタームが警備権を持つことが定まつております。その建物或いはその建物の敷地、構内において、何か毀損する、或いは法規に違反する行為を行なつた者がある場合には、守衞長は直ちにこれを逮捕して正当な裁判に引渡せということに、向うから貰いました資料には、法規に定まつておるということはありました。それで、建物のところは、自由に私共行きましたし、こういう柵なんかございませんから、写真なんか写しにぞろぞろ入つて参りまして、警察官もおりませんし、それから警備員らしい者がそう沢山立つておるような気配も見えません。
#25
○委員長(太田敏兄君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#26
○委員長(太田敏兄君) 速記を始めて。この機会に調査の進行状況について簡單に御報告しますが、この調査は大体日本の帝国議会以來の懲罰制度及びその慣行を中心としまして、外のアメリカ、イギリス、フランス、ドイツその他欧洲の二、三の国の懲罰制度に関する資料を蒐集しまして、目下これを整理しておるのでありますが、ところが欧洲諸国に関するものは戰時中から戰後にかけまして、出版物の輸入が全然ありませんので、最近の事情が分りません。資料は皆古いものばかりでありまして、これは今日の場合止むを得ないと思うのでありますが、これらは又他日の機会にその足らんところを補う外はないと思つております。それで今会期もあと三十日ばかりになつておりますが、この調査は是非この国会中に取急いでまとめまして、本委員会の審議を経まして、本会議に報告する運びにいたしたいと思つて努力しておりますから、さよう御承知願います。ではこれで散会いたします。
   午後五時四十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     太田 敏兄君
   理事      松井 道夫君
   委員
           鈴木 安孝君
           鈴木 順一君
           岡部  常君
  国立国会図書館側
   国立国会図書館
   長       金森徳次郎君
  事務局側
   事 務 総 長 近藤 英明君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト