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1978/05/31 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 運輸委員会 第8号
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1978/05/31 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 運輸委員会 第8号

#1
第087回国会 運輸委員会 第8号
昭和五十四年五月三十一日(木曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十五日
    辞任         補欠選任
     中村 啓一君     井上 吉夫君
     降矢 敬義君     石破 二朗君
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     山本 富雄君     藤川 一秋君
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     藤川 一秋君     山本 富雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         三木 忠雄君
    理 事
                安田 隆明君
                山崎 竜男君
                青木 薪次君
                太田 淳夫君
    委 員
                井上 吉夫君
                石破 二朗君
                木村 睦男君
                佐藤 信二君
                高平 公友君
                山本 富雄君
                穐山  篤君
                瀬谷 英行君
                広田 幸一君
                田代富士男君
                内藤  功君
                柳澤 錬造君
                山田  勇君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  森山 欽司君
   政府委員
       運輸大臣官房長  中村 四郎君
       運輸省海運局長  真島  健君
       運輸省船員局長  向井  清君
       運輸省鉄道監督
       局長       山上 孝史君
       運輸省自動車局
       長        梶原  清君
       運輸省航空局長  松本  操君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        村上  登君
   説明員
       国土庁長官官房
       審議官      鈴木  登君
       文部省大学局技
       術教育課長    福田 昭昌君
       日本国有鉄道常
       務理事      高橋 浩二君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を
 改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○運輸事情等に関する調査
 (航空機の安全に関する件)
 (新幹線整備五線に関する件)
 (沖繩県における離島の航空路整備等に関する
 件)
 (タクシー運賃の値上げ問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(三木忠雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十五日、中村啓一君及び降矢敬義君が委員を辞任され、その補欠として井上吉夫君及び石破二朗君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(三木忠雄君) 船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○瀬谷英行君 船員の問題について質疑に入るに先立ちまして、緊急に、先般アメリカで発生をいたしましたDC10の墜落事故と関連をいたしまして、この飛行機の安全性の問題について質問をいたしたいと思います。
 先般のDC10の墜落事故の概要について、わかっている範囲でまず御報告をいただきたいと思います。
#5
○国務大臣(森山欽司君) 詳細につきましては後ほど航空局長から御報告いたさせますが、日本時間の五月二十六日午前五時、シカゴ、オヘア空港でアメリカン航空所属DC10型機の事故が発生し、関係者を含め二百七十三名が死亡したと伝えられました。で、米国連邦航空局は本事故の原因は主として主翼と発動機支持構造部とを結合する発動機推力伝達機構のボルトの折損によるとの判断から、このボルトに重点を置いた発動機支持構造部の点検を指示する耐空性改善命令を二十九日深夜に出しました。これから以降のことについては航空局長から報告いたさせますが、二十六日に事故が起きまして、翌日は日曜日でございましたので、二十八日の日に、したがって、アメリカの連邦航空局からこのことについての指針が発表される前の段階で、日本航空、それから全日空、それから東亜国内航空の三社の社長を大臣室に招致いたしまして、DC10型の事故であり、したがって、わが国で使っておりますのはこれは日航だけではありますが、しかし、それ以外にもこの機会に航空機の安全運航ということについて改めて点検方を要望をいたしたわけでございます。で、DC10につきましては、後ほど航空局長から説明がありますような経緯で、今日万全の措置をとっておる次第でございます。
#6
○政府委員(松本操君) 御説明申し上げます。
 ただいま大臣から御報告申し上げましたように、五月二十六日――以下すべて日本時間でございますが、午前五時にシカゴのオヘア空港を離陸したアメリカン航空のDC10型機が墜落をいたしました。関係者を含め二百七十三名の犠牲者が出たわけでございます。
 この事故の原因につきましては、アメリカの連邦運輸安全調査委員会が直ちに事故調査に入っておるわけでございますが、その初期の段階で多くの目撃者の証言あるいは写真等から、左側のエンジンが脱落をいたしまして、これが恐らく墜落後機体の後部のどこかに当たったのではないか、そのために航空機の操縦性が失われ、それが最終的に墜落、炎上という悲惨な事故につながったのではないか、このように現時点では判断されておりますが、委細につきましてはなお調査中でございますので、私どもは必ずしもよくわかっておりません。ただ、この左側のエンジンと申しますのは、パイロンという、日本語で申しますと発動機支持構造部とこう言うんだそうでございますが、このパイロンというものの先にエンジンがぶら下がっておりまして、このパイロンという仕組みが羽にくっついておる、こういう形になっておるわけでございます。
 本来、これはちぎれて落ちるようなものではないはずのものでございますけれども、これが脱落をしたという点に非常に問題がある。そこで、事故直後の諸般の捜査の段階で、実はこのパイロンと翼とをつなげております幾つかの取りつけボルトのうちの一本が折損した状態で発見されたということだったようでございます。
 そこで、連邦航空局、つまりFAAといたしましては、とりあえずこの事故の直接の原因がパイロンと翼とを連結しております構造物の中のその折れたボルト関連ではないかというふうな判断をいたしました。で、二十九日の深夜にいわゆる耐空性改善命令、つまり、その部分を早急に改良しろ、改良が、点検が終わらなければ飛行してはならないという指示を出したわけでございます。この改善命令自身はアメリカの航空局が出したものでございますから、米国籍の飛行機に対してのみ強制力を持つわけでございますけれども、問題が問題でもございますし、大臣より申し上げましたように、DC10につきましては日本航空に現在九機――国内線用が六機、国際線用が三機ございますので、私どもの方も直ちにこれにならいまして、日本航空に対し早急に点検整備をするようにという指示をいたしました。
 これによりまして、日本航空といたしましては直ちに点検作業に入りまして、二十九日の夜十時ごろまでにすべての機体について点検を完了いたしました。で、指示そのものは、このボルトを点検をし、そして磁気探傷という方法でクラックがあるかないか等を検査して、あった場合には新品と取りかえる云々と、こういうことでございましたが、私どもとしましては、一気に新品に全部取りかえるという作業をさせたわけでございます。で、その結果、いま申し上げましたように二十九日の夜十時ごろまでに全部終わったわけでございます。これによって飛行を継続してもいいというふうに私どもは実は判断をしておったわけでございますが、三十日の午前二時になりまして、連邦航空局が改めて別個の指令を出しました。この指令によりますと、後から改めて出す耐空性改善命令による整備が行われるまでの間、DC10型機についての有償飛行、つまりお客を乗せて飛ぶ飛行を禁止するという、こういう非常にシビアなものであります。私どもの方といたしましては、昨日の深夜から早朝にかけてこの指示を入手いたしました。直ちに日本航空に対し同様の指示をまず口頭で、追って文書で指示いたしまして、すべてのフライトを中止させました。たまたま一機米本土からアンカレジへ向かって飛んでおるDC10がございましたが、これはアンカレジに着き次第フライトを中止させるということにしたわけでございます。したがって、昨三十日一日の間、日航所属のDC10は一機も飛んでおりません。これによって二千八百人程度の旅客が振替輸送その他の措置を受けることになったわけでございますが、この方面は特に混乱はございません。
 そこで、そういった有償飛行を禁止した後でどういう点検をすればいいのかという点について、必ずしもFAAからの指示が明確でない点がございます。したがって私どもとしては、日本航空に予備的なチェックをあらかじめさせておくという措置もとりつつ、FAAからの正規の通報を待っておったわけでございますが、それが三十日、昨日の午後になりまして、正確な情報が入ってまいりました。これによりますと、やや話が技術的になって恐縮でございますが、さきに点検をしたボルトというよりも、むしろパイロンそのものの構造についてもう一度チェックをする必要があるというふうな趣旨でございます。このパイロンというのは、先ほどもちょっと触れましたけれども、翼とエンジンとをつなげる構造物でございます。実物でごらんのように、翼の前に突き出してエンジンがぶら下がっておりますので、これを支える構造物、これはなかなか設計上むずかしい問題があるようでございます。つまり余りがっちりとしたものをつけておきますと、仮に脚が出ないで胴体着陸をしたというときに、エンジン、パイロン、翼が一体になって力を受けますものですから、翼がちぎれて飛ぶとか、そのためにかえって翼内タンクが発火するとか、そういう心配がございます。そこで、いざというときにちぎれて飛んでしまう、エンジンがちぎれて飛んでしまって羽の方にけががないようにするというふうな配慮も必要でございますが、一方あのエンジンは目方が四トンぐらいございますので、その四トンのエンジンをぶら下げて相当の乱気流等の中を飛行しても、別に外れて落っこちないというふうな仕組みにならなければならないということで、かなり設計上むずかしいところでもあり、後で御報告申し上げますが、機種によっていろいろな構造をとっておるわけでございます。
 このDC10のパイロンと申しますのは、ちょうど鉄橋の骨組みのように、わざわざ短い部材を組み合わせまして、ボックス構造、こういうものだそうでございますけれども、そういうふうな形にして箱に組んだ形になっております。これを組み上げるのに大体百本程度のボルトでずっと締め上げておるわけでございますが、このボルトが緩んでいる、あるいはボルトが切れている、あるいはボルト締めをいたしましたところを板でつないであるわけでございます、こういうふうな板をつなぎまして、これをボルトで締めてあるわけであります、こういうところに斜めに亀裂が入っているというふうなおそれがある。したがって、そういう点について徹底的に点検をするというのが最大眼目でございます。そのほかに、あちらこちらボルトの入っているところのブッシングでございますとかといった付随的なものについてもチェックをするように、こういうことで最終的に出てまいりましたFAAの指示でございます。そこで、かねてから日航の方といたしましては予備的な作業に入っておりましたので、直ちに本指令に基づく作業に入らしたわけでございます。
 結果を先に申し上げますと、本朝、けさ一時前ごろに日本航空の方から文書をもってこれらの作業をすべて完了をした、チェックの結果及び整備の状況はこのようであって、それらはいずれも資格を有する確認整備士の最終的な点検を受けました、こういう報告がございましたので、私どもの方はそれを了承いたしました。本日早朝便からDC10は全機もとのとおりフライトに戻りました。ただ一機だけ飛んでおりません。これは成田に現在いる飛行機でございますが、きわめて近い時点でアメリカのモーゼスレークへ持ってまいりましてパイロットの訓練に使う訓練機ということで、そのための整備をあわせ行っております。したがって問題のパイロン等についてのチェックは一応終わりましたけれども、その他の付随的な部分についての整備をなおいたしておりますので、この点についてはなおフライトを停止したままになっておりますけれども、その他の八機については全部整備を完了いたしました。
 整備の結果、どういうことであったかと申しますと、いま成田のものを除きまして、三機について多少の異常が発見されました。どういうものかと申しますと、先ほど申し上げましたように、板を百本のボルトで締めておるわけでございますが、その百本のボルトの中の一本ないし二本がゆるんでいたりあるいは切れて抜けていたりというのが発見をされたわけでございます。これらにつきましては、それぞれ正規の力で締め直すなり、あるいは正規のボルトに取りかえてもう一度締めかえるなりという所要の措置をとりました。それからパイロットを翼からぶら下げておるブラケットの部分にボールソケットというものが入っております。これのネジが多少ゆるんで位置がずれているというのもございました。これらにつきましては正規のトルクで締め直しまして、正規の位置に据えつけるという作業を終わったわけでございます。機体については、いまのように成田でモーゼスレーク用に指定しておりますものを除き、三機について、これらの多少の問題点が発見されましたが、その他については全く異常がないという状態でございます。また、異常の発見されたものにつきましては、いま御報告申し上げましたように、すべて正規の手続によって調整整備を終わったというのが実情でございます。
 こういうことでございますので、本日早朝の便から運航さしておりますが、今後は整備の仕方について新しく命令が出ております。これによりますと、今後のフライトにつきましては百時間ごと、あるいは十日ごとのいずれか早い方でこの部分を点検をする、そして異常があったら整備をする、こういうことになっておりますので、DC10に関しましてはとりあえず当分の間、この方式に従ってパイロン部分についての整備を行わせる、こういうふうにしてまいることを考えておる次第でございます。
#7
○瀬谷英行君 この前のロッキード事件のときにトライスターかDC10かといったようなことが話題になった記憶がございます。どっちがいいのかなんていうことはわれわれにはわからないことなんですけれども、しかし結果から見ると、DC10にこういう事故があったということはもう現実の問題です。ボルト一本の事故で何百人という人が一遍に死んでしまう、無残な最期を遂げるということは実に恐ろしいことです。また、もし落ちる場所が町中であったらどんなことになったかというと、これまたもっとひどいことになっただろうと思うのです。したがって、この飛行機の点検というのは慎重の上にも慎重を期さなきゃならないと思うのでありますけれども、問題はDC10だけ十分に点検をすることで事足りるのかどうかということです。DC10をつくっている会社はDC10のほかに姉妹機といいますか、いろんな飛行機をつくっているんじゃないかと思うのです。これらの飛行機が、やはり日本の国内で使われているとすれば、そういう姉妹機のような飛行機についても相当注意を払って点検をする必要があるのではないかという気がいたしますが、今日使われている日本の国内の飛行機のうちで、このDC10と同じ会社でこしらえた飛行機というものが、ほかにもどの程度使われているのか、それらに対する点検というものはなされているのかいないのか、その点をあわせてお伺いしたいと思います。
#8
○政府委員(松本操君) 先ほど冒頭、大臣からお答え申し上げましたように、この事故がございました直後月曜日に、大臣が関係三社の社長を呼んで、単にDC10のみならず、関係するすべての機材について一層整備に注意をもって臨むようにということを指示したわけでございます。
 いま先生御質問の点に戻って申し上げますと、DC10をつくっておりますのはダグラスでございます。ここはDC9というのがございます。これは相当機数が使われておるわけでございますが、このDC9という機材におきましては、エンジンは胴体の後側の方に左右にくっついております。ぶら下がっておる形になっております。したがって、取りつけの構造はまるっきり違うわけでございますが、ここら辺の点につきましては、従来とも取りつけ部分の点検というのは一定時間ごとに行われておりますけれども、今度の事故があったということにもかんがみまして、この点検のありようがこれでいいのかどうかというふうな点をさらに技術的に詰めまして、今後の整備の仕方というものの具体的な改善策というものを早急に詰めるということにしたいと考えております。
 それから、ほかにも、ただいまロッキードの例が御提示になりましたけれども、羽の下にエンジンがぶら下がっているという形で、類別をいたしますと、古くはDC8これも羽の下に四基のエンジンがぶら下がっております。このDC8のエンジンのぶら下げ方というのは相当違っておりまして、かなり短い腕でがっちりとくっついておるということが一つと、それからこの機材は飛び出してから三万何千時間という間を飛んでおりまして、その間にエンジンが切れて落っこったというふうなことも特段になく、また整備点検のやり方も逐次改善されて現在の方法はかなり信頼度の高い整備方法になっておるというふうには思いますけれども、これもなお念のためもう一度見直しをしまして、改善すべき点があれば改善するようにしたいと、こう思います。
 それから、ボーイングのいわゆるジャンボと呼ばれるもの――747でございますが、これも同じように四トン程度の目方のエンジンが四基羽の下にぶら下がっておるわけでございます。これのつけ方は実は非常に違っておりまして、箱型に組んだもので下げるのではございませんで、棒で突っ張ったような形でぶら下げております。したがいまして、構造的にもあるいは力学的にもかなり違うわけでございますけれども、しかし、これはこれなりにまた同じように羽の下にぶら下がっているという点は同じことでございますので、手段、方法は全く違っておりますけれども、この点についての点検のありようというものはいまのところ特に問題があるとは思いませんが、さらに十分な検討を加えて早急な手当てをしていきたいと、こう考えております。
 それから、いまお話のございましたロッキードの一〇一一、これは実は箱型のものではございませんで、鍛造品でございます。鍛造でつくりましたアームの先にエンジンを下げるという形で、この鍛造品をがっちりと羽にボルト締めをするという形になっておりまして、これは仮にいろいろと応力がかかりました場合に、先ほどのDC10のように板に亀裂が入るとか、あるいはボルトが飛ぶとかということではなくて、がっちりとしたものでございますだけに、もしそういう無理がかかりますと、やはりそれなりの問題点がないとは言えないと思います。
 そこで、この747でございますとか、あるいはL一〇一一でございますとか、こういうふうなものにつきましてわれわれなりにさらに技術的な詰めをすることにいたしておりますが、さらに一部新聞等にも報道されておりますので、アメリカの連邦航空局に外務省を通して現在照会をいたしております。技術的に見てこれらの航空機のそもそもの耐空証明を出したのがアメリカの連邦航空局でございますので、その方の技術的な見解というものも早急にただしたい、そして今後の整備のありようとして、実はこういう点に改善を加えたらということを考えているのだということであるならば、すぐにもそういうものを取り入れて私どもの方の整備の各会社ごとの内規というふうなものを改定させまして、それによる整備が行われるように早急に手当てをいたしたい、このように考えております。
 いずれにいたしましても、航空機のこういったような部材というものは、やはり長い間使っておりますとネジが緩むとか、あるいは長さが変わってくるとか、いわゆる疲労と申しますか、そういうふうな現象も当然考えられるわけでございますので、したがってたとえば八千時間ごとに点検をするとか、一万時間ごとに点検をするとかいうふうな決まりがあるわけでございます。ただ、このDC10の例で言いますと、実は二万時間に一度見ればよろしいと、こういうふうに従来いわれておりましたものが、事故を起こしました飛行機は一万九千何がしという飛行時間で事故を起こしているということでもございますので、そういうふうな点に安易にマニュアルに寄りかかるということではなく、積極的に私どもの方も技術的な勉強をしながら、御指摘のございましたような不安がないように、すべての機材について特にエンジンつり下げ型の機材について早急に積極的な手が打てるような方法をとってまいりたい、このように考えております。
#9
○瀬谷英行君 筋肉にも疲労があるんですから金属にも疲労があって不思議はないと思う。ただ金属の疲労の場合はマッサージで何とかなるというものではないんで、これは取りかえるとか、あるいはそろそろやめてしまうとか、つぶしてしまうとかいうほかに方法はないだろうという気がするんですよ。それである程度飛行時間が超過をすれば、これはもう安全のためには取りかえてしまった方がいいんじゃないかという気がするわけですが、その点事故が起きてからでは間に合わないわけですね。アメリカでもって事故が起き、アメリカの連邦航空局から知らせを受けて、それから愕然として、こちらも大わらわになって点検をするというようなことは、多少心もとない気がするわけなんですけれども、いまの日本で使っている飛行機の中にDC8とか9とか、そういうDC10の兄弟分のような飛行機があるとすればどのくらい使っておるのか、どの飛行機会社でこれを使っておるのか、そういう点わかりましたならば御報告いただきたいと思うんですが。
#10
○政府委員(松本操君) ダグラス製としてはDC8、DC9、DC10とあるわけでございまして、DC8は日本航空が使っておるわけでございます。ちょっといま私正確な機数を記憶しておりませんけれども、四十二機程度でなかったかと思います。それからDC9と申しますのは東亜国内が使っておる飛行機でございますが、これは二十機前後ではなかったか、ちょっと数字はいま正確に覚えておりません。DC10は先ほど来御報告申し上げたように日本航空に九機あるわけでございます。
 そこで先生おっしゃいますように、筋肉の疲労はマッサージで直るが、金属の疲労は直らぬではないかというのはおっしゃるとおりでございますが、逆に筋肉の疲労は目で見ただけではわからないわけですけれども、金属の疲労はいろいろ方法がございまして、単に目で見るだけでなくて磁気探傷でございますとか、あるいはルミネッセンス探傷とかいろいろ方法がございます。したがって、適切なサイクルごとに、つまり四千時間とか千時間とかいう適切な時間ごとに適切な点検をいたしますと、疲れが出ているのかどうかというのはよくわかりますので、その時点においておっしゃるように部品の交換をしていくというふうなことは当然のことでございまして、現在の整備体系もそのような考え方にはなっておるわけでございます。
 ただ、御指摘のFAAの方でいろいろ出てからわが方が追随するのはいささかみっともないではないかという仰せでございますけれども、遺憾ながらこれらの飛行機はすべてアメリカ製でございますので、どういうふうな強度計算、どういうふうな設計思想でこれがつくられていったのかという具体的な技術的な細かな部分については残念ながら私どもはよくわからない。したがいまして、DC8のように相当長い期間にわたって使って使い込んできましたものについては、設計思想がどうでありましょうとも、使う側の技術の練摩という面から逆に判断をいたしまして、この程度でチェックをした方がいいとか、この程度でそろそろ取りかえた方がいいとかいうふうなノーハウといったようなものを、たとえば日本航空あたりは蓄積をしてきておるわけでございます。DC10のように比較的に新しい飛行機につきましては、まだ一番長く飛びましたDC10でも日本航空にまいりましてから八千時間ちょっとしか飛んでおりませんので、それほど最初の設計思想を見破るほどの眼力を蓄えたというところまではなかなかまいらないかと思います。したがって、先ほども御報告申し上げましたように、FAAにも照会をし、われわれとしてもできる限りの勉強をするということで、何か起こってからあわてふためくということがなるべくありませんように、できる限り技術的な努力をしていくという点で今後とも精進していきたい、こう思っているわけでございます。
#11
○瀬谷英行君 今回の事故が構造上の問題であったのか、点検上の問題であったのかということも考えてみなきゃいかぬと思う。構造上の問題であったとすれば、日本の国内でもってどんなにウの目タカの目で点検に注意をしたところで、これはどうしようもないということになる。しかし、点検上の問題であったとすれば、これはやはり日本の国内の各航空会社が点検に十分な注意を払えば、事故は防止できるわけです。そこで、どちらの方にあったのかということなんでありますけれども、一概には言えないかと思いますけれども、もし構造上の問題であったとすれば、これは機種の選択の際に配慮するほかないと思うんですね。それらの点は航空局の方で、各航空会社との間にどういうふうな連絡あるいは話し合いが持たれているのか、あるいは指示とか指導とかというのが行われているのかどうか、その点についてもお伺いしたいと思うんです。
#12
○政府委員(松本操君) まず前段の、これが構造上の致命的な欠陥であるのかあるいは点検整備上の問題であるのかという点につきましては、アメリカの事故調査機関において検討中でございますので、私、十分なデータもなしににわかに申し上げることは差し控えるべきかと存じますけれども、ただ、仮に構造上の問題であったとすれば、これほど長くはもっていなかったはずだと私は思います。したがいまして、構造上の問題皆無とは言えないと思いますけれども、やはり点検によって事前に発見するということの可能性はなかったわけではないと思います。ただ、しかしながら、先ほどちょっと触れましたように、この部分については二万時間に一回チェックをするんだと、こういうふうなことに実はたてまえ上はなっておった。その二万時間という時間でチェックするということが適切であったのかどうかというあたりになりますと、いまの時点で顧みてみますと、かなり問題点があるように存じます。ですからこそFAAは、今後は百時間ごとにと、こう言っておるわけでございますから、百時間と二万時間では大変な違いなんで、ここら辺のところに非常に問題があったというふうに見るべきではないかと思います。したがって、今後の問題といたしましては、冒頭の御説明で御報告申し上げましたように、この百時間ごとまたは十日ごとのいずれか早い機会というチェックを正確適切に守っていくということによって、少しでも問題点がありそうな徴候が出てまいりますれば、これは直ちに発見することができるわけでございますので、それなりの手を打つことによって未然に防止をしていくということが可能であるというふうに考えております。
 ところで、そもそもの機種選定に当たって、こういったような点について運輸省としてどこまで積極的に関与していくのかというような仰せでございますけれども、機種の選定そのものにつきましては、これは従前たびたび申し上げておりますように、営業上の問題等にも直接的に、しかもきわめて大きく関与いたしますので、その分野については私どもは全く関与しないわけでございます。
 安全性の問題につきましては、いずれもこれらの航空機は、いずれかの国において耐空証明というものを取っておる。耐空証明を取っているということは、その国が、少なくともその製造国の政府が責任を持ってその航空機が安全に運航できるということを保証している形になるわけでございます。たとえばYS11でございますれば、日本政府がそもそもの耐空証明を出しておりますし、DC8であればアメリカ政府でございますし、あるいはエアバスでございますとヨーロッパのフランスなりイギリスなりが出す、こういう形になりますので、耐空証明の出ているものにつきまして、とりわけて私どもの方からとやかく言うということは従来はしておりません。またその時点では、構造の詳細な部分、あるいは強度計算上の詳細な部分、こういうものは必ずしも私どもはわかるわけでもございません。ただユーザーである航空会社の方におきましては、機種選定の過程において、従来自分たちが使っておった機材のふぐあいというものはノーハウとして蓄積をしておりますので、そういう点に着目をして、相手のメーカーに対して、この部分がどういう設計思想でできているのか、あるいはどういうふうな計算でこの部分をつくっているのかというふうな点については、よく問いただした上で機種選定の参考にしているように聞いておりますので、私どもとしては耐空証明がある以上、積極的にとかく言うというのもいかがかと存ずるわけではございますけれども、機種選定に当たって、特にそういうふうな点について十分着目しつつ、単に営業上の問題のみに着目することなく、まず安全、整備の難易、そういったような点に第一に着目をして機種を選んでいくというふうな考え方につきましては、折に触れてという形になろうかと思いますけれども、航空会社に対する指導というものは考えてまいりたい、このように思います。
#13
○瀬谷英行君 DC10以外の飛行機についても、十分に点検をするようにという指示を大臣がされたようにちょっとお聞きしたのでありますけれども、各航空会社としては、DC10はもちろんのことでありますけれども、そのほかの飛行機についても、改めて問題となりそうな個所についての点検を行い、その点検の結果を報告をしてきたといったような事実がございますか。
#14
○政府委員(松本操君) 今週の月曜日に大臣から指示をいたしまして、それからまだ一週間もたっておりませんので、先生おっしゃるように、具体的な点検の報告というものは受理しておりません。ただ、私ども各航空会社に現在指示をしておりますのは、できれば今週中にも、少なくともこういうふうな考え方で今後の航空機の整備点検に取り組みますということだけはレポートをしろと、こういうことを申しております。と申しますのは、航空法の定めに従いまして運航規程なり整備規程なりというふうなものは運輸大臣の認可にかかっておりますので、それを骨組みといたしまして、航空機の安全確保のための整備が行われているわけでございますから、大筋についていまさら変更すべき問題があろうかとも思いませんけれども、個々具体的な問題あるいは機種特有の問題、こういう点につきましては、やはり相当技術的に詰めた上で、しかも具体的な点検の方法を定めて実施をするということでございませんと、実効も上がってまいりません。したがって、まず今週中にでも、できれば大筋の考え方についての報告を受け、追って続報の形で具体的な問題を、このように処理したい、あるいは処理するように考えている、あるいはいつからどういうふうなやり方をするというふうなことを逐一今後報告を受けていくようにしたい、こう考えております。
#15
○瀬谷英行君 飛行機ばかりはやっぱりちょっととした事故でも、自動車や列車と違って、動かなくなったという、えんこしてしまうということで済まないので、十分な点検を今後とも続けてほしいと思います。
 それから、今後日本が飛行機を購入をする際には、それでは航空会社自体が機種の選定についてはそれぞれの責任において検討をした上で購入を決定をすると、このように理解をしていいわけですね。別に運輸省が直接これについてどうこうするということではなくて、航空会社自身の責任においてこれは行わせると、こういうことであって、運輸省自体としては、どういうことになりますか、その辺については責任を持たせるということであって、具体的な指示といいますか、そういったようなサゼスチョンは別に考えていないということで理解してよろしいんですか。
#16
○国務大臣(森山欽司君) 技術的な問題につきましては航空局長がお答えしますが、機種の選定は、各社の営業成績と申しますか、関係することでございますから、いい機種を選べばその会社の業績が上がりますし、それから好ましからざる機種を選べば業績の低下を来すということでありますから、これは基本的には各社の責任において選ぶ、先ほど来航空局長が申しておりますような、技術的なファクターを考慮に入れながら各社が決めるということでありまして、運輸省が機種の選定について介入することはないと、こういうふうにお考え願います。
#17
○政府委員(松本操君) 基本的な考え方は、いま大臣がお答え申し上げたとおりでございますが、私どもといたしましては、先ほどもちょっと触れましたけれども、折に触れてとか常日ごろの心構えというふうなことであろうかと思いますが、安全上の問題でございますとか、あるいは騒音の問題でございますとかいうふうな点について、わが国において航空運送事業を営むからにはこういうふうな考え方が基本になければおかしいのではないか、ということはこれは申します。しかし、個々の機種につきましてとやかく私どもが介入するということは、いま大臣御答弁申し上げたように、する立場に全くございません。
#18
○瀬谷英行君 機種の選定の問題が過去におけるいわゆるロッキード事件等についていろいろな問題を惹起した経験といいますか、記憶がありますから、そのことについてもちょっとお伺いをしたわけであります。しかし、万全の上にも万全を期していただきたいということを要望いたしまして、このDC10の事件についての質問は終わります。
 それから、船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について質問をいたしますが、船員の雇用の問題がはかばかしくないというのは、これは日本の海運不況のしわ寄せをここに受けたというふうに理解せざるを得ないわけです。そうすると、船員の雇用だけを何とか促進をしようといったって、日本の海運業そのものが停滞をしておったのでは船員の雇用というのもこれはどうにも方法はないと思うんです。そうすると、根本的には海運の不況というものを何とかして克服をする方法を考えないと問題は根本的には解決できないというふうに思わざるを得ないのでありますが、その辺の御認識についてお伺いしたいと思います。
#19
○政府委員(向井清君) ただいま先生御指摘のように、船員の職場は海運企業の船、船舶でございます。海運企業がやはり国際的環境、国内の産業の動向の影響を受けまして非常に不況に陥っておるということが、船員の雇用問題のやはり基本にあるということは、全くそのとおりでございまして、その辺のところは、やはりこれは国際的に見ました海運企業全体についてのいろいろな考え方というものがなければならぬと思う次第でございます。ただ、船員行政プロパーの問題といたしましては、やはり船員制度の近代化の問題を中心といたしまして、海運企業の動向とあわせていろいろ配慮すべき問題があるということでございまして、一つには、やはり最近急速に普及いたしております近代化船への対応という問題がございます。もう一つは、やはり世界的に大きな流れとなっております船員制度の近代化の中の一環としての船員の資質の向上の問題というのがございます。これらの問題に適切に対処いたしますことによりまして、日本船員の職場というのが、これもやはり国際的な厳しい環境の中にあるわけでございますが、国際的な厳しい環境の中での日本船員の地歩を固め、今後の職域の確保、拡大を図るという方策があろうかと思いますので、その辺のところを船員行政の大きな柱としてただいま推進を始めているところでございます。
#20
○瀬谷英行君 先般の船舶の融資の問題についてもいろいろとお話が出ましたけれども、結局、コストの点で競争しようとする場合には、船員費がどうなるかということになってくるわけなんでありますけれども、たとえば便宜置籍船といったようなものが出現をした場合に、これはなかなか競争相手としてはコストの点では容易じゃないという問題が出てくるわけですね。したがって、その種の船との競争ということは一体どうしたらいいのかという問題が出てくると思いますが、その点はむしろ船員自身の資質の問題ももちろん大事でありますけれども、その辺の競争ということはどうやって克服できるのかという点についてお伺いしたいと思うんですが。
#21
○政府委員(向井清君) 先生御指摘のように、便宜置籍船等の船員費と申しますのは、日本船員が日本船に乗っておる場合に比べますと格段に低いというのは確かにそのとおりでございます。この辺は経営上やはり大きな問題であるということで、海運企業の側としましてのいろいろな配慮なり対策なりというものもございますが、先ほど申しましたように、船員行政プロパーの問題として、先生もお触れになりましたけれども、船員の資質の問題が非常に大きくこれに絡んでまいります。と申しますのは、先ほどちょっと御答弁申し上げましたが、船員制度の近代化の一環といたしまして、船員の資質の向上を図らなきゃならぬという動きが、十数年来世界的に非常に厳しい形で出てきております。
 これはどういう原因かと申しますと、一九六七年、昭和四十二年でございますが、イギリスの近海におきましてトリー・キャニオン号という大型タンカーが非常に大きな事故を起こしまして、沿岸の汚染ということで大問題を起こしました。結果的には爆撃をいたしましてこれを燃すというような劇的な場面もあったわけでございますが、このような状態に世界の海運関係者が非常にびっくりいたしまして、このままではやはり世界の海の安全あるいは公害の防止は図れないということで、国連の機関でございますが、IMCOと申します機関の中に会議が持たれまして、一九七一年ごろから会議が持たれたわけでございますが、非常に長い間かかって審議が行われました。その間にまた続々と大タンカーの事故が起きまして、最近におきましてはアモコ・カジスなどというこれまた非常に大きな巨大タンカーの事故がフランスの北西岸で起きたというようなこともございます。あるいはアメリカの東岸でもって相次いで事故が起きる、それに伴いましてカーター大統領が特別声明を発するというようなことがございまして、やはり世界的な認識といたしまして、このような大事故を防ぐには船員の資質を上げるしかないと。先ほど申されました便宜置籍船に乗っております――発展途上国の船員の方が多く乗っておられると思いますが、いわば船員費の安いそういう船員の方々が乗っておる船というものはとかく事故を起こしやすいというところに大きな注目が集まりまして、この際その資質の向上を図らなきゃいかぬという会議が持たれたわけでございます。
 この審議が進みまして、昨年の七月に国際条約が採択をされまして、そこにおきまして、いままでなかったことでございますが、かなり高いレベルの船員でなければ世界の海は歩けないというような基準が具体的に設定されたわけでございます。その中に、さらに重要な規定といたしましては監督規定というのがございまして、当該船の入ってまいります沿岸国におきまして、その船の船員の資質なりあるいは業務のやり方に問題があると見た場合には立ち入り検査をいたしまして、場合によっては出港を差しとめるという権限を持ち得ると、これは条約上はっきりそういうものを打ち出したわけでございまして、そういうような規定も設けられたということで、今後はやはりかなり質の高い船員でなければ世界の海を大手を振って歩けない、世界の海の安全あるいは公害の防止上そうでなければならぬという認識がもう条約上もはっきりいたして、各国の国内体制もそれに伴って整備されるということになりますので、ここ数年のうちにはいまのような便宜置籍船における非常に質の悪い船員の状態というのは解消される、それに伴いまして、やはり船員費に関係してまいりますもろもろの労働条件、賃金を含めました労働条件というものも当然改善されてまいると思いますので、その辺のところをにらみまして、やはり将来の日本船員の雇用の確保ということについても決してそう悲観すべきことではない、やはり日本船員というのは素質優秀なる船員でございますので、これから若干また教育等は必要かと思いますけれども、資質をさらに向上させることによって、世界の船員界、海運界におけるところの日本船員の地歩というものをますます確保できる、それを土台にいたしまして先生さっき御指摘のような国際競争力の面にもプラスの要素は出てくるというふうに船員行政上は判断をいたしているわけでございます。
#22
○瀬谷英行君 仕組み船、チャーターバック船とかマルシップとかこの種の船の問題も確かに問題だと思うんでありますけれども、ソ連船、東欧圏の国の船、こういう国の船も日本の競争相手としてはなかなか手ごわいと、こういうことを聞いておりますけれども、ソ連船なんかの場合これはやはりなぜ競争相手として手ごわいのか、恐らくこれらの船には途上国の人たちが乗り組んでいるんじゃないと思うんですね。その場合には一応これはもう国家公務員のような資格で乗っているんじゃないかという気がいたしますが、競争相手としてこれを分析した場合にどういうことになるのか、対抗するためにはどういう手だてが必要になってくるのか、その辺もちょっとお伺いしたいと思うんです。
#23
○政府委員(真島健君) ソ連を中心といたします東欧圏の商船隊、この競争力をどう分析するかという御質問かと存じます。確かに東欧圏の場合、特にソ連のような場合には、船をつくると申しましても、いわゆる私企業ではございません。ナショナルラインと申しますか、国営企業という形でございますので、たとえば船をつくりましても金利負担というようなことを余り考える必要がないというような問題、それから乗せます船員の給料というような問題を含めました全体の船員費につきましても、いわゆるわが国で申しますと船主、船員が共同して負担する保険料、福祉厚生のための費用、こういうようなものは要らないわけでございます。また必ずしも確実ではございませんけれども、私ども聞いておるところでは、たとえば燃料油を買う場合にも、ソ連の国内の一定のところで買う場合には国際の価格よりも非常に安く買えるというふうないろんな要素があるようでございまして、これはソ連が海運業による外貨獲得ということを非常に大きな命題とするとともに、ある意味では補助海軍的な考え方をとりまして、その船腹増強に非常に力を入れておる、こういうようなことがその背景にあるのではなかろうかと、このように考えておりまして、こういうような商船隊と、私企業でございますわが国あるいは先進のOECD諸国の商船隊、これはなかなかいわゆる公正な状態における競争という点ではむずかしい点が非常に多いんじゃないだろうかということで、こういう商船隊の対抗策、これは私ども現在考えておりますのは、当然OECD諸国、先進海運国と共同歩調をとって対策をとらなければならないということで、ずいぶんいろいろOECDの場でも会議を持ちながらやっておりますけれども、なかなかぴたりとした決め手はまだ出てまいっておりません。
 当面考えておりますのは、現在、もうそろそろ終わりでございますけれども、マニラにおきますUNCTADの総会で議論が出ております定期船同盟行動憲章条約、この条約、これは途上国の問題がある程度主でございましたけれども、一応四年前に採択をされて、わが国も賛成をそのときにはしておる条約でございます。こういう定期船の行動についてのある意味での世界的なルールを条約の発効という形まで持ってまいりまして、わが国もできるだけ早い機会にこれに批准をする、そこでこの条約の附帯決議と申しますか、その採択のときに一緒に決議された一つの条項があるわけでございますけれども、その決議では、同盟に入らない場合でも、盟外の船といえども商業的な公正なベースで競争をすべきであるという決議が入っております。したがいまして、この条約が発効いたしまして世界的なルールとして確立をされるという時点を一日も早く招来する、わが国も当然そこに入ってまいるということで、先進諸国、ある意味では途上国も含めまして同盟について条約で種々の規制をすると同時に、盟外の活動についても、少なくとも商業的な適正なベースでの公正競争という形に世界の大勢を持っていく。もしその場合に、なかなかはかがいかないという場合には、当然のことでございますけれども、その条約ないし附帯決議の言っております範囲内で国内的に相当な措置をとるという形を制度的にも確立してまいる、このようなことも今後やっていくということが一つの対策であろうかと思います。
#24
○瀬谷英行君 実質的には日本の船であっても乗り組んでいるのが途上国の人が乗り組んでいると、こういう例があるそうです、私は聞きましたけれどもね。たとえば韓国の人だとか、フィリピンの人だとか、こういう人があらかたである。こういう場合には日本人の船員が乗ってみても言葉が通じない。それから食い物がまるっきり韓国風であるというようなことで、乗っている日本人の船員もおもしろくないということがあるということは、これは直接聞きました。人の和だってそうなりますとうまくいかないだろうと思うんですね。だからまた、言っちゃ悪いけれども、そういう寄り合い世帯だと未熟な船員も多いんじゃないかという気がするんですよ。未熟な船員と日本人の優秀な船員が一部乗っているといったような場合、込みになった場合に人の和がうまくいかないだろうということもあるし、乗る方だって余りおもしろくないだろうということがある。したがって、その種の船というものは、なるべくなら、ない方がいいんじゃないかと。日本人なら日本人のちゃんとした教育を受けた、訓練を受けた日本人の船員だけで日本の船を運航すると。船員費をどうやって節約をするかということは、あらかじめ船の性能その他でもって配慮していくといったようなことの方が私は望ましいと思うんですよね。したがって、いろんな便宜置籍船であるとか、仕組み船であるとか言われるような船というものは、規制をするという方向に向けていけないものかどうか。単なるコストのことだけを考えないで、その種のかつてはなかったような形態の船を許さないようにしないと、日本の船員の雇用を促進するということはなかなかむずかしいことじゃないかという気がするわけです。そういう方向で日本の海運そのものを何とかして船員の雇用を促進する方向に近づけるということができないのかどうか、そのための思い切った規制というものが海運政策としてできないものかどうか、その点の勇断というものが振るえないのかどうか、その点をお伺いしたいと思うんです。
#25
○政府委員(真島健君) 私どもの利子補給法等の審議におきましても、いま先生のおっしゃったような御議論がいろいろと出たわけでございます。確かに日本船員の雇用対策、これに焦点をしぼって考えました場合に、おっしゃるような仕組み船あるいはチャーターバック船というような船、これは好ましくないと思います。ただ、私どもこれを何と申しますか、根絶をしていく、このためにはそういう仕組み船等に頼らざるを得ない形の海運経営というものを改めると申しますか、改めてもらわなければならないわけでございまして、仕組み船等の非常に多くなってまいりました原因というものが海運造船合理化審議会の小委員会報告でも指摘をされておりますように、日本船の国際競争力、これが主として船員費の圧迫によって非常に弱化している。したがいまして、日本船をつくりましても、荷主がこれを使ってくれないことにはどうにもならないわけでございまして、そういう意味で仕組み船という形がふえてまいった。これは海運企業だけの立場から考えれば、背に腹はかえられないと申しますか、それをやらなければ企業そのものが存立の基礎を脅かされてしまうということで急速に伸びてまいったわけでございます。したがいまして、そういうようなものの規制を何らかの命令なり規則でやるということは、別途の方策が一緒についてまいらない限り、海運企業そのものを破局に追いやることでしかないのではないだろうか。
 そこで、私ども決してその仕組み船等が好ましいやり方だと思ってはおりませんので、日本船をとにかくつくれる、仕組み船をつくらなくても、日本船をつくっても十分国際競争力があって諸外国の船と少なくとも対等に競争できる、こういう状況を与えれば、仕組み船というものは、その根っこが崩されるのではないだろうか、そういうことで今回の利子補給という制度を打ち出しまして、先般当委員会でも御可決をいただきました次第でございますけれども、そういう意味で私どもそういうものの規制というか、それがなくなっていく、少なくなっていく、少なくとも少なくなっていく、こういうことを念願をいたしまして、利子補給という制度によりまして、日本船が日本船主においても十分建造ができていく、こういう体制をまずとる、このトン数その他それでは不十分ではないか、いろいろな御議論もあるかと存じます。私ども緊急の三カ年計画というような姿でとりあえず計画造船で百万トン、うち利子補給対象七十万トンという予算を組みまして、これから二、三年の間その推移を見守りながら、それでなおかつ問題が出てくるということでありますれば、当然そういう問題についてさらに新しい措置を考えてまいりたい、このように現在考えております。
#26
○内藤功君 本法案につきましては、深刻な雇用不安のもとにある船員、さらには失業船員の状況から見まして就職促進給付金の支給は失業を余儀なくされた人たちに対する救済措置として一定の効果を持つものであって、その延長は必要であり当然と言えると考えております。しかしながら、本法案に関連をしてなお若干の質疑を行いたいと思います。
 まず本法の実施に関連をして、失業船員の再就職の業務を扱っております船員職業安定所における就職の指導、それから職業相談、求人開拓の点について触れておきたいと思います。
 運輸省からいただいた資料を見ますと、船員職業安定所は、昭和四十八年と五十四年で比べると、四十八年当時が全国で五十五カ所、定員七十九、五十四年が六十一カ所で九十四人と定員は増加しておる。しかし、仕事量では、昭和四十八年に失業保険金の受給が月平均四千三百六十三人であったのが、五十三年の三月には失業保険金受給が六千七百九十人、給付金の受給が三千七百四十四人、合計一万五百三十四人、こういうふうにふえておりまして、給付業務が二・四倍になっている。加えて求職数は月平均一万三千人というふうになっておりますね。数字であらわれた点はかようなものですが、現場の方々からいろいろお話を聞きますと、給付業務でいっぱいであって、一番肝心の職業紹介業務の方には手が回りきれないという状況を聞いておりますが、大体私の認識でよろしいかどうか、この点まず伺いたい。
#27
○政府委員(向井清君) 先生いま御指摘のように、船員行政、職安業務を中心としまして最近急速に発展してまいりました。これに対応いたしまして、体制の整備を図らなきゃならぬということはもちろんでございますので、累年増員なりあるいは安定業務を行う場所の増加ということを図っておるわけでございまして、先ほど先生おっしゃいましたように、五十四年度におきましては六十一カ所、九十四人という水準まで来たわけでございます。しかしながら、現状といたしましては、御指摘のように給付金の給付業務あるいは失業保険の給付業務というものが非常に集中をする時期がある、そのような時期におきましては多忙をきわめるということでございまして、これだけの人数では賄えない日もございますので、その場所にもよりますが、かなり一般の船員行政を行っている職員も応援をしてこれを賄っておるということでございます。ただ、こういう給付金関係あるいは失業保険関係の業務と申しますのは日時が集中いたしておりまして、毎日毎日そういう業務があるわけではございません。やはりそれなりに業務の配分をいたしまして、職業安定業務本来の求人求職に関するいろいろなあっせんなり紹介なり指導ということをいたしておるわけでございます。何とかわれわれの認識としては、職員一同非常につらい思いをしていると思いますけれども、がんばってくれておるというふうに理解をしているわけでございますが、ただそういう職員だけの数でもって賄っていくということではなかなか容易ではございませんので、いろいろと総合的な対策を講じております。部外者の協力を求める面もございますし、あるいは賃金職員を雇うという面もございます。あるいは情報収集活動につきましては新しい機材を取り入れまして、非常にそれを有効に活用していくということでございまして、ことに漁業関係につきましては、水産業というのは地域性が非常にございまして、特殊な事情もございますので、やはり水産庁並びに県それから漁協というようなところとの連携を密にいたしまして、雇用情報の交換を緊密にするということによって有効な求人求職活動への対応をするということをやっておるわけでございます。
 まだこの体制整ったばかりというような段階でございまして、これからの問題でございますが、この辺のところを十分うまく活用いたしていきますれば、御指摘のような業務の繁忙というものもかなり緩和され、新しい分野への活動ができるというふうにわれわれは期待している次第でございます。
#28
○内藤功君 いまの御答弁で、ざらにもう一歩進めて若干の注文をつけておきたい。これについてのお考えを伺いたい。
 第一は、まあ船員職安の体制強化策として、地方海運局本局においては雇用安定指導官を複数として、そして求人求職職種転換の各専門官を置くということ、それから海運局の支局には最低限専任の係官を配置をする。
 第二点ですが、東京とか大阪など、求人が非常に大きなところですね、広域の求人求職ができるようにする。そして労働条件が明確に明示された親切な内容にする。
 それから、三点目ですが、求人求職の紹介業務や職域開拓に必要な旅費、電話代などの経費不足が非常に現場では深刻な問題の一つになっておるようです。実態に即してやはり増額を図るべきじゃないか。現場の方からいろいろお話聞いた中で、印象に残っていることですが、フェリーの新航路の免許の際に、船員労務官と運航管理官の乗船立ち会いで目的地に到着した。その後運航管理官は下船して国鉄などで帰ったんですが、船員労務官の方は旅費がないために再びフェリーで帰るというような例も聞いておるわけですね。それから、神戸の海運局の話として聞いたんですが、ある漁協からの求人に関して、漁業離職者の多い北海道、東北への広域紹介を行った。ところが、旅費不足のために、文書連絡から始めて大変な苦労をしたと、しかしまあ、実績は上げた。こういう大変な苦労をしているというような経験も話を聞いて非常に印象に残っているわけであります。ぜひこの動くのに必要なやはり旅費、電話代、行動費、足代というものについてはまあ増額の努力――これはささいな問題だろうけれども、機能を発揮する上に非常に大事だと思うんですね。以上、三点を私はまとめてもう申しますけれども、当局の責任者としてのお考えなどを聞きたいと思います。
#29
○政府委員(向井清君) 非常に具体的な御指摘があったわけでございますが、いまおっしゃったような問題点というのは、われわれも部内からいろいろ聞いているわけでございます。
 最初に申されました雇用安定指導官につきましては、御承知と思いますけれども、五十四年度は九海運局におのおの一人ずつ配置しておるということでございますし、それから専任の職員につきましては、先ほど大体の数字が出ておりますが、九十四人が五十四年度においては配置されておるというようなことで、この辺のところなかなか増員というのはむずかしい話なんでございますが、今後ともできるだけの努力はしてまいりたいということでございます。
 それから、まあ東京、大阪の例を引かれましたが、これやはり広域職業紹介におきましては、その情報の収集とその有効利用ということが非常に大切でございますので、先ほど一般的に触れましたんでございますが、現在どのような体制かと申しますと、十六の船員職業安定所におきまして、すでにテレックスを配置いたしておりまして、広域職業紹介をずっと実施いたしておりますが、五十四年度におきましては本省と北海、東北両海運局のそれぞれの個所、十四個所にファクシミリを予算をとりまして設置いたすことになりました。これは非常に有効に使えると期待いたしておるわけでございまして、北洋漁業等からの離職船員を対象とした広域紹介、また後で申しますが神戸海運局の例などもそれにかかわってくるわけでございますが、そういうものがより有効に処理できるというふうに考えておる次第でございます。
 それからまあ非常に端的な御指摘でございましたが、旅費とか電話代とかいう問題につきましては、これは相当職員も悩みの種だと聞いておりますので、われわれとしてもできるだけこういう面の支援をしなきゃいかぬということで努力をしているところでございまして、実は五十二年度と五十四年度を比べてみますというと、いわゆる事務経費でございますが、五十二度においてはわずか百二十万円ぐらい、五十三年度においてはそれが一千万円ベースに乗りまして、五十四年度におきましては三千五百万円を超えておる。パーセンテージにいたしますと、前年度から三・三倍ぐらいになっておるというようなことで、御指摘のありました旅費につきましても相当大幅な増額はなされております。しかし、これは主として職業安定業務関係の話でございまして、まあ御承知のように、ただいま船員行政の非常に張っております部門というのはこの職安関係でございますので、そこに集中的にいろいろな予算措置を講ずるということはこれはやむを得ないところでございまして、そういう形になっておりますが、先ほど御指摘ございました労務官につきましては、これはちょっと別の業務でございます。ただ、この労務官の業務と申しますのは、これは先ほど触れました新しい国際条約との関係等もございまして、非常にやはり今後重視すべき問題である、いままで以上に重視すべき問題であると思いますので、労務官業務についてのいろいろな予算措置ということについては、今後真剣にひとつ考えてまいりたいというふうに考えております。
 それから具体的にお触れになりました神戸海運局の例でございますが、香住地区における漁船員の求人でございますね、これが年々ございまして、五十二年におきましては御指摘のように、二十五人を広域紹介により就職さしたという非常に大きな成功をおさめておるわけでございますが、その間に職員の非常な努力があったことはわれわれも十分認識いたしておる次第でございます。ただその五十四年になりますと、やはり同じような香住からの求人があったのでございますが、非常にいろいろむずかしい事情が出てまいりまして、まあ求職をいたしております離職船員がほかに就職の可能性が出てきたとか、あるいはサケ・マスについての見込みが変わってきたとか、あるいは漁法が違うので作業がやりにくい、あるいは習慣が違うのでどうもなじまないとか、給料の点もございますが、やはり生活がらみの条件というのがいろいろ細かく出てまいりまして、そこらあたりがどうもぴたっと合わないというととで、最近は余りうまくいっておらない。この辺が非常に重要なとこでございまして、先ほど申しましたようた広域職業紹介業務をよりきめ細かく行いまして、十分その辺の双方の納得のいくような職業紹介ができるようにやってまいりたい。その辺は本省としても十分配慮してまいりたい、このように考えている次第でございます。
#30
○内藤功君 この点は運輸省だけの努力ではできない問題もあるかと思いますが、一層格段の努力を要求をしておきたいと思います。
 そこで、前回資料要求をしておきましたいわゆる基礎実験船の実験項目、実験内容、実験対象者についての資料をあの後いただきました。つぶさに私拝見したわけなんですが、内容に関連しまして若干の質問をしておきたいと思います。
 まず、これを見まして日本郵船初め六つの大手の会社が、それぞれ実船を用いてどんな実験項目にするのかということをずっと見てみますと、甲板部員の作業を機関部員がやると、たとえば係離岸作業、船橋当直作業、あるいは甲板部の停泊当直作業、整備作業というようなものを機関部員がやる。それから逆に機関室の入出港スタンバイ作業を甲板部員がやる、機関室の航海当直作業もやる、機関室の停泊当直作業もやるというふうに機関部員の作業を甲板部員がやる、いま甲機両用ということが言われているようでございますけれども、まさに甲板部員と機関部員の区別がなくなってしまうんじゃないか、こういう感じの実験項目になっておりますね。しかも、これは特別の実験船で特定の短い実験海域、実験航路でやるというんじゃなくて、実際のコンテナ船とかタンカーとか自動車専用船などを使いまして、実際に商売をやりながら兼ねて実験もやる、こういうようにこの文書で私は読み取れるわけです。それに間違いないと思うんですね。
 で、私が一つ疑問に思い解明をひとつお願いしたいのは、私は決して法律論で揚げ足をとろうとして聞くんじゃないんです。厳正な保護法の適用の問題ですからやはり明快なひとつお答えを願いたいんですが、機関部員とか甲板部員というのは、この職務は労働条件なんでしょう。
#31
○政府委員(向井清君) 先般もお答え申し上げましたが、船内の職務につきましては非常に伝統的、慣習的な区分けがあるわけでございますね。その中の一番大きなものが、いま御指摘のありました甲板部、機関部の別であるということでございます。それでこれが船舶職員と部員とに上下分かれるわけでございます。船舶職員につきましては、御承知のように、船舶職員法という大きな資格法がございまして、そこに船の大きさ、あるいは航行区域ごとにどのような海技従事者の資格を持っている船舶職員、航海士なり機関士なり船長なり機関長が乗り組むかというようなことで、はっきりしておる。その担保といたしましては厳格な国家試験を行っておるということでございます。で、部員の方につきましては、一部甲板部の当直につきましての規定は船員法にございますが、甲板部の部員である、あるいは機関部の部員であるということに基づきまして、すべて整然とその労働条件等の区別をしているということではございません。
#32
○内藤功君 私の質問をまだ正確に理解していらっしゃらないと思うんです。
 では、端的に聞きますが、機関部員あるいは甲板部員ということは、いわゆる船員法の三十二条には労働条件をあらかじめ明示しなければならないというのがあって、それを受けて規則の十六条で「職務」というのが、これは労働条件になっていますね。船員の労働条件の列挙されている三番目に「職務」というのがあるんですね。その職務というのは何かということになると、これは海員名簿だとか船員手帳の職務というところにはたとえば一等航海士とかそれから操機手とか、そういうふうにやっぱり書かなくちゃいけないというふうになっておりますね。したがって、甲板部員か機関部員か、機関部員の中で操機手かどうか、それから甲板部員で甲板手かどうかというふうなことは、これは労働条件だ、賃金や何かと同じように、こういう職務というのは労働条件だと、こういう理解でいいですね。
#33
○政府委員(向井清君) ただいまお尋ねの船員法並びに省令の規定でございますが、これは雇い入れ契約にかかわる問題として出ているわけでございまして、御承知のように船の場合は非常に特殊な職場でございますので、通常の陸上の職場と異なりまして、船に乗り組みます際に、雇い入れ契約というものを結ぶという形に法律的になっているわけでございまして、それを海員局の出先なりあるいは市町村に委託している場合もございますが、そういう官署においてこれを公認するというシステムになっておるわけでございます。その場合のお尋ねの点でありますが、甲板部、機関部につきましては、甲板部員、機関部員という区別をここで書かせて確認をいたしておるということでございます。
#34
○内藤功君 そうすると、その雇い入れ契約の公認という手続段階におきまして甲板部員、機関部員の区別を書かせるということになりますと、それは甲板部員か機関部員かということは海員名簿に書き込まれますわね。海員名簿に書き込まれるということは、海員名簿というのは契約書だと歴史的に伝統的に言われている、法律的にも言われているから、そういう機関部員であることを職務内容とする契約、機関部員あるいは甲板部員であることを一つの仕事の内容、労務提供の内容にする一つの労働契約ができたというふうになると思うんですね。そうすると、私の質問に大体肯定的にお答えになったと思いますが、これはもう労働条件だというふうに理解をして先へ進みたいと思うんですがね。
 そうすると、この機関部員であるか甲板部員であるかどうかということは、しかくさように、労務提供の内容ですから重要な労働条件だ。そういうふうにしますと、この機関部員を――私の質問の筋はごく簡単なんです。簡単な論理なんですけれども、機関部員を甲板部員の仕事に使う、甲板部の作業に機関部員を使う、それから機関部員の作業に甲板部員を使うということは、これは労働契約のいわゆる内容からは違ってくるんですね。労働契約違反あるいは労働契約変更というふうなどっちかになってくるわけですね。ここらあたりはこのままで雇い入れ契約を地方海運局が承認するんでしょうか、公認するんでしょうか。その段階に問題にならないものなんでしょうか。端的な質問なんですけれども、問題にならないものかどうか。これは海運行政の点で確かめておきたいんですよ。いろいろ大臣がこの前最後に言われた、いや、労使とも血みどろでやっていてこういう実験が必要だとかいう御議論は、これはまた別に議論をいたしますけれども、まず法制上の扱いの問題として、機関部員か甲板部員かというのはもう労働条件だと、これはもう陸上の労働者でも同じですよね。労務課員かあるいは事務員か、経理部員かあるいは現場で運転手さんかというようなそれぞれ労働条件だと、もう当然だと思う。それを変えて実質的に機関部員に甲板部の仕事をさせるというふうになった場合の扱いですね、このままでいいのかどうか。大ざっぱに聞きますとそういうことなんですが、おわかりになると思うんですが、どういうふうにお答えになりますか。
#35
○政府委員(向井清君) 非常に大ざっぱとおっしゃいますが、これはちょっと説明を要するところでございまして、先ほどちょっと触れましたんでございますが、船内職務というのは非常に伝統的な慣習に立脚いたしまして、国際的ないろいろな常識というものがある、それの上に乗っかりまして甲板部なり機関部なりという一つの職務内容というのもイメージがあり、実務があるわけでございます。で、われわれの公認業務といたしましても、そういうような実際の伝統なり慣習でございますね、これにやはり乗っかって行政を行っておるということでございまして、そういう慣習なり伝統を外して、法律上、甲板部員はこれこれこれこれの仕事をして、こういうことはやっちゃいかぬとか、機関部はその逆であるとか、そういうことは考えておらないわけでございます。
 それで、しからばその伝統的な慣習なり制度なりというものがどのようになっているかということでございますが、これはお話を申し上げると非常にややこしい話になって、私自身もそう知悉しているわけではございませんが、船と申しますのは御承知のように、非常に場合によっては危険な職場でもある、いろんな海象、気象条件が千変万化いたしますから、やはりみんな心を一にしまして共同体として緊密な連携をとらないと安全な運航ができないわけでございますから、その辺のところはお互いに相助けるということは当然あるわけでございまして、それが緊急事態はもちろんでございますが、日常業務におきましても甲板部、機関部、ことに部員クラスになりますというとお互いの職務についてそれぞれの手助けをする。たとえば、入出港におきましては総員見張りに立つ。これは非常に危険でございます。ことに着岸の場合には非常に危険でございますのでそういうことをする。出港の場合にも、周りに船がいないかどうかよく確かめなければいけませんので、総員甲板上に出まして見張りをするというようなことをやっております。また、船の手入れ等につきましても、ここは機関部であるからとか、ここは甲板部であるからというような、いわばしゃくし定規なことはある程度ございませんので、それはやはり相協力をしてやるということでございまして、したがってさっきおっしゃいましたように、甲板部員であるからこれはこうじゃないかとか、機関部員であるからこれはこうじゃないかというような厳格な垣根というものはないんだということでございますので、いまここで御指摘になりましたような実験船におきますところの業務、これは部員の業務でございますが、そういう業務につきましても、この程度のことはそれはあり得る話であるというふうにわれわれは理解をいたしておる次第でございます。
#36
○内藤功君 そこがちょっと認識が違うんでありまして、いまあなたの御答弁だと、伝統と慣習というものをまず前提に持ってこられて、伝統と慣習とはどういうことをお答えになるか、私は興味を持って聞いておりましたら、相助けることであると。これは海上生活においては一般論はそのとおりでございます。それから入出港の際の総員見張り、これもよくわかります。これも当然のことでしょう。しかし、それはここにいまあなたの方から資料としてお出し願ったこの内容とは違うんですね。一般論として言われたことなんです。単なる入出港の際の総員見張りというにとどまらず、さっき私も何回か引用しましたように、郵船の「氷川丸」の場合には恐らく甲板部員のやるべき仕事をもうほとんど全面、全体について機関部員の実験というのが項目で出されているんですね。私、資料いただきましてから、もう膨大な資料ですが、各社について全部目を通してみたんですが、これは単なる、いままで伝統的と言われておる海上における手助けだとか、入出港のときの総員の見張りだとかいう域をはるかに超えた、表現さしていただければ非常に体系的な、全面的な、非常に広範囲にわたるいわば甲機両用ですね、もう船員制度の改正、船員法の改正を待たなきゃできないようなことがここに出ていると、私はこう思うんです。これがいま局長との認識の非常な違い。局長は非常に軽くこの程度のことはもうしょっちゅうやっていると。しかし、この程度のことと言うんだけれども、こんな部厚な物を近代化委員会がつくって運輸省にも出しているわけですからね。これはちょっと局長、認識が違うんじゃありませんか。これはやはり労働契約の変更になってくるんじゃないかと。ただ、これをどういうふうに扱うかは次の問題ですが、法的に見た場合には、たとえば船員法の四十一条には第一項で「船員は、左の各号の一に該当する場合には、雇入契約を解除することができる。」という条項がございまして、その二号には「雇入契約により定められた労働条件と事実とが著しく相違するとき。」と、こういうのがあります。この雇い入れ契約で乗船するときは、船長なり船主からお前は甲板部員だよと言われた場合は、その甲板部員は伝統的なる甲板部員の仕事として意識をして業務につくと思うんですね。乗船すると思う。ところが、実際やってみるとこういうふうな作業である。これはもう権利を行使せんとすれば、船員さんの方から四十一条で解除もできるような私は内容だと思う。その点が非常に認識違うと思いますが、いかがですか、重ねてお伺いします。
#37
○政府委員(向井清君) 先ほど来のお話、私ども御答弁申しましたお話の内容というのは、いわば法律に基づきます行政上の取り扱い、雇い入れ契約の公認にかかわる問題でございます。いま御指摘になりましたのは船員の契約にかかわる問題だと思うのでございます。これにつきましては、本実験船を運営するに当たりまして、労働側と船主側との間で非常に詰めた話があったやに聞いておりまして、労働協約につきましてもいまのような御疑念の点については解決をみておるということで、御指摘のように、個々の船員がそれを不当であるとして問題を提起するというようなことはないように、ちゃんと協約なり契約なりがセットされておるというふうに聞いております。
#38
○内藤功君 労使の内容に私も深入りするつもりはないんです。ただここで聞いているのは、労使じゃなくて運輸行政を担当する担当者としてのあなたの立場です。特に船員法というのは、この前も議論しましたが、憲法に基づいてできている保護法ですよね。陸上では基準法に当たるものです。それを運用するのはあなた方の御担当なんですね。だから、労使が仮に話し合いが進んでいても独自の観点を言わなきゃならぬ場合も一般的にはあり得ると思いますね。そういう点で私は、法の厳正な執行を期待する立場からお聞きしているんですよ。ですからその点で逃げるわけにはいかないんです。ですから、最初の雇い入れ契約の職務が甲板部員だったという人を――私の質問はきわめて単純明快です。こういうふうな実験内容で、広範な、体系的な仕事に長期間従事させる、実船で従事させるという場合は、当然これは労働契約内容の変更、あるいは場合によっては労働契約の違背というどちらかの問題がここで生起をするんじゃないかと思う。それともあれですか、これは実験船だからこれはこの場合だけは目をつぶると、労使で話し合いもできているし、実験船だから、多少それは厳密に言えば労働契約違背のかどはあるかもしれないけれども、今回はこれは、言葉は悪いけれども目をつぶるという態度でこれにお臨みになっているのならそれで御答弁をいただきたい。ここは論議としてはあいまいに許されないところだと思うんです。いかがでございましょう。
#39
○政府委員(向井清君) 雇い入れ公認という行政処分の問題と労使間の契約の問題と込みになっているというような感じでございます。それはもちろんそのとおりでございますが、雇い入れ契約の公認におきましては、航海の安全または船員の労働関係に関する法令の規定に違反することがないということとか、当事者間でその合意があるというようなことを見ておるわけでございまして、われわれとしては当然労使間の契約なりそのもとをなす労働協約がどうなっているかということには関心があるわけでございます。それについては先ほど申しましたように、実験船について問題の解決を見ておるという認識をいたしておると。それから最初に御指摘になりましたように、いやしくも甲板部員、いやしくも機関部員ということで公認した以上は、そこのところでぴしりとした区別があるはずだと、それを長期間このような本来の業務のようなことにつかせるのはおかしいではないかという御指摘があるかと思うのでございますが、その点はいろいろな御答弁のしようがあるので、結局この前御答弁申し上げましたように、この実験船におきますところの甲機両方の部員の横の連係でございますね、横の連係と申しますのは、やはり見習いとかあるいは教育とかそういうような観点から行っておりますので、当然本来の職務を行う甲板部員なり機関部員が立ち会っておるということ、それから個人個人で見ますとそれほど長期間にわたってやるわけでもございませんし、われわれといたしましては、その程度の内容と申しますのは、先ほど来申しております、われわれの行政措置の基礎になっております長年の船舶内における職務上の慣例なり伝統ということの枠を超えたものではない、というふうに認識いたしておる次第でございます。
#40
○内藤功君 さらに船員法の七十条の二項、三項のいろんな要件がありますね。甲板部の勤務一年未満の者をもって充ててはならない、あるいは定員の過半数は年齢十八年以上の者で三年以上甲板部の勤務に従事した者などでなきゃならぬ、八十一条の二項には、命令の定める危険な船内作業については、命令の定める経験または技能を有しない船員を従事させてはならぬ、というようないろいろな条項があると思うんですね。こういったものについてのチェックが、これだけのとにかく広範な仕事の内容をやるという文書を運輸省が目にした以上は、実際これが七十条二項、三項なり八十一条二項なりというものに触れるようなことがないかどうかという点の点検、チェックはなさらないんですか。
#41
○政府委員(向井清君) 先般も御答弁申し上げましたように、近代化委員会、労使双方自主的に努力をいたしましてこの実験船の運航につきましては推進を図っておるということでございますが、そこにおける議論において、法令上の違反があってはこれはいたし方がございません。これについては私どもは十分チェックをいたしておる次第でございまして、結果的には、お手元にございますような一つの計画に従っての実験においては、そのようなことは起きないという確認はいたしておるわけでございます。たとえば七十条の問題にいたしましても、一項の方に、七百トン以上の船舶に乗り組む甲板部の部員で航海当直をすべき職務を有する者の定員六名というところから出ているわけでございます。これはもちろんきちんと守らなきゃならない。二項、三項におきますところのそういう要件も満たされておるということでございまして、そのようなチェックは十分いたしているということでございます。
#42
○内藤功君 そうすると、具体的にいま五月の十九日にスタートした二隻のいわゆる第一次基礎実験船ですね、これについてはやはり雇い入れ契約の公認申請の段階では、実務上は、甲板部員は甲板部員、機関部員は機関部員というふうな名称で出されているんでしょうね。甲板部員だが機関部員の仕事も全部やるというふうには書いてないんでしょうね。そこのところをちょっと確かめておきたい。
#43
○政府委員(向井清君) 公認の上においては甲板部員、機関部員という仕分けをしているわけでございます。
#44
○内藤功君 確かめておきますが、甲板部員、括弧して、あるいは甲板部員及びとして、機関部員の仕事もやるという趣旨のことはないでしょうね、くどいようですが。
#45
○政府委員(向井清君) そういう記載はございません。
#46
○内藤功君 そうすると、もう一つ聞いておきますが、この船は、この二隻の船は特別の実験船だから多少の法令違反、契約違背があっても目をつぶる船だという考え方はあるんですか、ないんですか。
#47
○政府委員(向井清君) そういう考え方は全くございませんで、先ほどるる申しておりますように、いままでの考え方の枠の中におさまっておるというふうに考えております。
#48
○内藤功君 これはもう大変なやはり認識の違いというふうに言わざるを得ませんけれども、結局、さっきあなたが言ったこれは手伝い程度だと、それから出入港のときの総員見張りにつくようなものだ、そういう訓練をしているにすぎないという認識が全体にあなたにあるものだから、その答弁をやっているものだからこれはかみ合わないんです。これは実態は、私がこの表で見る限りにおいてそんなものじゃありませんね。もう実際上、いまの法制ではできないことを実験と称してやっている重大な問題ですよ。言葉は悪いですけれども、たとえば戦争をある法令で禁止しておる、しかし、戦争というのはどんなにひどいものか戦争の実験をしてみようと、極端な例ですが。それから、ある種の企業ではストライキを禁止しておる、しかし、ストライキの効果はどんなものであるかストライキを実験してみようというようなたとえを出してみるとわかるんですね。いまの法制度ではこれはできないと、しかし、これはやってみようと、やってみるんだからそのやってみる間は法制の制約はない、そういうことなんじゃないかと私は思うんですね。
 ですからここで私が言いたいのは、ここに持ってきたのは五十四年三月の船員制度近代化調査委員会の調査報告及び提言というやつです。この間あなたにも、きょうの質問の前に、私はこういうところをつくよということで申し上げた、率直に言ってね。この七ページに、実験船による実験の実施に当たっては、「既存の伝統的・慣習的な制度的枠組みにとらわれない試みを、それが適切かつ妥当である限り、積極的に採用することも必要となる。」。これは前に出してありますが、その後に、「その場合に、現行の制度的制約が、新しい試みの採用の障害になることは好ましいことではない。」と、ここですよね。現行の制度的制約が障害になることは好ましいことでないと。「現行の制度的制約」とは何か、これはもう法令と労働協約だというふうに思いますね。これはもう「制度的制約」と書いてある以上は、法令あるいは海員の労働協約というものが障害になることは好ましいことではない、だからもうこれを踏み越えてこの実験をするということになるんじゃないですか。私は、これと考え合わせましてそういう疑いを非常に持つんです。
#49
○政府委員(向井清君) 船員制度近代化調査委員会の調査に関連いたします提言について、いま具体的な御指摘があったわけでございますが、この七ページにいまお読み上げになったような文章があるわけでございまして、これについては以前に御説明申し上げましたように、「既存の伝統的・慣習的な制度的枠組みにとらわれない試み」というところに意味があるわけでございまして、ここに言うところの「現行の制度的制約」というのは法制度そのものであるというようなことではございません。これははっきりとこの報告書を出した方にも確認をいたしておるところでございますが、これはやはり「伝統的・慣習的な制度的枠組み」という範疇に入る話であるというふうに私どもは理解をいたしておる次第でございます。
#50
○内藤功君 まあそこまで言われますと、私はこの点の質問をするに先立って、私の理解に誤りがあってはいけないというので、あなたにお聞きする前にも実は部内の方に正式に来ていただきまして、この部分の「現行の制度的制約」についていろいろお聞かせ願ったんですが、そういうお答えではなかったですね。まあ法令及び労働協約ということですという明確なお答えがあったのですよ。
 それから、ここに私が持ってきておる、これは近代化委員会の準備委員会で承認されたと書いてある「実験基本計画案」、三月十九日付です。私はこれをいま持っております。この中には明確に計画の前提としまして、「当面は、現行船員制度の制度的枠組みは原則的に維持するも、必要に応じ実験期間中、当該船舶に限定して法規、労働協約等の規制を弾力的に運用する事が出来るものとする。」ということが明確にここに書いてあるんです。これは恐らくあなたの方ではごらんになっているものだと思いますがね。明白に法令、労働協約と書いてありますね。ですから、私は、今度のこの実験船の計画というものについて、これはやはり国鉄なんかでも一つの実験で列車を走らせるという場合には、それなりの法制的な根拠はしっかとしながらやると思うんですね。実験といえ実船を使うんですからね。そういう場合に、実験だから日本の海運は大変だからという大義名文があれば、現行法令や労働協約をいかに無視し軽視してもいいということには私はならないと思うんで、これは行政というのはやっぱり法によってやるわけですから、法律はわれわれが審議して、われわれが国会で可決したものをそれを誠実に執行するのが行政でありますから、これはいささかもそういう緩みというか、見逃しがあっては私はならぬということでいまの質問をしたわけなんですよ。ここにございますから、後ででもごらんください。この実験基本計画にははっきり法令、労働協約の弾力的運用もやむを得ないと書いてあるんですね。私は、ですから、いままでの御説明はこの認識の点でも解釈の点でも納得できないです。特に労働契約における労働条件の変更という問題について、非常にやはり軽く考えておられるんじゃないかという印象を強く持ちます。
#51
○政府委員(向井清君) 先生の御見解はそれなりに一つの理論的な見解として承る次第でございますが、いま御指摘になりました基本計画なるもの、これはいわゆる民間ベースでもって一つの案をつくってわれわれに提示なすったと、われわれとしては別にそれをそのままのみ込んでいるわけでもないという点が一点ございますし、それから、お読みになりました弾力的運用ということの意味、これはそれはそれなりに弾力的な解釈はあるわけでございまして、われわれといたしましては先ほどからるる申しておりますのは、慣習的、伝統的な一つの枠というものがあると、これはかなりその周辺はぼけているわけでございますが、大体その感じとしてある。その中において考えられるものは、それはもう考えていいのじゃないかという心構えで処理をいたしておるわけでございまして、例として申し上げました入出港の際の総員見張り体制というもの、入出港の際は現実には一番危ないわけでございますから、そういう例があるということから推して、このようなケースについてはそれは同じような観念で処理できるものであろうというふうなことを考えつつ対応しているわけでございますから、その辺のところがいわゆる弾力的運用という言葉自体に当たるかどうか、弾力的運用という言葉をお使いになった方はこれは民間の方でございますので、先生のように非常に論理的にぴしっと決めてお使いになったのではないんじゃないかという気もいたしますし、われわれとしては先ほど来申しておりますように、一つのいままでのやり方を踏襲して処理をいたしておるというふうに考えておる次第でございます。
#52
○内藤功君 最後に、この六月のさらに十一日以降いただいた資料によると、山下新日本汽船以下各社がそれぞれ基礎実験船を出す計画がここに書いてあります。そうなりますと、私のいま言ったような観点が、前の五月十九日の時点では国会でこの資料は論議の対象になっていなかったが、いまは論議の対象になっているわけです。そういう時点に臨んで、この山下新日本汽船以下の各基礎実験船について、これだけの論議と問題点が提起されたわけですから、どういうふうにお臨みになりますか。これをこのまま簡単に出してしまうんですか、この点をちょっと伺いたい。
#53
○政府委員(向井清君) 先ほど来申し上げておりまするように、いままでのところわれわれとしては、その微細にわたっての確認――これはちょっと誤解があるといけませんので申し上げておきますが、こういう計画書ができまして船がこれを持っておると。船におきましては、今度は何月何日の時点において何のたれべえがこういうことをするという非常にきちんとしたその計画をこれはつくるに決まっております。これつくるということでございますが、ただ、先ほど申しましたように、船舶の運航というものは非常に客観条件が千変万化いたしまして、気象、海象を一つとりましても、非常にその日その日によって条件が変わってくる。あるいはたまたま狭水道なら狭水道を通ります場合に、行き会い船が非常に多い。あるいは漁期でございまして漁船が非常にたくさん出ているというような場合がございます。こういう場合については、当然船長判断でこの計画内容の変更はしていくということで、それはもう船舶運航の安全の責任を負っております船長が全責任を持って決めていくわけでございますから、その段階におけるまでのチェックというのは、これはまあ事前には不可能なわけでございます。ただ、ここであらわれておりますような内容につきましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、われわれの従来の考え方の枠組みを踏み出しているものではないということでございまして、郵船から御指摘ございましたが、六社それぞれについても目を通して、この程度の範囲であと船長がそのときそのときの判断でもって実験の実施に当たるということは支障ないというふうに判断している次第でございます。
#54
○委員長(三木忠雄君) 午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三分開会
#55
○委員長(三木忠雄君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#56
○田代富士男君 では午前中に引き続きまして御質問をさせていただきますが、船員の雇用促進に関する特別措置法の附則第二項に基づくところの就職促進給付金の支給に関する特別措置の対象業種となっているのは、近海海運業、内航海運業、はしけ運送業、船舶製造・修理業等の四業種になっておりますけれども、まずこの四業種に係る船員の雇用の概況、並びに四業種の不況の実情について、またあわせまして船員雇用の概況につきまして御説明を最初にお願いいたします。
#57
○政府委員(向井清君) お答え申し上げます。
 ただいま御質問にございましたように、この法律の対象業種といたしましては、近海海運業、内航海運業、はしけ運送業並びに船舶製造・修理業、この四つがあるわけでございまして、この四業種から離職いたしました船員がさらに船員として再就職をいたしたいという事情にある者に関してこの法律の適用対象になるわけでございますが、いま御質問のような現在の雇用の現況というものを御説明申し上げますと、まず一般的に申しまして船員の雇用情勢でございますが、最近の資料によりますというと、求人数が約四千五百名、求職数が約一万五千名ということでございまして、指数としてよく使われます求人倍率、求職一人に対して求人が何人おるかという指数でございますが、これで見ますというと、ことしの三月の時点でございますけれども、〇・三五ということでございまして、一人の求職に対して求人が〇・三五人しかおらないという非常に厳しい指数になっておるわけでございます。これを内訳的に見ますというと、近海を含みますところの外航につきましては、いま申し上げました求人倍率が〇・二一ということで一層厳しい数値になってございます。それから、内航につきましては、まあやや状況が緩和されておりまして、求人倍率〇・六一と、それでもやはり一人に対して〇・六一の求人しかないという状況で、これまた厳しい情勢には変わりございません。
 四業種それぞれの不況の実情は申すまでもないところでございますが、それぞれ輸送需要の停滞あるいは港湾整備の進捗等による構造的な変化あるいは為替相場の変動等の国際情勢、それぞれを受けまして、部分的に見ますというとかなり好転した部門もございますけれども、総体といたしましては産業経済の全般的な不況情勢の一環といたしまして、事業活動の停滞、企業体力の低下、ことに長期の不況のあげくでございますので、企業体力は相当低下しておるということで、今後とも離職者をそこから生ずるということ、あるいは雇用情勢の深刻さというものは変わりないというふうに判断いたしておる次第でございます。
#58
○田代富士男君 そこで、この船特法が制定されたのは、御承知のとおりに、五十二年の十二月のことでございますが、施行されましてからかなり、一年と数カ月余り経過しておりますけれども、この法律の制定された当時と比べまして、いろいろな経済の変化に伴いますところのいろいろな動きが生じておるわけなんですが、そういう関係から、それぞれの業種の置かれた環境も変化してきていると、このように見ていかなくてはならないのではないかと思うわけなんですが、そのようにして見ますと、やや業種によって好転してきた業種もあれば依然として不振を続ける業種と、このように分かれてくるのではないかと思うわけなんですが、そういうことから見てみますと、内航海運等は、国内の経済が御承知のとおりに少し回復の兆しも見えてきた、それからトラックの過積みの問題等がございまして、そういう取り締まりが強化されたことによりまして、こういう内航海運に荷物が扱われてくるという、そういう面も見え始めてきておりますけれども、近海海運は依然として極度の不況に直面をしていると、これは離職船員も相当数発生して好転の見込みがない、こういうような実態になっておるし、これはもう御承知のとおり掌握をされていると思いますが、そこで、こういう特定不況の海上企業の指定を見直しまして、指定の取り消しをすべきところは取り消しをし、また、四業種以外の業種の追加指定なども考えるように見直しをやる時期に来ているのではないかと思いますが、この点に対するお考えはどうでしょうか。
#59
○政府委員(向井清君) 先生御指摘のように、細かく見ますというと、景気の回復基調が著しいものもあるやに聞いておりますし、また、依然として落ち込みがひどいというものもあるわけでございまして、一概には言えないという点は確かにそのようなことでございますが、御指摘のように、五十二年当時に法制定されました事態との変化ということは若干あるわけではございますが、やはりこの四業種とも産業界の中でそれぞれ重要な地歩を占めております業種でありまして、産業経済の全般的な情勢との関連ということで見ますというと、全般的にはやはり依然として不況情勢というものが引き続いておるということで、先行きの見通しについても必ずしも楽観は許さぬ面がございます。ことに、先ほど申しましたように、多年の不況のあげくでございますので、それぞれの業種に属します企業の体力の低下というものが著しいものがございまして、これによりますところのやはり雇用へのしわ寄せということが今後も考えられる、いわばそのタイムラグという観点もございまして、やはり船員の雇用の実態といたしましては、現時点でも依然として、指定をされたものについては指定を取り消すというような段階ではとうていないというふうに理解をいたしておるわけでございます。また、その他のものについての新たな指定という問題もございますが、それぞれについてやはり見てみますというと、かなり実情が違っておりますので、いまのところやはりこの四業種の指定ということそのままで法律の運用を図ってまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
#60
○田代富士男君 次に、就職促進給付金の支給状況についてお尋ねしたいと思いますが、当初予算に対しまして実績が低いわけでございますが、その理由を御説明いただきたいと思いますが。
#61
○政府委員(向井清君) ただいま御指摘ございましたように、この給付金の実績と予算との関係でございますが、確かに当初予算で想定いたしておりました分と比べますというと実績が低くなっております。数字で申し上げますと、五十三年度の給付金の予算が約一億六千万でございましたものが、支給実績、三月末までで集計いたしまして七千九百万、約八千万ということで、半分程度にとどまっておるということでございます。この辺は、一つは、やはりこういう雇用対策というのはかなりいろいろな要素を勘案いたしまして、安全圏と申しますか、そういうような余裕のある見方をするという一面もございますし、また制度的な問題として一つ申し上げたいのは、この給付金の支給と申しますのが失業保険金との絡みがございます。失業保険金の給付が終わった後にこの給付金を支給するということになっておりまして、この失業保険金がいつ切れるか、これは個人個人によってずいぶん差がございますので、その辺の見通しというのは当初においてはつきがたいという面もございました。それから、経過いたしますこの一年有余の中で、やはり臨時的なものが主体ではございますが、かなり再就職をなすった方がおられる。そうすると、就職期間中におきましては当然この給付金は支給されないわけでございますから、そういうようないわば当初との予想の食い違いも出てきたと。いろいろな要素がかみ合いまして、さっき申しましたように、約一億六千万のうち半分程度の支給実績にとどまっておるということで、それぞれ理由のあることだとわれわれは考えている次第でございます。
#62
○田代富士男君 いま御説明がありましたとおりに、当初予算に対して実績が低い理由は、失業保険との絡みがあってそういうところまでの当初予算との食い違いが出てきているという説明はわかりましたけれども、就職促進給付金の支給額が失業保険の何%ぐらいになっているのか。また、私は一応の数字はこちらでも理解しておりますけれども、平均支給額の水準が非常に低いわけなんですね。そうした場合に、いま御説明がありましたとおりに、失業保険の受給満了後に支給されるわけでございますから、ずっと生活程度は下がってくるわけなんですが、その失業保険の金額すらも満足でないのに、それから下がってきた場合に一家の生活を支えることができるか、困難ではないか、このように考えたならば、このような支給金を引き上げるということも考える必要があるのではないかと思いますが、この点いかがでございますか。
#63
○政府委員(向井清君) 御指摘ございましたように、給付金の金額というのは失業保険金に比べてもやや下回っておるということでございます。実際の額で申し上げますというと、給付金の支給額、単位当たりの額でございますが、最高月額が九万九千九百円、日額三千三百三十円ということになっておりまして、最低が月額で五万二千五百円、日額で千七百五十円ということでございます。これは、算術的に平均いたしますのは別としまして、実績としての平均値を出してみますと日額約三千円ということでございまして、したがって月額九万円というのがざっとした見当でございます。これを失業保険金と比較してみますというと、失業保険金の最高日額が五千四百六十円、給付金は先ほど申したように最高日額は三千三百三十円、最低が失業保険金が千七百五十円、これは給付金も同様に千七百五十円ということでございまして、平均値で単純に見ますというと大体六〇%見当の程度に出ておるという感じでございます。
 確かにおっしゃるように、低いではないかという御指摘があるやに考えますのでございますけれども、こういう保険金なりあるいは給付金と申しますのは、船員独自のものと申しますよりも陸上の場合と全部並びになっておりまして、一つの基準があるわけでございます。給付金の日額は船員保険の失業保険金の日額表を基礎に決めておるということでございますから、その最高日額は他の離職者対策関係給付金、陸上の分とお考えになって結構だと思いますが、最高日額と同額でございまして、それはやはり賃金の伸びを考慮しながら同じような額を決めていくということでございます。ただ、そういう賃金の伸びがございますので逐次改定はいたされておりまして、最高日額表の推移を申し上げますというと、昭和五十二年の十二月段階、これは法制定の段階でございますが、最高日額二千八百十円というのが、五十四年の三月には先ほど申したように三千三百三十円ということでございまして、五十三年に五十二年の約一〇%アップ、五十四年には五十三年度の七%アップということで、二〇%近いアップにはなっておる、それなりに見直しはされておるという実情でございます。
#64
○田代富士男君 見直しはされている実情であると言いますけれども、それはいま申されるとおりに、他の離職者の給付金との関係もありましょうけれども、改善の方向にさらに努力をしてもらいたいことを重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。
 そこで、この船員雇用促進の就職給付金の制度におきまして一番眼目となるのが求職手帳であると思うんですが、この発給状況はどのようになっているのか、簡単で結構でございますが、御説明をいただきたいと思うんですが。
#65
○政府委員(向井清君) 先生申されますように、この制度の基本をなしておりますのが求職手帳の発給ということでございまして、この受給者が対象者ということになるわけでございますが、五十四年三月末におきますところの発給状況、最近の状況でございますが、これを申し上げますと、四業種それぞれでございますが、近海海運業につきましては九百三十五人、内航海運業においては百七十五人、はしけ運送業八十九人、船舶製造修理業二十三人ということで、合計いたしますと一千二百二十二人ということになってございます。
#66
○田代富士男君 船員に関して言いますと、この四業種の中でその数が最も多いのが近海海運ではないかと思います。そういう立場から改めて近海海運の実情についてお聞きしたいと思いますが、非常に不況であるというその原因は、船腹過剰がその最大原因であるのではないかと思われるわけなんです。これを定量的に把握して説明されるということは非常にむずかしいかと思いますけれども、この船腹量の適正化などどのように取り組むのか、これは総論的なことになるかわかりませんけれども、大臣いかがお考えでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
#67
○国務大臣(森山欽司君) 近海海運につきまして船腹過剰を来しておる、これは輸送需要が停滞している等の事情によるものだと思います。近海船の船腹増加を防止するために、近海船の建造につきましては、わが国への南洋材輸入に配船されるものは、日本近海船主協同組合の推薦を受けたものを除いて、当分の間、臨時船舶建造調整法に基づく許可を与えない等の措置を講じておると、それから日本船の老朽化にかんがみ、過剰船腹を解消しつつ国際競争力を維持していくように船質の改善を図るため、五十三年度以降、日本近海船主協同組合の推薦を受けた船舶について、船舶整備公団との共有方式によって代替建造を推進する措置を講じておるわけであります。いずれにいたしましても、船腹過剰でございますから、この過剰を抑制するような措置をただいま申し上げたような方法で講じておる、そういうことであります。
#68
○田代富士男君 そこで近海海運の運賃市況を見ますと、非常に変動が激しいような感じを受けるわけでございます。この運賃市況の変動は輸入量とも関連性が深いのではないかと思うわけなんです。いまわが国の近海海運の取り扱う貨物の大部分は、いま大臣も御説明されました南洋材であるんじゃないかと思うわけなんですが、この南洋材に対する需要の減少が現在の近海海運の不況の一因と見ても間違いないのではないかと思うわけなんです。この南洋材は、住宅建設に幅広く用いられるわけでございますが、これに対する需給の安定というものを図らなければこれは近海海運にも影響が出てくると思いますけれども、運輸省はこの近海海運の問題だけでなくして、関係者との調整も図っていかなくてはならないのではないかと思いますし、それとあわせて一般論として、船腹の需給不均衡と運賃市況の安定対策、これを図らなくちゃならないと思うんですが、特にいま申し上げました運輸省とほかのいろいろな関係先との調整とか、こういう面に対してはやはり大臣として不況打開のためにも力を注いでいただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。安定策については局長からでも結構でございますけれども……。
#69
○国務大臣(森山欽司君) 南洋材の需要については景気の動向に大きく左右される、その安定と運賃市況の安定は困難なものではありますが、南洋材の需要に直接関係する、ただいまお話がありました住宅建設需要等について、関係省庁との間で情報の交換等に努めておるところであります。また、運輸省に設置されました近海海運問題調査会というのがございまして、その場において関係荷主に対し輸入の安定につきまして協力要請を求める等、需要安定のための措置を講じておりますが、なおその実情につきましては海運局長の方から御説明します。
#70
○政府委員(真島健君) 南洋材の運賃市況の変動、これが非常に著しいと申しますか、これは御指摘のとおりでございます。このことは確かにわが国の輸入量とある程度相関的な動きになるということもおっしゃるとおりかと存じますが、私ども各関係省庁あるいは関係荷主に対して要望をいたすわけでございますけれども、やはり実際に南洋材を国内において需要する関係の業界、その業界自体が五十年度以降オイルショックというようなことでやはり手控えるといいますか、なかなか輸入意欲増大というところまでいかない、こういうことかと思います。したがいまして、私ども輸入量の数量を見てまいりますと、五十年度に非常にやはり落ち込んでおります。五十一年度にやや持ち直しをいたしまして、五十二年度また減っておる。五十三年度は五十一年度あるいはそれ並みに回復をしてきておるわけでございます。しかし、これも五十四年度以降どういうふうな南洋材の需給になるかということはなかなか確たる予想を立てることがむずかしい状況でございまして、私ども、関係荷主その他についていろいろ御要望は申し上げておりますけれども、なかなかこの問題は、特に運賃市況の安定という問題は需給バランスとの絡み合いもございまして、私どもは需給バランスの回復ということについて海運サイドとしてのできるだけのことを今後やってまいりたいと、このように考えております。
#71
○田代富士男君 いまの南洋材の問題も私質問いたしまして、それにも取り組んでいただいておることでございますが、やはり近海海運の再建をやるには、何といいましても国際競争力を回復するということにも力を注がなくちゃならないのではないかと思いますが、それとともに雇用の安定を図るためにまず経営基盤を強化するということも重点ではないかと思うわけなんです。それに伴いまして船舶の大型化、合理化を図っていかなくちゃならないし、そしてコストを低減する、こういうことも必要ではないかと思いますが、そういうことを実現するにはやはり財政的な、また金融上のいろいろな措置というものが必要になってくるのではないかと思いますけれども、これに対してどのように対処されるのか、御見解をお願いいたします。
#72
○政府委員(真島健君) 御指摘のとおり企業体力、これを涵養するために、現在の不況下で、金融財政的に、政府と申しますか、私どもとしてできる限りの協力をすべきであるというふうに考えております。従来、特に五十年度には非常に南洋材そのものの輸入量が減ったということに伴いまして、経営困難に陥った会社が相当ございます。それに対しまして、中小企業金融公庫等から必要な運転資金の特別融資あるいは借入金の返済猶予というようなことができるように私どもであっせんをいたしまして、当時大体四十九億二千万程度の特別融資等を実施をいたしたわけでございます。これは当時の状況でございますけれども、その後五十二年以降事業転換を行おうとする方々、これに対しましては中小企業事業転換対策臨時措置法、これによる助成対象として考えましたし、さらに昨年二月以降は、円相場高騰によりまして企業活動等に影響を受けております業者に対しましては、この臨時措置法による助成の対象といたしまして、大体四十九社に対して十三億円というふうな助成を行ってまいったわけでございます。
 さらに、これは先ほど大臣からもちょっと申し上げましたが、船舶整備公団共有という形での合理化された船舶の建造という面について、五十三年度以降、今年度も同じでございますけれども、予算額といたしましては五十三年度十七億円、五十四年度四十九億円、トン数といたしまして五十三、五十四、いずれも二万総トン程度の近海船の建造の促進という施策を講じておる次第でございます。
#73
○田代富士男君 いま近海海運対策の問題で質問しておりますが、その一つとして船舶建造の促進等も図っておるということでございますが、やっぱり何よりも過剰船腹の適正量化が急務ではないかと思うわけなんです。この過剰船腹の発生原因というものは、いまも質問いたしましたけれども、市況の変動によることは明らかでございますが、これ以外に御承知のとおりに、東南アジアのそれぞれの各国が自国船拡大策を推進してきたことも一つではないかと思われるわけなんです。また、わが国におきます外国船の建造、海外売船等についても行政当局が機動的に対応してこなかった、こういうことも指摘されるところではないかと思うわけなんですが、まあ今後のこういう過剰船腹対策にとって一つだけ見逃すことのできないことは、念書船の扱いの問題ではないかと思うわけなんですが、この念書船について、まず念書船の近海海運における動きなど、どの程度つかんでおられるのか、またこれらの念書船の近海海運からの排除は、この業界からもいろいろ訴えられておりますけれども、緊急課題であると思いますけれども、どのように規制していくのか、具体策を説明していただきたいと思います。
#74
○政府委員(真島健君) ただいま御指摘のございました念書船でございます。これは本邦には配船されないという念書を入れさせまして建造許可が行われた輸出船でございますが、この具体的な動きにつきまして私どもは入港状況、これはまあ港湾管理者等から徴すればわかるわけでございますが、入港状況の調査という形で把握をしておる範囲内で申し上げますと、昭和五十二年、これはわが国の港湾に入港した念書船の延べ隻数が百二十八、昭和五十三年には百九隻でございます。まあこういう延べの隻数で比較をいたすといたしますと、わが国の関係の航路に就航する近海船、これはまあ船主協会で調査をしていただいたわけでございますけれども、近海船の入港数は大体約年間五千隻と、こういう形でございまして、現在の状況は五千隻に対して百二十八、五十三年は百九、こういう数字でございまして、パーセンテージ的に申すと、大体二%ということになっております。私どもこういう念書を入れながら入ってくるということにつきましては、非常に遺憾な状況でございますので、従来からも使用者に対しましては注意を喚起いたしますし、またその念書船を使う荷主に対しては、注意を喚起してきたわけでございまして、今後ともこういうような形で念書船が入港しなくなるように努力をしてまいりたい、このように考えております。
#75
○田代富士男君 次に、内航海運についてお尋ねをしたいと思いますが、この内航海運の船腹量もまた相当過剰であると思いますけれども、船種別の現有船腹量はどのようになっているのか、これも御説明をいただきたいと思いますが、これらの過剰船腹をどのように適正化していくつもりなのか、あわせて御説明をいただきたいと思いますが、それと同時に近海海運に比べれば、まだよいとされる内航海運もまだまだそのように好転したとは言われませんけれども、この不況対策はどのように取り組んでいるのか、さきの船舶整備公団法の一部改正ですでに明らかになったものは除きまして御説明をいただきたいと思います。
#76
○政府委員(真島健君) 内航船舶の船腹量を船種別にということでございますが、五十三年三月末現在の保有船腹量総トン数で申し上げますと、一般の貨物船、これが二百十二万総トンでございます。セメント専用船三十一万トン、自動車専用船十万四千トン、内航タンカー百四万三千トン、特殊タンク船が二十六万八千総トン、合計をいたしまして三百八十四万五千総トンでございます。この船種別に見ました過剰状況と申しますのは、実は最も著しいのが貨物船でございまして、その他の船種につきましては、油送船が若干過剰でございますが、それほど過剰という状況にはないわけでございまして、したがいまして私どもの過剰船腹の適正化へという政策の一番主眼は、一般貨物船をどういうふうに需給バランスをさせていくかということでございまして、そういう意味で近海船についても同じような方式をとっておるわけでございますけれども、一般貨物船につきましては一対一・三、つまり百トンつくる場合に百三十トンつぶしてもらうというようなことを五十四年度には実施をしてまいる。こういうことによりましてできるだけ早く船腹需給のバランスを回復をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
 その他公団法の御質疑の中で出てこなかった対策というお話でございますけれども、大体私どもは船舶整備公団法の改正案の御審議のときに私ども考えておりますほとんどすべての対策を申し上げたつもりでございまして、そういう意味ではいまここで特に新しくこういう対策というところまで進んだものはございませんので、御了承願いたいと思います。
#77
○田代富士男君 次に船員雇用促進センターの問題につきまして、第七条以降のところでございますけれども、お尋ねしたいと思いますが、この船員の雇用促進事業、技能訓練事業を行うところの船員雇用促進センターが五十三年の六月一日から発足していることは御承知のとおりであると思いますが、まず第一番目に事業内容、第二番目に五十三年度の事業計画、まあこれは予算の裏づけも必要でございますが、及び事業実績、それから三番目に、事業計画に比べまして達成率が低いんですが、その原因は何か、そこらあたりを御説明いただきたいと思います。
#78
○政府委員(向井清君) ただいまの御質問にありましたように、五十三年六月一日から船員雇用促進センター、御審議願っております船特法の指定機関としての雇用促進センターが業務を開始したわけでございまして、センターの業務といたしましては、船員雇用対策の一環といたしまして、外国船に日本人船員、これは離職船員、雇用船員両方でございますが、乗り組ませまして、これらの船舶におきますところの日本人の船員の職域を拡大していくという新しい事業でございます。また、その乗り組みに際しましては必要な訓練がございますので、それを施すということを事業内容といたしておるわけでございます。
 それで、お尋ねの五十三年度事業計画とその実績との関連等でございますが、五十三年度の事業計画といたしましては、大ざっぱに申しまして、雇用促進事業、すなわち外国船に日本人船員を乗せるという数の目標の数でございます。おおむね二千人ということを予定しておったわけでございますが、残念ながら、後ほど申し上げますような理由によりまして実績が余りふるいませんので、外国船二十二隻に対しまして、三百三十二人を乗せたというのが五十三年度中、すなわち本年の三月末までの実績でございます。この間、離職船員がこのセンターに登録いたしました数が約千八百名ということになっております。この人たちを対象にいたしまして、極力努力いたしましたが、先ほど申しましたような三百三十二名、そのうちの離職船員が三百十六名でございますが、そのような実績にとどまったということでございます。
 それから、伴いますところの技能訓練事業でございますが、これはおおむね千四百人、まあ離職船員七百人、雇用船員七百人という、合わせて千四百人を目標といたしまして海事英語、それから部員の船内作業のいろいろな研修、それからタンカーには特殊な技能が要りますので、タンカー研修等を実施いたしまして、これの受講実績は五十三年度末までで六百八十三名、うち離職船員三百二十三名ということになってございます。内訳を申しますと、海事英語が二百七十八名、部員研修三百三十名、タンカー研修七十五名というような数字でございます。
 それから、その他いろいろな予算措置に基づきますところの助成金の支給等があるわけでございますが、総じて申し上げまして、実績がふるわなかった理由、御指摘があったわけでございますけれども、いろいろ考えてみまするに、やはり一つはセンターの発足が多少ずれ込んで六月一日でございます。それから、実際事業を開始して軌道に乗りましたのが、やはりもう秋もかなり遅くなってからということでございまして、やはりこれは外国相手の仕事でございますので、幹部職員以下、まあ世界じゅういろいろ走り回ったりいたしまして、PRに努めるというところから始めました結果、軌道に乗ったのが大分遅くになってしまったというのが一つのまあ原因ではないかと思います。
 それから、最も大きな原因として考えられますのは、やはりその為替ベースの話でございまして、御承知のように、この法律ができました当時と実際センターがこの業務を開始いたしました時期と比べてみますと、円高が非常に著しく高進いたしました。約三割以上も上がってしまったというようなことがございまして、しかもその変動のスピードは速いものでございますから、私ども聞いておっても気の毒に存じたぐらいでございまして、せっかく外国を走り回りまして外国船主との間に成約ができかけると途端にまた円が上がってしまい、御破算になるというようなことを十数件繰り返したように聞いております。そういうような非常に思わざる客観情勢の悪化がございましたという点が、やはり大きな原因ではなかったかと思います。
 それからやはり一番基本的な問題といたしましては、こういうような外国船への船員の配乗派遣というようなものは、まあこういう事業としては初めての試みでございまして、当然労働側の協力も得なければいかぬ、船主側の体制も整備せにゃいかぬ、役所側の指導というものをいろいろいたさにゃいかぬという、いろいろな問題がございまして、体制づくり、仕事を軌道に乗せる、外国との連携をとるという、すべての面にわたって非常にむずかしい問題があったということでございます。最近に至りまして、幸いにして通貨情勢も落ちついてまいりましたし、かなりPRも浸透をいたしてきたということでございますので、五十四年度におきましては御承知かと思いますけれども、ロンドンとニューヨークにおける海外駐在員の配置ということも認められましたので、これらをてこといたしまして、いよいよ体制固めを行い軌道に乗せてまいりたいというふうに考えている段階でございます。
#79
○田代富士男君 いま達成率が低かったことについてはPRに努める期間が必要であり、軌道に乗るときが遅かったと、また為替ベースの問題等御説明をいただきましたが、五十三年度と違いまして、じゃ五十四年度はかなりの内容を期待してもよいと思いますけれども、五十四年度の事業計画、またその推進の基本方針、五十三年度と違った面を打ち出すことができると思いますけれども、この点はどうでしょうか。
#80
○政府委員(向井清君) 多少重複したお答えになるかと思いますけれど、五十四年度の事業計画は概略五十三年度と同一でございます。二千人の人間を外国船に配乗しよう、あるいは千四百人を技能研修をしようというベースはほぼ同じでございます。
 それから今後の方針といたしましてのやはり一番大きなポイントは、先ほど申しましたが、外国の駐在員というのが認められております。これはやはり当初から会長以下世界を駆け回りましてPRに努めた段階で痛感されましたのは、やはり相手方の信用ということでございまして、やはり向こうに何か駐在員なり事務所なりというようなものがないということは、こういう人間を世話をするという事業にとっては非常に大きな欠陥になるわけでございまして、そこのところを是正しなきゃいかぬということで、今回はある程度の予算措置も伴いまして、こういうような体制強化を図られることになったということで、いままでいろいろ種をまいてまいりましたPR効果とあわせて、かなりこれは実を結んでくるだろうと考えております。
 それから国内の各船社、労働側との体制づくりもほぼ整ってまいりましたので、その辺も非常に心強く存じております。ただ、こういう船員の雇用対策としての外国船への配乗というような問題は、考えてみましても非常に大きな問題でございまして、決して短時日でもって急速に成果が上がるというふうには考えがたい面があるということが痛感されてきたわけでございますので、その辺のところはなるべく急ぐということはもちろんでございますけれども、地固めをしながらひとつ着実にこれから持ってまいりたい。これによりまして五十四年度中には相当見るべき成果が徐々にではございましょうが、上がってくるというふうに私ども考えておる次第でございます。
#81
○田代富士男君 そこで私が期待したいことは、いまも局長が申していらっしゃいましたとおりに、この仕事は求人者は主として外国の法人になってくるわけなんです。それで相手の信用が必要であるといま局長も申されました。いま日本を取り巻く世界各国、特にアメリカ、日米首脳会談が終わりました後共同声明にも発表されているとおりに、またECの問題等も国会で取り上げられましたけれども、日本に対する不信感というものが、大平総理が言われる文化摩擦といいますか、そういう現象を起こしてきている。これを八〇年代は乗り越えていく、道を切り開いていかなくちゃならないのがわが国の進路ではないかと思いますが、重大な岐路に立っているわけなんですが、そういう意味から大臣、いかがですか、この船員雇用促進センターを充実するためにも、そういう相手国の不信感を取り除くためにはどうすればよいのか、これは非常に大事な問題ではないかと思うんです。それと同時に、いまもお話がありましたとおりに、外国の船に乗りますからその訓練が必要でありますが、海事英語研修が六百八十三人、このように五十三年度は進められておりますけれども、何かとふなれな面があります。言葉あるいは食事あるいは生活環境、こういうような違いというものがいろいろあるわけなんですが、これに対する配慮をされておりますけれども、こういう点を充実するならば、まだまだいま局長が言われます船員労働市場の開拓という役目を推進するセンターでございますから、このような内容改善にもさらに努力する必要があるのではないかと思いますが、ひとつ最初の質問は大臣に伺いまして、あとの内部のそういうような改善策につきましては局長からでもよろしいですからお願いいたします。
#82
○国務大臣(森山欽司君) 先ほど船員局長から話がありましたように、ロンドン及びニューヨークに海外駐在員を配置する等、向こうに手を伸ばすという努力も始めておるわけでありますが、船員雇用促進センターが外国船等へ日本人船員を配乗あるいはあっせんする場合には、求人側の要望する資格要件等に対応する条件を備えた乗船希望者を対象にいろいろあっせんを進めてまいりましたが、そういう方向でもっと現地の実情に合うような方向でこれを進めてまいりたい、このように考えております。
#83
○田代富士男君 不信感を取り除くことはどうですか。
#84
○国務大臣(森山欽司君) いろいろ今日の国際情勢でございますから、そういう意味の不信感等はあるかもしれませんが、日本の船員は、国際的に信用があるというふうに考えておりますが、ただそれを現実に外国船に乗り組むようにつないでいくための努力、そういったための努力がいままで十分じゃなかった。そういう意味では、海外に駐在員を派遣してそれを強化していこう、もっと連絡をよくするということがお互いに理解を深める最大の捷路である、そう考えております。
#85
○政府委員(向井清君) ただいま大臣から御答弁申し上げたことで大体尽きているわけでございますが、やはり先生御心配のように、船員というのは案外人見知りすると申しますか、外国人の中に立ちまじって仕事をするということについては、問題がいろいろ生活面でも出てくるということは当然でございますので、その辺のところは、センターがあっせんします際にきめ細かく配慮しまして、向こうの条件と合うような人をはめ込んでいくということ、あるいは英語の研修等も十分やって、言葉の上の不便がないように配慮してあげるというようなこと、それから、なるべくならグループで送り込んで違和感のないような職場、あるいは船と申しますのは単なる職場だけでございませんで、生活の場でもございますから、違和感のない生活ができるような配慮もしていく、その辺のところはいろいろ苦心をしてやっておりますが、御指摘のような点は非常に大切なことでございますので、今後ともセンターを指導して遺憾のないようにいたしていきたいと考えておる次第でございます。
#86
○田代富士男君 文部省の方来ていただいておりましょうか。
 商船大学と商船高等専門学校卒業者の就職の状況についてお尋ねをしたいと思います。新規卒業者のこういう企業に対する就職率がきわめて低いことは掌握されているとおりでございますが、船舶職員の養成学校のこういう新規卒業者というのは、海洋国日本にとりまして、あすの日本を背負っていく大事な人ではないかと思うわけなんですが、こういう人々が希望に燃えて卒業しましても、折からの海運不況のために、こういう企業に就職することができないということは気の毒なことじゃないかと思いますが、同時に、それだけの数年間の養成期間を経てきた人がそういう状態であるということは、まことに海運界にとりましても、これは損失という以外にないと思うわけでございますが、そういう立場から、こういう学校の設置者である文部省並びに運輸省はこの問題をどのように受けとめられていらっしゃるのか。特に、新卒の海上関係の企業への就職についていかなる努力を払っておいでになられたのか、また、今後どのようにするのか、文部省の立場、運輸省の立場からお願いをしたいと思います。
#87
○説明員(福田昭昌君) 商船大学、商船高専の就職の状況につきましては、求人の状況を申しますと、全体としましては、大学につきましては一・九四倍、約二倍、それから商船高専の方が二・四倍ということで、ことしの就職の実際の状況を申しますと、就職希望者に対しまして就職をしました者が、大学で申しますと九四%、高専が八九%ということでございますが、問題は、いま先生御指摘のように、海上への就職の率が非常に低い。これは学校へ来ます子供は、やはり海へ就職をしたいという期待を持って入ってきておりますわけでございますので、そういう点は非常に残念なことでございますが、就職の現在の状況はそういうことでございます。そして、具体的な就職につきましては、これは各学校の先生方非常に御努力をされておるわけでございますが、私どもも、また運輸省の方にもいろいろ採用促進方につきましてもお願いをしてまいっておりますが、若干ですが、好転の兆しがあるかという感じも持ちますけれども、海上の方につきましては、依然非常に厳しい状況にあるというふうに思っております。
 そこで、こういうことについてどういうふうに対処しておるかということでございますが、一つは、船舶運航技術の進歩発展ということと、広く海運その他の海事関連産業全般にわたります職域というものは非常に多様化してきておるということで、先ほど求人はかなりあるというふうに申し上げましたが、そういう職域がかなり多様化してきておるという社会的な変化もあるようでございます。で、そういうことに対応する必要があるということで、かねて大学につきましては、運輸省の関係審議会の御了解も得まして、五十一年度の入学者から商船学部の修業年限を、従来四年六カ月でございましたが、それを四年に改めまして、そして海技免許を必要とする者につきましては、学部卒業後乗船実習科においてさらに六カ月の乗船実習を行う、こういう制度改正を行っておるわけでございます。したがいまして、学部において学びます場合に、船員になるための必要な授業科目は当然やるわけでございますが、大学――商専もそうですが、実際の授業時間はもっとたくさんやるわけでございますので、その余裕――余裕と申しますか、余裕のある授業につきましては、いろいろな社会的な多様なニーズにこたえ得るような授業科目の編成ということについて努力を大学の方でとってまいっておるわけでございます。
 また、商船高専につきましては、これは目的性の強い学校であるということでございますので、大学のような改革は行っていないわけでございますけれども、先ほど申し上げますように、実際問題として海上に就職できない者がかなりいるということに対応しまして、いろんな職種に進出ができるようなやはり授業科目の上での工夫、改善をする必要があるということで、これは五十二年度から高等専門学校につきましては教育課程の弾力化を図りまして、学校でいろいろと特色を持って教育課程編成ができるような制度改正をしておるわけでございますが、そういう余裕のあるところで選択必修だとかあるいは選択科目というものを活用いたしまして、航海あるいは機関の学科以外に機械工学の基礎だとか、そういったものも教育をするようにやってきておりますし、また現在高専の方では特にそういうものについて取り組んでおるというところでございます。
#88
○政府委員(向井清君) お答え申し上げます。
 ただいま文部省からお答えございましたように、現状の就職状況は決して芳しいものではございません。われわれも非常に頭を悩ましているところでございまして、船主団体等には何回も文書並びに口頭で新規学卒者の採用を勧奨いたしておるところでございますが、なかなか実情といたしましてははかばかしくいかないという現状でございます。ただ、今後の問題といたしましてわれわれ客観的に見てみますというと、やはり日本の海運企業の中におきましても船員の年齢構成というのが非常にひずんでおりまして、二十五歳以下の船員が一三%ぐらいしかいないというような、これは二年前の統計でございますが、そういうふうな数値もございます。で、これはもう企業の長い目で見た存続からしますとゆゆしい問題でございまして、早晩やはりこの年齢構成の是正は図られるという面が出てまいるわけでございます。
 それから、先ほどのセンターの話との関連でございますが、やはり世界的にいろいろ情勢を調査いたしてみますというと、若年の、ことに高級船員が一般的に不足を来しておるという状態がかなりはっきり出てきておるやに聞いております。この辺はまだ数値的には確認いたしておりませんが、そういう情勢であることがどうも伝わってきております。
 それから、先ほど来お答え申し上げましたところでありますが、船員の資質向上に関します世界的な大きな動きが始まっておりまして、船員制度の近代化が図られるということで、今後はやはり近代化船を動かします優秀な船員が非常に需要がふえてくるということが考えられます。したがいまして、そのような情勢を的確に把握いたしまして適切に対処するということができますれば、新規学卒者の就職というものもかなり明るい面が出てくるということでございます。ただ、その場合に前提となりますのが、やはり教育内容も含めまして現在の船員教育体制そのものを相当やっぱり深く見直す必要があると、新しい船員制度の改革の形あるいは世界の海運情勢にマッチするような形での教育体制をつくり上げるために見直しということがぜひとも必要になるわけでございまして、これにつきましてはすでに昨年の秋以来、関係の審議会におきまして審議が開始されております。逐次ここからの答申を得まして、いま申し上げたような新しい客観情勢を踏まえながら、よりよい結果が出るようにわれわれとしても努力をしてまいりたいと、このように考えております。
#89
○田代富士男君 もう時間が参りましたから最後に質問いたしますが、いま御説明がありましたとおりに、このような船員の問題というものは非常に大事な問題でありまして、船員制度の近代化が図られて優秀な船員の需要がふえる、そのような見通しもあるということでございますけれども、いかんせん海運の好、不況というものが直接振りかかってくることでございますし、現時点においてはそういうような不況の波を避けることはできないわけなんです。そして、新卒者の海上関係に対する企業に就職できないというのが実情なんです。こういう人々に四年ないし五年の長い年月をかけて養成をしているわけなんですが、そういうところにつけないというところに問題があるわけなんですが、そこで、入学の当時には海運業界が好況であっても卒業時には不況であるという、これは予測できない面もあるかと思いますけれども、そういう場合でもいまさっき局長が、文部省のお方がお話ししていらっしゃったとおりに、大学でも授業科目の編成を検討をされているというようなお話でございますから、もし不況時に卒業したときにも何らかの形でそういう就職できるような体制を、その四年ないし五年の間に学生が機動的に対応できるようなカリキュラムのようなそういうような編成をすべきではなかろうかと。いまお聞きいたしますと、船員教育体制を見直す必要があるとして昨年の秋から審議が開始されているということでございますから、その場所へこの意見も入れていただけたらと思うんですけれども、最後の質問でございますから大臣いかがでございましょうか。
#90
○国務大臣(森山欽司君) 大変貴重な御意見でございますから、文部省の方とも十分連絡をいたしまして、御質疑の御趣旨を生かす方向で努力いたしたいと思います。
#91
○委員長(三木忠雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#92
○委員長(三木忠雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#93
○委員長(三木忠雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#94
○委員長(三木忠雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#95
○委員長(三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 森山運輸大臣。
#96
○国務大臣(森山欽司君) ただいまは船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の結果御可決をいただき、まことにありがとうございました。
 政府といたしましても本委員会における審議の内容を尊重いたしまして、船員の雇用の促進に必要な措置を講ずることにより、船員の職業及び生活の安定を図るため全力を注ぐ所存でございます。
 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#97
○委員長(三木忠雄君) 運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#98
○高平公友君 私は、この後新幹線の問題についてお話し申し上げたいわけですが、きょう実は午前中瀬谷委員からDC10型機の墜落の問題についていろいろと質疑がありました。非常に私も関心を持っておりまして、その措置等について非常にいろんな面で心配をしておったわけでありますが、しかし午前中の質疑でもって航空局長、運輸大臣いろいろお話しになりまして、十分了承した次第であります。まあしかし、考えてみますと、あの事故と同時に、その原因究明を本当に機敏に措置をしましたアメリカの連邦航空局の措置というのは本当に適切であったと思います。もっとも四十一カ国に二百八十機から現在就航しておるということになれば当然かもしれません。しかし、運輸大臣も、同時に三社の社長を招致して、運輸省へこれを呼ばれまして、そして総点検の指示をされたということは、新聞を見ておりますわれわれのみならず、国民もそうでありますけれども、ひとまずちょっと安心ということでないかと思います。
 ただその中で、いま航空局長おいでになりますが、先ほどのあの説明で、ボーイング747、ロッキード121型のパイロンはそれぞれDC10と違ってがっちりした、足の短い、アームが非常に短くてがっちりしておるとか、あるいは鋳物でしっかりしておると、こういうようなことでDCのように箱型の物とは違うというような説明をされました。私、専門家じゃないからわかりませんけれども、ただがっちりしたという見方というのは、それは技術的に見られたか局長の主観的な見方であるか、専門的な見方であるかちょっとわかりませんけれども、現にFAAではエンジンの取りつけ部分、この調査をそれぞれロッキードなりボーイング社に指示しておる。緊急にひとつこれを調査しろという指示をいたしております。そういうことを考えてみますと、大臣から全部の機種にわたって総点検しろという指示はあったようでありますけれども、これも同様にこの際こそ見直すべき問題でなかろうかと思うわけであります。特に私はエアバスですか、ヨーロッパから来ております、大型でたくさん乗れまして快適を宣伝にいたしておりますけれども、ずいぶんたくさんの人が乗りました。アメリカの航空局のようにうまく機敏にその辺を調査しておるのかどうかということになりますと、これはただいまのところは何も異常がないからそんなことはないでしょうけれども、私は飛行機の大衆化時代といいますか、いつもいっぱいでありまして、一般の人たちがもう日常の、どういいますか、自分たちの大事なものとして愛用しておるというこの時代に、ちょうど見直すいい時期でないかと、こんなぐあいに思うわけでありまして、この点についてひとつ御要望申し上げますとともに、局長おいでになりますからもう一遍、がっちりしておるとか短いとかということは、技術的な問題からそれが大丈夫だということかどうかということをひとつ御説明いただければ幸いだと思います。
#99
○政府委員(松本操君) ただいまの御指摘、きわめて時宜を得た御指摘と存じます。けさほどの御質疑の中で私どもの大臣からもお答えいたしましたように、単にDC10だけでなくて、その他の機材についてもこの際ひとつ全面的に、そういった点を見直すべきなら見直すというふうなことに踏み切ったらどうかということはすでに関係三社の社長に申してあるわけでございまして、事務的なフォローアップといたしましては、今週いっぱいをめどに基本的な考え方、仕事の仕方、こういうもののまず報告を受けたい、こう思っております。それから、具体的な作業をどういう手順でやるかという点については、引き続き可及的速やかに報告を受けまして、そのとおり実施させるようにいたしたい、こう考えております。
 次に、技術的な面に関連いたしますこの鍛造品であるとかあるいはロットでつけてあるとか、けさ私申し上げましたのは、だから大丈夫だというふうな趣旨ではなかったわけでございまして、実はDC10のような箱型組み上げのものとは形が違う、構造も違いますので、点検の個所も実はおのずから違ってくるということを見きわめなければならない。実は今度のDC10につきましても最初大急ぎで点検をいたしましたボルトは、実はいまになって落ちついて考えてみますと、二次的なウエートのものではなかったんだろうかというふうな反省めいたものもないわけではございません。したがって、もちろん整備すべきところは果敢に整備すべきでございますけれども、こういったものについてどこをどういうふうに見ればいいのかというふうな、的を外さないような形で取り組むようにいたしたい。しかし、それは時期を失しては何にもなりませんので、先生おっしゃいますように、現在でもすでに私どもの方から具体的な勉強をするように各社には申しつけてございますけれども、重ねてFAAあたりの技術的な知見というものも外務省通じていま早急に求めているところでございますので、こういうものを突き合わせまして、具体的にどこを何時間でどういうふうに見るというふうなことを速やかに確立をいたしました上で、御指摘のような点に対するチェックに取りかかるようにいたしたい。そしてそれによって大型機についていささかたりとも不安を残すことがないように措置をしたいと存じております。
 なお、お話のございましたヨーロッパ製のエアバスにつきましては、これはまだわが国の所有機としてはございませんので、今後外国機のいろんな情報を集めながら、わが国に入ってまいります時点までに十分手当てができているようにということを念頭に置いて、関係の面を指導してまいりたいと、こう考えております。
#100
○高平公友君 なお、この機会でありますので、これは航空局長から通達されるか大臣であるかわかりませんが、いま東京サミット、先進国首脳会議が来月に開催されますが、どうも新聞を見ておりますと、またぞろ過激派の赤軍と称するものが何か事を起こそうとしておるようなことをわれわれ新聞で見るわけなんです。非常に実はハイジャック等でもありますと大変だという思いをいたしております。万遺憾はないと思いますけれども、この機会に申し上げますが、その辺はひとつ十分関係者に指示していただきまして、少なくもハイジャック等については十分対応する体制だということを、ひとつこの機会にお話しいただければ非常にみんなが安心するだろうと思います。
#101
○国務大臣(森山欽司君) その件につきましては、実は去る二十八日、航空三社の社長を呼びましたときに、外部にはそういうお話を公表しませんでしたけれども、その際そういう動向について十分留意するようにということをあわせて話をしておいた次第であります。
 それから、先ほど航空局長からも詳しく報告がありましたように、航空三社の航空機について、DC10だけではなくて他の機種についてもこの際十分安全性の検討をするようにということを要望しておりまして、今週いっぱいに何らかの回答があるということになっておりますが、ただいま私の手元に入ったところによりますと、共同通信による情報といたしまして、アメリカのメーン州で三十日午後九時、日本時間三十一日午前十時前に双発の旅客機が墜落事故があったようでございます。この種の飛行機は日本では南西航空四機、日本近距離航空三機、計七機が運航しておるということでございまして、さきのDC10の事故に引き続いての事故でございますから、DC10だけが問題であるというふうに考えてはならない。やはり他の大型機はもとより小型機につきましてもそういう点に特に留意する必要があると思っておりますから、先ほど来申しましたようなことで、この際また改めて安全性の確保につきまして万全の措置を講じたい、そういう心構えでございます。
#102
○高平公友君 わかりました。
 引き続きまして私は新幹線のことについてお伺いしたいと思います。この四月二十四日の委員会で、皆さんのお計らいできわめて短い時間で私は自分の考えていることを申し上げようとしましたが、なかなか口下手と時間が短くてよく要領を得なかったと思うわけでありますが、整理しまして二、三点ひとつお伺いしたいと思います。
 この新幹線の整備五線のうち、とにかく私らのところは北回り新幹線と昔は言っておりましたが、北陸新幹線でありまして、四十四年から運動を始めまして、私は県会議員であったわけでありますが、やがて十年の歳月がたつことになります。二、三日前、東北新幹線の試乗をやられたわけでありますけれども、これは四十六年の一月に基本計画というのは上越東北は決定いたしております。それから北陸新幹線は四十七年の六月に基本計画が決定しておるわけです。一年五カ月違いまして一方はもう試乗するようになる、こっちの方はまだ雲をつかむような状況である。十年間やってきまして、振り返って、私にしますとまことに感慨深いものがあるわけなんです。まあしかし、幸いにことしの五十四年度予算におきましては、運輸大臣着任早々でありましたけれども、大変お力添えいただきまして、一般会計からアセスメントに五十億、鉄道利用債で百億と、こういうものが計上されまして、一応財源的なものをひとつ何か確保してということで、大変な明るさを実は見ておるわけであります。
 この後また申し上げますけれども、そこで私は、国土庁からおいでになっておりますか――この新幹線等総合交通施設体系調査費五億円というのがことし計上されておるわけですね。これはどういう調査方法によって、そしてこれはいつまでにこの調査が完了するか、この整備五線に関しましてどういうような位置づけで、どんな役割りを果たすんだろうかと、項目だけは知っておりますけれども、そのことについてひとつ御説明いただきたいと思います。
#103
○説明員(鈴木登君) お答えいたします。
 ただいまの御質問のありました国土庁に五十四年度予算に計上されております予算は、調査調整費という名目でいわば五億円の枠ということになっております。したがいまして、私どもただいま大蔵省初め関係各省とその五億円の調査調整費の枠をどういう形で使おうかということで検討しておりまして、まだ最終的な決定を見ておりませんが、当初つきました調査調整費の名称は新幹線等総合交通施設体系調査費という名称になっております。したがいまして、あくまでも新幹線等総合交通施設体系の調査でということになります。
 それで、さかのぼりますと三全総の方に整備計画五線につきましては、「環境等を含め徹底的な調査を行い、」「順次その建設を図る。」ということが記されておりますけれども、そこで整備五新幹線の「徹底的な調査を行い、」ということになっておりますので、そういう三全総の趣旨、それから予算の名称に基づきまして私どもいまのところ一応調査の体系を二つぐらいに大きく分けまして立てて大蔵省と折衝中でございます。第一番目は幹線交通施設の役割り調査というものでありますし、第二番目は地域整備の定住条件影響調査という調査内容であります。
 最初に申しました幹線交通施設の役割り調査といいますのは、新幹線あるいは在来線あるいは空港、高速道路と、いろいろと国土総合開発上の幹線交通機関がありますけれども、そのもろもろの幹線交通機関の中で整備五線がどういう役割りを果たすのか、あるいはどういう役割りを将来果たすべきであるかということをちょっと解明してみようというのが、第一番目の幹線交通施設の役割り調査の内容でございます。
 それから、第二番目の整備地域の定住条件影響調査といいますのは、ちょっと趣を異にしまして、整備五新幹線が完成された暁にはそれがその施設されます地域の定住条件にどういう影響を及ぼすんだろうか。あるいはさらに、それから整備新幹線ができた場合にそれに伴ってどういうことが地域の課題として出てくるんだろうかというようなことを調査しようということでございます。
 以上申しましたような二点の一応調査項目を立てまして、現在先ほど申しましたように、大蔵省あるいは運輸省その他関係各省と具体的な調査内容を詰めておる段階でございます。
 それから、調査方法でございますけれども、以上の調査は私ども内部でももちろん進めてまいりますけれども、ほとんど大部分はコンサルタントに任せて、そこで調査させ、その結果を私どもの方で総合的に取りまとめようというふうに考えております。
 それから、調査のスケジュールでありますけれども、もう今月、今週あるいは来週中ぐらいには最終的な関係各省との詰めが詰まると思っておりますので、それが詰まり次第コンサルタントに委託いたしまして、できますなれば本年中にはその調査結果を取りまとめてみたいというふうに考えております。
#104
○高平公友君 よくわかりましたが、しかしちょっと本年中じゃ遅くないですか。というのは、現にこれから運輸省では環境影響評価というものを進めておりまして、報告書は山上局長の御答弁では大体七、八月ごろ、その方向、秋口には出るんではないかと言っておられますから。本年中というと、それは来年の三月まで本年度中でしょう、本年度中……。本年中というのは十二月までのことを言われるのですか。だから、なるべくこういう環境影響評価とあわせて、そして対比してこれがどうのこうのというやはり結論に達すべきものだと思いますので、せっかくこうして計上した経費ですから、ひとつ取り急いでお願いを申し上げたい。これは御要望申し上げておきます。
 それから、今度は運輸省、山上局長にお願いしますが、整備新幹線の投資採算調査費というのがありますね。これももうすでに調査しておいでになりますか、どういうことだろうか、ひとつお聞かせいただきたいことと、環境影響評価とこれとの関連をひとつお聞かせいただきたいと思います。
#105
○政府委員(山上孝史君) まず第一に、整備新幹線の投資採算等の調査についてお答え申し上げます。
 これは五億円運輸省所管で計上されております。これは整備新幹線の工事を進めるに当たりましてぜひとも解決しなければならない投資採算とか、財源措置とか、地元の協力等の問題に関しまして総合的に調査をしようとする目的のものでございます。
 その具体的な調査内容といたしましては、整備新幹線に関する収支の見通し、費用効果分析、建設費、運営費の低減方策、それから助成財源制度、地元協力の具体的な方策等に関する調査を考えております。このうち、地元協力の具体的な方策等のテーマにつきましては、すでに関係十九の道府県に委託調査ということで一部調査の分担方をお願いしております。これらの調査につきましては、最終的には十月末を目途に一応の成果を得たいと考えておりますが、この間、八月ぐらいには中間報告を得たいものだと考えております。
 それから、二点目の環境影響評価の調査との関係でございます。国鉄と鉄建公団が環境影響評価を行うためには、先生先ほど御指摘がありましたが、整備新幹線の建設調査費補助というのが一般会計から本年度の予算で二十五億ずつお認め願っておるわけでございます。それで、一月の二十三日に環境影響評価の指針というのを大臣が策定してもうお示ししておりますが、これに基づきまして整備新幹線の建設が沿線の地域の環境に直接影響を及ぼすものと思われるいろんな項目につきまして、現況の調査、予測、それから評価を行いまして、環境保全対策を検討するための調査を行うというものでございます。これとは別に、いま国土庁、それから私が前に申し上げました五億ずつの調査費をもちまして、この整備五新幹線という大きなプロジェクトに対しましての基礎的な調査も行うということでございます。
 それで、国鉄と鉄建公団が行います環境影響評価の調査についてちょっと申し上げますと、現在、整備新幹線建設調査補助金の交付要領というものを、新しい補助金でありますので、これを詰めておりますが、いまその最終段階でございます。近々のうちにこれをまとめましてこの予算の実行に移りたいということでございます。
 なお、国鉄と鉄建公団が、御承知のとおり四十八年、この整備五線の整備計画を決定して以来、工事実施計画の策定のための環境調査というのを借金でいろいろやってきております。五年にわたりましていろんな調査をやってきておりますが、本年度はそれらのデータを中心にこの二十五億ずつを使いましてこの調査の取りまとめをしたいということでございます。
 それから、さっき触れました運輸省の五億円の調査の中で、できるだけ経済的な低廉な新幹線の建設につきまして検討するということが課題の一つになっておりますので、八月ぐらいに期待しております中間報告、これを踏まえまして環境影響評価の対象とすべきルートとか駅の候補、これを作成することが必要でございますが、それはおおむね八月ごろではないかと思うのでございます。
 それからもう一つ、ルートとか駅の候補の作成と同時に、新幹線の構造ですね、これをどうするかということも重要のようでございます。たとえば高架橋にするのかあるいは盛り土にするのか、その高さはどの程度がいいのかというようなことによりまして周辺への影響がいろいろ変わってきます。したがいまして、都市計画とか道路計画等との調整を図るために関係筋と事務的なまたきめの細かい折衝が必要でございます。さらに、環境影響評価の報告書案というものを作成するためには、現地の調査を含めましたいろんな作業を詰めなければなりません。このようなことで、環境影響評価のための調査全体といたしましては秋ごろまでかかるのではないかと思っております。
 それで、この環境影響評価の報告書案がまとまりますと、新幹線建設のためのいま課題になっております財源措置等の見通しがつけばこの環境影響の報告書案というものを公表することになるだろうと、このような手順を考えております。
#106
○高平公友君 余り時間がありませんから。ちょうど国鉄の建設担当の高橋常務さんおいでになりますね。いま国鉄、鉄建公団でこの環境影響評価指針に基づいて、それからまた過去五年間もうずっといろいろ下調査をやっておいでになったようでありますが、その進捗状況というんですか、それは一体どうなっていますか。きわめてスムーズに進んでおるかどうかひとつお聞かせいただきたいと思います。
#107
○説明員(高橋浩二君) 国鉄では東北と九州の二線とを担当いたしておりまして、それ以外は建設公団でやっております。私の方で担当いたしておりますのは、いま先生のおっしゃいましたように、非常に広い範囲の調査をこの五、六年やってまいりました。ことしの一月に環境影響評価書の指針を運輸大臣からいただきました。いまそれに基づいて最終的に報告書に盛るべき数値その他の問題について調査を進めておりまして、そういう意味ではいま指針をいただきました影響評価書案をつくるにはほぼ半年ぐらい、秋ぐらいまでには私の方はできるというふうに考えております。ただ、最終的に細かく詰めますには駅とルートその他が最終的にきちっと決まりませんといけませんので、私の方は幾つかの案を一応私の方の原案といたしまして、最終的にそこが決まれば後すぐそういう作業ができるような準備を並行して進めておるのが今日の状況でございます。
#108
○高平公友君 もう一つ高橋常務にお伺いしますけれども、あなたが考えられて――いまの国鉄の問題は、これはもう大臣初め委員の皆さんもみんな頭を痛めて御心配になっています、それはそれとしまして、新しく五新幹線などをやるという場合には、その財源というのは当然国鉄からはなかなかちょっとそれは困難だと思いますが、どんなことが望ましいか、率直にあなたの考えをひとつ聞かせてもらいたいと思います。言ってください。大臣がおられてもいいじゃないですか。
#109
○説明員(高橋浩二君) この財源をどうするかということは私にはちょっと申し上げられませんが、私どもとしては一応従来の鉄道の輸送量その他から見まして、この整備五線のうちの大部分というか、ほとんど全部国のお金で建設関係の工事費をお願いしなければとても経営はうまくいかないんではないかというふうには考えておりますが、その財源自体をどうすればいいかということについては私はちょっとわかりません。
#110
○高平公友君 はい、わかりました。
 今度はひとつ大臣にお聞かせいただきたいと思いますが、昨年、実はこの自動車新税による陸上公共輸送整備特別会計ですか、これはもう残念ながら自動車諸税のそれぞれのアップ等もありまして、それが全部それぞれひもがついておるということでとうとう日の目を見なかったわけなんです。しかし、きのうも国鉄問題の小委員会で三木委員長なんか発言になっておいでになりましたけれども、都市においては通勤新線というのはきわめて要望されておると。またきのうは決算委員会へ行きますと、大臣に過疎バスの、どういいますか、何か処置をすべきだという警告案件がありまして、大臣はぜひとも善処したいということを述べておられました。新幹線をつくるにはやはり何としても新しい特別会計というのは私は必要であろうと、こんなぐあいに思うわけであります。そしてまた、いまよく言いますが、このエネルギーの問題で一体自動車の今後の輸送の限界といいますか、輸送の役割り――海運における船の役割り、国鉄、民鉄を含む鉄道の役割り、と同時に、やっぱり高速交通時代というのはこれは二十一世紀の何としてもなさねばならぬ、あるべき私は交通の姿でないかと思います。そんなことを考えてみますと、いま国鉄の、これもいまの赤字対策、これはことしじゅうに基本方向をつくってといういろいろと皆さん御心配になっておりますが、しかし本来、公共輸送機関としての態様というのは私はこの際こそ考えていかねばならぬのでないか。いろいろいま財源的にはきわめて厳しいこと万事承知いたしておりますけれども、しかし、将来の展望に立って私はこの財源対策というものを考えていかねばならぬのでなかろうか。新経済七カ年計画のこの基本構想、六年間――五十四年から六十年まで見ましても十七兆七千五百億と、これは鉄道にかける経費で、あるいはこれは一つの当面しましてまたはっきりしたものをつくらねばならぬということを言うておりますけれども、それはやはりなされねばならぬことでないかと、こんなぐあいに思うわけでありまして、私は、運輸大臣が本当に厳しいいまの国鉄情勢など処理されねばならぬわけですけれども、しかし、この新幹線の問題も、私の北回り新幹線だけでも三千二百万という十都府県がみんなして非常に待望しておるということで、彼らに一つの夢を与えそして希望を持たせる、それが直ちになるものではないとも思いますけれども、しかし、道は遠くもちゃんと歩みというのはそのとおりしていくんだというそういう方向づけとお答えを欲しいわけなんですよ。大臣、ひとつ最後に、私はこれで質問終わりますけれども、大臣の気持ちのいいお答えを聞いて私の質問を終わることにします。
#111
○国務大臣(森山欽司君) 整備五新幹線については昨年十月三日開かれました新幹線整備関係閣僚会議で具体的に実施計画が了承されておりますし、これらの計画を進めるに当たっては、国鉄の財政状況等勘案して、所要の公的助成及び財源措置等の前提要件について十分検討していくということになっております。そういう点から、昨年は、安定的な財源を確保して陸上公共輸送の維持整備を図るために、陸上公共輸送整備特別会計を要求して、その実現のために最大限の努力をいたしましたが、種々問題点が指摘されて、引き続き検討することとして創設が見送られておるということは御承知のとおりでございます。
 整備新幹線につきましては、財源があったらやるという受け身の形ではなくて、財源を見つけてやるという基本姿勢で向かわなけりゃいけないと私はいまなお考えており、公共輸送の維持、整備の重要性にかんがみて、五十五年度の要求に当たっては昨年来の経過も踏まえて十分検討しなきゃいかぬと考えておるわけでございます。ただ、御承知のとおり、国鉄の財政というのはこれはもうなかなか容易ならざる事態になっておることは御案内のとおりでございますし、また国の財政も、昭和五十五年度予算の編成につきましては、特にサマーレビューを行ってこの予算の問題について事前に、例年なら八月末の概算要求で始まるべき問題を七月半ばからこの問題に取り組んでいるというようなことで、これは私は、政府は一般消費税等の問題の布石としてそういうことを言っていると思わない。それはもうやはり税の自然増収とか公債の発行限界とかいうことから非常に容易ならざる五十五年度の予算編成ということで私はこういう異例の措置が出ておると思いますので、なかなか、実際問題としては容易ならざる障害が前途にあるということは恐らく御理解願えると思います。しかし、基本姿勢といたしましては、これはきわめて高度な政治的な課題でございますから、これをあくまでもギブアップすることなく、何とかして実現の方向に向かって努力して、そして、このアイデアというものをいかなる事態においても堅持し得るような体制というものは維持してまいりたいというのが今日の念願でございます。あるいは十分意に沿い得るかどうか存じませんが、どうぞ御了解願います。
#112
○高平公友君 ありがとうございました。
 終わります。
#113
○柳澤錬造君 大臣、最初に私がお聞きをしてまいりたいのは、沖繩における航空輸送の問題なんです。
 これはもう大臣も御承知のことだと思うんですけれども、まず本土と違う点なんですが、本土の場合には一つの県に一つの空港をつくりたいということで進んでいるわけですが、沖繩の場合には一つの島に一つの飛行場をつくるということで、現実にもう十以上の飛行場ができているわけです。しかも、何というんですか、沖繩県という一つの県の中だけだけれども、那覇を大阪に置きかえてその航空路を当てはめてみますと、東の方に北大東島というところというものは、ちょうどもう東京のすぐそばの大島ぐらいに来てしまうんです。それから、石垣島というともうちょうど別府のあの辺になり、それから、与那国島というともう長崎の辺になってしまうんです。一つの県の中の航空輸送路だけれども、その範囲が非常に広いところにわたっているし、また沖繩県の人たちとしては、そういう島ですから、航空輸送というものが大変大事な足になっているわけなんで、そういう点からいろいろこれからお聞きをしてまいりたいと思います。
 それで、具体的には、あそこの沖繩で飛行機が飛んでいるのは南西航空なんです。島民の足だということで、沖繩県民が利用すれば三割引きという形で運賃においてもそういうことをやっているわけなんです。ところが、飛行機がほとんど――先ほども大臣がまたいま事故が起きたといっているあのSTOLそれからYS11、ああいう小さいのがほとんどなんですから、そういう点で飛べば飛ぶほど赤字になってしまう。赤字になってしまうから国からもそれなりの助成や補助があって何とかやってきたわけなんです。そういう中で最近の離島ブームで、宮古島だとか石垣島だとかあれらがかなり乗客が多くなってきた。ジェット機も入ってきた。そういう点でもってそちらの方から黒字になってくるということが最近になって出てきたわけですが、黒字になったら途端に国の補助というものはもうこれは打ち切られるということになってしまった。せっかく南西航空の労使が一生懸命になって合理化をやり、何とかして黒字にというかっこうでがんばって、そういうように成績がよくなってきたならば、それはもう補助は打ち切りなんですよということでは、正直者がばかをみるじゃないんですけれども、いいやり方だとは思わないんです。そういう点に立ちまして、沖繩のこういうふうな離島を抱えての航空について、基本的に運輸省としてどういうお考えをお持ちかということなんです。もう少し補助というんでしょうか、助成といいますか、この南西航空の基盤も強化をして、そして全体の安定輸送ができるようにしなくてはいけないと思うんですけれども、その辺の基本的な姿勢をまずお聞きしてまいります。
#114
○政府委員(松本操君) 南西航空は、おっしゃるように離島の多い沖繩県の唯一の県内交通機関というふうな形で発足もいたしましたし、育成もしてきたわけでございまして、おっしゃいますように赤字があった時代があるわけでございます。そこで、まずお話に出ておりましたようなSTOL機の購入費補助、これを当初いたしておりました。現在四機購入が終わりましたものですから、機体本体についての補助は、しようがなくなったわけでございますけれども、五十四年度は部品を買う予備品の補助だということで二千二百万程度の補助をすることといたしておるわけでございます。
 それから、いわゆる欠損補助、これにつきましては五十一年度、五十二年度それぞれ三千万円の補助を出したわけでございますけれども、いろいろといまおっしゃいましたような事情もございまして、五十二年度から黒字に転じたものでございますので、欠損補助という形では実は補助ができないような状態になったわけでございます。そうは言いながらも、この離島航空というものについての何らかの育成ということを考えなければいけないということで、五十四年度からは国の設置管理いたしております離島の航空路に係る飛行場につきまして、普通着陸料をSTOL機については従来の四分の一、YSにつきましては従来の二分の一、また航行援助施設利用料につきましてもSTOLを四分の一、YSを従来の二分の一、こういうふうに軽減することにいたしました。その結果、試算でございますけれども、五十四年度ベースで南西航空に対する実質的寄与分といたしましては、約七千四百万円程度が実質的な寄与になってくるのではないかと、このように期待をしておるわけでございますので、おっしゃいますように欠損補助的なものは、黒字が出てきたという形式上の問題があってなかなかうまくいかなかったわけでございますが、そういったような実質的な補助策を講じるというふうなことによって南西航空の健全な発展ができるようにということに今後とも努力をしていくつもりでございます。
#115
○柳澤錬造君 そういう形で今後とも考えてあげていただきたいと思うんです。
 次に、これはやっぱり大臣よく聞いておいていただきたいんですけど、沖繩から九州への路線の問題なんですね。あの海洋博が開催されるということに計画がなったんで、四十九年の九月の十三日に那覇と熊本の線の路線の申請をしているんです。これは当時熊本県と沖繩県と両方が全日空と南西航空にどうだやってくれんかという話が持ち込まれていたわけなんです。全日空の方は余り乗り気でないんで、消極的だったんで、結局南西航空の方からそれではということで、昭和五十年の四月一日から一日一便を飛ばす、そういうことで申請をしたんです。当時の運輸省の方としては、それについて南西航空の企業の実力というものを考えて、同時に需要予測をしてみても、とてもじゃないけれども一日一便なんてそれは無理じゃないかということで、週三便にせい、それから飛行機もYS11だという形で、そういう条件で認可するという内示をおろしているわけです。そういう内示がありましても、南西航空とすれば熊本の方に自分の基地がありませんので、全日空の方に地上業務を依頼するという文書を出しましたら、途端に全日空がその路線申請をしたわけなんです。その路線申請をしたら、今度は運輸省の方では南西の場合には一日一便は無理だぞと言って週三便にせい、機種もYS11だぞという条件をつけたにもかかわらず、全日空になったら途端に今度はジェットで認可をする、しかも南西が飛ばない日、言うならば週四日ジェットで飛ばしてよろしいということの認可をおろした。ジェットとYSじゃこれはもう勝負になりませんから、結局南西航空はやめてしまっておりてしまった。結局全日空がその路線を占めたという経過があるんです。その辺について簡単でいいですから、どうしてそういうことになったのかということ、それと大臣の御見解もあわせてお聞きしたいです。
#116
○政府委員(松本操君) まず事実関係について御説明申し上げますと、おっしゃいますように、四十九年の九月に、翌年行われることになっておりました海洋博ということを念頭に置きまして、那覇と熊本の間にYS――これは南西は当時YSしか持っておりませんので、YSによる運航をしたい、こういう話があったことは事実でございます。それは、しかし毎日一往復するほどの需要はとてもないだろう、これは申請の過程におきまして――いま先生は内示というふうにおっしゃいましたけれども、実はそこまで立ち至った話ではなかったようでございます。いろいろと南西航空から相談を受けた過程において、その基本的な需要の計算はおかしいのじゃないかとかいろいろな話をしているうちに、YSを使って週三便程度の需要というのがいいところかなあと、こういうふうなところの話までいっておったことはあったようでございます。それに対しまして、もしそうだとするならば、熊本における地上扱いをどうするかということで南西航空と全日空との間において話し合いが行われた。この時点において、実は南西航空の方は自前でハンドリングをやるかどうかという点についてはかなりためらっていたようでございます。そういうふうないきさつの中で全日空から出願があった。つまり形の上では競願になったわけでございますが、この時点の全日空の出願は週二便でございます。でございますから、キャパシティー的に言いましても大体YSで週三便、ジェットを使いまして週二便、似たり寄ったりの輸送力というふうなことであったかと思いますけれども、しかし結論的には、南西としては熊本まで出ていくということについてはなお非常にためらいがあったということ、それから私どもの方といたしましても、南西航空というものの将来の形として、沖繩県と九州の幾つかの県との間を結ぶところまで一遍に発展していっていいのかどうかという点については、内部的にもかなり議論があったようでございます。そういうふうなところで形の上で全日空と競願になったわけで、私どもの方はそういうことを念頭に置きながらも競願なら競願の形で処理をするかということを考えておったようでございますけれども、南西航空としては、この際しからば那覇に入ってくる旅客を中心に先島等に対する輸送を充実していくという形の方にむしろ重点を置くというふうな考え方にだんだんと傾いていきました。全日空と競願をして仮に両方免許になったとしても、これはYSとジェット機ではちょっといわゆるダブルトラックという概念にもなかなかなじまないものでございますので、南西航空の方から申請を取り下げるという経緯がございました。そして結局、五十年の七月十日運輸審議会の答申を受けまして、五十年七月十四日付をもちまして全日航に対し週二便ということで免許になったのが経緯でございます。
#117
○柳澤錬造君 そうすると航空局長、初めから、南西航空一社に路線を持たせるということは適当ではないという判断があったわけですか。そういう点でもって、いまは出てきたのは南西航空だけれども、あとと言えばもうそれは全日空しかないわけだけれども、全日空の出てくるのも予測をして、おまえらのは半分程度だけしかやらないよということにいまのお話だとなるのですけれども、そういう判断をしてよろしいですか。
#118
○政府委員(松本操君) ちょっと私の言い方があるいは不適切であったかも存じませんけれども、南西航空という沖繩の県内航空に主体を置くべき企業体が、九州の各県いずれかとの間に航空路を開くということについて、なお当時非常に問題を残しておったというのがまず前提にございました。ではございますが、申請があっていろいろと相談を受ける過程において、需要をどのように見積もるかという点から判断すれば、毎日一便というのは多いのではないか、週三便程度ではなかろうか、何となれば機材がYSであるから、こういうふうな話が行われていたことも事実であったようでございます。それに対する全日空の二便ということを予測しておったということではなかったと私は思いますが、出てきた時点におきまして、つまり競願になった時点において判断いたしますと、片方はYSである、片方はジェットである、こういうことになりますと、南西航空の判断といたしましても、ジェットとそれからYSで両方で飛ぶというのもこれは輸送力も過剰になってしまいましょうし、競争にもなりにくいというふうなことや、それから、先ほどちょっと触れましたように、那覇を中心として先島への輸送力の増強というふうなことにもいろいろと思いをめぐらした結果であろうかと思いますけれども、南西航空の方から本件申請を取り下げるに至った、こういうことでございますので、両方を念頭に置いて半分ずつということではございません。
#119
○柳澤錬造君 まだその辺釈然としないものがありますけれども、そうすると、局長、その当時はそういう状態という判断を下した、しかしそれから四年ほどたって南西航空もジェット機を持つようになったし、だんだんだんだん企業基盤も強化をされてきたと。今日の時代ならば、沖繩から九州本土のところへ、それは何も態本という意味じゃなしに、そういうふうにこちらに航空路を持つということについては、申請されたら受け入れるという、そういうお考えはお持ちになりますか、
#120
○政府委員(松本操君) 現時点におきましても、先ほど御答弁申し上げました、南西航空が沖繩県内の県民の足として最も勢力を充実していくべきだという基本的な考え方は変わっておりません。しかし、九州本土とは言わないまでも、南西諸島の先の方で、歴史的に言いましても非常に沖繩県と近いところがございます。そういうふうなところはむしろ本土から行くよりも沖繩県民の往復の方がかなりあるというふうな点をも考慮いたしまして、現在那覇と与論島との間には南西航空が現に運航しておるという状態でございますが、しかしこれを将来九州の本土まで延ばすかどうかという点につきましては、私は、ジェット化したものの、むしろ勢力を集中するとすれば、南西航空は沖繩県内の輸送に重点を志向してもらってしかるべきではないか、基本的にはそのように考えております。
#121
○柳澤錬造君 そうしますと、一応お考えはわかりましたけれども、沖繩県の中といいましても那覇のあれから、これはもう私よりかも局長の方が詳しいわけだけれども、いろいろレーダーやそういう関係というものは五十マイルゾーンぐらいしか正確に機能を発揮していない。言うならばもう宮古島だとか石垣島へ飛ぶにしても、かなり、盲になるわけじゃないけれども、本土の中でいま飛んでいるような状態で、こちらの基地のレーダーからあちらの基地へちゃんとバトンタッチをされて、絶えずどこかの基地からのレーダーで把握をされてその中で飛行機が飛ぶという状態にないことは、これは明らかですね。そうすると、その辺の、そういういまの通信機能の体制というようなものが非常に危ない状態にある。最近のように、さっきも事故のお話が出ておる、STOLが落っこったという。その飛行機も南西航空は持っているのだけれども、そうすると、いまのレーダーやそういう機能の不十分な状態については急速に整備をするということにお考えが進むのですか、そこのところはどうなんですか。
#122
○政府委員(松本操君) 四十七年に沖繩が復帰をいたしました時点におきましては、沖繩のこういった航空保安施設というのは非常にどちらかと言えば貧弱でございました。その後、四十九年に私どもの方の管制部が発足をいたしますときに八重岳のレーダーをつくったわけでございます。八重岳のレーダーで宮古島あたりのところまでは十分にカバーをしておるわけでございますが、これは二百マイルのレーダーでございますが、それから先の方になりますと実はよく見えない。そこで五十四年度の予算を投入いたしまして宮古島にまず長距離レーダーの建設に取りかかることにいたしました。これは南西諸島になりますけれども、次の段階には奄美大島にもレーダーを置いて九州からずうっと与那国の外れに至るまで全部レーダーでカバーができるようにしていくということの第一着手を八重岳で終わり、第二着手は現在宮古島のレーダーに手をつけたということになっておりまして、八重岳のレーダーと九州の南部にございます加世田のレーダーとは、わずかばかりではございますけれども重なりますので、一応この上を飛んでくる飛行機をレーダーで見ることは可能になっております。そのほかにも、たとえばNDBと呼ばれるような無線施設等は、従来五つぐらいしかございませんでしたものを各空港に全部そろえるというふうなことで、鋭意そういった航空保安に係ります施設の整備ということは努力をしてまいりましたし、今後とも努力をしていくつもりでおります。
#123
○柳澤錬造君 できるだけやはり早く整備はしてやっていただきたいと思います。
 それで、宮古島の方はできても北大東島、南大東島、これはもう宮古島よりかはるかに近いけれども、別な方角なんで、これも言うならば有視界飛行をあるところまで行ったらやらせなきゃもうできないような状態になっているんです、非常に範囲が広いということで。そういう点につきましてもお考えをいただきたいと思います。
 それから先ほどの、時間もありませんから、九州本土との関係なんかも、これはもう第一は何といっても需要の問題だと思うんです。それで過当競争が起きてまた苦しい思いをするようになったら何にもなりませんけれども、せっかくあちらで、おまえたちはそれは沖繩県の方だと言っておっても、今日のこういう状態になってきたら、今日の情勢のところでそういうこともお考えもいただきたいと思って、それはそのくらいにしまして……。
 それから、那覇の空港の拡張の問題なんですね。これもいろいろお聞きになっていると思うんです。若干あそこを延ばしまして――私もこの前視察をしてきたんですけれども、あの程度ではますますいまの需要がふえるのでかなり狭くなってくる、そういう点で沖合いの方に、何といいますか、新しく飛行場をつくって移転をという、そういうことについても話が出ていることはお聞きだと思うんです。その辺についてはどういうお考えになっているのか。
#124
○政府委員(松本操君) 前段の航空保安施設の整備については今後とも努力をいたしますが、例示でございました南大東のようなところは、これはとてもレーダーが届きません。そこで、対空通信施設、これも五十四年度着工いたしましたが、これによりまして、話題に上っておりますツインオッター――STOL機の飛行について従来よりはより確実に安全が確保できるというふうに考えておるわけでございます。
 それから次に、那覇空港の問題でございますが、おっしゃいますように、那覇空港のもう一つ西側の方に滑走路をもう一本置いて、いわゆる沖合い展開をしたらどうだという御意見のあることも十分承知をいたしております。ただ、現在の那覇空港につきましては、これは先生おっしゃいましたように、とりあえず二千七百から三千への拡張工事に着工したばかりでございまして、まだ完成するに至っておりません。五十二年度から着工いたしまして五十四年度もなお七億何がしかの予算を投入している段階でございますので、まずその点について早急にこれを完成したい。能力的に申しますと、現在、那覇空港の年間の管制の実績が七万幾らというところでございますので、一本の滑走路で十分に扱い得る数字ではございますけれども、将来の問題として県を初めいろいろとこの沖合い展開の問題については御検討のようでございますので、そういったような成果も踏まえ、今後の航空需要の伸びなどもよく検討しました上でこれらの問題についても取り組んでまいるようにいたしたい、こう考えております。
#125
○柳澤錬造君 これは沖繩のそこに限らぬで、狭くなってきた、それと言って半年、一年、二年でできるものじゃないだけに、かなり先を見て十分にその辺の予測をし、計画を立てて早目に――しかもあれだけ何だかんだ言っても、恐らく日本の中で二十四時間使用ができるなんというところは那覇空港だけじゃないんですか。ですから、そういった点でもって余り窮屈になって問題が起きる前に、できるだけそういう点では早目に手を打っていただきたいと思うんです。
 次に、下地島の訓練飛行場の問題なんです。もうそろそろでき上がってくると思うんですが、この訓練飛行場のそれだけはできてあとほかの残った用地はどういうふうにするんですか。航空保安大学だとか、いろいろとそういう航空の付帯事業なんかも誘致をして総合的な開発をやるとか、そういうこともあったんじゃないかと思うんですが、その辺の計画というか、お考えはどんなことになっていますか。
#126
○政府委員(松本操君) 下地島の訓練飛行場につきましては、大体ことしの七月には何とか開港にこぎつけられそうだ、そうして一歩一歩ではございますけれども、訓練の実施に入っていきたい、こう考えております。
 そこで、訓練飛行場としての敷地が三百六十ヘクタールぐらいでございますが、その周囲に三百四十ヘクタール程度の県有地がございます。これが県有地につきましてどういうふうにするかということについては、琉球政府時代からいろいろと議論はあったようでございます。かつては大変に壮大な計画と申しますか、夢を広げたような御議論のあった時代もあったわけでございますけれども、現時点におきましては県の方ともいろいろ御相談をしておりますけれども、空港と調和のとれた土地の利用を図っていきたい、こういうのが県の強い希望のようでございますので、県の方でもいろいろとあるいは牧草地にするとか具体的な点について御検討をなさっておるようでございますので、こういうものが決まってまいりました時点で私どもも御相談にあずかりながら、できるだけそういったようなことがスムーズに行えるように取り組んでまいりたい、このように考えております。
#127
○柳澤錬造君 大臣、最後に申し上げておきたいんだけれども、沖繩の雇用情勢が日本の中で一番悪いことは、もうこれは大臣も御存じだと思うんです。大体内地の平均のあれから見て、有効求人倍率なんか三倍程度悪いんです。ですから、そういう点でいまの那覇空港を沖合いに持っていって広げる問題だとか、それから下地島の訓練飛行場の付帯設備をつくることとか、それから南西航空――私、別にこれは南西航空に縁もゆかりもないんです。ただ、ああいうところですからサトウキビなんかまだやっていますけれども、これといって大きな産業がない。そうしてくると、あそこで航空産業なんかが案外地場産業の役割りを果たしている。ですから、そういう点からいろいろなことをもろもろ考えて、南西航空というもの、そうしてあそこの沖繩のそういう離島航空路の整備、それから通信機能の整備やいろいろなことについて一段と御配慮を賜りたいと思いますので、最後に大臣からその点の御見解をお伺いいたします。
#128
○国務大臣(森山欽司君) 南西航空は沖繩多数ある離島間の交通を中心にしてできた航空会社、こういうふうに考えております。熊本の方へ飛びたいという企画が全日空のジェット機との関係で挫折したというふうなお話でございますが、その後ジェット機も南西航空の方で手に入れて、大分昔と様子が違うぞということでありますが、やっぱり基本的には沖繩県並びに鹿児島の離島間の連絡というものを中心とすべき航空会社であって、それ以上どこまで手を伸ばしたらいいかということ等につきましては、やはり離島間の連絡ということを主にしつつ、それに関連した仕事をどこまでやるかという点につきましてはよく検討してみたい、こういうふうに思っております。
 それから下地島の飛行場はほぼ完成をいたしたわけです。もっとも空港としての付帯施設は今年度いっぱいかかって来年度から本格的になるであろうと思っております。年度内に大体速やかに……。これは訓練飛行場でありますが、しかし、自衛隊の飛行機は来ちゃ困る、こう言っておる飛行場でございまして、いろいろ問題もございますけれども、新しい飛行場として公共飛行場の性格は持っておるわけでございますから、できる限り飛行場の発展の方向でわれわれは対処してまいりたい。
 それから、那覇の空港は現在の飛行場の延長というところに現在主眼点を置いておる。沖合い展開についてはその次の計画ということであります。これは空港整備の将来の計画との関連において十分考えてまいりたい。沖繩の特殊の雇用状況からいろいろ御心配になっておられる点は十分念頭に置きまして、今後これらの問題に対処してまいりたい、そういうことでございます。
#129
○柳澤錬造君 わかりました。時間がなくなっちゃうので、あとはもう一つの問題は、自動車局長おいでになっているので、ハイヤー、タクシーの値上げの問題で、申請が一月ごろからずっと出てきて、ほとんどいま出そろっているはずなんです。これについて運輸省の方としてはどういうふうな扱いをしようとしているか、その辺からお聞きしてまいります。
#130
○国務大臣(森山欽司君) タクシーの運賃値上げの問題は、皆様もお気づきのとおり、ことしの一月に、五月から二割値上げだという形で半分決まったような形で新聞には報道されたわけであります。私は当時大臣に就任間もないものでございますから、利用者の立場でこれは値上げというのはちょっと困るなあと、そのとき直感的に思いましたが、次の瞬間これはわが輩の仕事であるということを改めて認識をしたというようなことでありまして、卒然として二年のローテーションということで値上げの線を、まるで決まったかのごとくやる、この業界の姿勢というものに対して五月実施ということは考えておらないというふうなことで今日に至った、こういうことでございます。しかし、業界の方は、二年ごとに見直すということは――二年ごと運賃改定をやるとは言ってないのですね。見直すということでありますから、見直すということで業界の方はいろいろ資料等を取りそろえてまいっておるわけでありますし、また法人タクシー以外にも個人タクシーの方もおおよそ出そろいつつあるというような状況にあるわけであります。私は、タクシーという仕事はもちろんこれは、事は経営に属することでありますから、国鉄のようなわけにはまいらぬわけでありますから、やっぱり経営が立たなきゃならぬという経営者の立場は当然考えてやらなければなりません。しかし、運転者の人たちも、車に乗ってみて、いやまだ早いですなと、こう言われますと、私どももこれはどうかいなと。しかし、経営者の立場と、それから運転者の立場はまた若干違う。気楽に運転者の方が言えるわけでございますから、しかしそんなことを勘案いたしましても、やはりタクシーの運賃値上げということになりますれば、そういう感触も承知しておかなきゃなりませんし、それから国民一般もこれはまあやむを得ないというような気分になってまいらぬうちにこういう問題を取り上げるわけにはいかない。要するに賃金、物価等の関係を勘案しなければならないということであります。ただ、私の気持ちといたしましては、いつまでもほっておけないという気持ちでございますが、さてひとつ運賃改定にゴーという信号はまだ自動車局長には出してないのでありますが、自動車局長の方では業界にせっつかれると見えまして、下調査とかいうのをやっておるようでありますが、私は一向知らないのであります。それが偽らざる今日の現状でございまして、あとは自動車局長の方から答弁いたさせます。
#131
○柳澤錬造君 大臣ね、大変ありがとうございます。
 それで大臣がたまたま乗った車の運転手はまだ早いですよと言ったというのだけれども、私がいまここへ持ち出してきているのは業界の方からの何ではなくて、運賃改定ができないといってそのままベースアップもいまだに片がつかないところがたくさんあるわけなんです。そういうところが何とかしてもらわなければ私たちの労働条件の改定もいかないし、どういう状態なんでしょうかというふうに持ち込まれたので、私きょうここでもってお聞きをしているわけなんです。だからこれは物価にはね返る要因があるんですから、値上げをしないで済むならば私もそれは値上げをしないでおいた方がいいと思うんです。ところがそういう状態で、ほかの普通の物だったら勝手に売り手が上げていってしまう。たまたまこれは運輸大臣の所管になっているから運輸大臣がうんと言わなければ上がらない、上がらないために運賃改定もできなければそこで働いている労働者が自分たちの賃金も上げてもらえないということではちょっと困るんで、ですからその辺を自動車局長の方でも十分お考えになっていただいて、いま大臣はゴーのサインまだ出していないというのですけれども、タクシー会社なんていうのは、私もあれだけれども、経営の内容をつかもうと思えばあんな簡単なものはないと思うんですね。これはもうわかるのだから、一日幾ら上がるか、それでどれだけのものを何に使っているかと。ですからそういう点でもって経営の内容もつかんでいただいて、それでそういう中だから上げる必要はないというならそれはもうよろしいことだけれども、なるほどこれはもうそろそろ何とかしてやらなければということがあるならば、やはりそこで働いている労働者がたくさんおるんですから、そういうことも含めて御判断をいただきたいと思うんですが、局長……。
#132
○政府委員(梶原清君) 六大都市のタクシー運賃の改定につきましては、法人事業者の申請に引き続きまして、最近ようやく個人タクシーからの申請がほぼ出そろった段階にございます。
 先生御指摘のように、タクシー事業といいますのは、車一台運転者が一人、平均乗車人員が一・六人という交通機関でございまして、きわめて労働集約的な産業でございます。いわば個別輸送機関である、こういういう性格のものでございます。今後このタクシー運賃の検討に当たりましては、いま大臣からお答えがございましたように、タクシー事業は私企業でございますので、その健全な経営が維持される必要がある点に配慮しつつ物価、賃金等の動向、利用者に与える影響等を総合的に勘案して慎重に対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#133
○柳澤錬造君 委員長、時間があれですから、まだありますが、これで終わります。
#134
○委員長(三木忠雄君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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