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1978/05/31 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 商工委員会 第10号
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1978/05/31 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 商工委員会 第10号

#1
第087回国会 商工委員会 第10号
昭和五十四年五月三十一日(木曜日)
   午前十時五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     真鍋 賢二君     河本嘉久蔵君
     阿具根 登君     森下 昭司君
     馬場  富君     藤原 房雄君
     安武 洋子君     小笠原貞子君
     下田 京子君     市川 正一君
     柄谷 道一君     井上  計君
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     藤原 房雄君     馬場  富君
     小笠原貞子君     安武 洋子君
     井上  計君     柄谷 道一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         福岡日出麿君
    理 事
                大谷藤之助君
                古賀雷四郎君
                大森  昭君
                安武 洋子君
    委 員
                岩崎 純三君
                楠  正俊君
                下条進一郎君
                中村 啓一君
                大塚  喬君
                小柳  勇君
                森下 昭司君
                吉田 正雄君
                馬場  富君
                市川 正一君
                柄谷 道一君
   衆議院議員
       修正案提出者   渡部 恒三君
   国務大臣
       通商産業大臣   江崎 真澄君
   政府委員
       公正取引委員会
       事務局審査部長  妹尾  明君
       経済企画庁総合
       計画局長     喜多村治雄君
       通商産業政務次
       官        中西 一郎君
       通商産業大臣官
       房審議官     島田 春樹君
       通商産業省通商
       政策局長     宮本 四郎君
       通商産業省機械
       情報産業局長   森山 信吾君
       通商産業省生活
       産業局長     栗原 昭平君
       工業技術院長   石坂 誠一君
       資源エネルギー
       庁長官      天谷 直弘君
       資源エネルギー
       庁石油部長    神谷 和男君
       資源エネルギー
       庁石炭部長    高瀬 郁彌君
       資源エネルギー
       庁公益事業部長  豊島  格君
       中小企業庁長官  左近友三郎君
       建設省住宅局参
       事官       吉田 公二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   説明員
       外務省経済局資
       源第一課長    渡辺 陽一君
       大蔵省主計局主
       計官       塚越 則男君
       運輸大臣官房政
       策課長      林  淳司君
       運輸省港湾局計
       画課長      小池  力君
       海上保安庁警備
       救難部航行安全
       企画課長     渡辺純一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○エネルギーの使用の合理化に関する法律案(第
 八十四回国会内閣提出、第八十七回国会衆議院
 送付)
○産地中小企業対策臨時措置法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○産業貿易及び経済計画等に関する調査(派遣委
 員の報告)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(福岡日出麿君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨三十日、藤原房雄君、小笠原貞子君及び井上計君が委員を辞任され、その補欠として馬場富君、安武洋子君及び柄谷道一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(福岡日出麿君) 理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(福岡日出麿君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に安武洋子君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(福岡日出麿君) エネルギーの使用の合理化に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明等につきましては、すでに前回の委員会において聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○小柳勇君 エネルギー、重要な段階でありまして、世界的にも問題でありますが、わが国としてもこれから真剣に取り組むべきであろうと思います。各エネルギーについて、具体的に一つ一つやるのが当然だと思いますけれども、また新たに法案も準備されておるようでありますから、きょうは省エネルギー法中心に質問をいたします。
 それにいたしましても、外国の情勢も必要でありますから、まず、先般IEA閣僚理事会に出席されました通産大臣から、各国のエネルギーに対する取り組みについての模様などお伺いしながら、質問を展開していきたいと思います。
#7
○国務大臣(江崎真澄君) 五月二十一、二十二の二日間にわたりまして、パリにおいてIEAの閣僚理事会が開催されました。当初外務大臣、それから終始私が、ここにおりまする天谷エネルギー庁長官ともども出席をいたしたわけであります。
 一口に言いますると、本年度やはり予定どおり二百万バレル足りない、したがって五%節約は徹底をしなければならぬという強い主張がございました。そればかりか、従来スポット市場に依存をしたりいたしておりました欧州の小国、たとえばベルギーでありますとか、あるいはスウェーデンでありますとか、そういった国々においては、もうすでに七%の緊急融通を受けなければならないというほど足りなくなっておる。特にスウェーデンはソ連からの石油輸出がとまったと。豪州では、ニュージーランドなどもそのような形で足りないということをしきりに訴えておったのであります。また、先進諸国におきましても、それぞれ冷静に対応をしようということで、消費者のために冷静に対応をしてきたが、スポット物がどんどん高騰を続ける、足並みの乱れがある、これは困るではないか、やはりもっと冷静に対応をすること、それから節約を徹底すること、これを守ろうと。それから、一九八〇年代の後半に石油危機が来るという認識で統一されておりましたが、それが中東方面の情勢などから申しまして、一九八〇年代半ば及びその以前にも石油危機が来る可能性も考えられる。したがってそれを目途にそれぞれの国々では代替エネルギーの開発を活発化するとともに、石油の徹底的な節減を続けるベきである。これは前回の理事レベルの会議でも申し合わせができたわけでありまするが、来年度においても同じように五%節約を続行しようと、五%の節約が本当に徹底したとしても、なお来年の見通しは相当な不安がある。場合によれば、七十万バレル程度の不足を来すような事態も予想される、これはまああくまで予想でございますが、予想されるというような議論がなされたわけであります。各国ともそういった方向のまとめについては、さしたる異論もなかったわけであります。
 それからもう一つ、一番焦点になりましたのは、埋蔵量が石油とは比較にならないほど多量にある、まあいわゆる三百年近くはあろうと言われます石炭に速やかに転換すべきであるということにおいて一致を見たわけであります。余り長くなりまするので、概要以上申し述べました次第でございます。
#8
○小柳勇君 この閣僚理事会にはたとえば共産圏とか、たとえば発展途上国などの意見はどのように織り込まれてまいりますか。
#9
○国務大臣(江崎真澄君) これは共産圏の話は直接的には出ませんでした。ただ、原子力をやはり計画的に今日まで予定したとおりのスピードで実施に移していくことは相当困難性はあろうが、安全性を確保することによってやはりエネルギー不足を補わなければならない。特に石油の代替エネルギーとしては一番効率的であると。したがって、この安全性確立の問題については共産圏の不安、共産圏にまた災害等が起きた場合もこれは同じように自由圏にも影響を与えますので、共産圏を交えてこの安全確立のための協議機関を持ってはどうかという提案をする国、いや共産圏の場合は言論統制が厳しいから、たとえそういうことがあったとしてもなかなか外部に真相が知らされにくい、一緒に会議を持ったからといって、それぞれの技術がまだ秘密の部面もありまするので、それは時期尚早ではないかとか、まあ議論は二つに分かれていろいろ闘わされたわけでありまするが、今後事務レベルで検討の上結論を得ると、そういう形になったのが共産圏関係とのこの情報交換をどうするかという話の中心にあった話題の一つであります。
#10
○小柳勇君 発展途上国の問題はいま答弁がありませんでしたが、これはまた後で聞きます。
 OPEC関係の政治的な動きなり、あるいはこの技術的な動きなり、そのようなものはIEAの閣僚理事会にはどのように反映されますか。
#11
○国務大臣(江崎真澄君) 先ほど申し上げましたように、IEAは御承知のとおりOECDの下部機構ということで発足をしておりまするので、共産圏は入っていないわけであります。発展途上国につきましては、当然油の入手が非常に困難になってくる。したがって、今後発展途上国のエネルギー源の開発については、それぞれ経済協力等々の面を踏まえて今後検討をしていこうという話し合いは当然出ております。
#12
○小柳勇君 なぜこういうことを私が冒頭に質問するかといいますと、この前予算委員会で私総括質問の中でエネルギー問題を相当時間取りました。その時期はまだ国際的にも国内的にもエネルギーをこれほど重要視するほどの情勢でなかったのです。質問終わりまして、わが党の幹部諸君もエネルギーに時間取り過ぎだといって言ったくらいでした。わずか二カ月の間に急に情勢変化、しかもこのIEA閣僚理事会の報告を見ましても、あるいはきょうのサミットに対する準備にいたしましても、とにかくエネルギーを最重点、もうまさに八五年危機ではなくて、七九年危機の状態でいま取り上げられている。したがって、私はこのIEAのしかも米国とか、日本とか――日本は受け身で恐らく出ておられると思うけれども、米国などを中心にするIEAの閣僚理事会などが、余りにも悲観的に緊急措置を前面に押し出して国際的な戦略体制を立てておるような気がしてならぬのでありまして、全体のこの地球の埋蔵量、可採埋蔵量など考えまして、これほど文章にあらわれたほどの危機ととらえるには、たとえば共産圏とか、たとえばOPECの関係諸国とか、あるいは発展途上国、特に中国などはこれから未開発資源に対する探査など相当進むのでありますが、そういうものを総合しないと、世界のこのエネルギー危機を、もちろんいま重要であろうと思う、そのことは前提ですよ、でありまするが、これほど最近のように情報機関あるいはもう世界を挙げて危機が先行しているということは、若干検討する必要がありはせぬかと思っていま冒頭に質問したわけですが、まずこの点についての通産大臣の見解を聞いておきたい。
#13
○国務大臣(江崎真澄君) 御質問の趣旨は私もよく理解できるわけでございまするが、従来とも共産圏におきましては、ソ連が中心になって共産圏内の油の需給については相当な責任を持っておったことは事実だと思います。それから自由圏におきましては、OPEC側と自由圏諸国、特に消費量の多いアメリカとか日本とのコミュニケーションは大変うまくいっておったわけであります。最近、中東におけるアメリカ勢力の後退ということもありますが、今度特にわれわれが注目いたしましたのは、やはり中東情勢の不安定が相当長期にわたるのではないかという見通しについては各国が一致しておるという点であります。特に同じEC諸国、今度サミットに集まってまいります国々におきましても、イギリスなどは北海油田の開発が進みましたこと、石炭もあるというようなことなどによりまして日本とは全く事情が違って、むしろエネルギー源については今後十数年間は完全に保証されるといった形にあるということ、それからまたドイツなどにおきましても優良な石炭を多量に蔵しておるということ、フランスなどはややわが国に似ておりますが、これとても日本ほどエネルギー源を海外に仰ぐといったような情勢にはないということなどなど、同じ先進国と申しましても事情がよほど大きく違っておるという点であろうかと思います。そういう点から申しますと、埋蔵量などにおいては相当な量をこの重油、石炭ともに蔵しておりまするアメリカでありまするが、当面の使用量が御承知のとおり日本の四倍にも及ぶ現実的に使用をいたしておりますアメリカなどが、これは日本の産業用というだけではなくて、やはり私は軍事的な備蓄とかいろいろこの日本とはまた事情の違った状況もありましょうが、相当積極的に油の獲得に奔命をしておる傾向が見てとられたという点であります。ですから、相当まあイランの減産分についてはOPEC諸国においても増産をしてカバーをしておりまするものの、どうもこの市場価格がだんだん高くなっていく傾向を見過ごすわけにはまいりません。したがって、これをどう抑制するかという点についていろいろ議論がなされたところでありますが、まあだれが考える知恵もそんなに大差あるものではなくて、やはり節約を徹底すること、代替エネルギーにどう振りかえていくかということをいっときも早く考えること、対策すること、そういった点で一致を見たわけであります。したがって、そういった結論を踏まえてこの東京サミットにおきましても相当な議論が展開をされ、特にサミットと相前後してといいますか、その直前ぐらいの時点でOPECの総会が行われます。また、ここでは当然価格の問題なども議論されるであろうということが言われておるわけでありますが、まあ私どもサミットに向けてどういう対策があるかというようないま意味を含めての御質問でございましたが、あらゆる節約方途について従来議論されました問題を全部一遍リストアップしてみて、片っ端から実行に移せるものは実行に移していくということ、それからOPECもただこの需給だけの立場に立つということではなくて、従来も長期契約分もありますし、これを恣意に任せて勝手にカットをしてくるなどというようなことは自粛を図られるように、サミットの合意においてOPEC諸国に要請をするとか、また話し合いを求めるとか、いろんな議論がきっと出てくるであろう。これはあくまで予想でありますが、そういったことが考えられるように思います。
#14
○小柳勇君 したがって、今度は東京サミットに対する日本政府の取り組みを質問していくわけでありますが、さっきおっしゃいましたIEA閣僚理事会でも、石油が足らないエネルギーが足らないことはまず確認したと、あとしかしこれもまだ不確定です。需給見通しというものはこれから煮詰められるようです。その中で特に今度は代替燃料として石炭利用の拡大委員会などをおつくりになっている。たとえば日本でいま石炭利用拡大といいましても二千万トン体制すら困難ですね。ところが、石炭液化などといいましても莫大な費用を出して一体日本でどこでやるか。恐らくアメリカに加勢するだけでしょう。石炭利用拡大といいましても、わが国として一体じゃ石炭利用をどういう方法があるか。ほとんどもう金はもちろん日・独・米で石炭液化研究すれば出さなきゃならぬでしょうけれども、日本としてはそのおこぼれをただ恩恵を受けるだけではないか、金だけ負担いたしまして。そういうものが前面に出て東京サミットで先進首脳でございますといって会議しても、結局は論議は華々しく出ましょうけれども、わが国として一体将来のエネルギーの需給どうなるかということについては、具体的な問題は出ないと思う。したがって、東京サミットでもちろんエネルギーは重要課題でありますから論議することは必要だと思う。ただ、その場合ドイツは炭田があります。石炭を利用できる。アメリカもアラスカ、カナダ、近くに石炭が可能性があります。日本は輸入しなきゃならぬ、石炭を。そういうのに一緒になって共同声明骨子を中心にしてこれからエネルギー拡大利用やりますと、文章では理解できますけれども、われわれ専門的なこの委員会では簡単に納得できないのです。そういう腹を入れてサミットには政府は出てもらわぬと困ると思う。この商工委員会がそういう目で東京サミットを見ているということは、十分に通産大臣は腹に入れていかなきゃ困ると思うんですが、いかがですか。
#15
○国務大臣(江崎真澄君) 御指摘の点はもっともな御指摘だと私も同感でございます。特に今度のIEAにおきましても、同じ石炭への転換と申しましても、わが国は御承知のように炭質も良好とは言えません。それから非常にコスト高であります。したがって、いまおっしゃるように外国にやはり協力を仰がなければなりません。したがって、石炭転換の前提としては、アメリカ、カナダ、オーストラリア、こういった国々に全面的に協力を要請をしておいたわけであります。これらの要請は当然受け入れられたわけでありまするが、油が石炭に変わるというだけで、輸入するという現実はちっとも変わらない。ここには大きなやはりエネルギー源不足の国情というものがあることは私も十分わかるわけであります。石炭の液化につきましては、御承知のような形でこの油の値段がどんどん暴騰してまいりますと、やはり一九八〇年代半ばまでと言わないまでも、どこかで液化技術が進んで、液化されるコストとそしてまた原油のコストとがほぼ等しくなってくる、これをどう早めるか、どう接近させるかということがやっぱり技術の進歩にかける努力であろうというふうに思います。まあ、そういう意味では先ごろ大平首相がカーター大統領を訪問いたしまして、この石炭の液化を中心に技術開発をすることの協力協定を締結しましたことは、やはりこの代替エネルギーの促進に一石を投じたものというふうに私どもは評価をしておるわけでありますが、今後とも旺盛にこういった技術開発と取り組みまして、エネルギー不足の事態に備えていきたいというふうに考えております。
#16
○小柳勇君 まあ、液化を研究しなきゃなりませんけども、いま試算いたしましても二十ドル石油に比べても二倍ぐらいの費用がかかると言われている、石炭液化には。もう聞きません、質問通告していませんから。私の方でずっと試算したものを持っています。だから、簡単に液化いたしますから石炭利用拡大いたしますだけでは、言葉はきれいですけれども実用化できないのです。チュメニ油田のあのガスの開発につきましても日・英・米でやろうとしておったけれども音さたありませんが、その後どうなりました。
#17
○政府委員(天谷直弘君) チュメニ油田の開発に関しましては、経済的に見ましても非常な寒冷地でありますし、輸送距離がきわめて長い距離にわたることもございますし、パイプで運ぶのかシベリア鉄道によるのかという問題等、経済面の問題があるのみならず、さらに国際政治面におきまして非常に複雑な問題をはらむというようなこともございまして、この計画はその後余り進展をしておらないようでございます。
#18
○小柳勇君 コストの面から言いましたら、石油を一とすれば、コンマ八ぐらいでできるのではないかと言われています。着渡しで。だから、政治的ないろいろ配慮はありますから、私どもは主張してきましたけれども、日本では会社がやりますし、ソ連では公社、アメリカも民間ということで、なかなかうまくいかぬのでしょう。ただ、長い国際的なエネルギーを考える場合には、この東京サミットの先進首脳国、しかも自由主義社会だけで国際的にエネルギー危機でありますと大きく太鼓をたたいていくことについては、もう少し慎重にしてもらいたいということを言いたいわけでありますが、外務省から見えておりますね。
 中東の原油の可採埋蔵量をどのくらいに推定しておられるかということと、イラン及びサウジアラビアの今後の原油の供給見通しについての見解を聞いておきます。
#19
○説明員(渡辺陽一君) まず、中東の石油の今後の供給能力と、それから実際にどういう石油供給政策を中東がとるかという点に非常に大きな関心がいま集まっておりまして、先般のIEAの閣僚理事会の席でもこの点が議論されたわけでございます。
 一応ことし、サウジでございますけれども、八百五十万バレルの生産シーリングは大体サウジは維持するであろうというふうに見込まれております。それからイランでございますけれども、イランは、いま三百五十万から四百万バレル程度の生産をしておりますが、大体三百五十万バレル程度の生産は続けるであろうというふうに見られております。
 ただ問題は、特にエジプト・イスラエル和平協定成立後の中東諸国の状況でございますが、従来穏健派の立場にございましたサウジでございまして、サウジは御承知のように最大の石油産出国かつ輸出国でございますが、このサウジの動向が今後の特に自由圏の石油供給面でのかぎを握っておるわけでございますけれども、そのサウジが特にアラブ・イスラエル和平協定後の中東諸国の動きの中で非常に微妙な動きをしてございます。したがいまして、この中で、先ほど御指摘のございましたように、今後自由圏として産油国との関係をどのようにとらえていくかという点で、サウジとの関係が非常に微妙でございまして、IEAといたしましても、絶えず産油国からの対話ないし協力の呼びかけに対しては、常に門戸を開いておるという点が今度コンセンサスが得られまして、閣僚理事会のコミュニケの中にもこの点がうたわれたわけでございます。
#20
○小柳勇君 いままでずっと、私が冒頭からいま通産大臣に質問したでしょう。国際的なエネルギーを論ずるには、IEA閣僚理事会あるいは東京サミットだけでは本当の論議はできないのではないか。言わんとするところは、石油可採埋蔵量がうんとあるとするならば、たとえば八五年石油危機説などはつくられたもので、政治的にいろいろ配慮されておるのではないか。したがって日本としては、原油がない国ですから、もう少し中東諸国、OPEC諸国などと外交的に円満な方向をとりながら、石油をまだ相当中心とするエネルギー体制、そういうものを方向づけして日本の外交を進めるべきではないか。そういう意味で、外務省は中東だけでもどのくらい可採埋蔵量があるととらえておりますか、その上でイランの供給体制、サウジアラビアの供給体制をどうとらえていますかと、そう質問しているわけです。
#21
○説明員(渡辺陽一君) 先生の御指摘の点でございますが、先般の閣僚理事会で外務大臣が演説をいたしましたが、その中の一つの中心点でございますけれども、これは結局、現在特にIEAの諸国、米国、それからヨーロッパもそうでございますけれども、中東産油国との対話の問題については非常に慎重なアプローチが必要であるというのが米国、ヨーロッパの考え方でございます。
 その中にありまして、わが国は今後、何と言いましても、石油がなお相当の期間エネルギー供給の大宗を占めるという状況でございますので、この点に着目いたしまして、特に外務大臣の演説の中で、中東産油国との協力が今後の世界のエネルギー需給バランスにとって最も重要な点であるということを非常に強調いたしまして、この点がコミュニケの作成段階でも非常に問題になりまして、結局最終的にはコミュニケの中に中東産油国との協力が重要であるということがうたわれた次第であります。
#22
○小柳勇君 外務省は、外務大臣の演説があったそうですから、次の機会に外務大臣に来てもらいます。
 資源エネルギー庁からもどうぞ、いまの問題について。
#23
○政府委員(天谷直弘君) ちょっと数字だけ補足させていただきます。
 究極埋蔵量が全世界で二兆バレルでございますが、確認埋蔵量にいたしますと六千六百億バレルで、そのうち中東保存分がおおむね五六%という程度に見られております。ただ問題は、確認埋蔵量も重要でございますが、確認埋蔵量を掘り出す設備をどれくらいして、どれくらい掘り出す体制にあるかということでございまして、サウジアラビアにつきましては、数年前まではサウジアラビアは二千万バレルまで、あるいはそれ以上生産を拡大することが可能であるというのが大方の見方でございましたが、それが七七年十月のIEA閣僚会議におきましては千六百万バレルくらいまで落としたわけでございます。ところが、最近になりますと、さらにこれが落ちまして千百万バレル、一九八五年になりましてもサウジアラビアはせいぜい千百万から千二百万であるというのがIEAの見万でございます。
 なぜそういうことになったのかと言いますと、一つは、サウジアラビアが新規油田の開発のための設備投資をやっていない。設備投資をやらなければどうしても生産能力がふえませんから、だんだん数字が落ちてくるということでございます。
 なぜ設備投資をしたいのかということでありますが、サウジアラビアとしましては、そんなに油を売ってお金を欲しくないと。サウジアラビアの中の民族派と言われる人々によりますと、サウジアラビアは五百万バレルくらい売ればそれで十分である、あとは子孫のために地面の下に入れておくのが一番いい方法であるという意見がサウジの中で次第に強くなりつつある。そういうことでサウジアラビアの将来の生産能力に関する見通しが、二千万から千六百万になり、千百万になってきておる。これが一九八〇年ごろ来ると言われる石油危機、時間がございませんからもう省略いたしますが、いろんなあれがございますが、非常に大きな原因はサウジアラビアの生産能力に関する見通しが逐次弱気になってきているということでございます。
#24
○小柳勇君 そこで、中東諸国に対する投資の増大のための外交折衝、日本と中東諸国とのパイプを大きく長く結ぶ必要があると。そういう面はただこれは技術的な問題ではなくて、外交的に、あるいは国際貿易的に処理していかざるを得ないであろうと。したがって、いま雑誌、新聞などで論じておりますように、たとえばイランあるいはサウジなどから日本の石油資本に投資させるとか、いろいろありましょう。いま東京サミットで準備する体制、いわゆるエネルギーの面からいきますと、どうも対立感、OPECに対立して、とにかくこちらの方はエネルギー消費を節約をして、消費を減らしてひとつ対抗していこう、向こうの供給体制に対して対決しょうという面がどうも表面に出ている、よけい出ていると考えるわけです。そういうものを日本としては東京サミットに対しては責任がありますけれども、日本自体から見れば余りプラスではないではないか。言うならもう発展途上国など油のないところと一緒になって、OPECともっと密接な連携をとりながら国際貿易の面でも石油売買の面でももっとサミットで集まる諸国以上の配慮が必要ではないかと、そういう気持ちがしているわけです、私は。直接会議に行ってませんから、いろんな情報での判断です。
 この二、三カ月のうちに急にこれだけ東京サミットを中心にしてエネルギーがだっと浮上しました。そこにも国際的ないろいろ政治的な配慮があるような気がしてならぬのです。そういう面は、日本は独自に資源のない国であるし、特に配慮が必要であると思いますが、エネルギー庁長官からの意見を聞いておきます。
 なお、外務省に対する質問は保留いたします。
#25
○国務大臣(江崎真澄君) ちょっと先に私申し上げますが、外務大臣はどうぞお呼びくださることは結構でございますが、いろいろIEAに出るに先立ちまして、先ほど課長が申しましたように、やはりわが国としてはいまお話のありましたように、この産油国と非産油国といいますか、われわれ消費国側との対話が必要である。こういう見解に立ちまして、アメリカなどは時期尚早であるという強い論者でありましたが、外務大臣ははっきりそのことについて触れておるわけであります。これは私から念のために申し上げておきたいというふうに思います。そして今後とも経済協力などを通じながらやはり産消対話は続けるべきであるという論拠に立って、意見表明をいたしたわけでございます。
#26
○政府委員(天谷直弘君) この二カ月くらいの間にエネルギーに関する危機感が急激に盛り上がったのは、何か仕組まれた陰謀ではないかという趣旨の御質問ではなかろうかと思いますが、私どもはその陰謀が仕組まれているかどうかという高等なことはちょっとわかりませんので、意見を申し上げる立場にはないわけでございます。
 私どもが見たり聞いたりしている範囲で申し上げますと、この二カ月間に危機感が盛り上がった最大の理由は二つくらいあると思いますが、一つは、サウジアラビアの将来の石油生産能力に関しまして、先ほど申し上げたとおり弱気と申しますか、が非常に強くなったというのが第一点でございます。
 それから第二点は、それと関連がございますが、石油のスポットマーケットが狂乱の状況を呈しておるということでございます。三月の初めごろ石油のスポットマーケット価格はおおむね二十二、三ドルというところでございまして、ところが、イランが石油輸出を再開し、IEAが五%節約を決めたことによりまして、スポットマーケットは軟化の気配を示しておったのでございますが、それが非常にわずかな期間で終わりまして、それ以後石油のスポットマーケットは三月の末くらいからウナギ登りの状況を示し始めた。現在は三十四、五ドルという驚くべき価格になっておるわけでございます。石油のOPECによる公式販売価格は御承知のとおり十四ドル五十セントでありますが、スポット価格は三十五ドルというような驚嘆すべき価格にまで上がってしまった。これはいても立ってもおられない値段でございますから、にわかにエネルギーに関する危機感が高まってきたということだろうと思います。
 それから、IEAが何か節約は産油国に対する対抗手段といいますか、カルテル的な行動で余りよくないのではないかというような御意見もあったやに考えますけれども、これは節約はむしろOPECの方がやれと言っておることでございます。OPECの言い分によりますと、現在のように世界の石油価格が上がっておるのはOPECの責任ではない、OPECは油をちゃんと出しておる。ところが、消費国の方で消費節約をちっともやらなくてじゃぶじゃぶ油を使うから、油が高くなって値段が上がってしまうのだと。ヤマニもオタイバも言っておることでございますが、消費国がまずやるべきことは、まじめに節約をすることだというのが産油国の言い分でもございますし、この言い分はまことにもっともな言い分であるとわれわれも考えておりますので、IEAにおきまして五%の節約をやろうと、こういうような取り決めになったわけでございます。
#27
○小柳勇君 さっきの長官の可採埋蔵量の見解なども、他の研究機関などの情報を私持っています。だから、いま確実にこの国会などで発表できる数字を長官言っておられると思うのです。ただ、それもOPECの諸君を呼んで、あるいは十分に探査なり採掘の方法なりを検討した上でやれば、二兆バレルぐらいあるんではないかという意見すらある。したがって、もう大体の可採埋蔵量、確認埋蔵量についてはわかりましたけれども、可採埋蔵量についてはまだすぐ限界にきてないんだという大きな前提も必要ではないかと思うのです。その上で中東諸国を大事にしながら、でき得れば日本から行って採掘に加勢するとか、探査に加勢するとか、一緒になって発掘をするぐらいのことも考えてもらいたい、これは期待でありますけれども。
 そこで、あと、このようにIEAも需給計画を見直すようにしておるようでありますが、六月か七月に、いつになるかわかりませんが、大体いつごろになりますか、この自由世界のエネルギー需給見通しが公表できるのは。
#28
○政府委員(天谷直弘君) その時期につきましては、いま私、申し上げる立場にはございませんが、IEAの事務局が六、七月くらいまでに何かペーパーをまとめるということになって、多分そのペーパーをたたき台としていろいろ議論をするということになるのではないかというふうに考えております。
#29
○小柳勇君 先般のUNCTADからずっとこちらへ、サミットの準備会議などでも資料は相当出しておられるそうだけれども、通産省も外務省も一切秘密にしてやっておられるようですが、重要な法律を論議する場ですから、この委員会は。なるべく最小限度に秘密扱いにしておいて、大体このような数字で日本はいま進んでまいりますとか、もう少し率直な行政のあり方が必要だと思うんですけれども、たとえば調査室とか、あるいは他の方からも私が資料を要請しましても、いまとても東京サミットまでは資料もらえませんという情勢ですが、そういう情勢ですか。
#30
○国務大臣(江崎真澄君) よく私その実情に触れておりませんが、なるべく資料は提供するように申し伝えたいと思います。
#31
○小柳勇君 論議するときは、行政が持っておられる資料を中心にしながら、ほかの参考資料を突き合わせて論議すると前向きの論議ができるわけです。したがって、そういうふうにいま大臣おっしゃいましたから、今後ともそうしてもらいたいと思います。
 そこで、経済企画庁に質問いたしますが、国際的にもエネルギーの見直しですし、日本でも当然長期エネルギー需給暫定見通しは早急に修正しなきゃならぬと思うが、いつごろできますか。
#32
○政府委員(喜多村治雄君) 需給見通しの方は私の方の所管ではございませんので、経済計画がいまどういう状態にあるかを申し述べます。
 新経済社会七カ年計画の策定作業は目下非常に急ピッチで進められておりまして、本年の一月に非常に大枠でありましたが基本構想を発表いたしまして以来、各方面の意見を十分参考にしながらいまその詰めの作業を行っておる状態でございます。その過程におきましては、当然先生の御指摘のありますエネルギー制約の問題というものは非常に重要な問題でございますので、これは私たちの方の勉強もいたしておりますけれども、政府一体となってつくります関係から、その方の専門的官庁でございます通産省の御協力なども得ながら、これから詰めていくという段階でございます。
#33
○小柳勇君 エネルギー需給見通しを言ってください。
#34
○政府委員(天谷直弘君) エネルギー需給暫定見通しに関しましては、総量に関しましてはあそこに書いてある線から必ずしもそんなに大きくふえてはいないと思いますけれども、個々に見てみますと、たとえば原子力であるとか、こういうものにつきましては計画どおりは進んでいないというような状況にございます。あるいは石炭、天然ガス等につきましてはあそこに書いてあるよりももっと本当は数字を大きくするという努力をしなければいけないと思いますし、あるいは大きくなる可能性もあるというふうに考えております。それから、石油に関しましては、あの当時考えておりましたよりも石油の状況が厳しくなってまいりまして、石油の調達可能量につきましてはもっと厳しく考えた方がいいのではないかという考え方もございます。そういうわけで、あの見通しにつきましては早晩検討を要するというふうに考えておりますけれども、まだ国際情勢非常に流動的でございまして、たとえば二千六百万バレルのIEAの輸入目標にいたしましても、これから検討するということになっており、一九九〇年につきましてはIEAとして新たに輸入目標を設定してそれの検討をすると、こういうことも言っておりますことでもありますし、諸般の情勢がもう少し落ちつくのを見守りながら、しかし早晩この再検討はしなければいけないと、こういうふうに考えております。
#35
○小柳勇君 なかなかこれだけ国際的にはもう需給関係見直すことを宣言しておりながら、日本ではまだこれでそのまま押し通そうとされるから、エネルギー庁長官の深い読みだと思いますけれども、これじゃやっていけないでしょう。もう経済企画庁の方は、経済企画についても修正するとは言われなかったけれども、見直し作業に入っておるようでありますけれども、こういうものがやっぱり民間企業の設備投資の基礎になるんじゃないですか、皆さんが今度はどのくらいにやったなあということが。でないと民間投資も伸びません。したがって、もう少し腹を割って、需給見通しについては毎年変えたっていいじゃないでしょうか、調査会に諮問されて。そのくらいの機動性のある動きをしてもらいたいと思いますが、大臣いかがですか。
#36
○国務大臣(江崎真澄君) 現実に即して見直しを随時することは、私も大切なことだと思います。ただ、現在出しておりまするものも、これはやはり相当な時間と労力をかけていろんな統計に基づいて出した見通しでありまするので、一つのよりどころとしてはやはりいまにわかに変えるというものではないと思いますが、こういった局面を迎えた以上やはり検討を加えていく努力、これはもう絶えず必要なことであるというふうに考えます。
#37
○小柳勇君 先般のIEA理事会で勧告が出されておりますが、その中で、太陽熱利用住宅への助成、ガソリン税の道路建設のみならずエネルギー政策への使用、燃料費による累進的自動車税の導入なども指摘されておる。これは一体政府はどう取り組んでおるかということでありますが、まずガソリン税の見直しについて大蔵省の見解を聞きたいと思うんですが。
#38
○説明員(塚越則男君) お答え申し上げます。
 道路整備事業でございますが、市町村道から高速自動車国道までの道路につきまして全国道至るところで実施されておりまして、いずれも国民生活の充実に密接な関係を持っておる事業でございます。しかし、この事業はいまだ十分進んでおるとは申せない状況でございまして、このような現状から、道路整備事業に対しましてはなお多額の一般財源の投入を必要とする事態にございます。つまり特定財源があるから道路事業をやっているというのではなくて、むしろ道路整備の現状から見ましてなお多額の一般財源の投入を必要とする事態にあるわけでございます。したがいまして、揮発油税等を道路特定財源とすることにつきましては、現状ではそれなりの意味があるところでございまして、当面は現在の制度を変更することは考えておらないわけでございます。
#39
○小柳勇君 それじゃ、これだけの勧告が出ているのに日本政府としては無視するの。そんな答弁は納得できない、それは。
#40
○説明員(塚越則男君) 御指摘でございますが、現在の日本の道路整備の現状から見まして、やはり一般財源の投入を必要とするような事態でございますので、当面は揮発油税等を特定財源としておくことに意味があるということを申し上げておるわけでございます。
#41
○小柳勇君 じゃ、いまエネルギー関係の税収、五十四年度の税収が道路に何%かあるいはエネルギー関係に何%か教えてください。
#42
○説明員(塚越則男君) いま手元にちょっと資料を持ち合わせておりませんけれども、揮発油税関係では五十四年度は一兆四千八百八億でございます。
#43
○小柳勇君 具体的に質問通告してなかったから、あなたも調べてないかもしれぬけれども、五十四年度で二兆八千四百十五億円、エネルギー関係の税収です。その中で国及び地方の道路整備に使っている金が二兆一千五百五十八億円、七六%です。エネルギー関係では三千七百億円、一四%です。こういうものだから、IEAだってこれを閣僚理事会で勧告したんでしょう、日本に。大蔵省ではそれは全然いまのまま考えなければ、今度は東京サミットでもそれは問題でしょうね。主計官だから答弁できなければ大蔵大臣に来てもらいますが、どうですか。
#44
○説明員(塚越則男君) ただいまのお話でございますが、道路関係の予算の額を特定財源があるゆえにふくらませているわけではございませんので、実際問題として道路整備の必要性があるということでございますので、その点はその特定財源とするかどうかという区分の問題にすぎないというふうに考えております。
#45
○小柳勇君 そんな講義聞かぬでもいいですよ。いまこれ前向きに、それで新たなエネルギー開発をどうするかという、次に新エネルギー開発の問題に移るためには財源が必要だから、いま大蔵省の見解を聞いておかなければ後に進まぬでしょう、話が。
 大蔵省の質問はこれ保留します。
 次に、新エネルギーの開発についてはいかがですか、通産大臣。
#46
○国務大臣(江崎真澄君) やはり私どもも新しいエネルギー開発のためには、相当な財源を必要とするというふうに思います。
 それから、いま大蔵省側がああいう答弁をしておりましたが、これはやはり現在の法律に基づいてガソリン税がどう使われておるかという額について申したわけでございまして、もともとガソリン税を道路財源に充当するというのは、御承知のように、私どもも含めて実は議員立法でいたした経緯がございます。したがって、道路財源に今後とも使うのがいいのかどうかなのか、これは新エネルギー財源として用いるかどうかという点は、私は改めて本当に国会の段階でよほど詰めていただく必要があるのではなかろうかというふうに考えます。したがって、新エネルギー開発のための新たな財源をどうするかという点については、きのうの参議院の本会議でも御質問に答えまして私申し上げたわけでありまするが、このままの情勢で依然としてガソリン税等は道路財源に用いるということが継続されるということになりますると、財源事情困難の折から、いわゆる受益者負担というような意味を含めて新たな税制措置もとっていかなければならないような局面になるのではないかというふうにも思えるわけでありまして、これらについては今後の検討課題としていま目下エネルギー庁においても慎重に検討をしておるところであります。
#47
○小柳勇君 財源の問題もそうでありますが、節約もそうですけれども、石油にかわる新しいエネルギーを開発するという声も盛んでありますが、もう再三聞いておりますから、その具体的な一つとして、先般長崎にタンカー備蓄を見に行きました帰りに佐賀大学に寄りまして、海洋温度差発電というのをいま実験しているのを見てまいりました。したがいまして、まだこれからの実験、しかしもう実際学校の実験では終わりまして、後、今度は永良部島などに行きまして実験したいと言っているようだし、六月にはアメリカで海洋温度差発電技術開発調査団、六月十日からアメリカでやるようでありますが、このようなことで地方大学などでも新しいエネルギー開発について情熱を込めてやっておられるようですが、文部省にも改めてまた来てもらっていろいろ意見聞きますが、通産省としてもエネルギー庁としてもこういう大学やあるいは民間人などの研究にも助成をふやしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうかね。
#48
○政府委員(天谷直弘君) 海洋は海洋温度差発電、それから潮汐発電、波力発電等々非常に無限のエネルギーを秘めておりますので、これを利用していくということは海洋国日本にとりまして非常に大切なことであるというふうに考えております。いまおっしゃいました佐賀大学における海洋温度差発電につきましては、詳細は存じておりませんけれども、これは工業技術院のサンシャイン計画においてこういうものは注目しているはずであるというふうに思いますので、工業技術院とよく連絡をとりながらこういうものの助成ということについて考えていきたいというふうに思います。
#49
○小柳勇君 ここのエネルギー小委員会でも一回これを見学したいと思っていますが、こういうものはほかにもいろいろあると思います。したがって、民間人の研究熱を奮起するためにも今後御配慮願いたいと思います。
 それから、運輸大臣が先般省エネルギーの立場から交通機関の見直しということも言っておられたし、総合交通体系の中でもそのようなことを言っておるのでありますが、運輸省から、省エネルギーの立場から総合交通体系の確立についてどのように具体的に動いておるか、抽象的なことは大体知っていますから、具体的なものについて説明を求めます。
#50
○説明員(林淳司君) お答え申し上げます。
 総合交通体系につきましては、先生御承知のとおり昭和四十六年に政府として決定されておるわけでございますが、その後の情勢変化ということで、先般運輸大臣が閣議でもこの見直しの必要性ということを述べられました。その後経済企画庁の方といろいろ御相談を申し上げて、先般経済企画庁の方から文書をいただいたわけでございます。その要点は、昭和四十六年の総合交通体系、これについて修正すべき個所があるかどうかと、そのもし修正すべき個所があるとするならばどういう点であるかというふうなことでございますけれども、私どもといたしましてはそういう経済企画庁からの照会を受けまして、現在検討に着手をしておるという段階でございます。具体的にという先生の御指摘でございますが、現在検討に着手したばかりでございまして、私どもやはり主として見直すべき主要点というのは、現在問題になっておりますエネルギー問題というものを中心に物を考えていく必要があろう。昭和四十六年の事態と現在ではエネルギー問題については非常に大きな情勢の変化がございます。こういうことを踏まえましてやはり公共輸送というものがきわめて重要性を増しておるわけでございまして、そういう公共輸送というものをいかに活用し、これを維持、整備していくかという点を重点的に考えてまいりたいと、こういうふうに考えております。
#51
○小柳勇君 旅客輸送ではエネルギーの消費が自家用車に対して鉄道の八倍である、貨物では十倍というようなことで報告もなされておりますから、その点も十分にひとつ早急に進めてもらいたいと思います。
 最後の問題でありますが、エネルギー庁長官に質問しますけれども、この間福岡のトラック協会から電話がありまして、もう軽油を三割削減の通達が来た、もう運送ができないがどうかと、そんなことを通産省やっておられるでしょうかと、こう言ってきたんですが、そういう事実があるかどうかということを伺います。
#52
○政府委員(天谷直弘君) 先生御承知のとおり中間三品、灯油、軽油、A重油、この三つにつきましては需要が非常に旺盛でございます。ところが、原油の方は重質化が進んでおりまして、そういう軽いものの含有分の少ない油がだんだんふえてきておる。特に軽油につきましては過積み規制の問題がございまして、軽油の需要量が急速に伸びておる。これに対しまして原油の方は重質油がふえており、それから一−六月で見ますと、原油の輸入量は対前年同期で比べまして微減というような感じでございます。ですから、原油の輸入量は微減しておるのに対しまして、中間三品の需要は大ざっぱに言いまして四、五%くらいの勢いで伸びておると、こういうことでございますから、需給は非常に厳しくなっております。軽油だけじゃなくて、たとえばA重油等も、漁船が遠洋漁業に出かけていくのにA重油が足りなくて困るというようなことで、われわれはしばしば陳情なり抗議なりを受けておるわけでございます。これはやはり全体として需給が非常に厳しくなっている上に、過積み規制の問題というものが響いておるのでそういうことになっているわけでございますが、できるだけ需要側の方でもそういう状況を御理解いただきまして、自制した行動をとっていただく。それから、売る方でも前年度の実績等を需要者ごとによく調べまして、実需に対してはできるだけ見合うような供給をするということで心がけていくということが大切であろうというふうに考えております。
#53
○小柳勇君 最後にいたしますが、法案の内容については入りませんでしたが、後、吉田委員から質問いたしますが、建設省からも、見えておりましたら。ビルの管理など、持に最近そういう研究会などがあるようでありますが、省エネルギーの問題は、こういう通達よりむしろ具体的な民間のエネルギーセンターなどを中心に、民間の方の活動を中心にすべきだと思いますが、省エネルギー研究会などに対する建設省の指導方針。
#54
○政府委員(吉田公二君) 住宅その他建築関係の省エネルギーの問題につきまして、比較的他の部門に比べまして考え方として取り組んでまいりましたのが遅いわけでございますが、今後については民間の知恵もかりまして十分に対処してまいりたいと思っております。
#55
○小柳勇君 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
#56
○吉田正雄君 私は、約二年間科学技術振興対策特別委員会でこのエネルギー問題にも触れましていろいろ論議をやってまいりました。しかし、科学技術振興対策特別委員会における論議というのは、どちらかというと原子力が中心でありまして、エネルギー全般についての論議が十分行われなかったという点では隔靴掻痒の感を免れなかったわけです。幸い商工委員会に今度所属をすることになりましたので、これからこのエネルギー問題について、いろいろ先生方からも教えていただきながら、問題の解決に努力をしてまいりたいというふうに思っておるわけです。
 先ほど来の論議で私が一番感じましたのは、エネルギー危機というものについてのとらえ方というものが非常に違っておるという点で論議がかみ合わないと思うんです。私は、きのうの原子炉等規制法の総理大臣に対する質疑の中でも申し上げましたけれども、危機の原因というものを中東の政治情勢であるとか、あるいはOPEC諸国の価格引き上げや生産の抑制ということに求めるというのは、私はこれはエネルギー危機の本質的な問題解決につながらない、先ほど小柳先生がおっしゃいましたように、そういう面から見ますときわめて政治的な陰謀とか策略と言われても仕方がないんじゃないかという感じがいたしてならないわけです。しかし、石油を初めとする化石燃料というものが有限であるということもこれはまあ確かなわけですね。ところが、有限だと言いながら確認埋蔵量とそれから究極的な可採量ということになってまいりますというと、各研究所の資料や同じメジャーの内部でも非常に数字が違ってまいるわけです。きょうは時間がありませんので、その点についても実は若干質疑をいたしたかったわけでありますが、質疑の通告もしてありませんから、資料提出だけをひとつお願いをしておきたいと思うんです。
 いずれ通産省では、先般の新聞発表ではありませんが、何か三つとか四つのエネルギー法案というものを用意をして、次期国会に提案をしたいというふうなことが報道されておりました。それに向けて本格的な論議と問題の正しい解決をするためには、同じ条件といいますか資料というものが違っておったんでは、これは論議かみ合わないわけですから、そういう点で資料の提出をお願いをいたしたいと思いますが、次のようなものをお願いしたいと思うんですね。
 石油の需給状況なんですけれども、とりわけ埋蔵量について一口に究極可採量が二兆バレルくらいだろうと、現在の確認埋蔵量が六千六百億バレルだというふうなことが言われておりますけれども、資料の出所というものを明確にして、通産省はどの資料に基づいて判断をされておるのかという、そのことを明らかにしてもらいたいと思うんです。単に六千六百億バレルだとか二兆バレルと言ってみてもどこに根拠があるのかわかりませんから、そういう点で出所、資料というものを明らかにしてもらいたいということです。
 それから、私がいままで調べた中では、メキシコ、北海、アラスカ、中国、それからインドシナ半島等の埋蔵量について必ずしも明確にされておらないわけです。二兆バレルという中には、私がいま指摘をしたあたりの埋蔵量というものが含まれていないんじゃないかというふうなことも言われておるわけですね。そういう点で現行入手し得る限りの資料というものをひとつ整えていただきたいということです。
 それから、これは法案にも関係をしてまいりますが、私はこのエネルギー危機というものを解決をしていくという場合、いま言ったような埋蔵量というものを明確にしていくということもきわめて重要でありますと同時に、先ほども申し上げましたように、限られた化石燃料というものを一体だれが消費をしておるのかという点を抜きにしてエネルギー問題の解決はあり得ないと思うんですよ。皆さん方通産省が発表された資料に基づきましても、一九七六年の一人当たりのエネルギー消費量というものを見ますと、アメリカを一〇〇とした場合、イギリス、フランス、西ドイツ、ベルギー、オランダ、イタリーの六カ国平均が四五です。それからヨーロッパ計画経済諸国、いわゆる社会主義諸国になるわけですが、ここが四五です。それからイラン、イラク、サウジアラビアの産油三国が平均一二なんですね。それからアフリカ諸国に至っては三・四です。それから中国が六、インド一・八、インドネシア一・六、日本が三一・八と、こういうぐあいになっておって、一体石油が足りない足りないと言うけれども、だれが大量に消費をしているのかということと、その消費というものが絶対やむを得ないのかどうなのか、そこにはむだがないのかという、そういうものを含めた全体的な検討というものがなされずして、単にエネルギー危機ということで大騒ぎをしてみてもこれは問題の解決にはならぬわけですね。そういう点で私は今日のエネルギー危機というものをイランの革命のせいにしたり、サウジアラビアの産油量が思ったよりも抑制をされているというところに非難の矢を向けるというのは私は当て外れだと思うんですね、的を射ていないと思うんです。まさに主客転倒だと思うんですね。そういう点で私は遅まきながら、今度通産省がこの省エネルギー法案というものを提出されたことについては、時期が遅くなったとは言いながらこれは当を得た法案であるというふうに思っているわけなんです。その取り組みの姿勢については敬意を表する次第なんですが、ただこの内容を見ますと、どちらかといえば精神訓示規定的な法案ではないかと思うわけです。具体的に各分野における省エネルギーの目標とかそういうものが定めてないわけなんですね。そういう点で、仏つくって魂入れずといいましょうか、画竜点睛を欠くうらみなきにしもあらずというふうに思っておるわけです。まあ、いずれその点は皆さん方の方でも十分承知をしておられることと思いますので、次の国会に向けて本格的な省エネルギー法案の提出というものを要望いたしたいというふうに思います。
 そこで、いまさっき第一点の資料を申し上げましたが、第二の資料といたしまして、エネルギー消費の実情が、通産省から出されております資料集の中ではまだ内容が十分詳細ではありません。たとえば皆さんの出された資料では、製造業部門であるとか運輸部門あるいは民生用というふうな非常に大まかな分野別になっておりますけれども、これでは論議をするにはいささか資料としてきわめて不十分であります。そこで、たとえば民生用といっても家庭用が幾らなのか、それからいわゆる中小企業等の商店がどれだけなのか、官公庁がどれだけなのか、病院がどれだけなのか、資料をつくられる場合には当然そういうふうにずうっとバックデータというものがあるわけですから、もうちょっと詳細な資料というものをつくっていただきたいと思うわけです。特に電力については、電力会社別にいま言った各部門分野別の消費がわかるようにひとつ資料をつくっていただきたいと思うんです。
 この点よろしゅうございましょうか。
#57
○政府委員(天谷直弘君) 二点御質問がございましたが、最初の埋蔵量関係のデータでございますけれども、これは非常に正直に申し上げまして日本ではオリジナルなデータはないわけであります。これは、世界の石油生産の大部分はメジャーが握っておりましたし、現在では産油国が握っております。産油国もメジャーもいわゆる本当のデータを公開するということは極力避けておる。たとえばこの間アメリカ議会がサウジアラビア等に関するデータを一部公表いたしましたけれども、これにつきましては、その公表に関しましてサウジとアメリカとの間で大変な争いがあったというふうに言われております。
 いずれにしましても、それは産油国は最高機密にしておりますし、メジャー自体も、そういうものについてそれを社外に漏らすということはまず原則としてないわけであります。現在の二兆バレルとか六千六百億バレルと言われておりますのは、これはモービルのムーディーという人がある国際会議か何かで発表した数字でございますが、そういうようなものは若干出ておる。そういうものをベースにしていろいろと推論しておるということでございますが、いずれにいたしましても、入手でき得る限りのデータについては御報告を申し上げたいと思います。
 それから第二の統計でございますけれども、これにつきましては、そもそもそういう、病院が幾ら官公庁が幾らというふうに、そういうふうな統計のベースがあるかどうか、コンピューターのプログラムがどうなっておるか、それは強いて電力会社に命じまして需要家の職業別に全部統計を出せと言えばあるいはできないことはないかもしれませんが、現在はそういうことをやっていないと思っております。したがいまして、いま私、技術的にどこまで御報告できるかここではお答えできませんので、よく調べまして、どの範囲で一体統計の作成が可能であるのかということを調べた上で、できる限りのことを御報告申し上げるということにいたしたいと思います。
#58
○吉田正雄君 長官にぜひお願いをいたしたいと思いますのは、いよいよこれから夏に入って各家庭で冷房が行われるということと、さらに七月からは各全国地域で例の高校野球が始まって夏の甲子園大会になるんです。そうすると、必ず電力危機というものを家庭のテレビ、家庭の冷房に主要な原因というものを求めていくという、こういうことが行われているわけですよね。ですから、家庭でどれだけ使っているのか、家庭で冷房入れたらどれだけ電力需要がふえるのかということは電力会社はわかっているはずですよね。わからない、そんなずさんな企業経営はないわけですしね。また、世界に誇る日本の官庁統計なんですよ。そんなものがわからないとは私はどうも言わせておくわけにはいかないと思うので、やる気になればその程度の調査はそんなにむずかしい調査じゃないんですよね。そういうことで、その資料はぜひつくっていただきたいと思うんです。そうでなかったら省エネルギーの論議はできませんよ。一体どの分野でどういうふうな消費が行われていることがわからずして、何を省エネルギーを計画をしていくのかということになるわけですから、そういう点ではもう少し詳細な資料というものをひとつぜひつくって、これは国会で論議をするためにも必要ですので、ひとつ私個人ということでなくて、これは委員会にぜひ提出をしていただきたいと思うんですが、これ大臣いかがですか。
#59
○国務大臣(江崎真澄君) いまでも五十二年程度の消費の実態については手元に資料もありますが、もう少し詳しくという意味のようでありまするので、できる限りまとめまして御期待に沿えるようにしたいと思います。
#60
○吉田正雄君 それではきょうは、実はこの法案についても一々細かくお聞きをすればよろしいと思うんですが、冒頭に申し上げましたようにとにかく精神訓示規定的な内容であって、どうも余り具体的に聞いても具体的なものが出てきそうにもないという感じがいたします。そうかと言って全然聞かないということにもならぬと思いますから、幾つかの点でお聞きをして、その後、五月の七、八日とこの商工委員会として橘湾の石油備蓄タンカー、石油備蓄基地というものを見学をしてまいりましたので、その点で若干また質問をいたしたいと思います。
 まず、この法案に触れて若干お尋ねをいたしますが、省エネルギーの取り組みについてでありますが、新聞等では五%節約というふうなことが盛んに論議をされて、それが一体どの程度実効が上がっているのかよくわかりませんけれども、エネルギー消費のうち有効利用というものが一体何%くらいになっておるのか、各部門別では一体どの程度になっておるのかという点についておわかりでしたら、これも時間の関係がありますから聞いていきますから、あるならあるで後ほど資料で結構です。
 もう一回申し上げますと、エネルギー消費の有効利用が一体どの程度になっているのか、各部門別ということと、それから産業部門、それから製品、消費財の節約目標というものがこの法案の中ではないわけですね。そういう点で私は節約目標というものを定めるべきではないかというふうに思いますけれども、この点についてはどのようにお考えになっているでしょうか。
#61
○政府委員(天谷直弘君) まず全体のエネルギー効率の問題でございますが、投入エネルギー一〇〇といたしまして、ロス、損失分が六三・六%、有効利用分が三六・四%ということでございますが、部門別につきましてはいま手元に資料を持っておりませんので、調べた上、御報告を申し上げたいというふうに思います。
 それから次に、部門別等で節約目標を示すべきではないかという御指摘でございますが、これは同一同種の、たとえば鉄鋼なら鉄鋼という一つの部門の企業をとってみましても、これは設備が、たとえば電灯なら電灯でも設備がいろいろ古いものもあれば新しいものもあり、稼働率も違いますし、したがいまして、これに節約目標をつくるといたしますならば、これは企業ごと、もっと極端に言いますとプラントごとにつくっていかなければいけないということになるかと思いますけれども、そういうことを政府が一々そういう目標をつくって押しつけるということにつきましては、どうもそういうことをする行政上の能力があるかどうか、コストはどれくらいかかるかという問題もございますし、そういうことを法律でまで決めてやることが妥当であるかどうかという疑問がございまして、これは一応省エネルギーのやり方につきまして、いろいろガイドライン等示しまして、できるだけそれに忠実に従って、省エネルギーの実をおのおのの工場なり事業場なりの実態に即して上げていくようにというのがこの法案の基本的な考え方になっております。
#62
○吉田正雄君 いまの長官の考え方ですと、私はとにかく各企業の自主性、主体性、これはまあ最終的には各企業が努力をする意思を持たなければこれはだめですから、基本的にはそうだと思うんですよ。しかし、とりわけこの日本の場合には忙しくて追い回されておる、仕事に追い回されるということで、みずからの企業が一体どの程度の技術開発を行い得るのか、どういう方向、どういう手法を用いたらいいのかという点でも非常に戸惑いがあると思うんですね。そういう点で、私はたとえばこの各産業界に対しては省エネルギー技術開発の促進と、具体的にはこういうことで、この程度の省エネルギーというものが実現できるんではないですかという、そういうものを私はやはり示してやる必要があるんじゃないかと。つまり、関連技術の導入に合わせて、節約目標というものが当然そこにおのずから出てくるんではないかというふうに思うんですね。それを単に節約をしてください、節約をしてくださいと、あとはその企業の自主的努力でやってくださいでは、これはなかなか私は進まないんじゃないかという感じがいたすわけです。たとえばこの交通対策の分野についても、低燃費自動車の開発、普及ということが盛んに言われるんですけれども、じゃ現代の科学技術の分野ではどの程度、公害問題とこれは密接に結びつくわけですけれども、どの程度の一体節約というものが可能なんだろうかと。エンジンについてもこの程度改良できるんではないかという、これはまた工業技術院なり各メーカーの研究機関というのがあると思うんですけれども、そういうことで努力目標というものを設定されることは、決して企業の主体性とか自主性を損うとか侵害をするということにはならないんじゃないかというふうに思うんですね。そういう点で、私は基本的に各項目ごとにたくさん申し上げたいことありますけれども、一々申し上げてもちょっとあれですので、とにかく仏が私はこの法案ではつくられたと思いますから、あと具体的なやっぱり努力目標なり、そういうものを指し示してやる必要があるんじゃないかというふうに思いますので、もう一回その点をお聞かせ願いたいと思います。
#63
○政府委員(天谷直弘君) いま先生御指摘になりました点は、まことに同感でございまして、私どももそのようにしなければいけないと、こういうふうに思っております。先ほど、節約目標というのはあるいは私の誤解かもしれませんが、ある工場についておまえは一年間に何キロリットル節約すべしというような、そういう目標の揚げ方はむずかしいというふうに申し上げましたわけで、そうではなくて、一般的にある業界なら業界で、大体標準的な技術というものはこの程度のものであると。日本全体としてはその場合の原単位というのはこれぐらいのことになっておると、あなたのところはそれより上にあるとか下にあるとかいうことがわかるようなことは当然しなければいけないと思っておりますし、そういうことはまずガイドラインで示さなければいけないと、こういうふうに思っております。
 それから、大口の工場につきましてはエネルギー管理士を置くことになっておりますが、エネルギー管理士の研修、講習ということもやるわけでございまして、こういうエネルギー管理士たちは横の連絡も当然できるはずでございますから、お互いに情報交換しながら、自分ところの努力がまだ足りないんではないかというようなこともわかるはずであろうと思います。
 それから中小企業につきましては、エネルギー管理士等は置かないことになっておりますけれども、これにつきましては、省エネルギーセンターが、いろいろコンサルティング等をやることになっておりますし、講習等もやることになっておりますので、できる限りその技術水準とか努力目標とかいうものにつきましては周知徹底を図っていきたいと、こういうふうに思っております。先生御指摘のとおり、企業としましては、このエネルギーのロスをやればそれは経営状態が悪くなるわけですから、できるだけ少なくしたいという熱意は企業である限りにおいてみんな持っておるはずでございますから、できるだけ新しい有効な省エネルギー技術というものの普及を図りたいと、こういうふうに考えております。
#64
○吉田正雄君 現在、日本の置かれた立場を考えますと、私は石油の確保というのはもうこれは世界的な非常に大きな政治情勢、経済情勢によって私は制約を受けていると、日本独自で勝手に石油を入手するということは、これはもう困難だと思うのですね。そういたしますと、日本独自でみずからの道を切り開いていくということがなければいけないわけですから、そういう点で、私は省エネルギーというものが一つの大きな柱であると同時に、最低必要限のエネルギーというものを石油以外にみずからつくり出していくという、新エネルギーの開発というものがこれはなけりゃならぬわけですね。だから、私はこれから日本が独自に力を注いでいく、その道というのは省エネルギーと新エネルギーの研究開発以外にはないんじゃないかというふうに思ってるわけです。石油備蓄もこれは一定の政治状況に対する思惑といいますか、そういうものに対する歯どめとしての一つの意味は持っていると思うのですけれども、完全に石油備蓄があれば、それでは中近東等の政治状況なりあるいはOPECの方針がそれによって大きく変わるかということになれば、私はそういうことにはならないんじゃないかと思うのですね。だから、一定の役割りは有しつつも、石油備蓄によってあらゆる場合にそれが有効に作用するということにはならないと思うのですね。あくまでも備蓄をするためには、どういう歯どめの役割りをなすのか、役割りの効果というものをきちんと踏まえていかないと、私は経済的にもこれは大変なことになってくるのじゃないかというふうに思うのですね。だから備蓄の経済性というものと、それが歯どめとして一体どの程度の役割りを持つのかという点から、私は石油備蓄の量というものについては計算をされなきゃいけないんじゃないかと思うのです。単にIEAが九十日にしました、今度は百二十日にしました、ヨーロッパでは百日以上ですというふうな、そんな単純なことで日本の場合の石油備蓄は私は計算できないんじゃないかと思うのですね。特にヨーロッパの石油消費量とわが日本の石油消費量を比較した場合には、まあアメリカ、ソ連に次いで日本が大量に石油を使っているわけですから、絶対量が多いわけですので、そういう点で一体石油備蓄というものはどの程度が妥当な量というふうにお考えになっているのか、単にIEAがこう言っているからということでは私はほんとのことにはならないんじゃないかと思うので、その点ちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。
#65
○政府委員(天谷直弘君) それは先生、最もむずかしい御質問でございまして、私はほとんど答える能力がないと言ってよろしいかと思います。と申しますのは、備蓄というのはあくまでもリスクに備えるために備蓄しているわけでございますが、リスクの大きさはどれだけかと、将来起こるリスクの大きさは一体どれだけであるかということは、これはだれもわからない問題でございます。ただこの備蓄をする場合の一つの基礎になっておりますのは、従来中東で四回の戦争がございましたけれども、比較的短期間で終わっておるということでございまして、もしあの中東戦争が二年も三年も続いて、中東石油の供給途絶ということが二年も三年も続くということであれば、いまぐらいの備蓄量というのはとうてい問題にならないと、何年分の備蓄をしなきゃいけないということになると思いますが、幸か不幸かいままでの中東戦争は短期間で終わっておる。その短期間の消費は一体何日と見るべきかということにつきましては何ら定説はございません。ただIEAに右へならえするのはおかしいではないかという御指摘でございますけれども、私どもは消費国が大体同じ程度の備蓄量を持つということが一番望ましいことだと思っております。なぜかと申しますと、でこぼこがありますと、もし仮にある国は百十日で、ある国は九十日で、ある国は百日だといたしました場合に、でぼぼこがありますと、百日間仮に危機が続いたといたしますと、弱い国が先にまいる、そのまいった場合にそれを見殺しにするのか、仲間で救うのかというむずかしい問題が出てきます。いまのIEAの組織というのは仲間で救うというたてまえになっておるわけでございます。ところで、日本が平均より少ない日数しか持っていないということになりますと、日本は一たん緩急あった場合に外国にめんどうを見てもらわなければいけないという恥ずかしい立場になりますので、私どもはヨーロッパより少ないということは恥ずべきことであると実は思っております。ですから、少なくともヨーロッパ並みになるために最大限の努力は払うべきであると、こういうふうに考えておりますけれども、しかし御指摘のとおり備蓄の充実ということは非常にお金もかかることでございますし、それから特に今日の石油需給情勢におきましては備蓄の大幅の積み増しをするということはまず不可能に近いことでございますので、現在は備蓄の積み増しということは非常にむずかしゅうございますけれども、いずれ時期を見てヨーロッパ並みの備蓄にしなければ、ヨーロッパから日本が助けてもらわなければいけないというぶざまなことになると思っておりますので、私は何日持つのが絶対いいということはよくわかりませんが、少なくともヨーロッパ並みにはしなければならないと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#66
○吉田正雄君 次に、石油備蓄タンカーの件について若干お尋ねをいたしたいと思います。
 今月の七、八日と先ほども申し上げましたように、商工委員会で橘湾の備蓄タンカーを見てまいったわけなんですが、実はそのときには気がつかなかったんですけれども、商工委員長等にも実は現地から要請書が出されておったわけです。帰ってきてから、実はこの要請書というものを読んだんですが、この要請書というのは橘湾を守る会というのがございまして、四点にわたってこのタンカー備蓄に関連して出されておるわけです。どんなことが出されておるのかといいますと、実は「昨年十二月二四日、県議会ならびに関係市町議会に正式提案はおろか、沿岸住民への一回の説明会の開催すらされる事なく、長崎市議会で請願審議中に入湾強行されましたが、」云々と、こういうふうなことが書かれておるわけですね。私、詳しいことはよくわかりませんけれども、いずれにいたしましても私はこれは原子力もしかりですし、この洋上備蓄というものについての危険性がどの程度かということは専門家でありませんからわかりませんが、しかし少なくとも地元住民に対する説明とか、そういうものが一回も行われずにこれが行われたということになりますと、やはりこれは行政の立場からしてまずいんじゃないかというふうに思うわけです。そういう点で商工委員会に対する要請書も出ておりますので、これらに触れて幾つかの点でお尋ねをいたしたいと思います。
 最初に、運輸省の方にお聞きをいたしますけれども、橘湾海域総合開発利用計画というものがあるというふうに聞いておりますし、調査委員会というものも設置をされておるということなんですが、調査委員会のメンバーがどういう人で今日まで何回ぐらい会議が持たれたのかということと、それから七七年の三月に調査報告書というものが提出をされておりますが、この調査報告書を資料としていただきたいと思いますが、この点いかがですか。
#67
○説明員(小池力君) お答えいたします。
 橘湾の流通港湾に関します調査のお尋ねでございますが、これは長崎県が昭和四十七年からずっと継続して調査をやっているものでございます。ただいま先生御指摘のございました海域利用に関する橘湾海域総合利用計画調査と申しますものも長崎県が実施しております流通港湾調査の一部でございまして、この調査につきましては、現在まで続けられているというふうに聞いているところでございます。
 なお、メンバーの問題でございますけれども、ずっと継続調査をやっておりますので、そのときどきでメンバーの変更もあるようでございますが、ただいまお話のございました五十二年三月に調査報告、中間報告でございますけれども、それをまとめておりますものは、長崎県の方から運輸経済研究センターの方に委託をいたしまして、九名ほどのメンバーで調査をやったようでございます。
#68
○吉田正雄君 この計画といまお話がありました橘湾新流通港の建設というものがこれは一体的なものであるということはいまの説明でわかりましたが、地元では橘湾の開発計画と、それからいまの新流通港の計画というものについて住民は余り内容を知らないわけですね。知らないけれども、何か巨大な開発がどうも現在進行中ではないかという推測はいろいろ行っているらしいんです。この橘湾の開発と並んで、これは農林水産省の方で計画をしておる長崎南部地域総合開発計画というのがありますけれども、これと関連をして橘湾を埋め立てて、そこに石油備蓄基地CISというものを建設するんではないか、パイプラインでこの南部地域総合開発計画によってでき上がった造成地にその備蓄基地というものを建設をするんじゃないか、そして石油精製工場というものをそこにつくっていく。水は三千六百ヘクタールの淡水湖から持ってくるということで、とにかくここに一大石油コンビナートというものをつくり上げていく計画があるんじゃないか。さらには石油だけでなくて、ここに巨大な臨海工業地帯というものをつくり上げていくという計画があるんではないか。そのためにも、この新流通港には長崎市東部と北高来郡飯盛町南部を結ぶそういう計画に従って六十年度完成目標に三ないし四万重量トンの船が入れるような港、さらには貨物線をそこに引いてくる。その新流通港というのは二百ヘクタール前後の加工と備蓄基地、こういうものをつくっていく計画、これを五カ年計画で新港湾整備計画の中に五十五年度あたりから着工ということで組み入れていきたいんだというふうなことが地元でもささやかれておるということを聞いているわけですね。そうすると、これは運輸省抜きに県が幾ら勝手に計画をしてみても、これは事業としては成り立たぬわけですから、そういう点でどの程度運輸省との間に話し合いがなされておるのか、また運輸省としてはこういう計画を今後推進をしていく意思というものがおありなのかどうなのか、この辺長崎県との話し合いの現状と運輸省の基本的な考え方についてお聞かせを願いたいと思うわけです。
#69
○説明員(小池力君) 先ほどもちょっとお答えしたところでございますが、長崎県の橘湾の新流通港湾の構想の調査でございますが、先ほど申しましたとおり、昭和四十七年から継続して実施しておるようでございます。この考え方は、大長崎都市圏構想の具体的プロジェクトの一環ということで、橘湾に流通港湾を建設して、周辺地域の物流門戸にしていこうということで始めたものでございますが、御承知のとおり、オイルショックがございまして、その後経済情勢も非常に大きく変化してまいりましたので、長崎県は今後の安定経済成長下におきます新しい経済環境の中で、地方定住の基盤としての港湾というようなものでなければならないといったことから、現在見直し作業をやっているというふうに聞いております。昨年五十三年度、五十四年度含めまして、見直しの調査を実施しており、あるいは実施していくという話を聞いているところでございます。運輸省といたしましては、県がいまそういうような見直しの調査をやっているようでございますので、その結果を見て考えてまいりたいというふうに思っているところでございます。
 ただ、お話のございました巨大石油開発といったようなもの、あるいは南総開発といったものと、この橘湾流通港湾の考え方とは別個であるというふうに県からは聞いているところでございます。
 どちらにいたしましても、調査がまだ継続中でございますので、その結果を見て対応してまいりたいというふうに思っているところでございます。
#70
○吉田正雄君 時間がありませんので、その程度でやめますが、先ほど話のありました、七七年三月の調査報告書、これは資料としていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#71
○説明員(小池力君) 先ほどの資料の提出の問題でございますが、これは長崎県が実施いたしました調査の報告書でございますので、運輸省としてお出しするというのはいかがかと思います。県の方に相談をしてみたい、その上で先生の方にお答えしたいというふうに考えております。
#72
○吉田正雄君 次に、橘湾が石油備蓄タンカーの基地として、いわゆる錨泊地として適地であるのかどうかという点でお尋ねをいたしたいと思います。この錨泊地として選定をするに当たっては、各種の調査というものが当然行われたと思うんですね。どういう調査を行われたのか、調査の種類、それをまず当初にお聞かせ願いたいと思いますし、また調査の結果がまとめられておるのかどうか、この点もお聞かせ願いたいと思います。
#73
○政府委員(天谷直弘君) 石油公団によってタンカー錨泊による備蓄計画を検討するに当たりまして、操船、期間、海上保安、海上災害、気象、水路などなど、多方面にわたる専門家を結集した特別の委員会を設けました。名前はタンカー錨泊技術等調査委員会で、委員長は谷初蔵東京商船大学学長で、委員は二十九名でございます。この委員会におきまして、錨泊適地としての要件、すなわち気象、海象、海底地形・地質等の自然条件、漁業操業、海上交通等の社会条件、こういうような諸条件や錨泊の方式などにつきまして、安全を旨といましまして、広範かつ詳細な検討、調査、研究を行ったわけでございます。その結果は、約七百ページに及ぶこの報告としてまとめられております。ただ、これはいままでのところ一般には公表しておりません。なぜかと申しますと、橘湾のみならず、他の錨泊候補地点のデータや資料が一括して収録されているということ、特に一部の詳細な漁業関係のデータなどが入っておりまして、これにつきましては、一般に公表すると、たとえば漁業関係者から反対の声があるというようなこともございまして、これまで公表はいたしておりません。しかしながら、報告内容に御関心をお持ちの向きには、できる限りお答えをしたいという姿勢を持っておりますので、かかる観点から、関心事項を具体的にお示しいただけますならば、報告の内容を御説明申し上げると、こういう姿勢になっております。
#74
○吉田正雄君 地元からの要請書の中にもいまの調査書、さらには、そこから得られたいろんな資料というものですね、これについては、ひた隠しにされているということで、ますますその疑惑が持たれる、何か都合の悪いものがあるのじゃないかと。特にあの地帯は、日本でも有数の地震地帯であることも御承知のとおりですし、それから、まさに台風銀座と呼ばれる通り道にもなっておるわけなんですね。そういうことで、私は、やはり隠すことによって、ますますあらぬ疑惑がそこに生ずるわけですから、そういう点で、私は関係のない資料を一括公表するとか、そういうことでなくて、地元の皆さん方が、こういう点で不安であると、この点はどうなっているんだということがあったなら、これはやはり私は、その部分に関して、いま知らしていいんじゃないかということがありましたから、この点ぜひひとつ実行していただきたいと思うのです。
 それで、これは運輸省の船舶局になるんでしょうか、若干お尋ねをいたしたいと思いますけれども、運輸省としては、この橘湾が洋上備蓄センター、タンカーの錨泊地として適当であるかどうかというふうな点について、事前に石油備蓄公団なり通産省の方から相談があったのかどうか。それから、いまお話のありました調査には運輸省としても参加をされたのか、どうなのか。幾つかの点で問題というよりも、指摘をされる点というのは幾つかあると思うのですね。たとえて言いますと、あの湾の中には約十隻入っておるわけですけれども、一隻についての半径を大体一・八キロメートルぐらい、だから船と船の間が大体三・六、七キロメートルというふうなことになっているわけですが、いかりをおろした状態で、ゆれ動く範囲というものが大体半径一キロぐらいですね。船自体の長さが三百三十メートルというふうな大きな船ですから、そういうふうなことを考えて適当であるのかどうか。さらに海象の問題、さらに台風が来た場合に、東支那海に避難をする。普通とは逆なんですね。普通ですというと、波静かな湾に台風をよけて避難をするということなんですが、逆に台風になったら洋上に避難をするという、おおよそ常識とは逆のことが行われるわけです。ところが御承知のように二十数万トンというこの巨大タンカーも、船舶構造上見ますというと、外皮の鉄板が二十二ミリ程度のきわめて薄いもので、しかも一重殼構造であるというふうなことで、無謀ではないか。そんな台風の海に向けて巨大タンカーが避難するということは、逆に災難に遭うために行くような無謀な計画ではないかというふうなことも一部の学者から指摘をされておるんですね。しかも、専門家の間でもあれはちょっとおかしいんじゃないかという批判もあるわけです。さらに、長期に停泊をいたしておりますというと、船底に付着をする貝がらとか海草類、ところが、船底がきわめていま申し上げたような鉄板の厚さからして非常に脆弱なんですね。私どもも行ってみたんですが、本当に貝類と海草類が、もうわずか半年の間なんでしょうけれども、びっしりとついているわけなんです。そういう点で危険性がないのかどうなのか。そういう問題点、さらには油の気化によって炭化水素が発生をしたり、さらには大気汚染、場合によっては爆発の危険性があるんじゃないか。こういういろんな問題というものが指摘をされていると思うんですけれども、これは船舶局としてはこういうふうな指摘にはどういうふうな考え方で臨まれたのか。さらに国の安全指針との関連で、一体この辺はどうなっておるのかということなんです。
 特に、今回の場合こういうことが言われているのは、これは本当でしょうかね。これは大臣にも聞いておいていただきたいと思うんですけれども、日本タンカー備蓄協会の調査報告書には、「安全防災対策を含む海技的考察については、これも現地調査によらぬ諸資料にもとづくまとめであるが」と、こういうふうに書かれておるというんですね。これは皆さん方のところには現地の方から資料が行っていると思うんですね。私どもいただいた現地からの資料の中にもそういうことが書かれているんですよね。問題指摘は皆さんもう御存じだと思うんですよ。こういうふうな指摘もされておるわけです。
 それから、これは今度は通産になりますが、七月十一日の、ことしの七月じゃないです、認めるかどうかの前の七月十一日の県議会の論議の中では、国の安全指針は地元の意見を十分反映をしているのかという質問に対して、県はこの安全指針の内容の説明を避けているわけです。避けた理由は何かというと、通産省がこの安全指針については公表していないから言えないんだという、こういう県の説明なんですよね。もしそれが事実とすると、私は、これはもう行政としてはあってはならない姿勢だというふうに思うんですよ。時間の関係で、船舶局に聞くのか通産省に聞くのか、ずっと一項目ずつ質問しませんので、ちょっとごっちゃになりましたけれども、そういう点で国の安全指針がどうなっておるのか。それに基づく防災計画というものがどうなっておるのか。地元住民がほとんど知ってない、関係者だけが承知をしておって、一体台風が来たときに、あれだけの巨大タンカーが十隻もそろってあの狭い湾口に殺到していって事故が起きたらどうなるのか、そのときの避難計画等についても地元住民は何にもわからない。こういうことでは私は大変だと思うんですね。そういう点で住民からのこういう指摘にやはり明確に答えて、疑問については十分解明をする、こういう姿勢でなければいけないと思うので、お答えを願いたいと思います。
#75
○説明員(渡辺純一郎君) まず、錨泊地として適当かどうかについて事前に相談があったかということでございますが、石油公団及び資源エネルギー庁の方から運輸省に対しまして、タンカー備蓄を始めるずっと前から、どういった方式でこういった備蓄を行うのか、さらにはそういった安全対策あるいは防災対策についてどういうふうにしたらいいのかということは政府レベルで相談がございまして、特に海上のことでございますので、航行安全対策あるいは防災対策につきましては私どもが一番詳しいし、専門的にやっておるということで協力いたしまして、御指摘の調査にも参加をいたしまして、私ども初めての試みでもございますし、十分な安全対策をとりますよう具体的な中身もお示しいたしまして検討に加わったわけでございます。その結果、私どもが要望いたしておりますような内容が盛り込まれまして、現時点で考えましても、錨泊を行う海域としては、いろんな条件から見まして支障はないというふうに考えておるわけでございます。
 まず御指摘の振れ回りの話でございますが、タンカーの錨泊所要海面、これはタンカーの振れ回り運動あるいは投錨等の誤差を勘案いたしまして、御指摘のとおり、一隻当たりの所要海面は約千メートルでございます。これに対しましてさらに余裕を見まして、所要海面を船舶の長さの約五倍ということを考えまして、ただいま申されましたような船間距離をとっておるということでございまして、さらに海岸との関係からいきますと、海岸からも、二十五メートル等深線から約二千八百メートル離れた海面上に錨泊させるということでございまして、台風等の場合に外へ出ていくという場合にも支障がないというような位置になっておるわけでございます。
 具体的に、避難のやり方でございますが、十隻を二つのグループに分けまして、二つのグループがそれぞれ湾の外へ出ていく経路を決めまして、さらにその船間距離を三マイル以上離しまして、しかも速力も十二ノット以下の速力で航行させるというようなことで避難をするわけでございます。
 ただいま、湾内に入っておりましたタンカーが台風のときに外へ出ていくというのは常識に反するという御指摘ございましたけれども、通常橘湾よりもさらにふくそうしております港内等におきましては、やはり台風等の非常時には、港長の指揮によりまして港外へ去るように指導しているわけでございまして、特別この事案に関しまして別の措置をとっておるというわけではないわけでございます。
 それから海技的考察でございますが、私どもも海技的考察については関与いたしておりまして、石油公団の方で調査されましたものを審査しました結果、妥当であるという結論に達しております。
 なお、海上保安庁といたしましては、やはり海上保安庁自体といたしましても安全を確保する必要があるということでございますので、具体的に錨泊地に錨泊いたします船社から、錨泊のやり方その他避難のやり方、あるいは集団管理のやり方等々を含めましたものを一冊にいたしまして、安全対策確約書というのを提出せしめまして安全を期しているところでございます。
#76
○吉田正雄君 大型タンカーの場合、操船というものが非常にむずかしいということが言われておりますし、とまっている場合はいいんですけれども、特に走っている場合、漁船を避けるなどということは大変なことらしいんですね。十六ノットで走っている場合、とまるまでに四から十キロメートル走るということが言われておるわけですし、それから、停止のためにエンジンを逆転するとへさきを振るということで、さらには右と左へのかじのきき方が違うというふうなことも言われておりますし、ブリッジからへさきまでが三百メートルあって、六百メートル前方までが死角になる、こういうことも言われておるわけですね。また、エンジンをストップして二ノットの速力に落ちるまでに約一時間かかる。かじをいっぱい切っても九十度回転するのに約十二分もかかる、こういうことが言われておるわけですね。千二百メートルの間隔で真向かいに行き違うといかなる緊急策を講じても衝突が避けられない。避船に要するスペースが二十万トンタンカーでは前後方向に三千メートル、左右方向に二百メートルを必要とするということがこれは言われているわけですね。
 こういういろんな点を考えますというと、台風が来て、エンジンは常にかけておったとしても、いよいよいかりを巻き上げて、そして湾口から湾外に出ていくまでに一体どれだけ時間がかかるのか。具体的にこの十隻がいま言われたような計画に従った訓練を実際にやったのかどうなのか。単なる机上の計算ではこれはどうにもならぬと思うんですよね。そういう点でいま申し上げた点がどういうふうに皆さん方の間で検討されたのか。それと、何よりもいま言ったような、実際にそのことが一体行われたのかどうか。というのは、台風が来るか来ないか、来るといって判断をしてから船を動かして、さあ湾外に出ますといっても一体何時間かかるかということなんですよね。特に長崎の場合早いですからね。関東へ来るのと違うんですよ、あっという間に沖繩から来るわけですから。そういう実地訓練やられたんですか。
#77
○説明員(渡辺純一郎君) 橘湾の錨泊タンカーが台風時に湾外へ避難するということでございますが、先ほどから御説明しておりますように、橘湾につきましては非常に広い海面を有しております。しかも、十隻程度のタンカーというものが錨泊しておりまして、台風時に避難するということであれば、ほかの海域、非常にふくそうしている海域というのが日本全国あるわけでございますが、それに比較すれば比較的避難をすることは容易ではないかというふうに考えております。
 なお、具体的にこの錨泊しております十隻について実地にやったということは、私どもとしては聞いておりません。
#78
○吉田正雄君 それじゃ答弁になりませんよ。ほかの全国の狭い湾よりも橘湾が広いから適地だということにはなりませんよ、それは。だから、船がいかりを上げて湾外退避するまで何時間かかるんですか。それがわからなきゃ避難できないじゃないですか。
#79
○説明員(渡辺純一郎君) このタンカー備蓄を実施しておりますタンカー備蓄管理機構という機関がございますが、この機関で机上で計算したところによりますと、全体が避難し終わるには数時間かかるということでございます。
#80
○吉田正雄君 数時間というあいまいな数字じゃ困るんじゃないですか。台風はスピードが上がれば三十キロ、四十キロのスピードで来るわけですね。かつて洞爺丸が沈没したときどうですか。時速六十キロのスピードでもって上陸をしたんですからね。数時間と言っても、二時間も数時間、八時間も一数時間ですよ。そんなあいまいな算定でもって大丈夫ですなんて、安全性が確保されますなんということが言えますか。しかも、何十万トンという油を積んで停船しているんですからね。そんなあいまいな計算で、机上の計算で一体安全確保できますかね。一体数時間って何時間なんです。
#81
○説明員(渡辺純一郎君) 先ほどの安全対策の説明でちょっと不十分なところがございましたので御説明申し上げますが、橘湾は台風の通り道になっておることは確かでございます。しかし、現実に長崎県に影響のありました低気圧の頻度といたしまして、私どもが気象庁に確認したところによりますと、三十九年から四十八年の十年間の統計によりましても全体の総数が十二ということで、一年間で平均一・二個という程度でございます。さらに雲仙岳におきまして、風の観測資料によりましても、南西方向からの風が風力八及びそれ以上となっている例はないということで、気象条件的にも非常にすぐれた海域であることは確かでございまして、御指摘のように始終台風が来るというような状況にはなっていないわけでございまして、きわめて限られた回数来る。その場合には気象情報に十分注意して事前にあらかじめ避泊措置をとるということでございますので、安全が確保されているというふうに判断したわけでございます。
#82
○吉田正雄君 その答弁では地元の住民は納得しませんよ。私自身納得できないですよ、いまの説明では。まず、当所は広いから大丈夫です、それから風の吹く日が少ないとか、方向がこの方向からで何メートルくらいの風しか吹かぬから大丈夫であるとか、それから台風の来る回数が少ないとか、それから、来るということになればできるだけ早く退避をしますみたいな、こんな言い方では、これは地元の皆さんが心配だとおっしゃるのはいまの説明では当然だと思いますよ。
 これは私、大臣聞いていただきたいと思いますけれども、二十五、六万トンの船が、私ちょっと行ってみたときには、ああこれは広々としておってながめは非常によろしいというふうな、そんな実は程度でしかながめなかったんですよ。帰ってきてからこの要請書というものを見まして、もし仮に問題が起きたらこれは大変なことになるんじゃないかなあというふうに思ってきょう質問をしているんですけれども、いまの答弁ではこれは答弁になっていないんですよ。何時間、数時間かかります。数時間じゃ、二時間から八時間、九時間だって数時間ですからね。そんな答弁はないし、台風の来る回数が少ないから大丈夫ですなんというのは、こんなもの答弁になりませんよ。じゃ現実に退避の訓練をやったかと言ったらやってない。一体、いかりを上げて湾外へ出るまで本当は何時間かかるんですか。数時間じゃ困るんですよ。一たん衝突をしたらこれは大変なことになるわけでしょう。瀬戸内海のあの石油タンクから原油が漏れた場合のあの海の汚染というのは大変なものですよね。ところが二十五、六万トンのタンカーが十隻おるわけですから、一隻が事故を起こして原油が流れ出しても大変な事故になるわけですよね。それがいま言ったようなずさんな机上計画でもって安全ですなんて言って、何が安全ですか。その安全計画書をただあんたいまちょっと中身読んでいる程度ですが、資料出してくださいよ。もうちょっと専門家に検討してもらわなかったらこれは安全だなんて言えません。現地の皆さんが不安であると。しかもその内容が全然知らされてない。いま聞いたら、私も絶対こんなずさんな計画では安全だとは言えないと言わざるを得ないですね。大臣どうですか、この点。
#83
○国務大臣(江崎真澄君) この問題につきましては、先ほど天谷エネルギー庁長官も御答弁をしましたように、委員も二十九名ですね。しかも停泊用地としての要件、これは気象とか海象、それから海底の地形、地質、それからいまの台風を含めた自然条件、それから漁業の操業状況、これは地元の利害ですね。海上交通等の社会条件、こういった錨泊の方式について、特に安全第一という点について広範かつ詳細な調査研究を行ったと、こういうことです。したがって、いま御質問の、御指摘になりました点については、私も十分これらの調査結果に照らしてチェックをしてみたいというふうに思いますが、備蓄タンカーの錨泊地としては十分な適性を有しておることがこの調査結果、明らかにされておるわけであります。
 それから、一般住民に対する広報活動は住民には知らされていないというふうないまお説がありましたが、これは長崎県知事等の方針によりまして、県が直接これを行うと、また住民には自治体に任してほしいと、こういう意見などもありまして、直接当たっておるというふうに私どもには報告が来ております。
#84
○吉田正雄君 大臣、住民に対する説明とか広報というのは、県に任せてあっても現実には行われていないんですよ、これは。行われていなくて、私たちが行ったときに全然知らされていないという要請書がここに出ているわけですよね、これ。ですから、その点はもうちょっと調べてもらいたいということ。
 それから、港として仮にいいとしても、台風が来たときの船の避難計画といいますか、そういうものについてはいまの説明ではこれ説明になりませんよ。何時間かかるか聞いたってわからないじゃないですか。実際にいかりを上げてエンジンをかけて港を出ていくまでに何時間かかるかというのは、これ数時間じゃ困るわけですよね。そういう点で、もう時間がありませんのでやめますが、皆さんが言われた調査の検討結果、これ資料としていただきたいと思うんですが、どうですか。専門家によっては、その調査がきわめてずさんだと、さっき申し上げたように実地調査やってないと書いてあるんですよ、この幾つかの部分については。実地調査をやってないで結論を出しているという点でのまず指摘があるということですね。そういう点で資料をいただいて、何もあら探しで言うんじゃないですよ、事故が起きたら大変ですから。皆さん方の調査というものが果たして信頼するに十分な資料なのかどうか、もし不足の部分があれば、さらに一回は退避計画を実際にやってみて、間違いないということも確認すべきだと思うんですよ。何で油を積む前にそんなことぐらいやれなかったのかという点、私は疑問でならないんです。そういう点で、資料の点だけもう一回答えてください。
#85
○国務大臣(江崎真澄君) 必要に応じまして、さっき長官も申しましたように、できるだけ資料提供はしたいと思います。
 それから、県が任せてくれと、広報については自分の方が責任を持つということで、まさか全然住民に説明を行っていないということが現実にあるでしょうか。ですから、世の中には反対者というものもありますから、ごく反対の中心の人たちからの陳情のように思えるんですが、まあこれはあなたが直接対応されたわけですから、私が現地にいたわけじゃありませんので軽々に判断はできませんが、まあ反対せんがための反対という人も世の中にないわけでもありません。現に七百ページに及ぶ相当膨大な調査結果も出ておるというわけでありますし、いまの安全度についても十分確認したと、こう報告を受けておるわけであります。いや、しかしそれは一遍実地演習をやってみろ、これは大事の上に大事をとるというならば私は御意見としては当然出てくる御意見だと思いますが、そういったことも含めて十分調査をしたもののように理解をしておるのであります。まあ時節柄でもありますので、もちろん安全第一は今後ともわれわれも十分注意をしてまいりたいと思いますが、どうぞひとつ大局的見地に立たれて、いろいろまた今後とも御協力やら御理解がいただければ大変ありがたいと思います。
#86
○吉田正雄君 時間が来ましたから一言だけ。
 大臣ね、私はいま橘湾の備蓄タンカーについて賛成とか反対ということは一言も言っていないのですよ。そうでなくて、現地の皆さんからこういう要請書が、大臣に報告をされているものと実態が違っているということを私はきょう聞いておってもわかりましたよ、これは。大臣の認識と現地における実情というのは必ずしもそうじゃないという点と、それからいまの海上保安庁の説明を聞いても、あの説明ではだれも納得しませんよ。これは専門家が指摘をしているものについて答えていないですね、これは。そういう点で私は、住民に対する理解というものを得る、そういうものがいままで不十分だったんではないかということを私は繰り返し言っているんですよ。その点誤解のないようにしていただきたいことと、それからいま言った最大限の私は住民に対する広報活動なり理解を得る、そういうことは積極的にやっていただきたいということを言っているわけです。
#87
○国務大臣(江崎真澄君) よく承りました。
#88
○委員長(福岡日出麿君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時二十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十一分開会
#89
○委員長(福岡日出麿君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 エネルギーの使用の合理化に関する法律案を議題といたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
#90
○中村啓一君 私は今回提案をされております合理化法案を主体にお伺いをいたしたいと存じますが、なお午前中に質疑のありました基本的な問題につきましては、後ほど大臣がお見えになりました際にお伺いをいたしたいと存じます。
 まず、法案に入ります前に、前提の問題として、IEAでも決議がされたと承っておりますが、五%節約をそれぞれの国が図っていくということでありますが、日本の場合にこの五%を節約をする対策がどこまで実効を上げ得るとお考えになっておいでになりましょうか。
 なお、それにあわせまして、たとえばアメリカあるいは西ドイツでも同じように五%節約に取り組むわけでございましょうが、それらについて特に妙案を持って対処している情報をお持ちであるかどうか承りたいと存じます。
#91
○政府委員(天谷直弘君) 去る三月一日、二日のIEA理事会におきまして五%の節約ということが合意され、日本でもそれに従いまして内閣全体として鋭意この推進に努めているわけでございます。現段階におきましては、世界各国とも大体国民の自発的な協力による節約ということを中心に行っております。わが国の場合におきましても、主として官公庁あるいは企業等におけるオフィスにおける冷暖房温度の調整、あるいはマイカーの自粛、それから発電所その他の事業場における燃料の石油からその他燃料への転換と、こういうようなことを中心といたしまして、日本の場合は五%が約千五百万キロリットルの石油分に相当いたしますので、これの節約について鋭意推進に努めているところでございます。
 最近おおむね百カ所程度の事業場等に電話で問い合わせをいたしまして、どの程度節約策について周知徹底されているか調査をいたしたわけでございますけれども、これにつきましては、各事業場とも皆中身はよく承知しておりまして、あの線に従って実行していきたいというところがかなり高い七、八割の割合で出てきております。百くらいの調査でもって全体を推しはかるということは必ずしも適当ではないかもしれませんが、かなりの程度周知徹底をしている。しかしさらに、今後ともいろいろな方法を通じまして徹底を図りたい。それからまた、主要な事業場、官公庁等からは定期的に報告を出していただきまして、その報告に基づいて実施状況を把握して、不十分である場合にはさらに説得その他を続けていきたいと、こういうふうに考えておりますので、千五百万キロリットル自発的な措置をお願いしておるわけでございますから、非常に厳密にいくかどうかということになりますと、われわれも確たる自信を持っているわけではございませんけれども、とにかくあらゆる手段を尽くしまして千五百万キロリットルの節約の実現ということに努めてまいりたいと思っているわけでございます。
 他国の状況でございますが、まずアメリカでございますけれども、アメリカはいかなる理由か必ずしもはっきりいたしませんが、ことしの一月から四月くらいまでのアメリカの統計によりますと、アメリカの国内における石油の消費量は対前年同期と比べて一・数%マイナスということになっております。経済が成長している過程で石油の消費量が減っているわけですから、その統計で見る限りにおいてアメリカはかなり節約の実績を上げていると言うことができると思います。しかし、それは、それについて何かアメリカが非常にりっぱな消費節約策を持っているのかといいますと、目下のところアメリカがやっておりますことは、五十五マイルの速度制限ということであるとかあるいは暖冷房温度の調節であるとかいうことが主になっておりますわけで、日本とそれほど変わった名案を持っておるようには見受けておりません。ヨーロッパにおきましては、EC理事会におきまして本年一九七九年のEC全体の石油消費量を五億トンに抑える、これは去年の横滑りでございます。去年の横滑りで五億トンということで石油の消費を抑えていく。ヨーロッパの場合それからアメリカの場合、いずれも日本と違いますことは、国内に代替エネルギーの生産源を持っているということでございます。すなわち、ヨーロッパ、アメリカとも石炭の産出が非常に多い。それから、特にヨーロッパの場合、イギリスは北海の油田等も持っておりますが、いずれにしましても石炭への転換というのはヨーロッパの場合にはかなりその余地があるということでございます。そういうわけで、石油に一番依存率の高い日本、しかも経済成長率が非常に高い日本、これが一番ほかの国と比べますと消費節約の実現がむずかしい立場に置かれておりますので、これはひとつベルトを締め直してさらに節約に努めなければいけないのではなかろうか、今後とも節約の状況につきましては常時実態を把握いたしまして、適時適切な手を打ってまいりたいというふうに考えております。
#92
○中村啓一君 ただいま承りまして、五%の節約は自発的な国民全体の協力ということで推し進めていこうというお考えのようでございます。それによって、さしあたっての危機が切り抜けられれば結構でございますが、なかなか厳しい事情が予想されないわけではございません。かつてのオイルショックのときのように、工業関係その他に対する石油なり電力の供給をカットする、強制的に供給を制限をしていくというようなことがあり得るかどうかについてお見通しを承りたいと思います。
#93
○政府委員(天谷直弘君) これは非常にむずかしい問題でございまして、といいますのは、もし大口需要者に対して供給のカットをいたしますと、これはそこの分野で節約の余地というのがほとんどないと思いますので、直ちに生産の削減ということにつながらざるを得ないのではないかと思うわけでございます。一例を挙げて申し上げますならば、たとえば電気の大口需要者に対して供給制限をすると、たとえば一例を挙げますと、電気炉で小棒をつくっているメーカーは電気をたくさん使うわけでございますが、これに対して電気の供給を制限すれば小棒の生産が落ちるということになります。他方、片一方では公共事業の繰り上げ投資と前倒しというようなことをやっておりますから、小棒なりセメントなりの需要というのは旺盛だと。そこで、小棒の供給を削減すれば当然値段が暴騰するというような問題が出てまいります。
 そうしますと、その節約ということと物価政策、あるいは節約と経済成長政策とが矛盾するという問題が出てくるわけでございます。私どもは資源エネルギー庁でございますからエネルギーの立場ということに立ちますけれども、しかし、エネルギーの立場とたとえば経済成長の立場とが矛盾する場合、一体どちらに優先順位を置くのかということは、これはエネルギー庁だけでは決められない問題でございます。ボン・サミット等におきましては、経済成長も大切である、特に日本は経済成長をしっかりやらなければならない、エネルギーの節約も大切である、両方大切だと。こういうことになっておりまして、それが衝突するという事態は余り想定されていないわけでございますが、本当にそれが衝突するということになった場合には、やはり政府の最高方針として優先順位を決めていただかないと、エネルギー庁だけが独断でそう勝手に大口需要に対する石油の供給をカットするというようなことはむずかしいのではなかろうかというふうに考えております。
#94
○中村啓一君 ただいま長官からお話しのありました節約とこれからの経済の発展というか、成長のかかわり合い、これは大変大切な問題だと存じます。
 実は、私のところに、私北海道でございますが、北海道もある程度の工業が立地をしておりますが、けさも工業団地の人が参りまして、もし石油の供給制限を受ける、あるいは電力の供給をストップされる、カットされるというようなことになったんでは、ようやく不況から踏み出そうとしているなといういま、大変なことになってしまう。節約は一般論としてやるべきであろうが、しかし生産に大きな影響を与えるようなことはぜひ回避をしてほしいということを強く申してきております。お話しのように、大変重大な選択の問題かと存じますが、その点について日本の産業全体のかじ取りをなさっておいでになります通産大臣の御所見を承りたいと存じます。
#95
○国務大臣(江崎真澄君) ちょっと私途中からでしたから、先に答えてもらって、あと補足しますから。
#96
○政府委員(天谷直弘君) いまの御質問は、経済成長とそれからエネルギーの節約というものが矛盾してきた場合に、どういう調査をするかという御質問かと存ずるわけでございますが、一番望ましいことは、国民が自発的に五%の節約を秩序正しく行うということが非常に望ましいわけでございます。五%程度の節約であれば、やろうと思えばできないことではないと思うのでございますが、中には自分だけうまいことしようという人が出てまいりまして、買いだめというようなことを始めるというようなことになりますと、五%の節約が崩れてしまう。特にパニック現象等起こしますと、たちまちにして五%節約どころか逆に一〇%の販売増というようなことになりかねないわけでございますから、そこのところが非常に肝心であろうと思いますが、よく御理解を願いまして、秩序正しく五%節約ということを行っていけば、多分経済成長と節約とが矛盾するというようなことは起こってこないというふうに思うわけでございます。しかしながら、不幸にして自発的な節約がうまくいかない。
 それから、一−六月の石油の輸入について見ますと、対前年同期比でおおむね横ばいないし若干の減少というくらいのことかと思いますが、七月以降の石油の入着量がどういうことになるかということにつきましては不透明でございまして、私ども自信を持って絶対大丈夫というようなことは申し上げられないような状況でございます。節約も不十分、それから石油の入着が非常に悪くなるというようなことでありますならば、自発的な節約だけではとても足りないというような問題が起こるかもしれないわけでございます。そういう場合に一体どういう削減の仕方をするのかということになりますと、これは非常に微妙な問題でございまして、なるべく不公平、不平等というようなことが起こらないように、経済成長へ与えるインパクトができるだけ少ないように細心の注意をしながら削減をしなければならないのではないかと思う次第でございます。
#97
○国務大臣(江崎真澄君) いまの天谷長官の御答弁で大体尽きておると思いますが、私どもも、何とか量だけは確保してことしは景気を持続すること、そしてこの景気の持続と表裏一体関係になるのが雇用の安定でありまするから、雇用の安定を図ると、そうして一方では物価を安定させる、こういうことが三本の柱というふうに認識をいたしまして全力を挙げてまいったところであります。したがいまして、いわゆる大口消費者の需要規制ということを手がけなかったのも、そのあたりに理由が存在いたします。
 それからいま一つは、量が、一−三月も四−六もおおむね確保することができた、これによるわけであります。したがって、今後高値を呼ぶことが、もうすでに諸物価、特に石油関連製品等に影響を与えておりまするので、この面から非常に憂慮をしながら、不当な値上げ、便乗値上げ等を厳に戒めるという形で、通産局ぐるみでチェックをしておるところでありまするが、なお今後この推移を、情報を十分キャッチしながら、いまお説にありましたように、せっかく経済がようやく長いトンネルから明るみを得ながら抜け出そうという場面で、このエネルギーのために大変な事態を起こすということのないように配慮をしたいと思います。
 対策としては、いま長官が申しましたように、とにかくここで積極的にわが国としては節約を実行に移していくこと、これがまず何よりも大切ですし、それからいま一つは、買いだめ売り惜しみといったようなことのないように、幸いいままでのところは量を確保することができたという前提に立っておりまするので、買い急ぎをすれば値段はいよいよ上がるでしょうし、そのあたりなだらかな対応が必要であるというふうに考えます。
#98
○中村啓一君 お話のございましたように、国民全体が現在の状況をよく理解をして、冷静に対応をしていくということが必要かと存じます。
 なお、その面に関連をして非常に心配でありますことは、午前中の質疑にもございましたが、非常に石油の獲得をめぐりまして駆け引きが世界的に行われている。また、ある意味では空騒ぎがあるようにも見受けられる。とにかくスポットマーケット等につきましては、適正な価格と言いがたいような動きも散見できる状況でございます。
 そこで、何としても産油国と消費国が協調をしていかなければいけない。その面について、けさの新聞でも、対話の前に消費国の団結が必要だとアメリカは主張をしているようでありますし、日本としてはそういう消費国の団結的な動きが産油国を刺激をするのではないかということで、日米間の思想統一を要する問題であるかのように報ぜられておりますが、その点について通産御当局としてはどのように事態を認識をされておりますか承りたいと存じます。
#99
○国務大臣(江崎真澄君) この問題は非常にむずかしい問題でございまして、IEAの場においても、産消対話を速やかに開くべきだと、いや、時期尚早だと、かえって節約の実も上がらない、代替エネルギーの具体化もできないというような事態のままで対話することは、かえって危険であるという両論がありまして、最後にはそれぞれの国が関係の浅深の度合いによって産油国に接触を図る、これはどうもとめようがないではないかと、むしろ一面から言えば必要なことであって、そういう情報をお互いに交換をし合おうというあたりがIEAにおける一つのああいうコミュニケにまとまった討議の内容であります。したがって、わが国としましてもやはり従来アメリカ側のメジャーによるところも多いわけでありまして、必ずしもアメリカと不協和音のうちに産油国との対応を急ぐということにも問題がありましょう。そうかと言って、御承知のようにイランなどにおいては石油化学プラントが一日も速やかに完成を求めるというような形で要求をされておりますし、イランそのものも日本に石油生産再開後の第一船を向けてくれるというような事情等もありましたので、そのあたりはケース・バイ・ケースで状況判断を慎重にしながら、誤りなき対応をしていく、これがいま求められておるところであろうというふうに判断いたします。
#100
○中村啓一君 最大の国民的な課題と存じますが、ますます御尽力くださいますことをお願いを申し上げます。
 次に、総合エネルギー調査会の答申でございますが、六十年度で一〇・八%の省エネルギーを目標に示しているようでございます。この答申は、イラン動乱の前に出されたものではないかと思いますが、したがってその後の情勢の推移で一〇・八%程度の節約目標で足りるのだろうかという疑問もあります。その点についてお伺いをいたしたいと存じます。
#101
○政府委員(天谷直弘君) 一〇・八%の省エネルギー率の算出の仕方でございますけれども、これはたとえば鉄鋼業におきまして炉頂発電設備の導入がどれくらいできるであろうか、あるいは各業種共通の廃熱の回収利用、電気の使用合理化というようなことがどれくらいできるであろうか、これはかなりの細かい積み上げをやっておるわけでございます。民生部門では住宅やビルの省エネルギー構造化、あるいはクーラー、冷蔵庫等の機器の効率向上がどれくらいできるであろうか、それから輸送部門では自動車の燃費向上がどれくらいできるであろうかというようなことをかなり技術的、経済的にいろいろ検討をしてみまして、一〇・八%程度がぎりぎりではないだろうかというふうにして積み上げた数字でございますので、イラン等の情勢が変わりましてもこの数字を変えるということはなかなかむずかしいんじゃなかろうか。もちろん、変えることは机の上で変えるわけですから簡単かもしれませんが、余り高い理想を掲げてしまいますと机上の空論ということになりかねませんので、現実性ということを考えますと、この一〇・八%程度ということ、これができれば非常にいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#102
○中村啓一君 わかりました。
 また、これも午前中に質疑がありましたが、とにかくいまのような石油情勢を考えますと、何としても石油にかわるエネルギーを早く本物にしなければならない、そういう気持ちに駆られるわけでございます。長期計画では、二十五年間でいまの非石油エネルギーを三倍にしたいということのようでありますが、日本の場合はもっとウエートを高めていかないといけないかと思います。いずれにしても、代替エネルギーの開発については徹底的に国を挙げてこれに取り組む、そういう姿勢が肝心であると存じます。その点については、午前中、大臣からも意欲を持った御答弁をいただいておりますので、私からは重ねて、この点については最大の問題としてお取り組みをお願いをいたしたいと存じます。
 それとともに、代替エネルギーとして一つの有力な石炭の問題でありますが、石炭の問題を論じます際には、どうも石炭対策がいつも後手に回っているような気がしてしようがございません。特に北海道、産炭地でございまして、いまも貯炭の山に苦しんでいる状況であります。これだけ石油エネルギーを大切にしようと言いながら、肝心の石炭が使い切れないで残っている状況でございます。ぜひ石炭を具体的に使っていっていただく政策を早く本物にしていただかないと困るのではないか。電力なりあるいは大きな工場のエネルギー源を石炭に転換をしていくということは、もういますぐ具体的に推し進めていただく必要があると存じますが、その点についてエネルギー庁長官の御所見を伺います。
#103
○政府委員(天谷直弘君) 今度のIEAにおきましても、石炭の使用拡大が石油の供給不足に対処するため、きわめて重要な政策であるということが合意されまして、その一番政策の中心といたしまして石油火力の新設は原則として禁止するということが合意されたわけでございます。これは原則でございますから、例外は若干認めておるわけでございますが、ともかく基本方針としては石油火力というのはもうつくらないと、こういうことにしたわけでございます。そこで、日本でも石炭火力あるいはLNG火力、それから原子力、こういうものをこれからふやしていかなければならないと思うわけでございます。国内の石炭が現在貯炭の山に苦しんでおるわけでございますが、これは一つは原料炭が大きな原因でございまして、鉄鋼業の需要が、原料炭需要が予想したほど伸びていないということが一つの大きな原因になっております。しかし、将来国内の一般炭もできるだけもっとよけい燃やすということを考えなければなりませんが、ただ、現在は国内の一般炭は余りにも海外一般炭と比べまして値段の差があり過ぎる。このコスト差をだれが負担するかというような問題が生じてきます。そこで、今後は一般炭の輸入をふやしますと同時に、輸入と抱き合わせて国内一般炭を火力発電に使っていくというようなことをすれば、国内一般炭の需要もこれまでのように停滞ぎみじゃなくて、二千万トン体制のもとで一般炭の消化をしていくということが可能になるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。ただ、一般炭につきましては公害問題、それから灰捨て場の問題等々ございますので、こういう公害問題の解決等につきましては、さらに技術開発というようなことで国も企業も努力をしていかなければならないというふうに考えております。
#104
○中村啓一君 それでは、今度の法律案につきまして若干お尋ねをいたしたいと思います。
 この法案はいろんな熱源を持っておりますところに、あるいは住宅も含めまして熱使用を効率化しようというねらいであると存じます。その意味では、さしあたって五%節約というよりも、ある程度期間はかかるかもしれませんが、確かにエネルギーを節約をしていくという道であると存じます。その意味で私はこの法律案を評価をいたしますし、一刻も早く有効に実施されるようにすべきであると存じます。これからの日本のエネルギー使用の体質改善に路み出すことに、ぜひこの法律が役立つようにしたいと存じます。そこで、この法案が成立をいたしまして実施をされますと、何%ぐらい石油の節約に役立つことになりましょうか、お伺いをいたします。
#105
○政府委員(天谷直弘君) 非常にむずかしい御質問でございますが、この法律案の特徴は、民間企業の合理化努力、これは自発的な合理化努力を根幹として、それに政府が若干の刺激を加えよう、こういう考え方になっておるわけでございます。もし民間の企業にそういう自発的な合理化努力がなければ、こういう法律は全くむだであると思いますが、幸いにして日本の企業は合理化努力につきましては世界で最もすぐれた意欲を持っておるわけでございます。そういうすぐれた合理化努力にさらに錦上花を添えるために若干の誘導をしようというのがこの法律でございます。したがいまして、この法律をつくった結果一体何%ふえるかということは計算が非常にむずかしゅうございまして、私どもは民間の努力が中心になって、そしてさらにこの法律による施策でそれを後押しすることによりまして、あるいは前から引くことによりまして、一〇・八%を達成したい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#106
○中村啓一君 次に、この法案の三条でありますが、工場あるいは事業場で熱の使用あるいは廃熱の回収等に努めることにしておりますが、そして四条でそのために判断の基準となるべき事項を通商産業大臣がお定めになることに規定されております。この基準の内容についてでありますが、これを全国一律のものとお考えになっているんでしょうか。やはり地域によってそれぞれ事情もあるかと存じますが、そういう地域の実態等について実情に沿うような配慮をお考えになりましょうか、その点をお伺いをいたします。
#107
○政府委員(天谷直弘君) この工場の事業者のエネルギー使用合理化のガイドラインの内容といたしましては、燃料の燃焼の合理化、熱の損失の防止、廃熱の回収利用等、事項ごとにまた必要に応じてはボイラー、工業炉等の消費設備別に使用の合理化を推進するため必要な注意事項を定めるということにしておるわけでございます。
 策定に当たりましては、必要に応じて専門家の意見を聞きながら、エネルギーの使用の合理化の技術的な可能性及び経済的な合理化を十分勘案いたしまして、無理のない範囲で事業者の最大限の努力を誘導するような水準を設定したいというふうに考えております。地域別等に何か特別な考慮を払うのか、あるいは大企業、中小企業別にとかいろいろあろうかと思いますが、これにつきましてはまあ住宅の場合は地域別でこの指針の差をつくらなければいけないというふうに考えておりますけれども、四条関係につきましては地域差ということは考えておりません。御指摘のおとり、どの辺を目安にしてこのガイドラインをつくるのか。ガイドラインを、非常に成績の悪い企業もできるように、落第坊主でもパスできるようなガイドラインにするのか、あるいは優等生を基準にしてガイドラインをつくるのか、これは確かにむずかしい問題であろうかと存じますが、業種ごと等の実情とかこういうものはいろいろ検討いたしまして、余り達成不可能なほど高くしてもいけませんし、だれでもやれることをただ書いたところで意味がございませんし、その辺は非常にむずかしいことでございますけれども、具体的な実情に沿うようなガイドラインをつくっていきたいと、こういうふうに考える次第でございます。
 地域等の特性の問題は、そういうガイドラインをつくりました場合に、また、そこで省エネルギーセンターであるとか、あるいは大口需要者の場合は熱管理士と電気管理士とがいるわけでございますから、そういう者を通じまして一般的なガイドラインはこうなっておるけれども、この地域はまだ一般的ガイドラインより大分水準が低いから大いにがんばらなければいけないとか、そういう種類の誘導なり行政指導なりということは考えなければいけないというふうに考えております。
#108
○中村啓一君 なお、工場を指定をして特別な規制に服させ、あるいはエネルギー管理者を設けさせるということになっておりますが、この六条の指定工場はどういう基準でお考えになっておられましょうか。
#109
○政府委員(天谷直弘君) 指定の基準といたしましては、熱管理指定工場につきましては燃料の使用量が年間石油換算で三千キロリッター以上、それから電気管理指定工場につきましては電気の使用量が千二百万キロワット程度以上ということで線を引こうと考えております。こういう線を引きますと、指定工場の数は、熱管理指定工場が約二千五百、電気管理指定工場が約二千程度と考えております。この数は全国の工場数の〇・三%程度でございますけれども、熱、電気とも製造業のエネルギー消費量に占めるシェアといたしましては七割程度になるということでございます。したがいまして、エネルギー使用の大部分、七割程度をカバーしますが、他方零細企業とか中小企業等は全部この指定工場ではなくなりますので、過度の負担をかけるということにはならないと思う次第でございます。
#110
○中村啓一君 十二条によりますと、主務大臣は指定工場が基準に照らして「著しく不十分」であると認めるときはいろいろ勧告をするという規定になっておりますが、この「著しく不十分」というのはどういう事態になった場合とお考えになっておりますか。
#111
○政府委員(天谷直弘君) 「著しく不十分」というのには、ケース・バイ・ケースでかなり判断のむずかしい問題もあるかと思いますが、大まかに言いまして大体二つの判断の尺度があると思っております。
 第一が、当該工場におけるエネルギーの使用の合理化のための措置の実施状況を総合的に判断してみまして、第四条第一項に規定するガイドラインに照らしまして非常におくれておるというのが一つでございます。
 それから第二番目には、これは横並びの問題でございまして、当該工場と似ている工場、同種、同規模、同程度の他の工場というものと比べてみまして、その工場のエネルギー使用の合理化のための措置の実施状況が著しく格差があると、こういうような場合、要するに隣の人がやっておるんだからあなたももっとやれるんではないでしょうかというような状況でございますが、そういう二つの尺度から「著しく不十分」であるかどうかということを判断をいたしたいというふうに思います。まあこの「著しく不十分」である場合も、それは実態は千差万別な理由があるわけでございましょうから、もっともな理由がある場合は、格差があったからといって「著しく不十分」ということにはならないと思いますが、その辺は具体的な状況を見て合理的な判断をしなければならないというふうに思います。
#112
○中村啓一君 なお、建設省にもお見えをいただいて、個々の個人住宅あるいは公共住宅についての熱の節約のための必要な法制化という点について規定をされておりますが、お伺いをしようと思っておりましたが、時間もございません。ぜひこの点は強力に推し進めていただきたいと思いますが、ただ、口先だけで個々の個人住宅が熱を効率的に使い得るようになるとは考えられません。よほど総合的な対策を、助成策を含めて検討していただくことが大切であると存じますので、その点は重々お考えだと思いますけれども、具体的な助成策も含め広く徹底をして行われますように、御尽力になりますことを御要望をいたします。
 時間が参りましたので私の質問はこれで終わりますが、いずれにしてもこういう石油エネルギーの事態に当たりまして、やはり冷静でしかも合理的な対策を講じ、ここの場を切り抜けていくことが必要であると存じます。所管庁の皆さんの御努力をお願いをいたしまして質問を終わります。
#113
○馬場富君 大臣に、先日、国際エネルギー機関、IEAに出席されまして、いま問題となっておるこの石油問題を中心として討議されたわけですが、午前中もお話が出ましたけれども、関係国と討議された中で、大臣が率直に考えられた日本の立場というものを御説明願いたいと思います。
#114
○国務大臣(江崎真澄君) 一口に申しまするならば、わが国は一次エネルギーの七〇%を石油に依存しておる、こんな国は比較的IEAの加盟国二十カ国の中にも少ないわけでございます。特にアメリカに次いでの多消費国であります。したがって、この困難性の影響を一番受けるのはわが国である。したがって、五%節約ということがなされれば世界の需給が見合うという事態であるならば、五%の節約ということは日本においてこそ最も最優先的に行われなければならない。それからまた、石炭等代替エネルギーへの転換につきましてもいろいろ問題はありますが、しかしこれも官民合同の懇談会の場を設けるとか、いろいろ緊密な連携を保ちまして、速やかにこの代替措置も一とっていかなければならないであろうなどなど、いろいろ思い当たるわけでありまするが、当面の対策としては五%節約を徹底する、これが何よりも緊急の課題であるという認識に立ったわけでございます。
#115
○馬場富君 そこで、きょうもそのための一つの方法としてエネルギー法案が出ておるわけでございますが、あわせまして大臣はやはりその会議の中からつかまれた状況として、現在の日本のエネルギー対策についてまだまだしっかりしなければいかぬと思われたのか、その点あたりどうですか。
#116
○国務大臣(江崎真澄君) これはもう率直に申しましてこのままではいけない、やはりもっと節約を徹底する必要があるということを痛感いたしております。今朝来もいろいろ議論がございましたが、企業におきましてはこのエネルギーの節約とまた使用の合理化という点等につきましては、エネルギーが高くなりまして以来、相当積極的に進められております。ところがその後、マイカーのたとえばガソリン消費量であるとか、一般家庭の電気の消費量であるとか、こういった一般国民の面におきましてはむしろ増量をしておる。一般家庭においてもやはり電気の消費量などは四%近くもあの石油ショック当時よりも多くなっておる。これはまあだんだん現代化が推進され、電気製品などの導入が盛んであるということ、空調施設が活発であるということ、いろいろ事情はあると思いますが、そういった場面を考えますというと、やはりもうちょっと国民にこの石油事情というものをもっともっと深く強く認識してもらう必要がある。これは何も日本ばかりじゃございません。会議の席上において、もうPRの時代より実行の時代だと、しかし、ここに集まっておる閣僚理事会の物の認識とそれぞれの国民の国民的意識とではずいぶん隔たりがある。したがって、どう具体的に実行するかという方途についても議論をしようというようなことで、話し合いが活発になされたわけであります。したがいまして、いま私ども首相からの直接の指示も受けておりますし、またその指示ばかりでなくても、わが所管省としまして節約法等をどういうふうに具体的にもっと徹底させるかということにつきましては、来週中にも相当な実績の上がるような結論を得たいということで、鋭意検討をいたしておるところであります。
#117
○馬場富君 ここで私は会議の内容もそうですが、日本の内政からいってもまた日本を取り巻くいろいろな客観的な情勢からいっても、日本のこれからの政治課題の中で一番ポイントとなるのはエネルギーをどうするかという問題に私は尽きるのじゃないか、そういう点でいま第二の危機と言われておりますけれども、ここに立ってあの四十八年に起こったあの第一次の石油ショックの、私はその時点に立って一遍日本も振り返ってみなければならぬのじゃないかと思う。やはり今日の危機の前提としては、あの時点で一つは予告的な現象があった、それに対してそのときに日本のエネルギー担当の通産省として、そのオイルショック以後の日本のエネルギー問題に対してどのように考え、どのようにお取り組みになったかを、ひとつ長官の方から御説明願いたいと思います。
#118
○政府委員(天谷直弘君) 昭和四十八年のエネルギー危機を契機といたしまして、それ以前とそれ以後とでは日本の置かれている立場が大変な激変をこうむったわけでございます。エネルギー危機以前におきましては、日本は世界で最も安い石油を使うことができるというきわめて恵まれた地位にあったわけでございます。驚くべきことでございますが、一九三〇年に石油の値段は二ドル二十一セントでございましたが、一九七一年にその値段が二ドル十八セントということでございますから、約四十年の間石油のドル建て価格は一銭も上がらなかったという驚異的な状況にございまして、そういう状況の恵みを最も享受することができたのは戦後の日本であったわけでございます。ところが、この昭和四十八年を契機といたしまして石油の価格が四倍になり、日本が今度は世界で一番高い石油を使わなければならないと、こういうような事態に陥ったわけでございます。その結果といたしまして、日本の石油多消費型の産業はいわゆる構造不況ということで大打撃を受け、他方、石油の制約を余りこうむらないいわゆる知識集約型の産業、これは一生懸命合理化努力をいたしました結果、競争力が非常に高くなりまして世界の市場にどんどん輸出を伸ばしていく、そういうようなことでこの石油の高価格を通じまして日本の産業構造がこの間に著しい変化を遂げ、そして約五年の間、日本の石油輸入量は全くふえない、増加しないという、非常に従来から考えますと経験しないような事態が起こったわけでございます。日本を初め世界各国とも石油の輸入量が余りふえない、日本の場合はほとんどふえないということでございますので、一時的には石油の需給がきわめて緩和した、そういう状況を呈しまして、その間、石油危機とか石油不足の時代が来るというのはデマであるというような楽観説もかなり流布されたような次第でございます。しかしながらその間、通産省としましては、及ばずながらこういうような事態に対処いたしますために、石油資源の開発であるとか、備蓄の強化であるとか、あるいは代替エネルギーの開発というようなことに努力をしてまいりまして、たとえば石油税を新設して財源をつくり、それをエネルギー政策の強化に向けるというようなこともやってまいったわけでありますし、あるいはイラン危機の直前に五百万トンのタンカー備蓄をやるということによりまして、今回の危機の切り抜けにも若干の役には立ったわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、昭和四十八年まで日本は余りにも恵まれた立場にありましたために、四十八年以前はエネルギー政策というようなことは余りやる必要がなかったようなわけでございまして、ところが日本の予算制度によりますと実績の上に何%アップということになりますから、昭和四十八年段階で非常に少ないエネルギー予算にシーリング方式でふやしていきましても余り大した額にならない、そういうわけで、われわれとしましては本来はこの状況の激変に対処いたしまして、エネルギー予算等ももっと飛躍的にふやさなければいけないのではないかと思いますけれども、現段階ではまだ非常に不十分であるということは告白せざるを得ないような状況でございます。
#119
○馬場富君 そこで、いま長官は最近の第二次的に来ておる石油危機ということに対しての対処の仕方を、いま御説明になっていましたけれども、ここで私はあの四十八年のオイルショックは、じゃ果たして何が原因で起こってきたかという点をどのように御理解していますか。
#120
○政府委員(天谷直弘君) 四十八年の石油危機の背景も、これまた非常に複雑であろうかと思いますが、第一の原因は石油の需給関係が変化したということであろうと存じます。先ほど来、一九三〇年から一九七一年まで油の値段が一銭も上がらなかったと申し上げましたが、その背景になっておりますのは、一九三五年から一九六〇年代の半ばぐらいまでの間に、大油田の発見が次から次へと行われたということでございます。一九五〇年代、六〇年代平均して見まして一年間に大体二百億バレルの新規油田が発見されたわけでございます。この間、年によって違いますが、要するに一年間の消費量の何倍というような大油田が発見されるわけでございますから、いわば油の貯金がものすごい勢いでふえていく、こういう状況でございました。したがって、需給状況が非常に緩かったんでございますが、一九七〇年代に入りますと新規油田の発見が二百億バレルから年間百五十億バレルくらいに落ちてしまっておる、そういうわけで今度は消費量は二百二十億バレルあるのに油田発見量は百五十億バレルというようなことでございますから、だんだん貯金が減るというようなことになってきているわけでございます。これは貯金の話でございます。
 それから、年間の石油消費量と生産量との需給バランスでございますけれども、これも一九七〇年代に入りましてからドルのたれ流し、過剰流動性というようなことで世界のインフレ景気がどんどん進んでいった、その過程でエネルギー消費量、石油消費量がどんどんふえていくのに対して生産量が余りふえなかったものですから、オイルショックの直前におきましては需給ギャップが非常に小さくなっておった、要するに供給の弾力性がきわめて小さくなっておったというのが基本的な背景でございます。
 それから次は、政治的な問題でございまして、中東戦争が起こってアラブとイスラエルとの対立が激化して、そこでアラブ、なかんずくこのアラブの先頭に立ったのがサウジアラビアでございますけれども、サウジアラビアがエジプトと結びましてイスラエルを圧迫するための政治的な武器といたしまして、いわゆるオイルウエポンというものを発動して石油の輸出禁止政策をとった。輸出禁止政策をとってみた結果、予想以上に世界の石油市場が緊張いたしまして値上がりが激しい、そういうことから相当大幅な値上げをするということが可能になるということが産油国にわかったわけでございます。
 それから需要サイドで見ますと、そのころ世界じゅうに過剰流動性が充満しておりまして、何でも物さえ買い込めばよろしい。絵画であるとかゴルフ場の会員権であるとか、あるいは毛糸の相場を張るとか、何でも買っておきさえすればもうかるというような風潮がございましたので、要するに値上げを非常にしやすいような、そういう背景が充満をしておった。あれこれいろいろな事情が重なり合いましてああいうような結果、産油国も自分でびっくりしてしまったほどの大幅な値上げが可能になったということではないかと思います。しかしながら、あのオイルショックは産油国が政治的な危機状況に対応いたしまして人為的に輸出制限をやったということから発しておりましたので、この政治危機が去って生産制限をやめ、輸出制限をやめますと、途端に危機はなくなってしまった、ただ高価格だけが残ったということになったのでございますが、その辺のところ、今回とはかなり違った性格を持っておったと思います。
#121
○馬場富君 そこで今回も前回も共通して言えることは、確かに世界全体がいわゆる石油の需要量というのがふえてきておる。それに対して将来的な展望に立って、やはりこの間の会議でも中心となったように、石油資源の欠乏ということは長い目で――前回も今回もあったんではないか。だが、前回でも、その後わかったわけですが、その時点では考えられなかったように、実は石油はあったんだと。だが、ああいうパニックが起こった、こういうことが一つははっきりと言えるんではないか。そこで私ども日本に与えたものは、その中でこれからエネルギーの主力として大半を石油に仰いでおる日本は、しかもその石油のほとんどを外国に依存しておる、またそれもメジャーを通して幅の狭い依存度でこれを集中しておる、こういう立場からひとつ、非常に日本のエネルギー対策というのはあの時点で危険性があった、こういうように私どもは見るべきではないかと思うんですが、その点どうでしょうか。
#122
○政府委員(天谷直弘君) 全く先生のおっしゃるとおりだと思います。
#123
○馬場富君 そこで例を引くわけですけれども、その時点に立って実はちょうど同じような立場に置かれたイギリスや西ドイツあたりは、以後にとった政策の中で西ドイツにおいてはアラブの産油国に対する依存度というのを一四・四%その時点から減らしてきております。それから供給先を二十一カ国に分散しております。一方では、国内では石炭開発と原子力発電を推進して、脱石油を強力に進めて五二%から四七%まで落とすという計画を持ちながら進めておる。イギリスについては北海油田等の成功もあったわけでございますが、やはりその後明らかに石油依存から石炭依存へと、大きい転換をなしてきている。先ほど長官が、恵まれた立場にあったためにという言葉がくしくも出ましたが、ここらあたりがやはりあの第一次の警告の後に、やはり日本のエネルギー対策としてここらあたりのとらえ方や警告の実行の移し方というのが非常に甘いんじゃないか。それでなお、やはり再び同じような問題が、なお深刻な問題としていま襲いかかっておりますが、やはりそこで私たちはこのままこの問題を真剣に見詰めなかったならば、やはり何回も繰り返していくことになるんではないかと、こういう点についての、ひとつ長官の御答弁をお願いしたいと思います。
#124
○政府委員(天谷直弘君) 今回、このイラン危機によって誘発されました石油市場の混乱、これを見ておりますと、中東石油の供給の安定性ということには、われわれはかなり深刻な疑問を持たざるを得ないと思うわけでございます。イランの供給がどれくらい安定しているかということは、まだわれわれ確信を持って答えを発見できないような状況でございます。
 それから次に、サウジアラビアでございますが、これは前回の石油危機のころは、サウジアラビアの生産能力は二千万バレルくらいまで引き上げることが可能だというふうに見ておった次第でございます。ところが一九七七年のOECDは、いや二千万はとても無理だと、千六百万バレルくらいであるというふうに、四百万バレル引き下げた次第でございます。ところが今度のIEAにおきまして、公式に数字は出しておりませんが、とても千六百万バレルは出ないと。サウジアラビアにはせいぜい千百万から千二百万くらいしか期待できないのではないかというふうに、かつて二千万といったものが千六百万になり、千百万になりというふうに、つるべ落としに落ちてきておるというような状況でございます。
 中東の油の供給安定性というのは、実はサウジが無限に油を出せるという、そこの期待と楽観とに大きな根拠があったわけでありますが、サウジアラビアがだんだんやせてくるということになりますと、中東の政治情勢は別といたしましても、中東の石油というものに余り大きく依存しますと非常に危険なことになるということが、四十八年のときよりもさらに明らかになったのではないだろうかと。そうしますと、日本が、ところがその中東依存度が非常に大きいと、これは日本が中東の油を運んでくる上に、日本が、ヨーロッパよりもアメリカよりも日本が一番近いというような場所にございますので、そういうこともありまして大きく依存していたわけでございますが、いずれにしましても、かつて恵まれておった立場が逆転して、中東依存度をもっと減らすということを一生懸命やらなければならないということはわれわれも痛感をしておるところでございます。したがいまして、石油につきましては、インドネシアの石油、中国の石油あるいはメキシコの石油等をもっと輸入拡大するという方策を考えなければなりませんし、日韓大陸だなを含む日本の近海の石油の開発ということも一層の努力を傾ける必要があると存じます。
 石炭につきましては、従来、日本の電力会社は、石炭を使うということにはほとんど関心を示しませんでした。これは石炭を使いますと、コストが石油と比べて著しく高くなるものですから、料金にそれを転嫁できるかどうかというような問題もございますし、公害問題等もございますし、日本の電力会社は、石炭――一般炭を発電用に使うということには非常にちゅうちょしておったわけでございますが、しかし最近は急速に考えを変えておりまして、電力用に一般炭を使うという考えで、真剣に取り組んでいるわけでございますから、今後石炭の使用というのはかなりふえていくのではなかろうか。LNGにつきましては最大の努力を払っておりまして、かなりな速度でLNGの利用というのは進んでおりますが、さらに今後インドネシアの増量であるとか、あるいはマレーシアのLNG、それからオーストラリアのLNG、それから多分メキシコもガスが大量にあると言われておりますから、メキシコのガスであるとか、あるいは中近東につきましても、燃やしておるガスが大量にございますので、それの利用を考えるというようなことが必要でありましょうし、原子力につきましてはスリーマイルの事故がございましたけれども、やはり安全性の問題に考慮を払いながら原子力の開発というのは進めていかなければならない。日本の場合には特にそうしなければいけないのではなかろうか。そういうことで、この中東以外の石油、それから石炭、原子力、LNG、こういうものの開発を従来以上に努力を集中いたしまして、石油依存度、なかんづく中東石油依存度というものを減らすべく最大限の努力を傾けなければならないというふうに考えております。
#125
○馬場富君 そこで、やはり後のそのエネルギーですね、バランスのこともそうですけれども、まず供給先の問題につきまして、長官いまおっしゃった点、私も同感ですが、やはり第一次のときもそういう点で、先ほども申し上げましたように、やはり中東、そしてその点については、アメリカのやはりメジャーに非常に依存点が強かった、そういう点がやはり結局、石油がまだあったにもかかわらず、あのような問題が起こってきたと。やはり今回はそれにも増して、やはりイランの情勢見てみましても、一たんこれは整ってきたものに見えますけれども、やはりそこについてのいままでのアメリカの後退やらそういう点で、その後の立て直しというのはまだまだ、なかなか複雑なものを持っておりますし、その他の中東関係のやはりアメリカの力というのはずいぶん後退してきておる、そういう点についてやはり中東依存度というのをわれわれ中心に考えていくことは、ここらあたりでそろそろ考え直していかなきゃいかぬじゃないかと思うんです。その一点は、ドイツのとったように、やはり供給源を多く持っていくという考え方と、それからやはり中東への外交政策について、いままでのやはりアメリカ一辺倒の考え方でなしに、この間の会議のような、そういう形でもって連帯の形で話し合いを進めていくというような、そういうやはり方法が一つはいまの方法として考えなきゃならぬ。先ほど長官がおっしゃいました代替の点も、それからほかの対策もございますけれども、これいま目の前の問題控えて、これだけ石油依存で拡大された産業やら生活というものが、これはもう簡単なことで転換できるわけじゃございません。やはり少なくともしばらくの間は、これやはり石油に依存してきた形というものは、これを残しながら改革を行っていかなきゃならぬ。そういう点での私たちは研究としてのエネルギー対策というのはどんどんやるべきでしょうけれども、政策としてのエネルギー対策としては、ぼくはそういう点で急激な変化というのがすぐ考えられないというやはり想定のもとにこれを考えていかなきゃ大きい失敗があるんじゃないか。そういう点で、そこらあたりの問題の中でやはり供給源を拡大するという面ですね。それとあわせまして、最近やはり新しい油田がメキシコやらあるいは中国の関係等でも起こっておりますけれども、そのやはり石油の内容等については問題は輸出等に問題がありますが、そういうものも含めてやはり石油を今後まだ使っていくという立場から考えた場合に、やっぱり供給源についてもここらあたりでしっかりと検討をし直すことがエネルギー対策上大切ではないかと、こう思いますが、どうでしょうか。
#126
○国務大臣(江崎真澄君) いまおっしゃることは、全く同感であります。そしてまあすでにそういう計画を含めまして、日韓大陸だなの開発もすでに手がけておりますし、中国との間に石油及び石炭の資源提供を前提とする共同開発も進めておるところであります。したがってお説のように、輸入先の多様化ということはもちろん大事なことであります。同時に、これまたおっしゃるように、現在の石油をどうするか、これは全く焦眉の喫緊事でありまするので、それぞれの商社側に督励をしながら――ただ、そこで一つ問題になるのは、どんな高値でもいいから入手しろと、そういうことは厳に戒めております。輸入商社を片っ端からチェックして、冷静な対応をしておるというのが日本の実情でありますが、なりふり構わないで石油を買い付けする国も一部にはある、こういった足並みの乱れがやっぱりOPEC諸国につけ入られることになるわけでありまするので、そういうことを極力排除しようではないかという申し合わせも先ごろのIEAの閣僚理事会においてなされたところであります。いま馬場委員が言われるように、今後ともこのエネルギー源の輸入先の多様化、しかもまた使用の面におきましてもこれを多角的にしていくことは当然必要であるというふうに考えます。
#127
○馬場富君 そこでひとつ多様化とあわせまして、先日も大臣出席されましたそういう石油を使っていくという一つのグループの中にIEAがございます。そういう一つの団体がある以上、こういうIEAの加盟国をふやすと同時に、こういう団体でもって産油国に対してのぼくは外交折衝というのを深めていくという対策しかないんじゃないか、この点どうでしょうか。
#128
○国務大臣(江崎真澄君) お説のような議論が当然出ております。そうかと言えば、いま午前中にもちょっと触れましたように、節約自身が実効が上がらない。どうも各国ともリーダーは大いに深刻な事態を認識しておるが、一般消費者は事態を十分認識していないというような段階でいまOPECに折衝をしてみても、節約をしろと言っておるのはOPEC側だという前提に立って、あなた方が節約の実を上げないから供給が不足する、供給が不足するから高値買いが起こる、すべてあなた方の方の問題ではありませんかというようなことになって、日本流に言うならばいわゆるやぶへびである。もうちょっと節約の実を上げたり、代替エネルギー、これはドイツの場合でもフランスの場合でも石炭がありますね。おっしゃるように日本の場合はその石炭も輸入に仰がなければならない、またにわかに石炭に切りかえをするということについても問題があります。当然タイムラグが相当出ますというようなこともありまして、とにかくここのところは冷静に対応しながら入手に努めるというわけであります。いまおっしゃるように、産油国との話し合いなどは従来の関係もありますし、経済協力の面もありますし、そういった面を踏まえながらこれも静かに対応していくことが必要ではなかろうか。日本だけがまた前の石油ショックのときのように、石油欲しさに世界の足並みを乱して独自の行動に出るということが、いろいろ国際的にも先進国間で議論を呼ぶ可能性なしといたしません。したがいまして、そのあたりは外務大臣も十分心得ておりますので、よくわれわれ政府としても慎重に配慮をしながら実効の上がるようになお今後努力を続けてまいりたいというふうに考えます。
#129
○馬場富君 それとあわせまして、エネルギーを石油中心からいま研究されつつある代替エネルギーへと、そういう点の一つは踏み切り方も石炭等を中心としてやはり必要だと思います。こういう点についていまサンシャイン計画を立てて通産においてもやってみえますが、太陽あるいは地熱、石炭も液化やガス化あるいは水素等いろんな研究もなされておりますけれども、こういう点について非常に詳細な数字はむずかしいでしょうけれども、いわゆる熱量からする石油に対して大体どのくらいのコストの割りが想定できるか、概略で結構でございますが、御説明願いたいと思います。
#130
○政府委員(天谷直弘君) これは工技院の方がお答えすべきだと思うんですが、私の方まだそういうことにつきまして十分研究をしておりませんし、現在ただいま準備をしておりませんので、お答えがむずかしいんでございますが、大ざっぱに申しまして、現在の実用化されている代替エネルギーといたしましては石油火力より原子力は安い、それからLNG、石炭火力、水力等はやや高めになるというようなことではなかろうかと思います。そのほか太陽エネルギー等の新エネルギーの供給コストにつきましては、現在プラント建設の段階に入っておりまして、そこで実用化技術の確立を図るとともに、その経済性の見通しも把握することを目的としておりますので、現在まだそういう過程にございますから、いまのところで太陽エネルギー等のコストについて石油エネルギーとの比較を行うことは非常にむずかしいんではなかろうかというふうに思います。
 それからもう一つは、石炭の液化でございますが、これはアメリカ、西ドイツとの間で大規模な共同研究を行うことになっておりますが、この石炭液化のコストにつきましては一応二十数ドルというふうに言われておるわけでございます。いまスポットマーケットの価格は三十五ドルでございますから、スポットマーケット価格並みになりますと石炭液化もペイするということになりますけれども、ただし、この場合二十数ドルという場合にはプラント建設コストは現在価格で計算するわけですし、石炭の値段も現在のままとまっておって値上がりしないということで考えておりますけれども、ところが、実際は石油の値が上がりますと、プラント建設費用も上がりますし、石炭の値段もまたつれて上がってしまうということで追っかけごっこみたいになりますので、これもまた確たることを申し上げるのはむずかしい。しかし大ざっぱに言いまして、石油に対しての一番代替可能性の大きいのは原子力だと思いますけれども、原子力につきましては、先ほど申し上げたように、石油とかなり競争力を持っておる、それからLNG、石炭もまあまあというところである。石炭液化ということになりますと、相当高くなる。それから太陽エネルギーであるとか、核融合とかということになれば、いまのところちょっとよくわからない、そういうような感じではないかと思うわけであります。
#131
○馬場富君 いま説明聞きましても、また私どもが調べましても、いま代替エネルギーの中で実現可能なものはまだ見当たっていない、原子力は別といたしまして。それでたとえば石炭あたりの問題等については、多少考える余地ができてきておるようでございますけれども、これもコストの面でいけば石炭そのものを生だきにしてもやはり石油よりも高くつく。ましてこれが液化やガス化になってくれば、これは高額でとてもいまのコスト面では採算が合わないと、こういうことになってくると思うんです。そういう点でやはりここでイギリス、ドイツが思い切って転換をしてきた中に、石油中心から代替エネルギーへの転換の中で一番中心となってくるのは私はコストの問題だと思うのです。いろんな政策がいま何点か通産省も出されておりますけれども、研究機関への補助やら、あるいは結局そういう設備の補助とか、そういう点は考えられるけれども、そのエネルギーそのものがコスト的に大きい差がある。こういうときに転換していく場合に、何らかそこで今後そういう面でのはっきりとした政策を持たなければ、この転換も研究にみんな終わってしまうんではないか、いわゆる政策というのは、そこにコスト的にまずくてもこれを実践していくだけのものがなければ、私は政策にならないんじゃないか、そういう点で、ドイツ、イギリスあたりもかなり犠牲の中に今日のエネルギー体制を築いてきておる、こういう考え方からして、日本がやっぱりそういう面をこれからどうとらえるかということをお聞かせ願いたいと思います。
#132
○国務大臣(江崎真澄君) それが日韓大陸だなの油田開発でもありますし、また、中国との渤海湾等の石油開発ということにつながるというふうに思います。
 それから原子力の問題は、スリーマイルアイランドのあの事故に徴しまして、安全確立の問題が世界的に再検討の段階に入っておる。しかし、結果から言いますならば、これは最も初歩的なミスであって、しかも二重、三重にミスが繰り返されたにもかかわらず、被害は最も僅少であったということは、言いかえますと、安全度は何重にもカバーされておって、確保されたということも言えると思います。したがって、国民的な感情的な批判、拒絶反応、こういったものは度外視できませんので、われわれもあの事故を契機として、一層、安全確立を第一に考えますが、日本としては、やはり原子力発電ということも推進しなければならない。このことは、同じようなことをアメリカも、特にフランスは日本と事情が似ておりまするので、私に、ジロー産業相は率直に、従来の原子力発電計画というものを推進しなければならぬ、むしろフランスとしては、国策としてその政策を今後遂行したいということを強調しておったところであります。
 その他、ドイツ、イギリス等においても同様でありまするので、なお、国際的に安全度を一層高めまして、国民の理解を深めるように、この点も今後粘り強く努めていきたいというふうに考えます。
#133
○馬場富君 いま私がお尋ねしたもう一点なんですが、これは長官の方から御説明願いたいと思いますが、私どもが、いま、石油にかわって次にすぐ考えられるものに石炭があるわけでございまして、先ほど御説明のように、液化等でいけば価格的にむずかしいという点もできてくるし、また、量的な問題もあります。そういう点で、やはり使用するとなると、そのまま生で燃やすという考え方ですけれども、これについてもコスト差ができてくると思うんです。こういう点で、やはりこれを使うということについての問題点はありますが、進めていく場合、その差に対する国が援助策を一つは考えていけるかどうか、こういう問題です。
#134
○政府委員(天谷直弘君) 石油のかわりに石炭その他のエネルギーを使いますとコストが高くなる。これは多分、国民経済として安全保障のために払う保険料であるというふうに考えますけれども、この保険料を一体だれがどういう形で払うのかというのが大きい問題だろうと思います。一つの考え方は、一般消費者が負担するという考え方でございます。すなわち、電力料金を上げまして、高い電力料金にして、それでコストをカバーするという考え方が一つございます。
 もう一つの考え方は、政府が石炭火力等の建設に対して補助金を与えるとか、その他税制、金融上の優遇策を与えるとかというようなことで、高コストでもやれる、電力料金の方は余り上げないで、むしろそっちの方を補助いたしまして、高コストのエネルギーを開発していくという行き方でございます。これの考え方の場合には、一般納税者に負担していただくのか、あるいはエネルギー消費者に負担していただくのか、要するに、ガソリン税的やり方で消費者負担ということにするのか、あるいは一般財政ということで、一般納税者に負担していただくのかということの選択がございます。いずれにいたしましても、一般納税者かエネルギー消費者かというどちらかが、この税金ないし価格という形で負担をしていただかなければならないという問題でございまして、そこのところをやはり国民全体としてコンセンサスをつくっていくということが必要ではなかろうかというふうに思うわけでございます。物事はそう簡単にきれいに片づくものじゃないと思いますから、ある程度は税金、一般財源からも出してもらう、それからある程度はエネルギー消費税的なもので微収していく、ある程度は価格の引き上げというようなことで負担してもらう、そういうことで石油にかわるところの、石油よりもコストが高いいろいろな代替エネルギーというものを開発していく、そういう国民的な気構えが大切ではなかろうかと思う次第でございます。
#135
○馬場富君 いまおっしゃったように、私は、そこで、これからのエネルギー政策の中で、ただ、私どもがイギリスや西ドイツあたりと比較してみて考えることは、やっぱり国として、エネルギー対策についてもがっちりとした、ただコストとか、そういう問題に対してだけでなく、やはり国としてどういうものを進めていくかという基本的なものをがっちりと決めたものを持っていかなければならぬ、こう思うんですね。そういう点で、今後、ひとつその点をしっかりお願いしたいということと、エネルギー政策の発想の中でよく最近論議されておりますソフト・エネルギー・パスという一つの考え方がございますけれども、ひとつこの考え方について、長官はどのように理解されていますか。
#136
○政府委員(天谷直弘君) ソフト・エネルギー・パスという考え方は、環境論者、特に環境に対する熱意の非常に強い人、それから、現代の文明に対して疑問を抱いている人、こういう人々がソフト・エネルギー・パスというふうな考え方をお持ちではなかろうかと思います。その考え方を否定するわけでは毛頭ございませんで、ソフト・エネルギー・パス的な考え方である程度いける部分は、それはいったらよろしいというふうに思いますけれども、ただ、現在われわれが消費しております大量の石油エネルギー、こういうものをソフト・エネルギー・パスで考えようとしたって、それは無理である。したがって、よほど文明生活の程度を下げるという覚悟を決めませんと、ソフト・エネルギー・パスというふうな考え方に全面的に賛成するというふうなことは不可能ではないかというふうに考えます。
#137
○馬場富君 次に、最近、原油の値上げを一つの問題点としまして、ずっと、灯油にしても、軽油にしても、それからナフサにしても、相当値上がりが起こっております。たとえば、灯油あたりでいくと、卸値が一リッター当たり二十七、八円の状況のものが、きょう現在でいくと五十円近くまで来ておるというような市場での実情でございますし、それから国産ナフサ等にいたしましても一キロ当たり三万二千円というような、石油関係で結局そういう値段も出ておる。こういうような一連の値上がりが強烈になっておりますけれども、この点についてはどのような考え方を持っていますか。
#138
○政府委員(天谷直弘君) 産油国が急激に値を上げておるわけでございます。御承知のとおり、昨年十三ドル七十であったものがまず十四ドル五十になりまして、さらにその上に一ドル八十とか二ドルとか、二ドル八十とかいうようなサーチャージをどんどん積み上げてきておりまして、現在はアラビアンライト以外の油は十六ドルから十七ドル、十八ドルというふうな線に来ております。これは公式販売価格でございまして、スポットマーケットの方へいきますと三十四ドルとか三十五ドルとかいうような値もついておるわけでございます。こういうふうに元が値上がりしているわけでございますから、この価格は早晩ユーザーの方に転嫁しなければいけないというふうに思います。現在の常識的な方法によりますと、大体三カ月ぐらいたちましたら転嫁をするということで、いまこの四月値上げ分について転嫁が行われつつある過程であるというふうに考えております。この転嫁というのはもちろん非常にむずかしい問題でございますが、私どもは基本といたしましてはそれは石油業者とユーザーとの間のネゴシエーションによって行われるということが原則であるというふうに考えております。それからなお、国際的に見まして日本の現在の石油製品価格は決して高い方ではございません。特に灯油等は国際的に見て日本は著しく低価格というような状況になっております。それから、灯油について申し上げますならば、他の都市ガスであるとかLPガスであるとか電力であるとか、こういうものと、競合の熱源と比較いたしましても灯油は著しく低価格と、こういうことになっておるわけでございます。それから、中間三品につきましては需給がかなり逼迫してきておるというのも実情でございます。原油の性質がだんだん重質化してきておる、他方中間三品の需要は一般の石油、燃料油に対する需要よりもはるかに速い速度で伸びているということでございまして、非常に需給が窮迫をしてきておりまして、需給が窮迫いたしますとどうしても、何と申しますか、やみ値的なものも出てくるような状況になってくるわけでございますので、この辺は石油の、特に中間三品の価格政策というのは非常にむずかしい問題であると思います。しかし、私どもは原則としては市場の状況をある程度反映させませんと、灯油のように人為的に低い値段で抑えておきますと、ある日突然足りなくなってしまうというようなむずかしい問題が起こる可能性もございますし、それから日本の灯油価格でありますと、外国から輸入しようと思いましても日本の方がはるかに安うございますから輸入するということもむずかしい、規格も合わないという点もございますが、というようなことでございまして、基本的には産油国における値上がりを反映して秩序正しく妥当な範囲の値上げが行われていくということが望ましいことであるというふうに思っております。
#139
○馬場富君 いや、おっしゃるとおり灯油が安いということはよくわかっておるわけですけれども、国民生活に必要だから指導をもって一つは安い値を保ってきたわけですから、当然安くてあたりまえじゃないかと、これが指導もしたのによそより高かったりしたらおかしいものです。だから当然であると。だから、そういうバランス等によって灯油が非常に逼迫してくるというような逆現象も起こったから指導を外すというこの前の見解が出ていましたけれども、ある程度まで理解できますけれども、そのために実は灯油の、一般家庭がどんどん需要がふえたわけではなくて、この裏をずっと見てみますと、灯油が安いために業務用のそういうものが、ガスを使っておったものやら、あるいは重油を使っておったものを灯油に切りかえたり、あるいはそういう小さな暖房でも大型に切りかえたり、そういうことによってこういう現象が起こってきておるということなんで、ぼくは、これは先ほどのエネルギー全般の石炭やそういうことについても言えるわけですけれども、やはりそういう点である程度までのバランスは必要だけれども、このようにほうっておいて幾ら高くなってもいいという、そういうものではないと思うんですね。そういう点で、そこらあたりに私は政策上のまずさがあるんじゃないか。確かに灯油が安い、ほかのものが高い、それから比例して、その時点では日本にやはり通産挙げて石油の危機だと、そういう点ではいろんな点で節約しなきゃならぬと、こういう事態が来ておりながら、一つはそういう大型のストーブ等のものもどんどん生産されてきておるとか、あるいはわざわざガスでいままでやっておったものを、これは代替からいけばガスにすべきものをまた灯油の器具に切りかえて設備をふやすとか、こういうようなはるかに国が考えた問題と逆転した方向に動いて、その動きが値上がりがひどいから、やはり使用量が多くなってきたからそれに対して指導を外すという、こういう点は私はやはりまずいじゃないかと。だから、現在の灯油の安さがそのままでいいというわけじゃございません。やはり長官の言うとおり多少のバランスは必要でしょう。だが、そういう方向に、石油危機が言われながら、省エネルギーの問題が叫ばれながら、そういうために一つは灯油の需要量がふえてきたなんと言ったら、これは私は政策のまずさだと思うんですよ。こういう点どのようにお考えですか。
#140
○政府委員(天谷直弘君) 灯油の値段がほかのエネルギーと比べまして安ければ、私は自由経済のもとにおきましては、たとえば灯油暖房器がたくさん出てくる、FF暖房器と称しておるような灯油を大量に使うような暖房器が出てくるというのは、これは自然の勢いである、価格が安い以上はそうなるはずである。テレビの宣伝を見ておりますと、灯油は安いです、お得ですというふうに宣伝をしておるわけですが、別に間違いじゃないと思います。確かに一消費者から見ればいまの灯油の値段はお得な値段でございますから、そういうものを使うところの瞬間湯沸かし器もできるでありましょうし、FF暖房器もできるでありましょう。それを製造するメーカーから見れば、確かに灯油は安いから、そういう機械をつくるのは間尺に合う仕事でございます。消費者の方もそれを買った方がガスの暖房器を買うよりははるかに安くて快適であると、こういうことになるはずでございます。それからまた、A重油が足りなくなれば、A重油のかわりに灯油を入れたっていいわけですから、灯油を買いにくるでしょうし、トラック等で過積み規制の結果、軽重油の需要がどんどんふえておりますが、軽重油が足りないと言えばこれまたディーゼルエンジンの中に灯油をぶち込むということも起こるでありましょう。あるいは事務所等の暖房におきましても、何かほかのA重油等をたいておったものが灯油にかえるということも出てくるわけでございます。要するに灯油と言いましてもこれはいろんな使い道があるわけでございますから、値段が安ければ当然灯油の使用量が急速に伸びていくというのは、私は自由経済である以上はあたりまえのことであるというふうに思っております。あたりまえのことをやっておりますと今度は供給量が追いつかなくなるという事態がいま現に起こりつつあると、こういうことでございますから、これは需要と供給の交わりのところで価格が決定されるべきはずのところを、その交わりの点よりも下の方に価格がありますから、どうしても供給より非常に需要が伸びてしまうというのが現状であるというふうに私は認識をいたしております。
#141
○馬場富君 いや、だから自由経済の立場でいけば安いものを買っていくということは必然だと、それはおっしゃるとおりです。だが、それだけで私はエネルギー対策をする場合の政策問題いいかということです。今度の省エネルギーの問題については、あなた方法律で省エネルギーのために器具やいろんなことについての一つは対策を考えられたんじゃないですか。私はそのことをいま言っているんですよ。こういう法律をつくるんなら、その時点で、いろんな石油危機が云々されておるときだから、灯油の値段の問題もあるけれども、そういうような指導ということも業界等に、この法律ももちろんあるけれども、どんどんとやはり考えていくだけのものを国自体が持って、もっと積極的に早く手を打っていかなければ、経済の流れるままにということならば、私は代替エネルギーもみんな、いま石油が一番コストが安い以上、石油に全部流れてしまって変革というのは私はできなかったと思うし、ドイツにおいてもイギリスにおいてもそういう考え方だったら、現在の日本と同じような道を歩んだだろうと私は思うんですよ。そういう点で為政者のあなたに私はいま質問しておるんです。国民の方々は買う方だから安い方を買うのはあたりまえのことです、そんなことは。ところが、政治を担当してやはり国民のエネルギー問題を扱う中心者になるあなたの考え方を私は聞いておるんです。そういう点で私は今度のこのエネルギー法の問題につきましても、そういうことが法律でつくられ、されておるからこそ、灯油の問題等についても指導を外されたことは一つのやはりバランス等のためにやむを得ぬという点もございますけれども、それを野放しにしていくという考え方というものは、これはやはりいままで行政指導してきたたてまえとしておかしいんじゃないかと、こう思っていま言っておるわけです。
#142
○政府委員(天谷直弘君) 私が申し上げておりますのは、石油あるいは灯油の節約をしなければならないというときに、節約をお願いしながら価格の方は特別安く抑えておくということは首尾一貫しないということを申し上げておるわけでございまして、他方、今度はその産油国の原油の値上がり以上に灯油の価格がどんどん上がっていくと、いわゆる便乗値上げと言われているような現象が起こりますならば、それについてはもちろん行政指導はするということでございます。ただ、われわれはいまの、これまでの、従来の灯油価格というものは、節約じゃなくてむしろ使用奨励というような性質の価格であったということでございます。
#143
○馬場富君 いや、私の言っておるのは、石油が非常にないと、節約しましょうと言っておるときに、従来一で済むストーブを使うものを、それを灯油が安いからといって大きな使用量を使う物をどんどんふやさして、これもおかしいじゃないかということを私は言っているんですよ。その点についての御答弁願いたいと思います。
#144
○政府委員(天谷直弘君) 私どもの方はエネルギー庁でございますから、たとえば自動車の型であるとか、それからストーブの型であるとかについてまで、こういう型は使っていいとかよくないとかということを申し上げる立場にはないわけでございます。ただ、同じ自動車でもできるだけ燃費がよくなるように、この省エネルギー法では燃費がよくなる自動車を奨励しておる。あるいはガスストーブ、石油ストーブでございましても、同じ型のストーブであればできるだけ燃料効率のいいようなものに改善していくようにガイドラインをつくって、そちらの方向で企業が努力するということまではお願いしておりますが、型まで大きい物はよくないとか、灯油ストーブはよくないとか、ガソリン自動車はよくないとか、そういうことまでは立ち入らない。使用方法の効率化ということだけ、この省エネルギー法は原則として考えると、こういう立場に立っておるわけでございます。
#145
○馬場富君 その点、長官は自分の立場と違うということですが、大臣、そういう点で指導の枠を外されたと。その点、いま私が数字を説明したように、市場については昨年当たりの倍近い灯油の値上げというのが実際市民に渡る、国民に渡る価格で上がってきておるわけですよ。そういうような状況等を見ましても、私はやはり野放しにしておくということでは相ならぬと思うんです。それはやはり一つの値段の軽油、重油、灯油と、こういう関係のバランス等の問題はございますから、多少その点はあるとしても、ここらあたりの点、担当大臣として国民にエネルギーを安定供給するという責任者からいってどのようにお考えですか。
#146
○国務大臣(江崎真澄君) 一口に言って、安定供給のために、いままでの行政的な指導を緩和するような形にしたと、こういうことも言えると思うんです。やっぱり、灯油、軽油等を中間留分を取るためにはやはり軽質油を必要とします。それがだんだん重質油に変わっておるということになれば、値段が安ければいよいよ最需要期に向かって今度は供給ができなくなってしまうということであっても困る、ということだと思います。したがって、いま天谷長官も言いますように、必ずしも器具等に制約を加えなくても、その値段が他の油と均衡のとれた値段になってくれば、やはり消費者の方も効率のいい、また節約型の燃焼器を使うということにもなりましょうから、そういう自然の傾向をわれわれとしては待つという以外にないと思いますが、いずれにしましてもこれからは節約の時代に入ったと。まことにこの政策転換が遅かったではないかというわけですが、そこに安価な油がある、四倍に値が上がって供給はだぶつくと、その国々もそれを早く売って近代化を進めたいという政策にあるということになりますと、どうしてもこれはそこにある物を使いたくなるのも、これは国としても個人の場合でも同じことが言えるように、確かに前回の場合と違って、今度の場合は様相が違う。しかし、値段は高くなるかもしれませんが、量においては不安定、不安定と言いながらもいまのところは確保できておる。それが続くのか続かないのか、いやそれは不安定要素が多いというのがこの間のIEAの結論でありますから、ここらあたりでもう一遍エネルギー資源皆無の日本としては考え直して、節約に徹することが必要だと思います。
 たとえば、この国会におきましても、私たしか議院運営委員長をしておったときですから昭和三十四年の話であります。民間会社などに先んじてここに暖冷房の空調施設が取り入れられたということを考えますと、これは二十年来のことであって、その前は冬も暖房施設あるいは空調による冷房施設なんというようなものはありませんでした。大きな会合は氷柱を立てるのが常識という形でございましたから、もう一遍お互いに考え方の出発点を改めれば相当な節約は可能である。ましてや、五%の節約ができない日本人ではないというふうに思うわけです。
 この間、私はIEAでラムスドルフ経済相と話をしておりましたときに、なるほど国民性の違いだなと思った話を一つだけ御紹介しますと、彼は、ガソリンが高くなることが節約に一番つながることじゃないか、何%節約なんと言うからOPECに足元を見られるんだ、高くなるなら高くなればそれで市場メカニズムが働いて消費は少なくなる、そういうことで対処するよりしようがないじゃないか。こんなことを日本でまさか経済担当の大臣が言ったら、途端に大騒動が起こりますね。また、事実、エネルギー源のほとんどを海外に仰いでおる日本としては、そんなに安易に議論を展開するわけにはまいりません。日曜のガソリンスタンドの休業でも、正直者がばかを見ると困ると言ったら、そういうことは国民が指弾する、それは節約に協力をしない悪徳商人であるということでわれわれドイツ人は拒否するんだ、そういうところでは買わないとこう言う。見事な発言だと思いましたが、まあこれは教育の問題から始めなければならぬと思いますが、日本人も賢明な民族でありまするので、今後ひとつ馬場委員の御協力なども得ながら、お互いにひとつ節約を実行に移すべく努力をしてまいりたいと思います。
#147
○馬場富君 最後に、公取が来ていただいておりますが、ガソリン値上げでいまやみカルテルで検査されておるという状況ですが、その実情をちょっと御説明願いたいと思います。
#148
○政府委員(妹尾明君) 石油製品、特にガソリンの値上げの問題につきましては、去る三月二十七日でございましたか、当院の予算委員会で先生からも御指摘のあった問題でございまして、私ども橋口委員長が、監視体制を強めまして、問題があれば一応処置するというふうに御答弁申し上げたと記憶いたしておりますけれども、その後、各地から値上げの浸透につれまして、値上げの仕方につきまして消費者等からいろいろ苦情がございまして、上げ方が一斉値上げでおかしいではないかといったたぐいのものでございますけれども、内容等によりまして問題がありそうだと思われる地区につきましては、値上げの実態を調査する。一斉値上げに問題はないかどうかという実態を調査することを行っております。かなり多くの地区で行っております。
 それから、その過程におきまして、特に大分県の地区におきまして、単に一斉値上げだけじゃなくて、値上げに絡みまして実効確保の手段といいますか、そのためにもつと競争を強く制限するような措置を講じているような動きもございましたので、大分県の地区につきましては独禁法の四十六条の強制調査権限を使いまして、本格的な調査を行っているという事例もございます。
 現在の状況は大体そういう状況でございます。
#149
○柄谷道一君 私は三月十日の予算委員会総括質問におきまして、通産大臣に対しエネルギー問題と石油備蓄問題について質問を行いました。
  〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕当面する国際石油事情そして長期的なエネルギー需給の展望を考えれば、石油の安定的確保を図ること、代替エネルギーの開発を行うこと、これはもう当然やらなければならない国家的な課題でございます。しかし、これとあわせて省エネルギー対策の拡充というのが今日ほど望まれているときはないと思います。
 そこで、私は本日の法律案に従いまして省エネルギー対策というものにしぼりまして御質問をいたしたいと思うわけでございます。
 本委員会でいま審議されております法案は、一口で申しますと、産業部門の一般は指導及び助言、同じく産業部門の指定工場は勧告及び指示、建築物については指導及び助言、機械器具製造事業に対しては勧告、こういう言葉に尽きると思うのでございます。いわばこれは誘導型の対策でございます。しかし、欧米諸国の省エネルギー法案というものをしさいに検討してみますと、これはいずれも強制罰則型の法体系をとっております。そして、単にこれは違反者を出すということに目的があるのではなくて、その強制する省エネルギー対策を推進するための助成策というものを非常に強化しているところに、各国立法の特徴があると私は理解しておるわけでございます。
 そこで、まずお伺いしたいわけでございますが、このような誘導型の省エネルギー対策によりまして、その効果を十分に期待するという見通しをお持ちであるのかどうか、この点からお伺いいたします。
#150
○国務大臣(江崎真澄君) 現在提案申し上げておりまするこの法律案は、エネルギー消費の各分野につきまして国がガイドラインを示す、そして必要に応じて指導をしたり、いまお話しのように助言をする、あるいは勧告などの措置を講ずることによりまして、可能な限りエネルギーの効率的しかも合理的な使用を図ろうというものであります。いわば、中長期的観点からわが国経済社会の体質をより一層エネルギーの効率的な体質に変えていこう、改善しようというわけでありまして、わが国経済、わが国の実情、こういったものを踏まえながら一応妥当なものとして出したわけであります。
 各国の省エネルギー対策との御比較についてでありますが、これさっき私が馬場さんにもお答えしましたように、それぞれの国の事情もあります。たとえばこの間驚いたんですが、シュレジンジャーなども、ロバはむち打たなければならないなんて言って、まるで国民をロバ扱いするような一つの例示がありました。一体そういうことが日本で通用するのかどうなのかですが、しかし節約というもののためには相当政府がこれは決意を新たにして思い切って国民に呼びかけませんと実は上がりません。しかし、この今回の法律につきましては、やはり省エネルギー対策としては必ずしも先進諸国に比べてそんなに遜色のあるものとは思わないわけであります。それは日本人の自覚にまつという点に重点もあるわけでありまするが、十分今後徹底をしてまいりたいと考えます。
#151
○柄谷道一君 各国の立法に比べて遜色があるかないか、これは主観の問題でございまして、私は率直に本法案を精読いたしましてどうもぬるま湯的な感じを否定することができません。しかし、こういう法律がないよりも、いま大臣が言われましたように立法化を図ってその徹底を期していく、これは有意義なことであることには間違いがございません。
 ところで、アメリカでは一九七五年十二月にまず基本法たるエネルギー政策節約法の制定をいたしております。さらに七六年八月にその補足法としてのエネルギー節約生産法を制定しております。引き続いて一九七八年十月十五日国家エネルギー法が米国議会を通過をいたしまして、十一月九日カーター大統領が署名することにより発効いたしております。このように、国内にいわゆる石油資源を持つアメリカにおいても、七五年以来三回にわたって立法を逐次エネルギー事情の現状と展望を踏まえつつ強化しているというのがアメリカの実態でございます。
 そこで、私はこの法律を施行後、やはり立法化によってもたらされたその効果、実績、こういうものを的確に把握をして近い将来さらに省エネルギー対策を強化するためにこの法律の強化を図る必要があるのではないか、こう思うのでございますが、大臣いかがでありましょうか。
#152
○国務大臣(江崎真澄君) これは衆議院におきましても修正がなされたところであります。今後の内外のエネルギー事情その他の状況の変化が大きなものになりますれば、これはまた新たにつけ加えられた衆議院の修正点を踏まえて実施していくわけでありますが、もちろんまた必要に応じては強化するということも当然必要になってくるかと思いまするが、現在の場面としては、法律体系が産業、民生、輸送、こういった各エネルギー消費部門において節約が可能になるように、そしてまたわが国の経済社会の体質を省エネルギーの方向に向けていくようにという点では一応整っておるというふうに考えるものであります。いま御意見の存する点につきましては、今後大きな変化に応じてはもとよりまた考え直すこともありましょう。現段階ではまずこれをひとつ実施に移していきたいというふうに考えます。
#153
○柄谷道一君 今後石油事情の変化によっては検討する、こういう御趣旨でございますけれども、しかし問題は、片やエネルギー事情の変化がどうなっていくかということとあわせて、この省エネルギー法案の効果が一体どう成果をあらわしつつあるのか、このまた現実の把握もきわめて必要であろう、こう思うのでございます。
 そこで、これはアメリカの例でございますが、米国DOE、すなわちエネルギー省は、いわゆる省エネルギー活動の年次報告書をまとめまして、これを議会とそして大統領に報告をいたしております。この報告内容によりますと、連邦政府が各州に対する助成の条件としております基本法の五項目につきまして、これを中心として各州のエネルギー節減計画、各州のエネルギー節減量の見通し、その結果を踏まえた連邦政府の助成給付状況、こういったものをつまびらかにいたしまして、大統領及び議会が適切な省エネルギー対策というものを確立する重要な資料を提供いたしておるわけでございます。本法施行後私たちはこの実施というものを冷静に、かつ客観的に見守る必要があると思うのでございますが、政府につきましては、こういうアメリカ並みの報告をするかどうかは、日本の国籍とはやや異なりますけれども、日本的にこれをこなして、絶えずわれわれにその法案の効果、成果、これを報告されることが必要ではないか、こう思うのでございますが、いかがでしょう。
#154
○国務大臣(江崎真澄君) ちょっと念のために先ほどの答弁に補足しておきまするが、今度の法案というものはエネルギー使用の合理化を恒常的に進めていこうというところに焦点があるわけでございまして、当面の対策ではないということですね。これは御理解いただけると思います。
 それから、先ほど私がシュレジンジャーの言葉を引用いたしましたが、アメリカも大統領を中心に節約を号令したり法制化をしたりしても、なかなか節約が思うように進まない。消費量はわが国の四倍である。埋蔵量は相当なものを持っておるが、現にそこにある中東の石油に従来は依存する度合いが比較的多かったというようなことから業を煮やして、いまのロバはむち打たなければならないという言葉になったであろうというふうに推察できるわけであります。したがって、各州ごとにこの節減の統計を出しておることも私承知いたしております。それからまた、州がそれに対してある程度の基準量を決めて節約方途に合わせるようにということも聞いております。したがって、わが方としてもあとう限り、特に今日のこういう情勢でありまするので、現状把握をしてできるだけ的確に対応ができるように努力していきたいというふうに考えます。
#155
○柄谷道一君 私は、与えられた時間が三十分でございますので、今後答弁はできるだけ要を得て簡潔にお願いを申し上げたいと思います。
 まず私は、ここで法律が制定するとします。将来問題は一応横に置くとして、その効果を上げていかなければなりません。大臣は、PRの時代というよりも現在は実行の時代である、しかしわが国の実態においてはまだまだPRが不足をしておるという趣旨のことを答弁されております。私は、省エネルギーの効果を上げるためには政府の強力な広報活動が必要であろう、こう思います。
 そこで、これ大臣お読みになったかどうか知りませんけれども、これは六つの業界団体が自主的に一九七七年の八月から三週間にわたってヨーロッパを視察した視察報告でございます。この中に各国のいわゆる広報活動の実態が明記されております。これ、日本の広報活動ですね。読みますと、非常にかた苦しい。そして、何か欲しがりません式の精神的節約論がどうも印象に強いわけでございます。各国のを見ますと、非常に新しい発想を取り入れているわけですね。
 たとえば西ドイツの場合、「熱を出している人は病人です。熱が出ると、病人は弱くなります。多くの家も熱を出しています。エネルギー熱を。それは「エネルギーのムダ使い」という病気にかかっているからです。私たちの家のエネルギー熱を治しましょう」、こういう呼びかけでこの省エネルギーの各家庭のなさねばならぬことがPRされております。
 イギリスあたりを見ますと、「借りている家を断熱するなんて という考え方が皆さんを寒くしているのです」「あなたが市営住宅の住人なら、その住宅を改善すること、とくに断熱のように、目に見えないところで改善することは、意味があるんでしょうか? 家は借屋でも、毎月の暖房費を払うのは、あなたです。居間のストーブにしがみついて寒さをしのいでいるのは、あなたです。夜着の上にセータを重ね着しているのは、あなたの奥さんです。朝、ベッドにもぐって着替えするほど寒がっているのはあなたの子供たちです。ご家族の生活を快適にし、同時に一家の暖房費を節約するためにお金を使うことは、決して無意味ではないでしょう。」ということで、節約というものがエネルギーの効率的な利用というものにつながる、こういうことを訴えているのですね。これは挙げていきますと時間がございませんので省略いたしますが、私はこういう各国の事例を見ますと、いま大臣なかなかむずかしいと。私は、精神的お説教でなかなか省エネルギーというものの実効が上がるとは思われません。したがって、この際発想を新たにしたPR、しかもこれに相当の予算というものをつけて国民の中に広報活動を強力に進めていく、それがきわめて必要な施策ではないかと思います。あわせまして、国によりましては省エネルギーコンサルタント制度というのをとっておる国もございます。いわゆる省エネルギー一一〇番でございます。ここへ電話をください、そうすればあなたに知恵をお貸ししましょう、そしてあなたが最も効果的に効率的にエネルギーを使用し、みずからの生活を切り詰めるのではなくて、生活をエンジョイしつつ省エネルギーに役立つ道をお教えしましょうと、こういうPRを行っておる。私はこういう新しい構想、発想は日本の中に当然取り入れてしかるべき政策の一つではないか、こう思うのでございます。大臣の所見をお伺いします。
#156
○国務大臣(江崎真澄君) 全く同感です。これはぜひやりたいと思います。
#157
○柄谷道一君 これはお役人の頭と金でございます。ぜひ両面にわたって実力通産大臣の手腕を私は期待をいたしておきたいと、こう思います。
 第二は、程度の高い基準や指針を設定することではないかと思うのです。余り手の届かない基準とか指針というものはこれは意味がありませんけれども、やっぱり半歩前に出るという基準が必要ではないかと思うのです。アメリカではエネルギー省が公共建物の強制的照明効果基準、新設または改造建築物に対する強制的な熱効率基準及び断熱基準等の五項目の要件を定めております。本法によりましても、十五条二項に基づきまして、住宅の設計及び施工に関する指針というものがつくられることになろうと思いますが、私の想像いたしますところ、この指針の内容は現在の住宅金融公庫の融資住宅にかかわる断熱構造基準とほぼ同じ基準になるのではないかと私は推察するのでございます。そういたしますと、もしそうだと仮定しますと、これは諸外国の基準に比べまして大体同温度の地域と比較いたしますと、地域によっては異なりますが、二分の一ないし三分の一の基準ということに相なります。しかも、住宅に関する断熱材ですね、これは現在市販のものは五十ミリの厚さのものが最低の厚さでございますけれども、住宅金融公庫の基準によりますと五ミリから四十五ミリまでの詳細にわたった基準が定められているわけです。それを使おうにもそういう資材がいまないんですね。私は、そういうことを考えますと、この基準の設定についても、現在の住宅金融公庫の融資基準を含めまして、もう一度これを洗い直し、省エネルギー対策に即応する基準の策定というものがなされてしかるべきではないか、こう思うのでございます。いかがでしょうか。
#158
○政府委員(吉田公二君) 十五条第二項の設計施工の指針におきまして、内容といたしましては住宅の壁、床、天井、こういったところの一平方メートルを通して逃げる熱量、これを熱貫流率と言っておりますが、こうしたものとか、それと熱貫流率を達成するために壁でございますとか床等の部位ごとの構造をこういうふうにしたらいいというような構造の仕様例でございますね、こういうものを定めようとしておりまして、この考え方は先生御指摘のように、現在金融公庫でとっております断熱基準の考え方と同じような考え方であるということはそのつもりでおります。ただ、金融公庫の断熱基準は全国を四つの地域に分けて定めておりまして、これはそれぞれ日本列島いろいろの条件がございますので、大体気温十八度というものを一つの基準にいたしまして、それを下回る温度の度数と日数というものから四つの地域に分けて基準を定めているわけでございまして、その使用する断熱材等について部位ごとに基準をつくっているわけでございますが、私どもの感覚では北欧でございますとかアメリカなどに比較いたしますと若干低い水準にございます。これは御指摘のとおりでございますが、英国、西独などとはおおむね同等という形になっていると思っております。この基準は、学界、業界、いろいろな有識者も参加をしてもらって十分検討してつくったものでございまして、現在のわが国の普及状況、住宅の生産の現状から見てもおおむね妥当ではないかと思っております。
 御指摘になりました基準に関しまして、それに該当する商品が市販されてないというような御指摘でございます。ただいまの御指摘、たとえばグラスウールのような例だと思いますが、グラスウールについて百ミリ、五十五ミリ、四十ミリ、二十五ミリというような基準がございまして、確かに二十五ミリというようなものの市販はないわけでございますが、これは一つの理論値でございまして、現在その理論値に該当するものであればよろしいという形をとっておるわけでございますので、技術的に不可能というわけではないわけでございます。この法案成立の後に指針をつくるわけでございますので、従来の公庫の場合と同じような、学界、業界、いろいろな方の参加を得て指針について検討してまいるつもりでございますが、現状に照らしまして十分実行可能でかつ効果のある指針にいたしたいというふうに考えております。
#159
○柄谷道一君 大臣、これ、せっかくの省エネルギー法をつくるわけでございますから、当面現在の基準でスタートする、これはまあやむを得ないことかもしれませんけれども、これは諸外国の実例とか、さらに現在の製品、これは多品種を少量ずつつくりますとかえってコストもかかるわけですね。まあこういう点、経済性、こういうことも含めまして、理論値としたら、いろいろな学者さんは出てくるんでしょうけれども、そこを、省エネルギーの効果というものを踏まえながら現実に適応する基準をつくっていくというのがこれは政治であろうと、こう思うのでございます。こればかり言っておりましても時間がなくなりますが、大臣の方でもひとつ頭にとどめていただきまして今後の検討をお願いしておきたいと思います。
#160
○国務大臣(江崎真澄君) いまのお説のように、判断の基準の策定に当たりましては、実効が上がるように、十分建設省側とも話し合いをして、現実的な、なるほどと思えるようなものにしたいというふうに考えます。
#161
○柄谷道一君 第三は、金融税制上の優遇措置がなければ十分な誘導ができないと、こう思うのでございます。
 質問しようと思っておったんですが、時間も迫ってまいりましたので内容を省略しますが、建設省は、五十四年度予算編成に当たりまして、いわゆる住宅の断熱構造化を促進するための税制優遇措置を大蔵省に要求をいたしております。しかしこれは握りつぶされております。私はこの内容をいま申し上げる時間的余裕がないのは残念でございますけれども、しかし、諸外国の事例を見ましても、住宅建築物の断熱構造を促進していこうと思えば、やはりこれに対する税制上等の優遇策をとるということは当然必要なことでございます。エネルギーの開発研究には金は出すけれども、いわゆる助成策についてはきわめて渋いというのが現在の大蔵省の姿勢ではないかと、こう思います。この点に対して、いま直ちにとは申せませんけれども、ひとつこれ通産大臣、大蔵大臣とも十分お話し合いを願いまして、この省エネルギー立法化の精神が生かされるような税制措置について御検討を願えませんでしょうか。
 あわせて、住宅金融公庫の加算融資の制度がございますけれども、現在十万円、地域によってはさらに、開口部に工事を行った場合は二十万円の加算融資と、こういう制度でございますけれども、これまたあわせて洗い直していただく必要があるのではないか。そういう一つの国家的な誘導というものがあって省エネルギーというものの効果が上がるのではないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
#162
○国務大臣(江崎真澄君) 法が制定されました上で具体策を進めることになっておりまするので、そのあたり十分配慮したいと思います。まあ何分にも財政事情がこういうふうですから余り軽受け合いはできませんが、しかし一方でエネルギー節約という実効が上がるわけですから、実情に応じて十分検討することにしたいと考えております。
#163
○柄谷道一君 時間がもうほとんどなくなりましたので、多く質問を用意しておったのですが、二つだけあわせて御質問いたします。
 第四は、私は行政当局の熱意ある指導と姿勢が必要であろう、こう思うのでございます。これには多くの問題がございますけれども、その一つとして、たとえばアメリカでは電力・ガス会社はその需要者らの住宅を検査し、省エネルギー資材の販売業者、省エネルギー工事の施工業者のリストを作成、公開、資材の購入や施工費の融資のあっせんを行う、さらに三百ドル以下なら直接融資をする道を開く、このような事業を行わない会社に対しては一日当たり二千五百ドルの罰金を科す、こういうふうにエネルギー供給源にも省エネルギーに対する協力姿勢を求める姿勢をとっております。
 また、これは通産省の管轄でございますが、自動車等の車両につきましては、学者は自動車の重量を八十キロ軽くすれば約三%のエネルギー節減が可能であると、こういう研究結果を発表しております。そしてアメリカでは、そのために自動車部品の約三〇%が現在すでにFRP化されているということでございます。こういう自動車につきましても、ガソリンスタンドの日曜開店の禁止というような施策、これはまあそういうものばかりで締めつけるというよりもざらに相乗りの問題、こういう自動車車両の軽量化の問題、こういう問題に対するやはり積極的研究助成、これを行うこてによって大きな効果をもたらしていくという道を各国はとっているわけでございます。
 事例を二つ挙げましたけれども、こういう点を含めて大臣の姿勢をお伺いし、大蔵省にも質問通告をしておりましたが、時間が参りましたので質問を一応終わりたいと思います。
#164
○国務大臣(江崎真澄君) 第一点のこの断熱資材の指導等についてでありまするが、これは電力・ガス会社等におきましても従来からいろんな媒体を通じてこの省エネルギー問題に対する広報活動はしておりますが、決して十分とは言えないと思います。今後私どもも断熱資材の指導につきまして、普及徹底するような対策を、これ具体的にしなければ意味がありませんね、具体化したいと考えます。
 それから、いまの自動車の部品について、これは日本の車は省エネルギーという点においては他の国の製品よりすぐれておるという点は、国際的にも評価を受けておるところでありますが、なお今後自動車産業の努力にまちたい、われわれとしてもそういった方向を可能な限り奨励をしていく方向に努力いたします。
#165
○市川正一君 私は、法案の審議に関連いたしまして、その前提となるエネルギー政策の基本について若干の質問を行いたいと思います。
 最近のイランの政変などに見られる中東情勢あるいはOPECの新しい動向などに伴い、石油危機の深化、そしてまたアメリカのスリーマイル島原子力発電所の事故などに見られる原子力発電所のいわゆる安全神話の崩壊など、わが国のエネルギー問題は重大な状況に直面いたしております。私は、こうしたことがわが国のエネルギー問題を解決する上で、海外のさまざまな事件とか事情によってエネルギーの供給が左右されるという状態をどうしても改善する必要がある。言いかえれば自主的エネルギー供給基盤の強化をもっと図る必要があるんじゃないか、こういうふうに考えますが、この点について政府、特に大臣の認識をまずお伺いしたいと思います。
#166
○国務大臣(江崎真澄君) その点はもう全く今朝来議論されてきたとおりで、同感でございます。
#167
○市川正一君 私、大臣のそういう認識をしっかりと確認いたした上でさらにお伺いしたいんでありますが、こういう今日のエネルギー問題の背景には、率直に言っていわゆる石油一辺倒、さらにメジャー、アメリカにべったり依存するエネルギー政策によっていま申した国内供給基盤の破壊という事態が、非常にいびつなエネルギー供給構造によって進められてきたということは否めない事実だと思うんであります。そこで、エネルギーの自主的基盤を強化していくという立場に立った場合に、こういうメジャーに依存しアメリカに依存するエネルギー政策をいまや見直す、転換する段階に来ているんではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#168
○国務大臣(江崎真澄君) いままでの方策は、私は間違っていたとは思いません。これによって日本はエネルギー事情に恵まれ、いわゆる経済大国と言われて諸外国から貿易のインバランスを議論されるような高度な経済成長を遂げてきたということは、一つの大きな成果であっというふうに考えます。ただ、ここへ来てさてどうするかということになれば、これはエネルギー源の多様化、また同じ輸入をするにいたしましても、これを多角化していくことは当然必要であるというふうに考えます。
#169
○市川正一君 大臣も当然のことでありますが、誤解はございませんでしょうが、私も決して外国からのエネルギー供給に大きく日本のエネルギー源が依存しているという事態を否定するものではないわけで、そのあり方を問題にしているわけでありますが、私、大臣との間で何回かのこの種の問題をいろいろ議論さしていただいて、かねがね参議院というかなり長期的あるいは巨視的立場で議論をできる場において、エネルギー問題について少し腰を据えた議論をということをお約束といいますか、話し合ったことがございますが、そういう立場で石油あるいは原油の問題についても対等、平等、互恵の関係を打ち立てていくという問題として、私いろいろ意見の交換を行いたいんでありますが、言いかえれば国民的合意も可能ではないかという立場から問題を提起しているわけでありますが、たとえば最近エッソあるいはBP、ブリティッシュ・ペトロリアムでありますが、こういうところが供給削減ないしは一定期間を置いての供給拒否あるいは価格の引き上げを通告してきております。ところで、このエッソやBPはイランコンソーシアムとの一括取引から排除されたことを理由に、供給拒否などを通告しておるんでありますけれども、このことはメジャーに依存することがいかにわが国にとって不安定であるかということを立証している一例だと思うんですが、こういう事態が現に起こっていること御承知だと思いますが、いかがでしょうか。
#170
○国務大臣(江崎真澄君) よく承知をいたしております。
 それからまた、産油国自身がDDとかGGの関係を進めようというふうにしておることも事実でありますが、従来はメジャーも日本に対して特段に差別待遇をしたというふうには考えておりません。従来は長期契約などの履行についても比較的日本側としても満足のいく形で対応をしてきた。ここへきてにわかに供給バランスがとれなくなったことによって、そういう事態が起こっておるというふうに見ておるわけでありまして、今後この対応等についてもやはりいろいろ対応的にしていく必要があろうというふうに考えます。
#171
○市川正一君 ところが、御承知のようにエッソにしてもBPにしても、コンソーシアムからは排除をされておりますけれども、個別には量的減産はあったとはいえ石油供給は受けているわけですね。決してゼロになったわけじゃないんです。言いかえればこれをてこにしてそして値上げを認めさせようと、こういうふうに見て差し支えないと思うんですが、こういう状態として認識されておられるのかあるいはそういうことが好ましいとお考えになっておるのか、その点はいかがでしょう。
#172
○政府委員(天谷直弘君) 産油国の方でまずイランについて申し上げますと、イランコンソーシアムのメンバーとして米系が四割ぐらい、その他が六割ぐらいというようなことになっておりましたが、このコンソーシアムに対する石油供給が停止されまして、あとはBPとかエッソとかいうのは個別に今度はNIOCと長期契約を結ぶということになっておりまして、その結果日本と関係の深い米系メジャー等はかなりイラン原油の入手量が低下しておるのは事実でございます。それからアラムコ系統でございますが、これも従来七百万バレルがアラムコ向けでございましたが、これが六百五十万にカットされておるというようなことで、日本と特に縁の、日本に対する供給量の多いエクソン、モービル、それからシェル、こういうところがかなりふところぐあいが苦しくなっておるというのは事実でございます。そちらに向けられておったものを産油国が引き揚げまして、その分はGGあるいはDDに回すかあるいはスポットマーケットに出しておるということでございまして、いわば流通経路に大幅な変革が起こっておるというのが現状であろうかと思います。したがいまして、そういう変革が起こりますと、どうしても摩擦というものが起こってまいります。きのうまでメジャー系統からもらっておったものが来なくなって、そのかわり今度は中東に出かけていって、GGとかDDの道を新たに開拓しなければならないというような、そういう問題が現在出てきておるわけでございます。ところでメジャーが長期契約物、産油国から入手している長期契約物につきまして、日本へ売る値段を引き上げて暴利を搾取しておるかといいますと、そういうことはないと思っております。特にサウジアラビア政府はきわめて厳格でございまして、メジャーが大もうけするとその利益を還元しろというような命令を発しているくらいのことでございますから、産油国の方でメジャーが余り中間搾取して暴利を上げるというようなことをいたしますと、ますますこのメジャーに対する供給をカットするというような方針をとっておりますので、そういう長期契約物につきましては、メジャーが日本向けに無理な値上げを押しつけて搾取しているというような事実は、余りないんじゃないかというふうな気がしております。
 ただ、スポットマーケットの動向は問題でございまして、そういう長期契約の方で削減されますとメジャーも苦しくなるものですから、スポットマーケットに買いに出る。この買いに出方が最近少し荒っぽくなっておるのではないかというのはよく世間で言われているところでございます。
#173
○市川正一君 価格の問題だけでなしに、安定供給ということを含めていまの天谷長官もおっしゃった流通機構の変更などに伴って、日本にいろんなしわ寄せが来ていることは事実でありますが、そこで私はそういうことをいわば克服していくためにも、産油国との間で、対等、平等、互恵の原則に基づいて、メジャーを介在させないで、政府間の直接の取引を拡大することがいま非常に大事になっているというふうに考えますが、この点いかがでございましょう。
#174
○政府委員(天谷直弘君) たとえばイランについて申し上げますと、イラン危機以前におきまして、日本は約八十万バレルのイランの油を買っておったのでございますが、これは主としてほとんど全部がメジャー経由で入っておったものでございます。ところが、イランの危機の後石油が一時ストップしておりましたが、最近NIOCが輸出を再開すると、その結果、いろいろ経緯がございましたが、現在は長期契約で日本がイランから、直接NIOCからDDという形で四十五万バレルくらい引き取るということになっております。したがいまして、メジャー経由で買っておったものがDDに切りかわったということでございまして、こういうことは一挙に行われるものではございませんが、逐次そういう形が進みつつある。もっとも、これは日本の政策というより産油国の政策によって動かされるわけでございまして、産油国が逐次そういう方策をとっていくならば、
  〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕
日本のDD取引はふえていくということになるのではないかというふうに思います。
#175
○市川正一君 要するに、日本の立場としても、そういう産油国との政府間取引を、DDをふやしていくというのは、これは日本の政府の方針であるというふうに理解していいわけですか。
#176
○政府委員(天谷直弘君) おっしゃるとおりでございます。
#177
○市川正一君 そこでお伺いしたいのですが、去る五月二日の日米共同声明においては、その第十項において、大平総理はエジプトとイスラエルの平和条約を全面的に評価することを明記されております。また政府は、カーター・アメリカ大統領の要請にこたえて、エジプトへの援助も約束しておられる。政府はアメリカの要請でなく日本の独自の立場でやったんだというふうにはおっしゃっておりますけれども、しかしこのように日米首脳会談の合意事項であることは明白であります。このエジプト・イスラエル平和条約に対して、アラブ諸国あるいはパレスチナ人民がどういう評価をし、どういう態度をとっておるのか、政府の一員である通産大臣は御存じだと思いますが。
#178
○国務大臣(江崎真澄君) これはやはり相当な拒絶反応もあることは、私もよく承知をいたしております。しかし、日本はそうかといってサウジとも別途親善友好関係にありますし、他の諸国とも相当経済協力等を通じて深い関係にあります。もとよりエジプトとイスラエルの和平につきましては、何も和平することに異論を差しはさむ必要もない。これはやはり私ども強調していいことだと思います。したがって、他の国々については、日本は日本の独自の立場でわが国の国益に沿って道を開く努力をしていくことが必要である、こういう認識に立っております。
#179
○市川正一君 いま拒絶反応とおっしゃいましたけれども、これはやはり相当重大な事態なんですね。多くの産油国を含むアラブ諸国が、御承知だと思いますが、パレスチナ人民の民族自決権を侵害するものであるとして、国交断絶を含む厳しい反発を示していることは御承知のとおりです。そういう中で、現在の日本の政府のおとりになっている立場というものは、方向というものが、こうした産油国との直接取引やあるいは政府間取引を拡大していく上で非常に困難をもたらすというふうにお考えにならないでしょうか。
#180
○国務大臣(江崎真澄君) 私は日本の努力次第によっては、必ずしも困難をもたらすものとは考えておりません。当然われわれはわれわれの国益を踏まえて十分努力をする必要があるということは、今朝来の議論でも申し上げておったとおりでございます。
#181
○市川正一君 私はそれは非常に認識不足だとあえて言わざるを得ないと思います。
 もともと今度のイスラエル・エジプト平和条約というのはアメリカが五十億ドルの金で買ったとさえ言われているような、世界でそう言われているような中で、アメリカの特にカーター戦略、これの中東戦略に基づいて日米首脳会談でああいった取り決めを、今度は中東にまで広げた共同声明を出されたわけでありますが、これが非常な阻害になるということは明白であります。
 これは去年のことでありますけれども、八月に中国の華国鋒主席が、そして九月には当時の福田総理が相次いでイランなどを訪問されました。そのときに福田総理は、ペルシャ湾は日本の生命線だと、こういうことをおっしゃった。そして石油安定供給への成果をうたわれた。そして当時のパーレビ国王体制を賛美されておったのでありますが、結果は、その直後にパーレビ体制の崩壊があらわれました。そして世界の中で華国鋒、福田首相の見通しのなさというものが話題になったことは、これは周知のところであります。世間でよくアラブ外交ではなく油外交だというふうな笑い話も中にはありますが、私はその油外交が結局のところ真の友好をも失い、かつ油をも失っていくという事態が現に進んでいるということを言わざるを得ぬのです。私はそういう姿勢を改めて、日米共同声明の立場をこの際見直していく、エネルギー供給の自主性を確保する上でいま非常に大事な問題だと思うのですが、私は重ねてこの点閣僚である江崎大臣の見解をお伺いしたいと思います。
#182
○国務大臣(江崎真澄君) 私はそういう必要はないと思います。やはりアメリカ側との協調体制によってエネルギー源の確保を図られておるという一面も、これは否定するわけにはまいりません。それから、なるほどイランのパーレビ国王が追放を受け、そしてバザルガン新政権ができましたが、このバザルガン新政権は日本に対してきわめて友好的――きわめてと言っていいと思います。少なくとも石油生産再開の第一船を日本に提供をしてくれたということ、また日本の技術に今後の国家再建を依存したいという信頼感、これはやはり政権はかわったが、友好関係は保たれておるという点において、私は日本外交が決して失敗をしたものとは思いません。しかもまたペルシャ湾の重要性、これは御承知のように、日本にくる油のほとんどがあのホルムズ海峡を通過しなければなりません。そうであるならば、日本の議論として、ペルシャ湾が平和であることを願望するということは、これは当然な願望でありまして、こういった考え方は私間違っておるとは思わないのでございます。
#183
○市川正一君 私はその認識、そしていまの日本政府がとっている外交の路線というのはきわめて危険であるということを指摘いたしたいと思います。
 そこで、エネルギー供給基盤の自主的な強化の問題で、もう一つ重要な課題として私取り上げたいのは、国内炭開発利用の問題であります。一九七三年の石油危機以降、世界的に石炭見直しの機運が高まってきている。最近では、大臣も先日出席なすったIEA閣僚理事会は、「石炭の利用拡大に関するIEA宣言」を採択いたしておりますが、こういうことに関連して、最近のいろんな論調も、たとえば一例でありますが、朝日新聞の五月二十一日付は、長文の社説を掲げて石炭復権政策の推進を求めております。このことはいわゆるエネルギー革命と称して、石炭から石油に急速に転換していった一九六〇年代以降、あの三井、三池の問題がございました。それから今日まで約二十年たちました。この二十年間を振り返ってみたときに、一方では、中東の低コストの原油を武器にして世界市場の制覇を目指すメジャーの戦略に従属している。他方では、経済性の名のもとに、わが国の貴重な国内資源である石炭を放棄している。そして石油一辺倒に転換していった結果、わが国の一次エネルギーの自給率は、ソフレミン報告が一九五八年にございましたが、その当時国内炭による四一・一%を基礎にして七〇・二%に自給率はございましたけれども、ロビンソン報告が出され、そして三池争議のあった一九六〇年には五五・八%になり、七七年にはこれが何と九・一%に激減している。こういう推移を見ても、この二十年間の何が一体どう進められたかということは明白でございます。それだけに、私は、今度のIEA宣言を待つまでもなく、石炭の見直しは当然必要だと考えるわけでありますが、先般の本会議で私この問題を取り上げたんでありますが、残念ながら大臣当日まだ御帰国なすっておらなかったので、総理から御答弁をいただきましたけれども、必ずしも明確でなかったので、改めてこの際この問題について大臣の認識を伺いたいんであります。
#184
○国務大臣(江崎真澄君) 私は、いままでとってきた政策は間違っていないと思いますよ。この石炭から、最も効率の高い石油が安直に手に入るということになれば、エネルギー源を変更していく、それが今日の経済成長をもたらし、世界からとにかく先進国として尊重される日本になったわけですから、だから悪いという議論は、これは私了解できないところであります。したがって、今度供給が不安定になったということで石炭をもう一度見直しをする、これは当然なことでありまして、現在でも二千万トン体制はぜひ維持していこうという、こういう方針に立っておるところであります。よく公害の問題が共産党などでもしきりに議論されるわけでありますが、公害の多かった石炭から公害の少ない石油へ、しかもそれが安直に入手できて、経済発展ができたということを考えますと、これは非常によかった。ここで共産党が、本当は原子力発電まで踏み切って、安全第一ならば大いに協力しようと、こう言っていただくともっと代替エネルギーの開発は早いと思います。石炭については当然二千万トン体制を維持していくためのあらゆる努力を今後とも払ってまいりたいというふうに考えております。
#185
○市川正一君 本論ではありませんけれども、たまたま大臣おっしゃったので、共産党の立場は原子力の平和利用絶対反対論ではないわけであって、これは認識を新たにしていただきたいし、必要ならばその問題についての資料などまたお届けいたしますが、自主、民主、公開の立場に立ちながら、同時にその平和的利用を国民的合意のもとに進める。その際に、安全性の問題については万全を期していく、住民との合意も進めていくということでありますが、これは私最後に少し触れたいと思いますが、私お聞きしているのは、冒頭に申し上げた、今日エネルギーの自主的基盤を強めていくという見地からの問題のアプローチなんでありますが、そういう点で私がお聞きしたのは、石炭の見直しが当然だという立場で、江崎大臣もIEAの宣言に同意されたわけだから、当然そうだという認識で以下の議論を進めさしていただいてよろしゅうございますか。
#186
○国務大臣(江崎真澄君) そのとおりであります。
#187
○市川正一君 そこで、この石炭の見直しという問題でありますが、私これには二つの側面があると思うのですが、その一つは、国内の石炭鉱業を復興して、国内炭を積極的に活用するという面と、もう一つば海外炭を輸入するという二つがあると思うのですが、これは決して対立する問題ではなしに、エネルギー供給の自主的基盤の強化、自主率を確保するという立場から、当然前者の国内炭の活用というものを、もっと真剣に考える必要があるんじゃないか。それを補充するものとして、海外炭を大いに産炭国と平等互恵の立場で輸入を図るというふうに私考えるのであります。特に今日、石油だけでなしに、石炭もメジャーが世界の六割以上を支配下に置いたというふうに言われておりますが、そういうときに、再び石油と同じ道を歩まないためにも、私はこの国内炭を本当に積極的立場で見直し、取り組んでいくということは大事な問題だと考えるのでありますが、こういう立場から、わが国における石炭対策をもう一度腰を据えて見直す必要があると思いますが、大臣いかがでしょうか。
#188
○国務大臣(江崎真澄君) 全く同感であります。
#189
○市川正一君 そこで、国内炭の活用という際に、一体どれくらいわが国に石炭があるのかという問題でありますが、全国的な調査を、私ども調べたところでは、一九五五年の四月一日に実施された通産省の全国埋蔵炭の統計調査がございますが、これでは二百二億トンというデータがございます。その間部分的あるいは補完的な調査はやられたようでありますけれども、全国的には行われておりません。この間の経済情勢の変化、技術の発展あるいは海底の調査も進んでまいりますと、さらに私この埋蔵量はふえるものと考えますが、真剣に国内炭の活用を考える際、全国的な調査をこの際実施される必要があると思うのでありますが、この点いかがでしょうか。
#190
○政府委員(高瀬郁彌君) 埋蔵量の調査につきましては、先生御指摘のように、二十五年から三十年にかけてやっております。その後三回ほど補完的な見直し作業をやっております。ごく最近では、五十年の第六次答申をつくる際に、関係者の御協力を得まして賦存状況それから炭量の調査を見直しをしました。その結果、いま現在の保安技術、採炭技術のレベルで掘れる炭量は、約十億トンという数字が出ておりますので、現在のところ新たに抜本的に調査をする必要はないというふうに考えております。
#191
○市川正一君 私、あなたに、――抜本的にという言い方をなさいましたが、正確な調査をやはり系統的に行っていただきたい。そして資料も出していただきたいというふうに思うのでありますが。
 さて、国内炭をふやすもう一つの問題として、新鉱の開発と同時に、閉山した炭鉱の再開発の問題が一つあると思うのです。物理的にも炭量が枯渇したというふうな場合は別として、閉山の一九六〇年以降のあのあらし、しかもこれはかなり政策的に、人為的に、まだ十分採炭能力があるにもかかわらずそれをつぶしてしまった、いわゆる坑口をふさいでしまったというふうな例が少なくないわけであります。そして巨額の政府資金がそれにつぎ込まれている。たとえば、これは北海道の住友本別の例でありますが、ここでは八千万トンから一億トンぐらいの可採量があり、りっぱな坑道までつくりながら、出炭直前に閉山をした、こういうところがあるわけでありますが、たとえば、こういう住友本別の再開発について検討なさったことがあるのか、また、検討されたとすれば、どういう具体的内容を考えておられるのか、また、検討しておられないならば、それはなぜなのか、こういう問題をひとつ具体例としてお伺いしたいと思います。
#192
○政府委員(高瀬郁彌君) 閉山鉱の再開発につきましては、五十年の七月に石炭鉱業から答申が出ておりまして、その再開についても検討せいという御指示がございました。それを受けまして、五十一年の予算からその調査にかかっております。現在、調査結果によりますと、単独で再開発をする個所はなかなか見つからない、しかしながら、既存炭鉱と一体的に開発するならば、開発が可能な拠点が若干見つかっております。そのうちの一つとして、先生いま御説明になりました本別がございます。本別につきましては、単独開発はなかなか保安、それから生産の技術の面でむずかしい。しかしながら、その隣に幌内炭鉱という炭鉱がございまして、その方から連続的に掘っていくならば可能であろうという結論をいま得ております。
#193
○市川正一君 次に、技術開発の問題でありますが、わが国の炭鉱は、採炭がかなり地下の深いところまで進んでいる例が少なくありません。そういう点で、採炭技術の新たな開発や、特に安全性の問題、そのための研究開発など、まだなさなければならない問題があると思うんでありますが、そういうことのほかに、石炭の液化技術の問題、これ、後でお伺いしたいと思いますが、こういう問題に関してどういう対策を政府がいまとっておられるのか、この点をお伺いしたいと思います。
#194
○政府委員(高瀬郁彌君) 炭鉱におきます保安と採炭の技術というのは、やはり生産を継続する上で必要不可欠なものでございます。それを受けまして、従来から石炭石油特別会計を通じまして、各種の助成をしております。特に、傾斜のない炭層の機械化はほぼ終了しておりますし、保安の技術レベルも数年前から比べるとかなり高水準になってきております。現在、問題になっておりますのは、傾斜のきつい炭層の機械化がまだおくれております。これが全体の生産量の三分の一ございますので、これを積極的に進めていこうということで、五十四年度の予算から新たな技術開発着手をするということにしました。これも技術開発に当たりまして、石炭企業は経営基盤が弱うございますので、補助率を三分の二という高率補助で進めていきたいと思っております。
#195
○市川正一君 追ってまたそこらの詳細はいろいろお話を詰めさせていただきたいと思いますが、それと関連して、政府の当面する需給見通しの二千万トン体制を維持するためにも、また、増産を進めるためにも、炭鉱における安全確保と労働条件の改善は欠くことのできない前提であります。
 先日、大夕張で不幸な事故がございました。本院からも調査団が派遣され、そしてまた、先日、参考人を呼んでの審議も行われましたんですが、こういう地下の危険な場所で働く炭鉱労働者にふさわしい賃金、あるいは週休二日制を含む時間短縮、坑内の保安を確保するための保安基準の改善など、ゆるがせにできない問題があると思います。私は、これは、労働行政の問題であるだけでなしに、通産行政にも深くかかわっておると考えますが、この問題について、政府としてどういう対策と努力をされておられるのか。大夕張の問題があった直後だけに、この点について明確にしていただきたいと思います。
#196
○政府委員(高瀬郁彌君) お答えいたします。
 石炭の生産を継続していくためには、やはり保安の確保ということが最前提になっております。それを担いますのはやはり鉱山労働者の方でございますので、この人方の育成培養というものは必要不可欠なものと考えております。しかし、現時点では、生産性の向上とかそれから全体の需給状況を考えますと、そう際立った手を使う必要はないとは思っておりますが、従来から教育の面につきましてはかなり力を入れまして、北海道と九州に保安センターという教育場所がございます。ここで新規労働者の方、それから中堅職員の方、それから有資格者と言いまして、ある一定のむずかしい作業につく場合に資格が要ることになりますが、その資格教育等を進めております。それから、労働条件、その他の問題につきましては、これは経営の基盤にかかわるものでございますから、経営の強化という面で諸対策を講じまして、労働条件の改善とか、それから技能の向上が図られるよう会社側を指導しているというのが現状であります。
#197
○市川正一君 その会社側の指導の状況はどうですか。まじめにそれは遂行されているのですか。
#198
○政府委員(高瀬郁彌君) お答えいたします。
 労働条件の改定の中で一番大きいのは労働賃金になるかと思うんですが、この賃金問題というのはいわゆる石炭の炭価との絡みがございまして、その辺を需要業界とも十分話し合いながら適正な形での賃金が払われるように、指導しているというのが実態でございます。
#199
○市川正一君 この問題、大臣、ぜひ政府として特にいろんなかかわり合いもあると思いますので、炭鉱における労働条件、その安全性等の問題について、閣内においてもぜひ取り上げていただくように要望いたしたいのでありますが、いかがでしょうか。
#200
○国務大臣(江崎真澄君) これは、企業自体の労働条件の改善努力、それから自主的な技能向上努力、こういったことを促すように、引き続き私ども努力してまいります。
#201
○市川正一君 次に、石炭見直しと関連して、石炭液化について伺いたいんでありますけれども、もともと、わが国の石炭液化技術というのは、戦前から戦後にかけて、世界でもぬきんでた水準にあったと考えておりますが、これが、政府の石炭切り捨て政策の中で研究体制が破壊され、予算も削られ、研究は事実上できなくなってきているという実態にあるんです。もしこの十数年来のブランクがなければ、アメリカに頼らなくても十分な研究が進捗していたはずだ、こう思います。研究者の中には、実際にいまさら石炭液化といっても政府は一体本気でやるんだろうかというような不安もあるいは不信も持っているわけであります。政府は、こういう経過と実態に即して、この石炭液化問題について、どう取り組まれようとしておられるのか、この点をまずお伺いしたいと思います。
#202
○政府委員(石坂誠一君) 私どもといたしましては、サンシャイン計画の中で石炭の液化プロジェクトを取り上げておりまして、方法といたしましては、直接水素を添加するという直接水添液化方式、それから溶媒に溶かすという溶媒処理液化方式、それからアスファルトのようなものに溶かそうというソルボリシス液化方式、この三方式を取り上げまして、早期に実用化することを目指しまして鋭意研究開発を行っております。
 五十四年度におきましては、直接水添液化方式につきましては二・四トン・パー・デー・プラントの詳細設計、それから溶媒処理方式につきましては一トン・パー・デー・プラントの建設、それからソルボリシス液化につきましては一トン・パー・デー・プラントの運転研究の継続と四十トン・パー・デー・プラントの設計を行うことにいたしております。
#203
○市川正一君 その計画というよりも、私が御質問したのは、いままでのこのブランクですね。そういうものは実際あったわけでしょう。そして、そういうことから研究者がいろいろやっぱり不安を持っている。今度は一体本気なのかという声があるんだけれども、そういうことは御存じですか。
#204
○政府委員(石坂誠一君) 御指摘の点が確かにあったかと思います。たとえば公害資源研究所に改組いたしましたときに、石炭の液化についての研究を非常にスローダウンしてしまったというようなことで、研究者が全国に散ってしまったというようなことはあるかと思います。ただ、ここへきまして、この現在のエネルギー事情に直面いたしまして、研究者としては、これは何とか切り抜けていくためには石炭の液化の重要性ということをただいま認識し、非常に強く認識しておりますので、恐らく今後適当な手段でこれを加速することによってアメリカの技術に追いつくだろうというように考えております。
#205
○市川正一君 ところが先日、日米共同声明と時を同じうして締結されました日米エネルギー技術協力協定がございますが、その中で、当面の重点の一つに石炭の液化が取り上げられております。ここで研究の対象になっている石炭というものは一体どこの石炭を使われるのか。また、研究の成果である特許あるいはノーハウ、実施権などは一体どうなるのか。この点ひとつ明らかにしていただきたい。
#206
○国務大臣(江崎真澄君) この協力につきましては、やはり時代の必要に応じて研究開発をしようということで、協定に調印したわけでありまして、いま御質問のような点につきましては今後両者間で当然話し合いがなされるというふうに考えます。
#207
○市川正一君 私、本会議でも総理に質問をいたしたんですが、私どもが報告を受けておるところでは、たとえば、この対象になる石炭は豪州炭だというふうに聞いておりますが、この点どうなんですか。
#208
○政府委員(高瀬郁彌君) お答えいたします。
 SRCIIのプロジェクトにつきましては、この基礎研究がアメリカでなされておりますので、現在のところアメリカ炭が研究の対象になっております。現在われわれがそのアメリカ炭のみならず、他炭にも適用できるようにしていただきたいということで、プロジェクト、何といいますか、大きい実証プラントの段階でいろいろそれを炭種の配合なり適用について研究を共同でしたいという申し入れをしております。
 それから、第二点の特許等の帰属の問題がございますが、これはきわめて専門的な仕事でございますので、アメリカとの間で正式な話し合いをする前提として、その帰属についての合理的な配分がなければ契約をしないということになっておりまして、現在その特許の帰属等について話し合いを開始しているというのが実態でございます。
#209
○市川正一君 じゃ、前へ進めながら、後でまた、まとめてお聞きしたいのですが、先ほどもお話が出ましたサンシャイン計画でありますが、ここでも石炭の液化が問題になっておりますが、この研究の対象になっている石炭は国内炭なのか、海外炭なのか、どちらなんですか。
#210
○政府委員(石坂誠一君) 両方でございます。
#211
○市川正一君 実験的には国内炭だけれども、実際には海外炭がベースになっているということじゃないんですか。
#212
○政府委員(石坂誠一君) 海外炭のポテンシャルを強く認識しながら研究を進めております。ですから、国内炭だけではなくて、ほかの炭を液化するときにどういうことが起こるかということもあわせて検討しております。
#213
○市川正一君 私は先ほど大臣が、対象になる石炭の問題、また特許、ノーハウ、実施権などについてこれから協議したいというふうにおっしゃいましたけれども、実際には二五%、プロジェクトチームに対する金を日本がつぎ込むわけですよ。二五%の金はつぎ込むわ、出てきた成果はあちらに押さえられるわというようなことになってしまったのでは、これは何しているかわからないわけですね。ですから私はやっぱり、サンシャイン計画にしろ、プロジェクトチームの技術協力協定に基づく研究にしろ、やはり国内炭を重点に据え、そして国内炭を大いに活用していくという基本姿勢を政府としては、これを据えながら事態に対処されるべきだと、こう確信いたしますが、この点、確認をいたしたい。
#214
○国務大臣(江崎真澄君) いま答弁がありましたように、サンシャイン計画による液化技術の実用化の暁には国内炭、そしてまた広く海外炭にも適用できるような技術開発を行っておるわけでありますから、アメリカとの協力開発におきましても同様なことが望ましいという意味で私はさっきお答えをしたわけであります。したがって、今後研究段階でそう何も、あれもやれこれもやれというわけで、そのこと自体に重点を置いて争うことよりも、まず液化技術が最も効率的に安価にできる方法を追求することが必要である。究極においては、国内、国外ともに利用できるような方途が見つかることが私は望ましいというふうに考えます。そればかりか、今後二千万トン体制は維持しますが、やはりエネルギー源を石炭に切りかえていくということになりますると、日本は相当部分を海外炭に依存しなければならないという実情から申しましても、いま市川さんが私に言われる議論と私がお答えしておる議論とそんなに懸隔はないように思います。両方に適用されることが一番望ましい、そういう態度でサンシャイン計画でやっておりまするような形を日本としては進めることが理想的であるというふうに考えます。
#215
○市川正一君 私は、わが国のエネルギーの自主的基盤の強化という見地、冒頭に大臣も確認された、そういう見地から言うならば、研究の成果というものをやはり日本の国内炭を活用するというそこの基本姿勢を確立して、そして臨むべきだということを強く要望しているわけであって、決して狭い狭量な立場から言っているわけじゃないわけでありますが、私、いま申し上げた一連の問題がなぜ大事かというと、石油だけではなしに、石炭も今日メジャーが世界の六割以上を押さえていると言うんですよ。結局、海外炭というふうにおっしゃるけれども、また石油の二の舞いで、そういう海外炭に安易に依存をすると、結局日本の自主的エネルギーがまた非常に不安定なもの、海外のそういういろんな事情や状況によって左右され、のど元をやっぱり押さえられるという危険性が二十年前にそうであったように、今日やっぱりなお石炭の問題あるいは液化の問題をとっても出てくるんだということをぜひ認識していただきたいという立場からあえて申し上げているわけであり、この点ぜひ御理解をいただきたいし、そういう立場で御努力を願いたいというふうに思います。
 さて、時間も進んでまいりましたんで、私、いろいろ申し上げた結論的な一つの問題として、今日のエネルギー問題の状態の中で、ここに「21世紀へのエネルギー戦略」、通産省の諮問機関である総合エネルギー調査会基本問題懇談会が出した見通しあるいはエネルギー需給の長期見通し等々がいままで発表されてまいりましたが、これを見直しする必要が出てきているんではないか、こう考えます。いみじくもこの「21世紀へのエネルギー戦略」の中でも、その結びの言葉の中で、「エネルギー事情、特に国際エネルギー情勢は、今後とも極めて流動的であると予想されることにかんがみ、本報告において提示した長期需給見通しや必要な施策などについて、更に、内外の動向を見きわめつつ、必要に応じ修正などが加えられることもあろうと考えられる点である。」というふうに述べております。いままさにそういう事態であり、見直す必要が生じてきているというふうに考えるのでありますが、少なくとも検討されるという立場であろうと存じますが、この点、大臣の所見を承りたい。
#216
○政府委員(天谷直弘君) この長期需給見通しをつくった当時と比べまして、現在の世界のエネルギー情勢はかなり大幅に変化をしてきておるわけでございます。最大の問題は中東における石油生産量の将来予測でございますが、これにつきまして、この見通しをつくった当時におきましては、イランの生産は大体六百万バレルというふうに見ておりましたし、サウジアラビアにつきましては千六百万バレル以上というふうに見ておったわけでございますが、現段階におきましては、イランは四百万バレル、サウジアラビアは現在の生産量は八百五十万でございますが、一九八五年になりましてもそれは千百万ないし千二百万くらいがマキシムであろうと、こういうふうな考え方が有力になってきておりまして、したがって、石油のアベーラビリティーについては、この見通しをつくったときよりももっと厳しい情勢に変わりつつあるわけでございます。原子力につきましても、いろいろな事情のためにあの見通しをつくった当時期待しておったようには現実の原子力発電所建設は進んでいないというような状況でございます。そういうわけで早晩この見通しは再検討を必要とするということは言えると思いますけれども、ただ、現在の世界の石油情勢等非常に急速に変化しつつある最中でございます。
 それから、OECDが一九七七年につくりましたOECDの輸入目標二千六百万バレルというものにつきましても再検討するということになっておりますし、一九九〇年につきましては新たに目標をIEAとして設定しようというようなことも言われておりますが、それが幾らになるか、いまのところこれから検討を開始するというようなことでございます。したがいまして、中東の情勢とか、あるいはIEAの一九九〇年目標とか、一九八五年目標の再検討であるとか、そういうものを、よく情勢の推移を見ながら、しかるべき段階でわが方もこれを再検討しなければならないのではないかというふうに思っております。
#217
○市川正一君 わかりました。自主的エネルギー基盤を強化する方向でぜひ見直していただきたいと思います。
 次に、灯油価格の問題でありますが、先日通産大臣が記者会見で、家庭用灯油の価格指導をやめるというふうにおっしゃったようでありますが、これは一体どういうことなのか。たとえば先日のIEAでOECDのレネップ事務総長が述べたような発言、悪評を買ってもエネルギー価格を引き上げよということを言っておりますが、そういうものに触発されたものなのか、その経緯と理由を明らかにしていただきたい。
#218
○国務大臣(江崎真澄君) 五月に入りまして、暖房を必要とする地域もごく一部の地域を除きましてはなくなってきたところであります。石油元売会社は他の油種同様の値上げを六月から一足おくれて実施しようというような形になっておりますが、原油価格の上昇は原油安定供給の確保という観点から、やっぱり市場を通じて石油製品価格に適正に転嫁されることが必要であるというふうに考えております。家庭用のいま御指摘の灯油価格につきましても、今後の厳しい灯油需給に対処していきますためには、低価格による安易な使用増、それから他の分野よりの需要シフトを防止しながら、いわゆる非需要期における貯油を確保していくことが必要であるというふうに考えます。他の類似油種並みに諸コスト、それから需給関係、これを適切に反映した自然ないわゆる市場価格が形成されていくことがやっぱり望ましい、少なくとも灯油需給に支障を来すことのないように不自然な価格介入はやめましょうと、こういうことを言ったわけでありまして、今後の節約方途にもかなうことになり、また需要期に入ったときに極端な供給不足を来すというようなことを防止するためにも役立てたいということに発する見解を述べたわけであります。
#219
○市川正一君 七三年のオイルショックの際は、価格指導を行ったわけですね。それを今度は、いま自然な市場価格とか、不自然な価格介入とかいうことをおっしゃったけれども、結局石油会社の利益追求を許すという結果にならないですか。
#220
○国務大臣(江崎真澄君) そういうことにはもとよりならないと思うんです。いままでの行政指導は指導としての意味があったわけですが、これが暖房用などで急増するということになって、いよいよ今度は需要期に不足をして供給ができないというような事態が起こることがそこに目に見えておるというならば、市場の自然な価格動向にゆだねていくことの方が今後のために必要である、これはさっき申し上げたとおりであります。
#221
○市川正一君 私は、この点では国民生活の安定に重大な影響を持つということを指摘いたします。
 最後に、私この省エネルギーの問題で、運輸部門における問題は非常に大きな比重を持つと思うんでありますが、特に、モータリゼーションの問題であります。運輸部門のエネルギー消費は一九五五年から七〇年の間に六・七倍に増大しましたが、その中心は乗用車とトラックであります。運輸省の方に来ていただいておりますが、通産省のどちらでも結構ですが、その際に鉄道と乗用車あるいはトラックというのは、どちらがエネルギー効果がいいのか、この点お聞かせ願いたいと思います。
#222
○説明員(林淳司君) 一般的なものでございますけれども、数字でございますが、いわゆる原単位と申しますか、人一人運ぶのにどのぐらいのエネルギーが要るか、あるいは貨物の場合ですと、一トン一キロ運ぶのにどれぐらいのエネルギーが要るか。こういう原単位というもので計算をいたしますと、鉄道を仮に一といたしますと自家用の乗用車は大体八ぐらいの指数に相なります。それから、貨物で申し上げますと、これは仮に鉄道を一といたしますと、自動車――トラックでございますが、自家用トラックの場合には大体一一というような数値に相なります。
#223
○市川正一君 いまのお答えのように、私は交通政策といいますか、このエネルギー効果との関係において、エネルギー関係の税金を道路建設のための自主財源にして自動車を走らせる。走らせれば走らせるほど税収入がふえる、こういう循環の中で結局国鉄輸送が重大な影響を受け、国鉄赤字の原因の一つにもなっているというふうに思うんでありますが、この際、そういうモータリゼーションについて検討をするということは、省エネルギーの上できわめて大事な問題ではないかという点を指摘いたしたいのであります。
 最後に私、時間になりましたので、この第四条で定める判断の基準の問題でありますけれども、判断基準が大企業の到達水準で設定されれば、これは大企業が労せずして法律の対象になりますし、さらに、みずからの利益のためにも効率の高い設備をつけておれば、それ自体負担が軽減されることになります。一方、中小企業にとっては基準に到達すること自体なかなか大変である場合が少なくないわけでありますが、この法律で勧告や指示の対象にはなっても、優遇措置を受けるまでにいかないような状況が中小企業の場合に起こると思うのでありますが、そこで、大企業への優遇措置は、これはむしろ外してでも、中小企業を引き上げるための具体的援助が必要ではないかということを、私この省エネルギーに関連しての問題として最後に御質問を申し上げ、質問を終わりたいと思います。
#224
○政府委員(天谷直弘君) 中小企業につきましては、省エネルギーセンター等がいろいろ研修、指導ということを行うようになっておりますわけでございまして、それからまた、ガイドラインの設定につきましても、あるいはまた指定工場にする基準にいたしましても、中小企業に余り無理な負担がかからないとかいうようなことを前提としてつくっておるわけでございます。
 そういうわけで、中小企業につきましては、一般的中小企業政策の見地から種々の助成を行っているわけでございますけれども、エネルギー使用の合理化というこの問題に関しましては、中小企業金融公庫の貸し出し、財政投融資等の面におきまして考慮を払っておりますが、特に大企業と比べて著しい不均衡が生じているというふうには考えておりません。大企業、中小企業ともこの法律の基底にございますものは、自主的な合理化努力というものを政府が側面から援助する、こういうことでございまして、大企業に非常に厚い保護を与え、中小企業を冷遇しているようなことは、この法律の立て方は……
#225
○市川正一君 実態的としていろいろなハンディキャップがあるわけでしょう。そのハンデに対する援助というのは。
#226
○政府委員(天谷直弘君) 一般的中小企業政策の立場としてはあると思いますが、この法体系からしますと、中小企業金融公庫の金融というような形で中小企業は援助していきたいと思っております。
#227
○市川正一君 終わります。
#228
○委員長(福岡日出麿君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#229
○委員長(福岡日出麿君) 次に、産地中小企業対策臨時措置法案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取します。江崎通商産業大臣。
#230
○国務大臣(江崎真澄君) 産地中小企業対策臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を簡単に御説明申し上げます。
 御案内のとおり最近における経済情勢は、全体としては景気回復の足取りを強めておりますものの、今般の円相場の高騰により大きな影響を受けている輸出関連等の特定の産地におきましては、産地中小企業の事業活動に支障を生じており、このまま放置した場合には、将来多くの産地中小企業が疲弊し、これに伴う経済社会問題が発生するという事態が憂慮されるという状況であります。
 政府といたしましては、これまで円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法を中心とした金融、税制上の措置等の緊急かつ総合的な対策を進めることにより、円高関連中小企業の経営と雇用の安定を図ってきたところでありますが、さらに近時これらの産地中小企業において、中長期的な展望を踏まえて、その創造力と適応力をもって事業の合理化を計画的かつ速やかに進めようとする意欲が盛り上がりつつあることに呼応して、中小企業信用保険法の特例その他の措置を講ずることにより産地中小企業のこのような自助努力を助長し、これらの産地中小企業の新たな経済的環境への適応を促進するため、本法案を立案したものであります。その概要は、次のとおりであります。
 まず、本法案の目的は、特定の業種に属する事業を特定の産地において行う中小企業者が円相場の高騰その他の最近における経済的事情の著しい変化に対処してその事業の合理化を計画的かつ速やかに進めるための措置等を講ずることにより、これらの中小企業者の新たな経済的環境への適応を促進することであります。
 次に、本法案においては、第一に、円相場の高騰その他の経済的事情の著しい変化によって大きな影響を受けている中小企業性の業種であって、産地を形成しているものを特定業種として地域を限って指定することとしておるのであります。
 第二に、特定業種に属する事業その特定業種にかかわる特定産地において行う中小企業者を構成員とする産地組合は、それぞれ、または関連事業者若しくは関連組合と共同して、新商品または新技術の開発、需要の開拓その他その構成員たる中小企業者の事業の振興に関する事項について振興計画を作成し、都道府県知事の承認を受けることができることとしております。
 第三に、振興計画について承認を受けた産地組合の構成員たる中小企業者等の産地中小企業者は、それぞれ、または共同して、新商品または新技術の開発または企業化、需要の開拓、生産の合理化に寄与する設備の設置、特定産地内における事業の転換その他事業の合理化に関する事項について、事業合理化計画を作成し、当該振興計画の承認をした都道府県知事の承認を受けることができることとしております。
 第四に、承認を受けた産地組合等及び産地中小企業者に対し、種々の助成措置を講ずることとしております。助成措置の内容は、具体的には、振興事業または合理化事業の実施に必要な資金の確保、中小企業信用保険法の近代化保険制度の適用とその付保限度額の特例の措置を講じ、産地組合等及び産地中小企業者に対する金融の円滑化を図ることとしています。また、産地組合または産地中小企業者の行う振興事業または合理化事業のために税制上の特例措置を講ずることとしておるのであります。
 第五に、円相場の高騰その他の経済的事情の変化により事業活動の縮小等を余儀なくされた産地中小企業の従業者の雇用の安定を図るために必要な措置、職業訓練の実施等に努めるとともに、振興事業または合理化事業の適確な実施に必要な指導及び助言を行うこととしております。
 以上が、この法案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますよう、お願いを申し上げます。
#231
○委員長(福岡日出麿君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員渡部恒三君から説明を聴取いたします。渡部恒三君。
#232
○衆議院議員(渡部恒三君) 産地中小企業対策臨時措置法案の衆議院における修正点につきまして、私から御説明申し上げます。
 修正の第一点は、産地組合が作成する振興計画において、人材の養成がきわめて重要であることにかんがみ、振興計画の内容として、人材の養成を明示したことであります。
 第二点は、産地において関連中小企業者の労働者の雇用の安定等が重点であることにかんがみ、国及び都道府県が講ずる雇用の安定措置等の対象として関連中小企業者を加えたことであります。
 第三点は、産地中小企業が行う新商品・新技術の開発等への援助に関する国及び都道府県の責務を明確にするため、国及び都道府県は、技術の研究開発の推進、情報の提供及び人材の養成に努めるものとする旨を規定したことであります。
 以上でございます。よろしく御審議をお願い申し上げます。
#233
○委員長(福岡日出麿君) 次に、補足説明を聴取いたします。左近中小企業庁長官。
#234
○政府委員(左近友三郎君) ただいま大臣が御説明申し上げました提案理由及び要旨を補足して御説明申し上げます。
 御案内のとおり、わが国には、特定の業種に属する中小企業が集中している産地が数多くありますが、これらの産地中小企業の中には、今般の急激かつ大幅な円相場の高騰という特殊かつ他律的な要因によって、輸出の減少、競合商品の輸入増加に伴う需要の減少等大きな影響を受け、現状のまま放置した場合には当該産地中小企業のみならず関連産業の存立にも重大な影響を及ぼし、ひいては経済社会問題の発生が憂慮されるものが少なくない状況であります。
 このような産地中小企業がそれぞれの置かれた状況に応じて、当面の課題を克服しつつ、中長期の観点から新たな経済的環境への適応を図っていくためには、これまで蓄積してきた技術等の経営資源を活用し、創造力と適応力を有効かつ適切に発揮して、新商品新技術の開発等の事業の合理化を計画的かつ速やかに進めることが必要であり、政府としても、このような自助努力を助長するため新たな特段の対策を講ずることが必要であると考えております。
 本法案は、このような観点からの対策を講ずるに当たり、中小企業信用保険法の近代化保険の特例等法律的措置を講ずることが必要であることから立案したものであります。
 本法案のあらましは、次のとおりであります。
 第一に、事業所管大臣たる主務大臣が次の要件に該当する業種を特定業種として地域を限って指定することとしております。指定の要件は、中小企業性、産地性を有する業種であり、かつ、円相場の高騰その他の経済的事情の著しい変化によって生ずる事態で政令で定めるものに起因して、その地域内のその業種に属する事業を行う相当数の中小企業者が影響を受けていると認められることとしています。なお、指定に当たっては、主務大臣は、中小企業政策担当大臣たる通商産業大臣に協議するとともに、都道府県知事及び中小企業近代化審議会の意見を聞くことにより適確な指定を図ることとしております。
 第二は、特定業種に属する事業をその特定業種に係る特定産地において行う中小企業者を構成員とする商工組合、事業協同組合等の産地組合は、それぞれ、もしくは共同して、または関連事業者もしくは関連組合と共同して、新商品または新技術の開発、需要の開拓その他その構成員の事業の振興に関する事項について、振興計画を作成し、都道府県知事の承認を受けることができることとし、産地ぐるみの発展を図っていくことを企図しています。振興計画には、その構成員の事業の振興に関する基本的な方針、その構成員がとるべき方策の指針、その産地組合がみずから行う新商品開発等の振興事業の計画について定めるべきものとしています。
 なお、衆議院における審議の過程におきまして、新商品または新技術の研究、人材の養成を振興計画の対象となる事項として明記するよう修正されております。
 第三に、振興計画の承認を受けた産地組合の構成員等の産地中小企業者は、それぞれ、または共同して、新商品新技術の開発または企業化、需要の開拓、生産の合理化に寄与する設備の設置、特定産地内での事業の転換その他事業の合理化に関する事項について、事業合理化計画を作成し、当該振興計画の承認をした都道府県知事の承認を受けることができることとしています。この事業合理化計画は、振興計画を受けた個々の構成員の事業の合理化を進めるための実施計画としての性格を有し、振興計画と相まって、当該産地が新たな経済的環境への適応を図るための基本となるものであります。
 なお、衆議院における審議の過程におきまして、新商品または新技術の研究を事業合理化計画の対象事項として明記するよう修正されております。
 第四に、承認を受けた産地組合及び産地中小企業者に対しては、金融、税制面で次の助成を行うこととしています。
 まず、産地組合については、金融面では振興事業の実施に必要な資金について中小企業振興事業団の高度化資金の活用等によりその確保を図り、税制面では試験研究費賦課金についての課税の特例及び当該試験研究用資産について圧縮記帳の適用のほか、事業所税及び特別土地保有税の非課税の措置を講ずることとしています。
 次に産地中小企業者については、金融面では新商品新技術の開発、需要の開拓、産地内事業転換等の合理化事業の実施に必要な資金について政府系中小企業金融機関からの特利融資によりその確保を図るとともに、中小企業信用保険法の近代化保険の適用とその付保限度額の引き上げの特例を設け、税制面では合理化事業の実施のために取得等をした資産について特別償却を認める措置を講ずることとしています。
 第五に、国及び都道府県は、産地中小企業者が事業規模の縮小等を余儀なくされた場合の労働者について、雇用の安定を図るために必要な措置、職業訓練の実施、就職のあっせん等について努めるとともに、産地組合、産地中小企業者等に対し、振興事業または合理化事業の適確な実施に必要な指導及び助言を行うものとしております。
 なお、衆議院における審議の過程におきまして、関連事業者たる中小企業者についての雇用の安定等についても規定するとともに、国及び都道府県が技術の研究開発の推進、情報の提供及び人材の養成に努めるよう修正されております。
 第六に、本法案の施行日は、公布の日とし、七年間の限時法としております。
 以上、この法律案につきまして補足説明をいたしました。
 何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
#235
○委員長(福岡日出麿君) 本案の質疑は後日行うことといたします。
    ―――――――――――――
#236
○委員長(福岡日出麿君) この際、先般、当委員会が行いました産地中小企業及び石油備蓄に関する実情調査のための委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。
 まず、第一班の御報告を願います。古賀雷四郎君。
#237
○古賀雷四郎君 去る五月七日、八日の両日に行われました委員派遣のうち、第一班につきまして概要を御報告いたします。
 まず、派遣の目的は、産地中小企業及び石油備蓄に関する実情調査でありまして、派遣地は福岡県、佐賀県及び長崎県、派遣委員は福岡委員長、小柳資源エネルギー対策小委員長、大森理事、岩崎委員、下条委員、真鍋委員、吉田委員、柿沢委員及び私の九名であります。
 以下、調査の概要を申し上げます。
 五月七日、まず福岡県の博多織多々良工場協同組合を訪ね、博多織産地の実情を視察いたしました。博多織産地は現在百六十四企業、従業員二千五百三十七名を擁しておりますが、五十年以降需要は減退し、企業経営は苦しい状況にあります。その原因は、和服が日常性を失ったこと、主な生産品が中級品であること、企業の零細性が著しく、企画力、資金調達力等が乏しいこと、生糸等の原材料の価格が高騰していること、流通コストが大きく、最終販売価格が出荷価格の約三倍にも達することなどにあると考えられます。さらに、他の輸出型産地の内需転換や、海外製品の輸入による影響も今後顕著になる可能性があります。
 そこで、対策としては、国による高度化資金の貸し付け等、また県による展示会開催や技術指導等と相まって、企業自身も設備廃棄や技術者研修などを進めてきておりますが、今後進むべき道は、製品の高級化による活路開拓及び流通機構の整備、合理化にあると見ており、このことに関連して産地中小企業対策臨時措置法の成立を強く望んでおりました。産地が今後進むべき道については、私たちも全くその感を深くいたしました。
 七日は、次いで佐賀県江北町において石炭鉱害の復旧状況を視察いたしました。
 通産省の調査によると、佐賀県の四十七年度初公示鉱害量は二百五十五億四千六百万円で、九州管内の鉱害量の一五%を占めておりましたが、五十三年度末までの復旧実績は二百六十一億五千九百万円であり、五十四年度計画では八十八億一千万円の復旧が予定されております。特に、私たちの視察した杵島地区につきましては、四十七年度初めの鉱害量百八十八億六千万円に対して、五十三年度末までの復旧実績が百九十八億五千二百万円に達し、五十四年度において約七十七億円の復旧を計画して、なお、五十五年度以降に約三百五十三億円の残存鉱害が存在しているのであります。このように残存鉱害量が多いのは、第一に物価の上昇が著しかったこと、第二に六角川水系に軟弱地盤地帯が多く、鉱害復旧にパイル工法等を必要としたことなどの原因によるものでありますが、さらに、果樹園について新規の復旧申請が予想されております。したがって、臨時石炭鉱害復旧法の存続期限である五十七年七月三十一日までには、復旧の完了は困難であると予測されるので、鉱害復旧予算を増額するとともに、この法律の存続期間を延長することも考慮していただきたいと、江北町町長初め、現地関係者から強い御要望がありました。私たちもその実現を政府に強く要望するものであります。
 次いで、翌八日には、佐賀県の有田・伊万里産地を訪ねました。
 同産地は、日用食器、美術置物、洋食器の三種を主体とする高級品の産地であり、企業数は三百二十三、従業員数は六千七百八十四人、五十三年の生産額は三百四億円であります。この産地の輸出依存度は小さいので、円高による直接の影響は比較的少ないのでありますが、他の輸出型産地の内需転換や海外品輸入の増加等の影響が予想されること及び流通機構の整備、合理化が必要であることは、博多織産地の場合と同様であります。この産地でも、産地中小企業対策臨時措置法の成立とその弾力的運用、さらに同法による振興計画及び事業合理化計画の実現に寄与する公共施設整備等に対する財政援助を要望しておりました。私たちも、設備の近代化、共同化、展示の積極化、後継者養成事業の拡大等による同産地の発展を切に望むものであります。ただ、有田焼の基盤をなす伝統的技法と時代の要請である設備の近代化という要請とをいかに調和せしめるかが今後の一つの大きな課題であろうと考えます。
 八日の午後は、長崎県橘湾で行われている石油公団のタンカー備蓄の実情を視察いたしました。同湾には、政府による石油備蓄の一環として、二十五万トン級タンカー十隻による約二百五十万キロリットルの備蓄が昨五十三年末から行われておりますが、そのうちの一隻である時津丸に乗船し、石油公団幹部及び同船船長からの説明を聴取し、船内及び同湾の状況を視察いたしました。タンカー備蓄が防災及び漁業との調整の観点から、きわめて周到な注意のもとに行われていることは、茂木港に設置した防災管理機構との間断のない連絡、台風襲来時のタンカーの湾外移動計画、船内の汚水処理施設等からも察することができました。また、タンカー備蓄は二年間の臨時措置とされておりますが、二年後もなおタンカー備蓄という方法を継続するかどうかは、今後の状況の推移と相まって、一つの検討課題でありましょう。
 なお、佐賀県知事から中小企業金融対策の拡充、特定不況地域の振興、産地中小企業の振興、造船業及び関連業界対策、原子力発電所の安全確保、伊万里工業団地の早期完成、産炭地域の振興、ボタ山災害防止事業、鉱害対策の促進という九項目について、また、長崎県知事から造船不況対策、洋上石油備蓄基地の建設、海外炭中継基地及び石炭専焼火力発電所の建設、工業再配置促進法に基づく特別誘導地域の指定、既造成工業用地に対する財政措置、電源立地促進対策交付金の特例措置の延長という六項目について、それぞれ要望がありました。私たちも、これらの施策の実現が、現下の事情に照らしてきわめて必要であることを痛感いたしました。
 以上、簡単でありますが、御報告を終わります。
 速記をとめてください。
#238
○委員長(福岡日出麿君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#239
○委員長(福岡日出麿君) 速記を起こして。
 次に、第二班の御報告を願います。楠正俊君。
#240
○楠正俊君 第二班について御報告申し上げます。
 派遣委員は、大谷理事、安武理事、中村委員、森下委員、中尾委員、馬場委員、市川委員、井上委員及び私の九名で、期間は五月七日から二日間、産地中小企業の実情を調査するため、瀬戸市の愛知県陶磁器工業組合、京都市の西陣織工業組合及び神戸市の兵庫県ゴム工業協同組合を訪問し、円高等の影響に関する各産地の実情等について説明を聴取し、懇談するとともに、関係企業を視察いたしました。
 愛知県陶磁器工業組合のある瀬戸市は、岐阜県の多治見地方と並ぶわが国屈指の陶磁器の産地でありますが、生産品目も、和食器に始まり、洋食器、陶磁器製置物、タイル、電磁器などへと、時代の流れに対応して拡大されてきております。産地内の事業所数は約九百、従業者数は一万二千五百人で、年間出荷額は六百三十億円に達しております。このうち輸出額は、ノベリティーと呼ばれる陶磁器製置物を中心に三百六十億円余となっておりますが、昨年来の円高の影響で、本年一月から四月までの輸出額は昨年同期に比べ二五%も落ち込んでおります。最近はかなり円相場が持ち直しているものの、このまま推移すると大規模な転廃業も予想されるのであります。
 輸出先はアメリカ、オーストラリアなどですが、中級品が中心であるために、中進国の激しい追い上げを受けており、高級品への転換、内需の開拓などが必要であり、このために既存製品の品質、デザインの向上とともに、新分野としての建築用資材、IC回路、半導体用の素材など、新商品づくりのための新技術の開発が業界の大きな課題となっております。
 また、同組合などからは、産地中小企業対策臨時措置法の早期成立、施行と、産地の実情に即した弾力的運用及び協同組合関係立法の改正による組合制度の改善対策等の要望がありました。
 次に、西陣織物工業組合のある京都市は、わが国の代表的な織物産地ですが、その起源は八世紀にさかのぼり、十五世紀の応仁の乱後にその基礎が築かれたと言われております。
 製品は、和装用帯地を主力に、能や神官の衣装等広範にわたっておりますが、多色の糸を使用したけんらん豪華な紋様を特色としており、伝統工芸品の指定を受けております。現在、事業所数は二千五百、従業者数は二万人を超えており、年間出荷額は二千三百億円余りに達しております。当産地は今回の円高に伴い、織ネクタイに対抗する割安なプリントネクタイの輸入の急増により、大きな打撃を受けております。
 また、生活様式の変化、最近の節約ムードの浸透などによる急速な需要の停滞等、産地をめぐる環境は一段と厳しさを増しているようであります。
 このため、業界は企業体質の強化、生産コストの低減、消費者ニーズの反映を柱とする振興対策を立て、トータルファッション性を強調した高付加価値を目指しており、昨年七月には関係行政機関、学識経験者を含めた西陣織ネクタイ業界安定対策協議会を設けて意匠、新製品、新用途開発、流通機構の調査等各般の対策を検討しております。
 また、同組合からは、産地中小企業対策臨時措置法の制定とその助成対策の実施、伝統的工芸品産業振興法の効果的運用、生糸一元輸入対策に対応する絹業対策の確立、押しつけ販売等の不公正取引の規制の徹底及び一般消費税導入反対等の要望がありました。
 最後に、兵庫県ゴム工業協同組合のある神戸市は、明治十八年にゴム球、ゴム枕の製造が行われたと言われ、わが国におけるゴム工業の発祥地であります。産地の事業所数は千三百、従業者数は約一万七千人、年間出荷額は千六百五十億円に達しており、わが国でも有数のゴム製品産地ですが、同組合員企業の主力製品はタイヤチューブ等であります。
 輸出比率は以前は三〇%以上ありましたが、オイルショック、円高等の影響を受けて、最近では二〇%程度に低下しており、さらに台湾、韓国等の急迫を受けて、今後とも厳しい状況の続くことが予想されております。
 これに対応して、生産の多品種、多様化、高付加価値化等の対策を推進するため、組合を中心として生産、販売、情報収集等を共同化する必要があり、産地では共同化の意欲が盛り上がりつつあると言われております。また、同組合より、最近の発展途上国製品の追い上げ等の現状にかんがみ、中小事業者の保護のため、逆輸入の規制等適切な対策を講ずること等の要望がありました。
 今回の調査に当たり、御協力を賜りました関係者の方々に対して感謝の意を表して、報告を終わります。
#241
○委員長(福岡日出麿君) 以上で、派遣委員の報告は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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