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1978/03/16 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 農林水産委員会 第5号
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1978/03/16 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 農林水産委員会 第5号

#1
第087回国会 農林水産委員会 第5号
昭和五十四年三月十六日(金曜日)
   午後一時十一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長        久次米健太郎君
    理 事
                青井 政美君
                大島 友治君
                山内 一郎君
                栗原 俊夫君
                相沢 武彦君
    委 員
                岩上 二郎君
                片山 正英君
                小林 国司君
                野呂田芳成君
                初村滝一郎君
                降矢 敬雄君
                川村 清一君
                坂倉 藤吾君
                丸谷 金保君
                村沢  牧君
                原田  立君
                藤原 房雄君
                河田 賢治君
                下田 京子君
                三治 重信君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農林水産大臣   渡辺美智雄君
   政府委員
       農林水産政務次
       官        宮田  輝君
       農林水産大臣官
       房長       松本 作衛君
       農林水産省経済
       局長       今村 宣夫君
       農林水産省構造
       改善局長     大場 敏彦君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     二瓶  博君
       農林水産省畜産
       局長       杉山 克己君
       農林水産省食品
       流通局長     犬伏 孝治君
       農林水産技術会
       議事務局長    堀川 春彦君
       林野庁長官    藍原 義邦君
       水産庁長官    森  整治君
       水産庁次長    恩田 幸雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹中  譲君
   説明員
       法務省刑事局刑
       事課長      佐藤 道夫君
       大蔵省関税局監
       視課長      奥田  裕君
    ―――――――――――――
 本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
 (昭和五十四年度農林水産省関係の施策及び予
 算に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(久次米健太郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。農林水産政策に関する調査のうち、昭和五十四年度農林水産省関係の施策及び予算に関する件を議題とし、去る二月十五日に引き続き質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○川村清一君 私は、大臣の所信表明の演説の中の水産部門にしぼりまして、若干お伺いをいたしたいと存じます。
 大臣の所信表明の中に、水産の問題につきまして、「本格的な二百海里時代に入り、わが国水産業はますます困難な局面を迎えております。」と、かようにおっしゃっておるわけでございますが、私も全くそのとおりだと考えております。昭和五十年からわが国も二百海里水域法を制定しまして、実質的に二百海里時代に入ったわけであります。世界の海洋秩序は実質的に大きな転換をいたしました。このことによって、世界一の水産王国を誇っていた日本の漁業は、根底から大きな揺さぶりを受けたわけであります。ある意味においては大変な危機を迎えたと言っても過言ではないと、かように考えております。
 したがいまして、これからの日本漁業は二百海里時代に対応してどうあるべきか、この二百海里時代において日本の漁業をどう進めなければならないか、水産の政策において、あるいは水産行政においてこれが基本でなければならないと、かように考えておるわけでございますが、この点から、政策なり行政の方途というものが発想され施策が実行されるべきでございますので、まことに基本的な問題でございますので、ひとつ大臣から御見解を伺いたいと存じます。
#4
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま川村委員から御指摘のように、二百海里時代を迎えまして、広く世界の各地から日本の漁業が魚をとっておったわけでございますが、相当の制約を受けるということを覚悟しなければなりません。すでに百万トンぐらいのものを締め出されておると。これは重大な問題であります。日本国民の半分のたん白を補っておるわけでございますから、われわれとしては、何としてでも現在の魚ぐらいのものは日本の近く、あるいは遠洋漁業、外国の二百海里の範囲内で確保していくいろんな手だてを考えていかなければならないと思っております。
 したがいまして、まず第一には、外国の二百海里水域における既得権、既得の漁獲高というものを維持していくために、漁業外交というものを積極的に展開をしていきたいと、こう思っておるわけであります。したがって、初めて総理の施政方針の中にも、いろいろな事情もございましたが、漁業外交の展開ということを総理大臣みずからが言明をしておるわけであります。
 第二番目は、やはりそのためにいろいろな入漁料を払うとか、あるいは漁業の協力をやるとか、あるいは共同漁業をやるとか、いろんなことをいたしますが、しかし、沖合い、沿岸というものも重視をしていかなければなりません。したがって、沿岸漁業の振興を図るということが日本の周りでは非常に必要であります。そのために魚礁の設置とか、あるいはいろんな放流漁業とか栽培漁業とか、こういうようなものをやったり、漁業の構造改善を図っていくというようなことで、沿岸の漁業の振興を図ってまいりたい。
 第三番目は、内水面の魚というものも、これも大変なことでございますから、川をきれいにして内水面の漁獲高というものが上げられるような工夫というものもやっていきたい。また、流通加工面も大きな問題なので、これらに対するむだのない流通加工の改善というものも図っていきたい、かように考えておるわけでございます。
 これらの点はそれぞれ相関連をいたしておりますので、それぞれの分野においてきめ細かな施策を講じてまいりたいと考えております。
#5
○川村清一君 ただいま大臣から、二百海里時代に即応した日本の漁業のあり方といたしまして、外国二再海里内におけるところの日本の漁業既得権をできるだけ守るために、漁業外交を強力に推進していくとか、あるいは沿岸漁業の振興、内水面漁業の振興、あるいは流通加工の改善といったようなことが言われたわけでありますが、それらは当然最も必要なことでございまして、いまの述べられたようなことは、大臣の所信表明あるいは政務次官の予算説明の中に書かれておりますのでそれは承知いたしますが、いずれいまの問題につきましては、具体的にまたお尋ねをいたしてまいりたいと思います。
 私は、二百海里時代の水産政策を展開するに当たりまして、まず基本的に、なぜ一体二百海里時代といったようなものが招来されたのか、なぜこういうような世界の海洋秩序というものが変わったのかということを考え、あるいは反省する必要があるのではないかと思うわけでございます。私は、昭和四十年に本院の議員として当選してまいりましたが、その四十年のときにおきましては、日本の漁業の総生産量というものはまだ六百九十万トンぐらいで、七百万トンには及ばなかったのでございます。それが、昭和五十年におきましては一千万トンを突破いたしまして、一千五十五万トンに伸びております。つまり、十年間に三百万トンの漁獲量がふえたわけでありますが、この三百万トンというふえた漁獲量というものはどこから一体持ってきたものか、あるいはまた、どういう業種がこれを漁獲したものか、この点を考えてみなければならないわけでございます。これは要するに、日本政府の水産政策というものが沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へと外延的に延ばす、そういう水産政策を強く行ってきたわけであります。
 国内におきましては、ちょうど高度経済成長時代でございまして、沿岸にはどんどんどんどん埋め立てて工場をつくり、工場製品はどんどんできると。それを外国に輸出して大きく利益を上げていく。沿岸におきましては、その埋め立てによって沿岸がなくなる、あるいは工場地帯からいろいろな公害が流されてまいりまして、沿岸漁業におきましては減りこそすれちっともふえておらない。しかし、白書などの数字によれば沿岸漁業も若干ふえておりますが、これは養殖漁業その他によってふえたものであって、日本列島全体から見るというと、沿岸漁業というものは非常に衰退してまいってきたことは、これは御承知のとおりでございます。したがって、沿岸漁業の漁獲量というものはこの十年間大体において横ばいでございます。
 ふえたのは何かというと、これは沖合い漁業と特に遠洋漁業でございますが、遠洋漁業は言うまでもなく、これは外国の二百海里から漁獲をしてきておるということでございます。それから沖合い漁業もふえておりますが、沖合い漁業も、たとえば底びき船のようなのはやはり外国の二百海里から漁獲してきておると、こういうことでございまして、すべてふえた分は、いわゆる世界の国の二百海里の中において漁獲努力をしたものがこのように十年間に三百万トンもふやして、そうして世界一の水産王国となった大きな要因をなしたものと私は考えておるわけであります。
 こういうような日本の漁業の発展というものが、これが世界各国にどういう影響を及ぼしたか。特に開発途上国にはどんな影響を及ぼしたかというと、開発途上国におきましては、自分の前浜には資源は豊富であっても、これをとる技術を知らない、また資金がないと。そこへ日本の大型の船がやってきて、近代的な装備、近代的な技術、資金は十分ある、そしてとるにいいだけとっていったと。ある意味においては資源の乱獲、こういったようなことをやってまいりまして、それを見せつけられたところの開発途上国の方々は、いわゆる日本の漁船は世界の海を荒らすというようなことで、日本の漁業に対しましてはきわめて強い憤り、いわゆる怨嗟の的に日本の漁船がさらされたと、こういうような経過を経てずっと来たわけであります。
 で、それらのことが、ついに一九七三年の十二月の国連の海洋法会議の第一会期、そして続いて七四年には第二会期、ここにおいてこの開発途上国から経済水域二百海里という問題が提起され、それが、まだ海洋法会議において最後の結論は得ておりませんけれども、世界の大勢としてこうなったと、このことです。このことをまず考えなければ、それを反省しなければ、その点から日本の新しい漁業のあり方というものが生まれてこなければならないと、私はこう考えておるのでありますが、これに対する大臣の御見解を承りたいと存じます。
#6
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御指摘のような反省は、私も必要だろうと思います。高度経済成長当時で、ややもすると金さえ出せば幾らでも物は手に入る、それと同じく国民もかなりぜいたくになってきたし、イワシを食わないで、たとえば一つの例でありますが、それよりも七倍もえさを必要とするハマチがいいとか、そういうようなところに力を入れれば当然たくさんの魚が必要だと。その結果は、乱獲というようなことも私はあり得ると思うのです。で、国民の食生活が変わったと言えばそうかもしれないが、そういう高級魚でなければ食べないという風潮というものは、やはりその一つのムードの中から私は出てきたのじゃないか。金さえ出せば石油は幾らでも買えるからどんどん石油を使ってというような発想も、一時はあったわけです。それと似たような私は話じゃないのか。
 しかし、現実には、幾ら金を出しても石油は買えない場合もある。同じようなことで、魚の問題もそれに似たようなことがやっぱり資源としてはあるわけでございますから、やはり貴重な資源でございますので、よくそれらの点も反省をしながら、消費のあり方というものも反省をしながら今後の漁業政策というものは考えていかなければならないだろうと、こう思っております。
#7
○川村清一君 その点におきましては、大臣と私どもの考えは一致するわけであります。したがって、大臣のおっしゃったことをまとめると、こういうことになるんじゃないかと思うわけであります。
 今日までの日本の漁業というものは漁獲努力第一主義であった、いわゆる生産第一主義であった。この生産第一主義の漁業というものから、いわゆる資源はもちろんこれはふやしていくように努力をすると。努力は、これはもう当然でございます。それから、その資源は、これは海の中の生物でございますから、やはり自然にふえるという力を持っておると同時に、自然に減る要素も持っておるわけであります。いわゆる生物であるから死ぬということも考えられるし、その他いろいろな大きな魚であるとか、あるいは海中にすんでおる動物、これによって食われる、いわゆる食害、こういうようなことによって資源が減る。しかし、自然にふえる分と、それから自然に減る分、それを引いた残りが、これが再生産資源であるわけでございます。
 したがいまして、それもみんなとってしまえば、喫するに資源の乱獲であって資源は絶える。そこで、やはりこれからの漁業というものは、その資源の再生産をしていくその中で許容される量を漁獲していく。つまり生産第一主義から、いわゆる管理型漁業というものに日本の漁業は大きく変わっていかなければならない、私はそう考えるわけでありますが、この点はいかがでございますか。基本的な点はもうわかりましたから、これは大臣でなくて水産庁の長官でも結構でございます。
#8
○政府委員(森整治君) 御指摘のように、いろいろとる漁業、言葉をかえて言いますと先生もそうおっしゃったのだと思いますが、とる漁業からつくる漁業と申しますか、そういう漁業への転換がいろいろ行われつつあるわけでございまして、国なり県なりいろいろな金を使いましてそういう方向へいま転換しつつあるわけでございますが、問題は、やはり一般の漁業者全般の意識が、そういう先生おっしゃいましたように、資源を育成し維持培養しながら、それをまた資源を管理して育てていく、そういう漁業というものを一人一人のいま漁民がやはりそういう認識を持ってくることがどうも私ども必要じゃないかということを、最近非常に痛感をしておるわけでございます。いろいろ全漁連等の組織もそういうことを最近主張をしているわけでございます。全般的に、考え方といたしましては、先生おっしゃるような方向に動きつつあるというふうに考えております。
#9
○川村清一君 長官にお尋ねいたしたいんですが、いまの長官の御発言は非常に重要な意味を私は抱えていると思うんです。
 というのは、いわゆるこの漁業権の許可、許可権というものは、これは政府が持っているわけであります。そこで、いままでの漁業というものを、いわゆる特に遠洋漁業等につきましては、許可権の発行というものがきわめて無造作に行われたのではないかと思う。そうして、外延的にどんどんどんどん世界の海に発展させていった。日本の日の丸の旗をつけた漁船はアフリカからインド洋から東南アジア、そしてオーストラリア、ニュージーランド、南米、アメリカ、カナダ、ソ連水域というぐあいに、世界じゅうに発展していった。発展していくように、どんどんどんどん許可を与えていった。
 そこで、私の言いたいことは、いま大臣がおっしゃっておりますが、管理型漁業に持っていきたいと思うけれども、やはり漁業者、業界のそれに対応しての協力体制、あるいは漁民の意識そのものが変わっていかなければなかなかめんどうだと。おっしゃることは当然なんでありますが、私は、今日までの日本政府の水産政策というものは、政府から出た政府の政策ではなくして、むしろ業界に引き回されておった政策ではないか。業界から強い要望、要求があればもう許可をどんどんしていく、いわゆる業界発想の政策から政府発想の水産政策に転換していかなければ私はならないと思うんですが、これはいかがですか。
#10
○政府委員(森整治君) いま先生がおっしゃいましたことは、いろいろ業界のエゴイズムみたいなものがありまして、それで何かいろいろゆがめられてきておらないかということだと思いますが、そういうゆがめられたというふうには私どもは考えてはおりません。ただ、何といいますか、そういう非常に圧力的な動きというのは否定をするわけではございませんけれども、その中で、やっぱりわれわれは正しい方向というものでいろいろ制度運営をしておるつもりでございます。
 そこで、業界よりも政府指導型というようなお話ございましたけれども、その辺はやはり業界と申しますか、漁民、それから漁協あるいは会社、そういうものがやはりそういう新しい考え方に基づいていろいろ漁業をやっていく、それを政府が指導をしていくと、そういう両方の立場がございませんと、政府が引っ張っていくというそういう場面も必要でございましょうが、なかなかうまくいかないのではないかというふうに思っておるわけでございます。
#11
○川村清一君 全くそのとおりなんです。ですから、業界が承知しなければなかなか引っ張っていくことも困難だということもよく承知しております。私も水産業界のいろんな問題につきましては若干知っております。戦前、そうして戦後のこの日本の漁業の発展の歴史の中で、たとえば日魯であるとか、あるいは日水であるとか、あるいはマルは大洋漁業であるとか、こういうものの発言力とその力というものは、これは大きな力であったことは否定できないと思うんであります。たとえば、戦前におけるところのカムチャツカあたりにおけるカニ漁業にしろ、あるいは南方における鯨漁業にしろ、これはやっぱり大手の会社の資本力によってこれがなされた。あるときには、帝国海軍がこれを援護したといったような時代もあるわけであります。それから戦後になりますれば、業界がまたいろいろまとまりまして、たとえば底びきであるならば全底であるとか、北海道の方ならば機船底びき組合であるとか、あるいはまき網組合であるとか、そういったような業界がございまして、これが、政府が何かやろうと思うというと、それはだめだ、こうやれといったようなことで、そして政府がやろうとしたものがその業界の力で曲がっていった。ゆがめられたとは申しませんが、政府の思うようにできなかったということも事実だろうと私は思っているわけです。したがいまして、これからの新しい漁業というものは、よほど政府がしっかりした考えを持って、そしてその政策に業界を誘導していくといったようなこういうやり方をしていかなければ、日本の漁業の将来というものはきわめて憂うべき時代に来るのではないか、かように考えるわけであります。
 この問題はこのくらいにいたしまして、そこで長官、資源管理型の漁業に移行するということにつきましては、これは別段御異議がございませんですね。いわゆる漁獲第一主義から資源管理型の漁業でなければならないということにつきましては、賛意を得られるものと私は考えるわけですね。そこで、それじゃ管理型漁業でいくとするならば、この具体策です。どういうようなことをしなければならないかということが次に出てくるわけでありますが、水産庁としてはどうお考えになっておられますか。
#12
○政府委員(森整治君) やはり栽培漁業等の、いろいろつくる漁業ということを今回の予算でも強調をしておるわけでございまして、たとえて申しますと、海の畑づくりといたしまして沿岸の漁業整備開発事業でございますとか、また種づくりといたしましては、栽培漁業を推進するためにいろいろ国が栽培漁業センターの施設整備をするとか、あるいは県の栽培漁業センターの施設整備をするとか、サケ・マスにつきましても、いろいろな放流事業につきまして約倍に近いような予算を計上して従来の計画を相当上回るような措置を講ずるとか、そういうことでいろいろ努力をしておるわけでございます。ただ、問題は、こういう金だけでは――金の問題については大いに今後私どもも努力する、それは考え方としては金の問題はわりに解決しやすいと思いますが、そういう意識なり制度なり、管理をしていくそういう実際の一つ一つの問題につきましては非常に私ども苦労をしておるわけでございまして、たとえば何といいますか、総合地域の開発事業、そういう中で新しいやっぱり管理の方式を見出していこうという努力を、金をつけながら、いろいろ県が中心になりながらそういう努力を重ねておるわけでございます。そういうところに、今後の非常にむずかしい問題が残っておるというふうに思っておるわけでございます。
#13
○川村清一君 その管理の方法についてもっと具体的に、こういうこととこういうことを考えているといったような、そういう方策はございますか。
#14
○政府委員(森整治君) 種をつくって、畑をつくって、その種をまた育成をしていく。いろいろ育成をする場所を設けて、そこへ底びきが入らないとか、そういうようなことをいろいろいままででもやってきておるわけでございますが、いろんな権利といいますか、底びきあり、いろんな漁業が競合、オーバーラップしているそういう海面を、どういうふうにして、たとえばタイの稚魚をどうやって育ててとられないようにして保護していくかということにつきまして、先ほども申しましたように、個別の集まりみたいなもので総合地域の開発の調査をやっておりますけれども、そういう中で話し合いでそういう保護管理の方式を編み出していくということを考えたらどうかということを、とりあえずは考えておるわけでございます。個別、具体的な処理の仕方というのが一番重要な問題ではないだろうかということで、いまそちらの方に重点を置いて、実績をつくっていくという方向から入っていくことをいま考えておるわけでございます。
#15
○川村清一君 資源を培養するためのいろんな施策をなされようとしておる、うんとそこに財政投資をなされるということにつきましては、これは大歓迎でございますしそういう姿勢は評価しているわけです。
 私の言いたいのは、資源を培養しても、資源がふえたもの以上にとれば、結局資源は減るわけです。ですから資源はふやす、ふやした資源を減らない程度にそれをとっていく。これが、やはり管理型漁業の基本だろうと私は考えるんです。
 そこで、それじゃどういう方法をやったらいいかという具体的な問題が出てくるわけです。そこで何かお考えになっているかというと、いまの長官のお話では、具体的にこういうことも考えているといった、何か底びきの話など出ましたが、その程度でございまして、あるいは考えているけれども問題になるのでおっしゃらないのかもしれませんが、私どもはこういうことをしなければならないのではないかと思うことを申し上げますので、また説明は後でしますが、ひとつ考えてみてください。
 まず、魚種ごとに最大持続生産量を勘案した漁獲量を規制するということが一つ。それから次に、資源保護のための水域を規制するということ。次に三番目に、魚類の産卵、生育を保護するための禁漁区を設置するということ。四番、乱獲を防止するための漁具、漁法を規制すべきじゃないか。次に、漁業種類ごとの漁船トン数、機関馬力、これなどをやはりある程度規制すべきではないか。次に、網目を規制するというようなこと。それから七番目には、加工などいわゆる集魚能力を規制する必要があるのではないかということ。それから八番目に、沖合い底びきの操業禁止ラインを拡大する必要があるのではないかというようなことを考えておるわけであります。
 これは、ただ私ども頭で考えただけではないんであって、実は、私は昨年の十月ころから北海道の沿岸をずっと回っているわけであります。これはオホーツク海から日本海から太平洋、全部は回り切れませんでしたが、回りながら二人でも三人でも漁民の方にお会いして、いろいろ漁民の方々の要望等をお聞きしてそれをまとめたわけでございます。したがって、日本列島のずっと西の方のことはわかりませんけれども、大体北海道は日本の全生産量の二五%を生産しておりますから、沿岸漁業、沖合い漁業、遠洋漁業、皆持っておりますから、大体こういうようなものの中に入るんじゃないかと、かように考えておるわけでございます。
 これは、たとえば一つ例をとりますが、イカ資源でありますね。イカ資源などについては強く言われておるのは、昔は北海道道南地帯はイカ資源が豊富でありまして、沿岸漁民の方々はこのイカ資源に依存して生活をしておった。そのイカが全然いまはいなくなりました。まさに皆無と言ってもいい状態になってまいっております。そこで、これらはやはり乱獲が大きな原因ではないかと、こう考えますと、イカという魚種は一体どこで産卵してどういうような回遊路をたどっているのか、学者でないからそこまではよくわかりませんけれども、聞くところによれば、東シナ海で産卵をすると。それがだんだん北上して間宮海峡のあたりまで行って、そこから今度Uターンして日本海を南下すると、こういうような回遊路をとっておるといったようなことを聞いておるんでありますが、そこで、このイカならイカの資源の産卵するこういう期間、これを保護するために、その水域をある期間、禁漁期を設定するといったようなこと等はこれは大事なことではないか。
 それから、いたずらに沿岸漁業等においては過剰設備をして、そうして非常にコストの高いことをやって、それが経営を困難にさせておると。あるいは資源を乱獲するおそれが多分にあるイカならイカ漁業の加工、とんでもない明かりをつけて就業しておると。これは競争的にやっておる。これは本当に操業している船の競争であって、全部が過剰投資をするといったようなこと等もあり、これは資源の一つの乱獲につながるといったようなこともありますれば、あるいはまた稚魚を守ると。稚魚の何といいますか、生育を守ってやるということがやはり必要なことでございますが、その稚魚をみんなとってしまうようなこういう漁業のあり方というものは厳重に規制すべきではないか。そうすれば、当然使用する網目を規制するといったような必要もあると存じます。
 いま一番大きな沿岸の問題は、これは昭和五十二年の二百海里時代に入って、日ソ漁業協定の批准をやったときに、私は時の鈴木農林水産大臣と議論をしたのでありますが、結局北洋から締め出された沖合い底びきというものがUターンして、そうして沿岸に来ると、そのことによっていわゆる沿岸とトラブルを起こす。これが現在、たとえば日本海北部等の海においては大きな問題になっておるわけでありますが、こういったようなことから、何とかいわゆる行政措置をとれないものかどうかということなんであります。
 率直に言って、沿岸の方々は、政府が多額の金をかけまして、そうしていろいろ資源の増殖の仕事をやっていただいている、これは非常にありがたいことだと、ありがたいと言っておりますが、むしろそんなことに金をかけるよりも底びきを全部禁止してくれと、手繰りを全部やめさしてくれと、そうすれば構造改善だの浅海増殖だのそんなものは何も要らないと、ひとりでに資源はふえるんだと、こういうようなことを率直に言われておるわけでございます。まさか底びきの全面禁止なんということは、これはいまの時代では簡単にできることでございませんから、私はうんうんと言って聞いて帰ってきておりますが、いまの底びきの禁止ラインでいいのかどうか。
 これらのことにつきましても、やはり管理型漁業ということになりますれば、当然考えられなければならない問題ではないかと思って、私どもの考えていることをいま提起したわけでございますが、これらの問題について水産庁として何か考えている事項がございましたらひとつお示しいただきたいと思いますし、また、私の申し上げましたこのことにつきまして、おまえがそんなことを言ったってそんなことはできる問題ではないというような反論があれば、また反論をお聞かせいただきたいと、かように存じます。
#16
○政府委員(森整治君) ただいま先生から非常に広範な面にわたってのいろいろなお話がございましたが、一つ一つはともかくといたしまして、私どももそういう線でやはり資源を保護して育成をしていくという観点から、いろいろなことをやっておるわけでございます。
 ただ、問題は、先生も例を出されましたから一例を申し上げますが、イカの光力規制の問題も、実は私どももその面に入ってやったようでございますけれども、なかなか実効が上がらないということで、実際にお互いにわかっていながら、現実の話になりますと、監視といいますか、光力を規制していくそのことを守っていくことが、非常に数が多い、また海の上の話でございまして、非常に実効が上がりにくいという問題があります。そこで、ある意味では必要なことは私どももわかっておるわけでございますが、そこまで突っ込んだ措置が現在打てないでいるというような問題もあるわけでございます。その辺はどういうふうにしていったらいいのか、これは反論ということではなしに、私どもの実は悩みでもございますけれども、実効が上がらないものを幾ら決めてもまた無意味になるということもあるわけでございます。そういうことで、むしろその考え方自身につきましては私どもは全面的に先生の御主張には賛成でございますが、それを、実効をどうやって確保していくかという方法について有効なものがない場合には、余り理想に走ってもなかなか現実の問題としてはうまくいかないということがあるということを申し上げたいと思います。それから、イカの問題につきましては次長の方が専門でございますから、いろいろイカにつきましてのお話ございましたので、次長から御答弁を申し上げたいと思います。
#17
○政府委員(恩田幸雄君) では、いろいろ漁業の資源保護に対する規制の問題についてお話がございましたので、イカを中心に一、二申し上げます。
 イカの資源につきましては、先ほど先生御指摘のございましたように、対馬からもう少し南の方にかけまして、大体日本近海のスルメイカの産卵場がございます。ここから出たものが、先ほどもおっしゃいましたように、日本海を上がってまた産卵場へ戻ってくるわけでございます。
 私どもがいま現在イカについてとっております規制を申し上げますと、まず産卵場におきましては、ほとんど現在のイカ釣り漁業においては親魚が漁獲できないという、いわゆる産卵する親魚がほとんど漁獲されていないという現状でございまして、やはり私どもはそれより、産まれて北に上ってきます小さなイカ、こういうものを規制することによって資源の有効利用を図りたいということを考えておりまして、現在三月、四月の二ヵ月につきましては、日本海でイカの漁業の禁止をいたしております。もっともこれは三十トン以上の船でございまして、沿岸の小型船については別でございますが、いわゆる沖合いにおりますイカ資源については、それである程度確保できるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
 そのほかに、加工利用等につきましては、業界についても、先ほど長官のお話もありましたが、いろいろ議論されておりますし、私どもも自主的な指導を一応要請してやっているわけでございますが、何分にも船型がいろいろございますせいもございますし、光力を若干違反することによって、違反といいますか、大きくすることによりまして漁獲が非常に上がるという面もございまして、十分洋上での取り締まりができない現在では、実効を上げることがなかなかむずかしいという先ほどの長官のお話のとおりでございます。
#18
○川村清一君 長官のお話も、次長のお話もそれなりにわかるわけでございますが、私をして言わしめれば、どうも二百海里時代に入ったということに対する危機感といいますか、いわゆる基本的な考えと構えがないような気がするんですね。要するに、いままでのやり方の持続である、その持続の中でできるだけ漁獲量を減らさないようにしていこうと、こういうような考え方が水産庁の中にあるのでないかと思うんです。私は、この二百海里時代というのは大変な時代だと思っている。ある意味においては、漁業の一つの維新期を迎えたと言っても過言ではないのではないかと思うんですね。
 つまり、昭和二十四年に新しい漁業法というものが制定されました。これはもっともマッカーサーのまだ占領時代でございますが、いわゆる漁村の民主化とか、そういうものをひとつ目標にしまして、そうして新しい漁業法が制定された。そのときに、いままで明治時代からずっと行われてきたところの、いわばこれは明治時代から行われてきた漁業を踏んまえて、そして漁業法が制定されて――これは旧漁業法ですね、その漁業法によって与えられたところのいわゆる専用漁業権であるとか、あるいはその他定置漁業権であるとか、それから漁船漁業権ですね、こういったものを一度政府は全部これを買い上げたわけですね。そして昭和二十四年の新しい漁業法の制定によって、この漁業法に基づいて新たに共同漁業権であるとか、定置漁業権であるとか、区画漁業権であるとか、あるいは区画漁業というものを与えられまして、そうして新しい日本漁業の構造というものをつくられたわけでしょう。それがずっと今日に来ているわけですよ。ところが、今日の段階は、いままで考えてもみなかった二百海里時代というものを迎えて、日本の漁業そのものが、日本の漁業の構造そのものを変革しなければならない時代に来たと私は考えているんですよ。
 ですから、私はかつて鈴木大臣に、あの昭和二十四年のように、現在与えられておるこの漁業権というものを全部政府が一回補償して、新しい漁業法をつくって、その漁業法に基づいて免許あるいは許可をして、新たな二百海里時代に即応したところの日本の漁業構造をつくるべきではないかということを提言いたしましたら、鈴木さんは、川村さん、そんなことを言ったっていまそんなことができるわけないじゃないか、あのころはマッカーサーの占領時代だからできたんだ、いまそんなこと言ったってできるわけがないじゃないかと、こうおっしゃったから、言われればまさにそういうふうにも思われますから、それ以上何も申し上げませんでしたが、もうそういう時代に来たんではないでしょうかね。さっき大臣は、漁業外交を強力に行って、そうしていままでの既得権をできるだけ守る、その場合に共同漁業もあるだろうし合弁漁業もあるだろうと、こういうようなことをおっしゃっておりましたが、それはそのとおりだと思うんですよ。しかし、将来、遠洋漁業というものを展望されてどうお考えになりますか。
 遠洋漁業は、あす、あさってからゼロになるなんということはあり得ないです。あり得ないけれども、ふえることはないでしょう。減ることはあってもふえることはないでしょう。いわゆる五十二年に日ソ漁業協定が結ばれた。それで、もっとも一月から三月までは従前どおりの漁獲をしておりましたが、あの協定に基づいて六月から十二月までは四十五万五千トンぐらいでしょう。昨年五十三年はソ連二百海里の中からの漁獲量は八十五万トン、ことしは十万トン減って七十五万トンということになったでしょう。そして、そのかわり今度はソ日漁業協定によって昨年はソ連が日本の二百海里から六十五万トン、ことしも同じく六十五万トン。それでソ連の主要な魚種はイワシ、サバであると。しかし、そのイワシ、サバというものが、これは日本の二百海里の中であるけれども、水域は相当規制されているわけですよね。
 もしも、そこでソ連が引き受けたところの割り当てのその量を漁獲できないという場合がくれば、当然それは今度はね返って、日本が今年は七十五万トン、そのうちスケトウが、昨年の三十四万五千トンがことしは三十万トンになった。ソ連がもし日本のこの水域でとれないとするならば、そうすれば当然はね返って、日本に対してもとれないようなそういうものが来ると思うんです。いわゆる日本は実績主義なんて言ったって、それはもう国際的に通用しないわけですから、相互主義あるいは等量主義というものによってなっていくのではないかと思うんですね。アメリカはいいかなんていったって、いまのところは少しおおようでありますが、将来どうなるかわかりませんでしょう。それから、南方のたとえばオーストラリア、ニュージーランド、日本近海にはイカがなくなったのでニュージーランドの海域へ行ってイカを漁獲しておった。しかしながら、これにはばか高い入漁料を払わなければならないと。そんな高い入漁料を払ってとってきたところで、これじゃとても経営がペイしないということになれば、行かなくなるでしょう。そういったように世界各国がそういうような状態であれば、だんだん減っていくでしょう。ゼロにはならないけれども、ゼロに近いものは将来来るんではないかということを考えるわけですよ。
 ですから、先の展望に立って日本の漁業というものを考えれば、もう遠洋漁業を考えて、それ合弁だ協力だと言ったって、要するにそれは輸入でしょう。輸入という姿になってくるわけですね。ですから、どうしてもある意味においては、この二百海里時代に即応した日本の漁業構造を新しくつくるんだという気構えでこれからの水産政策を立てること、あるいは水産行政を私は行っていかなければ大変なことになるんではないかということを考えるわけです。後で食糧問題のときにも申し上げますが、食糧問題として取り上げてもこれは重大な問題を持っておる。
 それから、いま次長はイカのことをおっしゃっておりました。私はまあ本当の漁師じゃありませんからよくわかりませんが、たとえば私ども子供時代の北海道あるいは樺太等のイカのとり方というものはハネゴと言って、こういうふうにしてイカをつっておったもんですね。それがやがて今度は機械を回してとるようなのになって、そして昨年あたりはイカを流し網でとっている。これはもっともスルメイカでなくてアカイカですが、流し網でイカをとる。そんなことをやったなら、イカ資源なんというものは一網打尽、何もなくなるでしょう。そういうこともぴしゃっと規制ができない。業界と話がつかないとどうとかこうとかなんて言っていつも業界に振り回されておったら、こういうような革新的な漁業行政などというものはできますか、どうですか。ちょっとこれに対して御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#19
○政府委員(恩田幸雄君) いまイカの問題がございましたのでそれから申し上げたいと思いますが、御指摘のイカの流し網、特にアカイカの流し綱につきましては、私どもの方で今回すでに省令の改正が済んで禁止いたしておりまして、東経百七十度以西においてはイカの流し網は全面禁止ということに相なっております。
 先生いろいろお話ございましたわけでございますが、私どもも漁業の将来を考えながらいろいろ許可行政その他をやっているわけでございます。特に沿岸におきましては、免許につきましては、先生御存じのとおり、共同漁業権につきましては十年、それから定置漁業権あるいは区画漁業権につきましては、五年で新しく漁場計画を立てて切りかえるという制度になっておりまして、本年といいますか昨年でございますが、サケ・マスを中心とした定置につきまして新しい体制に順応するような新しい漁場計画なり免許の指導方針なりを立てて、新しい体制に動きつつあるわけでございます。
 なお、許可漁業につきましては、先生御指摘の点いろいろあると思いますが、私どもといたしましては、少なくとも現在できる範囲内で漁場を確保しながら現在の船で操業できることがまず望ましいということを考えておりまして、その線で現在進んでおるわけでございますが、やはり事態の変化に応じていろいろ今後さらに考えていかなければならない問題があることは十分承知しております。
#20
○川村清一君 ただいま次長からもイカの話と定置漁業の話がありましたので、少しちょっと触れますが、いまアカイカについては東経百七十度以西は禁止したというお話があったわけです。そこで、この間函館へ行ったら、こういうことを言われてきたんです。百七十度以西といったって、イカをとってきてそのイカに印がついているわけではあるまいし、百七十度以西でとったものだか以東でとったものだかわからないじゃないか、そのとったイカに印がついているわけじゃないですから、こんなばかなことをやめてもらいたい、だめならだめだと全部禁止してもらいたい、こういう話があった。私ももっともだと思って聞いてきたんですが、これに対する返事、後で言ってください。
 もう一点、私だって漁業法に言われる定置漁業権は五年ごとに更新するということはよく知っているわけです。そこで、ことしは第六次の漁業権の更新期ですね。それで次長はサケ定置、特に北海道東部、釧路とか根室とかあるいは日高とか、こういうサケ定置の盛んな地域においてどんな騒ぎが起きておるか、その抱えておる漁業協同組合は大混乱を起こしまして、そうしてある組合のごときは役員総辞職なんといったような騒ぎ等も起きておりますが、こういう点御承知ですか。御承知であるとするならば、こういうような問題に対してどういうふうに対処をされたのか、またされるのか、この点をお聞かせいただきたい。
#21
○政府委員(恩田幸雄君) サケ・マスの定置の今回の新しい切りかえにつきまして問題が生じていることは、私どもよく存じております。北海道の場合にサケ・マスの定置の漁業権につきまして、免許予定件数が六百十八件あったわけでございますが、いま現在免許を保留いたしましていろいろ調整しておりますのが二十四件でございます。それぞれいろいろな理由がありまして問題が起きているわけでございますが、私どもといたしましては、いろいろサケ・マスの増殖事業についてわれわれが積極的に努力し、また漁民の方々にも努力していただいてサケ・マス資源の増大を図っている現状でございますので、そういう点も踏まえまして、なるたけ多くの方々に定置に参加していただいて、その利益が広く分配できるようにということを主体に考えまして、いろいろ従来も指導をしてきたわけでございまして、個々の具体的な面につきましては道庁が中心に現在もいろいろ指導をいたしておりますが、私どもとしてはできるだけ円満にこれらの問題が片づけられるようにということで、道庁ともいろいろお話をしている段階でございます。
#22
○川村清一君 サケ定置とかそういう問題につきましては、また時間があるときにいろいろ議論をしたいと思います。
 大臣の所信表明の中で、こういうことがうたわれております。「水産業の振興を図るためには、わが国周辺水域の開発と水産増養殖を一層推進する必要があります。」こう言明されまして、その施策として「魚礁の設置等沿岸漁場の整備開発を進めるとともに、栽培漁業の推進、サケ・マス資源の計画的増大等を図ることとしております。さらに、漁港施設の整備を図るとともに、新沿岸漁業構造改善事業を発足させるほか、技術改善、漁家生活の改善等を助長するための沿岸漁業改善資金制度を創設する」と言明されておるわけでございます。これはまことに結構なことで、賛成でございます。
 この問題について具体的にいろいろお聞きしたいのですが、その前にお聞きしておきたいことは、昭和四十六年に海洋水産資源開発促進法という法律が制定されております。この法律制定のときも、私はこの委員会におりましたのでいろいろと議論したわけでありますが、今日までこの法律の運用はどうなされてきたのか、どういうふうに機能されたのか、その成果を明らかにしていただきたい。さらに、昭和四十九年に沿岸漁場整備開発法という法律が制定されました。これについても、どのように運用されてその成果がどう上がっておるのかということを明らかにしていただきたい。
 ということは、この二つの法律がありまして、この海洋水産資源開発促進法というのはずいぶんその当時議論したのですが、これは沿岸でなくて、要するに遠洋の資源開発だろうというようなことであったわけであります。それを受けてこの沿岸漁場整備開発法というのが制定されたものと思うわけでございますが、これにつきましては当時の大臣が七年間に二千億を投資すると。で、これはすでに閣議決定されておると思うのでありますが、ことしはこの法律が制定されてから五年目だと思うんですが、一体その七年計画、二千億という実施計画というものが、今日ことしの五十四年度予算で総額どのくらい投入されることになるのか、こういうものもあわせてお聞かせいただきたい。
 私は、この二つの法律が、政府がその責任を感じてこれを実現するために努力していけば、いま大臣が所信表明で述べられたようなことはこの法律の運用によって、あるいはまたこの機能によって十分果たされる。そして、この二百海里時代に対処してどういう施策が必要かと、栽培漁業だといったようなこともこの法律の中にあるわけであって、いまさら改めてこういうことを言わなければならないということは、この法律の運用そのものに、決して怠慢とは言いませんが、熱意がなかったんでないかと、かように考えるものですから、こういうようなお尋ねをしたわけであります。これに対する御見解をお聞かせいただきたいと存じます。
#23
○政府委員(森整治君) 御指摘の後段の方から申し上げますが、沿岸漁場の整備開発法に基づきまして、五十一年から五十七年まで二千億ということで沿岸漁場整備開発計画というのを策定し、それに基づきまして事業を実施しておるわけでございます。それにつきましては、五十四年度予算におきましては総事業費としまして三百二十一億ということになっておりまして、これを入れますと、そこで計画の進捗率としましては四四・四%ということに相なっておるわけでございます。で、五十七年までの七カ年の計画でございますが、現在対前年伸び率が相当高い水準になっておりまして、このぺースでいきますと、一年ぐらいの短縮は可能なのではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、魚礁の設置からいろいろな増養殖場の整備をいろいろ進めておるというわけでございます。
 それから、この法律にはもう一つ特定水産動物育成事業というのがございまして、これにつきましては政令でマダイなり、クルマエビなり、ガザミというものを指定をいたしまして、四十九年度から関係知事が基本方針を策定してこの事業を実施しておるというわけでございまして、延べ九十一カ所につきましてその事業を実施しておる。したがいまして、この法律に基づく沿整の事業、それからこれが公共事業としての扱いを受けるようになりまして、相当水産庁といたしましては重点的に予算を計上し、その畑づくりを進めておるつもりでございます。
 それから、最初に先生が申されました海洋水産資源開発促進法の方でございますが、これにつきましては、これに基づきまして海洋水産資源開発センターというのが設立をされまして九業種、たとえばマグロはえなわ、遠洋底びき網、まき網、サンマ、イカ釣り、カツオ釣り等九業種の新漁場の開発調査をやっておるわけでございます。それから、あと新資源の開発調査、たとえばいままで利用されていないサメなり、何というんですか、エチオピアというあの黒い――シマガツオだそうですが、そういう資源を調査したり、それからあるいは深海の漁場を開発を調査する、それから先生御承知のいろいろ北転船を使っての南氷洋のオキアミ、あれを母船を使いまして調査を実施しておるというようなことなどをいろいろやっておるわけでございます。
 そういうことでございまして、相当私どもといたしましては予算も計上し、いま一番最初に言いましたように、計画も一年短縮するぐらいの意気込みで取り組んでおるわけでございまして、まだまだ足りないという御指摘はいろいろあろうかと思いますけれども、私どもとしては相当努力をしておるつもりでございます。
   〔委員長退席、理事大島友治君着席〕
#24
○川村清一君 海洋水産資源開発促進法ですね、海洋水産資源開発センターがこの法律の中にあることは十分承知しておりますし、この法律制定のときにここに重点を置いた施策をやるのではないのかと。ところが、この前の方にはっきり沿岸水産資源開発ということがうたわれているのであって、沿岸と海洋水産資源と二つこれは持っているわけなんですよ。ところが、この法律が出発したときから、沿岸を無視していわゆる海洋資源開発の方にばかりその重点が置かれるのではないかということをずいぶん私は強く指摘したわけです。そういうことはないんだというような大臣の答弁等があったんですが、それはいいです。
 私が言いたいのは、その次の沿岸漁場整備開発法も、結局いま「水産業の振興を図るためには、わが国周辺水域の開発と水産増養殖を一層推進する必要がある」とおっしゃっている大臣の所信表明は、この法律によって行われるのが主なんでしょう。そうじゃございませんか。ここを一点明らかにしていただきたい。
#25
○政府委員(森整治君) 先ほど申し上げましたように、これは要するに生産基盤といいますか、そういうものをつくっていくわけでございますから、あと合わせましていろいろ種づくり栽培漁業等も含めて、これはそういうことも含めた意味で、このほかにそういうものも含めまして申し上げているつもりでございます。
#26
○川村清一君 いや、それはそういうこともあることは十分承知しておりますが、公共事業としてこれが主体的なものであろうということを申し上げているので、そこで二百海里時代に入って鈴木農林水産大臣といろいろ質疑をしたときに、私はこの法律は二百海里に入る前のいわゆる昭和四十九年に制定された法律ですから、七ヵ年二千億というこういう計画、これは少ないんじゃないかと、七カ年をもっと二、三年短縮すべきじゃないかということも強く申し上げて、できるだけ短縮するという御答弁をいただいておったんですが、いまの長官の御答弁では進捗率は四四・四%と、まあ七カ年を一年ぐらいは短縮できるんではないかといったような御答弁しかいただけなかったことは、鈴木さんのおっしゃっていることとは食い違っているんであって、しかしこれだけの予算をとるにも非常な努力をされていることは十分わかりますが、二百海里時代というとんでもない時代に入って、日本の漁業をどうするかというこの岐路に立ったときに、やはりもっともっとこれをふやして、七カ年をまあ五年くらいに、そうしてさらに第二次の計画としてもっと大幅の計画を立てるべきじゃないかと私は思うんですが、この辺はひとつ大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 結局、七カ年二千億という、これは閣議決定なんですがね。これは法律に基づいて閣議決定しなければならないのですが、その閣議決定のこの七カ年を、こういう新しい時代に入ったんですからもっと縮めるべきじゃないかということと、その第一次の計画が終わって第二次の計画のときには、もっと大きな計画を打ち立てなければ、大臣のおっしゃったような栽培漁業とかこういったものが強力に推進されないんでないかという考えのもとにお尋ねした次第です。
#27
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私が改めてこの所信表明で申し上げたことは、当然基礎の法律があるからであります。しかしながら、二百海里時代というような新時代を迎えまして、格段と一層大幅に予算も充実をさせ、政府の姿勢としても漁業の振興に取り組んでいくという決意の表明を重ねてしておるわけでございます。
 ただいま長官からお話があったように、推捗率が五十四年度で四四・四%というようなことでございますが、これは計画の進度三四%を実は大きく上回ってことしの予算はつけておるわけであります。大きければ大きいほどいいに決まっておりますが、農林全体とのバランスの問題の中ではかなりこの点には大きな予算をつけてあるということも、ひとつ御承知おきいただきたいと存じます。
 なお、五十五年度予算の申請に当たりましても、御趣旨が十分反映できるように、そうして名実ともに二百海里時代を迎えて農林水産省としてはこの漁業の振興に大きく踏み出したというような形にしてまいりたいと、かように考えております。
#28
○川村清一君 大臣のそのお考えをぜひ強力に実現されますように、強く要望しておきたいと存じます。
 次に、私は、この水産業というものをわが国の食糧問題の面からひとつ検討してみたいと思うわけであります。大臣の所信表明の中に「農林水産業は、国民生活の安全保障にとって最も基礎的な食糧の安定供給という使命を担っており」と、こううたっておりまして、水産業も食糧産業と位置づけていらっしゃる考えにつきましては敬意を表します。評価をいたします。
 そこで、これを具体的に尋ねてまいりたいんですが、言うまでもなく、漁業というのは日本国民に動物性たん白食糧を安定的に供給することを使命とした産業でございます。動物性たん白食糧を供給する産業としては農業の畜産の部門があるわけでございますが、畜産と水産のたん白食糧の供給に寄与しておる割合は現在はどうなっているか。それから、理想的な割合について政府はどう考えているか。それから、日本人一人一日の動物性たん白食糧の摂取量、これは現在幾らぐらいか。将来の展望に立って、やはり欧米人と比較して若干少ない、一体理想的には日本人一人は動物性たん白食糧は一日どの程度摂取するようにしたいものであるといったようなお考えがあれば、ひとつ説明していただきたい。
#29
○政府委員(森整治君) 先生御承知のように、大体半分ということがいわゆる常識的な線でございまして、ただ問題は、五十一年、五十二年と全体の動物たん白一日当たりが、五十二年で約三十七グラムということでございます。三十六・九グラムでございますが、そのうち水産物が十七・五グラム、畜産物が十九・四グラムということで、畜産物が五二・六%、水産物は四七・四%と割合がダウンをした、また絶対量も下がったという問題があったわけでございます。ただこの問題は、御承知のように、水産物の価格が五十二年二百海里の問題あるいは北洋の問題等々の背景で非常に暴騰をいたしました。価格が上がって水産物の消費が離れていったという時代、しかし最近は水産物の需要の絶対量もまた対前年に比べましてふえてまいっておりまして、そういう観点も総合勘案をいたしますと、やはり水産物というのは半分あるいは半分以上日本人の食生活の中で動物たん白の重要な供給源として今後も維持されていく、またそういう努力を私どももしたいというふうに思っておるわけでございます。
 御承知のように、六十年の見通しによりますれば、水産物、そのうちの魚貝類は二十・六グラムということで、約五一%のウエートを占めるということで想定をいたしておるわけでございます。
   〔理事大島友治君退席、委員長着席〕
ただ、この問題につきましては、全体の日本人の総合の摂取いたしますカロリーがどういうふうに変わっていくかということと、それからその中の動物たん白の水産物の占める割合、逆に言いますと畜産物との関連、そういうものをもう一回さらに新しい時点に立って見直すという作業をただいま続けておるわけでございます。それによりまして今後の望ましい姿というものを私どもも立てて、それに対する生産、供給体制をとってまいりたいというふうに思っておりますが、いまのところ私どもはやはり五〇%という、その半分はやっぱり水産物で供給していくのが一番いいのではなかろうかというふうに、現時点ではそういうふうに考えておるわけでございます。
#30
○川村清一君 摂取する動物性たん白食糧の割合は、畜産が五〇%、水産が五〇%、フィフティー・フィフティーと、これは何年も前もそんなような状態であったんですが、そこでひとつ、私不勉強でまだ予算の内容をしっかり調べていないのでここで言えないのは残念ですが、農林水産省の畜産局の予算と水産庁の予算はどんなような割合になっていますか。
#31
○政府委員(森整治君) 農地局計上がちょっと入っておりませんから、どういうふうに整理するかでございますが、五十四年度の予算額で、畜産局は公共含めまして千六百十九億と相なっております。水産庁は公共も含めまして二千九百五十二億ということで、このほかに構造改善局計上の畜産局の草地改良の予算が構造改善局に計上されております。
#32
○川村清一君 それを聞いて私も満足したんですが、実は数年前に、私これで大臣に大分文句を言ったことがあるんですが、動物性たん白食糧をフィフティー・フィフティーに提供しておる水産庁予算と畜産局予算が、むしろ畜産局の方が多かった時代がある。こんなことがあるかと言って抗議したことがあるわけですが、いま聞くというと、水産庁の方が大分多くなっておる。これは多くなるのが当然であって、なぜかというと、これは多額の漁港予算が水産庁予算の中に入るわけですから、漁港予算をとってしまったらこれは大変バランスがとれないわけで、今度の場合は大分水産庁が多いからこれでいいと思います。
 そこでさらにお尋ねするのは、六十年を見通して、水産からとる動物性たん白食糧一人一日二十・六グラム、こういうような仮に計算をしていくと、どれだけの水産物が必要になりますか。計算したことがございますか。
#33
○政府委員(森整治君) その計算でまいりますと、八百七十万トンということに相なるわけでございます。このほかに鯨肉十三万トンというのがございます。
#34
○川村清一君 この八百七十万トンというものの中に、ハマチのえさやそういうもの、あるいは農業の肥料、こういうのに使うものは入っていますか、入っていませんか。
#35
○政府委員(森整治君) 食糧、食用として供するものということで、いまのハマチのえさは入っておりません。
#36
○川村清一君 そうしますと、現在たとえば五十一年において千五十五万トンというと、その中に非食糧が大体三百万トンぐらいあるでしょう。ありますね。そうすると、一千万トンから三百万トンとると七百万トン、食糧に向ける分が。そうすると、当然ここで不足してくるわけですね。この考え方は、食糧に八百七十万トン必要であると、こういうことは、要するに飼料、肥料、非食糧分はこれから除きますから、その分は三百万トン要るというと、やっぱり一千万トン以上の漁獲がなければこれは賄えないということになりますね。そうなりますね。
 そうすると、一体この二百海里時代に入ってどういうことになるか、初め盛んに私がくどくど申し上げましたように、漁業生産量は五十年が千五十四万トン、五十一年が千六十五万トン、で、二百海里時代に五十二年に入ったわけですね。それでアメリカ水域は五十一年が百三十四万トン、五十二年は少し減って百十九万トン、これはソ連の水域に入りますと、五十一年は百三十四万トン、五十二年は四十五万五千トン、これは日ソ漁業協定によって六月から十二月まで、しかし一月から三月までの分がこれに加わりますから、これは多くなるわけですが、しかしはっきりしているのは、五十三年は八十五万トン、五十四年は七十五万トン、こう減った。これは先ほど私がくどくど申し上げましたように、将来というものを展望するというと、減りこそすれふえることは絶対にないと、かように考えていくわけであります。
 そうすれば、当然食糧としての八百七十万トンというものは、これはもう漁業生産では上げることができないんではないかと、まあ上げるようにこれは努力していくというのが今度は水産政策の中心になると思いますが、それじゃどうやってどこでふやすかというと、遠洋漁業は見込みがないんですから、当然日本の二百海里の中における沿岸漁業を主体とする沖合い漁業あるいは内水面漁業、これによってその不足分を補うよりしようがないんではないかと、かように考えるんですが、その辺はどうですか。
 そうすると、いま沿岸漁業は大体二百万トン程度ですね、この二百万トン程度のものを幾らまで引き上げることが必要かと。沖合い漁業はこれは五十年が四百四十六万トン、五十一年が四百六十五万トン、こうなっておりますが、外国の二百海里内の漁獲量が入っておりますから、それを差っ引くというと、沖合い漁業というものは推定してどのぐらいの量になるのか。まあしかし、ふやすとすると、さっきも言いましたように、沿岸漁業と沖合い漁業でふやすより方法がないわけですから、ふやすというためにどういう政策を行うのか、行政を推進するのかということが重大な問題になってきますが、これに対してのいわゆるお考えをお聞かせいただきたい。
#37
○政府委員(森整治君) 大筋といたしまして、いま先生が大体おっしゃった方向であるわけでございますが、もう少し申し上げますと、五十四年の時点でいま先生御指摘のように、ソ連と米国合わせまして五十一年の実績に比べまして約百万トン減少をしておるわけでございます。厳密に言いますと九十九万七千トンということで、まあ百万トン、そういうことでこの大宗はスケトウが減らされたということでございます。
 それに対しまして、最近までなお漁獲生産量は減っておりませんで、一千万トンを常に上回ってきておる。その主な原因は、逆に申しますと遠洋漁業がそれだけ減っているにもかかわらず、なぜそれだけの生産量が維持されているかと申しますと、沖合い漁業と沿岸漁業が伸びておるからでございます。もちろんそれは養殖も含めましてでございますが、その大宗は今度は沖合いの中のイワシ、サバ、サンマ、そういう多獲性魚が非常にとれておるということの結果、一千万トン台をずっと維持している。五十一年に比べてもなおふえておるというような状態になっておるわけでございます。
 そこで、勘定としてはそういうふうになっておるわけでございますが、ただ、私どもとしましては、やはり需要の非常についておりますそういう漁業というもの、逆に申しますと、やはり沿岸漁業を中心にさらに生産を伸ばしていくということを考えておるわけでございまして、できる限り減った分は沿岸で取り戻していくということを考えておると。そこで、いろいろ先ほど先生が御指摘になりました沿岸漁場の整備開発事業であり栽培漁業であり、そういうものに非常に重点を置いてやってまいりたいということを考えておるわけでございます。逆に申しますと、日本の二百海里、その中での生産を中心に今後体系を整えていくという、そういう考え方でございます。
#38
○川村清一君 私どもも計算してみたんです。私どもの計算は、日本人が将来四十グラム摂取するとして、水産は魚が減りますから畜産の方を多目にとりまして、畜産が二十一グラム、水産が十九グラムと計算いたしまして、将来日本人の人口を一億二千万と考えて、そしてやっぱり非常用、備蓄用を一五%ぐらいとりますというと、どうしても七百万トン必要だという計算になる。これは水産庁の方は八百七十万トンですからずいぶん多く見ておるんですが、私どもは七百万トン。それから現在とれているものを再計算してみる。遠洋漁業は減ります。それから、この何万トンというものの中には貝類がある。養殖の貝、たとえばホタテだとかホッキだとかアワビだとか、こういう貝類が入っているんですが、これは貝を食うわけじゃないんです。中身だけ食べるわけですから、その総量の中には貝もこれは入っているわけです。貝をかじるわけじゃないのでその中身だけですから、貝の何万トンという中で実際食べる分は何%かということでずっと計算いたしまして、そうすると現在五百七十万トンしかないと。
 そうすると、七百万トンに対しましては百三十万トン足りない。その百三十万トンをどうやってふやすか、どこでふやすかということは、沿岸でどうしても八十万トンふやさなければならない、それから沖合いと内水面で五十万トンふやすという計算をわれわれはしてみたんですが、そこで長官、ずいぶん足りないんですよ。これの足りない分をあなたは――とにかく遠洋はソ連とアメリカでもって百万トン減ったと。これは現在は百万トン、しかし、これは将来ますます減るということははっきりしているでしょう。それから、世界じゅうに出ていってとってくるやつがこれがまた減うてくるわけですね。そうでなければ高いお金を出して買ってくるわけですから、輸入すればありますけれども、日本の国の生産というものはそんなふえないわけですよ。少し甘いと思うんですがね。
 そこで、そのふやさなければならない百三十万トン、沿岸の八十万トン、口では八十万トンと言いますけれども、八十万トンこれから沿岸でふやすということは並み大抵なことじゃないですよ。これはどうやってふやしますか。それじゃ、私の言う八十万トンを減らしてまあ五十万トンとしてもいいです。五十万トンを沿岸でふやすためには、どういうことをしなければふえないですか。これは大変なことなんですよ。いま沿岸全部で二百万トンしかない。この上にさらに五十万トンふやすということはこれは容易なことではないと思うんですが、その辺何か、こういうことをやって数量的にふやすんだという見通しありますか。ふやすんだ、ふやすんだということはわかるけれども、今度は数量的に五十万トンどうやってふやすかというその計算ができますか、実態的に。
#39
○政府委員(恩田幸雄君) 私どもといたしましては、沿岸での生産増大にやはり一番問題なのは、沿整と栽培による漁場とそれから種づくり、これによっていろいろ計算をした結果がございます。これによって、大体いま申し上げましたような数字に近づけたいということで考えておる次第でございます。
#40
○川村清一君 それじゃ、政務次官が説明されました説明書の中に具体的にいろいろ書いてあるわけです。これで私はお尋ねしますが、いま次長のおっしゃった種苗センターといいますか栽培センターといいますか、これをたくさん設置していただかなければならないわけですが、私どもは、国営または県営のものが各県に一カ所はぜひ設置されなければ、たとえば養殖をやろうといったって種苗がないといったようなことでできないんですから、そのくらいの計画は持っていらっしゃいますか。
#41
○政府委員(恩田幸雄君) 栽培漁業を進めるために私ども現在考えておる計画は、国はこれまで瀬戸内海の栽培センターを中心に、暖かいところの、いわゆる暖水系の種苗の大量生産につきまして技術開発を進めてまいったわけでございますが、いま先生御指摘のように、全国的に栽培漁業を促進する必要がございますので、冷水海、いわゆる冷たい水域におきます技術開発を行うために、すでに宮古に北日本栽培センターを設置したわけでございますが、五十四年度では、新たに九州西海岸にブリ等を対象とします事業場、それから北海道では、カニとかエビ、さらにカレイ類を中心とした事業場各一カ所を五十四年度で着手いたしたいと考えております。さらに、そこで開発いたしました技術を実際に実践に移すために、各県に一カ所ずつの栽培センターを置くという計画で四十八年度から実施してきておりますが、五十三年度末現在で十六県十六カ所が完成しておりますし、さらに五十四年度では新規八カ所を取り上げ、それから継続中の十一カ所について整備事業を実施いたしまして、ほぼ各県に一カ所ずつの県営センターを設置いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
#42
○川村清一君 「栽培漁業を推進するための国、県の諸施設の整備を図るほか、漁業者が種苗放流、漁場管理等を一体的に行う事業を新たに実施することとしております。」と、こう書かれておるわけでありますから、いま次長がおっしゃったように、ぜひ各県に一カ所、北海道のような広いところは少なくとも三カ所か四カ所必要だと思うんですが、各海域に、日本海に一つ、オホーツク海に一つ、あるいは太平洋に一つといったように、これはぜひ努力していただきたいと思います。
 それから、魚礁の設置というものが大きくうたわれておるんです。そこでお聞きしたいことは、これは魚礁に反対しているわけじゃないですよ、うんとやってもらいたいんですけれども、この魚礁には相当今日までお金をかけていると思うんですが、その効果というものは確認されているんですか。
#43
○政府委員(恩田幸雄君) 魚礁につきましては、従来天然礁で非常に釣り、はえなわがよかったということに着目して私どもこの事業を戦後始めたわけでございます。現在やはり磯つき資源、いわゆるマダイ、カレイ、メバル、カサゴ、イサキ等、こういうものは非常に魚礁についております。さらに、イワシ、アジ、サバ等の大きく回遊する魚につきましても、魚礁の上についているということが確認されているわけでございます。この理由といたしましては、やはり天然礁と同様に海草、貝類が付着いたしますので、それらがそこに回遊してまいります魚のえさ場になるということと同時に、いわゆるそこについている魚に対して外敵になる大型の魚がございますが、こういうものが来た場合の隠れ家となるというような意味でいろいろ効果があると考えております。さらに、一部の魚種につきましては、われわれの入れました人工魚礁に産卵しているということも現在すでに見られておるわけでございます。
 で、従来からやってまいりました比較的沿岸の並み型魚礁、大型魚礁につきましては、近距離で操業が可能であるということや、中高級魚が相当ついておって、それも安定的に生産されるということで、効果もわかっております。ただ、今度最近始めました人工礁という非常に大きな、これは従来の天然礁に匹敵するようなものを新しくつくろうということで発足した人工礁につきましては、やはりその性格もございますし、まだ期間的にも短いので、これらについては効果調査をやっておりますが、現在まだはっきりしたところは出ておりません。
#44
○川村清一君 次に、「さらに、サケ・マス資源の計画的増大を図るため、サケ・マスふ化場など増殖施設の整備、未利用河川の開発等を推進することとしております。」と、こうおっしゃっているわけであります。
 そこで、もっと具体的にお聞きしたいんですが、サケ・マス資源の計画的増殖、これを図るために一体本年の採卵計画はどのくらいなのか。将来はどのくらいまでこれを伸ばすつもりがあるのか。
 それから、このサケ・マスの放流した魚の回帰率、これを上げる必要があるのでありますが、この回帰率を上げるためのどういう方策を考えていらっしゃるか。それから、これは北海道の方ですが、サケ・マスに対する密漁というのが非常に多いのでありますが、これに対する取り締まりについてしっかりやってもらわなけりゃならないのですが、この辺はどういうことになっておるか。
 それから、未利用河川の開発を推進するということを言われておりますが、何かちょっと新聞で見ましたが、昔サケの上った川は太平洋は千葉県ぐらいまであるし、日本海の方は島根県あたりまであったそうでありますが、その川をいわゆるきれいな川にしてこれを全部やってみるとか、そういう計画があることを新聞でちょっと拝見しましたが、そういうような考え方もあるのかどうか、これをお聞かせいただきたい。
#45
○政府委員(恩田幸雄君) 五十四年度の計画といたしましては、全体で十五億三千二百万尾の放流をやりたいと考えております。将来につきましては、まだ現在検討中でございますが、さらに飛躍的に大きな数字を考えたいということでございますが、やはり現実に即しましていろいろ今後詰めさしていただきたいと思っております。
 次に、回帰率の問題でございますが、いろいろふ化場その他水産研究所を中心にサケ・マスのふ化放流技術の開発について現在研究をいたしておりますが、その中ですでに得られました実験結果から、ある程度えさをやりまして魚体を大きくして放流した場合、それも、さらにその放流する時期につきまして、いわゆる河川あるいは海において外敵がいない、あるいは餌料が非常に多い時期、こういう時期をねらって放流いたしますと、非常に河川なり沿海水域での損耗が小さくなるという事実がはっきりいたしまして、その結果、実験的に取り入れましたところ、従来一・五程度であったものが二コンマを超えるというような回帰率のアップに現在なっておりますので、さらに私どもとしては、五十四年度におきまして、先ほど申し上げました給餌飼育あるいは適期放流、さらに稚魚の海中での飼育、こういうものについて努力してまいりたいというふうに考えております。さらに、河川の稚魚の川を下る際の支障になりますものを除外するようなことも五十四年度予算で考えたい。それらを総合いたしまして、サケ・マスの回帰率の上昇に努力しているわけでございます。
 次に、密漁の問題でございますが、近年北海道におきまして、特に根室地区におきましてサケの密漁が目立っておりまして、これらは高速艇によって、夜間刺し網によってとられておるようでございます。これに対しまして、道庁、海上保安庁、警察庁、取り締まり当局が中心になりまして、十分連携をとりつつ密漁防止のために積極的な取り締まりを現在行っている段階でございます。
 なお、昨年の十一月に北海道の海面漁業調整規則を改正いたしまして、サケの所持販売の禁止規定を設けまして、これによってこれら関係の取り締まり当局はより強力な取り締まりができるような体制になったというふうに考えておりまして、今後とも密漁防止に努めてまいりたいと考えております。
#46
○川村清一君 ただいまおっしゃったそれらの施策を強力にやっていただいて、とにもかくにも日本列島の周辺の水域二百海里の中における沿岸漁業、そして沖合い漁業の生産を上げるようなことをやっていただかなければ、先ほどから議論いたしました日本の食糧問題としても重要な問題になりますので、ひとつ大いにがんばっていただきたいと思います。
 それから、遠洋漁業における水産資源の開発、これは現在開発センターなどでやっておりますが、これももっともっと強力にやっていただきたいことと、あるいはオキアミの漁獲、こういったようなものも、今後の問題でありますが、ひとつ強力に推進していただきたいということを特に要望しておきたいわけであります。そういうような中から、一つには食糧問題の解決、こういったようなことにひとつ骨折っていただきたい、かように要望いたします。
 さらに、私は、先ほど大臣がおっしゃいました流通とか加工とか、こういう面に触れてお尋ねをしたいと思いますが、もう時間がなくなりましたので、この辺でこの問題は一応打ち切らせていただいて、またこの次、質問の機会があれば、その他の問題について議論をさせていただきたいと思います。
 そこで、最後に二点ほど大臣の意見をお聞きしたいのでありますが、一つは、韓国漁船の無謀操業についてであります。この点は、まあ大体大臣の腹のうちはこの間の予算委員会等における御答弁で承知いたしましたので、ぜひ早急にこれを解決していただきたいということを要望するわけであります。
 そこで、この席をかりて、この韓国船無謀操業を受けておる北海道の周辺の漁村の実態だけは申し上げておきたいわけでありますが、これはもう大変な事態になっているわけであります。これはオホーツク海、太平洋、そして日本海、ともどもそうでありますが、もう漁民の方々は思い詰めているわけです。いままでずいぶん政府にも陳情したし、政治家の皆さん方にも陳情したと。しかし、もう二年、三年たってもいまだに解決しない。もういまさら政府に頼んだってらちがあかないと、自分たちのことは自分たちでやるよりしようがないと、自衛手段に訴えてやらざるを得ないというような思い詰めた気持ちになっておるわけであります。このまま推移していきますと、大変なことが起きる。
 昨年十二月、北海道のある浜で漁民大会を開きまして、沖にいる韓国船を向けて海上デモをやった。そうして、その船に乗り上がっていくというような姿等も出まして、これはテレビで放映されたり新聞の写真なんかに出たんですが、私がこの間行ったときなどは、もうこうなったら、やってきたらダイナマイトでも何でもぶつけてやると。その結果、法律に触れて罪人になったって、もうそんなことは仕方ないというぐらいの思い詰めた気持ちにもなっておりますので、政治に対する不信感というものはきわめて強くなっておりますので、こういうような事情をよく承知されて、強力な大臣ですから、韓国と折衝して、早急にひとつこれを解決していただきたいということを特に申し上げたいのですが、大臣のお考えを述べてください。
#47
○国務大臣(渡辺美智雄君) この韓国漁船の問題につきましては、川村委員からも再々何回も要請をされております。私も事実をよく知悉をいたしておりまして、今月中に水産庁長官を派遣をして、相手の都合もございますが、まずまず今月中というものをめどにして、ハイレベルの交渉に移して解決を図るというつもりでいま進めております。
#48
○川村清一君 ぜひ御努力を願いたいと思います。
 それからもう一点なんですが、こういう席でこういうことを言うのはどうかと思うんですが、実はことしは地方選挙の年でございまして、もう知事の選挙は十四日から始まっておるわけでございますが、そこで漁業協同組合と選挙の関係なんです。これはお互い政治家でありまた政党人でありますから、目くじら立てて何とかかんとか言う気はないんです。漁業協同組合なりあるいは漁業協同組合組合長会議あたりでどなたかを推薦したと、その推薦した方の写真を組合の事務所の中に張ってあるというようなことは、別段そうとやかく言う必要もございませんけれども、これはちょっと行き過ぎているんじゃないかと思いますので、いまこの写真をそこへ持たしてやりますので、これをごらんになって大臣の御見解をお聞きいたしたいんです。これは水協法あるいは漁業協同組合の趣旨から言ってどういうものか。――これを持っていってください。
#49
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も現場を見たわけじゃないからよくわかりませんが、これは法定の看板か、あるいは個人演説会でもやるための看板かよくわかりませんので、何とも申し上げられません。
#50
○川村清一君 これは法定の看板でも演説会の看板でもないです。まあ十四日に告示されましたからもうとってしまったかもしれませんけれども、それはずうっと張ってあったんで、それで、一つには後援会の連絡所みたいなことが書いてありますが、一つの方は何も書いてない看板を張る。もう少し場所を考えて張っていただければいいんですけれども、組合の入り口に、さもこの組合はこの人を推薦しているから組合員の者は皆これに入れろと言わぬばかりの、そう受け取られるようなものを張っておくことは、どうも私は水協法の精神から言ってもちょっと穏当を欠く、常識を欠くものでないか。
 私も、先ほど言ったように、政治家でありますしお互い政党人ですから、選挙ですからそんな目くじら立ててがんがん言いませんけれども、ちょっとこういう点は行き過ぎでないかと思いますので、水産庁のいわゆる漁業協同組合に対する行政指導という面から、ひとつこれはいいのか悪いのか考えていただきたい。もし少し行き過ぎだと思ったならば、しかるべき処置と言うとちょっと穏当を欠くけれども、そこの指導機関である北海道なら北海道庁に対して、これはどうだといったようなことぐらい一言注意していただくことが至当ではないかと思います。――いや、御返事はいいです。
 それで、まだ五、六分時間があるようですが、どうせやるとまた長くなりますので、少し時間を余してこれで終わらしていただきます。いろいろありがとうございました。
#51
○藤原房雄君 過日、大臣の所信表明があったわけでございますが、各般にわたります諸問題について端的にお述べになっていらっしゃる。私どもの同僚委員も農業問題それから林業問題いろいろお話しになったようでございますので、私もかいつまんで二、三点酪農問題と漁業問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 大臣もこの所信表明の中で「農林水産業の健全な発展を図り、民族の苗代である農村社会の安定をもたらすことが、今後の農林水産行政にとって基本的な課題となっております。」といろいろ前段で述べられて、農林水産業を健全に発展させることが非常に重要であるというお話が各所で強調されておるわけでありますが、昨日からですか始まっております畜産価格のこの問題でございますが、今日まではどちらかというと水田再編対策というこういうことで、水稲、稲作に私らは心を奪われるというか、そちらの方の対策、これはもう四十三年にも過剰米対策ということで減反政策がとられて、またかということで、今度は同じような轍を踏んではならないということや、どこに問題があったのか、今後またどうしなけりゃならぬかという、こういうことに非常に心を砕いていろんな論議が今日まで重ねられてきたわけであります。
 これは、何もきのうきょう起こったことでは決してないわけでありますが、酪農についても一つの大きな第二の食管かと言われるようなこういう問題に直面しておる。いずれにしましても、農業というのは一年や二年で増産体制や、まあ減産といいましても将来の見通しなくしてそんなことはできるわけはないわけでありますから、酪農につきましても、これは生き物を相手にするわけでありますから非常に慎重な配慮もなければなりませんし、それぞれの計画のもとに官民挙げて協力をしなければなかなかできないだろう。今日までの国の政策というのはどちらかというとこの減反政策、そのための転作作物としていろんなものが挙げられますが、やっぱり今日まで諸外国との比較からいいまして、飲用乳及び乳製品のとり方がもっともっとあってしかるべきだ、比較の上から酪農というものに非常に重点を置かれてきた、こういうことで今日ここに至っておるわけであります。
 こういう中で、昨日からのいろんな大臣の、まあ最近の大臣の発言や、また関係局長のお話等報道されておるわけですが、現在、畜産を取り巻く諸情勢について、率直にひとつ大臣はどのような所見をお持ちになっていらっしゃるのか、まずそこら辺からちょっとお聞きしたいと思います。
#52
○国務大臣(渡辺美智雄君) 畜産というても広うござんすのお話でありまして、豚もあれば、鶏もあれば、酪農もあれば、和牛もあれば、大体そんなところです。しかし、これはみんなそれぞれ違うわけでございます。違うわけでございますが、全体をひっくるめて概括して申し上げますと、えさというものはいまのところ非常に安い。物価狂乱時代からずうっともう大幅に下に下がって、しかも安定的に供給されているという面では、生産者にとってはやりやすいという一つのなにがございます。
 それから、消費の方でございますが、消費も比較的まあ順調と言っていいのでしょうね、ぐらいの伸び方で、そう急激ではないが、まあまあというような伸び方をしておる。にもかかわらず、特に卵とか豚肉の生産は非常にふえて、きわめて過剰な状態になっておって、特に卵の生産調整というようなことについては、手をかえ品をかえていろいろ行政指導をしておるという状態であります。酪農の問題でございますが、これにつきましても、去年は天候の問題その他いろんな事情がございまして、消費の伸び率よりも生産の伸び率が多いということのために、年々計画よりも生乳の生産量というものは七%とか八%とか、まあ六・九%とかというように伸びておるわけであります。
 したがって、計画よりも伸び過ぎているという点は、これは一%や二%はこれは仕方ないのですが、恒常的にやっぱり七、八%ずつ計画を上回るということになると、全体的に狂いが実は出てくるわけであります。したがって、何とかその狂いを少なくするようなことを考えていかなければならない。特に米のだぶつきも困りますが、牛乳のだぶつきはもっと保存その他の面で困る問題が実はあるわけでございます。そういうような点から見ると非常に厳しい状態であると、こう考えておるわけであります。
 農産物は、なかなか計画どおりにいかないのは世界じゅうどこでもそうであって、ソビエトのように、もう三十年、四十年とかいう長い社会主義制度で計画生産をやっておる国でも、でかい狂いをしょっちゅう起こしておるわけであります。天候の問題もあるし、その他のいろんな問題が絡んでくると。まして日本のような、計画といってもこれは一つのガイドラインを示す程度のものでありますから、まあ多少の狂いは当然と言えば当然みたいなものでございますが、しかし狂いっ放しで置くわけにはいきませんから、軌道修正というものも誘導政策をもって行っていかなければならないと、こう考えておるわけでございます。
#53
○藤原房雄君 酪農問題につきましてはまた集中的に審議をする時間をとるようでございますので、細々しいことには触れず、それは後日にするといたしまして、いずれにしましても、当面する農業問題としては重要な課題でございますので触れているわけですが、いま大臣のいろんなお話ございましたが、確かに農業というのは、どこの国でも生産と消費のバランスをとるということは非常にむずかしい。そこにその国その国のいろんな問題があるようでありますけれども、しかし日本のこの酪農につきましては、早くから世界銀行のお金を入れたり、そしてまた、酪農振興ということに相当力を入れてきた経緯もあり、そしてまた、今日この複合経営といいますか、有機農業というこういうことの中で、牛を飼うということは非常に農業経営の中で大事なこととされ、いま大臣のお話のように、まあはっきりした形でのお話じゃございませんが、何らかの厳しい条件が付されるようなことになりますと、結局大規模化、多頭化、大型化というふうに進んでいるわけですから、零細な牛を飼っているような方々は非常に窮地に陥れられる。
 こういうことで、大きな規模でやっているところは大きな規模でやっているところの悩みがあるでしょう。新しい有機農業とか複合経営とか、いろんなことの中で、この多角経営の中で牛を飼っておる方、頭数は多くないわけでありますが、そういう人はそういう人なりにまた大きな打撃を受ける。大きいといいますか、まあ大きな方向転換を余儀なくされる。こういうことで、いずれにしましても、これは非常に慎重を期さなきゃならない重大な問題である。大臣は、もうことのほかいろんな状況を勘案しての御発言だと思いますけれども、わが党としましても大臣にもいろいろ申し入れをいたしておりますけれども、今日までの経緯とともに、今後これからの酪農のあり方というものにつきましては、円高ということが一つの大きな要因であろうと思いますし、輸入飼料の値下がりという、これは円高のための差益というものは相当な金額に、パーセントになるわけでありますし、飼料がまた酪農に占める比率というのは非常に高いわけでありますが、しかし、最近の動向を見ますと、円もだんだん安くなりつつあることを考え合わせると、いつまでもこういう状態が続くのかどうか、非常に国際的にむずかしい問題でありますが、こういうときにこそこの酪農の体質改善といいますか、ふだんにできない対策を考えるというそういう時期ではないでしょうか。
 要するに、諸外国との、価格面だけではなくて、日本のこのよって来るところの酪農の弱い体質、いままでは草地も十分でなかったとか、それから飼育頭数も少なかったとか、いろんな条件があったわけでありますが、そういう中で、いま飼料が非常に安い。過日も同僚の原田委員からも山地酪農というようなお話ございましたが、こういうときに、これは農家にとっては個々それぞれ条件は違うわけですけれども、おしなべてこういう条件の中で体質強化、国際的に競争力を持つなんということはこれはなかなか大変なことですけれども、何らかのこれは政府としてもこの機会をとらえての対策を講ずるという、強化策を考えて、せっかくのこの価格の上げ幅が、乳製品、畜産物の価格の上げ幅のことだけに終始するのじゃなくて、もっと本質的なものを真剣に考えていくべきじゃないかと私は思うんですけれども、どうでしょう。
#54
○国務大臣(渡辺美智雄君) 全く御所見のとおりでございます。したがいまして、政府は、かねてから酪農の合理化、近代化、大規模化、こういうものに力を入れてまいりました。日本全国の酪農の一戸当たり平均頭数がすでにもう十五頭というようなことになり、北海道では三十頭というのが平均でございます。これはドイツの十頭なんかに比べるとはるかに大きな頭数を持つようになりまして、ヨーロッパ諸国の水準から見れば決して小さなものじゃありません。私は、その点は、非常な短時間の間によくもこれだけうまく整備をしてきたと、こういうように思われるわけであります。
 したがいまして、北海道あたりはかなり生産性の高い酪農が行われておるというのは御承知のとおりでございます。やはり値段の問題が消費者サイドから見ればいろいろ言われることでございますし、一方農家の方は、所得がふえなきゃならぬというようなことであります。やはり所得をふやすためには、値段を上げるか生産性を高めるか、二つでございますから、これはなかなか値段はそう思うように上げられないということになれば、生産性を高めるという方向に一層の力を入れていかなければならないわけであります。今後とも政府といたしましては、そのような方向でいろいろな助成策は講じてまいりたいと考えております。
 ただ、非常に生産性も高くなってはおるのですが、非常に短い年限の間で大きな投資をしておりますから、借金があるということは事実であります。何十年とか何百年とか、そういう期間の間に発達したものでなくて、もう本当に十五年か二十年の間でそういうふうにしたわけですから、たくさんの投資をしてその借金はありますというようなことで、借金があるから金繰りが苦しいということは言えるだろうと思います。しかしながら、実質的な内容はかなりよくなっておる、純益も実はふえておるというのも事実でございますから、これをそういう形で今後とも伸ばしていくようにしたいと思っております。
#55
○藤原房雄君 これは円高で飼料が安くなったということで、濃厚飼料をたくさん投入する。それで一頭当たりの乳量がふえたということもありますし、いろんなことが生産量の増大ということには絡んでおることだろうと思います。これはまあ一時的なのかどうか、経済変動に伴うわけでありますが、これはもっといま大臣のおっしゃるように本質的な問題もひとつお考えいただきたい。私も、さっき大臣おっしゃった非常に短期間に多頭化、大型化が進んだという、私もしょっちゅう北海道に行って、この前も行って、もう行くたびに変わっておるのでびっくりしておるんですけれども、しかし、表面上を見ますと、非常にりっぱになっている反面では、いま大臣のおっしゃるように多額の借金、これも長い資金ですと四十年、五十年というやつでやっていますから、年次計画でやっていますので、乳価が変動するということになりますと、これはある資金でやるわけでありますから、減反のときに開田した農家の方々が大変苦しんだと同じように、二世代ぐらいにわたらなきゃならないような酪農、このいろんな考え方、これはやっぱり大変な負担になっており、国の政策の中に乗っかって一生懸命がんばっておるわけです。
 こういうことで、ぜひそこらあたりの効率化というか、合理化といいますか、価格に偏らない、よりこの体質的なものについての本質的な問題についての対策の推進をひとつしていただきたい、こう要望をいたす次第であります。
 さて、この消費のことでございますが、お米については新米を混入して、最近食糧庁長官の何か新しい新米を混入する率が六割か七割になったら非常に伸び率がどうこうというような新聞報道もされておるようでありますが、生乳も確かにデータを見ますと、着実な伸び率であることには間違いないと思います。まあ欧米の方々とは私どもの食生活というのは根本的に違うわけですから、欧米の方々がどれだけ云々という、こういう比較だけでは言えないと思いますけれども、ただ流通面とか今後やっぱり考えなければならないことがたくさんあるんではないかと私は思います。
 四、五年前になりますか、予算委員会で、北海道のあの根釧原野の新鮮な牛乳を首都圏に持ってくる方法はないかということで、江崎自治大臣が開発庁長官のときにお話し申し上げたことがあるんですが、いろいろ検討しましょうということですけれども、フェリーで持ってくるにしましても、持ってくるときはいいけれど帰りに空ではどうにもならぬということで、なかなかむずかしいものですというお話ございました。
 せっかく新鮮な生乳がありながら、最近は学校給食とかいろんなことで改善はされつつあるのが現状でありますけれども、やっぱり一つの生産体制というものが確立している反面では、消費というものも決してこれはおろそかにできないことであり、今日まではどちらかというと生産設備、生産体制、生産計画という、こちらには非常に重点は置かれてきておるんですが、消費は業者任せといいますか、
   〔委員長退席、理事青井政美君着席〕
どちらかというと業界筋でいろいろ工夫してやっているようですけれども、これは一時的な過渡的なことなのか、生産量が非常に効率が高かったというこういうことなのかどうかは、これはもう少したってみなければわからぬことかもしれませんが、消費拡大という生乳を初めといたしましての問題についても、生産体制の強化ということとともに、政府としても忘れてはならないことだろうと思います。今後についてもいろいろお考えがあろうかと思いますけれども、その辺のことについて大臣はどうお考えになっていらっしゃるか、お伺いをしたいた思います。
#56
○政府委員(杉山克己君) 牛乳及び乳製品の需要関係でございますが、これはほかの農産物と異なりまして、といいますのは特に対比される米を念頭に置いておるわけでございますが、年々安定的に需要はふえております。飲用牛乳で見ますというと五十一年度は対前年二・二%、五十二年度は五・三%、五十三年度は二・七%というようにふえているわけでございます。ただ、先ほども大臣から申し上げましたように、生産の伸びはこれをさらに大きく上回るというようなことで、ここ三年ほど需給のバランスが崩れた状態が続いております。
 そこで、この調整を図るためには、生産面で需要を配慮しながら、そこは抑制を図っていくということも必要でございますが、いま先生御指摘のように、需要の拡大を図るということと同時に、またもっと必要なことであろうかと考えます。
 そこで、需要拡大については、もちろん当事者の自主的な努力が一番べースになるものではございますが、そういったものを助長するため、国におきましてもこれは昨年初めてそういう予算をつけたわけでございますが、需要拡大奨励のための予算約一億円、それをことしは二億五千万円に増額いたしております。そのほかに畜産振興事業団から昨年は一億五千万円、本年は三億円の助成をいたすということで、そういう公的な予算が五億五千万円用意されております。これに対しまして業界が同額あるいはそれ以上負担するということで、本腰を入れて消費拡大を図るという体制になってまいっております。
 従来、生産者、それからメーカー、販売店の間でとかく足並みのそろわなかった点もあるわけでございますが、最近、全国牛乳普及協会というような大同団結した組織もできまして、いま申し上げましたような牛乳の消費拡大について本格的に取り組もうということになっておるわけでございます。単に新聞やテレビでPR、広告するというようなことだけでなしに、実質的に学校給食その他どういう場面にどういうところに具体的にその売り込みを図っていくか、牛乳の本来の栄養価値、健康上非常に重要な食品であるということの理解をさらに深めて、これを推進していくということに努力しているところでございます。
#57
○藤原房雄君 先ほどちょっと私も申し上げたんですが、やはりさっき大臣のいろいろなお話を聞きまして、多頭化それから大型化にだんだん進んでおるというそういう一面と、本州におきます複合的な農業の中での有畜農業といいますか、こういう形のものもこれは決してネグレクトするようなことがあってはならぬ、こういうことで、今後の農業のあり方として今日までもいろんな論議があったわけですけれども、そういう点もぜひ念頭に入れて、慎重な価格の設定については御配慮いただきたい。消費についてもずいぶんいろいろやっているぞというお話のようでありますが、私からすると、確かにそういう取り組みはあることは事実ですけれど、大型大臣というのですから、もう少しひとつ何といいますか、奇抜と言うと変ですけれども、農業はこういう非常にむずかしい環境の中ではありますが、思い切った施策をひとつ要望したいと思うのです。
   〔理事青井政美君退席、委員長着席〕
 大臣の所信表明の中にも、非常にいま農林水産が厳しい環境にあるということを前提にいたしまして「農林水産業や関連産業に携わる人々が政府の施策と相まって、それぞれその従事する分野において体質の強化と総合的な自給力の向上に努めれば、将来に十分夢と希望を持つことができると考えるのであります。」という、非常に農林漁業に携わる方々には涙の出るような力強いお話があるんですよね。こういう心の上に立って農政に、このたびのこういう問題について、条件は非常に厳しいですけれどもやっていこうという大臣でありますから、私どももいろんな事情についてはお話しするとともに、ぜひこの心を忘れずに今後の問題について対処してもらいたい、こう思うのです。ひとつ所見をお伺いしたいと思います。
#58
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私がそういうことを申し上げましたのは、確かに日本ではいろんな厳しい条件がございます。国土が狭いとか、一番問題はそれでしょう。しかしながら、日本という国は一億一千万の人がおって、そうしてその消費者が非常に豊かなのです。インドに食物がどんどん売れるかといったら、五億人もおっても購買力がないわけですが、日本の消費者は購買力を持っておる。したがって、日本という国は世界有数な農産物の市場であることは間違いないのです。そのすぐ至近距離の、一番近いところに日本の農業とか日本の酪農というものがあるわけです。ただ問題は、先ほどのような土地条件が狭いという決定的な問題がございます。しかし、すでに北海道のごときは酪農ではもうヨーロッパ水準を私は追い抜いていると思うのです、実際のところは。やり方ですね。内地においてもいろいろなやり方をやって、すでにもう鶏のようなものは世界的水準になっているわけです。豚も世界的水準にちょっと近いところまで現在いっておるということで、耕種農業が一番おくれておるわけでございますから、これらについては、土地の流動化その他いろんな施策を今後行うことによってやっていけば、工夫の仕方で日本の農業という産業は決して暗くないということを申し上げたわけでございます。
 したがいまして、その手段方法については、政府が直接やるわけじゃございませんから、やはり農業者が直接生産活動に従事をされる。したがって、その事態の認識について、どういうふうなやり方が一番いいかということは、政府と生産者がよく話し合いをすればおのずから方法は出てくるはずであって、それに向かって助成をすれば効果的なこれはもう助成の値打ちが出てくるということなので、そういうようなことで、事態の認識について一致した考えを持つように話し合いをしながら、今後とも積極的に農業の近代化を図っていく。
 それから、あなたのいまおっしゃったように、山地酪農とか大型化だけがそうじゃないよ、やっぱりでこぼこの土地があって大型化したくたってできないところもあるじゃないかと。そういうようなところは案外に土地の値段が安いとか、またいい点もあるわけなんです。したがって、そういうような複合経営という問題も、これは家族農業という日本の特殊性から見て非常に重要でありますので、そういうことも有効に生かしていくようないろいろな組み合わせをとってまいりたい、かように考えております。
#59
○藤原房雄君 最初いろいろお話しいたしましたが、そういうことでぜひひとつこの機会に、価格だけをいじるというか、価格だけのことじゃなくして、総体的なひとつ慎重な検討をというこういうことで進めていただきたい、こういうことでございます。
 さて、時間もございませんから、次に漁業関係のことについてお伺いしたいと思いますが、今月の十九日からモスクワで日ソ漁業委員会ですか、これは昨年四月に締結された日ソ漁業協力協定に基づいてこの話し合いが進むわけですね。ここでは北西太平洋のサケ・マス漁獲許容量、こういうものを基礎に資料等いろいろ論議になるのだろうと思いますが、そうした上に立って日ソサケ・マス政府間交渉、これは三月の下旬行われるように聞き及んでおるわけでありますが、このサケ・マスの交渉につきましては、ことしは、これは予算委員会やまた当委員会でもいろいろ議論のあったところでありますが、今回は、何といいましても三十年、四十年続いたソ連の漁業大臣がかわられた。日本の大臣もかわったと。しかも、日本の大臣は、いまお話のありましたように、漁民には非常に温かいお心の方だと思うのですが、ソ連の漁業大臣は科学主義を尊重する、また合利主義者だとか、こう言われております。これからの交渉でありますけれども、いずれにしても、非常に厳しい条件の中にあるということが言われておるわけであります。年々漁獲量と漁業水域というものが減少の一途をたどっております今日、漁民がこの三月の下旬始まるでありましょう日ソサケ・マス政府間交渉に対しましては大きな期待を寄せておると思います。
 厳しい情勢の中にあるだけに、何としてもやっぱり国益を損じないようにというこういうことで、大臣はその最高責任者になるわけでありますけれども、この間のことについての腹構えといいますか、現在の所見をお伺いしたいと思うのであります。
#60
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、日ソ漁業協力協定が結ばれまして、日ソ漁業委員会というものがこしらえられて、そこで共同漁場その他のことが去年じゅうに解決されるはずになっておったわけでございますが、日、米、中等のいろいろな国際情勢、こういうようなもの等もいろいろありまて、一年間開かれておらなかったわけでございます。しかしながら、政府といたしましては陰に陽にいろいろな了解工作を求めてまいりまして、やっと日ソ漁業委員会は今月の十九日からモスクワにおいて開かれることとなりました。そこで、いままで宙づりになっておったものをまず処理をし、引き続きサケ・マスの漁業交渉に入れるように、目下鋭意努力をしておるところでございます。
#61
○藤原房雄君 今日までの厳しいこの推移を見ますと、ことしもこれまた、交渉事ですから相手のあることで簡単な予測はできないといたしましても、危惧されるいろいろなことがあるわけでありますが、いずれにしましても、漁獲量とそれから水域が年々縮小され減船に次ぐ減船というこういう苦しいことを続けてきた日本の漁業、私どもの祖先が切り開いた北洋から完全にシャットアウトされる寸前といいますか、いま厳しいこういう条件の中にあるわけでありますが、この漁獲量また漁業水域の減少というこういう問題について、何としてもこれは大臣にがんばってもらわなければいかぬ。今日まで政府間のいろいろな話し合いがあって、ソ連のその主張である母川主義というやつで押され押されてきているわけでありますけれども、ここへ来て現在の状況を最小限維持していくという、こういうことで強く交渉に当たってもらいたいというのが漁民の心からの願いであろうと思います。こういうことで、大臣は、この交渉に臨むに当たりましての腹構えはもちろんあるだろうと思いますけれども、厳しい諸条件があろうかと思いますが、ぜひひとつ積極的にこの日本の今日まで切り開いてまいりました権益というものを守るために御努力をいただきたい、こう思うんです。これはこちらの要望ということで申し上げたい。
 それで、それに伴いましていろんな問題があるわけですが、沖どりについては非常に厳しい条件にあるということである、それに対して沿岸の漁獲量というものをふやしていくべきであると、こういう問題になるわけでありますが、今日までも長い歴史の中で、人工ふ化、こういうことで一生懸命やってきておることは私どもにもわかるわけでありますが、全体的にはこの人工ふ化によっての沿岸のサケ・マスの漁獲量というものは非常に増加基調にあるという、データを見ましてもそういうことがはっきりあらわれておるわけでありますが、この人工ふ化のことについて二、三点お伺いしたいと思うんですけれども、一つは、このふ化事業について、今日まで北海道については水産資源保護法ということで国営でみんなやっていますね。ところが、本州につきましては、御存じのとおり、国からの補助をいただいてやってはおりますが、この体制が違うわけです。
 これは歴史的ないろんな経過があったことは私どもも十分承知をいたしておりますが、政府がいろいろ試算をいたしております計画から見ましても、北海道と本州との目標というものはそんな大きな相違があるわけじゃございませんで、やっぱり本州も長い間、岩手県を中心としてふ化事業については歴史を持っておるわけであります。また、二百海里問題から、だんだん沿岸におきましてもふ化事業というものに対して見直しされておりまして、そして、もう相当この漁獲量がだんだんふえておるというのが現状です。過日、参議院の予算委員会の地方公聴会がございまして、青森の漁連の会長さんが来ておりましたが、このふ化事業についての推進体制というのは北海道と本州とは余りにも隔たりがあり過ぎるじゃないかと、こういうことについてのお話がございまして、本州でも一生懸命やらなきゃならないことなので、これは本州も北海道並みにできるように、まあすぐといったっていかないでしょうけれども、そういう考えの上に立ってぜひひとつこれを進めるようにという国に対する強い強い要望がございました。この間のことについて当局はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、ひとつ。
#62
○政府委員(森整治君) 確かにサケ・マスの資源を計画的に増大していくということが、非常に重要な課題になってきておるわけでございます。
 そこで、いま先生の御指摘は、恐らく北海道と本州との扱いが違うという点についての御質問かと思いますが、御指摘のように、北海道のサケ・マスは国営の北海道のサケ・マスのふ化場を持っておりまして、そこで施設の整備拡充を図っておる、本州の方は、民間の施設につきまして助成をするというたてまえになっていることは御指摘のとおりでございますが、それだけの歴史と、国営の事業で国の職員がサケ・マスのふ化放流をやるというたてまえになっておるということで、今後どういうふうにしていくかということにつきましては、いろいろ内部でも意見がございます。もう一つ、北海道におきましても、実際民間がやはり金を投じましてふ化放流の手伝いをする、またそれプロパーでもやっておるという事例もあるわけでございます。それから道営の事業もあるということでございまして、これらを一体どういうふうに考えていくかということにつきましては、地元の負担を、たとえば定置で持っていくとか、そういう全体の負担関係をあわせましてどういうふうに今後考えていくか、いろいろ内部で寄り寄り検討はいたしておりますが、まだ明確な結論は出しておりません。
 しかし、いずれにせよ重要な事業でございまして、本州の方を北海道的にするというのはちょっといささかいまの時代からいたしますとどうかというふうに思いますが、さりとていまの北海道の国営を引き下げるというのも相当な抵抗があろうかというふうに思いまして、いずれにせよ全体の体系をどういうふうに関連さしていくか、早急に結論を出したいとは思っております。しかし、当面は、来年はいまの体制でふ化場の整備を進めていくということで、一応御答弁にかえさしていただきたいと思います。
#63
○藤原房雄君 この五十一年からやっていますサケ・マス資源拡大再生産事業ですね、これは最終年は五十五年ということになっていますね。それで北海道では十億粒で八億四千万尾ですか、それから本州では七億二千八百万粒で五億八千七百万尾放流するということですが、こういう計画を見ましても、本州もこれは北海道の六割近い、こういうことで計画が進められておるわけでありますし、非常に河川や沿岸線の長いこういうところにあり、しかも御存じのとおり、北海道を回遊する中で、本州でふ化したものが北海道で捕獲される率というのは大体一割ぐらいというふうに言われているようでありますけれども、そういうこと等を考えあわせますと、いま長官のおっしゃるように、いろいろ部内でも検討しておるということでありますが、これはいま北海道でやっていることをすぐ本州も全部北海道に右へならえしろというこういうことがいいのか、どういう形がいいかということは、これはいろいろ議論のあるところだと思いますし、また早急にもできないことかもしれませんが、しかし、これは今後この沿岸漁業、増養殖事業の推進ということの上において一つの大きな重大な問題でありますので、これはぜひ大臣にも重大な関心を払ってもらって、この結論をひとつ急いでもらいたいと思います。
 いずれにしても、こういう計画を進めるには施設と人というものはやっぱり伴うわけで、お金だけで解決のつくことじゃ決してないと思います。また、何せサケもマスもこれは生き物ですから、どんどんふ化をふやせばふやしただけということでない、やっぱりある限度があるだろうと思います。こういうこと等を考えあわせまして、北海道、本州――この放流したものが必ず大きくなって帰ってくるという、こういう習性を生かして、日本の大事なたん白源を獲得するということは、いまの二百海里時代にとっては非常に大事なことだろうと思いますから、いままでの体制はいままでの体制として、ぜひひとつここでどういう形がいいかということを御検討いただいて、やっぱりこの新しい時代に沿った体制のもとで進めていただきたいと私は思うんですが、大臣どうですか。
#64
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御説のとおりでございますから、ふ化放流については一段と力を尽くしてまいる所存であります。
#65
○藤原房雄君 何だか書いた原稿を読んだような答弁ですけれどもね。
 それから、こういう生き物であるということの上から、試験研究ということもこれまた非常に大事なことで、私どもあちこち施設を見学に行きますと、国と県といいますか、国と道とか一北海道の場合は比較的うまくいっているようでありますけれども、試験研究機関の協力体制といいますか、こういうものももっときめ細かにしていかなければならないだろうと私は思うのです。いずれにしましても、三、四年たって大きくなって帰ってくる。これから瀬戸内でハマチ養殖をするとか何をするといって、公害とか何かいろんな問題を起こす、そういうところから見ますと、はるかに大事な事業だろうと私は思いますので、大臣の非常に力強いお話ございましたから、私も何らかの結論が近く出していただけるのだろうと思いますが、ぜひ東北、北海道のこのサケ・マスの事業につきましては、積極的にひとつお取り組みをいただき、ことしの水産予算というのは、相当な大臣も胸を張って誇らしげにおっしゃるぐらいいろんな予算づけがなっておるわけでありますけれども、今後のあり方につきましてもぜひひとつ御検討いただきたいと思います。
 次は、時間もございませんのであれでありますが、韓国問題については、さっき川村さんからもお話がございましたのであれでございますが、これも私はこの前北海道へ行って痛切にお話を聞かされ、また目の当たりにして、何とかしなければならぬというそういう気持ちで帰ってまいりました。先ほどいろいろ大臣も答弁ございましたが、日本漁民のために、複雑ないろんな問題があることは私ども承知いたしておりますが、お取り組みをぜひひとついただきたい。
 次は、漁港の問題でありますが、今日、第六次漁港整備計画と言われるやつが第三年次に入っているんですね。漁港が非常に整備されたということで大変に漁民の方々は喜んでおるわけでありますが、しかし、この漁港の要望というのは非常に大きいということは、大臣もこれは十分に御存じのことと思います。漁港のことでいま一つ申し上げたいのは、四十八年のオイルショックのときに、いろんな計画があったのが一遍に吹っ飛んでしまって、公共投資優先ということで、漁港整備が計画を終わっても五割にも達しないような状況で終わってしまった。経済変動の中で非常にこういう計画というのはむずかしいことはわかりますが、漁民にとっては漁港というのは命みたいなものでして、これの整備がきちっとなされることがどんなに重要であるかというのは、私からくどくど申し上げるまでもないことだろうと思います。
 そういうことで、現在進捗率というのは大体四〇%のようでありますけれども、この漁港整備計画というものは、渡辺大臣の御就任とともに、ぜひひとつこれは着実に進めていただきたい。そしてまた、やむを得ない経済事情とかなんとかということは予測したくないことでありますけれども、いずれにしましても、二百海里時代を迎えて漁業の進展のためには、振興のためには漁港の整備が最重点だということで、大臣の御認識をいただいて推進をしていただきたいと思いますが、御所見をひとつお伺いしたいと思います。
#66
○国務大臣(渡辺美智雄君) これもそのとおりでございますから、もう三年目で四〇%になっているわけです。ですから、必ず来年も予算を順調につけて、計画どおりにもっと早めてやるように努力をいたします。
#67
○藤原房雄君 それから、ことしから始まります新沿岸漁業構造改善事業、こういう事業は、これは漁業関連ということで、漁民の方々の生活の環境、こういうことまでめんどうを見ていこうということで、
  〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕
それはそれなりの私ども評価をいたしておるわけでありますが、この新沿岸漁業構造改善事業というものの推進とともに、この漁港整備、これをあわせまして漁業の振興ということについてひとつ積極的なお取り組みをいただきたいと思うんです。
 漁港にはいままでもいろいろな議論があるんですが、いままではどちらかというと、沿岸から沖合い、沖合いからだんだんだんだん沖の方に行くようになって、船も大型化していくというこういうことで、漁港整備の年次計画というやつは、年次計画が終わらないうちに船が大型化して、そのことのためにせっかくできたものが大型の船が使えないという、こういうことをいままで余りにも急激な変化の中でしばしば私どもは見、そしてまた聞いてきたわけです。漁港は、最近回りますと、確かに中核的な漁港として大きい中型船といいますか船が入る港と、それから本当に家族で漁業を営むというそういう方々のための、大きい船の入るということじゃなくて、集落で使う小さいといいますかそういう漁港、こういうものに対する要望が非常に強い。こういうことで、大型漁港ということとともに、集落単位の漁港の整備もずいぶん進められてきておりますけれども、こういうものについてもきめ細かにやっていくことが大事なことだろうと私は思います。今回のこの第六次の漁港整備計画というのは四〇%ということですけれども、四〇%の中身と、それから、これからの重点的な整備計画の内容等について、概略ひとつ御説明いただきたいと思います。
#68
○政府委員(森整治君) 第六次の漁港整備につきましては、五十二年から五十七年まで六カ年間で、三カ年が五十四年度、半分でございますが、全体は一兆四千五百億ということで、このうち調整費の五百億あるいは地方の単独事業二百億を除きますと一兆三千八百億ということの計画でございます。現在五十四年度におきましては、そのうちの修築事業が事業費べースで千四百十四億、それから改修事業が六百一億、局部改良事業が百六十七億ということで、二千百八十二億の予算を五十四年度で計上しておるわけでございまして、これによりまして先ほどの四〇%台の進捗率になっておるということでございます。
 そこで、いろいろ先生先ほどからお話ございましたように、私どももいろいろその予算の配分につきましては頭を悩ましておるわけでございますけれども、今回の――今回といいますか、漁港の特色というのは、目の前の前浜にあります港を何とかやはり整備してほしいという要望が非常に強いと同時に、それを全部やっておりますと、結局何といいますか効率的な投資が非常に行いがたい。先ほど先生御指摘のように、船型が大きくなって事業とマッチしなくなってしまうようなところもあるというようなこともございまして、最近は相当な伸び率をもちまして予算を計上いたしておりますから、まあまあ何とかやっていけると思いますが、いずれにいたしましても、平等といいますか公平といいますか、そういう要請と、もう少し効率的に予算を配分するという観点と、この両者の非常に何というか問題に私どもも実は悩まされておるわけでございます。
 しかし、そういう両方の調整を図りながら、やはり効率的な投下を行いながら早く仕上げていくということが、非常に重要な問題になっているのじゃないかというふうに思いまして、配分につきましてもいろいろ今後努力をしてまいりたい。と同時に、全体の総枠の確保はもちろん、大臣がおっしゃいましたように、農林水産省全体の中でも重点項目として取り扱ってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
#69
○藤原房雄君 それじゃ、時間が参りましたのでこれで終わりますが、大臣、いまお話しいろいろいたしましたように、酪農、それから水産、特に水産問題については、ことしは胸を張ってというか、相当予算がついたわけですけれども、これは大臣の実力もあったかもしれませんけれども、やっぱり時の要請ということが非常に大きなウエートであったろうと思います。そこへ実力大臣がいらっしゃったということなのかもしれませんが、いずれにしましても、いま長官のお話にございましたように、漁港一つとりましても非常にむずかしい問題を抱えておりまして、効率的な投下といいますか、こういう判断に迫られるようなことがいろいろございます。
 ぜひひとつ、水産業の発展のために、発展といいますか、こういうこの予算案ですね、いままではどちらかというと、農林予算の中で漁業関係の水産予算がどれだけ占めるかというようなことがよく言われておったわけですが、そういうことではなくして、現在のこの二百海里という新しい時代を迎えたその中で、これから漁業振興のためにという今回のやつをべースとして、これから逐次ひとつ上積みをし、そしてまたかさ上げをし、そして漁業振興のためにしっかりひとつ取り組んでいただきたい、こう私は心から大臣に要望し、そして先ほど来非常にバラ色のお話が大臣の所信表明の中にあったわけでありますが、これの実現のためにがんばってもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
#70
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御激励を賜りましてありがとうございます。今後ともよろしくお願い申し上げます。
#71
○下田京子君 前回は農政の基本的なことについてお尋ねしまして、きょうは個別的なことでお願いしたいと思います。
 第一番目に、今後の農業の問題で地域的な農業ということをよく言われるわけですけれども、地域特産物と言われて全国民に愛され、また食べられているコンニャク問題なんです。これはまた、世界の人々の中で日本国民しか食べてない。しかし、東南アジア等ではもうそれは野生であるわけで、しかし国内にあっては、一方消費との絡みでこれまただぶつきぎみで、生産者も山間地帯の耕作者が大変多いだけに、これからの成り行きについて心配をしているわけですね。そういったやさきに、これはもう新聞報道されておりますけれども、コンニャク密輸問題が騒がれました。生産者は大変心を痛めまして、すでに農水省の方にも陳情等があったことと思います。
 で、まずその点で大蔵省の方にお尋ねしたいわけなんですけれども、見えていますか。
#72
○理事(山内一郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#73
○理事(山内一郎君) 速記をつけて。
#74
○下田京子君 質問に入る前に、いま五分ほど中断されたので、委員長を通じて事務当局に、各関係省庁が質問に応じられる時間に前もってお入りいただけるように、注意をまずお願いしておきたいと思います。
#75
○理事(山内一郎君) 大蔵省に申し上げますけれども、時間より早まる場合もあります。きちんと出席をするように、今後注意してください。
#76
○説明員(奥田裕君) 申しわけございませんでした。今後注意いたします。
#77
○下田京子君 質問を続けますが、コンニャクの密輸問題につきまして新聞ですでに報道されておりますけれども、一月の九日、横浜税関にいわゆる二三〇六番という番号でタピオカウエスト、いわゆる動物用の飼料として揚がった、税率なし、価格が九十七万四千五百円、その中に五一%のコンニャクの精粉が入っていたということが報道されております。このことにつきまして、現在大蔵省として、この横浜税関だけでなく、神戸港でもこういった例があったんではないかと、その他のルートではどうだろうかということについてのいろいろと世論が沸いているわけですが、現時点でどのような件を把握されておりますか、簡単で結構ですから御説明いただきたいと思います。
#78
○説明員(奥田裕君) お答えいたします。
 先生のおっしゃいましたように、新聞報道ですでに報道されてございますが、本年の一月九日、横浜税関に佐藤某からタピオカウエスト、これは動物飼料用でございますが、輸入申告されたと。その中にコンニャク精粉が約十三トン入っておったと。このコンニャク精粉は現在輸入制限貨物でございまして、輸入することができないものでございまして、これを密輸しようとした。
 で、ほかのルートはあるのかということでございますが、現在横浜税関におきましてその他の余罪というものを検討、調査いたしております。で、一件、名古屋税関――名古屋港から陸揚げいたしまして、本年一月の中旬保税運送の上、横浜港へ保税運送されたもの、これが先ほどの密輸形態と同じものであるということが発見されました。この前者のものにつきましては、すでに二月の十七日をもちまして検察当局の方へ告発をいたしております。そして、名古屋から横浜へ着いたもの、これにつきましても、二月二十四日付をもちまして告発をしております。で、ほかの余罪も、現在調査を続行しております。
#79
○下田京子君 すでに新聞発表されていた横浜税関のほかに、名古屋税関、いわゆる神戸港でも揚がったと。二件ともこれは告発しているというお話だったと思うんですが、これについて法務省の方で現在この告発を受けてどういう捜査が進められているか、お答えいただきたいと思います。
#80
○説明員(佐藤道夫君) ただいまお尋ねの事件につきましては、ただいま大蔵当局の方から御紹介がありましたとおり、二月十七日付をもちまして横浜税関から横浜地方検察庁に対し告発がなされておりまして、現在横浜地検におきまして鋭意捜査中でございます。罪名は関税法違反ということで、事案の内容は、いろいろ話に出ておりますタピオカウエストの中にコンニャクの粉を混入して、これをわが国に輸入しようとしたという事案でございます。
#81
○下田京子君 そこで大臣にお尋ねしたいわけなんですけれども、ただいまお聞きのとおり、コンニャク精粉については、これは非自由化品目でありまして、動物用飼料というかっこうで約半分を超えるものが混入されて密輸されている。しかも、この密輸はどこから出たかというと、その発端になっているのがコンニャク生産地第一の群馬県で、鶴田という社長さん、その方の下で働いている方がインドネシアに行かれて、それでそのインドネシアでもって鶴田社長から二百万円から受け取って密輸のために働いたという経緯なんですね。こういうことで、群馬県の下仁田の皆さん方が、これは農林水産省の方にも行っていると思うんですけれども、私の部屋にも陳情に見えまして、こうしたコンニャク粉の密輸の絶滅対策を講じてほしいということを一つ言われております。それから二つ目には、密輸されたコンニャク粉は廃棄処分にしていただきたい、こういう陳情をされているわけなんです。
 この二件に対しまして、大臣といたしまして、年々いわゆるコンニャクについての生産、栽培の規模を割ってもそれがだぶついているということで抑えているという絡みの中で、こういう野生の、インドネシアから密輸という形態で入ってきたものに対して、毅然たる態度で臨んでほしいわけなんですけれども、この二点について大臣の御所見をお願いします。
#82
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大変遺憾なことでございます。廃棄処分の問題は、所管省は法務省になると思いますが、私どもといたしましては、市場に出回ることは需給上問題がありますから、そのことのないよう関係当局に要望してまいりたいと思います。
#83
○下田京子君 所管が違っても、せんだって私の方でもお尋ねしましたら、IQ物資であるコンニャク粉の密輸であるだけに、所管の農林水産大臣、農林水産省の御意見を承りながらその処分等について考えたいというお話ですから、密輸のコンニャクが市場に出回るということになりますと、これは大変なことになりますので、いまの御決意でぜひ対処していただきたい。
 それからもう一つは、こういう密輸がされないように、野放しにされないように、コンニャク粉の混入された物資も含めて、コンニャクの精粉も、両方とも今後ともいわゆる自由化されないように、特に密輸等が起きないように、農林水産省としても、大臣としましても、よく関係省庁と話し合いの上対応していただきたいと思うのですが、この点いかがですか。
#84
○国務大臣(渡辺美智雄君) そのように対処してまいります。
#85
○下田京子君 最後に、この密輸問題について大蔵省に伺いたい点なんですが、余罪等も含めてまたいろいろと調査をしているというお話でしたけれども、監視体制といいますでしょうか、こういったことについて、これからどういう決意で臨まれるか、御意見をお聞かせください。
#86
○説明員(奥田裕君) 今回の手口につきましては、すでに各税関に通報済みでございまして、目下重点的な検査対象にしておる次第でございます。で、コンニャク精粉に限らず、輸入が規制されておるような物品の不正輸入というものにつきましては、今後とも一層の情報収集に努めまして厳正に対処してまいりたい、このように考えております。
#87
○下田京子君 次に、コンニャクの生産全体にかかわる問題なんですが、特に価格問題等についてお尋ねしたいと思います。
 日本こんにゃく協会の中に、現在一応コンニャクの生産者価格安定のそういう制度があるわけですけれども、これはかつてコンニャクが輸入されていたときのその利益によって賄われていた。現在は、積み立てられている四億円からなるその利子、あるいはその他の事業収入等で賄われているということで、かつてのコンニャク価格の大暴落のときにも、この価格制度そのものは全く働かなかったということは、御承知のとおりであると思うんです。このことにつきまして、この日本こんにゃく協会など、現在曲がりなりにもあるこの価格保証制度、これを十分に発揮できるような形で、農林水産省としてのそういう対応は考えられないかどうかという点なんですが。
#88
○政府委員(二瓶博君) ただいま先生からお話ございますように、財団法人日本こんにゃく協会、ここにおきましてコンニャク原料安定帯価格というようなものを上位価格は幾ら、下位価格は幾らというふうに決めまして、この安定帯の中に原料価格がはまるように操作をしていくということを、協会の一つの仕事としてやっておるわけでございます。
 ただ問題は、こんにゃく協会は、最近は実はコンニャクが国内的には過剰ぎみということでございましたので、輸入割り当てを五十年度以降やっておりません。そういうようなこともございまして、やや財政的な面で協会が十分な姿になっておらないということが一応あるわけでございます。ただ、五十三年度などの安定価格帯は、上位の方が七万二千円、下限が五万一千円、こういうような安定帯なのでございますが、現在はこの安定帯の中に価格はございます。そういうようなことで、現在の段階では、この安定帯の価格を突破するというようなこともございませんので、これはいますぐどうこうという措置を講じなくてもよろしいのではないかという感じを持っております。それから、やはりこの安定帯をつくるというのを協会でやっておりますが、やはり基本的には何といいましても計画生産、計画的な生産というものをこれを進めていく、消費に見合った生産、これをやっていくというのが一番やはり中心であろう、こう思っております。したがいまして、五十三年度から需給安定対策会議というようなものを、このこんにゃく協会が中心になって、関係の者をメンバーにしてやっておるわけでございます。そういうことで現在やっておりますので、こういうようなものの成果を見守っていきたいというのが、現在の考えでございます。
#89
○下田京子君 現在は安定帯の中におさまっているわけですけれども、かつて機能が全く働かなかったということは事実でありますね。そういうことでありまして、農林水産省もこれは認められております日本こんにゃく協会の協会業務方法書等の中にあるわけですから、これらの機能が働くようなことで、ひとつそういう地域特産物なものであるけれども、山間地帯の農業が発展できるような方向で価格保証問題も考えてほしいという要望であるわけです。
 これにつきましては、福島県の例なんですけれども、すでに昨年の九月県議会において請願書が出されました。この請願書が県議会で、全会一致でもって採択されているという経緯もあります。しかもまた、いまお話しになりましたけれども、コンニャク生産流通安定対策事業、こういう事業の中で、関係する県がそれぞれに、流通問題から生産問題から技術指導問題から消費問題から含めて、いろいろと研究されているわけです。しかしながら、ある一定の生産の見通しとあわせて、地域的な形で農業が安定できるようにということになれば、地域特産物であるから、その地域で、ひとつ野菜のようなかっこうでもって価格保証制度を考えてみようじゃないかというふうな方向が出てくれば、そういうことに対して国が積極的に援助してほしいというのが、関係生産者の皆さんの御意見であるわけです。
 特にこのことにつきましては、私は、日本で第二位の生産地の福島県で、具体的な町名を挙げますと、中心地であります福島市でも、この政府の事業を受けまして、コンニャクイモの原種圃の設置事業なんかもやられていたり、大変生産意欲を持って取り組んでいるわけです。それから、ずっと南の方なんですけれども、全くこれは山間地帯でコンニャクに頼って暮らしているという地域ですけれども、塙町であるとか矢祭だとか棚倉だとかいうふうなところを回りまして、皆さん口をそろえて、こういったことについてぜひ研究してほしいと、こういうことを言われていたわけで、こういう点について、いますぐということにもならないとは思いますけれども、ぜひ生産流通安定対策事業費等々の中で、関係する十二県、また中央団体の中でも話に出ている問題でありますから、こういったことが今後具体的な検討課題となって実を結ぶ方向で援助いただきたい。これは大臣に御答弁いただきたいと思うのです。
#90
○政府委員(二瓶博君) ただいま先生からお話ございましたように、福島県あるいは長野県等におきまして、農協の共販といいますものを強く進めていこうということで、県の方もテコ入れをいたしましてやっておるということは聞いております。福島県ではこの共販率が四十年当時二〇%、これが五十二年度には五二%ということで、非常にこの効果も上がってきておるということは聞き及んでおるわけでございます。ただ問題は、先ほども申し上げましたように、コンニャク生産流通安定対策事業というこれの中で、先ほど申し上げましたような日本こんにゃく協会が中心になって需給安定会議を持つ、これもいろいろそのコンニャクの需給について問題があるということで、五十三年度からスタートしたばかりでございます。したがいまして、その辺の推移といいますか、この効果というものも十分見守っていきたいというふうに考えております。その辺の価格の安定対策ということで、いろんな国がテコ入れをするという話につきましては、これのやり方いかんによりましてはそういうことがあり得るので、なかなか計画生産は――むしろないがしろにするというような話になりますと、これ事志とも違うことになりますので、いまのやっていますのを見守りながら一つの今後の研究課題といいますか、そういうことで検討させていただきたいと、かように思います。
#91
○下田京子君 大臣、これは御答弁を最後にいただきたいのです。いまのお話で、研究課題に入れながらなおかつ見守っていくと、こういうお話なんですが、ただ見守るだけでなくて、実際にいろいろと生産者なりまた農協なり、関係する方々がまじめに苦労し考えているわけですね。特に具体的に出しますと、さっき申しました福島県の中でも、コンニャク生産が非常に多い矢祭町というところなんですけれども、共販体制、共販率が昭和四十三年は五〇%でした。ところが、五十二年では九〇%まで拡大してきました。価格安定という前提で、やはり共販ということも考えていこうということで、みずから努力している。しかも、山間地帯の農業であるだけに、コンニャクが生産される前の八月時点で、お盆のお金にということで前渡し金みたいなお金を出すわけです。さらには十二月になりますと、仮渡し金といって年越しのお金も出すわけです。それから翌年の五月になりますと、これは仮清算をするわけです。コンニャク年度は十一月から十月ですから、最後の十月になると、全体での市況がありますから、その市況を見て差額、本払いというかっこうで清算払いをするわけです。こういうかっこうでいろいろと苦労しているのですが、金利がかかるだとか、倉敷料がかかるだとかということでの苦労話もずいぶん聞かされました。
 ですから、ただ見守るというだけでなくて、せめてもいま五十三年度から出発したこの生産流通の安定対策事業、こういう事業の中にいろんなメニュー方式ででもいいですから、地域的なかっこうで活用できる、そういうものを具体的に検討課題として取り入れながら、かつ地域農業の発展という方向でこういう価格問題について御検討いただけるかどうか、いかがでしょう。
#92
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、いま二瓶局長が言ったようなことが一番いいのじゃないかと思いますね。私がいまここで結論を出すと別な方の結論がすぐ出ちゃいますから、ですから、これはやはりもう少し検討をしてもらった方がいいのじゃないかと、かように思います。
#93
○下田京子君 大臣も検討するということですが、後退した検討じゃ困りますので、ぜひそういう実態を踏まえて研究するという方向で検討いただけるのだなと理解してよろしいですか。
#94
○国務大臣(渡辺美智雄君) そういうことも含めて検討します。
#95
○下田京子君 大変むずかしい問題だとは思いますけれども、この点は重ねて要求をしておきたいと思います。お願いしておきます。それから次に移りたいと思いますけれども、畜産物価格問題と全体的なこれからの畜産農業のあり方は別途また集中的な質問でお願いをすることにいたしまして、きょうは鶏卵生産についてお尋ねしたいと思います。
 現在、鶏卵の価格の低迷が非常に長いこと続いているのは、大臣も御承知のとおりだと思います。特に昨年の場合には、一昨年対比で約二〇%も落ち込んでいて、キログラム当たり二百四十二円、ことしに入りましてからも二百円前後というのが長いこと続いて、またちょっと最近は持ち直すという傾向でありますけれども、やっぱり物価の中では卵は優等生、しかし鶏卵農家は大変苦労をしているということは御存じだと思います。この点について、なぜこのように卵の価格の低迷が続くかという点については、大臣は去る二月の十七日に衆議院の予算委員会で、卵価格の低迷は何といっても過剰生産にあると、だから何よりも生産調整を最優先的にやってほしい、こういうふうなお話をされていたかと思うわけです。私、全くこの御指摘は正しいと思うんですけれども、ただこの生産調整を最優先にやってほしいということはいまに始まったことでないと思うんです。四十七年からそれが出され、四十九年にはこれらが三局長通達でもって出されているわけですね。にもかかわらず、生産調整がその効を見ないで増羽の傾向がまだ続いている。このことについて大臣はどうお考えになるんでしょう。
#96
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは非常にみんなが困ることですから、全体で話し合いで生産調整をやろうというのだから、それにみんな従ってくださいよと、そういうことで町村ごとに協議会とかいろんなものをつくってやっておる、ところがそれに従わない者がどうもいるらしい、そういうのは調べて、たとえば何かぶっちめる方法――ぶっちめると言っちゃちょっと語弊がありますが、何かうまい方法はないかということで、たとえば近代化資金を貸さないとか、あるいは農林公庫は金を貸さぬとか、あるいはいろいろなそのほかの卵価の協議会、そういうところから外すとか、いろんなことをやっておるのだけれども、それでもなおかつやっているのがいるという話をときどき聞いているのです。何かうまい手はないかなと思って、私も実は首をかしげているのですが、日本も法治国家ですから法律以外のことはできませんけれども、そういうような不心得で自分さえよければ人はどうなってもいいというような者については、何かうまい知恵があったら後でこっそり教えてもらえばやりますから、ひとつ教えていただきたい。
#97
○下田京子君 まじめにそういう減羽調整といいますか、に従わないやみ増羽をしている者について、何かいい方法があったらこっそり教えてくれということですが、こっそりではなくて、またお願いしたいと思いますけれども、無断増羽をしている人たちがどういう人かということなんですね。ここが国会でも大変衆議院の中で議論になったところなんですけれども、これは大臣も御承知だとは思うんですが、全国鶏卵需給調整協議会の資料によりますと、五十三年の十一月時点でもって一千羽以上のいわゆる養鶏農家といいますか、これが一万五千八百六戸あるわけですね。ところが、その中で無断増羽している農家がどのくらいかというと百五十戸、全体の中で一%です。ここが大事だと思うんです。あと九九%の人たちは、まじめにみんなで生きていこうということでもって行政指導にもいろいろ従っている、みずからも努力しているということが明らかですね。
 それじゃ、この一%に当たる中でも特に悪質なのはどこなのかということなんです。これについては全国養鶏会議等々でも出されておりますけれども、イセグループと言われるこういうところが昨年の六月時点でも百九十万羽、それからタケクマグループが約三十五万羽、こういうやみ増羽をしている、これはもうすでに明らかなところです。これは需給調整協議会の資料によりましても、五十三年五月時点の全体のそのやみ増羽の羽数がどのくらいかというと四百十万羽、五十三年の十一月の調査結果によると三百八十五万羽ですから、何とイセグループとタケクマグループと二つのグループだけで全国のやみ増羽の半分を勝手にやっている。
 ですから、ここで私は大事なことは、いままで言われていたように、一般的な生産調整ではだめだということ、それから一般的ないわゆる生産過剰問題ではないんだ、ここのところが私は今後の対策として大事な点でないかと思うんですけれども、その点について大臣、どうでしょう。
#98
○国務大臣(渡辺美智雄君) よくわかりました。
#99
○下田京子君 よくわかったということなんですけれども、大臣にわかっていただいても、実際にはこういった人たちのやみ増羽が規制できないわけですね。法治国家だから本当に何にも手が打てないのか、そこのところが大事な点だと思うんですよ。
 それで、以下聞きたいんですけれども、具体的なやみ増羽の拠点が、私、実際に足を運んできましたが、茨城県と宮城なんです。最初に茨城の状況をお話しいたしますと、五十三年の五月に二十六戸の養鶏農家、このうちで九十五万一千羽やみ増羽されている。十一月になりますと二十八戸になりまして百十八万一千羽、これだけやみ増羽がきれているんです。宮城県はどうかというと、宮城県は五十三年五月時点で十戸、やみ増羽の羽数が六十八万三千羽と報告されているわけです、この資料によりますと。そして、十一月になりますと八戸に減りますけれども、実に八十一万八千羽と逆にふえている。この宮城県と茨城県だけ合わせましても実に五十三年の十一月で百九十九万九千羽、十一月時点での三百八十五万羽の半分がこの茨城と宮城だという、その数字もまた出てくるんです。こういうことで、調査時期のずれだとかあるいは正確さだとかといって、一定の羽数の違いはあったにしましても、どこがどういう形でやっているかというのは明確になってきているわけなんです。だから、指導も個別的に具体的にならなければならないんじゃないか、こう思うわけです。
 さらに続けていきますと、需給調整協議会等でいろいろやられているとは言いますけれども、茨城県の場合は、県の担当者が言っていましたけれども、減羽計画を出すようにと、こう文書や何かで連絡をしたが、返事があったのはたった一戸だというんです。あとは全然もう返事もないし、幾ら連絡したって、私はそういう生産調整反対ですよというかっこうで何ら従わないという状況であるわけです。
 しかも、また戻りますけれども、宮城県の場合は、私驚いたんですけれども、衆議院の国会でも大変議論になりました色麻農場です。色麻農場は、減羽計画が出される指導がされるときには二十四万羽であったと思います、凍結羽数は。ところが、実際に昨年国会で議論になっているときにどのくらいの羽数だったかと言うと、これが九十六万七千羽なんです。しかし、国会で議論になっている――共産党の津川代議士が質問しているときには局長何と答えていたかと言うと、色麻農場は八十三万五千羽でございます、こう言っているんです。ところが、国会で議論になっているもうその時期に、実態はどうかと言うと九十六万七千羽だった、これがやみ増羽の実態なんです。そして、九十六万七千羽を基点にして、今後三年間でもって二十五万六千羽の滅羽をいたしますよと、こういう話なんです。これではやみ増羽やり得というかっこうになってしまうのではないでしょうか。どうでしょう。
#100
○政府委員(杉山克己君) 四十七年、それから特に四十九年以降はっきりした生産調整を行う、四十九年現在の羽数で凍結するということで生産調整を行ってまいっているところでございます。全体を通じては、確かに一部の違反はありましだが、かなりよく守られている。そうした結果、鶏卵価格も比較的安定しておったのでございますが、昨年の初めごろから特にえさ価格が安くなったというようなことも反映されてか、生産意欲を刺激して全体の生産も伸びる、それから中で違反者のやみ増羽もふえるといったような事態が見られたと思います。
#101
○下田京子君 局長、それで結構です。せっかくの御答弁でありますけれども、時間がありませんので失礼させていただきまして、私は実態は一般的なことでないんだということでいままで話を進めてきているんです。ですから、指導が具体的でならなきゃならないと、それからやみ増羽をしている者がだれかということが明らかなんだということを言っているわけなんです。
 大臣、以下お尋ねしたい点は、茨城県の小川町の例なんですけれども、これは特にひどいのがイセグループの中での与沢農場というところを筆頭にして、直営農場やあるいは契約農場といろいろあるわけなんですけれども、この中で森林法違反、これがはっきりしたんです。
 そこで、まず尋ねたいのは、これは局長に御答弁いただきたいんですが、与沢農場はイセグループの直営農場ですね。
#102
○政府委員(杉山克己君) そのとおりでございます。
#103
○下田京子君 このイセグループの直営農場である与沢農場、この与沢農場が実際にどういう形でもって森林開発、いわゆる森林法違反の養鶏場造成をやっていたかということなんですが、私はこれは森林法違反ではないかと思ったのが、この九月五日付の日本農業新聞なんです。この新聞によりますと、「ヤミ増羽基地と林に隠れて」と、これを見ましてどうもこれは何かがあるのではないんだろうかと、こう感じました。それで、十一月九日に私調査に行きました。その調査に行ったときに県当局に、どうも森林法違反臭い、調べてみてくれないかと、こう尋ねたんですが、農林水産省の方でこの森林法違反について、いつの時点で把握していますでしょうか。
#104
○政府委員(藍原義邦君) ただいま御指摘の個所につきましては、御存じのとおり、森林の開発許可制度は知事に権限を機関委任をいたしております。したがいまして、それぞれの知事がやっておるわけでございますが、茨城県からの報告によりますと、五十三年の十一月十三日に県と小川町が合同調査をいたしております。
#105
○下田京子君 十一月十三日に小川町と県が合同調査をしたという御報告を、いつ受けたんでしょうか。
#106
○政府委員(藍原義邦君) 林野庁の方に報告が参りましたのは、ことしに入ってからでございます。
#107
○下田京子君 私は、ここで大臣にも、それから関係する局長にもお願いしておきたい点は、やみ増羽について真剣になってその行政指導を考えるならば、少なくとも私のようなまだ未熟な議員であっても、こういう報道が出たらこう感じるわけですね。調査に行っているわけですよ。森林法問題というのはこれは知事認可なんだからという立場で林野庁長官は受けとめられたにしましても、関係の局長は、少なくともやみ増羽どうなのかということで問い合わせするとか、そういう姿勢があって私はしかるべきだと思うんですが、この点について大臣一言。
#108
○国務大臣(渡辺美智雄君) まことに、本当にそれはそれぐらいのなにがあっても私もいいと思う。そこで、時間もないことですし、せっかく、共産党の方が政府の政策に全面的に協力してくれるなんてこれは珍しいのですから、ですから、私はここで本当にこれを受けとめて、林野庁も森林法違反の実態をよく調べて、これは茨城県知事を指導して、それは適正な厳重な処置をとると。それから畜産局も、こういうことは珍しいことなんだから、今後こういうことをどんどんやっぱり政策を進めていく上においてやらなければならぬということですから、これはいろんな手段を別途考えて、具体的、個別的にやっていただきますように指示をいたします。
#109
○下田京子君 具体的に指示をするということなんですが、その具体的な指示の中身についてお願いしたいと思います。
 それは五十三年四月二十八日付で、構造改善局農政部農政課長名でなんですけれども、農地に関しての農地等の転用について、特に鶏卵の生産に係る分野については注意せよと、もっと簡単に言えば需給調整協議会なんかのそういう指導を受けてやれという、そういう通達が出ているんです。こういう通達も含めて、具体的にこうなすようにしていただきたい。
 それに当たりましては、ちょっと申し上げたいのは、大臣に念を押すようなんですけれども、非常に悪質なんです。どういうふうに悪質かといいますと、私が入ったのは十一月九日ですね。県は十一月十一日から調査を開始したんです。合同調査は十三日だと言っていますが、十一日からやっているんです。それから十五日は、わが党の茨城県の議員さんがやはり質問したわけです。そして、その以後ずうっと十七日から事情聴取をしているんですけれども、この与沢農場関係者は何と言ったか、一貫して、これは森林法施行以前であります、いわゆる四十九年の三月に着工しておりますというのをずうっと言い通していたんです。県は何度も何度も事情聴取をしておりますけれども、がんとして四十九年三月ごろ着工したと言って言い張っていました。最後に、ことしの二月十三日になって、五十年一月の国土地理院で出している航空写真、これを出したんです。五十年の一月の写真ですから、そこに全然養鶏場はないんですよ、鶏舎ないんですよ。それを突きつけられたらば、そこで初めて、どっかで聞いたせりふなんですけれども、記憶違いでした、こういうことが確認されているわけです。大変悪質である。ですから、指導はもう具体的であるわけです。
 しかも、この与沢農場だけではありません。時間もありませんから以下述べませんけれども、イセの社内報によりまして、小川町インテグレーションと銘打って、これは社内報で以下ずうっともうやられています。ですから、森林法の第十条の二によって開発許可をとらなければなりませんし、またそれが法違反で、届け出を出してない場合には十条の三に基づいて監督処分もあるわけです。その中身においては、中止命令あるいは復元命令もあります。しかも、それらも含めまして、今後こういったいわゆる林と基地に隠れて無断増羽、やみ増羽なんということが野放しにならないように、重ねての指導を具体的にお願いしたい、こう思うわけです。――いや、これは大臣で結構です。もう時間ないですから、大臣に頼みます。
#110
○政府委員(藍原義邦君) ちょっとその前に私から……。
 いま御指摘がありました点につきましては、県の方におきましても二月二十二日に、ただいま御指摘になりました森林法に基づきまして監督処分を行っております。
#111
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大変いい話で、私としてもこれは具体的に徹底をさせる。これからそういうことがあったらば、委員会まで待たずに私のところへすぐに教えてくれればもっと早くやりますから、よろしくお願いを申し上げます。
#112
○下田京子君 それから具体的にもう一つ、どうしたらやみ増羽を取り締まれるかという御提案です、飼料価格安定基金、これをもう少し活用してはいかがでしょうか。この点については改めて私が提言するまでもなく、すでに衆議院農林水産委員会の中で附帯決議にも出ております。また、その活用について、これは農林水産省の畜産局、昨年二月に報告書として出しております。このえさについては、ことしあたりまた上がりそうだという話もあります。ですから、形だけ誓約書を取って云々ということではなくて、これを実効あるような形で活用させてみて、もうやみ増羽、無断増羽をやって悪質だったらばこの飼料価格安定基金に入れないと。これは一年ごとに自由なんですね、入ったり出たり、入ったり出たり自由なんですよ。ですから、えさの価格が安定しているなというときには抜けていて、上がりそうだなと思ったら入ってくる、大体そういうことだって考えられます、普通大変に悪質なことをやっている方は。ですから、はっきりそういうことが――そういうことがというのは、やみ増羽がわかった経営者は入れないと、そういう措置をとってほしい。
 それから最後に、これはあわせてお願いしたいんですが、結果として、いままでやられてきたこの生産調整が中小養鶏家切り捨てというかっこうになってきた。これは、五十二年、五千羽未満の養鶏農家が三十二万七千戸あったのが、五十三年になって二十七万七千戸に約五万戸減っているんです。このことについて、そのやみ増羽を進めている側の大規模養鶏企業家の方々が言っているんです、それ見たことかという形で。だから生産調整反対だ、まさに天の福音だ、われわれにとっては恵みである、中小養鶏家はつぶれてくれる、われわれはこれからもどんどんやみ増羽をやっていきますよというかっこうで言われている。だから、そういうことがなされないように、やはり先ほど言った飼料価格安定基金からやみ増羽者はもう外していく、また、中小養鶏家に対しては緊急融資なんかで保護していくという、こういう施策が必要ではないかと。この点についての具体的な御決意を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
#113
○政府委員(杉山克己君) 配合飼料価格安定基金の活用ということでございますが、これにつきましては、入る際に誓約書を取る、きちんと生産調整を守るという者でなければ加入を認めないということにいたしております。
 ただ、いま御指摘がございましたが、もしそれが守られなかった場合、では制裁ができるかという、まあペナルティーの問題でございます。これは実は五年を一期にした長期の契約で、その間積み金を積んで、そして事故が起こったとき、えさ価格が暴騰したときにその補てんを受けるという仕組みになっております。そうしますと、積んでいる者には一つのすでに発生した権利があるわけでございます。それから、本来の趣旨が鶏卵と直接結びついたものでなく、飼料価格全体の価格安定ということを趣旨といたしております。そのような観点から、私ども直ちにこれを生産調整に協力しなかったからペナルティーを科すというような運用は、なかなか法律的にもむずかしいということがありまして、誓約書を取るという段階にとどめているところでございます。
 それから、先ほど私、答弁の中で、与沢農場がイセの直営であるということを申し上げましたけれども、あれは系列でございましたので、その点修正さしていただきます。
#114
○国務大臣(渡辺美智雄君) 何かうまい方法はないかどうか、私も素人ですからよくわかりませんが、いずれにしても、そういうような悪質な業者を野放しにしておくということは、これは社会的公正を欠くという点からも私はいかぬと思う。したがって、厳しくいろんな手を用いて、やはり全体の幸せが得られるような方向に尽力をいたします。
#115
○下田京子君 委員長、私終わろうと思ったんですが、ちょっと局長答弁で、さっき与沢農場がイセの直営ではなくて関連だと。これは事実に対して偽りがあるんではないか。どちらが本当なのか伺いたいのは、昭和五十三年四月の二十日、津川委員の質問に対して局長自身が答えています。「与沢農場につきましては、イセグループの直営農場という関係にあることが判明いたしました。」――どちらですか。
#116
○政府委員(杉山克己君) その後、生産調整の実効を担保するために種々調査を行ってきたわけでございます。生産調整協議会の報告等にもよりまして事実関係が最近明らかになったということで、系列ということを新しい事実で申し上げたわけでございます。
#117
○三治重信君 五十四年度の農林水産大臣の所信表明についての質疑で、この大臣の所信表明に「生産性の高い近代的な農家を中核的な担い手として」と、こうしていろいろ書いてございますが、その「生産性の高い近代的な農家」をつくる一つの問題点として、きょうは農地の問題を御質問したいと思います。
 それは、一つの新しい考え方として地主の方にこの流動化の助成金を出すと、こういうことが出ておりますが、一番日本の農業が高度成長の中で非常に衰退して、国家の要望する国民の食糧の自給力について非常に荒廃化を来しているんではないか、こういう一般的な批評のある中で、農林行政としてやはり私は自立経営農家という、農林水産省の方は今度新しく「生産性の高い近代的な農家」と、こういう近代的な表現を使っておられますが、その一つの方法として土地の流動化対策として地主に対して助成金を出す、こういうことなんですけれども、私はもう少し一歩踏み切って、こういうことからやはりいまの戦後自作農、いわゆる不在地主をなくして自作農創設をやって、農村革命と言ってもいいほど非常に農村の安定と生産性の向上をやってきた。しかし、それが高度成長によって、農業所得が半分以下の第二種兼業農家の非常な増加で、いまや農家の主流はむしろ第二種兼業農家になってきた。これに対して農林水産省は、第二種兼業農家ばかりの農業ではこれは非常にまずいということで、こういう対策がとられるということになっていると思うんです。
 そこで、端的に一つ、私は自作農ということにいつまででも縛られていると大変な後手をとる。むしろ自立農家をつくるためには、やはり新しい観点に立って土地の賃貸借の自由化をやらぬことには、生産性の高い近代的な農家はできないと思うわけなんですが、土地政策に対する大方向転換をやる御意思はございませんか。
#118
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も大体同じような考え方なのです。実際問題として農地の面積というものが限られているわけですから、これは倍にふやすなんてできるはずもない。ただ、裏作を奨励したり、そのための要するに汎用田ですね、排水事業をやるとか、そういうようなことで活用しますけれども、結局それだけではやはりまだ足らない。やはり企業としてやっていくためには、ある程度の大型化をしなきゃならぬ。土地の面積がふえないということになれば、反復利用するか、あるいは他人の土地でも生産性の高い人が低い人の土地を何らかの形で利用するかというようなことしかないわけですから、これは景気の回復との問題もあるのですけれども、やはり土地は持っているけれども人に貸すと取られてしまうのじゃないか、あるいはうんと安い小作料にされてしまうのじゃないか、返してもらえないのじゃないか、あるいは政府に買い上げられるのじゃないかというようないろいろな心配のあることも事実なんですね。
 したがって、これからはやはり土地利用権の集積のためにはどうしても打開策を講じていかなきゃならぬ。そのために現行農地法とかあるいは農振法とか、そういうようなものを初め、何かひっかかるものがないかと一遍総ざらいをして、それでひっかかることがあればそれはやっぱり直していく。農地法をともかく神様みたく思っている人がありますよ、食管法と同じで。ありますけれども、現実に合わないものは、経済立法というのは直していく必要があるだろう。私は、きのうも予算委員会で食管の問題についても、配給、配給と言って、ある一定の量以上はくれないといういまの食管制度ですから、そこで消費拡大やれなんと言ったってこれはむずかしい。こんなものも、そういう部分はやっぱり見直す必要があということを言いましたが、それと同じような考えを持っておるわけであります。
#119
○三治重信君 大臣のそういう積極的な御発言によって、やはり農林政策というのは補助金政策と言われるが、補助金政策だと事実上法律の改正をやらぬでも幾らでも新しい政策ができる。しかし、これはどうも徹底をしないと思います。したがって、ことにいま大臣のおっしゃったように、日本の農家の農地というものは、やはり古い農家からすれば先祖代々の土地であり、戦後解放された者にしてみれば、多年水飲み百姓でおって苦しい目を見たのがやっと自分の手に入った、これは何が何でも放すものかと、こういうことでみんな信じてきたわけなんですが、現実の高度成長下の農村というものから見るというと、これについて事務当局でいいんですが、こういうような対策についてどういう対策をとられるか、ひとつお聞きしたいんですが、一つは自作農創設のために小作料を非常に低廉に抑えられています。したがって、そうするといまの法定小作料、いわゆる農地解放当時から規制される、そのときに小作地になった農地については、これは法定小作料といって非常に制限されて、いわゆる税金も払えない、ただみたいなものだと、こういうことに対する認識はどうなっているのか。
 それから、その後子供が勤めに出たとか、やはり家庭の労働力の都合で土地の余剰ができた場合に、土地の賃貸を戦前と同じようにやるためにいわゆるやみ小作になる。地主は申告として、食管が当時なかなか厳しいものですから、届け出は地主の耕作地になっているんだけれども、実際は現物小作料を戦前よりも若干低くして、これは相当高い、たとえば米二俵とかいうような小作料を取っている。現実には完全な小作農です。しかし、表面上は食管関係からいくと、完全に地主が自分で耕しているかっこうになっておる。それから進んで、いわゆる代行といって、農業に大型機械を入れてきたために非常に春の耕作、こういうものをやはり生産性を高めるために集団的に効率的な機械を入れる。こういうことにすると、兼業農家ではふところ手して春は耕してくれ、水もやって水田も稲も植えてくれる、それからいわゆる除草剤をまいてくれる。これも、みんなそのときだけの給料を一反幾らといって払えばいい。秋になると、またこれは全部刈ってくれて、全部農協の方で納めてくれる。いわゆる農作業の切り売り、それでも水田だと地主として損をしない、こういうやり方があるわけです。
 まだほかにも二、三いろいろの点があるわけですが、こういうものはやはりいまの農地法の桎梏から離れていく、しかも農林水産省はある程度そういうことを離れなければやれないようなことを現実に黙認というんですか、土地の集積関係からいくというと農地法に違反したことも、そういう大型の機械を入れる奨励なんというものをやっていることは、そういうことから違反しているのではないかと思うわけですが、そういうことについてどういうふうに対処していこうとされているか。
#120
○政府委員(大場敏彦君) まず小作料の問題ですが、統制小作料は御存じのとおり昭和四十五年以降撤廃しております。五十五年になくなる、五十五年の九月でしたか、なくなるということになっているわけであります。
#121
○三治重信君 いまはどうですか。
#122
○政府委員(大場敏彦君) いまは、したがって四十五年以降新たな賃貸借関係を結ぶ、小作関係ができるというものにつきましては小作料の統制はございません。
 ただ、全然野放しでは問題が起きる可能性もあるということで、標準小作料制度というものを設けて、これは各地域地域の実情に応じて需給関係を反映して標準小作料制度を設けて、それより極端に離れた場合には減額勧告をする。たとえばそれもかなり幅をとって、三割ぐらい離れた場合には減額勧告をするというような緩い形になっておりますので、現在の土地を貸したいが、小作料が統制されていて非常にじゃまになっているということでは私はないのじゃないかと思っております。統制小作料がかかっておりますのは、四十五年以前の古い小作関係の土地ということだけであります。これも来年では切れるということであります。
 それからもう一つは、最近いろいろ請負耕作あるいは経営受託だとか、あるいは作業の受委託、こういう関係が非常に広範になってきておりますが、これはさまざまあって、どれがどの場合には農地法に抵触し農地法に抵触しないということは一概には言い切れないわけでありますけれども、私どもの考え方としては、単なる作業、たとえば代かきだとか田植えだとか、あるいは稲刈りだとか、そういった部分的な作業を委託する、そして作業委託料を払う、また取ると、こういった関係にとどまっている限りは、これは農地法上何ら問題は生じていない。しかし、それが全部の作業を請け負ってしまうということになりますと、やや経営の受委託関係になる、あるいは土地の賃貸借関係にまで入ってくるという場合には、これは農地法上のしかるべき手続をとらないとやはりこれはやみ小作という関係になる、こういうふうに考えております。
 そこで、そうはいっても、現実にそういう波が出てきているということは事実でありますが、それに対して農地法が大きく立ちはだかっているかということにつきましては、これはたとえば農地法も昔の農地法とはかなり変わってきておりまして、耕作権の保護という目的を持っていると同時に、もう一つの目的には、やはり農地の効率的利用ということを、二つ相並んだ目的として掲げているわけであります。
 そういう意味で、具体的に申し上げますれば、昭和四十五年のときに、先ほど申し上げました統制小作料撤廃と並んで、農用地合理化法人――離作者が都会へ出ていく、そのときに土地を貸しながら出ていくという場合に、普通、手当てしないと不在地主になってしまいますから、そういうのを防ぐために農地法の適用除外をするとか、あるいは五十年のときに農用地利用増進事業というものを仕組んで、貸し手、借り手それぞれ不安があるわけですから、貸し手側は土地を貸しっ放しになってしまうのじゃないかということ、逆に借り手側はいつ取り上げられるかわからない、経営が不安定である、こういった心配を解消するために、集団的な合意の中で短期の賃貸借を重ねていく、こういった農用地利用増進事業というものをやっているわけであります。そういった事業をやっております関係で、逐次そういった制度の普及に応じて効果は上がってきていると思いますが、まだまだ大きな流れというところまでは残念ながらいっていないということでありますので、先ほど大臣がお話し申し上げましたように、この際、もう一遍やっぱり構造政策の洗い直しをして、もちろんこれは農地法制を含めて洗い直しをして、いま検討しているところであります。
#123
○三治重信君 そうすると、農地の賃貸借について、耕作権の保護と農地の高度利用との両方の兼ね合いを考えて対処をしていくと、こういうこと。それを自立農家の育成にもう一つつなげないと、その二つの対策がつながっていかない。農地の管理としてはそういう一つの抽象的な法制としてはいいけれども、問題は、農家がそれを実行できる体制にならぬと、かいたもちはいいけれども、それは実効が伴わないと、こういうことになろうかと思うわけなんですが、それで、この流動化のための地主に対する奨励金によって、それは農家に対して土地を貸す場合にはどういうふうな奨励金を出す考え方か、また、そういう今後やろうとする奨励金のねらう効果をひとつお聞きしたいと思う。
#124
○政府委員(大場敏彦君) いまお話しになりましたように、賃貸借関係を農地法から――農地法は、御存じのとおり賃貸借関係一般の民法の特例をつくっているわけでありますが、その特例をやめて、極端な話、一般民法原則にゆだねても問題は解決しないということだろうと思うのです。一般民法の世界でも最近は債権が物権化してきて、非常に借り手側の立場が強くなってきているわけでありますから、農地法を外したということだけでは、むしろ逆に賃貸借関係が進まないという弊害もあるいは出てくる可能性もあるわけです。そういう意味で、単に法制的な手当て、見直しということは必要でありますが、同時に、やはりいまおっしゃったように、借り手側、貸し手側それぞれ不安を持っているものをどうやって解消していくか、どういったマーケットづくりをしていくか、どういった仕組みでそういった市場というものを形成していくかということが必要だろうというふうに考えているわけであります。そういう意味で、そういった市場をつくると同時に、先ほど申し上げました法制的手当てと並んで、もう一つはやはり各種の農林施策の助成集中、そういったこともやっていく必要があるのじゃないかなというふうに思っているわけであります。
 いま御指摘になりました、地主側、貸し手側の方に助成をするという五十四年度から新たな方法を展開を試みているわけでありますが、これはいわば経済的な意味で助成をするということではなくて、やはり村、地域の中で、合意と理解という中で土地をできるだけ出してもらって、そしてやはり村全体のコンセンサスの中で、その土地は貸しっ放しにはならないのだよと、こういう安心感を与えながら土地を提供してもらうという運動が必要だろうと思うのです。その場合に、一種の踏み切り料という形で、国もあるいは地方公共団体もこういうお手伝いをするから、ひとつ地主の皆さんも土地を提供していただけないかと。それで、こういう仕組みであれば、貸したまま返ってこない、あるいは高額な離作料を取られてしまう、そういった心配がないようにするから出してほしいと、そういう意味のはずみをつけるための一種の踏み切り料というかっこうで貸し手側あるいは借り手側の発掘という運動を展開して、その中での一つの手段として、従来借り手側だけに出しておりました奨励金を貸し手側の方にも提供したらどうだろうか、こういうふうに考えてお願いをしているわけであります。
#125
○三治重信君 そうすると、結局この農地の流動化というのは、目標として、一つの部落、村の中でスムーズにやるための一つの刺激剤としてやると、こういうことですから、またその農地の賃貸借を権利義務で余りやると、そこになかなか解決策がむずかしいという御意見のようですけれども、そういう流動化の一つの安心感、農地法による在村地主、自作農という、非常な二重、三重の土地に対する足かせがあるやつを解放しようとする一つの手段だと思うんですけれども、しかし、それにも増して、地主から見れば、それを処分するときにただみたいになっちゃ大変だということだと思うんです。
 それから、借り手から見ると、それは何といいますか、自分の必要な部面の農業経営をやっているときに急に取られると大変なことになる、その保証の関係になる、こういうことなんですが、そこのいまの両方に、ことに地主に安心感を持たせるというのが、そういう奨励金でそういった保証がどうして得られるか。その部落の実行組合の組合長なり何なりが立ち会いで将来もそういうことについて保証するとか、また地域的な申し合わせでそういうふうにするという場合にやると、どちらに重点を地主の方に流動化に協力さすためには、やはり土地を手放すときに小作人たちの賃借農家にたくさんの土地の価格を取られぬように保証すると、こういうことなんですが、その保証はどういうふうになっているんですか。いわゆる短期の更新で保証さすとかというようなことになるんですか。
 しかし、それも続けていくと、今度は小作人の方も権利を主張することになる。そういうのはやはり法制的にこの農地法というりっぱなものをつくったわけなんだから、時代の変化によってそういう考え方を変えたことをしっかり法律にした方が、地主の方も、賃借賃借という表現がいいのかどうか、土地を借りて農業経営をやる者にも、やはりこれはもう土地問題というのは、法律的な、制度的なものにはっきり考え方を示してやった方が私はいいと思うんですが、そこまで踏み切らぬですか。
#126
○政府委員(大場敏彦君) おっしゃるとおりだろうと思います。
 いま私どもが考えておりますのは、ある程度実施しているわけでありますけれども、やはり御指摘のありました、貸し手側が貸しっ放しになって返してほしいときには返してもらえないというそういう心配がある。それから高い離作料を要求されるのじゃないか、そういう心配があってなかなか土地を貸したがらないということ。一方においては、借り手側はその裏返しになるわけでありますが、土地をいつ取り上げられるかわからない状態では、とっても土地改良投資もできないし経営の安定もできない。また耕作料は、これは切りがない話でありますが、安い方がいいということで、やはり借り手側、貸し手側の利害というものは本来的に対立し合う要素を元来持っていると、こういうように思うわけであります。
 しかし、そういうことでほうっておいてはなかなか解決できないことは御指摘のとおりでございまして、私どもがいま考えております、あるいは実施しておりますのは、市町村という地域の中で借り手側の集団とそれから貸し手側の集団というものが集まって、そこで市町村長あるいは市町村というような公的団体が、平たく言えば保証人みたいなかっこうでそして短期の賃貸借関係を成立させると。その中で借り手側は離作料は要求しないという一札もはっきり書くと、こういった関係で両方の安心関係を、不安を解消すると、こういう仕組みを試みているわけであります。
 また一方、地主がいつでも土地を返してもらいたい、そういう要求にこたえるということになりますと、今度は先ほど申し上げましたように小作の方は非常に心配になるわけでありまして、そういう場合には、たとえばある年はAという土地を借りておって、そしてそれを地主の要求で何年か、三年たったら返さなきゃならないという場合には、Aという土地は返してもその地域の広がりの中で別のBという土地を借りると、こういうような形の仕組みであれば、それは必ずしも経営の不安定ということにはならないということでありますので、そういった形で貸し手側の不安、借り手側の不安というものを解消して、需要と供給というものを結びつけるマーケットを形成していく、そういった仕組みがいいのじゃないかなというふうに私どもは思っているわけであります。
#127
○三治重信君 それを、あくまで何というんですか、一つの行政指導というんですか、補助金を、そういうこの市町村なり農協の素人に、行政の素人に任すと、こういうことですか。
#128
○政府委員(大場敏彦君) ちょっと答弁を漏らして恐縮であります。
 私が申し上げましたいまの仕組みは、現在の法制にも裏打ちされているわけであります。五十年の農振法改正とそれから農地を改正したときに、農用地利用増進事業という仕組みを発足させて、それによって賃貸借関係約一万町歩ぐらいにまだ現在のところそれだけでなっていますけれども、そういった仕組みを法律的にもつくっているわけであります。しかし、これで十分であるかどうかということになりますと、これはさらにいろいろ検討して、そういった流れというものを太くしていかなきゃならない。農地法制のもう一回いろいろ洗い直しということも同時にやっていかなきゃならない、そういうふうにいま考えているわけであります。
#129
○三治重信君 いや、そういうことでなくて、ぼくが聞いているのは、どの単位というんですか、部落の単位でやるのか、一つの町の単位でやるのか。農協の単位で、農協と市町村と、大体同じような町村が大きく合併したところは農協が三つ四つあるですわね。農協単位でやるのか、一つの部落の昔で言う農事実行組合、いま何と言うのかな、部落ごとに大体農事実行組合があって、その部落ごとの調整でやるのか、どういう単位でやるのか。
#130
○政府委員(大場敏彦君) 市町村という単位で農用地利用増進計画というものをつくらせ、その規定というものをつくっているわけであります。しかしこれは広うございますから、分割することはもうこれは自由だということで、実際は旧町村あるいはもう少し細かく旧集落、そういった段階で借り手が集まって賃貸借関係を結ぶと、こういったような現実のあれにはなっております。
#131
○三治重信君 そこでひとつ課長さんでもだれでもいいんですが、そういうふうにしてやってどれくらい農地が現実に動いているか。それによってどれぐらい自立農家というんですか、経営面積を拡大した農家があるのか。細かい統計はいいんですが、そういうことが成功している県、それからそういうものによって自立農家に近づき得るようになっている農家の戸数、そういうのがどれくらい現実の問題としてあるか、ひとつ二、三の例を御説明願いたい。
#132
○政府委員(大場敏彦君) 農用地の流動化の実績でありますが、御承知のとおり、売買は大体毎年四万数千ヘクタールぐらいあります。これは年によってそう振れはございません。
 それから賃貸借関係は、たとえば四十九年には五千ヘクタールでありましたのが、五十二年には約一万ヘクタールというぐあいにふえてはきているわけであります。それからそのほかに、いま私が申し上げました農用地利用増進事業というものが、これは五十一年から始めたわけでありますが、五十一年のときで二千六百八十町歩にすぎなかったものが、五十三年の十二月末では約一万ヘクタールということになってきております。これは農用地の、まだまだこれは決して十分だという意味で申し上げているわけじゃないので、不十分であります。率直に言って不十分でありますが、しかしテンポはのろうございますがふえてはきていると。さらに、これをもう少しアクセルを踏む必要があるという意味で申し上げているわけであります。
 それから、農用地利用の流動化は、地域によって非常に違いまして、たとえば東北なんかの場合ではむしろ需要の方が多くて供給の方が少ない。こういう関係で、非常に時価が高くなってきている。逆に、中京だとか東海、そういったところは貸し手側はわりあい多いけれども、借り手側の方の体制が非常に弱くて逆に需要側の吸引力が弱い、こういった事情があって地域によってばらばらであります。しかし、農用地利用増進事業を発足して日は浅うございますが、幾多の優良事例が出てきているということで、ことに西の方の中、四国、そういったところではかなり成績を上げてきているというふうに私どもは評価しております。
#133
○三治重信君 それと、農地の問題でもう一つ関連して、肉用牛の増産のために里山の開発ということがうたわれておるんですが、これは私は今後エネルギーの見通しの見解が違うとまた変わってくるかもわからぬですが、薪炭林、いわゆる雑木林が非常にたくさんある。これが言われるところにも関連すると思うんですが、これをやはり肉用牛なり畜産をやっていくために、草地にいわゆる薪炭林を改革していく政策をやっていく必要が私はある。ところが、薪炭林を草地に変えるということは、日本ではいままで余り成功してないわけなんですね。日本の草地というのは非常に雑草が生えてしまう。そうすると、酪農に使えるような草地にするというのは、やはりぼくは灌漑がうまくいかぬといい草地はできぬと思うんですが、農用地をふやす一つの手段として、畜産をふやす意味においても草用地の開拓を非常にやらなければいかぬと思うんですけれども、こういうことについてやるようになっておりますけれども、そういうことについてひとつどういうふうな所見を持っておられるか、お聞きしたいと思います。
#134
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先生もわかっているというから私説明いたしませんが、飼料基盤の整備という公共事業のほかに、特に里山の利用促進事業というのを新規でつくっていこうと、こういうようなことで、ただ、いままでの草地造成といったら、もう広いところを大々的にやるというヨーロッパ式の方法だけをやってきたわけですよ。しかし、勾配のうんと強いようなところで、それをトラクターが入って平らにするなんというのは莫大な金がかかる。しかしながら、そういうところは地価も安いし面積も多い。こういうところは、種類にもよりますけれども、かなりの傾斜でも牛は登りますから、したがって、そういうような里山は里山なりに開発をして、そこで余り金を造成にかけないで、しかも草がとれればいいわけですから、そういうようなことも並行的にやっていこうという新しい事業を進めようとしております。
#135
○喜屋武眞榮君 私、大臣にお尋ねします。
 大臣の所信表明を一読いたしますと、すぐ感じますことは、日本の農林水産業の根本的な見直しの姿勢と申しますか、そういった意欲が十分うかがわれます。そして、これからの展望を志向しておられることがよくわかります。ただ、翻って考えますと、農業政策の大きな実りというものは、裏づけとしての予算の、財政面の裏づけがなければいけないということは申し上げるまでもありません。もし財政の裏づけが貧困であるとするならば、いかなる政策もこれは絵にかいたもちにしかすぎない、こう言っても過言じゃないと思います。
 そこで、五十四年度予算を見てみますと、政府予算三十八兆六千一億円に対して農林水産関係が三兆四千六百三十一億円となっておりますね。全体の予算の伸び率が一二・六%、農水予算の伸び率が二二・三%、〇・七%のアップということになっておりますが、この予算で大臣のねらっておられる所信表明の内容が十分実現できる、これで十分だと、このように考えていらっしゃるのであるかどうか、まずその点をお伺いしたいと思います。
#136
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私はこれで十分だとは思いませんが、一年間でやれる仕事には限界があるわけですから、一年の予算として見ればまずまずの予算であると。
 特に、今回はかなり農林予算は落ち込んでおったのですが、国債費を除いたシェアというものが初めて一〇%をオーバーしたわけです。国債費というのは、御承知のとおり借金の元利払いみたいな話ですから、これは予算の中でも何にもならないものでしょう。実際は使われるものじゃないですからね、事業費に。それを除きますというと、農林予算は一〇%をずっと維持していたのですが、ここ何年間か落ち込んでおった。それがまた一〇%台に乗ったという点では飛躍的に拡大をされたし、伸び率も、公共事業というふうなかね太鼓でどんどんやっている政府の最大の目玉でしょう、これは。その目玉まで含めた予算で一二・六というのですから、それよりも農林予算は一三・三というのはかなりのこれは伸びなのです、実際は。したがって、欲には切りがありませんが、現在の予算の配分その他から見ると私はかなりよく配慮してつけたと、こういうように思っております。
#137
○喜屋武眞榮君 次にお伺いいたしたいことは、この所信表明の中に「地域の実態に即した農業生産構造を確立するための施策」を強調しておられますね。その観点から、わが国の唯一の亜熱帯農業地としての沖縄農業をどのようにとらえておられるか、どのように位置づけておられるか、そのことをお聞きしたい。
#138
○国務大臣(渡辺美智雄君) 日本列島は北から南まで非常に細長いところであって、北海道から、ともかく寒いところからまた沖縄のように暑いところと言っちゃなんですが、暑いところですな、そこまであるわけですよ。したがって、農業というものは自然相手の仕事ですから、おのずからそこでできるものは違ってくると。そういう点で、沖縄は亜熱帯地帯として、沖縄としてともかくほかでは競争できないようなものを中心にやったらいいじゃないかと、私はそういう考え方なのです。
 したがって、やはり沖縄というものは、一つには何といってもあそこはサトウキビだ、それからまあパインというものが中心になって、あとは畜産とかそういうものをつけていくと。将来は、特に内地ではどんどん省資源、省エネルギーというときに、石油を燃してそれで野菜をつくらなきゃ冬野菜ができない。沖縄は、この間も私行ってきたのですよ。もう露地野菜がりっぱなものがいまどんどん出ている、こういうものを内地に持っていけないということは非常にこれはまずいことであると。したがいまして、沖縄では何といってもウリミバエの退治とか、それから何とかバエとか、私詳しいことは知らぬが、植防関係の害虫がいるわけです。この害虫征伐に、これはもう金に糸目をつけないで徹底的におやりなさいと、必要だったら予備費でも出してあげますよというぐらいのことを、ちょっと大臣としては無謀な暴言みたいな話かもしらぬが、やってできないことはないわけですから、有効な方法があればそういうところに最重点の力を入れて、そして将来はやはり冬の野菜なんというのは新鮮なものを沖縄から東京、大阪へカーフェリーで運んだっていいわけですから、そういうような方向でやれば、日本全体としても省資源・エネルギーという時代にも非常に役立つではないかというようなことで、私は沖縄はそういうような沖縄の特性を生かすこと。
 それから、やはり沖縄も非常に農業が零細ですから、やはり基盤整備のできるところは基盤整備をきちんとやって、先ほど言った農地法等の関連もこれから出てくると思いますが、近代的なサトウキビ農業というものができるように持っていく必要がある。私は昭和四十五年から六年に政務次官をやって沖縄に参りまして、あの八重山開発なんというのは私のときに決めてきたのです。それがいま非常に進行しておるという姿を見まして、非常に私もうれしく思っておる。したがって、今後とも沖縄は沖縄の地域を生かした近代農業ができるように、力を入れてまいりたいと考えております。
#139
○喜屋武眞榮君 いまおっしゃったとらえ方は基本的に賛成いたすものでありますが、サトウキビの問題、パインの問題、あるいはミカンの問題、それから野菜供給地としての問題、こう大きな問題を四つとらえられておりますが、特に野菜供給地としての立場から、いまそのがんになっておるのが、さっきおっしゃったミカンコミバエとウリミバエですね。この害虫がすなわち東南アジア、フィリピン、台湾あたりから北上してやってきております。そして沖縄に来る、沖縄から奄美大島に、九州にと、やがて本土にもどんどん上陸、進出していく可能性が十分あるわけですね。
 そこで、一刀両断といいますか、沖縄の蔬菜園芸を育成していくという、栽培していくという面からも大事だし、さらに本土への害虫が上陸していく、進出していくということを沖縄で食いとめると、こういう立場からも、このウリミバエとミカンコミバエその他の害虫を徹底的に沖縄で阻止すると。幸いに、沖縄の離島の久米島でそれが成功しております。ところが、久米島というのは沖縄のまた一離島であります。そこは輸出が自由ということになっておりますが、大事な点は、沖縄本島、宮古、八重山を含めて、そこでの栽培、育成ということがもっと大事でありますので、この久米島の撲滅を一つの前例として、沖縄全体の駆逐、せん滅を徹底的に、しかも早急にこれをやってもらわなければ、沖縄農業、特に蔬菜園芸が進展しないと、こう思うわけなんですが、それに対するお考えと、その予算の裏づけがそれに伴っておるかどうか、それをお聞きしたい。
#140
○国務大臣(渡辺美智雄君) 全くそのとおりでございまして、私は西銘君にも、あなたの最大のこれは仕事にしたらいいじゃないか、ああいったような研究所もあるし、県の試験場もあるし、学問の世界は私よく知らぬが、放射能で雄の何というか精虫を殺しちゃうとか、天敵を利用するとか、薬をまくとか、いろんな方法があるようです。あるようですが、そういうような費用はかなりのものを、何億円か、園芸局長に具体的に答弁させますが、ことしはかなり持っております。しかしながら、もっといい方法があるのだ、そのために金が足りないというのならそれを工面しますよと、たいした金じゃないのですから。だから、それはもうここ二、三年かけて徹底的にひとつやってくださいということを言っておりますし、そういう方針で今後も引き続いていきたい、こう思っております。
#141
○喜屋武眞榮君 その予算の裏づけが具体的にありますか。
#142
○政府委員(二瓶博君) ただいまお話のございましたウリミバエの関係の防除の予算でございますが、五十四年度は一億四千六百万円でございます。十分の十の補助ということで、開発庁の方に計上をいたしております。それからミカンコミバエというのもございますが、こちらは二億四千九百万、これまた沖縄開発庁計上、十分の十の補助ということでございます。
#143
○喜屋武眞榮君 ぜひひとつ早急にいまの予算の裏づけで進めていただいて、これがもう一刻も早くということで、非常に大事なウエートがなければいけない。特にピーマンとかカボチャ、ニンジン、サヤインゲン、早切りミカン、これは本土で非常に好評を博しておるんですね。ところがいま薫蒸して輸出をするために、そのために時間も費用もかかるし、それから生鮮度もダウンしてくるわけでありますので、この点ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。次に、冷凍パインのかん詰め問題ですね。この冷凍パインについては、輸入冷凍パインを原料とするかん詰めの急増によって沖縄県産のパインかん詰めメーカー、それから本土代理店に大きな打撃を与えておるわけなんです。それについて衆議院での質疑でも、大臣は二月二十八日の分科会で答えていらっしゃいますが、輸入の自由化、関税引き下げの交渉もあって輸入規制はむずかしいが、タイ国に関しては秩序ある輸出を行うよう話し合っていきたい、こう御答弁しておられますが、そのタイ国との話し合いは現時点ではどうなっておるのであるか、これからなのか、話し合われたのであるか、これが一点と、それから国内業者の動きはどうなっておるのであるのか、この二点について伺いたいと思います。
#144
○国務大臣(渡辺美智雄君) タイ国の問題については、本格的にはこれから――いままでも話はしております。しておりますが、さらにこれから詰めていきたいと思っております。
 なお、業者の問題は、日本人が輸入するわけですから、したがって日本罐詰協会、これが中心になりまして、三月の二十二日に冷凍パインかん詰め製造業者と輸入商社が集まりましてその相談をすると、こういうことになっております。いずれにいたしましても共倒れでは困るわけですから、ですからそういうことのないようにしたい。
 それからもう一つは、やはり表示をJASで、ともかく冷凍のものは冷凍と、生の純粋のものはそういうふうな表示をきちっとさせよう、そうして消費者に、もう冷凍のものは幾らもとへ戻してもこれは冷凍なんですからごまかされないようにしてくださいよという、基準をきちっと守らせるということなどをいたしまして、極力打撃の少なくなるように努力をしていくつもりです。
#145
○喜屋武眞榮君 国際貿易上はいろいろ難点もあると思いますが、抜本的には冷凍パインの輸入規制、こういうことが抜本的な対策になると思うんですが、それはどうしても無理なんでしょうか、どうですか。
#146
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは非常に国際問題になってまいりまして、規制するというようなことにはなかなか、むしろ日本の規制を緩めろという国際世論が、もう世界じゅう寄ってたかってそういうふうな話ですから、そこで日本が規制を今度さらに強化するのだということになると、世界じゅう相手にけんかするみたいな話になっちゃいまして、なかなかこれはむずかしい、実際問題として。したがってそれ以外の方法でやるしかないだろうと、こう思っております。
#147
○喜屋武眞榮君 それではこの問題につきましては、具体的にはこれからタイとの交渉も進めていくというお話のようですが、ぜひひとつ可能な限り早く詰めていただいて、そして現地の不安やあるいは業者の、本土メーカーの、輸入業者の不安をなくしていただくよう、そして沖縄の特殊な地場産業をぜひ守っていただくよう、強く重ねて要望いたします。
 次に、含みつ糖保護対策についてお尋ねします。
 実情は御存じと思いますが、沖縄県含みつ糖工場が非常に経営難に陥っておると。五十二、五十三年、まあ二年度にわたるんですが、全工場で前期で約二億五千万円の赤字を抱えておる。ところが、従来この含みつ糖の問題につきましては保護制度がないために、その価格差補助金の支給によって、国が三分の二、県が三分の一ですか、こういう抱き合わせで今日まで推移している、経過をたどってきておるわけですね。ところがその実情は、五十年ではたしか四億五千万円ですね、それに対して県が一億五千万円、五十一年が八億三百万円、沖縄県が二億六千七百万円、五十二年が十一億三千六百万円、沖縄県が三億七千八百万円、五十三年が十四億三千五百万円、県が四億七千八百万円、こういうふうにウナギ登りに毎年毎年県の負担も上昇してきておるわけなんですね。貧困財政の中で非常にこの含みつ糖の対策で、しわ寄せで大変困っておるわけなんです。それで五十四年度、今年度も承りますと十七億三千七百万円、それに対して県が五億七千九百万円、こうなりますと、もうますますこれは窮地に追い込まれるわけなんです。
 そこで、この価格差補助金は年々このように上昇してまいるので、その保護制度の中にこの含みつ糖も含めるわけにはいかぬのであるか、なぜそれがその方に含まれないのであるか、このような暫定的な措置で毎年毎年この不安、動揺を与えておるのであるか、その点ひとつはっきりさしていただきたいと思います。
#148
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御質問の趣旨は、一般の砂糖のように事業団の対象とできないかという御趣旨じゃないかと思いますが、これは含みつ糖の品種は非常にまちまちだというようなことや、菓子などの固有の用途に多く消費されておって、一般の砂糖とは異なる独自の価格形成がなされておるというような点から非常にこれはむずかしいのです。したがいまして、この含みつ糖については、復帰の際のこれは特別措置としてこのような価格差補給金制度というものをこしらえてきているわけです。したがって、鹿児島の含みつ糖にはこのような措置はとっていないのです。沖縄だけ特別扱いをやっているわけです。
 そこで、含みつ糖がどんどんうんと生産されることはこれは困るわけでありまして、やはりわれわれとしては、新しい用途を開拓するとか、たとえば粉糖ですな、粉の含みつ糖、あれなんか大変評判がよくて、ことしなども日本に持ってくる量をふやすということで、適正量はこれぐらいじゃないかなんて指導はやっておるわけですが、そういうような新規用途の開発、それからやっぱり生産の適正化ですね、これをどんどんつくられましたらとても莫大な金が、もう補給をしていくことは県もお手上げだろうし国も困るわけですから、やはりその生産量の適正化ということ、それから生産のコストの合理化と品質の改善、こういうようなことをやったり、あるいは沖縄県の含みつ糖公社を主体とするところの一販売体制がまちまちでよけいな経費がかかる、そのためにコストが高くなってもうけが少ないというのですから、これを県の含みつ糖公社を主体として販売体制を一元化していくということなどいろんな方策を講じていきたい。
 そうすると、必ずこの離島振興の問題で、それじゃ沖縄のさらに離島は困るじゃないかという御議論がすぐ出るのですが、これは砂糖だけでやれと言われましても、農林水産省だけじゃ手に負えない点もあるわけですから、いろんな総合的な方策を講じて、沖縄のさらに離島については、別な国全体の対策でその離島の振興というものを考えていくほかないではないかと、こう思っております。
#149
○喜屋武眞榮君 基本的には、分みつ、含みつ含めて国産糖としてのいわゆる国民の甘味資源の補給地としての沖縄、このような見解に立って分みつ糖並みの適用がどうしても無理であるのかどうか。そうであるとするなら、沖縄だけとおっしゃられますけれども、いまの三分の二、三分の一のこのしわ寄せを全額国で補償すると、こういうことはこれは不可能ではないと思いますが、それはいかがですか。
#150
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは全額というのは前例もございませんし、また、そうしてどんどんふやされたのではこれまた困るわけですから、やはり適正な生産規模にとどめるということで、離島の生活維持のために特別措置としてこれはやっていることでございますので、補給金制度は暫定措置だからなくなるのじゃないかという心配はございますが、それは沖縄の実情から見て、本来ならばこれはだんだんなくなるというのが筋でしょう。筋でしょうけども、この価格差補給金はまあ当分は続けていくしかないのじゃないかと、こう思っております。
#151
○喜屋武眞榮君 この点は、非常に窮地に追い込まれて、含みつ糖の業者が、生産者が、どうしてもこれを救ってもらわなければ困ると。特に離島対策の立場からも離島振興の立場からも、これはどうしても、ああそうでありますか、わかりましたと、こう下がるわけにはいかぬ気持ちでありますので、ひとつ十分検討配慮していただきたいと、こういうことを強く要望申し上げておきます。
 次に、粉状黒糖について、今期の含みつ糖の生産量は約一万二千トン、こう踏まえておるようですが、そのうち二千八百トンを粉状黒糖にすると。前年は四百二十九トンですね。で、二千トンを本土市場に出す計画であったが、農林水産省と県との話し合いで一千トンにとどめるように協定したと、そう聞いておりますが、その二千八百トンから一千トンに減じた理由は一体どういうわけであるのか、その点お聞きしたいと思います。
#152
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、評判がよかったからといっても、希少価値があって評判がよかったと私は思うのですよ、四百トンというようなものは。それを一挙に今度は四倍にもするというようなことを言っても、必ずこれはどかんと値が下がってしまって、せっかく量はふやしたけれども値下げになっては何にもならぬわけですから、内地の方だってそんなに知れ渡っているわけじゃない、PRが進んでいるわけじゃない。したがって、やはりそれは安全をとった方がいいじゃないかというようなことで、それでも去年の倍以上になっているわけです。
 ですから、ここはやっぱり安全、大事をとったということですよ。ことしやってみて、さらに宣伝もして、商品ですからつくってどかっと持ってくれば売れるというものじゃないですから、やはり宣伝をしながら値が崩れないように売っていくというのには、一挙に四倍にもするということは無謀だから、倍だってちょっと多いのじゃないかという気もするのだが、まあしかしやってみようということで一千トンと、こういうことにしたのであります。
#153
○喜屋武眞榮君 そうすると、需要供給の立場からの問題ということなんですね。
#154
○国務大臣(渡辺美智雄君) そうです。
#155
○喜屋武眞榮君 それで、そのことは政府の押しつけじゃなく、現地も十分合意の上に、納得の上にそういうふうに調整ができたと、こういうふうに理解していいですか。
#156
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、現地でもせっかく内地まで運んで暴落しちゃったのじゃ何にもならぬわけですから、やはりよく考えてみれば、損しない程度で値段が維持できるというのはここらが限界じゃないかという、これはやってみないことにはわからぬわけですよね、経済取引ですから、自由価格なんですから。ですから、それは当然納得の上でそういうふうなことになったというように思っております。
#157
○喜屋武眞榮君 それじゃ要望いたしますが、経済変動いろいろな流動的な面があると思いますが、もしこの枠をふやしていくことも可能であると、こういう状況であるなら、できるだけ吸い上げてこの含みつ糖生産者の立場を救っていただきたい、このことを強く要望申し上げておきます。
 最後に、沖縄は戦後三十四年、復帰八年になってやっとこの四月一日から沖縄に畑作物共済制度が適用されるわけでありますね。その制度の適用に当たって、現状は、その準備の状況はどうなっておるのであるか。そうして順調にそれが四月一日から間違いなく乗っかかっていけるか、滑り出し。
#158
○政府委員(今村宣夫君) 畑作物共済につきましては、本年四月一日から本格実施に移行されるわけでございますが、現在私たちはこれを目指して、鋭意準備を取り進めております。
 それぞれPRその他関係政省令の公布、定款例の通達、それから単位当たり基準収量、共済金額等の告示等を取り進めまして、現在その準備は順調に進んでおります。したがいまして、四月一日から法律あるいは予算において当初想定したとおりの事業実施が行えるものと考えておる次第でございます。
#159
○理事(山内一郎君) 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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