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1978/03/23 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 農林水産委員会 第7号
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1978/03/23 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 農林水産委員会 第7号

#1
第087回国会 農林水産委員会 第7号
昭和五十四年三月二十三日(金曜日)
   午前十時十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     増岡 康治君     田原 武雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長        久次米健太郎君
    理 事
                青井 政美君
                大島 友治君
                山内 一郎君
                栗原 俊夫君
                相沢 武彦君
    委 員
                岩上 二郎君
                小林 国司君
                初村滝一郎君
                降矢 敬雄君
                坂倉 藤吾君
                丸谷 金保君
                村沢  牧君
                原田  立君
                藤原 房雄君
                河田 賢治君
                下田 京子君
                柳澤 錬造君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農林水産大臣   渡辺美智雄君
   政府委員
       農林水産政務次
       官        宮田  輝君
       農林水産大臣官
       房長       松本 作衛君
       農林水産省経済
       局長       今村 宣夫君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     二瓶  博君
       農林水産省畜産
       局長       杉山 克己君
       農林水産省食品
       流通局長     犬伏 孝治君
       農林水産技術会
       議事務局長    堀川 春彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹中  譲君
   説明員
       文部省体育局学
       校給食課長    坂元 弘直君
       厚生省公衆衛生
       局保健情報課長  長谷川慧重君
       厚生省児童家庭
       局企画課長    朝本 信明君
       運輸省航空局監
       理部監督課長   早川  章君
   参考人
       畜産振興事業団
       理事長      太田 康二君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○農林水産政策に関する調査
 (畜産物価格等に関する件)
 (繭糸価格安定制度に関する件)
 (動物及び植物防疫に関する件)
 (蚕糸業の振興に関する決議の件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(久次米健太郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産政策に関する調査のため、本日、畜産振興事業団理事長太田康二君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(久次米健太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(久次米健太郎君) 農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○丸谷金保君 最初に、事業団の理事長さんに、昨年の一月十八日の決算委員会で私が事業団の補助事業について質問いたしました。そして、そのときは理事長さんの方は大変歯切れのいい、ちゃんと効率的に行われているという御答弁がありました。そして、それで私の方は会計検査院の方に、このことについて調査をするようにというふうに要求いたしまして、会計検査院の方が、私たちの指定した全国のうち、どういうわけか北海道をとったんで、何で北海道だけやるんだと私は後で言いましたけれども、北海道だけを調査した結果でも相当程度のでたらめ助成というのが出てまいりました。
 これは北海道だけだから十八農協で済んでおりますけれども、全国的にこのときの助成金は出ておりますので、全部を調べればとてもこんな十八農協なんかでは足りない、もっと多くのものがたくさんあると思います。これらについて会計検査院の方からの返還命令が出ている。しかし、会計検査院が調査しなかった他の都道府県については、自主的に事業団としてどのような措置をとったかということを、大変歯切れのいい答弁をしたけれども、事実は違ったので、国会での答弁ですから、本来はこれは決算委員会で問題にいたしましたことですが、きょうは畜産の集中審議ということなので、今後の審議の都合もありますので、その点について理事長の見解をお願いいたします。
#6
○参考人(太田康二君) 昨年のたしか一月十八日であったかと思いますが、先生から御質問がございまして、畜産経営改善資金利子補給事業についてのお尋ねがございました。私どもはこの事業が、御承知のとおり昭和四十八年度以降の畜産危機で畜産農家が大変借金をしょって、それが固定化負債になっておると。末端の金利が高うございますから、できるだけ安い金利の事業にするための利子補給事業を仕組んだわけでございます。仰せのとおり、この金が畜産経営農家が立ち上がるために役立ったかと思いますが、一部の地域で御指摘のようなことがございましたことは、会計検査院の群馬県並びに北海道の調査によって明らかになったわけでございまして、まことに私どもの末端の農協あるいは都道府県の指導が不十分であったということで深く反省をいたしております。
 そこで、私どもといたしましては、会計検査院の検査に同行いたしまして、指摘を受けたものにつきましては直ちに補助金の返還を実施いたしました。それから、その後私ども自体といたしましても、五十三年の十月から本年の二月までの間に、主要県二十八県について現地調査を実施いたしました。この結果、十三県で約四百万円について利子補給金の返還をさせる必要があると認められましたので、利子補給金についての返還を命令をいたしまして、すでに返還が処置済みということに相なっておるわけでございます。
 なお、全部の県をまだ実施をいたしておるわけではございませんので、県ともタイアップいたしまして残りの県につきましても、この事業が五カ年間の継続事業でございますので、少なくとも五十四年度中には全部一応融資機関について調査をする、そして不当なものがございますれば従来実施してまいったと同様に返還をさせるということで対処してまいりたいと、かように存じておる次第でございます。
#7
○丸谷金保君 大臣にお願いいたしますが、畜産振興事業団のそういう補助金等についてはとかくのうわさがありまして、それで私の方は、一つの事業にしぼって数字を出していただき、この問題について調べるということで調べさしただけでも、いま理事長答弁のように、相当広範な都道府県において補助金の返還をさせなきゃならない事態が起こっているわけです。しかし、あれは私の方で指摘しなければ会計検査院も調査に入らなかったんです。ですから、こういう事業団の運営については、主務大臣として十分監督を厳にするように、ひとつこの機会にお願いを申し上げておきます。
#8
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御指摘のような御批判がないように、理事長も新しい理事長を迎えてやらしておるところでありますから、これからは遺漏がないだろうと思います。そのように厳重に申しつけておきます。
#9
○丸谷金保君 次に、同じく事業団の方にお伺いいたしますが、雪印乳業が事業団放出バターを自己の工場の製品の中にブレンドして、あたかも全部それは国内の製品でつくったがごとく消費者に印象を与える売り方をした。このことがわかりまして、会社自体も新聞等を通じて陳謝の意を表しております。これらにつきまして、一体牛肉についてはずいぶんいろんなうわさも出ておりますし、放出の仕方、放出といいますか、払い下げの問題についても指定業者がどうのこうのといろんなことが出ております。しかし、バターについても相当多数のダミーが中に入って、それで結局は、大手の生産会社の方にそれらがさらに流れていくという風評もっぱらでございます。放出用バターの放出の制度それから入札に参加する者の資格、それらの点について御説明願いたい。
#10
○参考人(太田康二君) 事業団の保管をしておりますバターにつきましての売り渡しにつきましては、通常の売り渡し、いわゆる需給上に基づく売り渡しと特別売り渡しがございます。これは、いずれも不足払い法に根拠があるわけでございますけれども、一つは通常売り渡しの場合でございますが、指定乳製品の価格が安定指標価格の一〇四%を超えて騰貴しまたは騰貴するおそれありと認められるときということで、農林水産大臣の承認を条件に――一般の場合には一般競争入札で売りまして、特に指名競争入札、随契で売る場合には、農林水産大臣の承認を条件に売っておるわけでございます。それからいま一つは、いま御指摘のような特別売り渡しの場合でございまして、特に事業団の保管数量が国内生産予想数量の十分の一を超える場合とか、事業団の指定乳製品の保管期間が一年を超える場合その他省令で定める場合というようなことでございまして、ただいま御指摘のような場合には、まさにこの保管期間が一年を超えるという場合、品質保持上やむを得ず特別に売却するという必要に基づきまして売る場合でございます。この場合には、もちろん施行令十一条に基づきまして農林水産大臣の承認を受けることになっておりますが、従来これにつきましての売り渡し方法について特に規定がないのでございますが、過去の例等は随意契約で売り、あるいは指名競争入札で売っておるというようなことに相なっております。
 そこで、その場合の価格でございますが、その他特別の必要があるため農林水産大臣が大蔵大臣と協議して定めるところによりまして売り渡す場合ということで、特別な値段である程度売らざるを得ないというような場合もあるわけでございます。
 今回の雪印のいまの御指摘の問題でございますが、これは五十一年度に輸入したバターが、先ほど申し上げましたように、長期の保管になっておりましたため、保管、管理上の観点から酪農業界の協力を得て国内産のものと、これは売り渡しではなしに交換をいたしたものでございます。国内産品と交換をいたしました。そこで、まず交換に当たりましては、需給上の中立を保つために等量交換ということで、品質上の格差については、当然これは片一方が時間も経過をいたしておりますし、品質が若干低下をしておるということで、不足金を支払いまして、金銭で不足を支払いまして交換をいたしております。
 そこで、もちろん古くなってはおりますが、私の方の品質検査につきましては、厳重に乳業技術協会に検査をしていただきまして、もちろんこれは使えるという適格品であるということは間違いないわけでございますので、私どもはその私どもが売った先がそれをどう使うかということにつきましては、特に条件はつけていないのでございます。したがって、私どもといたしましては、これをどのように使うかということにつきまして、買い受け人がどういう用に使おうということで、特にその使用について不当であるというようなことはなかろうというふうに考えておるのでございます。
 ただ、御指摘のように、国産バターと混合して売っておるというような場合に、値段が高いというようなことになりますれば、私どもは安く売っているわけでございますから、ある程度安くして売ってもらわなければならないわけでございまして、国産バターと同じ価格で売っておるというような事態の場合には、当然問題になろうかと思います。今回の雪印の場合もそういう話が出たということでございましたので、私ども一応呼んで聞いておりますが、値段は国産バターとは格差をつけて売っておるというふうに承知をいたしております。
#11
○丸谷金保君 本当ですか、それ。国産バターと差をつけて、これは古い外国のバターが入っているから安いんですよというふうなことを雪印は言って売っていましたか。大丈夫ですか、そこのところ。
#12
○参考人(太田康二君) まだ余り市場にも出回っておりませんようですし、余りバターの売れ行きがよくないので売れてないというふうに聞いておりますが、売る場合には当然国産品と格差を設けて売るということに聞いております。
#13
○丸谷金保君 国内の加工原料乳がだぶついているというときに、外国のバターが国内産のバターに化けて出回るようなことはないように、厳に慎んでもらわなければならぬという点が一点。
 そして、新聞の報道によると、何でもないものなら、何で雪印はあんなに、まことに申しわけないというようなことを言ったのか。これはまたいずれかの機会に、局長さん、もっと立ち入って、いまの事業団の理事長さんの言ったようなことかどうかということについては、十分調査をひとつ局の方でもお願いしたいと思います。
 それから、あわせて事業団の方に聞きます。この場合は等量交換だということですが、随意契約あるいは指名入札契約という場合の価格の設定の仕方、これは予定価格というふうなものを立てて競争入札に入るんでしょうけれど、そういうあれですか、指名の場合の指名業者というのはどういうのを、それからまた、その場合売り渡した品物については直接用に供するとか、あるいは転売してそれでもうけてもいいとか、そういうことについての規制措置はどのようになっておりますか。
#14
○参考人(太田康二君) 先ほどの輸入バターの売り渡しの問題でございますが、確かに、市況がだぶついているときにそういうことをやるのはおかしいではないかというような御意見でございますが、法律的にもやはり品質、保管上問題がある場合には、特別売却なり、あるいは交換のあれが認められておりますので、手際としては余りよくないわけでございますけれども、さようなことで売った、あるいは等量交換をしたというようなことがあるわけでございます。
 それから、価格につきましては、売り渡しの場合で申し上げますと、通常の売り渡しの場合には、指定乳製品の場合に安定指標価格の一〇四%を基準として、輸入物でございますから品質格差がございます。それから、売り渡し場所、保管期間、保管費用、需給事情等及び時価並びに物価その他の経済条件を参酌して定めるということで、これはもちろん農林水産大臣の承認を受けて実行をいたしておるわけでございますが、それぞれ脱粉、バターにつきまして、いま言ったようなことを条件に基づいて売り渡し価格を決めておるのでございます。
 それから、牛肉の場合と違いまして、私どもはできる限り広く、まあだれでもバター、脱脂粉乳の場合は応札してもよろしいというようなことで広くとっておるわけでございまして、一般競争入札が原則になっておりますが、特定の場合に農林水産大臣の承認を条件に指名競争入札あるいは随意契約ということでやっておりますが、たとえばホエイパウダーのようなものは、御承知のとおりもうこれははっきりとパンが使うというようなことで、全パンだけの組織の方々に随意契約で売るというようなことをやっております。それから、品物によっては特定の団体が使うのに一番ふさわしいというようなことで売る場合もございまして、そういった場合には指名で、特定の団体を指名いたしましてそれに売っておるというようなことでございます。
#15
○丸谷金保君 その随契の特定団体の指名に入っているのはたくさんありますか、少なければ名前だけちょっとお知らせください。
#16
○参考人(太田康二君) ホエイの場合には十九社が入っております。――失礼しました。バターも十九でございます。
#17
○丸谷金保君 その場合はあれですか、たとえば転売禁止とか、そういう、それの行方についての商行為については一切の制限はつけていないんですか。
#18
○参考人(太田康二君) 先ほど申し上げましたように、法律で規定された値段に基づいて売っておるわけでございますので、特に売り渡し先に、これを他に転売してはいかぬとかいうような条件はつけておりません。
#19
○丸谷金保君 一切の条件がついてないというふうに理解してよろしいですか。
#20
○参考人(太田康二君) バター、脱粉については特につけておりません。
#21
○丸谷金保君 通常私たちは、役所関係の払い下げその他の場合に、特に随契の場合に、払い下げをしてくれという申請書をまず取りますわね。そうすると、申請書の中身に、使用目的はこういうふうにというふうなことが書いて出てくるのが普通だと思うんです。そうすると、その使用目的書いて出てきて、おたくの方ではそれで随契で払い下げ許可をすると、こういう順序をとっているのかいないのか、口頭でやっているのかどうか。
#22
○参考人(太田康二君) 原則として、先ほど申し上げましたように指名競争を原則としておりますので、特にそういったことはやっていないわけでございます。
#23
○丸谷金保君 私は、随契の場合どうしているのだと聞いているんです。
#24
○参考人(太田康二君) 私の説明がちょっと悪うございましたので、あるいは誤解をお招きいただいたかと思いますが、先ほど一般的に通常売り渡し、特別売り渡しの事例につきまして申し上げまして、過去に特別売り渡しの場合に随契でやったというようなことを私ども申し上げたわけでございますけれども、最近随契でやりましたのは、輸入バターと国内産バターを交換をいたしたことがございます。これはやはり私どもの保管期間が相当長くなりましたので、交換をせざるを得ないということで、法律の規定に基づいて交換をいたしたわけです、が、そのときに随契でやったわけでございます。
#25
○丸谷金保君 時間がないので的確に言ってもらわないと、またもう一日やらなきやならなくなっちまうのでね。
 私の聞いているのは、随契でやった場合に、そういう書類上の手続をとっているのかいないのかと聞いたんだから、いるとかいないとか言ってくれればそれでいいんだよ。どうなんです。
#26
○参考人(太田康二君) 特にやっておりません。
#27
○丸谷金保君 大臣、ちょっと普通にこれはおかしいと思うんです。役所の常識から言って、何にも取らないで随契をやるというふうなことというのはね。
 じゃ、随意契約の契約書というのは金額だけで、何ぼ売ります、はい、ということになるということは非常にあれなので、この点については時間がないので後に譲りまして、一遍その随契の資料、ここに出してもらうほどのこともないのですから、見せてください。どういう随契をやっているのか。時間がないからやめましょう、そのことは。先へ進みます。
 次に、酪農家の負債の実態、特にそのうち根釧、十勝、北見のものについて、これは細かくやれば細かく出てくると思います。一町村の全酪農家の負債、経営の実態もここに持っております、全戸の。ですから、そういうのではなくて、総括的にどういう状態にあるか、酪農家の負債の実態はどんな状況だと、そのことについての大臣の御認識をひとつお伺いします。
#28
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私の方は統計上の数字しか持っておらないわけでございますが、農家経済調査によりますと、酪農家一戸当たりの借入金は昭和五十二年度末におきまして全国の平均が六百三十一万五千円でございますが、北海道は平均して千百六十四万四千円、三十頭以上の農家だけで見ると二千百万四千円、こういうようなことになっておるわけであります。酪農の急速な規模拡大というものを政府は奨励をいたしておりますから、規模が大きくなって頭数がふえ、施設がふえ、したがってそれに伴って借金もふえておる。ヨーロッパのようなところは、もう何十年、何百年かかって規模拡大が行われておりましたが、こちらは非常に急速に規模拡大をやっておりますから投下資本は非常に多い。したがって、酪農家の場合は、収益はかなりよくなっているのですよ。収益はかなりよくなっておりますが、金繰りについては必ずしもすべての農家がいいとは限らない、苦しい人もあるというように認識をしております。
#29
○丸谷金保君 大臣、ひとつ聞いていただきたいんですが、私は旭川で車に乗ったんです。その運転手さんは上田芳弘さんという方です。この人は東神楽で二十五町の畑を持って三十頭の牛飼いをやっていたと。借金が二千万円以上になって、とてもこれは先行きどうもならぬということで全部売って、ごく一部の土地は残して酪農をやめて、東神楽というのは旭川の隣の町ですから、旭川に出てハイヤーの運転手をやっている。聞いてみますと、最初は金利の安い長期のやつだからよかったんだと、ところがだんだんと返せなくてプロパーに移ってくるから、金利がもう年間二百万も払わなきゃならなくなる、どうもならぬと。これじゃあ何ぼやってもしようがないということで、二百万金利を払うくらいなら、二百万あれば食えるんだから全部整理した方がいいと、それで出てきてやっているけれども、これもなかなか楽な仕事でないと。
 こういう例は、これは一例ですが、枚挙にいとまないと思うんです。いまのは平均値で大臣の方はおっしゃっていますけれども、その中にはやっぱりばらつきがありまして、どうしてももうやめなきやならないような経営の困難な人もいるし、長年やっていて安定している人もおりますですわね。そして、バランスシートから見ますと、借金しても施設を建てたんだから、機械を入れたんだから、そのまま続いていけばこれは借金は払っていけばいいということですが、いよいよやめるということになると、施設なんというのは、こんなものは上田さんも言っているけれどもゼロだと言うんですよ。結局は、土地を売って借金を払うことになる。ですから、そういう借金した酪農家がこれから食えなくて離農しなければならないというときには大変なんだと。やっているときには、借金があっても収入があるからいいじゃないかということになるけれど、いわゆる一般のバランスシートとは違うんだ、転売可能な都市近郊のバランスシートとは全く違うということが、特に北海道でも十勝、北見、釧路というふうな、根釧というふうな地域へ行くとある。このことをまず、十分御理解しているだろうと思いますが、この機会に念のためもう一度御理解を願いたいと思います。
#30
○国務大臣(渡辺美智雄君) どの商売でも大体似たようなことですが、たとえば醸造屋をやっておりましても借金でやめた、しかし、つくった施設を他人様に売るといっても、醸造の方式やなんかかなり個人的独創が入っていますから、これはそのとおりには売れない。病院の場合も同じ、大体そうです。したがって、やめるという場合には、確かに新しいものでしたら、ことさら帳簿上の価格で必ずしも売れるとは限らない、それは私は全くそのとおりだろうと思います。
#31
○丸谷金保君 どの商売でも同じだというのは、それは大臣の専門から言うと、そういう例をたくさん見てきていると思いますが、問題は、国が奨励して金を貸してやってやらしている仕事なんです。酒屋さんなんというのは代々やってきているので、これは本質が違うんですよ。この点についての御認識はいかがですか、この商売とは違うんだと。
#32
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は会計上の話をいま説明をしただけであって、そこに酪農などは、国が奨励して規模拡大をやってきているという点は確かに違うと思います。
#33
○丸谷金保君 だから、国が奨励してやらしたのがやれなくなった場合には、借金くらい国が棒引きするというふうなことが、制度上いまはできないけれども、あってもしかるべきではないかと私たちは思うのですが、なかなかそういうわけにもいかないから、酪農をやっていて食えなくなったり、借金の下敷きになって金利が払えなくてプロパーにかわって、最後土地を売ってやめるというふうな事態の起こらぬようにするためには、どうしてももうすぐ決まる加工原料乳不足払いの制度を充実していただかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
#34
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、全体から見なければならないわけであります。同じ企業でも、同じくスタートをしても、入植を一緒にやりましても、私のところにたくさんありますが、脱落した農家もあれば、既存の農家よりもはるかに豊かになっておる農家もあれば、まあいろいろでございますので、それがもう入植した者はほとんど制度上まずくてだめだというような状態の場合と、ほかに残っている人はうまく何とかいっているという場合とは必ずしも一つにはできない。したがって、その一つの例だけで全部借金の棒引きというようなわけにはもちろんいきません。
 それから、加工原料乳の問題についても、これは国の保証価格でございますから、この中で保証価格のばらつきがあって、保証価格でも経営が悪ければ採算の合わない人もあります。経営がよければかなりもうかっている人もあります。したがって、保証価格の水準がどの程度であるかということは、全体の状況を見た上で判断をしていかなければならないものである。それには、生産費調査その他の実態調査が基礎にならなければならない、かように考えております。
#35
○丸谷金保君 そこで、実態調査の中で、最近乳価も頭打ち傾向、それから原料も余ってきましたというふうな、これは畜産振興審議会に対する畜産局長の三月十五日の報告によりましてもそういうことが出ております。私は、この原料が余ってきたというふうな、牛乳がだぶついてきたというふうなものの実態をとらえて、一体原料乳の補給金の制度、これを一体どういうふうに作動するものだろうかと考えてみましたが、一番いま余る大きな原因になってきているのは、私はこれは作為的な輸入の増加、このことが一番大きな原因になっているというふうに判断いたします。たとえば粉乳を例にとってみますと、昭和五十一年を境に、五十二年、五十三年と急激にふえているんです。これは、ふえているということは畜産局長御存じですね。このメカニズムが一体どうなっているのか。
 輸入貿易管理令の中には、三条の二項「通商産業大臣は、前項の規定により輸入割当てを受けるべき貨物の品目を定めるには、あらかじめ、当該貨物についての主務大臣の同意を得なければならない。」と、ですからこれは粉乳や何か、そういうことではなくて、あるいは乳製品とかいろいろなもの全部について概括的にも主務大臣と相談して、国内に対する影響を十分考慮しなきゃならないということが一般法の中でも出ております。しかもまた、この措置法によりますと、十三条、十四条でこのことに対する規定があることは御存じのとおりだと思います、読み上げるまでもないと思いますが。
 そうしますと、これだけどんどんふえてくることについて、一体農林水産省はどういう措置を考えて今日のような牛乳を余すような状態をつくり上げたのか。これは局長さんで結構ですから……。
#36
○政府委員(杉山克己君) 牛乳それから乳製品の輸入については、御存じのように、基本的なものは事業団の一元輸入ということで、それから一部のものについてはIQ割り当てということで輸入規制をいたしておるわけでございます。国内で製造のできないもの、その他特殊な理由のあるものについては自由化ということで行ってきているわけでございますが、いまの御指摘の脱脂粉乳は確かに最近輸入数量はふえてまいっております。五十二年で、これは牛乳の数量に換算いたしますというと、六十四万二千トンでございましたものが、五十三年に八十万六千トンということになって、十六万四千トンふえております。いま申しげましたのは飼料用の脱粉でございます。そのほか学給用等がありますが、これは数量的には特に申し上げるほどのことはございません。
 問題は、えさ用の脱粉の輸入数量がこんなに大きくふえるのはどういうことかという御指摘であろうかと思います。この点は私どもも若干矛盾といいますか、問題の複雑さを感じないわけにいかないのでございますが、酪農家も含めて、日本の畜産経営、これは一つは、安い外国からの飼料の供給によってその安定を維持し得ているという事情がございます。その場合、輸入される飼料は主として配合飼料でございますけれども、子牛とか子豚に使う保育用の飼料、これは脱脂粉乳を用いるということがあるわけでございます。最近は親牛、親豚にも、たん白質飼料、つまり大豆油かすとか、あるいはミールの代替としてこの脱脂粉乳が使われるということがございます。こういうことで、国際価格が安い、したがって、畜産のえさコストを下げるという意味で使われているという事情がここに一つあるわけでございます。これを遮断いたしますと、今度は畜産農家のコストにはね返ってこざるを得ないという事情もありまして、従来は、この割り当てにつきましては、確かに制度的に、通産大臣から農林水産大臣が協議を受けて枠を定めるということになっておりますが、特に規制する、縛るという考えを持っておらなかったわけでございます。
 今日、このような実態になってまいりますというと、酪農の、あるいは畜産経営の飼料問題全体との関連を考える必要がありますが、私どもも国産の牛乳が余っている事情でございますから、この問題については関係の畜産農家、団体とも意見を調整して、できるだけ国産のものが――もちろんコスト的に下がりますからその問題をどういうふうに取り扱うかというむずかしい問題は残りますが、この問題についての対策を考えてまいりたいと、かように考えております。
#37
○丸谷金保君 非常にこれから対策を考えるということじゃ、ことしの不足払いの問題に間に合わないんですよ。間に合わないでしょう。それで、一般的な輸入管理令のほかに、特にこの問題については加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の十四条で「だだし、指定乳製品の価格の安定に悪影響を及ぼすおそれがないものとして政令で定める場合は、この限りでない。」ということによって、政令指定で脱粉は抜いてありますわね、政令で。これは「おそれがない」ということで抜いてあるわけでしょう、法律から言うとね。そうですね。それで、これは一体どういう場合がそれに該当するかという、この法制定当時に法律論争が、当然法の中身についての論議が交わされていると私は思ったんです。で、全部とってゆうべ読んでみました。四十年の六月一日、参議院、四十二年のときのやつ。ところが、ないんです。これがいかなる場合かという、政令指定の中身はどういうものだとかというふうなことは、大抵法律をつくる場合にはある程度予定されたものとして出てきて論議の対象になるはずなんですが、このとき、なってないんです。
 それで、どうしてなってないのかなと思って、また調べてみたんです。そうしたら、これが政令指定されたのは法律ができたときでないんです。よ。四十七年になって後で新たに追加されているから、国会は知らないんです、これ。何の報告もされないで、それで膨大な量の脱粉が飼料用とそれから学校給食用に入っているんです。学校給食用はたん白資源でないでしょう。学校給食用は家畜のえさでもないんです。学校給食用だけでも、膨大な数量がこれは入っているのはわかりますわね。時間がないから数字は一々言いませんが、こっちは持っている。わからなければ教えますけれども、いまあなたの言った数字と同じだから、こちらから言うことはないと思います。四十七年にこれは政令でもって新たに追加したときにも何の論議もされてないし、何のそういう形のあれもしてないんです。ですから、法でこういうふうに定めておいても、これは全く形骸化しているんですよ。で、改めてきょうは、だからその問題についての論議をこれから展開したいと思います。
 そうすると、当然農林水産省自体が国内の牛乳を余している元凶だということが出てくるんですよ。あなたたちがやらしているんだから、これ。現在は指定乳製品、価格が今度低くなりかかっているでしょう。一体こういう時期に、そんなになぜ入れなければならないのか。四十七年当時はまだいいんです、四十七年当時はね。しかし、これは政令だから、条件が変わったらすぐあなたたちの方で、そんな生産者と相談するの、関係機関と相談するのしないだって、やるときやったのだから、外すときだってすぐ外せるでしょう、あしただって省議開いて。どうなんですか、これを外す気ないですか、政令を。
#38
○政府委員(杉山克己君) 実際上の行政の問題として、規制の実態をどのように持っていくかということは、そのときの需給事情なり価格条件なり、あるいは国際事情等を総合的に判断する必要があると思います。かつて学校給食その他についての政令除外をいたしましたのは、これはその時点においては全般的に国内でもって牛乳はむしろ満度に供給できない、牛乳は、この場合乳製品を含みますが供給できない、むしろ不足事態であるということが一つ前提にあったかと思います。
 それから、脱脂粉乳のえさ用のものは、これは申し上げるまでもなくえさ用であるということから、国内産のものは経済性の面等からしてえさ用には供給され得ないという実態があったからだというふうに理解いたしております。それが今日の時点になってどうかということになりますというと、えさ用の話はまさに使う人の立場、これも、しかも農業生産者であるということを考えて、その間の調整は要ると思います。
 学給用については、それではいまの需給事情からすればこれが国内乳製品に取ってかわられてしかるべきである、輸入規制を行っていいではないかという御議論あるいはおありかと思いますが、これは今日ここ三年くらいの間に供給が過剰だという事態が出てまいりましたという事情と、いま一つは、国際的な問題であるということをやはりあわせ考えなければいけないと思います。
 それから、学給用の数量は今日ではだんだん減ってまいっておりまして、年間約五千トン程度となっているわけでございます。ニュージーランドあるいはオーストラリア、これらの特に漁業権の交渉と入漁料等の交渉と絡めての非常に強い外圧等の問題を考えます場合、単に現在のそういう国内的な事情だけから、にわかにこれを規制をして外国からの輸入を遮断するというようなことにはなかなかまいらないと思います。
 それから、確かにこれは数量的にはそれほどではないにしましても、全体として国内の指定乳製品の価格がいろいろな影響を受けて、低い安定指標価格を割るような水準で推移いたしてまいったわけでございます。そこで、それらの是正策として、先般畜産振興事業団によりましてバター、それから脱脂粉乳、これは乳量換算いたしますというと、約二十四万トンに相当するものを買い入れておるわけでございます。これによって市況の回復、とりあえずの乳製品についての需給の調整は図り得たと考えております。
#39
○丸谷金保君 そこで、振興事業団の性格の問題がありますが、その前に国際的な状況、実は昭和五十一年に外務省の吉野審議官がECに対して、これから脱粉をうんと買いますよという文書を出しております。御存じですね。吉野審議官というのはその後西ドイツ大使になって、私も向こうで昨年会いましたが、あの非常に温厚な方が、一存でそんなことをするはずは私ないと思うんです。外務省とも相談してそういう外交文書を出していると思うんですが、そのことについては畜産局は御存じですね。
#40
○政府委員(杉山克己君) 私も、外務省の審議官が一存でそういう書簡を出すということはあり得ないと思っております。ただ、ちょっと申しわけないのですが、事前の御連絡をいただいておりませんでしたので、その事実関係は調べておりません。後ほど確認いたしたいと思います。
#41
○丸谷金保君 それで平仄が合ってくるんですよ。ちょうど国際的な情勢で、四十七年ころにECから盛んに脱粉の売り込みが日本にありましたね。そして、その後政令の改正をやっているわけです。そして、それに基づいて吉野審議官が今度は買いますよと、国内のいろんな情勢、飼料にどうだこうだということの前に、こういう一連の国際的なECとの機械を売り込むとか、いろんなことの見返りとして、こういう買うというふうなことの約束をしているわけです。ですから、ふえたのが五十一年から五十二年にかけてふえているんですね。非常にふえておる。約倍。それから五十三年はもっとふえていますね。これは六十一万六千五百九十トン、五十年までは乳量換算で三十二万一千トン、こういう形でどんどんどんどんふえてきているわけです。五十三年は十月まででもって脱粉が六十六万二千七十七トン、学校給食用は減っているというけれども、減ったのは五十三年だけが少し減っただけで、五十二年まではもうふえているんですよ。そうすると、これは外国とのそういう日本の経済の全体上の事情の中でどんどん輸入することを農林水産省は認め、しかもそれによって余った余ったと。加工原料乳、余るですわ、それは何ぼでも入れてくれば。ゼロにだってなるでしょう。
 きのう肥料の問題を審議しましたけれども、肥料だって外国に安く出しているんです。安く出しているということは、外国から買えば大臣が言ったようにヨーロッパの先進国は高いと言うけれども、先進国も外へ出しているやつは安いんですから、外へ出している安い肥料を使えば国内の肥料だってもっと安くなるわけですよ。そうでしょう。それを肥料メーカーというふうなものの安定供給という形の中で暫定措置法を上げてまた五年延ばしたんです、きのうもね。そうすると、何で農民の生産物だけは余ったからもう買えるとか買えないとか、しかも先ほど申し上げましたように、どんどんと牛乳つくれつくれと言って施設に金を貸す、借金をさせる、頭数ふやさせる。生産向上に努力してきたのは農林水産省じゃないですか。そういう指導をして余ったものを、ことしは不足払いの限度数量というふうなものについても見直しをしなきゃならぬと、そういうことになりますか、大臣どうです。
#42
○政府委員(杉山克己君) いまの御指摘でございますが、学給の脱脂粉乳というのは数量的には現在五千トン程度となって、国内の需給にはゼロとは言いませんが、それほどの影響はない実態にあるわけでございます。やはり大きな影響を持っているのは飼料用の脱脂粉乳でございます。飼料用の脱脂粉乳については、先ほど来申し上げておりますように、これはもちろんECその他からの売り込みといいますか、日本に対する輸入要請があったとは思いますが、同時に、国内においてそういった安いえさを必要とする、それをまた利用したいという畜産農家のあったことも事実でございます。これは外国から買えば、トン当たり約十万円で入ってくるわけでございます。国内でこの脱脂粉乳をえさ用に向けるということでしました場合、コストは四十五万円かかるわけでございます。この四十五万円の脱脂粉乳をえさ用に振り向けるとしても、これは需要がつかない性質のものでございます。そういう意味では、私ども政令に該当するまさに国内の価格に悪影響を与えない、やや違ったマーケットの世界の話であるということで認めてきているわけでございます。
  〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕
 ただ、そういう価格差の問題はありますから、非常にむずかしい問題でございますが、この輸入の飼料用の脱粉の問題については、先ほども申し上げましたように、関係者との意見を調整して、できるだけ国内産のものが振り向けられるようなことができないかということで、引き続き検討してまいりたいと考えております。
#43
○丸谷金保君 その問題も、実は局長、皮はぎって知っていますか、こういう言葉が業界にあることを。飼料用で入ってきた、これは魚かすか何かのにおいを入れるからほかに使えないと。入ってきたところでもって、上の表紙だけ一枚めくるのを皮はぎと言うんです。そうすると、これは食品の方に回るというんですよ。私はある倉庫を調べてみました。数量が足りなくなった、盗難に遭ったと、こう言うんです。いいですか。これだけたくさん飼料用として入ってきて、畜産農家の要求はどこからありました、そんなものが。こんなに一遍にふえる、いいですか。これは追跡調査したことありますか。こんなに一遍にふえて入ってきたものが、畜産農家の飼料用として全部いっているという自信ありますか。簡単に言ってください。
#44
○政府委員(杉山克己君) 一つ一つの荷物について、全部私どもが追跡調査をしたということはございません。私ども確かにほかの用途に転用されることは、これは許すべからざることであると考えております。そういうことがあっては困るので、大蔵省関税当局にもお願いして、チェックを厳重にしていただくということでやっております。チェックは、目で見て実物を確かめるというような抜き取りチェックもございますが、その前に、そもそもいま先生おっしゃられたようなほかの魚かす等をまぜるというようなことをいたしましてにおいづけをする、食用には向かないような加工をするということをいたしておるわけでございます。いま先生御指摘のような、そこをかいくぐって不当に横流しをするというようなことがあればこれはまさに問題でございます。個別に実態を調査したことはございませんが、御指摘でもございますので、その点はなお私どもも調べてみたいと思います。
 それから、農家からの要求が具体的にあったかということでございますが、私ども全国組織としてのたとえば略称で全農とか全酪とか呼ばれる農業者を代表する団体と思われる組織を相手にしておるわけでございますが、こういったところの取り扱い、そういうところの枠についての申請が現実にあったということで申し上げたわけでございます。
#45
○丸谷金保君 脱粉のことはそれでいいんですが、チーズだとか、特にプロセスチーズだとかやはり抜けているのがありますね。これらも莫大な数量が入るようになりましたね。これらも調整してないでしょう。
 それで事業団にちょっとお聞きしたいんですが、こういう調整機能、たとえば砂糖の特例法だとか生糸の方にもそういう調整のあれがもうはっきりしているんです。ところが、どうもいまのところ、畜産事業団についてはそういう飼料調整、原料のだぶついてきたときの調整を、買えばいいというけれども、
  〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕
どんどんどんどん入れたやつを出しておいて買わなきゃならないことはないんですよね、入れる方をストップすればいいやつを。おたくが買い入れるやつについてもそういうことが言える。ただ問題は、こういうふうにしり抜けになって法律の網をくぐって入ってくる乳製品の量の方がもう五倍も多いんです。ビスケットにもなっている。いろんなことにして、いろんな形でもってたくさんのものを入れておいて、一方で加工原料乳は余ると言っているんですよ。問題じゃないですか、これ。
 学校給食、大体あれえさなんですよ。あなたはえさ、えさと言っているけれども、向こうへ行ってみたら、えさと学校給食用だって区別してないですよ。向こうでは同じものです、船積みするとき振り分けるだけで。学校給食だってすぐやめられるでしょう、少なくなっているんだから。そういうことを一つも畜産局やってないで、農林水産省がやってないで加工原料乳が余る。しかも、事業団が調整機能を果たしてない、その裏には国際的な外圧、農林水産省もう少ししっかりしてくれないと困ると思うのは、どうもそういう点で肥料メーカーなんかに対しては即座に対応して臨時措置法五年だと、六月の三十日の日に切れる日切れ法案をもう急いで出してきています。どうしてこういうものについての処置が急いでできないんです。大臣どうなんですか。大臣、ぱっとやってくださいよ。
#46
○国務大臣(渡辺美智雄君) 肥料法案については、いろいろ議論のあるところです。あるところですが、現実にそれは農業団体からも、業界からも皆要請がありまして、私もこれはもういいのじゃないかという気もしたのですよ、半分。したのですが、そういう要求があるものですから、これを出したわけです。
 それから、学校給食の問題は、これは値段の問題でしょう、一番の問題は。しかし、こういうような国内事情のことでありますから、五倍も違うと、消費者にすぐ使いなさい使いなさいということもなかなか言いづらい、現実には。PTAは反対するし、いろんな問題がこれはかかってくるわけですよ。しかしながら、私は国内の脱粉は生産者にも使ってもらうように、学校給食会の方もなるべく使ってもらうようにこれからひとつ努力をしていきたい。年々努力をしておるから減ってはおるのですよ、これをずっとごらんになると数字のとおり。あなたのおっしゃることもわかりますが、しかし農林水産省は、農林水産省だけで国家を持っているわけでもないし、農業といえども全体の産業の一環をなしているわけですから、全体との調整、バランスも必要だ、国内の保護も必要だ、だからむずかしいと。むずかしいところをどういうふうにやるかということで、苦労を実はしておるというのが現実の姿でございます。
#47
○丸谷金保君 それで大臣、いま申し上げましたように、牛乳が余ってきたということのメカニズムは、明らかにこれは農林水産省がきちんとやっていけば、国内の牛乳は余っているわけではないんです。米と違って、これは消費はあるんだけれどよそから入れてくるから余っていると、これは簡単なことですわね。簡単に言えば、これだけいろんな形で入ってきているんですから。あとは問題は値段の問題だけだと、こういうことです。畜産事業団という調整機能を十分に生かして、去年もやったことだから加工原料乳の不足払いの原資そういったものはそういうところから回すということで、十分考慮できるそういう総体的な仕組みをつくって、農民に少なくとも政府が奨励してふやさしたんですから、奨励してふやさしたものを、これだけしか対象にしないというふうなことだけは絶対にしないようにいたしますと言ったら、畜産審議会がこれから始まるので大臣困ると思いますので、いたすよう努力しますという答えをひとつお願いをして終わりたいと思いますが、最後に大臣の歯切れのいい御答弁をお願いします。
#48
○国務大臣(渡辺美智雄君) なかなかそこが歯切れよくできないところにむずかしいところがありますが、検討さしてもらいます。
#49
○村沢牧君 私は、養蚕と養鶏について質問いたします。
 まず養蚕ですが、養蚕はわが国の伝統的な産業として、また地域の特殊な作目として発展をしてきたわけでありますけれども、最近の不況によって国内の生糸や絹製品の需要が落ち込んでいる中で、また外国から絹製品の輸入が多くなってきている。こういう関係から生糸価格が低迷いたしまして、このために養蚕の農家戸数も、さらに桑園面積も、あるいはまた、繭の生産量もだんだん減少してきたわけであります。こうした中で、養蚕の一面には地域の集中化が進んできており、こうした地域では水田の再編対策や、あるいは地域農業の振興とも相まって、養蚕を発展させようとする意欲も一部にはあらわれてきておるわけであります。
 そこで大臣、わが国の農業の中で養蚕並びに養蚕農家の位置づけをどのように考えていらっしゃいますか。
#50
○国務大臣(渡辺美智雄君) もとは、日本の養蚕というのは御承知のとおり輸出産業の花形であったわけです。ところが、戦後になりましてから特に化学繊維、そういうようなものに押されまして、嗜好の違いというようなこともありましょうが、だんだんだんだん需要が減ってきて、外国ではほとんど売れない、むしろ日本は消費国として外国から買っておるという状態であります。しかし、全体としてはこれは外国から買うほどの需要があるわけですから、私としてはできるだけ日本の養蚕業というものはもっと振興していかなきゃならぬ。問題は、これはしかし自由化商品でございますから、一元輸入等の措置は講じておりますが、値段の問題が一つ問題があるわけです。したがって、私は、安くて生産性の高い養蚕業というものを大いに奨励をして、それで国内で極力生産できるものは生産させるように努力をしてまいりたいと、かように考えております。
#51
○村沢牧君 昭和四十七年当時と現在とを比較してみると、養蚕戸数は四十七年には三十三万戸あったものが五十三年には十八万七千戸、桑園面積は十六万四千ヘクタールが十三万ヘクタールになっている。繭の生産量は、十万五千トンあったものが七万八千トンというふうにいずれも減少しておるわけです。このように減ってきた原因は一体何によるものであるか、これはどういうふうに考えますか。
#52
○政府委員(二瓶博君) ただいまお話のございました養蚕農家戸数なり桑園面積等々減った理由は那辺にあるかということでございますが、一つは、繭の十アール当たりの粗収益、これは一般の畑作物と比べまして比較的高いわけでございます。ところが、養蚕業は桑園管理なり、あるいは蚕の飼育ということで労働集約的な産業でございます。したがいまして、昨今の農村におきます都市化、兼業化の進展、それから労働力不足、他作物との競合等の原因等がございまして、ここ数年、養蚕の農家数なり、あるいは桑園面積等々が減っておるということでございます。繭の生産量も減っておるわけでございますが、五十三年は七万八千トンということで、前年が七万九千トンでございますが、相当夏の干ばつもございましたけれども、七万八千トンでとまっておるということで、ここ数年来の減少傾向にようやく歯どめがかかったのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#53
○村沢牧君 いま局長は、養蚕が減った原因として労働不足だとか他の作物との競合、主としてこのことを強調されておったところでありますが、肝心なところはごまかしておると思うんですね。やっぱり最大の原因は繭の価格が不安定である、家族の労働報酬が低いというところにあるというふうに思うんです。
 農林水産省統計情報部の生産費調査資料に基づいて五十二年度の一日当たりの労働報酬を計算をしてみますると、繭を一〇〇とすると、いろいろな種目がありますけれども、たとえて言うならばタバコは一七一、あるいは水稲は二四一、畑作の桃は二九〇、こういうふうに繭の一日当たりの労働報酬と他の作物と比べてみると、きわめて繭が少ないわけですね。価格が生産費を償って所得が補償されるものであったならば、養蚕は地域産業としてほっておいても発展をするものだというふうに思うんですね。現に、昨年繭価が従来と比べて若干上がってきたことによって、いままでずっと減少を続けてきた繭の生産も、いまお話がありましたように、天候が不良であったけれども若干の歯どめがかかりつつあるわけですね。養蚕意欲が燃えてくるということ、このことは価格がよくなれば養蚕がよくなる、伸びる、このことを実証しているものだというふうに思うんですが、どうですか。
#54
○政府委員(二瓶博君) 一日当たりの家族労働報酬につきましては、先ほど先生がおっしゃいましたとおりでございます。ただ問題は、いろんな収益性の問題等考えます際に何を一番重要な指標にするかということにつきましては、これというのはないわけでございまして、一日当たり家族労働報酬は御指摘のとおりでございますが、十アール当たりの家族労働報酬、これは相当高いという面はございます。もちろん労働生産性なりあるいは土地生産性、これは今後とも引き上げていくべきものと考えます。問題は、今後この養蚕を振興するという際に、一つは価格の問題もございますけれども、そういう価格対策のほかに、やはり生産性を高めていくと、こういう生産振興対策、これをやっていく必要があるのではないか。価格政策なり生産対策なりを同時並行的に、総合的に講じていく必要がある、かように考えております。
#55
○村沢牧君 価格の問題と生産性を高めていくことが必要だという答弁でありますけれども、生産性を高めるといっても、価格がやっぱり不安定だったらこれは養蚕農家はどんどん減っちゃうわけですね。やっぱり価格が中心になるというふうに思うんです。繭の価格が上がれば養蚕意欲も高まる。ましてや、わが国の生糸の生産は自給率が六〇%を割っているわけです。したがって、繭の価格は再生産が可能な水準まで引き上げる必要がある。昨年基準繭価が六・三%上がって繭の実勢価格が若干上がった。しかし、まだまだこれだって生産費を償える価格とは言えないんです。長野県の養連が行った実態調査では、五十三年度の繭の生産費は、労賃、蚕種代、桑園造成費、農薬、あるいは蚕具代のアップによって、肥料代やあるいは光熱費など値下がり分を差し引いても、生産費合計では一〇%以上上昇しているという結果が出ているんです。五十四年度の基準糸価を決定するに当たって、皆さんがこれからいろいろ計算するわけでありますけれども、繭生産費の上昇を一体農林水産省はどのように判断していますか。
#56
○政府委員(二瓶博君) 五十四年度の繭生産費並びにそれに生糸の製造販売経費を加えた生糸生産費、これについて現在統計情報部と農蚕園芸局ともどもにその集計その他、詰めをやっておる段階でございます。ただ、一般的に申し上げますと、繭生産費等につきましても、昨今の経済情勢からいたしますと、生産費というものもそう大きな上がりは、伸び率というのがないのではないかという実は感じを持っておるわけでございます。
#57
○村沢牧君 これから皆さんが計算をしていくことでありますが、生産費の伸び率が余りないではないかという感じを持っているということは、やはりその算定の仕方にも問題があるというふうに思うわけですね。
 そこで、繭の生産費を算定するに当たっては、御承知のように、繭の生産費は労賃が六〇%を占めているんですね。この労賃のとり方によって大きく変わってくるわけですね。農林水産省は賃金を算定するに当たって、たとえば反収の基準を実際よりも多く計算をしている、いろいろ指摘してもいいわけですけれども。それから労働時間を削減をして、二重に圧迫をして労賃を決めておるわけなんですよ。このために先ほど局長もお認めになりましたように、養蚕の一日当たりの家族労働報酬は、他の主要農産物に比べて最低であると言っても過言ではないわけです。
 私は、ここに農村の雇用労賃の表を持っているんですけれども、これを見ますると、五十二年の場合、繭は六百二十九円の労賃、米の場合を見ますると、米の買い入れ価格から割り出した労賃を見ると九百八十一円、あるいは加工原料乳を見ると七百六円というふうに大きな開きがあるんですよ。これだって、私は米や加工原料乳が高いと言っているんじゃないですよ。このように労賃を不当に安くしている。特に、五十三年度の農林水産省の統計情報部の生糸生産費は一万八千円くらいになるんではないかというようなことが、いろいろなところで言われておるわけですね。つまり、こういう実態の中で基準糸価を低く抑えるために政治的な操作をする、あるいは政策的な組みかえをする。まあ政策的な組みかえをするにしても、大臣が言ったように、養蚕をわが国の産業として位置づけて発展をさせていくためには、この基準糸価が上がるような形の組みかえならいいけれども、抑制するための組みかえであってはならないというふうに思うんですけれども、労賃についてはどういうふうに考えますか、算定方法。
#58
○政府委員(二瓶博君) 生産費の方が昨今の経済情勢から見てそう大幅な上がりはない感じがすると申し上げましたのは、繭の生産費、これは統計情報部の生産費を軸にして物を考えるわけでございますが、そのこと自体がそうどうも大きく上がりはしないであろうと、こういうことを申し上げたわけでございます。あと、実際の行政価格としての基準糸価等を決めます際には、先生からもお話ございますように、その生産費というものを統計情報部の原生産費、これをもとにいたしまして組みかえをやります。これは従来からもそういうことをやってまいっておりますので、たとえば蚕期別の被害農家、これを除外をするというようなことなどもそうでございますが、そういうことで生産費を出します。それからもう一つは、ただいま先生からお話がございましたような土地生産性なり労働生産性等につきまして、若干の生産性修正というものを行ってきておるというのが五十三年の実態でもございます。
 したがいまして、ことしのこの五十四生糸年度に適用します基準糸価の算定に当たりましては、従来のこういうようなやり方というのを踏襲をいたしますとともに、具体的にベースになりますその原生産費、これがどうなるか、この辺が一番ポイントになろうかと思いますが、その辺を見て、法の趣旨に沿った適正な基準糸価を決定をいたしたいと、かように考えておるわけでございます。
#59
○村沢牧君 その算定の仕方については私も承知をしておりますけれども、先ほど申し上げました他の作物に比べて労賃のとり方、農村雇用労賃から組みかえをし修正をしていく、そういう中でもって、先ほど申しましたように、繭は六百二十九円だけれども米は九百八十一円、あるいは加工原料乳は七百六円だと。これは低いということはお認めになりますか、結果としてこういう数字が出ているんだから。
#60
○政府委員(二瓶博君) ただいま先生が言われました繭、米、それから加工原料乳、その際の地方労賃特に繭の問題につきまして私の方で見たあれでは、確かに先生のおっしゃっているそういう数字に相なっております。これは統計情報部が調査をしております際の、要するに労賃部分の評価がこういうことになっておるということでございます。
#61
○村沢牧君 どうも局長の答弁ははっきりしませんね。そんな言いわけを聞いているんじゃないんですよ。
 大臣にお聞きしますが、いま指摘をしたように、農村雇用労賃という統計情報部の資料をもとにしてこういう計算をするわけですね。ところが、繭と他の作物とはこれだけ違いがあるんですよ。これはどういうふうに大臣考えますか。修正しなくちゃいけないんじゃないですか。
#62
○国務大臣(渡辺美智雄君) このやり方については、従来一定の方針があってやっておるものですから、それを踏襲しておるものと存じます。
 細かいことは事務当局から答弁させます。
#63
○村沢牧君 踏襲をしていることは承知をしているのですが、踏襲をしておってこういう形になっておるのですから、やっぱり繭の糸価を決定するというのは労賃だけではありませんけれども、いろいろな要素が加わってくるんですけれども、いままでやったことがまずいとするならば、政策的に間違ったとするならば直さなければいけないんじゃないですか。
#64
○国務大臣(渡辺美智雄君) 特別に間違っておるとは思いません。問題は、生産性を上げるということにおいて養蚕の場合は少し立ちおくれがあると私は見ております。私の選挙区などでも養蚕農家、大型の農家がございますが、いいところと悪いところの格差が非常に大きいわけです。したがって、最近は共同飼育で通常三眠というのですか、それぐらいまでは共同でやっておる、コンベア方式でえさも全部くれる、それである程度大きくなってから農家に持っていって、後は桑の木を枝のままくれるというような方式をやっておって、かなり高い生産性を上げておるわけであります。
 したがって、そういうようないわゆる近代的な世界一の経営を日本はやっているわけですから、それを大いに広げていく。養蚕の経営は世界一ですよ。ですから、そういう経営方式を広げていけば、もっともっと一日当たりの労働報酬は高くなる仕組みがあるわけでございますので、それをわれわれは極力奨励をしておるわけでございます。
#65
○村沢牧君 生産性を上げていけば一日当たりの労働報酬は高くなると、また同時に、大臣はいいところと悪いところの格差があるというような答弁であったわけでありますが、それでは生産性を上げるための労働時間についてお聞きしましょう。
 上繭ですね、一キロ当たりの労働時間は統計情報部の資料によると二・三九時間ということになっています。ところが、昨年の糸価決定に当たって安定法を適用した労働時間は、これは推定ですが、私は一・九三時間だというように思うのですね。そうだとするならばこの削減をした理由は何だ、なぜ削減をしたのか、それは栽桑によるのか、養蚕作業によるのか、その他によるのか、まずこれからお聞きしましょう。
#66
○政府委員(二瓶博君) 昨年の労働生産性修正というものをやりましたときに、ただいま先生からお話ございます労働時間の実績二・三九時間、これを過去の趨勢ということで一つのトレンドでやってまいっておりますが、トレンドで延ばしまして一・九五時間ということに修正をして基準糸価の決定をやっております。
#67
○村沢牧君 私は一・九三と言ったけれども答弁では一・九五時間、まあ若干の違いですけれども、いずれにしても統計情報部ではキロ当たり労働時間は二・三九時間だと、こういう調査が出ていますね。それを一・九三時間に削減をしておる、その理由を私は聞いたんですよ。それは何を原因として、どの項目でもって削減しているんですか。ただ漠然としてやったんですか。
#68
○政府委員(二瓶博君) 結局、基準糸価というのが中間安定帯の下限の価格になるわけでございます。そこで問題は、基準糸価といいますものを決めます際に、その生産事情、生産条件、それから需給事情その他の経済事情というものを参酌しまして、そこで適正に決めるということでございます。したがいまして、その生産条件というものの一番大きなウエートをなすものは、何といいましても生産費であろうと思います。したがいまして、そういう生産費というものを軸にしながら、具体的に言えば、統計情報部の原生産費をベースにして、それをまた組みかえ生産費というものを出す。その組みかえ生産費を出した後で、経済事情、需給事情というものを考えるわけでございます。その際に、国際的には非常に生糸は供給過剰ということでございまして、どこの国も日本に売りたいということでございますが、一元輸入ということでそれをとめておるわけでございますが、それから内外格差の方もますます広がっておる、そういうような需給情勢及び経済情勢というものを織り込んで決めていきたい。
 その際に、ただいま申し上げましたように、適用生産費の算定に際して、過去の労働生産性の趨勢あるいは土地生産性の趨勢、こういうものを織り込んで適正に決定をしたということでございまして、理由は那辺にありやということになれば、当然そういう内外の需給事情及び経済事情というものを加味する、こういう考えで修正をいたしておる、こういうことでございます。
#69
○村沢牧君 私の持ち時間も決まっていますから、答弁はひとつ質問に答えてください。
 そこで、いまの答弁を聞いておると、基準糸価の大枠は大体決めておいて、それから当てはまるように大体労賃も労働時間も抑えてくるようなふうにとれるわけですね。それじゃ、労働時間が統計情報部の時間と皆さん方の査定した時間と違う理由は何にもないというんでしょう。いろいろ経済関係等を見てやる。こんなことで一体労賃を決められて、時間を決められて賃金を割り出したらたまったものじゃないと思うんですね、私は。それじゃ、大臣は養蚕にもいろいろ格差があると言ったけれども、皆さんの言われる一・九五というキロ当たり労働時間は、一体日本の養蚕農家のうちでどのくらいな規模の農家を対象にしているんですか。たとえば掃き立てが何個とか、箱がありますね、何箱以上のものが大体これは対象なんですか。それは日本の養蚕農家の中に占める率はどんなところへいくんですか。
#70
○政府委員(二瓶博君) 掃き立て規模別からながめてみますと、一番大きな方の部類、三十箱以上というようなところがこういう労働時間になっておる、かように考えております。
#71
○村沢牧君 大臣、格差がいろいろあるということは聞いたんですけれども、いま労働時間を短縮するに当たっての対象になる農家、基準とした農家は大体三十箱以上ですね、これを大体基準だと。そうすると、三十箱以上というのは、日本の養蚕農家が二十万戸あると、大体七千戸ぐらいのものですね。あとのものはやっぱりそれ以上になっちゃうんですよ。だから、こんな高いところへ基準を決めたら、一般の零細な養蚕農家はやっていけないんじゃないですか。どうですか。
#72
○国務大臣(渡辺美智雄君) 理屈はそういう理屈も私はあると思います。思いますが、もともとこれは自由化商品なのです。それで、これを完全自由化にしておいたらば、それは日本の養蚕農家が壊滅をしてしまう。それは困ると、そういうようなことで何とかその中でうまい方法がないかということから、この糸価安定法というようなことで、育成といいますか、保護をしているわけですよ。一般の需要者からすれば安い品物を買いたいわけですから、国内価格とどんどん差がついてしまう、企業家はやっていけない。それでも国内価格を押しつけられたのでは、外国から製品がどんどん入ってくる。これは完全に抑えることは不可能に近い、現実は日本は自由貿易体制をとっているわけですから。そうなると、非常にそれも困るということになるとすれば、企業家も生きられて、農家の方も生きられて何とかできるぎりぎりのところはないかということですよ、簡単に言いまして。役所でいろいろ理屈をつけているかもしれぬけれども、現実は私はそうだと思う、ざっくばらんな話が。
 したがって、この制度を維持していくというならばやはりそこらのことを考えなきゃならないし、この制度がなくてもいいというなら話は別だ。私は実際問題として、この制度を維持して、やり方によってはそういう生産性でもやれるという方法があるのだから、そういう方向に誘導していく。国外から入ってくるものも一元輸入で抑え込んで、差益金を事業団がとって、それで生産者にその分け前――分け前と言っちゃ語弊がありますが、差益金等の中から助成をしているというようなこともあるので、みんながひとつがまんをして、そういうことでこの制度を維持していこうじゃないかというところから出ているのですね。ですから、理屈については、あなたの言うのも私は一つのりっぱな意見だと思うし、農林水産省の言うのも私は現実的な意見だと思うし、どっちをとるのだと言われた場合には、いままでの全体の趨勢を見ると、あなたの言うのももっともだが、局長の言うのももっともだなと思って、やっぱりそれは局長の言うようなことが全体のメカニズムからすると仕方ないのじゃないかと思って、私はそれを採用しておるわけでございます。
#73
○村沢牧君 大臣の答弁を聞いておると、これは基準糸価を決定するのもいろいろ積算をしてみるけれども、いろいろ輸入だとか需給の関係等見合わして決めていくという政治価格、全く政治的な政策であって、本当に根拠を突かれたら、みんな狂ってくるような形になってくるんですけれども、しかし、大臣の言われることも大事だけれども、基本としてはやっぱり生産費を別に算定してやるべきじゃないですかね、これは。そうしなきや、あなた一体この基準糸価いいのかどうかと聞かれたって、これは返事できないですよ。
#74
○国務大臣(渡辺美智雄君) 需要者が買わないものをつくっちゃっても、これまた仕方ないわけですね、買ってくれなければ。買わないということなら困るわけですから、したがって買える程度のものにしなきゃならぬ。限界のぎりぎりはどこなのだ、こういうやっぱり商売の話ですから現実的に考えていかなきゃならぬ。ですから、実際はそれは買ってもらって、しかもそいつが採算がある程度合う、こちらからも輸入したものを一元的に抑え込んでそして補助金も出して奨励もするという、両方でこれはやっているわけでしてね。したがって、計算は出っぱなしということよりも、経済事情とかいろんな需給事情とか、法律からも、そういうことも勘案をしてやりなさいということになっておるものですから、そういうものをみんな勘案をして、事務当局はその法の精神によって現実的なものを計算をしておる、こういうように御理解いただきたいと存じます。
#75
○村沢牧君 そのように理解はできませんが、この問題をやっておると時間がありませんから次に進みます。
 次に、生糸や絹製品の輸入ですね。これは一々数字を申し上げませんけれども、一元化輸入を講じた当時は輸入はなるほど減った。ところが、五十三年になると生糸も絹撚糸も絹織物も一様に、軒並み並べて輸入が極端に増加をしているわけですね。それでは、この日本でこれだけ輸入しなければならないかということを見ると、これは五十三年の十二月末現在の生糸の日本の総需要と在庫を見ると、十二月現在で総需要は二万六千八百五十五俵、在庫は一般市中在庫ですね、これが二万五千二百九十五俵、事業団の持っている在庫が五万二百九十四俵、合わせて在庫は七万五千五百八十九俵ということなんですよ。需要が二万六千八百五十五俵というときに、一体この輸入をどんどんして、こんなにたくさんの在庫を抱えている。在庫をたくさん抱えておることは、先ほど言われているこの需給の関係、直ちに糸価にマイナス要因となってあらわれてくるわけですね。一体この在庫はどういうふうに見るんですか。適正在庫として見られますか。
#76
○政府委員(二瓶博君) ただいま先生から生糸の十二月末の在庫、これが適正在庫であるかどうかというお話でございますが、まあ事業団の在庫、これが五万俵ほどありますけれども、結局事業団は先ほど大臣からも申し上げておりますように、一元輸入をやっておりますので、輸入につきましては事業団が一手にやっておる。その際に、韓国と中国につきましては、二国間で取り決めをやっております。
 したがいまして、取り決めた以上はその分は履行をしなければならないわけでございまして、そういう意味で入ってくるのが量的には多うございます。もちろんそのほかのブラジル等もございますけれども、量的には何といいましても中国、韓国が多うございます。それが買い付けをやりますと、それの在庫ということで事業団在庫として残るわけでございます。あと民間在庫ということで、流通段階でも在庫が二万数千俵ございますが、民間在庫の方はまあ大体その辺でよろしいのじゃないかと思います。事業団在庫は、以上のようなことから見ますれば、やや多目であるとは思いますが、これは二国間の取り決めの関係等の履行をするということからしまして、やむを得ないものと考えるわけでございます。
#77
○村沢牧君 在庫が多いということは局長もお認めになりますね。認めていらっしゃいますね。
 それでまた聞いてまいりますけれども、先ほど私は適正在庫、わが国の需給から言ってそれはどのくらいあればいいというふうにお考えになっているのか。そのことが一点。
 それから、二国間協定ですね、これも五十四年度、これから話をしてくるわけですけれども、二国間協定の締結に当たっては、こんなに在庫も多いときなんだから、輸入数量を減らしていくというこういう努力をしなければならない、措置をとらなければならないと思うが、それがどうか。
 それから、絹糸や絹織物の輸入については事前許可制、これも枠を広げたんですけれども、あるいは通関の確認制、これは厳正な運用を期さなければならないというふうに思うんですけれども、これはどうか。
 もう一点、適正な在庫にするまでは輸入を停止する、このくらいの気構えを持たなければならないと思うんですが、どうですか。これは簡潔に答弁してください。もう私は内容はわかっているから、答弁だけでいいです。理由は要らないです。
#78
○政府委員(二瓶博君) また適正在庫はどの程度かということでございますが、先ほども申し上げましたように、民間での在庫二万俵台ということであれば、まあその辺かなと、こう思っております。それから事業団在庫の方は五万俵ございます。これは、事業団在庫としてはやや多いかなということで考えておるわけでございます。
 ただ、その際に、適正在庫になるまで輸入をとめるというぐらいまでの覚悟を持って取り組むべきだというお話もあったわけでございますが、先ほど大臣からもお話がございましたように、生糸は輸入自由化をいたしております。関税もバインド七・五%でバインドしておるということで、現在の一元輸入制度は、国際的には運用のいかんによってはガットの面では十分その辺は認められておらない、そういう仕組みでございます。そういうことからいたしまして、輸入をとめるということは、これはまず困難であろうと思います。
 それから、第二点の二国間の取り決めの関係でございますが、この二国間の取り決めに当たりましては、それぞれ日本の場合は当然需給というものをベースにいたしまして、現在の数量よりはより少ない数量を提示をすると、中国及び韓国はそれぞれもっと買ってほしいという大きな数字を提示すると、そこでいろいろ交渉になるわけでございますが、たとえば五十三年度の場合は前年度と同じというところで折り合いがついたということでございます。したがいまして、今後また韓国、中国との二国間取り決めの交渉に入るわけでございますけれども、当然われわれの方といたしましては、日本の国内の生糸なり絹の需要というようなものを十分踏まえた形で折衝に当たりたい。ただ、相手のあることでございますので、その辺の最後の決着がどうなるかということにつきましては、申し上げかねるわけでございます。
 それから、あと生糸はただいま申し上げましたような一元輸入制度でやっておるわけでございますが、その他絹織物あるいは絹糸、こういうものにつきましては、通産大臣の事前許可制とか確認制とかいうようなことでやっております。ただ、これにつきましても、これも一応自由化品目になっておりますので、事前許可というときも制限的な運用は現実にはやっておるようでございますけれども、これはそういう自由化品目との絡みで厳正にやってくれということでございますが、もちろんわれわれとしてはこれは通産所管物資になりますので、通産省にはそういう意味では強くやってくれという要請をいたしておりますが、なかなかこの辺はむずかしいところであろうかと思います。
 以上でございます。
#79
○村沢牧君 通産所管になる絹糸及び絹織物の輸入ですね、これは事前許可制枠も広げたんですけれども、これを厳正にぜひやらなければいけないと思いますが、通産省お見えになっていますね。――いないんですか。出席要求していたんだけれど、いない。じゃ、いなければ、農林水産省の方からも強く要請してください。
 それから、輸入の中で、特に実需者売り渡し輸入あるいは売り渡しがあるわけですね。これは年々ふえてきているわけです。たとえば、五十一年が一万三千九百九十俵、五十二年が一万九千四百九十俵、五十三年が二月までで三万四千四百八十二俵、これは言うならば実需者に対する特売であり価格も安いわけです。ところが、この実需者の売り渡しが、輸入生糸の四〇%以上も占めるようになってきたんですね。こんなことになってしまうと、一体蚕糸事業団の調整機能というのは全くしり抜けになってしまって、その機能が崩れてしまうんですよ。いろいろ実需者から要望があることは承知しているんですけれども、この実需者需要の売り渡しの抑制と、蚕糸事業団の調整機能は一体どういうふうに考えますか。簡潔に答弁してください。
#80
○政府委員(二瓶博君) 事業団が輸入の糸を売り渡す際に、一般売り渡しというのと実需者売り渡しという二通りの方法があるわけでございますが、この実需者売り渡しにつきましては、年間三万俵程度ということで実施をしておるところでございます。この数量がどんどんふえますというと、一般売り渡しの方が少なくなってくる。そうすれば、事業団の需給調整機能というのはだんだん弱まってくるという関係にございます。したがいまして、私たちといたしましては、年間三万俵程度ということで、生糸業者の方もいろいろせつない問題はあるようではございますけれども、その辺は大体三万俵程度ということで維持をしていきたいという心組みでございます。
#81
○村沢牧君 そういう希望は持っているけれども、現実には五十三年度はすでに三万俵から二千五百俵もオーバーして売り渡しておるんですよ。ですから、希望だけじゃだめなんですよ、皆さんが本当にそれをやらなきゃ。ぜひこれから抑制してくださいよ。
 それから輸入がふえてくる、あるいは円高差益等によって事業団の余裕金もこれは年々多くなってくるというふうに思うのであります。ちなみに、五十二年度決算の事業団は当期利益金として十億八千八百余万円、それからいままでの積立金が二十八億二千八百余万円ですね、これを足すと三十九億一千七百余万円になるんですね。一体事業団は、こんなに多額の積立金を持たなきゃならないものですか。農林水産省と事業団との関係は、これは皆さん方が指導しているんですから、そのことについてどうですか。
#82
○政府委員(二瓶博君) お答え申し上げます。
 当期利益金と積立金でございますけれども、まず一つは当期利益金、これは五十二年度十億八千八百万ということになっております。
#83
○村沢牧君 数字は知っていますから私の質問にだけ答弁してくださいよ、時間がないですから。数字は私がいま申し上げたとおりです、皆さんの資料によって。
#84
○政府委員(二瓶博君) それから積立金の方でございますけれども、現在三十九億一千七百二十六万七千円ということでございます。
#85
○村沢牧君 私が聞いておるのは、数字はあなたの資料によって言ったんですよ。ですから、これだけ積立金を持たなきゃならないのかどうかということを聞いているんですよ、事業団。
#86
○政府委員(二瓶博君) 中間安定勘定等におきまして利益が出ました際に、これは積み立てるべしという形に法制上もなっております。したがいまして、それで積み立てを現在やっておるわけでございますが、事業団の運営の面からいたしますと、当然相当の積立金はなお持ってしかるべきであろう、こう思っております。
#87
○村沢牧君 事業団の積立金がこのように多くなってきておるということは、利益金を養蚕農家に還元をしておらないからこういうことになるんですよ。これは事業団の規定によってもこういうことになっているんです。前々事業年度の利益金からの八割を限度として、生産流通合理化等に助成事業として出すことができるということになっている。ところが、私がこれを計算してみると、五十二年度は出したのは利益金の三七%、五十三年度は四四%しか出してない。八割を限度として出せるということになっているけれども、半分ぐらいしか出してないですね。ですから、積立金が多くなるのは当然なんですよ。一体こういう利益金を、なぜこれだけ問題になっている養蚕振興に出すことができないのか。特に国会の中におきましても、この事業団利益金を有効に使えという議員立法をしようという動きもあるように聞いておるわけでありますけれども、この利益金は最大限養蚕の振興のために使うべきだと思いますが、そのことはどうなんですか。
#88
○政府委員(二瓶博君) 事業団の助成事業でございますが、これにつきましては五十一年度は五千四百万ほど出してございます。五十二年はさらにふやしまして二億一千万、五十三年度は三億六千万ということで逐次増加をいたしてまいっております。もちろんこの中には、養蚕振興のほかに需要開拓といいますか、需要増進の分も込みで申し上げた数字でございます。したがいまして、今後とも農蚕園芸局といたしましてはこの助成事業の拡大といいますか、これを図っていきたいということで、五十四年度の分についても目下具体的に数値を詰めたりいたしておるところでございます。
#89
○村沢牧君 事業団の利益金は八〇%を限度として使えることになっている。ところが、私が指摘をしたように、五十二年度は三七%、五十三年は四四%しか使っておらない。ですから、もっとこれは養蚕振興のために使うべきだと、そのことを強く指摘をしておきますから、皆さんがそういう措置でもってやるようにひとつ検討してください。
 それから、養蚕の関係で共済制度があるわけですね、養繭の共済制度。ところが、繭の共済についてはこれは三割減収にならないと普通適用されない。ところが、最近は昔と違って飼育方法も大分違ってきた、あるいは年に十回も飼育するようになってきたわけですね。したがって三割では不適当だ、これを二割に改正すべきである、こういう要望もあるし、私もそのように思うのですけれども、これについてはどのように検討されておりますか。
#90
○政府委員(今村宣夫君) 農家の損害てん補率を、てん補を開始します被害割合を三〇%以下に引き下げたらどうかというお話でございますが、これは農家の立場からいたしますれば、三割足切りを二割足切りにするということは非常に望ましいことであると思いますが、同時にまた掛金がふえるということも考慮しなけりゃいけません。私の方で一応試算をいたしてみますと、三割足切りを二割足切りにしますと、農家の負担は大体五〇%ぐらいふえるわけでございます。したがいまして、やはり補てん内容の充実という問題と、それから掛金という問題と、それからもう一つ問題としては財政負担の問題がありますが、これらを総合的に考えていくべきものであるというふうに思っております。したがいまして、この点につきましては、私たちとしましてある程度長期的観点から十分検討を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#91
○村沢牧君 局長、前向きにいま検討しておるわけですね、検討してくれますか。
#92
○政府委員(今村宣夫君) いろいろ検討いたしておりますが、先ほど申し上げましたように、掛金でございますとかその他の問題がありますから、なかなか早急に結論を得るということの状況ではございません。
#93
○村沢牧君 時間がありませんので、養蚕についてもいろいろお聞きしたいのですが次に入ります。
 次に、養鶏なんですが、養鶏もブロイラーも、昨年来非常に価格が低迷して中小養鶏農家の倒産が続出しておる。私の長野県でも、有力な養鶏農家が近く閉鎖せざるを得ないような形になってきておるわけです。このように養鶏が非常に行き詰まってきた問題は、農林水産省も言っておるように、生産と消費あるいは需給のアンバランスにある、このことは私はそういうふうに思うわけでありますけれども、そこで農林水産省は今日まで卵価行政の柱として生産調整を進めてきたわけですね。ところが、五十三年を見ると五十二年度に比べて総数で三百万羽もふえているわけです。これを規模別に見ると、五千羽未満の農家の飼養羽数は逆に三百万羽減っている。五千羽以上の階層が六百万羽ふえて、トータルで三百万増加と、つまり小規模の養鶏家というのは農林水産省の方針に従ってまじめに生産調整をしているけれども、大規模になればなるほどこれがうまく行われておらない。この実態はどういうふうに判断をし、どのように指導しているんですか。
 あわせて、昨年来国会でも問題になりましたいわゆる大規模の商社養鶏ですね、このやみ増羽につきましては、農林水産省も強力な指導をするというその都度答弁をしておるわけですけれども、一体どのように指導をし、その結果はどうなっているのか、これについて答弁を願いたいと思います。
#94
○政府委員(杉山克己君) 御指摘の点、あわせて御答弁申し上げます。
 確かに、従来規模拡大が進む大規模の養鶏に羽数が集中するということでございましたが、最近の状況を見ますというと、総羽数で五十三年五月が一億一千二百二十四万二千羽でございました。これが十一月末では一億一千二百四十二万七千羽ということで、ごくわずか十八万羽ほどの増加になっております。この中で五千羽以上の養鶏はどうかといいますというと、八千七百九十万四千羽だったものが八千七百九十六万三千羽ということで横ばい状況でございます。この中でのさらに階層別のまた動向もあるかと思いますが、比較的従来に比べてごく最近では、大規模の増羽がとまっているという状況が見られると思います。
 それから、生産調整を強力に指導してまいっておるところでございますが、その後どうかと、さらに強力にやるべきではないか、やっているかという御趣旨のお尋ねでございますが、いま申し上げました調査は、生産調整の一番基礎になる実態調査ということで、各地域の生産調整協議会等を通じて正確に把握するように努めた結果上がってきた数字でございます。その中におきまして、無断増羽がどのぐらいあるかということも当然把握の対象になっているわけでございますが、五月末におきます無断増羽を行っているものは五千羽以上の養鶏農家で二百四戸、羽数で四百十五万六千羽でございましたが、十一月末で戸数は百五十戸に減って羽数は三百八十五万五千羽と、これも若干減っている状況でございます。少なくともそれ以前の無断増羽がかなりやみで行われておったということはとまりましたし、それからまだ十分とは言えませんが、若干の減少が見られる傾向になっているわけでございます。
 そこで、まだこういう無断増羽のものがかなりおるではないかと、百五十戸残っているというのが調査でも明らかになっておりますが、これに対してどうしているかということでございますが、減羽の計画を出すようにそれぞれの個別養鶏経営に対して指導をしているところでございます。これに対しまして、現在協議中、減羽計画を立てているものが百四十一戸、三百六十八万羽ということになっております。なかなかそういう話にもまだ乗ってこないというのが九戸、十八万羽という状況でございます。
 私ども、行政上使い得るいろんな手段を組み合わせまして強力な指導に努めてまいっているところでございますが、さらに今後とも指導には努力をしたい。特に悪質なものには本省といいますか、農林水産省に呼びまして個別指導を行うというようなこともやっているわけでございますが、今後ともさらに一層努力を続けて、生産調整の実、が上がるようにしてまいりたいと考えております。
#95
○村沢牧君 そこで、生産調整は強力に進めていくということなんですが、五十四年三月五日の畜産局食肉鶏卵課長の通達を見ると、その内容はこういうことになっている。増羽凍結羽数が五万羽以下のものであれば、今後二年間に増羽分を是正すれば基金にも加入できるということですね。これは、昨年の五月やみ増羽をした養鶏家は卵価安定基金に加入できないという、こういう条件にしたわけですね。一年足らずのうちにこれを緩和しちゃった。これは一体趣旨は何ですか。つまり、このことは、いまお話があったけれども、大規模商社養鶏はもう放任、どうしようもないと、これを放任しているから、その均衡をとるために中小養鶏農家もこれを保護したんです。これしか受けとめられないんですが、背景はどういうことなんですか。
 それから、大事なことは調整を緩和することじゃなくて、生産調整を守らない人をどう規制するかということですね。なぜこんな緩和措置をとったんですか。
#96
○政府委員(杉山克己君) 問題は、大事なことは、減羽計画をきちんとつくらせてこれを実行させるということだと思います。その点からいたしますと、いたずらにただ制裁、制裁と言っているだけでは必ずしもこれに従わない。むしろ誠意を持って減羽をしたい。しかし、自分のところは中小でもあるし、いきなりこれを大きく減羽するということは困難であるというような、その個別の経営の実態から見れば無理からぬ事情のあるものもあるわけでございます。そういったものは、時間の経過を得て十分な減羽を誠意あるものを実現するというならば、むしろそういう方向に誘導して、現実減羽を行えるような事態をつくり出すことの方がより重要ではないか。
 締め出して、かえってそれじゃ勝手に増羽を続けますというようなことよりは現実的であるという考え方から、それからいま一つは、先生御指摘になりましたが、別に大企業との均衡ということではなくて、中小養鶏農家の実態からいたしますと、四十九年頭羽数に凍結した時点のいろいろトラブルもあったりした事情もあるわけでございますので、やはり中小養鶏農家が現実に養鶏を行っているということから、やみ増羽であるということ自体は問題でありますが、それを正そうというなら、そのやはり正そうという誠意をくんで、こういう現実的な措置をとることは必要でないかということでとったわけでございます。
 大企業に対する規制につきましては、確かに有効な手段、大体いままで使える手段は使い尽くしたと思われるぐらい使って規制をしてまいったわけでございます。今後ともその規制を緩めるつもりはございませんし、さらに何か効き目のあるやり方はないかというようなことで苦心しているところでございますので、今後とも努力してまいりたいと思います。
#97
○村沢牧君 そこで、昨年のこの農林水産省の通達を見れば、やみ増羽を抑制するために飼料業者なんかに対しても協力を求めているわけですね。ところが、やみ増羽の張本人とも言われたタケクマグループですね、これに対して全農は一般養鶏農家に販売する飼料よりはトン当たり一万円も安いような価格でもって入れておるというんですね。あるいは商社系のグループのやみ増羽につながるような設備投資に対して、中金も系統金融も入れておる。一体、農民の系統機関である全農や中金が、調整をしなければならないと言っていながら、こうしたことによって農民を苦しめている。私は全くどうもやり切れない気持ちなんですよ。一体農林水産当局は、こういう事実をどのように判断をしてどういう指導をしているんですか。
#98
○政府委員(杉山克己君) 物の販売は、これは経営といいますか営業の問題でございまして、それぞれ理由がある価格で取引を行っているということかと思いますが、いま御指摘の実態につきましては、大口取引に伴ってコストが軽減されるというようなことから、多くの飼料メーカーでは大口取引先にはかなりな値引きを行っているという実態がございます。
 全農の場合、私ども聞き取りましたところ、特に大口の畜産農家に対しましては一カ月当たりの購入量が採卵鶏ブロイラー、肉豚、それで三百トン以上のもの、それから繁殖豚、乳牛、肉牛百五十トン以上のもの、この飼料購入の実績のあるものに対しては、百五十トンから三百トンまでの数量についてはトン当たり二千円、それから三百トン以上の分についてはトン当たり三千円の値下げを行って販売しているということでございます。これは、特にいま御指摘になりましたタケクマグループに対してというよりは、全体としてそういう大口のものに対して値引きを行っているということのようでございます。六百経営ほどが対象になっているということでございました。
#99
○村沢牧君 これは農林水産省だけのことではなくて、私は全中にも全農にも申し上げたいんです。一生懸命何とかしなければならないと言っているのに、その系統機関がまさにやみ増羽を促進をしているようなことをやって、全くけしからぬと思うんですよ。もっと徹底的な指導をしてください。
 それから、時間が余りありませんから以下三点ほどまとめて聞きますから、適切な答弁をしてください。
 まず一つ、やみ増羽の抑制をする手段として卵価安定基金でチェックをしているわけですね。私は、これだけではなくて、飼料基金もこのチェックの対象にすべきだ。飼料基金の方が加入者は多いわけですね。飼料は養鶏だけじゃないんだと、ほかの畜産にも関係してくるんだというようなことも言われますけれども、やり方によってはできぬことではないというふうに思いますが、このことについてどういうふうに考えるか。
 それから、卵価安定基金も昨年来の資金の支出によってまさに底をついてきて、もう借入金にも限界があるわけですね。生産団体や生産者は積立金をもっとふやす、こういうこともやっておるわけでありますけれども、政府が思い切って国庫補助をやっぱり増額すべきだ。昨年来、そういう計画を持っておるようでありますけれども、そんなことで切り抜けていけるかどうか。卵価安定基金に対する政府の国庫資金補助ですね。
 それからもう一点は、養鶏場がこういうことでありますから、さらにまた、卵価はこの四月にもなれば二百円も割るのではないかというような心配もされておるわけなんですよ。したがって、中小の養鶏家としては、飼料代、ひな代をもう賄い切れないような状態であるわけですね。先ほど申しましたように、倒産の危険にさらされておるわけなんです。したがって、こうした農家、特に生産調整を守っている者に限って無利子で、あるいは無利子ができないとすれば、きわめて低利の経営安定あるいは緊急融資の措置を講ずべきだ、あるいはこの制度を設けるべきだ、このように考えますけれども、以上三点を一括質問いたしますから答弁してください。
#100
○政府委員(杉山克己君) まず、配合飼料価格安定基金、これに加入している養鶏農家、これが無断増羽を行った場合はその脱退を求めるべきではないか、加入を認めてはならないのではないかという御質問でございますが、実はこれにつきましては、すでに加入している者の扱いを法律的にどうするかというかなりむずかしい問題がございます。といいますのは、この加入は五年間の期間契約になっておりまして、そうしてその中で毎年毎年数量を決めて価格補てん措置を受けるということになっているわけでございます。したがいまして、いままで積み立ててきた実績がある、そしていままでそれによる恩典は受けていない、この積み立ててきた実績のあるいわば既得権についてどう取り扱うのか、新規のものなら可能かというような問題があるわけでございます。
 したがいまして、私どもできないとかだめだとかいう以前に、そういう問題がどういうふうに解決し得るのか、そういう問題点の検討をしているところでございます。それに、この問題は役所だけが一方的にということでなく、それぞれの当事者もあることでございますから、それらとの意見調整も図りながら今後検討を進めてまいりたいと考えております。
 それから、卵価安定基金の資金状況あるいはその財政状況でございますが、確かに非常に窮迫いたしております。安定基金は四十九年ごろに大きな赤字を出しまして、その後五十、五十一、五十二と回復してようやく赤字も消えかかった、四十億からありましたものが六億程度に縮まったところで、五十三年度、今回新たにまた赤字がふえて、全体として三十四億台の赤字を出すに至っております。これに対してどう扱うかということでございますが、国のこの積立金に対する補助単価、実は五十三年に前年に対して約五割の増額を行ったところでございます。それから、五割行っても現実これだけの赤字が出たではないかということでございますが、この赤字全部というわけにはまいりませんでしたが、その相当部分、事業団の助成事業におきまして九億を出して特別救済の措置をとったところでございます。
 今後の見込みについて、どうなるかということが一つ問題でございます。これはいまの安定基金は三年を一つの期間とする収支の見通しを立てているわけでございます。卵価の回復があれば、前回と同じように赤字を自力で消していけることができるわけでございますが、今後どうなるかということの推移も見てまいりたいと考えております。
 それから、現実困っている養鶏農家に対して低利融資ができないかということでございますが、なかなかそういう無利子あるいは特別な低利融資というのは、現在の制度以上に新しいものをつくるということはきわめて困難であります。私どもこの卵価安定基金による価格補てんが一つのやはり融資的な効果、欠損の補てんというような性格を持っておりますので、こういう本来的な安定基金の運営の適切を一層期してまいりたいと考えておるところでございます。
#101
○村沢牧君 大臣が退席しましたから、次官に最後に一問だけ質問いたします。
 先ほど私は繭糸価格の問題について要請したんですけれども、大臣の答弁を聞いておりましても、政治的、政策的あるいは需給の関係、いろいろな関係、そういうものを配慮して決められているわけですね。そのために労賃や労働時間が圧縮をされている、こういう決め方であっては農民が納得することはできないんですよ。次官は農村を回りましてふるさとのいろいろ運動もされておるようでありますが、やっぱり農村の発展をしていくためにもつと根拠のある決定をする、その上に立って政策的な配慮を加える、政務次官としてそのことをひとつ事務当局と真剣に取り組んでもらいたい。次官の答弁をお願いします。
#102
○政府委員(宮田輝君) 繭糸業界のために大変お骨折りをいただいている先生に、敬意を表するものでございます。大臣が御答弁申し上げましたように、法の趣旨に沿いまして適正に取り組ましていただきたい、こう考えるものでございます。
#103
○村沢牧君 時間ですから終わります。
#104
○委員長(久次米健太郎君) 午前の調査はこの程度とし、午後一時二十分再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十分開会
  〔理事青井政美君委員長席に着く〕
#105
○理事(青井政美君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査を議題とし質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#106
○降矢敬雄君 まず、大臣に二点ほど分けて基本的な御所信をお伺いをいたしたいと思います。
 一つは、もう間近に加工原料乳の保証価格、豚肉、牛肉の基準価格、糸値、繭値が決められようといたしております。これはそれぞれ農家がいま一年の家計の決まるときでありますから、農林水産省に全部が注目をいたしております。私どももまた多くの目を感じております。私はここまで来まして多くを語りませんが、一点だけひとつお聞きをいたしたいと思います。
 実は、私どもいろいろ現地で調査をいたしてみまして、これらの酪農、畜産、養蚕、ともにえさなど、直接的な生産環境は確かに好転を見せております。けれども、これはもう大臣もしばしば言われておりますように、国際的な生産条件、環境というものは、これは及びもつきませんし、またこれは不可能に近いものでございます。そういう中で、特に酪農家は輸入の加工乳製品との絡みでそれぞれ不安が消えておりません。さらにまた、牛肉につきましては需要が順調でございますが、価格も堅調でございますけれども、これも輸入冷凍牛肉等の関連で、やはり投資が多ければ多いほど心配をいたしております。養蚕家も同様でございます。
 午前中もいろいろ質疑がございましたが、このような一言で言えば供給過剰的な環境の中で、しかも国際経済のいわゆる端的に言えばこういう外圧の中で、大変大臣が苦心をされておられると思います。午前中も端的に農林水産省だけが日本をしょっておるわけじゃないというふうな御答弁もございました。大臣が御苦心をされておる端的なあらわれであろうと思うわけでありますけれども、私はそういう中でどうしてもこれだけはぜひひとつ方針を持っていただきたいというふうに期待をするわけでありますが、これらの酪農家、畜産家、養蚕家の従来の経過から、積み上げから見て再生産の意欲はどうしても保持できる、そういう方針をしっかりと堅持をされて、これらの価格決定に対処をしていただきたい、強い希望を持つわけでありますけれども、まず最初に大臣の御所信を伺いたいと思います。
#107
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま畜産物及び蚕糸価格の決定に当たっての政府の基本的な考え方はどうかということでございますが、これに対しましてわれわれは、国内で生産できるものは極力国内で生産するということを基本的な方針にいたしております。だからと言って、それは国内で生産をするためにはかなりの保護政策を実行しなければならない農産物が非常に多い。そうすると、消費者の立場から見れば、やはりそれによって保護されるのはいいけれども、値段がどんどんつり上げられては困るという一方希望があるわけでございます。
  〔理事青井政美君退席、委員長着席〕
 したがいまして、われわれとしてはその両方をにらんで決めなけりやならぬ。したがって、まずそれぞれの価格の決め方については法律で規定がされております。その第一番になるものは、いま御発言がございましたように、再生産の確保ということをやっぱり旨としなきゃならない。それから、やはりだからと言って需給事情というようなことや経済事情、生産条件、こういうようなものも考慮をしなければならぬと、こういうことになっておりますから、それらのものを全体として考慮をしながら、畜産審議会等、それぞれの関係審議会の意見を聞いて決めてまいりたいと、かように考えております。
#108
○降矢敬雄君 期待をいたしてまいります。
 実は、畜産物その他の決定と大変表裏一体になっております、言うならば裏でこれを支えるということになりますか、結果によってはこの価格を大変乱してしまう、実勢価格で乱してしまうものの中に動植物の輸入検疫がございます。これはぜひ冒頭大臣から御所見をちょうだいをいたしたいわけでありますが、この検疫が明治初年始まりましてから今日まで、大変じみちな努力を農林水産省は続けてきてくれております。ですから、例を挙げますと、牛疫とか、口蹄疫とか、豚コレラあたりはもう国内で発生をしなくなってから五十年以上もたっておりまして、大変社会的な問題でありましたものが歴史的なものになってきておりますし、また植物防疫でもそのような事例を挙げることができます。じみちな努力の成果でありまして、私どもは大変評価をいたしております。また、このじみちな努力が今後、特に現今におきまして、さらに強力に推進されなければならないと思っております。
 特に、私は、個人的には戦後のガット、IMF体制というものに大きな軌道修正をしなければなるまいというふうに考えております。それがなければ、南北戦争はやまらないのではないかというような感じさえ持つわけでありますが、特に農畜産物の国際化が急速にガット体制の中で進展をしてまいりました四十七年以降、輸入量は急増をいたしております。そういう中で国民消費生活、さらには農業を持っていくためには、どうしてもこの検疫行政ということが強力に推し進められなければならないと思うわけでありますけれども、特に防疫官の組織体制、それから検疫の技術等、一たん国内に入って緊急防除ということになりますと、大変な予算もかかるわけであります。平素におけるじみちな対応というものが必要と思うわけでありますが、これは責任を持っておられます大臣の動物、植物の検疫、水際防衛、これに対する御所見をまずお伺いをいたしたいと思います。
#109
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、日本の経済が拡大をし、また国民の旺盛な需要というものを背景にいたしまして、いろいろな穀類の輸入も急増しておるということは御承知のとおりでございます。また、生きた牛等においても昭和四十二年に二千頭ぐらいのものが、最近では七千頭ぐらいにふえておる。その実例が示すように、好むと好まざるとにかかわらず、やはり不足なものを外国から買うということは当然起きてくるわけであります。それと同時に、やはりそれらの穀類なり動物にはやはり伝染病というものがあるわけでございますから、日本のようなきれいなところにそういう汚染地区から伝染病が入るということは大変なこれはことでございます。したがって、これについては水際にてどうしてもこれは撤退をしなければならぬと、こういうことはまたあたりまえのことでございます。
 したがいまして、政府といたしましてはそれらのために、たとえば検疫所の個所数等におきましても、植物と動物とでは違いますが、たとえば植物ですと昭和四十二年には個所数が五十四カ所だったものを、五十二年では百カ所にする、あるいは定数でも二百四十七名のやつを十年のうちに五百八十八名にするとか、予算にいたしましても、四億一千万ぐらいのものを二十五億円にふやす。また、動物検疫におきましても、四十二年には十四カ所のものを五十二年には二十一カ所にする、あるいは家畜の防疫官の定数でも五十八名を百二十四名にするとか、予算も四十二年には一億六千六百万のものを九億五千四百万にするというように、これらの輸入体制というものに合わして極力それらの施設の充実あるいは人員の配置の適正化というようなものを図っておるわけであります。
 なお、古い検疫所等については、年々計画をもってその施設の近代化というようなものをやってきておりますし、今後とも御指摘のように万一にも疫病が、動植物の伝染病が日本に入ってこないというようなことのためには、最大の努力を尽くしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#110
○降矢敬雄君 以上で、大臣ありがとうございます。予算委員会があるようでございますので、あと政務次官の方に質問いたします。
 そこで、私はこの動植物の検疫のいろいろな問題点を御質問申し上げたいわけでありますが、たまたま一つの事例がここに生まれておりますので厚生省にお伺いをいたしたいと思いますが、実は昨年の秋、もうすでにこれは社会問題を起こしております上野の池之端文化センターでコレラ患者四十九人、一都九県に実は及んで社会問題を起こしました。この結論が、去る三月上旬に東京都コレラ防疫対策本部から発表になっております。
 これを要約をいたしますと、第一がインドネシア産輸入冷凍ロブスターの一部にコレラ菌がたまたま汚染をしておったというのが第一点であります。第二に、池之端文化センターの調理過程で汚染が拡大し、さらに増菌された、これが第二点。これには注釈が入っておりまして、コレラ菌は温度に弱い、九十度で三十分間でこれは殺菌をされる、こういうことでございますから、恐らく、百度で何分かやっておればこんなことにはならなかった、文化センターの責任ではないかと書いてはありませんけれども、そういう意味にとれる説明がここに書いてある。第三点に、折詰めの料理を食べるまでにさらに増菌をされたと、この三点が結論として発表をされております。厚生省はこの発表につきまして、妥当であるというふうにお考えでございますか、どのような御判断をされておりますか、まずお伺いをいたします。
#111
○説明員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 先生からただいま御指摘のございましたように、昨年の十一月の四日に端を発しました池之端文化センターのコレラにつきましては、先生の御指摘のとおり四十九人の患者、保菌者、それから一都九県にわたります患者、保菌者が結果的に発見されまして、それぞれ防疫措置を行ったところでございます。
 いま先生からお話がございましたように、最終的な結論ということでございますが、東京都の防疫対策本部におきまして、三月の七日の日に先生の御指摘のとおりの内容が発表されまして、厚生省といたしましては三月の八日の日に、東京都の報告あるいは関係県の報告を全部受けまして、三月の八日の日に公衆衛生審議会、その中の伝染病対策委員会というものにそういう成績を全部報告いたしまして、審議会の先生方の御意見をいただき、それを踏まえまして、厚生省の中にコレラ対策本部というのを設けておるわけでございますが、そちらでまた審議をいたしまして最終的な結論を出したわけでございます。
 その結論といたしましては、先生の御指摘のとおりの、汚染経路につきましては調理人あるいは配ぜん者、あるいはその結婚式場に使われております上水道関係、あるいは東京都を初め各県から収去いたしました折詰め残品なりあるいは文化センターの納入魚介類の残品、あるいはその文化センターに納入しております生鮮食品の検査というような、いろいろな面で検査を行っているわけでございますが、すべてからコレラ菌は検出できなかった。しかしながら、その内容といたしましては、患者、保菌者がほとんどいわゆる八千円コースというところで食べておったグループから多数発生しておった。
 しかも、その八千円コースといいますのは、輸入冷凍ロブスターを使用しておった組でございますので、そういう特定の組に患者、保菌者が集中して発生しておったというようなこと、その他の状況から考えまして、すべての検査におきましてコレラ菌は検出されなかったわけでございますけれども、この患者の発生状況等からも考えまして、最終的な結論といたしましては、調理人等から輸入冷凍ロブスターが汚染されておったという可能性も否定はできない。しかしながら、輸入冷凍ロブスターの一部がたまたまコレラ菌に汚染されていた可能性が高い。さらに、喫食までの間に増菌しておった可能性も強いというようなこと等踏まえて、今回の患者発生に至ったものであるというぐあいな結論を出しているわけでございます。
#112
○降矢敬雄君 私、いまこれを見て実は不思議に思っていることがあるわけです。ということは、厚生省がいま御答弁になりましたように、インドネシアから来ている輸入冷凍ロブスターが汚染源である、こういうふうにお認めになっておるわけです。そうしますと、検疫について何にも触れていないということを実は不思議に思うわけなんです。検疫を受けて通ってきて、それでそれが出たわけなんです。だから、池之端文化センターに来てからのこともさりながら、検疫はどうであったのだろうかという、やっぱり一つの反省と検討が行われてしかるべきであると思うんです。
 私はこれが本論ではございませんから、一応私の受け取りというものからお伺いをするわけでありますけれども、すしなどを食べてもみんなこれは国産品じゃなくて輸入品だと、こう言われているくらい急激にいま魚介類の輸入量というのが大変ふえている。そういう食品、魚介類等の検疫はこれは厚生省御担当でありますが、どのような方法で検査をされておりますか。たとえば全量やるというわけにはちょっと――伺いましたけれども、いまの駐在員が五十三人、平均三・五人ですからできるはずがない。それで抽出をされておるわけです。これらの経過の中で、厚生省はこれらの食品検疫をこれを機会にどのようにひとつ見直し、今後どのようにこういうことが――これは先ほども大臣に御質問申し上げましたように、国内へ一たん入れてしまうとこれは大変なことになるわけで、大きな社会問題になるわけで、どうしても検疫の段階でこれがストップをされなければならない。これは絶対的なというくらいのやっぱり使命があると思うんです。この辺、この事例に徴して今後どのように改善をされ対応をされていかれますか。そういう今後の対応につきましてお伺いをいたしたいと思います。
#113
○説明員(長谷川慧重君) 従来から食品の検疫につきましては、コレラ汚染地域から輸入されます生鮮魚介類につきましては、輸出国の公的機関による衛生証明書の添付を要求しておったわけでございますが、先ほど申し上げましたような、昨年の池之端文化センターにおきます集団発生の事件に際しまして、その時点の途中の段階でございましたけれども、輸入生鮮魚介類によります感染の可能性も否定できないというようなことで、コレラ汚染地域を国内に持つ国から輸入される生鮮魚介類につきましては、十一月の二十四日より抜き取り検査を強化してまいるという方針を実は打ち出したわけでございます。その方針を踏まえまして、それ以降現在までまだ引き続き、コレラ汚染地域を国内に持つ国から輸入されます生鮮魚介類につきましては抜き取り検査を行っておるところでございます。ちなみに、十一月二十四日から本年の二月末日までに千三百二検体の検査を行っておるわけでございますが、すべてにおきましてコレラ菌の検出はマイナスでございます。
 なお、日本に現在置かれております検疫所につきましては現在九十六カ所ございまして、職員数は七百八十一名おるわけでございます。このうち検疫官四百六十七名、この中には衛生検査を担当される方々もおられるわけでございますが、検疫官四百六十七名がおるわけでございまして、この方々がそういう輸入されました生鮮魚介類につきましては、抜き取りをやり検査を行っておるという状況でございます。
#114
○降矢敬雄君 いまの御答弁でちょっとまだお聞きしたいことがあるわけですけれども、これは私の本題でございませんので、厚生省ありがとうございました。ひとつこんなことのないように、いろいろ強化をぜひお願いをいたしたいと思います。
 そこで、とにかくイセエビに、ロブスターにコレラ菌がついておった。さて、農林水産省がやっております動物検疫、植物検疫等にもコレラがないという保証は、まあ国によってコレラのない国も多いわけですが、ないとは言えません。これは入ってからでは遅いわけでありますから、よほどひとつ厳重にやらなければならないという一つの事例としていま厚生省から伺ったわけであります。そこで、特に動物輸入が四十年前半から、なかんずく四十七年から、動物検疫所のパンフレットによりますと、これはまあ数層倍ふえているというようなふうに載っております。
 そこで、まず最初にお伺いをいたしたいのは、四十二年、四十七年、五十二年、五年間に、特に牛、馬、この輸入数量、それから動物類の輸入の総量、それからそれらの検疫数等につきまして、初めにお伺いをいたしたいと思います。
#115
○政府委員(杉山克己君) 初めに、昭和四十二年の牛の数量を申し上げますと、二千十八頭、これが四十七年になりますと二千六百七十頭ということで、この五年間ではほとんど動いておりません。それがその後五年後の五十二年度になりますと七千二百十二頭ということで、十年間で三・五倍ほどの頭数になっております。
 それから馬は、四十二年の二百四十頭が、一時昭和四十七年には千二百八十六頭ということでふえますが、その後減って、五十二年度では五百三十六頭ということになっております。
 豚は、四十二年の二百三十七頭が四十七年には九百四十六頭、五十二年度は千六百六頭ということで、約七倍になっております。
 それから綿羊でございますが、これは二百六十三頭だったものが四十七年にはゼロになり、二百六十二頭になった。波がありますが、四十二年当時の数量がいまでも動物検疫の対象になっておるということでございます。
 あと生き物としては初生びながありますが、これは昭和四十二年の二百二十三万一千羽が大体その後もおおむね二百万羽台を続けておりまして、ほぼ横ばいでございます。
 それからあとは物になりますが、牛肉が四十二年度は一万四千トンだったものが四十七年度は四万六千トン、五十二年度は十二万七千トン、これは九倍くらいで、倍率としては一番大きくふえたものでございます。
 それから綿羊の肉が、四十二年が九万八千トンだったものが四十七年に五万四千トン、五十二年に十五万一千トンということで、波を打って若干増加している。
 あと鶏肉が八千トンから四千トン、四万七千トンということになっております。
 そのほかに、革類あるいは髪の毛等の毛でございますが、これらのものは十七万四千トン、十八万九千トン、二十八万七千トン、あるいは二十七万一千トンが十八万六千トンになり、十八万七千トンになるというようなかなりの量が入っておりますが、特段にふえているというほどの状況ではございません。
 全体の数量は幾らかというお尋ねでございましたが、生き物と物とは区分されなくちゃなりませんし、それから生きているものでも牛と馬、馬と豚ではそれぞれまた事情も違いますので、これを合計することはやや無理かと思いますので、個別にいま数量を申し上げたところでございます。
 これらの数量の増加に対応して、先ほど大臣からもお答えいたしましたが、予算額なり、あるいは検疫所の個所数なり防疫官の定数なりを、それぞれ対応するように増加さしているところでございます。
#116
○降矢敬雄君 とにかくべらぼうにふえておるわけです。私が私なりに計算を、確かにこれは厄介なんですがいたしますと、輸入量というのは四十七年から五十二年、五年間で二〇%ぐらい大体ふえておる。
  〔委員長退席、理事青井政美君着席〕
多いものはいま牛肉のように十倍近いものもありますけれども。
 そこで、特に牛、馬が生体で入ってくる、まあ急増をいたしていますが、大体法律によって十日から十五日係留をして検疫をするわけでありますけれども、この係留の施設は、これはこのとおりにがあんと上がって間に合っているんですか。いかがでございますか。
#117
○政府委員(杉山克己君) 現在の動物検疫所の年間収容能力は、生牛換算で約一万五千頭でございます。これが小動物でございますというと実際にはこの数よりもよけい収容できるわけでございますが、全部どういうものが入ってくるかそのときによって異なりますので、生牛でもって換算した頭数を用いております。昭和五十三年の輸入頭数は、これは生牛換算いたしますというと約九千六百頭になります。牛、馬、豚、綿羊とあるわけでございます。
 わが国の家畜改良用の種畜輸入について、いま係留施設が不足するというようなことは全くないわけでございますが、時に生牛がいろいろこれは国内の需給事情等を反映して一時的に大きくふえるというようなこともありまして、それから地域によっては十分でないというようなこともあったものでございますから、従来から係留施設を中心とする畜舎の拡充、更新について努めてきているところでございます。特に最近では、成田とか、それからいま一番大きい横浜本所――成田は新設されたわけでございますが、横浜本所につきましては畜舎が老朽化しておりますので、昭和五十四年度から四カ年計画で整備するということにいたして、不足することのないよう十分手当てに努めているところでございます。
#118
○降矢敬雄君 特に、牛の生体と豚が飛躍的にふえておるわけでありますけれども、牛肉の輸入枠というのはけんけんごうごうたる中で決められておりますけれども、この生体の輸入との関連はどういうふうに局長お考えでございますか。影響ありませんか。
#119
○政府委員(杉山克己君) 牛――食用に供される牛肉の意味でございますが、その輸入は、やはりでき上がった肉の形で輸入されるのが本来だと思います。しかし、一部には生きた牛のまま輸入されるものがございます。これは本来の姿ではございませんが、一部で見られる。どのくらいあるかといいますと、生牛でもって屠殺用に充てられるものが最近では五十年が九百四頭、その後二千三百六十六頭、五千三百三十一頭、三千四百七十一頭、このような数量になっております。肉の量に換算いたしますというと、五十三年の三千四百七十一頭で八百二トンということでありますから、全体の需給にそれほど大きな影響のあるものではございません。ただ、こういうものがどんどん入ってくるということになりますというと、しかもある時期に集中して入るというようなことになりますと、先ほども申し上げました係留施設の関係等もありまして、ほかのもっと肝心な種牛等の、あるいは種豚等の輸入に支障を来すというようなこともあり得るわけでございます。そこで、私どもは優先度を考えまして、種牛、種豚、そういった本当に国内に必要なものを先に入れる、そして余力があればそれ以外のものも入れるというように、いま順序をつけているわけでございます。
 そこで、いま申し上げましたそういう生牛の輸入がなぜ肉の形でなくそういった生きた牛の形で、いわゆるモーモーフライトなどと言われておりますが、輸入されるかということでございますが、これは私ども見ている限り、国内の牛を使った方が経済的にはむしろ安い。といいますのは、運賃その他の経費をかけて、しかも生牛でありますと一頭当たり七万五千円の関税を取られるわけでございます。そしてなおかつ十分に引き合うということはないはずでございますが、これが一部の業者によって輸入されている。なぜかと言いますと、やはりアメリカ等から直輸入をしたというようなことが一つの宣伝上のうたい文句として使われること、それからある一定量の品質の均等な品物が安定的に確保できるというようなこと、そういったところにメリットを感じているのかと思います。ただ、私申し上げましたように、経済ベースから言うと必ずしも採算に合うものではないというようなこともありましてか、それから肉の輸入量もふえてきていることもありましてか、最近におきましては、生牛の形での輸入は若干減ってきている傾向にあるわけでございます。
#120
○降矢敬雄君 どうも私の計算では、生体で入れてちゃんと採算に合うんです。それから馬刺しといって、生体で来る馬もこれはなかなか採算に合う。ですから、これは輸入枠というものを乱す前兆がここ五年ばかり出ている。ですから、これはやはり一方においては輸入枠を決めておいて、一方においては屠殺場直行の生体で入ってくるということは問題になる。ひとつ問題になりませんように、これは十分留意をしていくべきであるということを課題として期待をいたしておきます。
 そこで、私はこれらの関係を実は横浜の防疫本所まで行ったんですが、大変よく一生懸命やはり整備をされておりますけれども、この係留施設が一番りっぱなもので大正九年建築のもの、その次にりっぱなので大正十三年、普通ではもうこれはとっくに使用にたえないような状態ですが、一生懸命整備をして使っておるわけなんですが、これはやはり検疫所の権威としても、どうもいま普通ではあり得べからざる建物が建っておるわけなんです。どうもこれは農林水産省の中で動物検疫等が捨ておかれてきたのではないかと、こういう実は感じがしてならなかったわけであります。私は現地へ行って感謝をしほめては帰ってきましたけれども、局長、これはひとつ早急に改築をして、検疫の権威をしっかりとしてほしいと思います。これは希望をいたしておきます。
 特に米国から、いまなおあるようですけれども、馬。パラチフス、ブルセラ病、ヨーネ病というのは現況はどうでございますか。また、今後に対する判断は当然あるはずだと思いますが、端的にひとつ現状をお知らせいただきたいと思います。
#121
○政府委員(杉山克己君) 最近三カ年間の数字を見てみますと、米国から牛が一万三千六百七十一頭、それから馬が一千八十九頭、豚が二千二百八十二頭輸入されております。これに対しまして、いまお尋ねの伝染病は馬。パラチフスの関係が七頭、ブルセラ病は牛が十頭、豚が一頭、合わせて十一頭、それからもう一つヨーネ病というのがございますが、このヨーネ病が牛に二十二頭発生いたしております。頭数輸入量に比べまして比率で言いますというと、馬のパラチフスが〇・六、ブルセラ病が〇・〇六、ヨーネ病は〇・一六ということで、それほど高いという状況ではございません。ただ、こういうものは少ないからいいというものではなくて、ものによってはもっとさらに少なくなることも希望されますが、同時に、必ず水際でとらえるということで検疫を充実さしていく必要があると考えております。特段私ども、今後こういう病気がふえるというような徴候は国際的な情報も得ておりません。
#122
○降矢敬雄君 ここでひとつ輸入量の増大と、それから実際検疫した数値について若干の問題があるわけですが、これは植物と一緒にまた御質問を申し上げたいと思います。
 次に、植物検疫でございますが、これも植物検疫所のパンフレットを読みますと、五年間で三倍に激増しているというふうに書いありますが、特に多いと思われます果物、穀類、木材、苗木、それから種子につきまして、これはどうでしょうか、何倍くらいふえているかということを、動物と同じように四十二年、四十七年、五十二年、――そうですね、四十七年から五十二年、五年間の倍数を一応お知らせをいただきたいと思います。
  〔理事青井政美君退席、委員長着席〕
#123
○政府委員(二瓶博君) 植物検疫の検査数量でございますけれども、苗木、球根類等につきましては、四十二年を一〇〇にいたしますと、四十七年が一五六、五十二年が三六六でございます。それから種子類――種でございますけれども、これは四十二年を一〇〇といたしますと、四十七年が一六九、五十二年が二〇〇。それから生果実、野菜でございますが、四十二年を一〇〇とすれば、四十七年が二四九、五十二年が二四一。それから穀類でございますが、これは四十二年を一〇〇として四十七年が一三八、五十二年が一八一。それから木材でございますが、これは四十二年を一〇〇としますと、四十七年が一六二、五十二年が一六四。以上平均いたしますと、四十七年が一七五、五十二年が二三〇という総平均指数に相なります。
 以上でございます。
#124
○降矢敬雄君 植物類にいたしましても、いまお答えをいただきましたように、大体三〇〇%ぐらいにはね上がっておるわけでありますが、これは植物検疫所のパンフレットにも書いてありますが、病虫害は新天地に侵入すると思わぬ猛威をふるい大害を与えると書いてあります。戦後アメリカシロヒトリが日本に入ってきまして、これは草花にまで被害を与えて社会的問題を起こしたのはついこの間でございます。それから、イネミズゾウムシで東海四県が大恐慌を起こしたのもこの間のことでございます。いまこれらは現況いかがでございますか、収束をしておりますか、心配ありませんか。
#125
○政府委員(二瓶博君) まずアメリカシロヒトリでございますが、昭和二十二年に東京都内で初めて発見されまして、現在はどうなっておるかと申し上げますと、北海道、沖繩県等十四道県を除きました三十三都府県にまだ発生をいたしております。主として街路樹等の重要な害虫ということでございまして、農作物に対します被害、これにつきましてはほとんど報告はされておりません。
 それから、イネミズゾウムシでございますが、これは五十一年愛知県内で初めて発見されまして、現在愛知、三重、岐阜及び静岡の四県に拡大しております。水稲に対します被害が懸念されるわけでございます。そのため、現在この本虫の蔓延の防止と本虫によります水稲の被害を軽減するための防除対策、これを講ずるということで、五十四年度予算にも所要の予算を計上しておるところでございます。
#126
○降矢敬雄君 コドリンガですが、これは世界的になかなか今日なお猛威をふるっている。昨年でしたか、アメリカのサクランボにつきましては十分であるということで解禁をいたしましたけれども、その後の状況を大変これは心配をいたしておるわけでありますけれども、少なくともこれは年々解禁をした当時のような事情をしっかりと堅持をしているかどうか、やっぱり派遣をしていわゆるアフターケアが十分行われていませんと、コドリンガそのものがなくなっているわけじゃありませんから危険があると思うのですが、その後のそういう対応はいかがでありますか。
#127
○政府委員(二瓶博君) アメリカ産のサクランボにつきましては、アメリカにおきましてサクランボに寄生いたしますコドリンガ、これを完全に殺虫できるという消毒方法が確立されましたことに伴いまして、五十三年の一月に現地において消毒処理を行うということなどの条件をつけまして、条件つきで輸入解禁措置をとったわけでございます。そこで、このサクランボの日本向け輸出期間中、これにつきまして米国に植物検疫官を派遣をいたしまして、現地におきまして消毒処理及び米国植物防疫機関の行います日本向けの輸出検査、これが適切に行われているということをこの植物検疫官に確認をさせておる、こういうことでございます。このように、米国産のサクランボの検疫に当たりましては、サクランボを介してコドリンガが侵入してくるおそれがないように、今後とも万全の検疫措置をとってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#128
○降矢敬雄君 一たん入りますと大変これは問題でございますので、十分なひとつ情報の収集、対応をこれはぜひお願いをいたしたいと思います。
 それから、最近台湾からワサビが逐次ふえておるようでありますけれども、これにはもうれっきとした墨入れ病があるわけであります。これはなかなか外見からではわからない。けれども、一たん入りますとこれはなかなか商品価値を落としますし、国内においてもこれは問題がございます。これらの墨入れ病につきましては、検疫上いかがでございますか。
#129
○政府委員(二瓶博君) ワサビの墨入れ病でございますけれども、この病気がワサビに特有に見られます重要な病害でございます。したがいまして、わが国で蔓延をした場合には、ワサビの栽培に非常に大きな影響を及ぼすということが心配されるわけでございます。したがいまして、厳重な輸入検疫というものを実施をいたしまして、発見された場合には、植物防疫法に基づき廃棄措置を講じておるわけでございます。
 具体的に申し上げますと、台湾産のワサビの検疫状況でございますが、五十三年では一万七千八百二十一キロ――十七トン八百二十一キロの輸入数量がございます。これに対しまして病害虫による不合格数量、これは六百六十三キロございました。その中で、ただいま先生がおっしゃっておられます墨入れ病によります廃棄数量、これが三十三キロ、こういうような状況になっておりまして、その辺の検疫の方は今後とも万全を期していきたいと考えております。
#130
○降矢敬雄君 実は、以上目ぼしいものを拾ってきても、まだまだあるわけなんですが、これは防疫とは大変なことだと思うのです。
 そこで、私は大変問題になると思いますのは、輸入植物検疫規程、この規程は昭和二十五年七月に制定をされて、自来この検疫の数量については改正が行われていない。で、一つの例を挙げますと、麦とか大豆とかトウモロコシなどは輸入数量の〇・〇一%を抽出をして検査、検疫をする。果物類につきましては、〇・五から五・〇%ぐらいの抽出量で検疫をする。恐らく厚生省のコレラ等も、いわゆる食品類もこの程度の抽出検査、検疫なのではないか。これは一たん国内に入ると大変なことであります。この抽出量も当然これはもう学問的な統計からいろいろ割り出してやっておると思いますけれども、昭和二十五年のころと今日――昭和四十年から今日になりましてももう三〇〇%以上の数量がふえておって、その中の〇・〇一%、パーセントが同じならば同じ比率でいきますけれども、検疫を受けない残物は実際数量として大変ふえてくるわけであります。
 ですから、どうも極端な悪口を言えば、皮肉めいて言えば、動物輸入は五年間で二〇%ふえている。そして検疫の数量は御指摘がありませんでしたけれども、私の計算では一〇%増。輸入数量がどんとふえておって、検疫数量は一〇%しかふえていないということになりますと、どうも規程そのものも古くておかしいと思うけれども、この規程さえも守っていない規程違反が行われておるのではないかという心配さえも持つわけであります。ですから、これは当然抽出数量だけで問題が解決するものではなかろう、全量検査というのはなかなかいきませんから。ですから、当然これは検疫の仕組みとか検疫技術の向上とかいうものとあわせて改善をされるべきであろうと思いますけれども、特にコレラのように国内に入ってきてはこれは社会的大問題、どうしても水際で防衛をしなきゃなりませんので、やはりこの二十五年制定の検疫規程別表第一もこれは検討をし直される必要があるのではないかと思いますが、時間もだんだん迫っておりますので、端的にその必要があると思っておるのかいないのか、この点ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#131
○政府委員(二瓶博君) 近年の輸入植物の種類が非常に多様化してきておる、それから輸入の量、これも非常に増大をしておるということでございます。したがいまして、これらに伴いまして病害虫の侵入ということの防止につきましては、さらに検疫技術のより一層の向上ということを図る必要があると、かように考えております。そこで、五十二年度からわが国の病害虫関係専門家によります検討会というものを開催をしてまいっておりまして、植物検疫技術についての検討、これをやっておるわけでございます。病害虫の検査方法の面はどうか、あるいは同定方法がどうか、それから、ただいま先生からのお話もございました抽出量、この辺もどうかというようなことで、そういうものを含めました検討を専門の方々にわずらわしておるところでございます。今後ともこういう面をさらに詰めて万全を期していきたいと、かように考えております。
#132
○降矢敬雄君 これはぜひコレラの例もあることでございますし、コレラのようなことをしでかしては大変でありますので、どうかひとつこの検査数量につきましても早急に専門家に検討をさして改正をし、十分な抽出量の検疫ができますように、これは期待をいたしておきます。
 そこで、実は横浜の本所を視察をした際に、強い心配が本所で――ちょっと余分なことのようでございますけれども、運輸省においでをいただいたわけでありますが、いまそれぞれの空港で国際化の運動を地元がいたしております。北海道の千歳、それから北陸の小松、九州の長崎、熊本、四地区が大変激烈な運動を行われておるようでありますけれども、これは国際空港化に運輸省としては認定をされますか。どういう方向でこれに対応されますか、端的にひとつお伺いしたい。
#133
○説明員(早川章君) お答え申し上げます。
 ただいま先生お挙げになりました千歳、小松、熊本、長崎、それぞれの飛行場は、関係各県が昨年、五十四年度予算編成の段階で非常に熱心に運動されましたのは、主として厚生省の検疫関係、指定検疫空港にしていただきたいという予算要求に関係してでございました。私ども一般的に申しまして、地方空港の国際化という問題は、国際のチャーター便が出る話から定期便が就航するまでいろんなバリエーションがあると考えております。そこで、これらの四つの空港につきまして、実は航空会社の方からは、地方から国際線を出したいという希望は提出されております。そこで、われわれの方としては、最近の地方の住民の方々が直接外国に行きたいという御希望が非常に強いということで、東京まで出てくるのも大変だ、あるいは大阪まで行くのも大変だということもございますので、そういう御希望にはできるだけ応じたいと考えておりますが、具体的にどのような路線を引いていくかということは、相手国の関係もございますし、それから飛行場の管理体制、それからCIQの整備体制その他もございますので、その辺につきましては関係省庁とも十分打ち合わせながら対応していきたい、こう考えております。
#134
○降矢敬雄君 実は、どうもこの四つが、たとえば五十四年度で運輸省も対応しそうな状態であるとされると、即刻空港に防疫所を開設しなければならぬ。そうすると、いま防疫官が大変な仕事をしょっておって、とてもそっちへすぐ行けといったってなかなか行けないという心配を、実は現地で私は聞いてきているわけです。そこで、これは運輸省だけ勝手に国際空港にされても、農林水産省の方は防疫官の養成もしなきゃならぬ、対応もできぬ、予算もないということになりますので、これは農林水産省だけじゃなくて各省庁にもまたがることであると思いますけれども、手落ちがないように、ひとつ省庁の意向に十分対応ができる状態で出発してもらいたいと思いますし、これは特に宮田政務次官、農林水産省は運輸省がぱあっとやられますとこれは困るわけであります。ひとつこれは政務次官の方で十分運輸省の意向も重視しながら、一緒に歩調がとっていけるような防疫体制をとってほしいと思いますが、これは政務次官からひとつ伺いたいと思います。
#135
○政府委員(宮田輝君) きょうは大変大事なお話を降矢先生からお伺いしたわけでございます。ややもいたしますと、動植物の検疫というようなところは、普通余り関心が持たれないようなおそれのあるところでございますが、この重要さはもうお話を伺い、私どもから御答弁申し上げた中にも含まれているわけでございますが、新しく受け入れる場所ができたというような場合には、当然私どもとしてもそれによって手抜かりが起きるというようなことのないように、十分対処するように努めてまいりたいと思います。
#136
○降矢敬雄君 それとあわせまして、これは政務次官にひとつお願いをいたしておきますが、成田空港は滑走路が一本でございまして、時折――時折というよりも相当あるんだそうですが、夜間羽田へ臨時着便をする。そうすると、これにも検疫をしなければならぬという問題でもって急遽行くと。この臨時便に対する対応に大変困りているようでございます、現地で。これはひとつ政務次官にお願いしますが、現状は政務次官の方で調べてひとつ対応ができるような御配慮をぜひちょうだいいたしたいと思います。
 それから、実は動物検疫所、植物防疫所、先ほど大臣から御答弁ございましたように、動物検疫所は全国で四十八カ所、若干大臣の答弁と人員が違うんですが、防疫官の定数が百二十五名。動物の方は一カ所二・五人平均、植物の方は百カ所、何か大臣は五百何人か防疫官の定員がいると言われておりますが、いずれにしても平均いたしますとこれは五人前後。この一カ所二・五人、五人前後の防疫官でいまの膨大な輸入量をさばくにいたしましても、これは大変なことであります。大変私は、これはどうも捨ておかれてきたのではないかというような感じがするわけでありますけれども、これらの定員ではどうにもならないのではないか。だから、四つの空港が国際化されたらば、にっちもさっちもいきませんということを現地で私は言われた。
 しかも、考えてみますと、動物検疫官は獣医さん、これは一朝一夕ににわかに養成するわけにまいりません。それから、植物防疫官もこれはやっぱり農林水産省が勉強さして、試験をされていくわけだと思うのですが、にわかにこれはいかないと思うのです。したがって、どうも四十二年ごろから四十七年まで――四十七年は沖繩が復帰をされましたから定員もちょっとふえていますが、四十七年から今日まで防疫官は数名きりふえてない、しかも輸入量は三倍にまではね上がっておる。大変心配をするわけであります。
 私は、時間もなくなりましたから、これらは挙げまして宮田政務次官にひとつ最後に対応の御決意を伺いたいわけでありますけれども、私は、私の感情からいけば、これはもう明らかに国民の消費生活を守り、それから農業を守っていくということ、これには絶対不可欠な防疫でありますけれども、同時にこのように国際的になりますと、全く国際条約とは異質なものではありますけれども、この水際に非関税障壁、大防波堤を築き上げたいという、実は私は感情的にそう思っているんです。そのくらいの迫力で検疫をやって、ちょうど国民生活を守るのによくなるのではないか。いまの状態では大変心配が多いし、面映ゆい感じがするわけでございます。私は、あえて非関税障壁をここへつくれというようなことを申し上げているわけではありませんけれども、そのくらいの迫力で足りない防疫官もこれから養成をし、そして大いに権威ある日本の防疫行政というものを立てていきませんと、せっかく国内でもって保護政策を強め、ああだこうだと言って畜産の価格をいろいろ決めていきましても、この防疫一つ崩れることによってみんなそれは瓦解をしてしまう。いまこそ動物、植物の検疫が大変むずかしい、大変重大な時期に来ておると思います。
 それから、あわせてこれは外国の事情をしっかりと防疫官が身につけておりませんと、なかなか効率的な検疫は行えない。五十三年度調べてみますと、十人くらいきり外国へ行っておりません。こんなことではとても外国のレポートを十分持ってきてここに大防疫堤をつくることは不可能だと、こういうふうに思うわけで、それこれ心配があるわけでありますけれども、ひとつ防疫官の養成と防疫官を十分配備をして、日本の農業、ひいてはまた、さらには本質的には日本の国民の消費生活を守るために、この検疫行政というものを十分やってほしいと思います。意を用いていただきたいと思います。ちょうど一時間、私の質問それぞれ課題を設けました。政務次官のひとつ対応の御所見をちょうだいいたしたいと思います。
#137
○政府委員(宮田輝君) 外から入ってまいりますものをそのまま消費するという場合もございますし、それがもとになりまして日本の農業が、それらがもとになってまた発展していくということも大事なことでございますけれども、おっしゃられますように、国内の病菌あるいは害虫の流行を阻止するということは当然大事なことでございますし、海外からの新たな侵入を防止するということがまた重要でございます。
 先生の御所見のように、特に外国から入ってくるものが多くなりまして、それの中から抽出する率ということもございましたが、量がふえたから率を多くするということも考えられましょうが、それだけでもないかと思います。いずれにいたしましても、国民の多くの皆さんにこういうことも関心を持っていただいて御支持をいただきながら、さらにお説のように努力をしていきたいと、こう思うものでございます。
 食生活が変わってまいりまして、豊かになってきたと言っていいかと思いますけれども、それだけまたいろいろな問題が起きる可能性もふえてきているということを考えますと、農畜産物のこの検疫体制、動植物の検疫体制の充実というのはきわめて大事なことでございますので、再三申し上げるようでございますが、一生懸命努力をさしてい、ただきたい。先生の御所見を伺いまして、農林水産省のその係も恐らく勇気を持って対処するであろうということを申し上げて、感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
#138
○降矢敬雄君 ありがとうございました。終わります。
#139
○原田立君 畜産物の生産に従事している農家の方々にとっては、三月は最も関心の高いときであり、また不安な季節であろうと思うんであります。十五日の総会を皮切りに、二十日の飼料部会、二十八日の食肉部会、二十九日の酪農部会と、畜産振興審議会の審議日程も決まり、三月末には五十四年度の価格が決定することになっておりますが、この五十四年度は全般的に畜産物の過剰傾向の中で進められるため、非常に厳しい価格体系になるのではないかとの観測がなされているわけでありますが、農林水産省として五十四年度の畜産価格の諮問に当たり、基本的にはどのような姿勢で臨むつもりでおられるのか、見通しをお伺いしたい。
#140
○政府委員(宮田輝君) 畜産物の価格でございますが、指定食肉、牛肉それから豚肉の安定価格、それから加工原料乳の保証価格等につきましては、それぞれ法に基づきまして、生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、その再生産を確保することを旨として定めるということになっております。その方針を踏まえまして畜産振興審議会の意見を聞いた上、適正に決定してまいりたいと存じます。
#141
○原田立君 一般報道などを見ると、新しい価格水準を決めるに当たり、えさの値下がりにより生産コストの低下、高い食料品をめぐる農政批判などを考えると、二年連続の据え置きはほぼ確実で、場合によると史上初の値下げの可能性も考えられると、こういうような報道がなされているわけでありますが、何とも理解しにくい感が強いわけであります。審議会の答申待ちとは言え、政府としては一体どのような見通しを持っておられるのか。いま政務次官は、再生産が十分できるようなそういうものにするんだと、こういうふうに言っているそばから、単価を下げちゃおうというようなことではちょっと理解しにくいわけです。いかがですか。
#142
○政府委員(杉山克己君) 物によって事情は異なりますが、現在の需給事情からいたしますと、牛乳、それから豚肉は明らかに過剰が出ております。そういう需給事情も当然価格決定に当たっては考慮されなければならない事情でございます。それから生産費のとり方についていろいろ要素があるわけでございますが、えさの価格が下がっていることは事実でございます。この下がり方は物によって違いますけれども、全体を通じてかなり大きいということが言えます。
 そのようなことから、世上一般に関係者あるいは報道関係等で価格が値下がりするのではないか、値下がり諮問もあるのではないかというような観測をなされておりますが、私どもいまその算定をいたしているところでございます。最終的に確定した資料に基づいて、厳密な計算をした結果でなければ何とも申し上げられない。いまこの段階で上がる、据え置く、下がるというような、そういう予断的なことを申し上げることは適当でないと思います。いずれにいたしましても、ルールに従って算定した結果を忠実に私どもは出したいというふうに考えております。
#143
○原田立君 十五日の総会のときに、畜産局長がここいら辺も全部含めて話をしているんじゃないですか。ただ、それは世間一般に出てないだけであって、もう言っているんじゃないですか。そういうふうな一部の話もあるんだけれども。
#144
○政府委員(杉山克己君) 畜産振興審議会の運営は、初めに総会を開きまして、そして部会の構成等を決めます。当然、部会長の人選も行うわけでございます。そして、あとの審議は部会にゆだねるということで、まず二十日に飼料部会が開かれたわけでございます。そしてあと食肉部会が二十八日に、それから酪農部会が二十九日に開かれることになっております。そして、十五日の総会では総括的な諮問はいたしました。その中に、畜産物についてのそれぞれの価格の決定に当たって留意すべき事項はいかんというような形で抽象的な諮問は出しております。その意味ではすでに諮問はいたしておりますが、政府の試算、算定はどうなるかということについては、それぞれの専門の部会でもって御検討いただく、その際に最近までのデータを織り込んで算定して、それをお出しするということになっておりまして、数値はまだ出ておらないわけでございます。
#145
○原田立君 局長は、「最近における畜産の動向と畜産関係諸施策等について」というこの文書の中で、七ページにありますけれども、「限度数量を超過することのないよう数度にわたり関係者を指導したところでありますが、」云々と、こういうふうにあるわけでありますけれども、二回にわたって通達を出していると、これについて概略御報告願いたい。
#146
○政府委員(杉山克己君) 昨年の夏と本年の一月に、私ども昨年の畜産振興審議会の際に、五十三年度中の過剰が懸念されることからその予告をいたし、さらにいま申し上げましたそれぞれの時期に局長通達を出しまして、
  〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕
このまま放置すれば限度数量を超過する危険がある、ついては需要の拡大を中心として限度数量の超過を来さないように、各生産者そのほか関係者御努力願いたいという意味の通達を出しておるところでございます。
#147
○原田立君 この中で、過剰な生産を自主的調整する体制云々と言っているわけでありますけれども、これは具体的に何を指すのか、またこの通達を生産者団体はどう理解し、どう対処しているか、いかがですか。
#148
○政府委員(杉山克己君) これは抽象的な文言でございまして、具体的に牛の頭数を幾ら割り当てて、乳量を幾らに制限するというようなことは言っておらないわけでございます。全体として過剰基調にあるから、生産者はできるだけそういうことのないようみずから抑制するようにということで、努力を促したところでございます。ただ、実は若干残念なことに、昨年の夏、きわめて暑い日が続いたわけでございます。そのときに牛の生理的な条件から生産の方は落ちたと、それから需要の方は、これはまた暑いものですからよけい伸びたということで、この時期の様子では五十三年じゅうはあるいは安心できるかというような判断が一つ関係者間にあったわけでございます。そして秋になってみましたところ、牛の生理はきわめて急速に回復した。しかも、需要の方は急激に減退したというようなことから、五十三年の過剰がきわめて明確に出てくるようになったわけでございます。そこで重ねて、先ほど申し上げました、この一月の時期に昨年の夏に続いての通達を出したということでございます。
 ただ、実際問題として消費の拡大にも努めましたし、それからこの方はどれだけ効果があったかはわかりませんが、私どもは飼料――えさにつきましては、できるだけ配合飼料依存を下げて自給飼料に切りかえるようにということを言ったわけでございますが、それらの努力もありましたにかかわらず、ことしは現在の見通しでは、約二十万トンほど限度数量をオーバーするような加工原料乳の発生が予想されております。
#149
○原田立君 それはぼくもいま言おうと思ったところなんだけれども、現に二十万トンオーバーしている、そのぐらいの生産量があったのは事実でありますが、このような結果が出たことは何ら理解されていないでこういうことを言ったのではないか、こんなふうに疑問に思うんですが、どうですか。
#150
○政府委員(杉山克己君) 年度の初めにその年の予定を立てます際は、これは一つは努力目標的に大いに需要の開発拡大にも努力するというようなことから、それぞれの見込みを立てて数字を決めるわけでございます。そういった点からいたしますというと、生産量は予想よりも伸びた、それから飲用の需要は予想よりも少なかった、そして、そのしわ寄せが特定乳製品というところへ来たわけでございます。
 特定乳製品用の加工原料乳が、これは限度数量百八十三万トンでございますけれども、二百三万トン程度発生する見込みになったと。そのことは予想してなかったのでないかと、観測を誤ったのでないかと言われれば、結果としてはそういうことも数字的には言えるわけでございますが、私ども限度数量は一つの生産の指標あるいは財政負担の限界としてお示しした数量でございまして、その百八十三万トン、特定乳製品の限度数量を見る限り、実際の需要は百八十一万九千トンということで、ほぼ限度数量程度におさまっているわけでございます。そういう意味では、非常に残念なことでありますが、生産が伸び過ぎて飲用の消費がこれに伴わなかったというのが実態であろうかと存じます。
#151
○原田立君 農作物であれば作付計画面積の調整によって生産調整ができるが、牛乳の場合は相手が生き物であり、したがって簡単にはできない。もっと具体的に言えば、農家サイドでの調整は不可能であるし、したがってこの通達は無意味ではないのか、またこれから大臣にお聞きしたいと思うんでありますけれども、大臣も生産調整のあるような、そういうようなことを言っておりますが、この点、今後の需給調整については、長期需給見通しの上に立つ以外その方策はないと思いますが、いかがですか。
#152
○政府委員(杉山克己君) 長期需給見通しとの関連で申し上げますと、六十年見通し、また酪農の場合はこれをベースにした酪農近代化基本方針というものがございます。そのテンポからいたしますと、大体生産は年率四・二%程度で伸びるというふうに考えられるわけでございます。ところが、現実の伸び率は、これをはるかに上回っております。昨年、一昨年も同様でございました。その結果、五十三年の目標のテンポと比べますと――目標のテンポといいますのは、六十年の数値は決めておりますが、途中年次の数値は決めておりません。一様に伸びるということで、途中の年次の数量を想定いたします。その水準との比較ということでございますが、大体五十三年でもって九%程度、生産が目標のテンポを上回った状況になっているわけでございます。
 それに対しまして需要の方は、これは年々の差はございまして波を打っておりますが、五十一、五十二、五十三、平均しておおむね三%程度の伸び率という状況でございます。このギャップはかなり大きい。三%の需要の伸びというのは、農産物としては安定した伸びを示しているというふうに考えられますが、そういう伸び、しかも、これはまた努力によって若干上昇させることは可能だと考えております。その伸びに合うような生産を考えるべきである。やはり急速に、生産だけがギャップを保ちながら大きく拡大していくということは、これは長期安定という点から見たら危険であるというふうに考えております。
 では、そういった目標といいますか、計画といいますか、あるべき水準と実際とのギャップに対してどう調整していくか、生産調整をやっていくかということになりますと、これはもう御指摘のように、米の場合以上に現実に実行上きわめて困難な問題があります。ただ、私どもは牛乳の価格形成は、本来は、基本は自由取引で、飲用乳――市乳でもって形成される。そして、一部加工原料乳に回るものについて、その支持価格を政府が措置する、いわゆる不足払いを行うということで制度的に仕組んでいるところでございます。その意味からいたしますというと、むしろ経済的な価格なり、あるいは限度数量の扱いといったものを通じて、それぞれの企業的な経営上の反応ということ、適応ということで生産についての抑制が図られていくべきであるというふうに考えておるわけでございます。
 そういった状況を反映いたしまして、先ほどもお答えいたしましたとおり、ことしの価格決定あるいは一連のそれに伴う問題につきましては、需給事情がきわめて厳しい状況にあるということ、これは問違いのない事実であるわけでございます。
#153
○原田立君 まあ、その厳しいという表現の中に、据え置きするのか、あるいは値下げするのかと、こういうふうなことが示唆されているように私は思うわけなんです。加工原料の乳価については、審議会で二十九日に論議されるようでありますが、ただ懸念されていることは、この保証価格の限度数量の上下によって需給調整または生産調整を意図するのではないかとの心配がされているわけでありますけれども、この点、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法第十一条第一項第一号に定めている「生乳の再生産を確保することを旨として」とあるように、農家経営の基盤の確保の観点を基本にすることを約束できますか。局長の答弁を聞きながら本当はここで大臣に答弁を願いたいところなんだけれども、政務次官にお答え願います。
#154
○政府委員(宮田輝君) もういろいろ議論がございましたように、いまの価格で、まあはっきり言うと、でき過ぎるほどできているというような状況の中でございますので、いろいろなお話を伺いながらただいま作業を進めていると、こういうところでございます。
#155
○原田立君 そんなのじゃ答弁にならない。局長、答弁。
#156
○政府委員(杉山克己君) それは、政務次官が申し上げた意味は、現在の価格でも再生産が償い得る状態になっているということで、特別に何か引き上げるようなことを考えなければ再生産が確保されないという話ではないと、やはりそういう現在の状況というのを前提にして価格算定が行われるべきであり、行われつつあるということを申し上げたのかと存じます。
#157
○原田立君 先ほども言ったように、法には「生乳の再生産を確保することを旨として」という大原則があるわけです。また、農協中央会等で、今回の乳価等に対する決定時に当たって要望が出ている。じゃその要望は、はい、値下げしてもらって結構ですよ、あるいはもう据え置きで結構ですよと言っていますか。そうじゃないでしょう。幾らかでも少し上げてもらいたい、非常に苦しい中であるから何とかして少しでも上げてもらいたいと、こういう要請が農水省の方にだっても、畜産局長の方にだっても、政務次官の方にだっても行っているはずです。それに対して、いや現在の価格でもちゃんと再生産ができるのだなんていうのはちょっと暴言であるし、また政務次官、それを旨として鋭意検討中だなんて、もうすぐ目の前なんですから、そんな御返事じゃ困ります。私は、この農家経営の基盤の確保の観点を基本にすることを約束していただきたい。
#158
○政府委員(杉山克己君) 酪農の問題は、短期でなく長期的な視点に立って、価格にしても需給の問題にしても取り扱うべきだと思います。そういう意味では、私ども農家の本当の再生産の確保、長期的に見た経営の安定ということを一番大事に考えているつもりでございます。基本的には、先生のおっしゃられたような精神は十分体しているつもりでございますので、今後とも努力いたしたいと考えます。
#159
○原田立君 牛肉、豚肉の価格見通しについてはどのように判断しておられるのか、政府の見解をお伺いします。
#160
○政府委員(杉山克己君) 酪農について申し上げましたように、生産費の要素の問題は、やはり同様えさが下がっている、そのほか賃金、諸物価によっては、物によっては上がっているものもあれば下がっているものもあるということで、変動の要素はかなり幾つかあるわけでございます。価格算定は、それらの生産費をベースにいま行っているところでございます。いまの段階で、やはり酪農同様価格の算定値がどういうような水準になるかということは、ちょっと申し上げかねるのでございます。
#161
○原田立君 乳質改善奨励金については継続の方向で進められているのか、それとも打ち切りの方向でいっているのか、いかがですか。それでまた、どういうふうな方向に向いているのか、お伺いしたい。
#162
○政府委員(杉山克己君) 乳質改善奨励金は、これは生乳の品質をまさに文字どおり改善するという趣旨のもとに出されている奨励金でございます。
 品質問題、特にかつて細菌の数、一ミリリッター中どれだけ細菌の数があるというようなことで測定されるわけでございますが、これが多いということで品質がよくない、したがって取引上もトラブルが起こるし、買いたたかれるという問題もあったわけでございます。そういうことを改善するために、いろいろ努力するための奨励措置ということで、この乳質改善奨励金がつけられているわけでございます。五十一年一円、これはキロ当たりでございます。五十二年一円七十五銭、五十三年一円七十五銭と同額つけられたわけでございます。今日細菌数の発生の割合を見ますというと、これはもう実に顕著に下がってまいっております。乳質改善の趣旨はおおむね果たされたというふうに考えておりまして、私どもそういうような状況からすれば、現在継続することは困難ではないかというふうに考えております。
#163
○原田立君 そうすると、これは廃止しようという、そういう方向で進んでいるということですか。
#164
○政府委員(杉山克己君) いまのような、その乳質改善の実績からすると、つける理由は乏しくなったというふう考えております。
#165
○原田立君 そうすると完全にそれだけは安くなる、安くなるというか値下げになっちゃうという、そういう意味になりますね。
#166
○政府委員(杉山克己君) 乳質改善奨励金をこれは一律支払ったという経過から、それから価格決定の際にこれが措置されたということから、受け取る側では一部まあ価格なのだというふうにお考えの向きもあるやには聞いておりますけれども、私どもとしては、いま申し上げましたような、価格とは別個の乳質改善を生産者が進めることについて奨励するという趣旨で出している奨励金でございますので、価格が下がったとか上がったとかということとは直接関係のない話だというふうに理解いたしております。
#167
○原田立君 そんなこと言ったってだめですよ。この昭和五十三年度政府告示八十八円八十七銭、それに乳質改善奨励金一円七十五銭、合計九十円六十二銭と、こうなっているでしょう。それが今度は、五十四年度の農協などの要求は九十八円八十三銭にしてくれと、こう言っているんです。まあ別にその乳質改善奨励金などはその中に含んでいませんけれどもね、印刷物の中には。ということは、そういうことは除外しても大筋のところでいままでの九十円六十二銭から九十八円八十三銭としてくれという、そういう要請だろうと思う。局長は、この乳質改善奨励金はもうもはや不要になったというならば、それだけが当然値下げされるだろうと、こういうふうなことを考えるのはだれだってもわかることであります。じゃ、それにかわり得るものがここでまた設定されることになる予定ですか。
#168
○政府委員(杉山克己君) 受け取る側の立場から、実際の手取りが減るという意味で価格が下がるというふうに観念される向きがあるのは、これはいたし方がないと思いますけれども、事柄の取り扱い自体が、価格の算定もまだできておりませんし、しかもこれは価格のみならず限度数量、それから来年の限度数量が本来ではございますが、本年の超過したものについての要請も出ております。それに乳質改善奨励金、決定すべき事柄はたくさんあるわけでございます。そういった事柄全体の関連の中で、それから長期的な対策も含めてどう扱っていくかというのは、ここ残された数日の私どもに与えられた宿題であるので、懸命にそれらの解決点を見出すように努力しているところでございます。
#169
○原田立君 努力しているのは結構なんだけれども、この乳質改善奨励金一円七十五銭というのが継続されなくなると、この加工原料乳保証価格は八十八円八十七銭ということになっちゃうんですよ。現在は九十円六十二銭でしょう。だから要するに、その乳質改善奨励金自身がなくなってしまうわけなんだ。あなたいま、この数日間がこういう課題を扱う与えられた期間であるというようなことを言ったけれども、じゃその間に、むずかしいじゃなくて、何とかこれにかわり得るものがつく、いやそれ以上のものが何らかつけられるような方向に進んでいくと、こういうふうに理解していいですか。
#170
○政府委員(杉山克己君) この段階でそう重ねてはっきりある事柄についてきちんと言えというふうに言われますと、私どもの方は何らいまの段階で決定できないわけでございますから、乳質改善奨励金については継続して出すことは困難な事情であるということを、重ねて申し上げるほかはないわけでございます。
#171
○原田立君 そうすると、じゃ政府は加工原料乳乳価については値下げをすると、こういうことなんですね。
#172
○政府委員(杉山克己君) 何度も重ねて申し上げておりますように、価格の算定そのものがまだ決定といいますか、数値が出ておらないのでございますから、そこはひとつ御容赦願いたいと思います。
#173
○原田立君 容赦してよくなりや結構なんだよ。だけれど、容赦して悪くなったらあなたどうするの、あっぱっぱで。そんなことじゃしようがないですよ。もちろんいま審議会にかけているから答えられないということはわからないことはないけれども、少なくともいい方向へ向いているのか悪い方向へ向いているのか、そのくらいのことは言ったらどうですか、におわしたら。
#174
○政府委員(杉山克己君) 私、やはり責任のある立場でございます。何らかにおわすということ自体にやはり問題を予測せざるを得ませんので、その点は御容赦願いたいという意味で申し上げたわけでございます。
#175
○原田立君 におわすわけにはいかないと言うから、もうやめよう、しようがない。
 現在、過剰基調にあり、最も深刻な問題となっている牛乳問題について若干お伺いするんですが、六十年を目途とした「農産物の需要と生産の長期見通し」の中で、牛乳、乳製品を見た場合、四十七年の需要量五百七十一万九千トンに対し六十年は実に八百十四万二千トン、このうち国内生産量は四十七年の四百九十四万四千トンに対して六十年では七百六十八万トンと、こう見込んでいるわけでありますけれども、現時点における見通しとしてこの数字を引き継いでいくのかどうですか。
#176
○政府委員(杉山克己君) 見通しの数値は、いま先生が言われたとおりでございます。この六十年の七百六十八万トンを達成するために、四十九年度を基準年次として伸び率をこう見てみますというと、年率四・二%で伸びれば目標を達成するということになるわけでございます。ところが、現実にどうかと言いますというと、すでに五十一年が七・二%、五十二年が八・九%、五十三年がこれはまあ一部見込みでございますが、六・九%ということで、平均の伸び率を大きく上回っております。その結果、五十三年度水準で目標のテンポで計算した期待値、これは五百七十四万八千トン程度ということになるわけでございますが、それに比べて生乳生産の実績が六百二十五万トンということになっております。つまり、目標で描いておったスピードよりもはるかに速いスピードで生乳生産が増加しているということでございます。率にして八・七%ほど目標のテンポ値を上回った水準が達成されているわけでございます。
 そこで、目標を直すのかということでございますが、単なる生産の目標値だけでなく、需要の関係も全体としての牛乳の今後の見通しについて検討する必要があるわけでございまして、これは「農産物の需要と生産の長期見通し」全体の検討作業の一環として、官房とも連絡をとりながら、その改定をすることについていま検討を進めているところでございます。
#177
○原田立君 いまの局長の話の中にあったように、実に生産が高いこと、生産率が高いことは仰せのとおりだけれど、じゃ、このような伸び方を正常と見るのか、それともおかしいと見るのか、どうなんですか。
#178
○政府委員(杉山克己君) 正常かおかしいかというのは、伸びだけでなくて、やはり需要とのバランス、それから実際の経営形態のあり方、そういったもので総合的に判断する必要があろうかと思います。需要とのバランスで考えるならば、このままいくならば年々過剰を累積するということでアンバランスである。それはしかし、生産は高いかもしらないけれども、需要が低いのじゃないか、需要については今後さらに拡大を図っていくべきである、どの程度まで可能かというような検討が別途必要になってくると思います。ただ、いまの生産の伸びのような高いテンポの伸びは、いかに努力しても需要はなかなか達成し得ないだろうというふうに考えられます、現在よりはある程度上げることはできても。
 それから、経営のあり方ということでございますが、御承知のように最近、国際的な飼料穀物価格が安くなり、さらに円高の影響もありまして、配合飼料の価格が下がってまいっております。一昨年の夏に比べまして、今日現在の価格はごく平均的、一般的に言いまして約二四%ほど下がっております。そういうようなことから、酪農農家の粗飼料に対する依存度が低まりまして、配合飼料に対する依存が高くなってまいっております。特に北海道のような本来草地酪農、草資源を活用すべき地域においてさえ、内地型の配合飼料多投の経営が見られるようになっております。そのことが、短期的には乳量の増加ももたらしているというふうに考えられます。私ども、牛の生理というような観点からも、それから牛は大事なこれは財産でありますから、長もちさせるという観点からも、配合飼料多投を少しでも――もともと自給飼料、自給率の向上ということを念願としているところでございますが、この際戻して、自給飼料に傾斜するように指導していくべきであるというふうに考えております。
 そういう全体のことを考え合わせて、生産の伸びを適正なテンポに保つようにしなければならないというふうに考えております。正常とか異常とかということとあわせて、むしろそういう全体的な観点から調整を図るということを必要と考えるわけでございます。
#179
○原田立君 全体から考えなきゃいけないというそういうことは、生産が余り伸びないように抑えていく、あるいはまた消費の拡大を図っていく、具体的にはこんなようなことでやるということですか。消費の拡大はそれは結構なんですよ。だけれども、そうなると、生産を抑制してやるとなると、これはちょっとまた問題になりやせぬかというふうに思うんですよ。そこら辺のところ、生産調整ということを大臣もこの前発言しているけれども、そんなことを考えているのですか。
#180
○政府委員(杉山克己君) いま直ちに乳牛の頭数をどれだけ削減しろとか、それから乳量をどれだけにしぼれとかいうような、個々に割り当てるような形での生産調整というようなことは、これはなかなか実行もむずかしい問題でございます。しかし、生産が伸び過ぎているからこれを適正なテンポに戻すべきであるということについての指導は現にいたしておりますし、これからもますますそれを強化しなければいけないと思っております。その際、先ほど私が申し上げましたのは、頭数を余りふやすなということもありますけれども、えさの与え方を配合飼料重点でなくて、自給飼料に傾斜を戻すようにすべきであるということもあわせ指導をすべきだというふうに考えております。生産全体の伸びは、やはり需要も見た適正な伸びでなければ、経営自身が長期的には安定しないと私ども考えております。
#181
○原田立君 私の私見によるわけでありますが、単純計算でありますけれども、前年比五%の伸びとして見た場合、五十八年には、六十年見通しの七百六十八万トンに対して、その目標の二年前にもう七百八十一万六千トンと、こうなってしまうわけであります。大幅に目標をオーバーする計算となるわけでありますが、このように見ると、生乳の生産過剰は恒常的な過剰体制を生み、わが国の酪農生産は成り立っていかないようになってしまうんじゃないか、需要、生産の見通しを検討する必要があるのではないかと、こういうふうに思うわけであります。先ほどは官房と打ち合わせして目標の点についても検討するというような意味の話が局長からあったけれども、もう一遍お聞きしたい。
#182
○政府委員(杉山克己君) いま先生も言われましたように、いまのままのテンポで進めば、目標年次よりはるかに早い時期に目標に到達してしまうということがあると思います。その間、需要とのギャップが累積するということで、これは著しい混乱をもたらすことになりかねない。そういう意味で私どもは目標自身についても検討すると同時に、現実の生産のあり方についてもこれは抑制的に指導をして、適正なテンポを回復するようにしなければいけないというふうに考えておるわけでございます。
 それから、いまのような高い伸びで伸びなければ日本の酪農が、畜産が成り立たないというふうには私どもは考えておらないのでございまして、需要に見合った適正なテンポでの拡大が、十分日本の畜産の安定的な今後の成長をもたらし得るものと思っております。
#183
○原田立君 ある一面から見れば、穀物輸出国の大豊作と円高による値下がりによって一五%ぐらいの幅が生じているのではないかと言われておりますが、重要なことは、国内の需給バランスをどうするかということが大切だと思うんであります。価格問題に対して真剣に取り組むことは当然のことながら、畜産経営農家の方々が安心して生産に従事できる、長期展望に立っての需要と生産の計画に乗った対策こそ最も重要なことだろうと思うんであります。長期需給対策はいかん。
#184
○政府委員(杉山克己君) いま私が御答弁申し上げたことを重ねて申し上げるようなことになりますが、ただいまの先生の御質問の触れられた問題点、お考えは、私どもそのとおりだというふうに考えております。そういう考え方のもとに、先ほど来申し上げたような答弁をいたしておるわけでございます。
#185
○原田立君 わが国の牛乳、乳製品の生産の伸び率は順調であります。一方、消費の伸び悩みと輸入の増大によってますます過剰基調となり、経営の安定、健全化が図れないというのが実態であります。輸入の実態を見ると、昭和四十年度が五十万六千トン、四十七年度では七十四万六千トン、五十一年度には百十六万九千トンと輸入の増大が図られているのでありますけれども、この点、生産団体からの「畜産・酪農経営の安定強化に関する要請」という文書の中のトップに畜産物輸入抑制対策が挙げられているわけでありますが、具体的には、指定乳製品の輸入抑制、擬装乳製品の成分規格の基準引き上げ等輸入抑制措置対策の要請については、政府の基本的姿勢、これらの具体的対策はいかがですか。
#186
○政府委員(杉山克己君) 輸入数量は、これは実量ではなくて生乳に換算した数量でございます。その場合、調製食用油脂とかココア調製品は換算率について一応の大胆な前提をとっておりますが、それをもちまして計算した場合、一般の乳製品で五十三年度二百二十五万四千トン、それから調製食用油脂とココア調製品、この二つを合わせて擬装乳製品とよく言われているのでございますが、これが二十六万一千トン、一般のものと全体を合わせますと二百五十一万五千トン、これだけのものが輸入されております。ただ、輸入されている中で大きいものはナチュラルチーズと脱脂粉乳、特にえさ用脱脂粉乳でございます。それから、数量が最近特に大きく伸びているものの最たるものはえさ用の脱脂粉乳でございます。五十三年一年だけで生乳換算十六万四千トン伸びております。
 これは、国際的な脱脂粉乳の価格が安いために、国内の畜産農家によって飼料として使われるということでふえているわけでございます。この点は、実に私どもも問題のむずかしさを感じさせられるわけでございますが、酪農農家も含めまして、子牛や子豚に飲ませる乳を母親の牛によらないで、外国からの脱脂粉乳を買って飲ませているという事態も一つあるわけでございます。それから、豚だとか牛の、これは親の方です。成豚、成牛にも、大豆油かすやミールの代替としてたん白質飼料としてこれを与えているというような事情があるわけでございます。
 こういう輸入の実態からしますというと、これを仮に抑制するとした場合、抑制すること自体が国際的な新しいトラブルを引き起こすというようなむずかしい問題もありますが、抑制した場合、じゃ国内産の脱脂粉乳に需要が向かうかといいますと、現在の価格体系からいいますというとなかなかそうはまいらない。要するに、輸入の脱脂粉乳は国産の四分の一ないし五分の一だというようなところから需要があるわけでございまして、これを抑制しても大豆油かすそのほかのたん白質飼料に需要が戻るだけだということは考えられます。
 それから、チーズは、私どももできれば国産のチーズに競争力をつけてもらいたいと思っておりますが、単に経済的な問題だけでなく、技術的な、あるいはこれを嗜好される消費者の選択の問題もありまして、同時にまた、技術能力等の問題もありまして、現在チーズがなかなかすぐ国産がふえるというような状況にもないわけでございます。
 それから、調製食用油脂とココア調製品につきましては、ここ三年ほど乳量換算で約一万トンぐらいずつふえておりますが、ふえ方としてはそれほど大きくないし、中でココア調製品は減っている。そして調製食用油脂がふえているわけでございますが、これはむしろ国内でもバターよりもマーガリンが嗜好されるという状況を、国際的にも反映しているものだというふうに思われるわけでございます。
 そういう意味で実態を御認識いただけますと、なかなかそこら辺のところが十分御理解いただけないものですから、輸入品が国内の市場を全く圧迫してそれがけしからないというような御批判をよく承るのでありますが、必ずしもそうではない。特に脱脂用の粉乳の扱いは、畜産農家全体がみずからもかかわっている問題として、非常にむずかしい問題を含んでいるということをおわかりいただければ、そう問題は単純でないというふうに受けとめていただけるのではないかというふうに思っております。
#187
○原田立君 生乳生産量の伸び率を見ると、ことしの全国平均で六・八%、北海道で七・三%、政府の第三次酪農近代化計画による北海道の伸び率を七・七%くらいと見込んでいるのではないかと思うのでありますが、この数字から見ると順調な伸びと見てよいのではないか。それが生産過剰基調をつくり出す原因というのは、一体どこに理由があるのか。先ほども申し上げましたけれども、大いに生産に励んだ農家に責任があるというのか、それとも政府の先行きの見通しの甘さにその原因があるというのか、その点いかがですか。
#188
○政府委員(杉山克己君) 北海道の場合、五十三年度は七・六%の伸びの見込みでございます。これは単年だけとってみれば、六十年見通しと大差ないではないかというのが生産者の方々の御意見のようでございますが、しかし、前年の伸び、あるいは五十二年、それから前々年の伸びを見てみますというと、五十二年は一二・一、五十一年は一〇・五で、五十三年の実績は、北海道といえども目標テンポの水準を相当大きく四・六%程度上回ったという状況になっております。
 それから、何でこういう事態が起こったかということは、私どもは頭数の増よりは一頭当たりの泌乳量の増が大きく影響しているというふうに考えております。もちろん頭数の増もありますけれども、一頭当たりの泌乳量の増は、関係者――私どもも含めての予想を上回る伸びとなっておるわけでございます。それは先ほども申し上げましたように、配合飼料を乳牛にたくさん給与するというようなことから一つは生じている事態であろうかと考えております。
#189
○原田立君 余り時間がないので答弁は簡潔に願いたいと思うのでありますが、生産増の原因として考えられることは、飼料価格の安定による要因もあるが、一般的に見て、酪農経営者の多額な負債を抱えている問題があります。北海道などでは一戸平均で約二千万円の負債を抱えている。酪農経営の場合、生産につながるまでに先行投資が多額となるがゆえに、子牛から搾乳までの期間、畜舎や飼料、草地の拡大に要する投資がかさむ、このような経営拡大と並行して負債増という結果に苦しんでいるのが、酪農経営の経営者の実態ではないかと思うんであります。現実の酪農経営にマッチした融資制度について再考の必要があるのではないかと考えるんですが、いかがですか。
#190
○政府委員(杉山克己君) 現在でも酪農家に対する各種の融資制度、農林漁業金融公庫の資金でありますとか、それから近代化資金でありますとか、各種のそういう制度融資の道があるわけでございます。ものによって二十年、二十五年というような長期の償還年限ということになって、その点はかなり配慮されていると思うわけでございます。
 それから、負債は確かにふえておるわけでございます。借入金総額で見ますというと、五十二年、これは特に北海道が酪農の経営規模も大きくて負債も大きいわけでございますが、借入金総額で一千百六十四万四千円ということになっております。その中で、私申し上げましたように、財政資金、制度的な償還期限でありますとか、金利利率について優遇されておりますところの資金が八百三十六万七千円ということで、七二%程度を占めている状況にあります。
 それから、確かに負債の額は大きくなっておりますが、同時にこれは投資に伴うものでありますので、投資したことによる資産の増加も大きゅうございまして、北海道の場合、同じ五十二年度平均で固定資産の額は二千四百二十八万五千円というようなことになっておる状況でございます。制度融資を御活用いただくということ、それから現在の収益の状況からすれば、もちろん個別にはきわめて経営困難な酪農家もいらっしゃるとは思いますが、おおむね平均としては経営状態としてはそれほどひどくはない、今日の生産の状況あるいは価格の状況等からすれば、経営としてはまあ比較的安定してやっていけているのではないかというふうに思うわけでございます。
#191
○原田立君 いまの局長の北海道の平均は千百万云々ということであるけれども、私が北海道では約二千万と言うのとは大分こう幅があるわけでありますけれども、そこいら辺の多寡をどうのこうのというのではなくて、現在もそれは融資制度はあるであろうとは思うけれども、現行のやり方で酪農経営者が非常に苦しんでいるということは事実なんです。だから、これについて、もうじゃ現状のまんまでいくのか、それとも何らかの処置が講じられるのか、検討しているのか、これは重要な問題なので、部内でどんなふうな検討をしているかという局長の答弁を聞きながら、後、結論として融資制度等について渡辺大臣はどう考えておられるのか、それをお聞きしたい。
#192
○政府委員(杉山克己君) 私、先ほど北海道の一農家当たりの負債額一千百万という数字を申し上げましたが、もちろん北海道といっても規模に大小のおのおの差があるわけでございます。三十頭以上の大型の酪農経営では大体その倍程度、二千百万程度の額になっております。三十頭以上だけの平均をとりますと、負債総額一戸当たり二千百万円ということになります。
 それから、個々の経営で苦しんでいるものがあるから改めて特別な融資措置をとるかということでございますが、私ども、大変恐縮でございますけれども、どうしてもそういうことをやらなければ経営が成り立っていかないというような事態にあるものはそんなに数多くないと思います。一般的にそれをやらなければ、北海道の酪農がおよそだめになってしまうというような状況なら思い切った救済対策も必要でございましょうが、現在の時点ではまだそういう事態にはないと思うわけでございます。ただ、この点につきましては、措置をとるとかとらないとかいう以前に、私はやっぱり実態の把握が必要であろうかと存じます。その意味で、言われた点についてはよく調べてみたいと思います。
#193
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいまの局長の答弁で大体尽きておると思いますが、日本の場合は、私は再三申しておりますが、非常に短年月の間で規模拡大、近代化が行われてきております。したがいまして、大多数はもうかっているのです。だけれども、その金繰りが苦しいというのは言えると思うのです。したがいまして、それもケース・バイ・ケースで、人によっても違うし、どういうふうな分布状態になっておるのか、そこらのところは一遍実態を調査の上で結論を出したいと、かように考えております。
#194
○原田立君 どうかひとつ、ただ平均値だけを出してそれでもうこれでいいじゃないかというようなやり方ではなしに、それはもうかっている人もあるでしょう、非常に苦しんでいる人もあるでしょう、そういう差、があるわけでありますから、その対策に非常に苦しんでいる人たちに対しては温かい手を伸べていただきたいと、これは強く要望しておきたい。先ほど調査をするというふうにお話もありましたから、あわせてそれをお願いしておきたいと思います。
 それから、先月二十七日、閣議後記者会見の席上大臣は生産調整について言及されたと聞いておるんですが、その内容について御説明をお聞きしたい。
#195
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、生産調整をやると言ったわけじゃないのです。現在の過剰状態が恒久的なものであるかどうか、これは問題であると。非常に恒久的なものであるとすれば、これは不足払い法というのは限度を決めなければとてもできないわけですからね。生産者米価なんかの場合は、値上げがあっても消費者に転嫁できるわけです、これは。ところが、不足払い法というのは個々の基準価格があって、保証価格があって、その差額は政府が持つという制度なものですから、したがってこれは消費者転嫁ということはできない。政府がみんな持つということになると、仮に一年に二十万トンずつ限度数量がふえていくということになれば、消費が伸びなくて、そうするというと、五十四億円ぐらいずつ金目がふえていくわけです、一年に。
 したがって、不足払い制度という制度そのものがつぶれてしまうと。制度が優先をするのか、こういう制度があった方がいいのか、これは暫定的な制度としてスタートはしたのですが、いまやある程度定着しちゃっているわけですね。どっちを優先するか、政治判断のこれは問題になってくる。私の聞くところでは、不足払い制度というものを置いた方がいいという人が圧倒的に多いということになれば、制度を守るためにはやはり無制限に限度数量をどんどんどんどんふくらましていくということはできないわけですから、制度を守るためには、そういうときには生産調整というようなことも研究をするということにならざるを得ないことになるのでしょうなという見通しを言ったので、いますぐ生産調整をやるとかどうとかということを言ったわけではないのです。
#196
○原田立君 生産調整をやる可能性はあるなと、こういうことなんですね。
#197
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、限度数量は御承知のとおり毎年二十万トンぐらいずつオーバーしているわけですよ、五十一年、二年。またことしも八十三万トンが二十万トンぐらいオーバーしそうだと、こう言っておるわけです。御承知のとおり、水田なんかの場合は、制度を守るために減反もやり転作もやっているわけですね。牛の方は幾ら飼ってもいいわけですから、これは際限がないわけですからね。決まってない、何ぼふやしてもいい、幾らふやしてもいいということになっているので、そうすると、ふやしたい人たちだけどんどんどんどんふやしてしまうというようなことになったのでは、これは困る問題が起きてくるわけですよ。
 したがって、そういうことが、これがことしだけのことなのか、それとも来年もその次も続くような状況にあるのか、ここらのところを見きわめなければならないということが一つなのです。見きわめなければならぬと。見きわめた上で、恒常的にふえるのだということになれば、制度を守るためには、そのときには生産調整というようなことも考えていかなきゃ当然ならない、こういうふうに思っております。いまのところはまだよく実態をつかんでおりませんから、だけれども、どんどんふえる場合にはそうせざるを得ないという考えであります。
#198
○原田立君 結局、いつも大臣が言っているような第二の食管にしてはならないだなんというような基本的な姿勢で生産調整をやろうという腹なんですな、大臣は。それでぼくの言いたいのは、それは外国からの輸入も大事ですよ。だけれど、米なんかの場合には輸入していない、日本古来の生産量がぐっと上がっていると、こういう問題、それで生産調整という、われわれ反対ではあるけれども、政府はそうやられた。だけれど、牛乳の場合には外国から輸入がある、それから輸入がどんどんどんどんふえていくと、それからまた消費の拡大が余り思うようにいってないということ、後で具体的な数字は出しますけれども、こういうようなところ、そこいら辺のところを何らか考えてそれで処置を講じなければいけないんじゃないのか、こう思いますが、いかがでしょうか。
#199
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、不足払いは限度数量を設けてあるわけですから、それ以上つくってもそれは補給金の対象にしなけりやいいのですよ、それまでしろと言わなければ。それはどんどん買っているわけですから、乳業メーカーが。早い話が、八十八円手に入るところが、六十四円でもうすでに売れちゃっているわけですからね。で、売れ残りができているわけじゃないんですから、売れているんですから。売れているけれども、値段が二十四円一キロでお安うございますよと、それでも結構ですというならまた話は別な話、それは別な話なのです。それはおつくりになっても自分の力で売るわけですから、それは自由経済ですからお売りになって結構なのです。それは米と全然違うところです。
 第二番目は、外国からの輸入の問題については、ここで一番問題になっているのが、要するに脱脂粉乳の生乳換算八十万トンとふえているではないか。これは大部分がえさ用の脱脂粉乳です。結局、主としてこれは半分以上は豚でしょう。それから牛もいるでしょう。これは生産農家が使っているわけです。したがって、これは五倍も違うわけですからね。これを抑えるということになれば、五倍も高い飼料を食わせるということになってくる。そこらのところに、なかなかこいつはとめるといってもとめられない。生産者団体から輸入割り当ての申請が出て、そいつを農林水産省は許可しているということになるわけですよ。生産者の団体から出ているわけですから、輸入がふえてもこれはとめるといってもなかなかそう簡単にはいかないむずかしい問題が入ってまいる。しかし、極力、国内の脱粉も五倍高いかもしらぬが、なるべく使うように協力してもらえませんかといって、われわれとしてはこれは生産者団体の理解と協力を得る方向で努力をいたしております。
 それから、あとはナチュラルチーズの問題ですね。大きいのはこの二つですよ。これで、もう百八十万トンあるわけですから。ナチュラルチーズの問題については、これは要するに日本でもナチュラルチーズをつくれるんですけれども、値段が高いということよりも、むしろ技術、それから趣味、嗜好、カビの話ですからね、これは。カビの話ですから、なかなか人が来たからといってうまくいいカビができるとは限らない。つくり方の技術もある。向こうは何百年という歴史を持っている。こっちは、主として戦後の話ですわね。技術もうんとおくれておる。したがって、そういうような技術の開発やなんかについては、政府はこれから助成もして、外国に劣らないような日本人の嗜好に合ったナチュラルチーズをつくるようなことをしていけば、輸入は自然に減るわけですね。ですから、そういうことで努力をいたして、国内のナチュラルチーズがもっと国民から喜ばれるようにするように努力をいたしましょう、御協力いたしますということを言っておるわけであります。
 なるべく、それはココア調製品その他の脱法的輸入については、これは脱法的輸入、無秩序な輸入にならないように、あるいは先ほどあったけれども、皮はぎとかなんとか社会党の人だったか言いましたね。あれは初めて聞いたのだけれども、そういうようなインチキ屋のがあれば、これは監視の目を光らして厳重に抑えていく。そういう人にはもう輸入割り当てをやらないというようなこととか、関税の方も払ってもらうとか何かしなきゃならぬから、そういうような個別案件があればどんどん教えてもらって、それは厳しくそいつに対しては対処していきたい、かように考えておる次第でございます。
#200
○原田立君 政府の基本姿勢で明確なとおり、国内自給率の向上、酪農振興の強化を図るという方針からも、安易に生産調整など断じてやるべきではないと、こう私は思うのであります。また、生産量の全量についても補給金の対象と考えてもよいのではないかと、こう思うんですが、政府の見解はいかがですか。
#201
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほどから申し上げているとおり、これはもともと市乳化をすると、つまり生のおっぱいをとったらば生のままで市乳で売るというのが原則なのです。しかしながら、そう言っても実際はなかなかこれから酪農を振興していかなきゃならない北海道のような遠隔地では、市乳化と言ったって、酪農には適しておるけれども、売る場所が札幌とか帯広とかあるかもしらぬが、大都市までなかなか持ってこれない、交通事情も非常に不便であるというようなこともこれあり、加工乳も必要なことでもございますから、そういうようなために要するに一方で市乳を促進する傍ら、一方において加工原料乳の方法をもって酪農の大規模化を図ってきた。その目的は一応達したわけですよね。達したわけでございますが、しかしながら北海道の乳が内地に安くてどどどっと流れ込んでくると、消費者は喜ぶですよ、消費者は喜ぶけれども、しかし今度は内地にも関東を中心にしたところの酪農家というものがやっぱりあるわけですから、これは競争をストレートにやられたらとてもかなわないという問題が一つにある。つまり南北戦争ですわね。これ、生産者同士の戦争ですよ。混乱が起きる。それは農林水産省として困る。
 したがって、加工原料乳等についても毎年枠の拡大を図りながら保証価格まで差額金を政府が払っておるという状態ですから、この制度というものは、無制限にどんどんどんどん政府が金を払っていくという仕組みにもともとできてないのです、法律そのものが。ですから、これは無制限に広げていくのだったら限度なんかないわけですから、最初から限度数量というものを決めて、その限度の中で不足払いをやるというたてまえになっておるので、これを限度をどんどん広げて、そいつを全部無制限に保証の対象にするというのでは、この制度の趣旨と全然違ってくる。したがって、この法律の趣旨どおりに私らはやっていかなければ、この制度は守られませんよ。したがって、無制限な限度数量の拡大ということはできませんということを申し上げているわけです。
#202
○原田立君 今後取り組まなければならない最大の課題は、何といっても消費の拡大であろうと思うんでありますが、ここ数年来過剰基調にある生乳の消費拡大こそ急務とされている。政府は、五十四年度における消費拡大策について一体どう取り組むつもりでいるのか。これがまず一点。
 具体的に予算書を見てみますと、学校給食用に百七十三億円、その他に消費拡大運動として二億五千万円を計上しているにすぎないんでありますが、何ら真新しい強力な拡大策を進めているようには受け取れない。わが国の牛乳の生産は、先ほどからも話があるように、八%ないし九%の増産に比べ、消費の伸び率は三%前後と言われているわけでありますが、一人当たりの牛乳消費量は一日に牛乳びん三分の一しか飲んでおらず、これをもっと質のよいうまい牛乳の普及、PR、こういうふうにすればもっともっと生乳の促進、消費の拡大ということができるのではないかと思うんであります。要するに安くてうまいものを、いまのように高くて水みたいなものじゃ余り好まれないというのは、これは当然なことだと思うのでありますが、安くてうまいものをつくるような、そういうような生産体制、そうしてまたPR等を行い消費の拡大を図ると、こういうふうにしていってこそ大きく前進するのではないかと思うんです。いかがですか。
#203
○国務大臣(渡辺美智雄君) 消費の拡大は非常に重要なことでございまして、生産者団体にも全国牛乳普及協会というものを去年の十二月に発足をさせまして、いろんなPRをやったり、それからいろんな酪農製品を使う料理の講習会をやったり、テレビ、新聞等にもいろいろな広告を出したり、そういうふうに総合的に、それから自家用製品で、やっぱりせっかく生産者がおつくりになるんですから、自分のうちの子供たちにももっとうんと飲ましてもらうというようなことをやったり、こういう拡大運動はうんとやりたい。
 それから、たとえば消費者の嗜好というものもかなり変わっているんですね。この嗜好にも合わせるように、規則なんかも変えていかなきゃならぬ。たとえば、脂肪分が多い牛乳がいい牛乳だということになっているわけですね。ところが、いまの若い人、うちの娘なんかもそうだけれども、買ってくるのはミルクを買ってこないんですよ。低脂肪乳とか、要するに加工乳ですな。脂肪分が調べてみると一・五%、普通のやつの半分ぐらいしかない。何でそんなの買うのだ、栄養のあるやつがいいのじゃないかと。そうすると、若いお嬢さん方が太りたがらないのですな。そんなにやせているから、私はもっと体格がよくなれと、こう言うのだけれども、娘の方は余り体格がよくなりたくない。ひょろひょろとなりたいらしいのですよ。牛乳は飲むのだけれども、脂肪の低い牛乳を飲みたい。ところが、それは法律で禁止になっているわけですね。牛乳という名前をつけちゃいけない、ミルクという名前をつけちゃいけない、これはまぜものだと。結局、牛乳から脂肪を半分取っちゃって、脱脂粉乳を入れるのだから、まぜものなのだから牛乳ではありませんよ、ミルクという名前はだめですよということになっているわけです。
 これは厚生省の規則でもそうなっているし、公取の表示基準か何かでもそうなっておる。これは昔は、その方がインチキ品ができなくてよかったが、いまになるとむしろそれが消費拡大のある意味でじゃまになっている。ですから、品ぞろえという点で、脂肪の多いのを欲しい者は脂肪の多いもの、脂肪の少ないミルクの欲しい人は脂肪の少ないミルクを、お客様にあわせてどんどん宣伝したらいいじゃないかというようなことなどもやはり考えていかなきゃならぬので、そういうような規則上の問題等も含めて、消費拡大というものはやっぱり消費者あっての話ですから、幾ら飲め飲め言ったって、向こうが飲む気持ちになってくれなくちゃ飲まないわけですから、飲む気分になってもらうようなことをやっていきたい、こういうふうに考えております。
#204
○原田立君 杉山局長はこの審議会の局長説明、この中の十七ベージのところで「国有林野の管理及び事業の適切な運営の確保に必要な考慮を払いつつ畜産の振興のために適正かつ円滑な活用」を図ると、こういうことを言っているわけでありますが、実際にはそれがなかなかうまくいってない。特に国有林野の活用については、もっと積極的な態度で臨む必要があるのではないかと思うんであります。
 林野庁長官来ていますか。――来ていない。それでは、それを所轄する大臣がおいでですから、大臣の方からまた答えてもらおうと思うんですが、国有林野の活用についてはもっと積極的な態度で臨む必要があると同時に、現場に対しても強力な指導をすべきだと思うんであります、すなわち現場の営林署等でありますが。こういう点を改善すればもっともっとハイペースで林地の活用が進むと思うし、畜産の方の面でも大いに前進ができるのではないかと思うんであります。
 したがって、それらを含めて、今回予算の中で里山等の利用の促進を図ることになっておりますが、山地酪農についても高い認識と評価に立って積極的な推進を図るべきだと思いますが、いかがですか。
#205
○政府委員(杉山克己君) 私どもも、限られた日本の国土の中で国有林野の御協力をいただかなければならないと思われる面が多々あるわけでございます。国有林野の活用に関する法律が制定されて以来、そういう畜産的な利用、活用について幾多御協力をいただいているわけでございまして、現在国有林野の草地、飼料畑等への活用決定の面積は三十八年以降三万四百ヘクタールに及んでおります。それから、そのほか国有林野自体の畜産的利用として、放牧共用林野というものがございます。これが約二万八千ヘクタール利用されております。
 地元からいたしますというと、もちろんもっと早くどんどん使わせてほしいという御要望はおありでございましょうが、これは林野庁長官のお答えする性質のものでございますが、国有林野の方からすると、将来の利用計画がどうなるのか、後がおかしくなってはしまわないかというようなこともいろいろ心配されるわけでございますし、それから、自分のところでもっていい木を植えたい、いい山であるというようなときは、これはなかなか自分の方の計画と競合するから、これは活用させられないというような事情もございまして、必ずしも地元の要望どおりにいくとは限らないわけでございます。
 なお、畜産の本当に草地を必要としている事情を私どもの立場からも林野庁に訴え、林野庁、それから各地のそれぞれの出先、営林署に至るまで御理解を得て、少しでもその前進が図られるよう努めてまいりたいと考えます。
#206
○原田立君 大臣、どうですか。
#207
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま畜産局長が大体答弁したとおりでございます。
#208
○原田立君 ということは、その国有林野の畜産関係に対する利用は大いに促進するようにしてくれますと、こう受け取っていいですね。
#209
○国務大臣(渡辺美智雄君) そのように努力をいたします。
#210
○下田京子君 牛乳の過剰問題が非常に言われているんですけれども、五十三年の一月から十二月まで、対前年比でどのくらいの伸び率になっていますでしょうか。
#211
○政府委員(杉山克己君) いまおっしゃられたのは、生産の伸び率でございますか。
#212
○下田京子君 はい。
#213
○政府委員(杉山克己君) 五十三年、実量でもって六百十二万五千トン、これは伸び率で六・八%ということになっております。
#214
○下田京子君 中央酪農会議の調査によりますと、これは新聞報道等でも明らかになっておりますけれども、生乳換算でもって輸入が一〇・七%対前年比で伸びていると言われております。間違いありませんね。
#215
○政府委員(杉山克己君) 輸入の数量のとり方はいろいろあるわけでございます。私どものなにでは、一般乳製品でもって、一〇・五%、これから調製食用油脂とココア調製品、この両者で五・五%伸びております。
#216
○下田京子君 全体で一〇・七%から伸びているということになっているわけなんですけれども、国内の伸び率が六・八、ところが輸入の方は一〇・七と、こういうふうに過剰が問題にされているときに、輸入の伸び率の方がはるかに多く上回っている。こういう実態については、これは先ほど来から議論になっておりますけれども、生産農家の皆さんはどうしても納得できないと思うんですね。しかも、これらについて脱脂粉乳等あるいはナチュラルチーズ等については、いろいろ理由もある、それから技術開発も含めて今後はいろいろ研究もしたい、こういう大臣の御答弁もあります。
 しかし、それならば、いまもお話がありましたけれども、日ごろいろいろ議論になっております、一体乳製品なのか擬装乳製品なのかという問題でのココア調製品と調製用の食用油脂、これについてどういう状況になっているか。その生乳換算量と、それから対前年でどのぐらい伸びているか。
#217
○政府委員(杉山克己君) 生乳換算量につきましては、一応の大胆な前提を置いての換算だということを御理解いただいた上で数量をお聞き取り願いたいと思います。
 ここ三年の数量を申し上げます。ココア調製品は五十一年が十七万七千トン、五十二年が十六万六千トン、五十三年が十三万九千トンでございます。対前年は五十二年は一万一千トンの減、それから五十三年は二万七千トンの減でございます。
 調製食用油脂は五十一年が六万五千トン、五十二年が八万二千トン、五十三年が十二万二千トン。対前年は五十二年一万七千トン、五十三年四万トンの増でございます。これを合計いたしました対前年増は、五十二年は六千トン、五十三年は一万三千トンということになります。
#218
○下田京子君 質問したことにだけ答えてくださると助かります。
 ココア調製品の場合には、換算数量でもって四万一千トンだと。対前年比になると一八四・三%の伸びになると思うんですね。それから、調製の食用油脂の方は、これは生乳換算ですけれども、十二万六千トン。対前年比で言えば一四八・五%。これはいま言ったのと若干数字があるいは違うかもしれませんけれども、中央酪農会議の調べでこういうふうな報告も出ているわけです。ということは、この特に問題になっております擬装乳製品、これらの伸び率が大変こう大きくなっているわけなんです。で、先ほど大臣がいろいろと問題があると、にせものか本物かということではっきりわかるようなことについてはきちんと手を打ちたいと、こういうお話ございました。
 そこで、大臣にお聞きしたいわけなんですけれども、このココア調製品について全体の中でのココア分というのはよく問題になりますが、わずか一〇%程度だということになれば、これはもう本当にココア調製品としてではなくて、乳製品扱いにすべきではないんだろうか、こう思うわけなんです。
#219
○政府委員(杉山克己君) その前に。
 ただいま先生のおっしゃられました数量と私どもが申し上げましたココア調製品の数量が違うわけでございますが、私どもいわゆる擬装乳製品として扱われているココア調製品を申し上げたわけでございます。恐らくいま農業団体からの数字と言われるのは、ココア調製品の中で、いわば砂糖まがいのココア調製品が含まれているのではないか、果糖分が含まれているのではないかと思います。それは、私どもの方は乳製品というふうには理解いたしておりません。それを除きますと先ほど私が申し上げたような数量になりますので、そこはひとつ御理解願いたいと思います。
 それから、このココア調製品というのは、まあ定義の問題になるかと思うのでございますが、一体どういう定義なのか、成分規格はどのように考えるかということ、これにつきましては、国際的にはココアが一部でも含まれていればココア調製品ということになるわけでございます。それでは余りひどいというので、私どもこれは大蔵省とも相談いたしまして、ココア分が一〇%以上でなければココア調製品とは言わない。九〇%を超えるような粉乳なり全乳なりが入っていれば、それはもうまさに乳製品であるということで、輸入規制の対象にするという取り扱いをいたしているわけでございます。そういう意味で、ココア調製品がココア成分一〇%を切るようなことがあれば、つまり八%とか五%とかいうものが入ってくれば、それは従来の取り扱いの方針にも反するまさに擬装乳製品というようなことで、不届きな話でございますので、そういうことのないよう、これは大蔵省とも十分連絡をとって対処してまいりたいというふうに考えております。
#220
○下田京子君 ココア調製品がココアが一〇%で、これがどうなのかということについては大変問題があると思うんですね。
 大臣、お聞きしたいのは、そういう成分の規格の問題、一〇%だからこれはココア調製品だといってココアに入れると、これはやっぱり問題だと思うんですよ。同じように、いわゆる調製用の食用の油脂の問題これも一体バターが幾らで、あるいは脱脂粉乳が幾らでとどっちで見るのか、こういう議論になるわけです。わずか一〇%程度のココアが入っていてココア調製品だという扱いになりまして、それで一元輸入のあれは網の目は全然くぐらなくていいということについては、やっぱりこれは見直す必要があるんではないか。成分の規格の引き上げですね、あるいは事業団の一元輸入というかっこうできちんと対応していくべきそういう時期にあるんではないだろうか。大臣の決意のほどを聞かしていただきます。
#221
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは専門的なことで私もよくわからぬですがね、こういうふうな関税の規格とか番号とかいうのは世界共通ですから、日本だけで勝手に変えるというわけにはなかなかいかない問題もありましょう。検討をさしてもらいます。
#222
○下田京子君 その検討に当たって、ぜひ具体的に実現されるように再度お願いしたいわけなんですが、といいますのは、国産のバターにしても、あるいは脱脂粉乳にしても、非常に過剰だとかいろいろ問題にされているわけですよね。しかも、事業団が買い入れしているわけですし、その際にバターとその脱脂粉乳との買い入れに必要な経費、これが三月一日発表されておりますけれども、百九十八億円になるわけです。過剰だからといって一方で買い入れて、これだけ費用も見ているわけですから、どうしても再度こういったことについて調査もし検討をいただきたいと、重ねてお願いをしたいと思います。
#223
○政府委員(杉山克己君) 大臣が検討すると申し上げた問題でございますから、ココア調製品、調製食用油脂の問題、私どもも重ねて検討いたしますが、大臣の発言の中にもありましたように、これは日本だけでは決められない問題でございます。関税に関する国際的な会議がございまして、そこで基準が決められております。むしろ成分問題から言えば、これはもともとは大蔵省の所管にかかる事項でございますが、私から便宜申し上げさしていただきますけれども、いまの日本の運用はルーズに過ぎるのではないか、もっと厳格に、ということは、ココア成分が少しでも入っていればココア調製品という方に緩めて理解する、日本の立場から言えば理解すべきではないかというような議論もあるわけでございまして、この点はうかつなことを言い出しますというと、日本がますます輸入について閉鎖的であるということで、国際的な袋だたきにも遭いかねないというむずかしい問題を含んでおります。
 日本だけで、国内だけで解釈の余地でやれるものなら格別、そういう新しい国際問題も惹起しかねない問題があるということを、ひとつ御理解いただきたいと思うのでございます。
#224
○下田京子君 国際的な状況が絡んでいるということはわかりましたけれども、いずれにしてもココアがわずか一〇%で、それがいわゆるココア調製品というかっこうになって離れている、そういったところに問題があるわけですから、重ねて検討というその検討が、国内で過剰であって、そうして輸入がどんどんふえているというふうな問題については、しかとした立場でもって検討すべきではないかということを、再度申したいと思います。
 次に、実際に国内で過剰だと言われているわけですけれども、消費の拡大について具体的にお尋ねしたいと思います。
 消費者の最近の傾向、問題なんですが、さっき大臣は最近はローファット、いわゆる低脂肪牛乳だとか加工乳だとかそういうものの方が好まれている、こういう話がありました。ただ、これは牛乳、乳製品に関する統計、昨年十二月分で見まして一月三十一日公表されたものですけれども、これらで見てみますと、飲用牛乳の場合には、加工乳に比べましていわゆる一般の生の牛乳、この方が伸びが多いんですね。加工乳の方が九三・四%、それに比べて一般の牛乳が一〇五・四%、これはいまのような大変不況な時代ですから、本当にあれこれという加工を好む人も中にはあると思いますけれども、全体としての消費者の傾向から見れば、この調査結果が示しますように、本当にいろんなものを加えないでもって新鮮なものを生のまま飲みたいと、あるいは飲まれているんではないかという、そういう消費者傾向を示しているんじゃないか、こう思うわけです。私は、このことが、今後の生乳の消費を伸ばしていく上で大事な一つの観点ではないかと思うわけなんです。
 その点からお尋ねしたい第一の点は、一月三十一日付でもって農林水産省の畜産局長が知事あてに、最近の傾向ということを出しながら飲用牛乳の多様化問題等についてもいまいろいろ考えていると、そういうことで留意を促しているわけなんですけれども、問題は、こういう多様化だけでなくて、全体としての生乳の消費を伸ばしていくということが大事ではないかと思うんですけれども、その点についてのお考えはどうなんでしょうか。
#225
○政府委員(杉山克己君) 考え方として、いまの下田先生の考え方と全く同じに考えております。といいますのは、一月に最近の生乳需給について通達を出して、最近の事情をいろいろ説明いたしておりますが、これは何も生乳の消費を悲観視したわけでも軽視したわけでもございません。最近の新しい需要拡大の一つの方策として、長年懸案であった加工乳の中でのローファット牛乳、これについての厚生省との話がどうやらめどがついて、これを牛乳扱いすることができるようになって、そのことによって、この部分についての消費拡大が図られるであろうという事情を申し述べただけでございます。加工乳、先生おっしゃるようにいろいろありまして、全体としては確かに白い生乳の方が需要が根強いものがありますが、加工乳の中でも物によっては需要がかなりふえることが期待できるものもあるわけでございます。ローファットミルク、これはまあ名前がいいところもありましてか、かなり受けている面もあるものでございますから、私どもそれはそれなりに伸ばしていっていいのじゃないかというふうに考えたわけでございます。
 いま言い方を私ちょっと失礼しました。まだ厚生省等の最終的な告示がなされているわけではございませんで、現在の扱いではローファットは乳飲料ということになっております。それが加工乳として正式に牛乳の扱いがされる見通しがついたということを申し上げたかったわけでございます。ちょっと言い違えましたので、訂正さしていただきます。
 それから、牛乳の消費拡大一般についてでございますが、先ほども原田議員の質問にお答えいたしましたが、全体として予算額は学校給食に対するものが断然大きくて、これが百七十四億というようなことになっておりますが、そのほかに消費拡大事業として国の予算で二億五千万円、それから事業団の助成事業で三億円を五十四年度は計上いたしております。これはこの金だけで何ができるかといろいろ御議論もございましょうが、私どもは消費拡大の種をつくる、核をこしらえるということを考えているわけでございます。その意味で生産者とそれからメーカーと販売店、この三者を糾合しました新しい普及のための全国牛乳普及協会という組織をつくって、大々的に、いろいろ問題があります三者間の協調も得て、消費拡大運動を展開するということにいたしております。役所がいろいろ個別の知恵を出すというよりは、こういう専門家の集まりで本当に斬新なアイデアも出してもらって牛乳の消費拡大、またそのものの理解の普及ということに努めれば、それ自身はいいものでございますから、私は消費拡大が実現していく可能性は大いにあると考えております。
#226
○下田京子君 ただいまの局長のお話の中で、消費拡大の具体的な方策として出されてきた学校給食のことなんですけれども、この学校給食への補助金というのが現在五円八十銭ですね。それで百七十四億円ということだと思うんですけれども、ことしの一月三十一日付で文部省体育局長とそれから畜産局長と連名でもって「学校給食に対する牛乳の飲用の促進」という通達をお出しになっていると思うんです。計画では六十三万キロリットルだったのが、五十二年度の実績で実際は五十四万キロリットルだった、こういうこともあってさらにその拡大をと言っているわけなんですけれども、大臣、これはどうでしょう、本当に学校給食への国の補助金を引き上げて、もっとこの計画が達成できるようなかっこうでお考えいただけないかどうか。
#227
○国務大臣(渡辺美智雄君) お金があれば何でもできるのですが、お金がないからできないわけであります。
#228
○下田京子君 お金があればできるかできないかということなんですけれども、大臣はどのくらいのお金があったらばその引き上げ問題をお考えなのか。
#229
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一円当たり三十億かかるといいますから、ですから問題は金目の話であって、国の財政が許せばもっとできるでしょうが、なかなか財政事情から考えてそいつを引き上げるということはむずかしい、ほかの予算にしわが来るというところに、むずかしい問題がございます。
#230
○下田京子君 学校給食へお金は出さないで口だけ出すというかっこうで、どんどん飲ませていくというふうなことについてのいろんな問題は私あると思うんですね。
 以下、ちょっと文部省にお尋ねしたいんですけれども、五十二年度の中で父母が支出した学校教育費に係る教育費全体の額と、それからその中での給食費の金額を教えてください。
#231
○説明員(坂元弘直君) 父母が教育費として負担した総額については、私ちょっといま数字を持っておりませんが、給食費として出した金額というのは約四千億でございます。
#232
○下田京子君 私の聞き方が悪かったかもしれませんけれども、五十二年度の中で小学校において児童一人当たりに直しますと父兄の負担額が一体どのくらいか、教育費全体の父母負担がどのくらいで、そして給食費がどのくらいかと、こう聞いているんですが。
#233
○説明員(坂元弘直君) 小学校で教育費に父兄負担をしたトータルの数字は私いま持っておりませんが、その中で給食費として出したのは、小学校では約二万六千円ぐらいだったと思います。
#234
○下田京子君 お持ちになってないですか。
#235
○説明員(坂元弘直君) ええ、ちょっと数字を持ってきませんでした。
#236
○下田京子君 これを私いただいたので、確認のためにお尋ねしたんですけれども、五十二年度のですよ、すでにもう明らかになっているはずですけれどもね。
 私のところで調べたことをお話しますと、教育費全体で父母負担六万七千九百二十九円です。そして給食費が二万六千七百十円です、全国平均になりますが。とすれば、これは教育費の中で父母負担が占めているその給食費の割合というのが三九・三%になるわけなんです。大変これは給食費に父母負担が大きくかかっているということを示しているのではないかと思うんです。さらにこの金額、四十五年から牛乳に対しての国の補助金というのは五円八十銭で据え置かれているわけです。そうすると、その四十五年のときの給食費が年間児童一人当たりどのくらいかというと、九千九百三十円です。それを一〇〇として見ますと、実に現在は二六九%というふうな大変な負担増、伸び率を示しているわけです。しかもこの数字は、消費者物価の指数と、総合指数ですけれども、それと比較しても、やはり四十五年を一〇〇とした場合に五十二年の学校給食費は伸び率どのくらいかというと、物価の方が二〇三・六なんです。消費者物価指数に比較しましても、給食費の父母負担の増というのがこういう大変な数字になっているわけなんです。
 大臣、再度私は、こういう状況を踏まえて、簡単におっしゃらないで、本当に生乳を伸ばしていきたいということを真剣になってお考えの気持ちがあるならば、ぜひ検討いただきたいと思うわけですが、いかがですか。
#237
○国務大臣(渡辺美智雄君) まことにいい御提案でございますが、予算の関係もございまして、私どもとしては給食費の補助金の単価アップをする考えはございません。
#238
○下田京子君 予算の単価アップを全くする気がないということでもう一貫されているようなんですけれども、大臣は、本当にこれからの子供の教育の中で、嗜好をつくっていくという問題もありますし、それから本当の体力の問題も含めて、同時に、生産者の問題でいま過剰だと言われているような状況の中で、量だけふやして金は出さない、こういう態度はどうしても私は改めていただきたいのです。なぜならば、学校給食が常に政治のいろんな言うがままに動かされているというふうなことが過去にあるわけですね。
 牛乳の問題ですけれども、大体学校では一年間の年間を通じて給食費というものは計算するわけですけれども、五十年、五十一年に、一学期あるいは二学期、三学期と学期の途中でもって変わっているというふうな状況も生まれているんです。しかも、補助金の考え方については、かつては、こういうふうに途中で一本当たりの牛乳の値段が上がったときには補助金も上げてきたという経緯があるんです。
 参考までに調べたものを述べてみたいと思いますけれども、昭和三十六年当時、学校給食の中での牛乳一本、これは八円七銭でした。そのうちで、国のこの牛乳への補助金は三円七十銭です。ですから、全体の中で補助の占める割合が四五・八%なんです。それが、三十九年になりますと、この牛乳一本当たりが九円八十銭に値上げになっております。その時点で補助金も四円五十銭と引き上げて、やはり補助率は全体の中で四五・九%です。翌年、四十年になりますと、また牛乳が十円八十銭と上がっております。そのときに補助金は五円に引き上げて、これまた四六・三%を占めています。以下、こういう形でもって、学校給食への牛乳の一本当たりの価格の引き上げによって補助金も引き上げてきたんです。それが、四十五年、牛乳一本が十五円十二銭、そして補助金が五円八十銭で、補助率は全体の中で三八・四%、これが年々据え置かれておりますから、牛乳の一本当たりの価格は上がっていく一方ですね。しかも、御承知のように百八十ccから二百ccに量もふやしました。しかし、補助金はそのまま据え置きです。五十三年で一体どうなっているかというと、これは全国平均で学校給食の一本当たりの牛乳三十六円三十二銭、その中での補助金の割合は一六%と落ち込んでいるわけなんです。
 私は、重ねてここで大臣に考え方を改めていただきたいというのは、かつては補助金というものはいまのような形で、一本当たりの牛乳の値段が上がるごとに補助金の額も上げてきたんです。そういう物の考え方だったわけです。ところが、四十五年から据え置かれていて、財政的に大変だからと、こうおっしゃるだけですね。一本一円上げていけば三十億円だということなんですけれども、そういう点で本当に考えようとするならば、これは私は重要な一つの施策ではないだろうかと、こう思うわけなんです。
#239
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、補助金というのは、文部省が出す場合と農林水産省が出す場合は性格が違いますね。農林水産省の方は普及のためにやるわけですから、普及のために。最初、学校給食というのはあんまり普及していなかったわけです。それを普及するためにやったから、四五・八というような約半分近いものを助成をした。そのかわり金目は大したことないのですよ、普及してないから。金額はわずかな金額なのです、補助率が高くても量が少ないですから。それで、だんだんだんだん普及をしまして、四十五年にはかなりの普及度になった。したがって大蔵省からは、もうこれだけ普及したのだから普及のための奨励補助金要らぬじゃないかという話も当然出てくるわけです、財政サイドからすれば。しかし、われわれの方としては、この補助金が切られたのではまた普及したのが逆戻りでへっこむことがあっては困るということで、がんばって今日に来ておったのです。
 それからもう一つは、御承知のとおり、三十五年から四十五年の間というのは高度経済成長でして、国の財政事情が非常によくて、毎年減税をやっても自然増収で金がよけいに入ってきちゃうという時代なのですね、この時代は。したがって、この時代にはもう国もそれはいろいろなことをやったですよ。国鉄赤字なんかも、このときから出てくるわけですから。食管なんかもみんな、財政に余裕がありますから。それがいま余裕がなくなってきちゃったということで、このような時代は本当になつかしき時代、もう一遍本当はこういう時代が来れば私らも喜んでいるのですが、なかなか現実はそうじゃないというところに、補助金については、かなり普及をしてきたし、仮にここで一円補助金を出して三十億円ということになるならば、その三十億円の金をどう使うかと。むしろそれだったら、コストを下げて乳価を上げないような生産性を高める方向に使うか、どう使うかということはあとは政策の問題ですからね。金目はもう決まった金目しかないわけですから、そこでこれはもう政策判断の問題で、われわれとしては、補助金の単価アップということよりも、むしろ生産性向上その他に金を使った方がいいという政策で今日に至っておるという事情でございます。
#240
○下田京子君 考え方が全く根本的に違っているから、やむを得ないと言えばそういうことになりますけれども、私はその大臣の考え方、もう普及したらそれでいいんだよと、あとはもう物価の指数よりも給食費の父母負担がどんどんどんどんふえていったってお構いないよと、飲んでもらえばいいんだというふうなことに受け取れるのではないかと思うのです。財政的に大変だとおっしゃいますけれども、私はここで最後に再度言いたいことは、地方財政もいま非常に逼迫しているわけです。そういう大変な中で、ここで例を挙げておきますと、東京都で一本当たり三円補助金を出しているのを初めといたしまして、茨城、栃木、これは大臣のところですけれども、佐賀や大分、宮崎や鹿児島、こういったところ十九県でも、自治体でもって独自にいろいろと上乗せをしております。また、埼玉の場合、僻地ということでもって四円二十八銭、これを上乗せして、こういう僻地だというところで特別に補助金をつけている県は四県ほどあります。いろいろと給食費の大変な負担、これを軽減していく、学校教育の中での給食のあり方も含めて努力しているわけです。私は、再度この学校給食での牛乳に対しての国の補助金の引き上げということを要望しておきたいと思います。
 次に、同じ消費拡大の問題なんですけれども、幼稚園牛乳の問題です。幼稚園牛乳のことについては、五十三年度で農林水産省が大蔵に概算要求したと思うんですけれども、その簡単な内容をお知らせいただきたいと思います。
#241
○政府委員(杉山克己君) 当時の概要は、幼稚園の園児数を二百三十四万六千人と見て、年間の供給日数を二百十五日、一人一日当たり供給限度が二百cc、それから補助単価は五円八十銭、学校給食並み二百cc当たり、そして供給量は八万六千キロリッターということで、補助額、初年度の実施率二分の一ということで、十一億八千四百万円の要求をしたということはございます。
#242
○下田京子君 そこで大臣、いろんな経緯もあるでしょうけれども、幼稚園に対しての牛乳の供給ということで一度概算要求をした経緯もございます。一方で、昨年の十二月十二日に設立された全国牛乳普及協会、ここが何とかこの幼稚園の牛乳を実現していきたい、補助率も考えようということで、十億円ほどの予算計上もしながら、その実施のあり方について検討されているということを聞いておるわけなんです。こういう形で生産農民が中心になって、メーカーと一緒になってこういう牛乳普及を実際にやっていこう、その具体的な実施方法として幼稚園の牛乳ということを打ち出しているわけなんですけれども、これをぜひ再度検討して実現方いただけるように努力いただきたいと思うんですけれども、この点はいかがですか。
#243
○政府委員(杉山克己君) 委員長。
#244
○下田京子君 大臣に答えていただきたいと思います。
#245
○政府委員(杉山克己君) 予算要求の経緯がありますので……。
 幼稚園牛乳を普及させたい、そして消費を拡大したいという関係者の強い要望、希望がありまして、それを受けて農林水産省としても一たん予算要求をかつて行った経過がございます。ただ、これに対して種々大蔵、財政当局そのほかと議論をいたしました結果、やはり義務教育小学校の給食の場合と比べて問題が多過ぎるということで、これは実現しなかったわけでございます。
 どんな問題かと言いますというと、それはやはり幼稚園だけを対象にして社会福祉的な事業を農林水産省が行うのはいかがなことか、そういうことをやり出せば、老人福祉施設であるとか身体障害者施設であるとか、そういったものとの関連での対策といいますか、バランスをどうするかという問題もある。それから、零細に分散している施設に対する経費ばかりかかるようなそういう補助を行うことは適当ではないというような事情がいろいろあったわけでございます。しかし、これは
 一つの姿勢でもございますし、確かに国の予算として事業化することは困難でありましたが、団体において引き続き全国牛乳普及協会でこの事業を推進したいとしております。私ども学校給食の場合のように……
#246
○下田京子君 答弁の途中ですけれども、大臣は間もなく退席されるんです。私は大臣に答弁を求めているんです。
#247
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはやっぱり財政の問題なのですよ、簡単に言うと。保育所の中では別な予算があって、そいつは何に、パンを買ってもいいし、ミルクを飲ませてもいいし、それに対する助成があるようです、詳しいことは知りませんがね。そうすると、幼稚園の場合は、これは所得の問題で、御承知のとおり、保育所の方は所得の高い人はお金を取られる、所得の低い人は無償で見るというふうな社会保障的性格がかなり強い。幼稚園の方は、比較的所得の高い階層の人が出しておるというのが普通一般的なんですね。例外もそれはあるでしょうけれども、一般的に。そういうようなこと等もあって、それで幼稚園に対する助成というものが、先ほど杉山局長が言ったように、それじゃ幼稚園にやるのなら福祉施設や老人ホームみたいのはどうなんだという議論も当然これは出てくるんですよ。
 そこで、われわれとしては、なるほどそう言われてみればそうだし、ここで無理に強引にやって、その分だけ農林水産省の予算が減るわけですからね、どこかが今度は。その分だけふえるならいいけれどもね。そうすると、同じ金目の使い方ですから、どういうように使った方が有効かという政治判断のもとで、それで結局幼稚園の問題は見送ってきているわけです。今後の財政事情その他の経済事情との関連ももちろんあることですから、関係団体等の意見も聞いて、また予算編成までにはどういうような経済事情になるのか、財政事情になるのか、そこらのことも考えてこれはやらないと、幼稚園のやつは取りました、しかし振興奨励策はその分減りましたでは何にもならない話なので、やはり政策判断の問題ですから、いまここで私が断定的なことを申し上げる時期ではない、かように思います。
#248
○下田京子君 この件については、学校給食の方とちょっと違って断定的には言えないけれども、関係者とよく相談もして検討もしてみたい、こういうお話かと思うんですが、そこでもう時間だから大臣にもう一問頼みたいのは、これは繰り返しますけれども、生産者も含めましていろいろ検討しているわけですね。中央酪農会議の調べによりますと、幼稚園の児童数が現在ですと二百五十万人だと、その二百五十万人に二百ccずつ五円八十銭並みにやっていったらば大体三十一億九千万円ぐらい必要だろう、こういうことを言っているわけです。それから片一方は、日本酪農政治連盟がこれを試算しているんです。保育所について試算されているようですが、百九十万人として二百ccで五円八十銭、金額にすると二十五億七千万円、双方合わせますと五十七億六千万円です。約五十八億円なんです。
 で、この五十八億円をどう使うかということでは、いま言うように、生産者と協議もして考えていきたい、こういうお話なんですけれども、私は特段に子供の嗜好という問題は幼いときからいろいろとつくられていく、それだけじゃなくって、子供の発達にとっても大事ですし、そういう点からいって本当に日本の未来を担う子供たち、こういったものに生産者も関係団体もいろいろと研究もし試算もしているわけですから、どうか再度これらを踏まえて御検討をいただけるかどうか、この点お聞きしたいと思います。
#249
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほど申し上げたとおり、幼稚園というのは一般的に言うと、そういうことを言っちゃしかられるかどうか知りませんが、保育所関係よりも所得階層の高い人が行っているのですよ、比較的。しかも、これは義務教育ではない。すでにもう飲んでいるところもかなりあるわけですよ、現実に。それから、飲んでないところもあるでしょう。しかし、すでにもう給食費を払って牛乳を飲ませているところもあるわけですよ。飲んでいるところは補助金をやったからといって、二本飲ませるわけじゃありませんからね。ですから、そういう問題もいろいろあるし、生産者の関係もどういうふうなことを普及協会は考えているか、自分の方でも生産者団体が金出すから政府も少し出してくれということになるのか、聞いてみないと、できたばかりの団体ですから私もよくわからない。ですから、そういうような人の話も聞いて、国の財政事情、それから農林予算の今後のあり方等を含めて、お金は有効に使わなければならぬ、同じ使うならばどうしたらば消費拡大に役立つか、すでに飲んでいる人に補助金をやったって消費拡大にならないし、そこらのところを含めてこれは検討させてもらいます。
#250
○下田京子君 いま、繰り返しになりますが、大臣がどういう意向だったかよくわからないでと言うんですが、これはすぐお聞きになればおわかりいただけると思います。酪農団体が自分たちも幾らかお金を出したいから、ぜひ軌道に乗せたいなと言っております。さらに、その必要乳量につきましてもおよそ二十万トンで、これは加工原料乳の限度枠オーバー分とちょうど匹敵しているというふうな、そういう皮肉な数量にもなっております。ですから、その辺もよく踏まえていただいて、大臣御検討を重ねてお願いしたいと、こう思います。
 それで、厚生省お見えですね。大臣が関係団体といろいろ協議もしてみたいというふうな話をしていますが、厚生省にちょっとお尋ねしたいのは、現在保育所の措置児童がどういうふうな給食状況になっているか、いわゆる脱脂粉乳と生乳との割合。
#251
○説明員(朝本信明君) 保育所は現在一万九千七百九十四カ所、これは現在と申しますか、五十二年度の実績でございます。そこで、その中に保育に欠ける子供たちが措置されておるわけでございますが、三歳以上児というのが一般生活費の単価を三千四百十円、三歳未満児というのが五千六十円という月額になっております。この場合、乳類の給与につきましては、三歳未満児にあっては牛乳、三歳以上児にあっては脱脂粉乳を想定いたしております。そういうことでございます。
#252
○下田京子君 脱脂粉乳の全体で使用されている量と、それから三歳以上児と未満児と分けましたけれども、全保育所の措置児童の数の中で何割ぐらいになっているか。
#253
○説明員(朝本信明君) 五十二年度実績では、保育所の全体数が百八十三万人の児童数でございますが、そのうち輸入脱脂粉乳を使用している施設は一万四千四百十九カ所、人数にいたしまして百三十三万人でございます。
#254
○下田京子君 数量は。
#255
○説明員(朝本信明君) 失礼しました。
 数量は、脱脂粉乳四千二百トンでございます。
#256
○下田京子君 これは保育所行政として三歳未満児と以上児でこうやって分けているということについての問題点、これは指摘しておきたいし、ぜひ改善のために努力もいただきたい。
 それから、あわせて大臣がいなくなったのであれなんですけれども、厚生省としましても、ぜひ全保育所措置児童に生乳が飲めるようなそういう方策を検討していただきたいと思うんです。いまの数字で大体押さえますと、七割近い子供たちが輸入されてくる脱脂粉乳を飲んでいるわけですね。脱脂粉乳の問題で先ほどいろいろ議論になっておりますけれども、輸入脱脂粉乳をこうして子供たちに七割の保育所児童に飲ませていると、これはやっぱり今後の国策的な問題から見たって考えなければなりません。それから生産農民から見たって、輸入の脱粉を七割のこういう保育所児童に飲ませているということなんですが、これはぜひ改善されるように、政務次官に一点お尋ねしましょう。
#257
○政府委員(宮田輝君) えさ用脱粉というお話でございますけれども、値段の問題が大臣も申し上げておりますようにあるわけでございます。これは関係者の宿題とさしていただきたいと思います。
#258
○下田京子君 政務次官、お聞きになっていていただいたかどうかは別といたしましても、輸入されている脱脂粉乳を一番小さい子供、五歳児まで、そういう保育所児童に七割から飲ませていると、これは社会的な問題なんだと思うんです。だから、値段だけじゃなくて、そういう点から含めて検討をいただきたいということを申し上げたわけであります。これはもう指摘にとどめておきます。
 最後に、時間がありませんから局長にお願いいたします。
 価格決定を目の前にいたしまして、いろいろ議論がされてまいりましたけれども、いま酪農農民がどういう状況にあるかということでは、これは他の委員からも御指摘があったとおりです。北海道の酪農中心地帯であります根室管内、ここを見ますと一戸当たりの負債約二千万円だ、こういうふうに言われております。それが本当に採算が成り立つような形でいくのには、経産牛一頭当たりが負債五十万円程度だったらば何とかやれる、それ以上になったらば、とてもじゃないけれども、返済の見通しは立たない、こう言われております。大臣も農林水産省関係者も、最近は長期は長期見通しの見直しであるとか、あるいは食管法の見直しであるとか言われておりますけれども、私、この際、この畜産物の価格の決定に当たりましての計算根拠、従来の算定方式、これを改めるべきではないか、その見直しをすべきではないか、その際に、私たちかねてより言っておりますけれども、都市労働者並みの賃金、それが保障されるような、労働が正しく評価されるようなそういうものであって初めて算定が成り立つんではないか、そういう見直しをぜひ考えていただきたいということを申し上げたいと思います。
#259
○政府委員(杉山克己君) 価格算定方式は経済全体の秩序にきわめて大きな影響を及ぼします問題で、軽々に方式を変えるということは許されないと思います。現在の諸情勢を考えますと、私どもは従来の算定方式でいく必要があるというふうに考えております。
#260
○柳澤錬造君 畜産価格の値段が決められていくんですが、生産者といいますか、農協の方から出されている要求については私も理解もいたしますし、支持もしてまいりたいと思います。しかし、いろいろある中で牛肉の問題にきょうはしぼって若干の質問をしてまいりたいと思います。
 最初に、世界の主要な国と日本との国際比較の数字を示していただきたいと思います。
#261
○政府委員(杉山克己君) 数字はお示しいたしますが、ただちょっとお断りしておきたいのは、牛肉については品質による価格差が大きい、しかも外国とわが国では品質も生産構造も違う、それから消費形態も違う、それから流通のあり方、取引の仕方も違うということで、直接的な国際比較はきわめて困難でございます。
 そこで、こういう事情はある程度大胆に割り切りまして、現実にマーケット、市場で成立している価格を調べますというと、後ほど具体的な数字は一つ一つ申し上げてもよろしゅうございますが、おおむねわが国の牛肉の価格はこれは卸売価格、小売価格ともEC主要国に比べて約二倍でございます。それからアメリカに比べて約三倍でございます。豪州に比べて約五倍でございます。ごく大ざっぱに割り切った比較でございますが、なお、データとなるバックデータの数字が必要であれば、申し上げてもよろしゅうございます。
#262
○柳澤錬造君 国際比較のむずかしいことは私もわかるんです。そのことはきのうの肥料の場合に、どういう形でああいう国際比較を出したんですかと言ったとき、それはあなたいたかどうか知らないけれども、申し上げたとおりに、あの場合の国際比較のやり方なんというのは、いまのお話以上にそういう意味では比較のむずかしいものであって、それをああやって数字で並べたということは、私はいかにずさんかということになるんです。問題は、それだけ高いということは事実なわけでしょう。それについて、どうやって価格安定の方向に持っていこうとして政府が具体的な政策をとっているのかということをお聞きしたいわけです。
#263
○政府委員(杉山克己君) 一つは、やはり現在の牛肉の価格安定制度のことを申し上げる必要があろうかと存じます。牛肉の価格安定制度は、わが国の中で生産される牛肉の安定的な生産を維持するという観点、牛肉生産者を保護するということから、そのコストを償えるような市価を維持するということで、現在の価格安定制度が設けられているわけでございます。その関係からいたしますと、諸外国から不足分を輸入するわけでございますが、その輸入された牛肉の価格は、全部が全部ではございません、ごく一部の例外を除きまして、畜産振興事業団におきましてこれを一元的に買い入れて、国内価格を基準にしてその品質相当の価格をもって売り渡すということで、いわば安い外国から入れたものを高い国内価格にさや寄せした形でこれを売り渡す、そして市場の流通に出してこれを消費者に供するということにいたしておるわけでございます。
 現在のままですと、確かに日本は生産事情が、土地が狭い、穀物飼料が国内で自給できない、外国から買うというようなこともいろいろありまして、放牧をするような、あるいは穀物飼料がもっと安く手に入るようなオーストラリアとかアメリカに比べますとコストがどうしても高くなります。しかし、今後ともできるだけ生産性を上げて日本の国内生産費を安くする。そして、安定帯価格を決めるに当たりましては、これが先ほど来議論になっている問題の一つでございますが、極力引き上げないで済むようにコストダウンを図っていくということを心がけているわけでございます。
 いま一つは、流通過程の改善を図る、そしてロスをなくし中間経費を節減した形で消費者にお届けするということを考えるわけでございます。そういうような生産面、流通面での改善措置、対策を講じまして、少しでも外国との格差を縮めるようにいたしてまいりたい。最近では国際価格も、したがって各地のそれぞれの消費者価格も、外国の消費者価格もある程度上がってまいっておりますので、ここ一、二年の間では、先ほど申し上げました倍率よりは若干その格差は縮まってきている。といいますのは、日本の国内価格は、小売価格はここ二年近くきわめて安定的に推移しておりますので、格差は縮まってきているのではないかというふうにいま理解いたしております。
#264
○柳澤錬造君 いまの答弁の中の大事な点で、一つは、政府がやっている具体的な政策として、コストを維持すると言われたんです。それはどういう意味かということの解明をしていただきたいことと、それからもう一つは、生産性を向上してコストを下げるので、そのためには流通過程の改善が必要なのだということを言われたんです。この流通過程の改善ということについて、具体的にどういうことをなさろうとしているのかというのを、具体的に挙げてお答えいただきたい。
#265
○政府委員(杉山克己君) コストを、まあ維持という言葉を使いましたか、ダウンという言葉も使ったわけでございますが、それはまさに安定帯価格がどのように今後展開していくかというような性格の話と、気持ちとしてできるだけ引き下げの方向に持っていきたいということをあわせて表現したわけでございます。具体的な安定帯価格につきましては、これはまさにこれから価格算定をする話でございます。気持ちとしては、それこそ何もことしとか来年ということではなくて、長期にわたって日本の牛肉の生産コストを下げてまいりたい、かように考えております。
 それから、流通改善について具体的な対策はどうかということでございますが、短期的な対策と長期的構造的な対策と両方あると思います。長期的構造的な対策としては、これは一口に言うのはむずかしゅうございますが、ごくかいつまんで申し上げれば、できるだけ産地でもって一貫した生産体制をつくる、子牛の生産から肥育から、これをまた屠殺、解体して枝肉にして、さらに部分肉にするというようなそういう産地処理の過程を長くする、そして部分肉のものを都市、消費地に持ってきて、これを配送機構に乗せるということが望ましいと思います。そのために、産地における食肉センター、この整備が一つ大きな事業になると思うわけでございます。従来からこの整備を産地対策、生産性向上の最大の力点として、特に流通段階における最大の事業として行ってきたところでございます。
 それから、都市におきましては、これを受けとめるパイプ、市場もございますが、特に最近の流通形態を見ますというと、部分肉流通というのがだんだん浸透してまいっております。そういう部分肉流通の拠点となる大きなセンターを、大都市、特に東京とか大阪といったようなところに設ける必要があろうかと考えております。生きた牛を大都市の屠場まで引っ張ってくるということは、いかにも経費高でもありますし、ロスも多いということで、まず基本的な流通改善としては、いま申し上げましたことを軸に考えております。
 そのほか、個別、具体的なことは、たくさん申し上げるべきことはありますが、後ほどまた詳しくそれぞれ申し上げたいと思います。
#266
○柳澤錬造君 産地で一貫して部分肉までにして消費地に運ぶといって、これも私、見てきてもいるんだけれども、時間の関係でまた時間が残ったらその辺のところ、若干コストの点でお聞きしたいんですが、次に、何というのですか、需給関係が、需要と供給でいまどんなアンバランスになっているか。それで、当然国内生産だけで足りないから輸入ということになっているんですけれども、どのくらい輸入してそこの調整をしているか、そういうような数字をお聞かせください。
#267
○政府委員(杉山克己君) 国内生産は、五十三年度の場合、二十八万トンないし二十九万トンというふうに見込まれております。それに対しまして輸入量は――いま私、五十三年度で申し上げておりますが、輸入量は十一万トン前後かというふうに考えられます。よく三対一というふうに言われます。そして国内生産の三分の一強が和牛、それから三分の一それぞれが乳雄と乳廃牛というような形になっております。最近では需要の伸びが大きくて、国内生産では間に合わないために海外からの輸入がふえておるわけでございます。海外の輸入の比重が少し高まってきているという状況にあります。
#268
○柳澤錬造君 需要。
#269
○政府委員(杉山克己君) 需要は、これは全体としてきわめて大きな伸びを示しておりまして、一人当たりの消費量で見ますというと、五十三年は対前年約一三%の増加が見られます。そして、これに対応して、国内生産では一一%の増加でもって対応しているわけでございます。それでもなおかつ足りないということで、先ほど申し上げたような輸入が行われている。したがって、先ほど申し上げました数量は、全体としての需要として消化された数量だということになります。
#270
○柳澤錬造君 それでもいいんだけれども、いまの御説明というのは、国内の生産がこれだけで、輸入が十一万トンで、それでもう賄っていると、こう言われる。需要がどのくらいかということが予測ではじき出されなければと思うんですよ。それで、これだけの需要がある、じゃ国内の生産じゃこれだけしか賄えないからこれをどうやってふやすか、ふやすにしてもいまのところ当面足りないからじゃ幾ら輸入するかという点で、輸入のなにが出てくるのであって、単純に現在十一万トンというのは、現在入ってきている数字だけなので、その辺で現在の需要というものはどういう予測をしているかということです。
#271
○政府委員(杉山克己君) 六十年の長期見通しというのがございます。この見通しは、四十七年を基準年次として立てているわけでございますが、一人当たりの消費量を六十年段階で三・六キロというふうに見込んでおります。しかし、現在までの需要の動向はきわめてテンポが速くて、今日時点で一人当たり三キロという水準に達しております。この調子で――もちろんことしみたいな異常な需要増は年々続くとは思いませんが、三・六キロ水準は予定より早い時期に達成されるのではないかと考えております。
 なお、いま先生がおっしゃいました需要というのは、当然これは本来価格との相関関係にあるものでございます。価格が安ければもっと需要がふえるということになりますが、私ども潜在的にある需要は、それはカウントしないで現在の価格で実際に有効需要となって働くもの、これを申し上げているわけでございます。
#272
○柳澤錬造君 わかりました。
 次に聞きたいのは、畜産振興事業団、この畜産振興事業団をつくってやっていることについていろいろと利点があったからやっているわけだけれども、今日になったときにかなりのデメリットもあると思うんです。ですから、このメリットとデメリットを挙げていただきたい。
#273
○政府委員(杉山克己君) 現在の牛肉の価格安定制度そのものを、実際に具体的に実現していく機構が畜産振興事業団でございます。現在までのところ、特に最近におきましては、国内の供給不足を輸入で調節する、そうして価格の乱高下を防止するということでは、安定帯価格内でここしばらく価格水準が形成されてまいっております。そのことから言えば、法律本来の趣旨を実現し得ているという意味で、最も大きなメリットを果たしているわけでございます。これは生産者に対して販売価格の安定を保証したと同時に、消費者に対しても、もちろん外国に比べれば水準が高いという問題はありますが、価格の動きとしては安定的に推移したということで、これはそれなりの機能を果たし得たと思っております。
 それから、畜産振興事業団は、海外からの肉を買い入れてこれを国内価格の水準に合わせて売るということで、したがって価格差、早く言えば差益が出ます。これを徴収した上で肉用牛の生産の振興、それから畜産物の流通の合理化そのほか各種の事業に活用しているわけでございます。そういう関係から私どもメリットは大きかったと思いますが、畜産振興事業団自身のデメリットというよりはむしろ制度自身に対する批判として、そういうような外国に比べて高い水準の牛肉を買わされることになる消費者、その犠牲を考えるべきである。その点からすれば畜産振興事業団が――これは誤解があるわけでございますが、まあその悪の張本ではないかというような批判を受けたということは、これはあるわけでございます。
 私どもは国内畜産の保護、全体的な農業生産の維持ということからいたしますというと、この制度は消費者にも何とか御理解をいただきたいところのものであるというふうに考えております。
#274
○柳澤錬造君 いまの答弁が農林水産省のお考えであるとするならば、私は大変なことだと思うんです。ですから、もう少し本当のことの答弁をしてくれませんか。私から言わせるならば、畜産振興事業団のやっていることは高値安定なんですよね。その役割りしか果たしていないと言ってしまえばまた極言だけれども、それじゃいま輸入肉なら輸入肉でもって利益と言っては何だけれども、調整金でもってのお金が年間何百億になるんですか。そして、そのお金を具体的にどういうふうにお使いになっているのか。
 たとえば、いわゆる子牛なら子牛のそういうものが日本の場合にはけた外れに高いこともこれは事実でしょう。それから言うならば、オーストラリアなんかから見れば七倍も八倍も、最初の生後六カ月ぐらいの子牛のときでもってめちゃくちゃに高いのだ、二十何万も三十万近くしてしまう。あちらだったら、三万円ぐらいでもってそれが売られている。だったら、畜産振興事業団がそういう子牛を全部一括して買っちゃって、それで酪農をやっているところへは仮にそれを五万なら五万で払い下げてやって、そして言うならば牛を育てていただいて、そうすれば大きくなったのもいまのようなことでなくて、かなり安い値段で大人というか何というか、でき上がるわけなんですよ。ですから、そういうことをやっているのならあれですけれども、私たちがいろいろ調べて知る範囲では、意外なところにそういうお金を使っているということもあるので、いろいろいい点もあるといって言うのもいいですよ。しかし、現実にはこういう点のいま弊害も出てきて、そういう点については何とかして改革したいというやっぱり言葉が出てこなければ、正確な答弁にならぬですよ。
#275
○政府委員(杉山克己君) 私、制度的な機能的な問題に着目して申し上げたわけでございます。畜産振興事業団が価格の差益を使っている。その差益の使い方についてどうかということになりますというと、いままで、もちろん農林水産省もこれを監督指導いたしまして、たとえば肉用牛等生産振興対策、これに百四十九億、それから肉用素畜価格安定対策に十二億、それから食肉流通合理化対策に三十億、酪農総合対策に八十八億、それから鶏卵の価格安定対策に十三億、家畜の衛生対策に十六億、それからこれは融資措置でございますが、畜産経営安定対策ということで百十二億、こういったものに金を出しているわけでございます。
 この金の使い方について、以前から、特に消費者方面からは生産者に対する庇護が手厚過ぎる、輸入の牛肉でもって得た差益なら、もっとそれを買う立場の消費者にも還元できるような方法を何か講ずべきではないかというような御意見、御批判をちょうだいいたしております。私ども五十三年度の輸入の差益も三百九十四億ほど発生するものと見込んでおります。この使い方については、もろもろの各方面の御意見を十分念頭に置いて、貴重な財源の誤解を受けることのないよう公正な使い方、しかも有効な使い方を考えてまいりたいと思います。
#276
○柳澤錬造君 時間がないからやめておくけれども、問題は、いまあなたがおっしゃったどこに何億とかどこへ幾らとかいうそんなことは問題じゃないのであって、むしろどこどこへ幾らといったその中身で、具体的にどう使っているかということをやっぱり十分監督して調べてみてください。そして、私はいまのような状態のときに、調整金なり、いまは入札制度を調整金が評判悪いからあなたたちやらしたでしょう、入札に。結果的には、同じ金が吸い上がるわけだけれどもね。あれをやっちゃいかぬと言っているのではないんですよ。それはいまの場合やらざるを得ないわけですよ。そうでなかったら、日本の国内のやっぱり酪農農家がぶっつぶれちゃうんですよ。だけれども、そうやって三百何十億も出てくるわけでしょう。
 だったら、さっきも言うとおり、そこでもって子牛を全部買い上げて、そして二十何万も出さないでもう三万円でみんな農家へやってやるとか、そうでなければ国内の牛、牛肉の高いのといまの安いのをそのお金を使って調節をしちゃって、それであるバランスのとれたところに肉の価格をやるとかというふうに、なるほどいい政策、いい制度が行われている、これならばという、そういうことの理解がつくようなやり方をやられなければ、一面的な余りにも偏った、生産者保護と言っちゃ何ですけれども、偏り過ぎているということを私はさっきから言っている。
 だから、そういう点でもって、何と言うんですか、日本の牛が高くなるのは、私は一つは、外国のように大きな牧場へばかっと何万頭も放して、そうして草を食わして適当に育ってきちゃつぶしていくのとわけが違って、そういう広い牧場がないから外国の高い飼料を買ってきて育てるから、めちゃくちゃにコストが上がって高くなっちゃうわけでしょう。だったら、そういうふうな酪農のやり方そのものは、端的に言うなら、私はいつも思うんだけれども、あの北海道で無理にもうお米なんかつくらないで、それで大々的にああいうところは大きな牧場をつくって、そうしてもう外国に負けないようなと言ったって無理だけれども、もうちょっとそういうふうな牧場の経営のやり方、それから飼料の買い方、いろいろそういうもう少し根本的なところにメスを入れて、そして酪農をやっている農家の方たちも、肉を食べる消費者の人たちも、なるほどいまの政治のあり方や、政府のやっている政策はいいわなという、そう思うようなやり方をやっていただきたいということを、私最後に申し上げて終わります。
#277
○政府委員(杉山克己君) 御答弁申し上げます。
 いま幾つかのことを仰せられたわけでございますが、一つは、畜産振興事業団が使っている用途先、これについてきちんと見定める必要がある、問題があるものが中にはあるのじゃないかと。それは、厳正な使い方について今後ともさらに私ども努力をするようにいたしたいと思います。
 それから、そういう使い方だけでなくて、もう少し消費者といいますか、各方面からいい政策をやっていると理解されるような新しいそういう使い方、たとえば子牛を直接買ってこれを肥育農家に売るとか、そういうことも考えられないかという御提案、子牛を買ってこれを肥育農家に売るということについては、これはまた種々別な問題もありますので、それ自身はなかなかむずかしいかと思いますが、御提案の趣旨はよくわかりました。いろいろ新しい工夫も出してみろということならば、それは私はごもっともだと思うわけでございます。
 それから、ただ子牛のことについて一言申し上げておきたいのでございますが、日本の場合は飼育の形態が子牛を生ませてこれを売るいわゆる繁殖農家というのと、それを買ってこれを育てて成牛にもっていく肥育農家というのと、それから酪農家がありまして、酪農家は、雄の子牛は乳を生みませんから、この雄の子牛なり、それからその乳をしぼった後の雌牛を売るわけでございます。こういった非常に複雑な絡み合いの関係がございまして、子牛を入れますというとこれが繁殖農家に重大な影響を及ぼす、あるいは酪農家の子牛の副収入、副産物収入、これにやはり大きな影響を与えるというような問題もありますので、そのこと自身ということよりは、全体としてどういう対策を考えていくかということの中で、十分監督も厳にして畜産振興事業団の活用の仕方を考えてまいりたいと思います。
#278
○喜屋武眞榮君 私、最初に畜産物価格問題について触れたいと思います。
 私が思うのに、畜産物の価格を左右する条件はいろいろ考えられるわけですが、その根本問題の一つに飼料問題があると思います。この飼料の確保いわゆる国内自給飼料、この問題を根本的に解決しない限り常にその価格が動揺してまいると、こう思うんですが、その飼料問題に対する政府としての具体的な、根本的な計画を持っておられるかどうか承りたい。
#279
○政府委員(杉山克己君) 現在のところ国際的な飼料穀物の価格が安いということ、それからまた、円高ということが反映いたしまして、日本の配合飼料価格がきわめて安定した安い価格で売られております。その結果、外国産濃厚飼料に対する依存度がきわめて高うございます。ですが、これは私このままほうっておけない。いま喜屋武先生御質問のように、むしろ日本の国内でできる粗飼料、すなわち草資源の活用にかかるところの自給飼料、この比重は高めるというより、いま落ち込んでいるのをまずは回復しなければいけない。そうして回復を図って、さらにこれの向上を図っていかなければいけないと考えます。そのためには、対策ということでは、まず公共事業による草地造成、この草地造成につきましては、予算でも一般の公共とこれはバランスをとっての話でございますが、二三%というような大きな伸びを五十四年度も確保いたしております。
 それから、既耕地における飼料作物の作付拡大ということも計画的に進めるということにいたしております。特に五十四年度におきましては、いわゆる地域農業生産総合振興事業というものが新たに仕組まれておりますが、この中で自給飼料生産について格段にこれを推進していく。特にその中では、従来利用されていなかった里山――これは農家の近傍にある低い面積の小さな未利用の山でございますが、そういった里山の利用開発、これを促進するということを重点に考えております。いま粗飼料の自給率が下がっているのは残念でございますが、できるだけこれを回復し、さらに向上させるということで努力いたしたいと考えております。
#280
○喜屋武眞榮君 いまの飼料問題、いま具体化計画を持っておられることは結構だと、これは必ず実際で裏づけていく、成果を上げていくという、この面で私は期待いたしたいと思います。
 次に、政府は、畜産振興審議会の答申を得て今月末に価格を決定する、こうなっておりますね。全国農協中央会では、たとえば豚肉中心価格一・四%引き上げ、キログラム当たり七百六円、それから去勢和牛の中心価格一・九%引き上げ、千二百五十円というような価格、このように要求しておるわけですね。これに対して政府の対応はどうなのか。結局、結論は、引き上げる要素はあるのか、あるいは現状維持なのか、あるいは引き下げるのか、そういうことになると思うんですが、その見通しを承りたい。
#281
○政府委員(杉山克己君) 大変恐縮でございますが、価格の問題、確定した数値が出るまでは私ども事務の立場としてこれを申し上げるわけにはまいりません。もちろん、個々の生産費の要素を見てまいりますれば、飼料費が下がっているとか、それから労賃は多少上がっているとか、ほかの物価は上がっているものもあれば下がっているものもあるというように、個々の変動がございます。そういったことから各方面でいろんな観測はなされておりますが、私どもいまの段階で、自分たちが予断を持つことは許されないと考えております。やはり確定した数字が出るまでそれは、予断めいたことを申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
#282
○喜屋武眞榮君 現状では具体的に答えられぬとするならば、その答申の趣旨に沿うように最善の努力をしてもらいたいことを要望しておきます。
 次に、輸入牛肉の特別割り当てについてですね。特に沖繩県の場合、復帰に伴う特別措置として、特別安い輸入牛肉の割り当てを年間約四千トンから五千トン受けておるわけなんですね。ところが、これにはいろいろ問題がありまして、いわゆる生産者の立場、消費者の立場、いろいろこのバランスの問題で、毎年この問題が消費者の立場から、あるいは生産者の立場から問題を醸しているわけです。ところで、県当局としましては、方針は、県産牛肉の供給体制を整えて、この特別割り当て制度を撤廃させることが基本的な考え方であると。ところが、現在すぐ撤廃させるわけには需給関係でこれはいきませんので、当分の間――この当分の間というのは、まあ昭和六十年ごろをめどにしておるようでありますが、それまでは現状維持の方針であると、こう言っておるわけなんです。生産者の立場からすると、いわゆる畜産奨励という国の政策に沿ってがんばっておるわけなんですが、安い牛肉を外国からどんどん、しかも特別にさらに沖繩特別措置を受けておりますので、そうしますと、これは裏を返せば、消費者にはよろしいが、生産者の立場からは自然にダウンしていくということになっていく、こういう矛盾があるわけなんです。
 これについて、県への特別割り当て、需給のバランス、今後の方針、それから上半期、下半期の配分によってもずいぶんいままで混乱しておる実例があります。さらに、本土へのやみ流しが、今度は現地が牛肉不足になって大混乱を来した実例もあるわけですが、これらのことを含めて、政府としてどう考えておられるか、またどうこれから対処しようとしておられるのであるか、そのことをひとつお聞きしたい。
#283
○政府委員(杉山克己君) いま先生御自身が言われましたように、沖繩特別枠は、復帰の際に沖繩に対する特別措置として復帰対策要綱によって設けられたものでございます。これをどういうふうに今後考え、運用していくかということ、あるいは将来のあり方をどうするかということでございますが、やはり沖繩県も言っておりますということでありますが、沖繩県における肉用牛の生産、これに悪影響を及ぼさないということを基本とする考えがやっぱり一番重要なことだろうというふうに考えます。同時に、消費者の立場もあります。県民生活への影響を緩和するために設けられた措置でありますので、これはちょうど本土と同じことでございますが、生産者の生産性を高めながら国産の――沖繩の場合は沖繩産の牛肉が消費者に受け入れられるような体制をだんだんにつくり上げていくということであろうかと思います。ただ、そうは申しましても、現実の格差を考えました場合、私はそう短時日の間にそういうことが実現できるとも思えないわけでございます。県の意向も聞きながら、公正な扱いをするように指導してまいりたいと思います。
 それから、輸入枠の決め方でございますが、これはやはり現地の需給なり流通の実態をよく知っている沖繩県が、この配分について責任を持つべきであると思うわけでございます。どういう問題が生じているか細かくは存じませんが、一層厳正に行うよう注意を喚起いたしたいと思います。
 それから、かつて横流しなどの不正事件が起きたではないかと、これによって混乱が生じたということでございますが、私どももこの問題は大変深刻に受けとめたわけでございます。警察事案になりまして、この横流しを行った業者は有罪判決を受けております。さらには、枠の割り当てを廃止されたというようなこともあるわけでございます。やはり価格差が大きいと、こういう横流れというような不正事案も起こりかねない。これは一層割り当てについて公正を期すると同時に、その流通について厳重な監視を行うということが必要であろうと存じます。十分注意してまいりたい。沖繩県に、そのようにまた伝えるようにしたいと考えます。
#284
○喜屋武眞榮君 いまの問題につきましては、これは沖繩がこの戦争の犠牲を受けたという、復興の経過が順調でないという、こういう立場からの特別な措置であるわけなんです。あくまでも沖繩県民に対する特別措置でありますので、その趣旨に沿うように、また国内需給を高めていくということも、これは畜産振興の立場から当然でありますので、そういった面を十分にらみ合わして、そうしてまた、その恩恵が横取りされてかえって県民に混乱を起こさせるようなこういうことにならないように、十分にひとつ指導監督、そうして育成をしてもらうよう強く申し入れておきます。
 次に、先ほど私、この畜産物価格を左右する問題に飼料の問題を挙げたわけでありますが、多くの専門家の語るところによりますと、沖繩は非常に畜産に有望である、自然に恵まれておる、年中牧草が繁茂する、そうして沖繩の牛肉、豚肉の味は非常によろしいと。これは我田引水になるかもしれませんが、専門家のおっしゃることであります。そうしてその肉質ですね、肉の味が非常によろしいと、こういうことをたびたび聞かされておるわけなんです。政府としては、この沖繩県を畜産基地という立場からどのように評価しておられるか、そのことをまずお聞きしたい。
#285
○政府委員(杉山克己君) 草資源の造成ということから言えば、何といっても沖繩は高温多湿、きわめて条件に恵まれたところであると考えております。その意味で、自給飼料の自給率を高めたいと考えております私どもにとって、有望な畜産基地の候補地であるというふうに考えられます。
#286
○喜屋武眞榮君 それでは、国の立場からも、沖繩は地域的にも非常に畜産基地として有望であると、こういう前提に立って、沖繩の畜産基地建設事業について、国として計画されておるいわゆる石垣第一区域の畜産基地ですね、これが五十一年から着工、五十四年で終了すると、こういう計画でいま進められつつあるわけなんですね。それについて、現状はどうなっておるか。いわゆる順調に進んでおるのかどうか、まずそのことをお聞きしたい。
#287
○政府委員(杉山克己君) 現在、沖繩県で実施しております畜産基地建設事業は、石垣第一、それから山原第一地区であります。五十四年度からは、このほかに新たに石垣第二地区が加わることになっております。
 事業内容は、いずれの地区も肉用牛を主体とした豚との畜種複合型ということになっております。
 その進捗率でございますが、五十一年度に着工した石垣第一地区は、これは総事業費が三十億円、今日まですでにその八〇%を消化いたしております。それから、五十二年度に着工した山原第一地区は、これは四十一億円の総事業費が三六%消化されております。いずれも、きわめてその進捗状況は順調であるということが言えると思います。
 それから、建設事業と並行して、国は、本島及び八重山におきまして、事業予定地区の調査計画を現在積極的に進めているところでございます。
#288
○喜屋武眞榮君 内容的にお聞きしたいんですが、石垣地区のこの第一区域の内容と、それから国頭地区のものは、内容的にはどう違っておりますか。
#289
○政府委員(杉山克己君) 石垣第一は所在地が石垣市、そして事業規模は、農用地の造成が三百十八ヘクタールということになっております。それから、事業内容としての特徴は、公共の肉用牛センター、それから個別の肉用牛と養豚の経営、これは十六経営、こういう畜種複合型ということになっておるわけです。それから工期が五十一年から五十四年、事業費三十億円。それから、五十三年度までの進捗率が八〇%ということは先ほど申し上げたとおりでございます。
 それから、これに対する山原第一地区はどうなっているかということでございますが、これは所在地は国頭村、そして農用地の造成面積は百六十五ヘクタールでございます。内容は、公共のセンターというようなものはなくて、個別の肉用牛と養豚の複合経営十九経営というものを目指しております。工期は五十二年から五十五年。総事業費は、これもまた先ほど申し上げましたように四十一億円で、五十三年度までに三六%を達成いたしております。
#290
○喜屋武眞榮君 結論的に言いますと、きわめて順調に進んでおると、こう受けとめてよろしいですね。
 そこで、先ほど私、沖繩の牛、豚の肉質がよろしい、こういうことを申し上げましたが、特に専門家の話によると、沖繩の黒豚と黒牛、これが世界的な肉質を持っておるということを評価しておる専門家の声なんですが、政府はそのことを承知でしょうか、どうでしょうか。
#291
○政府委員(杉山克己君) せっかくお尋ねでございますが、大変申しわけないことに、私、沖繩の黒牛、黒豚の評価について詳しくは存じません。実態について早速勉強させていただきたいと思います。
#292
○喜屋武眞榮君 ぜひ、このことは研究してもらいたい。これは口をそろえて畜産沖繩の基地も高く評価しておられ、非常に有望であるということを言っておられるが、この種類としては特に沖繩の黒豚、黒牛の肉質が日本一はおろか世界的にもその肉質がよろしいと、こう高く評価しておられますので、このことをひとつ念頭に置いて、研究そして奨励をしてもらいたい、こう要望しておきます。
 次に、先ほどのお話の中で、六十年度需給三・六キログラムというお話がありましたが、これは牛肉だけなんですか、肉類全部含めてなんですか。どうですか。
#293
○政府委員(杉山克己君) 一人当たりの六十年度の牛肉消費量見込みを申し上げました。三・六キロ、これは牛肉だけであります。
#294
○喜屋武眞榮君 そうすると、いま牛肉だけということはわかりましたが、豚、牛肉、ブロイラー含めて一人当たり日本国民がどれぐらい年間肉を食べておるか、どういうことになっておりますか。
#295
○政府委員(杉山克己君) 現在の数字は必要でございましたら後ほど申し上げますが、六十年見通しのときに、四十七年の実際の数値とそれから六十年の目標としている数値がありますので、これをまず申し上げます。
 牛歯については四十七年現在が二・四キロ、それから六十年見通しが三・六キロ。それから豚肉は四十七年が五・六キロ、六十年が七・五キロ。それから鶏肉が四十七年が四・七キロ、六十年が五・七キロ。それから、その他の肉ということで、これは馬肉とか、マトンとか、もろもろのものでございますが、これが四十七年一・五キロ、六十年一・八キロ。そして、これらを合わせました肉類計が四十七年十四・二キロ、六十年十八・六キロということになっております。
#296
○喜屋武眞榮君 需給関係の統計は結構でありますが、じゃ政府とされては、日本人は一人当たり肉量を年間どれぐらい取ればいいという、こういった目標があってしかるべきだと思うんですが、その目標をお持ちでしょうか。
#297
○政府委員(杉山克己君) この六十年見通しを立てました時点におきましては、この見通し自体が一つの目標値であったと思います。ただ、今日におきましては、実績がかなり食い違ってまいっております。特に、具体的に申し上げますと、鶏肉などはすでに六十年の目標値を突破するような一人当たり消費量の状況でございます。それから豚肉は、ごく最近ではほぼ六十年見通しの一人当たりの消費量の水準が実現し得ているような状況であろうかと思われます。それから牛肉については、目標にはまだ若干下回っているけれども、相当予定されたよりは速いテンポで消費の増加が見られるというような状況でございます。卵は御質問にはございませんでしたが、若干むしろ停滞しているということもありまして、全体としての畜産物の需要をどう見込むかということについては、ただいま申し上げましたような最近の傾向も見ながら、それからほかのやはり食物、具体的には魚とか米とか、全体の食生活のあり方等も考えながら、六十年見通しの改定を検討すべきであろうというふうに考えております。
 現在、幾らくらいが適当であるという一人当たりの消費量、摂取量として目標を立てているというようなことは、具体的な数値は持ち合わしておらないところでございます。
#298
○喜屋武眞榮君 私がなぜそれを尋ねるかと申しますと、政府とされても、日本人の食生活の立場から、少なくともこれまでは牛肉なら牛肉、豚肉なら豚肉を取るべきである、こういう科学的な根拠による目標を持ってしかるべきじゃないか。というのは、余り取り方が少ないのではないか。
 たとえば、私の調査によりますと、年間一人当たり肉類消費量、一位はアメリカが年間百十六キロになっておりますね。これは、食肉需給の現状、一九七一年の農林省畜産局食肉鶏卵課から出た統計によるんです。アメリカが百十六キロ、オーストラリアが百七キロ、フランスが九十六キロ、西ドイツが八十五キロ、イギリスが七十五キロ、わが国、日本は二十キロと、これらの先進諸国の四分の一ないし六分の一、こういう状況なんですね。これからすると、動物性たん白質の摂取量がまだまだ足りないのではないか、少ないのではないかと、こういう感じを持つがゆえにそれを尋ねたわけなんです。それに対する御見解はどうでしょうか。それをお聞きして、終わります。
#299
○政府委員(杉山克己君) たん白質の摂取のあり方、ごく最近では、従来半分以上動物たん白質のうち占めておりました魚介類、これが五〇%を切るような状況になって、動物性たん白質のうち畜産物への若干の移行が見られるわけでございます。これが将来どのように移行するかという見込み、推測を立てると同時に、食生活のあり方としてどういうことが望ましいかということも含めながら、一人当たりの消費のあり方、水準を測定すべきであると思うわけでございます。
 私ども畜産局の立場からいたしますと、全体として畜産物の需要はもっとふえてしかるべきであるというふうには考えますが、日本人全体の食生活のあり方、農業生産のあり方、水産も含めてでございますが、全体としてどうその間の調整を保っていくかということは、今後の農林水産省全体としての検討課題であると考えます。
#300
○理事(山内一郎君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。
 この際、栗原君から発言を求められておりますので、これを許します。栗原君。
#301
○栗原俊夫君 私は、各派共同提案に係る蚕糸業の振興に関する決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    蚕糸業の振興に関する決議(案)
  政府は、昭和五十四生糸年度に適用する安定帯価格の決定に際し、わが国の農山村における重要産業たる養蚕業の振興を図るため、次の事項の実現に努めるべきである。
 一、昭和五十四生糸年度に適用する基準糸価等の安定帯価格は、繭及び生糸の再生産の確保の観点から適正な水準への引上げを図ること。
 二、中国、韓国に対する生糸及び絹製品の二国間協定の締結に当たつては、日本蚕糸事業団の過剰在庫等を十分考慮し、適正な輸入数量とするとともに、同事業団の輸入生糸の実需者売渡し制度については、糸価及び需給に悪影響を与えぬよう適切な運用に努めること。
 三、絹糸及び絹織物の輸入に関して、事前許可制、事前確認制等現行制度の一層厳正な運用を図ること。
 四、国産繭の生産体制を整備するため、稚蚕人工飼料育及び密植促成桑園の普及促進、養蚕の担い手の育成、土地基盤の整備等により、生産性の向上と生産の増強に努めること。
 五、最近における絹製品の末端消費の動向にかんがみ、その需要の増進を図るための諸施策を充実、強化すること。
  右決議する。
 以上でございます。
 委員各位の御賛同をお願いいたします。
#302
○理事(山内一郎君) ただいま栗原君から提出されました決議案を議題とし、採決を行います。
 栗原君提出の決議案に賛成の方の挙手を求めます。
  〔賛成者挙手〕
#303
○理事(山内一郎君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。
 ただいまの決議に対し、宮田農林水産政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。宮田農林水産政務次官。
#304
○政府委員(宮田輝君) ただいまの御決議につきましては、十分検討し、適切に対処すべく努力いたす所存であります。
#305
○理事(山内一郎君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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