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1978/05/25 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 農林水産委員会 第11号
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1978/05/25 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 農林水産委員会 第11号

#1
第087回国会 農林水産委員会 第11号
昭和五十四年五月二十五日(金曜日)
   午前十時十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十五日
    辞任         補欠選任
     高橋 圭三君     園田 清充君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長        久次米健太郎君
    理 事
                青井 政美君
                大島 友治君
                山内 一郎君
                栗原 俊夫君
                相沢 武彦君
    委 員
                岩上 二郎君
                片山 正英君
                北  修二君
                野呂田芳成君
                初村滝一郎君
                降矢 敬雄君
                川村 清一君
                坂倉 藤吾君
                丸谷 金保君
                原田  立君
                藤原 房雄君
                下田 京子君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農林水産大臣   渡辺美智雄君
   政府委員
       農林水産政務次
       官        宮田  輝君
       農林水産大臣官
       房長       松本 作衛君
       農林水産省経済
       局長       今村 宣夫君
       農林水産省構造
       改善局長     大場 敏彦君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     二瓶  博君
       農林水産省畜産
       局長       杉山 克己君
       農林水産省食品
       流通局長     犬伏 孝治君
       食糧庁長官    澤邊  守君
       水産庁長官    森  整治君
       水産庁次長    恩田 幸雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹中  譲君
   説明員
       公正取引委員会
       取引部景品表示
       指導課長     土原 陽美君
       国税庁間税部酒
       税課長      大橋  實君
       厚生省環境衛生
       局食品化学課長  藤井 正美君
       厚生省環境衛生
       局水道環境部水
       道整備課長    山村 勝美君
       農林水産省食品
       流通局消費経済
       課長       長野不二雄君
       農林水産省農林
       水産技術会議事
       務局研究総務官  北野 茂夫君
       資源エネルギー
       庁石油部精製課
       長        加藤 昭六君
   参考人
       天然自然食品等
       公正取引協議会
       設立準備委員会
       委員長      渡辺正三郎君
       キューピー醸造
       株式会社取締役
       社長       神田 恒治君
       栄養改善普及会
       会長       近藤トシ子君
       畜産振興事業団
       理事長      太田 康二君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
 (食酢の日本農林規格及び品質表示基準に関す
 る件)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(久次米健太郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農林水産政策に関する調査を議題といたします。
 まず、食酢の日本農林規格及び品質表示基準に関する件について調査を行います。
 本日は、本件調査のため、参考人として天然自然食品等公正取引協議会設立準備委員会委員長渡辺正三郎君、キューピー醸造株式会社取締役社長 神田恒治君及び栄養改善普及会会長 近藤トシ子君の御出席を願っております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。参考人におかれましては、忌揮のない御意見を述べていただくようお願い申し上げます。
 それでは、これより御意見をお述べ願うわけでございますが、議事の進め方といたしましては、最初にお一人約十分間程度意見をお述べいただき、引き続いて委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 それでは、渡辺参考人からお願いいたします。
#3
○参考人(渡辺正三郎君) 渡辺でございます。
 私は、自分自身の体験と研究から、健康と生命のもとは食生活にあると考えております。
  〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕
また、食が人をつくりかえると申しますが、事実、私たちの肉体を構成する細胞は絶えず少しずつ壊され、同時に新しくつくりかえられております。肝臓を構成する細胞のたん白質では二週間でその半分がかわり、筋肉のたん白質でも二カ月でその半分が新しくつくりかえられると言われております。こうして人間の体は、ちょうど胎児が十月十日で完全にでき上がるように、意外に早く頭のてっぺんから足のつま先までつくりかえられております。
 では、何でつくりかえられるかと申しますと、それは食物のほかありません。これを栄養学では、食物の新陳代謝作用による栄養化と言っております。そこで、食物の質が体質に影響することは疑うべくもありませんし、その体質が性格等をつくり、思想や行動となってあらわれるわけですから、人間形成の条件として、食物の重要性を認識しなければならないと思います。
 さて、その大切な食生活の改善運動を私は昭和二十七年からいたしておりますが、それらの飲食物のうちの一つに食酢があります。この食酢の日本農林規格及び品質表示基準の制定案について意見がございますので、参考人として意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、同案制定の趣旨には全く同感でありまして、特に食酢は疲労回復や動脈硬化、糖尿病の食餌療法にも有効であります。また、酢でもコンニャクでも食えないなどと言われますように、川魚や責類、シダ類などの植物性食品にも含まれるビタミンB1やCを破壊する酵素を分解して食べやすくする効果もあり、また食生活の中でも大切な食品なので、消費者の選択に資するため、その制定は当然なすべきものと賛成いたしております。
 次に、食酢の定義として「醸造酢及び合成酢」とありますが、合成酢は御存じのようにカーバイドなどを原料にしてつくられた氷酢酸を薄めたもので、これに合成食品添加物などをまぜたようなものでありますから、酢本来の働きも効用もないにせものの酢だと言うほかはありません。このようなものは、食品として許可すべきものではないと私は考えておりますので、農林規格としてこれを認めることは、消費者を誤らせ、かつ健康を損なうおそれがありますので、除外すべきではなかろうかと思います。また、合成酢は、これまでの自然食運動の成果といたしまして、いまではほとんど姿を消すようになっておるんですから、いまさらこれを農林規格で認めることによってよみがえらせる必要はないのではないかと思います。
 次に、醸造酢のうち、「穀物酢」「果実酢」などというあいまいな名称がありますが、これはたとえばトウモロコシなどの安物を原料にした酢との区別もつけにくくなります。それで消費者を惑わすおそれがありますので、やはりそれぞれ米酢とかリンゴ酢とかいうような原料名によって区別すべきであろうと思います。
 エキス分等については、時間もありませんので専門の神田参考人に譲りたいと思いますが、エキス分自体についての基準が、添加物を使わなければ原酢では出ないような基準がつくられているというところに、大きな問題があるように思います。本来、酢は、米、酒かす、大麦、ブドウ、リンゴなどの主原料があればそれだけでつくれるわけです。それだけでつくった酢が本物ですが、この表によりますと、二十種ほどの原料、副原料あるいは食品添加物が許可されております。化学調味料あるいは呈味補助剤、酸味料、甘味料等の使用が認められているわけです。これらの原料や食品添加物は、いずれも本物の酢でしたら必要のないものばかりです。本来の製法の手間を省くためにこうしたものが必要になったわけでありまして、こうしたものの許可も問題でなかろうかと思います。
 と申しますのは、たとえば原酢と申しまして添加物のない酢であれば、家庭で食塩や砂糖を加えたり、たとえばまた、ハチみつをまぜてバーモント飲料水をつくることもできるわけですが、エキス分を高めたりするためにすでに砂糖を入れたものでは、糖尿病の食餌療法などに使用した場合に、知らず知らずのうちに余分の糖分を摂取することになるわけです。また、カラメルなども許可されておりますが、長期醸造に見せかけるための着色剤として使うだけのものなのですから、これも全く有害無益で、にせものづくりを認めるようなことにもなるのではないでしょうか。
 また、代表的な調味料のグルタミン酸ナトリウムは周知の事実ではありますが、工学博士で神戸大学名誉教授である堀口博氏によりますと、中華料理や酢コンブ、つくだ煮などの乱用によって、昭和四十七年ごろににわかに手足のしびれを訴えたり、頭痛を起こす患者が増加した。また、アメリカでも、学生街でワンタンを食べた者に同様な症状のあらわれることが明らかにされたので、一九六九年ワシントン大学でマウスに対する毒性試験を行ったところ、キロ当たり三ミリグラム以上の注射では中枢神経異状を示すことや、肝臓の脂肪変、卵巣、子宮発育不良等があり、痛風などの起こることも明らかにされた。特に幼児には危険が大きいことが次第にわかってきたので、グルタミン酸ナトリウムが再検討されなければならなくなっているということを述べております。
 このように、最も一般的なグルソでさえも有害なのでありますから、その他の食品添加物についても大同小異の有害性がわかってきております。このようなものは本物の食酢には不要のものなのですから、厳重に再検討して、できる限り削除していただくようお願いしたいと思います。
 最後に、(5)の「表示禁止事項」の一番目に、「「天然」、「自然」の用語」とあります。この用語を使わせないということですが、この用語の禁止は、食品の品質向上に大きな功績があり、かつ今後も消費者のためににせものを退治して食品業界に覚せいを促す運動、この運動に水をかけるようなことにもなります。また、健康自然食業界の各団体の窓口一本化によって、天然自然食品等公正取引協議会設立委員会ということで、自然食品の競争規約案を作成して一昨年公正取引委員会に提出しております。
 このように、この案も、たとえば学者、文化人、また一部の消費者団体等の協力を得てつくられたものでありますが、これがいま公正取引委員会でストップいたしておりますが、しかし、まだ公正取引委員会での審議中でありますその過程において、農林水産省のJAS案でそれを使わせないようにするということになりますと、食酢でも、たとえば無農薬の米を使って、それで昔からのつぼづくりで静置法によるりっぱな醸造、自然の発酵による醸造をしている製造者もあるわけです。こうした製造者も、自然発酵ということや自然醸造ということが言えないことになるわけでして、いわゆる大手ができないようなそうした製法、昔からのあれを守っている人たちを見殺しにするようなことにもなりかねないので、この「「天然」、「自然」の用語」の禁止ということは間違いであろうと思います。これについては私どもうなずけません。
 それからなお、ウのところに、静置法という製法とそれからそれに使用する原料、たとえばアルコールを少しでも使ったならば静置法という表示ができないといったようなことがございますが、これも製法と原料の誤りということになりますので、理屈が通らないのではなかろうかと思います。
 最後に、私は、国民の集まりが国家でございますから、その国民の健康と生命に関する食品の問題を第一にすべきであろうと思います。それで、万が一にもこれの品質を経済性などによって犠牲にするようなことのないように、慎重にこの食酢のJASの問題についても御審議くださることをお願いして、私見を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
#4
○理事(山内一郎君) どうもありがとうございました。
 それでは、次に神田参考人にお願いをいたします。
#5
○参考人(神田恒治君) 私は、キューピー醸造株式会社の神田恒治でございます。
 食酢のJAS制定に関しましては、昭和四十七年から会合が持たれまして、昭和五十年二月に第一回の専門委員会が開かれまして以来、小委員会が七回、専門委員会が四回開かれております。私も、農林水産省から食酢のJAS専門委員の一人として委嘱を受けて、立案に参加してまいりました。
 立案の過程におきましていろいろな問題がございましたが、私が主張してきた主要な問題の一つとして、食酢のJAS規格の無塩エキス分――以下エキス分と略称させていただきますが、無塩エキス分の上限及び下限がいずれも高過ぎるのではないかという点でございました。
 具体的に申しますと、わが国の食酢製造業者が一般家庭用として最も多く販売しておる、一応私は六〇%以上あると思っておりますけれども、その食酢、JAS案でいきますと「醸造酢」という名称になります。これは食酢用の専売アルコールを主原料として、これに製品一リッター当たり十ないし十五グラム程度の酒かすを副原料または発酵の栄養源として酢酸発酵を行った製品であります。この場合のエキス分は、〇・一程度が正しい値であると考えております。この過半数を占める醸造酢をJASの規格に合格させるためには、糖類その他を一%以上添加しなければなりません。
 また、米酢を例にとりますと、公正競争規約、これは食酢に関して四十五年に告示になっておりますけれども、食酢の公正競争規約の規定によりますと、米酢と表示できる最低基準は製品一リッター中に四十グラムの米を使用することと、こうなっております。この場合、すなわち一リッター中に四十グラムの米を使用した場合の米酢のエキス分は、〇・四二程度と考えております。それで、この米酢をJASの米酢規格に合格させるためには、やはり一%以上の糖類その他を添加しなければならないと考えます。さらに、米酢のエキス分の上限について申しますと、純粋に米と水だけで製造する純米酢は、製品一リッター中に米約百四十グラム程度と考えられますが、これを普通三段仕込みした場合に、エキス分は〇・七程度と考えております。また、同じく純粋米酢で普通四段仕込みをして製品一リッター中に米百九十グラムを使用しましても、エキス分は一・五程度と考えられます。
 したがって、原案どおりで施行されますと、下限が高いために糖類等を添加しなければなりませんし、上限が高く規定されておることによって必要以上に糖類その他が添加されて、むしろ加工酢とされるべきものである食酢が、JAS規格として認められるといったおそれが生じてくると思います。食酢も調味料の一つでございますので、若干の調味加工は認められてもよいと思いますけれども、食酢のJAS規格のエキス分は、その製品の本来の主たる原料から由来するものを基準として上限及び下限を規定してほしいと思っております。
 なお、農林水産省におかれましても、各地から資料を御収集になって、いろいろデータをお集めになって非常に御苦労があったことと大変感謝しております。ただし、万一問題がありました場合は、ひとつ今後御検討を賜りたいと、こういうふうに考えております。
  〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕
 それからなお、資料の点で一つ申し上げておきたいと思いますのですけれども、仮にA社と申しますが、A社がリンゴ酢の全国シェアのトップメーカーであるという場合で、そのA社がリンゴ酢の中にリンゴ酸を添加した商品を販売するというようなそういうことがありました場合には、官庁、たとえば防衛庁とか自衛隊とか学校とかその他大手スーパーから、リンゴ酢についてはA社の規格が一つの基準になりまして、リンゴ酸を添加したものはそれに準ずる規格のものを納めてくれと、こういう規格になりますので、したがって、地方の中小企業者はA社と同じようなリンゴ酸を添加しないと納入ができないと、こういう実情がございますので、ここらも今後よくひとつお考えいただきたいと、こういうふうに考えております。
 以上、規格の点を終わります。
 それから次に、さきに申し上げました食酢の公正競争規約、昭和四十五年告示は、当時の状況といたしまして醸造酢と合成酢をはっきり分けると、こういう主目的で検討され公告されたものと思いますし、食酢の規格を主目的として公告されたものとはやや違うと思いますので、その規格におきまして、製品一リッター中に穀類で四十グラム、果汁で三百グラム、それ以上あればそれぞれの穀類や果実の名をつけてよいという基準については、今後農林水産省御当局並びに公正取引委員会でよく御協議いただきまして、農林物資が正しく多く使用される方向で御指導していただきたい。
 たとえて申しますと、米も現在日本では相当余っておるようなお話も聞いておりますし、農林水産省等で米をあるいは安く業者にお渡し願うなり、米を利用していい米酢をつくるなり、こういう技術指導をしていただければわれわれとしては非常にありがたいと、こういうふうに考えております。
 それから次に、先ほど渡辺参考人からちょっとお話ございました静置発酵、変性アルコールを使用した場合は静置発酵という表示をしてはいけないと、こういう点に関しましては、私も同様に、使用する原料によって製造方法を限定するという点においては問題があろうかと、こういうふうに考えております。
 なお、私のこれは個人的な私見とお考えになっていただいて結構だと思いますけれども、同じ原料を使った場合には、静置発酵をいたしましても、通気攪拌発酵をいたしましても、ある程度のエージングによってほとんど製品に差はないと、こういうふうに私は考えております。静置発酵をしなければよい食酢はできない、こういう考え方は狭いお考えじゃないかと、こういうふうに私は考えております。
 それから、JASの審議の過程におきまして、全国の食酢のメーカーから活発な御発言が少なかった感じを私は受けておりますけれども、この点に関しましては、全国的な販路を持って、少なくとも全国シェア六〇%を超す大企業が賛成しておる案に対して、地方のローカルな中小メーカー、恐らく大メーカーから見れば百分の一、二百分の一の小さいメーカーが、大メーカーの賛成しておる案に対して異論があっても、これを表面に出して発言することは非常に困難であったんではないか、これが一つの理由ではないかと、こういうふうに私は思っております。
 それからなお、せっかくの機会をいただきましたので、数日前にアメリカのビネガー協会から来ました名簿によって見ますと、大体アメリカの場合、アメリカのビネガー協会の三十二社の主な製品は、大体ホワイトビネガー、これはアルコールを原料にしたもの、サイダービネガー、リンゴジュースを原料にしたもの、ワインビネガー、ブドウジュースを原料にしたもの、モルトビネガー、麦芽を、麦を原料にしたもの、これが主なる品種となっております。
 それから、原料から見た各種のビネガー、食酢でございますが、原料から見た各種の食酢のシェアは、アメリカの場合は、アルコールを原料にしたアルコール酢が七六%、リンゴジュースを原料にしたリンゴ酢が一七%、ブドウ果汁を原料にしたものが三%、その他三%。ヨーロッパの場合は、アルコールを原料にした酒精酢が六一%、ブドウ果汁を原料にしたものが二六%、その他が一二%、こうなっておりますので、大体アメリカでもヨーロッパでも、アルコールを原料にしたホワイトビネガーに入るものが七〇%から六〇%、アメリカではそれに続いてリンゴを原料にしたも一の、ヨーロッパではリンゴでなしに、二番目にブドウを原料にしたワインビネガーがある、こういう状況を御認識いただけたら幸いと思います。
 それから、私といたしまして、先ほど申し上げましたように、JASの審議に私もJAS専門委員として参加しておりまして、ここまで案がお進みになりまして発言することを私は差し控えるべきじゃないかという考えでおりましたけれども、いずれJAS案につきましても今後御修正される、再検討される時期もあると思いますので、一応私の考えも発言さしていただいて、今後の御参考になればと、こういう意味で本日出席いたしております。
 最後に、JAS問題に関しましては、私も一日も早くりっぱなJASができますように念願しておりますので、今後とも皆様方の御協力によって、りっぱなJASができることについて大いに努力していきたい、こういうふうに思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
#6
○委員長(久次米健太郎君) どうもありがとうございました。
 続いて近藤参考人にお願いいたします。
#7
○参考人(近藤トシ子君) 近藤トシ子でございます。
 まず、消費者の立場で、一般的なことについて考えを述べさせていただきます。
 昭和四十六年の二月のことでございましたが、私どもの会で食料品等表示基準設定調査というので、食酢を選びましてこれを取り上げてみました。東京及び近県から約六社の製品を主婦たちが買い集めてきまして、その表示の実態を調べてみたわけでございます。表示というのは、御承知のように、食品の顔であり履歴書でございますから、それを見れば中身がわかるはずでございますが、その当時のお酢は大変お粗末で、しかも非常に不親切なものでありました。たとえば、健康食品で食餌療法をしている人に効くのでそういう人にお勧めするとか、あるいは特選米の酢で秘伝の味、そういったことでは何のことかわからない、そういう表示のものが非常に目立っておりました。
 次に、食酢を原料にした加工食品、これにはJASがあります。たとえば、マヨネーズにしてもドレッシングにしてもJASがありますが、この主原料になっているお酢にJASがないということ自体、非常に片手落ちではないかということ。
 さらに、日本人に多い脳卒中や高血圧の原因になっている食塩の過剰摂取の対策として、いま私どもは一生懸命塩減らし運動というのを実施しておりますが、その際に減塩増酸、つまり塩分を減らして酸味をふやすということですが、これが調理上に非常に大事なことで、食酢の果たす役割りということは、これから非常に一層見直されてくる現状だと思うんです。
 そういったような三つの点から、私ども栄養改善普及会では、七年ないし八年がかりで食酢のJAS化ということで役所にも業界にも働きかけをしてまいったわけでございます。そうして非常に楽しみにしていたJASでございますが、これを、私どもは、きょうもう一人後ろに付き添いでいらしております消費科学連盟の戸田委員と二人が、専門委員会に消費者として消費者団体を代表して出ておりました関係で、きょうお呼びいただいたときに戸田さんにもいらしていただいているわけでございますけれども、この過程を見ますと、決してすんなりこの内容が決まったわけではなくって、専門委員会も三回持ちました。普通ならば一回ないし二回で済むところですが、三回持ちました。
 その間、資料が不足しておりましたので、もっと小さなメーカーの、いわゆる地元のメーカーの資料なんかも出していただくように要求いたしました。あるいは、良心的な酢をつくっているような小さなメーカーさんにしわ寄せがならないようにというような、これはほかの委員会では一切発言もしなかったようなことをここでは出さざるを得ないほど、何かお酢業界というものに対する体質というもの、この業界の体質に非常に何か疑問というか、意思統一のできていないというようなことが感じられたわけで、何か自分の社の利害だけが先に立っていて、消費者の利害は後回しにされているような、そんな感じを私どもは受けたわけでございます。
 また、実はおとといまで、ある地方のメーカーからはこういう資料が私どもに送られてきているわけなんですが、われわれの個人にあててこういう資料を送らないで、せっかく業界の委員会があるんだから、中央会、これを通してこれを出さないと、他社の商品の誹謗に終わるだけであるからということで、私ははがきをそのメーカーに送ったこともございますが、いまもってこういうものが出て個人に送られてくるというのは、どうも私にはすっきりできないわけでございます。
 そういうようなことがありまして、こういう業界ではJASが非常に手間取ったということもむべなるかなということを自分で直感いたしまして、とにかくJASをつけようということでテーブルに皆さんが着いたわけですから、この機会を逃したらもうまた再びこのJASをつけるということは遠い将来に延びるんではないか。いまとにかく粗い網でもいいから網をかけておいて、そして今度は消費者が網をかければ、表示の基準がちゃんとあるわけですから、きちんとした表示が出るわけです。その表示をわれわれ消費者がよく読んで、そして読んだ段階で改正のすぐ手を打てばいいわけですから、とにかく何が何でもこれは通すべきであるということで、私ども消費者は、まあ問題はあったわけでございますけれども、通すことに賛成したわけで、もうそろそろ官報にも載るころ、だと思っていましたら、こんな一こんなと言ったら申しわけないんですが、参考人になって、こういうところへ呼ばれて、政治的にまたこれをもう一遍何か御審議なさるようなことで、何か私はけさから割り切れない気持ちでここの会場へやってきたわけでございます。
 こういうことは、いま農林水産省でも伺ってみますと、JASについては初めての経験なようでございますが、こういうことが前例になるということは、私ども消費者が忙しい時間を割いて農林水産省に何回も何回も集まって、四回、五回ぐらいですか、自分でも工場へ行って、お酢の工場でいろんな見学をさしてもらったり、資料を集めたり、相当わからないながらもわかろうとしてやっていたわけですが、それが何か非常にむなしいものにされるというふうなことでございますが、これはやっぱりぜひ一日も早く通していただきたいということが、全般的に私のいま思っている意見、感想でございます。
 で、個々の問題について少し申し上げてみます。
 エキス分のことでございますが、私もたてまえとしては、お酢というものは基礎調味料でございますから、何も味つけをする必要はないので、酸味調味料としてすんなりしたものを出すべきではございますが、さきに、四十六年に私どもが調査いたしました――主婦が調査したものですが、それで大変おいしいという評判のいいお酢を、特に分析センターで分析をしてみたところが、そのエキス分が十とか十一とかというものがおいしいということに出てきたわけでございます。そうすると、このエキス分が高いことは消費者にもやっぱり責任がある、いわゆる甘味ということ、甘味嗜好に消費者がなれているということの問題で、これは消費者をもっと教育することも一方でやらなければならないということを感じたわけでございますが、やはりたてまえとしては、できるだけこういうものを減らしていくということを進めてほしいと考えております。
 それから、その次の問題ですが、米酢の定義についての公正競争規約をJASが踏襲したという点についてでございますが、これもさっきお話が出ましたように、四十五年に公正競争規約がつくられまして、当時は「醸造酢」と「合成酢」の区別がはっきりつけられて、私ども消費者は青天のへきれきのような気持ちで迎えたわけでございますが、このものもいまとなっては大変時代おくれになっております。しかも、この専門委員会でも私は発言いたしましたけれども、米酢と言えば、一般の消費者は米一〇〇%だと受け取っているわけでございますね。それから、表を見ても米が上に書いてあって、その次が一括表示で、現行のものは米が上で、その次がアルコールになっているわけですね。
 一リッターについて米が四十グラムであれば、これはアルコールが先になって米が下にくるのが普通の表示の順序じゃないかと思うのですけれども、まあそれは今度改正になれば改められると思いますけれども、農林水産省は一方で余っている米の対策を考えていて、一方でお米を四十グラムしか使わない。できれば、私は素人でわからないけれども、百グラムか百二十グラムお米を使って、なおかついわゆる米酢のあのぬか臭い、ああいうくせがないようなさわやかなお酢をつくることができないだろうか、そういう技術革新を専門委員会で私は出しております。で、そういうふうにすべきであるけれども、しかし、公取で一たんこの米酢の定義があって、また農林水産省が違った定義をつくると、今度また消費者が混乱をするというようなこともありまして、この際これは一応通して、次の段階で早くこれを変えてほしいということを出したわけです。
 私は、常々ここで考えを持っていますことは、これは食品添加物についてもそうでございますけれども、たとえば公取は公正競争規約のための表示をやっておりますね。それから厚生省は安全衛生のための表示をやっていらっしゃる。それから農林水産省は品質保持の表示をやっている。みんな縦割りでやっていらっしゃる。そこに何にも関連がないので、この行政のダブっている面もあって、非常に不合理もありますし、消費者にとっては非常にこれは不便でございます。やっぱり食品の表示というのは、専門官がいるのは農林水産省でございますので、こういう省に優先的にこの食品の表示というものをやらせるというルールができておれば、この際でも公取は後でこれに追従しなさいということで、逆に米をもっと使ったものが、新しくJASをつける場合にもうすでにこの作業ができたと思うのですね。そういうルールができていないことが問題だと思うのですが、この席を借りて先生方にこういう問題、こういうルールを確立していただく問題を、消費者のためにもう少し研究をしていただいて、そういう方向へどうぞ働きかけていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。
 それからその次に、「「天然」、「自然」」の文語の使用のことでございますが、私どもはもう四百近い種類のJASが出ておりまして、一括表示を見るという習慣が大分消費者の間では行き渡っております。必ず一括表示を見て、原料は何であるか、添加物は何であるか、いつつくったかというようなことを全部見ることになっておって、むしろ「「天然」、「自然」」という方がわかりやすい表示に現在ではなっているわけですし、また用心をしてかかるというようなこともあるほどでございますので、私は、むしろお酢については「醸造酢」、「合成酢」の表示があればそれで十分だと考えます。
 これはついででございますが、五十一年に大田区の消費者の会で、この「「天然」、「自然」」の文語の使用についての一般公開質問状をとりました。これのデータを見ますと、ほとんどすべての消費者団体は加工食品について「「天然」、「自然」」ということは一切使わない、禁止すべきであるという意見に期せずして統一されていたということを、ここで申し上げておきたいと思います。
 それから「静置発酵」、「全面発酵」の表示のことでございますが、送られてきましたこれは「味の化学」というもので、文部省の教科調査官の金原先生が推薦の言葉を出していて、これは高校の家庭科の先生向けに食物指導でつくられた本でございます。これのどこを見ましても、「静置法」だとか「全面発酵」だとか、全然出ていないわけなんですね。その副読本にも出していないような専門的なことを表示に出したところで消費者を惑わすだけでございまして、消費者がよほどもっと教育を受けていろんな知識を持つようになった段階ではいざ知らず、私は、いまこういうものは表示をしない方がいいし、感応テストをしてみても、明らかに、私どもの舌が悪いのかどうですか、余りわからないわけです。
 中には、「静置」というのを大きく表示をして、非常に大きな字でそれを健康食品売り場で売って、そのために非常に値が高く売られている。健康食品売り場で売ったというだけで値が高くなる。私どもは、いまこういう時代でございますので、やはりそのものに相応した値段のもので、余り故意につり上げた高いものを買わない、そういうような運動をかねがねやっておりますので、そういう面でも、私どもはこの「静置」ですが、こういうことは入れる必要がない。
 いままで私が出しましたことは、今度のJASの条項でありました問題点になろうかということについて、消費者としての個々の考えを述べさせていただいたわけでございます。ありがとうございました。
#8
○委員長(久次米健太郎君) どうもありがとうございました。
 それでは、参考人に対し質疑のある方は順次御発言願います。
 なお、御質問の方は、おおよそ十分間程度で御協力をお願いしたいと思います。
#9
○丸谷金保君 それじゃ、渡辺参考人にお伺いしますが、JAS案そのものをつくるということには賛成だけれど内容について問題がある、こういうふうにただいまのお話を承ってよろしゅうございますか。
#10
○参考人(渡辺正三郎君) そうです。
#11
○丸谷金保君 神田参考人もそのように承ってよろしいですか。
#12
○参考人(神田恒治君) 私も、先ほど最後に申し上げましたように、JASをつくるということには賛成でございます。
 内容について、できましたらもう一遍御検討願いたいと思いますけれども、余り遅くなりまして、先ほど近藤参考人からもお話しありましたように、余り長くなるということも問題でございますので、できれば早くやって、後またよく御調査の上で修正すべきであるということが出たら、ひとつ御理解ある御修正を願いたい、こういうふうに考えております。
#13
○丸谷金保君 近藤参考人にお願いします。
 近藤参考人も同じ意見なんですね。
#14
○参考人(近藤トシ子君) さっき申しましたとおり、これはこのまま通していただいて、近い将来、それを改正するという方向でいきたいと思います。
#15
○丸谷金保君 お三方にお伺いしますが、JAS案をつくるということに皆さん大体御異議はないようですが、ただ、現在農林水産省から公表されておる案ですね、まだ告示はされておりませんから。案の中身については、それぞれ多少御意見が違うように考えておるんですが、近藤参考人にお伺いしますけれども、「「天然」、「自然」」という用語はむしろつけない方がいい。従来もJASの委員だと思いますけれども、果汁を濃縮して、一遍加工して、それをまた戻したものに「天然果汁」という表示をするときには御賛成になりましたか。それは「天然果汁」という表示を許されておりますね。そのときには御賛成なさったわけですか。
#16
○参考人(近藤トシ子君) 賛成しました。
#17
○丸谷金保君 そのときには、まだ「天然」、とか「自然」とかいうふうなことは、使っても差し支えないと思っておられたわけですか。
#18
○参考人(近藤トシ子君) そうですね。お酢については、これは「「天然」、「自然」」というのは特別のことでしてね。
#19
○丸谷金保君 そうすると、お酢以外のもののJASに「「天然」、「自然」」をつけることは差し支えないんですか。
#20
○参考人(近藤トシ子君) やはりそれも問題ですね。たとえば、ナチュラルチーズなんかでも「チーズ」でいい。そういう「プロセスチーズ」と「チーズ」でいいというふうな、やっぱりこれからそういうふうに整理をしていただきたいと思うので、実はこれは公正取引委員会に三年前から宿題でわれわれ言っているんですが、なかなか一つ一つについてデータが出ないので、私ども消費者はいろいろそればかりやっているわけじゃありませんので、データが出た段階で一つ一つ検討していこうというようなことになっているわけでございます。
#21
○丸谷金保君 それで、いま近藤さんからお話のあった中で、専門委員会でも、少なくとも米酢と言うからには、たとえば米酢の場合にも、アルコールよりも主原料たる米の方がよけい入っている、百二十グラムくらいなければいけないんじゃないかという御主張をなさってくださったと。私たちもそのお話をいま聞いて、大変感謝しているわけでございます。ただ、いまのこのJAS案によりますと、米酢のエキス分の下限が一・五ですわね。これは御存じだろうと思うんですが、そうして四十グラムの原料で後から食品添加物をたくさん入れなければ一・五出ないということはおわかりになっておりましたか、審議の段階で。四十グラムの原料を使ったのでは、添加物、砂糖なり何なりを後からどんどん入れないと一・五にならないわけですね。いま神田参考人からお話のありましたように、〇・四二くらいしか出ない。これはどこの分析でも出ているんです。
 ですから、JAS案というのは、添加物をどんどん入れなければJASの規格にならないということを御存じで御賛成なすったかどうか。そうすると、先ほどからなるたけそういうものを入れない方がいいのだということを盛んにおっしゃっておられるんですけれども、この案に賛成なさったこととちょっと矛盾するように感じますので、そこのところを、あるいはそういう専門的なことは御存じなくて、とにかく早くつくってほしいという消費者ニーズのそういうことを踏まえての賛成だったのか。
#22
○参考人(近藤トシ子君) 私は、さっきも言いましたように、少しエキス分が、ほかの資料から、これは素人ですから、いろいろな滝野川の醸造研究所の資料をもらってみたり、消費者センターの資料をもらってみたり、自分の足で歩いてみた数字を合わせた段階では、少し高い。けれども、うちの四十六年にやった調査を見ると、主婦たちがおいしいと言っているのが甘いのがおいしいと言っているわけですね。そうなると、やっぱりたてまえだけではこれはなかなかむずかしいので、一応この段階で手を打とうというようなことを私は考えたわけでございます、現実的に。
#23
○丸谷金保君 そうすると、たてまえとしては、先ほどもたてまえとおっしゃっておりましたが、添加物を入れないことの方が好ましい……
#24
○参考人(近藤トシ子君) もちろんそうです。
#25
○丸谷金保君 ということであるけれども、現状でやむを得ないという……。
#26
○参考人(近藤トシ子君) それと、私はやっぱりお酢屋さんではございませんので、醸造屋さんではないので、どのところで発酵をやめればうまみが出ないからまた化学調味料を入れなきゃならないとか、糖みつまで入れなきゃいけないとかいうようなことは、私にはわからないんですね。数字で見ることはできましても、比較はできましても、そこまで細かいことは私にはわかりません。
#27
○丸谷金保君 そうすると、そういう専門的な知識ということについてはわからないけれども、一般的な触覚というふうな形の中では添加物を入れるのはやむを得ないと、こういうふうに御判断なさっているんですか。
#28
○参考人(近藤トシ子君) はい。
#29
○丸谷金保君 それでは神田参考人にお伺いしますが、実はこの問題を調べていて非常に不思議に思ったのは、業界は全く原案で賛成だというふうに私たちは記録の上では見ておったのですが、しかし、実態に入ってみますと、小さい方たちが賛成でない方が非常に多いのです。一体、この中央会というのはどういう会なんでしょうか。
#30
○参考人(神田恒治君) いまの丸谷先生の御質問についてお答えいたします。
 中央会は、全国食酢協会中央会という名前になっておりまして、ここに会則がございますけれども……
#31
○丸谷金保君 私の言うのは、これは公的なものなのか、仲よしクラブなのかということでございます。
#32
○参考人(神田恒治君) これは公的なものではございません。
#33
○丸谷金保君 そうしますと、公的な団体でないとすれば、この意見が業界の意見だというふうに全部決まるとは限りませんね。
#34
○参考人(神田恒治君) これは、あくまで任意団体でございます。
 それで、構成人員としては、大体全国のブロック業者が、団体が一つの会員になっております。それから大手三社が特別会員という資格になっておりまして、中央会は一応、各全国六ブロックの理事長と特別会員の御三社と、これですべて運営をされております。決議されております。
#35
○丸谷金保君 それで、任意団体なので、実は私もある地方へ行って、この案そのままでは反対だというふうにそのブロックでは決議をしたけれども、代表がこちらに出てきて逆に賛成という方に回ったというふうなうわさがありますが、そういううわさをお聞きになったことがございますか。
#36
○参考人(神田恒治君) 私も、うわさとしてはそういううわさがあるように聞いております。
#37
○丸谷金保君 それでは渡辺参考人に「「天然」、「自然」」のこの表示の問題で、消費者の方からはむしろ紛らわしいでないかというような意見も、私もほかでも聞いておるのですが、このことについては公正取引委員会の方にいつ出されたんですか。
#38
○参考人(渡辺正三郎君) 一昨年です。
#39
○丸谷金保君 そうしますと、公正取引委員会の方の決定を自然食とかそういう業界では待っていると。先ほど、いまのお話はそういうふうに、これは本来公取で決めるべき問題だから、農林水産省がそれの先にそれだけやってしまうのはおかしいでないか、こういうふうな意味ですか。
#40
○参考人(渡辺正三郎君) そうです。
#41
○丸谷金保君 もう一つ、最後に近藤参考人にお願いしますが、先生は公取の方の委員もいろいろやっておいでになるというふうに伺っておりますけれども、どうでしょうか。
#42
○参考人(近藤トシ子君) 委員はやっておりません。
#43
○丸谷金保君 そうですか。そうしますと、公取で米酢の表示に四十グラムという基準をつくったもとは、大蔵省の酒の基準から来ているということはお聞きになったことがございませんか。
#44
○参考人(近藤トシ子君) これはいま思い出しますと、別に規格を決めるということではなくて、醸造酢か合成酢かということをはっきりさせる、それだけが消費者としてはねらいだったので、そこのことまでは伺っておりません。公聴会にも私は出ておりませんので、わかりません。
#45
○丸谷金保君 そうしますと、先ほどのお話の、公取が四十グラムで表示を決めているんだから、いまの縦割り行政の中で農林水産省がそれを横倒ししたということはやむを得ないということをお述べになっておりますけれども、しかし、そうは言っても、農林水産省は米を扱っておる主管官庁ですから、もっと原料の米を使う方に引き上げることの方が正しいというふうには思っておるわけでございますね。
#46
○参考人(近藤トシ子君) はい。
 ちょっとよろしいでしょうか。
#47
○委員長(久次米健太郎君) いまのに関連ですか。
#48
○参考人(近藤トシ子君) はい。関連です。
#49
○委員長(久次米健太郎君) どうぞ。
#50
○参考人(近藤トシ子君) この案、一応この審議が済んだ後で、早速私は公取へ参りまして、おたくの方でこういう時代おくれの法律があるために米を入れたくても入れられないんだ、早くこれは改正してくださいということは、口頭でお願いしてまいりました。
#51
○丸谷金保君 どうもありがとうございます。
#52
○青井政美君 神田参考人にお尋ねいたしたいと思います。
 食酢メーカーとしての現在の食酢の品質につきましてどのように考えておるのかということを一つお尋ねし、第二点といたしましては、メーカーが非常にたくさんある、小さいメーカーがたくさんあるという中で、この規格がそれぞれ中小企業の関係者もうまく商売ができ生活もできるかという問題は、このJAS規格の基準の決定その他等にはどのように業界として考えておるのか。それを第二点としてお尋ねしたいと思います。
#53
○参考人(神田恒治君) ただいま御質問いただきました、食酢の品質についてどういうふうに考えるか、こういう御質問でございますので、私も約三十年、ずっと食酢の仕事をしておりますので、その間、大体状況はわかっておると思いますけれども、最近の傾向としては、やはり先ほどお話がございましたように、ある程度調味加工がややオーバーになっておるというふうな傾向は全般的にある、こういうふうに考えております。それで、ある時期にこれはやはり修正していかないと、ますます調味加工を重要視するような方向に流れていきはしないだろうかと、こういうように考えております。
 それから、二番目の御質問のJAS問題に関しまして、大体食酢の業界は昔から大手三者と申しておりますけれども、大手三社で大体約六〇%ぐらいのシェアがあるかと思いますけれども、JASを実施されることによって、地方の小さいローカルメーカーがどういう影響があるかということにつきましては、受検の経費、そういうものが均等にいくなれば、大手業者も中小業者もその点においては私は同じであるし、むしろ同じプラスを受ける、こういうふうに考えます。
#54
○青井政美君 どうもありがとうございました。
 渡辺参考人にお尋ねいたしたい。
 天然自然食品というものの定義を渡辺参考人はどのようにお考えになっておいでになるのか、お伺いいたしたいと思います。
#55
○参考人(渡辺正三郎君) それにつきましては、
 一応公正取引委員会に自然食品というものの競争規約案を出しております。簡単な条件をつけておりますので、それを述べさしていただきます。
 「天然・自然食品等の表示に関する公正競争規約(案)」ということで提出しております。
 この規約において「天然・自然食品等」とは、
 以下の条件を備えた食品をいう。
 (1)化学的合成品を添加していないこと。
 (2)残留農薬が原則として含有されていないこ
  と。
 (3)偽和物が混用されていないこと。
 (4)製法は原理的に昔からの製法によること。
 (5)原材料に自然の状態で含有されている栄養
 成分を著しく損うような加工がなされていない
 こと。なお、(1)自然の状態への復元のための失
 われた栄養成分の補充、(2)原材料に含まれる好
 ましくない成分の除去、(3)消化吸収向上のため
  の処理、(4)自然成分の変質防止のための処理、
 などは可とする。
 次に、「特殊な製造加工法を用いるものにあっては、別途規則で定めるものとする。」といたしまして、「表示のための品質基準」も決めております。これは食生活の基本を、どこに物差しを置いたらいいかというふうに考えました場合に、やはり万物を生み育てております自然の法則を鏡として、これにのっとるようにすべきでないかという考えから、自然食という言葉は出てきたわけです。そういうわけですから、自然食という言葉は、一般的に使用される手を加えないという意味ではなく、もちろん食品という言葉がついているわけですから、食品とは人間の食品でありますから、いわゆる人体の生理に適応する食品というふうに考えるべきであります。
 その意味で、そうでないような合成剤を多量に使ったもの、先ほどもたとえば一般的に使用されておりまするグルタミン酸ナトリウムの有害性についても申し述べましたが、そうした合成剤が非常に乱用されているわけです。こんなものはもともと化学食品とでも言うべきものを、自然食品であるかのごとく出ているわけで、そのために本物をそれじゃ自然食品と呼ばなければならないというようなことになってきておるわけであります。
 先ほども、実は食酢の合成酢と醸造酢ということで、合成酢のようなにせもの、こんなものをJASというふうな表示をすれば、私、JASの権威にかかわるのじゃないかと思うんです。一般消費者はJASで認めたのだから、なるほど合成酢も食品として適合するよいものなんだろうと、こう考えますが、そういう酢ではございません。そういう意味で申し上げておるわけです。
#56
○青井政美君 ありがとうございました。
 近藤参考人にお尋ねいたします。消費者サイドから見まして、今回のJASの制度の全般の問題あるいは表示基準の問題、こういった問題はどのように評価せられておいでになるのか、意見を伺いたい。
#57
○参考人(近藤トシ子君) 先ほど個々の問題について述べましたとおりでございますが、これはやはり一たん表示がついて、そしてそれから私どもが監視をして直すものは直していくというような方向をとろうと思っております。
 個々については、もうさっき私、るる申し上げたとおりでございます。
#58
○青井政美君 ありがとうございました。
 神田、渡辺、近藤各参考人にお尋ねいたしたいのでございますが、現在のJAS規格の告示をし、そうして皆さん方、委員として御賛成せられた方がお二人おいでになると思うわけでございますが、業界なりいろいろな関係の方々から御意見が出てまいります場合に、今後の行政の運用について、特に一言ずつ御意見があれば聞かしていただきたい。なければ結構でございます。
#59
○参考人(渡辺正三郎君) 今度のような案をつくる場合、本当の業界の意見を代表してないということを、代表しないでつくられたということを、私は実際に九州に行きまして、九州の業者の集まりで聞きました。これは一部の大手のためにつくられたものだということを、十数社集まった業者が申しておりました。ですから、そういうふうな意味で、業界をもっと指導してから正しい基準をつくるというふうにいたしませんと、誤った基準をつくりますと、JASの権威にもかかわると思います。
#60
○参考人(近藤トシ子君) これは強制法ではなくって任意法でございますから、一応これをつけようという人が率先してつけていき、農林水産省は極力これに対して行政指導をやっていただくと同時に、やはり主婦も、さっきいろいろな添加物についてお話が出ましたように、味つけを幾らかしたお酢の方が喜ばれているというような、おいしいと思われていることについては、もっと消費者自身も改めていかなきゃならない問題もございますし、これは業界だけではなくって、消費者も、それから行政も、企業も、みんな一緒になってやらなきゃならないこと、だと思うんです。
 一番やっぱりお願いしたいことは、非常に零細な企業がこのお酢の業界にはあるわけで、その中には非常に細々ながら良心的な酢をつくっていらっしゃる方があるわけですね、地方に参りますと。そういう人がこのしわ寄せを受けないように、そういう人は地元でやはり消費者に支えられてはいますけれども、そういうような方向で、もう少し全国食酢協会中央会というこの会の中の民主化ですね、これを、今度のことを一つのいい契機にして民主化をやっていただいて、いろんな意見が自由にここの協会に持ち込めるというようなそういう体制にしていただくと、こんなに混乱はしなかったんではないかと思うので、そのことをお願いしたいと思っております。
#61
○青井政美君 ありがとうございました。終わります。
#62
○相沢武彦君 参考人の皆さん、大変どうも御苦労さまでございました。
 大体、この酢については男性はわりあい苦手の人が多いと思うんです。私もお酢の物は全く食べれないで四十年間生活してきたんですけれども、体の中にアルカリ性の食品をバランスよくとることが健康維持になるんだというお話を聞いたり、特に良質の酢を自分の食生活の中に取り入れることが非常に健康維持にいいという、そういうお話から、私も現在毎日酢を飲んでいるという立場で、特に私は国民の皆さん方の健康維持という立場から、お料理に使う調味という観点よりも、健康保持という立場でもっともっとこの酢というものを国民の中に普及していくことが必要でないだろうかと、こういう考え方に最近立ち始めているんです。そういう観点から、ちょっとお三人の皆さん方にいろいろお聞きをしたいと思うんです。
 最初に渡辺参考人にお伺いしますけれども、先ほどから合成酢はにせものだと、それで食品として許可すべきじゃない、しかも現在生産量からしてほとんど微々たるものになってきているわけですから、何もいまさらJASにしてよみがえらせる必要はないじゃないかという手厳しい御意見でございました。私も聞いた範囲でございますけれども、たとえば顔にしみができているような人ですね、非常に酸性度が高くなってもう少しアルカリ分をとらなきゃいけないというようなことで、酢がいいということで、酢なら何でもいいんだろうということで合成酢なんか飲みますと、かえってしみがよけい黒くなるというような、そういう実例もあるのだというふうなことを聞かせられているんですけれども、実際に化学的につくられたこの合成酢が人体にどういうような悪影響を持って具体例として出ているのか、もし知っている実例がございましたら、二、三御紹介いただきたいと思います。
#63
○参考人(渡辺正三郎君) 酢はそのもの自体は酸ですが、体内に入ってアルカリに変わるわけです。特に酢の効用が認められるようになりましたのは、クエン酸サイクルがわかってからですが、いまのように日本人が肉、魚を食べるようになりますと、これらの食品は酸性ですから、それの調和として酢の物が必要なわけです。特に、酒飲みが酢の物を好みますのは、そういう意味でもあります。欧米人の場合は肉食生活なので非常に酢の物の摂取量は多く、日本よりははるかに多く使用されております。
 合成酢の場合は、それが体内でアルカリに変わらないわけです、酸のままですから。それにいろいろな食品添加物を使って、味つけや色や何かの点でごまかしているわけです。そうした合成剤がやはり有害に作用するわけですから、それで昭和四十七年ごろに合成酢の問題がかなり問題になりまして、公正取引委員会の方で規制するというようなことになった経緯もあるわけです。
 ただ、その場合に、やはり食品として流通しているんだからということで、行政関係ではどうもそれは消費者の選択に任せればいいじゃないかということになっておりますが、私の考えでは、一般消費者は、とにかく厚生省、農林水産省、そうした行政機関が製造を認めているもの、またさらに公取で規制しているとか、あるいは農林規格で規制したとかというふうなものは一層に信頼するわけです。これはもうよい食品だと、こう思うわけです。そういう意味で反対するので、いまのような合成酢のようなものは本当ににせものですね、これは。にせ食品、有害無益のものです。ですから、こういうふうなものに農林規格をつくるべきでないと、これはもうお願いしたいと思うんです。
#64
○相沢武彦君 神田参考人にお尋ねいたしますが、マヨネーズとかそれからドレッシングですね、相当酢を使っているわけですが、神田さんの場合はキューピーマヨネーズでございましたか、おたくの場合は全く合成酢は使っていないんでしょうか。
#65
○参考人(神田恒治君) 合成酢は一切使っておりません。
#66
○相沢武彦君 ほかのメーカーもいろいろあると思うんですけれども、私たち非常に酢に関心を持つ立場としますと、できるだけ一〇〇%米と水で、しかも昔ながらの醸造法でつくり上げたいわゆる天然、自然といいますか、そういう製造法でつくった本当のもうまじりつけのない純粋な酢を飲んで体を維持しようと思うし、また、ふだん毎日の食生活の中で最近非常に使われてきたマヨネーズとかドレッシングですね、こういうものの中に使われる酢も良質の酢を使ってほしいという気持ちがあるわけですね。これはコストの問題とも絡まってくるので、消費者の嗜好の問題と経済性の問題とありますので、なかなか一遍に、何といいますか、一〇〇%理想的なというようにはいかないかもしれませんけれども、そういう製品をつくっていらっしゃる皆さん方の立場として、やはり主成分である酢は良質の酢を使っていこうという、そういう立場に立たれて努力をされているのか。それとも、できるだけコストを安くして消費者の嗜好に合わせて売れればいいんだということになっているのか。あなたの立場からごらんになって、そういったメーカーの現在のあり方ということについて、御意見ありましたらお述べいただきたい。
#67
○参考人(神田恒治君) 業界の問題でございますので、私の言ったことが果たして完全に正しいかどうか、ちょっと私も自信がございませんけれども、いま御質問の、たとえて例をとりまして、近藤先生も御発言になったように、純粋な米と水からだけでつくる本当のいい米酢をつくろうということは、これは業界としては皆さん一応努力しておいでになると私は思っております。
 ただ、いろいろ発酵方法その他でうまくいかない場合には、米特有の余り好ましくないにおいも出ますので、そこらをいかに解決するかということが、いま業界でいろいろ各業者皆さんで御苦心なさっておる点と思いますし、業界としてはアルコールをまぜるとか、まぜると言っては語弊がございますけれども、ただ、アルコールをまぜたからそれじゃその酢が果たしていいのか悪いのかということになりますと、これは用途、用途で必ずしもアルコールが一部入った酢が悪い酢だということには私はいかないと思いますので、ただ、アルコールをまぜたら何か普通の方は一割アルコールを使ったら悪い酢だと、こういうふうなお考えも一部ございますけれども、私はどちらかと言うと、純粋な酢は純粋な酢で結構でございますし、ある程度アルコールをまぜた酢も使い方によってはそれで十分な役割りを果たす。必ずしも完全な米酢だけでそれで全部賄えると、こういうものじゃないと、私はこういうふうに考えております。
#68
○相沢武彦君 製法の表示にアルコールを入れると静置という表示を使えないという案になっているようなんですけれども、製法は製法で、静置でやっている場合は静置と書いて、成分の中にアルコール何%と、こう表示すれば消費者も見分けがつくはずですね。その点についてはいかがですか。
#69
○参考人(神田恒治君) 私はそれで結構だと思います。
#70
○相沢武彦君 それから、先ほどエキス分のことでおっしゃられていましたけれども、たとえば純粋にお米だけ使って一リッターの酢の中で米百四十グラム使用だとエキスが〇・七、それから百九十グラムでもエキス一・五程度と、こういうふうにおっしゃっていましたけれども、私が手にしているこの資料の中に日本食品分析センターで分析した食酢の品質分析表があるんですが、純米酢――白米の場合これは一〇〇%米を使っているわけでありますが、酸度が三・三四%、アミノ態窒素が一七一・〇%、エキス分が三・六三%、それから玄米の場合がやはり同じく一〇〇%玄米を使用して、酸度が五・四三%、アミノ態窒素が二八二・四一%、エキス分四・九五と、こういう数字も出ているんですが、こういうことはあり得ますでしょうか。
#71
○参考人(神田恒治君) 米酢をつくる場合のつくり方によって、意識的に糖分を多く残そうと、意識的にそれをやれば、いま先生のおっしゃったようなある程度エキス分が三・幾らという数字が出ると思いますけれども、したがって、これは当然いまお話しのように酸度は三・幾らしか出ません。ですから、これは意識的にやろうと思えばある程度のところまでできますけれども、これはもういわゆるどちらかと言うと、生産的にやるのでなくて、実験的にやる方が多いんじゃないかと私は思います。
#72
○相沢武彦君 それじゃ時間なくなりましたけれども、最後に近藤参考人にお伺いしますが、私たちもぜひ、いままでおくれにおくれてきた食酢についてのJAS規格、これはもうできるだけ早く決めるべきだと思っておりますし、また一遍に一〇〇%理想的なJAS規格でなくても、長年の間、皆さん方大変手間暇かけられて討議をされてつくられたわけですから、大まかなところで一応発足して、あとまたいろいろ御不満な点を感じられている人たちもいるし、意見を持っていらっしゃる方もいるわけですから、できるだけ早い機会に改正をさしていく方向で私たちも進めていくべきだと考えております。
 それで、消費者の、特に主婦の皆さん方の感覚の問題、ちょっとお伺いしたいんですけれども、実際にお店に行って、JASマークがついていれば、それが一番製品で安心感があるんだと、何もそれ以上のものを求めなくても健康的に心配ないのだという感覚が普通かなと思ったりするんですが、それとももっとJASマークについて、いやこれはある程度の一定の限度を示してあるので、もっともっと健康にいいかどうかという点については、こんなことを言っちゃ悪いけれども、余り政府の決めたやつをうのみにするような甘い考えじゃいけないんだと、もっと厳しく中身を吟味して使うべきだという考えに立つ方がかなりいらっしゃるのかいらっしゃらないのか。その辺、主婦の皆さん方の現状というものについてぜひ御意見を聞いておきたいと思います。
#73
○参考人(近藤トシ子君) JASマークについては、一応平均点のつく食品であるということはみんなわかっております。さらに、その平均点の中でどれを選ぶかというように、今度は自分のお財布の問題だとか嗜好の問題だとか、そのほかの考えがそこに入って、自分の選ぶものをさらにその中から選んでいくわけでございます。それが大体コースですね。
 それから、健康になるかどうかというようなことですが、食品はどういうものだって健康になるわけでございまして、たとえばさっきから出ております合成酢にしましても、これは私、直接公取の四十六年の公聴会に出ていなかったんですけれども、ある出た人に聞きましたらば、栄養大学の栄養生理をやっている先生は、合成であろうと醸造であろうと、クレープサイクルを回すのには何の関係もないことだと、ただし醸造であればほかのアミノ酸がいろいろ取り込まれていて、それが味の面でも有効に働くし、また栄養の面でも有効に働くということを言っておられましたので、私どもも初めは合成酢にJASをなぜつけるんだろうかと消費者の仲間ではひそひそ話をしたわけですが、そういうことをまた思い出したりしまして、一応だんだん使わなくなれば自然消滅もするし、消費者は選ぶ権利があるわけだから、消費者は賢くなっているので、もっと消費者の選ぶという能力を信じて、これは一応入れておきましょうというようなことでございました。
 余り健康というのに、先生のいまの御発言を聞いておりますと、酢は調味料に使わないで飲むものだ、薬みたいなことをおっしゃいましたけれども、それでは普及しないと思うんです。健康食品の売り場だけに売っているのでは、これは普及しないんです。やっぱり一般の酒屋さんにも肩を並べて売るようにならなければ酢というものは普及しないので、そういう形で私は出したいために、特に「天然」だとか「自然」だとか、そういう特別な肩書きをつけないで、もう一括表示を見ればどうであるかということは自然にわかることなんですから、「天然」であるか「自然」であるかというようなことは。だから、そういうよけいな肩書きをつけないで、もっとポピュラーにみんなに親しんでもらおうというのが私の意見なので、それだけつけ加えさせていただきます。
#74
○下田京子君 お三人の参考人の方々、御苦労さまでございます。
 一人ずつお伺いしたいと思いますが、最初に渡辺参考人に、私のところにも陳情書というかっこうで食酢JAS案の再検討のための御協力のお願いが届いております。この中で、特に三つの問題を指摘されているんですけれども、まず最初にお尋ねしたいことは、いまも御意見いただきました。また、陳情書に述べられているような内容等について皆さん方が今回のJAS規定の案づくりの中でどういう場で、どのように御意見反映できる、そういう機会がおありだったかどうか、一点まず伺いたい。
#75
○参考人(渡辺正三郎君) 私には全く機会がありませんでした。
#76
○下田京子君 機会がなかったので、こういう形で問題を指摘しつつ陳情という形になったかと思いますが、としますと、具体的にお尋ねしたい点は「「天然」、「自然」」の表示を禁止している件でいろいろ疑問がある、先ほども御意見を伺いましたが、この中で当該の業界の中で自主規制の動きがあるということも示されておりますが、具体的に申し上げてどういうふうな動きなんでしょうか。
#77
○参考人(渡辺正三郎君) 業界と申しますと全国的にいろいろ散らばっておりますので、いま公正取引委員会に競争規約案を提出しました組織以外にも、これに入っていない業者がかなりあるわけです。それで、その業者にもできる限り広く呼びかけまして、今度、健康自然食品懇談会というものを形成いたしました。この懇談会として、できれば競争規約案を公正取引委員会に早くに認めていただきたいのですが、いろいろの関係でおくれておりますので、その競争規約が決まるまでの間として、私たちが提案した競争規約案ですから、それに基づいての自主基準として業界を規制していくようにしたいと考えているわけです。
 それで、現在一応そうしたことでの審査委員会をつくりたいと。審査委員会にはもちろん学者、それから消費者団体の先生方とか、文化人とか、そういうふうな人たちにも参加していただいて、それからお役所の方にも一応御参加願うようにお願いして、そして、先ほど申し述べましたような自主基準案ですが、それに合格したものについては一応自主基準の証紙を発行するというふうなことで、自然食品というだけでこれはもう添加物もないんだ、偽和物もないんだ、農薬のおそれもないんだとか、そういうふうなことが全部一通りわかるというものにしたいと思うわけです。先ほど来表示を見ればわかると言いますが、表示によってもこれはわからないわけです、はっきり言って。本当の、先ほど先生のお話にありましたような玄米を百グラム以上使ってつぼづくりでつくったような酢であるか、そうでないものか、そんなことは、そんな表示義務はありませんから、わからないわけです。それほどに表示義務を課しておりません。
 ですから、自然食品というだけで添加物もない、偽和物もない、農薬のおそれもないと、それから間違った加工もしてないというふうなことがすべてがわかれば、一番消費者に私便利ではないかと思うんです。そういう意味で、どういうわけで私は消費者の方が自然食品という言葉に、表示に反対なさるのか、意味がちょっと理解しかねるわけです。
#78
○下田京子君 ありがとうございました。
 神田参考人にお尋ねしたい点は、専門委員のメンバーでございましたから、いろいろと先ほど言われたような御意見等もすでにお述べになっているのじゃないかと思うんですが、ただその中で、さらに疑問点をエキスの上限、下限のことでお述べになったと思うんですが、これはその委員会の中の御審議の中で十分反映されなかったのかどうなのか、この点だけお尋ねします。
#79
○参考人(神田恒治君) いま御質問のエキス分の上限、下限については、私としては一応発言したつもりでございますし、記録にも一部載っておると思いますけれども、採用されなかったというのが一つの見方でよろしかろうと、私思います。
#80
○下田京子君 ありがとうございます。
 近藤参考人にお尋ねしたいんですが、一つは、やはり同じように専門委員のメンバーとして、しかも消費者としていろいろともう御自分で努力されながら、消費者、主婦の御意見等を反映されてこられた、御苦労だったと思うんですが、その際に、いまのお話で、とにかく今回出されているお酢のJAS案をまず通していただくと、そして、その後でまたいろいろと問題があれば改正していけばいいんじゃないかと、まあ詰めて言えばそのように受けとめられたわけなんですけれども、一たんJAS規定ができましてそれを変えていくということになると、またいろんな混乱も出てくるということも一方では心配な点もあるんですね。特に、私も主婦の一人として、かつての甘味料チクロの問題が大変世間を騒がせたことがあったと思いますが、そういう点からお尋ねしたいのは、特に今回の中で、食品添加物の中でいろいろ出ておると思うんですが、皆さん方が考えられるもので、化学調味料あるいは呈味補助剤とか酸味料とか甘味料とかありますけれども、問題があるというふうな御認識がある点ございましたら、お知らせいただきたいと思うんです。
#81
○参考人(近藤トシ子君) 添加物の中身の問題ですけれども、私はお酢に関してはわりあいと少ないと思うんですね。ただ問題は、化学調味料の問題ですけれども、これはさっき渡辺参考人がおっしゃったような受け取り方ではなくって、むしろ現在では化学調味料の原料というものは石油たん白ではございませんし、むしろ問題はナトリウムの問題ですね。アメリカあたりで問題にしているのはグルタミン酸ナトリウムの問題ですから、これがそんなにたくさん入るというようなものでもございませんし、だからこういうものはなるべくなくして、本当にやっぱり伝統的な日本の醸造食品ですから、そういうものをやっぱり残すということを頭に置きながら、いまの若い人の嗜好にもやっぱり合わせていただかなきゃ、さっき米酢も大分出ましたけれども、若い人たちはサラダだとかああいうものの方が多うございまして、すし飯なんてのはめったにつくりませんので、そういうようなことを考えますと、やっぱり添加物と言えば化学調味料の問題だなあと受け取っておりますね。また、中にはハチみつなんか入れて甘さを出しているのもあって、これが特級なんという表示があるので、こんなのはすぐやめていただくことになると思うんですし、ほかの食品と違って余りそれがないと思います。
 それから、チクロと同じようにお考えになるのは大変な間違いで、これはチクロのような毒物ではございませんので、それで、わりとJAS規格というのは、大体二年ぐらいで部分的にチェックをしていくものでございますので、消費者の意見もしょっちゅう、業種別消費者懇談会というのが別にございまして、十二、三人ぐらいいつでも集まってやっておりますから、相当厳しいことを私どもは要望しておりますので、これは改正するということはそんなにむずかしいことではないと思います。
#82
○下田京子君 ありがとうございました。
#83
○喜屋武眞榮君 いろいろ御意見をお聞かせ願って、ありがとうございました。時間もございませんので、三点だけまとめてお尋ねしたいと思います。
 まず、近藤参考人に、ずばりおっしゃっていただいた、製造業者の利害が優先して消費者の利害が無視されておるという御発言がございましたが、そういう立場から、まあ質の問題もあると思いますが、広告宣伝のオーバーですね、この点についてどのようにお考えになっておられますか、これが第一点。
 次に、神田参考人にお尋ねしたいことは、大手業者三者で六〇%を占めておるとおっしゃっておられたですね。ところが、やっぱりまあ本物と言えば失礼ですけれども、非常に健康上大事な製品をつくっている中小零細企業者の方がおるわけですね。そういったバランスの上からも、六〇%の独占というのはどのようにお考えか、あるいは、もしそれを調整するならばどのような状態が適当とお考えですか。
 それから第三点は、渡辺参考人に、これは直接御意見と違いますが、この機会にと思いまして、ビタミンKが人体に健康上非常に、あるいは病気の治療上非常に大事であると聞かされておりますが、そのビタミンKが身体にどのような影響を及ぼすかということと、そのビタミンKを多量に含んでおる果物、それから食物、これが知りたいんですが、もし御存じでありましたら教えていただきたいと思うわけです。
 以上であります。
#84
○参考人(近藤トシ子君) 食酢に関する広告宣伝ということでございますが、さっき表示がわかりにくいというようなことは申し上げましたけれども、広告宣伝というのについては、過大広告とかそういうものはまだ私は現実には見ておりません。ただ、ある特殊な売り場あたりですね、そういうところで売られているもので、果たしてそうであろうかというような疑問を持つようなものはございます。そういうことでございます。
#85
○参考人(神田恒治君) いま、業界の状況の問題で御質問ございましたので、簡単に申し上げますと、私としては一応、酢の業界はやはり大手の寡占になっておりますけれども、これはやはり基本的にはトップメーカーの姿勢というものが一番大事だと思いますので、トップメーカーがやっぱり正しい姿勢で製品をつくっていけば、中小メーカーも当然これに追随していきますし、トップメーカーが間違った方向で万一そういうことがありましたら、零細業者も間違った方向へ進んでいくと、こういうふうに考えますので、トップメーカーがそういう間違った方向にお進みにならないように、中小メーカーがまたいろいろアドバイスもできるような体制が業界として一番望ましいんじゃないかと、こういうふうに思います。
#86
○参考人(渡辺正三郎君) ビタミンKは緑黄色野菜にたくさん含まれております。それで、血管を強化するといったような働きもあるわけです。これは、いまのお尋ねのように、自然の食品、たとえばクマザサの汁が用いられるようになりましたのもそういう意味で、ビタミンのKが多いということですが、しかし、ビタミンはあくまでも総合的にとるべきものでして、単体でとるべきものではございません。ですから、特に合成のビタミンKの過剰の摂取が脳神経細胞の破壊といったことによっての死に至るといったようなこともありまして、合成のビタミン剤を過剰に摂取することは非常に危険なわけです。ですから自然の食品、そういうようなものでとることがよろしいと思うんです。で、ある程度の年齢になりますと高血圧、血管硬化というようなことで、どうしても血管がもろくなりますので、そうした緑黄色の野菜をなるべく多く、ただ消化吸収の悪い食品ですから、よくかんでとるということをなさるとよろしいのではないかと思います。
#87
○喜屋武眞榮君 それでは、合成ではなく、果物その他の食物で単独でよけい含んでいるものはどういうものですか。
#88
○参考人(渡辺正三郎君) 果物には比較的少ないです。やはり緑黄色の野菜に多く含まれております。
#89
○委員長(久次米健太郎君) それでは、これをもちまして、参考人の方々に対する質疑は終わりといたします。
 参考人の方々には、非常に御多忙の中におかれまして、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。
 午前の調査はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時六分開会
#90
○委員長(久次米健太郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産政策に関する調査のため、本日、畜産振興事業団理事長 太田康二君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#91
○委員長(久次米健太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#92
○委員長(久次米健太郎君) 農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#93
○丸谷金保君 最初に、けさのテレビで、関東の山岳地帯に降ひょうその他で農産物に大変被害があった、特に狭山のお茶地帯、収穫前でございますので、甚大な被害だったということを聞いております。さらにまた、先日も静岡県下でも降霜によるお茶の被害が出ておりますが、これら地続きですから、関東と東海の一部をくるめると、天災融資法を適用できる程度の被害額が出てくるのではないかと思いますが、これについての農林水産省側の御意向を承りたいと思います。
#94
○政府委員(二瓶博君) けさのテレビでの降ひょう等によりますお茶その他の被害、これにつきましては、目下県の方から報告をとっておる段階でございまして、十分把握いたしておりません。
 それから、四月の十八日及び四月の二十二日、これに降霜――凍霜害が発生いたしまして、そのときはお茶を初めとして果樹、桑等に対する被害もありました。特に大きいのが何といいましてもお茶でございまして、静岡県等を中心にしまして、若干九州、四国のものもありますけれども、全体で八十二億五千万円ほどの被害額になっております。特に一番茶がやられたわけでございます。その面で、一番茶が、一番有利に販売できるそのものがやられたということで、被害額も大きくなっているわけでございます。
 したがいまして、現在これに対する対策としまして、天災融資法の発動の問題あるいは自作農維持資金の問題等々、塚田官房審議官が中心になりまして、いまその辺の検討を取り進めておるわけでございます。
 その際に、天災融資法の発動の要件が、けさのテレビにもあったそういう被害も含めれば天災融資法の発動要件は満たすではないかという御指摘でございますが、天災融資法の発動の基準になりますのは、統計情報部の調査結果でございまして、先ほど申し上げました静岡の関係等は、四月下旬のは一応被害報告がまとまっております。ただ、けさの分につきましてはまだ調査中でございますので、その辺も見届けまして、なるべく早急に天災融資法の発動という面についても詰めていきたいと、こう思っております。
#95
○丸谷金保君 それらの救済措置については、できるだけ早く対応していただくように御要望申し上げておきます。
 それでは次に、昨年の六月十三日、十五日、十六日と三日間にわたって農産種苗法の一部改正ということで、ほとんど全面改正に近い問題が提案されて、そのときの提案理由の一つに、UPOVの条約に急いで入らなければならないので早く議決をしてほしい、急ぐんだということが言われておりました。しかし、どうもその後まだ入った様子もございませんし、当時私が指摘いたしました、フランス語から訳すべき条約文を英語の訳から訳したというふうな問題もあって、多少ずれ込んでいるというふうに聞いております。そこらについての経過はどうなっているのか、条約加盟の見通し等についてひとつ御説明を願います。
#96
○政府委員(二瓶博君) UPOV条約、いわゆる植物新品種保護条約でございますが、これの加入についての準備状況はどうなっているのかというお尋ねでございますが、実は種苗法が国会の御審議を経て成立を見たわけでございますが、これの施行につきましては昨年の十二月の二十八日ということでございます。したがいまして、この種苗法によります品種登録制度、これはまだ施行後日が浅いということでございます。そこで、現在私たちといたしましては、この制度を円滑に運用しその定着を図るということが、何といいましても当面最も重要な課題であろう、こう考えておりまして、現在、出願品種の審査に全力を傾注しておるというところでございます。
 それから他方、この条約につきましては昨年の秋に改正されているわけでございますが、この改正条約の発効には五カ国、しかもその五カ国のうちの三カ国は現加盟国の批准が必要であるということになっておりますが、この発効につきましては、かなりどうもおくれそうな模様でございます。以上のような状況でございますので、関係国の改正条約についての批准書の寄託状況というようなものをよく見守りながら、本条約への加盟の準備を取り進めていきたいということで考えておるわけでございます。あの際の附帯決議においても、早く加入するようにという附帯決議をちょうだいいたしておりますので、われわれといたしましてもその辺のことを踏まえて準備の方は取り進めていきたいと、こういうふうに思っております。
#97
○丸谷金保君 これも要望ですけれども、せっかく急いで議決したんですから、できるだけ早くUPOVに加盟できるように、ひとつ取り運びをお願いいたします。
 次に、午前中参考人をお呼びしてお聞きした酢のJASの問題についてお伺いいたします。
 今回のJASの案の原案を拝見いたしまして、大変おかしいじゃないかと思う点が何点かございます。順次御質問を申し上げたいと思います。
 まず最初に、午前中も神田参考人から陳述がございましたが、上限、下限が、つまりエキス分が高過ぎるではないかという問題でございます。そのときにも明らかにされましたように、専門家の言ですからまず間違いないと思いますけれども、原案では米酢については一・五%のいわゆる無塩エキス分、それから上限は九・八というふうにしております。しかし、私も多少発酵学を勉強いたしたのでございますが、これらは現在のJAS案の原料のとり方からすると、全然出ないということが明白なわけでございます。そうすると、どうしてもJASの認定を受けるならば、糖分あるいはその他この案にある添加物等を添加しなければならない。要するに、原料そのものでつくった酢は、JASには規定どおりの四十グラムの米を入れても到達しないということが明らかであるにかかわらず、下限の一・五というのははなはだ高過ぎるのではないかという気がするわけでございます。
 それと、特に近藤参考人からも話がございましたが、消費者の代表の方では、百二十グラムぐらいはせめて原料のお米を使ってもらわないで米酢というのはおかしいということで私たちも言ったけれども、こういうことになったというお話でございますから、消費者の方からもそういう希望が出ておったというふうに理解します。特に、私は農林水産委員会という立場で、これは大臣によく聞いてもらわなければならないんですが、大臣が一生懸命米の消費拡大を叫んでいるわけです。ところが、足元の原局の中でお酢の原料に使う米をたった四十グラム、添加物を入れなきゃ〇・四%ぐらいしかエキス分の出ないところで決めようとしている。消費者からも百二十というふうなあれは出ているんですから、これはどうしても考え直してもらわなければいけない問題だと思います。米の消費拡大という点からもぜひ御再考いただきたい。特にその中で下限の一・五というのは、明らかに添加物を入れなきゃならないということが明白でございますので、これらはどうしても承知しがたい点があるんですが、この点についてのお考えをひとつお願いいたしたいと思います。
#98
○政府委員(犬伏孝治君) 酢についてのJAS規格並びに品質表示基準の問題についてのお尋ねでございまして、ただいまの御指摘のエキス分と原料との関係、特に米酢におきます米の使用量とエキス分との関係についての御質問でございますが、JAS規格並びに品質表示基準の設定につきましては、昭和五十年の第一回食酢専門委員会以来、数次の専門委員会等におきます検討、審議を経て、昨年の十一月に農林物資規格調査会におきまして原案が承認をされまして、それがただいま御指摘のような内容になっておるということでございます。
 この検討の経過におきまして各種の議論がございました。そうした中で案をまとめてまいったわけでございますが、エキス分につきましては、一方では製造の実態、他方では消費者の嗜好の問題、それらを総合的に考えまして、先ほど御指摘がありましたように米酢についてはエキス分の範囲を下限一・五、上限八・〇、さらに添加物を加えない場合は九・八という原案になっておるわけであります。エキス分自体につきましては、やはり商品として酢が流通され消費されておるという実態を十分考えなければならないわけでありますが、添加物でそのエキス分の値を高めることを奨励をするという考え方は持っておらないわけでございます。
 ただいま端的に御質問のございました下限値につきましては、米四十グラムでは出ないではないかということでございますが、JAS規格におきましては下限値一・五をできるだけ米その他の本来の原料を使って高めるようにすることを期待し、またそういう方向で指導をしてまいりたい。ただ、現実、米四十グラムという定義がございまして、四十グラムで酢がつくられているという実態からしますと一・五は高過ぎるということでございますので、先ほど申し上げました原案で近く告示する際に経過措置を置きまして、米酢につきまして添加物を加えないものについては、当分の間一・五の下限値は適用しないという措置を講ずることといたしております。
#99
○丸谷金保君 そうすると、それは直して、経過措置として要するにそういう下限については制限を加えないというふうに理解してよろしゅうございますか。
#100
○政府委員(犬伏孝治君) 告示の際に附則で、いま申し上げましたような内容の経過規定を置くということを考えております。
#101
○丸谷金保君 それからその四十グラムなんですが、午前中も出ていたんですが、四十グラムというと結局三分の一ですわね、全量の百二十からするとそれ以下ですわね。一体四十グラムという基準はどこから出てきたんですか。
#102
○政府委員(犬伏孝治君) 食酢のJAS規格をつくる際、あるいは品質表示基準をつくる際の定義といたしまして何を対象にするかということで、米酢について四十グラムということにしておるわけでございます。
 これは端的に申し上げますと、業界が自主的につくり、かつ公正取引委員会が承認をしておる公正競争規約におきまして四十グラムということが定められておると、それを援用をいたしたのでございます。
#103
○丸谷金保君 公取の規則を横倒ししたというのはわかるんですが、業界の問題になりますと、この酢の業界というのは午前中にも近藤参考人なんかからも、消費者の方からも言われましたけれども、非常にどうもまとまってなくて民主的でない、そういう問題もありますので、業界の問題はまた別にやりますが、むしろ酢の問題については、農林水産省の基準に合わせるように公取が直したというのなら話はわかるんですが、公取の規約に横倒しを農林水産省の方がするというのは、ちょっと私たち腑に落ちないんですが、公取の方来ておりますか。――公取さんにお聞きしますけれども、公取では、酢のあれは品質規格じゃないので、表示の規格を決めるときに四十グラムとしたのはどういうわけなんですか。
#104
○説明員(土原陽美君) 食酢の表示に関する公正競争規約は、四十五年に公正取引委員会が認定しております。その規約の中で、米酢につきましては一リットル当たり四十グラム超ということを決めておるわけでございます。公正競争規約は不当表示をできるだけ防止するという観点からつくるものでございまして、いろいろ実際の実情等を勘案しまして、より望ましい表示をしていこうという趣旨でつくるわけでございますが、当時のいろんな事情なんかを十分考慮いたしまして、このぐらいの基準でやるのが適当といいますか、現実的であるということで、こういう基準になったと思います。
#105
○丸谷金保君 ちょっと答弁にならないんですがね。このぐらいの基準でやるのが適当だろうというんなら、これは素人でも言える話なんですよ。そんなことなんですか、基準を決めるときというのは。
#106
○説明員(土原陽美君) この公正競争規約ができる前には、米がもっと少ない量しか使われていないものについて米酢というような表示実態がございました。そういう実態をできるだけ改善するということが望ましいわけでございますが、なかなか一挙に完全な理想的なものというのはいかない場合もございます。そういうようないろんな実情を加味して、このぐらいの基準であれば相当改善できるのじゃないか……
#107
○丸谷金保君 このぐらいというのは何なんだ、このぐらいというのは。それを聞いているんだ、このぐらいの中身を。
#108
○説明員(土原陽美君) その時代のいろいろ米の実際に使われていた量その他を勘案して、四十グラムという線が出てきたと思います。詳しい事情は、ちょっといま私当時のことを詳しく知りませんけれども、大体そういうことで聞いております。
#109
○丸谷金保君 それは詳しい事情がわからないんならわからないでいいけれども、このぐらいが適当と思うというような、質問に対して返事にならないようなことじゃ困るんだな。
 委員長、この問題についてはわからないんですから、答弁できないので質問を留保したいと思いますがよろしゅうございますか。わかる人がいないんですから……。
 実は私たちは、やっぱり米の消費拡大ということを念願としているわけです。大臣、ひとつよく聞いてください。いいですか。それがいまのJASで、四十グラム使えば米の表示をしていいですよというJASができるんです。そしてその基準は、公取の方がこのぐらいが適当だろうと四十五年に決めたやつを、農林水産省が横倒ししているんですよ。だから、農林水産省の方は根拠あるんです、公取のその基準を使っていますから。しかし、いま聞いてみると、公取の方は全然根拠ございませんでしょう。ですから、私たちは、このJAS案はできるだけ米酢というからには少なくとも米半分ぐらい、先ほど消費者代表の近藤参考人が言われたように、少なくとも百二十グラムぐらい入れて、あるいはまた、それに使う原料米は多少割り引きして安く払い下げるとか何とかいう方法を考慮してでも、米の消費拡大の方向に向けて努力していただきたいと、かように思いますが、大臣のひとつ御見解をお願いいたしたい。
#110
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も米の消費拡大は非常に熱心にやっておるところでございますが、どれくらいのものがいいのか、これはきわめて専門的な話なので私には実際のところよくわからないのです。ただ、純米酢というのを表示を認めようと、これについては少なくとも百二十グラム以上使ったものでなければ、そして添加物を入れない、そうでなければ純米酢にならないわけですから、だから純米酢という別ななにをひとつ認めようという話を私は聞いておるわけです。
#111
○丸谷金保君 大臣、そこのところおわかりにならないんですが、百二十グラムの米を入れたんではいまのJASの規格の純米酢の基準にならないですね、どうですか。
#112
○政府委員(犬伏孝治君) 酢の醸造方法の中身が非常にバラエティーがございますので、なかなか一概には申しにくいのでございますが、百二十グラムで一・五が出るという考え方もございますし、もっと入れなければ出ないという、要するに酢酸発酵で米の栄養分をどれだけ消費するかということとのかかわり合いでございますので、一概に申せないということでございます。ただ、一般的に言って、百二十グラム以上はどうしても必要であるということでございます。
#113
○丸谷金保君 局長、大臣の答弁をよく聞いててくださいよ。大臣のいま答弁したのは、百二十グラムの米を使って純米酢という表示のできるのもあるんだから、あと四十がいいか六十がいいかというふうなことはなかなかむずかしいことなので、いまここで一概に決められないと、こう言っているんですよ。だから、私はそれに対して、百二十グラムでは純米酢という表示はこのJASでも決めてないんですよ。全量米を使わなければだめだと言っているんで、百二十グラムでは全量米ということにならないでしょう。その大臣がお間違いになっていることを、ひとつ間違っていると言ってくださいと私は質問しているんですよ。
#114
○政府委員(犬伏孝治君) 米とエキス分との関係についてのお答えと、純米酢についての話とは一応切り離して、私がお答えしたのは米の使用量とエキス分の関係でございます。大臣は純米酢の話をいたしましたが、これはいまお話のように、純米酢についての今回の規格は、主原料として米以外のものを使わないということで、数量については規定をいたしておりません。
#115
○丸谷金保君 数量に対して規定していなくても、リッター当たり百二十グラムでは純米酢はできないんでしょう。そのことを聞いているんです。
#116
○政府委員(犬伏孝治君) その点については先ほど私もお答え申し上げましたように、醸造法には非常にバラエティーがあるということで、百二十グラム以上ということでお答えを申し上げたわけです。
#117
○丸谷金保君 どうもそらされるので困るんですよ。局長、いま大臣の言われたのは、百二十グラム米を使った純米酢というのもあるからと言っているけれども、いまの農林規格のこの中で百二十グラムの米を使って純米酢の表示のものができますかと言っている。できるかできないか言えばいい。あと醸造方法とかなんとか言っているんじゃない。
#118
○国務大臣(渡辺美智雄君) 専門家にひとつ……。
#119
○説明員(長野不二雄君) ただいま先生御指摘の点でございますが、JASにおきます純米酢は、先生おっしゃるとおり、オール原料が米であるという規定でございます。それで、そのオール米で、そのJASの規格に合格するようなエキス分というものを幾らなら出せるかというのを大体計算してみますと百二十ぐらいであろうと。したがって、いま大臣が申されたのは、純米酢という規格がある、それについては少なくとも百二十グラム以上の米を使う必要があろうと、そういう規格を設けたということでございます。
#120
○丸谷金保君 ちょっとこのことでやっていると専門的な話をしなきゃならぬので、そんなこと言わないで、大臣わからないんだから、そういう話をし出すと専門的な話をしなきゃならないんだよ。いいですか。リッター当たり百二十グラムの米を原料にして、アルコールやなんか入れないで一・五のエキス分を出すのには、酸度何ぼになるんです、あと水だけで。計算してごらんなさい。課長もおわかりにならない人だから、余りそれを言っても困るけれども、もっと専門家の方来ておるでしょう、どなたか。出るか、出ないか。
#121
○説明員(長野不二雄君) お答えいたします。
 いまあれいたしますが、百二十グラムで純米酢で主として基準エキス分一・五には達すると、そして酸度も達するということでございます。
#122
○丸谷金保君 酸度は何%なんですか。
#123
○説明員(長野不二雄君) 四・二以上の酸度に達します。
#124
○丸谷金保君 そうしますと、あれですか、百二十で純米酢というふうなものができると。その場合の醸造方法はどういう方法です。四段がけやるんですか、どうやるんです。
#125
○説明員(長野不二雄君) 四段がけとかいろいろな製法があるやに聞いておりますけれども、その方法についてはちょっと十分把握しておりません。
#126
○丸谷金保君 大臣、ごらんのようなことで、皆さん全然お酢のことがわかってない人がいま答弁しているんです。それで、この問題については、いま局長さんも言われたように、下限を外すと、経過措置をとるということで一応了解して、ほかの質問もしなきゃならないので、これだけで時間をとっちゃってもどうもならないので、先に進ませていただきます。
 次に「「天然」、「自然」」の問題なんですが、このことについて午前中もいろいろ御意見がございましたけれども、いま公取の方でそれに対する基準をつくるように申請をしておるんです。それらがいま審議中なのに、JASの中で「「天然」、「自然」」の禁止をいきなりうたうということは、ある意味では表現の自由に対する憲法違反というふうな問題も出てくるんじゃないか、法のもとに平等でなければならぬという点で。JASの中で、たとえば果汁、これも天然果汁と言えるかどうかわからない、一遍加工して濃縮したものをもう一回戻した場合も「天然果汁」というふうな表示をJASでやっぱり認めているんです。ですから、これはやっぱり「天然」とか「自然」とかという問題は、JASで即なじませるのでなくて、もっといろんな角度で検討しなきゃならない問題じゃないか。
 午前中もいろいろ意見が出ておりましたし、第一「「天然」、「自然」」というような言葉が、あるいは自然食というような言葉が最近必要以上に使われる、その中の弊害もございますけれども、大きな原因というのは、余りにも添加物が多過ぎる。腐らないしょうゆ、昔のようにカビがわかない、防腐剤で。腐らないみそ、カビのわかないみそ、それら発酵食品についても、もうあらゆる問題に余りにも使われ過ぎている。複合汚染というふうな言葉も出ておりますが、そういうことに対する抵抗体として、「自然」とか「天然」という言葉が出てきているわけです。これをいきなりここで押さえ込んでしまうということは、ちょっと私無理があると思うんですが、いかがなものでしょうか。
#127
○国務大臣(渡辺美智雄君) これもいろいろ議論のあるところでございまして、私どもにも、まだ全部一遍にそいつを抜いちまうということについては少し問題があるというようなことから、先ほどの一・五%のエキス分と同様に、これは当分の間、もっとよく議論が煮詰まるまで適用から除外をしたいと、こう考えます。
#128
○丸谷金保君 大臣の大変明快な御答弁をいただいて、こういうふうにいくとすっと進んでいくので、どうもありがとうございました。
 それから、静置という言葉を、一〇〇%原料に米を使わなければ使っちゃいけない。私どもここであるように、百二十グラムでアルコールを使わないでできるのであれば、これはもう大変結構なことだと思うんです。そうすれば問題はないと思うんです、また逆に言うと。しかし、静置式でもなかなか百二十じゃできないと思いますので、少なくても二百グラム――まあ二百までいかない、百七十何グラムですか、正確に言うと八グラムですか、使わなければ米だけの酢というのはなかなか困難だと言われております。ですから、そういう米を全部使ったときには「静置発酵」という言葉を使わせる。しかし、アルコールを少しでも入れた場合にはそれを使わせない。そして速醸、たとえば四十日かけてつくった静置発酵の酢も、一日でできる速醸の酢も、醸造酢として同じような表示しかさせないということに大変無理があると思うんです。
 午前中も、小さなメーカーが苦労しないように配慮をしてほしいという意見が、それぞれ参考人のお三方からございました。しかし、これをこのままでいくと、その点が大変心配なんです。なぜなら、静置の方が原価が高いんです。しかし、いいものができます。いいものをいいという表示をすることができないとすれば、JASが同じ醸造酢という表示だけ、同じJASということになると、原価の安い大量にできる大手のメーカーのものしか売れなくなるんですよ、安いものしか。しかし、そうはいっても任意だからいいじゃないかと、先ほど近藤参考人も言われましたけれど、任意なんですけれど、これは商売をやっていればわかるんですが、卸屋さんがJASができたらJAS以外のものをスーパーなんか置かないんですよ、自分のところで保蔵するもの以外は。明らかに差がつくんです。原価の高い静置の酢が、原価が安くできる速醸と同じ表示よりできないというのは、ちょっと不公平だと思いませんか。いかがでしょう。
#129
○政府委員(犬伏孝治君) 今回の規格案におきましては静置発酵の表示は原則的には認めない、ただし静置発酵の方法で、かつアルコールを原料として使用しないものについては静置発酵の表示を認めるという考え方でございます。
 先生御案内のとおり、静置発酵は、古来からの伝統的な食酢の製造方法でございます。しかし、この方法によりまして醸造された食酢でありましても、原料もろみにアルコールを加えるものと、それからそうではなくて加えないものとの製品を比べてみますと、発酵期間がアルコールを加える方は短い、また原料特有の香味が乏しいという違いがございます。
 したがって、もしアルコールを加えた製品にも静置発酵による食酢である旨の表示を認めますと、静置発酵の酢は伝統的なつくり方で在来からの品質を保有した食酢であるという消費者の期待に反するおそれもございますことから、今回の告示案では原料もろみにアルコールを加えた製品については静置発酵の表示を認めず、アルコールを使わないものに限るということにいたしまして、従来から伝統的につくられておる酢、これは地方の中小メーカーが多いわけでございますが、そういうつくり方の酢のよさというものを国民一般にわかっていただくと、消費を拡大をするというようなことで今回考えたわけでございます。
#130
○丸谷金保君 一〇〇%入れた純米米酢というのであれば静置という名前をつけてもいい、そうでなくて、たとえば百二十グラムの米を使ってアルコールをそれに入れて静置でやった場合静置という名前を使っちゃいけない、どうしてなんですか、それ。製造方法は同じでしょう。同じ製造方法で片一方はいい、片一方は悪い、それについて逆に言うと、同じ醸造酢といっても速醸と違うんですよ。原料の多い少ないという問題と、製造方法の違いというのは別なんじゃないですか、いかがですか。
#131
○政府委員(犬伏孝治君) 確かに、静置発酵というのは醸造方法でございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、伝統的なつくり方で在来の品質のものであるという消費者の期待もあろうかと存じます。そこで、アルコールを使わないものを、製造方法の名前でございますが、静置発酵という表示を認めるということにいたしたわけでございまして、この点につきましては、今後静置発酵の製造方法によってつくられた食酢の原料、それからつくり方、流通の実態について、さらに十分調査をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#132
○丸谷金保君 一〇〇%米を使った静置発酵の場合には、静置という表示をしないでも純米米酢という表示はできるんでしょう。そうするとわかるじゃないですか、それは入っているか入っていないかということは。静置に関係ないんじゃないですか。
 それと、いまこれからもさらに調査すると。そうしますと、はなはだしい不合理だというときには変更することもあり得るというふうに理解してよろしゅうございますか。
#133
○政府委員(犬伏孝治君) 今回のJAS規格並びに表示基準を実施いたしました後におきまして、そういたしますと流通製造の実態がより的確に私どももわかるわけでございますので、そういたしました後におきまして十分調査をし、より適切な基準がございますれば、そういうふうな形で変えていくという検討はこれは当然いたさなければならないと考えております。
#134
○丸谷金保君 大臣、ひとつ見ていただきたいのですが、これが静置発酵でつくった種酢が四〇%、アルコール三・八%、酒かす一・〇でつくった静置発酵の酢なんです。それから、これはアルコール一三・五%、それから水分がわずかということでつくった高酸度アルコールの酢なんです。速醸なんです。速醸と静置の違いというのは、できたときにはもう色からフレーバー、香りからみんな、これだけ見ただけでもおわかりになるように違うんです。いいですか。これがどっちも醸造酢なんです。醸造には違いないんです。ですけれども、方法が違うし出てきた製品も違うんです。ただ、学界では、これも長く置けば、エージングと言うのですが、空気の中にさらしてエージングというのをやるとやがてこういうふうにもなるというふうに、理論的にはそういうことが言われているのです。だから、先ほども神田参考人が、成分的には最終的に違わないということで、速醸も静置もあり得ると、こういう御意見を出されたのだと思うのです。
 しかし、それは学問的な話なんですよ。実際にはこの速醸でできた酢を何カ月も――これは三カ月置いても色が変わらないのです、まだ。こういうふうにして置いたんじゃ、びんに入れただけじゃだめなんです。特別な方法で、相当広大な工場と面積を持ってやらないと、こういうふうにならないわけですからね。なり得ることもあると。そんなことを商売上するわけがないんです、メーカーが。これに添加物をぶち込んで、こういうような色から何からたくさんつけて、いかにも同じようなものとして売るということが行われる、必ずこれは行われるのです。そうして、そのためにこのJASの中では、食品添加物たくさんいかがわしいものもあります、そういういかがわしい添加物を許可しているんですよ。ですから、これはいま局長が言われたように、できるだけ早く実態を調べて――必ずそうなります。そうすると、大手の速醸で東京近郊なんかでやっている、だだだっとつくるところの酢は価格は安くできますよね。これは何十倍も敷地面積が要るし、何十日もこれよりもよけい酢になるまで時間がかかるんです。それが同じ表示の中で競争するということは、いかにもこれは競争の原理に反するんです。ですから、静置の小さい業者がいま騒いでいるということを、ひとつ御理解しておいていただきたい。
 ということは、その静置等の問題については、局長のいまの一応前向きな答弁をいただいたのであれですが、今度はこれに入れる添加物の問題です。添加物の問題があるんです。厚生省来ておりますか。――化学調味料のエキス分や酸味料、甘味料、その他いろいろJASで認めております。これは体には悪いけれども、少量で、人体に対する影響が微量でそれほど影響がないからという、いわゆる人体許容量という立場から許可しておるものが大半でございますね。
#135
○説明員(藤井正美君) 食品添加物として許可いたしておりますのは、通常の使用においては有益かつ人体を損なうおそれがないものという立場から指定いたしております。
#136
○丸谷金保君 ところが、たとえばこの中のグルタミン酸ソーダにしても、アメリカではこれはやっぱり問題だということになってきていますわね。そして、どういうものか日本では、これは人体に影響がないと言いながら、アメリカでだめだとなると後から取り消すというのが多いのですよ。そういうこと今度はございませんか。
  〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕
#137
○説明員(藤井正美君) アメリカにおいて取り消したものを日本が追従して取り消したという事例は、そういう形になった事例はございます。しかしそれは、アメリカにおける科学、これをわが国において再び評価いたしましてその結果取り消したわけでございまして、アメリカの状況、こうしたものをそのまま取り入れて取り消す等の立場でやっているわけではございません。
#138
○丸谷金保君 実は前にも私申し上げたことがあるのですが、昭和三十年代ですね、タール系赤色二号とか四号とかというふうなタール系色素の関係で、私どもはよそのメーカーのワインの中にこれらを使っているのがわかりまして、これは大変じゃないか、毒性があるということで、保健所を通じて厚生省に進達したわけでございます、私たちのつくっているワインはそういうものを入れたらいけないという立場で。そのときに、これは影響ないと厚生省はおっしゃったのですよ。それが、昭和四十一年、アメリカの方でそれが発がん性があるとなったら、途端にばたばたとおたくの方ではそれを許可を取り消したでしょう。そういうふうに、これは危ないというふうなものは、本来大丈夫だとなるまで使わせないのが筋なのに、われわれの方がそういうことを言っておっても、それは大丈夫だと言って平気で使わせておいて、四十一年になったら途端に、それは発がん性があるからだめなんだと。チクロの問題だってそうです。いろいろな問題がそうですが、そういうものについて厚生省というのは、そんなことはないと。一体、その間食わせた行政責任はだれが負うのだと言ったら、厚生大臣は、そのときの科学の力の中で最高の努力をしたのだから行政責任はないという答弁なんですよ。おたくもそうですか。
#139
○説明員(藤井正美君) ただいまの御質問、お言葉ではございますが、赤色二号については現在わが国においてはまだ禁止いたしておりません。
#140
○丸谷金保君 赤色一号、四号ですか、何点か禁止しましたね。
#141
○説明員(藤井正美君) 御指摘のように、昭和四十年代の初めに、約五つのタール性色素について食品添加物としての指定を解除いたしております。ただし、この指定の解除につきましては、そのうちの一部についてはアメリカからの情報、こうしたものを入れておりますけれども、いわゆるわが国の食品衛生調査会におきまして、またWHO、FAOのデータを取り寄せまして、その審議の結果取り消しているわけでございます。
#142
○丸谷金保君 農林水産省にお伺いしますが、いま御指摘申し上げましたように、現在厚生省でこれは添加物としてよろしいと許可しているからおたくの方で使っていることはやむを得ないと思います。しかしそれも、できるだけ使わない方がいいということだけは間違いないのです。そうすると、これは静置と速醸では静置の方がずっと添加物が少なくてもいいんです、同じような製品をつくるのでしてもね。おわかりになりますでしょう。それをどうして静置と速醸の製法を分けないのか、わざわざ。そうすれば、みんな原価の安くできる方になだれ込むのです。そうしてそういう施設が大変お金かかりますから、それらのできない小さな業者、これらの形の中で、だんだんと静置をやっている人たちというのは非常に困ってくると、こういうような実態が明らかになったときには速やかに検討していただけますか。
#143
○政府委員(犬伏孝治君) 先ほどお答え申し上げましたように、JAS施行後、先ほどの御指摘の添加物等、どういう原材料を使うかというのも、実施をいたしますればこれは表示の義務がございます。そういうことで実態が掌握できますので、できるだけ速やかに実態を掌握し、必要がある場合には当然解除について検討をしてまいりたいと、こう考えております。
#144
○丸谷金保君 それで、表示の義務があるとおっしゃるんです。午前中にも表示義務があるから心配ないと言う消費者の参考人の先生もおりました。しかし、今度のJASの中の表示では、たとえば米四十グラム、アルコール何十%とか、米が百二十グラム、アルコール何%というような表示はしないでしょう。アルコールと米とを使っていますというだけしかしないんですよ。そうすると、速醸だと、うんとアルコールをよけい使って簡単にばっと真っ白いやつをつくって、ばっと入れて、それはただ要するに合成着色料を使っているとか甘味料を入れているというだけの表示で、どれだけよけい入っているかという表示はないんです。それが明らかになれば私心配しないんですが、そこまでは今度はJASで取り締まらないんですよ。だから、表示したってわからないですよ、そうでないですか。そこまでやればわかりますよ。
#145
○政府委員(犬伏孝治君) 原材料につきまして表示を義務づけておりますが、その種類と、それから使った量の多いもの順にこれを書くということで、確かに御指摘のように数量幾らというところまでは義務づけておらないのでございます。ただ、実際のJASの認定工場に指定いたしましてその製造の実態等を十分掌握ができる体制になるということを、先ほど申し上げたわけであります。
#146
○丸谷金保君 大蔵省、来ておりますね。――表示義務の問題では酒の方も同じようなことが言えるんですが、たとえば日本酒もアルコールを使った三倍増酒というのがいま大半です。これもしかし、表示義務としては、アルコールをどれだけ使って米をちょっとしか使ってないというような表示はしていませんわね。ちょっと答えてください。
#147
○説明員(大橋實君) お答えいたします。
 現在つくられておりますお酒の中には、いわゆる普通酒と言われるものと三増酒と呼ばれるものとがお互いに合わさりまして売られているわけでございまして、それぞれのお酒が大体どういうふうな形でお米をどのぐらいの割合まで使ってよろしいか、たとえば三増酒でございますと、全体の重量のうちで二三%以下の白米は使ってもよろしいという形での縛りがかかっておりまして、それでできました三増酒とそれから普通酒とがお互いにミックスされて一般に市販されておりまして、その割合というのは普通酒が大体三分の二ぐらい、それから三増酒が三分の一ぐらいというふうな結果に、同じ度数換算いたしますと、そういう形でできているのではないかというように考えております。いずれにいたしましても、結果できましたお酒につきましては、アルコール度数は酒類業組合法の規定によりまして表示をするということにはなっております。
 以上でございます。
#148
○丸谷金保君 実はお酒の方ですと、いま課長さんの答弁のあったように組合がしっかりしているんです。だから、それぞれでどれだけ使うとなると、それの自主規制ができるんです、組合そのもので。私がなぜ酢の場合によけいな心配をするかというと、酢の方はそういう組合ができてないんですよ。午前中にも、組合がはっきりしてないのがやっぱりいろいろ問題点を多くする原因の一つだというふうなことが参考人からも述べられております。したがって、これらについては、そういう自主規制がなかなかできない業界だ。
 それで、公取さんにもう一回お伺いしたいんですが、お酒の方でいまのようなことでパーセントを入れないで、組合の自主規制で表示を任せて、公取の方もその表示規定をつくっておりますね、公取さん。
#149
○説明員(土原陽美君) はい。
#150
○丸谷金保君 そうしますと、酢の方だけ、そうでなく、公取の規則の中で何%、何%というふうな表示をせいというふうな今度は指導はできませんでしょう。どうですか。
#151
○説明員(土原陽美君) その前に、先ほどの米酢の問題ちょっと御説明いたします。
 米酢の先ほどの御質問に補足させていただきたいと思いますが、その前に公正競争規約の制度でございますけれども、これは事業者の方で不当表示を防止するためにこういう基準をつくりたい、それを公正取引委員会が適切であると認めて認定をするという制度になっているわけでございます。
 で、この食酢の表示につきましては、当時いろいろ問題がございまして非常にこう乱れていたわけでございますので、私どもとしてそういう表示を改善するようにという指導をしたわけでございます。その中の一つに、この米酢の問題もあったわけでございます。当時、米酢と表示しているものも、非常に米の使われている量が少ないというふうな事情がございました。そういうことで、それを大いに改善するようにということで私ども申したわけでございますが、その折衝の過程で業界の方から、一リットル当たり四十グラムという基準が当面どうしても限度なのでという話がございました。私どもとしましてはそれについて検討いたしまして、四十グラムというのは従来のそれまであった米酢の実態から見ると、やはり相当改善されているというのが一つございましたし、それからもう一つは、四十グラムあれば米酢としての特徴があるのかどうかということで専門家の意見も一応聞きまして、一応の特徴もあるというような御意見、見解をいただきましたので、それまでの実態を勘案して一応認定したという形でございます。
 ただ、この表示の問題というのはやはりいろいろ実情が変わってき、新しい体制といいますか、実情が定着してくれば、さらに一歩を進めていくということも十分考えていいわけでございますから、私ども公正競争規約では食品関係非常に数が多いわけですが、いずれも大分前にできた認定がございます。そんなことで、いま食品関係の古い公正競争規約を少し見直そうということで勉強を開始しておりますのですが、この過程で、この食酢のいろんな表示の問題も、現状において改善すべき点があるのかどうかという観点から検討したいと思っております。
 それから、いまの御質問の点でございますが、いろんな商品によりましてそれぞれ実情も違いますし、また、いまお話しございました法制も違いますし、そういうことで、そのときの実態あるいは商品の特徴に従った表示をしていく、私ども基本的な考え方は、できるだけ豊富な重要な表示をたくさんしていくということでいろいろ指導しているわけでございますけれども、酢についてのそういうパーセントを書くという点は、一つの先生の御意見として今後十分検討していきたいと思っております。
#152
○丸谷金保君 いまの前段のお答えで、四十五年のときの考え方なんで見直していかなきゃならぬという話でございますが、公取の方のそういう四十グラムというような基準が変わってきた場合には、農林水産省としては直ちにJASの四十グラムを底上げするというふうな作業は行っていただけますか。どうでしょうか。
#153
○政府委員(犬伏孝治君) 四十グラムの問題につきまして、公正取引委員会の方で業界の実態としてそういう形ができた場合には十分それも考慮する姿勢でおりますが、農林水産省自体といたしまして、いま四十グラムというのは米酢と言える資格の問題だけでございまして、規格の内容としてはできるだけ米を使ってエキス分が一・五以上になるということを期待しておるわけでございますので、そういう公取との関係もございますが、農林水産省独自でも改善をしていくような努力をしてまいりたいと存じます。
#154
○丸谷金保君 局長の大変前向きな御答弁であれですが、これは本来公取がやるのを待っているのではなくて、農林水産省が原局なんですからね。ましてや米の消費拡大、これだけ大臣が汗かきかき一生懸命あっちこっち走り回っているときに、公取が四十グラムだから四十でいいというふうな発想そのものに問題が一つあると思います。
 それから、それはまあそれでも農林水産省自体も前向きに取り組むというので期待いたしますが、ただ、表示は、四十使っても八十使っても醸造酢、米、アルコール、それに糖類添加とか、甘味料添加とか、いろんなこと、同じですね。四十使っても八十使っても、同じ表示なんです。そうすると、商売する人が、これだけ添加物が許可されていれは、添加物入れて同じようなものを――普通消費者じゃわかりませんよ。先ほど消費者の近藤参考人も、よくわからないということを三回も四回も言っています。私たちよくわからないけれどもというまくら言葉を置きながら、御説明いただいているわけですね。そういうよくわからない人たちには、わからないんです。そうすれば、安い方法でできる方が広がるということは目に見えているのです。そうすると、その目に見えて広がったことをとって、これがやっぱり消費者のニーズだと、こういうことになりかねないのです。それはもう局長さんたちは、何というか非常に精神状態が高いので、なるたけ同じ基準の中でもよけい米を使う方に行政指導するといっても、そんなことになりませんよ。それを、われわれ実態として心配しているのです。ですから、相なるべくは、局長さんの行政指導のようになることを期待しながら、先へ進ましていただきたいと思います。
 それから、いま静置は純米の場合には許可すると言っていますね。それもつけ加えておきますけれども、変性アルコールを使わないで、純米だけでやっている中小のメーカーが一体どれくらいあると思いますか、全国で。それは業界の実態調査をしておりますか。
#155
○政府委員(犬伏孝治君) 地域的にやや偏在しておるようでございまして、南九州、それから山陰地域にあるというように承知いたしておりますが、ただどのくらいの数であるか、その辺の実態は必ずしもつまびらかではございません。
#156
○丸谷金保君 私の方で調査したところによりますと、中小メーカーの一%なんです。あとの九九%は変性アルコールを使用して、それはお米をたくさん使って相当製品のいいものをつくっていても、もっとアルコールをまぜた方が風味も出る、そういうふうなこともありまして、そういう酢が大変なんです。業界の実態の中でとおっしゃると、全体の一%ぐらいしかない純米米酢だけ静置を認めるということは、極端に言うと、静置をやっている残りの九九%には、ある意味では死ねということなんですよ。そこまでお考えになったことありますか。
#157
○政府委員(犬伏孝治君) 静置でアルコールを加えない本来の酢の伝統的な味をできるだけ伸ばしたいということが、今回の静置醸造の表示に関しまして討議をされた過程で行政当局としては考えたわけでございます。確かに製造実態といたしましては、ただいまのようなシェアとしては非常に少ないことではございましょうが、将来の方向づけとしては、先ほど申し上げましたような点が重要ではないか。
 それから、JAS規格は申すまでもなく任意規格でございまして、先生いま御指摘のような、死ねというようなそういう強制的なものを意識してまで考えておるわけではございません。ただ、競争条件上いろいろ変化が出てくるということは、十分認識しなければならないと考えております。
#158
○丸谷金保君 まあ、JASの信用の度合いは、もう商品によってピンからキリまであります。ですから、JASでなくても結構やっている業界もありますけれども、私たちの調査した限りでは、酢の業界、JASが決まると卸屋さんやそれからスーパーと、そういうようなところがJAS製品以外置かなくなるんです。買ってくれなくなるんです、JASでないと。いいですか。そうしたら、一体このJASの中でどこが一番最後に笑うものになるか、全国のシェアの六〇%近いものをおさめているような大手のメーカー、さらにそれに次ぐ何軒かによって、九〇%なんです、この業界のシェアは。それが速醸で、安い仕入れ原価で、JASのマークで、添加物で似たようなものになって出てきたら、小売屋さんはそっちしか置かなくなるんです、マージン率も高いだろうし。それを、いま業界のこういう状況の中で業界規制、あるいは業界の相談の中で規制していくというふうにおっしゃっても、なかなかむずかしいのです。そのことをよく念頭に置きながら、この点に対する対処をひとつお願いいたしたい。
 そうして問題は、業界の問題なんです。実は先ほどの参考人の話の中でも、業界の方がなぜこのJASではだめだということで反対しなかったかということについて、神田参考人は、私は反対したのだけれどもと言ってあと濁しました。これは業界の方だから濁したと思うんですが、実態は、もっとより強固な大きな業界の方たちが、このJASに反対するなら、要するに自分たちに都合のいいようなこのJASに反対するならけしからぬといって、手を回して除名しちゃったのですね、組合から。それで私は、その組合が除名したことについて調べてみたんです。任意法人で仲よしクラブなんです、先ほども確認いたしましたけれども。業界代表の体なんか全くなしていない。それを局長は業界業界と言うが、あなたたちがそんな指導をしていますか、業界らしい。規約を見たって、記録をつくることさえもないし、むしろそれから見ると、公正取引委員会の方のJAS規格の方が行政指導によってきちんとした組合になっております。
 で、公取さんの方にお聞きをするんですが、実はこういうふうなものに反対をすると、私の聞いたところでは、今度はそういう公取の方の委員を外すぞというふうな風聞が飛んでおります。ですから、こういうところへ出てきて参考人になるのはいやだと、これが実際なんです。それは神田さんに、私はいやだと言うやつを無理やりに、そういうばかなことはないというふうに実は申し上げて出てきてもらったんです。ですから、よもやそういうことはないし、食酢公正取引協議会という公正取引委員会に所属する方では、ブロックごとの役員のほかに、全国的に事業所を有する会員は前項にかかわらず委員となる、こういう規定がございますから、キューピーさんのような全国に事業所を持ってやっているようなところは、まさか外すことはないと思うんですが、この際確認しておきたいと思います。規約どおりやるんでしょうね。
#159
○説明員(土原陽美君) 公正競争規約の実施機関を公正取引協議会と言っておりますが、規約の中でその運営機関の協議会につきましても規定を設けておりまして、その組織に関する規則をつくりましたときには、公取が一応承認をするという形になっております。したがいまして、私どもが承認した組織に関する規則が、そのとおり守られるということが必要だと思っておりますので、それがいろいろ問題の起こったときには、私どもとして御指摘をしたいと思っています。
#160
○丸谷金保君 農林水産省の方で言っている全国食酢協会中央会、こういうふうに気に入らない者をどんどん除名もできるんです。で、除名のそういう会則があるのかと思って調べてみたんですが、ないんですよ、何にも。たったこれだけなんです。だから、ここが業界の意見を代表するということにはなはだ問題があるということについて、ひとつどうお考えになっておるか。
#161
○政府委員(犬伏孝治君) 全国食酢協会中央会のお尋ねでございますが、これは先生も十分御承知のとおりに任意団体でございます。運営自体については自主的な形で行われておるわけでございますが、しかしながら、食酢製造業を所管するわが省といたしましては、食酢業界の組織的な団体としてはこれだけしかないという現状もございますので、当該団体につきましては、今後とも会員の意思の十分な反映を含め、適切に指導をしてまいりたいと考えております。
#162
○丸谷金保君 まあ、それはしっかりやっていただかないと、業界代表の意見を聞いたということに全くならないんです。私のところにはこんなに、いまのJASじゃ困るという業界の人の、小さな人の陳情書が来ているんです。この中には、こういうのを農林水産省の人に見せると、どこかでかたきとられるから先生余り見せないでほしいんだけれども、しかし私たちはやっぱりこれは何とかしてもらわなきゃならぬと言って、こんなにたくさん全国から来ているんです。業界なんか一本に、いまのこのJASでいいなんてだれも言ってないんですよ。ただ、大きな人たちに押さえ込まれて、正論を吐くと除名されたりするという実態、こういう実態をよく踏まえた上で業界指導をやってもらわないと、私たちはやっぱりこのJASのいろんな問題点、どうも本来ならいい方に決めなきゃならないJASが、大きな人たちに都合のいいようなところに置かれていくような気がしますので、十分それはひとつ御配慮を願いたいと思います。時間があれなので、それについてひとつお答えいただきたい。
#163
○政府委員(犬伏孝治君) JAS制度の運用全体の事柄にかかわる指摘にもなりかねない御発言でございますので、私、担当局長といたしまして、JAS制度の信用性、信頼性という観点から、十分御指摘の点を踏まえて運用してまいりたいと考えております。
 ただ、一言申し上げたいことは、たとえば酢について申し上げますと、大手の大会社の場合は自己のブランドで売れるわけでございますが、中小のメーカーにつきましてはそれだけのブランドの力がない。そこをJASのマークがつくということで、競争上有利になるという面がございます。JAS制度の効用としてはそういう点がございますので、いまお話のような、大手のためのものであるというふうに私どもは考えてない点、特につけ加えて申し上げさしていただきます。
#164
○丸谷金保君 まあ、酢の方も大事なんですが、差し迫った牛乳の生産調整の問題がありますので、酢の方は本日はこの程度にしておいて、畜産局の方へお願いいたしたいと思います。
 三月以降牛乳が余るということで、牛乳の生産調整が中央酪農会議を中心にして行われております。この限りにおいては、あくまでこれは自主的に生産者の団体が生産調整をやるんだ、こういうふうに農林水産省の方はおとりになっているようでございますけれど、私はこれはやっぱり余るようになった原因の一つは外圧であり、もう一つは、牛乳をふやす政策をとり続けてきた農林水産省の政策の結果であって、その責任を生産者の団体に押しつけるということは大変問題があるのではなかろうかと、かように思いますので、それらについてひとつお聞きをいたしたいと思います。
 その中で、特に具体的な例を一つ申し上げます。根室地域新酪農村建設というもの、二十三万三千トンのこれは生乳ですが、生乳生産量を五十五年度の後期を終えた後において五十六万六千トンまで上げる。要するに三十三万三千トンふやすということです。これに要する経費が九百二十億、これはもうどんどん事業が進んできております。これはふえる政策をやっているわけですね。どんどんこういうふえる政策をやりながら、余ったのはおまえらの責任だと言うのは、一体どういうことなんですか。ちっともよくわからないんです。
#165
○政府委員(杉山克己君) 牛乳について需給の関係を見れば、確かに生産が需要を上回るという意味で余るのでございますが、ただ需要自身が減るものではない。年々安定的にふえるという状況のもとで、生産がその需要のふえ方をオーバーしてふえるということがあるわけでございます。数字で申し上げますというと、ここ三年ほどの状況を見ますというと、五十一年、五十二年、五十三年、生産の伸びは全国で七・二%、それから八・九%、それから約七%というようなことで、きわめて大きな伸びを示しております。これに対しまして飲用牛乳の需要の増加は、これは年によって幅はありますが、おおむね平均して年四%程度の伸びとなっております。
 その意味で、米のように需要が減っていくという世界の話ではない。生産は今後ともふやしていかなければなりませんが、そのふやし方のテンポについてここ数年足踏みをするといいますか、若干テンポを緩めるということが必要であろうということで、生産の抑制を図ることといたしておるわけでございます。その点から言いますと、長期的な基盤整備のような事業は、いま申し上げましたような全体の動向を見てのテンポの緩和ということは必要であるにいたしましても、その事業自体が将来の増産計画そのものが全く要らない、それが間違いであるというようなことではないのでございます。
#166
○丸谷金保君 それを聞いて安心したんですが、実はこれらには裏負担がありまして、一戸平均もう三千万から四千万ずつの借金をしょってやることになるわけです。先般も酪農民の、特に北海道における農家負債の実態等は御質疑いたしましたのできょうは省略いたしますが、生産が伸びたときに生産調整をするというのは逆であって、昭和五十四年の畜産振興審議会の中におけるあなたの説明でも、「国民への畜産物の安定的供給を図るため、国内生産では不足する分について、安定的に輸入を行っていくという基本方針に立って、主要畜産物についての輸入割当制度、畜産振興事業団による一元輸入、関税等諸制度の適切な運用」と、こう説明しておりますね。ですから、国内生産で不足する分を輸入するのならわかるけれども、輸入の方もどんどんふやしながら、いまおっしゃったように、お米なんかと違って消費はあるんですから、何で国内の生産調整をしなきゃならないんですか。しかも、金かけて、どんどん生産をふやせ、ふやせという政策をやっていながら。
#167
○政府委員(杉山克己君) 端的に申し上げますと、国内生産の乳製品と、それから輸入にかかる乳製品との間には、物の違い、需給事情、それだけでなしに品質一般の、あるいは技術上の違いといったようなものがあって輸入せざるを得ないという事情があるわけでございます。一般的に、国内生産を保護するという立場から、乳製品の輸入につきましては、まず大部分の乳製品を非自由化品目といたしております。
 それから、主要な乳製品につきましては、畜産振興事業団の一元輸入品目としておりまして、その輸入については、国内の状況を見ながら適切に運用するということにいたしております。それから、輸入が自由化されている品目が一部あるわけでございますが、最初に申し上げましたように、これは国内生産のものと事情が異なる。具体的に申し上げますというと、たとえば乳糖、カゼインのように国内では全く生産がなされていないもの、それから国内供給では技術面なり品質面でもって需要に十分対応できないもの、ナチュラルチーズのようなものでございます。こういった品目につきまして、それからまた、これは畜産農家自身が使うものでございますが、えさ用の脱脂粉乳、これらにつきましては一部輸入が認められておる、そしてその輸入量は確かに年々増大はしてまいっているわけでございます。
 ただ、いま申し上げましたような事情からいたしますというと、輸入の抑制を図るということ自体が国際的な状況のもと、なかなか困難でございますが、仮にそのようなことを行ったといたしましても、現実にその需要が国内生産にすぐに取ってかわられるというようなものではないというふうに理解いたしております。不必要な輸入をしないよう、今後ともできるだけ国内産のものをたくさん使うようにという基本方針に立ってはおりますが、いま申し上げましたような状況から輸入せざるを得ないものについては、これは輸入を図っていくということはやむを得ないところであろうと考えております。
#168
○丸谷金保君 理解しているのは、あなたが理解されていても困るんですよね。あなたはここで、ちゃんと国内生産で不足する分を輸入すると言っているんですから。ただ、いまの答弁ではそうでないでしょう。いろいろなほかとの関係があるから輸入せざるを得ないと。カゼインやなんかはわかりますよ、それはごく一部のもので。粉乳なんか、あなた、脱脂粉乳なんといったって、向こうじゃえさ用も食用も区別はないんですよ。同じものです。そうでしょう。そうすると、こちらでできるものを、なぜ余分にさらに輸入しなければならないのか。輸入するのなら、なぜこんなことを言うんですか。
#169
○政府委員(杉山克己君) 国内生産で不足するものという、その定義の中身いかんということになろうかと思いますが、たとえば飼料用の脱脂粉乳でございます。これは乳量換算で言いますというと、五十三年に八十万六千トン輸入いたしております。大変に大きな数量でございます。これは酪農家も含めまして、畜産農家が安いえさを必要とするということから、いま一般に穀物飼料等については無税でもってこれを輸入を認めておるわけでございます。そのほか、大豆かすでありますとか、ミールでありますとか、こういったものを飼料に使うわけでございますが、その飼料の間には代替性がございます。国際的な脱脂粉乳価格が国際的過剰のもとに著しく安くなったということで、ミールとか大豆かすを押しのけてこういったものが入ってくるという事情があるわけでございます。
 これは、仮にこのものの輸入を規制いたしましても、国内産の脱脂粉乳は価格が一対五ぐらいできわめて高いというような関係から、この飼料用の需要には対応し得ない。むしろ、この輸入を規制いたしました場合は、ほかの大豆かすなりミールに需要が移るというような状況にあるわけでございます。
 そういう意味で、私ども単純な物理的な数字だけの上でなく、そういう実態的な関係から、国内産で不足するものということについての判断をいたしておるわけでございます。
#170
○丸谷金保君 いろいろいまおっしゃいましたけれども、国内で牛乳が余っているから生産調整しなきゃならぬというときに、いまの最後に、国内で不足するものについて輸入するのはやむを得ないと思っていますという答弁、ちょっと食い違っていませんか。もう一回ちょっと、何かわからないんです、途中からだんだんだんだんと話がUターンしちゃって。
#171
○政府委員(杉山克己君) 国内で輸入している乳製品いろいろありますが、一番大きなものはチーズと並んで脱脂粉乳のえさ用のものがあるわけでございます。このえさ用のものは、むしろ大豆かすとかミールの代替として輸入されているということを申し上げたわけでございます。したがいまして、国内産でできた脱脂粉乳のマーケットを侵害しているとか、それを押さえ込んでいるというものではない。この輸入を仮にやめましても――やめること自体がきわめてむずかしい話ではございますが、仮にやめましても、それは国内産の脱脂粉乳の需要がふえるということにはならないということを申し上げたわけでございます。
#172
○丸谷金保君 何ぼ聞いてもわからないんですがね。どうしてふえることにならないんですか。同じものでしょう。それだけよけい輸入しなかったら、国内のものが使えるわけです。簡単なことでしょう。制度の上でそういうふうにならないということであって、そういう制度は、生産調整なんかしないで制度の方を変えていけばいいじゃないですか。それを国内の脱脂粉乳を消費するということにならないと言ったって、余っているんですよ。何ぼいまの説明を聞いても、余っているのに買わなければならない理由にはならぬと思うのです。値段が安いからということも理由の一つなんですか。
#173
○政府委員(杉山克己君) 経済的な関係が一番基本的にございます。外国からの輸入します飼料用脱粉は一トン当たり――相場でございますからときどき変動がございますが、おおむね十万円そこそこでございます。国内産の脱脂粉乳は四十五万円あるいは五十万円近くというような、四、五倍のコストになります。したがいまして、飼料用脱粉として国内産のものは供給し得るような状況にはないということを申し上げておるわけでございます。
#174
○丸谷金保君 そうすると、値段が安いからやむを得ないと。それは、飼料用の脱粉について言えば言えますわね。しかし、その他の乳製品を相当輸入しておりますわね。
 これらについて、ちょっと畜産事業団に聞きたいんですが、畜産事業団の目的の一つに、そういう国内と国外との酪農製品その他の価格の調整機能を行うというふうに考えておりますが、いかがでございますか。
#175
○参考人(太田康二君) おっしゃるとおり、私どもは国内の乳製品につきまして定められる安定指標価格というものがございます。この不足払い制度におきましては、私どもの任務はこの安定指標価格を守ると、ここがすべて制度の出発点になっておりますので、これを守るというところが任務になっておりまして、したがいまして、国内の価格が脱脂粉乳とかバターの安定指標価格に対して九〇%を割ったときには要求に応じて買い上げる。また逆に、一〇四%を超えるおそれがある、あるいは超えるというような場合には、手持ちの脱粉、バターでございますればこれを放出する。あるいはバター、脱粉等輸入いたしまして、これを放出して安定指標価格を実現するようにするというのが、私どもの主要な任務であることは間違いございません。
#176
○丸谷金保君 そうしますと、いま価格のいろんな問題ありますわね。そうすると、脱粉以外のものについてはそういう調整機能の中でこんなに輸入しないで、二十万トンかそこらの余った牛乳の処理を生産調整なんて言わないでやれるんじゃないですか。どうなんです。なぜそれをやらないんですか。
#177
○政府委員(杉山克己君) 食用のバターあるいは食用の脱脂粉乳、これらにつきましては、いま事業団の理事長もお答え申し上げましたように、ある程度の価格調整を行いながら国内産をもって充てるということは可能でございますし、現にここ二年ほどバター、それから食用脱脂粉乳については輸入をいたさない、そして国内産のものをもっぱら消費に充てている。ただ、それでも市場のバターあるいは脱脂粉乳の在庫が著しくふえてきたということから、昨年それからまた本年三月、引き続いてバター及び脱脂粉乳の買い上げを行って市価の調整をいたしたところでございます。
 そこで、そういう事業団が管理する対象の乳製品はよろしいのでございますが、それ以外の自由化されているナチュラルチーズでありますとか、あるいは調製食用脂でありますとか、ココア調整品といったものがその次の問題になるのかと存じます。私ども、特にチーズの需要が最近大きくふえてまいっております。輸入も乳量換算で九十四、五万トンも入ってくるというような状況でございますので、もちろん国産のチーズも一部出てはおりますが、量的にはきわめてまだ小さい分野でございますので、できるだけ国産チーズも生産を奨励して、これをできるだけ国内産をもって充てるようにしてまいりたいというふうには考えておるわけでございます。ただ、これは技術的、経済的な問題のほか、需要する側の嗜好という問題もありまして、なかなかいまのままでは輸入に競争し得て国内産が対抗できるというような状況にはございません。そういうむずかしい状況のもとではございますが、生産者団体等におきましてもチーズの生産、国内産をもって充てることに今後努力を進めたいという意向もあるやに聞いておりますので、私どももそういった方向は育てるように努力してまいりたいというふうに考えております。
 それから、調製食用脂なりココア調製品、いわゆる擬装乳製品と言われるものですが、これが私どもが決めておりますところの基準、規格というものを超えてといいますか、それ以上に脱脂粉乳あるいは全粉乳がよけい入ってきた、規格違反のものが入ってくるということになりますればこれは問題でございます。そういったものに対しては十分監視を厳格にする、それから関係団体の自粛を要請するというようなことで、余分なものの入ることのないように指導してまいりたいというように考えております。
#178
○丸谷金保君 畜産局長さん、非常に御丁寧に御答弁くださるので、どうしてもいつも時間をとって、これはやはり一日ゆっくり六時間ぐらいかけてやらないと、なかなか問題点が明確に浮き彫りにできないんじゃないかという気も、実はいま御説明を大変御親切にしていただくので、痛感した次第でございます。
 それで大臣にお願いいたしますが、現在生産者団体が生産調整と、これは決して農林水産省からの強制ではない、あくまで自主的なものと思いますので、かりそめにもこの生産者団体の自主調整が予定どおりにいかなくても、ペナルティーをかけるようなことだけはぜひしないでいただきたいし、また、そのような雰囲気を醸し出すような発言を、大臣からひとつできるだけしないようにお願いいたしたい。
 と申しますのは、いろいろございますが、特にそのうちで、たとえば消費の拡大を中央酪農会議が提案しております。その中に、たとえば生後三カ月程度までの保育牛に生乳を飲ませるというふうな案もあるんです。これは内地の方はいいのですが、北海道なんかの場合には、実際そんなことをやっていたら牛は大変なんです。ホワイトミールつくるならいいですけれども、乳牛をつくる場合には骨格ができなくなってしまって、いろいろこれは長く飲ませると問題がある。生産者の方では、そういうことでやらされていたら次の代の牛づくりができなくなってしまうんじゃないかという問題が一点。
 それから、最近転作奨励によって、内地の方に北海道からどんどん乳牛が流れております。昔は分娩一カ月前くらいのやつを持っていってすぐ分娩してしほったのですが、このごろはそれがもう内地のあれが五月腹、六月腹、ひどいのになると九カ月も前から、懐妊すると直ちに買っていくというようなことで、どんどん流れてきております。そういう形で、牛乳のふえているのは、一方では農林水産省が、先ほど申しましたように、どんどんふやす方へ一生懸命やってくださっております。それと、それからそういうふうな米の転作で内地の農村でもどんどん牛乳がふえてきている。だから、こういうことのしわ寄せを、国が奨励して裏負担もあるから農民も借金をして、たとえばスチールサイロが五十四年で北海道で七十基もできます。何千万もするサイロです。こういう補助金をどんどん出しながら、北海道の牛乳が余ったといって米のようなことにして、北海道の牛乳をむちゃくちゃに押さえ込むような生産調整をひとつやらないような行政指導をお願いいたしたいと思います。
 御要望を申し上げて、時間でございますので質問を終わります。大臣から、御所見をひとつ最後の段階で承りたい。
#179
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私どもといたしましては、ペナルティーをかけるというようなことは言っておりません。ただ、この限度数量の問題は、これは限度数量ですから、それをオーバーしたものにつきましては、これは限度数量をふやしてくれと言ってもそれはできませんよということは、はっきり申し上げております。したがって、限度数量をオーバーした分は二十何円か安くなるわけですからね。それで採算がとれるかとれないかというものは向こうの判断ですから、そこで団体としても採算がとれないようなことをやっても仕方がないしするから、いろいろと工夫して、余りえさを食べさしたり何かしてもこれもどうかと思うというようなことなので、それぞれ御研究になってやっておるようであります。
 なお、北海道の農村にもっと牛乳を売りたいのだというようなことで、ホクレンなどからは別な意味で、北海道だけに限ってロングライフのミルクを認めてくれないかとかいう要請はいろいろ受けておりますので、消費の拡大ということについては今後とも一緒に勉強してまいりたいと思っております。
#180
○青井政美君 私も、きょう食酢の問題と農政全体の問題について、大臣以下関係の方々にお尋ねをいたしたいと思うのでございます。
 まず最初に、酢の問題でございます。午前中の参考人の御意見等を拝聴し、さらに丸谷委員から詳細な御質問その他等がございましたので、私はやはり今回関係の専門委員の方々初め消費者の専門委員の方々の御苦労によりましてのJASマークというものが決定せられ、告示をしようという状況でございまして、それぞれの問題を静かに検討いたしましても、まだまだ非常に問題が多いのじゃないかということが痛感されるわけでございまして、今後の対応といたしまして、この規格及び品質表示基準案の今後の取り扱いの問題については、やはり国民から、それぞれの立場から信頼されるような環境と条件づくりをしなければならないと思うのでございます。したがいまして、そういう意味の中で特に大きな問題は、やはり速醸と静置醸造の問題の今後のあるべき姿というものを、もう一度やはり御検討の機会をつくっていただくということを考えなければならないのじゃないかということが一点でございます。
 いま一点は、御承知のように、六百五十社という食酢メーカーがある中で、そのうち五社で六七・三%のシェアを持つという実態でございます。このことが、やはり中小企業として販売合戦に進んでまいりますときに、JASの規格のない製品を販売する中小企業のメーカーが将来存続するのかどうか。あるいは私自身がやはり勉強が足りないので、少なくてもやはりそれぞれの特色があってやっていけるということにもつながるのかとも思うのでございます。何分にもやはり大きい問題でございますし、また今日の日本の国民の食生活の変更の中で、特に食酢の利用というものは、いままでの考え方よりはより積極的に、より行政の面も配慮しなけりゃならないのじゃないかと思うのでございます。規格に足らないからほっといても売れぬじゃないかということも、一つの便法であり方法であると思うのでございますが、何と申しましても、やはり規格が生まれて、それぞれのJASマークの入った商品としからざるものは、酢の世界においても私は同じことが言えるのじゃなかろうか。
 こういった点を考えてみますときに、やはり行政というサイドから考えてみますときには、やはり失業者なり倒産者なり出さないような配慮というものも、このJAS規格がそういう運命を持ってくるとは思いませんが、趨勢のおもむくところ、やはりこの問題が政治としてとらえなけりゃならない一つの問題ではないかと思うのでございまして、御担当の局長さん以下関係の方々、それぞれ御苦心をしておるということについては十分敬意を払うのでございまするが、いま申し上げましたように、悪い言葉で言うならば寡占メーカーだけがうまくいけるんじゃないかという問題は、速醸の問題なり静置の問題を考えてみたときに、より選択性もあり、より価格の上昇もございましても、やはり一つの大きな判断の分かれ道があるんじゃないかということが考えられるわけでございます。
 いま一面は、御承知のように、より米の消費拡大の一翼としてこの問題も大きく取り上げることが、一億国民の保健の上から考えてみましても、やはり合成に近い速醸で生まれた酢というものは、ある時期まではいいかもわかりませんが、ある時期がたつならばその価値はなくなる。そのときにも、素人はそれでよいという判断をするということになりますと、やはり国民保健の上から考えてみましても一つの問題だということが考えられますので、私は詳細は省きますが、以上の問題点について農林水産省の見解を伺っておきたいと思うのでございます。
#181
○政府委員(犬伏孝治君) 今回のJASの規格及び品質表示基準につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、十分な時間をかけて各方面の意見を聴取しながら検討をしてまいったわけでございます。午前中参考人の意見にもございましたように、結論的には、酢の品質なり表示の現状からいたしまして、できるだけ早く現在考えている案で実施すべきであるということが、お三方ともそういうことでございました。私どもといたしましては、やはり酢の製造、流通あるいは品質の実態、消費の実態からいたしまして、できるだけ早くJAS規格、品質表示基準を制定すべきであるという基本的な考え方に立ちたいと考えております。
 御指摘のございました点につきましては、業界なり消費者の方から、直ちにそれを適用することについてはむずかしいという実態があるということも承知をいたしておりまして、必要な経過措置を設けながら実施をしていく、さらに、今後JAS規格、品質表示基準を実行した後におきまして、当然、製造、流通の実態を十分調査しながら、改善をしていくということにさしていただきたいというふうに考えております。
 米の消費の問題につきましては、米酢において米ができるだけ多く使われるように今後指導してまいりたいと考えております。
 それから、静置、速醸の問題につきましても、向後十分調査をしていきたい。それで、先ほどお答え申し上げなかったのでございますが、現在静置で醸造というふうな表示をいたしておりますのは、全国数百社の中で三社が行っております。その中で米を使っているものとアルコールを加えてつくっているものという両方がございますが、この三社、数は少のうございますが、やはり実情をよく調べながら対処をしてまいりたいと考えております。
#182
○青井政美君 局長さんのお話で一応了承できたわけでございますが、基本的には御承知のように、添加物の多いものからよりよい酢が生まれるということは、私は素人ですが考えられないのでございます。その意味において、よりよき質のものが国民のために役に立つようなことを、やはり今後の問題として御配慮をいただきたいというふうにお願いを申し上げまして、酢の問題につきましてはこの程度にいたしたいと思うのでございます。
 引き続きまして、農林水産大臣を前にして農政のいろいろ御議論をする私はつもりはございませんが、御承知のように、日本の農業というものが世界的な中で非常に大きな問題がございますし、国の農林行政という立場の中にも、いろいろ御配慮願いながら進めてまいってきたことは御承知のとおりでございますが、やはりアメリカから農産物の自由化その他等、あるいは日本全体の経済の発展のための一つの問題点として、いま非常に大きく農業をめぐるもろもろの問題点について農林水産省も、あるいはわれわれ自由民主党も、さらにまた、それぞれの諸団体の関係の方々も、それぞれの立場で国策と国民の負託にこたえられるようなものを考えていこうという努力をいたしておることは御承知のとおりでございますが、何と申しましても、やはり農産物の需給という問題を離れての理想の議論というものはなし得ないということは、私が申し上げるまでもないかと思うのでございます。
 ただ、一口に言えますことは、やはり農業協同組合がそれぞれの立場で、国のそれぞれの農林行政諸施策に対し、権限も意見も注文もつけておるかと思いますが、また反面、行政サイドに協力するというもろもろの仕事をしてまいってきたことも、大臣も認めるだろうと思うのでございます。また、私どももそのような方向で各関係の者が協力いたしてまいったのでございます。
 いま、日本の農業をめぐる大きい問題は、何と申しましても、やはり米のあるべき姿というものと、農家生活をいかにするかというこの二つの問題がうまくまいらなければなかなかうまくまいらない。しかし、それがためには、全国の農民を相手にして議論をするというわけにはまいらない。その意味におきましては、やはり全国の農業組織でございます全中なり、あるいは全農なりその他の関係機関が、従来からも皆さん方とともに仕事を進めてまいってきたわけでございまするが、半分はできて半分ができぬとか、八割できたが二割ができぬといいますか、多少の見解の相違もございますし、意思の疎通も図れなかったという問題点等もあったかと思うのでございまして、いわゆる米価の算定方式の問題を一つ取り上げましても、八〇%のバルクライン方式の問題なり、必要生産量の生産費の問題なり、昨年から新しく必要生産費に基づく米価の算定方式というように、必要に応じてある意味ではそういう方向もいいのじゃないかと思うわけでございます。
 しかし、やはり一方通行でそういう問題の意思決定をなさるというよりは、農業団体の幹部と行政庁における関係者とが、いろいろな立場で角度をかえてそうして議論をすることによって、私は前進と発展と日本の農業に対する貢献度はより以上増すのじゃないか、こんなふうに思うわけでございますが、特にやはり需給の問題というものを進めていきます上におきまして、それぞれの立場におきましては、御承知のようにミカンの問題を通じてどう考える、あるいは牛乳の問題を通じてどう考える、さらに鶏卵の問題を通じてどう考えるというふうに、それぞれの横の問題は考えられておるわけでございまするが、農民自身の一年間の所得なり農民自身の生活という問題点とのつながりにおきましては、それぞれの品目別の行政指導で果たして農家が安心して生活ができるかということを考えてみますときには、非常に大きい問題がございますわけでありまして、少なくともやはり七百万トンという過剰農産物を抱えるという実態から見ますならば、当然の生産調整もあり得ることでございます。
 また、私ども団体も、国が考えておるより一割オーバーしてやっていこうというふうに基本政策は決めておるのでございまするが、その基本政策だけを取り上げて、温い行政指導としての内容をやはり全国連とのつながりの中にも、去年もこのような問題を申し上げて、去年も御承知のように四回やったか五回やったか忘れましたが、やはり関係者が相互においてそれぞれの立場で議論を闘わして、最終的にはそのように必要生産費方式によって進めるという問題は、事前に報告をせずにぎりぎりに来て話をしたというような経過もあるわけでございますが、一応農業協同組合が日本の農業の自主団体という一つのプライドもございます。
 したがいまして、指導するときには指導のできやすい状況というものが、やはりテーブルの上で議論を闘わし、そうして最終結論を得て、それを全国のそれぞれの組織を通じて国の行政に協力のできるようなことに、問題を考えなくちゃならないかと思うのでございます。
 このことは、一面を申し上げますと、やはり生活という問題につながるわけでございまして、やはり米をどうするかという問題と同じように、国内で生まれるそれぞれの銘柄別の生産予測というものを十分、五年先、中期なら中期としての計画というものが、お互いが考えやすい状況の中でやらなければ問題が多いと思うわけでございますし、また、現在までそれぞれ断片的に各関係者の方々の御指導によって部分的に進んでおるのでございまするが、やはりより友好的な大きな団体としての力がまとまるような方向での農政転換というものが、農林水産省と農業団体との信頼関係をより助長し、そうしてよりうまくいけるのじゃなかろうかというふうに思うのでございまして、この問題につきましては、まことに僭越でございますが、大臣からひとつ御答弁を賜りたいと思うのでございます。
#183
○国務大臣(渡辺美智雄君) 青井先生のお話ごもっともでございまして、私は就任以来、農業団体とはなるべく数多く接触をして、お互いに忌憚のない意見の交換をやりましょうということを申してきております。それで、できるだけ私も会っておりますし、農業団体からもひとつどんどん議論を政府にふっかけてくださいと、農林水産省の方からも農業団体には言うべきことはどんどん言って、それでお互いにひとつ議論をして、まあそれしかないなという一致点を見出そうじゃありませんかということを方針にしておるわけです。
 そこで、私が言っておるのは、農業といえどもやっぱり日本全体から見ると一つの産業であって、これは産業である以上、日本経済と無関係というわけにはいかない、日本の経済と密接な関係を持っておるし、日本の経済は世界の経済とこれは密接な関係を持っておるのですよと、こういうことで、ひとつまず同じ認識に立つ必要がある。
 第二番目は、何といっても農産物も産業でつくられる産物ですから、これは無償で提供するものではないし、当然有効な需要がつかなければなりませんよと、商品的な性格がきわめて強いということもこれも御認識をいただかなければならぬ、こういうような認識と、われわれは農業の保護はうんといたしますが、だからといって、一方、消費者の方は、安いものがあっていいものがあれば何も国内だけでなくたっていいという強い要望もあることも事実ですから、しかしそれはちょっとお待ちなさいと、まず国内でできるものは国内でつくるのですからということで、われわれは一方説得もしておりますと、したがって国内産のものについては、できるだけ低コストでできるように政府と一緒になって生産性の向上を図っていきましょうということなどなど、基本問題についてやっぱり意見が全然違うというのではこれはもう西と東の話ですからだめだと。
 そういうところで大体意見が合えば、私はおのずから解決の手法というものについてはそう右と左ほど違わない、大体の方角は一緒だ、立場が違うから多少の違いはそれはありましても、私は一緒の方向にいけるじゃありませんかということになりまして、まして政府が直接作業をするわけじゃないのであって、個々の農家の方が実際は実務に従事されるわけですから、それを統括し、その代表となってこられておる農業団体の幹部の諸君とは、それは農民の代表としてわれわれは付き合っておるわけですから、ひとつざっくばらんに話ししましょうということで、懇談会の席でも私的にもいろいろ実は話し合いをしております。
 したがって、やぶから棒の問題が出てくるようなことはありません。大体私の方で考えていることは、この間の懇談会でもざっくばらんにみんな申し上げておりますし、向こうの方は直ちに賛成しがたいものもありましょうが、賛成のものもたくさんございます。そういうようなことで、たとえば米価の算定方式というようなことについても、基本的な大きな計算の仕方が毎年違うというのはそれは困るでしょうなと。しかしながら、この米過剰のような、現在の過剰米も処理しなきゃならない状態のもとでは、去年の方式を大きく変えるというようなことは考えられない。まあ多少のことは違いがあるかもしらぬが、去年の方式というものを踏襲した方がいいのじゃないでしょうかねというようなことは、私は申し上げて実はおるわけであります。それに対するお答えをいただいたわけじゃありませんが、そういうことで、政府が打ち出す政策が寝耳に水というようなことは少なくともないように、お互いの信頼の問題でありますから、できるだけ話し合いを多くして理解を深めてまいりたいと考えております。
#184
○青井政美君 大臣が、日ごろそのような意味合いでのそれぞれの措置をされておることにつきましては、私も敬意を表する次第でございますし、また農業団体の幹部にも、日本の農業の現実の問題なり、あるいは財界等から米の問題についてのいろいろな御意見あるいは労働者団体等からもやはりそういう意味における意見等もございますし、そういう問題については十分考えられておるのでございますが、昨年のときは御承知のように、必要量の生産方式というものが出てきたということが、その過程の中では議論にならなかったということが、やはり信頼問題に対する一つの問題点として残ったようでございまして、いわばいま全体を通じて日本の農業がそれぞれの立場から考えなければならないことはもとよりでございますし、やはり五年計画なり、あるいは六十年の見通しの問題についていろいろ私どもも勉強をいたしておりますし、生産者自身も考えておりますし、また今後のみずからの生活の問題も考えながら仕事を進めてきておるのでございます。
 またぞろ、そういうことがあったらどうかというような問題点、国際価格の中で日本の農業がどのような形になっておるという問題は、農民はそれほど理解がない人もあるかもわかりませんけれども、御承知のように、全国機関の関係者といたしましては、スムーズに日本の農業というものの位置づけをやはり積極的にやってまいりたいということでございまして、ここでまた、少なくとも生産者の米価大会が進むという中身にも、価格の問題より政策先行で物を考えていきたいということを特に言っておるわけでございまして、少なくともことしはこうじゃが来年はどうじゃと、あるいは再来年はどうなるかというような正確なものでなくても、計画的にやはりそういう形のものが、農業を進めていく上においても非常に大きい問題だと思うのでございますし、御承知のように、品質格差の問題も早くから日程に上りながら、できたり、あるいは実現しなかったりということを繰り返してきておるわけでございます。
 やはり品質格差の問題を考えるということになりますならば、少なくとも種もみ時代から温かい行政指導をしなけりゃ、もう済んだ後にやりおるという状況の中で、もともとそのような環境と条件のところと、しからざるところとの取り扱いに対する愛情というものが、一つの私は問題になろうかと思うのでございまして、やはり転作その他等の問題も経済的にはいろいろな形でお骨折りをいただいておるわけですけれども、精神的にはやはりそういう問題は、おまえのところで勝手に考えたらいいんじゃという形のものにならないように、米の転作をしていくといっても、その農家の生活というものは同じことなんでございます。しかし、なるべく国策に協力するような体制に持っていこうという以上は、やはりいままで経済的なそれぞれの補助施策というものについてはいろいろ考えられておるけれども、もう少し農協というものを信頼し、そして農協が自主的に決めて出てきておる問題については、やはり行政がそれぞれの立場から裏づけのできるようなことを考えていかなくちゃならないということなり、やはりその問題は米がことしは多いから何ぼできても安いのだという計算だけでは、納得しがたいのじゃないかということでございます。
 米は安いが、その他の転作諸施策というものは、昨年も御承知のようにいろいろな方法で努力をして、曲がりなりにもでき上がってきたわけでございますが、より加速度的に転作をしなくちゃならないという全体の農民の姿を見ますときには、なかなか言葉の上で議論ができるという状況でございません。また、米の回復によって農家の経済が維持ができるという環境と条件というものは、ここ当分困難なのじゃないかということを考えてみますときには、やはりもう少し早目にそれぞれの長期予測に関する問題が、一つ一つの問題じゃなくて、ともすれば、やはり食管の赤字という名において隠れてしまうという場合が、いままでの施策の中には多く考えられてきたのでございます。
 しかし、食管が赤字であるとか黒字であるとかいうことと農家の生活というものとは同じことではないわけでございまして、その辺に政治というものの介在があり、また社会全体からのいろいろ労働対価との見合いもありましょうし、また国政全体の中から、農業がどのような姿にいくかという問題を一面取り上げましても、やはり大きな問題がございます。
 これだけの大きい問題を、一日や二日や三日で議論をするというような形で、私はうまく議論ができるというふうには考えておらないのでございまするが、特に私に、本日質問をせいという要請の中は、大臣、いわゆる農業団体の中堅幹部から、特にやはり日本の農業を憂え、日本の農村というものをよりよきものにしたいという熱のあるメンバーの連中が、特に大臣に訴えてやってもらいたいというふうな御要請があってやってまいったわけでございまして、一つ一つの品目の問題、一つ一つの問題のよいとか悪いとかいう議論を申し上げようとは思いません。
 ただ、先ほども申し上げましたように、農業団体にも、米の問題だからと言えば米の団体だけやってくる、麦と言えば麦の担当者が来る、野菜と言えば野菜が来るということだけでは、本当の日本の農業なり農家所得というものはよくならないということでございますから、大臣の部下のそれぞれの部課長が全面的なテーブルに着いて、農業団体の方もそれぞれの金融から生産、流通、加工に至るまでこうあるべきだ、ことしはまだできていないが来年はこうしたい、あるいは再来年はこうしたいというようなものを、やはりそれぞれの立場で考えていただきたい。その問題が、何と申しましても農政の第一歩は米の問題でございます。やはり非常に大きい問題がございますし、このアンバランスの調整の問題にいたしましても、牛乳の場合も、ミカンの場合も、それぞれ皆自主調整で一年や二年は貯金でやれるにしましても、この姿が五年続く、十年続くという姿での農業はどうあるべきか。
 いま、団体なり財界なり労働組合からもいろんな姿で批判を受けておりますが、孤立無援の農協という、あるいは孤立無援の農業ということになりますならば、またわが道を行くということは、必ずしも行政の面から見ても私は好ましい結果が生まれることではなく、また違った角度における政治というものがやはり要請せられるということになろうかと思うのでございまして、その辺の問題はどのように御理解願うか。いままでもいろいろな形のものが、こう山で上がって、また一難去ったらまたすっと落ちる、また一難去ったらまた来る、私は三十年の足取りを静かに考えてみますときには、やはりやむを得ぬ。私もそういうことはある意味においては理解ができますが、一百姓という姿で三十年間の小さい経営をしておる人間から考えてみますときに、果たして日本には農政があるのかどうかという問題にまで突き詰めて考える連中があろうかと思います。
 与党の議員としては非礼なことを申し上げてまことに恐縮でございまするが、以上のような観点でのひとつ御決意なり、団体に対するいままでの――私に言わせれば、やはり集まってテーブルに着いて話をするということだけでなくて、団体の悪いところはどんどんおしかりになって御指導いただくという姿で、また、団体からいやなことを言われてもその問題もやはり謙虚に受けとめてそして検討してみるという、こういったことを繰り返し繰り返しやることによって、私は日本経済の発展なり、いま自由化の波の中での日本の農業がどうなるかということにも、私は大きな使命も持ち、また自覚もすると思うのでございまして、その点よろしくお願いしたいと思います。
#185
○国務大臣(渡辺美智雄君) 農政に対しまして一つの方向を打ち出して、夢と希望を与えろというお話だと思います、かいつまんで申し上げますと。私は全くそのとおりだと思っております。
 私は、日本の農業が暗いということを言う人がありますが、私は全体として、あり方としては決して暗くないというように考えておるわけです。御承知のとおり、日本は一億一千万からの人間がおって大消費地であります。それは五億も十億もいるインドとか中国もありますが、インドや中国に世界じゅうから品物を持っていって殺到して売りたいなんという国はどこもありませんでして、日本には持ってきて売りたい国ばかりだ。ということは、これはそれだけの消費があるということですから、消費があるということは、生産された物が、消費者に向く物をつくれば売れるということです。
 ですから私は、これは消費者が変われば変わったに応じて生産をしたらいいのじゃないか。現実の問題として、一粒二百円のミカンを売っている国は日本ぐらいしか私は知らないのでありまして、そういう物がどんどん売れるということは、日本では消費者が所得水準が高いと、それから外国からの輸入についてもこれは輸入制限をやっておるということで、消費者には申しわけない話だけれども、生産者にとってはやっぱりメリットのある話でございます。したがって、こういうように、もう消費者の理解が得られる限界において生産者の保護というものは今後も続けてまいりますよと、そのかわり生産者の方も生産性の高い農業をつくるようにやりましょうということを言っておるわけであります。
 一番日本の農業の中で問題になるのは、土地問題であります。農業基本法がつくられてさっぱり前へ出ないじゃないかということを言われますが、私は全部出ないと思っておらぬのです。農業基本法は、それなりのかなりの役目を果たしておると私は思っております。たとえば、北海道における酪農なんというのは、私は一番いいその例じゃないのか。あるいは栃木県の私のところにおける日光イチゴなんというのは、これは特産物ではございますが、あっという間に、たった十五年ぐらいであれだけの市場のシェアを持つようになったというようなことも、選択的拡大であって、これも一つのりっぱな例で、数えれば幾つも私はそういう問題があるし、そういうことはやっぱり時代の消費者の動向に即した物をこしらえたからだということが言えるのじゃないか。
 一番問題は、私は、大規模農家ができないと、その点だろうと思います。これにつきましては、いわゆる農地法上のいろんな問題がございまして、土地が非常な財産価値を持っておるという現段階において、なかなか買うと言ってもべらぼうな高い金になるし、貸すと言ってもなかなか返ってこないという心配もあるしということになれば、本当は第一種、第二種兼業で三分の二というような状態になっても――実は、二種兼業農家などでは土地を貸している人も私たくさん知っています。知っていますが、貸したら最後戻ってこないということは困る、それから約束した小作料が払ってもらえないことは困る、まして政府が強制買収なんて言い出したのじゃなお困るという心配をしておるわけであります。
 したがって、そういうような問題については、自作農創設という当時の現況と現在の現況は非常に違っているわけですね。したがって、これらも時代に合ったようなやっぱり見直しを一緒にやる必要があるのではないかというようなことで、新しい農政を、この低成長下に、世の中もかなり変わっておるわけですから、その変わった世の中に、やっぱり経済活動である以上は世の中に合わしていくということが私は必要だろう。そういうような点から、ざっくばらんにこれらも農業団体に私、腹を割って話しています。こういうことをやりたいと思っているのだと、ついては皆さんの方でも勉強してください、私の方でも勉強しますということで、ひとつことしの秋までには、高度経済成長オンリーのときの物の考え方と現在の世界情勢を踏まえた展望とはおのずから違うわけですから、これから十年先ぐらいのものを一応見通して、消費動向についてもその他の問題についても一遍洗い直しをしてまいりたいと、かように考えております。
#186
○青井政美君 もう渡辺大臣に対して何も申し上げることは私としてはなくて、その御決意と実際の実行とを今後期待したいと思うのでございます。
 ただ、私は、やはりいままでの農業というものがここまで伸びてきたということに対して、財界なり労働組合なりが米価の問題で批判をするという一部の考え方については、若干意見を持たざるを得ないと私は思うのでございます。それはなぜかといいますならば、やはり日本の産業が非常に伸びたということは、食糧が安定し生活がうまくいったということが、より以上日本人の全体の経済向上に役立ったわけでございまして、やはり農民にもそれだけのボーナスというもののバックペイはあってしかるべきじゃないかと思いながら、私は今日を迎えてきておるということが言えるかと思うのでございまして、一つ一つの価格について云々という問題を申し上げる前に、やはり国際価格というものと、いまの国民全体の中で何でも自分に都合のいい安い物さえあればそれがよいという風潮で、農業も一般機械化工業と同じような状況に物を考えておる国民の層が非常に大きくなってきておる。このことが、やはりややもすると食糧の需給の安定に大きな問題がある。
 端的に言いますならば、食管の赤字の七百万トンというものの数字がどのぐらい大きなものかという問題を考えてみますときに、たとえば適正在庫が二百万トンあるいは三百万トンだということでございますならば、あとの三百万トン、四百万トンの問題だけが日本の農業を暗くするという私は状況であってはならない。しかし、現実は現実としての考え方の中で、みんながともに苦しみ、厳しい現実というものを、前進を図るためにはどうあるべきかという問題を今後考えていきたいと思うのでございます。
 最後に、先ほど来お話がございましたので、私自身もまた団体の幹部に側面的にいろいろ助言をしてまいりたいと思うのでございまして、米の問題を初めといたしましてそれぞれの問題は、やはり法律に基づくもろもろの問題もございまするが、行政措置なり運用なりで、やはりその辺の方向転換可能の限界というものもあろうかと思うのでございまして、十分皆さん方の方でも呼びつけて議論をして、そうしてより厳しいこの農業の発展と農家生活が将来に安定していそしんでやれるような環境づくりを特にお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
#187
○相沢武彦君 最初に、きょう午前中参考人をお呼びして意見を交わしました食酢のJAS規格の問題につきまして、若干お伺いをしたいと思うんです。
 農林規格の中で食酢についてのJAS規格というものが今日までなかなか決めかねてきた理由と状況について、簡単に述べてください。
#188
○政府委員(犬伏孝治君) 先ほども申し上げましたとおり、食酢のJAS規格及び品質表示基準の設定につきましては、昭和五十年第一回の食酢専門委員会を開いて以来、数次の専門委員会等における検討審議を経た後に、五十三年十一月に最終的に案が決まったわけでございますが、このように長期間を要した理由といたしましては、一つは、食酢はわが国古来からの酸性調味料で、古い伝統に基づく製法が存在している反面、近代食品産業としての新しい技術によります高能率な製法が開発されて、この両者が併存をしておる。それからもう一つは、いま申し上げたことと関連するわけでございますが、多数の中小メーカーとそれから数の少ない大メーカーとに分化をいたしておりまして、技術面、経営面における格差が著しいということから、業界の内部の利害がなかなか調整しがたい状況であったということが、その理由でございます。
#189
○相沢武彦君 大臣、アイスコーヒーを飲んで目も覚めていると思いますので、若干この機会に食酢についてお互いに知識を深めておきたいと思って申し上げるんだけれども、私も酢については最近非常に関心を持ったのでして、元都立衛生研究所の柳沢文正さんという医学博士がいるんですが、この人の書いたものをいろいろ読んだりして、酢というのは大変大事なものだなと、そう思いまして、できるだけこれは良質の酢というものが市販されるようになっていかなきゃいけないということを思っているときに、このJAS規格の問題が出てきたんで、せっかく決めるならば、いい内容で消費者の方たちを守るという立場に立ったやはりJAS規格というものがぜひつくられなきやならないと、こういうことで、私もこの論議に加わったわけでございます。
 それで、人間の体液は弱アルカリ性にしているのが一番いいんだということですね。それで、食事もアルカリ性になる食品を上手に食べることが必要だと。ですから、野菜とか果物、こういったアルカリ性食品として健康を守る重要な役割りを占めているわけなんですが、酸性である酢がなぜ必要かというと、酢そのものは酸性なんだけれども、一たん体内に入るとアルカリ性に変わるんだと、そういうことで、酢というものは非常に調味料の一つとして、またアルカリ性食品の一つとして重要視されているということですね。
 それで、酢も醸造酢と合成酢とそれからそれをまぜ合わせた混合酢というものがある。
  〔理事山内一郎君退席、理事青井政美君着席〕
こういうふうに分かれているんですけれども、柳沢博士の話によりますと、体の調子のいいときというのは血液中のカルシウムイオンというのが増加して、血液や体液は弱アルカリ性になっておる。それから調子の悪いときというのは血液中のカルシウムイオンが減っていて、これを酢によって見ますと、醸造酢の場合は血液中のカルシウムイオンが増加して、合成酢の場合はカルシウムイオンが減ることがわかったと。混合酢でも、酢酸の割合が多いほどカルシウムイオンが減っている。したがって合成酢、これは体にかえって悪い影響が出てくるというデータが出ているんだと、こういうお話なんですね。
 そこで、今回JAS規格を決めるんですけれども、合成酢についてもJAS規格を決めなければならぬというのは、どうも私合点いかないんですね。午前中の参考人の、特に栄養改善普及会ですか、消費者の立場として近藤さんからもお話しあった、言う必要ないと思ったけれども、非常にもう少量しか出回っていない、いずれ消える運命だろうと、だから消費者の知恵に任せて、今回はこういうJAS規格であってもしょうないわと、こういうことでいこうというお話なんですけれども、これはやっぱりこの際せっかく決めるんだから、そういう人体に悪い影響があるということが――それは一部の学者かもしれないけれども、言われている以上、わざわざJAS規格言う必要はないのじゃないかと思うんですね。
 そこで、まずお伺いしておきますけれども、合成酢というものが製造されるに至ったきっかけ、これについて農林水産省からお答えください。
#190
○政府委員(犬伏孝治君) 合成酢がわが国においてつくられ始めましたのは、大正年間だとされております。しかし、実際に一般的につくられ、それが消費されておりますのは、昭和十年台の戦争中でございます。合成酢の現在の生産量は全体の生産量の中で三%程度、だんだん減ってまいっておる状況でございます。
#191
○相沢武彦君 各国では食酢の酢酸、氷酢酸ですね、これを量的に表示する義務を課しているわけなんですけれども、わが国ではどうなっているんですか。
#192
○政府委員(犬伏孝治君) 今回の告示案におきましては醸造酢と合成酢で、合成酢につきましては、合成酢そのものと、それから混合したものを含むわけでございますが、これを表示する義務を課するということにいたしております。
 それから、JAS規格の方におきましては、合成酢の規格は一般消費者向けの場合には醸造酢六割以上を含むものという規格にいたしておりまして、合成酢だけのものはJAS規格としては認めないということにいたしております。
#193
○相沢武彦君 合成酢というのは、化学的に合成された氷酢酸を薄めて、それにグルタミン酸やコハク酸などの化学調味料それからブドウ糖や人工甘味剤その他幾つかの食品添加物という薬品類を加えて人工的につくられたものだというのですが、主成分に当たる氷酢酸、これについて一体どんな性状の物なのか、御説明いただきたいと思います。これは厚生省ですか。
#194
○説明員(藤井正美君) 食品添加物として使われております氷酢酸並びに酢酸につきましては、食品添加物公定書におきまして基準並びに規格を定めております。氷酢酸につきましては純度九九%以上、いわゆる一%の不純物というのはほとんど水と考えられております。酢酸につきましては氷酢酸を水に溶かしたものでございまして、純度約三〇%の純酢酸を含んでおります。いずれも食品添加物として重金属、蒸発残留物等の規格を定めております。
 また、第二の御質問の酢酸の製造でございますが、現時点におきましては、エチレンを原料といたしましてアセトアルデヒドを経て酢酸に至っております。いずれも、酸化反応で酢酸に合成されております。
#195
○相沢武彦君 そういうことで、このアセチレンに水を加えてアセトアルデヒドにして、これに空気中の酸素で酸化してつくる刺激性の強い無色の液体なんだそうですが、この純粋のものは冬季摂氏十七度以下で凍るために氷酢酸と呼ばれているのだと思うんですが、この氷酢酸にアルミだとか鉄、鉛、銅、こういった金属を溶かして酢酸塩をつくるんですけれども、銅を溶かしてできたこの酢酸銅というのは殺虫剤に使用していますね。それから、銅を溶かしたこの酢酸銅は有害だと、こういうふうに言われているんですが、私の手元にある資料では、各国の食酢における酢酸の表示規定といいますか、使用規制というのがあるんですけれども、非常に各国とも氷酢酸のこの使用の規制というのは厳しくしているようですし、特に、イタリアなんかは一切禁止しているわけですね。
 そういう状況なんですが、現在三%程度に少なくはなっていますけれども、そろそろこれの使用についてもやっぱり厳しい規制をすべきじゃないだろうかと思うんです。食用に微量であっても常用していますと、やはり体に余りいい影響を持つものではないと、こういうふうに私、認識しているんですけれども、この合成酢の場合は、先ほど農林水産省説明のように、特に戦時中多くつくられたようでして、これは戦争中、大臣、食糧難になってきた、米は貴重な食糧である、そういったことで、お米が不足なときにお米をできるだけ使わないようにということで製造法をいろいろ工夫してできたのが合成酢だと思うんでして、現在お米は余ってきているわけですから、お米不足のときにつくって与えたこの合成酢をいつまでもそのままにしておくのじゃなくて、この際やはり、六割以上醸造酢が入らなきゃ認めないんだということになっていますけれど、思い切ってやはり合成酢は不必要なものとしてはっきりさした方がいいのじゃないかと思うんです。それについていかがですか。
#196
○政府委員(犬伏孝治君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、合成酢の生産実績三%程度でわずかでございますが、実際この製造をいたしておりますのは地方のきわめて零細なメーカーでございます。これを直ちに今回のJAS規格で一切認めないということにいたしますと、そういう零細な中小メーカーの方たちへの影響もございます。JAS規格そのものとしては、御指摘のように、できるだけ醸造酢、しかも純なものということをこいねがっておりますが、一方では、そういう実態があるということで、そういう実態を総合勘案いたしまして、今回の案では六〇%以上醸造酢を含むものということにいたしたのでございます。
#197
○相沢武彦君 ごく少数の零細企業に、いま急に全廃となりますと大きな影響があるんだという点はわからないわけではありませんけれども、なるべく短い期間に転換されるように、やはり強力な行政指導をすべきだと思うんですよ。大臣、先進国でこの酢酸酢というのは厳しい規制をしているわけですね。それはいま言いましたように、常用していますといつの間にか健康を損なうおそれがあるわけでして、特に、お年寄りとか子供、それから妊産婦の方には影響が大きいんだそうですよ。そういうわけで、主として何らの栄養的な価値もないんだし、しかも金属を溶かして有害な毒を出す氷酢酸を使用している合成酢というものを、やはりいつまでも食用に使用さしているということは、防腐剤とかあるいは着色剤、これよりももっともっと危険な食品なんだ、添加物だという観点に立って、ぜひとも近い将来にやめる方向で強力な行政指導をすべきであると思いますので、ぜひとも御検討いただきたいと思います。それについて、大臣からひとつお答え願いたい。
#198
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私ももっともな意見だと思います。世の中も大体そういうふうなことになってまいりまして、たとえば、四十五年度は三万キロリッターつくられておったのですが、五十年度は一万四千キロリッターで半分になって、五十二年度では八千キロリッターという非常にだんだん加速度的に少なくなっているということは、やっぱり世間の目も合成酢よりも醸造酢がいいということでしょう、結論は。したがって、私は外国の状況を詳しく知りませんが、学者や厚生省の意見も聞いて、本当に健康上余りプラスにならないのなら、だんだんやめていく方向に持っていったらいいじゃないかと、かように考えていますから、十分検討さしてもらいます。
#199
○相沢武彦君 それから、先ほど丸谷委員からも指摘の、原材料四十グラム以上ということで米酢の表示をするということですが、これについては、農林水産省としても農林水産省独自でこの品質の基準を高める方向で今後取り組んでいきたい、できるだけ米の量をたくさん一リットル当たりについて使うように指導して、指導が行き渡った時点でまたこの基準値を高めたいんだと、こうおっしゃっているんですが、大体どれぐらいの期間をお考えですか。
#200
○政府委員(犬伏孝治君) ただいま御指摘のように、できるだけ米の消費量をふやす方向で努力をしてまいりたいと考えておりますが、やはり原材料としての価格問題、それから消費者の嗜好の問題、御承知のように、米だけですと若干のぬかのにおいというものもございます。また、それがいいのだということもございますが、そういう消費者の嗜好の問題もございますので、
  〔理事青井政美君退席、理事山内一郎君着席〕
期間を限ってどのくらいということはなかなか申しにくいと存じますが、できるだけそういう方向で、たとえば消費者に対するいろんな啓発事業をやっておりますが、そういう中でのPRに努めていくというようなことで対処をしてまいりたいと考えております。
#201
○相沢武彦君 JAS規格を一遍つくってしまえばそれっきりというのじゃ困るんですよ。米だけだとぬかのにおいが云々と言いますが、米だけといったら一〇〇%という意味でしょう。四十グラムから倍ふやしたってまだまだ八十グラムで、一〇〇%米材料から比べればまだ低いわけですから、ある程度はっきり期間、目安をつけて指導していかないと、いつまでたっても変わらないということになっちゃうと思うんです。
 大臣、この米消費拡大という観点から一応数字をちょっと調べていただいたんですが、食糧庁の調査によりますと、五十三年度の政府売り渡し量、米酢関係で売り渡しているお米が玄米ベースで百十トン、破粋米で五百十八トン、計六百二十八トンという数字が出ているんです。そして、五十一年度に米酢の生産量、これが二万四千六十五、約二万四千キロリットルとして、そして一リットルについて四十グラムお米を使ったとして計算しますと、約一千トン米を使っているということになりますから、一千トンから六百二十八トン引いた三百七十二トンぐらいは政府売り渡し以外の低品位米、自主流通米が使用されたんだろうと、こういう予測がつきます。
 現在、大体この米酢関係で一千トンの米が消費されているだろうという、こういう推定をするわけですね。現在一リットル四十グラムの米の消費、これを一リットル八十グラム、倍にふやしてつくるとすると、さらに一千トン消費される、こういうことになります。それから、純米酢というのは一〇〇%米を使うんですけれども、酸度とかそれからエキス、これを何%出すかによってずいぶん原材料、米の一リットル当たりの消費量というものは違いが出てくる。最低で百二十グラムぐらい使っても純米酢ということもあるし、それから二百グラム近く使ってつくる純米酢も出てくるだろうし、そういう違いがあるとしても、少なくとも百二十グラムとして見て三倍になりますね、現在の。これで全部米酢をつくる場合に百二十グラムずつ米を使ったとすると、約三千トン程度の米の消費拡大が図れると、こういう計算が一応成り立つわけなんですがね。
 こういう点からしても、期間をあいまいにしたまま、そのうちそのうちというんでなくて、やはりもう少し強力に、米酢の場合は米を原料にできる限り量を多くしてつくるという方向で進むように、業界の皆さんとも懇談を重ねながら、ぜひそういう方向で指導していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#202
○国務大臣(渡辺美智雄君) 計算すればそういうことになるわけですが、これは国民の嗜好の問題もございますので、強制というわけには私はいかぬと思いますよ。現に、アルコール混入をする場合のメリットというものもあるらしいですから、全部米酢にしろと、こう言ってもなかなかそれはできぬでしょう。しかし、農林水産省とすれば、米をたくさん使ってもらった方がいい。しかし、これは値段が、コストが非常に高くつくという問題もございますので、消費者の嗜好と値段の関係ということになってまいりますが、酢のようなものはそんなにたくさん使うものじゃないし、比較的安いものですから、仮に値段が上がったとしても家計にそんなに響くということでもない。したがって、こういうような醸造酢がいいという風潮になってくれば、私は純米酢というものは相当売れるようになって、いま自然食品ブームでもあるし、私はだんだんに伸びていくということじゃないか。年次を決めて、政府が米を使わせるために何年度に幾ら何年度に幾らというようなわけには、民間がやるわけですから、これは言うべくしてなかなかできないだろうと。
 それから、先ほどの合成酢の場合も、これは私はできるだけなくした方がいいと思っていますが、禁止をするということはむずかしいようです。これは厚生省の、いま私はちょっとお医者さんに聞いてみたのですが、合成酢がもし有害ならば普通の酢も有害だと、こう言うわけですね。ですから、合成酢が有害だという根拠はないと言われますと、それは禁止をするということはわれわれとしてはなかなかできない。そこらの点はもう少し学問的に詰めていきたい。ただ、自然と米がたくさん使われる酢が普及するように行政指導はしてまいりたいと、こういうことであります。
#203
○相沢武彦君 それから、表示の点でちょっとお伺いしておきますけれども、消費者の皆さんは、このエキス分が何%だとかなんとかということよりも、化学調味料、いわゆる添加物が入っているのか入ってないのかということの方が問題にされるのじゃないかと思うんですよ。ですから、表示の場合に原材料は米が何グラム、それから添加物は入ってないとか、添加物は何と何とが入っていると、こういうような表示のさせ方はできないものなんですか、JAS規格で。
#204
○政府委員(犬伏孝治君) 今回のJAS規格におきまして、添加物の取り扱いの考え方といたしましては、できるだけ添加物の使う範囲を少なくしよう。食品衛生法上認められておる添加物は多うございますけれども、その中で特に必要なものにできるだけ限っていくという考え方で、規格で使っていい添加物の範囲を決めております。それから、添加物を使った場合には、一括表示におきまして、その使ったことを明確に表示するということを義務づけておりまして、消費者の商品選択に十分資するように考えておるところでございます。
#205
○相沢武彦君 生産者が売りやすい立場での表示じゃなくって、消費者が誤りなく選択できやすいための表示をさせるように、やっぱり農林水産省としても考え方、姿勢をそこに置いていただきたいと思うんですよね。JAS規格を決めるんですからね。何のために決めるかと言ったら、そこにあると思うんですよね。
 それで、先ほども丸谷委員が心配されて非常に力説されたんですけれども、やはりJAS規格がいつまでも決められないで放置されるよりは、やっぱり決めていくということでつくられることの方が望ましい。しかし、余り安易な決め方あるいは表示の仕方をしますと、一番大量に生産し市販をしているそういう企業のつくりやすい酢、そこへみんな各企業、メーカーが同調していって、要するに品質的にいままで自分たちが一生懸命工夫してつくってきたいい酢よりも安易な方に流れてしまう、苦労するだけばからしいんだということになったのじゃ、せっかくJAS規格はつくったけれども、そうすると先ほどのお話のように、JASマークのついてない品物はうちは扱いませんというようなことで、JASマークのついた品物よりも品質的にはいい物をつくっている人たちが売れなくなってくる、それが市場に出回らなくなってくると。
 そうすると、国民の皆さん方は結局JASマークのついた酢に多く接するわけですから、買いますわね。いままで出回っていたいい酢に触れる、飲む、使う機会がなくなってくる。そうなったのじゃ、何のためにこのJASマークをつくったのかわからないというふうになりかねないので、やはりこの表示の仕方というのは、相当やっぱり考えてもらわなければならないと思います。原材料は何を何%入れたのか、添加物が入っているのか入ってないのかということを表示することが、私は消費者保護になると思うんですよ。あとはふところの計算で、また嗜好によって消費者がいろいろ選択して自分で買っていくというようにするのが、一番理想的じゃないかと思うんですが、いかがですか、局長。
#206
○政府委員(犬伏孝治君) 原材料の使用量並びにその内容でございますが、内容につきましては、これは使ったものを表示をするということでございます。ただ、使用量を表示させる問題につきましては、これは酢にだけ限る問題ではございませんで、JAS全体の取り扱いといたしまして数量自体の割合であるとか、あるいは数量絶対量何グラムというようなことを表示させることにつきましては、各製造元ごとにいろんなバラエティーがございます。なかなか表示されたものがそのとおりであるかどうかのチェックも、十分行き届かたい点もございます。
 そこで、JAS全体の取り扱いといたしましては、使った原材料の多い順番に書く。たとえば酢について言えば、アルコール主体のもので米を加えているものはアルコール、それから酢と、米を主体にしておるものについては米、それからアルコールというふうな使用量の多いものの順に書くということで、この辺がJASの表示をきちっとさせる要請は当然理解できるのでございますけれども、やはり限界ではなかろうかということで現在実施をしておるところでございます。
#207
○相沢武彦君 そこまでやったのなら、もう一歩踏み込んで、買う方だって何の材料が何%入って、だからこの値段なんだなと、こういう判断がつくわけですよ。米が何グラム、何%、アルコールがどれぐらい、添加物が入ってない、それでエキスが何度、やっぱりこれは中身がいいからなただ、品質がいいからやっぱり値段もそれだけかかったんだなと、こう納得して買えるわけじゃないですか。せいぜい米とアルコールの順番入れかえたぐらいじゃ、それだって、やっぱり製造するメーカーによってずいぶんその比率というのは違うわけですよ。メーカーはたくさんあるわけですへら、いろんなやっぱり割合でやっているわけでしょう。だから、購入する消費者の立場に立てば、もうちょっと親切に、厳密にその中身が表示されていれば納得ずくで買っていける、選択の余地というのが非常に出てくるんですよね。なかなかこれは業者との関係もありますから、抵抗は強いと思いますけれども、ぜひそこまでやれる方向でやはり指導を強化すべきだということを私申し上げて、この問題については終わりたいと思います。
 次に、韓国との漁業問題についてお伺いしますけれども、渡辺大臣、古い話でちょっと恐縮ですが、ことしの二月二十八日の衆議院の予算委員会の第四分科会で、わが党の同僚議員の質問に対して次のようにおっしゃっています。「日韓両国の間ですから、われわれも韓国の首脳部の方ずいぶん知っていますから、こんなことでいつまでもけんかしているなんてばかなことはないじゃないか、もっと大所高所から対処すべきじゃないかという話もしているのです。したがって、そういうところで極力詰めるようにする。それがどうしてもだめだという場合には、これはまた背に腹はかえられない話ですから別なことも考えなければならぬ、かように考えております。」と、こう答弁されております。
 この質問は、三月の日韓の水産庁長官会談の前の発言です。そして、水産庁からの長官会談報告によりますと、「日本側は、次長会談と同様韓国漁船の自主規制を強く要請したが、韓国側は受け入れず問題の解決には至らなかった。しかし、韓国側に若干の歩み寄りの姿勢がうかがわれたので、再度長官会談を行うこととしている」と、こういうように書かれているのですが、大臣のこの分科会における発言に対する答弁ですね、わが党の議員に対する答弁、「別なこと」というのは一体どういうことなんでしょう。「別なこと」を考えている、この「別なこと」というのはどういうことなんでしょう。
 そして、韓国側に若干の歩み寄りがあったと、こういう水産庁長官の御報告、これと関係があるのかないのか、この辺についてひとつ御説明ください。
#208
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは水産庁次長会談をやり、その後長官会談を二回やってきて、ある程度の打診もこちらからも具体的なことも話をしているのです。それで、漁法等についての実は話もしているのです。それでも話がつかぬという場合にはまた別な、それは二百海里ですね、二百海里を敷くという話までいかざるを得ない。しかし、これも時間のかかる話なのです。もう準備の期間なようですから、三カ月や五カ月でできる話じゃない、かなりの期間がかかると思わなきゃならない。ですから、その間放置されることも困る。そこで、日韓両国の関係でもあるから、何か魚をとること自体を禁止をするというのでなくして、資源の保護ということをこちらは一番問題にしているわけですから、そこらのところがこちらの漁民、主として北海道ですがね、漁民の皆さんが納得できるようなことで何か振りかえられないかというようなことで、目下まだ話は継続中でございます。
#209
○相沢武彦君 その話は前から聞いているんで、もうちょっと突っ込んだ御質疑をいたしたいと思いますが、三月の水産庁長官会談の際に、韓国側は李ライン存続を主張したということが水産新聞に出ているのを私は見たのですが、これはそういう話が出たのでしょうか、確認をしておきたいと思うんです。もしその主張があったとしたら、国際的に認められない李ラインに対して、日本側としては一体どういう考え方で臨むべきなのか。また、韓国側が持ち出したとすれば、一体どういう意図を持って発言をされたのか、その辺のところを伺っておきたいと思います。
#210
○政府委員(森整治君) 三月それから今回の五月の会談におきましても、韓国側が李ラインに言及した事実はございません。ただ、李ラインという国内規制措置というのはあるようでございますけれども、今回の問題につきまして、それに言及したことは、事実はございません。
#211
○相沢武彦君 五月の十七、十八にわたりまして、今年に入って第二回目の日韓水産庁長官会談が行われたわけですけれども、その際、日本側から、オッタートロール禁止ライン内で隻数を限定してかけまわし漁業に転換させたいというような提案をされたということが報道されているんですけれども、長官、かけまわし漁法というのは一体どういうものなのか、ちょっと素人にもわかるように御説明いただきたい。
#212
○政府委員(森整治君) その前に、ちょっと先ほどの先生の御質問に関連いたしますので申し上げますが、第一回の会談のときに歩み寄りの姿勢を示したというのは、こちらは五条二号を適用するかもしれないよと、いつまでも自主規制をやってくれないならということに対しまして、それはむしろ話し合いをする余地があると、それは自主規制的なものを考えて結構であると、そこで話し合いをしたいということで二次会談になったわけです。
 二次会談におきまして、今度は向こう側が、日本側で何か提案がございましょうかということがございましたので、その際に、オッタートロールの漁法でいまのトロールの禁止ラインの中でトロールをされるのは困る、そのかわりに、韓国側の漁業の実態から漁業に与える影響を考慮して、日本側としては国内についてまだ了解を得てないけれども、要するに一そう引きで網を回しましてもとへ戻ってきてこう引き揚げる、そういういま百二十四トン型で北海道は先生御承知のように操業いたしておりますが、要するにいま向こうがトロール漁船で五百トンないし二千トンという大型船でやっておるのに対しまして、そういう小型の船で日本と同様の漁法で制限された範囲内で漁獲をするという意思があるならば、北海道側とよく国内に帰りまして協議してもいいと、こういう提案をしたわけでございます。
#213
○相沢武彦君 このかけまわし漁法といっても、やはり沖合い底引き網漁業の一つのやり方には違いないわけでして、向こうから求められたとはいっても、日本側の提案として、非常に漁民の皆さん方が神経をとがらしているこのオッタートロール禁止区域内にかけまわし漁法を認める根拠ですね、これはもっとひとつはっきりお示しいただきたいんです。資源保護の立場からして、また日本の国内でのオッタートロール禁止区域設定の意味からしても、今回、長官行かれて、かけまわし漁法ならと、それ自体を認めて日本側の提案としたこと自体ちょっと私たちも納得できないなあと、こう思うんですよ。しかも、いまおっしゃったように、まだ国内においての関係者との間の了解は取りつけていないんだけれどもと、こういうただし書きでおっしゃったというんですけれども、特に北海道の漁業関係者に打診もコンセンサスも得ないで提案をされたのは、何か御自信があってやられたことなんですか。
#214
○政府委員(森整治君) いまのかけまわし漁法というのは、日本でやっている漁法でございます。日本の底引漁船といいますか、日本の沖底がやっておるやり方と同じやり方で、日本と同じ規則を守って、同じ禁止期間、同じ区域の中で、ある一定の隻数を限って限定してやるという提案でございます。したがいまして、日本も韓国も差をつけない、差をつけるとすれば、ある限られた範囲内の隻数でしか認めないよということでございまして、私はこれが日本側の譲り得る最大限の考え方であるというふうに思って提案をいたしたわけでございますが、それにつきましても結論を得なかったということでございます。韓国側はそれについても理解を若干示しただけで、別にそれでよろしいということにはならなかったということでございます。
 私が申しましたのは、要するにオッタートロールの禁止ラインの外に出ろということは、トロール漁船ではそこの禁止区域では一切とれないということでございます。トロール漁船でとらないでじゃ何でやるのだと言えば、百二十四トン型でいま日本はやっておるのだからそれと同じでやるしかないでしょうねということでございまして、それと同じでやる方法というのは、韓国では要するに基地式、基地からすぐ出ていってとるわけではないからその経験がない、またそれから、一そうでかけまわしをやるという余り経験がないとは言っておりました。ただ、技術的にはそれは可能でございましょうということでございまして、いまの考え方ぎりぎりの線を示して、ともかくいまのオッタートロールの禁止ラインを守らせるということを何とかやらせようということを試みたということでございます。しかし、それが成功したということではございません。
#215
○相沢武彦君 成功しなかったわけですけれども、オッタートロール漁法をやめてかけまわし漁法で操業した場合、一隻当たりのこの漁獲高の量はどれぐらいになるのか、そういった計算なんかはして行ったんでしょうか。
 それから、隻数を限るとしているんですけれども、かけまわし漁法でのこの漁獲高と、オッタートロールによるこの漁獲高が明確となって、かつその差が明瞭になって、さらにスケトウの生存数、繁殖数、こういった状況把握ができ、計算されて隻数を割り出しするんだと、こういうように考えられるんですけれども、その点はどういうような検討をされて出かけられましたか。
#216
○政府委員(森整治君) 先ほどのちょっと御質問で忘れたのですが、トロール漁法というのが要するに底まで、根まで破壊してしまうということで、ともかくそれはやめさせる、スケトウだけでなしに、カレイその他の稚魚まで影響を与えるということを主張をいたしまして、そのペーパーも提示して、資源保護のためにオッタートロールをやめろということを主張したわけでございます。
 その過程でかけまわしが出てきたわけでございますが、先ほどの当面の御質問にお答えいたしますと、かけまわしとオッタートロール、大きさが非常に違いますから、向こうといまやっているのは、一応同一の船型で比較したとした場合に、オッタートロールの方がやや能率が高いというふうに思っております。ただ、著しい差はやり方によってはないのではないだろうかというふうに思いますが、一応どの程度かということにつきましては、腹づもりは持っておりましたけれども、向こう側に要するに提示するに至らなかったということでございます。
 ちょっと失礼しました。要するに、資源全体についての数字があって何か提案をしたのかという御質問がございました。これにつきましては、要するに非常にわが方の調査では資源的に危険状態にあるということで、韓国側に分けて与える余裕は元来ない。しかし、全然韓国にとらせないということでは解決にならないと思うから、かけまわしである程度隻数を制限してやることについてもし考えがあるならば、持ち帰って国内で相談をしてもいいというところまでいったわけでございます。
#217
○相沢武彦君 それで物別れになってお帰りになったわけですけれども、こういうような交渉をしてきましたよと、それから今後もかけまわし漁法で認めるというのがぎりぎりのところの交渉の中身になるんだということで、北海道の関係漁民と懇談されたんですか。それともこれからされる予定があるんですか。その辺どうなっていますか。
#218
○政府委員(森整治君) 早速北海道庁並びに北海道関係団体には説明をいたしまして、今後の御返事を至急いただくということにしております。
#219
○相沢武彦君 大臣にお伺いしますけれども、大臣としては、今回この水産庁長官の日本側の提案は、事前にこの辺までは交渉をしていいぞという了解を出されて行ったんでしょうか。かけまわし漁法でやらせるということを韓国側に提示をするということを、事前に長官と打ち合わせされておったんですか、それともその辺はもう任せっ切りだったんでしょうか。
#220
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、幾ら全権大使で送ってありましても、そういうようなことを大臣に黙って提案することはあり得ませんから、もし提案をするとすればまあそんなことだろうなという程度の話は、もちろんしてあるわけです。事前に知っております。
#221
○相沢武彦君 まあ、どちらにしても、これは日韓ともに漁業資源という立場に立ってお互いにやっぱり粘り強く話し合わなきゃならない問題だと思うのですが、今回再度行かれたこの長官の会談で物別れになって帰ってきたんですけれども、今後、次持たれる会談の予定があるのか。
 それから、長官会談でらちが明かないとすれば、農林水産大臣がじかに乗り込んで、この日韓漁業問題について解決を図るという、そういう御決意に立っていらっしゃるのかどうか、今後の見通しについてお伺いしたい。
#222
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私もただじっとしておるわけではありませんでして、たとえば日韓議員連盟で向こうからもかなり有力議員も来ておりますから、それらの人にも実は側面的にいろいろ話はしております。しかし、一応長官会談がまだ継続中ですから、できることならこれで詰めてもらいたいと、こう考えております。
#223
○相沢武彦君 時間があともう十分程度しか残ってないんですが、北海道の噴火湾の毒性ホタテの問題点について、若干お尋ねしておきたいと思います。
 ことしの四月十二日になってホタテガイの有毒プランクトン、ゴニオラックス・カテネーラの主毒素というものが問題になりまして、関係漁民としては大変不安におびえているわけなんですが、最近では噴火湾外になる鹿部の方にも毒性ホタテが発見されて、道衛生部ではこの二枚貝の毒性総点検を全海域で実施するということが伝えられております。この四月十二日発生以来の経過を、ちょっと簡単に御報告いただきたい。
#224
○政府委員(恩田幸雄君) 経緯につきましては、四月の五日に道の生産部の検査におきまして、われわれが決めております基準に近い線が出ましたので、それらを漁民に連絡いたしまして実地検査等を行わせるとともに、警戒を続けてきたところでございます。その後十二日に毒性が検出されまして、東京の市場その他で十二日の入荷分から市場への上場の自粛、回収を指導してきております。それで現在に至っておりますが、その後特に中腸腺を外しました、煮ましたホタテの貝柱だけの部分でございますが、これにつきましては、さらに検査の結果ある程度毒性も少ないと、安全であるということが認められましたので、これらについては一部出荷が近く始まるだろうと考えております。
#225
○相沢武彦君 新聞報道によりますと、毒性ゴニオラックスというのは、日本では噴火湾と三重県の尾鷲湾、それから岩手県の大船渡沖合い、ここでの生息が確認されておりまして、あとアメリカ、カナダの西と東の両海岸でも大量に発生しているのだということなんですね。岩手県では四月ごろに毒性が検出されても、六月から真夏にかけて貝毒が消えるのが通例だと、こういうふうに言われているんですが、今回のこの噴火湾の場合、岩手県の例にならうんだというように判断できるのかどうか。
 それから、噴火湾と大船渡湾は、水産庁長官通達の中身からいきまして、麻痺性具毒が出る場所と聞いているんですけれども、大船渡湾では六月から真夏にかけて消えるのに対して、噴火湾ではむしろ毒性が高まると、こういうふうになっていますけれども、これはどういう理由からなんでしょうか。
#226
○政府委員(恩田幸雄君) 大船渡湾につきましては、本年も三月の六日から実は麻痺性の貝毒が検出されております。それで、先生御指摘の四月から六月までというのは、一概にはそういうことは言えないのではないか。やはりその年の海況その他によって違うものだと考えております。
 なお、噴火湾につきましては、従来の知見でございますと、対馬暖流が津軽海峡を抜けまして非常に暖かい暖流系の水が噴火湾に入ってきますると、ゴニオラックス・カテネーラが消滅していろというのが従来の知見でございます。五十三年度におきましては、そういう事実が八月の下旬に発生しております。大体温度が十六度から十八度に上昇すると、消えるのではないかと考えております。ただ、発生の時期がいつになるかは、やはり昨年の状況で申し上げますと、八度ないし十二度の水温のところにゴニオラックス・カテネーラが相当集中して生息していたという事実はございますので、まあその辺の見当ではないかと思っておりますが、何分にもゴニオラックス・カテネーラの生態その他につきましての知見がまだ非常に微微たるものでございまして、今後さらに研究して、そこらをはっきりさしていきたいと考えております。
#227
○相沢武彦君 検査と流通の問題でちょっとお伺いしておきますけれども、毒性検査、この噴火湾で検査所が漁協単位十カ所あるそうですが、一カ所でも水産庁長官通達に触れると全湾の出荷停止になるということなんですが、毒性の検出までには二、三日かかるんですけれども、毒性発見したとき、すでに出荷されていたものについて、これはすべて回収できる見通しはあるんでしょうか。
#228
○政府委員(恩田幸雄君) 先ほども申し上げましたように、若干、毒性が出てくるであろうと推定される時期になりますと、あらかじめ抽出しながらその状況を見ているわけでございます。先ほど申し上げましたように、今回の四月十一日の分につきましても、すでに五日の日にある程度高くなっているという事実がわかっているわけでございまして、警戒をしておったわけでございます。そういうことで、ある程度高くなってきた時点では調査点数を増加さすと同時に、調査の時間的な間隔も縮めまして、要するになるたけたくさんサンプルをとりまして監視態勢をとっておるような状況でございますので、私どもの方で、出ますれば、まあ中腸腺にたくさん含まれているということでございますれば、その時点でなるたけ早く確認して出荷を停止すると。
 なお、中腸腺を除外したホタテにつきましては、いろいろな検査をやって、その後も安全であるものについては証紙をつけて出すと、こういうことになっておりますので、いま現在のところでは、その危険性というものはそう多くないのではないかというふうに考えております。
#229
○相沢武彦君 どうもいまの話、かみ合わないですね。すでに出しちゃった後から毒性発見された場合に、回収するのはどうなっているかと聞いたんですよ。まあそれはいいです。
 それから、道内、道外に出荷されるホタテの毒性検査済みの印、それから出荷許可の判こですね、これはどの時点でだれが責任を持って押すことになっているんですか。
#230
○政府委員(恩田幸雄君) シールには特に検印を押しませんが、出荷地の出荷責任団体の団体名、それから生産海域、採捕または製造年月日、こういうものを書くことになっておりまして、それぞれ責任は北海道漁連であるとか、あるいは加工の組合の連合会であるとか、そういうものが出荷責任団体となってその証紙を張るということに相なっております。
#231
○相沢武彦君 時間がなくなりましたので、この問題につきましては後日またお伺いすることにして、きょうはこれで終わります。
#232
○下田京子君 時間が限られていますので、最初にお願いしておきたいのは、答弁はできるだけ簡潔にお願いしたいと思いますが、農政の基本問題でお尋ねします。
 第一に、日米共同声明に関連してなんですけれども、この中で、日本の市場を外国品、特に製品に対して一層開放することという項目が入っております。ここの中には農産物も入っているのかどうか。
#233
○国務大臣(渡辺美智雄君) 入っておらないと理解しております。
#234
○下田京子君 入っておらないと理解しているというのは、入っているかもしれないというふうにもまた理解できるわけですね。
#235
○国務大臣(渡辺美智雄君) 共同声明に書いてあることは、日本の市場を外国品、特に製品に対し一層開放することと、これは製品ですから、これはインダストリアル・プロダクトであって、われわれは工業製品、こういうように考えております。
#236
○下田京子君 二つ目にお尋ねしたいのは、特に農業にしぼって明らかになっている点なんですけれども、「米国の農産物輸出の最も重要な単一の顧客となってきている日本及び日本にとり最も重要な単一の供給国となってきている米国は、両国間の互恵的農産物貿易が日本の輸入需要を満たすことを確保すべく、緊密に協力する。」というふうに書いてあるんですが、端的に言って、この趣旨は何を意味しているんでしょうか。
 同時に、これによって年一回の定期協議が持たれるということになりますが、内容はいかん。
#237
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、たとえば石油ショックのようなときがあって、また輸出規制と、突然アメリカからそんなことを言われても困るわけですよ、困るのはこっちの方がよけい困るわけですから。ですから、日本はアメリカにとっての顧客であるし、日本にとっては安定的な輸出先であると、現在。したがって、こいつがやたらに変更することはお互いにこれは困ると。したがって、こういうような問題については、主としてえさでございますが、小麦とか飼料穀物、大豆の需給、こういうものについて両国間の高級の事務レベルで年に一回ずつ会って、そして意見の交換や情報の交換をお互いにやりましょう。急激な変更を加えるというようなことはお互いに困る問題ですから、そういうことのないようによくお互いに内容の理解と協力をもっていきましょうと、こういうことです、簡単に言えば。
#238
○下田京子君 そういう安定的にお互いにというふうにいま大臣理解されているということなんですが、アメリカの意図がどこにあるかという点で非常に関心があるのは、一般的にジョーンズ報告と言われている米国議会の対日経済政策という点で、米国下院歳入委員会貿易小委員会日米貿易タスク報告という中で、日本がこれからいま大臣お話になったえさ、いわゆる小麦や、あるいは飼料作物等々について、増産していくとなったら非常にお金がかかるだろうから、そういうものは改めて、そして安定的に米国から輸入されてはどうかというふうな内容のものが書かれているわけなんです。これに対して外務省等では一定のコメントも出されているんですけれども、農林水産省としてはこのいわゆるジョーンズ報告についてどういうふうなお考えをお持ちになっているのか。
#239
○政府委員(今村宣夫君) お話のように、ジョーンズ・レポートにおきましては、日本の生産拡大計画には非常にお金がかかるので、米国が農産物の供給を保障すればその必要はなくなるし、米国の農産物輸出の拡大にも資することになるという記述はございます。ございますが、それぞれの国におきましては農業につきまして特別な措置を講じておるわけでございますし、また、わが国の農業は単に食糧生産という観点だけではなしに国民生活の安全保障という意味合いもありまするし、日本農民の雇用機会を確保するという意味もありますし、国土保全の機能もあるわけでございまして、そういうアメリカの言うような単純な話ではないということはもとよりでございます。
 したがいまして、私たちとしましては、そういう考え方をとらないということはアメリカに明確に申し上げてあるところでございます。また同時に、ジョーンズ報告はアメリカの観点から見ました報告でありますから、われわれの立場から見ますと受け入れがたい点は多々あるわけでございまして、また、記述等におきましても必ずしも正鵠を欠く点につきましては、これらの点についてそれぞれジョーンズさんの秘書の方でありますとか、あるいは農務省関係者等につきまして正鵠を得てない点につきましては、これらについて十分説明をいたしているところでございます。
#240
○下田京子君 ジョーンズ報告は、言ってみればアメリカの一方的な言い分であって、それをそのまま受け入れることはできないと、こうおっしゃっているわけですけれども、アメリカの意図が何であるかということは、このジョーンズ報告等にもはっきり代弁されているのではないんだろうか、こう思うわけですね。
 同時に、そういう中で、大臣がしきりに最近申されている長期需要の見通しの見直しの問題なんです。これは「地上」という三月号の雑誌の中にも大臣がインタビューされているのを読ませていただいたんですけれども、その中にも、何といっても、大豆だとか、あるいは飼料作物だとか、小麦だとか、実現できそうもないものを増産増産といってもできないんだから、現実に見合ったような形でこれはやっていくしかないよという、大臣特有の言い回しでお述べになっているわけなんですけれども、これは見直しとおっしゃっていることがいわゆる増産の方向ではなくて、むしろ減産を示唆していることにもつながるんではないだろうかと、こう思うわけなんですけれども、この点はどうでしょう。
#241
○国務大臣(渡辺美智雄君) そういうことはございません。私が見直しを言っているのは、たとえば鶏のようなものは六十年見通しの国民一人当たり消費量はすでにもう突破しちゃっているというようなことだと、当然これは見直ししなきゃならないわけですから、それからいろいろな米の転換ということもやっておりますからね。
 したがって、むしろ小麦等は増産に力を入れておる、極力国内でできるものはつくるように増産をいたしますが、しかし、それはさらに食肉ですね、牛なら牛をもっと食べたいというようなことになってくると、草だけでやるのならいいけれども、国内でつくると言っても限界がある。それによって不足をするものがあれば、そのものは外国から入れるのは当然ですと、しかし外国から入れるなというなら肉の方も控えてくださいと、それは国民の選択ですから、そのかわり肉は食べなければ入れる量は減らせばいいのですから、話は簡単明快なんですよ。だから、私は国民が肉を食べたければ不足のえさは入れざるを得ない。極力国内でつくりますが、とても追いつきませんよということを言っているのです。
#242
○下田京子君 大臣は、増産できる小麦等はやっていきたいけれども、事えさになるとなかなか大変だ、よく言われることは、若いお嬢さんがバケツ一ぱいのえさを食べちゃうんだから、そのぐらいえさが必要なんですよと、こうおっしゃられているわけですね。
 そういう点で増産のために力は入れていくと、こうおっしゃっているんですけれども、じゃ具体的にちょっとお尋ねしたいのは、いま大臣が言われている飼料作物というよりもむしろ飼料穀物ですね、このことの自給率が現況がどうなっているかという点で、三月にお出しになりました農林水産省畜産局流通飼料課の資料を見てみました。それを見ますと、濃厚飼料自給率というふうな項目がありまして、これが四十五年に可消化養分総量でもって約三万二千トンでした。それが五十二年になると二万六千トンと、ごう減ってきている。ただ、この濃厚飼料の中に、大豆かすだとか、ふすまなど、原料が海外から輸入されているものまでが入っていて、なおかつ減ってきているわけですね。
 同時に、純国内産の濃厚飼料の自給率、これを見ますと、全体の中で自給率が相当減ってきたということで、純国産の濃厚飼料の自給率が、四十五年度で見ますと二八・七%だったのが、五十二年度になるとわずか一〇・三%、一割ですね、こういうふうに減ってきているわけなんです。このことについて、大臣はどういう御認識をお持ちでしょうか。増産すると言いながら、減ってきているわけです。
#243
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、食肉の消費がふえてきたから加速度的に輸入穀物がふえて、その結果、自給率が減った数字になってきているわけです。
#244
○下田京子君 それじゃ、外的な条件だけしかいま述べられなかったようですけれども、実際、とすると、必要なものに対してどうこたえていくかという具体的な手だてが必要かと思いますね。特に、いま現在の状況を見ますと、円安という中で、六月あたりになったならば、えさ、特に配合飼料の価格が非常に値上がりするんではないか、こういうふうに言われております。そういう状況の中で、少なくともイギリス並み、六〇%ぐらいまで、わずか一割というこの穀物の自給率を引き上げていくための手だてが必要ではないか。その具体的なことで、技術的な可能性のことをひとつ大臣、考えていただきたいんです。
 実は、農林行政を考える会と、それから農林水産省の技術研究者の皆さん方が、シンポジウムを持たれているわけです。その中でのいろんな指摘を見てみますと、食糧自給力の技術的展望という項目の中で、日本の伝統的作物編成の中で、かつてアワとかヒエとか、あるいはキビ、こういうものが非常に重要な畑作物としての役割りを果たしてきた。こういう在来作物の再評価をする必要がある。同時に、この飼料穀物の研究というものについては大変冷遇されているんだけれども、いろいろと栽培試験に取り組んできた結果、トウモロコシ、マイロ、いわゆるコウリャン、こういったものが十アール当たり一トンから栽培されるような結果も生まれている。一般的な技術的な水準で見ても、これは六、七百キログラムくらいとれるのではないか、こういうふうな試験結果も出ているわけなんですが、こういったことについて、積極的に取り組む姿勢がおありかどうか。
#245
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、そういうような研究はもちろん続けてやりますが、しかし、いずれにしても、千五百万トンなんという数字は、幾ら日本でやったってとても国内で賄える数字じゃないのです。まして、トウモロコシとかコウリャンを日本国内でつくれと言ってみたところで、現実の問題として非常にむずかしい。したがって、研究はもちろん研究でございますが、だからといって、それを国内でつくる体制をつくっていく、生産する体制をつくるといっても、それはもう不可能なことであります。
#246
○下田京子君 まあ、不可能だとお決めになる前に、いろいろと大臣日ごろ言われている積極的なお立場で、こうした研究者の提言を具体的に実現するための方策をとっていただきたいんですが、この方々のシンポジウムの結果では、農業白書等でも指摘しているように、総合的な生産のいわゆる食糧自給率という形でもって考えていくならば、飼料穀物の生産量も六百二十万トンというものは可能になるだろう、こういうお話も出ています。
 さらには、これは東北大学の農学部の角田という教授の試験結果なんですけれども、名づけてデントライス――えさのお米というものなんかもやられております。それから全農でも、えさ用の外国の稲の品種改良等も含めて、ひとつ積極的にやってみようということで、幾つかの地域を選んですでに実施しているわけなんです。そういう点で、これらを農林水産省でも積極的におやりになるお気持ちがあるかどうか。
#247
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは技術会議で研究をしておりますから、具体的なことは技術会議から答弁させます。
#248
○説明員(北野茂夫君) 飼料用穀類につきましては、大小麦、燕麦等の麦類あるいはトウモロコシ、ソルガム等について現在研究をやっておりまして、品種改良もかなり進みまして、相当成果を上げ新しい品種もできておりますし、機械化、省力栽培も、ソルガムを除いてはおおむね完成しております。
 それから、ただいまのゲントライス等、飼料用の米につきましては、各地において特定の方がそれぞれ外国から品種を集め、交配などをしてやっておりますけれども、現在のところ食糧用の米と比べまして非常に多収であるというものは、現状ではまだできておりません。将来の計画としては、長期的に見まして二十年あるいは三十年程度たてば、あるいは現在の五百キロ程度のものは七百キロあるいは八百キロ程度のものはできる可能性はございますけれども、現状において、食糧に比べて多収のために飼料になるというものは残念ながらございません。
 それから、いままで一トンとれたとか、いろいろの例が各地で報告されている例もありますけれども、これは十アールとか二十アールとか、かなりの面積について栽培したものではなくて、極端な場合には数株あるいは一坪、二坪程度のものを一反とか二反の面積に換算しますとそれだけとれたということでございまして、そういう計算は実際問題としますときわめて整合性がございませんので、ただ数株つくったものを、これを一反歩つくれば何トンになるというような計算は、実用的な計算ではないと私たちは思っております。
 それで、いままでもやっておりますが、可能性につきましては、ある面積からかなりの収量、たとえば先ほど申されました十アール当たり七百キログラム程度の飼料穀類をとることは可能でございますけれども、先ほど来大臣も申されましたように、たとえばアメリカのようなコーンベルト地帯のような広大な地域、しかもそこに大型機械を使って省力的につくるというような立地条件にわが国が恵まれていないということでございまして、社会経済的な理由、一つには価格の問題とか、いろいろなことがございまして、飼料作物生産に対する農家の対応というような問題もございまして、現状では、少ない面積からは七百キロ程度の飼料穀類を生産する技術的可能性はございますけれども、これを大量に何千町歩あるいは何万トンとるというようなことは、即座にはちょっとお答え申しかねるということでございます。
#249
○下田京子君 技術的な可能性の点での御指摘ありました。大臣、お願いしたいことは、一般化できるかどうかということについて、これからまだいろいろ研究の内容等も必要だと思うのですが、いまのような研究の中にソルガムは入っているけれども、ぜひトウモロコシも含めてもらいたい。そして、積極的なそういう研究をまず一方では進めていただけないかということについての御決意を聞かしてほしい。これは大臣に聞いているのですから、大臣に答弁をしていただきたいと思います。
#250
○説明員(北野茂夫君) トウモロコシの研究は、ソルガムよりも歴史的に古く、現在もやっております。
#251
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいまの答弁のとおりであります。
#252
○下田京子君 それじゃ、さらにそういう研究も、もう古くからやられているし、これからもやるということなので、具体的な点で水田利用再編対策との関係でお尋ねしたいんですけれども、見直しがいろいろ必要だと言われている点で、何よりも水田利用再編、お米が過剰になってきている。そうすると、余分というか、必要なお米以外のところの水田に何をつくるかという転作問題が、これは世界的にも注目されているところだと思います。
 そういう点で、ぜひ水田利用再編対策の取扱要綱、これは昨年四月六日出していると思うんですけれども、この農蚕園芸局長通達の中に実取りのトウモロコシあるいはコウリャンが入ってないんですけれども、いまのような積極的なお立場からぜひこの通達の中に入れ込んでいただきたい。そして、いま転作すれば一定の価格補償というか、あれもあるわけですから、そういうかっこうになると、可能性として現実みを持ってくるわけです。そのことをひとつ大臣お考えいただけないか。
#253
○政府委員(杉山克己君) 質問の御趣旨がよくわからなかったのでございますが、実取りのトウモロコシということでございますので、先ほど来大臣お答え申し上げておりますように、大量のものを安く海外から現実に入っているという状況のもとで、これを水田転換として奨励するということは、価格の問題等からすると、よりほかに大豆とか小麦とか優先する作物があるということで、現在私ども実取りのトウモロコシについてはこれを入れていないということになっているわけでございます。
#254
○下田京子君 青刈りは入っている、実取りは入ってないんです。大臣、その実取りのものも入れてほしい。これは政治的なあれですから、大臣にお答え願いたい。
#255
○国務大臣(渡辺美智雄君) 技術的な問題ですから、突然言われましてもここですぐ返事ができませんので、検討させてもらいます。
#256
○下田京子君 大臣は、技術的なことだから検討させてほしいということですが、飼料作物という形で青刈りのものは入っているんですが、実ができる、それが穀物として認めた形で入ってないんです。いま局長が答弁されたように、価格がどうのこうのとおっしゃいました。いま大臣が検討してくれると言ったんですけれども、これは本当にその検討が実を結ぶように私は言いたいんですが、アメリカがどう思おうと、日本はあくまでも足りないものを輸入するんだとおっしゃっておりますけれども、御承知のように、ハサウエー米国農務次官補も非常にこの問題について関心を持っております。特に余剰米対策の中で、小麦やトウモロコシの対日輸出が狭められないようにということで関心を持っているんです。だから、実になたトウモロコシや何かまでできるようになりますと、これはアメリカにとって大打撃なんですよ。
 それから、このことについては、吉岡裕元農林水産省の国際顧問、この方も述べております。どういうふうに言っているかというと、えさ用の穀物を日本でふやすとアメリカの輸出がどうなるか。農政を進めるときに関係筋に根回しすることを農林水産省も知ってはいるが、これからは国際的にも関係国に根回しし、どう理解を得るかが重要、すなわち一般的なえさ作物というんではなくて、飼料用作物ではなくて穀物として、この問題については水田再編との関係でもって非常にアメリカが期待しているところなんです。このことがもし譲られて、本当に日本の中で飼料用穀物の自給率を含めて全体としての穀物自給をどうするか、総合農政をどうするかということをお立てにならない限り、幾らアメリカはそう言っているけれども日本はそうでないよと言っても、結局つまるところは、アメリカサイドの方向でやられてしまうんではないかということを指摘しておきたいと思います。大臣、よろしいでしょうか。
#257
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、先ほどお話がありましたように、採算がとれるかどうか、農林水産省が奨励金を出すという場合には、やっぱり安全なものでないと出さないわけですよね。で、実取りのトウモロコシというのは、木は食わなくて、トウモロコシのところだけでしょう。非常にそういうものが安く入っておる。果たしてそれを入れたからつくる人があるのか、現実問題として。普及をすると言うからには、やはり特殊な人だけが何人かつくるというのではなくて、かなり広くつくられるというのでなければ入れてないわけです。たとえばニシキゴイの話だって、最初のうちはこれは入れなかったわけですから、入れる入れないで騒ぎがあったのです。ミミズの話が最近出ましても、たんぼがつぶれるからいいじゃないか、ミミズも入れろといま責められているわけですよ。しかし、ミミズで本当に採算がとれるのかどうかはっきりわからぬという状態だから、やはりこれもお勧め商品として補助金をつけて奨励するというわけにはいかない。
 したがって、実取りのトウモロコシも、いまの段階では、牧草ならば利用価値がきちっとわかっておって、経験も豊かだし各地でやっているから青刈りも奨励しても差し支えないが、実取りのトウモロコシまでは経験が薄いので入れてないと。しかし、せっかくのお話ですから、検討はいたします。
#258
○下田京子君 せっかくのお話だから検討ということですから、あえて繰り返しませんが、ミミズやニシキゴイとは別なんです。国際的に大変注目されている水田利用再編との関係での、いわゆる飼料穀物が日本ではどういうふうにこれから生産されていくのかということで重視されている問題であります。
 次に移ります。
 漁業用の燃油の確保と価格問題でありますけれども、時間がなくなったので簡単にお願いをし、御答弁いただきたいんですが、鳥取県の境港の市議会から要望書が届いております。漁業関係者の話なんですけれども、四月分の実績では、需要量が五千五百八十キロリットルに対して割り当てが四千二百五十キロリットル、不足一千三百三十キロリットル、五、六月が大変漁の最盛期になるわけなので、どうしても必要量を確保してほしい、こういう訴え。また、秋田県の北部漁協から、イカ釣り漁ですけれども、五月一日現在で、県漁連から昨年の実績量でという指示があったというんです。ところが、イカ釣りは昨年御承知のとおり不漁でした。量というものは実績だけでははかれない、どんどんどんどん沖に行く場合もありますので、ぜひこれまた必要な量を確保してほしい、こういう訴えです。
 そこで私は、全漁連の皆さんにもお尋ねしました。これは石油部長さんの話なんですけれども、非常に量の確保のことでは骨折っている。全漁連としては大体使う百万キロリットル程度、いままで系統には実績に応じてやっているんだけれども、備蓄も取り崩していて大変な状況になってきている。それからあわせて、価格の高騰のこともこれは非常に心配だ。元売価格でですけれども、三月以前これは二万七千円でしたけれども、四月になると三万円、五月になると三万五千円、六月には四万円になるだろう、こう言われております。わずか三カ月の間に五〇%以上のアップと、こういう高騰が見込まれていて、現にスポット買いでは四万円という状況も出ている。
 こういう状況の中で、まず通産省にお尋ねしたいことは、元売に対してどんな指導をしているのか、これを一点お尋ねします。
#259
○説明員(加藤昭六君) お答え申し上げます。
 昨年来の中東原油の状況は、石油生産削減を背景といたしまして非常に厳しい状況でございまして、原油の国際価格は上昇を続けております。A重油を含めまして、わが国の石油製品の価格はそのような状況を反映したものと思われます。現在、私どもといたしましては元売等に対しまして不当な便乗値上げがないように十分に監視をしているところでございまして、今後ともそのような方向で進めていきたいというふうに考えております。
#260
○下田京子君 大臣、これはひとつお願いしたいんですけれども、指導しているとおっしゃいますが、実際、量の確保と、それから価格と、大変心配されております。前回、四十九年のときに一月三十一日付でもって、これは資源エネルギー庁と水産庁が共同でもって、漁船用石油の確保と円滑供給に関する特別措置等についてというふうなことで実施要綱を定めて、中央並びに各県にもそれに対応した石油需要協議会をつくらせ、また苦情処理なんかも受け付けて、あるいは水産庁の中に特別に石油対策室も設置されております。ですから、かつてのようなオイルショック時のようなことがいま心配されているときだけに、ぜひおくれのないようなそういう対応をしていただきたい、こう思うわけであります。
 それから、同時にこれは漁連の方からの御要望でもあったんですけれども、石油需要適正化法あるいは石油備蓄法、こういったものもいろいろ運用して、確かに備蓄は必要であるけれども、場合によったらば吐き出し等しながら、優先的に漁業用の燃油の確保のために当該大臣としてお骨折りいただきたいということについてのお考えをお聞きしたいと思います。
#261
○国務大臣(渡辺美智雄君) 石油の需給は、最近四月−六月期の原油の輸入量は前年同期の実績を上回っております。現在のところ、全体的にバランスは崩れていないというように理解をしております。しかしながら、今後情勢が大きく変わったり、御指摘のような特別措置を講ずる必要が生じた場合には、前回にも経験がございますから、適切な措置を講じて、遺憾のないようにしてまいるつもりであります。
#262
○下田京子君 おくれのないように十分対応してほしいし、それから現にいま足りないような漁連あるいは漁船関係者に指導をいただきたいと思います。
 次に、これは地元問題で恐縮なんですけれども、私が住んでおります福島県の石川郡石川町という所、人口二万二千人ほどです。ここでの水道の水質問題についてお尋ねしたいんです。農林水産省でなぜそれを聞くかということなんですけれども、これを取り上げる経緯といたしましては、実は給水人口が約一万六千名ほどで、直接は厚生大臣の許可というところじゃなくて、県になるわけなんですけれども、事いま進めております国の国営総合農地開発事業によっての農業用のダムをつくっているんです。称して千五沢ダムあるいは母畑ダムなんて呼んでおります。そのダムを取水源にしているわけなんです。ところが、水がたまるものと思っていたわけなんですけれども、五十年に完成してダムに水が貯水できないというふうな中で――ある一定の水はあるんですよ、そこには。しかし、そういう状況の中で、ダム完成と同時に、五十年の七月に臭気が発生しているんですよ。大変臭いんです。臭い水です。プランクトンの異常発生、それからミジンコが発生するということで、延々四年たっています。
 そういう経過から質問するわけなので、ぜひ御理解をいただきたいわけですけれども、まず厚生省さん、まとめて三つほどお尋ねしますので、簡潔に御答弁いただきたいんですが、厚生省として水道法に基づいてどういうふうな指導ですか、あるいは援助、対策を事業者である町あるいは認可をした県等にいままでやられてきたか。
 続けてやります。それから、この臭い水の原因をどういうふうにいまお考えになっていて、今後これからどういうふうに対応されていこうとしているか。
#263
○説明員(山村勝美君) 一般的に水道行政を行うに当たりましては、原則的に市町村の固有業務であるということから、県を通じて間接的にやっておるわけでありますが、この件に関しましては、県が五十一年に問題の発生を知りまして現地に保健所とともども出向きまして、異臭味の除去に関する検討を早急にやりなさい、と同時に、ダム上流の定常的に水質試験をやりなさいというような指導をしておるわけでございます。その後、町は塩素注入を強化したり、においのない沢水を持ち込んだり等々の若干の対策を講じておりますが、十分な効果を得られていない実情のようでありますので、さらに五十三年には、県が具体的に活性炭でにおいを取る装置をつけなさいという指導をしております。また、取水の方法にやはり問題がありそうだということから、取水方法の検討もやりなさいというようなことを、文書で地域の保健所名で指導をいたしておるようでございます。現在のところ、まだ町の方で十分な対応がとられていないというのが現状でございます。
 それから、第二点の異臭味の原因は何かという御指摘でございますが、全国多くの貯水池で現在その半数近くがいわゆるカビ臭という、先ほど御指摘になりましたプランクトン等に起因して発生する問題を抱えております。貯水池一般的に見られる現象でございますが、その原因といたしましては、上流にやはり汚染源があって、微生物にとっては栄養が供給される、いわゆる富栄養化という問題、それから水が停滞するという問題、さらに湖沼の形状にも影響するようですが、さらに直接的には、温度とか日照といういわゆる生物の生育条件というものによって、藻類でありますとか細菌類が発生する。ある種類の藻類とか細菌が発生いたしますと、いわゆる臭気原因物質をつくり出すという過程を経ておるようであります。
 そういう臭気物質はイオン状のも一のでございまして、通常の水処理法では除去できないというのが現状でございまして、その結果、水道水が着臭をするということのようでございます。厚生省でも五十二年、ごく最近さらに全国的に調査をしたり、その原因とか対策について取りまとめておりますが、この石川の場合もやはり上流に畜舎とか放牧でございましょうか、あるいは人家もあるというふうに汚染源もあるようでありますし、さらにダムによって流れが停滞したりということによって、やはり季節的に温度、日照等の条件が整いますと藻類が発生してにおいがついておるという一般的な状況だろうと思っております。
 今後の対応でございますが、現在、町とまた農林水産省の方からも調査費を出していただいて、原因究明の対策についてきわめて専門的な方に依頼して調査をいたしておるようでございますので、その結果を見て対応していきたいというように考えております。
#264
○下田京子君 一般的な臭味の発生原因と、それから予想される原因とお話になりまして、これからも具体的に指導という話ですが、農林水産省に、もう時間もありませんから、まとめて担当の局長と、最後に大臣に、これは関係する、またがることですからお願いしたい点なんですけれども、一つは、五十年にダムが完成していながら今日まで貯水ができなかったという理由は、どうも河川法に基づく水利使用の許可、これを取る際に、言ってみれば河川流量をどのくらいにするのか、あるいは所要水量をどのくらいにするかということでの折り合いがつかなかったためだと、こう聞いております。ただ、最近建設省に聞けば、このことについて農林水産省とも話が進んで、近々この河川流量も毎秒〇・二トンにし、あるいは農業用等についても毎秒五・四五七トンにして、生活用は〇・〇八三トン、こういうふうな内容でもって地元でまとまり、申請も間もなく出るだろう。そして、申請が出たらば早急に、とにかく普通六カ月間くらい竣工検査するまでかかるけれども、異常なスピードでもって解決できるようにしたい、水がためられるようにしたいという話を建設省サイドから聞いているんですけれども、この点について農林水産省は間違いないかどうか、湛水の見通しはいつごろかという御答弁をひとついただきたい。
 それから、これは大臣にお願いしたいことなんですけれども、水道法第二条で、水の問題は国が責任を持つ、地方自治体が責任を持つということが一つあります。それから、同時に第四十三条の中で、水源の汚濁防止のための要請という項目がありまして、事業者は汚濁等々に問題があったらば関係機関に申し入れることができる――この際には、水源が農業用ダムであるということがはっきりしておりますので、大臣が厚生省とも速やかに連絡をとって、大事な水ですから、少なくとも対応されるようにお働きいただきたい。以上です。
#265
○政府委員(大場敏彦君) 河川管理者としての建設省との協議は進んでおります。できるだけ早く協議がまとまって、ダムの貯留が開始できるようにいたしたい。まあ、秋ぐらいを一応目標にしておりますが、できるだけ早くいたしたいと思っております。
 それから、いろいろ調査をいたしております、原因究明とか対策の。それは県でもやっておりますし、国自身もやっておりますから、いま後段のお尋ねのことにつきましては、これから調査結果を待って、これも大体八月ぐらいまでには調査がまとまりますから、そういった結果を待って対策を措置いたしたい、かように思っております。
#266
○国務大臣(渡辺美智雄君) この原因がまだよくわからない、上流に豚が六千頭もいるというから、人間の十倍ということになると六万人の処理がうまくいっているのかどうか、そのほかに何かうまい別な問題があるのかどうか、水が少ないためなのかどうか、いろいろ断定はいまのところできません。したがって、県の厚生部局とよく相談をしながら、いずれにしてもそういう臭い水を飲ませるわけにはいかぬわけですから、われわれとしても原因の除去に努めてまいりたいと思います。
#267
○喜屋武眞榮君 先ほど大臣は、日本の農業振興に対する基本姿勢を述べられました。沖繩県も遅まきながら非常に意欲的に農業開発振興が前進しつつあることを、私、認めております。
 ところで、だれが言ったか私知りませんけれども、日本と日本の中の沖繩とアメリカ、この三つの触れ合いを、アメリカがくしゃみをすれば日本はかぜを引く、日本がかぜを引いたら沖繩は脳震盪を起こす、こういうことをだれが言ったか知りませんが、そのように沖繩にはいつ、どこで、何が起こるかしれないという問題がもう続出するわけなんです。で、きょうは短い時間でありますので、油断ならない問題の二、三についてお尋ねいたしたいと思います。
 まず、第一点はパイナップルの問題、東京ラウンドで外国産パイナップルの関税引き下げ問題で、聞くところによりますと、外国産パイナップルかん詰めについて、現行の税率五五%ですね、それを一九八〇年から向こう八年間で三〇%に引き下げる、こういう仮調印がなされたと、こう伺っておるのであります。それが、近く催される東京ラウンドで本調印が行われると、こう聞いておりますが、どうでしょうか。
#268
○政府委員(二瓶博君) パインの関税率の引き下げの関係でございますけれども、これにつきましては、ことしの四月上旬、主要国間におきまして仮調印を終えてあります。
 その内容につきましては、ただいま先生からお話のございましたとおりでございます。現在、国際規約等を含めて文書の整備等を行っているところでございますが、これらの整備を待ちまして、いずれ国会で批准をお願いをするという運びになろうかと思っております。
 そこで、この六月にまたこれが具体的に本調印といいますか、なるのではないかというお尋ねでございますが、それはこの六月にいわゆる東京サミットという首脳会議、これが二十八、二十九予定されてございますが、この会議におきましては、そういう具体的な品目について交渉をするというような場でございませんので、東京サミットの方は、もっと大所高所の首脳のお話し合いがいろいろあるのであろうと、こう思っております。
#269
○喜屋武眞榮君 重ねてお伺いしますが、次の東京ラウンドではこの問題は論ぜられないと、こういうことなんですか。
#270
○政府委員(二瓶博君) この六月に予定されていますいわゆる東京サミットという首脳会議、これは各国、アメリカの大統領等そういう首脳の方だけの集まりでございますから、大所高所のお話がいろいろあろうかと思います。したがいまして、このパイかんの関税率というような具体的な話はその場で議論するものではない、こう思っております。
 問題は、先ほど申し上げましたように、四月の初めに主要国間で東京ラウンドの関税引き下げについては仮調印をやっておりますが、まだいわゆる低開発国といいますか、そちらの面からのいろんな話もございますし、まだ本調印というのには相当その面では時間がかかるのではないか、こう見ております。
#271
○喜屋武眞榮君 一応は仮調印はなされておりますから、時期の問題は別として、本調印があることは間違いありませんね。
#272
○政府委員(二瓶博君) 本調印があることは間偉いないと思いますが、低開発国といろいろ話し合いをするとすれば、むしろ低開発国からはいろいろまたもっと下げろというような話も出かねない情勢でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたのは、いわゆるアメリカとかECとかそういう首脳国間での仮調印で、そういう低開発国との問題がまだ残っている。そういうものを全部調整を済ませた後で本調印という問題になるのではないか、こう思っております。
#273
○喜屋武眞榮君 まあ、転ばぬさきのつえでもありますので、いずれやってくるこの調印であるなら、一番痛手を受けるのは、日本でパインを主産業としているのは沖繩県だけですから、一番その影響をこうむるのは沖繩であるわけなので、この場合のそれに対する対策をどのように考えておられるか。
#274
○政府委員(二瓶博君) 今回の関税率の引き下げ、これにつきましては、内容につきましては先ほど先生のおっしゃったとおりでございます。現行の関税率はキログラム当たり七十二円、または五五%のどちらか低いものを適用するというこしでございます。それが今度は三〇%ということになるわけでございますけれども、この七十二円の関税といいますものは、当初は五五%に大体見合ったような姿でございますけれども、その後外国産パイナップルのかん詰めが年々値上がり傾向をいたしております。したがいまして、実質の関税率、これはこの七十二円の方がいま働いておるわけでございますが、これが実質に関税率に計算いたしますと、本年三月には大体三七%、最大の輸入国のフィリピン産、これで見ますと三五%まで下がってきております。
 したがいまして、この関税率の引き下げといいますものも、一九八〇年から八七年までの八年間で下げていくということでございますので、一挙にやるというわけでもございません。段階的に引き下げが図られるように考えておりますし、長期的な観点からいたしますれば、必ずしも沖繩産のパイかんに大きな影響を与えるということではないのではなかろうかというふうに考えております。
 なお、パイナップル関税に関しまして、いわゆるこのパイかんにつきましては現在非自由化品目、IQ品目ということになっております。したがいまして、この非自由化品目ということにつきましては、これは今後とも堅持をしていくということで考えております。したがいまして、関税が先ほど言いましたような形で一九八〇年以降八年間で三〇%という姿になりますけれども、それに伴いまして輸入量が大幅にどっと入ってくるというようなことは、関税割り当て制度はこれは堅持しますので、そういうおそれはないのではないかというふうに考えております。
#275
○喜屋武眞榮君 一番県民が、業者が心配しておりますのは、その八カ年間に三〇%まで下げる。それを前倒しの形で下げられた場合に大混乱を起こす、大変なことになる。それに対する政府の配慮、無理のないように経済情勢をよくにらみ合わせて納得のいく下げ方をしてもらわぬというと大変になる、このことを一番心配しておるわけですが、それに対する御態度はいかがでしょうか。
#276
○政府委員(二瓶博君) パイナップルかん詰めの関税を一九八〇年から八年間にわたって引き下げていって、最後は三〇%というところに持っていくということでございますが、それじゃ具体的にどう下げていくのかということにつきましては、これはパイナップルかん詰めの関税のみならず他の品目の方も、今後の問題ということでいままだ検討中でございまして、具体的にどうというところまでまだ煮詰まっておりません。ただ、いずれにいたしましても、パイナップルが沖繩農業に占める地位といいますものは十分認識いたしておりますので、その面につきましては極力段階的に引き下げるということで努力をしてみたいと、こう思っております。
#277
○喜屋武眞榮君 いまの件につきまして重ねて強く私から要望しておきますが、どうかひとつ前倒しの形で沖繩が混乱を起こさぬように、納得のいく、そうして経済情勢を十分ににらみ合わせながら検討してもらうと、このことを強くひとつ重ねて要望いたしておきます。よろしゅうございますね。いかがですか。
#278
○政府委員(二瓶博君) 重ねて強く要望するというお話でございますので、これは全体的なものとも関連いたしますので、いまこうしますということで完全なコミットばできませんけれども、先ほど来、るる先生からお話ございますようなこのパイナップルが沖繩農業に占める地位といいますか、その重要性というのはよくわかっておりますので、段階的に下げるという角度で最大の努力をしたいと、こう思っております。
#279
○喜屋武眞榮君 そのようにひとつ御配慮を願います。
 次に、自由化品目である例の冷凍パイン問題ですね、冷凍パインかん詰め化の問題がまた非常に大きな脅威となっておるわけなんですが、政府としては、この冷凍パインの輸入の問題についてはどのように考えておられるか、まずお聞きしたい。
#280
○政府委員(二瓶博君) 冷凍パイン、これが現在関税率三五%ということで、五十年の四月から二〇%を三五%に引き上げておるわけでございます。最近、この冷凍パインにつきましては、輸入量がふえてきております。従来は、四十九年当時は台湾から多く入ってきていて非常に問題になったわけでございますが、最近は台湾からタイに変わりまして、タイから冷凍パインが入ってきておるということでございます。これに対して、これがパインかん詰めの原料になるというようなことで、非常に沖繩のパインメーカーといいますか、パッカーの方等も御心配になっておるということはよくわかっております。
 そこで、これの対策ということになりますと、一つは表示の明確化ということで、冷凍パインを原料とするかん詰めにつきましては、商品名の字の高さの二分の一で、これは冷凍パインの原料ということで、現在JASの面では決めておるわけでございますが、この字の大きさを三分の二までもっと大きくするというようなことなり、あるいはこの冷凍パインにつきましては着色料をよく使っておりますので、これもかん詰めに冷凍パインを原料とするかん詰めにつきましては、着色料使用ということについては明確に表示をさせるということを、近々実施に移したいというふうに考えております。
 それから、輸入する商社の方なり、あるいはこれを原料にしてかん詰めをつくっておられます製造業者の方に対しては、自粛の要請というものを繰り返して行っております。最近ではこの四月の統計が、やっと通関統計が出ましたけれども、四月は前年に比べますと輸入が減っておるという数値にもなっています。
 なお、先ほども申し上げましたとおり、最近はむしろタイから入ってきておるようでございますので、そういうタイ等につきましても外交ルート等を通じて注意喚起といいますか、そういう面等もいたして抑制に努めておる、こういうことでございます。
#281
○喜屋武眞榮君 十分配慮をお願いいたします。
 御答弁の時間が長過ぎまして、どうしてもあと二つ私お尋ねしたいんですが、時間もあとわずかしかないようですから、簡潔にひとつお答えを願いたいと思います。
 もう一点、いまのパイン問題で、輸入割り当てについては例年要望しておりますとおり、国内産の、沖繩産の優先消化、これを前提にして調整してもらわなければいけないと思うんですが、四月二十三日現在で九十万ケース、昨年よりも十五万ケース増になっておりますね。このような状態ではこれもまた非常に不安になるわけですが、これはいかがですか。
#282
○政府委員(二瓶博君) パインかん詰めの輸入割り当て量でございますが、五十三年度百十万ケースと、タイに上期七十五万ケースというふうに割り当てをやっております。それに対しまして、ただいま先生からお話ございましたように、五十四年度の上期、これを九十万ケースの割り当てをいたしております。問題は、昨年より十五万ケース多くやってございますが、これはむしろタイなりそういう国におきまして、かん詰めとしての輸出がなかなか枠の関係で認められないので、それで冷凍パインをどんどん出しているのであるという物の言いぶりもございますので、むしろ逆にこの冷凍パイン、パインかんの割り当てを先取りするという感じで九十万ケースというものを割り当てたわけでございます。したがいまして、この辺と、あと冷凍パインの輸入状況も見ながら、年間全体としての、要するに下期の割り当てというものは相当その辺は慎重に考えていきたい。先取りしようということで、数量をふやしたかっこうで割り当てをいたしております。
#283
○喜屋武眞榮君 今後も十分なる御配慮をお願いいたします。
 次に、通産省にお聞きしたいんですが、漁業用燃料のことについてですね。産油国の石油輸出抑制によって漁業用燃料、A重油ですね、この供給削減が行われておると、こういうことが伝わっておるんですが、その事実は、真相はどうなのか、お聞きしたい。
#284
○説明員(加藤昭六君) 石油の状況は、中東の生産削減の背景と申しますか、非常に緊迫の度合いが強く、しかし資源エネルギー庁といたしましては、供給の安定化へ最大のいま努力をしているところでございます。特にA重油につきましては、国全体といたしましては五十四年上期が燃料油合計では四・五%の生産の伸びを占めまして、そのうちA重油は需要期でもございますので、約八%の伸びを見込んで供給計画を立てております。中でも沖繩につきましては、これはちょっと資料が古うございますが、五十四年の一−三月が五十三年一−三月に比べて二三%と非常に高い伸びを示しております。それから、全国が前年同期で四・三%となっておりますが、かなりの手厚い配慮が行われているというふうに考えております。今後とも沖繩につきまして十分な配慮をいたすつもりでもございますし、また、地域的にいろいろ個々の問題が生じた場合は、十分に元売と話し合いを進めまして、円滑な供給を進めるように指導していく所存でございます。
#285
○喜屋武眞榮君 緊迫しておることが事実だとおっしゃるんですね。この緊迫の理由がいわゆる産油国の立場からの影響であるのか、あるいは業者の売り惜しみとか、そういうものの心配は考えられませんか。いかがですか。
#286
○説明員(加藤昭六君) 私が申し上げました緊迫の情勢というのは、国際情勢でございまして、現在産油国の中でも非常に大きな生産高を占めますイランにつきましては、年間六百万バレル・パー・デーの生産が四百万バレル・パー・デーに落ちているということで、全体としては二百万バレル・パー・デーの生産が自由世界諸国としては減少という実情にはあります。しかし、ちょっと長くなりますが、日本におきましては先ほどのような努力を続けておりまして、五十四年の四−六月の原油輸入につきましては六千五百万キロリットル、前年同期を上回っておるというふうなことでございまして、現在のところ当面の石油製品の生産に、供給に支障を来すということはないというふうに考えております。
#287
○喜屋武眞榮君 事実とすれば、国の配慮もあるわけですが、これまたパンチを受けるのは沖繩の漁業者なんですね。なぜかといいますと、前年のこの実績に基づいて配給がなされると、こういうその筋からの指令といいますか、指示もあるようですが、そうしますと、沖繩の場合には漁船の新規建造も困難になっている、それから港湾の整備の面から、給油の場合もその五港以外は給油ができないと、こういう状況に追い込まれるわけですね。それから、特に沖繩の現状は、このA重油需要量は大体一万二千キロリットルから一万三千キロリットルのようですが、そのうち漁連が取り扱っておるのが約半分の六千キロリットルですね。その他はまあ販売会社が占めておる。
 こういう状態の中で、長期にわたる沖繩の米軍施設下の港の整備、これからすべて立ち上がろうとしておる状態の中で、このような貯蔵施設の整備あるいは漁船の近代化あるいは漁船の大型化、生産体制の強化と、もうどれ一つとりましても、まさにこれからという状況なんですね。それに、昨年の五月から六月にはマグロの供給過剰の状態がありまして、その県外へ移出することもできないんですね、それは流通機構の面から。こういうことで、非常に始末に困った実例もあるわけなんです。余儀なくされた深刻な実情があったわけなんですね。この県外移出ルートの拡大が必要であるという面から、燃料の確保ということがこれはもう必須の条件であるわけなんですね。
 で、沖繩で一番心配される漁業の振興について、この油の問題、この確保が十分でないといけない、こういうことが連鎖反応的に次々と起こってくるわけでありますので、どうかその緊迫した状況の中でも特にひとつ沖繩に御配慮を願いたいと、こう思うのでありますが、それに対するお答えをいただいて、政務次官がおられますので、大臣は都合で去られましたので、最後に政務次官にこれは要望を申し上げて終わりたいと思いますが、まずいまの点をどうですか。
#288
○説明員(加藤昭六君) わが国の石油につきましては、九九・八%外国からの輸入に頼っております。そうした状況でございますから、国際的な状況いかんで、かなりいろいろ緊迫した問題がさらに出るというふうに考えられておりますが、先ほど申し上げましたように、現在においては昨年同期を上回る原油輸入の見通しがついておりますし、また、今後もそうした方向で努力する所存でございます。で、五十四年の石油供給計画でもございますように、基本的には経済活動にできるだけ影響を与えないような方向で組んでございまして、特に沖繩につきましては、先ほどの実績にもございますように手厚い供給が行われておる状況でございますし、また、今後ともそうした方向で努力を続けていきたいというふうに思います。
#289
○理事(山内一郎君) 喜屋武君、時間が来ておりますから簡単に願います。
#290
○喜屋武眞榮君 これで終わります。
 政務次官に要望いたします。
 つい二、三日前、五月二十二日に甘味資源審議会が持たれておりますね。甘味資源と言いますと、北は北海道、鹿児島県、沖繩県、この一道二県に限られるわけですが、農林水産大臣に次のような建議がなされております。
 まず一は、土地基盤整備の積極化、機械化の促進、それから試験、研究の拡充等に努めること。
 二が、五十四年度の生産者価格の決定に当たっては、適正な農家所得を確保し、再生産の可能となるよう配慮すること。
 三、甘味資源作物の取引の合理化を図るため、糖度取引、特にてん菜の場合の導入について政府も積極的に指導すること。
 四、含みつ糖の需要停滞ないし減少傾向に対し、特に沖繩産含みつ糖について需要に応じた生産が行われるよう、離島の特殊事情に配慮しつつ総合的な対策を講ずること。
 五、糖価安定と砂糖需給の正常化を図る観点から、糖業制度全般について見直しを進めること。
 こういう建議書がこの甘味資源審議会、つい二、三日前持たれておりますが、そこからの要望がなされておるわけでありますが、さらに砂糖売り戻し臨時特例法が五十五年九月までの臨時時限立法になっておりますが、これの延長もぜひしてほしいと、こういう建議書が出ておりますので、十分に配慮願いたい。最後に、これは特に大臣がおられればよかったんですが、全漁連では漁業基本法の制定の必要もあると、いわゆる政府の責任による漁業の総合的生産計画の樹立を内容とする漁業再編成の構想を明らかにする漁業基本法の制定を強く要望しておるという、こういったことが強調されておるのでありますが、政府とされてもその線に沿うて十分に御検討を願いたい。
 以上、申し上げまして、お答えを願って終わりたいと思います。どうも時間をオーバーして済みません。
#291
○政府委員(宮田輝君) 非常に膨大なお話でございますが、甘味資源につきましては十分検討をさしていただきたい、こう思います。
 それから、漁業に関する基本法を制定する必要があるとは考えておりません。
#292
○理事(山内一郎君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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