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1978/05/29 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 農林水産委員会 第12号
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1978/05/29 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 農林水産委員会 第12号

#1
第087回国会 農林水産委員会 第12号
昭和五十四年五月二十九日(火曜日)
   午前十時八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     坂倉 藤吾君     小谷  守君
     下田 京子君     市川 正一君
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     田原 武雄君     降矢 敬義君
     藤原 房雄君     馬場  富君
     市川 正一君     下田 京子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長        久次米健太郎君
    理 事
                大島 友治君
                栗原 俊夫君
                相沢 武彦君
    委 員
                岩上 二郎君
                片山 正英君
                小林 国司君
                野呂田芳成君
                初村滝一郎君
                降矢 敬義君
                降矢 敬雄君
                川村 清一君
                小谷  守君
                丸谷 金保君
                村沢  牧君
                原田  立君
                藤原 房雄君
                河田 賢治君
                下田 京子君
                三治 重信君
                喜屋武眞榮君
   衆議院議員
       農林水産委員長  佐藤  隆君
   国務大臣
       農林水産大臣   渡辺美智雄君
   政府委員
       農林水産政務次
       官        宮田  輝君
       農林水産大臣官
       房長       松本 作衛君
       農林水産省構造
       改善局長     大場 敏彦君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     二瓶  博君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹中  譲君
   説明員
       厚生省年金局企
       画課長      吉原 健二君
       農林水産大臣官
       房審議官     小島 和義君
       労働大臣官房審
       議官       細見  元君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○繭糸価格安定法の一部を改正する法律案(衆議
 院提出)
○連合審査会に関する件
○農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(久次米健太郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十八日、坂倉藤吾君及び下田京子君が委員を辞任され、その補欠として小谷守君及び市川正一君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(久次米健太郎君) 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、提出者から趣旨説明を聴取いたします。衆議院農林水産委員長佐藤隆君。
#4
○衆議院議員(佐藤隆君) ただいま議題となりました衆議院農林水産委員長提出の繭糸価格安定法の一部を改正する法律案について、提案の趣旨及びその主な内容を御説明申し上げます。
 日本蚕糸事業団は繭糸価格安定法に基づき、その業務の一つとして従来から蚕糸業の振興に資するための事業に対する助成を行ってきております。
 しかしながら、現行法によるこの助成事業は、中間安定等勘定における前々事業年度の利益金の額により、毎年度の助成事業の額の範囲を定めることとしていることから、円滑な助成事業の実施ができにくい面があります。
 今回の改正は、このような実情にかんがみ、日本蚕糸事業団の中間安定等勘定に蚕糸業振興資金を設け、この助成事業のより円滑な実施を図ろうとするものであります。
 以下、改正案の主な内容について申し上げます。
 第一は、日本蚕糸事業団は、中間安定等勘定に蚕糸業振興資金を置くことができることといたしております。
 すなわち、事業団は、中間安定等勘定において、残余を生じた場合には、翌事業年度にその定割合の範囲内の額を蚕糸業振興資金に充てることができ、これを財源として蚕糸業の振興に資するための補助及び出資を行うことができることといたしております。
 第二は、蚕糸業振興資金に充てることができる残余の額は、日本蚕糸事業団の昭和五十三事業年度の残余の額からといたしております。
 以上が提案の趣旨及びその主な内容であります。
 何とぞ御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
#5
○委員長(久次米健太郎君) それではこれより質疑に入ります。――別に御発言もなければ討論に入ります。――別に御発言もなければ、これより採決に入ります。
 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#6
○委員長(久次米健太郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(久次米健太郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(久次米健太郎君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 日本専売公社法等の一部を改正する法律案について、大蔵委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○委員長(久次米健太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(久次米健太郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
#11
○委員長(久次米健太郎君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 法案の趣旨説明は先般聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○丸谷金保君 最近、各種の年金の制度が、福祉見直しというあおりを食って後退をするというふうな兆しが非常に多くて、それぞれ関係者を心配させております。しかし、この農業者年金につきましては、まだ発足して八年しかたちませんし、これからさらに進めていかなければならない、むしろ改善していかなければならないような点が多多ある状態でございますので、いわゆる福祉見直しというふうなことにこの農業者年金が巻き込まれることのないように、ひとつ大臣のまず所見をお伺いいたしたいと思います。
#13
○国務大臣(渡辺美智雄君) 農業者年金は、御承知のとおり農業の経営移譲というものを図って促進をして、そうして農業の若返りというものをやらせようというのが主なるねらいであります。それとともに、国民年金の付加的な性格も持っておるわけでありまして、でき得る限りわれわれとしては、この制度の趣旨に沿って伸ばしてまいりたいと考えております。
#14
○丸谷金保君 それで問題は、農業者年金の立法の趣旨にさかのぼるのでございますが、当初、四十年代の初めに佐藤総理が御苦労さま年金というふうな表現で、農村の方たちは大変戦後の復興に努力をし、なおかつ強制的な米の供出というふうな問題等も含めまして戦後復興に協力したと、そういうこともあるので、農民恩給的なものとして発足させるべきだというふうなことを、選挙公約の中で各地をぶって歩きました。それを受けて始まった農業者年金だと思いますが、現行の年金制度というのは、そうした恩給年金というふうな考え方からはずいぶん後退したところで現存しておると、かように考えるわけでございます。
 ここらにつきましてずっと経緯を調べてみますと、当初は、昭和四十二年八月に構造政策の基本としての年金の制度、こういうものが論議の対象になりました当時においては、特に離農者年金についてフランスの制度を参酌するというふうなことが中心でございましたけれど、
  〔委員長退席、理事大島友治君着席〕
その後、年金問題研究会等において、いわゆるどちらかというと西ドイツの法制というふうなものに近いものに決定づけられたと、こういうような経緯がございます。そこで、資料要求もしておきましたが、フランスの年金制度の法制、それから西ドイツの法制、そういうふうなものについての違いと、当時の論議の経緯等を詳細に御説明願いたいと思います。
 それから、なお一緒に、昨日この論議のために必要な財務諸表等を資料要求しておきましたが、私のまだ手元に来ておりませんので検討ができないでおります。それをひとつ先に、こちらの方にお手配を願いたいと思います。
#15
○政府委員(大場敏彦君) 財務諸表はただいま差し上げます。おくれまして恐縮でございました。
 それから、いまお尋ねの西ドイツないしはフランスの離農年金を含めての農業者の年金制度の概要でございますが、まずフランスにつきましては、これは二つございます。
 一つは、農業者老齢年金というものがございまして、これはいわば農民の老齢保障を目的としております。これは、必ずしも経営移譲とか離農とかいうことを前提にはしておりません。条件にはしておりません。なぜ一般的な老後保障を目的とするそういった年金がフランスにあるかと申しますと、これは先生御存じだと思いますけれども、フランスにおきましては、日本の国民年金みたいに一般的な国民を対象とした老後保障年金はない、それぞれ職域別に一般的な老後保障を対象とした年金制度がつくられている、こういう関係であるのだろうと私どもは理解しております。こういった一般的な老後保障を対象とする農業者老齢年金のほかに、離農老齢年金というものが別にございまして、これは農業構造の改善のため、具体的に申し上げますれば、経営移譲して小さい農家が離脱していくと、それを経営規模拡大の可能性がある大規模農家に集中する、あるいはサフェール――農地保有合理化公社みたいなものでありますけれども、そういったところに売り渡す、そういった離農を中心とした年金制度が別途仕組まれております。
 それから西ドイツでございますが、これはフランスとやや様相を異にしておりまして、二つに分かれております。
 一つは、農業者老齢年金ということでございまして、これは日本の農業者年金にやや類似している制度でございまして、経営移譲とか、あるいは若返り促進と、こういったことで、これはもちろん拠出年金でございますが、そういったことを要件として老齢年金というものを仕組んでおります。そのほかに、農地譲渡年金というものが別にございまして、これはフランスの離農年金とやや似たものでございまして、これはもう零細農家を対象として、そういった農家が離脱する、全部挙家離村すると、そういった場合に、いわばそういった離農を促進するための制度を年金的手法で試みている。こういったぐあいに、私ども西ドイツ、フランスにつきましては理解しておるつもりであります。
 それから二番目のお尋ねの、農業者年金制度を創設するときの論議を説明せよと、こういったことでございましたが、確かに佐藤総理がわかりやすい言葉で農業者にも年金、恩給をと、こういったことをおっしゃったことは記憶しております。
 そこで、一般的な農業者の老後を保障するということはもちろん基本的には大事でございますが、わが国の法制度におきましては、それは御存じのとおり、一般国民年金というものがあって、一般的な老後保障、農民を含めた自営業者の老後保障というものは国民年金制度がある、その上にどうやって農業者の老後保障というものをさらに付加して仕組むかということにつきましては、いろんな論議があって、結局は、一般的な意味での老後保障というものは、国民年金の充実強化によって志向するということであろう。しかし、一方において、経営移譲の促進あるいは第三者移譲、こういった構造政策を展開する意味において、そういった経営移譲をする農家の老後を保障するということが、同時にそういった構造政策の展開ということと密接不可分である、こういった認識に立って、経営移譲年金というふうな性格を持たした年金を別途一般的な老後保障を目標とする国民年金の上に付加した、こういった経緯になっているわけであります。
 その過程におきまして、いま御指摘になりましたように、西ドイツあるいはフランスの年金というものにつきましていろいろ議論をし勉強したという経緯はそのとおりでございますけれども、わが国の農業者年金はフランス型でもないしまたドイツ型でもないということでやや独特の形をとっている、離農を促進するような形での仕組みは年金という形では必ずしも仕組んでいない、どちらかといえば経営移譲による経営の若返り、そういったところに主眼を置いた政策を年金という手法で試みている。そういった結果になっているのではないかと私どもは理解しております。
  〔理事大島友治君退席、委員長着席〕
#16
○丸谷金保君 そこで、フランス型でもドイツ刑でもない、いわゆるある程度法制論議の中では検討されたけれど、日本の独特の一つの形の農業者年金ができたと、いまの御説明でそういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#17
○政府委員(大場敏彦君) フランス型でも西ドイツ型でもない、いわば日本独特の年金制度というふうに申し上げてよかろうと思います。
#18
○丸谷金保君 昨年四月二十六日に、衆議院の農林水産委員会で、厚生省の山本企画室長ですか企画課長ですか、わが党の島田さんの質問に対して、独特のものというよりも、国際的な水準と比べるということはなかなかむずかしいけれど、やはり日本の年金というのはドイツあたりに比べると多少まだ充実していない。たとえば、いまの御説明とば違って、やはり日本の年金なんかがその模範を求めたのが御承知のとおりドイツでございますということで、はっきり大体年金の全体の流れとしては、これは厚生年金その他の年金全体を含めてのことだろうと思いますが、全体の流れとしてドイツの年金の制度というものが大きく参考にされておる。しかし、たとえば遺族年金の水準にしましても、ドイツあたりではすでに六割という線が出てきている。日本が五割というのに比べると、模範にしたドイツの年金の制度というのはさらに前進している。にもかかわらず、これは何も農業年金だけのことをここで言っているんではないと思いますが、そういうふうに範としたドイツの法制などに比べると日本の制度はまだよくないと、裏返せばそういうことですわね。向こうは六割になっているのに、こっちは依然として遺族年金は半分だというふうによくないんです。
 そういう中で、全体として国民年金あるいは厚生年金等の見直しが行われつつあり、現に本年度は共済年金等については支給年齢の引き上げということが政府から提案されてきております。そうすると、これらが今後逐次、国民年金を底辺に置いて施行されておる農業者年金というふうなもあに、だんだんしわ寄せになってくるんじゃないかという心配が非常に強いわけでございます。ですから、この機会にそういうことになっていかないような、まだ現在の日本の年金の制度というのは福祉見直しどころか、その法的な、あるいは制度的なものの参考にしたドイツあたりから比べて悪いんだという認識をひとつ大臣に持っていただかないと困るんです。こういうことです。
 昨年の衆議院の年金の国会答弁の中で、厚生省の山本企画課長さんですか、こういうことをはっきり言っているわけなんです。遺族年金についても日本は五割だけれど、ドイツなどはもう六割にしていくというふうな方向にある、進めていくと。ですから、ヨーロッパではもっと年金の制度を充実しようとしておる。そのときに、日本では福祉見直しなどというふうなことで、後退の提案がすでに今国会にも農業団体等年金などに出てきておるわけです。だから、こういう制度を参考にした相手国においては、いまの日本の制度よりもまだいいんだという認識を大臣に持っていただかないと、これからの論議が進まないことになりますので、その点ひとつ御理解いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#19
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も、厚生大臣の当時、よくそういうことが言われたわけです。この年金の問題は、いいとか悪いとかというものは、総合的に考えてみないと私は一概に言えないのじゃないか。たとえば厚生年金の問題、遺族年金の話ですから、厚生年金と比べての話だと思いますが、日本は御承知のとおり六十歳から支給する。ところが、ドイツ、スエーデン、イギリス、フランス、アメリカを初め支給年齢は六十五歳からになっています。したがって、日本も六十五歳から支給するのだという、同じところで比べなきゃならぬ。掛金率の問題もございまして、ドイツの場合は千分の百八十、労使折半、日本の場合は千分の九十一、つまり掛金、保険料負担が約半分です。確かに給付の内容につきましても、ドイツの場合は、二、三年前の統計ですが、ホワイトカラーが大体十二万円ぐらい、ブルーカラーが七万五千円ぐらいだと記憶をいたしております。
 したがって、日本の厚生年金の実際支給額は当時九万円以上になっておりましたが、支給額は確かに少し下回りております、日本の方が。しかしながら、支給の年と掛金の問題を考えて、仮に日本がドイツ並みに支給年限も六十歳をやめて六十五歳から、掛金率も現在の倍にするということになれば、私はドイツよりもはるかにいい年金を支給することができるのじゃないか。ですから、そこの条件を同じくしないで、もらう方だけを比較いたしましても、なかなかいいとか悪いとかということは言えないのじゃないかという気がいたします。
#20
○丸谷金保君 確かにそのとおりだと思うんですが、私はいま、もらう給付の条件の方についてはわが国よりもヨーロッパ諸国の方がいいという御認識をいただきたい、このことはよろしゅうございますね。
#21
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、給付それだけから見れば、ややよいように思っております。
#22
○丸谷金保君 そこで、その他の条件です。たとえば給付年齢の問題、これらについても、特にこれはアメリカでのことでございますけれども、むしろ被保険者の方から、被給付者の方から、給付の年齢を上げてくれという運動が起きております。この違いは何かというと、定年制の問題や雇用の問題、失業保険の問題、これらのその他の社会的な条件が日本と違うからである。それらが整っていくならば、私は日本においても給付年齢の引き上げは必ずしも反対するものではありませんけれども、そういう点での条件を整わせないでおいて、いろいろな観点が違うということを、ただ概念だけでいまの日本では論議されております。一つ一つとっていって、全体としても、やはりアメリカなどでは、逆にもう年齢を上げてくれというような声が給付者の中から出てくるというような違い、日本ではもっと下げてくれという、この社会的条件の違いは、給付条件の違い以上に日本の方が悪いんだということについての御認識はいかがでございますか。
#23
○国務大臣(渡辺美智雄君) いまおっしゃいましたように、給付年齢の引き上げといっても、確かに雇用の問題、定年制の問題というようなものと絡んでおりますから、そういうものも総合的にやっぱり考えていかなきゃならぬ。したがって、給付年齢の引き上げについては、それらの周辺整備というものとあわせて引き上げを行うということになるでしょう。私もそうあるべきであると、こう考えております。
#24
○丸谷金保君 そこで、私お願いいたしたいことは、そういうふうに違うんです。違うんですから、やはり日本は日本として独特の制度をやっていくので、われわれの方でも注意いたしますが、政府においても短絡的に、たとえば年齢はドイツは六十五歳だから日本も六十五歳でいいんだというふうな短絡的な説明、外国の条件をその問題だけにしぼってよく政府は出します。そういうことのないように気をつけながら、農業者年金の問題を論議させていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
#25
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは給付の年限の問題、掛金率の問題、もちろん日本とドイツは、向こうは積立方式じゃありませんしこちらは積立方式ですから、形式上のことば違いますが、しかし、現実の負担という問題からすると、掛金率が高いということは、日本とこれまた違うことなのでして、そういうような掛金の問題等もやっぱり考慮をしてもらわなければ、年金の給付といいましても、それは原資は何かということになれば、掛金と、あるいは国の補助か何か、そういうことしかないわけですから、そこらの点も全部考えなきゃならぬ。本来ならば、税負担のことも私は考えなきゃならぬと思うのです。スウェーデンのごときは、確かに掛金率は特に企業の負担が多いけれども、自分の方は比較的少ないということがあります。そのかわり、今度は所得税の方はむちゃくちゃ高い。日本で三百万円のサラリーマンだったら、年に十二万円ぐらいしか所得税と住民税を東京などは納めておりませんが、ストックホルムだと、大体所得税が三十五万、それから市民税が七十三万ぐらい、百八万円ぐらい取られているわけですから、社会のそういうふうな負担の仕組みが全然違っておる。
 したがって、そういうような問題も全部ひっくるめて、どういうふうにして高負担で高福祉にするか、これは政策の問題だろうと、かように思っておりますから、この年金問題等を議論する場合においてはやはり負担の問題も並行して一緒にしていただかないと、それは財源の問題にすぐぶつかってしまうので、そういう財源の問題等も含めて私は御討議をいただくことがきわめて有意義であると、かように考えております。
#26
○丸谷金保君 そういう違いのうち、年金問題等も含めて一番これは政府で考えていただかなければならないということがございます。
 先年、フランスのボーヌへ行って市長と話をしておりましたときに、そのときにフランス各地でインフレによるところの年金の見直しのお年寄りのデモが行われておりまして、それはなかなか大変なデモだったんです。それでボーヌの市長に、とにかくフランスも物価騰貴で年金で食えなくなってきているので、年金を上げろという要求がこれだけ強くなってきていれば、おたくのこの町でもお年寄りのことについて何とかせいという要求が相当おありでしょうということを聞いたところが、それは全くないと言うんです。というのは、国民の生活を守っていく、特に年金の問題その他については、これは政府の責任だから、国民は政府けしからぬというデモはやるけれども、いかに困ったからといって、責任のない市町村の役場の窓口に来て相談に乗ってくれというようなことはあり得ないんだと。また、これは大事なところなんですが、そういうところに町民税を回したならば納税者が怒ると言うんです。市町村が本来自分たちのやることでない老人福祉とか何とかの方にお金を回せば、税金を納めている連中は、けしからぬ、それは国がやることなのになぜ町村がそんなところに助け船を出すんだと言って納税者が怒るからそんなことにはならぬと、こういうわけなんです。
 ところが、日本の実態はそうじゃないわけです。困ればすぐ市町村に駆け込みます。国の年金の制度が悪いから国がけしからぬというデモの前に、何とかしてくれということが市町村の窓口に飛び込んできます。そういうフランスなどとの違いがあるから、制度が悪くても何となく世の中はおさまっている。しかし、これは明らかに法律的に言えば、地方財政法その他からいって、当然そういうところによけいな金を市町村は出してはいけないというたてまえになっているんですが、どうしてもそのたてまえは崩れて、市町村というのはそういう場合にお年寄りのめんどうは国の責任だからおれは知らぬということにはならないのです。こういう違いの上に、いまの日本のすべての年金の制度があぐらをかいている、農業者年金またしかり。後で具体的なその例を出しますが、そういう点について、違うんだからという原点の一つにそういうこともあることを、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
#27
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはその国々によってすべて違うと思いますが、何といっても、この年金を充実するためには、財源の問題が一番先に考えなきゃならぬ問題ですから、その財源をだれが持つのかというようなことをやっぱり考えながら、どこをどういうふうに直していくか、財源の問題を離れて年金の問題を議論することは、私は不可能だと思うのです。したがって、結局、そこは税金でやるより保険料をよけい払ってもいいから、将来のためにその給付をたくさん出せという発想になるのかどうかという、そこのところが私は分かれ道じゃないかと思います。
#28
○丸谷金保君 そこで、厚生大臣もおやりになっておられた大臣ですから十分御承知と思いますが、そういう財源の調整も、フランスその他ほとんど積立方式でないんです。日本が積立方式をやっておるというところにも財源調整の上で、あるいはこういう問題についての年金の数理の上においても計算上の全くの違いが出てきておる。ここに日本の年金の制度をどうしてもヨーロッパなどにおくらせ、近づけない大きな原因の一つが私はあると思うんです。特に農業者年金についても、その点については、構造改善あるいはそしてそれらの手当てをする、農用地拡大の手当てをするための資金を、この積立方式で積み立てた資金の中から貸し付けをする、こういうような制度の違い、これらを抜本的に解決しないで、財源がない財源がないということ自体に大きな問題があると思いますが、いかがですか。
#29
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは賦課方式がいいのか積立方式がいいのか、非常に大変な議論の実はあるところでございます。それぞれ一長一短だと私は思っております。現に、国民年金のように、すそ野がだんだん広がらない、農家の戸数も減っている、就労人口も減っているというようなことになって、積立方式でやるといっても、実際には掛けている掛金と同額くらいのものが支払われちゃうということになれば、積立額がゼロということですから、もう実際問題として賦課方式と結果的には同じようなことじゃないかという議論もあるわけですね。したがって、それなら賦課方式にあっさり変えちゃった方がいいのじゃないかという議論もあります。しかし、厚生年金のようにすそ野が広くて、また若い人もどんどん加入してくるというようなところでは、これは積立方式でもまだ余裕があるし、その間の積み立てられた金というものが、それぞれ公益的なものにかなり投資をされておる、有効に使われておるという点もございますから、それなりのまたメリットも私は国全体から見ればあるのじゃないか。したがって、ここでどちらがいいかというようなことの断定を下すわけには、いまのところ私はできないのであります。
#30
○丸谷金保君 そこで、国会論議の中では、大変ドイツの勉強もしフランスの勉強もし、各国の法制をいろいろ調査をしておるというふうなことなんですが、もう少し、特に年金の制度については、大変充実しておるフランスの制度などをもっと徹底的に研究を、ひとつ年金関係、特に農林水産省においてもやっていただきたい。
 と申しますのは、どうも農林水産省はフランス語に弱いらしいんです。それで、実はそのことについてひとつ関連して御質問を申し上げたいんですが、大臣笑っておりますけれども、そうなんですからね。昨年、農産種苗法の一部改正のときに、UPOVという国際条約に入るためにそれを急いで議決してほしいという提案理由の説明があったんですが、私はフランス語のUPOVの原文を翻訳をしていただいて、日本のものと比べてみるとどうも違うと。特にその違いというのは、肯定語と否定語を逆に訳している。だから、「できない」ということを「でき得る」という訳し方になっているのです。このことを当時論議したんです。
 しかし、その当時、きょうここにおいでになっている小島審議官は、それは間違いではないと言って頑強にがんばられたんですが、最後にしかし、記録の中に残っているのは、農林水産省、フランス語に大変弱いんで、英語の訳からさらに翻訳し直した、こういう答弁をしているんです。しかし、国際条約は、本来原本からそれぞれの国に訳すのが常識でございまして、当然フランス語の原本から日本語に訳すという形をとらなきゃならぬのに、弱いということで、そのときは間違い、間違いでないがはっきりしなかったんですが、その後私は、これを国会図書館で訳してもらいました。この問題との関連でなくて、これを何となく訳してくれと。そうしますと、明らかに、それらの方式のうちのいずれかしか定めてはならないということで、否定語になってきているのです。それでそう国会図書館でも訳してきております。
 ですから、これらについて、あれはそのままになっているので、ひとつ小島審議官から簡単に一言だけ御答弁願います。
#31
○説明員(小島和義君) ただいま御指摘がございましたように、昨年農産種苗法の改正審議の際に、私どもが御説明申し上げましたUPOV条約の第二条第一項のただし書きでございますが、英文から翻訳をいたしましたために、フランス語原本から直訳いたしましたものとは語感の強弱があるという点は御指摘のとおりでございまして、労力を惜しまずフランス語から直訳すべきであったと、今日ではそのように考えております。
 一言弁明さしていただきますと、私ども使いました英文のテキストは、UPOVの事務当局がオフィシャル・トランスレーションとしまして作成いたしましたものでございまして、仏文との間にこれぐらいの語感の差があるということは実は気がついてなかったということが第一点でございます。
 それから第二点は、これだけの語感の強弱、肯定文、否定文という表現の違いがありますが、実質的な意味内容が、二つの方式の禁止規定であるということを私どもは誤解をしておったということでは決してございませんで、まさにこの規定あるがゆえに昨年の立法準備においてもずいぶんと苦労をしたという経緯があるわけでございます。
 その点だけを御了承願いたいと存じます。
#32
○丸谷金保君 大臣、先ほど笑っておりましたけれども、こういうことなんです。弱いんですよ、フランス語に。というのは、ドイツにはどういうわけか、ハンブルグの中村さんなんて大変優秀な人が農林水産省から派遣されていて、もうドイツのことになると非常に詳しくわかるんですが、フランスのことになるとよくわからないような感じがします。ひとつ思い切ってフランスにも優秀な人を常時派遣して、さっと物が入ってくるような体制をこの機会に……。そうしますと、年金の制度なんかについてももっと掘り下げた論議ができますので、大臣の機会にそういうことをひとつ考えていただきたい。お笑いにならないで、本当なんですからお願いいたしたいと思いますが、いかがですか。
#33
○国務大臣(渡辺美智雄君) フランス語もきわめて重要で、国際語でございますから、十分勉強をさせるようにしたいと存じます。
#34
○丸谷金保君 それで、いま財務諸表をもらってちょっと見たんですが、五十四年度の予定貸借対照表がまだ実はできていないという話でございます。予定貸借対照表というのは、本来は年度の始まる前にできなければならないものじゃないかと思うんですが、この年金についてはどういうふうになっておるのでございますか。
#35
○政府委員(大場敏彦君) 五十四年度の予定貸借対照表、御指摘のとおり早くつくらなければならないわけでありますけれども、大蔵省といま協議中で、まだその完全な最終的な整理が完結しておりませんので提出できなかったということで、申しわけございません。
#36
○丸谷金保君 実は、年金問題の中で特にいつも問題になるのは財源比率、それから、何年たつと財源がなくなるんじゃないかという論議でございます。特に、農業者年金につきましてもそういう点で、ただいまも大臣から御指摘のございましたように、このままでいくと先細りに、年金を掛ける人の数が少なくなってくるから原資が足りなくなってくるというようにお話がございました。私たちも、その実態から言いますと、現況でいけば現況の掛金、それから現況の法制でいまこの法律改正をやるというふうなことになりますと、当然六十年代を終えずして六十七、八年くらいですか、もうなくなりますわね。いつもそういうときの論議が現況ではということがつくんです、現況でばと。たとえば物価の上昇、賃金の上昇、そういうふうなものをスライド計算しないで年金数理を出してくるというふうなまことに上手なごまかしが行われて、いつでも、財源はすぐ足りなくなるんですよ、足りなくなるんですよという議論が、これはもう国民年金だけでなくて、各種年金の最初からついて回っております。農業者年金についても同じことが言われておるわけです。
 ですから、これは一体物価がどれだけ上がって、年金をどれくらい支出しなければならなくなったときの掛金はどうなるんだという、そういう掛金の上昇率その他についても、やはりある程度何年かを見通した数値を出して論議をさしていただかないと、全く論議の必要性といいますか、意味がない論議が行われているということを、私は年金の問題でつくづく感じるんです。ですから、そういう点では、この年金そのものにつきましても同じようなことが言えるんじゃないか。
 したがって、このいま貸借対照表と試算表の五十三年度の状況を見ますと、まず第一に、積み立てたこの資金が約三千億、これらの使途について本来法の中では、十九条の二項で福祉増進施設のために、それから政令の中で休養、体育、教養、文化その他というふうなことで、事細かにそういうところに資金を回すという定めがあるんです。しかし、どうもちょっとこれだけでは余りそういう点に回しているようには見えないんですが、具体的にひとつそういう資金の運用について御説明を願いたいと思います。
#37
○政府委員(大場敏彦君) いま御指摘になりました資金というのは、年金にたまっている積立金、その運用ということだろうと私理解してお答えいたしますが、五十三年三月末現在で年金勘定の積立金は二千二百八十九億であります。これが具体的な運用内訳は、基金が行っております農地の売買とか、あるいは融資勘定への貸付金が約二百八億でありまして、そのほか農林債券等の有価証券が千七百億余り、それから貸付信託等が三百七十億、こういったことになっておりまして、かなりの部分は農村に還元するような形で運用をしているわけでございます。
 それから、いま御指摘になりました福祉の還元、具体的な福祉事業について資金を使うことについてはどうかというお尋ねもあったと思いますけれども、これにつきましてはいろいろ確かに課題でございます。必要なことだと思いますが、ただ、資金の性格上失敗してしまったら、これは将来の給付財源でありますから、そこに慎重を要するということで、年金内部におきましても福祉事業研究会というものをつくっていろいろ検討しております。安全な形で資金を運営しなきゃならないというこういう命題と、それから具体的にはどういう福祉が農民に好まれるか、こういったことについていま早急に詰めている最中でございまして、やはり御指摘のように、いろいろ先ほど申し上げました形での農村還元ということはやっておりますが、それとあわせて、福祉事業へ何らかの形で運用をしていくということにつきましては、至急検討を進めたいと思っております。
#38
○丸谷金保君 この貸借対照表や試算表によりますと、全くそういうところに出してないような、それの項目がないので、大変私もいま不思議に思ったのですが、普通は共済年金にしても何にしても一定の基準がありまして、積立金の支払い準備金としては五〇%とか、あるいはそういう被保険者に対して福祉施設その他に二五%とかというふうなそれぞれ基準を設けて、国はその運用を明確にしております。農業者年金については、そういう基準はないんですか。
#39
○政府委員(大場敏彦君) 年金勘定にたまっております資産の運用につきましては、これは健全にそれが当然運営されるべきだと、こういうことから、たとえば現金、預金、貯金あるいは有価証券その他で保有する割合が百分の五十五だとか、あるいは不動産の取得割合が幾らだとか、そういった構成割合は、農業者年金基金の財務及び会計に関する省令というのがございまして、そこで規定しております。もちろん基金はそれに従って運営している、こういうことでございます。
#40
○丸谷金保君 その省令によりますと、どういう割合になっておりますか。
#41
○政府委員(大場敏彦君) 年金勘定に計上しております資金の構成割合でありますが、一つは、現金、預金、貯金、金銭信託、有価証券、これが百分の五十五ということになっております。それから二番目に、基金がいろいろ業務を行っておりますが、不動産取得を目的とするもの以外の業務に対する貸付金、これが百分の二十五、それから不動産の取得を目的とするものに対する貸付金、これが百分の二十ということで、それで一〇〇%ということになっております。
#42
○丸谷金保君 そうすると、法十九条二項の福祉増進施設等というのは、その他の百分の二十五の中で処理されるべきものでございますね。
#43
○政府委員(大場敏彦君) 百分の二十五ということの中で、具体的な、いわゆる農地の売買だとかそういったことに対して、基金で勘定に対する貸付金はやっておりますが、それ以外のいわゆる一般的な意味の福祉勘定は、いま御指摘になったような中で運用しているというように理解しております。
#44
○丸谷金保君 農地の売買その他の貸し付けというのは、不動産勘定でしょう。百分の二十というのでやるんでないですか。
#45
○政府委員(大場敏彦君) 不動産または基金の業務を行ううち、不動産の取得を目的とするものに対する貸付金が百分の二十、それから不動産の取得を目的とするもの以外の業務に対する貸付金が百分の二十五ということでございます。
#46
○丸谷金保君 実態はどうなんですか。要するに、これから言いますと、構造改善を目的とするこの年金の立法趣旨の一つである農業の経営規模の拡大等に要する土地取得資金の貸し付けというふうなことに回せるのは、省令の中で百分の二十ということになっているわけでございますね。そして、それの実態は、一体積立金の中の何%くらいがそれに当たっておりますか。
#47
○政府委員(大場敏彦君) 五十二年度末の積み立ての運用金で言いますと、農地の売買への貸し付けが約四十八億、それから農地の融資勘定への貸付金が約百六十一億ということになっておりまして、大体が貸付金が二千億以上でありますから、両方合わせて八ないし九%ということで、いま申し上げました額には達しておりません。
#48
○丸谷金保君 これが額に達していないというのは、それはなかなか運用上の問題だからそうきっちりいくわけではないし、まあ一〇%から一五%前後しておれば有効に作動しているということも言えると思いますけれども、問題は、この百分の二十五のその他の方なんです。こういうこの配分の割合を見ますと、おおよそ国が各種の年金に対して指示しているそれぞれの資金運用の配分の割合とほぼ似ておるんです。ですから、こういうことは省令では決めているけれども、農林水産省なり、あるいはこの年金の団体なりがそれぞれ独自の判断で決めたものでなくて、一応国の基準に従ってこういう配分割合を決めたのではないかと思いますが、いかがでございますか。
#49
○政府委員(大場敏彦君) ただいま申し上げました配分割合というのは、厳密に言えば何%でなければ絶対にいけないというものではもちろんないわけでありますが、およそ達観して、パンフレットをも参酌して省令で基準を決めてあるということでございます。具体的に基金が運用しておりますパーセンテージというものは、これはもちろん農地の売買あるいは農地に対する融資勘定、これは農民に御希望があれば、どんどんやはり的確な御希望があれば貸し付けをするというわけでございますが、そういう御希望を無理に切って査定しているということではございませんので、的確な御希望があればそれを充足する形で基金が対応していると、こういうことでございます。
 それからあと、そういった土地、農地の売買とか、あるいは農地の融資勘定に対する貸し付け以外の主な使途は、大きな課題としては福祉事業にどうやって有効に、しかも安全に使っていくかということが残っていることは、先ほど御答弁申し上げましたが、現在時点におきましては有価証券を保有するという形で、それもできるだけ農村に還元するという形で農林債券を購入するというところに力点を置いて運用している、そういう形で現在の時点におきましては農村への還元を図って意を用いているということでございます。
#50
○丸谷金保君 二五%といいますと、二千億にしても五百億ですわね。これらのものがそういう方向に回せられるにもかかわらずほとんど運用されていないということは、私はやはりこの事業の運用の面については問題があるんじゃなかろうか。新しいそういう資金需要の安全な開発と開拓といいますかをすべきだと思いますけれども、この点についてはいかがでございますか。これは大臣、どうでしょう。
#51
○政府委員(大場敏彦君) 方向としては、御指摘のとおりであります。衆議院等の御審議におきましても農業者年金理事長が御答弁申し上げておりますが、福祉事業についてはできるだけやりたい、しかしいま先生御指摘になりましたように、これはいわば農民からお預かりしている金でもありますから、安全ということも同時に考えなきゃならない、安全ということと農民への福祉ということが両立するような具体的な何かを探したい、こういった意向で、先ほど申し上げておりますように、研究会をつくっていま結論を急いでいると、こういう状況でありますので、方向としては御指摘のような形で作業いたしたいと思っております。
#52
○丸谷金保君 たとえば、いま農村の特にお年寄りで悩んでいる問題の一つに、歩いて集まれる範囲内のお年寄りの集会所のようなものが非常に少ないんです、全国的に。これは、それぞれ厚生省その他の中で老人福祉対策をやっております。しかし、どうもそれらは市街地といいますか、同じ農村地帯に入っても中心地中心で、農村地帯の集会、お年寄りが集会できるというふうなそういう施設がきわめて少ない。これらのようなものは、何らかの形で対応してきた場合には貸し付け対象として考えられますか、どうですか、きわめて具体的な問題に一気に入りましたけれども。
#53
○政府委員(大場敏彦君) 積立金ですから、当然やっぱりある程度の運用収入といいますか、預けておけば当然利息という収入が予定されるわけでありますが、それを預けないかっこうでなった場合に、それに見合うような運用収入をどうするかということが、もう一つの問題点だろうと思うのです。そういう意味で、集会所等に対してその建設に対する融資ということが、一面においてそういった福祉性ということと、片方においてやはり農民からお預かりしている金でありますから、それにやっぱり卵を産ませなければいけない。こういった収益性の問題がありますので、それがうまくかみ合うかどうか、これはいまちょっと即答は申しわけないのでありますけれども、研究さしていただきたいと思います。
#54
○丸谷金保君 それについて資金の償還を、たとえば具体的に預かった金だから取れなくなったら困ると、たとえばそういうところに市町村が予算外の義務負担の議決をして、二十年なら二十年、十年から十年、その老人の集会施設をつくったそれらの団体なり地域の集落にその分は毎年支出すると。要するに年金に返す分は、組合なり市町村が責任を持って議決書をつけて保証した場合には、私はこれは絶対にいま局長さんがおっしゃるような預かった金の取りっぱぐれはない事業になるのじゃないかと思いますが、そういう場合どうですか。
#55
○政府委員(大場敏彦君) いまお話しになりましたように、市町村が資金の回収について何らかの形で責任を持つ、そういうことでありますれば、取りっぱぐれというそういう心配はする必要はないだろうと思うのです。しかし、同時にもう一つは、私が申し上げましたのは、取りっぱぐれの心配がないように運用するということと同時に、普通のたとえば農林債券を買っても、あるいは有価証券を買っても運用利息が予定されて、それがまた給付財源というかっこうで回っていくわけでありますから、そういう運用収益というものをどうするかということも片方において問題じゃないか。そういうことで、具体的な御設例になりました老人ホームというものが、そういった基金の運用の義務といいますか、そういうものとなじむかどうか、これはもうちょっと検討さしていただきたいということであります。
#56
○丸谷金保君 ちょっとそれは局長さん、いまの御答弁おかしいんですよ。というのは、運用収益、有価証券その他については百分の五十五という中で処理することになっているのでしょう。私の言っているのは、百分の二十五の方のことを言っているんですから。有価証券その他の利回り、そういうものとどちらが得か損かという議論になるんだったら、こんな資金の運用の配分を省令で決める必要はないわけですよ。だから、ちょっといまの御答弁はいただきかねるんですがね。有価証券はこっちの五十五の方で買うやつなんですから。
#57
○政府委員(大場敏彦君) 私が有価証券という設例を用いましたのが、ちょっと適切ではなかったかもしれません。しかし、いま御指摘になりました百分の二十だとか、あるいは百分の二十五とか、そういった方向におきましても、それは何らかの形で運用収益というものをやはり基金としては見込むというのが基金の運用の一つの必要な対応だろうと思いますので、有価証券の利息ということは適切でございませんのでそこは訂正させていただきますけれども、物事の考え方は同じじゃないかと私は思っております。
#58
○丸谷金保君 そうしますと、この貸借対照表の中で、一体現在の積立金が資産勘定で有価証券がこれは相当膨大にありますけれども、これらの利回りはどれだけになっているんですか。約二千億ですね。
#59
○政府委員(大場敏彦君) 平均して七%の利回りになっております。
#60
○丸谷金保君 一応この事業勘定としての目標は、どれくらいのところに設定してあるんですか。
#61
○政府委員(大場敏彦君) 最低といいますか、標準的なものとしては五・五%ぐらいの利回りを見込んでおりますが、現実にはそれより高いところで回っているということでございます。
#62
○丸谷金保君 資金の全部をそれに回せということでなくて、特に法で福祉増進施設に投資する、そういう分までやはり投資効果の利回り計算の中に本来年金の積立金を入れるものですか。ほかの年金はそんなふうになっていませんよ。
#63
○政府委員(大場敏彦君) 有価証券を購入して資金を保有していくという場合と、それから他の事業に、いわゆる福祉的な事業に投資して行われる場合と、それはいわゆる期待利益といいますか、期待収益というものがまるっきり同じだというふうには私ども必ずしも考えておりません。おりませんが、しかし一般的な福祉事業あるいは農村還元、そういったことに使う場合もやはりある程度収益を期待するというのは、これは私も具体的な詳細なことは存じませんけれども、ほかの年金等においても見られている例だというふうに聞いております。
#64
○丸谷金保君 大変細かい問題でございますけれども、やっぱりこの資金運用の根幹にかかわる問題だと思います。というのは、やっぱりこれだけのりっぱな法律をつくっておきながら、運用の面では何もやってないんです。ですから、私は具体的な問題を聞かざるを得ないわけなんです。省令でちゃんと決めて、今度省令の方なんかでは、もう休養とか体育とか教養、文化施設というふうに、具体的にこういうところに出すのだということまで省令の中でうたっているんですよ。しかも、実際には何もやってないんです。
 それから、御質問すれば、運用利益の問題がいろいろあるのでそう簡単にいかない、それから最初は、預かっている金だから返ってこなければ困ると。じゃ、絶対返るこういう方法でやればやれないことないかと言えば、今度は運用利益の問題だと、問題をすりかえちゃうでしょう。大体どこのあれでも、こういう場合の要するに福祉施設、それぞれの保険者の福祉施設重点にして出す場合、そういうのは余り考えてないんですよ。極端に言うとゼロに近いところだってあるんです、貸し付けておるので。それでも、国はそういう事業を認めているんです。市町村職員共済組合なんかでも、そういう事業をたくさんやっています。ですから、五・五%なんて言わないで、恐らく三%以内くらいだってこういう福祉施設の場合いいのじゃないですか。大臣、どうですか。
#65
○政府委員(大場敏彦君) 私、決して福祉事業に使うということを否定しているわけではございません。やや問題が違うかもしれませんが、農業者年金の資金としてはほかの年金等に例を見ないような形で、具体的には農地の売買だとか、あるいは売買勘定への貸し付けだとか農地の融資勘定への貸し付けとか、こういった形で、これはやっぱり農民に対しての還元という形で金の使い方はしているというふうに理解しております。
 そのほかに先生の御指摘は、一般的な形での福祉事業をさらにやれと、やったらどうか、こういう御主張だろうと思いますが、それはそのとおりであると思うのです。私、いま申し上げたように、それを否定的にやらないということを申し上げているわけじゃないので、具体的な対象、やり方というものをいま基金において考えているということを、お答え申し上げているわけであります。
#66
○丸谷金保君 それが結局考えつかないから、いままで手をつけなかったんでしょう。ですから私は、具体的な問題として提案しているわけなんです。提案というより提言しているんです。そして、御答弁の中で心配するようなことはないんだと、こういうふうにすればないんだということを言っているのですが、それでも御返事できないんですか、そういうことには出せそうだとか何とか。ですから、いま農村で非常に、特に集落に入っていって、お年寄りたちが集まるところがなくて困っているんです。バスかなんかで一週間に一遍とか十日に一遍とか、町のそういう老人福祉施設とか公民館とかいうふうなところに集まってがやがやと、そういうことはできるんですけれども、日常座臥、隣近所のお年寄りが集まってひなたぼっこするような、そういう施設がないんです。
 これは、そんなお金ではないんですが、数がたくさん要るのです。お年寄りは運転もできませんし、数をたくさんつくらないとだめなんですよ。そしてそういう誘い水があれば、地方自治体は集落と相談してそういうことは必ずやると、そしてそれが長期で、これは地方自治体が返済するんじゃなくて、地方自治体がそれらをつくった事業主体の集落に元利均等分を毎年度補助金に出して、それをそのままストレートに今度はその団体が農協を通じて年金の方へ返す、農協がかめばそれができるんです。いまだって、現にこの農業者年金というのは、組勘から本人たちが知らないうちにずっと引かれているんです。そういう形での制度というのは、簡単に考えられませんか。本気でやる気があるなら、もう少し前向きの答弁をしてください。二五%、何もやってないと言うから、私提言しているのでね。
#67
○政府委員(大場敏彦君) いま具体的な御設例でありますから、私がいま基金の意向も考えずにこの場でやりますというような御返答をするのは差し控えさしていただきたい、検討さしていただきたいというふうにお答えしているわけであります。ただ、決して否定的な意味で申し上げていろわけじゃないのですが、やっぱり基金の金というのは結局運用益を生むという形で、それは同時に、何も基金のためじゃございませんで、それが将来の給付財源になって、その分だけ論理的に言えば農民の保険料水準が低くなるという、そういう効用も持っているわけでありますから、そういった一面も持っていると。そういうことと、福祉事業というものをどうやって両立させるかというところを工夫しているのだということを、御答弁申し上げているわけであります。
#68
○丸谷金保君 このことだけかかってもいられませんが、もうちょっと、それは確かにここでやりますというお答えは出ないと思います。しかし、そういうことにもう少し積極的に取り組む姿勢、何か資金を運用益を生むことにだけ考えておる、うな表現でなしにひとつ御答弁願いたいと思うのですが、どうなんでしょう。これは別個の団体をつくっているんで、局長さんがそう歯切れのいい答弁はできないかもしれませんが、しかし、私が調べたところでは、この事業団は大体農林水産省そのものと言っていいんじゃないですか。
 じゃ、その事業団の人的な構成をひとつ御説明してください。
#69
○政府委員(大場敏彦君) 基金でありますけれども、基金は、理事長は元農林水産省の方がなさっております。それから役員、職員の方も、御指摘のように農林水産省の方が多うございますが、そのほかに年金でございますから、農林水産省と厚生省の共管ということになっておりますので、厚生省の方の御参加もいただいております。
 そこで、いまお話のありました福祉事業につきましては、私の答弁がいかにもネガティブな形で響きましたらこれをお許し願いたいのですが、理論的にそういうことを、たてまえを申し上げているわけであります。ですから、決して否定的に一切福祉事業なんてやる必要はない、いまのままでいいのだという、こういうことで申し上げているわけではないことだけは、御理解願いたいと思います。
#70
○丸谷金保君 それじゃ、具体的な問題に入りましたので、もう少し具体的な問題で年金制度を逆に下から見直していただきたいと思います。
 実は、北海道で四町五反、四・五ヘクタールの水田をやっていた農家が、減反政策に協力をして五反歩だけを、名義は本人なんですが、奥さんにやらせて、近くのガソリンスタンドに就職したわけです。もちろんそれまでの間は、この方は農業者年金に入っておりました。そして二十九カ月たったときに、ガソリンスタンドをやめて、また農村に戻ったわけです。そしてその間、この人の農業者年金の掛金はそのまま組勘から差っ引かれておったのです。これは首をひねっても事実なんですからね。いいですか。そして、ガソリンスタンドに勤めたことによって厚生年金にも入った。それで、今度はまたもとへ戻ったんですから、農業者年金はそのまま続いているのです。厚生年金の方は宙に浮くわけです、本来これは入れないのですから。
 法の基準どおりいきますと、これには二十九カ月分の農業者年金の掛金を戻さなきゃなりません。しかし、ずっと何年もそのまま続いてしまって、三年くらいたっちゃった。気がついて――大体農村ではそうなんです。組勘からいろいろなものを引かれますから、何が幾ら引かれているかわからないのですよ。結局、これはおかしいじゃないかと言って相談に行ったら、その農協ではそのまま続けろと、こういうことなんです。おかしいと言ったってそうなんだから。こういう例を、私一例をいま申し上げましたけれども、たくさんあると思うのですよ。一体この場合には、本来返さなきゃならぬでしょう。返さないで続けた場合のこの契約というのはどうなんですか、有効ですか、無効ですか、一部無効になりますか。これをちょっとひとつ御説明願いたい。
#71
○政府委員(大場敏彦君) いま御設例のように、農業をやっていた方が減反の結果ガソリンスタンドにお勤めになった、それで厚生年金に入られた、後でまた農業に復帰されたわけでありますが、そのガソリンスタンドに勤められて厚生年金に入られた期間は、少なくも農業者年金について言えば、これは国民年金の加入資格を失っておりますから、農業者年金の資格はその期間はないということで、したがいまして、二十九カ月もの間組勘から保険料を徴収しておったということは、これは明らかに間違いであります。それは農家の方にお返ししなければいけない、こういったことになります。
 そこで、こういう場合には、農業者年金は、ガソリンスタンドに入る場合、入られる前と、それから入られてから、いまも農業をやっていらっしゃるわけで、これは通算ができる、こういったことでありまして、それから国民年金の通算の問題は、ガソリンスタンドに勤められる前は国民年金に入っていらっしゃった。それから、ガソリンスタンドに入った場合には厚生年金に、被用者年金に入った。今度はまた農業にバックされて国民年金に入られた、これはその期間は通算できる、こういったことでございます。
 もう一回申し上げますと、国民年金、厚生年金、それから国民年金の期間は通算が可能である。それから入る前と、ガソリンスタンドからやめてまた農業に戻られた後、この期間の農業者年金の通算は可能である。しかし、ガソリンスタンドに入っていた、勤めておられた間の農業者年金は、この期間は通算はできない。その期間の保険料はお返しするというのが、制度からしての結論であるというふうに理解しております。
#72
○丸谷金保君 それで、そうすると、この場合は何年たっても時効ということはありませんね。返しますね。
#73
○政府委員(大場敏彦君) これは時効というのはございませんで、それは誤って保険料をいただいているわけでありますから、お返しするということでございます。
#74
○丸谷金保君 返す場合の金利は幾らつけることになりますか。
#75
○政府委員(大場敏彦君) 誤加入の場合でありますが、これはその間の金利はつけておりません。
#76
○丸谷金保君 この場合は二十九カ月でも、要求すれば返ってくるのですよ。しかし、行政指導としては、そのままやっておれという話だったのです。この人は返してもらいましたよ。それはおかしい、そんなものは当然――ところが、組合にいったら、いや、そのままずっと続いてまた戻ったのだから、やっておれと言われた、どうもおかしいのじゃないかという相談を受けたのです。で、それは要求すれば絶対戻してもらえるから戻してもらえといって戻してもらったんですが、一点としては、一体そういうふうな末端の取り扱い業務をやっている協同組合に対して、農業者年金の取り扱いについての農林水産省の行政指導が徹底していないのじゃないか。こういう事案はほかにもたくさんあると思うのですが、そういう事案がたくさんおありになるということがおわかりになっておりますか、どうですか。
#77
○政府委員(大場敏彦君) いまお話しになりましたような設例は、窓口の方が農業者年金の制度の中身をよく御理解になっていらっしゃらなかったというところに問題があるわけで、それは農林水産省が直接というよりも、農業者年金基金がございますから、農業者年金基金を通じて農業委員会あるいは農業協同組合、そういった窓口に対する徹底を図るべきだというふうに思います。今後ともそれは努力いたしたいと思います。
 それから、ほかにもそういう誤加入、誤って加入したと、こういう例はあるか、こういうことでございますが、これは聞いております。しかし、それを具体的に何県で幾つ、どの県で幾らというような形での数量的な把握は、残念ながらいま私の手元には持っておりません。
#78
○丸谷金保君 新しい制度ですから、なかなかなじむまでには時間はかかるんだろうと思います。しかし、それにしても、私どうも不思議なのは、この場合は返してもらいましたね。しかし、掛け出して三年未満に離農した場合、解約した場合、これは返さないんですね。そうすると、どうもちょっと片っ方は返すし、片っ方は三年未満は返さないんですよね、法的に。この返さないで掛け捨てでもって、原価ただでもってこの基金に入ってきた金というのは、一体どれくらいあるのですか。
#79
○政府委員(大場敏彦君) 三年以上掛けておれば、それでやめるという事由が発生した場合には、それは脱退一時金という給付の対象になります。
 ただし、先ほどの御設例でお答えしますれば、その方が三年以上農業者年金にガソリンスタンドに入る前に入っていらっしゃったという場合には、一たん自分がやめて、そして脱退一時金をもらってガソリンスタンドに入るか、あるいはガソリンスタンドからまた農業に戻るということをお考えになっていらっしゃる場合には、脱退一時金をもらわないで、ずっと通算するというような形で対応する、これは御本人の選択の自由だろうと思うのです。ただ、いま後段で御指摘になりましたように、三年に満たないような場合には、これは脱退一時金の支給対象にはなっておりません。
 そこで、掛け捨て――それはまあ掛け捨てということに結果としてはなるわけでありますが、件数でございますが、ことしの三月までの累計で農業者年金の脱退数は約九万五千人あります。その中で一万六千人が再加入しておりますから、七万八千人がいわゆるネットで脱退したということであります。そのうちに、脱退一時金の支給を受けて脱退した者は約二万人ございます。ですから、残りの七万八千人から二万人を引きました五万八千人が脱退一時金を受けずに脱退している、こういったことになっております。
#80
○丸谷金保君 その金額は幾らになっているか。これはずいぶん何といいますか、事業収益としては莫大なものだと思うんですがね、効率のいい。
#81
○政府委員(大場敏彦君) 申しわけございません。いまその五万八千人分の見合う金額は、手元に持っておりません。
 それから、なお、五万八千人が脱退一時金を受けずに脱退しているということを申し上げましたけれども、これらの中には、ずっともう脱退しっ放しということじゃなくて、先ほど私が説明申し上げましたように、脱退一時金の資格はあるけれども、たとえばガソリンスタンドに勤めて、また農業へ戻ってくるということを自分では考えているために、この際、脱退一時金はもらうのをやめておこうという方も中にはいらっしゃるわけです。それから、あるいは一時出かせぎにいらっしゃって、そういう意味で一時脱退している。また、これも農業に戻ってくるから脱退一時金はもらわないと、こういった方々もいらっしゃる。それから、経過的に国民年金には再び入ったわけでありますが、農業者年金に入っていない、こういった方々もいらっしゃいますので、全部が全部五万八千人の方々がいわゆる掛け捨てにしっ放しになってしまうと、こういう方々ではないと思います。
 数量的に金額がどの程度になるかということは、申しわけございませんが、いま私手元に把握しておりませんので、後ほどでよろしければ、お
 許し願えれば御報告申し上げたいと思います。
#82
○丸谷金保君 それでいま、金額は後でよろしゅうございますが、先ほど大体基金の運用益というのは七%という御答弁がございましたけれども、というところは大体その前後ということでございましょうけれども、そうした掛け捨てで基金の収入になってしまうものは、この七%の割り返しの中には加算しておりますか、しておりませんか。
#83
○政府委員(大場敏彦君) 厳密な計算はしておりませんが、理屈の上からでは七%の割り返しといいますか、その中には入っているというふうに……。
#84
○丸谷金保君 ちょっとはっきりしてくださいよ、それ。大変な違いになってくる。
#85
○政府委員(大場敏彦君) 失礼いたしました。七%の運用益には入っておりません。
#86
○丸谷金保君 おりますか。
#87
○政府委員(大場敏彦君) おりません。
#88
○丸谷金保君 おらない。
 それで私は、本来は当然厚生年金に入れば国民年金を抜けて、農業年金も抜けるわけですよね。だから、間違いが起こることの方がおかしいんです。なぜ間違いが起こるのだろうということで、このことについて調べてみたんですが、結局、この縦割りの行政の弊害なんです、末端に行きますと。たとえば、役場の窓口に行けば民生課の方では、厚生年金に入るとわかるわけでよ。あれが出てきますから、毎年の給料の何と言いました、大臣はよく知っていますね、あの……。
#89
○国務大臣(渡辺美智雄君) 源泉票。
#90
○丸谷金保君 源泉票、これが出てきますのでわかるわけなんです。ところが、それは今度は農業者年金の関係等については農協がやっていますでしょう。この間の何というか、連絡さえスムーズにいくようになれば、これはうまくいくはずなんですよ。いかない方がおかしいんですが、実態はどこの市町村聞いてみても、そういうふうな連絡はなかなかとられていないようです。ここら辺にひとつもうちょっと農林水産省としては指導の重点を置いていただきたい。そうすればこういう間違いがなくなると思いますので、その点、ひとつこの機会にお願いしておきたいと思います。
 と申しますのは、源泉徴収票というのは税務係に行くわけですよ。そうすると、農協の方というのは、税務係は税務署から今度頼まれて農業所得計算などの事務をやることがあります。それだけに、逆に農村の農協の方の預金その他を扱っている方はできるだけそれとは近づかないような空気は、これはもう全国的にそういうことだろうと思うのです。そこの壁を破らなければならないので、これはやはり縦割り行政を末端でもう少しつなげるような工夫をしていただかないと、たとえば源泉徴収票の問題についても、大蔵から、農民については必ず農民年金に入っているんだから、源泉徴収票が出てきた場合には、役場は農協にそれぞれ毎月そういう報告をしなさいとか、ちょっとひとつあると、こういう間違いは起こらなくなると思うのですが、そういう点についての配慮はどうなんでしょう、できないものなんでしょうかね。
#91
○政府委員(大場敏彦君) われわれの農業者年金は、これは御承知のとおり、農業委員会あるいは農業協同組合を窓口にして、末端として接触しているということでございまして、町村を直接他の年金みたいなかっこうで使っているというか、頼んではいないということであります。そこに、御指摘になりましたような問題は確かにあるということでございまして、やはり農業委員会あるいは農協、そういった窓口と町村との関係というものは、これは町村の御援助もお願いしなければなりませんが、さらに密にしていく必要があるだろう。
 いま先生が御指摘になられました問題は、確かにそういう問題があるということで、われわれはもう十分認識して改善していきたいと思います。
#92
○丸谷金保君 それから、どうもこれはちょっと理論的におかしいんじゃないかなと思うことは、国民年金は強制加入です。国民年金は強制加入ですが、そのうち所得給付に属するプラス四百円という任意加入の分があります。そして、各種年金にスライド制が実施されるようになりまして、国民年金にもその制度は適用されて現在進めてきておりますし、今回の農業者年金についてもそれが行われるというふうな法律案でございます。
 そのこと自体に問題はないんですが、この四百円は国民年金でもスライドにならないんです、この分の給付の場合に。定額給付なんです、四百円につきましては。したがって、農業者年金についても同じように定額給付です。ところが、これがスライド制にならない原因は、国民年金の方の答弁等によりますと、任意加入だから、任意加入でこの四百円というのは出しても出さなくてもいいんだから、強制加入の分ではないからスライドの対象にはならないのだと、こういうふうに言っておるんです。それはそれでわかります。しかし、農業者年金の場合ですね、プラス四百円というのはこれは強制でしょう。そうすると、どうしてこれが、任意加入だからスライド制にならないと言っていながら、これは農協では無条件に引いていますよ、四百円というのは。
#93
○政府委員(大場敏彦君) 御承知のとおり、わが農業者年金は、国民年金の付加年金というかっこうで制度を仕組んでおります。そういう意味で、国民年金の基礎的ないわゆる国民年金部分と、それから四百円それに加わった、私はよく知りませんが、いわば所得比例的な要素がある程度入ったというふうに申し上げていいと思いますが、そういった部分が加わったものを底にして、その上に農業者年金というものが加わっていると、こういうふうに制度を仕組んでおるということでございます。
#94
○丸谷金保君 私の質問しているのは、だからその任意加入の分を国民年金で定額給付でスライド制の対象にしないというのはわかる。しかし、農業者年金の場合にはもう四百円は強制的にどんどん引いちゃっているんですから、スライド制の中に組み込まないというのは、年金数理の中で四百円を別にして計算していますでしょう。それはおかしいのではないかということを言っているんです。
#95
○政府委員(大場敏彦君) 私の取り違えかもしれませんが、農業者年金の中には付加部分はない、農業者年金は御承知のとおり全部定額という形で、スライドというか、所得に比例してはおりません。ただ、その農業者年金の乗っかるべき底の土台といいますか、国民年金の中にいわゆる基礎的な部分と付加部分というものがあると、こういうことでございます。
#96
○丸谷金保君 どうもちょっとあれなんですが、国民年金の場合は、強制加入の分についてはスライド制があるわけです。いいですか。それから、任意加入の四百円については、これは任意加入だからスライド制がないと言っているんですよ。厚生省、どうですか。
#97
○説明員(吉原健二君) いまお話のございましたように、国民年金には強制的な基礎的な部分とそれから付加的な部分がございまして、強制的な部分についてはスライドがあるわけでございまして、付加的な四百円の保険料をいただいてそれに見合った給付をするという部分については、実はそれは任意的な仕組みになっておりますので、先ほどからお話のございますように実はスライドはされていない。ただ、財政再計算のときに、実質的な給付の改善あるいは保険料の引き上げということをやってまいっておるということでございます。
#98
○丸谷金保君 これは要約すると、国民年金においては強制加入の分はスライドをするけれども、スライド制になじんでおるけれども、任意加入の分は直ちにスライドするということがなくて、年金の改定によって給付の金額を定額で上げるときには年金の支出の方も上げてもらって直していくという制度になっていますね。だから、強制だからスライド制になじむという国民年金の基本的な考え方がございますでしょう。そういうことなんです。そうすると、農業者年金はこれは強制なんですから、全体としてスライド制というものはなじまなければならないんじゃないか。
#99
○政府委員(大場敏彦君) 農業者年金には当然加入者それから任意加入者ありますけれども、いま年金の給付水準につきましては、先生のおっしゃっているのは物価スライドという意味でございますね。
#100
○丸谷金保君 はい。
#101
○政府委員(大場敏彦君) それは、物価スライドは全部について、経営移譲年金全部についてしております。
#102
○丸谷金保君 そうすると、そこで農業者年金についても強制的に加入する分については、物価のスライドというものは今後もずっとそういう年金の理論から言って外れることはないというふうに理解してよろしゅうございますね。
#103
○政府委員(大場敏彦君) いまお答えいたしましたように、農業者年金は任意加入のものもありますけれども、これは物価スライドという形で年々給付水準の改善を図っております。厳密な議論をすれば、任意加入のものについて物価スライドをするのかどうかという議論もないわけではありませんけれども、それは別にして、全体として物価スライドをしております。
#104
○丸谷金保君 年金の問題、ちょっとこれは非常に他の年金との関連もありますので、農業者年金だけで全体の解明をしていくということにはならないんですが、いまのお答えの中で冒頭に財源の問題で、大変農業者年金というのは今後先細りになってくると。しかし、そういう先細りになってくる財源の論争は論争としてはありますけれども、そのことが理由で物価スライドの現在の制度が曲がるというふうなことは考えないでよろしゅうございますね。
#105
○政府委員(大場敏彦君) 従来も毎年物価スライドをしておりますし、いま御審議をお願いしております法律も、従来の五%未満のときは物価スライドをしなかったのを特に五%未満で物価スライドをすると、それから適用時期も半年繰り上げると、こういった措置をお願いしているわけでございます。
 今後どうするかという話でありますが、これはほかの国民年金あるいは厚生年金、そういう年金制度全般との考え方で平仄を合わせてわれわれはやっていきたいと思っております。
#106
○丸谷金保君 それで、これは法律の改正でもって物価スライドが出てきますわね。そうすると、冒頭の大臣の説明によりますと、大変こう先細りになってくる、財源も心配だと。そうすると、これが出てこないと、物価スライドで農業者年金だけ置き去りにされる可能性があるんですよ。かりそめにもそういうふうなことはございませんね、提案してこなかったらできないんですから。われわれは本来これはもう法律事項の中に組み込んじゃって、物価スライドはもう当然の義務的なものに年金法の改正全体としてしなきゃならぬと思うんですが、それにしても、いまのところはこうして毎年出てくるわけです。だから、これが財源云云でことしは見合わせたというふうなことには絶対にしないというとこを、ひとつ大臣にお約束いただきたいと思うんです。そして私の質問を終わりたいと思います。
#107
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私がいつまでも大臣をやっているわけじゃないから、絶対にしないかどうかは言明の限りじゃありませんが、国民年金に準じて取り扱っていくということでやります。
#108
○委員長(久次米健太郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時七分開会
#109
○委員長(久次米健太郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#110
○藤原房雄君 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、若干の質問を申し上げたいと思います。
 この法案のこのたびの改正趣旨につきましては、年金給付額の物価スライドとか、後継者の加入の救済措置とか、こういうことにつきましては、私どもはそれはそれとしてまことに時宜を得たものだろうと思います。しかしながら、この農業者年金の持っております法の趣旨、また農民の期待、こういうものから考えますと、このたびの改正は改正といたしましても、今後に対してまた大きな期待がかけられておるわけであります。その間のことにつきまして、順次御質問いたしたいと思うんであります。
 まず最初に、この制度そのものについてでありますが、午前中もいろいろございましたのであれでございますが、まず大臣に、過日の提案理由の説明の中に「本制度につきましては、現在加入者数は約百十二万人となり、年金受給者数も八万人を超えておりまして、早期の経営移譲が行われることにより、農業経営の若返り、農地保有の合理化に役立っております。」というように、このように評価をいたしておるようであります。これはこの法律に対して、大臣として率直にこの法律が経営の若返りとか、農地保有の合理化に役立っているという評価をなさっているわけでありますが、しかしながら、現状の中で政策的な意味もありますけれども、さらにまた現状は現状として、今後に対する大きな期待がいろいろ寄せられておるのですが、まず最初に、ここに述べられておりますけれども、現状認識といいますか、総括的な意味で大臣の御感想、御見解といいますかを伺っておきたいと思うのであります。
#111
○国務大臣(渡辺美智雄君) 農業者年金も発足後まだ年月が若いわけでありまして、したがって、現在の段階で老後保障に満足だということは申し上げられませんけれども、これも年限がたつにつれて、世間並みの年金になっていくわけであります。したがって私は、やはりこの制度は、今後の農業経営者の若返りというものを促進するためにもかなりの意味がございますし、国民年金の付加年金として、一緒になって農業者の老後の保障についてはかなりの役割りを果たすものであると、かように考えております。
#112
○藤原房雄君 ただいま大臣からもお述べいただきましたが、この年金の設立の法の趣旨といいますか、これは非常に政策年金的な色彩が濃いわけでありまして、農業政策が非常に揺れ動くといいますか、非常にむずかしい時代に来ておるわけでありまして、それなりに、農業者の老後の生活の安定ということのためには年金の制度も大事でありますし、また、そのほかの諸施策も大事であろう、こういうことで、総合的にこれはいろんな対策を講じていかなきゃならぬだろうと思います。
 そういうことで、この大臣の提案理由の説明の中に「さらに本制度の一層の改善充実を図るため、今回、改正を行うこと」としている。今回の改正は改正といたしましても、今後に対して、この制度の一層の改善充実を図っていきたいという趣旨が、この一部分に込められているのじゃないかと思うんでありますが、この制度ということも、さることながら、そのほかのことについても、総合的にこの農業者の老後に対しての諸問題について率直なひとつ大臣の御見解を承りたいと思います。
#113
○国務大臣(渡辺美智雄君) 今後とも充実を図ってまいりたいと考えております。おりますけれども、問題は、給付の額を引き上げていくというようなことになりますと、当然その財源が必要なわけであります。したがって、国家財政でだけ持てと言われても、このような非常に窮乏の財政状態の中でありますし、また、年金の掛金を大幅に上げるというようなことも、現実の農村の状況から見て、そう上げられるというように私は思っておりません。現に、三千三百円程度の月額の国民年金の掛金につきましても、これが五、六年もすれば倍以上になる予想を、予定をされておるわけでありますから、その現在のペースでも私は負担はかなりきつくなるのじゃないかと、こう思っておりますので、改善充実といっても、一挙にその支給額をふくらますというようなことまでは考えておりません。
#114
○藤原房雄君 今日のような経済情勢の中で、農業者年金だけがほかの年金と比較して大幅に、また特殊な改革といいますか、改善といいますか、そういうことは、これはこういう経済情勢の中でありますからでき得ないことであろうと思います。しかしながら、本来のこの政策年金といいますか、政策目的の中で生まれ出たということの中で、いろんな農業政策の中の一環としてやっぱり重視しなければならない大事なことだと私は思うんであります。それは、大臣も同じ認識の上に立っていらっしゃると思います。
 いまこの農業者年金だけが急激に大幅に、そういうことは望み得ないであろうというお話でありますけれども、こういう経済情勢でありますから、ほかのものと比べて大きなことはできないといたしましても、順次改善の方向に持っていきたい。また、いまいろいろ議論になっていることについても積極的に取り組んで、まあこういう年金といいますとすぐ財政問題が入ってくるわけでありますけれども、財政問題も度外視してはこれは云々はできませんけれども、しかしながら、この制度のより最初に役立っておるということを評価なさっている立場からいたしますと、当然、改善できるものについては順次改革をし、そして改善をし、よりこの政策目的が達成できるようにというお考えであろうと思うんですが、どうでしょうか。
#115
○国務大臣(渡辺美智雄君) 総合的に考えまして、改善できるものは改善するように努力してまいります。
#116
○藤原房雄君 今日までも、当委員会といたしましても、附帯決議を中心としまして何点かの問題点が提起され、衆議院でも、また当委員会でも論議をされておるわけであります。それはどういうふうに検討してどういうふうになったのか、そこらあたりのことについてはこれから順次御質問申し上げるわけでありますが、大臣の先ほどの御答弁にありましたが、農業者年金は確かに若返りとか、農地保有について農地保有の合理化に役立っておるという、こういう現在の評価でございますが、ことしの一月ですか二月ですか、農業者年金基金法の一部を改正するについての答申が社会保障制度審議会から出ておりますね。
 この中に、「本制度は、農業政策上の観点から特に手厚い国庫の負担を受けているものであるが、今なおその政策効果は明らかにされていない。そのうえ、」云々と、こういうふうにありますけれども、非常に農業サイドから見るのと、またこういう制度的な社会保障制度全体の中からの見る目と、当然その見方は違うだろうと思いますけれども、こういう審議会の答申に対しては農林水産省としてはどういうふうにお考えですか
#117
○政府委員(大場敏彦君) いま御指摘になりましたように、社会保障制度審議会の議論の結論として、この制度について、政策効果について疑問を投げかけているということはありますが、私どもは、大臣が御答弁申し上げましたように、この農業者年金制度は、それなりの構造政策的な効果はやっぱり持っている。それは経営移譲の促進による経営の若返りということもありますし、あるいは量は少ないにいたしましても、第三者移譲による経営規模の拡大ということもあるし、それから農地の流動化ということにもやはり貢献はしていると思います。それから、やはり大きな問題として、経営を一括移譲するということによって、農地の権利が分散化し、あるいは農地の地権が細分化するというそういった問題を防いでいる、そういった効果はやはりあると思います。
 しかしながら、構造政策は、御存じのとおり、効果を急速に発現させていくということは非常にむずかしい政策でございまして、ましてや、いまの土地保有の要求の高まりの中でそれを成就していく、し遂げていくということにはいろんな困難性が伴うということがありますので、なかなか社会保障制度審議会の方々には十分な御理解は得られなかったということは、われわれの説得を今後しなければならない、努力を要するというふうに理解しておりますけれども、必ずしもあそこから出されました御議論が全部正鵠、的を射ているというふうには私ども思っておりません。やはり年金は、それなりに効果は発現しつつあるというふうに理解しております。
#118
○藤原房雄君 大臣は、かつて厚生大臣でもあられて、そういう制度のことについては非常に詳しいわけでありますけれども、いま局長のお話ですと、深い理解がなかったとかいろいろお話なさっておりましたが、この間のことについては大臣としてはどういう御見解、お考えでしょうか。
#119
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も余り詳しくはありませんが、概括的に言えば、ただいま局長が説明をしたような印象であります。
#120
○藤原房雄君 確かに私どもも各地へ参りまして、いろんなお話の中で、農業を取り巻く環境というのは非常に厳しいですから、制度ができたからといってすぐその政策効果というものがあらわれるということじゃなくて、やっぱり発足してまだ八年、九年、こういうところでございますから、大きな期待をしたいと思います。そのためには、やっぱり現在この加入なさっている方、これから加入しようという方々の率直な意見というものも非常に大事だろうと思いますし、そういう点では、さっき大臣からお話ありましたように、やっぱり時宜に即したものについては改善の方向で考えていくべき諸点があるのではないかと、こういうことで、理解がないなんというこういう評価――評価といいますか、そういうことじゃなくて、もっと理解を得られるような、そうしてまた、そういう実績が着実に積み上げられていくような効果ある制度に育て上げていかなければならないと私は思うんであります。
 それで、まあいままでのことを踏まえまして、この農業者年金の目的というのは、経営移譲ということを中心としましていろんなことがなされているわけでありますけれども、農家の方々からすれば、これは老後の生活の保障といいますか、これを願う、そういうことでこの年金の受給というものに対する期待。ところが、この法の趣旨からいいますと、農業経営者の若返りとか農業の近代化、さらには農地の流動化を促進して大規模専業農家の育成という、こういうことですから、国のこの政策目的とするものと農民の期待するものとの、ここにずれがあるといいますか、いろんな要求、要望というものもそこから出てくるんだろうと思います。ただ、これは当初大臣のお話にもありましたように、財政といいますか、これの全体の運営ということになりますと制約があるかもしれませんけれども、物の考え方としては、国のなそうとする法の趣旨というものと、それから農民が実際それを受ける立場から期待するものとの間にはそういうギャップがある。それを、現実を踏まえてどこまで改善を推し進めることができるかというところにあるのだろうと思うんですけれども、その間のことについてはどういうふうにお考えですか。
 考えているかというより、そのように私は思うんですけれども、そういう考えの上に立って、この現場に即した、現実に即した諸問題、これは何も大臣でなくて結構ですけれども、この改善の方向といいますか、現実にそこにあるそれぞれの立場によって、見方によって、希望するもの、期待するものが違う。それから法の精神と、それから農民の老後保障ということとのギャップがあるわけですけれども、それは立法府として、また行政としまして順次その望ましい方向に進めていくということは、これは当然のことだと思うんですけれども、先ほど来大臣からも改善の方向でということですけれども、それはもう限られた財源の中ですから、何から何まで一遍にいくわけはないだろうと思いますけれども、当然そういうことで順次改善のできるものは進めていくという、こういう考え方であろうと思うんですけれども、どうですか。
#121
○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ、改善の努力はいたしますが、現行制度でも、たとえば十年間加入をしているというようなモデルの場合を見ますと、その人は国民年金二十年、それから農業者年金は後から入って十年と、あと二年ぐらいするとそういう時代が来るわけです。そのときには本人が経営移譲の場合四万一千八百円ですが、六十五歳になると四万八千四百二十五円もらえる。そこに妻の分が加算になりますから、妻の分が約三万円ぐらいになるから、七万八千円ぐらいの支給をあと二、三年でこれは受けられるわけですよ。したがいまして、私は、厚生年金なんかと比べて、後から始まって急速に追いつきつつあると、こういうように考えておるわけです。
 国の助成の問題にいたしましても、農業者年金の国庫負担というものについては、これは保険料を納めた時点での補助というのは拠出時国庫補助でありますが、一般保険料が十分の三とか、特定保険料、後継者に対する割引保険料は十分の五、つまり二分の一ぐらいのかなり高額な補助もやっておるのであって、したがって、現行でも私は時間がたてばかなりのものになるのでないか。ただ中身等については、いろいろ経営移譲というものについて、自分の子供なら移譲をするけれども、他人に土地を貸すという場合においては、現行農地法の関係で、やっぱり貸したら最後返してもらえなくなるのではないか、あるいは本当に約束した小作料を払ってくれるのかと、まさか不在地主になっても強制買収はしないのだろうなというような非常な不安が貸し手にあることは事実なのです。
 したがって、子供に対する経営移譲は比較的円滑に行われやすいけれども、第三者に対する土地の貸し借りでの経営移譲というものは、なかなか思うように進まないということも事実なのです。したがって、この年金と今後の農地の流動化のための法的措置というものとが重なれば、私はかなりこの年金と相まって農業の政策効果が出てくるというように考えております。
#122
○藤原房雄君 いま大臣、二十年のモデル年金というお話ありましたけれども、実際三十六年ですか発足して、このベースでいっている人というのは限られた人でして、一応比較というか、そういう中ではわかるのですけれども、現実問題としては、なかなかこういうモデルと言っても、モデルになるかどうか問題なんですけれどもね。いまもお話ありましたように、確かに第三者に対する移譲が進んでいないという、こういう実態も明らかなんです。それはこの年金のことだけじゃなくて、社会を取り巻く、また農業の現在置かれている立場とか、いろいろなことの中でのことですから、そのことについてはまた順次話を進めていきたいと思うのです。
 次に、いつもこういう制度というのは、ある程度、いま大臣の口からもお話ございましたが、成熟するというのですか、時間がたってくると、それなりの効果といいますか、そういうものが出てくる。確かに私もそう思うんです。ただ、これは発足して十年になるわけですけれども、当初予定した数値といいますか、いろいろなことをこう勘案して、まず保険設計ということの上に立って、いろいろなことを予測してはじいたんだろうと思いますけれども、加入者数とか受給者数とか、当初のこういう予定が現在と比較してどういう差異があったのか。
 それからまた、未加入者についてはどうかという、この範囲あたりがちょっとお聞きしたいと思うのですが、どうでしょう。
  〔委員長退席、理事大島友治君着席〕
#123
○政府委員(大場敏彦君) 加入の目標と実績でございますが、これは五十二年に財政再計算をした際に、百六十五万人という一応の目標は立てたわけであります。それに対しまして、昨年末の現在で百十二万人弱ということで、六八%というようなことで、まだ目標には残念ながら到達していない現状であります。
 それから、今度受給者でございますが、これは経営移譲を要件としているわけでありますから、経営移譲率で把握するわけでありますが、その当時におきましては、大体四〇%弱あるいは三八%くらいが大体六十五歳までに経営移譲するだろうと、こういうふうに踏んでいたわけでありますけれども、現実には大正五年生まれの方、これは六十二歳代、三歳代に達しておりますけれども、そういう方々ですでに六二%を超えておる、こういうことで、恐らく六十五歳までには八〇%ぐらいいくのじゃなかろうか、こういうふうに見ています。したがって、経営移譲率の点では、当初私どもが見込んでおりましたのよりは倍近く経営移譲が進むだろう、こういうふうに考えております。
 それから、未加入者の状況でございますが、資格がありながら残念ながらまだ加入していない、こういう方々が、去年末現在で見ますと約五十万人ぐらい、こういった方々が資格がありながら未加入というふうに残念ながらとどまっておる、こういう状況でございます。
#124
○藤原房雄君 いまお話しございましたように、資格がありながらお入りになっていない方が五十万人、これは何の制度もそうですけれども、なかなかこういう趣旨徹底といいますか、いろいろな立場の方々がいらっしゃり、またPR不足ということは、農業団体を抱えてやっていますからないだろうと思うんですけれども、それでもいろんな条件があってお入りにならないんだろうと思いますが、この未加入者――資格がありながらお入りになっていらっしゃらない方々というのは、政府としては、この原因というか、どういうことでこんな五十万という現状になっているのか、どういうふうにお考えになっているか。どうでしょう。
#125
○政府委員(大場敏彦君) 資格がありながら加入してない方が五十万というふうに申し上げましたが、この方々は、われわれが努力すれば全部入るということではもちろんございませんで、農業をいずれはやめるという方々は、これは幾らわれわれが勧誘申し上げてもお入りにならないだろう、そういう生活設計を抱いている方もあるだろうと思うのです。ですから、必ずしも全部ではないというふうに思っております。
 そこで、近年、加入してない方々の理由を調べたことはございます。これはやや古い調査でありますが、五十年度に調べた結果によりますと、未加入の理由は、やはりその制度の内容を知らないために入っていないという方々が約二九%ぐらいある。それから、将来、年金に入る必要を感じていないという方がわれわれの予想以上にあって、二二、三%ある、こういった方々です。これはどういう理由であるか、もう少し突っ込んで調べる必要があるかと思いますが、老後のそういった生活設計に対しては、それほど不安を抱いていない方であるかどうか、そこはちょっとまだわかりませんが、とにかく年金に入る必要性を感じていないという方々がかなりある。それから、あと二七、八%ぐらいが理由不明という形で調査結果に出ているわけですが、この方々は、やはり中には相当部分の、年金というものを理解してないために回答がなかった、そういう明確な回答がなかったという方々が含まれているのではないかというふうに思っております。あと、年金額が低いためというのが五%程度、それから農業の将来に不安があるというのが三%強、経営移譲要件が厳しいという方が二%強、大体こういうような分布になっておるわけで、やはりいろいろな事情はありますが、その制度の内容を知らないという方々がその当時においては非常に多かったというふうに調査結果では出ております。
#126
○藤原房雄君 これは五十年度の時点でのものですね。これは国民年金の、言葉は悪いですけれども落ちこぼれといいますか、そういう制度をつくって今度は三回目ですね、そういうことで救済しようというわけですが、これはやっぱり各町内とか市町村、地方自治体、それぞれいろいろマーケットをつくったりなんかしてやっているんですけれども、これから見ると、やっぱり農業者はいろんな農業団体なんかがありますから、こういうことについては、比較的PRはやりやすいんじゃないかと思います。五十年度時点というと、受給者がいまだ出ていないといいますか、実際、身近に年金に入ったおかげでこうなったという人がいる、いないということもこれは大きなあれになるんでしょうから、五十年ですと、その後大分こういう問題については変わってきているんじゃないかと思いますが、やっぱり魅力あるものといいますか、そういうことで、PRとともに内容、中身といいますか、こういう問題もあわせなければならないだろうと思います。そういうものが強化されるという、そういうことが大事なんだろうと思いますが、いまのお話の中に、やっぱりパーセントは多い少ないは別にしまして、知らないという人が多いようですね。こういう点では、確かにまだまだ徹底されていない面もあるのではないか。
 次に、加入資格別加入者数について、年齢別加入者数について、当初いろいろ検討しておったのと現在とどういうふうに推移しているかという、そんなことについてちょっとお聞きしたいと思うんです。加入資格別加入者数の年齢別加入者数。始まる当初と現在との比較。
#127
○政府委員(大場敏彦君) 年齢別加入資格別に見込みと実績ということで比較して申し上げますが、まず加入資格は、これは当然加入者と任意加入者がございます。当然加入者は、目標に対しまして当然加入者の実績は七八%、任意加入者は二二%ということであります。これは当然のことでありますが、当然加入者の方の加入率が高いのはあたりまえで、任意加入者の加入率が目標に比べて落ちているということは、いわば一つの予想されたことでありますが、そういう状況になっております。
 それから、年齢別に加入状況を見てみますと、二十歳−二十九歳、これが非常に低くなっております。三万七千人ということに対しまして二万人ということでございますから、低い。それから三十歳−三十九歳の十六万人に対しまして十一万人、四十歳−四十九歳が七十四万人に対しまして四十万人、それから五十歳−五十九歳が六十万人に対しまして五十八万人、こういったことでございまして、総じて申し上げますれば、やっぱり四十歳−十九歳の方の加入は、目標に比べてわりあいに入っているという言い方ができるわけですが、三十九歳未満、若年層に行くに従って加入率といいますか、加入の実績というものは落ちているというのが残念ながら現実でございます。
#128
○藤原房雄君 いま局長おっしゃいましたように、三十九歳未満の人は非常に少ない、一二・五%ですか、これは年金の設計上も非常に大きな問題になるだろうと思います。財源ということも度外視してこの制度は考えられないわけですから、そういうことから言うと、将来、このままで推移いたしますと、これはゆゆしいことになるだろうと思います。それで、個々にひとつ打開するための考え方というのは、現状はこうだということはわかりますけれども、このままに推移させておくわけにいかぬ、こういうことで政府として、当局として、これについてどういうようなお取り組みをなさっていらっしゃるのか。
#129
○政府委員(大場敏彦君) 若い方々の加入率が低いということ、これは先生よく御存じのとおり、若い人は、一般的に年金制度について、遠い将来の年金制度についてそれほど魅力を感じないということもありますし、それから農業者年金は、御指摘のように、発足してから日が浅うございます。若いですから、掛金を掛けている期間も短いし、したがって当然の結果として給付水準も低い。現在時点で月額三万二千円ということでありますから、低い。そういう意味で魅力を感じていない、そういったこともあるいはあるのではないか。それから、若い人は、やっぱり農業の自分の生活設計についてまだ目標がきっちり固まっていない、そういう点もあるいはあるのではないかと思いますが、そういった原因はさておいて、私どもといたしましては、基本的には、従来から給付水準のアップの問題だとか、あるいは経営移譲をしやすくするような要件緩和の問題だとか、ことに若い人については、いわゆる学割り制度という形で保険料の割引をお願いして御可決願ったと、ああいった措置もとっておりますし、いま御審議願っているそのスライド制の問題とか、あるいはことに後継者が加入資格を失っちゃっているという場合にはこれを救済して加入をしてもらう、こういった制度の改善をいろいろとっておるし、またお願いしておる次第であります。
 それから、先ほど申し上げましたように、やはり制度をよく理解していないという点もありますので、これに対するPRというものも同時に並行してやっていく必要がある。具体的には、いろいろ地区別に見ますと、団体別、地区別によって加入率がかなりバランスを失している。かなり成績を上げているところもあれば逆のところもありますので、問題のある地区とか団体というものをリストアップして、そこを重点的に監査指導する。それから未加入農家を、これも表をつくりまして戸別訪問なりして加入を促進する、そういった努力をいたしたいと思っております。
 それから、先ほど未加入の理由を、五十年度時点の調査で、古い調査で恐縮でしたが申し上げましたが、五十四年度におきまして、ことに若い層ですね、若い層の方々の未加入の理由というものをもう少し掘って調べる。それからその中での後継者の方々がどうして入られないのか、そういうことについてもさらに掘ってみて、必要があれば改善の方向に持っていきたいというふうに考えております。
#130
○藤原房雄君 何でもそうですけれども、恐らくいま局長のおっしゃったように、地域とか団体とか、そういうところで、非常におくれておるところとか、進んでいるといいますか、こういうアンバランス、必ずしも平均的にこういうことというのはあるのじゃないんだろうと思うのです。これは共済でも何でも、果樹共済やなんかずいぶん加入が少ないということでいろいろ議論になりますけれども、やっぱりその団体の指導者といいますか、そういう方の熱意とか、またPRの仕方とか、そういうところも、そこの指導者に左右される面が非常に強いという気もするんですけれども、最近は年金制度につきましては、各種の年金のことについてもいろんな改革しなければならぬということや、年金にいま入りませんと今度チャンスを失うというようなことから、それぞれの立場で年金に対しては非常に関心が高くなり、テレビ等におきましても年金というものについても非常にPRといいますか、取り上げられておる。こういうことから、農業者年金についても、ただ単にPR不足ということだけではなくて、やっぱりもっと本質的なものがあるのかもしれません。
 いずれにしましても、発足して十年ということでありますから、いまお話ございましたように特に若い層、こういう方々に対しての認識を十分に与えるような施策というものをひとつ強力に推し進めるとともに、当初申し上げましたように、現在の制度の中で若い人たちが魅力を感じない、それは一体どこにあるのかというもう少し突っ込んだ問題のもとに、この制度を魅力あるものに推進していくように要望いたしたいと思うのであります。
 次にお聞きしたいのは、経営移譲ということでありますけれども、この経営移譲で、後継者移譲と第三者移譲とそれから生産法人移譲という三つあるわけですけれども、この経営移譲のこと、これはこの法律の本命といいますか、中心になるんだろうと思うのですけれども、これはさっきもちょっとお話がありましたけれども、当初この法律を進めるに当たりまして考えておりました政策目的、経営移譲というものがどのぐらい進むとお考えになっていらっしゃったのか。現在、それがどういう現状になっているのか、その辺のことについて比較してお話しいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
#131
○政府委員(大場敏彦君) 経営移譲率は、われわれ当初考えておりましたのは、大体六十五歳に達するまでに三八%程度の方々が経営移譲するだろうという想定で年金設計を実は立てておったわけであります。現実にはまだ六十五歳に達した方はいらっしゃいませんが、大正五年生まれの方ですから六十二歳代というところだと思いますが、それが大体六二%から六三%、その程度に来ております。ですから、その方々が六十五歳になるまでには恐らく八割ぐらいになるのじゃないだろうかと想定しておりますから、かなり経営移譲率という点からすれば、われわれの当初事務的に想定しておりましたものより上回ってきている。これは年金財政上別の問題になるわけでありますが、経営移譲はそれだけ進んできている、こういった状況でございます。
#132
○藤原房雄君 その中身として後継者移譲と第三者移譲と生産法人移譲、このそれぞれについて、やっぱり当初このぐらいはいくだろうといういろいろ予定を立てられたのだろうと思うんですけれども、わからなければ総括的でも結構ですから、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
#133
○政府委員(大場敏彦君) 後継者移譲と第三者移譲と生産法人の構成員に対する移譲、こういうふうに分かれるわけでありますけれども、この当初目標としては、実はこの内訳の目標はつくっておりません。
 実績だけ申し上げますと、五十三年十二月末現在で経営移譲年金を受給した者が八万二千百五十人おりますが、その中で後継者移譲が圧倒的に多うございます。これが九二・九%、七万六千三百三十七人、それから第三者移譲は六・九%の五千六百九十五人、生産法人の構成員の移譲が〇・二%、百十八人、こういった構成比率になっております。
#134
○藤原房雄君 後継者移譲が約九三%近くということですね。当初この法が発足する当時においては、所有権移転という形で進むことを考えておったんだろうと思いますけれども、なかなかそれはそうはいかぬということで、使用収益権のみの移譲ということでもいいというふうに改正になりまして、そこから変わってきたようなんですけれども、実際、所有権移転したものとそれから使用収益権のみで譲渡したものとに分けますと、どういうことになりましょうか。
#135
○政府委員(大場敏彦君) 後継者移譲が九三%であるということを申し上げましたが、その中で使用収益権の移転によって移譲したものと、それから所有権の移転によって移譲したものとの比率を申し上げますと、使用収益権によって経営移譲いたしましたものは五一・二%、それから所有権移転によって経営移譲いたしましたものが四八・八%、こういった状況でございます。
#136
○藤原房雄君 この使用収益権の移譲も認めてやることによって、後継者移譲というものが大分この数字から見ましても進んだというか、そういうことが言えるんだろうと思います。現在の農民の農地に対する執着といいますか、これはもう机上で考える以上の強いものがありますし、当初の目的、法制定の当時考えていたのとは違って、やっぱりこういう形に進めなければならなかった、進める必要性があったといいますか、これは時の流れの中で当然だろうと思います。しかし、そのことのために兼業の方々とか、そのほかの完全に後継者に経営移譲するという形ではなくてもいいということでありますと、兼業の比率というのはだんだん高くなるのじゃないか。いわば当初の目的から、当初の法のたてまえからしますと、一つの大きく幅が広がったということになるのかもしれませんが、農業政策のいろいろな推移の中でこれはやむを得ないことであり、そしてまた、この農業者年金というものの健全育成のためには、やっぱりこういう姿のものも進めていかなければならないのは、時代の推移として当然だろうと思います。
 それから、この法律の一つの目的でありますところの農地の流動化、これが挙げられておるわけでありますけれども、十年を経過した今日、第三者移譲によります農地の流動化というのは、実際いまどういうように実績が上がっておるのか、どういうふうに推移しておるのか、その辺ちょっとお伺いしたいと思います。
#137
○政府委員(大場敏彦君) 第三者移譲による農地の流動化といいますか、その結果としての規模拡大というものの効果は、経営者移譲による経営の若返りということに比べまして、残念ながら量的にまだかなり少ないというふうに率直に申し上げます。
 規模拡大の第三者移譲の件数を申し上げますと、たとえば五十一年度で言いますと、八百三十七人の売り買いがあった、これは都府県であります。北海道で百三十六人の売り買いがあった、こういったことでありまして、そういった意味では限られた規模拡大の効果ではありますけれども、譲り受け前と譲り受け後の面積比較をいたしますと、都府県では一・三二ヘクタールが、譲り受け後一・七八ヘクタールというところまで高まっている。それから北海道では、譲り受け前九・四ヘクタールでありましたものが、譲り受け後は十二・六ヘクタールということになっております。そういう意味で量的には確かに少ないわけでありますが、その指摘は甘んじて私ども受けなきゃなりませんが、その範囲内での効果というものはやはりあったと認識しております。
 それから、農地の流動化でありますが、これはどれが農業者年金のために起きた流動化であるか、あるいは他の政策との効果でできたものとの分離というものはなかなかむずかしい点がありますが、総括して申し上げますと、所有権の無償移転というものが五十年には四万三千ヘクタールでありましたものが、五十一年には七万一千ヘクタール、五十二年には七万二千ヘクタールということになっておりますし、これはちょうど五十一年を転機として所有権の無償移転というものはかたり広範に出てきた、これは農業者年金の効果と、反映というものがかなり出ているというふうに認識しております。
 それから、使用貸借による権利の設定は、五十年が四千五百ヘクタールでありましたものが、五十一年同じく四千四百ヘクタール、それから五十二年になりまして三万七千ヘクタールぐらいに急に上がってきておる、これも農業者年金制度の反映というぐあいに見ていいのではないかというふうに考えております。
#138
○藤原房雄君 発足して十年ということですけれども、そういう点では、ただ年数だけじゃなくって、ちょっと世の中の移り変わりが激しいですから、どういうふうにこれから推移しますか、いまお話がありましたのは今日までの実績でしょう。今後の推移についてはどういうふうに受けとめていいのか、そこらあたり、今日までの実績とこれからの推移のあり方については、農林水産省としてもいろいろ考えがあるんだろうと思いますけれども、この制度がよりこの構造改善という、規模拡大というような方向、そしてまた、若返りというようなこういう方向のために、一つの足がかりといいますか、それの役割りは果たすだろうと思うんですけれども、当初、発足当時に考えておったことと今日までの比較と、これからの推移ということで、農林水産省としてはそれなりの評価をしていらっしゃるんだろうと思いますが、どうですか。
#139
○政府委員(大場敏彦君) 農業者年金制度の効果、これは一つは大別して経営の若返り、それから一括経営移譲による農地の細分化の防止と、こういった効果は確かにあっただろうというふうに私ども思っております。ただ、規模拡大、第三者移譲の量は確かに少のうございますが、これは農業者年金制度の仕組みそのものが、いわば後継者移譲というものを主眼にしておる、後継者がいない場合、あるいはいても、なかなかそれが農業を引き継がない、こういった場合には第三者移譲という形で対応する、こういった形で制度を仕組んでおりますから、どうしてもやはり経営移譲による経営の若返りというところが主眼としてその効果が出てこない、こういうふうに考えるわけであります。
 といって、第三者移譲による経営規模拡大ということは、もちろんこれは構造政策の基本でありますから進めなきゃなりませんが、その場合には大臣が累次お答えしておりますように、所有権の移転ということは現在の環境下ではむずかしい、やはりこれからの担い手となるべき中核農家に土地利用というものを集積していく、そういった基本的な構造政策が必要であろうという形で、そういう意味で、たとえば農地法を初めとする諸法制の見直しの問題だとか、それから借り手、貸し手側に、両方の不安感をできるだけ解消するようなシステムをどうしたらいいかとか、そのためのいろいろな各種助長政策をそこに重点的にするとか、そういった構造政策の点検、検討を大臣からも以前から指示されておりますので、私ども御指示に従っていませっかく検討中であります。
#140
○藤原房雄君 そういうこの制度だけの効果云々ということじゃなくて、やっぱりそれなりの農業を取り巻く環境の整備といいますか、総合的に物事を進めなきゃならぬだろうという、そういうことは私どもも十分理解できるわけでありますが、それはそれとしまして、やっぱり農業者年金というものも非常に大きなウエートを占めておることは事実でありまして、それなりの政策目的を果たしたということとともに、これからも十分に内容等についての検討ということと相まって、この目的が遂行できるように進めなければならないだろうと思います。
 農業白書を見ますと、五十歳から五十九歳までの農業経営者の中で後継者のいない農家が五十五万戸、それから六十歳以上では四十六万戸、計百一万戸の農家が後継者のいない農家と、こういうことが白書の中に出ておるんですけれども、これらの少なくとも大多数の方々については、土地の有効な流動化をするために、こういう現状を踏まえて何らかの施策を考えなきゃならないんじゃないかと、こう思うんですけれども、これは農業白書については農林水産省でおつくりになったんだし、当時の分析等十分に踏まえていらっしゃると思うんでありますが、五十歳から五十九歳、それから六十歳以上のこういう百万を越す方々がいらっしゃるというこういう現実の中で、この土地の流動化等について農林水産省としてお考えになっていらっしゃるでしょうか。
#141
○政府委員(大場敏彦君) いまお話のありましたように、百一万戸の農家が後継者がないというような深刻な問題であります。これについての対策でありますが、農業者年金制度は農業者年金制度なりに、後継者移譲ないしは第三者移譲と、こういう形で受け持っておりますから、それの必要な対応というのはやっぱりしていく必要があるだろう、後継者がいない場合に、たとえば第三者移譲という形でこれに対応するとか、あるいは年金基金だとか、農地保有合理化法人だとか、農業生産法人による買い取りとか、そういったものに対する移譲、それからあるいは買い取り、売り渡しという場合でなければ、農協だとか、あるいは農事組合法人だとか、そういったものに対する経営受委託というような対応というかっこうで、後継者がいない方々のは御活用願うというような手段もあるわけであります。
 しかし、より基本的には、先ほど申し上げましたように、広範に存在するそういった後継者のいない方々あるいは二種兼農家を含めて、今後やっぱり農業から離脱していこうという方々、そういった者の農地を日本農業のこれからの担い手となるような中核的農家に、所有権では無理でありますから、利用を集めていって、提供してもらって、そういった方々の規模拡大に積極的に使ってもらうと、そういった政策、方策が必要であろう。そういう形で、いろいろ法制の点検を初め種種の諸施策について、いませっかく検討中であります。
#142
○藤原房雄君 先ほどの御説明にありましたように、経営移譲の問題についてでありますけれども、やっぱり農地を第三者に移譲するというのはなかなか決意ができないという、息子に対して所有権を与えるということはそれだけ進んでおるというさっきいろいろデータございましたけれども、さっき経営移譲についても所有権移転の実績についてもお話ございましたが、大体データを見ますと、北海道を中心にしたところで、やっぱりそういうように非常に厳しい環境の中でなければ、所有権移転までして譲るということはなかなか至難のようです。こういうことで、最近農家の方も非常に元気になったというか、日本国民全体長生きするようになりまして、六十といっても非常に元気でありますので、なかなか経営移譲ということの、六十というところがいいのかどうかということもこれはあるのかもしれません。
 そういうこともありますけれども、こういう制度的に見ますと、やっぱり移譲した後の老後の保障というか、こういうことを考え、そして自分自身のことと、また残される者、こういうこと等々考え合わせますと、これはやっぱり国民年金の場合はちょっと別ですけれども、ほかの年金の場合には遺族年金という制度がございますね。こういうことで、自分自身のこともさることながら、残される者に対しても万が一のことがあっても遺族年金等で、六十というと子供がまだ二十代、早く結婚なさった方だと三十代もいるかもしれませんけれども、ちょうど育ち盛りの小さい者がまだおるということで、そういう点では、農業に携わっておるというそういう段階ではいいのかもしれませんが、移譲ということになりますと、やっぱりそれなりの、六十ですとまだまだ自分が責任を仕って見なければならない、そういう立場にあるわけでありますので、そういうことから自分の後のことも考え合わせますと、農業団体を初め農民の方々、いろいろお話ししますと、やっぱり遺族年金に対する考えというのは非常に根強いのです。
 これはいつも、いままで附帯決議等におきましても、これをひとつ前向きで検討せよというこういうことが附帯決議について、そういうことを言うとほかの年金との比較とか、また年金の財政面でどうとか、そういう話になるのだろうと思うんですけれども、そういう財政的なことについて言い出したら、これはもう本来政策目的の上に立って組み立てられたものでありますから、しかし財政的なことはどうでもいいということじゃ決してないんですけれども、こういう制度の仕組みの中から、やっぱり遺族年金というものは、また法の趣旨を貫く上においても六十で譲る、そういう立場に立って見ても、こういう遺族年金の制度というのは必要じゃないかなというふうに私は痛感するんですけれども、これはいままで政府としても考えて、できないできないというそんな頭じゃなくて、やっぱり農民の立場に立って、そういう現在の諸清勢の中で、何とかできる方法はないかという前向きの観点に立って考えていただきたいと思うんですけれども、これはどうでしょう。
#143
○国務大臣(渡辺美智雄君) 藤原委員がもう答えを出しているようなものでありまして、それは国民年金は、もう釈迦に説法ですからくどいことは申しませんが、個人加入でできているものですから、国民年金というもの自体を全部別にしちゃわないとできないわけですよ。国民年金は一人一人、夫も妻もみんな個人で入るという、最初からそういう家族年金じゃないですから、そこに根本的な問題があるということ。それからもう一つは、私は加入者が少ないということは、やっぱり少しぐらいの年金の問題ももちろんありましょうが、それより農業を本当にやっていくのかどうかというところだと思うのですね。
 私の手持ちのこれは統計でございますが、やっぱり農林水産省でつくったやつなのですが、たとえば加入資格者から資格喪失または死亡した人の数を引いたもの、それを分母として加入率を見た場合には、北海道は大体一〇〇%ですよね。北海道一〇〇%。それから東北なんか見ましても、宮城県というのは九〇・何%、非常に高いですよ。山形なんというのは九九%と、非常にむらがあるわけです。そうかというと、茨城県あたりは四九・五とか、何でこんなに違うのか。これは農村の状況というよりも、むしろやっぱり指導者あるいは組織、そういうようなものの関係があるのじゃないかというような私は実は気がするのです。非常に高い山形とか北海道とか富山とか、それから静岡なんというのも九割、八九・七とかいって、静岡、それから愛知なんというのは非常に高いのですよ。四〇%台のところもそうかといえばあるわけですね。
 これを見ると、やっぱり一つは土地柄、一つは農業者の組織、それから組織の指導者、それからやはり兼業がうんと多いか多くないかというようなところなどが、私はこの加入率に大きな影響を及ぼしているのじゃないかという気が実はしてならないわけであります。したがって、遺族年金をつくったから――これはいまの仕組みじゃむずかしいですよ。しかし、つくったから加入率がうんとふえるのだということには、地域的な何といいますか濃淡というものを見ると、遺族年金をつくったから一律に全部入ってくるというふうに私思えない。やはり都市近郊とかなんかで、第二種兼業が多くてその収入の方が多いというようなところ、むしろ現金を支払うことができるような立場の人が、比較的入ってないというどうも傾向が強いのです。
 したがって、やはり私は農業の問題について第三者にでもこれは経営が移譲できるのだ、土地を第三者に貸しても不安は全くないのだ、いつでも返してもらいたいと言えば返してもらえるのだ、小作料も保証されるのだ、強制買収などされないと。それから、いま土地を人に貸すというと、相続税のときものすごく税金を取られるわけですよ。自分がつくっていれば、税金はほとんど払わなくて済む。同じ農地であって、自分がつくっている農地はただみたいなもので、人に貸した農地はべらぼうに宅地並みというような仕組みになっておったのでは、私は経営移譲を第三者になんということはなかなかむずかしい。したがって、それらの農地法や相続の関係とかそういうものもあわせて私は総点検をして、土地の流動化が安心してできるような形のところにこの年金を持っていけば、私は非常に生きた年金になるし流動化の促進にもなる、こう思っておるわけであります。
#144
○藤原房雄君 いまお話しのように、これはこの年金の改革だけで現在のこういう問題のすべての解決に当たるとは私も思っておりませんし、確かに農地法のことについても大臣の言わんとするところも全部が全部でなくたってわかる、理解のできるところもありますが、この政策目的遂行ということの上に立って、やっぱりこの年金も老後保障の上において非常に大きなウエートを占めている。農地法の、農地の流動化のための施策ということとあわせて、それ以上に、それとともに年金の重みといいますか、だれしも老後のことを考えるわけでありますから、そういうことで大事なウエートを占めているということを申し上げているわけであります。
 そういうことで総合施策というものが必要なので、そういう点で、農業者年金のことについてもこっちはもういいんだというのじゃなくて、やっぱりそれらのものもあわせて考えていくべきだということをお話し申し上げたんですが、厚生省にちょっとお尋ねしますけれども、農業者年金は一世帯一経営主の原則のもとで構成されている世帯保障的な年金ということですね。これは厚生年金的なものというふうな考え方もできるのじゃないかと思うんですけれども、一方では個人保障的な考えに基づく国民年金に上乗せされているという、こういう一面も持っているわけですが、経営移譲のための政策年金という大前提に立つと、この年金というのはどういうふうに厚生省としては考えていらっしゃるのか、これは厚生省の見解をお聞きしたいと思います。
#145
○説明員(吉原健二君) 世帯年金と考えるか、あるいは個人年金と考えるかという御議論でございますけれども、これは主として社会保障としての年金制度についての議論でございまして、また社会保障としての年金の中にも世帯単位の年金と個人単位の年金とがあるわけでございまして、御案内のとおり、国民年金は個人単位で構成をされている年金でございます。農業者年金は、個人単位の国民年金の上に付加的な、さらにその上に農業政策の推進という目的を持った政策年金として発足をした制度であるというふうに思うわけでございます。現実に、実際にその年金制度の中で加入の仕組みなり給付の仕組みなりを一体どういうふうにしていくかということにつきましては、やはりその制度の目的でありますとか、あるいは制度の対象者の事業の実態、この場合ですと農業経営の実態ということになろうかと思いますけれども、そういったものでありますとか、あるいは国民年金との関連、そういったもので考えていくべき性質のものではないかと思うわけでございます。
#146
○藤原房雄君 その間のことについては、私どもいろいろ考え方を持っておるんですけれども、時間もありませんからあれですが、本来、発足は国民年金の上にということですけれども、性格的にはやっぱり経営主の世帯保障的なものも加味されていることも、これは否めない事実だと思うんです。こういうことで、いままでのいろんな論議の中で婦人も含めるべきだということと、それから遺族年金という問題についても考えるべきだという、こういう話がよく出るわけですけれども、こういうことを考える上においては、こういう基本的な考え方が大事なことになるのだろうと思うんですが、仕組みそのものとしてはいま厚生省のお話、私どももわからないわけではないんですが、それとともに、こういう農業者というある一定条件を持った人たちを対象としてそして進めるということになるわけで、そしてまたその経営主、世帯者といいますか、一家族の中の経営権を持っている人、そういう人を中心にしてこの制度は考えられているわけですね。そういう点から言うと、世帯保障的な仕組みというのは非常に強いというふうに私どもは考えにゃならぬ。
 そういうことを中心に考えますと、やっぱりこの遺族年金的な物の考え方というのはそこから出てくるのじゃないか、こう思うんです。最近いろんなお話の中で、婦人の方を組み入れるべきだという考え方もいろいろ言われておりますけれども、そちらよりもどちらかというと、遺族に対する給付というものを考えるべきじゃないかというこの考えの方が非常にいま強いといいますか、こういう制度上の中で、現在の仕組みの中で私どもは強く感じておるんですけれども、これはどういうふうにお考えですか。
#147
○説明員(吉原健二君) 農業経営者の場合におかれましても、経営者といいますか、御主人が亡くなられました後の遺族の方の生活が大変大きな生活上の問題であるということはよく理解できるわけでございますけれども、遺族年金とか、あるいは婦人の年金として議論をされております問題は、主として老後の問題でありますとか、あるいは御主人が亡くなった後の遺族の生活保障という目的を持った年金でございまして、そういった面につきましては、農業経営者の場合にも国民年金なり、あるいは厚生年金に加入されておられる場合には厚生年金という中で充実を図っていくべき筋合いのものではないか、こういうふうに思うのでございます。
#148
○藤原房雄君 そういう仕組みの中でのいろんな論議と、それから現在の制度ですと、一度でもこの年金をもらって亡くなりますと、それでストップするということになっていますね。適当な言葉かどうかわかりませんが、よく掛け捨てという言葉、受給年齢に来て一回でも受けて、もし亡くなるということになりますと、いままで十年、二十年積み立ててきたものが、そこで打ち切られる。私どもの人間の寿命というのは、こんなに若いとき元気だからといって、いつまでという保証はないわけなんで、こういうことから、若い人たちは結局厚生年金なんかとの比較の中で遺族年金のようなこういう仕組み、すぐそれが頭に浮かぶわけなんでしょうけれども、ですから、たとえ経営主である所有権者が亡くなったとしても、その後の保障というものが実際にない、こういうことから、遺族年金というそういう強い言葉が妥当であるかどうかは別にしまして、遺族に対する給付というものを何らかの形でこれはやっぱり考えていかなきゃならぬ。
 私も何人かの方にお会いしまして、やっぱりこの年金をいただいて幾らもしないうちに――それは納付した金額といただいた金額とどうかというふうに比較すれば、これはそういうことを云々するのじゃないんですけれども、全体の制度の仕組みの中でやっぱりこういうこともあるので、それらのものも考え合わせていかなければならないんじゃないか。これは国民年金と厚生年金と大体仕組みが違うわけなんで、それを同一視するということはできないのかもしれません。しかし、いまのお話にもありましたように、また見ておわかりのように、世帯保障的なそういう性格というものも十分にあるということも、これは考えなきゃならないだろう。
 そういうことで、遺族年金という形にするかどういう形にするかは別にして、遺族に対する給付というものについてはこれはちょっと考えませんと、移譲するという上においてはちょっと抵抗がある、こういう話を私も何人かに聞いておるんですけれども、どうでしょうか。
#149
○政府委員(大場敏彦君) いま厚生省の方からお答えしましたように、確かに農家の方々は国民年金にそれぞれ個人単位で加入している、農業者年金はその付加年金として一種独特の政策目的を持った年金である、こういうふうにお答えになりましたが、私どももまた同じ意見であります。
 そういう意味からすれば、一の視点、つまり国民年金にそれぞれ夫も妻も個人で加入しているという視点からすれば、やはり遺族の問題というのは、あるいはその老後保障の問題は、これは国民年金というものの制度の枠内で処理すべきだという議論がもとになってくるだろう。
 それから二番目の視点、経営主ということに着目して、経営移譲を促進するという観点から農業者年金が組まれているのだという視点から着目すれば、どうも妻という場合には経営主、地権者ではないという、そういう点で、すぐ遺族年金ということに結びつくか問題は残ってくるのじゃないか。
 それから、後段お話しになりました掛け捨て防止という観点からの御議論もわかるわけでありますが、まあ理屈を言って恐縮でありますが、受給して途中で死亡をして、そのために保険料が掛金に比べて結果として少なかったということ、これは保険理論といいますか、保険原則からしてある程度やっぱりやむを得ない原則じゃないかというふうに思っているわけであります。
 繰り返すようでありますが、国民年金にそれぞれ個人的に加入しているという場合の老後保障、あるいは遺族の問題、そういった問題は国民年金の枠内で、具体的に申し上げますれば、六十五歳以上は国民年金のそれぞれの老齢年金という形で対処する、その充実をということでありますし、あるいは六十五歳以前に夫が死亡したという場合には寡婦年金あるいは母子年金、そういったものの制度がありますから、そういった形で補完していく、こういうことではないかなと私どもは思っております。
#150
○藤原房雄君 時間がありませんからあれですが、御主人が事業所へ勤めて厚生年金に入っておりまして、奥さんもみんな国民年金に入っているんです。どなたかうちの部屋に来ていろんな説明しておる中で変なことを言っておったんですけれども、これは奥さんは国民年金に入っている、そういうのを今度は考えようとしておるとか何とかというようなお話の方、どなたかいらっしゃったけれども、そんなことは、現在もうこの制度は進んでおるわけですから、主人が厚生年金に入っていて奥さんが国民年金へ入れないなんというわけもありませんし、これからまたそういう制度が変わるなんていうこともないし、そんな論議があるわけはないので、当然主人が厚生年金に入っておりましても家族の方々、奥さんは国民年金に入る、こういう制度はもう定着しているわけですから、いまどこかの時点で変わるなんということは、これは容易ならざることだと思います。
 そういうことで、経営経験を持っておる世帯主、世帯保障的な年金の性格、それはいまお話の中にありますように、それはあって、そのほかに奥さんが個人保障的な制度に入っている、これは厚生年金と何ら制度的な仕組みの中ではそう変わったことじゃない。ただ、それを世帯保障的な形で見るかどうかという差異はあるかもしれませんし、またこれは本来国民年金の上に乗っかっているものであって、それぞれの出発が厚生年金とは違うんだといういろいろなこういうことは、それはそれなりにわかるんですけれども、これは何も厚生年金とそうかけ離れたものではございませんで、どういう仕組みにするかということはいろいろ議論があるだろうと思いますけれども、この遺族に対する考え方というのは、これは一歩も二歩もひとつ進めて検討していただきたいものだと私は思うんです。
 それから、時間がありませんからまとめて申し上げますが、第三者移譲というのは、それからまた経営移譲というのはなかなかむずかしい問題があるわけでありますけれども、第三者移譲それから後継者移譲ということで所有権移転、ここまでいたしますと、税金の問題が絡んでまいりますし、それから農業委員とか土地改良区のこういう役員の立場ということにも問題が出てまいりますし、現実問題、こういう土地改良区や農業委員――農業委員は別としましても、土地改良区のような立場の方ですと、やっぱり六十代ぐらいの方がいろいろな昔のいきさつを通して話するときに納得がいくのじゃないか、こういうことで、現場へ参りますと、まだまだ制度の上では、ここではいろいろな論議がありますけれども、現地へ参りますとそういういろいろな問題がございますね。場所によりましては何筆にもなっているものを、経営移譲ということで所有権移転いたしますと大変な手数料がかかる、六十歳から六十五歳までに年金いただくとしましても、場所によっては何十万も手数料がかかって複雑な手続が必要だということや、そういうことでどうしても使用収益権の方に偏ってしまうという、こういうことも実際あるようです。
 それから、一たん移譲しますと簡単に所有権は移されない、こういうことで、後々にその土地の利用についていろいろな問題が起きたときに非常にトラブルが起きる、こういうことで、後継者の移譲という所有権移転までつながるということになりますと、それに付随しましていろいろな問題が出て、そういう複雑なことの中でこれが進むということは、机の上で計算するみたいなわけにはいかない。農村というのは、本来長い歴史の中で人間関係というのはできておるわけでありまして、そういうものの中での経営移譲ということになるわけでありますから、そういう幅広いいろいろな角度からの問題点もこれは検討しなければならないだろう。登記等につきましては、市町村である程度めんどうを見ましょうというところもあるようでありますけれども、若い人がまるまる――若い人というか、移転登記のために多額の費用を出す、六十から六十五歳までに、いま国民年金ですと出ない移譲年金が出るわけですけれども、相当な金額が出るから、大したプラスにはならないみたいな極端なことを言う方々もおります。
 そういうことで、これは六十から六十五歳までという年齢についてもいろいろな意見のある方もいらっしゃるようですけれども、ちょっと時間もございませんので話の発展ができないのでありますけれども、この後継者移譲、そしてまた、所有権移転ということまでいくには、現在行われております制度では、もう少しきめ細かに見なければならぬということと、それから遺族に対する問題についても、これはどういう形にするかは別にしまして、ぜひひとつ検討の課題だろうと思います。そういう現状を踏まえまして、私は実際お会いした方々のお話等あわせて申し上げておきたいと思いますが、それに対して一言何かお答え願いたい。
#151
○政府委員(大場敏彦君) 経営移譲の形として、先生御指摘のように後継者移譲が多い、後継者移譲の中でも使用収益権の設定による移譲はかなり多い、所有権も多いけれどもかなり多いということ、こういうことでありますが、それにつきまして私どもは、使用収益権の設定はやっぱりそれはそれなりに評価していいのじゃないかなと、先生も恐らく同じお考えじゃないかと思いますが、そう思っております。
 と申しますのは、これは使用収益権の設定で、所有権の設定による移転ではありません。移譲ではありませんが、後継者移譲の場合一人に限られているという、一人に一括して使用収益権を設定してそれに移譲するということでありますし、それを一年とか二年ということではございませんで、十年という期間を必要とするということでありますから、これは十年たってそれじゃその借りた子供が農業をやめてしまうということにばならないので、それは一括相続ということにまずつながるだろう、そういう意味で所有権の移転による経営移譲の一つの前の手続である、こういうぐあいに評価していいのじゃないかというふうに考えております。
 それから、所有権の移転による第三者移譲、これは先生御存じのとおり、こういう土地についての資産的保有の性向が強まる環境では非常にむずかしいということでありますので、やはりこれはほかの構造政策の展開とも相まって考えなければならない問題でありますが、やはり利用権、所有権は持っておきながら、広範に存在する二種兼農家にいたしましても所有権というものはやっぱり手放さないだろう。そうすれば、やっぱり所有権というものは留保しておいて、地域社会の大事な構成員として地域社会にとどまってもらいながら利用権を中核農家に使わしてもらう、集積してその規模拡大に貢献してもらう、こういった方向を図るべきじゃないだろうか。農業者年金も、そのためにいろいろ改善すべき点がありますれば改善をしていく努力は続けていきたいと、かように考えておるわけでございます。
#152
○藤原房雄君 私は、第三者移譲が低いからこれをもっともっと進めなければならぬという、そんなことばかりを話しているわけでは決してないんですけれども、当然いまお話しのように使用収益権を設定する、それは第一段階として当然のことだと思いますし、それを進めるに当たりましても、農業というのは農業者年金だけで農民のすべてのことが解決するわけじゃありませんし、さっき大臣のお話のように、農地法についての考え方もいろいろ述べておりましたけれども、それらのものも総合して初めて農村社会の豊かな繁栄というのはあるんだろうと思います。
 そういう中で、農業者年金、今回は二点、三点の改正でありますけれども、これでよしとせずして、先ほど来申し上げておりますように、遺族年金等、遺族に対すること等あわせて、また現実の諸問題等あわせて、ほかの施策もこれはするのは当然ですけれども改革をしなければならぬ、もっと農業者年金を現実的なものに改善をするように努力しなきゃならぬ、こう申し上げておるのです。
 以上で終わります。
#153
○三治重信君 最初に、いただいた資料でちょっと御説明をいただきたいと思っております。
 この資料の三ページのところで、先ほどの六十歳から六十四歳まででほとんど経営移譲が行われるという場合には、そうすると六十四歳まで経営移譲の年金が八万七千八百円ということになるわけなんだけれども、最近もらっている年金の、これは経営移譲年金が多いだろうと思うのですよね。上の表の平均年金月額で、五十三年度の四―六月で三万一千二百八十八円、経営移譲年金のやつね。そうすると、これは、六十四歳の経営移譲年金と、それから六十五歳以上の農業者老齢年金プラス経営移譲年金とを合わせた実績のものなんですか、この平均年金月額。
 それと、ごく簡単な統計の――これはさっき聞いておけば何でもなかったことだろうと思うのですけれども、これを見ると、後継者が六十歳から六十四歳未満のままで早く経営移譲が行われる、そういうふうになると、次の後継者が六十歳になるまでに二十年に達しないような面が非常にできはせぬか。自由加入であればいいですよ。自由加入であればいいのだけれども、強制加入になってからだとそういうことにならないか、それが一つ。これでいくと、六十歳ぐらいで離農すると、あとの後継者が二十年ということになると、三十五歳前に加入しておらぬと二十年にならぬ、次の者が。そういうのはこの表でどうなっているか。
 それから、陳情書なんかだと、離農給付金制度の存続をしてほしいということが陳情の中に書いてあるわけなんですが、この予算額の推移で、四十七年、四十八年が多くて、ずっとそれから少なくて、五十三年、五十四年というものが急に多くなっている。何か、近くなくなるということのようなんですけれども、これは離農給付金を創設当時つけた理由はどういうものか、今回のこういう統計上にあらわれた離農給付金の実績と当初予想したものとの関係を、ひとつ御説明を願いたい。
 以上です。
#154
○政府委員(大場敏彦君) まず、その資料の三ページの表について御説明申し上げますが、上の方に「経営移譲年金の平均年金月額の推移」こうございますが、たとえば五十三年の七月から五十四年三月、三万三千三百八十五円、こうございますが、これはその時点に新たに受給資格が発生して年金をもらうわけでありますが、そういった方々のもらっている平均の年金額であります。これは経営移譲した者しか受け取っておりませんから、経営移譲年金だけであります。下に模式図がございますが、その模式図のちょうど六十歳から六十四歳までの間で受け取る経営移譲年金八万七千八百六十七円、こういう数字がありますが、それに該当するものであります。
 この三万三千三百八十五円という低い数字と下の模式図の八万七千八百六十七円という数字の違いは、これは注のところにございますが、二十八年加入者というモデルで計算しておりますので、そういうモデルといいますか、前提で、設定で計算しておりますから、そういったことになるわけであります。現実にいま受け取っております方々は大体数年の掛金しか払っておりませんので、したがって受け取る給付水準も低い、こういったことになっておりまして、性質そのものは、この三万三千三百八十五円は下の模式図の八万七千八百六十七円に該当する部分であります。
 それから、二番目のお尋ねの離農給付金でございますが、これは、つくりました趣旨は、制度発足のときに高齢のために農業者年金に加入できない者、そういう方々があったと、これは本当は、原則は農業者年金は二十年間掛金を納めて、そして六十歳になってから経営移譲をしたら年金がもらえると、こういった仕組みになっているわけでありますが、実際はそうはいかないので、現実には制度発足のときに、少なくとも五年納めればいいというふうに資格を救済した経過がございますが、その当時年がもうすでに五十五歳以上になっておって、五年にも満たないという方々がいらっしゃったので、それを救済する意味で、そういった方々が離農をする場合には離農給付金という形でおこたえする、バランスをとるということが一つと、それから、その当時に厚生年金等の被用者年金にすでに入っている、そういった方々は農業者年金に加入資格がありませんので、そういった方々を救済するために、離農を促進するために離農給付金というものを仕組んだということであります。
 それから、予算の推移を御指摘になりましたが、それは必ずしもこの離農給付金をどうするということとは直接関係はございません。
 それから、離農給付金は、制度的には五十五年の六月以降なくすという制度のたてまえにはなっております。これはまあいわば経過的な、年金の補完的な措置としてつくっておりますのでそういうたてまえになっておりますが、五十五年六月以降、これをどういうぐあいに処理していくかということにつきましては、今後いわゆる構造政策、農地流動化の広範な対策の一環として、これをその中でどう位置づけていくかということは検討していきたいというふうに思っております。
 それから、離農給付金の実績で……
#155
○丸谷金保君 委員長、ちょっと議事進行について。
 どうも定足数を欠いております。大分がまんしておりましたが、長いこと欠いておって――きのうも、この前のときもそうでしたが……。
#156
○理事(大島友治君) 速記をやめて。
  〔午後二時四十三分速記中止〕
  〔午後三時七分速記開始〕
#157
○理事(大島友治君) 速記を起こして。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、藤原房雄君、市川正一君及び田原武雄君が委員を辞任され、その補欠として馬場富君、下田京子君及び降矢敬義君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#158
○理事(大島友治君) 大場構造改善局長。
#159
○政府委員(大場敏彦君) 先ほどのお尋ねの、後継者が経営移譲を受けてその人がさらに農業者年金の加入資格があるのかないのか、こういったお尋ねでございますが、通常、それはない場合もございます。後継者が四十歳を超しちゃって、そこで親から経営移譲を受けたという場合には、もう期間短縮の特例を現在時点で受けておりませんから入れないという場合もあります。しかし、また逆に、後継者が従来後継者時代から任意加入しておいて加入している、それが四十歳を過ぎてから今度は経営移譲を受けて経営主に切り変わるという場合には、これは通算されますから年金受給資格はある、こういったことであります。
#160
○三治重信君 それで、質問に入りますが、今度のこの農地の流動化対策で、土地を貸したり何かをする場合に奨励金を出す制度を今度おつくりになったようですが、それとこの離農給付金とのダブリというものはとめてあるんですか。それとも、そういう流動化対策で土地の集積を奨励するといった場合に、来年でこれが切れる、こういうことなんですが、この場合に、この離農給付金というのは、当初の考え方と、それから最近農地の集積のための地主に対して奨励金を出すというのと、その考え方はどういうふうに、片方はやめるという、片方は今度は奨励金を出すという、その関連はどういうふうに位置づけられておるのか。
#161
○政府委員(大場敏彦君) 離農給付金は、たとえば先ほど申し上げましたように、高齢で入れない場合と、それから安定兼業でやっておって農業者年金にも入れない、こういった場合に、農業をしまいたいという場合に、未償却の固定資産等かなり残っている、これは被用者年金に入っている場合でありますが、そういった部分の負担をやっぱり軽減してやるという意味で、そういう意味で離農しやすい形に援助をして離農をして、その結果その土地が農業的利用に供される、規模拡大に使われる、こういったことを期待した制度であって、そういう意味では、農業者年金に入れない者を対象にしてやったということでありますから、年金の補完的な経過的な制度であると認識しております。ですから、五十五年で終わるということになりますが、今後それをどうするかは、先ほど御説明したように、今後の構造政策の中でどう位置づけていくかを改めて検討して、来年度には結論を出さなきゃなりませんから、来年度までに結論を出して対策を出したいと、かように考えております。
 それから、農地の流動化奨励金を五十四年度から始めているわけでありますが、これは原則として実態問題としてはダブらないだろうと。これは、従来農地を借りる側に奨励金を交付しておったのですが、選択的に地主側に一種の踏み切り料という形で、たとえば三年から五年の賃貸借で農地を貸すと、そういった地主の方々に十アール当たり一万円、それから五年を超えるものは一万五千円というような形で、これは一種の何といいますか、踏み切り料的なそういう奨励策という意味での、掘り起こし運動の強化という意味での制度をしているわけで、原則としてそう実態問題としてはダブっていないのじゃないかと思っておりますが、現在の離農給付金とそれから流動化奨励金というものは、効果としてはやはり規模拡大、離農という形をねらっておりますけれども、やや制度としては性格を異にしているというふうに考えております。
#162
○三治重信君 じゃ、資料に対する質問は終わりまして、農業者年金基金法の改正に当たって、この制度の維持発展を図る趣旨というものが、日本の農業規模を拡大する、ことに何といいますか、農業経営の若返りといいますか、その中で私は、やはり農業経営の規模を拡大するということをやらなければ、あらゆる問題のネックになってきた。財政の問題や、それから農産物の価格支持をやることによって非常に米のように過剰になって、その対策というものもうまくいかないというようなことを考えると、やはり日本の農業を立て直すためには農業で生活できる、八、九〇%農業所得で生活できる農業というものをやらせなければ、そういう農家をつくらなければいけない。その農家のうちで、何といいますか、養鶏家とか畜産家とか、畜産でも舎飼いのやつで土地を余り必要としない農家や施設園芸とかいう部面は、非常に新しい経営形態として自立農業でいいわけなんですけれども、やはり土地の有効利用をやろうとすれば、耕作地での耕作で、自立農業収入で主として生活できる農家をつくらなければいけない。
 それに農業者年金というものが使われるということだろうと思うんですが、ことに農業者年金の加入資格にいわゆる被用者保険の加入者は禁止しているわけですね。そうすると、この農業者年金対象者の農家の経営規模も特別大きくならぬことには、そういう農地を必要としない農業経営はいいけれども、一つそういうためにこの制度が発展しない。なぜなれば、農外所得を得るというので一番いいのはやはりサラリーマン、賃金労働者になる、それになれば被用者保険に当然加入になってしまう、そうすることによって、それが二町歩やっておろうが一町歩やっておろうが農業者年金には入らぬ、こういうことになるわけなんですね。
 そうすると、やはりどうしても自立農家をつくっていくために、何と申しますか、私は農業者年金の狭い範囲だけの規模拡大、いわゆる経営移譲ということでなくして、むしろもう少しどっちかといえば農家の年金加入者の離農よりか、第二種兼業農家、これは地域によっても地域差がありますから全部とは言いませんけれども、全部はとても無理なんですけれども、第二種兼業農家から相当離農の土地の手放しが出てこなければ、この農業者年金の有効な利用ができないんじゃないかと思いますが、その点の考え方はどうなんですか。
#163
○政府委員(大場敏彦君) 仰せのとおりだろうと思います。年金は年金的手法を用いて、何といいますか、これからの農業の担い手となるような農家を対象にして、そして経営の若返りという形、経営の近代化ということをねらっている。ただし、後継者がいない場合には第三者移譲という形でそれを補完すると、こういったことになっているわけであります。
 一方、そういった農家の周辺に広範に広がって存在している二種兼農家、安定経営農家、こういったものの土地利用をどうするかということは、いま御指摘のとおり、わが農政の構造政策上の最大の問題である。その場合には、やはり所有権というものの移転はむずかしい、現実の問題としてむずかしいということでありますし、それは利用の集積を農業者年金が対象にしているような農家へいかに結びつけていくか、そういったことで、農業者年金も必要な基本的な政策の一つでありますが、別途、やはり農用地の利用の増進といいますか流動化対策、そういった対策が必要であろうということは御指摘のとおりで、そういう方向でわれわれ検討しております。
#164
○三治重信君 そうすると、何と申しますか、この「昭和五十四年度において講じようとする農業施策」の中の初めの方に「地域農業の振興と農業構造の改善」、その副タイトルとして「中核農家への農地利用の集積と担い手の育成」と、こういうことがこれは毎年書かれているわけなんですが、この中で書かれていることについて質問をいたしますが、
  〔理事大島友治君退席、委員長着席〕
こういうふうに非常に幅広く行われているんですが、この中には一つも、何と申しますか、農業者年金といいますか、いわゆる農業を主としてやる農民への土地の集積というのは、これは見なくてもそれは当然そうだと、こういうことかもわかりませんが、農業者年金との関連というものがほとんど書かれていない。
 そういう問題については、農用地の利用の増進について土地の集積をやるということははっきりわかるわけなんですが、その農業生産の担い手に対して、これが農業者年金の適用者の方へ集積されるということについてははっきり書いてないわけなんですが、その点は、それは集積を受ける者は当然農業の専業化をやる者だと、こういう理解でやられておると思うんですが、その点はどういうふうな考え方か。
#165
○政府委員(大場敏彦君) 確かに、記述は分けて書いております。農地保有合理化促進事業とか地域農政特別対策事業ということと、これは「地域農業の振興と農業構造の改善」という中で位置づけてありまして、別途「住みよい農村の建設と農業者の福祉の向上」と、こういったこととか、「農業者年金制度の改善」という項目の中で、農業者年金制度をうたっております。
 この趣旨は、もちろんこれは構造政策の一環として、構造政策というのは広範につかまえなきゃならない事柄でありますし、そういう意味で農用地利用の集積を中核農家にすると。地域農政対策事業をやり、あるいは構造改善事業をやる、あるいは農用地利用増進事業をやる、そういった手法を使ってやるということは一つでありますが、別途、農業者年金制度はそういったものと並んで、いわゆる農家らしい農家が自分の経営を近代化していく、経営を若返りをしていく、あるいは場合によっては規模拡大をしていく、そういったこと。いわば受け手としての農家というものを主限にして、その充実強化というものを図る重要な制度である、こういう認識で別途別のところでも位置づけておるわけでありますが、われわれの政策意識としては、当然それは大きな構造政策の中の一環で、農業者年金制度というものと、それから別途、農用地利用増進事業というものは切って切り離すことができない問題だと、こういうふうに考えております。
#166
○三治重信君 そのところに、農地保有の合理化のもう少し具体的なのに入ると、この中に、十六ページの一番初めに「農地保有合理化法人たる都道府県公社」、これはどれぐらい、各府県全部にできているのか。
 それから、これが実績というんですか活動の実績、それから、全国農地保有合理化協会は「農地保有合理化促進事業の適正円滑な実施を図る」と、こういうふうに書いておりますが、全国農地保有合理化協会というのはどういう性格の団体か。
#167
○政府委員(大場敏彦君) 合理化法人は、これは全国ほとんど各県で公社という形でできております。四十四県でできております。これは仕事は二つに分かれておりまして、一つは、未墾地を公社が取得して、それを農地に造成して、これを経営規模拡大の用途に充てるというのが一つであります。それからもう一つは、耕地を離農したい農家から買い入れて、それを経営規模拡大を志向する農家に売り渡す、あるいは農地を借り入れて経営規模拡大農家に貸し渡す、貸し付けすると、こういった事業をやっておりまして、そういった既耕地の問題と、先ほど申し上げました未墾地の造成、そういった二つから成っております。
 しかし、現実には、率直に申し上げますれば、やはり未墾地を取得してそれを造成する、こういった機能の方にどうも傾斜がかかって、既墾地のそういった農用地利用の増進ということについては、まだまだ機能は不十分だということは、率直に言わざるを得ないと思っております。
 それから、全国の団体は、その各県のつくっております公社に対していわば資金供給をする。特に構造改善地区だとか、国で造成している大規模の国営の農用地造成地区だとか、そういったところは、いわば天領的なかっこうで特別に利子の負担が軽い資金をそこに提供する。こういった形で、これは社団法人でありますけれども、各県の農用地公社と連携をとってそういった事業をしているということでございます。
#168
○三治重信君 そうすると、こういう特別な対策をやることによって、専業農家――自立農家に至らなくても専業的にやる農家の数というものがどれぐらいふえていった、農地の移動がこういうためにどれぐらい行われたというような調査。また、あるところの一、二の県の実績でも結構ですけれども、そういうことによる効果の出た事例というものについて一、二説明していただきたい。
#169
○政府委員(大場敏彦君) 農地の流動化の中身はいろいろあるわけでありますが、いろいろな手法で農地の流動化を農林水産省としては図っております。農業委員会により、あっせんして農地の移動の適正化を図る事業とか、それから農用地利用増進事業といろいろあるわけでありますが、いま御指摘のありました農地保有合理化促進事業に上る公社の買い入れ、借り入れ、こういったものにつきましては、五十二年の実績で言いますと、一万二千ヘクタールというものを買い入れたり、借り入れたりしている。公社が売却したり、あるいは貸し付けたりしているのもほぼ同額の一万二千ヘクタール、こういった状況になっております。失礼いたしました。私の申し上げましたのは売買であります。一万二千ヘクタールを売って一万二千ヘクタールを買っている、こういった状況であります。
 なお、借り入れというかっこうで、公社が離農農家から賃貸借で借り入れているのが約千五百ヘクタール、同じく貸し付けているものが千五百ヘクタール、こういった状況でございます。
#170
○三治重信君 大臣、いまのお話でもわかるように、農地法の改正をこの前御質問したときには、私は農地法の改正に踏み切らないと、自立農家の育成とか専業農家の育成と言ってもうまくいかないと、いわゆる完全自作農主義の農地法というものは、やはりいまの自立農家の育成という農林水産省の対策や、日本の農業を産業として育成していくためには、やはり第二種兼業農家や副業農家ばかりでは、これは日本の農業は何ぼ生産技術が農事試験場でうまくできても、また、農産物価格支持政策を何ぼやっても、第二種兼業農家の農業、いわゆる副業農家では日本の農業というものは決してうまくいかない。その結果が食糧自給率の急激な低下だと、こういうふうに私は結論をしているんですが、そのために、非常に困難な問題であるけれども、私は農地法の改正に踏み切らなければいけないと、こう思っておるわけなんですが、大臣もその意図がおありのようなんですけれども、その点についてどういうふうな御認識ですか。
#171
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大体方向としては、似たような考えを持っております。
#172
○三治重信君 そうすると、大臣が答弁の中で、私じゃなくて同僚の質問の中でやられたこの相続税の問題というのは、これは農業の後継者としていく場合には相続税がなくなっているわけなんですが、この相続税の問題が離農に対して非常に大きな妨害をしているという御認識のようでございますが、これに対して、これは農地法で私はちょっとこの方面まで入るのはむずかしいのじゃないかと思うんですが、それに対する税の対策についてどういうふうにお考えになるか。
 それから、賃貸借なりそういうものをやると、強制買収の可能性が、またそういうことをやられるんじゃないかという一つの不安感と言われるわけですが、こういうのはやはり農地法の改正ということにまつわる不安感と考えておられるのか。または、第二種兼業農家なるがゆえに、そのうちに強制的な買収というような新しい農地解放の強権力が来るというふうな、強制買収というふうなことを考えておられるのか。
 それから、やはり一番私は重要なのは、農地法でやるか新しく立法するか、賃貸の条件の問題、これについてやはり相当弾力的な取り扱いのやつを入れていかなければいかぬと思っておるんですが、そういう三つについて、大臣は私と大体同じような、対策についての、農地法の改正の問題点についてのやつですが、それについての大臣の、そういう問題を法律化をする場合の具体的な構想というのがもしもおありだったら御説明願いたい。
#173
○国務大臣(渡辺美智雄君) 農地の流動化を促進しなければ、規模拡大をして専業農家を大きくすることは絵にかいたもちでございます。できないということ。したがって、専業農家の規模拡大というものを図るという政策的優先度を持たせるとすれば、それはどうしてもだれかの農地を買うか使わせるかの方法しかない。買うということも考えられないことはないが、現在の日本の農地の価格から見て、とうてい買って農業がペイするものではないということになれば、やはり農地を借りて規模を大きくする以外にはないのではないかと、こう考えられるわけです。
 ということになると、だれの農地を借りるのだという話にすぐなってくるわけですけれども、日本の場合はすでに農家の三分の二が兼業農家であって、半分近い第二種兼業があるというのが現実でございますから、その中には、農地から上がる収入というものは、実は全体の自分の総収入の中で非常に小さな部分になってきている。しかしながら、土地そのものの値段は暴騰しておりますから、大変な財産価値がある。したがって、その財産は残していきたいという考えがあるわけです。現行の法律制度のもとでは、原則的にはそれを人に貸して不在地主になるという場合には強制買収の不安がつきまとう、あるいは離作料、取り返そうとしてもなかなか一遍貸したら返ってこないという不安がつきまとっておる、こういうようなこと。また、人に貸したならば、自分が持って幾らかでもつくっておるときには相続税の評価のときに非常な恩恵を受けるが、人に一遍貸してしまうと必ずしもそうではないというようないろんな不利な条件が考えられるために、貴重な財産ですからなかなか貸そうとしないわけです。
 私は、それに対して、強制的に第二種兼業農家の農地の強制買収などということは毛頭考えておりません。そういうような強制的な手段でなくして、自分が持っておって非常に不経済な耕作をするよりも、第三者に、生産性の高い農家に貸して、そこから自分がそれ相当の配当なり小作料なりを受けることの方がはるかに得だという考えになってもらえればいいのですから、そういうような仕組みを考えていく必要がある。したがって、どこのところの法律をどう直すということについては、いろんな関係がありますから、いま目下勉強会で勉強をやっておりますが、そういうことを頭の中に入れて、農業の近代化と規模の拡大が図れて、両方がよくなるようにすることが必要ではないか、こう考えておるわけでございます。
#174
○三治重信君 そうすると、そこに対して農協や農業関係者から批判が出るのは、農村が過剰労働力を抱えているじゃないか、それに対して農地の集積をやっていけばさらに農民から失業者を出すことになるんじゃないか、そんなことができるのかと、こういう批判がありますですね。こういうふうな問題に対して、大臣はどういうふうな対応策を考えておりますか。
#175
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、どこまでも土地を持っておる人の自由意思によってそれは行われるわけでありますから、自分がつくっておった方が有利だという人はつくっておったらよろしいし、自分がつくっておるよりも人様に貸した方がきわめて有利であるという人はそうしたらいいことでもありますし、したがいまして、私は、純農村ではなかなかこれは、どっかへ離農していくような人があれば別ですが、学校の校長先生になって、親の代からずっと持っているのだけれども、もう娘や何かみんな県都やほかに住んじゃったと、女房にだけ五反歩、一町歩働かしておくという人もかなりあるのです。
 これは、この前の農地法の手直しのときに、親子二代の間だけは不在地主の扱いしませんよという特例は設けましたが、それでも三代目になったら取られちゃうという話ですから、やっぱりなかなか思い切りがつかないということなどもあるので、そういうような人も農村の中にはあるのです、確かに。したがって、そういう人の土地はかなり規模拡大につながるし、本人はもともと職業を持っているのですから、何も夫婦で別居して暮らしてなくたって一緒にさした方が人道上からもいいのじゃないか、そんなような気もしますし、そこらはうまく現実に合わして考えていく必要があって、決してそれによって農家の人が失業するなんということはあり得ない、そう思っております。
#176
○下田京子君 今回の農業者年金基金法の一部改正では、改善点が、年金給付の額の物価スライドの問題と後継者の加入の救済措置があるわけですけれども、この後継者の加入の救済措置のところで、特に任意加入者の中での後継者加入ということで限定してきているその根拠が、どこにあるんだろうかということでお尋ねしたいわけなんです。
#177
○政府委員(大場敏彦君) 過去に資格を失っている者を対象にして、後から掛金を納めて救済するという場合には、そういうのはいわば特例だろうと私やっぱり思うのです。そういう意味で、去年認めていただいた当然加入者の場合には、わりあい選択という問題がありませんからそういったところは容易であったわけでありますが、任意加入者の場合には、その加入の要件を客観的に把握できるわけじゃないので、自分が入りたい、私入りますと、こう手を挙げたときをもろてやっぱり加入資格が発生した、こういうことでありますから、いっその人が加入意思があったかどうかということを客観的につかまえることは非常にむずかしい、そういうような難点が基本的にあるわけです。
 しかし、そういう意味で、任意加入についすべてそれを加入の特例を認める、救済するということはやや問題があるのじゃないか。年金制度の本来の議論からある。しかしながら、任意加入者の中でも後継者というものは、よく考えてみると、自分自身好きこのんで入る入らないと言うわけになかなかいかない。親から、おまえが後継者であるということで一人指定されてその者が初めて入ると、親から指定されなきゃ入りたくてても入れない、こういったことがあるわけですから、そういった者には限定してやること自身年金の原則とそう極端に矛盾するものではないだろう。それから、農政上の観点から、そういった者を入れるのも経営移譲の促進ということから適当であろう、こういう判断で後継者の加入についての救済の道を開いたということであります。
#178
○下田京子君 最初の、言ってみれば任意の後継者の場合には親からの特定な指示が必要だと、同時に農政上の目的から考えてもというお話なんですが、もう少し詳しく、農政上の目的ということは何を意味しているんでしょうか。
#179
○政府委員(大場敏彦君) そういった後継者は、現実には現在時点において経営主として活躍されている方か、あるいはきわめて近い将来経営主になる方だということで、そういった方々に積極的に年金制度に加入していただいてその経営移譲の促進を図る、全体としての経営の若返りを図るということは農政上の大きな意味があると、こういう意味であります。
#180
○下田京子君 経営の若返りを図るという問題と、それから担い手として活躍しているというふうなことをおっしゃられたのだと思うんですけれども、そういう点で見ますと、やっぱり農業の実態がどうなんだろうかということを大きく見直してみる必要があるのではないだろうかという提起をしたいんです。といいますのは、任意加入の中にはそれぞれ三つありまして、三十から五十アール未満というふうなのも一つあるし、生産法人の構成員のこともあるし、今回入ってくる後継者の問題と、こう分かれているわけですね。今回、後継者のみを対象にしているわけですけれども、農業の実態という点から見た場合には、三十アール以上五十アール未満という規定ですね、いわゆる面積をもって一つ規定していることと、それから同時に、これは施行規則の第四条等でも言っていると思うんですけれども、一定時間等も見ていると思うんですね。
 そうすると、時間等から言った場合に、これは昭和四十五年の十二月二日厚生、農林省告示の第一号の中で定められているやつなんですけれども、労働時間を定める件の基本が一応出ているわけです。この中で、特に一時間十アール当たり最も高い施設園芸、これはどのくらいになるかというと、一千八百時間になるんですね。一千八百時間ということで、この条件からいった場合に三十アール最低必要だと。時間は十分満たしているわけですが、面積要件で三十アールということになりますと、実に五千四百時間というふうになってくるわけです。こういう五千四百時間からなりまして、当時の水稲の場合で計算すれば、十アール当たりが百二十五時間で見てありますから、これは水田で面積要件にかえてみますと、およそ四ヘクタールの面積規模ということになってしまうんですね。こういう矛盾がはっきり指摘されるんではないだろうか。ですから、あくまでも面積要件と時間と、こう言われておりますけれども、農業の実態ということをこの際よく見直してみて、この救済対象の中に入れていくことを検討すべきではないだろうか、こう思うわけなんですが、これは大臣どうでしょう。
#181
○政府委員(大場敏彦君) 私どもの考えとしては、確かにそれは農業の中にはほとんど土地の要らない農業もありますし、御指摘の施設園芸、あるいは集約的なその他の農業があるわけでありますが、しかし、当然加入者を五十アールとして考えているのは、やっぱり農業の基本は農地である、その農地の所有あるいは使用収益というものをいかにするかということが農政の中心課題であるということから、五十アールということをつかまえて、片手間ではない農業の最低限としては五十アール要るだろうと、こういうことであって、しかし現実には、いま御指摘のありましたように、集約的な農業というものも片っ方にはあるわけですから、そういう場合には三十アールは必要であるけれども、しかし七百時間という年間の労働時間が必要であると、こういう形で救済しているわけであります。
 いまお話になりましたように、ほとんど土地を持たない農家で、いわゆる施設園芸だけやっているというものがある場合にそれをどうするかという話は、最初私が申し上げました農業の基本は農地をどうするか、農地の使用収益というものをどうするかということが基本じゃないだろうか、こういう考え方でつかまえているわけで、農地をほとんど持っていない、そういった者を農業者年金の中に入れて年金手法をもって構造政策を進めていくということにはどうもなじまないのじゃないかと、こういうふうに考えております。
#182
○下田京子君 なじむなじまないという議論の前に、農地が少ない云々というだけじゃなくて、実態は専業農家、本当に農業を専門的にやられているという人たちが入れないということになったら、なじむなじまないじゃなくて、問題ではないだろうかということなんですよ。最近、特に施設園芸であるとか、あるいは果樹だとか、また花卉類だとか、そういうものが非常に多くなってきているわけです。そういうお仕事をやる人は、確かに面積要件では満たされてないけれども、農業の実態としては本当に専業的に農業をおやりになっている方、今後も続けようとしている方が多いということも一つ事実としてはあるんですよ、これは事実ですから。
 そういう矛盾について、なじむなじまないという、基本は確かにそれは農地であるということはありますよ。その中から使用収益をどうするか、この年金がそこで設定されてきているわけです。しかし、同時に、専業農家が入れないということになったら問題であるわけで、そういう点からして一方で土地の流動化等と言っているわけですが、少ない農地の中でも専業的農業を集約的に続けられるということは可能であるわけです、実態としてあるわけですから。そういう検討がいま必要な時期ではないだろうかということですから、大臣、その点お答えいただきたい。
#183
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、できたときは十年ぐらい前にできたわけですから、その時代といまではかなり農業の実態も専門化をしたり、いろいろな点で変わってきていることも事実だと私は思います。したがって、まあ二十五アールでハウス園芸をやっておって、それで相当の、一年間何千時間か知らぬが家族で労働しておる。そういう人が入れないというのは、本当にそれは困ったことだと私も思いますね。全体から見れば非常に数は少ないと思いますが、一つの御指摘でございますから、世の中の実態に合わせてひとつ検討をさしてもらいます。
#184
○下田京子君 実態に合わせてぜひ御検討いただくという御答弁、よろしくお願いします。
 それから次に、せっかく設けられた後継者の加入の救済措置の中で、救済を受ける時間的な余裕の問題なんですけれども、申し入れしてから年金を受け取る際に、今回は最低年金を受けるに必要な期間としていますから、最低二十年を想定して計算していると思うのです。これは後継者の加入の特例で、ずっと三ページ、四ページにわたって出ておりますけれども、この中で昭和十四年一月二日生れの方、この方は基本とするところは下に書いてありますから見ていくと、現在四十歳です。四十歳で特例加入を認めてくれるわけなんですけれども、六十歳まで積まなきゃなりません。そうすると、二十年間積むわけですね。とすると、この人は極端な話、一月二日生まれの方は一日も余裕の時間がないということになるんですよ。皆さんに聞いたらば、遊びの期間がないと、こう言われていましたけれども、すなわち、せっせと掛け続けていっても、一カ月でももし掛け忘れがあったらば、せっかく今度の特例に該当してお金を納めていても、一カ月の掛け忘れでもだめになってしまうという問題が出ているわけなんです。これはもう最低でも二年程度は必要だなあというのが、今回この法改正に基づいて皆さん何か希望がありますかとお尋ねした際に、一番強くまず出てきたのが、こういう猶予のなさの問題なんですが、この点はいかがでしょうか。
#185
○政府委員(大場敏彦君) ひとつ御理解願いたいのは、今回の救済措置はあくまでやっぱり年金制度からすれば例外であるということは、御理解願いたいと思うのです。
 そこで、昨年の時効救済、これは当然加入のものでありますが、それとは根本的にやっぱり違っている。昨年の当然加入者の時効救済措置は、すでに保険者として資格が発生している、そういった者が、たまたま保険料を納めなかったために、あるいは時効にかかって年金の受給資格が発生しない、こういった者を救済する、いわば過去の期間も被保険者であったものとして救済するということで、これに比べまして、今回の措置は、被保険者でなかったものをあったものとみなして、すでに経過した期間も保険者であったものと想定して救済するということで、やはり制度的には根本的に違う。やっぱりそういう例外中の例外でありますから、その救済というものは最小必要限度にするというのが保険原則からして当然であろうと思うわけで、そういう意味で、救済がやっぱり二十年間というそういった保険料を掛ける期間を満たすのに必要な限度において救済するということで、今度の制度は仕組んでいるということでありますので、その点は御理解を願いたいと思います。
#186
○下田京子君 理解してくれといっても、確かにいま言うように、同じ特例であっても当然加入者と任意加入者の違いなんだからという、その御指摘はわかるわけですけれども、一カ月でも掛け忘れる、それはもう生きてこない、極端な話。まあ、一年未満しかないわけですから。
 それで、実情を申しますと、昨年の当然加入者の実態なんですけれども、福島市の農業者年金の状況で聞きましたら、これは市の担当の農業委員会の方が専門的におやりになっているんですが、該当見込み者に個人的に、あなたはこの特例納付に該当しますよという通知を出した。その通知を出したのが三百九十四件。その中で、もし加入の意思がある者は手を挙げてください、答えた人が八十八人、実際に加入手続をした者が五十四人、意思があったけれども何らかの理由で加入できてないという人がまだ三十四人いらっしゃる。ですから、これは非常に専門的な知識も必要でしょう。そして同時に、こういうものが今国会の中でできたということが、どれほど個々の農家の方々のところにまで伝わるだろうか。さっきの農地の流動化ではないけれども、自分は今後いろいろ考えて農業を専業的にやっていきたいという方も含めて、もしこういうものがあるなら手を挙げようという方々に対しては、やはりもう少し全体として猶予期間というものを設けるべきではないんだろうか。どうでしょうか。
#187
○政府委員(大場敏彦君) 重ねての御指摘でありますけれども、保険原則からしたらあくまで例外であるということで、やっぱり救済するに当たっては被保険者の期間を満たす最小限度を救済の対象期間とするということが原則じゃないか、それ以上やるということはやはり保険原則としては問題がある。これは私どものこの農業者年金だけじゃなくて、他の国民年金等についてもやっぱり同様な措置をとるときには同じ取り扱いをしているということであります。社会保障制度審議会等におきましては、この任意者の加入の救済全部じゃなくて、その中でも後継者だけに限定していることについてですら、保険の専門家からすれば、おかしいではないかという指摘がかなりきつくあったわけでありますので、そういう意味である程度の限定といいますか、最小必要限度の範囲にとどめるということは、これはやっぱり保険原則上守らしていただかねばならない事柄だと思っております。
#188
○下田京子君 譲れないとすれば、幾ら議論を続けてもしようがありません。となれば、末端までそれらが行き届くようなPRみたいなものが必要ではないだろうかと思うんです。かつても、いろんな制度を知らせていく上で、一般紙あるいはテレビ、週刊誌、あるいはその他の広報活動、いろいろと利用されていた経緯もあると思うんですが、この点で大臣ひとつお考えいただけないでしょうか。
#189
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほども私はお話ししたのですが、地域によってえらいむらがあるのですよ。北海道のようなところは大体もう一〇〇%、それから宮城県あたりで九〇%、山形九九とか、そこから見ると確かに福島はちょっと低いですな。福島は八二ぐらいで、それでも栃木県の六五よりははるかにいいですけれどもね。ですから、私は非常にこれはむらがある。したがって、その地域性あるいは組合の組織、あるいはPRの仕方、いろんな事情があるのでしょうけれども、いわゆる純生産県のようなところでは特に加入をしてもらうような一層の努力はいろんな手でやってまいりたい、督励をしてやってまいりたいと思っております。
#190
○下田京子君 実務体制の問題等、あるいはいろんな御認識の点、専門的な知識が関係するという点あると思うんですが、私はあえてそういう中でもPR活動というものが必要だろうということをお願いしたわけで、ひとつ御検討いただきたいと思います。
 それから、次に特定後継者の問題なんですが、昨年の六月一日ですか、私、同じこの年金基金法の審議の過程で質問した経緯があるんですけれども、特定後継者の加入という点で保険料が割り引きされているわけなんですが、一番は、これは何といっても若年層の加入を進めていくというところにポイントがあると思うんですね。そういう点から見れば、もう少し条件緩和ということも大いに考えていく必要があるんではないだろうか、こう考えるんですけれども、それに当たって、未加入者約六十万人と言われている中で、年齢ごとに一体どのくらいの状況になっているか、まずその辺聞かしてください。
#191
○政府委員(大場敏彦君) 未加入者は、資格があって農業者年金に入っていない者、これが去年の十二月末現在で約五十万人、こう見ております。この未加入者の中で年齢別にその割合を見てみますと、やはり御想像のとおり若年層の加入割合は低いと。逆に言えば、この未加入者の年齢別割合で見ると、たとえば数字で御説明しますと、二十歳から二十九歳、これが四〇%、かなりの部分を占めておる。それから三十歳から三十九歳は五二、三%ということで、四十歳未満が九〇%を超えている、こういう状況で、やはり四十歳未満、それから三十歳未満、そういった若齢者が加入していない割合が非常に多いということでございます。
#192
○下田京子君 としますと、やはり先細り年金なんていう言葉が言われているぐらいな状況の中ですから、やはり大いに若い人たちがどんどん加入してくるということを考えていった際には、三十五歳未満の方々で、手を挙げてよしやろうというお気持ちがある方には、各県の平均面積云々とかいろいろ条件があるわけなんですけれども、その辺はある程度緩和して、大いに財政的なことも伴うわけですけれども、保険料の割引対象にすべきではないだろうかと思うんですけれども、この辺、大臣どうお考えでしょうか。
#193
○国務大臣(渡辺美智雄君) これも現実問題として、農家の戸数がふえていくという状況じゃありませんね。もう世界的にともがく就労人口が減ろということは生産性が高まるということですから、日本の場合も農業就労人口はいま一〇・六やらいですけれども、ドイツ並みの五、アメリカの二・五まではいかないにしても、それは減る可能性はあるというときですから、この年金制度がなにするためには、あなたのおっしゃるようなことも一つの実際的な御提案でありますので、十分検討をさしてもらいたいと思います。
#194
○下田京子君 それでは次に、保険料の問題で御質問します。
 今回、物価スライド分の保険料の問題がやっぱりいろいろ出てくると思うんですけれども、この中で、所要の調整を加える云々というふうなかっこうで出ているんですが、これはつまるところ、五十五年一月以降の保険料というものは三年間まとめて引き上げますよということを言っているんでしょうか。
#195
○政府委員(大場敏彦君) 農業者年金法の五十一年改正法律の附則第三条第三項で、文意は毎年毎年物価に応じて給付水準をスライドアップすると、そういう場合の見合った保険料については所要の調整をするということで、これは具体的に申し上げますれば、五十一年、五十二年、五十三年、それぞれ物価が上がったわけでありますが、そのたびごとに給付水準を上げてきた、それをこの三年間まとめて調整を加えざるを得ないということで、五十五年の一月以降保険料を上げると、上げざるを得ない、こういうような情勢になっております。
 なお、国民年金等は、毎年毎年給付水準のスライドに応じて調整しておりましたけれども、農業者年金はその都度調整していないので、三年分をまとめてやらざるを得ない、こういった経緯になっております。
#196
○下田京子君 三年分を上げるという問題について、どのくらいの金額になるか云々はちょっとまた後でやりますが、これは今回は政令で云々ということなんですが、過去の経緯を見ますと、毎年法律で決まってきたと思うんですけれども、政令で定めるということについてはちょっと問題があるのではないか、この点いかがでしょうか。
#197
○政府委員(大場敏彦君) 保険料の定め方でありますが、これは農業者年金基金法、本法の第六十五条の第五項に「保険料の額は、政令で定める。」ということになって、これはまあ本則という呼び名はおかしいのですが、原則ということになっておるわけであります。一方、先ほど御説明いたしました昭和五十一年の改正法の附則の第三条で、保険料の額を本法の六十五条の第五項「保険料の額は、政令で定める。」という規定にかかわらず次のとおりとするということで、五十二年分は幾ら、五十三年分は幾ら、五十四年一月以降分は幾らと、こういうふうに法律で決めている。そこで、同じく同条の第三項で、しかし物価スライドで上げた分に見合って年金給付を改正したときには、保険料の所要の調整はするというふうに書いてあるわけで、それは法律の規定によって決めるという第三条のところを、かかわらずという形で外しておりますから、本則の六十五条第五項の「保険料の額は、政令で定める。」という規定が適用されて、政令で決めると、こういうぐあいに法律解釈としては運用しております。
#198
○下田京子君 解釈を聞いたんではなくって、政令で定めると言いながらも法律でやってきたという経緯があるわけだから、今回もやっぱり法律できちんと審議をしてやるべきではないだろうかと、こう言っているわけなんです。特にそれはいま局長言われました六十五条の関係では、法律の制定当時四十五年の五月の二十日に議論がいろいろされて、その時点でも一カ月七百五十円とするということで、実際には法制化していると思うのですね。とすれば、この根拠はどういうことだったんでしょうか。
#199
○政府委員(大場敏彦君) 私はいま法律論で申し上げたわけですが、実質論といいますか、内容論で申し上げますと、年金額を物価にスライドして上げるということでありますれば、それは年金財政上、当然保険料も同じ額で改定するということになるわけで、これは当然の改定を行うにすぎない。こういったことであります。現実に、国民年金等の他の年金におきましては、自動的に保険料も改正される、こういったことになっているわけであります。そういう意味で、そういう機械的な修正でありますから、本則に戻るというふうに法は予定しているということで私は理解しているわけであります。
 そこで、本則にかかわらず、五十一年改正のときには法律で改正したじゃないかと、法律で各年別の保険料を決めたじゃないか、こういう御議論でありますが、これはいわば財政再計算をして、そしてそれに基づいて保険料率を決めたということでありまして、先ほど私が申し上げました保険の給付水準を物価スライドして上げるというような機械的な改定とはやはり根本的に違うわけで、制度的な改変でありますから、それは法律で規定すべきであろうという形で、当時の国会での御議論で、五十一年の改正法第三条で法で規定したと、こういうふうに私どもは理解しております。
#200
○下田京子君 引き続いて四十九年の法改正の際にも、政府はやっぱり当初は政令を出したんですね。ところが、これは政府案が修正されております。その修正内容の中では「五十一年一月以後においては、新法第六十五条第五項の規定にかかわらず、法律で定めるところにより所要の改定が加えられるものとする。」という、わざわざ修正案が出されまして、全会一致で修正されているわけです。それからさらに、これはそのときに衆議院のそのときの会議録があるんですけれども、当時の仮谷衆議院農林水産委員長の提案理由の説明の中で、「昭和五十一年以後、保険料を改定するにあたっては、農業者年金基金法を改正する法律によってのみこれを行うことができることとしようとするものであります。」と、これまた保険料のいわゆる法定主義というものを再度明確化したのではないかと思うわけなんです。
 で、加えて五十一年の法改正の際にも、当時の構造改善局長の岡安さんが、一部だけ法律で定めて、それ以降の引き上げを政令にゆだねることは非常に不安定な形になりまして、やはりこの国会で農民の支払うべき保険料は国会の議を経て、はっきり法定しておくべきという趣旨でもございましたので、三段階の金額を法律で明らかにしたと、こういうことで、言ってみれば、なぜ法律化したかという点では、農民が支払うお金だから安定的にということと、それから同時に、金額内容も含めてここでもまた法定主義を明らかにしているわけなんですね。
 ですから、やっぱりこういった過去の歴史からずっと見て、確かに条文上は政令で定めるということになっているけれども、それぞれの審議の過程で一度もいわゆる政令で定めたことはなかった、すべて修正等々やられる過程でもって法律でもってやられてきたわけです。こういう点から考えて、今回出されている附則三条三項についても、法律で所要の調整をすべきというふうに変えるべきではないかと思うんですけれども、これは大臣、御答弁いただきたいと思うんです。
#201
○政府委員(大場敏彦君) 法律論的な性格でありますので、私からお答えいたします。
 確かに、四十九年の改正法の附則で、いまお話がありましたように、五十一年一月以降の保険料の額は法律で定めるところにより所要の改定が加えられるものとすると、こういった形で法律で決めろということが書いてあります。ですから、先ほど御説明いたしましたように、五十一年の法改正で、五十二年は幾ら、五十三年は幾ら、五十四年以降は幾らと、こういうぐあいに法律で決めているわけであります。
 それと同時に、五十一年の改正法の附則で、先ほど申し上げましたように、前二項の規定にかかわらず、五十五年一月以後においては所要の調整は加えられるものとするというように変わってきております。これは、法律で定めるところによりという文言は入っておりません。五十一年の改正はそういうことになっておりますので、もう繰り返しませんが、先ほど私が申し上げたような運用が十分に許容されるということで理解しているわけであります。
 それからなお、国民年金と他の年金におきましては、給付水準の改定に伴って保険料も自動的に、一々法改正ということを要せず、自動的に改定されるということになっておりますので、それとのバランスからいっても立法政策上も当を失しないというふうに考えております。
#202
○下田京子君 立法政策上に問題点はないという御指摘ですが、大臣、過去の経緯等見まして、先にぱっと聞きましたが、今回引き上げということになったらば、アップ率はいままた聞こうと思うんですけれども、どのぐらい上げてどうするかということですから、やはり国会の審議を経てやるということで私はしかるべきではないかと思うんですけれども、大臣の御答弁をいただきたいんですが。
#203
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま局長からお話をいたしましたように、物価に準じて自動的にスライドをするという場合には、それに見合う保険料は法律でなくても差し支えないというのがまあ法制局等の見解でもございますので、私としてもそれで差し支えないと思います。
 ただ、財政再計算をやって、それから給付水準をどうするか、あるいは掛金をどうするかというような際には、法律で行うのが適当であると考えております。
#204
○下田京子君 法制局の見解であるから差し支えないというようなお話と、財政再計算期には法律できちっと定めると、明確な御答弁いただいたんで、それじゃ引き上げ幅が一体どのくらいになるかということについて質問したいんですが、物価スライドで三年分まとめると、こういうことになりますと、五十一年期に計算しておりますから、五十二、五十三、五十四と三年分、五十二年度のスライド率はいわゆる一〇九・四%、五十三年度が一〇六・七、さらに今回が一〇三・四ということで、これを掛けると一二一で、およそ二〇%以上のアップになると思うんですね。それを現在の保険料三千二百九十円と掛けていきますと、おおよそ三千九百八十円というものになるんだろうということなんですが、いかがでしょう。
#205
○政府委員(大場敏彦君) 三年間のアップ率を掛けますと、年金額のアップ率二〇・七%ということになりまして、それを現行の三千二百九十円に掛けますと、三千九百七十円という数字になります。
#206
○下田京子君 そうすると、三千九百七十円ということなんですが、これが農家の負担能力との関係で見てみた場合に一体どうなんだろうかということでの御検討はあったでしょうか。
#207
○政府委員(大場敏彦君) 確かに、農家に対しての大きな負担になるということは御指摘のとおりでありますが、しかし、農家の負担ということを考えれば、これは何も農業者年金だけの話じゃなくて、根っこの国民年金の問題もありますし、あるいは健康保険あるいはその他の公租公課、こういったこともありますので、それとの全体等の中でこれは考える必要があるだろう。しかし、農業者年金制度だけ特別に上げているわけじゃございませんので、これは物価スライドに応じて当然のことで保険料も上げているということで、いわゆる財政再計算に基づいて本来的にもう一回見直すということの場合には、これはいろいろ考えなければなりませんが、やむを得ざる機械的な値上げである、こういうことで私どもは判断しているわけです。
#208
○下田京子君 この保険料の引き上げ率と、それから農家所得の比率なんですけれども、昭和四十六年の一カ月の保険料が七百五十円だったかと思います。で、いまお話しのように、五十五年にやるとすれば三千九百七十円程度だと、こういうお話です。とすれば、保険料全体でおよそ五・三倍近くになるんじゃないかと、こう思います。一方、農業所得の方はどうなんだろうということなんですけれども、この比率で資料等いただいて見ましたら、その中での占める割合として農家所得の比では約二倍というような状況なんですね。農家所得は二倍程度で、それで保険料金は約五・三倍というふうな状況であるという、そういう御認識はお持ちだったでしょうか。
#209
○政府委員(大場敏彦君) 確かに、一般保険料の水準というものは逐年これは上がっているということでありますが、何も一般保険料水準だけ上がっているわけじゃございませんで、これは逐年、給付水準というものも上げて、それに応じてスライドして保険料水準等上げた、こういう経過でありますし、それは財政再計算のときも同様であります。
 それから、ここ一二年の保険料、給付水準のスライドアップに応じて今回それを一遍に、本来ならその都度上げなきゃいけないのを、一遍にいま現在時点においてやらざるを得ないということで目立つわけでありますが、おくれてやっている、こういうことでありますので、特にそれが農家経済にそのこと自体で響くということではありません。もちろん、農家経済のことを考えれば、先ほど申し上げました広い意味でのこれだけじゃなしに、他の社会保険、それから公租公課を含めて、これはかなりこれからの経営の非常に大きな問題になるということは認識しておりますけれども、今回のは給付水準のスライドアップに伴う機械的な保険料の値上げだと、こういう形で、保険料だけを上げているということではないのだということも、御理解願いたいと思います。
#210
○下田京子君 今回はそういうことですけれども、財政再計算の時期になったらば一体どのぐらいのアップになると想定されているでしょうか。その際に大事なことは、経営移譲者がどのぐらい出てくるかということになると思いますね。当初見込んだ数よりも相当いま伸びていると思います。このまま伸びていったらば、かなりの伸びになると思います。そうしますと、また、これは財政的な負担問題が考えられると思います。ですから、どのぐらいの伸び率というかアップになるか、もし計算されていれば、簡単にお聞きしたい。
 それで、最後に、大臣もお出にならなきやならないらしいので、財政的に国庫負担との関係で御答弁いただきたいと思うんです。
#211
○政府委員(大場敏彦君) まだ財政再計算は、一応の予定は五十七年一月一日現在でやるということになっております。基準でやるということになっておりますので、率直に申し上げまして、現在のところで計算しておりません。しかし、御指摘のように、経営移譲率が当初の四〇%弱より恐らく八割ぐらいになるだろうということが予想されますので、かなり財政圧迫要因ということになることは想定されますので、保険料水準を財政再計算のときにどうするかということは、非常にわれわれとしても頭の痛い問題だというふうに思います。
#212
○下田京子君 それじゃ、私まだあと四十分ほど残っているんですけれども、大臣も政務次官もお出になるということですから……。政務次官、ずっといられるんですか。
#213
○委員長(久次米健太郎君) 政務次官、おるでしょう。
#214
○政府委員(宮田輝君) はい。
#215
○下田京子君 それじゃ、もう少しお尋ねしたいんですが、大臣に最後にいまのことで、経営移譲の状況だけでも、いま大体四〇%程度が倍近くなると。単純に経営移譲者の状況だけ見ると倍ということになると、やっぱり五〇%近い大変なアップも考えられるのではないだろうか。となりますと、財政問題というのはまたこれ議論をしなければなりませんけれども、国庫負担の必要という問題点についてもやっぱり考えていただかなければならないと思うんですが、大臣、その点どうでしょうか。
#216
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは本当に基本的な、全く重大な問題なのです。現在の財政の中で国庫負担率を大幅に上げるということは、言うべくして非常に困難なむずかしい問題がうんとある。しかし、財政再計算をやってみて、しかも給付水準も上げるということになったらだれが払うのですかという話になってくるわけですから、それはどんな貯蓄よりもこの保険の方が有利であることは間違いないですね、いかなる貯蓄よりも。だから、それは払ってもいいと、老後保障がふえるのだから保険料上げてもいいということになるのか、もうこちらは資産をたくさん持っているのだしするから保険料の現金をそうたくさんふやされるのは困るということになるのか、ここらのところは、農業の問題については、私はかなり実態的に実際の加入者の意見等も聞いて決めるようにすべきものではないか。
 現行のままでも、昭和六十年には倍ぐらいに保険料はなるのでしょう。現行のままで、国民年金と合わせまして。そうすると、現行の給付水準でも昭和六十年ごろになると倍近くなるということは、かなり大変な負担なんです、これ実際は。さらにしかし、給付水準をもっと上げろという要求が片っ方にあるわけですから、これはどっちを選ぶかという問題は、私は農業の特殊性というものも考えて慎重に決めなければならぬ。非常に無財産と言っちゃ失礼ですが、比較的財産を持っておらないサラリーマン階層の厚生年金の場合には、その妻が任意であっても進んで国民年金に加入するという場合は、自分たちが財産がないから、ともかく貯金するよりも年金に入っていた方がはるかにそれはいいという意識があって、別にお勧めしているわけじゃないがどんどん加入されている。しかし、そういう意識に農家の人が皆なるかどうか。これは非常に問題のあるところです、実際は。
 したがって、農業の実態、農家の意識調査等いろいろなことを考えた上で、現実的、実質的に政策の一つの方向として慎重に検討しなければならぬと、こう思っております。いま結論を出す段階ではございません。
#217
○下田京子君 結論は出せないということですが、国民年金の上にできている問題であるだけに、合算したら大変なものになるわけでありまして、おっしゃるとおりこれは慎重な議論が必要でありますし、国庫負担等についても十分検討が必要なことを、改めて指摘しておきたいと思います。
#218
○委員長(久次米健太郎君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#219
○委員長(久次米健太郎君) 速記を起こして。
#220
○下田京子君 次にお聞きしたい点なんですけれども、経営移譲率が非常に予想を上回っているということは御承知のとおりなんですが、これは末端の農業委員会の実務者が相当苦労してやられているということを私は知っていただきたいんです。
 福島市の場合、さっき大臣が福島県は低いよとおっしゃったんですが、県全体では確かに八〇数%なんですが、市ではかなり高いんですね。そういうところで、二百六十二人、六十歳に達している人の中で、経営移譲ができなかった人は九十名だけ、逆に言えば、経営移譲率は七五%近いんですね。こういう実態なんですけれども、その経営移譲の内容なんですが、第三者移譲というのは四件だけだと。あとはすべて――まあすべてではないですか、そのうちの約七割近くが使用収益権の設定によるものであって、ちゃんと土地を受け継いでやっているというのが実態でありました。
 ただ、この仕事をするために専従者を一人置きまして、相当専門的に相談活動に乗っているらしいです。その人その人に対応した相談をやっているということで、こういうのをいただいてきたんですけれども、「こんなときに、こんな手続きを」ということで、「どんなとき」、「なにを」、「いつまで」、「どこへ」。それで、資格関係から給付関係から、もう全部やられているんですね。このことについては、専門家でなきやならない。一般的にわかっていたんでは、相談にも乗れない。だから、せっかくある経営移譲、こういう年金制度も活用できないという方がずいぶん地域によって異なるんではないか。あえて事務をおやりになっている方にあれこれを言うんではなくて、それほど実際事務を専門的にやるということでは専任の事務員を置かなきゃならないし、非常に専門的な知識を要するのだということを御理解いただけると思うんですが、その御認識はどうでしょう。
#221
○政府委員(大場敏彦君) 末端の農協あるいは農業委員会、それぞれ基金の業務を委託してお願いしておるわけでありますが、それらの機関が、いま御紹介くださいましたように、かなり熱心にやっていらっしゃるということは、私どもよく理解をいたしております。大変なことをお願いしておるというふうに理解をしております。しかし、専任職員というかっこうで設けていらっしゃるけれども、それに対する財政裏打ちということになりますと、これまたなかなか骨のあることで、私どもいろいろ予算の充実は努力しておりますが、そのために財政裏打ちを直ちにそれと結びつけるということになりますと、これはまたいろいろ議論が出てくるところだと思っております。
#222
○下田京子君 これはちょっと時間をいただいてありますから、後日また大臣にお聞きしたいと思いますけれども、大変専門的な知識が必要であり、実態としては大変な事務体制であるということは御理解いただけたんではないかと思います。
 次にお尋ねしたいのは、経営移譲の際に特に強く出された要望の一つなんですが、後継者移譲の要件について施行令第九条では「三年以上耕作又は」云々ということで、大体年限を規定していますね。これで、こういう形でいきますと、「農業者年金」で出している「のうねん」という雑誌に出ているんですが、これは日曜日だけお仕事をやっていて、三年以上農業に従事していればというかっこうになると、自衛官でも警察官でも、その態様によっては後継者移譲の相手となれると、こういう指摘をしているんです。ところが一方で、都会に就職していた若者がUターンしてきます。ところが、そのときに三年にならないと、お父さんはもう六十になって経営移譲したい、年金もらいたいと思うんだけれども、年限を満たさないというふうなことで、これは何とか改善していただけないだろうかという御要望が出ているんですが、この点はいかがでしょうか。
#223
○政府委員(大場敏彦君) 後継者に移譲する場合の要件として、三年以上引き続き農業に従事する、こういう要件をつくっておりますが、これはまさに引き続き将来とも農業をやる意思とまた能力がある、そういう客観的な把握として三年ということを使っているわけであります。いまお話のありましたように、最近Uターン現象が盛んになってきている。で、若者が都会から帰ってきて農業をやろう、こういう場合に、それが邪魔になっている例も私どもちょくちょく聞いております。それをどうするか。これを何らかの形で緩和することができないか。これは農林水産省だけで片づく話ではございません。大蔵省とか厚生省とか、そういったものとも協議をしなければなりませんので、いまそれをどういうぐあいで対処するか、前向きに検討はしておるところでございます。
#224
○下田京子君 前向きに検討しているということですね。改めて再度確認したいんですが、よろしいですね。
#225
○政府委員(大場敏彦君) 何とか解決はしたいと思って、関係の省庁と協議をして解決したいと思っております。
#226
○下田京子君 次に、これは今回の改正にはなりませんでしたが、やっぱり各地域を回って一番たくさん出される希望の中では、遺族年金の創設の問題と老齢年金の引き上げのことなんですね。これは山形県でも、宮城県でも、福島県でも、今回私ども調査に行ったのですけれども、最大の要望になっている一つなんです。こういう点で御検討はどのように進められているでしょうか。
#227
○政府委員(大場敏彦君) 遺族年金の持っている農業者年金との意味とか、あるいは老齢年金の持っている意味とかいうことにつきましての議論は、くどくなりますから省略いたしますが、いろいろ農業者年金制度研究会等におきましても議論をしていただいております。この三月に途中の報告もいただいておりますが、いろいろやはり制度的な問題が非常に多いということで、率直に申し上げますれば、非常に困難な問題のあるという指摘をかなり強く受けております。もちろん一部においては、何とかできないのか、こういう御希望があったことも事実でございますが、制度論として、かなりほぐさなければならない難点が多い、こういうぐあいに私どもも報告を受けておりますし、事実私どもそのように認識しております。
#228
○下田京子君 農業者年金ができてきた過程で、農業者にも恩給を欲しい、それから厚生年金並みということでもって、国民年金に上乗せする形で生まれてきたかと思うんです。とすれば、厚生年金には遺族年金がございますし、今回は引き上げ等という措置もとられていくわけですね。こういう点から見ていけば、当然やっぱり検討されるべきではないかと思うわけです。財政再計算期にはぜひこの農民にも遺族年金ですね、それから厚生年金並みをという趣旨を生かした検討をしていただきたい、こう思うわけなんです。これは政務次官、せっかくおいでですから、御検討いただけるかどうか、御答弁いただきたいと思います。
#229
○政府委員(宮田輝君) いろいろむずかしい点があるようでございますけれども、せっかくのお話でございますので勉強さしていただきたい、こう考えるものでございます。
#230
○下田京子君 ぜひ勉強していただきたいと思います。やっぱり実態ですね、これが大事ですし、年金というものの性格、こういったことも踏まえて、同時に、農業の発展という日本の大事な産業のそういう問題等含めて、総合的な勉強をしていただきたいと思います。
 次に移りたいと思いますが、農業労災制度のことなんです。労働省の方お見えでしょうか。
#231
○説明員(細見元君) 参っております。
#232
○下田京子君 実は五月二十二日付の農業新聞なんか見てみますと、農機具の事故で大変苦労している。これは三重県の方のお話が出ているんですけれども、もし一般の企業に勤めている方と同じように、労災というものがあったらばどんなにか安心して病気というか、けがを治すこともできただろうにという訴えが出ております。そのほか、この労災問題というのはいろいろ研究されてきたところだと思うんですけれども、労働省で改めて農家の皆さん方の労災加入のことで、特に改善点で研究されているようなことございますでしょうか。
#233
○説明員(細見元君) 先生よく御承知でいらっしゃいますように、私どもの労災保険は、労働基準法の適用労働者の保護を目的とする制度でございますので、労働者でいらっしゃらない方は、本来労災保険の保護の対象とはしていないわけでございますけれども、いろんな事情、災害の発生状況でございますとか作業の実態等から見まして、労働基準法の適用労働者に準じて保護することが適当であると認められる特別の方について、労災保険制度本来のたてまえから見て許容し得る範囲で、特別に任意加入という制度を設けているわけでございます。
 そういうことでございますので、正面切って先生の御質問のような検討はいたしておりませんが、ただ、これもまた御承知いただいておると思いますけれども、現在農業従事者の方について特別加入を認めておりますのは、特に危険を伴う大型農業機械を御使用になるというような方々について特別加入の道を開いておるわけでございまして、現在、この特別の機械については労働大臣が告示で指定するという制度にいたしまして、一定範囲のものを指定いたしておりますけれども、これについて最近の農業技術の進歩に伴いまして、さらに対象を拡大するようにというお話がございますれば、農林水産省さんとも具体的な御相談をしてみたいと考えております。
#234
○下田京子君 労働者の見解としては、繰り返しませんが、一点だけ確認したいのは、本来は大型機械というふうなことに限って農作業の機械ということで認めているけれども、特段の御要望があればそれは検討の余地ありということと理解してよろしいですね。
#235
○説明員(細見元君) ただいまも申し上げましたように、個別の機械名を挙げまして指定しておりますので、必要がございますれば、さらに新しい機械を追加することは、御相談の上いたしてまいりたいと考えております。
#236
○委員長(久次米健太郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#237
○委員長(久次米健太郎君) 速記を起こして。
 本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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