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1978/05/08 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 社会労働委員会 第7号
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1978/05/08 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 社会労働委員会 第7号

#1
第087回国会 社会労働委員会 第7号
昭和五十四年五月八日(火曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     野田  哲君     高杉 廸忠君
 五月七日
    辞任         補欠選任
     小笠原貞子君     橋本  敦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         対馬 孝且君
    理 事
                遠藤 政夫君
                斎藤 十朗君
                片山 甚市君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上原 正吉君
                亀長 友義君
                竹内  潔君
                福島 茂夫君
                森下  泰君
                高杉 廸忠君
               目黒今朝次郎君
                安恒 良一君
                渡部 通子君
                橋本  敦君
                柄谷 道一君
                下村  泰君
   衆議院議員
        修正案提出者  向山 一人君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  橋本龍太郎君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       田中 六助君
   政府委員
       大蔵省主計局次
       長        禿河 徹映君
       厚生省社会局長  山下 眞臣君
       厚生省児童家庭
       局長       竹内 嘉巳君
       厚生省年金局長  木暮 保成君
       厚生省援護局長  河野 義男君
       社会保険庁年金
       保険部長     持永 和見君
       労働省職業安定
       局長       細野  正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       安原  正君
       文部省初等中等
       教育局地方課長  加戸 守行君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(対馬孝且君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る四月二十六日、野田哲君が委員を辞任され、その補欠として高杉廸忠君が選任されました。
 また、昨七日、小笠原貞子君が委員を辞任され、その補欠として橋本敦君が選任されました。
#3
○委員長(対馬孝且君) 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明はすでに聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○安恒良一君 本日は、国民年金法等の一部修正に対する議論でありますが、すでに委員長の御裁断で十一日の日に年金の集中審議をやると、こういうことを聞いております。これは、御承知のように年金懇の答申が出たし、それに基づいて厚生省の作業も始まっている、こういうことを聞いております。そこで、きょう私に与えられました時間は五十分しかございませんので、その範囲内で、まあざっくばらんに申し上げますときょうと十一日と二日間にわたって質問をする、こういう・前提の中で問題をお聞きをしていきたいというふうに思います。
 わが国が急速な高齢化の社会になる、こういうことについてはすでにもうお互いに議論がないところであります。しかし、これが大体三十年なら三十年後にはヨーロッパでも経験をしたことのないような、大体昭和八十年から昭和百年代にはさらに高齢化が進むと、こういうことを聞いているわけです。そこで私は、そういう高齢化に対してどのように対処をしていくのかという問題について、実はきょうは官房長官にも御出席をお願いしていますが、官房長官は時間の都合で後だということでありますから、全体のこの老人問題をどうするかということについては官房長官御出席のところで、厚生大臣、それから大蔵省、労働省、関係各省全体でひとつ御答弁を願いたいと思いますので、ちょっと質問の順序が狂ったんですが、官房長官がお見えになった時点で基本的な問題についてはあれをしたいと思います。
 そういう中で、老齢化社会に対応する諸政策の重要なかなめの一つとして私は年金という問題があると思います。これは御承知のように老人になればなるほど所得が減ってまいりますから、老人の生活保障のためにはどうしても年金が重要だと思います。そこで、私は去年も年金改正のときに本委員会におきまして小沢厚生大臣に対して、国民年金等の一部改正をする法律について去年はやりとりいたしましたが、五十一年改正の枠ということでかなり去年はやりとりしたわけです。しかし、私は去年のところ、五十一年の枠だけでは問題が済まないんじゃないかと。そこで、小沢厚生大臣以下関係の局長はぜひ一年間検討さしてもらいたい、こういうやりとりにこれはなっているわけです、一年間はぜひ検討。というのは、自分も厚生大臣になったばかりだとか、二つの審議会から答申を受けてまだ検討中であるとか、こういうことであったわけです。去年四月の二十五日に議論しているんですが、ちょうどもう一年たってしまっております。そういう上に立ちまして、ことしは大臣はかわられたわけです。しかし、年金局長以下は引き続いて議論をされておりますし、そこで年金制度の基本懇談会の答申もすでに四月の十八日に出ております。でありますから、これらの問題を踏まえて、目指すべき年金制度の改革の方向と明確な計画ですね、このことについて大臣としてどのようなお考えをお持ちなのか。
 いま一遍申し上げますと、目指すべき年金制度の改革の方向と明確な計画について、これは去年の議論を踏まえた上、さらに去年以降答申等も出ておりますから、今日においてどのようなことをお考えなのかということについて、まず大臣の考え方を聞かしていただきたいと思います。
#5
○国務大臣(橋本龍太郎君) 安恒委員よく御承知のように、私どもがこの年金制度基本構想懇談会の御報告というものをいただくことを前提にいままでも国会で御答弁を申し上げてまいりました。この報告の中で指摘されておりますように、確かに現在のわが国の年金制度の中にはさまざまな問題がありまして、総合的な観点からの見直しも必要でありますと同時に、長期的な展望に立って計画的に改革を進めていく作業というものも当然必要なことであります。私どもとしては、この懇談会の御意見をちょうだいをしたこれを踏まえまして、段階的、計画的に改正を進めてまいりたいと考えております。
 その報告の中におきまして幾つかのポイントが指摘をされておりますわけでありますが、その中で、早期の着手または改善を図る必要があるとされております老齢年金の支給開始年齢の引き上げの問題でありますとか、また、従来から非常に議論の多かった遺族年金の改善の問題、また福祉年金などの経過的年金の引き上げ等につきましては、社会保険審議会及び国民年金審議会に御検討をお願いをして、その御意見をいただいた上で厚生省としての具体案を明らかにしたいと考えております。そこで、これらの改革を実施するために、厚生年金保険及び国民年金の次期の財政再計算を明五十五年度に行いたいと、そのように考えております。
 また、さらに長期的な課題として提起をされております幾つかのポイントで、一つは被用者の妻の任意加入制度の問題、これにつきましては早急に厚生省としても検討を行いまして、できるだけ早い時期に結論を出したいと考えておりますが、これはちょっと五十五年度の再計算には、私どもとしては問に合うだけのスピードで作業を行うことについてはちょっと自信がございません。
 また、各制度間で共通の基準のもとに財政調整を行えという部分につきましても、これは相当慎重な検討を要する問題でありまして、多少時間をかけさしていただきたいと考えております。
 また、報告書で指摘をされております問題点のうちで、四月二十七日に開かれました公的年金制度調整連絡会議の席上、厚生省側からは基本懇の報告の説明を行ったわけでありますが、共済組合関係の給付水準、給付体系、支給開始年齢の問題につきましては各共済それぞれにおいて検討を行っていただきたい、経過的年金の引き上げについて、各年金制度の共通の負担とする考え方につきましては、できるだけ早い時期に厚生省が具体案を作成して提案を行うということを申し上げておりまして、私どもは、五十五年度予算編成等との絡みも考えまして、概算要求締め切り直後ぐらいまでにはこの考え方をこの連絡会議の上に提起をいたしたいと考えております。
 また、年金数理委員会の設置につきましても、できるだけ早い時期に厚生省として具体案を作成して提案を行うということを申しておりまして、これは概算要求に乗り得る時期に結論を出したい、具体案を作成したいと、そのように考えております。
 また、業務処理体制の合理化、一元化については、小委員会を設置して関係各省で協議を行うという方針につきまして御賛成をいただきましたので、これは間もなく発足をさせる考え方でございます。
 で、以上の諸点のようなものにつきましては、今後この連絡会議の席上、幹事会において検討をしていくという作業スケジュールを決めておるところでございます。
#6
○安恒良一君 どうも、長く社労をやられました橋本厚生大臣としての答弁は、全く私は平面的だと思うんです。いま言われたようなことはもう新聞にもすでに書いてあるわけですよ、厚生大臣談話ということでかなりですね、まあ断片的でもあるかもわかりませんが。私がいまお聞きをしていることは、そういうことからさらに一歩突っ込んだことをお聞きをしたいわけであります。それはなぜかというと、これが発表をされましたときに、一斉に新聞が年金懇の答申に対して取り上げています。たとえば代表的な見出しを一つ読みますと、「〃心〃忘れた年金改革報告」「「吟味された懐石料理を期待していたら、かんたんなお茶づけでお茶をにごされた」――といった落胆を禁じ得ない」などという見出しがいろいろついているわけです。私は、ここで各学者先生等を中心とする年金懇の皆さん方を非難をしようということを言っているわけではないわけです。まあ年金懇は年金懇の限界で出したろうと思うわけです。ところが、それを受けた厚生大臣なり、まあ後から官房長官おいでになりますが、政府としてどうするのかということは、単なるお茶づけであってはいけないと思うんですね、やはり懐石料理を用意していかなければならぬ。そうしますと、すぐまたぞろ、あなたはいやこれは社会保険審議会なり社会保障制度審議会と御相談をしてと、こうくるわけですね。御相談されることは決して悪いことではないわけです、御相談されることは。しかし、私がいまお聞きしているのは、これから御相談をされることの中身についてどういうことをお考えなのかということ、御相談をされる中身についてお聞きをしようとしているわけです。そういうことを言いますと、いやまた審議会からしかられるなどという答弁が返ってきますが、私はそういうことはないと思う。問題は、大臣がいままで一年間なり、事務当局はいろいろ国会の附帯決議等を受けて研究をされ、さらに具体的に年金懇が具体案を出した、そういうものを受けて改革のポイントをどういうふうに中身をするかということでありまして、たとえば、一つの例を言いますと、遺族年金の引き上げというような問題についても、どの程度どうするのかという問題が出てくるわけですよ。そういうことについて私はお聞きをしたいわけでありまして、いま少し、たとえば当面三点やりたいということをいま言われました。支給開始年齢の引き上げ問題についてと、それから遺族年金、それから、いわゆるこの答申の中でも一番落ちておりますところの経過年金ですね、経過年金については政策的に考えればいいということで全く逃げてしまっています。しかし、私はこの経過年金というのは非常に重要なことだと、というのは、制度発足の当時高齢であったために年金の恩典を受けないということで老齢福祉年金、五年年金、十年年金等の経過年金があるわけですから、そういう経過年金等について、どういうふうに具体的にしようとしているのか、こういう点について大臣が国会の委員の質問に対して自分はこういう意向を持っているんだということをお答えになることは、審議会軽視ではないと思うんですね。その意向に基づいて審議会が十分議論をして、イエス、ノーとか、プラスするものはするとか、もしくは国会の中でもそういう大臣の考えを踏まえて、たとえば十一日にも集中議論をするわけです、議論をする。そういうものを聞きながら、最終的に大臣がやはり最後の案をお決めになると、これが私は民主的な運営だと思います。そういう意味から言いますと、少しいまあなたがお考えになっておりますところの中身について、どういうふうにしていこうとするのかということをぜひお聞かせを願いたい。それに基づいていろいろ質問なり意見を申し上げたいと、こう思いますから。
#7
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは安恒委員、審議会と厚生省との関係等もよく御承知の上で御質問でありますから、あえてその辺について私から申し上げることは差し控えたいと思いますが、いまお話しになりましたような諸問題、確かにそれぞれのポイントとして大きな問題であることは間違いありません。これは今回国会に私どもが御審議をお願いをいたしました国民年金法、予算審議の過程における各党の話し合いというものから、衆議院の社会労働委員会において老齢福祉年金を中心にして修正が行われ、それに連動して五年年金の金額等についても修正を受けたわけでございます。この点は国会の御意見を私どもは忠実に実施いたしたわけでありますが、一方では老齢福祉年金の金額と五年年金、十年年金との額のバランスが崩れたという問題も生じておるわけでありまして、これは安恒委員が御指摘のとおりでございます。
 一方、国民年金制度において、経過的な年金の水準を引き上げるべきだという要請はあるわけでありますけれども、一方では長期加入者の本来年金の給付水準について長期的な費用負担等の面からの制約もあるわけでございます。ですから、私どもとしては五十五年度の再計算を行うということを申し上げております限りにおいて、この老齢福祉年金額、また五年年金、十年年金等拠出年金額のバランスについては、国年審等においての十分な御審議を受けた上で決定をしたいというのがいまの心境でございます。
 また、支給開始年齢の問題は、私どもがこれは避けて通ることのできない問題であると考えておりますが、この年金懇の答申が出されました時点において、その六十五歳支給開始年齢を引き上げるというところにある程度問題点がしぼられて報道をされ、また細部にわたってその辺についての論議がなされておらなかった結果、直ちに、いきなり五十八、九の方まで六十五歳に支給開始年齢を引き上げられるかのような不安を国民の方々にも持たせてしまったきらいがないとはいたしません。私どもとしては、これを二十年ぐらいの時間をかけて改善をしていきたいと考えておりますが、同時に、それには前々から申し上げておりますように、雇用情勢でありますとか、あるいは定年制の施行状況でありますとかといった他の要素との絡み合いもあるわけでありまして、この答申をちょうだいしました直後、労働大臣にもこの定年制の延長の問題について協議をお願いをし、労働省としても昭和六十年までにまず六十歳定年というものの実現を図る、そしてその後段階的に定年制の引き上げを図っていって、終局的には七十年代のいつの時点かにおいて六十五歳定年まで持っていきたいというような考え方を基本的にお述べをいただいているわけでありまして、こうした問題との組み合わせの中でやはり私どもは対応していかなければならぬというのが現状でございます。
#8
○安恒良一君 まだ中身がかなり抽象的なんですが、時間がありませんから、きょうはその中の問題の一つだけにしぼって少しお聞きをしたいと思うんです。
 そこで一つ、大蔵省からもお見えになっていると思いますが、私はきょうは支給開始年齢のところだけに問題をしぼって少しお聞きをしたいと思うのですが、現在共済年金の関係が内閣委員会でいろいろ議論されているわけですね、これは関係委員会の中で。そこでは、支給開始年齢を現在の五十五を六十歳にする、それからスライド制の問題等が中心になって関係委員会でいろいろ議論されている。ところが、一方年金懇の答申は共済を含めて六十五歳と、こういうふうに年金懇から答申をされている。まあいま厚生大臣ははっきりおっしゃいませんでしたけれども、新聞を見る限りにおいては、どうもこの答申の中のそこだけはいち早く厚生省も御賛成をされ、ややつまみ食い的に二十年の経過をかけてしたいなどということが、新聞を見る限りにおいてはちらほら出ている。そこで私はあえて厚生大臣にそのことを聞いたんですが、そうしますと、もう出発点から、共済年金はことしから改正をして二十年の経過措置で六十歳にしたい、一方厚生大臣の方は、来年の再計算の時期に、はっきりおっしゃいませんけれども、大体年齢の引き上げについて出したいということですね。そうすると、厚生年金は現行六十歳になっていますから、そこのところについてまたぞろいわゆる官民の支給開始年齢の格差、こういう問題が出てくると思います。
 そこで、きょうは大蔵省からもお見えになっていますが、大蔵省の方の共済担当としてはどういうふうにされるつもりなんですか、このところを。厚生大臣は来年度の再計算時期に支給開始年齢を引き上げたいと、こうおっしやっていますから、それは恐らく経過措置をつけてということでしょうから、二十年なら二十年、共済を含めてと。それから、この年金懇の答申もそこのところは触れてないんですよ。どうしろとは触れてない、年金懇の答申もよく読みましたがね。ただ、共済を含めて六十五歳にしたらどうだと、こういうことは触れていますね。ですから、この点についてきょうは大蔵省からお見えになっていますから、一方はもう現在すでに本国会にかかっていることなんですから、それとの関係はどのようにされるおつもりなんでしょうか、そこの点について。
#9
○政府委員(禿河徹映君) ただいま御指摘がございましたとおり、共済組合の方におきましては、現行の支給開始年齢五十五歳ということに相なっておりますのを、五歳引き上げて六十歳に経過措置を設けながら段階的に引き上げてまいりたいと、かように考えまして今国会に御提案申し上げておるわけでございます。現在厚生年金におきましては支給開始年齢が六十歳、共済組合におきましては五十五歳と、五歳のいわば格差があるわけでございます。私ども今回これを五歳引き上げて六十歳にいたしたいと考えましたのは、第一に共済年金財政のやはり長期的な安定化に資するというふうなねらいがございますし、また現実の問題といたしまして、公務員の退職年齢というものが高齢化してまいりまして、現在六十歳ちょっとと、こういうふうな状態になっておるわけでございます。そういう点に着目いたしまして五歳引き上げるのが妥当であろうと、かように考えたわけでございます。
 一方におきまして、確かに年金制度基本構想懇談会の今回の御報告によれば、六十五歳に引き上げるのが適当ではないか、こういう御意見もございますが、何分にも五十五からその引き上げを図るというふうな点でまいりますと、かつて厚生年金でございました五十五から六十歳に五歳引き上げた、こういう事例等を踏まえまして、私ども当面の措置といたしましては、やはり共済組合の支給開始年齢につきましても五歳引き上げて、まず六十歳に定着させるということが現実的であり実際的な措置であろうと、かように考えたわけでございます。
 将来の問題でございましょうが、その六十歳をさらにどうするかということにつきましては、私どもまだ具体的な考えを持っておりません。共済組合のやはり年金制度と申しますのは、公的年金の部分というものと、それから公務員制度のやはり一環を担うと、こういう性格もあわせ持っておるわけでございまして、将来の公務員制度の姿とか、他の公的年金制度の動向等も踏まえながら検討を将来において進めることがあろうかと思いますが、現在の私どもの考えといたしましては、当面この六十歳の支給開始年齢を定着させるというべきものであろうと、かように考えております。
#10
○安恒良一君 いや、そういうことで、いまも官房長官に出席の要求を急いでいるのはそういうところにあるんです。それはなぜかというと、いわゆる大蔵省としては、共済年金担当だものだから、これはこれから二十年かけて六十歳にしようと、こう言われているんですね。厚生大臣はその点どうですか。いま年金懇は経過年金を置いてどっちも六十五歳にしろと、こう言っている。あなたはどうされようとするんですか、来年出されるときに。そこのところをまず聞かしてください。
#11
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は厚生大臣としての立場でございますから、これは厚生年金と国民年金を所管するということでありまして、直接権限を共済に持っておりません。ですから、私としては、これは厚生年金及び国民年金につきましての所管大臣として物を考えるということがまず大前提でございます。その中において、厚生年金そのものの支給開始年齢の引き上げの問題は避けて通れないと先ほど申し上げたわけでありますが、ただし、共済が私は六十歳からの支給開始年齢に引き上げたことは一つの前進だとは思いますけれども、やはり年金制度全体というものを考える場合においては、将来において共済もやはり同じように支給開始年齢はそろえていっていただくべきものだと思っております。
#12
○安恒良一君 どうも、将来においてといっても共済はこれから二十年かけて六十になるわけですよ。あなたの方はこれから二十年かけて、どうもえらい遠慮されて厚生年金を六十五歳にすると、こう言われているんですね、国民年金はすでに六十五歳になっているんですから。そうするとまた二十年以上ずっとずれが続くわけです。ところが、年金懇の答申はそんなこと書いてない。そこで、これはまあここからになるとあなたたち両方とも答弁できないということになるわけだから、これは官房長官に来てもらうとして、官房長官来るまでちょっとお聞きしたいんですが、なぜそれならば、いわゆる支給開始年齢を引き上げるかということになりますと、一つはあれでしょう、財政問題でしょう。これは大蔵省も厚生省も異論がないところですね。財政問題に一つの原因があると、大きな原因が。そういうことでしょう。いいですかそれは。厚生大臣も大蔵省の方も支給開始年齢の引き上げは一つは財政問題にある。それだけじゃないと思います。そうしますと、私はいま財政状態がどうなっているかということでしますと、共済年金の方が早く財政難に陥るんですよ。たとえば、二十年後の昭和七十五年に、厚生年金は十人加入者で年金支給者は大体約二人ですよね、これは二人です。共済年金の場合には十人で四人を賄わなきやならぬ。これは二十年後ですよ、七十五年。さらにこれが八十年となっていけば、共済年金の方が――そういうのに、いまあなたがおっしゃったように、これは大蔵省にお聞きをしたいんですが、長期的な安定化ということで厚生年金は来年から二十年かけて六十五歳になる。共済年金はことし決めてこれも来年からということになるでしょうが、二十年と。これは全く相矛盾するんじゃないですか、財政の安定ということを考えられるならば、財政のより苦しいのは共済の方が苦しいんだから。そうしますと、しかも年金懇の指摘というのは、私は何も六十五歳に全部そろえろという意味で言っているわけじゃないですよ、そういう矛盾点を包蔵したままやるというところに大きい年金には国民の問題がありはしないか。少なくとも、私は年金を、雇用された労働者の年金と自営業者の国民年金、この二本立てでいきたいと。
 ちょうどいいところに官房長官来ていただきました。実はいま官房長官ね、こういうことを御質問をしているわけです。実を言いますと、現在共済年金はすでに法改正を内閣から提案をされておりまして、そしてこれは、現在五十五歳を六十歳にしたいと、こういうことになっているわけですね、それがため二十年経過措置が必要だと。厚生大臣は、ことしの年金懇の答申を受けまして、来年度の改正のときに現在の厚生年金六十歳を、六十五歳とはっきりはおっしゃいませんでしたけれども、支給開始年齢を引き上げたいと、こう言われているわけですね。それから、年金懇の答申は共済年金も厚生年金も含めて被用者年金はやはり六十五歳に支給開始年齢をそろえたらどうだと、こういう提起をしているわけです。ところが、あなたがおいでになる前に大蔵省に聞いたら、大蔵省は、いやいま案を出しておりまして、やはり二十年かけて六十歳に持っていきたいと、こう言っているわけです。厚生大臣は、いや私は共済は所管でありませんから、私の所管である国民年金はすでに六十五になっているし、厚生年金は六十歳ですからこれはひとつ六十五歳にしていきたいと、こう言っておられるわけですね。ところが、じゃなぜいわゆる支給開始年齢を引き上げるかということの最大の理由の一つとしては財政問題だと、こうおっしゃるわけだ、両方とも。ところが、財政問題でいきますと共済年金の方が苦しいわけです。いま私が一つの例を挙げたんですが、昭和七十五年に厚生年金の場合は加入者十人で二人の年金受給者を賄う、共済の場合には加入者十人で約四人を賄う、倍ですね。それだけ共済の方が財源的には苦しいんです。しかも、いまお二人の意見を聞いておりますと、これは全くまた二十年以上もいまのちぐはぐのままでいくと。そうでなくても官民格差ということで、支給開始年齢、私は現実にやっと共済が六十歳にするということについて、厚年とそこの水準は合うなと、こう思っている。しかし、これに、後からいろいろ聞きますけれども雇用問題がありますから、何も雇用問題ほったらかして手放しで賛成しているわけじゃない。しかし、年金という観点から見ますと、やっと共済と厚年が六十歳にそろうなと、こう思っておったところにそういうちぐはぐをされる。
 そこで、まず官房長官にお聞きしたいんですが、年金懇が答申を出しました。そこで、どの大臣が中心になって、もしくはどういう機構で年金の改正をこれからやられるのか。それはどういうことかというと、厚生大臣所管が国民年金と厚生年金、船員年金ですね、大蔵大臣がいわゆる共済、それから三公社五現業、これは一応運輸大臣ということになっていますね、所管大臣は。地方公務員は自治大臣、こういうふうになっています。このほかに、総理府には公的年金制度調整連絡会議というのがありますね、そういう政府機関があるわけです。ところが、私は官房長官にお聞きしたいことは、老齢化社会に対応していくためには年金だけではないわけです、この問題は。これは後から順次質問を展開していきますが、年金と雇用という問題は年金支給開始年齢のときに重大な課題でありますね。それから、老人の生きがいというのは、一つは私は、やはり所得保障については、まず直ちに年金生活者に入るよりもできるだけ長く働きたいということだと、こう思います。そうすると、雇用問題をどうするのか、それから老人になりますと若い人の約四倍病気にかかります。しかも合併症状が多いわけです。ですから、老人の医療をどうするのかという問題、そして老人になりますと所得が減りますから、老人の所得問題として年金をどうするのか、さらに今日、住宅問題まで波及している。たとえば、ヨーロッパではなるほど親と子供が離れている、しかし孫のおるところにはスープの冷めない距離に住みたいと、これはヨーロッパでもそうなんです。でありますから、住宅問題、がありますね。しかし、一方避けて通れない問題としては人口の老齢化、これが大体昭和八十年ごろになりますと約ヨーロッパ並みの老人国になる。八十年越しますとヨーロッパでも経験したことのない高齢国家になる。こういう現実の姿は避けて通れません。それから、わが国の将来の経済社会を確実に推測することはだれしも困難なことだと思いますね。五十年先の経済がどうなっているかとか、そんなことなかなかできない。しかし、あえて、できないんですが、そういうことも含めましてやはり何らか方法を考えなきゃいかぬだろう。
 そうすると、いまあなたが来るまでにでもすでに厚生大臣と共済担当の大蔵の間には全く違った意見といいますか、やや支離滅裂になりかねないんですから、私がお聞きしたいことは、きょうは本当は総理にお出まし願いたいんですが、まあ総理外国へ行っていらっしゃいますので官房長官にお出ましを願ったんですが、急速な高齢化社会を迎えるわが国に対して、これらの諸対策をどのような機関でどうされようとしているのか、だれが中心になってやられるのか。まさか総理自体がやられないわけでしょうから、たとえば何らか関係閣僚会議でもおつくりになるのかどうなのか。それからいま一つは、その中の一つの重要な問題について、年金についてもこれだけ担当大臣がばらばらではなかなか私は決まらぬと思う。年金制度調整連絡会議というのはいわば事務官僚の連絡会議でありまして、最終的にはやはり大臣の意向がきちっとしないとなかなか決まっていかないと思うんです。ですから、そういう問題について、これは各大臣にまたがることですから、官房長官としてはこういう問題について、特に年金懇の答申が一いままでは、官房長官も議事録を読みますと年金制度基本構想懇談会の答申を見まして、それから私の考え方を申し上げたいということでもっぱら逃げられていますが、もう今度は逃げられませんね、出ましたから。その上に立ちまして、どういうふうにいま申し上げたようなことを、いわゆる高齢化社会に向かうわが国の対策を全体的にどこでどう考えていくのか、それから、その中の年金について非常に各省に縦割りにまたがっている、しかし、これは年金懇も指摘しているように整合性を持たなきゃならぬ。そういう場合にはどこでどうしようとされるのか、その考え方を大平内閣の方針としてひとつお聞かせを願いたい。
#13
○国務大臣(田中六助君) 安恒委員御指摘のように、老齢化社会におきましては、年金と雇用というものは私どもが考える以上に深刻な、しかも重大な問題のように考えております。
 せんだってから、私は年金懇の報告が出てからということを申し上げておきましたが、まさしく四月の十八日に年金懇の報告ができ上がりまして、私ども二十日に閣議でこれを了承したわけでございます。
 厚生大臣から年金懇の答申の報告があった際に、今後の年金制度の改革については懇談会の御意見を踏まえて政府が一体となって取り組む必要があるというような御報告でございましたし、その際、関係の各省、これが今後特段の御配慮、御協力をお願いしたいということでございまして、私どももこれを了承した次第でございます。
 そこで、年金制度のこの改革にどんな体制で取り組むか、つまり、新しい何か閣僚懇談会でも設けるのかという御質疑でございますが、私どもは、やはりこの問題は各省が、閣議でも私ども決めましたように、協力一致、一体となって処理していくと、それにはやはり厚生省が中心となっていく以外にないんじゃないかと思いますし、新たなそういう新しい閣僚懇談会を設けるかどうかにつきましては、まあ安恒委員御不満のようでございますけれども、すでに私ども公的年金制度の調整連絡会議というものがございますし、それを厚生省のもとでその連絡会議を中心に進めていけばいいんじゃないかというふうに考えております。
#14
○安恒良一君 いや、官房長官、年金のところだけ答えられたけれども、私はそういうことをあなたに聞いていないんですよ。年金のことだけ聞くならば官房長官わざわざ御出席願わなくてもいいぐらいですけれども、まあ何省かにまたがっているから。
 私が聞いていることは、大平内閣の方針として、いわゆる急速な高齢化社会を迎えると、ヨーロッパでは百年も二百年もかかった、それをわずか戦後五十数年、せいぜいこれから二、三十年の間に迎えると、そのときのわが国のいわゆる老人対策を含めてどうするのか。まあ大平総理は日本的社会福祉ということをよく言われますね、その中の重要な課題なんです。そして、それはいま申し上げたように、お年寄りの生きがいという問題での仕事の問題、年金の問題、医療の問題ですね、住宅の問題等々老人問題全体についてこの際やはり洗い直しをされなきゃいけないところに来ているんじゃないだろうかと。ですから、大平総理であったらどうされるんでしょうかと、そのことをまず聞いている。そして二番目に、その中の一つの重要な課題である年金について、制度の分立なり各省の担当がばらばらなんだから、どこでどういうふうにそれを総括的に、いわゆる整合性のあるものにされていこうとしているのかと。ですから、まず前段のことについては官房長官全然お答えになっていないです。前段の一番大きい方。これはどうしても大平内閣としては避けて通れない重要な課題なんですね、これは。いま申し上げたように、生きがいのある老人対策をどうするかということについては、これは非常に重要な問題。ですから、そういう点について大平内閣の方針を、きょうは総理にかわって御出席いただいておりますからお聞かせを願いたい、こういうことです。
#15
○国務大臣(田中六助君) 大平内閣といたしましては、家庭基盤の整備ということを組閣以来標榜しておりますし、そういう点からは、先ほども申しました年金と雇用、そして高齢化社会への老人対策というものすべてを含めました福祉制度というのは大きな問題でございます。しかし、やはり具体的に言いますと、年金制度、たとえば公務員の年金制度関係をとりますと、やはりこれは公務員制度とも大きな関係もございますし、他の公的年金制度との横並びの関係もございますし、一概に、今回の改正案もそういう一つの公正なる修正ということを念願にしておりますが、私どもといたしましては、あくまで福祉への方向、家庭基盤の整備ということから、年金制度についてはいままでより一層に深い関心を持つと同時に、りっぱな制度にしていかなくてはいかぬというふうに考えております。
 後半のお答えについては先ほど申し上げましたとおりでございます。
#16
○安恒良一君 まあ、官房長官、あれもこれもやっておられるから余りいじめるのはいやだけれども、ちょっと全く、いまの御答弁ややお粗末の限りがないと思うんですね。なぜかというと、私はきょうわざわざ官房長官にお見え願ったのは、たとえば年金の点一つをとらえましても、いま申し上げたように、政府内ではこの場に来ても全く矛盾があるわけです。いわゆる共済担当の大蔵は、これから二十年かけて六十歳にしたいと、こう言っている。厚生大臣は、自分の所管じゃないが気持ちとしては共済を含めてやはり六十五歳にそろえたいんだと、こういうお気持ちをお持ちのようですよね。そういうままで二十年またたってしまうんですよ。それじゃ全く整合性がないんです。ですから、そういうときこそ大平総理なり官房長官が、やはり、雇用者の年金はどうするんだと、雇用労働者の年金はどうするんだと、こういうお考えをひとつお持ちにならないと、お二人の意見ここで幾ら聞いたって平行線なんです。私たちはそれじゃ困るわけです、国民としては困るわけです。同じ大平内閣の厚生大臣の考え方と、きょうは大蔵大臣に出てきていただきたかったけれども、まあ大蔵委員会が別にあっているということですから、大蔵大臣の代理で主計局次長は答えている。そうすると、大蔵大臣のお考えと厚生大臣のお考えは違っているわけです。違っている。
  〔委員長退席、理事片山甚市君着席〕
それから、いま一つ利がお粗末だと言っているのは、たとえば雇用問題も、きょう労働省来てもらっていますけれども、労働大臣も外国からきのう帰ってきたばかりだというから局長に来てもらっていますけれども、年金の支給開始年齢と雇用問題というのは非常にこれ重大なんですよね。そうしますと、定年制の延長をやっぱりどうしていくのかということが問題になる。たとえば、私たちは共済の場合にこの国会で反対しているのは、国家公務員の肩たたきというのは本当に六十までないのかと、六十まではまず国家公務員はぴしゃっと勤めさせると、こういうことをはっきりした上で六十に延ばしたいと言われるなら一つの議論がある。ところが、その方は明確にならないからこの国会でもほかの委員会でわれわれ社会党は反対をしているんですね。それから、今度民間の場合でも、今度は厚生大臣や労働大臣の方にお聞きしたいことは、六十五歳にしたいとおっしゃるならば、その六十五歳までの雇用の保障が必要なんです、雇用の保障が。ところが、これまた私たちは当社労委員会の中なんかでも、年齢のいわゆる差別によって首を切ってはいけないとか、アメリカのように高齢者の雇用保障について法律をつくったらどうだろうかということを予算委員会その他で聞くと、労働大臣は、いやそういう問題は労使の問題でありまして、ということで余り雇用問題に積極的な取り組みをしない。やっと抽象的に、厚生大臣と労働大臣の間に、六十年までに定年を六十歳に延ばす努力をしようという申し合わせができたにすぎない。昭和六十年まで、昭和六十年までですよ。ですから、私は高齢化社会を迎えた以上できるだけお年寄りが働ける間働かせて、それから年金に入っていくということについては賛成、しかし、働かせる保障がない。たとえば民間の場合はまだ五十五歳定年というのが四一%あるわけです。五十五歳定年が四一%もあるんですよ。そういうときに、厚生大臣は財政のことを頭の中心に置いて、来年から二十年ぐらいの経過措置で六十五歳に上げたいと、こう言っている。そういうものにやはり整合性を持たせるためには、ざっくばらんなことを申し上げて、厚生大臣が中心になってもやれることじゃないんですよ。そうしますと、いま申し上げた雇用、年金、医療、住宅等々社会福祉政策等を総合的にやはり大平内閣がお考えになった中で、いわゆる一致協力しなければ――あなたの御答弁では、厚生大臣が説明して閣僚が一致協力してやるということを申し合わせたからそれでいいじゃないかと、まさか、子供ですよ、そんな話は。国会で私の質問に対してそんなこと答えて、それで通るはずなんかないでしょう、あなた。子供の話じゃないですよ。一致協力してやるのはあたりまえですよ、そんなことは。大平内閣で一致協力しないような大臣がおれば首になるでしょう、それはあなた一致協力してやるんだ。問題は、一致協力してやるために、いま申し上げたように、たとえば年金と雇用の関係一つをとってもそれぞれ各大臣がばらばらな考え方を持っているのをどこでどうまとめるかということなんです。その総合政策がないと国民的なコンセンサスは得られないんです。私たちも、このままでいけば若い後代の諸君に大きな負担を強いなきゃならぬ、その点についても考えなきゃならぬと思う。しかし、少なくとも雇用問題との関連をきちっとしないままに支給開始年齢を引き上げるということについては断固として反対している。そこで、雇用問題との関連をどうするのかということについては総合的な観点からやらないと、一厚生大臣や一労働大臣の課題の問題じゃない。一大蔵大臣の課題の問題ではない。ですから、そういう点について、ひとつきょうは官房長官にお見えを願って、どうされようとしているのか。いま聞いただけでも全く二人の答弁矛盾して審議ができない。私はきょうは五十分ですから間もなく終わりますけれども、この次のときは時間をいただいてそういうところを詰めていかなければならない。ですから、そういう点についてひとつ官房長官お考えをもう一回聞かしてみてください、どうしようとされているのか。でないと、あなたの答弁だけでは全く大平内閣がこのことに関して大変政策がないということを私は言わざるを得ないんですよ。そういう点についてひとつお考えをお聞かせください。
  〔理事片山甚市君退席、委員長着席〕
#17
○国務大臣(田中六助君) 安恒委員は、新しくやはりいろんな複雑な要素をかんでいるから、新しい閣僚会議でもあるいは懇談会でも設けようという御趣旨でございますが、先ほども申し上げましたように、私ども厚生大臣の報告を聞いたときに、内閣が協力一致してやっていこう、いくということを決めておりますし、この問題は新しい何かを設けるということよりも、内閣全体が責任を持ってやるということで意見も一致しておりますので、内閣がそういうふうに持っていけばいいんじゃないかというふうに当面考えております。
#18
○安恒良一君 いや、私は何も機関のことだけこだわっているわけじゃないんですよ。内閣全体が責任を持ってと。わかりました。それじゃ内閣全体が責任を持っていま言われた点をどうしようとされるんですか。たとえばいま申し上げた支給開始年齢と雇用の問題、定年制の問題をこれからどういう考えでどうしようとされるんですか。
 それからいま、一方厚生大臣と大蔵大臣代理との間には支給開始年齢の考え方が食い違いがあります。年金懇は、やはり雇用者の年金は、いわゆる雇われている人は全部大体六十五歳にそろえた方がいいんじゃないか、それから国民年金は国民年金の二本立てを言っています。私も二本立てには賛成なんです。賛成なんですが、しかし、そこで支給開始年齢が食い違っておったのじゃこれは困るわけです。ですから、一つの方法としては、とりあえず厚生年金も六十歳で二十年なら二十年問いく、そうして、共済年金が二十年の経過措置をして六十になればそこでそれはそろうわけですが、どうも厚生大臣の考えを聞きますと、厚生大臣は、共済の年金も含めて二十年ぐらいたったら六十五歳にしたいなあと、何となくそういうことを言われておるわけですから、そこが非常にこれは食い違うわけですよ。そういう点は、そうなりますと官房長官、いま言った二つの点だけでも、一致協力してやるということはよくわかりましたから、一致協力してやる場合のこれは基本的な問題ですから、その点についてどういうお考えをお持ちですか、どうするんですか。
#19
○国務大臣(田中六助君) ただいま支給開始年齢、具体的にそういうものの食い違いをどうするかということでございますが、閣議、つまり各閣僚が一致協力してやるという――まあ私は官房長官でございますので、私がある程度そういうことの調整を図らなければならないと思いますが、そういう具体的な食い違いにつきましては、私どもそれぞれ責任を持ってその調整には努めていかなければならないというふうに考えております。
#20
○安恒良一君 委員長、私は五十四分でこれで終わりますし、官房長官もお忙しいから結構だと思いますが、この次、委員長ぜひ十一日の日には、ひとつ集中的審議の際にはいま少し中身について御答弁できるように御用意願いたい。たとえばいま現実に食い違っているわけですよ、現実に。現実に食い違っているんだから調整すると、こう言われている。ですから、私はほんの入口だけしかきょうは聞けなかったのですが、ぜひですね、というのはきょう議論をしているこの法案とも関係があるわけです。関係があります。そこで十一日の集中審議の際には、いま少しそれまでに官房長官頂点となられまして、関係大臣なり関係の局長を集められまして、いろいろな食い違いが出た場合にはどうするんだ、それを聞かしてください。でなければ審議が進みません、率直に申し上げておきますが。ですからきょうは結構です。きょうはあれですから次回まで十分にそこらのことは、十一日の日に私が支給開始年齢と定年問題だけでもまだ聞かなければならぬことたくさんあります。その他まだ官民格差問題等で聞かなければならぬことたくさんございますから、きょうは私の時間ありませんからこれで終わりますが、どうか十一日までには少し政府内を調整をしていただきまして、それから十一日には集中審議ですから、それぞれ大蔵大臣なり関係大臣も招聘をしていただきまして、それぞれ責任ある答弁を各大臣から私はお願いをしたいと思いますので、きょうのところはこれで終わっておきたいと思います。
#21
○委員長(対馬孝且君) 官房長官、委員長の立場からちょっと要請しておきますが、いまの質問がありました点を含めて十一日に集中審議、この問題に限って理事会で決定をいたしておりますので、ぜひいまの横の関係をひとつできるだけ精査をしていただいて、質問者の理解のいくような態勢をとるように御配慮を願いたい、このことをひとつ要望しておきます。
#22
○高杉廸忠君 ただいま支給開始年齢等について安恒委員から指摘もされましたが、私は年金制度に検討をすべき課題というのはたくさんあるわけでありまして、特に私に与えられた時間の中で、私は給付水準とナショナルミニマム、年金制度におけるナショナルミニマムの考え方、あるいは給付水準の統一化、基礎的生活レベルの保障、具体的な水準設定に当たっての考え方等々を中心にして大臣からお答えをいただき質問をいたしたいと思いますが、公的年金の給付水準のよるべき基準、公的年金で保障すべき水準というのはどういう考え方によって定めるのか、そういう点についてまず明らかにしていただきたい。特に年金制度の目標とするところを国民に明示する必要があると思いますが、大臣のまず御所見を伺います。
#23
○政府委員(木暮保成君) 公的年金の給付水準をどういうふうに考えるかということは年金制度の基本的な問題の一つでございます。それで、基本懇におきましても一番時間をかけて御審議をいただいた部分でございます。で、基本懇の報告書にもございますが、従来年金給付水準を考えます場合にいろいろな考え方が提唱されておりまして、一つは、個人個人の方の従前の所得を基準に考えていくべきではないかというのがございます。また第二には、現役の勤労者の平均賃金を基準にして、その一定割合というようなふうに考えるべきではないかという議論があるわけでございます。また現役の方ではなくて、現実にリタイアをされた老齢者の生活実態を基礎にして考えるべきではないかという意見もあるわけでございます。
 で、二に申し上げましたのは、現在厚生年金でとっている立場ということになろうかと思いますし、三の考え方は、社会保障制度審議会で基本年金を提唱されたときの考え方になろうかと思います。そういうふうにいろいろな考え方があるわけでございます。一方、やはり年金制度にとりまして財源の問題が非常に大きな問題であることも事実でございまして、基本懇でも、やはり負担能力との兼ね合いというものも年金水準を考えていく場合にどうしても重要なファクターとして考えなければいけないのじゃないかという御意見をいただいておるわけでございます。
 で、こういうような御議論の結果、やはり何か一つの考え方に立って年金水準を考えるのではなくて、ただいま申し上げましたような要素を総合的に判断をして決めるべきではないかという結論になったというふうに思うわけでございます。で、当面の目標といたしましては、現在厚生年金が標準報酬の六割の水準をとるということにいたしておりますが、かなり高い水準で、今後維持にいろいろな困難があろうかもしれないけれども、その水準を今後とも維持するということを政策目標にすべきではないかという御意見をいただいておるところでございます。
#24
○高杉廸忠君 先ほども安恒委員からも指摘をされ、大臣からも年金についての考え方も伺いましたが、いま局長からお答えになっていただいたその結果としても、私は大臣にこの際伺いたいのは、年金制度の目標というところを、私はやっぱり国民に明示しなきゃならぬということは先ほど申し上げたとおりでありますから、この点についてまず大臣の所見を伺いたい、こうお願いしたわけでありますから、その点大臣からお答えをまずいただきたいと思うんです。
#25
○国務大臣(橋本龍太郎君) いま局長からいろいろと考え方について申し上げましたけれども、利自身といたしましては、四十八年の年金改正の際、御承知のようにその給付水準というものは非常にいろいろな角度からの論議がありまして、それを踏まえて、ある意味では平均標準報酬の六〇%という考え方が一つのナショナルミニマム的なものとして現在定着をしておるというふうに考えております。また、この水準を維持していくということを私どもとしては基本に考えておるわけでありまして、今後ともそういう方向に維持してまいりたいと、そのように考えております。
#26
○高杉廸忠君 私は公平の見地から見て、国として各制度をまたがる均一のレベルというものを設定すべきではないかと、こういうふうに思うんですね。で、給付水準の均一化についての考え方については大臣はどのようにお考えになっていますか。少なくとも、老後の生活の基礎的需要を充足できる水準とすべきではないかと私は思いますが、その点についてはどうでしょう。
#27
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、御指摘のポイントはまさに基本的な問題点としてそのとおりの考え方をとるべきものだと思います。現在、公的年金制度自身が分立しており、同時にそれぞれの制度が対象としておるグループの生活実態にも相当な差異がある。ですから、そういうものを考えていきまして、現実問題としてなかなか給付を均一化するということについては困難のあるものでありますけれども、基本的には、私は、考え方はそういう方向というものはあるべきであろうと思います。ただ同時に、たとえば国民年金自身がまだ成熟化の途中であることも御承知のとおりでありまして、そうなりますと、いわゆる福祉年金をも含めた経過的年金の水準等につきましては、おのずからまた別途の論議が出てくるわけでありまして、実態として、いま高杉さん御指摘のように、公的年金制度分立をしておる中においての給付を均一化するということには相当困難がありますし、また、年金制度の成熟化のバランスがある程度とれてきた事態になりますと、個々の年金額そのものも増大をしてくるわけでありまして、実際問題として人為的に均一化を図る意味があるかどうかということはまた別の問題であろうと思います。しかし、理論的には私は御指摘のような考え方は一つの考え方として傾聴に値するものだと思います。
#28
○高杉廸忠君 お答えいただきましたが、それでは大臣ね、年金の問題として少なくとも老後の生活の基礎的需要を充足できる水準、こういうふうに私は申し上げているんですが、その点については、確認の意味でお答えをいただきたいと思いますが、その点はどうでしょう。
#29
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、私はその基本部分的なお考えについて、そういう考え方も私は一つの考え方として十分傾聴に値するものだと思っております。ただ現実、今度はいまの分立しておる制度の中で、それぞれの制度が対象とするグループの生活実態、生活態様等に相当の差異がありますことを考えますと、給付水準を均一化するということは、これは実際上非常に困難なことであろうと思いますけれども、考え方としては私はそういう考え方が成り立つ一つの考えだと考えております。
#30
○高杉廸忠君 先ほども、安恒委員がしばしば御指摘いただいたように、まあ各制度の総合制ですね、それと同時に、平面的なばらばの状態じゃなくて、立体的に連動していくというのが私はやっぱり将来の年金の基本でなきやならぬと、こういうふうに思うんですね。で、年金制度ごとの目的とか沿革等の独自性、さらに個々の制度の対象となる社会グループごとの老後の生活実態の相違、そういう点はどの程度の老後の年金額に反映をさせるべきなのか、この点が一つであります。それからまた、反映されるとすれば、それを年金額の上でどういうふうにするのか明らかにすべきではないかと、こういうふうに思うんですが、その点はどうでしょうか。
#31
○政府委員(木暮保成君) 現在八つの制度に年金は分かれておるわけでございまして、先生御指摘のとおり沿革も違いますし、それからまた、対象とする国民のグループが違い、生活実態も違うわけでございます。で、また端的に申し上げまして、それぞれのグループの保険料負担能力というものにも違いがあるというふうに考えざるを得ないわけでございます。で、目標といたしましては、一定の水準までは各制度それぞれ同じようにしていくということが考えられるわけでございますけれども、現実問題といたしましてはなかなかバランスのとりにくい面もあるわけでございます。で、そこら辺の問題につきまして、各団体あるいは各審議会等からも御意見をいただいておるわけでございますが、まあ今後の政策目標といたしまして、できるだけバランスをとれるように持っていかなければならないと思いますけれども、数量的にどういうふうに考えていけるかというところは現在の段階ではなかなかお答えができがたいわけでございます。先ほど来申し上げましたような要素を勘案しながら総合的に決めていくということになろうかと思います。
#32
○高杉廸忠君 まあ年金額の上で明らかにすべきではないかと、こういう意味では、無拠出の老齢福祉年金の水準をどういうふうに考えるかという点が一つはあると思うんですね。したがってどの程度を目標と考えるのか、これが一つあると思うんです。
 それから、確かに衆議院の修正で、政府案の老齢福祉年金で申し上げますと、一万八千円を二万円に上積みした、このことについては評価できると思いますし、この額自体私は指摘をするならば、かつて昭和五十年の二月一日の予算委員会における会議録に見ますと、当時のこれは三木内閣でありますが、田中厚生大臣は、来年はひとつ二万円にしたいというような意味も含めてすでにその当時言われた金額なわけですね。これは局長も御存じだろうと思うんです。もうすでに四年も経過をしている今日であります。で、私ども、わが党としては、これは福祉年金についてはいま四万円引き上げるべきだという主張もして、修正も主張をしたいところでありますが、この老齢福祉年金の水準、この点について伺いたいと思います。
#33
○政府委員(木暮保成君) 日本の年金制度、厚生年金の水準はかなりなレベルを目指しているということが申し上げられると思いますけれども、老齢福祉年金あるいは国民年金の五年年金につきましては、まだ充実をすべきではないかという御要望がたくさんございますし、私どももできる限りの範囲内で充実をすべきものだというふうに思っておるわけでございます。それで、過去の国会の議論のいきさつ等も承知をいたしておるわけでございますが、基本懇ができました一つの大きな課題も、福祉年金等の経過年金をどういうふうに考えていくべきかを検討していただくということがあったと思うわけでございます。
 それで、老齢福祉年金を充実していく場合の問題点、二つございまして、一つは、やはり大ぜいの方に差し上げる年金でございますので、巨大な財源が必要であるということでございます。現在約九千億の国費をこれに充てておるわけでございますが、月額千円を上げる場合にも五百億前後の金額を必要とするというような状況でございまして、この財源調達をどういうふうにするかというのが一つの問題であるわけでございます。
 それから、もう一つの問題は、事柄の是非は別といたしまして、現在の日本の年金が国民年金を含めまして拠出主義と申しますか、保険主義で、掛金を掛けてそれに応じた年金を出すというのが基本になっておるわけでございます。老齢福祉年金の場合は、国民年金発足当時すでに高齢の方に掛金をしていただくゆとりがございませんので、無拠出で支給をする年金という形でこしらえたものでございまして、やはり拠出年金とのバランスを考えなければならない。老齢福祉年金を上げますと、おのずから拠出年金を突き上げてまいりまして、将来に大きな負担になるというような問題があるわけでございます。
 今度の基本懇の御意見では、前者の財源問題につきましては、いまの国の一般会計の状態で従来どおり一般会計で賄うのは無理ではないかと、新税等の導入により財源を得るということが必要であろうと、あるいはまたそういうことのほかに、老齢福祉年金等の受給者の子弟の方々は各制度におるわけでございますので、各制度が財源を持ち寄って老齢福祉年金を充実するということを考えていいんじゃないかという御提案をいただいておるわけでございます。先ほど大臣の御答弁もございましたように、私どももその各制度持ち寄りの具体案を詰めてみたいと、こういうふうに思っておるわけでございます。
 もう一つの年金体系の問題でございますが、今度の基本懇の御意見では、やはり拠出年金の体系に大きな影響があるものは無理であろうという御意見をいただいておるわけでございます。で、どの程度の財源が確保できるかとの兼ね合いではございますけれども、拠出年金に大きな影響を与えない程度の老齢福祉年金の引き上げということが当面の目標になろうかというふうに考えております。
#34
○高杉廸忠君 ちょっと伺いますけれども、現在の老人ホームの生活費、これは一人月額どの程度になっていますか。
#35
○政府委員(木暮保成君) 軽費老人ホームで申し上げますと、甲地でB階層の方、言いかえますと市町村民税の均等割のみを納税される方が利用される場合には、五十四年で三万三千二百三十円になる予定でございます。
#36
○高杉廸忠君 昭和五十年当時の額というのは一体どのくらいだったんですか。
#37
○政府委員(木暮保成君) ただいまと同じ条件のもとで、昭和五十年には二万二千九百七十円でございます。
#38
○高杉廸忠君 そうしますと、これは福祉年金ですから無拠出になりますが、現在の二万円、これは修正されて二万円になったわけでありますが、これはいまのお答えのように老人ホームの生活費、これは三万三千二百三十円、それと比較しますと、これはホームの生活費の三分二、言いかえれば、二万円ですからその程度になりますね。その水準というのはどういうふうに――財政問題で私は申し上げているのじゃなくて、よるべき基準、水準というのは何かと、こういう点を私は申し上げているわけでありますから、生活費との関連から見てどういうようにその格差があるのはとらえますか。
#39
○政府委員(木暮保成君) 老齢福祉年金の額を何か理論的に設定をするということができますれば、それも一つのいい方法かと思うわけでございますが、なかなか年金の体系全体の問題あるいは財源の問題等もございまして、そういうふうにはいきにくいわけでございます。
 社会保障制度審議会が基本年金を提唱されておるわけでございますが、この場合は、御承知のとおり一昨年の暮れの段階でございますが、夫婦五万円、それから単身三万円というのを目標にすべきだという御意見をいただいたわけでございますが、この場合も、やはり年金の場合には生活保護と性格が違うわけで、一人一人の置かれた条件で最低生活が保障されるというのは生活保護の方でやっていただくと、年金の場合には現実の老人の生活費の二分の一程度を目標にすべきではないかという御意見をいただいたわけでございます。そういう観点から申し上げますと、制度審議会の御意見でも、基本年金で生活ができるというところは無理ではないかというふうに御判断をいただいたんではないかと思うわけでございます。
 基本懇の場合には、先ほど申し上げましたとおり、いろいろ考え方はあるわけでございますが、老齢福祉年金を引き上げますと五年年金、十年年金、当然運動してまいりまして、国民年金の給付水準というものを突き上げていくわけでございます。現在御承知のように、国民年金の財政状況の将来を見通しますと、かなり重い負担を後代に課するような見込みになっておるわけでございまして、それをさらに押し上げるようなことは無理ではないかという御意見をいただいたわけでございまして、拠出年金を余り突き上げない程度に老齢福祉年金の基準を設定するということが当面の政策というふうに申し上げる以外にないというふうに思います。
#40
○高杉廸忠君 先ほど年金のよるべき基準、水準ということについて私も一つ問題を提起いたしました際に、大臣も、少なくとも老後生活の基礎的需要を充足できる水準にすべきではないかという提起については御賛同をいただいたように思うんです。もちろん現在の財政状態で、全額一般会計の負担で給付が行われるこの福祉年金の引き上げというのは、局長もお答えになったように困難な問題があるということはわかりますけれども、受給者が十五年後には現在の一割、大変な額に減少するわけですね。したがって、せめていま私の方で実態を申し上げましたとおりに、老人ホームの生活費程度は目標としてやっぱりそういう意味では水準を引き上げていくのが必要ではないかと、こういうふうに思うんです。これについては大臣どうですか、確認の意味も含めまして、大臣にその実現について御努力もいただきたいと思いますが、御所見をひとつ伺いたいと思います。
#41
○国務大臣(橋本龍太郎君) いまの御議論も一つの私は考え方だと思います。簡単に要約してみて、軽費老人ホームの生活費というものが一つの老齢福祉年金の水準になるのではないかという御指摘は、私一つの考え方だと確かに思いますけれども、すでにその額自体が三万円を超えてしまっておる、またそれによって拠出制の経過年金のバランスの変更、それに要する非常に大きな財源というようなものを考えました場合に、やはり私はちょっとそれをメルクマールとするというのは、非常に実際的には不可能に近い話だというふうに考えざるを得ないと、そのように思います。
#42
○高杉廸忠君 先ほどもしばしば申し上げましたとおりに、老後の生活需要を充足できる水準ですから、少なくとも老人ホームの方々の生活費程度は、やはりそこが将来年金として少なくとも二十年後あるいは将来にわたってお考えになる基本の問題でありますから、これはぜひ厚生大臣ひとつそういうよるべき水準ですね、これは国民全体の問題としてひとつ積極的にその実現を御努力いただきたいと思います。
 また、大蔵省もおいでになっていると思いますけれども、財源についていま申し上げましたように、その受給者がもう非常に減ってくるわけですね、これは厚生省の数理課で調べたこの老齢福祉年金受給者数の見通しの資料いただきましたけれども、これを見ても昭和七十年には非常に少なくなるわけですね。これはありますけれども、こういうように年々減少していくわけですから、何らかの特別な財源を導入して、いま申し上げましたようにこの年金水準の引き上げということを、積極的に、しかも具体的にやっぱり私はすべきではないかと、こういうふうに思うんです。これはもう年金懇でもいろんな財源問題も指摘されておりますけれども、福祉年金ではそういうような受給者が少なくなるわけでありますから、その分は少なくとも全体的なレベルアップの財源というものをやっぱり私は回すべき必要があると、こういうふうに考えますが、その点どうでしょうか。
#43
○説明員(安原正君) 福祉年金の問題でございますが、ただいま先生から御指摘がございましたように、確かに福祉年金は経過年金でございますので、受給者が長期的には減少していくということはそのとおりでございます。ただ、長期的に見ましても、福祉年金の受給者が減少していく一方で老齢化の急速な進行、それから拠出期間の長い方の年金の受給がふえてくるという二つの要素がございまして、拠出制年金の方の給付費が急激に増加すると見込まれております。したがって、福祉年金だけではなくて全体として拠出制年金とあわせて総合的に考えますと、全体としても相当なテンポで年金の給付費がふえていくわけでございます。御承知のとおり、福祉年金は全額国庫負担でございますし、拠出制年金につきましても一定の率によりまして国庫負担を行っておりますので、長期的にも国庫負担は、いまの現行制度を前提としまして相当なテンポで増加すると見込まれております。したがって、その単に福祉年金だけをとらえて、長期的に受給者が減っていくからということで、その費用調達ができるではないかということはちょっと言えないかと存じます。先生も御承知のとおり、いま御審議になっていただいております国民年金法の審議に関連しまして衆議院の方で修正がございましたが、その修正に要する費用負担について見ますと、老齢福祉年金を一万八千円から二千円上げます措置に要する費用というのが、平年度ベースで約千四百億円程度と見込まれておりまして、巨額の国庫負担でございます。御承知のとおり、非常に財政全体としては大変な危機的な状態になっております。したがって、その福祉年金の問題というのは非常にやはりむずかしいと、全体としての拠出制年金とのバランスを考える必要がございますし、それから、どのようにその費用調達をしていくかという二つの基本的な問題がありまして、今後とも厚生省と十分協議いたしまして慎重に検討すべき問題であると考えております。
#44
○高杉廸忠君 先ほども資料で申し上げましたとおり、五十三年の実績では受給者は三百六十五万八千人ですね。それでこれがずっといきますと、昭和七十年を仮定しますと二十九万人という大変な減、そういう意味では受給者が少なくなるわけですね、大変な数字の減少でしょう。私は、そういう意味では今度の修正でいまお話しのように千四百億円程度の財政負担になったと言われるんですが、これは年々減少していくわけです。ですから、その財政調整――先ほど安恒委員も指摘したように、私が言うのは、公的年金でありますからこれは当然一般会計から全部負担していくことは承知しておりますが、そこで、公的年金の給付水準のよるべき基準というのは何か、そしてその水準というのは、老後の生活が充足できる、一様にできる生活をやはり年金の額とすべきではないかという点を一貫して申し上げているんです。これは財政だけの問題で低くていいという議論ではないと、こういうふうに思うんです。したがって、これは厚生大臣にも、これからも激励をして私はその実現をしていただきたいということで終始申し上げているわけですが、大蔵省としても従来の考え方――そこで先ほど支給開始年齢の点でも安恒委員が指摘したように総合性を持って、日本の将来こうあるべきだという形、これは平面的な八つのばらばらなことではなくて、立体的に総合性を持って、年金という位置づけ、国民にそういう形の将来の年金、福祉、医療すべて、住宅等についてもきちんとすべきではないかという点、まことにそのとおりであろうと思うんです。したがって、大蔵省としても、年々減少していくわけです、ふえるわけじゃないんです、その財源というのは。そういう総合性や立体的な年金制度の充実に向けてひとつ財源というものを投入していただきたい、これはお願いであります。
 そこで、時間もありませんから、給付水準と関連をして、私は国民年金と厚生年金についての問題でお聞きしたいと思いますけれども、年金制度は八つに分かれて、極端に言えばばらばらにいまは運営をされてきている。そういう中から、先ほど安恒委員も指摘されましたように官民格差という問題が起きていることもあると思われるんです。私はその中で、大きく厚生年金に代表される被用者年金と国民年金との比較、その位置づけ、これをやはりこの際明確にすべきではないかと、こういうふうに思うんですが、この比較、位置づけ、これについては局長どうでしょうか。
#45
○政府委員(木暮保成君) 国民年金と厚生年金それぞれ発足の時期も違いますし対象者も違うわけでございます。また制度の仕組みも、厚生年金が世帯単位をとっておるのに対しまして国民年金は個人単位でできておるというようなことがあるわけでございますが、私どもといたしましては、厚生年金と国民年金のバランスはできるだけとっていきたいということで従来やってまいっておるわけでございますし、今後も一つの努力目標だと思っておるわけでございます。ただ、それぞれの制度の対象者が違い、生活実態が違い、また、端的に申し上げまして保険料の負担能力も差があるわけでございまして、必ずしも全く同じというふうには持っていきにくいのではないかというふうに考えておるわけでございます。この点につきましても基本懇でかなり御議論をいただきまして、最終的には厚生年金とのバランスを従来と同じようにとるように努力はすべきであるけれども、必ずしも同じでなくてもいいのではないかという御意見をいただいておるところでございます。
#46
○高杉廸忠君 給付水準ですが、昭和四十年の一万円年金、それから四十四年の二万円年金、それから四十八年の五万円年金と、給付水準を改定していく過程では、少なくともモデル年金となる年金では年金額を合わせていたわけでしょう、そうですね。しかし、五十一年の改正では、モデル年金でも国民年金では月額七万五千円です。それから、一方厚生年金では九万円余と、こう差がついているんですね。その後の物価スライドでその差は今日でも比例して増加しているわけですけれども、これは年金についての考え方ですね、これは局長変わったんですかどうでありますか、著しいこの差が生じたというのは。この点ひとつ明確にしていただきたいと思うんです。当初から大分こう考え方が変わってきたように思われるし、また、厚生年金、国民年金の比較の推移という資料をいただいておりますけれども、これを見て明らかなんですが、その点。
#47
○政府委員(木暮保成君) 従来、厚生年金と国民年金のバランスをできるだけとっていきたいという方針でやってきておるわけでございますが、これは制度発足のときの考え方をまず申し上げますと、これは一万円年金のときでございますが、厚生年金の場合には二十年加入の場合に一万円の年金が出るというような設計をしておったわけでございます。このときに、国民年金は二十五年加入で一万円と、そういうバランスのとり方をしておったわけでございます。ですから、厚生年金が二十年で一万円に対して、国民年金は二十五年で一万円でございますから、それだけ厚生年金よりも長い拠出を必要とするという基準にしておったわけでございます。で、昭和四十四年の改正のときには、それぞれ二十五年ずつのバランスを見たわけでございます。それから四十八年の改正には、制度当初の考え方と全く逆転をいたしまして、国民年金が二十五年に対しまして厚生年金が二十七年、制度発足のときには国民年金の拠出期間の方を長く見てバランスをとっておったわけでございますが、四十八年には逆に厚生年金のモデルを二十七年で、国民年金をそれより短い二十五年ということでバランスをとるということをいたしたわけでございます。昭和五十一年の改正でございますが、これは厚生年金が二十八年でモデルをとっておるわけでございますが、国民年金の場合には二十五年で年金が出るようになっておりますし、また二十五年の年金をもらう人が出るのは先のことでございますので、二十五年加入でバランスを見ておるわけでございます。で、まあいままでの再計算の時点のバランスのとり方を申し上げたわけでございますが、要約をいたしますと、同じ基準で必ずしもバランスをとっておるわけではございませんで、制度ができたときの考え方が正しいということではございませんけれども、制度の発足のときには、同じ年金額をもらう場合に、国民年金の方を長く掛金を掛けていただくというようなバランスをとったわけでございます。で、今後の問題といたしましても、できるだけ国民年金と厚生年金のバランスはとってまいりたいと思いますけれども、経過を見ましてもかなり厳しい考え方を制度の発足のときしておったわけでございますので、そこら辺の沿革も踏まえながら今後の水準の設定を検討してまいりたいと思います。
#48
○高杉廸忠君 私は、先ほども申し上げましたとおりに、年金は老後の生活に最低限必要な額を保障していくということが基本的にあると思うんです。あるいはまた失われた所得の保障というものを中心に考えていく、こういうふうなこともあろうかと思うんですね。で、この額の差というのはそういった点から来るのかどうか、局長どうですか。
#49
○政府委員(木暮保成君) まあ年金水準の考え方、先生いろいろな点を御指摘いただいたわけでございますが、基本懇でも、年金のナショナルミニマムと申しますか、そういうものをどういうふうに考えるかという議論を非常に時間をかけてしていただいたわけでございます。その結果、結論といたしましては、拠出制の年金につきましてはナショナルミニマムということを考える必要はないんじゃないかと。言いかえますと、いまの制度のねらっている水準はかなり高いものでございまして、厚生年金にしろ、二十五年で国民年金出るわけでございますが、将来は三十年、四十年掛金をした国民年金も出てくるわけでございまして、制度の本来ねらっておる年金につきましてはもうナショナルミニマムを考える必要はないと、それをむしろ非常にオーバーしていって、後代の負担を重くするぐらいじゃないかという御判断になったわけでございます。で、問題は、やはりその制度が本来ねらっておりまする年金じゃなくて、経過的年金をどうするかと、そこに焦点を合わせて考えればいいのではないかという形になったわけでございます。で、それにつきましても、先生の理論的な福祉年金の水準を考えるべきではないかという御指摘には物足りない結論になったかと思いますけれども、やはり巨額な財源を要することの一方、老齢福祉年金を引き上げるのは、そうでなくてもかなり高い水準に将来なる国民年金の水準そのものを引き上げてしまうので、国民年金の拠出年金を突き上げない程度で財源の調達を考えるべきではないかと、まあこういう結論になっておるわけでございます。
#50
○高杉廸忠君 私はしばしば申し上げている通りに、年金は老後の生活のニーズに合わせて考えるべきで、厚生年金、国民年金の給付水準において著しい差があっていいとは思わないし、むしろ格差は設けるべきではないと、こういうふうに思うんです。一方、給付水準を考える場合、同時に負担の問題があります。国民年金二十五年、厚生年金二十八年というお話もありました。これは負担のことも、保険料のことも考慮しなきゃならないことはわかります。で、国民年金のしからば将来の収支見通しで保険料というのは月額どの程度に見込んでおりますか。
#51
○政府委員(木暮保成君) 国民年金は、現在四月から月額三千三百円の保険料をいただいておるわけでございますが、現在の制度のまままいりましたときに、昭和八十年代に昭和五十一年度価格で申し上げますと八千円程度の保険料を必要とするというふうに考えております。
#52
○高杉廸忠君 いまのように、八千円とか、そういう保険料という一つの見通しですね。ところが、意識調査によりますと、一般の家計で支払い得る保険料というのを見ますと、加入者の意識調査では約九割までの人が、まあ五千円程度の負担までなら耐えるという、こういうふうに資料ではあるんですね。この点、将来の財政見通しと絡んで局長の方ではどういうように認識をされておりますか、この資料、おたくからいただいた資料。
#53
○政府委員(木暮保成君) 昨年の十月に国民年金の被保険者の方々の調査をいたしたわけでございますが、その結果は、現在程度の保険料なら負担できるという方が一〇%、三千円台の保険料は負担できるというのは一四%、四千円台の保険料が負担できるというのは四三%、五千円台が一九%と、こんな形の結果が出たわけでございます。それで、これでまいりますと将来予想されまする八千円程度の保険料でも大丈夫だという方々は五%程度というようなことになると思うわけでございます。それで、これに対する私どもの考え方でございますが、現在国民年金で出ております年金は五年年金、十年年金というのが一番多うございまして、自分の周辺で年金をもらっておる方々が二万円なり二万四千円ぐらいの年金をもらっておる段階でございます。これが将来、先ほど先生の御指摘のあった厚生年金とある程度バランスをとった四万円、五万円の年金が出てくるということになるわけでございまして、その段階では被保険者の方々の御理解もさらに深まってくるのではないかというふうに思うわけでございまして、かなり私ども行政的に工夫はしなければならないと思いますけれども、今度の調査結果から、八千円の保険料を取ることは必ずしも不可能ではないんじゃないかというふうに思っております。
#54
○高杉廸忠君 時間が余りありませんから、十一日の集中審議についてもまたお尋ねをいたしたいと思いますが、それでは、大体終わりにしたいと思うんですが、現在の国民年金の収入構成というのはどういうふうになっておりますか。当初、拠出保険料の二分の一の国庫負担、五十一年改定で給付時に給付額の三分の一の国庫負担、その拠出時にしろ給付時にしろ、所要の三分の一という割合ですね、そういうふうになっていますわね。それは収入構成についてどうなっていますか。
#55
○政府委員(木暮保成君) 基本的には先生のおっしゃるとおりでございまして、三分の一の国庫負担があるわけでございますが、経過年金につきましては三分の一の国庫負担以外に、経過年金の何と申しますか、一年につき五百円の年金額のつけ増しをいたしております。その部分につきましては二分の一国庫負担をさらにいたしておりますので、現在四割の国庫負担になっておると思います。あとの六割を保険料で見るという姿でございます。
#56
○高杉廸忠君 時間が参りましたから、最後に私の方はまあ大蔵省含めて要請をしたいと思いますけれども、先ほど来安恒委員並びに私の方から、実態的に連動をして総合性を持った年金ということを考えるべきである、あるいは開始年齢についてもしかりである、あるいは給付水準、基準についてもしかりであると、こう一貫をしてそういう国民の老後に対する年金にふさわしい充実をすべきだということを申し上げたわけでありますが、先ほど来老齢福祉年金についても、あるいはまた国庫負担率についても、これから思い切って大蔵省の方では制度の充実に向けて財政負担をしていただきたい、これは要請であります。大蔵省からひとつ御所見を伺い、大臣の決意を伺って私の質問を終わりたいと思います。
#57
○説明員(安原正君) 途中で出てまいりましたので全体の議論を承っておりませんが、年金につきましては全体として見ました場合に、国際的に遜色のない制度的には水準になっているというぐあいに考えております。今後老齢化が急速に進行いたしまして、年金給付というのが、現行制度を前提としましても大変なテンポでふえていくと見込まれております。これをどういうぐあいに費用負担を賄っていくか、非常に大きな問題でございます。全体のいろんな制度が分立しておるとか、制度間にいろんな差があるとかいろんな御指摘がございます。そういう問題点を十分踏まえまして、全体として適切な年金制度が確立されるように、できるだけ財政当局としましても検討を進めてまいりたい、十分厚生省と協議してまいりたい、かように考えております。
#58
○国務大臣(橋本龍太郎君) 一般的に国庫負担がある程度大きくなっていくことが望ましいことであることは間違いありませんけれども、逆に国庫負担のウエートを余り高めた場合においては、逆に一般会計の制約を受けてしまって、年金全体が伸びないというようなおそれもなしとはしないわけでありまして、そうした点も十分考慮をしながら、より国民の福利に合った年金制度の確立というものに向けて努力をしていきたいと、そのように考えております。
#59
○目黒今朝次郎君 二人の同僚からいろいろありましたんで、ただ私は議論を聞いておって、私も祉労に入って年金問題やったのは昭和五十年でした。三木内閣で田中厚生大臣、まあ今回は大臣四代目になるわけでありますが、ただ変わっているのは、先ほど安恒委員も言ったとおり、三木内閣の当時の田中厚生大臣は簡易養老ホームですか、そういうところの生活が最低限必要だ、それで二万円という言葉をも五十年代の政府の方から積極的に発言があったんですがね。それ以後見ていると、生活費のポイントはどの辺なんだということを、予算委員会で質問しても本会議で質問しても、この壮労の議事録見ても、全然田中厚生大臣以後は政府側から、いま高杉委員が前段で申し上げた物事に対する具体的な数字の見解というのはずっと四年間出てこないんですね。これは私は大きな流れから見れば、やっぱり福祉行政は意識的にもう厚生省が後退しているんじゃないかと、こんな気がするんですが、大臣いかがでしょうか。
 それで、年金局長もずっと私と四、五年つき合っているんですが、あなた自身が五十年答弁しておった気持ちと、いまそこで答弁しておる気持ちは大分中身が後退しているんじゃないですか。その後退している原因というのは一体何なんですか、そこをずばり聞かしてもらいたいと、こう思うんですが。
#60
○政府委員(木暮保成君) 老齢福祉年金の引き上げにつきましては、厚生省の最大の目標として毎年度の予算を組むときにできるだけの引き上げをしてまいったわけでございます。で、ここ数年を申し上げましても物価の伸びよりも高い引き上げをしてまいったわけでございます。しかし、いまお話のございますような国会の議論の経緯等もございまして、老齢福祉年金をさらに充実する方法はないかということで基本懇が設置されたという一面があろうかと思います。基本懇自体は、いろいろな問題を総合的に御審議をいただいたわけでございますけれども、老齢福祉年金の問題も一番大きな問題の一つだったと思うわけでございます。
 それで、老齢福祉年金をさらに引き上げをする場合の問題点といたしまして二つのことが出てまいったわけでございますが、一つは、やはり財源問題でございまして、現在九千億近い一般会計の支出をいたしておるわけでございます。さらに月額千円を上げるという場合には、いまの段階では五百億前後の費用が要る、関連制度もあるというようなことでございまして、財源をどうするかということが一つの大きな問題なんでございます。これにつきましては、先ほど高杉先生の御質問にもお答えを申し上げましたけれども、基本懇は、一つは新税等を導入して、一般会計の基盤の強化を待って従来どおりの全額一般会計でやる方法もあろう。しかし、もう一つの方法としましては、老齢福祉年金の受給者の子弟というのは各年金制度にまたがっているわけでございますので、各制度が持ち寄りをして財源を出してもいいんじゃないかという御提案をいただいておるわけでございます。私どもといたしましては、各制度から財源を持ち寄って老齢福祉年金の引き上げをする具体的な方策を検討してみたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
 それからもう一つの問題は、事の善悪は別といたしまして、日本の年金制度は国民年金も含めまして社会保険主義と申しますか、掛金を取って、その掛金に応じた年金を出すという形になっておるわけでございます。老齢福祉年金の受給者は、国民年金ができましたときに、すでに高齢で掛金をする余裕のない方でございましたので……
#61
○目黒今朝次郎君 そんな経過はわかっているんで、時間がない。考え方が後退しているのかどうかということだ。
#62
○政府委員(木暮保成君) いままで申し上げましたように、この問題に取り組むということは、一つの目的として基本懇を開いてまいったわけでございまして、基本懇の意見が出ましたので、財源問題につきましては、いま申し上げた方法を詰めてみたい。その場合にも、年金体系の全体の問題がございますので、拠出制の年金に影響が余り大きくならないような線で考えろという意見をいただいておりますので、その二つを踏まえまして具体的な詰めをしてみたいという段階まで来たわけでございます。
#63
○目黒今朝次郎君 四年前の同じことを説明されている。四年前にもいまあなたが言ったことと同じことを繰り返して、われわれも予算委員会の分科会で議論して、当時の田中厚生大臣に、いま高杉さんが言った老齢年金の性格論を議論したんですよ。しかし、せめて簡易養老ホームに入っている方々の食事の代ぐらいは、昔はエンゲル係数なんてややこしいことを言ったんだけれども、そんなエンゲル係数なんて言わないで、生活に必要なぎりぎりの線は欲しい、それが大体二万円だということを四年前に打ち出したんですよ。それで何年かかりましたか。野党から責められて八月から二万円でしょう、今度。この間の経過は年金行政としてどういう考えになったんですかということを聞いているんですよ。五十年に田中厚生大臣が二万円打ち出しているんだから、三木内閣もそれを了承しているんだから。それから、財源のことについても大分議論しました。たとえば、公共投資の財投の金を一時使って、それで年賦で返還していく、そういう財源の方法もあるじゃないかという議論をあなた自身がしたんでしょう、われわれと議論して。それも検討しましょう、検討しましょうといって今日になっている。私は流れから見ると、年金行政はずっと後退しちゃって、後退することをカムフラージュするために社会保障審議会とか、あるいは年金問題懇談会とか何とかに逃げちゃって、そして保険料の値上げの問題と受給年齢の引き下げというふうに、逃げよう逃げようというのが年金行政のどうも厚生省の基本的な姿勢じゃないんですか。その辺を、いろんな報告書出ていますが、新聞に載っています論評を見ると、一貫しているのはやっぱり厚生省が逃げの一手だと、それを自分たちが言えないものだから、年金基本問題懇談会にむしろ肩がわりを食わしてそこで問題を煮詰めよう、こうしているんじゃないかと、こういう論評がほとんどなんですね、新聞の論評が、六大新聞が。これはどうですか。
#64
○国務大臣(橋本龍太郎君) 目黒さんから御指摘をいただきましたけれども、私は必ずしも年金行政が後退をいたしておるとは考えておりません。当時確かに田中厚生大臣から、いま御指摘、高杉さんからもありましたけれども、御指摘になりましたような見解が述べられた、これは私どもよく存じております。そして、そういう方向を持ちながら内部で検討を進めてきた結果が今日の情勢になったということでありまして、その支給開始年齢の引き上げの問題ばかりが実は表に出ますけれども、遺族年金の従来からの二分の一というルールそのものの変更というものも今回の一つの大きな問題になっておりますように、総合的な研究を進めてきたということが根底にはあるわけでありまして、私どもは年金制度について厚生省が後退したとは考えておりません。またこれからも前進を図っていく努力を続けてまいるつもりでございます。
#65
○目黒今朝次郎君 そうしますと、言葉の面では必ず二十八年、二十五年制度ではシステムとしては国際的だと、それで十万年金だとか十一万年金という呼称がいまキャッチフレーズで出ていますね。それはそれとして、先ほど局長の説明のとおり問題は経過年金だと、この議論も大分やったんですよ。経過年金が存在することは百も承知で、これを解決するのは保険金の掛金方式のおたくさんがやっている方式では解決できない、常に五年年金、十年年金がくるのですから、壁に。これと厚生年金がいくんですから、これをミックスしてやっぱり政治の場で解決するしかないんじゃないかということもずいぶん長い間われわれ社会党も含めて問題提起をしておるんですよ。掛金議論では解決しないと、これは、おたくさんのやっておられる立場は。政治の場で、年金とは少なくとも戦前戦後を通じて非常に日本の経済に協力した方々の老後の保障をしてやるんだと、これはあくまでも政治だと、政治ではやっぱり持ち出しで特別の制度をつくる以外にないと、そういう問題以外にこの問題の解消の道はないんだということを私もずいぶん口酸っぽく議論してきて、これは渡辺厚生大臣当時、なるほど言われてみればそうだと、政治家の責任だと、官僚の責任じやないと、こういう非常に前向きの議論まで出てきたのですがね、その政治の場で解決するという気持ちに厚生行政に立っていただけませんかというのが、私たちはいま高杉さんも言って厚生大臣に求めている政治の場の解決なんですよ、政治の場の解決。それについて問題を踏み切らない限り、年金基本懇の問題はどんなにいじくり回したって、結局は大臣申しわけないけれども、年齢の引き上げと、定年で首になった連中が適当に食えと、そういう雇用と年金とのアンバランスをむしろ社会に投げかけるだけであって、ちっとも社会保障制度としては前進しないと、こう私は思うんですよ、その点どうでしょうか。
#66
○国務大臣(橋本龍太郎君) 目黒さんから大変厳しい御指摘をいただきますけれども、先ほど安恒さんにもお答えをいたしましたように、この支給開始年齢を引き上げていくについては労働省自体にも私どもは協力要請をし、その中において労働大臣自身が、現在五十七歳から八歳に近いところまで民間の定年も移行しつつありますけれども、それを昭和六十年には六十歳の定年まで持ち上げていくということを目標としてはっきり打ち出されておるように、私どもは何も年金制度というものだけが、実際に大きな老後生活の保障として現に役立っておる中でひとり歩きをしようとは決して申しておらないわけであります。むしろ、そうしたそれに付帯する条件も整備をしていきたい。そういう中で年金というものを安定した経営が図れるように努めていきたいということを考えておるわけでありまして、もちろん私どもは、その政治の場における御議論というものを受けとめていき、それを実行に移していくことにはやぶさかではございません。それが一つの証左は、今回国会で与野党の合意により御修正をいただいて、政府としてもそれを受けとめておるようなものでございまして、そうしたものを受けとめていくことは当然でありますけれども、行政としてもやはりなすべきことはなしていかなければならない、努力をしていかなければならないと、そのように私は考えております。
#67
○目黒今朝次郎君 それでは逆にもう一つ、いま労働大臣の話が出ましたからね、新聞にも出ていました、閣議にも議論があったということも新聞に一部載っていましたが、この前の社労の労働日の中で、わが党の片山先生だったかの質問に対して、年金の年齢の問題と雇用の問題、俗に言えば定年――定年という言葉は余り使わないところもありましたが、定年の問題は、やっぱり原則的にリンクさせるべきだと、六十五からに年金をしたら六十五まで定年をしくべきだと、六十なら六十まで定年やるべきだと、それで、中間の空間はなくすべきだと、そういう原則的な考え方を労働大臣がこの場で述べたんですがね。そうすると、私は年齢の方はいまおたくは法律で次の通常国会へ出そうといって準備をしておられるという新聞報道もあります。そうすると、自民党さんの方、政府の方は年金の年齢の方はぱっぱっと法律をつくることには一生懸命であるけれども、定年の方の年齢を法制化することには非常に不まじめであるというのは、これはどういう考えなんでしょうか。私は、定年もやっぱりある程度法律をもってきちっとすると、六十なら六十、六十五なら六十五。六十五にする段階では勤め人の定年は六十五ですぞということを、きちっと並行したものを出して初めて私は議論に中身が出てくると、こう思うんですよ。連動させないで片方だけとんとんとんと進んで、労働大臣の方は六十年に六十歳を考えていきましょう、しかし法制化は反対でありますということで国会で逃げの答弁をしている。同じ自民党政府でこんな片ちんばな人間がどうしているんですか。ですから私はやっぱり年齢を上げるなら定年も上げると、連動させると。この連動の合意が自民党内部でできないうちは、法律を出したって私は法律の食い逃げだと思うんですよ、しわ寄せを全部国民に持ってくる。そういう連動性が絶対条件だと私は思うんですが、大臣いかがですか。この連動性がきちっとなるまでは法案を提出しない、それぐらいの私は決意が厚生行政では必要だと、こう思うんですが、いかがでしょうか。あなたが答弁できなければ、やっぱりこれは十一日の段階で総理大臣でも来て答弁してもらわないと、この問題は法案の審議それ自体にわれわれは入れないと、こう思うんです。
#68
○国務大臣(橋本龍太郎君) まさにいま目黒さんの方から先に言われまして、お前の権限外のところで答弁できない分は十一日でというお話でありますし、事実私も労働行政所管しておるわけではありませんから、私から断定的なことを申し上げるわけではありませんけれども、現実にやはり日本の民間企業に対して、私は定年制の法律による強制というものができるかどうかについては、いろいろな問題点があろうと考えております。むしろ国との直接の雇用関係のある国家公務員についてでさえ、定年制が現実に施行されていないような状況なのでありますから、これはやはり私は労使の話し合いの中において実体的なものを担保していかれる、また職種によっては六十歳定年といいましても、体力的にそこまでの期間が無理な場合、その配置転換等についての保障が得られるのかどうか、そうした非常にじみちな議論を積み重ねるべきものだと、私は思います。ですから、私は労働省として六十歳定年というものを昭和六十年に実施するという方向を打ち出されたことには敬意を表しております。それと、しかし現に非常に大きな国民的な関心を呼んでおります年金制度の前進というものを図っていく中で、現在すでに平均的な受給開始年齢が六十二歳まで上がっておりますこの厚生年金というものが、しかも一方では遺族年金が二分の一になるということは不合理だと、単身世帯になったからといって複数世帯の生活費の半分になるわけではないんだというような御指摘もいただいて、そうした点の改善も私どもは考えていかなければならない中において、実態に即応して、相当な年数をかげながらであっても支給開始年齢を変えていくという努力をすることが、同時に将来における若い方々の負担の問題等を考えても、わが国の年金制度を安定して運営していくためには必要なことだと私は考えております。そうした考え方から、私は私としての職分において努力をしてまいりたいと申し上げておるわけでございますので、御理解をいただきたいと思うのであります。
#69
○目黒今朝次郎君 新聞報道によると、五十五年を目標に関係の委員会に諮問すると、厚生省がね。そういう新聞報道があるんですが、私はそこのところが大事だと思ってきつく言っているんですよ。たとえば、一歩下がって年金懇が提起している前提条件、雇用の問題その他の問題ありますね、こういうものについては、ある程度めどがつかないままに、並行審議という方法もあるけれども、私は前の厚生年金が五十五歳から六十歳に変わったときと今日までの経過を見ると、私はしてやられたと、こう思っておるんですよ。そうでしょう、あなた、六十歳と言い出したのはついここ二、三年前じゃないですか。あのころの五十五から六十にするときは、やっぱり定年の方も六十歳を志向して努力するということで五十五から六十に厚生年金は踏み切ったんじゃないですか。それは私も五十六歳、私はかつての国鉄の雇いで、一般の適用がなくて、任官して普通恩給法の適用があって、それから国鉄共済法に切りかえて、国鉄首になって厚生年金に切りかえて、国会議員当選して、まあ一生懸命やっているが、いま国民年金に切りかえ。だから私は四つの年金をずっと経験してきているんですよ、私自身は。いま私は一般国民年金の掛金の人間ですわ、うちの家内も含めて。それですから、私はずっと歴史を考えてみると、やはり何といっても今回の大事業は、前段に申し上げた定年制という問題、簡単に言えばこの定年制の雇用の問題についてどういう見通しが立つのか、この点のやっぱり詰めをしないままにこの年齢の引き上げだけ、財政という議論からだけの角度からとらえて先走りすることは危険だと私は言っているんですよ。その辺の詰めを十分やってから、関係委員会なりあるいは関係審議会にかけるべきじゃありませんかと、そういう私の問題提起なんです。この点いかがですか。
#70
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、いまもお答えを申しましたけれども、私どもは並行して労働省にも定年延長というものについての六十歳定年実現というものを昭和六十年に目途を置き、その後において、七十年代の後半までの時間をかげながら六十五歳定年を施行するという方向についての協力を求めておるわけであります。ですから、これと全然かけ離れてひとり歩きをしているということではなしに、労働行政の立場からも、そういう御努力を願いたいということを労働省にも要請しているんだということは、これは御理解をいただきたいと思うのであります。そうして、それを並行しながら労働省にもそうした施策をお進めをいただく。年金制度としては、いま申し上げましたように、定年制と支給開始年齢の御議論に先ほどから終始しておりますけれども、その他の部分についての、たとえば遺族年金の問題等も従来からも何回も御提起をいただいている問題でありまして、そうしたものも踏まえて私どもは前進を図ろうとしておるわけでありますから、その点は御理解をいただきたいと思うのであります。
#71
○目黒今朝次郎君 私は、ここにお集まりの政府の高級官僚と俗に言われる方々などは、なかなか経験しないんでしょうけれどもね。私も国鉄ですが、国鉄の例を言えば、やはり五十五歳でやめて六十に延びたと仮にすると、いまは五十五でやめて五十五から年金もらっているから官僚は優遇されるという野末陳平君を含めていろんな議論はあるにしても、五十五定年で五十五から年金、これは制度としてはやっぱり定年と年金がリンクするんですよ、現在の共済組合法。そうでしょう、公務員法もそうでしょう。この制度をやっぱり大事にすべきではないですかということを私は基本に述べているんですよ。おたくさんたちが、厚生省なり何々官庁やめて、何とかトンネル会社だかヘンネル会社だか知りませんが、ぽぽぽといけると、そういう再雇用の道の開けている人はなかなか庶民の苦しみはわからないでしょう。大部分の庶民は苦しんでいるんですよ。だから、せめて年金の年齢を上げる際には、雇用と年金をリンクさせた制度を最低限実現させてほしい、そのための作業を十分にやってほしいと。
 けさの読売新聞なんか見ると、高齢化問題懇談会とかいうことを労働省にいまから設置して決めると、こういう新聞報道がありましたがね、やらないよりはいいですけれども、おたくの年齢切り上げの速度から見ると雇用の関係はおくれているんじゃありませんか。六十年を目標に、この間の社労の労働日にやったが、一・三の完全失業率を一・七なり一・八にする、むしろ失業者が多くなるという見通しであったでしょう、労働省は。片方で失業者が多くなるという見通しでやって、片方で中高年齢を考えるというのは一体どういうふうに雇用問題を組み立てるのか、私は頭が悪いからわかりません。わかりませんからわかるように、定年と年金をリンクしてほしい、現在公務員にしかれている制度を国民年金、厚生年金全般にむしろ広げてほしいということを言っておるんですよ。これはどうしても理解できませんかね。
#72
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、私は何度も申し上げておりますように、この支給開始年齢を引き上げる問題につきましては、同時に労働慣行の方の問題がありますので、労働大臣に答申を受けてすぐに会談をお願いをし、そうしてその席上、年金懇の答申の説明を申し上げ、その上で労働省としての協力を要請し、労働省としても、ですから当面昭和六十年においての六十歳定年というものを確保すると、そしてその後においてなお六十五歳まで定年延長を努力するという方向を打ち出していただいておるわけであります。私はいまちょっとその名前を覚えておりませんけれども、私もきょうの新聞で、労働省がそうした方向についての努力をされておるということを拝見をいたしまして敬意を表している次第でありまして、決して私どもはその問題を完全にネグレクトして年金の問題だけを論議をしておるつもりはございません。しかし、年金にはまた同時に年金制度としての問題点もあるわけでありまして、私どもは最大限雇用の問題との調整を図りながら、同時に年金制度自身の問題点を解決するために努力をしておるということを御理解をいただきたいと申し上げておるわけであります。
#73
○目黒今朝次郎君 これは何ぼやっても堂々めぐりだね。やる気がある、やる気があると言っているんですから、やる気のあることを信用しましょう。しかし、具体的に国会に提案する際には、いまあなたが言った関係ですね、労働省との調整、それを十分に見通しなり問題点を整理して、雇用と年金という関係が交通整理された時点で法案を出してもらうと、その調整ができないうちはやっぱり法案を提案しないと、こういうことについて、私は、はいそうしますとあなた言わないだろうから強く要求しておきます。
 それから、もう一つは、年金の制度懇談会というところは、聞くところによると、三年間の年月と三十五回だか三十六回の委員会をやって云々という点が新聞に出ていました。その回数は私確認する必要ありませんが、長い期間をかけてつくり上げたということは言えると思うんですよ。さすれば、私は専門屋が集まって三年間かかってここまで来た問題を、半年や二カ月や三カ月でおたくが成案をして国会に出すなんということは、余りにも性急に過ぎませんかという気がするんですよ。年金は、現にもらう年寄りの方と今後納める若い世代の方々に十分な私は理解をもらうとするならば、この報告書の骨格を整理をして、国民の大多数の皆さんに、ひとつ年金に関する議論あるいは討論、問題点、それを十分に国民のレベルでむしろ議論さしてもらうと、あるいは検討してもらうと、そういう期間を、専門家が三年かかっているんですから、最低一年や二年ぐらいはやっぱり国民の皆さんなり、あるいは地方自治体なり、あるいは福祉関係の関係団体なり、あるいは現にもらっている方々なり、そういう方々の意見を聞いて、ずっとやっぱり広範な合意なり問題提起を得て国会で集約すると、そういう慎重な手続を踏む必要があるんではないかというふうに、私は国民の合意を求める意味に立って必要だと、こう思うんです。ですから、短兵急に物事を進めていく、進めなければならないというその政治的背景は何なのかという点を考えますと、どうも私わからないですね。これ以上言うとまた失礼になるが、急がなければならない政治的背景は何なのか、三年、三十六回もかかったこの問題を、慎重に国民の皆さんに問題を提起をしてひとつ議論をお願いすると、そういう国民の討論の場をなぜつくろうとしないのか、その政治的背景は何ですか。
#74
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに、その三年間三十数回の委員会の御審議を経てお答えをちょうだいしたわけでありますから、それを国民の方々にできるだけ知っていただく努力を、その内容について知っていただくと同時に、その問題点についても御理解をいただく努力をすることは当然でありまして、その点については、私どももこれから先一生懸命になお努力をしてまいりたいと考えております。いままでにもできる限りの内容のPRには努めてきたわけでありますが、これからも努力をしてまいりたいと思います。それと同時に、当面やはり早急に考えなければいけない点として、現在の遺族年金二分の一という考え方についても御指摘をいただき、また経過的な年金のあり方等についても、これはもう先ほどから本委員会におきましてもいろいろな角度からの御議論が出ておりますぐらいに大きな国民的な関心を持たれている問題でもあるわけであります。そうすれば、再計算年次を一年早めて、明年度国会に厚生省としての考え方を法律案の形で提起をいたしませんと、なお実は国民的なコンセンサスを得るにも私は支障を来すのではないかと、そのようにも考えます。ですから、内容を周知徹底し、また問題点について御認識をいただく努力はこれからもいたしてまいりますが、同時に、やはり再計算年次は明年度に繰り上げて、その中で厚生省としての考え方も法律案の形で明らかにし、もちろんそれまでに関係審議会の皆さんの御意見を伺ったり、いろいろな角度からの御意見をちょうだいすることは当然でありますけれども、最終的にはやはり法律案の形で国会に御提案を申し上げたものを、国民の代表としての国会の場においての御論議を願うというのが私は至当な処置ではないかと考えております。
#75
○目黒今朝次郎君 そうすると、逆から言えば、私が提案したことについては、いろいろな方法論があるだろうけれども、たとえばそこに年金課長いるけれども、毎週か一カ月一回か知らぬけれども、よく年金の問題で回答にテレビに出てきますね、私も注意深くよく見ています。しかし、年金課長がわかるとおり、国民自体は年金のこういう制度があるのはありがたいなということはわかっておっても、どういう問題点、どういう問題の主体があるんだろうということを、あのNHKの番組で見れば見るほど、あるいは週刊誌の雑誌で見れば見るほど、やっぱり国民の皆さんはわかっておるようでわからないんですよ。わかっておるようでわからない。いわんや、こういうばかんとした大砲などぶつけられたら、もうびっくりしちゃって、わかっているのは審議会の委員さんだけ、あと国民はわからないと、わからないままに、あれよあれよと行ってしまうということを私は心配するから、慎重の上にも慎重をと、こう言っているんです。ですから、いま大臣は慎重の上にも慎重にやって十分意見を聞くと言っていますから、法案を提出したからそれ社労で早く、二カ月、三カ月で可決してくれなんてことは言わないんでしょうね。その点ぐらいのやっぱり度量と距離がないと、ここでりっぱなことを言ったって、法案提案されてしまえば、社労を毎回毎回やってくれやってくれと言われたんではたまったものじゃないですね、これ。その点はあなたの若い良識にまちますよ、テレビに出るだけが能じゃないんだからね。そういう国民のことを考えて問題点をしぼってもらうということ、これは答えは要りません。要請をしておきます、要請を。あとはまたその段階で議論します。
 それで、私きょう時間がありませんから、一つだけ、これは厚生大臣に耳ざわりかどうかは知りませんが、日本の家庭には母子家庭というのがあるですね。社会保障の面でいろんな窓口の問題もあるだろうし、いろんな対策が講ぜられています。ところが、読売新聞の「婦人とくらし」というのをずっと私は好みでとっているんですが、お父さんと子供たちの父子家庭という問題が大分いま世論の対象になってきていると、それで読売新聞も取材をしてやっているということなので、この問題についてひとつ、これはきょうは時間がなかったので、本来ならば文部省とか大蔵省とかいろいろ皆関係方面も出てくるんでしょうが、この父子家庭対策について厚生省内で議論された経緯があるかどうか、あるいは議論されたとすれば結論はどうなっているか、その辺を、ごく簡単で結構ですから一応聞かしてください。
#76
○政府委員(竹内嘉巳君) 父子家庭問題につきましては、ここ数年来国会でときどき私どもも御質問を承っておるところでございます。で、父子家庭の問題につきまして考え方が二通りあろうかと思います。一つは、母子福祉年金、母子年金あるいは児童扶養手当のように、所得保障という対象で父子家庭問題を考えるという方向が一つと、もう一つは、私どもの児童家庭局が所管をいたしておりますように、子供の福祉、つまり子という、子供の問題としてもっぱらその観点からどう体系づけ、あるいは行政上対処すべきかと、問題が二通りあろうかと思います。
 一般的に所得保障問題につきましては、これは母子福祉年金あるいは母子年金ないし児童扶養手当という制度、あるいは母子福祉法という法律ができましたいきさつ等からもすでに御案内のように、母子家庭の場合には、母親のいわば稼得能力というものが父子家庭の場合に比して、あるいは両親がそろった家庭の場合に比して当然低いといったようなことから、所得保障という観点からの措置が母子家庭についてはとられておるわけでございます。五十二年に山口県の方で独自にこうした片親の家庭の所得状況を調べましたときにも、父子家庭の場合が大体平均月約十五万、母子家庭の場合が約十万というような数字も実は県の方から報告をいただいて私どもも承知しておりますように、このように母子家庭の場合が、どうしても両親ないしは父子家庭の場合よりも低いというケースがございます。ただ、そういった観点から、いわゆる所得保障という面で父子家庭問題をとらえるということについては、率直に申しまして、現在厚生省としては、これは当面の問題というよりもいわば一つの課題というふうに理解をさせていただいております。
 で、子の福祉という問題に関してでございますが、これは父子家庭の場合に一番問題になりますのは、その子供の問題でございます。もちろん、御承知のように保育所の入所基準につきましても、その第三項では母親のない家庭ということが保育所の入所基準の中の大きなウエートを占めておるわけであります。それから、学齢期に達しました場合、低学年に対して、私ども都市児童健全育成対策という形で、児童館あるいは子供の指導員の助成、あるいは学校のほか、保育所であるとか、あるいは各種の施設の園庭の開放事業といったような形で、いわば子供の問題というのは、必ずしも父子家庭というふうに限定をせずに、いわば片親の家庭あるいは両親がそろっておっても事実上共かせぎその他の事情から、いわば養育監護する者が日中いない場合の対応策といったようなものについての子の福祉という問題を取り上げておるわけでございます。
 で、一般論としてそういう形で取り上げておりますけれども、現在私ども自身がこの問題で一つ検討いたしておりますのは、その父親が病気になった場合であるとか、あるいは父親が長期の出張その他で留守をするとか、そういったようなケースの場合の、いわばその子の福祉措置というものをどのように積極的に対処していったらいいか。それぞれこれは福祉事務所を通じましてケース・バイ・ケースに対応するように指示はいたしてはございますけれども、率直に申しまして、制度的にこの父子家庭対策というものが明確に示されていないということは私どもも承知をいたしておりますので、こういった問題、各都道府県あるいは市町村で独自にいろいろと御検討いただきながらやや先駆的な方策をいろいろ講じておられます。そういったところでのそれぞれの問題点なども聴取をいたしながら、私どもとしてもこの問題についての検討をいま急いでおる、かような状態でございます。
#77
○目黒今朝次郎君 これは私きょう資料もらったのは、福島県の方々の父子家庭のいろんな問題点を皆さんが自主的に取り上げて、共通の悩みとしてお互いに討論して制度的な整備も含めてがんばってもらおうやという運動をしていらっしゃるんです。この一番最初提起をした方は鴇田さんという方で、私も電話をかけていろいろお話を聞きました。こういう機関紙までつくって県とか自治体に働きかけている、そういうことであります。
 私はいま政府委員の答弁を聞いておって、私自身もこれは小学校一年のとき母親に死なれて、ずうっと兵隊行くまでうちのおやじも子供に何といいますか、次のお母さんとの関係を味わわさせたくないという親の配慮があって、ずうっと小学校一年から学校終わって戦争に入って兵隊行くまで、私は母親の愛情というものを知らないままに育ってきた男なんです。ですから父子家庭の皆さんが、こういうアンケートもありますが、一番苦労したのは裁縫ですわね、ぞうきん縫ったり、着物のほころびを縫うとか、そういう裁縫、妹の生理的ないろいろな問題について、おやじと私だけであって妹にはなかなかわからないというようなことなどについても本当に苦労してきました。でありますから、この記事を読んでやっぱり父子家庭に対する一般論だけでは、これはどうにも手の届かない問題があるんではなかろうかというように考えまして、この問題について、確かに地方自治体では、たとえば福島県でもこの方々が働いて、今年度の予算にまあ父子家庭で乳飲みから小学校に至るまで介護人を派遣する予算を計上するとか、あるいは短期里親制度、こういうものをつくって、県が補助金を出して子供たちのめんどうを見てやるとか、あるいは就職する際に、これは文部省呼べばそんなことはないと言うのだろうけれども、やっぱり現に片親というのは就職の際に非常に会社側が採用する際のハンディになっているという点も、これはいい悪いは抜きにして現状そういう流れがあります。そういうものについては、県が保証人になって、就職問題については心配するなといって県が保証人になってやるとか、そういう制度が福島県は皆さんの努力で制度化されておるわけなんです。ですから、私はこういう点から考えますと、やっぱりいま厚生省で一般論ということではなくて、やはり母子家庭に見合う父子家庭の対応ということをやっぱり各自治体に任せておくのではなくて、厚生省なら厚生省が中心になって、文部省その他とも連携をとりながらやはり制度的にこれらの方々のめんどうを見てやると、そういう制度化の方向に一歩私は踏み出してもらいたいと、こういう気持ちがあるんですが、いかがでしょうか。これは政府委員がむずかしかったら大臣の方からでも結構だと思うんです。
#78
○政府委員(竹内嘉巳君) ただいまお話がございましたように、たとえばいま御引例いただきましたように、短期里親という制度につきましては、昭和四十九年以来私どももそういうシステムを実は制度の中にすでに取り入れて、全国にそういう短期里親という方式を取り入れておるわけであります。また緊急一時保護という形でもこの種のケースについての対応はとっておるわけであります。で、一般的にいろいろ福祉、所得保障面を除きました部分につきましては、厚生省だけでは対応し切れない、たとえば公営住宅等への優先入居の問題であるとか、あるいは税法上の問題であるとかいうのもございます。ただ、母子福祉あるいは寡婦の貸付金のように、父子世帯の貸付金という制度は遺憾ながらございませんし、それから、俗にヘルパーと称しております家庭奉仕員ないし家庭介護人の制度につきましても、母子家庭ないしは心身障害児家庭等についての積極的な制度化はございますけれども、父子家庭についてはまだそこまで踏み切っていないというのが実態でございます。私どもとしては、こういった面を十分とらえながら、少なくとも子供の福祉というものの観点から積極的にこういった問題について手を打つべきものについては積極的に手を打ってまいりたい。御承知のように、ことしは国際児童年でもございます。私どももそういう観点から十分問題点を認識しながら、ただいま先生から御紹介ありました福島県での父子家庭のグループの方の意見なども私ども参考までにいただいておりますので、そういったような点も十分検討した上で厚生省としても対応さしていただきたい、かように考えております。
#79
○目黒今朝次郎君 これ大臣ね、私もこんなにと思わなかったけれども、たとえば七十六人の実態を調査してみますと、一歳から六歳の方が二十七人、小学校の生徒が四十二人、それから中学校が二十六人、大体三分の二強、四分の三近くがこれは義務教育の年代を抱えているんですね、義務教育の年代を。そして、なぜこうなったかという原因を見てみますと、離婚と死別が六、四ぐらいです。六ぐらいは死別、あるいは三ないし四は離婚と、こういうことでして、そしていま経済的な問題を話しましたがね、こういう小さい子供を扱っているものですから、結局は、何といいますか、普通の会社とか、常用雇用になっておっても、留守番を頼むとかなんとかということになって結局経済負担が出てくる。だから全般的に見て、男は経済的なことについては生活を守る義務があるんだという一般論を私は否定いたしませんが、この収入状態を見てみますと、先ほど例に挙げた母子家庭が十万で父子家庭が十五万と、この数字は必ずしも義務教育の子供を抱えているお父さん方には私は通用しない、ほとんど母子家庭の方々と同じような経済的な環境に置かれている。義務教育児を抱えている人、特におっぱいを飲んでいる子供を抱えている人はなおさら手放せないと、で、まあ生活保護を申請しても、おまえさんは男なんだからそんなくよくよしないで働けといって、生活保護も民生委員の方からチェックされてしまうと、そうするとどこにも行くところがない、こういう問題が絡んでいる。でありますから、私はこれを見まして、地方自治体に任せておくという現状から一歩踏み出して、やはり父子家庭の実態について、各都道府県全体にしてもらえれば一番いいんでしょうけれども、やはり半分なら半分ぐらいは、第一年度として、あるいは三年間ぐらいやるとか、そういう全国的な調査をやって、それに見合う行政側の対応ということをやっぱり系統的にお願いしたい。そして、その上に立ってこの母子福祉法に見合う父子福祉法の制定が必要かどうかという判断も、その実態調査の上にどうかというやっぱり取り組みをぜひ厚生省の段階で関係各省と連携しながらやってもらいたいなあと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
#80
○政府委員(竹内嘉巳君) 昭和五十年の国勢調査に従いまして数字を点検をいたしてみますと、十八歳未満の子供を抱えたいわゆる父子家庭というのが、全国で約十万世帯というふうに国勢調査の結果から数字の上で掌握されております。明年五十五年、またその国勢調査の五年ごとの時点でもございますので、そういった点についても十分、あるいは厚生行政基礎調査の上等につきましても、この問題については十分留意をしながら統計的にも対象を把握をしてまいりたい。ただ、一言申し上げさしていただきたいんですが、なかなか父子家庭というケースの概念のつかみ方の場合に、法律上は御承知のようにいわゆる法律婚でなくて事実婚も認めておりますように、その面からいたしますと、なかなか外形的な判断というものが父子家庭の場合にむずかしい点があるというふうに、実は個々の父子家庭対策をすでに積極的に取り組まれた自治体の方と私どもが話を承っておりますときにも、その辺が一番頭が痛い点でというような報告なり、あるいは問題指摘を受けております。必ずしも統計数字の上だけで、この父子家庭問題というのを単純に判断し切れない問題点もあるということだけは御留意いただければ、私どもとしても積極的にこの問題について検討は進めてまいりたいと、かように考えております。
#81
○目黒今朝次郎君 それから、これ私見ていると、たとえば小学校の一年生、二年生がおって、学校参観とか、それから学校の行事があってなかなかうまくいかない。それで、子供のめんどうを見るためにこの際勤めをやめてひとつ商売をしようと、事業をすれば結局家庭におって子供のめんどうを見れる、そういう発想が出てきて、母子家庭の皆さんには事業の貸し付けの融資制度があるわけですね、そういうものを準用できないだろうかということを市役所の窓口に行って相談すると、そんなものないと、男と女は違うんだといって門前払いを食わせられるという経験を何件か経験しているんですね、農家の方も含めて。ですから、こういうものについては、制度ができるまで私は行政解釈、運用に弾力を持って、現代の母子家庭に見合うようないろんな、まあ税金とかそういうものは少し実質的に検討してもらわなければなりませんから、年金の問題とか、それから税金の軽減の問題とか、こういう問題はもう少し調査を持って実態を把握してから議論するということは、私はそれは認めます。それ以外の福祉行政などについては、やっぱり母子福祉法等準用して、運用なり、その方法で考えてやるというぐらいは当面のつなぎとして私は指導してしかるべきじゃないかと、実態に応じて、むずかしいことを言わないで。そういうことをひとつ各都道府県などに指示をして運用の妙を発揮するということも、やっぱり私は政治の場のことではないかなと、こう思うんですが、この請願書を見ますと、そういうことも含めて、これは福島の県議会が、二月十六日の県議会で採択をして、厚生大臣の方あるいは文部大臣の方、大蔵大臣に要請をするということを、自民党も含めて全会一致で福島県議会はこれを採択しているという経緯もありますので、ひとつ前向きに検討してほしいと、こう思うんですが、いかがですか。
#82
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど目黒さん御自身の幼いときの体験を踏まえた御発言を傾聴させていただきました。いまいろいろな角度からのお話がありましたが、国としてもまたいろいろな角度で、どうしたことができるのか、またどういう問題が必要か等については事務当局にもできるだけの工夫をしてもらおうと思います。ただ、現実問題として、御指摘のようなケースの場合に、たとえば世帯更生資金を活用していただくとか、対応の方法もあるわけでありまして、第一線の窓口において御相談を受ける段階で、あるいはそうした点についての指導に欠けるところがもしあるとすれば、やはりそういう点についても注意を喚起しておかなければならぬと思いますので、そうした点についてもこれから考えてみたい、そのように考えております。
#83
○目黒今朝次郎君 最後に要請ですが、やっぱり窓口に相談に行く方は相当困って私は相談にいらっしゃると思うんですよ。そのときに、まあこの前の厚生大臣の所信表明の演説じゃありませんが、やっぱり法律にありませんからと門前払いを食わせるようなことは、私は福祉行政としては余り賢明じゃない。その点やっぱり温かみを持って、この方法はないけれども、この方法を考えれば、生活保護のこれをやればこうなりますよといって、やっぱり窓口で親切に教えてやって生きがいを感じさせるという厚生行政を、私はぜひ厚生省のサイドで各都道府県と事務所の皆さんに機会があれば早急に伝達してもらって、皆さんが気軽に窓口に相談に行けるような体制をつくってやるということについても配慮をお願いしたいと、こう思います。
 それから、きょうは本当は中国の阿波丸の問題をちょっと取り上げたいと思ったんですが、時間がありません。ただ、私も戦争を経験した者として、あの船で私の友達も亡くなっていますので、遺骨収集その他について新聞発表がありましたけれども、早急に遺族の皆さんの期待にこたえるように、厚生大臣なり援護局の方で、関係方面と協議の上速やかに実現されんことをお願いいたしまして、時間が来たようでありますから要望だけ申し上げてこの問題はお願いいたします。
 以上です。
#84
○委員長(対馬孝且君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩をいたします。
   午後零時三十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時五分開会
#85
○委員長(対馬孝且君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#86
○小平芳平君 初めに児童手当についてお尋ねをいたします。
 昨年のこの段階の改正のときにも児童手当について伺いまして、その趣旨は、福祉ばらまきとか福祉見直しとかいう声に乗ったかのように、何となく厚生省の児童手当に対する取り組みがおっかなびっくりやっているような感じではないかというようなことに対して、当時の小沢厚生大臣が、確かにそういうふうに見られる面もあるけれども、決してそういうことで終わらせるのではないような趣旨の御答弁がありました。また、厚生大臣が、むしろ現在の第三子というよりも第二子に拡大して適用するということも検討すべき課題だというような御趣旨の御発言もありました。で、本年の今回の改正にも、昨年の改正と同じような物価の値上りのその率、物価の値上りに対する応急措置としての特に低所得者階層に対する引き上げを実施しようというような趣旨かと思いますが、いま申し上げたような点につきまして、厚生省の基本的なお考えを伺いたい。
#87
○政府委員(竹内嘉巳君) 児童手当制度それ自体につきまして、確かに一部いろいろなやや消極方面の御意見があることを私どもも十分承知をいたしております。しかしながら、現在の社会保障制度それ自体の中で児童手当という制度それ自体が占める比重と申しますか、あるいはその役割りというものももうすでに定着してまいっておりますし、私どもも現在の児童福祉というだけでなくて、積極的な意味で、児童のあり方を将来に問うという意味から言えば、児童手当制度それ自体が今後どのように改善され、現在の社会情勢の中で定着をすべきかという観点から、現在の児童手当に関するいわば中央児童福祉審議会における児童手当部会の御審議をお願いをしておるところでございます。ただ、御承知のように、第二子ないしは第一子ということそれ自体、非常に大きな財政上の制約も抱えておりますだけにある程度慎重な判断も必要でございますし、こういったものの社会保障制度全体の中におけるいわばおのずからとるべきと申しますか、持つべきウエートがあろうかと思います。そういった意味で、児童手当部会におきましても現在御熱心に御審議をいただいているところでございまして、私どもとしては、むしろ小沢大臣あるいは現在の橋本大臣のこれまでの国会の答弁でもお示しいただきましたような基本線というものを守りながら、この問題について積極的な意味で改善に取り組んでまいりたい、かように考えているわけであります。
#88
○小平芳平君 いまの局長の御説明で基本的な取り組む姿勢はわかります。で、これからの段取りとしては、いま局長が御発言の児童福祉審議会における答申を待つというようなことになりますか。御承知の社会保障制度審議会の今回の答申に当たっても、制度の理念と仕組みについて見直しを急ぐべきであるという意見が述べられていることも御承知のとおりでありますが、その辺のこれからの取り組みはいかがになりますか。
#89
○政府委員(竹内嘉巳君) 今回の改正法案の提案に当たりましても、ただいま先生から御指摘いただきましたように、社会保障制度審議会におきましても積極的な意味での現行制度の点検、そして改善への対応策を急ぐようにという御指摘もいただいております。また、先ほど私申しましたように、中央児童福祉審議会の児童手当部会もできるだけ早くということで、関係の先生方非常に御熱心に研究をと申しますか、討議、審議を重ねていただいております。私ども、いまのところ手当部会そのものの結論が正確にいつごろまでというふうにタイムリミットを課することは、どうも先生方に対しても大変失礼にも当たりますので、気持ちとしては私ども参加さしていただくたびごとにできるだけ早くお願いをしたいということを申し上げてございます。ただ、いま先生御指摘のように、そしてまた先ほど私もちらっと触れましたように、やはり社会保障制度全体が国の経済の中で持つべき役割りというものは非常に強くなっておりますし、また、その持つべき役割りの中でどの部分にどの制度がどれだけの国民の福祉というものを担っていくか、そういう観点から、やはり児童手当という仕組み自体がある意味では再検討されなければならない、それは私どもも否定できないかと思います。そういう意味で、率直に申し上げまして、一番審議の過程で最大の問題点として取り上げられておりますのは、第二子への拡大論という点に焦点がしぼられていることはこれはもう当然でございますし、それだけに私どもとしても、それの取り上げ方については、御審議を横で拝聴しながら、そして私どもなりにいろいろその問題点を整理しておる過程で、一律にそういう方向にいけるのか、あるいは途中でワンステップ置いてこれに対応していくのか、その辺のところが必ずしもまだはっきり児童手当部会の御審議でもこの場で御披露申し上げる段階になっておりませんのが残念でございますけれども、私どもなりにそういった問題についての対応策というのは逐次固めながら、できるだけ早い機会にこの問題については御回答できるようにしてまいりたいと、かように考えておりますが、しばらく御猶予をいただきたいと思います。
#90
○小平芳平君 局長がいま御発言のように、私も第二子への拡大が最大のいまの現在の課題であると思います。高齢化社会ということに対する論議はずっともう続けられておりますが、それこそ国会でも高齢化社会への対応ということが論議されておりますが、さて、そういう高齢化していくこと自体は必然な成り行きとしましても、じゃ次の健全な児童の育成、次の青少年のその育成、養成というものがついてこないことには社会自体が成り立たない。単なるそうした経済的に働き手が多いとか少ないとかいうこともですが、非常に根本問題ではありますが、次の社会自体がどういう児童が育ってくるか、青少年が育っていくかということにもう非常に大きな課題があろうというふうに考えているわけです。そういう意味から、大体この厚生省の取り組みは私も了解いたしております。とにかく単なるそうした見直し見直しという、そのことだけで何か悪いことやっているみたいな、児童家庭局長がそんな気持ちになっているわけじゃないと思いますが、そうじゃなくて、どういう社会にこれからはなっていくのか、高齢化していくことはこれはもう目に見えている、とともにどうした児童が育ってくるのか、また、そのために現在のわれわれが何をなすべきか、政治は何をなすべきかというところから児童手当を論議してほしいということを意見として申し上げておきます。
 それから、次に年金に移りますが、この年金問題は、基本的な問題としては先ほど来御議論の支給開始年齢を六十五歳に延ばすということを、具体的に厚生省は何かおやりになるのかどうか、その点はいかがでしょう。先ほど来考え方についてのお話がずいぶん交わされましたが、これからどういうことを進めるお考えですか。
#91
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今度の基本問題懇談会からの答申の中には、御承知のように支給開始年齢以外にも幾つかの問題点、当面直ちに着手すべしという指摘がなされております。その中には遺族年金その他の問題もあるわけでありますけれども、支給開始年齢に限って申し上げますならば、これは私どもとしてはいつかどうしても通らなければならない道でございますし、幸い答申を受けました直後労働大臣との会談を持ちました際に、労働省としても六十歳定年制に向けて、いまも努力をしておられるわけでありますけれども、それを昭和六十年という時点を限られて六十歳定年というものを実現し、なおその後昭和七十年代の後半には六十五歳まで定年を延長するように努めていきたい、同時に、定年制の延長というものは六十五歳というものが一つのピリオドであって、いま世論調査等を見ましても、六十五までは働きたいが、六十五から後は従来の蓄えあるいは子供の協力等を得ながら年金というものを一つの柱にして次の生活を組み立てていきたいというような国民のニードの中で、六十五歳以降は年金というものをしっかりしてもらいたいというような問題も逆に提起をされておりまして、そういう方向へ向けて私どもは今後努力をしてまいりたいと考えております。
 具体的には五十五年度の再計算年次におきまして、一年繰り上げて行うわけでありますけれども、この再計算年次を繰り上げる時点におきまして、六十五歳に二十年ぐらいの時間をかけて支給開始年齢を引き上げてまいりたい。これは一方における雇用情勢の中での定年制の延長とある程度歩調を合わせることにもなるわけでありまして、そういう形で対応してまいりたい、そのように考えております。
#92
○小平芳平君 そうしますと、簡単に結論を繰り返しますと、五十五年度におきまして、新聞に報道されているように、次の通常国会を目標として二十年ほどの経過措置をとって六十五歳支給開始の法律改正を提案する、準備をするということですか。
#93
○国務大臣(橋本龍太郎君) かつて昭和二十九年でありましたかに、一度五十五歳から六十歳に支給開始年齢を上げましたときにも、二十年という時間をかけて五歳の引き上げをいたしました。その当時の状況から見ますと、すでに受給開始をしておられる方の数も非常にふえておりますし、やはり二十年ぐらいの時間をかけて五歳の引き上げというものは行っていかないと、個々の方々の老後生活の設計の上に大きな影響を及ぼす危険性があると、そのように考えておりまして、大体それぐらいの時間をかげながら支給開始年齢の引き上げというものには対応してまいりたい。一方においては定年制の延長というものについて労働行政の中においてそれを確保できる条件づくりをしていっていただきたいと、そのように考えておるわけであります。
#94
○小平芳平君 そこのところが、この午前中の質疑とダブリますので同じことを繰り返したくないわけですが、一方では、厚生大臣は厚生年金の支給開始年齢は六十五歳にしますということを強力な推進をしていくとおっしゃる。ところが現在、実際問題いま定年制は五十五歳定年がなおかつ四十何%あるわけでしょう、現実。そして、すでに厚生年金支給開始は六十歳なんですけれども、なおかつ五十五歳定年だし、それから、現在のところ六十歳までの定年延長は言われておりますが、それより定年を延ばすなんてどこでも言ってないわけでしょう。あるいはそういう可能性があるわけですか。とにかくこれも午前中の議論で、あるいは私も予算委員会の審議等で尋ねましたし意見も言いましたが、一方では定年制は法制化はできないと言っているわけでしょう、現実、政府はですね。で、法制化できないということを前提に考えても、六十五歳に定年を延ばそうなんてどこも言ってないのに年金だけがお先に六十五歳を目標に新しい出発をしましょうというところに非常に不安があるし、それから納得できないものがあるわけです。ですから、これはかつての人生わずか五十年とか定年制五十五歳とかいうことは、それはいつまでもそれに固執すべきじゃないということは大多数の方が了解してきていると思うんですが、そういうその社会自体が変わってきているということはわかるんですが、厚生年金の方は六十五歳を目標にもう来年からでも出発しようとおっしゃる、二十年の経過措置、それを置いて出発しようとおっしゃる。しかし一方では定年制がついてくるのかどうかですね。まあそういう意味で当委員会でも集中審議が予定されているということでありますけれども、それは厚生省としては、厚生年金の支給開始年齢は六十五歳にしたいという計画はありますと、しかし、これも午前中に出たから繰り返しませんけれども、共済組合ですね、これから始まって二十年で六十歳にしようというときに、今度はこちら、これから始まって同じように二十年で六十五歳にしようという大きな開きをつけたまま進めていこうという、その辺が納得できないわけです。ですから、厚生省としては、そういう計画はあります、高齢化社会を望んだときにそういうことが必要になりますと、ゆえにですね、その働く方もきちっとその政府一体となってついてきてくれなくちゃ困るんだと。法制化が必要か、法制化しなくてもそれが実現できればいいですけれども、ただ年金だけが先回りしちゃって、職場がなくて、五十五歳で定年になって十年間、六十歳で定年になって五年間働く場所もない、そういう人をつくっちゃいけないですよ。
#95
○国務大臣(橋本龍太郎君) いま、ちょっと私も正確な年次を忘れましたので調べさしておりますけれども、実は六十五歳定年を目指すということにつきましては、すでに閣議においてその方針を労働省から提起をされ、閣議としてそれに了承を与えた経緯がございます。そのもとになりますのは、五十三年の七月に出されました労働大臣の諮問機関であります中期労働政策懇談会というものの中で、まあ定年年齢というものが、高齢雇用の確保の重要性と、昭和六十年にかけまして五十五歳から五十九歳階層が急増期に当たっておるということを踏まえまして、まずその昭和六十年というものを一つのタイムリミットとして六十歳定年への延長をうたい、なお引き続いて次の目標として六十五歳定年の問題に取り組むことを検討する必要があるという、私的諮問機関でありますが、提言を踏まえて閣議がその方針を了承した経緯がございます。で、私どもは六十五歳定年というものに向けまして、−失礼いたしました。これは順番が逆さになりまして申しわけありません。五十一年六月十八日の閣議決定をされました第三次雇用対策基本計画の中におきまして、六十歳までについては企業の定年延長等の促進等により雇用の安定に努める、それから六十歳から六十四歳については定年後の再雇用及び勤務延長を含めて再就職を促進する、それで六十五歳以上についてはこれらの者の能力に対応して社会参加の機会の確保に努めるという雇用対策からの基本計画が出ておりまして、ここで六十四歳までが、要するに生産可能年齢であり、雇用というものの中になじみ、勤務延長等を含めた職場の確保をするという方向が出されておりまして、それを恐らく受けたのでありましょう、ちょっと私もその労働省の方のタイミングその他をよく存じませんけれども、労働省の方で大臣の諮問機関として設定をされました中期労働政策懇談会からは、五十三年の七月二十日に出されました答申として、まず昭和六十年までの六十歳定年延長、そしてその後の目標として六十五歳定年というものを実は打ち出しておるわけでありまして、まあ私どもとしては六十五歳定年というものを厚生省の希望的観測として申し上げておるわけではないということは御理解をいただきたいと思います。
 ただ、そこに至ります過程で明らかでなかった部分があるわけでありますが、それを先般の労働大臣との会見の際に、六十歳までの定年延長を、現在が五十七から八の間ぐらいになっておりますけれども、これを昭和六十年には六十歳定年というものの実現を図ると、そして、引き続いて六十五歳までの定年延長に努めていくという方針を確認を願ったわけでありまして、私どもとしては、その計画が計画どおり推移していくことを期待をしておるわけであります。
#96
○小平芳平君 まあ大変結構な閣議了解でありまして、私もそれは大変結構だと思いますが、私がいま申し上げている趣旨は、労働省なりほかの省が出席されて集中審議する場合はいまのようなお話を主眼としなきゃなりませんが、解決をすべき課題でありますが、現段階で厚生省に私がいま申し上げている趣旨は、そういうように働く場所がついてこない段階で年金だけが先に六十五歳を出発させては困りますよと言うのが厚生省の役目でしょうと申し上げているわけです。それは国全体として社会情勢が変わっていくわけですから年金も変えざるを得ない、六十五歳支給開始ということにならざるを得ないということを厚生省が見通されたならばほかの省がそれについてきて一それでこの現実見てごらんなさい、もう五十五歳とか五十六、七歳で定年退職しております、私たちの同期生なんかが。実際問題、定年退職せざるを得ないんですが、働き場所がなくなるんですが年金は支給開始になってないわけです、六十歳になってないですから。そういう現状において、なおかつ年金は六十五歳から支給を始めますということを打ち出すからには、ほかの省が政府としてついてこないことには政策が厚生省はできませんですよと、こう言うのが厚生省の立場じゃありませんかと申し上げているんです。
#97
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただ、これは小平さんよく御承知のように、年金という問題が非常に息の長い問題でありますだけに、私どもとしては、いま先ほどから申し上げておりますように、労働省に対して雇用体系における定年制の延長というものを現実に検討していただくことをお願いし、労働省もそれに対して非常に誠意を持った答えを出していただいておるわけでありまして、そういう努力を私どもは決して怠っているわけではありません。ただ同時に、そういう問題が一方であることも事実でありますが、制度全体が非常に息の長いものであることを考えますと、たとえばいま私自身が四十一でありますから、いわゆる六十五歳からの支給開始を受ける世代というのはまさにちょうど私どもぐらいの年次の者でございます。そうなりますと、そういう意味では、現在民間企業等におきましてもちょうど第一線の年配でありますし、それがじりじり、支給開始年齢も高まってはまいりますけれども、同時に現実の定年もすでに五十七、八歳まで来ておることは先生御承知のとおりでありまして、また一方では厚生年金の受給開始年齢というものも、平均するとすでに六十二という状態になってきておるところを考えましたなら、私はそれほど無理な将来目標を立てておるとは考えておりません。ただ、御指摘のように非常に不安を残す問題点でありますから、労働省のみならず、これは民間の各企業その他に対しましても、できるだけ機会をとらえながらこうした問題の所在を説明し、納得を願い、将来における雇用体系の変化というものに対応する努力を願うことは当然でありますけれども、同時に、非常に息の長い問題を抱えておる年金というものの性格からすれば、問題を提起し、御検討を願い、将来への方向を定めるという点におきましては、私は明年の再計算におきまして支給開始年齢引き上げというものを一つの具体的な方向に乗せるということが時期尚早であるとは考えておりません。その点につきましては、やはり年金制度というものの持つ特質についてもぜひ御理解を賜りたいと思うわけであります。
#98
○小平芳平君 またこの問題は次に引き続いて質問したいと思います。きょうはこれで終わります。
 次に、スライド制の特別措置、物価スライドの特別措置についてでありますが、この点については社会保障制度審議会の御指摘は十分御承知のことでございましょうが、むしろその便宜的な措置をとるよりも基準の改正を図るべきだという、この点についてどうお考えですか。
  〔委員長退席、理事片山甚市君着席〕
#99
○政府委員(木暮保成君) 現在の厚生年金と拠出制の国民年金につきましては、消費者物価が五%を超えて上がりましたときに自動スライドをするという規定があるわけでございます。これは制度審議会の御指摘にもありますとおり年金の基本的なルールでございまして、軽々しく変えるべきものではないというふうに思うわけでございます。特に日本の厚生年金、国民年金の場合には、まだ成熟化が進んでおりませんので、この時期でスライドのルールというものを変えますと将来いろいろな問題が出てくるというふうに思うわけでございます。そういう点で、基本的なルールでございますので、軽々しく変えるべきではないという点につきましては制度審議会の御指摘に全く同感であるわけでございます。
 ところが、一方でことしの消費者物価が、結果的には三.四%になりましたけれども、予算編成の段階で四%の物価上昇が見込まれたわけでございます。そうしますと当然自動スライドは働かないわけでございますが、四%という物価上昇はそう低いものではないということ、それからまた、共済組合が夏の人事院勧告の線に沿いまして三・八四%の公務員の給与の引き上げに伴って年金を動かすということがございました。そういう点を考慮いたしますと、五%のルールには達しませんけれども据え置きをするのはどうだろうかという判断をいたしまして、当時四%、現実には三・四%ということになりましたけれども、臨時的な措置としてスライドを行うような法律改正を御提案申し上げたところでございます。このスライドのあり方につきましては、今後とも掘り下げていかなければならない問題点だと存じますが、やはりこのルールの変更につきましては慎重の上にも慎重を期さなければならない、こういうふうに考えたわけでございます。
#100
○小平芳平君 局長のその説明なさることはそのとおりだと思いますが、実際問題としまして、今年度、五十四年度はもう少し物価が上昇する気配にあるわけですね、実際これはわかりませんけれども。したがいまして、たとえば四%台というようなふうに上昇してきた場合、今回は特例措置で改定しましたが、来年はことしよりももう少し物価が上昇した、四%台の上昇だった、しかし五%には届いていないということになったら、また特例措置をやらなくちゃいけないでしょう。
#101
○政府委員(木暮保成君) 今後の物価の動向でございますが、五%を超える場合も当然あろうかと思いますし、また五%以内におさまる場合も出てくると思います。その際に、また公務員の給与についての人事院勧告がどうなるか、それに即しまして共済年金がどういう判断をするか、そういういろいろな要素が今後も繰り返す可能性はあろうかと思いますが、一方ではそのルールのあり方につきまして検討を深めますと同時に、また、そういう事態がありますればその段階で判断をしてまいりたいというふうに思います。
#102
○小平芳平君 局長がいま言われたように、ルールのあり方も検討しなくては、とにかく年金は長期にわたると、大臣もおっしゃるように、確かに年金は長期にわたって計画されていかなくては困るわけですね。したがって、この制度そのものが、五%ということがいいのかどうか、それはむしろ五%以上の消費者物価上昇があれば厚生省はほっとしたと、これで特例措置をやらなくて済んだというようなのもおかしいですよ、これは。制度として、ルールとしてですね。それは四%台というふうなことはないかもしれません、あり得ないかもしれませんけれども、もし仮にそうなったときには、前の年が三%台で特例措置を講じて引き上げをしまして、次の年は四%台に上昇したが特例措置は講じませんというのもおかしなことでありまして、そういうことではやはりこの審議会が指摘していることもきわめて一理あると思いませんか。
#103
○政府委員(木暮保成君) 年金のスライドのルールの問題でございますが、確かに毎年毎年臨時措置を講じるというのも問題であろうと思いますが、一方では、日本の場合には年金制度は成熟していないということが諸外国と違うところだと思うわけでございます。今後どういうふうに年金給付がふえ、さらにそれに伴って年金の負担がふえていくか、そういう問題がございますので、この五%というのを簡単に変えるということも問題があろうかと思いますけれども、しかし、ことしの臨時措置を講じましたのは社会保険審議会の御意見に基づいてやったわけでございますが、社会保険審議会でも引き続きルールのあり方を検討しようということになっておりますので、その検討結果をいただきまして厚生省としても判断をしたいというふうに考えております。
#104
○小平芳平君 次に、国民年金被保険者基礎調査をおやりになりましたですね。この点もちょっと午前中もお話が出ておりましたが、この基礎調査、厚生省は何のためにこの調査をおやりになって、それでこの調査が何に使われようとしているかですね、その辺を伺いたいんです。といいますことは、私たちが実際地方で聞くお話の中には、国民年金の保険料を次々と引き上げていかれますと、とてももう払い切れないという人が出てきやしないか、そういうことを恐れる。実際庶民の実情からすればそういうことが出てくると思うんです。ですから、何か一カ月四千円とか五千円とか、そういう保険料納付ができるという人がたくさんいるようなこういう報告をするというのは何を意味しているわけですか。
#105
○政府委員(木暮保成君) 国民年金の被保険者の方々さまざまな分野の方がおられますので、五年に一遍ずつ被保険者の方の実態調査をいたしておるわけでございます。調査項目といたしましては、ただいまの保険料どのくらいまで負担できるかという以外にも、仕事をしているかしていないか、している場合にはどういう立場でしているかとか、これを毎年見ているわけでございます。で、国民年金の被保険者の階層はどういうふうに動いておるか、三次産業の動きとどういう関係があるかとか確かめておるところでございます。それで、保険料の負担どのくらいまでできるかということにつきましても毎回調査項目に挙げておるわけでございます。
 それで、これも午前中からいろいろ御論議がございましたけれども、いずれにしましても、国民年金もかなり保険料を上げていかなければならないという実態があるわけでございまして、国民の負担能力というものを私ども常に気をつけていかなければならないわけでございます。今回の調査の結果は、ただいま先生の御指摘にございますように、四千円というのが四三%で一番多かったわけでございますが、五千円ぐらい負担できるというのが一九%、というようなところに山があるわけでございます。それで、この調査結果でございますが、私どもといたしましては、将来は八千円程度の保険料まで引き上げてまいりませんと年金財政が保てないという見通しを持っておるわけでございまして、実は五千円程度の負担しかできないということでございますと、国民年金の将来の問題としてはかなり大きなファクターになるわけでございます。ただ、私どもこれを見まして一つ思っておりますのは、現在の年金、国民年金は五年年金、十年年金というのが一番出ておるわけでございまして、十年年金の場合で二万五千円弱というような金額でございます。で、五年年金の場合には二万円、八月から二万百円ぐらいになるわけでございますが、この調査に応じてくださった方々の周辺で受けておりまする年金額が二万五千円あるいは二万円という額でございます。これも当然のことながらだんだん年金額が上がっていくわけでございまして、それにつれまして国民年金に対する理解も深まっていって、五千円でなく六千円ぐらい持ってもいい、七千円ぐらい持ってもいいというようなことにして理解していただくようにしなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
#106
○小平芳平君 私が申し上げるまでもなく、それは保険料が五千円、六千円、一万円でも全く家計に響くような金額ではないという人もいるわけですよ。しかし、三千円、四千円でも非常に家計が大変だという方もたくさんいらっしゃるわけです。ですから、そういう点を含めた上でこういうことが言えるかどうか疑問に思うのですがね、四千円以上納めることができるとか、五千円納付できるとかいう方が何%いるということを。ですから、年金制度そのもの、国年そのものの課題としては、こうした一律保険料でいいのかどうかということがあるわけです、基本としては。ですから、そういう点も考え合わせた上で、こうした発表は、あるいは何といいますか調査の結果の分析はもっと慎重に取り組むべきだと思うんですよ。
#107
○政府委員(木暮保成君) 御指摘の点は国民年金制度の将来の問題で一番大きな問題の一つだと私どもも思っております。で、国民年金の被保険者、さまざまな階層の方、さまざまな職業の方がおられますので、現在は定額保険料という形でやっておるわけでございます。しかし、相当保険料が納められる方もいる一方、現在の保険料でもかなり無理をして納めていただいている方もいるだろうと思います。現実に免除を受けておられる方もいるわけでございます。そこで、所得比例制を保険料に加味するということが課題になるわけでございますが、この二千七百万人の方々の所得というものを正確に把握して所得に応じた保険料を取るということは、かなり事務機構の上でも大きな問題でございますので、取り組まなければならない問題であることは御指摘のとおりでございますが、少し時間をいただいて研究を進めさせていただきたいと思っております。
#108
○小平芳平君 時間をかけて検討すべきだと思います。ただ、特例納付の四千円が高過ぎるということだって十分言われているわけでしょう、御承知のように。ですから、何か特例納付の四千円が高過ぎない、そのためのキャンぺーンとか、あるいは保険料を将来値上げしていかなくちゃならないための調査みたいなそういう受け取り方さえされるわけです。されがちですよ、これではね。ですから、もっと取り組む取り組み方が、いま局長が説明なさったように、対象国年の被保険者はもうごくきわめて多くの収入階層の人がいるということが絶えず前提だということですね。ですから、こうした発表は慎重であってほしいということを申し上げたわけです。
 それから次に、児童扶養手当について。この点について沖繩県で着服したという事件があったということが新聞にも出ておりますし、厚生省からいただいた資料にもこれが出ております。こうした一つの事件を、いまここでいい悪いということを私は申し上げるのではなくて、制度的な欠陥があるのかどうか、こういうことについて伺いたいんですが、いかがですか。
#109
○政府委員(竹内嘉巳君) 沖繩で発生いたしました児童扶養手当の不正事件でございますけれども、先生おっしゃるように、構造的な欠陥があるのではないかという御指摘でございます。構造的と言われる趣旨になってまいりますと非常に私どももお答えの仕方がちょっとむずかしいんでございますけれども、率直に申しまして、現在の仕組みの中ではいわば申請主義をとっておるわけであります。かつ児童扶養手当の対象になりますのが、御承知のように大部分が生き別れの母子世帯、それだけに、その母子世帯になりますとなかなか複雑な事情などがございまして、一方的に役所の側で、これは都道府県も市町村も含めまして、役所の側から、いわばそういう世帯を見つけては、あなたのところは該当しておるんではないかというような、いわば児童扶養手当の支給漏れをなくすという意味、あるいは二重支給をチェックをするという意味からはそういうことについてはそれなりの一つのメリットがあるわけでありますけれども、裏返しにいたしますと、対応する世帯にとってのいわばプライバシーの侵害みたいなものも出てまいります。それに、かつは生別の母子世帯の場合にはかなり流動的でございまして、いわば俗に言う事実婚と申しますか、そういった状態などがございまして、その状態も継続しておる状態なのか一時的な状態なのか、あるいはたまたまそういうふうに外目に見られているのが果たしてどうなのかというようなせんさくに入りますと、なかなか実は、一たん申請をされたところに実地調査に行っても非常にトラブルの起こりやすいケースがいままでもございました。それだけに私どもといたしましては、確かにこういう不正事件があったということについては遺憾でございますし、このこと自体についての対応策としては、やはり部内の監査なりあるいは受給者名簿と、それからその支給者とのクロスチェックを行うとかいうような、事務処理上の対応策について十分検討して何とか対策も講じたいと思いまするし、かつは監査その他をより頻繁に行うというようなことで、実はこの不正事件についての教訓は生かしてまいりたいと思います。ただ、そういう意味で、構造論そのものの中には、役所の事務の流れという観点からの構造的な欠陥については今後とも十分対処はしてまいりますけれども、何せ対象がこういう先ほど申し上げたような、それぞれ社会的にも家庭的にもいろんな意味での特殊な条件をお持ちの方がわりと多うございますだけに、私どもとしても一概に、一言で、余り適当な表現でございませんけれども、いわば草の根を分けてでも対象者を深し出すような、そういう仕組みというものについては若干遅疑逡巡を感ぜざるを得ない、こういう事情がございます点をひとつ御了承いただければ幸いでございます。
#110
○小平芳平君 その御趣旨はわかりました。確かに草の根を分けてやることは問題がありますね、それから研究課題だと思います。しかし不正はよくないですからね。
 次に、今度は海外居住者の公的年金の通算について伺いますが、ちょっと時間がなくなりましたので詳しい説明はいたしませんが、大分前になりますが、参議院の予算委員会で私が取り上げたときに、三木内閣の当時でして、当時の首相の三木さんから前向きに検討するというよりも、積極的に検討しますというようなことであったわけです。その後ドイツとの間にどういう交渉があったか、それから最近の報道ではアメリカとの間に交渉があるように報道されておりますが、その経過を御説明いただきたい。といいますことは、私が海外に働いている方の年金の問題を取り上げたことは、海外で現に働いていらっしゃる方からそういう訴えを受けまして取り上げましたが、総理大臣が積極的に取り組みますということを聞いて期待しているわけですね、海外で現に働いていらっしゃる日本人の方で期待を持っているんですが、その後の取り組み、経過についてお答えいただきたいと思います。
#111
○政府委員(木暮保成君) 外国と行き来がだんだん多くなってまいりますので、それにつれまして年金を初めといたしまして社会保障の協定を二国間で結ぶということにつきましては積極的に取り組んでいかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
 それで、従来の経過から申し上げますと、ドイツとアメリカとの間にかなり具体的なやりとりがあったわけでございます。ドイツについて申し上げますと、昭和四十二年に話が始まりまして、これも御指摘のとおりドイツにある日本の会社に勤めている人々の保険料が二重払いになる、現地の保険料も取られますし、日本の厚生年金の場合には本社を適用事業所という取り扱いができる場合にはそういたしておりますので、保険料の二重払いの問題が発生をするということで、むしろ日本側から問題の提起をしたわけでございます。一方ドイツの方も日本との間に通算制度をやりたい、年金以外の健康保険等につきましても条約を結びたいということを積極的に言ってまいりまして、一時厚生省から年金局長がドイツに行き、また向こうの年金局長が日本に来るというようなところまで進んだわけでございますが、現実の問題といたしましては昭和五十二年にドイツが年金法の改正をいたしまして、一定の時期を限ってドイツにある日本の会社の支社に勤める場合には向こうの年金を適用除外をするという改正をいたしたわけでございます。それでかなりの部分は解決をいたしたわけでございますが、しかし、先生いつも御指摘のような、向こうの現地法人をつくる場合にはまだこういう問題が残っておりまして問題が今後に引き継がれておるわけでございますが、かなり大きな部分が現実的にそういう形で解決をしたということでございます。ドイツとの関係はいまのようなことでございます。
 それから、アメリカとの間におきましても、四十三年に課長レベルの折衝が始まったわけでございますが、これは若干の経過がございますけれども、余り問題が詰まらないというような形でございました。ところが、玉十二年になりましてアメリカの方で法律を改正をいたしまして、議会の承認により社会保障の通算措置の二国間協定をやるということを政府に授権をするという法律改正がなされまして、それを土台にいたしましてアメリカが積極的に各国と二国間条約の締結を始めておるわけでございます。で、五十三年にイタリアとの協定が発効いたしました。現在西ドイツとの協定がアメリカの議会で審議中でございますし、スイス、イギリス、カナダ、イスラエル、スウェーデン等とアメリカが積極的な交渉を行っておるわけでございます。日本に対しましても従来交渉をやってきたわけでございますが、ここで積極的に取り組みたいという意思表示がございまして、ことしの六月から七月にかけましてアメリカの厚生大臣のカリファーノ長官が訪日をして、この問題のスタートを改めて切り直したいということでございまして、私どももこれを積極的に受けてまいりたいというふうに考えております。
#112
○小平芳平君 アメリカとの間がそういうふうに結論が得られればいいんですが、新聞を見ますと、何か厚生大臣がアメリカへ行って決めてくるようなことも報道されておりますが、大体アメリカとの関係はつきそうですか。
#113
○政府委員(木暮保成君) 前にも申し上げましたように、四十三年に課長レベルの交渉が始まったわけでございますが、やはり制度が違いますので、なかなか技術的なうるさい問題があるわけでございます。したがいまして、アメリカのカリファーノ長官が参りまして交渉の再スタートを切るわけでございますが、詰めまでには技術的な問題かなり時間がかかるのではないかというふうに予想をいたしております。
#114
○小平芳平君 まあ相手のあることですから、そうはっきりこうですということは言えないのかもしれませんが、進めていくべきだと思いますことと、それから、特にそのときに指摘しましたことは、国民年金に任意加入の妻ですね、海外に派遣されたら最後全く失っちゃうですね、その期間は、それはどうですか、
#115
○政府委員(木暮保成君) 国民年金の任意加入の問題につきましては先生からかねて御指摘のあるところでございまして、私どもも研究を重ねておるわけでございますが、何分年金制度、保険料を掛けていただくということが一つの基本になり、逆に申し上げますと、こちらからは確実に保険料が取れるというような条件がないとやっていけないわけでございますが、海外の居住者の場合には、やはり大げさに言えば日本の行政権が確実に及ばないというようなこともございまして、現在のところ踏み切れないということでございます。
#116
○小平芳平君 ですから、海外へ出発するときに代理者を定めておくとか、方法はあるわけですよね。
#117
○政府委員(木暮保成君) 現在の国民年金のたてまえから申し上げますと、国籍の要件と同時に、日本に居住していることということがあるわけでございまして、そういう原則を崩すのはなかなかむずかしいということがあるわけでございます。で、それに加えまして、先ほど申し上げました仮に踏み切りましても、まあ代理者を決めるというようなことがどの程度やっていただけるのか、いろいろ疑問の点もございまして、現在では踏み切れるところまでいっていないわけでございます。
#118
○小平芳平君 そういうことならば、三木内閣の当時私が提案しましたように、将来海外へ行く可能性のある方は、奥さんは国民年金に任意加入しては損しますよというふうに教えてあげなくちゃいけない。だって、国内に居住している以外は全くだめだというんですから、ですから、外務省を中心とした公務員の皆さん、あるいは新聞社、商社、そうした将来外国へ行く可能性のある皆さんは妻を国民年金に任意加入しても損しますと教えてあげなくちゃいけない。
 それからもう一つ、ついでに、これで終わりますが、年金福祉事業団の貸し付けです。小口の融資をすることはこれは大変結構だと思うんですが、そのことが年金の受給権を担保にしての融資を受ける場合、それから被保険者にも貸し出しをしてあげるべきだという意見、その点についての御答弁をいただきたい。
#119
○政府委員(木暮保成君) 前の御質問でございますが、国民年金の場合には二十歳から入りまして六十歳まで国民年金に入れるわけでございます。その四十年の間に二十五年間保険料を掛けますと老齢年金に結びつくわけでございますので、海外勤務の形態になるわけでございますが、非常に長期にわたる場合にはそういうアドバイスもしなければならないと思いますけれども、二年とか五年とかということでございますれば、前に掛けていた保険料が生きる場合の方が多かろうと思います。個々のケースに応じてアドバイスを申し上げなければならない問題だと思います。
 それから、年金の小口融資でございますが、年金受給権者に対しまする担保貸し付けにつきましては、これも先生前に取り上げていただきまして、恩給におくれたわけでございますが、恩給と同じ制度を厚生年金、国民年金でもやりまして現在実施をしておるわけでございます。もう一つの現役の被保険者に対する小口貸し付けの問題でございますが、私ども共済組合員は現役のときでも小口の融資を共済組合から受けられるわけでございまして、そういう点からいたしますと、厚生年金等の被保険者にも小口の融資をするということが一つ考えられるわけでございますが、ただやはり、厚生年金のお金をお貸しするという場合には、将来の年金の支払いの原資になるものでございますから、債権管理が確実にいかなければならないという点があるわけでございます。共済組合の場合にはまあ人事管理が非常に徹底しておりまして、退職金を担保にとるわけではございませんけれども、債権管理が確実にいく見通しがあるわけでございますが、厚生年金の場合をとりましても現実には九十万の事業所がございまして、一事業所の被保険者が三十人未満というようなことでございますので、なかなか債権管理に自信が持てないという点があるわけでございます。現在住宅貸し付けに非常に希望が強うございますので、資金をそちらに重点的にふやしていきたい、しかし、小口融資につきましても、確かに貸し出しができれば福祉にもなる点がございますので、さらに研究さしていただきたいと思います。
#120
○橋本敦君 けさから、年金制度基本構想懇談会の答申が出まして、同僚委員からも多くの問題が指摘をされました。当委員会でも重要な論点となっておるわけですが、まず最初に私厚生大臣にお伺いしたいと思いますのは、この報告が出まして、多くの新聞はいろいろ論評いたしておりますけれども、その一つとして重要な指摘として、「今回の報告は将来のビジョンがはっきりせず、今後目指すべき方向をある程度、示唆するにとどまっている。」、こういう評価もあるわけであります。確かに財源の問題にしろ、あるいは年金制度全体の整合性の問題にしろ、サゼスチョンはありますが、改革の基本的方向というのは具体的になかなか明確には出ていない。そういうことになりますと、この報告はいま言ったように、ある程度将来の改革方向を示唆するにとどまっていると言っても、三年の労は多としますけれども当たっていない評価ではないとも思える、そういう節もあるんですが、大臣としてはこの報告は基本的にどう受けとめていらっしゃるでしょうか。
#121
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、いまの橋本さんの御指摘の方向とはちょっと違った印象を持っております。と申しますのは、従来から年金問題の将来をいろいろな角度から心配をされまして、いろいろな考え方が私どもにもお示しをいただいておりました。ただ、その中には、それぞれある意味での理想図ではあるがプロセスにおいて非常に大きな問題があるとか、あるいは現行制度とどうしても整合性を欠いてしまって実現に非常な難色があるとか、種々の問題が指摘されたような場合も御承知のとおりあったわけであります。そういう中で、私は今度の懇談会の御答申というもの、報告書の中身というものは、現実にある各制度というものの分立を前提としながら、実質的に同様の効果を将来において上げていく、各制度間における整合性をとっていこうというある意味では非常に現実性を持ったお考えではないだろうかというような観点からこの答申を拝見をいたしました。確かに、たとえば妻の年金権の問題、あるいはもっと掘り下げていきますと、世帯単位の年金であるべきか、あるいは個々人を対象とした年金であるべきかというような部分につきましても、またその他幾つかの部分につきまして将来の検討にゆだねておるような部分もございます。しかし、現実の対応ということから考えていきますならば、幾つかの問題点、先ほどから論議を交わされておりますようなものも含めまして、将来における大きな方向を示しておると考えておりまして、私どもとしては非常に大きな参考と受けとめておるわけであります。
#122
○橋本敦君 いまの大臣のそういう御見解がありましたが、基本的に具体的な中身を詰めていくとすれば、数多くの論議、まだまだ残されている課題が多いわけですね。それで、けさの論議を伺っておりまして、私も一つ気になりますのは、たとえば朝日の社説ですけれども、「「改革の方向」であげている主要項目の中で、ズバリといっているのは支給開始年齢の引き上げだけである。」、こういう評価もしているわけです。けさからもその点に論議が集中をしたわけですが、新聞報道によりますと、大臣としては早速審議会に諮問を含めて、再建財政計画、五十五年度から年次を始めたいという御意見をお持ちのようだ。そういたしますと、多くの課題が、論議するべきものが残っているにもかかわらず、まず大臣としては、ずばり言って、はっきり言っているこの支給開始年齢の引き上げ、この問題だけを先行させようという姿勢に受け取られかねない感じを私はけさの論議を聞きながら持ったわけですね。しかし、なるほど大臣は、閣議でこの報告が出まして、所管各大臣の一致した協力が要るというお申し出があり、閣議でも了解されたというお話がありました。また、労働大臣に定年制の延長という問題で要請されたというお話もありました。だがしかし、それが五十五年度からの再建年次を進めていく上で間に合うだろうかという不安がある。もしそれが間に合わないし、全体の整合性なり財政再建計画なりの具体的なめどがないままに引き上げだけが先行していくということになりますと、国民の側にとってみれば大改悪になるという不安がありますし、そしてまた、それだけを進めることがこの報告の趣旨だとも受け取ってはならないように思うんですね。そこらあたりどういうおつもりなのか、もう一度御見解をお伺いしたいと思います。
#123
○国務大臣(橋本龍太郎君) けさほどからたびたびお答えを申し上げておりますけれども、支給開始年齢の問題も確かにその中の一つの大きなポイントであることは間違いありません。ただし、それに対しては、先ほどから何遍も申し上げておりますように、高齢者の職場確保というもの、またその老後生活の安定という観点から移行期間をどうとるかというような問題、それには定年制の問題その他を含めた大きな問題があるわけでありまして、これは労働行政の方と緊密な連携をとりながら進める以外に方法がないということから労働大臣とも協議を開始いたしておるわけであります。
 同時に、たとえば今度の答申の中で早急に手がけるべき課題として御指摘をいただいておりますものの中には、たとえば遺族年金について西欧水準を目指せ、これはいわゆる二分の一という思想ではなく、その複数世帯が単数世帯に変わったからといって生活費が二分の一になるわけではないという現実に着目した御指摘も出ておるわけでありまして、私どもはこうしたものを踏まえて五十五年度の再計算というものを行おうとしておるわけでありまして、支給開始年齢だけが御論議のポイントとされることは、私どもとしては大変心外であります。先ほど小平さんに申し上げましたけれども、仮に二十年かけて支給開始年齢を引き上げていくとすれば、六十五歳からの支給開始になる年代層というのは、ちょうど私自身がいまおる年代層がその年でありまして、私どもの世代がその年齢になっていきますまでの間、現在の労働慣行、またその中における定年制の実態というものが現状と同じであっては、これは日本としても大変な問題でありますし、それがよりよい方向に変化していかなければならぬことも当然であります。ただ、それだけのタイムラグのある問題でありますから、再計算の中において支給開始年齢の引き上げというものは明年度から私どもとしてはスタートをさせたいと考えておることも事実でありまして、提案に至りましてからも国会で十分御論議をいただかなければならない点であることは十分認識をいたしております。
#124
○橋本敦君 大臣の御意見はけさ来も伺っておりますのでそれなりにわかっておりますが、しかし、それなりにまた私どもの指摘する不安や問題点もまだまだ残されておりますので、今後もまた議論をさしていただきたいと思います。
 そこで、その次の問題に移りますが、先ほど同僚委員からも指摘されたスライド制の問題ですね。このスライド制の問題は、御承知のとおり、四十年以来審議会の答申があって、四十八年やっと実現をしたわけですが、このスライド制をとるというそのことの本来の趣旨をどう考えるかという問題を一遍考えてみる必要があるのではないかという気がさっきからの議論を聞いていてするのであります。局長としては、端的に言って、このスライド制というものの本来の持つ意味、どうお考えでしょう。
#125
○政府委員(木暮保成君) 厚生年金と国民年金につきましては、五年ごとに財政再計算をして、そのときそのときの賃金とか物価の情勢に年金額を合わせるようにしなさいという規定になっておるわけでございます。で、その五年と五年の間をどうするかでございますが、やはりその間にも経済情勢というのは動くわけでございまして、その間は五%以上物価が上がったときには手直しをするという形で来ておるわけでございます。ですから、基本的には財政再計算時に、あるべき年金の水準に設定をするわけでございますが、その中間の手直しがスライドの問題だというふうに思っております。
#126
○橋本敦君 その中間の手直しという問題が、年金受給者にとって、社会一般の物価あるいは賃金動態の変更にスライドして年金受給者の生活権保障というのが基本にあるわけですね。そこで、今度四%ということが出てきたわけですが、端的に局長に伺いますが、今度は四%です。三%の場合はどうされるかというお考えはありますか。
#127
○政府委員(木暮保成君) 現在のルールですと五%ということでございますが、現行法に即して申し上げるならば、三%の場合には年金を動かさないと、受給者の方にはそれでお願いをするということだと思います。ただ、これはわりあい細かい規定になっておりまして、ある年三%で動かさないと、次の年三%と、合わせて五%を超えますとその時点でスライドするようになっておりますので、わりあいきめの細かい規定になっているわけでございますが、現行法に即して申し上げますと、三%の場合には年金額を動かさないでいきたいということでございます。
#128
○橋本敦君 そこに問題があるんですね。たとえば、いただいている資料を見ましても、諸外国の例を見ますと、アメリカの場合が三%以上上昇した場合に改定があります。それからさらに、スウェーデンの場合も三%以上の上昇があった場合、これは消費者物価指数、こうなっておりますね。そのほかに、たとえばフランス、イタリア、こういう例を調べてみますと、これは賃金上昇、そういうことにスライドさせるわけですが、フランスなんかの場合には毎年一月一日、前年度の率を勘案して上げておいて、そして七月一日に再調整して上げるとか、年二回という、これこそきめが細かいですね。そしてまた、御存じだと思いますけれども、イタリアの場合でも、毎年一月一日、ここで中央統計局の算定した基準に従って引き上げをやっていくという制度になっております。だから、いまあなたがきめ細かいとおっしゃったけれども、はるかに諸外国の方が、制度的には三%であるという問題、毎年やるという問題も含めてきめが細かい、こういう方向に当然いくのが国民の期待だと、こう思いますし、今度もまた社会保障制度審議会がこの特例に関連をして、基準の改正を図るべきだと、こういうことを答申として出している趣旨、これにも合致すると思うんですが、こういう、あなたがきめ細かいとおっしゃるならもっときめ細かく国民の利益を守る方向で検討すべきじゃありませんか、いかがでしょう。
#129
○政府委員(木暮保成君) スライドのあり方につきましては、先ほど小平先生にもお答え申し上げましたように、社会保険審議会でも次の再計算に際しましての検討項目の一つになっておりますので、そこの御検討をいただいた上で厚生省も判断をしたいと思っております。ただ、一つ申し上げますと、諸外国の例と日本の例の違いなんでございますが、日本の場合には、一つは、先ほど申し上げましたように五年ごとの再計算をするということで、そのときどきで実態に合わせていくという作業をしておるわけでございます。もう一つの違いは、これは程度の差はあるわけでございますが、各国の年金制度というのは非常に成熟しておりまして、どのぐらいの年金給付費がこれからかかるか、それに対していまの保険料はどの程度上げなければならないかということがかなりはっきり狭い範囲の問題になってきておるわけでございます。日本の場合には、午前中から御論議のございましたように、今後どんどん受給者がふえてまいりまして、保険料の水準とか給付の水準、大きな変動が考えられるわけでございますので、スライドにつきましてもかなりアローアンスを持っておる必要があろうかと思うわけでございます。そのアローアンスの範囲内におきましてはきめの細かい規定にはなっているのじゃないかというふうに思っておるわけでございます。
#130
○橋本敦君 そのアローアンスの幅を大きくとってそれできめ細かくとおっしゃっても、基本的に制度が違うとおっしゃればそうだけれども、年金の改善という面から言えば、スライド制というそのものの本旨から言えば毎年スライドしていくというのが一番手厚い方法ですからね。だから、そういう方向も含めて、いまあなたは審議会の御意見が出れば政府としても検討すると、こうおっしゃったわけですが、その趣旨は、審議会が、まあ諸外国のこういう例にすぐいくとは限りませんよ、限りませんが、私が言うようにもっときめ細かく物価あるいは賃金に着実にスライドしていくような方向にいくべきだという意見であれば、政府としては当然その方向で検討する用意はあるわけですか、そのことを聞きたい。
#131
○政府委員(木暮保成君) おっしゃる趣旨よくわかるわけでございますが、年金の制度を考えていきます場合に、受給者の立場ももちろん考えなければなりません。受給者の立場から考えますと一%でも上げていくということが望ましいかもしれないわけでございますが、一方ではまた現在の保険料負担あるいは将来の保険料負担というものを考えていかなければならないわけでございます。そういたしますと、これからどんどん成熟化が進んでいくわけでございますから、そういう段階にある日本の年金の立場からも判断をしなければいけないというふうに思うわけでございます。いずれにしましても、厚生年金部会でも検討項目にしていただいておりますので、その検討を待ちたいというふうに思っております。
#132
○橋本敦君 検討を待って前向きに対処したいという御意思があるようにも、またあやふやなようにも見えるのではっきりしないんですよ、あなたの答弁は。まあしかし、検討していく、こういうことだと思います。
 それで、国民年金のもう一つの大きな問題としては、サービス業、それから五人未満の事業所で働く労働者、こういったところで厚生年金を適用するように計画的にもっと進められないだろうか、これも基本改革の方向の非常に重要な課題なんですね、この点について政府はどうお考えでしょう。
#133
○政府委員(木暮保成君) 五人未満の事業所の従業員の方とか、あるいはサービス業の従業員の方は、現在健康保険は国民健康保険に入っておりますし、年金では厚生年金ではなく国民年金に入っておるわけでございます。この方々は、被用者ということには間違いないわけでございまして、健康保険につきましても年金につきましても、被用者保険を適用するということは私どもも望ましいというふうに思っております。これにつきましては、各方面からかねて御指摘をいただいており、私どもの方も社会保険庁を中心にいたしまして、任意包括加入という制度があるわけでございますが、その推進を図っておるわけでございまして、着々実績も上がりつつあるわけでございます。制度的に踏み切れないかという問題が一つ残るわけでございますが、私の所管の年金で申し上げますと、やはり長年の加入実績、保険料納入というようなことの必要な制度でございますので、その間事業所の事務処理がうまく行きませんと、かえって年金権に結びつかないというようなおそれもあるわけでございます。この点につきましては、今後とも研究をさしていただくと同時に、社会保険庁の方の行政努力の方は従来にも増してやってまいりたいというふうに考えております。
#134
○橋本敦君 それでは、それは推進をしていただくということで、財源対策について二つだけ聞いておきます。
 一つは、八十四国会の附帯決議で、「国民年金財政の健全化のために、所得比例制保険料について検討すること。」、これが出されております。確かに、現行保険料の定額制という問題を、高額所得者ほど保険料が高くなるようにするというのは一つの合理的な方法ではないかと思いますが、政府の考え方、この点はどうかという問題。
 それからもう一つは、われわれが常に主張しておるのですが、大企業や高額所得者に、国民皆保険的な意味で社会的責任をやっぱりはっきり持ってもらうという趣旨で新たに年金特別税というものを課す、こういうことを将来計画として検討すべきではないかと思うんですが、この二点について局長もしくは大臣のお考えを伺っておきたい。
#135
○政府委員(木暮保成君) 国民年金の保険料に所得比例の要素を入れることでございますが、私どももその点は国民年金の今後の大きな課題だというふうに考えております。現在定額の保険料にいたしておりますけれども、これは国民年金に入っております被保険者の方々、職業からいってもいろいろな方がおられまして、一人一人の方につきまして所得を把握して保険料をかけるということは非常にむずかしゅうございます。そういうような観点から定額制度でやっておるわけでございますが、やはり負担能力のある方にはたくさん負担をしていただくということが年金の所得再配分効果から考えても望ましいわけでございますが、それにはかなり大がかりな事務の再編成をやらなければならないというようなことがございますので、今後とも研究をさせていただきたいと思います。
 それから、年金の給付費がどんどんふくらんでいくわけでございまして、現在のままの国庫負担でも一般会計の負担が非常に重くなるわけでございます。そうした場合に新しい税源を求めるべきではないかという御意見もいろいろ提唱されておりまして、制度審議会では、所得型の付加価値税を入れたらどうか、あるいは各政党の御意見の中でも年金税を取ったらどうかというようなことがあるわけでございますが、非常にむずかしい問題ではございますけれども、将来の財源対策の一環として研究をさしていただきたいと思います。
#136
○橋本敦君 年金問題はまた集中審議もありますのでこの程度にしておきます。
 次に、私は学童保育問題について質問をさしていただきたいと思います。
 この学童保育の要求が国民の間に非常に強い、これはもう厚生省もよく御存じのとおりであります。核家族化あるいは婦人の社会的進出、そして共かせぎ家庭の児童の保護、本当に社会問題になっておるわけですね。厚生省としては、全国で留守家庭児童というのは一体何人ぐらいいるか、大体この推計というのはつかんでおられるでしょうか。
#137
○政府委員(竹内嘉巳君) 留守家庭児童数でございますが、あくまでもこれは推計値にならざるを得ません。昭和五十三年度に学校基本調査による小学校の一年ないし三年の児童数が五百八十四万というふうに承っております。かぎっ子の占める率を推計をいたしますときに、私ども都市児童健全育成事業というのをやっておりまして、この際に、全国で百七十八の市からこの問題についての国庫補助事業に関していろいろなデータをいただいたものをまとめてみますと、大体この百七十八市の場合の比率が、小学校一年ないし三年生の児童の総数の中で大体一二・一%という数字になりました。これを当てはめてみますと、先ほどの五百八十四万人について見ますと全国で約七十万七千人という数値が出てまいるわけでございます。私どもとしては、正確とは言い切れない点ございますけれども、大ざっぱに言ってこの程度の数がいわゆる留守家庭児童というふうに見ていいのではなかろうかというふうに考えております。
#138
○橋本敦君 いまおっしゃったように一定の推計に属するわけですが、一方、全国学童保育連絡協議会が、資料に基づいて地方自治体の調査その他を集めてみますと、留守家庭児童数が全国でいまおっしゃった倍の約百四十万という推計を出しております。小学生を持って働くお母さんの数が全国で約二百万、いずれにしてもかなりの数の子供たちが留守家庭児童だということになるわけですね。この数は年々増加しているというように考えられるわけですけれども、私大阪に住んでおりますので、この間大阪の府庁に行ってまいりまして、大阪が留守家庭児童に対する単独事業として補助をやっておるわけですが、これの実態を調べてまいりましたのでちょっと申し上げてみますと、大阪府の場合ですが、昭和四十七年度で市町村数が十三、児童クラブの数が百三、児童数が三千三百八十五ありました。それが五十三年度になりますと、市町村数が三十になりまして、児童会数が約三倍の三百十四、児童数が九千七百を超えまして三倍を超えていると、こういう現状になっております。大阪府が補助金を出しております補助額を見ますと、四十七年が二千八百四十一万九千円でありましたが、それが五十二年度には二億を超しまして、五十三年度になりますと二億二千四百万円と、こういうように急増をいたしております。これは大阪府にとっては大変な単独事業ではあるわけですね。それで、私が住んでおります今度は吹田市に参りまして吹田市で調べてまいりますと、吹田市の場合、四十九年から始めまして、四十九年十二学級、児童数は二百九十四人でありましたが、それが五十四年度、ことしになりますと二十七学級、約三倍近く、在籍児童数もクラブでは九百三十五人を収容するというように約四・五倍、こういうふえ方になっておるわけです。人口急増都市として大阪で有名な寝屋川市、ここへ行って調べてまいりますと、四十五年の九月に三校で児童クラブをつくりました。ところが、これが五十四年になりますと十四校にふえまして、そしてこの十四校で十七クラブ、こういう現状になっております。現在児童数は八百三十七名いる、こういう状況になっていることがわかりました。だから、したがって働くお母さんあるいはお父さんの要求によって留守家庭児童対策というものが地方自治体あるいは国に向けて次々と社会的な大きな要求になってきているということがよくわかるわけでありますが、この問題について、厚生省はいまおっしゃった一定の事業としておやりになっているということでありますけれども、実際は地方自治体はこれだけの持ち出しをしている、こういうことなんですね。この問題について、御存じだと思いますけれども、全国の知事会あるいは市長会からかねてから要望が出されております。たとえば五十三年の七月二十一日付では、全国知事会から児童福祉の充実を図るために、都市児童健全育成事業の一層の強化措置、これをやってもらいたい、こう出ておりますし、全国市議会議長会からは同じ年度に、この児童対策について学童保育事業を制度化してもらいたい、そうしてその財政措置を講じてもらいたい、こういう強い要望が出ているわけであります。現在こういう要望、そうして地方自治体を私が紹介しました実態から見ますと、いま厚生省がおやりになっている都市児童健全育成事業というのは、その国民の要求なり必要性に本当に寄与しているのが少ないと言わざるを得ないと私は思うんですが、局長どう見ておられますか。
#139
○政府委員(竹内嘉巳君) おっしゃるように、地方自治体は自治体としてのまたそれぞれの立場と、それから務めもございまして、きめ細かな福祉施策を講じておるわけであります。厚生省それ自体といたしまして、基本的には児童福祉法に基づきます児童厚生施設として、児童館あるいは児童遊園というものがまず健全育成の基本的な主体になるわけです。そのほかに昭和五十一年から都市児童健全育成事業というものを先ほど申し上げましたようにスタートさせてみたわけであります。この場合には、その場合のあくまでも子供たちの指導者というものの養成が必要でございます。そういう立場、それから場所の提供という意味で学校でも校庭の開放事業をやっておりますが、私どもの方も関係の施設などの園庭の開放事業をやる。それから子供たちのための児童育成クラブと申しますか、そういったクラブの設置、組織、そのほか体力の増強あるいは情操の陶冶といったような面からの事業というものについてできるだけの協力を図るという形で補助事業を進めてまいったわけであります。もちろん予算的な制約もございまするし、それからまた、こういう都市部の子供たちは、ある意味ではこの対策というのは一種の組織化にもつながるわけであります。そういった意味で適当なやはりリーダーの存在というものが必要でございまして、ただ単に国があるいは都道府県なり市町村が一定の予算を計上して、こういうような仕組みをつくることにしたぞと言って予算をいかに計上いたしましても、やはりその現実の効果というのは、あくまでも、その子供たち自身の主体性にもよりまするけれども、何よりもやはりよりよい指導者を得るというところに最大の問題があるんではなかろうか、私どもは実はそう考えております。そういう意味で先ほど御紹介いたしましたように、都市児童健全育成事業の場合でも、要するに指導者養成というところに私どもは最大の努力を傾けているつもりでございます。それだけに、いま先生から御指摘のように、現実にどれだけの効果が上がっているのか、あるいはどれだけの事業が現に子供たちに対して与えられておるのかという御指摘をいただきますと、私ども大変、いまの御指摘のように必ずしも十分ではございませんということについては遺憾ながらお認め申し上げるより以外に手はないわけであります。しかし、何をわれわれはすべきかということについては、私どもとしては、やはり最大の問題は、都市の場合には指導者と、そしてその場所と、そこにやはり最大の隘路があるんじゃなかろうかということで、私どもも児童館につきましてもいわゆる指定都市の児童館についての運営費をほかのところの五割増しにするというような措置も本年度講じまして、都市児童対策というものに一応重点を置いて対応してみたわけでありますけれども、なかなか御指摘のような問いに対して、胸を張ってお答えできる状態にない点はまことに残念でございますけれども、一生懸命努力はしてまいりたいと思っております。
#140
○橋本敦君 ことしは国際児童年ですから、局長に胸を張って答えていただけるような答えが欲しいわけですけれども、いまおっしゃった問題やお答えの中にも重要な問題があるんですよ。
 その前に、たとえば国の助成でいきますと、五十四年度一クラブ当たりの補助が四十四万円、ところが大阪府の場合は一クラブ当たりの補助が二百五十三万円という、こういう実績に実はなっているんですね。これは人件費、運営費を含めますからこうなってくるんですね。で、いまあなたがおっしゃった都市部で場所がない、そうして児童館の建設に重点を置き、指導者に重点を置く、こうおっしゃったんですが、その児童館の建設ということが、実際いまの土地取得難、都市過密、こういった中でスムーズに進むだろうか、これは大問題なんですね。これはもう端的に言ってスムーズに進むと、こうは局長も思っておられないだろうと思うんですよ。たとえば一小学区当たり一児童館が建設されるのは、運動をやっておる皆さんや私どもの計算では百年河清を待つどころか二百年ぐらいかかるのじゃないかと、こういうように見る人もあります。そういうわけですから、実際調べてみますと、そういう児童館建設の土地取得が不可能ですから、ほとんど学校の一隅を借りてそこにプレハブの建物を建てるということで、学校の利用というのがこれは非常に数が多いですね。これは御存じのとおりだと思うんです。そういたしますと、この厚生省の事業の補助というのは、児童館を建設するという計画に基づいて初めて補助がつく、しかも経常的じゃありませんね、児童館建設ということを目指して誘い水につけるわけですから。だから、児童館ができ上がったら人件費あるいは運営費一定の補助がありますが、児童館ができるまでは、言ってみれば補助はゼロということに近いでしょう。そうなりますと、これは本当に多くの問題が、指導者養成が大事だとおっしゃっても指導者養成どころかそれ以前の問題として残ってくるんですね。
 これは文部省にも一言聞いておきたいんですが、実際に多くの実情を調べてみましても、たとえば吹田の場合は、小学校内の専用プレハブが、二十七クラブのうち十二、小学校内の空き教室の利用が十四、小学校外の施設、これが一、こういう現状ですね。これは実際、子供たちを放課後保護してやるという上で、もう場所が、学校を利用するということが一番現実的な対応として必要に迫られてこうなっているわけですね。こういう現状ですから、いま局長がおっしゃったように、都市部に土地を取得して児童館をつくる、夢のような遠い話になりますから、現状の子供たちのあるいは父兄の必要性に応ずるためには、学校の利用ということは文部省もぜひ協力してもらう必要があると私は思うんですが、文部省のお考えいかがでしょう。
#141
○説明員(加戸守行君) 学校の施設は、先生も御承知と思いますけれども、学校教育の目的のためにつくられているものでございまして、その利用の態様といたしましては、学校教育上支障のない限り公共のために利用させることができるたてまえになっているわけでございます。したがいまして、本来的な用途でない形のものの利用につきましては、それぞれ当該地域の実情に応じまして、その利用、協力方の要請がございますれば、それを所管いたします教育委員会におきましてそれぞれ適切な判断がなされる。吹田の場合もそういう観点からの協力が行われているものと思います。一般的に申し上げまして、こういった利用形態を学校サイドの立場から見れば本来的に好ましいものではございませんで、それぞれ諸活動の主目的でございます本来の場において行われるべき活動でございますが、その地域の実情によって、やむを得ない場合にそういう協力をするということはシステム上も可能でございますし、また現に行われているものと承知しておるわけでございます。
#142
○橋本敦君 だから、現状においていまあなたがおっしゃったように協力をするという、そういうことに文部省としてもやぶさかではないと、こういう趣旨は承っていいわけですね、間違いありませんね。で、学校によって、教育委員会によっていろいろな考え方がありますので、必要によってはいま言ったように協力しても差し支えないという趣旨を、通達なりあるいは考え方として各都道府県教育委員会にお示しいただくという方法はとれませんか。
#143
○説明員(加戸守行君) 先ほどもお答え申し上げましたように、本来的な用途でないわけでございまして、法令のたてまえからも、そのようなことは一応可能である、しかも地域の実情に応じた判断であるということでございまして、一般的な形で特定の活動に対しまして学校を積極的に利用させるような、そういうような指導は従来もとっておりませんし、また現時点においてもそういうような考え方は適当ではないんじゃないかと思います。ただ、個別のケースで、特にその地域の実情に応じてはまだ十分な体制が整われていないためにある一定の活動が実施しがたいというような事情があれば、当然それは教育委員会の適切な判断によって行われるということでございます。一般的な指導の従来の考え方によってその範囲で十分カバーできるものと考えております。
#144
○橋本敦君 要するに、おっしゃることはそういう指導通達等出さなくても実情に応じて教育委員会が自主的判断で協力し得る体制があると、こう考えたと、こういうことですね。わかりました。
 時間がなくなりましたので最後に質問をしたいと思うんですが、この子供たちが学童クラブに行っているのを私も見ました。非常に明るいです。大阪で見ましても、学童クラブに行っている子供たちから自殺者、非行者、これはほとんど出ていないといううれしい話を聞いてまいりました。この「学童ほいく」という本の中でも「きょうもがくどうにきて、 いっぱい あそべて よかった。これからも つづけます。がくどうにくると おもしろい おともだちが いっぱいいるもん」、こういう一年生の子供の作文があります。つまり子供のコミュニケーションがそこでできる。そしていい指導者があれば教育的配慮と保護的配慮が前進をする、これは非常にいい、社会的な目があるわけですね。それに比べて、いま私が指摘したように、国の補助システムとその補助金そのものが非常に少ない。たとえば五十三年度で一億一千万ですが、私が指摘しましたように、寝屋川一市の年間の出している金額と国が全体で出している金額とほぼ同じだ、大阪府以下だと、こうなりますね。それで、いただいております国民年金法の一部を改正する法律案参考資料の一番最後に、五十四年度厚生保険特別会計児童手当勘定歳入歳出予算予定額表がございますけれども、これを見ましても、たとえば予備費が四十億も残されている。それから福祉施設が百三十一億計上されておりますが、この中でいまの健全事業対策が一億何千万しか出ていない、こういうことですから、私はこの予算という面から言えばまだまだ補助金を上げるということが可能である、これは大臣の判断でできるのじゃないかと思うのが一つ。私も大臣が「放課後の子供たち」という映画を御鑑賞いただいたというのを運動やっている人たちから聞いて、大臣も感激していただいたんじゃないかと思うんですけれども、一つは補助金の増額という問題。それから二十五坪という坪数、大体それ以上です、私が調べて見ましたらプレハブを建てているのは。一般の子供は遊びに来ています。そこには野球の道具いろいろな施設も整っておりまして非常に明るい、まあ言ったらミニ児童館のようなかっこうに学童クラブがなっておりますよ。だから、この既設の学校の中のプレハブの児童クラブの建物を、将来児童館をつくるという厚生省の考え方のそこへいく一つのワンステップとして、ミニ児童クラブということで特例的に認定をして、そして運営補助費を出すということをやっていただく方向を思い切って政府として検討していただいたらどうかと、こういう気もするんですが、この二点についてお尋ねをいたしまして、時間が参りましたので質問を終わります。
#145
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほどからの御指摘、私も自分の郷里でスポーツ少年団のコーチをいたしておりますから、学校保育であれ、学童保育であれ、その他の場所であれ、子供会その他ボーイスカウト、ガールスカウトあるいは海洋少年団、こうした子供たちの集団の訓練あるいはクラブ活動等の中で、大変子供たちが明るくなっていくということは、これはもう御指摘のとおりでありまして、私どもこういうものを積極的に育成していく体系が地域社会の中に生まれることについては大賛成であります。そうした観点から、いままで私どもも児童館等の整備を図ってきたわけでありますが、基本的にいま私どもが一番考えなければならないのは、実は入れ物づくりよりも人の問題でありまして、よきリーダーを得るということが実はそれぞれの分野において一つの大きな課題になっておることは御承知のとおりであります。ですから、そうした観点から、私どもは今後も努力をしていきたいと思いますし、また文部省、統一的な考え方としては地方課長の御答弁のような形でありますけれども、事実、実態においてその趣旨を生かして地域社会において学校開放等が非常に進められておる。そして、それが地域社会の子供たちばかりではなくて、ある場合には社会人スポーツその他にも非常に大きな役割りを果たしておるということは事実でありますので、当然私はこうした方向もお続けをいただける問題だと考えております。
 ただ、最後に御提起になりました、いわばミニ児童館とでも言うべきもの、これを国の補助対象に取り上げてはどうかという御提案は、これは残念ながら私としては同意ができません。と申しますのは、非常にそういうものに対して熱心な地域もありますが、実は大変不熱心な地域も現実にあちらこちらにあるわけでありますし、またそうしたクラブハウス的なものの内容についても、規模等につきましても、また使われ方についても非常にバランスがとれておりません。そうなりますと、一体そういう状況の中で、どこをとらえて一つの基準として設定するか、これは非常に大きな問題がございますし、またクラブハウス的なものはあるが、そこに対して職員を配置しているところというのはまた非常に少ないわけでありまして、そういうものが現実にない状況も御承知のとおりであります。そうしますと、むしろ私どもとしては、たとえば少年団体指導者研修費とか、その他いろいろなこうした問題についてのリーダー養成といったものに対する予算というものは国の中にあるわけでありますから、むしろそういうところに着目して、対応をむしろ考えるべきではないだろうか、その建物の性格に着目をして、非常に態様的にばらつきのあるものをミニ児童館としてとらえるということには、私は現実上無理があって対応し切れるものではないという感じを持ちますので、この御提案については私はちょっと賛成をいたしかねます。ただ、目指される方向というものについては私どもも同種の考え方を持つものでありますから、今後ともに厚生省としても努力をしてまいりたいと思います。
#146
○橋本敦君 補助金額の増額についてだけ、局長済みません。
#147
○政府委員(竹内嘉巳君) 都市児童健全育成事業の補助額の増額の問題でございます。私ども決してただいまの状態が十分だとも思っておりませんし、単位当たりにつきましても全体の規模につきましても、できる限りの努力を今後とも続けてまいりたいと、かように考えております。
#148
○下村泰君 五十三年、去年の五月の九日にこの参議院の社労委員会が開かれました。そのときに質問をいたしました私のここに議事録がございます。この中からまず一つ聞いていただきたいと思います。
 実は、この年金問題というのは非常にややこしゅうございます。そのときに大臣は小沢辰男さんでございました。で、厚生大臣にこういうことを伺いました。「大臣として、三十六年から始まって二十年とすれば五十六年です、二十五年掛けている人は六十一年です、その一定の期間が来て完全実施されるようになったら、本当に安心していられるのかいられないのか、それをまず聞かしてください。」、この私の質問に答えまして小沢前国務大臣は、「一定の期間が来まして老後になった場合に、十分安心できるような所得保障が必ず出ますよとおっしゃっていただいていいと思います、」。というのは、これはラジオの放送やっております関係上こういう種類の質問が来ます。それに対してどういうふうに私が答えたらいいのか、答え方を教えてくれと、こういうことを大臣に言うたわけです。「一定の期間ということをおっしゃれば、標準的な期間が来れば大丈夫ですよと言っていただいていいと思うんです。ただ、その官民格差の問題は、厚生大臣にこういう格差をそのままにしておくのはけしからぬじゃないかと言ったら、将来はこれはどうしても直していかなきゃならぬと言っておりましたと、こうおっしゃっていただきたい。いま直ちにはできません。将来はこれを必ず国民は平等な方向でやっていくように努力すると、こう言っておったとおっしゃっていただきたいと思います。」、こういうふうにお答えになっております。ところが、先ほどの各委員のお話を聞いておりますと、将来というのは一体いつごろかさっぱり見当がつかないようなやりとりでございました。それで私が、「それは大臣はいまそういうふうにおっしゃっていて気が楽なんですよね。あと何年大臣がおもちになるか。すると、果たしてそのいま小沢厚生大臣がおっしゃったことを、次の大臣がどれだけ受け継いでくれるのか、そういうことが問題でしてね。何かお話しございましたら、局長、してください。」、これに木暮年金局長がこう答えてくれております。「いま大臣がお答え申し上げたとおりに私も思っておるわけでございます。大臣の御趣旨を体しまして努力をしてまいるつもりでおります。」、これが局長のお答えですね。で、その前にもう一項入るんですが、こんな簡単な年金問題ですね、掛けたものがそのまま返ってくるのがややこしくなった、だれでもわかりやすい仕組みになっているものがなぜこんなわかりにくくなったのか御説明願いたいと年金局長にお伺いしたら、局長が「大変むずかしい御質問でございです」、これが答えだった。それから今日に至るまでどのくらいわかりやすくなったのか、先ほどお話伺っておりましたが、やっぱり私はわからないんです。
 それで、いまここに小沢厚生大臣も答えていたんですけれども、厚生大臣に伺いますが、たとえば、いま国民の一人に投書を受けて、年金問題は心配ありませんよと、こういうふうに小沢厚生大臣が言っておりましたが、今度の橋本厚生大臣はこう言っておりましたといって、自信を持って私が答えられるようないまひとつ御説明をいただきたいと思います。
#149
○国務大臣(橋本龍太郎君) いま拝聴しておりまして、小沢前大臣の日本語の選び方が非常に巧妙かつ適切であるのに感心をしておりますが、私も基本的に国民に年金制度の将来について不安を抱かれるようなものに今後の改正でするつもりはないということだけは明快に申し上げておきたいと思います。
 その中において、たとえば支給開始年齢といった一つのポイントをとらえ、ちょうど私の世代のころに六十五から支給開始にするんですということまでが将来の不安材料であると言ってしまわれれば、それはそう不安材料がないとは決して申しません。しかし、現在六十歳から支給開始のものが――いま私は四十一でございます。この現在の定年制がその時期においてもそのまま残っておるようであれば、これは日本自体がとんでもない話になっておるわけでありまして、私は日本という国がそれほどばかな国だとは思っておりませんから、当然そこまでの中において現在の労働慣行というものもよりよい方向に変わっていくべきでありますし、また変わっていかなければなりません。そういうものとあわせてお考えをいただく限りにおいて年金制度が悪くなるとは決して私は思っておりません。
#150
○下村泰君 木暮年金局長に伺いますが、大変局長もむずかしいという御答弁でございましたけれども、年金局長として、非常にむずかしくなくなる年金支給の時期というのは一体いつごろになりますか。
#151
○政府委員(木暮保成君) 昨年、年金がわかりにくいというお話がございまして、私も年金局長になりまして一年ぐらいの時期でございましたのでむずかしくて自分自身が困っておったわけでございます。で、その後年金の改正をするということでいろいろ基本懇等でも勉強さしていただいたわけでございますが、年金制度は私はますますむずかしくなるんじゃないかというふうにいまでは思っております。と申しますのは、その年金を一つ改正しますと、いままでのことは全部御破算というふうにできません。ですから、これからはこういうふうにしますと、従来の分は従来どおりの計算をしますということにならざるを得ないんじゃないかと、そういう積み重ねができてまいりますので、私は年金というのはだんだんむずかしくなると、改善をすればするほどむずかしくなるんじゃないかというふうに思っております。ただ、いま社会保険庁の年金部長が出席しておりますけれども、年金保険部の方で事務処理のコンピューター化をやっておりますので、それが進むにつれてもう国民の方から御照会があればたちどころにお答えができると、そのルール自体は非常にむずかしくなると思いますが、御相談には端的にお答えできるようになるんじゃないかと、それが一つの救いになるというふうに思っております。
#152
○下村泰君 そうしますと、その事務処理の段階で機械に頼らなければできない。いま私がお尋ねしたのは、年金局長にその制度がわかりやすくなるのは何年ごろかといまお尋ねしたんですけれども、そうしますと、機械に頼ればわかりやすくなるけれども、人間様ではだめだということになる、そういうことですか。
#153
○政府委員(木暮保成君) 制度自体は改善を重ねる都度、前のやり方を全部御破算にできません。前の部分は前のお約束で年金を計算をするということにならざるを得ないと思いますので、幾通りものやり方を積み重ねてある人の年金が出るということになろうかと思いますので、非常にわかりやすくなる時期というのは来ないんじゃないかというふうに思います。
#154
○下村泰君 大変年金局長もお苦しみの御様子で、なるほどこういうものは改正されればされるほど、あのときはどうなったのか、これからどうなったのかというようなことになりますからよけいややこしくなるだろうと思いますが、ただ、そこで心配なのは、コンピューターに入れ込むということになると、またもや人間一人一人の国民背番号時代みたいなことにもなりかねない、ちょっとそこのところが心配なんですけれども、これはまた別の問題になりますがね。
 さあ、そこで障害福祉年金についてお尋ねをいたします。この社労調査室の国民年金法等の一部を改正する法律案参考資料追補によりまして、修正された端数のないきれいな数字、これは大変私はいいと思うんです。三百円とか五百円というのは非常にわかりにくくってしようがない、いろいろ計算する場合にもできれば五千円、一万円単位が一番よろしい。これはもっともいただく方の都合でございますが、暗算もしやすい、ついでにこの福祉手当の方も思い切って一万にしたらすっきりするんじゃないかと思いますけれども、さて、障害福祉年金の一級とか、あるいは福祉手当が受けられる人たちはどのような障害を受けている人たちを指しているのでしょうか。
#155
○政府委員(木暮保成君) 国民年金の一級障害が出る場合でございますが、目でまいりますと「両眼の視力が〇・〇二以下に減じたもの」、耳でまいりますと「両耳の聴力が、耳殻に接して大声による話しをしてもこれを解することができない程度に減じたもの」、それから上肢でまいりますと「両上肢の用を全く廃したもの」「両上肢を腕関節以上で失ったもの」「両上肢のすべての指の用を廃したもの」、下肢でまいりますと「両下肢の用を全く廃したもの」、それから「両下肢を足関節以上で失ったもの」、こういう廃疾の程度の方に一級の年金が出るわけでございます。
#156
○下村泰君 そして身体障害者福祉法が制定されて、これは昭和二十四年十二月二十六日。国民年金法の障害福祉年金の制度ができて、これが三十四年の十一月一日と。国民年金法の障害福祉年金の制度からもう二十年、そして身体障害者福祉法が制定されてから三十年、こういう月日がたっております。ところが、いま局長が御説明なさってくださったのはまことにありがたいんですけれども、これ実にどうも、私が強調したいのは等級云云ではなくて、その重度、一級の障害者の中にも、障害を克服して一般企業に働き、社会的にもまた経済的にも自立している人たちや、そうした方向を目指して福祉工場で働いている障害者もいるわけですね。それからまた授産所や福祉作業所で働いている障害者もいます。それから、私が常に公的援助をなすべきであると主張している共同作業所で働く障害者、もっと障害が重く、親の死後の生活に大きな不安を持ちながら在宅障害者としてひっそりとさびしい毎日を送っている人々もいるわけです。で、同じ一級の障害福祉年金や福祉手当という国の制度なんですけれども、この範囲の中でもその実態が多種多様なんですね。そうしますと、同じ一級で、いま年金局長が内訳してくださいましたけれども、その人たちも同じにみなすということがなかなか見にくいんじゃないかと思うんです。つまり、一級という障害の度合いの等級数はあっても、その中に本当に自分で働ける人、まるで働けない人もいるわけですね。そういうもののランク分けといいますか、働ける人とまた働けない、まるでできない人と、そういうような分け方ということは、厚生大臣考えられませんか、それとも考えますか。いいですよ、どちらでも。
#157
○政府委員(木暮保成君) 障害年金を受けられる方の社会復帰の状況というのはさまざまだと思いますので、どういう場合にはこういうふうになるということは一概に言えないんじゃないかと、そのお一人お一人について認定をしていくより仕方がないんではないかというふうに思います。
#158
○下村泰君 その認定の場合なんですけど、いま申し上げましたとおり、つまり、並べて一級といいますと、中にはきちんと働ける人もいらっしゃるわけです。中には全然働けない人もいるわけです。そういう方に対する手当の方法というのもまた別な角度から考えられるじゃないかというのが私の発想なんですけれども、どうですか。
  〔理事片山甚市君退席、委員長着席〕
#159
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに私は下村さんが言われるように何らかの工夫をすることは理論的には不可能ではないと思います。たとえば、その人が同じ障害を持ちながら職場を持ち完全に自活ができる場合、自活はできないが生活費の一部また大部分を収入として受け取ることができる場合、ごくわずかの手当を受け取ることができる場合、完全に職場につけない場合、そういった場合を考えてみますと、同じ一級障害の中で、あるいは同じ症状の障害者の中で、たとえば所得水準によって何ランクかをつけるという方法も理論的には不可能ではないと思います。ただ、現実問題として、たとえば完全に先天性の視力障害、完全失明の視力障害者の方で、現実にたとえば大学に進んでおられる方もだんだんふえてきておる、当然新しい職域に進出していかれる方々もある、そういうものを考えていきますと、私は所得水準によって段階をつけるということも実態は非常に困難になるんではないだろうか。そうなりますと、やはり一つの症状、その程度というものに応じて一級、二級の判定をし、同じ一級という格づけをした障害者の方々に対しては同等のやはり対応をするということにならざるを得ないんじゃないか、実態上そういうことになるのではないかと思います。
#160
○下村泰君 それでは、次は所得制限について伺いたいんですけれども、いわゆる所得制限について、この障害福祉年金と福祉手当の所得最低限度なんですけれども、これは一体この金額はどういうところを基準にしてはじき出したんですか、一度聞かしていただきたいと思う。
#161
○政府委員(木暮保成君) 所得制限には、御本人の所得制限と扶養義務者の所得制限と二通りあるわけでございますが、ちょっと一年前にさかのぼるわけでございますが、五十三年度の予算を編成いたしますときに、所得制限のあり方につきまして非常に大きな議論をいたしたわけでございます。扶養義務者の所得制限は当時八百七十六万円でございまして、扶養義務者が八百七十六万以上の所得がある場合には福祉年金は遠慮していただくということであったわけでございます。一方、本人の所得の場合には百六十四万円所得があった場合には福祉年金を支給しないという形になっておったわけでございます。それで、その八百七十六万と申しますと、役人で言いますと部長、次長クラスでございます。で、部長、次長クラスの保護者がいる場合に年金が出ないということでございますが、これはある意味では恵まれているんじゃないか。一方、老齢福祉年金なり障害福祉年金をもらっておられる方が、苦労して百六十四万円の収入があればもらえなくなるというのはむしろ厳しいんじゃないか。で、これからの低成長下の経済を考えますと、福祉も重点志向をしなければいけないんじゃないかという議論が出まして、八百七十六万の方は八百五万ぐらいに下げてもいいんじゃないか、それに対しまして本人の所得制限は思い切って上げるべきじゃないだろうかという議論になりまして、本人の方は百六十四万を二百万に上げたわけでございます。で、扶養義務者の方は八百五万ぐらいまで下げてもいいんじゃないかということでございますが、一挙に八百五万に下げるのは問題があろうということで八百七十六万で足踏みをするということにいたしたわけでございます。
 ことしの予算ではそれを引き継ぎまして、本人の所得制限は、昨年の二百万の水準が実質的に保てますように二百八万にスライドさしております。一方、扶養義務者の所得制限は引き続き八百七十六万に据え置きということで、そういう沿革で決まっておるわけでございます。
#162
○下村泰君 東京都と区市町村が共同で出している心身障害者福祉手当の場合は、独身者の場合で約二百七十二万円まで認めているんですね。国の方は今度は百五十八万ですか、独身者の場合。
#163
○政府委員(木暮保成君) 一人の場合ですか。
#164
○下村泰君 はい、一人ですね。
#165
○政府委員(木暮保成君) そのとおりでございます。
#166
○下村泰君 そうですね。ところが、東京都の区だとか市町村では二百七十二万円。障害者というのは、無理やりに働けとは申しませんけれども、自立を目指して努力をしている人々に対してもっと働きがいのある、そして働いても損をしない年金にする必要がある、こんなふうに考えるんです。
 まず、幾つかの例を挙げますと、大田区にあります大田福祉工場は、以前にも私が紹介いたしました、予算委員会で。東京コロニーと兄弟関係にある印刷工場なんですけれども、ここではパートなどを含めて現在八十二名います。そのうち障害者が四十七名です。そして福祉年金をもらえる人は一級が十一名、二級が十名、計二十一名おります。この人たちの実情をよく聞いてみたんですけれども、仮にA子さんとします。この人の場合、車いすで二級なんです。経験七年というベテランタイピストなんですけれども、職場では班長さんをやっております。その責任を果たすために残業しなくちゃならない。で、五十二年度の総収入が百五十六万二百一円、当時の限度額は百三十二万五千円なんですね。そうしますと、二十二万五千二百一円のオーバーとなりまして、十八万円の年金が停止されたわけです。ですから、A子さんの場合には、百三十三万五千円までで働くのをやめておれば、十八万円プラスした百五十一万五千円の生活ができたんです。しかし、班長としての責任感から一生懸命百三十六時間の残業をしまして、百五十六万二百一円、つまり国の基準より四万五千二百一円だけ豊かな生活――これ豊かであるかどうかわかりませんけれども、こういう生活ができたということなんです。本人は、自分の責任で働いたのだから自分の働いたお金で生活しましたと、これはけなげにも言っています。
 またB君、この人は血友病というんですね、関節に何か血がたまる、こういう難病で二級の障害者なんですが、健康管理と医者の定期的診察が必要なため、月のうち一、二回仕事を休むため年金を受ける。自立して生きていくためには自動車でも必要であり、そのための経費もばかにならないとこの人は話をしているわけです。この人はたまたままじめに――まじめにというのはおかしいですが、つまり診察に行かなければ、これまたこの方もオーバーするんです。たまたまこういう難病を持っているために診察、治療に行くために年金が打ち切られないぐらいの額を働く、こういうことなんですね。
 ここで一番問題になりますのは、いわゆる障害者が、今年度の場合百五十八万円を一円でもオーバーすれば三十六万あるいは二十四万円というのはもらえなくなるんですね。生活の実感、経済実感として、働いて得た収入、これは勤労意欲とのバランスが非常に問題になると思うんです、この場合は。で、福祉というものは、身体障害者福祉法の第一条の「目的」、第二条の「更生への努力」、第三条の「国、地方公共団体及び国民の責務」等々いろいろあります。これらと照らし合わせても、また心身障害者対策基本法第六条「自立への努力」の精神と照らし合わせましても、さらに「身体障害者福祉工場の設備及び運営について」の要綱の一の「設置の目的」にあります「健康管理のもとに健全な社会生活を営ませること」の精神から見ても、三十六万ないし二十四万円という金額のハンディは相当大きいものではないか。これはしかしおわかりいただけると思うんですよ。で、中にはこういう会社があるんだそうですね。普通のいわゆる大企業ですね、普通の大企業で、そういう方々をお雇いになる場合、あんたの働きに応じてこれだけの給料をやるとオーバーするよ、オーバーすると年金がもらえないよ、年金がもらえないと損だろう、だからこれだけで抑えておくよというような企業もあるというんですよ。こうしますと、たとえば一円や二円のオーバーというのをもう少し何か考えて、たとえばどこまでオーバーしたらこれだけとか、どこまではこれだけというような――私はすぐにランクづけが好きなんですが、線引きといいますかな、どこかでそんなような方法は考えられないでしょうか。一円オーバーしたために二十四万あるいは三十六万が削られる。そうでなくして、一円からここまでオーバーした場合にはこれだけとかというような方法というのは考えられないものでしょうか。
#167
○政府委員(木暮保成君) 現在の所得制限は本人で言いますと二百八万円一本でございますので、それを超えますと福祉年金が出なくなるということになるわけでございます。で、いまのお話を解決するためには、二百八万という下にランクを幾つかっくるということをすることになるんだろうと思いますが、まあ仮に下にかなりランクをつけましても、それぞれの段階で問題が出てくることは避けられない。もう一つ問題なのは、二百八万の下にランクをつけますと、たとえば百万までの方にはいまと同じ二万円出すと、しかし百五十万の場合には一万五千円と、二百八万の人には一万円というような年金額の方も小刻みにしなければならない。事務的な煩瑣の問題もあるわけなんでございますが、制度的にもそういうような問題が出てくるのではないかというふうに思います。
#168
○下村泰君 全国各地の授産所とか福祉工場でいま働いていらっしゃる方々が、いま私申し上げたように一円でもとにかくオーバーすると年金を抑えられるということで、本人がいろいろ工夫しているんですよ。たとえば昇給を辞退する人、それから欠勤をわざとする人、それから残業を拒否する人、こういうような心理状態にこういう方々を追い込むということは、果たして先ほど申し上げましたような福祉法にうたわれている精神にのっとるものであるかどうか、これは問題じゃないかと思うんですよ。せっかく厚生省の方でもいろいろこういう方々のために工夫をしてくださって、こういうふうにして皆さん自立してくださいよ、こういうふうにして更生してくださいよという方法は与えながら、その意欲を削り取るという、これは仏つくって魂入れずというような形になるんじゃないかと思う。それは真の私は厚生省のやり方じゃないと思うんですよ。少なくともそういう方々に対して、温かい国としてこれだけのあなた方に手を差し伸べているんですよ、その方たちはまたそれに甘えることなく一生懸命やろうとしているのに、こういうふうなために自分で昇給を辞退するとか、欠勤をして調整するとか、あるいは残業を拒否するとか、こういうような心理状態を与えて果たしていいものかどうか、厚生大臣どうでしょう。
#169
○国務大臣(橋本龍太郎君) たまたま先ほど私は、同等の障害を持たれる方の中でその所得の状況等で刻みをつくる方法も理論的には考えられるけれども、これも実際にはなかなかむずかしいんじゃないだろうかということを申し上げました直後にその御議論が展開をされたわけでありますが、私は理論的には下村さんの言われるようなことは一つの考え方としてあると思うんです。ただ、実行上これは私は対応は非常に困難だろうと、むしろいまの御議論を聞いておりまして私が感じましたのは、先ほど局長が、たまたま昨年の予算編成の際の論議と、また本年度の予算編成の場合の論議を例にとりまして、いわゆる扶養義務者の所得制限の方なら、それは局長、次長クラスの給料の方々のところから上の方にはがまんをしていただくが、むしろ本人所得の方にその分を積みまして、本人所得の所得制限そのものを引き上げていく方向が厚生省として考えるべき方向ではないかと思うということを申しました。私も同様の考え方で対処すべきものであって、むしろその刻みをつくって二段階も三段階も――逆さに言えばこれは二段階も三段階も調整して制限をかけるということにもなりかねないわけでありますから、逆にむしろ本人所得制限を引き上げていくことに私は厚生省としては努力すべきではないかと思いますし、またそういう方向を目指したいと私は考えております。
#170
○下村泰君 それから、たとえば御両親が健在で、そして十分に働き得る、先ほどからのお話にも出ていますけれども、そういう御両親がそういう障害児のお子さんを持った場合、幼児から、たとえば二十歳の成年期まで年金として積み立て、これを厚生省がお預かりして、まあ厚生年金と同じように預かって、そして国の方から今度は支給してみるなどという制度というのはいまおありなんでしょうかね、そういう制度は。
#171
○国務大臣(橋本龍太郎君) ちょっといま正式な名前を忘れましたが、心身障害児の扶養共済保険制度というものは現在も動いております。ただ、その内容がまだ十分に成熟をしておらないという問題点がありまして、なおその制度の改善を私どもは考えていく責任はございますが、制度的にはそういうものが動いております。ちょっと児童家庭局おりませんので、正式な名前は後ほど御報告をさせていただきたいと思います。
#172
○下村泰君 時間が来ました。これで終わりにいたしますけれども、とにかく、橋本厚生大臣もそういうお子様をお抱えになっていらっしゃるとこの間ちらっと承りました。幸いにして私のうちの……
#173
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私の方は親がそうでありまして、私が抱えられていた方であります。
#174
○下村泰君 そうですか、大臣が抱えているわけじゃないんですか。私は幸いにして、三人とも少し薄らばかではありますが大変丈夫なせがれを持っておりますので、そういう親御さんたちの御苦労がよくわかりません。したがいまして、一生懸命やらせてはいただいておりますけれども、ひとつ今後ともそういう方たちのために、とにかく血肉の通った行政をやっていただきたいことを要請いたしまして終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
#175
○柄谷道一君 年金制度の抜本改革の方向につきましては、十一日に年金問題の集中審議が予定されておりますので、改めてその際に質問をすることといたしまして、本日は国民年金に限って若干の質問をいたしたいと存じます。
 まず、質問に先立ちまして、わが党及び公明党の要求に対応されまして、老齢福祉年金、国民年金の五年年金、それから障害福祉年金、母子福祉年金及び準母子福祉年金、さらに児童扶養手当及び特別児童扶養手当、福祉手当等の額が引き上げられまして、衆議院でこの修正可決が行われましたことを評価いたしたいと存じます。
 私の持っております資料によりますと、国民年金の被保険者の数でございますが、制度が発足しました昭和三十六年の千八百二十四万人と対比いたしまして、五十一年には二千六百四十六万人、四五%の伸びを示しております。しかし、これを私なりにこの被保険者の伸びを推定いたしますと、一つは任意加入者がふえてきたということがその一つの要因であろうかと、こう思います。第二には、制度発足当時は五十歳以下の者だけを適用いたしました。そのために年々被保険者の年齢の上限が一歳ずつ延びることによる被保険者の増加であったと思います。
 そこで、この国民年金保険制度が本来予定をいたしました二十歳以上六十歳未満の者が強制被保険者になり終わった昭和四十六年を起点といたしまして、五十一年までのこの六年間強制被保険者が一体どれだけふえたかということを調べてみますと、それは千九百万人から二千万人にふえたにとどまっております。したがって、私はこの被保険者の伸びというものは、今日までの状態はむしろレアケースであって、制度が本来的に発足した以降は横ばいといいますか微増といいますか、そういう傾向を示しておると、こう理解してよろしゅうございますか。
#176
○政府委員(木暮保成君) 御指摘のとおりだと私どもも思っております。
#177
○柄谷道一君 そういたしますと、逆に昭和三十六年から五十一年までのこの十五年間、厚生省の統計によりますと、二十歳から五十九歳までのいわゆる労働人口と、こう言われる人々は三二%増加いたしております。にもかかわらず、いま局長が御答弁されましたように強制被保険者の数は横ばいを続けているということになりますと、これは推論、推定いたしますところ、この間高度経済成長時代が続きましたために、いわゆる第二次産業を中心とする被用者保険の方にこれらの人口は吸収をされてきたという判断は間違いがないと思うんですが、いかがでございましょう。
#178
○政府委員(木暮保成君) 御指摘のように二十歳から五十九歳までの人口は、昭和三十六年を一〇〇としますと、昭和五十二年に一三二になっております。厚生年金の被保険者は、三十六年を一〇〇といたしますと五十二年は一六二ということで、二十歳から五十九歳の人口の伸びをはるかに超えて伸びておりますので、ほとんどは厚生年金にふえた部分が吸収されているんじゃないかというふうに私どもも判断いたします。
#179
○柄谷道一君 そういたしますと、これは国民年金の財政的立場から見るわけでございますけれども、逆に現在減速経済時代に入ってきたわけでございます。高度経済成長時代はそのように被用者保険の方に相当吸収がされたわけでございますけれども、今後減速経済下、一体被保険者の数がどういう推移をたどると推定されておるのか、これをお伺いします。
#180
○政府委員(木暮保成君) 将来の産業構造の変化というのはなかなか見通しはっけにくいわけでございますが、私どもなりにこれまでのトレンドで将来を推計をいたしておりますが、それによりますと、国民年金の被保険者のうち強制グループが現在二十万でございますが、これが八十五年になりましてもほとんど同じというふうな推計が出るわけでございます。一方厚生年金につきましては、五十二年の段階で二千四百万人ぐらいの被保険者がいるわけでございますが、これは昭和八十五年の時期には三千百万ぐらいになるんじゃないか。従来のトレンドからの推計でございますので当然とも言えるわけでございますが、やはり厚生年金に被保険者の増が見られ、国民年金の場合には二千万の台で強制被保険者は横ばいになるんじゃないかというふうに思います。
#181
○柄谷道一君 すると、年金の成熟度を見るという意味における分母ですね、分母はいま局長が言われましたように若干の微増はあるでしょうけれども、約二千万人台、現在の被保険者数が、これは強制被保険者でございますが横ばいをしていく、分母は余り大きな変化がないという推定はわかりました。すると、今度は分子の方でございます。現在拠出制老齢年金受給者の数は昭和五十一年度で三百三十七万一千人、こういう数値が出ております。それでは、この分子に当たる受給者の方ですね、しかもそれは拠出制老齢年金に限りましてどういう推移をたどると見通しておられますか。
#182
○政府委員(木暮保成君) 国民年金の場合でございますが、老齢年金の受給者は現在大体四百万程度でございまして、それも若干ずつふえてまいりまして、仮に昭和八十五年で申し上げますと七百万程度になろうかと思います。で、それに対しまして被保険者でございますが、強制被保険者、任意加入被保険者を合わせまして現在二千七百万人程度でございますが、これは昭和八十五年になりましても、先ほどの御指摘のように二千八百五十万ぐらいと百万程度しかふえないわけでございます。この分母、分子で見ますと、現在老齢年金受給者が被保険者に占めるパーセンテージは一五%程度でございますが、分母が大体横ばい、分子がふえてまいりますので、だんだんだんだんふえてまいりまして、昭和八十五年の時期で申しますと、そのパーセンテージは二四・五%ぐらいになるんじゃないかというふうに推計をいたしております。
#183
○柄谷道一君 八十五年の数値はいま言われたとおりだと思いますけれども、その内容をさらに分析をいたしますと、昭和六十年代に入るころまでは、いま言われましたように強制老齢年金の受給者の数はふえていきますけれども、そのころからぺースを落としてまいりまして、ほぼ六百万人の台に達する七十年代以降は、受給者の数もまた横ばい傾向を続けていく、そういうふうに判断して間違いないわけですね。
#184
○政府委員(木暮保成君) 御説明を少し簡略にし過ぎましたけれども、御指摘のように、昭和六十年代に受給者は六百万人の大台に乗りまして、それからは微増になるという傾向でございます。
#185
○柄谷道一君 老齢年金の受給者数を仮に五十二年を一〇〇といたしますと、厚生省が年金基本懇に出されました統計によりますと、厚生年金は七一〇、それから船員保険が四九六、共済組合が二八四と昭和八十五年ぐらいにはふえていく。これに比べて、いまの御説明でございますと二〇〇をちょっと割る程度でございますね、五十二年を一〇〇とすると。私の方の試算では一九三程度の伸びになると、こう思うんです。で、そこまでふえたらほぼ制度がここで成熟のピークに達しまして、それから横ばい現象を続けていく、そういう理解でいいですね。
#186
○政府委員(木暮保成君) 御指摘のとおりだと思います。
#187
○柄谷道一君 そうなりますと、いま局長が言われましたように、成熟度の問題も、現在の約一五%弱の成熟度が二四%程度に八十五年にはなる。これはほぼ倍に成熟度はふえるわけでございますけれども、それがその後は分母も分子もさして大きな変化はないということですから、国民年金の成熟度はおおむね二四、五%、それで将来の国民年金の展望を考えればいい、こういうことですね。
#188
○政府委員(木暮保成君) そういう実態だというふうに私どもも思っております。
#189
○柄谷道一君 といたしますと、これは大臣、いままでの質問を全部組み合わせてみますと、国民年金という視点に立って問題を考えますと、いわゆる中期的、いわゆる昭和六十年ぐらいまでは相当の問題点が出てくるであろうと、しかしこの十年という視点から見れば問題は生じてくるけれども、それ以上の長期的展望というものに立つと、これは他の厚生年金、船員保険、共済年金とはまた異質の姿が出てくるわけでございます。で、早く成熟しておるかわりに早くその成熟のピークに達するということがいまの質問の中で明らかになったわけでございます。すると、年金制度基本構想懇談会は、年金制度の成熟に伴う費用負担の増大ということを非常に強調されておるわけでございますが、これはあらゆる年金を全部含めてのいわゆる総論でございます。しかし、国民年金は、いま申されましたようないわゆる十年以内が勝負と、こういうことになってくるわけですね。で、私は、他の年金制度の抜本改革、これはこれから真剣に進められなければなりませんが、早く問題があらわれ、早く問題が終結していくであろうというこの国民年金について、他の年金との総合検討の関連の中で、一体どういう位置づけを行ってこれからの国民年金の改正検討というものが行われていくのか、これらについて、他の年金制度と成熟度を非常に異にいたしておりますので、大臣の一応の基本的な国民年金に取り組む姿勢をお伺いいたしたい。特に他の年金制度との相違というものを踏まえた上での御所見を承れば幸いでございます。
#190
○国務大臣(橋本龍太郎君) 非常に専門的な数字の上からの御議論でありまして敬意を表しますけれども、私はいまの柄谷さんの御指摘、数字を詰めていかれた上から出てきた結論については多少考え方を異にしております。と申しますのは、これはお互いに国会としても論議をしてきた一部の責任はあるわけでありますけれども、私ども国民年金というものが、年金制度の根幹の一つとして国民に定着をすることを願いながら従来から制度の推進を図ってまいりました。その過程において、給付水準を昭和四十年代において相当程度大幅に引き上げはしてきたわけでありますが、ある程度政策的に、政府としてもそうでありましたし、また国会の意思としても、これは私も与党の当時理事として衆議院側で論議に参画をしておりましたけれども、給付水準の引き上げに比して保険料水準というものはある程度政策的に抑えてきた、そういう経緯が従来あって今日の状態になっておるわけであります。そういたしますと、構成する人口比から論議をすれば確かに柄谷さんの御指摘は間違っておりません。ただ、同時に老齢年金の受給者数そのものは、六十年代以降その増加率は落ちていくわけでありますけれども、同時に現在の受給者というものが拠出期間二十五年未満の経過的な年金の受給者でありますから、今度は六十年代に期間を満了されたいわゆる二十五年以上の加入期間のある標準的な年金を受給される方々が発生し出しますと、当然そこでも給付費は増大を始めるというわけでありまして、年々の収支を均衡させるだけでも、従来、制度になれていただくためにある程度給付水準を大幅に上げながらも保険料水準を抑えてきたということから、現在すでに国民年金の財政というものは非常に逼迫しておりますので、将来においてもやはり相当程度の保険料水準の引き上げというものは必要になるだろうと、私どもはそのように推定をいたしております。しかし、それもまた必要なことでもあろうと考えております。
#191
○柄谷道一君 私のお伺いしましたのは、財政的視点から事厚生年金に関しては受給開始年齢の引上げ、この是非はこれから議論するとして、それが示唆されているわけですね。ところが、現に国民年金の方は六十五歳でございますから、それを何といいますか、緩衝帯にするという財政措置は、事国民年金に関してはできないということはもう明らかですね。しかも厚生年金の方は、ただいままでの質問で約二十年ぐらいの期間をかけて漸次経過措置を講じながら長期財政計画をつくっていこうと、こういう方針である。ところが国民年金の方は、近々この十年以内の中に大きな変化があらわれてくるということです。すると、厚生年金の抜本改革と国民年金の抜本改革というものを、制度の成熟度の現状とか、それから現状、それから展望、こういったものを含めてみると果して同一ピッチでやっていっていいものだろうかという疑問が一点出てくるわけでございます。私も経過年金のことはこれから引き続いて質問することといたしますけれども、いまの点について私質問したわけでございますので、ひとつ大臣の御所見を伺いたいと思うんです。
#192
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変申しわけありません。数字を煮詰める上から出てくる御結論として敬意を払いながら聞いておりまして、多少視点を間違えて御答弁を申し上げたようであります。
 それは確かにいまのような成熟のピッチというものだけを比較すれば、それは柄谷さんの言われるような問題点が出ますけれども、同時にその保険収支の上からいきますならば、過去の政策的に抑えてきた水準というものが後代負担に残っておりますわけですから、問題の所在としては私は実は同じようなものがあろうかと思うんです。ただ、国民年金独自の問題としては、まさにいま触れられました経過年金及びその経過的な年金としての色彩を持つ福祉年金、この取り扱いをどうするかということ、これは国民年金における妻の任意加入を今後どう位置づけるのか、これは個人の年金権を中心に物を考えるのか、世帯単位の年金を基本に考えるのかという部分にも触れる問題であります。こうした問題点の論議の上において当然厚生年金とは違った視点の論議が必要であることは間違いありません。いま私どもは五十五年再計算を目指しておりますけれども、その中において、妻の任意加入の制度までは五十五年度の再計算において考え方を固定してお示しをするところまでちょっと進める自信がございませんけれども、少なくとも経過的年金、福祉年金を含めた経過的年金のあり方につきましては、関係審議会等の御議論を拝聴しながら厚生省として独自の考え方というものをやはり五十五年再計算に合わせて国会に御提示をしなければならぬと考えておりまして、目下鋭意検討している最中であります。
#193
○柄谷道一君 そこで、五十五年の厚生年金の再計算期に、体質は違うけれども、何らかの形で国民年金の方も抜本改正の第一段には着手しなければならぬだろうと大臣の言われることは、これはそのとおりだと思うし、現在の国民年金の実態を考えれば、厚生年金だけ先発さして国民年金がおくれていくということは、これは許される状態ではない、これは当然そう思うんです。
 そこで、その五十五年再計算に当たって国民年金の抜本改正を検討していこうとする場合に、いろいろ問題はありますけれども、私は大きな問題は二つあると思うんです。一つは、いま大臣も言われました経過年金の水準引き上げの問題でございます。大臣はいろいろなところでわが国の年金水準は国際的に見ても遜色がない、こういうことをよく言われております。しかし、これはいわゆる長期加入を前提とした、いわゆる公約ベースの水準であるわけでございまして、国民年金では現実には五年年金、十年年金などの経過年金がその大勢を占めておるわけでございます。大勢を占めているというか、いまそれしか支給されていないわけですね。それからさらに無拠出の老齢福祉年金がございます。こういう経過年金的なものはとうてい老後の生活を保障するという名に値しない水準である、これはもう大臣よく理解されているところだと思うんです。そこで、それらの経過年金を今度引き上げるということになりますと、一つの問題点としては、国民年金も他の公的年金と同様に拠出期間の長さに応じて年金額を計算するといういわゆる年数加算制を採用いたしておりますから、経過年金額の引き上げは当然全体的な水準を今度またプッシュしてくる、押し上げていく、こういう波及効果を繰り返していくわけですね。そこで私は、そういう副作用というものを余り真剣に考えると経過年金の水準は余り上がらない、経過年金の水準にある程度老後の生活保障的な要因を強化しようと思えば、これがいわゆる年数加算制の国民年金全体を押し上げてしまう、こういう非常にむずかしい問題にこれは直面していくと思うんです。そういう点を解決するための一つの発想として生まれておりますのが、いわゆる基礎年金構想といいますか、いわゆるナショナルミニマムの確立といいますか、そういう従来の年金制度とは一つ別個のといってはどうかわかりませんが、一つ例外に置いてのナショナルミニマムによる経過年金的な人々に対する生活保障制度の拡充という発想がそこに生まれてこざるを得ないのではないだろうか、こう思うのでございます。もちろんこれは審議会等で十分検討される問題でございましょうけれども、われわれがかねがね主張しております基礎年金構想と、いわゆる経過年金水準引き上げと、さらに年数加算制の問題、この三者を、じゃどう御理解され、認識され、対応されようとしておるのか、これはまあ今後の国民年金、特に経過年金に関する基本的な問題にかかわってまいりますので、現在の大臣の所信を明確にしていただければ幸いだと思います。
#194
○国務大臣(橋本龍太郎君) かつて民社党の方々も参画をされて、いろいろな学者の方々等を集めて御研究になった時代において、まあ今回基本懇から答申を出されましたような現行の制度存続を前提にして体系をつくろうというようなお考えも私どもも拝見をいたしておりました。そして、その後民社党としてまとめられました基礎年金構想、これは私どもも拝見をいたしましたし、またその目的とするところにおいて、今後の年金制度、国民年金制度というものを考える場合一つの意義のある御提案だったと私ども受けとめております。ただしかし、今回私どもは、基本懇に作業をお願いをし、そうした御意見等をも十分参酌をし、参考にさせていただきながら研究をしていただきました結論として、やはり現行制度からの円滑な移行というようなことを考えてまいりますと、やはりその基本的なものとしては現行の社会保険方式というものを骨組みにせざるを得ないというようなお答えをちょうだいをいたしました。そして、そういう個別制度が存続することを前提にしながら、それぞれの制度の中において各制度が横断的にバランスのとれた給付体系の整理を行うという方向をちょうだいをしておるわけでありまして、まあ私どもは基本的にこうした方向を踏まえながら、今後段階的、計画的に各審議会等の御意見など伺いつつ年金制度の改革に進んでまいりたいと、こう考えておるわけでございます。その中において、いま御指摘になりました経過年金、また福祉年金を含めたいわゆる経過的年金というものの位置づけというものは、これはネグレクトして通るわけにはまいりません。これについては確かに経過的年金を大幅に引き上げるということは、巨額な財源をどのように調達するかというような問題ももちろんあるわけでありまして、それについては基本懇の方でも新税の導入による一般財源の拡充でありますとか、あるいは各公的年金制度による共同負担等新たな財源措置についての検討をせよということを御指摘をいただきながら、まあ本来的な年金のバランスとか、あるいは長期的な年金財政への影響等十分考えながら進めていけというような御指摘をいただいているわけであります。これらの経過的年金の水準というものが、ある意味では国民年金全体の給付水準の設定を今後どうするかという問題と深くかかわっているわけでありますから、私どもとしては、これは非常に慎重に取り組まなければならない課題であると考えておりますと同時に、先ほども申し上げましたように、五十五年の再計算時において、当然厚生省として一つの考え方をお示しをしなければならない課題だと考えておりまして、むしろ今後積極的な御協力をいただきながら、私どもの考え方というものをまとめて世に問うていきたいと、それがいまの率直な気持ちであります。
#195
○柄谷道一君 私は基本懇の言っておられますいわゆる各種年金間をバランスをとりつつ調整するという視点から見れば、いま大臣の言われたような一応方向が出てくると思うんですけれども、もう一つ考えなければならないことは、年金とは老後のいわゆる所得保障であるというこの一点ですね、しかも、その経過年金の水準がきわめてまだ低いと、これも一つの現実なんです。したがって、その制度論として年金を一体どうするのかということと相並行して、いわゆるその老後生活保障のナショナルミニマムを一体どうすべきなのか、その視点から、いわゆる経過年金というのはこれは短期的なものですよね、永久に続くわけではないんです。その別途の視点からこの経過年金的なものの水準というものを配慮する、当然そこには財政措置というのが必要になってこようと思うんです。現在の既存の既念で、いわゆる年金制度の中の一つとして位置づけられた経過年金という視野からするならば、とうてい私は思い切ったこの水準引き上げは不可能ではないかと、こう思えて仕方がございません。まあその点、ここで大臣もまだ視野をお持ちでないということなのでございますから、深い議論ができないのはまだ残念でございますけれども、私の希望としては、そのような視点からこの経過年金問題が今後厚生省内部においても真剣に検討されることを期待いたしますし、私もまた今後機会を得ながらこの問題についてはさらに深く意見を申し述べていきたいと、こう思うわけでございます。
 そこで次に、第二の問題点は、いわゆる被用者の妻の国民年金に対する任意加入の問題でございます。現在七百万人を超える規模の加入者があると承知いたしておるのでございますけれども、今後長期の加入期間を満たしまして、任意加入者がいわゆる受給者になるという事態が生まれてくるわけでございます。そこで、現在の世帯単位で構成されている年金制度と、個人単位で構成されている国民年金の将来のあり方を一体どうするのか、これはまあ一つ大きな問題として横に置くことといたしまして、具体的にお伺いするんですけれども、その場合ですね。いわゆる現在任意加入で入っているという被用者の妻、これが老齢年金を支給されるようになる。しかし、その場合も、現行の厚生年金の遺族年金、これは現在では両方併給されることになるわけでございましょう。これが後退するということはありませんね。将来問題は別ですよ。いま入っているものは当然今後併給されるべきもの、これがいままでの権利が後退したり制限されたりするということはないということを確認したいと思うんですが、いかがですか。
#196
○国務大臣(橋本龍太郎君) もし現在のそのままの体系で論議をしますならば、それは後退ということはあり得ないということは申し上げられると思います。同時に、現実に国民年金の任意加入で、妻の方々がすでに七百万から八百万に近いほど任意加入をしておられるという実態は、いかなる状態があろうとこれを無視するわけにはまいらないと思います。ただ同時に、遺族年金のあり方そのものに私どもは検討のメスを入れたいと考えておるわけであります。御承知のように、基本懇の答申の中においても、ヨーロッパ並みの水準を考えろ、言いかえれば遺族年金イコール二分の一という考え方はだめだと、それに、むしろ単身になったからといって一遍で生活費が五割になるわけではないんだから、六割なり七割なりというものを目指せということを言われておるわけでありますから、この遺族年金の形が変わっていきました段階においては、私は当然やはりその中で何らかの調整措置というものを必要とする場合は出てくるであろうと思います。現在の体系そのままであれば後退ということはありません。しかし、遺族年金のあり方に変更が加わり、言いかえれば単身者の年金というものが従来の性格と変わってまいった場合においては変更はあり得ると私は思います。
#197
○柄谷道一君 現在のこの七百万人を超える被用者の妻の任意加入、一体それは何の期待があるのかということになりますと、自分も要件を満たせば国民年金による老齢年金が受けられる、で、夫が健在であればこれまた厚生年金等の被用者年金からその年金の支給が受けられ、かつ、仮に主人が亡くなっても遺族年金の支給があると、まあこれは現在の年金水準の低さにもよるわけでございますけれども、そういう老後のいわば生涯設計の中で、自分はいま許された国民年金への任意加入の道を選びたいと、私はそれがもう率直な任意加入者の意思だと思うんですね。またそれによって生涯設計はなされていると思うんです。で、いま大臣が言われますように、制度が変われば調整あり得るということになりますと、現在それを前提に任意加入している者の期待権という点からいたしますと、これは大きな問題を生じてくるのではないかと、こう思うんです。その点いかがですか。
#198
○国務大臣(橋本龍太郎君) いや、そういう問題点がありますから、その五十五年再計算時までに私どもとしては国民年金の妻の任意加入について結論めいたことを申し上げる自信がないと私も申し上げております。ただし、柄谷さん大変スマートに御表現になるわけでありますけれども、実は年金懇から答申をいただきます段階にも、このごろ妻は夫の長生きより年金の拡充されることを望むんだからと、夫の方よりも年金の方が頼りなんだからというようなお話さえ実は出てきたぐらいの話でありまして、制度のやはり都合のいいところだけを妻の年金権として永代不変のものにするというわけには私はなかなかいかないと思うんです。そしてまた、国民年金の任意加入による妻の年金権というものを、それだけで論議をすればその他の問題にもいろいろな波及は出てくるわけでありまして、大変これはしかられるかもしれませんが、年金制度全体を見直していく中において、妻のその任意加入に関してだけ特別扱いにするわけには私はいかないのではないか。遺族年金が動き、基本的に年金の構想そのものが変化していく過程においては、当然やはり何らかの検討はさせていただくべきものではないかと思います。ですから、最初にお答えをいたしましたように、基本が現在のとおりであれば後退はしません。しかし、基本が変われば検討させていただくことはあると思いますと申し上げたわけであります。
#199
○柄谷道一君 まあこれ議論しておってもしようがありませんけれどもね。そこまで大臣が突き詰めていかれますと、なぜそれでは被用者の妻の任意加入制度を認めたのかと、そこまでさかのぼって議論しなければならないわけなんですよ。ぼくは、そのいままでの法及び制度の欠陥というものを今後こう直していくんだと、だからいままで期待しておったものは全部その調整の中で埋没してしまうんだということは、余りにも私は権威のなさ過ぎることではないかと思うんです。それは将来永劫不変にということではなくて、現在の法律によって入っているというものに対しては、ぼくは制度の改正とは別個に何らかの経過措置、いわゆる特別措置というものが当然検討されてしかるべきであろうと、こう思います。その点も含めて余り問題を安易に――こんなことは決してないとは思いますけれども、ただ理屈の上だけで割り切るというんではなくて、なぜ任意加入制度が設けられたのか、なぜそれに期待して入っておるのか、こういう歴史的な経過というものを、来年再計算時の中に十分生かした厚生省原案でなければ、私はこの問題はまた大きなネックにぶつかるであろうということを、これは強く指摘いたしておきたいと思います。
 時間が参りましたので質問終わります。
#200
○国務大臣(橋本龍太郎君) いま柄谷さんから御指摘をいただきました問題、本日ずっと各委員からちょうだいをした御意見とともに今後の参考にさせていただきたいと思います。ただ、それだけの問題があることを私どもも承知いたしておりますから、明年度の再計算には妻の任意加入の問題は答えを出すことが無理だと申し上げたわけでありますが、その無理だと申し上げておりますものを突き詰めて聞かれますと、まさにおっしゃったとおり、なぜ最初にそういう制度をつくったかからの論議をしなければならなくなるわけでありまして、私どもとしては、そういう点にまだ結論を出しておりませんので、そこまで突き詰めた論議を本来なら控えたいところでありました。ただ理論的に言えば、いま申し上げたような点があることは御理解をいただき、その上でどうすれば一番円満な状態でこの問題に対処できるかをともにお考えをいただきたいと、そのように考えております。
#201
○委員長(対馬孝且君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#202
○委員長(対馬孝且君) 御異議ないと認めます。
 本案の自後の審査は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#203
○委員長(対馬孝且君) 次に、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。橋本厚生大臣。
#204
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 昭和二十年八月広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者については、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律により健康診断及び医療の給付を行うとともに、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律により特別手当、健康管理手当、保健手当その他の手当等の支給を行い、被爆者の健康の保持向上と生活の安定を図ってまいったところであります。
 本法律案は、被爆者の福祉の一層の増進を図るため、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律について改正を行おうとするものであります。
 以下、その内容について御説明申し上げます。
 改正の第一点は特別手当の改善であります。特別手当は、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の規定により原子爆弾の傷害作用に起因する負傷または疾病の状態にある旨の厚生大臣の認定を受けた被爆者に対して支給されるものでありますが、この特別手当の額について、現に当該認定に係る負傷または疾病の状態にある者に支給する特別手当の額を現行の月額三万三千円から五万四千円に引き上げ、その状態にない者に支給する特別手当の額を現行の月額一万六千五百円から二万七千円に引き上げるものであります。
 改正の第二点は健康管理手当の改善であります。健康管理手当は、原子爆弾の放射能の影響に関連があると思われる造血機能障害等の特定の障害を伴う疾病にかかっている被爆者で特別手当の支給を受けていないものに対して支給されるものでありますが、この健康管理手当の額を現行の月額一万六千五百円から一万八千円に引き上げるものであります。
 改正の第三点は保健手当の改善であります。保健手当は、爆心地から二キロメートルの区域内において直接被爆した者で特別手当または健康管理手当の支給を受けていないものに対して支給されるものでありますが、この保健手当の額を現行の月額八千三百円から九千円に引き上げるものであります。
 また、これらの改正の実施時期は、昭和五十四年八月といたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要でありますが、衆議院において特別手当、健康管理手当及び保健手当の額に関し修正が行われたところであります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
#205
○委員長(対馬孝且君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員向山一人君から説明を聴取いたします。向山君。
#206
○衆議院議員(向山一人君) 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、第一に、特別手当の額について、月額五万四千円を六万円に、月額二万七千円を三万円にそれぞれ引き上げること。
 第二に、健康管理手当の額について、月額一万八千円を二万円に引き上げること。
 第三に、保健手当の額について、月額九千円を一万円に引き上げること。
 以上であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#207
○委員長(対馬孝且君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 本案の自後の審査は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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