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1978/02/15 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 大蔵委員会 第3号
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1978/02/15 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 大蔵委員会 第3号

#1
第087回国会 大蔵委員会 第3号
昭和五十四年二月十五日(木曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十三日
    辞任         補欠選任
     森田 重郎君     野末 陳平君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         坂野 重信君
    理 事
                梶木 又三君
                藤田 正明君
                矢追 秀彦君
                中村 利次君
    委 員
                浅野  拡君
                糸山英太郎君
                河本嘉久蔵君
                嶋崎  均君
                戸塚 進也君
                藤井 裕久君
                藤川 一秋君
                細川 護煕君
                上田  哲君
                竹田 四郎君
                福間 知之君
                吉田忠三郎君
                鈴木 一弘君
                多田 省吾君
                佐藤 昭夫君
                渡辺  武君
                市川 房枝君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  金子 一平君
   政府委員
       大蔵政務次官   中村 太郎君
       大蔵大臣官房審
       議官       米里  恕君
       大蔵省主計局次
       長        加藤 隆司君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       大蔵省関税局長  副島 有年君
       大蔵省理財局長  田中  敬君
       大蔵省証券局長  渡辺 豊樹君
       大蔵省銀行局長  徳田 博美君
       大蔵省国際金融
       局長       宮崎 知雄君
       国税庁次長    米山 武政君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       経済企画庁物価
       局物価調査課長  新名 政英君
       経済企画庁総合
       計画局審議官   高橋 毅夫君
       法務省刑事局刑
       事課長      佐藤 道夫君
       厚生大臣官房企
       画室長      新津 博典君
       通商産業省産業
       政策局物価対策
       課長       藤本  裕君
       資源エネルギー
       庁石油部計画課
       長        箕輪  哲君
       郵政省貯金局第
       一業務課長    岩島 康春君
   参考人
       日本銀行総裁   森永貞一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○租税及び金融等に関する調査
 (財政及び金融等の基本施策に関する件)
○関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○航空機燃料税法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(坂野重信君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十三日、森田重郎君が委員を辞任され、その補欠として野末陳平君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(坂野重信君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 租税及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に日本銀行総裁森永貞一郎君に参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(坂野重信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(坂野重信君) 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。
 去る十三日の委員会において、財政及び金融等の基本政策について金子大蔵大臣から所信を聴取いたしておりますので、これより大臣の所信に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○竹田四郎君 経企庁は来ておりますか。――最近、海外市況が大変大きく上がっているわけでありまして、一月から二月、これにかけてフィナンシャル・タイムスの指数を見ても、あるいはロイター指数を見ても急激に上昇を続けているわけでありますけれども、ここ数カ月の海外市況というものを一体経企庁はどう把握しておられるのですか。
#7
○説明員(新名政英君) 御説明いたします。
 海外市況というものは、主として卸売物価に関係するものと思います。卸売物価の最近の動きを見ますと、十月を底といたしまして、昨年の十一月から若干全体といたしましては上昇に転じております。その上昇の主な原因は海外要因というものがあるかと思います。
 ちなみに、最近の五十四年一月の卸売物価を見ますと、前年同月に比べまして一・六%のマイナスということになっております。そのうち海外要因は大体一%のマイナスでございますけれども、そのうち円高によりまして――昨年に比べましての円高でございます、大体二・九%ぐらい下がっておりますから、海外の価格と申しますのは一・八%ぐらい昨年に比べて上がっている、こういうように理解しております。
#8
○竹田四郎君 私、時間ありませんから、そういうことをいま聞いているわけじゃないんです。
 海外市況の今後の見通しはどうかということを聞いているわけであって、海外要因がどうだとか何とかという、卸売物価がどうなるかということは私はまだ少しも言ってない。だから、問いに対して正しくひとつ答えてください。海外の市況はここ数カ月、一体どういうふうになるのか、それを聞いているのです。
#9
○説明員(新名政英君) 海外要因と申しましても、一番日本に影響がございますのは原油であるかと思います。御承知のように、原油につきましてはOPECの値上げがありまして、暦年ではドルベースで一四・五%上がることになっておりまして、年平均ではドルベースで大体一〇%ぐらい上がる、こういうように理解しております。
 それ以外の海外要因につきましても、やはり若干今後上がるというように理解しております。
 以上でございます。
#10
○竹田四郎君 経済企画庁は大体石油中心で、ほかのアルミとかなんとか、いろいろな貴金属もありますよ。あるいは綿花だって穀物だってあるんです。そういう問題について今後の見通しというのは全然持っていないんですか、石油だけで。それとも、そういうことは担当じゃないから私は知らないと言うんですか。どっちなんですか。あなたが担当でないと言うなら、担当でないものをそう詰めたってしようがないんですからね。
#11
○説明員(新名政英君) 私たちのところの物価見通しと申しますのは、マクロの観点で物価見通しを作成しておりまして、コスト要因といたしましては、生産、雇用、雇用者所得、為替レート、輸入価格の動向、こういうものをコスト要因として見まして物価見通しをつくっておりますし、需給要因といたしましては、生産ですとか消費をマクロの立場から見まして見通しをつくっておりますけれども、個々の具体的な品目につきまして今後どうなるかという点につきましては、余り詳しく勉強しておりません。
#12
○竹田四郎君 どうもそれでは……。
 いま物価情勢というのは大変大きな問題になってきている。しかもそれが海外要因に起因するところが大変多いというのに、そういうことでこれからの物価と景気と雇用と、あるいは財政を含めて、一体そういうことで論議できますか。個別の商品は知りません、個別の商品がわからなければ全体のあれもわからぬじゃないですか。そういうことで大蔵委員会に、あなた経済企画庁としてよく参加できる準備をしてきたね。私は大変遺憾だと思うんですが、恐らくそれ以上はお答えができないだろうと思いますから、もうあなたに対する質問はその辺でやめておきます。
 これは大蔵大臣どうなんですか、海外市況はどう見ているんですか、政府は。
#13
○政府委員(米里恕君) いまお話しの海外市況でございますが、御指摘のように、ロイター指数その他で見ましてかなり各種目とも強含みということで推移しております。特に目立ちますのは銅、鉛といったような非鉄金属のグループですが、数字は申し上げませんが、御承知のように最近、特に去年の秋以降と申しましょうか、あたりから急速に上がってまいっておるということでございます。非鉄金属だけではございません、そのほかにも原木その他を中心といたしましてかなりの値上がりを見ております。これはいま企画庁からもお話がございましたように、今後のわが国の物価動向にも大きな影響を及ぼしますので、私どももこの推移を注視しておるわけでございますが、今後ということになりますと、私ども余り専門的でございませんので、個別の商品についてはよくわかりませんが、今後につきましてもなかなか楽観を許さない状態にあるんぢゃないかということで注視しておるという状況でございます。
#14
○竹田四郎君 これ、一時的な要因としてみるか、ある程度継続的な要因としてみるかによって日本の対応というものも当然違ってこなくちゃ私はならぬと思うんですよ。
 だから、私が一番知りたいのは、こういう海外市況というものが、先ほど言ったように為替相場との関連も当然あるわけでありますけれども、少なくとも海外要因はかなり物価を引き上げている要因になっていることはこれは私否定できないと思うんです。長続きするというのか、まあ一時的現象でまた下がるんだというふうに見るかによって違ってくると思うんですが、その辺は一体どういうふうにごらんになっているのか、大蔵大臣なり日銀総裁もその辺はお詳しいだろうと思いますから、どちらでも結構でございますが、ひとつどういうふうにその点を基本的に見ているのか、お願いをしたいと思います。
#15
○参考人(森永貞一郎君) 十一月から卸売物価が騰勢に転じたわけでございまして、この三カ月間に卸売物価一・四%上がりました。
 それを要因別に分析しますと、国内の要因が〇・四、海外要因が一・〇、その海外要因の中で契約要因によるものが〇・六で為替要因によるものが〇・四ということになっております。
 一月になりますとこの為替要因によるものはなくなりまして、〇・六が一月の騰貴率でございますが、国内、海外半々で、海外の要因はすべて契約要因ということになっております。それはやはり海外の市況によるものでございまして、特に値上がりいたしておりますものにつきましてはただいまお答えがございましたが、私ども注目いたしておりますのは、やはり海外、国際的に景気が少しよくなってまいりまして需要がふえてきておる。その反面、たとえば銅などにつきましてはザイールの銅の生産が落ちているとか、あるいはアメリカで採算の合わない銅山を整理いたしましたとか、そういう供給面の要因もあるわけでございまして、その辺が今後どう推移するかということになりますと、世界の景気がやはり少しずつよくなってきておるような感じもいたしますので、海外の市況の問題については、先行きやはり堅調を続けるものと見なくてはいかぬのかなという感じがいたします。
 もっとも、市況商品につきましては御承知のようにもう騰落常ないわけでございまして、この数日間は少し落ちつきました。ロイター指数も三月になりましてからかなり、一・二%ぐらい上がったのでございますけれども、この二、三日はややマイナスに転じておりますので、先行きどうなりますか、私どもも毎日の市況の動きに関心を持ってながめておるのが現状でございまして、先行き余り楽観等ではいけないのではないか、そういう感じでながめております。
#16
○竹田四郎君 いまおっしゃられたように、海外の契約要因といいますか、要するに価格の引き上げということだと思いますが、それが私もそう急に、これが一時的現象で、後下がっていくというふうには私も考えないわけでありますが、いままではそういう海外要因というのが円高によって消されていたということで、卸売物価というものが比較的安定していたというわけでありますが、最近の為替相場見ますと、どうも円高傾向ではなくてややドルが強くなったり弱くなったりいろいろでありますけれども、傾向的にはドルが強くなっているし、最近のアメリカの連邦準備理事会の理事長ですか、ミラーさん等の発言から見ましても、ドル防衛というのはかなり本気でどうも腰を入れてきたというような感じを私は持つわけでありますが、そうすれば必然的にいままでの円高というものがなくなってくる可能性という、円高のメリットがなくなってくるのじゃないかという可能性があるわけでありまして、大平首相も大体一ドル二百円程度の推移を希望するというふうに言っておりますが、二百円ということになりますと、円高メリットというものが消えてくれば、私は海外市況要因というものが日本の卸売物価にかなり大きく響いてくる可能性がこの面から出てきたんじゃないかと、こう思うんですが、大蔵大臣どうですか。
#17
○国務大臣(金子一平君) いま竹田さん御指摘のとおり、為替は大分最近落ちついてまいっております。それは、一つはドル防衛の効果が漸次浸透してきたということだろうと思うのでございまするが、しかし、一面において海外の市況が大分活発になってきた、値上がりの傾向になってきた、それが相当日本の卸売物価にも影響してまいりますから、これはやはりよほど目を離さないように、常時注目して必要な対策をとっていかなきゃいかぬなというふうに考えておる次第でございます。
#18
○竹田四郎君 外的要因としてはそういう問題があるんですが、内的要因としてはどうなんでしょうか。
 最近は卸売物価、年率にして七・四%に近い上がり方を示しておりますが、年率七・四%の上がり方というのは私は相当激しい上がり方で、これはやはり無視できないし、卸売物価が上がってくれば、それはタイムラグを伴いながら当然消費者物価指数の上がる要因になるわけでありますから、幸い、いまのところ消費者物価指数の上がり方は幾らか落ちついているにしても、卸売物価が上がってくるということになれば将来物価の安定などと言っておれないし、大蔵大臣の所信の表明の中でも、私が拝読をいたした感じでは、予算編成が、物価は鎮静している、安定しているという考え方のもとにことしの予算が組まれているわけでありますけれども、これが上がってくるということになると、ことしの予算というもののあり方というものは、これは当然考え直さなくちゃならぬということになるわけでありますけれども、国内的な要因として警戒すべきものとしてはどんな問題を考えていらっしゃいますか。
#19
○国務大臣(金子一平君) 幸いにいまのところは消費者物価も比較的落ちついております。しかし御指摘のとおり、今後卸売物価の値上がりがどうCPIに波及するか、これは十分注意していかなきゃいかぬと思っておりますが、マネーサプライの状況を見ましても比較的落ちついた、まあ多少上がったと言われておりまするけれども、落ちついた状況を示しておりまするし、今後いろんな指標を十分注意しながら、やはり日本経済の円滑な運営には物価に最重点を置かなきゃいかぬような時代になってきておるというふうに考えておる次第でございます。
 一部では、株式市場の株価が暴騰しておるとか、土地が最近値上がりしてるじゃないかというような、それがすぐインフレにつながるような指摘もございまするけれども、株の方は、これは事業会社の余剰資金の運用として一時株式市場に流れ込むというようなことで最近のような動きになっておると思います。これが全般的に波及するとは私どもまだ考えていない次第でございます。
 まあ土地にいたしましても、現在の土地重課の枠組みは外しておりません。今度御提案申し上げましたのは、御承知のとおり、優良住宅地の供給とか公的土地の提供に対する一部のごく制限された範囲内においての課税の軽減を図っておる次第でございまするが、全般的にそれが仮需要につながっているというふうには私ども見ていないわけでございまして、しかし、いろんな面においてこれから物価の動向を重視しなきゃいかぬという点につきましては、竹田さんと全く同意見でございます。
#20
○竹田四郎君 国内要因に入る前に、一体イランの情勢とOPECの問題と国内における石油のどうも値上げの問題、まあメーカーあたりですでに値上げを発表しているわけでありますけれども、これはまあいままでの値上げというのは、イランの情勢もありますが、一つは為替相場の関係も当然あろうと思うんですけれども、そういう関係で、石油についての今後の主として価格の問題、量的な問題もあるでしょうけれども、その量を含んでの価格の問題というのは一体国内の物価にどういうふうな影響を持っていくのか、この辺をお聞きしたいと思います。
#21
○説明員(箕輪哲君) お答えいたします。
 世界的な、世界の石油の需給によりまして日本の獲得し得る原油の量も決まってまいりますし、それから国際的な価格の動きによりまして国内での石油価格というものも影響を受けることは、必ずそういうような形になるであろうというふうに考えております。
 まず、世界の需給でございますけれども、一ころのように供給が需要を上回っていたという時期はもう過ぎまして、昨年の十月末以来のイランの騒ぎによりまして、通常イランは全世界の原油輸出量の一五%ないし一六%を輸出しておったわけでございますけれども、それがゼロになるということになれば、当然のことながら世界の需給に影響を与えるわけでございます。ところが、現在のところはイランが全く輸出をしておりませんけれども、ほかの産油国が増産をしておりまして、現在のところではまあまあ世界的に需給は一応マッチしていると、ただし、一ころのような供給が需要を上回るという状態ではございません。非常に窮屈になってきております。
 価格の面でございますけれども、御存じのとおり、OPECの昨年の総会でもって今年四段階に分けて値上げをいたしますが、最終的には十月一日に前年度に比べますと一四・五%の値上げということになります。ただ、現在では需給が窮屈になっておるものでございますから、世界におきます原油のいわゆるスポット価格でございますが、これは相当な値上がりをしております。一ころは四ドルプレミアムがついたというような話もございましたけれども、現在では七ドルないし九ドルというようなプレミアムもついているのが現状でございます。
 それに加えまして、産油国の価格に対する態度でございますけれども、これはたとえばサウジなんかもそうでございますが、昨年八百五十万シーリングということで、年平均八百五十万バレルの生産をしておったわけでございますが、この一−三については九百五十万バレルの生産をすると、ただし増産分については少し高く払えと、一説によりますと第四クォーター、第四・四半期での値上げ幅である一四・五%を払えというような動きがすでにございまして、これを受けまして、日本に対しましてメジャーはOPECの公示価格に加えまして十七セントないし二十セントをバレル当たり高く払えというようなことを言ってきておるわけでございます。そのほかの産油国でも、従前よりよけいに量が欲しければ値段を高く払えというような国がぼつぼつ出てきておりまして、これがOPECで決めました価格のアップ以上の価格アップになる可能性もあるわけでございます。
 したがいまして、それが日本の国内に入ってまいりますれば、石油類の価格というのは当然上がることになります。昨年の、先ほど先生が御指摘なさいましたように、円高のメリットがございましたものですから、ドル建てでは原油価格が上がっておったわけでございますが、円建てになりますと下がっておりまして、それが石油製品の値下げということに結びついたわけでございますが、今後はやはり国際的な原油価格の動きにつれまして、日本の石油製品の価格は上がることはやむを得ないだろうと、そういう傾向で推移するであろうというふうに考えております。
#22
○竹田四郎君 石油の価格はだからかなり上がると、いままでより上がるということでありますが、ただ、今度のイランの問題が他国に影響を与えるという心配はないですか。
 たとえば今度のイランの問題というのは、前の国王の、外貨が入ってくるということで近代化を急に急ぎ過ぎた、石油をうんと売って外貨をためるという形の問題が国内の物価あるいはいろんなひずみを残したということでありますが、こういう影響というのは他国に及ぶ影響はないですか、中東の他国に。
 これは他国に及ぶということになると、いまのところはサウジも口では増産をしてイランの不足分を補いましょう、イラクあたりもそれに似たようなことをおっしゃっているようでありますけれども、しかし、この波がやっぱり中東全部を覆うということになりますれば、いまそんな石油をたくさん出して国内に外貨を得ても、それは国内にはインフレを残していくわけでありますから、そういうようなことじゃなくて、もっと資源というものを長続きさせよう、それでマイルドにその資源を利用していこうというような、そういうような反省というものが起きる可能性が私はあると思うんですけれどもね。そういうことをエネルギー庁というのは計算に入れて先ほどの御答弁なのかどうか。
#23
○説明員(箕輪哲君) 非常にむずかしい御質問で、的確に答えられないかもしれませんけれども、これはまさに国際政治の力学がどういうふうに動くかということに密接に絡んでくるところであろうと思います。
 ただ産油国にとりまして、御存じのとおり非常に急速な工業化ないし近代化を進めていた国もあるわけでございます。それから石油収入をいわゆる社会の福祉あるいは社会の水準の向上ということに使っていた国もあるわけでございます。一般的に申しまして、イランが非常に性急な近代化を行ってきた、これは単に産業構造の面だけではなしに、宗教と社会とのかかわり方ということについても非常に性急な近代化を進めてきたという事情があるにしましても、性急な近代化あるいは工業化を進めたということのためにパーレビ国王というのはつまづいたという認識は確かに持っておるようでございまして、私どもが危惧しておりますことは、石油の面だけで申しますならば、性急な近代化のために必要な外貨、これは石油輸出によって得られるわけでございますけれども、そのような性急な近代化というのは控えた方がよろしいと、したがって、石油の輸出というのは控えた方がよろしいという空気が起こり得る可能性はないとは言えないと思っております。
 現にホメイニ師の方針と申しますのは、イラン人の必要のために石油収入を使うと、そのために必要な石油しか輸出しませんと、世界の輸出国であろうとは思っておりません、というような基本的な考え方のようでございます。したがいまして、そういう考え方というのが、たとえば一番近い湾岸諸国などに影響を与えないという保証はないと思っております。
 ただ私どもは、先ほど申し上げましたような産油国の増産によっていまイランの輸出減というのは賄われておりますと申し上げた背景には、いわゆるOPEC諸国は消費国の立場についての理解がかなりございまして、消費国に対して、あるいは世界の石油の需給につきまして協調的であるというのが現在の状態であるというふうに理解しておるわけでございます。
#24
○竹田四郎君 大蔵大臣、けさもテレビを聞いておりましたら、経団連の会長さんが、どうも日本政府の石油の政策というのは国民をいらいらさせると、とても政府の方針ではわれわれは安心していれないんだと、こういうことを言っております。特にアメリカあたりでは大変な危機感を持っているわけですけれど、政府としてはやっぱりあれですか、石油については現状では価格の面でも量の面でもそう心配はないと、こういうふうに本当に思っているんですか。
#25
○国務大臣(金子一平君) これは通産大臣の所管でございまするけれども、私が伺っているところでは、一−三月に必要な数量の確保は十分できますという各商社からの報告を受けておるから、一−三月が一番需要の多いときでございますんで、それが乗り切れれば、とにかくさしあたっての心配はないと、しかし、今後の動きについては十分注意していかなきゃいかぬと、こういう発言を通産大臣から伺っております。まあ、最悪の時期だけは乗り切れたんじゃないかというふうに私どもは理解しておるような次第でございます。
#26
○竹田四郎君 私は、そうやっぱり簡単ではないだろうと思いますし、一−三月を乗り切っても、現に石油メーカーは、私どもから言わせれば円高差益をため込んで、そして一時、一部分には乱売というようなことも起きておりますけれども、現実には石油各社とも石油の値上げをいまやっているわけですね。そういたしますと、政府の考えているほど石油メーカーというのは純真でもなければ国民のためも考えていない。むしろいままでの穴のあいた分をここへ来て埋めたいと、だからもっともうけたいというようなことが、私はかなり強く感ずるんですよ。そうすれば、このイランの問題を中心としての石油の価格の便乗値上げというようなものも、当然今後の卸売物価なりあるいは消費者物価の上昇に拍車をかけていく要因になると思うんですけれども、その辺は石油会社の便乗値上げ、あるいは円高差益の問題、こういうものを考えれば、私は当然政府として石油の価格に対する手を打つべきだろうと。それでなければ、せっかく政府が組んだ――まあ、私どもは賛成ではありませんけれども――今年度の予算なり経済見通しなりというものは大幅に狂ってくるんじゃないだろうか、こういうふうに思うんですが、どうですか。
#27
○国務大臣(金子一平君) 一番やはり警戒を要するのは、いまお話のございました石油製品に対する便乗値上げの問題だろうと思います。これが一波万波を呼ぶようなことになりますると大変なことでございまするので、もう政府は総力を挙げて便乗値上げを抑えるための最善の努力をしようということで、企画庁中心でございまするけれども、着々と努力をいたしておる次第でございます。
#28
○竹田四郎君 やはりその点は国民も心配している面だろうと思いますし、ガソリン等の値上げというようなものも現に行われているし、あるいは高価格を維持しているという面が非常にあるわけですよ。そういう点では、いま実は聞きたいわけですけれども、そういう対策というのを企画庁で対策をいま練られているというんですが、もしお答えできればお答えいただきたいし、お答えできなければいいですが、それはお答えできますか。――できません。それじゃ後で、わかり次第これはひとつお知らせをいただきたいというふうに思うんです。
 もう一つは減量経営、あるいは不況カルテルという問題が私は国内的要因としてあると思うんです。なるべく少なくつくって値を上げていこうと。いままさに企業家のマインドというものは、とにかく量をふやすんじゃなくて価格でもうけていこう。これが減量経営で会社の企業収益がふえている私は一つの原因でもあると思うんです、すべてではないと思いますが。他は、ひとつ株式や債券で差益をもうける。まさに生産家かブローカーかわからぬというような、そういう経営態度が一方にありまして、その二つが今日の物価にやはり影響してくるだろうと思うんですけれども、これは通産省の方お見えであろうと思うんですけれども、そうした減量経営とか不況カルテルというようなものに対して一体どうするのか。私どもは、むしろ公共事業を見ましてもその他で見ても、もうすでにボトルネックが出ているわけです。全国的に見ますと、偏在的な配給なりあるいは偏在的な価格上昇というようなことが起きているわけです。やっぱり私は卸売価格の上昇に大きく影響をしている、悪影響を及ぼしている。こういうものに対して一体通産省はどういうふうにいま考えているんですか。そして各企業に、いままで彼らが続けてきた、品物を少なくつくって高く売ろうと、こういうことに対してどう指導しようとしているんですか。
#29
○説明員(藤本裕君) お答え申し上げます。
 最初に、不況カルテルの件でございますけれども、不況カルテルの運用につきましては、従来から、独禁法に定める要件に合致するかどうかということを個別に判断いたしまして、要件に合致していれば認めるが、要件に合致しなくなれば打ち切るという基本方針で臨んでおる次第でございます。
 なおちなみに、五十三年度におきましては十二品目について不況カルテルの対象品目があったわけでございますけれども、現在ただいまでは六品目は廃止をしてございまして、現在ございますのは残り六品目でございます。
 具体的に申し上げますと、廃止いたしましたのは、短繊維の紡績糸、これが昨年の六月末で廃止してございます。それから塩ビ樹脂につきましては五十三年の八月末をもちまして打ち切っております。それから人造黒鉛電極につきましては昨年の十月末、それから石綿スレートにつきましても同じ十月末に打ち切りをしております。
 それから、最近の例で申し上げますと、本年の一月末で期限の参りました梳毛の紡績糸、それから酢酸ビニールモノマー、この二つにつきましては、先ほど申し上げました基本的な方針に沿いまして不況カルテルは廃止をしておるということでございまして、現在残っております品目といたしましては電解アルミニウム、それから合成繊維、それから外装用のライナー、中しん原紙、両更クラフト紙、それから合成繊維用染料、以上六品目でございますが、これらの品目につきまして最近の需給、価格動向を見ますと、徐々に需給関係につきましては全体的には改善されつつあると見られますけれども、なお採算ラインの状況には達していないということでございますけれども、今後とも需給の価格動向、市況の推移等を十分注意してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
 それから、あと先生御指摘の問題につきましては、公共事業関連物資等々の問題につきましては、私どもといたしましては、各個別の商品、物資ごとに十分きめ細かく調査、監視を続けてまいりたいと考えておりまして、ちなみに申し上げますと、公共事業関連物資につきましては、省内に公共事業関連物資の需給価格等に関します対策本部というものを昨年から設置しておりまして、たとえばそういったような場を通じまして、関係物資につきましては個々具体的に十分調査、監視を今後も続けてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#30
○竹田四郎君 どうもはっきりしないし、いまの段階で通産省がまだひとつ価格の引き上げに手をかそうというくらいにしか私は感じられないのですよ。やはりこういうインフレ的な芽というものは、私はなるべく早く摘む必要があると思うのですよ。これ上がっちゃったらことしの予算だってどうなるかわかりませんよ。そういう意味でどうもいまの御答弁は私は満足いきません。
 これは大蔵大臣ね、閣議の中でも、そうした不況カルテルは見直さなくちゃいけないことはもちろんでありますけれども、これは不況カルテルを結ばなくったって、お互いに減量経営をやろう、減量生産をやろうということになれば、協定はないにしても、独禁法には違反しないにしても、現実には業界全体が不況カルテルやっていると同じことでしょう。こういうことはあっちゃならぬと思うのですよ。早いうちにそうした物資の価格の高騰というものを抑えていく。これが私は四十七、八年のあの当時のインフレの教訓の一つだろうと思うのですけれども、これはやっぱり大蔵大臣、あなたは財政経済の運営のかなめにいるわけでありますから、担当は一応通産にしましても、これ考えてもらわにゃいかぬと思うのですけれども、どうですか。
#31
○国務大臣(金子一平君) 需給がだんだんと逼迫してまいりましたような場合には、不況カルテルの打ち切りも相当思い切ってやっていかなきゃいかぬ、あるいは生産枠を増枠するような手も必要によっては打っていかなきゃいかぬと、私個人としてはそういうふうに考えておりますので、今後も物価対策上通産当局と十分連絡しながら必要な対策を講じてまいりたいと、こういう気持ちでおります。
#32
○竹田四郎君 私は、物価上昇の一つの引き金になっているのは株式市場の異常な高騰、これがやはりそうしたムードをつくり上げていると思うのですけれども、これはただ単に事業の余裕資金がこれだけ入っているという――その要因はもちろんあると思います。しかし、やっぱり銀行がそういう土地や株式に対する金を貸しているんじゃないのですか。これ銀行局長どうですか、その辺は。
#33
○政府委員(徳田博美君) 現在の株式市場に対する金融機関の融資が、それが背景になっているのではないかということでございますが、現在民間金融機関の貸し出しは、かつての過剰流動性のようなときと違いまして、貸し出しの伸び率は非常に落ちているわけでございまして、現在年率九%程度で推移しているわけでございます。しかしながら、一方企業の手元の余裕資金は、一部の企業についてはかなりの水準に達しているわけでございまして、これは現先市況その他の水準にもあらわれているわけでございます。
 したがいまして、現在のところは、株式市場の動きについてはもちろんいろいろな原因があると思いますけれども、当面民間金融機関の貸出金によるというものよりは、むしろ企業自体の余裕資金の運用その他の面が主体をなしている面もあるのではないかと、このように考えております。
#34
○竹田四郎君 私は企業の余裕資金――もちろんこれが大宗を占めるものだと思うのですが、そのほかにやはり銀行が株式を買う、株式の決済、こうしたのに多くの金を出していると思うのです。信用取引の比率というのはだんだん下がっているでしょう。しかし全体として株の取引が多くなっているわけです。
 そうなってきますと、土地に対する融資の問題は、これは衆議院の予算委員会でも議論になった点ですからこれには余り触れたくないと思うのですけれども、やっぱり株式の異常高騰には金融機関がかなりてこ入れをしている、あるいは金融機関自体がそういうさやかせぎをやっている、こういうふうに見ざるを得ないと思うのですが、この辺は一回ちゃんと調査をして――株式だって、こんなダウ平均が六千二百円なんというべらぼうな値の上がり方というのは、だれが考えてもこれは不健全ですよ。そういう意味ではこれはひとつ調査をして、そういうものがあれば私はそれは控えさせる必要があると思うのですよ。この反落というものがいつかは起こる問題でありますし、それがまたせっかく景気の上向きかげんなところにマイナス要因として働くことは当然でありますから、これはひとつ厳重に調査をして、金融機関でもし土地やあるいは株式の売買に金を出しているというものがあれば、これを規制していかなければ、これはマネーサプライにも私は影響してくると思うのです。これは大蔵大臣どうですか。
#35
○政府委員(徳田博美君) 先生御指摘のうちの土地の問題につきましては、先般金融機関に対しまして土地騰貴を助長するような融資の自粛について厳に示達したところでございますし、また不動産業あるいは建設業のうちの土地関連融資につきましては、今後定期的に報告をとりましてその動向を監視して、これは土地の最近の地価の動向にもかんがみまして予防的な措置としてこのような手を打っているわけでございます。
 なお、株式関連につきましてはいろいろと実態を調べてみたい、このように考えております。
#36
○竹田四郎君 同じですか、大蔵大臣は。
#37
○国務大臣(金子一平君) 今日までの私どもの調べておるところでは、むしろ事業会社が設備投資もできないで余剰資金を残して、それを短期で運用しているのが中心に今日の株価の高騰を招いているというふうに聞いておるのでございますが、なお御指摘の点もございますので、私どもは十分注意をいたしまして必要な措置を講じてまいりたいと、かように考えます。
#38
○竹田四郎君 大蔵大臣、そういうことで私は、恐らく五十四年度が四・九%という消費者物価の上昇、それから卸売物価で二・幾らですかという形でございますが、やっぱりこういう時期に政府自体が公共料金や、それから消費税的な税金を引き上げるということは、やっぱり物価値上げに対するひとつの何というのですか、黙認を与える、こういうことに私は国民は見ていると思うんですよ。ですから、いろいろな米とか私鉄は上がったわけでありますけれども、国鉄もあればたばこもある。それから税金では揮発油税がある。これだってもう二五%ですから大変な税金とすれば大幅で、リッター当たり十円くらい上がるわけですわな、石油の事情というのはさっき言ったとおり。
 こういうことをすれば、税金や公共料金の値上げというのはここで見直してやっぱり私はストップかけないと、政府が旗を振るという形になる心配が私は十分あると思うんですよ。だからやはり見直して、物価に影響を与えるようなものはこの際中止して先へ持っていく、こういうようなことを私はいますべきだと思うんですよ。そして、企業にはおまえら増産しろと言ったって、政府自体が値上げやっているじゃないかと、こう反発してくるに私は決まっていると思うんですよ。そうしたものをこの際一時凍結をする。そして物価の動向を見る、こういうことはできませんか。
#39
○国務大臣(金子一平君) 公共料金も増税もしないで済むような情勢ならば私はそれにこしたことはないと思うのでございまするけれども、ある程度はやはり受益者負担の思想を貫きませんと、結局回り回ってそれは国民の税負担に帰着することになります。ただ、一遍に公共料金を一〇〇%値上げするというようなわけにはまいりません。これはやっぱり最小限度に抑えて、しかも実施の時期を十分考えながら、まあ最小限度の御負担をお願いするというような方向で今度の幾つかの公共料金の値上げをお願いしておるような次第でございまして、その消費者物価にはね返る程度は、予算に関連したものは〇・八%くらいというふうに企画庁でも推算しておる次第でございますので、ぜひこれはひとつお認めいただきたいと思います。
 また増税は、これも酒じゃございません、たばこといまのガソリン税でございまするけれども、一方において道路整備五カ年計画を遂行しておる最中でございます。その大部分はやはり地方の生活環境の整備に充てられる生活道路中心と言ってもいいようなものでございますので、やはり御提案申し上げているような程度の増税はひとつぜひお願いをいたしたいと思います。
 たばこも非常にきつい感じがするかもしれませんけれども、まあ嗜好品でございまして、特に酒の税を昨年上げましたようなバランスもございまして、ここ数年やっていないというような状況で御提案を申し上げているような次第でございますので、そこら辺は十分ひとつ御了察を賜りたいと存じます。
#40
○竹田四郎君 私は余り知らないから大蔵大臣にごまかされる割合が多いと思うんですがね。揮発油税だって一体何の財源になるんですか。いま生活道路と言っているんですが、生活道路の財源なんかになりゃしないですよ。そういうふうにごまかしを言ってくれちゃ困るですね。
 あと時間がありませんから、日銀総裁にはおいでいただいて大変恐縮なんですが、まとめてひとつお聞きしたいと思いますが、最近は国債の流通価格が発行価格よりも下がる、要するに流通の利回りが大変高くなっているという問題はつとに言われておりまして、これは六歩一厘の国債にいままでは限られていたんですが、最近では六歩六厘の国債も同じような値下がりをしている。それから金融債あたりも大変もうここ値下がりをし始めてきている。これは恐らく先ほどの事業家あたりがそうした国債や債券、こういうものにもう興味がなくなってきた。それが株の方にシフトしているという感じもするんですが、こういう事態になってまいりますと、ただ単にクーポンレートの六・一だけの問題じゃなくて国債価格、あるいは公債全体の問題に問題がもう広がってきているような気が私はします。そうなりますと、やはりこの辺で公定歩合の問題を考えざるを得ない、あるいはクーポンレートを考えざるを得ない、そういう時期にもう入ってきたんじゃないかということが一つでございます。
 それからもう一つ、私はよく総裁に、マネーサプライによる過剰流動性の問題を常に申し上げてきたわけでありますが、このマネーサプライも昨年の後半からGNPの名目成長率を上回る伸び率を示しているわけですね。これは大変危険な信号だというふうに私は思います。少なくとも、M2のマネーサプライというものがGNPの名目成長率の範囲内にとどめるような目標なり措置をとらないと、やはり過剰流動性の問題、それがやがてインフレの問題、こういう問題に私はつながるんじゃないかと思いますけれども、その点が私は非常に心配でありますし、また、それが第二点の問題で、どんなふうにその点をお考えになっているのか。
 あるいはこれは日銀総裁も、新聞で拝見いたしますと、もう景気よりも物価だと、いま物価が非常に大事だということを何回も強調されている、日銀総裁としてはこれほど新聞で御発言になるのはむしろ珍しいくらいにもう御発言になっている、そのことは私は日銀総裁として当然であろうと思うし、警告を与えられていることは非常にいいことだと思いますけれども、これから一体、恐らくいままでは財政が物価をドライブする役割りを果たして、そのしりぬぐいを金融がするという形ですけれども、いまのように景気が全体として落ちてきている、民間経済の役割りよりも公共経済の役割りが大きくなるということになりますと、金融の操作によってそうしたことは私はある一定の限界が来ているというふうに思うのですけれども、しかし、日銀としてはあくまでもそうした過剰流動性なり余資なりを吸収する手段というものを講じなくちゃならぬと思うんですけれども、そうした預金準備率の問題だとか窓口指導の問題だとか、いろいろ私はあると思うのですけれども、そういう方向について日銀総裁は具体的にどういう金融手段を通じて、クリーピングインフレーションといまの段階は言っていいと思うのですが、それを征伐しようとなさっているのか、その三問について大変恐縮ですが、簡単にお答えいただきたいと思います。
#41
○参考人(森永貞一郎君) お答え申し上げます。
 第一点の公社債市場の現状でございますが、私どもも非常に心配たいしております。特に、六分一厘物の発行条件との乖離は〇・七程度に達しておるわけでございまして、それではなかなか新発国債の消化もできにくいわけでございますので、来年はまた国債が――ことしですか来年度ですか、国債が十五兆円も出るわけでございますので、その消化の万全を期しますためには、やはり公社債市場の現状を大変憂慮しているわけでございます。もっとも、六分一厘物は少し異常に市価が低落している感じでございまして、六分一厘物よりも三カ月くらい前に出ました六分六厘物も、いままでは安定しておりましたのが、昨今、百円の発行価格をわずかに割ってはおりますけれども、まだ六分一厘物との間には〇・三%ぐらいの開きがあるわけでございまして、そのことから見ましても、六分一厘物の価格形成はやや異常なものがあるのではないか。つきましては、実勢が一体どの程度かということを判断いたしますには、もう少し市場の推移を見きわめなければならないと思っている次第でございます。
 いずれにいたしましても、短期資金はもうあり余っておる。先ほど御指摘がでございましたように、株式投資等にも流れ込んでおるわけでございまして、資金の流れが少し変わっている、長期物に少し偏しておる国債の発行の形を、やはり市場の金の流れの実態に即して改めるということも必要じゃないか。昨年は三年物の入札公募が行われたわけでございますが、ことしはさらに二年物も四年物も加えて公募入札制を拡充しようという政府の御方針に承っておりますが、そういうことで、やはり市場のニードの実態に即した発行形態を考えていただくということが必要ではないか。
 それともう一つは、やはりシンジケート団の引き受けもかなりの額に達するわけでございますので、その部分につきましてはやはり市場の実勢に即した条件改定を、いますぐとは申しませんが、いずれしていただかなければならぬのが実勢ではないか。これは全体の長期金利水準を上げるというような意味じゃなくて、やはりいろんなバランスを見直すというような形で行われるべきではないかと思っておる次第でございます。
 金融債についてもいま御指摘がございましたが、これはまだ発行条件の利回りよりもマイナスの利回りになっておるわけでございまして、いろいろな長期資金の実情に即した発行条件が望ましいと、その改定をやはり機動的にやっていただくということがどうしても必要じゃないかと思っておる次第でございます。
 公定歩合についてもお話がございましたんですが、公定歩合が下がって金利全般が下がってまいります過程においては既発債が値上がりするというようなことで、新発債の消化も促進されたということでございますけれども、いまの金利水準は、もうこれ以上下げる必要もないし適当でもないという程度まで下がっておるわけでございまして、そういうときに国債消化のために公定歩合を下げて金利全体の引き下げを推進する、これは実は本末転倒でございまして、その効果も一時的なものではないかと考えております。したがいまして、国債消化との関連で公定歩合を下げることは絶対避けなければならないと私は思っておる次第でございます。
 次に、マネーサプライでございますが、どの程度のマネーサプライの伸び率であれば物価も上げない、インフレも絶対起こさないということになるのかという、その辺の実体経済とマネーサプライの伸び率との定量的な関係の把握がなかなか理論的にもむずかしいわけでございまして、私どもまだマネーサプライを目標値化することはちゅうちょしておるのもそのためでございまして、そのために昨年から四半期ごとにマネーサプライの予測を公表いたしまして、それが現実にどうなるか、その間の実体経済の動きがどうなるかというようなことを始終見きわめていると、それによって国民の間にもマネーサプライに対する御理解が進んでいくようにというようなことで見込みを発表するということを始めたわけでございます。今後さらに一歩進めて目標値化することも検討しておる次第でございますが、それにつきましてはやはり外国の実例、中には試験的に実施いたしましたけれども途中でやめたというような例もございますし、やはり目標値化することの利害得失を十分検討していかなければならない問題ではないか。しかし、もちろんマネーサプライの推移には過去における苦い経験もございますので、今後とも一層関心を深めていかなければならないのが現状ではないか。
 数字を申し上げますと、M1では昨年の初め六、七%でございましたのが、年末には一一%ぐらいに上がっておるし、またM2も一−三月は一〇%台でございましたのが十二月には一二%台に増加しております。一−三月も恐らく一二%台で終わるかと思いまして、一見落ちついているような感じではございますが、一方、企業の短期保有有価証券が非常に増加しておるわけでございます。たとえば現先市場などが繁栄しておるのもその反映でございますが、これはやはり企業としては流動性の増加でございますし、また金融機関の融資姿勢が弾力化しておりまして、いつでも借りられるというような感じが一部には出ておるわけでございまして、そのこともあわせ考えますと、企業の流動性はかなり高い水準にきておるのではないか。その意味でやはり流動性の高さには非常な関心を持っておるわけでございます。そのときどきのマネーサプライの伸び率が適正かどうかということは、やはりそのときどきの物価、景気の動向、経済全体の動きなどとにらみ合わせて考えなければならない問題だと思いますが、現在は先ほども御指摘がございましたように、物価面が少し心配になっておりまして、その意味で今後ともこのマネーサプライの動きには万全の注意を払って、いやしくも通貨面からインフレーションだけにはしないようにということを私どもといたしましてはかたく期しておる次第でございます。
 第三に、景気か物価かというお話がございましたんですが、景気の方は華やかではございませんが、着実な伸びを示しておる感じになってまいりました。もちろん構造不況産業の問題もございますし、また企業の減量経営ということからする雇用問題等いろいろ深刻な問題もございまして、そういう面につきましては、きめの細かい対策をお願いしなければならないと思いますが、一般的に見ますと、景気の回復の足どりは底がたいものが出ておるわけでございまして、その意味での金融面からの一層の緩和、利下げは恐らく必要でない、適当でもないというのが私どもの感じでございます。
 支店長会議などで聞きますと、地方の企業経営家の中の一致した意見として、企業経営は少しよくなった、しかしここでまたインフレになって物価が上がるようだとまた苦しまなければならない。ついては、やはりインフレの再発だけは絶対避けてもらいたいという意見が大部分でございまして、これはまことに私どもといたしましては心強く感じておる次第でございますが、そういう声もございますし、また国民の声もございますので、私どもといたしましては、通貨面から物価を引き上げ、インフレの再燃を招くようなことは絶対に起こさないようにしなければならない。その意味で金融政策の今後につきましても、時々の情勢に即して、いやしくも誤りなきを期さなければならないと、かたく期しておるのが現状でございます。
 抽象的で申しわけございませんが、いま考えておりますことは以上のとおりでございます。
#42
○上田哲君 安定成長なるものの中で資金の流れが一つ大きく変わってきている。これは財政金融政策の転換期であるという認識に立つべきではないかというのが私の考え方の出発点であります。
 経済企画庁の二月の月例経済報告は、一口で言えば不況の脱出宣言だと、まさに安定成長なるものの根おろしができつつあるんだということになるんでありましょうけれども、そういう中で国の財政は赤字の風穴があいて国債で埋めると、そして大企業の方は金だぶりと、これは金融の超緩和と言われる中で、しかし民間設備投資の増加が出てきたり、あるいは製品在庫の積み増しという現象が出てくるわけではない。その中でまあ大幅なだぶりという状況にある。そしてまた、その一方でもう一つ注目すべきは、中小企業のウエートが高まっているということになるんじゃないか。まあ大まかに言うとそういう区分けの仕方。これは別な言葉で言えば、高度成長期というのが大企業、大銀行と、こういう二つのプールの間の行き来であった資金の流れ、その大まかなものが、まあ抜き出して言えば中小企業、個人というところにひとつウエートを高めているというところを顕著に見るべきものがあるであろうと。だから、その水の流れは変わったんだけれども、しかしまだ十分な水路ができ上がっていないというふうに認識すべきだと思うんでありますが、この基礎的な認識はよろしいでしょうか。
#43
○国務大臣(金子一平君) いま上田さん御指摘ございましたように、高度成長期から低成長期に入って、金の流れが底辺の方にウエートがついてきたと、それは全くそのとおりだと思います。
 で、まあ高度成長期ですと、どうしても金融機関が大企業の設備投資に向けるために大きな貸し出しをやっておったことは事実でございますが、それがだんだんと時代が変わってきましたから、やはり中小企業中心に重点を置いてきておる。その数字的な説明は政府委員からさせますが、だからといって、中小企業向けの金融に移りに変わるとは私ども考えておりませんので、専門金融機関としての中小企業金融が非常に大きな役割りを果たしてくれておることも私は信じておるわけでございます。数字的にはいま政府委員から説明させます。
#44
○上田哲君 数字的にはまあいいですが……。
 総裁、流れが変わったが、まだ水路は十分にできていないという認識はそれでいいですか。
#45
○参考人(森永貞一郎君) 一番大きく流れが変わりましたのは、国民の貯蓄超過を企業の資金不足が吸収しておりましたのでございますが、それがいまはこの企業資金の需要がそれほどございません。まあそれを政府が吸い上げて財政で使っておる。その流れが一番大きく変わった点じゃないかと思います。
 おっしゃいますように、大企業、中小企業の間でもこの流れが変わりつつあると思いますし、また、一次産業、二次産業から第三次産業の方に金の流れが変わりつつあるということもあろうかと思います。私ども、この金融機関の資金の融資の状況を見ていますと、そういう流れの変化がほのかながら見受けられているのが現状ではないかと思います。現状が果たして十分であるかどうかという点につきましてはいろいろ問題もあろうかと存じますし、やはり中小企業金融の疎通については今後ともますます努力をしなければならないと思っておる次第でございます。
#46
○上田哲君 水路が必要になってきて、その水路が十分にまだでき上がっているわけではないという認識は大体お受け取りすることができると思うんで、私はきょう、その中小企業水路とでも言いましょうか、そういう部分にできるだけ重点をしぼってお伺いしたいと思うわけです。
 出荷額などから見ても、非常に大きなウエートが上がることはこれは間違いないわけでありますから、そういう点でひとつ、業態別の金融機関の中小企業の貸出割合、最近都市銀行などのシェアがふえてきていると思うんですが、そういうあたりでひとつ概括的に御説明いただきたいと思います。
#47
○政府委員(徳田博美君) 中小企業向け貸出残高の各金融機関別の比率でございますが、五十三年三月末におきまして、民間金融機関が中小企業貸し出しの八六・九%を占めているわけでございます。そのうち全国銀行が四三・六%、中小企業専門金融機関が四三・三%でございまして、そのうち相互銀行が一〇・三%、信用金庫が四・二%、信用組合が七・四%でございます。それから政府系中小三機関の比率は一三・一%でございます。
 これは五十三年三月末でございますが、実は五十二年四月以降、中小企業貸し出しに対する分類の方式が変わりまして、五十二年三月末までは中小企業向け貸し出しの範囲を資本金一億円以下の企業に限っていたわけでございますが、五十二年四月以降は資本金一億円以下または常用従業員三百人以下ということにしたわけでございます。
 この新しい基準によりますと、同じく五十三年三月末で全国銀行の比率が新基準によりますと五〇%に上がると、このような結果になっております。
#48
○上田哲君 相互銀行、信用金庫、つまり中小企業を対象の民間金融機関なり政府系なりというものが全体の中ではいま一歩というのか、もっと力を入れなきゃならぬとかいうことにはなるわけですね。
#49
○政府委員(徳田博美君) 中小金融専門機関、相銀、信金、信用組合、これはもちろん中小企業金融の専門機関として専門性の発揮に努めているわけでございまして、これは私企業としての自主的な努力を行っているわけでございます。
 それから政府系中小三機関につきましても、これは全体の中小企業向け貸出残高に占める比率は漸次上がっているわけでございまして、たとえば四十八年の三月には中小企業向け貸出残高のうち九%を占めておりましたものが、五十三年三月には、先ほど申し上げましたように一三%に上がっているわけでございます。したがって、政府系中小三機関も大いに充実に努めているわけでございます。
 ただ、最近全国銀行の比率が高まっておりますのは、先ほど大臣あるいは総裁からの御答弁にもありましたように、最近における高度成長期から安定成長期への移行に伴いまして、大企業の資金需要が相対的に減少しているわけでございます。あるいは自己資金が増大しておりまして、そのような面から、全国銀行におきましても中小企業金融に非常に力を入れているわけでございまして、そういう意味で全国銀行の比率が伸びているわけでございます。したがいまして、中小金融に対してすべての金融機関が非常に努力を傾注しているということの成果がこの数字になっているのではないかと、このように考えております。
#50
○上田哲君 私の質問は、逆に先に言ってしまったかもしれないんですけれども、つまり大企業、大銀行というシステムが流れが変わってきていると、その分がしみ出しているとでも言うのか、そういう形になってきているという実情の中で、まあそのことは一つの現象なんだけれども、あおりを受けてということになるかどうかは言い方の問題でしょうけれども、その中小に向かっての資金の流れが、中小の側から見ればいま一歩という状況にやっぱりあるということにはなるだろうということを言いたいわけです。一言でいいですけれども、それでいいですね。
#51
○政府委員(徳田博美君) 大企業の余資が先ほど申し上げましたようにだんだんふえておりまして、資金需要が減っているわけでございまして、したがいまして、全国銀行が中小企業に向かっているわけでございますが、そのことは中小金融機関の資金の比率から言うと下がっておりますけれども、しかし、中小企業金融機関もそれなりに融資につきましては非常な努力をしていると、このように考えております。
#52
○上田哲君 それは努力をしているって、それは努力しなきゃ商売にならないという程度のことで言えばあたりまえのことなんですね。あたりまえのことなんだが、たとえば全国銀行が五十三年九月現在で言うと、金利比較で言うと、全国銀行は六・〇七八%、相互銀行は六・九四二、信用金庫が七・七五なんという数字がはっきりしているわけですから、そうなってくると、平たく言って中小企業が金を借りやすい、安い金を借りられるというようなことで言えば、やっぱりそこのところがウエートを高めている。つまり中小企業というものが日本経済全体の担い方の中でウエートを高めている。資金の流れの中でもウエートを高めつつあるということに比しては、十分に優遇されているという言葉を使っていいかどうかわからぬが、優遇されているまでには至っていないと。いま一歩の努力を見るべきところにあるじゃないかということではないかという、これはひとつ大臣うなづいていらっしゃるから、大臣から一言でいいんです。
#53
○国務大臣(金子一平君) まあ満足すべき状況でないと言われればそのとおりだと思うんですが、非常な努力をして、とにかく日本の経済を背負ってくれているのはいま中小企業なんですから、その方に最重点的にやっていることは事実であります。
 なお改善すべき点につきましては今後大いに努力をいたします。
#54
○上田哲君 最重点という言葉はともかく、今後努力すべきところがあるならばということの方を受けとめますけれども、実は、もう少し具体的に言った方がいいんですけれども、京浜工業地帯、東京の大田区、品川区というところを例にとりますと、大田区、品川区というところは、工場や商店が大田区で二万五千、品川区で一万七千というところですよ。そしてそのうち、仮に十人未満というところで線を引いてみますと、大田区で八九%、品川区で八五%という非常に中小というよりも零細企業の密集地帯ということになるわけです。
 こういうところを少し歩いてみますと、これはやっぱり実態から突き上げてくる問題というのは大臣の言われるもっと努力すべきであるというところにずばり当たってくる。たとえばある品川のプレス工場の経営者は、これだけの低金利時代に年利一〇・八%というのが、これは実態なんですよ。
 大企業がだぶついた資金で土地投機という流れがあり、あるいは株式の流れがあり、これを窓口規制なり等々のさまざまな手を打たれているという一方で、この部分というのはやっぱり重視しなければならない。つまり行き渡っていないということになるではないかということを申し上げたかったわけです。
 その細かいこといいから、大臣の方で。
#55
○政府委員(徳田博美君) 民間金融機関としては中小企業、零細企業に非常に意を用いているわけでございますが、一方、民間金融機関の融通を困難とするような零細企業につきましては、国民公庫等を通ずるたとえばマル経資金のような制度もございまして、そういう面を御利用いただければその辺の一〇・何%というような金利のものにつきましても内容によりまして代替ができるのではないかと、このように考えております。
#56
○上田哲君 それはあたりまえの話で、そうなってないじゃないかというところを言いたいわけです。
 だからたとえば、それに深入りしていると時間がないんで急いでいきたいんですけれども、たとえば五十三年度の中小企業白書では、中小企業のアンケートをとってみれば、やはり何と言っても圧倒的に金利が高いという声が上がってきているわけで、第二に問題というのは担保、保証条件が厳しいと、こういうことになるわけだから、銀行局長がおっしゃるように、こっちにちゃんとあるじゃないかということにならないというところに問題があるわけだから、これはやはり私はそうすればいいじゃないかじゃなくて、もっとあなたがおっしゃるようにできるようにはどうすればいいかというところに政策努力目標がなければならないんだと、こう思うのですが、大臣いかがですか。
#57
○国務大臣(金子一平君) 無担保、無保証の新しい制度を数年前にやっていろいろ中小企業、特に零細企業対策には努力をしてまいっておるのでございまするけれども、いまお話のございましたように、なかなかやっぱり十分行き渡らない層もあるようでございます。今後もこの点につきましては十分留意しながら対策を進めてまいりたいと考えます。
#58
○上田哲君 その十分に努力ということが、具体的には大蔵省の法人企業統計年報では、資本金の五百万から一千万、二百万から五百万というところが一番高くなっていますね。八・六ですよ。こういう数字が具体的にあるわけです。十分努力とおっしゃるんだけれども、この辺のところは仕方がないというようにお考えになるのかどうか。金利が高くなっているのは向こうへ行けばいいじゃないかじゃなくて、さっきも申し上げましたように、担保、信用力の面で大企業に劣るからというのでどうしたって劣勢条件にあるわけだし、あるいは小口融資だから強くは出られないとか、逆に足元を見られると言うと言葉は悪いけれども、優遇されないという流れはこれはもう厳然としてあるわけですね。だからそこが仕方がないのか。仕方がなくてこういういま出ているような、はっきり数字が出ている利子率の具体的な推移をどう変えなければならないのか、あるいは変えられるのか。いま具体的例をぽんとそこで出せとは言いませんけれどもね。つまりこういうものを、すっかり数字の上にもあらわれているこういうものをやむを得ないということになるのか、何とかしようとするのか、そこだけでいいですよ。
#59
○政府委員(徳田博美君) 法人企業統計にあらわれております数字はかなり時期的に若干古い数字でございますので、最近の金利引き下げを必ずしも反映してない面があるんじゃないかと思います。
 御承知のとおり、いま国民、中小公庫の貸し出しは七・一%になっているわけでございまして、先ほど大臣から申し上げましたように、そういう政府関係機関の活用につきましては今後ともいろいろ努力を勉強してまいりたい、このように考えます。
#60
○上田哲君 それは困るんだな。資料が古いのでございますみたいなことを言われちゃ困るんでありまして、去年の十二月に新内閣発足して、経企庁から実情調査をやったじゃないですか。その実情調査の報告で、金利が高いために中小企業の利用度が低下しているという報告があるじゃないですか。資料が古いだの何だのなんという、そういう小役人的な問題の逃げ方というのは、私はやっぱりそれじゃ問題を解決しようとしない態度だということになると思うんですよ。
 大臣、事実政府部内にもこういう報告があるわけですね。資料が古いんじゃなくて現実の実態としてこういうことになるじゃないかと。だから打出の小づちをいま出しなさいとはすぐ言いませんけれども、この実態を改善する方向へひとつ努力しなければいけないんだということは、これは大臣自身からひとつ承っておきたいと思います。
#61
○国務大臣(金子一平君) 十分最近の実態をまた調査いたしまして報告いたしますけれども、私どもの方としては、過去の古い貸し付けで金利の高かったものにつきましては、円高緊急対策融資でございますとか、不況産業融資で必要なものにつきましては六・一%くらいまで金利を下げるとか、いろいろな対策を講じております。ただ、そういうものに該当しない公共種目があるいは七%、八%のが残っているかもしれませんけれども、なお実態についてよく調査をいたしまして御説明申し上げます。
#62
○上田哲君 たとえば、調査して努力をされるというところまで伺いたいわけですけれども、たとえば、これはオーソドックスなことでしょうけれども、この際懸案となって、あるいはネックになっているような問題を一つずつでもはがしてみようと。
 たとえば中小企業にもっと簡単な手続を策定してみるとか、あるいは従来から中小企業庁から進めば大蔵省では厚い壁にぶつかる資金の使い方、産業投資特別会計のような問題とか、そうした問題をひとつ何とか前に進めてみようと、方向として、具体的にどこのどれをと、いま具体的には何遍も言うように結構だけれども、そういう具体的な問題に手を染めながら、ひとつやむを得ないというところから前進してみようという努力、こういう努力を大臣ひとつ承っておきたいと思います。
#63
○国務大臣(金子一平君) いま上田さんの御指摘の点につきましては、これは中小企業庁が各種目についてよく心得ておりますから、中小企業金融の条件の改善につきまして今日までいろいろ努力をしてまいっておりますが、さらにこの点につきましては、今後も改善できるように努力をさせていただきます。
#64
○上田哲君 結構です。ひとつぜひ努力をしていただきたいと思うんです。
 これ、大蔵省、金融当局がそういう問題に全然そっぽ向いていられるはずはないから、いろんなことを考えていらっしゃっていることはぼくらも勉強するわけです。
 たとえばいま進めていらっしゃる、これは銀行局長の何かのれんのような感じになってきているけれども、新金融効率化、これはかきね論とかいろんな問題も絡みながら非常ににぎやかな議論になっているわけですけれども、都市銀行の何というか進出面の目覚ましさ、それから、たとえばそれに対応して相互銀行の相互という文字の問題とかいろんなことが出てくる、そういうにおいの中では、何か新金融効率化という言葉なり議論の中には、私たちがイメージとしてすぐ浮かぶのは、もう合併とか合理化とか、言ってみれば銀行という、そうでなくてもかたく冷たいイメージをさらに巨大にそそり立たせるような感じに受け取られている面は確かにあるはずなんです。まさかそんなことを考えていらっしゃるとは思わないという聞き方で聞きたいのですけれども、そうじゃないということでしょうか。余り長い演説は要りませんよ。
#65
○政府委員(徳田博美君) 新しい金融効率化という考え方は、先ほど先生御指摘のように、いろいろ高度成長から安定成長に向かって金融機関の経営環境が非常に厳しくなっているわけですから、今後金融機関がもっと経営の効率化に努めて、安い金利で貸し出しができるようにということが一つございます。
 それから、やはり金融機関の社会的公共性という点から、金融機関に対して経済社会が要求している機能、特に、たとえば先生御指摘のような中小企業金融であるとか、公害防止金融であるとか、あるいは社会福祉のための金融であるとか、そういうものへの資金配分をさらに効率的に進めるべきであるという、つまり社会的、経済社会的見地からの効率性、この問題もございます。
 民間金融機関自体の効率性、経済社会と申しますか社会的公共性の立場からの効率性を、両方を合わせて実現するようにというのが新しい金融効率化の考え方でございまして、このためには、金融機関に対する過保護と申しますか、護送船団的な行政はもう社会的に許されませんから、適正な競争原理を導入して、大いに自主的に創造努力、工夫をしてもらおう、こういうことがわれわれの考え方でございます。
 したがいまして、この効率化が進めば中小企業に対する融資は金利も下がるし、なるべく順便に行われるというようなことを考えているわけでございます。
#66
○上田哲君 きょうのしぼったテーマに即して言えば、厳しい冷たい巨大なそそり立つ銀行像を志向するんじゃなくて、もっと親しみやすい、もっと借りやすい、もっと有利に活用できるような、きょうの言葉に尽くして言えば、中小企業にとっちゃ親しみやすい銀行になるということになるんだというふうに考えていいわけですね。これひとつ大臣から、その点をとどめを伺っておきたいんです。
#67
○国務大臣(金子一平君) 上田さんのおっしゃるとおり、国民のだれにでも安んじて安心して相談に行ってもらえる、融資も極力簡易な方法で行われるような金融機関に持っていくことが一番理想的な姿だと私どもも考えております。
#68
○上田哲君 大臣が非常にえびす様のようなにっこりした顔で言われるとそこに期待をかけますよ。ただ護送船団論とか、とにかく出てくる話が常に物騒な言葉でずっといままで言われている。かきねを低くして乗り越えた途端にまたイバラにひっかかるんじゃないかという気もする。いってみれば、ゆかたがけで夕方ぎりぎりのところで飛び込んで頼むよと言ったらヨッシャということになるような、そういうことでなければこれから銀行はやっていけないんですから、借り手がなくなるということになるんだから、そういう大きな変化の中で、冒頭に転換期だという認識は共通したわけですから、ぜひいまのような方向で具体論として進めていただくようにお願いをしたい。
 ついでに、かさにかかって言うようですけれども、いまは借り手も探さなければならないというようなことがあるから、かきねを低くしたり物騒な言葉はだんだん少なくなっていくことはあっても、苦い経験で言えば、たとえば総需要抑制のときにばっさり中小企業の切り捨てということが行われたわけですね。いまはそういう事態ではないからいいけれども、今後いつまでにこにこが続くのかみたいなこともついでに聞いておきたいから、その切り捨て論――切り捨て論ということは今後ともありませんね。
#69
○政府委員(徳田博美君) いまは金融緩和期でございますから、先生御指摘のとおり、中小企業に対して非常に金が流れているわけでございます。今後も、金融逼迫期におきましても、一たん中小企業と取引を始めた以上は、最後までその中小企業を大事に取引を行っていくように常々金融機関を指導しているわけでございまして、特に金融機関自体の貸し出しの中小企業に対する比率、総貸し出しの中に占める中小企業貸し出しの比率につきましては、これをディスクロージャーという形で公開させることによって、社会的な理解を得るとともに、金融機関みずからがみずからを規制するように持っていきたい、このように考えております。
#70
○上田哲君 たとえば、そういう懸念があったら通達を出しますか。
#71
○政府委員(徳田博美君) いま申し上げましたディスクロージャーの点につきましては、現在金融制度調査会で議論をしていただいておりまして、その方向にいま進んでいるわけでございます。したがいまして、何らかの形で法令――通達だけではなくて、できれば法令にも何らかの形に盛るような形になるのではないか、このように考えております。
#72
○上田哲君 時間が迫っていますから先を急ぎますが、国債の問題なんです。これは総裁、非常に困ったこと、困った事態だと思いますね。
 二、三日前に民放のテレビを、予告を見ておりましたら、二・二六というのでびっくりしたんですが、二・二六、二月二十六日の夜に達磨宰相高橋是清のドラマをやる。何かこう、二・二六とか高橋是清とか、それがぐっとコマーシャルの宣伝に出てきたのを見てもギクッとしたわけですよ。それが、そういう世界でもいまは思い起こされるという、財政当局にとっては何というか、不抜の鉄則を生み出したようなああいう教訓も、やっぱり押し流される情勢の中では、わかっていながらとんでもないところへ、深みにはまってしまうという状態がある。これはやっぱりそれが二・二六のときのそうした教訓のあり方と周りの情勢の問題への戒めだと思うんですね。そんなようないま不安感をだれもが持っていると思うんですよ。これはどうなるんだろうというところを国民全般が非常に不安を持っていて、これはその要路においては十分な見通しがあるのかどうかということにそもそも不信感を持っているので、その辺の議論をしていけば限りもないことなんでありましょうけれども、当面、それと目の前の対応ということが問題になるわけですね。
 だれもが言う六・一国債の応募者利回りと流通利回りの乖離の問題、けさの情報によればほぼ横ばいの値動きだった六・二%利付金融債などの中期債も値下がりである、債券価格の値下がりが中期債にまで及んできたというような、とにかく一つの連鎖反応がいろいろ起きているわけですね。五十三年度じゅうに、もちろん出納整理期間があるわけでしょうから、その分五月までという理屈もあると思うんですけれども、五十三年度じゆうに消化しなきゃならない国債はどれぐらいあるのですか。計画上では一兆だけれども、この一兆が税金の増収分の関係でどのぐらいいくと見ればいいんですか。
#73
○政府委員(田中敬君) 市中消化で本年度歳入として確保すべき国債はお説のとおり一兆円でございますが、委員の御指摘のように、出納整理期間にどれくらい送って、三月に発行すべき金額はどれくらいになるかということは、一応本年度の予算の執行状況をながめまして、不用額がどれくらいであるか、あるいは税の収入がどの程度見込まれるかということを勘案しなくてはならないわけでございますが、現在のところ、いずれにつきましてもその目途が立っておりません。そういう意味におきましては、三月債をどれくらい発行するかということは、ぎりぎり今月末ころまでにめどをつけたい。しかし、そこまで待っても税の自然増収、あるいは不用額が確定するわけでございませんので、市場の状況も考えながら、市況というものも考えて、大量の発行を避けるという意味で、出納整理期間に送る金額というものも、その観点からも考えなくてはならないと思います。
#74
○上田哲君 つまり、それじゃ全然わからないじゃないか、投げだという話になっちゃいますよ。大体税収を三千億と見込んで、七千億ぐらいというふうに見ていいですか。
#75
○政府委員(田中敬君) 何ともこの点はお答え申し上げかねます。
#76
○上田哲君 申し上げかねると、出せないことになっちゃう。これは出しっ放しということはできるわけだから、あとは山となれということになれば、これは政策放棄になるんだけれども、しかし、出せる出せないという議論じゃありませんからね。出せる、出せないという議論じゃないが、わからないという話になってきたら、三月の問題自身がこれはもう立ち往生になるわけですね。二月も四千億というところが一千億にとまったわけですね。その一千億にとめてみたら、実際の乖離はどういうことになりましたか。
#77
○政府委員(田中敬君) 二月の発行額を削減したことによって市況が好転したという影響は出ておりません。
#78
○上田哲君 という状況の中では、まあ一兆円をどれぐらい税収で削れるかわからないが、私は大体七千億と見ますけれども、とても見込みが立ちませんね。
#79
○政府委員(田中敬君) 国債の消化と申しますのは、市況がかように下がっておりますのは、一つには個人消化で非常に証券会社が販売に苦労しておるという現象が一方出てまいります。それから金融機関の引き受け、いわゆる大宗をなします市中金融機関の引き受けにつきましては、保有した国債が期末に評価損を計上しなくてはならないという問題はございますけれども、金融機関につきましては、自分が引き受ける国債と、自分が持っておりますそれに供給する資金の資金コストの関係で経営上、収支上どういう問題があるかという観点から見れば、シ団との契約に基づいて適正な金利にすれば消化が不可能であるということは毛頭ないものと見ております。
#80
○上田哲君 最後のところは、そうありゃあたりまえなんですよ。そこは打ち出の小づちとは言わないけれども、最後は逃げ場をつくればというのは、あたりまえのことなんですから。
 そこで日銀総裁に伺いたいんですが、さっきのお話にも、実勢をということなんですが、実勢はいつごろわかるんですか。総裁としてはなるべく実勢に合わせていきたいというお考えを根に持っていらっしゃると私は理解をしているので、その上に立っての質問なんですが、実勢はいつごろわかるんですか。その二つをあわせてひとつ。
#81
○参考人(森永貞一郎君) 六・一国債の市場価格でございますが、比較的少ない量の取引によって価格形成が行われているということも考えなければならないと思いますし、また、中には発行条件改定の催促的な動きもございましょうし、また、先にいって六・一国債がたくさん市場に売られるんじゃないかというような心配もございます。その辺のところをしさいに見きわめまして、私といたしましては、できるだけ早い機会に発行条件の改定を実行していただきたいと思っておる次第でございます。
 ときどきの金融市場において発行量を調整し、発行条件を弾力的に処理し、あるいは期間の多様化を図り、あるいは入札公募制を拡充するなど、要するに市場の実勢に即した発行ということしか方法はないわけでございます。ほかに妙薬はないわけでございます。
 あるいは、あくまでも正道にのっとって、市場の実勢に即した国債発行を考えていくということがこの際特に望ましいわけでございまして、いろいろと御都合もございましょうが、できるだけ早い機会に発行条件の改定に踏み切られた方がいいのではないかと私は思っております。
#82
○上田哲君 もう時間がないので、ぽんぽんと伺いますけれども、つまり実勢に即した発行条件を考えるべきだということですね。それならば、六・一国債は証券会社間の取引が始まったのは去年の十二月だし、額面割れの状況がもう二カ月も続いているわけですから、私が言いたいのは、いま実勢じゃないかということです。これが一つ。もしそうであるならひとつ結論が出るわけだし、そうでないなら、いつまで見ればそう見られるのかと、この二つです。簡単にひとつ。
#83
○参考人(森永貞一郎君) 実勢であるかどうかという点につきましては、やや異常にわたる点があるのではないかと思っております。したがいまして、改定に際しましては、発行者である国と引き受け者であるシンジケート団との間で、その問題について慎重な検討の上、このぐらいが適当ではないかという、そういう結論が出るべき筋合いのものだと思っておる次第でございます。
 それをいつ行うかという問題でございますが、これはやはり発行者と引き受けシ団との間の話し合いによるものでございまして、できるだけ早い方がいいとは思っておりますが、現在のところ時期を特定するわけには、私の立場から時期を特定してお願いするという立場にはございませんので、できるだけ早くということをお願いするにとどめたいと存じます。
#84
○上田哲君 理財局長の話も、三月の分も早くシ団との話もしなければならぬと、これはもうあと一週間かそこらでしょうね、そういう状況になってきていると。しかも巨大な物が後ろに待っているということになれば、これは決めなければならないわけですよ。総裁、たとえばもうずばりですけれども、三月いっぱいということにしますか。
#85
○参考人(森永貞一郎君) 毎月、発行世話人会というのが開かれておりまして、そこで発行者、シンジケート団、私どももオブザーバーみたいなかっこうで出席させていただいておりますが、それは翌月分につきまして月末ごろ開かれるというのが慣例でございます。したがって、三月分から改定をお願いできるといたしますれば、月末ないしは遅くとも月初早々と、四月ということでございますれば一カ月ずれる、そういうタイミングになろうかと思います。
#86
○上田哲君 いずれにしましても、理論的には三つしかないわけで、一つは、国債の応募者利回りを流通利回りに近づける。二つ目は、ちょっと邪道でしょうけれども、利付金融債の応募者利回りを引き下げて、相対的に国債の利回りを割り高にする。それから三つ目が、応募者利回りを若干引き上げ、金融債の利回りを若干引き下げる。この三つしか論理的にないわけですね。総裁、どれを選ぶべきだろうとお考えですか、どれかしかないわけです。
#87
○参考人(森永貞一郎君) その問題につきましては、国を初めとする発行者の利害、シンジケート団の利害、さらには市場の実勢と、いろいろな微妙なファクターが錯綜するわけでございますので、現在、私にその組み合わせのどれを選べとおっしゃられましても、ちょっとここで即答する立場にございませんことを御了承いただきたいと存じます。これはやはり関係機関の懇談の結果、まとまるべきだと思っております。
#88
○上田哲君 時間がなくて申しわけありません。
 どっちにしても論理的には何とかしなければならぬということをおっしゃっているわけだから、そして、そろそろ急がなければならぬということもおっしゃっている。論理的には三つしかない。だからいま実質的にどうだと、政策的にどうだということじゃなくて、理論的には私は第三しかないのだろうと思うのですよ。その印象をひとつ承りたいということ、時間がないので、それを聞いて、もう一つだけ、申しわけない。
#89
○参考人(森永貞一郎君) 理論的にはおっしゃるとおり三つの組み合わせしかないわけでございますので、そのどれをとるかということでございましょう。それには長期金利全体をどうするかという政策的な要請も絡んでくるわけでございますが、私といたしましては、短期金融がこれだけだぶついておるわけでございますので、資金需要間の調整、しかも長期相互間においてもいろいろとこの発行条件等のタイミングがプラスとマイナスと食い違っておるわけでございますので、長期金利全体を上げない方向で、むしろ下げる余地があれば下げる方向で考えるのがいいのではないかと、これは私の個人的な見解でございますけれども、と思っておりますが、先ほども申し上げましたように、これはあくまでもやはり関係者の懇談の結果にゆだねるべきものであろうと存じます。
#90
○上田哲君 わかりました。見きわめなきゃならない、急がなきゃならない、そして論理的にはこれだけしかないと、その中でのいまの御印象で、これ以上詰め寄るということは適切じゃないけれども、よくわかりました。
 そういうことになりますと、これは大蔵大臣、最後の一問ですが、それはどっちにしても金融債の利回りは国債の利回りよりも上でなければならないというこれまでの大蔵省の長期金利体系というものが、金国逆転ということになるわけです、ということをどういうふうにお考えになるかということが一つ。
 それから、時間がないからもう一点一緒にお尋ねしておくのですが、いずれにもせよ、こういう状況に追い込まれているということは非常に残念なことでありますから、びぼう策でしかないわけですから、結局は国債を少なくするよりしようがないんだということにそれはなるわけですが、そういうことの苦し紛れの一つに、いまもう一遍問題を主題に戻しまして、中小企業が非常に悲鳴を上げている一般消費税の問題があるわけですね。その議論は省きますけれども、予算委員会で、総理大臣は、野党第一党が反対している限りはこれはやれないじゃないかというふうにおっしゃった。われわれは五十五年度中云々ということも、これはもうかなり希薄になっている、撤回されたとでも受け取りたいところでありますし、かなりこれはもう重要な意味だと思っておるんですが、主管大臣としては、そこをどういうふうに総理大臣に即してお受け取りになるのかという二点ですね。
 もう一遍申し上げますが、金国逆転という問題と、それから一般消費税の問題をひとつお答えいただいて終わりたいと思います。
#91
○国務大臣(金子一平君) 金融債と国債、償還期限が違いますからな、必ずしも私はこだわる必要はないんじゃなかろうかと第一点は考えております。
 それから第二点の、総理が予算委員会で、まあ野党第一党の社会党さんが反対されてはという御答弁がありましたことは事実です。しかしそれはその後に、しかし財政事情がこういう状況になっておりますので、どうかひとつ御協力をいただきたいという話があったわけでございます。決して撤回しましたとか、あきらめましたとかということじゃなくて、反対されることはよくわかりますが、しかし、まあやむを得ぬなあというところまでひとつ御了承いただければと、こういう気持ちで総理はお答えになっておりますから、御了承願いたいと思います。
#92
○上田哲君 質問じゃなくて――野党第一党を尊重して、国会の場で総理大臣が、その反対がある限りはやれぬなあと言われたところは民意を尊重する最大のポイントでありまして、これはやっぱり世の中は大きな反響を持っておるわけでありますから、政治信義にかけて、これは主管大臣としてもわれわれが反対している限りこれはやれぬという決意をしていただくように強く申し入れて、きょうは終わります。
#93
○国務大臣(金子一平君) その点はきょう、先ほど来御論議がありましたところに尽きますけれども、とにかくこれだけの赤字財政になっておるので、まあ何らかの方法でここにメスを入れないと今後の日本経済の安定的な運営はできないということでございますので、ぜひひとつ上田さんも御協力いただきますように、お願いを申し上げます。
#94
○矢追秀彦君 初めに私は、先ほども竹田委員から物価の問題が出ておりましたが、少しだけ、質問のダブリをできるだけなくしながら伺いたいと思います。
 大臣の所信表明の中で、「最近のわが国経済の情勢は、物価が安定する中で、公共投資の拡充」云々とおっしゃっておりますが、ここで「物価が安定する中で」と言われておるこの認識が、私は少し甘いのではないか。これをお書きになった時期は、相当前であればある程度の安定は言われましたが、もう現に相当物価は土地を初めとしてかなりの分野で上がりつつあります。この大臣の認識、現状と比べてどうお考えか、お伺いしたいと思います。
#95
○国務大臣(金子一平君) 当時はまだ円高の影響で相当国内の物価も鎮静しておりましたけれども、その後円安傾向になってきたとか、あるいはOPECの油の価格の引き上げがあるとか、あるいは地価とか建設資材の動き等が最近相当動いてまいりましたので、私どもといたしましても、景気回復もさることながら、やはり物価に相当のウエートを置いてこれからの国内の財政経済の運営に当たらなきゃならぬと、かように考えております。
#96
○矢追秀彦君 もちろん、いま言われたいろんな要因もございますが、私は一つだけ問題として指摘をしておきたいんですが、大きな問題については竹田委員の方からかなりございましたので、全部それはカットいたします。
 たとえば、最近道交法が改正になりましてトラックの過積み規制が強化されました。これはいずれやらなきゃならないことだと思います。しかし、これを強化したために運賃がいまぐんぐん値上がりをしておるわけです。こういったことは果たして政策的にタイミングというものはもっと考えてしかるべきではなかったか。
 要するに、物価が上昇基調にあるところへこういうことが入ってくると、よけいそれに拍車をかける。これはもう運送業者の方も大変車がないということで頭を痛めておられますし、また今度それを運んでもらう人たちも、この運賃の値上がりで、いままで一台で済んだのが何台も要る、こういうようなこと。これはやらなきゃならぬものだと思うんですよ。しかし、やはり時期を考えるべきではなかったか、こう思うんですが、そういうふうな政策のタイミングというもの、それは私は非常に大事だと思います。
 したがいまして、大臣の所信表明の中で、物価が安定しておるなんという、こういう認識であると、こういうようなことも出てくる。大変甘いのではないか、こう思うんですが、そういうことも含めまして、そういう問題はどうお考えになりますか。
#97
○国務大臣(金子一平君) いまの過積み規制、これは車の安全運転の見地から行われたわけでございまするけれども、タイミングが悪いとおっしゃられればまさにそのとおりであろうかと思います。
 まあ、そういったことだけでなしに、とにかく世界の経済が刻々と動いておりますから、やはり世界全体の経済の動きをよく見きわめ、また、それの国内経済に波及する動きを的確にとらえて必要な対策をとらなきゃいかぬ。それは決して、物価はもう企画庁の当初お考えになったとおりのもので絶対に心配要りませんというような気持ちでは今日おりません。十分物価の動きに留意しながらやってまいりたい、かように考えております。
#98
○矢追秀彦君 いま国際経済の動向を言われましたが、確かにそのとおりです。
 しかし、たとえば非鉄金属の値上がりですね。銅とかアルミ、鉛、こういったものについての値上がりが、いままでは一面安い面もございました。円高の要因もありましたし、また海外の市況が大変落ちていた時期もあったことも事実です。そういったときに、私はかねてから主張もしておりましたし、予算でもかなりつけていただいておりますけれども、そういった非鉄金属の備蓄ですね。これはそうスペースも要らないし、かなりできるわけです。こういったことはもう金属関係の方々からは、企業側もまた労働組合の方も一緒になって大変強い要求をされてきまして、政府としてもずっと予算をつけていただいておりますけれども、こういったことがもう少しどうして機動的にできなかったのか。いずれこういったものが上がることは予想されておったはずです。予想されなかったとすれば、最近ソ連が大変鉛あたりを買い込んでいるという情報が入っておりまして、これは軍需的なものなのかあるいは民需的なものなのか、原子力発電所が関係あるのかわかりませんけれども、そういうふうなニュースもありまして、いま大臣言われたように、大変世界が動いていることは事実です。それだけに、絶えずきめ細かくそういうことを配慮した上での政策をいまやる以外にない。いろんなところで弾力的な機動力が出せるようなことをやっていかなければならぬと思うんですが、そういうことも含めていかがですか、所信をお伺いします。
#99
○国務大臣(金子一平君) 御指摘のとおりでございまして、なお大事なことは、機を逸せず、必要な手を着々と打っていくことだろうと思います。それだけはぜひ最善の努力を尽くしてやってまいりたいと、かように考えます。
#100
○矢追秀彦君 次に、財政再建についてでありますけれども、大蔵大臣は、「財政再建のためには、まず、歳出の厳しい見直しが必要であります。昭和五十四年度予算編成に当たっては、一般行政経費を極力抑制するとともに、政策的経費についても根底から見直すなど、歳出の節減合理化へ一層の努力をいたしました。」と、こう言われておりますし、また、総理大臣も予算委員会でわが党の矢野書記長の質問に対して、「したがって、いままでのようなやり方、制度、慣行を維持しておったのではとても歳出の洗い直し、歳出に切り込みまして効率的な政府を実現するなんということはできないと思うのでございます。」、国民の理解も必要だということは後で言っておられますが、いままでの制度、慣行を維持していたのではできない、こういうふうなことも言われておるわけです。相当総理も強い決意、大臣としても強い決意とこれでうかがうわけですが、特に総理の言っておられるような、いままでの制度、慣行を維持して、それがなかなか変えられないために財政再建、特に歳出の見直し、歳入の方はまた後で伺いますが、歳出の見直しについてどういう項目を考えられておるのか、お伺いしたいと思います。
#101
○国務大臣(金子一平君) 新年度の予算につきましては、御承知のとおり相当スクラップ・アンド・ビルドで、既定経費の中で、もとから見直してもらって新規の政策に充てるというようなことをやっていただいたり、あるいは補助金も相当思い切って整理をしてまいりました。ある程度これは実績は上がったと思うのでございまするけれども、しかし、全体として振り返ってみて、もうこれで十分だなんと私ども正直考えておりません。やはり制度全体をもう一度洗い直して今後の対策を立てていかなければいかぬなというふうに考えておる次第でございまして、いま、昭和五十五年度において何をどうするというふうなところまではとても申し上げられる段階ではございませんけれども、五十五年度には、さらにまた相当徹底した圧縮削減の予算を組まなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。
#102
○矢追秀彦君 一般経費の切り詰め、これは努力されておることは認めますけれども、これは限界が私はあると思いますし、必ずしも一般行政経費を抑制することがすべてがいいというふうには私は考えないのです。もちろんやらなきゃならぬ。むだ遣いはやめなくちゃいけませんけれども、それがすなわちこの財政再建に大きな影響を及ぼす、これは私は余り考えられない。補助金の場合はかなりいろいろやらなきゃならぬことはあるとは思いますけれども、それより私は、もっと長い間言われて依然として問題になっておるいわゆる三K赤字、結局国鉄と健保と米というこの三Kですね、これは依然としてそのままで来ておるわけです。
 しかも、医療費についてはもう大変ふえてきておりまして、五十四年度当初でも、医療費計でも三兆三千三百四十二億というふうに、もう三千億も去年からふえてきておると、こういうふうな状況になっております。政管健保の国庫補助もふえておりますし、これはただこれを削ればいいというようなことではなくて、医療制度そのものにかかわる問題ですから、大変大きな問題になりますけれども、やはりこれをどうするのか。
 それからいわゆる食管も、ただ消費者米価を上げる、それで終わりというようなことではなくて、まだまだ考え直さなくちゃいかぬのではないか。あるいは国鉄、これはもう相当の期間、もう十年、私が国会議員になる前から言われてまだこれ変わっていない。私自身も責任は感じておりますけれども、やはり総理が言われたのは、まさしくこの辺ではないかと思うのです。相当国民の合意も得なきゃなりません。大変むつかしいと思いますが、これは口先だけ言われながらいままでできてこなかった。
 しかし私は、こういう大変厳しい中でやっていかなければ、いままでのこれ自身が高度成長の力によって支えられてずるずるずるずる来たわけですから、先ほどから低成長、安定成長時代と言われておりますその時代になって、やはりこれは見直さなくちゃいけない。だからと言って、国民に負担を簡単にふやしていいという簡単なものでは考えられないと私は思うのですけれども、まずこの三K赤字、これをどうしていくか、またこれはどういうふうな形でどうされていくのか、お答えいただきたいと思います。
#103
○政府委員(加藤隆司君) この三K問題、総理も予算委員会で御答弁されておりましたが、総論と各論でいろいろ御意見があるわけでございます。
 そういう問題抜きまして、非常に根の深い問題それぞれ抱えております。御指摘の三つの問題以外にもあるわけでございますが、いま御指摘の三つについて考えてみますと、一つは、そのものの特別会計なり企業体の合理化というような側面が一つあると思います。それから二番目には、純粋の公共財でないわけでございますので、ただいまも公共料金上げるのはけしからぬというような御意見もあるのでございますが、受益者負担というようなものをどういうふうに貫徹していくかというような、利益を受ける人の側の適正合理化というような問題それから三番目には、構造的な問題とか環境の問題、たとえば国鉄の場合でございますと、飛行機との間の料金のバランスをどうするかとか、あるいは米の場合でございますと、外国からのいろいろなインパクトをどう考えるか、そういうようなそれぞれの企業体なり特会を取り巻く環境の問題、こういうような三点の角度の問題がいろいろあろうかと思います。
 で、ちなみに具体的に例を挙げてみますと、たとえば食管の場合でございますが、私どもいろいろ考えておりましたことは、一つは、ただいま申しましたように、そのものの合理化というようなことで定員削減に努めてまいったわけでございますが、定員削減計画ができます前の年に約二万八千人おったわけでございますが、五十四年度までに約七千四、五百人を減らしております。それから御承知のように出張所、支所の整理もかなり思い切ってやっております。しかしながら、先ほど大臣も言われましたように、決して胸を張って言えるようなことではないかと思いますが、さらに努力をするというぐあいに考えております。
 それからもう一つは、二番目の問題の例でございますが、売買逆ざやが五十一年に六十キロ当たり約三千円ほどございましたが、御承知のように、五十一年度に二%、五十二年度に四・九%、五十三年度に四・二%と、末端逆ざやにつきましては四十年以来十何年ぶりでなくなったわけでございますが、まだ売買逆ざやは残っておるというような状況にございます。
 それから環境とか構造の問題でございますが、これは米作からより需要の多い作物に転換をさせようということで、生産調整を進めると同時に、排水の対策事業費とか農業基盤とか、そういうようなものに努力をしております。
 国鉄につきましても、そのものの合理化といたしましては、たとえば本年の場合定員を五千人減らすとか、来年度以降も特に運輸大臣が国鉄総裁に命ぜられまして、さらに定員削減を強化するというようなこと、あるいは無人駅の増設とか、そういうようなそのものの合理化をやります。それから同時に、受益者の方の問題といたしましては、本年の場合も五月二十日から運賃を上げていただくと。それから構造的な問題といたしましては、高速道路とか航空機とのバランス、そういうようなものに意を用いようとしております。
 それから一番、さっき御指摘がございました医療費でございますが、御指摘のとおり五十四年度の総医療費は約十一兆といわれております。その中で一般会計から三兆三千入っております。大宗をなすものは、御指摘のように政管健保が約四千数百億、それから国保が一兆八千億ぐらい入っておるわけでございますが、これにつきましては、先般の国会以来継続審議をお願いしております政管健保から手をつけようと考えて、いろいろな改善策を織り込んだ法案をお願いしておるわけでございますが、決して、いまるる申しましたが、胸を張っているわけではなくて、これからの財政再建のためにはよりいろいろな具体的な対策をとらなきゃいかぬと思いますが、何せいろいろ根の深い問題でございますし、利害関係が非常にふくそうしておるわけでございます。片方でそういう御議論があるかと思うと、片方でそれと反対の御議論もあるというようなのが実情でございます。まあ私どもといたしましてはできる限りのことをやっていこうという姿勢でおります。
#104
○矢追秀彦君 いまるる御説明ございましたが、これは大臣にお伺いしたいんですが、いま最後にも言われたように、大変賛否両論、利害の激突、いろいろあるわけでして、それを解決するのが私は政治の仕事だと思っておりますが、特に、せっかく政府も七カ年計画も出されておりますが、いわゆる今後の長期展望に立った上でこれをどうされていくのか、特に今度出された七カ年計画の中でこれはどのように扱われているのか、その点はいかがですか。
#105
○国務大臣(金子一平君) 矢追先生のお話のございました三K赤字の問題は、私ども財政当局としても今後精力的に全力を挙げて取り組んでいかないと、やはり財政再建の大きな柱になると思いますから、今後もひとつしっかりやってまいりたいと考えておる次第でございます。
 それから、財政再建の七カ年計画にこれがどう織り込まれておるかということでございますか。
#106
○矢追秀彦君 はい。
#107
○国務大臣(金子一平君) その点は、実は七カ年計画というのは、もう矢追先生御承知のとおり、六十年の一応の目標を中期経済計画で出しまして、それを五十四年度の予算と結びつけたならばこういう方向で持っていかなきゃいかぬという一応の試算でございますので、具体的にそれがどの時点でどういうかっこうで入っているということではないんでございまして、全体としてやはりそこに組み込んで片づけなきゃいかぬというふうに私ども考えておるということを御承知いただきたいんでございます。
#108
○矢追秀彦君 この長期計画についてはまた改めて議論したいと思いますので、次に移ります。
 いま歳出の面の見直し、これ申し上げたわけですが、今度は歳入の面でありますが、歳入の面ではやはり一番問題になっております一般消費税の導入、こういうことが大変政府としては強い意思をお持ちでありまして、財政収支試算を見ましても特例公債の依存をゼロにしたいと、そういうことで単純計算をして、それで増税だと、一般消費税導入と、こういうことを言われておるわけで、果たして、私は特例公債絶対悪いとは言いません、絶対いいものであると、どんどん出しなさいと、こういう意味を言っているわけではないんですが、財政収支試算ですね、いままで出されてきましたが、昭和五十一年、これは特例公債がゼロになる年はそれぞれ何年になっておりますか。
#109
○政府委員(加藤隆司君) 五十一年の場合には五十四年と五十五年と二ケースを出しております。
#110
○矢追秀彦君 あとことしまで言っていただけますか。
#111
○政府委員(加藤隆司君) 五十二年の場合には五十五年一つでございます。昨年の五十三年の場合には五十七年度でございます。本年の場合には五十九年ということでございます。
#112
○矢追秀彦君 五十一年、五十二年は一緒ですけれども、その後出されるたびに二年ずつ延びているわけですね。これは簡単な試算ですから、そういうふうなことで本格的な計画でないというふうなことですから、それがいいとか悪いとかいうのはまた別の機会の議論にしたいと思いますが、要するにゼロにしなきゃならぬから増税すると、要するに歳入をふやすのはもう税をふやすしかないのだというふうな見方のようにとれるわけでして、私は増税の中でやはりまずやらなきゃならぬことは、前々から私たちが言っております不公平税制の是正、これはまだできるのではないか、これが一つ、これをどうお考えになっておるのか。
 もう一つは、現在税収が伸びつつあります。恐らく五十四年度は政府の見通しを上回る可能性も、景気回復がこのままいきますといくのではないかと、よほどの海外の要因とか大変なことが起こらない限り、私は税収については予想を上回る可能性があると見ております。
 もう一つ大事なことは、現在の税制のままで完全雇用が実現をして、そして四十九年度のようなああいうすごい減税が行われて、そのときに頭打ちの撤廃がありましたけれどもね、給与所得控除額の。こういうようなことをもとに戻す、そういう前提がありますが、現在の税制の中でもかなり潜在的な財源調達力というのはあるのではないかと、こういうふうにも考えられるということを言う学者もおられるわけです。そういったものの測定も――この先生は深谷という先生ですけれども、やっておられますが、こういったことについては大臣どう思われますか。
 要するに私が言いたいのは、どうも政府は税金を、とにかく血眼になって赤字国債をゼロにするためには何でもいいから取るところから取れと、新しいものも導入して取ろうじゃないかという感じを国民は抱かざるを得ないような一般消費税というものが出てきておると。そうではなくて、現行の中で不公平を是正をし、それから一番大事なことは景気の回復だと思うんです。それが何たって一番もとが上がれば勝手に入ってくるんですから、そういうふうなこと。また、いまの中で言ったようなことがもう少し研究されてしかるべきではないかと。ただ歳入をふやすために増税という真っすぐに単純に走るのではなくて、何らかのことが行われていいのではないかと思うんですが、その点はいかがですか。
#113
○政府委員(高橋元君) いまお話のございました潜在的財源調達能力の測定、これはたしか成績大学と思いますが、深谷さんの論文がございまして、私どもも拝見をいたしております。
 現在のように非常に財政の赤字が巨額なことから、この巨額な赤字が循環的な要因によるものか構造的な要因によるものかということについては私どもも非常に関心を持っておりまして、いろいろな試算を学界でやっておられますのを拝見をいたしておるわけでございます。
 で、一つの考え方は、完全雇用財政余剰と申しますか、完全雇用財政赤字と申すのも同じことでございますが、わが国にその概念を持ってきまして具体的に測定したらどれだけが構造的な赤字かという計算が一つあるわけでございます。その場合に問題になりますのは、生産関数と申しますか、供給能力関数と申しますか、それをどういうふうなものを使うかということ、それから歳出の水準をどうするかということ、それから現在のそういう場合のモデル計算に使われます租税関数が妥当であるかと、およそこういうふうなことが必要かと思うわけでございます。
 深谷さんの試算を拝見いたしておりますと、これは昭和四十九年に行いました大きな所得税減税というものをもとへ戻して二兆四千億ばかりの所得税の増税をやる、その場合に五十三年度完全雇用という前提を置けば一千億ぐらい特例公債が残るということでございますから、約二兆五千億の、少なくとも現行税制を前提といたしますと、財政赤字、構造的な赤字がやはりあるというふうに御想定になっておられるかと思うわけです。しかも、五十三年の歳出水準というのが地方交付税以外は動かないという前提ではじいておるわけですから、その点も深谷さんはこの論文の中で保留をしておられるところだと思います。したがいまして、完全雇用状態になれば現行税制でフルに歳入が入ってまいって、それによって構造的な赤字が解消するという認識では恐らく深谷さんもおられないんではないかと、私どもは思っておるわけです。
 もう一つの問題は、仮に完全雇用財政余剰ないし完全雇用財政赤字という概念をとるといたしましても、これから、先ほどもお話のございました七カ年の展望の中で、日本の経済が能力――GNPいっぱいの稼動ができるかどうかと、そういう状態が望ましい経済の運営かということだと思います。昭和四十六、七、八年あたりに行われましたかなり大きな設備投資というものの、それによってあります供給力というものは基礎材部門といいますか、素材部門といいますか、非常に大きな供給ギャップを持っているわけで、そこに現在の構造不況問題というものがあるわけでございますから、そういうものが完全に動くということまで想定することはできないと思います。現に、私が仄聞いたしておりますところでは、今度の七カ年の中期計画の中では、やっぱり供給力の超過というものが依然として残っておる、だんだん減っていきますものの残っておるということであります。
 こういう状況を前提といたしますと、やはり先ほど大臣から御答弁がありましたように、大きな財政の赤字を解決していきますために、これから想定される六%弱の経済成長の中で、一体どういうふうに財政の赤字を始末をつけていくかということが問題になるわけでございまして、過日国会に御提出をいたしました財政試算というものも、やはりそういう前提に立ちまして、現在の税制が六%成長という路線の中で生み出します自然増収の能力をほぼ弾性値一・二という平均的な中期の租税弾性値の平均を使いまして、それで想定をいたしまして、それを上回る税収所要額を九兆一千一百億円というふうに算出をして、それをいわゆる増税の必要額と申しますか、増収期待額というようなことにいたしておるわけでございます。
 したがいまして、深谷さんの論文からやや離れますけれども、私どもがやはり念頭に置いております財源調達能力と税収が、現行税制が持っております財源調達能力というものは限度がございまして、五十九年度に特例公債から脱却し、六十年に財政運営を安定させるためには、九兆一千一百億という現行の税制では期待できない新しい税制というものの導入を考えざるを得ないというふうに私どもとしては思っておるわけでございます。
 ただいまの御指摘は、そうした場合でも不公平税制の是正ということによって、一般的な国民の皆様方に負担をお願いする前にやるべき、または増収を図るべき点があるではないかという御指摘だと思います。私どもも、税負担の一般的な引き上げをお願いしておるからには、いやしくもそういうふうに税負担の公平という概念についていままでよりははるかに厳しい見方というものが必要になってくると思いますし、たとえば所得税の分野で申しますならば、社会保険診療報酬の課税の特例をどうするか、利子・配当の課税、総合課税をどうするか、それからまたキャピタルゲインの課税について、また土地税制についてどういうふうに考えていくかというような大きな問題があると思います。法人税の分野で申しますと、これは企業会計で言う特定引当金と申すんでございましょうか、準備金とか特別償却とか、そういう政策税制をどこでどういうふうに入れかえていくかと申しますか、むしろ整理合理化を図っていくかという問題があると思います。引当金にいたしましても、繰入率について見直しをしていく余地がないかというような問題を常時検討をいたしておるわけでございます。
 そういう努力のあらわれとして五十四年度、別に租税特別措置法または航空機燃料税法案としてこの委員会に御審議をお願いいたします税制改正の中でも、法人の特別措置の整理改廃ということについてはかなりの努力の結果が盛られておるかと、まあ私どもとしては思っておるわけでございます。いろいろ御意見あると思いますが、そういういわゆる不公平税制の是正ということについて、これは漸進的にと申しますか、努力を引き続いて重ねてまいらなければいけないと思います。
 しかしながら、八兆円という現在の特例公債の発行額というのは所得税の税収とほぼ等しいわけでございます。それで、まあ税のいろんな分野で政策税制を見直していくということをやるにいたしましても、それからそのほかの措置をとるにいたしましても、やはり全体の財政のギャップ八兆円、所得税と等しいぐらいの大きさの税収のギャップというものをそのままに残しておいて経済の健全な運営ができるわけでありませんので、九兆一千一百億円というふうに試算の結果出てまいりました増税の所要額について、今後経済の情勢なり税負担の状況なりいろいろ配慮しながら、所要の税制の導入、創設等につきまして、また法律をもって、法案をもって御審議をいただきたいというふうに考えておるわけでございます。
 一言つけ加えさしていただきますと、先ほど矢追先生から、税収が五十四年度上回るんではないかということを仰せありましたけれども、これは私どもとしては五十四年の経済見通しに即して各税について見積もりを行っておりますので、経済見通しと経済のその実績とが等しいということでありますならば、私どもは税収予算については予算額どおりであるというふうにいまの段階で考えておる次第でございます。
#114
○矢追秀彦君 まあ、不公平税制の問題いろいろありますし、いずれ法案が出てまいりますので、そのときに譲りたいと思いますが、よく問題になっております医師税制、この税制自身は私はいままであるような税とはまた全然違う、まあ制定のときの経緯からいいまして。そういう意味では大変不自然な税制と、こう思うんですが、いかがですか。
#115
○政府委員(高橋元君) これが二十九年に議員立法で制定されましたときの趣旨は、まさにいま矢追委員から御指摘のありましたような側面を含んでおると思います。しかしながら、社会保険の普及に伴いまして、この税制がもたらしておりました社会保険に対する診療報酬課税のメリットというものが変質をしてまいりました。そこで、四十年以降私どもとしては常にこの是正について検討をし、またいろいろ努力をしてまいったわけでございます。
#116
○矢追秀彦君 大変お医者さんはもうけ過ぎであるという非難が国民からある、だから税金はもっとかけるべきであると。まあ一方、お医者さんや歯医者さんの立場は七二%というのは当然かかるんだと、こういうようなことで、これも議論の大変分かれるところなんですが、国会決議は御承知のように診療報酬の適正化ということが言われているわけでして、果たして今回の健保の改正案、まだ通過しておりませんけれども、これによってこういった適正化が図られるという前提で今回の税制改正までいかれたのか、その辺はいかがですか。
#117
○政府委員(高橋元君) 社会保険の診療報酬の中で所得と考えられる部分について、現在まで、五十三年度までございました特例が課税の公平上問題があるというところから御提案を申し上げておるわけで、社会保険診療報酬の水準なりそのあり方なりという問題と、今度の税制についての法律の改正とは別個の問題であるというふうに考えております。
#118
○矢追秀彦君 議論になるのは七二%、政府は経費は五二%とこう言われておりますが、これは矢野書記長も質問して資料が出てきたのかどうか、私ちょっと調べておりませんが、この五二%の根拠、これはどういったところにあるのか。最初決められたときの七二%がそもそもどういう根拠であったのか、その辺と比べてどうなっているのか、これは冷静な科学的な数字というのを私は欲しいと思うのですけれども、これが一つ。
 それからもう一つは、矢野さんも質問していました、各科別によってかなり経費は違ってきていることは事実です。内科、小児科、外科、産婦人科あるいは歯科、この辺の内訳というものはちゃんと出された上で総まとめ五二%ということを言っておられるのか。それともそういうことも関係なく、ただ大体のことでやられておるのか、今後これは私は議論になるところだと思います。
 それから、もう一つまとめて時間ですから質問しますが、青色申告されている方とそうでない方とあります。この比率がかなり各科によって違います。傾向としては歯科、外科、産婦人科のような、かなり人手あるいは医療器具の要るものは青がふえています。そうでない内科の先生なんかは青が少ないように私は大体認識をしていますが、これがいまの経費率とも関係が出てくるのではないかと思いますので、その辺まできちんとした上でこの五二%を出されてきたのか。また今回の五段階に分けられた改正というものも、そういうふうなことは十分念頭に置かれておったのかどうか、ただかっこうだけいじくればいいというふうなことでされたのか、その点はいかがですか。
#119
○政府委員(高橋元君) 今回の社会保険診療報酬課税特例の改正案の骨子は、五千万円以上の社会保険診療報酬について五二%という概算経費率にいたすという点でございます。
 この五二%と申しますのは、直接的には昭和五十年の税制改正答申にあります税制調査会の考え方をとっておるわけでございますが、その五二というのがこの税制改正答申のありました当時の私どもの方の税務統計から出てまいっておりました実際経費率というものを踏まえて、実際に近い経費率と申しますか、ほとんど実際、まあこれは丸めてございますけれども、実際経費率という形で設定をいたしたわけでございます。この税務資料でございますが、これは広く各科にまたがりまして、また青白にまたがりましていろいろ課税上の統計を使って出しておるわけでございますから、いま先生がおっしゃいました意味で、すべての科、診療科、それから自由診療の度合いの高い低いというようなことを全部含めて平均して出しておるわけでございます。
#120
○矢追秀彦君 大臣にもお伺いしたいんですがね、最後に。これは改めてまた聞く機会もあると思いますから。
 もしこれが仮にこのまま通過をして実施された場合、マイナス面といいますか、いろいろ弊害も私は出ると思います。それは大体どういうふうなことが起こり得るとお考えになっておるのかどうか。そういうことは絶対ないと、いままでどおり行われていくと、そう思われますか、いかがですか。
#121
○国務大臣(金子一平君) いろいろ御心配の向きがございました。たとえば診療拒否があるのじゃなかろうか、夜間診てもらえなくなるのじゃないかというような御心配の向きもございましたけれども、私どもが今日まで得ておりますいろいろな情報では、その心配は全然ないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#122
○矢追秀彦君 これは結果が出ないと言えませんが、やはりマイナス面もかなり出てくる、それをどうやってやっていくのかということが一つと、私は一番問題は、何といいましても先ほどの財政の問題も含めまして、医療に対してこれだけマスコミも大変関心を持っていろいろなことを報道されておりますし、患者さんも国民も大変関心もあるし、今度はお医者さんの立場とてやはりいろいろ問題もあります。
 実際、一つの例を挙げますと、訴訟マニアみたいな人がいまして、何でも訴訟されて困っている、そういう大変患者さんの中にも不届きな人もいる。今度またお医者さんの方にも検査ばかりやってぼろもうけしているようないわゆる悪徳医師といわれるお医者さんもいることも事実です。だから本当にここで国民が納得し、お医者さんと患者さんの間の信頼関係が回復できるようなやっぱり医療制度そのものから手をつけないと、ただ税金をどうする、保険の点数を上げる、それだけではすべて解決しない、これはもう大平内閣としては今年度は腰を入れてこの問題は取り組んでいただきたいと思うわけですが、それで質問終わります。
#123
○国務大臣(金子一平君) 矢追先生御心配の点につきましては、たとえば私どもは救急医療体制、いままでとかくなおざりにされておりました救急医療体制に対する予算措置でございまするとか、学校医に対する予算措置でございまするとか、そういったものも厚生、文部の両省と十分連絡をしながら漸次整備をするようにやってまいっておりまするし、それから率自体が五二じゃ低過ぎるのじゃないかという御心配もございましょうけれども、これはむしろ青色申告が相当広く自由診療の分野において行われておりますので、社会保険診療の分についてもそれを広げてやっていただくようなことができますから、そういう点については行政の実際の指導において十分配慮をしてまいりたい、かように考える次第でございます。
#124
○委員長(坂野重信君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時三十二分開会
#125
○委員長(坂野重信君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、租税及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#126
○鈴木一弘君 最初に、銀行法等についてお伺いをしたいと思います。
 わが国の金融情勢の変化、さらに円の国際化、こういうようないろんな事態がございますが、そういう中にあってわが国の金融行政の中心になっているのが銀行法だと思います。その銀行法改正の準備が進んでいるというように見えるんですけれども、改正の見通しはどうなっておりますか、伺いたいと思います。
#127
○政府委員(徳田博美君) 銀行法の改正につきましては、金融制度調査会におきまして、五十年五月の大蔵大臣の諮問を受けて、普通銀行のあり方を中心に銀行法改正の問題を御審議いただいているわけでございます。
 これに関しましては、当初七つの検討項目を御予定いただいたわけでございますが、この審議を昨年の暮れまでに全部終えまして、現在はその見直しと答申の作成過程に入っているわけでございます。
 いまのままの議事の進行状態を見ますと、ことしの前半に御答申をいただけるような運びになっております。これを受けましたらば直ちに銀行法改正の作業に着手いたしまして、本年末に召集の予想されております通常国会で御審議願うような運びになるのではないかと、このように考えております。
#128
○鈴木一弘君 改正の方向について業態問のかきねの問題がございますが、そのかきねを低めるということが出ている。相互銀行、都市銀行の問題もありますし、信託との問題もあるし、証券との問題もある。こういうことで業態間のいわゆるかきねになっているものを低めて効率化の促進、あるいは金融機関の社会的責任の明確化、さらに国際化に対しての開かれた環境づくりと、こういうような、そういう開かれた環境づくりに即した銀行になるということが言われているんですけれども、その方向であるかどうか、ちょっと方向だけ伺っておきたいと思います。
#129
○政府委員(徳田博美君) いま金融制度調査会では普通銀行のあり方について御審議願っているわけでございますが、その金融機関全体のあり方につきましては、ただいま先生の御指摘のように、金融機関に適正な競争原理を導入いたしまして、自己責任のもとに自主的な努力によって社会的公共性を発揮し金融の効率化を進めてもらうという方向で議論が進められているわけでございまして、これに沿って答申の方向が考えられていると思いますが、そのうちどの部分を法律改正としてすくい上げるかという問題は、今後の答申のまとまりぐあいによって決まることでございまして、どの辺が法律になるかということについては、いまの段階ではまだ申し上げられないわけでございます。
#130
○鈴木一弘君 そうすると答申が出たあたりから検討をしてということになると、法律をつくる前、八月あたりになれば大体見当がついてくると、こういうことですか。
#131
○政府委員(徳田博美君) ただいまの金融制度調査会の御審議いただいている状況では、法制懇談会のようなものを同時に並行的にある段階で発足していただきまして、そこで法案の骨子のようなものを同時に固めていただくというようなことが予定されておりますので、答申の案の中にある程度法律案の骨子になるようなものは盛られるのではないかと、このように予想しております。
#132
○鈴木一弘君 五十四年度末で試算そのほかいろいろ見ますというと、公債発行残高が五十八兆七千億円、こういうことになっております。
 このような巨額な国債発行が現在新たな金融情勢というものをつくり出しているということはよくわかるわけでありますが、そこで銀行法改正に伴って銀行業務の範囲を拡大していく。一方は、現在は証券取引法の六十五条でいわゆる金融機関の証券業営業の禁止ということがうたわれておりますけれども、そのため銀行の国債の窓口販売ができない等の問題もありますが、いろいろございますが、そういう点についてどういうふうになっていこうとしているのか、伺いたいと思います。
#133
○政府委員(徳田博美君) 現在までの金融制度調査会のいろいろ議論していただいている内容によりますと、先生御指摘のように、銀行業務のあり方あるいはその範囲等が問題になっているわけでございますが、証券業に関しましては証取法上六十五条を前提とした議論でございまして、その枠の中での審議がいま行われているわけでございます。
 なお、公共債の窓口販売の問題につきましても一応御議論をいただいておりますが、これは証券取引審議会において御議論をいただいている最中でございますので、その検討にまつというような段階になっております。
#134
○鈴木一弘君 そうすると、窓口販売ということになればどうしても証券取引法の改正はこれは必要だと私は思うのですが、その点はどうですか。
#135
○政府委員(徳田博美君) 現在までの金融制度調査会の議論では、現行の証券取引法六十五条を前提としてどういうことができるかということで議論が行われているわけでございます。したがいまして、現行の銀行法の付随業務の範囲内でどの程度ができるかということでいろいろ審議が進められている状態でございます。
#136
○鈴木一弘君 私は、窓口の販売ということになれば当然証券取引法六十五条の改正が必要だというふうに思うんです。
 次に、さらに銀行法改正と同時に、いわゆる長期信用銀行法、CDの発行そのほかもございますし、それから相互銀行法、外国為替銀行法――相互銀行法で言えば、いわゆる都市銀行並みにしていこうという、普通銀行並みの方向へいくとかあるいは外国為替銀行法とか、こういういろいろな改正も言われているんですけれども、その点はどうですか。
#137
○政府委員(徳田博美君) ただいま先生御指摘の各種金融機関のうち、長期信用銀行と外国為替専門銀行につきましては普通銀行の業務に関連する限りにおいて検討の対象となっているわけでございまして、その結果、これらに関連する法律の一部改正につきましても問題が取り上げられる可能性があると思います。
 なお、相互銀行のあり方につきましては、現在のところ予想されておりますのは普通金融銀行のあり方についての御答申をいただいた後で、次の段階で相互銀行の、あるいはそれ以外の中小金融機関のあり方について御審議いただくことがあり得るのではないかと、このように考えております。
#138
○鈴木一弘君 こういうような民間の金融機関についての関係法律の改正、いまの局長の答弁からもいろいろうかがわれてくるんですけれども、当然そうなりますと政府系金融機関のあり方というものも考え直さなきゃならなくなってくる。開銀の問題、運転資金の方にまで広げようかとか、いろんなことございます。そういったことを含めて、その方向はどうなんでしょうか。
#139
○政府委員(徳田博美君) 現在、金融制度調査会にお願いしておりますのは、今後とも、日本の金融制度全体のあり方について新しい金融経済環境、社会環境を踏まえていろいろ御審議いただくということでございます。
 したがいまして、先生御指摘のように政府関係金融機関の問題もその中には入ってくると考えられますが、まだ具体的にいつ、どのような時点で、どのような形で取り上げていただくかということはまだ決まっておりません。
#140
○鈴木一弘君 大体、金融機関関係の一連の、いわゆる銀行法を初めとして改正が見直しの方向にあることはよくわかりました。
 ちょっとここで論点を変えて伺いたいんですが、郵便貯金の問題と関連をいたしますが、郵政省から見えていると思いますが、郵便貯金のあり方についてどう考えているかということが一つこれから大きな問題になります。
 というのは、四十兆というようなもう膨大な国営銀行といわれるのが郵便貯金でありますから、つまり郵便貯金での、最近個人貸し付けの業務とかオンラインの導入とか、こういうことによっていままでの郵便貯金業務よりもはなはだ大きな拡大をしてきている。これが民間金融機関とそれから郵便貯金との関係、この調整をどうするかということが非常に大きな問題だと思います。これは日本が比類のない貯蓄率の高さから見ても、いつまでも民間にそういう資金を置いていいかということもございましょうけれども、その点で私どもこの調整というのはどう考えていくべきかということが一つの大きな問題になろうと思います。まず、郵政省の考え方をちょっと聞きたいと思います。
#141
○説明員(岩島康春君) 御説明申し上げます。
 先生御指摘のように、ただいま郵便貯金四十兆超えております。
 御承知のように、郵便貯金はその目的が郵便貯金法第一条に規定されておるわけでございまして、簡易で確実な少額な貯蓄の手段を全国にあまねく公平に提供いたしまして、国民の皆様方の家計の健全な資産形成を通じて、国民の経済生活の安定と福祉の増進を図る、こういうところに役割りがある、またそのように私ども考えておるところでございます。
 それからまた、その資金の運用面におきましては、これまた先生御承知のように、財政投融資を通じまして国民の福祉の増進や社会資本の充実と、そういった面で大きく役立てていくというふうに私ども考えておりまして、このような役割りは、今日の経済社会情勢下におきましても重要なことであろうと考えておりまして、申し上げましたような郵便貯金の目的に沿いまして、今後とも利用者の皆様方の要望を的確に把握いたしまして、申し上げました国民の皆様方の健全な資産形成に資するように努めると、そして福祉の増進に寄与するということが郵便貯金に要請されているところであると考えておるわけでございます。
 もちろん、郵便貯金事業の運営に当たりましては、今後とも郵便貯金を取り巻きます社会経済あるいは金融全体の環境の変化とか、そういったものに慎重な考慮を払って私ども進めていかなければならないというふうに考えているところでございます。
#142
○鈴木一弘君 これは民間金融機関と郵便貯金との間の調整をどう考えているかという質問だったんですけれども、これは銀行局の方はどう考えていますか。
#143
○政府委員(徳田博美君) 郵便貯金の問題につきましては、金融制度調査会におきましても大きな関心を持って議論されておりまして、その問題点としては、たとえばすでに郵便貯金が個人貯金の四分の一を占めているわけでございまして、このようなものに対して金融制度全般のあり方という観点から見てどのように考えるかという問題点、あるいは現在金利の決定につきましては郵便貯金と民間の預金とは別の機構を持っているわけでございまして、このような二元化については金融政策上いろいろ問題があるのではないかというような、いろいろな問題点が指摘されているわけでございますが、しかし、民間金融機関と郵便貯金とのあり方をどのように考えるべきかということにつきましては、現在銀行法の改正を御審議いただいている金融制度調査会の論議とは直接は関係してこない問題でございますので、金融制度調査会において直ちに結論を出していただくことは困難であると、このように考えております。
#144
○鈴木一弘君 この問題、これは非常に大きな問題なわけですよ、金利の決定の二元化をしてくるし、そのために有効ないわゆる金融政策というものは打ち出せないというのがいままでの歩みを見ていてもよくわかることです。
 それからもう一つは、いまお話しのように四分の一を占めるような膨大な資金というものが一方に偏在をしてくる。こういうことで正常な金融情勢、これからは金利の自由化の方向に向かっていかなければならない時代にいま入っていると思うんですけれども、そういう点、大臣は今後どう持っていくようにお考えでございますか、伺いたいと思います。
#145
○政府委員(徳田博美君) この郵便貯金の問題は、先ほど申し上げましたように、日本の今後の金融制度のあり方ということを考えた場合には非常な大きな問題でございまして、この検討が今後行われることが望ましいわけでございます。ただしかし、これは先ほど申し上げましたように金融制度調査会の場とか、そのような個々の場で行うことはむずかしいわけでございまして、もっと広い立場からの議論がいろいろと行われることが望ましいと、このように考えております。
#146
○鈴木一弘君 局長の答弁はわかったんです、先ほどと同じことですから。大臣のお考えを、政治家としてどう判断されているか聞きたいんです。
#147
○国務大臣(金子一平君) 大変むつかしいが、しかし、これから何とか手を打っていかなきゃいかぬ問題だと思っております。これは当然政治の場で片づけなきゃいかぬ問題でございます。むずかしい問題でございまするけれども、今後の金融の弾力的運用をやっていきまするためには必要な問題ですから、その解決に努力してまいりたいと、かように考えます。
#148
○鈴木一弘君 もう一つ伺いたいのは消費者金融、特にサラリーマン金融業者を規制する法律の改正、こういうことで出資法の改正について早くこの法律をつくってほしいという声もございます。今国会に提案されるのだろうかというようなふうにも期待をしておりましたんですが、いまだその法律案にはお目にかかっておりません。
 話によると、大蔵省と法務省の意見の対立のように言われております。大蔵省の原案というのは昨年十二月十二日の新聞報道にはその出資法改正案の骨子等も出ておりました。その骨子には貸し出しの上限金利が大蔵省としては年五〇%というものを考えている。こういうことについてなかなか法務省との間の意見が合わないんじゃないかというような話もあるんですけれども、出資法の改正は今国会はどうなるのか。それから、いまネックになっているのは一体何が問題なのか。そのネックになっている問題について法務省と大蔵省、どう考えているか、お伺いしたいと思います。
#149
○政府委員(徳田博美君) サラ金問題は、現在社会的に非常に大きな問題になっているわけでございまして、これに対しては厳しい規制をすることが必要だと考えております。したがいましてこの点に関しましては、今国会において何らかの形で立法措置が講じられて規制が強化されるということが必要だということにつきましては関係六省庁一致した意見でございます。
 現在このための立法措置についていろいろ検討が進められているわけでございますが、御指摘の金利の点につきましては、出資法と利息制限法との間のいろいろな技術的な問題もございますので、目下いろいろ検討を両省間で行っている段階でございます。
#150
○説明員(佐藤道夫君) ただいまお尋ねの問題につきまして、銀行局長からお答えがありましたとおりでございまして、関係省庁連絡会におきまして十分両省間の意見も詰めておるという段階でございます。少なくとも意見の対立ということはないというふうにわれわれは考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
#151
○渡辺武君 初めに、一般消費税について一問だけ伺いたいと思います。
 昨年の九月の税制調査会の一般消費税部会ですね、小委員会ですか、これの試案でも、それからまた十二月に出されました一般消費税の大綱、ここでも、一般消費税が創設された場合、入場税を段階的に吸収するということが書かれているわけです。
 そこで、吸収する場合に、いまの入場税の免税点は一体どういうことになるのか、これを伺いたいと思います。
#152
○政府委員(高橋元君) いまの御質問の中にございました昨年十二月の一般消費税の大綱でございますが、その中では、一般消費税と既存の個別消費税の調整につきまして、各税の性格等にも配意し、政府において具体的に検討することが適当だと、こういう包括的な考え方をお示しになっておるわけでございまして、現在、この線で具体的に検討を進めておりますが、確定的なことはこれから詰めの段階で、またはっきりお話し申し上げることができると思いますが、いまの段階での考え方を申し上げますと、入場税は新税に吸収して、税目の整理を行うことが適当だというふうに、先ほどお話のございました昨年九月の審議の際に決められております。
 そういうことでまいりますと、入場税、現在、映画の場合千五百円でございますか、それからなまものの場合三千円というような免税点がございますけれども、そういう免税点の上下にかかわらず一般消費税に吸収されるというふうに考えております。したがいまして、現在入場税の課せられておるものにつきましても、課せられていない入場行為につきましても、ひとしく――この大綱で申しますと五%という税率の一般消費税が課せられるということに相なると思います。
#153
○渡辺武君 もう少し、ちょっと詳しく聞きたいんですが、いまおっしゃったように、映画千五百円、それからなまものの場合三千円の免税点ありますね。そうすると、一般消費税にこれが吸収されればこの免税点に該当するところ以下、いままで税金のかからなかったところですね、そこにも、仮に一般消費税の税率が五%なら五%の入場税ということになるということですな。
#154
○政府委員(高橋元君) 一般消費税の場合には、大綱に示されておりますように、納税義務者につきまして小規模零細の除外ということがございます。したがいまして、年間売り上げ二千万円に達しない納税義務者につきましては、一般消費税の納税義務がないわけでございますが、消費者のサイドから見ますと、これは、たとえば千円の映画であれ二千円の映画であれ、その点はひとしく五%の税率の一般消費税ということに相なるというふうに考えております。
#155
○渡辺武君 それから、その免税点以上の場合ですね、いまの入場税の税率は一〇%です。そうすると、仮に、まあ五十五年度に五%の税率の一般消費税が創設されたと仮にしますね。その場合は、免税点以上の一〇%はこれは一般消費税の五%に変わると、直ちに。そういうことになりますか。
#156
○政府委員(高橋元君) 具体的に最終に詰めます段階でもう少しはっきりしたお答えができると思いますが、いまの段階での考え方は、先ほど来申し上げておりますように、料金のいかんを問わず、納税義務者であれば、その入場料金について、収入につきましてひとしく五%の税を納めていただくということになると思っております。
#157
○渡辺武君 そこのところの経過ですがね。つまり、現在免税点以上は一〇%の税率で入場税がかかってると。ところが、五十五年度の一般消費税は仮に五%だというふうにしますね。その場合に、免税点以上の一〇%の税率がそうでなくなって、これがなくなって一般消費税の五%で課税されるのか、それとも入場税一〇%はしばらく残しておいて、そして一般消費税の税率が一〇%もしくはそれ以上になったときに完全にこの入場税を吸収するということになるのか、この点どうです。
#158
○政府委員(高橋元君) 昨年九月の特別部会の報告によりますと、入場税については新税に吸収し、税目の整理を行うことが適当だという考え方が示されております。
 仰せのように、高額のものについてなお入場税を存置すべきかどうかという問題はございますけれども、税収の大きさなり、それから個別消費税の税目を余りたくさん残しますことも実際的でないというようなこともございますので、これは新税の方に吸収するという考え方で整理をいま詰めておるわけでございます。
#159
○渡辺武君 ちょっとくどいようだけどね、よくわからぬものだから。
 つまり、五十五年度一般消費税五%というのがまあ言われてるわけですね。その場合に、いままで免税点以上一〇%の入場税を払っていたけれども、しかし、これがじゃあ五十五年度からそのまま五%になるのかと、平たく言えばそういうことを伺ってるんです。
#160
○政府委員(高橋元君) いまの渡辺委員のお考えのように私どもも考えております。
#161
○渡辺武君 次に、財政収支試算について幾つか伺いたいと思います。
 最近発表されました財政収支試算によりますと、五十五年度の新規増税分、これは一兆二千六百億円というふうになっております。ところが、先ほど来私申しておりますように、大蔵省の国会答弁などを伺いますと、五十五年度なるべく早いうちに税率五%で消費税を創設したいと、その際の税収額は三兆円だということを盛んに言われてるわけですね。一方でそういうことを言いながら、財政収支試算では五十五年度の新規増税分は一兆二千六百億円と、こういうことになってる。これはどういうわけですか。一般消費税導入ということを予定しないでこの財政収支試算つくられておりますか。
#162
○政府委員(高橋元君) 財政収支試算は、その計算の前提が、御案内だと思いますが、これに書いてございますけれども、財政収支試算で六十年度にマクロで出てまいりました税収を国税と地方税に分けるわけでございます。五十九年度に特例公債から脱却するという前提でございますので、したがいまして、六十年から逆に経済成長率に対して一・二の弾性値で自然増収が起こるものと考えて五十九年の税収を出します。五十九年と五十四年の税収の間を等比でつないだのがいまお示ししておる各年の税収でございます。したがいまして、現行の税制が自然増収として弾性値一・二で伸びてまいる場合と、それから、そういうふうに等比でつなぎました線で各年の税収として、特例公債脱却のために、財政健全化のために歳入をふやしていきます場合の数字とその差額を各年足しましたものが九兆一千一百億円という、いわゆる要増税額ということになるわけでございますから、したがいまして、五十五年度で一兆二千六百億というその税収の現実の自然増収以外に期待すべき額と申しましょうか、言葉は適当でないかもしれませんが、そういう金額がありましても、それはどういう税目で、それからどういう時期にやるかということにつきましては、またこれは一々法律を持ちまして、また政府におきましても税制調査会の御審議を経まして、それで各年の経済情勢などを見ながら進めていくわけでございまして、五十五年度に一般消費税導入できるよう準備を進めると税制改正の要綱に書いてございます。五十五年度のどの段階でどのくらいの大きさのものを入れるということと一兆二千六百億とは直接のつながりがないわけでございます。
#163
○渡辺武君 私、それがおかしいと言うんですよ。一方で五十五年度になるべく早い時期に導入したいと、これは先ほどの大臣の所信の中でも同じ趣旨のことを言われているわけですね。一方でそういうことを言いながら、まさにそういうことを言っているやさきに出されてきた財政収支試算、これでは全然その点考慮してないというようなことで、財政収支試算の意味は一体何だろうと思わざるを得ないじゃないですか、そうでしょう。
 いま一般消費税導入したらどういうことになるだろうか、大きな議論になる。まさに国論を二分するくらいの大きな議論になる。あなた方自身も国民の皆さんによく検討していただきたいと、こういうことを言っている。ところが出てきているこの財政収支試算はその点考えていないんだと、そうでしょう、少なくとも五十五年度について。一方では三兆円の税収だと、一般消費税だけでね。他方では増税総額が一兆二千六百億円だと。こんなことじゃ財政収支試算出す意味何にもないじゃないですか、そうでしょう。その点どうですか。
#164
○国務大臣(金子一平君) いまの問題、渡辺さんのおっしゃるとおりなんです。これは企画庁の七カ年の中期経済計画の六十年度のあるべき姿を想定した場合にこれからどうなるかということで、五十五年から五十九年までの道程は全く機械的にはじき出しておりますものですから、渡辺さんの御指摘になるようなことなんです、正直言って。
 私どもは、各年度の肉づけをいたしまするのは、そのときそのときの経済金融の情勢を見ながらどういう税をどういうふうにあんばいしていったらいいのか、またどういうふうな財政、歳出の圧縮をやっていくか、その肉づけをしていかねばいかぬわけですが、それはなしにして、機械的に六十年の姿はこうなりますという、途中の年度は、これはもう全く機械的な計算でございますよということを申し上げているんですが、ごらんいただく方では、何だいという先生の御指摘があるものですから、私も大変苦しいんでございますけれども、そういう数字であると御承知おきいただきます。
 ただ、六十年のこの姿は七カ年計画に基づいているものですから、企画庁でやっております。まあ、極力そういう方向へ持っていくような手がかりとしてごらんいただきたいと、こういうことでございます。
#165
○渡辺武君 大臣自身が苦しむような財政収支試算、これはよっぽどの欠陥財政収支試算ですな。
 それで、いましかし大臣、新経済社会七カ年計画ですか、これを下敷きにして機械的に計算したんだというふうにおっしゃいましたけれども、この七カ年計画でも、私ここへ持ってきておりますが、二十四ページを見てみますと、「国民の理解を得ながら、一般消費税を昭和五十五年度中に実現できるよう諸般の準備を進める。」と、こういうようにちゃんと一般消費税を五十五年度中に導入だということを言っているわけですね。
 それで、経済企画庁からおいでいただいていると思いますが、ちょっと伺いたいんですが、この七カ年計画で国民所得に対する租税負担の比率は、昭和五十三年度の一九・六%から昭和六十年度に二六カ二分の一%程度になることを見込む。」となっていますね。この税負担率の上昇、これの中にはやはり一般消費税を導入するということを予定されての数字になるんじゃないですか、どうですか。
#166
○説明員(高橋毅夫君) いま先生がお読みになりました基本構想の二十四ページには、政府の税制調査会の本答申を受けてお読みいただいたような内容のことが書かれているわけでございますけれども、いま御質問の経済フレームとの関係で一般消費税をどのように考えているかという御質問でございますけれども、一般消費税につきましては、導入に際しましての具体的な仕組みがまだはっきり確定しておりませんし、また、従来これを導入した経験がございませんので、基本構想の経済フレームといたしましては、特にこれを特定して試算いたしておりません。しかし、間接税の問題として一般的に検討はいたしております。
#167
○渡辺武君 いや、私の伺っているのは、この短かい文章の中でも一般消費税を五十五年度に導入が実現できるように準備を進めるんだということを言っている。だから、この税の負担率が五十三年度に比べて六十年度は非常に大きく重くなるわけですね、みんなびっくり仰天しているんですよ、これを見て。
 それはとにかくとして、だから、この二六カ二分の一%程度に税負担率が上がるということの中には、一般消費税導入ということも予定してのことでしょうということを伺っているんです。
#168
○説明員(高橋毅夫君) 先ほどもお答え申し上げましたように、計算といたしましては消費税という形で試算はいたしておりません。ただし、間接税という形で試算はいたしております。いま御指摘になりました二六カ二分の一%程度というものの中には、間接税についての見方というものは織り込んで試算をいたしておりますけれども、一般消費税という形ではまだその導入の仕組みも固まっておりませんようでございますし、それからモデル計算上もこれは初めてのことでございますので、そういう取り扱いができませんので、そういう試算を行っておりません。
#169
○渡辺武君 一般消費税も間接税の一種ですよ、最悪の間接税ですね。
 それで、ここに「一般消費税を五十五年度中に実現できるよう諸般の準備を進める。」とわざわざ言っているわけでしょう。そうすると、その間接税の中に、あなたのおっしゃる一般消費税というものが含まれるというふうに理解するのは当然じゃないですか。そういうことを予定して、そうして六十年度税負担率二六・五%ということを考えているんじゃないですか、どうです。
#170
○説明員(高橋毅夫君) 経済フレームから出てまいりました数値がそこに上がっております二六カ二分の一%程度という数値でございます。その数値の試算の方法といたしましては、一般消費税という形で例示的な試算は技術的にも困難でございますので行っていないというふうにお答え申し上げておるわけでございます。
 もちろん、間接税という形で、これは直接税と間接税の割合を大体現状程度ということを前提にいたしまして試算を行っておりますけれども、個々の税目の内容につきましては国民経済計算ベースでございますので、細かい試算はもともと行えない形になっておりますので、例示的試算を行っておりません。
#171
○渡辺武君 どうも私の伺っている趣旨がよくわからぬようですね。
 そういうことであれば、何で一般消費税五十五年度中に導入ということをわざわざここで言うんですか、そうでしょう。税負担率はこうなると、そのすぐ直後ですよ。全然考慮に置いてないということですか、一般消費税の問題は。
#172
○説明員(高橋毅夫君) 基本構想の本文におきましては、税制調査会の御答申を受けて一般消費税が五十五年度中に導入されるようなために各般の準備を進めていかなければならないということをはっきり書いてあるわけでございます。しかし、数字的な試算の根拠といたしましては、特に明示的に消費税を入れた計算は行われていないということを申し上げたわけでございます。
#173
○渡辺武君 押し問答していると時間ばかりたつから、こんな簡単なことをはっきり答えられないというのはおかしいですね、そうでしょう。だって間接税で考えている、そしてその間接税について税制調査会は、いまあなたがおっしゃったように一般消費税五十五年度導入、こういうことを言っているわけだから、当然一般消費税の導入を考えながらこの税負担率を高めるということをこれは考えているとしか考えられないじゃないですか。それは問題を一々そらすような答弁は――慎重な答弁は結構ですよ、だけど問題をそらすような答弁ちょっとよくないですね。
 それで、大臣に伺いたいのですがね、つまり下敷きになっている七カ年計画でも、いまの答弁によりますと間接税、これを考えながら税負担率の引き上げということを言っているわけですね。そうして間接税の具体的なものとして税制調査会が言っているからということで、ここに一般消費税の導入五十五年度ということを言っているわけですな。だから下敷きになっている七カ年計画でもそういう立場になっているし、そうして大臣自身が所信の中でわざわざ五十五年度導入と、なるべく早いうちにということをおっしゃっておられる。それなのにこの財政収支試算がこれ五十五年度で一兆二千六百億円しか増税分を考えていないというのはおかしいですよ。
#174
○国務大臣(金子一平君) いま企画庁からの御説明おわかりにならなかったかもしれないのですが、私の伺っているところでは、現在の国税、地方税全体の直間の比率が六、四ぐらいになるんだそうであります。それで、それをずっと六十年度まで伸ばす、しかも二六カ二分の一ですね。それを伸ばすと総額はこれぐらいになりますという数字をまずつくって、六十年度だけ出したわけです。あとの割り振りをどうするかも、これは毎年毎年の情勢によって変わりますから、しかも一般消費税の構想がまだ率直に申しまして最終的に固まっているわけでもございませんものですから、一方においては作文では一般消費税は入れますよと言いながら、数字としてまだ五十五年分に上がっていない、こういうことでございますので、私どもといたしましてはこれからとにかくいち早く構想を固めて、皆さんにも御意見を承り、最終的なものに煮詰めて五十五年度の早い時期に導入するように持っていくと、その際にはほかの与件も固まってきますから、税収としては全体がこれぐらいで、そのうちの一般消費税はこれぐらいでございます、直接税はこれぐらいでございますという姿が大体出せると思いますので、それをこれから毎年度毎年度やっぱり国際情勢、国内情勢が揺れ動きますから、それに合わせてある程度手直しをしながら積み上げて持っていこう、こういう気持ちでおるわけでございます。そこのところ、大変急いで財政収支を出しました関係で不手際もあったかと思うのですが、趣旨はそういうことでございますから、御了承承りたいと思います。
#175
○渡辺武君 いや、どうも御了承くださいといっても御了承申し上げるわけにはいかないんですが、私はこの問題はもっとほかにも重大問題をはらんでいると思うのです、この財政収支試算は。
 と申しますのは、これ一般消費税をもし仮に五十五年度に導入したとします、私ども絶対反対ですがね。もし仮に導入したというふうにしますと、そうすると政府の試算でも消費者物価は税率の約半分ぐらいと、二・五%ということを言っておられるわけですね。消費者物価は二・五%だが、しかし機械とか建物の導入分ですね、これらについては、これはやっぱりこの消費税の税率と同じ額が価格に上載せされるわけですな。ですから歳出の方がそれに応じて、つまり同じ規模の支出を維持しようと思っても物価が上がるわけですから、それに応じて支出がふえなければならぬ、こういうことになろうかと思うのですね。それで大臣、その考えはどうですか、妥当でしょう。
#176
○政府委員(加藤隆司君) 技術的な点もございますので、事務当局から答弁させていただきます。
 いまの物価の問題でございますが、ただいま企画庁の方から答弁がございましたように、間接税というかっこうで六十年の経済のフレームも計算いたしておるわけでございます。したがって、物価の問題も中に入っちゃっておるわけです。千二百幾らかの方程式があって、その中にそういう要素を企画庁の観点からも国民所得計算ベースの間接税であるとか物価であるとか、そういうものを入れて計算してあるわけでございます。その中の一環として一般会計が出てまいるわけでございます。したがって、歳出については当然のことながらそういう物価の要素が計算としては入っておると。ただ大臣が先ほど申しましたように、毎年毎年の予算編成はこれは別個の角度で行われる。
 先ほどの御議論聞いておりますと、こういうふうに申し上げたらいいのかと思うんですが、設計図の場合に、粗い設計図と細かい設計図があるわけでございます。それでフレームの方は大ざっぱに、何と言いますか、マスター的な設計図を描く、予算というのは毎年毎年で細部の実際に工事をやる際の設計図というふうにでも申し上げたらいいかと思うのですが、そういう問題だと思うのです。
#177
○渡辺武君 いや、だからこそぼくは問題にしているんですよ。間接税導入で、昭和六十年度の財政規模やあるいは支出の額やら、それはあるいはあなたおっしゃるように計算しているかもわかりませんが、だってこれ、五十四年度と六十年度と比べているだけじゃないんです。五十五、五十六、五十七、五十八、五十九と、各年度について出ているわけだから。しかもその五十五年度に一般消費税導入という問題がばあんと出されているわけですよ。だったら、もし一般消費税導入になったらどういうことになるだろうか。先ほど私は税収の額そのものについても問題がある、これは大臣も認められた。今度は支出そのもの、これについてもやっぱり一般消費税導入に伴って物価が上がるわけだから、それについて支出がどういうことになるか。こういうものを出してくれなければ議論はできないです、これは。
 私ども政府からもらいまして、これは五十四年度予算額で歳出の使途別分類をしていただいたんですが、これによりますと、人件費が二兆三千八百三十八億七千九百万円、それから旅費が七百九十九億四千三百万円、物件費が九千六百四十七億六千四百万円、施設費が七千二百五十億一千二百万円、それから補助金・委託費等が十三兆三百億八千七百万円、それから他会計への繰り入れ、これが十八兆四千百七十二億七百万円、その他もありますが、そういう数字をいただいたんです。
 この中で、時間がないから詳しい計算のやり方は除きますけれども、たとえば人件費、それから年金や恩給、そしてまた、主として人件費に充てられる補助金や委託費、これは消費者物価の上昇率二・五%分くらいはやっぱり支出増になるだろうということで計算し、それから物品やサービスの購入、それから公共事業及び主として物件費や施設費に充てられる補助金、こういうものの中で直接課税対象になるものですね、これは大体税率どおりの物価値上がりになるわけですから五%の支出増というように計算し、それから医療費だとか医療保険給付の補助金ですね、これは薬剤費相当分だけ、たとえば平均二・五%アップというふうに仮に計算する。それから出資金などは工事資金の充当額ですね、これは五%。貸付資金の充当基金などは、これは全然値上がりを見ないで計算してみます。こういう大筋の計算で言いますと、大体五十四年度と同じ額の財政規模を維持するためにも、一般消費税を導入すると八千二百七十億円の支出増になるんです。これは大変なものですよ。
 それだけじゃありません。もし一般消費税が導入されますと、これは国税庁、それから関税局、この関係でやっぱりかなりの要員増になると思うんですね。ということは、人間がふえれば、同時にまた施設その他もふやさなきゃならぬわけですから。これを約一千億円の支出増と見ますと、九千二百七十億円の支出増になる。
 それから、今度は歳入の方ですけれども、一般消費税の税収額三兆円ということになっておりますが、仮にそのうちの三二%を地方に配分するとしますと、これが約九千六百億円になります。それこれ除きますと、大体二兆四百億円ばかりの収入増になるにすぎないんですよ。そうすると、先ほどの九千二百七十億円を引きますと一兆一千百三十億円程度の増収になるにすぎない。国民の猛烈な反対を押し切って五%の一般消費税を導入しても三兆円の増収効果にはならないんですよ。支出が物価の上昇に応じてふえてくるわけですから、それだけの財政効果というのは減殺されるわけですね。地方財政、私ども計算していなかったが、地方財政ではかえってマイナスになっちゃう、地方財政では。大臣、こういう問題はやはりはっきりと検討していただく必要があると思うんですが、基本的な考え方はおわかりでしょう。お認めになっていただけますか。ちょっとお待ちなさい。ちょっと大臣に。
#178
○政府委員(加藤隆司君) 計算の問題なので事務当局から。
 ただいまのそういう計算も一つの考え方かと思うんでございます。
 ただ、先ほども申しましたように、企画庁の方で六十年の数字についていま先生がいろいろ部分で計算されたやつを全部方程式の体系として一挙に同時解法しているわけですよ。したがって、そういう問題はある部分だけ取り出して、ここはこうというふうに積み上げるやり方もございますが、経済フレームの場合にはそういうのを全体を一発で出しているわけです、解法を。したがって、そういう問題とちょっと角度が違った議論かと思うんでございますが、物価の問題も織り込まれておるわけでございますし、それから税金は確かに間接税というかっこうではございますが、そういうかっこうでいろんな要素が絡み合っているわけですから、経済は。その経済を一つの方程式体系にしておると。で、一時的に答えを出しちゃっているわけです、一発で答えを。
 そういう考え方と、いま先生が言われたように、これはこうであるというふうに積み上げていった結果と比較をして議論していただくということもそれは確かに意味があることかもわかりませんが、やはり七年先の経済を見通す場合に、普通やる手法としては企画庁がやっているような手法を使うんではないかと思うわけでございます。
#179
○渡辺武君 大臣にお答えいただく前にもう一言申し上げたいのです。
 その考え方は、それはそれでひとつ一応検討したいと思っておりますが、私申し上げるのは、いまあなた言うように、いろんな条件を一発で解決できるような方程式、恐らくその中には経済成長率等々も含まれると思うんだね。ところが、問題は一般消費税そのものが財政にどういう影響を及ぼすのか。これをほかの要件から取り出してそのものとして論議しなければ、一般消費税そのものの議論にはならぬのですよ。一般消費税は導入したらそうなるけれども、他方で経済成長率が毎年一〇・何%ずつ伸びるから、だからそのマイナス効果は減殺されるんだと、そういう方程式で出されたらこれはだめですよ。一般消費税そのものの議論にならぬです。だからぼくは言っているんです。
 一般消費税を導入した場合に物価が多かれ少なかれ上がる、その分だけは支出増になるんじゃないか。他方で一般消費税を導入した場合、私は先ほどの説明ではわざと落としましたけれども、地方財政に回す分、これはまだ決まってないでしょうから仮に三二%としましたけれども、そのほかにもたとえば物価上昇によって国民の生活は圧迫され、したがってまた、GNPの伸びに対してはマイナス効果があると、これはもう衆目の一致するところですな。そしてそれがやはり税収にマイナス的な作用を及ぼす、こういう点も考えなきゃいかぬと思う。私はそれをわざとややこしいから省略したんですがね。
 それこれのことを考えて一般消費税を導入した場合にはどういうような財政的な影響があるのか、これをこの財政収支試算の形で出してもらわなきゃならぬ。そうでしょう。その点どうお考えですか。――ちょっと、もういいです。大臣にさっきから聞いているんだから。もう時間もない、し……。
#180
○政府委員(加藤隆司君) 技術的な点でございますので……。
 間接税と一般消費税の物価の問題はいろいろ差があるかと思いますが、間接税も物価が上がるわけでございます。それから一般消費税については企画庁から先ほど答弁ございましたように、全体の方式が決まってないわけでございます。したがって、七年先の経済を見通す際にそれは求めても無理なんではないかなという気がするわけでございます。
#181
○渡辺武君 七年先じゃないんだよ。
#182
○政府委員(加藤隆司君) 毎年毎年の議論であればできると思うんです。
#183
○渡辺武君 だから毎年毎年の議論としていま出しているんだから……。
#184
○政府委員(加藤隆司君) だけど、まだ消費税のシステムが決まってないわけでございますということだと思います。
#185
○国務大臣(金子一平君) 渡辺さんの御指摘の意味は十分わかります。
 私どもは、これは五%なら五%の税率で消費税を課税いたしましても、それはそっくり歳出に組んで、さしあたっては赤字国債の償却に充てるわけでございまするけれども、同時にそれは主として、というよりはもうほとんど大部分が社会福祉に充てられるわけです。特に高齢者社会の熟成の過程にありますから、今後のことを考えればもうほかの手で社会福祉を増進させる道は財源的にはないわけでございますから、そういうようなことを考えながら御提案申し上げようということでやっておるわけでございまするけれども、デフレ効果が一方にあると同時に、それは歳出に組まれるから、全体としてはそれは必ずしも、これは法人税でも所得税でも同じこと、多少の程度の差はあっても、それはまた消費を刺激する方向に行くと思いまするし、細かい計算、これは提案するまでにいまおっしゃったようなあらゆる角度からの数字をひとつできるだけそろえて御審議の参考にさしていただきたいと思いまするけれども、もう税金、新税は特に悪税ですからそれは税金はないにこしたことはありませんけれども、もうそれではもたなくなっている現実の姿に政治家としていかにわれわれ対処するかという点で苦労しているわけでございます。いろいろな点はございましょうが、十分御意見を承って対処してまいりたいと、こう考えます。
#186
○渡辺武君 私の申し上げた点などを十分に考慮して、それでやはりこういう財政収支試算ではなくて、一般消費税を導入したらどういうことになるのかという見地からのこういう財政収支試算的なもの、これを計算してやっぱり国民の検討を仰ぐべきだと思いますが、そういう用意があるという趣旨ですか。
#187
○国務大臣(金子一平君) これは、むしろねらいは各年度にあるんじゃございませんで昭和六十年度にあるわけですから、むしろ毎年毎年の財政のあり方をどうするか、収支バランスをどう見るかということは、毎年毎年やっぱり見直しながら、そのときの現実の財政経済情勢に合わしたものを出して御審議いただかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
#188
○渡辺武君 それでは、大臣が盛んに福祉のために使うんだと言うんで、本当にそういうことになっているのだろうかなあという点で若干の点伺いたいと思うんです。
 それで、まず現在の一番近い年の数字でいいんですが、社会保障移転の国民所得に対する割合、これ西ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、スウェーデン、日本、これどうなっているか、伺いたいと思います。
#189
○説明員(新津博典君) ただいま御質問の、社会保障移転の国民所得に対する割合でございますが、各国一九七六年でございます。西ドイツが二〇・五、フランス二七・一、イギリス一三・九、アメリカ一四・〇、スウェーデン二一・九、日本は一〇・六でございます。
 なお、念のために申し添えますと、一九七九年の日本の見込みは一二・四でございます。
#190
○渡辺武君 そうしますと、日本はとりわけ低いということがおわかりいただけると思うんです。それほど社会保障の水準というのは貧しいんです。ところでこの七カ年計画、六十年度にはこの社会保障移転費の比率はどのくらいになりますか。
#191
○説明員(高橋毅夫君) 基本構想におきましては、昭和六十年度におきまして一四カ二分の一%程度でございます。
#192
○渡辺武君 現在でも著しく低いのに、昭和六十年度になっても現在の西ドイツ、フランス、イギリス、スウェーデン等々――イギリスはちょっと除きますが、スウェーデンなどに比べてまだそこまでもとうてい到達しないという状況です。大変なことだと思うんですよ。
 それで私伺うんですけれども、一体この七カ年計画によりますと、六十年度の国民一人当たりの社会保障の負担額、これどのくらいになるのか。
 それから、ついでに大蔵省の方に伺いたいんですが、この六十年度の税金、これの人口一人当たりの負担額はどのくらいになるのか、これを伺いたい。
#193
○説明員(高橋毅夫君) まず総人口の統計でございますけれども、これは昭和六十年度におきましては厚生省が五十一年十一月に推計いたしました中位推計値一億二千二百三十三万人を前提にいたしまして試算をいたしてみますと、普通の場合に足元の時点の五十三年度につきましては五十三年十月一日の総理府統計局の概算値でございますが、一億一千五百十九万人でございます。その数値を使って試算をいたしますと、人口一人当たりの社会保障負担額は五十三年度約十三万円強でございますが、六十年度は三十万円強でございまして、平均伸率は一三%弱でございます。ちなみに、社会保障移転の同じような数字を申しますと、五十三年度は十八万円程度でございまして、六十年度が四十万円強ということでございます。その平均伸率は一二%強でございますが、なおこの七カ年間の差額をとりますと、一人当たりの社会保障移転額は約二十二万円増加いたします。これに対しまして、一人当たりの社会保障負担額は約十七万円増加する見込みでございます。
#194
○渡辺武君 大蔵省の方、ついでに一人当たりの五十三年度のやつを比較してください、六十年度と。
#195
○政府委員(加藤隆司君) 一人当たりの税金の額というお話でございますが、法人税等の負担も含めまして、五十三年度が約二十九万円弱でございます。六十年度が七十三万円弱でございます。
#196
○渡辺武君 それじゃ終わりますが、ちょっと一言だけ。
 それで大臣、つまり社会福祉の充実のためだとおっしゃるけれども、いま挙げた数字、もう時間ないから詳しく説明しませんが、そうなってないと。しかも、一方でこれはもう国民の消費に税金がかかるというような最悪な大衆課税を導入しようと、これは本当にけしからぬと思うですね。だから、私先ほど仮に導入したらどうなるかというその資料を出してほしいと申し上げましたけれども、これは導入しないにこしたことないんです。やめていただきたいですな。ほかに財源はあるんです。その点を改めて申し上げます。
#197
○国務大臣(金子一平君) 率直に申しまして、なかなかおたくの方で御提言いただいているような財源対策では十分今日の赤字財政を賄うに足りない。やる方策としては、これは日本だけじゃございません。ヨーロッパ各国でやっておりまして、しかも所得だけじゃなくて、こういう中成長下ではもう消費に担税力を求める以外には道がないというのが中成長、低成長下に入った各国の財政当局の物の考え方でございます。そこがちょっとやっぱり私ども御理解いただけないかと思うんですが、いろいろな御提言いただいておりまして、十分政府の税調でも事務当局でも検討してもらっております。しかし、これはもう将来の日本をどう持っていくかという問題ですから、ひとつ十分御検討いただきまして結論を出していただきたい、御協力をお願いしたいということでございます。
#198
○中村利次君 政府は五十三年度に、あれは臨時異例でしたか緊急異例でしたか、とにかく異例の予算をお組みになって、五十二年度の予算で何としても三〇%の歯どめは守るんだと言っておられた公債依存度も三七%ということになりましたが、五十四年度の予算ではその公債依存度も四〇%、まあ三九・六と言ったらこれは四〇%みたいなもんですけれども、特例公債も八兆を超すという状態になっておるわけであり、まさにこれは異常な状態、やむを得ない、特例公債もやむを得ないとは思いますけれども、そういう状態にあるんです。
 また、この財政収支の試算も、年を追うにつれて特例公債の依存から脱却するのが五十四年、五十五年、五十七年となり、五十九年、大体私ども民社党が六十年代の早い時期ということにだんだん近づいてきておるわけでありますけれども、そういうぐあいになっておるわけですね。
 午前中からの質疑等を承っておりましたところが、私は本当に琴線に触るるものがたくさんございまして、やっぱり五十四年度、来年度の予算でも政府がこれを執行される場合、かなりの不安要因があるんではないか、物価の問題、景気の動向、景気の動向につきましてはいまもう何か一時は政府が確信あり、自信あり、景気は回復過程にあるんだということを強弁なさいましたが、一般はどうもそれについていかなかったが、最近はこれはどうしてどうして、マスコミ等ももう日本の産業構造そのものが減速経済に適応するような体質改善をやったような報道すら散見をするわけでありまして、私はかなりこれには抵抗を感じておりますけれども。
 減量経営とはそれじゃ一体何だという、いろいろな課題がありますが、そういうことは時間も短いですから別にしまして、大体回復基調に乗ったという見方が非常に多くなってまいりました。
 私はこれはいろいろな主張がありますが、しかしそうなってきますと、私はそれが物価にどういう影響を与えるのか、やはりかなり心配である。イランの政変問題等を中心として午前中から指摘をされておりましたが、油の値段が上昇傾向にあることは否定できません。これは何もスポット価格がどえらいものになっておるというそういう実績をつくっちゃったという心配だけではありませんよ。
 たとえば、イランの分を肩がわりを現在しておるその他の石油輸出国機構あたりがすでに値上げを始めておる、一四・五%の問題にプラスアルファをしている。そうなりますと、かなり長期的じゃなくて、中期に見て、国際的に原油の値上がりはどうも避けられないんじゃないかという不安が非常に強いですね。私ども現在ただいま想像する以上に高価格エネルギー時代に入る可能性が多分にあると思うのです。アメリカあたりは大変に騒ぎ回っているんですが、日本国政府は、私の承知するところでは全く落ちついていらっしゃる。イラン紛争で政府が省エネルギーを発表されましたけれども、通産省等の思惑では、私は昭和四十八年のオイルショックで実態からはるかに遊離したパニック状態になったので、ここでイラン情勢に絡んで深刻なエネルギー危機を訴えれば、また日本の国民性からするとどえらいパニック状態になってはという配慮があんまり強過ぎちゃって、どうも実態よりもはるかに楽観した姿勢をおとりになっているんではないかというような気がいたしますよ。
 それから、これも午前中すでに指摘されましたように、その他の国際的要因等からも、どうもインフレ懸念が非常に強いような気がいたします。そういう要因があって、なかなか予算の執行、よほどこれは厳しい見方をなさらないとえらいことになるんではないかという不安が私にはあるということ。
 もう一つは、これは政府みずから、あるいは本会議の大平総理の答弁で、総論賛成各論反対で、これは与野党含めて積極的に取り組まなきゃなかなかむずかしいのですというかなり正直な御答弁を聞きましたけれども、確かに行革の問題、あるいは補助金の見直しの問題等々、超党派で本当に腹をくくって取り組まなきゃならない問題があると思うのです。
 五十五年から一般消費税を導入しようという方向を政府は税制調査会等のあれによってお決めになったといっても、これは大変問題があるでしょうし、それで五%導入なら政府の発表でも三兆。どうも仮にこのままでいきますと一般消費税を五十五年度に――私どもは反対ですが、導入されても財政の健全化が果たして達成されるのかどうか。
 衆議院の予算委員会に資料として提出された「特例公債の償還について」、「特例公債の償還を支障なく行うためには、まず、特例公債の発行を最少限にとどめ」云々、まことにごもっともなことが書いてありますけれども、しかし、果たしてこのとおりのことが裏づけをもってできるのか。そういうことを考えていきますと、全くこれはもう本当に心配で心配でたまらないような気がします。
 ところが、政府の姿勢をとってみても、これは大蔵大臣に質問する事項ではないでしょうけれども、去年の暮れに全逓がストライキを打って年賀状が遅配をいたしました。そしてお年玉はがきの抽せんもおくらせなければならないような事態がありましたがね。これは適法なストライキではありませんから、やっぱり当局としては処分問題を考えられると当然思うのですよ。ところが、その人たちに対して、何ですか、繁忙手当だかなんだか手当を出す。玄人がわかるのだかわからないのだか知りませんけれども、まともな国民にしてみれば、そんなことはわかりっこないんだ。なんでそんな手当まで出さなければいけないのだ。
 そういう政府の姿勢が、やっぱり医師優遇課税の問題なんかでも、これは何も政府だけに責任を転嫁するつもりはありません。超党派で取り組むべきでしょうが、大蔵省としては、とにかく手をつけたことに対して国会も評価をしたっていいじゃないかというお気持ちだろうと思うのです。私は評価できる、できないよりも、手をつけられたということに対しては敬意を表しますが、やっぱり国民の側からするとまだ納得できない。
 こういうものがあって、異常な財政状態を何とか健全化しようということをおっしゃっているわけですけれども、いろいろなことを申し上げたからお答えが非常にやりにくいかもしれませんが、大蔵大臣どうですか、基本姿勢と財政の健全化についてどういうぐあいにお考えになるのか、まずお伺いします。
#199
○国務大臣(金子一平君) 大変重大な問題の御指摘を中村さんからいただいたのでございますが、景気の方は、今日の状況から見れば、まあまあ何とか明るさを加えてきておるのじゃなかろうか。もちろん構造不況業種――造船とかいろいろなものがございますけれども、しかし、いままで構造不況業種と言われておった業種の中にも大分活気づいているものが最近たくさん出てまいっております。少しずつ違った姿になってきておるように感ずるのでございます。しかし同時にやっぱり、その方よりもむしろ物価が心配だとおっしゃる。それはそのとおりだと思うのです。アメリカなんかでも、カーターは、いま景気よりもインフレがこわいということで政策の方向転換をやろうとしておるというふうに伺っておりますが、これは世界各国同じような状況にあると思うのです。
 私どもは、OPECやイランの問題も御指摘いただきましたけれども、今朝来いろいろな点についてのお話を承りましたが、そういういろいろな要素を絡めて、物価対策だけはひとつ政府挙げて全般的に総合対策を実行していかなければいかぬ。それをやらないと、財政の円滑な運営も国民経済の安定もありませんから、そういう気持ちでおります。
 それと同時に、やっぱり考えなければいかぬことは、もう今日、つい去年までは三割が限度だと言っておったのが四割近くまで公債依存度を上げてきてしまっております。七カ年の財政収支にも見られますように、もう大変な今後の大きな国民経済に対する負担となってきておるわけでございまするから、財政的にやっぱりこの解消を、どうやって片づけていくかということを考えていかなきゃいかぬと思うんでございまして、一般消費税の導入やらその他もろもろの税についての検討をいま進めておるわけでございまするけれども、なかなか一般消費税をやめてこれをやれば心配要らぬというような税がもう残ってないんですよ、正直言って。そこへもってきて石油ショック以来経済の流れと申しますか、経済の発展の諸条件が変わってまいりましたものですから、いままでの税制では十分に機能しないような体制になってきた、そういうところでわれわれ大いに苦悩しておるわけでございまして、一般消費税もそんなことから御提案申し上げようということで、いませっかくの作業を進めておる最中でございます。しかしそれをやりますにつきましては、やはり歳出全般を絡めて、機構も含めてしっかりと見直しをしなきゃなかなか国民の皆さんの御納得をいただけないだろうと、国民の皆様に減量経営をお願いするだけで、政府が自分の足元は知らぬ顔しておってまかり通るような世の中ではないと、私もそれは十分考えております。
 三Kの問題その他いろんな御指摘がございましたけれども、ある程度、五十四年度の税制において第一歩だけ踏み込んだつもりでおりまするけれども、今後もひとつしっかりそれはやっていくつもりでおりますから、御鞭撻をいただきたいと思うわけでございます。
 それから、医師税制の問題も御指摘いただきましたけれども、これは四半世紀手がつかなかったものをやっと切り込んだということだけではございませんで、四千万円以上のものは五十年度の政府税調の提案と同じでございます。それ以下の分につきまして若干の手直しをしておりますけれども、これは都市と地方を問わず、日夜地域の診療に従事しておられるお医者様の公共性をある程度考えてあげなきゃいかぬという意味で、医師税制を改正するからといって、二十五年のいわば一種の既得権になっておるようなものを百八十度転換するわけにもいきませんから、まあ相当の前進ではなかったかと思っておる次第でございますが、まあいろいろ御議論はございましょうけれども、お医者様一人当たりにすれば税負担は百万円ずつふえるわけで、相当な負担増と私どもは考えております。
 そういったいままでいろいろ議論されておる問題につきましても一つずつ解きほぐして皆様の御理解、御納得がいただけるように持っていこうということで、ことしも租税特別措置につきましては五項目を廃止しまして二十五項目について圧縮をしておるというような状況でございますし、いろいろ問題がございました貸し倒れ引当金なんかも二〇%圧縮をするということで、それなりの努力はしておりますけれども、しかし、一般消費税導入というようないわば日本の風土になじみのない税制まで取り入れようという際でございまするから、やはりこの際は抜本的なと申しますか、革命的なと申しますか、全く白紙でこれからの歳出歳入全般を見直していくべきだと私は考えております。どうぞひとつよろしくお願いします。
#200
○中村利次君 確かに大臣がおっしゃるとおり、白紙にして、たとえば行改にしても、よく言われる補助金の見直しにしても、もう目をつぶっちゃって補助金は全部ゼロと、それから何としてもこれはしようがないんだというものを新たに起こしていくというやり方でもすれば画期的なものができるかもしれないけれども、いまのやつを見直していこうったって、どだい確かにこれは総論賛成各論反対が横行していましてどうしようもないという、日暮れて道遠しの感が確かにあると思うんですよ。ですけれども、時間がありませんから、そういうことを言っていると全然これはだめになっちゃいますから、こういう問題、どうですかね。
 確かにこれからもう何であろうと高価格エネルギー時代に入っていくことは間違いありません。それは私はいま私どもが頭の中で考える、そんなもんじゃない。とにかくイランの紛争、政変というちょっとしたことで十三ドル幾らの石油価格にスポット価格として七ドルから九ドルの上乗せというと、本当にこれはこわいぐらいの高価格エネルギー時代に入っていくであろう。
 政府が看板だけにしても省エネルギーをお出しになったですね。それからエネルギーの暫定見通しもお出しになっております。それによりますと、省エネルギーを昭和六十年石油換算八千万キロリッター、容易じゃありませんよ。しかしそれをやるには、これは五十二年ベースですか、六十八兆といいますかね、公的負担額が七兆だといいますから、大体六十年の見通しなんかであれしますと、公的負担金だって十兆を恐らく超えるだろう。しかし、これはやらなきゃならぬから、その場合には資金の裏づけ、法制上、税制上いろんな問題がある。通産省が所管でしょうけれども、税制上の措置を考えるということになれば、これは大蔵省もかなり検討していただかなきゃ困るんですが、看板は立てられますがね、法制上、税制上、断熱材の使用について何らの手も打たれていない、あるいは太陽熱の利用、まだ本当にこれは幼稚のように見えたって、あれ全部法制上、税制上の措置をやってごらんなさい、かなりなもんになりますよ、これは。そういうことを税制上から大蔵省として検討される用意があるのかないのか。
 まだ私は本当に具体的にいっぱい指摘をして質問もしたいんですが、もう時間が尽きてしまいましたから、きょうはこれで残念ながらやめますけれども、私はこれは政府として真剣に対応していただいて国民、国家百年の、百年じゃなくて十年の計だな、もう十年先になったら危ないんだから、いかがでしょう。
#201
○政府委員(高橋元君) エネルギー対策を総合的に進めていきますために、いま中村委員からお話のように巨額の公的な資金が要るということであろうと思います。
 昨年のエネルギー調査会でのいろいろな資金面の御検討の中で、エネルギーの多様化を図る、それから節約を図る、新規のエネルギーの研究開発をしていく、そういうことのために公的な資金の投入が必要であるということが指摘されておりまして、私どももその一環として、いま中村先生からお話がありましたようないろいろな施策を含めまして総合的に資金対策を検討いたすわけでございますが、方今の財政事情でございますから、御指摘のように、どういう形で資金負担と申しますか、税負担と申しますか、持っていくか、総合的に検討を進める必要があろうかというふうに考えております。
 断熱材を使用した住宅の問題でございますけれども、現在事業用資産として省エネルギー設備をしますと、これは特別償却の対象になりますが、しかし個人の場合には、いわゆる新築住宅の取得控除というもの以外に、家を建てました場合に特別に取得控除というものを設けていないわけでございます。
 と申しますのは、断熱材を使いました住宅、ちょっと理屈っぽくて恐縮でございますけれども、将来のリビングコストと申しますか、光熱費が安く済むというメリットもまたあるわけでございまして、その返を全体としてどう考えるか、恐らく住宅にそういうものが普及してきます場合、たとえば太陽熱利用施設でありますとか、断熱材の利用というのが普及していきます場合には、すでに実験的なものでなくて、そういうものの大量生産が進んでおりまして、そういった将来の居住費用の低下と取得の場合の割り高が見合っておるという形で初めて普及していくと思うわけでございます。
 そこで、そのために特別の控除を設けるということは所得税制全体の問題からいかがかということは考えておりますということを考えますが、全体といたしましてエネルギー対策に必要な公的な資金をどうやって捻出するかという問題につきまして総合的に検討さしていただきたいというふうに考えております。
#202
○市川房枝君 金子大蔵大臣には、大蔵委員会でお目にかかって質問をする機会を与えられましたので、この機会に、大臣に対してまず政治資金に対する課税について伺いたいと思います。
 去る二月五日、東京地裁の刑事部で開かれましたロッキード事件の全日空ルート公判の際に、全日空の若狭前社長が、有力な政治家には盆暮れに百万円ずつ二百万円ぐらい配っているのはもう慣例なんだと、それで一年にはやっぱり四、五千万円そのためにかかっているというか、それはまあ全日空のことでなく、一般的にということでおっしゃっておったようですが、このことは各新聞にも大きく伝えられ、実は、国民はそういうことはあるんだろうということは知っているんですけれども、そんなに大きな金が盆暮れにということを知って、それも裁判でそういうことをはっきりおっしゃったんで、実はみんなびっくりしたわけでございます。
 そして同時に、金を出した方あるいはもらった有力な政治家といいますか、一体そういう人たちは、これは税金はどうなっているんだということを国民は心配をしているというか、不思議に思っているんですが、まずそれ大臣から伺いたいと思います。
#203
○政府委員(米山武政君) 執行上のいろいろ取り扱いの問題ございますので、答えさしていただきます。
 政治家が受け取りますいわゆる政治献金は所得税法上雑所得の収入金額を構成するわけでございまして、この収入金額の中から必要経費を差し引いた残額がありますれば、これが他の所得と合算して課税されると、こういう仕組みになっております。
#204
○市川房枝君 そういう仕組みになっていることは私も承知しているんですけれども、一体雑収入として考える政治献金はどれくらいあるのかわかっていますか。
#205
○政府委員(米山武政君) いま申しますように雑所得の収入金額、いわゆる政治献金の中から必要経費としていろいろ政治活動に使った費用を差し引いて、残額があればこれは確定申告をする必要があるわけでございますが、ただ、かつて私ども先生方のいろいろの所得の状況につきましては国税庁が管理したことがございますが、現在特別に管理しておりませんので、雑所得の申告、特にこの政治献金に基づく雑所得が幾らあるかというのは現在把握しておりません。
 と申しますのは、雑所得にはいまそういう政治献金の経費を差し引いた残りだけでなく、講演料とか作家以外の者が得る原稿料とか、あるいはその他いろいろの所得が雑所得の中に入っておりまして、これが雑所得として確定申告の際そういうものを一緒になってやっておりまして、これを細分した統計は現在持っておりません。
 現在雑所得の申告というのは五十二年分で申しますと二十四万三千件くらいございますが、特に政治献金はこのうちどれかというのは私ども細分して統計を持っておりません。
#206
○市川房枝君 いまおっしゃったのは雑所得の総額でしょう。私はそれを聞いているわけじゃないんであって、政治献金、雑所得として扱われている政治献金は一体どうなっていますかということを伺ったんですよ。
#207
○政府委員(米山武政君) 政治献金も雑所得の一部でございまして、私どもその雑所得、いま申しました雑所得いろいろのものがございまして、それを分類した統計を持っておりませんので、雑所得の中で政治献金の必要経費を除いた分が幾らかというような統計を持っておりませんので、先生の御質問にちょっと答える資料持ち合わしておりません。
#208
○市川房枝君 政治献金を大体雑所得に入れることが私はおかしいと思うんですが、所得税法の中にはっきりと、いわゆる所得の区分というところに入っておりませんね。その他ということに入っているから、その他に入っているのかもしれないけれども、大体雑所得というのは、さっきちょっとおっしゃいましたけれども、原稿料だとか講演とか、あるいはそういうので、そのために費やした費用を差し引いたものを雑所得として課税されているということですね。
 ところが、政治献金の方は何もそれを得るために骨折っていないじゃないですか。もらった金の中から政治活動にそれを使って余りがあったらそれに課税すると、こういうのでしょう。だから考え方、雑所得の規定の仕方といいますかね、それがはっきり法の上では出てないんですね。雑所得のいままでの解釈と全く違う解釈をそこに含められているということがちょっと理解ができないんですけれども、どうなんですか。
#209
○政府委員(米山武政君) これにつきましては、従来もいろいろ一時所得とすべきであるとか、あるいは贈与と見るのが適当であるとか、いろいろ議論があったようでございますが、やはりいろいろ分類しまして、どうしてもいままで分類されている他の所得に分類するのは適当でないということになりまして、現在のように雑所得で課税していると、こうなっております。
#210
○市川房枝君 いまもちょっとおっしゃいましたけれども、本当はこれは贈与なんだと、あるいは所得税の中で言うならば一時所得とあるべきなんで、それを従来いろいろとおっしゃいましたけれども、従来いろいろということを簡単に、なぜ雑所得になったかということがまだ私納得がいかないんです。
#211
○政府委員(高橋元君) ちょっと回りくどい御説明で恐縮に存じますが、一時所得と申しますのは、税法の定義では、「一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しない」という定義になっております。
 で、そういう一時所得を含めまして他の八種類の所得に入らない分類が雑所得でございますから、この場合、国税庁の従来の所得税法の適用上、利子でも配当でも給与でも、等々の所得でない所得という意味で、その収入から必要経費を差し引いた残りを雑所得として課税いたしておるということを御説明いたしておるわけでございます。
#212
○市川房枝君 いま説明していただいたけれども、どうもちょっとそれわからぬですがね。しかし、時間がないから余りその問題掘り下げていくことはまた別な機会にしたいと思っておりますが、大体さっき私が政治献金の一体額はどうなんですかと聞いたらわからぬとおっしゃったんですが、それはわからぬはずであって、さっきから御説明があるように、政治献金から政治活動に使った費用を差し引いて残りがあったらそれに課税すると。残りがなかったら届けなくてもいいんですよ。だからわかるはずないんですよ。それはもう皆さん方の方にはさんざんおわかりになっているところだと思うんですけれども、一応どういうふうに受け取っておいでになるかと思って伺ってみたんですが、一応現行の、要するに基本問題ありますけれども、現行の雑所得と政治活動に使った云々ということを一応認めるとして、国税庁が毎年二月に私ども議員に配付されておりまする「所得税の確定申告について」という刷り物をいただいておるんですが、それを見ますと、所得税法の三十五条で、私さっき言いましたように所得税の区分の中には入ってないんですよ、政治資金というのは。雑――雑になっているんです。わからないものとかになっているんですが、その説明書には、「主な所得の所得区分」というところに、ちゃんと政治献金というのをそこへ出しておいでになるんですよ。これはちょっとおかしいんで、それならなぜ法の中にお入れにならないのか。ここだけ政治献金を区分にお出しになっているのは、私にはちょっとわからないわけですがね。
 それから、支出要項として、どういうことでなら政治活動で支出してもいいかという事項の中で、イ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、トと七項目例示されておりますが、範囲が非常に広過ぎる。ことに、一番最後に接待供応費と書いてあるんですよ。ということは飲むということなんであって、余りがあったらみんな飲んじまえばそれでおしまいで、パーになっちゃうと、届ける必要もないんだと、税金も払う必要ないんだと、こういうことになって、一般国民から見ると、どうも規定が非常に広過ぎて、一般国民に対しては実に国税庁はといいますか、大蔵省はというか、厳しいのに、特に議員に対してはこんなふうに非常に緩やかだという感じを持つと思うんですが、その基準、支出してもいい基準をもっと詳しく、もう少し厳しく考え直すということはお考えになっておりませんか。
#213
○政府委員(米山武政君) いま先生御指摘になりましたことでございますが、私的な消費に属する交際費や接待費は除かれ、「政治活動に関する交際費、接待費」、こう書いてありまして、私どもよくわからないわけでございますが、政治活動、いろいろ広範なものを含むわけでございまして、ここを余り厳密に規定してしまうのもどうか。私どもとしては、この政治資金の中から必要経費として、政治活動に必要なものをこれは経費と見る、それ以外のものは、私的消費に属するものは見ないと、こういうところをはっきりさせれば、それで目的を達するのではないかと考えております。
#214
○市川房枝君 まあ、大蔵、国税庁の解釈はそうかもしれませんけれども、国民から見ればとても緩やかで納得できないと、こう言っていいと思うんですが、さっきから政治献金の収入の中から政治活動費、非常に広いんだけれども、それを差し引いた残りに課税すると、こうなっているんですが、一体その残りを届け出て課税なさいました例といいますか、何人ぐらいがそういう届けをなすっておるのか。あるいはそれによる税額ですね、一体国税庁、どれだけ収入があったのか、ここ二、三年の間のをちょっと知らしていただきたいと思います。
#215
○政府委員(米山武政君) 私どもいままでいろいろ個別の案件で、そういう課税になった例というのは存じております。ただ総体、全体でどれくらいあるかと申しますと、先ほどから御説明申し上げているとおり、雑所得は政治献金だけでなく、ほかにもいろいろありまして、しかも雑所得の明細な区分をした統計をとっておりませんので、政治献金に基づく雑所得の申告が幾らあるかというのは、私ども手元に統計持っておりません。
#216
○市川房枝君 それはわからぬという法はないのであって、私はこういう規定をしておいでになるのならば、国税庁は、当然それで届け出たのは何人あると、どれくらいあるということはお調べになっているはずだと思うのだけれども、ここではそれは言えないといいますか、――というと、われわれは、それじゃゼロなんだと、届けている人はいないのだと、結局税金は払っちゃいないのだと、それを国税庁が認めているんだと、こういう解釈をせざるを得ないわけでして、非常に不明朗だと、こう言っていいかと思います。
 私は、せめて国税庁は、政治献金の収入額とそれから支出額を届けてもらう。そうして赤字が出た、あるいは余ったという数字はそこに出してもらう。それで、余らないでゼロになったというならば、まあそれはそれで、一応現在のあれではやむを得ないとしても、一体幾らあるかわからぬというふうな状態で、ほとんどそれは課税されてない。国民の手前には、政治献金の中から政治活動に使った費用は差し引いて残りに課税しておりますと言うと、いかにも税金を課しているみたいに見えるけれども、実態はゼロですわね。一種のごまかしだと私は思うのですよ。
 だから赤字が出た場合に、これはおもしろいことに、前にはその赤字分の税金を歳費なんかの払った税金から戻したことがあったでしょう。けど、それはおかしいというので、それは訂正になって、いま赤字が出てもそれはあれしませんと、こういうことになっていることは私も承知をしているわけですけれども、しかし、そういう計算でも出ないと、全く私は国民としては納得ができないと、そう言ってもいいんじゃないかと思います。それはどうですか、そういう計算。
#217
○政府委員(米山武政君) 雑所得の申告義務がある方は、雑所得の収入から経費を引いた残りでございまして、これは、たとえば原稿料にしても、その他株の売買にしてもすべて同じでございまして、特に所得のないのに計算を義務づけるという、特別な政治家だけにそういうのをするというのも、一般の納税者と同じ扱いにしておりますので、所得がない方にその計算を出すようには現在しておりませんし、また、するのもかえって不公平になるんじゃないかという気がいたします。
#218
○市川房枝君 雑所得の解釈を、全く政治献金だけ別にしておいて、それで、やれ一緒だ一緒だとおっしゃって、どうも納得ができないのですが、まあそれはそれくらいにしておきましょう、時間もないので。
 政治家の私はモラルがいまほど厳しく問われている時代はないと思います。ロッキード事件に続いて、ダグラス、グラマンの事件が起きている現在、私は政治家の金銭感覚を清潔にする必要があり、それには課税の問題をもっと明朗にはっきりと示すことが必要だと思います。
 それからなお、先ほどからいろいろな委員の方から御意見が出ておりましたが、現在、一般消費税導入の問題に直面して、国民の間に税金の面での社会的不公平を取り除くということを求める声が非常に高いのですよ。こういう際にですね、政治献金と課税の問題を私は国税庁もちろんですけれども、大蔵大臣、これをどうお考えになりますか。これを少し再検討する、部分的にでも再検討するというお考えはないかどうか、これは大臣から御返事を願いたい。
#219
○国務大臣(金子一平君) 政治献金につきましては、先般の政治資金規正法の改正によりまして、相当厳しいところまでいっております。
#220
○市川房枝君 税金じゃないですよ、あれは。
#221
○国務大臣(金子一平君) いやそれで、これは受けた方は、まあ政治団体があればそこへ入れる、これは課税の問題は起こりませんけれども、いま市川さんがおっしゃっていますのは、裏金なんかで自分のふところに入ったやつの課税の問題をどうするかということだろうと思うのです。
#222
○市川房枝君 つまり裏金といいますかね、個人が受けた。
#223
○国務大臣(金子一平君) 個人が受けたのは、これは当然課税になるのがあたりまえでございまして、いま国税庁の次長が一々統計的には金額が幾らになっているというようなことは申しませんでしたけれども、相当厳しい調査をやり、それで課税も現実に行っておるのが私は実情と考えております。また、裏金等が出ておって申告をされなかった方には、後からぜひひとつ申告してくださいよというふうなことで申告の慫慂もしておると聞いておりますので、相当厳しい体制に現在なっておりますし、私はやはり今日これだけ税負担が厳しいということになりますと、それはひとつ喜んで御協力いただけるように持っていかにゃいかぬなと考えておる次第でございます。
#224
○市川房枝君 最後に。
 大臣からいま相当厳しくやっているとおっしゃったが、私はそうは思わない、ある程度調査をやっておるんですけれども。しかし、いま大臣から、皆さんの協力を得てこの問題を考えたいというお言葉がありましたから、それを信頼して、次の機会にまた伺いたいと思います。
 私の話は終わりました。ありがとうございました。
#225
○委員長(坂野重信君) 大蔵大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#226
○委員長(坂野重信君) 関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び航空機燃料税法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 まず政府から順次趣旨説明を聴取いたします。金子大蔵大臣。
#227
○国務大臣(金子一平君) ただいま議題となりました関税暫定措置法の一部を改正する法律案並びに航空機燃料税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず、関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 この法律案は、最近における内外の経済情勢の変化に対応するため、関税率等について所要の改正を行おうとするものであります。
 以下、この法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、最近における産業の状況等を勘案し、十五品目に係る関税率の改正を行うことといたしております。
 まず、フルフラール等十一品目について、その自給率、外国産品との競争力等国産品の実情を考慮し、課税負担の適正化を図るため、関税率を引き下げる等所要の改正を行うことといたしております。
 なお、アルミニウム製錬業界が深刻な状況にあること等を考慮し、アルミニウムの塊に対する関税割り当て制度を五十四年度に限り存続するとともに、一次税率を引き下げることといたしております。
 このほか、タマネギについて、最近の実情等にかんがみ、関税無税点を引き上げることとし、また、除虫菊については、国内生産の状況等を勘案し、関税割り当て制度を廃止することといたしております。第二に、昭和五十四年三月三十一日に適用期限の到来する原重油等九百五十一品目について、その適用期限を一年間延長することといたしております。
 第三に、昭和五十四年三月三十一日に適用期限の到来する原油関税に係る減免還付制度について、石油化学製品製造用原油の減税制度等を廃止するほか、それぞれ適用期限を一年間延長することといたしております。
 次に、航空機燃料税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 政府は、航空機燃料に係る税負担の現状及び空港整備財源の充実等の要請に顧み、今次の税制改正の一環として、航空機燃料税の税率を引き上げることとし、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 この法律案は、航空機燃料税の税率について、一キロリットル当たり現行の一万三千円を二万六千円に引き上げることといたしております。
 以上、関税暫定措置法の一部を改正する法律案並びに航空機燃料税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由とその内容を申し上げました。
 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#228
○委員長(坂野重信君) 両案に対する質疑は、後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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