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1978/03/20 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 大蔵委員会 第7号
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1978/03/20 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 大蔵委員会 第7号

#1
第087回国会 大蔵委員会 第7号
昭和五十四年三月二十日(火曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         坂野 重信君
    理 事
                梶木 又三君
                藤田 正明君
                矢追 秀彦君
                中村 利次君
    委 員
                浅野  拡君
                岩動 道行君
                糸山英太郎君
                河本嘉久蔵君
                嶋崎  均君
                藤井 裕久君
                細川 護煕君
                勝又 武一君
                竹田 四郎君
                鈴木 一弘君
                佐藤 昭夫君
                市川 房枝君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  金子 一平君
   政府委員
       大蔵政務次官   中村 太郎君
       大蔵大臣官房審
       議官       伊豫田敏雄君
       大蔵大臣官房審
       議官       福田 幸弘君
       大蔵省主計局次
       長        加藤 隆司君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       大蔵省証券局長  渡辺 豊樹君
       国税庁直税部長  藤仲 貞一君
       国税庁間税部長  矢島錦一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       厚生省医務局総
       務課長      森  幸男君
       自治省税務局市
       町村税課長    丸山 高満君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(坂野重信君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 租税特別措置法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(坂野重信君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(坂野重信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(坂野重信君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は、去る八日の委員会において聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○勝又武一君 一月の二十五日と記憶をいたしておりますが、参議院本会議で大臣が財政演説をなさいました。その中で、「財政再建のためには、まず、歳出の厳しい見直しが必要であります。昭和五十四年度予算編成に当たっては、一般行政経費を極力抑制するとともに、政策的経費についても根底から見直すなど、歳出の節減合理化へ一層の努力をいたしました。」、こう言われたわけでありますが、これはいわゆるたてまえ論であって、どうしてもやろうとしたんだけれどもなかなかむずかしくてできなかった、やったけれども思うようにはいかなかった、こういうのが本音でしょうか、どうでしょうか、まず大臣にお聞きします。
#7
○国務大臣(金子一平君) ことしの予算は、御承知のとおり景気と財政再建の両にらみというたてまえの予算になったものですから、御指摘のように少し焦点がぼやけて、どちらも十分にいかなかったという点はあるかもしれません。しかし財政当局といたしましては、もうできる限りの財政の圧縮に努めまして、特に行政経費につきましては、お話もございましたように、いまだかつて例を見ないような思い切った削減ができたと考えております。十分でない点はいろいろありましょうけれども、私どもといたしましては最善を尽くしたつもりでございます。
#8
○勝又武一君 まだ四日前でありますから御記憶も十分と思いますが、三月十六日、大臣は当院の本会議の質問に対する答弁の中で、国庫補助金の洗い直しを行い、減額したり廃止したのを合わせて千二百七億円になると言われました。そうだったですね。
#9
○国務大臣(金子一平君) そのとおりでございます。
#10
○勝又武一君 私も自席でそうかなあと思ってお伺いをしておりました。本会議のことでありますから、新聞社の方もそう思われたでありましょうし、それを通して国民も承知をされたと思います。
 ところか、この五十四年度新設された補助金を見ますと、三十六項目、九百六十七億あるわけでありまして、実は補助金の減少は差し引き二百三十八億だということになると思いますが、これはどうでしょうか、間違いなんでしょうか。
#11
○政府委員(加藤隆司君) 御指摘の新規に設けましたものは、日数で三十九本の九百七十億でございます。片や整理をいたしましたのが千二百億ということでございますが、これは片っ方ではスクラップをする、スクラップをしたもののかわりに新規のものをつけるというようなことをやっております。総体の補助金は総額でふえております。ただいまの二百億という数字ではなくて、前年の補助金総額が十一兆三千でございますが、五十四年は十二兆八千と、一二%ほどふえております。計数の関係はそういう関係になっております。
 お尋ねの千二百億と九百六十億の差額でございますが、これだけで御比較いただくのは、まあそういう比較もあろうかと思いますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、片っ方では効率の落ちているもの、あるいは社会情勢などで効果が薄らいだもの、そういうようなものを整理をいたすわけでございます。千二百億の方は、そういう整理をしたものだけを集計したものでございます。
 新しいものは、ちなみに御説明いたしますと、九百七十億の中で大きなものが二本ございます。一つは農林省関係でございますが、地域の農業生産の総合的な事業をやろうということで、スクラップを三百八十億ほど出しまして、そのかわりに五百億というようなものをつけております。それから厚生省関係で救急医療の関係がございますが、合わせて約百六十億ほどになりますが、これも既存の補助金を整理いたしまして総合メニュー化をいたしたわけでございます。したがって、九百七十億の中でこの二本だけで約七百億近くになります。そのほかの新しいものは、個別に申し上げませんが、それぞれ細かく念査いたしまして、行政上必要なものであるという判断をいたしたわけでございます。
#12
○勝又武一君 後段の方は別にお聞きしたわけじゃありません。私がお聞きしているのは、本会議での大臣の答弁も実は一千二百七億補助金を減らしたり廃止したんだと、こういうことをおっしゃると、全くそういうように国民は受け取るわけでありますから、減らした分とふえた分と、こういう補助金全体について正確に言っていただかないと、国民をごまかすことになるというふうに私は思うのですが、大臣いかがでしょうか。
#13
○国務大臣(金子一平君) 言葉が足りなかったかもしれませんけれども、とにかく不要不急のものという補助金はないかもしれませんけれども、できるだけ従来のものにもメスを入れて、必要な方向にどんどん向けておるという趣旨で申し上げたわけでございます。
#14
○勝又武一君 それでは、先ほどもトータルの話が出ましたが、補助金は相変わらず十二兆八千八百五十一億ですか、実に巨額ですね。そして、実にこれは一般会計予算の三分の一を上回っている額になる。大臣の言う厳しい見直しをやってみたけれど、私は整理合理化の整理は乏しかった、あるいは新しいものをつくるのに十分な検討がされていたのかどうか、こういうことを実は非常に心配するわけです。
 そこで、きょう実はこの補助金のことは、この租税特別措置の本論からいきますとやや本論とは違うという印象を持つかもしれませんけれど、実はこういう問題を感ずるわけですよ。
 いまちょっと局長からお話がありました農林水産省関係でたとえば見ても、整理した金額が七百五億、新規が五百四十六億、その中にこの農林漁業村落振興緊急対策費百億というのがありますね。そして、いまや農村のコミュニティーづくり、田園都市構想、まことに耳ざわりのよい言葉がはんらんをしているわけです。しかし、この百億というのは具体的にどうするのか、農村地域定住促進対策費や緑の村整備事業等との関係は一体どうなるのか、お聞きをしたいわけです。
 生きがいのある農村づくりを目指すとか、基本的かつ重要な食糧自給体制を目指す、そういう抜本的な改善こそじっくり腰を据えて取り組むべきだと、単なる思いつき程度の補助金行政は私はやめるべきだというように思いますが、いかがでしょうか。
#15
○政府委員(加藤隆司君) ただいま農林水産が当面しております問題は大変厳しゅうございまして、内外からいろいろなインパクトを受けております。本年の農林省の基本的な考え方といたしまして、まず主要農産物でございます米が御承知のような過剰にあるということで、五十三年度から水田の再編利用という柱が立てられたわけでございますが、片や、それをどうやって定着さしていくかという問題がございます。
 二つほど基本的な考え方が打ち出されたわけでございますが、一つは御承知の排水対策に重点を置いて農業基盤整備を推進していこうという考え方がございます。
 それからもう一つの柱は、ただいま御指摘がございましたように地域に着眼いたしまして、いろいろな農作物あるいは地域のコミュニティー、それのいろいろ混住形態がふえてきております。そういうようなものの中でどうやって再編利用を定着さしていくかということから、ただいま御指摘のような地域にかかわるいろいろな施策、それから先ほど申し上げました五百億の総合的な対策、こういうような二本柱が打ち出されたわけでございます。
 私どもといたしましても十分検討いたしまして、言葉の表現はいろいろございますが、基本的理念といたしましては米を中心とする過剰生産内外からのいろいろなインパクトに対して、排水対策ということで農業基盤の弾力的な運用を図るような対策、それからもう一つは、地域のいろいろな公共団体を中心とするゆとりのある地域社会とか、あるいはただいま御指摘の緑の村とか、いろいろございますけれども、基本的な理念は地域を中心にして農産物を再編成していこうという考え方であったものですから、これは時代の要請から考えて妥当なものであろうと考えて、ただいまのような予算の計上をいたしたわけでございます。
#16
○勝又武一君 そこの基本的な構想というところなんですよ。よくいま地方の時代とか地方分権とか自治とか言われるわけですが、何かやっぱりお上から与えてやるんだというこの従来の方式と私は同じような気がしてなりません。
 たとえば、いま私が一つの例に挙げた百億というのも、これこれこういうことをやっておれば二分の一の補助を出してやるんだ、どうだやらないか、こういう発想だというようにしか受け取れないような気が払拭できないわけです。こういう点についてはどうでしょうか。
#17
○政府委員(加藤隆司君) 補助金にいろいろな機能がございますが、ただいま御指摘の農林関係の補助金の中で奨励的な補助金があるわけでございます。お金を出さないで政策を農家に訴えるというやり方もやっておりますけれども、やはり誘導していくためには、ただいままさによろしくないという御指摘でございましたが、かくかくしかじかのやり方をやればこういう援助をしてあげますというようなかっこうで、基本的な政策方向に向かって、いろいろな条件にあります農家を政策の目標に向かって統合していくというような機能、これは確かにデメリットの面もございますが、片やまたメリットもあるわけでございます。まあその辺、われわれも決して無反省にやっているわけではなくて、そういう税金の金が国家政策に向かって効果があるかどうかという点は十分検討いたしてやっておるつもりでございます。
#18
○勝又武一君 挙げればきりがないんですけれども、もうごく一、二だけにしますけれども、片方ではきわめて財源難、こう言われている中で、本当にいま農家が、あるいは農業が求めているものは一体何だろうか、最も緊急性のあるものは何だろうか、こういうことがきわめて欠けているというように指摘をせざるを得ないわけです。
 そこで、まだまだ政策的な意図か明確でないものや、当初の役割りはとっくに終えた補助金もたくさん残っていると思うわけですね。それからたとえば、ここに「余暇(レジャー)関係補助金」という各省別のいただいたデータがあるのですがね、これを見ますと、たとえば余暇関連施設に対する補助金というのは関係各省――厚生、労働、運輸、文部、農水産建設それから環境庁、ばらばらばらばらみんな同じようなものが出ているのです。この補助金のかなりな部分が補助申請なりヒヤリングなり許可なりあるいは執行状況の報告、事務、印刷費、人件費、こういうもので大半なくなっちゃっているというような傾向もあるんじゃないでしょうか。この辺はどうでしょうか。
#19
○政府委員(加藤隆司君) 最初に農林関係の政策目標から見ていかがかという御指摘でございますが、先ほど申し上げましたように、くどくなりますが二点ございまして、農業基盤を中心とする生産性向上という点と、それから村ぐるみ、地域ぐるみというようなかっこうで担い手を再編成していくというような考え方、これは十分内外のインパクトを受けている農家経済あるいは農業生産に対して寄与するものではなかろうかと思います。その中に、個々にごらんになりますと確かに効果があるかどうかわからないというようなものがあるかもしれませんが、全体として見ますと時代の要請にこたえているんではないかと思います。
 それから、第二点の余暇レジャー関係の補助金を中心としての御質問でございますが、人件費、事務費にとられているではないかという御指摘でございます。これはこういうようなサービスを中心にする社会的消費の要求の場合、どうしても人件費というようなものが中心になっていくという傾向がございます。ハードの要素、それからソフトの要素、どうしても社会的消費の要請がいろいろ高まりますと、予算のファクターの中でもそういう経費か高まる傾向がございますが、私どもは必ずしもそれが全部が悪いとは思いませんけれども、それからまた効果が低いとも思いませんが、それぞれ十分注意をいたしまして、事務費率とかあるいは人件費についても細かく検討をいたしておるつもりでございます。
#20
○勝又武一君 この租税の公平性の原則というのを大臣も本会議でも強調されていらっしゃる。そこで本日の本議題が租特にあることもこれも十分承知をいたしております。しかし私が言いたい意味は、国民大衆がみずからが納めている税金が何に使われているんだろうか。そういう観点からこの税の公平性の原則、このことに注目をする。こういう観点からも公平性ということを考える。つまり、総予算の三分の一以上にも及んでいる補助金の行方について注目をするというのはあたりまえだというように思いますけど、これは私の間違いなんでしょうか。
#21
○政府委員(加藤隆司君) 大臣の御答弁の前に実態関係ちょっと申しますと、御承知のように公共事業とか社会保障、文教、こういう三本で補助金の大体八割ぐらいになっているわけでございます。それから法律で決められておりますものか大体八割ないし八割五分ぐらいになっております。したがって、補助金と申しましても非常に重要な国の施策を推進するというようなウエートが高うなっておるわけでございます。その辺は、いわゆる企業補助金あるいは零細補助金、こういうようなものにつきましては毎年毎年検討を加え、効果の薄いもの、あるいは時代の推移に応じないもの、こういうようなものはあるときには廃止し、あるときには減じの措置をとるなり、そういうようなことをやってきておるわけでございます。
#22
○国務大臣(金子一平君) いま勝又さん御指摘いただいておりますとおりだと思います。よほどこれから歳出全体についてメスを入れないと、特に増税をやろうなんていう気構えのときに国民の共感、納得を得られないと思うんです。その点私も全く同じ気持ちで、まあことしは十分でございませんけれども、さらに財政規模の圧縮に努めてまいりたい。
 ただ、いまも加藤次長から話が出ておりますように、大口のものが法律で補助金が決まっているというようなのがなかなか大きいものですから、十分なそこら辺への手が回りかねたという点はございますけれども、今後十分その点は心してやってまいりたいと、こういう気持ちでおることを申し上げておきたいと思います。
#23
○勝又武一君 これは私などのようなまだ二年もたたない者から見ますと、非常に奇異にお感じになるかもしれませんが、補助金というのは一体どこでどういうように議論をされるんだろうか、検討がされているんだろうかということを思うわけですね。
 たとえば予算委員会でどの程度にやられるのか。各常任委員会で事細かく補助金の検討というのが本質的にされるんだろうか。あるいはこの当大蔵委員会で、まさに歳入委員会とも言われているように思いますけれども、大蔵委員会でされているんだろうか。そういう意味で、やはり三分の一に及ぶ大きな柱が二つ、三つあるんだという指摘もわかりまずけれど、やはりこの補助金についての具体的な各常任委員会での検討というのが、あるいは何というんでしょうか、そういう機会の保証というんでしょうか、そういうような点についてはいままでどういうようにされていて、今後はどういうようにするのが最もいいというようにお考えなんでしょうか。
#24
○政府委員(加藤隆司君) 関連で申しますと、私どもの予算当局の体制は各省の担当の係がございます。そこで一つ一つ補助金を検討いたすわけでございますが、別途補助金係という横断的に横からながめている係がございます。そういう係が予算が終わりますとサンプル調査をやりまして、予算係に対して予算編成過程でサゼスチョンなり意見を申し述べるというようなダブルチェックの体制をとっております。
 で、御質問の国会の常任委員会におかれる検討でございますが、大体各省担当の常任委員会において政策を中心としてその政策をどうやって推進していくかという観点から、補助金を使う場合、あるいは利子補給を使う場合、融資を使う場合、そういう政策手段と効果との兼ね合いでいろいろな御審議をいただいておるわけでございます。
#25
○勝又武一君 補助金についてはこれで終わりますが、昨年暮れまで約一年半文教委員会に所属をしておりました。しかしいま御指摘のような点でいけば、きわめて文教委員会の中においても具体的な補助金問題について議論がされたという、あるいは徹底的な追及が行われたという、あるいはそういう機会の保証という、そういう問題についてはきわめて私は少なかった。まあゼロと言ってもいいんじゃないかという指摘さえしたいわけですよ。ですからこの点については、まあ私きょうはこれでやめますけど、先ほど大臣からもありました税の公平性の原則、国民の共感を得る、こういう意味からいけばやはり国会において十分な検討がされる機会の保証、こういうものがあってしかるべきだというように思いますので、これはその指摘にとどめます。
 そこで、本論のこの租特の一般的な原則の問題に入ってまいりたいと思います。
 大臣が同じく一月の二十五日、本院の本会議の財政演説の中で、この租税特別措置の整理合理化は税負担公平を図るという強い要請に基づいて強力に進めてまいりました、こういう趣旨のことを言われたと思うんですが、この税負担の公平の原則について最大限の尊重をなさると、こういうことについてはお認めになりますか。
#26
○国務大臣(金子一平君) 税負担の公平ということが制度面でも執行面でも図られない限り、これはもう国民の支持、協力が得られませんから、私どもとしてはもうその点に最重点を置いて、どうやって公平を図るかということに平素心を砕いて立法をお願いし、執行いたしておる次第でございます。
 まあ、いつも問題になりますのは不公平税制という言葉に代表される特別措置の問題でございますけれども、申すまでもなく特別措置は主として租税の誘引的な機能を活用することによって国民経済的な立場から一定の政策目的に役立たせることを目的として設けられておるものでございますけれども、やはりだんだんと時がたつにつれて、経済情勢、社会情勢が変わるにつれてその必要性の度合いを薄くするものが出てまいります。そういうものは毎年毎年見直しをして廃止したり圧縮することにここ数年ずうっと続けてまいっておるわけでございまして、ことしも三十項目について廃止、縮減をやっておる次第でございますが、ただ特別措置といいましても、中小企業対策のものがあり、国民貯蓄の増強に資するものがあり、公害防止対策あるいは資源開発の促進、勤労者の財産形成というようないろんな幅広い国民経済的な役割りを果たしている面があるんです。これが金額的に言うと六割前後というようなことでございますので、全部これを廃止しろというような議論もございますけれども、それはまあそこまではいきませんが、先ほど申しましたように、役割りを果たしたもの、果たしつつあるものについて、これからもしっかりとメスを入れていきたいと考えておる次第でございます。
 ことし御提案申し上げた中にもそういう線に沿っていろいろ手をつけておる次第でございます。
#27
○勝又武一君 基本的には公平の原則を他に優先をして考えていると、こういうように理解をいたします。
 そこで例の税制調査会ですか、この租税特別措置について「それが経済政策目的にとって妥当性を持っているかどうか、租税公平の原則を犠牲にするほど重要であるかどうかが判断の基準にされなくてはならない」と言っているわけですが、この見解については政府も同じですか。
#28
○政府委員(高橋元君) ただいまの税制調査会のお示しのありました答申でございますが、これは私どもとしても租税特別措置の新設、改廃につきまして、そのルールとして考えておるところでございます。
#29
○勝又武一君 そうだとしますと、今度の五十四年度の経済政策目的というのは、一つはもう重要な財源の確保、あとは何でしょうか。
#30
○政府委員(高橋元君) ただいまの御審議をお願いいたしております租税特別措置の改正案でございますが、これにつきましては考え方がおよそ三つあると思います。
 一つは租税の負担公平の確保で、ただいま御指摘もございましたように、かねてから租税特別措置の中で政策的な意味が薄れてきているんではないかと考えられる項目につきまして見直しを行って、これの整理合理化、縮減ということをやっていくという部門でございます。とりわけて、その中には社会保険診療報酬の課税の特例の改正、それから価格変動準備金の廃止――段階的な整理、それから有価証券課税の段階的な強化、それから交際費の定額控除と申しまして、一企業について四百万円ずつ支出交際費から引く制度がございますが、そういうものの圧縮と、こういうふうに多年いろいろと検討を進めておってなかなか実現を見なかった項目につきましても、今回、いろいろ御批判はあると思いますけれども、かなりの縮減を図っておるということが申し上げられると思います。
 それから第二に、租税特別措置の中に揮発油税の増税という項目を入れて御審議をお願いしておるわけでございますが、先ほど大臣からもお答えのありましたように、非常にむつかしい経済情勢ではございますけれども、やはり財政の基盤を確立して歳出の拡充をやっていくということが必要な部面につきましては、選択的な増税をお願いをいたすというのが第二でございます。
 それから第三に、非常に限られた選択の中ではございますけれども、当面急務と考えられるような政策分野につきまして、限られた財源の範囲内で、また非常に厳格に租税の公平を害しないようにという配慮のもとに、たとえば投資促進のための産業転換投資促進税制とか、それから土地の重課制度についての公的な取得の促進または優良住宅地の供給の確保と、そういう目的からの土地税制の手直し、こういった措置をお願いいたしております。
 繰り返しになりますが、およそそういう三つの考え方に基づいて租税特別措置法の改正案をまとめまして御審議をお願いをいたしておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
#31
○勝又武一君 この特別措置が大変複雑多岐に、百七十数項目にわたっていると思うんですが、非常に多くなり始めたのは、やはり高度成長期と一致するというように思うわけです。
 そこで名称の変更等、いまお話しのようにいろいろあったわけですが、率直に言いまして、この措置の大部分というのは企業の優遇措置であると思うんですけれども、これはどうでしょうか。
#32
○政府委員(高橋元君) 先ほど大臣からも御答弁ございましたけれども、現在百七十五項目ございます租税特別措置を事項別に分類をいたしまして、その中身を申し上げますと、こういうふうになっております。
 たとえばマル優でございますとか、生命保険料の所得税からの控除でございますとか、そういった貯蓄の奨励に当たりますものが三千七百五十億円――これ五十四年度ベースで申し上げております。それから住宅対策でございますとか地域開発でございますとか公害対策でございますとか、そういった環境の改善なり地域開発の促進に向けられておりますものが千五百五十億円、それから海外における資源の確保、海外投資の促進等、資源開発の促進に充てられますものが百八十億円、それから試験研究の充実ないし中小企業の機械の取得を容易ならしめるための特別償却等、技術の振興なり設備の近代化に向けられておりますものが千二百十億円、それからただいま委員からお話のありました企業優遇ではないかというのは恐らくここかと思いますが、内部留保の充実なり企業体質の強化に充てられるものが五百八十億円、それから社会保険診療報酬の課税の特例、老人扶養控除の特例、それからその他というところで千九百四十億円、あとは交際費の課税でございますが、これによって増収が五千百二十億円生じております。したがって、減収の合計が九千二百十億円でございますが、ただいま申し上げた交際費の課税によりまして、五千百二十億円それを減じまして、現行の租税特別措置法によります減収効果は四千九十億円というふうになっておるというのが実態でございます。
 実は、やや長くなりますけれども、その中で九千二百十億円と申しました減収のうち、法人税の減収に係るものがその四分の一の二千二百六十億円でございます。それ以外は、所得税、利子・配当所得、それから社会保険の診療報酬に係る医師の所得、その他の所得税に係るものが六千五百五十億円、登録免許税等が四百億円、かように相なっております。
#33
○勝又武一君 大蔵当局がお考えになる公平性というものと、国民の側から見ましてきわめて不公平だと思っていることの違いというのは、私は余りにも大き過ぎる。ここに一つ、いま大変な不幸があるというように思うわけです。ですから、私たちの側で見ますと、やはり経済社会状況の変化に伴いまして、もう本当に廃止していいというものがたくさんあるんです。それから、当然公平の原則からいっても廃止すべきだというものもあります。あるいは、もうごく短期の期限を切ってすべきだというものもある。こういうように思いますけれども、国民の側から見た税の不公平に対する考え方といいますか、こういうことについても、やはり自分たちだけの考えじゃなくて、本当に国民はどう考えているんだろうか、こういうこともぜひ租税特別措置の今後の検討の際には十分お考えいただきたい。
 それから、特に期限の問題ですね、これについては非常に不明確だというように思わざるを得ないわけですよ。二年というのか二年ごとの更新になったり、期限かない、当分の間というのがあったり、ですから私は基本的には、もうそういうものを一度全部整理すべきだと、そうして本当に本則に入れるものと、それからどうしても期限を明確に切って残すものと、こういうふうにでもしないと、国民の側から言う不公平という認識が消えないんじゃないか、こういうふうに思いますか、最後にこの点についてはどうでしょうか。
#34
○政府委員(高橋元君) いま勝又委員からお示しのように、租税特別措置は、一定の政策目的のために、本来そういうことがなければ害しなかったであろうところの税負担の公平なりその他の租税原則を犠牲にしてできておるというものでございますから、政策目的が薄れていくとか、政策目的が社会経済的な必要性がなくなってまいるとか、そういう場合には遠慮なくこれを改廃していくというのが本来であろうと思います。そういう目的に役立つために租税特別措置の中の多くの項目には期限がつけられておりますが、ある意味では特定の業態についての特殊性に応じた特別措置というようなものもございますので、それらにつきましては期限を付していないものもございます。先ほど大臣からもお述べになりましたし、また、私ただいま申し上げたような考え方で、租税特別措置の整理、縮減、合理化ということを今後進めてまいる上に、いまのお話のありましたような御指摘を念頭に置きながら、さらに作業を進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#35
○勝又武一君 大臣が十時五十五分から十分間ですか、別の委員会にいらっしゃいますので、ここで医師の優遇税制について特に大臣にお聞きをしたいわけです。
 それでは衆議院の大蔵委員会におきまして、大臣は今度のいわゆる医師の優遇税制、この問題について期限を切らなかった理由といたしまして、「来年、再来年すぐ変更する必要もないと思いますし、当分の間ということで御提案」をいたしました、こう言っていらっしゃるし、あるいはまた別の委員の質問に答えまして、三年とか五年とか期限を切らなくてもよいというように私はこの議事録から読んだんでありますが、この議事録に書かれていることは大臣がおっしゃったことと違わないんでしょうか。
#36
○国務大臣(金子一平君) 医師税制の取り扱いにつきましてはいろいろ御議論もございましたけれども、二十五年間にわたっていわば一種の既得権化しておったものをやっとこの際ある程度正常ルートに戻したわけでございまして、中身は四千万円以上の収入金額の者につきましては……
#37
○勝又武一君 中身は結構です。このことをおっしゃったのかどうか。
#38
○国務大臣(金子一平君) 政府税調の案と大体
#39
○勝又武一君 こういうふうにおっしゃったのかどうか。
#40
○国務大臣(金子一平君) はい、そういうふうに申しました。
 その趣旨は、期限があるとなしとにかかわらず、これは常時毎年毎年見直すべき筋合いのもので、期限を「当分の間」としたからといってずっとおっぽり出すつもりは毛頭ございません。必要なときは常に見直しますと、こういう趣旨でお答え申し上げた次第でございます。
#41
○勝又武一君 ところが、参議院の予算委員会では、大平首相が、三年をもって廃止の方向で改定に努めるという旨の答弁をしていらっしゃるようでありますけれど、この点についてはどうなんでしょう。
#42
○国務大臣(金子一平君) 去る三月十五日の委員会におきまして、「三年をもって廃止の方向で改定に努める」のかという柿沢委員の御質問に対して、そういうふうに、「御期待いただいて結構です。」と答えておりますが、総理の趣旨は、私がいま申し上げましたように、できるだけ早い機会に手直しをしたいと思う、その努力は続けますよと、こういう趣旨と私は解しております。
#43
○勝又武一君 全く違うんじゃないですか。大蔵大臣は私はそういうように理解していますと言っても、これは各中央紙、大新聞がみんな三段抜きぐらいの大きな見出しで出しているんですよ。「三年で廃止の方向」とか、「首相、改定努力再び強調」とか、これは当然そういうように受け取るのはあたりまえじゃないんでしょうか。大蔵大臣がおっしゃる三年とか五年とか期限を切らなかった、そういう趣旨とは全く違うんじゃないですか。この辺はどうなんですか。
 私の言いたい意味は、蔵相は別のところでも、状況が変われば変えるんだということも衆議院の大蔵委員会で答弁されております。大平首相の方は明確に三年をもって廃止の方向で改定に努めるということを尊重すると言っているんですから、同じだと言っているんですから、その趣旨と、これ大臣の言うことと大平さんの言っていることと明らかに違うんじゃないですか。
#44
○国務大臣(金子一平君) 衆議院の大蔵委員会、衆議院の予算委員会でも同様趣旨の御質問がございまして、それに対する総理の御答弁は、できるだけ早い機会に見直すことに努力いたしますと、その努力は怠るつもりはございませんということを繰り返して答弁しておられますんで、ここのところは、あるいは勝又さんおっしゃるようなふうに解釈できるかもしれませんが、私どもは医師課税について何年後に必ずどうするという約束はできませんけれども、御要望の趣旨を体して毎年検討して、必要なときにはこれは改定するにやぶさかでありませんと、こういう趣旨で私どもお答えしておる次第でございます。
#45
○勝又武一君 どうしてもわかりませんね。そういう言い方が通るのが国会というところだとすると私は大変だというように思うわけです。
 もう一度お聞きしますが、「三年をもって廃止の方向で改定に努める」、そのことについては全く趣旨が同じです、こういうふうに大平首相が答えた。その大平さんの気持ちと私は全く同じですということが金子大蔵大臣の本音なのか、どうなんですか。
#46
○国務大臣(金子一平君) これはここでも言っておりますように、いますぐどうこうというつもりはございませんけれども、毎年毎年見直さなきゃいかぬことで当然見直す時期が来ると考えておりますと、こういうふうに私も答えておるわけでございまして、三年後に必ず直しますということを総理自身が言っておられるわけじゃなくて、そういう方向で柿沢委員の御質問に対して、できるだけ努力したいという答弁だと私は了解しておったわけでございます。
#47
○勝又武一君 政府の統一見解は、大平首相も含めていま大蔵大臣がおっしゃったことだというように理解してよろしいですか。
#48
○国務大臣(金子一平君) 結構でございます。
#49
○勝又武一君 それでは、実はここに本年の二月一日、「山口県保険医協会報」というのがあるんですよ。そしてこれは一月九日の日医全理事会、この質疑応答の一部が載っております。それぞれの理事の質問に対して武見会長が答えているわけです。
 幾つか挙げてみますと、この経費率は「恒久的な決定であって簡単に改訂されるものではない。」、あるいは「五〇〇〇万円から一億円までの人達の今後の税の問題について」「方途を講じてもらいたい。」、こういう質問に対しては、次のように答えているわけですよ。「今後は法人か株式会社を認めて行うという考え方である。」、これができると「高額所得者の中から医師の名前が消える。」「先週土曜日に主税局長がこちらへ参りまして二時間位相談したのですが、新聞の表へ出ている話とは大変違いまして、随分細かいことまで話し合いました。」「いや株式会社のことです。これが出来ますとまああまり大きな声では言えないですが、今より良くなるわけですよ。殊に高額所得の方は今より良くなるわけですよ。」「僕は完全に世論を逆用したのです。大蔵省の主税局長は医療の公共性を非常に重く見ております。」、こういうようなのが会報に載っているわけですが、これらについては主税局長はどうなんでしょうか、御見解をお聞きしたいんですが。
#50
○政府委員(高橋元君) いまのお話のございました会報、私は見ておりませんので、即座にお答えを十分できるかどうかでございますが、会長が経費率は恒久的決定であると言われたとすれば、その内容については、私ちょっと推測いたしかねるわけですが、昨年昭和五十一年の社会保険医の診療報酬について会計検査院が検査をなさった。その検査をなさった結果で申しますと、概算経費率は実態で五二%ということのようであります。今回の改正が五千万以上の社会保険診療報酬について概算経費率を五二といたしておりますのは、実態に近い経費率を設定したということでございまして、そういう意味での御発言かというふうに推測いたします。
 それから、今後の法人化、株式会社化というお話でございますが、この点につきましては、医療を営む法人が医師三名以上ありませんと、現在、医療法に基づく医療法人になれないという問題がかねてからございます。それで、そのために個人形態でどうしても医業をやっていかざるを得ない。としますと、留保についての累進税率が非常に高くなってしまうではないかということは、これは会長がどうこうということでなくて、一般に議論されてきたことであります。そのことにつきまして、医療法人を医師三人という制限を外したらどうかという御議論がありますが、これは医療法の問題でございますから、医療行政なり医療体系の問題として、税法の外の話でございます。私は、税法は、株式会社として所得の申告があってその人格が株式会社として登記されており、その登記が真正であるならば、法人税法に基づく法人税以外の課税はしないし、できませんと。それが、医療法人か仮に医療法に基づく医療法人、または商法に基づく株式会社のいずれになれるか、私は医療法の問題ですからよくわかりませんけれども、法人となれば法人税の課税しかできないと。しかしながら、税法で法人格を付与するというものではございませんし、税法で個人であれば所得税かかかるし、法人であれば法人税がかかる、きわめて当然のことを私はたしかその節議論をしておったんだというふうに記憶いたしております。
#51
○勝又武一君 これは各税務署の管内で、一位から高額所得者番付というのが発表になるわけですね。医師の所得というのがなかなか公表されないのでわからないんですが、たとえば、これは皆さんの方からの税務署の資料でありますから、熊本県と静岡県の例をひとつ挙げてみますと、たとえば熊本県では、熊本西税務署ですか、ここがいわゆる高額所得者番付百六十八人のうちで医師が六十八名、熊本東では同じく百六十八名中九十九名、これは宇土と言うんでしょうか、九十六のうち五十八、玉名と言うんでしょうか、百二十八のうち百。これは挙げていきますと、ほとんど熊本県の場合の税務署管内では、多いところは七割以上、少ないところでも六割、半分、ほとんどは六割以上になっていますね。ここの私のいま手元にあるもので十税務署管内。
 それから、別の静岡県の資料によりますと、熊本よりはやや比率は下がりまずけれど、静岡の税務署が百十二名中四十名、浜松が百八十六名中九十五名、沼津が百六十八名中六十七名、島田が六十八のうち三十四、磐田市が九十八のうち四十六。
 静岡は私の選挙区でありますから非常によくわかるのですが、こういうきわめて医師の所得がわからないにいたしましても、いわゆる高額所得者番付の中での医師の占める数というのはきわめて多い。これ、所得ですよね、そうですね。収入ではありませんね。総水揚げの収入ではなくて、いわゆる皆さんが規定をしている額の控除をした後の所得でありますから。先ほどお話があったように、三名以上の医療法人なり五千万以上なり、いろいろな問題があるのでしょうけれども、このような実情にあることは正直言って間違いないと思うのです。これは全国的に見ても大体同じような傾向なんでしょうか。
#52
○政府委員(高橋元君) 税務署がいたします申告所得の公示というのは、各税務署ごとに五月の一日から十五日でございますが、短期間やりました後発表いたしておりませんし、私ども国税庁に聞き合わせましても全国的な集計がないようでございます。
 そこで、民間の出版物で恐縮なんでございますが、五十三年度の全国高額所得者名簿という、民間の会社がつくっておるものでございますが、それから拾ってみますと、やはりいま勝又委員からお話がありましたように、大体公示者の上位十人に占めるお医者さんの数というのは半分を上回っておるようでございます。
#53
○勝又武一君 確かにいま皆さんのところでは資料がないのだと、民間の資料に基づくと半分以上上回っているんだということなんですけれど、一つは、国税庁はたしか経費率算定の調査を行っていらっしゃいますね。
#54
○政府委員(高橋元君) これは私からお答えするのが適当かどうかでございますが、国税庁はもちろん青色の納税者、白色の納税者、いずれにつきましても収入とそれから支出経費の調査をいたします。それでその場合に、社会保険診療報酬につきましては、二十五年間続いておりました租税特別措置法の二十六条という規定があるものでございますから、概算経費率で七二%選択をいたしますと、実額の経費が幾らであるか、恐らく上回っておる場合が多いと思いますので、そのことか明らかでない場合が多いわけでございます。しかしながら、医師の収入ないし所得の実態というものを考えますと、収入の方は、自由診療分はそれほど確実というわけにあるいはいかない場合もあろうかと思いますが、社会保険診療報酬につきましては、診療報酬支払基金から源泉徴収されて払われてくるわけでありますから、収入はいわばガラス張りでわかっておるというのが実態であると思います。それに対応する経費につきまして、自由診療分の場合には医療単価が高いというような問題がございますけれども、社会保険診療報酬、それからそれ以外の自由診療、いずれにつきましてもできる限り経費の実態を把握するように、これは国税庁も私どもの方も努めております。内部でいろいろな課税資料からの調査をいたしておるわけでございます。
#55
○勝又武一君 それでは国税庁にいたしましても大蔵省にいたしましても、その社会保険の診療報酬の部分、あるいは自由診療の部分を含めたトータルでも、収入なり所得の状況というのは、公表しようとすればできるわけですね。
#56
○政府委員(高橋元君) 先ほど申し上げましたように、七二%の課税の特例があるものでございますから、課税の特例があります場合に、経費の記帳が実はない。七二%を経費とすると申告をすればそれは法律によってそういう所得になるわけでございますから、その場合に実は経費が幾らであるかということがわからない場合が非常に多いわけであります。全体のお医者さんの三分の二、もう少し上のところが七二%の特例を適用しておられるわけでありますから、すべてのお医者さんについて、七二%がない場合にどれだけの経費が実際にかかったのかということはなかなかっかみにくいというのが実態でございます。
 そういうことを一応大きな前提と申しますか、といたしまして私とも調査をしたのか――会計検査院が、先ほど私がお答えしましたように、五十一年分の所得について調査された実額経費率五二%というのがございます。私どもの調査によりますものでも、大体経費率は社会保険診療報酬に対して五二%、所得率が四八%、こういうことになっておりますので、五十年度の税制調査会の答申もさようでございますし、今回御審議をお願いいたしております租税特別措置法の改正案もさようでございますが、五二%をもって実態に近い概算経費率というふうに考えておるわけでございます。
#57
○勝又武一君 実態に近い概算経費率五二%ということは、これは私も承知しているわけですよ。そうではなくて、そういう調査をなさるんですから、実際の必要経費というのは記帳されていないから把握しがたい、これもわかりますね。
 ところが医師そのものの収入、必要経費が明確でないから課税所得なり所得金額の捕捉は困難だということは仮にわかるにしましても、一番もとの総収入はおわかりになるんじゃないですか。このことは大蔵省なり国税庁なりで公表しようとすればできるんじゃないんでしょうか。
#58
○政府委員(高橋元君) 社会保険収入というものが幾らになるかということでございますが、それは私どもも歳入の見積もりをいたします際に前々年分の課税資料から社会保険診療報酬の収入金額というものを出しております。本年度で申し上げますと、特例適用者、つまり先ほど三分の二を上回る特例適用者があると申し上げましたが、特例適用――七二%の経費率の特例を使って申告をなさる方、その方につきましては二兆二千三百六十億円、これは五十二年分でございますから、それから五十三、五十四を推計して延ばしますと、本年の特例適用者の社会保険診療報酬収入は二兆八千七百八十億というふうに考えております。
#59
○勝又武一君 これ、これ以上やってもいけないと思いますので、この問題につきましては委員長にお願いしたいんですか、私は、総収入について税務署のベストテン方式でなくて、やはり大蔵省なり国税庁なりが責任のある調査を行って公表すべきだというように思いますので、何らかの機会に委員会として御検討いただきたいと思うんですが、この点はよろしゅうございましょうか。
#60
○委員長(坂野重信君) 後で理事会に諮って善処します。
#61
○勝又武一君 それでは、このデータの問題はそういたしまして、私は、事ほどさように思うんですが、医師のいわゆる税制についての政治不信、庶民の不信感というものが、大蔵省なり財政当局は余りにも、何というんでしょうか、甘く見過ぎているんじゃないだろうか、そういう気がしてなりませんが、御当局はいかがですか。
#62
○政府委員(高橋元君) おしかりを受けて恐縮に存じますが、私ども決して甘く見ておるとか、そういうことを考えておりません。昭和二十九年に当時議員立法でこの条項が設けられましてから二十五年間、次第次第に社会保険制度の普及なり、それから国民医療の拡充なりによって、この特例適用によって軽減される税額が多くなってまいりました。昭和四十年代に減収額が百億円に乗りまして、昭和五十年代になりますと千億円台に乗ったわけでございます。これは租税特別措置法の中の四分の一の減収を占める大きなアイテムになりました。
 そうなりますまでに、昭和四十年代から私どもはこの二十六条の是正についててきるだけのことをやってきたつもりでございますけれども、諸般の事情で現在まで実現を見なかったわけでございます。
 その間、政府の税制調査会でも、ほとんど毎年のように御審議をいただいて、毎年のように是正すべしという御答申をいただいておるわけでございます。私どもも毎年のように是正の努力を重ねてまいったということだけは申し上げられると思います。
#63
○勝又武一君 それでは、医師の問題に関係しまして、非常に技術的なことで一つだけ伺いますが、十二条の三と四十五条の二の改正がございますね。いわゆる一定の医療用機器の初年度四分の一の特別償却を認める云々という問題でありますが、これについては、いまの社会保険診療報酬の改定の問題と何か直接的な関係、そういうものはございますか。
#64
○政府委員(高橋元君) ただいまお示しの特別措置法によります特別償却でございますが、これは青色申告の方だけができることになっております。したがいまして、青色申告者についてできる制度でありますし、しかも概算経費を用いている場合には特別控除ができないわけでございます。一々償却の内訳を実額として申告をしてまいりませんと、それについてさらに特別償却を認めるというわけにいきませんので、七二%を使いながら、その上に特別償却をとるということはできません。そういう条文になっております。したがいまして、これは七二%ということの今回の改正案と全く関係なく、医療保健業というものが次第次第に高度の診断機器を使うようになってきている。その診断機器につきまして、技術の革新が著しくて、それによって医療の効率化なり近代化なりということを図っていくために、医療機器の取得を容易ならしめるために設けておるわけでございます。
 ちなみに申し上げますと、医療機器は機械器具という税法上の分類に入りますので、中小企業の機械の特別償却という機械の方ではいかないわけでございまして、したがいまして、医療機器の中で一億円を超えるようなかなり大きなものも機械器具として出てまいりますので、今回特別償却の制度を設けたわけでございますが、これは七二%の改正案と全く関係がないわけでございます。
#65
○勝又武一君 それでは次に、この租税特別措置について、私は基本的には、先ほども言いましたが、全廃すべきだという立場であります。しかし、現実の問題といたしましてこの特別措置がある以上、この措置との比較で税の公平性ということを考える者がいましたら、この者は不当だと、こういうことになるんでしょうか。
#66
○政府委員(高橋元君) ちょっと正確に御質問の趣旨をつかみかねましたので、あるいは間違ったことを申し上げるかもしれませんが、租税特別措置は全廃することがいいかどうかという問題は基本的にあろうかと思います。租税特別措置の中で……
#67
○勝又武一君 いや、その後段です、後段でいいですよ。
#68
○政府委員(高橋元君) 租税特別措置全体を直ちに廃止するということは、実態としてもまあそれは不可能に近かろうといういまの御指摘でございますが、私ども租税特別措置の整理合理化の問題を考えてまいります際に、先ほどからお話の出ております税負担の税制上の合理化、平等化ということについて非常に強く努力してきたわけでございます。そういう考え方の中で、政策税制と政策税制以外の法人税の基本的仕組みなり、そういうものに属する部分と分けて、政策税制の整理ということをもって当面税負担の公平化を図る、その分野というふうに考えて現在まできておるわけであります。
#69
○勝又武一君 お聞きしたのはそういう意味じゃなくて、租税の特別措置という優遇――別の者から見れば優遇を受けていると考える者か、自分のものと比較をして、おれの方がずいぶん悪いんじゃないか。平ったく言えば、給与所得者が医師と比較をしまして、余りにも給与所得者についての必要経費の見方が不十分ではないか、あるいは青色申告の個人営業の方と比較をして、給与所得者の方がこういう点については必要経費として認めるべきではないか、こういうような議論に対して、そういうことは一切まかりならぬ、門前払いだと、こういう態度なのかどうか、基本的にそのことをまずお聞きをしているわけです。
#70
○政府委員(高橋元君) どうも取り違えまして、大変失礼いたしました。
 所得をどういうふうに定義するかということは、所得税をつくります際に一番むずかしい問題でございます。給与所得につきまして経費をどういうふうに見ていくかということは、各国の法制、それぞれ異なった規定をいたしておりますが、日本の場合に、給与所得者について四〇%、三〇%、二〇%、一〇%と給与収入が上がるに従って逓減はいたしてまいりますけれども、概算の給与所得控除という、いわば一種の経費控除でもあり把握控除でもあり担税力控除でもありと、こういう定義がなされておりますが、そういう給与所得控除を認めておりますのは、各国の税制の中で給与所得収入に対する所得部分の割合につきまして、何と申しますか最も日本か低い、そういう実情にあるものというふうに考えておりますが、それにしても事業所得者と給与所得者のバランス、それから事業所得者の中で医業なら医業を営んでおられる方とその他の事業を営んでおられる方のバランス、これは私ども税制を考えます者として常に頭の中に置きまして作業を進めておるというのが実情でございます。
#71
○勝又武一君 その頭の中に置かれていらっしゃる点なんですが、たとえば給与所得者の収入一千万の場合、諸控除後の所得が六百五十六万、税額が百三十万、これは標準家族ですね。これは皆さんの方からいただいた資料なんです。医師の社会保険診療報酬の場合で、これは収入が一千万、諸控除後の所得額は百四十四万、税額は十六万。医師の収入二千万の場合での所得は四百二十四万で税額は六十八万。つまり医者の場合には非常に経費がかかっていて、水揚げ額では比較はできないよと、収入と収入では比較はできませんよと、これはよくわかるわけですよ。そうじゃなくて、そういう必要経費を引いた所得額での比較をいたしましても、この税額で見ても余りにもこれひとつ違い過ぎるんじゃないか。
 さらに、けさ追加で大蔵省からいただいた資料を見ましてもこう書いてあるんですね。皆さんからいただいた資料ですが、お医者さんの社会保険収入一千万、二千万、四千万というのが出ていまして、「社保収入のなかには、薬剤費等の経費部分が相当含まれており、これを給与収入と単純に対比することは問題が多い。」、よくわかるんです。「仮りに、社保収入のうち五二%が経費であるとし、その残額と同額の給与収入の場合の税負担は次のとおりである。」、これを見ましても、一千万の場合で二十五万六千円、二千万の場合で百二十一万五千円、はるかに大変大きな違いになっているわけですが、この点についてはどう思われますか。
#72
○政府委員(高橋元君) 給与収入につきましては、給与収入の中のどれだけを課税所得と考えるかという問題があるということは先ほど申し上げました。それは現行の四〇、三〇、二〇、一〇という給与所得控除のもとで給与所得に対する所得税額というのが決まってくるわけでございますが、その場合に、一千万の給与収入があると四百八十万に当たるわけですが、その方の、給与所得者の払うべき税金は二十五万六千円であります。これに対してお医者さんの場合、一千万の社保収入がある場合に十七万三千円の税金しか払ってないではないかという御指摘かと思います。
 これは先ほどから申し上げております二八%の経費の特例というものが現在二千五百万円以下の社保収入について残っておるわけであります。その残っておりますのは五二%という概算経費率として実額の経費率を五千万円以上の社保収入について使いますけれども、五千万円から下の収入会計につきましては四区分を設けまして、その四区分、四段階の概算経費、いわば概算控除と申しますか、いわば特例を認めておるわけであります。それは地域の診療、大都市であれ僻地であれ地域の診療に従事しており、たとえば救急でありますとか休日診療でございますとか夜間診療でございますとか、そういう地域の人命に関係のある仕事に、公共性のある仕事についておられる、そういう社会保険医の公共性に対する配慮という形で、昭和五十年の社会保険診療報酬に関する税制調査会の答申の考え方をとりましてそういう控除が残っておるわけであります。
 したがいまして、いま申し上げたように、一千万円に当たります給与所得者の二十五万六千円という税額よりも、七二%の概算経費率を使います一千万円の社保収入のお医者さんの税金が少なくなるということでありますが、これはそのことだけを取り出してみればまたいろいろ御批判もあろうと思いますけれども、社会保険診療報酬に対する課税制度全体として社会保険医の社会的活動、公共的な活動を確保するために必要なものであろうというふうに考えておる次第であります。
#73
○勝又武一君 いまの説明は非常にわかりませんでした。非常にわかりにくい。そこのところは後で少し正確に勉強し直しまして、数字がちょっと私理解できないところがあるんですよ、給与所得者についての税額は。それだけ指摘しておきますが、時間もありませんので、そこの点は保留をいたします。
 そこで個人営業者、特に青色申告の場合、必要経費が認められる。お医者さんの場合も特別措置がある。こういうことと関連をいたしまして、二、三勤労者、給与所得者の取り扱いについて同じ比重を持って、関心を持って対処しているというお話、態度でございますからお聞きをするんですが、たとえば通勤費、これは全額控除ですか。通勤費については何か一定の制限があるんじゃなかったんでしょうか。これらは公平の原則から言ってどうなるんでしょうか。
#74
○政府委員(高橋元君) 通勤費でございますが、所得税法の九条の五号という規定がございまして、「その通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの」ということで、毎年いわば世の中の給与体系で通勤手当として認められておる金額、その金額を限って非課税としておりまして、通勤費が控除されるというんじゃなくて、通勤手当を引かれるという形で対処いたしておるわけであります。
#75
○勝又武一君 実質は同じですよ。通勤手当であろうが通勤費であろうが、実際自分が払ったのは全額控除にならないという実例があるということをここでは指摘をしたいわけです。その意味では青色申告者なりその他の方と私は取り扱いに差別があるというように思わざるを得ませんね。
 それから、たとえば農業事業者の場合に農業協同組合の組合費、こういうものは経費算入されているんじゃないんでしょうか、どうでしょうか。
#76
○政府委員(高橋元君) 課税上の細目でございますので、国税庁からお答えいたすべきことでありますから、取り調べますので、ちょっと時間をかしていただきたいと思います。
#77
○勝又武一君 あわせまして、たとえば業界団体とか同業組合等の場合の組合費も経費算入されているんじゃないんでしょうか。それもあわせてお答えいただけませんか。
#78
○政府委員(高橋元君) 調べまして至急お答えをいたします。
#79
○勝又武一君 私の調べではそれは経費算入されているというふうに思うわけですが、にもかかわらず、たとえば勤労者の場合の労働組合の組合費、そういうものがそういう場合の同様取り扱いをされない理由は何でしょうか。公平の原則と違うんじゃないんでしょうか。
#80
○政府委員(高橋元君) 給与所得につきましては、所得税法の規定によりまして必要経費という観念がございませんで、必要経費にかえて給与所得控除ということは認められておるわけであります。その給与所得控除は、くどくなりますが、百五十万円まで四〇%、百五十万円を超えて三百万円まで三〇%、三百万円を超えて本百万円まで二〇%、六百万円超一〇%と逓減する割合で給与収入に対して引かれるわけであります。その給与所得控除がその給与所得者の概算経費控除というものに当たっておりますので、特別いまお示しのような諸項目を給与収入から差し引いて実額で給与所得を算定するという制度になっておりませんか、このことが給与所得の算定上非常に辛くなっておるというふうに私どもは考えておらないわけであります。
#81
○勝又武一君 二つ反論があるんですがね。一つは総括的、包括的に給与所得控除という中へくるんでいるんだと、非常にわかりやすく言っちゃうとそういうことですね。ところが、たとえばさっき言ったように通勤手当に対する特別の免税があるわけでしょう、一定の制限はあるにいたしましても。それから、これも私も給与所得控除議論になればその額が、あるいはその概算包括的な額が実態と比べて非常に低い、こういうことが結論にはなると思うんです、私の主張は。なると思うんですけれど、具体的に、たとえば先ほどの医師と給与所得者との比較などを考えた場合には、当然この関係が出てくるというふうに思わざるを得ないんです。
 たとえば教員の場合がありますね。教員の場合に学術研究図書費、教材研究費、あるいは実地調査費、こういう非常に個人負担が多いのが実情だと思うんですよ。当然こういう実額控除を、他の青色申告者あるいは特別措置とのバランスで言えば、公平の原則から言ってもすべきだというように思いますけれども、これも包括的に給与所得控除に入ってるんだ、こういうお答えが返ってくるであろうと。そうなりますと、実際にはなかなかこれは大変な額じゃないか。個人差もあり、その全額を認めるというのが無理だと仮定するならば、たとえば特別措置と同じような公平の原則を適用するなら、少なくとも一定の標準的な学術研究費、図書費とか、そういう控除額なんかをつくり出すのが、そういうことを創設することがバランス上は公平の原則ということに当たるんじゃないか。
 個人開業の医師と医師である大学教授、こういうものと比較してみますと、このことは私は非常にわかりやすいと思うんですよ。たとえば片方は給与所得だけだと、こういう場合の、給与所得だけの医師である大学教授と個人開業をしている医師、その収入額と課税所得額と税額、こういうものを比較したらきわめて明確じゃないんでしょうか。あるいはこれは、弁護士なり公認会計士の場合にも同様な比較をした場合には出てくるんじゃないんだろうか。つまり、給与所得控除というのが包括的に全部一定率にかかってしまっているというところに、非常に税の不公平に対する不満というのがうっせきしてくるんじゃないか、こういうように思いますが、どうでしょうか。
#82
○政府委員(高橋元君) ただいまお尋ねの点につきましては、従来から検討の課題でありまして、税制調査会でもずいぶん回を重ねて御審議を願ったわけであります。
 一昨年に税制調査会から出てまいりましたいわゆる中期答申の中でもその検討結果が述べられておるわけでございますが、給与所得控除について、いまお示しのように経費の実額控除との選択を認めたらどうかという御意見などがありますが、給与所得者のそれでは費用が何かということの具体的な基準というものはなかなか設けられないと思うわけであります。外国の法制を見ていただきましてもおわかりになると思いますが、たとえば制服というものについてこれは経費に見るけれども、背広はだめであるというようなことになっております。
 それから、いまお話のありましたのに関連しまして、たとえば職業上の研修についての図書費というものをどう考えるかという問題につきましても、アメリカの法制で申しますと、雇用主の要求もしくは法令の要件を満だすため、そのために必要な研修費用に限って引いていくんだという法制があると思いますと、またフランスのように、職業上の資格を得るための費用及び学位論文の準備印刷に要する費用だけの控除を認めるという制度もあります。
 そこで、そういう経費の実額控除の選択の基準というもの、費用性の基準というものがなかなか設けられないということが現状でありますから、そういう問題を残したままで選択性を採用すると、納税者の立証技術がうまいか下手かによって負担の不均衡が起こってくるということ。それから、給与所得控除について先ほど申し上げておりましたが、給与所得控除は、現在の法制のもとでは大体三五%ぐらい平均いたしますと引かれておるわけでございまして、これはかなりの水準ではないか。そういうことから税制調査会としては、そういう経費の実額控除という制度を採用する必要があると認めないという答申でございました。
 私どもは、まあこの問題は反復唱えられている問題でもございますし、今後とも検討してまいりたいと思いますが、当面この中期答申の考え方を変更するような実態というものはなかなか発見できないのではないかというような気持ちを持っておる次第であります。
#83
○勝又武一君 利子・配当所得と給与所得との比較についてお伺いしたいんですが、配当所得の最低課税が四百四十万、これに対して給与所得の最低課税が二百一万と思いますが、これはそうでしょうか。
#84
○政府委員(高橋元君) 配当だけの所得者というものについて所得税かかからない最高――最低限度と申しますか、それは五十四年分につきましては四百四十万三千円でございまして、給与所得の場合にはいまお話しになったような金額であります。
#85
○勝又武一君 そうしますと、この利子・配当所得者と給与所得者との取り扱いについても大きな差があることはお認めになりますね。
#86
○政府委員(高橋元君) これは、配当所得というものをどう考えるかという問題かと思います。配当所得は、まあ本来法人形態で事業を営んでおります場合に生じてくる所得の、その配分でございます。したがって、すでに法人段階で法人税の課税を受けております。個人に分配された段階でそれについてもう一遍完全に所得税をかけるという場合には、いわゆる二重課税の問題というのが起こってまいります。国際的に見ましても、法人形態で事業を行っております場合と個人形態で事業を行っております場合、その配当について調整をすべきだという考え方はかなり強くなっております。
 たとえばヨーロッパの法制あたりで申しますと、ドイツは一〇〇%その二重課税を調整してしまいますから、したがって、配当所得に対する所得税というものは、法人所得に係る法人税を差し引いてしまって、結局配当については所得税しか払わないという形になるわけであります。日本の場合にはいわゆる二重課税の調整割合というのは三〇%でございますが、フランスの場合五〇%、イギリスが四六%、ドイツが一〇〇%、そういうふうに、かなり高い二重課税の調整をとっておりまして、これは先ほど私の申し上げました、法人税と所得税との調整の基本的な仕組みの問題として考えておるわけであります。したがって、配当所得について、配当だけでその人の所得が成り立っている場合に課税最低限が四百四十万円であるということと、給与所得者の場合の課税最低限、これ、夫婦子二人でございますと二百一万五千円でございますが、そういうものと同一視することは適当と言えないんじゃないかという考え方でありまして、この点も昭和四十年以来ずっと税制調査会でも検討して、現在そういう結論に達しております。
#87
○勝又武一君 私が前段に申し上げました、租税公平の原則というのを国民の立場でどう考えるのか、あるいは財政当局がどう考えるのか、そこに大きなギャップがあるのはきわめていまの不幸な事態だというように指摘したのは、ここにもあるわけです。つまり、私が言いたい意味は、租税特別措置ということについて私は反対だと、しかしそれがある以上、それとのバランスで、それとの公平の原則できわめて不公平だと思ってるものがある、そのものについては、特別措置を残すならそれに見合うように必要経費を改善すべきじゃないか、必要経費を改善することが非常に困難だというなら租税特別措置をやめるべきじゃないか。それはもう医師の場合でも配当所得の場合でも私は同じように言えると思いますが、ややこれは水かけ論になるきらいがありますので、ここの指摘にとどめます。
 そこでもう一つ、所得税の問題で大変に私が実感として思ってる、あるいは現実の職場とか地域にいる勤労者が考えていることで大変だと思うのは、住民税――地方税の問題ですよ。これ、所得税が多いと、あるいは所得税が多いほど住民税である市町村民税、県民税が多くなりますね。個人営業者は非常に所得税が少なければゼロかきわめて少ない、こういう事態があるわけです。
 たとえば小都市になりますと、青色申告をやっている個人営業者の方々などは市民税が最低で事業税などもほとんどない。まあ小さな町内会単位ぐらいになりますと、ベストテンの上位にいるのは税務署の職員である、本当ですよ。皆さんのところの税務署の職員の方がきわめて高くて、そして一般のそういう方々というのはずっと下位にある。あるいは市町村立の保育園というのがございますね、保育園料というのがある、ここで実にそういうことがわかってくる。保育園料の一番高いのが税務署の職員の方になる。個人営業の方は最低になっている。こういうような事態は、事実地域では全く日常茶飯のようにあるわけですよ。つまり所得税に対する不公平さというものは市町村民税、住民税、事業税、こういうものにまで大きく影響を与えている事実がありますけれども、こういうような点について、これは公平の原則から言ってもひどいから変えようじゃないかというようなお気持ちはないんですか。
#88
○説明員(丸山高満君) ただいまの御質問でございますが、先生御案内のとおり、住民税の所得割りにつきましては、前年度の所得を課税標準にいたしまして税を課するわけでございまして、その前年度の所得といいますのは、所得税をお払いになっていらっしゃいます方につきましてはその所得の計算の例に従って算定をする、こういう仕組みに相なっておりまするので、所得税の少ない方につきましては住民税も少ないという仕組みになっているわけでございます。
#89
○勝又武一君 そうじゃなくって、そういう不公平さについてどう思っているんですかと聞いているんです。どうなさるおつもりなんですか。
#90
○政府委員(高橋元君) いまの仰せの点は、恐らく住民税とそれから国税たる所得税の課税最低限が違っておるというところがまず一番大きな原因かと思います。
 税制上で申しますと、夫婦子二人の給与所得者が収入金額二百四十八万四千円に達するまでは住民税の負担の方が国税たる所得税の負担よりも大きいわけです。それは税率の問題も一つはございますけれども、これは課税最低限、つまり控除をどう考えるかという問題であります、この点はずいぶんいろいろ議論をしてきた問題でございますけれども、やはり住民税は応益性と申しますか、地方公共団体の住民がみずからの行政費を賄っていくという意味で、国税の課税最低限より低くあってしかるべしという御議論から現在のような制度になっておるわけでございます。
 それから、給与所得者と事業所得者の間で住民税に差があるのではないかということでありますが、これは私どもこういう席で、公の立場で申し上げるのもなかなかむずかしいわけでございますが、世上言われております把握差の問題というものも若干は反映しておるかというふうに考えまして、そういう課税の実態の問題、これが相当強く入ってきておると思いますが、これは給与所得者と事業所得者の所得がもしひとしくつかまえているならば、給与所得よりは事業所得者の方が税負担が、収入という意味で申せば税負担か重くなるのではないか、それは給与所得控除ございませんので、そういうことであろうがと思います。
#91
○勝又武一君 そんなことをお聞きしているんじゃないんですよ。そういうことでごまかされたって、ぼくだってそのくらいのことは知っている。そうじゃない。住民税の計算方式が少し違うからどうこうなんということを言っているんじゃないんですよ。国税である所得税に対する不公平さが市町村民税まで及ぼしているということを言っているんですよ。
 もっと簡単に言いましょうか。町内会単位になりますと、税務署の五十歳前後の職員の方がトップなんですよ。五十歳前後の税務署の職員の方が持っている大体自分の生活実態と個人営業をやっていらっしゃる、営業をやっている方の日常の生活実態と比べてどっちが楽かということを税務署の職員の方は知っていらっしゃる。ところが、所得税ははるかに税務署の職員の方が高いんですよ。所得税が高い方が市町村民税が高くなるのはあたりまえじゃないですか。市町村民税の比率の計算の方式の技術的なことを言っているんじゃないんです。だから、自治省の問題じゃないんですよ。大蔵省当局としまして、租税の公平の原則から言って、その所得税の方を抜本的に直さなければ市町村民税にまで大きな影響を及ぼしているんじゃないか、そのことを言っているんです。
#92
○政府委員(高橋元君) 大臣からお答えになります前に、先ほどちょっと勝又委員の御質問をあるいは正確に把握していなかったのかもしれませんが、租税の公平と申します際に、税制上の公平ももとよりでございますけれども、執行面の公平ということは非常に大事でございます。いまの仰せの中には、繰り返しになりますけれども、執行面の不公平というものがあるんではないかという御指摘でございました。こういう点につきましては、税務行政の充実に努めてまいるということを常に考えてまいりましたし、これからもさらに一層の努力を加えていかなければならぬというふうに考える次第でございます。
#93
○国務大臣(金子一平君) いまの勝又さんの御指摘、これは前々から指摘されている問題でございまして、税制面の問題と執行面の問題と両方ございます。そういう点につきましては、私ども絶えざる見直しをやっておる際でございますが、これからも十分ひとつ検討さしていただいて、その不公平感が国民大衆に持たれないように全力を挙げて努力しなきゃいかぬと考えております。
#94
○勝又武一君 ここのところは相当突っ込んでお聞きしたいと思ったんですが、いまのようにおっしゃられますと私は非常に不満ですよ。大臣の後段の答弁はわかりますよ。局長の答弁に至っては、全く執行面の問題じゃないわけですから、ぜひひとつこの辺は真剣にお考えいただきたい。
 特に、地方財政の確立につきましても、十六日の本会議でございましたね、大臣の答弁もあったし、大平首相の答弁もあったわけです。ですからそういうような意味も含めて、地方財政の確立なり、いまの所得税を地方税に移管すべきだという学会の御意見もありますし、こういうことについてもきょういろいろ財政当局のお考えをお聞きしたがったんですか、非常に時間がなくなってきましたので、同時にまた、いまのような態度では私は非常に不満でありますから、これについてはひとつまた別の機会に検討さしていただきたい、お聞きをいたしたいというように思います。
 そこで、あとわずかな時間になってきましたが、本論の交際費の問題に移ります。
 五十二年度二兆四千九十一億、これは法人企業実態調査、国税庁の十二月十一日の発表ですね。ですから、この数字に間違いないと思いますが、このうちで損金不算入が八千三百三億、それに対する支出額の比率は三四・五%、これはそういうことでよろしいでしょうか。
#95
○政府委員(高橋元君) 国税庁の会社標本調査の結果でございますから、仰せのとおりでございます。
#96
○勝又武一君 今度の交際費課税強化した場合を、この二兆四千九十一億の金額そのものに当てはめた場合に、今度の改定分によりますと、損金不算入部分は幾らになって、この比率は幾らになりますか。
#97
○政府委員(高橋元君) これは若干推定が入ります。いま二兆四千九十一億の交際費が伸びてくるわけでございますから、その金額の伸びを幾らと考えるかということでございますが、五十三、五十四と一〇%ずつ伸びたという前提を置きまして、損金不算入額を新しい税制で算出いたしますと、その割合は四八・八%、いま三四・五と申し上げましたその損金不算入割合が四八・八になるということでございます。
#98
○勝又武一君 これ資料要求しておりまして、けさ受け取ったんです。ですから、交際費伸び率を見て出している点と損金不算入部分のふえる部分との計算かやや腑に落ちない点かが――けさいただいたばかりですからちょっと当たる時間がなかったんですけれども、ありますけれども、仮にいま皆さんのおっしゃる点でいっても四八・八%ですね、あと五一・二%は損金計上されている、つまり損金不算入になっていない、課税対象にはならない、こういうことになるのですが、それをもって交際費の課税強化これでよしと、こうなさるおつもりなんですか。
#99
○政府委員(高橋元君) 交際費は、元来企業の販売の促進と申しますか、業容の維持拡充のために必要な経費であるということは、これは企業の経理の上でもそれから商法上も認められているわけであります。ただ、交際費につきましては、一つの問題は、これが個人が受益する面がかなりある。そういう意味で、交際費の支出の対象になりますそういった人的な受益について、本来なら所得課税をするのが正しいのかもしれませんが、なかなかその把握か容易でないので、法人の段階で課税をしてしまう、そういう行政があります。理論的にもそういう考え方がある。それからもう一つは、交際費についての社会的な批判でございます。
 こういうことから、交際費の全額を、たとえば記念品でありますとか、そういうものを配ってまいります、そういう交際費について全額に課税してしまうという必要はないと思いますし、また外国の法制も、全額を交際費課税しろということになっている法制も私どもの知っている限りでは見当たらないと思うわけでございますが、交際費につきまして、たとえば二百万円を引いて残りの九〇%について課税をするというところまで今回の改正案で来ておるわけでございます。こうなりますと、たとえば使途不明金につきましては一〇〇%課税でございます、交際費と使途不明金を企業経理上同一視するわけにもまいりませんし、私どもとしては、こういう枠で押さえてまいる交際費の課税方式としては限度に近づいておる、というふうに考えておるわけであります。
#100
○勝又武一君 昨年、私が文教委員会におりましたときに、ある私大の理事長が、国会対策費百万というのを個人の領収書を切って受け取っていて文教委員会で問題になりましたけれども、これは皆さんの御見解では交際費の中へ入るんでしょうか。それから、たとえば運輸委員会で例のゴルフ大会等が非常に問題になったことがありましたね、ああいうものも交際費の中に入っておりますか。
#101
○政府委員(高橋元君) 交際費の定義からしますと、いまお話のございました二つのケースは、最初の場合には個人としての支出でございますから、企業の交際費というふうには考えられないんではないかというふうに思います。
 それで、交際費につきましては、従来から、企業の販売活動と申しますか、営業活動上必要なものではあるけれども、その定義を法律、法令で逐次変えてきておりまして、そういう意味で、交際費の損金不算入制度というものはかなり法律的にもはっきりしたものになっておるというふうに考えております。これら全額を課税するという性質のものでない、また、そういう法制も外国にはないということは申し上げておりますが、交際費に対する世論等も考えまして、こういうふうに課税の強化を逐年図ってきておるというのが実情であります。
#102
○勝又武一君 交際費ベストテン百社番付――これ五十一年度分ですけど、一位が三菱商事二十八億、第二位がいま有名な日商岩井二十四億、三位が三井物産二十四億、四位が伊藤忠商事十八億、五位住友商事十七億、六位丸紅十七億、――まさに名だたるところがずらり並んでいるわけでありますが、世上問題を抱えているところが多いというように私は思うわけです。この点一つ見ただけでも、世論の指摘等を考えてみましても、一層の交際費の課税強化ということを図るべきだと、こういうように考えますけど、どうでしょうか。
#103
○政府委員(高橋元君) 私ども、五十一年四月から五十二年三月までの有価証券報告書を拾いまして、それに国税庁のやりました先ほどの二兆四千億という交際費の支出状況を業種別に掛け合わせて出したものをいま持っておりますが、それによりますと、営業収入千円について交際費は四円三十三銭ということのようであります。これは業態によりましてかなりでこぼこがございまして、出版・印刷業、建設業、それから不動産業、サービス業、そういうところの交際費の支出割合が高いようでございます。これは大体、業態としてそういう広告宣伝になじまずに、交際費の方がむしろ業況の維持拡大を図れるという業種であろうかと思います。各企業によって、それは新しく参入してきた企業の場合にどうこうというような問題はあろうかとも思いますけれども、大体におきまして逐年こういう計算をいたしてきますと、営業収入千円当たりの交際費の支出というものは売り上げがふえるに従ってやや下がりぎみであるということであろうかと思います。
#104
○勝又武一君 私は、一番問題なのは交際費の意義の規定、これがやっぱり皆さんの場合には一貫して変わっていない、そういうふうに思わざるを得ません。たとえば限度超過額、損金不算入、こういう方式にこだわっていまして、あとはその比率を変えるという、あるいは額を少し変えるという、そういうきわめて技術的なところに問題があると思うんです。ですから、先ほどの非常に多目に見た数字でもまだ五割以下ということでありますから、やはり諸外国並みの、少なくともそう思うですね、特別の場合を除いてすべて損金不算入、こういうやはり厳しい原則を確立しない限りなかなかこの問題についての国民の共感、そういうものは生まれてこないんじゃないか、そういうように私は指摘せざるを得ませんけど、この点についてはどうでしょうか。
#105
○政府委員(高橋元君) まあ数字のことばかり申し上げて恐縮でございますが、先ほど三四・五という損金不算入割合は、資本金百億円以上の企業をとりますと七八%損金不算入でございます。資本金五千万円から一億の間になりますと四九・五でございまして、資本金一千万円未満のところでは八・一%の比率になります。大体資本金の大きいところは売り上げが大きくて非常に支出交際費も大きいわけでございます。したがって、現在でも大企業ほど課税交際費の割合が高いという実態にございます。
 いまお示しになりました、個別に交際費を審査して、特定なものを除いて全額否認する制度はどうかということでございますが、これにつきましては私どもも従来から検討しておりますか、何分にも日本の場合には企業が百五十万ぐらいございまして、これを一々につきまして個別に、これを損金に見ない、これは損金に見るという、そういう執行をいたすことは不可能でございます。かえって交際費の支出の証明のテクニックのいかんによって本来否認さるべきものが認容されてしまうというような問題も起こり得ましょうし、その逆の場合もありまして、かえって税の執行面の不公平というものが著しく出てまいる、なかなか制度としてそういうものを設けるだけの自信がございません。したがって、従来から、たしか昭和三十六年以来やっております、こういう交際費の損金否認制度というものを強化してまいるという方向で対処してまいったわけで、これは日本に比べて法人の数が少ないたとえばヨーロッパの場合とはやり方が違っておりますし、そのねらっております効果というものは日本の場合でも十分達成されておると思います。しかしながら、なお今後とも交際費の支出に対する世論の動向、それから国民経済的な意味づけ、それから課税のあり方というものを総合的に考えて勉強してまいりたいというふうに存じます。
#106
○勝又武一君 五十三年度の総広告費ですね、これが電通から「日本の広告費」という形で最終推定で一兆八千四百五十七億、前年の一兆六千四百二十七億に比べて一丁四%、二千三十億の伸びとなっている、こういう問題があるわけです。やはり相当注目をすべき伸び率だというように思うんですが、同時にまた、この広告の媒体別に見ますと、テレビが三五・四%、新聞が三〇・九%、圧倒的に多いわけです。こういう広告について、この広告の実態、こういうものについてはどうなんでしょうか。いままで課税対象にするしないの議論がいろいろあったし、検討課題に一時なったときがあったし、いろんな経過があるわけですけど、こういうように、いまやはり一兆八千億ぐらいになってきている。そういう現時点で何かの検討をする、あるいは検討をされた、そういうことはございませんか。
#107
○政府委員(高橋元君) 広告費の課税をどういうふうにしていくかということにつきましては、これも現在も検討中でございますが、昭和五十二年に税制調査会で大分長い時間をかけて御検討いただいたわけでございます。
 それで広告課税と申しますと、広告という媒体にかけていく広告課税、広告媒体課税と申したらよろしいのかもしれませんが、そういうものと、それから企業の支出する広告費に対して損金制を否認して交際費と同様にかけていくという考え方と二つあります。二つについて検討をしたわけでございますが、特にいまお話のございますのは広告費課税の方だと思いますから、まあいろいろの問題がやはりございます。
 先ほど申し上げましたように、交際費は社用交際費というようなことをよく言われておりまして、個人が享受する経済的利益に対する所得税の代替であると、こういう税制上の意味づけというのは可能でございますけれども、広告の場合にはそういう社用広告というような、個人が享受する経済的利益というのはないのではないか。したがって、広告費と交際費とそういう面だけで同一視するのは理論的に非常に問題が多いんじゃないかということ。
 それから、過剰広告の取り締まりということは、本来景品表示法等の問題でございまして、税制でそういうことをやっていくのはむずかしいと。過剰広告、過当広告であるといたしましても、また低俗な広告であるといたしましても、税務官吏がこの広告は悪い広告であると、したがって否認しますというようなことは、制度としてはなかなかできないんではないか。税務官吏か執行を通じて広告を抑制していくという具体的なやり方を考えてみますと、そういう過剰広告、過当広告、低俗広告というものを税を通じて取り締まっていくという考え方は、税にはなかなかそういう仰せをいただいても、税の執行の面では受けかねるという面か多いんだろうと思います。
 年間に一兆八千億出しておって非常に大きいから、全体として過剰広告だから抑制したらどうかということも一つの論点でございますけれども、日本の広告費は総額で見ても、またGNPに対する割合から見ましても、必ずしも大きいということにはなっておらないように思います。そういう問題をいろいろ挙げまして御議論をしていただきまして、そういう広告税、広告媒体税または広告費税、いずれについても今後検討を進めていくべしという御結論でありまして、私どもといたしましても、交際費課税のバランスや広告費の支出状況というものを頭に置きながら検討を続けておるというのが実情であります。
#108
○勝又武一君 この広告の問題で調べてみますと、非常にやはり独占状況にあるということが言えると思うんですね。たとえば総広告費のパーセントを調べてみますと、やはり半分以上は百社以内で占められているわけです生ですから、きょうも資料を一ついただきましたけど、皆さんのところでお調べ願ったのを見てさえそうですね。私の調べたのによりましても、これはもう、たとえば製薬会社で見ましても、二千四百社のうちの五百人以上の規模のところは二十二社にしかすぎないにもかかわらず、たとえば武田が広告では百二十億、一千二百億の販売で百二十億、田辺が三十億、非常に額が大きいわけですね。それから、先ほど世界的に比較をしてという話がありましたが、世界的に見ても日本の広告が世界第二位だと、こういうこともある。つまり、薬の広告というのは薬品で七百六十億、医療教育その他で一千七百四十、二億、実に大きいわけですよ。それからウイスキー、ビール、テレビ、化粧品、自動車、食品、こういうところのベストテンを見ましても皆そうですね。ですから交際費との伸び率あるいは交際費と広告費とのバランスということではなくて、当然こういう巨大企業が独占的に広告費を投下をしている。つまり少数の大企業がその産業の分野で大きい販売の比率を占めている。そういう寡占体制の中でこの価格競争は回避をされて、これに照応して広告の拡大が行われている。私はいまの広告の実態というのはそうだというように指摘をせざるを得ません。こういう点について、当然やはりこういうところについてはこの広告費課税を考えていい時期に来ているんじゃないんでしょうか。
#109
○政府委員(高橋元君) 世界の中で日本の広告が必ずしも大きくないということを申し上げたんですが、いまお話のございましたように、確かに総広告費では日本はアメリカに次いで世界で二番目であります。しかしながら、それは日本の経済が大きいということの表現でもありまして、たとえば経済活動を概括的に見通すGNPに対する割合で見ますと日本はずうっと低くなりまして、世界の二十四番目ということになっておるようであります。それから頭割りの広告費ということで見ましても世界の十四番目でございまして、日本の広告費がそれほど大きくて寡占体制を助長するために非常に悪い役割りを担っておる、演じておるということは必ずしも言えないのではないかというふうに考えておるわけで、そのことを先ほど御答弁で申し上げました。交際費と広告費は大体パラレルの関係で、広告費が交際費の三分の二というような関係、売り上げとの関係も、比率でも逐次下がってきております。
 たとえば中小企業対策ということで、大企業の大量広告で中小企業が圧迫を受けるから広告費課税を行ってはどうかというような御指摘もあります。この点もいろいろ検討してみますけれども、中小企業対策というだけの理由で広告費を課税するという理由づけがなかなかむずかしいのではないか。仮にそうしますと、後発企業の新規参入というのか阻害されることによって、かえって市場の硬直性を招くということがあるのではないかというふうに考えます。
 過大広告がコストアップ要因になっておるから、物価対策からもやったらどうかという御指摘につきましては、広告を減らして非能率な販売手段にシフトするとかえってコストアップになるのではないかというふうにも考えられます。
 いろいろ御指摘の点で、勝又委員のおっしゃいますことで、私どもなるほどと言ったら大変失礼でありますが、そういうふうに思われる点もあるわけでございますけれども、したがって、今後とも検討を続けていく問題ではございますけれども、広告費課税につきましては世界にその例を見ておりません。広告の媒体に課税しておるという事例は若干ございますけれども、企業の支出する広告費を否認しておるという税制がないわけでございます。そういうことだけに、なおさら慎重に勉強をいたしておるということであります。
#110
○勝又武一君 たとえば、先ほど一兆八千億ということを言いましたが、業種別に見ますと、食品、飲料が二千五百四十七億、化粧品、洗剤が一千六十四億、薬品が七百六十億、衣料、身回り品が四百十億、電気機器が七百二十七億、輸送機器が六百八十二億、こうあるわけですね。テレビの五秒スポットで瞬間的な広告で医薬品の効果効能が消費者にどう理解されるのか。ドリング剤、これが医薬品なのか保健薬なのか飲料水なのか。バターからウイスキーから化粧品から軒並み名前を挙げれば切りがないくらい具体例はあるわけでありますが、こういう問題につきまして、私は両者とも、たとえば交際費と広告費の関係がありましたが、両者ともやっぱり販売促進費、そういう点では本来的に営業上の必要経費だと。ですから片方が、交際費の方は社用消費でつながりが大きくて個人の飲み食いに関連して世論の批判が強い、広告費の方はそういうことがないから課税にはなじまない。こういうことは私はやっぱり一方の論理であって、そうではなくて、やっぱりそれ以上の、交際費以上のやはり批判というのが広告費にもあるわけですから、この際ぜひ御検討願いたい。
 そこで、あと時間がわずかになりましたので、最後にお聞きします。
 広告課税はやらないというわけですね、いま。一般消費税をやる段階になるとどうなるのですか。
#111
○政府委員(高橋元君) 広告課税には二通りあると申し上げましたか、その広告媒体課税というものは、広告業がサービス事業でございますから、広告業の売り上げにつきましては一般消費税は課税になるわけであります。
#112
○勝又武一君 そうすると、一般消費税を仮に実施するとなると、いま私か主張したようなものは課税対象になりますか。
#113
○政府委員(高橋元君) 企業に対して広告サービスを売る、たとえば広告代理店でございますとか、広告のプランナーと申しますかデザイナーと申しますか、そういう人たちの企業に対する売り上げについて一般消費税の課税が行われるわけであります。それはひいては広告費が値上がりをするということになるであろうというふうに考えます。
#114
○勝又武一君 そうすると論理は矛盾してきませんか。いまは広告費というのはやらない、やる実態にはない、こうおっしゃってたわけですね。ところが、一般消費税がある日やることになると、その日をもってがらり広告費というのは、広告費課税はやってよろしいんだという論理になるわけですか。
#115
○政府委員(高橋元君) そこはそう申し上げているわけではございませんので、一般消費税は、財貨の販売またはサービスの提供ということにつきまして、原則として例外を設けずに国民に税負担をお願いする、そういう性質の税金であります。
 私は先ほど来広告課税について、さらにいま引き続いて検討するけれども、大分むずかしい問題がありそうでございますということを申し上げておりましたのは、企業の支出する広告費につきまして、広告費であるという理由で、そういう理由で選別して経費性を否認する、そういう制度を設けることは大変むずかしいということを申し上げておったわけであります。したがって、いまお示しのようなことは私どもとしては全く矛盾しない、両立し得ることであるというふうに考えております。
#116
○勝又武一君 そんなことないんじゃないですか。広告費に課税ができないというなら、その部分については、一般消費税を仮に皆さんが実行するとすれば、その段階にも除外しないと皆さんの論理は首尾一貫しないんじゃないですか。
#117
○政府委員(高橋元君) そうはなりませんので、広告費は企業が経費を支出いたしまして、その支出した経費をまた企業の販売する代金の中でそれに込めて売るわけでございますね。したがって、企業の売り上げの中に広告費の支出に見合うコスト、広告費というコストに見合う部分というのは入っております、したがって、企業が売っていくものについて一般消費税かかるわけでございますから、企業が使う広告媒体につきましても同様に課税が行われる。これが一般消費税でございまして、およそいかなるものでも特定のものについて課税対象から外すという性質のものでは、まあなかなかないんではないかというふうに思うわけであります。
 広告費課税と申しますのは、ほかのもの――会社の経費は、交際費を例外といたしまして、原則として経費性を認めておくが、広告費の支出だけは経費性を認めずに、それに法人税をかけるということでございますから、これは全く別途の問題であろうというふうに思います。
#118
○勝又武一君 この点はどうしてもわかりませんね。
 広告課税――媒体物に対するものと、それから広告費課税の二つが税調でも論議をされていることは承知をしております。ところが、いま局長がお答えになっているうちの一般消費税で対象にしようという広告税、一般消費税の中で対象としようとする――それは埋まるんでしょう、いまの御指摘でいけば。そうすれば、そのものは一般消費税を実現しなくても、もしそこでやるくらいならば、いま広告税としてやれるんじゃないですか、こう聞いているんです。
#119
○政府委員(高橋元君) 先ほど来から広告費課税の御質問でございましたから、広告費課税のことについて議論をしてまいったわけでございます、私はお答えをしてまいったわけでございます。
 広告媒体について、サービス業の中で広告を販売をしておる、そういう人について個別の消費税を受けるかどうかという問題はございます。これは外国でも若干かけておるところはございますが、広告費課税、広告媒体課税、両方について御議論が出ておりますので、両者をくるめて検討を進めておるところであるというふうにお答えをしておったわけです。
 特に広告媒体課税について詳しく申し上げませんでしたけれども、媒体課税と支出課税と両方について検討を進めておる、個別税の問題としては進めておるということでございます。
#120
○勝又武一君 もう時間がなくなってしまいましたけれども、いま一番おしまいのところですよ。広告業者、これにかけるのでしょう、一般消費税になると広告業者に。そうすると、それは一般消費税でかけるくらいならばいまなぜできないのかという議論をしたわけです。
#121
○政府委員(高橋元君) 広告のメディア、たとえば新聞でございますとかテレビでございますとか広告代理店でございますとか、いろいろな形のサービスの提供があると思うのですが、そういうものについて広告を販売しておるという理由で個別消費税をかけるかどうかという問題と、一般消費税の範囲の中に広告サービスを提供する人に対する課税が入るかという問題とは、これはまた少し次元を異にしておるのではないかというふうに私は思いますが、いずれにしても、広告業について課税せられるという面では同じでございます。それは先ほど来御指摘のとおりです。
 しかし、広告媒体だけを取り出して個別消費税をかけるかどうかという問題と、企業の支出する広告費に法人税をかけていくかという問題とは、これはまた別の問題でありながら実は関連した広告課税の問題でございますから、両方について税制調査会で御議論をいただき、それから私どもも現在検討を進めておるということを申し上げておったわけであります。
#122
○勝又武一君 最後に、時間が参りましたからこれで終わりますが、事ほどさように、一般消費税にはこの問題一つとらえても私は非常に問題点が多い、そう思いますので、一般消費税の導入については全く反対せざるを得ないということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。
#123
○糸山英太郎君 私の時間は九十分ですから、どうか答弁を簡単に、そしてわかりやすく答えていただきたいと思います。
 まず大蔵大臣に伺います。
 午前中にも出ましたけれども、納税は憲法にも明記されているとおり「国民の義務」である。しかしその義務は公平であることが大原則だ、不公平であってはならない、これは大蔵大臣、ぼくはそう思いますが、いかがですか。
#124
○国務大臣(金子一平君) 糸山さんのおっしゃるとおり、税制並びに税の執行の基本原則は、公平の原則を守ること、これが一番大事と考えております。
#125
○糸山英太郎君 租税特別措置法改正案の趣旨説明の中にも、確かに「税負担の公平確保の見地から」というところがある。この法律は、不公平を承知しながら特別の措置として不公平を特別に認めていた法律だと思います。だから、社会的環境に応じてちょくちょく改正するのが筋なのに、中でも特に医師優遇税制に関しては二十五年間もノータッチであったという、蔵相はこのことについてどういう反省をされていますか。
#126
○国務大臣(金子一平君) 特別措置は、これは先ほども御答弁申し上げておりますように、国民経済的な要求と公平の要求とをどの点で調和するかということがやはり一番むつかしい点だと思いますけれども、一定の政策目的を達成しようということでいろいろな項目が取り上げられてきたわけでございますが、それを毎年見直さなければいかぬことは仰せのとおりでございまして、私どももそのつもりでやってきたわけですが、医師税制について期限をつけなかったのはどういう理由かということですね。
#127
○糸山英太郎君 いや、二十五年ほっておいたのはどういう理由ですか。
#128
○国務大臣(金子一平君) 二十五年間――これはもう古い話でございますけども、各党間の話し合いでこういう制度かできたということで二十五年間そのまま手つかずであったわけでございますが、私ども数年来からこの問題を取り上げ、特に政府の税調でも熱心に改正についての意見を出していただき、やはり一番大きなのは、世間の世論がこういう制度をそのままで残すことについて許さなくなったといういろんな背景でやっと機運が盛り上がってきて、今度御提案を申し上げるようなことになったわけでございます。
#129
○糸山英太郎君 改正案の中身はどれをとっても重要法案だと私は思います。医師優遇税制の是正も有価証券に関する是正案も、あるいは企業関係の改正案あるいは土地、住宅対策も、福祉、中小企業関係も、この説明書を読みますと、どれもこれももう大変な重要法案なんです。これをなぜ一遍にこの場へ持ち込んだんですか。これは一つずつ慎重にみんなで考えながら進めていく問題じゃないのか。この重要法案全部ひっくるめて租税特別措置法、これは大変なむずかしい問題だと思いますけれど、いかがですか。
#130
○国務大臣(金子一平君) まあいまお取り上げになりましたような問題は、従来から政府税調でも党の税調でもいろいろ検討をしてきた問題でございまして、まあやっと機が熟して、特に一般消費税の導入というような問題を再来年度に控えておるような状況でございますので、この際ある程度のめどをつけたいということで御提案申し上げたような次第でございます。
#131
○糸山英太郎君 いま大臣おっしゃいました一般消費税の導入のために、もしこれを一般消費税を導入するために不公正を直そう、是正をしようというならば、私は、いまのこの租税特別措置法の改正案に関しては非常に手ぬるいんじゃないかと、むしろ中途半端な立場じゃないかということを私思いますが、いかがですか。
#132
○国務大臣(金子一平君) これは行政の実際として、考え方はもちろんお話しのようにもうきれいに整理をしろよという考え方もございます。特別措置は全廃すべきだという御議論もたびたび伺っておるのでございまするけれども、財政当局として行政の実際に責任を持つ立場におる者といたしましては、やはり場合によっては激変緩和の措置を講じながら、漸次制度を見直していくということが必要である場合もあるわけでございまして、そういうような立場で今回の改正案としては御提案申し上げましたようなのが一番適当じゃなかろうかと、こういうことでお願いをしておる次第でございます。
#133
○糸山英太郎君 政府税調の答申による改正案と比べて政府案が後退していることば間違いのない事実だ。予算委員会で私はその点をただしました。税収の面では幾らマイナスになるのかと。要するに答申どおりやればどれだけになるのか、あるいは今度の改正では、特に医師優遇税制に関しては数字で出ておりますか。
#134
○政府委員(伊豫田敏雄君) お答えいたします。
 租税特別措置につきましては、今度の社会保険診療報酬課税につきまして、本来改正をしなければ二千五百七十億になりますところが、税収増千億ございまして千五百七十億と、こういう改正と相なっております。
#135
○糸山英太郎君 医師優遇税制……。
#136
○政府委員(伊豫田敏雄君) 医師優遇税制でございます。
#137
○糸山英太郎君 一〇〇%の是正まで、大蔵大臣は今後どんなプログラムが必要だと考えるか。いまの状態では一〇〇%まで是正できてないということも大蔵大臣もお考えだと思いますか、今後どういうプログラムが必要だと思うか。なぜ初めから時限立法としなかったのか。十五日の予算委員会の総括質疑の中で、最後に総理は、先ほども申しましたけれども、三年で廃止の方向と言ったり、あるいはそのうち当然見直すと表明したり、いろいろと答弁がこの場でも繰り返されておりますが、それならば最初からなぜ時限立法をやらなかったのか。その点を伺いたいと思います。
#138
○国務大臣(金子一平君) それは診療報酬全体、健康保険の問題は今度提案しておりますけれども、診療報酬自体の問題、それから医療関係を取り巻く環境整備の問題等いろいろあるわけでございまして、そういう問題は後回しにして、まあとにかく課税の公正の面だけである程度切り込もうということでこういうことをやっておるわけでございますので、私どもといたしましては、決して毎年毎年の社会経済情勢の変化に応じての見直しをやらないわけじゃございません。やってまいるつもりでおりますけれども、五二%の法定概算経費率というものは今日の実態に合っているものと考えておりますし、それから特殊控除と申しますか、特別控除と申しますか、先ほども主税局長から申しておりますように、地域の診療に日夜を問わず保険医が従事しておられる、そういった特殊性をある程度加味した特別控除制を設けないと、やはり一遍にそういったものをなくしたんじゃ大変なショックになるわけでございますから、そこら辺を見ながら、今後情勢が変わればまた見直しますということで、当分の間というようなことでお願いをしておる次第でございます。
#139
○糸山英太郎君 厚生省お見えになっておりますか、あるいは大蔵省。
 たしか個人の開業医に高額所得者か多いのは、開設者である医師自身の給与と医療機関の収入とを分けることができないため、その合計額を個人所得と見なされるからだ。しかも累進課税だから納税後の残金は少なく、医療機関運営費も高いから医師自身の手取りは少ない。サラリーマンの源泉税を引かれた個人の手取り分とは性格か違う。この点を全く無視した改正案には反対だという声が医師の間に強いことは私も聞いておりますが、大蔵、厚生両当局の見解を伺います。
#140
○政府委員(高橋元君) お医者さんが法人形態でお仕事ができるか、個人形態でなさなければならないのか、これを決めてまいりますのは医療法関係の法規でございます。
 現在医療法では、御案内のとおりかと思いますけれども、お医者さんが三人いませんと医療法人にはなれません。そういう制約がありますので、お医者さんか二人以下の診療所については原則として皆個人形態と。中には、みなし法人というのを糸山委員も御存じだと思いますけれども、青色申告で個人形態のまま、いわば一種の法人課税を受けられるみなし法人という制度がございますので、それを御利用になっている方が二十何人かに一人ぐらいの割合でおられます。ですから、個人形態の場合に可能なのは、租税特別措置法によるみなし法人と、課税を受けるのと、所得税を払っていただくのと二つしかないわけでございます。
 いまお示しのように、それではなかなか医療の留保ができないと。また、いたずらに高額所得を得ておるという世の中の批判が強いを。こういう御不満があるのも事実だと思いますけれども、しからば三人以上のお医者さんを持って医療法人になれる方はまた別でございますけれども、二人以下のお医者さんしかおられない診療所が法人になれるかどうかという問題につきましては、今後の医療行政の領域の問題として厚生省に検討をいただくべき事柄であろうと思います。その点で、もし医療法上そういうお医者さんの数の少ない医療法人というのができますれば、それは私どもの方は法人税の課税ということに相なろうと思います。
#141
○説明員(森幸男君) 厚生省でございますが、この医師の所得の実態につきましては、私ども特別の調査資料持っているわけではございませんので、正確な判断はしかねるわけでございますが、いま大蔵省の方から御説明がございましたようなことで、一般の開業医につきましては、現行の医療法の上で法人化の道が制約されておるというようなこともございまして、そういう点で他の業種と違って特有な条件にあるというようなことは言えるんではないかというふうに思います。
#142
○糸山英太郎君 納税義務が公平が大原則である以上、公平の維持が困難で中途半端に終わることでは全く無意味である。その点、有価証券譲渡益課税の強化は矛盾点がきわめて多い。そのねらいは、つまり買い占めの防止にあると思う。どんな細目をつくる考えなのか、具体的な課税方法はどうなっているのか、これらの点に関して一般投資家は素朴な不安感を持っている。大蔵当局はこれまでの細目や運用を基準にすると言うかもしれないが、それでは当局側の一方的な考えで、不親切ではないでしょうか。国会審議の前でも、国会審議のためにデータを出しておいて、そしてそれをみんなで論議するのじゃないんでしょうか。大臣、いかがですか。
#143
○政府委員(高橋元君) 今回、租税特別措置の一部改正をもって御審議をお願いいたしております有価証券の譲渡益課税の段階的な強化でございますが、これにつきましては相当部分が政令に譲られておりますので、政令案を現在検討いたしておりますが、大臣のお答えの後でもし必要がありますれば政令案の、私どもの考え方を申し述べさせていただきたいと思います。
#144
○国務大臣(金子一平君) 糸山さんからお話しの有価証券の譲渡益の問題ですけれども、これまた前々から各方面から議論のあったところでございまして、まあ利子・配当と同様に有価証券譲渡益についても全額課税しろというような議論がございますが、それはもうとうていすぐできることではございません。特に資料の総合なんという点から申しますと、十分いかなかった場合にかえって逆に不公平な問題ができます。それで、相当金額の大きいものについてだけひとつ手をつけて、あとは段階的に考えていったらどうかということで今回の御提案を申し上げましたような次第でございまして、できるだけ私どもといたしましては執行面において摩擦のないようにやっていきたいと考えておる次第でございます。
 この、どういうような中身にし、具体的な執行の方法にし、また取扱いにするかという点につきましては、主税局長からお答え申し上げます。
#145
○糸山英太郎君 具体的に聞きますからいいですが、いま私の言っているのは、一つずつ聞く前に、やはりもう少し具体的に一般投資家にわかるようにしていかなければ、これはもうこう変わってしまったんだと、四月一日から実施だなんということになるとかなりいろんな不都合な点が出てくるんじゃないか。そして恐らく準備ができてないんじゃないかと私は思うんですが、それはいいです。国税庁にも伺いますし、あるいは局長もお見えになっておりますから、一つずつ簡単に聞いていきましょう。
 株式の売買益をだれが確認するのか。
#146
○政府委員(藤仲貞一君) 答え申し上げます。
 申告納税制度のもとでございますので、まず当然に、納税者の自主的な適正申告というものを私どもは期待しておるところでございます。しかしながら、適正な申告が行われないという場合もあり得ますので、そのような場合に国税当局といたしましては、有価証券の譲渡益の把握という面で収集しております各種の資料、情報、あるいは当該納税者の提出した申告書等を総合的に分析いたしました上で必要な調査を行う、こういうことにいたしております。
#147
○糸山英太郎君 納税者の自主的申告なんてずいぶん甘いこと言っていますけれども、恐らくそんな点が果たして守られるのか守られないのか。また、有価証券や株式売買する人たちは果たしてそれがわかっているのかわかっていないのか。まだいまだにPRが行き届いていませんから、ぼくは四月一日からではわからないのではないかと思いますが……。
 じゃ次にいきましょう。
 投資家の中に二十年も三十年も前に株式を買った人がいます。古いことでもって記録は恐らくないと思いますが、その点はどのように算定するのでしょうか。
#148
○政府委員(藤仲貞一君) 確かに、有価証券の譲渡益課税の場合に取得価額をどうして把握するかということが一つの問題であることは先生御指摘のとおりでございます。現在、個人で株式の取引をしている者の多数は譲渡した有価証券の評価額を明らかにする書類を保存していないと思われます。そういうことから、確かにこの譲渡益課税に当たって取得時期が古いということが一つの問題になりますが、私どもといたしましては、納税者の主張する取得価額に問題があると認められるような場合には、その取引のあった時期の相場を調査する、こういう方法によりまして取得価額を確認することにいたしております。
 なお、非常に古い時点で取得された有価証券、具体的に申し上げますれば昭和二十七年十二月三十一日以前に取得した有価証券につきましては、御案内かと思いますが、所得税法第六十一条第四項の規定に基づきまして、昭和二十八年一月一日現在の価額に置きかえられる、こういうことに相なっております。
#149
○糸山英太郎君 それだって甘いじゃないですか。二十八年一月一日、その前のあれ、調査をするなんて言っていますが、恐らくぼくは古い資料を持っている人はいないと思うし、あるいはまた、おたくの方でもなかなか調査しにくいではないか。もちろん、これは次へどんどん進んでいきますから、人手の問題も入っていくんですから、あなた方それはできるわけなんですよ。できるわけないことをできそうなことを言うからおれは怒っているんだ。あんまりでたらめ言うな。
 聞きます。無償交付や株式配当でもらった株式の原価計算はどうするのでしょうか。
#150
○政府委員(藤仲貞一君) 増資により取得した株式の取得価額や株式配当により取得した株式の取得価額につきましては、所得税法の施行令第百十一条及び第百十二条にその計算方法か規定されております。すなわち、旧株の従前の取得価額と新株の払い込み金額または額面金額を加重平均いたしまして、旧株、新株を通じた取得価額とすることとなっております。
#151
○糸山英太郎君 一株八十円で買った株式を百円で三十万株売った場合、利益六百万円に対して他の所得と合わせて課税されますが、雑所得にするのか譲渡所得にするのか。雑所得にすればキャピタルロスを控除できないが、譲渡所得ならばキャピタルロスを控除して計算ができる。譲渡所得の優遇措置としてたしか五十万円の特別控除も可能だから、税金にはかなりの差が出てくる。この点です。この点を伺いたいんですが、本人の意思に任せて雑所得にするのか、あるいはそれとも行政府、税務署の方でもって指導してあげるのか、その点を伺います。
#152
○政府委員(藤仲貞一君) 御案内のとおり、現行所得税法におきましては有価証券の譲渡益が課税される場合といたしまして四つの類型がございます。これは先生御承知のとおりかと思いますが、それぞれの類型に応じまして所得の種類が決まっておりまして、第一に継続的取引から生ずる所得、これは雑所得または事業所得とされております。それから第二に買い集めによる所得、これも同様に雑所得または事業所得とされております。それから第三に事業等の譲渡に類似する有価証券の譲渡による所得、これは譲渡所得とされております。それから四番目にゴルフ場等の施設利用権の譲渡に類似する有価証券の譲渡による所得、これも譲渡所得とされております。以上のような分類は所得税法の解釈から明らかにされておるところでございますが、私どもはこれを所得税法基本通達において定めておるところでございます。
 そこで、お尋ねの今回の措置法改正案により追加される二種類の形態のものについてはどうか、こういう点でございますが、私どもといたしましては、現段階では譲渡所得になる場合と雑所得になる場合とがあろうかと考えておりますが、いずれにいたしましても、そのどちらに該当するかにつきましては、現在の法令の考え方に即して個々に判断していくことになろうかと思います。
 で、御指摘のように、有価証券の譲渡により損失が生じた場合、それが譲渡所得に分類されると損益通算の対象となるのに対しまして、雑所得に分類されると損益通算の対象となりません。また、譲渡所得に分類されましても損益通算の結果、通算し切れないため純損失の生ずることがありまして、その純損失についても、青色申告者でない限り繰越控除が認められないということは御指摘のとおりでございます。しかしながら、これらは現行法の場合も同様でございまして、いずれも所得税法の仕組みの問題であると私どもは考えております。
#153
○糸山英太郎君 相当金額が違いますよね、これ、申告次第で、やり方では。ですから、その点もこれは十分税理士やあるいは公認会計士、その他税務署の行政指導もたくさん必要だと思われてきますが、もう一点だけ伺いましょう。
 空売りをして利益を上げたときはどうなるでしょうか。
#154
○政府委員(藤仲貞一君) 株式の売買が信用取引の方法によって行われている場合の所得はどうかと、こういうお尋ねかと思いますが、そういう場合には、当該信用取引の決済の日の属する年分の所得となるものでございます。
#155
○糸山英太郎君 改正の本当のねらいは、これは買い占めにあるんでしょう。買い占めによって得る利益に課税をしようというのが考えだとぼくは思うんですが、二十万株ぐらいで買い占めに果たしてなるんでしょうか。恐らくいまのこの時代では二十万株や三十万株というのはほとんどの投資家がぼくは投資するんでないかと、それを二十万株で買い占めにしてしまい、指定してしまったと、何を理由で二十万株で線引きをしてしまったのか。私は二十万株では買い占めの対象に当たらないと思いますが、その点大蔵大臣いかがですか。
#156
○政府委員(高橋元君) いまの委員のお話でございますが、買い集めによる所得として所得税法の施行令の二十六条で定めております場合と、今回措置法の改正の中で二十万株以上の年間の売却があった場合に課税をさしていただくということにしております場合とは、課税の趣旨か違うわけでございます。結局、有価証券の譲渡に基づきます所得というものを他の所得と総合して課税をするという考え方がまあありまして、そういう考え方は、所得税法の総合課税の原則からいたしますと、しかるべきものというふうには考えられるわけでございます。
 しかしながら、たとえば仮名の取引がありますとか、損ばかり出てきて益が出てまいりませんとか、有価証券の譲渡益を把握することというものは、市場の規模、それからそこにおける取引の回数その他から見まして相当困難なことだというふうに思いますので、段階的に有価証券の譲渡益について課税を強化していくという考え方の税制調査会からの答申がございますし、私どももさように考えて、いろいろ考えまして、今回一銘柄について年間二十万株、株を売った場合、売った場合の譲渡益について他の所得と一緒に課税をさしていただくということにしたわけでございまして、この二十万株と申しますのは、たとえば所得税法の施行令の二十六条で言っております五十回、二十万株のこれは売買でございますから、やや違いますけれども、こういうところも考えながら、大口の取引として、この辺のところが執行の面も考えますれば、段階的課税強化の一つの段取りであろうというふうに考えておるわけでございます。
#157
○糸山英太郎君 ずいぶんいまの答弁でも不満がありますけど、時間の関係上、もう少し前に行きましょう。
 年間二十万株以上の売却益に課税をするならば、投資家は恐らく二十万株以上にならないように努力をするでしょう。他人名義を使ったり、あるいは複数の証券会社に注文をしたり、十九万九千株ずつグループ買いをしたり、あらゆる抜け道があると思います。それを、その抜け道があるということはわかっていながら――で、さっき私かあなたに怒ったことは、おたくの長官がたしか言ったことがある、答弁がある、予算委員会である。人手をふやさないでやる――できっこないじゃないですか。まさか証券会社から全部報告をさせるんですか、証券会社には何とか義務なんといって報告できない状態もあるじゃないですか。そうでしょう。人手をふやさないでやれるわけがないんですよ、こんな重要法案を。それをどうして人手をふやさないでやれるなんということを言い切れるんですか。さっきあなたにぼくが怒ったのは、ああいうことがみんなでたらめなんだと、絶対国税庁、そんな簡単にできないんだということを私は伺ってるんですけれども、遠慮のない意見を言ってください。はっきり言った方がいいんですよ。
#158
○政府委員(藤仲貞一君) 一般に有価証券の譲渡益を把握する場合に、取引の帰属、それから取得価額、そういう点に非常に困難な事情があるということは、もう糸山先生御指摘のとおりでございます。しかしながら、今回の改正案は、ただいま主税局の方から、お話がございましたように、非常に限定された取引形態ということでございますから、こういうものでございますならば、私ども各種の資料、情報というものを駆使いたしまして対応できるのではなかろうかと、かように考えておるわけでございます。
#159
○糸山英太郎君 まあいいや、そういうことで。人手、後でふやしてくれと言ったって、おれはふやさないぞ。おかしいんだよ、国税局、その点――国税局、別にやっていけよ、別にやる、大蔵省と別にやんなさいよ。
 株式の売買ですから査定はさぞかしむずかしい。この有価証券譲渡益課税の強化によって増収総額は大体幾らを見込んでいるんですか。いま人手をふやさないと言ったけれども、じゃ、それ、ふやすというならば、増収総額とぼくはこれは比べてみたいんですが、これは非常にむずかしい問題ですが、平年次と考えてみましょう、それでやってみてください。
#160
○政府委員(高橋元君) 今回の制度改正によります増収額というものは、これは私どもとしても技術的になかなか税収の見積もりの中に織り込むことがむずかしいわけでございます。
 従前から、有価証券の譲渡益について課税を段階的に強化した場合もあるわけでございますが、そういう場合につきましても、制度改正によってどれだけの増収になるかということを、実は国会にも申し上げることができませんというお答えをいたしております。たとえば、課税強化によって譲渡件数がどれだけ出てまいるか、譲渡件数が出てまいったと推定できたとしても、譲渡益が幾らであるか、譲渡損が幾らであるか、こういうことを、揺れ動いていると言ったらおかしいんでございますが、非常に流動きわまりない証券市場の一年間を予測しまして税収として推計をいたすということは、技術的な限界を超えておるということで御理解をいただきたいというふうに思います。
#161
○糸山英太郎君 非常にむずかしいんですよね。これを査定してどれだけ税収が上がるかということ、非常にむずかしいことをいま答弁いただいたんで、この点はもっともっと私はほかの委員会で、あるいはこの大蔵委員会でも追及していきますが、次へ進みます。
 私は、TOBを認めていながら買い占め防止というのはおかしい、資本の自由、自由経済の破綻につながるんじゃないかと、その点は大蔵大臣、いかがですか。
#162
○国務大臣(金子一平君) TOBとは全然性格が違いますので、これは一方を認めながら一方を課税するということは、必ずしも問題にならないと考えております。
#163
○政府委員(高橋元君) 補足して申し上げさしていただきますが、ただいま大臣からお話がありましたようなことでございますが、有価証券の買い集めによる所得というようなものは、現行法でも買い集めた株主がその所有者である地位を利用して発行法人にはめ込むと、そういう場合に課税されております。
 今回お願いいたしております租税特別措置法の改正案で、証券取引所が特別報告銘柄に指定した株式を指定した期間中に二十万株以上売った場合の売買した場合の所得、これを課税対象にすることでお願いをいたしておりますが、株式の公開買い付けというものにつきましては、証券局長から御説明もあろうと思いますが、会社の支配権の取得等、買い付けの目的を明らかにして株式の買い取り希望者が買い付けの期間、数量、価額等を公開提示して、市場外で不特定多数の株主から株式を買い付ける制度でございまして、これを、経営権取得というような趣旨でございますから、相手の会社に、発行会社にはめ込むということは、したがってそれによって譲渡所得が発生する、または事業所得、雑所得か発生するということにはならないであろうと思います。今回お願いいたしております買い集めの所得に対する課税の強化とTOBの制度というものは同列に考えることはできないものではないかというふうに理解をいたしておる次第であります。
#164
○糸山英太郎君 じゃ筋論でいきましょう。二十万株以上に課税というのもぼくはこれはおかしいと思う。一株からでもこれは課税の対象になるんじゃないでしょうか。
 たとえば宝くじを買ったとしましょう。百枚買って当たった場合は課税である、一枚買って当たっても課税対象にならない。株式の売買はリスクを伴う大変なむずかしい問題です。ですから、よけいに公平に取り扱うべきじゃないんでしょうか。今回は二十万株で線引きをしましたか、それならばいっそのこと今後は千株でも一万株でもいいです、線引きを今後変えていくお考えはないのでしょうか。さっき宝くじのことをよく考えてみて、百枚買ったら課税だ、そうじゃなくてこれは宝くじ買った人全部に課税するというならば筋としてわかりますが、今回これがどうして二十万株で線引きされたのか。さっき非常に苦しい苦しい答弁していました。五十回、二十万株以上買った場合がどうのこうのなんて、そんなのよくわかっている。それをひっかけてこれも二十万株で線引きをしたんだとすると、これはおかしい。やっぱし一枚買って当たった人も課税対象になるんじゃないでしょうか。
#165
○政府委員(高橋元君) 総合課税の対象として有価証券の譲渡益をとらえる。したがって、現在の所得税法の九条で有価証券の譲渡による所得を非課税としておるという規定を改めていく。それが筋道としてはそうだと思います。
 ただ、この点につきましては昭和二十八年の現在の所得税法九条の非課税規定ができまして以来、長年にわたって検討を進めてきたところでございまして、一昨年でございますが、税制調査会の中期答申の際にも十分御審議をいただきました。
 それによりますと、有価証券取引を把握する体制というものが十分整備されないままで税法だけが先走ってしまいますと、かえって新しい不公平が生ずるのではないか。たとえば、譲渡の中で損の譲渡だけが申告されてきた場合に、やはり把握体制が十分整備されておりませんとそこで課税の把握が十分でない。したがって不公平が新しく生ずるという問題がございます。
 仰せのように、一株でも百株でも千株でも譲渡益があればそもそも課税すべきであるというのは所得税法の基本精神でございまして、私はそれは正しいと思います。しかしそれを実現していくためには、執行面で所得が正確に捕捉できると、そういう体制でなければ、かえって税制上の公平が執行面の不公平の起因になるということも遺憾ながら事実でございますから、段階的に課税の強化を図っていくという考え方でいまは臨んでおる次第でございます。
#166
○糸山英太郎君 大蔵大臣、いまの考えどうですか。
#167
○国務大臣(金子一平君) 先ほども申し上げましたように、世間には株式の譲渡は一株でも十株でも課税しろという議論もありますけれども、それはとても、やはり最少徴税費の原則から言ってもとてもそれはできることではございませんし、やはりある程度何というか、目について、ここまでは課税されてもやむを得ないんだなという社会的な常識の線に沿っての課税から始めることが一番大事なことではなかろうかと、こんなふうに考えている次第でございます。
#168
○糸山英太郎君 どうなんですか、もう少し前向きにこれから検討していくという答弁いただけるんですか。まあ強化していくということはいただきましたけど、どうしても私としてはこれ納得できないんです。
#169
○国務大臣(金子一平君) これはもうたびたび繰り返して申し上げるところでございますが、今後この問題はやはり私どもとしてはあくまで検討課題として検討を進めなきゃいかぬ問題と考えておりますが、とりあえずの措置として今回この改正に踏み切ったわけでございまして、いわば段階的な課税の最初の段階とお考えいただきまして結構でございます。
#170
○糸山英太郎君 そうすると、有価証券のことに関してはこれからますます税金がうるさくなっていくという時代を迎えるのですから、それはそれで答弁として聞いておきます。
 株式の売却益のチェックを証券会社に行わせて大蔵省が報告を受けるようなことを考えていることはないと思いますが、もしそんなことがあったら私はナンセンスだと思うんです。証券会社のモラルは最低と言ってもいいくらいだと、私は経験もしております。それよりも、公平の大原則を貫くためには当局側の監査と指導体制が万全でなくてはならない。大蔵大臣は、いまの証券行政が行政指導の面からも関係法規の上からも公平だと考えていらっしゃるか、一般投資家の保護に手抜かりはないか、自信を持って言い切れるでしょうか。証券会社を非難する投資家の声を大蔵大臣は聞いたことがあるのでしょうか。また、証券局長はまじめに報告をしているのでしょうか、その点伺います。
#171
○国務大臣(金子一平君) 証券行政の一番大事なポイントは、一般投資家の保護に欠けることがないかどうかということでございますので、証券会社の実際の営業につきましては、私ども極力目を光らしておる次第でございますが、いろんな面においての大衆との間にトラブルがまま起こりやすい。ひいてはそれが訴訟問題にもなったり、いろんなことが出ているということは重々承知いたしております。これはひとつ私どもといたしましても、監督官庁としてできるだけひとつ今後も証券会社の行政指導に努めてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#172
○政府委員(渡辺豊樹君) 証券行政の基本的な姿勢というのは、いま大蔵大臣が答弁されたとおりでございます。私ども証券取引法に基づきまして証券行政を執行しているわけでございますが、証券取引法の目的は投資者保護の一言に尽きるわけでございます。したがいまして、法令上証券会社に対する監督規定を設け、かつ、省令にも手当てをし、かつ、実際の指導に当たっては通達も出しまして証券会社を指導しているところでございますし、かつまた、先生の御存じのように、証券界には証券取引法に基づく証券業協会がございまして、これはいわば証券界の自主規制機関でございます。この証券界の自主規制機関である証券業協会におきましても公正慣習規則等ルールをつくりまして、証券会社が投資者本位の営業姿勢に徹するように指導しているところでございます。
 しかしながら、先生御存じのように、証券取引には証券会社と投資家との間に取引につきましてデリケートな面がございまして、間々証券会社と投資者との間にトラブルが生ずる例があることは私どもよく承知しております。これは実際にそういうケースが出た場合、あるいは検査等において把握しました場合には、その実態に応じて対処しているわけでございますし、また、事案いかんによっては大臣にも御報告しているところでございます。
#173
○糸山英太郎君 トラブルが多いということはいま証券局長も大臣も答弁されました。私もたくさんの情報を持っております。それにしても一般投資家からの非難の声が絶えない。
 私のところへもたくさん手紙をいただき、きょうここへ持ってきましたけれども、その中で証券会社に上手に利用されたとか、あるいは自分の手前勝手なことばかり言ってくる投書もあります。しかし、これらの非難の声が絶えないこと自体が恐らく証券行政に何らかの欠点が、欠陥があるという考えも持つわけですが、証券局長、何か欠陥があるのじゃないでしょうか。
#174
○政府委員(渡辺豊樹君) 私、先ほど証券取引に関連いたしまして証券会社と投資家との間にトラブルになるケースがあると申し上げたわけでございますが、しかし、毎日多数の投資家が証券会社との間で取引が行われているわけでございまして、そのすべてについてトラブルがあるというわけではございません。私どもが完全にすべての実態を把握しているとはあるいは言えないかもしれませんけれども、トラブルとなっている例というのはそういう取引の間の一部であろうと、見方によりましてはほんの一部であろうかと思います。しかし先生御指摘のように、ほんの一部であろうともそういう事態が発生することは、やはり投資者保護の観点からは決して望ましくないわけでございまして、そういうことが全くないようにすることが理想でございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、昭和四十年に証券取引法を改正いたしまして、証券会社を登録制から免許制に移行いたしました。またその際には、証券会社に対する監督規定も強化いたしましたし、先ほども申し上げましたように、投資者本位の営業姿勢に徹するように指導するとともに、証券会社におきましても社内の体制において営業のあり方、あるいは顧客に対する体制、社内の管理体制について社内においても努力をするようにいま指導しているところでございます。
 しかしながら、先生御指摘のようなトラブルのケースと申しますのは投資者と証券会社との間で見解が分かれるというケースもございまして、私どもとしても判断しにくいこともございますけれども、そういうのが間々出てくるということはきわめて遺憾なことでございます。私ども、法律等に基づきまして、こういう点については極力そういう事態が生じないように証券行政の面でも十分考えていきたいと、また証券会社を指導してまいりたいというふうに考えております。
#175
○糸山英太郎君 証券局長、伺います。
 トラブルの処理機関としてたしか日本証券業協会の苦情処理センターというのがあると伺っておりますが、同センターと大蔵省との連携はどうなっていらっしゃるのか。また、指導や報告の現状はどうなっているのか伺います。
#176
○政府委員(渡辺豊樹君) 先生がいま御指摘になりました苦情相談室も、証券業を登録制から免許制に移行いたしまして、証券会社の監督を強化していくときに設けられた証券業協会の自主的な制度でございます。
 この証券業協会の苦情相談室に報告がありました場合には、私どもの方にその件数等についての報告はございます。しかし、苦情相談室に持ち込まれるケースばかりではなぐ、私ども大蔵省の本省、さらには財務局が地方の証券会社を監督しておりますが、その財務局あるいは私どもの方に直接そういう苦情の申し立てがあることがございます。その場合には、私どもは投資家並びに証券会社から十分事情を聴取して、行政当局として見解を述べるときには証券会社に対しても見解を述べているところでございます。
 苦情相談の報告の件数でございますが、昨年の九月までの一年間で、先生御指摘の証券業協会の苦情相談室に持ち込まれた件数は一年間で百四十三件でございます。
#177
○糸山英太郎君 時間が余りございませんから、投資信託、投信について少し伺います。
 現在、投資信託会社は何社ありますか。
 証券会社と、資本とつまり人のつながりはどうなっているのか。現在、投信の会社の役員は何人いて、そのうち証券会社に籍を置いたことのある人間は何人なのか。また、部課長以上で投信の生え抜きは何人いるのか。
#178
○政府委員(渡辺豊樹君) 証券投資信託の委託会社、つまり証券投資信託法に基づいて信託財産の運用をする委託会社の数は現在九社でございます。
 この九社は、発足の経緯から申しますと、いずれも証券会社の兼営という形で投資信託業務を開始したわけでございます。昭和三十四年にいわゆる投信分離と申しておりますけれども、証券会社から委託会社が独立いたしました。独立いたしました当初は、証券会社から分かれたわけでございますから証券会社が全株を保有しておりましたが、独禁法の関係もございますので、一年経過したときには持ち株は一〇%以内におさめるということになっております。現在は会社によって若干の差はございますが、平均いたしますとすべて一〇%未満の証券会社の持ち株割合になっております。
#179
○糸山英太郎君 持ち株じゃなくて人間、人事だ、人事。
#180
○政府委員(渡辺豊樹君) 委託会社の構成でございますが、先ほど申しましたように、委託会社が発足いたしましたときは証券会社から分かれたわけでございますから、その役員及び職員の構成は全部その証券会社から人が行ったわけでございます。分離いたしました当初におきましては、その際に委託会社と証券会社の役員の兼務関係でございますが、それは二分の一以内におさめるということでスタートいたしました。かつまた、昭和四十一年に、これは四十年不況の後でございますが、さらに投資信託協会の自主ルールにおきまして委託会社の役員のうち証券会社で経験がある者は三分の一以内におさめるという自主ルールを設けたわけでございますが、ただし、この自主ルールでは証券会社から委託会社へ来て三年たった者はこの三分の一以内という中には計算しないというような取り決めでございました。
 それは、先ほど申しましたように、委託会社は証券会社から分かれたわけでございますから、どうしても人的構成から言いまして委託会社の運営を行うためには証券会社の人に当初は頼らざるを得ない。しかし、これが十年たち、あるいはそれ以上たつうちには委託会社から人が育ってくるであろうというような考え方であったわけでございますけれども、しかし残念ながら、なかなか委託会社に新たに人を採用するということもむずかしいというのが現状でございまして、どうしても委託会社の事務をやっていく場合には証券会社からの人的な面での人を求めるということが行われざるを得ないというのが、残念ながらいまの現状でございます。
 したがいまして、結論を申しますと、職員の場合には委託会社が独自に採用した者もございますけれども、ただし採用が非常にむずかしいので証券会社から出向して、そのかわり行ったきりということで来ている職員の数も間々大部分というふうにお考えいただきたいと思います。
 それから役員の方は、いま申し上げましたように三分の一以内ということになっておりますが、ただし、三年経過すればそれは証券会社とは関係がないというふうないまルールになっております。
#181
○糸山英太郎君 証券局長、苦しいでしょう、それだけ答弁するとね。大蔵大臣、聞いていてどう思いますか。これ大変な問題か次から次へ出てくるんですよ。あれだけ、もう一つの問題について証券局長がすごく苦しい答弁しているんですよね。
 じゃ先へいきますよ、いいですよ、まだもっともっと詰めたいんだから。
 じゃ九社、わかりました。三分の一、三年間たった者は認めると。ずいぶんおかしな法律を、だれがつくったのか知らないけれども、ずいぶん矛盾していると思いますが、まだまだいいですよ、そこにひっかかるんじゃないんですから。要するに、そういうことによってどういうマイナス面が出てくるかということを私聞くんですから。
 販売している投信の銘柄数は幾つで、そのうち基準価格が発行価格を下回っているのは何銘柄ありますか。
#182
○政府委員(渡辺豊樹君) 投資信託の委託会社が運用しております信託財産は委託会社ごとに数か多いわけでございますが、これはファンドというふうに呼んでおりますが、そのファンド数は株式投資信託では現在五百五十八ございます。この五百五十八のうち、先生御存じのように株式投資信託には単位型と追加型とがございまして、単位型が四百八十五、追加型が七十三ということでございます。先生の御指摘のは額面割れをしているのがどれだけあるかということでございますが、追加型の場合には、御存じのように毎日そのときそのときの時価で販売するというものでございますから、投資家にとってはその日に買った価格か取得価額ということになるわけでございまして、追加型の場合にはそのような計算をすることはなかなかむずかしいわけでございまして、いわゆる元本割れが問題になります場合には単位型、これは当初売り出しますときに一万円でございますから、それについて基準価格が一万円を割っているかどうかということであろうかと思います。
 そういう点で見てまいりますと、単位型四百八十五のファンドのうち、現在一万円を割っておりますのは二十三でございます。
#183
○糸山英太郎君 昨年ダウが一年間で三〇%上がっているんですよ。それなのに運用のプロであるはずの投信が基準価格が下回っているというのは、これはおかしいじゃないですか。ちょっとそこまで答弁もらいましょう。
#184
○政府委員(渡辺豊樹君) 全体で四百余りある中の二十三でございますが、この二十三のファンドについてながめますと、信託財産を当初設定いたしますときの株式市場がどういう状況であったか、そのときは株価がかなり上昇しているときであったか、あるいは株価が低迷しているときであったかということによって後々の基準価額の動きというものも違ってくるわけでございます。この二十三のファンドというのは設定時期か大体五十年、五十一年のころのが多いわけでございまして、当時は株式市況との関係で現在一万円を割っているわけでございますが、その途中の時点では一万円を超えているときもあるわけでございますし、かつまた、期中におきまして収益分配もしているわけでございますから、そういうことも勘案する必要があろうかと思います。
 また、このファンドの中には無期限のものもございますけれども、早いものでも大体昭和五十八年に償還が来るわけでございまして、この償還期までの間に株式市場がどのようになっていくかということは見通しは立てられないわけでございますけれども、五十八年の償還までの間に委託会社といたしましてもこれは受益者の信頼にこたえて運用をするわけでございますから、額面を回復するような運用に努力をするであろうというふうに考えております。
#185
○糸山英太郎君 投信の運用、成績を上げることに関しては私もずいぶん調べました。ますます局長、これ答弁が苦しくなっていくんですが、さっき言った証券会社から投資信託の会社に天下りと言いましょうか、あるいは三年間いたから、やめてたったから役員として迎えると言いましょうか、その点の矛盾と、そして私がいま一番申し上げたいことは、大手証券会社などは焦げついた玉は、玉といっても株は、ほとんどが投信に――ほとんどかとは言いません、一部はと言いましょう、投信に組み込んでいるじゃないですか。もしそれを知らないと言うならば大変な怠慢ですよ、局長、私はそこを言いたいんです。証券業者から一般投資家が投資信託を買っている。にもかかわらず、大手証券会社がもしその人事のことでもって絡んでいるならばいかがでしょうか。
#186
○政府委員(渡辺豊樹君) 先ほど証券会社は投資者本位の営業に徹底しなければならないということを申し上げたわけでございますけれども、さらに投資信託の場合には受益者はむしろ株式の投資家よりも零細な投資家が多いわけでございまして、したがって、受益者本位の運用に徹しなければならないのは先生のおっしゃるとおりでございます。
 その運用の際に、もともと証券会社から分かれたとはいうものの、証券会社の営業に絡むような運用を委託会社がすると、それがひいてはその受益者に不測の損害を与えるというような事態がありました場合にはこれはゆゆしき事態であろうかと思います。しかし委託会社、先ほど申しましたような人的なつながりというのは否定はし得ませんけれども、しかし私ども、委託会社の運用の詳細にわたって、毎日の運用まで全部をタッチすることはできません。しかし検査等においてその運用の実績というのを見ているわけでございます。基本的には受益者本位の運用に徹していると、株式市場でも機関投資家としての運用に徹しているというふうに判断しておりますが、先生御指摘のように、間々証券会社との関係に疑いが持たれるようなケースが全くなかったというわけではございません。しかしそれはきわめて、私どもが検査等で把握した限りにおきましてはそれほど数が多いものではございません。しかしそういうものを把握いたしました際には、これは証券会社との関係をはっきりと証明するようなものまでつかむわけじゃございませんけれども、私ども指導する立場におきまして、いささかも一般投資家、さらには受益者に疑いが持たれるような運用をすべきではないということで、それぞれのケースに応じて委託会社を指導し、かつまた、証券会社の方もそういう観点から注意を喚起しつつ指導しているところでございます。
#187
○糸山英太郎君 もう少し具体的に言ってもいいんですが、ひとつ余り突っ込んでも証券局長さっきからかわいそうですから少し問題を変えます。また、もとへ戻りますよ。いいですか。
 野村證券、一番大きな証券会社ですね。これを世間ではノルマ證券と言っていますね。野村じゃなくてノルマ證券。夜の七時か八時ごろでも野村證券の営業マンから電話がかかってくることは、ここにいらっしゃる大蔵委員会の皆さんも御存じだと思います。ノルマ、ノルマ、ノルマとこれは会社自体がノルマをかけますからセールスマンは当然だと思います。
 しかし、せんだって日興證券札幌支店事件で表面化した二月十五日、検査部長名でもって、断定的なセールスはしてはいけない、顧客ともうけを保証するような文書は交わさないと、この二点をくぎを刺す通達が野村證券から二月十五日に出ておりますが、その点は、ぼくは前もって大蔵省に言ってありますから、それどうなっていますか。
#188
○政府委員(渡辺豊樹君) 先生の御指摘もございましたので早速調査いたしましたが、そのとおりのものが出ております。
#189
○糸山英太郎君 そこですよね。断定的なセールスはしちゃいけないとか、あるいは顧客ともうけを保証するような文書は交わさないということをいまさら――何年たっている、野村證券ができてから。いまさらそういう社内通達を出すということは。ましてこれは秘密文書なんです。秘密文書を私が取ってしまったから恐らく局長取ってきたんだと思いますが、これ大変な事件じゃないですか。いままでそういうことを認めていたわけじゃない、やってきたことを。なぜ、いまさら、日興證券の札幌支店の事件が出てきたと同時に社内通達を出して野村證券は厳しい姿勢をとったんでしょうか。
#190
○政府委員(渡辺豊樹君) そういう通達が出たということはそういうことをやっていたんではなかろうかという先生の御指摘かと思います。しかし、そういう元本保証的なことは、それは法律で禁じているばかりでなく、無論通達でもうたわれておりますし、証券業協会の自主ルールでも禁止しているところでございます。恐らく野村證券がそういう通達を出しましたのは一証券会社には先生御存じのように全体で約八万人の役職員がおるわけでございまして、したがいまして、セールスの数も非常に多いわけでございます。末端のセールスが投資家の方に接触するわけでございますが、その場合も、接触するときには、口頭で勧誘を行うというふうなことでございますから、セールスの一人一人にそういう趣旨をさらに徹底させるという考え方でそういう通達を出したものではないかと思います。
 なお、御指摘の日興証券のケースがあったからという御指摘があったんでございますが、日興證券の札幌の問題につきましては、予算委員会におきましても先生から御指摘を受けたわけでございますが、現在、証券会社と投資者双方の了解のもとに、札幌の簡易裁判所で調停が近く行われるという予定になっているところでございます。
#191
○糸山英太郎君 聞かないことまで局長答えてくれますからね、先がやりにくくてしようがないんですけど、そこでもって話を崩さないようにしてください。
 いま、ぼくはノルマ證券を追及しているんですよ。断定的なセールスはしちゃいけない、あるいは必ず幾ら幾らまで上がるとか、つまり下値保証ですよね。下値保証はしちゃいけないということを証券取引法やなんかで規制していますが、ところが、そういうことは守られたためしがないんですよ。電話でもって売り買いをやりますから、どんな言葉一つとっても、これは大丈夫ですよ、御安心くださいと。何を安心するんだかわかりません。その言葉でもって一般投資家はだまされているわけですから、証券法五十条で禁じられている事項がございますけど、この五十条が問題なんです。さっきからもたくさん言ってまいりましたけど、下値保証だって決してしないとは言えません。しなきゃお客は買いません。そういう点もずいぶん私はこれからどんどん取り上げていくつもりですが、今回はまず予告としまして日興證券のことについて――私は、じゃ入りましょう、証券局長が言われたんですから。自分の方から言った。私はきょう出すつもりじゃなかった、日興証券は。もっともっと、これ厳しくなりますから。局長が自分で出したんだったらいいですよ。調査中で結構でしょう。コメントをこの間差し控えさしてくださいと。しかし日興證券の事件で事業法人の第四部長の自殺についてどう思うか。元金保証が行われたためではないのか。これ新聞もきょうはありますけど、その問題で特にパシフィック通商は一年前上場できるほどの内容ではなかった。日興となれ合いで決算の粉飾をしたのではないか。法人部長はその辺の事情を知っていた、だから責任を感じたのではないのか。法人部長が増資の結果に責任を感じる二とはまずない。増資は上層部の決定であり、思惑の失敗か粉飾の事態を知っていたからと見るのが常識と思いますが、いかがでしょうか。
#192
○政府委員(渡辺豊樹君) パシフィック通商の増資は、先生御存じのように、第三者割り当て増資でございまして、いわゆる通常行われます株主割り当て増資ではございませんし、まして一般投資家に公募する時価発行増資、公募増資ではございません。ほとんど大部分が法人に割り当てられたわけでございます。したがいまして、第三者割り当て増資の場合には証券会社の引受行為というのはないわけでございまして、本来商法の手続だけでやり得るものでございす、証券取引法はこれは関係ございません。しかしながら、第三者割り当てを増資いたします場合に、発行会社の方が証券会社にその割り当て先のあっせんを依頼する場合がございます。これも証券会社が独自にそういう先を探す場合もございますし、また発行会社あるいは発行会社の主取引銀行がそういう先を一応決めておいて、そこに証券会社に行ってほしいというケースもあるわけでございます。いずれにいたしましても、これはあっせんでございますから手数料は一切証券会社には入っていないわけでございます。
 また、パシフィック通商に紛飾があったのではないかということでございますが、昨年の三月期の決算は四割配当ということでございまして、昨年の九月には非常に収益が落ちております。で、先生御存じのように二月に自己破産の申し立てが行われたわけでございまして、急激に赤字に転落したということに疑惑というのか、疑点が持たれるわけでございますか、これは現在、国会でも御答弁申し上げましたが、パシフィック通商を監査いたしました公認会計士の事情を聴取すると同時に、会社の経理担当者の話も聞いているところでございまして、まだ全貌は解明されませんけれども、いまの段階では、公認会計士が昨年の三月決算についても適正意見をつけていたということだけしか申し上げられないわけでございます。したがいまして、公認会計士が適正意見をつけているという段階では、アンダーライターも一般の公募増資の場合にはその企業の財務内容というものを十分チェックする義務があるわけでございますが、その場合でも、企業の財務内容ということになりますと、何と申しましても専門家は公認会計士でございますから、公認会計士の監査意見というものを実際には尊重せざるを得ないというのが実情でございます。ただ、パシフィック通商の場合には第三者割り当て増資でございまして、引受行為ではございませんので、その辺が通常の引受審査は行われなかったというふうに理解しております。
#193
○糸山英太郎君 証券局長ずいぶん御丁寧に、私が聞くことを全部答えてくれましたんで、それは大分質問の時間が処理できますが、この事件は証券会社の審査機能の弱さを物語る事件とは思わないでしょうか。ろくに内容を調べなかったからこそこのような投資家に迷惑をかけ、自殺者まで出したのではないでしょうか。急成長した会社に対し第三者割り当てを募り財務力をつけてやるのも証券会社の仕事の一つかもしれません。他人に増資応募を勧める以上、証券会社は十分な財務、経営調査を行わなければならないのは当然です。それがいまの証券会社では十分できないと私は思うのですが、当局側の行政指導はこの点どういうふうにしていらっしゃるでしょうか。
#194
○政府委員(渡辺豊樹君) 先ほど御答弁申し上げましたように、パシフィック通商の場合には第三者割り当て増資でございましたので、引き受けではございませんので、通常の公募増資のときのような引受審査というものが十分行われなかったということは事実であろうと思います。第三者割り当て増資というのはそう頻繁に行われるわけではございませんし、先ほど申しましたように、むしろ発行会社から依頼を受け、あっせんという形で行われるものでございますけれども、しかし今回のケースにかんがみまして、通常のアンダーライティングではないけれども、第三者割り当て増資の際に、割り当て先のあっせん等を求められたときには、一般の引受審査と同じような姿勢で対処すべきではないかというのはそのとおりでございまして、そういう方向でアンダーライターである証券会社を指導してまいりたいというふうに考えております。
#195
○糸山英太郎君 どこの証券会社も配下に幾つかの急成長企業を抱えている。将来上場させて、その後は引受証券会社となり利益にあずかろうと考えているようです。仮にめんどうを見ている会社があれば、二社、二つくらい上場すると大体元が取れるということも聞いております。もしこれが三社上場ならば大変なことになります。証券会社はそれでもいいんでしょうか。失敗した会社への投資を勧められた投資家はまる損である。証券会社にはそういった体質があると思うが、つまり、利益本位のために無理に上場などをさせていることもあるんではないか。確かに上場すればもうかるはずです。その点いかがでしょうか。
#196
○政府委員(渡辺豊樹君) 企業が上場いたします場合に、証券会社がその上場を勧めるというケースもあろうかと思いますが、しかし、基本的には企業自身がむしろ上場を希望するわけでございます。さらに、企業として成長する際にやはり上場会社になりたいという希望は、むしろ企業サイドから本来は出てくるわけでございまして、そういう上場をする場合のお手伝いを証券会社がするというのがほとんど大部分ではなかろうかと思います。
 しかし先生御指摘のように、急成長会社等について証券会社が上場を勧めるというケースも全くないことはないかもしれません。しかしそういう場合には、やはり当該企業の財務内容というものについて証券会社としても十分見るという責任がそういう場合にあるわけでございまして、企業の財務内容につきましては、先ほど申し上げましたように、やはり専門家は公認会計士でございますから、その公認会計士の財務内容に対する監査というのが一番重要でございますけれども、証券会社も現在引受審査部門を強化しつつございますので、公認会計士とも協力し合いながら、そういう内容のチェックにはやはり責任を持って行うようにするのが当然かと思いますし、そういう方向で指導してまいりたいと考えております。
#197
○糸山英太郎君 企業が上場を望むのか、証券会社が企業に上場をしなさいと勧めるのか、その点もこれはまたいろいろと論議を呼ぶところだと思いますし、まあ一概にそうとは言い切れませんが、この日興證券の札幌支店の場合、一名の自殺者、あるいは二年間で二千万円の損、そしてこれは一任勘定だと、当店の支店長も絡んでいるとか何とかずいぶんうわさされましたけれども、ここで考えなきゃならないのは、日興證券だけじゃないんですよ、こういうケースは。いろんな証券会社皆さん抱えております。だけど、大概のことは見舞い金というお金でもって、証券会社がお金に物を言わせて謝りに行って片をつけてしまう。ずいぶん私そんな話聞きました。この件も三百万円の見舞い金でもってたしか謝りに行っております。私は、見舞い金や何かでもって証券会社が事を荒立てないように、公にならないようにしてきた例がかなりあると思いますが、きょうはもう一つそれでは伺います。
 科研化学事件とつまり過剰セールス、先ほども触れましたけれども、科研化学の株価は昨年初め二百七十円だったのが、わずか八カ月で四千円をオーバーし、その後に暴落した。このような暴落例はかつてなかったと言いますが、それはもう御存じですね。時間がありませんから、知っていますね。――結構です。こっくりで結構なんです。同社の暴騰暴落は日興證券の過剰セールスによるところが多いのではないか。日興は同株売買のどれくらいのシェアを占めていたのか。七月−十月ぐらいの実績、これをちょっとお示しください。
#198
○政府委員(渡辺豊樹君) 科研化学の株価が五十三年の春ぐらいから急騰していったということは先生御指摘のとおりでございます。この間における日興證券のシェアでございますが、月によって変動はございますが、大体半分程度、月によってそれを超えておりますけれども、その程度が日興證券のシェアでございます。
#199
○糸山英太郎君 日興は本社から部長、支店長あてに、ここにも来ておりますが、制がん剤、つまりベンズアルデヒドの薬効について八月十四日、九月十一日、十月二十六日の三回、通達のような形で文書を出しているが、これは確認しておりますね。――いやわかっておる、結構です。
 同通達の中でも九月十日一は、学会で発表されれば世界的話題の中心となることはほぼ間違いないとまで書かれている。通達内容はセールスマンが客に伝えるものと解釈ができますが、あおり過ぎだとは思いませんか。
#200
○政府委員(渡辺豊樹君) 証券会社が株式につきまして投資家に投資を勧誘をするわけでございます。先生御存じのように、証券会社の営業というのは積極的な営業でございますから、店頭でお各様を待つという営業ではございません。そういう場合に、投資家の方の方から、みずからその銘柄を指定して注文をするということが一番望ましいわけでございますし、私どももそれを投資家に望みたいわけでございますが、しかし投資家の方の方が証券会社にその銘柄について何か意見を聞くということがあるわけでございます。それに対応するために証券会社の本部の方におきましていろいろと銘柄につきまして、たとえば日興は――御指摘でございますから、日興の場合には日興リサーチという調査部門を持っておりますが、そういう調査部門で調査した資料を客支店に送っているというのが現状でございます。先生御指摘の資料は、基本的にはそういう資料ではないかというふうに理解しております。
#201
○糸山英太郎君 奇妙なことは八月十四日のこの通達が出された翌日の八月十五日、科研化学の株価は五百円高のストップ高をつけたんですね。九月十一日にしても、もう一度人気が盛り上がったこともあります。株価暴騰の背景には日興證券の強い営業姿勢が関係していたこともこれは常識でありますし、当然私もそう思います。
 問題は、正しい企業情報が投資家に伝えられて株式売買の参考になっているかということなんです。九月十一日の通達は、まるで科研化学自体の材料であるかのようにゆがめられて伝えられていることは、これが問題なんです。ここに書かれている人体実験は松戸市の開業医、お名前出しても構いません、こちさん――東風さんと書いて東風(こち)さんという医者が自分の患者に対して行ったことだということです。動物実験も終わっていない段階で、なおかつ、厚生省の許可もないうちに臨床で人体実験を行うことはどういうことなんでしょうか。この東風さんの病院でしか知らないことが企業情報として社内通達の形で出され、しかも世界的話題となるなどと伝えられたことは正しい企業情報とは言えない。株価はその後同社が記者会見して、まだ製品化されるかどうかもわかっていない、企業化されるかどうか四、五年先の話だと説明したことでもって今度は暴落したわけです。こんな経過を見ると、情報が科研化学サイドによってゆがめられたと言っても言い過ぎではないと私は思うのですが、いかがでしょうか、その点は。
#202
○政府委員(渡辺豊樹君) 先生御指摘のそういう情報の伝達は、本部から全支店に恐らく出されていると思うわけでございますが、しかしながら、この科研株につきましては日興の全支店が一斉に営業体として取り上げたという形には私ども調べたところなっておりません。幾つかの支店において積極的に取り上げているというふうに私どもは承知しております。
 結局問題は、そういう株式について投資家に勧める場合に、実際に投資家に接触する営業マンがどういうふうに接触していくかということが基本的に問題なんではなかろうかと思います。株価は急上昇したわけでございますけれども、この点につきましては、証券取引所に株価形成上の問題がないかどうかの調査を求めたわけでございますけれども、取引所の調査におきまして株価形成上の問題はないという報告を受けております。したがいまして、問題は営業マンの投資家に対する投資勧誘の姿勢ということになろうかと思うのでございますが、私どもいろいろと検討いたしまして、個々のセールスの活動に行き過ぎがあったということは、一部においてあったということはあるいはあろうかと思います。そういう点については日興證券に対し反省を求め、日興證券からも今後こういう社内資料の扱い、あるいはセールスヘの徹底についての社内の管理体制の強化を図ることについて具体的に報告を受けております。
#203
○糸山英太郎君 日興證券に反省を求めるとか、野村證券に反省を求めるとか、そういう時点じゃ困るんですよ。だって皆さんに迷惑をかけた後、反省しましたじゃ済まないじゃないですか。そういうことを今後起こらないようにするのが証券局の仕事じゃないんでしょうか。
 まあ先へ行きましょう。このKさんという方が自分で株の売買やってどれだけもうけたか、その人はきっと頭がよかったんでしょうね、そういうでたらめな情報流して。それも日興が通達した情報では、Kさんは個人的にやった実験をブエノスアイレスで開会の国際がん学会でKさんが発表すると、そういう大きなニュースを流して、Kさんのところで流れた情報で、企業秘密を、担当者自身が前もって株を買って証券会社に流し、証券会社は投資家をあおり株価を高騰させて逃げるといった仕組まれた方式の疑いがこれは物すごく強い問題なんですよ、日興證券事件は。私は何も日興證券に恨みもあれもあるわけじゃないんですが、私はそういう証券会社の、後でよく怒りました、しかりましたということでは困るんです、大蔵大臣、注意だけでは困る。
 昨年十一月、衆議院大蔵委員会の小委員会で証券局長や東証理事長は答弁の中でそれらの点を全面否定した、過剰セールスもなかった、そう表明をして、大蔵当局はいまも同じ見解が、大分ちょっとずれましたけれども、少し反省したように見えますけれども、当時は東証の理事長――大体公取的な発想の持ち主、あの理事長は。あの人の感覚でもって物をやるから大変な事件なんです。そして答弁たって――だったらぼくは、ここにありますよ、答弁、これどうするんですか、東証の理事長もこんなでたらめな答弁をして。もし証券局長が、これが反省もして、これから行政処分なり指導なりもっと厳しくやっていかなければ、第二の日興證券、第二の野村證券という事件がどんどん起きてくるんですよ。まして東証の理事長のああいう態度では非常に困るんです。ここに東証の理事長の答弁ももらっています。
 大蔵大臣に聞きましょう。これは反省していますとか何かじゃ済まないですね、全国民に迷惑をかけるわけですから。どうですか、大蔵大臣。
#204
○国務大臣(金子一平君) これ、投資家の保護に最重点を置いてわれわれとしては証券行政やっていかなければならぬと考えておる次第でございますけれども、まあ先ほど来、証券局長が申しておりまするように、証券業者自体はもちろんでございますけれども、多数の営業マンの中には少し常識を逸脱した行動に出る場合も決して少なくないようであります。こういういま御指摘になりましたような問題につきましては、今後ひとつ再発防止のために必要な措置をしっかりとこっちも講じてまいりたいと考えております。どうかひとつ、いろいろな糸山さんはこの方面なかなかお詳しいものですから、われわれもああなるほど、まだそういう問題もあったかというような示唆を受けることが多いのでございますので、行政の足らざる点があればこれからもひとつしっかりと、何といっても再発防止が一番大事なことでございますから、厳重な処分をしてもらい、そういうことの二度と起こらぬようにやってまいりたいと考えておる次第でございます。
#205
○糸山英太郎君 大臣、私、これ詳しいからなんと言われたんじゃ非常に迷惑するんです。私もこれ、すき好んで調べているのじゃなくて、この大蔵委員会のこの租税特別措置法の法律に関して真剣に取り組んだわけでございますから……。
#206
○国務大臣(金子一平君) いまのお詳しいからというのは、取り消しさせていただきます。
#207
○糸山英太郎君 ここからが問題なんですよ、ここから。いままではまだおとなしい方なんです。
 さらに大蔵省当局がばかにしていることは、この科研化学の株式を何と投信に二百万株近くを組み入れたと聞いています。日興は投信の基準価格を上げるためにそんな工作をしたと私の調べではわかっている。大蔵省はこのことを知らないというならば、いまからでも遅くありません、――いいですか、さっきから投信投信というんでずうっとついてきたのはここなんですよ。証券会社というのはこういうでたらめなことをやってんだ。それでもって大蔵省は黙ってていいのか。これは大変な問題じゃないですか。投信の価格を上げようという一つのテクニック、あるいは、これは東証の理事長に聞けばわからないことではないんだけれども、理事長もわからないと言っている。株式のことですからこれは御存じのとおり証拠があります。残ってます、証拠が。ですから、どうぞ証券局、答弁は要りませんから、この点について徹底的に調べて――もし投信に入っているならこれは大変な問題じゃないですか。こういうことをして、国民に迷惑をかけて――大手証券から見れば大蔵省、証券局――大変失礼な言い方ですか、東証理事長などは、赤ん坊の手をひねるような簡単なものだと言われてますよ。こんなものは――証券局も東証の理事長も、どうせもうじきやめるんだから、天下りでもってうちへ来るんだから、なんていうことを私はずいぶん耳にもしている。大手証券の役員たちの口から私自身が何度も耳にしてきているんですよ。大蔵省の行政力の弱さにつけ込んで株価操縦などを平気でやる大手証券のモラルを正さないで、なぜ投資家だけに規制をかけるんでしょうか。大蔵大臣の慎重なる答弁をいただきたい。
#208
○国務大臣(金子一平君) ただいまも申し上げましたように、今後そういう問題につきましては、証券行政としては十分ひとつ監督を厳重にして、世間の疑惑を起こさぬようにやってまいりたいと考えておる次第でございます。
#209
○糸山英太郎君 これは絶対許せない問題だと思います。さっきから聞いてますと、大蔵省は強い者に弱い。医師優遇税制の問題についても医師会の武見太郎さんには頭が上がらない、そして今度の問題に関しても野村証券とか日興証券には頭が上がらない、なんていうことがもしあるならば、これは断固として私は許せない問題だと思います。証券会社のモラルかいまこそ問われる――これはいまこそ正さなければいけない。
 五十三年度九月の決算によると、業界ナンバーワンの野村証券は、総売り上げ二千二十八億三千四百万円で経常利益は前年対比一一%増の七百十一億四千百八十万円。いま問題となったナンバーツーの日興証券は、総売り上げ一千五百十七億一千二百万円で経常利益は前年対比三五%増の六百六十七億七千九百万円に達してます。そうした利益の裏で多数の一般投資家が泣かされているのも否定できない現実だからです。
 繰り返すようなことですが、私のところには大手証券会社を非難する投書が殺到しています。行政指導や法律の運用は、大手証券会社のサイドではなく、一般投資家サイドであるべきだと思います。証取法の精神もそこにあることを大蔵当局は忘れていらっしゃるんじゃないか。今後どう対処していくのか、前向きの見解と姿勢、そして一般投資家に約束してください。証券取引法の再検討、そしてこういう事件が出てくるんですから、どうか証券取引法五十条に対してもう一度考えて、訂正するべきじゃないんでしょうか、改正するべきじゃないんでしょうか。
#210
○国務大臣(金子一平君) 幾つかの証券会社あるいは医師会の名前をお挙げになりましたけれども、大蔵省といたしましても、私どもといたしましても、行政の公正を念じて常時やっておるわけでございまして、一切くされ縁は持っておりません。その点ははっきり申し上げておきます。
 ただ、大ぜいの投資家相手の仕事ですから、間々会社なり営業マンの姿勢に行き過ぎのあったことも事実でございましょう。その点につきましては、私どもも十分会社の監督指導に万遺漏なきを今後も期していきたいと考えておる次第でございますが、証券取引法もそういう趣旨でこれ制定されまして、免許制移行の際にも相当整備したつもりでございますが、もし御指摘のような点があるといたしますと、これは大変遺憾に存ずる次第でございまして、今後は不十分な点につきましても十分に検討さしていただきたいと考えておる次第でございます。
#211
○糸山英太郎君 証券取引法を再検討するお考えはありませんか。これだけ事件が出てきても、ありませんか。
#212
○国務大臣(金子一平君) 繰り返して申し上げますが、今日の証券行政の実態、それから証券界のあり方との関連において十分検討さしていただきます。
#213
○糸山英太郎君 私は、税制に関しての私の意見は十二日の予算委員会の総括の質疑の中で申し上げたとおりですから、あえてここでは繰り返しませんが、日本の財政に対して非常に私はいま憂えています。心配です。いまのままでいいんでしょうか。私はここであえて繰り返しませんが、いままでの政府側の答弁を一つ一つじっくり聞いてみても、まだまだ私自身が一〇〇%納得はいきません。一般消費税を導入するために、こうやって租税特別措置法などという法律をひっくるめてまとめて強引に押し通すという態度ならば、この租税特別措置法の審議にはきょうから入ったおけですから、私はいまだ賛否をはっきりしませんが、どうか二十九日には総理も出席をしますし、締めくくり質疑もあります。そのときその席で総理に再びお聞きし、私の残っている質疑もそのとき伺います。どうか、この証券取引法五十条に基づく点などももう一度再検討して、前向きの大蔵省の姿勢をお願いする次第でございます。
 とりあえず、私はもう少し留保さしていただきます。
#214
○委員長(坂野重信君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。
 次回は三月二十二日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時三十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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