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1947/08/22 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 労働委員会 第2号
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1947/08/22 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 労働委員会 第2号

#1
第001回国会 労働委員会 第2号
  付託事件
○職業安定法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
昭和二十二年八月二十二日(金曜日)
   午前十時三十二分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○職業安定法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(原虎一君) それでは只今から勞働委員會を開催いたします。大變暑いところ御苦勞さんでございます。今、米窪國務大臣の出席を求めておりますから、出席いたします前に御了解と御相談を願いたいと思います。
 第一は、今日は本會議のない豫定で午前中に開催することにいたしまして御通知いたしましたのですが、本會議を開くことになりまして、本會議に成るべく出席いたしたいと思いますので、大臣の説明はそう長くないと思いますから、説明をお聽き願つて本會議に御出席願うようにしたらどうかと思うのであります。それから大臣の説明に續きまして、質疑應答を願う豫定でありましたが、これまた職業安定局長が衆議院の方へ參つておりますので、質疑應答は今日は午前中は不可能な状態であります。この點を惡しからず御了承願いたいと思います。つきましては大臣の説明を今日お聽き願つた上で、職業安定所の視察をいたしたらどうかと思つて、先程からも寄り寄り御相談を願つておりました。それは小石川と横濱とを視察したらば如何かと、こう思つております。細かいプラン等につきましては理事の方々とも御相談申上げて、事務上の手續もいたしたいと思つておりまするが、小石川と横濱の視察について、又その他に御意見がございますれば伺つて、十分な視察ができるようにいたしたいと、こう考えております。
 それでは米窪國務大臣が出席されましたので、早速法案の説明を願うことにいたします。
#3
○國務大臣(米窪滿亮君) 只今衆議院で審議中の職業安定法案について、參議院においての豫備審議について、委員長のお許しを得てそれの提案の理由を説明申上げたいと思います。職業安定法案を審議せられるに當りまして、只今申上げたように本法案の提案の理由を御説明いたします。
 終戰以來職業行政においても大きな轉換をいたして參りました。終戰までの職業行政は、一言で申しますと、勞務の動員配置を目的として行われたのでございまして、現行の職業紹介法もまたこの精神によつて一貫されておるのでございます。職業行政本來の目的は、國民に對して奉仕することでありまして、特に憲法の改正を見まして、基本的人權の尊重が確立されました今日におきましては、從來の勞務の統制配置を目的といたしました現行の職業紹介法は、時勢に合わない點があると思いまして、これを廢止しまして、新たに新憲法の精神によるところの法律を制定する必要が生じたのでございまして、本法律案制定の趣旨もここにあるのでございます。
 本法案の目的とするところは、その第一條に明記してありまする通り、公共職業安定所その他の職業安定機關が、憲法第二十二條の職業選擇の自由の趣旨を尊重いたしまして、各人の持つている能力に適當な職業に就く機會を與えることによつて、産業に必要な勞働力を充足し、職業の安定を圖ると共に、經濟の興隆に寄與しようとするのでございます。思うに、再建途上にある我が國におきまして我々が先ず努むべきことは、國民の持つその豐富な勞働力を有效に發揮することでございまして、國家再建に必要な産業勞働力を充足し、各人についてその職業の安定を得せしめると共に、國家の經濟を興隆せしめることが現下最も必要であるのでありまして、本法案の制定の趣旨とするところもまた右の目的を達成するところにあると思うのでございます。
 本來職業行政は、全國に亙る勞働力の需要供給による人の流れを基調として行わるべき性質を有するものでございまするから、ここに他の一般行政とは違うところの行政組織及び人事の取扱が必要となつて來るのでございます。先ず組織の方面について申上げますと、職業行政の組織は、全國に亙る勞働力の需要供給の適正なる調整を圖るために、中央から第一線の機關に至るまで、全國を一貫した系統で運營することを理想とするものでありまするが、一方、地方自治の本旨を尊重しまして、都道府縣知事に對して公共職業安定所の業務の指揮監督を掌らしむることとしたのであります。そうしてこれに伴い、都道府縣知事がこの法律の規定によつて行うべき職務に若しも違反した場合においては、勞働大臣はその都道府縣知事に是正する命令を發しまして、その都道府縣知事がこの是正命令に從わないときは、勞働大臣は更に高等裁判所に向つて是正命令を請求して、代執行を行い得ることと定めたのであります。かような規定を設けた所以のものは、裁判所の介在によつて本法案の目的を確實且つ迅速に遂行せしめようとするものに外ならないのでございます。
 次に職業行政に從事する職員の人事につきましては、職業行政の特異性に鑑みまして、全國の職業安定機關を通じて安んじてこの道に精進し得るような措置を講じたのでございます。
 先程も申述べましたように、職業行政は全國的な人の流れを基調として行わるべきものでありますから、勞働大臣が、勞働力の需要供給の状況に應じまして、二つ以上の都道府縣に亙る業務の連絡に當らせるために、又は都道府縣の職員に對する技術指導を行うために必要があると認めたときは、重要産業地區に本省の出張所として職業安定事務所を設置することができることといたしました。又職業行政の民主的運營を圖るために、公共職業安定所の業務の補助機關といたしまして、市町村との連絡に當るべき連絡委員を設けると共に、中央、都道府縣及び特別地區に、勞働者、雇用主及び公益を代表する者で組織する職業安定委員會を設置し、必要があるときは地區にもこれを設置することができることといたしまして、以て公共職業安定所の業務その他この法律の施行に關する重要事項を審議させることといたしました。公共職業安定所の行う職業紹介につきましては、求人求職の申込の取扱、紹介の原則、爭議行爲に對する不介入等について規定いたしてございます。職業指導については、その原則及び職業の適性檢査の實施につきまして規定を設け、又職業補導につきましては、都道府縣知川が主體となつてこれを行うことを原則と定めました外、都道府縣知事に對する勞働大臣の援助の義務について規定を設けてあります。次に政府以外の者の行う職業紹介事業、勞働者の募集については、現行法ではその規定はなく、命令に委任しておりまするが、從來の國家統制の建前から或いは禁止し、或いは嚴重な制限を加えておるのであります。
 本法案におきましては、新憲法の趣旨に基きまして、できるだけ個人活動の自由を尊重し、弊害のない限り廣く職業紹介事業、勞働者の募集活動を認めると共に、弊害あるものに對しては從來に比して罰則を相當強化したのでございます。これは勞働者の保護を圖ろうとする趣旨に外ならないのでありますが、同様の趣旨によつて、本法案は他人の勤勞の上に存立する勞働者供給事業を禁止しようとするものであります。即ち本法案の規定によつて認められる勞働組合法による勞働組合が勞働大臣の許可を受けて行うものの外、從來多く行われて參りました勞働者供給事業は、中間搾取を行い、勞働者に不當な壓迫を加える例が少くないのに鑑みまして、勞働の民主化の精神から、全面的にこれを禁止しようとするものであります。
 本法案の提定に違反した者に對する罰則につきましては、勞働者に對する保護の見地から檢討を加えまして、必要な者については體刑を科すると共に、違反行爲をした者が、法人又は人のために行爲した代理人、使用人等である場合におきましても、その輕過失及び重過失の場合について罰則を設けてあるのでございます。
 最後に、本法案の規定によつて禁止される有料營利の職業紹介事業及び勞働者供給事業については、附則において三ヶ月の猶豫期間を置くことといたしました。
 右の説明で明かであると思うますが、職業安定法案の全體を通じてその骨子をなす精神は、憲法の趣旨に基いて個人の基本權を尊重し、勞働者の保護を圖ることによつて、現在の情勢に即應した勞働の民主化を促進しようとすることにあるのであります。以上職業安定法案制定の趣旨及びその内容の大網について御説明を申上げたのでありますが、本法案が本院に提出された暁においては、何とぞ御愼重に御審議の上、本法案の性質に鑑みまして、成るべく早く御可決あらんことをお願い申上げる次第でございます。
#4
○委員長(原虎一君) 只今の大臣の説明につきまして、御質問がありましたらどうか。
#5
○荒井八郎君 本會議が始まつたのですから、この邊で一時休憩して……
#6
○委員長(原虎一君) それでは本會議がもう既に開會されておりますから、出席したいという御意見もございますので、本日はこれにて散會いたします。
   午前十時四十六分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     原  虎一君
   理事
           堀  末治君
   委員
           赤松 常子君
           山田 節男君
           荒井 八郎君
           植竹 春彦君
           平野善治郎君
           深川タマヱ君
           川上 嘉市君
           竹下 豐次君
           早川 愼一君
           姫井 伊介君
           藤井 丙午君
           穗積眞六郎君
           松井 道夫君
           中野 重治君
           岩間 正男君
  國務大臣
   國 務 大 臣 米窪 滿亮君
ソース: 国立国会図書館
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