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1978/03/20 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 外務委員会 第7号
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1978/03/20 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 外務委員会 第7号

#1
第087回国会 外務委員会 第7号
昭和五十四年三月二十日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二日
    辞任        補欠選任
     竹内  潔君     三善 信二君
 三月七日
  委員三善信二君は逝去された。
 三月九日
    補欠選任        志村 愛子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         菅野 儀作君
    理 事
                稲嶺 一郎君
                鳩山威一郎君
                田中寿美子君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                安孫子藤吉君
                大鷹 淑子君
                秦野  章君
                戸叶  武君
                塩出 啓典君
                立木  洋君
                和田 春生君
                田  英夫君
   国務大臣
       外 務 大 臣  園田  直君
   政府委員
       外務省アジア局
       長        柳谷 謙介君
       外務省アメリカ
       局長       中島敏次郎君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    千葉 一夫君
       外務省経済局次
       長        羽澄 光彦君
       外務省条約局長  伊達 宗起君
       外務省国際連合
       局長       賀陽 治憲君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山本 義彰君
   説明員
       外務省中近東ア
       フリカ局外務参
       事官       堤  功一君
       資源エネルギー
       庁石油部計画課
       長        箕輪  哲君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際情勢等に関する調査
 (中東和平に関する件)
 (イランの政情と石油問題に関する件)
 (東京における先進国首脳会議に関する件)
 (外務大臣の訪米に関する件)
 (防衛大学校における内閣総理大臣の訓示に関
 する件)
 (日ソサケ・マス交渉に関する件)
 (エル・サルバドルにおける邦人誘かい事件に
 関する件)
 (中越紛争に関する件)
 (ラオス情勢に関する件)
 (全方位外交に関する件)
 (南北朝鮮問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(菅野儀作君) それでは、ただいまから外務委員会を開会いたします。
 議事に先立ち御報告いたします。
 すでに御承知のことと存じますが、本委員会の委員でございました三善信二君は、去る七日、逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 同君は、昭和五十二年当選以来、一貫して外務委員として職責を果たしてまいりました。ここに皆様とともに同君をしのび、謹んで黙祷をささげ、心から哀悼の意を表し、御冥福をお祈りいたしたいと存じます。
 それでは、皆様の御起立をお願いいたします。黙祷。
  〔総員起立、黙祷〕
#3
○委員長(菅野儀作君) 黙祷やめ。ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(菅野儀作君) 委員の異動について御報告いたします。
 三善信二君が逝去せられましたことに伴うその補欠として、去る九日、志村愛子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(菅野儀作君) 国際情勢等に関する調査を議題として質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○田中寿美子君 私は、きょうは、中東和平の問題と、それに関連しながらイランの情勢などについて御質問したいと思います。
 外務大臣は近くアメリカにおいでになって、そして経済問題などでの困難な問題についての話し合いをなさるということが言われておりますが、この中東和平の問題は一般の日本人にはぴんとこないみたいで、実は非常に重大な問題であるということが次第にはっきりしてきていると思うんです。
 この中東和平、すなわち宿命的なイスラエル対アラブ諸国、ことにパレスチナの自決権をめぐって対立をしてきたものを和平に導くという包括的な枠組みづくりというのは非常に困難な問題であると思うんですね。それでその包括的な中東和平の問題と、今回のイスラエル・エジプト二国間の平和条約を結ぶというこの問題は、何といいますか、混乱して考えやすいんですけれども、はっきりと分けて考えなければならないと思っているんですが、今回のイスラエルとエジプトの間の二国間平和条約の締結という、そのための枠組みは、もうすでにイスラエルの閣議でも了承されたし、やがて今月末には調印の運びに至るだろうというふうにきょうあたりも報道されておりますけれども、アメリカのカーター大統領がエジプト、イスラエルに飛んで、非常に精力的にこの締結のために努力をして、ここまでこぎつけたという問題ですね。
 この二国間の平和条約というものと、それから包括的な中東和平の問題とは違うと思うんですが、アメリカはその包括的な中東和平への一歩、あるいは基礎であるというふうな解釈を発表しております。で、外相は、それをどういうふうに位置づけなさいますか、今度の平和条約のことを。
#7
○国務大臣(園田直君) 今度のカーター大統領の中東訪問はなかなか大変なことだったと思いますが、中途でこれが行き詰まった様相を見せながら、最後の段階で妥結したわけでありますが、これによってイスラエル・エジプトの平和条約締結交渉が進展したことは、これは大変なことであって、中東に非常な関心と懸念を持っているわが国としては、このことを高く評価するものであります。
 しかしながら、両国の平和条約妥結の方は前進しましたけれども、これに伴ってアラブの諸国の若干の国々は非常に大きく反発しておるわけであります。しかしながら、私としてはこの平和条約妥結によって包括的な上平和と逆行するものではなくて、やはりいろいろ問題が起こっておりますけれども、包括的和平に向かってこの平和条約妥結は一歩前進したというふうに受け取っておりまます。したがいまして、今後、これを契機にして関係諸国の話し合いを通じて国連安保理事会の決議二百四十二が全面的に実施をされ、かつまたパレスチナ人の国連憲章に基づく正当な権利が承認をされ尊重されることによって、公正で永続的な包括的和平が一日も早く達成されることを希望しております。
#8
○田中寿美子君 四八年の国連のパレスチナ分割決議ですね、これが決議されてからは全然事実上これが実行できない状態にあるということはもうよく御承知のとおりですけれども、今回のエジプト・イスラエルの間の二国間の条約によって、きょうはもうすでにシリアとイラクは、このアラブ強硬派といわれる二つは統合の一歩を踏み出そうとしている。そうしてPLOはもちろんのこと、周辺のアラブ諸国はみんなこれに対して反発をしている。こういう状況の中で包括的な中東和平への一歩前進だというふうに位置づけることは非常にまだ私は危険ではないか。
 そういうふうに言わなければ、これはアメリカの方はカーター大統領が来年大統領選挙もある、それからアメリカにはユダヤ人がたくさんいる、そうしてある程度の政治勢力でもある。そういう意味では、どうしたってイスラエルを支持する立場に立ってきたわけで、これができなかったら、例の去年の九月にキャンプデービッドにエジプトとイスラエルの両方の代表を呼んで、そうして中東二国間の和平条約の案までつくったわけなんですから、これが実らなかったらカーター大統領の政治生命にかかわる、こういうような問題があると思うんですけれども、それだから、これは包括和平に結びつけて一歩前進であるという宣伝をしているんですけれども、それと同じ立場を日本がとるということは、私は、非常にこれは注意しなければならない。
 アラブ諸国に対して、石油パニックの後、日本は三木さん初め特使を派遣して、そうして各国にそれぞれ石油を今後売ってもらうために、一番の目的はそうですけれども、アラブ諸国と特に親交を結ぶという外交政策をとってきたと思うんですね。それからやはり四八年のパレスチナ分割の決議をしたときも、日本はそれに参加しているわけなんですが、その方向と私はこれは矛盾してくるというふうに思うんですけれども、政府は、これを中東の包括的な和平への一歩前進だというふうに位置づけて、そうしてきょうももうすでに外務大臣は、今回アメリカがこれをでき上がらせるために非常に多額の経済援助をエジプト及びイスラエル両方に約束してきている、総額で五十億ドルだと言われておりますけれども、それに対して日本や西独が一緒になって協力して分担金を出すように、分担してくれるようにということで、外務大臣もそれに応ずる意思があるというふうに言われておりますね、というふうに私は報道で読んでおりますが、そうしますと、今回、アメリカに行かれて会談なさるときに、この中東和平条約と呼んでおりますところのこれの成功のために日本も分担する、お金を拠出する、こういうことでございますか。
#9
○国務大臣(園田直君) 今度の平和条約から他のアラブ諸国との対立点が激しくなってきたという見方もありますけれども、平和条約締結の際には、逐次順位を追って、これら関係諸国と話し合いを具体的に進めて、パレスチナ問題もこれを処理するという方向で大体進んでいるような気がいたします。
 なお、いまの御質問の、アメリカのエジプトに対する分担金を負担するという話は全然ございません。私も、そういうつもりはございません。ただ、中東和平工作には日本も重大な関心を持っておりますから、この中東和平工作がうまくいくために、中東諸国に対する応分の経済協力をすることは考えております。
#10
○田中寿美子君 そうしますと、きょうの朝日新聞に出ている「対エジプト援助分担も」ということです。外務大臣がきのう行われた「ヘンリー・オーエン米大統領特別代表との会談で、園田外相はカーター米大統領の調停で平和条約調印へ一歩を踏み出したエジプトとイスラエルの中東和平工作に対する経済的な側面協力として、エジプトに対する米国、日本、西独などの「援助分担」構構にわが国が応ずる考えのあることを表明した。」というふうに発表されておりますが、これは事実と反するということですか。
#11
○国務大臣(園田直君) その記事は真実を伝えておりません。私は、エジプト、その他の中東の国々に対する経済協力はずっと以前から日本国政府の意思を表明しておるのでありまして、きのうオーエンとの会談によって意思を表明したり、あるいは向こうに対する意思を決めたわけではございません。きのうのオーエンと私の会談は一つの方向を話しましたが、そういう具体的な話は何も詰めておりません。これから事務的にどんどん詰めていくわけであります。
#12
○田中寿美子君 それならば、園田外務大臣がアメリカに行かれたときに、今回のエジプト・イスラエルの平和条約に関連してアメリカが莫大な経済援助を特にエジプトに約束している、五十億ドルと言われておりますが、そのうちの一部分を分担するという約束をしてくる意思はおありにならないということですか。
#13
○国務大臣(園田直君) ございません。あくまでエジプト当局とわが方と相談して決めることであります。
#14
○田中寿美子君 ちょっといまのお答えはどうにでもとれるわけですが、ですから五十億ドルに関してエジプトから要請を受ければ和、平条約と関連させないで出すこともあり得る、そういうふうなことですか。
#15
○国務大臣(園田直君) いままでのところ、数字などは全然出ておりませんが、私が訪米したときにもそういう数字を日本に幾らやってくれなどという要求が出るはずはありません。
#16
○田中寿美子君 アメリカがそれを要望しているということは、もうすでに幾つかの新聞に、西ドイツ並びに日本に共同で援助を分担してもらいたいという意思がすでに伝えられておりますので、必ずそれは問題として出てくるんではないかというふうに思いますが、そのときやはり私はアラブ諸国全体の問題、それから日本も国連とともに承認しておりますところのPLOなんかのこともお考えになって、うっかりしたことをしていただかないように特に要望しておきたいと思います。
#17
○国務大臣(園田直君) アラブ全体に対する経済協力として考えなきゃならぬことは御発言のとおりでございますから、その点は慎重にやってまいりたいと思います。
#18
○田中寿美子君 今回の和平条約ですね、形としては中東の包括的な和平にリンクさせるような形にしてエジプト、イスラエル、ヨルダン、パレスチナ人の自治という言葉で呼んでいるわけなんですけれども、実際にはそういうふうにはなっていっていなくて、パレスチナ人自身がこれを拒否しているわけですね、パレスチナ人を代表するところのPLOその他が拒否している。それから、その周辺のアラブ諸国も拒否しているのを包括的な枠組みの中に入るというふうに私には思えないわけなんです。
 それで、ただ一点、この和平条約の草案、キャンプデービッドのときに去年の十一月に出された草案、今回のものはまだ手に入れておりませんのでわかりませんけれども、その草案に基づきまして、そして今回エジプト外務省が発表した草案の内容というふうにして要点が出ております中で、私がどうも理解できない部分があります。それは平和条約草案の第六条の二項ですか、そのところでエジプトのアラブ共同防衛条約を優先するというようなことですね。これはキャンプデービッドのときにもあるんですけれども、国連憲章の精神に基づいて処理するのだけれども、しかし、エジプトがアラブの世界に対する共同防衛義務の条約を持っている、アラブの共同防衛の義務をこれまでに結んでいるものは優先させるということはどういう意味なんですか。
#19
○説明員(堤功一君) 実は、今回の条約の内容と申しますか、合意点につきましては未公表でございまして、交渉の詳細というのは正式には伝えられていないわけでございます。
 ただ、御指摘の点につきましては、優先順位というものは、今回の平和条約とエジプトが他のアラブ諸国との条約によって負っております義務との優先順位につきまして、いずれもが他方に優先するものではない、そういう合意ができたというふうに伝えられているというふうに承知しております。
#20
○田中寿美子君 そうすると、わけがわからなくなるのですね。第一「国連憲章第一〇三条の規定に従い、双方が現在の条約によって負っている義務と、その他の義務との閥に紛争が起きた場合には、この条約に基づく義務が拘束力を持ち履行されるべきものとする。」ということになっておりますね。そうしますと、順位は、今回結ばれるエジプト・イスラエルの間の条約上の義務の方が国連憲章の規定に従う義務よりは優先するんですか、拘束力を持つんですか。それと反対のことがまた報道されていると思うんですね、アラブの共同防衛義務について条約を結んでいる分の方を優先させるというふうに報道しているものもあるわけなんです、どっちなんですか。つまり、今度結んでも、やっぱりこれまでのアラブ諸国との間にエジプトが結んでいる条約の方を優先させるのであれば、ほとんど意味がなくなってしまうように思うんですね、どっちなんですか、これは。
#21
○説明員(堤功一君) キャンプデービッドにおきます合意、昨年十一月に合意を見たとされている草案につきまして、大きな見解の相違点が三つございましたというふうに承知しております。ただいま御指摘の点は、両者の見解の相違点のうちの一つでございまして、確かに御指摘のような見方の差というものがあり得るわけでございますけれども、この点は、今次のカーター大統領の調停の結果、実際的にいずれもが他に優先するものでない、そういう了解でおさまったというふうに伝え聞いております。
#22
○国務大臣(園田直君) いまの言葉遣いに間違いがあるかもわかりませんが、キャンプデービッドで相談された草案を基礎に今度のことがやられていることは間違いございませんけれども、御承知のとおり、あの際、その草案なり条項の解釈をめぐって両国間に対立点があったわけであります。その対立点の解釈を目的としたのが今度のカーター大統領の中東訪問であると考えます。
 そこで、その対立点の主なものは、第一は、いまの平和条約とそれからエジプトが他の国々と結んでいるのとどちらが優先するかという問題。第二には、この平和条約とパレスチナ問題。それから第三には、ヨルダン川西岸及びガザ地区におけるパレスチナ人の自治政府樹立に関する今後の交渉のタイム、それからテーブル、こういうものをめぐって大体三つぐらいの問題があったんじゃないか。
 そこで、いま事務当局が答えましたとおりに、この内容は詳細には公表されておりませんけれども、以上のような対立点については、今度の条約の草案の前文、それから付属書簡または両国間の交換書簡において、これらの対立点について合意を見た解釈が記されるのではなかろうかと伝えられておる情報でございます。
#23
○田中寿美子君 まだ内容が発表されておりませんから、そうだろうと思いますけれども、しかし、今回の和平条約に負うところの義務と、それからこれまでエジプトが各アラブ諸国と一緒に結んだ――アラブ連盟なんかでお互いに共同防衛の義務なんかを結び合っているわけなんですが、それの方と、どちらも優先させないで、どちらも生きるということになると、何だかその意味がわからなくなってしまうという感じがいたしますんですね。ですから、この中東和平の問題というのは、一体、今度の条約は何なんだろうかということで、結局、イスラエルとエジプトの間の紛争を解決して、そして相当多額のアメリカからの援助あるいは日本、西ドイツ、その他からの援助を引き出すことによってある程度の妥協を図ったというのにすぎないような気がいたします。
 一番肝心なパレスチナ人の自決権の問題については、ほとんどよくわかりませんね。そのヨルダン川西岸の地域とそれからガザ地区のパレスチナ人のための自治制をしくための順序が話し合われたみたいな様子ですけれども、その自治がある時期までにでき上がった時点で、それじゃ本当にパレスチナ人の自決を保障するところの政権をどうやってつくるのかというような、そういう話は全然ないし、また恐らくイスラエルはこれに対して全く反対に出るだろう。であればこそ、周辺のアラブ強硬派と呼ばれているシリア、イラク、それから穏健派と言われているところのサウジアラビア、ヨルダンでもこれに反対の意思を示しているわけですね。でサウジアラビアはアメリカが一生懸命にいま慰撫して、そして制裁まで――例のバグダッド会議で去年の十一月にアラブ諸国が集まって、そしてキャンプデービッドの和平会談に対する反対の決議をしておりますが、それで決めたような制裁は加えるところまではまだサウジアラビアはいっていない。だけれども、そのほかの国々は非常に強硬な態度を示している。
 こういう状況から見まして、大変危なっかしい問題でございますので、もちろん外務大臣はその点は十分御注意いただくと思いますけれども、石油の確保の必要という点から日本は考えていると思いますが、石油ももちろん非常にたくさんサウジアラビア、イランからたくさん買っているわけなんですが、その他のクウェートだとかイラクだとかアラブ諸国からたくさん日本は買っているし、それから、こういうアラブ諸国が中東で占めるところの安定勢力としての、あるいはもう少し厳しく言えば、米ソの両方が拠点と考えているその争いの中で、日本は全方位外交という言葉を盛んにお使いになったけれども、どっちかにコミットしてしまうということの非常な危険性をぜひよくわきまえていていただきたいと思うんですが、いかがですか。
#24
○国務大臣(園田直君) 先ほどお答え申し上げましたのも一つの情報でお答えしたわけであります。たとえば、いま御発言の中にありましたサウジアラビア等においても必ずしも意見が一本に固まっておるわけではないという情報もありまするし、二つの意見が対立しているという情報もございます。なかなか微妙でありますから、いまの点は十分注意しながらやっていきたいと存じます。
#25
○田中寿美子君 それで、少し話が違いますけれども、シオニズムという言葉がありますが、これはイスラエルは旧約聖書の昔から神の選んだ民であって、そして自分たちの土地、エルサレムを中心にしたあの土地に自分たちの国家を建設する権利があるということで、そこにこれまで住んでいたアラブ人、パレスチナ人を追っ払って、そこに建国を強行したという問題でシオニズムの運動が非難されていることだと思うんですね。
 で、これはアジア、アフリカの民族独立関係の会議なんかでは必ずシオニズムに対する非難決議がされていたんですが、国連でも、特に私は婦人の問題で一つ申し上げたいんですけれども、一九七五年の国際婦人年世界会議がメキシコで開かれました、メキシコ会議。ここでメキシコ宣言とメキシコ決議、それから世界行動計画というのを採択しております。現在、国連婦人の十年と言って一九八五年まで全世界の婦人が一緒になって男女の平等だとか、婦人の社会への全面参加だとか、それから世界の平和への貢献だとかいうことをテーマにして共同キャンペーンを張っているわけなんです。
 その七五年の国際婦人年メキシコ会議で採択された宣言にも決議にもシオニズムについての非難があるんですよ。「婦人は、植民地主義、新植民地主義、シオニズム、人権差別、及びアパルトヘイトの下で行われているようなあらゆる形態の抑圧に」対して闘争するというようなことの宣言があって、国連が主催して百三十数カ国の代表が――日本からも国会議員、婦人議員も参りまして、そこの決議に日本も参加しているはずです。これは採択しております。それから、そのときの決議の中には、パレスチナ及びアラブの婦人に関する決議があるんです。ここでもやっぱり「植民地主義、新植民地主義、ファシズム、シオニズム、アパルトヘイト、外国による占領」によって支配されている、そういう差別された人種、人権の尊重の決議がありまして、そしてパレスチナに関しては「現在までにパレスチナ問題の公正な解決が達成されていないことに深い関心を示し、かつパレスチナ問題と中東の情勢は国際平和と世界の安全の脅威であり続けることを認識し、パレスチナ婦人と人民が自らの不可侵の権利就中、かつてそこから追放された自分の家と財産をとり戻す権利、自決権、民族の独立と主権の享受を妨げられていることに対する重大な関心を表明」するというようなことを、そしてパレスチナが国連の決議によって自決権を自分のものにすることをみんなで支持しているわけなんですね。
 こういうことについて日本の立場というのは明確だと思うのですが、そのことに関しての政府の、つまりシオニズムに対してですね、私は、イスラエル人が世界で大変な迫害を受けてきて、そしてイスラエルが国を持つことという、これもまた民族自決の権利があると思うから、それを全然否定するわけじゃないですけれども、しかし、エルサレムという聖地は、これはキリスト教徒にとってもユダヤ教徒にとっても、あるいはイスラム教徒にとっても聖地なんですね。で、そこを自分のもの、神のお言葉であると言って、そこから住んでいた者を追っ払って、そこに建国を強行して、そしてその後の紛争が起こってもパレスチナ人の自決権を認めないというこの立場、シオニズムをどうお考えになりますか。
#26
○政府委員(賀陽治憲君) シオニズムの問題でございますが、これは先生御承知のようにシオンの丘に帰るという考え方でございまして、この点につきまして、国連では、第三十回国連総会においてシオニズム非難決議をしたわけでございます。その際に、わが国は、投薬理由を述べまして、シオニズムを人種差別撤廃の問題と結びつけることは政治的要素を持ち込むことになり、問題の解決に障害となるという理由を述べて棄権をしておるわけでございます。
 この基本的立場に立ちまして、ただいま先生の御指摘のございました七五年のメキシコの婦人世界会議におきまして、御指摘のように、民族自決のために闘っておりますところのパレスチナ婦人に対する各国の支援を呼びかけ、またシオニズムを非難する内容でございますが、これに対しまして、わが国も同じような立場からこれに棄権をしておるわけでございますが、この決議は、恐らく中身から見まして、民族自決等のために闘っておるパレスチナ婦人に対する各国の支援という精神的部面におきましては、これは特にわが国として異を立てることではないという印象が当時持たれたようでございますけれども、シオニズムの問題は、問題が問題でありまするだけに、どうしても政治的な要素に関連づけて進められる。当時の緊迫した国際政治状況におきましては、これに対してわが国としては棄権をするのが順当であろうという判断をしたわけでございまして、棄権いたしました国が三十五カ国あるわけでございますが、この中身は日本のほか西欧諸国、ラ米諸国でございます。
#27
○田中寿美子君 そうしますと、そういう考え方を今後も貫いていかれる予定でしょうか、外務大臣。
#28
○国務大臣(園田直君) いまの問題は、イランにおいては、これがまた非常に具体的に出てきているわけでありますから、この前は、ああいうふうなことで政治問題に絡まれるということでありましたけれども、今後の推移を見守りながら、よく検討してみたいと思います。
#29
○田中寿美子君 時間があれですから、私はこういう問題をもう少し徹底的に議論したいところですけれども、ついでに、続いてイランなんですが、けさも、イランのバンダルシャプールに日本ももうすでに二千億ですか投資をして、そして石油コンビナートをつくりつつあって、八O%まででき上がったのが全部いま引き揚げてきて三ヵ月操業を停止する状況にあるということが報道されておりまして、そしてこれは民間投資だから、だから今後政府の経済援助が必要であるという要請が出されているということをけさの新聞で見ております。それは輸出入銀行からの融資とか、それから海外経済協力基金を使うとかいうことの要請があると聞いておりますが、イランに日本から進出している企業というのは八十社ぐらいあって、ほとんどがいま休業中で、そして社員も大半引き揚げているという状況のようですが、これに投資する問題は、イランの政情をどのように見るかということにかかっていると思うんですね。
 それで、まず、アメリカがペルシャ湾の憲兵というような言葉で呼びながらCIAの工作を十分して、あそこにつくり上げたパーレビ王制、それがイスラム革命で倒されてしまった。そしていまバザルガン政権という、比較的近代主義的なあるいは合理主義的な物の考えをするバザルガン氏を立てて、そしてその背後にはホメイニ派のイスラムの中でも非常に厳しいシーア派のイスラム勢力がバックしている。こういう状況であり、また、それだけじゃなくて、左翼勢力というものが数は少なくても相当強力なものがあるように思われますね。たとえばソ連と結びついているツデー党といいます共産党のほかに、テヘラン大学の構内に寄っている左翼ゲリラと呼ばれている中に幾つかのフラクションがあると思うんですけれども、それらはパーレビ王制を倒すまではホメイニ派と目的は一つだった。しかし、パーレビを追放して王制を倒してしまった後、今後のイランの政権をどうしようかということについては、左翼ゲリラあるいは共産党、あるいはもう少し穏健な左翼もあるようですが、そういうものの間では、バザルガンを後方から支えているホメイニの態度に対して飽き足らないものがある。今後、だから、どういうことが起こるかもわからないような情勢ではないかというふうに思うんですが、政府は、そういう際に、やはりこれは国家の資金をつぎ込み、そしてあすこに進出している日本の企業を守っていく必要があり、そうしなければならないというふうに思っていらっしゃるのか、イランの政情の分析をどう思っていらっしゃるのか、両方あわせて伺いたいと思います。
#30
○国務大臣(園田直君) イランの新政権については、一つは治安の問題があるわけであります。その治安の問題も大きく分けて二つございます。ホメイニ師を取り巻く側近派というか、回教共和国ということで徹底していけというグループ、それからもう一つは左翼勢力のグループ。ともに多量の兵器を持っておりまして、治安がなかなか回復をしないばかりでなく、ホメイニ師を取り巻く側近派は勝手に裁判をやったり逮捕したりという状態が繰り返されたわけであります。その中に総理の辞任説まで出てくるというような状況でありましたけれども、その後、ホメイニ師は総理を支持するという意思表明をいたしましたから少し方向は決まってはきたものの、その治安回復後の今度は経済再建、こういうことを考えますると、なかなか流動的であって、非常な注意力を持ってこれを見守る必要があると見ております。
 なお、お尋ねの石油化学プロジェクトの問題であります。先般、八尋社長が向こうへ行きまして、十九日に帰ってまいりました。所管は通産省でありますが、私の方も非常に関係がありますので、その報告によりますと、日本側としてあくまでこのプロジェクトの完成を図る、それから新政権もこれを一日も早く完成したい、こういうことで話がついておったわけでありますが、その基本方針には変わりはないが、工事現場の状態は、通関機能の低下とか、あるいは従業員の精神的疲労だとか、あるいは生活の苦しさ、こういうことから、このまま続けていくことは困難であるために、今後二、三カ月間の期間を置いて、ここでひとつもう一遍態勢の立て直しをやる必要が出てきた、そういうわけで引き揚げをやっておる。その間、全力を挙げて、できるだけ早く再び工事を続行したい。イランの方では、その状態はわかるけれども、少なくともイラン国民の従業員がおるわけでありますから、この訓練だけは切らさないでくれというような申し入れも出ているようであります。
 なお、三井の方で、これをやっていくのには政府の支援が必要であるという、新聞記事では聞きましたけれども、具体的にはまだ承っておりません。この点は、承った上で、政府としては対応の策を講じたいと考えております。
#31
○田中寿美子君 通産省の方に伺いたいんですが、あのクーデターや革命の間で破壊された石油の施設など、現地の労働力も恐らく大変にむちゃくちゃになっているだろう、そういう状況でなおそれが再建できる状況にあるのか、いまの政権のもとで、いまおっしゃったように三カ月の休業という間に現地の労働者を訓練するというようなことができるのかどうかということと、それから、それにもかかわらず、日本は、出光などが特別の価格で相当大量に長期に石油をイランから輸入する約束を取りつけたという報道もありますね、その辺のことを御説明願いたい。
 それから、時間がありませんので、ついでにもう一問だけしておきますが、これもやはり婦人問題に関係があるんですが、さきの国際婦人年メキシコ会議のときに、十年間の「国連婦人の十年」の資金として一千万ドルの拠出金を出すということになっておりまして、アメリカが二百六十万ドルの誓約をした、日本は大体百万ドルするべきもので五十四年度五十万ドルこれ取ったわけですね。イランもいち早く誓約したと思います。つまりあの当時、パーレビ王妃がメキシコ会議に出て、そして次の中間会議、八〇年にある会議はテヘランで開くんだということも宣言したし、たくさん金も出しますと大変羽ぶりのいい宣言をしたわけなんですが、そしてそれ以来、ESCAPの婦人問題センターといいますか、国連婦人センターといいますか、それもテヘランに置いていたわけなんですがね。そういうものがどうなってしまっているのかということ。
 それから、伝えられているように、イスラム共和国になった場合にチャドルを着れとか、それから離婚法を撤廃するとか、男女共学を廃止するとかという、ある意味じゃ近代化に逆行する動きがあるんですが、これに対してフランスのボーボアールなんかが連帯して婦人の権利擁護の運動を始めようというようなことを呼びかけているわけです。いまの政権が今後どうなるかということは簡単には予想できないけれども、バザルガンという人をあくまで立てながら、ホメイニ派の人たちがやはりある程度の近代化や工業化を進めなかったらやっていけないというふうに考えているのか、日本政府はそう思っていればこそ投資も続けようというんじゃないかと思うんですが、その辺を一緒にお答えいただきたいと思います。
#32
○説明員(箕輪哲君) イランの石油情勢について簡単に御報告いたします。
 イランで社会的な混乱あるいは政治的な混乱が続いている間に、イランにおきます石油の生産施設と申しますものは実は余り破壊されておらなかったようでございます。それから積み出し施設につきましても余り破壊されておりません状態でございまして、昨年の十二月末以来、輸出は全面的にストップしておったわけでございますけれども、最近に至りまして第一船が出航するというぐらいにこぎつけているようでございます。
 それで、施設がございましても、先生御指摘のように、従業員の状態というのが生産に実際影響を与えると思われますけれども、現状では、バザルガン政権が成立いたしましてから逐次従業員も復帰しておりまして、現在のところでは二百五十万バレルぐらいの生産を上げているという情報が入っております。これは最盛時に比べますと実は半分ぐらいの生産でございますが、この辺、将来石油の生産をどうするのか、あるいはその輸出をどう考えるのかという総合的なイランとしての方針というのは全貌がまだ出そろっておりませんので、現状のところでは、どうなるということはわからないと思います。
 ただ、輸出を再開するということに伴いまして、イランの国営石油会社から日本の各企業に対しましてDD取引をしたい者はすぐ来いというインビテーションレターが三週間ぐらい前でしょうか参りまして、各社それぞれ戸惑いながらも実は現地に行ってDD取引の契約をしておったというのが現状でございます。で最近に至るまで、まだ全部交渉が終わっているとは思いませんが、大筋の合意には達しておるものがかなりございます。これの詳細につきましては、実は価格面などにつきましても一二月二十六日以降の情勢を見ないとまだはっきりしたことはわからない状態のようでございますが、数量的に言いますれば、現在日本でもって日本に引いてこれるDD契約の大体の数量というのは五十万バレル・パーデーぐらいのものは一応大筋で合意に達しているというふうに聞いております。
 以上でございます。
#33
○政府委員(賀陽治憲君) ESCAPの婦人センターの御質問がございましたのでございますが、現在、イランの政情のため活動停止を余儀なくされておりますので、それにかわる措置として、暫定的にバンコクに移したらどうかということになっておるわけでございます。
 一言つけ加えさしていただきますと、このセンターとほかに開発関連の三つの研修所があるんでございますが、これを経費その他機能的な面から統合いたしまして、これらを統合いたしました新しい研修所を来年の七月から発足せしめるという構想で先般のESCAP総会で決議ができまして、現在の段階におきましては、設置場所は必ずしも明らかでございませんが、ESCAPの発想としてはやはり開発途上国にこの研修所をとどめておきたいという考えがあるようでございまして、想像でございますが、タイ、マレーシア、フィリピン等のいずれかが誘致の意向を表明しつつあるというふうに承知をしております。
#34
○戸叶武君 園田外務大臣は四月五日から十一日まで訪米の予定とのことですが、新聞では大平首相訪米の露払いというふうに書いていますが、露払いというよりはもっと重大な問題に荒削りな形で体当たりしていかなきゃならない今回の役割りではないかと思いますが、訪米中にあなたがいままで会見を約束している方は、一にカーター大統領への表敬訪問、二にバンス国務長官との会談、三にブルメンソール財務長官、四にブラウン国防長官、五にブレジンスキー大統領特別補佐官、六にストラウス大統領通商交渉特別代表というような顔ぶれと思いますが、その他、どういう方々にお目にかかるつもりでおりますか。
#35
○国務大臣(園田直君) 国会中でございますから、御相談ができれば、なるべく早く四月の初めごろに伺いたいと思っておりますが、まだ日程の詰め、それから向こうへ行ってからお会いする人々等は、いま外交チャネルを通じて当たっておるところでありまして、まだ決定はいたしておりません。
#36
○戸叶武君 日本の国内及びアメリカ等で一番問題にしている点は、日米両国間の経済摩擦の解消ということを大きく取り上げるんじゃないかと言われておりますが、単にそれだけでなく、一にアジアの安全保障の問題、二にインドシナ情勢、特にベトナムその他の動き、三に朝鮮半島の南北対話の促進の問題、四に中国を支援する経済協力の強化並びにその限界の問題、五にイラン情勢に対する見通し、六に中東和平に対する協力の仕方だと思います。
 第一のアジアの安全保障の問題に関して、大平首相と園田外務大臣との間にはいままでに十分な打ち合わせがなされているものと思いますが、最近における大平内閣のこの数日間の国会並びに防衛大学等における首相その他の言動を見ると、大平さんがハトからいつの間にかタカに変わってしまった、変身だ、と一般が受けとめているようなものもありますので、外交、防衛の問題に対しては、その国の基本的な精神というものがあるはずでありまして、それが絶えず揺すぶられ動揺しているような形は国民の間にも不信感が生まれ、外国からも非常な誤解を招く危険性があると思いますが、そのような危険はない、それはげすの勘ぐりだというふうに思っておられますかどうですか。一般の受けとめ方は、とにかく大平さんの変身――園田さんの変身とまでは書いてないが、やはり園田さんは福田さんにも忠実な方であり、最後には相当大平さんとともに自重を促した向きもありますけれども、この辺は微妙なことですから、御本人からその真意のほどを伺いたいと思います。
#37
○国務大臣(園田直君) 御発言のとおりでありまして、日米間には相当緊迫した経済問題がありますけれども、向こうへ参りましたら、二国間問題よりも、日米が協力をしていかように世界の経済不況打開、世界の平和に貢献できるかということが主眼でなければならぬと考えております。
 総理とはしばしば御意見を承り、また、行く前には詳細に打ち合わせをして行くわけでありますが、一国の外交が半年や一年で変わるということはあってはならぬことでありまするし、また、大平総理の方針が変わったとはいささかも考えておりません。あくまで平和追求、平和外交、この線でもろもろの話をしていきたいと考えております。
#38
○戸叶武君 相撲にもかたい型とやわらかい型があって、大平さんはやわらかな柔軟な型であるから、よろめく形がそのまますぐに敏感に大衆には映るのかもしれないし、福田さんは聡明な方だが、なかなか一こくな面もあって、タカ派的な実体がやはり備わっていたような感じがするんですけれども、ハトがタカになってみたところでハトはハト、タカがハトになってみたところでやはりタカはタカで、たかが知れたことですが、こういうわけで私はその本質というものはそうは変わらないと思いますけれども、表現が余り突然なので、結局、大平さんは、福田さんと同様に、自民党のタカ派的体質、危機感というものを対外政策で方向変えをやろうと――昔よく戦争の方へ持っていったんですが、そういう人々の揺すぶりに対応しなければならないやむなき姿勢がそういうふうにあらわれたのかと思いますが、あたり迷惑な点もあります。
 今後の日本というものは、あなたがいまハイモラルな形で示したような、高い次元で日本の外交、防衛の問題を論じていかなければ、何にもないんですから、武力は。そういう武力はないけれども、民族の再びばかげた戦争はさせない、このことがアメリカにとってもソ連にとっても大切なことであり、ソ連やアメリカの最高の指揮者はそのことはわかっているはずだが、やはりときどきは愚論に迎合しなきゃならないので、いろいろなゼスチュアをしないと商売にならないので、政治家特有のゼスチュアが起きるのだが、ゼスチュアじゃ済まなくなったときには大変です。
 そういう点において、行く前によく十分二人だけでも語り合って下さい、私たちは一々のぞき込みはやりませんから。そのかわり、私は、最後の日中平和友好条約締結の際における福田さんとあなたの間にやっぱりギャップができた、深まりはしなかったけれども、やはり中曽根君は安倍君たち、岸さん周囲の人たちの考え方との間には聡明な福田さんにも若干ギャップがあり、それが外交政策の方にも及ぶ危険性はあったと思います。そのときに、あなただけでなく、大平さんも相当相手を刺激しない範囲内で柔軟に日中平和友好条約の問題の締結に協力していったと思います。そこいらにまだ自民党は、私らは若干批判派で厳しいですけれども、国民は、捨てたものじゃない面もやや残っているという微妙な受けとめ方が今日の大平内閣を支えている一つの面だと私は思います。しかし、そうでないと、福田さんの末期における、総裁長期政権を目指しての野望というものがあからさまに出てきて、側近のあさはかな人々の考え方に揺すぶられてしまったということが、日本の大衆、マスコミは、当てにならないような面があるが、非常に当てになる点は常識を持っていることです。やはり抑えがきいたと思うんです。今度、大平さんがまた福田さんのような、同じやはり次期政権を目指しての野望によって胴ぶるいしてしまったというと、これはやはりそこに狂いが生じ、きしみが生じますから、その辺は、福田さんで苦い経験を持って、忠犬ハチ公と言うと怒られますが、とにかく忠実に国の方針は誤まらなかったと思います。いまその大平、園田さん、両見識人と国民がやや見ていた思慮の深いと思われる人に、何か浅瀬が出てしまうと、国民はやはり政治不信感を強めて、むなしさをそこに感じてくると思うんです。非常に危険なときになっておるのです。
 戦争というものは、発火してからはなかなかとめられません。私たちはやはり盧溝橋事件前後において、軍の中に、参謀本部においては石原莞爾、陸軍省の軍務局長には柴山兼四郎君のような不拡大主義者があっても、前線連隊長の牟田口君、それに呼応するわんさ組に、軍の体質に押されてあの戦争へと突入してしまったんです。愛国を看板とする人は、街頭におけるあのラッパ吹き、強力な大声でどなっている商売人とは別に、選挙を前に非常に大衆をばかにしたひとつの危機感だけをあおって、祖国並びに世界の運命ということを長期的に考えないあさはかなポリティシャンが多いと思いますが、民主政治と言っても一個の衆愚政治的な面がかなり政党政治の中には露呈してきておるのであります。そういうときに、せめて一国の総理大臣なり外務大臣が体を張っても日本の憲法を守り、変な形で皇室なんかを利用しないで、昔の教育勅語や軍人に賜る勅語なんかは引用しないで、われわれはいままで外交、防衛の問題は平和憲法を基点として論じてきたんです。それで核拡散防止条約なり不拡散の決議なりをやって、外交、防衛の問題を世界に示してきた日本が、いまごろになってうろちょろしたらざまは見られないです。やっぱり正体見たり枯れ尾花じゃないが、日本人というのは信用できないんだという形で世界から相手にされないと思います。あなたには余り説く必要はないが、その辺のことをひとつじかに、福田さんでこりたでしょうから、今度は大平さんあなたもですかと、そういうことはないでしょうがという質問があったから、本人から聞かなければわからないからお聞きします、場合によっては国のために大いに論じましょうというところまでひとつ突っ込んでもらいたいと思うんですが、いかがなものでしょうか。
#39
○国務大臣(園田直君) 日本の進路は、世界の平和の中にのみ日本の平和と繁栄があるということは、これは揺るぎのない一点であり、方針であります。大平総理もその点は非常にかたい決意と私は承っております。十分その点も相談をしてまいります。
#40
○戸叶武君 大平さんは名字から大平というんで、チンピラとは書いてないんだから、やはりひとつの大平らしい、スローであっても慎重に、そそっかしい言動はとらないように、野党の私から、遠くの方からひとつ大平さんチンピラにならないでくれという意見もありますからということだけお伝えをその機会に願いたいのであります。
 そこで、最近、フォードさんも参りました。フォードさんと一緒にきのうは帝国ホテルで、アメリカ側の学者の方からお話も聞いたんですが、みんな厳しいカーター批判です。しかし、カーターさんという人にはどこかやぼったいけど率直なところがあるんで、そこいらが私はあか抜けないけれども、何か純情掬すべきものがあると思うんですけれども、アメリカから国際法学者の若手で、ライシャワーさんの弟子ですが、日本やソ連や中国等を歩いているカーター君という若手の学者がいますが、カーターというのは聞いたことのある名字だが、君も大統領と同じ名字かいと言ったら、そうだと、じゃ先祖は馬の方に関係がある馬車引きかなと、そういう庶民の心がカーターさんの中には流れているから、やはり悍馬をうまく乗りこなすわざだけは持っているだろうとかねがね私は見ておったんですが、きのうおいでになった学者の説だと、まるでなってないような話なんで、アメリカは言論の自由があって、われわれもずいぶん遠慮しいしい物を言っているけれども、うらやましい国だなと思いました。
 その学者の人は、アメリカの外交政策にいま三つカーターの周辺に流れがある。甘い考えで世界じゅうの人たちに喜ばれるような方向に外交を持っていこうとしているカーターさんの側近の考え方がその一つであるし、もう一つは、もっと手厳しい形において、タカ派的な考え方でソ連をアメリカと中国と日本と組んで締めつけていこう、特にイラン革命以後における石油問題をめぐっては、場合によっては武力を使ってもソ連をこらしめてやらなければいかぬというふうな考え方であり、もう一つは、いまの国務長官のような慎重で事務型のタイプの流れだというふうに見ておりまして、いずれも不徹底のような、ずいぶん手厳しい批判を下しておりましたが、ソ連側を一番刺激しているのは、いまのカーターさんの周囲の中における第二のグループであるところの人々の軍事的なアメリカ、中国、日本並びに中東における態度で、ソ連をダレスの封じ込めとは違うが、やはり軍事的に包囲しようという策というふうに見ておって、このことは非常に危険な冒険を伴うというふうにも言っておりましたが、フォードさんの話を聞いてみても、この学者の方ほど露骨には言ってないが、大分カーターさんはカーターでなくガタガタだというふうな見方で、すべてやることが少し甘いというふうな見方に見ておりました。
 あなたは外務大臣で、われわれ野党のように思い切った本当のことは言えないと思いますが、どうです、アメリカは、カーターさんは何とか押っつけると思いますが、押っつけてみても、アラブとイスラエルで、アラブの中にも分裂があるし、いろいろイラン革命後におけるところのイラン、イラク、その他の石油産油国の動静というものは相当私はむずかしい情勢が潜在していると思いますが、園田さんはわりあいに率直な方ですが、あなたはどういうふうに見ておりますか。このアメリカの中東政策並びにベトナムに行っている政策、そういうものの根源は、その学者先生――名前は遠慮します、及びその他のカーター批判派は、あたかも中国をアメリカが承認し、台湾をおろそかにしたのが大きな間違いだと言わぬばかりのことを言い、日本のタカ派と称する人もソ連に呼応していま盛り返し策をやっているようですが、どうも世界のこと、アメリカのこと、日本のこと、皆海の水がつながっているように一緒に揺れているんですが、その点をどういうふうにあなたは分析し、見通しを持っておりますか。
#41
○国務大臣(園田直君) 中東の問題は非常に複雑な様相がありますので、にわかに断定できるところではありませんけれども、今度のカーター大統領の中東訪問によって平和条約締結の線が大きく開かれ、それをもとにして包括和平の方向に一歩前進したと見ておるわけであります。これに対して将来なかなか大変な問題を含んでいるわけでありますが、それ以上のことは私としてはお答えはできる筋合いではございません。
#42
○戸叶武君 これは外務大臣が微妙な立場にいるので、これ以上突っ込んで聞くことは無理だから、ひとり言でも言って反応を見るより仕方ないかもしれません。
 とにかく園田さんは非常なむずかしい問題に体当たりでぶつかっているんで、ソ連側でも、去年の一月のときのあのさっそうたるあなたの突っ込み、日中平和友好条約を結んだ前後の園田、いまになっての園田さんの姿勢にわりあいに一貫性があるんで、ソ連側からもこれは相当な男だわいというふうに見直されているのも事実ですが、ソ連にほめられても、ソ連にほめられるとろくなことはない場合もありますから気をつけなければなりませんけれども、やはりそこいらに世界じゅうが本当に相手を理解しようと努めないで、そそっかしく相互不信感がつのっているところにいまの世界の悪気流があるんだと思います。
 官僚なりエリートには頭のいい人がありますが、外務官僚や大蔵官僚、通産官僚なんてみんな秀才ですが、あのダグラスや何かのいろんなもの、裁判や国会のあれを見ていると、官僚は隠れてはいるけれども、くだらない政治家、くだらない商人に手玉にとられて押し流されていくいまの日本の国家体制、ビューロクラシーというか、それよりももっと悪質なものになって、権力に弱くて、見識を具備してないで、政治屋にでもなればうまいことがやれるというふうに、フランスやイギリスの官僚と違って、忠実に国家のために、ガバメントのために忠誠を誓う人が少なくなって、政治家だけが悪党のように言われるが、政治家よりももっと私はいま道義が退廃してきたところに、いまの政治不信の根底においては、やはり政治家や大企業だけでなく、日本のガバメントを忠実に守らなけりゃならない人の中にも、それじゃやっていけない、結局、立身出世のために要領よくやっていかなきゃならないところに、いまおおむね選挙でこれから知事でも市長でも、しまいには国会議員でも、みんな官僚がなってしまうかもしれない。こんなばかげた化け物のような民主主義国家というのは世界じゅうにない奇形的な存在です。そういうリーダーシップはない、責任は持たない、わき役で隠れてうまいことでもやっていこう、あとのしりぬぐいは政治家の方が少し抜けててずうずうしいところがあるから、その方へ頼もう、財界人の方はこすっからいからその方へ頼もうということになっちゃ、一体、日本の国の政治をだれがやっているのか。ガバナビリティーなんて言う人があるが、ガバナビリティーかカバのビリっかすかわからないけれども、とにかく本当にガバメントはどうあるべきか、ステーツマンはどうあるべきか、外交、防衛の問題はどうあるべきかということをもっとしっかり、何かつるし上げだけをやるようなやくざ戦法の論戦でなくて、もっと静かに考えなければ、今日の政治に大衆が愛想を尽かしているんだから、どこに発火点が生ずるかわからないような私は不気味なものがいま出てきていると思うんです。
 それで、われわれは抽象的なイデオロギー論争や観念的な宗教論争よりも、常識的に具体的に現在われわれの生活、われわれの安全と関係のある外交、防衛の問題でもっと具体的な、もっと大衆にわかりやすいような的確な表現でその国の構えというものをやはりしっかり浸透させなけりゃ、これは下は庶民から上は天皇の名によって象徴化されている人でもかないませんよ。翻弄され尽くしてむなしさを感じて、その上においてつぶれちゃうんです。
 きのうも、私は、よほどアメリカの学者に言いたいと思いましたが、遠慮しましたが、日本の方でもこれは気をつけなきやならないと思いますが、CIAの脅えているように、イランのシャー、王様をアメリカが捨てないで守っていた方があれほどのイランの不安定はできなかったんじゃないか。あのイランの失敗のようなことを朝鮮でしてしまったら大変だから、朝鮮の方はもっとイランのような変なことをしないように、矛盾があってもそれを守らなけりゃならないという論議のようにも見え、台湾に対してもそういう見方ですが、これが新しい植民地主義です。日本が、大隈内閣を山県と井上が化かして、加藤高明のようなイギリス流の帝国主義でもって二十一カ条を中国に突きつけたことによって百年の恨みを買ったとは、当時の外交官はイギリス本位の外交官だから、御存じなかったかもしれない。日本のためにと思ったことが百年の恨みを、日中戦争の原因をつくったことであるということに気づかなかったかもしれないが、そういうあさはかな考えでは今後の外交は私はできないと思うんです。
 あのときだってシーメンス事件は第一次戦争においてうやむやにして、いまの金にすれば二十億円ぐらいはもらっていたであろうという斎藤海軍大臣が、朝鮮には送られたが、後ではまた総理大臣になって、また後でもひどい目に遭ってはおりますけれども、何か権力を握ればどんな悪いことをやってもうやむやにできるという、この促成栽培的な、民主的基盤を持たない国における政治の間違いから、日本は取り返しのつかないような犠牲を払っているんです。私は、いま本当に日本という国を考え、きのうも、アメリカのさすが国際法学者、国際関係学者で、最後のところだけは、民主的な基盤を持たないところに民主主義というものは成熟しなかったのかもしれないという言葉だけは本当のことを学者的に言っていますが、日本においても、いまのような金のかかる選挙、田中さんでも大平さんでも大変だ、屈辱を忍びながら財界に頭を下げて金でもつくらなければ明日は吹っ飛ばされてしまう。権力を握れば金をつくらなければならない。緒方さんは、先輩はこのことをしみじみ嘆きました。これをだれも変えていこうという者がなくて、個人田中が悪い個人岸が悪い、あるいは佐藤が悪い。砂糖にアリがたかるのはあたりまえのことで、やっぱり甘くなければアリはたからない。
 岸さんのような聡明さをもっても、アメリカヘ一番最初に行ったときには、アメリカに行った総理大臣においてあれほどりっぱな演説をやった人はいないというほど率直な意見をやったものだが、ダレスさんにひねられたら、まただあっときちゃって、それ以来、アメリカ一辺倒で、岸さんというのは向こう岸に吹きつけられてしまって、アメリカ様々の言うことを聞いている。いまのアメリカがやっている要求は、岸さんが総理大臣になって最初のときにアメリカで訴えたと同じようなことを訴えるんではなくて、日本にこれをやれ、やらなければ承知しないぞという形で力み返っている。アメリカの言うことにはあたりまえの点があるが、日本が戦争で敗れて疲弊して立ち上がることもできないときに、貿易のアンバランスを是正してくれ、貿易のアンバランスを是正できないにしても、貿易外収入としての船賃だけは日本において片道だけかせがせてくれと言ってもアメリカは相手にしなかったじゃありませんか。このごろ何です、野菜といい、企業といい、何でもかんでも日本が貿易において前進したことは日本が全部悪いことのように――まあ悪いこともずいぶんやっていたから言われてもしようがない点があるでしょうが、そして自分のやるときには、ダレスなんかが、ダッチマン、大きなずうたい、高見山よりでかいようなずうたいでのしかかって、タカでもタカのひなの干物のような岸さんなんというのを見下してやったときの態度というものは、ああ日本の政治家にはなりたくないぞ、内閣総理大臣にはなりたくなかったなあと感じたが、いまになれば岸さんだって、しまったと思っているでしょうが、その後、いいことはないじゃないですか。
 アメリカもずいぶんやることはやってくれました。しかし、物の言い方、主張のすべき仕方があります。日本がアメリカのおかげでずいぶん復興したのも事実だが、DDTのような薬は、害毒があるというのでアメリカが販売禁止したやつを日本に持ち込んで、人体に、子供のシラミをとるんだ、ノミをとるんだといってぶっかけたじゃないですか。原爆を投下したと同じアジアの民衆に対する軽べつ感からやっているんです。アメリカ自身にわれわれは学ぶべきものがある、尊敬すべきものもある。しかし、いまの人種問題に対しても、貿易の問題に対しても、戦争でも、ベトナムへ黒人を第一線に入れたために、麻薬を飲ませなけりゃ、死ぬのがいやだから狂気ざたになるので、麻薬の中に――アメリカの今日のブラック・アンド・ホワイトの戦いは人種の戦いではない、白人帝国主義の他民族に対するところの害毒がこれだけのアメリカ自身の精神的な退廃を生んでいるんです。そういう意味において、私は、アジアの声を代表してか細いながら本当のことを言えるのは日本以外にいまないんじゃないですか。
 私は、そういう意味において、園田さんはソ連に行っても率直に物を言った。そこが園田のいいところだが、やっぱりアメリカに行ってあれだけのことを言うと、アメリカはソ連以上にうねぼれているから、きげんを悪くしちゃうかもしれない。長い間日本の官僚や政治家や財界人があめをなめさせていたから、急に「良薬は口に苦し」ということになるかもしれない。しかし、いまアメリカの危機だ。アジアを愛する者はアメリカとの結びつきをも愛するんであって、真のパートナーはアメリカの政策に対しても露骨に物を言わなけりゃわからないんじゃなくて、まじめな知性人の中には私はアメリカの危機を痛感している人がある、ソ連よりも早く気づくかもしれない。ソ連だって、いま変わらなけりゃ、いまどこかでマンモスか何かの展覧会をやっている、このごろだんだん寒くなったからソ連自体が今度は餓死してしまうようなことがないとも限らない、人類の歴史にはかつてあったんだから。ばかげた原爆競争より食糧の問題、エネルギーの問題、もっとまじめに全人類的な立場から、ソ連の将来のためにもというので考えさせるような動機を、アメリカやソ連なんかはどこか生活が楽だから心の一部にはゆとりがあるんだから、餓死しようとする連中じゃ聞けないかもしれないが、日本の外務大臣、変なやつが出てきて、今度は遠慮会釈もなくおれたちの前で、おれたちも考えなけりゃならないことを言っていったというだけの印象をやれば、園田さんの後で行く大平さんも楽なんじゃないでしょうか。「ああ、うう」と言っても、あうんの呼吸で物は通ずるかもしれませんから。その間の置き方をよほど気をつけて、やはりあなたほどはっきりしたことを大平さんにやらせろと言ったって、生まれ変わらなけりゃ「ああ、うう」は直りやしないんで、それは天皇が「あ、そう」と言うがごときものであるから。
 どうぞそういう点を率直に、先進国会議が開かれるというときに、ドル減らしの話ばっかりやったり、貿易の不均衡のことばっかりやってないで、アメリカとソ連の積極的な軍縮、戦争を再びすまいというまともな取っ組み方をやらせていくことが世界の平和を導く、疑心暗鬼をなくさせる一番の根本の問題だし、アメリカの婦人や青年はそれに必ず呼応するような時がいま回ってきたと思うんです、タイミングが来たと思うんです。戦場は、イスラエルやアラブ諸国との間やイランに、ベトナムと中国の間にあるんじゃなくて、モスクワとワシントンにぶち込む一つのわれわれの平和外交攻勢以外に世界を変える道はないと思うので、やはり遠慮会釈なく、私は、パートナーシップというものは茶坊主的な取り巻き精神じゃない、本当にアメリカとソ連が変わればわれわれももちろん変わっていく。われわれが変わらないでアメリカ、ソ連だけ変えろと言うことはできないが、そういうことを一発、園田さん、いままでの外務大臣の語学だけはうまいが腰の方がしっかりしていなくてというような、相撲取りでもこれはもうだめです、黒星です。
 どうぞ、そういう意味において、時が、天があなたのような野性に満ちた、本当のことを言い得る、断行し得る勇気のある人を世界は求めているんだから、ナポレオンや毛沢東のまねをしないで、もっと独自な、日本における、われわれは凡人だけれども、われわれは常識人だけれども、大衆の願っているものは常識的で具体的なものであるというふうに凡の哲学を、非凡ぶっている鼻持ちならないエリート衆に、やはりぶち込んでいくのが日本の外交攻勢の唯一の道だと私は思いますが、今度のアメリカ行きは、本舞台の前の花道が見ものだと思うので、日本に攻め込まれてからの言いわけ外交で、先進国会議を開くというのに公害問題もそっちのけにして、そうして公害関係もまたいで通るというようなことでは、先進国としての価値が何にもなくなってしまって、財界の一部あたりの恫喝に通産官僚なり政府の与党が、献金の都合もあるから胴ぶるいしてしまうんじゃ、とても外国に対しては、アメリカさんなりソ連に対しては物を言っても効果がない。むちゃなことをやれと言うんじゃないが、先進国にふさわしい国内体制だけは整えるだけの見識がなけりゃ、政府の看板はおろしてもらいたい。そういう政府は国民のためにもならないし、世界のためにもならない。いたずらに時間つぶしだけで、こういう激動の時代においては、めんどうくさいから、そういう看板は外して、一つのもっと何かやり得るものを国民が求めているのだから、それに席を譲ってもらいたいという声が必ず起きます。米騒動だって、わからないうちに起きたんじゃないですか。そういう意味において、米騒動のところから見ると天草はちょっと遠いが、海は続いているでしょうから、どうぞ東南アジアに、イランに、ベトナムに火はついているんです。韓国の周りにおいても、アメリカがやるから今度はソ連もというので戦争をやるほどばかじゃないでしょうが、両方でおどかしっこの演習をやっていれば、私は、危険な事態が生まれてからでは、火事が起きてから拍子木を鳴らしているんでは何にもならぬと思います。
 時間が来たと言いますから、一分でお答え願います。私は、もうむなしいから、ひとつ園田さんだけ、聞いてくれようが聞いてくれまいが、物を言っていればどこかで思い出すから、その瞬間が大切だと思ったから、いま私はむなしいと知りながらも、あなたにぶち込んだんです。一分でも二分でもいいです、時間は長いことは必要としません、実のある答弁を願います。
#43
○国務大臣(園田直君) 広範にわたる御意見、言外、言内両面から謹んで拝聴いたしました。御意見を十分承って、今後の諸問題に対処したいと考えております。ありがとうございました。
#44
○戸叶武君 結構です。
#45
○渋谷邦彦君 最初にお尋ねしたいことは、本来ならば大平総理もしくは山下防衛庁長官に伺うのが筋かと思いますけれども、外務大臣は国防会議の議員のメンバーであるという立場に立って確認をしたいという、そういう気持ちからお聞きしたいわけであります。
 一昨日の防衛大学の卒業式に臨んだ大平さんの演説の内容、おやつとこう目を疑うような内容ではなかったかという強烈な印象を受けるわけです。あるいはその受ける印象というのは各人皆とり方は違うかもしれませんけれども、従来のありふれた内容とは違って、結論的に言うなれば、今後のわが国の防衛力というものは、質的な向上を図りつつ、また抑止力というものを十分考えた、そういう体制をつくり上げていかなければならない、そういう趣旨の御発言であったろうと私は思うんです、発言の内容の趣旨、伝えられるところはいま手元に持っておりますけれども。
 さて、この真の抑止力ということになりますと、一体、何を意味するのか。大変通常兵器も高度化されてまいりました。しかし、いま力の均衡と言われる背景には、核ということがすぐ私たちの頭の中に思い浮かんでくるわけであります。もう最近になりましてからも、しばしばアメリカ側から沖繩に核があるとかないとかという、その風評がしきりに伝えられてくるわけです。当然、これは事前協議の対象だということで、政府側としてはそんなことの事実はありませんという繰り返しの、そういう答えがはね返ってまいります。しかし、実際そうした問題については、事実確認ということはアメリカ側でも拒否するであろうということは、これは常識でございましょう。ただ、われわれの不安というものがぬぐい切れないのは、韓国からの米軍撤退に伴うその兵力の問題もそうでしょうし、あるいは核の問題をどう処理されていくんであろうか、これが依然としてぬぐい切れない疑惑を持ったまま現在を実は迎えているわけです。
 そうしたその背景の中で、大平さんがどういうふうな発想の展開をされたのか、いやもともとそういう考え方があったのか、その辺の真意は定かではないようであります。しかし、抑止力ということになりますと、今日での常識は核ということに結びつくのはもう当然の帰結ではなかろうか、このように実は思えてならない。そうした点について、外務大臣としても、今後の防衛外交という一翼を担う責任者のお立場から、こうした内容についても恐らくいろんな角度から御判断になっていらっしゃるんではないだろうか。真意をお尋ねするということは、これは大平さん自身にお聞きしなければ、とかくのことは恐らく御答弁できないだろうと思いますけれども、しかし、やはり国防会議の議員のメンバーとして、当然、その責任ある御判断というものをお持ちじゃないだろうかということで、大変気になっていたものですから、まず、その点についての御所見を伺わさしていただきたい、こう思うわけでございます。
#46
○国務大臣(園田直君) 総理大臣の防衛大学卒業式における訓示、これは防衛大学の卒業式でありますから、その背景は考えるわけでありますが、その中で取り上げられたその言葉を私が拝聴したところでは、専守防衛を目的とするわが国の防衛力は、他国に脅威を与えるものではないが、真に抑止力たり得るものでなければなりませんということや、あるいは総合安全保障戦略の根幹が防衛力だということに対する御懸念かと存じます。
 第一に、安全保障というものの総合的なものは、逐次、軍事力から政治、経済の方に重点が変わりつつあると私は考えております。かつまた、その安全保障というものは、戦うことが目的ではなくて、戦いを起こさないことが目的である。第二番目には、抑止力という言葉は表現がきわめて簡潔でありますけれども、やはりわが国の抑止力というのは憲法なり専守防御ということから考えて、わが自衛隊の持つ抑止力というのは通常兵器による抑止力、しかも一国によって抑止力というものの目的を果たそうとするものではなくて、日米関係を基軸とした抑止力だと、このように考えておりまして、総理の訓示もそういう趣旨のものかと私は拝承しておったわけでございます。
#47
○渋谷邦彦君 これ以上あるいはお尋ねできないかと思うんですが、いま御答弁の中にもございましたように、国際緊張の緩和あるいは今後の世界平和のあり方というのは、政治あるいは経済というものを主体に置いて戦争というものを事前に防ぐ、これはもう当然今日の私どもの常識として受けとめているわけでございますけれども、ただ、国際間の緊張緩和ということは、従来は、特に米ソ間においては核の保有、こうしたことが実はそれをすりかえて考えれば、国際緊張の緩和につながるんだということも言われてきているわけです。
 いま、申し上げるまでもないことでありますけれども、日本を取り巻く環境というものは非常に激変しているわけですね。対ソビエトの問題もございましょうし、あるいは対東南アジア地域の問題等もございましょう。なかんずく対ソという問題、あるいは先般大変問題になりました国後、択捉島において軍事基地の強化というような一連の出来事がありますだけに、日本としては、恐らく大平さんの胸中にも、その辺のバランスをとるためにはという御意思があるのではないかなあということが考えられてならないわけですね。
 が、しかし、どこまで突っ込んだ真の抑止力、と言うと、言葉だけをとらまえてああだこうだという議論はいかがなものかとは思いますけれども、ただし、いままで使いなれてきた中では、抑止力と言えば、高度化された通常兵器よりも、核兵器によるバランス・オブ・パワーという、こうしたことに使われることの方が非常に主体性があったんではないだろうかということが心配でありますがゆえに、日米安全保障条約の関連等も踏まえ、また山下防衛庁長官は地域分担ということも非常に強調されている、その一翼を担う意味からも、日本は日本として専守防衛なら専守防衛というこれからの方針というものを堅持する上からも、やはりある意味においての力というものをつけていかなければならないだろう、その力とは、一体、何だということになりますと、現在の日本の防衛力で果たして緊張緩和への抑止たり得るだけの能力というものがあるだろうかというのは、これはだれしもが疑問に持っているところでございます。そうした面を考えますと、果たしていま外務大臣が申されたそうした判断でわれわれが受けとめていいものかどうなのか、いかがなものでしょうか。
#48
○国務大臣(園田直君) これ以上は誤解を受けるからお答えは慎んだ方がいいと存じますけれども、いまの御懸念は総理にもよくお伝えをいたしておきます。
#49
○渋谷邦彦君 大変慎重なお答えが返ってきたわけですが、防衛庁長官と大平総理のごあいさつというのはきわめて脈絡のあるお話ではないだろうか。園田さん御自身が先ほど冒頭に申し上げたように国防会議議員のメンバーであるとするならば、必ずやその相談にもあずかって、防衛大学というような一つの公の場所でございますので、その発言というものは大変大きな影響力を持つということは御否定なさらないと思うんです。アメリカの例を見るまでもなく、士官学校の卒業式だとか海軍兵学校の卒業式なんというときに、大統領あたりが臨んで発表されるその所信というものは非常に対外的にも大きな影響力を持つわけでございますし、日本の場合であっても、それは例外ではないだろう、単に防衛大学における卒業式の一あいさつとは私は受けとめられない、このように思うんですが、やはりそれ以上のことは、いろいろ問題が引き起こる危険性があるという大変な配慮があると思うんですが、おっしゃれないということは、こちらもまたおっしゃれない理由が何だろうと、またそこに疑惑が疑惑を生み、波紋が波紋を生むというようなことになりかねないかと、むしろその方が心配じゃないか。ではないだろうかという、断定でなくて結構でございますので、そうした園田さん御自身が受けとめた判断で私は結構だと思うんです。重ねて、大変気になる問題でありますだけに、いかがでございましょうか、腹のうちをひとつお聞かせをいただきたい。
#50
○国務大臣(園田直君) 米国における士官学校その他の大統領の訓辞、式辞というものは、これはおっしゃるとおりに米国の軍事方略に対する基本方針を宣明する場所に使われることが非常に強いと思います。日本の方はそうではなくて、卒業式の訓辞とお受け取りになっていただいた方がいいんじゃないかと思いますが、防衛庁長官の式辞、総理の訓辞等は、防衛会議やあるいは関係会議にかかって検討されることはいままで慣例としてございません。したがいまして新聞で私も承ったようなことでありまして、私が誤解を受けるからお答えをしないというのは、心配があるからしないというわけではなくて、とかく私の言葉というものはどうもいろいろ波紋を呼ぶくせがありますから、そういうことを心配して答えないという他意のないものでございます。御理解を願いたいと思います。
#51
○渋谷邦彦君 大変くどくどしいことを申し上げて恐縮なんですけれども、日本の防衛大学の卒業式におけるあいさつというものが単なる訓辞ということでは私はやはり済まない情勢に置かれているんではないだろうかというふうに思います。
 やはり大平さん、一国を代表する最高責任者の発言というものは、たとえどういう場所でお話しになろうとも、これは非常に日本国内はもとより世界的に大きな影響力を持つであろうことは当然私たちの常識として受けとめるべき問題であろう、こうも思いますし、もう一つ、外務大臣が発言されることがよく誤解を招くと言われている御心配があるようですけれども、しかし、それは私は違うと思うんですね。それは正当にわれわれはいままでの御発言というものは評価しているつもりでございます。なればこそ、いま心のうちをということをあえてお尋ねしたゆえんがそこにあるわけでございまして、決して御遠慮なさる必要は私はないんではないだろうか。いわんや、しばしば当委員会におきましても繰り返し話題になりますように、今後の日本の外交、防衛というものは非常に大きなウエートを持つがゆえに、決して園田さん御自身としても軽視しているわけでもない、むしろもっともっと深刻に現在の成り行きというものを受けとめていられるはずであるし、たまたまそうした機会に大平さんの発言がああした形になってあらわれたというところに、私は今後の政府自身の大きな一つの路線の変更を示すものではないだろうか、こういうふうに受けとめたわけです。
#52
○国務大臣(園田直君) ただいまの御発言の中で、この防衛大学における総理、防衛庁長官等の訓辞、特に総理の訓辞等は、単に卒業生に対する訓辞ではなくて、アジアの諸国あるいはその他の国々にどのような影響を与えるかという消極的な意味ではなくて、むしろ日本の平和外交というものを理解せしめるという意味で今後やるべきであるということは全く同意見でございます。
 今度総理のなさった演説で、総理の方針が変わったとか、あるいは外交、防衛に関する基礎的な立場が変わったとか、そのようには理解いたしておりません。
#53
○渋谷邦彦君 いずれ今後の時間的な経過の中で、あるいは大平総理が申されたこの真意というものが何らかの形で具体化するであろうというふうにも考えられますので、また時を改めて大平総理御自身に伺う機会もあろうかと思いますので、この問題は、一応、この程度にとどめておきたいと存じます。
 第二点の問題、これはいま当面日本の外交課題として非常に大きな問題でありますサミットでありますが、あと三カ月後において東京で開かれる予定で、それに先立って園田さん御自身がいろんな事前の予備折衝という形で近く訪米されるというふうに伺っております。
 ただ、いろいろいままで伝えられる事柄の中で、東京のサミットというのは非常に日本にとっては厳しい会議になるのではないだろうかということが、いろんな分析を踏まえて、いろんな角度から伝えられているわけでございます。なかんずく貿易収支にまつわる問題については、昨年七月ボンにおいて開催された際の福田前総理の約束事が果たされないという、そういう不満もございましょうし、あるいはアメリカ自体がもうすでにインフレ状況を示している。そのインフレの中で依然として累積赤字がどんどんふえていっている、もうすでに二百八十四億ドルですか、去年一年間での累積赤字が。その中で対日赤字が約四〇%を占めているというようなことを考えますと、依然として暗雲漂う中で、少しも日本は責任ある義務というものを履行してくれないという、そういう考え方の中でサミットが開かれるとするならば、日本にとっては相当厳しい突き上げというか拘束というか注文というか、そういう問題が展開されるおそれが必然的に考えられるであろう。いま外務省としては、そうしたこの一年間の経過を振り返りつつ、今後のサミットというきわめて重要な会議に臨むに当たって、どういういま対応策を考えられているのか、まず総括的に、基本的にどう取り組まれるのかということを最初に伺っておきたいと思います。
#54
○国務大臣(園田直君) サミットは、御承知のとおりに、過去におきましては、世界経済不況打開という一つの大きな目的のためではありますけれども、それぞれ参加国に対する要求やその他から出てきたような気がいたします。その後、だんだん回を重ねるに従いまして、お互いが参加国の非を鳴らすだけでは世界経済の不況の打開はできない、したがって参加国がそれぞれなすべき分担を分け合って、みんなが協力をして世界不況を打開しようという方向に変わってきた。これがサミットの精神だと存じます。
 そこで、たとえばドルの問題にいたしましても、世界の基軸通貨であるドルというものの動向によって直ちにこれは響くわけでありますが、ドルがしっかりしなくてはならぬという場面もありましたけれども、その後は参加国がどう協力してドルの安定を図るかという方向に変わってきております。そこで先般のサミットでは、それぞれお互いが業務を分担し合ったわけでありますけれども、これは公約であるとか条約上の義務であるとかという問題ではなくて、お互いに努力目標を示したものであるというのが各国の解釈であります。したがいまして二国間としては米国と日本の貿易の不均衡、これは逐次縮小される傾向にはありまして、専門家はこれについてはいろいろ評価をしているところでありますが、ECの方は、どうもこれが減らないばかりでなく、少しまたふえる傾向にもある、計算の相違がありますけれども、若干そういうところがある。こういう二国間の問題とサミットの問題は、私は、これは当然参加国は区別しているところであって、日本は七%いきませんでしたけれども、この世界経済の情勢の中で六%を超えるというところまで持っていったのは非常な努力であるということは、説明をすると、理解をしてもらえるような段階でございます。先般、安川政府代表を米国に派遣し、いままたECの方に派遣しているところでございまして、MTNの問題であるとか、関税障壁の問題については相等厳しいところではありますけれども、日本のサミット参加国としての努力はある程度理解してもらっておる、こう想像いたします。
 ただ、いまおっしゃいましたように、各国とも、昨年のサミットとことしのサミットでは、インフレの問題、雇用の問題、いろいろおのおの国内的に厳しい問題を抱えておりますから、相当厳しい雰囲気もあるとは存じますが、いま御承知のとおり第一回のサミットの準備会を東京でやるようにして、それぞれ参加国の代表が集まっているところでございます。ここで議題あるいは方針、その他のことを詰めるわけでありますけれども、個々に話し合いをし、この準備会を重ねることによって、この前のボンのサミットが準備会、話し合いの回数が多かったということが成功の一つの原因でありましたから、わが方も、この話し合いを数回重ねることによって相互理解を深め、次の方向を見出していきたい、こう考えておるところでございます。
#55
○渋谷邦彦君 いまの御答弁の端々にもうかがえるのでありますが、確かに世界の経済環境というものはむしろインフレの方向へ向きつつあるのではないかという心配がないではございません。そうした環境の中で、日本は依然として黒字国ではないだろうかと、端的に申し上げますと気に食わぬと、そうした黒字国である日本がインフレを中心とした将来展望に立つ世界経済のあり方を論議するというのは筋違いではないかというような意見もあるやに聞いておりますし、東京サミットがもうすでに開催されることも先ごろ危ぶまれたというようなことも伝えられております。そうした大変厳しい情勢の中で開かれようとするわけでありますし、いまお話がございましたように、もうアメリカからオーエン氏も来てすでに予備交渉といいますか、そういう話し合いに入った段階であるようでございます。やはりわれわれが懸念することは、相当過酷な要求を日本に突きつけられるおそれが出てきはしまいかということが心配の種であるわけです。
 果たして、貿易収支だけを考えてみた場合でも、そのバランスというものは近い将来に十分バランスがとれるという可能性、見通しというものが考えられるのかどうなのか、そのために日本はどういう対応の仕方をしなければならないのかという問題がございましょう。それから、もっと基本的には、今回のそうした各国の諸情勢、それぞれ国によっても状況の違いはあるかと思いますけれども、多分出るであろうというもろもろの要求に対して、日本としては当然出る問題というものはあらあら整理されている段階であろうというふうに思われますし、したがってそれに一体基本的にどう取り組むのか、そしてサミットの会議を成功させるためには日本としてどういう道をとらねばならないのか、すでに青写真というものはでき上がっている段階であろう、こう思うわけでございます。もちろん何もかもこうした委員会を通じて手のうちを見せるということはいかがなものかという場合もないではございませんけれども、やはり国の将来の存亡にかかわる影響を持つだけに、この点は確認をしておきたい問題の一つではなかろうか、こう思いますが、いかがでしょうか。
#56
○国務大臣(園田直君) サミットそのものが、一つの国を指定をしてその国の責任を追及するというような会議のあり方ではございません。しかし、問題がいろいろあることは事実でありまして、まず、日本の立場から言えば二つあります。
 一つは、先ほど関税と言いましたが、貿易障害、MTNをめぐるこの問題で非常に緊迫しておりますが、米国、ECに対してどのような結末をサミット前につけるか、これは非常に大事なことでございます。しかし、もっと大事なことは、いまの日本の黒字というものが、黒字が出た、そこで単年度に黒字減らしをする、そういうことではなくて、どうも構造的に黒字ができるようになっておるのではないかと、こういう認識をされている可能性が非常に強いわけであります。したがいまして、これについては日本は中期、長期の経済の展望というものを明確にして、そしてこれに対する理解を求めるということがある段階で必要ではないかと考えておるわけであります。
 そこで、サミットでは、この前も、立場がやや似ておる西独と日本が組んでなどという話もありましたが、それはあえてとらなかったところでありますが、今度も特定の国と提携をして他の国と争うとか、あるいは日本一国が袋だたきに遭うとか、そういうことにはならぬように、また、会議の雰囲気もそうじゃありませんから、世界経済不況打開のためにどのようにお互いが責任を果たし合うか、こういうことから話を進めていきたいと考えております。
#57
○渋谷邦彦君 おっしゃるとおりだと思うのですね。単に貿易収支のアンバランスを是正するだけがサミットの会議の本来の性格ではなかろうというふうに私ども受けとめておりますし、願わくは、いま政治的にも経済的にも大変秩序が混乱しているというこの情勢の中で、経済問題がその国々に及ぼす影響というものを考えますと、これはもちろん無視できない。そのほかに、エネルギーの問題は当然出てまいりましょう。これに関連する問題として中東を中心とする今後の成り行きいかん、また、このサミットが果たせる役割りというものは何だろうという、可能な限りの対応手段というものが考えられてもいいはずであろう。また、そうでなければ、サミットの会議なんというものは何にも意味がないではないだろうか。やはりそれだけのイニシアチブをとって世界の秩序を確立する働きを持つならば、当然、あらゆる問題というものが討議の対象になって今後の秩序整備のために取り組まなければならぬ。それは南北問題もそうでございましょう。
 そうしたいま多くの問題がある中で、あれもこれもというふうに一概に手がけて結論が出ないままに、ああこれで会議は終わったと、少なくとも従来行われたサミットの効果というものは、端的に言うならば、あったんだろうかという疑問があるのですね。やはりせっかくやるからには、一歩でも二歩でも、経済的にあるいは政治的に、あるいは南北問題の解決の上からも、あるいはエネルギー問題の確保の上からも、何らかの形で効果ある、実りある成果というものが逐次あらわれてくるというのが本来のあり方ではなかろうか。しかし、残念ながら、今回で何回目ですか、毎年のように行われているサミットの効果というのは全くないと  これは言い過ぎかもしれません。ただ会って話し合えばそれなりの効果があるでは、激変するこの国際情勢に対応できないということはこれは常識だろうと思うのですね。
 したがいまして、私があえてそのことをお尋ねした理由というのは、せっかく東京で開かれる、ならば、それなりの、日本でやっただけのその効果というものが具体的に、今後、半年後あるいは一年後二年後三年後という、その経過の中であらわれていく、そういうものを私たちは大変期待したいわけなんです。果たしてその期待というものが考えられるのかどうなのか、その辺はいままでのいろんな経験の中で、またいろんな参加国の日本に対する考え方というものを整理をしつつ、いま外務大臣の頭の中にはどういう一体結果をもたらすであろうかという一つの行方というものもある程度見通しが立っているんではなかろうか。差し支えない範囲で、また可能な限り、その辺の状況についてお述べをいただければ大変ありがたいと思うんです。
#58
○国務大臣(園田直君) この前のボンのサミットでも、このサミットが形式化するおそれがある、それからもう一つは、会議が終わった後、これがどのように成果を上げていくかということに対する考慮が少ないのじゃないかと、御発言のとおりのような意見が出ました。
 そこで、その点には十分注意をして、それぞれの国で、サミットが終わった後、逐次、時期を見て事務的会議を開いて、その成果があるようにやっていこう、こういうことでやったわけでありまして、それぞれの各国も、約束どおりのことはできませんでしたが、相当の成果は上げたし、かつまたその効果もあったと思いますけれども、世界経済の急激な変化がそれ以上に速かったということでありますので、幸い準備会議をこれから始めるところでありますから、そういう点を十分腹中に入れていろいろ意見を交換し、そしてどのようにやれば成果があるか、形式化しないか、こういう点をやっていきたいと考えております。
#59
○渋谷邦彦君 今回、訪米されるに当たりまして、サミットの成功というものを心の中に秘めながらおいでになるんだろうと私は思うんです。で五日間という大変短い日程でございますから、どういう方にお会いになってどういうお話し合いをされるのかはわれわれもわかりませんけれども、行かれるからには相当新たな決意を込められて臨まれるんであろうというふうに思います。
 特に、今回、行かれるに当たって、単なる根回しとかそういうことではなくして、先ほど同僚議員の質問の中でもちょっとお触れになったようでございますが、やはり特に日米が協力をしてサミットの成功をというふうに、私もし聞き違えでなければ、そういうふうにお聞きをしたわけです。そうしたこともありますので、恐らくまず日米間における調整ということ、いままでも農産物の輸入の問題を初めとしていろんなことが障壁となりつつ今日まで来ているわけでございますし、またアメリカ自体が先ほども対日赤字四〇%というようなこともありますので、相当厳しい態度を示すおそれがあるであろう。そうしたことに、日本としてもアメリカに硬化されたのでは会議の運営というものも十分な成果が上げられない、われわれなりに考えれば、そういういろんな心配を是正するためにいらっしゃるだろう。しかし、単なるそうした問題だけじゃなくて、もっと突っ込んだ話し合いをしてこられるということも考えられはしまいか。したがいまして今回の訪米に当たりまして、どういういま構想を秘められて今回の訪米に臨まれるのか、その辺お聞かせいただければありがたいと思います。
#60
○国務大臣(園田直君) 先ほど申し上げましたとおりに、私の訪米は、ただいま具体的な検討中でございます。どなたにお会いするか、その他のことを検討中ではありますけれども、第一は、日米間の関係は非常に重要でありまして、いかに重要かということは、日米両国間の利害のために重要ということではなくて、日米がいかに協力をして世界に貢献するかということが一番重要だと、これが第一の基本的な問題であると考えます。これに基づいて、そして国際情勢あるいは経済情勢、広い分野にわたって意見を交換し、これを交換することによって理解を深めたいと考えております。
 したがいまして、その一環として、いまおっしゃいましたサミットの話も当然行われると思いますけれども、サミットは主としては準備会議の方向にこれを移していって、私の主たる目的は、総理の訪米に備えて、日米間の広い視野にわたる相互理解を深めることが私の目的であると考えております。
#61
○渋谷邦彦君 きょうは、また別なことを本当は伺う予定だったんですけれども、もう持ち時間があとわずかでございます。あと二点だけちょっと論点を変えて確認しておきたいと思うんです。
 一つは、いまモスクワで新たにサケ・マスの漁業交渉に入りました。でイシコフさんから今度はカメンツェフにかわったという経過もありまして、恐らく責任者がかわることによってこれからの基本的なその方針があるいは変更があるんではないかとか、あるいは、ないであろうということが伝えられておりますことが一つ。恐らく首脳部がかわってもそう極端な変更ということはあり得ないとは思いますが、ただ、今回のサケ・マス交渉というのは非常に厳しいと、もう前年よりもさらに厳しいということが実は伝えられておりまして、関係者一同大変新しい悩みの種がまたふえたというようなことが伝えられております。
 これは通告しておりません質問でございますけれども、外務大臣はよく御存じのことでございますのでね、その辺のことを確認のつもりでいまお尋ねしております。恐らく近く協定がまたこの委員会で審議される段階になると思いますので、それに先立ちまして、現在の経過と、それからいま私が申し上げたように、伝えられるように非常に厳しい情勢になっているのかどうなのか。母川国主義というものがさらに表面化してきて、大変その中での取り決めというものが相当強硬にソビエト側としては主張を展開するであろうというふうに言われております。この辺の受けとめ方、その成り行き、展望というものをお聞かせをいただきたい。
#62
○国務大臣(園田直君) 御承知のごとく、交渉が始まっておるわけであります。ごく最近、漁業大臣がかわったわけでありますが、漁業大臣がかわったことによって私は変化はない、こう見ております。われわれとかく顔見知りであるとか、あるいは仲がいいとかということを言いますけれども、やはりそれぞれ国を代表する大臣であり、その大臣は国の方針に従ってやるわけでありまして、ソ連などという国はちゃんとした方針のもとに各省がきちっとその方針でやっておりますから、私は、大臣がかわったからといって、気持ちの上では話しやすい話しにくいはあるかもわかりませんが、変化はないと考えております。
 ただ、変化がないということは、うまくいくということではなくて、これはすぐソ連が日本に厳しいとか、あるいは、やれほかの条件があるからソ連の方が非常に冷淡になってきたとかということをとかく言われがちでありますけれども、そうではなくて、二百海里時代を迎えて、渋谷委員よく御承知のとおりに、世界各国の漁業問題というものは資源も含めて非常に厳しくなってきております。かつまた、ソ連の方の漁業及び資源、操業その他に関する方針が一貫しておりまして、その方向に向かって逐次締められてくるのではなかろうかと想像をいたしておりますので、いま始まる会議がどうなるかわかりませんけれども、相当厳しいものであるという覚悟はしなければならぬと考えております。
#63
○渋谷邦彦君 これはまた協定が議題になりましたときに、さらに審議をさしていただきたいと思います。
 最後に一点だけ。大変不幸な事件が三カ月前にエルサルバドルで起きました、誘拐事件。大変険悪な事態に入ったように伝えられております、三月二十二日の期限で云々という。情勢が急に変化して、その生命の保証が定かでないということが伝えられておりますけれども、これは簡潔にひとつ結論だけで結構でございますので、現状どうなっているのか、それで生命の保証は大丈夫なのか、現地からのいろいろな報告も入っているだろうと私は思いますので、その点だけを確認して、私の質問を終わらさしていただきたいと思います。
#64
○国務大臣(園田直君) 経過は省略をいたします。非常に心配をしましたが、一週間ぐらい前から、生命に異常はないのではなかろうか、そうしてまた釈放も近いのではなかろうかという情報が流れたことも事実であります。しかし、なおいろいろ条件がありますが、被害者側と向こうの側との連絡はなかなか緊密にはとれておりませんので、一言として言えば、情報にかかわらず、愁眉を開く段階ではない、私は、このように心配をしながら、いろいろな対応の処置をやっております。
#65
○立木洋君 いままでも当外務委員会で中国のベトナム侵略行為についていろいろお尋ねしてきたわけですが、この点については、大臣は、覇権行為であるとも言ってないし、覇権行為でないとも言ってないと、事態の推移を慎重に見守りたいというお話でありました。あれからもうすでに一カ月の経過を経ているわけですが、中越関係のこの戦争問題ですね、これについて現状どのようにお考えになっているのか、また、この問題に関して、現在の時点でどのような評価を大臣がお持ちになっているのか、最初にその点をお伺いしたいと思います。
#66
○国務大臣(園田直君) 御承知のとおりに、中国の撤退、平和会談という筋が出てきたわけでありますが、その後、なかなか思うとおり進まなかった。それがようやく中国の撤退はほぼ完全に完了したのではないか。そこでベトナム側からは、中国側から提案のあった次官級会談、二十三日にハノイ、ランソンまたは両国の合意する場所において開始する旨提案をし、他方、中国側は、少しおくれて、二十八日ごろからハノイまたは北京において会談を開始する旨回答するなど、話し合いは平和会談に向けて動きが具体化しました。中国は代表者も韓念竜次官だと発表したようでございます。
 この話し合いが早急に開始をされて、一日も早く紛争の平和的解決が図られることを念願いたしておりますが、まず、平和会談のテーブルに着くことを念願しております。これは会談が始まりましてもなかなか両方の言い分には相当の隔たりがあり、いろいろな問題があるわけでありますから困難ではありましょうけれども、平和的解決を願っておるわけでございます。
#67
○立木洋君 今度の評価という点にはまた大臣お触れにならなかったわけですが、これはもう再度お尋ねしてもお答えにならないかもしれませんが、いまの見通し、困難があるかもしれないけれども、そういう完全に撤退をした後、話し合いがスムーズにいくようにという趣旨だと賜っておりますが、今回、この見通しの問題とも関連してですが、いろいろな事態がまた想定されるだろうと思うんですね。大臣はまた来月早々アメリカにおいでになるし、アメリカでも当然この問題は話題になるだろうと思うんですが、そういうことも含めまして、日本政府としては、今後、どういう点での積極的な努力をしていくというお考えなのか、その点をお伺いしたいと思います。
#68
○国務大臣(園田直君) 中国、ベトナム両方に、一貫して、政府は、外国軍隊の撤退、停戦、平和的会談の提案をしておるわけであります。いまこういう事態になりましても、依然として変わりはございません。そこで、この両国の会談について、日本が果たすべき役割りがあれば何でもやる用意があるということだけは申し入れてありますけれども、しかし、これは二国間の問題でありますから、二国間の間に入って日本がどうこうすべき筋合いのものではない、こう考えております。
#69
○立木洋君 この点について、きょう、議論する時間的な余裕がございませんので、もうこれ以上述べませんが、そういう完全な撤退後話し合いがいく、困難な問題がありながらも解決されるということをきわめて政府としても要望しておられると。
 しかし、一方、新聞の報道によりますと、中国とラオスとの関係ですね、これはいろいろと好ましくない事態が報道されているわけですが、これについてまたこちらの見解を述べるということはいたしませんが、現在の状況は、政府としては、中国とラオスとの状態についてはどのように現状を把握しておいでになるのか、その現状の把握についてお答えいただきたいんですが。
#70
○政府委員(柳谷謙介君) 中越の戦闘が盛んになりましたころから、ラオス北部、中国との国境地帯が緊張状態にあるということがほぼ伝えられまして、いずれも正確に確認されたわけじゃございませんけれども、一部では中国の軍隊が数個師団もこちらの方にいるとかいうこと、あるいは一部国境で何か衝突があったんではないかという報道がございましたけれども、現実に衝突があったということは確認されておりません。
 一番いま注目を浴びておりますのは、やはり北部ラオスにおりました中国人の退去の問題であっったかと思います。御承知のとおり、ラオス北部に対しましては、中国が道路建設を中心にした援助をずっとやっておりまして、かなりな部分が完成していたわけでございまして、しかしながら、なお軍隊及び技術者と、こう言っているわけでございますけれども、これが最盛時には二万人ぐらい、漸次減っても数千人ぐらいいたんではないかと言われていたわけでございますけれども、最近、工事の完成その他、あるいはラオスに対するベトナムの影響力の増大等も原因かとは思われますけれども、中国人の人数は減りまして数百人と言われていたわけでございますが、最近、ラオス側がこれについて、これらの人たちに退去を求める発言をいたしまして、中国の過去の援助には感謝をするけれども、諸般の状況から見て、中国人には退去してもらいたい、こういうことを言ったわけでございますが、中国側は、これに対しまして、これはベトナムあるいはその背後にあるソ連の影響を受けたラオス政府の措置であると言って、これに激しく抗議しているようでございます。そういう状況で、ラオス北部、それからラオス・中国国境地帯、緊張はあるとは言われておりますけれども、現在のところ、これが大規模な紛争、衝突に至っているとか、あるいは至りそうであるというようなところまでの情報は持っていない実情でございます。
#71
○立木洋君 この問題は、やはり十分に日本政府としてもきちっと状況を把握して、適切な対応をすることが私は必要だろうと思うんですね。この問題に関しても、日本政府はいままでどういうふうな対応をなさったのか、もしかそういうことがあればお聞かせいただきたいし、それからまた、今後、この問題の進展の状況に応じて日本政府としてはどういうふうな対応をなさるお考えを持っておられるのか、その点もあわせてお伺いしておきたいと思います。
#72
○政府委員(柳谷謙介君) 今日までのところ、正式に日本側が外交的な措置として中国側に申し入れるとかラオス側に申し入れるということはしておりませんが、もちろんビエンチャン及び北京におきまして、先方当局から説明を聞く、あるいは情報をとるという努力はいたしておりまして、それとその他から得られる情報とをもとにして、実情の正確な把握に努力しているのが現状でございますが、かつて中越紛争においてもそうでございましたように、情勢がさらにぐあいが悪そうであるという場合におきましては、このインドシナ地域の平和と安定を願うという外交の一端といたしまして、これは必要な外交上の努力を当然しなくてはならないことになるかもしれないというふうに現在は考えております。
#73
○立木洋君 この間、去る十二日でしたか、いままでのベトナムに対する経済援助の問題で、慎重には臨みたいが、中止するという考え方はないという趣旨の話がございました。これは当然のことだろうと思うんですが、この点に関してはベトナム側にそういう意向を今日の時点で伝えられているんでしょうか。
#74
○国務大臣(園田直君) ベトナムは十分承知をしておりまするし、連絡も緊密でございます。
#75
○立木洋君 それじゃ問題は変わりますが、中東の問題でちょっとお尋ねしたいんです。
 先ほどもございましけれども、今度のいわゆる平和条約ですね、単独で行われております平和条約について、確かにイスラエルの軍隊がシナイ半島から期限を決めて段階的に撤退するというような内容については、私は、当然のことだろうと思うんです。だけど、この問題は、いわゆる中東問題全体を考えたときに、これはどういう意味合いを持つのかということは、先ほど同僚議員からの質問もございましたが、この問題に関して、今回のこうした事態の推移が公正で永続的な和平達成に役立つというふうな評価は果たしてどういうものだろうか。一面では、大臣は先ほどアラブ諸国の反発もあり、懸念のある面も表明されているわけですが、こういう公正で永続的な和平達成に役立つというふうな評価はどういうふうにお考えでしょうか。
#76
○国務大臣(園田直君) 先ほど申し上げましたとおり、いろいろの問題がこれによって起こってきているわけでありますが、この問題は、いま起こったわけではなくて、いままでの問題が大きく浮かび上がってきたわけであります。そこで、今度の両国の平和条約調印についても、そういう話し合いはなされている模様でありまして、条約調印の際に、そういう意見が発表されるものとこちらは想像しておるわけでありますが、したがって、この平和条約調印を契機に包括的和平の方に向かって進む突破口というか、一階段、一歩前進した、こういう評価をしているわけでございます。
#77
○立木洋君 しかし、これは先ほどのあれもありましたけれども、パレスチナ問題ですね、これは中東問題を解決する上で欠かすことのできないやっぱり中心的な問題の一つでありますし、ところが、当事者はこの問題に関して全く関与していない。それからまた、イスラエル軍が占領しておる他国の問題、これについてももちろん当事者は事実上参加していない状況の中で、こうしたアメリカを含む三国で話し合いが進められるというふうなことになれば、これは他のアラブ諸国がこれに対して強い反発を示すということは、私は、当然だろうと思うんですね。当事者を抜き出して、話し合いで、まだ全部が公表されていないから細部にわたっての問題はわかりませんけれども、しかし、そういう問題というのはやはり十分に考えられなければならない点だろうと思うんですが、私は、そういう意味からアラブ諸国が反発を示しているということは当然のことだろうと思うんです。
 昨年の十一月も、いわゆるアラブの首脳会議が開かれて、これらの動きについての重大な懸念を表明し、さらにはエジプトその他に関する経済措置等々、制裁措置までも考えに入れなければならないということも会議で問題になっておるわけです。こういうようなアラブ諸国の他の動きについては当然のそういう反発があり得るというふうに考えられるんですけれども、そういう他のアラブ諸国の見解については、日本の外務省としては、どのようにお考えでしょうか。
#78
○国務大臣(園田直君) 今後どうなるかわかりませんが、その反発がすでに起こっていることは、いろんな具体的事項でよくおわかりのとおりでございます。
 そこで、なかなか複雑であり、流動的でありますから注意深く見守っておりますけれども、日本は、こういうアラブ諸国に対する非常な影響があるばかりでなく、中東和平工作というふうな、このいま反対しているアラブ諸国との話し合いができなければ本当の和平は来ないわけでありますから、そういうことに配慮しながら、これを見守り、かつまた日本がなすべき役割りがあれば果たしていきたい、こう考えております。
#79
○立木洋君 これもちょっともう少し事実を確かめておきたいんですが、お考えを確かめておきたいわけですが、アメリカとしては五十億ドルですかの援助を行うことによって、新聞紙上等々では、五十億ドルの買い物なら安いもんだというふうなことまで言われておる。ところが、こういう問題について、日本に対してもその負担を分担してほしいという問題に関しては、先ほど、大臣は、そういうふうなことは考えていないし、そういうアメリカから要望があったとしても受け入れる考えはないということを明言されたわけですね、それは間違いないですね。
#80
○国務大臣(園田直君) アメリカが今度の平和条約調印で約束をした援助の金額を日本が分担するということは考えておりません。ただ、エジプトに対する経済協力援助はよく御承知のとおりでありますから、そういうことについて日本は応分の援助はしたいと考えております。
#81
○立木洋君 そのたてまえと本音なんですよ、それをはっきりさしていただきたいわけです。つまりエジプトを初めとするアラブ諸国に対しては援助をする、ところが、アメリカから言った場合には、それは受け入れないと。そのエジプトやイスラエルに対する援助はふやすお考えはございますか。
#82
○国務大臣(園田直君) それはふえるかどうかは今後の問題で、エジプトの大統領も今度訪日をされますし、いろいろ検討してからやることでございます。
#83
○立木洋君 これは日本政府もしばしば述べられているように、やっぱり海外に対する援助のあり方ですね、この点については特にその政治的な意図だとかあるいはひもつきだとか、そういうふうなことは当然排除されていかなければならない。特に、この点では、非同盟諸国等々では、日本のそういう政治的な問題と絡めたり、あるいはひもつき的な援助になりかねないあり方についてはいろいろな批判的な意見もあるわけですし、特に今度の中東の和平の問題ということを考えた場合に、今日の和平条約に関しては相当な意見の対立もあるわけですね。
 ここで日本側がどういう立場をとるかということは、中東の和平を達成するのに本当に貢献することになるのか、あるいはまた妨げることになるのかという重大なやはり問題点がここにあるだろうと思うんですね。この点は、やはり大臣が先ほど言われましたように、アメリカからどのようなそういう形での意向があろうとも、この点については明確な態度を私はとっていただきたいと思うし、中東の問題に関しては、決して石油というふうな問題だけにかかわりなく、本当の中東の和平が達成され得る方向に日本としては自主的な立場をぜひとっていただきたいということを最後に強く要望しておきたいわけですが、その点についての大臣の所見をお伺いして、質問を終わります。
#84
○国務大臣(園田直君) 経済協力援助について、日本の利害または政治的な利害によってやらないように注意しなければならぬことは御発言のとおりであります。あくまで中東の和平というものに役立つかどうか、こういうことを慎重に検討して行います。
#85
○田英夫君 久しぶりに外務委員会に出席をさしていただいて、大変勉強さしていただきましたが、いささか抽象的な質問になるわけでありますが、福田前総理大臣は全方位平和外交ということをしきりに言われたわけでありますが、全方位等距離外交ではないという言葉も予算委員会などで言われた記憶がございますけれども、大平総理はそういう言葉を使われないようであります。
 別に私は言葉の遊戯をするつもりもありませんし、外交にこの種のキャッチフレーズが必要だとも思いませんけれども、この大平内閣、外務大臣自身はおかわりになってないわけでありますが、現在もいわゆる全方位平和外交と言っていいのかどうか、いささかまさに抽象的でありますが、いかがでしょうか。
#86
○国務大臣(園田直君) そのとおりでございます。
#87
○田英夫君 これは福田前総理も等距離外交ではないということをしきりに強調されたわけでありますけれども、となると、相手国によって当然距離が違うということに解釈できるわけですけれども、これも大変大ざっぱな質問でありますけれども、世界の中でアメリカ、中国、ソ連、こう三つの国をとった場合に、その距離はどういう関係になるのでしょうか。
#88
○国務大臣(園田直君) 全方位外交というものが相手の実情やこちらの実情で等距離になかなかなれないし、また等距離でないことも御発言のとおりであります。
 そこで、具体的に名前を出されましたが、まず、米国に対して、私は、二つのことをたび重なるごとに言っております。それは中国に対する態度、これは日米中が包囲網をつくってソ連に脅威を与えたり、またはソ連にある行動をとるべきものではないということを、日本もたびあるごとに具体的にそれを示していくが、米国もそれを示される必要がある、これは意見が一致した、こういうことであります。もう一つは、中国の貿易について、日米がたたき合いをやるような愚昧なことをやってはならぬ、両方が協力して中国の近代化を助ける、こういうこと、この二つで意見が一致しておるのであります。
 ソ連に対しては、日本は、等距離外交を中国と同じようにやりたいのが日本の考え方でありますが、現状としては、そこまでなかなかいっていない、こういうことでございます。
#89
○田英夫君 確認をするようでありますが、やっぱり三つ並べるとソ連との間の距離がどうしても遠くなるということは事実だと、こう考えてもいいでしょうか。
#90
○国務大臣(園田直君) 現実に、なかなかいまのところうまくいっておらぬわけであります。
#91
○田英夫君 もう一つは、かつてはこれは国会の論戦の一つの大きな焦点にもなったわけでありますが、野党側、特に社会党的な立場から言えば、日米安保条約を基軸にするアメリカ一辺倒であるということがしばしば言われてまいりましたけれども、現在は、日本はそうしたアメリカの陣営といいますか、あるいは西側陣営、自由陣営という言葉でもいいでしょうけれども、そういう中の一員であるということが以前と同じように続いているのかどうかですね、この関係はどうでしょうか。
#92
○国務大臣(園田直君) その点は、御発言のとおり、明確でございまして西側の一員であります。そこでソ連に対しても、私は、その点だけは明確にして、日米の関係が基軸である、こういうことを明確に一番先に前提として話をしておるのであります。
#93
○田英夫君 そこで、以前と違うところは、社会主義陣営の一員であった中国と日中平和友好条約を締結したということによって非常に緊密な関係になったことと、米中国交樹立によって米中の間に一つの緊密な関係ができたということで、私は、西側陣営であるということを否定するつもりはありませんが、実は、根底からその関係は変わってきているのじゃないか、世界の構造の中で。そこのところが不明確になると非常におかしなことになるのじゃないかと思いますが、そういう意味では変わったと、こう考えてもいいでしょうか。
#94
○国務大臣(園田直君) いま御発言なさった意味では、中国ばかりでなく、非同盟諸国あるいは東欧諸国についても大きく変わっておると存じます。
#95
○田英夫君 そこで、いまも中越紛争の問題が話題になりましたけれども、中国とベトナムが戦争をするという事態について、日本の中で、いわゆる革新勢力と言われる中に非常に困惑があるということが報道をされているわけです。それは事実だろうと思いますけれども、私は、それはこうしたいままさに大臣が言われた構造の変化というものを見ないためではないだろうか。社会主義陣営だから、社会主義だから平和勢力である、社会主義だから必ず正しいという幻想にとらわれていると、非常に困迷に陥ってしまうということではないかという気がするわけでありますが、いま立木委員の御質問に対して中越紛争についての現在の御認識については伺いましたので、いささか私見を申し上げたいわけであります。
 中国・ベトナムの紛争について、日本の一般的なマスコミを中心にした姿勢というのは、中国が武力で侵攻したということに対する批判が非常に表面に出たように思いますけれども、中越紛争を論ずる場合には、私はベトナムの変貌というものを見ずして、その根底はわからないような気がするわけです。一九七五年の四月三十日にサイゴンが陥落をしたというその時点に戻って、あるいはそれから以前のベトナム戦争からそこに至る経過をたどってみないと、今回の中越紛争というものは正しく理解できないのじゃないかと思うわけです。
 これはいささか釈迦に説法でありますし、全く私の私見を御披露するわけでありますけれども、かつて一九六七年にベトナム戦争のさなかにベトナムを訪ねたことがありますが、その当時、いささか外務省には申しわけありませんが、帰りましてから、私は、アメリカが負けているということを申し上げ、議員になりましてからも、そのことを繰り返し当時の福田外務大臣にこの委員会で申し上げたことがあるわけです。しかし、当時、率直に申し上げて、日本政府、外務省の皆さんの中でそういう感覚をお持ちになった方は少ないのではないかと思います。しかし、結果はそのとおりになったわけです。いささか自画自賛でありますけれども、そのとおりになりました。
 いま改めてそういうことから振り返ってみますと、当時、パリ和平会談が始まりましてから、特に南ベトナム臨時革命政府の側の人たちは、ベトナムの統一について南ベトナムには民主連合政権をつくらなければならない、北ベトナムにはすでに社会主義政権がある、政権が違う形でまず第一段階をつくっておけば、同じ民族だから五年、十年、二十年かかっても必ず統一はできるということを言っていたわけであります。直接記憶をしておりますのはパリ和平会談の次席代表であったグエン・バン・チエンという人がおりました。この人は日本を訪問したいということをパリで私に語りましたので、そのことを予算委員会で申し上げたときに、当時の田中伊三次法務大臣は入国を認めてもいいということを言われた記憶もあるわけであります。その当時、もし彼が入国をしていたら、日本政府のベトナムに対する理解というものはもう少し変わっていたのじゃないかという気がするわけでありますが、彼が言いましたのは、まさに南ベトナムには別の政権をつくるんだ、民主連合政権をつくるのだということを言っていたわけです。それが四年前の七五年の四月三十日にあのような形で軍事的に統一が行われてしまった。その結果、ベトナムは確かに形の上では社会主義の単一政権による統一という、いわば社会主義といいますか、革新の側から見れば理想的な姿で統一ができたということが言えたのかもしれません。
 日本の多くの革新勢力の方は、そういうふうに歓迎をして受け取られたかもしれないのでありますが、実は、それは今日のベトナムの悲劇を生む原因になったんではないかという気がいたします。あのときに、当初の計画どおり、南ベトナムに民主連合政権ができていたならば様相は変わっていただろう。その背後には、ソ連の軍事的な援助、つまりソ連の軍事、政治的な目的というものが背後にあったと考えざるを得ないのでありまして、現にサイゴンに向かって進攻をした北ベトナム軍の先頭には真新しいソ連製の戦車があったということを報道されているわけであります。それが現在の中越紛争へ結びついてくるということだと私は理解をしているわけでありまして、この辺のところが日本のマスコミの報道を通じてもほとんど全く見られないということを残念に思います。
 ここまでは私見でありますけれども、現在、そういう中で、たとえば南ベトナム臨時革命政府の中に名を連ねていたような人たちが全然報道の中にも出てこない、いわゆるベトナムというハノイ政権の中に出てこない。たまにグエン・チ・ビン女史の名前がちらちら出てくるという程度のように思いますけれども、こういう状況について外務省はどういうふうにつかんでおられましょうか。
#96
○国務大臣(園田直君) 私も、いま田委員が言われたようなふうに解釈をいたしております。
#97
○田英夫君 日本の外務省の、いまはもうハノイに公館があるわけでありますし、直接情報をおとりになれる状況だと思いますけれども、日本の新聞記者の方でも最近の南ベトナムに行かれた方もあるわけで、そうしたことを伺うと、南ベトナムの状況というのはかなり不安定のようでありますし、経済的にも食糧事情その他、むしろ戦争のさなかよりもひどい部分があるということも言われているわけです。
 もう一つ伺いたいのは、先日の紛争のさなかに、ソ連の飛行機がダナンに着陸をしたとか、あるいはカムラン湾にソ連の軍艦が入ったとかいう情報が伝えられておりますが、これは事実でしょうか。
#98
○政府委員(柳谷謙介君) ダナンあるいはカムラン湾に対するソ連艦艇の動きは、私ども直接の情報としてとることはできませんので、四囲の情報を総合して判定する程度でございます。いままで得られたさまざまの情報あるいはうわさ等を総合いたしますと、当時、南シナ海を遊よくしておりましたソ連艦船の一部が、ある時期、これらの港に入っていたというかなり有力な情報はございますし、また、ソ連の輸送機が一時これらの、特にダナンの空港におりたんではないかという情報もございますが、それがいわゆる恒常的に常時入る前ぶれであるとか、いわゆる軍事基地になっていく第一歩であるかどうかという点については、これは大変な関心のある事項でございますけれども、これらについては、むしろいままでのところそうであるということを肯定するような情報は得ておりません。
 私どもも、東京及びハノイにおきまして、このうわさにつきましては、日本のみならず、アジア諸国等の非常な懸念というものを率直にベトナム側に伝えたわけでございますが、先方は、東京においての伝達に際しては、この日本側の意向は直ちに本国政府に伝達するという返事でございました。
#99
○田英夫君 先ほどベトナムに対する経済協力の問題も出ておりましたけれども、私も、むしろベトナムに対する経済協力は積極的に進めていただきたい。一時、紛争のさなかにやや制裁的な意味を込めてベトナムに対する経済協力を中止するというような報道がありましたけれども、紛争のさなかは別として、今後のことを考えますと、いま柳谷さんが言われたように、私どももソ連の軍事的なベトナムヘの進出という情報をしきりに聞くのでありまして、カムラン湾がソ連の原子力潜水艦の基地になるというような事態になりますと、日本の石油輸送ルートに直接重大な影響を与える。これはもうマラッカ海峡防衛論などという暴論が一時ありましたけれども、そんな問題じゃなくて、インドネシアからずっと南のルートに至るまで、すべて日本に中東から来る油のルートは脅威にさらされるということにもなりかねないわけでありますから、非常に重大な関心を持たざるを得ないわけであります。
 問題は、このベトナムが、中国がいまあからさまに言うように、完全にソ連圏になってしまっているのか、あるいはASEAN諸国やあるいは日本を含めて、日本が経済協力を続ける、あるいはASEAN諸国のそうした心配を配慮するというような形の中で、ベトナムはベトナムなりに今後独自の立場に立ち戻ることが可能なのか、そういう情勢判断はいかがでしょうか。
#100
○政府委員(柳谷謙介君) いまの田委員の御指摘の点は、非常に私どもも重大な関心を持って見守っているところでございます。必ずしも内外における判断は一致しておりませんで、諸説いろいろ並び立っているような印象でございますけれども、私どもはやはりこれはベトナムのグエン・ズイ・チン外相が訪日されたときにもしきりに言っておられ、その後も先方と接触する機会に繰り返すところでございまして、自主独立の路線を守るのであるということ、あるいは非同盟路線、非同盟諸国との関係を重視しているんだというような言い方、あるいはそれを通してこの地域の平和と安定に貢献したいというのが基調であるという言い方等がありますし、さらには、伝統的なベトナムの国際的な姿勢というのは、中ソ等の超大国の一方に完全に組み込まれてしまうということに対してはできるだけそうありたくないと、現在の状況においてなかなか双方に同ず距離を置くことはできないし、経済建設及び軍事上の必要もあってソ連寄りになっていることは事実でございますけれども、それが直ちに一辺倒になってしまう、そこからもう抜け出せないような状況になってしまうということについては、これは周りの者がどう言うよりも、ベトナム自身がこれは極力避けたいという姿勢にあることは事実だと思います。
 そういう意味におきまして、今度の中越戦争というもののこのベトナムに与えた影響というものが、これまた中越戦争によって一層ベトナムがソ連に依存する結果になったという物の見方と、逆にソ連のベトナムに対する援助というものの限界についてある程度ベトナム側も体験した、したがって、かえってここにある種のベトナムとしての物の考え方の再検討があるんではないかという物の見方と、双方あるかと思います。この辺はいずれともいまの段階では断定いたしませんけれども、結論といたしましては、完全に抜きがたく一方に偏してしまったというふうには当面見ていないところでございます。
#101
○田英夫君 繰り返しますけれども、たとえば北ベトナムの米作、米のつくり方の方法は、日本の北海道大学へ学んだ人が持ち帰って改良をして戦争中にむしろ増産をしたというようなことで、ベトナムは日本に対して非常にそういう意味で一つの親しみといいますか、持っているわけで、経済協力を積極的に進めるというようなことを通じて、やっぱりソ連一辺倒ということを何としても避けなければいけない。同時に、中国に対する説得も、敵対関係を続けるということをやめるべきだという説得も必要でしょうけれども、この点はひとつ御努力をぜひ続けていただきたいと思います。
 時間がありませんが、朝鮮の問題がいまああいう形で一種のピンポン会談が行われて、これはだめになりましたけれども、南北のある程度の接触はようやく続いている。そこで、先ほどのベトナムのようなああいう統一の仕方というのを特に韓国の人たち、韓国の民主化運動をしている人たちは非常に警戒をしていたわけであります。しかし、私は、朝鮮の場合は北朝鮮があのような形で軍事的に統一をするというようなことは絶対にあり得ないということを確信をいたしますし、その点は大丈夫だと思うんですけれども、しかし、いま、実は日本政府がパスポートを発行されるときにエクセプトという唯一の地域になっているわけでありまして、この点、かつてのベトナム、北ベトナムの情報不足というものがあの地域の判断をある程度誤らしたんじゃないかと思うんですが、北朝鮮側の情報を一体どういうふうにおとりになっているのか、これはまさに新聞記者のニュースソースと同じでなかなかおっしゃれないところでしょうけれども、これが要するに円滑に入るのか、やっぱり悩みの種なのかという、その程度のお答えはいかがでしょうか。
#102
○政府委員(柳谷謙介君) 北朝鮮の情報については、私どもも決して満足しておりません。努力しておりながら、不十分だとは思っております。私どもは、北朝鮮にいろんな経済、文化、スポーツ等の方が訪問されて帰られたときには、できるだけ必ず伺いまして、それらの方々の見聞、その他を伺うことにしております。もちろん、そのほかに諸般から得られる情報等を総合しているわけでございます。それから、やはり北朝鮮の場合は、それらの党や政府の刊行物というものの中にいろいろ物の考え方の背景とか、動きというものをくみ取れることもあるものでございますから、これらについてはできるだけ精細な分析はして、またそれなりに得るところがある状況でございます。
 ただ、北朝鮮に行かれた方も必ずしもすべてのところをごらんになってきておられないものですから、それだけに余り偏して判断することも危険でございますので、その辺の注意は常に払っていることを申し添えたいと思います。
#103
○田英夫君 柳谷さんも北京におられて、当時の玄駐北京大使はいま北朝鮮政府側の外交の非常に重要な地位にいるようでありますし、全く私の放言として、お答えいただく必要はありませんけれども、北京では韓国がいないという状況の中で日本大使館があり北朝鮮大使館がある。あるいはジュネーブとかストックホルムとか、あるいはニューヨークにはまさに国連に北朝鮮の人がいるという状況の中での接触ということが、これはもちろん表に出して公に宣言をしてやれることではないでしょうけれども、あり得るのではないか。しかも、責任者同士ということはなかなかむずかしくても、しかるべき筋であり得るのではないかという気がするということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
#104
○委員長(菅野儀作君) 本日の調査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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