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1978/05/22 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 外務委員会 第11号
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1978/05/22 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 外務委員会 第11号

#1
第087回国会 外務委員会 第11号
昭和五十四年五月二十二日(火曜日)
   午前十時十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     上田  哲君     粕谷 照美君
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     粕谷 照美君     上田  哲君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         菅野 儀作君
    理 事
                稲嶺 一郎君
                鳩山威一郎君
                田中寿美子君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                安孫子藤吉君
                秦野  章君
                二木 謙吾君
                町村 金五君
                小野  明君
                粕谷 照美君
                戸叶  武君
                塩出 啓典君
                立木  洋君
                和田 春生君
                田  英夫君
   国務大臣
       文 部 大 臣  内藤誉三郎君
   政府委員
       外務政務次官   志賀  節君
       外務省アジア局
       長        柳谷 謙介君
       外務省アジア局
       次長       三宅 和助君
       外務省欧亜局長  宮澤  泰君
       外務省経済局次
       長        羽澄 光彦君
       外務省経済協力
       局長       武藤 利昭君
       外務省条約局外
       務参事官     山田 中正君
       外務省国際連合
       局長       賀陽 治憲君
       文部省初等中等
       教育局長     諸澤 正道君
       文部省学術国際
       局長       篠澤 公平君
       文部省管理局長  三角 哲生君
       食糧庁次長    小野 重和君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山本 義彰君
   説明員
       警察庁警備局外
       事課長      鳴海 国博君
       法務大臣官房参
       事官       藤岡  晋君
       外務省国際連合
       局外務参事官   小林 俊二君
       大蔵省主税局国
       際租税課長    宮本 英利君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○所得に対する租税及びある種の他の租税に関す
 る二重課税の回避のための日本国とドイツ連邦
 共和国との間の協定を修正補足する議定書の締
 結について承認を求めるの件(内閣提出)
○千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦
 貿易規約及び食糧援助規約の有効期間の第五次
 延長に関する千九百七十九年の議定書の締結に
 ついて承認を求めるの件(内閣提出)
○経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規
 約の締結について承認を求めるの件(第八十四
 回国会内閣提出、第八十七回国会衆議院送付)
○市民的及び政治的権利に関する国際規約の締結
 について承認を求めるの件(第八十四回国会内
 閣提出、第八十七回国会衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(菅野儀作君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十一日、上田哲君が委員を辞任され、その補欠として粕谷照美君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(菅野儀作君) 所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避のための日本国とドイツ連邦共和国との間の協定を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件及び千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約の有効期間の第五次延長に関する千九百七十九年の議定書の締結について承認を求めるの件、以上両件を便宜一括して議題といたします。
 両件につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○田中寿美子君 私は、七五年の四月の当委員会で、一九七一年小麦協定延長の議定書について質疑をしたことがございましたので、当時の議事録などを見てみましたが、世界の食糧事情というのが非常に変わっている、数年間でひどく変わってきたことを感じます。
 かつて六〇年代に食糧不足が盛んに宣伝されました当時、世界の食糧資源の確保についての議論が盛んでございました。特に食糧自給度の低いわが国にとっては非常に騒がれていたものだと思います。で一九七二年にはソ連の不作で大量の小麦をアメリカやカナダから買い入れたりしたという騒ぎがございました。ところが、最近、大変豊作に変わってきて需給が均衡してきたように思います。そこで、今回は、価格帯方式をなくして、国際管理のもとでの備蓄の方式で小麦価格の乱高下を防ぐというようになってきました。
 世界の食糧事情については、ですから大変変わってきたように思いますが、大きな視野からごらんになって、食糧不足の問題は今後余り問題になっていかないのか、それとも世界の人口の増加、それから資源の開発と絡み合わせて食糧の見通しですね、これをどういうふうにごらんになっているか、初めにお伺いしたいと思います。
#5
○政府委員(小野重和君) 一九七二年、昭和四十七年のいわゆる穀物ショック以降につきましては、アメリカその他主要輸出国がそれまで行ってまいりました生産調整といいますか、セットアサイド、これを解除するなど増産体制に入りましたことも、それから天候が世界的に一般的によかったということもございまして、現在に至るまで緩和基調と申した方がよろしいかと思います。当面は、こういう状態が続くと思われます。
 ただ、長期的に見ますると、いま先生おっしゃいましたように、世界的に人口がふえていく、あるいは所得がふえていく、こういう要因によりまして将来の食糧自給は必ずしも楽観を許さないと思います。それから天候のことはこれまた再びかつてのような世界的な不作ということもないとも言えないと思います。そういうことで、当面は緩和基調ですが、将来は必ずしも楽観を許さないものというふうに私ども考えております。
#6
○田中寿美子君 今回の一九七一年の国際小麦協定の第五次延長議定書ですが、これによってさらに有効期間を二年間延長するということになったのは、新協定の成立の見通しがなかなか立たなかったためだと思いますけれども、なぜ協定が結ばれないんだろうか、どういう主張の対立があるのか、それからこれに対して日本はどういう立場をとっているのか、それから新協定成立の見通しはどうかというようなことについて御説明を願いたいと思います。
#7
○政府委員(羽澄光彦君) お答えいたします。
 新協定の締結のための交渉というのは、国際ラウンドとある程度並行いたしまして、ジュネーブで昨年二回、ことしに入ってから一回、計三回行われたわけでございます。そして、先ほど先生のおっしゃいましたとおりに、備蓄在庫制度というものを主軸としてこの穀物協定を動かしていこう、そういうことについては合意ができたわけでございます。しかしながら、備蓄の規模をどれだけにするかとか、各国の分担金及び備蓄を運営する場合の価格水準、すなわちどれだけになったら備蓄を放出して、どれだけの価格に下がってきたら備蓄を積み増しするかというような価格水準、及び備蓄の運用に当たって開発途上国に対してどういった特別の措置をとるか、そういった具体的な点につきまして鋭意交渉を重ねたのでございますけれども、ついに現在に至るまで開発途上国と先進国とか、あるいは輸入国と輸出国というものの意見の調整ができませんで、今回もまた七一年の協定をそのまま単純に延長するということにしたわけでございます。
 わが国の態度でございますけれども、わが国は申すまでもなく穀物の大輸入国でございますので、長期にわたって妥当な価格での安定的な供給ということを確保したいという大前提に立って、この交渉に臨んでおります。
 具体的に申しますと、輸入国でございますので、輸出国から安定した供給の保証を確保したい。それをどういう形でやるかという細かい点はございますけれども、備蓄というものを主軸といたしまして、そういった安定的な供給を確保するということで臨んでおります。また、開発途上国に関する特別措置ということに関しましては、備蓄用の倉庫などの建築に関しましては、わが国としてもできるだけの協力をしよう、あるいはまた先ほど申しました備蓄の運用に対する価格面でございますけれども、開発途上国に対しては少し一般の価格よりも低い価格で積み増しなり放出なりを認めようではないかという柔軟な態度で臨んでおります。
 これからの取り扱いでございますけれども、今回、三回にもわたって鋭意交渉したわけでございますが、結局、合意には達しなかったわけで、余り毎度毎度単純延長をするのもどうかということで、二年今回はまとめて単純延長したわけでございますけれども、二年間このまま放置するということではございません。すなわち、直ちに小麦理事会の議長とか小麦理事会の事務局長とかUNCTADでやっております交渉会議の議長とか、この三人が主要国の意向を打診しまして、できるだけ再開のめどをつける、その結果を六月の小麦理事会にも報告しようというような運びになっております。そして、もしその交渉再開が可能になり、交渉がまとまれば、二年間を待たずとも、まとまったところで直ちに国内手続をとって新しい協定を発効させるという心構えで取り組んでおります。
#8
○田中寿美子君 御説明によりますと、先進国と開発途上国の間の見解の違い、輸出国・輸入国の間の見解の違いなどでなかなか調整に問題があるということのようでございますが、仮に新協定が成立しました場合に、備蓄在庫のことなんですが、わが国は保管施設などの面で現在の体制で十分対応できるものでしょうか、どうでしょうか。
#9
○政府委員(小野重和君) まだ協定の内容が確定いたしておりませんもので、いまの段階で具体的に申し上げられませんが、若干現在のわが国の保管施設の状況等につきまして申し上げたいと思います。
 わが国といたしましては、こういう小麦協定が別にあるないにかかわらず、やはり安定供給を確保するという観点から小麦につきまして一定数量の備蓄を行っております。この数量は、現在、食糧用、えさ用も含みますが、百十万トン政府自体が保有しております。それからまた、保管施設、これはサイロでございますが、これにつきましても逐次その増強を進めております。したがいまして、この小麦協定の折衝の過程でいろいろ議論がございまして、その議論に即してみましても、わが国の現在なり将来の保管施設の状況から見まして対応できるものというふうに私どもは考えております。
#10
○田中寿美子君 政府在庫というのは、そうしますと、どれだけあれば大体大丈夫なものなんですか。
#11
○政府委員(小野重和君) 私どもといたしましては、世界的な不作がかつてございましたが、そういうものに対応できるということで先ほど百十万トンと申し上げましたが、大体これが二・五カ月ないし二・六カ月程度の量に相当します。その程度のものでまず対応できるのではないかと思いますが、なお、さらにいろいろな事態を想定いたしまして保管施設の増強に努めておる、こういう状況でございます。
#12
○田中寿美子君 今度の食糧援助規約に関してですけれども、ことし初めの交渉過程では、先進国側が援助量を現行の四百四十二万トンから七百五十九万トンまで増大するということを約束しました。日本はこれまで二十二万五千トンだったのを三十万トンまで上げることを約束しておりますが、これに対して開発途上国側はどういう受けとめ方をしておりますでしょうか。途上国側はこの規約上一千万トンの食糧援助を要求しているということですけれども、わが国初め先進国はどういう態度をとっているものでしょうか。
#13
○政府委員(武藤利昭君) 途上国側が一千万トンの目標をこの食糧援助規約の範囲内において達成したいという希望を有していることは、ただいま先生から御指摘のあったとおりでございます。
 ただ、この一千万トンの目標と申しますものは、一九七四年のあの世界食糧会議で決議された目標でございまして、この世界食糧会議には非常に多くの国が参加しておりまして、たしか百三十カ国ぐらい参加していたと思いますが、そういう食糧会議の席上決議されたものである目標をこの食糧援助規約に加盟しているその一部の国だけで達成しなければならない理由はないのではないかというのが拠出国側の主張でございまして、その辺のところが今般の交渉におきまして妥結に至らなかった点の一つだったわけでございます。
 ただ、今後、この規約加盟国以外の国も新しく拠出に参加するという可能性も残されているわけでございまして、そのような新たな拠出国の参加、あるいは既参加国も協定上に定めてあります最小拠出義務を超えて自発的に拠出をするというような可能性も残されているということで、途上国側といたしましても、そのような方法を通じまして実際に援助が行われる援助量は七百五十九万トンよりもふえるのではないかという期待も抱いているというのが現状でございます。
#14
○田中寿美子君 粗粒穀物というのは大麦、ライ麦、トウモロコシなどのことだそうですけれども、粗粒穀物貿易規約についてはおおむね合意に達しているということですけれども、それはどういう内容なんですか、説明していただきたい。
#15
○政府委員(羽澄光彦君) 粗粒穀物というのは、先生いまおっしゃいましたように、大麦、ライ麦、トウモロコシ、マイロ等でございますが、小麦について取り決めを結ぶに当たりまして、小麦以外のこういった穀物についても取り決めをつくろうではないかという声はかなり前からあったわけでございます。
 この交渉の当初の段階におきましては、EC等は小麦につきまして備蓄を中心として価格のメカニズムを一応取り入れるというような考えがありましたので、それに即して粗粒穀物についてもそういった取り決めをつくったらどうかという案が出ておったわけでございます。しかしながら、大麦、ライ麦、トウモロコシ、マイロというように、それぞれ穀物によって生産国も違いますし、それぞれの市場の事情も違いますので、それについてそういった小麦と同じように具体的な細かい点まで決めた取り決めを結ぶことは困難であるということにつきましては、交渉のかなり早い段階で関係国間に合意が見られたわけでございます。そこで、こういった粗粒穀物につきましては、そういったいわゆる細かい具体的な取り決めは除きまして、情報の交換とか協議というものを中心として取り決めをつくろうということに合意ができまして、その線に沿って大体すでに詰めを終わっております。したがいまして小麦につきまして取り決めができました際には、粗粒穀物についてはすぐにでも取り決めができるという状況になっている次第でございます。
#16
○田中寿美子君 小麦の生産量はかつて凶作のことがあったりしたんですけれども、最近は非常に豊作で、ことに一九七六年には四億トンを超すという史上最高の量を達したということですが、一九七七年に少し落ち込んだけれども、また七八年は史上最高の一九七六年を上回るのではないかというふうに推定されておるようでございます。
 そこで、最近の小麦事情ですね、今後の見通しも含めて、生産量、価格などについて御説明いただきたいのでございますが。
#17
○政府委員(小野重和君) いまおっしゃいましたように、一九七八年は世界全体で四億四千万トンという生産量、これはかつて最大の生産量になります。
 これがどういうふうに当面なるかということは、これは天候が非常に大きく影響いたしますのでちょっと予測しにくいのでございますが、普通の天候であるということであれば、このような生産量はおおむね維持できる、そして消費は逐次ふえておりますけれども、別に需給は問題ないといいますか、やや緩和ぎみに推移するということであろうかと思います。したがいまして価格は、これもいろんな要素で決まりますので一概に申し上げられませんが、需給の緩和基調をあらわしまして、大体、現在のような水準で推移するのではないかと思います。ただ、天候がどうなるかということは、これは何ともわかりませんので、そういう面についての振れはあるかと思いますが、水準としては、大体、いまのような水準に推移するのではないかというふうに想定しております。
#18
○田中寿美子君 先日、マニラで開かれたUNCTADの総会でも、国連共通基金について三月の国連共通基金会議で大筋で合意されたものが議題となって、そうして日本は積極的に支持するという立場でいったようですけれども、報道によりますと、この国連共通基金というのに対して先進国と途上国の間の言い分が相当食い違ったところもある。そうして日本は協力を約束したけれども、例のいわゆる第二の窓といいますか、国連共通基金の規模とか、それから一次産品の市場調査など在庫以外のものに対して融資をするというのが第二の窓というふうに呼ばれているそうでございますが、それに対して日本はどういうふうに対応されたのか。大平総理大臣の御報告などでは非常にその辺が抽象的であって、そうして開発途上国は不満であったように聞いておりますけれども、日本はどういうふうな積極的な対応を示したのか御報告願いたいと思います。
#19
○説明員(小林俊二君) ただいまお話のございました共通基金は一次産品共通基金と呼ばれておるものでございまして、この前のナイロビにおきます三年前のUNCTAD総会で採択された決議に基づいて過去三年間鋭意交渉が続けられてまいったものでございます。
 この三月の交渉会議で合意を見ましたのは、共通基金の基本的な要素と申しますか、要因と申しますか、基本的な諸点でございます。そこで、今後、これをベースといたしまして共通基金協定の作成作業あるいは交渉が進められる予定となっております。したがいまして、この二つの窓――窓という言葉は日本語ではまだ熟した言葉でございませんけれども、もう少しくだいて申しますと、業務部門といったような意味でございます。それで共通基金は二つの業務部門を持っておりますが、第一の業務部門は、これは緩衝在庫を設置するための融資でございます。これはすべて義務的拠出で賄われることになっています。で第二の窓、すなわち二つ目の業務部門は、それ以外のいろいろな研究開発とか市場開拓とか、そういった補足的な業務のための部門でございますが、これはすべて原則として任意拠出で賄われるということになっています。
 そこで拠出という場合には、この任意拠出の問題でございますが、その運営形態の詳細であるとかあるいは拠出国の範囲であるとか、いろいろまだ決まっていない面が多うございます。そこで、わが国といたしましては、ほかの先進諸国との協調という問題もございますので、この機会におきましては応分の拠出を行うという姿勢を表明するということにとどめたわけでございます。今回のUNCTAD総会におきまして拠出の意図表明が求められたというのは、この三月の交渉会議において採択された決議に基づいておるわけでございますけれども、その決議も任意拠出の誓約についての意図の表明を求めるという表現になっております。と申しますのは、もちろん数字が表明できればそれにこしたことはございませんけれども、数字が表明できなくても意図を表明してほしいということでございます。と申しますのは、幾ら出すかという誓約会議というものはこの協定が発効した後で改めて開催されることになっておりますので、そこで初めて各国は自国をコミットする表明が具体的に行われるということになるわけでございます。
 で、この先進国との協調という点を申しますと、ほかの国の出方をうかがっているというような御批判を受けるかも存じませんけれども、実は、日本はすでにこの共通基金の交渉におきましては、特に昨年秋以来、非常に積極的に取り組んでおりまして、会議の席上具体的な提案を出して、先進国側と途上国側の間の協調を図る、あるいは妥協を図るような措置を講じております。そのためのペーパーを配付したりいたしておりまして、言ってみれば主要先進国の中では一歩先に出た立場をとっておりますけれども、しかしながら、米国であるとか英国であるとかあるいはドイツであるとか、そういった主要国の拠出と参加ということはこの共通基金の成功を図るためには不可欠の要因でございますので、日本だけが先走って途上国に対して、言ってみれば、いい顔をしているといったような批判をむしろ先進国側から受けますと、後にその調整においていろいろまた政治的にむずかしい、あるいは不必要な摩擦を生ずるといったようなこともありますので、その辺が非常にむずかしいところでございます。そこで、余り自分だけが突っ走って、それじゃ日本だけでやってくれというようなことにならぬように、私たちとしても気をつけながら、両方の間に立って何とかまとめていくという態度をとっているということがその背後にあるということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
#20
○田中寿美子君 ただいまのお話を聞いておりますと、誓約会議で具体的な額も出すということになるわけですね、そうですね。
#21
○説明員(小林俊二君) さようでございます。
#22
○田中寿美子君 一次産品共通基金設立について、これを設置することは、南北問題の中でも、開発途上国が主張しておりますところの新国際経済秩序の一つの目標でもあるかと思いますが、それについてアジアの唯一の先進国であるところの日本がだからこそUNCTADにも大平総理は出ていかれたわけでございますが、そのときに共通基金に対して、いまおっしゃったように、抽象的に、ほかの先進国を刺激しないように、考慮を払ったと言われればわかりますけれども、しかし、やっぱりアジアに属していて、そして特にあそこへ出ていった以上は私はもうちょっと具体的な答えをお出しになってよかったんではないかなというふうに思っておりますが、いまの御説明で方々に気をかねた結果であるというふうに解釈いたします。
 それで食糧援助規約に関して、わが国は、米または農業物資の形態で援助を行うという旨の留保をつけておりますが、しかし、農業物資による援助というのは、項目を見てみると、農機具まで入っているわけですね、で国際的に評判がよくなかった。それからまた米は外米を買うことによって援助を行ってきている。今回、食糧管理特別会計法を改正して、財政援助によって国内米を用いることができるようになったということなんですが、今後は、希望する開発途上国には国内米で援助をなさってはどうかなというふうに思うんですが、その御説明を聞きましたところによりますと、最近は、農機具なんかじゃなくて、農業物資と言っても他の農業生産品だというふうに伺っておりますが、ちょっとそのあたりを御説明いただきたいと思います。
#23
○政府委員(武藤利昭君) 米または農業物資による援助を留保したという点についてでございますが、まず、米につきまして留保をした理由は、このもともとの一九七一年の国際小麦協定の援助規約の対象物資に米が入っていないわけでございますけれども、わが国の援助の配分上重視せざるを得ないアジア諸国におきましては米を常食としている国が多いということで、米をもわが国としては援助の対象として含めるという旨の留保をしたということだったわけでございます。
 それから農業物資、これをまた援助の対象として含めることにつき留保をしたという点についてでございますが、これは少し昔話にさかのぼるわけでございますけれども、もともと一九七一年の小麦協定ができましたときに、この食糧援助規約というものが含められましたのは、小麦の取引をば規定する小麦協定とはいうものの、その小麦の貿易量のうちかなり大きな部分を援助を含む特殊取引が占めているわけでございますので、このような取引について何らかの規制を設ける必要があるということだったわけでございますが、わが国は食糧は輸入国でございまして輸出国ではないわけでございますので、本来、そのような発想からする援助規約に参加するかしないかというような問題もあったわけでございますけれども、これは人道的な見地ということもございますし、また国際協力の見地からもそのような形での食糧援助規約にわが国も参加することになったわけでございますが、ただ、これはわが国のみならず、イギリス等も考え方としては共通だったわけでございますが、途上国の食糧問題を解決するのは、むしろ基本的には途上国自身の農業開発によるべきであるという考え方があるわけでございまして、そのような考え方から、わが国といたしましては、輸入国である関係上、この援助も現金拠出をするという形で行っているわけでございますが、その対象として途上国におきます農業開発のための物資、これをまた援助の対象に含めるという旨の留保を行ったわけでございます。
 ただ、これがただいま先生からも御指摘ございましたとおり、昭和五十二年度の予算から食糧増産援助という項目を別建てにいたしまして、その分につきましては、これは援助規約の対象外といたしまして、自発的にわが国の援助を行うということに振りかえをいたしまして、それ以来、食糧援助規約に基づきます援助は、全額、食糧の形で行われているということになっているのが現状でございます。
#24
○田中寿美子君 米またはその他の農業物資という、その他の農業物資というのはどういうものですか。
#25
○政府委員(武藤利昭君) 農業開発のために必要とされる農機具あるいは食糧増産のために必要とされる肥料を対象といたしております。
#26
○田中寿美子君 だから、いまおっしゃったように、五十二年度以降は、別途、援助対象としないで、農業開発関係の物資を日本からは出すということになる。そうすると、この援助規約に関係する農業物資というのは、米のほかに、どういうものを――米または農業物資の形態でとなっておりますけれども、この農業物資というのは何ですか。
#27
○政府委員(武藤利昭君) 私先ほど申し上げましたのは、わが国が米または農業物資による援助を留保したということでございまして、わが国が留保いたしました農業物資の対象は、肥料あるいは食糧増産用の農機具というようなものだったわけでございます。
 それで、ただいまの御質問の最初の点でございますが、そういうことでございまして、昭和五十二年度から、農業物資、つまり肥料及び農機具等につきましては、これはこの援助規約の枠外といたしまして別個に援助を行っているということでございます。
#28
○田中寿美子君 私のお尋ねしているのは、そうしますと、米以外には、食糧としては一切ないということになりますか。
#29
○政府委員(武藤利昭君) 一部相手国の要望に応じまして小麦を出したこともございます。これは第三国の小麦を買いまして、相手国に供与したという例でございます。
#30
○田中寿美子君 私は、大体以上で、国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約の有効期間の延長の問題についての質問は終わりますけれども、そして日独租税協定の問題は戸叶先生が分担なさいますのですけれども、ただ一点、私これは政務次官にお尋ねしたいと思います。
 この前、私一度そのことについて申し上げたことがありますが、従来、外務省は国会に提出する条約案件の提案理由その他の説明文書で西暦を使っていたんですね。ところが、今年に入ってから、にわかに、条約の件名に西暦が入っているもの以外はすべて昭和何年というふうに統一する傾向がある。説明書もみんなそうなんですね。元号法案のことが問題になっているとき、非常に私としては気にかかるので、時と場合によりけりで、たとえば日独租税協定の修正補足議定書の提案理由を見ますと、わが国とドイツとの間には昭和四十一年に署名された租税協定が締結されておりますが、というふうにあるんですね。そしてドイツが「昭和四十九年に行った財産税法の改正及び昭和五十二年に行った法人税法等の改正に伴い、」なんというふうに書いてあるので、これはおかしいですね。ドイツでは昭和何年というのを使っているわけじゃないわけなんで、わが国に全く関係のないところで起こったことまで昭和で表現するというのはちょっと不自然でおかしいんですね。
 私も外務省関係の資料を見るときに、このごろ昭和で書いてあるのは、表題は西暦だからそれはやむを得ないとしても、中の方が昭和になっておりますために、一々西暦を自分で入れていかなきゃならないので、この前、資料の説明には西暦を括弧に入れるか、反対に昭和何年を括弧に入れるかして一目でわかるようにしてほしいし、国際関係の文書というのは西暦なんですので、そういうふうにしてもらいたいと。何でこのごろ急に元号法案の先取りみたいに、元号法案というのは手続を定めるのにすぎないとなっているのに、中身までそういうふうになっていくのは少しおかしいんではないか、趣旨を逸脱しているんじゃないかと思いますので、この点、前にもお尋ねしましたので、どういうふうになっているか。それから外務省はどうなさるおつもりかをちょっと念のためお伺いいたしておきます。
#31
○政府委員(志賀節君) 私は、長い間政務次官職にいないために、従来と今日の説明文書等がどのようになっているかをこの目で確かめる時間がないことをこの際申し上げなければいけません。したがいまして田中先生の言われたとおりであるとすれば、これはいかにも元号法案を意識してのように思われるわけでありますが、ただいま私外務省の事務当局にただしましたところ、決して意識をしているようなことはない。ただ、昭和で、つまり日本の年号で統一できるところはそのようにし、また西暦を併用しなければ御不便であるというふうに考えられるところは西暦も併用する、こういうふうにしているつもりである、こういうことでございます。したがいまして、まだまだ西暦を併用しないことで御不便の場所がありますれば、そういうところは鋭意つけ加えさしていただきながら御不便を解消するようにさせていただきたいと思います。
 ただ仮にも当然おのずと節度と申しますか限度がございまして、西暦を一般化させるような意図は外務省にもないわけでございますから、その辺はあくまでも御不便をかけない、こういうことでやらさしていただきたいと思う次第でございます。
#32
○田中寿美子君 もう一言。大変私は不便しているものですから、この前も、外務省の条約案件についての説明文書まで全部昭和になっているものですから、ですから表題の方は一九七一年国際小麦協定というふうになっているわけでしょう。それから日独租税協定の修正のこれなんかでも、さっき申し上げましたように、ドイツが「昭和四十九年に行った財産税法の改正及び昭和五十二年に行った法人税法等の改正」と、これはおかしいですね。ドイツがこういう年号でやっているわけはないから、これは合理的に考えて西暦で書いてもらった方がいいし、それから条約の説明書や参考資料その他には、私はぜひ西暦を括弧に入れるか何かして入れていただきたいということをこの前から申し上げているわけです。そしてその方向に検討しますというお答えをいただいておりますので、今後、元号法案が仮に通ったとしても、これは強制するものではないということになっておりますね。ことに国際関係の問題で西暦が入っていないと非常に不便でございますから、ぜひそれは今後直していただくようにお願いしておきます。何かおっしゃることがございましたら。
#33
○政府委員(志賀節君) 承りました。
#34
○田中寿美子君 以上で終わります。
#35
○戸叶武君 田中さんに引き続いて、所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避のための日本国とドイツ連邦共和国との間の協定を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件の提案理由は政府側からすでに承っておりますので、単刀直入にこの修正補足をするに至った問題点についてお尋ねします。
 これはすでにいまから十三年前の、これらがやっぱり田中さんが言うようにめんどうくさいというのですが、一九六六年、日本のいま外務省がとっている昭和四十一年四月二十二日、ここで署名された所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避のための協定、これを五年前の一九七四年(昭和四十九年)に行った財産税法の改正及び二年前の一九七七年(昭和五十二年)に行われた法人税法等の改正に伴い、この協定を修正補足する必要が生じて、ことしの四月十七日に東京において、園田外務大臣とドイツ連邦共和国側のディール駐日大使との間でこの議定書の署名が行われたのでありますが、ドイツ連邦における国内法の改正に伴ってそれに即応しての修正補足と思いますが、その問題点は二点ほどあると思いますが、政府側においてはどのような見解をお持ちですか。見解といっても、これは当然ドイツの国内法の改正に即応して日本もこれに対処しなければならないという姿勢でつくり上げたもので、別に他の国と行ったのと余り違いはないように思うんですが、問題点はただそれだけでしょうか。
#36
○政府委員(宮澤泰君) ただいま戸叶委員がおっしゃいましたように、一九七四年に西独財産税法が改正になりまして、わが国の対独投資の一部に新たな課税が行われるような状況になったことが一つでございます。さらに、昭和五十二年、一九七七年でございますが、西独の法人税法が改正されることになりまして、わが国の株主に対する課税が増大する状況になりましたために、この双方を一括してドイツ側と交渉する、こういうことでございまして、今回の改正議定書もそのような趣旨に出たものでございます。
#37
○戸叶武君 田中さんも私も元号問題に対してとげとげしくとがって物を言っているんじゃありませんけれども、日本における官僚並びに右翼の人々の考え方には古いプロシア憲法の伝統が根深く入っておりまして、イギリスにおける成文法から慣習法に、一つ一つの出来事をめぐっての解決によって年輪を刻むというような常識的な一つの前進というものが、どうも形式的な法制化でなけりゃ承知のできない体質に、再びプロシア憲法に戻るような明治憲法的な発想がいま出ているのが事実だと思います。
 私は、元号問題に入る前に、日本のいま日常生活において常識的に国民がどういう西暦なり年号に対する取り扱いをやっているかということを新聞の世論その他においても調べる必要があると思います。元号を持ってもよいという古い感情があるけれども、いまのままでいいんじゃないか、法制化は別に必要ないんじゃないのかというのが大多数の私は常識だと思うのであります。民主主義政治においては、真理はコモンセンスです、常識です。自分たちが築き上げた体験によって記録した記録が新しいルールとなりつつあるのでありまして、新聞等を見ても西暦の下におおむねが括弧を入れて便宜上日本のいまの昭和という年号を入れておるのであります。その程度のことで、この元号問題はとげとげしいことを力まなくても済むのに、わざわざ法制化を行わなけりゃならないというとんちんかんな、攘夷党や、やれ帯刀御免とちゃんまげを結ってでなけりゃ歩けないような考え方になぜ外務省も同意したのか。
 同意しながらも、事実上、外国には日本の国を代表しながらも西暦を使って外交文書はつくり上げておるのであります。外国には日本の元号を用いる必要はないと認めているのか、あるいはそういうことが慣習になっているからそれでいいんじゃないかという考え方か、それともやはり元号が制定されるならばこれが日本の元号であるという形で元号を用いて、その中に括弧して西暦を入れるつもりなのか。これは何でもないようなことでもやはり日常生活に非常に影響のある具体的な事実であります。真理は常に具体的でなけりゃならないというが、余り真理でないので具体的には表明できないのかもしれませんが、なぜこういうアナクロニズムと思われるようなことを平気でやって日本のファッショ体制を増長させるような一翼を外務省すら担わなければならない義理がどこにあるんですか。世界に通用しないような非常識を常識と心得るのか。そこいらの点をもう少し――時代の風潮といい、あるいはファシスト集団なり青嵐会なり中曽根さんあたりにおどかされるからというんでびくびくしているか知らないが、そういう形では、私は、ドイツにおけるワイマール憲法の崩壊によって戦争への道を歩んだと同じ道を日本の外交も歩まざるを得なくなるんじゃないか。
 あれほど私の友人でもあり聡明であった平沢和重君なんかも、やはり白鳥一派のミリタントな強硬論者として枢軸側に加担し、戦後は今度は占領軍の方の便宜を図っており、最終にはソ連に迎合したような領土問題を「フォーリンアフェアーズ」に書いてむなしく死んでいきましたが、才余って一つの文明史観と哲学を持たず、民族の憂いを持たない一つの思いつき政治の中では、日本が世界から孤立していくような、誤解を受けるような不信感が増大するであろうということを外務省あたりの聡明な外交官の諸君はどういうふうに受けとめるか。その中でも特に聡明と言われる宮澤さんあたりはどういうふうに受けとめておりますか。
#38
○政府委員(宮澤泰君) 私は、もちろん平和国家として建設されております日本が世界の大勢を見きわめつつ万邦相和して進むべきことは当然のことであると思いますが、やはりそれなりの各国家の持っておりました歴史、伝統、こういうものを尊重しつつ世界平和のために努力していくべきものと考えております。
#39
○戸叶武君 歴史、伝統というものは、それを尊重しながら世界の歴史は流れているんです。デタントの方向へ流れているんです。日本の外交の基本として、平和憲法を根幹とし、核拡散防止条約からあの日本の平和共存を目指しての外交政策を基本としてとるということは内外に声明しているんじゃありませんか。それなのに最近の外務省の秀才を呼んでいろいろな話を聞くと、どうしても、自分たちは若い学生の時分は安保条約反対のために闘ったが、最近になったらやはり日本の防衛のための軍備はあるところまで整備しなきやならないというふうに成長発展したようなお話を聞いてびっくりしたんです。
 われわれは抽象的に平和を望んでいるんじゃないんです。統治力を失ったこの混迷した世界において、原爆の被害国であり、再び戦争はしないと天皇まで誓って、そうしてあの平和憲法をつくっておきながら、戦争を忘れたころにはそろそろ軍備をしなければ国際協力ができないというような、場合によっては核の問題もと言いたそうな顔つきをして、海外派兵もいとわないような道を開くようなことになったら、一体、日本の平和外交はどこに一つのけじめを求めることができるんですか。伝統はよいです。伝統の名によって、前進していく世界の風潮を逆なでするような方向で戦争の危機を呼ぶような外交をやってそれでいいんでしょうか。
 ヨーロッパにおけるNATの中においてもいろんな悩みがあります。日本は、アジアにおける混迷の中において、ソ連の拙劣な恐喝外交に対して感情的に反発を覚えるものがあるが、ソ連だって話せばわからないわけはない。ブレジネフあたりは、戦争を誘発することになれば、ヨーロッパ社会からソ連は音を立てて崩壊していく危険性があるということを感じているからこそ、アメリカとの歩み寄りも、不徹底な形だが、疑心暗鬼の中にアメリカもソ連もやっているんじゃないですか、国際的に孤立することを一番恐怖しているんです。
 日本がいまこんな無性格な一つの国家体制と外交、防衛に対する不明快な態度を示しておって、果たして国際信義を保てるかどうか、発展途上国を納得させることができるかどうか。どこの国でも戦争に巻き込まれまいとする努力が最大の外交じゃないですか、平和共存を目指して苦悩しているんじゃありませんか。イスラエルとエジプトだってそうです。いろんなことを言われても、苦悩しながら一つの平和を求めているんじゃないですか。日本がこの辺で、どうもドルの持ち過ぎでそねまれるだけじゃなく、防衛に対して、安保条約に対して、ただ食いと思われちゃ申しわけがないからというような形で、変な道草を食うだけじゃなく、一つの軍事国家として事実上立ち上がっていくようなことになれば、世界のどこが日本を信用するでしょうか。
 私は、いま世界の中の日本、これが通貨の問題、エネルギーの問題、食糧の問題、いろんな問題で悩んで、東京サミットヘの道を歩くために各国と一緒にもがいているのが事実だと思いますが、こんなときに、なぜそういうようなことを急い思い立ったようにやっていくんですか。ドイツと日本が今度サミットにおいて一番取り上げなけりゃならない問題は石油問題である、石炭の問題である、核燃料の問題であるというふうにだんだん詰めてはきているようですが、やはり国の安全、世界の安全、戦争から回避するという道をもっと積極的に推進させるのが外務省の任務じゃないかと思いますが、ついでに宮澤さんに私はお聞きします。あなたはアメリカのことも知っているし、ヨーロッパのことも知っているし、なかなか宮澤きょうだいというものは聡明な方ですから、その聡明なところに魂の入ったところをひとつお聞きしたいと思います。
#40
○政府委員(宮澤泰君) ただいま今回のサミットに関しましてドイツと日本のそれぞれの態度という点で御質問と解釈いたしますが、ドイツも、日本と同じように、過去の苦い経験にかんがみまして、再生ドイツは、民主主義的秩序と、経済におきましては、自由貿易体制のもとに、同じく勤勉な国民の創意とによって今日まで来たわけでございまして、たまたま明日はドイツ連邦共和国、西ドイツの憲法三十周年の記念日でございますが、やはりドイツも日本と同じように敗戦の中から立ち上がって平和的な秩序を持って今日まで来たわけでございまして、幸いにしてこの両国民の勤勉と努力によって世界でも屈指の平和国家としてただいま重きをなしているわけでございますから、やはり、私は、この両国がその持っている国力と国民の才能とを合わせまして世界の平和のためにさらに協力していくべきものと考えております。
 このためには、ドイツにおきましても極左、極右の暴力というようなものを排しまして、民主的秩序で国家の営みを続けておるわけでございますから、この点におきましては日本も全く同様であり、今回のサミットはもちろん経済が主と考えられますけれども、やはり今後の世界のあり方について、この両国はそういう意味で協力していかなければならないものと考えております。
#41
○戸叶武君 ドイツは、第一次世界戦争と第二次世界戦争で苦い体験を持っております。ドイツの近代民主主義は第二次世界戦争以後において体で受けとめるようになったと思います。ワイマール憲法は日本の平和憲法の前にできた最も理想的な平和憲法であったが、これをドイツが体で受けとめないで国民の中に浸透させないままワイマール体制を崩壊さしたところに、ドイツのファシズムを台頭させた大きな原因があったと思うんです。
 いま日本がドイツのように二回も戦争への道を歩むというような失敗をしたら、日本はもはや世界から相手にされなくなると思うんです。そういうことを考えないで、暴走していくいまの愛国者と称して国を滅ぼしていく連中の文明史観と哲学のない情けない態度に私たちは憂いを持つのであります。たれかふるさとを愛し祖国に責任を持たない者があるか。しかしながら愛国を名として戦争への道を歩む冒険主義者の手に、はったり屋にこの国の運命を任せることはできないというのが本当の国民の目覚めだと私は思うんです。やってごらんなさい、二つや三つの政府は国民の怒りの前に必ず転覆します、転覆しなければ騒乱が醸されます。ばかげたことも休み休みやってもらいたい。そういう保守腐敗政権が音を立てて崩壊していく過程において狂気じみた現象が生まれているのが現実であります。
 福田さんや大平さんは聡明にして慎重な人だと思ったが、政治的野心の前には政治の力関係に迎合して、歴史の中に貫かれているこの文明史観と哲学を忘れて政治屋に成り下がっていく危険性もなきにしもあらずと思って、私は、これを補強していくべきところの聡明な、特に外務省の世界もわかっている人たち、たとえば宮澤さんなんかもその一人ですが、そういう人たちに厳しく日本の外交、防衛に対する考え方――それから、いまの愛国を名として、要するにメジャーやあるいは軍需産業からも援助を頼んで大統領選挙をやらなけりゃならないアメリカの悪い風習を日本に、ウオーターゲート事件で暴露されたようなニクソン一派の行動みたいなものを、アメリカもやっているんだから日本もいいだろうという形でやっていくようになっちゃ日本の取り柄はどこにもなくなってしまうじゃないですか。
 これはいまロッキード、グラマンのあの自民党政権を維持するための――あるいはああいう人たちは犠牲者かどうか知らないが、自民党は防衛に全力を尽くしているようですが、政治の理想と現実の中にいろいろなギャップがあることは私たちも理解できます。しかし、とめどない腐敗政治、秘密政治、謀略政治、特に国際関係においては権謀術策をたくましゅうする方が勝ちだと思い込むようなマキアベリズム。金大中事件において見られるようなアメリカにおいて公文書が発表されなけりゃ、日本の警視庁では指紋によって犯人を正確に認めながらも、自国の主権を侵害されても何かもぐもぐ言っているだけで何もできなかったふしだら。こういうことが日本の国の権威を失墜させ世界に信義を失っているところの根本的な原因であるということを、宮澤さんのお兄さんが外務大臣のときだったが、あの聡明な人でもやっぱりあいまいにしなけりゃしょうがなかったんで、どうも兄貴のかたきを弟で討つというわけにもいきませんが、お兄さんよりも幾らか進歩していると思いますので、宮澤さん、ひとつそこいうの辺は微妙ですから、そのニュアンスを巧みな表現力を持っている点において表現してみてください。欧亜局長ですから、これは重大な問題ですよ。
#42
○政府委員(宮澤泰君) ウオーターゲート事件は、やはり民主主義諸国の指導的な国家であるアメリカに起きました非常に不幸な一つの事件であったと考えておりますので、私どもといたしましては、戦後民主主義的国家として今日までまいりましたわが国においても、そのようなことがないように、国民すべてがよく反省していくべきものと考えております。
#43
○戸叶武君 味のない答弁ですな。それは昔の修身の教科書の答弁ならそれでいいでしょうが、いまの政治はやはり現実に生きているんです、厳しく激動しているんです。この激動の中で歩きながら考え、考えながらそれに対する回答をやっていくというのが新しい社会科学の道であり、実証主義的な政治論であり、外交論でなければならないのです。
 金大中の問題は、午後の方に回しまして、午前中のもっとさえたところでは、宮澤さんの最も得意とする問題に私は入っていきます。
 西ドイツと日本はそねまれている点において共通なものがあります。しかし、ドイツの方が社会民主主義陣営においても、あるいは民主的な政治の運営においても一歩前進していると思います。アデナウアーさんのような人でも、池田さんのような下村君におだてられてそして高度経済成長政策を突っ走った時代に、私は、農林水産常任委員長でしたが、西ドイツに行ってアデナウアーの親友で後に大統領になったリュプケ食糧農林大臣にお目にかかりましたが、彼がアデナウアーさんに言われたのは、いい気になってエアハルトはドイツの繁栄の奇跡などと称して突っ走っているが、政治の要諦は、高度経済成長政策の中において矛盾が増大した第一次産業の第二次、第三次産業とのその成長率、所得のアンバランス、これを政府の力でどういうふうに調節していくかということが一番大きな政治課題であるが、エアハルトには文明史観と哲学がない、私と同じ見解ですが、だから心してその問題を具体的に処理しようというので農業基本法をつくったのです。
 その農業基本法を日本では、私が持って帰ってきて小倉君のような農林官僚の良心に伝えて日本でもいいところをとってもらったんだが、いいところじゃなく悪いところばっかりとって、主要農畜産物の価格の保障という大切なバックを除いてしまって、安上がり農政、農政に余り金を出さないためには、農民がうるさいから米のみの価格を支持価格にして、ほかはいいかげんにしてごまかしていけというのが日本の農業基本法で、農業基本法の内容は、名前は同じだが、ドイツの農業基本法とは雲泥の差があるんです。そこに矛盾が増大していったんです。その矛盾を増大させた張本人は前の農林大臣中川君、いまの農林大臣渡辺君で、はち巻きして米の値段を上げろ、増反、それがいつの間にか大臣になったら、国際分業は許さぬと言っていたやつが、いや日本の工業製品を外国に送るためには日本の米を犠牲に供しても果物を犠牲に供してもと、国際分業を思い切って強行しているのがいまの青嵐会一派の農政です。これなんか見ると百姓は怒るけれども、まあだまされつけているからじっとこらえているんですが、私は、こういう矛盾した農政のない農政――脳がどうかしているから、これは脳がうみを持っているでしょうな。こういうでたらめ農政は必ず私は国民のふんまんを買うと思うんですよ。外交だけでもせめてまともな道を行かなければ、大衆を愚民と思ってでたらめをやっていると雷が鳴ります。駿河湾における地震よりもこっちの方がこわい地震現象を起こさないとも限りません。
 そういうときに、当初からわれわれがあのブレトンウッズ協定やIMFの会合を通じて積み上げられてきた、あるいはイギリスの経済学者の論戦においても見られるように、アメリカのドルを基準通貨としていくのは危ない、やはり基準通貨を持っていかなけりゃ円やマルクはユーロダラーのような多国籍企業のならず者に揺すぶられて不安定な状態に置かれるというので、ヨーロッパにおいてはヨーロッパなりの一種の基準通貨に近いものができたと思いますが、ああいう問題と対応してこの法律も考えなけりゃなりませんが、宮澤さん、あなたはこの問題に対してはドイツから何を学ぶべきか、ドイツと日本の異なった道は何か。サミットヘの道において最も大きく問題になるのは具体的にはエネルギーの問題というが、エネルギーの問題を根幹として揺すぶられていくこの基準通貨と称するドルの不安定な状況と、マルクや円の相場がユーロダラーに揺すぶられていく状態に対して、どう対処していかなけりゃ貿易のアンバランスは是正できないと考えているかどうか、時間もないようですから、この辺をもっとはっきり私は承りたいと思います。
#44
○政府委員(羽澄光彦君) 東京サミットの関連で、まずエネルギー問題についてお答えしたいと思います。
 西独は、先生おっしゃいましたように、従来から非常に長期的な観点に立ちましてエネルギー政策を推し進めております。そしてエネルギー分野におきまして開発途上国及び先進国間の協力というものにきわめて積極的に取り組んでおります。わが国といたしましても、エネルギーの安定的確保は、適切な経済成長の達成とか雇用の確保及び世界経済の健全な発展に不可欠な要件であって、各国と協力して現在の厳しいエネルギー問題に対処していく必要がある、こういうように考えております。
 東京サミットに関連して申し上げますと、先生がおっしゃいましたとおり、エネルギーはこの東京サミットにおきまして一つの最も重要な問題である、こういうような認識にわが国も立っておるわけでございまして、各国の首脳と率直な意見の交換を行いたいと思っております。そうして各国間の協調的対応の必要性を確認するとともに、省エネルギー、代替エネルギーの開発導入、新エネルギーの研究開発等、各国のエネルギー政策が一層強化されるよう努力してまいりたいと思っております。
 また、先生が基軸通貨ということで国際通貨安定に触れられましたので、その点に関しまして外務省としての見解を申し述べたいと思いますけれども、現在の変動相場制におきまして通貨の安定を図るためには、ファンダメンタルと呼ばれております各国のそれぞれの状況に応じての成長、物価、国際収支等の改善に取り組むことが必要だと考えております。また、各国通貨当局が介入政策等の面で緊密な連絡と協調を保っていくことが肝要である、このように考えております。
#45
○戸叶武君 終わりに一分ほど。
 ニュージーランドとの間に、中川農水大臣ですか、去年、大臣が協定をやって、太平洋時代の目玉とも言うべきニュージーランドと酪農製品その他の問題で、漁業の問題も絡んでいると思いますが、協定を結んだが、ことしになって日本の状況は牛乳があり余って酪農製品においては二ュージーランドと競争相手のようになったから、それをなかなか簡単にすることはできないというふうな形で事実上ほごにして問題にしなかったということでありますが、日本の国内ではそれで済みますが、国際間における協定なり条約なりは国際信義の基準となるものであって、軽率にそれをほごにすることはできないのが国際的な通念となっております。
 外務省においては、いますぐ答えろと言うんではないですが、なかなか行動派の人でありますから、外交はよく知らなくても、思い切ったことをやらなければ青嵐会としての存在の価値がないから思い切ったことをやっているんでしょうが、それがために後でもって太平洋時代の目玉にどろ指を突っ込んで相手の目玉をけがさせたということにならないとも限らないんで、その辺の資料を一そろいそろえてもらって、外務省はこれに対してはどの辺まで協力し了解を与えていたのか。
 小さな国だと言っても、小さな国には小さな国なりの、三百万にすぎないといってもそこには民族のプライドなり、その国の自尊心というものを傷つけるわけにはいかないのですから、後でその書類は外務省なり農水省なり、特に外交関係のことに関しては外務省が知らないでは通らないんですから、ひとつ資料の提供を、いま私は答弁は要求しませんけれども、今後間々あることですから、なかなかはったり時代の旺盛な時代ですから、そういう点において、だれが悪いと言うんじゃないけれども、どこに問題があるかということを追及しておかないと、うっかり日本の大臣なんか来ても後では取り消し――中国の取り消したことには文句を言うが、日本の取り消したことには文句も言えないというような不愉快な場面をつくってはいけないと思いますから、念のためにその資料の提出をお願いしますが、どこのだれがどういう責任において後で答えるか、それだけ予備知識は持っていたいと思いますけれども、それはどういうふうになっておりますか。
#46
○政府委員(宮澤泰君) ただいまの御要求は、ニュージーランドと日本との関係、特にニュージーランドが日本に要求しております経済、貿易面の幾つかの要望に対して日本側がどのようにこたえているか、そういう点の資料の御要求と考えますが、それでございましたならば、私ども必要に応じまして関係省庁と御連絡の上、資料を提出いたします。
#47
○渋谷邦彦君 これから小麦協定についての若干のお尋ねをするわけでございますが、本論に入ります前に、今後の質問の参考にいたしたいという心づもりもありますので、金大中事件について若干確認を含めお尋ねをしておきたいというふうに思うわけでございます。
 すでに政治決着あるいは外交決着がついたと、さまざまな疑問を残しながらも、そういう経過を実はたどってきたわけでございますが、突如としてアメリカ国務省の秘密文書の公開によりまして新しい事実が発見されたということが伝えられておりまして、改めて大変厳しい世論を巻き起こしていま現在に至っているというわけでありますが、この経過等について外務省はいままで全然関知し得なかったのか、また、そういうような秘密文書の入手についても全然アメリカに対しての御要請をなさらなかったのか、その辺から改めて一遍確認をしておきたいと思うんです。
#48
○政府委員(柳谷謙介君) いまの御質問の趣旨は、最近の動きとさらにさかのぼってのことと両方にかかわっている御質問かと思いますけれども、最近の動きにつきまして、まず概略を御説明申し上げます。
 先々週の土曜日の五月十二日にアメリカの国務省から通報がございまして、日本の一通信社がワシントン支局を通じて米国にございます情報の自由に関する法律に基づいて金大中事件に関しての資料の請求があったので、手続に従ってこの資料を同通信社に提供したけれども、内部手続のミスがあって、本来提供することが適当でなかった物件が含まれているという事実を伝えてきたわけでございます。他方、この通信社の記事が日本の新聞にも同日伝えられたこともございましたので、外務省といたしましては、直ちに十二日、土曜日でございますが、事実確認の措置に入ったわけでございます。特に在米大使館を通じまして米国務省に対してこの間の経緯等の説明を求めたわけでございますけれども、これに対して、アメリカ国務省は、そういう文書が存在し、かつこれを同通信社に提供したという経緯を説明するとともに、これはこの法律に従ってすでに公開した文書であるということで、そのすべてを日本大使館にも提供してまいったわけでございます。
 この提供されました文書は全部で百四十三点でございましたが、それらの文書が先週末までに外務省に接到いたしましたので、そのうち若干のものにつきましてはすでに御要求のある向きに対してはこれを差し上げましたし、残りの文書につきましてはいずれもまだ英文のものでございますけれども、英文の状態の形におきましてはコピー等をとりまして、本日、しかるべき時期に御提供できるということにいたしております。韓国政府に対しましても、とりあえずの事情の聴取は別途いたしたことがございます。
 それから先ほどの御質問では、従来からアメリカ側にいろいろ聞いてきたかという御質問が含まれたかと思いますけれども、事件発生以来、日本政府といたしましては、これは日本において発生した韓国にかかわる事件ということで、韓国政府との間では御承知のような種々の交渉経緯があるわけでございますけれども、米国に資料を求めるとか、情報の提供を要請するというようなことはいたしておりません。また、米国政府の方は、これは日韓両国間に起こった出来事である、米国政府としてこれに介入する立場にないというのが従来からの一貫した米国側の姿勢でございます。
#49
○渋谷邦彦君 大変ささやかな疑問を抱くんですけれども、情報の自由の法律に基づいて今回報道機関に提供された、それが事務上の手続のミスであったと、言われてみればなるほどそうなのかなと思う一面もありますけれども、また反面考えてみると、公開すべき文書と公開できない文書と何か区分けされているように私どもも聞いております。そうした明確な整理というものが恐らくアメリカの国務省あたりでされているはずであろうと思われるのに、こういう時期になぜかというまた疑問をどうしてもぬぐい切れない。ですから一方においては謀略説がまことしやかに流れたり、いろんなそういうような受けとめ方というものがあるわけでございます。
 そうしたような誤解を招かない意味からも、外務省が、せっかくこうして公表できるような筋道のものであるならば、その時点においてアメリカ側に対して要求できなかったのか、また、事実そういうような米韓関係における公電のやりとり等についても何かしらの感触が全然得られなかったのか、依然としてやっぱりその辺が残るんですがね、その辺をどのようにわれわれは理解したらよろしいんでしょうか。
#50
○政府委員(柳谷謙介君) これは情報の自由に関する法律に基づきまして、外国人を含めるいかなる人が手続を踏んでもそれに応じた資料の提供が得られるというアメリカの法律システムに基づいたものでございまして、いま御指摘のありましたように、これが単純なミスかどうかといういろいろな声があることは私どもも承知はしておりますけれども、先般、米国務省に対して経緯を詳しく聞きましたときには、先方は、法律に基づいて、そういう手続を踏んで提供した、ところが後で気がついたところによると、二件の文書については提供が適当ではなかったということに気がついたんであるということの説明がありましたので、私どもは、それが経緯のすべてであるというふうに理解しているわけでございます。
#51
○渋谷邦彦君 大変失礼な言い方ですけれども、大変間の抜けたやり方ではなかったのかなという印象をぬぐい切れないわけですね、どう考えてもそうとしか言いようがない。
 正式な手続さえ踏めばそういう情報が入手できるということが明確であるならば、その時点においても情報の入手ということは可能ではなかったのか、また十分そうしたことが考えられるはずではなかったのかと、こうやはり思いたくなりますけれども、くどいようですが、外務省としても、その当時、アメリカ側の意向、あるいは米韓関係に取り交わされたいろんな公電、秘密文書等々のやりとり等について、あるいは何らかの形で、KCIAが実際に干渉しているということが事実であれば、これは日本の主権侵害につながるという重大問題でありますだけに、相当神経を使ってアメリカ側とも折衝されたんではないだろうか。折衝されたとするならば、その結論は一体どうであったのか、全くそういう事実がなかったのかどうなのか、この点についてはいかがでございましょうか。
#52
○政府委員(柳谷謙介君) 実は、この百四十三件の文書のうちの大部分は先週末に接到いたしまして、きょうから私ども手分けして中身の検討を始めているわけでございます。
 ざっとこの百四十三件の文書を整理してみましたところでは、これは平文――これは訳は適当かどうか知りませんけれども、先方の言葉を使いますとアンクラシファイドと言っておりますのが十五件。それから部内資料、リミテッドオフィシャルユースと言っておりますのが九十三件。それからコンフィデンシャルと訳しておりますのが二十三件。シークレット――これは極秘でございますか、一件。それからレター――これは議員からのいろんな陳情のレターのようでございますが、それが十一件。合計百四十三件ということになっておりまして、まだ全部を見ておりませんから余り確定的なことを申し上げるのは控えたいと思いますけれども、このうちの大部分は、東京とか、あるいは特にソウルにおきます新聞論調とか、そういうものを本国へ報告された外交文書であるようでございます。
 したがいまして、この中に、いま御指摘のありましたように、本来秘匿されていて不適当に公表されたとか、それに近いものが一体何件あるかということはもう少し時間をかけて検討したいわけでございますけれども、ざっと見た印象では、大部分のことは公知の事実と申しますか、当時の東京やソウルの新聞によって私ども承知していたことのワシントンに対する報告文書であるような印象を受けております。
#53
○渋谷邦彦君 いま特に問題になっておりますのが当時のスナイダー在韓大使とそれから当時の金東作外務大臣とのやりとりでございますか、その事実関係については、いま外務省が入手されている文書の中には含まれておりますか。
#54
○政府委員(柳谷謙介君) 含まれております。
#55
○渋谷邦彦君 おりますね。
#56
○政府委員(柳谷謙介君) はい。
#57
○渋谷邦彦君 先ほどの御答弁の中で、百四十三通のうち、ほとんどはいままで公開された中身と同であると。ほとんどということは残余のものがあるということでございまして、その残余の部分について新しい事実関係を立証するそうした内容が含まれていると理解してよろしゅうございましょうか。
#58
○政府委員(柳谷謙介君) これは先ほど申し上げましたように、全部の書類の入手後、ただいま検討に入っております。これらの相互の関係がどうなっておりますか等、大事なことでございますので慎重に検討したいと思っておりますので、いまの時点で、この特定の一本だけを取り上げまして、いま御質問の点についての私どもの意見と申しますか、感想と申しますか、そういうのを申し上げるのは控えたいというふうに考えております。
#59
○渋谷邦彦君 控えられる理由は、まだ検討が済んでないからでしょうか。
#60
○政府委員(柳谷謙介君) これはこの十二日にこの文書の一部が報道されました後、とりあえず米国政府と韓国政府に対して事実関係の照会、その他説明を求めたわけでございますけれども、その時点では原文が必ずしもあったわけでございませんので、とりあえずの照会ということで、米国側からはこの文書の存在は確認してきたわけであります。韓国側からは、これもすでにその時点で公にしておりますように、韓国側で記録を調べたところ、通常、この種の会談の場合には公式に記録を作成することになっているけれども、当該、すなわち一九七五年一月九日のこの電報にありますところの金外務部長官とスナイダー駐韓米大使との会見の記録は存在しない、また当時の外務大臣でありました金東作氏に照会しても、その会談の記憶はない、こういう返事がとりあえずあったという説明を受けたわけでございます。
 したがいまして私どもといたしましては、今度接到いたしました文書全体を慎重に見きわめました上で、この会談に必ずしも限らず、全体に関しまして必要な照会と申しますか、確認ということが必要になることもあろうかと思っております。これについては、検討の結果を待ちまして、かっこれは外務省だけで必ずしも判断するのが適当とは思っておりませんので、すでに文書が接到する都度警察当局にも回付してございますので、そちらの意見も聞きました上で、照会等が必要であると考えましたならば、それを行いたいと考えておる次第でございます。
#61
○渋谷邦彦君 さらに、伝えられるところによりますと、まだ百何通かの秘密文書があると言われており、そのものについてもいま外務省は米国側に対して提供してもらいたいという要請をなさっている、これは事実でございましょうか。
#62
○政府委員(柳谷謙介君) ちょっと報道に混乱があったようでございますけれども、初めこの五件だけが報道されましたが、これは百四十三件の中の五件については直ちに電報によって入手したわけでございますけれども、残りの百三十八点につきましては、空送されたので要求中と、それが接到する途上にあるという御説明をしたのが、それ以外のものも要求しているというふうに若干報道されたようでございますけれども、実情は、私どもが米国政府に要求したのは、この一通信社がこの法律に基づいて入手したと聞きましたところの百四十三件だけでございます。
#63
○渋谷邦彦君 そうしますと、いま現在外務省の手元にあるのがすべてでございますね、そう理解してよろしゅうございますか。
#64
○政府委員(柳谷謙介君) そのとおりでございます。
#65
○渋谷邦彦君 いまも御答弁がありましたとおり、またすでにもう伝えられておりますとおり、新しい事実については、韓国側としては、というよりも元外務大臣の金東作さんがそういう事実関係はないと、これは恐らく水かけ論になっていくだろうと思うんですね。文書においては明確にあったという事実が示されているにかかわらず、その当事者のお一人である方がそういう事実関係はなかったと。しかし、スナイダーさんは少なくともあったということで文書にそれをしたためたわけですので、今後どういう外交折衝を展開されるのか、それはさておきまして、外務省としての印象は、新しい事実があったというふうに認定をされておりますか、これは政務次官に伺った方がいいな。
#66
○政府委員(志賀節君) 今回、金大中事件に関する文書が公開されたことによりまして、まず、その内容を正確に掌握しなければいけない、そういうことで調査をずっと行ってまいりましたし、実は、ただいま柳谷局長からお話のありましたすべての内容については御希望の向きにはきょうじゅうにも提供できるようになろうというところまで進んでいるわけでございます。そこで、その内容をしさいに検討いたしまして、あるいはまた捜査当局の意見も徴しながらこれをやっていかなければいけない、こういう考え方でございますから、現段階におきましてのお答えといたしましては、それを一歩も出るわけにはいかないわけでございます。
#67
○渋谷邦彦君 そうかとは思います。しかし、要は、事実があった、いやない、この二つの結論しかないわけですね、はっきり申し上げましてね。当然、警察当局に対してもその判断を仰ぐということにもなりましょう。しかし、少なくともアメリカの国務省に保管されていた権威ある秘密文書というものがもしそうではなかったとしたならば、どうなるんだろうというような、われわれがそこまで勘ぐる必要があるかどうか私わかりませんけれども、事実がなかったということになると、そういうふうな憶測は当然生まれてくるだろう。しかし、少なくともあそこまで明確に伝えられておりますように、いまも柳谷局長から御答弁がありましたように、もう文書の中には明らかである、すると、それを否定する材料というものは一体どこにあるんだろう。
 先々のことを少し触れていかがかとは思いますけれども、それでもやはり感触としても新しい事実というふうには言えないのかどうなのかという、大平さんあたりもこの問題については政治決着の見直しはしないなんということを言うておられるようでございますけれども、それは少し早計でございまして、少なくとも新しい事実が生まれれば、田中総理の時代にも、また三木総理の時代にも、国会答弁において明確に述べられておったことを思い起こせば、これはもう改めてこの問題をやり直さなければならない。いまそこに問題の視点が注がれているわけでございますので、その辺をやっぱり明確にしていきませんと、私の今後の質問にも大分差し支えてまいりますので、そこで伺っているわけです。いかがでしょう、柳谷さん、補足することがあったら言ってください。
#68
○政府委員(柳谷謙介君) この問題の一番重要なポイントは、韓国政府の公権力の行使があったということを明白に裏づける証拠があるかないかという点であろうかと思います。従来いろいろな経緯があったわけでございますけれども、日本政府としては、公権力の行使を裏づける明白な証拠がないという立場で今日あるわけでございます。したがいまして今回の新しく公開されましたこの文書全体を慎重に検討し、関係方面で議論いたしました上で、これらの新しい文書がいまのような点について何らかの判断の材料になるかどうかという点をこれから考えるということでございますので、この点は政務次官がいま答弁しましたように、慎重に考えたいというのが現在の私どもの立場でございます。
#69
○渋谷邦彦君 それ以上のことをいまここで御答弁を願うということは大変むずかしいのかもしれませんけれども、たしかスナイダーさんの後にハビブさんですか、在韓大使をやられた。この方も明確にそういう事実関係があったということを述べていらっしゃるんですね。しかも、お二人ともそうした一連の事実関係について、そのニュアンスの違いこそあれ、それを明確に表明されているということは、さらに事実関係があったのかないのかということをわれわれが憶測するようなまだ余地が残されているんだろうかというふうに思わざるを得ないわけですね、いかがでしょうか。
#70
○政府委員(柳谷謙介君) いま御指摘のような感触も含めて慎重に検討いたしたいと思います。
#71
○渋谷邦彦君 これは午後から審議されます人権規約の際にも、当然、金大中さんの身柄の問題を通じまして、これは再燃するだろう、当然のことだと思うんですね。原状回復するためにはどうしてもその手段というものは当然必要になってまいりましょうし、それだからといって、問題解決をわれわれがするために日韓関係が悪くなるような方向で考えておるわけでは毛頭ないわけでして、日本政府としてはその辺を明確に新しい事実に基づいて見直さなければならない、政治決着についても外交決着についても見直さなければならない、あるいは情報の収集についても見直さなければならない等々のいろいろな問題が今回この問題を通じまして派生したわけです。いままでの冒頭に申し上げたように外務省の情報収集が甘過ぎたのかどうなのかということも見直さなければならない。これは将来必ずしもこれに類似するような問題が起こるであろうということを前提にするのではなくして、こうした問題は再び起きないという、正確な情報の収集によって、妙な疑いを残したまま決着をするというそしりを免れるためにも、いま私は強くそういう点についてのことを申し上げたわけなんです。
 わずかな時間であれもこれもとすべてに触れるわけにまいりませんし、また本会議等々の適当な時期に大平さんにただす面もあろうかと思いますので、可能な限り、いま政務次官あるいは柳谷局長が言われましたように、それぞれの関係省庁においてその事実確認を急いでもらいたい。そうしませんと、また何かうやむやになってしまうような、主権国家としてまことに恥ずかしい、こんな不名誉なことはございません、これはだれが考えたって常識でございましょう。その点についてそれだけを締めくくりとして要望しておきたいというふうに思うわけです。よろしゅうございますか。
#72
○政府委員(志賀節君) 全く御趣旨はよくわかりましたので、それを胸中にとどめて、私どもとしては事に対処してまいりたいと思います。
#73
○渋谷邦彦君 それでは、小麦を少しやらさしていただきます、余り時間がありませんけれども。
 今回の小麦協定については食糧庁の小野さんという方ですか、この方が「国連小麦会議に出席して」という小論文を非常に要領よくまとめておられますので、この経過、問題点については一応理解しておるつもりでございます。先ほども質疑のやりとりを伺っておりまして、またもかという印象をぬぐい切れないわけです。もう十年かかっているんですね、これは。何かこう決着がついたのかつかないのか、暫定協定みたいな性格を持ったまま、また今回も協定そのものを延長する、こういうことでありますけれども、どうですか、これからの展望として、あと二年間という期間においていま問題点になっているような事柄が整理をされて、生産国もあるいは消費国もパーフェクトに満足できるということはないにしても、大体その希望に沿うたこの協定の中身というものができる可能性があるんでしょうか。
#74
○政府委員(羽澄光彦君) 今回の、特にことしに入りました第三回目の交渉会議を見ますと、先生がおっしゃいましたような生産国と消費国及び先進国と開発途上国というものの利害の調整を見出すということはなかなか容易なことではないというふうに考えております。
 今回、協定を一年ではなくて二年間暫定延長いたしましたのも、そうした交渉の現実にかんがみまして、一年ずつするよりは二年間延ばしておいた方が現実的であろうという判断もあったわけでございます。他方、これは特に東京ラウンドそのものではございませんけれども、東京ラウンドと並行いたしまして、国際的な農業、特に穀物分野において安定的な供給を図ろうということでやってまいりまして、関係国、これは消費国であると生産国であると、先進国であると開発途上国であるとを問わず、とにかく安定した市場を確保するためにひとつ取り決めが必要だという、こういつた認識は非常に強まっておるわけでございます。
 そこで、現在とられております方法といたしましては、この交渉会議の議長と小麦理事会の議長と小麦理事会の事務局長、この三人で主要参加国に当たりまして、一体交渉会議を再開するめどが立つかどうか、再開してもまた失敗というのでは困りますので、再開して妥結に至るめどがあるかということをいま打診しておる最中でございます。そして六月の小麦理事会にそれを報告いたしまして、それを見た上でまた関係国が集まって結論を下そうということになっております。
 日本といたしましても、非常に大きな輸入国でございまして、その安定したマーケットを確保するということはきわめて重視しておりますので、何とかこの交渉が実質的な経済条項を持った有効な協定となるように、できるだけ努力してまいりたい、このように考えております。
#75
○渋谷邦彦君 この小麦の問題は、人口問題と絶えず連動するという非常に重要な内容を持っているわけでございまして、二十一世紀までにはいまの世界の人口が倍になるんではないだろうかということが指摘されておりますし、また、同時に、発展途上国においての恒常的な飢餓状態というのが一向に解消されないというのが続いているわけです。
 したがって、そういうような根本的な問題を考えつつ、今後の小麦の生産、消費あるいはそうした飢餓状態における援助、そうしたことを考えた場合に、日本のこれからとるべき政策というものは、ただ自給率の割合が四%で、金を出しさえすれば買えるんだというような行き方でいいのかどうなのか、いろいろな問題点がまだ依然として残されたままこの小麦協定に参加をしているということになるわけですけれども、食糧庁あたりでは、そうした基本的な問題については、どんな展望を持っているんですかね。
#76
○政府委員(小野重和君) 食糧の安定供給ということが最大の私どもの課題でございますが、そのうち特に主食について考えてみますると、これはもう申し上げるまでもないことでありますが、米と麦でございます。
 で小麦について申し上げますと、御案内のように自給率が非常に低下いたしております。したがいまして極力生産性を上げながら増産を進めていくということによって自給率を高めていくということはまず第一の課題でございます。そういう努力を私ども一生懸命やっておるわけでございますが、そうは申しましてもどうしても相当分の不足が出てくるということでございますので、これは安定輸入ということがどうしても必要である。それからまた天候などの一時的な供給の不安ということもありますので、これには備蓄をもって対処する、こういうことになろうかと思います。
 さらに、わが国にとってみれば、やはり米が大宗、主体であると思います。ところが、残念ながら、米の消費が年々減少しているということでございまして、それで一方では生産調整をせざるを得ないということでございます。したがいまして米の消費拡大ということにも最大の努力をいたしますと同時に、現在は生産調整をやらざるを得ないわけでございますが、いずれにしましても今後はそのような米の消費拡大による米の供給体制を維持するということと、それから小麦については、先ほど申し上げましたような自給率を向上させる、安定輸入というような、そういうもろもろの施策によりまして、主食の安定供給を図りたいということが私どもの考え方でございます。
#77
○渋谷邦彦君 非常に限定された時間の範囲で、あれもこれもといった基本的なことをお尋ねするのはもうどうしても気が焦っちゃってまともなことをお尋ねできないのですけれども、また、この問題については、機会を改めて、基本的にもう一遍考え直さなきゃならぬということ、これは単に食糧庁とか農林水産省の一省だけの問題ではなくして、国民全体の課題として考えなきゃならない。
 私は、専門家でもありませんから、詳しいことはわかりません。わかりませんけれども、いまおっしゃったとおり干ばつ、冷害、こういう凶作によって非常に生産量が減るという問題もございましょう、そうした場合一体どうするのか。あるいは備蓄の問題についても、問題点になっておりますとおり、どうするのか。価格帯については一体どうするのか、この問題だってきわめて重要な問題です。しかも円安の傾向がいま進んでいるこの日本の経済情勢の中で、将来、一体どういう展開が考えられていくんだろうかということもございましょう。と同時に、また国内を考えてみた場合、確かに米に依存する割合がまだ高いとはいうものの麦に依存する割合も嗜好の変化によってふえつつあるわけです。ですから、調整を図るのならば、減反をするのではなくて、何とか自給ができるような方向へどうして持っていけないのだろうか。それには余りにも金がかかり過ぎるというふうないろんな背景があるようです。むしろ買った方が安上がりだ。しかし、やっぱり国民は自分の国でつくったものを食べることが一番安定するんじゃないかと思うんですね。それが将来戦略物資的な扱いを受けるなんというようなことになった場合、一体、どうなるんだろうかという問題もある。
 これは何回も繰り返し繰り返しそういう問題がこうした機会に論議をされながらも、一向に前に進んでいないわけですね。自給の割合は依然として四%、何とか努力をしております、これが返ってくるだけ。じゃ一〇%にふえているのか、二〇%にふえているのかといえば、少しもふえていない。それは粗粒穀物においても同じことが言えるのですね。が、まだいま日本の場合はゆとりがありますから、余り深刻なそういう取り組みというものを考えないかもしれない。しかし、これが一たんかつてのような冷害、干ばつが毎年のようにあるというような状況を考えてみた場合、一体、どうなるんだろうと、背筋の寒い思いがいたします。これはエネルギーとの関連においても決して無視のできない、そういうかかわり合いもございましょうし、そういうところをもう一遍総合的にお尋ねをしたかったわけですけれども、じっくり今度時間を決めまして次長さんから含蓄のあるところをお伺いするということを申し上げて、きょうは、この程度にとどめておきます。
#78
○塩出啓典君 それでは二重課税回避の二国間協定について、わが国は三十カ国と締結をしていると聞いておるわけでありますが、間違いはないかどうか、お尋ねいたします。
#79
○政府委員(山田中正君) いま仰せのとおりで間違いございません。
#80
○塩出啓典君 二重課税回避の二国間協定が三十カ国と締結されておるわけでありますが、これらの協定の内容というものはどういう考え方に立って作成をされているのか。私の判断では、大体、皆同じような共通するパターンで締結されておるように聞いておるわけですが、その根本的な考え方は簡単に言ってどういう考えに立っておるのかお伺いいたします。
#81
○説明員(宮本英利君) 租税協定の主な目的を申し上げますと、国際的な二重課税の排除ということが基本的な目的でございます。たとえば同一の所得につきまして二国の課税権が重複する、二重に税金を取られるというふうなことを回避すること。そういうことが基本的な目的でございまして、その結果といたしまして、その当該二国間の経済取引の円滑化を図っていく。すなわち租税条約の締結を通じまして相手国の課税ルールを明確かつ安定的なものにすることによりまして、企業の海外進出あるいは海外投資にまつわる不安、そういったものを除去いたしまして、国際的な経済取引の安定と円滑化を図るというふうなこと。
 それから、さらに二番目の目的といたしまして、経済協力、文化交流の促進、こういったことも重要な課題でございます。必要と認められます場合には、発展途上国に対する投資を促進するためのそういう措置も講じたり、また、さらには文化交流の促進という観点から、大学の教授、留学生、事業修習生、こういった方々に対する免税規定を設けるというふうなことも入れておるわけでございます。経済協力及び文化交流の促進というふうなことも目的でございます。
 それから、さらに適正な課税の確保ということも第三の重要な目的でございまして、課税当局間の協議によりまして、二国間にわたる課税問題について種々問題が生じますようなときには、適正な解決を図るというふうなルートをこういう協定によって設けております。さらに国際的な脱税を防止するというふうな、こういうことが租税協定の主要な目的というふうに言えるかと存じます。
#82
○塩出啓典君 ECDのモデル条約が一九六三年にでき、さらに一九七七年に新しいものができたと聞いておるわけでありますが、間違いはないかどうか。
#83
○説明員(宮本英利君) 間違いございません。
#84
○塩出啓典君 わが国の今回の西ドイツとの租税協定もこのモデル条約にほぼ基づいているものである、こう理解していいわけですね。
#85
○説明員(宮本英利君) モデル条約と申しますのは一つのモデルとしてパターン化してつくってあるわけでございますが、日本と西ドイツの条約はそれに両国間のそれぞれの事情を加味してつくられておるわけでございましてその基本的な物の考え方は、OECDモデル条約にのっとってつくられておるということは確かに言えると思います。
#86
○塩出啓典君 一九七七年の改正というものは、どういう点が変更したわけなんですか、主なる変更点はどこでしょう。
#87
○説明員(宮本英利君) 七七年の改正と申しますのは、基本的に大きな変更というものではございませんで、従来のモデルを見直すという意味におきまして行われたものでございまして、結果的には、たとえば定義等細かな点におきまして明確でなかったところを明確にするとか、そういった微調整的な改正というふうになってございます。
 主な改正内容を申し上げさせていただきますと、非常に技術的な細かな点になるのでございますが、「支店」とか、そういう恒久施設という定義が中にございますが、そういうものの中に、たとえば石油であるとか天然ガスのそういう井戸をつけ加える、こういうふうな改正が行われたこと。それから不動産所得に農業または林業から生ずるような所得も含むというふうな改定が行われたこと。それから国際運輸業所得につきましては相互免税という原則がうたわれておるわけでございますが、その国際運輸業の中には、たとえば国際で経営共同体というような形で経営を行っておりますような国際運輸業所得に対しましても免税規定を適用するというふうなこと。それから特殊関連企業という概念がありまして、たとえば血縁関係にあるような親子関係、兄弟姉妹、そういうふうな関係にあるような特殊関連企業という概念がございまして、こういう企業間で行う取引は計算を否認するというふうな税務当局に権限を与えておる規定でございますが、こういう特殊関連企業の定義につきまして若干の改定を行っておる。さらには芸能人の所得課税につきまして若干の改正を行っておる、こんなふうなかなり技術的な点であろうかと思います。
#88
○塩出啓典君 わかりました。そうしますと、一九七七年のモデル条約ができて、それ以前のわが国と諸外国とのすでに締結をしておる租税協定を変更する必要はないのかどうか、これは外務省の管轄になるかもしれませんが、その点はどうでしょうか。
#89
○説明員(宮本英利君) 先ほど申し上げましたように、OECDの一九七七年の改定の内容といいますのが、従前のモデルを見直しまして、中で疑義のあった定義等、そういう技術的な点につきまして新たな解釈を行っているというふうなかなり技術的な点でございまして、基本的な考え方につきましてはその両者間に相違がございません。そういう意味におきまして旧モデルで結ばれました条約を新モデルに従って直すという緊要性はないわけでございます。
#90
○塩出啓典君 了解しました。
 今回、ドイツの税法が変わったために西ドイツとの租税協定を改正せねばならない、こういうことでありますが、税制改正のたびに二国間の租税協定を改正するということは非常に大変じゃないかなと、税制が変わっても変更しなくてもいいようなそういう租税協定はできないのかどうか、その点はどうなんでしょうか。
#91
○説明員(宮本英利君) 先方の税制の改定の度合いによるわけでございますが、現在の条約の中にも、現行の租税と同一またはこれと実質的に類似するものについても、そういうものは改定があった場合には適用するというふうな条文が入ってございまして、それほど実質的に大きな影響を与えるものでない限りは、現行の租税条約でそのまま適用できる趣旨が委任してあるわけでございます。
 それで今回の西ドイツの税制改正といいますのは、今回特に御提案申し上げておりますように、財産税とそれから法人税、この両者におきましてかなり大きな制度変更がございまして、その結果、わが国の居住者の税負担が非常に高まってくる、こういう実質的に大きな変更がございましたので、このような改定をお願い申し上げた次第でございます。小さな先方の改正のような場合にはその必要はないかと、このように存じております。
#92
○塩出啓典君 四十九年の四月に行われたドイツ連邦共和国の財産税法の改正の内容というものは、どういう内容であるのか。それから、わが国から西ドイツヘの投資の一部に新たな財産税が課せられることとなったと説明書にあるわけでありますが、いままでは免税であったのか、また投資の一部というのはどういう意味なんでしょうか、お尋ねいたします。
#93
○説明員(宮本英利君) まず第一の御質問でございますが、先方の財産税法の改定の中で、特に非居住者に対する財産税の改定の中におきまして、非居住者の有する財産でドイツ国内にあるものにつきましては課税が行われるわけでございますが、ドイツの中にある非居住者の財産の定義がやや拡大されたわけでございます。その拡大されましたものは、日本の企業がドイツに子会社を持っております場合に、特にその子会社の株を二五%以上持っております場合に、その株式という財産に対しまして財産税を課す、つまりそのような株式はドイツ国内にある財産とみなすというふうな新たな改定が行われまして、従来そういう株式には課税がなされなかったものが新たに課税されるようになったという点でございます。それが今回非居住者にかかる改正の主な点でございますが、そのほか一般的な改正といたしましては、中小規模の財産所有者に対する負担を軽減して、大規模財産所有者に対する負担を重くするというふうなことが国内の納税義務者には一般的に行われております。
 そこで、先ほど申し上げました、この改定におきまして、わが国居住者の所有する持ち株比率二五%以上の西ドイツ企業の株式に対しまして財産税が課されることとなったわけでございますが、これに対しまして、今回の改定におきましては、その財産税を条約の対象にするということをまず一つ掲げておりまして、さらに、日本の居住者がドイツに持っております動産、その動産の中で日本の居住者がドイツに支店を持っておりますような場合に、その支店にかかわる動産以外の動産、つまり支店を持たない居住者がドイツ国内で持っている動産につきまして、その動産に対する財産税は一般的に免税にするというふうな、こういう規定を入れたわけでございます。そこで日本の親会社がドイツの株式を二五%以上持っておりますような場合に、その株式はドイツに存在する日本の親会社の持つ財産とみなすというふうな規定になったわけでございますが、いま申しましたような条約改定におきまして、そういう財産に対する税も免除するというふうな新たな規定が行われたわけでございます。その結果といたしまして、そういう親会社が持つ子会社の株式に対しては財産税が免除されるということが明確になったわけでございます。そこで、たとえば五十二年三月末の時点で申し上げますと、少なくとも約百万ドル程度の財産税額が西独において免除されるというふうな結果になろうかと推定されるわけでございます。
#94
○塩出啓典君 財産税というのは、わが国では何税になるんですか。ちょっと余り財産税という、不動産から生ずる所得とは違うんですね。
#95
○説明員(宮本英利君) わが国には、財産税に見合った租税はないと申し上げてよろしいかと思います。日本に財産に対する税としましては固定資産税のようなものがございますが、これに見合うドイツの税は不動産税というべきでありまして、財産税に見合った日本での租税というものはないと申し上げてよかろうかと思います。
#96
○塩出啓典君 どうも説明がよくわからないんですけれどもね、後でまたゆっくり会議録を読ましていただきます。
 西ドイツから日本に進出している企業についての固定資産税等については、どうなっているんですか。
#97
○説明員(宮本英利君) この問題は、固定資産税は自治省の主管でございまして、自治省の方からお答えいただいた方がいいかと思うんでございますが、ドイツの居住者、ドイツの個人なり法人が日本で所有いたしております財産には、固定資産税はかかるというふうに考えております。
#98
○塩出啓典君 交渉の長引いた理由は何であるのか、また日独間においてこの交渉の過程において対立点があったのかどうか、その点はどうでしょうか。
#99
○説明員(宮本英利君) 財産税は昭和四十九年に改正されたわけでございますが、それを受けまして、わが方も昭和五十一年三月に改定の申し入れを西独政府に行いまして、それ以後、交渉を続けてまいったわけでございますが、その交渉の途中に至りまして、先ほど御説明がありましたように、昭和五十二年に西独の法人税法が改正されたわけでございます。そこで、この法人税法の改正による改定もあわせ行おうというふうなことになりまして、その両者をまとめて昭和五十二年四月、さらに昭和五十二年十二月と二度にわたります実質的な正式交渉を行ったわけでございます。しかしながら、その途中におきまして、先方の方から、匿名組合というものがあるんでございますが、これに対する課税方法の変更の申し出がございまして、それを再び両国で研究するというふうなことで、これは外交レベルでそういう交渉を行いました結果、昨年の暮れに至りまして、ようやく合意されたというふうなことでございます。したがって大きな対立点というふうなものはございません。
#100
○塩出啓典君 了解しました。
 中国とか、あるいはインドネシア、フィリピンあるいは中近東諸国等、わが国との経済交流の多いところがまだ未締結でございます。これらの国との租税協定締結の要望は関係業界から出されているのかいないのか。それから中国については、新聞等では締結の必要が非常にあるように拝見しておるわけでございますが、中国との間の租税協定の見通しはどうなのか。それから、どういう条件が調えば締結をされるのか、今後のスケジュールを聞きたい。以上です。
#101
○説明員(宮本英利君) 租税条約の目的につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、二重課税の排除、したがって経済交流、文化交流の促進という大きな目的がございます。したがいまして先方にも租税がありますような場合には、基本的には租税条約を締結いたしまして、そういうネットワークをできる限り広めていくことが世界貿易あるいは世界の文化交流の促進という観点からも望ましいことであろうかと基本的には考えておるわけでございます。しかし、先方にも種々政策があることでもございますし、わが国といたしましては、そのような相手国の選択、締結の優先度というものを考えるに当たりましては、やはり先方との経済、文化交流の規模及びその拡大の可能性あるいはわが国との経済的関係の緊密度、こういった要素を種々勘案いたしまして、相手国の選定といいますか、優先度をはかっておるわけでございます。
 現在、租税条約の締結交渉を行っております相手国といたしましてはインドネシア、フィリピン等がございます。それからハンガリーとは先般実質交渉を行いまして、実質的な合意が得られておるという状況にございます。また、近々、交渉を予定いたしております国といたしましてはポーランド、ユーゴスラビア、アルゼンチン等を考えております。なお、改定交渉を予定いたしておりますものといたしましてはイギリスがございますし、改定の合意に達しております国といたしましてはイタリアがございます。
 なお、中国につきましては、今後わが国からの企業の進出あるいは双方の人的交流の増大等が予想されますので、租税条約の締結につきましてはできる限り前向きに検討していきたいと考えておるわけでございます。ただ、中国におきましては、現在、外国人税制といいますか、非居住者に対する税制が完備されていないというふうに聞いておりまして、現在検討中であるというふうに承知いたしておりまして、したがいまして中国側のこういった税制が整備されるのを待ちまして租税条約の締結交渉を進めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#102
○塩出啓典君 五十二年一月の西ドイツの法人税法の改正の内容についてお尋ねいたしますが、これは「法人税法等」とありますが、法人税以外にも改正されたのかどうか。また、今度の改正は居住者と非居住者との間の税負担に差ができたというようにあるわけですけれども、これはどういう意味なのか、いままでは差はなかったのかどうか。それから、わが国の税制の場合は、日本の国から見た場合、居住者と非居住者の税率の差というものはあるのかないのか、これはどうなんですか。
#103
○説明員(宮本英利君) 「法人税法等」とございますその「等」は、所得税も法人税の改正にあわせて調整されたという点でございます。
 そこで、その法人税制の改正の内容を概略申し上げますと、法人の段階で法人税が課されまして、その所得が配当されました場合に、配当の受領者に再びその配当に対する所得税が課せられるというふうに、ドイツにおきましては法人がかせいだ所得に対して二度税が課せられる、これを調整しようという考えが生じまして、この調整が配当を受け取る所得者の段階で行われるようになったわけでございます。これをインピュテーション制度というふうに呼んでいるわけでございますが、このようなインピュテーション制度によって法人段階と個人段階で課される二重課税を完全に排除するという方式がとられました。
 そのときに、同時に法人税率を高めまして、法人に留保される所得につきましては従来五一%でございました税率を五六%に高めております。さらに配当する税につきましては、表面一五%と言っておりますが、実質的には二五%程度に当たるわけでございますが、その二五%の税率を三六%と約一〇%余り高めておるわけでございます。そのような大きな改定が生じたわけで、ドイツの居住者はそのような配当を受け取りました場合に、法人段階で支払われた税をも自分の所得として算入して個人所得税を算出いたしまして、その個人所得税から法人段階で配当に対して支払われました税を引くという形での二重課税の調整が行われているわけでございます。ところで、その非居住者の場合にはそのようなインピュテーションというものが認められていないわけでございまして、その結果、非居住者が受け取る配当につきましては、従来の一五%、実質で言えば二五%が三六%に上がった分だけ税負担が増大した、こういう結果になったわけでございます。したがいまして、その上がりました一〇%部分を何らかの形で調整する必要が生じたわけでございまして、それをドイツが配当の受領者である日本の居住者に課す源泉税率を二五%から一五%に一〇%下げることによって調整したというのが今度の改正の内容でございます。
#104
○塩出啓典君 第十条の改正の内容についてお尋ねしたいわけですが、これはいままでは西ドイツでは二五%以下、日本では一〇%以下、このように差があるのはなぜか。今回の改正でも西ドイツは一五%以下、日本は一〇%以下、こういうように、条約というものは私はお互いに対等というか、それであるべきであるのに非常に差があるということはちょっと不平等な感もするわけですけれども、その点の考え方はどうなんでしょうか。
#105
○説明員(宮本英利君) 先ほどの御質問で御答弁を申し上げるのを忘れまして補足させていただきたいと思うのでございますが、日本の配当税制の場合には居住者と非居住者について差はございませんが、受領者の段階で配当控除という制度が設けられております点で若干の負担の差が生ずるという点を補足させていただきたいと思います。
 それからただいまの御質問でございますが、配当に対する条約上の税率はOECDモデル等におきましても一般的には一五%という税率が慣習的に伝統的に認められておりまして、これによっておるわけでございます。いわゆる一般的なポートフォリオと申しますか、投資の税率は一五%で行われておる。ところが、子会社の株式を二五%以上支配するような親会社に対する配当につきましては、これは親会社が現地で会社をつくらないで支店を出したというふうな場合と比較する必要があるわけでございます。その支店に対する課税と現地法人をつくってそれをほとんど支配した場合における課税との税負担に均衡を保たせる必要があるということが課税当局として必要な措置になってくるわけでございますが、ドイツの場合には、そのような日本の企業の支店に対しましては約五〇%の法人税をかけておるわけでございます。
 そこで、ドイツの法人税が改定される前の配当税率を申し上げますと、先ほど申しましたように実質二五%でございます。そこでその支店で出ておりますものが五〇%取られますものとの権衡を図るためには、配当に対する源泉税率を二五%という形で両方足しましてほぼ支店の場合と同じような負担という形にしておるわけでございますが、今回、ドイツの子会社から日本の親会社に支払う配当に対する税率が法人税が二五から三六に上がったということの結果、その支店形態で出ております場合よりも税負担は一〇%前後増大した、その部分を日本の親会社に対する源泉徴収税率を二五%から一五%に低めるという形で帳消しにいたしまして、ほぼ支店と同じ程度の税率である五〇%にバランスを保たせたということが今回の改定でございます。
 逆にドイツの方から日本に子会社をつくっております場合には、日本の配当税率は御承知のように三〇%でございます。もしドイツの企業が日本に支店を出しております場合には、その支店に対する税率は、普通の法人税率でございます四〇%でございますから、その差の一〇%を親子間配当につきまして課しておる、つまり支店と現地法人との場合を一〇%の税率ということによっていま課しておるというふうな形になっておるわけでございます。
#106
○塩出啓典君 私がいま質問したのは、日本の企業がドイツへ行っている場合とドイツの企業が日本に来ている場合と、その税率に差があるのは不平等ではないか、そういう質問をしたわけなんです、その点はどうなんですか。やっぱりその国の税制が違えば、それはやむを得ないことなのか、その点どうなんですか。
#107
○説明員(宮本英利君) ただいま先生が御答弁されたわけでございますが、まさにそのとおりでございまして、両国の税制の違い、法人税率の違いということに帰すかと思われます。
#108
○塩出啓典君 日本とECの貿易取り決めが未成立とのことでございますが、問題点は何か、今後の見通しをお尋ねいたします。
#109
○政府委員(宮澤泰君) 私ちょっと直接の担当でございませんが、ECとの取り決めがまだ未成立でございますのは、やはりECを構成しております各国の経済事情、それからそれぞれの経済的な枠組みが違っておりますので、まだ統一的な交渉にならない、こういうことであると私理解しております。
#110
○塩出啓典君 昨年のわが国の対独の輸出は三十六億ドル余、輸入は二十億ドルと日本の極端な出超になっておるわけでありますが、最近の状況はどうなのか、是正されておるのか、その点をお尋ねいたします。
#111
○政府委員(宮澤泰君) ただいま御指摘のように、昨年度の日本の対独輸出は三十六億ドル余でございまして、対独輸入が十九億ドル余でございますので、結局、日本の方の十六億ドル余の出超になっております。このような状態は過去数年間ずっと続いておるわけでございまして、この点につきましては、日本の方の内需拡大の努力とそれから製品輸入の努力と相まちまして、だんだんに是正はされつつある。たとえば昨年度は日本の対独輸出は前年比三一・四%の増でございましたけれども、対独輸入は三三・五%増と、この比率で申しますと、多少は是正されつつあるわけでございます。
 ドイツも日本もともに自由貿易の擁護者でございますので、貿易制限のようなことはいたしておらない。特にドイツの方は、このようなインバランスではございますけれども、ほかの方でバランスをとっているということでございますので、格別インバランスの問題として大きな困難に逢着しておる、こういうことはございません。ただ、日本側の輸入努力あるいはドイツ側の輸出努力、それから多少の円高の効果等もございまして、このような点はだんだんに是正されつつあるものと考えております。
#112
○塩出啓典君 日本のドイツ製品輸入の努力不足、特に検査制度とかあるいは流通機構の改善等に関して批判の声があったと言われておりますが、この点は最近はどうなんでしょうか。
#113
○政府委員(宮澤泰君) この点につきましては、単にドイツのみではございませんで、方々の国からそういう点の苦情が参っておりますが、実は、日本側は、よそが考えますほどいろいろ努力を怠っておるわけでもございませんし、それなりに改善の努力はしておりますわけですが、外国のわが日本の社会の流通機構等を勉強いたしてここに進出してくる努力と、それから日本側のこのような外国の苦情のうちでゆえありと思われますものは可能な限り是正していく、この両々の努力相まって事態を今後とも改善の方向へ向けるべく努力をいたしておるところでございます。
#114
○塩出啓典君 最後に、原子力を初めとする科学技術協力の促進、これが日本と西ドイツの間においては今後も必要ではないかと思うわけであります。第三国における共同プロジェクト等の新しい分野での協力は今後どのようなものが促進されていくのか、科学技術協力の促進の状況についてお尋ねをいたします。
#115
○政府委員(宮澤泰君) 日独の間には、科学技術協力協定に基づきまして混合委員会がございまして、この場でいろいろな彼我の交流及び第三国における協力という点を議しておりまして、問題といたしましては、やはり原子力、海洋等、その他の面におきまして第三国における協力を計画いたしております。
#116
○塩出啓典君 以上で終わります。
#117
○委員長(菅野儀作君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 午後二時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時五十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時開会
#118
○委員長(菅野儀作君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の締結について承認を求めるの件及び市民的及び政治的権利に関する国際規約の締結について承認を求めるの件、以上両件を便宜一括して議題といたします。
 両件につきましてはすでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#119
○戸叶武君 この人権問題の審議に入るに際しまして、具体的な事例として、金大中事件は、日韓の外交的な交渉の中において、アメリカのウオーターゲート事件と同じように、きわめて不明朗な歴史的な記録をいままでつくっておると思うのであります。
 第一に、その真相の究明でありますが、日本の政府、外交関係の機関だけでなく、警視庁あるいは法務関係、それらをめぐって日本側であの真相の実態をほぼ把握していながら、特に警視庁においては指紋の問題を通じて犯人をほぼ見出しておりながら、それを追及することができなかったというところにきわめて不明朗な暗いものを感じさせるのであります。
 もう一つは、金大中事件をめぐって、最近、アメリカ政府側から、スナイダー駐韓米国大使が一九七五年一月十日付でキッシンジャー国務長官に送った公電で、その前日に行われた金東作韓国外相との会談に触れ、金外相は、日本における韓国中央情報部KCIA要員で金大中誘拐に責任ある金東雲はKCIAからひそかに解任されることになったと述べたと報告。もう一つは、金大中の日本からの誘拐事実発生から二週間後に、当時のハビブ駐韓大使からロジャーズ国務長官にあてた公電で、金大中事件はKCIAの犯行であるとの判断を示すとともに、この種の韓国当局の行動に警告を続けていると報告している。この情報の自由法に基づいた情報、公文書がわが国の外務省に届き、それによって問題が改めて究明されるに至ったのですが、この経過は何といっても日韓関係の外交並びに政府当局において事の真相を隠蔽し、自国の主権の所在というものを不明朗にさした事件で、このようなやり方をもってすれば今後において外交上の不信義を問われることは当然でございますが、どうしてこうなったのか、あの当時法務大臣であった方からもおかしいということは明確にされておりますが、当時の外務大臣宮澤さん並びに総理大臣の大平さんは知らぬ存ぜぬでは済まないと思うのでありますが、これに至った経過、これを国民の前に明確にしてもらいたい。
 アメリカのウオーターゲート事件だけでなく、日本のロッキード、グラマン等の購入についての不明朗さも、この金大中事件の不明朗さと同じく、きわめて暗さが漂っております。きょうはいい天気ですから、少しこの辺を明るく私はしてもらいたいことをお願いいたします。政府の方から、どなたか当時のことをよく知っている方から責任ある御答弁を願います。
#120
○政府委員(柳谷謙介君) この金大中事件は一九七三年の八月八日に発生したわけでございますが、当時以来の長い記録を見ますると、当時の日本政府はこの事件の真相の究明には全力を果たしたと私どもは理解しております。
 事件そのものは外務省の所管と申しますよりも、警察捜査当局の所管でございましたので、過去のこの国会の場におきましても、警察当局から詳細な御報告があったことは御承知かと思います。その後、いろいろな経緯がありましたけれども、いま御指摘のありました金東雲氏の指紋が出たということを踏まえていろいろな折衝がありましたけれども、最終的には――最終的と申しますか、その後、韓国側の捜査が続けられました結果、結局公権力の行使を明白に裏づける証拠がなかったというような一応の結論が出た経緯がございます。
 ただし、その後も日本政府としてはこれで全部おしまいということではなくて、特にいまも御指摘のございました金大中氏自身の身柄の自由の問題というものにつきましては、これは四十八年十一月のいわゆる外交的決着の際にも日本政府は特に関心を示した点でございまして、金大中氏は一般韓国人並みに自由であるということの了解を韓国側から得た経緯がございます。その後、金大中氏は、その後に起こりました韓国国内における事件のために拘束され、あるいは服役するという経緯がございましたけれども、日本政府としては、その後の韓国内におけることはともかくとして、この事件のもともとの被害者であるという認識に立ちまして、いろいろな機会を利用しまして、このわが方の金大中氏の身柄の自由に関する関心は表明し続けてまいりました。昨年の暮れに刑の執行停止という形で保釈されましたときに、この事態を歓迎する意思を表明したのもその辺に発するものでございます。その後も、金大中氏は三回ほど警察当局の質問を受けたようでございますけれども、その都度、その日のうちに帰宅させられているようでございまして、そういう意味では、今日に至るもなお政府としては金大中氏の身柄の自由ということについての関心は事件当初以来一貫して維持しているということでございます。
#121
○戸叶武君 私の質問に対して、外回りを駆けめぐっているだけで中心のところを明快に答えておりませんが、もう少しわかるように答えてください。経過をなぜただけであって、私が問題点を提示したものに対しては一つも答えにはなっていないじゃありませんか。しゃべっているだけが答弁じゃないです、真相を明らかにすること。
#122
○政府委員(柳谷謙介君) ただいま申し上げた中でちょっと申し足りなかった点があるかと思いますが、そのうちの一つは、最初に戸叶委員の御指摘のありました最近のスナイダー電報にかかわる部分かと考えますけれども、確かに御指摘のように、今般日本の通信社が法律によってワシントンにおいて要求しました資料に基づいて米国の国務省から発表されました文書の中に、その後の米国側の説明によりますと本来秘解除をするのは不適当であった文書だと言ってはおりますけれども、御指摘のスナイダー氏発国務長官あての電報が含まれております。またハビブ大使発の電報も含まれているわけでございます。
 この点は、御指摘のように、過去のこの事件の真相と申しますか、それに迫る非常に重要な文書であるという点は私どもまさにそのように考えまして、したがいまして、これらの文書を含めて百四十三件の外交文書が通信社に提示されたと同じものを外務省もつい先般取得いたしましたので、従来から政府としてはこの事件の真相の究明には努力してきたわけでございますけれども、新しい資料ができたということで、この資料については現在鋭意慎重に検討を始めております。その検討の結果、必要に応じて、さらに事実関係の照会、確認等を求める努力もしたいと思っておりますので、それらの結果によりまして、いま御質問のありましたこの事件の真相と申しますか、経緯について何らかの事情がわかるかどうか、これはもう少し時間をいただいて検討した上でというふうに現在は考えております。
#123
○戸叶武君 一通信社ですら真相究明のためにこれだけの突っ込みをやり、アメリカ政府から、これほど明確な公権力介入は周知の事実である、日本は認めよというような形の回答が返ってくるのに、政府というのは、アメリカ側の思惑を考えてか、韓国との特殊な結びつきによるものか、一つも突っ込みがない。真相究明に対して熱意がなかったのはいかような欠陥が外務省にあるからでしょうか、そのことを承りたい。
#124
○政府委員(柳谷謙介君) この日本政府の過去の真相究明の努力というのは、日本に起こりました韓国にかかわる事件でございますので、韓国との間においての努力が中心でございました。これは捜査当局の御努力によって種々の調査結果が出て、これを韓国側に示し、その調査を求めるということの繰り返しがあったわけでございます。
 でアメリカについてはどうかというお尋ねでございますけれども、政府の基本的な考え方は、この事件は日本において起こった、日本を訪ねていた韓国人に関して発生した事件であるということでございますから、アメリカのみならず、第三国の外交機関その他がこの問題についてそれぞれの立場からいろいろ情報を収集されていただろうということは推定できますけれども、政府の外交努力というのは、当事国と申しますか、関係国である韓国ということに置かれたわけでございます。ただ、事件の発展のその後の段階で、米国の関係者がいろいろ証言をしたり、いろいろインタビューに応じたということが何回かございましたので、そのときは、それに関してどういう情報を承知しているかということを米国政府に照会したり事実関係を聞いたことはございますが、それらのときにおける米国政府の一貫した説明は、これは日韓間に起こった事件であるので、米国政府としてはこれに対してコメントする立場にない、介入する立場にないというのが一貫した説明であったわけでございます。
#125
○戸叶武君 いまの答弁を聞いていれば、米国の答弁があたりまえの答弁であって、日韓間に起きた出来事に対して日韓両国政府が責任を持ってその問題を解明する政治姿勢が必要なのに、それが一つもない。しかも日本の外交関係はアメリカと韓国の中に微妙な一つの何かがあるんじゃないか。
 とにかく反共という陣営の軍事的強化のためには国家の不道徳をも容認しなけりゃならない。いまもそういうことがアメリカに公然として、この間は、フォード前大統領の発言の中にもあるかのように見える点があり、彼は、大統領選挙を前にしての発言でしょうが、いまのカーターやキッシンジャーなんかまでも攻撃を加えており、日中平和友好条約は間違いであった、台湾問題は失敗であるというような、一国の大統領経験者でありながらも、アメリカ政府が条約上において日本の中国との外交交渉の過程を経てこれを容認している者に対してまでも干渉がましい言動を行っており、最近のアメリカの国際法関係の学者と称する者も、日本はいま自国防衛、共産圏に対する警戒のために軍事力を強化しなけりゃならぬというようなことを公然と日本において発言しております。発言は自由かもしれないけれども、政府当局が日本の憲法を守り得ず、国際信義に違反するような不明朗なマキアベリズム外交を展開しておる限りにおいては、日本を信ずる国がなくなってしまうんじゃないか。この危険なる状態を見ながら、人権問題を政治的生命としているカーター大統領をめぐるアメリカ外交の職に当たる者は、いら立った気持ちでこの問題の真相を究明する突破路の資料を提供しつつあるのだと思います。
 よその国は、大統領選挙にメジャーなり、あるいはロッキード、グラマンその他の軍需産業なりの献金を受けて、はでな大統領選挙戦を展開しているんだから不明朗な面がつきまとう危険性があるのは当然でありますが、日本においては、シーメンス事件以後において、このような政府、企業、アメリカぐるみのスキャンダルを続出した例はない。政治がかくのごとく腐敗したものかという点が問題になっておりますが、ひとつこの問題は、いま日本の外交の転換期におけるファシズムヘの、戦争への道を行くか、平和憲法を守って国民とともに世界の平和共存体制を目指して外交を推進するかのターニングポイントに立っていると思います。
 外務大臣と言いたいところだが、いない。呼べども答えず。だれか外務省で責任を持って答えられる者ありとするならば、これに対して一言、あなたの責任を別にそこでは追及しないが、外務省の中にも少し気のきいたやつがいるだろうと思うから、あえて私は大臣がいなくとも、常識の問題だから、外務省にこれだけの硬骨漢ありというだけの――コーコツと言っても恍惚の方になってもらっちゃ困るが、少し骨のあるところをだれかぱっと答えてもらいたい。骨なしか。
#126
○政府委員(志賀節君) 日米関係はもとよりまことに大事なものであって、日米外交は外交の基軸でございます。それとこの金大中事件の問題とはまた別の問題として扱わなければいけないと存じます。
 そこで、私も、この金大中事件が発生をいたしましたときは、もとより外務省におりませんでしたために、外務省とはまた別のサイドからこれを見ておりました。非常に私もその当時から一貫してもやもやが離れない状態であることは実感でございますから告白をせざるを得ません。今回の電報の問題につきましても、これがきっかけになって諸先生のもやもやがもし晴れる端緒となれば幸いである、こういう気持ちを持っていることを私告白をしたいと思います。
 ただ、午前中の答弁でも申し上げましたとおり、このすべての資料が明らかにされ、検討済みになった段階ではございませんので、その点まだ時が至っていないということで暫時時間をいただきたいと考えておる次第でございます。
#127
○戸叶武君 時間がないので、最後に一言。外務省の連中に真実とは何ぞやという追求にもっと真剣であってほしいということをお願いしたい。
 きょうは、ちょうど一高の昔の秀才藤村操が華厳ノ滝に投身自殺した日であります。故人ではあるが、やはりあの「巌頭之感」において「悠々たる哉天壌。遼々たる哉古今。五尺の小胆を以て比大をはからむとす。ホレーショの哲学寛に何等のオーソリチーを価するものぞ、万有の真相は唯一言にして悉す。曰く「不可解」我この恨を懐いて煩悶終に死を決するに至る。既に巌頭に立つに及んで、胸中何等の不安あるなし。始めて知る、大なる悲観は大なる楽観に一致するを。」
 この十七ぐらいのまだ未成熟な青年でもやはりホレーショの哲学はわからないと言うけれども、ホレーショはハムレットの友人のホレーショであって、当時の井上何とかという哲学者らしい人物がホレーショなんという哲学者はいないと言ったが、外務省の答弁はこの井上哲学博士の答弁のようなもので、あいまいもことしてさらに核心をついていないが、もう少しときに時間をかしてくれと言っても、時間をかしても「フー イズ ザライト」と「ホワット イズ ザ ライト」ということに対して、何が正しいかの真実を追求する意欲のない人にいかに要望してもすべてがむなしく、真相をつかむことはできないと思うから、どうぞ華厳ノ滝へでも飛び込んでいただくようお願いいたします。(笑声)
#128
○粕谷照美君 私は、国際人権両規約締結に対しまして主として十三条、十四条、教育に関する問題について質問をいたしますが、その前に日本政府の基本的な態度をお伺いしたいと思っております。
 いわゆるA規約の第二条第一項、これと関連いたしまして、日本政府がこの規約を誠実に実行するための具体的な行動をとられるに当たっての御決意をお伺いいたしたいと思います。
#129
○政府委員(賀陽治憲君) ただいま御指摘のように、第二条におきまして、この規約の各締約国は漸進的にその目的を達成するために自国における利用可能な手段を最大限に用いるということで行動をとることを約束しておるわけでございます。
 この「漸進的」という言葉は読んで字のごとく漸進的でございますけれども、これは横文字ではプログレッシブという言葉を使っておりまして、絶えず前進をする、絶えず前へ進む絶え間なき努力を前提としておるわけでございまして、この条約を御批准賜りました時点におきましては、必ずしもこの目的が全部達成されておるわけではございませんが、これを契機に政府としては決意を新たにしてこの条約の目的とするところを漸進的かつ加速的に達成をするということがわれわれの決意であろうかと考えております。
#130
○粕谷照美君 そういたしますと、この留保をするということは一体どういうことになるのでしょうか。
#131
○政府委員(賀陽治憲君) 留保につきましては、内容につきましては粕谷委員も御承知のとおりでございますが、留保と申しますのは、条約的にはその項目につきましては全く白紙ということでございまして、今後これに右するか左するかということの先見性を持たないという意味でございます。留保の意味はそういうふうに私どもは了解しておるところでございます。
#132
○粕谷照美君 私も先ほどの御答弁と同じような感じがするんですけれども、白紙ということと漸進的に達成するための努力をすること、絶えず前へ進むということ、絶え間なく前進するという先ほどの御答弁とは、一体、どのような関係になるのかということが明確ではないわけです。もう少しわかるように教えていただきたい。
#133
○政府委員(賀陽治憲君) 漸進的な達成ということは、これはもちろん留保をいたしません全項目につきまして、もし現在の国内法等によって権利の実現が達成されていない場合には、今後漸進的にこれを達成するために最大限の努力を行うということでございます。
 留保につきましては、国内法制その他の関係を十分にわれわれといたしまして各省庁とも御相談をして、今回、これらの条項につきましては、現在の段階におきましては、これを留保せざるを得ないという判断になったわけでございまして、留保条項以外につきましては漸進的達成のために、いまだなされていないことの実現を図る、こういう意味であると考えております。
#134
○粕谷照美君 そうすると、このように理解してよろしいですか、未来永劫にやらないということではないと、いかがですか。
#135
○政府委員(賀陽治憲君) 未来永劫にやらないことではないということでございますかという御質問でございますが、留保につきましては、これはわれわれとしては、衆議院におきましても附帯決議で御要望がございましたけれども、留保についても検討を絶えずしていくという考えでございます。
#136
○粕谷照美君 了解をいたしました。
 それでは、文部大臣にお伺いをいたします。
 世界人権宣言の前文に、これらの権利と自由の尊重を指導及び教育によって促進することと、このように述べて、種々の権利を実現するために教育が重要な役割りを果たしているということを強調しておりますし、日本国の教育基本法の前文には「民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。」こう述べております。
 教育が人権の基本であって、人類の理想の実現をする原動力であるというふうに私は考えているわけですけれども、この人権規約締結に当たっての文部大臣としての御決意をお伺いしたい。
#137
○国務大臣(内藤誉三郎君) 人権の尊重は日本国憲法の基本的精神の一つである。文部省としても、従来から、この精神を具体化すべく施策を進めてまいった次第であります。国際人権規約は世界人権宣言に掲げる人権と基本的自由に関する諸原則を条約化したものであり、文部省としても、批准のため規約の関係条項と国内法令との関連において検討を重ねてきた次第でございます。
 規約の内容については、後期中等教育及び高等教育の漸進的無償化を除いては、わが国ではすでに実現されていると考えるが、人権尊重の趣旨にかんがみ、今後とも施策の一層の充実に努めてまいりたいと思うのでございます。よろしくお願いします。
#138
○粕谷照美君 いまの文部大臣の御答弁は十三条及び十四条に主として触れられたと思いますけれども、このA規約の中には十三条、十四条だけではなくて、もっと幅広く教育に関する部分というのが非常にあると思います。大臣でなくて結構ですけれども、その部分はどのように文部省としてつかんでいらっしゃいますか。
#139
○政府委員(篠澤公平君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、全体として学校教育制度、公教育制度全体を含めまして、文部省としては、従前から人権を尊重するというたてまえをもちまして諸種の施策を進めてきたところでございます。したがいまして十三条、十四条という条文の区分けを別にいたしましても、総体として文部省は尊重してその趣旨の実現を図るということで従前より努力もいたしてまいりましたし、今後とも努力をしていくということでございます。
#140
○粕谷照美君 総体的にそういうことがあろうかと思いますけれども、もう少し具体的に何条、何条はこのようなことについてという御答弁があってもしかるべきだと私は考えたのですが、それは結構です。
 それでは、具体的に十三条、十四条について質問いたします。
 まず、外務省にお伺いいたしますけれども、この十三条の第1項、これを批准してない国というのは幾つぐらいありますか。
#141
○政府委員(賀陽治憲君) 十三条につきまして、第2項についてはマダガスカルが初等教育に関する限り延期する権利を留保しております。十三条2(a)につきましては初等教育につきましてバルバドスと英国が同じく留保しているのでございますが、十三条1については私どもの知る限り留保はございません。
#142
○粕谷照美君 それでは十三条の2項の(a)ですね、バルバドスとイギリスがなぜこれを承認していないのですか、その理由は何でしょう。
#143
○政府委員(賀陽治憲君) 十三条の2(a)につきましては、ただいま英国と申し上げましたが、英国領のギルバート諸島、ソロモン諸島等におきまして2(a)の適用を延期するということを権利として維持したいということを申し入れておるわけでございますが、これはそんたくするに、これらの地域においてはこの権利の実現を図ることが現在見通しとしてできないという判断に基づくものと思っております。
#144
○粕谷照美君 文部省にお伺いいたしますけれども、それではこの(a)項の「すべての者」という言葉を、一体、どのように理解をしていらっしゃるか伺いたい。
#145
○政府委員(篠澤公平君) この2項の(a)の「初等教育は、義務的なものとし、すべての者に対して無償」と申しますのは、締約国に対し義務的な初等教育の制度を設けることを義務づけるということとともに、無償で受けられるようにすることということでございますし、「すべての者」ということにつきましては、日本に居住いたします、もちろん日本国籍を持つ日本国民以外にも、外国籍の者で日本に居住する者に対しても、その機会を与えるということと理解しております。
#146
○粕谷照美君 それでは、わが国においてはすべての者に対して初等教育が無償という形になっているかどうかということについては、私はやや疑問がありますのでお伺いしますけれども、「すべての者」という限りにおいては小学校、中学校などの私学も含まれるのではありませんか、それはいかがですか。私学で授業料を取るということ自体がおかしいのではないですか。今後、それをなくするというように文部省としては漸進的に努力をされるという理解でよろしいか。
#147
○政府委員(諸澤正道君) この初等教育はすべての者に対して無償のものとするというこの条項の審議の過程においても、これは公立学校における教育だというふうに限定的に論議されたというふうに私は聞いております。また、日本の実態を考えました場合に、少なくとも小中学校の教育について言えば、本人、親が希望すれば必ず公立学校へ入れるわけでございまして、お金を取られることを承知でいわば私立学校へ行くわけでございますから、その関係においてはこの規定は私は矛盾しないのじゃないかというふうに思うわけでございます。
#148
○粕谷照美君 議論の過程においていわゆるパブリックスクールという言葉がありましたと。しかし、これを審議する人たちは、一体、そのことをどこで知ることができるのでしょう。
#149
○政府委員(賀陽治憲君) 国連における条約採択の審議の経過から判断いたしまして、十三条の2の(a)は、これは公教育であるということが一致した解釈のようでございます。(b)につきましては、この点はそういう解釈は出てきておりませんので、2(b)以降について各締約国がそれぞれの事情を勘案して判断せざるを得ないということになるわけでございます。
#150
○粕谷照美君 初中局長にお伺いしますが、それでは私学は公教育ではないのか。公教育の重要な役割りを果たしているというようには外務省としては認識していないのではないかと、いまの御答弁はとれるのですが、どうでしょう。
#151
○政府委員(諸澤正道君) 日本の場合、公私立を通じて、学校教育は一つの同じ制度のもとに教員の資格、教育内容と、同じことが行われるわけでございますから、公教育という観点からすれば、私は公立も私立も差がないと思っております。
#152
○粕谷照美君 そうすると、矛盾していませんか。
#153
○政府委員(賀陽治憲君) 私が申し上げましたのは、2の(b)は公立教育と申しますか、そういう意味の解釈が確立しておった、こういう意味でございます。
#154
○粕谷照美君 話はわかりましたけれども、しかし、私どもはやっぱり私学というものも「すべての者」の範疇に入るのではないか、こういう考え方を捨てるわけにはまいりません。
 それでは、同じところですけれども、「初等教育は、義務的なものとし、」と、こうありますけれども、「的」という言葉は、一体、どのように理解をしたらよろしいですか。
#155
○政府委員(諸澤正道君) わが国では義務教育というふうに言うわけでありまして、その場合の義務教育というのは、施設を設ける国なり公共団体がそういう学校を必要なだけつくり、親がそれに通学させる義務を負うという双務的なものでありますが、この場合の「義務的」というのも大体そういう意味であろうというふうに考えるわけでございます。ただ、その後の「すべての者」という中に外国人が入りますと、そこのところはどういうふうに考えるかという課題が一つ残ろうかと思います。
#156
○粕谷照美君 いま、そのことについても質問をしようと思っていたところです。
 それでは、義務教育についてお伺いしますけれども、いまから三年前に体がぐあいが悪かった、あるいはいろいろの条件で就学猶予を宣告された、そしてことしになってその体が治った、入学をした。そうすると九年間義務制になっていますね。これは教育基本法の四条の一項から言えば、そういうことになるかと思いますけれども、そうしますと、満十八歳になるまでは親に子供たちを就学させる義務があるわけです。国及び地方自治体はこれに対応する条件整備の義務がありますね、これは間違いありませんですか。
#157
○政府委員(諸澤正道君) いまの義務教育は九年とするというのは、たしか学校教育法の具体的規定に入りますと、親はその子供を満六歳に達した年から十五歳まで、要するに九年間小学校及び中学校に通わせる義務があるということで年齢の上限が決めてございますから、途中で三年なり四年なり病気等で学校に行かなかったということになりますと、実際には九年間行かないけれども、十五歳になった段階で義務教育の義務はなくなるということになるわけでございます。
#158
○粕谷照美君 義務はなくなるけれども、それでは十八歳まで、いわゆる中学校にいてもいいと、こういうことになりますか。
#159
○政府委員(諸澤正道君) これはもちろん学校の設置者なり学校側の判断で余裕がある、特に特殊教育学校などの場合はそういう例もあるわけですけれども、そういう判断でこの子は必要があるとすれば、学齢を超してなお在学させても一向差し支えないわけでございます。
#160
○粕谷照美君 差し支えないということは、権利があるから当然のことであるというように私どもは理解をしていきたいと思いますけれども、そうすると、それに触れるような法的な問題点が出てくるのではありませんか、どうでしょう。
#161
○政府委員(諸澤正道君) その差し支えないというのは当然の権利だというのは、ちょっと失礼ですけれども、飛躍があるんであって、やはりそれは本人が権利として要求するのではなくて、双方でそういう希望が合致すればそういうことができますよということであって、自分は病気で三年間休んだんだからその分ぜひ入れさせろということではないと思います。
#162
○粕谷照美君 私は、問題点は、九年間の義務教育を受ける権利を子供たちは持っている、その権利が奪われるわけでしょう。特に、ことしからようやく養護学校が義務化になりましたけれども、三年前にそういう子供たちは入れなかった条件の人たちがいっぱいいる。それがことし四月一日に小学校に入った。この子供たちは九歳から入るわけですから、九、十、十一、十二、十三、十四歳で六年生、十四、十五で中学校二年生、三年生のときはそれは当然権利として私は見てやるべきだと思いますけれども、それに該当させようとしますと法律的にちょっと問題が出てくるのではないか。この辺のところは見直すお考えはありますか、いかがですか。
#163
○政府委員(諸澤正道君) おっしゃるように、入学のときからおくれて入っているというような子供さんは、実態としては年齢を超過してもやはり養護学校の小学部から中学部というふうに教育するのが妥当だと思いますし、また私は実際それはやっていると思いますね。ただ、非常に年をとっちゃったとか、途中で間に中断があったというような場合にいま言ったような問題が起こるわけで、それらの問題はいずれにしましても権利義務という関係ではなくて、やはり実際に即した、教育を受ける側の立場の尊重ということで、今後とも十分配慮していくべき課題ではないかというふうに思うわけでございます。
#164
○粕谷照美君 では、先ほど諸澤局長が言われましたね、「すべての者」の中に外国人が含まれるということになるとちょっと問題だという話がありました。
 特に、外国人の中でも、在日朝鮮人のみを対象としていますいわゆる朝鮮人学校というものがありますね。これに対して文部省の対応というのはどういう形になっていますか。
#165
○政府委員(諸澤正道君) 要するに、外国人に対して義務教育を義務として厳格に課するかどうかということだと思うんですけれども、この問題は、私ちょっと外国のことはよくわかりませんけれども、たとえば国内にいろんな人種がいて、それらの外国人も含めて適当な教育を施すことが社会全体の円滑な運営に必要だという場合には、罰則はともかくとして、義務を課するということがあるのかもしれませんが、日本の場合は、そこまで言う必要はないんだろうと思います。したがって教育を施す側で外国人についていえば、希望があれば必ず受け入れてやりますよと、そして教科書も無償にしますし授業料も取りませんと、こういうようなことでやるのが実際的ではないかと思いますので、この(a)項は私はそういうふうに考えておるわけでございます。
#166
○粕谷照美君 そういたしますと、この十三条の4項ですね、「この条のいかなる規定も、個人及び団体が教育機関を設置し及び管理する自由を妨げるものと解してはならない。ただし、常に、1に定める原則が遵守されること及び当該教育機関において行われる教育が国によって定められる最低限度の基準に適合することを条件とする。」とこうあります。だから在日朝鮮人の方々がぜひ母国語で自国の歴史や文化を学ばせるためにも、その子供たちの教育を保障してやるために学校をつくりたい、こういうことを言われたときには、この4項ただし書きに定める条件のもとに設立するということは当然に認められるべきである、こう思いますけれども、いかがでしょう。
#167
○政府委員(三角哲生君) 第十三条の4は、本条のその他の各規定によりまして、私立学校を設置し管理するということの自由が妨げられるものでない旨を念のために規定したものでございます。
 そういうことで、この規定によりましてそういう自由があるわけでございますが、それをこの規定によりましてそういった私立学校をつくる場合に、このただし書きにおきまして教育課程の基準でございますとか、施設設備の基準でございますとか、教員組織編成の基準とか、そういったことで教育を実施する上で必要最低のものとして定められた基準に適合してやらなければならない、こういうことを規定しておるというふうに理解しております。
#168
○粕谷照美君 それは正しいんですよ。だから、そういうことを理解していらっしゃるとすれば、その在日朝鮮人の学校なんかを各種学校なんと言って軽く扱うたり、あるいは消極的な対し方ではなくて、もっと積極的に文部省としては対していくことが、この条約をわれわれが締結そして承認をするということ、そして漸進的に前進をさせていくということと合致しないかということなんですがね。いままでどおりだったら、この4項は死んでしまうのではないかということを言っているわけです。
#169
○政府委員(三角哲生君) 外国人の義務教育につきましては、その性質上、外国人に対して就学に関するいわゆる権利義務というものは課されていないというのは先ほど御説明のあったとおりでございます。しかし、文部省としましては、従前から、外国人がその子女を小中学校に入学させることを希望する場合には、これを許可するように指導しているわけでございまして、現にそういう事例も多いわけでございます。
 で、一方、いま粕谷委員御指摘のように、外国人をもっぱら対象とする教育施設としていわゆる外国人学校が日本においてもあるわけでございますが、これはいま御指摘のとおり各種学校として都道府県知事の認可を受けて設置をされておるわけでございまして、そして私どもはやはりこれは各種学校としての必要な基準、そういったものを満たした上で各所轄の都道府県の認可を受けてその教育を実施しておられるというふうに理解しておるわけでございます。
#170
○粕谷照美君 私はお答えがよくわからぬのですね。そういう「いかなる」という言葉の中には外国人も入っている、そういう方々にも日本人と同じようにいわゆる義務教育というものを保障していくという立場に立てば、この4項のただし書きのところが守られれば、当然、そういう措置がとられてもいいのではないかということを伺っているんですね。
 そこを出ても、小学校卒業生とか中学卒業生にならぬのですから、高校へ行かれないんでしょう。日本の学校に入ればそれは認めてやりますよというのは大変思い上がった態度ではないか、こう考えるんですが、いかがですか。
#171
○政府委員(三角哲生君) ただいま御指摘の上級学校へのいわゆる入学資格と申しますか、その具体のあり方につきましては、それぞれの国でそれぞれの学校制度の実情に即して決められておるわけでございまして、そういうふうにして行うべき事柄でございますが、現在のわが国の場合には、一般に上級学校への入学は原則として学校教育法第一条に定める学校における当該学校に至るまでの学校教育を受けることが前提とされておるわけでございまして、いわゆるいま御指摘の種類の外国人学校は学校教育法一条に定める学校として位置づけていないわけでございますので、その卒業生には上級学校への入学資格は認められていないわけでございますが、このことは直接この人権規約に触れるということではないというふうに考えておるわけでございます。本来、各種学校という形で、ある程度一条学校のように縛られない柔軟な教育を外国人学校として展開をしていくという選択がなされておるというふうに理解しておるわけでございます。
#172
○粕谷照美君 文教委員会でありませんから余りこういう中身について詳しくやるわけにいきませんからこの辺はこの程度で終わりまして(b)項に入っていきます。
 (b)項で留保した部分がありますね、それから(c)項、これも同じですけれども、その理由について文部大臣にお伺いしたいと思います。
#173
○国務大臣(内藤誉三郎君) 後期中等教育及び高等教育について私立学校の占める割合の大きいわが国においては、私学進学者との均衡等から国公立学校についても妥当な程度の負担を求めることといたしておるのでございます。また私立学校を含めて無償化を図ることは、私学制度の根本にかかわることであり、したがって従来の方針を変更して漸進的にせよ無償化の方針をとることは適当でないので留保いたしました。
 わが国では、本規定の趣旨とする後期中等教育及び高等教育の機会の確保のため、かねてから私学助成、育英奨学、授業料の減免措置等の充実を図っているところであり、今後ともその充実に努めるつもりでございます。どうぞよろしくお願いします。
#174
○粕谷照美君 文部大臣がおっしゃっていることは日ごろのことと同じですから、私も耳にたこができるほどよく伺っております。しかし、私たちは、この点を留保したことについては非常に文部省としては残念なことだと、こう考えているんです。
 国際的にはどうでしょう、外務省。
#175
○政府委員(賀陽治憲君) 十三条の当該項目について留保したのはルワンダでございます。
#176
○粕谷照美君 そうしますと、ほかの国々はこれはみんな結構ですと、こう締結をしているということになりますか。
#177
○政府委員(賀陽治憲君) 留保との関係では、そういうことになるわけでございます。
#178
○粕谷照美君 留保との関係ではそういうことになるということは、逆にまだ全然これについての態度を表明していない国もあるということになりますか。
#179
○政府委員(賀陽治憲君) ただいまの点でございますが、すでに留保は出尽くしたというふうにお考えいただいていいと思いますので、この項目に留保したのは日本とルワンダということになるわけでございますが、文部省の御所管の問題でございますが、高等教育についてフランス、イタリー、アメリカ、イギリス等は日本と同じ立場でございますが、それにもかかわらず、ほかの国が留保しておりませんのは、恐らくその無償化について漸進的にせよ最終的には達成し得るという確信なり政策を持っておるというふうに解釈せざるを得ないというふうに思っております。
#180
○粕谷照美君 そうしますと、わが国の文部省はそのような確信が全然ない、こう理解してよろしいわけですね、大臣いかがですか。
#181
○国務大臣(内藤誉三郎君) 漸進的にせよ、それをやるだけのまだ確信が持てないのです。
#182
○粕谷照美君 それでは、先ほど御答弁がありましたように、留保をするということは、未来永劫にやらないということではなくて、漸進的に検討していくということも入るんだと、こういうふうに言われましたが、文部省としては漸進的に検討するということまで否定されますか、いかがですか。
#183
○政府委員(諸澤正道君) 先ほど大臣が申されましたように、日本独特の実情として、高等学校でも私立というのが、いま五千ほどあります高等学校のうち、千二百ぐらいは私立なんですね。で生徒の数から言うと約三〇%は私立の生徒で、そして公私の均衡ということからしまして公立でも四千八百円ぐらいの授業料を取っておりますが、私立はその何倍か取るというような実態でございますところへ持ってきまして、これからの高等学校の行く先はどうなるかといいますと、これまた昭和五十四年度から六十一年度まで中学校の子供はずっとふえ続けまして百万くらいふえるわけですね。そうすると、その進学率を考えますと、単純計算しても千校以上の高等学校が要るじゃないかということになります。
 これは財政的に非常に大きな負担で、しかもその高等学校を、人口の社会移動等がありますので、どこへどれだけつくるかということも非常に判断がむずかしいという課題がございますから、財政的な見地と、それからやはり漸進的にもせよ無償とするからには将来の私立高等学校というのはどういう性格のものとして考えるべきかという学校の性格論もありますし、それからまた国あるいは地方団体の財政の投資はどのくらいのところでこれは抑えるべきか、そういうような課題が少なくとも現時点ではわれわれはなかなか判断がつかない。そこで今後のいま申しましたような高等学校の実態の推移等を見ながら、ある時点が来たならば、恐らくこれからどう考えるべきかというその見通しが多少なりとも立てられるんじゃないかというふうに考えますので、それまでの間はちょっといま判断を保留するという意味で留保をしているわけでございます。
#184
○粕谷照美君 了解しました。
 それでは、次に移りますけれども、一三条2項の(b)と(c)。この中で教育の機会均等が定められていますけれども、この二つの項目の中には若干の差があります。それは(c)のところに「能力に応じ」と、こうありますけれども、中等教育の方にはその「能力に応じ」が入っていませんね、これはどういうように考えたらよろしいですか。
#185
○政府委員(諸澤正道君) これも私専門的に条約というのはどういうふうに読むのかわかりませんけれども、ただ、常識的に言えば、このわが国の憲法二十六条には、教育の機会均等というのは、すべて国民は能力に応じてひとしく教育を受ける機会があると言うていますから、義務教育はいざ知らず、高等学校以上になれば全部能力に応じてということはかぶると思います。思いますけれども、しかし、およそ教育というものを見た場合に、高等学校教育と大学教育を見れば大学の方がより能力に応じた教育が必要であるということは一般的に言えると思いますので、そういう意味では、(b)も文言としては「能力に応じ」ということは出ておりませんけれども、やはり教育の機会均等という趣旨からして、それはこの中に隠されているというか、含まれているというか、そういうふうに私は読んでいるわけでございます。
#186
○粕谷照美君 文部大臣にお伺いしますけれども、この(b)項ですね、種々の形態の中等教育は、すべての適当な方法によって、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすることということと、授業料がどんどんどんどん高くなっていく、教育費も父母負担がぐんぐん上がっていくという文部省の調査もある、この辺のところについて、先ほど諸澤局長がおっしゃいましたように、やっぱり中等教育はすべての青年に開放するんだ、与えていくということを前提にしながら今後の教育を進めていくんだというお考えでしょうか、いかがですか。
#187
○国務大臣(内藤誉三郎君) 御指摘のとおり、中等教育はすべての者が受けられるように漸進的に進めていきたいと思っております。
#188
○粕谷照美君 大臣、これで結構でございます。どうもありがとうございました。
 文部省にお伺いしますけれども、十三条の(c)、この留保の、先ほどの無償教育の部分からですね、いろいろおっしゃいましたけれども、教育の機会均等については一体どうお考えになっていますか。
#189
○政府委員(諸澤正道君) 教育の機会均等というのは、憲法の二十六条にも、それを受けて教育基本法の六条でしたかにございますように、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」というのでございますから、それぞれの能力に応じた教育を受けるというのが前提でありまして、だれでも望めばすぐ教育が受けられるということではない。そういう意味では高等学校あるいは大学に入学するための選抜試験があるというのも妥当な方法になるわけでありまして、教育の機会均等の意味は大体そういうふうに考えているわけでございます。
#190
○粕谷照美君 それでは能力があればみんな高等教育が受けられるようなわが国の状態であるかどうかという実態についての意見を申し上げたいと思います。
 五十一年度の「学生生活調査報告」文部省の大学局学生課の出しました資料を見ましても、私は、高等教育人口の社会階層は固定化をしているというように思わないわけにはまいりません。五十四年五月二十二日発行の「内外教育」の教育版を見てみましたけれども、その中にも特に階層別に非常に教育が固定化をしているということがきちんと出ています。特に教育費を支出している世帯で、全体では四八%になるけれども、所得金額の低い世帯から順に並べていくと、所得の最も低い層である第一・四分位では三一%なのに対して最も高い第四・四分位は五六%になっている。このような結果が出ていることから考えてみましても、わが国におきましては、本当に能力のある青年が高等教育を受けられる条件がすべてそろっているというふうには考えられませんけれども、私の予算委員会における質問に対しましても、大平総理大臣は、奨学金なんかについても見直しを考えていきたい、こう答弁されていますが、文部省としては、一体、どのようなところに重点を置いて、この機会均等を保障されるつもりでいらっしゃるのか。
#191
○政府委員(諸澤正道君) 能力のある人がみんな上の学校へ容易に進み得るような条件をつくるということは行政の一つの課題でもありますし、また、そうあることが望ましいと思うわけでございますが、ただ、教育というものを考えました場合に、その受けたことによる効果はだれに帰属するかと言えば、もちろん社会に還元され社会の進歩発達にも貢献するわけですけれども、個人自身の利益にもなるわけでございますから、現在の情勢を考えました場合に、ある程度の自分の負担というのはこれはやむを得ない。ただ、この能力と個人個人の事情を考えました場合に、文部省としてこれからも一層努力してまいりたいのは、いまの奨学資金の拡充あるいは授業料の免除といったような制度をさらに充実する一方で、公私の格差というものがひどうございますから、特に私立学校に対する運営費の助成拡大というようなことで今後とも努力をしてまいりたい、こういうふうに思うわけでございます。
#192
○粕谷照美君 同じところですけれどもね、その「すべての者」というのが外国人にも該当するという立場に立ちまして、私は「留学生問題を考える会 大学調査グループ」留学生の母親運動をやっていらっしゃる方々の資料を見ました。
 文部省からの留学生についてのいろいろな報告書あるいは留学生の座談会なんかを見ますと、大変うまくいっている、非常に前進をしているということが見られてうれしいと思っておりましたのに、この調査報告書を見ますと、そういう前進した面はありながらも、全く人権が守られていないというような状況がいろいろ出ているわけですね。その辺のところについての努力というのは、一体、どのように今後されていかれますか、いままでどおりやっていかれますか。
#193
○政府委員(篠澤公平君) 大変申しわけがございませんが、私まだその報告を読んでおりません。
 留学生の制度につきまして改めてここで御説明する必要はないかと存じますけれども、御案内のように、学部レベルで日本に来られる留学生と学部を終えて大学院レベルで来られる方、そういう二種類があるわけでございまして、文部省といたしましては、恐らく、形式的なことで申し上げれば、諸外国に比して遜色ない、あるいはそれ以上の実は処遇はいたしておるつもりでございます。ただ、具体的な問題として、受け入れた留学生が果たしてどのような扱いを個々の大学で受けておるかということにつきましては私ども絶えず心を配っておるわけでございますけれども、仮にでもそういったような疑いのある問題がありといたしますならば、十分これからもそれぞれ指導を強化してまいりたいと思っておるわけでございます。
#194
○粕谷照美君 これは事前に見ていただくと私よかったと思いますが、私自身もきのうの夕方いただいたものですから全部目を通すわけにはいかなかったんですけれども、非常にたくさんな問題がある中で、特に「経済上の問題」という中では「昨今のインドシナ政変で、インドシナ関係留学生の全部が送金ストップになり、深刻な生活苦においこまれたことは、深く心の痛むことである。」こうお母さんたちが言っていらっしゃるんですけれども、「かれらのほぼ全員が、週平均二十一時間のアルバイトをして生活費を全額まかなっていることがわかった。又、むりがたたって、三〇%近くの留学生が健康状態不良と答え、大学への出席もままならずと答えている。」ベトナム等の留学生が本国の経済事情悪化のために、学資に困った場合があって地元のロータリークラブに援助をお願いをしている。あるいはアルバイトに忙しくて出席ができない、だから成績が一般によろしくないという報告もありますし、最近のインフレで留学生の経済事情が苦しくなっていてアルバイトも日本ではできない、授業料の減免も検討していますけれども、日本人と同じように家計の証明をとることができないので留学生のための特例が望ましいというような問題点も出ています。
 それで、この人たちは、一体、何を言っているかといいますと、とにかくこういう人たちに対しても日本の学生と同じように授業料の減免や民間奨学金の支給を考えてほしい。それとともに留学生のアルバイトについても従来の禁止の原則をもう一度検討してほしい、こういうことを言っているわけですが、いかがですか。
#195
○政府委員(篠澤公平君) ただいまのお話の全部にあるいはお答えできないかと思います。ベトナムの留学生の中には、お言葉を返すようではなはだ恐縮でございますけれども、留学生でなくてなおかつ留学生であると称しているような立場の方もおられるやに承っておりますけれども、少なくとも大学におります人たちにつきましては、御指摘のような問題が皆無ではなくて相当数あるやに承っております。
 文部省といたしましては、昨年からでございますけれども、私費の留学生に対します特別な補助、奨学金を支給いたす制度をつくりまして月額四万円を出すようにいたしておりまして、そちらの方でもベトナムの困窮している留学生に対する援助をふやすようにということを心がけておるつもりでございます。また、授業料の減免につきましても、これは各国立大学の場合でございますが、それぞれの大学の一応減免の枠がございまして、その中で私は相当数は国立大学におられる方については救済されておるというふうに承っておりますが、詳細は、また別途、資料でも整えまして一遍御説明をさしていただきたいと思います。
#196
○粕谷照美君 アルバイトの件。
#197
○政府委員(篠澤公平君) アルバイトの条件につきましては、資料が多分ございますと思いますので、後ほどまたお答えさせていただきたいと思います。
#198
○粕谷照美君 アルバイトの件を文部省がわからぬということは、これはどこでじゃ禁止されているんですか、外務省、わからないんですか、留学生にアルバイトもしちゃいけないというのは。
#199
○政府委員(賀陽治憲君) 本日、担当の文化事業部の参事官が来ておりませんので、私がお答えする立場にないものでございますから、後ほどまた御資料を差し上げたいと思います。
#200
○粕谷照美君 細かいことをこのような場所で聞くのもあれですから、いずれ御報告をいただくといたしまして、すべての者に高等教育を能力に応じて機会均等に保障していくということがこの条約を締結する、そして承認するに当たって非常に重要なことであるということを私はいま例を使いまして申し上げたのでありまして、いろいろな細かなことについては後ほどまた質問なり話し合いをしていきたいと思います。
 次に、(b)項に移りますけれども、「基礎教育は、初等教育を受けなかった者又はその全課程を修了しなかった者のため、できる限り奨励され又は強化されること。」こうありますね。初等教育を受けなかった者のためにできる限り奨励され、強化して基礎教育を行うということはどういうように理解をしたらよろしいんですか。
#201
○政府委員(諸澤正道君) 私の解釈で足りなかったところはまた外務省の方で御説明していただくとして、私、この(b)項を見ますと、基礎教育というのは、この場合、およそ国民として最も必要な最低の教育、読み書きそろばん的なものと考えますから小学校教育ということになるわけですけれども、わが国の小学校教育は、御承知のように、明治のたしか四十二年当時ですでに九八%という普及率なんでございますね。ですから、今日、世界的に見ましたならば、小学校教育が最も普及しておる国というふうに考えてよろしかろうと思うわけでございます。
 したがって、わが国としてこれを受ける場合に、基礎教育の問題は制度としてはまずでき上がっておるというふうに考えておるわけでございますが、ただ、現実の問題として、非常に長い間病気をしておって小学校教育を受けられなかったとか、特殊な方が若干おられることは事実でございましょうが、そういう人々については、いまの障害関係の人は養護学校の義務制等によりまして、訪問教育等もあるわけでございますから、そういうことで補うこととし、一般的には、そういうことで大体はこの条項は満たされるというふうに私は考えるわけでございます。
#202
○粕谷照美君 外務省。
#203
○政府委員(賀陽治憲君) 特に申し上げることはございません。
#204
○粕谷照美君 外務省の方では、基礎教育というものと初等教育というものをどういうように理解をしてこられましたか。
#205
○政府委員(賀陽治憲君) 私どもの理解でございますが、初等教育を受けなかった者またはその全課程を修了しなかった者に対しましては、社会生活において最低限必要な読み書き計算の能力の基礎等を培うと申しますか、そのような教育を奨励、強化すべきことを定めたものというふうに理解しておるわけでございます。
#206
○粕谷照美君 読み書き何ですか、そろばんですか。
#207
○政府委員(賀陽治憲君) 読み書き計算でございます。
#208
○粕谷照美君 初中局長にお伺いしますけれども、初等教育を受けなかった者のために読み書き計算をできる限り奨励するというんですけれども、義務教育を受けなかった人たちというのはたくさんありますね、その数字、どのくらいいらっしゃるかつかんでおられますか。
#209
○政府委員(諸澤正道君) これはちょっとつかんでおりません。おりませんし、また、なかなかそのつかみ方がむずかしいと思うんですけれども、先生はたくさんおられるとおっしゃるんで、どのくらいの数字をたくさんと見るかそうでないと見るか見方があると思うんですけれども、私は、小学校も出なかったという方は現在の時点でそうたくさんはいない。
 要するに、そういう方々を教育するために特定の制度なり機構を設けるというほど集中しているわけではないわけですから、行政の対策としては、そういう方々でもなお勉強したいという方、たとえば夜間中学なんというのがいま全国で三十校ほどございますが、これは小学校ではありませんけれども、戦争中に引き揚げてこられた方で教育の機会がなかったというような方について中学校相当の勉強を夜間に教える施設でございますが、そういうようなところである程度吸収されておるわけでございまして、本当にごく限られた方々について見れば、言ってみれば各地の社会教育的な場でそういうことを満たしていただくということになろうかと思うんでありまして、系統的制度的にこれを奨励するというのは、日本の場合は、ちょっと考えられないんじゃなかろうかというふうに思うわけでございます。
#210
○粕谷照美君 私は、その認識はやっぱり間違っているんではないかと思うんですね。たくさんいるというのは、なるほどことしからは障害を持つ子供たちは義務制になりましたから、養護学校に入ることができましたけれども、それでもなおかつ猶予、免除の規定というものは残っているわけです。行かない子供たちもいるわけです。去年だって、調査によれば、一万七百五十人就学猶予あるいは免除を受けているわけでしょう。そういう人たちというのは小学校を卒業できない、中学校を卒業できないという条件がもう明らかになっているわけです。そうしますと、こういう人たちのためにね、基礎教育、読み書き計算だけやればいいんだというのでは、これは、私、最低基準というか、わが国においては義務教育は九年間とするということがあるんですから、それを保障することにはならない、読み書き計算だけでは。そのことを言いたいんですが、いかがですか。
#211
○政府委員(諸澤正道君) 確かに猶予、免除というのは相当おるわけですけれども、ことし養護学校の義務制を採用しましたことに伴って、言ってみれば家あるいは病院に寝たつきりというような子供さんについては例の訪問指導という方法をとって教育をするということで、その対象にもならないような重障者につきましては、これは教育よりも医療なり看護が優先するという立場で、これは猶予なり免除をしておるわけですから、やむを得ないことであろうかと思うわけです。
 そこで、そういう方たちにどれだけの教育をしたらおよそその教育としての役割りを済ませるかといいますと、基礎教育というのは一般的に言えば読み書きそろばんだと思いますけれども、実際に障害児の方になれば、私は読み書きそろばんどころじゃないと思うんです。実際、手を動かしたり声を出したり、そういう訓練をするのも教育だということでやっているのが養護教育の実態でございますから、そうだれにも同じようにといっても、先ほど申しましたように、能力に応じて教育するのが教育ですから、そういう面で一般の人から比べればかなり低い次元の教育でありますけれども、やはりそういうことをやるのも精いっぱいという場面もあるわけでございまして、それぞれの子供に対応して、この養護学校の義務制に即応して教育をしていきたいということでございますので、それが現実的には一つの方法ではなかろうかというふうに思うわけでございます。
#212
○粕谷照美君 局長、先ほど夜間中学校というお話が出ました。私も夜間中学校の本をいろいろ見たり、あるいは中学校を見に行ったり、あるいはその運動をやっている方々とも非常に親しいつき合いがあるんですけれども、これに対して文部省は消極的ですか、積極的ですか。あるいは今後もこの夜間中学という制度を認めていこうとされるのですか。行管庁が一度廃止の勧告を出していますけれども、その辺の決意をお伺いしたいと思います。
#213
○政府委員(諸澤正道君) これは制度上は夜間中学というのはあり得ないわけなんですね。普通の中学校の夜間学級ということでやっているわけです。それは対象がもう学齢を過ぎておりますし、教える内容も必ずしも中学校のカリキュラムそのものをとっておりませんから、そういうことをやっておるわけですけれども、現実にその必要があるということで私どもは考えております。
 そこで、これをどういうふうに助成をしていったらいいか、普通の中学校のように正面から助成はできないので、そこで成人教育に対する一種の調査費のような形で若干の補助をしておるわけでございます。ですから、今後も、この必要が特に都会地においては続きます限りは、私どもはそういう形で若干ではありますけれども助成しながら、そういう勉学をしたいという意欲に燃える人のお手伝いをしたい、こういうふうに考えております。
#214
○粕谷照美君 それは大変うれしいことだと思いますけれども、ここを出たら中学校卒業の免許証がもらえるかどうかということになりますと、非常に問題になりますね。
 とにかく人間は働いて生きたいという希望を持っています、また生きていかなきゃならないから働かなきゃならないということもあるわけです。身体障害者福祉センターの入所資格っていうものを私ちょっと読んでみたんですけれども、一つは身障者であること、その次に義務教育修了者、こうあるわけです。したがって義務教育修了の者でなければならぬのですが、出られなかった障害者などにとってはこれは非常に大変なことですね。ただし、そこのところには、もしくは同程度以上の学力を有するものと見られる者、こういうのがあるんですけれども、しかし、中学校卒業と同じような学力と見られる者という、あの試験問題といいますか、あれを見ますと、私も卒業できるかどうかと思うような感じがするくらいのもので非常に問題が大きいわけですよね。
 したがって、この「初等教育を受けなかった者」、それは本人の悪い場合もあるでしょう。しかし一時的にぐれて学校に行かなかったというような場合もあるでしょうし、またこの構造的な不況の中で、あるいは交通事故や経済的な条件の中で、初等教育あるいはいわゆる義務教育を受けられなかった人たちもいるわけです。そうすると、ある日突如としてどうしても勉強したいという、こういう思いに駆られて夜間学校へ、中学なんかへ行く人たちもいるわけですから、そういう人たちのために本当にきちんとした修了証書といいますか、それが出るような方策というものを文部省としては考えていくべきだと思いますけれど、いかがでしょうか。
#215
○政府委員(諸澤正道君) ここに夜間学級、夜間中学の調査があるんですけれども、カリキュラムを全部こなしますと、卒業証書は夜間中学の場合も出しておるようでございます。それは、先ほど申しましたように、要するに昼間の中学校の夜間学級というたてまえにしておりますから、そこで制度的には出せるということになっておるわけでございます。
#216
○粕谷照美君 幾つかそういう事実があるということも私は知っていますけれども、やっぱり全般的にその体制を拡大していく、そしてこのA規約を私どもが締結しそして承認をしたということが生きていくような文部行政というものをやっていただきたいということをお願いいたし、意見を申し上げまして、時間が参りましたので私の質問を終わりたいと思います。
#217
○渋谷邦彦君 ただいま審議されております国際人権規約、大変長い年月をかけて一応集大成された、そういう印象を実は受けますし、また振り返ってみると、第二次大戦のみじめな経験、いままで閉鎖的な判断と考え方しかなかったそれぞれの国がその戦争を通じて開放的に外へ目が向くようになった、あるいは人種差別等の問題もこれあり、そうしたいろんな一つの流れの中で、人間のまともに生きるための権利というものが当然保障されていかなければならない。恐らく人類の英知が一つこう凝結されたものが今回の人権ではあるまいかと思います。
 今回、政府の方といたしましては、この国際人権規約を総合的にごらんになって、賀陽さんのお言葉ではありませんけれども、すべて満足ではないけれどもということは十分心得ておりますけれども、どのような評価をされておられましょうか。
#218
○政府委員(賀陽治憲君) 人権規約の評価でございますが、これはただいま先生の御指摘にございましたような、世界大戦の戦禍を経まして、世界平和の確立を目標として作成されました国連憲章、これがその中に人権の確立を国連の重要使命として掲げておるわけでございまして、それに沿いまして、御高承のように一九四八年には世界人権宣言を採択し、さらに六六年には今回御批准を賜りますために御提出申し上げておりまする国際人権規約が採択されたわけでございまして、わが国といたしましては、平和と人権の尊重を基本理念とする国是という観点から、かかる人権規約を締結いたしますことは国是に沿うという確信を持つわけでございます。
 また、国連の主要加盟国でございますわが国が本条約を批准いたしますることは、他の非参加、非締約国の今後の人権規約に対する参加をさらにいざなうという効果もございますし、これをまた契機といたしまして、さらには国内における人権の保障について一層の充実が図られるということを期待いたします。以上、三点が評価のわれわれの基本でございます。
#219
○渋谷邦彦君 確かに一見すると、この条約に加盟をし、忠実にその精神あるいは項目というものが履行をされていくならば、再び戦争ということは起き得ないだろうというところまで突き詰めて判断されるのではないかという印象を受けますね。
 ただ、この締約国の実態を見ると、まだ国連加盟国の半数にも満たないという現状ではあるまいか。しかもアメリカを初めとする先進国がまだ依然として締約していないという状況でございますね。しかし、いま御答弁がありましたように、日本が締約をすることによってさらにそれを起爆剤としながら他の国々へも呼びかけをしつつ条約を批准するということは確かに可能であろうと思いますし、その今後の推移というものを考えた場合に、日本が締約することによって相当いま申し上げたような可能性というものは考えられると見てよろしいでしょうか。
#220
○政府委員(賀陽治憲君) 御指摘のとおり、いまだ本人権規約の批准を了していない国が少なからず存在いたしますわけでございますが、開発途上国につきましては、人権規約を全面的に実施するという立場にはまだいろんな意味で到達してない国があるわけでございまして、その意味で、この規約にもこれに対する、何と申しますか、理解を表明しておる条項があるわけでございます。そういう意味で開発途上国が直ちにすべてこれに参加するということにつきましては若干の時日を要するものと思いますけれども、日本の参加は、それにもかかわらず、これらの国をいざなう要素があるというふうに考えております。
 また、先進国につきましては、アメリカの例が御指摘ございましたが、カーター大統領はすでに国連本部において署名をいたしておりますし、フランスもまだ未批准でございますけれども、これもかなり準備を進めておるようでございますので、わが国の批准を契機といたしまして、さらにこの状態が一層改善されるということを強く期待しておる次第でございます。
#221
○渋谷邦彦君 確かに日本国憲法というのは、その点では、今回の人権規約に非常に共通する多くの点を持っているであろう。願わくは未締約国もいち早く締約国になって、そして平等な人権というものが保障されるという方向へ日本としても大きな役割りを果たしてもらいたいなというふうに思うわけです。
 いずれにしてもA規約といいB規約といい範囲が非常に広いところに及んでおりますので、あれもこれもということは相当の時間もかかるでありましょう。恐らく一カ月かけてもあるいは論議が尽きないという場合があるかもしれませんが、ただ、いま社会的に政治的に問題ではなかろうかというまず当面する問題にきょうは焦点をしぼりまして、若干考え方をお尋ねしてまいりたいと思います。
 きょう、特にお尋ねしたいのは、難民の問題と亡命の問題について、この二点に焦点をしぼりながらお尋ねをしたいというふうに思います。
 この難民と亡命という定義でございますけれども、受けとめ方によってはいろんな解釈といいますか考え方があるようでございますけれども、政府としては難民というものはどういうふうに規定され、亡命というものについてはどういうふうに規定されているのか、まず、そういう原点からお尋ねをしてまいりたいと思います。
#222
○政府委員(山田中正君) いま先生御指摘の難民ないしは亡命者につきまして、一般的に適用されるような定義が国際的に確立いたしておるわけではございません。したがいまして、それらの語が用いられます場合に即して考えざるを得ないと思いますが、あえて一応の理解としてとらえるといたしますと、難民や亡命者は、通常、戦争でございますとか内乱もしくは自然災害等に起因したり、または政治上宗教上等の理由による迫害の危険を逃れるために本国や本来の居住地を離れ、これらの国による保護を受けることができないか、または受けることを望まない人々を総体的に指しておるものと観念することができるかと思います。
 先生の御指摘ございました御趣旨は、難民と亡命者の区別という点にもあるかと思いますが、これは実は難民とか亡命者という言葉は日本語でそういう使い分けと申しますか、二つの言葉がよく使われておるわけでございますが、国際政治上はと申しますか、たとえば英語ではどちらの場合も通常レフュジーというふうにして使われておりますので、どうも区別というのは非常にむずかしいわけでございますが、日本語であえて区別をしております場合に意味があるといたしますれば、難民という形でとらえる場合には、そういう人たちが何らかの理由によりまして外国におる場合に、滞在国におきましてその保護、待遇の問題に着目してとらえるときに難民という概念でとらえる。一方、亡命者というふうな概念としてわれわれが通常とらえますのは、何らかの迫害のおそれのために他国に庇護を求めておることの関連で、その庇護を認めるか否かといった観念でとらえる場合に亡命者という言葉を使っておる場合が多いと思います。
 ただ、最初に申しましたように、確立した定義があるわけでございませんので、具体的にはそれぞれの場に応じて考えざるを得ないと考えます。
#223
○渋谷邦彦君 法体系もその辺の整備が明確でありませんので、いま御答弁があったその範囲によって判断せざるを得ないというふうに私も了解できます。
 ここにも一つの問題点がこれから出るであろうというような予測もないわけではありませんが、さてそこで、国際条約で人権を規定したものが十八あると言われておりますね。その中ですでに日本が加盟しておりますのが二つございます。いま審議されておりますこの二つの人権規約が批准をされますと、これを入れて四つあとずっと残っているわけです。
 その残っている中に、御承知のとおり、難民の地位に関する条約あるいは難民の地位に関する議定書、こういったものが実はあるわけでございますね。特にベトナム難民という、この同じアジア地域において起こっております現実的な問題を考えますと、日本としても全く傍観しているわけにまいらない。そういう点から考えてみましても、当然、難民の地位に関する条約等においても審議がなされ、批准への道を開くということが必要ではあるまいかというふうに思えてなりませんが、その点についての考え方をお示しをいただきたいと思います。
#224
○政府委員(賀陽治憲君) 難民条約の関係につきましては、外務大臣から以前に御表明がございましたように、事務当局といたしましては次期通常国会に御批准を賜りますようにお願いすべく鋭意準備をいたしたいと存じておるわけでございます。
 私どもの考え方は、難民といえども、これは人権規約の対象でございまして、人権規約は最も総合的、総括的な条約でございます。まず、この御批准を賜って、その後におきまして、この難民という特殊なカテゴリーの外国人に対しましてさらにきめの細かい配慮をするのが難民条約でございます。難民条約というのは、必ずしも難民の入国を律するものではございませんで、入国いたしました後における難民のいろいろな便宜を図ろうとする条約でございますので、かなり内容は特殊、多岐にわたっておるということでございますが、それにもかかわらず、人権規約に次ぐ難民条約の御批准を賜るという方針で、今後、鋭意努力をするつもりでございます。
#225
○渋谷邦彦君 そうしますと、いまの御答弁にもございましたように、来国会にはもう準備をして出せるという段階でございますか。
#226
○政府委員(賀陽治憲君) この点につきましては、人権規約につきましても、御高承のように、かなりの時日をちょうだいいたしたような次第でございまして、難民条約につきましても、これがやはりもともとはヨーロッパの難民に対する条約として発足をし、その後、議定書等によって漸次その範囲が一般化してきたという経緯もございますので、中身についてはかなり特殊なものがあるわけでございまして、こういった点につきましてわが国の国情に合致いたしますかどうかという点につきましてはなお慎重な調整が必要と存じますので、申し上げておりますることはわれわれの事務当局の、何と申しますか、ターゲットでございまして、現在の段階で必ず御提出申し上げるということを申し上げる立場にはございませんが、鋭意、努力はさしていただくつもりでございます。
#227
○渋谷邦彦君 確かに努力という以外にございませんでしょうね。ただ、せっかくこの機会に国際人権規約に加盟をするということを考えた場合に、それに連動する難民の地位に関する条約等においても同じ措置がとられていいのではないだろうか。確かに問題点があることはわれわれにもわからぬわけじゃございません。しかし、やはりいま申し上げたように、同じアジア地域に発生している現実的な問題として、先進国家である日本が、全くその問題に対して目をつぶるわけではないでしょうけれども、今回も五百人の定住者を認めるということもありますが、ただそういうことだけでいいのかどうなのか。いろいろ直ちにこうだという断定のできない複雑な様相もありましょうけれども、やはり鋭意努力の中でできるだけ早い時期にこの問題の解決のために取り組んでいただければ望ましいのではないかなという印象を実は受けるわけであります。これは将来の課題として残されるであろうと思いますので、先に進ましていただきます。
 ついこの間でございましたか、あるいはUNCTAD総会に出られたときの外務大臣等の話し合いの中で話し合われた中身といいますか、要するにベトナム難民救済の一環としてフィリピンあるいはインドネシアがそれぞれ離島を提供して、そこに難民救済のためのセンターを設けて、それぞれ希望する国へそこから出させるという措置が講じられたということが伝えられておりますね。これは実際の中身はどうだったんでしょうか。
#228
○政府委員(三宅和助君) 実は、この構想につきましては、まずインドネシアが一つの島を提供いたしまして、そこに一万名の難民を外から連れてくる、そこで一時的に滞在させまして、最終的には先進国に引き取ってもらおうということでございまして、この十五、十六日にインドネシアで国際会議が開かれまして私自身これに参加してまいったわけでございます。
 そこの会議で最終的にこのインドネシアの構想が認められまして、特に、日本は、それに対して積極的に参加し、このフィージビリティー調査に日本側が協力しようということになったわけでございます。また、フィリピンにつきましても、タラ島という一つの島を提供いたしまして、同じような構想で五千名を受け入れる、この構想も原則的には支持され、フィリピンの場合は、たまたま会議の前の日に決定されたということもございまして、まだ必ずしも詳細は明らかでございませんが、今後、具体的に検討してまいるということでございます。以上がこの構想と、それからこの十五、十六日行われました国際会議の結論でございます。
#229
○渋谷邦彦君 日本として、その際に、とるべき措置として考えられることはどういうことがありますか。ただその資金的な援助だとか設備の提供だとかということにとどまりますか。
#230
○政府委員(三宅和助君) まず、この島がどういうぐあいに運営されて、いかなる難民の建物が建てられ、どういう施設が必要であるかというフィージビリティー調査がまず必要になります。でインドネシア政府とUNHCR、難民高等弁務官が一緒になりまして、このフィージビリティー調査をやるということにこの会議で決まったわけでございますが、日本はこれに積極的に参加して、まずそのフィージビリティーの調査に協力しようということでございます。
 第二に、このフィージビリティーができました後に資金協力ということになります。資金協力につきましては、日本側はすでに先進各国と協力しながらサブスタンシャルな部分を資金協力しよう。あくまでもこの資金はUNHCRとインドネシア政府を通じまして、その資金の中から統一的にやっていこうということでございますので、もちろんインフラストラクチュアその他、これは二カ国間の援助として後刻出てまいる問題でございますが、とりあえずは資金協力の問題でございます。
#231
○渋谷邦彦君 相当これから具体的に詰められて、それが運営されるような運びになるんであろうと思いますけれども、確かに日本として、いまお答えがありましたように、積極的に取り組む一環としては資金供与ということが挙げられるんであろうと思いますが、果たしてそれだけでもって難民救済の道というものがすべて解決の方向へ向かうとは限らないと思うんでありますけれども、もっと日本としてなし得る積極的な取り組むその方法、手段において考えられる面はございませんか。
#232
○政府委員(三宅和助君) 先生御指摘のとおり、一番の問題はベトナムから流出する難民の問題でございます。各国とも受け入れに努力する、ASEANも一時プロセシング・センターということで滞留を認めるということでありましても、膨大な難民数が出てくるということではなかなか処理できない。そこで、すでに日本側といたしましては、昨年の十二月にグェン・ズイ・チン・ベトナム外務大臣が参りましたときに、外務大臣の方から、やはり難民の規制についてはベトナムが責任を持ってもう少しやってもらいたい、この問題というものは東南アジアの平和と安定に非常に大きなかかわり合いを持つということで、強く園田外務大臣の方からベトナムの外務大臣に訴えております。
 また、この四月にも、アジア局長も同趣旨のことで、ここにおりますベトナムの大使に言っておりますし、私も、先会議中もベトナムの大使に同じような申し入れをしております。日本側といたしましては、やはりベトナムが、近隣諸国、UNHCRと協力しながら、ベトナム流出の問題の基本問題について早くその根本的な解決法に達してもらいたいという念願から、日本なりに外交的に努力しているという次第でございます。
#233
○渋谷邦彦君 確かに次から次ヘベトナム国民が流出をしちゃって、国に残る国民がもうまるっきり減っちゃったなんということは、これはもうまず考えられないことでありましょうけれども、しかし、いまの趨勢から見ると、これからも引き続き難民流出というような状態が続くであろう。
 ただ、このベトナムだけじゃなくて、最近の傾向の中でカンボジアあたりもその傾向が出てきている。特にテレビの報道番組なんかを見ましても、日本人の記者に対して、何とかできれば日本の国へ行きたいけれども、その仲介の労をとってくれないかという、いわばそういう意味のことを特に若い世代の層から強く要請されるということが伝えられております。まかり間違いますと、それはそれとしてベトナムの二の舞というようなことが考えられないでもない。すると、インドシナ全体にそういうことが波及し、離島に救済センターを設けたというその反響がまた自由の天地を求めてという希望を貫くためにどんどん流出するような方向へ行きはしまいかということが一つ。
 それから、いまもお答えがありましたけれども、もっと日本政府として、そうではない自国において十分その人たちの人権というものが擁護された上に暮らしていけるという、そういう方向へむしろとどめるべきであろうし、その意味から、せっかく外交ルートを持っております日本とベトナム等において、そっちの方から、からめ手の方から手を打っていかなければならない問題の方が強くあるんではないかなと、その辺のバランスをどういうふうに考えてこれからこの難民問題というものの解消に努め、ひいてはインドシナ全体の人たちが一刻も早く平和がよみがえるような、そういう方向へ道を開くことができるかどうか。ただ救済、救済という方に力点が置かれていきますと、そっちの方に傾斜しちゃって、肝心のベトナムそれ自体あるいはカンボジアそれ自体が自立の行き方というものを見失いつつ、いつまでたっても同じようなことの繰り返しが続いたのではこれはどうにもならぬという、まさしく大変な問題に発展しかねない。これは決して楽観できない深刻にとらまえるべき現象ではないかなというふうに思いますだけに、日本政府としてもっと適確なそういう面での手を打っていただいた方が効果が大きいであろう。
 まあ回りくどくいま申し上げましたけれども、そういう点でもう一遍その辺を整理して、今後の展望を考えつつ、難民救済という問題とどう取り組んでいくか、これをもう一遍総合的に、いま申し上げたことに触れながら、政府としての見解を明らかにしていただければなと、こう思いますね。
#234
○政府委員(三宅和助君) 先生御指摘のとおり、インドシナ難民問題というのは基本的にはやはり戦争の存在、紛争の存在というものが前提になっておりまして、したがいまして、たとえば御指摘のようなカンボジアからの難民は戦争を避難するという形でタイに現在一万五千人ぐらい、その日によってまた戻っていくというような状況なものですから必ずしも正確な数はわかりませんが、ラオスの場合にも十二万ぐらい実はタイに来ておるというようなことでございまして、基本的にはやはりインドシナ地域における安定、平和というものでございます。したがいまして、これにつきましては、日本政府といたしましても、それなりのできるだけの努力をしてきているということをまず申し上げたいと思います。
 それから、先生御指摘のとおり、難民は難民の問題といたしましても、やはり総合的にこれをとらえる必要があるということで、ことしの四月の三日の閣議了解とその後の園田外務大臣の発言、この両方を足しましてわれわれは八項目提案と言っております。五百名という新しい枠を設け、しかも東南アジアからも五百名の範囲内におきまして一定の条件の中で認めていこう、さらに定住をするような環境をまず醸成しようということで、日本語の教育とか職業訓練、その他国連高等弁務官に対する拠出だとか、その他八項目の包括的な対策を現在考えております。
 いずれにいたしましても、やはり基本は、もう一度戻りまして、プロセシングセンターをつくってみても、それが先生御指摘のようなむしろ流出の拍車をかけるということであってはならないということで、先般の国際会議でもこの問題が取り上げられまして、それに対して、ベトナムの代表は、確かにむずかしい問題ではあるけれども、東南アジア各国の政治的経済的困難はよく理解できるので、今後、できるだけの流出防止については努力してまいりたいということを言っておりました。
#235
○渋谷邦彦君 そこで、いまお述べになった中で、閣議了解、去年の四月二十八日とことしの四月三日と両方にわたって二回、特にベトナム難民の定住許可について、あるいは定住対策についてという了解事項があるようでございますが、これを見ると、大変厳しいですね、条件が。
 法務省の方来ていますか。この場合の出入国なんかの問題については法制上どうなるんですか。
#236
○説明員(藤岡晋君) いわゆるインドシナ難民が日本にやってまいります場合に、旅券などを持っていないのは、これはむしろ通常の姿でございまして、通常の取り扱いからいたしますと、旅券のない人は入ることはお断りということでございますけれども、典型的に申しますと、ベトナムのいわゆるボートピープルでございますが、旅券を持たないでやってまいりましても、法務大臣の特別の許可権限を行使いたしまして上陸を認める、それから在留も許すという取り扱いをしてまいっておるわけでございます。
#237
○渋谷邦彦君 それは閣議了解に基づいた弾力的な運用というふうに理解してよろしいんですか。
#238
○説明員(藤岡晋君) ただいま私御答弁申し上げました特別の許可による上陸ということは、本年四月の閣議了解ないしは昨年の四月の閣議了解よりも以前から、すでに一九七五年の五月であったと記憶いたしますが、いわゆるベトナムからのボートピープルが日本の港にやってまいりましたそもそもの当初からさような特別な許可を与えて上陸を認めてまいっております。
#239
○渋谷邦彦君 最後に、一問だけ。
 きょうは、この閣議了解事項の八項目にわたる件については一々お尋ねするわけにとてもまいらないと思うんですけれども、概観しますと、果たしてこういう条件を満たすような人がいるんだろうか、定住許可を与えられるという方は大変厳しい拘束された条件のもとでなければ定住が認められぬ、こういう感じを受けるわけですけれども、外務省としては、その点についてはどのようにお取り組みになるおつもりでございましょうか。
#240
○政府委員(三宅和助君) 確かに先生御指摘のとおり条件は必ずしも緩やかではございません。にもかかわらず、昨年からことしの四月の閣議了解ではかなり弾力化してまいっております。
 問題は、定住するような環境をつくってやるということが一番大事なことでございまして、日本語の習得に必要な便宜を与え、また必要に応じまして職業訓練、職業紹介を行うという形で、いわば定住の条件をかなえるためにできるだけの協力をしてやる、そういうことが始まって定住の希望者というものがあらわれ、また定住されるということでございます。したがいまして、こういうような条件を整えますと相当の数の定住者が出てくるのではないか、それには若干時間はかかると思いますが、まず、そういういわば待遇改善の方にできるだけ努力をいたしまして、それでまず五百名の定住枠の充足にできるだけの努力を払ってまいりたい、こう考えております。
    ―――――――――――――
#241
○渋谷邦彦君 残余の問題については次回にいたしますので、以上をもって終わります。
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#242
○委員長(菅野儀作君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、粕谷照美君が委員を辞任され、その補欠として上田哲君が選任されました。
#243
○立木洋君 国際人権規約の審議を行っているわけですが、基本的な人権の問題、あるいは民族の主権の侵害の問題として久しく議論されてまいりました金大中事件について、午前中の質疑もありましたけれども、きょうは、その点について特にお尋ねをしたいと思うんです。
 きょうは、大臣がおいでになりませんので、若干事実関係を最初にお尋ねしたいわけですが、日本政府、外務省としてはアメリカの国務省から届くことになっておるいままでの百四十二通の公電のほか、さらに百一通の秘密公電をも要求したという趣旨の報道がございましたが、これは間違いないでしょうか。
#244
○政府委員(柳谷謙介君) 事実関係をちょっと御報告したいと思いますけれども、若干報道に混乱があったようでございますけれども、事実関係といたしましては、先般、日本の一通信社がアメリカの法律に従いまして、金大中事件に関する国務省文書を入手したということがありまして、また、この事実は外交チャネルでも通報を受けたわけでございますけれども、そのうち数点については相当同日すでに報道されましたので、まず、この五点の文書については、私どもも、在米大使館が米国務省から提供を受けた部分をすぐ電報で取り寄せて仮訳を付して公表したわけでございますが、この通信社がそのときにアメリカ国務省から入手した件数は百四十三点だったわけでございます。百四十二点というのもありますが、これは実は一つダブつたのがありますので、その数え方によってどちらとも言えるんでございますけれども、私どもは一応整理して百四十三点と呼んでおりますが、そのうちいま申しました五点以外の百三十八点になりますか、これはパウチ、外交郵のうで先週末、金曜の夜に東京に到着したわけでございまして、これを一般番号を付したり整理いたしまして、きょう、たしか夕方までには、英文のままでございますけれども、御希望の向きには配付できるという状態まで作業が進んだわけでございます。
 私どもが日本の通信社に米国務省が提供したものが何であるかという事実関係を照会して、米国務省から外交チャネルで入手したのは、この百四士二点だけでございまして、それ以外のものは現在ございません。
#245
○立木洋君 じゃ、さらにその百一通とかというのは要求されていないわけですね。
#246
○政府委員(柳谷謙介君) 要求しておりません。
#247
○立木洋君 要求していないんですね。
#248
○政府委員(柳谷謙介君) はい。
#249
○立木洋君 いままでの百四十三通というのに対しては、どういう意味合いで要求をされたんでしょうか。どういう形でといいますか、どういう言い方で要求をされたんですか。
#250
○政府委員(柳谷謙介君) これはいまお話ししましたとおりでございまして、日本の一通信社が入手して報道し、これが大きな関心を呼んだということでございまして、その要求した根拠は米国の情報の自由に関する法律に基づいたことでございましたが、そのときに米国務省から同じ日に連絡がございまして、この通信社に提供した文書の中に一、二点本来秘密指定解除の措置がとられていなかった、いわば公表に適しない文書がまざっていた。しかし、これはすでに報道されてしまったので、その意味においては追認と申しますか、すでに公表、公開したものとして扱うんだ、そういう事情があるので外交チャネルで日本政府にもこれを通報する、こういう連絡があったわけでございます。
 そこで、外務省としても、それは全部がどれだけであり、二通については本来提供しないはずのものが提供されたのですが、それ以外に提供してもよかったものがあと全部でありますので、それが何点であり、何であるかということを知ることがまず必要である。また、それら全部に目を通しませんと、この電報の持っている意味が全体として把握できないということで照会し、したがってこれが通信社に渡したものの全部ですという形で大使館が同じものをもらいまして、それが東京へ送られてきたという経緯でございます。
#251
○立木洋君 今後、その調査の内容によっては、さらに追加してアメリカ側に要請するという可能性もあるわけですね。
#252
○政府委員(柳谷謙介君) これはけさほどもお答えしたわけでございますけれども、私ども実はあしたから全力を挙げてこの百四十三点の文献、うち五点はすでに目を通し済みでありますけれども、残りの分については検討を始めたいと思っております。
 また、これは外務省だけでいたすのは適当でございませんので、到着の都度、警察当局、法務当局にも伝達してございますので、そちらの方でも御検討願っているわけで、それらの検討の結果を持ち寄りまして、意見を交換した上で、この文書の持つ意味とか、内容がよくわかるとかわからないとかということが全体として出てくると思います。その上で必要な照会あるいは確認、そういうことをさらに改めて米国政府に提起するということの可能性は私ども排除していないわけでございます。
#253
○立木洋君 今回の問題に関連して韓国政府に照会をいたしましたわね。当初は、その種の会談、会見の記録が存在しないというお話で、その後、さらに金東作元外相ですか、は記憶にないという回答があったようでありますけれども、これについては日本政府はどのような感じといいますか、判断といいますか、を持っておいでになりますか。
#254
○政府委員(柳谷謙介君) 五月十二日の時点でこのことが報道されました中に幾つか注目すべき事実がございまして、その一つが一九七五年一月九日の駐韓スナイダー米大使と当時の金東作外務部長官の会談についての米国の公電だったわけでございます。
 したがいまして、その時点でとりあえず韓国側に対しても、こういうことが報道されておるので、これについて韓国側のとりあえずの意見を聞きたいということを照会したわけでございます。韓国側も実はちょうどそのころに同じような報道に接していたようでございましたので、先方の反応もどちらかというと、原文を見たわけではなくて、とりあえずの報道をもとにしての返答だったわけでございますけれども、最初の応答は、通常、外交上の重要な会談の記録は作成され保存されているものであるけれども、これを当該会談について調べたところ、そのような記録は存在しないというとりあえずの返事があったわけでございますが、ざらに、私ども、東京とソウルにおきまして、もう少し詳しく聞きたいということを話しておりましたことに対して、さらに前回の回答を補足しまして、金東作当時の外務部長官にも聞いてみたけれども、そのような会談の記憶はないということ、したがって、なぜこのような報告がワシントンに対して送られたかについては理由がわからないという返事があったわけでございます。これまでのところの韓国政府との接触の経緯は以上だけでございますが、御質問の点につきましては、これもアメリカに対するものとその意味では同じでございますが、全体の文献を詳細に検討いたしまして、必要とあれば、さらに韓国側にも事実確認なり、事実照会なりの措置をとる可能性は排除していないというのが現在の考え方でございます。
#255
○立木洋君 いろいろな報道があるもので外務省の直接の担当の責任者としてのお考えをお伺いしているわけですが、韓国側としては、これは全くそういうことは事実がないというきわめて強力な否定をされたのか、その辺の感じというのはどういう感じ方をされておりますか。
#256
○政府委員(柳谷謙介君) 強力な否定であったかどうかというのは、ちょっと余り権威を持ってお答えしにくいんですけれども、私どもの受けている印象は、こういう報道が日本の通信社をソースとして報道され、また韓国側もさらに事実関係を別途調べた、公電それ自体についても韓国側としても調べたんではないかと思いますが、私どもはとりあえず質問したものでございますから、先方の対応もとりあえず調べてみた。記録は普通何年何月の記録とあるのを全部調べたけれども、ないんだということをとりあえず御返事する。さらに金東作元外相にも尋ねてみたけれども、記憶はないという返事だったということでございますから、強力かいかがかという点はちょっと私としてもお答えしがたいところでございます。
#257
○立木洋君 それで今回の件に関して韓国側からアメリカ側に対して何か若干抗議めいた意思表示があったようでありますけれども、あの抗議めいた意思表示というのは、つまりアメリカ政府が勝手にでっち上げたということに対する抗議なのか、そういうふうなものがいわゆる韓国側に何らの話し合いもないのに漏れてしまったということに対する抗議なのか、あの辺のニュアンスというのは非常に私は微妙に感じているんですけれども、局長はどういうふうにお感じになっていますか。
#258
○政府委員(柳谷謙介君) その点については、ソウルにおいて若干確かめてみたわけでございますけれども、当面の印象は後者でございます。つまり本来公開されることが適当でないと、アメリカも思っていたと後で言っているわけですが、韓国側もそう思っている、そのようなものが手違いによって出たということについて、とりあえず遺憾の意を表明したというものであると理解しております。
#259
○立木洋君 事実は存在したということですよね。
 それで捜査当局の方、警察の方にお尋ねしたいんですが、今度のこういう事態が起こったことについて、捜査当局としてはどういう点に特に関心を持たれておるのか。それから今度のこういう秘密公電は、捜査当局としては、いままでの経験の上から見て、信用の程度といいますか、についてはどういうふうに判断されているのか、いかがでしょうか。
#260
○説明員(鳴海国博君) どういう点に関心を持つかということでございますが、私ども、今回、米国において一通信社に対しこのような資料が国務省から公開されたということも初めて聞いたわけでございます。また、公開された資料の中に今回問題にされているような原文等が含まれているということも初めて聞いたわけでございます。
 で、先ほど外務省の方からもお話がございましたように、私ども、このニュースを報道等で知りまして、直ちに外務省の方に、ひとつ一体どういうことなんであろうか。われわれとしては、御承知のごとく、鋭意捜査の手がかりを捜しでおるということでございまして、捜査に果たして役立つものかどうかといったようなこと、それを検討する必要もあるわけでございまして、ひとつその問題になっておる公電あるいは関係の資料といったことについて入手の上はわれわれ捜査当局の方に御提供いただきたいということを即刻お願い申し上げたわけでございます。その後、お話もございましたが、逐次、外務省に御到着の都度、私どもの方にもいただいておるということでございまして、まだいただきましてから日も浅うございまして、これについてまだ検討を開始しておるというのが現状でございます。特に、外務省の方におかれては、この公電などに関しまして、その内容等につき事実関係の御調査というのを進めておられるという段階でもございますので、そういったことをあわせ伺いながら、われわれとしては検討を進めてまいるという所存でおるのがただいまのところでございます。
 で、いまこの問題になっております公電の信用度といったようなことについて御質問があったわけでございますが、これにつきましても基本的には私どもいま御説明申し上げましたような情勢にあるわけでございますが、いただきましたこの公電の内容というか価値評価、これは外務当局においてまずなされることで、その結果を踏まえながら私どもも検討してまいらなければいかぬことでございますが、ただいまのところ、いただいたその文面を拝見し、文面を捜査の手がかりを求めるという観点からその文言についてとりあえず検討してみた感触といたしましては、二つのことがその内容になっているんじゃないか、こう思うわけでございます。
 一つは、当時韓国の一等書記官でございました金東雲という人物がこの逮捕監禁、略取誘拐事件の犯人の一人であるということ。もう一つは、この人物がいわゆるKCIA、韓国中央情報部の関係者である、その要員であるというようなこの二つのたぐいのことが内容になっている、こう思うわけでございます。
 この第一の点に関しましては、警察といたしましては、今回の米国務省の公電を待つまでもなく、すでに事件発生の直後におきまして、指紋等有力な証拠も入手し、その裏づけをもちましてこの金東雲元一等書記官が犯人の一人であるということを割り出しておるということでございまして、これについては別にいまさら捜査の進行の上で新しい手がかりを得たということではない、かように考えるわけでございます。
 また、この金東雲という人物が韓国中央情報部の要員であるというたぐいのことにつきましては、実は、これまでもしばしばこういった説は言われておったことでございまして、われわれ捜査当局といたしましては、犯罪の、これは下手人のみではなく、その動機であるとかあるいは背後関係、そういったことを鋭意追及していくという観点からも、もちろん、こういったいろいろな風評あるいは情報ということにつきましては耳を澄ませて、そういったことを考慮に入れながら鋭意捜査を進めてきたというのが現在までのことで、ただ、この金東雲元一等書記官がKCIAの要員であるとか、あるいはこの犯行がKCIAの関与するものであるとかということに関しての証拠は私どもは現在把握はいたしておりませんけれども、その意味合いにおきまして、このいわゆるKCIA関与説と申しますか、KCAIAが関与しているというくだりにつきましても、私どもとしては今回のその米国務省の公電によって初めて知ったということではございませんで、そういったことから言いまして、もちろんこの公電の重みといったものは重々考えつつ、捜査上の参考にはしてまいるわけでございますが、とりあえずのこの捜査上の手がかりを与えたものであるかどうかということに関しましては、そうではないと申し上げるのが現在の状況でございます。
#261
○立木洋君 局長ね、今度のこの金大中事件というのは、もう金東雲の指紋がはっきり残っておるということで、これはもう犯人の一人であるということはほぼ警察当局としては当初から明確にしておった態度だったわけですね。しかし、これは、相手側から、いやそうではございませんと、いろいろ調べてみたけれど、そういうことはございませんというので、高度の政治判断でいわゆる外交決着をつけたわけですね。
 前のときもいろいろ聞いても、局長クラスでは、いや私たちはよくわからない、高度の上部において政治決着をつけられた問題でございましてということが繰り返し言われてきたわけですよ。だけど、この外務省の事務当局としては、やはり今日のこういう事態がはっきり出てきているわけですから、これは積極的にやっぱり前向きに解明していくという立場を私は貫くべきだと、あえて局長さんですから、そういう言い方でお尋ねしたいわけですが、という御姿勢なのか、もう高度の政治判断があるんだから何とかいままでとつじつまを合わせるような形で外務当局は動きますと言われるのか、局長さんのお気持ちをひとつ聞かしていただきたい。
#262
○政府委員(柳谷謙介君) 高度の政治判断という御指摘がございましたけれども、これは、私の承知しておりますところでは、別にあいまいにすることがいいという高度の政治判断という意味ではなくて、その状況下において捜査の進展状況あるいは韓国側のいろんな対応ぶり等々の諸状況の中で、特にいまも御指摘がありましたけれども、韓国当局による、明白な公権力による行使が裏づけられる証拠がなかったという状況、容疑はあるけれども明確な証拠がなかったという状況、その辺のところを当時のわが国の最高首脳が大局的に御判断になって決められて、その後のいろいろな一連の処理が行われたという意味において、高度の政治的な御決断というものはそういうものであったと承知しているわけでございます。
 他方、これは事件発生以来今日に至る政府当局関係者全体の共通した立場だったと確信しておりますけれども、事態をあいまいにするとかいうことではなくて、真相の解明ということについてはあらゆる努力を惜しまないということは一貫しているものと思います。今回の文書についての私どもの姿勢もその同じ腹構えの上に立ったものということを申し上げたいと思います。
#263
○立木洋君 いままでこの真相究明を徹底して行うということであるならば、今度のこうした新しい事実が出てきているわけですから、いままで三井元警備局長でしたか、それから高橋元警察庁長官ですか、繰り返し、これ以上捜査を進める壁になっているのがいわゆる政治決着である、これ以上どうすることもできないんだという状態というのが再三言われてきているわけですね。ですから、やはり本当に真相を究明していくということが真意であるならば、やはりこの政治決着というのを白紙に戻す、そして本当に捜査が進展できるような、真相が解明できるような、そういう時点にまでもう一遍立ち戻ってみるということが私は必要だろうと思うんですが、いかがでしょうか。
#264
○説明員(鳴海国博君) 私どもは捜査機関でございまして、そういうことからいま政治の問題とか、そういう高度の問題について言及する立場にはないわけでございますが、実は、先ほどちょっと申し上げたかと思いますけれども、何といいましても、この関係者というものが外国に――国内におらないという非常に苦しい状況のもとにおいてわれわれは捜査を継続しておるということでございまして、それが一体いままでどういう状況であったかと申しますと、すでに……
#265
○立木洋君 いや、短くていいんですよ。おたくの方に質問しているんじゃないんで、外務省の方に。
#266
○説明員(鳴海国博君) 私どもは、そういったことにかかわらず、捜査を鋭意進めてまいってきておる、過去も現在も、そしてこれからもやってまいるというつもりでおります。
#267
○立木洋君 局長、一言で。
#268
○政府委員(柳谷謙介君) 今度出ました百四十三件に対する態度は、先ほど申し上げたと思いますけれども、何分まだ五件のみが解明されて、あとの大部分についてはこれから検討を始める状況でございますので、いまの時点におきまして、これを解明し、かついろいろ検討した結果がどのようになるかということについてはちょっと予断することは控えたいと思っているわけでございますけれども、姿勢といたしましては、いまも御指摘がありましたこの真相に迫りたいという気持ちで今度のこの文書についての検討をするということは重ねてそのとおり申し上げたいと思います。
#269
○立木洋君 局長、失礼ですが、けさの法眼晋作さんのあれをお読みになりましたか。あの第一次決着のときの外務次官をされておった法眼さんのけさの新聞を読んで、局長、どういう御感想をお持ちになりましたか。
#270
○政府委員(柳谷謙介君) 尊敬する先輩の御意見として拝聴いたしました。
#271
○立木洋君 私は、いままでも繰り返し言われたんですけれども、新聞報道でも最近出ていますけれども、韓国が認めないから仕方がないという言い方は、これは全く日本の自主性のない考えですよ。日本で起こった事件に日本の政府当局が責任を持ってそれに自主的に判断を下すということが何としても私は必要だと思うんですよ。アメリカが言おうと何が言おうと、韓国が認めない。韓国の金東雲というのが現に犯人かどうかで争われている、その相手なんですよね。そこが、いや私のところの金東雲というのは実はこうでしたということを言うかどうか。自分のところの息子は実は、どろぼうでしたなんということを言うかどうかということがあるわけですよ、まあ極端な言い方をしますと、これは外交上の言葉遣いとしては適切かどうかは別としても。そうした場合に、韓国が認めないから仕方がないという態度でいったら、これは絶対解決しないですよ。やはり日本で起こった事件に、日本の主権をきちっと守っていく日本の政府の立場としては、当然、これは日本の政府が独自にきちっと判断すべきそういう時期に私はすでに来つつある。それはいろいろ材料を調べられたらもう明確になってくるだろうと思いますけれども、そういう重大な問題があるというふうに私は考えているんですよ。
 ですから、この点は、大臣それから総理大臣にも次回にはぜひ来ていただいて、日本の外交の基本の問題として私はぜひともお尋ねしたいということを委員会でも要望してあるわけですが、そういう趣旨を踏まえて明確にさしていただきたいと思うんですが、この時点でのその直接担当の局長と、それから外務政務次官の志賀さんの御所見を聞いて、きょうの質問はとどめておきたいと思うんです。
#272
○政府委員(志賀節君) 実は、その日本の自主性ということになりますと私にもまだよくわからない点がございますが、少なくとも当時のスナイダー大使が打った公電がもし偽りの電報であったならば、これは当然アメリカ政府内部で何か、たとえばスナイダー元大使に対する処罰その他が出てくる可能性がございます。一方においては、そういうことを考えますと、もう少し客観的な情勢を見ていても時間的にいいのではないか。先ほど私は時間的なそういう経過の中で、先生の先ほどのいろいろな御質問がございましたそういう御趣旨を心の中に置いて対処してまいりたい、こう申し上げておるわけでございますから、何もいまきょう、あすに行動開始の必要はないと考えておるためにそういうことを申し上げたわけでございます。
 ただ、あくまでも、この問題は、事件発生の当時もやもやを私は感じていた一人であるということは先ほども申し上げましたとおりでございますので、そういう意味では立木先生のお気持ちも十分よくわかるつもりでございますから、そういう立場で臨みたいと考えております。
#273
○田英夫君 国際人権規約の審議の中でと申しますよりも、国際人権規約を一日も早く批准すべきだと私が従来から考えていたその一つの大きな柱は、在日朝鮮人、韓国人の皆さんの取り扱いの問題が現状でいいかどうかということであり、また金大中事件というものもその一つの大きなかかわりであったわけですが、時あたかもこの審議のさなかにいま立木委員からも取り上げられましたようなアメリカの情報の自由法に基づく資料の発表があった、こういうことでありますので、私も、この問題について質問をしたいと思います。
 まず、警察の方に伺いたいと思いますが、金大中事件の捜査というものは現在も続いているということは当然ですね。
#274
○説明員(鳴海国博君) 現在も特別捜査本部を設けまして捜査継続中でございます。
#275
○田英夫君 法務省の方に伺いますが、事件当時、金大中氏と行動をともにしていた梁一東、金敬仁両氏が、その後ほぼ六年になんなんとするわけでありますが、私の方もその出入国について若干調べてまいりましたけれども、およそ何回くらいそれぞれ来日しておられるか把握しておられるでしょうか。
#276
○説明員(藤岡晋君) 梁一東氏の関係から申し上げますと、私どものところでいまの時点で判明しておりますのは二回でございます。それからもう一人の金敬仁氏の関係で申しますと、やはりただいまの時点で判明しておりますところでは七回でございます。ただし、梁氏、金氏いずれもそのうち一回は七三年七月当時のものでございます。
#277
○田英夫君 これは御両人とも韓国における立場は非常に微妙です。したがって、もう外務当局の皆さんは御存じと思いますけれども、日本に立ち寄られたということ自体余り詳しい日時を申し上げることがお二人のためにならない、そのくらい実は厳しい状況の中で金敬仁氏は昨年の選挙であらゆる妨害を受けて落選をされました。
 一つだけ申し上げておくことは、梁一東氏について言えば、いま二回と言われましたけれども、私の知っている限りもっと多いですね。そして今月初めにも私自身が東京でお会いしました。
 警察は、このようにしばしば来日をしておられる当事者であるこのお二人に直接面接をして捜査をされたことがあるかどうか、これはいかがでしょうか。
#278
○説明員(鳴海国博君) 御両氏につきまして、来日のたびごと、私どもその来日を承知するたびごとに御協力方をお願いいたしておるわけでございますが、しかし、いままでのところ、わが方の質問その他について御協力を得られるという状況になっていないということでございます。
#279
○田英夫君 これは速記録に残ることですから、本当のことを言っていただかないと困りますよ。私は御両所にしばしば会っておりますから、御両所が日本の警察のそうした調べに協力をしないなどという態度をとっていない、いつでも協力をする、こういう態度であるということを私はよく知っています。いまの答弁は速記録に残っておりますから、これは後々問題になる可能性があるということを承知の上でひとつお答えをいただきたいと思います。
 いまの問題について何か言われることあるんだったら、ひとつ言ってください。
#280
○説明員(鳴海国博君) 金敬仁氏につきまして、過去の供述調書、すなわち御協力をお願いして供述調書として作成した状況、それから接触しましたが協力が得られなかったという状況、両方の場合があるわけでございまして、昭和四十八年、事件発生当時から若干の期間におきまして供述調書作成、これは在日中だったようでございますが、供述調書の作成の協力をいただいております。しかし、その後、五十一年の四月あるいは五十二年の二月来日されたとき、わが方から接触申し上げまして御協力をお願いしたが、事情のいかんは存じませんが、御協力が得られなかったということでございます。
 それから梁一東氏におきましても、事件発化の直後におきましてはいろいろとお話を承る機会を得たわけでございますが、五十一年の五月来日の際には供述調書の作成は御協力をいただけなかった、このようになっております。
#281
○田英夫君 先ほど申し上げましたように、つい最近も来日をされておりまして、お二人ともこの問題についてきわめて憂慮をされ、韓国で苦しい状況の中で梁一東氏の場合は唯一の野党――こういうことを言っては失礼かもしれませんが、韓国には野党というものがほとんどないに等しい中で非常に苦闘しておられる。そうした状況を私に話された中で一金大中事件について、金大中さん自身の健康を含めて非常に憂慮をされておりますので、これは場合によっては私どもが捜査当局からのあれがあれば、いつでもお引き合わせすることができるという状況にあると思いますよ、そういうことをここで申し上げておきたいと思います。
 それから金東雲元一等書記官自身は現在韓国にいるわけでしょうが、その所在あるいは状況をつかんでおられるでしょうか。
#282
○説明員(鳴海国博君) 私ども、率直に申しまして、いまこの人物、すなわち金東雲がどこにおるかということについては承知いたしておりません。
#283
○田英夫君 これはあなたの元前任者になりますが、ちょうど一九七四年の八月一日のこの委員会で佐々説明員が答弁をしておられます、私の質問に対してですが。七三年十一月二日のいわゆる第一次政治決着、金鍾泌総理が日本に来られたときの、そのときの約束として金東雲一等書記官についてはその容疑性を認め解任をし、その捜査を行うことを約束していただきました。こう答弁をしておられるわけですけれども、これが御承知のとおり、七五年七月の第二次政治決着によってうやむやにされたという経過がありますが、捜査当局としては、この第一次のときの佐々答弁を現在も生きているというふうにお思いになりますか。
#284
○説明員(鳴海国博君) 十一月二日の外交上のいろいろな交渉がございましたことは、外務省を通じ、当時承知しておったと思うわけでございますけれども、実は、韓国の捜査ということに関する協力の状況でございます。
 私ども捜査当局といたしましては、事件発生直後から数多くのいろいろな事項について韓国に、もちろん外務省を通じまして照会する、あるいはお願いするということをやったわけでございます。その中には金東雲被疑者の問題も含めてやっておるという記録になっておりますが、確かに七三年十一月二日の当時は韓国側において捜査を進め、その結果をわが方に通報する、そういうお話し合いであったようでございます。しかしながら、その後、これは昭和で申しますと四十九年の八月十四日でございましたか、韓国の検察当局がこの事件について捜査を中止するという決定をされたようでございまして、その決定の通知が外務省経由で私どもにお知らせいただいたわけでございます。それと軌を一にするというか、それ以前におきましても、この韓国側の協力度合いというのは大変少なかったわけでございまして、私ども大変いろいろな要求に対して返ってくる答えが非常に少ないということで捜査的には非常にやきもきしておったわけでございますが、こういったいま申しました四十九年の韓国検察庁の決定の後は、ぱたりと韓国側からわが方への照会に対する回答というものは寄せられなくなったわけでございます。
 しかし、これではいけないということで、ここは外務省の方でお答えなさるべきことかと思いますが、その後、たしか口上書をもちましてひとつ頼むということを御依頼いただいたように記憶いたしておるわけでございます。いずれにしましても、そういった手数は尽くしていただいたわけでございますが、事実問題として、このわれわれの要求する捜査上の手がかりあるいは証拠あるいは捜査情報というものは韓国側から全く協力を得られないという状況でずっと推移してまいった、そういう状況が、実は、昭和五十年の七月二十二日でございますか、政治的な決着がなされたはるか以前から続いておった。そういう状況でございまして……
#285
○田英夫君 わかりました。そこまででいいです。
 もう一つ、これは政務次官にお答えいただくというか、当時の事情なのでむしろ聞いていただきたいのですけれども、いま警察当局からお答えがありました一九七五年――どうも元号というのはややこしいので全部一九七〇何年というふうに統一していただくと、こういう場合非常に便利なんで、よけいなことですけれども、私は元号法案というのは全く反対なんでありますが、一九七五年の七月二十二日のいわゆる第二次政治決着、これは一応金東雲の捜査はしないということに、不当にも当時の宮澤外務大臣は韓国の口上書をのまれて第二次政治決着をやられた。ところが、その後、その年の十月に衆議院の予算委員会で金東雲を召喚すべきである、こういう要望が出されまして、当時の荒舩委員長がこれを政府に要求され、宮澤外務大臣がそれをやりましょうという意味の答弁をされ、それを後にまた宮澤さんは翻された。参議院の予算委員会で、私が宮澤さんにおかしいではないかということを申し上げた速記録が残っております。これは御記憶にあるかと思いますが、要するに政治決着で金東雲の捜査というものはしないということになっていたはずなのに、衆議院の予算委員会の要求にこたえて、宮澤外務大臣は金東雲の召喚について韓国側に要求をいたしましょうと、行政府の責任者としてお答えになっているのです。それを後にあわてて取り消されたという事情があります。
 いずれにしても、実を言うと何十回こういう質問をしても、きょうこの部屋にいらっしゃる政府側の皆さんも委員の皆さんもジャーナリストの皆さんも、もう真相はみんなわかっているんじゃないのですか、こんなことを幾ら繰り返してもしようがないのだと思いますよ。私の質問した速記録だけを読むのに一晩かかりましたよ、ほかの委員の皆さんのも含めたら、とても一日や二日で読めないぐらい日本の国会ではこの問題をやってきた。これは日本の恥じゃないですか、こういうことをやって。しかも残念ながらロッキード事件やグラマン事件と同じようにアメリカの資料によってこれが解明されようとしているということは、これは政府はお考えいただかないと困るのじゃないでしょうか。
 そこで、ひとつ今度は委員長にもお願いをいたしますが、当時の外務大臣であった大平総理大臣、そして現在の責任者である園田外務大臣にこの委員会においでをいただいてお話を伺うという機会をぜひつくっていただきたい、これは私からもお願いをしておきたいと思います。
 次の質問は、金東雲の容疑というか、さっき御答弁では犯人の一人と、こう答えられましたから容疑以上のものでしょうが、一つは指紋、一つはエレベーターの中の目撃者、もう一つは元自衛隊関係者のところにあらわれた人物が金東雲と一致するという、いままで出ているのではその三つだと私は思いますが、これを確認してよろしいでしょうか。
#286
○説明員(鳴海国博君) 主たる有力証拠としてはそういうところでございます。
#287
○田英夫君 指紋につきましては、これも速記録にはっきり残っている警察の責任者の御答弁で何カ所か残っています。何回も伺っていますから何回か確認をしていますが、素人が肉眼で見ても照合できる程度の確度の高いものですということをお答えになっておられます。そこで私は素人ですから、その金東雲の指紋と原本である東京オリンピックのときに新聞記者と称して入国をしたときの法務省に残っていた指紋、つまり原本と現場の指紋との写しをこの委員会に提出をしていただけるかどうか、いかがでしょうか。
#288
○説明員(鳴海国博君) ただいまの先生のお話につきましては、これはいまだ犯罪捜査中でございまして、しかもこれが非常に有力な決め手の証拠である、そういうことでございますので、捜査途中であるということをごしんしゃくいただきまして、いまのお話は御容赦願えればと思うわけでございます。
#289
○田英夫君 その答弁では私は納得できないですね。いままで捜査をしておられるとは言いながら、先ほど申し上げたように、梁一東、金敬仁両氏がしばしば来日しているにもかかわらず、一度や二度の形式的な要求で、現場にそのときいた人、関係者の中で最も関係の深い人物に対してさえ徹底的な捜査をしていない、質問もしていない。そういうやり方の中で、確かにあの現場から指紋を割り出された捜査当局の御努力というものを高く評価いたしますけれども、しかし、にもかかわらず、現在も捜査が続いているから、その指紋は国民を代表する私どもこの国会に出せないという行政府の御答弁は私は納得できません。
 これは理事会でひとつ、委員長、御相談をいただきたい問題だと思いますが、いかがでしょうか。
#290
○委員長(菅野儀作君) 理事会に諮ります。
#291
○田英夫君 次に、スナイダー元大使と金東作元外務部長官との間の話が当面の一つの問題になっているわけでありますが、また、同時に、すでに私どもにも配付をしていただきました五通の秘密文書、公開されたものについてはハビブ元大使の報告も入っておりますが、現在、スナイダー、ハビブ、金東作、この三人の方はどこにどういう形でおられるか、つかんでおられると思いますが、いかがでしょうか。
#292
○政府委員(柳谷謙介君) 今度の事件を契機として、特に新しく調べたわけではございませんけれども、私ども承知していますところでは、金東作外務大臣は、その後、大統領特別補佐官を務められた後退職されて、現在、ソウルないしソウル近郊におられるというふうに理解しております。スナイダー、ハビブ両氏につきましても、いずれも退官されまして、それぞれ教職と申しますか、あるいは研究と申しますか、そういう生活に入っておられるというふうに承知しております。
#293
○田英夫君 これは日本の国権にかかわる大問題であることは言うまでもないわけでありますから、現在、具体的にこういう文書がアメリカの国務省という公式機関から公表されたというこの事態の中で、当然、私は、当事者であるスナイダー、ハビブ、金東作、この三人の方に外交出先機関が直接会われて、その真偽のほどを確かめられるという措置があっていいと思いますが、外務省はそういうお考えはあるでしょうか。
#294
○政府委員(柳谷謙介君) 今般、公開されました百四十三件の中には、これ以外いろいろソウル、東京の出先とワシントンの間の来往電というものがございまして、あるいはいま御指摘以外の名前も出てくるかと思います。これはもう少し検討しないと定かではございませんけれども、それら全部を見ました上で、いろいろ照会したり確認したりしたいことが出る公算はございます。その場合にこれをどういう形でいたすかという点は、まだ実はそこまで詰めてございませんが、通常の手法では、相手国の当局、国務省とか外務部を通してただすということと、状況によりましては直接の方法等もあろうかと思います。過去においても、このような類似の場合にその両方の手法が検討、実施されたこともあろうかと思います。いまのところ、そもそも照会するかどうか、それからする場合にどのような手法によるかということは、検討が開始された現時点においては具体的には決めてございません。
#295
○田英夫君 これはまた委員長にお願いをすることですけれども、外務当局がそういう形で、私は、当然、出先の方がこの三人の方に、あるいはもっと多くなるかもしれませんが、確認をされる仕事をされるべきだと思いますが、外務省でそういうことをなさらないということになるならば、国権が侵されたというこの重大事件に対して国会の調査が行われるべきではないだろうかというのが私の意見です。これは個人的にやる問題ではなくて、衆議院なり参議院の外務委員会という形で調査団を派遣するということでこの調査を進めるべきだというのが私の意見ですが、これも理事会で検討をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。よろしいですね。
#296
○委員長(菅野儀作君) よろしゅうございます。
#297
○田英夫君 これは時間がなくなりましたから、また改めて機会をつくっていただいて御質問したいと思いますけれども、これも志賀政務次官にひとつお願いといいますか、私の意見を申し上げたいのですけれども、間もなく東京サミットがあるという中で、カーター米大統領が韓国を訪問されるということが予定をされている。韓国政府にとってこれはきわめて重要な政治スケジュールであることは想像にかたくないわけであります。同時に、アメリカにとってもこのことはきわめて重要でありますし、また韓国の中で金大中さんを初めとしてカーター大統領の訪韓に対して反対をする意見が出されているという事態も御存じのとおりだと思います。
 このやさきに、確かに情報の自由法という法律がある、それに基づいて共同通信に対してアメリカ国務省がこれを公表されたということは法律に基づく当然の措置とはいいながら、いまこの時期に金大中事件に関連をするカーター訪韓を目の前にしたこの時期にアメリカ政府がこうした情報をあえて公にされたということは、私は、アメリカ政府の全くの偶然の措置というふうには考えられないと思うわけです。
 この辺のところは御質問をしてもお答えになりにくい問題でありますから、私の意見として一方的に申し上げるわけでありますけれども、それはカーター政権が発足当初から人権外交ということを言い、私もパトリシア・デリアンという国務省の人権局長ですか、女史にお会いをしてそのお考えも聞きました。韓国の人権問題についても議論をいたしました。そういうことの中に立って、いま私は申し上げているわけです。
 これは、したがって、先ほど立木委員からうちの息子がどろぼうだというそういう意味の御発言がありまして、私も全く同感なのでありますが、韓国の側がこう言うからということであっては全く問題は解決しない。かといって、アメリカの側からまたまたそうした情報を得て解決をしていくという醜態を私どもは繰り返したくないのであります。したがって、先ほど申し上げたように、当然、政府が積極的にこの問題の解決のために、警察当局はもうはっきり言っておられるのですから、これをはっきりした態度で、いまからでも遅くはないので解決をしていただきたい、その方向に向かって努力をしていただきたい、このことだけを申し上げておきたいと思います。終わります。
#298
○委員長(菅野儀作君) 両件に対する本日の質疑はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#299
○委員長(菅野儀作君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の締結について承認を求めるの件及び市民的及び政治的権利に関する国際規約の締結について承認を求めるの件の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#300
○委員長(菅野儀作君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#301
○委員長(菅野儀作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
 午後四時五十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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