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1978/03/29 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 法務委員会 第7号
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1978/03/29 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 法務委員会 第7号

#1
第087回国会 法務委員会 第7号
昭和五十四年三月二十九日(木曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二日
    辞任         補欠選任
     長谷川 信君     内藤誉三郎君
     安恒 良一君     阿具根 登君
     片岡 勝治君     矢田部 理君
     内藤  功君     宮本 顕治君
     秦   豊君     江田 五月君
 三月二十二日
    辞任         補欠選任
     円山 雅也君     森田 重郎君
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     森田 重郎君     円山 雅也君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     秋山 長造君    目黒今朝次郎君
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     目黒今朝次郎君    秋山 長造君
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     内藤誉三郎君     竹内  潔君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         峯山 昭範君
    理 事
                上田  稔君
                平井 卓志君
                矢田部 理君
                宮崎 正義君
    委 員
                金井 元彦君
                熊谷太三郎君
                竹内  潔君
                丸茂 重貞君
                宮田  輝君
                八木 一郎君
                秋山 長造君
                橋本  敦君
                円山 雅也君
   国務大臣
      法 務 大 臣   古井 喜實君
   政府委員
      法務大臣官房長   前田  宏君
      法務大臣官房司
      法法制調査部長   枇杷田泰助君
   最高裁判所長官代理者
      最高裁判所事務
      総局総務局長    大西 勝也君
      最高裁判所事務
      総局人事局長    勝見 嘉美君
      最高裁判所事務
      総局民事局長    西山 俊彦君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の
 一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用
 等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
ただいまから法務委員会
 委員の異動について御報告いたします。
 去る三月二日、内藤功君、長谷川信君、秦豊君、安恒良一君及び片岡勝治君が委員を辞任され、その補欠として宮本顕治君、内藤誉三郎君、江田五月君、阿具根登君及び矢田部理君が選任されました。
    ―――――――――――――
#2
○委員長(峯山昭範君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に矢田部理君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(峯山昭範君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案、民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。古井法務大臣。
#5
○国務大臣(古井喜實君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、裁判所職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点を申し上げます。
 第一点は、裁判官の員数の増加であります。これは、地方裁判所における特殊損害賠償事件、差止訴訟事件及び新東京国際空港関係事件の適正迅速な処理を図るため、判事の員数を五人増加しようとするものであります。
 第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数の増加であります。これは、地方裁判所における特殊損害賠償事件、差止訴訟事件及び新東京国際空港関係事件の適正迅速な処理を図るため、裁判所書記官の員数を八人増加し、また、地方裁判所における特殊損害賠償事件、会社更生事件、差止訴訟事件及び新東京国際空港関係事件、家庭裁判所における家事調停事件並びに簡易裁判所における民事調停事件及び道路交通法違反事件の適正迅速な処理を図るため、裁判所事務官の員数を四人増加しようとするものであります。
 以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。
 次に、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の別表について所要の改正を行おうとするものでありまして、以下簡単にその要点を申し上げます。
 第一点は、簡易裁判所の名称の変更であります。すなわち、簡易裁判所の名称は、その所在地の市町村の名称を冠するのを原則としておりますので、広島県加茂郡西条町、同郡八本松町、同郡志和町及び同郡高屋町を廃し、その区域をもって東広島市を置く処分に伴い、安芸西条簡易裁判所の名称を東広島簡易裁判所に変更するほか、三つの簡易裁判所の名称を変更しようとするものでありまして、いずれも地元住民の希望を考慮したものであります。
 第二点は、簡易裁判所の所在地の変更であります。すなわち、埼玉県南埼玉郡久喜町を久喜市とする旨の町を市とする処分に伴い、久喜簡易裁判所の所在地の表示を埼玉県南埼玉郡久喜町から久喜市に改めるほか、名古屋簡易裁判所につき名古屋市東区から同市中区に移転のため、その所在地を名古屋市東区から同市中区に改める等、十八の簡易裁判所の所在地を改めようとするものであります。
 第三点は、簡易裁判所の管轄区域の変更であります。すなわち、土地の状況、交通の利便等にかんがみ、鎌倉簡易裁判所の管轄に属する横浜市瀬谷区の区域をこの法律による改正後の保土ケ谷簡易裁判所の管轄区域とするほか、三つの簡易裁判所の管轄区域を変更するものでありまして、地元の住民の希望を考慮するとともに、関係諸機関の意見をも十分参しゃくしたものであります。
 第四点は、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の別表の整理でありまして、市町村の廃置分合等に伴い、同法別表第五表について当然必要とされる整理をしようとするものであります。
 以上が下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。
 次に、民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、民事訴訟及び刑事訴訟における証人等の旅費について、急行料金を支給する旅行の範囲を拡大するとともに、新たに座席指定料金を支給することができるようにしようとするものであります。
 現行の民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律におきましては、民事訴訟及び刑事訴訟における証人等に支給する旅費については、おおむね国家公務員等の旅費に関する法律の規定に準じて定められております。
 今般、政府におきましては、国家公務員の旅行の実情等にかんがみ、国家公務員等の内国旅行に際して支給する旅費について、急行料金及び座席指定料金の支給範囲を拡大すること等を内容とする国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案を国会に提出いたしました。民事訴訟及び刑事訴訟における証人等に支給する旅費についても、右の法律案における取り扱いに準じて改正する必要があると考えられますので、急行料金の支給範囲の拡大等をしようとするものであります。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。
#6
○委員長(峯山昭範君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(峯山昭範君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま内藤誉三郎君が委員を辞任され、その
 補欠として竹内潔君が選任されました。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(峯山昭範君) これより三葉に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○矢田部理君 最初に最高裁に伺いたいと思いますが、元最高裁の長官であった石田和外氏の言動がしばしば問題にされています。元号法制化のためのプロモーターになったりしておったわけでありますが、特に最近、防衛大学校の卒業式に臨んで軍人勅諭を礼賛する話をしたことは大変問題だというふうに思っています。
  〔委員長退席、理事上田稔君着席〕
最高裁をやめてからのことであるからといって簡単に見過ごせない重大な内容を含んでいると思います。石田氏は、かしこくも明治天皇が軍人に賜った勅諭は古今東西通じる真理である、時代が変わっても忘却してはならない、あるいはまた、社会党などが主張している非武装中立などという考えは全くの空論である、そしてさらに、自衛隊違憲論などが影をひそめたのは当然だと、政治的に見ても際立った発言をしているわけです。
 石田さんは在職申しばしば裁判官の政治的中立性を主張してきましたが、最近の言動を見ておりますと、石田さんの考える政治的中立性というのはこういうことだったのかと、いまさらながら最高裁をある意味でわかりやすくしているわけであります。最高裁としてこういう発言をどのように受けとめておられますか。国民が最高裁に寄せているある種のイメージ、これを壊すものという指摘もなされているわけでありますが、いかがなものでしょう。
#10
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 現職の裁判官を離れられまして退官された裁判官、たくさんおられるわけでございます。それぞれの分野におきましていろいろ活動をされておられるわけでありますが、その立場でいろいろなことを――もちろんお仕事もおやりになっておられるでしょうし、自分の言論を、言説を申しておられる方もおられると思います。それぞれにつきまして、ただいま矢田部委員御指摘のような具体的な問題につきまして、最高裁の事務当局にある者として、その立場で一々その点につきまして意見を申し上げることはいかがかと思われますので、このたびの石田元長官の御発言に対する論評といいますか、コメントは差し控えさせていただきたいと存じます。
#11
○矢田部理君 大変結構な話だというふうに思われますか。
#12
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) その種のことも含めまして現在の最高裁の事務当局にある者としてコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。
#13
○矢田部理君 石田さんと言えば、戦後の最高裁のある時期の代表だったことは言うまでもありません。在職中もしばしば裁判官に対してある像を示し、マスコミなどからも青法協狩りの中心人物とさえされておったわけであります。もとより思想は自由です。発言もそれ自体を言論の枠を越えるものだというようなことを言うつもりはありません。そういう象徴的な人物が、やめた後だとは言っても、旧憲法時代の意識、旧憲法を支えた中心的な思想、これをこの時期に言って回ることを、単純に論評を差し控えさせていただきますということで国民は納得するでしょうか。国民はどう受けとめるかということをやっぱり考えていかなきゃならぬだろうと思うのですが、全くコメントはない、しないんですか。少しくあの人の影響力が強かったゆえに遠慮しているんじゃありませんか。
#14
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 御退官後の言動に関しまして、現職にある、事務総局にある私どもといたしましては、特にただいま御指摘がございましたように、思想、信条、言論の自由との関係におきまして、この際私どもといたしましてはコメントすることはやはり差し控えさしていただきたいと存じます。
#15
○矢田部理君 この発言は最高裁の権威を高めることに役立ちますか、最高裁の国民が抱いているイメージにどういう作用を及ぼすと思われますか。
#16
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 裁判所といたしましては、最高裁判所を初めまして下級裁判所裁判所及び一般の職員が本来の裁判所の使命をわきまえて司法の独立を守るために職務に精励しているというふうに信じておるものでございます。繰り返しになりますけれども、このたびの石田元長官の御発言云々の点につきましては言及させることは差し控えさしていただきます。
#17
○矢田部理君 差し控えられては困るんです、と言ったらどうなりますか。
#18
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 大変恐縮でございますが、やはりこの問題につきましては、むしろ少し強い言葉で申し上げさしていただけば論評する立場にないというふうに申し上げた方が私どもの本当の考えでございます。
#19
○矢田部理君 ということは、結果として石田発言を最高裁も場合によっては受けとめているような印象を国民に与えることはぬぐい切れないと思うんです。法務省だって同じなんです。ロッキード事件のときに続々とロッキード被告の弁護人として元検事総長クラスの人たちが登場してきました。今度もそういう気配がずっと見え始めております。退官後の生活を縛る、あるいはその発言を縛る何物もありませんけれども、そういう人たちがグラマン事件の弁護人になったり、ロッキード事件の弁護団として続々参加をしていくと。国民の目から見ますと、いま捜査を担当している検察官はみんなその部下といいますか、指揮を仰いでずっと仕事をしてきたんですね。これはロッキード事件を追及する、あるいは糾明する過程でもしばしば問題になりましたが、法務大臣、どんなふうにお考えになりますか。
#20
○国務大臣(古井喜實君) いま最高裁の事務総長代理の方からお答えがありましたが、退官後の言動というものについて、かれこれ言うことはできない、いまめいめいがその諫言に遭おうが遭うまいがめいめいの思想の自由でありましょうから、これはいたし方がないとこれは思うわけであります。問題は現在の最高裁がどうなるのかと、これについては十分偏向のないような立場で司法権を守っていく努力をしておられると私は思いますし、これについても、また最高裁のことにわれわれがかれこれ言うことはできないわけだとは思いますが、重々これは中正な立場をとっていくように努力されると思っています。職務外において接触する機会には、職務外でありますけれども、本当に国民世論が信頼し、支持する最高裁であっていただくようにお互いに自由に意見を交換することも差し支えないでしょうから、それはわれわれもそういう機会には努力をしていきたいと思っております。
 なお、われわれの方の関係について、前歴のある方々が弁護人になられるとか、そういうこともそれはこれも差しとめることはできないんで、どうにもならぬことです。さらばといって、われわれの方の活動がどうこうされるということはないようにこっちさえちゃんと心得てやっていけばよいことでありますから、これは十分心がけて公正にやっていくと、こういうことに間違いなしにやっていきたいと思っております。
#21
○矢田部理君 以前、稻葉法務大臣は大変困ったものだというような話をざっくばらんにされておったこともあるわけですが、最高裁にもう一点だけ確かめておきますが、軍人勅諭というのは新しい憲法、現行憲法に沿うものだと思いますか、これも差し控えますか。
#22
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 私も戦争中軍人でございまして、いわゆる軍人勅諭も覚えさせられた方でございます、中身はもう大分、すっかり忘れましたけれども。まあ、現行憲法下に適合するものかどうかと、軍人勅諭全体が現行憲法下に適合するものかどうかというお尋ねでございますが、まあ、いささか法律論を私がこの立場で申し上げるのは僣越かも存じませんけれども、現在の憲法九条下における防衛体制と旧憲法下における軍隊というものは全然違うというふうには私は考えております。
#23
○矢田部理君 したがって、軍人勅諭は現行憲法に沿うものではないというふうに受け取れる発言と思われますが、そのとおりでしょうか。
#24
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 先ほど申し上げましたように、軍人勅諭そのものを完全に現在のところ認識しておりませんので、ただいまの御質問にはあるいは大変的外れなお答えになるかと思いますが、やはり旧憲法下の軍隊と現在の防衛体制とは違うということでございます。
#25
○矢田部理君 私がいままとめた話として、受けとめたいと思います。
 各論に入ります。
 今度、裁判官等の定数が純増で十七名になるわけでありますが、最高裁が要求した増員数は、裁判官初め職員等でどのぐらいだったのでしょう。
#26
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 裁判所といたしまして昭和五十四年度の予算で当初要求いたしました人員は、裁判官が十七、裁判官以外の裁判所職員が九十六、合計百十三名でございます。
#27
○矢田部理君 百十三名要求をして、結果として増員になったのは十七名ということになるわけでしょうか。
#28
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 百十三名要求いたしまして結果として純増十七名、そのとおりでございますが、もう少し御説明さしていただきますと、百十三名の要求に対しましてその要求に応じて増加になりました人員といたしましては、裁判官五名、それから裁判官以外の裁判所職員四十三名、合計四十八名でございますが、なお数年来政府におかれまして人員の削減計画というものをお立てになっておられまして、裁判所はそれに直接拘束されるわけのものではございませんが、行政部門等、政府と類似した仕事をやっております部門もございますので、それに御協力申し上げるという趣旨で三十一名の削減ということをいたしておりますので、裁判官以外の裁判所職員の増四十三から三十一を引きまして純増が十二ということになったわけでございます。全体の数字で申し上げますと、増員四十八から削減三十一を引きまして純増十七と、こういう結果になったわけでございます。
#29
○矢田部理君 そうしますと、この増員要求というのはもともと行政府の削減計画に合わせた削減を前提として、あるいは含みとして要求した数字ということになりますか。
#30
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 削減を含みと申しますと、全体の数から申しますとそういうことに相なるわけでございますが、増員の要求をいたしました理由といたしましては、裁判部門における増員、事件の適正迅速な処理を図るための増員をお願いしたわけでございまして、一方において削減いたしましたのは、いわゆる司法行政部門の中からの人員を削減したということになりますので、全体としての数から申し上げますと、予定されておったということには相なるかと思いますけれども、ども、裁判部の増員ということにだけ着眼いたしますと、それは必ずしも含みではないということになろうかと思います。
#31
○矢田部理君 別の観点から伺いますが、事件数だけで裁判官等の仕事の繁閑を議論することはできないかと思いますが、事件数と裁判官あるいはは職員の数との対応関係は、傾向としてはどんなぐあいになっておりますか。
#32
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 事件の増減の関係は、長期的に見ますと減ったりふえたりいろいろ趨勢がございますので、どの時点をとって考えるかということによってかなり違ってくるわけでございますが、たとえば最近数年、ここ二、三年と申し上げた方がよろしいかと思いますが、最近数年のみに着眼いたしますと、事件増の方がやや多いということが言えるかと思います。ただ、これを過去十年あるいは過去二十年というふうに少し長期的に考えてみますと、訴訟事件、主として訴訟事件について申し上げますと、事件の増の傾向よりは裁判官の増の傾向の方が多い。つまり、事件増より裁判官の数の増の方が、質を全然問題にいたしません限りにおいて、しかも訴訟事件だけに着眼して考えます限りにおいては、やや裁判官増の方が多いということが言えるかと思います。
#33
○矢田部理君 訴訟事件数に比較して裁判官の増加傾向あるいは職員の増加傾向の方が多いというのは、何か特別な理由、ふやさなければならない事情がありますでしょうか。
#34
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) それは、ただいまも申し上げましたように、事件そのものが次第に複雑困難になっておるということがございます。一番大きな問題はその点にあるわけでございます。
#35
○矢田部理君 もうちょっと詳しく説明できませんか。
#36
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) ただいま申し上げましたように、事件が次第に複雑困難になっておる。それに従いまして、単に複雑困難になっているというだけではございませんで、つまり裁判所が判断しなければならない、つまり事件として起きてきますその事件について判断しなければならない問題が少し広くなってきておる。昔は純粋に法律問題だけでございましたけれども、最近は法律以外の、つまり法律よりももっと周辺の問題について裁判所が判断を迫られるというような問題もかなりふえてまいっておりまして、そういう意味では裁判所は事件の処理に、一件一件の処理に非常に難渋を来すということがあるわけでございます。
 したがいまして、単に事件の数だけがふえたから、減ったからということで裁判官の数がそれでいいとか悪いとかということにはなりませんで、質及び量全体を考えて、裁判所の事件処理に支障がないような人員の手当てをしていかなきゃいけないということから、結果としてそういうふうな、先ほど申し上げましたような結果になっておるということになるのではなかろうかと思います。
#37
○矢田部理君 ところで、若干名ですが今度もある程度増員になるわけです。こういう増員された裁判官あるいは裁判所職員をどこに配置をするのかということは決まっているのでしょうか。
#38
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 本年だけについて見ますと、判事五名ということでございます。
 理由といたしまして、特殊損害賠償事件あるいは差止訴訟事件といったいろいろな事件がございまして、矢田部委員御承知のように、一カ所だけにその事件が集中しているわけのものではございませんで、あちこちの裁判所にあるわけでございます。したがいまして、いろいろな事件が各地の裁判所にどのように起きてきておるかということを総合的に勘案いたしまして人員の配置を決めるわけでございます。
 したがって、本年の増員分だけがどこにはまるかということがなかなか申し上げにくいわけでございまして、従前の人員配置の中で比較的閑散なところから比較的仕事の忙しいところへ裁判官を持っていくというようなこともございますので、本年増員になった分だけについてどこへ行くのかということは、ちょっと簡単には申し上げにくい事情にあるわけでございます。
#39
○矢田部理君 そうしますと、こう伺いましょうか。
 裁判官の定数がございますね、それから職員の定数もあろうかと思うんですが、それは現場にどう配置をされているかということは、裁判所ごとに説明できますか。
#40
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) これは矢田部委員御承知のように、高等裁判所が八つ、地方裁判所が五十、簡易裁判所が五百何十ございます。それぞれにつきまして最高裁判所といたしましては、事件の増減の傾向、単に新受事件の増減の傾向だけではございませんで、非常にむずかしい事件が出てくる裁判所もございますし、そうでないところもございますし、事件の質及び量その他全体を勘案いたしまして、常時裁判所全体の人員配置が適正にいくように考えているわけでございまして、そういう意味では、極端に申しますと時々刻々人員配置というものはそのそれぞれの裁判所の事務屋に応じまして変えていくというものでございます。現実にそういうふうに手当てをしているわけでございまして、ある特定の時点でどこに何人ということはなかなか簡単には申し上げることができないというふうに申し上げられるかと思います。
#41
○矢田部理君 ここでどの裁判所に何名かということをいきなり聞いても出ないと思いますが、たとえばことしの四月一日現在で各裁判所に裁判官等のそれぞれの定員がどう配置をされているかという一覧表を後で資料としていただけますか。
#42
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 先ほど申し上げましたように、各裁判所の人員配置は時々刻々変わるという性質のものでございますし、現実にそういうふうにやっているわけでございます。ある特定の時点で定員配置がどういうふうに行われているかということを申し上げることになるとしますと、実際は現在そこの裁判所に現在員としておる人員がその定員配置であるというふうに申し上げることになろうかと思います。
#43
○矢田部理君 だから、そういうのを資料として出していただけるかと、こう言っているんです。
#44
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) この定員配置の問題は、事件の増減等の問題もございますし、実はそれぞれの裁判所の具体的人事の問題にも関するところがあるわけでございます。例を挙げて申しますと……
#45
○矢田部理君 余り詳しいことは要らぬから、出すのか出さないのか。
#46
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 結論的には、ちょっとお出しすることは非常にむずかしいということになろうかと思います。
#47
○矢田部理君 最高裁ね、充足の問題後で聞きますが、定員をふやすかどうかについて議論しているんですよ。しかも時点を限って、動くということはわかりましたけれども、要求をしているわけですから、そのぐらいの表ができなくちゃ人事できないでしょう。ぜひ出してほしいと思います。
#48
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 特定の時点の現在員ということで、現在員は即定数ということになるわけでございますが、どの程度、つまり時期的にもある特定の時点の現在員ということで調べますと少し時期的におくれるかもしれませんが、集計してお出しすることができるかどうか検討させていただきたいと思います。
#49
○矢田部理君 できるかどうか検討するのじゃなくて、出しなさいよ、そんな程度のことは。余りこんなところでつまらない議論したくないので。よろしゅうございますか。
#50
○理事(上田稔君) 最高裁判所、いかがですか。
#51
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) なお検討させていただきたいと思います。
#52
○理事(上田稔君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#53
○理事(上田稔君) 速記つけて。
 それでは、時間がかかってもよろしいから提出をしてください。
#54
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) ただいまの矢田部委員のお話、時間をかけて少し集計をするということにさせていただきたいと思います。
#55
○矢田部理君 出していただくということですね。
 それから、これも四月一日現在でいいと思いますが、新採用者が入ってくると思いますが、定員の充足率はどんなふうに考えられますか。
#56
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) まず裁判官について申し上げたいと思いますが、お手元の資料の十六ページをごらんいただきますと、これは昨年の十二月一日現在判事の欠員が五十五ということになっております。御承知のように判事補十年たちますと判事任命資格を取得するわけでありますが、昨年の四月は二十期でございましたから、それによって充員し切れなかった分、その後の定年退官者等がございまして、その後またふえております。
  〔理事上田稔君退席、委員長着席〕
本年四月には、このたび増員をお願いしている分を加えますと八十ぐらいの欠員になります。本年四月には二十一期の判事補が判事任命資格を取得いたします。これが現在七十四名あります。さらに検事からの転官希望者もございますので、この判事の増員をいただいてもと申し上げますと失礼でございますが、増員をいただきまして完全に充員することができる見込みでございます。
#57
○矢田部理君 定員が決まっておっても、実際に裁判を担当する裁判官、それから裁判官ではあっても現場を持たない人たちが相当数いると思いますが、この関係は員数的にはどういうふうになっておりますか。
#58
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 御指摘の裁判官は、司法行政に従事しておる裁判官、あるいは調査官、研修所教官というようなものになるかと思いますが、司法行政事務をやっております裁判官の数が、昨年の十二月現在で最高裁判所事務総局に四十四名、それから高等裁判所に事務局長でございますが八名、それから裁判所調査官が二十八名、各種研修所の教官等が三十五名、合計百十五名でございます。
#59
○矢田部理君 それ以外の裁判官といいますか、定数マイナス百十五は全体の裁判に現場的にかかわっている、こういうことになりますか。
#60
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) これ以外に、厳密に申しますと、たとえば東京ですとか大阪ですとか、大きい裁判所の所長等で実際に裁判事務をやっていない裁判官が若干おるということになろうかと思います。
#61
○矢田部理君 その数はどのぐらいになりますか。
#62
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 各裁判所の事務分配で決めておることでございますので、いまここで申し上げられるのは、東京の所長、それから両代行、民事、刑事の代行がおりますが、それから大阪では所長と代行がおりますが、そこら辺のところは比較的はっきりしておりますが、それ以外の裁判所で、所長が大部分のところは何らかの事件処理をやっておられるかと思いますが、全然やってない方がそれ以外にいるのかどうかということはちょっと簡単にはここで申し上げられないかと思います。
#63
○矢田部理君 さっきの数字もそうですけれども、要するに、定員の中でどのぐらいが裁判に現実にかかわっており、どのぐらいかかわっていないのか、あるいは司法行政事務をやっているのかということぐらいは、もう少しすっきりわかりませんかね。人事だということになればその程度のことのデータはあってしかるべきだと思いますが、どんなものでしょう。
#64
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 先ほど申し上げましたように、大部分の所長は何らか事件をやっていると思いますが、それをフルにやっておるわけでは決してございません。そういう意味で、フルにやっていないという趣旨で申し上げますと、所長の大部分は通常の裁判官ほどフルにはやっていないというふうに申し上げられるかと思いますが、そこら辺の、つまり、それでは所長が何分の一やっているかとかというようなことになってまいりますので、ちょっとそこら辺のところをきちっと数字的に申し上げることがなかなかむずかしい。各裁判所の事務分配で決まっており、その都度多少変わってくるという関係もございますので、数字的にきちっとした形で申し上げることはなかなかむずかしいということをひとつ御了解いただきたいと思います。
#65
○矢田部理君 次の問題ですが、独立簡裁は三人が原則だというふうに最高裁従前から言っておられますね。現在二人庁というのはどのくらいの数ありますか。また、傾向として二人庁がふえていることになっているのか、それとも、減らす方向になっているのか、その辺はいかがですか。
#66
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) ただいま二人庁、三人庁とおっしゃいますのは裁判官以外の裁判所職員ということで仰せになっているのだと存じますが、現在独立簡裁の二人庁は三十六庁、三人庁が百九庁、これは昨年十月現在でございますが、そういう数字になっております。
#67
○矢田部理君 たしか七七年の三月時点では二人庁が三十庁だというふうに聞いておるんですが、二人の職員しかいない独立簡裁はふえているということなんですけれども、これは今後どういうふうにしていくつもりなのか、そのことも含めてお答えをいただきたいと思います。
#68
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 昭和五十二年現在で独立簡裁の二人庁が三十庁であったかどうかちょっと手元にございませんが、三十三庁のようでございます。五十三年におきまして三十六庁ということで三庁ふえたということになろうかと思いますが、この二人庁を今後どうするかという問題は、独立簡裁の仕事の量が一体どうかということが一番の大きな問題になってくるわけでございます。矢田部委員はよく御承知と存じますが、独立簡裁、かなりの庁におきましては事件数が非常に少なくて、それこそ普通の簡易裁判所の事務量に比べますと十分の一以下にしかならないというふうな庁がたくさんあるわけでございます。そういうことで、簡裁という機構を維持していきます以上はある程度の数が必要だということはそのとおりでございますけれども、全体としての効率的な人員配置というふうなことを考えなければいけませんし、職員はまたその仕事を通じて研さんしていくということも必要なわけでございます。それ以外に、そういうかなり僻地なところでございますので職員の配置希望がどうかと、なかなかそういうところに行っていただける方がないというふうな事情もございます。そういうふうないろいろな事情を考えてそれぞれ、これも先ほどの定員配置の問題と関連するわけでございますが、最高裁指示できちっとこう決めているわけのものではございませんで、各地域がかなり流動的に配置をしておられるものがございますので、この二人庁、三人庁を絶対にふやさないということはなかなか困難でございまして、近年全体として過疎化現象が進んでいるということをも反映いたしまして、裁判所としても、ただいま数字申し上げましたように、一昨年と昨年を比べれば若干ふえているということになっておるわけでございますが、そこら辺の趨勢、ちょっとここではっきり申し上げるわけにはいかないわけでございますが、やはり増加しないというふうに申し上げることもなかなか困難ではないかというふうに考えております。
#69
○矢田部理君 人口の動きを全然無視するというわけにはいきにくいにしても、地方にとってはやっぱりサービスの問題あるいは権利の実現ができるだけ生活の近い場でなされることがそれを保障する実際的意味でもあるわけなので、そういう観点から言えば、二人程度で一裁判所を賄っていくというのはいかにもこれは大変なことなんで、その点はこれをふやしていくと、そういうところには人員を配置しないということは私は賛成しかねる。そういう点やっぱり心して今後やっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
#70
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) ただいまの矢田部委員の御発言もごもっともな点確かにあるわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、当該庁の事件数の関係、職員の配置希望の関係、いろんな条件はございますが、そういうものをも勘案いたしながら、ただいま先生のおっしゃいましたことも頭に置いてやっていくようにしたいというふうに思います。
#71
○矢田部理君 もう一、二点で終わりますが、定数の問題と関連をして裁判所の統廃合問題、これは現況はどんなふうになっておりますか。
#72
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 簡易裁判所の統廃合の問題につきましては、かつて臨時司法制度調査会の意見書にも意見が出ておるところでございますし、日本弁護士連合会でも統廃合をしろというふうな意見を法務省、裁判所等へお申し越しになっているというようなこともございまして、ただ、統廃合の問題は何と申しましても単に事務的な観点だけで簡単にいくものではございませんし、非常に政治的な影響が大きいものでもございます。まあ、私どもとしては一定の意見があるわけでございますけれども、なかなかこれをいま早急にどうするということには相ならないのではないかというふうに考えております。そういう意味で、結論的に申し上げますと、現時点ではそういうはっきりした動きはないというふうに申し上げられるかと思います。
#73
○矢田部理君 先ほどの独立簡裁等に対する定員の配置の問題とも同じ内容を持っていると思うんですが、地方の人たちにとってはどんどん裁判所が遠ざかっていくということはやっぱり困ることなので十分心して対処をしてほしいと思いますが、同時に、統廃合は行わないが先ほど指摘をしましたように独立簡裁の職員配置を少なくしていくとか、あるいは事務移転を行っていって事実上この機能を弱めていっている傾向はないか、これもまた問題なわけですが、その辺はいかがでしょうか。
#74
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 二人庁の問題は先ほど来申し上げたとおりでございますが、事務移転の問題につきましては、最近一、二カ所庁舎が非常に朽廃しておるというふうな関係もございまして事務移転をしたというところがございます。ただ、これは矢田部委員御承知のように、裁判所法三十八条に基づきまして各地方裁判所でそれぞれの簡易裁判所の実情等を考えました上でやっておりますわけのものでございまして、最高裁判所としてこの事務移転を全国的にやれとかなんとかいうことを申し上げているわけのものではございません。そういう意味で、それをどんどんやっていくという姿勢だというふうには、決してそういうことではないわけでございまして、今後どういうことになるかわかりませんが、しかし、やはりそれぞれの地方裁判所でその当該簡易裁判所の事情から行う場合は全然ないということは最高裁判所としては申し上げるわけにはいかないわけでございまして、それは各地の事情、それぞれの住民との間でもお話し合いがその際にはあるんだろうと思いますが、そういうことで行われていくものであろうというふうに私どもとしては考えております。
#75
○矢田部理君 地方から事務移転とか職員が減ってしまうとか、結局裁判所がなくなってしまうんじゃないかというようないろんな心配がありますので、これはきょうは、幾つかの事例もないわけではありませんけれども、時間の関係で取り上げませんが、これはやっぱり何か地方の意向なり住民の権利実現の場なりを奪っていく方向は大変問題だと思いますので、十分慎重に対処をしていただきたいというふうに考えます。その点についての答弁を求めて、私、質問を終わります。
#76
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 慎重に対処をいたしたいと思います。
#77
○宮崎正義君 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の先ほど大臣から提案の理由の説明がございました。そして、先ほどの矢田部委員からの質問等でそれぞれ人事局長なり答弁がありましたし、また総務局長の方からも答弁がございましたけれども、多少重複するようなところがあると思いますが、この提案理由の説明の中に「適正迅速な処理を図るため、」ということがあるわけですが、昨年の当委員会においても、この定員問題につきましては毎年充足問題が取り上げられております。特に昨年の委員会では附帯決議をつけておりますが、先ほども充足ということについては答弁がありましたけれども、これは毎年同じことが繰り返されてくる。そうすると本当の意味の充足というものが実施できているのかどうなのかというのがちょっと疑問になるわけです。というのは、定年で退職なさる方等もう大体あらかじめわかるわけです。そうしますと、それなりにそういう考え方の手当てというものはできるはずだと私は思うわけですが、今年度は、この資料によりまして先ほどの御説明がありましたように、高裁が二十名で、地裁の判事が十一名、家裁が二十四名、簡裁が二十八名。判事が五十五名、簡裁判事が二十八名、こういうふうになって定員の枠はこうふえていきますけれども、充足の問題になるといつも毎回論議をされてくると思うんですがね、こういった問題についてもう少し先を見通しての考え方というものをしっかりしなきゃいけないんじゃないかと、こういうふうに思うわけですが、その点どうなんでしょう。
#78
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 人員の充足の問題、特に裁判官の問題の御指摘だろうと思います。御承知のとおり、裁判官になるにつきましては、それぞれの資格要件がございます。特に判事につきましては、判事補を十年経過した者が判事となる資格を取得するわけでございます。従来、実は判事の増員をお願い申し上げますのは十年ぶりでございますが、その間増員をお願いしなかった理由は、いま申し上げたように判事になるための資格取得者が少ないということでお願い申し上げなかったわけであります。先ほど矢田部委員の御質問にお答えいたしましたように、二十一期の判事補、ちょうど十年になりまして、ことしの四月に判事になる資格を取得するのでありますけれども、二十一期判事補が七十数名いると。ついでつ申し上げさしていただきますと、二十二期以降の判事補、すなわち来年以降判事になる資格を取得する者がまた相次いで多数ございますので、来年以降もまた増員をお願いしなければならないような状態でございます。
 結論的に申し上げますと、裁判官の充足につきましては、見通しというふうなお話でございましたが、私どもといたしましては、この裁判官となる資格というものが前提になりますので、そこを十分前提といたしまして増員要求を申し上げた次第でございます。来年以降はさらに判事は引き続き充足の方向にあるということをつけ加えさしていただきたいと思います。
 なお、簡易裁判所判事の点でございますが、現在、資料にありますように欠員二十八でございます。この方もその後の退官者がございまして、四月には五十程度になる見込みでございます。簡易裁判所判事につきましても、選考委員会で試験をやりまして選者をいたしております。この方の選考任命は例年八月一日に予定しております。ここ数年、毎年五十名近くづつ選考任命をいたしておりますが、簡裁判事も充足の方向に向かって進んでおるというふうに申し上げてよろしいかと存じます。
#79
○宮崎正義君 いまお話がありましたが、これは二十一期、二十二期、二十三期と、ずっとこうございますね、判事補。これが十年たって判事になるという御説明で、この数からいきまして、この充足が可能であるのかどうなのか。そのたびにまた増員というようなことになってくるのかどうなのか。この員数から見まして、事件件数等がふえていく、それで十分に賄えるのかどうなのか。この辺心配しているんですが、どうなんですか。
#80
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) ある理由で事件が急激にふえたといたしまして、裁判官が足りないからすぐ裁判官を増員したいと思いましても、先ほどから申し上げておりますように、資格がございますのでそう簡単にはいかないというようなのが現在の制度でございます。で、どうしても判事補を養成いたしまして、それで十年たちまして判事に任命していかざるを得ない状況でございます。繰り返しになりますけれども、先ほど御指摘の二十一期以降の判事補の数が相当数ございますので、これからは判事の充足はきわめて順調にいくものと思います。
 なお、将来を見通して増員をもう少ししたらどうかという御趣旨かと思いますけれども、やはりその年度年度で増員をお願い申し上げていくのが本来の定員法のあり方ではないかというふうに考えておる次第でございます。
#81
○宮崎正義君 司法修習生の修了者がいろんな進路の方へ向かっていきますね。その内容について五、三年度はどういう――五十三年度というと三十期ですか、三十期の人はわかりませんかもわかりませんけれども、二十九期の点なんかはこの修習生の進路といいますか、先ほどの御答弁によりますと、志望者とかいうような問題点もあるからというようなことの内容等を伺いますと、せっかく司法修習生が、修了した人たちが一番頭に置かなければならないのは、裁判官というふうな認識を持っていくことが私は一番考えられる精神じゃなかろうかと思うんですがね。そういう点を考えていきまして、司法修習の修了者の進路といいますか、それに対する内訳を御説明願いたいと思います。
#82
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 私ども裁判所の中におりまして、特に人事を担当している者といたしましては、修習修了の中から優秀な判事補が欲しいわけでございます。お手元にすでに資料を差し上げておりますが、例年、このところ判事補志望者は必ずしも少なくございません。私どもといたしましては、優秀な判事補に相当数志望して判事補になってもらっているというふうに考えております。
 御承知のように、修習修了いたしましても、法曹三者いずれかの三つのルートがあるわけでございまして、それぞれの希望を強制するわけにはまいりませんが、現在のところは判事補志望についてはまあまあの線をいっているというふうに私どもは考えております。
#83
○宮崎正義君 この資料に基づきましてもずいぶん――大体の線はわかるんですが、八十八名だとか八十五名だとか七十名だとか、大体の線がいいんだというお話なんですが、実際はどの数が、何人おればいいのかということが示されたものはないんですか。そのときそのときによって十名ぐらいの増減が、判事補に希望する者があるとかないとかという、そういうふうなことなんでしょうか。その点伺ってみたいと思いますがね。
#84
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 表をごらんになりますとおわかりいただけますように、例年判事補希望者の数の上下がございます。一般論といたしましては、先ほど申し上げましたように、優秀な方に来ていただきたい。ただ、私どもといたしましては、判事補の定員の問題、それから欠員の問題等を勘案いたしまして大体この程度希望してほしいなということは考えますが、表面にことしは何名というような形で募集しているものではございません。しかし、六十五から七十程度の数でございますれば現在の判事補の定員それから将来判事になる者の確保、養成という点から考えまして、先ほど申し上げましたように、この程度の数で推移していけば将来裁判官の充足という問題については心配ないというふうに考えておる次第であります。
#85
○宮崎正義君 法曹三者の優秀な人、優秀な人と言いますけれども、優秀じゃない人はじゃほかのところへ行くというふうに考えられますけれども、その点ちょっと先ほどから三回ぐらいそういうふうにおっしゃっておられるんです、答弁の中で。どうもそういうふうなことを言ってよろしいのであるかどうか。私は、大体伺ったところによりますと、応募した人が五十二年度は二万九千二百十四名、合格者が四百六十五名ということになりますと、相当な方がしぼられて入っておるわけですね。その中で優秀じゃない者はこうだとか優秀な者はこうだとかというんですか。
#86
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) どうも、この席でも弁護士になられている方がございますので大変恐縮でございますが、私の申し上げておりますのは人事担当者として申し上げているわけでございまして、それぞれの企業体、どこの官庁でもそうだと思いますが、できるだけ優秀な人材を集めたいという趣旨で申し上げたわけでございまして、弁護士になられる方、検察官になられる方が優秀でないという趣旨で申し上げたわけではございませんので御了解いただきたいと思います。
#87
○宮崎正義君 済みません、言葉じりをとらえたようなものですけれども、毎回毎回これ繰り返していくわけですが、いずれにしましても附帯決議で充足ということをはっきり要請もしておりますし、その面の精神をくみ取られて今後も処置されていかれることを私は希望しております。
 それから、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の問題について伺いますが、今回この改正案をお出しになりましたけれども、大体この法律案は一年置きぐらいにずっと続けてきているわけですね。昭和三十九年から今度は四十二年になり、それから四十三年度また一年ちゃんと続いているんですが、その後四十六年に三年間飛んで、今度はこの四十六年から考えますと七年たっておるわけですがね。この間、言われております管轄区域に関する問題が行政区域には何にもなかったんでしょうか、七年間まとめてやっていいんですか、これ、どういうことなんです。
#88
○政府委員(枇杷田泰助君) ただいま御指摘のとおり、昭和四十六年までは毎年あるいは一年置き程度に改正をしてまいったわけでございますが、それは御承知のとおり昭和二十八年に町村の合併促進法というのができまして、指定町村の廃置分合がかなり頻繁に行われたわけでございます。したがいまして、それに伴って相当な量が毎年出てまいりますので、あわせて改正をするということを続けておったわけでございますが、昭和四十七年に地方自治法が改正されまして、いわゆる三万人都市を主とするという規定がなくなりましてから、廃置分合の進みぐあいがかなり鈍ってまいったという状況がございます。そのために毎年ごとの廃置分合のケースが少なくなりましたということが一つと、それからもう一つは、御質問の第二点に関係することでございますが、この法律の第三条に規定がございまして、行政区画が変更になればそれに伴って管轄区域も変わるという規定がございます。したがいまして、この三条の規定によりまして名称その他は現実の名称とは違うものになるという問題がございますけれども、実質上の問題は生じないということで、四十七年以降は少しまとめて改正の手続をとりたいというふうに考えておったわけでございます。その間、正直に申し上げますと、法務省から出します法案にもかなりいろいろな法案が出される年も多うございまして、そういう面からまあそう法律的な意味で改正しなきやならないというふうなこともございませんでしたために、今日まで改正手続をとらなかったわけでございます。ただ、本年お願いすることになりましたのは、客古屋の簡易裁判所が建物を新築しておりまして、所在地を変えないと新庁舎に移って仕事ができないというふうな状況になりましたので、そういう実質的なものが出てまいりましたために改正をお願いしたい。その際過去七年間にたまっておりましたいわば実質的な市町村その他の表示とこの法律の表示とを合わせることもここで一挙に整理をしたいということで、この法案を提出したわけでございます。
#89
○宮崎正義君 行政区画の変更になったのは何件ぐらいあるんですか、勘定すればわかるでしょう、今回の管轄区域の変更されたものですね。
#90
○政府委員(枇杷田泰助君) ちょっといま正確な数忘れましたが、簡易裁判所の数にしてたしか九十数庁に及ぶかと思います。
#91
○宮崎正義君 先ほどもちょっとお話がありましたけれども、簡易裁判所の考え方というのは、あり方というのですかね、それらの点をもう一回改めて私ども初め認識をし直していかなければならないのじゃないかと思うのですが、この提案理由の説明にもありますけれども、「いずれも地元住民の希望を考慮したものであります。」とか、あるいは第三点目の中には、やはり「地元の住民の希望を考慮するとともに、関係諸機関の意見をも十分参酌したものであります。」となっておりますが、一口で言ってしまえば、一番国民の駆け込み裁判をするところといってもいいところなんですから、そういうところで簡易裁判所というあり方といいますか、そういうことから考えまして、適正になっているのかどうなのかという疑問があるわけです。一つは裁判所法の第三十八条によると、「簡易裁判所において特別の事情によりその事務を取り扱うことができないときは、その所在地を管轄する地方裁判所は、その管轄区域内の他の簡易裁判所に当該簡易裁判所の事務の全部又は一部を取り扱わせることができる。」となっておりますが、現在事務の移転が全部なされている簡易裁判所は何庁あるんでしょうかね。この点をまず伺っておきたいと思います。
#92
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 現在裁判所法三十八条に基づきまして事務移転が行われておる簡易裁判所は全国で十九庁ございます。ただ、そのうちで実は八庁は最初のころから事務移転をしておる簡易裁判所でございます。
#93
○宮崎正義君 もう一度。
#94
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 全部で十九庁でございます。そのうち十一庁はいわば開庁後に事務移転をいたしましたところで、八庁が当初から事務移転をしておる簡易裁判所でございます。
#95
○宮崎正義君 その中で函館地方裁判所の木古内簡易裁判所、これを函館簡易裁判所で事務の取り扱いをやっているというのですが、これなんかもやはり地方住民の話し合いをやって納得をしてこのようにされたのかどうかですね。
#96
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 函館地裁管内の木古内簡易裁判所は、昭和五十一年の初めに函館簡易裁判所へ事務移転をいたしておりますが、その際には地元の関係機関の御了解も得た上で函館地方裁判所において事務移転の決議をし、事務移転をしたというふうに聞いております。
#97
○宮崎正義君 そういうふうな報告を受けているわけですか。
#98
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) そのように報告を受けております。
#99
○宮崎正義君 北海道の場合なんか非常に特質がありましてね、いまでも雪降っているんです。こっちは、東京あたりじゃ雪なんて考えておられないでしょう。いま雪降っているんですね。毎日じゃありませんけれども、大分あったかくなりましたから。そうしますと、交通機関もとだえることがありますし、それから非常に近いと思われる感覚的なことと、東京で考えられる距離感というものも相当違っているわけですね。
 相談の上でやった報告ということなんですが、相当困っている人もいるわけです。なぜ持っていかれたのかな、非常に不便になったというようなことがあるわけでありますね。そういうふうなことから考えまして、先ほど矢田部委員も整理統合ということを言っておられましたけれども、やはり簡易裁判所の性格といいますか、理念的な面から考えていって、十分にその点を留意して地元の人とのよく話し合いというのは、十分今後その地その地、特殊性があるわけですから、それらを勘案の上で念を押すような行き方をして決めていってもらいたいということを私は希望いたしておきますが、よろしゅうございますか。
#100
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) ただいま宮崎委員仰せになりますように、簡易裁判所、全国にたくさんございますが、それぞれの土地によって事情が非常に違うということは仰せのとおりでございます。
 先ほど来申し上げておりますように、そういう事務移転を仮にやるというふうになります場合には地方裁判所がそういうことをやっていくわけでございますが、私どもの方としても、それは私どもに関係なく進めているというものではございませんで、やはり一応報告等はいただいておりますので、そういう際には、いま宮崎委員御指摘になりましたような事情は十分現地にも徹底するように指導するようにしたいというふうに考えます。
#101
○宮崎正義君 もう一つ、民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案ですね、これは説明によりますと、証人等の旅費についてもその支給範囲を改正するということなんですが、国家公務員に対する旅費を変更するから、これもあわせて並行してやっていくんだということなんですが、給与法の改正のときにいつも私は申し上げているわけですが、独自な考え方でこの法律の改正というものをやって差し支えないじゃないかと思うんですね、給与法にしても、こういう旅費の方の面にしましても。
 いま申し上げましたように、前回の裁判官、検察官の給与改定法案のときも同じようなことを私は言っているわけですが、この場合は、証人といいますと、いま行われているダグラス・グラマンの証人喚問の証人とは性格が違うように思うんですがね。恐らく裁判に要請される証人というのは裁判所にプラスになっていく証人じゃなかろうかと思うんですが、またその逆の面もあるかもわかりませんけれども。国家公務員の性格の考え方と同じ旅費を出すにしても、片一方は公務員としての動き、片一方は証人としての招聘、そういうような点から考えていきましても、裁判所は独自な給与体制というものを持っていくとすれば、これも何も公務員の旅費等の変更があるからあわせて変えていかなきゃならないというような追従的なものじゃなくていいんじゃないかと思うんですが、この点どうなんですか。
#102
○政府委員(枇杷田泰助君) 御指摘のように国家公務員の旅費と証人等が全く一致しなきゃならないということはないと考えております。広い意味での旅費で申しますと日当なども入るわけでございますが、そういう点につきましては、国家公務員の方はいわば月給をもらいながら出張するという関係でございます。ところが証人の方は、自分の家で商売をしながらやっておられる方を証人に来ていただくというふうな面もございますので、日当の点につきましては公務員とは違う扱いにいたしておるわけでございますが、いわゆる足代の点につきましては、これは国家公務員といたしましても、最も合理的な旅行方法で旅行ができるようなことを国家公務員でも決めなきゃならないということの関係は証人と共通するであろうと思われます。
 そういうことで、証人の関係につきましては、いわば公務員の方で一番合理的だと思われて定められる規定を参照しながら証人の方にもその合理性というものを考える基礎にしたいという配慮で現在の費用法の規定がつくられておるわけでございます。
 そういう面で、このたびの国家公務員の旅費法の改正を見てみますと、従来の特急料金が支給されるものが三百キロ以上であったものが百キロ以上ということになりますならば、公務員についてそのようにいわば有利な扱いがされるのに証人の方はほっとくというわけにはまいらない、それに合わせるべきであろう。いわば百キロと言いますと、新幹線で申しますと東京から熱海でございますか、その程度の距離以上のところから東京においでいただく場合には、やはり証人も特急料金を支給すべきではないかという観点に立ちまして、結果的に同じような改正をするということでお願いをいたしておるわけでございます。現行規定でも、全部が全部国家公務員の旅費法と全く一致しておるという規定にはなっておらない次第でございます。
#103
○宮崎正義君 最後に、航空運賃は航空機を利用すべき特別の理由がある場合におけるという特別の理由というのはどういうふうな理由なんですか。
#104
○政府委員(枇杷田泰助君) これは法律で考えておりますことは、遠隔なところから出頭していただくということがまず第一番目の順位になると思いますけれども、ただそれだけではなくて、非常に急いで出ていただくというふうなことであるとか、あるいは場合によってはその証人のお仕事などを勘案して、短時間でおいでいただかなければならないというような特別な状況があるというふうに裁判所が認めたときに、航空運賃を支給するというふうなことを考えておるわけでございます。
#105
○委員長(峯山昭範君) 他に御発言もなければ、三案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#106
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより三案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#107
○委員長(峯山昭範君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#108
○委員長(峯山昭範君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#109
○委員長(峯山昭範君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、三案についての審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#110
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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