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1978/06/05 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 法務委員会 第11号
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1978/06/05 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 法務委員会 第11号

#1
第087回国会 法務委員会 第11号
昭和五十四年六月五日(火曜日)
   午前十時九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月四日
    辞任         補欠選任
     宮本 顕治君     下田 京子君
 六月五日
    辞任         補欠選任
     内藤誉三郎君     降矢 敬雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり
    委員長         峯山 昭範君
    理 事
                上田  稔君
                平井 卓志君
                宮崎 正義君
    委 員
                大石 武一君
                佐々木 満君
                降矢 敬雄君
                丸茂 重貞君
                宮田  輝君
                八木 一郎君
                阿具根 登君
                秋山 長造君
                寺田 熊雄君
                下田 京子君
                橋本  敦君
                円山 雅也君
                江田 五月君
   国務大臣
       法 務 大 臣  古井 喜實君
   政府委員
       法務大臣官房長  前田  宏君
       法務省民事局長  香川 保一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        奥村 俊光君
   説明員
       文部省大学局技
       術教育課長    福田 昭昌君
   参考人
       日本土地家屋調
       査士会連合会会
       長        多田 光吉君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○土地家屋調査士法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(峯山昭範君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨四日、宮本顕治君が委員を辞任され、その補欠として下田京子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(峯山昭範君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 去る五月三十一日の委員会において、土地家屋調査士法の一部を改正する法律案の審査のため、六月七日に参考人の出席を求めることを決定いたしておりましたが、都合により、本日、参考人として、日本土地家屋調査士会連合会会長多田光吉君の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(峯山昭範君) 土地家屋調査士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○寺田熊雄君 これは民事局長にお尋ねをしますが、今回の土地家屋調査士法の一部改正法、一番問題となるのは、やはり第三条の資格取得条件の問題だろうと思いますが、常識論から申しますと、従来の土地家屋調査士試験に合格した者、これが資格を取得するということになっておりましたのに、第二号が加わりまして、法務局、地方法務局両方を通じて十年以上在職した者、しかも不動産の表示登記の事務に従事した者と。これはいわば特別な資格取得条件となるという点なのでございますが、常識論から申しますと、土地家屋調査士会の方が反対するだろうということが考えられるわけですね。これは土地家屋調査士だけではございません。司法書士の場合も同様でありましたし、非常にいまやかましい税理士の場合も同じなんですね。ところが、いずれも会それ自体はこういう改正案に賛成をするという、常識をちょっと外れた結論になっておるようです。これは税理士会もしかり、それから司法書士会もそうでありましたし、今回の土地家屋調査士会も同様のように思われるわけですね。しかし、そうは申しましても、雑音が私どもの耳に全く聞こえないかというとそうではありません。税理士会などは非常にやかましい雑音が会の内外から聞こえてまいりますし、今回のこの土地家屋調査士につきましても、これは朝日新聞の四月二十八日の論壇欄に、これは東京土地家屋調査士会副会長、大橋光雄さんという方の投稿があったわけであります。
 そういういろんなことを考えてみますと、何かこう割り切れないものが残るのですが、今回の法改正について土地家屋調査士会がどのような対応をとったのか、ちょっと局長に御説明いただきたいと思います。
#7
○政府委員(香川保一君) 御承知のとおり、昨年の通常国会に司法書士法の一部改正法律案の御審議を願ったわけでございますが、本来ならば同じような性質のものでございますから、昨年の通常国会に土地家屋調査士法の一部改正法案も提案すべきだったと思うのであります。
 ところが、ただいま御指摘の、いわゆる特認制度をめぐりまして調査士会の内部に相当強い反対意見がございまして、さような反対意見の言わんとするところも必ずしも当を得てないという面ばかりじゃないわけでございまして、私どもといたしましては、十分そこのところを御理解をいただいて円満に法案を提出するということにいたしたいと考えまして、昨年の提案を見送ったわけでございます。参議院の法務委員会におきまして、司法書士法の一部改正法案の附帯決議として同様の法律案を、土地家屋調査士法の改正法案は早急に出せという附帯決議もちょうだいしたようないきさつがあるわけであります。
 確かに昨年そういった反対意見が出てまいりましたのは、私どもにも十分その対話と申しますか、議論をすることの努力が足りなかったと反省するわけでございますが、反対の意見の主なものは二つあるわけでございまして、一つは、現在の法務局の職員に果たしてその土地家屋調査士としての業務を十分やれる技能、能力があるかどうか。これは主として調査測量関係の技術面での能力でございまするが、それに対する危惧があることが一つ。
 もう一つは、これは私どもに対するある意味での不信感だと思いますけれども、特認制度が設けられると多数の特認制度を利用した土地家屋調査士が生まれてくると。さようなことからいわば共食いと申しますか、需要に対する供給が過剰になってお互い首を絞めることになるんじゃないかというふうな危惧があると思うのであります。
 この二つが私どもとしては反対理由として受けとめておるわけでございますが、前者につきましては、理屈は、土地家屋調査士の調査測量及びその結果に基づく登記申請事件の審査を登記官がやり、必要があれば実地調査もするということに法律はなっておるわけでありますから、法律面だけから見ますと、形の上では土地家屋調査士と同程度、あるいはそれを上回る能力を備えてなければならぬ。法律はそういうことを所期いたしておるわけでございますが、現実の問題としてかような不動産の表示に関する登記制度が新たに登記所の事務になりましたのが戦後でございまして、まだ三十年そこそこでございます。
  〔委員長退席、理事上田稔君着席〕
そういうことから、なかなか十分その面での職員の能力がまだ開発されてないということは確かにあるわけでございます。
 で、むしろその理由は、片や司法書士の方は特認制度が初めからあるわけでございますが、土地家屋調査士法の方はそれがないということが、これは理屈を抜きにいたしまして、職員の表示に関する登記制度に対する熱意と申しますか、刺激というか、そういったものが欠ける原因にもなっておると私どもは理解するわけでございます。
 したがいまして、職員自身がそういった表示に関する登記手続、法律面はもちろんでありますけれども、実施の調査測量というふうな技能面の習得をみずから努力するということが何よりも大事なわけでございまして、そういう意味合いから申しましても、一つの刺激として特認制度を設ける必要がある。そういうことによって、それよりもさらにそういったいろいろの制度の運用におきましての表示登記制度の充実ということは同時に図らなければならぬわけでありますが、そういったことをやっていくことが、結局は不動産の表示登記制度、したがって、土地家屋調査士制度の充実発展につながる問題だということを十分土地家屋調査士会連合会、その他にもお話し申し上げたわけでありまして、そういうことで職員の技能の向上を図っていくということから、御承知のとおり法案におきましても、十年を通じて表示に関する登記事務に従事した者という要件を最小限かぶせまして、さらに附則におきまして、附則第四項でございますが、当分の間、法務大臣は技能面の試験をすると、これは司法書士法にはないことでございます。そういったことと同時に、その運用面におきましても、土地家屋調査士会の懸念されるようなことのないように十分配慮していくというふうなことを十分議論いたしまして、その面は御了解を得たと思うのであります。さらに粗製乱造と申しますか、需要と供給のアンバランスが生ずるという面につきましては、これはもちろん国家試験制のもとでどの程度そういう調整ができるか相当理論的にも問題があると思いますけれども、やはり制度の円滑な運用という意味からは需給のバランスをとることを十分配慮しなきゃならぬということも十分話し合いまして、さような結果、土地家屋調査士会あるいは連合会におきまして今回の法案について十分理解を得まして、去る三月当初の連合会の臨時総会におきまして、この法案を賛成といいますか、むしろ早急に法案が成立するように願いたいというふうな陳情までされるようなことになったわけでございます。
 したがいまして、一部にはなおいろいろの危惧を持っておられる方もおられるとは思いますけれども、大勢としては十分この法案の趣旨の御理解を得て円満に法案提出に至ったと、かような経緯でございます。
#8
○寺田熊雄君 いまの局長の御説明で、この法案が上程せられるまでのいきさつが大体わかりましたけれども、ただ、先ほどお話をいたしました大橋光雄氏のこの投稿の中にこういう文言がある。これはもう局長もお読みになったでしょうが、
 全国の土地家屋調査士とその連合会は、このような理由などで反対を唱えてきたが、法務省はほとんど耳を貸すことなく、かえって業界に対して、法務省案の国会提出に同意するよう過去一年、圧力を加えつづけてきたのである。
 業界側は、法務省の圧力に押され、やむなく一つの妥協策として、当分の間試験科目の一部を課するとする条件をつけて、この趣旨で原案を修正することで了解することをのんだ。
こういうような一節がありますね。その圧力なるものの内容として、土地家屋調査士の業務報酬の認可権、これが法務大臣に所属していると、ところが三年以上据え置かれたこの調査士の報酬改定がなかなか法務省の認可を得られない、それで並行してついにこういうような妥協のやむなきに至ったと、そういう趣旨の説明があるんですね。
 そうなると、これが事実かどうかという問題なんですがね。事実だとすると、ちょっと何かこう少しフェアな感じがしないでしょう。つまり土地家屋調査士の弱点につけ込んで、そしてこの改正案を直しちゃったんだと言わんばかりの口吻がこの行間ににじみ出ておりますね。この点やっぱり民事局長にちょっと御説明いただかないといかぬと思うんですが、どうでしょうか。
#9
○政府委員(香川保一君) その提言をされておる東京土地家屋調査士会の副会長大橋某は、私は一度も会ったことないんでありますけれども、従来から法案に対して反対の急先鋒であったように聞いておりますし、そこに出ておりますその報酬問題云々というのは、これはちょっと細かくなりますけれども、現在の報酬規程が改正されましたときに東京会だけ一年おくれて改正されておるわけでありまして、これは全国的には連合会が改定の内容を決めまして、そして法務大臣に認可申請をされたのでありますけれども、東京会だけはその連合会案なるものに対して反対だということですったもんだいたしまして、結局連合会案どおり一年おくれて報酬が認可された経緯がございますが、そのときにもその大橋某がやはり中心に反対をしたというふうに聞いております。
 私どもとしては、報酬改定をてこにしてと申しますか、あるいは圧力の材料にして法案をのめというふうなそんなけちなことをやるつもりは毛頭ありませんし、またやるべきことでもないことは明らかでありまして、ちなみに報酬の問題について申し上げますと、一昨年暮れに連合会から一つの報酬改定案というものが出てまいったわけでございます。その当時私どもも、確かに土地家屋調査士の報酬規程というのはどうあるべきかということは非常にむずかしい問題でございまして、連合会の案も一つの考え方ではあると思うのでありますけれども、この報酬改定案をそのまま認めますと、場合によっては倍、物によって五割ぐらい報酬がアップされることになるわけでございますし、これは表示登記というものが国民に義務を課しておる、科料の制裁のもとで義務を課しておるものでございますので、それを代行する調査士の報酬というものもすぐれて公共的な性格を持つものであり、現に内閣におきましては公共料金に準ずるものとして扱っておるわけでありますから、これが余りに上昇、アップ率が高いということは、やはり国民の負担がそれだけふえるわけでございますから、ここのところは一つ問題ではあるわけであります。それと同時に、この報酬規定違反事件というのが比較的多うございまして、さようなことから報酬規程の遵守ということをやかましく言っておるのでありますけれども、そういうことが守られるかどうかの国民の側からの監視の目と申しますか、そういう立場から申しますと、報酬規程は一目瞭然といいますか、一覧性のあるわかりやすいものでなければならぬという面が確かにあるわけでございます。
 ところが、連合会からの改定案はきわめて複雑でございまして、ちょっと見ても、具体的なこの事件について報酬は一体幾らになるのかということがなかなかわかりにくい、さような構成になっておるわけであります。そういった値上げ率が高いということと一覧性を欠く、わかりにくいというふうな二点から、この点は再検討しなければいけないんじゃないかということで、私ども容易にその案はのめないということで申し上げておったわけでありますが、調査士会連合会の方でもさような点は十分理解していただきまして、この問題はむしろ今後報酬体系がいかようにあるべきかもう一度白紙に返して、連合会試案というのは一つのたたき台ではございますけれども、それをもとにしてさらに十分検討いたしましょうと、こういうふうな話し合いになってきておるわけであります。ただ、先般改定いたしましたのが昭和五十一年でございますので、それから三年余りたっておるわけであります。その間の賃金ベースあるいは物価の上昇というのが二五%ぐらいになっておるわけでございますので、いま申しましたような報酬体系全般を見直してやるということになりますと、なかなかこれ一年、二年ぐらいかかるんじゃないかと。そうしますと、現在の報酬規程そのものが物価等から見まして低きに失するという面があるわけでございますので、したがってさしあたりはこの現行の報酬規程をそのままにしまして、ただ物価上昇、賃金アップ等を勘案して所要の改正をしようということに話がつきまして、先般さようなことで現在連合会の方で作業を進めておるわけでございます。したがって、新しいその報酬体系を見直すという作業、これはこれから始まるわけでございまして、さような点で連合会との間には円満に話がついているわけでありまして、総会におきましてもそのことは了承されておるわけでございますから、したがって、そこに言われるような報酬規程の改定、連合会当初の試案を私どもは拒否することによって法案を了承させるというふうな圧力を加えた形跡はみじんもございませんし、私はいわれなき批判じゃないかというふうに思っておりますが、ただそういった見方をしておる人が現におるということは私どもとしては放置できない問題でございますので、連合会にこういう誤解があるということは私どもとしてもはなはだ遺憾なことだから、少しこういった面の、連合会の執行部は十分経過を知っておるわけでございますから、その辺をPRして誤解のないようにしてもらいたいということはお願いいたしておるわけであります。
 聞くところによりますと、東京会におきましても、その副会長の肩書きでそういった批判を新聞に載っけたということについて相当批判が強く出たようでございまして、その点大橋氏の方では、かようなことのないようにするというふうなことで東京会自身で話し合いがついたというふうに聞いておりますが、さような次第でございますので、重ねて申し上げますが、そういった見方をしておるということは、ある意味では私どもの十分なPRが足らぬと申しますか、極端に言えば私自身がまことに不徳の至すところなんでございますけれども、事実はさようなことは全くないということをはっきりここで断言申し上げておきます。
#10
○寺田熊雄君 局長の御説明では、ただいまお尋ねしたような事実は全くないということでありますので、それならば大変結構であると私も考えるのであります。しかし、やはりこういう意見が現実にありますので、今後局長の方もできるだけ心をむなしゅうして、そういう業界のいわば不満分子ですか、率直に話し合ってごらんになったらいいんじゃないんでしょうかね。何かけしかられるぞというような白い目で目るということでなくして、局長があなたのお部屋にそういう方々に来ていただいて率直に意思の疎通を図れば、そうすればもう了解できるところじゃないかと思うんですが、そういうお気持ちがおありかどうか、その点どうでしょう。
#11
○政府委員(香川保一君) もう率直にそのとおりでございまして、私もそういった制度の問題でいろいろ話し合いに来られればいつでも会うつもりでおるわけでありまして、むしろ連合会の幹部に対しましてはいつでも来てくれと、問題があれば話し合いをするということで門戸は完全に開放しておるつもりなんでございますけれども、ただそういうつもりでおりましても、これはざっくばらんに申し上げまして、私どもはやはり法務と申しますか、裁判官、検察官の出身の者というのは一言で言えば、ある意味ではかたいのかもしれませんが、業界とどこまで突っ込んで、いろいろ立ち入るかといいますか、あるいは接触を深めるかというふうなこと、まことに世間知らずの面もあるかもしれませんが、かたさが確かにあると思うんであります。
  〔理事上田稔君退席、委員長着席〕
だから理論的な議論はいろいろいたしますけれども、意思の疎通と申しますか、ざっくばらんな話し合いというのはなかなかならい性となっておってできないようなところもあることは反省いたしておるんでありますけれども、ただ、私いま来られればざっくばらんにいろんなことを話しておるつもりですけれども、事この問題に関しましては、連合会の方はそういう考え方を毛頭持っていませんでしたから、そういった疑念というか、を持っておる会員がおるというふうなことは、連合会自身も私どもも考えていなかったわけでございまして、だからさような問題についての話し合いというのはなかったことは確かなんでございます。これはいろいろ機会を通じてもっと本当のいい意味での理解をお互いに深める、そういう努力はしてまいらなければならぬというふうには反省をしておる次第でございます。
#12
○寺田熊雄君 それから、いま局長の一連のお話の中に出てまいりました。つまり業界の方では、そういう特別資格取得者に業務を完全に遂行するだけの能力が果たしてあるだろうかという疑念もないではなかったというお話がありましたね。私は登記手続それ自体は何ら問題がないと思うんです。それはもう十年も仕事を続けられた場合には、その申請手続に習熟しないという方がむしろおかしいんで、それはもう十分なし得ると思うんですが、ただ、いわば実地の調査とか測量とかいう問題がありますね。これは私どもも、測量それ自体の専門家である測量士の場合でさえも、後で問題を起こしまして、それが裁判事件になり長い間隣家が憎しみ合って深刻な争いをする。裁判官が和解をして一方に有利なと思われるような和解案を提示いたしますと、不利と感じた方は卒倒してしまうと、大変な騒ぎになると、そんなような深刻な事案も間々あるわけでありますね。ですから、土地の境界などというもの、あるいは坪数などというようなもの、これはかなり正確に良心的にそれは事務に習熟した人が担当してくれないと、後でいろいろな紛争を生ずることになります。そこで私の考え、これはあるいは批判を免がれないかもしれませんが、問題はやはり調査とか測量とかということに習熟する点はどうだろうかという、そこにやはり多少の疑念がないわけではないんですね。それを完全なものとしてそして資格を与えるという点の自信はおありなんでしょうか。
#13
○政府委員(香川保一君) 実は不動産登記法自身は先ほども申し上げましたように、登記官にそういった実地の調査、測量の技能が十分備わっていることを前提として手続ができておるわけでございまして、調査士の調査、測量された結果に基づいて申請がされた場合に、それをうのみにして登記をするというふうなことになりますと、ただいま御指摘のありましたような、実はそれがとんでもない間違いであったというふうなことがあるわけでございまして、現にさようなことでいろいろ紛争が生じておるわけなんであります。したがって、やはりどうしても登記所の側で、そういった土地家屋調査士の手を経てきたものにしましても、やはりチェック機能を十分果たすということがぜひとも必要なわけでございまして、それを登記簿は記載しておるわけであります。
 そこで私どもとしましては、何とかその面での職員の能力を開発しなきゃならないということを腐心いたしておるつもりでございますけれども、御承知のとおり、何分にも登記所は多忙でございまして、そういった表示に関する登記の申請事件の都度一々現場に行って調査あるいは測量するというふうなことは現実の問題としてはとうてい十分できないわけなんであります。この面が十分体制が整備されるように一方で努力しなきゃならぬわけでございますが、これはなかなか私どもの努力が足りないせいもございましょうけれども、とにかく申請事件を何とか処理するだけで手いっぱいという現状なんでございます。ただ、将来それでいいというわけにはまいりませんので、いろいろの手だてを考えて、機械化とかいろいろのことも進めて何とか余裕が出るようにという苦労はしておるつもりでございますが、それと同時に職員がやはり調査、測量の知識と技能というものを身につける必要があるわけでありまして、これは昭和二十七、八年ごろからいろいろの測量講習というふうなものも計画いたしましてやってまいっておるわけでありますけれども、何分にも仕事の片手間にやることでございますので十分な成果が上がらない、かようなことで昭和四十三年度から一定数の職員を測量の専門学校に委託いたしまして半年間そこで受講するということを始めておるわけでありまして、当初十名、二十名となって、これは予算措置を必要とするわけでございますので、現在は四十名ずつ毎年その測量専門学校に受講させることができるようになっておるわけでございまして、今日までその卒業生が約二百名を超えておるわけでございます。かようなことで、そういった十分測量に関する知識、技能を身につけた職員が役所へ戻ってまいりまして、そして今度は役所側の立場での表示に関する登記手続をやる、こういうふうなことで表示登記専門官というふうな官職もつくりまして、さような意味での両面の知識、技能の向上に努めておるわけであります。
 今回の特認制度は、そういった経験を経てきた者から希望があれば調査士としての資格を認めよう、かような考えでおるわけであります。ただ、いま申しましたような手だてをしておりますけれども、まだ日が浅うございますので、いま直ちにその職員を調査士にするということも私どもも若干ちゅうちょするわけでございます。したがって、先ほど申しましたように、法律の附則で当分の間は調査、測量の技能面での試験をやるということにする傍ら、私どもの見込みといたしましては、そういうことに特認制度が認められましても五年ぐらいはこの制度を実際は運用しない、むしろそういう特認制度が認められたことによって、先ほど申しましたように、職員が刺激を受けて、自分たちもその面の勉強をすれば将来やめたときに調査士になれるというふうに希望を持ってその面での精進をしてくれるであろう、こういうことを期待いたしておるわけであります。そういうことで自信を持って調査士として送り出せるには、あとやはり五年ぐらいはかかるだろうというふうにも見込んでおるわけでございます。そういうことで、できるだけ制度の運用全般として、そういった面の技能開発は努力していかなきゃならぬわけでありまして、一挙にはまいりませんけれども、ただいま申しましたような方法、さらにもっとこれが拡充できるようなことも検討しながら、この面での充実をひとつ図ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#14
○寺田熊雄君 いま局長の御答弁になりましたすぐやるんじゃなくて、五年ぐらいのやはり期間を置いて、その間に十分教育して、そしてこの面の運用の遺憾なきを期したいという方針は、これは業界の方にも通じてあるわけですね。
#15
○政府委員(香川保一君) これは昨年司法書士法と同時に、土地家屋調査士法の改正案を国会に提案したいということで、土地家屋調査士連合会に諮りました最初のときに、私はいま申しましたようなことを申し上げてあるわけであります。
#16
○寺田熊雄君 そうしますと、私の次の質問は、大体この法案が成立して後五年を経た場合に問題になるかもしれませんが、この特認の土地家屋調査士というものは、通常の試験による資格取得者とどの程度の比率でこれからそれを認めていこうとするのか、そういう何か方針みたいなものがおありですか。
#17
○政府委員(香川保一君) これは職員の退職するに際しての希望として出てくる問題でございますので、五年後に果たして毎年平均的に何名ぐらいの希望者が出てくるかということはちょっと予測しがたい面もございますけれども、先ほど申しましたようなことで、毎年四十人ずつの測量専門学校への受講をやっておるわけでございますので、さような面の知識、技能を習得した職員でないとなかなか調査士としてやっていくこともむずかしかろうと思いますので、したがって、この四十名を予算的には五十名、六十名というふうにふやしてまいりたいと思っておりますが、受講者の数と大体見合った程度の希望者が出てくるのがせいぜいだろうというふうに考えておるわけであります。
 ただ、先ほども申しましたように、調査士会の方での需給のバランスということが一つの懸念事項になっておるわけでございますので、片や国家試験で何名ぐらい合格するかというふうなこととあわせて考えなきゃならぬ問題でもあるわけであります。まあ現在の表示登記の件数が今日の程度で推移するといたしますと、私の見るところでは、国家試験による合格者、これは毎年大体五百名か六百名ぐらいになっておるわけでございますが、この程度を超すことはちょっと無理じゃなかろうかというふうに考えておるわけであります。したがって、特認制度とあわせまして五百名ないし六百名程度が新たに土地家屋調査士を生み出す限度であろうというふうに考えておるわけでありまして、その辺をにらみながら運用していくということだろうと思うのであります。
#18
○寺田熊雄君 いま局長のおっしゃったこの通常の国家試験の合格者、これが五十三年は受験者が一万五千強ですね。そして合格者が六百四十三、わりあい狭き門の感じですね。いわゆる司法科の試験と比べれば多少多いようだけれども、これは大体四%ぐらいの合格率になりますかね。わりあい厳しいですが、これは何か格別な事情がありますか。何かこういう需給の状況を見て考えておられるんでしょうか。
#19
○政府委員(香川保一君) 大体合格率は四・五%前後になっておると思いますが、これは最近五、六年の傾向でございます。これはどうして合格率が高くなっておる――低くということになるんでしょうか、少ないのかという原因はいろいろあろうかと思うんですけれども、このごろの何といいますか、何年かかかって合格すればいいというふうなことで、安易な受験生が相当ふえておることは間違いないようであります。
 それと同時に、もうすでに過去において、大学の測量学を専攻した人たちとかいうふうな方は大半もう合格しておりまして、新しくこれから大学を卒業する人たち、専門学校の卒業者が受けるということになるんでありますけれども、調査士の報酬といいますか、そういうものが必ずしも芳しくない、平均的には芳しくない面がございますので、さようなことから、司法書士ほどには十分勉強した人が受験するというふうなことがなくなってきているんじゃないだろうかというふうにも思っておるわけでありますが、これは国家試験でございますので合格点というのは大体基準があるわけですが、結果的には、現在、過去に比べてずいぶんむずかしくなっておるといいますか、四・五%前後の合格率になってきておるということでございます。
#20
○寺田熊雄君 この試験は、登記申請手続の場合、いわゆる不動産登記法ですね、こういうものに対する習熟度が重きをなすのか、現実に土地家屋の調査測量等に重きを置くのか、あるいは両方がフィフティー・フィフティーな関係で試験をするのか、その辺はどうなんでしょう。
#21
○政府委員(香川保一君) 大体比重としては半々程度に考えて出題されておるようでございます。
#22
○寺田熊雄君 今度は、土地家屋調査士は調査士会に入らないと登録ができないようですね。そうすると、必然的に、会はやはり調査士の入会というものはこれは拒否できないということになりますね。
#23
○政府委員(香川保一君) お説のとおりでございます。
#24
○寺田熊雄君 表示登記をする場合、その当該の不動産に対する調査測量に関する図面を添付することが要求せられておるようですが、これは土地家屋調査士のなした調査測量だけでなくして、専門の測量士であるとか、あるいは建築士であるとか、そういう者のした測量の結果でもこれは構わないんでしょう。
#25
○政府委員(香川保一君) もともとこれは、そういった資格のない本人が自分で測量したといって図面を出してきてもそれ自体は拒否事由にはならぬわけでございますから、測量士の図面でも差し支えないわけであります。
#26
○寺田熊雄君 法律上はそういうようだけれども、何か通達であなた方は、司法書士は表示登記の申請手続をする場合は土地家屋調査士の作成した図面を添付しなければいけないというような通達を出していらっしゃるんじゃないですか。
#27
○政府委員(香川保一君) その通達は、実は司法書士連合会と土地家屋調査士連合会の間で、とかく司法書士、調査士の業務区分についての紛争があるわけでございまして、さようなことから、両連合会でいろいろ協議されまして、その結果として、両会の一致した考え方として、本来ならば司法書士は表示に関する登記を必要とする調査測量及びその申請手続はできないわけでございますけれども、調査士の作成した図面がある場合にはこれは間違いないという前提で、それをもとにした申請手続を司法書士がやるということは例外的に認めていこうというふうな合意ができたようでありまして、それでいいかという照会に対しまして、民事局長がそれで差し支えないという回答をしておるわけでございます。
#28
○寺田熊雄君 その通達は何かわれわれがいただいておる法律案関係資料にありましたですね。これは何ページだったですかね。
#29
○政府委員(香川保一君) この資料には入っていないと思いますが、正確に申し上げますと、昭和四十四年五月十二日付の民事局長通達でございます。
#30
○寺田熊雄君 ああなるほど。この第一〇九三号通達とある、これですね。この第一を見ますと「不動産の表示に関する登記のうち左に掲げるものについては、司法書士も申請手続を行なうことができる。ただし、3ないし6に掲げる登記については、土地家屋調査士の作成する所要の図面を添付する場合に限る。」こういうふうになっておるけれども、これはやはりその申請の正確さ、これを担保するための、そういう目的なんでしょうね。いかがでしょう。
#31
○政府委員(香川保一君) 趣旨はそういうことだと存じますが、これは先ほども申しましように、日本司法書士会連合会と土地家屋調査士会連合会との間の合意の結果でございますので、したがって正確を担保するものとして土地家屋調査士の作成する図面ということになっておるわけでありますけれども、同じ趣旨から考えますと測量士が作成した図面を添付したときでもいいはずになるわけでございますけれども、そこまでのことはこれは言っていないわけでございます。
#32
○寺田熊雄君 局長ね、その司法書士の行う表示登記の申請、その内容の正確さを担保するためだという、そういう目的からしますと、土地家屋調査士の測量技術と、私の認識に誤りがあればこれは別だけれども、正確さにおいてはまさるとも劣らないと思われる測量士、そういう者の作成した図面を添付したのではいけないと、土地家屋調査士の作成した図面だけに限るんだというのは、何かこう目的に少しそぐわないように思いますがね。これはどうでございましょう。
#33
○政府委員(香川保一君) これは一つの問題でございまして、実は、一体測量士あるいは測量士補というのは一筆のその土地について、不動産の表示に関する登記を必要とする前提としての一筆についての測量ができるのかどうかということが法律的には確かに疑問があるわけであります。測量法では、御承知のとおりいわゆる測量士のやるべき仕事として基本測量と公共測量ということを挙げておるわけでありまして、こういうものは測量士でないとできないということになっておるわけであります。他方、土地家屋調査士法は、不動産の表示に関する登記を必要とする土地または建物に関する調査、測量及びこれらの結果を必要とする申請手続と、こういうふうなことが業務の内容になっておりまして、それはほかの者がやっちゃいかぬというふうになっておるわけであります。この両方を見ますと、素直な解釈としては、測量士はやはり土地家屋調査士の本来の業務である表示登記を必要とするその前提である一筆の土地の測量ということはできないんではないかというふうにも解釈されるわけであります。しかし、実質考えますと、その辺のところは測量士は十分たえる技能は持っているはずでありますから、これを拒否するということもいかがかという感じはするわけでございますけれども、法制面から見ますと、測量士はそういう調査士の仕事ができるかどうかということは相当疑問があるというふうに考えるわけでありまして、恐らくこの通達で両会の合意した内容として、「土地家屋調査士の作製した図面を添付する場合に限る。」というふうに強く書いておりますのは、その辺のところを測量士は本来できないんだという見解に立っているものかもしれないというふうに思っておるわけでございます。
#34
○寺田熊雄君 そうすると、この通達なるものは、司法書士会と土地家屋調査士会のそういう協定の趣旨を是認して、いわばそれに公権的な効力を付与したものと、こういうふうなことになりますね。つまり、そうしないと法務局の方で受け付けないんだと、またその場合のみに受け付けるんだということになるので、実質的には法律で規定したのと同じような効果を持ちますね。その点はやっぱり公権的な効力を付与したものとわれわれは考えざるを得ませんが、そういう理解をしてよろしいわけでしょう。
#35
○政府委員(香川保一君) これは業務の運用の基準でございまして、そういう面については公認したということには結果的になると思います。
 ただ、いまお言葉にありましたように、それと違った申請が出てきた場合に、申請を却下するというところまでの効果はないわけでありまして、これは先ほど申しましたように、本人申請もいいわけでありまして、全くの素人が測量しましたということで図面をつけてきても、そのことを理由としては却下できないわけでございます。受理しなきゃならぬわけでございまして、したがって、この両会の申し合わせと違ったような形で、仮に司法書士なり調査士が所要の手続をしてまいりましても、申し合わせと違うじゃないかということで受理しないというふうなところまではいけない性質のものだろうと、かように考えております。
#36
○寺田熊雄君 それはこの通達の趣旨は現実にやはり守られておりますか。地方の実情で――その点の御調査なさっておられますか。
#37
○政府委員(香川保一君) まあ、大方はこれで異論がないと思いますけれども、実際、現実に司法書士が、それならば調査士の作製した図面を添付して、さような申請手続やっているかどうかということになりますと、これはほとんどないと言っていいかと思います。
#38
○寺田熊雄君 終わります。
#39
○宮崎正義君 なるべく重複をしないようにしてまいりたいと思いますが、大事な点になりますとあるいは重複するかもわかりません。土地家屋調査士法の一部を改正する法律案のことにつきまして、民事局長とそれから清水第三課長の「新年を迎えて」というその「土地家屋調査士」二百六十四号の掲載に、新年のあいさつが出ております。で、このところで、民事局長のあいさつの中に、「種々の事情によりなされないまま、新年を迎えたことは、誠に残念至極であり、」――司法書士法改正がされて土地調査士制度の改正がされてなかったということについてのお話でございますが、この「種々の事情によりなされないまま、新年を迎えたこと」ということは、先ほど寺田委員の御質問の中にちらちらうかがえるようなことがあったと思うんですが、この点についてひとつお伺いをいたしておきたいと思います。これはまたお話によりますと、この司法書士法とこの土地家屋調査士法のこれは両輪のような法律であるという言葉をおっしゃられておりますが、この点から考えまして、この「種々の事情」ということがどういうことなのかということをまずお伺いしておきたいと思います。
#40
○政府委員(香川保一君) まことに車の両輪のようなものでございますので、司法書士制度によかれということで改正法案を提出するとすれば、同趣旨の土地家屋調査士法の改正法案をあわせて提案すべきであったと思うのであります。ただ「種々の事情」と申しますのは、何といいましても土地家屋調査士会連合会が、私どもの提示した改正法案の内容について、特に特認制度の点につきまして相当数の反対意見があるというふうなことでございまして、それが一番大きな理由であったわけであります。私どもとしてはそういう反対が現実にあるとしましても、このような法律改正は当然やるべきだということについては自信は持っておったつもりなんでありますけれども、何分にも業界のことでございますので、反対を押し切って法案を提出して、それが幸い可決いたしましても、今後の制度の運用等々考えますれば決して得策ではないと、やはり改正法案の趣旨を十分理解していただいた上で円滑に法案提出に至るべきものというふうに考えまして、提案を見送ったわけでありまして、その結果、いろいろの面で司法書士の方が改善されたにもかかわらず、車の両輪であるべき調査士制度の面での改善がそれだけおくれておるということはまことに残念なことだと、かような趣旨を申し上げたわけであります。
#41
○宮崎正義君 第一条の二でございますが、これは「土地家屋調査士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。」と、特段に、事新たに新設をされた理由というものはどういうところにあるかということですが、「常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。」ということは、新たにこれを新設されたということは、いままでの調査士連合会の調査士の方々がこういうふうなことが言われなきゃならないと、新設されなきゃならないという何かいわれがあるのでございましょうか。
#42
○政府委員(香川保一君) 職責規定を新設いたしましたのは、一つは、土地家屋調査士法は、昭和二十五年の議員立法でございますが、その後に成立いたしました各業法には、こういった職責規定を設けることが多くなってきておるわけであります。で、今回設けましたこの職責規定の内容は、これはいわば当然のことであるわけでありますが、しかしほかの業法と比較しまして、そういった高い理想を掲げたと申しますか、そういう規定が欠落しているということについては、司法書士会も、土地家屋調査士会の方でもやはりそれなりの批判がございまして、ぜひとも他の業法と同じような、そういう高い理想を掲げた職責規定を設けてもらいたいという要望が非常に強くあったわけであります。私どもは当然のことでございますので、従来からこの職責規定と同じようなことは重ね重ね両会にもお願いしておるわけでありまして、品位の向上は特に重要な問題として注意を喚起してきておるわけであります。これはやはり多数の国民の利害に関係する仕事でございますので、ややともいたしますと、品位に欠けるといいますか、非違行為というものが後を絶たない現状にもあるわけでございまして、さような意味から連合会の希望でもございますので、かような職責規定を設けて、そのことによって少しでもそういった職責というものの自覚が喚起されるならばそれにこしたことはないと、かような趣旨でございます。
#43
○宮崎正義君 職責の問題は、そういうお考えが両面相まってそういうふうになったというふうに理解をいたしますけれども、この土地家屋調査士というその仕事の内容について国民は余り内容を知らない人が多い。これは私は法律が二十五年にもうできていながら非常に国民が知らないということは、法務省の調査士というものに対するPRというもの、格づけだけはちゃんとしておいても、どういうことをやって国民の生活の中に密接しているんだというそのPRというものが非常に少ないように思うわけですよ。この点なんかもこの職責に合わせながら、いま御答弁にありましたように、この「常に品位を保持し、」というようなことについての特段のやはりPRというものがなされていかなきゃならなかったんじゃないかと思うんです。それがなされてないと、こういうふうに私は判断しておりますけれども。
#44
○政府委員(香川保一君) 土地家屋調査士制度というもののPRは確かに足りないということは大いに反省すべきだと考えております。
 ただ一般国民から見ますと、現に土地家屋調査士の業務をやっておられる方の約八割以上は測量士あるいは建築士と兼務しておられるわけであります。したがって国民の目から見ますと、土地の測量を頼むという場合でも測量士の面が強く映ると、あるいは建物の関係でも建築士の面が強く映るということで、さような兼業者が八割を超す状況にあるためにその陰に隠れてしまっておるという面も確かにあると思うんであります。ただ土地家屋調査士の業務それ自身は登記制度の基本でございますので、したがって、これをもっとPRして品位の向上のみならず、その業務の公正迅速というふうなことも図っていかなきゃならないというふうに考えるわけでありまして、今後ひとつそういったPRには特段の努力をしてまいりたいと、かように考えます。
#45
○宮崎正義君 測量のお話も出ております。先ほど来から御答弁等がありましたけれども、測量企業体というものが、測量士というものが相当中に入ってきておりまして、実際は問題が起きているのはそういうところに介在されているものを私はずいぶん知っているわけですが、こういう点についての先ほどの御答弁がありましたけれども、まだちょっと私には不十分でございますので、この点についてどんなふうなお考えかひとつ伺っておきたい。
#46
○政府委員(香川保一君) 確かに測量会社といいますか測量企業、これにはいろいろ問題があることは間接に聞いておりますが、土地家屋調査士を兼業しておられる方が、やはり何といっても、自分で測量士とは違う土地家屋調査士としての職責の自覚ということが大事だと思うんであります。間々あることは測量会社がいろいろ測量すると、その結果を土地家屋調査士がレビューしないままいわば名板貸し的に名前を使わせるというふうなケースも相当あるわけでございまして、その面での土地家屋調査士の方の自覚といいますか、反省というものも確かに必要だろうと思うんであります。それと同時に、やはりこれは登記所側におきましてそういったものを何らかの形でチェックできる、そういうことを通じてその背後にある国民の権益を保護するというふうな姿勢がもっとなきゃならないというふうにも思うわけでありまして、一般的なPRのほかにそういった仕事を通じてのチェックと同時に、啓発と申しますか、そういったことをもっとやっていかなきゃならないというふうに考えておるわけでございます。
#47
○宮崎正義君 いずれにしましても、問題は非常にそういうところから起きているということを私は確認をしていただく意味においてこの質問をしているわけですが、例を挙げれば幾つかございますが、時間の関係で省略をいたしますけれども、その点は十分に指導、監督といいますか、その面を目を見開いて指導していただきたいと思います。
 それから清水課長もやはり年頭のごあいさつの中にございまして、これはその中の一つでありますが、一番重要なことがここに述べられて、法務省の実態というものを明らかにしている面が出ております。これは法第十七条の地図の問題、そして「台帳附属地図であれ、その適正な維持管理が当面の最大の課題であるという認識に立つものであります。」と、私は長い文章読みませんけれども、ここに集約されていると思うんです。非常に公図といいますか、地図の整備というものが長い間長い間何年間も課題にされて今日まできているわけですが、依然としてこの整備が非常におくれている、この点についてどういうふうにお考えか、お伺いをしておきましょう。
#48
○政府委員(香川保一君) 確かに不動産登記法、昭和三十五年に改正されました際に十七条の規定が設けられまして、いわゆる十七条地図の備えつけという規定が置かれたわけでございます。しかし、現状におきましては、この十七条の地図というのが全国的に整備されていないことは否定できないわけでありまして、現在登記所にございます地図は土地台帳を税務署から移管をされましたときに引き継ぎましたいわゆる公図と言われているもの、土地台帳の付属地図でありますが、これが二百六十万枚ばかりあるわけであります。それからやはり一筆測量ということが大事だということで設けられました国土調査法というのがあるわけでありますが、これによっていわゆる地籍図というのが作製されまして、総理大臣の認証を受けて登記所に送られてくるわけであります。これが現在約九十八万枚ばかりあるわけであります。ただ登記所側といたしましては、みずからの手でこの十七条の地図を整備していかなきゃならないということを考えておるわけでありますが、愚痴っぽくなりますけれども、なかなか自前でこの地図を作製するだけの人的あるいは物的な余裕がないわけであります。しかし、やはりさような面での努力も継続していかなきゃならないということで、現在モデル作業的に毎年所要の予算を得まして法務局、登記所自身で十七条の地図を作製しておるわけでありますが、これがごくまだわずかでございまして、千五百枚足らずしかできていないということなんであります。何と申しましてもお説のように不動産登記制度のこれは基本でありまして、登記簿にいかように土地、建物の記載を正確にいたしましても、地図がなければいわば絵にかいたもちにもなりかねないわけでありまして、地図の整備ということは基本的な問題であり、しかも緊急を要する問題であることは当然であります。したがいまして、国土調査法による地籍図の作製を拡大していただくと同時に、法務局としても自前でさような事業が行われない地域について十七条の地図の整備をできる限り早急に、しかも拡大してやっていかなきゃならないというふうに考えておるわけでありますけれども、御承知のとおりこの地図の整備というのは、物すごく金を食う仕事でございまして、したがって、現在の財政事情のもとでは、なかなか思うに任せないということは、もうはっきり申し上げざるを得ないわけでありますが、財政当局の理解も得まして、これを少しでも拡大していくということで努力してまいりたいと、かように考えております。
#49
○宮崎正義君 法務大臣、財政、財政って、何回もいまの御答弁の中に局長が苦しい叫びを上げているわけですが、この点につきましては、これはいま始まったわけじゃないわけです。これはもう先ほども御答弁がありましたように、国土調査法の問題ができてから、ずっと今日に及んできているわけですから、そっちの方にボールを投げられているとすれば、これは建設省の方をごんごんやらなきゃならぬ。国土庁の方もやらなきゃならないでしょう。また、建設省の方の関係もあるでありましょうし、こういうところの折衝なんかの問題もあるでありましょうし、法務省としてはあくまでもこの整備をしませんと、どれほど実地に当たっている調査士の人たちが苦しんでいるかということ。それと同時に、国民側の方も、北海道の場合やあるいは東北、あるいは沖繩の方には、まだ基準点というものが非常に不明確な点が非常に多いわけです。こういった点から考えていきましても、予算の処置ができればやれるんだというような話にも私は受けとれるわけであります。恐らく人的なこともあるでありましょうけれども。これは所管大臣として、大蔵大臣に予算をたっぷりとるようにことしの折衝に当たっては思い切ったひとつ行き方を主張していただきたいと思います。この点を要請しておきますが、いかがですか。
#50
○国務大臣(古井喜實君) 法務省は、予算は御案内のとおりで、人件費が中心みたいな予算でありまして、総額で三千億ぐらいなもので、生活保護費の国の出しておる金よりも少ないぐらいな金額でありまして、はなはだ予算は貧弱な役所であります。人間とペンとがあればできるだろうというようなわけでおるわけで、事業を持っておらぬものですから、事業につながって予算がどんどんふえていくところもあるんですね。まあ、それで弱いというか、ちょっと人件費だけふえるようでやりにくいところはありますけれども、それでもそれなりにだんだん事情もわかってくれて、財務当局も同情をしてくれると、こういう状況でもありますので、この次の予算のときには、この問題のみならず、他にももう少し予算をふやさなきゃいかぬと思うものもありますし、せいぜいひとつそこらを踏まえて、努力をしてやってみたいと、そう思っております。
#51
○宮崎正義君 人間とペンだけだというお話でございますが、私は事業がなければ予算がとれないというのは、これは違うと思うんです。人間があって初めてペンがとれるんであって、人間があってすべての事業ができるわけです。その人間が基調なんですから、人間を中心にしてすべてをやっていくということから考えれば、ここに重点的に、ペンが動いていって予算がどんどんとれるという考え方は人間がしなきゃならないわけですから、どうかひとつ人間中心主義のお考えをもっと強力にして、しかもこの十七条の地図の問題は一つの事業体として考えていっても私はいいんじゃないかと思うんです。これをやらせるためには、相当な予算が必要です。それを今度は予算が必要であれば、これをやらせるために調査士なんかも、あるいは地理院なんかも総動員をして、日本の地勢図の拡大というものを徹底的にやるときがもうとっくに来ているのに、いまだにやっていないというのは、これは事業化しても私はいいと思うんですが、いかがですか。
#52
○国務大臣(古井喜實君) その辺はよく研究してみたいと思いますが、さっき申し上げたように、いままでのことでありまして、橋をかけるでござるとか、飛行機を買うでござるとか、こういうことになりますと、ごそっと予算ができて、それに人間の予算もついてくるというようなことになるんで、どうも弱いところがあるんですが、まあせいぜいひとつやってみたいと思います。
#53
○宮崎正義君 弱いところは絶対にありませんので、どうかひとつその点強力に予算措置をして、体制が整わなかったら、これお困りになるのは、法務省が困るわけなんです。法務大臣がお困りになる。国民が一番困るわけです。それを一つ念頭に置かれまして、弱い立場じゃなくて、強い立場でひとつよろしくこの点は強力に予算要請をしてやっていただきたいことを要請しておきたいと思います。
 それから、次には特認制度のことでございますけれども、特認制度のことにつきましては、寺田委員からるるお話がございました。そこで私は角度を変えまして、司法書士会のときにも、補助者ということについて私は相当強力に局長に要請をいたしました。今回もこの補助者の問題につきましては、私は私なりの考えがあるんでございますが、これは全く国民の立場の上から申し上げるわけですが、補助者の特認制度ということも相当考えていっていいんじゃないかというふうに私は思うのです。と申し上げますのは、私が仮に調査士であって一戸を構えております。若い人たちが、その補助者がいるわけです。しかも補助者は法務局長がこれは認可をしているわけですね。認可といいますか、任命しているといいますか、そういう立場で私のところに認可されている補助者がいるわけです。私はだんだんごらんのように年とってきますと、その調査しましたものが、二十年前のこと、あるいは三十年前のこと、十年前のこと、歴史はその調査した案件についてぴしっと保存されてあるはずです。私が死にました。その今度後でいろいろな諸問題が起きたときに、裁判上の問題が起きたときに必ずその調査をした案件というものが引っ張り出されるわけです。そのときに、私は死んでしまった。後がいない。その時分に一緒になって苦労したその補助者というものが一生懸命やった。私が死ぬときには、それが二十年くらいたっている。二十五年ぐらいたっている。相当な知識がある。試験を受けた。何回も受けた。だめだ。実力はそれはもう申し分ないほど持っている。こういう補助者に対するやっぱり跡継ぎということは、後継者といいますか、とにかくそういう国民の財産をきちっと法の位置に位置づけたものを保存している、その立場の補助者として、調査士が死んだ場合、私なら私が死んだ場合に、その人たちが何ら恩典を与えられてないというようなこと、これは報酬の問題につきましても、ずいぶん問題があるんです。補助者の方々の問題、もう調査士の方は精いっぱい、目いっぱいにいま給料を与えようとしているわけです。限定された枠の中でやっているわけですから、相当な苦労をなさっているわけです。その中で一生懸命に、十年、十五年、二十年として、その実績を積み上げてきているという、そういう方々にもやはり私は、今回の特認という制度を設けた以上、補助者に対する考え方も、連合会あたりの、連合会会長の何年間表彰、二十年間表彰とか二十五年間表彰とかというような方々の表彰制度があるかどうか私は知りませんけれども、きょう参考人の方が見えますのでそういう点も聞いてみますけれども、そういう方がやはり司法書士の補助者と同じような考え方をしてあげるのが民事局長の言われる車の両輪のお考えになるんじゃなかろうかと私は思うんですが、いかがでございますか。
#54
○政府委員(香川保一君) おっしゃるとおり、司法書士、土地家屋調査士の補助者の処遇の問題といたしまして、お説のとおり、私はやはり特認制度をそこまで拡充すべきだというふうに考えるわけでございます。
 補助者の処遇、これは私どもが口を差しはさむべき問題ではないかもしれませんけれども、司法書士、土地家屋調査士がそれぞれ雇用しておられるその待遇というものは、必ずしも十分でないんじゃないかというふうに見ておるわけでございまして、そういった補助者としての待遇の改善のみならず、やはり将来の希望を持つ意味での特認制度はぜひ考えるべき問題だというふうに私は認識いたしておるつもりでございます。ただ、遺憾ながら両連合会、特に司法書士連合会におきましては、この補助者の制度を外せと、つまり、現在地方法務局の長が承認ということでやっておるわけでございますが、これをも撤廃しろというふうな強い御要望があるわけでございます。どうしても特認制度を設けるといたしますと、法律にその補助者が顔を出さなければこれはいかんとも規定しがたいわけでございまして、したがって、法律にそういった補助者の制度を公認いたしまして、そしてそれに特認制度を認めるというふうな方向に持っていくべきだろうと思うのでありますが、補助者制度そのものについて、現在の法務局長の省令による承認制度というものも反対だと、むしろそういうものは個々の司法書士、調査士が独自に考えて雇えばいいんだと、あるいは百歩譲って、各単位会で承認するというふうなことでいいんだと、こういうふうな意見が非常に強く出ておりまして、遺憾ながら、法律に顔を出す、持ち上げるというところまでにとうていいかない現状なんであります。
 ただしかし、何とか彼らの処遇の面のみならず、おっしゃるように、やはりそれぞれの調査士の仕事には土地との密接な関係がある、歴史があるわけでございますから、そういうものを維持する意味から申しましても、後継者というふうな意味から特認制度を考える必要はあろうというふうに考えておるわけであります。この点は今後とも調査士連合会あるいは司法書士連合会ともよく協議いたしまして、先ほど申しましたけれども、彼らの理解を得た上でさような措置を考えてみたい、かように考えておるわけでございます。
#55
○宮崎正義君 お話はわかりましたけれども、これは昭和五十四年四月十三日、日本土地家屋調査士会連合会会長多田光吉という方から、副会長とか常任理事とか理事とか監事とか、そういう「土地家屋調査士法の一部改正についての附帯要望事項等について」というものを出しております。その別紙の中にこういう意見も明らかに出ているわけですが、
  試験制度改善について、左記事項を検討し、土地家屋調査士の資質の向上を図ること。
  1 調査に関する試験の実施
  2 口頭および実技試験の導入
  3 法第五条ただし書中「調査」の削除
  4 試験時間の延長および内容の充実
  5 補助者の実務経験を配慮した受験資格の設定
 こんなふうなことが出ているわけでありますがこのことにつきまして民事局長の方に送られているわけでありますね。そうしましたら、民事局長の方からは四月十一日に、「法務省民事局長」、「日本土地家屋調査士会連合会長殿」として、一部改正についての回答というふうにあれが出ておりますが、これを見ますと、
  別紙第一の附則を付すること、別紙第二の運用基準によるものとすることについては、異存がありません。
  別紙第三の要望事項については、要望の趣旨に沿いその実現に努力をいたします。
  なお、別紙四については、そのような意見があったことを十分に考慮いたします。
 という御返事を出されているのは御存じでございますね。
 そうしますと、こういう面も御存じの上で、いまの私に御答弁なさったのは、これを踏まえての御答弁なんですか。
#56
○政府委員(香川保一君) そのとおりでございます。
#57
○宮崎正義君 そうですが。そうであれば私は、連合会の方もこの補助者については相当な要請があるというふうに見る以外に私はないと思うのです。しかも、北海道の方では決議文まで出して、この補助者に対する考え方というものを真剣に取り上げてもらいたいということまで出しておるのを私は拝聞しているわけです。
 いずれにしましても、そういう意味で補助者というものに対する考え方というものを煮詰めて、連合会の方とも、そのほかの関係の方々の中においてもお話し合いをして進めていっていただきたいというふうに思いますが、重ねて御意見を伺っておきたいと思います。
#58
○政府委員(香川保一君) この問題について今後とも土地家屋調査士連合会と協議を続けてまいりたいと、何とか実るように努力いたしたいというふうに考えております。
#59
○宮崎正義君 もう一つ、民事局長は御存じだと思いますが、室蘭工業大学の課程の中に、立地工学科目の開設についてというお話を伺ったことがございましょうか。
#60
○政府委員(香川保一君) たしか札幌の調査士をやっておられる方から、その問題について、こういうふうにやって調査士制度の充実発展に若干でも貢献したいんだというふうなことでいろいろお伺いしたことがございます。
#61
○宮崎正義君 文部省の方に、この件につきまして知っておられることを御説明願いたいと思います。
#62
○説明員(福田昭昌君) 室蘭工業大学の開発工学科におきまして、従来教育課程があるわけでございますが、このたびその改正をいたしまして、五十四年度の新入生からでございますが、専門に入りますのはもう少し先になると思いますけれども、五十四年度新入生から、新たに選択科目としまして、土地家屋調査法とかあるいは測量法等の授業科目を取り入れるというふうに承知いたしております。
#63
○宮崎正義君 細かい内容の中身は、私は担当者じゃございませんからわかりませんけれども、いまお話しのございました五十四年の一般教養、それから五十五年から専門科目が入って、私の聞いているところでは、五十七年ごろまで何か十名ぐらいとって、そうしてさらには、五十七年から五十九年に研究生、修士課程等をやって、そうしてその五名の中から二名ぐらいを教師の方に残して、そうして調査士会の方に試験を受けさして、そうして少しでも調査士に対する不足数を補っていきたいというような考え方じゃなかろうかと、こう私は思うわけですが、こういう点なんかについて何か聞いておられますか。
#64
○説明員(福田昭昌君) 開発工学科と申しますのは、いわば開発関連の工学的な技術者の養成をする学科ということでございますが、したがって、定員としては、開発工学科としては何十人という設定になっておりまして、そしてその中で授業を受ける場合にカリキュラムを組みまして、そのカリキュラムの中心は開発工学科でございますので、やはり技術を身につけるというのが目的でそういう授業が中心になっておるわけでございますが、この大学の場合には、その地域の実態なりあるいは卒業生の動向なりいろいろ教育課程を工夫、改善していくという観点から、そういう技術者もこれからはこういう土地家屋あるいは測量法その他の関連の法規というものについても通暁しておくことが技術者としても望ましいのではないかという考え方で、まずは選択科目としてその授業を受けられるように開設をしたということであろうと思います。
 そこで、開発工学科の教育そのものが土地家屋調査士を養成することを目的としているわけではなくて、そういう関連法規についても技術者として十分身につけることが社会に出た場合に役に立つではないかということが大きな趣旨であろうと思いますが、そういう授業科目を設けることによって、それを通じてある特定の学生が特にそちらの方に進出していくとかいうことは、当然これは出てくることであろうと思います。
#65
○宮崎正義君 民事局長、これは始めたばかりらしいんですが、これから先の問題だと思うんですが、その中身を御研究していただいて、やはりそういう特殊な実地測量から、法律の面から、科目も全部煮詰めていっているようでございます。ですから、これが何年後かわかりませんけれども、そういうふうな科目を設けてやっていこうという行き方というのは新しい行き方じゃなかろうかと思うわけです。というのは、北海道というのは御案内のように、課長時代をよく御存じの局長は、北海道はまだ本当にこれからが大変な――基準点なんかも先ほど言いましたように不明確な点がいっぱいある。そういうようなことで、これからが大変な仕事の分量が重なって多いところであるということは、そういうような面からいろんな不便を感じ、いろんな問題を聞くのでこういうふうな科目ができたんじゃなかろうかというふうに私は推測するわけですが、これは私が間違っているかどうかわかりませんけれども、いずれにしましても、こうして何とかしてやっていこうという考え方というもの、こうなりますと、学問的にやはり国家試験というものを受けさせるために試験制度のあり方というものもやはり一応将来は考えてやってはどうかなというふうに私は思うんですが、いかがでございましょうか。
#66
○政府委員(香川保一君) この大学は、科目から考えまして、恐らく測量法では、当然文部大臣の認定した大学の課程を終えたということになりますれば測量士となる資格を付与されると思うのであります。そうなりますと、土地家屋調査士法のところでは調査、測量に関する試験は当然免除されておりますので、登記の申請手続に関する試験だけ受ければ調査士となれるということになるわけでございます。さらにそれを進んで、当然、土地家屋調査士の資格を与えるということにするには、これは土地家屋調査士法の改正が必要になってまいると思いますけれども、私の感じでは、できればそういう大学を卒業した方に、先ほど寺田委員の御質問で申し上げましたように、表示登記専門官というふうな官職も設けておりますので、できれば、いきなり調査士になるよりは、法務局に来ていただいて、そして登記の手続も十分やっていただくというふうなことになりますれば、法務局の足らざるところもきわめて有力なその充実策として活用できるんではないか、そういうふうなことも欲張って考えておりますが、いずれにしても、そういう大学における実績と申しますか、そういうものを十分見た上で、必要があれば所要の措置をとりたい、かように考えておるわけでございます。
#67
○宮崎正義君 文部省の方結構でございます。御苦労さまでした。
 報酬の改正について先ほど寺田委員の方からお話がございましたが、私は少し中へ入ってお伺いをしたいと思うんです。
 北海道というところは本州と違いまして半年はほとんどだめなんです。函館の方にも調査士会というのがございますけれども、区に分けて札幌とか釧路とか函館とか、そういうふうに分かれてございますけれども、全体を通じて六カ月間というものはなかなか作業できない。そういったようなことから考えまして、しかも一筆一括というふうなこの報酬制度というもの、これは私、司法書士の報酬のときにも申し上げました。確かに報酬額を上げれば国民がそれだけ負担するということはわかります。わかりますけれども、平板に書く一筆と、それこそ一筆の中には算定数値を出すのに相当かかるのがあるわけです。いろんな私は例をいっぱいきょうは持ってきているので、ゆっくりこれを一つずつ説明しながら、また聞いていただきながら、また教わりながら質問をいたしたいと思っております。
 先ほども申し上げましたように、現在の地図と現場は合ってないわけなんです。したがいまして相当な苦労をするわけです。一筆幾らということ、その一筆の中には相当ふくそうした数値の計算を出さなきゃできないのがいっぱいあるわけなんです。これは事例を持ってきている。これはごく少ない方を持ってきている。ひどい話しますと、一筆の中に十万単位というのがあるんです。それを今度は細かく計算した上で一筆として出すわけですから、そういうようなことを考えますと相当に算定数値というものは複雑だと思うんです。したがいまして、司法書士会の方の算定の基準のやつは相当複雑で、一目見てわからないというような御答弁が先ほどありましたけれども、複雑であるがゆえにわからないんじゃないかと私は思うわけなんです。相当苦労されてこの問題を出されていると私は思うんですよ、算定基準というものはですね。
 そういうふうなことから考えていきまして、何とかしてこの問題については、北海道は北海道としての行き方というものも一応考慮に入れていただくことが幸いじゃないかと私は思うんですが、御意見を伺っておきたいと思います。
#68
○政府委員(香川保一君) まだ、調査士連合会とのいろいろ報酬問題についての協議の中で、北海道の特殊性による北海道料金といいますか、そういうもののあれは提示されていないと思いますけれども、確かにおっしゃるような面があるわけでありまして、かつて昭和三十年代におきましてはそういった要望がありまして、報酬規定の中にいわば北海道特有の加算額が規定されておった時代もあるわけであります。それがその後いろいろ検討された結果、今日では全国一律になっておりまして、加算額を認める規定がなくなっておりますが、これは土地家屋調査士連合会とも協議いたしまして、北海道の特殊事情をどの程度今後の報酬規定にくみ上げていくかということを十分検討したいと、かように考えます。
#69
○宮崎正義君 私もっと現場へ自分で行ってみて調べた問題を取り上げて、その基準点の問題とかあるいは調査士の出している基準の計算の方法なんというのも実際に当たってみて大変だなということをしみじみ感じたからいまの問題を提起したわけですが、いずれにいたしましてもそういう面を通して、やはりいま御答弁がありましたように、連合会との話し合いという中に報酬等の問題も煮詰めていっていただきたいということを要請しておきます。
 次には、公共嘱託の登記連合委員会の問題につきまして御所見を伺っておきたいんですが、衆議院における質疑、答弁の内容等、私は拝見さしていただきましたのですが、この委員会の法人としての格づけをどうしていくかという問題について論議をされておりますけれども、改めてお伺いをいたしたいと思うんですが、「公嘱連だより」というのを御存じでございますね。ずっとお読みいただいているわけでしょうか、これらもあわせながら御答弁願いたいと思います。
#70
○政府委員(香川保一君) 関接には三課の方から内容を聞いておりますが、手に取って読んだことはございません。
#71
○宮崎正義君 前段の法人格づけに対する所見というものを改めてお伺いしたい。
#72
○政府委員(香川保一君) いわゆる公共嘱託の円滑な推進という問題としていろいろ連合会と私どもの方で協議をしておるんでございますが、私はやはり大事な仕事を委託する以上は、相手が十分その責任の所在が明らかである、そういったものでないとうまくいかぬだろうと、現在のような個々の調査士が集まった集合体といいますか、そういうものが当事者相手になるというのでは責任の所在がぼやけますので、なかなか委託をする側としてはちゅうちょする面があるということが一つ考えられる。その面から調査士法あるいは司法書士法の中にそういった公共登記の嘱託を受ける人格として一種の法人を認めることはどうだろうかというふうに考えておるわけであります。もう一つは、これは御承知のとおり、現在公共嘱託というのは国の機関あるいは地方公共団体等が主たるものでございますが、そういった国なり地方公共団体が登記を嘱託する場合の手続をやるものとして、そういった役所に勤めておった古い職員、やめた方を嘱託にしてそういう事務をやらしているというところが非常に多いわけであります。これを土地家屋調査士なりあるいは司法書士が受託するということになりますと、現実の問題としてそういう職員の処遇をどうするかという問題も当然あるわけでありまして、これは人様のことでございますけれども、そういった現実のやはり実態というものを十分考えませんと、なかなか相手のあることでございますのでうまくいかない。それやこれや考えますと、やはり一つの受託法人というものをつくって、その中へ現在嘱託でおる国なり地方公共団体の古いやめた職員を吸収するということも考えなきゃならぬというふうに思うわけであります。それと同時に、根本的にはどうしても土地家屋調査士あるいは司法書士間の連帯感と申しますか、どうしても一種の商売でございますので、この面での競争が激化するあるいは独占的になるというふうなことになっては、これは全体としてマイナスになるわけでございますので、言葉は悪いかもしれませんが、会員全体が潤うような、それだけ事件数がふえるようなことを連帯感のもとでみんなが協力してやっていくというふうな、そういう意識が何よりも基本的に大事だというふうに思っておるわけでありまして、そういったことを十分配慮しながら、とにかく問題が提起されてから相当の日時を経過しておりますので、今後精力的に連合会とこの問題を詰めまして、何らかの抜本的な万策をできるだけ早く整備して実施したいというふうに考えておるわけであります。ただ、いま申しましたような問題どれを取りましても、なかなか連合会の方にもいろいろの考え方があるようでございまして、どういう案がいいかということを、率直に申しまして、まだ十分煮詰まっていない感じがいたしております。それと同時に、問題がやってみなきゃわからぬ面もあるわけでございますので、今回の法改正を機会に、少し各単位会でそういった受託のあっせんをするということを会の目的の中にはっきりさせまして、そしていわば会があっせん役をしてそれぞれの地域ごとに所要の数の司法書士なり調査士に事件を配分するというふうなことから始めていってはどうだろうかというふうなことで、ただいま報酬規程の問題と一緒に各単位会の会則変更の手続を経て、そういった会の事業目的として受託のあっせんということを入れることにして試験的にやってみたいというふうに考えておるわけでございます。
#73
○宮崎正義君 現実には連合会の方から受託団の方に行ってるんじゃございませんか。
#74
○政府委員(香川保一君) これは実際現在の土地家屋調査士法で申しますと、その連合会なりあるいは単位会の設立目的から申しまして、さようなことをやっていいかどうかという点、法律的にはちょっと疑問があるわけでございます。それと同時に、やはり法務大臣の認可を経た会則の中にそういうことが明記されておりますと、相手の方もやはりそれなりの権威といいますか、それをくみ取ってもらって円滑にいく面も出てくるだろうというふうなことで、会則に明記するということを、先ほど申しましたように、手始めとしてやっていきたいと、かように考えておるわけでございます。
#75
○宮崎正義君 連合会のこの委員会ですね、公共嘱託登記連合会委員会、委員長さんなんかと会合なさったことございますか。
#76
○政府委員(香川保一君) 私どもの担当課の民事局第三課とはその問題、常時協議しておるわけでありますが、私も機会があればいろいろ考えを申し述べて協議しておるつもりでおります。
#77
○宮崎正義君 これは、御答弁ありましたように、相当前からの懸案でございますので、やはり本案のスタートと同じように進めていっていただくことが何よりだと思うわけですが、いずれにしましても、衆議院における問題あるいは私どもも取り組んでいる連合会の取り組み方、真剣にやっているようでございますので、そういう面からも考えて一応の格づけというものについてのあり方というものの意見をいま伺ったわけですが、ともあれ、いずれにいたしましても調査士会の方の連合会、その連合会の方ともこの法案を上程なさるまでどれぐらいの会合をなさってきたかというようなことを伺っておきたいのですが。
#78
○政府委員(香川保一君) この問題で連合会の執行部、これは全員そろっているときもございますし、会長、副全長のときもございますが、ちょっと回数を覚えていないほど私は話し合いをしたつもりでおります。
#79
○宮崎正義君 まだ質問がございますが、十二時四分までが私の持ち時間だそうでございますので、また後日に譲りまして、もし機会を与えてもらえれば次に質問を譲りたいと思いますが、一つだけお伺いをしておきたいのです。
 第三条の一、二とあります。二のところの「法務局又は地方法務局において不動産の表示に関する登記の事務に従事した期間が通算して十年以上になる者であつて、法務大臣が調査士の業務を行うのに必要な知識及び技能を有すると認めたもの」、この点と、附則の四項の、先ほどお話がありました「法務大臣は、当分の間、改正後の土地家屋調査士法第三条第二号に規定する認定のため必要があるときは、」という、この「必要」ということはどういうふうな兼ね合いが、この資格の三条のところと附則の四項のところの「必要があるとき」というのとどういうふうな意味があるのでしょうか。これだけ伺っておきたいと思います。
#80
○政府委員(香川保一君) 先ほど申しましたように、現在、職員を測量専門学校に派遣いたしまして半年の教育を受けてきておるわけであります。こういう人たちは、本来いわば現在の土地家屋調査士よりは、一般の試験を受けてなられた方よりは、私は調査測量の知識なり技能面ではまさるとも劣らぬと思っておるわけであります。そういう人たちについてまで事改めてまた調査測量の試験をやらなきゃならぬということはなかろうと。それ以外のそういった専門学校の過程を経てきていない職員で十年間表示に関する登記事務に従事した職員がこの資格の認定をしてもらいたいということになりました場合には、これはやはり附則四項の試験をすべきものというふうに考えておるわけであります。だから「必要があるとき」というのはそういう場合でございまして、逆に測量専門学校を卒業して表示登記専門官になってきたような職員については附則四項での必要がないというふうに大臣は認定されるだろう、かように考えておるわけであります。
#81
○委員長(峯山昭範君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四分開会
#82
○委員長(峯山昭範君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、土地家屋調査士法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
#83
○橋本敦君 今回の法案につきまして、他の委員のいろいろな御質問もあり、かなり重複をするところもあるのですが、お許しをいただきまして私からも質問をさせていただきたいと思います。
 提案理由説明、これを拝見いたしますと、一つには、今回の法改正案の主眼が「土地家屋調査士の資格に関する制度を合理化する」、そしてその「職責業務等に関する規定を整備しようとするもの」である、こういう御説明がございます。私は、この法案が今回こういう形で出た主眼のもう一つ大事な問題は、土地家屋調査士会の社会的な地位、あるいはそれぞれの調査士の皆さんの社会的な責任、それに伴う地位の向上、そして同時に会自体として自主性、自律権を持って法務省との協議連絡の上で公的な業務を大きく推進していくという、そういう近代的な方向というのは示唆されるであろうと、こう思っておるのですが、その点がこの提案理由説明では、説明という形では出ていないのですね。ここらあたり民事局長のお考えはいかがでございましょう。
#84
○政府委員(香川保一君) さような方向づけは、提案理由説明にも会の自主的運営というふうなことで出ておると考えておるのでありますが、おっしゃるとおりの考え方で私どももこの法案のみならず、今後のこの制度の運用に取り組んでまいりたいと考えております。
 今度の法案で、さような意味での主な改正点を申し上げますと、まず第一に、会の自主性と申しますか、これは業務の改善あるいは会員の品位の向上、あるいは各単位会としての制度の改善のための関係当局との折衝といういろいろの問題があるわけでございまして、そういう意味の根本的なあれは、何と申しましても会自身が会員を十分把握するということが大事でございます。さような意味で、調査士となる資格を有する者がいわゆる調査士となるための登録をする場合に、会を経由してする。その際、調査士会から見て、これはどうも調査士としてはちょっと困るというふうなことがあれば、その登録について法務局の方に意見を述べるというふうなことも規定しておるわけでございますし、さらに連合会といたしましても、いろいろの制度の改善等につきまして法務大臣に建議権を正式に認めておるわけであります。それから、会の一つの自主的な綱紀粛正と申しますか、さような観点から、非違を犯すおそれのある会員に対しては会自身がその是正の勧告をする、指導するというふうなことを会の一つの機能として成文化して認めておる。
 さような方向にもわかりますように、できるだけ自主性を尊重いたしまして、みんなの力で個々の会員のみならず制度全体をよくしていくというふうな方向づけをぜひともやらなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
    ―――――――――――――
#85
○委員長(峯山昭範君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま内藤誉三郎君が委員を辞任され、その補次として降矢敬雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#86
○橋本敦君 いまの御趣旨はそれ自体改正案の中に具体的に出ておりますので御答弁としてもよくわかりますが、今度の改正案の第一条の文言そのもので、最後のところで「不動産に係る国民の権利の明確化に寄与することを目的とする。」と、こう規定してあります。私はこの規定が非常に大事な規定だというように認識をいたしておるのですが、不動産に係る表示登記あるいは調査、こういった問題はそれぞれの国民の私的所有権にかかわる大事な権利関係ということだけでなくて、社会的にそれが競合いたします。国、地方公共団体の所有権との問題も出てまいります。そして議論されておりますように、わが国の全体の地図の整備という大きな将来の展望もあります。だからしたがって、土地家屋調査士の皆さんがおやりになる仕事というのは、国民の権利の明確化に寄与するというまさにそのことであるだけに、その職務の公共的性質と言いますか、公的性格と言いますか、それが一つは重視をされねばならぬと、こう思いますが、いかがでしょうか。
#87
○政府委員(香川保一君) そのとおりでございまして、本来は登記制度というものによりまして、国民の不動産に対する権利関係を明確にするということでございますが、何と申しましても、所有権の問題一つ取り上げましても、境界紛争があるというふうなことではこれは権利の保全にはほど遠いわけでございまして、さような意味の、物自体を明確化するという意味で、調査土の業務はまさにさような面での重要性を持っておるわけでありまして、このことはまさに公共性のある公的ないわば職業といいますか、さようなものと理解いたしておるわけであります。
#88
○橋本敦君 その第一条が、基本的に現行の第一条と比べまして、改正案ではそういう趣旨が非常に大きく打ち出されてきている。
 そこで、こういう土地家屋調査士の皆さんの大事な公共的な職責、そして、国民の権利にかかわる重要な仕事をなさるという、こういう職責にふさわしい土地家屋調査士の仕事のこれからの発展、あるいは社会的地位の向上、そしてまた、会自体としての運営と、こういうことを展望していきますと、幾つかの問題点が、やっぱり検討しておかなきゃならぬのじゃないかと思われる点があると思うのです。
 その第一は、私は社会的地位の向上、そして公共的責務を持つ土地家屋調査士の皆さんの仕事、これを進めていく上で、ここに書いていますように、品位の保持とか、公正、誠実さとか、こうありますが、そういうことの基礎になるのは、一つはやっぱりその重責に似合う、社会的地位に似合う報酬が得られるということが確保されなくちゃならない。そして、土地家屋調査士会自体の自主性、自律性という問題も、そういう面から仕事の職域、領域の拡大、これがやっぱり会としても努力なさるでしょうし、法務省としてもその点に注意を向けて援助をしていかなきゃならぬ問題がある。そういう面を考えてみますと、まず第一に、当委員会でも問題になりましたが、報酬が法務大臣の認可ということで、一応法務大臣の監督下に置かれているわけですが、このいま法が期待するような、そういう将来の展望に立てば、報酬というのはどういう定め方、どういう程度が妥当であるか、法務省としての御見解があればお聞かせいただきたいのです。
#89
○政府委員(香川保一君) けさほども申し上げましたように、やはり仕事自身が公的なものであるということから、その報酬の問題もやはり公的性格はぬぐえないわけでございまして、一方では、公的な業務であることから、その業務の運用がりっぱでなきゃならないという面での、それに対する評価という問題、これは報酬を十分ならしめるという要因として働くわけであります。他方は、国民にそういった登記の申請義務を課しておる、それをいわばかわってやるという、そういった公的な面を考えますと、やはり国民の負担が過重にならないようにというふうなことも当然配慮しなきゃならない、いわばこれは二律背反的な面があるわけでございます。さような意味から、現在法務大臣の認可制ということになっておるんだと理解いたしておるわけであります。で、今日までの報酬規程、これは長年これでやってまいったわけでございますけれども、さような意味の業務の実態と申しますか、しかも、力点の置きどころという面でいろいろ検討いたしますと、確かに十分だということは私どもも考えていないわけであります。調査士会連合会の方で御指摘がありますような、調査の面をいま少しく重視すべきじゃないかというのももっともなことだと思うのであります。ただ、いろいろの角度から検討しなきゃならぬわけでございますが、それと同時に、けさほども申しましたように、一覧性ということがやはり必要だろうと思うんであります。この辺のところの兼ね合いとしまして、実はまことに恐縮でございますけれども、私どもとして、これなら大丈夫という腹案を現在まだ持ち合わしていないわけでありまして、いろいろこれから連合会と協議して、おっしゃるような方向での、りっぱな報酬規程をつくっていかなきゃならぬというふうには考えておるわけでありますけれども、ただ、今日の報酬におきましてもいろいろ、これは報酬規程に違反して多く取った場合は当然でございますけれども、そうでなくても、やはり国民の側からは、ちょっとした分筆を頼むと相当高額の費用を負担しなきゃならぬという意味で、私どもに苦情という形で相当参っておるわけでございます。で、これはやはり、こういう精神労働と申しますか、知識、技能というふうなものを使っての労働に対する日本人の評価というのが必ずしも十分でないと、何か目に見えたものをもらわないと金を出す気にならぬというふうな、そういった面があるかと思うんでありますが、やはりそういうこともしかし、現実の問題としては国民がどう受けとめておるかということを十分配慮しなきゃならない面がございますので、それには調査士として、専門家のこういう人に頼んでやってもらった結果が、やはり相当金かかってもよかったというふうな、まあそういう評価を受けるような業務の運用ぶりというものが何といっても大事だと思うのでありまして、そういうものもあわせて考えながら、この報酬体系をぜひとも早急にひとつりっぱなものに仕上げていきたいと、かように考えておるわけでございます。
#90
○橋本敦君 局長がおっしゃったように二律背反的な要素がないわけじゃないことは私も認めるのですが、しかしながら、この何といいますか、仕事が、たとえば司法書士さんの仕事と比べてみますと、まあ権利関係の登記は形式審査主義ですが、表示登記は実質的審査というのが一応原則になってる。ということは、これはやっぱり何といってもしっかりした土地家屋調査士の皆さんにお仕事をしていただいて、そして、そのことでやっぱり権利関係というものを明確にしていくという、そういう非常に重大な任務が一方にあり、一方法務局はたてまえとして実質審査主義をとって過ちなきを期する、まあこうなっているわけですね。それと同時に、この測量という仕事は、私も伺ってみますと、器械を買うにも何十万というかなりな高額な費用が要るようですし、補助者がなくては測量もできないというような状況もございまして、それからさらに、一件の調査をいたします間にこれは時間がかかりますから――司法書士さんのデスクワークですと何十件と処理できるでしょうけれども、調査士の皆さんでは一件の処理にずいぶん時間がかかる。で、国民の側から見ますと、なるほど負担はありますけれども、自分の財産の権利を明確にするという、言ってみれば財産保全上の当然の経費という考え方に立つ必要もこれあるわけですね。そういう点から考えまして、今後の土地家屋調査士会の皆さんが考えていらっしゃる日本での合理的な制度を大きく発展させるためには、国民の理解を得る努力をした上で一局長がいまおっしゃったように、合理的な報酬基準というものをつくっていく必要がある、これはもう言うまでもないと思います。
 そこで私は、ひとつ局長にお願いしたいのですが、法務省自身が、この土地家屋調査士会の皆さんのお仕事がこういう意味で公共的な重大なものであり、同時に国民にとっても大事なものであるという点で、国民の側からはあなたがおっしゃったように、ちょっと価額が高いので困るというクレームがあるというお話ですが、積極的に法務省自身が連合会と協力をして、国民に対してこの仕事の重さ、必要性、そういったことも折に触れてPRをなさるという努力も法務省としておやりいただいていいのじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。
#91
○政府委員(香川保一君) お説のとおりでありまして、土地家屋調査士制度あるいはその仕事が国民にどういうかかわり合いを持つかということを含めまして、もっとPRをしなきゃならぬというふうに考えておるわけでございますが、そういうPRをするかたわら、私としては何といっても現在の報酬が調査士の方から見て安きに失するというのは、まあ、けさほど問題になりましたように、登記所の方でしっかりした十七条地図が整備されておれば大分違うわけであります。つまり、それも含めまして、役所側のその仕事の運営ぶりが法が所期しているような形になっておりますれば、ずいぶんと調査士の方の仕事も違ってくるだろうというふうに思うんでありまして、それが先決だろうと。したがって、そちらの面で、これはまあ私どもだけではなかなかできない面もございますし、今後調査士制度もその一翼を担ってもらうものという意味で、あわせて連合会とも協議を続けていきたいと思っておりますが、それをやって、そして、そういうふうになってまいりますれば、国民から見た目も大分違ってくるだろうというふうに思うわけでございまして、それやこれやいろいろの形でこの制度というものをもっと充実させると、国民にもっと身近なものとして受け入れられるように持っていかなきゃならぬというふうに考えております。
#92
○橋本敦君 そこで、私が第二番目に指摘しようとした問題を局長が先にお答えになったのですが、やはり何といっても国自身の責任もあるわけで、十七条地図の整備ということをいま局長がおっしゃいましたように、同僚委員からも指摘されておりますが、本当に大事なわけですね。最近の都会の現状を見てみますと、小さな土地を実地測量するとか、あるいは筆界調査をやるということになりましても、もう必ずと言っていいほど公共的土地、用水路、下水路、道路、こういうものにひっかかってくる。ちょっと山林地域に行きますと明治以来の古い里道という問題が、一体どこにどう走っているかという問題が大きな問題になってくる。だから、そういう意味では局長がおっしゃいましたような国の責任での地図の整備ということを進めることが本当に国の義務として大事になってくるのですが、先ほども宮崎委員から御指摘もありましたけれども、果たしてそれがいつになったらどういうようにできるのだろうかという問題で、法務省というのは頭の中では御苦労なさっていますけれども、実際に手足が予算上ついていかない。この隘路をどうやって解決するかが大事ですね。
 そこでお伺いしますが、たとえば昨年なら昨年度、この地図の整備ということで実際にどれぐらいの予算をお使いになって、どれくらいのことがなされたのか、ちょっと説明をいただきたいと思います。
#93
○政府委員(香川保一君) 午前中申しましたような地図の状況なんでございますが、国土調査法による地籍図というのは、本来のたてまえとしては十七条地図として当然使える性質のものでありますが、それがなかなか思うようには進んでいないわけであります。わが法務局の自前でつくる地図も、これもなかなかいろいろの隘路がございまして思うに任せない。さような現状なものですから、何といっても、それは不正確だというそしりはございますけれども、現在ある台帳の付属地図というふうなものはやはり唯一の証拠でございますので、これを維持管理することが何といっても大事だと思うんでありまして、そういうものをいろいろ含めまして約七億ばかりの予算が現在ついておるわけでございます。この古い方の台帳付属地図の整備の関係が終わりますと、その予算を新しい地図づくりの方に向けることが容易になってくるだろうという見通しを持っておるわけでございますが、しかしこれもまだあと一、二年で済む話じゃございませんので、本当の意味の、どういうふうに計画を策定して推進していくかということを現在総合計画のもとでいろいろ議論をしておるところでございまして、ここで見通しをちょっと申し述べるだけの準備もないんでございますけれども、しかし事はまさに早急を要する問題でございますので、できるだけ早く計画を策定して、その線を強力に推進してまいりたいという考えでございますので、御理解を願いたいと思います。
#94
○橋本敦君 いま局長がおっしゃった整備の計画ですね。たとえばいまから三十年目標でやるとかあるいは二十年目標でやるとか、そしてそれをやるについて私は土地家屋調査士連合会と協力をしながらやるということで、連合会との提携という問題も能率的な処理という面から非常に大事だと思うのですね。それには予算が要ります。法務局のいまの人員だけではとてもじゃないが私はそれこそ日暮れて道遠しだと思いますし、局長がおっしゃるように悩みながら展望はなかなか開けない問題だと思うのですね。だからそういう意味で、法務省自身の責任で将来計画を早くお立てになって、それを実行していく上での予算の段取りと、それからそれについて調査士連合会に積極的に協力を要請して、そしてやっていくというこういう仕組みが打ち出されるべきではないかと思うのですが、大体そういうお考えでお進めいただけるかどうか。そして、その計画は少なくとも私はいま局長がおっしゃった古い台帳整備、台帳付属地図整備というものを早く終わるということですけれども、終わるのを待っていますと何年先かわかりませんので、計画立案というそのことだけは、もう来年でも再来年でも特別にセクションを設けて計画立案の作業にかかるという必要があるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#95
○政府委員(香川保一君) いろいろの手だてを考えておるわけでございますが、調査士制度との関連で申しますと、今日の表示登記制度を役所側が自信を持って運営するためには、恐らくは現在の人員ではこれはとうていできないことは明らかだと思うのでありまして、私の試算でも約千名ぐらいはどうしても増員がなければ無理だろうというふうに思っております。しかし、その増員がこれは御承知のとおりの事情で、とうていとにかくできない相談ということになるわけでございますので、できることならば実地調査というふうな面を役所の責任のもとで、しかるべき調査士に委託するというふうな制度をぜひとも導入したいものだというふうに考えておるわけであります。
 それと、地図づくりの面でございますが、現在すでにモデル的にやっておりますのも各調査士会の支部とか会の御協力のもとでやっておるわけでございますが、これが実際申しますと、国土調査による地籍図の作成のコストが三倍になっておるわけであります。そのことは逆に申しますと、登記所側が所期しておる十七条地図というのは、現在の国土調査法でやっておる地籍図よりももっと正確なものでなければならぬということを物語っているんだろうと思うのでありますが、ただ人の面はできるだけ調査士会の協力と申しますか、まあ調査士の先生方は一年じゅうそういった仕事があるわけでもございませんので、測量の関係を委託していろいろやっていただくというふうなことでやっていけば、役所の方の人手はそんなにふやさなくてもその面はできるだろうと。ただ問題は金でございます。その金の面を何とか打開しなきゃならぬわけでございますが、御案内のとおり現在法務局はちょうど曲がり角に来ておりまして、あれもこれも金が要るような状態になっておるわけでありまして、これは私どもの努力の足りない結果がそうなっているということかもしれませんが、したがって、できるだけ国民に密着しておる身近かなところから手当てしていかなきゃならぬというふうな、緩急軽重を勘案いたしましてやっているような状態でございまして、本格的に地図づくりに相当の金をつぎ込んでやるというのは、私は少なくともここ十年は無理だろうというふうに実は考えておるわけでございまして、しかし、そのときに一体どれくらい全国的に金が要るか、あるいはどれだけの人手が要るか、またどういう制度のものにするにはどうしたらいいかという問題、これは宅地と農地、山林と同じ制度のものという必要はないわけでございますので、そういったことのデータを十分いまのうちに集めておきたいということでモデル作業をやっておるわけでありまして、この結果をしばらく見て、そういった全国的な、本格的なと申しますか、そういう作業の計画を立てていきたい、かように考えておるわけでありますが、それには遺憾ながらあと十年ぐらいはかかるだろうというふうに見込んでおるわけでございます。
#96
○橋本敦君 おっしゃるような非常に困難な状況であることはわかりますが、しかしせっかくこの法改正ということの審議の中で非常に問題になりましたし、それから連合会の方としても要望切実なものでありますし、全体の公共的事業ということから見ても必要ですからね。私は、法務省がこれをおやりにならないと、連合会に会員の皆さんの資質の向上だとかあるいは連合会の自主性の尊重だとかあるいは報酬の面でいろいろなお考えをお述べになりましたが、妥当な報酬制度を確立する上でも、法務省の責任でやるべきことがおくれてそれがネックになるということになりますと国の責任が果たせないことですから、この点は局長おっしゃったように困難な事情はわかりますが、鋭意本当に本気になって将来展望を切り開いていただきたいということを重ねてお願いしておきたいわけです。
 それからもう一つ、この土地家屋調査士会の皆さんの仕事の領域の確保という点で、この問題はやっぱり具体的に進めてまいりませんと社会的地位の向上だとか、あるいは品位の保持といってもやっぱりうたい文句に終わりますね。そういう点で気になるのが第三番目の問題としてけさほども議論になりましたが、表示登記の公共嘱託が非常に多いという問題、いただいている資料によりましても、総件数のうちかなりのものが、つまり比率で言いますと四七%、まあこういったものが五十一年、五十二年の比率から見ましても、土地家屋調査士の取扱件数というのは非常に少ないことがわかります。大阪で聞いてみますと、全体の表示登記の中で三十数%ではないかというお話もありました。これはやっぱり職域の拡大という面からいきますと、土地家屋調査士の皆さんの表示登記取扱件数というのは本当はもっとふえなきゃならぬ。これはなぜふえないかといいますと、莫大な量が公共投資ということでやられている面がある。それからその他にもいろいろな事情があると思うのですが、ここらの事情はどういうように把握していらっしゃいますか。
#97
○政府委員(香川保一君) 率直に申しまして、地図の問題にいたしましても、表示登記の事務処理の問題におきましても、一番ざっくばらんに申し上げてそのネックは、私は国なり地方公共団体等のいわゆる公共嘱託登記がうまくいってないことということだと思うんであります。道路一つつけましても土地の買収から道路の工事というふうな表向きのそういうことはどんどん進んでいきますけれども、いわば後始末的な、あるいは日陰的なそういった登記の手続というふうなものはどうしてもなおざりにされるわけでありまして、恐らくそういった公共事業が推進されまして、形はきわめてりっぱになっておりましても、登記の面では後始末ができてないのがたくさんあるわけであります。これがやはり一つの地図の問題あるいは登記制度の民間との関係の問題にしても紛争の種になるわけでございまして、この面でやはり国なり地方公共団体のその後始末的な登記をできるだけ的確迅速にやってもらうということが何より大事だと思うんであります。そういうかかわりにおきまして、これを土地家屋調査士が請負的にやるということになりますと、専門家でございますので、事が正確迅速にできるだろうというふうに考えておるわけでありまして、その意味での調査士の公共登記嘱託の受託をする関係というのが非常に、単にその調査士の職域を広げるというだけではなくて、恐らくはかり知れない表示登記制度への貢献度が出てくるだろうというふうに私は考えておるわけであります。ただ問題は、けさほども申しましたように、各機関ごとにいろいろの内部事情がございまして――そういったことを円滑に移行させるということがどうしても必要だと思うんであります。現に嘱託という名目でその面の仕事をしておられる方、これをすっぽかすというわけにはまいらぬわけでありまして、そういうものを受け入れる器もつくりながら移行させるというふうな配慮がどうしても必要だと思うんでありまして、そういうことも含めましてこれを何とか早急に推進さしたいということで、まあ現に調査士連合会からの強い要望もございますので、早速にも協議に入って何とか早急にその道をひとつ開いていきたいと、かように考えておるわけでございます。
#98
○橋本敦君 いまの局長の御答弁の方向というのは私は非常に大事なことを的確に御答弁いただいておると思うのですね。いまこの公共嘱託登記を解決をしていくネックとしておっしゃった二つの問題点、一つは古い職員の方が嘱託ということで従事をしていらっしゃる。この嘱託という方をどうするかという問題。
 それからもう一つは、公共嘱託登記の受託委員会あるいは受託団、そういうものを連合会がつくる努力をいたしましても、けさほど議論になりましたように責任ある法人格主体を持たねばいけないのじゃないかというようなむずかしい議論、こういうものを解決しなきゃならない。だけど、この問題がいま私が指摘しましたように、土地家屋調査士の皆さんの取扱件数が全体の表示登記総件数に比べて少ないという、仕事の領域がそれだけ侵されているということになります。その侵されている相手方はどこかというと、公共団体が中心だということですから、これは国なり公共団体が責任を持って解決してあげませんと、これは連合会だけの力で解決できないわけです。そこのところに私は国の責任が重いと思うのです。だからそれは国が思い切って解決をするという具体策を一つは打ち出さなくちゃならない。一つは連合会の方が公共嘱託登記を受けるという、そういう体制をつくるということ、二つありますね。
 それで局長いかがでしょうか。その法人格を持った受託団とかあるいは受託委員会、これはなかなかむずかしいというお話がありましたけれども、たとえば簡単な例で私ども弁護士の場合で言いますと、国選弁護なんというのは、これは基本的人権にかかわる大事な仕事ですけれども、弁護士会を通して、裁判所が弁護士会に委託をされて、それで私どもがその事件を受けると、こういう仕組みになって、それでうまくいっております。だからその現にある連合会、現にある会に公共嘱託登記を委託をし、連合会の責任でそれを受けて仕事をやっていく人を連合会自体の責任で決める。それはもちろん国もしくは公共団体に通知なしには困りますけれども、了解を得られる一定の手だてをとった上でそういうシステムを思い切ってとって、連合会自体が責任を持って公共嘱託登記を会員にかわって受けて、そして個々の会員にそのことを、その仕事の量、内容、その他に応じて配分をしていくと、こういうことをやるということが私はこの連合会の自主性と権威を一層高める道にもなると考えておるのですが、そういう点のお考えはいかがでしょうか。
#99
○政府委員(香川保一君) 現行の土地家屋調査士法、司法書士法も同じでございますが、その土地家屋調査士の業務をやることができる者というのは調査士でなきゃならぬわけでございます。したがって、その連合会あるいは各県の単位調査士会がその名において調査士業務を受託し、それを遂行するというにはどうしても法律改正が要るわけでございます。そこでけさほども申しましたように、やはり連合会あるいは各単位会がそういった調査士と同じような資格を持つという、たとえばこれは御承知のとおり公認会計士について会計法人というのがあるわけでございますが、あれと同じような仕組みにするのも一つの方法かと思うんでありますが、それよりもやはり各地域ごとにそういった公共嘱託をその名で受託できる一つの法人をつくって、それが責任を持ってやるということにした方がかえってうまくいくんじゃないだろうか。と申しますのは、内輪のことをお話しして恐縮でございますけれども、実際現在でもすでに調査士の個人の方がいろいろ公共団体に働きかけて自分の仕事として受託しておられる、そういうのが相当あるわけでございます。これを横から見ておりますと、相当やはり過当競争的なこともございますし、相手が何分にも公共団体でございますから、いまわしいことになっても困るわけでございますので、まあ、それやこれやいろいろ考えますと、私は各地域ごとに所要の規模に応じた法人格を持つそういうものをつくってその責任でやっていく、そしてみんながそういった利益をと申しますか、そういうものを分かち与えるようなことでやっていければというふうに考えておるわけでございますが、この点につきまして大分前にもそういった考え方はどうだろうかということを申し上げておるんでありますけれども、まあいろいろ内部的な事情もあるようでございまして、なかなか全体的にそういう形でいった方がいいということのまだ協議ができてないわけでございまして、あるいはまた私の考え方がどこかに欠陥があるか、もっといい方法があるか、これは今後考えていかなきゃならぬことでございますが、いずれにしましても商売の面がございますのと、その相手のあることと、事柄がきわめて公共的な問題であるということ、いろいろの絡みがございまして、果たしてどのようなやり方が一番いいかということ、相当むずかしい問題だろうと思うのであります。そういうことから、一遍ひとつ現行法のもとでできるような形でやってみようというふうなことで、先ほども申しましたように、今日の会則の中に、会がいわば受託してと申しますか、受託といっては不適当でございますが、実質的にそれを受けてあっせんする、そして事務分配的に個々の調査士にそれを与えて、個々の調査士がその名においてやるというふうなことを少しやってみるかというふうなことで、今度の業務報酬規程の会則改正の関係で大臣に認可申請が出てまいりますので、その際に会がそういうあっせんをやるということを明文化するということで始めてみて、その経験に徴してさらによりよい方法を検討していこうと、かように考えておるわけでございます。
#100
○橋本敦君 いずれにしても、この問題はかなり大きな問題でございますので、会の意見も十分お聞きいただいて合理的な方法で検討してもらいたいということと、何といっても、国が国の責任で解決する問題は、局長がおっしゃった古い職員、退職した方に嘱託ということで仕事をやってもらっているその部分を思い切ってどう整理するか、この関係が国の責任でやっぱり必要ですから、この点の抜本的な検討もお願いしたいと思うのです。
 それで、今度は、先ほども御説明ありましたが、土地家屋調査士会の自主性なり権威を高めるという方向で、法務大臣への建議権を公然と法の権利として認められた。いままで局長も何度もお出になった定期的な連合会との事務協議というのはございましたが、この建議権があることによって一層私は、報酬規程の問題にしろ、仕事の領域の拡大の問題にしろ、将来展望にしろ、地図の作成の全面的な計画や協力の問題にしろ、大きな問題がどんどん出てくるだろうと思うのですね。そういう意味では、私はこの点だけは大臣に御答弁をいただきたいんですが、法務大臣に対する建議権ということになりますと、事務レベル協議で意見を申し上げる以上に、連合会としても建議という、そういうことで大事な問題として取り上げて法務大臣に責任を持って会としては意見を具申する、こういうことになると思うのです。そうなりますと、この建議を受ける大臣として、この会の建議権に基づき意見については、やっぱり本当にこれを尊重するという、そういう政治姿勢でこの法案についてはお臨みいただきませんと、お約束いただきませんと、絵にかいたもちになると思うのです。その点大臣のお考えはいかがでしょう。
#101
○国務大臣(古井喜實君) 私は、大体なるべくならばそういう団体が責任を持ち、権威を持ってやっていくという方向にいくのが望ましいことだというような考えを持っております、これには限らずですけれども、大体。
 実際問題きょうこの段階で、この会がどの程度の働きができるか、そこはよく見てみなきゃなりませんけれども、方向としましては、そっちの方にだんだん進んでいくように考えてみたらどうだろうか、望ましいというふうに思っております。
#102
○橋本敦君 十七条の三で決められる大臣への建議ということは、これは大事な問題ですから、十分御尊重いただくという姿勢で臨んでいただきたいと思います。
 それで、表示登記の問題でちょっと細かい話になりますが、実際問題として表示登記は実質審査主義ということですが、実際は法務省のいまの人員とか体制から見ますと、実質審査というのは、これは実際容易なことじゃございません。実質審査をどの程度おやりになっておるのか、申請件数のどのくらいになっておりますのか、どういう事情の場合におやりいただくというケースが多いのか、この点はいかがでしょうか。
#103
○政府委員(香川保一君) これは登記所によって差はあると思いますけれども、よくやっておるところで全体の一割五分から二割ぐらい、少ないところで六、七分と言いますか、一割いってないところも相当あると思います。
 実地調査を強化するということ、これは大事なことなんでございますけれども、御理解いただいてるように、いまの実勢力ではこれを今日以上に強化するということは、私はとうてい無理だというふうに思っておるわけでありまして、その結果いろいろ国民に迷惑をかけておる事態が生じております。これはまことに申しわけない仕儀なんですけれども、そのようなところをどう改善していくかということを、先ほども申しましたように、できれば調査士にそういった実地調査の委託をするというふうなことを何とか取り入れられないかというふうに考えておるわけでございます。
#104
○橋本敦君 いま言った委託の方向も含めてぜひ御検討を深めてほしいと思うのです。
 私がこの問題を提起しますのは、非常に大事な問題だと思いますのは、民間デベロッパーが広大な土地を買い入れまして、そこを細分化しまして、家を建てて土地を売る、こういうケースが多いわけですね。土地を広大に買い入れる場合は筆界調査、全体の図面作成、そしてまた分筆、こういうものがわりあいにしっかりやってある場合もあるのですね。ところが、予算を削りますために、一件一件の分割段階になりますと、実際の測量をしないで、全体を図面で割った測量図面で計算をして、これがあたかも実際の測量したものであるかのようなことで表示登記申請ということがなされる場合があって、買い受けた人はそれを信用して買う。今度は売るときに、買い主が実際に測量してもらいたいということで、はかってみますと、足らなかったということが起こっている。さあ、どこからその足らない土地を持ってくるか、これはもうどうにもならぬ。こういうことがあるのですね。これは民間デベロッパーが土地の実際の実地測量ということを、細分化したそれについて全部やるということの手間と費用を省きまして、全体買うたときは全体についてやりますが、分筆は、全体を図面の上で細分化したやつで、現状の土地に合ってなくても、その設計図面を基礎にして図面をつくって出すということがあって、そういう混乱が起こった例がある。その場合に、法務省の方が、実質審査をやるという姿勢をお示しになって、そして全部もっと実地測量に合ったもので持ってこいと、こういう姿勢をお示しになって、やむを得ずそれをやってきちっとやったものを出したというケースも私は聞いておるのです。
 だから、やっぱり法務省が――最近こういう民間デベロッパーの開発がどんどん進んでいきますと、結局大きな土地を細分化して、国民が買うのは小さな部分ですから、その部分の確実な測量がなされていないという手抜きが、これが後で問題になるというケースがないようにするために、こういう民間デベロッパーの開発については、特に実質審査をやるぞという姿勢を法務省はきちっとお示しになるということが非常に大事ではないだろうかという気がしますが、そういうケースとか、御経験、お話、お聞きになったことありませんか。
#105
○政府委員(香川保一君) これは現在全国的に調査いたしまして、そういう非常にずさんな図上分筆と申しますか、そういう結果いろいろトラブルを起こしておる地域というのが相当数あるわけでございまして、相当広い範囲で、そういう問題が起こっているのが百七十近くの地域がございます。これは何とかしなければならぬ問題なんでございますが、できてしまったものの後始末はいま鋭意やっておるわけでございますけれども、今後の問題としまして、そういうことを何としても最小限食いとめなければいかぬということで、大体登記所におきましては、そう申し上げては悪いのでございますけれども、そういうデベロッパーの、相手の信用度と申しますか、力量というか、そういうもの、それからそれを担当しておる調査士さんの見方、いろいろございまして、それに応じて実地調査を、まあ一〇〇%とは申しませんけれども、励行するということは続けておるわけでございまして、最近さような関係でなかなかフリーパスにはいかぬということで、その面、大分是正されてきたようには見受けているんでございますが、今後ともそういうあれを続けてまいりたいと、さように考えております。
#106
○橋本敦君 おっしゃょように、フリーパスは基本的にやらせないという姿勢を必要に応じてお示しいただく、これは本当に大事ですね。それと同時に、表示登記についてはまさに良心的で公正な土地家屋調査士の仕事で誠実かつ公正に仕事がやられているという社会的信用度、法務局との信用度ということが高まってまいりますと、この土地家屋調査士の方が調査なさったという、そのことの調査書があれば実質審査は省略もしてよいという、こういうケースもふえていくわけですね。だから、そこのところは両々相まって法務省としては目を光らしていただきたい。私は大きな観点から考えますと、法務省、お役所は専門官あるいは表示登記に従事する職員ということで、ある程度専門的な立場でいらっしゃるわけですけれども、これだけ膨大な登記件数というのがどんどん出てまいりますと、全部実調というわけにいかないわけですし、お役所は監督管理に徹するというたてまえをとったらどうだろうか。そして実際の測量は、実地の調査はその専門家であり、そしてまたベテランの土地家屋調査士の皆さんにむしろ官の協力者、補助者として、そこのところはもう連合会なり会を信用して土地家屋調査士の皆さんにそこはずっとやっていただくと。お役所はもう管理、監督に徹すると。そういうたてまえでいくという方向をはっきりしていったら将来合理的な運営ができるのじゃないかという気もしているのですが、いかがなものでしょうか。
#107
○政府委員(香川保一君) 確かにそういった方向の運用ができれば非常にいいことであり、望ましいわけでございます。
 ただ、さような方向を打ち出しまして、昭和三十年代でございますが、土地家屋調査士の作成した図面があり、それが責任を持って調査しているというものについては実地調査を省略しても差し支えないという基本的な運営を示したことがあるんでございますが、まことに遺憾なことには調査士が担当しておられたもので先ほどお示しのような机上分筆というふうな事例も相当出てまいりまして懲戒処分としても相当あるわけでございます。そういう鶏と卵の関係になるような感じもいたすのでございますけれども、今日の段階でそういったまたやり方を復活させるというにはいささかちゅうちょする面がございまして、できるだけそういったことができるような時期が早まるように今後とも連合会あるいは単位会の指導ということで、私どももそういう方向に持っていければ一番いいというふうには考えていることは変わりないわけでございます。
#108
○橋本敦君 わかりました。
 だからいま局長がおっしゃった方向ですね。私が指摘した方向にいくように法務省としても、また連合会としてもせっかくの努力をこの機会にやっていただくということを期待したいと思うわけです。
 それから、特認制の問題で一点ちょっと伺っておきたいことがあるのですが、土地家屋調査士の資格の付与、特認制である。一方司法書司も特認制で出てまいりますね。兼業という問題が起こってくるわけです。この兼業という問題について法務省民事局長はどういうようにとらえていらっしゃるか。問題点があるかないか。そしてできればこの兼業ということが特認ということで両方から特認をもらってダブっていくということじゃなくて、司法書士の特認をもらう人は土地家屋調査士の特認はもう出さない。土地家屋調査士の特認をもらう人は司法書士の特認はもらわない。こういう分化したたてまえで指導される方がいいのではないかと思う面もあるのですが、そこらあたりのお考えいかがでしょう。
#109
○政府委員(香川保一君) 私もやはり司法書士と土地家屋調査士というのは、確かにその登記制度の枠内では同じあれでございますけれども、車の両輪といってもそれぞれ特色、性格が違うわけでございまして、したがって、兼業と申しますか、一人が両方の資格を兼ねる、そういうことができる人というのはそう数多くはないということなんで、一般論としてはそういうことは分化しておいた方がいいんじゃないかというふうには考えておるわけでございますけれども、最近両会から司法書士法と土地家屋調査士法を一本化しろというふうな意見が相当強く出てきておるわけでございます。これは国民から依頼を受けたときに関連しておる問題がたくさんあるわけでございますので、このことは自分がやれるけれども、こっちは自分ができないから調査士さんに頼みなさいと、あるいは司法書士さんに頼みなさいというふうなことが国民の方から見た場合には不便だという面は確かにあると思うのであります。そういうことに引きずられてと申しますか、両制度を一本にすべきだというふうな意見が相当強くなってきておりますけれども、私は、一つのことだけでもなかなか十全にやるにはこれは大変なことなんで、水と油のようなとも極端に言えば言える、そういうものを両方りっぱにこなすというふうな人はそんなにたくさんいるはずはないというふうに思うのでありまして、お説のように私は分化しておいた方がいいだろうと、したがって、特認制度の運用としてもそこのところは十分配慮しなければいかぬというふうに考えております。
#110
○橋本敦君 わかりました。将来一本化という方向が出てくる気運があれば、それはまた全体で合理的に検討するということになるだろうと思うのですが、当面は私はやはり局長がおっしゃったような車の両輪ではあるけれども、それぞれの持つ責任の度合いが違いますので、やはりそこははっきりした方向に当面は行った方がいいのじゃないかという気がしておるのです。
 そういうことでございますけれども、今度はこの会の自律権の問題で、会自体が会員に対する自律権を持って懲戒その他の処分ということもあるのですが、最終的には登録の取り消しと、こういうことになりますと、これは法務局、役所のやはり問題になってくる。その場合法務局が登録の申請を受理しない、こういう場合には聴問をするということが原則になっておるわけですが、この聴聞という制度、これは私は非常に大事なよい制度だと思うのですが、この聴聞というのは必要的なのか、それとも必要な場合にはということで運用されるのか。ここのところを民事局長のお考えとしてはっきり伺っておきたいのですが、いかがでしょう。
#111
○政府委員(香川保一君) これは必要的聴問というふうに考えております。
#112
○橋本敦君 はい、わかりました。
 それでは、その他の問題は他の委員からお聞きいただいておりますので、私の質問はこれで終わります。
#113
○円山雅也君 私は、主として特認制度について重複しない範囲でお尋ねをしたいと思いますが、この法案はまさに表示登記が対象になっておりますので、そこで、表示登記についてちょっと私も不勉強で申しわけないのですが、確認をさせていただきたいと思うのですが、先ほどから橋本委員とのやりとりで実質審査権が問題になっております。この表示登記における実質審査権の持つ意味なんですが、もちろん更新力はこれが通ずるわけではないということでございますね。
#114
○政府委員(香川保一君) 表示に関する登記は、これは物理的な現況の把握という、物自体の現況を登記するということでございますので、更新力は問題になる余地はございません。
#115
○円山雅也君 私が言いましたのは、権利の更新力というので、広い意味の、たとえば測量をしたことによって境界が画定されるとかいうような意味の力を持たないという意味でお尋ねをしたわけですけれども、そういう力は持ちませんですね。
#116
○政府委員(香川保一君) そういう効力は持ちません。
#117
○円山雅也君 そうしますと、これは実質審査をしなければいけないということになっておるのでしょうか、登記官には。義務でございますか。
#118
○政府委員(香川保一君) これは登記官が、個々の申請の都度必ず実地調査をしなければならぬというたてまえにはなってないわけでありまして、登記官の判断で必要があると認めれば調査しなきゃならぬと、こういうことになるわけでございます。
#119
○円山雅也君 大体わかりました。
 その実質審査の実際について、橋本委員からのお尋ねに対して現況をお話いただきました、実際の率とか。
 そこで、いずれにしても将来は大体全部実質審査に持っていくようなお考えなんでしょうか。それとも、何か先ほどの御答弁だと、もし家屋調査士さんの精度が高くなれば逆になりますね。全部持っていかないで逆に少なくなる。いまのところどういうお考えなんでしょうか、この点につきまして。
 それはたとえば人員の補充とか何とかに関係してまいりますね。全部持っていくということならば、人員も補充しなきゃならない、人も、登記官吏もふやさなきゃならない。だけれども、家屋調査士さんの調査を信用するとなれば人を減らしてもいいわけですね。その点は現在のところではどうお考えでございましょうか。
#120
○政府委員(香川保一君) 不動産の表示に関する登記というのはいろいろあるわけでございますけれども、この全部について実地調査をすべきだというふうには考えてないわけでありまして、ただどうしても、土地が新たにできた場合の表示の登記とか、それから分筆の登記とか、それから地目変更、それから地籍訂正、かような関係は隣地との関係が非常に問題になることでございますので、ひいては所有権の対象に変動を来すわけでございますから、かようなものはやはり全部実地調査をするという方向が望ましいと、そういうふうに持っていきたいものだというふうに考えております。
#121
○円山雅也君 わかりました。
 じゃあ問題をちょっと変えまして、この法案の附則第四項でございますが、この附則の「必要があるとき」というのはどんな場合に必要があるのかという宮崎委員の御質問に対しまして、局長は、専門のたとえば測量学校を出た者とかそういう場合には外してもいいんじゃないか、この特別試験は外してもいいんじゃないかというお答えでしたが、現在のところ一応それが基準でございますか、この「必要があるとき」の。それとも、いや必ずしも学校が基準じゃなくて、たとえば実務上扱っておるならばそれも外すと、この試験から外すという場合もあるのでございますか。
#122
○政府委員(香川保一君) これは、さっき申しましたのは、役所側で委託して測量の専門学校に行っておる者が対象になる、必要がない方に入るわけでございますけれども、そういう形じゃなくて、本人が役所へ入る前にそういった測量専門学校を経ておるという者もあるわけでございまして、だから個々の人について審査することになるわけでございますが、この附則の考え方は、やはりたてまえとしては私はちょっとおかしい面があると思うのであります。つまり、不動産登記法では、調査士の作成したそういう申請書類あるいは図面というものを当然審査するだけの能力を備えているわけでございますから、したがって調査測量に関する知識、技能が欠けておるという評価をしたんでは登記法どおりでないということになるわけでございますから、理論的に言えば非常に矛盾しておると思うのでございます。しかし、現状考えますと決してそういうふうにはなっていない。したがって、やはりその面での特別の試験を必要とするということでございます。これは原則なのであります。
 「当分の間、」といたしておりますのは、いつまでもそういう現状ではいかぬと、先ほど来申し上げておりますように、表示登記制度の充実ということは何といっても役所の方がそれだけの力を備えなきゃならぬわけでございますから、そういうことをできるだけ早急に充実するようにやっていかなきゃならぬと、それができますればこの附則四項というふうなことは必要なくなってくるわけでありますので、したがって「当分の間、」となっているわけであります。
 さらに「必要があるときは、」というふうになっておりますのは、先ほど申しましたように、調査測量の知識技能というものをその人の経歴から十分備えているというふうに見られる者がおるわけでございますから、そういう者は除外すると、こういうふうな意味合いでございます。
#123
○円山雅也君 おっしゃるとおりだと思いますね。だって、たとえば家屋調査士さんが書類だけでもってオーケーを出すという判断を、自分が実地に調査していなくてもこれで大丈夫だと判断できるには、少なくとも自分がそれ以上の能力を持っていなければそんなことはできませんですわね。
 ということは、恐らくは将来に向かっては、表示登記担当の登記官吏はもう十年もやっておれば十分にそんな試験なくたって通ってくるだけの本来ならば技術を持っているはずだという前提の法律でございますよね、おっしゃるとおり。
 そこで、じゃ改めてお聞きしますが、この附則四項を特に設けた動機といいますか、理由と申しますか、これは何だったんでございますか。
#124
○政府委員(香川保一君) 私ども実はこの附則四項と同じことを運用でやっていこうと。附則四項は法務大臣がその認定のために試験をするということになっておるわけであります。で、本則の三条二項の方は認定するわけでございますから、認定するに際してそれなりの資料が要るわけでございますから、その一つの資料収集の方法として試験をするということは十分可能なわけでございます。それと同時に先ほど申しましたようなたてまえ論があるわけでございまして、附則四項というふうなものが不動産登記法から見たら少し矛循があるわけでございますので、できることならばこういう附則四項というふうな規定は設けないで、しかも運用で同じ試験を法務大臣がやって認定するということにしたいと、かように考えておったわけであります。そういう案を昨年司法書士法と一緒に調査士法を出そうとしたときに連合会に提示したんでございますけれども、なかなか私ども不徳のいたすところで、さような運用というのは信用していただけないというふうなこともあったと思うのでありまして、それなら、やることをやるんだから、若干矛盾はあるけれども法律にはっきり書いておいた方がいいだろうというふうに考えたわけでございます。
#125
○円山雅也君 法務省が信用されないので、一応公布のとおりやりますから御安心くださいということを明文化したという意味の御回答だと思うんですけれども、それにしてはどうも余り明確ではないようでございますね。というのは、確かにこの一番最後の末尾を見ると「試験を実施しなければならない。」とあって、いかにもならないようになっておりますが、その前提に「当分の間、」とか「必要があるときは、」とかいって、恐らくは「なければならない。」というのがこの二つの言葉でほとんど自由自在になっちゃっているんではないかというふうに思われるんですよ。
 具体的にお聞きしますが、じゃたとえば「当分の間、」というのはどのくらいのことを考えておられますか。
#126
○政府委員(香川保一君) 私はこれは先ほども申しましたように、登記所側における表示登記制度の運用の充実、つまりは登記所職員がそういった調査測量の知識、技能を十分修得できるまでということでございますので、恐らく、これはもっと早まる方が望ましいことは間違いございませんけれども、こういった特認制度を導入することによってそれが刺激になり、そういう方面で職員が知識、技能の修得に一つの意欲をもやすと申しますか、そういうことになってくるわけでございますので、十年もすれば十分たえられるそういう職員が出てくるだろうというふうに考えておるわけでございます。
#127
○円山雅也君 そうしますと、先ほど寺田委員の御質問に対しまして局長が、この特認制度というのは、五年ぐらいは充実がいろいろあるから、五年ぐらいは実際の適用がないんだろうというふうにお答えになったようですけれども、これは確かですね。そういう意味ですね。
#128
○政府委員(香川保一君) はい。
#129
○円山雅也君 じゃ、そうしますと、特認制度は五年ぐらい見送ると、それから「当分の間、」というのは十年だとなると、そこから五年ぐらい見送った後十年という意味ですか、それとも五年を含めての十年という意味でございましょうか。
#130
○政府委員(香川保一君) この法律ができましてから十年という意味でございまして、これはちょっと御説明しなければならぬと思いますが、五年間と申しますのは、確かに測量専門学校を出た職員が、そういう意味では知識について相当修得しておる職員が二百名以上おるわけでございますけれども、やはりそれだけで直ちに特認制度を与えるというのには、いましばらく実地的なものも見なきゃなりませんので、さような意味からできるだけ恥ずかしくないと申しますか、試験を受けた人よりも以上の者を送り出すという意味で五年ぐらいの修練期間が要るだろうということを考えまして、五年間はやるつもりはないと、こういうふうに申し上げておるわけでありまして、それもその五年の間もじっとしているわけじゃありませんで、そういう意味の訓練はするわけでございまして、それがこの附則の試験をしないでやってきた経歴と申しますか仕事から、これならば大丈夫だというふうに認定できる、さような意味での附則四項を適用しないことにするには今日から十年かかるであろう、こういう意味でございます。
#131
○円山雅也君 そうしますと、この附則四項が「当分の間、」となっておりますけれども、そうすると、もうここでこの四項の適用はやめたというある時点の何か終止符の宣言みたいなことはなさるんですか。つまり、もうわかったと、今後はこの制度はやめたよ、この附則四項はやめたよというような宣言かなんか。そうでないと調査士さんの方も困りますね、いつまで続くのやら。それは何かあるんでしょうか。
#132
○政府委員(香川保一君) 内部的には、そういったことを外に向かって宣言するという意味ではなくて、今後はこういう試験はしないということの決定は大臣にしていただくわけでございますけれども、そういうことができますれば、何かの機会があれば附則四項削ってしまうというふうなことも考えております。
#133
○円山雅也君 最後に、質問というよりも御要望、お願いでございますけれども、もしこの附則四項が調査士会の方のそういう不安でもってせっかく調査士会の御希望を入れて入れられたんならば、ぜひともひとつ、法律の条文としては非常に「当分の間、」とか「必要がある」とかいう、実に任意規定といいますか、こちらサイドの自由自在に適用が何ほでもできるような、たとえば「当分の間、」といったって一カ月で「当分の間、」と言えますしね、いざとなれば。非常に危険な解釈上幅があるようでございますので、ぜひともひとつこれは調査士会の方の御希望に沿うような適切な運営をお願いをして質問を終わりたいと思います。
#134
○政府委員(香川保一君) その点につきましては、連合会の方からこの附則四項を含めての特認制度の運用について希望が開陳されておるわけでありまして、私どももそれはもっともなことだということで、そのとおりいたしますというふうに書面で確約いたしております。
#135
○円山雅也君 終わります。
#136
○委員長(峯山昭範君) それでは、これより本案について参考人から意見を聴取し、質疑を行います。
 この際、多田参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。
 本委員会におきましては、参考人の方の忌憚のない御意見をお伺いし、本案審査の参考に供したいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 なお、議事の進め方といたしましては、初めに参考人に十五分程度御意見をお述べいただき、引き続いて委員の質疑にお答えしていただきたいと存じます。それでは、多田参考人にお願いをいたします。
#137
○参考人(多田光吉君) 御紹介をいただきました日本土地家屋調査士会連合会会長の多田光吉でございます。
 土地家屋調査士法の一部を改正する法律案につきまして御審議をいただいております参議院法務委員会において、参考人として法改正についての意見を述べる機会をいただきましたことを光栄に存ずるものでございます。
 本日の日程につきましては、本院の委員部の方から五日か七日の予定との連絡をいただいたのでございますが、連合会の全国定時総会を八日、九日両日に開催することに設定をしておりまして、その準備のための理事会を七日に設定してあります関係から、許されるならば五日を希望いたしたい、こう申し上げてございまして、幸い御理解をいただきまして、本日御意見を申し述べる機会を得ましたことを感謝申し上げる次第でございます。
 まず初めに、法改正につきましての結論を申し述べてみたいと存じます。
 ただいま御審議をいただいております土地家屋調査士法の一部を改正する法律案につきましては、日本土地家屋調査士会におきまして慎重に検討をいたした結果、本案の成立を政府に対し要請をいたしたわけでございます。本国会におきまして原案のとおり成立できますよう特段の御配慮をお願いを申し上げる次第でございます。
 次に、土地家屋調査士法の一部を改正する法律案に対する連合会の考え方と、また対応の経過について御説明を申し上げて参考に供することができれば幸いに存じます。
 土地家屋調査士制度は、御承知のように、不動産登記簿における権利の客体である表示の正確さを確保するため、その業務の適正を図ることを目的とされております。したがいまして、調査士の業務は、不動産の表示に関する登記について必要な土地または家屋に関する調査測量または申請手続をすることを業としているのでございます。
 不動産登記の申請の業務関係について申し述べてみたいと存じます。
 不動産登記の申請は、表示に関する登記と権利に関する登記、この二つに分かれておるわけでございます。
 調査士法一部改正につきましては、昨年司法書士法が一部改正されたのでございます。その際に、法務省民事局から、関連する法律であるので調査士法も同趣旨の改正が必要であるとして改正案が示されたわけでございます。この改正案は――司法書士法改正につきましてはすでに改正がなされておるわけでございます。調査士法のこの改正案の中で、調査士の資格認定についての問題の第三条に二号を新設して、ある程度の制約を加えた上、法務大臣が調査士の業務を行うのに必要な知識と技能を有すると認めた者に対して調査士資格を特別認可によって付与する、こうした条文が新設されたわけでございます。
 連合会は、この案につきまして、法三条第二号を除くその他の改正については、調査士会の自主的権限の強化と調査士制度の充実に最も必要なものとして改正を要望したい、このようなわけであったわけでございます。いろいろな事情から同法案が国会に上程されないことになり、会員の求める改正がなされなかったのでございます。こうしたことが要因となって、連合会役員の間において賛否両論の議論が続けられておったわけでございます。こういう中で、連合会は本来の業務執行に非常に影響を来し、停滞を来していたわけでございます。
 論争のために時を空費させることは全国一万八千名の会員の不利益であるということから、さらに五十三年の司法書士法の改正の際の本院法務委員会の附帯決議のこともございますので、まず連合会運営の正常化を図り、業務の執行機関としての指導体制の確立をすべきであるという考え方から、法務省民事局と数次にわたり意見の交換をいたしまして、法務省民事当局の表示登記制度に関する一連の行政改善に対する姿勢が示されまして、連合会の要望、条件も満たされていたわけでございます。こういうことから、本年の四月六日、臨時総会を開催いたしまして、法改正に対し賛成するとの決定をいたしたのでございます。このことから、法務省民事局長に報告をするとともに、土地家屋調査士法の一部を改正する法律案を今国会において提案をお願いをいたしたい、このように要請をしたのでございます。
 連合会は、法務省民事局に対して次の六点を要望をするといたしまして話し合いをしてございます。
 第一点、新調査士法第三条第二号による資格認定及び調査士試験制度の運用に当たっては、調査士の経済的な基盤の確立に配慮し、社会的需要を勘案して適切な運用をお願いをいたしたい。
 第二点といたしましては、不動産登記制度の適正な運用を期するために、不動産登記法第十七条地図を速やかに整備するための効率的な施策を立て、これを実施に移されることを望む。
 不動産登記表示に関する登記事務処理体制の現状の実態から、充実強化を図るための必要があるであろうということから、機構の改善、さらに表示登記事務処理の特殊性から、技術系職員の配備等、積極的な配慮をしていただきたい。
 第三点といたしまして、調査士業務が公共的性格を持つものであって、申請の正確さを義務づけられておることから、表示の登記事務処理の迅速化に大きく利用、活用をしていただきたい。と申しますのは、調査士の申請に係るものについては、法のたてまえから正確性があるということを認識いただいて、表示登記の事務処理の上に反映をしていただくということをお願いしてあるわけでございます。
 第四点につきましては、調査士会が会員の資質の向上を図るために必要であるとして研修事業を行っております。これらの研修事業に対しても法務当局の積極的な協力をいただきたい。
 第五点でございます。報酬につきましては、会則の一部として法務大臣の認可を必要とされておるわけでございます。調査士の生計、取扱事件の責任、正確性の保持、その他業務の実態に即した改善を早期に図っていただきたい。
 第六点は、公共嘱託登記、事件取扱についてございます。公共嘱託登記事件の委託については、その取り扱いに種々の隘路があるわけでございます。まず、会則上にこれらの受託あっせんに関する規定を設けること等の検討が必要であろう。また公共嘱託登記受託についての法人組織、調査士報酬が大臣認可となっておりますことから公共的報酬と考えられますので、随意契約によることができるよう何らかの配慮をなしていただきたい。
 このような、以上六点を法務御当局に対して要請をいたしております。
 以上いろいろ申し上げましたが、連合会全国総会が先ほど申し上げましたとおり六月七日、八日でございますので、この総会に法改正が成立されますことを報告ができますならばこの上ない喜びと存じます。
 以上、簡単でございますが御報告を申し上げまして、御意見を申し上げまして終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#138
○委員長(峯山昭範君) どうもありがとうございました。
 それではこれより順次質疑に入ります。質疑のある方は御発言願います。
#139
○寺田熊雄君 ただいまの会長のお話を承りまして、会の御意思というものがよくわかりましたけれども、念のためお伺いをいたしますと、総会をお開きになりまして、そしてこの法案に対する同意を会の意思として御決定になったということなのですが、この事実は間違いない事実だと私どもも信じておりますが、会長も御存じとは思いますが、東京土地家屋調査士会副会長の大橋光雄さんという方が朝日新聞の「論壇」に少しこの法案に対する異議を唱えるような趣旨の論文を寄せましたね。このことは御存じでございましょう。
#140
○参考人(多田光吉君) はい。
#141
○寺田熊雄君 これはやはりあれですか、この法案に御同意になった総会の決定というのは多数決であって、内部には反対の方がいらっしゃるというふうにお伺いしてよろしいんでしょうか、この点いかがでしょうか。
#142
○参考人(多田光吉君) お答えを申し上げます。
 総会におきましては全員が賛成ということではなかったわけでございます。と申しますのは、昨年の司法書士法改正の折に三条を除くその他の改正については賛成であってぜひ改正をお願いしたい、三条二号については反対をするという連合会各会の動きがあったわけでございます。こういうことから必ずしも全員賛成ということございません。しかしながら、われわれ総会が唯一の最高決定機関であるということから、総会で決定をしておりますので、事実に反したと申しましょうか、事実ではないということが言えるわけでございます。と申しますのは、この総会の中でも法務省が報酬の改定をしてやるから――この法改正をなぜのまないんだというような質問があったわけでございます。そういうことから反対は確かにありましたけれども、大多数が賛成をもって決定した。ですから、私としては組織の中として非常に残念である、こう思うわけでございます。
#143
○寺田熊雄君 この第三条第二号の反対を緩和する措置として附則第四項というものをあなた方が法務省民事当局に御要請になりまして、そういう趣旨でこの附則第四項ができた、こういうふうに理解していいんでしょうか。
#144
○参考人(多田光吉君) お答えを申し上げます。
 附則四項につきましては、私どもの要請の中で最も適格な調査士を選んでほしいという趣旨からこれを要請したわけでございます。
#145
○寺田熊雄君 なお、いま国家試験、第三条第一号の試験ですね。この試験の合格者というものが大体四%から四、五%ぐらいの間を往来しているようですね。この合格者比率というようなものは、会としては大体これで満足していらっしゃるのでしょうか。
#146
○参考人(多田光吉君) 非常に申し上げにくい答弁になるわけでございますけれども、会としては最も適正適切ないい調査士ができてもらうということも必要でございますけれども、現在の事件数から考えましてちょうど適当ではなかろうかと、こう考えるわけでございます。
#147
○寺田熊雄君 そうといたしますと、この民事局長のきょうのこの委員会における御答弁によりますと、大体本法の施行後五年ぐらいは特認の土地家屋調査士というものを送り出す必要はないんじゃないだろうか、五年を経過した後に考えていいんじゃないだろうかというような趣旨の御答弁があったように思うんです。ですから、本法の成立後五年を経過した後の問題になりますが、やはりそういう特認の土地家屋調査士を包含して、そして合格者が大体、つまり第一号の試験合格者と、それから第二号の特認の土地家屋調査士、新しく生まれる土地家屋調査士ですね。両者を合わせて大体いまの率ぐらいの人が新しく生まれれば一番需給関係にふさわしいと、そういうふうにあなた方はお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
#148
○参考人(多田光吉君) お答えをいたします。
 御説のとおりでございます。
#149
○寺田熊雄君 報酬制度について、多少やはり私どももあなた方のお仕事の関係で、関心を持っておりますが、これは何か特にあなた方として、法務当局に対して御希望などを提示していらっしゃるんでしょうか。
#150
○参考人(多田光吉君) お答えをいたします。
 報酬制度につきましては、先ほど参考の中で申し述べてございますが、私どもといたしましては多ければ多い方がいいということは言えるわけでございますけれども、この表示登記制度が申請を義務づけられておるということから、国民が利用するに利用しやすい形の報酬が最も望ましいということは理論であると思いますけれども、われわれも一つの商売でございますので、ある程度の報酬については法務省で考えられておるよりもさらにわれわれが考えた報酬ということを実態をとらえて改正をしてほしいということで、法務省とも話し合いをしております。
#151
○寺田熊雄君 今度あなた方の会として、会員に対する懲戒権、まあこれは第十六条の二で、注意勧告権ですかね、こういうものが新しく新設になりましたね。懲戒権は法務局長が持っておられるようですが、何かきょうの質疑、答弁の中に出てまいりましたところによりますと、このあなた方のお決めになり、法務大臣の認可を得られた報酬制度、これに違反するようなものもないではないというようなことがございましたが、これは当然十六条の二によってあなた方が自主的に注意勧告権というものを活用なさって、そういう違反事実がないように、これから持っていかれると思うのですが、この点はやはりそういうお気持ちなんでしょうか。
#152
○参考人(多田光吉君) お答えをいたします。
 今度の改正で、注意勧告ということが明文化されたわけでございますが、従来もすでに各会の中でそれぞれこれについては予防策と申しますか、注意勧告と同様に会則の中で実施をしております。したがって、違反のおそれのあると推認できるような状態では、会員に対して本制度が十分発動できるということにございます。私どもといたしましては、懲戒事件に入る前にこうした措置をとることは、会員に対する指導として最も適切ではなかろうか、したがって、現在行っておりますけれども、明文化されたことによってなおこの指導について適切に行えるということの考え方を持っております。さらにまたこの運用につきましては、組織自身が指導力を発揮して慎重に対処しなきゃいけないというような考え方で、会員の基本的人権の侵害のないよう留意して運用してまいりたい、このように評価をしておるわけでございます。
#153
○寺田熊雄君 参考のためにお伺いをしますが、不動産登記法の十七条の地図並びに建物所在図ですか、これについてはあなた方はどういうふうな御認識と、また御希望を持っていらっしゃいますか。
#154
○参考人(多田光吉君) お答えをいたします。
 十七条地図の整備につきましては、私どもかねてから早期な実施をお願いをするということで、法務省にも要請をしてございます。しかしながら、実際の問題といたしましては、大きな予算を伴うわけでございますので、現在法務省においてもこのモデルケースとして実施をされておるわけでございます。これは不動産登記制度の最も重要な役割りを持つものとして、登記所に地図を備えるということにされておりますが、まだ整備がなされていないということによりまして、私ども現地調査を正確にするという前提のもとには、どうしても筆界の確認ということが必要なわけでございます。これらにつきましても十七条をもって反映させていただいて、私どもの調査についても大きく利用できるような方策を考えていただきたいと申し上げておるわけでございます。
 それからもう一つにつきましては、この地図が整備されますと、たとえば所在図でございますが、建物の二重登記の防止とか、私ども知らないうちに、調査が十分でないために起こる事案もままあることでございますので、こういうものの解消にも十七条地図、所在図、こういうものの整備を早急にしていただきたいと、このようにお願いを申し上げてあるわけでございます。
#155
○寺田熊雄君 衆議院でこの法案の審議に当たりまして、土地家屋調査士法の一部を改正する法律案に対する附帯決議なるものがなされましたんですが、この内容はよく御報告を受けて御存じでしょうね。
#156
○参考人(多田光吉君) お答えをいたします。
 これは私ども要請をしてある中からそのような趣旨がここに盛られたと考えるわけでございます。いずれにいたしましても、内容を十分検討はまだいたしておりませんけれども、私どもがふだん要請をしているというものがここに反映されていると、このように思っております。
#157
○寺田熊雄君 あなた方の御要請がこの中に反映せられておる、しかし必ずしも十分でないという御意見のようでした。なお、このほかに特にあなた方が御希望になっていらっしゃる点、あなたのいまおっしゃる必ずしも十分でない点、これを率直におっしゃってください。どういうことがありますか。
#158
○参考人(多田光吉君) お答えをいたします。
 私ども会員の声を聞いてまいりますと、補助者についての処置とか、それから補助者にもある程度の条件付帯の中で特認を設けるべきである、それから補助者の認可制度についても、現在認可をたてまえといたしておりますので、認可を会の方に委譲したらどうかというような意見も出されておりますけれども、法務当局と話し合いの中で詰めていこうということで、まだ煮詰めの段階に行っておりません。要望といたしましては、この中で示されておるものよりも、補助者の問題ですから、補助者の問題と思いますけれども、そのほかいろんな問題もありますけれども、これはまだ現在まとまっておりませんので、特に要望として出ておりますのは補助者の問題でございます。
#159
○寺田熊雄君 補助者というのは、あれですか、あなた方のお仕事を御遂行になる際、あなた方が雇用していらっしゃる補助者と、こういう意味でしょうね。
#160
○参考人(多田光吉君) はい。
#161
○寺田熊雄君 その補助者について特認の制度を設けてもらいたいというのは、やっぱりこれは一定の期間、補助者として業務を行ってきた者については、その実績を重く見て調査士の資格を付与してもらいたいと、こういう御趣旨に承っていいんでしょうか。
#162
○参考人(多田光吉君) お答えをいたします。
 この問題につきましては、外から見た目では、補助者というのは仕事の一部を補助させるということに受け取れるわけでございますけれども、私ども、補助者を認可いただく趣旨として、補助者の定義ということが明確でない。ですから、お茶くみをしていても補助者であるということから、その中の定義の問題、それから補助者についてはどの分まで独立して業務ができるのかというような問題もありますので、その点についてまだ法務省民事局と現在話し合っている状態で、さらにこれがこの改正案には盛り上げられていないということでございます。ですから、補助者の定義自体にまだ定義づけられたものがない。お茶をくんでおっても、二十年やっても、補助を二十年やったことになるわけでございますので、そういう点で法務省と取り扱いについても協議をして、将来発展的に考えていこうということでいま対処をしているわけでございます。
#163
○寺田熊雄君 認可とおっしゃった、そういうお言葉がありましたが、その認可とおっしゃるのは、補助者をあなた方が使用する場合にも、あれですか、法務局長なり、そういう人々の認可を要すると、それを連合会の方に委譲してもらいたいと、こういう趣旨ですか。
#164
○参考人(多田光吉君) お答えをいたします。
 現在、補助者の定数については六名、調査士の場合には六名を範囲として認可をすると。これは申請をいたしますと、ほとんど特別の理由のない限りは認可になるわけでございます。いわば報告的なものと同じようでございますので、その点につきましてはこれを取り扱いを調査士会に申請をして、まあ使った場合に申請をして、さらに必要があるとするならば、法務局の方に報告をすると。認可は必要ではなかろうかというような意見を申し上げてあるわけでございます。
#165
○寺田熊雄君 いまの御説明以外には、大体衆議院の附帯条件で御要望の趣旨は全部盛られていると承ってよろしいでしょうか。
#166
○参考人(多田光吉君) そのとおりでございます。
#167
○寺田熊雄君 終わります。
#168
○宮崎正義君 大変どうもお忙しいところ御苦労さまでございます。
 最初に、公共嘱託登記連合委員会の件につきまして、どんなふうなお考えを持っておられますか、御説明を願いたいと思います。
#169
○参考人(多田光吉君) お答えをいたします。
 公共嘱託事件についての取り扱いでございますが、現在の調査士が、登記事件として、事件数の中で、大体取り扱い事件の中の五〇%程度が調査士の仕事の業務範囲で現在行われているわけでございます。そのほかの土地については、五〇%程度が公共嘱託によるものであって、資格者が行っていないという実態が見られるわけでございます。
  〔委員長退席、理事上田稔君着席〕
私どもこうした面から、法務当局の窓口での適正な書類が提出されていない、これで事務処理が大きく停滞をしているというような意見も聞かれますので、それでは調査士会として資格者において嘱託登記委員会というものを組織いたしまして、大量な事件処理の体制を整備したわけでございます。
 この中で一番問題になりますのは、発注者側の姿勢といたしまして、一つには報酬が法務大臣の認可であるということから、私ども、どなたが積算をしても同一の価格になると、だから発注者側といたしましては、会計規則等によりまして、これは競争入札をするたてまえになっております。そうしますと、私どもの仕事自体が競争入札にはなじまないということもございまして、組織づくりはできたとしても、なかなか発注者側の理解が得られないということもございまして、先ほど申し上げました中にも、何らこういうことについて報酬が大臣認可として一つの公共性を持っているという考え方から、何らか随意契約ができるような方策をしていただきたい。
 もう一つには、資格の問題でございます。組織づくりはいたしましたものの、調査士法の趣旨からいきますと、そういう集団的なものに法人資格を与えるということは業務の上でできないわけでございますので、これは法律改正も将来考えなければいけないということでございますが、私ども何らか成案をして法務省にお願いをしたいと、このように対処をいたしております。
#170
○宮崎正義君 公共嘱託登記問題につきましては、午前中かなり私も同僚委員も民事局長とお話し合いをいたしておりますので、それらを参考になさって煮詰めていっていただいて、そして将来のこの問題の処理の方向に進まれるように、私は、午前中に御出席なされませんでしたから、御事情がおわかりにならないと思いますので、そのことを添えて申し上げておきます。
 それからもう一つ、補助者の問題につきましても、午前中私が詳細に質問をいたしておりまして、民事局長からもいろいろ回答もございますので、それらも御研究なさって、そうして将来の問題にしぼっていただけばよろしいんじゃないかと思われます。これも御参考に申し上げておきます。
  〔理事上田稔君退席、委員長着席〕
 それからお伺いしたいことは、多田会長さんが、民事局長に、土地家屋調査士法の一部改正についての日調連発第三号、五十四年四月十日のものを提出なさっております。この件につきましても、内容について触れておりましたけれども、ここで私が一言お伺いをしておきたいことは、民事局長の方から回答がなされております。これは五十四年四月の十一日でございます。その中の、「別紙第三の要望事項については、要望の趣旨に沿いその実現に努力をいたします。」と、こういうふうな回答がなされております。御承知でございますね。
#171
○参考人(多田光吉君) はい。
#172
○宮崎正義君 そこで、別紙第三の中の(二)の問題でございます、御提出なさいました。「土地家屋調査士制度の改善について」「土地家屋調査士業務の基盤を確立し、かつ、その多角的活用をはかるため土地家屋調査士による実地認証制度を研究するなど、」とあります。この「実地認証制度を研究するなど、」ということは、これは私はこのように思うのですが、もし私の思っていることが違うようでしたらば御訂正を願いたいと思いますが、私はこういうふうに考えているわけですが、法務省の公図が現場と、現地と合致していない。その場合に隣接のそれぞれの所有者に印鑑証明を求めると、そしてその届け出をするための諸手続をするために立ち合ってもらって印鑑証明を提出願うと、こうしたときに印鑑証明を出すということは非常に拒まれるということで、調査士そのものが理解をされていないという点もあるでありましょうけれども、それらの問題についてはどんなふうに法務省の方に要請をしたらよろしいのか、その点をちょっとお伺いしておきたいと思います。いま私の解釈が間違っておりましたら、実地認証制度、これが間違っておりましたら訂正をしてお答えを願いたいと思います。
#173
○参考人(多田光吉君) お答えをいたします。
 私ども一番業務の基本でございますただいま先生のおっしゃられた実地認証ということ、制度ということで、ちょっと私どもも言葉の上でひっかかる点がございますけれども、これにつきましては、私どもにもある程度の、そういうような実地認証というよりも、印鑑証明を添付して申請されたものを表示登記の上に反映をしていただくということは、業務取り扱いの上にもこういうことが必要であるし、また私ども、できるならば公証制度のような形でこれも取り組んでまいりたいというような考え方もあったわけでございますけれども、ここに挙げてございますのは表示の登記は職権によって処分することになっておりますので、私どもがこういう印鑑証明その他をつけて申請をいたしましても、法務当局が現地調査を職権によってやるというたてまえになっておるわけです。こういう点につきましても、われわれをもう少し認めていただいて有用な活用を図ってほしい、こういうことでこの名前が出たわけでございますけれども、先生方法律的な、弁護士さんの方が多いようでございますので、解釈の上で相当相違があると思いますけれども、よろしくお願いをしたいと思います。
 これは法務省からも特に実地認証制度ということについて言葉の上から意見を求められたわけでございますけれども、私どもの方での意見としてそういうことであるということで御了承をいただいたわけでございますので、御了解いただきたいと思います。
#174
○宮崎正義君 そうしますと、実際上の不便ということは、私の申し上げました隣接地の印鑑証明を提出するとかしないとかというそういう実際上の問題、私は実際上の問題でちょっと話したんですけれども、そういうこともあり得るわけですね。
#175
○参考人(多田光吉君) はい。そのように解釈しております。
#176
○宮崎正義君 それと、土地家屋調査士の会員の総数が、法務省からいただいておる資料によりますと、総数が五十三年度で一万九千四百二十三名でございます。それから、会員数が一万八千八十九名、会長の最初のお話ありました一万八千名とおっしゃったのはこのことだと思うんですが、そのほかに非会員数というのが千三百三十四名とこれに出ております。この非会員数というのは会の中に入っていない非会員でございますね。こういう方々はどんなふうにして掌握をなさっておられますか。また、どういうふうなことを非会員の人たちがおやりになっているか。全国的にそういうのをお調べになったことがございますかどうか。
#177
○参考人(多田光吉君) お答えをいたします。
 私ども会に入会している会員だけを考えておりまして、非会員が何名かということは法務省の統計の上から知る限りでございまして、私ども統計をとったわけでございません。
 と申しますのは、私どもいまの非会員である者は業を行うものでないということでございますので、資格保全のために登録をして、そのまま会に入会をしない、今度の法改正によりまして登録をする者は必ず入会の手続をするということになりますので、今度の掌握の中では登録された者、それから実際の会員数が明確になるわけでございますので、最も私ども希望する改正である、このように考えております。
#178
○宮崎正義君 私は念のためにいまの問題は意地の悪いお伺いをしたわけなんですが、これは当然法務省の責任においてこの非会員というのは掌握しなければならないんじゃないかということを頭の中に置いて質問をしたわけでございますが、民事局長もいらっしゃいますのでおわかりだと思うんです。
 それで、先ほどもちょっと申し上げましたんですが、補助者の件でございますが、事細かく午前中に質問をいたしましたんですが、ここで連合会としてこの補助者の方々、十年または二十年ぐらい一生懸命おやりになった模範的な補助者の方々の表彰だとか、全国大会で表彰なさっていることがあるかどうか、あるとすれば何名ぐらいか。と申し上げますのは、司法書士の方も、この補助者の表彰なんかもずいぶんやっておるわけであります。こういう優秀な方々を当然、もともと法務局長が認可しているわけですから、ですから当然特認としての行き方を考えるのには一つの手段じゃないかというふうに考えているわけですからお伺いしているわけですが、何名ぐらいいらっしゃいますか。
#179
○参考人(多田光吉君) お答えをいたします。
 御質問の件につきましては、連合会としてはまだいたしておりません。この補助者の表彰につきましては、各単位会がそれぞれ表彰を行っているようでございます。これにつきましては詳細な数字を持っておりませんので、御容赦をいただきたいと思います。
#180
○宮崎正義君 私はこれは総体的な考え方としては大事なことじゃなかろうかと思うんです。したがいまして、連合会におかれましても、各八局単位にあるかどうかわかりませんけれども、八局単位の中に地方単位に調査会というものが持たれていると思いますが、それぞれの中で相当優秀な方々がいらっしゃるはずでありますから、それらも総体的な網羅をなさっておくことも大きな役に立つ問題じゃなかろうかと思いましたので申し上げたわけです。
 もう一つ最後に、午前中も私、報酬の問題で民事局長にいろいろ申し上げたんですが、北海道というのは御案内のように半年間というものはほとんど作業ができないわけです。したがいまして、相当夏場に無理がかかるわけです。そういう特殊な事情下にあるところの報酬問題も相当な、全国の連合会の中からいろんな御意見もあるだろうと思いますけれども、暑いところは暑いなりに、寒いところは寒いなりのいろんな御意見もあるだろうと思いますが、東北、北海道、北陸等にかけましては相当なギャップがあると思いますが、そういったようなことも希望としてどのような考え方をお持ちになっておられますか。午前中の質問には民事局長に、北海道は北海道の基準点なんかもまだ明確になっていないところが多々あるんだと、沖繩もそうでありましょうし、東北関係でもまだ例のむつ小川原ですか、あちらの開発のところなんかは、一筆と言っても、一筆の中の細分が十万単位の数値の計算をしなければ一筆にならないわけです。そういったような苦労をしているようなところ、北海道でもそれはざらでございます。そういったような細かい一筆を計上する中の計算の単位値といいますか、数値が幾つも重なって一筆になってくるわけでありますが、そういったような問題等を絡めて報酬についての連合会としてのお考えというものを御参考に伺っておきたいと思います。
#181
○参考人(多田光吉君) お答えをいたします。
 先ほど私、六項目の要望の中で申し上げてございますが、そうした業務の実態は都市周辺と、また北海道というような状況の中でそれぞれ一つ一つが別な要素を持っているということから、業務取り扱いについてはそういうものも十分勘案した中で特殊性について検討をして、法務省に改正をお願いするということを考えておりますので、現在提出してございます報酬改正案につきましても、その中に取り扱いの上でもって対処ができるということで成案をしてございます。十分な成案とまでいっておりませんので、さらに改正をして、会員と業務の実態を考えながら対処してまいりたい、こういう考え方でおりますので、今後ひとつそういう方向で進めることを御了解いただきまして、答弁にさしていただきます。
#182
○宮崎正義君 終わります。
#183
○委員長(峯山昭範君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 多田参考人には、本日は長時間にわたり貴重な御意見をお聞かせいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 本案に対する本日の審査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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