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1978/05/08 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 地方行政委員会 第6号
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1978/05/08 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 地方行政委員会 第6号

#1
第087回国会 地方行政委員会 第6号
昭和五十四年五月八日(火曜日)
   午前十時四十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月九日
    辞任         補欠選任
     藤井 恒男君     井上  計君
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     井上  計君     藤井 恒男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         永野 嚴雄君
    理 事
                衛藤征士郎君
                金丸 三郎君
                志苫  裕君
                神谷信之助君
    委 員
                加藤 武徳君
                熊谷  弘君
                坂元 親男君
                鈴木 正一君
                小山 一平君
                佐藤 三吾君
                野口 忠夫君
                阿部 憲一君
                上林繁次郎君
                藤井 恒男君
                前島英三郎君
   国務大臣
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    澁谷 直藏君
   政府委員
       人事院事務総局
       任用局長     長橋  進君
       人事院事務総局
       給与局長     角野幸三郎君
       人事院事務総局
       職員局長     金井 八郎君
       内閣総理大臣官
       房交通安全対策
       室長       三島  孟君
       警察庁長官官房
       長        山田 英雄君
       警察庁長官官房
       会計課長     城内 康光君
       自治大臣官房長  石見 隆三君
       自治大臣官房審
       議官       石原 信雄君
       自治大臣官房審
       議官       花岡 圭三君
       自治省行政局長  柳沢 長治君
       自治省行政局公
       務員部長     砂子田 隆君
       自治省財政局長  森岡  敞君
       自治省税務局長  土屋 佳照君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
   説明員
       行政管理庁行政
       管理局管理官   八木 俊道君
       国土庁計画・調
       整局次長     白井 和徳君
       大蔵省主計局主
       計企画官     伊藤 博行君
       厚生省公衆衛生
       局地域保健課長  杉山 太幹君
       農林水産省構造
       改善局農政部農
       政課長      若林 正俊君
       運輸省鉄道監督
       局国有鉄道部日
       本鉄道建設公
       団・本州四国連
       絡橋公団監理官  黒野 匡彦君
       建設省計画局宅
       地開発課民間宅
       地指導室長    斉藤  衛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○地方行政の改革に関する調査
 (昭和五十四年度の地方財政計画に関する件)
○地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(永野嚴雄君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 地方交付税法の一部を改正する法律案の審査のため、明九日の本委員会に、参考人として盛岡市長工藤巌君、日本福祉大学教授山本正雄君、名古屋市立大学教授牛嶋正君、京都府立大学助教授成瀬龍夫君及び地方財政問題研究会代表幹事石田芳文君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(永野嚴雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(永野嚴雄君) 次に、地方行政の改革に関する調査を議題といたします。
 昭和五十四年度の地方財政計画について政府から説明を聴取いたします。澁谷自治大臣。
#5
○国務大臣(澁谷直藏君) 昭和五十四年度の地方財政計画の概要について御説明申し上げます。
 昭和五十四年度の地方財政につきましては、昭和五十三年度に引き続いて厳しい状況にありますが、現下の経済情勢に適切に対処するとともに、財政の健全化に努めることを目途として、おおむね国と同一の基調により歳入面におきましては、住民負担の合理化にも配慮しつつ地方税源の充実強化を積極的に図るほか、昭和五十三年度に引き続き見込まれる巨額の財源不足については、これを完全に補てんする等地方財源の確保に努める一方、歳出面におきましては、住民福祉の向上と地域振興の基盤となる社会資本の整備を推進し、あわせて景気の着実な回復に資するよう投資的経費の充実を図るとともに、一般行政経費の節減合理化に努める等財源の重点的かつ効率的な配分と節度ある財政運営を行うことを基本といたしております。
 昭和五十四年度の地方財政計画は、このような考え方を基本とし策定いたしておりますが、以下、その策定方針及び特徴について申し上げます。
 まず、第一に、現下の厳しい地方財政の状況にかんがみ、自動車税、軽自動車税及び軽油引取税の税率の引き上げ、非課税等の特別措置の整理合理化等地方税源の充実強化と地方税負担の適正化に努める一方、個人住民税の所得控除の引き上げ、ガス税の免税点の引き上げ等住民負担の軽減合理化の措置を講ずることとしております。
 なお、地方譲与税については、地方道路譲与税を増強し、市町村に対する譲与割合の引き上げを図るとともに、航空機燃料譲与税の増強に伴いその一部を空港関係都道府県に譲与するための措置を講ずることとしております。
 第二に、地方財源の不足等に対処し、地方財政の運営に支障が生ずることのないようにするため、
  (一) 昭和五十四年度の地方財源不足見込み額四兆一千億円については、地方財政の重要性にかんがみ、これを完全に補てんすることとし、昭和五十三年度に制度化された地方交付税所要額の確保のための方式の活用及び臨時地方特例交付金による地方交付で二兆四千六百億円、建設地方債の増発で一兆六千四百億円の財源措置を講ずることとしております。
  (二) また、地方債資金対策として政府資金及び公営企業金融公庫資金の増額を図るとともに、公営企業金融公庫資金の貸付利率の引き下げ等の措置を講ずることとしております。
 第三に、最近の経済情勢にかんがみ、景気の着実な回復を図ることに配意しつつ、地域住民の福祉の充実、生活環境の整備及び住民生活の安全の確保等を図るための諸施策を実施することとしております。このため、投資的経費の充実を図ることにより、生活関連施設を中心とする社会資本の整備を推進するとともに、社会福祉施策、教育振興対策等の一層の充実を図ることとし、また、人口急増地域対策を拡充するとともに、過疎地域に対する財政措置を引き続き充実することとしております。
 第四に、地方行財政運営の合理化を図るとともに、国庫補助負担基準の改善等財政秩序の確立を図り、あわせて年度途中における事情の変化に弾力的に対応するよう配慮するほか、地方財政計画の算定内容について所要の是正措置を講ずることとしております。
 以上の方針のもとに昭和五十四年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は、三十八兆八千十四億円となり、前年度に対し、四兆四千六百十八億円、一三・〇%の増加となっております。
 以上が昭和五十四年度の地方財政計画の概要であります。
#6
○委員長(永野嚴雄君) 次に、補足説明を聴取いたします。森岡財政局長。
#7
○政府委員(森岡敞君) 昭和五十四年度地方財政計画の概要につきましてはただいま自治大臣から御説明いたしましたとおりでありますが、なお、若干の点につきまして補足して御説明いたします。
 明年度の地方財政計画の規模は、三十八兆八千十四億円で、前年度に比較しまして四兆四千六百十八億円、一三%の増加となっております。
 次に、歳入について御説明いたします。
 まず、地方税の収入見込み額でありますが、道府県税六兆四百十六億円、市町村税六兆八千九百二十六億円、合わせて十二兆九千三百四十二億円でございます。前年度に比べて道府県税は六千六百二十三億円、一二・三%の増加、市町村税は六千八百六十四億円、一一・一%の増加、合わせて一兆三千四百八十七億円、一一・六%の増加となっております。
 なお、地方税につきましては、現下の厳しい地方財政の状況にかんがみ、自動車税、軽自動車税及び軽油引取税の税率の引き上げ、非課税等の特別措置の整理合理化等により、一千八百二十三億円の増収を見込む一方、個人住民税の各種控除の引き上げ、ガス税の免税点の引き上げ等により住民負担の軽減及び合理化を図る等五百九十二億円の減収を見込むこととしております。
 地方譲与税の収入見込み額は、四千百八十七億円となっております。
 なお、地方道路譲与税を増強し、市町村に対する譲与割合の引き上げを図るとともに、航空機燃料譲与税の増強に伴いその一部を空港関係都道府県に譲与するための制度を創設することとしております。
 次に、地方交付税でありますが、国税三税の三二%に相当する額に一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れる臨時地方特例交付金三千七百六十六億円及び同特別会計の資金運用部からの借入金二兆二千八百億円等を加算し、さらに借入金償還金二千五百五十六億円を控除いたしまして、総額七兆六千八百九十五億円を確保いたしました結果、前年度に対し六千四百九十五億円、九・二%の増加となっております。
 国庫支出金につきましては、総額十兆九十四億円で、前年度に対し一兆一千九百五十七億円、一三・六%の増加となっております。これは公共事業費国庫補助負担金、社会福祉関係国庫補助負担金及び義務教育費国庫負担金の増などが主なものであります。
 次に、地方債でございますが、普通会計分の地方債発行予定額は、四兆九千七億円でございまして、前年度に対しまして、八千九百一億円、二二・二%の増加となっております。この中には、地方財源の不足に対処するための建設地方債一兆六千四百億円が含まれております。
 地方債計画全体の規模は七兆四千十億円で、前年度に対しまして、一兆一千八百十三億円、一九%の増加となっております。
 地方債計画の基本方針といたしましては、地域住民の福祉向上を図りつつ、景気の着実な回復に資するため、生活環境施設等を中心として、地域社会の健全な発展のための総合的な振興整備を推進するものとし、そのために必要な資金を確保するとともに、地方財源の不足に対処することとし、あわせて政府資金及び公営企業金融公庫資金の増額と貸付条件の改善を図ることといたしております。
 次に、使用料及び手数料等につきましては、最近の実績等を考慮して計上いたしておりますが、中でも雑収入中の貸付金の回収金につきましては、実態に即して所要の是正を行うことといたしております。その結果、歳入構成におきましては、地方税が前年度の三三・七%に対し、〇・三%減の三三・四%となり、これに地方交付税及び地方譲与税を加えた一般財源は前年度の五五・三%から五四・三%へと歳入構成比率が低下し、反面、地方債は前年度の一二・七%が一二・六%と若干そのウエートを高めております。
 次に、歳出について御説明いたします。
 まず、給与関係経費についてでありますが、総額は十一兆七百六十七億円で、前年度に対しまして四千六百八十一億円、四・四%の増加となっております。これに関連いたしまして、職員数につきましては、教育、警察、消防、社会福祉、社会教育等施設関係、清掃関係の職員を中心に約三万一千九百人の増員を図ると同時に、国家公務員の定員削減の方針に準じ、約五千八百人の定員合理化を行うこととしております。
 次に、一般行政経費につきましては、総額八兆四千百六十七億円、前年度に対しまして、八千八百二億円、二・七%の増加となっておりますが、このうち国庫補助負担金等を伴うものは四兆一千九百七十億円で、前年度に対しまして四千百六十九億円、二%の増加となっており、この中には、生活扶助基準の引き上げ等を図っている生活保護費、児童福祉費、老人福祉費などが含まれております。国庫補助負担金を伴わないものは四兆二千百九十七億円で、前年度に対しまして四千六百三十三億円、一二・三%の増加となっております。この中では、社会福祉関係経費を充実するほか、高等学校以下の私立学校に対する助成経費として一千六百九十五億円、年度内及び年度越し回収貸付金として一兆一千九百一億円、災害等年度途中における追加財政需要等に対する財源留保として三千五百億円等を計上いたしております。
 なお、内部管理的な一般行政経費は、極力抑制することといたしております。
 公債費は、総額二兆六千三百九十二億円で、前年度に対しまして四千十億円、一七・九%の増加となっております。
 次に、維持補修費につきましては、最近の公共事業の拡充による公共施設の増加及び雇用対策の面から公共施設等の補修費等の増大を考慮して、前年度に対しまして四百七十一億円の増額を見込み、五千百八十四億円を計上しております。
 投資的経費につきましては、総額十五兆二千二百五十五億円であり、前年度に対しまして二兆五千六百六十一億円、二〇・三%の増加となっております。これは、生活関連施設を中心とする社会資本の整備を推進するとともに、景気の着実な回復に資するよう、投資的経費の充実を図ることとした結果であります。直轄、公共、失業対策の各事業は国費と合わせて執行されるものでありますが、明年度におきましては、本年度に引き続き公共事業の規模の確保を図った結果、二〇・三%と地方財政計画全体の伸び率一三%を大きく上回っております。
 一般事業費及び特別事業費のいわゆる地方単独事業費は、総額六兆七千八百七十二億円で、前年度に対しまして一兆一千三百九十六億円、二〇・二%の増加となっております。地方単独事業につきましても、生活関連施設の整備充実を図るほか、本年度に引き続き地方債をもって措置する臨時地方道整備事業等を積極的に行うこととしております。
 また、公営企業繰出金につきましては、地下鉄、上下水道、病院等一国民生活に不可欠なサービスを供給している事業について、総額七千二百四十九億円を計上いたしております。その結果、歳出構成におきましては、給与関係経費は二八・六%で、前年度に対し二・三%の減少となっておりますが、反面、投資的経費は前年度三六・九%から二・三%増加し、三九・二%となっております。
 以上をもちまして、地方財政計画の補足説明を終わらせていただきます。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(永野嚴雄君) 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。澁谷自治大臣。
#9
○国務大臣(澁谷直藏君) ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
 最近における地方財政の状況にかんがみ、地方交付税の総額の確保に資するため、昭和五十四年度分の地方交付税の総額の特例を設けるほか、各種の制度改正等に伴って増加する地方団体の財政需要に対処するため、地方交付税の算定に用いる単位費用を改定する等の必要があります。
 以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。
 次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、昭和五十四年度分の地方交付税の総額については、現行の法定額に、一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れる臨時地方特例交付金三千七百六十六億円及び同会計において借り入れる二兆二千八百億円を加算した額とするとともに、借入額二兆二千八百億円については、昭和六十年度から昭和六十九年度までの各年度に分割して償還することとしております。
 さらに、後年度における地方交付税の総額の確保に資するため、地方交付税法附則第八条の三第一項の規定に基づき、昭和五十四年度における借入純増加額の二分の一に相当する額一兆八百九十五億円を昭和六十年度から昭和六十九年度までの各年度において、臨時地方特例交付金として一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れることとし、これにより当該各年度の地方交付税の総額を増加させることとしております。
 次に、昭和五十四年度の普通交付税の算定方法については、児童福祉、老人福祉対策等社会福祉施策の充実に要する経費及び教職員定数の増加、教育施設の整備等教育水準の向上に要する経費の財源を措置するほか、道府県分に特殊教育諸学校費を新設することとしております。また、市町村道、公園、下水道、清掃施設等住民の生活に直結する公共施設の計画的な整備及び維持管理に要する経費の財源を措置するとともに、過密対策、過疎対策、消防救急対策、防災対策等に要する経費を充実することとしております。
 さらに、昭和五十三年度において発行を許可された地方税減収補てん債及び財源対策債並びに昭和五十三年度の国の補正予算に伴い発行を許可された地方債の元利償還金を基準財政需要額に算入するとともに、地方道路譲与税、自動車取得税交付金等の基準税額等の算定基礎を前年度の譲与額または交付額とすることとしております。
 以上が、地方交付税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#10
○委員長(永野嚴雄君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#11
○小山一平君 最初に、地方交付税にかかわる二、三の点についてお尋ねいたしたいと思いますが、最初大変幼稚なことをお聞きをいたしますが、本来地方団体は、地方税など自主財源で財政運営ができて一定水準の行政が執行されることが望ましいと思います。しかし実際には、地方団体の間には税収の大きな格差がございまして、それができる団体とできない団体があるのは当然でございますから、この財源調整をすることによって必要財源を保障していく。そして国民が、いずれの地域、いずれの団体にあろうとも、一定水準の行政サービスが受けられるようにしようというのが地方交付税制度の趣旨だと思いますが、こういうことでよろしいのでございますか。
#12
○国務大臣(澁谷直藏君) そのとおりでございます。
#13
○小山一平君 そういたしますと、現在この交付税の制度というのは全く破綻状態に陥っていると、こういうことが言えると思います。それはいま御確認をいただいたわけでございますが、現在交付税を受けずに自立できる団体はだんだん減少をして、昭和五十三年度の一覧表を見ますと、不交付団体は、都道府県では東京都がただ一つ、大都市ではゼロ、一般市で二十七、町村で二十一となっておりますから、三千二百五十七団体の中で、不交付団体というのは二%にも満たない。私は、人口や産業が集中して財政力があるはずの大都市のすべてが交付団体であるということは大変問題だと思うんですね。ですから今日、交付税率の引き上げも重要な課題ではございますけれども、少なくとも大都市の財源ぐらいは地方税の拡充によって自立できるようにして、交付税は農村地域を初め弱小団体に配分するような構造にする必要がある。いまその抜本的な改革が必要なのではないか、こう思うんですが、いかがですか。
#14
○国務大臣(澁谷直藏君) 地方交付税のあり方としては、御指摘のような方向というものが正しいと私も考えます。ただ、御承知のように、最近の数年間にわたる非常な地方の財政難ということから御指摘のような状態が生まれてきておるわけでございまして、このような状態は決して好ましい状態でないことはもう当然であります。したがって、御指摘のように、これをどう矯正していくかということがこれからの私どもの課題であると考えておりまして、そのためにはやはり何と言っても地方の独立の財源というものを強化するということが基本であると考えております。独立の財源を強化した上で、調整機能としての地方交付税というものを機能させていくと、こういうことでなければならぬと考えておりまして、そういう方向で地方税のあり方に対して、財政の建て直しという観点から取り組んでまいりたいと考えております。
#15
○小山一平君 そういうことだろうと思います。したがって、現況では望ましい姿を持っておらない、改革が必要だと、こういうことでございますから、御努力をお願いをいたしたいと思います。
 それから、地方交付税法の第十条にはこう書いてありますね。「地方団体に対して交付すべき普通交付税の額は、当該地方団体の基準財政需要額が基準財政収入額をこえる額とする。」と、こうなっております。昭和五十四年度のこの額は、正確に言ってどういう数字になりますか。
#16
○政府委員(森岡敞君) ただいま私どもが御審議をいただいております地方交付税の改正案を前提といたしまして、各種の補正も見込みまして計算いたしました全体計画の見込み額では、いまお示しの、十条で示しております基準財政需要額が基準財政収入額を超える額の合算額は、七兆二千二百七十八億円となるものと見込んでおります。
#17
○小山一平君 そんなに少ないですか。もう少し多くありませんか。そうなればどうして四兆一千億もの財源不足が出るんですか、七兆くらいでしたら。いいんですか、それで。
#18
○政府委員(森岡敞君) いま申しました七兆二千二百七十八億円と申しますのは、各地方団体ごとに基準財政需要額、基準財政収入額を計算いたしまして――交付基準額と称しておりますが、それを合算した見込み額でございます。四兆一千億円の財源不足という数字は、地方財政全体の見込みを立てました際に、通常の三二%の交付税を踏まえて見込んだ財源、及び地方税その他の収入を見込んだ財源をもってしては、不足する額は四兆一千億円と、こういう関係でございます。
#19
○小山一平君 これ単純に、基準財政需要額が収入額を超える分と、こういうふうに私ども素人的に考えると、この額は九兆ぐらいになるように思うんですが、そうはならないですかね。
#20
○政府委員(森岡敞君) これは、御承知のように四兆一千億円の財源不足に対しまして、それを補てんいたしますために建設地方債の増発を行っております。この金額が一兆六千四百億円でございます。この分は、たびたび申し上げておりますように、もし財源が確保されますならば、従来は地方交付税でもって措置しておりました部分の経費でございます。したがいましてその分が、現段階の財政状況でありますので、地方債に振りかわっております。そのためにいま申しましたような七兆二千億円強の交付基準額というふうになっておるわけでございますから、もし従来どおりの正常な財政状況でありますれば御指摘のような金額に近い交付基準額ということになろうかと思いますけれども、現在の財政状況及び財政措置がいま御説明いたしましたような経緯でございますので、交付税の全体計画の見込みといたしましては七兆二千億円強の交付金額の見込みということになるわけでございます。
#21
○小山一平君 私の申し上げているのは、そういう財政難の中でいろいろ措置を講じてできた数字でなしに、ごく正常な姿での計算でいけば九兆ぐらいになるはずではないかと、こういうごく単純なとらえ方をしてお尋ねをしたわけです。わかりました。そういう正常な形でいけば大体私のいま申し上げたような数字であると、こういうことですからそれで結構です。そういうふうにいろいろな対策、措置を講じて、交付税の総額というようなものも正常な姿よりは圧縮をされている、こういうことだけ明らかにしておきたいと思います。
 それから、この問題はもう繰り返し繰り返しやってきたことで、これ以上やっても不毛の議論になるから多くを言うつもりはありませんけれども、いまもここに御提案になっていることにもかかわるわけですが、昭和五十二年度は第六条の三の二項の規定によって税率の引き上げ措置を講じなければならない条件にあったことは申し上げるまでもないんですが、それがああした一連の借金対策で、まあ私どもに言わせりゃごまかしをしたということになるわけですが、それを今度は、昨年五十三年度は、当分の間継続するというルールを制度化した。本来、私どもの常識的な判断では、皆さんの方ではあの非常措置が制度の改正に当たると、こうおっしゃるけれども、私どもが常識的に考えると、制度の改正というのは、行財政制度を改正してそうしてこういう財源不足などがなくて済むようなふうにすることが制度の改正だと、こういうふうに考えているわけです。まあしかし自治省とすれば、そんなことは百も二百も承知の上で苦しいお答えをされていることもよくわかるし、皆さんもずいぶんこの問題では大蔵省との間で苦心をされてきていることもわかっておりますから、このことでそう議論をする考えはありません。しかし大臣として、この地方交付税の緊急な、「当分の間」と、こういうことで法定化した内容というものについて、大臣としてどんな御見解を持っていらっしゃいますか、それだけ聞いておきます。
#22
○国務大臣(澁谷直藏君) この附則による暫定的な対応策は、私どももこれが本来あるべき制度の改正とは全く考えておりません。現在の国の非常に窮迫した財政状況の中でやむを得ずとられたあくまでも暫定的な制度としての対応であると、このように受け取っておるわけでございまして、「当分の間」というふうに書いてございますが、私としては、この当分の間をできるだけ短期間に切り詰めまして、本来あるべき制度的な対応策に切りかえなければならぬと、このように考えております。
#23
○小山一平君 私どもが心配することは、この制度が一年たち二年たち、当分の間が長くなっていきますと、借入金の返済のうち地方負担分がここから減ってきますから、ますます借金をふやして対応しなければならなくなる、こういうことですから、交付税財源というものはだんだんだんだん本質的にやせ細って、ますます借金体質が深刻になっていく、こう心配するわけです。大臣は、一年も早くこういう異常の状態は解消したいと、こういうことでございますからそれでいいわけですけれども、去年も実はここで少なくともその年度のめどぐらいはつけて努力してはどうかと、こういうお話をしたのです。なかなかそれには納得のいくようなお答えがありませんでした。一年も早くこういう措置をやめるようにしたいと言っても、何しろ当分の間なんと言って三十年も続いている例がございますからね、少なくともこのめどぐらいはつけてそれに向かって努力をするという必要があると思うんですよ。そんなお考えがあるのかどうなのか。
 それから、来年度の予算要求では地方交付税についてはどういうお取り組みをおやりになるおつもりなのか。こういう中であっても、税率の引き上げというようなことも、こういう制度はあるにしてもおやりになるべきだと私は思う。それですべて解決つくほどの引き上げは無理にいたしましても、税率の引き上げの努力をすべきだと思いますし、それから、こういう形でずるずるいくのでなくて、根本にかかわるような改善の方策というようなものを何かお考えになっている点があるのかないのか、これだけお尋ねしておきます。
#24
○国務大臣(澁谷直藏君) 私は、御指摘のように、国、地方を通じての財政政策、言うまでもなく大量の借金に依存をして予算を組み、財政運営をやってまいっているわけでございますが、その結果、国も地方もだんだんと借金が累増をしてきて大変な額に到達しておることはもう御承知のとおりであります。それで最近の公債、国債の消化難という現象が出てまいっておるわけでございまして、私は、いままでのような大量に公債に依存していくという財政運営はもう限界に来ているということをこれはもう端的に示しておると、こういうふうに考えておるわけであります。したがって、来年もまたことしと同じように巨額の借金に依存をして予算を組むというようなことはもうできなくなってきておる。そういう意味で国、地方を通ずる財政の立て直しと申しますか、再建という問題は、これはもう避けて通れない問題である、緊急焦眉の問題になってきておるというふうに認識をいたしておるわけでございまして、そういう意味で、来年度の予算編成の中でぜひとも、ただいまお示しのように、当分の間というのが三十年も続いた例があるというお話でございますが、そのような状態になったのではこれは地方財政はもう完全に破綻をしてしまうわけでございますから、そんな悠長なことはとても言っておれないわけでございますから、私どもとしては財政収支試算を国会にも出しておるわけでございますが、私どものあの収支試算の中の考え方は、昭和五十九年度においては地方財政の収支が均衡がとれると、こういう状態の実現を目指して年次計画的に地方財政の再建と取り組んでまいりたい、このように考えておるわけであります。
#25
○小山一平君 わかりました。あの試算というのはどうも毎年毎年つくりかえなければならないような余り当てになりそうもない試算でございますが、まあ一応そういうものが出ているわけですから、そんなめどでひとつ努力をしていっていただきたいと思います。
 次に、行財政制度の改革についてお尋ねしていきたいと思いますが、自治大臣として中央集権主義を改めて地方分権を推進しよう、こういう考え方をここではっきりと述べられたのは、大臣、あなたをもって嚆矢とするところと私は思っております。高く評価をし、敬意を払うところでございますが、現在、大臣のその考え方が具体化されるということは、大臣になられてからの時間的な関係もあって無理と思いますが、私は、今後といえどもそれには大きな障害が立ちはだかっていると思うんですよ。ですから、いままで通例となっている自民党政府の大臣の任期中で、大臣の所信の方向にどれだけ改革を進めることができるか、非常に困難な課題であるというふうに考えます。しかし、そうであればあるほど私は大臣の任期中に、少なくとも中央集権主義から地方分権化の方向へ突破口を切り開いて、将来につながっていくことのできるような具体的なものをつくっていただきたい、こういう大きな期待を持っているわけです。早速五十五年度の予算編成作業があるわけですけれども、まあここらの段階で、何か具体的な改革の点などお考えになっていることがありますか。
#26
○国務大臣(澁谷直藏君) 私は、この委員会でもたびたび申し上げておりますように、日本は明治以来今日までの中央集権の状態から地方分権の方向に向かって動き出したと、こういう認識に立っておるわけでございます。これは言うまでもなく非常に大きな、一つの時代から新しい時代への転換とこういうことでございますから、御指摘のようにこれが短期間で簡単に抵抗もなくできるというふうには私は毛頭考えておりません。これの実現のためには相当な時間も必要でございますが、同時に、大変な抵抗、障害というものを排除していかなければ、地方分権の実現というものは絵にかいたもちになってしまう心配があるわけであります。しかし私は、基本的にはこれはもう歴史の歯車でございますから、日本の歴史の歯車が長い中央集権から地方分権の方向に回り出したというこの大勢は、私は歯車をもとに戻すということはもうできない、またやるべきではないと、このように考えております。
 具体的にどうするんだと、こういうことでございますが、私の大臣としての期間がいつまで続くか、そう長いことはないと考えておりまして、その間に何か一つしっかりしたものを残したいと、こういうふうには考えてはおりますけれども、御存じのような自民党内閣のあり方でございますから、私が所期しておるようなことをやり遂げるまで私が大臣としてとどまっておる可能性はまずないと、こういうふうに考えなければなりません。しかし私は、いま申し上げた歴史の歯車が動き出したんだと、その動き出した歴史の歯車が絶対にもとには戻らない、その方向に向かって進んでいくんだという方向づけだけは私の在任中にこれはぜひともなし遂げたいと、こういう私は強い決意を持っております。
 そこで、たびたびお答えしましたように、地方制度調査会がこの九月ころには、いわゆる地方の時代、地方分権の実現を目指す答申が出される予定になっておりますので、私はこの答申を受けて方向づけだけはきちんとして大臣をやめたいと、こういうふうに考えております。
#27
○小山一平君 大変率直、正直な御答弁でございましたが、まあひとつ、えらい気の弱いことを言わずにがんばっていただきたいと思うんですよ。私どもも極力バックアップを惜しまないつもりでございます。
 いま大臣が言われましたように、地方制度調査会がこの九月中旬あたりにまた新しい答申を出すと、こういうことが言われております。林会長が、「さまざまな事業の許認可や監督、補助金の配分まで中央がすっかり権限を握り、手取り足取り地方を動かしている状態です。しかも、その権限が各省庁にバラバラに分かれていて、さらに同じ官庁でも許認可の窓口が各部局に細かく分割されている。これでは福祉や教育、交通といった地域住民の生活に密着した行政をうまく進めることはできません。非常に不経済で、非効率的な姿になっていますね。」と、こう言っています。このとおりだと思うんです。ところが、こんなことはいまわかったことじゃなくて、もう前々からわかっている。
 ここに、昭和五十二年十一月三十日の日付の入った「地方制度調査会答申中の主たる問題事項」というのがあるんです。それから、この中で、措置状況というのもございます。これをずっと見せてもらいました。これを見てまいりますと、いまのような弊害を除去して、集権主義から分権化の方向に進めていこうという答申が具体的にたくさんあるんですね。ところが、これをよく読んでまいりますと、この答申に基づいて措置されたものは、ほとんど事務的とも言えるような改善の範囲にとどまっている。中央集権構造にかかわるような改革や地方分権を強化するようなものは全く無視されているということがはっきりわかります。この調査会の構成など、私どもから見れば問題もなくはないように思いますけれども、しかしその答申の内容は、若干の部分を除けば私ども社会党などが主張をしている内容と相通ずる部分というのが非常に多い。しかし、私どもの主張もこの答申も、重要部分というものはほとんど実現しない、こういう状況になっておると思うんです。自治省ではどういうふうに見ていますか。
#28
○政府委員(森岡敞君) 地方制度調査会の御答申は非常に広範多岐にわたっておりますから、それぞれについて答申の内容と措置状況を比較してみますと、いま御指摘のように、かなり重要な、答申があった部分につきまして手がついていないという面も相当多かろうと思います。ただ、毎年行われております本答申、あるいは臨時的な翌年度の税財政制度に関する緊急答申、それぞれ、私どもが地方財政対策あるいは地方行政全般につきましての考え方をまとめ、政府部内で予算要求その他を通じまして実現していく過程におきまして、大変大きな支えになっておるということは私どもも強く感じておりますし、また御理解をいただいておるところだと思います。
 問題は、先ほど来大臣からも御答弁がございましたように、いままではどちらかと申しますと国と地方のあり方につきましての平面的な論議が多かったのではないか。しかし、その背景になります社会経済の実態というものが非常に変わってまいった、昭和五十年代に入りまして。国民の関心なりあるいは意識も、できるだけスリムな政府と申しますか、効率性のある政府でなきやならないし、中央、地方を通じましてそういう政府でなきゃならないという観点から、やはり地方にもっと権限なり財源をおろして、身近なところでできる仕事はそこで完結するという方が望ましいという意識なり考え方がほうはいとして強くなってきておると思うのでございまして、私ども地方制度調査会の御答申を受けてそれの実現に邁進していく環境が整ってきておるように思うわけでございます。今後一層の努力をいたしたいと、かように思います。
#29
○小山一平君 そうですか。――ここにあるのは膨大なものですから、ほんの一部分について検討してみたいと思うんですが、もうすでに、昭和三十八年以降三回にわたって出されている、行政事務再配分に関する答申というのがあります。この一部を読みますと、「行政の民主的処理と総合的処理を確保し、あわせて、縦割行政の弊害を除去するためには、国、都道府県及び市町村間の事務の配分に当って、国よりも地方公共団体、なかでも市町村を優先させるべきである。」、これは当然の原理でなければならないと私ども考えております。
 それから、これは「固有事務、委任事務の区別の廃止」というところですが、「法制上からこの概念の区別を廃止し、都道府県の責任において処理する事務は都道府県の事務、市町村の責任において処理する事務は市町村の事務と、端的に考えることとすべきである。委任事務という観念が廃止されることに伴い、従前の機関委任事務とされていたものの多くは、自治事務として、議会の審議にかからしめ、住民の意志を反映して処理させることとすべきである。」、こういたしまして、もっとそれに類する具体的な点もこうして指摘されているわけです。
 またそれと同時に、事務の再配分、地方移管を大胆に行って、それに必要な財政措置も講ずべきであると、こういうことを指摘していますね。「国、都道府県及び市町村の財源措置を講ずるに当っては、まず税源再配分を行なうべきである。この場合、地方自治尊重の見地から、まず自主税源の強化をはかるべきことはいうまでもない。また、地方交付税制度の改善合理化、地方債制度の運用の適正化をはかることが必要である。」、こういうような指摘がされております。これは何も一年や二年や三年や五年や十年の範囲に出された答申ではありません。三十年代にすでにこういう答申が出ている。いかにこういう課題が今日までないがしろにされ、その改善が行われてこなかったか、こういうことをはっきりと示していると思います。
 そして、その中の一つで特徴的なわかりやすい問題としては、「地方事務官制の廃止」という問題がある。これも第九次、三十八年に出ている答申です。「地方事務官制については、地方自治法制定の際にとられた暫定的措置であって、任免権と職務上の指揮監督権とが、国と都道府県知事に分属する変則的な人事制度であることにかんがみ、廃止すべきものと考える。」、こうなっているばかりでなしに、御承知のように、この問題はしばしば国会においても議論をされ、三木総理のときに予算委員会で、五十一年度にはこの問題の解決を図りますと、こういう答弁をしているし、衆参両院の附帯決議にも、五十一年三月三十一日を目途としてこの問題の処理に当たるようにと、こういうことになっているわけですね。ところが、今日に至るも無責任にもこれがあいまいにして放置をされている。一体その原因はどこにあるか、このことがきわめて重要だと思います。
 私は、その要因というのは、何としても中央集権主義の力が強くて分権化の制度改革というものが一歩も進めることができない、こういうところに、このような行政改革を不可能にしてきた、こう思うんです。ですから、九月にまた改めて答申が出るでしょうけれども、さて今日まで十年かかっても二十年かかってもどうすることもできなかったのに、九月に出たら、時代も変わってきたからといってそれに大きな期待ができるかどうかというのは非常に疑問である。ひとつこれに対するお考え、今後の方針というものについてお尋ねをしておきたいと思います。
#30
○国務大臣(澁谷直藏君) この問題は、先ほどもお答えしましたように、もうやっぱり大変な抵抗があるというふうに私は予想をしておるわけです。したがって、これをやり遂げていくためには、やはり強い政治力というものでどうしてもそのリーダーシップをとらなければならない、こういうふうに認識をいたしております。
 ただ、先ほども申し上げたように、明治以来長い期間日本を支配してきた中央集権的な政治行政のあり方というもの、それを地方分権の方に重心をずっと移していこうという、大きなこれは国の行財政のあり方の大転換を意味しておるわけでございますから、先ほども申し上げたように短期間でできるものではない。と同時に、私はやはりこれだけの大改革を実現させるためには、その背景というものがやっぱり一番大事ではないかというふうに考えるんです。確かに昭和三十年代においてすでに地方分権の方向を目指しての答申が、ただいま御指摘になったように出されておるわけです。しかし、当時は、そういった考え方を持ってこれを熱心に主張する人というものは非常に少数で、限られておったのではないかというふうに私は考えるわけです。ところが、だんだんと世の中が変わってまいりまして、ついせんだって行われました今回の統一地方選挙に際しては、これはもう各党とも例外なしに地方の時代だと、これからの日本は地方の時代だということをキャッチフレーズにして日本じゅう選挙が行われたわけですね。こういうことはいまだかつてなかった現象でございます。これはやはり明らかに日本の国全体の考え方というものがそういう方向にまとまってきておるということを示しておると思うんです。この点が基本的に違う。
 先ほど申し上げたように、日本の新しい歴史の歯車が動き出したんだ、現在はそのスタートである。で、その歯車をもとに戻しては断じてならない。しかし、その歯車を進めていくためには、大変なやはり努力、政治力、そういったものが必要であるということはもう当然のことでございまして、私は、私の大臣の期間というものは先ほども申し上げたようにこれは短いと思うのでありますが、大平内閣は少なくとも私よりは長く続くだろうと期待をしておりまして、幸いに大平総理はこの地方分権という考え方を機会あるごとに公的にも発言をしておりますから、大平総理の頭の中には、これからはやはり地方分権の方向に向かって日本の政治というもののかじ取りをやらなくちゃならぬと、こういう認識と決意があると私は信じております。それからもう一つ大事なことは、これだけ国民の世論が高まってきておるわけでございますから、その国民の基盤の上に立って国会で働いておるわれわれ、日本の政党というものが、本気になって、そういう気持ちになって働いていくならば、私はこの障害は乗り越えられるものだというふうに考えるわけでございます。
 とにかく長い間日本の支配的な様式としてやってきた中央集権、この根っこには最も強い、頑強な日本の官僚組織というものがあるわけでございますから、これとの闘いをやらなくちゃならぬ。しかし、繰り返し申し上げますが、歴史の歯車が動き出したんだ、これを支える全国民的な世論の高まりがある。でありますから、内閣、さらにまた国会の各政党が、そのような認識を持って本当に立ち上がるならば、私は地方分権の実現というものは決して不可能ではないと、こういうふうに考えます。
#31
○小山一平君 行政管理庁来ていらっしゃますね。――福田さんのときにも大分意気込んで行政改革というものを取り上げられました。大山鳴動してネズミ一匹という表現で結末を見たように思うんですが、いまのように、行政改革が必要であるけれども大変むずかしい、こういうことです。行管として、いまどんな取り組みをされ、どんな見通しを立ててやっておられるのか、行管の立場からお答えをいただいておきたいと思います。
#32
○説明員(八木俊道君) 国と地方の事務配分あるいは地方事務官制度等、ただいまいろいろおしかりをいただき、また自治大臣の御答弁もあったわけでございますが、行政改革の中におきましては、国と地方を通ずる行政改革の問題、これは御承知のとおり実は難問中の難問でございまして、さまざまな経緯があるわけでございますが、なかなか順調な進捗を見ていないのは御指摘のとおりでございます。
 福田前内閣におきます行政改革は、中央行政機構の簡素化、地方出先機関の整理、あるいは公務員の定員配置、定年制等の公務員問題、それから特殊法人、審議会、補助金制度、行政事務の簡素化と、こう多岐にわたるわけでございますが、御指摘の、国、地方を通ずる行政改革という点につきましては、余り大きく触れるところがないということは事実でございます。
 ただ、何もやっていないかということになりますと、実は、たとえば国、地方の事務配分につきましては、許認可の整理、つまり事務の整理でございますが、事務の簡素化、能率化といった角度から若干の事項を取り上げまして手をつけているというのが実情でございまして、許認可整理計画、千件ほどの整理計画がございますが、このうちで、国から府県に事務を移譲いたします問題が二十八ほど、さらに県から市町村に事務を移譲いたします問題が八事項ほど、実は三十六事項ほど取り上げて、昨年末の状態ではこのうち二十一事項ほど――中身を見ますと、たとえば水道事業の許認可の簡素化でございますとか、比較的軽微な案件が多うございます。国と地方の基本の任務分担の改革ではないではないかというおしかりもあるいはあろうかと思いますが、主として事務の簡素化という見地から何がしかの努力を払っているわけでございます。
 また、地方事務官につきましても、これも二年以内に何とか廃止をしたいと、こういういわば目標を掲げまして、目下自治省御当局その他関係省との間でいろいろ御相談をいたしておるところでございまして、国と地方を通ずる行政改革、大変重要な問題でございますので、今後とも十分努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
#33
○小山一平君 大変努力されていることはよくわかります。が、まことに遅々として前へ進まない、こういうこともよくわかりました。これからの課題としてもう少し大胆に積極的に取り組んでいただきたいと、こういう御要望だけ申し上げておきます。
 それから、地方財源にかかわる問題ですけれども、私どももここでずいぶん議論をいたしました。事業税における標準課税の導入の問題、あるいは有料道路の固定資産税をかける問題、これも実はこの答申の中にあるわけです。また自治省とすれば、私どもとの議論の中で、外形標準課税の導入は、もういまごろはとっくにおやりになるような御答弁をいただいたこともございました。ところが、例の一般消費税にすりかわって、いまにこれが日の目を見ない、こういう状況にありますが、この二つの地方税の問題、これどんなふうにお考えになっておりますか。
#34
○政府委員(土屋佳照君) ただいま御指摘がございましたが、この事業税につきましては、その物税的な性格から考えまして、もっと事業の活動量を的確に反映する基準というものを見つけるべきであるということから、地方制度調査会を初めいろいろなところでこの外形標準課税の問題が出ておることはもう御承知のとおりでございまして、その点について私どももいろいろと検討もしてきたわけでございます。また、知事会等におきましてもいろいろな案をつくったりして検討をいただいたわけでございます。そこに御承知のような国、地方を通ずる大幅な財源不足という問題が出てまいりまして、その赤字対策ということで一般消費税の問題が税制調査会等の検討を通じて出てまいったわけでございます。
 そういうことで、私どもとしては外形標準課税の導入という方向はもちろん考えておったわけでございますけれども、こういった事態になって考えてまいりますと、この一般消費税と事業税の外形標準課税というのは、税負担の帰着の関係とかあるいは課税標準においてきわめて類似をしておるということもございまして、税制調査会の昨年末の答申におきましても、事業税の外形標準課税による方法にかえると申しますか、それと同じ実質的な意味を持つ地方消費税というものを地方の独立税として創設することが適当であるというふうにされたわけでございます。
 そういったこともございますので、私どもとしては、今日まで従来から言われた形の外形標準課税という形での解決ではございませんが、実質的において地方消費税の創設ということになれば解決ができるということで、そういった方向でいま検討をしておるというのが事実でございまして、地方制度調査会等におきましても、昨年の十二月二十五日の答申におきましても、一般消費税の一部を地方独立税として、これによって事業税の外形標準課税導入問題の解決を図るべきであるというふうにされておるわけでございまして、そういう形で私どもとしてはできるものならば解決をしていきたいというふうには考えておるところでございます。
 それからもう一つの有料道路に対します負担問題につきましては、これもこの数年来いろいろ御論議をいただいて、また、国会におきましても先生方の審議を煩わせてまいったわけでございます。私どもとしても何とか解決をしたいということで努力をしてまいりましたが、関係省庁間でなかなか意見が分かれまして今日までまとまっていないわけでございますが、何とか早急に解決したいということで、昨年、関係省のほかに学識経験者なり地方公共団体の代表、あるいは日本道路公団で構成します有料道路負担問題検討委員会というものを設けておりまして、この委員会で昨年来有料道路の性格とか負担のあり方をどうするか、またどういったやり方でやったらいいかといったような問題が検討されておるわけでございまして、今日まで――私どもとしては本当は五十四年度の予算編成時までに解決をしたいと思っておりましたが、それがかないませんでした。しかしながら関係者の方でも何とか解決をしたいという機運が高まっておりますので、できるだけ早い機会に結論を出していただきまして具体化を図るということにいたしておる次第でございまして、今日まで結論が出ていないという点はもう御指摘のとおりでございましてまことに私どもも遺憾に思っておりますけれども、ただいま申しましたような方向で、ある程度、こういう形でいけば具体化ができるであろうといったようなものを持って進めておるところでございますので、恐縮でございますが、いましばらく時間をおかしいただきたいと思っておるところでございます。
#35
○小山一平君 標準課税は別として、有料道路の固定資産税の課税の問題は、五十五年度にはこれが日の目を見ると考えていいですか。
#36
○政府委員(土屋佳照君) 関係省庁間でいろいろ意見が分かれておりますので、みんなが納得するような案というのは容易じゃございませんが、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、何とかしたいという関係方面の意向も出てまいっておりますので、次の、五十五年度の予算編成時までには解決をしたいということで努力をいたしております。
#37
○小山一平君 ぜひそのようにお願いをいたしたいと思います。
 たくさんあるんですが、時間もありませんから少しずつ飛ばしていきます。
 それから、この答申にもあるし、私もここで議論したこともあるんですが、地方交付税ですね、これは地方団体固有の自主財源である、こういう規定があるにもかかわらず、これが政府の恣意によって運用される、こういうことはよろしくない、こう思うんです。私もそういう主張をいままでもしてきたんですが、この答申にもそう書いてある。たとえば広域市町村圏を自治省がおやりになったときにも、指定をしたところへは交付税のかさ上げをしてあげますよなんというやり方はこれはよろしくない。これはすべての地方団体の固有の財源であって、特定の団体に不公正に上積みをするなんということはやるべきでないと、こういうことを申し上げてきたところです。しかし、いまとなれば、広域市町村圏は全国にまんべんなく行き渡って、若干はあるけれども、不公正はなくなりましたからそれはそれとして、しかし、いま言われている田園都市構想とかあるいは定住圏構想とか、こういうことをおやりになる場合、特にどこかえモデルを設定をしてやろうなんというときに、そこへこの交付税で操作をするなんということをおやりになってもらちや困る。まさか自治省がそんなことはおやりにならぬと思うけれども、これはそういうふうに交付税というものは扱わないと、こういうことだけ明確にしておいてもらいたいと思うんです。これからいろいろ出てまいりますと、そんなことも出ないとも限らない。とかく何でもかんでも交付税で見てくれ、交付税で見ましょうといったようなことが安易に行われ過ぎている、そう思うんです。今後、あの定住圏だとか田園都市だとかモデル地区だとかいうふうな場合に、交付税というものは、そんなところへは一切かかわらせない、こういうふうにはっきりさしておいていただきたいと思うんです。
#38
○政府委員(森岡敞君) いまお話しの中で、特定の圏域をモデル定住圏というふうな形で決めて、それに対する財源措置を考える場合の御指摘がございましたが、モデル定住圏というものにつきましては、現在圏域の規模でありますとか事業計画あるいは計画の策定方針などにつきまして、十六の関係省庁で連絡会議を持ちまして協議中の段階でございます。私どもといたしましては、その内容がどう具体化されていくのかその辺を見守って、その上で財源措置のあり方について検討してまいりたいと思っております。
 ただ、自治省といたしましては、田園都市構想ないしは定住圏構想、定住圏の考え方を具体化していくということは、これからの地方行政あるいは地方自治のあり方といたしましてやはり基本的に望ましい方向ではないかと思うのでございます。そういう意味合いで、従来の広域市町村圏の計画を内容的にさらに飛躍発展させまして、新広域市町村圏計画を各圏域ごとに策定していただく。単に事務の共同処理だけでなくて、その地域の中長期的な将来図を描いて、地域住民の福祉あるいは医療あるいは文化その他各般にわたる住みよい生活環境をつくっていくという計画づくりを新たにやっていただこうと思っております。
 で、それを実現していきますためには、やはりかなりの財源が要ることは当然でございます。当面、私どもは地域総合整備事業債というものを充ててそれでもって施設の整備を進めてまいりたいと思いますけれども、しかし、地方債だけでやって後に借金が大きく残るというのではなかなか仕事も進めにくいという声も関係市町村から相当出ておるのも事実でございます。したがいまして、それらの点につきまして新広域市町村圏計画の具体的な内容がこれから出てまいります。それを見た上で、必要なものについては私どももやはり地方債だけでなくて必要な財源措置を考えていかなきゃならぬと思います。それが新たな税源の付与になりますか、あるいは交付税ということになりますか、その辺のところは真剣に取り組んでいきたいと思います。
 ただ、御指摘のように交付税は補助金ではございませんから、交付税の算定の方法が補助金化するというふうなことはこれは絶対避けなきゃならぬと思います。各圏域を通じまして普遍的な行政需要が新計画に基づいて出てまいりますれば、それについて何らかの財源措置を考えていくというのは自治省としてのこれは責務ではなかろうかと、かように思っておる次第でございます。
#39
○小山一平君 もちろん財源措置を講ずるということは、これは重要なことでございますが、地方交付税を余りさまざまな政策意図に基づいて扱うということはやってもらっちゃ困る、こういうことだけ強く申し上げておきます。
 それから、それにかかわるわけではありませんけれども、いつだったかこの委員会で私が取り上げました地方鉄道の赤字の問題で、地方団体が何らかの負担を背負わされるというような議論というものがある、自治省はもちろんそんな国鉄の赤字に地方団体の貴重な財源をいささかなりとも投入するようなことは反対すると、こういうお立場であるはずだと思いますが、いま地方へ行くと赤字路線の廃止の問題がずいぶん問題になっている。ですから、こういうことにもかかわってくる心配がありますから、自治省の方針だけ明確にしておいていただきたいと思います。
#40
○政府委員(森岡敞君) 国鉄のローカル線問題は、単にローカル線問題というだけではなくて、国鉄の大変な赤字、これを一体どうするのかという問題の一環として論議がされておるわけでございます。そのこと自体私どもは大変大事なことであり、何らかの方向づけをしなければ、国全体の交通のネットワークを維持できないということでございますから、真剣に関係者の間で論議を進めていくことが必要だと思っております。
 先般、運輸政策審議会の地方交通線問題小委員会の報告が行われまして、ローカル線につきましては、やっぱりバス輸送に転換した方が効率的だというものもある、あるいはまた鉄道の方を維持していっていいものもある、その辺のところの整理をしまして合理的な解決を考えていったらどうかという御報告があるわけでございますが、私どもは、基本的にはやはりこの問題は、前々から申しておりますように、現在の国と地方との間の事務及び権限の配分及び財源の配分を踏まえて考えますれば、当然国の責任におきましてこれは解決をされるべきものと、かように考えております。また、地方財政再建促進特別措置法もそのような観点から国鉄に対して地方団体が寄付金その他の財政負担をすることを禁じておるわけでございます。さらに、現在の地方財政の実態は、国鉄が困っておるからといって国鉄に援助をし得るような実態では全くないわけであります。ことに沿線市町村というものは弱小市町村が多いわけでございますから、そういう余裕は全くないと思います。
 そういう観点から、大変大事な問題であり、むずかしい問題ではございますが、私どもの前々からの基本的な考え方を堅持してまいりたいと、かように思います。
#41
○小山一平君 それから、これももう早くから、昭和三十年ごろから答申していることでもあるし、私どももここで主張してきたことですが、「国庫補助負担金制度等財政制度の合理化」、この問題で、公共事業費について負担金制度を廃止しろ、事業の施行者がその経費の全額を負担するようにしろ、こういうことを言われているんですが、なかなかこれも思うように進んでまいらない。それから、低率補助金だの零細補助金は廃止をして、そうしてその事業については地方の財源でこれを充当するようにしろという問題があるんですが、これはいまどんな取り組みをされておりますか。
  〔委員長退席、理事金丸三郎君着席〕
#42
○政府委員(森岡敞君) まず第一の御指摘の、直轄事業の負担金を廃止をして国費で全部処理をしたらどうかという問題でございますが、確かにそういう意見も過去においてもございましたし、現在においてもあることは承知いたしております。ただ、逆に、地方公共団体が実施いたします公共事業につきまして国庫負担金があるではないか。そうしますとその辺の物の考え方をどうするのか。先ほどの地方制度調査会の答申の中で基本的なものが実施されていないという御指摘の中の一つにそれに関連する問題があるわけでございます。たとえば道路については、国道は全額国費、都道府県道は全額都道府県費、市町村道は全額市町村費というふうにして、財源をそれに応じて再配分をしてしまえというかなりドラスチックな地方制度調査会の答申が、昭和四十年の初めに出たことがございます。これはもう確かに大変な、思い切った改革案でございます。もしそういうことにいたしますならば直轄事業の地方負担金も廃止をするということは整合性がとれるわけでございますが、たとえば道路について言いますと、いまのように、国道、地方道の改修あるいは建設につきまして、地方がやって国庫負担を行う、あるいは国庫補助を行う。逆に、国が直轄区間について工事をやって地方が負担をするというふうな入り組んだ関係があるものですから、片一方だけをやめてしまうということが実際問題としてなかなかむずかしい。ただ私どもは、直轄事業の負担金の中で、維持費まで負担を求めておるということは片手落ちではないか、その点についてはぜひ廃止してもらいたいということを関係省庁に毎年要請しておりますが、実はなかなか実現に至っていないということでございます。この点につきましては引き続き関係各省に強く要請してまいりたいと、かように思っております。
 なお、零細補助金の整理につきましては、大蔵当局も努力を尽くしておられますし、私どもも大蔵省及び関係省庁にかねがね要請しておるところでございますが、
  〔理事金丸三郎君退席、委員長着席〕
五十四年度の補助金の合理化の状況を申しますと、合理化廃止いたしましたものが百七十四件で六百八十二億円、そのほか減額あるいは統合などをいたしましたものを全部加えまして六百七十五件、八百四十三億円という補助金整理合理化の状態になっております。しかし、これでもって十分とは私どもも思いません。基本的には補助金の思い切った整理を行って一般財源への振りかえをさらに進めていくことが必要であると思いますので、明年度以降も強くそのような考え方に立って推進してまいりたいと、かように思います。
#43
○小山一平君 局長のさっきの、国が負担する分もあるから地方も負担するというバランスが必要だというのはね、これはちょっといただけない御意見じゃないですか。国が税収の七割を取り上げて地方に三割やっておいて仕事は七割地方にやらせている仕組みの中で、国が地方へ補助金出すのはあたりまえな話で、それがあるから直轄事業の負担を地方がするのはやむを得ないんだという理論はいただけないと思いますよ。そして問題なのは、これがだんだん下へいくわけです。国が都道府県にそういう形をとる、都道府県が市町村にやる、市町村が住民にやる、こういう仕組みになっていますけれども、いま下の方からそれはもう解決してきているんです。若干の市町村では残っておりますけれども。いま、市町村道の整備をやったり建設をやったりしでも、住民から負担金を取るということを大部分の市町村はもうやっていないんですよ。県も、そういう実態の中で強い突き上げを受けて、市町村から負担金を取るということはだんだんだんだん縮小して、若干のアンバラはありますけれども、もう当然事業主体たるべき団体が全額負担をしていくと、こういう方向がいまできてきております。末端からだんだんできている。模範を示すべき国の方が一番だめだ。こういう形になっているんです。自分のことを言っちゃおかしいんですが、私なんかいまからもう十数年前にそうした住民負担を一切解消と、こういうことを実施をしてきています。これは何も私ばかりじゃなくてずいぶんそういう方向がとられておりますからね、これはやっぱりそういう方向というものを自治省あたりは強く打ち出していくべきだと、こう思います。
 それから、この零細補助金なんかも、これは悪いあれがあるんです。私どもから見れば、そんな目薬みたいな補助金なんか大して地方団体の財政に寄与するものを持ってない。にもかかわらず、地方団体の予算編成をやるときに、これには国の補助金がつきましたと、目薬のようなものがつくと予算が取りやすい、こういうことがあるんです。ですから、ここにも指摘されているようにむだ遣いになる。もっと重要なことがあるのに、わずかばかりの補助金がつくばかりに予算が取りやすいという、こういう弱点を持っていますよ、地方団体の予算編成の中では。これは自治省の専門家の皆さんだから御承知だと思いますけれどもね。そういうことですから、そんなわずかの目薬で地方行政を操ろうという意図があるならいざ知らず、地方の財政という立場で補助金というものを考えるとしたら、全く弊害はあっても無意味であると、まあこういうことをよく認識をしておいていただきたいと思います。
 そのほか超過負担の問題地方債の問題、たくさんありますが、きょうは時間に大いに御協力を申し上げるつもりでございますから、これ以上この問題を続けることはやめにいたしまして、田園都市構想について若干お尋ねをしておきたいと思います。
 大平総理が田園都市構想を唱えてから、これはあたかも自民党政府の最も大きな目玉政策であるような印象を与えまして、特に地方団体や地域の住民の間では、この構想というものがどういう形で具体化され、みずからの住む地域社会がよくなっていくんだろうかと、こういう期待が非常に大きいわけです。ところが、やれ理念だ、哲学だ、ビジョンだと言われる範囲を出ることができずに、少しも具体化、政策化の気配を見ることができません。いずれの資料を見ましても、何かこうくすぐったくなるような美辞麗句でつづられて、あたかも夏の夜空を鮮やかに彩る花火のように見えますよ。この四月十日付で、大平さんの私的な機関だそうですが、政策研究会・田園都市構想研究グループというのが、「田園都市国家の構想」という中間報告を出していますね。これもまあ理念、ビジョンの範囲を出てはおりませんが、私は何かこれ「国家」という文字が入ってきたことが気になって仕方がないんです。何かこの発想には、いま議論になっている中央集権的、国家主義的なにおいがするように思えて仕方がない。これは私がそう思うのであって、みんながそう思うかどうかはこれは別問題です。
 それからいまのように、どんなりっぱな理念や構想が唱えられましても、これが具体的政策とならなけりゃ全く意味のないばかりでなしに、期待が大きいだけに失望と不信を招くおそれがあります。私は、現状を見るとこの具体化はきわめて困難。花火に終わりはしないかという心配がしてなりません。国土庁も大変な荷物をしょい込んで困惑しているのではないかとさえ思われますけれども、そうかといって、何かやらなければならないというので地方団体が迷惑を受けたり混乱したりするようなことをやってもらってはこれまた困るという心配もございます。
 国土庁、来ていただいていると思いますが、いまどんな取り組みをし、どんなスケジュール、見通しを持っておりますか。
#44
○説明員(白井和徳君) お答え申し上げます。
 田園都市国家構想ということでございますが、これは総理の私的研究会でもってつけられた名前でございまして、細かいところは承知しておりませんが、大平総理は、四十六年ごろからやはり田園都市国家構想ということで、国家という言葉を使って新しい地域づくり、国づくりというものを目指していくということを御指摘になっておりましたので、その辺のところがこの国家構想という言葉になってあらわれたのだろうと思います。先ほど自治大臣からもお話がありましたように、この田園都市構想というのは決して中央集権的なイメージというものではございませんで、むしろ従来の中央集中の流れを見直して、経済的にも文化的にも諸機能を地方に分散させてその定着を目指すものだと、かようにわれわれとしては理解しておるわけでございます。
 そこで、具体的にどうするかということでございますが、御承知のように、一応田園都市国家構想というのは政策的な理念でございますので、この具体的な展開ということになりますと、田園都市構想に盛られておりますその思想を踏まえまして、第三次全国総合開発計画で提示されました定住構想の推進によりまして新しい生活圏の整備を図っていくことが最も緊急なことだろうというふうに考えまして、関係省庁結集いたしまして定住構想推進連絡会議を開催いたしまして、地方公共団体とも相連携いたしまして具体的な整備を進めてまいりたいと、かように考えております。
#45
○小山一平君 あの中間報告を見ていきますと、「我が国の歴史にとっても、また人類の歴史にとっても、全く初めての試みであり、」云々などと述べている。世界でだれも考えたこともないような壮大な構想のように言っているんですね。ちょっといい気になり過ぎているんじゃないかという感じがしてならないんですよ。そしてこういう構想は、さっきから大臣のおっしゃるように、日本が戦後中央集権的な国家主義的なシステムで、政治、行政、経済、教育、文化、あらゆる分野にわたってコントロールしながら、しゃにむに高度成長を推進して、今日のようないわゆる高度工業社会を築き上げてきたわけですね。ところが、同時に、過密都市問題だとか過疎問題だとか、産業間、地域間に生じた経済格差だとか、公害、自然破壊だとか、人間性、連帯意識の喪失とか、人間生活や人間社会にとってマイナス、矛盾の諸問題が山積してきたわけですね。田園都市構想というようなものが唱えられるのも、地方の時代などということが叫ばれるのも、こうした山積した困難な課題を解決しようと、こういうところから出発して、改めて地方を見直してそこに日を当てていこうと、こういう発想だと思うんですね。そして現在の集権的手法をもってしてはこれに対応することが困難だ、こういうところから出ていると思うんですよ。
 総理も地方分権ということをおっしゃっていらっしゃいますし、特に自治大臣は、田園都市構想の具体化に当たって、地方分権を確立するという方向に即して具体化するのでなければ大した意味がないと述べられていることは、私は大変な見識だと、全く同感するわけでございますが、定住圏構想というものを進めていけばこの田園都市構想と一体のものでうまくなっていくんだなんというのはこれは漫画みたいなものですよ、私に言わせれば。そんな簡単なものではない。もっとこれは総合的な、もっときちっとしたところから出発していかなければどうにもならぬ大変な事業だと思うんですよ。
 ところが、そういう具体化を進めていくということになれば、さっきから話の出ているような、各省庁に割拠したセクト縦割り行政というものがここに立ちはだかって、その総合性、一つの目標に向かってすべての行政が機能するというこういうことの阻害となっている。こういうところから問題を見つめていく必要がある、こう思っているんですが、国土庁は、まああなたにこんなことを聞いたって無理ですけれども、定住圏構想というのを進めることによってこの大構想が花火で終わらないような方向へ、一どきにいかない、長い年月はかかるにしても、進んでいくんだと、こう思っているんですか。いま私が申し上げたような問題点というのはどういうふうにとらえていますか。
#46
○説明員(白井和徳君) 確かに先生のおっしゃるような問題点があることはわれわれとしても認めておりますが、やはり定住圏整備に当たってりっぱな計画を地方公共団体が主体でつくっていくというところからいろんな問題の解決の糸口が出てくるんじゃないかというふうにわれわれとしては考えておりまして、今回も広域市町村圏の計画の見直しもありますし、それから国土庁を中心にいたしまして十六省庁のモデル定住圏の整備のための計画着手ということがありますので、地方公共団体を中心にしてりっぱな計画をつくる過程においていろんな諸制度の見直しというのが行われるのではないか、かように期待しておりますので、若干時問いただきまして推移を見守りいただきたいと、かように考えております。
#47
○小山一平君 そのことはいいでしょう。
 で、夏目さんでしたか、ここで議論されましたが、国土庁はモデル定住圏というのをおやりになるのですか。
#48
○説明員(白井和徳君) 国土庁が中心になりまして十六省庁合意に達しまして、モデル定住圏というのを原則として一県一圏域を選定いたしましてやるということで、それについて必要な措置を講じてあります。
#49
○小山一平君 その一県に一カ所モデルを設定をしてやるなどということが、地方の知事なり関係市町村長なりが賛成していると思いますか。東京だけで考えたってだめですよ。こういうことはこれは問題があるんですよ。一カ所をモルモットのようにやって、そこに何か模範的なものをやって、これがよかったらみんなまねしなさいなんて、そんなことじゃいけないんでしょう。三十万の圏域もあれば二十万でしかできない圏域もある。どうやってみたって千か二千の山奥の部落社会もある。これをみんなどうやっていい条件にしていくかと、こういうことであって、どこかへ模範をつくるなんという発想は、これは私に言わせれば官僚的独善と言わざるを得ないんですよ。
 もともと国民の生活や文化は、長い歴史の中で地域地域で多様化されて、そうして個性に富んだものが形成されてきたわけですよ。これが国家の基礎をなしてきたわけでしょう。ところが、この高度成長の過程で画一化が進んで、活力を失い荒廃をしてきた。いまこのことに深い反省が求められているんじゃないですか。そしていま重要なのは、この多様で個性に富んだ地域社会にどうやって活力と新しい生命をよみがえらしていくか、こういうことが私は発想の出発点にあるべきだと思うんですよ。
 モデル定住圏というのは、私の知っている知事なんかでも絶対反対だという知事がたくさんいる。あなた方はそれを押しつけてやるつもりですか。またあの新産都市のときのように、日本じゅうわいわいわいわい気違いのように物欲しげにこじき根性で東京へ陳情運動をさせるようなばかなまねはやめた方がいいですよ。再検討する考えはありませんか。
#50
○説明員(白井和徳君) モデル定住圏につきましては、これを国の方から押しつけるということではございませんで、それぞれの県におきまして一県一圏域地方公共団体が主体的に選択して、そこにおいていわゆるモデル定住圏の計画策定並びに整備についてのいわゆる手法を開発し、それが全国的な規模で将来展開していくということを期待しているわけでございまして、先生おっしゃるように、それぞれの地域においては個性もあるし伝統もあるし歴史性もあるしさまざまでございますので、四十七都道府県それぞれ一圏域選べばある程度の個性としてのモデル性が担保されるのではないかと、かよう考えておりまして、そこにおける計画システムの導入を通じまして、そして国がいかように支援できるかということもあわせ検討するという意味でモデルでございまして、一つの地域を指定して、そこだけが云々ということを最終的には考えているものではございません。その辺、何とぞ御理解いただきたいと思っております。
#51
○小山一平君 それじゃ、ある県の知事は、わが県は県の一つの都市を中心にしてそこに一カ所モデル定住圏というものを設定することには反対である、わが県は一つのものとして計画を立て、みんな均てん的に進めていきたいという考えの人がある。その人に、一カ所選んできなさい、こういうふうにあなた方は押しつけるんですか。そうして、もうすでにそうだけれども、関係自治体がそんなばかなことはやめなさいとでも言えばいいものを、おれのところを指定してくれ、おれのところを指定してくれなんて言って騒ぐでしょう。これはもうまことに望ましくないことです。
 それでもあの新産都市のときには、あれは重化学工業という基幹産業を中心にして高度成長をどんどん進めていくために何カ所かそれに必要な基盤整備をしていこうと、こういう政策目標というものがあった。そのことの賛成反対は別として一つの政策目標というものがあった。ところが、今度の場合はそうでない。日本じゅう大きな町も小さな村もみんなこれ同じようにやって、そして強固な日本の基盤を形成しようと、こういうことでしょう。余りモデルなんということにこだわらぬ方がいいですよ。まああなたに言ったってしようがないが。また何かある機会にはこういうことを考えてほしいと思うのですよ。
 大臣、どうですか。このモデルというのは大変問題なんです、地方自治体にとっては。自治大臣としてどうですかね。
#52
○国務大臣(澁谷直藏君) お説のように、この田園都市構想という考え方を基調にして新しい国づくりをしようと、こういう構想でございますから、もちろんこの対象は、日本全体を対象としてこれは考えられるべきものだと考えます。その点については小山さんの御指摘、私はまことにもっともだと、こういうふうに考えます。
 ただ実際に、行政的にそういった田園都市構想というものに基づいて都市づくりを進めていこうと、こういうことになりますると、当然これはもう財政的な制約もございますし、日本全国一遍に対象としてやるということは実際問題としては不可能であるわけでございますから、そこでとりあえず原則として各都道府県に一カ所モデル定住圏というものを取り上げて着手していこうと、こういうことに落ち着いたわけでございまして、かつての新産都市のときのように、国が一つの形を押しつけて、そしてそれを推進していくという発想ではないわけであります。
 特に私は、今回の田園都市構想の推進に当たりましては、この委員会でも申し上げたように、地方分権という考え方、思想というものを田園都市構想推進の基本に据えておかなければならぬと、こういうふうに強く考えております。したがって、今回の、原則として各都道府県に一カ所というこのモデル定住圏の選定に当たっても、従来のように中央の各省庁が地方の陳情を受けて、とにかく日本じゅうから中央に集まってきて陳情合戦をやったというようなあんな愚劣なことを二度と繰り返してはならない、こういう点を強く主張しておるわけでございまして、幸いに私どもの主張が取り入れられまして、今回はモデル定住圏の地域の選定は地方団体にもう任せると、こういうことに落ち着いたわけでございますので、一カ所モデルをつくればそれでいいんだというような考えでないことは御理解をいただきたいと考えます。
#53
○小山一平君 まあこんな議論を幾らやっていてもあれですからやめますが、この前の新産都市のときには東京へわいわいやってきた、今度は東京のかわりに県庁が攻められるわけですね。同じことですよ。ばかなことだと思いますが……。まあひとつこれは後になって困らないようによく考えてお願いしたいと思います。
 そこで最後に、私は、さっきからいろいろ論議が交わされてきたように、地方行政の制度の改革ということも思うように進まない。地方分権を強化するような税制、財政制度もなかなか思うようにいかない、田園都市構想もこのままじゃ花火に終わりそうだ、こういうことは一体どういうところに問題があるかということを整理をして、そして大臣の所信をお聞きをして終わらしていただきたいと思います。
 新しい憲法に初めて地方自治が規定をされて、日本の地方自治制度は画期的な転換を見たわけですね。当時は戦後の混乱期でもありましたし、またこの新しい制度改革に見合うような実体を形成することを可能にするような土壌もできていなかった。したがって、旧態依然たる中央集権主義と官僚メカニズムが継承されてきたのはこれはやむを得ないことだと思いますね。こうした中で、私がここで幾たびも申し上げてきたところでございますが、昭和二十五年、シャウプ勧告と地方行政調査委員会議によるいわゆる神戸勧告が出されて、地方財源の拡充だとか補助金の縮小、事務の移譲、再配分、起債の自由化等々、分権自治の確立を目指した地方自治制度の実体形成について具体的な改革案を提示したわけです。これが尊重されてくればよかったんですが、ところが当時はちょうど国際的冷戦激化の時代でもあったし、朝鮮戦争というのが起きまして、連合軍の対日政策も一変いたしまして、分権化から集権化の道をたどるというような客観的な情勢下にあったわけですね。したがって、せっかくの地方自治にとって貴重な提案も、尊重されないどころか急速な逆コースを進んできたわけです。
 たとえば自治体警察の廃止、教育委員公選制の廃止を初め、道路法、河川法の改正によって、知事の管理下にあった国道、河川の重要部分を国が引き上げた。そして建設大臣の権限に移したでしょう。同時に、それにかかわる公団が次々とつくられてきましたね。そのほか地方農政局が新設をされる、地方建設局の強化が図られる、事務や権限の地方移譲どころか、反対に中央集権が強化をされてきたわけです。こうして現在形式的には地方自治がかなり進展したかのようなふうに見られる面もあるけれども、その実態は、戦前の内務省に集中していた強大な官僚組織と権限はことごとく各省庁に分割されて、縦割り行政となって地方行政をがんじがらめにしている現在の地方支配の体制と構造をなしているわけですね。
 いま大臣が一生懸命に努力をされようとしている地方分権化に対して頑強に抵抗するのはだれですか。中央集権にがんこに固執をしている最たるものは中央官僚と強大な官僚組織でしょう。この強固な集権構造と思想は日本の悪質ながんにも似た病根となっているとさえ私は言いたいんですよ。この地方行政委員会にはそんな人は一人もいませんけれども、残念なことに国会議員の中にはこの官僚の片棒を担ぐ者が非常に多い。だから事がますますめんどうだ、こういうことになるわけですね。ですから、地方分権を口にすることは簡単ですけれども、その実行ということになるとこれは容易ならざることだと肝に銘ずることが肝要だと思うのですね。私は何も、日本の官僚のすぐれた知識や才能や能力やそういうものを評価しないわけではない、高く評価しています。そうしてまた、今日まで政治、行政をリードしてきた多くの功績についても評価し、敬意を払っております。しかし、地方の時代と言われたり、田園都市構想なんていうものが出てくる今日の時代というのは、いままでの体制をもってしてはいま噴出している難問を解決することが困離だ、どうしてもそれには地方分権に向けた転換が土台とならなければならない、私はこういういま時期だと思うのです。
 さっきも大臣が言われた歯車というのは、こういうことが迫られているにもかかわらず、なおこの道を頑強に阻むものがあるとすれば、私は、言い過ぎかもしらぬけれども、ここであえて官僚亡国論を唱えざるを得ないというくらいの心境です。大臣が地方分権、地方自治の確立を信条とされて今後に対処されようとしているその決意だけをもう一度重ねてお伺いをして、私の質問を終わることにいたします。
#54
○国務大臣(澁谷直藏君) ただいま小山さんのいろいろな御意見伺ったわけですが、私は、基本的には考え方は全く同感でございます。先ほどもお答えしましたように、地方分権を具体化していくに当たってやはり最大の抵抗をするのは日本の官僚組織であると、こういうことを先ほども申し上げました。しかし、私は政治家としてこれは反省しなければならぬと思うのですが、日本の官僚、これはもうきわめて優秀であることは先ほど先生もお認めになったわけですが、その官僚が日本の国を支配しておるという一面もありますけれども、現在の憲法のもとにおいて、官僚が日本の政治をしているわけじゃないんですから、日本の政治をしているのは政治家でございますから、やはり官僚を政治家が指導、リードしていくだけの力と努力を払わなければならぬ、そこに一番大きな問題があるのじゃないかというふうに私は率直に考えておるわけであります。とにかく大変な抵抗、障害があることはもう重々承知しておりますけれども、私どもは政治家としてひとつ本当に性根を据えて地方分権の推進に当たってまいりたいと、このように考えております。
#55
○委員長(永野嚴雄君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時五十分まで休憩いたします。
   午後零時四十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時二十一分開会
#56
○委員長(永野嚴雄君) ただいまから地方行政参員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#57
○金丸三郎君 大分時間の制約もあるようでございますから、三つの点にしぼりまして大臣並びに関係の政府委員にお伺いをいたします。第一は財政の問題でございます。第二は午前中にも御質問がございましたが、国と地方との関係につきまして。第三番目は定年制とか週休二日制などの問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 第一の財政の問題でございますが、私から申すまでもなく、国は最近景気対策を主たるねらいとして相当量の予算を編成をし、財源として巨額の国債を発行し続けてまいりました。したがいまして、地方につきましても同様の措置が行われてまいっております。で、国は別にいたしまして、地方同体の地方債が現在までで総額幾らになっておりますかということ。それから、その償還につきましては、今後自治省としてはどういうふうにやっていったらいいとお考えなのか。すでに自治省の方から中期の財政の見通しについては私どもも資料の御提出をいただいて承知いたしておりますけれども、なおその点をお伺いいたしたいと思います。
 それからもう一つ、一体地方団体は地方財政の現状をどのように認識しているであろうか。昭和二十八年、二十九年は地方財政のどん底の時代でございました。財政再建の特別措置法が二十九年にできまして、その力もあって地方団体の財政が立ち直ったのでございます。当時と現在は非常に情勢が違っておりますけれども、たとえばことしの地方財源の不足見込み額が四兆一千億である、それをどのようなふうにして補てんをするかと申しますと、五十四度度の地方財政計画の自治省からお出しの資料にもございますように、地方交付税を二兆四千六百億円増額をする。これはほとんど大部分が資金運用部資金からの借り入れによっております。もう一つは、建設地方債を一兆六千四百億円増発をする。これで財源の不足額の四兆一千億円が補てんをされた勘定になるわけであります。
 これを受ける地方団体としては、財源の不足を国の方でめんどうを見てもらっておりますから赤字とは全然考えません。黒字と思っております。だから府県でも市町村でも、五十二年度の決算あるいは五十一年度の決算、恐らく五十三年度の決算も数十億の黒字の決算ということになると思うんです。しかし実態はどうか。実態は国も赤字国債であり地方団体も赤字公債であります。ところが赤字と言わないで建設地方債とかいうようなことを言っておりますので、財政について危機感がないんじゃないか、どうもそういうような印象を私は受けております。これが正しいかどうか、大臣どのようにお考えなのか。
 それから、四兆一千億からの財源不足であります。地方団体はなすところがない、自治大臣と大蔵大臣の話し合いで決まってしまう。いわば完全にあなた任せの地方財政の決定が昨年も一昨年もさらにその前も行われてきております。極端に言いますと、地方自治と言いながら財政的には全く一〇〇%国に依存をしておると、こう言えはせぬだろうか、こういうような気がいたしてなりません。諸外国においてどういうふうになっておるか。お聞きしますと、イギリスでもやはり政府で地方財政計画はつくるやに聞きます。地方自治団体というものをどういうふうに考えたらよろしいのか、根本に触れる問題でございますが、大臣にお伺いいたしたいのは、地方債の総額、償還方法、それから地方団体が地方財政の現状あるいは将来をどのように認識しておるとお考えになっておられるのか、そしてそれにどのように対処しようとお考えになっておいでになるか、まずこれらの点をお伺いいたします。
#58
○政府委員(森岡敞君) まず、地方債の累計額とその償還問題についてお答え申し上げたいと思います。
 昭和五十四年度の地方財政計画で見込んでおります地方債をそのまま発行いたしました後の五十四年度末の地方債現在高の見込みは、四十兆五千億円程度になろうかと思っております。そのうち普通会計分が二十五兆四千億円、公営企業その他の会計分が十五兆一千億円と見込まれます。これは実は大変な金額でございますし、さらに御質問の中にございました地方財政収支試算によってごらんいただきますと、公債費は五十四年度の地方財政計画では二兆六千三百九十二億円でございますが、六十年度におきましては六兆四千億円程度になるものと見込まれております。しかも、この六兆四千億円という公債費は、地方債の発行は五十年度から五十四年までやってまいりましたような建設地方債あるいは減収補てん債というふうな特別の地方債を発行しないで財政運営をやっていくという前提の六兆四千億でございますから、もし財源不足に対処いたしますために五十九年度までさらに地方債を財源対策として用いるということになりますと、この六兆四千億という数字はさらにふえてまいるということでございますので、公債費の将来の地方財政に与える圧迫というのは実は大変なことだと私どもも認識いたしております。
 で、基本的には、地方債の元利償還費は、御承知のように地方財政計画に計上いたしまして歳出として立つわけでございます。一方、歳入につきましては、現行税財政制度のもとでの歳入を見込んで、財源不足がありますれば適切な財源措置を講じていくわけでございますので、私どもといたしましてはこういう仕組みを通じまして、地方財政の運営に支障がないように公債費財源を確保してまいらなきゃなりません。しかし、現行の税財政制度の自然増収のままで、各般の福祉あるいは社会資本の整備をやりながら累増してまいる公債費を賄っていくということはほとんど不可能に近いのではないかという感じを持っております。したがいまして、毎々申し上げておりますように、租税負担の増加を含めまして、税財政制度の基本的改正を行いまして、地方税あるいは地方交付税等の一般財源をできるだけ早くかつ大幅に拡充してまいるという施策を講じていくことがぜひ必要だというふうに思っておる次第でございます。
#59
○国務大臣(澁谷直藏君) 地方自治体が、現在の実態は赤字財政であるけれどもそれをどういうふうに認識しておるかと、危機感が薄いのではないかという御指摘でございます。私どもも三千を超える各自治体に一々これは当たったわけではございませんから、的確な答弁はできかねるわけでございますが、確かに一般的な感じとしては、御指摘のようにことしだけでも四兆一千億の財源不足、それに対して政府としてはただいま御指摘があったような方法でその財源の不足額は完全に充当をいたしておる、こういう仕組みでやっておるわけでございますから、自治体の、受け入れる方の感じとしては、確かにそんなに大きな赤字で自治体の財政が賄われておるという実感が乏しいのではないかという御指摘は私はそのとおりだという感じがいたします。しかし、それでは問題の解決に取り組む意気込みというものが出てこないわけでございますから、私どもの行政指導としては、これはきわめて異例の異常な深刻な状態であるということを十分に自覚するように指導をしていかなければならぬと、こういうふうに考えております。
 それから、予算編成に当たって地方の財政対策、これが全部中央で決まってしまって、地方自治と言いながらそれに口を入れる機会が全然ないのではないかという御指摘、まさしくそのとおりの状態になっておると思います。特にこの数年間大変な財源不足が続いておりますから、それの財源不足をどういう方法で補てんするかという問題については、これは確かに地方自治体の関与するすきがない。大蔵省と自治省との間で議論をし、折衝をして最終的な方法を決めておると、こういうのが実態でございます。でありますから、こういう状態が地方自治にとって好ましい状態でないということは言うまでもないことでございますから、やはり私は、第一には、この非常に窮迫をしてきておる地方財政の立て直しというものに本格的に取り組まなければならぬということが一つ。それから第二には、その本格的な対策の中で、基本的には地方自治体の財源というものをもっともっと充実することによって中央に対する依存度というものをできるだけこれを低くする努力をしていかなければならぬ、このように考えております。
#60
○金丸三郎君 まあ地方の財政の実情の認識につきましては、私と大臣も御同様でいらっしゃるようでございます。
 そこで、今後の見通しとして、景気がどのようになっていくかということが非常に関係があるわけでございますが、地方債の累計が約四十兆ですか、で、国の方が、いろいろ計算の仕方もございましょうが、五十九兆と私は承知しております。大ざっぱに申しますと、約百兆でございます。今後景気がよくなって税の自然増収があれば格別でございます。もし余り期待できないとすれば、明年度も相当の額の国債と地方債をあわせて発行しなければならないと、こういう理屈になってまいります。
 ところで、けさの日本経済新聞でございましたか読んでおりましたら、大蔵省の国債の消化の懇談会で、一兆円分だけ預金部の資金でやるから民間で消化する分は一兆円少なくしてもらっていいと、こういう記事が出ておりました。とうとう一番インフレの心配のある方向に国が一歩踏み出さざるを得なくなったんじゃないかと、私はそういう感じがいたすのであります。国債についてはここで本日論ずる限りではございません。地方債の消化については現在までどのような状況か、五十四年度新たに発行される分についてはどのようなお見通しでいらっしゃるか、その点をお伺いをいたしたいと思います。これが第一であります。
 それから第二は、大臣もおっしゃいますように、地方の自主財源を増強したいと、これはもう当委員会の委員さん皆さんどなたも御異論のないところだろうと思います。そこで、地方税の増税でどれぐらい賄えるものか、どういうお見通しでいらっしゃるか、あるいは国の税制調査会の方で言われておりました一般消費税、まだ固まっておるわけではございませんけれども、それと地方税との関係、あるいは地方にその一部を受けると仮定をいたしまして、およそどのような期待ができるとお考えなのか、この点が第二点でございます。
 それから第三点としては、五十三年度の地方税のうち、府県税の伸びが非常にいいように聞いております。これがどの程度の伸びと期待ができますのか。市町村税分まではまだおわかりにならなければやむを得ません、市町村税まで推定ができるのであれば市町村税まで含めまして五十三年度の増収。五十三年度から地方税も財政計画を上回る増収が見込まれるということでございますならば、私は五十四年度もある程度期待ができるのではなかろうかという感じがいたします。五十四年度の税収の見積もりをまだ現在の段階で財政計画より多いとか少ないとかはなかなかおっしゃれるような段階じゃございますまいが、感じとして、五十三年度の実績からいって五十四年度はやはり府県税、市町村税とも非常に期待が持てそうだというふうにお考えかどうか、これらの点をお伺いいたします。
#61
○政府委員(森岡敞君) 公債の消化問題についてまずお答えいたします。
 国債につきましては、ただいまお話しのように発行量のうちおおむね一兆円程度資金運用部資金で引き受けるという方針を大蔵省としてはお固めになったようでございますが、これは国債の発行量が御承知のように累年大幅にふえてきており、ことしは十五兆円を超えるというふうな金額になってまいっております。一方、通常六・一国債と言っておりますが、既発の表面金利六・一%の国債の市場価格が大変下落をいたしまして、それが新発債の消化をまた非常に困難にしてきておるというふうな市場での問題も出てまいった。それらのことが重なりまして、五十四年度発行の国債につきましては、一兆円程度運用部資金で引き受けるという形をとらざるを得ないということになってまいったのだろうと思います。
 そこで、国債につきましては、御承知のように、そのような市場条件にかんがみまして三月に〇・四%利率を引き上げました。四月からまたさらに〇・七%引き上げて、条件の改定が行われることになりました。これによりまして国債の消化はおおむね順調にいけるものと大蔵省では見ておられると思います。
 地方債につきましては、ことしの地方債計画の総額は七兆四千十億円でございますが、そのうち政府資金が二兆九千百億円でございます。これは資金運用部資金なりその他の年金資金等で引き受けてもらいますから、これは消化は問題ございません。
 それから、公庫資金一兆一千三十億円でございますが、これは政府保証債を発行いたしますのと、その他若干の共済その他の縁故資金を充てておりますが、これも消化はそう問題ないと思います。
 問題は民間資金でございますが、その民間資金三兆三千八百八十億円のうち、市場公募債が八千億円、縁故債が二兆五千八百八十億円でございます。このうち市場公募債につきましては、国債について先ほど申し上げましたのと同じような市場における問題が実は出ておったわけでございますが、先ほど申し上げました、三月に〇・四%、四月に〇・七%国債の利率を引き上げましたのに対応いたしまして、市場公募債の利率の引き上げも同率で行うことにいたしました。したがいまして、八千億円程度のロットでございますので、この消化はスムーズにいくものと思っております。二兆五千億円強のいわゆる縁故資金につきましては、それぞれの地方公共団体が指定金融機関あるいは関係金融機関と折衝を行いまして消化をしてまいらなきやならぬわけでございますが、全体として見ますならば、民間の資金需要というものがまだそれほど強く盛り上がってきていないという状態でございますので、先ほど来申しております発行条件、ことに利率について市場における状況に適合するような利率改定が行われますならば、消化の困難というものはそれほど大きく出てまいらないのではないかというふうに当面は見ております。
 ただ、景気が急速に回復してまいりまして、民間の資金需要が出てまいりました場合に、その辺との兼ね合いが問題になってまいろうかと思いますが、現段階では消化は何とか円滑に行い得るものと思っております。また、万一の場合を考えまして、予算編成の際に大蔵大臣と自治大臣との間で覚書を交換いたしております。縁故資金の消化については最大限の努力を大蔵省当局にも協力をお願いすることにいたしておりますので、それらの措置を通じまして遺憾のないように措置してまいりたいと、かように思っておる次第でございます。
#62
○政府委員(土屋佳照君) 今後の地方財政の運用に当たりまして、地方税がどういった程度伸びていくであろうかといったこと等に関連して、幾つか御質問があったわけでございますが、地方税の動向につきましては、今回の五十四年度の見込みが、選択的な増税を行いまして、その千二百三十億を含めまして一兆三千四百八十七億の五十三年の見込みに対する増ということになっておるわけでございます。それでもなおかつ御承知のように、先ほど説明がございましたが、四兆一千億という財源不足を生じておるというようなことでございまして、こういった状況から見れば、ある程度GNPの伸びに応じて税も伸びていくとは思いますけれども、いまのような歳出なりあるいはまた税の構造というようなことでございますと、なかなか大幅な不足額というものをカバーはし得ないといったような感じがするわけでございます。そういったことから、歳出の節減、合理化とかあるいは税制面での公平確保といった点ではいろいろと努力もしなければならないと思いますけれども、しかし、ただいま申し上げましたような、財源不足が巨額でございますので、こういったことだけでは財政を立て直すということはなかなか容易ではないと思うわけでございまして、どうしても今後国民に一般的な税負担の引き上げを求めていかざるを得ないのではないかといったように税務当局としては考えておるわけでございます。
 そういった点から、御承知のように税制調査会等でもいろいろと御検討を願ってきたわけでございますけれども、昨年末の答申におきましても、国、地方を通じます財源不足の事態を改善するためには一般消費税の形で新税の導入ということを提案をしておるわけでございます。もとより一般消費税が導入されます場合は、これは国、地方間で適正に配分されるということが、前提になるわけでございますから、税制調査会におきましても、新税のうちで地方団体へ配分される額の一部は新たに設ける地方消費税――道府県民税という考え方でございますが、地方消費税とするというふうに述べておるわけでございます。自治省としてもそういった答申の線に沿って、国民の負担を引き上げるという場合はそういった形での地方独立税源の充実ということでまいりたいということで種々検討をしておるところでございます。
 それから、今後を占う意味において、五十二年度の地方税はどういう見込みであるかということでございますが、現段階ではまだ最終的に的確な判断ができるほどの資料はないわけでございますが、先ほどもお話がございましたように、本年二月末の道府県税の徴収実績によりますと、個人の道府県民税とか自動車関係税が比較的好調になっております。と同時に、私どもが懸念しておりました法人関係税が、昨年の九月の段階ではまだ前年を下回っておりました、九八%ぐらいでございましたから気にしておりましたが、緩やかながらも回復基調にあるということで、十一月の実績あたりから前年度実績を上回ってまいっております。そういったこと等もございますので、道府県税全体においては当初見込んだ伸び率をやや上回る伸びを示すであろうというふうに思います。最終的にも地方財政計画で見込んだ額は十分確保できると考えております。ただ、市町村税については、まことに多数の団体にわたっておることでもございますので、十分な資料がまだないわけでございます。しかしながら、その大宗をなしております個人市町村民税が、ただいま申し上げましたような個人の道府県民税とほぼ同じ傾向にあるということは当然推定されるわけでございますので、市町村税についてもある程度の伸びが出てくるであろうというふうに見込んでおりまして、地方税収入全体でも、地方財政計画において見込みました額は十分確保できるというふうに考えております。
 全体としてどの程度の増収になるかというのは、ただいま申し上げたような事情もございまして、現段階では明確に数字を申し上げることはできないという点を御理解願いたいと思うのでございます。
 で、こういった傾向から五十四年度はどうかということでございますが、一応私どもとしては、五十三年度の当初見込みに対して五十四年度は一一・六%、総額としては十二兆九千億ぐらいの税収を見込んでおります。先ほど申し上げましたような、これは五十三年度に対しまして一兆三千億余りの増収ということになっておるわけでございまして、この程度のものは、五十四年度のGNPの伸びが一応九・五%というふうに経済の見込みではなっておるわけでございます。そういったものに弾性値等を考えますと、大体確保できるのではないかと思います。最近のこのいろいろな経済の回復基調にある状況等を見ましても、何とかこれは確保できるであろうと思っております。
 新経済社会七カ年計画においても大体今後一〇%強の経済の伸びがあるといったような考え方を基本構想ではとっております。そういった点からもそう悲観的ではないと思っておりますけれども、その程度のものでございましても、先ほどから説明がございましたように、収支のギャップが非常に大きいわけでございまして、伸びがあったとしても地方財政全体、特にこの税についてはそれほど従来の赤字を解消するほどの大きな伸びがあるということはちょっとむずかしいのではなかろうかというふうに考えております。
#63
○金丸三郎君 最近景気がよくなったという話を非常に聞きますし、また相当にそれは浸透しつつあるように思います。しかし、それに伴って地方税が五十四年度ふえたとしても、とうていそれによって地方財政の収支のバランスがよくなるということは期待できないというただいまの税務局長の答弁でございました。
 そこで、何らかの形でやはり国民の税負担あるいは住民の税負担を求めなければならないと、そういうことになるのが現状からいたしますというと私としては当然の認識じゃなかろうかという感じがいたします。ただ、その前提として、いわゆる不公平税制の是正――自治省としては不公平税制というのはないんだと、こうおっしゃるでしょうが、いろいろな特別措置があります。ことしもそれは若干行われております。それを今後どういうふうになさるか、それではどの程度の税の増収が期待できるか。
 それから、第二は一般の世論として国民に増税を求めるならば、企業が減量経営をやったりしておるようにやはり経費の節減をやるべきじゃないか。府県や市町村としても経費の節減をすべきである。ことしの財政計画では、管理費はできるだけ節約してありますと、この五十四年度の地方財政計画はそうなっておりますが、その程度でどうも国民が納得するのかどうか。経費の節減の問題。
 それから、府県や市町村における機構改革、行政改革。私どもは、大府県あるいは大都市、相当余剰な人員を抱えておる面が確かにあると思います。しかし、また一面、福祉行政をどうしてもやらなければならなくなってまいりました。たとえば養護学校が義務制となってきておりますから、これにはいままでの学校の基準とは違って多数の職員が必要であります。これらは不可避的な増員をしなければならない。そういう面もございますが、租税の特別措置の是正と申しましょうか、不公平税制の是正と申しましょうか、この点と、経費の節減と地方の行政機構の改革なり、あるいは人員の合理化なり、そういう点についてどのようにお考えになっておりますか、お伺いをいたします。
#64
○国務大臣(澁谷直藏君) 先ほど来からの御議論のように、とにかく国と地方の財政の立て直し、これはどうしてもやらなくちゃならない。来年度予算編成のもう最大の課題であると考えるわけでございますが、そのためにはどうしても国民にある程度の税の負担をお願いをしなければならぬということで、一般消費税の導入ということも計画されておるわけでございますが、やはり国民に増税をお願いする政府あるいは自治体というものの姿勢として、ただいま御指摘のような経費の節減、総括的な意味における経費の節減というものを私はやはりもう徹底してやらなければならぬ、このように考えます。やるべきことをやらないで、そして国民や住民にもう少し税を負担してくださいということではこれはとうてい納得を得られるものではございません。そういう意味で、国も地方もこの際本当に思い切った現状に対する徹底した見直し、これを断行しなければならぬ。これは、消費税という形を私どもはいま考えておるわけでございますが、増税を導入するに当たってのこれはもう不可決の前提であると、こういうふうに考えております。したがいまして、行政機構の面につきましても、総理の言われる効率的な安上がりの行政機構、こういったことを目指して私は徹底したメスを入れるべきだと、このように考えます。
 ただ、御指摘のように、福祉行政につきましては、確かに行政需要というものがますます今後増大するというのはこれはもう基本的な方向でございますから、この行政需要に対しては当然ある程度の対応をしなければならぬということはこれはもう避けられないことだと考えておりますが、それをやるにしても、いま申し上げたように、とにかく経費の節減ということを基本に置いて必要最小限度の行政の増大ということにとどめるべきだと、このように考えております。
#65
○金丸三郎君 それでは次に国と地方との関係についてお伺いいたします。
 第一に、地方の時代と、大変私どもには耳ざわりのいい言葉を聞くのでございますけれども、一体地方の時代というのは、大臣はどういう意味にお考えになっていらっしゃるのか。
 第二は、地方の時代ということがなぜ言われるようになってきたとお考えになっていらっしゃるのか、その点からお伺いをいたしたいと思います。
#66
○国務大臣(澁谷直藏君) 地方の時代ということが日本じゅうで言われるようになってきたわけでございますが、やはりこの地方の時代というその一番の中心は、いままでの日本のあり方が余りにも中央集権に偏っておったということに対する認識から出てきておるのではないかというふうに私は考えております。
 それで、一方において、戦後三十年以上たちまして地方の自治体もみずから政策を立案し、これを実行していく力もついてきた、地方自治体も非常に成長をしてきたと言っていいわけでございますから、したがって、住民の一番身近かな、また住民の事情に一番詳しい自治体が、住民の意向をくみ取ってその住民のニーズにこたえるような行政を自主的にやっていけるようなそういう体制をつくるべきであるというのが、地方の時代と言われておる根本にある考え方だと、このように考えております。
#67
○金丸三郎君 大変よくわかりました。私も全く同感でございます。
 そこで次に、先ほど小山議員から大臣にお尋ねのございました中央集権、地方分権についての御論議、私も実は大変興味深くお聞きいたしたのでございます。憲法の九十三条に、地方団体の首長は直接選挙で選ぶと、こうなっております。私の感じでは、これは政治的には、考え得る非常に大きな地方分権の制度であります。にもかかわらず、行政的な中央集権が日増しに強くなり経済が発達するにつれて、あるいは交通通信手段が発達するにつれて中央集権的な傾向が強まり、金融面ではもう全くそうである、私はそういうような感じがいたすのでございます。先ほど地方分権に持っていかなければならないと、その具体的な方法として行政事務を府県や市町村に移譲するとか、府県や市町村の自主財源を増強するとかいうような御議論もございました。地方分権を強化するという大臣のお考えは、府県や市町村という現在の自治団体を前提にしてそういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、それ以外に自治団体なり地方に機構をつくって、それに権限を移譲して地方分権的な行政なり政治なりをやっていくというふうにお考えなのか、その点をお伺いしたいのでございます。これが一つであります。
 それから私は、地方自治について最近いろいろ疑問を感じておりますのは、地方自治を決して否定するわけじゃございませんが、たとえば東京都近郊の住民は、御主人が東京都に勤めておりますから、千葉県や神奈川県に住んでおりましても意識は東京都民である。地方都市に参りましても、主人が地方都市に勤めて家は隣接の市町村に住んでおります。住んでおる市町村のほかの住民と連帯的な意識はどうもありません。ただ地域を共通にしておるにすぎない。自治意識というよりも、地域を共通にしておるから自分たちの生活上に必要な水とか、じんあいの処理とか、学校とか、道路とか、河川の清掃とかあるいは環境の整備とかいうことを言っておる。どうも社会生活の変化に伴いまして自治意識というものが私は相当に変わってきておるのじゃないかという感じが実はいたします。これを地域主義と申すのがいいのかどうかわかりませんが、その点について大臣はどのようにお考えなのか。これは府県の場合と市町村の場合でも住民の意識が違うことは申すまでもございませんけれども。その点が一つであります。
 それから、中央集権、地方分権ということの議論のほかに、私が最近非常に感じますことは、国と地方が一体で協力をしなければいろんな大事な問題ができなくなってきたと思っております。たとえばエネルギー問題です。原子力の問題では、通産省でも科学技術庁でも現実の発電所の建設については全く無力であります。全部知事や市町村長がどろをかぶってやらなければできません。
 それから、国としていま非常に大きな問題は、私は景気対策であったと思います。ここ数年間の景気対策、これは国もやりますけれども、府県や市町村も公共事業に最重点を置いてやってまいったと、こう申していいと思います。一体景気のことに府県や市町村がさして役割りを演ずるとは思っておりませんでしたけれども、ここ数年来は現実には府県も市町村も総力を挙げて国と協力をして景気対策に努力をしてきたと、私はこう言ってよろしいと思います。
 もう一つは土地政策であります。土地や住宅の問題、これが今日の国民的な課題であります。法制の面、財政金融の面では、国の力も非常に大きゅうございます。しかし、現実の土地対策あるいは市街化区域の問題とか、調整区域の問題とか、農振地域の解除の問題とかあるいはミニ開発をどうするかとかいうような問題になりますというと、これも府県や市町村の協力なくしては不可能と私は申していいと思います。
 それから、時間がございませんので詳しくは申しませんけれども、今後の中高年齢者対策の問題、あるいは福祉対策の問題。福祉は国の問題と言われておりましたのが、府県や市町村でも相当突っ込んでやるようになってまいりました。
 それから、世界的な問題として雇用対策、別の言葉で申しますなれば失業対策と申してもよろしいと思います。私は、これも国だけの力ではもうできなくなってきておる。府県や市町村が協力をしなければできないと、こういうふうに思います。
 そのほか空港の問題でございますとか、水とか、環境保護対策とか、いろいろございますけれども、国とわが国の府県、市町村との関係はそういう面から見直して私は自治省が、府県や市町村の味方でございますけれども、国と、府県や市町村と各省の間に立って、調整的な役割りを果たすと申しましょうか、これは自治大臣お一人ではなかなか各省相手でございますので、私も固まった考えがあるわけじゃございませんが、私がここ十年ほど自分で地方行政に携わってまいりました経験から申しますというと、何らかのそういう調整が政府の内部に必要なのではなかろうかと、こういうような感じがいたしますので、これらの点についての大臣の御所見を承りたいと思います。
#68
○国務大臣(澁谷直藏君) 最初の御質問の、地方分権、行政事務の再配分あるいは地方自主財源の充実というようなものが基本になるわけでございますが、そういう地方分権を考えるに当たって、現在の地方自治体というものを前提にして考えておるのか、それとも何らかの新しい機構を考えておるのかという御質問でございますが、私は、地方分権を進めるに当たって新しい機構が必要だというふうには考えておりません。現在の地方自治体というものを前提にして地方分権を進めていこうと、こういうふうにいま考えております。
 それから第二番目の、住民の連帯感が非常に薄れてきておるという御指摘は、全くもうそのとおりでございます。これはやっぱり基本的には職と住が分離しておるというところに一番根本の原因があると思います。住んでおるところは千葉県、働いておるところは東京、これはまあ代表的な例でございますが、そういった形が日本全国、特に大都市周辺において、日本全国で見られる形になってきておるわけでありますから、働いているところは東京だけれども実際に住むところは千葉県あるいは埼玉県と、こういうような状態になっておりますから、したがって、どうしてもその自分の住んでおる地域に対する帰属意識と申しますか、連帯感というものが強くない、弱い。それが自治体あるいは自治行政というものに対する無関心という形になってもあらわれてきておる。この点はこれからいろんな施策を私どもが考えていく上に相当重視しなければならない状態ではないかというふうに私は考えております。
 したがって、こういう事態になってきておるわけでございますから、それをどのようにして自分の住んでおる自治体というものに対する帰属意識を強めていくのか、私自身適切な方策というものをいま考え浮かべることができないわけでございますけれども、大平総理の言われておる家庭基盤の充実というようなことも恐らくはこういった実態に対する反省から生まれてきておるのではないかと私は推測をいたしております。この点は、非常に重大な問題がここにあるわけでございますので、今後ともひとつ掘り下げて検討をしてまいりたいと、このように考えます。
 それから第三番目の、現在及びこれからの仕事というものは、国と地方自治体が本当に協力して一体になっていくのでなければ効果を上げることが非常に困難であるという御指摘は、もう全くそのとおりでございます。いろいろと例を挙げられましたエネルギーの問題にしてもあるいは景気対策にしても、土地対策、住宅対策あるいは雇用の問題、どれ一つ取り上げても、国が単独でやれるという仕事は一つもありません。むしろ実際に仕事を行うのは地方自治体、地方で行われるわけでございます。中央はいろんな企画をし、あるいは財政的な援助というものは当然これは国の仕事でございますけれども、実際に国民なり住民と接触をして、折衝をして、そして仕事を進めていくその担当者は地方の自治体でございますから、この地方自治体の協力なしに国が考えておる仕事が進むわけはございません。
 そういう意味で、国と地方自治体というものは全くこれは本当に意思の疎通の上に立った協力関係、私は一つのパートナーシップじゃないかと思うんです。そういう関係にもなってきておる。ですから、国が一方的に、何か強い権限を背景にして地方自治体に対して命令をする、監督をすると、こういう意識では、これからの日本の仕事というものはもうやっていけない。むしろ国と地方がそれぞれの任務を分担して、しかもその分担の上に立って協力してやっていく、パートナーシップ、そういう時代に入ってきておるというふうに私は考えておるわけであります。そういう意味で、地方自治体を代表するという立場に立っておりまする自治省というものの役割りは、御指摘のように私は非常に重いと、このように考えております、非常に貴重な御提言でございまして、私どもこれを十分肝に銘じて今後大いに努力をしていきたいと考えております。
#69
○金丸三郎君 ただいま申し上げましたようにエネルギーの問題、土地問題、雇用対策、私はこれらの問題は今後の国政上の非常に重要な問題だと思います。大臣も同じようなお考えのようでございますので、どうぞ閣内にあってひとつ思い切った強力な御発言を願って、各省と地方団体との間に立って、これらの政策の推進に御努力をお願いいたします。
 時間がほとんど参りましたので、あと、大蔵省と人事院と自治省の関係で、補助金の整理の問題と定年制と週休二日制について簡単に御質問いたします。
 午前中小山委員からも御質問がございましたが、地方分権といいましょうか、国が事務を処理した方がいいか、地方が事務を処理した方がいいか。私どもは、やはり府県議会、市町村議会の監視のもとに、府県知事、市町村長が処理した方がいいものが相当あると、実はそのように考えます。しかし、事務を移譲しようといいましても、これも言うべくしてなかなかです。むしろ私は補助金を整理して、それを交付税にでも入れて、そうして府県や市町村でやるようにしたらどうかと、こういう感じがします。
 五十四年度の地方財政計画でいいますと、国庫支出金のパーセンテージは二五・八%にすぎませんけれども、多くの府県や市町村では交付税とそれから国庫支出金が六〇%、七〇%近いところがたくさんあると思います。国庫支出金が全部府県の方に移譲できないことは私どもよく承知しております。大蔵省として補助金の思い切った整理をお考えにならないのかどうか、この点をお伺いいたします。
 それから、人事院に対しましては、定年制について現在どのように準備をしていらっしゃるのか。各省とどういう話し合いを進めていらっしゃるのか。年齢は六十歳とか――何歳をお考えになっていらっしゃるのか。給与について、定年が仮に六十としましても、ずっと昇給が続くのか、途中で頭打ちにするのか。勧奨退職とかそういう点はどういうふうにお考えになっていらっしやるのか。この点をお伺いいたします。
 それから、自治省につきましては、定年制についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、これをお伺いいたします。
 それから、週休二日制について、人事院で現在どのようなペースで考えておられるのか。何年後ぐらいの実施が適当であろうというようなお考えなのか。やり方として、順次完全なる週休二日制を実施するということもできると思います。まず数年間は月二回完全週休二日制とかですね。それらについての人事院のお考えと、あわせて自治省の、週休二日制について地方団体に対してどのような指導をしようとお考えになっていらっしゃるかお伺いいたします。
#70
○説明員(伊藤博行君) お答え申し上げます。
 国庫補助金の整理合理化に関しての関係でございますが、いまさら申し上げるまでもなく、補助金は、あるいは社会保障あるいは教育あるいは公共事業といったような、それぞれの行政目的を持って、その施策の遂行に有効であるという観点から設けられておるものでございます。で、お説の、そういった補助金を統合して交付税化したらどうかという御趣旨であるといたしますならば、いま申し上げましたように、それぞれの補助金がそれぞれ固有な行政目的を持っておるということからなかなかむずかしいんじゃないかというふうに考えております。
 ただ、現行の補助金制度があらゆる意味で完璧かどうかという点につきましては、私どももそのときどきの社会情勢あるいは経済情勢の変化に即応した見直しをしていく必要があるというふうな観点で、毎年の予算編成におきましては、補助金の整理合理化は大きな柱の一つとして毎年見直しをしております。その際に、地方公共団体の自主性をできる限り尊重するという観点から、補助金制度の趣旨を踏まえながら、そういった趣旨を生かしていくという方向での努力を行っておるつもりでございます。
 具体的に申しますならば、類似した補助金といいますか、目的をほぼ等しくするような補助金等につきましては、あるいは統合する、あるいはメニュー化するというようなかっこうで、各自治体の選択にゆだねるというかっこうでの合理化も、補助金の整理合理化の中の大きな柱の一つとして推進してきております。ちなみに、本年度、五十四年度の例で申し上げますと、約百二十件の補助金につきまして統合メニュー化を行いまして、四十件にしておるというような実績を示しております。今後の補助金の整理合理化に当たりましても、先生の御趣旨を踏まえながら、いま申しましたような方向で努力を重ねていきたいというふうに思っております。
#71
○政府委員(長橋進君) 定年制についてお答えいたしまして、御質問に出ました給与、週休二日制につきましては担当の局長が参っておりますので、後から御答弁いたします。
 定年制につきましては、昨年二月に、総理府の総務長官から人事院総裁あてに、貴意を得たいという書簡もございまして、自来、公務員の在職状況でございますとか、あるいは高齢者の退職管理の実態、それから民間におきます実施状況、そういったようなものをいろいろ調査いたしまして分析を続けております。鋭意検討を続けておりまして、作業状況といたしましては間もなくまとめの段階に入る予定をしております。なるべく早い機会に結論を得まして、事が定年制という重大なことでございますので、人事院といたしまして公式に考え方を明らかにしたいというふうに思っております。
 それから次に、各省庁との折衝の状況はどうかというお尋ねでございますが、これは年明けてことし一月ごろから、機会あるごとに各省庁の人事担当者といろいろ意見の交換をしております。定年制を設けましても実際に人事管理をいたしますのは各省の任命権者ということでございますので、各省庁におきますところの高齢者の在職状況、それから現在退職管理はどういうことでやっておりますかとか、あるいは定年制を実施いたしました場合に、現在の人事のローテーションから見ましてどういう問題が出てくるかということをいろいろお話しをしております。各省庁の人事担当者も大変真剣に問題を受けとめていただきまして、率直にお話し合いを進めております。なお、今後も機会あるごとに十分御意見を承りたいと思っております。
 次に、年齢を何歳とするかというお尋ねでございましたけれども、率直に申し上げましてまだ最終的な結論を出しておらない段階でございますので、具体的に何歳という年齢を申し上げかねる状況でございますけれども、やはり人事管理の安定性というものを考えます場合に、各省庁における退職の実態でございますとか、あるいは各省それぞれ職種が多種多様にわたっておりますので、そういった職種についていかなる配慮をすべきかとか、あるいは民間におきますところの定年制の動向はどうであろうかとか、あるいは、これはもう一般論でございますけれども、一般的な高齢化傾向に対してどう対処していくべきであるかとか、そういったような各問題点につきまして総合的に検討いたしまして、その上で年齢を決めたいと、目下のところはそういうような段階でございます。
#72
○委員長(永野嚴雄君) 答弁はなるべく簡潔にしてください。質問者の持ち時間がもうなくなっていますから。
#73
○政府委員(角野幸三郎君) わかりました。
 定年制と高齢職員の給与の昇給カーブについてのお尋ねでございますが、昨年私どもは高齢職員の給与の関係について、勧告の際に報告で問題点を指摘いたしておりまして、二、三十歳代では非常に民間の方が高いけれども五十歳を超しますと公務員の方が高い、全体では平均では合っておる。しかし、これはいまのような安定的な世の中になりますと、やはり配分問題が非常に問われるという意味で、これはほっておくわけにいかないという意味の問題提起をいたしておりまして、そういう観点からいたしますと、いまお尋ねの定年制との関係がどうかということでございますが、これはどういう年齢に設定されるかによりまして、その年齢以上は在職者がいなくなるわけでございますが、年齢の設定いかんによりましては、たとえばいま申しましたように五十歳を超しますと公務員の方がだんだん高くなっていくというような点がもし残るといたしますれば、そういう民間との配分の整合的な維持という観点から引き続いて検討していかなくちゃならない問題だと思っております。昨年問題提起をいたしまして、本年それについてさらに詰めるということで目下作業をいたしておると、こういうことでございます。
#74
○政府委員(金井八郎君) 週休二日制につきましての現在の考え方を申し上げますと、現在二回の試行が終わった段階でございまして、その結果の集約を待っているところでございます。
 週休二日制は、いわば世界の大勢とも申すべきものでございますし、人事院が調査対象としております企業におきましても約七割近く普及しております。そういうことでございますので、人事院といたしましてはなるべく早い機会にその導入についての検討を進めるということでございます。
 それから次にお尋ねの、今後の週休二日制の進展の順序等につきましてでございますが、週休二日制を最終的にどのように取り扱うかにつきましては、先進諸外国におきましても官民ほとんど完全週休二日制ということになっておりますので、これは推測でございますけれども、将来的にはわが国でもそういうことに進んでいくのではないかというふうに考えるわけでございます。
 ただ、公務の場合におきましては、職員の勤務条件という観点から週休二日制の問題を私ども取り扱っております関係で、国家公務員法の二十八条に規定します「情勢適応の原則」、すなわち公務員の勤務条件を社会一般の情勢に適応させるように決定すると、こういう観点から進めておりますので、民間におきまして完全週休二日制というものが広く普及いたしまして国民からのコンセンサスというものも得られる、そういう段階になりましたならば、公務におきましても週休二日制というものが完全な形で導入されることになっていくのではないかというふうに考えております。それまでは、民間の情勢等に応じまして段階的に濃度を少し高めていくという形で進めていくことになるのではないかというふうに考えております。
#75
○国務大臣(澁谷直藏君) 地方公務員につきましては、給与については国家公務員に準ずるというのが大原則でございますから、定年制につきましても週休二日制につきましても、国の方針が決まってこれに準じて実施していくというのが、私はこれが本来の行き方であろう、こういうふうに考えております。
 ただ私は、定年制につきましては、これはもう導入すべき時期に来ておる、こういうふうに認識をしております。
 それから週休二日制について、これは世界の大勢だということはそのとおりでございますが、私は、公務員というものはこれはやはり全体国民に対する奉仕者という立場、しかもその給与は税金で賄われておるという特殊な性格を持っておるわけでございますから、一般の国民、特に日本の場合は中あるいは零細の企業が非常に多い、圧倒的に多い。そういった中以下の企業がなかなか週休二日制に踏み切れないでいるというのが日本の実情だと思うんです。そういったものを顧みないで、とにかく公務員が先に週休二日をやってしまうというようなそういう考え方は私は賛成できない。いま人事院からも答弁されましたように、あくまでもやはり日本の国の全体の進みぐあいというものを十分頭に入れながら、それに沿って、順次タイミングを見計らって実施に入っていくべきものだと、このように考えます。
#76
○野口忠夫君 私は、地方交付税法について主に質問を申し上げたいと思うんですが、その前に、先ほど金丸委員から御指摘があったのですが、地方時代という言葉が非常に使われたと、こういうお話があって、それに対する大臣の見解をお聞きになったんですが、統一地方選挙というものが全国を沸かして終わったわけであります。この選挙の中では、実は一般的な地方時代というようなことではなしに、これからの地方のあり方は地方時代へ向かっていくのだということを、それぞれの選挙の中で強く国民に訴えられまして、地方時代というものは選挙を通じて国民に公約された新しい出発のときを迎えているのではなかろうか。この選挙を通じて新しい知事さん、新しい町村長さん、新しい議員、新しい議会が地方の中に構成されたわけでありますが、私はこの選挙の終わった現状において、選挙を通じて国民と公約された地方時代への立場というものは、大臣としては一つの歴史的な転換としてとらえるべき時期ではなかろうか。そうでないと、選挙の中で住民のためにとか地域のためにというようなうまい言葉を並べて選挙民の票を集めた結果、また相変わらずであったという国民裏切りの行為になってしまうのではなかろうか。そこから生まれる政治不信というようなものを非常に私は心配するわけであります。そういう選挙期間の中で私もお邪魔しましたが、候補者の方はどの方もこのことをおっしゃっている。まさに統一地方選挙を通じて地方時代への国民的出発がいまあると。自治大臣としてはこれを踏まえて今後の自治行政を進めなければならぬというように思うわけでありますけれども、この点に関しての自治大臣の認識と、このことに対して特段に考えなければならない基本的な態度というようなものについて、大臣のひとつ所信のほどをお述べ願いたいと思います。
#77
○国務大臣(澁谷直藏君) 地方の時代ということが今度の地方統一選挙を通じて、これはもう恐らくどの政党も日本全国そういったことで国民に訴えたと思うんです。こういうことは、振り返ってみますると、これだけ地方の時代ということが各政党の別なく全国的に叫ばれたというのは、恐らく今回が初めてだろうと思うんです。これは決して根拠のないことでないのであって、ただ選挙だから票を得るためにそういう言葉を使ったというような簡単なものではないと、こういうふうに私は考えております。私は、この委員会でしばしば答弁いたしておりますように、やはり日本全体の諸情勢が地方の時代というものに向かってもう進んでいかなければならない時期に来ておるということが背景にあると認識しております。
 ただ、この地方の時代、地方分権の確立ということは、言うことは簡単でございますが、これを実行するとなると、先ほど来お答え申し上げておりますように、これは大変な抵抗がある。この抵抗を排除をしながら地方分権の確立に向かって進んでいくということには、これは大変な決意と努力が必要であることは当然でありますけれども、私どもは、これらの困難、障害、抵抗というものを恐れてはならない。やはり地方分権の確立という一つの大きな目標に向かってしんぼう強く努力を積み重ねていかなければならない。これが私の認識と決意でございます。
#78
○野口忠夫君 大臣の強い決意が述べられたわけでありまして、まことに私もそういう取り上げ方をしていかなければならないのではないかというように思うわけでありますが、いろいろ問題点はあろうかと思いますけれども、地方時代を叫んで今度の統一地方選挙を終了したというこの段階で考えられる問題の中心は、国と地方とのあり方の抜本的な見直し、それがやはり中心的な課題としてあったのではなかろうか。言えば、従来までの国と地方の関係は、何か地方というのは国の下方機関である――名称からしておかしいんですよ、地方と言ったり、地方公共団体と言ったり、地方団体と言ったり、地方自治体と言ったり。国と地方の関係を明瞭にあらわす言葉は一体何だろう。議会があり、首長が選挙され、自治的に自分たちがやっていけるというこのあり方は、私はやはり地方政府的な性格を持っているんではなかろうか。単なる国の下方機関ではなくて、議決機関を持っているわけですから。この中で自治を守っていこうというあり方は、国のあり方と同じような形をとっているということになると、地方政府――余りこの言葉はいままではばかられておったんですけれども、自治省の中にもそういう見解があるように私考えますので、自治省の発行する白書の中の何ページでしたか、「地方政府」という言葉が自治省の白書の中にあるようであります。
 で、これは自治省も認めているんだろうと思うんですけれども、地方政府と国の政府、そういう考え方をしていきますと、戦国時代の豪族みたいに、あちらこちらにえらい豪族が出まして、そしてこれがお互いに分捕り合戦するようなことになると戦国時代みたいになってくる。今日の時代ではそれは考えられない。地方と国との関係というものは、私から言えば、地方というのは国の土台だという考え方をすべきではなかろうか。
  〔委員長退席、理事金丸三郎君着席〕
戦後の日本の憲法が求めている平和の姿も、民主的な成長というようなことも、やっぱり地方自治体を通じてつくられていくんだ。その確かな安らかな地方自治体という組織の上に国というものが存在している。そして全国的な連絡調整ないしは指導助言。つまり、地方自治体は、建物で言えば土台であると。上ばかりが大変いいこといって、土台が崩れていくようなことをしてはならない。日本の国の本当の発展繁栄というものは、その土台の強固な中から生れてくるのだという考えの中で、国と地方というものを考えていかなければならぬのではなかろうか。
 大臣の先ほど答えられました分権思想、あるいは国と地方との協力というような金丸さんの御意見、そのことはいまの認識の上に立ってやっぱり考えていかれないと、どうもいろいろな問題を醸すように思われてはならないわけでありまして、国と地方というものの関係が、地方は国の土台なんだと、その土台が強固でなければ国というものの建物は崩れていくんだと。この土台をむしるようなことをやったり、土台を崩すような、あるいは安易な考えで土台に臨むということは国というものは考えてはいけないんだという姿の中で、国と地方との関係というものが意思の合一をされていなけりゃいかぬじゃないかというような気がするわけですけれども、大臣としてこの辺のところどうお考えでございましょうか。
#79
○国務大臣(澁谷直藏君) 私は、いま野口委員のお述べになった考え方は、全くもう賛成であり、同感であります。私は機会あるごとに地方自治体は、国の土台という言葉をお使いになりましたが、国の土台であり根っこであると、こういう言葉を使っておるわけです。もちろんこれは、国は全体でありますしその中にある地方自治体というものは全体の中の部分でありますから、全体と部分の関係というものは基本的にはありますけれども、その全体を代表する国というものの土台、根っこはこれは地方自治体であるということも、これはもう明瞭な事実でございますから、その土台がしっかりしないで国がしっかりするというはずはこれは毛頭ありません。そういう意味で、私はやはり国を支えておる土台、根っこである地方自治体というものを、健全な、そして力を持った、そういう強固な自治体にこれを育てていかなくちゃならぬ、これが地方分権の考え方だと、このように理解をしております。
#80
○野口忠夫君 そういう考え方が土台になって地方時代に入っていったというように言えると思うんですが、やはり国会の中で聞く言葉の中に、車の両輪という言葉があるわけですね。国が困っているときは地方も一緒に困ってほしいみたいな言い方。国と地方は車の両輪だと。で、何度か申し上げたことがあるんですけれども、この車の両輪の中に埋没してしまうという危険性を非常に私は感ずるわけです。車の両輪という言葉は非常に結構な言葉でございますけれども、車の輪だけが必要なのではないわけですね。その車の輪がどちらの方向に走っていくかという、車の両輪が走っていく方向というものが政治的には重要なものではなかろうか。高度経済成長という方向に向かって走り出していくその片方の国の輪っかに自治体がこれに乗っかって、自然増収の中で安易に過ごしたというところに、やっぱり地方自治体の今日の矛盾の深化というもの、非常な悩みをいま伴っているんではなかろうかと思います。車の両輪というのは、やはり方向、その車がエンジンがかかって走っていく方向はどちらかという中で、今日的国策の方向というのは高度経済成長の終えんを伝えているし、そしてこれからの方向は福祉国家の実現でなければならぬというように言われているわけです。
 方向は明らかであります。その方向に向かっていま車の両輪が走っていくんだというふうに考えた場合、高度経済成長で産業基盤の育成に一生懸命きゅうきゅうとした日本の行財政、国家総動員的な姿で高度経済成長策を推進していった。今度は一体どうかということになると、これは高度な福祉国家へ向かって、社会を建設することに向かって走っていくんだという大きな国策の転換をいま迎えているわけでございます。福祉の根っこはどこにあるということになりますと、地方自治体の中にその福祉の根っこは存在しているということになります。国民と密着した、地域住民のそばに国の財政、行政というものが大きく集中していくべき国策の変更という問題ともかみ合わせていまとらえられるべき一つの課題ではなかろうかと思うんです。
 何か車の両輪の中で、相変わらず産業基盤に協力するような意味で景気回復などばかり言っておりますると、肝心かなめの福祉という問題がこれからの課題であるという地方自治体に対する大きな助成、援助、そこからつくられていかなければならない高度な福祉社会というようなものが、自治体軽視の中で進んでいってしまうんじゃないかと思います。地方時代をつくろうとする今日の課題というのは国の課題でもあるんだという中で、地方自治尊重という言葉は国家的見地でひとつ考えられ、乏しい財源の中でもこのことだけはやっていかなきゃいかぬのだと、それが国民に公約した今日の国の課題でなければならぬというふうに思うわけで、財政が乏しいからその方はどうでもいいということにはならぬ。乏しい中でも最大限の努力を払って国の方向性というものを持っていかなきゃならぬじゃないかというふうに思うわけでありますが、こうした考え方に大臣いかがでございましょう。
#81
○国務大臣(澁谷直藏君) 国が苦しいから地方も一緒に苦しんでくれという考え方も、これは私はあながち否定できないと思うんです。地方自治体だけがしっかりしておって国はもうどうでもいいということでは、国全体の円滑な進行というものは、これはもうできないわけでありますから。そういう意味で、国も非常に苦しいから地方もまあがまんしてくれという、そういう言い方、考え方には私はある程度根拠があると、こういうふうに考えておりますけれども、しかし、国が苦しいからということを一つの口実にして、そして地方自治体というものに対する政策の力の入れ方というものを十分にしない、こういう点は、私は十分にこれは警戒をしなくちゃならぬ、こういうふうに考えます。
 何といっても、やはりいままでの長い日本の歴史の中で、中央の官庁には――私も中央でおったわけですが、地方に対する考え方はどうしてもやはり上から下を見るという、そういう考え方が伝統的にありますよ。これはもう否定するわけにはいかない。しかし、そういう考え方は修正をしなければならぬ時期にきておるというのが、私は地方の時代の幕あけだと、こういうふうに考えておるわけであります。先ほど金丸さんからいろいろ御指摘がございました。これから日本として取り組まなければならない大きな問題、どれ一つ取り上げても地方自治体の協力なしにはやれないわけでありますから、従来のように上から下へという縦の構造ではなくて、これはもうその同じ平面の上に立って協力をしていく、パートナーシップという、そういう考え方をもっと多く取り入れなくちゃならぬ、基本的に私はそういうふうに考えておるわけであります。
  〔理事金丸三郎君退席、理事志苫裕君着席〕
#82
○野口忠夫君 私の言葉が少し足りなかったのかしりませんけれども、車の両輪ということの中で、国家財政の危機、だから地方財政もこれに応分の負担をしてくれという言葉、これが福祉国家を建設するという国の方策の方向で考えられていることについて、若干どうも疑義があるわけです。国の方向は地方尊重の方向に行かざるを得ないというのが福祉社会の建設への課題だと私は思うわけでありまして、そのことに向かって行財政が集中的に、その建設のために、ちょうど高度経済成長が進んでいったように努力をしていくんだということの中で、国の財政が困ったからという言葉の中でこのことをおろそかにされるということについては、若干どうしても納得できない。それを納得することは、結果的には国の財政危機に地方も協力する態勢というものになるというわけですから。国は、どこかを見つめながらそういうことを言っているんじゃなかろうか。福祉という問題がこれからの課題だということが言葉だけに終わってしまうというおそれが実はあるのではなかろうか。
 今日、景気回復の問題等を考える場合、だれが一体景気回復しているんだろう、地方の福祉社会をつくるために産業が振興されなければならぬ、経済が伸長していかなければならぬ。その成長や振興の利益というものが国民に返されていくということの中で福祉社会が建設されるという課題が生まれているんだと、こう思いますと、決して豊かではございませんから、乏しい中でも、そのことによって地方自治体に対する財政のあり方を押さえつけるようなことはどうも納得できないと、こういうふうなお話を申し上げたわけでありますが、何か大臣の強い決意をお聞きいたしまして、澁谷先生私も同県でよくわかるわけでございますが、その強い姿勢には大いに敬意を表しますが、敬意を表しながら地方交付税の改正案にひとつ入っていきたいと思うんですけれども、これは先ほどの大臣の答弁では、どうもいささか、ごもっともでございますとはどうしても申し上げることができないものを感じます。納得できないですな。
 五十年度以降、もう毎年ごとに累増する財源不足というものが、五十四年度においては前年度をオーバーすること一兆円、四兆一千億円という財源不足を抱えているというような現在深刻な地方財政危機の段階にあると私は思うわけであります。五十三年度のときの法改正に当たりましては、本委員会の審議の状況を振り返ってみますと、地方財政における財源不足というこの事態は国の責任でこれは補てんすべきである。それは地方交付税によってこれは全額賄わなければならぬ。それが地方交付税法が示している法の趣旨である。自治省当局もその正当性については委員会の皆さんの御質疑の中でこれを認めておられます。しかしながら、五十三年度の経済情勢は容易ではないという国の状態の中で、暫定的ではありますが、当分の間ではありますが、これを借入金ないしは起債というような措置でこの財源不足を賄うための二分の一負担法則のルール化という制度の改正を行いました。これは暫定的であり、当分の間であります。そこで、五十四年度についてはどうかという御質問があった中で、各方面と協議をいたしまして抜本的な対策を検討して自治省の態度というものを固めて、五十三年度八月ごろから始まる予算の折衝に向かって努力していきたいという御答弁もさきの委員会を通じて会議録に明らかになっているようであります。
  〔理事志苫裕君退席、理事金丸三郎君着席〕
 本五十四年度の改正案を見ますと、全く五十三年度と同じような方法であって、一時的な応急的対策の中で、地方交付税法の法の精神というようなものも無視されて出てきた。この委員会で答弁なすった大臣の、早く抜本的対策をするための自治省の根性というものを、各方面と協議をして国との折衝に当たっていくんだと言われたことはどうも誠意が見られない。この委員会でこの問題について審議した時間はまことに長い時間であります。この国会の審議の権威というようなものを考えた場合、どうも今回の改正案というものは、そういう自治省の根性のあらわれと見られない結末になっているように思われるわけです。いろいろ大臣は御苦労なすったと思うわけでありますけれども、大蔵省との折衝の中で、大臣は五十四年度交付税法の改正に向かってどのような経過であったか、その経過をひとつお知らせ願いたいと思うわけです。
#83
○国務大臣(澁谷直藏君) この問題につきましては、自治省としての考え方というものはこの委員会で多くの委員から述べられました考え方と、もう基本的に変わっておらないんです。同じような考え方に立っておる。したがって、この交付税の法の条文が示す方向に即して地方財源対策というものは行われなければならぬというのが、これは自治省の一貫した考え方であり、姿勢であります。したがって、五十四年度の予算案の編成に際しても、自治省としてはこの考え方をあくまで最後まで大蔵省に対して主張し続けたわけであります。
 具体的には、交付税税率の引き上げ、これをやってもらいたいと、こういうことで最後まで、大蔵大臣と私との間に二回にわたって会談が行われました。それに対して大蔵大臣としては、自治省の主張はよくわかると、しかしながら、残念ながら国の財政事情がそれを許さない。むしろ大蔵省の財政当局としては、国が十五兆円もの赤字を出すわけでありますから、したがって地方も赤字公債の発行をひとつつき合ってもらいたいという、これは相当強い自治省に対する要請もあったわけであります。しかしながら、それはもう断じてイエスと言うわけにはいかない、これはもう最後まで絶対に私は譲らない、こういうことで大蔵省のこの要求はまあはねのけたわけであります。
 しかしながら、交付税率の引き上げという自治省の主張に対しては、大蔵省としては国の財政事情からいってどうしてもそれをのむわけにはまいらないと、まことに恐縮だけれども五十四年度もう一年五十三年度方式でがまんをしてもらいたいと、こういう大蔵省の主張でございまして、私は、国の財政の実態というものを考えた上で、ことしの場合としてはこれはもうやむを得ないと――納得しておらないんです、この方式については私は納得しておらない。しかし、とにかく国の財政事情がどうしても私どもの主張を認めるという状態にないわけでありますから、涙をのんで、やむを得ず大蔵省の主張に同調したと、これがいきさつでございます。
#84
○野口忠夫君 どうもその「やむを得ず」が問題なんですね、それでいいかということです。
 そうすると、五十三年度にやった制度改正というような、二分の一方式のルール化というようなことは、自治省としては大した障害はございませんでしたか。何か大蔵省から、もうルールができたんだからそっちでやれというようなぐあいで、このルール化したということ自体、この前の委員会でも大分心配して聞かれたんですが、そういうことは絶対ございませんと、あくまでも税率の改正でやりますと――きょうは加藤前大臣いないようですけれども、そうおっしゃっておったんですがね、そういうことはありませんでしたか。今度の改正の中で、折衝過程の中で、こういうルールがあるじゃないか、これでやりなさいと。それでせっかくの大臣の気持ちがそれによってつぶされるというようなことはありませんでしたか。
#85
○国務大臣(澁谷直藏君) 大蔵省も、現在のこの暫定方式がこれでいいものだというふうには大蔵省自体も考えておりません。これは万やむを得ない暫定措置であるという認識は、大蔵当局も持っておるわけであります。したがって、私どもがオーソドックスな対策として交付税率の引き上げでやってもらいたいという主張は、これはもう理屈としては自治省の主張が正しいということは、大蔵当局もこれは認めておるわけです。五十三年度に現在の暫定方式が法律になったわけだからもう当然自治省もこれでやれというようなそういう態度ではございませんでした。ただいま私が申し上げたように、あくまでも、自治省の主張はわかる、わかるけれども、国の財政事情がそれをのむわけにはいかない、その事情をひとつ理解をしてもらいたいと、こういうのが大蔵省の態度であったわけです。
#86
○野口忠夫君 結局、大臣のその仕方がないという立場ですね、これが許されることかどうかということについて問題があると思うんですよ。いわゆる財源不足を、当面金銭的に処理さえすればどうでもいいんだという考え方は、地方交付税法の中ではやっぱり許していないのではなかろうか。
 それから、地方交付税法の六条の三の2というのは、このような事態が出てくるであろうということを予測して、それで、地方財政がそのような場合になったときには、他の何物の条件も排除して、税率の改正ないしは制度の改正というものを、二年以上一〇%以上の財源不足が出た場合にはこれを改めなさいと。いわば財源不足ということは地方自治体にとってはどこからもお金が出ないわけで、その不足額を地方交付税法によって補てんしなさいと。もしそれが二年、一〇%というようなことになったときには、税率の改正ないしは制度の改正をしなさいという、いわば自治体の財政を守るための六条の三の二項であったと思うわけであります。これに立って大臣はやはりやらねばならなかったのではなかろうか。みずからを守るためにつくってあった法律を国の財政危機ということの前で仕方なくそれを放棄してしまったというところに、実は地方交付税法の精神を全く顧みなかった態度があるのではなかろうか。これを予測していたんですね、もう。そのときにはこうしなさいという、地方自治の水準を守るための歯どめとしてこれがつくられてあったわけでしょう。自治省としては、自治体を守るこのよりどころによってあくまでもこの線を崩さないでいくということをやってほしいというのが法の精神であったのではないかと思うんですけれども、残念ながらこれあっさりかぶとを脱いでしまった、まあ澁谷自治大臣だけではなくて長い大臣のこのあり方の中で、先ほど言う官僚の壁、国の厚さ……。
 私は、そのためにいろいろなことはあろうと思う。しかし、いかなる条件があっても法の精神を踏みにじるようなことはあってはならないのではなかろうか。せっかく地方自治を守ろうとしてつくった地方交付税法六条の三の2が、行政サイドの自治省と大蔵省の折衝の中で制度改正としてこれが認められたというこういうあり方も、ぼくは疑問なしとしないわけなのであります。地方交付税法六条の三の2というのは、まさにそういうときが来ても地方自治を守っていくんだという立法の精神であったのではないかと思いますので、この点に関して、やっぱり改めて大臣の見解を聞いておかなくちゃいけない。
#87
○国務大臣(澁谷直藏君) 野口さんの主張は、私はもうよくわかるんです。したがって、自治省としてはあくまでも交付税法の六条ですか、これの定められた法の精神にのっとって最後まで自治省としての主張を貫くべきであると、こういう考え方はいまでも持っておるわけです。ただ私は、やはり国というものを離れて地方自治もないわけですね。国の財政が破綻して、地方自治だけはしっかり守ろうということは、これはやっぱり全体としての一貫性を欠くわけですよ。国の財政というものもやはりしっかりしてもらわなくちゃならぬ。国の財政はどうなってもいいということでは地方自治も私は守ることができない。こういう面もぜひひとつ御理解をいただきたいと思うんです。
 確かに交付税法は、非常な財源不足の状態が二年も三年も続いた場合はこういう対応をしなさいよという法律であります。しかしながら、昨年からことしにかけての国の財政事情というものは、いわば危機的な財政状態であることももうこれは野口さん御承知のとおりです、いまだかつてない状態でありますから。したがって、その地方交付税法第六条の精神を貫きたいと思って、昨年も恐らく最後まで自治省は大臣を中心にがんばったと思うんですよ。しかしそれがどうしてもやっぱりできない事情が、国の財政事情がどうしてもそういう状態であったということで、これは文字どおり涙をのんで自治省としては妥協したと思うんです。ことしも私は、この暫定措置はできるだけ短期間にもう終止符を打たなければならぬと考えておりますから、ですからやはり交付税率の引き上げでオーソドックスな財政対策をやってもらいたい、やるべきである、こういうことでこれはもう頑強に大蔵大臣とやり合ったわけですよ。しかし、繰り返して申し上げますが、国の財政事情がどうしてもそれを許さない、ひとつそれを理解して協力してくれと、こういう大蔵大臣の要望に、最後は私の責任において妥協したと、こういうことでございます。
#88
○野口忠夫君 地方財政の場合は、財源不足というような事態になった場合に、みずからがこれを処理する能力を持っていない。やっぱり国と地方との関係の中でそうしたものを解決する以外にはない。まさか自治体がみんな勝手に公債発行してやるわけにもいかないだろう。国というところは膨大な国債を発行しているわけですね。この国債も大平総理大臣のふところから出るのではないわけです。やがてはそれの処理の仕方を国民に求めなければならないということになるわけだとすると、膨大な国債を発行するような財政危機の中で、最大限に尊重すべきものは、その税金を納めた地域自治体の住民に対するサービスではなかろうか。そこにもなおかつ、国債を発行しておきながら、それを地方自治体に回すということをしないで、六条の三の2の法の精神をむしばんでいいかどうか。まあ大臣の苦労はよくわかるし、ぼくも交付税法なんてやっておると、どうもせつないところを一生懸命つつくようなことではなはだ済まないわけですけれども、大臣の気持ちはわかるんだけれども、その財政危機と称せられるものの中で、実は国家予算は十何%かの伸びを示すような状態にあるわけですね。ですから、国家における借金財政の中で、やがて負担するであろう住民にそれを応分に配分する中で税率の改正をするというようなことは、地方時代に向かって選挙をやった、官僚が示すべきやっぱり姿でなければならぬじゃないかというふうに思わざるを得ないわけです。
 財政危機という理由によって、地方の自治を守るために設けられた地方交付税の精神が曲げられていいということをわれわれがもし認めたとすれば、これは大変なことになるのではなかろうか。あくまでも法の精神はまずわれわれ自身がみずから守るという姿勢を示さねばならぬとすると、六条の三の二項に示される地方の危機を救うための立法の精神というものを無視したことが私ははなはだどうも問題ではないかというふうに思うわけであります。昭和五十五年度の交付税改正もあるわけでありましょう。私はどうしてもその点のところ、大臣の御見解と一致しないところが残ります。少なくとも私は、やっぱり自治省は根性を強く持って臨むということなくしては、今日の厚い官僚の壁を破って地方分権というような姿にいくことがどうもできないのではなかろうかという感じがする。大臣も、勇気と決意を要する問題だと、こうおっしゃいましたが、まさに私はこれをなし遂げる自治大臣というものは大きな苦労があるだろうとは思いますけれども、私の申し上げておりまする精神から言えば、どうも大臣のお言葉を今回の法改正の中で私自身了解するわけにはどうもいかないように思うわけであります。
 この前の五十三年度、「当分の間」これを続けて、なるべく速やかに解消するということを言っておるのですけれども、この「当分」が取れるときの状態、どんな状態と推定なさっておりますか。
#89
○国務大臣(澁谷直藏君) 地方財政収支試算というものを、非常に大まかなものでございますけれども、私どもの基本的な考え方を資料としてお出ししておるわけであります。あれによりますと、私どもは五十九年度において財政計画が収支均衡がとれるという状態に持っていきたいというふうに考えておるわけでございますから、そういう意味では五十九年度を目標として財政の収支の均衡を図ると、こういう考え方でこれから努力をしていきたいと考えております。
#90
○野口忠夫君 そのためには条件が欲しいわけでしょう。その「当分」の取れる条件というのはどういうことだということですか。
#91
○政府委員(森岡敞君) 五十三年度に設けられましたこの暫定的な制度の創設の経緯から申しますと、地方財政が好転するかあるいは地方行財政制度の恒久的抜本的な改正が行われるか、それがいまお示しの条件ということになろうかと思います。地方財政が現行の税財政制度のままで好転するということは、私はしかく簡単には期待できないと思いますから、やはり何と申しましても地方行財政制度の恒久的基本的改正というものが絶対の条件になるだろうと、かように思います。
#92
○野口忠夫君 そういう条件が満たされるということが予測できるのでしょうか。必ず五十九年度までにはそうなると。先ほど局長の答弁によると、税の増徴というようなことがありましたね。私、この間新聞を拝見したんですが、これは五十四年四月三十日の毎日の報道ですがね、「選挙戦えぬ導入党議、覆す動き自民議員突上げ」と、こうある。一般消費税。統一地方選挙やってきたが、とてもじゃないけども一般消費税などを導入したのでは、予測される衆議院選挙、参議院選挙はとても戦えないというので、中には名前も書いてあるんですがね。与党である自民党の中でこういう一般消費税の問題についての問題が残っている。増税ということについては、一般消費税という問題については、全く国民的合意を得ることはできないと思うんですね。国民的合意を得ることのできない一般消費税をめどにして大蔵省と自治省の間では、とらぬタヌキの皮算用かどうかわかりませんが、その配分についての議論などもあったということを聞くわけでございますが、「当分」が取れる条件というものが増税というような姿やいま言われる一般消費税というような問題になってくると、全く税を納める国民との合意がなされないというような現状が選挙を通じて明らかになってきたというような与党の姿も新聞に出ているわけですね。野党の立場では一般消費税導入についてはこれはどうもだれも賛成する者がないと、こういう現状にあるわけです。
 ですから、「当分」が取れるときの条件というものは、地方財政が好転してという、財政の好転ないしは地方における何らかの措置、そういうものがあった場合にはとおっしゃるんですけれども、一般消費税に限って言えば、こういう今日的国民の状態の中にあって、これ、「当分」は取れることになりましょうかね。これは必ずできるという御自信がおありになって当分当分とこうおっしゃっておるのかどうか。そこのところを明らかにしてほしいと思うわけであります。
#93
○国務大臣(澁谷直藏君) 一般消費税の導入が可能かどうかという問題は、これからの非常に大きな政治問題であるわけです。確かにわが与党である自由民主党の中にも、一般消費税の導入はこれはもう避けるべきであるという、そういう考え方の人もおることも事実であります。ただ私どもは、先ほど来申し上げておるように、国も地方も、両方合わせると百兆円程度の全くもう巨額な借金を抱えておるわけですから、そういう状態で、国債の消化ももうどうも危険信号がともってきたと、こういう状態。したがって、そういう状態から出てくる結論は、この数年来やってきた巨額の公債に依存してそうして予算を組むという財政運営はもう限界にきているということを、私どもはこれはもう自覚せざるを得ない。したがって、この財政危機を乗り切るためには、どうしてもある程度の増税というものを国民にお願いせざるを得ないというのが、政府・自民党の一般消費税導入を決定したその背景にある基本的な立場であるわけであります。
 それがもしできないということになりますと、残された道は二つしかない。一つは、引き続き巨額な公債に依存をして財政運営をやっていくという道が一つ。それからもう一つは、歳出の方を収入に見合うような形まで、つまり国民に対する行政のサービスをもう思い切って徹底的に削減する、この道が一つあると思います。しかし私はこの二つとも、第一の道を選べばこれはもう財政面から日本の経済というものは破綻するわけでありますから、インフレというものの招来、したがってこの道を選択することは許されない。第二番目の、収入に見合う程度まで行政サービスというものを徹底的に削減できるかというと、私はこれは言うべくしてとうていそれはできっこない。したがって、この第一と第二の道も私はできないし、また政治として選択すべきではないと、このように考えるわけです。そうしますと、歳出の徹底的な削減を前提としても、やはりある程度の国民に対する増税はどうしてもこれはお願いしなければならぬ、こういうことに集約されてくるわけであります。
 しかし、一般消費税の導入については、確かに御指摘のように全野党が反対でもありますし、与党である自民党の中にも反対の人がおると、こういう現実でございますから、来年度の五十五年度に導入する、こういうことになっておるわけでございますが、果たして五十五年度に一般消費税の導入が実現できるかどうかということは、私は決して楽観できるなんという状態ではない、大変なこれはむずかしい問題であるとは考えておりますけれども、いま申し上げたような国の財政事情というものを考えると、そういった実態を国民によくわかるように訴えて、そして国民の御協力を仰ぐ以外に道はないと、こういうふうに考えておるわけであります。
#94
○野口忠夫君 やっぱり国民的合意を得ることのできないという結果が明らかになっているような増税は、これはやるべきものではなかろうと私は思わざるを得ない。増税する場合、私もそう思いますけれども、やるべき方向はあるわけですね。
  〔理事金丸三郎君退席、委員長着席〕
社会党も、その意味では財源確保の方策についていろんな提案を、党としてもやっているわけです。その方は遅々として進まない。五十五年度一般消費税実施ということはいまのところでは政府の方針になっているわけですね。それにやっぱり自治大臣も一役買って、地方財政の危機を救おうと、こういうことになるわけですね。一体自治大臣がその責任を負うことが必要なのかどうかということなんですよ。そういう国民的合意を得ないとパンクしてしまうかもしれないというような心配を、自治省がする必要はないんじゃないか。六条の三の二項というのはそういう精神を持っていたのではなかろうかというように思うわけです。
 つまり、国がパンクするから地方もパンクせいということは、先ほどの国と地方の見直しの中で、土台だと言われた地方の問題について、一体国はどういう措置をしてきたかということの方が問題ではなかろうか。地方制度調査会の中でも一般消費税導入についてやや動いているように私は思われる。その答申の中でも、それを促進するのは自治省であるかのような新聞報道もなされているわけで、しかしそれは全く的違いな話であって、やはり一つの方法は、六条の三の二項に従う、法に従うところの、国の地方自治体に対する財政の援助というようなもの、保障というようなものを自治省というのは要求していくべきが筋道ではなかろうか。そこにどうも自治省として責任を逃れている傾向があるのではなかろうか。もし「当分」が取れるときが来ないとなると、一般消費税というようなことが一番いま問題になるわけですけれども、大した騒ぎになるだろうと思うのですよ。全国民挙げてこの問題では大騒ぎになるであろうような片棒を地方自治体の財政担当としての立場から担わねばならないということについては、私は非常に疑義を感じざるを得ないわけです。やはり地方財政の財源不足については国がこれを保障する、めんどうを見るべきであるという形の中で、国が一般消費税を実現するならば、その中でこれは考えていくべきことではなかろうか。
 何か、自治省が増税の問題について先に立ってこれに音頭を取るようなことだけは筋道が違っているのではなかろうかというような感じがしてならないわけでありますが、「当分」の窓あけのときが来ないと、われわれとしてはいま「当分」の窓あけということを信じて、やがてはわれわれの主張が通っていく、明るいときが来るのだとこう期待するわけですけれども、いまの状態から言わせると、その「当分」の窓あけというのは、言葉としてはわかるのですけれども、何か一向解決しない方向になっていくのではなかろうか。もし解決するときがあるとすれば相当強硬な財源補てんの措置というものを政府は考えて国民の上に立ち向かっていくのか、こういうような考え方までされてくるわけでありますから、そういう点では、どうも「当分」の窓あけというものも、暫定的であるというような言葉も、窓あけのない暫定や当分なんということを言われておったのでは、今日の地方財政の危機の打開にはならない。そういう意味では、少なくとも五十五年度の交付税の改正の際には、それら一切のものをひっくるめて、自治省としての大蔵省折衝に当たっての強い決意とまた自治省自体が持つべき地方財政の危機打開の基本的な態度というものを持っていくべきではなかろうかというふうに思うわけであります。
 五十年度からの財源不足額というのは、合計すると何ぼくらいになるのですか。
#95
○政府委員(森岡敞君) 五十年度は、景気が年度途中で落ち込んだものですから、補正段階で二兆一千八百三十一億の財源不足でございます。五十一年度は二兆六千二百億円、五十二年度は二兆七百億円、五十二年度は補正分が若干ございますが、これは細かくなりますので省略いたします。五十三年度が三兆五百億円、五十四年度が四兆一千億円でございました。これを単純に合計いたしますと約十四兆円という数字に相なります。
#96
○野口忠夫君 それの償還の計画というのがあるだろうと思いますけれども、どんなふうな計画になっているのですか。
#97
○政府委員(森岡敞君) その年々によって若干財政対策の内容が異なっておりますが、大筋で申しますと、建設地方債を増発いたしました。これはいわゆる財源対策債ということでございます。従来は公共事業の地方負担のうち二割あるいは二割五分程度の地方債しか充当しておりませんでしたのを、九五%まで充当するということによって一般財源の不足を地方債に振りかえて措置をする。いま一つは、先ほど来お話があります交付税特別会計で借り入れをいたしまして、その借り入れによって原資を得て必要な交付税財源を確保する、この二つでございます。
 財源対策債につきましては、その償還費を償還年度の地方財政計画に歳出として計上いたします。したがいまして、その歳出に計上した分については他の歳出と合わせて必要な財源確保の措置を講じなきゃならぬと、こういうことに相なるわけでございます。
 一方、交付税特別会計の借り入れは、御承知のように、実質的に二分の一国庫が負担をするということに相なっておりますから、残りの二分の一が地方財政の負担となってまいります。その分もまた地方財政計画の中に組み込まれてまいりますので、仕組みといたしましては地方財政計画の歳出計上及び歳入の減という形で毎年度の財源不足がまた出てまいりますから、それに対応して必要な財源拡充の措置を講じていかなければならないということになるわけでございますが、その場合に、最初に申しましたように、現行の税財政制度のままで累増した地方債の償還費を賄いかつ交付税特別会計の借り入れの二分の一の財源確保をしていくということは非常に至難のことだと私どもは考えておるわけでございまして、その意味から、先ほど来なかなかむずかしいではないかという御指摘がございますが、地方行財政制度の改正、ことに租税負担の増加を国民にお願いをしていくという手だてをできるだけ早く講ずるということが私どもとしてはぜひとも必要になってまいるものと、かように思っておる次第でございます。
#98
○野口忠夫君 先ほども「当分」の窓あけの日を聞いたんですけれども、なるべく早くやりたいという自治省のお気持ちはわかるんですけれども、まあ御答弁聞いてみると、そうしないとだめだだめだとおっしゃっているんですけれども、現実はなかなかその窓あけが容易でなかろう。こういうことになってきますと、この借入措置をしているという地方交付税のあり方というのは、いまは何とか間に合っていますね。しかし、後年度に行くに従って、これがやっぱり大きな負担になってくる。何かいまの自治体を見ますと、地方交付税で見てもらうからまあ自分たちの負担にはならないんだというような印象を持っているようですが、そうではなくて、地方交付税の総額の中にその返済金というものが入ってくる、やがてはその借金を返すためにまたこの交付税の借り入れをするという自転車操業に陥る危険性は多分にあるわけですね。
 ですから、私は今回の交付税法の改正案というのは、現実、いまは大変いいという印象を与えると思う。先ほど金丸さんから、何か甘い地方自治体の状態があるんじゃないかと。この辺ではめんどうを見過ぎるんじゃないかというような感じもするわけですね。だけれども、財政の危機というようなもののとらまえ方がそういう点ではやっぱり……。しかし、それは後年度に押しやられているんで、そうなってきますと、この借入措置によるところの地方財政の財源不足の措置というのは、むしろ地方財政というものを危機に陥れていくところの要素を持つ。それを早く打開するために早く窓あけをしたいと局長は言うんだけれども、その窓あけの時期というものはどうもいつ来るかわからぬというのが今日的状態の中にあります。どうもこの借り入れで措置しているということは、地方財政の健全な確保というような点から言うと、むしろ危機を深めていくような方向になるんじゃないかという心配を持つんですけれども、これはどうですか。
#99
○政府委員(森岡敞君) まず、財源対策債とか減収補てん債とかいう地方債でもって一般財源の不足を補った分については、これは個々の団体の毎年の歳入歳出予算に公債の償還費が出てまいりますから、これはまさしく毎年予算を組む際あるいは決算を締める際に個々の団体の財政運営に大きなプレッシャーとなってかかってまいります。そこのところは痛みといいますか、言葉はいいか悪いかわかりませんが、地方財政の非常な苦しさというのが明瞭に認識されておる。一方、地方交付税の特別会計の借り入れにつきましては、いわば地方団体の共同の借金でございますから、交付税特別会計で借り入れておるものですから、個々の団体の予算あるいは決算にその借金の償還費が出てくるという形にはなっておりません。そういう意味合いでは、地方財政の危機の認識は、この部分については、地方債の償還費と違った次元のものにならざるを得ない、これはもう当然のことであります。
 ただしかし、たびたび御指摘の地方交付税法六条の三第二項は、先生が先ほど来御指摘の、地方公共団体は財源不足を、みずからの手だて、力によって自由に地方債を発行したり借金をしたりあるいはまたその他の手段を講じてそれぞれやり得るような仕組みになっていないものですから、ということは、言葉をかえて言いますと、国の責任において必要な交付税は何としてでも確保するという仕組みを六条の三第二項は求めておるわけでございます。私どもといたしましては、そういう六条の三第二項の趣旨から申しますと、先ほど来大臣が申し上げておりますように、交付税率の引き上げというのが最も望ましいと思いますけれども、現在の情勢からいたしますならば、借り入れのような手段をとりましても必要な交付税は確保しなきゃならない。もしそうでなければいわゆる赤字地方債論というものも逆の立場で出てくるわけでございます。私どもは赤字地方債論にどうしても同調できませんのは、まさしく六条の三第二項が、国の責任において必要な財源を確保しろと、こういう趣旨に基づくものでございます。
 いずれにいたしましても、そういう仕組みで五十三年度、五十四年度やりましたが、これを長い間続けていくというわけにはとうていまいらないと思います。したがいまして、私どもといたしましては、繰り返して恐縮でございますが、何としても国、地方を通じまして公共部門の財源というものをふやしていただくという措置を、これはもう全国民的な理解を得てやっていくことがどうしても必要だろう。またその時期は、おくれればおくれるほど借金の重みが重なってまいるものですから、できるだけ早い時期に御理解を得て実現することが必要だろうというふうに思っておる次第でございます。
#100
○野口忠夫君 できるだけ早い時期に解決したいというお気持ちはよくわかるんです。それを条件としながらいまの話をしては、あなた方解決するからと言うならわかりますよ。だからぼくは解決できるのかと先ほどお聞きしたわけ。しかし、それはなかなか容易でないということになっているわけでしょう。そういう中で借り入れしていく、なるほどこれは地方団体は負担しなくてもいいと、交付税特別会計で持つと。五十九年度には約一兆円ぐらいの金を返すことになるそうだ。五十四年度またそれに足されるということになると、当然その借金を返すために交付税が食われていくということになるだろうと私は言わざるを得ないわけ。そういう状態に持っていくことは、地方財政の安定ということから言えば、権衡性ということから言えば、どうも不安定な要素がこの借り入れということの中で起こってくる。それがいつまで続くかわからないような状態の中でいま言われているわけですから、われわれとしてはそれが心配になってくる。
 何かいまの局長のお話聞くというと、何にも心配残らないようなお話ですけれども、そうじゃないだろうと思いますよ、総枠の中でそれを返さなくちゃならなくなってくるわけですから。それがだんだんたまっていって、最後に返す金が五十九年度で一兆円近くになると、こういうふうに言われているわけですから。その返す分をやっぱり地方交付税でまた見るということになれば、借金を返すために地方交付税の借り入れをまたふやすと。その借り入れを返すためにまたふえていくというような雪だるま式になっていくだろうという心配が残るわけですよ。それはどうかとこうお聞きしたが、それについてはまことにそのとおりだと、だから早く解決したいんだと局長は言うわけ。早く解決する、「当分」の目玉があくのはいつかと聞くというと、どうもいまのところではめどもないと。だとすれば、自治省としては、やっぱり六条の三の二項に立って地方財政を守るという姿勢をこれやっぱり確立しないと非常に危険ではないかと私は言いたいわけなんですよ。
 どうも、われわれとしては、大蔵省がやらないと言うのならこれはもうやむを得ぬ、今日の官僚の壁の厚さの中で。ただそのことを予測して、抜本的改正というものを後、後、後と延ばして何一つ手を入れないでこれを進めていくということになって、借入金だけで処理していくようなあり方ということは、そういう危険性を含んでいるんだということを指摘したいわけなんですよ。それは六条の三の二項というやつは、地方財政を守るために法として決められている一つの精神なんだということをやっぱりしっかり心の中に入れてもらって、大臣はそれでやると、こうおっしゃっているからそれでいいわけですけれども、五十四年度はそうでなく進むわけですからね、もう。大体五十三年度で、五十九年のとき最後に返す金は何ぼだという小山委員の質問に対して、約一兆円くらいだと、こう言っているわけだ。それに四兆一千億足さってあるわけです、今度は。また年度を延ばして返していく、こういうことはやっぱり自転車操業だと私は言わざるを得ない。そういうことは、交付税法の今日の改正案というのはそういう不安を将来に残した、何か財政危機に向かって突進していくような意味のやり方ではなかろうか。
 さればというて、地方源財というものを確保しなければならぬということになってくれば、いま一般消費税導入がちゃんとできて、そのうちの何ぼかこっちへ来てというような形が窓あけの条件としてはっきりと認められないんだけれども、与党の中でさえもまだこういう状態にあるという、国民的な合意というものが全く得られない状態で進んでいる中で、やはり自治省としては六条の三の2に従って、やっぱり国の責任で地方の財源の不足は補うんだという方向でいくべきではなかろうか。まあ五十四年度は、われわれはこれ反対なんだけれども、自民党さんは通す気だろうからやむを得ないわけですけれども、少なくともやっぱり自治省として、気持ちをいいかげんに持っていることはいけないだろう。そうでなくちゃならぬだろう。根性だと。われわれはそれを見たいわけ、いま。地方行政委員会でやっているんだから。ほかの方で何を言ったっていいんだよ、そんなことは。われわれと一緒になって地方自治を守ろうじゃないか、今度の選挙で地方時代をわれわれはつくろうじゃないかと。金丸さんの御意見もそのとおりだったと私は思うわけであります。大臣もそうなんだから。それがどうもこの壁の中で……。この壁を突破する最大のポイントが六条の三の2にあったんだ、それを何でぶん投げちゃったんだと、こういうのが私の言いたい基本なんです。
 時間がなくなっちゃったんですが、もう一つ、これは、農林省来ていると思うんですが、過疎の問題ですが、結局過疎地帯というのは、農村基盤を言うんだと思うんですけれども、近ごろ農林省の方から、何だか兼業農家の土地を取ってそして自立農家をつくってやっていくんだなんというような、新しい五十四年度の新方針というようなものを発表したということが新聞に出ているわけですけれども、かつて農業基本法ができたときに、これは農民切り捨ての法案だと私が赤城さんが農林大臣のときに言ったら、赤城さんからおこられましたけれども、何だか最近は切り捨て論になっているんじゃなかろうか。上の方からの権力で、何か農村の土地を片一方の方に集約して、それで幸せな農民をつくっていけば農政は終われりなんというような考え方は、どうも今日の過疎という問題から考えて何か問題が残るんじゃないかというように思うわけであります。だから、過疎をなくすということは一体どうだろう。そういう観点の中で、農林省としてはどのような見解を持っているのかお聞きしたいと思っているのですけれども。
#101
○説明員(若林正俊君) お答えいたします。
 農業の中核的な担い手に農地の利用をできるだけ集積をして、その規模拡大を通じて生産性の高い農業経営を育成していくということは、いわば農政の基本的な命題でありますし、そのためにかねて各種の施策を講じてまいっております。しかし、御承知のように、農業の置かれている事情は、その地域によって大変に異なっているわけでございます。特に農地の利用の集積につきましては、所有権のみによる規模拡大というのは事実上困難であることが明らかになってまいっておりまして、方向は賃貸借などの利用の集積を通じて規模拡大を進めていくと、こういう方向をただいまとっているわけでございます。この賃貸借などの利用の関係を見てみますと、特にその雇用の条件というものが大きな要素を占めておりますので、地域の実情が大変に異なっております。したがいまして、これら利用の集積を通ずる規模拡大を進める方向としましては、地域におきます関係者の理解と合意によって進めていかなければならないということで、決してこれを、御質問にありました、いわば国の権力というような形で進めるのではなくて、納得づくで進めていきたい。その意味で、ただいま地域農政特別対策事業を中心にします地域の農業のあり方を地域の人たちの中で十分詰めていただくと、その詰めていく方向に沿って、どのような土地利用が望ましいかという結果に基づいて、その利用の集積を進めていただこうと、こう考えているわけでございます。
 お話しの、過疎地域について見ますと、当然のことながら農林漁業はその地域の主要な産業でありますし、その地域の人たちの重要な就業の場でもございます。そのような意味で、一般的な命題としてわれわれ規模の拡大というものを掲げてございますが、当然その施策の実施に当たりましては、地域の性格に応じた進め方をしてまいりたい、このような考えで取り進めてまいっております。過疎地域を中心にします非常に生産条件の劣悪な地域、この地域につきましても、実は農業だけで問題の解決ができないわけでございますが、現実に各地で耕作の放棄といいますか、荒らしづくりといったような事態が進行をいたしております。その原因は、その地域で十分な就業の機会が与えられないということから、出かせぎに出る、あるいは心ならずも離村をするというような中で、土地はやはり家の資産でもありますし、生活の最終的なよりどころでもあるということから、土地所有を留保した形で農業的利用を放棄していく傾向がございます。そのような意味でこれらの土地を、なおその地域で残って農業を主とした形で村の農業を支えていこうという人たちが一方にいる、またはそういう人たちを育てていくという中で、これらの土地を、納得の上で、できるだけこれら中核的な担い手の方々に利用してもらえるような条件づくりをしていこうと、こういうことでございます。
#102
○野口忠夫君 農業産業の政策としてはわかる。過疎という問題は人の問題です。人が少なくなったのでは過疎はなくならない。これは、過密というのは人が多いところ。農民の立場で、いまのようなことから言えば、兼業農家の土地を捨てた者が自分の就業地域に行ってしまう。そうすると残るのはやっぱり農村の過疎ですね。その過疎の中で、それを中心として生きている小都市があるわけ。この小都市の流通機構を支えているのは農村なんだ。だから、景気回復というような言葉もありますが、ある程度産業の振興というようなものを考えていく場合には、有無相通ずる人の交流というものがなければだめだ。つくった農産物をどこへ持っていくか、近隣の町に売って何とかする。そういうような問題が、土地をよけい集めてつくるだけの話でいくと、過疎という問題は一向解決が進まない。むしろ過疎を進めて、また都市に引っ張ってくる。田園都市構想なんというようなものが出て大分質問もあったわけですけれども、一体この農村のこれからのあり方というものの中で、人が全くいないという状態の中にある農村というものを、過疎の対策として、農林行政の中で、やっぱり十分検討する必要があるだろう。
 農業政策面だけで――これはいろんな条件があるわけですから、土地を買おうにも。ただその進め方が、権力的ではないと言うんだけれども、何か貸し方に対して一万円の報償金出すかなんという話になっているんだな。一体これ金で進める政策というのはどういうことかね。どうも、自治体の汚職もきょう聞きたかったんですけれども、自治体の汚職なんというのもなくならないで、大分通達を出して調査などをしたようですけれども、中央ではロッキード、グラマンなどといって、だれか国会で証人喚問なんということになっているわけだ。日本じゅう汚職の黒い霧だね、これは。地方自治体は地方自治体で。
 だから問題は、そういう状態の中にやっぱり農村というものが過疎化していくという問題をどうとらえるかということになると思うんですがね。これは時間ありませんから、もう少しこれはやりたかったんですが、時間がなくなったので問題提起だけしておきますよ。過疎という問題を踏まえた農業政策というのは一体どうあるべきかということについて、単に農業政策上土地を集めてこうやったらいいじゃないかと、報償金をくれて、貸した者には報償金やごほうびをあげますというような政策指導というのはやっぱりもう改めるべきではなかろうか、こういう感じがするわけです。地域農業の振興というようなことで、大分農林省は、自主的に皆さんからと言いますけれども、お金を出すというのは金力の支配だな、これは。権力ではないかもしれないけれども金力支配だ。そういう状態を、あなた方の五十四年度の方向だと、それに対して農村地帯からもいろんな問題が提起されてそれぞれ考えているということはわかりますけれども、過疎の問題というのは、いまやっぱり自治体の中で農村地帯における最大の問題として考えると、農業振興以外にないということなんです、これは。そして所得を増大して、そして農業地域に人が定住できるような、三全総の精神が生かされていくようなものにやっぱりやっていくような方向での対策というものがちょっと抜けているんではなかろうかなという気がしたものですからこれはお聞きしておくと、こういうことであります。
 それから次に、交通関係申し上げたいんですが、おいでになっていますか。――これの事故率、時間がありませんから私の方で申し上げますが、交通対策では、これは過密状態の都市の中で一番問題だと思うんですけれども、いままでの交通対策というのは、死亡者が非常に減ってきたということができるわけですね。死亡者の方には済まない言い方ですが、死んだ方はそこで終わっちゃっているわけなんですね、これは。問題は負傷者の方ですね。この負傷者の方が、昭和四十九年で六十五万、五十年で六十二万、五十一年で六十一万、五十二年で五十九万、五十三年で五十九万、これを合計すると何ぼになりますかね。これがみんななっているとは言わないけれども、この中の大部分は、一つは寝たきりになっているかもしらぬ、むち打ちで。あるいは働き手を失って一家離散なんというような状態になっているところがあるかもしらぬ。あるいは残された子供の問題がどうしていいかわからないというような状態もあるだろう。問題は、むち打ち症とかなんとかで働けなくなったり、神経衰弱になったり、ノイローゼになったりするような負傷者に対するやり方というのが、これからやっぱりもう少し手厚く考えるべきではなかろうかというふうに思うわけであります。
 遺児に対しても、あるいはそれぞれの負傷者に対しても、センター的なものもあってやられているようですけれども、いまのところではこのセンター的なものが県庁あたりにあるだけだそうですね。実際事故を受けた方々というのは、やっぱりすぐそばにそういう方がいてもらうといいわけ。最近はその商売している人があるんですね。それで、おれが解決してやるからと言ってあっちとこっちからちっとずつもらってきちまうというような商売の人もあるわけなんです。だから、そうではなくて、やっぱり公的機関でこれをやると、市町村あたりに一人か二人ずつこういう人たちのための事故対策係みたいなものを置いてやるような対策をとっていかないと、単に民法の中で損害賠償をすればいいんだというような姿の中で捨てておきますと、弱い者ばかり苦しむことになってくるんです。これは決して加害者ばかりが問題を出すのではなくて、被害者の方がねじ込んでいって金を取ろうなんていうようなかっこうにもなったりしている。加害者にしろ被害者にしろ、強い者が勝つというような状態でいまのところ捨てられているわけです。結局、この六十五万ずつ年間あるところの負傷者の中で、将来に残ってくるような負傷をした場合には、弱い人のところにばかりそれがしわ寄せになっているような傾向がある。これの救済措置として、私としては、市町村単位に公的なそういうことの世話をする係というものを置く必要があるのではなかろうかということが一点であります。これは後から御返事いただきたいと思います。
 それからもう一つは、教習所でいま練習中の者が事故に遭ったり事故を起こしたりする場合、教習所でいま練習中の者が事故の加害者であったり被害者であったりする場合の保障というのはどんなふうになっているんでしょうか。
#103
○政府委員(三島孟君) ただいま先生御指摘のとおり、交通事故はおかげさまで年々減ってまいりましたけれども、それにしましてもまだ年間六十数万人の死傷者を生じておるわけであります。したがいまして、この被害者の救済措置、救済対策の充実ということが交通安全対策上の重要な課題であることは御指摘のとおりでございます。
 そこで、御案内のとおり、交通安全対策基本法、それに基づきます交通安全基本計画におきましては、被害者の救済対策といたしまして、一つには自動車損害賠償保障制度の充実と、それからいま先生が御指摘の、交通事故相談活動の強化ということを強調しておるわけでございます。御承知のように、昨年、この損害賠償保障制度につきましては、保険支払い額の限度額の引き上げもやったわけでございます。
 片方におきまして、交通事故相談活動でございますけれども、事故に遭った場合被害者の方から、損害賠償の法律問題とかあるいは医療の問題、それからお子さんの教育問題等、いろいろ解決すべき問題等につきまして御相談なさりたいという御希望があるわけでございます。したがいまして、そうした場合の事故相談につきましては、実はいろいろな形で事故相談を進めておるわけでございます。ただいまお話しの、県でもやっております。それから市でもやっております。それから警察などもやっております。それから日弁連等もやっております。いろいろな機関がやっておりますけれども、その中心はやはり地方公共団体の相談所のやっておる相談活動でございます。この地方公共団体のやっております相談活動につきましては、実はその経費の補助を総理府の方で昭和四十二年から始めてございます。
 いまどの範囲でやっておるかと申しますと、四十七都道府県の相談所、それから政令指定都市の九つの都市、それから人口三十万人以上の二十二の都市、それからそれ以外に都道府県にその支所というのを設けまして、県庁所在地の相談所では遠うございますから幾つかの支所を設けてそこに来ていただくと、そういうことで県の相談所の支所というものをこのごろは設けております。全部で百十六カ所の相談所並びに支所につきまして国の方から経費の一部補助をやってございます。で、確かにそれ以外の市町村には相談所は設けられていないわけでございますけれども、それ以外の市町村にも、相談があった場合にはひとつその県やそのほかの相談所を設けられておるところに御連絡いただいていろいろ御相談にあずかる、あるいはその県やそれから相談所の設けられておる市の専門の相談員が巡回指導をすると、こういうような仕組みで現在相談業務を進めておるということでございます。それが第一点でございます。
 第二点の教習所における交通事故の保障の問題でございますけれども、実はこれは私ども所管でございませんし、ちょっと実情をよく存じておりませんけれども、教習所を所管しております警察庁の方にも連絡いたしまして御検討願うようにしたいと思います。
#104
○野口忠夫君 所管が違うということですが、実はこの事故がちょいちょいあるんですよ。まだ免許証を持ってないわけ、仮免で歩くわけですね。これはわきに指導員が乗ってなきゃだめだ。それが事故を起こした場合、被害者になった場合、一体これ自賠法が適用されるのかどうか。聞くところによると、運輸省あたりは、許可するときの基準の中に、乗用車についての一切の保障は許可条件としてつくっておくようなこともあるそうですが、いまの教習所、いわゆる自動車学校ですね、自動車学校はそういう点のものがまだないようにも思います。だから、この点については行政指導なり何なりして、そういう一生懸命金払って勉強しているうちに事故起こしたと、やっぱり指導者の責任になるんじゃないかとぼくは思うんですがね。そういう場合にはやっぱり教習所がこれのめんどうを見るようなことを何らか行政指導をしていただきたい。まあ所管外ですから、大変おわかりにくいかもしれませんけれども、そういう点、ひとつおっしゃっていただきたいというふうに思うわけであります。
 大分、大分でもないが、時間超過したんですけれども、まあ、あちらこちらになりましたが、自治大臣の決意のほどはよくわかるんですけれども、何か本委員会で審議するのには余りにも不安定な要素の中で、当分とか暫定というような姿の中で借り入れをすることが、将来にわたっても今日の地方自治団体にとっても余り結構なことではないということを強く胸に銘記されまして、ひとつ五十五年度、この辺では何らかの窓あけというようなものを、財政が好転してから抜本的改正するんだではなくて、今度の地方選挙を土台としながら、やはり一つ一つ積み上げ方式で一つ一つの問題に到達していくような総合的な調整機関のようなものをおつくりいただいて、自治省の根性というものをつくって、ひとつこれを進めていただきたい。それが本当の意味での地方自治財政を守ることになろうし、分権の基本にもなっていくのではなかろうかと、こういうふうに思うて御質問申し上げましたので、大臣の御奮闘をお願いして質問を終わりたいと思います。
#105
○熊谷弘君 時間がきょうは大分食い込みましたので、当初考えておりました質問よりもずっと短かく、ごく簡単に御質問を申し上げたいと思うのです。
 まず最初に私の立場を申し上げたいわけですが、私は、先ほど来同僚委員の皆さん方に対する大臣の回答を伺っておりまして、敵前で同士討ちをするのはいささか問題でありますけれども、一般消費税導入についての大臣の議論については、私どもの考えておる今後の財政危機克服策とは大分意見を異にするような感じを持っております。私は予算委員会でも終始この点についていろいろなところから御質問も申し上げ、御意見も申し上げておったわけですけれども、しかし私は、何上りも現在のこの財政危機の本質というのは、高度成長時代から低成長時代になった、で、税収が減った減ったと言うけれども税収自体がそんなに減っているわけではなくて、むしろ高度成長から低成長になったにもかかわらず支出の構造や経費の構造というのが高度成長時代そのままになっているというところに一番基本の問題があるのであって、そこのところにある程度の歯どめをきかせないで、一般消費税を赤字補てんということで導入しても、数年たてば再びまた同じような事態を生ずるおそれがあるというところに現在の財政危機の問題があると思っておりますから、仮に一般消費税を導入するにしても、その前に相当のことをしておかなきゃならぬという考え方であります。でありますから、そういう点からいたしますと大臣の御意見についてはいささか見解を異にしますが、この点についてはまた自民党の議論の中で大臣に猛然と胸をかりてぶつかることにいたしまして、若干この地方交付税法案に関係したところに質問を移したいと思います。
 きょうお配りいただきましたこの昭和五十四年度の地方財政計画の中の五十一ページに、「地方財政収支試算」というのがあります。これと、三十七ページの「国の財政収支試算」を見比べてみますと、歳出の項目の中の「その他」、この地方財政収支試算の中の「経常部門」の「その他」の項目というのは、定義によりますと、いわゆる給与であるとかいった一般行政経費といったものが天体九二%を占めておるわけでありまして、これ大部分なんですけれども、この支出費目は、地方財政収支試算によりますと、五十四年度から六十年度までの平均の伸び率は、対GNPの伸び率と同じで一〇・四%だと。ところが、国の財政収支試算の方は、「経常部門」の「その他」費目というのは九・四%。これは所得弾性値で〇・九掛けでやっているんだという解説が出ておりますけれども、つまり国の方はこれから一番合理化し、徹底的に効率化していかなければいかぬというふうな考え方で九・四ということでやっているわけですけれども、地方財政収支試算のこういうこの費目が一〇・四%と、これよりも高いというのは、将来に向けて合理化努力をするという考え方が一体あるのかどうか、私どもに疑問を感じさせるわけですけれども、この点についてどういう考え方でGNPの伸び率と同じにしたのか、お考えを伺いたいと思うわけであります。
#106
○政府委員(森岡敞君) 地方財政収支試算の「経常部門」の「その他」につきまして、御指摘のように、その伸び率を名目GNPの伸び率一〇・四%と同率に見込んでおりますが、これは今後の国、地方を通ずる行財政のあり方を考えていきます場合に、先ほど来お話が出ておりますように、私どもとしてはいわゆる地方の時代という論議もございますし、また、全般的な行政の執行の体制といたしまして、できるだけ身近な行政は身近なところでやるということで、率直に言えば、国はもっと減量してもらっていいと思うのであります。地方の場合にはやはりそうもいかない。と申しますのは、たとえば不況対策としての中小企業のための貸付金の拡大でありますとか、あるいは利子補給でありますとか、いろんな問題がございます。また、福祉をとってみましても、保育所あるいは保健所その他各般の福祉施設の運営のための経費がふえてまいることはもう必至でございます。それらを勘案いたしまして、地方財政収支試算における「その他」の伸び率は名目GNPの伸び率と同じものといたしたわけでございまして、私どもはこれでもって地方財政における経常的な経費の節減努力をしないというつもりでは毛頭ございません。一応こういうふうに見込んでおりますが、しかし、毎年度毎年度の地方財政計画の策定の際には、思い切って一ことしも同じでありますが、経常的な経費の節減合理化は見込みまして必要な措置を講じてまいりたいと、かように思っておる次第でございます。
#107
○熊谷弘君 いえ、私はこの「歳出 経常部門」の中の、たとえば「社会保障移転支出」の伸び率が高いからいけないと言っているのじゃなくて、給与、つまり人件費というものの伸びの大部分を占めておるこの「その他」項目について合理化努力が足りないのじゃないだろうかということを申し上げておるわけです――たくさん話をしたいわけですけれども、時間がありませんので――少なくともこの費目についての姿勢というものは、少なくとも地方財政を組む考え方、あるいは国の財政を組む考え方、大きな政府ではなくて簡素で効率的な政府をつくっていこう、これは中央政府もローカルガバメントも私は同じだと思うのですけれども、そういう考え方からしますと、全体の計画をつくる自治省の立場から、この点についてもう少しきちっと締まった態度で臨んでいただきたいと思うわけです。
 同様に、この地方財政収支試算における税収が、新経済社会七カ年計画の基本構想の六十年度の租税負担率二六・五%というものを前提としているわけです。かなり高くするということで前提にしているんですけれども、それでもなおかっこの一番下の欄の、要調整額(C)マイナス(D)を、五十五年度から五十八年度まで四年度間要調整額が出るということになっていますが、これトータルすると大体十兆円を超える額になっておりますですね。つまり、十兆円を超える歳出が歳入を超えるという計算になっておるわけであります。この点について、つまり税金を相当かさ上げするということを前提にしてもなおかつ歳出が歳入をはるかに超えると、こういう状況になっていることについて、自治大臣はどのようにお考えでしょうか。
#108
○政府委員(森岡敞君) 先ほどの、その他歳出の伸びにつきまして、ちょっと補足して申し上げたいと思いますが、地方財政収支試算のその他歳出のうち、給与関係経費は約六割でございます。そのほかに社会保障関係以外のいろんな福祉施設の運営費とかそういうものが入っておりますが、これらはかなり伸びていかざるを得ないだろうというふうに私ども見ておるわけでございます。
 それからいまの御質問の、収支試算でかなりな増税を見込んでも、経過的に毎年度財源不足が生じ、それを足してみると約十兆九千億円を超える程度になるだろうと、御指摘のとおりでございますが、これは私は、一挙に現在の財政収支のギャップを埋めるような増税、租税負担の増加をお願いするということは、これはもうとうてい不可能なことで、もしそんなことをすれば世の中ひっくり返ってしまいますから、やはり漸次租税負担の引き上げをお願いしていくということにならざるを得ない。そういたしますと、その中途の各年度におきましては、毎年毎年、若干収縮してまいりますけれども、それぞれ財源不足が生じざるを得ない。それは行財政制度の改正を考えます場合に当然考えざるを得ないところでございますので、そういうことになっておるものというふうに理解をいただきたいと思います。
#109
○熊谷弘君 私が自治大臣に伺いたかったのは、自治大臣が先ほどの野口委員の質問に答えて、行政サービスを低下するわけにはいかぬから増税をせざるを得ないんだと。ところが私どもから見ると、行政サービスというものの中身というものが、高度成長時代に非常に水ぶくれした形のものが多いわけです。これはもちろん中央政府もそうだし、それから中央政府だけではなくて、さまざまな公的部門について私は同じことが言えるんじゃないか。高度成長から低成長期になったときに、企業や個人経営をしている人たちがまるで血のにじむような合理化努力をしておる、そっちのものについて何の反省もなしに、「入るを量りて出づるを制す」という考え方だけでやられることについては私はやっぱり問題があると思うわけです。そういう点から私は、こういう地方財政収支試算について、こういうところを見ながら一体政府の構えは何だろうかということを国民は見ているわけですね。われわれも社会保障移転支出をやたらと減らせと、ばらまき福祉の言葉に便乗してやたらとそれをやめろと言っているのではなくて、少なくとも行政機構改革を含めた一これは中央、地方共通のですけれども、もう少し効率的にやっていく、もう少し人間を少なくしていく、いう姿勢を、これは長期計画なんですから、ぜひ示していただきたい。これは要望でございます。
 そこで、これは関連の質問でございますが、利はこの人件費の問題について、警察といえども例外ではないというふうに思うわけです。確かに団地がふえる、あるいはコンビナートができる、発電所もふえる。警備も大事になってまいりますけれども、そしてそれなりの充実した警備機構をつくっていかなければならぬことは認めるわけですが、しかし、われわれが今度市民の立場になってみたときに、自分たちが錠前をきちっとするとか、企業ですと保安施設、警備施設というものをしっかりやるという努力なしに、何でもかんでも警察に依存するというようなやり方では、私は無理があると思うのです。そういう意味で、基本的な考え方として、安全の問題も警察だけではなくてみずから努力をする、みずから経費を払うというPRといいますか、啓蒙活動といいますか、そういうものを今後進めていっていただきたいというふうに思うのですが、どうでしょうか。
#110
○国務大臣(澁谷直藏君) 考え方は私全く賛成です。警察官、ここ数年間おかげさまで漸次増員を認めていただいておりますけれども、日本全国で二十万そこそこでございますから、この人数で日本全国の警備の万全を期するということは容易なことではありません。したがって、やはり御指摘のように国民がそれぞれの立場で自分たちの力で自分たちを守る、こういう心の準備とそれにふさわしい施設ですね、そういったものはぜひひとつ心がけて努力してほしいと、このように考えます。
#111
○熊谷弘君 実は、これは私が昨年三月二十八日の当委員会で、当時の山本財政局長さんと建設省の河川局開発課長さんに質問して、検討をしますと約束をいただいた件について、これは事前に質問通告してありますから御承知だと思いますが、御質問申し上げたかったんですが、時間がございませんので、この点については後ほど私の方から伺いますから、別途に資料その他で御説明をお願いしたいと思います。
 最後に、私は自治大臣にぜひ御理解をいただきたいと思うんですけれども、地方財政も非常に危機的な状況にあるということはわれわれもよくわかるわけです。行政ニーズというものにも対応していかなきゃいかぬということもよくわかるわけですけれども、大平総理の言う簡素で効率的な政府というものをつくっていくためにも、むしろ教育あるいは社会福祉といった分野についても、地方自治体に、権限もそれから財源調達も全部含めて、まさに文字どおり分権化を進めることによって、税金の出し手と税金の受け取り手がきわめて密接な関係にいるというような形の本当の意味での地方分権化ということを図るようなメカニズムをつくらない限り、私は財政危機を抑制する本当の自動調節メカニズムといいますか、というものはできないんじゃないかという感じです。まだ具体的に計算は進めたわけではないんですけれども、現場といいますか、市町村を回り現場を歩いてみて、たとえば児童手当制度であるとか、幼稚園の就園奨励補助金というようなものをもらうのは、もらえば得しているわけです。ところが、三千円や年間で二、三万の金をもらっても、呼びつけられて金をもらったというような感じでちっともありがたいと思っていない。ところが、その金が全体にすると莫大な金になっておる。この順序序列というものが、地方自治体に任されていないためにこういうことが起こるのじゃないかということを私はひしひし感ずるものですから、そういう意味での、本当の意味での地方分権化というものを、地方財政の危機克服という対策のベースとしてぜひ考えていただきたいと思うのですけれども、大臣の御見解を伺いまして質問を終わりたいと思います。
#112
○国務大臣(澁谷直藏君) 私は、ずっとここでけさから答弁申し上げているように、現在わが国が直面しておる国、地方を通ずるこの財政危機を乗り切るということは、これはもう大変な仕事だと考えておるのです。私は、ほかの委員会だったと思いますが、まさに自民党内閣のこれは正念場だと考えておるのです。これをやり切れるかどうか、やり切らなければならない。そのためには、御指摘のように、長い高度成長時代のぜい肉がついておりはせぬか、ですから、この際徹底したぜい肉の切り落とし、まずこれが前提だということを、一貫して私は主張しておるわけでございまして、先ほどの御質問の趣旨は全く私も同感なんです。したがって、いま御指摘の教育あるいは社会福祉等についても、いま言ったような基本的な立場に立っての全面的な見直しというものはやっぱりやらなくちゃならぬ、私はこういうふうに考えます。
 ただ、教育あるいは社会保障という基本的なものについては、これはどうしてもナショナルミニマムと申しますか、最低これだけは国としてどうしても覚悟しなければならぬという性質上そういうものがあるわけでございますから、それを全部地方自治体に任せるというわけには私はいかないと思いますけれども、私は国でどうしてもやらなければならないものは別として、そうでないものがいっぱいあるんですから、そういったものはできるだけ地方自治体にもう移譲していくと、こういう基本姿勢で取り組まなければならぬと、このように考えております。
#113
○上林繁次郎君 何点かお尋ねしたいんですが、これからお尋ねする基本になる問題でありますので、まずこの点を明らかにしていただきたいんです。この改正案の中にちょこちょこ出てきているんですが、「附則第八条第二項の規定を準用する。」というのがありますね。この附則第八条第二項というのは、当然この自治六法、これになけりゃならぬと思うんですけれども、このどこにあるんですか。ちょっとごらんになっていただきたい。
#114
○政府委員(森岡敞君) まことに恐縮でございますが、いま御指摘の自治六法の中には、附則第八条の二項は省略しておるようでございます。自治六法はたくさんの法律を収録しておりますので、一部省略している部分があるわけでございますので、そのように御理解願いたいと思います。
#115
○上林繁次郎君 それじゃ、これは特に論議いたしませんがね、まあ省略して済むということですね、これは。なくても。後のいろんな問題に差しさわりあるといけないからね。みんな省略省略で。どうなんですか、その辺は。
#116
○政府委員(森岡敞君) 私どもがいろいろ収録しております、たとえば地方交付税関係法令には省略はいたしておりませんので、これはやはり大事な規定であることは間違いございませんが、自治六法ということになりますと、財政関係の法律だけでなくて、行政関係の法律、公務員関係の法律、いろんなものを収録いたしますので、その間、収録者のところで規定の評価をどうされて省略されたか、ちょっと私どもとしてはその点についての判断はつきかねますが、やはりこの規定は、交付税につきましては大事な規定であると考えております。
#117
○上林繁次郎君 だから、省略でなくてこれを載っけておかなくちゃいけない問題でしょう、本当はね。まあこれ以上申し上げませんがね。
 いろいろと論議されてきたんですけれども、地方交付税の改正については、いままで、制度の改正であるとかあるいは交付税率の引き上げであるとか、税の再配分とか、そういうことでいろいろと言われてきたわけです、言われてきたということよりも、きょうの論議の中からいろいろと感ずることは、大臣も、そうなくちゃいけないんだと、こういう一貫した理論だったと思う。われわれもそれを主張してまいりました。ところが、なかなかそういうわけにいかない、いろいろな事情があって。そこで、六条の三の2、そういった改正ではなくて、まあ言うならば便法的な方法で地方財政の赤字というものをそういったことによって解消していこう。そういうようなことで、五十三年度以降交付税特別会計の借入金の二分の一を本年度に、臨時地方特例交付金と、こういったことで賄っていこう、こういうことになっているわけですね。そこで、疑うわけでありませんけれども、これは二分の一を国が持とうと、これは間違いなく今後そういう形でもって、その決められた分についてはきちっと国が責任を持ってこの措置をしていく、いわゆる負担をしていく、これは間違いないわけですね。その点ひとつお答え願いたい。
#118
○政府委員(森岡敞君) 全く御指摘のとおりでございまして、間違いございません。
#119
○上林繁次郎君 そうしますと、いま申し上げた附則第八条第二項、この条文は、「地方財政の状況等に応じ、別に法律で定めるところにより変更することができる。」、こういう内容でしょう、これは。ですから、私たちがこんな表現の仕方で心配がないのかなあという憂いを持つわけなんです。ということは、「地方財政の状況等に応じ、別に法律で定めるところにより変更することができる。」というんですね。地方財政の状況等に応じて変更することができると、「等」に応じて。で、「変更することができる」、これはどういう意味でこういった条文が掲げられているのか、その点ちょっとお答え願いたい。
#120
○政府委員(森岡敞君) いま御指摘のありました条文の本文の八条の三の第一項の方は、これはもう御承知のように、借入金をした場合に、国が実質二分の一を将来負担しますと、こういう規定でございますが、ただ、どういう借入金をした場合ということを書いてございません。とにかく「借入金をした場合」と、こう書いてあるわけです。ところで、今後の地方財政を考えました場合に、通常の財源不足、たとえば五十四年度に生じた財源不足、当初のですね、ことしの四兆一千億というふうな財源不足だけでなくて、たとえば国が政策的に減税をする、その一つの例が五十二年度、五十三年度に行われたいわゆる戻し減税でございますね、三千億円。ああいう政策減税をやった場合に、その穴があいた分を借入金をしますと、それも二分の一しか持たないよと、こういうことになってしまうものですから、そういうものについてはこのただし書きで準用いたしました八条の二項を活用いたしまして、これは全額持ってもらいたいと。で、現に五十二年度及び五十三年度の三千億円の戻し減税に伴います交付税の減少、これは九百六十億円でございましたが、これは借入金をいたしまして、これは全額国が将来臨時地方特例交付金で持つと、二分の一ではないと。こういう仕組みをとった経緯もあるわけでございます。それを頭に置いてこの規定を設けておるわけでございまして、二分の一から削るなんていうことは毛頭考えておりませんので、御理解賜りたいと思います。
#121
○上林繁次郎君 まあいまの御答弁で明らかになったわけですが、私たちがこれだけを読みますと、「地方財政の状況等に応じ、」ですからね、「別に法律で定めるところにより変更することができる。」と。ですから、地方財政の状況が好転してきたという場合に、この二分の一というものが保障されない。こういう表現だけですと、後になってそういうことにも通ずるんだという話にならないとは限らない、こういう心配があるわけです。だからお尋ねしているわけです。そういったことは絶対にないと、こういうことですね。
#122
○政府委員(森岡敞君) 自治省といたしましてもそういうことは毛頭考えておりませんし、大蔵省との間の各種の覚書なりあるいは意見調整におきましても私どもはそのように理解をして、大蔵省も理解していただいておるものと思っております。
#123
○上林繁次郎君 次にお尋ねしたいのは、先ほどからいろいろと話が出ておりましたけれども、地方財政収支試算ですね。先ほど熊谷先生の方からもちょっと話がありましたけれども、これは国の新経済社会七カ年計画、これに基づいて、これを受けてつくられたものである、まあこういうことだろうと思いますけれども、これを見ますと、あくまでも増税を基本として考える。今後の地方財政をどうするかと、その問題について、増税ということを基本にして考えておられる。先ほども大臣がおっしゃったように、この計画に基づいて五十九年度までに大体収支均衡さしていきたいんだと、こういうお話がありました。そうすると、あくまでもこれは増税を主体にした物の考え方。そういう考え方に対して大臣は、これを了とするのか、よしとするのか。これはいま申し上げているように、あくまでも増税というものを基本にしてつくられたものである。ですから、そういう増税を基本にして五十九年度に収支均衡するという、そういう物の考え方でいいのかどうか。また、そういう考え方に対して、大臣が大きくこれを評価していると、こういうことが言えるのかどうか。その点、どうお考えになっているんですか。
#124
○国務大臣(澁谷直藏君) この財政収支試算は、これは国の場合も同様でございますが、とにかく例のない、財政の非常に窮迫した状態にある、いわば危機的な状態にある。これをどうしても立て直さなければならぬ。それに対して政府はどういう考え方を持っているのかということは当然のことでありますから、国会でしばしば質問を受けておるわけであります。それに対する政府の答弁として、国は国の財政収支試算、地方は地方財政収支試算、こういう形で国会に資料を提出したわけであります。ただ、これは、かなりな長期にわたる、中期にわたる一つの大きな、何と申しますか、大ざっぱな見込みでございまして、細部にわたって具体的に詰めた内容にまでは固まっておらないわけであります。そういうふうにまず御理解をいただきたいと思うのです。
 増税というものを中心にした収支試算ではないかという御指摘は、まさしくそのとおりであります。やはり、この計画期間中に漸進的に増税をお願いをするという前提に立ってこの財政再建の考え方を出しておるわけでございますから、それを、増税をよしとして評価しておるのかという御質問でございますが、私は増税がいいというような考え方はもちろん持っておりません。税は安いほどいいに決まっておるわけでありますから。しかし、現在直面しておるこの地方財政の危機を立て直すためには、どうしてもやはり最終的にある程度の増税というものを導入せざるを得ない。やむを得ない措置としてこれをお願いしなければならぬと、こういう立場で試算をつくっておるわけでございます。
#125
○上林繁次郎君 いずれにいたしましても、結論的に増税せざるを得ないであろうという、そういう考え方ですね。ですからやっぱりこの試算は増税を対象にしたものであって――なぜ私はこんなことを言うかといいますと、先ほどから大臣のお話を伺って、野口委員の方からも、いろいろと大蔵省との折衝の段階、そういったことで大臣の考えをただしておった、そういった話の中で、やはり大臣は非常に熱意を持って大蔵省とも交渉をしてきたと、いわゆる交付税の税率の引き上げであるとか、あるいは制度の改正であるとか、こういったことを述べられておったわけです。当然税の再配分という問題もあるでしょうしね。言うならば、これはもう一般的な常識であって、国と地方との置かれている状態といいますか、財政にしても地方と国とは全く違う、地方の方が負担が大きい。税の配分にしたって非常に不公平である、均衡がとれていない。いろいろな欠陥があるわけです。ですから、これはちょっと余談になりますけれども、大蔵大臣が、国も火の車なんだから、赤字なんだから、地方もそれは覚悟してもらいたいと、まあこの理屈、一応の理屈ではあるけれども、内容的に考えた場合に、税の再配分にしたってなぜそういうことが言われるかと言えば、これは不公平であるからです。それから、制度の改正にしても、あるいは行政改革の面からいっても、いろいろと不公平な面がある。そういうものを是正していくところに、また地方財政というものがどれだけかのいわゆる浮上してくる部面が出てくるであろう、こういうことですね。
 ですから、ここのところ六条の三の2ということが近年問題になってきておるわけですね。大臣も、私もそういう考え方であると言う以上、私はこの地方財政の収支試算というものに対する考え方と、それから大臣が、いわゆるこれからの地方財政のあり方、地方のあるべき姿はこういうふうになくちゃいけないと言っていることと、それはちょっと私は矛盾するんではないかと、こういう感じを抱くわけですね。ですから、その辺のところをやっぱり、矛盾を感じながらこのまま通り越してしまうというわけにいかぬので、その矛盾を――私は矛盾と感ずる。ですから、もしそうでないとするならば、そういういろいろな制度の改正あるいは交付税の税率の引き上げとかいろいろなものを加味した上でもって、そうしてなおかつ、これだけの増税が必要なんだという、こういう論議ならば私は納得する。しかし、そういうものでなくて、あくまでもこれは増税だけを言っていると。そうすると、大臣のいままで言われたことと相反すると、こういう感じがするわけですね。その辺をどういうふうにお考えになっていらっしゃるのかですね。
#126
○国務大臣(澁谷直藏君) 財政収支試算は、先ほどもお答えしましたように、この計画期間内において、これだけのパーセントで示しておるわけでございますが、増税がどうしても必要でありますということを申し上げておるだけであって、しからばその具体的内容はどうなるのか。いま御指摘になった、国と地方の財源の配分は一体どうするのか、そういった大事な問題については何ら触れておらないわけであります。でありますから、当然そういった疑問が起きてくるのもこれはもう当然であるわけでございますが、それはこれから年次別に毎年予算編成の中で具体的にこれは詰めていかなくちゃなりません。ただ私は、その具体的な詰めをやるに当たって、基本的な姿勢として、一番最初に御指摘があったように、現在のこの財源の国と地方との配分のあり方は、やはり率直に言って国に偏っていると思うのですよ。地方が非常に薄過ぎる。したがって、地方自治といっても実際の自治能力を発揮するだけの財政の裏づけがたい。ですから、三割自治とか二割自治と、こういうようなことが言われるわけでありますから、したがって、これから地方の時代だと、地方の分権を充実をしなくちゃならぬと、こういう基本的な立場に立つ以上、その年次別の具体的な詰めに当たっては、やはりできるだけ地方の財源というものが充実できるように、具体的なそういった結論を出すように努めてまいりたいと、このように考えております。
#127
○上林繁次郎君 なかなかこれ数字的に追いますとわからないわけですよ、実際問題。
 それで、ごく端的に常識的にお話しを申し上げるわけですが、たとえば五十五年度五千五百億円の増税、この程度必要だと思いますね。五十六年度は六千四百億、そうして五十九年度は九千九百億と、こういうことになっているわけですね。これ、言うならば結論でしてね、その途中は何にもわからない。ですから、何を根拠にしてこういうことになるのかという、こういう疑問がわれわれにはわいてくるわけです。その辺のところはどうなんでしょうね。
#128
○政府委員(土屋佳照君) 先ほど大臣からもお答え申し上げましたが、この前提になっておりますのは、この新経済社会七カ年計画の基本構想がもとになっておるわけでございます。そこで、それを踏まえまして、国の財政収支試算なり、あるいは国と地方の財源配分に余り変更がない、そういった一定の仮定と申しますか、前提を置いて実は増税が行われると、そういう仮定をしておるわけでございます。したがいまして、ここで出てまいっておりますのは、増税をしないとした場合は、過去の状態から見まして、GNPの伸び率に対して普通の場合であれば弾性値が過去の経験からして一・一であるという前提で、通常の場合いけばこういう姿になります、しかし、それではどうも行政需要に足りないということで、この基本構想が申しております六十年度において二六・五%の負担率になる、そういう場合に、毎年毎年順を追ってそこに至るまで負担率が伸びていく、そういうことになりますと毎年一五・七%ずつふえていくと、税収が伸びていくということになるわけでございます。
 そこで、その一五・七%ずつ伸ばしていって大体六十年度あたりで二六・五%の租税負担率になるということでございますから、いまのような一〇・四%と仮に仮定しましたGNPの伸びに弾性値一・一を掛けますと一一・四四という伸びになるわけで、そこの差額が税に置きかえるとこれぐらい要るんですという、まあ一つの仮定のもとにやっておるわけでございまして、それをしからばそれじゃ税としては一体具体的に増税のかっこうでやるのか、何でやるのか。あるいはもっと、そうでないとするならば財政全体として歳出面でどう考えるのかと、いろいろなことを今後の財政対策を立てていく場合の参考と申しますか、手がかりとする場合に、これをもとにしながらいろいろやる、そういうつもりでございますので、先ほどからたびたび申し上げておりますような一定の前提、仮定というもとでの判断材料であると、こういうふうにお考えいただきたいと思うのでございます。
#129
○上林繁次郎君 建設省おいででございますね。――建設省にお伺いしたいんですけれども、いま地方自治体が行っております宅地開発指導要綱、これに行き過ぎがあるという建設省のお考えですね。ということは、開発業者の負担を減らしてやろうという、そういう指導方針、これを決めたようですけれども、その内容はどういう内容になっておりますか。
#130
○説明員(斉藤衛君) いまのお話につきましては、三月の六日の日に、建設それから自治両大臣の間で、広い意味での住宅宅地開発等に伴います公共施設の整備を促進しようという方策を含めまして話し合いが持たれたわけでございます。いろいろ実態を見てまいりますと、指導要綱そのものにつきましては、やはり地方公共団体の立場からして見ますと、大規模な開発に伴いましてかなり急激な過大な財源負担を強いられてしまう、そういうような点から出ましたいわばやむを得ない面もあろうかと思うわけでございます。しかしながら、あるところでございましたような建設の際の同意あるいはまた負担金の納付がなかったために上水の供給をストップしてしまったというような行き過ぎたところもあるわけでございまして、そこで、そのお話し合いのところにおきましても、行き過ぎを是正しようということにつきましては基本的な一致を見たわけでございます。いま、あとは事務的な段階で、それを改善すべく検討することとしているわけでございます。
#131
○上林繁次郎君 いまお尋ねしようと思ったんですけれども、いわゆる行き過ぎの内容ですね、これに対しての指導をするというんですから、ですからいまどれだけかの根拠をおっしゃいましたね。同時に、その内容にもちょっと触れました。たとえば水道をとめてしまうというような、そういう行き過ぎがあるんだということですね。そのほかいろいろあるわけですね。たとえば保育所をつくるとか、あるいはごみ焼却場も必要になってくるでしょう、人口がふえれば。学校も必要になってくる。いろいろなことで、そういった応分の負担というもの、こういったものがあるわけですが、そういったいわゆる内容ですね、いま私は内容に触れているんですけれども、そういったものに対する一つの規制みたいな、これをかぶせてくるというようなことになるのかどうかですね。
#132
○説明員(斉藤衛君) いまの点につきましては、具体的には先ほどの水道なり、それから先生お話しございました厚生関係の例などもございまして、そこにつきましては――ただそれが出てきます背景がいろいろ問題があろうかと思うのでございます。一つには地方団体の財源不足あるいは一時的に多額の財源支出をしなきゃならないというような問題もあろうかと思います。単なる一つの現象だけで対処をすることは非常にむずかしいことであるわけでございます。したがいまして、そういうような背景となるような問題も総ざらいをしまして、そうしてこの問題に対応していきたいと、そんなふうに考えております。
#133
○上林繁次郎君 それで、もう結論的に申し上げますけれども、いわゆる宅地開発指導要綱を地方がつくったということについては、それなりの理由があるわけですね。ですから、さっきからも話が出ているように、地方財政というのは非常に厳しい状況に置かれているということ、これはもう御承知のとおり。そういう厳しい財政の中で、何も規制しないで業者に任しておけば、ほっておけば、これは当然後で後始末をしなきゃならないのは地方ということですね。地方団体だと。ですから、そういうものをやっぱり防ぐためには、どれだけかのこれを規制していくだけの何ものかがなきやならぬだろう。自衛策ですね、言うならば。ですから、そういう自衛策としてこういう要綱がつくられる、これは当然だろうと思う。そういったことについて基本的な考え方、建設省の立場から言えば、その開発をこれは進めていく方の側です。その辺の兼ね合いをどうお考えになっているかということが問題だろうと思う。その辺をどう踏まえているかということによって、これから指導をしようというその指導方針というものもおのずから変わってくる。基本的な問題を踏まえるか踏まえないかでそれが違ってくると思うのです。その辺をどういうふうにお考えになっておるかですね。
#134
○説明員(斉藤衛君) 先生おっしゃられましたように、私どもといたしましては、優良な宅地というようなものがどんどんふえてくることは非常に望ましいことでございます。片や、御指摘のように、地方公共団体はかなり苦しい財政状況下にあろうと思うわけでございまして、そこでそういう開発に伴います地方公共団体の財源負担というものをできるだけ軽減を図っていこうということを考え、あるいは実施してきているわけでございますが、ちなみに申し上げますと、五十三年度には住宅宅地関連公共施設整備促進事業というものを発足させております。で、五十三年度の当初の予算規模が三百億であったわけでございますが、五十四年度には、今年度にはそれを倍額にいたしまして六百億にふやしたと、こういうようなものもございます。それから、従来一時的に、公共団体がその公共施設をおつくりになるのは非常に大変だということで、立てかえ制度をやっているわけでございますが、その際のいろいろな内容を改善をしていくと、あるいはまた公益施設、公共施設の整備に伴います地方債の充当率の引き上げをお願いするなり、こういうような形で財政的な負担軽減ということについてはある程度いままでも努めてきたところでございますが、今後もその点含めまして改善方を検討を進めてまいりたい、こんなふうに考えております。
#135
○上林繁次郎君 いまおっしゃったように、いわゆる住宅宅地関連公共施設整備促進費というものが建設省から出ていますね。で、当初から見れば倍になっているんだと。確かに計算上から言いますと三百億の倍は六百億ですよ、これは間違いない。それがいわゆる地方財政の、開発が進んでいってそしていろいろなものをつくっていかなきゃならない、そういったものに応じていくだけの、これを賄っていくだけの財源になるかどうか、ここが問題ですね。ですから、そういったことがわかるからこそ建設省は当初よりも倍にしたんだと言う。また、これからも考えていかなきゃならない。だから問題は、一挙にこの要綱を束縛するような形をとりますと、じゃあ建設省のこの促進費、これが、それに見合った促進費がその地方に行くんだということであれば、これは私は何も言わない。もしそうでないとするならば、建設省が枠をはめることによって、地方はそのことによって苦しまなけりゃならぬということになるわけですね。そこのところをどう考えていかれるのかですね。いま申し上げたことですけれども、どう考えていかれるのか。
#136
○説明員(斉藤衛君) いま先生おっしゃられましたように、片方だけ締めまして、そしてそれの見返りとなります財源措置が十分にできないということでありますと、これは公共団体にきわめて無理なことをお願いするような結果になるわけでございます。したがいまして、そういうことのないように、自治省の方々の方とも十分相談をいたしながら対策を詰めてまいりたいというところでございます。
#137
○上林繁次郎君 それでは建設省は結構です。いまおっしゃったとおり、地方の負担にならないようにその点は十分に考えて配慮していくと、こういうことですから、それ以上申し上げることはありません。結構です。
 それから、厚生省いらっしゃっていますか。――厚生省にお伺いしますけれども、保健所事務事業費というのがありますね。これで十分賄えればいいんですけれども、具体的に数字挙げてあるんですが、これ、一々挙げなくてもおわかりのことと思いますが、どっちにしても足りない。地方の持ち出し分が非常に多い。それはいわゆる超過負担と言いますけれども。そんなようなことで地方がこのことについて、非常に財政難の折から、国が完全に賄わなければならないというものを地方が賄わなければならない。これはやっぱり遮断しなければいかぬと、こう思うんですね。ですからそういう意味で、この点について厚生省としては、地方財政の窮迫したこの状況の中で、今後どういうふうな考え方、またどういうようにこの実態を踏まえて措置していくのか、その点ひとつお聞かせ願いたい。
#138
○説明員(杉山太幹君) 御説明申し上げます。
 ただいまの点につきましては、地方六団体等からも言われているところでございますし、私たちもその改善につきましてできる限り努力を重ねてまいったところでございますが、いまだ完全に解消をしているという段階に立ち至っていないわけでございます。
 まず、保健所の超過負担につきまして一番大きな問題となっておりますのは、保健所補助対象職員の人件費の問題であるかと思います。これにつきましては、昭和五十年度に大蔵省と自治省それから厚生省の三省合同によります実態調査を実施いたしまして、給与基準の改正を実施したところでございます。さらにまた、昭和五十三年度におきまして同じような調査を実施しました。その結果、給与の実態に合わせまして所要の引き上げの措置を講じたところでございます。ちなみに申しますというと、医療職の(一)並びに(二)、さらにまた行政職の(一)の職種について、それぞれ一号俸のアップを行いまして、給与の実態に合うような措置を講じたところでございます。
 それから、もう一つは補助の対象経費の問題でございますが、これにつきましては、五十二年度に公務災害補償費あるいは共済組合の長期負担金等を対象経費といたしまして、さらにまた五十三年度には、保健所という特殊的な事情もあります関係で、医師確保という観点から、医師の初任給調整手当を補助対象経費にしていただいたところでございます。
 このようにして対象差による超過負担の解消に努めているところでございますが、先ほども申しましたように、まだ全部が補助対象となっていない現状でございますので、今後ともこれらにつきましては補助対象にするよう努力をする覚悟でいるところでございます。
 さらにまた、保健所に勤務しております職員につきましては、通称二十四職種と申しまして、医師を初め獣医師、薬剤師、その他もろもろの職種がいるわけでございますが、これらの職員につきましては、その業務の内容に応じまして、保健所運営費の補助対象の職員としている者、さらにまた、交付税の対象職員としている者、また、たとえばと畜検査員や狂犬病予防員のように、特定財源によって支弁されている職員等々あるわけでございます。それらの業務が非常に錯綜して実施されているのが現状でございますので、私どもただいま保健所における業務の実態を調査中でございます。その調査の結果に基づきまして所要の改善措置を講じてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
 なお、非常勤職員等の単価差等の問題も出ているわけでございますが、これについてもあわせて調査をしているところでございますが、とりあえず五十四年度におきまして、改善の措置を、単価アップの措置を講じたところでございます。
#139
○上林繁次郎君 いまお話しありましたけれども、医師確保の問題ですね。これは国の基準単価は半日給の三千七百五十円、こういうことですね。現実は、いわゆる開業医を雇い上げる、その場合、半日といいましてもこれはなかなかむずかしい問題じゃないんですか。ですからやっぱり県は一日分としてこれを負担する。そうするともう六千円以上のいわゆる超過負担と、こういうことになるわけですね。そういう実態をやっぱりよく見つめて、半日だからこれは幾らなんだよという決め方ですと、これはそれだけ地方に負担がかさんでくると、こうなるわけですから、そういったことも含めてやっぱり細かく詰められて、そしてしかるべく措置をとっていただきたい、こう思います。
 次に警察、お願いいたします。
 私がきょうお尋ねするのは、駐在所の問題ですが、駐在所をつくる、そうしますと、これは実際には警察官、家族の生活する本拠になるわけですが、でありながら、門だとかへいだとか物置、浴槽、流し台、まあ流し台はあるわけですがね、そういうものが何もなし。ですから、どうしても一つの駐在所ができると地方の持ち出し分が百万くらいかかる。このようなことが言われているわけですね。こういった問題。やっぱり少しでも地方の負担というものを、当然国が見なきゃならない、あるいはそれ相当の機関が見なければならないものを、それを地方が負担しなければならぬという行き方ではうまくないんじゃないか。御承知のように、さっきから論議されているように、地方財政を中心にしていろいろ改革をしなくちゃならない面があるけれども、なかなかそれがいかない。それがいかないとするならば、現在何とかわれわれの考え方を明らかにすればどれだけかの地方の負担を減少することができるだろう。その努力をみんながしていかないといけないんではないか、こういうふうに思うんです。そういう立場から、これは一駐在所を例にとっておりますけれども、そのほか挙げればまだ出てくると思いますけれども、そういった問題について、警察当局としてどういうふうに今後対処していかれるのか、そのお考えをひとつ述べていただきたいと思います。
#140
○政府委員(山田英雄君) お尋ねの、駐在所等警察施設の整備費をめぐりますいわゆる超過負担の問題でございますが、警察庁としましては、警察署、この建物につきましては、昭和四十七年と昭和五十年の二カ年にわたりまして、大蔵省、自治省と協力して実態調査を行いました。その結果を踏まえまして、補助単価、補助基準面積等の改善を図りまして超過負担の解消に努めてまいったところでございます。
 いまお尋ねの駐在所につきましては、やはりもっぱら単価の差による超過負担が多いようにも考えております。全国知事会等関係六団体からの御要望にも接しておりますので、ただいま自治省、大蔵省と共同で、単価の問題、面積の問題あるいは仕様の問題等いろいろな角度から実態調査を実施いたすべく準備中でございます。この実態調査の結果を踏まえまして所要の改善を図ってまいりたいと、かように考えておりますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
#141
○上林繁次郎君 公安委員長である大臣に。この問題についてどうお考えになりますか。
#142
○国務大臣(澁谷直藏君) ただいま官房長から答弁したとおりでございまして、ことし実態調査をやることになっておりますから、その結果を見て、これはもう超過負担のないように対処してまいります。
#143
○上林繁次郎君 この問題について重ねて要望しておくわけですけれども、これはきのうきょう始まったことじゃありませんのでね、前々から問題にはなっていたんです。ですから、少し遅過ぎる感があるわけですね。ですから、そういったことに本気になってやっぱり取り組んでいただかないとうまくないんじゃないか。ですから、早急にこれはやっぱり結論を出すというふうに、そういう方向でひとつ御検討願いたい、こう思います。
 それから運輸省。
 四月の二十七日の衆議院の運輸委員会で運輸大臣が、いわゆる国鉄の財政難、これはだれしも認めるところですけれども、既存の路線、建設中の路線あるいは運営費、建設費、これらの一部を地方に負担をさせるんだというような発言をしているわけですね。近く都道府県知事からその意向を聞いてみたいと、こんなようなことを言っているわけですが、その内容といいますか、どういうようなことを話し合ってみるのかということなんですがね、その点ひとつ内容を、どういうようなことを考えていられるのか、ひとつお聞かせ願いたい。
#144
○説明員(黒野匡彦君) 大臣から私どもに、現在工事中の、AB線とわれわれ俗に言っておりますが、地方交通線、これにつきまして、従来のやり方のままでやっていいかどうかひとつ検討してみろと。その際に、地方公共団体の御意見も聞くべきであると、このような指示がおりてまいっておりまして、現在検討中でございます。その中に、いま先生御指摘の、地方に建設費もしくは運営費の赤字を負担してもらうと、このようなことは具体的には何ら指示はございませんし、われわれも、従来から議論のありました点でございまして、その点につきまして既存の法令上種々問題があるということは十分承知しておりますものですから、現在の制度で許される範囲内において地方公共団体に御意見を伺うと、かように考えております。
#145
○上林繁次郎君 そうすると、都道府県知事に意見を聞いてみようということは、いますでに着工している工事とかこれから工事を行おうというそういった問題について、その地域においてそれがいいのか悪いのか、必要なのか必要でないのか、そういったことをお聞きしてみたいと、こういうことなんですか。
#146
○説明員(黒野匡彦君) 地方交通線問題につきましては、ことしの一月に、国鉄地方交通線問題小委員会という運輸大臣の諮問機関がございますが、そこから報告が出ておりまして、輸送密度の低い線につきましてはバスに転換する。その際に、各地域の固有の事情によりまして引き続き鉄道を希望される場合には、第三セクター等に運営を譲る、こういうことを考えるべきではないかと、このような答申を受けております。したがいまして、われわれは、地方自治体に御意見を伺うときには、まず国鉄の財政事情をるる御説明申し上げて、さらに、そのような報告書があるということはやはり御説明申し上げた上で、地方自治体としての御意見はいかがでしょうかと、かようにお聞きすることになるのではないか。現在検討中でございますものですからまだ最終的に決まっておりませんが、そのようなことになるのではないかと考えております。
#147
○上林繁次郎君 問題は、いま私がお尋ねしたように、都道府県知事に――あなたがおっしゃったようにたとえば鉄道をバス路線にかえるんだと、それがいいのか悪いのかという、地方のいわゆる考え方というものを聞いてみたいということならば何の支障もないんです、それは。大いにやるべきです。ただし、いま申し上げたように、その建設費であるとか運営費ですね、こういったものの一部負担というものも含めて話し合いをするということであればこれはうまくないなという感じがするわけです。その辺どうなのかということですね。
#148
○説明員(黒野匡彦君) 繰り返しになりますが、国鉄に対して地方自治体から金を出すということについて、現在の法制上問題があるということはわれわれ十分承知しておりまして、その点について地方自治体の御意見を伺うというつもりは全くございません。
#149
○上林繁次郎君 とにかく、事実、地方財政再建促進特別措置法の第二十四条二項、これによれば、「地方公共団体は、当分の間、」公社、公団に対し、負担金を「支出してはならない」ことを規定しているわけですね。ですから大臣、これは厳然と守られていかなくちゃならぬわけですね。いかがですか。
#150
○国務大臣(澁谷直藏君) いま御指摘のように、法律が明示しておるわけでありますから、これはもう守っていかなきゃなりません。
#151
○上林繁次郎君 そうしますと、ついでと言っては申しわけないんですが、御承知のように、東京を取り巻くいわゆるこの首都圏、千葉であるとか埼玉であるとかそのほか神奈川であるとか、いろいろとこれのベッドタウン的な地方があるわけです。そうすると、先ほどもちょっと話が出ましたけれども、人口の増加が非常に激しいわけですね。で、開発がどんどんどんどん進んでいく。そうすると、駅と駅との間が非常に遠い。その間に開発が進んで、相当な人口がふえていく。当然国鉄とすれば、これはだれにも言われなくても、国鉄の使命、国鉄の存在意義、そういうものから言って、だれにも言われなくても、そこに駅をつくるという考え方はこれは当然のことでしょう。ところが、これを陳情いたしますと――地方はあくまでも住民の利便というものを主体に考えている、そして利益というものを考えているわけでしょう。それで、何とかここに駅をつくってくれと言うと、そうすると、もしそれを認めた場合、いわゆる地方の負担金というものは非常に大きなものになるわけですね。これはもう公然と、と言っていいんです。公然とそれが行われているという状態。これはどうなんですか、大臣。これはいわゆる地方財政再建促進特別措置法二十四条に抵触しませんか。いかがですか。
#152
○国務大臣(澁谷直藏君) これは御指摘のように、国鉄が国鉄を運営するために必要な施設として駅舎をつくる、それに地方公共団体が金を出すということになれば、これはもう明らかに法律違反であります。
#153
○上林繁次郎君 大臣、法律違反でありますでは済まないんです。だとするならば、これ御承知のように、もう国でもいわゆる人口急増地域については特別な措置をとっているわけですよ。そうでしょう。ですから、人口がふえますと、その町の形態というものは変わってきます。たとえば千葉県を例にとってみれば、船橋と津田沼の間というのはものすごく離れているわけです。相当な距離があるわけですね。その中間がものすごく発展してきた。当然これは駅があっても不思議ではない。さっきも言ったように、国鉄の使命、国鉄の存在意義、こういったことから言えば、地元から要請されてつくるということではなくて当然国鉄が、そういう国鉄の使命から言ってもこれは自分たちが進んでそこに駅をつくろうという姿勢が大事なわけです。にもかかわらずほっかぶりしている。幾ら陳情してもなかなかやらない。そして恩を着せられて、それじゃおまえさんこれだけ出しなさいと。これは事実そういったことが行われているわけです。
 だから、人口急増地域にはそういう問題がいっぱいあるわけですよ。これからもそういったことが続くとそれだけ地方財政を圧迫するということです。そういったことを防ぐためにいま申し上げたこの法律というものができたわけでしょう。ですから、これはとめさせなければいけないんじゃないですか。と同時に、とめるならやらないよという考え方に立たれたのでは困る。その辺をだれがどう調整していくかという問題があるんですね。大臣は、それは法律のとおりやりなさいよと。ところが国鉄の方は、そういうわけにいきませんよと。だれが調整するのか。困るのは地方であり住民なんです。地方の時代なんて言ったって、細かく言えばいろいろな問題があるわけです。そういった問題を一つ一つ――はるかかなたの問題を提起するということも大事だけれども、現実の問題はそうであるということもやっぱり真剣に見詰め、考え、これに対処する、そして地方財政を圧迫しないようにしていく努力が大事だろうと、こう思いますがね。この点、現実にはいま言ったようにそうなっているんです。どうしますか。
#154
○国務大臣(澁谷直藏君) 恐らく実態はお話のとおりだと思うんです。現実に駅が必要である、ところが国鉄はなかなかうんと言わない。それでこちらからもう盛んに陳情をして、お願いをして、それじゃつくってやる、そのかわり幾らか負担をしなさいと、こういうことだろうと思うんです。それで、それは駅ができないで困るのはその地域の住民ですから、それに金を出すことは法律違反だといって、それだけで片づく問題でないことはもう御指摘のとおりであります。私としましては、運輸大臣と話し合いまして、そういう形でなしに、国鉄が国鉄自体の責任において、本当に必要な駅舎は国鉄の責任で、国鉄の経費でつくるように運輸省から指導していただくように、早速話し合いをいたします。
#155
○上林繁次郎君 よくわかりました。よろしくお願いしたいと思います。
 それで最後に、国鉄の方も、赤字だ赤字だと言っているだけじゃなくて、そこに駅をつくる、そうするとやっぱり利用者がふえるんです、それだけ。駅がそこにないと、それじゃ車で行っちゃえ、駅まで行くのに遠いからと、こうなつちやうんですね。ですから、客の吸収の仕方というものはいろいろあると思う。それを、赤字だ赤字だ、だから駅をつくるならばおまえ金出せという物の考え方じゃなくて、やっぱり黒字に転換していくためにはどうするかという――これは運輸委員会でやった方がいいんだけれども。運輸省おいでになっているんですからね、私はそういうふうにも思うんです。余り縮まっちゃって、そして投資すべきことをもやらないで、ただもう人におんぶすることしか考えていない。これでは私は国鉄の将来というのはまことに先細りだ。もっともっと大きくいろいろと見詰めて、そしてやるべきじゃないか。それだけをお話しして終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#156
○委員長(永野嚴雄君) 本案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後六時二十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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