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1978/05/09 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 地方行政委員会 第7号
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1978/05/09 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 地方行政委員会 第7号

#1
第087回国会 地方行政委員会 第7号
昭和五十四年五月九日(水曜日)
   午後一時四分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         永野 嚴雄君
    理 事
                衛藤征士郎君
                金丸 三郎君
                志苫  裕君
                神谷信之助君
   委 員
                熊谷  弘君
                坂元 親男君
                中村 太郎君
                夏目 忠雄君
                小山 一平君
                佐藤 三吾君
                野口 忠夫君
                阿部 憲一君
                上林繁次郎君
                藤井 恒男君
                前島英三郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
   参考人
       盛 岡 市 長  工藤  巌君
       日本福祉大学教
       授        山本 正雄君
       名古屋市立大学
       教授       牛嶋  正君
       京都府立大学助
       教授       成瀬 龍夫君
       地方財政問題研
       究会代表幹事   石田 芳文君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(永野嚴雄君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のために、参考人として盛岡市長工藤巌君、日本福祉大学教授山本正雄君、名古屋市立大学教授牛嶋正君、京都府立大学助教授成瀬龍夫君、地方財政問題研究会代表幹事石田芳文君、以上五名の方々の御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ御出席をいただきまして、大変ありがとうございました。
 皆様から忌憚のない御意見をお述べいただき、本案審査の参考にいたしたいと存じております。
 本日の議事の進め方につきましては、まず皆様方からお一人十五分程度でそれぞれ御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず、工藤参考人にお願いしたいと存じます。
#3
○参考人(工藤巌君) ただいま御指名をいただきました盛岡市長の工藤巌でございます。
 先生方には、日ごろ地方行財政の諸問題につきまして特段の御高配をいただいておりますことをまずもって厚く御礼を申し上げます。
 このたび、地方交付税法の一部を改正する法律案について意見を述べるようにとの御依頼を承りましたので、都市行財政に直接携わっておる者の立場から所見を述べさせていただきます。
 まず、国、地方を通ずるきわめて厳しい財政状況のもとで、景気の着実な回復を目指し、三十八兆八千十四億円という地方財政計画が策定され、そのための財源不足額四兆一千億円を、地方交付税二兆四千六百億、建設地方債一兆六千四百億円の増額によって補てんする措置をとられたことに賛意を表したいと存じます。この二兆四千六百億円の交付税増額のうち、一千八百億円は臨時地方特例交付金であり、残りの二兆二千八百億円は資金運用部資金から交付税特別会計への借り入れでありますが、借り入れの純増加分の二分の一に相当する額を償還の年次に臨時地方特例交付金として交付税特別会計に繰り入れる措置をとることになっておりますことは昨年度の法律改正でルール化したことでございまして、当然のことではございますけれども妥当な措置として賛意を表しておるところでございます。
 しかし、地方交付税法の六条の三第二項によれば、引き続き財源不足が生じた場合には、地方行財政制度の改正または交付税率の変更を行うものとすると規定をされておるのであります。昭和五十年度以降の地方財源の不足は毎年累増をいたしておりまして、昭和五十年に二兆二千億、五十一年に二兆二千六百億、五十二年に二兆七百億、五十三年には三兆五百億、そして本年は四兆一千億というような状況になっております。これはまさに交付税法六条の三第二項に該当する事態にあると言うべきでございましょう。したがいまして、当然交付税率の大幅な引き上げまたは制度の改正が必要と思われます。
 昨年度の法改正で行われました交付税特会の借入金二分の一を一般会計で補てんするという制度は、一応当面する措置として評価をしているものでございますが、私どもの期待をしておるような制度の改正とは言えるものではないと存じております。したがいまして、政府におかれましては、なるべくすみやかに交付税法六条の三第二項の趣旨に沿って、地方税財政制度の抜本的な改正を行われるように御期待を申し上げておる次第でございます。
 もとより、わが国の財政の現状は、国家財政そのものが一般会計三十八兆六千億のうち公債が十五兆二千七百億で、しかもそのうち特例公債が八兆五百五十億というきわめて異常な状況にあるのでございますから、そういう状況のもとで地方財政に対して講ぜられた処置としては、交付税特会の借り入れの純増分の二分の一を国が将来負担をするというこうした地方の財源対策にとられた措置は適切なものと存じておるのでございます。こういうものとあわせまして、地方財政に対していろいろな地方債の一定部分の元利償還を将来交付税の基準財政需要額に算入するといったような措置とあわせまして、まずは地方財政に対しても配慮を加えられたところでございまして、妥当なもの、交付税法の規定からすると問題ではあるけれども、まずは妥当なやむを得ないものと申してよかろうと私どもは考えておるところでございます。
 次に、抜本的な制度改正、交付税率引き上げの問題についてでございます。私どもが考えております、またお願いをしております、法六条の三第二項の規定による制度の改正、交付税率引き上げの方向等について所見を申し上げたいのでございます。
 まず第一に、赤字公債、特例公債依存の財政運営は、速やかに解消すべきであると存じます。景気浮揚のために公経済、いわゆる財政の果たす役割りというものがきわめて大きい現状から、景気浮揚策として、ときに特例公債を発行しても内需を喚起するという意図、こういう意図からは了解できるのでございますが、それにはおのずから限界もあろうかと思われるのでございます。経常部門の財源不足を補てんするために、昨年が約五兆円、そして本年が八兆円という特例公債は異常と申すほかはなかろうと存じております。こういう事態を解消するためには、経費の節減はもとよりでございますが、一般的な租税負担の増加を図る以外に方法はないように思われます。
 次に、一般的な租税負担の増高を図る場合におきましては、地方独立税源の拡充を配慮していただきたいと思うのでございます。現在地方交付税の不交付団体は、都道府県では東京だけ、市町村ではわずかに四十八市町村。およそ九九%近い地方公共団体が交付税を受けている団体であります。本来交付税は、税源の不足する地方自治体に対して最小限度の行政水準、いわゆるナショナルミニマムを保障するためのシステムであると思うのでございますが、現状ではもはや一般的な財源の様相を呈しておるのでございます。それは地方の一般的な税源の不足によるものと申してよかろうと思うのでございます。また一方では、御案内のとおり、税収は国がおよそ三分の二、地方がおよそ三分の一でございます。そして実際の歳出は国が三割、地方が七割でございます。これは国からの国庫支出金が地方団体を経由して支出されることによるものでございます。私どもは、こうした基本的に見直しをする場合において、地方の独立税源を拡充をすることによりまして、地方のいわゆる行政権限も、裁量の範囲もあるいは財源も拡充をして、文字どおり地方自治、住民自治の拡大を期待をいたしておるところでございます。
 次に、地方税源をいかほど拡充をいたしてみましても、どうしても大きな都市にこれは偏在することに相なります。したがいまして、地方税源を拡大をいたしましても、交付税制度は行政の均衡保持のためにもきわめて重要な役割りを果たすものと存ずる次第でございます。したがいまして、制度改正に当たりましては、以上申し上げましたような三つの点、すなわち、特例公債を解消して一般的な税源拡大が必要であろうということ、その際には地方の税源の充実を図っていただきたいこと、並びにあわせて交付税制度の内容の充実を図っていただきたいこと、こういう三点から、交付税の対象税目の拡大の問題あるいは交付税率引き上げの問題とあわせまして、基本的に国、地方を通ずる税財政制度点検の中で、この地方交付税法六条の三第二項の趣旨に沿う検討を行っていただきたいと考えておるわけでございます。
 その際に、一言あわせて申し上げますならば、現実の決算と交付税の基準財政需要額との乖離の問題がございます。私どものような小さな町でございましても、昭和五十二年度の決算について見ますと、交付税の基準財政需要額はおよそ百億円でありますが、決算は二百四十四億であり、そのうちの一般財源は百三十九億でございます。したがって、約三十九億円の乖離が生じております。その中で一番大きいのは、その他の諸費という項目の部分が多いのでございます。このその他の諸費となっておりますものを、適正な基準があるならば、できるだけ細かに配慮をして、項目、種目ごとに基準財政需要額を算定する方途をとっていただくことが適切かと思われます。今年度の改正でもそういう趣旨で特殊学校等についてそういう御配慮もしておられるようであります。また、それぞれの算定の水準も実態に合わせて引き上げを図っておられるようでございまして、私ども地方におる者としてはそのことを歓迎いたしておる、賛意を表しておる次第でございます。さらに基本的な検討をしていただきまして、地方税財政の体制の整備を図っていただきたいと存ずる次第でございます。
 最後に、できるだけ早期に本案が成立することを御期待申し上げたいと存じます。地方自治体の資金繰りとの関係の深いものでもございますし、昭和五十三年度の支出、五十四年度の支出が重なる時期に相なっておりますので、できるだけ早く本案が成立しますようお願いを申し上げまして、意見の陳述を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#4
○委員長(永野嚴雄君) ありがとうございました。
 それでは、次に山本参考人にお願いいたします。
#5
○参考人(山本正雄君) 山本でございます。
 今回の地方交付税法の改正、第一点は交付税増額の措置、第二点はいわゆる単位費用の算定を改定するということでありまして、まず単位費用の改定、この問題は、物価が上昇しておりますし、いままで十分に見てない、だから当然のことであります。主として交付税の増額措置、地方財政赤字の対策について意見を申し述べます。
 資金運用部からの借入金の二分の一を国が責任をとるという形になっております。これは地方交付税法の附則第八条の三、これによって、要するに附則で行われているわけです。しかし、これなぜ二分の一にしたのか、これは私は納得いかないんです。本来、地方交付税法の第一条、これを見ますと、「地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的とする。」と交付税法の第一条にうたわれておりますが、そういう意味ではこの附則を、なぜ第一条と矛盾するようなものをつくったのか、この点が私は納得いかないというところが第一です。要するに、そういう意味では地方自治の本旨というものに矛盾したような附則がつくり上げられている、その点が問題だと思うんです。
 もう一つ、交付税率の引き上げの問題でありますが、これも交付税制度の原則は地方交付税法のいわゆる六条の三で、自治体の一般財源については「普通交付税の総額が引き続き」――引き続きと言っている。引き続いて著しく異なる場合には、制度の改正または交付税の引き上げを行うべきことが規定されているわけです。それをどうして引き上げないのか。それを借金や起債振りかえで当面を糊塗すると、こういうのも私はおかしいんじゃないか。どうしてちゃんとこの条文に従ってやらないのか。ある意味で交付税制度自身がおかしくなっておるということを問題にしたいと思います。
 こういう附則をつけ加えたり、こういう形で当面を糊塗するということは何だと。それは国家の財政が破綻しているから地方財政も借金を背負うのがあたりまえだということだろうと思う。応急の措置、これは結局一般消費税待ちじゃないんですか。一般消費税が実現すればふえるだろう、そうすると交付税もふえるだろう、しばらくこんなことでごまかそうと、こういうことではないかと思う。その点ではやはり国家財政そのものの問題、なぜこんなに四割も赤字公債を発行しなければならなくなったのか、この点をもっと考えなければならない。これはやはり非常に問題だと思う。いわゆる資本を蓄積しなきゃいかぬとか、国際競争力を強化しなきゃいかぬとか、こういうことで、そういう大義名分で資本蓄積、こういう部門に重点が置かれ過ぎている。いわゆるパブリックとプライベート、プライベートの中には大企業とかいろんな個人も入るわけです。こういう公私の、パブリックとプライベートの資金の配分が狂ってきている。だからこんなに四割も借金しなきゃいけない。これは日本銀行の資金循環勘定というのにちゃんと出てきている。資金循環勘定、これにちゃんと出ていて、非常にいままでの公と私のこの資金の配分、この関係が狂ってきている。こういうものがだんだんと地方の財政にまであるいは交付税の問題にまで波及しているわけです。だからやはり根本的な問題をもっと私は問題にしなきゃいけない。
 たとえば、日銀でも言っています、法人の手持ちの短期の有価証券だけでも十三兆円もあると。要するに、私的部門では非常に手持ちの過剰流動性というものがある。一方に、国家及び地方財政の資金は非常な不足をしている。このバランスはどうして生じたか。私の意見によれば、これはもつと取るべきものを取るべきところから取らなかったということからこういう公と私のバランスが崩れてきている。それが交付税の問題を非常に複雑にしたり、そして交付税の足らないところをいろんな形で、借入金とか起債への振りかえとか、こんなことで当面を糊塗している、こういう問題があるので、やはり私はそういう不公平税制――もっと取るべきものから取って、そしてこの公的部門はもう少しちゃんとしたものにすれば、こんなに四割も赤字公債を発行しなくても済むのじゃないか。やっぱり地方財政というものと国の財政というものは本当にもう絡み合って、一体になっているんですから、別々に問題にするのがおかしいんだと、そういう意味で、この不公平税制の問題をぜひ取り上げたい。一般消費税についても、その前に不公平税制の問題をやるとか、いろんなことで財政の再建はできるはずだと、そういうふうに私は思います。
 次に、交付税制度による財政需要の算定の問題ですが、先ほど工藤参考人からはまた違った立場が述べられましたけれど、やはり非常に資本主義が発達して、大都市、都市への人口集中、こういうことになって、都市の財政需要というものは非常に高まっている。そして世界的にも、やはりどの国でもそういう大都市に対する財政の援助というものを強化している。にもかかわらず日本の場合は、それがこの財政需要の算定などにおいて依然として農村型であるというところに私は大きな問題があると思う。たおえば測定単位の数値につきましても、たとえば東京なんかは昼間人口が百七十万から二百万人ぐらいふえている。この点について自治省はある程度考慮しているということを言っています。だけど、どうも現実にはそういう大都市需要というものが十分に算定にされてないというところが問題だと思います。
 たとえば、その例として、都の基準財政需要額の推移を指数で見ますと、四十二年度を一〇〇として、五十三年度は四六二です。ところが全地方公共団体のこの指数は六四二。六四二と四六二です。いかに大都市東京都の需要が低く見積もられているか。これをどういうふうに自治省は説明されるのか。あるいは、今度の、「地方交付税関係参考資料」というのが配られています。この中で、今年度、五十四年度の基準財政需要額及び収入額の増加の見込み調べ、これが資料として出されています。これを見ましても、いわゆる交付団体は一これは府県の方をとったわけですが、五十三年度に比べて五十四年度は一〇・一%伸びている。ところが不交付団体は、府県について言えば東京都だけです。これの伸びは八・二になっている。ということはどういうことか、その点の説明が私はおかしいと思う。当然同じように伸びなきゃいけない、あるいは、大都市は基準財政需要はもっと多く算定さるべきが、一般的な平均が、全体が一〇・一で不交付団体の東京都は八・二、こういうようなのはどういうことから生ずるのかという問題。
 結局これは、単位費用を上げるとかいう問題でなしにそれはむしろ補正に問題がある。この基準財政需要の計算というものは実に精緻にして、世界に冠たるものだと思う。非常に複雑でしかも一般にはとてもわからないようにできている。そこに問題がある。たとえば補正係数の問題にしましても、種別補正、普通態容補正、投資態容補正、段階補正、密度補正、人口急増補正、事業費補正、その他その他、実に複雑。しかも、こういう補正のあれは法律で国会を経てない、省令で行われているんです。自治省の省令ですよ。そういうことで、そこに非常に自治省の官僚の自由裁量、恣意性というものが入り込む余地がある。この点はもっとはっきりしなければならないと思う。特に普通態容補正の中、その中でも行政の質量差、このところに操作の恣意性が入り込む余地が非常に多いということです。もっと実態を明らかにする必要がある。省令などで役人の勝手に決めるべき余地を残しているのが問題であるということです。
 次に、最後に起債の問題です。仮に起債への振りかえを認めるとしましても、やはり問題があると思う。財源対策債あるいは減収補てん債など、本来の一般財源確保という趣旨からして、いわゆるこの五条債、地方財政法の五条による五条債に押し込むのが私はおかしいと思う。あるいは五条債に押し込まなくても、ばらばらに例外規定を設ける、こういうことは私は本来おかしいと思うんです。ちゃんと地方財政法に特例規定を設けて一般特例債として扱うべきである。国の財政の場合に、赤字国債とそれから建設国債というものを区別して、赤字国債についてはちゃんと特別な法律を設けて特例債としてこれを扱っているじゃないですか。国ではそれをやっておいてなぜ地方ではそれをやらないか。地方ではそれをごまかしているのではないかという問題がある。地方の財政というものも国と同じようにやはりちゃんとして、特例を設けてやるべきが本筋だと思う。国の財政というものはこれは一般にわりに注目を引いているから、国ではちゃんとやって、地方の場合は余り注目しないものだから、それでいろんな特例とかあるいは第五条債の中へ無理に押し込んでしまう。こんなのはちゃんとルールをはっきりすべき必要があるということです。
 その他、財源対策債についても、各自治体ごとに基準財政需要額の算定過程で明らかになるように算定方法を改善するとか、あるいは減収補てん債についても発行要件などをちゃんと法定すべきである。こういう起債についてのルールを、省令とかそういう役人の自由裁量でやるのでなしに、ちゃんと起債についても法律で定める、そしてルールをはっきりさせると、こういうことをしなければ、私は国会としてもおかしいと思う。国会の皆さんの責任というものを果たしていないんじゃないかとさえ私は心配するわけであります。
 以上をもちまして私の陳述を終わります。
#6
○委員長(永野嚴雄君) ありがとうございました。
 それでは、次に牛嶋参考人にお願いいたします。
#7
○参考人(牛嶋正君) 初めに、日ごろ地方財政を研究しております私に対しまして、こういった問題について意見を陳述さしていただく機会を与えられましたことを委員長に対しましてお礼申し上げます。
 昭和五十年度の税収の落ち込みとその後の税収の伸び悩みによりまして、地方財政は国と同様厳しい財政運営を強いられてきたわけですが、その間にありまして地方団体は、今後の財政運営に資する幾つかのメリットをつかんできたことも私確かではないかと思います。その一つは、公務員の志望者の増大に伴いまして、ここ二、三年に優秀な人材を地方団体が確保し得たということが一つでございます。これは恐らく将来の地方団体における財政運営に期待するところが大きいと私は思っております。いま一つは、多くの地方団体が今回の財政危機に際しましていち早く高度成長期についたぜい肉を落とすことに努め、低成長経済のもとでの新しい財政運営の確立を目指してきたということであります。この効率的な財政運営に対する真剣な地方団体の態度は、これまで私が接してきた幾つかの市町村及び府県の行政の施策の中で実際に私が感じ取っているものでございますが、きょうの私の意見は、多くの地方団体がこうした新しい財政運営に真剣に取り組んでいるということを念頭に置きまして陳述させていただきたいと思います。
 地方団体が財政危機に対するために最初にとった対応策は、諸経費の節減でありました。予算編成に当たりまして税収見込みをできるだけ抑えながら、人件費を初めとする諸経費の節減で赤字団体になることを極力回避してきたわけでございます。しかし、このような財政運営はいわば守りの財政でありますから、地方団体の本来の役割りであります生活環境整備を通じての個性のある町づくりを推進するということは、こういった守りの財政運営のもとでは期待できません。これに対しまして、ここ二、三年の地方団体の行政に対する姿勢は、効率的な財政運営を図りながら、そこで生み出された余裕財源を積極的に新規の事務、事業に振り向けていくという方向に変わりつつあると言えます。それに関連いたしまして、都道府県レベルにおきましても、また市町村レベルにおきましても、積極的に財政計画の導入を検討し、新しい予算編成方式の開発に努めている団体がかなり多くの数に上っているわけでございます。
 その場合、行財政の運営に計画性を導入し、それに基づいて地域の生活環境整備を積極的に進めていくためには、財源が安定的に伸び、地方団体が正確に財源の見直しを立て得ることが前提だと私は思います。財源については、自主財源としての税収はもちろんのこと、依存財源としての地方交付税、国庫支出金も当然この中に含まれるべきであります。とりわけ、財政力指数が低く、地方交付税に大きく依存する団体にとって、地方交付税額の見通しは計画的な財政運営を行っていく上できわめて重要な要因となってまいります。その場合、現行の地方交付税の算定基準に基づいて算出される交付税額をそのまま財源の中に見込むことができるといたしますと、各地方団体とも計画性を盛り込んだ予算編成を実施することができるはずであります。
 しかし、そのためにはまず地方交付税の財源枠が安定的な伸びを示さなければならないと思います。地方交付税の財源枠が国税三税の三二%として決められている現行制度のもとで、この要件を満たすことは困難と言わざるを得ないわけです。もし少しでも安定的な財源の伸びを期待するといたしますと、国税全体をベースとする財源枠の決定が求められるのではないかというふうに思います。それでも経済変動の諸側面であらわれる国税収入の伸びの変動を回避することは困難でしょう。こうした年度間の財源枠の変動性を調整する制度といたしましては、現行の単年度主義を廃しまして景気の一循環、それは三年ないし四年でありますが、それを単位期間といたしまして、その間の国税収入の伸びを推定し、それに基づいて毎年の平均伸び率を決定して交付税の財源枠を決めていくといったような制度が導入されるべきではないかというふうに思うわけでございます。
 今回の地方交付税法の一部を改正する法律案のうち、地方交付税の総額の特例に関するものは、地方交付税の財源枠の安定的伸びに対する臨時的な措置と見なされることから、一応賛成の立場を私とりたいと思っております。しかし、高度成長の時期に決定された現行の財源枠のもとで、これからの国税三税の自然増収を予測する場合に、この措置は今後も毎年続けてとらざるを得ないのではないか。したがって、臨時的な措置でなくなるのではないかというふうに考えるわけであります。現に、この措置は五十年度以降四年間も続いており、制度化しつつあるというふうに考えられます。この点を考えますときに、今回の改正案に賛成の立場をとるといたしましても、地方交付税の総額の安定した伸びを確保するために、早急に、先ほど申し上げましたような方向で制度の改革を図るべきことを私望みたいわけでございます。
 地方団体にとりまして、財源の大半が自主財源で賄われることが望ましいことは当然でございますが、一方、地域間に存在する大きな財政力格差がそれに対しまして大きな障害ともみなされます。すなわち、地方財政におきまして自主財源の確立と地域間格差の是正とは、いわば二者択一的な目標であるわけです。この二者択一的な目標を同時に解決する地方交付税制度は、その意味では私すぐれた制度と言えると思います。
 しかし、地方交付税制度の第一の目標は、先ほど盛岡市長もお述べになっていたと思いますが、地域間格差をできるだけ是正して財政力の平準化を図るというよりも、むしろ財政力の乏しい団体における行政を一定水準以上に維持することにあると私も考えております。それは、財源不足額の算定が基準財政需要額の算出に基礎を置くことからも明らかではないかと思います。したがって、その限りでは今回の地方交付税法の一部を改正する法律案のうち、基準財政需要額の算定方法の改正に関するものは、より正確な基準財政需要額を測定するという意味でおおむね妥当とするものであります。
 しかし、最近の地方交付税の交付状況に見られますように、都道府県レベルにおきましても市町村レベルにおきましても、不交付団体が急激に減少している状況のもとでは、なお地方交付税は地域間格差の平準化の機能を持ちながらも、他方、国と地方の間の財政調整に付随する問題を一層顕在化しつつあると考えるわけです。
 で、その問題につきまして二つばかり申し上げたいと思うわけですが、先ほども御指摘があったと思いますが、市町村レベルにおきまして五十三年度の不交付団体数は四十八団体でありまして、五十二年度は七十団体でありましたから、五十二年度に比べましてずいぶんと激減しております。たとえば、一つの問題といたしまして、都道府県の場合、東京都を除くすべての団体が交付団体となったわけでございますが、それによりまして財源の配分をめぐって、以前の富裕県と従来から交付団体でありました中小県の間の利害対立が一層鮮明になってきたのではないかというふうに考えるわけです。そして、その調整のために地方交付税制度は基準財政需要額の算定方法を常に手直しすることが求められているという状況であります。それによりまして、個々の地方団体にとりましては、交付税額の見通しが非常に立てにくくなる、そしてまた、地方団体間の財源配分もゆがめられるというふうな結果が出ているように思うわけです。
 いま一つの問題は、すべての団体が交付団体となることによりまして、自主財源確保のための地方団体の努力が著しく減退するという懸念であります。もう少し具体的に申しますと、徴税努力を怠り、そして交付税の獲得に努力するといったようなことが見受けられるわけでありますが、そしてこのことは、地方交付税制度をしてますます国庫支出金的な性格を持たせるという重要な問題を含んでいるように思うわけであります。さらに、この傾向が行政の執行面におきまして影響を与えまして、地方団体の効率的な行財政運営の努力を鈍らせるというふうなことも考えられるわけであります。
 これらの問題を考慮いたしますときに、地方交付税が本来の機能を取り戻すためにも、四十年代前半の交付状況にまで制度を戻すように改革すべきではないかというふうに思っております。そのためにはもちろん国と地方の間の税源配分に変更を加えていかなければならないわけで、税制改正を必要とするわけでございますが、最初に申し上げましたように、地方団体が低成長経済に向けて新しい財政運営を確立することに非常に努力しているということから申しまして、こういった税制改革ばぜひとも行わなければならないのではないかというふうに考える次第でございます。
 以上で、意見を述べさしていただきました。
#8
○委員長(永野嚴雄君) ありがとうございました。
 それでは、次に成瀬参考人にお願いいたします。
#9
○参考人(成瀬龍夫君) 私は、成瀬と申します。
 地方税及び地方交付税の問題を中心に現在の地方財政難をどう打開するのかということで私見を述べたいと思います。
 わが国が経済不況に突入し、国も地方も大幅な当初予算の見直しを行いました――昭和五十年度ですが、昭和五十年度を除きましてももう五十一、五十二、五十三、五十四年度と、四年続けて巨額の地方財源不足が生み出されているわけであります。このような数年度にまたがる財源不足の発生に対しては、先ほどもおっしゃっていましたように、地方交付税法の第六条にのっとって交付税率を引き上げて財源不足を解消する措置が必要であるわけでして、これはこの間地方団体が当然のこととして政府に要望してきたところだと思います。ところが、国の方は、この交付税率の引き上げあるいは地方税制あるいは地方債制度面での改革というものについても、とにかく制度改革をかたく拒否するという形で対応されてきているように思います。この間の財源不足対策は、御承知のように、地方交付税の投資的経費の一定部分を建設地方債に振りかえる、あるいは大蔵省の資金運用部から地方交付税特会に借り入れをするといったような形で財源不足の総額をとにかく国の責任において確保するという性格のものであったわけですが、この交付税の建設地方債への振りかえ分と大蔵省資金運用部からの借入分を合計しますと、昭和五十三年度の場合には財源不足額三兆五百億円に対して二兆九千億円、五十四年度の場合は四兆一千億円に対して三兆九千二百億円というふうな規模になっておりまして、まさに地方財政対策もサラ金的対策といいますか、そういう方法以外に何もないという感じがするわけであります。このようなこの間の財源不足対策というのが言わばいっときの緊急避難的な措置であるならばまだしも理解されるわけですが、これが長期にわたり、しかも今後当分続けられそうな気配にあるということはきわめてゆゆしき事態ではないかというふうに思っております。五十三年度から地方交付税特会の借入金償還金については、地方負担額を除いた二分の一を国がめんどうを見るということになりましたが、これもやはりいわば問題を先に延ばしただけでありまして、基本的に国が財源不足の補てん責任を果たしたということにはならないわけであります。
 他方で、私は国の対応について問題を感じています。一つは、この間地方自治体に大変厳しいとも思えるいわゆる減量経営方針を強要してきておることです。たとえば、行政には限界があるとか、それから公私の機能分担をもっと強めよとか、あるいは行政サービスの民間委託をどんどんやれとか、こういった形で地方自治体の行財政運営にかなり憂慮すべき干渉的な態度がありますし、他方では、地方財政の危機を基本的に解決するためには増税――新税ですね、一般消費税の導入以外にはないんだという形で財政収支試算等を発表されているわけです。そういうことで、国の方は直接責任を問われる財源不足対策については借金政策をとりながら、後はもう地方団体に非常に厳しい減量経営とそれから増税の路線を押しつけていると、これが国の姿ではないかと思うわけです。
 私は、今回の地方財政危機に対しまして、国が原因を構造的あるいは制度的に検討をせずに、むしろ自治体の財政運営、特に福祉行政、生活基盤行政といったところに非常に批判を集中してきたことを大変遺憾に思っておるわけです。そして、地方自治の使命というのはあくまで住民福祉の向上にあるわけで、地方団体がその点に大変な努力を注いでいるわけですけれども、こういう努力があたかも財政赤字を生み出しているような印象を国民に与えていますし、他方では政府の責任といいますか、国の責任、特に制度、地方行財政制度をどうするのかというそのことに明確な姿勢を見せないままに、この間非常に一方的に地方責任を問題にしてきたということは、本来、今回のこの財政危機に対して対処する際に、国と地方が力を合わせ協力をして乗り切っていくというその条件というのをかなり私は国の側から掘り崩してきているんじゃないかという感じがいたすわけであります。したがって、国と地方団体間の協力といいますか、協調点といいますか、考え方の一致点といいますか、これがもう著しく少ないままに事態が経過しておると思います。
 その点で一つ取り上げたいわけですが、今日の地方財政危機は、わが国だけでなく国際的な現象であることは御存じであると思います。そこで、特に諸外国ではいろいろその原因を究明をして、その原因の一つに地方行財政制度の不備があるということを認めて、地方税の拡充だとかあるいは国庫からの一般補助金の拡大を図るといった相当大規模な制度改革に着手をしつつあるのが共通した傾向だと思います。
 そこで、これはイギリスの例ですが、御存じのように一九七六年にレイフィールド委員会というのが報告書をつくって発表したわけです。これは約二年間イギリスの地方財政の現状について調査をして改革案を提起したわけですが、これによりますと、たとえばイギリスの場合、地方財政の危機の原因というのは、地方が財政支出を行っているけれども、これの責任のあいまいさにあるということです。また、地方がいわゆる財政支出の責任のあいまいさを生み出しているさらにその基礎には、イギリスの場合、地方団体の活動の多くが共同業務という形になっています、国と地方の。そこで、共同業務ということになっているために、実際にはどちらが、国か地方か、どちらが主要な業務の担い手であるかという点が制度的に大変あいまいであるということで、そこでその結果何としても、イギリスの場合にはそういう制度が生み出しておる責任のあいまいさというものを基本的に解決する地方の責任制を強化するということと、それからそれに対応した新しい財源制度をつくると。イギリスの場合地方所得税というものをこの委員会は提起しているわけですが、こういった形の改革案が打ち出されたわけです。私は、このイギリスのレイフィールド委員会の勧告というのは非常にわが国にもぴったりと適用されるわけでありまして、わが国の場合に、政府は非常に自治体の財政運営、財政支出責任を問題にしているわけですが、やはりその制度的な責任のあいまいさというものが重要だと考えているわけです。イギリスともう比較にならないほど事務配分が基本的に不明確であるというふうに思いますし、また大量にいわゆる機関委任事務が国から押しつけられており、縦割り的な国の内政のいわば下請機関化しているといったのが日本の地方行政の実態であろうかと思うわけです。
 にもかかわらず、日本の場合にこのような制度的な責任のあいまいさというものが結果的には地方行政において福祉、それから生活基盤といった分野の立ちおくれを招いてきたと思いますし、またこの立ちおくれを埋めるために地方団体がずいぶん少ない財源を振り向けたり、職員をふやしたり、住民要求を重視するという形で努力を積み重ねてきて、その努力がちょうど定着し始めたところに財政危機が起こったということになるわけです。しかし、まあいずれにしましても、この定着し始めたやはり住民の福祉、生活基盤、行政重視の方向を擁護していくことが基調であるべきだと思うわけでして、逆に今日減量経営とか、あるいは制度改革も不明確といった形で、いたずらに日時を経過しているということは大変残念に思うわけです。
 さらに、それじゃいまの地方財政危機は増税でしか打開できないのかということですが、当然焦点になっておりますのは一般消費税であります。一言触れますと、地方財政との関係では、一般消費税が導入されますと、まあこれは収入の面で地方自治体が収入が増大するという形で寄与を得るという面が一面あるわけですが、しかし他方では、一般消費税の場合には、地方団体はいわゆる税を負担する側、支払う側に置かれるわけでして、その結果財政支出がふえる。収入がふえるだけじゃなくて、支出もふえて相当な経費膨張を引き起こすだろうということが予想されるわけです。いまのところ、その点につきまして試算というものが、全体として非常に不足しておるように思いますし、ぜひこの委員会においてひとつ試算等をやっていただければ私は大変ありがたいというふうに思っているわけです。
 それでは、今日の財政危機を解消して、地方財政の再建あるいは地方行政を安定した軌道に移しかえていくためにはどのような改革が必要かという点ですが、私は、この数年間の特に国と地方団体の関係を反省をしまして、地方財政の自主性、独立性、責任性の強化あるいは回復ということを強調したいと思っているわけです。そして、やはり改革の根本というものを地方自主財源の安定的かつ十分な保障という点に置きまして、さらにこのために次の四つの原則を確立する必要があると考えています。
 第一の原則は、景気変動のしわ寄せを受けないことです。それから第二の原則は、国の財政危機のしわ寄せを受けないということです。それから三番目は、今日の日本の都市部と農村部、この都市部と農村部の財政需要、それから必要な財政力にマッチしたやはり改革をするということ。それから四番目には、やはり中央統制を最小限に抑えて、地方の財政自主権を抜本的に確立すること。こういうことが原則的に必要だろうと思っていますが、こうした原則に立って見ますと、とりわけ重要なのは地方税制と交付税制の改善であろうかと思います。
 そこで、まず地方税制の改革ですが、今回、もう交付税率の改定だけではこの今日の困難を打開できないということはかなり明白になってきていると思います。地方財政の収入におきまして、まず地方税等の自主財源が一貫して低下してきている。それから税源が豊かであるところの大都市部の自治体が、地方交付税の交付団体化すると、こういったことですから、とにかく交付税率の改定問題と並んで、あるいはその前提として、地方税の抜本的な拡充が何よりも必要であるというふうに思うわけです。
 それで、地方税制の改革については、私は次の二点で進めるべきであると思っているわけです。一つは、税源の豊かな大都市圏の財政力を抜本的に高めるために、今日の国税の所得税のやはり地方移譲を行う。あるいはもう一つは、自治体の課税自主権をやはり大幅に保障すべきであるということです。超過課税あるいはいろんな新しい法定外普通税等々ですね。
 特に後者の点、自治体の課税自主権について触れますと、御存じのように、税というのは収入の手段だけではなくて、もう一つは、何といいますか、地域のコントロール手段といいますか、という面があります。地方税におきましても、たとえば好ましくない乱開発とかあるいは投機とか、こういったものを規制する機能を持っているわけでして、税制をその面でも活用する。そのために自治体の課税自主権を保障するということが必要だろうと思うわけです。今日、日本では乱開発や土地投機というのが特に自治体に大きな行政財政負担を課しまして、さらには財政危機の要因にもなるということで、わが国で特に重要な問題だと思います。この七、八年余りでも地方団体の相当の数のところがいわゆる開発指導要綱などをつくりまして、宅造協力金、負担金制度、相当の効果を上げてきているわけですが、いろいろ議論もあるようですが、私はやはりこういうふうな地方自治体が乱開発や土地投機を規制していけるような、地域の土地利用規制あるいは都市計画、地域計画、民間資本の適切な誘導、こういったところでも税制が活用できるように、自主権を保障する必要があると思っているわけです。
 次に、最後に交付税ですが、いろいろ問題点がありますが、さきの地方税制の問題とあわせて、地方交付税につきましては、現在の地方行財政制度の骨格をつくりましたシャウプ勧告の原則に返るべきだと思っております。昭和二十九年からこの地方交付税制度できているわけですが、今日、もう交付税制度はきわめて大きな制度的欠陥を露呈しているということは明らかだと思います。その一つは、やはり財源保障機能というものを喪失しているという事態です。地方の財源不足を積み上げるということと国税三税の一定比率に交付税の総枠を抑えるということは、これはもうもともと論理的な矛盾を内包しているわけですが、特にわが国の場合に、地方独立税の十分な保障がないためにこの矛盾というものが、この間の不況、財政危機によって表面にあらわれてきまして、どうしようもないというふうな事態になったと思うわけです。シャウプ勧告が主張していましたような地方独立税とワンセットで、またそれを基礎にして自主財源保障あるいは財政調整制度を整備するということが十分行われなかったと思うわけです。
 そこで、どうすべきかということですが、シャウプ勧告以来もう三十年もたっておりまして、先ほども山本先生もおっしゃっていましたが、この間、もう日本の地方行財政においては都市自治体の行財政の比重というものが圧倒的に高くなっております。したがって、この点を考慮に入れて、地方税と交付税との関係の改善を図る必要があるわけでして、私は、地方税においては都市自治体のやはり特別な財政需要を賄うという点に力点を置き、それから交付税については財政力の弱い農村の行政経費に力点を置いて改革すべきであるというふうに思います。
 もう一つ、交付税について最後に述べますと、今日交付税は総枠が先に決められますために、総枠から地方の必要額あるいは基準財政需要額の操作、コントロールが行われています。この結果、基準財政需要額におきましても、いわゆる算入漏れとか算入不足、あるいは政府が非常に恣意的にあるいは秘密主義的に補正係数を操作をしたり、あるいは総枠が変わらないのにもう次々と新規の政策的な財政需要を押し込んできたという過程があるわけです。
 そこで、こういうふうな交付税制度の管理運用という点についても、これはやはりシャウプ勧告の原則に立って改革を進めていくべきであるというふうに思います。シャウプ勧告では、当初いわゆる地方財政委員会ですね、国と自治体が対等の資格で交付税の総枠と配分方式を検討していくという機関を構想していたわけですが、やはりこういうふうな地方財政委員会方式の機関を復活していくということが大事だと思います。この交付税制度は地方行政を全般的に包括しているわけでありますし、また交付税制度は国と地方の行政財政の分担協力関係のあり方を最も基本的に規定する性格を持った制度であるわけです。それだけに、現在のように、一方で国が非常に秘密主義的なあるいは恣意的な裁量や操作を一方でやっておるとか、それから自治体の首長の方々が交付税を多くもらうために国に目の色をうかがうといったことだとか、あるいは自治体の意見などを非常に間接的にしか反映しないといったような状況をやはり基本的に改めていくべきではないかというふうに思っています。
 以上です。
#10
○委員長(永野嚴雄君) ありがとうございました。
 それでは、次に石田参考人にお願いいたします。
#11
○参考人(石田芳文君) 御紹介にあずかりました石田という者でございます。
 私は、昭和五十年から昭和五十一年にかけまして、関東一都六県百四十九市――現在百五十一市になっておるのでございますが、百四十九市と二十三区、この市町村を歩きまして、現在の地方財政の実態の危機というものが一体どういうものなのか、本当に具体的に現在の地方財政というものが危機なんだろうか、こういうことを調査したわけでございます。
 まず、そのときに感じました第一の印象でございますが、大体昭和四十年ごろを一応境にいたしまして、明治四年に制定された都道府県という制度が非常に限界に来ている。むしろ、現在の地方財政の危機は一体何かと、こういう問題を問われたときに、第一に挙げる要因は現在の都道府県にあると、現在の都道府県の制度を改革しなければ地方財政を幾らいじくってもこれは一向に改善できないであろうと、こういうように考えるわけです。
 その理由というものをいま御説明申し上げますと、現在、関東一都六県あるいは近畿圏あるいは中部圏、こういう都市圏におきましては、毎日毎日、たとえば埼玉県だとか、あるいは千葉県だとか、あるいは奈良県だとか、あるいは和歌山、こういうところから通勤するサラリーマンが、大体東京で百五十万、大阪で八十万、こういう数字が出ているのでございます。そうして、こういう人たちの生活の場というものは、衛星都市というものに公団住宅というものができたり、あるいは建て売り住宅というものができたりしている、こういうところに住んでいるわけですね。そういたしますと、たとえば埼玉県のある町に住んでいる人は、埼玉県知事の選挙には全く関心なくて東京都知事の選挙に非常に関心があると、こういうような意識が住民の間に非常に醸し出されている。そうしますと、現在住んでいる地区の財政あるいはそういうものは全く意識の対象に入っていない。人間の生活意識の中に、現在住んでいるたとえば市町村というものが意識の対象から消えてしまいますと一体どういうことが起こるだろうか。これはふるさとのない人間、こういうように考えてもいいんじゃないか、こういうふうに思うわけです。そうしてこういう地方財政悪化の原因が明治四年に制定されたというこの都道府県制度、こういう都道府県制度がある限り、たとえば北海道における札幌、東北圏における仙台、中部圏における名古屋、中国地方における広島、九州地方における福岡、こういうような地方中核都市までも、東京ないし大阪と類似したような財政状態になっているのでございます。こういう現実を考えますときに、これはどうしてこういうことが起こったのかと考えてみるときに、これは昭和三十五年に池田内閣がつくりました国民所得倍増政策というものの結果こういう事態に立ち至った、こういうように考えられるわけです。
 その第一の原因として、人口の農山村部から都市部への流動、これが約三千八百万人の人間が昭和三十五年から昭和四十五年までの約十年の間に、農山村部から都市部へ集中したわけです。こういう現象は一方では過疎という現象をつくり、一方では過密という現象をつくったわけです。そうしてその過密地域には、たとえば小中学校がないとか、あるいは小中学校の木造校舎を改築しなければならない、あるいは教室が不足しているとか、こういう現象をつくり、過疎地域には道路がないとか、こういうような生活に関連する社会資本、こういうものが全く欠けている、こういう現象が出てきたわけですね。そうしてこの地方財政そのものの観点も、結局税収というみずから調達できる自主財源、地方税ですね、こういうものが、極端な市町村にいきますと五%もない。五%の収入をもって五万人の人口を養うと、こういう考えがここにあるわけでございますけれども、五万人の人口の財政需要を賄うにわずか税収五%をもってこれを賄うというようなことは、これは物理的にもまず不可能なことである。こういうような実態が現在の地方交付税制度にはあるわけですね。
 そして、この地方交付税制度の最大の欠点と申しますのは、都道府県間の調整というものが全くこれはなされていない。ということは、たとえば東京都の三鷹市の基準財政需要というものは一応算定できましても、東京都三鷹市へ流入する人口あるいは東京都区部へ流入する人口に対する財源調整というものは全くなされていない。ここに大きな地方交付税制度の矛盾があるのではないかと、そういうように考えるわけでございます。
 次に、第二の問題といたしまして、地方交付税というものは、周知のごとく、現在国税のうち所得税、法人税、酒税、この三税の三二%をもってこれに充当すると、こういう制度になっているのでございますけれども、この地方交付税そのものは、これは逆に解釈いたしますと国が調達する地方の財源であると、こういうようにも解釈できるわけです。そして、この地方交付税というものは地方公共団体が国に徴収を委託している税である、こういうように解釈いたしますと、地方交付税という名前が非常に抽象的になってくるのでございますけれども、そういうような性格を持った税であると、こういうように解釈した方が非常に妥当なのではないか、こういうように思うわけです。
 周知のごとく、昭和二十五年にシャウプ勧告というようなわが国の地方行財政に関する指導要綱が出たのでございますが、これに関する限り、都道府県というものと市町村というものを対等に、地方公共団体とまず考えている。そしてこの地方公共団体と考えている場合にどちらを優先するかというと、これは一応市町村を優先する、こういうように解釈されるわけです。そういたしますと、現行の、都道府県及び市町村という関係が上下と、そういうような関係でなくても、一応都道府県は市町村を指導するというような役割りを果たしている、この現実は、むしろシャウプ勧告とは非常に乖離しているのではなかろうか。たとえば首都圏あるいは近畿圏あるいは中部圏、こういう地域におきましては、むしろこれを三県ないし四県を調整する調整財源というようなものがどうしてもここに必要になってくるのじゃなかろうか。現在の地方交付税改正の中にはこういうものが見当たらない。これは地方交付税の改正において何か片手落ちな制度ではなかろうか、こういうように考えるわけです。
 次に、現在の地方交付税という制度の中に、人口急増市町村及び過疎市町村と、こういう名称が見受けられるわけです。この人口急増市町村及び過疎市町村という定義は、これは人口の過去五年間の増加率とかあるいは財政力指数が非常に低いとか、こういう基準をもってこれを策定されるわけでございますけれども、国の方で、たとえば過疎市町村に対して財源を強化するには一体具体的にどういうようなものを行ったらいいだろうか、こういう提言が全く行われていない。これが現在の地方交付税制度における最大の欠陥じゃなかろうかと、こういうように考えるわけです。そして私が各農山漁村を歩きあるいは大都市を歩き、そうして考えましたことには、現在の地方財政をこのまま放置しておけば、恐らくあと五年間で財政力指数が〇・六になる市町村が全市町村の九〇%になるだろうと、こういう試算もできておるのでございます。こういう実態を見ますときに、まず地方自治体の財源強化にはどういうものが必要であろうかという具体的提案をここで一、二やってみたいと思うわけです。
 その第一は、たとえば過疎市町村におきましてウサギというものを飼育させ、このウサギをハム製造業者に共同して売りつける。そうしますと農山漁村の収入が、一家につき大体五万円程度はアップできるのじゃなかろうか。そうしてこの五万円程度の増収が地方財政の好転に結びつくのではなかろうかと、こういう一つの提言があるのでございます。
 第二の問題は、その人口急増市町村においてだれが一番得をしているのだろうか、こういう非常に単純な疑問を発して考えますときに、現在の医師優遇税制というものが、これが市町村財政悪化の一翼を担っていると、こういうように考えるわけです。ちょっとかぜを引きましても診療報酬として高額を請求されるという例が多々見受けられるわけです。こういうような、特定の圧力団体による財政の私物化と、こういうように私は呼んでいるのでございますけれども、こういう団体が現在非常に多うございまして、これが地方財政を私物化しているのではなかろうか、そういうような印象が非常に強いわけであります。人口急増市町村という一つの問題を取り上げてみますと、まず一番利益を得る団体は何かと、これは医師でございます。その医師というものが現在の財政制度の中から、みんなの財政の中から、自分たちの取り分を大きくしているという簡単な表現をもって私はこれをあらわしているのでございます。その場合に地方財政制度といたしましては、たとえば都道府県あるいは市町村が医師課税というものをもう少し強化するなら、約二〇%程度の増収は可能ではなかろうかと、こういうような試算をしたことがございます。
 最後に、地方交付税制度というものは地方に財源を与えるという基本的な理念がある限り、地方交付税の額を国庫支出金なりそういうものの基準財政需要に繰り入れることが地方財政を混乱させている原因ではなかろうかと、こういうように考えるわけです。こういう現実を少しここで立ち入って見たいのでございますけれども、周知のごとく、現在の地方交付税制度は、地方公共団体に対する財源の保障これと地方公共団体の財政力を調整する制度が一番基本でございます。この基準財政需要額算定の方法が、たとえば警察職員の数であるとか、あるいは道路の延長距離であるとか、こういう非常に具体的な計測値を示されておるのでございますけれども、果たしてこの警察職員の数あるいは道路の延長の数が真の財政需要であるかどうかということに関して、私は非常に疑問が残るのでございます。
 顧みまするに、現在国民が最低にしてかつ文化的な生活を営む、いわゆるナショナルミニマムということに関しましては、だれもこれを否定する者はいないでございましょう。このナショナルミニマムというものが地方の行財政需要にどういうように機能しているかということは、この基準財政需要の中には全く私は反映されていない。むしろ現在の基準財政需要額の算定方法と地方住民の本当の財政需要、すなわちニーズが一致していないんじゃないかと、こういうように考えるわけです。そうして、この地方交付税算定方法をもっとグローバルなものにして、もっとわかりやすいものにして、そうしてこれを国民に示すのが地方交付税制度の健全化につながってくるのではなかろうか、こういうように考えている次第でございます。
 以上。
#12
○委員長(永野嚴雄君) ありがとうございました。
 以上で、参考人の意見陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 これにつきまして、山本参考人におかれましては、日程の都合上三時までの出席にとどめてほしいという御要請がございますので、他の参考人の御了解を得まして、最初に山本参考人に対する質疑を行うことにいたしたいと存じます。
 山本参考人に対し、質疑のある方は順次御発言を願いたいと存じます。
#13
○志苫裕君 社会党の志苫でございます。
 限られた時間なものですから、たくさんお伺いしたいことがあるんですが、限って、一つ二つでありますが、一つは、結局交付税の総額を確保するために、税制をそのままにしておいて、現在のままで税率をアップといっても、とんでもない税率にまで上がっていかなければ総額が確保できないという問題点も一つありますし、それからまた、いま結局何だかんだと言っても税金よけい取らぬとやれない、そこで消費税が出てくるんですが、消費税をやる前には不公平税制やれと、こういう話が出ますから、ある者は申しわけ的に、ある者は徹底的に、この不公平税制に手をつけなきゃならぬという意見が出てくるわけでありますが、先生の先ほどの御意見でも、この不公平税制の是正というものに大変力点を置かれたようでありますが、これで一体現状の財政危機にどの程度の対応をできるものかどうか、この辺の御所見があればお伺いをしたいということが第一点であります。
 それから第二点は、先ほど、これ成瀬参考人からもお話がありましたし山本先生からもお話があったんですが、算定方法を幾つか問題にされました。で、この算定方法について、細々としたことをしないでもっと大まかな骨組みみたいなもので算定をしちゃって、むしろ残余の部分というのは財政自主権で補ったらどうだという意見も一方にはあるわけです。しかし現実には、雪の降る国は雪の降るらしく、過密のところは過密らしく、それぞれ自分の特性を主張をしてくるものですから、勢い複雑な算定要素が入り込んでくると、結局は何やっているのかだれも外から見てわからないという仕掛けになるんですが、この交付税の算定の仕方について、むしろ大まかな、人口とか面積とかなんとかでっかいものにしておいて、あとのしちめんどうなものはやめたらどうだと。それだけじゃ非常にきめが粗くなるから、財政自主権というものを大いに活用できる余地を残したらどうだと、こういう意見について御所見を伺いたい。
#14
○参考人(山本正雄君) 御質問の第一点は、いわゆる不公平税制の改正でどの程度の財源が確保できるかという問題であります。この計算は、私が座長をやっておりました――これは過去形ですが、新財源構想研究会で相当煮詰めたことがありますが、これはいろいろの計算がある。大蔵省の言い分と大分違うわけです。われわれのあれでは少なくとも三兆円ぐらいは出てくる。五十四年、五十五年になればこれはもっと、五兆円にも六兆円にもなるはずであると、こういうふうに考えております。
 もう一つ言わせていただきますれば、要するに税金というものは、日本の税制なんかでも大体固定資産税とかあるいは相続税ですか、こういうもの以外は大体フローというか、所得のフローに大部分所得税とかこういうものがかかるわけですね、法人税で。ストックの課税というものは相続税とか固定資産税とかその程度で、フローの税金が中心になっている。外国なんか、西ドイツなんかでもある程度富裕税とかこういうストック課税をやっているわけですね、そういうストック課税、ストックが非常にふえている。これはなぜふえるかというと、フローの所得が漏れている。イリュージョンと言われる脱漏ですね、これがたまるからストックがふえるわけです。だからフローの課税が十分公正に行われてないという問題があるわけです。だから、不公平税制で三兆円でも四兆円でも取ろうと思えば取れる。そのほかにもやはり私はストックの課税というようなものを考えるべきで、それでいままでのフローの関係の課税の脱漏というものをある程度補完していくということが必要じゃないかと思うんです。そういう意味で、大蔵省が推算だというようなことで出している数字を見ましても、このストックというものは非常に、一億円以上の資産家とかあるいは三億円以上あるいは五億円以上、こういうものが、まあ大蔵省は推算と言っているんですが、単なる推計でしょう、五十一年度の推計、それを見ましても、大体五十一年、五十二年ぐらいで七十兆円も一億円以上の資産家の資産というものがある。これ五十一年ですから現在は百兆以上ある。そういうものについてわずか二%課税しても二兆円というものが入るわけです。二%なんというのは非常に低い。そういう意味でこの不公平税制、あるいは不公平税制がたまりたまったストックの面の不公平な問題、これに課税する、こういうことをすれば、非常な反対、自民党さんの中でもいろいろ反対があるような一般消費税なんかで無理することは私はなしでやっていけるんだと、こういうふうに考えます。
 それから第二点の、算定の方法の問題はおっしゃるとおりで、非常に精緻にできておる。同時に、非常に恣意的なものが介入し得る余地がまたある。そういう意味で、やはり少なくともまずそういう算定の実態を私は公表してもらいたいと思う、はっきり。われわれも、この結果を見てその算定が低過ぎるということは結果的に出るんですが、その中身が本当にどこでどういうふうに算定されているか、非常に明らかになっていない。国会の皆さんも明らかでない。そういう行政の恣意性でなしに、少なくとも立法府がそれに相当関与し得るような、ある意味では簡略、簡素化するというか、余りにも複雑に精緻にし過ぎてかえって――そこに恣意性か介入しないような、もっと簡略化するという方法がないであろうか。その方がいいんじゃないかと、そういうふうに私は考えます。
#15
○夏目忠雄君 その算定の問題は、実は工藤さんにと思ったんですが、じゃあ後ほどまたお聞きすることにして、算定の問題は後回しにしまして、山本さんには、いまのやり方が農村型だというふうに断定されたんで……。私は、これはこの委員会の中でもしょっちゅう議論があるところなんでして、そんなことを言ってみたって、東京は群馬県から水持ってきているんだが水道料ははるかに群馬県より安いじゃないか。それから、屎尿のくみ取りなんか東京都はただにしてしまう。それだけやっぱり財政の余裕があるんだという一般的な感情が非常に強いんですよ。ですから、あえて農村型と断定されるのは、私は非常にのみ込めないんですが、どんなものでしょう。
#16
○参考人(山本正雄君) その点は、私の幾らかの説明不十分であったかもわからないんですが、少なくとも世界的な傾向といたしまして、過密の都市の非常な財政需要がふえているということは、日本だけでなしに世界的な傾向でありまして、そうして人口がふえるにつれて、一人当たりの財政支出というものが、都市が大規模化するにつれて一人当たりの支出というものはふえている、ふやしている。それはアメリカなんかの具体的な数字で出ておるわけですね。もっと言えば、非常に過疎地帯においては一人当たりの行政支出がふえて、それからこうU字型になるというのが一般の法則みたいに言われているんですね。過疎地帯はかえって人口がまばらであり過ぎるから一人当たりの行政支出というものは結構高くて、そうして下がってこれがまた上がっていく。こういうのは、まあわれわれ学問上ではそう一応言われているんですね。しかし私は、過疎地帯、こういうものに対して、そんなところを削れということを言っているんじゃない。ただ、やっぱり資本主義が発達すれば非常な大都市というものが形成され、そしてそこには普通以上の財政需要というものが、都市特有のものが発生する。いわゆる社会共通消費手段とか共通の生産手段とか、いろんなものの需要がふえるということが当然あり得るし、これに対して世界の各国で、先進国ではある程度ちゃんと対応を、まあ十分とは言えませんが、している。ニューヨークなんかの財政破綻もありますけれども。またロンドンの場合。ある程度対応している。日本の場合は、もう東京都とか大阪とか、そういう大都市は富裕団体であるという前の先入感というか、そういうもので算定されている。そういう意味で、単位費用とかそういうところでは上がるんですが、最終のいろいろな補正によりますと、一人当たりの行政支出これが非常に下がるわけですね。だからその点はやはり、一歩譲って農村型というのが適当でないとしても、とにかく現代の大都市、人口の七割が都市にと、都市化しているというものに対して、十分な都市政策、大都市政策こういうものがないということを私は言ったわけです。
#17
○夏目忠雄君 納得しませんけれども、いいですよ。
#18
○委員長(永野嚴雄君) ほかの委員の方で、山本参考人に御質問の方いらっしゃいませんか。――それでは山本参考人の時間もおありのようでございますので、山本参考人に対する質疑はこれにて終了いたします。
 大変どうもありがとうございました。
#19
○参考人(山本正雄君) どうも勝手を申しまして申しわけありません。
#20
○委員長(永野嚴雄君) それでは、引き続き他の参考人に対する質疑を行いたいと存じます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#21
○志苫裕君 工藤参考人は、現実の自治体の担当者ですから、一つ、二つまずお伺いしますが、ここでもいろいろ議論があったところですが、実際の自治体の担当者の地方財政についての現状認識ですね。一時期大変だ大変だと言って、もちろんわれわれも一緒になって騒いだわけでありますが、その後、いろいろ問題点はあるが、とにもかくにも当面のところは不自由しない程度に借り入れてくれるなり、起債を認めるなりして何とかなっている。しかし、気がついてみるというと、新しい行政需要が出て借金しても、それはみんな交付税に突っ込んで将来めんどうみてくれるんだといっても、別に総額がふえるわけではないのでありまして、みんな次に送っているわけですね。一皮むくとそういう大変な状況ではあるんですが、自治体の担当者は、いまあんまり苦しいものですから、いま何かめんどうをみてくれておればそれで何とかなっておるという安易感のようなものがあるのではないかという気が実はするのですけれども、そういう点についての見解をひとつお伺いしたい。
 なぜかと言うと、大体、あなたもそういう答弁をするんじゃないかと思うんですが、自治体で、議会で議論なんかいたしますと、そんなにどんどん起債を起こして将来大変だろうという質問をしますと、大体理事者側は、いや、これは全部将来交付税でみてくれるんだから別に心配ないんだと、この種の返事を、これ議事録調べますとあるんですね。また、議員の方もつまらぬもので、それから先続けて質問しないものだからそれで終わっちゃっていますけれども、将来交付税で見るったって、別に交付税の枠をだれもふやしてくれるわけじゃないですよ、この改革をしなければ。その辺の点についての安易さというものがありはせぬだろうかという点で、強く感じておるものですからその点、お伺いしたい。
 もう一つは、現在の地方税財政制度というのは、何でもかんでも法律で決める。言うならば、最終的には国が責任をとるという仕掛けになっていますから国に責任があるのは当然としても、いまの制度にずっとならされているうちに、もう何でもかんでも国に頼むと、補助金の果てから何からみんなですね。ということで、自治体側自身の方に自治の気概とでもいいますか、課税自主権をもっと要求をするとかいうふうな気慨のようなものが薄れているのではないか。公式的には自治権をよこせとか、あるいは財政自主権を確立せよとか言うても、何かその辺の気慨の面で安易さがあるのではないかという点についての御見解をひとつ伺いたい、
 それから、これは成瀬参考人にお伺いしますが、先ほどの山本参考人のお話をあなたもお聞きになっていたと思うんですが、とにかく当面の地方財源総額の確保の方策として、たとえば何でもかんでも五条債に突っ込んで、これは特別債じゃないんだと、赤字債じゃないんだというような言いわけしいしい五条債に突っ込んでおるんですが、むしろその赤字特例債というものを悪なりと決めつけないで、それはそれなりの一つのルールを設けて、特例債は特例債制度をつくったらどうだという意見がありました。いや財源対策債だ、いや何とかの身がわり債だと言っても、現実はやっぱり特例の借金なわけでありまして、起債なわけでありまして、それならそういうものを無理にこう区別をしないで、特例債制度というふうなものを制度として認めて、将来の手当ての方法も決めて、そしてそれを認めた上で総額の確保ということをやったらどうだという種類の意見がございました。ことしも実は自治省と大蔵省で地方財源確保のぎりぎりまでもめたのは、国は地方も赤字特例債やったっていいじゃないかということに対して、いやそれは相ならぬというのでずいぶんと議論があったんですが、そのこと自体にそんなに意味があるだろうか。何とか特例債というか何とか債というか、みんな借金であることには変わりがないのであって、そして、最近に至っては、本来交付税の中に見るべきものまでみんな起債に振り向けておるという状況からすれば、一つのルール化をするというのも一つの意見だとは思うんですね、現実的な総額の確保の方法としては。その点についてどんな御意見をお持ちでしょうか。
 それから、私が先ほど山本さんにもお伺いしました、余りごちゃごちゃした計算をやめて、むしろ簡易ファクターで計算しちゃって−もちろんそれだけではずいぶん粗いものになりますから、もう一方でやっぱり課税自主権というようなものが相当確保されるということとの兼ね合いの問題でありますが、その点についての御意見はいかがでしょうか。
 それから牛嶋参考人の、先ほど単年度主義を改めたらというお話がありましたが、単年度主義を改めて何年かで総合的に調整できるような仕掛けにした場合に、何というんですか、財政民主主義とでも言いますかね、そういう点での障害のようなものがどんなことで起こってくるのかお伺いできればと思います。
 以上です。
#22
○参考人(工藤巌君) 第一点の、現状認識の問題でございますが、安易感があるのではないかという御質問でありますけれども、これは私ども地方の財政を担当している者としては決してそういうことはございませんで、国、地方を通じて財政は大変厳しい現実にあるというように考えております。ただ、いまお話ありましたように、一体このような情勢で新年度の予算が組めるだろうかという心配を毎年いたします。それが政府の特別の対策が、いわゆる地方財源の不足分を補てんしていただく対策が出てまいりまして、あるいは交付税の特例あるいは起債の増額などによってまずは予算を組めると、こういう形が出てまいります。その意味では一息ついたと、こういう感じがございます。しかし、この調子でいったら一体来年はどうなるだろうかという、こういう心配を持っておりまして、われわれは臨時のいろいろな措置をもって一応予算編成をしていきながら、その背後にはもう国における多額の特例公債に依存したその財政状況がいつ現実に地方財政に反映してくるだろうか、そのときにはどうなってくるだろうかという、こういう心配を持ちながら財政の運営をいたしておるわけでございます。
 それから第二点でございますが、地方の自治権あるいは主体性の問題でございますが、これは私どもはあらゆる機会を通じまして税財政の点では自主独立の地方税源をまず第一にお願いをする、それで、その不足分を交付税で均衡化を図っていただくという、こういうたてまえでまいっておりますし、実際の仕事をしてまいります場合にも、できるだけ主体的な財政行政運営ができるように、たとえばまあいろんな零細な補助制度がございますけれども、こういうものは、いまメニュー化が進んでおりますけれども、さらに地方の考え方が生かせるような仕組みにしてほしいと、こういう要請を続けているわけでございまして、考え方といたしましても、あるいはまた実際のお願いなどといたしましても、地方の主体性を拡充するように努力をしてまいっておるつもりでございます。
#23
○参考人(成瀬龍夫君) 二つの点で御質問がありましたのでお答えいたしたいと思います。
 やはり何といいましても交付税の不足は私は交付税で解決していくということが筋だろうと思っております。したがって、今日のような交付税の不足を地方債に振りかえるということは、これは幾ら当面の財源対策になりましても、やっぱり邪道であるというふうに思っているわけです。これは京都府などにお聞きしますと、たとえばこの交付税分を不足だからということで地方債に振り向けられると、都道府県なんか全くもううまみがないといいますか、そんなことをおっしゃっているわけです。ただ御存じのように、いわゆる地方交付税において都道府県の場合には基準収入額が十分の八ですか、十分の二がいわゆる留保財源ということでありますが、今日ではこの十分の二の部分すら非常に少なくなっている。自由に使える財源がなくなっているんですね、交付税のたてまえからいいましても。そういったところに今度それを起債に振りかえられるというふうなことですから、地方債はやっぱり建設地方債できちっとしていくべきだという御意見を伺ったことがありますが、私もやはり交付税の不足は交付税でという本筋で進むべきじゃないかというふうに思っております。
 それから交付税の問題ですが、山本先生もおっしゃいましたように、まさに世界一精密な、精巧な制度であるわけでして、これをこれ以上細かくするということはこれはもう必要ないであろうというふうに思うわけです。結局、いまの交付税は、私は理論的にはもう非常にいいものだというふうに思っていまして、理論的にはもうこれ以上、これに取ってかわるだけの財政調整制度というものはないだろうと思います。ところが、実際からいいますと、大変な不合理な問題を次々と抱えてきているわけです。そこで私はやっぱり第一交付税、第二交付税というふうにした方がいいという意見を持っているわけですが、おっしゃいました大枠的なところを第一交付税にしまして、現在のいわゆる補正ですね、補正以下すべて、それから特別交付税部分ですね、これらをもう吸収しまして、第一交付税を濃密化するような、微調整機能をやるようなものを第二交付税としてつくるというふうな、そういうやはり合理的な改善を交付税についてはすべき段階じゃないかなというふうに思っております。
#24
○参考人(牛嶋正君) 私への質問に対してお答え申し上げます。
 一応この問題を提案するに当たりまして、いまのような御質問を予定しておりましたのですが、これは非常にむずかしい問題でございますが、現在の地方団体におけるこういった財政運営を考えてみますと、一方では、従来から基本計画みたいなりっぱな長期計画を持っているわけですが、一方、それを実施していくに当たりましては、予算というのは単年度主義に立っているわけで、これとの乖離がどうしても埋まらない。そういうことで、せっかくりっぱな基本計画を持ちながら、なかなか予算編成にそれを生かせないという問題が、これはきょう御出席の盛岡市長さんも恐らく実感としてはお感じになっているのじゃないかと思います。これをどういうふうに埋めていくかということで、最近幾つかの地方団体で財政計画の検討が行われているわけであります。
 で、この財政計画は、いま申しましたそういった長期計画の基本計画と単年度主義の予算を埋めていく橋渡し的な役割りを持たそうとするわけですが、その場合にいま御指摘の問題が一つ出てくるわけですね、財政計画をどういうふうに位置づけていくかという。これについて、私まだはっきりした見解を持っておりませんけれども、一応財政計画の場合ですと毎年のローリングでそのところを埋めていけるのではないかというふうに考えております。それと合わせて考えますと、先ほど申しました、景気循環を一つの単位的な期間としてとらえて三、四年ということになりますと、財政計画の場合も大体三、四年というふうに考えているわけで、一応合うのじゃないかということで御提案申し上げたわけで、御指摘の点は今後考えさせていただきたいというふうに思っております。
#25
○志苫裕君 いまの起債のことですけれども、特に単独事業なんかで、起債制限がないようでいて結構あるものですから、私は、本来もっともっと起債でやっていい仕事が実際の分野に多いと思うんですよね。まあいま公共事業なら何でも認めてくれるけれども単独事業になると案外厳しいという意味で、起債に回していいようなものが一般財源に回っている分だって案外あるんじゃないかと思うんですが、そういう意味ではもっともっと起債をもう少し自由にして枠を大きくしてもいいと。金が足りない分を起債に回すという分野の意味じゃなくて、本来の意味での起債というものをもう少し枠を大きくして認めてもいいのじゃないかというふうに考えますが、工藤参考人はどうでしょうか。
#26
○参考人(工藤巌君) 起債につきましては、最近の財政が大変厳しくなりましてから起債の枠が大分ふえてまいりまして、比較的単独債もいただきやすくなってきております。しかし、それ以前はかなり起債は厳しい制限がありまして、補助金がつけば必ず起債がついてくるけれども、補助がつかなければもう起債がつかないというような情勢がございました。このときは、ただいま御指摘にありましたように、やりたいけれどもできないと、こういう嘆きを持ったことがございます。
 ただ起債につきましては、私どもは、やはりこれは後年度において、まあ盛岡であれば市民が将来負担しなければならないものでございますから、負担してしかるべきメリットのある投資的な事業については、これは後年度の償環にゆだねてもいいと考えておりますが、そういう意味ではやはりある程度慎重に配慮しながら事業を選択してやっていかなければならないものだというように考えております。
#27
○夏目忠雄君 工藤さんにお聞きしたいんですが、今度の市長会では早期成立ということを盛んにおっしゃっている。工藤さんも最終的には言われた。これ、早期成立ができない原因なんですがね、これはさっきの算定の問題と非常に絡み合っておる。毎年毎年算定が変わるから、結局新しいものを出して国会の承認を経なければならぬ。したがって手続がずっとおくれる。私は算定は、どなたかもおっしゃったように大体一遍決めたら五年やそこらはそのままでいいはずなんだ。それは理屈を言えば、毎年毎年の行政需要は多少変わってくるからそれに合わせなければいかぬという理屈はわかっても、大まかとしては――市が非常に困るのは、市が予算を組むのは大体一月か二月。一月か二月といいますと、交付税の総額はわかるけれども、そのうち自分のところへ来るのは何ほかちっともわからぬ。これがはっきりするのは四月ごろになって初めてわかる。そうすると、それによる増減のあれというものは六月の補正で直していかにやならぬ。こういうばかなことは――私は、毎年毎年の行政需要に細かく合わせるということよりは、もう市町村の実際の予算の編成の妨害にならないようにと。ですから、大体五年なら五年決めちゃって、どうしても合わなくなってきたらまた合わせるというふうにしてね。それが毎年毎年総額を決めて、総額が決まってそれから内訳を決めて国会へ出すから、さあ早く決めてくれなきゃ一日利息何ぼ損だというようなことになる。私は、これは毎年ですから、五年なら五年固定しちゃって、それで五年たってぐあい悪けりゃまた直すというようなやり方について、工藤さんはどうお考えになりましょうかということが一つ。
 それから、これは学者の先生方にお聞きしたいんですが、皆さん口をそろえて自主財源の努力ということを、牛嶋さんも言われた。市長会でも知事会でもしょっちゅう言っておるんですがね。いまの制度では、私は、自主財源の確立というのは言うだけであってできない。というのは、新しく課税をするとなるとやはり住民から相当の抵抗があるのです。となたかもおっしゃったように――成瀬さんでしたか、乱開発に対して課税自主権。これは税を取るという目的じゃなくて。だからそれはちょっと論外としまして、とにかく新しく課税する、もしくは増税する、率を上げるということに住民から相当の抵抗がある。それについて何とか説得してそれが成立いたしましても、年間たとえば四億なら四億増収しても、交付税で三億は減らされちゃって、実際に市の純収入になるのは一億だけなんです。私はよく言うんですが、生活保護を受けている人が日雇いに出て働いたらその分だけちゃっとこう減らされるのに似たようなこんな制度をやっておったら、自主財源、自主税源の確立に努力しろといったって、市町村長さんたちが本気にならないんじゃないか、こういうことを私は感ずるんですが、これは皆さんにお聞きしたいと思う。
 それからもう一つ、成瀬さんに。私、ちょっと聞き落としたかと思うのですが、私の聞いたところでは、行政サービスの民間委託というのをいかにも行政サービスの低下と同義語にお使いになったように私は聞き取れたんですが、そういうことですか。
#28
○参考人(成瀬龍夫君) 何とおっしゃいましたか。
#29
○夏目忠雄君 行政サービスの民間委託がこういうふうになるとますます盛んになるということをおっしゃった。その行政サービスの民間委託ということは、即住民サービスの低下ということを意味しておられるんでしょうか。だとすると質問があるわけだ。そうでないとすれば質問はなくなりますがね。そういうことですか。
#30
○参考人(成瀬龍夫君) その意味もあると思います。
#31
○夏目忠雄君 これはしかし非常に間違いでしてね、成瀬さんの。それは間違いでして、たとえば、ごみ集めがいい例なんですが、ごみ集めのときに職員が直営をおやりになるとそれはていねいにやる。で、多少、民間委託にすればそういう意味で低下することはあるかもしれないけれども――これは私が実際にやった実例だからなんですが、いまから十四、五年前になりますか、ごみ集めを民間委託さした。非常に抵抗ありました。これは、当時のお金ですからいまと違いますが、大体管理費だけで五千万、そのほかにトラックその他の維持費並びに、まあ購入費は年間に割るとして、そういうものを合わせますと大体年間七千万かかる。そのときに、ごみを一トン一円で買うということにしたらどうだというと、せいぜい五千万で済む。しかも自動車の購入費というのは要らなくなる。そうするとその方が、七千万から八千万かかるのを四千万か五千万でやっちゃった方が私は住民サービスになると思う。なるほど民間委託にすればごみの集め方が多少乱暴になるということはあるかもしれぬけれども、それを行政サービスの低下と言うなら、これは総合的に物をごらんにならないんじゃないか、こういうふうに思うので、私は、成瀬さんはどちらの党か知りませんけれども、行政サービスの民間委託ということを非常に罪悪視しているようなお考えだったらぜひ改めていただきたい。これは本当なんですよ。あのときに、ごみ集めというものは市長の責任なんだから民間に委託してはいけないといって、ときの自民党の厚生大臣から私のところへ言ってきたんだ。で、ばかなことを言うなと、厚生大臣は長野市のごみに責任を持っているんじゃないからそんなことは聞くなというわけで私はやったわけだ。その後五、六年足らずして、すべてが、もう民間委託に市町村がずうっと変わってきているんですよ。ですから私は、民間委託しちゃサービス低下だというのは、そういう先入観念はやめていただけないでしょうかということです。
 以上です。
#32
○参考人(工藤巌君) 早期成立との関連で、五年ぐらいそのままにしておいたらどうかといった御質問でございますが、交付税法の改正の内容は、最近は二つの点がございまして、一つは特例措置、財源不足をカバーする特例措置として特別会計が借り入れる、あるいは臨時特例交付金を入れる、この問題が一つと、それからもう一つは算定方法の改正、この二点が主なものだと思うんです。
 それで、私ども特に早期成立をお願いしております点は、この第一点の特例措置の方でございまして、特会の借り入れや臨時特例交付金の九四%が普通交付税としてその四分の一が四月交付される。この額が大体六千二百四十億ぐらいが本年予想されるわけであります。こういう観点から早期の改正をお願いをしているわけでございますが、この点からいいますとやはり毎年毎年やらなければならない現状でございますので、ひとつよろしくお願い申し上げたい……
#33
○夏目忠雄君 いや、私の言い方がちょっと足りなかった。それは五年間固定しちゃえというんじゃないわけだ。伸び率が一六%なら一六%ずうっと伸びれば、じゃあことしは何ぼだなということが市町村がわかるわけだ。私の最初の言い方、
 言葉が足りなかった。
#34
○参考人(工藤巌君) そういう形で長期の見通しを持った算定やそういうものができるのであれば、それは御指摘のようなことも考えられるだろうと思われるのでございますが、なかなかいまの情勢が、もう来年どうなるかという心配をしている情勢でございますから、そういうふうにうまくいくかどうか、ちょっと私もよくわからないのでございます。
 それから算定方式の改正につきましては、お話ございましたように適正な算定方法があるならばこれは毎年改正する必要はないだろうと思われます。しかしながら、現実に交付税の算定方式を私ども毎年こう見ていきますと、ここもこう変えてほしいと、福祉関係ではどうも人件費の見方が足りないとか、投資的な経費の見方がこの部分が足りないというように思われる点が、先ほども申し上げました、実際の仕事の内容、決算とそれから基準財政需要額の算定との著しい乖離がある部分がございまして、そういう点をお願いをし続けているわけでございます。したがって、毎年毎年改正できる点が改正をされてくると、こういう状況にあるのが実態であろうかと思うのでございます。
 一応私に対する御質問、大変いまどうも声が悪うございましてお聞き苦しいことをお許しいただきたいと思いますが、お答え申し上げさしていただきます。
#35
○夏目忠雄君 もう一つ。なるほどここのところをこう変えてほしいと、こう変えてほしいと言うからやるんだけれども、それが積み増しされていくんならそれは結構なんです。ところが、ふやした分はどこかからへずっているんだ、ちゃんと。総額は同じなんだから。だから、不合理な点はそれはあるでしょう。あるでしょうけれども、私は、そいつを直すために市町村が予算の編成の時期に全然見通しがつかぬというよりは、どちらのマイナスが大きいか、こういうことなんです。――結構です。
#36
○参考人(牛嶋正君) 学者先生に対するという御質問でしたけれども、私が説明いたしました中で、自主課税権という言葉は使っておりません。私は自主財源という言葉を使っております。
 課税権につきましては、私の個人的な見解ですけれども、いまの地方税で認められている超過課税とそれから法定外普通税で私は十分じゃないかというふうに思っております。むしろ、課税権をいまより拡大いたしますと地域間に税の壁ができまして、経済活動にむしろマイナスの影響が出てくるんじゃないかというふうに考えております。
 自主財源ですけれども、先ほども内容で言いましたように、交付状況が、すべての市町村あるいはすべての府県に交付される、不交付団体がなくなるというふうなことになりますと、いまも話が出ておりましたように、総額の取り合いということが非常にはっきり出てくるわけでありまして、そちらの方に注意が向いて――いまの税制てやっぱり徴税努力をすべき点はかなりあると思うんです。たとえば固定資産税の徴収などは、やっぱり評価の問題と関連いたしまして、もっともっと市町村が努力すべき点があるように思うわけですけれども、そういうところがおろそかになるんじゃないかというふうな発言を私したわけでございます。
#37
○参考人(成瀬龍夫君) 私も、課税自主権という場合に、さしあたりは、自治体が自由に超過課税を行えるように、やはり超過課税の幅を適当に拡大するということと、それから法定外普通税をもっと新設してやっていけるような、特に都市部の現状につきましてはそういった形での課税自主権の強化を図ることが必要だろうと思っております。
 それから、先ほど民間委託のことについていろいろと御指摘いただいたわけです。確かに今日非常に自治体の外にもそういう社会的なサービスを行う事業が発達しておりまして、そういうふうなところを活用しながら経費の合理化を図り仕事をしていくということを当然否定するわけではありませんし、何もかもすべて直営で地方自治体が仕事を賄えるわけでもありませんが、ただ私が言いましたのは、今日の財政危機のもとで非常に近視眼的な、あくまでも財政の費用節約という点だけから民間委託というものが叫ばれているきらいがあるのではないかという点があるわけです。恐らく個々の行政をとってみればいろいろ功罪があると思います、民間委託につきましては。ただ、私などが耳にした意見の一つですけれども、民間委託というのがこの十五年余りとってみましてもずいぶん広がってきたわけですね。果たしてこれが日本の地方自治、地方行政の発展に本当に役に立っておるのかというと、経費の節減にはなっているけれども、地方行政の充実という点からいってそれほど寄与しているのかどうかというと疑わしいという意見もあるわけです。それから、あくまで民間委託などは、たとえば行政サービスの中でも非常に短期的な、あるいはたった一つだけのそういうふうな業務を処理する場合にはいいけれども、非常に長期的でいろんな要素の絡んでいる業務を民間に委託することはやはりよくないんじゃないかという意見もあるわけです。それからさらに、確かに当初はコストは安くなるけれども、長期的に見たら民間に委託しましてもやっぱりまたコストがだんだん上がっていくということで、長期的な視点からもコスト面を検討する必要があるということもありまして、そういった危惧を踏まえて先ほど発言した次第であるわけです。
#38
○上林繁次郎君 公明党の上林でございます。
 私は、牛嶋先生に一、二聞いてみたいと思うんですが、私たちも、先生方がおっしゃっている六条の三の二項、いまこそこの精神を生かすべきだとこういうことで、というよりも、交付税の改正時期にはいつでもそういったことを述べてきたわけですね。しかし、われわれ述べましてもなかなかそのようにはならない、なかなか法の精神が生かされない、そういった状態が現状であります。だからといってほっておくわけにはいかない。いまの制度の中でどうやっていけば地方財政が少しでも余裕を持てるとか、まあ余裕という言葉は当てはまらぬかもしれませんけれども、高まっていくか。こういったことで、部分的ではありますけれども、いろいろな意見も述べてまいりました。そういう立場から、いま先生のお話の中であったわけですけれども、地方財政の計画的運営を図るということから、交付税の安定的伸びを確保する制度を確立すべきであると。これは私たちも、たとえばせめて交付税率だけでも高めていくべきであるということでたびたび論議をしてまいりました。しかし、なかなかそれも思うようにいかない。まあ今回は交付税の増額というような形でどれだけかの予算組まれているわけですけれども、そんなことでなかなかそれも思うようにいかない。ところが先生はこういった御発言をなさっているわけで、非常に私、まあおもしろいと言っては失礼でございますけれども、どういう方法が、安定的な伸びを確保する制度どういうものがあるのかなという、疑問に似たようなものを持っているわけですが、この点についてひとつなお突っ込んだ御意見を伺えればと、こういうふうに思いますが。
#39
○参考人(牛嶋正君) 先ほどからも議論が出ておりますが、地方団体が予算編成時に当たりまして、計画的なあるいは効率的な行政を運営していくための予算を編成するためには、翌年度の財源見通しというものが正確でなければこれは立たないというふうに思うわけです。ところが、いまも議論されておりますように、財源のかなりの部分を占めております交付税がなかなかはっきりしない。総枠につきましては地方財政計画で大体地方団体が予算編成いたします時期に出てくるわけですけれども、それがどれくらい自分のところにくるのかということがはっきりしないわけであります。そのために地方団体の側では、一つには地方財政計画をもっと早く決めてほしいという意見がありますし、それができなければ地方財政の会計期間を国よりも二カ月ぐらいずらせるといったような意見もあるわけです。それから最近では二年予算というふうな意見も出てくるわけですね。こういうふうに、先ほど申しましたように、地方団体が効率的な財政運営をやっていくためには、財源の見通しというものをできるだけ早く、しかも正確にキャッチするということが前提になるわけであります。
 単年度だけで申しますと、いま申しましたような地方財政計画を早めるとかあるいはきょう審議されておりますこういった法案ができるだけ早く成立するということになろうかと思いますけれども、もう少し長期的な見通しが地方団体に与えられるならば、財政運営というものがもっと効率化するんじゃないだろうか、そういうふうに考えまして、陳述の中でも申し上げましたように、三、四年というものを一つの期間として、その間の国税の伸び率を推計すると同時に、それがちょうど三年ないしは四年で総額が財源の不足額に合うように、毎年平均的な伸び率を地方団体に示していくと、そしてまた実際にそれに基づいて財源枠を決めていくと、こういったことを考えているわけです。これにつきましては、制度的には、いまの単年度主義からもう少し長い期間で考えるわけでありますから、制度的にはいろいろな抜本的な改革が必要だと思いますけれども、きょうはここでは基本的なそういう考え方だけを述べさしていただいたわけでございます。
#40
○上林繁次郎君 ありがとうございました。
 それともう一点は、最近の交付税の交付状況から見て、地方自治体間の対立というようなお話がたしかあったと思うんですね。これはどういうことを意味するのかということですね。
 それから、最近の交付税というものが補助金的な性格を帯びてきていると、こういうお話があったわけです。もちろん補助金的な性格を帯びたのではこれはうまくないわけなんですが、どういう観点からそういうようなお考えを持たれているのか、この点についてひとつお聞かせ願いたい。
#41
○参考人(牛嶋正君) 私、先ほど富裕県とそれから中小県との利害対立がかなり鮮明になってきたという表現をしたわけですが、これはすべての団体が交付団体になりますと、結局は総額の取り合いということになるわけでありまして、それをああいった表現をしたわけでございます。私が知っておりますある県ですが、富裕団体であったわけですが、補正係数が調整されることによってかなりの額の交付税額の動きが出てくるわけでございます。で、富裕団体ですから予算額は相当な額ですから、その動きというのは比率から言いますとそれほど大きくはないと思いますけれども、限界的にはやっぱりそういった財源でもって新規の政策的な施策というものを考えているわけですから、それに与える影響は非常に大きいということですね。そうなりますと、予定しておった交付税額が入ってこないということになりますと、結局はそれはどこかに配分されたんだというふうなことになるわけでありまして、問題が、国と地方との財政調整から、地方自治体間のそういった財源の分捕り合いというふうな、ちょっと地方財政の観点から見ますと悲しい現象があるんじゃないかというふうな感じで私は申し上げたわけでございます。
 それから、地方交付税の国庫支出金的性格と申しましたけれども、これは全くの感じでございまして、先ほども申しましたように、結局算定におきましてはいろいろ細かな、先ほど精緻なというふうな表現もありましたけれども、細かな計算をするわけですけれども、実際はやっぱり使う面では一般財源でございますけれども、しかし、すべての団体が交付団体になってまいりますと、できるだけ交付税を多く取りたいというふうな姿勢が見られるわけでありまして、そういったところを国庫支出金的な性格になったというふうな形で私は表現をさしていただいたわけでございます。
#42
○神谷信之助君 共産党の神谷でございます。
 工藤参考人、それから牛嶋参考人、成瀬参考人にお伺いしたいと思います。
 私は、現在の地方財政、特に交付税制度というのは現状はもう崩壊をしているというように思っているんです。工藤さんもおっしゃいましたけれども、都道府県で不交付団体はたった一つだと、それから市町村も四十八でしたか、そういう団体で、ほとんどが交付税制度の世話になっている。これではもう財源調整の機能も財源保障の機能も果たすことができないわけですね。したがって、六条の三の二項があって交付税率を引き上げるにしたって、それこそ六〇%ぐらいまで、交付税だけで処理しようとすればそれぐらいまで上げないことには不足額がもう埋め切れないわけでしょう。そういうところに来ていると。それは逆に言いますと、さらに突っ込んで言うと、いまの地方行財政制度そのものが根本的なといいますか、矛盾を露呈をしている姿だというように思うんです。ですから私ども、五十年度に税収不足が生じ、そして財源不足額が生じました、二兆円余りが。その時点から、六条の三の2では「引き続き」とあるけれども、もうこれはそういう状況の最初の徴候であって、いま直ちに抜本的な対策といいますか、改正、これをやらないと大変なことになるだろうという点を指摘をしていたわけですがね。ところが、いままでは政府の方も、二年引き続いてそういう状態があって、三年目にもそれが続く場合はと言いながらずるずるときて、何というか、糊塗的な手段でごまかしてきているわけですね。ですから、ここのところでそういう意味では根本的な解決の方向をやらないかぬだろう。しかし、ここまでひどくなってきますと、そういう荒療治をやるには一遍ではいかぬと。ですから最終的な目標を定めながら、当面は当面で処理をするという二段階の手段方法をとらざるを得ぬのではないかと、こう思うんですね。
 ですから、そういう点を考えてみると、交付税制度が本当に交付税制度としての機能を果たすようにまず組み立てようとすれば、少なくとも地方団体の三分の一ぐらいは交付税の厄介にならなくても悠々とやっていけるというような、そういう自主財源というやつをつくらないかぬわけでしょう。その点で、いまの範囲内でも、たとえば国庫支出金は地方財政全体で約三割ないし四割ぐらいだと思いますね。これはもう当然国民から税として受け取って、そして国からまた地方へ回っているわけですからね。この財源自身は現実にあるわけですよ。だから、それに相当する財源というのを地方税に回しても、これは増税ではないわけですね。そうすると、少なくともそれだけ分交付税不交付団体というのはずっとふえますから、そういう状況が生まれるだろうと。さらに、現実にそれらを含めましても財政不足額が今年度でいきますと四兆一千億からあるんですから、それに必要な財源というのを確保をする必要がありますね。ですから、そういうことを含めて、国の仕事と地方の仕事の事務の再配分あるいはそれに必要な財源の確保というものを含めて、自主財源で少なくとも三分の一ぐらいの地方団体が交付税の世話にならずにやっていけるようにすると、大都市及び県庁所在地の市ぐらいまでは自力でやれるというような状況になれば、これはまさに交付税制度が制度としての機能を果たすようになるだろうということを考えるんですね。それにしても、やっぱりそういう状態をつくって、そして起債の自由、いわゆる制限を撤廃をしながら、しかもむちゃくちゃな起債にならないような一定の歯どめは考えなきゃならぬだろう。
 もう一つは、補助制度も全くゼロにするわけにいかぬだろう。現在のような補助制度じゃなしに――われわれ総合補助金制度と言っているんですけれども、現実にこれも調べてみますとないわけじゃないんですね。電源三法による交付金ですね。それから基地の周辺整備の九条交付金ですよ。これは一定の何で、人口なり面積なり、基地の場合ですと騒音とか飛行機の発着とか、砲弾の何で点数が決まっていて、五千万円なら五千万円ぽんと来るんですね。まあ何に使ってもいい、というても一定の八項目の事業がありますけれども、環境整備事業というようなこと書いてあるんですけれども、その何でやってもいいんです、下水やろうが何しようが。しかも全部単独事業に使える。もらってからその金を何に使うかというのはそこの市町村の自由なんですね。だから補助金では全然ないんです。だから、言うなればいまのメニュー制度よりももっと自由に使える。いわゆる交付税交付金みたいなそういう形で出ているわけですよ。そういうことでやれないこともない。だから、教育事業なら教育関係の事業費として、老朽校舎の改築のための補助金とかどうとかというようなことでなしに、もう総合的に教育事業の補助金として一括渡しちゃうと、それを自治体が自由に使えるようにする。あるいは農林業なら農林業にぽんと来る、個別に来るんじゃなしに。そうしてそれぞれの地域の特殊性、住民の要求、これらに基づいて、地方自治を最大限に発揮をする。やっぱりそういう方向を目指すところまでいま突っ込んで、全体で、自治体の側も学者の先生方もわれわれの方もあるいは自治体に働いている労働者の諸君もあるいは住民の代表も含めて、大胆に問題提起をしながら検討していく必要があるのじゃないか。
 それはしかしなかなか結論出ないから、当面緊急措置のいろいろな手は打たなきゃなりませんが、いまこそ日本の地方自治制度を、いわゆる憲法の、「地方自治の本旨」に基づいた、そういうところに進めていく絶好のチャンスではないかというようにも思うんですがね。その辺についてそれぞれ皆さんの御意見を、えらい抽象的な質問になって申しわけないんだけれども、基本問題としてお聞きをしておきたいと思うんです。
#43
○参考人(工藤巌君) ただいまお話がありましたような、地方自治を基本的に拡大していくということは、当面きわめて重要な課題だと思っております。よく、これからは地方の時代というような言葉が使われておりますけれども、この地方の時代というものを、本当にその言葉にふさわしいようにりっぱな地方自治体を育成をしていくといいますか、自治体を担当する者としてはそういう自治体にしていくことがまた国全体の繁栄のためでもあるという、こういう考え方を持って私どもは対応していきたいと考えております。そしてそのためには、ただいまお話がございましたような、まずもって自主的な財源を拡大をしていくことであろうかと思います。御指摘のように、実際に税源の配分は国が三分の二であり、仕事は地方が七割でございます。したがいまして、もしも適切な算定基準というものがあり得るならば、現在の補助制度の相当部分が交付税の中に組み入れることができるはずであります。ただ、これはどのような適正な算定基準が出てくるかということにもかかわるだろうと思いますが、そういうことも将来の問題としては一つの課題であろうかと思っております。
 それから、こうした自主財源の拡大とあわせまして事務の再配分あるいは権限の地方移譲という問題も出てこようかと思うのでございます。また補助制度につきましては、どのような適正な交付税制度をつくり、やりましても、やはりそれに乗らないいろいろなプロジェクトが出てまいります。私はそうした特定の、国家的に見てもこれを援助していくべきだと考えられるようなプロジェクトに対して大きな援助をしていただけるような、そしてそれぞれの地域の個性を生かせるような十分な指導機能を国政において担当をしていただき、実際の仕事を存分に地方にやらせるという、こういう形の地方自治を期待をいたしておるわけでございます。
#44
○参考人(牛嶋正君) 私、いまの地方財政の財源を見まして、自主財源とそれから依存財源の比率というのは、これはまさに国と地方との、お互いの不信と言ったらちょっと語弊があるかと思いますが、距離、乖離のあらわれではないかというふうに思うわけです。これはやっぱりどうしても埋めていかなければいけないわけですが、その場合に、国だけに一方的に譲歩を求める、あるいは国の方から地方に譲歩を求める、これではいつまでたっても乖離は埋まりません。やっぱり両方から埋めていかなきゃいけないわけでありまして、地方団体の側から言いますと、それは内部努力というふうなことで表現できるんじゃないかと思いますが、そういう意味で私、先ほどの陳述の冒頭に、最近の地方団体の財政運営に対する姿勢をちょっと強調さしていただいたわけです。
 こうなりますと、私は、次は国が譲歩をすべき段階ではないかというふうに思うわけでありまして、それはまさに御指摘の国と地方の行財政制度を抜本的に改革をしていくということだろうと思います。その場合に、事務配分の問題も重要ですけれども、一応いまの事務配分が妥当であるといたしますと、税源配分につきましてはそれに合わせるということが一つの基準かと思いますが、その場合に、やっぱり地域間の財政力格差ということはこれはぬぐうわけにいきません。したがって、私はとりあえずは財源を一対一ぐらいというふうなことで考えているわけですが、五十三年度についてちょっと私試算をいたしまして、いま仮に財源を一対一で配分いたしますと、現在の財政力指数が〇・六ぐらいの団体がみんな不交付団体に入ってくるわけでありまして、そうなりますと、私が言っておりますように、四十年代の初めごろの交付状況になるわけで、とりあえずはそういったところが一つのめどではないかというふうに考えておりまして、御指摘のとおりだと思っております。
#45
○参考人(成瀬龍夫君) 当面は非常に大きな財源不足が年々出ているわけですが、今後のことも考えますと、恐らく今後とも地方団体の予算規模というのは年々もう一〇%以上は伸びていくと思います。一〇%以下になるということはまず非常に少ないだろうと思います。ところが、日本の経済成長は、これはどう考えても大体年々五%前後ぐらいだと思います。税の収入も大体その程度ぐらいで進行していくわけでして、そうすると、どんなに考えましても、予算規模は一〇%以上ふくらんでいく、税収は五%ぐらいでしか経済成長に合わせて伸びていかないとなりますと、このギャップがどうなるかというのはまああたりまえであると思います。じゃ、そのギャップを交付税で埋められるかと言いますと、交付税は国税三税にリンクされているわけですね。国税三税が伸びないということですから、交付税で不足財源を、総量をこれからずっと長期にわたって確保していくこと自体もう限界があるということはもう目に見えていますし、それから、いまおっしゃいましたように、現在についてすらもう財源保障ができないという実態が明らかになっているわけであります。
 そうしますと、やっぱりこれは税の面で、地方税の拡充という面で改革策を考えざるを得ないわけですね。その上で改めて財政調整制度と地方税との関係を、私、先ほどの意見陳述の中で述べましたような原則に立って再調整する必要があるのじゃないかなと、このように考えております。
#46
○委員長(永野嚴雄君) ほかに、各委員御質問ございませんか。――他に御発言もなければ、以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 一言お礼を申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがたく、厚く御礼申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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