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1978/01/30 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 本会議 第4号
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1978/01/30 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 本会議 第4号

#1
第087回国会 本会議 第4号
昭和五十四年一月三十日(火曜日)
   午前十時三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  昭和五十四年一月三十日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、鉄道建設審議会委員の選挙
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(安井謙君) これより会議を開きます。
 この際、欠員中の鉄道建設審議会委員一名の選挙を行います。
#4
○戸塚進也君 鉄道建設審議会委員の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#5
○大塚喬君 私は、ただいまの戸塚君の動議に賛成をいたします。
#6
○議長(安井謙君) 戸塚君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、鉄道建設審議会委員に丸茂重貞君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#8
○議長(安井謙君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十五日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。秋山長造君。
   〔秋山長造君登壇、拍手〕
#9
○秋山長造君 私は、日本社会党を代表して、当面の内外重要問題につき、率直に政府の所信をただしたいと存じます。
 激しい総裁選挙を勝ち抜いて、宿望の政権の座に着かれた大平総理大臣に対し、まずもって敬意を表します。
 同時に、数々の話題を呼んだあの総裁選挙の経過と結果について、大平総理御自身がどういう御感想を持っておられるか。大方の予想を覆して圧勝された秘密は何だったのか。ある人たちは派閥だ、金だと言い、また、ある人たちは良識だ、人柄だと言います。自民党内外の見方もまちまちで、いまだに評価が定まっておりません。いずれにしても、これが大平政権の原点、出発点として今後の大平政治を微妙に方向づけていくであろう問題だけに、この際、総理御自身の率直、ざっくばらんな御所見、御認識を伺っておきたいと思います。
 さて、今回のダグラス・グラマン問題は、新年早々の日本国民にいまさらながら大きな衝撃を与えております。検察当局は直ちに捜査を開始し、法務省も早速非公開資料入手のため、日米司法取り決めを結ばれました。すでに裁判進行中のロッキード事件といい、今回のダグラス及びグラマン、続いてうわさに上っているボーイングと、アメリカ巨大航空機メーカーの対日売り込み工作が表面化するたびに、必ずと言ってよいほど、政府・与党の有力政治家の名前が次々に見え隠れするのでは、国民の疑惑は深まる一方であります。
 特に、今度は、国民の血税をストレートにつぎ込む軍用機、自衛隊機であるだけに、問題は一層重大であります。この疑惑を晴らすためにも、政府は問題の事実関係を徹底的に解明して、汚職の根を断ち切り、その責任を明らかにすることこそ焦眉の急務であります。国会においても早急に徹底究明の決議を行い、国政調査権をフルに活用しつつ問題の究明に努め、国民の期待にこたえなければなりません。大平総理は、自民党総裁として、受け身ではなく、率先して本決議を推進され、政府も、資料提供その他これに全面的協力態勢をとられるべきと思いますが、その御用意ありや否や、大平総理大臣の御見解を伺います。
 なお、ここに奇怪なのは、予算折衝の最終段階で、問題の焦点になっているグラマン社の早期警戒機E2C四機、三百四十億円の導入が急遽決定せられたことであります。検察当局が異例の捜査開始宣言まで出した直後に、当該メーカーの当該製品の導入を認めるというやり方が国民の納得を得られるはずはありません。これとあれとは別問題という理屈は、国民常識ではとうてい通用いたしません。余りにも国民を甘く見過ぎてはいませんか。総理がいつも口にしてこられた「国民の合意と納得」という、防衛問題の最も重要な前提条件を総理みずからぶち壊すようなやり方は、長い目で見て決して得策ではないと思いますが、いまからでも翻然これを撤回される御意思はありませんか。(拍手)大平政治の前途を占う目印、メルクマールにもなると思いますので、重ねて強く要請いたします。
 なお、この機会に、自衛隊用機材購入の仕組みそのものを、直接購入方式か何か、根本的に再検討さるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 いま、私どもは二十一世紀を前にして内外ともに大きな転換期を迎えつつあるわけでありますが、何よりもわが国の政治のあり方について大きな反省が求められております。社会の複雑化と価値観の多様化は、国民意識の分裂と多党化現象を生みました。マスコミの世論調査のたびに目につく無党派層、政治不信層の増大は、議会制民主主義のあり方そのものが改めて強く問われておることを示すものであります。
 そもそも、いかなる政治体制のもとにおきましても、政治と国民の内的結合、精神的結びつきこそ最高の政治価値であります。いわんや、国民一人一人の自由かつ自主的参加を生命とする議会制民主主義においておや。いまこそ、与野党を問わず、政治のモラル向上と国民的合意形成のための新しいパターンをつくり出し、政治に魅力と信頼を取り戻して、政治を真に国民のものとするため全力を尽くすべき共同責任があることを痛感せざるを得ません。しかし、何といっても、問題は政権政党たる自民党のあり方いかんにかかっております。なかんずく、総理総裁たる大平首相、あなた御自身の抱かれる政治理念、政治哲学、そしてそれを踏まえての政治姿勢、政治行動こそこの上なく重大であります。「シラケ」とか「不透明」とか「不確実性」とか言われる今日でありますだけに、これからの総理大臣には、片々たる統計数学の操作などを越えて、大きく歴史を見通した高度の見識と指導性、言葉の真の意味でのステーツマンシップ、リーダーシップが特に強く要求されていると思いますが、大平総理大臣の抱負と心構えを国民の前に忌憚なく明らかにしていただきたい。
 大平総理は、かつて池田内閣の官房長官として、「寛容と忍耐」のいわゆる低姿勢を演出され、安保騒動による国論の分裂、混乱を鎮静さすのに大いに寄与されました。自来それが政治家大平正芳のイメージとしてほぼ定着してきたと思います。新内閣の発足に当たっても、いち早く、「信頼と合意」をスローガンに、文化の時代、地方・地域の時代、田園都市づくり、家庭基盤の充実、分権と自治、権力指向型の排除など、おおむね耳ざわりよいソフトなビジョンを掲げて、野党との話し合いを強調されております。私は、決して思いつきや言葉のあやとは思いません。総理の主観的善意を疑うものではありません。ただしかし、政治家の責任はあくまで結果責任であります。あくまでその具体的行動と実績によって評価するほかありません。大平総理は、複雑かつ厳しい与党内外の情勢の中で、いかなる決意と手順、段取りをもってこれを具体化していかれるおつもりであるか、お伺いいたします。
 第一に、田園都市づくり、分権と自治、立法府の優位、安い政府、いわゆるチープガバメントなどを唱えられる以上は、その具体的内容を示して、歴代内閣の官僚政治的傾向を大胆に是正さるべきであります。何もかも東京に集中する中央集権的な行財政制度に抜本的改革のメスを入れ、少なくとも地方自治体に自立財源の保障ぐらいは与えなければなりません。大平総理は、官僚の抵抗を排してこれを断行されるだけの御決意がおありでしょうか。
 第二に、わが国は大きな需給の不均衡、国際収支のアンバランス、百三十万の完全失業者、大幅な財政赤字という四つの深刻な大問題を抱えております。それは、田園都市とか、日本型福祉社会とかいうような、中身のはっきりしない、具体性のないバラ色の夢を掲げるだけではどうにもなりません。そもそもの経済運営を大企業中心から国民生活中心へ、輸出優先から福祉優先へと切りかえ、大規模な雇用対策、不公平税制の抜本的改革等、一つ一つ具体的実行こそが重要であります。しかるに、そういう基本的政策には一切手を触れないばかりか、土地税制を緩和して大規模不動産業者をもうけさしたり、悪評さくさくたる医師優遇税制の是正もポーズ、ゼスチュア程度でお茶を濁したその上に、消費者米価、たばこ、国鉄、私鉄、教育費、医療費、ガソリン税まで一斉値上げということでは、国民の不信感、重税感、不公平感はつのる一方であります。これでは、大平総理の言われる国民と苦楽をともにする政治ではなく、国民に苦だけを押しつける政治になってしまうではありませんか。
 なお、この際、部落問題について、民主主義社会の根幹に触れるこの重大問題についての総理の御認識いかん、また、昨秋同和対策事業特別措置法の期間延長に当たって約束された実態調査は今後どのように行われるおつもりであるか、特にお尋ねしておきたいと思います。
 第三に、大平総理は、有事立法問題について、総合的安全保障とか複合的安全保障とかいう言い方で、軍事力偏重の考え方を否定し、ストレートな有事立法には消極的態度をとってこられました。また、与党の一部に根強い改憲論にも、にわかにくみしがたしというお考えのようであります。しかし、一方において、昨年十一月策定せられた日米防衛協力指針にも見られるとおり、日米共同作戦計画は着々推し進められております。また、今回のグラマン軍用機導入のごとく、国民感情を逆なでするようなこともあえて強行せられるわけでありまして、実質的には、なし崩し有事立法、なし崩し憲法改正にもなりかねません。これらの問題につき、改めて大平総理の真意を明確にしていただきたい。
 いわんや、こうした動きと並行して、最近にわかに各方面に目立ち始めた反動化的傾向、右傾化的運動は、いわゆる元号法制化問題で頂点に達しようとしております。現に昨年来、本件をめぐって私どもに対していろいろと不愉快な働きかけが急にふえ出した事実もあります。勢いのおもむくところ、国論の分裂・対立から不測の事態すら起こりかねないと思います。早い話が、去る十二月、総理公邸で突発した大平総理御自身の遭難事件とその背景を一体どう考えておられますか。元来、最も冷静な雰囲気のもとで、あらゆる観点から理性的に論議さるべきこの種の問題が、こういうヒステリックな空気の中で草々の間に持ち出され、強行されようとしていること自体がきわめて異常であります。(拍手)論者の意に反して、天皇制そのものを改めて政争の渦中に巻き込む結果にもなりかねません。ことさらに国内対立をあおり、与野党対決をあおってファッショ的意図を遂げようとする無責任なデマゴーグはいざ知らず、いやしくも国家・国民を思い、国民的合意の形成をこそ第一義と心得る民主主義的政治家のとるべき道ではないと思いますが、大平総理大臣はどう対処されるおつもりですか。
 昨年の日中平和友好条約締結に続いて、この一月一日から米中国交が正常化され、日本を取り巻く国際環境はさらに大きく変わってまいりました。いまや日中・米中友好親善の太いきずなが結ばれ、人と物の自由な交流を通して中国の近代化に全面的協力のできる態勢になったのであります。わが日本の国際的地位も格段に強化されたと思います。しかし、これでアジアの平和と安定が完全に満たされたわけではないことを忘れてはなりません。そこには、まだ三つの大きな穴があいたままであります。
 その第一は、日ソ関係であります。第二は、一衣帯水の朝鮮半島であります。そして第三は、東南アジア、なかんずくインドシナ情勢であります。
 言うまでもなく、日中条約は日中両国間の友好親善をうたった条約であって、特定の第三国、いわんやソ連を意識したものではありません。にもかかわらず、ソ連はこれを反ソ条約と受け取り、対抗意識をあらわにしております。去る十二月モスクワを訪れたわが社会党の飛鳥田使節団に対しても、ソ連共産党首脳は不快の色を隠そうともしませんでした。北海道貝殻島周辺のコンブ漁に対して若干の進展はあったものの、平和条約の前提となるべき領土問題は全く平行線のままに終わったことは御承知のとおりであります。大平総理から託されたブレジネフ書記長への招請に対しても、具体的な返答は得られなかったのであります。このかたい表情を解きほぐして、領土交渉をまともな軌道に乗せるためには、よほどの忍耐と努力が要ると思います。いまわれわれに最も肝心なのは、すぐ感情的になって、やれ奇襲攻撃だ、有事立法だと、あらぬ方向にエキサイトすることではなく、与野党を含めての国論の統一と国民的合意に基づく確固不動の信念、そして、わが国の基本的立場を踏まえての冷静かつ粘り強い弾力的対応であります。誤解を解く努力をさらに積み重ねながら、漁業交渉や貿易拡大、シベリア開発、文化交流等を通じて友好親善関係を一歩一歩着実に深めていくことが肝要と思いますが、大平総理、園田外務大臣は、今後の対ソ外交をどう進めていかれるおつもりでありますか。延び延びになっている東京での日ソ外相定期協議はどうなっているのかも、あわせてお答え願います。
 次は、朝鮮半島の問題です。
 一昨年来、アメリカ下院倫理委員会の調査によって、ソウルの地下鉄工事をめぐる日韓米の黒い癒着関係が次第に明らかになってまいりましたが、大平総理は、日韓関係明朗化のため率先してその究明に当たられる御意思はありませんか。
 また、金大中氏が昭和四十八年八月、東京のホテルから拉致されて以来六年ぶりに身柄を釈放された今日、改めて原状回復のためわが国に招請して、事件の真相を明らかにするとともに、侵されたわが国の主権を回復する必要があります。現に、金大中氏自身もそれを強く望んでおります。当時の外務大臣として本事件に深くかかわられた大平総理には、ぜひこれにこたえらるべき政治的道義的責任があると思いますが、いかがですか。
 さて、朝鮮半島に、南北二つの国、二つの政府が存在することは厳然たる事実であります。われわれはその自主的平和的統一を強く期待するものですが、現に二つの国家が存立する以上、その平和的共存を念願せざるを得ません。その一方のみを認めて他方を認めない態度は、かつての冷戦外交の名残であって、日中条約が結ばれ、米中国交が正常化したアジアの新情勢には全くふさわしくありません。わが国がこのままぐずぐずしておりますと、ある日突然、事態が日本を置き去りにして進んでしまうようなことさえないとは言えません。今回のケ小平氏のアメリカ訪問が一つのきっかけになることすらあり得るのではないでしょうか。
 去る十九日朴大統領の南北無条件対話の提案、二十二日北側からこれにこたえる形での南北全民族大会開催の提案も、宣伝合戦的要素はあるにしても、やはり情勢の変化、いわゆる雪解けの兆しではないかとも思われますが、政府はどう評価されますか。この際、南北対話促進の環境づくりにわが国も積極的役割りを果たすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。大平総理、園田外務大臣の前向きの御答弁を強く期待するものであります。
 第三は、東南アジア、なかんずくインドシナ情勢であります。
 先般来のカンボジア情勢の急変は、東南アジア全域に大きな衝撃を与えております。問題が複雑な上に、これが中ソ対立と微妙に絡んでいますだけに、日本政府の対応はきわめて重大であります。政府はもっと早目に情報をつかめなかったのですか。つい先ごろベトナム政府に百四十億円の経済援助を約束したばかりのわが国としては、避けて通ることは許されません。率直にお尋ねします。政府として、このたびのベトナムの行動を侵略と見ているのかどうか。日中条約に言う覇権主義と考えておられるのかどうか。今後どういう方針で対処されるのか。
 大体、カンボジアにしてもイランにしても、日本政府として余りにも情報不足ではありませんか。流動する東南アジア、中近東情勢に今後どう的確に対応していかれるおつもりですか。
 現に、来る六月下旬東京で開かれる先進国首脳会議、いわゆる東京サミットに関連して、東南アジア諸国の一部から、日本の外交姿勢が余りに先進国中心主義、欧米中心主義に偏り、肝心のアジアを軽んじているのではないかという厳しい批判が起こっております。私どもは、昨秋の国連安保理事国選挙でバングラデシュに惨敗を喫したあの苦い教訓を忘れてはなりません。南北問題の時代とさえ言われる今日のことであります。大平総理大臣、園田外務大臣のお考えを伺いたい。
 なお、総理は、組閣直後の記者会見で、環太平洋連帯(パシフィック・オーシャン・コミュニティー)、また、パンパシフィック主要国外相会議の構想を打ち上げられましたが、その具体的内容と、その後の具体的展開いかんをお尋ねいたします。
 さて次に、新年度予算についてお尋ねいたします。
 まず、例の七%成長率の行方でありますが、福田前総理が五十三年度経済運営のにしきの御旗として、あれだけ繰り返し内外に強調をされ、ボンの先進国首脳会議でも晴れがましく約束してこられた、いわば天下の最大公約が、内閣交代とともにすうっと消えてしまって、私ども国民はまるでキツネにつままれた思いであります。現に、再三のカーター書簡にも見るとおり、重大な国際不信を招くおそれすらあります。これが、今後のアメリカの貿易政策やEC、また東京ラウンドなどと、どうかかわっていくのでしょうか。一体、あの数字は福田個人の思いつきにすぎなかったのでしょうか。政府・与党の共同責任で確認された最も公式の最も基本的な数字だったはずではありませんか。なるほど政権交代がありました。しかし、それは同じ自民党内でのことであります。政党内閣制度のもとでの政策責任の一貫性、継続性ということは一体どう考えたらよいのですか。せめて、七%は無理だった、かくかくの事情で断念せざるを得なくなった、その責任は云々というぐらいの弁明はあってしかるべきではありませんか。重大な政策変更であるだけに、はっきりとけじめをつけていただきたいと思いますが、大平総理、いかがでしょうか。
 さて、新年度の予算編成は大平内閣の初仕事であり、大平政治にとって最初の試金石でありますだけに、国民ひとしく最も注目していたところであります。大平総理は、雇用の改善、物価の安定、財政再建を三つの柱として、答案を見てほしい、仕上げたところで批判を仰ぎたいと、控え目ながら並み並みならぬ自信のほどを漏らしておられましたが、結果は、失礼ながら、新味も特色もない、官僚任せの中途半端な、ぬるま湯予算とでも言うほかはありません。
 政府は、五十四年度の経済成長率を六・三%と見込み、前年度に引き続き大型の公共事業予算を組んで景気刺激のてこにしようとしておられます。文教、社会保障、科学技術、農業、中小企業等が軒並み一けた増程度に切り詰められた中で、ひとり公共事業のみ群を抜いて二〇%増の六兆五千四百一億円という大盤振る舞いであります。しかし、地方財政との絡みで、これが効率的に消化されるのかどうかには依然として不安が伴うばかりではなく、そもそも公共事業で景気を盛り上げて間接的に不況業種をも救い、雇用をも増加しようといういままでのやり方は、財政負担の大きいわりあいには効果が上がっておりません。第一、六・三%の成長率は各種民間調査機関のものよりはるかに高い数字ですが、政府はその達成に自信があるのですか。
 また、公共事業の中身は、相変わらず大型プロジェクトや道路、港湾等が中心ですが、この際、まだ全国で一万校近くも残っている小中高等学校の木造校舎を一斉に鉄筋に建てかえるとか、おくれた地方中小都市の上下水道の整備とか、もっと国民生活に身近な部門に重点を移したらどうですか。これなら、用地だけはすでにあるわけでから、すぐ着工できて、たちまち雇用の増大にも役立つのではないでしょうか。大平総理大臣、金子大蔵大臣の御答弁をお願いします。
 今後の予算編成に当たって、わが社会党は、政府に対し七十万人、二兆円という画期的規模の雇用創出を申し入れました。他の野党各党も、それぞれに雇用対策最重点の予算要求を出されたのであります。政府も、これにこたえる形で中高年者雇用開発給付金の大幅改善による十万人の雇用創出を打ち出されました。失業救済的色彩の濃かった従来の政策から、積極的雇用創出に一歩踏み出された点は評価するにやぶさかでありません。しかし、減量経営に腐心する民間企業依存の雇用創出にはおのずから限界があり、高齢化社会の雇用問題とは、せんじ詰めれば、結局新たに仕事を探すよりも、いまの仕事を続けること、失わないようにすること、すなわち、新たに失業者を出さないようにすること、これに尽きるのではないでしょうか。すなわち、欧米で行われておる解雇制限法、年齢差別禁止法のような特別立法、あるいは雇用基本法とも言うべき総合立法が絶対必要です。さらに、週休二日制、四十時間労働制、定年延長等の法制化、地方自治体による公共サービス部門の充実、すなわち、学校、病院や保健所、保育所等の増設、増員、ホームヘルパー等社会福祉従事者の画期的増員等に政府みずから本腰を入れて取り組むのでなければ、雇用問題はもちろん、実のある社会福祉はなかなか前進しないと思いますが、いかがでしょうか。労働組合がこぞって要求しておる官民共同出資の権威ある雇用創出機関をつくる御意思はありませんか。総理及び栗原労働大臣の御見解を伺いたい。
 なお、この際、農業問題を雇用の面から見直す必要があるのではないでしょうか。いまや全国五百万農家の年々の農業後継者は、ついに一万人を割るに至りました。農業高等学校卒業生すら、そのほとんど全部が二次産業、三次産業で働く実情であります。農業専従者の平均年齢は実に五十九歳、やがて老齢化を通り越して、老朽化へ進もうとさえしております。これでは日本の農業、農村に明日はありません。雇用問題の大前提として、まず何よりも農村の若年労働力を農業に、一次産業につなぎとめ、定着させるための国家的計画的努力が必要であります。今度の農林予算を見ても、相変わらず補助金、奨励金のばらまき農政で、びぼう策と言われても仕方がないと思います。速やかに食糧自給率を高めるための総合的生産計画を確立する中で、行き詰まった農業政策を雇用の面から再検討し、再構築すべきではないかと考えますが、大平総理大臣、渡辺農林水産大臣の率直な御見解を承りたい。
 さらに、今度の予算で目に立つのは、消費者米価、たばこ、国鉄運賃等、各種公共料金の一斉値上げであります。大平総理は、物価安定基調を損なわない程度の微調整だと言われましたが、最近の日銀券のふえ方といい、時ならぬ株高、地価上昇など、いわゆる過剰流動性の徴候歴然たるものがありますし、何といっても国家予算の四割を占める公債発行がインフレの懸念を一層かき立てるのであります。その上、昨年末OPEC総会で決まった原油価格の一四・五%値上げが控えており、最近のイラン政変による原油輸出のストップは、輸入原油の二割を同国に仰ぐわが国にいかなる影響を与えるのか、九十日分の備蓄しか持たぬ日本経済にとって容易ならぬ脅威であることは言うまでもありません。政府はいかなる対策を用意されておりますか、大平総理大臣に伺います。
 これにさらにガソリン税二五%引き上げが加わるとき、物価は一体どうなるのですか。すでに石油業界から石油値上げの声が上がっておるではありませんか。伝えられるタクシーやバス料金の値上げはどうなるのですか。あのオイルショック当時のような値上げラッシュ、狂乱物価を再現しないという保証があるのでしょうか。総理、大蔵大臣、いかがですか。
 ところで、予算総額三十八兆六千一億円に対して、公債発行十五兆二千七百億円、その割合三九・六%、うち建設公債七兆二千百五十億円、赤字公債八兆五百五十億円、そして年度末公債残高見込み五十八兆六千億円、国民一人平均五十二万円という数字は、実に容易ならぬ数字であります。まさにサラ金財政と言っても過言ではありません。こういうことにした責任は一体だれが負うのでしょうか。私は、かつて戦前高橋是清大蔵大臣が、年々エスカレートする陸軍の要求を勇敢にはねつけ、公債発行限度三〇%の一線を守り通して、ついに二・二六事件の凶弾に倒れた、あの痛ましい歴史を思い起こさざるを得ないのであります。五十年代上期のうちに万難を排して赤字公債財政から脱却したい、こういう財政当局の悲願はどこに行ったのですか。政府は中期経済計画を策定する中で、よほどの決意を持って税財政制度の抜本的改革を断行し、もって公債整理に全力を尽くさなければならぬと思いますが、総理、大蔵大臣の御決意のほどを伺いたい。
 政府は、財政再建の切り札として、五十五年度から一般消費税を導入しようとしておられます。私どもは、ゆりかごから墓場まで老若男女すべてにかかる庶民泣かせの大衆課税であり、大幅な物価上昇の引き金になること必至と考えるがゆえに、これに強く反対するものであります。
 第一、租税特別措置法や医師優遇税制、利子配当分離課税等々、不公平と矛盾の多い現行税制をそのままにし、むだの多い補助金、奨励金や行政機構の真剣な再検討も怠りながら、いきなり一般消費税に逃げ込むのは、余りにも安易かつ無責任な態度ではありませんか。(拍手)それでは、国民の納得と協力が得られるものとはとうてい考えられません。
 例の地方事務官問題一ついまだ解決をせず、高度成長時代雨後のタケノコのように簇生した公社、公団、審議会や各種補助金、奨励金等の整理にも全然手を触れずして、そもそも大平総理の言われるチープガバメントとは一体何でしょうか。速やかに高度成長時代の惰性を捨てて、税金から景気対策に至るまで、総合的な制度改善に真剣に取り組むことこそ、財政再建への第一歩ではありませんか。大平総理、いかがでしょうか。
 以上をもって私の代表質問を終わりますが、大平総理大臣以下、どうぞ国民によくわかるように、率直簡明な御答弁をお願いいたします。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(大平正芳君) 秋山さんは、最初に、先般行われました自由民主党の総裁選挙の経過と結果について私の考えを尋ねられました。この選挙は、申すまでもなく、自由民主党にとりまして最初の試みでございました。しかしながら、幸いに、われわれが予想いたしました以上の党員、党友の方々の御参加を得まして、平穏に秩序正しくこの選挙が遂行できましたことを私は大変満足に思っております。その結果につきましては、いろいろな御批判がございますけれども、私にとりましては、予想外の結果とは考えておりません。
 それから、最初の御質問は、グラマン社の対日軍用機の輸入をめぐる疑惑についての所信を尋ねられましたが、この問題は、施政方針演説でも申し上げましたとおり、政治の信頼にかかわる問題でございまして、いささかも疑惑を残すことのないように徹底的に究明しなければならないと考えております。そのために、すでに関係当局はそれぞれの立場で所要の措置を講じておりますが、政府としては、捜査当局を信頼いたしまして捜査の進展を見守りますとともに、あらゆる努力を傾注して問題の解明に努めてまいるつもりであります。国会の国政調査権の行使に対しましては、政府として当然できる限りの協力を惜しまないつもりでおります。
 それから、E2C機の導入予算は撤回すべきでないかという御意見でございます。この問題につきましても、かねがね申し上げておるとおり、この機種の選定は純粋に防衛上の見地から専門的技術的に検討を加えた結果決めたものでございまして、この機種選定の過程には何ら問題はないものと考えております。疑惑は疑惑として解明しなければなりませんことは言うまでもありませんが、防衛上の必要性はあくまで厳然としてありまするので、疑惑の解明問題とE2Cの導入はこれと切り離して処理していく方針でございまして、御理解をいただきたいと思います。
 次に、自衛隊の資材の購入方法を間接方式から直接方式に改めるつもりはないかという意味の御質問でございましたが、装備品の輸入調達に当たりましては、現在、政府間契約による直接購入方式、すなわちFMS方式と、商社等を通ずる一般輸入方式とがございます。それぞれ長所短所がありまして、いずれの方式によるかは個々の契約ごとに総合的に比較勘案いたしまして決定するのが適当であると考えております。
 次に、今日、時代が転換期に差しかかっておるし、内外の情勢は厳しいが、総理といたしてこれに対処する基本的な抱負と心構えはどうかという意味の御質問でございました。秋山さんも御主張になられましたとおり、政治には、モラルを確立し、信頼を回復することが根本だと思います。そのためには、まず、政権を担っておりまする自由民主党自体、そしてそれを率いる私の責任が非常に重大であることは仰せのとおりでございます。したがいまして、自由民主党自体も、その党の体質、組織、運営、財政、万般にわたりまして改革を遂行中でございまするし、モラルの確立に努めております。私自身も、みずから姿勢を正し、謙虚な反省の上に立ちまして、国民の信頼にこたえなければならぬと決意いたしておるわけでございます。しかしながら、わが日本民族は大変活力に富んだ民族でございまして、こういう方向に指導者が引っ張っていくというようなことではなくて、国民の活力の展開に対しましてこれを適切に誘導するように配慮してまいるのが私の任務であろうと考えております。
 それから、信頼と合意による野党との話し合いの問題に言及されました。申すまでもなく、選挙における投票は与党を超えておる野党でございまするし、議席自体におきましてもこのように接近しておる状況は隠れもないことでございます。したがって、野党との話し合いを抜きにいたしまして政治ができるはずはないと心得ております。したがいまして、党対党の関係はもとよりでございますが、国会のあらゆる面におきまして十分な話し合いを遂げ、相互の信頼と相互の評価、相互の尊敬の上に立ちまして政治の運営に当たってまいるつもりでございます。野党の皆様の御協力を切にお願いする次第でございます。
 それから、同和対策についての御質問がございました。同和問題につきましては、同和問題の解決が国民的課題であるという考え方のもとに、対策の推進に一層努めてまいる所存でございます。国会の附帯決議についての言及がございましたけれども、どのように措置いたすべきか、慎重に検討してまいるつもりであります。
 それから、国と地方との関係につきまして、行財政の面等につきましての御質疑がございました。私は、今日、日本の近代化の過程におきまして権力が中央に集中しておるという状況は決して健全な状態とは考えていないのでありまして、地方に対しまして適当にその権限が付与されて、財源が付与されて、国と地方が相まちまして行財政につきまして責任を持つような体制が望ましいと考えておるわけでございます。しかしながら、現在の状況、そういった根本的な改革を一挙に果たすわけにはまいりませんので、とりあえずのことといたしまして、地方公共団体がその政策を行うに必要なだけの財源措置はとりあえずいたしてございますが、これとても応急的措置でございまして、根本的な対策であるとは考えていないのであります。したがいまして、今後の国と地方との問題につきましては、あらゆる角度から検討を加えなければなりませんので、政府といたしましては、行財政全般にわたりまして、高度の政策的判断に立ちましてこの調整に努力してまいるつもりでございます。私が家庭基盤の充実でございますとか、田園都市構想を提案申し上げておりますゆえんも、そういった調整に当たりましての一つの政策的道標をみんなでつくり上げていこう、そういう道標のもとでいま行われておるいろいろな政策について反省を加え、配列を考えていかなければならないという問題意識を持っておるからでございます。
 それから、一般消費税の導入問題につきましての御意見があり、御質問がございました。これは財政再建全体にかかわる問題でございまして、秋山さんの御主張になられますように、今日の財政、まことにむずかしい状況にありますことでございまして、何とかしてこれを再建の軌道に乗せなければならない。中央・地方を通じましてそうでございますが、そういうことが国民的課題であることは秋山さんもお認めいただいておると思うのでございます。しかし、そのためには財政全体につきまして歳出の全般的なきめ細かい見直しが必要であることはもとよりでございます。また、歳入につきましても、現行の税体制、税法その他歳入政策全体につきまして十分見直し、そこに不公正が伏在しておればそれを撤去するということにしなければならぬことは仰せのとおりでございます。したがって、政府といたしましては、この国民的課題である財政再建に対処する方針といたしましては、まず、そういうことに努めたわけでございます。
 明五十四年度の予算につきまして、これから御審議いただくわけでございますけれども、われわれは経常的な行政経費を極力抑えてあるつもりでございます。しかし、必要な経費についての財政資金の配分は必得ながらも、全体として経常費の抑圧には異常な決意で見直してあるつもりでございまするし、また、租税特別措置法の見直し、社会保険診療報酬の課税特例の問題、それから有価証券の譲渡益に対する課税の強化の問題、それから価格変動準備金の段階的な整理というような方向に、既存の税制につきましてもあとう限りの見直しをいたしたつもりでございます。これらにはいろいろの御批判があろうと思いますけれども、財政再建への道を直くするためにわれわれは相当努力を重ねてまいりましたつもりでございますので、政府の努力も評価をしていただきたいと考えておるわけでございます。
 しかし、それでもなお巨大な公債発行に依存しなけりゃならない状況でございます。そこで、ことしから早速われわれは新たな歳入政策を考えたかったのでございますけれども、この歳入政策を導入するにつきましては十分の国民の理解が要る、納得が要るという私山さんの御主張のとおり、私どもといたしましては、ことし一年この財政全般につきまして十分論議を深めていただきまして、五十五年度からは何とかこの一般消費税の導入ができないかということで御理解を得べく、これから国会の内外におきまして精力的に御相談をいたしたいと考えておるところでございます。
 それから有事立法の問題、それから早期警戒機の導入、日米共同作戦計画の推進等を急いでおる理由についてのお尋ねでございました。私は、こういうことは政府が当然日ごろなすべきことでございまして、いま国際関係が新たな緊張を呼んでおるからこうしておるというものではないのでありまして、みずから適切な防衛力を保持するというような問題、有事に際しまして防衛庁として常に検討しておかなければならぬ、有事に対する対処方針として常に防衛庁が検討していかなければならぬ問題を検討するとか、それから安保条約の運営に当たりまして安保協議委員会のもとに小委員会を設けまして日米協力を適切にやってまいるというようなことは、日ごろ政府がやらなければならない当然の任務と心得ておるわけでございまして、にわかに政府が計画して手を染めておるものでないことに御理解を賜りたいと思います。
 それから元号問題でございますが、これは国民の日常生活におきまして長年使用されて広く国民の間に定着しておる制度でございまして、かつ大多数の国民がその存続を望んでおるようでございます。政府としては、この事実を尊重いたしまして、元号制度を明確で安定したものにするため、今国会でその法制化を図りたいと考えておりますので、御理解をいただき、御協力を賜りたいと思います。
 それから、先般首相官邸での直接行動がございまして、こういう直接行動に訴えるムードが強くなっておるのではないかということでございましたけれども、私は、御指摘のような直接行動に訴えるムードが強くなっているようには別に思っておりません。しかし、いずれにいたしましても、民主主義社会におきましては、暴力をもって自己の主張を通そうとするのは絶対容認できないことでございます。再び先般のような事件が起こらないよう万全の備えをしてまいるつもりでございます。
 それから、外交問題につきましては外務大臣からお答えがあろうかと思いますが、日ソ外交でございますが、私は、国交が復活して以来二十余年たっておりまするけれども、日ソ間には大変理解も深まり、交流も濃密になっておりまして、その間の日ソ間の関係の進展には満足をいたしております。ただ、北方領土問題が依然として未解決であることは残念でございますが、これにつきましては、しんぼう強くお話し合いを進めまして、この解決を通じて平和条約の締結ということを目指してまいる方針に変わりはございません。
 日韓関係でございますが、とりわけ金大中事件について、私が外務大臣当時関与いたしましたことでございますが、この問題は、秋山さんも御承知のとおり、韓国の公権力が働いてわが国の主権を侵したという証拠が残念ながらつかめていなかったのでございます。したがいまして、政府といたしましては、一応政治的な決着を図りまして、外交関係その他を続けてまいることにいたしましたが、新たな事実が出てまいりました場合には、それに対して当然とるべき措置はとるであろうということは先方にも申し上げておるつもりでございます。したがいまして、現在なお捜査中でございますけれども、新たに公権力がわが国の主権を侵したという証拠が出ていない以上、政府として有権的にこの問題を取り上げる立場にないことは御了承いただきたいと思うのでございます。
 なお、朝鮮半島の平和的統一の問題につきまして、いま南北両当局の間でお話し合いの機運が出てまいりましたことは、われわれも歓迎するところでございます。日本政府としては、これが成功するような国際的環境を形成することにつきまして、応分のお手伝いをしなければならぬと考えております。
 それから、環太平洋構想でございますが、私は、太平洋をめぐる諸国と日本との連帯関係、友好関係を進めてまいることが非常に大事だと考えておりますが、いわゆる環太平洋構想を国会に提案いたしまして御審議を仰ぐほど、まだ熟したものにはなっておりません。アジア・太平洋地域、もろもろの国がございますし、いろいろの個性を持った、発展段階もいろいろ違っておるわけでございまして、わが国との関係も千差万別でございます。したがって、そういう問題についての協力友好関係を推進するという一般的方向を出さしていただきまして、これをさらに深めて、構想にまで深めていくということは、今後検討いたしまして、逐次御判断を仰ぐようにいたしたいと考えております。
 それから経済運営の問題につきまして、七%を簡単に放棄したことは国際不信を招くではないかということ、あるいは自由民主党の間においてこれを共同で受けとめる責任があるのではないかという御指摘でございますが、そのとおりでございまして、これは自由民主党として、自由民主党政府全体として受けておかなけりゃならぬ責任であると考えておりまして、ひとり福田内閣の責任だけではないと考えております。この目標設定、前内閣はこの目標を設定されまして、この目標に沿った政策を鋭意実行してまいりました。補正予算まで組んでその実現に努力してまいったわけでございますけれども、秋山さんも御承知のとおり、内需の方面におきましては、予想あるいは予想以上の成果をおさめたのでございますけれども、去年一年大変に為替市場が変動常ならない状態でございまして、海外余剰におきまして大きな狂いが生じたことでございます。それにもかかわらず、それを何とか内需の拡大で埋めようと前内閣は誠意を持って努力いたしたのでございまして、その努力とその成果につきましては、各国ともそれぞれ高く評価いたしておるところでございます。こういう努力、経済政策の推進、政策目標を放棄したのではなくて、せっかくいろいろやりましたが、結果として、海外事情から、思うに任せなかったというにすぎないのでございまして、私になりましてからも、この政策目標は堅持いたしまして、内需の拡大、市場の開放、緊急輸入の実施、海外援助の拡充等につきまして懸命に努力をいたしまして、わが国の経済の対外均衡を回復するという政策目標に対しまして不断の努力を重ねてまいるつもりでございます。
 それから、物価政策につきましての厳しい御批判も含めての御質疑でございました。秋山さんの主張されまするように、今日までのところ物価はやや安定した基調を保っておりまするけれども、この不安定要因は内外にあるわけでございまして、物価政策に対しましてわれわれは不断に注意を怠らず、厳正な姿勢でこれは対処しなければならぬことは、御指摘のとおりと考えております。したがいまして、生活必需物資の供給の安定を図ること、通貨調節にも十分注意しなければならぬこと、内外の諸物価の動向にも絶えざる注意を払いながら、物価政策には慎重な対処をしてまいるつもりでございます。
 とりわけ、御指摘の公共料金でございますが、公共料金をわれわれは進んで改定しようとはしていないのでございまして、抑えに抑えてきておるわけでございますが、公共料金に関連いたしました会計の状況も考え、国民生活に大きな影響のないような配慮をしながら、最小限度の微調整をやらしていただくということでございまして、進んでこれの改定をやろうというようなものでは決してないことは、御理解を賜りたいと思うのでございます。
 それから、とりわけ石油の今後の需給関係、値段につきまして大変御懸念でございまして、私も全く同感でございます。で、イランの減産に対しましては、幸いに他の産油国の協力を得て、今日までのところ大きな価格の圧迫はないのでございますけれども、しかし、これが長期化してまいりますと、われわれといたしましては十分備えるところがなければならぬと考えております。したがって、短期的には、原油の入手、備蓄の取り崩しで対処いたしますけれども、長期的には、やっぱり節約の推進、それからエネルギー政策、これはたびたび申し上げておりまするように、代替エネルギーの開発、確保等につきまして精力的な推進を行いまして、対応してまいるようにしなければならぬと考えております。
 以上御答弁申し上げましたが、雇用政策、農政その他答弁漏れの点につきましては、所管大臣から御答弁を願うことにいたします。(拍手)
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。
 まず第一は、日ソの問題は御発言のとおりでありまして、国民の固い合意、揺るぎなき決意のもと、困難ではあるが粘り強く不断の努力を続けなきゃならぬことはお説のとおりであります。
 日ソの定期外相会議は、昨年一月モスコーで、昨年九月国連総会に出席した機会をとらえて、グロムイコ外務大臣と直接会いました。日本に訪日をし、定期会議をしていただくよう強く要請をしてございます。グロムイコ外相は、喜んで承諾をするが何月何日にという約束をするまでには至らぬと、こういう話であります。さらに続けて強く要請をするつもりであります。
 なお、事務的な諸般の協議はそれぞれ、わりに順調に進んでおりますので、こういう問題を一つずつ現実に積み重ねつつ、日ソ友好関係を深めていきたいと考えております。
 朝鮮半島の平和がわが国にきわめて重大な影響があり、重大な関心を持つことはこれは当然のことでありまして、近く南北の間で対話の徴候があらわれたことは同慶の至りであります。ただし、北と南の言い分は本質的にまだ差がありまして、一方は政府間同士の対話を主張し、一方は政党、民間、各層の対話を主張するなど、本質的には隔たりがありますものの、一方が声明を出せば直ちに一方はこれにこたえ、一方がこたえれば直ちにこれに一方が声明を出すという敏感な反応ぶりは、歓迎すべきところでございます。わが国としては、米中関係、日中関係の変化をてことして、この南北の対話ができる環境づくりに努力をする考えであります。しかし、まだ現在のところ、朝鮮民主主義人民共和国をわが国が承認する段階には至っておりませんので、承認する考えはございません。
 次に、ベトナムの問題でありますが、ベトナムが覇権であるかどうかは別といたしまして、武力をもって物事を解決せんとし、あるいはまた、他国に軍隊を進め、内政干渉するなど、これはあえてわれわれが賛成せざるところでございまするから、ベトナムには強く要請をいたしてございます。なお、ASEANの国々ともよく相談をし、今後の動向を見守るつもりでありますが、この援助につきましては、五十三年度分は御承知のとおりすでに約束済みのものであり、動き出しております。これから先の問題は、今後ベトナム、カンボジアの動向を見きわめつつ、ASEANの国々とも足並みをそろえ、慎重にやる考えでありまするが、いずれにいたしましても、このインドシナ半島が平和と安定の方向に、現地の両国の話し合いによって解決するよう努力をしたいと考えております。
 最後に、昨年ASEANの外相会議に出席をした際、ASEANの外務大臣の各位から、ちょうどいまの発言のとおり、日本は国際会議に出てもASEANの味方ではないではないか、大国寄りではないかという具体的な発言がございました。そこで私は、これに対して、今後は十分注意をし、日本の外交方針を一変するということを言明いたしました。以来、いろんな国際会議、あるいは各国と会談する際には、事前にASEANの国々の意向を聴取し、会談が終われば直ちにその内容を電報、あるいは文書、あるいは使いをもって通報いたし、先般のボンのサミットにおきましても、共同基金、一次産品、所得安定の問題等で、強くわが国の総理が主張をし、共同宣言の中に取り入れ、いま進行中ではありますが、ASEANの国々は、過去一年間日本が外交方針を切りかえ、ASEANの一員として活躍することにきわめて満足であり、同時に大国は、アジアにおける日本の役割りを信頼をして種々相談をしている状態でございます。今後ともこの方向を邁進する所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣金子一平君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(金子一平君) 秋山さんにお答え申し上げます。
 御質問の第一点は、公共事業予算の中身が道路、港湾等が中心だが、小中学校の木造校舎の鉄筋化や地方の中小都市の上下水道など生活関連部門に重点を移したらどうかということでございますが、これは全くそのとおりと考えておりまして、公共事業予算の配分も、道路、港湾というよりも、むしろ上下水道、環境衛生、公園というような生活環境の整備に最近重点を移しておることは御高承のとおりでございます。また、小中学校の校舎でございますが、これは、ことしも相当思い切ってふやしておりまして、前年対比の数字で申し上げますると、二九・一%増というようなことでございます。特にまた、社会福祉関係の施設につきましても、福祉施設費は三二・七%の増とか、保健医療施設は二八・〇%の増というようなことで、こういった方面に漸次予算の増額をしておることを申し上げておきたいと思うのでございます。
 それから次に、国債が増発され、公共料金も引き上げられることによって、かつてのような狂乱物価を再現しないかという御質問でございまするけれども、国債の大量の増発に対処するために国債管理政策の適切な運用をやってまいりたい。特に資金運用部資金を動員いたしましたり、あるいは公募入札の国債の額をふやしたりするようなことによって完全消化を心がけております。
 それから公共料金につきましては、先ほど総理からお話がございましたけれども、いま考えております公共料金の引き上げによる物価への影響は〇・八%程度、OPECの引き上げというようなものがいろいろありましても、本年度の消費者物価四%が四・九%程度の引き上げになるかという経済見通しでございまして、決して今日の情勢で狂乱物価、インフレというようなことの事態になるとは考えておりません。しかし、マネーサプライ等の動向につきましては十分に注目をいたしまして、物価の動きに適切に対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
 それから最後に、大蔵大臣はかたい決意で税財政制度の抜本的改正を断行して、国債整理に全力を尽くすべきであると思うがどうかというお話でございますが、これは総理からかたい決意を表明されております。全くそのとおりでございまして、繰り返して答弁を申し上げません。ただ、その際、一般消費税の導入というような問題が、好むと好まざるとにかかわらず、当然これは検討課題として出てまいりますので、どうか秋山さんにも御協力をいただきたい、お願いを申し上げる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣栗原祐幸君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(栗原祐幸君) 秋山先生にお答えをいたします。
 雇用情勢がきわめて厳しいことは御同感でございまして、そのために、政府といたしましても、五十四年度の予算で緊急雇用対策を盛り込んで、雇用の増大に努めているところでございます。
 御指摘の定年の延長でございまするけれども、私どもは、定年の延長によりまして雇用の増大あるいは維持ができるという観点から、六十歳定年を目指しまして行政指導を徹底していきたい、こう考えております。
 また、週休二日制とか時間短縮等の問題も、長期的に見ますと、これは雇用の維持あるいは雇用の拡大につながる問題でございますので、これまた行政指導として推進をしていきたいと考えております。しかし、定年延長にいたしましても、また、年齢差別禁止にいたしましても、これは、現代の日本の賃金慣行といいますのは年功序列的になっております。この慣行が定着しております現代では、直ちに法律によって定年延長をしよう、あるいは年齢差別禁止をしようということは適当ではないのではないかと考えております。
 なお、解雇制限についてでございますけれども、経営上の理由によりまして解雇する問題につきましては、きわめてデリケートな問題でございまして、実情というものをよくわきまえなければならない。実情を一番よく知っているのはだれかというと、労使でございますので、これは労使の話し合いにまつべきものであって、直ちに法的規制をすべきものではない、こう考えております。
 それから、病院、保育所等の増設についての御質問でございますが、この問題についてはわれわれはこう考えております。社会福祉とか促健医療施設の整備、社会福祉事業の充実等は、国民福祉の増進のために積極的に推進することは当然であるが、このような施策は雇用の拡大にも資するものであるので、そのような点も考慮しつつ、今後ともその充実に十分配慮してまいりたい所存でございます。
 それから官民共同出資の雇用創出機構の問題でございますが、いま日本は、政府だけで雇用創出が十分できるというものじゃございません。政府も一体となってこれに取り組みますけれども、官民の大ぜいの方々の御意見を承って雇用創出を図らなきゃならぬ、そういう点につきましては全く同感でございまして、私ども、五十四年度の施策でも、総理大臣を中心として、各界、各業種の方々、労働者側の方々、あるいは使用者の人たち、すべての知恵を寄り集めまして雇用創出ということについて真剣に考えてまいりたいと思っております。ただ、この創出機構、官民共同の出資による共同創出機構というような新たな機構の創設につきましては、いろいろ問題がございますので、その趣旨を生かすような方途をいま検討しておる次第でございます。そういう意味合いにおきまして、検討をお待ちをいただきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(渡辺美智雄君) 秋山さんの御質問にお答えをいたします。
 要約をいたしますと、一つは、農村の若年労働力を農村に定着させるようにしなさい、もう一つは、雇用面から農業政策というものを再検討すべきではないか、こういうような御質問と承ったわけであります。私も非常に大賛成でございます。せいぜい努力をいたしますが、しかしながら、これは相反する非常にむずかしい問題も実は抱えておるわけであります。と申しますのは、農村から若い人が逃げ出してしまう、後継者がいないというのはどういうことか、いろいろございますが、結局、他産業との所得の格差の問題、あるいはいろんな、住みよさ、文化の問題、こういういろんな問題があるわけでありまして、それをなくすため、定着させるためには、農村の近代化、合理化、規模拡大を図れと、こういう議論が一方にあるわけです。そうしますというと、このことは結局就労人口が少なくなるということで、逆なことに実はなってくるわけであります。昨年は、ちょうど製造業者の就労人口が十四万人減りました。ところが、農村はほとんど減らなかった。結局、不景気なものですから、ほかに就職口がない、したがって農村にとどまったために農村の人口は減らなかったと、こういう現象が出ておるわけであります。しかし、これではぐあいが悪いわけでありまして、やはり何と申しましても、農村にとどまりながら所得の増大が図れると、こういうような形での雇用の増大というものを考えていかなければならないわけでございます。そのために、御指摘のように、日本で不足しておるえさを初め、それらの国内でつくっておらないもの、不足しておるもの、そういうようなものをつくっていただくためにいろいろな創意工夫をこらしてまいる所存でございます。
 それからもう一つは、何と申しましても、所得だけではなくて、農村が住みよい生活の場所である、そういうようにしなければならぬと、こういうような観点から、いろいろ農村に対しまして、青少年の研修の問題とか、あるいはまた地域の後継者対策についてのいろいろな施策、そういうことをやっていかなけりゃならぬと、こういうようなことで、新年度予算におきましても、御趣旨のような趣旨で、むずかしい問題を抱えておりますが、できる限りその趣旨に沿うように万全の努力をしてまいるつもりでございます。
 以上でございます。(拍手)
#15
○議長(安井謙君) 答弁の補足があります。大平内閣総理大臣。
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(大平正芳君) 若干の答弁漏れにつきましてお答えいたします。
 第一は、グラマン問題の究明につきまして、国会決議があれば、これにどう対処するかということでございます。国会決議は尊重して、政府としても協力をする所存でございます。
 それから第二は、改憲問題、憲法改正問題についてのお尋ねでございます。わが現行憲法自体が改正規定がございまして、この現行憲法といえども不磨の大典でないと承知しておりまするけれども、国民の間に改憲の機運が熟成いたしておるとは承知しておりませんので、私どもとしていま改憲につきましては考えておりません。
 第三の日韓米癒着究明についてのお尋ねでございます。日韓米の癒着ということの内容を秋山さんがどのように考えられておるかは承知いたしませんけれども、私は、どの分野におきましても疑惑があり、不正があるということでございますれば、これに対する究明を怠ってはならないと考えております。
 それから、六・三%の成長目標を一応決めたが、これの達成に自信ありやということでございます。これは、最近御承知のように、経済がやや明るさを増してまいりまして、最終需要は堅調でございます。在庫整理も進んでおりまして、設備投資にやや動意が見られかけておりまして、私どもといたしましては、経済の展望としてやや明るさが増してきたのではないかと見ておりまするし、民間の諸機関もそのように見ておるようでございます。で、私どもとしては、内外に大きな条件変化がない限り、この目標は達成できるのではないかと見ております。
 それから雇用政策については、労働大臣にお答えをいただいたわけでございますが、これは、申すまでもなく、今日の一番重要課題の一つでございまするし、五十四年度予算の中核的な政策の一つでありますことは申すまでもないわけでございます。私どもといたしましては、民間との協力と相まちまして、政府のあらん限りの力を動員いたしまして、増大する労働人口に就職の機会を創出せにゃなりませんし、企業内の雇用の維持も図っていただきますように、景気の回復を図らなければなりません。
 で、現実に労働情勢を見ておりますと、中高年齢層に一番厳しくあるようでございますので、この点に焦点をしぼりまして、いろいろな政策を相当きめ細かく配慮をいたしておりますので、今度の中高年齢者中心の雇用政策につきましては相当の評価がいただけるのではないかと考えております。
 雇用創出機構の問題につきましては、先ほど労働大臣からも御答弁申し上げましたとおり、機構を新設するということ自体には若干問題がございますけれども、衆知をしぼりまして、雇用創出のためにどのようにしてまいるかという具体案につきましては、十分経済界、労働界それぞれと相諮りながら、御希望に沿うような方向で努力をしたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(安井謙君) 安田隆明君。
   〔安田隆明君登壇、拍手〕
#18
○安田隆明君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、昭和五十四年度予算案の内容を踏まえつつ、政府に対し若干の質問を行いたいと思います。
 まずもって、わが党内のこととは申しますものの、開かれた近代的総裁公選の道程の中から、今日大平新総理の誕生を迎えるに至りました。
   〔議長退席、副議長着席〕
 大平総理に寄せる国民の期待はまことに大きなものがございますし、国民もまた、総理の壮大な政治理念に大きな共感を呼び、内閣の支持率も、国民世論調査によりますれば、きわめて高率であることに限りない喜びを覚えているものであります。国民の期待にこたえる総理の責任は、総理みずからがかみしめておられることでありましょう。
 総理は、先日の施政方針演説において、大平政治の方向を鮮明に述べられました。その意味するところは、経済中心の時代から文化重視の時代への移行ということであります。
 物質文明自体が限界に来ており、これまで忘れ去られておりました心の安らぎ、人間の内面なるものを見直そうという御所信でございます。また、総理は常日ごろ、甘い幻想を国民に与える政治ではなくして、政府も国民とともに苦楽を分かち合う政治と申されておりますが、こうした「信頼と合意」の政治にこそ、むしろ国民は共感を覚えるものであります。さらにまた、活力ある日本型福祉社会の建設の中にも、文化の重視、人間性の回復を基本理念として、家庭基盤の充実と田園都市構想の推進に高い識見と情熱を燃やされております。国民は、総理のこの所信に大きく刮目して、その実現を待望しております。
 以上、総理の政治姿勢につき、一、二を申し上げたわけでありますが、この政策の展開に当たりましては、容易なことではなく、国民の理解ある協力を求めなくてはならないのは当然でございます。さて、このことに取り組まれます総理の御決意のほどを承りたいのであります。
 次に、内政の柱とも言うべき田園都市構想と地方行財政についてお尋ねいたします。
 総理は、田園都市構想の中で、都市の持つ高い生産性と豊かな田園の自然を高次に結合させて、健康でゆとりのある田園都市をつくり、この田園都市を中核とする地方生活圏を全国的に展開することによって国土の均衡ある発展を図ると、こうおっしゃっておられますが、まさに特性を生かした地域づくりと都市基盤の再構築に合致した理想的な構想であると思います。最近の大都市集中から地方分散型への人口移動や、都市での新しいコミュニティーづくりの試みなどを見るにつけ、昭和四十六年以降、一貫して主張されてこられました総理の先見性を高く評価をいたすとともに、この田園都市構想の実現に勇断をもって取り組んでいただきたいのであります。
 そこで、総理にお伺いいたしたいのでありますが、さきに決定されました三全総のいわゆる定住構想と田園都市構想とはどのような関係になるかということであります。人口二十万人から三十万人の田園都市を中核とする地方生活圏の展開をお考えのようですが、新全総で新広域市町村圏をつくり、三全総で定住圏を提唱し、いままた新たな地方生活圏をつくろうという、こういうことは、その取り組み方に対し、いかに対応するかが問題であります。地方制度調査会におきましても論議されたところでございます。私は、すでに十年を経て、地方に定着している広域市町村圏構想、これを基礎にして、全国的な基盤整備を進め、あわせて拠点となる地方都市を重点的に整備する、これで田園都市構想の実現を図っていくこと、これがより現実的な取り組み方である、こういうふうに思っておるのであります。いかがなものでしょうか。
 また、この構想は、単なるハードな国土づくりではなくして、地域的特性を生かした教育、文化、さらには、各種制度の改革も含んだ新しい社会づくりのものと理解しております。ハードなものではない。御所見をお聞きいたしたいのであります。
 また、総理は、構想の中で、税財源、教育文化機能、福祉等の行政機能を大幅に地方に移譲すると申されておりますが、従来どおりの縦割り行政、予算の増分主義、補助金政策では、十分その意図するところをくみ取れないと私は思いますが、いまこそ地方自治体の創意とイニシアチブに期待して、個性のある地方づくりをするためにも、地方公共団体への権限移譲がその大前提とならなくてはなりません。総理の御所見を承りたいのであります。
 大学一つとりましても、三大都市圏の三百二校中五十九校が、移転の計画ないし希望を持っております。他方、二百五十の市町村が大学誘致の意思を明らかにいたしております。機は熟しておりますので、隗より始めよということわざのごとく、総理の強力なリーダーシップを望むものであります。
 国家財政は、昭和五十四年度一般会計予算で見ましても明らかなように、三九・六%の公債依存率であります。また一方、地方の財源不足額は四兆一千億にも上っているのであります。このような厳しさの中で、この田園都市構想を実現させるためには、財政の仕組みをも考えなければなりません。私は、地方独自の税財源の充実強化や、このまま避けて通ることのできない地方交付税率等も、この際こそ見直し、検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 これからは地方の時代であると言われております。それは、単に中央に対する地方という図式であらわされるようなものではなくして、もっと人間性に根差した地方行財政の発想でなくてはなりません。田園都市構想は、その思想において十分国民の期待にこたえるものと信じております。重ねて、これが実現に向けての総理の御所見を承りたいのであります。
 次に、外交問題についてお伺いいたします。
 ベトナム戦争の余韻もまださめやらぬインドシナ半島で、再びベトナム・カンボジア間に紛争が起こって、緊張が高まっております。まことにこれは不幸なことであります。そこで、わが国の東南アジア政策が、ASEANとの協調連帯とともに、インドシナ諸国との平和共存関係を促進するという外交姿勢にあるとするならば、わが国として、このカンボジア問題を含むインドシナ半島の情勢にどう対処されるのか、過去にいろいろと経緯を持っておりますベトナムへの経済援助問題と、今日非常に心配しておる難民問題及び先日のタイ国首相の訪日に伴う同国への大幅な経済援助増額にも関連いたしまして、政府の御見解を承りたいと思います。
 また、本年は、元日をもって米中国交回復という世界史の上でも特筆すべき新局面を迎え、一方また、六月にはアジア初めての先進国首脳会議が東京で開催されようとしております。米中正常化がアジアの緊張緩和に寄与するよう期待いたしますとともに、わが国外交が日米関係を基軸にしていく限りにおいて、中ソ両国との関係には最大の配慮が必要であり、米中ソ三極の狭間にあって独自の平和外交に徹する姿勢をさらに訴えていかなくてはなりません。この間に処します総理の御所見をお伺いいたします。
 また、東京サミットを実り多きものにするためにも、まずもって東京ラウンド交渉の早期決着、経常収支の黒字幅縮小、積極的な経済協力など、なすべきことが非常に多いと思いますが、五月に開催予定のマニラでの国連貿易開発会議に向かって、その対応等を含めまして、政府の姿勢をお伺いいたします。
 また、ボン・サミットでのわが国経済成長率目標をめぐっていろいろ論議を呼んでおりますが、東京サミットに向けて、招請国としての立場から、いかなる抱負と方針を持って臨まれるのか、総理にお伺いいたします。
 一方、中東に目を転じますとき、私は、わが国のエネルギー政策から見ましても、イラン情勢の動向は、ひとり主要産油国の石油供給の減少のみならず、周辺産油国に与える影響ははかり知れないものがあろうと思います。わが国の最大の石油輸入国であるサウジアラビアの石油増産が将来とも安定して行われるという保証を得られない今日、政府は、この中東の政情不安の中でわが国の一次エネルギーの七〇%を占めている輸入石油の安定的確保にどう取り組むのか、その見通しと対策についても総理にお尋ねいたします。
 戦後、国際紛争と緊張の中で、ひとりわが国は、一切の紛争、混乱に巻き込まれることなく、平和と繁栄を維持して今日までまいりました。これは、秩序正しい民主政治、活力ある経済運営を背景に、自衛力の整備と日米安全保障条約を堅持してきたからにほかなりませんが、今日、世論調査で八〇%以上の国民が自衛隊を理解しているという事実一つとりましても、現行安全保障体制がいまや国民の合意となったという総理の御認識は正鵠を射ているものと言えましょうし、われわれの先輩が選択しました防衛政策に誤りがないものと確信いたしておるわけであります。
 総理の述べられているとおり、日本の平和と安全を確保することは政治の最大の責務であり、真の安全保障は、防衛力のみならず、世界の現実に対する冷厳な認識に立って、内外全般の秩序正しい、活力ある展開を図る一方、平和な国際環境をつくり上げるための積極的な外交努力が不可欠であることは申し上げるまでもないことであります。
 しかしながら、米中正常化など、わが国を取り巻く国際情勢の中で、単に従来の考え方だけでは国際関係の変化に対応していけるかどうかということであります。本日の各紙が報道するところによりまするというと、わが国の固有領土である国後、択捉、ここにソ連が本格的な地上部隊を配置する、そして国際軍事情勢は重大な変化をしておる。このようなソ連の軍事力の増強、アメリカのアジア離れ、そして少なくともわが国が経済的には主要国に仲間入りしたことで、みずからの相当分の国際的責任は回避できないものと考えているのであります。
 また昨今、有事体制の問題が論議を醸しておりますが、防衛政策の確立というのは国家民族存亡の根幹であります。防衛力につきましても、常に国際情勢に対応し得るような戦略的な観点から、もっと堂々と国民の前に開かれた論議が必要なのではないでしょうか。現に国民にも、それを受け入れるだけの土壌はすでにできていると私は理解するものであります。わが国の防衛力整備について、その基本的姿勢を総理にお伺いいたしたいのであります。
 次に、今後の経済財政運営についてお尋ねいたします。
 現在、わが国の経済は、長期の不況からようやく立ち直って、本格的な回復の足がかりをつかもうとしております。しかし、先行きは決して楽観を許さないものの、ここ数年に及ぶ政府の積極的な財政金融政策の展開によって、民間投資の動きを初めとして、内需も盛り上がりつつあります。これをさらに確実なものとして、安定成長への軟着陸を図る、景気対策の総仕上げをする、これこそ五十四年度経済の基本目標であり、課題でなければなりません。このような観点から、大平内閣が六・三%程度という成長率を経済政策の目標に設定されましたが、世上、新内閣が成長率に余りこだわらない、こういうふうに申されておりますことから、低目の経済政策運営を意図するかのごとき論調がないわけでもありません。
 今日、わが国の経済は、安定成長を基本として、国民のニーズにこたえる活力ある日本型の福祉社会を目指すため、なお当面、ある程度高目の成長を確保していくことも必要でありましょう。その際注意すべきは、民間経済の実態を十分に把握されまして、目標達成だけのために財政や金融に極端な犠牲を強いることのないように、バランスのとれた政策運営が肝要であります。申し上げるまでもないところであります。民間の調査機関によれば、六・三%の達成を困難視する向きがありますけれども、経済成長率は国の重要な経済政策の尺度であるだけに、これの大きな偏差は許されません。総理は、この目標達成のためにどのような経済環境と条件を整えられるのか、そのお考え方と決意を明らかに願いたいのであります。
 次に、景気対策と昭和五十四年度予算の関係であります。
 苦しい財政事情の中から、政府は、公共事業費二〇%、雇用対策費一四・四%、社会保障関係費一二・五%などなどと、景気対策、雇用、福祉に力を入れた反面、経常経費については一けた台の伸びにとどめるなど、その内容にはしっかりしたアクセントを置いた、私は「量から質への充実」と、こういうふうにふさわしい性格の予算に転換したものと評価するわけでありますけれども、全体的な規模としてはやや不足、こういう声もないわけでもありません。今後の景気動向は非常に厳しい、万一、景気回復が芳しくない、こういう場合も想定されます。そのときには速やかに昭和五十四年度の予算案に組み込まれているところの公共事業予備費あるいは財投の弾力的な運用をすることは、これは当然でありますけれども、要は、いままでは、後追いになる、こういう声を皆様方耳にしているわけであります、財政の機動的な運営を図るということでなくてはならないわけであります。大蔵大臣の見解をお伺いいたします。
 安定成長軌道への定着とともに今日重要な課題は、財政の再建であります。政府は、ここ数年来、赤字国債を含めて歳入の三割以上を公債に依存するという政策運営を行ってまいりました。これは、石油ショックに始まる長期不況の克服と、世界景気回復のための牽引車としての日本の役割りを果たすため、さらにはまた、社会保障を中心とする国民の強い福祉充実の意向を反映したもので、これはもうやむを得ない対応策、こういうふうに私は理解いたしております。しかし、この結果招来した高い公債依存度のもとでの財政というものは、まさにこれは危機的状況と言えましょう。この際、歳入構造の抜本的見直しをすることが当然求められるところでありますが、いろいろ苦心の跡を私も理解しております。しかし、新たな税目を起こす、これは容易なことではございません。いろいろ先ほど来お話がございました、国民の合意に基づくためには、十分な準備、慎重の上にも慎重な検討を必要とすることは論をまたないところであります。これにつきましては十分な配慮を強く要望いたすものであります。
 資源小国のわが国にとって、世界経済の中で世界第二の経済大国として生き得る道があるとするならば、何よりも国際経済との調和を図っていかなければなりません。しかし、近年、対米、対ECなどの間に経済政策や国際貿易等をめぐって、ともすれば緊張がないとは言えないのであります。時あたかも、本年六月に東京で第五回のサミットが開催されることはさきに申したとおりであり、何としてもこのサミットを成功に導くことが大平内閣の最大の懸案と言わなければなりません。
 従来、日本は、先進国の中で最も高目の成長を図るなど、それ相応の評価がなされてしかるべきと思いますが、反面、諸外国が望む国際収支の黒字縮小については、遺憾ながら実績が常に政府見通しを大幅に上回っておるのであります。貿易自由化もさることながら、当面、資本収支面において徹底的な改善を行い、黒字縮小に努力しなくてはなりません。これがために、私は、資本取引の自由化、ODA等対外援助や対外投融資を飛躍的に拡大させるなど、あらゆる方途を講ずべきであると思います。これに対する御所見も大蔵大臣からお伺いいたします。
 次に、先ほど来いろいろお話がございました雇用対策についてであります。
 総理は、雇用の機会の確保と国民生活の安定は最も重要な政策の課題であると申されました。最近、わが国経済は緩やかながら回復基調を見せておりますけれども、雇用情勢は、昨年十二月の段階で、完全失業者は実に百十六万人、有効求人倍率〇・六三と、依然厳しい状況が続いておるのであります。しかも、雇用、就業の伸びが労働力人口の伸びに追いつけない、さらには造船業等構造不況業種から多数の離職者の発生が懸念される中で、必然的に失業者の増大傾向は避けられない様相であるわけであります。政府は、これまでいろいろの施策を講ぜられ、その対応に苦しんで努力してまいりましたが、遺憾ながら経済政策の後追い的な面がなしとは言えないのであります。今後の雇用政策というものは、経済政策との密接な連携のもとで、産業構造の変化に対応した将来への展望に立ったものでなくちゃならない、こう私は思うのでありますけれども、労働大臣に御所見を伺います。
 次に重要な点は、中高年齢者の雇用対策、これでございます。昨年十月の職業安定業務統計によりまするというと、十九歳以下の有効求人倍率が二・二四倍、これに対しまして、高年齢者に至りましては何と〇・一三倍、五人に一人しか就職ができないと、こういう状況でございます。中高年齢者の雇用は、経済的の理由、それだけではなく、肉体的にも精神的にも健康の保持、いわゆる生きがいの場、これを提供するという意味からも、これは真剣に検討されなくてはなりません。今後は、一家の柱である中高年齢者の優先的な雇用を図るということも含めて、強力な施策が要求されております。高齢化社会への移行に当たって中高年齢者対策をどう推進されるのか、定年制延長問題も含めて、その具体的内容をお伺いしたいのであります。
 次に、雇用の創出でございます。
 失業の防止と相まって、雇用の創出はきわめて重要でありますが、産業構造の転換や生産性の向上によりまして、雇用環境の変化をもたらしております。今後、雇用吸収力を期待すると、こうなりますれば、いろいろ先ほど来話がございました、第一にはエネルギー資源の開発、先端的技術の研究開発プロジェクトの推進、そしてこれの企業化、ここに雇用の増大を認めることができないであろうか。第二には、第三次産業、とりわけ医療、福祉、教育、情報、これも、先ほどお話がございました消費者ニーズに対応した各分野の一層の開拓が必要と思われます。周到な誘導政策を今日求められていると私は思いますが、政府は、これら産業構造の変化に対応した新しい雇用創出についていかなる政策をお考えでありましょうか。
 就労の機会を得ることは、人間生存の原点であります。五人に一人しか働けない中高年齢者の雇用状況は、これは一刻の猶予も許しません。労働大臣は、政府、地方公共団体、企業、労働組合、各方面の協力体制をつくると申されておりますが、どのような構想をお持ちであるのか、この際お示し願いたいと思います。
 次に、農業問題でございます。
 今日、わが国を取り巻くところの農業環境は、きわめて厳しい多難な情勢にあることは申すまでもありません。農業は国の大本であり、総合食糧の自給確保を基本とするところの農政の確立は、これは国家的重大な課題でもございます。しかし、私は、いま山積する諸問題の中で当面の課題の一つは、米の供給過剰に基づく減反政策がその一つでありましょう。その一つは、自由化の中での外圧攻勢にいかに対応するかということであります。
 水田利用再編対策の根幹をなすものは、何と申しましても、土地基盤整備事業の拡充強化でなくてはなりません。私は、かねがねこういうふうに考えております。本当にこの利用再編対策というものを実りあらしめるためには、土地基盤整備事業というものを幹として、それに今度価格政策あるいは制度金融、こういうものを枝葉とした、こういう姿が真にこれは望ましい姿、理想の姿、これはもうおわかりのとおりであります。そこで、私は今日、土地基盤整備について、その運営について、いささか疑問を持っているものであります。その内容について、補助金について、金利について、果たしてこのままでいいだろうかどうか、本当にわれわれが命題として掲げております再編対策が真に農村に定着するためには、この際見直すべきではないでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 また、国際収支の黒字解消をめぐって矢面に立っておるのが柑橘類を初めとする農産物の輸入自由化の問題でありますが、政府の国際的外圧に対する努力は、その労を私は多とし、農民もまた、その努力に深い理解と大きな期待を寄せております。この点につきましては、強くわが国の立場を訴えまして、そして輸入拡大品目に対するやはり心の通った手厚い手当てを、対応をわれわれは期待するものであります。農林水産大臣の御見解を承りたいと思います。
 われわれ民族のふるさととしての農村を豊かに築く、次代を担うところの若者たちが土地を愛し、誇りを持って生産活動に励めるためにも、いまこそ総合的展望に立った農政の展開を求めております。こういう立場から、私は、かねがね議論されておりますところの基本法の見直し、これを真剣にこの際検討されてしかるべきだと、こう思っております。政府の御所見をお願いいたします。
 なお、先般総理は、世界的な二百海里時代の本格的な到来のために、漁業外交の積極的展開・沿岸・沖合い漁業の振興にさらに力を注ぐとともに、国土の保全と林業の発展のため十分なる林産業対策に配慮をすると申されました。強力な施策の推進をあわせて要望いたします。
 次に、中小企業問題であります。
 わが国の中小企業は、人口構成の三分の一を占め、わが国の産業の基盤であることは重々御承知のとおりであります。そして、五十四年度の予算を見まするというと、これはわずか〇・六%、私はここに悲しみを覚える者の一人であります。しかし、問題は――よくよくきめ細かくやっておられます、政府も。ここで私一つだけ申しますが、今日本当に中小企業が、なかんずく零細企業が何を求めているであろうか。真に求めているものは、心の通った温かい、きめの細かい、思いやりのある指導体制ではないか、私はそう思っておるわけであります。そのためにも、中小企業団体中央会、商工会、商工会議所等の指導体制をさらに強化するよう、私は一層の努力を望んでおきます。
 次に、教育問題について二、三お尋ねいたします。
 いま、親たちが一番頭を痛めている問題は、子供の教育であります。国の将来、民族の将来を考えるとき、教育は何をおいても優先されなければなりません。政府は、ゆとりのある個性豊かな充実した教育を基本方針に掲げまして、その一環として、従来より進めてまいりましたところの学級の定員削減も、四十人に向けて一歩前進しつつあるようにも承っております。しかし、盛りだくさんなこの学習内容を理解するだけでも精いっぱい、あるいはそれすらできない、いわゆる落ちこぼれの出ている現状を見るにつけましても、次代を背負う若者たちに創造の世界を期待することが果たして可能かどうか。学校教育が理解と創造をもとに日本人の心をはぐくみつつ国際性豊かな人間性をつくるには――そういうこととするならば、いまこそ、教える者、学ぶ者、両方に立って、学校教育法等の再検討をしてしかるべきと思う。具体的にどう取り組まれるか、文部大臣に御所見を承りたいのであります。
 また、先日は国公立大学の共通一次試験が行われました。受験地獄を解消するためには、まず、その頂点に立つところの大学入試制度の改善が急務ということで注目を浴びた制度でもありましたが、果たして高校教育の正常化、大学間の格差の解消、是正、その当初掲げた目標に向かっているかどうか、どうお考えなんでしょうか。
 結果は、共通一次試験の評価に、足切り問題を含めて各大学の対応に大きな相違が見られます。これでは、現在の入学試験制度が単に複雑化しただけであり、さらには共通試験特有の受験技術が要求される、こういう異常な方向にあるような気がいたします。私は、この共通一次試験を私立大学を含めて大学入学資格試験に位置づける、これが必要であろう、こういうことを考え、求めているものであります。これにつきましては、文部大臣も就任早々意見を発表されておられるようでありますが、この際、その御見識を御披露願いたいのであります。
 次に、国際バカロレアについてお伺いいたします。
 近年、国際交流が活発になってまいりました。わが国でも帰国子女の教育についていろいろ問題が起こっております。早急に国際バカロレアに参加する必要があろうと思いますけれども、いかがなものでしょうか。
 また、昭和五十四年度の予算案で放送大学がいよいよ実ってまいりました。国民の高等教育に対する要望、期待を担うものとして高く評価いたしております。しかし、総理府の五十二年度調査によりますると、勤労者の八三%が知識、技能を高めたい、これを望んでいるという、国民の生涯教育への強い希望があることを考えるならば、放送大学とともに、政府は、いま一度、社会へ出た者を再度受け入れる再教育システム、この導入について私は考慮すべきと考えておりますが、文部大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、運輸行政の中できわめて大きな問題となっております新幹線問題について、いささかお伺いいたします。
 本問題の経緯につきましては、総理は十分御承知と思いますけれども、建設促進につきましての地元の要望は長年にわたってきわめて強く、ことに景気の回復と内需の喚起が重要な国策として取り上げられるに至り、その声はますます強くなってまいりました。これら五線は、三全総の骨格をなし、後進地域との格差を是正する上にも欠くことのできない国家的事業であります。つきましては、速やかに所要の財源措置を決定して工事に着手せられることが緊急かつ適切なものであると考えますが、総理の御決意のほどをお伺いいたします。
 婦人問題につきましてお尋ねいたします。
 国民の半数以上を占める婦人の地位高揚と政策参加の必要性は、かねてからよくよく指摘されているところであります。総理は、婦人問題企画推進本部長を兼任され、本問題に取り組んでおられますようですが、明年デンマークで開催されますところの「国連婦人の十年、一九八〇年世界会議」にわが国としてどう対処されるのでしょうか。
 また、政府機関の審議会、あるいは婦人の公務員の採用、こういうところにも積極的な姿勢を示していただきたい、これに十分配慮すべきだと思いますけれども、いかがなものでしょうか。
 最後に、元号法制化について一言申し上げます。
 由来わが国は、悠久の歴史の中で国家民族が生々発展してまいりました。ふるさとにはふるさとの歴史があるし、家庭には伝統ある家風の中で、国家社会というものが落ちつきを形成してまいりました。元号もまた、古来わが国の歴史の中で伝承され、暮らしに定着したとうとい文化的遺産であり、かえがたい歴史的遺産でもあるわけであります。いまや、四十六都道府県が、そしてまた一千有余の市町村が、立法化促進の決議をなされている現況を見ましても、これに法的根拠を与える、これを後世に守り伝えることは、これはわれわれの世代に課せられた重大な責任であろうかと思います。今国会の提出に当たり、早期成立を切に願うものであります。
 以上をもちまして、私の代表質問を終わります。総理及び関係大臣の親切な御答弁を期待いたします。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(大平正芳君) 政策の展開に当たっては困難なものがあるので国民の理解と協力を求めなければならぬが、決意のほどはどうかという御質問でございます。私は、施政方針演説でも申し上げましたとおり、政府みずからが謙虚な姿勢で真実を語り、困難を訴えて、政策の展開に当たりましては、より広い国民のコンセンサスを求めてまいるよう努めてまいるつもりであります。
 第二に、田園都市構想につきまして幾つかの御質問がございました。
 この田園都市構想と申しますのは、私が提唱いたしておりまするものは、既存の政策にかわって提唱をしておるわけではないのでありまして、既存のもろもろの政策がございますけれども、この構想に照らして、姿勢を正したり、重点の置き方を変えたり、配列の仕方を直したりしながら、みずみずしい、ゆとりのある、落ちつきのある生活空間を大都市から農山漁村に至るまでつくり上げようという政策構想でございます。したがって、安田さんの言われる第三次全国総合開発計画はこれとの関連におきまして矛盾するものではなく、この田園都市構想の一つのサブシステムとも言うべきものと心得ております。
 それから、田園都市構想は広域市町村圏を基礎として考えなければならぬのじゃないかということも、同様な趣旨でございまして、広域都市圏を踏まえて構想をしなきゃならぬことは、その重要な柱であると考えております。
 また、これは単なるハードな国土づくりではなくて、地域的特性を生かした新しい社会づくりと理解するがどうかということでございます。仰せのとおりでございます。したがいまして、ハードウエアばかりでなく、より以上にソフトウエアな開発を考えていきたいと存じております。
 それから、これを遂行するには行財政全体を見直さなければならないじゃないか、とりわけ財政措置が大切じゃないかということでございます。仰せのとおりでございまして、明年度の予算を見ましても、地方におきましては四兆一千億の欠陥がございまして、これを地方交付税の増額で二兆四千六百億、それから建設地方債の増発で一兆六千四百億という財源の調達をとりあえずいたしておるわけでございますが、こういった状態に放置しておいていいはずのものではございませんので、中央・地方を通ずる租税体系全体を見直さなければならぬ問題もこの構想の中の大きな検討項目になっていることは、御指摘のとおりでございます。
 次に、インドシナ半島の情勢についてのお尋ねでございました。政府といたしましては、今般のカンボジアをめぐる事態に対しまして憂慮の念を持っておりまして、同地域に平和が一日も早く回復されることを念願いたしておりまして、わが国といたしましても、ASEAN諸国等と協力しながら、今後インドシナ半島に対しましての対処を慎重に考えていく所存でございます。ベトナムに対する援助等につきましては、先ほど外務大臣からお話があったとおりでございます。
 ベトナム難民でございますが、同難民流入がASEAN諸国等周辺の国々にとりまして大きな不安定要因になっておりまして、政府といたしましては、国連を通じまして財政的支援の措置を現にとっておりますけれども、今後もこの問題解決のための国際的協力は惜しまないつもりでおります。
 それから、米中ソの間にありまして、わが国の外交の基本姿勢を崩すことのないようにという御要望でございます。私どもといたしましても、この三国の間にありますけれども、わが国独自の平和外交の路線を堅持いたしまして、自主的にもろもろの外交的案件に対処してまいるつもりでございます。もとよりわが国の外交は日米安保体制を軸とする日米協力関係にあることは当然でございますが、対ソ外交の発展も対中外交の発展も、幸いにこれまで日米安保体制に触れることなく達成されておるわけでございまして、私どもはこの体制を周到に堅持してまいることでございまして、新たな戦略も大事でございましょうけれども、現存の安全保障体制というものを堅持し、そこにみじんも不信や不調和がないように心がけてまいることが、わが国の外交方針の基調でなければならぬと考えております。
 東京サミットに対する対策でございます。アジア・太平洋地域に初めて開かれる東京サミットでございまして、主催国といたしまして大きな責任を感じておるわけでございまして、関係国の協力を得まして、ぜひとも成功させなければならぬと思います。その前提といたしまして大切なことは、わが国自体がわが国の経済運営に当たりましてわが国経済の対外的均衡を維持していく、わが国の国際経済に対する責任を果たしていくということに熱心でなければならぬわけでございまして、われわれといたしましては、いまこの政策的努力を続けてまいりまして、わが国の経済の対外均衡の達成に相当の事績を示しておく必要があると考えております。同時に、エネルギーであれ、貿易であれ、通貨であれ、南北問題であれ、もろもろの議題が討議されるでございましょうけれども、このような険しい世界の中にありまして、世界の諸国民が不透明感を持たない、展望を持ち得るように、主要国におきまして十分のコンセンサスを達成できるように最善の努力をいたすことが東京サミットの責任であろうと考えておりまして、その方向に向かいまして努力をしてまいるつもりでございます。
 五月に行われるマニラの国連貿易開発会議に向けての対応策でございます。わが国の経済協力政策につきましては、このところ、漸次、質量ともに改善を加えてきておりまするし、政府援助につきましては三年間に倍増するという方針を予算化いたしております。われわれといたしましては、相手国の立場に立ちまして、こういう予算を有効に駆使いたしまして先方の経済の自立に役立つようにいたすことが南北問題に対する基本的態度でございまして、マニラのUNCTADの会議に対しましてもそういう基本姿勢で臨みまして、わが国といたしまして最大限の協力を惜しむところがないようにいたしたいと考えております。とりわけ、アジア・太平洋圏におきましてはわが国の経済協力が集中的に供与されておる地域でございまして、アジア・太平洋圏に対する配慮は当然最重要問題として終始われわれが注意を怠ってならないことと考えております。
 それから防衛政策についての所見を交えての御質問でございました。わが国の防衛の基本は、みずから適切な規模の防衛力を保持いたしますとともに、米国との安保体制を堅持することにあると考えております。しかし、国の防衛は、仰せのように、国民の支持と協力がなければ成り立たないことは言うまでもございませんので、このために国民の間で真剣な防衛論議が行われることは、われわれの歓迎するところでございます。今後の防衛力の整備は、すでに決まっておりまする防衛計画の大綱に基づいて行われるわけでございますが、今後とも、その整備に当たりましては、質的な充実向上に力点を置いて考えてまいりたいと思っております。
 それから新幹線の整備五線の工事着手に対する決意でございますが、五十四年度は、整備新幹線に対しまして本格的な環境影響調査を進めます。国土総合開発、投資採算等の観点から、関係省でさらに徹底した調査をあわせて行うことにいたしております。また、公的助成及び財源措置等が本年中に具体化された場合には、所要の手続を経まして、地元引き受けの利用債発行による財源で工事に着手できるよう措置いたしておるところでございます。
 次に、「国連婦人の十年、一九八〇年の世界会議」にどのような方針で臨むかということでございます。わが国といたしましても、これまでの婦人に対する施策の成果を踏まえまして、積極的な姿勢で臨む方針でございます。
 婦人の公務員の採用、審議会等に対する婦人の方々の御参加等についてどう考えるかということでございます。そういうことにつきまして、その拡大に今後とも努力してまいるつもりでございます。
 最後に、元号についての決意に対する御質問でございました。たびたび申し上げておるように、政府としては、元号法制化のため、法案を速やかに国会に提出いたしまして御審議をいただき、今国会の早期成立を期待いたしております。(拍手)
   〔国務大臣金子一平君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(金子一平君) 安田さんにお答え申し上げます。
 御質問の第一点は、景気の回復が芳しくない場合の公共事業予備費や財投の弾力条項の運用についての考え方はどうかということでございますが、五十四年度予算で実質六・三%程度の経済成長は十分にできると考えておりまするけれども、万一の場合におきましては、公共事業等予備費や財投の弾力条項が設けられておる趣旨に沿いまして、適時適切な対応措置を講じたい、後追いじゃなくて、機に応じた措置を講じたいと考えております。これが第一点でございます。
 それから第二点の、資本収支の黒字縮小のため、資本取引の自由化や政府開発援助等の対外援助あるいは対外投融資の拡大など、あらゆる方途を講ずべきであると思うがどうかという御質問でございますが、わが国は、従来から、政府開発援助の三年倍増でございますとか、円建て外債の発行の円滑化でございますとか、あるいは国際的な資金協力の強化というようなことにつきまして努力をしてまいりました。その結果、昨年の四月から十二月までの長期資本収支を見ますと、二兆五千億の赤字となっておりまして、この期間の経常収支の黒字が二兆六千億でございますから、大体見合っておるというような状況になっておりまするけれども、今後とも資本収支は流出超過の傾向が続くことが期待されまするが、政府としましては、資本輸出の促進について努力してまいりたい。
 今度の国会におきましても、為替管理法並びに外資法の改正を全面的に行いまして、資本取引の自由を全面的に打ち出すつもりでおりますので、この点も御了承いただきたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣栗原祐幸君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(栗原祐幸君) 安田さんにお答えをいたします。
 雇用政策というものは、中長期的に見た場合に、経済政策、産業政策と密接不可分のものじゃないかというような御指摘でございますが、全く同感でございます。いま新経済社会七カ年計画を策定中でございますけれども、この中で、雇用は重要課題として取り組んでいきたいと思っております。また、労働省といたしましても、第三次の雇用対策基本計画、これを見直しまして、お説のように、今後の経済発展あるいは社会の産業構造の変化に対応した処置をとりたいと思っております。
 それから、中高年齢者の雇用について格段の措置をとれということでございますけれども、この点につきましては、今度、総理もいま申されたとおり、思い切った中高年齢層を中心とした雇用開発制度を求めておるわけでございます。しかし、お説のように、定年の延長について考えるべきじゃないかということにつきましても同感でございまして、政府といたしましては、六十歳定年ということを目途といたしまして、これが実現に鋭意努力をいたしたいと考えております。具体的には、ただいま申しました中高年齢層の開発給付金を主な内容とし、定年延長奨励金あるいは高齢者の雇用率の達成、これができるように行政指導を拡充強化していきたい、こういう施策を持っておるわけでございます。
 次に、産業構造の変化に応じまして雇用の拡大が見込まれる業種についていろいろお尋ねがございましたし、また、御指摘もございました。知識集約的な産業とか、あるいは第三次産業の中で生活とか医療とか福祉とか教育、情報、そういう部門について雇用を誘導していくべきではないかという点につきましては同感でございます。なお、われわれといたしましては、それにあわせまして適切な職業紹介あるいは職業訓練等につきましても万全を期していきたい、こう考えております。
 それから、雇用創出について各界の協力を得ると言っているけれども具体的にはどういうことだということでございます。これもすでに総理からお話がございましたけれども、労働省だけで雇用の創出はできない。政府一体として当たらなきゃならない。しかし、政府だけでできるかというと、政府だけではできない。これはもう各界各層の方々の御意見を承って英知を集めてやらなければならぬ。そういう意味合いで、政府といたしましても、総理大臣を中心としてそうした方々の御意見を承る場をつくりたい、こう考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私に対する質問は五問ございます。親切かつ簡潔にお答えをさしていただきます。
 第一問は、土地の利用再編成対策の根幹をなすものは基盤の整備だと、これを土台にして、根っこにして――幹ですか、幹にして、そこへ価格政策、金融制度、そういうのをつけなさいということでございまして、まことにそのとおりでございます。したがいまして、新年度予算におきましても、水田利用の再編対策費は二千二百八十一億円つけておりますし、そのほか、新規にそれぞれの地域で麦とか、えさとか、そういうものがつくれるために地域農業生産総合振興事業として約五百億円をつけました。さらに、排水対策の特別事業として、ことしから、もう三年ぐらいかかったようなものは、小規模のものは一年、五年ぐらいのものは三年ぐらいで、県営程度のものはそれぐらいでひとつ大いに水田から畑に転換できるようなその土台づくりをやろうと、こういうような、一、二の予算の例をとって申し上げたんですが、それほど熱心にそれはやらしていただきたい。御趣旨のとおりやらしていただきます。
 第二問につきましては、農産物の輸入の拡大、自由化問題等については言いなりにならぬで政府は一生懸命相手を説得せい――まことにそのとおりでありまして、これにつきましては、御承知のとおり、去年は、中川農林大臣時代に、対米問題、まあオレンジ問題とか高級牛肉の問題とか、いろんな問題がありました。また現在は、東京ラウンドを控えて、いろんな関税の何々の話、交渉をやっております。御趣旨のように、極力われわれとしては最小限度のことでいきたいと、かように考えております。しかしながら、一方で、先ほどお話がありましたように、日本の場合は国際的な友好関係、こういうものを維持していかなきゃならぬ。日本が現在経済大国としてやってこられたのも、あちこちけんかばかりしちゃったんじゃそんなことはできないわけでございますから、やはりそういうことで国際の協力も得ながら、しかし最小限度のことで、国内の保護も考え、両面が立つようにやらしていただきたい。こういうことがやはり景気全体の問題とも影響がございますし、景気が浮揚できないで生産物が高く売れる、こういうことはありません。したがって、やはり全体の、消費者も豊かになるように、われわれも協力をし得るところはしなきゃならぬ、そういうような考えを持って今後もやらしていただきます。
 国内のいろんな保護というようなことにつきましては、万一輸入枠の拡大等について被害が出るというような場合は、それにいつでも即応できるような予算措置も今回とっておる次第でございます。
 第三番目は、農村をふるさととして見直したらどうじゃということでございますが、(「もともとふるさとだ」と呼ぶ者あり)もともとそれはふるさとであるわけでございます。(笑声)しかし、特に次代を担う若者が誇りを持って生産活動に励めるように、そういうようなもっと魅力のあるものにしろと、こういうお話だと思います。これもそのとおりでありまして、若者が興味を持たない農村ではだめだ。したがって、総理の施政方針演説にもありますように、農村はただ単に生産の場だけではない、これは民族の苗代でありますと、そしてやはりそこは住みやすくしなけりゃなりませんと、こういうことでございますから、その総理演説のとおりわれわれとしては取り組んでいかなきゃならぬ。
 ただ、農業基本法の物の考え方が、これは高度経済成長期を迎えまして、まあたとえば地域の分担とか――適地適産ですな、それから規模拡大とか、いろんなことを言っておりながら、さっぱり進まぬではないかと、だからその農業基本法を見直したらどうじゃという話があるんですがね。私は、考え方は、農業基本法は間違っておると思わないんです。思わないんですが、そのとおり進んでいない、進み方が非常に遅い、これは率直に認めざるを得ないと私は思います。したがいまして、私は、それらの点についてはむしろ農地法とか、あるいはその他のいろんな関連する法律について、なぜ規模拡大がうまく進まないのか、進むためにはどうしたらいいのか、こういうような点について一遍検討をしてみる必要があると、こう考えております。農業基本法につきましても、特にその中では農村を生産の場と考えておるのでありまして、民族の苗代だと、ふるさとだと、そういう思想がちょっと足らないように私思うんですね。したがって、そういう面からも一遍、せっかくの御提案でございますから、十分検討をさしていただきたいと、かように思っておるわけでございます。
 その次は、二百海里を控えた漁業の問題でございますが、これも本当に御指摘のとおりでございますから、特に新漁場の開発や、沿岸・沖合い漁業の見直し、振興、こういうものもやり、それから、世界じゅう二百海里で日本を追い出しているわけですから、これはとても困る。したがって、われわれは漁業外交というものを新たに展開をして、積極的に政府一体となってひとつ魚の漁獲の維持というものにはがんばっていかなきゃならぬと、かように思っておるわけでございます。
 それから林業問題でございますが、これも、やっぱり山というものは、ただ単に木材の生産というだけでなくして、これは国土の保全、環境の維持、水源の確保、その他公的機能をたくさん持っておるわけでございますから、これも荒廃しちゃ困ります。特にこの造林なんというのは三十年とか四十年とかかかるわけでございましてね、これは植えてくれる人は本当はありがたい。したがって、できるだけの助成をしなきゃならぬ。こういう点から、ことしも森林総合整備事業というような画期的な事業を始めることにして、植栽から保育まで一貫して助成していこう、そういうふうなことも考えております。また、金融の問題につきましても、本当に私は世界に例がないんじゃないかなと思うほどりっぱな金融制度を、ことしの予算でともかく制度を認めてもらいました。つまり、それは林業金融というものについて抜本的な拡充をやっていこうということから、造林資金については四十五年、しかも二十五年間の据え置き期間というふうな新制度を発足さしたり、あるいは林道の資金についても、償還期間二十五年、それで据え置き期間七年というようなことなど、いかに政府といたしましては今度の予算で林業関係に重点を入れているかということは、この予算で大体おわかりいただけることと存じます。大変私は、待望の予算でございますので、速やかに御審議、御可決のほどをあわせてお願い申し上げまして、答弁といたします。(拍手)
   〔国務大臣内藤誉三郎君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(内藤誉三郎君) 安田さんの御質問にお答え申し上げます。
 これからの学校教育において、創造力や国際性豊かな日本人を育成することはきわめて大切でございます。先般文部省が告示しました小中高等学校の学習指導要領においてそのことがよく出ておりますので、今後はこの指導要領に即してりっぱな教育を行っていきたいと思っておるのであります。
 それからその次に、先般行われました共通一次学力テストでございますが、これは第一回目の試験が行われたわけでございますが、幸い大過なく実施され、試験問題についてもおおむね適切であるとの評価を得ております。ただ、第二次試験のあり方など幾つかの問題が残されておりますので、今後、実施の経験を踏まえて関係者の意見を聞いて、この共通テストの改善について努力してまいりたいと思うのでございます。
 大学入学資格試験制度の導入については、いませっかく共通一次テストをやっておりますので、その結果を踏まえながらよく検討してまいりたいと考えております。特に国際バカロレアの問題が出ましたが、これも一つの大きな参考になると思うんですが、文部省としては、国際交流の活発化に対応するため、かねてから国際バカロレアの活用について前向きに検討してきたのでございます。このため、昭和五十四年度予算においては、国際バカロレア事業に参画すべく、拠出金として約三百万円が計上されているところでありますので、これとともに、国際バカロレアを大学入学資格として認めることについて、近く大学設置審議会に諮り、大学関係者の理解を求めた上で、できるだけ早い機会にわが国の大学入学資格として認定するように取り進めてまいりたいと思うのでございます。そういう意味で、この国際バカロレアの問題とも関連しながら、大学入学資格の問題についてはさらに検討を続けてまいりたいと思うのです。
 それから最後に、社会に出た者を再度受け入れる再教育のシステムについてのお尋ねがございましたが、国民が社会の各段階、各時期に適切な機会をとらえて新しい知識、技術を身につけ、また、豊かな教養を養い、能力の向上を図っていくことは、今日のような変化の激しい社会においては特に重要なことであり、社会に出た者について、生涯を通じて高度の教育を受ける機会を配慮していくことが特に必要であると思うのであります。文部省としては、このような要請にこたえ得るために、放送大学の推進、通信教育の拡充、大学、大学院への社会人の積極的な受け入れ、大学公開講座の拡充、夜間学部の整備等に努めているところでありますが、さらに高等教育の社会に対する開放のために最善の努力をしてまいりたいと思うのでございます。
 以上でございます。(拍手)
#24
○副議長(加瀬完君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○副議長(加瀬完君) 御異議ないと認めます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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