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1978/02/21 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 本会議 第7号
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1978/02/21 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 本会議 第7号

#1
第087回国会 本会議 第7号
昭和五十四年二月二十一日(水曜日)
   午後一時三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第七号
  昭和五十四年二月二十一日
   午後一時開議
 第一 北海道開発審議会委員の選挙
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、北方領土問題の解決促進に関する決議案
  (西村尚治君外七名発議)(委員会審査省略要
  求事件)
 一、租税特別措置法の一部を改正する法律案
  (趣旨説明)
     ―――――・―――――
#3
○議長(安井謙君) これより会議を開きます。
 日程第一 北海道開発審議会委員の選挙
 これより北海道開発審議会委員二名の選挙を行います。
#4
○戸塚進也君 北海道開発審議会委員の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#5
○大塚喬君 私は、ただいまの戸塚君の動議に賛成をいたします。
#6
○議長(安井謙君) 戸塚君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、北海道開発審議会委員に北修二君、中村啓一君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#8
○議長(安井謙君) この際、お諮りいたします。
 西村尚治君外七名発議に係る北方領土問題の解決促進に関する決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加して、これを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。よって、本案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。西村尚治君。
   〔西村尚治君登壇、拍手〕
#10
○西村尚治君 ただいま議題となりました自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、民社党、新自由クラブ、社会民主連合各会派共同提案にかかる北方領土問題の解決促進に関する決議案につきまして、発議者を代表して提案の趣旨を御説明いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
    北方領土問題の解決促進に関する決議案
  我が国固有の領土である歯舞、色丹及び国後、択捉等の北方領土の返還は、日本国民共通の悲願である。
  しかるに最近ソ連が、国後、択捉両島に新たな軍事力の配備、軍事施設の構築等を進めていることは、まことに重大である。
  我が国の領土問題に対する主張を承知しながら懸案の北方領土にかかる既成事実をつみ上げようとするソ連の態度はまことに遺憾であり、日ソ平和条約の締結、日ソ友好関係の前進に大きな障害をもたらすものである。
  よつて政府は速やかに、このような領土の平和的返還の障害となる全ての施設の撤去をソ連政府に要求するとともに、北方領土の返還、平和条約の締結に取り組み、日ソ間の安定的な平和友好関係を確立するよう努力すべきである。
  右決議する。
 以上でありますが、わが国固有の領土である歯舞、色丹及び国後、択捉等の北方領土が長年にわたる日本国民の要望にもかかわらず、いまなおその返還が実現せず、さらに、最近ソ連が、国後、択捉の両島において軍事施設の構築等を行っていることは、日ソ両国の平和友好関係の促進にとってまことに遺憾であります。
 よって、この際、本院としてもその態度を明確にし、これらの問題の解決のために政府に一層の努力を要請すべきであると考えまして、本決議案を提案する次第であります。
 何とぞ御賛同賜らんことをお願い申し上げます。(拍手)
#11
○議長(安井謙君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#12
○議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 ただいまの決議に対し、外務大臣から発言を求められました。園田外務大臣。
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(園田直君) ただいまの御決議に対しまして、所信を申し述べます。
 政府といたしましては、ただいま採択されました御決議の趣旨を十分に体しまして、今後とも粘り強く対ソ折衝を進めるべく、引き続き最大限の努力を行う所存でございます。(拍手)
     ―――――・―――――
#14
○議長(安井謙君) この際、日程に追加して、租税特別措置法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。金子大蔵大臣。
   〔国務大臣金子一平君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(金子一平君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 租税特別措置につきましては、現下の厳しい財政事情と最近における社会経済情勢に顧み、税負担の公平確保の見地から、社会保険診療報酬課税の特例の是正を初めとして、その整理合理化をさらに推進し、あわせて交際費課税を強化する一方、産業転換投資及び優良住宅地の供給の促進等に資するため必要な措置を講ずるほか、揮発油税等の税率を引き上げる等、所要の改正を行うことといたしております。
 すなわち、第一に、既存の租税特別措置の整理合理化につきましては、まず、社会保険診療報酬課税の特例の是正を図ることとし、社会保険診療につき必要経費に算入する金額をその収入金額の七二%相当額とすることができる現行の特例を改め、収入金額が五千万円超の部分については、その五二%相当額、収入金額がそれ以下の部分については、社会保険医の公共性等に配意して、五七%から七二%までの四段階の率により計算した金額を控除することができることといたしております。
 次に、有価証券譲渡益課税につきましては、同一銘柄の株式等を相当数譲渡したことによる所得を課税対象に加える等、課税の強化を図ることといたしております。
 また、企業関係の租税特別措置につきましては、価格変動準備金を段階的に整理するとともに、工場立地法に基づく認定を受けた施設の償却の特例等五項目の特別措置を廃止する等、一層の整理合理化を行うこととしているほか、交際費課税について、定額控除額を、中小規模の企業に配意しつつ、現行の年四百万円から原則として年二百万円に引き下げ、損金不算入割合を現行の八五%から九〇%に引き上げる等、一層の強化を行うことといたしております。
 その他、登録免許税の税率軽減措置等につきましても所要の縮減を行うことといたしております。
 第二に、産業転換投資等の促進に資するため、特定の不況産業に属する事業者及び緊急に産業構造改善を要する業種に属する中小企業者等が事業転換等のために取得する機械設備等について、二年限りの措置として、一定要件のもとに、その取得価額の一〇%相当額の税額控除を認める措置を講ずることといたしております。
 第三に、土地・住宅税制につきましては、長期譲渡所得の課税の特例について、公的土地取得の円滑化と優良な住宅地の供給の促進に資する一定の土地等の譲渡に限り、二〇%の比例税率が適用される譲渡益の金額を現行の二千万円から四千万円に引き上げるとともに、これを超える部分につき現行の四分の三総合課税を二分の一総合課税に改めるほか、既存住宅の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置を創設する等、所要の措置を講ずることといたしております。
 第四に、同居している自己または配偶者の直系尊属が老人扶養親族に該当する場合には、現行の老人扶養控除に加えて五万円の特別控除を認めるとともに、特定不況地域中小企業対策臨時措置法に基づく認定を受けた中小企業者に対して、欠損金の繰り戻しによる還付について特例措置を講ずるほか、老年者年金特別控除、中小企業構造改善計画を実施する商工組合等の構成員の機械等の割り増し償却、森林計画特別控除等期限の到来する租税特別措置について、実情に応じ適用期限を延長する等、所要の改正を行うこととしております。
 第五に、揮発油税及び地方道路税の税率の特例措置について、第八次道路整備五カ年計画に必要な財源確保等の見地から、税率を二五%引き上げるとともに、その適用期限を昭和五十八年三月三十一日まで延長することといたしております。
 以上、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第でございます。(拍手)
#17
○議長(安井謙君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。福間知之君。
   〔福間知之君登壇、拍手〕
#18
○福間知之君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に数点にわたって質問をいたしたいと存じます。
 言うまでもなく、わが国の経済は、いわゆる低成長経済に移行してまいりましたが、それは、角度を変えて申しますならば、落ちついた社会、公平、公正な社会の実現でなければなりません。公平と公正が政治の要諦と言われますが、とりわけ税制面での不公平の是正が喫緊の課題となっております。政府も、今回の本法改正案におきましては一部改善を図ってはいますが、依然として、同措置法による減収が前年を上回る九千二百十億円にも上っており、これでは公平な税制が確立されたと認めるわけにはいかないのであります。租税特別措置とは、それ自体が公平に反する税の特別な減免措置であることからして、その存在は厳しく規制されて、絶え間なく整理する姿勢が求められるべきものであります。
 世界的に見ても、わが国ほど特別措置の多い国は他に見られません。
 そこで、まず第一にお伺いしたいのは、総理の言われる安上がり政府論からいって、租税特別措置というものは一体どのような性格、位置づけを与えられているものなのでしょうか。私は、総理が強調される民間企業の活力の利用という観点から言えば、政府の保護措置は極力抑え、廃止すべきだと考えるものですが、率直なお考えを明らかにしていただきたいと思います。たてまえと本音の乖離をなくすことを一つの政治理念とされる大平内閣の税制に対する基本的姿勢をこの際示していただきたいのであります。
 第二にお尋ねしたいのは、公平、公正な税制とは何かということであります。
 政府は租税特別措置法による政策税制を不公平な税制であると言われるのは当然ですが、むしろ、応能負担の原則に立った課税の基本からこそ、公平あるいは公正を判断すべきだと考えるべきではないでしょうか。今回の改正案で政府も貸し倒れ引当金の縮小に手をつけていますが、政府の論理から言えば不公平な税制にならないにもかかわらず、貸し倒れの実態と貸し倒れの引き当ての現状とに余りにも隔たりがあることから、是正をせざるを得なかったのではないですか。したがって、そのように不公平税制というものは租税特別措置法だけに限定してとらえるべきものではありませんし、貸し倒れ引当金にしても、かつては租税特別措置法によって貸し倒れ準備金として認められていたものです。このような実態を踏まえた上で、不公平税制の是正を図るに当たっての基本的姿勢を明らかにしていただきたいと思います。
 ちなみに、貸し倒れ引当金や退職引当金、受取配当の益金不算入など、法人税法適用分の企業軽減税額については、国税庁の昭和五十一年度の法人企業の実態調査に基づく本年一月の東京都新財源構想研究会第七次報告によれば、七千百十三億円に上っており、さらに、租税特別措置法による価格変動、海外投資損失などの諸準備金の軽減税額も二千五百三十六億円となっており、その他を含め五十一年度で一兆二千億円強の税額軽減が見られるのであります。また、これら不公平優遇税制の改革によって、昭和五十四年度から五十八年度に至る五年間で、国税において八兆一千五百七十三億円、地方税において三兆六千七百三十七億円の増収が図れるものと指摘されております。
 次に、政府は、不公平税制是正の一環として、すでに四分の一世紀の長きにわたって存続してきた、いわゆる医師優遇税制について改革を図ることにしていますが、その内容においてきわめて不十分であるとともに、制度の存続のあり方についても納得しがたいものであります。
 すなわち、政府税制調査会の再三にわたる答申で改正を要求されていたにもかかわらず四年後にして一応の実現を図るというに至っては、政府の腰の重さに驚くと同時に、その内容も税調答申をすら改悪するとあっては、国民の不信はむしろつのることを避けることはできません。開業医各位の職業的、社会的な役割りについてはそれなりに評価するにやぶさかではありませんが、税の公平を乱してまで対処する必要は毛頭ありません。政府試算におきましても、来年度医師優遇税制だけでなお千五百七十億円の減税措置を講じており、これは開業医一人当たり百六十万円ほどの減税になるのであります。一方、少額貯蓄の申告一億四千七百万件の利子などに対する非課税が千五百九十億円程度、同じく国民の大多数が加入している生命保険の料金控除がこれまた千五百六十億円程度というのに比べまして、十万人ほどの医師に対する減免が同じように千五百七十億円というのでは、いかにも不公平ではありませんか。ましてや、国民大衆には物価調整減税すら実施しない上でのこのような相対的に巨額の減税措置は、国民の納得し得ないところであります。
 さらに、今回の改正が時限立法にもなっていないという大きな欠陥を有していることは、租税特別措置というものは適用期間を限るのがまさに当然の措置であり、恒久的な制度とすべきではないという基本からも、政府の態度を疑わざるを得ません。しかとこの医師優遇税制についての考えを大蔵、厚生両大臣にお伺いしたいのであります。
 第四に、土地税制の緩和についてであります。
 宅地の確保という政策目的に今回の改正案は真に実効があり、国民大衆の住宅難解決に大いに有効だと考えた上での措置でございましょうか。税調の答申ではきわめて消極的であったにもかかわらず、宅地供給という美名に隠れて土地関連業者の声に屈したと思われる措置は、まことに遺憾と言わざるを得ません。すでに都市銀行は七兆円もの巨額の不動産貸し付けを土地投機を中心に行っておりまするし、これには日銀も貸し付けの自粛を要望しているぐらいであり、土地インフレの再燃、土地投機の激化が危惧されているのが現状であります。かかる背景のもとでの今回の土地税制緩和は、果たして庶民の住宅問題を解決し、かつ地価上昇を抑え、インフレを抑えるという自信と展望を持った上でのことなのか、建設大臣の明快な答弁を求めるものであります。
 さらにお伺いしたいのは、財政再建のための財源確保策についてであります。
 国債依存率四〇%というのは、国際的にも異常であることはもちろん、わが国財政史上にもかつて見られなかったゆゆしき事態であります。政府は、財政収支試算を改訂し、今後五年間で九兆一千百億円の新規増税が必要だとしていますが、その税源をどこに求めるかが大きな問題であります。そこで政府は、大衆課税の最たる一般消費税を導入をすることで、それを財政危機打開のエースに仕立てるべく考えておりますが、それは余りにも安易な発想であり、御都合主義的であります。その前に現行の不公平税制を徹底的に是正することが先決だと存ずるのであります。
 たとえば、有価証券の譲渡益課税について今回若干改善がなされていますが、重要なのは、依然としてその考えが非課税を原則としていることであります。アメリカを初め、諸外国では原則が課税ということであります。また、交際費課税についても、原則非課税ということでは今日の財政危機にそぐわないではありませんか。わが国の商慣習や税制の特異性からいまや脱却することこそが、新たな低成長時代を迎えての財源対策なのではありませんか。同様に、利子配当所得の総合課税化もまさに緊要であります。政府は来国会に総合課税化のための具体案を提案する考えと言われますが、その方針に変更はないかどうか、重ねて決意を伺いたいのであります。
 このような資産所得、不労所得に対する課税を強化することによって財源を確保することを基本方針に据えるべきであります。これに関連して、富裕税、土地増価税など、わが党の主張している資産課税の強化が、財政破綻期の対策として歴史に照らした常識ではないかと信ずるのであります。かかる決断なくして、政府が一般消費税にすべてをかけるがごとき姿勢は誤りであり、そのような逆進的負担を増大させる不公平な税金を国民に押しつけることは断じて許されるものではありません。
 さらに、法人課税についても根本的に再検討すべきであります。いわば、一方にシャウプ勧告以来の大きな税制改革とも言える一般消費税を考えるならば、法人擬制税を論拠にした法人課税はもはや今日の実態にそぐわないということを踏まえて、法人税率に累進税率を導入するなど、まさに大胆な改革にこそ着手すべきであります。
 今日の財政危機に対処するには、言うまでもなく、歳出の洗い直しを不可避といたしますが、税制改革の論議を深めることが今日の重要課題であります。低成長経済のもとでは、世界に類を見ない手厚い企業の優遇税制を初めとする租税特別措置の多くの部分は、その目的をもはや失ったのであります。したがって、この措置は全般的に廃止するとの方針に立って、思い切った洗い直しに踏み切るべきであります。政府は先頭に立って、そして与野党を挙げた本格的な税論議に高めることを強く要望する次第であります。
 以上申し述べました諸点について政府の的確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(大平正芳君) 第一の御質問は、租税特別措置といわゆる安上がり政府、政策との関係についてのお尋ねでございました。福間さんも言われますように、租税特別措置は税制の公平原則の例外でございます。したがいまして、もともと最小限度にとどめるべきものであると思います。そしてまた、この特別措置は特定の政策目的の達成のために公平原則を犠牲にしているわけでございますから、その目標たる政策が達成次第速やかに廃止すべきものと思います。これが権利として既得権化する、権利の上に眠るというようなことがあってはならないものと考えております。そういうことに対して厳しい姿勢をとってまいるのが効率的な政府を志向する者の責任であると思います。
 第二に、租税特別措置の廃止の考え方についてのお尋ねでございました。現行の特別措置は、公害の防止でございますとか、勤労者の資産の形成でございますとか、あるいは中小企業対策、住宅対策、資源対策等、そういう政策目的をもって設けられておるものでございます。したがって、そういう必要がございまする間これを全廃してまいるということは至難なことと考えますけれども、しかし、終始これを見直しまして、政策目的の達成の度合い、状況を見ながら、もう廃止すべきものは勇気をもって廃止する方向で施策を進めなければならぬものと考えております。
 以下の点につきましては関係大臣からお答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣金子一平君登壇〕
#20
○国務大臣(金子一平君) 福間さんにお答え申し上げます。
 東京都の新財源構想研究会の報告によると五十一年度の企業優遇税制による減税額一兆二千七十億円とおっしゃいまするけれども、この研究会の試算の中には、法人税と所得税の負担を調整する仕組みとして設けられております配当軽課制度や法人の受取配当の益金不算入制度等が含められておるわけでございまして、これは税法の根幹に関する問題ですから、必ずしも私どもは不公平税制と見るわけにまいらないと思うのでございます。ただ、企業関係の特別措置の整理合理化につきましては、五十一年度以来毎年毎年手がけてまいりまして、ことしも項目において五項目を廃止し二十五項目を圧縮するというようなことで、今後も洗い直しにつきましては極力努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、医師優遇税制でございまするが、なお千五百七十億の減税措置が残されておるじゃないかとおっしゃいます点でございますが、大体五二%の法定概算率が実際に近い経費率という推算ができましたものですから、五千万円超のものについては政府税調答申と同様にこの率を適用することにいたしておりまするが、下の方の収入金額については従来やってきました七二%を残しておりまするけれども、これは、申すまでもなく、都市と農村、特に僻地等において日夜医療に従事せられておる社会保険医の公共性を十分に考慮いたしましたその特別控除ということで私どもは考えておる次第でございまして、とにかく二十五年間手がつかないで今日までに至りましたのを今回ここまで是正することにしたわけでございまするから、当分この制度を維持してまいりたいと考えておる次第でございます。
 次に、土地税制の緩和がかえって土地投機を激化させ、土地インフレを再燃させないかという御指摘でございまするけれども、今回の改正は、短期譲渡所得でございまするとか法人の土地譲渡益の重課制度の枠組みはそのままに残しておきまして、一定の優良宅地の供給でございまするとか、あるいは公的土地の提供に対する課税をきわめて厳しい条件をつけて緩和した次第でございますので、このために、今日少し都市の周辺の住宅地等につきましては値上がり傾向が見受けられまするけれども、それに拍車をかけるということじゃなくて、むしろ、それに水をかける効果はある程度あるんじゃなかろうかと考えておる次第でございます。
 それから、財政再建の財源を一般消費税に求める前にいわゆる不公平税制の是正をやるべきであるという御意見は、私どももそのとおり考えております。そういう考え方から、たとえば有価証券の譲渡益課税、これも一遍に原則課税というわけにもまいりません。譲渡益の捕捉の制度がまだ十分できていないのでございまするから、その制度を確立しながら御趣旨のような方向に持っていきたいということで、ことしは段階的課税に一歩進めるということにいたした次第でございます。交際費の課税の強化についても同様でございます。利子配当所得の総合課税につきましては、五十五年度の税制改正案で総合課税を実施するようにいたしたいということで、目下政府税制調査会で鋭意その技術的な点を詰めてもらっておる段階であるということを申し上げておきたいと思うのでございます。
 その他いろんな御提案をいただきました。富裕税の問題、土地増価税の問題、法人税の累進課税の問題でございまするが、これも私どもはもう従来からいろいろ検討を重ねておるのでございまするけれども、富裕税は技術的にやはりなかなか厄介な問題があって、課税いたしましてもそれほど大きな収入が期待できないとか、土地増価税自体につきましては本質的な問題があって、なかなか取り入れることが困難ですというような問題がございますが、特に法人税の累進課税ということは、法人課税の本質に関する問題で、ほとんどの国で累進課税をやっている国はない、むしろ、そういうことになったらかえって企業の、法人の分割の問題を招くだけになるというような問題がありまして、なかなか厄介な問題であることを申し上げておきたいと存じます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(橋本龍太郎君) 一般に開業医は、私どもは、保険医として医療保険制度の担い手となっており、また、救急医療あるいは予防接種業務等積極的に参加をしていただいていることを考えますと、社会的に非常に重要な役割りを果たしていると考えております。もとより、社会保険診療報酬課税の特例の問題は、これはすぐれて税制の問題でありますから、直接意見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと存じますが、私としては、医療行政の責任を持つ立場からして、この問題の円満な解決というものに心から願いを込めておるということだけ申し上げたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣渡海元三郎君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(渡海元三郎君) 最近、大都市地域の住宅地において地価の強含みの傾向にあることは、ただいま御指摘のとおりでございます。これは、主として宅地需要に対する供給が不足をいたしておるその結果によるものと考えられます。今回の土地税制の改正につきましては、ただいま大蔵大臣からお答えさしていただきましたが、単に税制改正のみでなく、公的機関による宅地開発の推進、あるいは民間による宅地開発の政策金融を強化すること、また、住宅宅地関連の公益公共施設の整備促進をさらに強化していくこと、都市計画の線引きによる見直し等、あらゆる総合的な宅地供給の促進策を強力に進め、良好なる宅地の確保と地価の安定を図り、住宅問題の解決に努めてまいりたい、このように考えております。(拍手)
#23
○議長(安井謙君) 答弁の補足があります。金子大蔵大臣。
   〔国務大臣金子一平君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(金子一平君) 答弁の補足をさしていただきます。
 医師優遇税制と申しますか、社会保険診療報酬課税の特例についての時限立法をなぜやらないかという御質問に対しましては、現在の御審議いただいております改正案が実態に近いものの概算経費率を出しておりますし、また、医師の社会公共性を加味した特別控除の制度と組み合わせて出しておりますので、当分の間この制度を維持したいと、こういうふうに考えておることを重ねて申し上げておきます。(拍手)
    ―――――――――――――
#25
○議長(安井謙君) 鈴木一弘君。
   〔鈴木一弘君登壇、拍手〕
#26
○鈴木一弘君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 大平総理の政策構想が織り込まれていると言われる新経済社会七カ年計画の基本構想には、ゆとりと生きがいのある社会建設の具体的な青写真は一向に明確にされておりません。一方で、財政再建の重要性とそのための税負担の大幅な引き上げばかりが、いやが上にも強調されております。
 すなわち、五十三年度の一九・六%という国民所得に対する租税負担率を六十年度には二六・五%へと、実にわずか七年間で三五%もの税負担の増加を予定しているのであります。総理の主張される「ゆとりと生きがいのある社会」や「安上がりの政府」の実現と大幅増税がどう結びつくのか、大きな疑問を抱かざるを得ないのであります。そして、政府は、その大幅増税の決め手として、一般消費税の導入という大改革を予定しているのであります。このような大改革を伴った、国民に高負担を押しつける財政運営は、政府の失政のツケを国民にしわ寄せするものであり、断じて認めることができません。
 以上の立場に立って質問を申し上げます。
 まず最初に、増税の理由について伺います。
 今回の税制改正を見ますと、政府は、赤字財政を理由に所得税の物価調整減税を見送り、一方では、たばこの値上げ、揮発油税の引き上げ、一般消費税の五十五年度導入など、どう考えても大衆課税の強化としか考えられない内容の改正を行おうとしておりますが、果たして国民的合意は得られるのでありましょうか。というのは、政府は、増税路線を走る理由に、既存の税制度の仕組みの枠内では増収を図ることは困難であるという構造的財政赤字の時代であると言っておりますが、果たしてそうでありましょうか。確かに、構造的財政赤字の要素が全くないと言えば、うそになるでしょう。しかし、最近の景気回復の動向などを見てみますと、一、二のいわゆる構造不況業種を除いては、減量経営であると言われながらも徐々に利益が出てきております。これは景気の循環によるものであります。ただ、いままでとは違って、そのサイクルが長く深くなっているため構造的赤字の様相を示しているのであって、循環的財政赤字であると言えるのではないでしょうか。しかるに、構造的財政赤字という言葉を、政府は、増税や一般消費税導入のための免罪符として使っております。もしそうでないと言うのであれば、政府自身が、現在の税制度の枠組みの中からは、景気が上向きつつあるけれども、それでもどうしても税の増収を図ることができないということを、数字の裏づけをもって検証しなければならないはずであります。果たして政府は検証したのでしょうか。また、したとすればその結果はどうなるか、しないとすればしないままで増税をするのはどういうわけなのか、その理由を聞きたいのであります。総理並びに大蔵大臣に伺いたいのであります。
 第二は、政府が今回全く見送った所得減税についてであります。
 五十年度未の消費者物価指数一〇六に対し、五十四年度の見通しでは一三〇・二となっておりますが、この間実に二二・八%も物価が上昇しているにもかかわらず、政府が行った物価調整減税は、昭和五十二年度のただの一度で、しかも、その額はわずか三千百六十億円にしかすぎません。これに対し、所得税の規模は、昭和五十年度が五兆四千八百億円であったものが、五十四年度予算では八兆四千億円となり、二兆九千二百億円の増徴であります。これは実に五三・二%の伸び率であります。先ほど述べた昭和五十年度からの物価の上昇率二二・八%に比べ、はるかに大きくなっております。このことは、国民の生活を実質上税金によって切り下げているのにほかなりません。政府は、財政の窮状を繰り返し強調するだけで、物価調整減税の切実な声には見向きもいたしません。まさに国民無視と言えましょう。いまからでも遅くはありません。公明党が要求しているように、戻し税三千億円の実施と二千億円程度の物価調整減税を含めた計五千億円の所得税減税を断行すべきでありますが、総理並びに大蔵大臣の答弁を求めるものであります。
 第三に、税の不公平是正について伺います。
 総理は、「増税を考える前に、現在の予算を徹底的に洗い直し、ぜい肉を切り落とし、不公平を是正しなければ国民の納得は得られない」と語ったと伝えられておりますが、改正案の具体的内容を検討してみますと、これが同じ総理が行ったのかと理解に苦しむものであります。以下、具体的に質問をいたします。
 まず、不公平是正の第一は、利子配当所得の分離課税についてであります。現在、利子配当所得には昭和五十五年末までの期限つきで課税の特例が認められておりますが、その期限が来たときに果たして特例を廃止し総合課税ができるのか、その時期の見通しを伺いたいのであります。
 さらに、総合課税のための環境づくりとして納税者背番号制度の必要性が論議されておりますが、人権侵害のおそれのある背番号制はとるべきではありません。むしろその前に、総合課税の方向へ進ませるための源泉分離を選択した場合の適用税率の引き上げや、預貯金の名寄せ、架空、無記名預金の廃止など、徴税技術の向上を検討すべきだと思いますが、どうですか。
 不公平是正の第二は、社会保険診療報酬課税の特例の問題であります。この制度については、五十三年度末で一応廃止し、五十四年度からは新しい税制にしたいとの福田内閣の考えを受け継いで、二十五年もの長きにわたって懸案になっていた本制度に改革の着手をしたことは評価したいと思いますが、医療費や診療報酬の適正化が図られず、言うならば及び腰の第一段階の改正にすぎません。これでは国民の納得を得ることはできません。健康保険制度の抜本改正を初めとする医療制度の根本的改革も本特例の改正と一緒にするべきであると思いますが、どうですか。厚生大臣に答弁を求めるものであります。
 第四に、今回の租税特別措置法の改正案による減収見込み額とその実績についてであります。
 政府は、毎年、同法の改正案を提出するに際し、減収見込み額を算出し、公表しておりますが、実績についてはいまだかつて一度も一切公表されたことがありません。その理由は一体何なんでしょうか。政府の出す種々の試算の中で、見込み額のみを公表して実績値を公表しないのは、この租税特別措置法の改正による減収の数値だけであります。これでは、一体幾ら減収になって、実績としてはどこがその恩典に浴して、どのぐらい税の不公平を助長したのかということが国民には一向にわかりません。いままでの実績値を公表することを要求するとともに、今後も公表するということを求めますが、いかがでしょうか。
 最後に、一般消費税について、特に政府の見解をただします。
 一般消費税の導入は、シャウプ税制以来のわが国の租税体系を大きく変えることになるだけでなく、階層別の税負担が一変してしまうという意味で、戦後最大の税制改革であります。それだけに、税の負担の公平が保てるかどうか、税制がいかに国民の各層のおのおのの分に応じた適正な負担になるかどうかをはっきりさせる必要があります。そのために、所得税だけでなく、間接税あるいは地方税をも総合した租税全体に通ずる所得階層別の税負担の現状を明らかにし、これが税制改正によって負担状況がどう変化するかということを政府は明らかにするべきであります。
 総理も所信表明の中で、「一般消費税の導入についての国会の内外における論議が深まることを強く望んでいる」と言っております。そうであるならばなおさらのこと、一般消費税導入の可否の論議に先立って、租税全体の所得階層別の税負担の現状と、一般消費税を導入した後でそれがどう変化するかということを明らかにするべきであります。それを、食料品の非課税や、年間売り上げ二千万円以下の企業の免税をするという小手先細工によって税負担の逆進性は緩和するなどと言うだけでは、国民は全く納得ができません。政府の考えを伺いたいのであります。
 また、一般消費税の五十五年度導入は撤回すべきであると強く要求するものでありますが、総理の責任ある答弁を要求して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(大平正芳君) 鈴木さんの第一の質問は、新中期経済計画によると昭和六十年の租税負担率は二六・五%になる、こういうことでは「ゆとりと生きがいのある社会」は期待できないし、国民的コンセンサスを得ることもおぼつかないではないかということのお尋ねでございました。私は、御主張になる趣旨は理解できないわけではございませんけれども、その前提といたしまして、中央・地方を通ずる財政が健全に運営されておることがゆとりと生きがいのある生活の基盤になることと思うのでございまして、そうでないと、財政インフレを招来いたしたり、また、生活を支える行政自体が壊れることになるからでございます。前提といたしまして、財政は、中央・地方を通じて健全でなければならぬと考えております。二六・五%は確かに相当の高負担であるに違いございませんけれども、ただいま先進各国の租税負担と比較いたしますと、これでも相当低いわけでございまして、日本の財政の再建のためにはこの程度の負担は何とかお願いできないものかと考えております。
 それから第二の御質問は、公明党の御主張でございまする五千億減税に踏み切る決意はないかということでございます。ことしから本来ならば財政再建に取りかからしていただきたいと存じておりましたけれども、なお経済の自律的な回復力が弱いものでございますから、財政が引き続き重い負担をしなけりゃならぬような状況でございますので、減税を考えるという余裕は全くないのでございます。御了承をいただきたいと思います。
 それから一般消費税の導入について二つのことをお尋ねになりまして、これは大きな改革でございますから、これをやるとすれば大変な改革でございますから、これは所得階層別の負担状況を調べ、また、導入後それがどのように変化するかというような点について明らかにしなければならないじゃないかということでございますが、御指摘になりました問題点も、確かに御審議に対しまして政府が明らかにしなければならない問題点だと心得ております。
 それから第二の点は、導入をいっそ思い切って断念しろということでございます。現行の税制で歳入不足でとうてい賄えない、歳出歳入を通じましてこれを厳正に見直しましてもなお歳入不足が明らかであるという状況でございますので、他の方法がなければ、現行税制でそれを埋める方法がない限りにおきましては、何か新しい歳入政策を考えなければならぬわけでございまして、政府は、一般消費税という形でお願いするのが一番適切じゃないかと考えております。しかし、この問題は、鈴木さんも御指摘のように、前提としていろいろやらなければならぬことがございまするし、国民の理解を求めるための用意もいろいろやらなければなりませんので、本年からすぐ導入をお願いするというようなことは差し控えまして、本年一年、財政を仰せのような意味であらゆる角度から御検討をいただきまして、論議を深めていただきまして、明年度からはぜひ導入さしていただくような御理解を得たいものと考えております。
 その他の問題につきましては関係大臣からお答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣金子一平君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(金子一平君) 鈴木さんにお答え申し上げます。
 たばこの値上げやガソリン税の引き上げ等、国民の合意が得られるものと考えるかという御質問でございますが、できるだけひとつ国民の皆様の合意を、御理解を得られるように努力し、また、得られるものと考えておるのでございます。
 そこで、政府は構造的財政赤字ということを大増税の免罪符にしておるじゃないかという御指摘でございまするが、現行税制のもとでは自然増収は多くを期待できないことは、ここ数年間の実績をごらんいただきましてもおわかりいただけると思いまするし、また、先日国会に提出いたしました財政収支試算におきましても、名目GNPが毎年一〇・四%伸びて、税収がこれに対して弾性値が仮に一・二の割合で伸びるといたしましても、五十九年度に特例債から脱却するためには九兆円程度の増税が必要という数字からも、いかにこの自然増収というものが大きく期待できないかということを御理解いただけると考えておる次第でございます。
 個別の問題といたしまして、利子・配当の総合課税は五十六年度から実施できるかという御指摘でございますが、これは、先ほどもお答えいたしましたとおり、五十六年度に実施するように、五十五年度の税制改正時までに結論を得るように、目下精力的に取り組んでおるということを申し上げておきたいと思うのでございます。
 それから、その場合に納税者番号の導入は避けるべきでないか、別の方法が考えられないかという御指摘でございますが、納税者番号となると、やはりいろいろの問題があることは十分承知いたしております。どういう方法をとれば最もスムーズにいくか、捕捉がうまくいかない、どこかに漏れがあるというようなことになりますると、かえって不公正を助長いたしますので、あらゆる角度から目下検討を進めていただいておる最中であることを申し上げておきます。
 同時に、これに関連して、預貯金の名寄せ、架空名義や無記名預金の廃止を検討をしろということでございます。この問題についても鋭意検討を重ねております。架空名義もだんだん減ってまいっておりまするし、無記名も、二十年の経過を経て今日に至っておるのですけれども、まだ、減ってはおりますが――数量的には相当減少をしてきておりまするので、今後この点についてはさらに必要な対策をとってまいりたいと考えておる次第でございます。
 それから、租税特別措置法による減収見込み額が公表されておるけれども実績は公表されたことがないじゃないかというお尋ねでございますが、実績について基礎データが把握できるものにつきましては公表をいたしております。たとえば、企業関係の租税特別措置につきましては、「資本金階級別法人税負担割合」として、すでに今国会にも、若干の推計は加えておりまするけれども提出いたしまして、審議の御参考にしていただいている次第でございます。ただ、実績についてのデータが全然ないものがあるんです。たとえば利子・配当でございまするけれども、これは技術的に提出いたしますことが無理であることを御了承いただきたいと思います。
 それから、租税全体の所得階層別の租税負担の現状を示せ、また、一般消費税を導入した場合の階層別の税負担がどう変わるのかデータをもって示せということでございまするが、現行税制における所得階層別税負担は、これは世界各国の税制に比べて相当急激な累進カーブを示しております。一般消費税を導入した場合の負担がどのようになるかにつきましては、目下検討を重ねておる最中でございまして、でき次第、またこれもごらんいただきたいと思うのでございまするが、一般消費税の負担増を加味いたしましても、現在の全体としての累進的な税負担の傾向はそれほど損なわれないんじゃないかと考えておる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほどお示しをいただきましたような考え方、確かに私どもも一つの考え方であると思います。ただ、社会保険診療報酬課税の特例の改正という問題が、これはすぐれて税制上の問題でありますし、私どもとしては、医療保険制度の改革の問題とは分けて措置をしていくべきものだと考えておる次第であります。と申しますのは、五十二年の十一月に十四項目にわたります制度改革の基本的な方向というものをお示しをいたしまして、その方針のもとに制度の基本的な改革を図っていくということで、その第一着手である現在の健康保険改正案を国会にも御審議をお願いをしておるわけでありますが、今日、たとえば医療費の適正な支出というものを確保する上からの指導監査の強化でありますとか、順次対応策をとりつつあるさなかでありまして、診療報酬につきましても、国民の経済力を勘案し、また、賃金、物価の変動に対応させていくと同時に、医学の進歩に即応して技術料を適正に評価する、こうした従来から必要に応じた考え方をとりながら改定の措置を加えてきたところでありますので、私どもとしては、こうした考え方を今後もとってまいりたい、そのように考えておる次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#30
○議長(安井謙君) 佐藤昭夫君。
   〔佐藤昭夫君登壇、拍手〕
#31
○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっております租税特別措置法一部改正案について質問をいたします。
 今日、わが国の経済は大きな転換を迫られています。従来型の経済政策では、大企業は大いに潤う反面、一層増大する倒産、失業、不況の長期化は何ら解決することができず、
   〔議長退席、副議長着席〕
かえって異常なまでに国債に依存して財政危機を極限にまで進めてきたことは、だれしも認めるところであります。だからこそ、総理が施政方針演説において、「高度成長期の夢はもはやこれを捨て去らねばならない」と訴え、大蔵大臣も、「現在の構造変革期の実態を正確に把握し、新しい経済構造に即応したじみちな努力」をいまさら強調せざるを得なかったことは、まさにその破綻のあらわれであります。
 ところが、今回提出の予算案、税制改正案は、依然として従来型の大企業、大資産家優遇のものとなっております。無謀なE2C購入や、大企業向け大型プロジェクトの拡大を図る一方、福祉の切り下げ、国民負担の急増を進め、しかも、財源の四割を国債に依存することとしております。総理、これでどうして新しい経済運営と言えるのですか。不況の打開と国民生活防衛を図る新しい経済政策は、国民の購買力の拡大、生活密着型公共事業の促進をこそ基本にすべきではありませんか。一体どの点で従来のやり方を改めたのか、まず明らかにされたいのであります。
 さて、税制改正の問題についてであります。
 政府は、財政危機を招いたみずからの責任にほおかぶりをしたまま、財政再建のためには所得税等の引き上げか一般消費税の導入か、いずれかの道しかないとしております。これは、財政危機を招く大きな要因となってきた大企業、大資産家優遇の高度成長型の税制にメスを入れるのでなく、もっぱら国民への大増税をもって事態を糊塗しようとする反国民的、欺瞞的なものにほかなりません。
 まず第一に着手すべき問題は、不公平税制の是正であります。ところが、政府は、今回の租税特別措置の若干の是正をもって、できる限りの見直しをしたと、政府がとるべき措置は終わったかのように述べております。果たして総理は今回の不公平税制の是正は十分なものとお考えなのか、それともまだ努力の余地ありとお考えなのか、明らかにされたいのであります。
 今回予定されている国民への負担強化は、所得税減税の見送り、たばこやガソリン税の引き上げのほか、国鉄運賃、国立学校入学金・検定料、健康保険料など、公共料金の軒並み値上げによって実に一兆数千億円となっています。ところが、特権的減免税の整理は、五十四年度初年度で千七百八十億円にとどまり、産業界も負担増が避けられたと評価しております。今回の改正は、企業関係では現存八十三項目のうち五つを廃止し、二十五を縮減をしただけであります。今年度限りとしていた投資減税を産業転換投資促進税制として衣がえをさせ、不動産会社などを利する土地税制緩和が図られるなど、むしろ不公平税制の拡大さえ進められているのであります。大企業向けの投資減税、土地税制緩和は断じてやめるべきではありませんか。また、今回の租税特別措置改廃が部分的にとどまったのはなぜか、存続させた項目について今後どうするのか、大蔵大臣の所見を求めるものであります。
 今回政府が自画自賛する貸し倒れ引当金繰り入れ率の引き下げは、この措置によっても、実際の貸し倒れ実績より三ないし六倍も高い繰り入れ率となっております。今後さらに縮小する考えがあるかどうか、お尋ねをいたします。
 また、有価証券譲渡益課税も、一銘柄二十万株の規制を加えたにすぎないものであり、課税の公平を期するためには抜本的な改正が必要であります。課税を原則とするよう所得税法にまで立ち入って改正する決意があるかどうか。また、価格変動準備金についても廃止年限を一層早めるべきだと考えますが、どうですか。
 さらに、社会保険診療報酬の課税の特例については、若干の手直しがなされたとはいえ、医療制度や税制を国民本位に改革する展望とは結びつかず、不合理な点を残したままの措置であることを強く指摘せざるを得ません。
 以上の点から見て、今回の税制改正は国民の高負担に拍車をかけるものであります。この方針は、さきに発表された「新経済社会七カ年計画の基本構想」と「財政収支試算」にも示されています。すなわち、一般消費税の導入を初め、国民一人当たり税負担は、五十三年度二十九万円から六十年度七十三万円と、実に二・五倍になる一方、社会保障移転支出は十八万円から四十万円へと二・二倍に抑えられているのであります。国民負担の増大は国民消費を抑え、景気回復の足を引っ張るものであって、断じて避けなければなりません。特に、一般消費税は国民生活を直撃し、財政再建の決め手にもならないものであり、今国会への提出を断念すべきは当然と思うが、どうですか。また、将来にわたっても導入すべきではないと考えますが、総理の明確な見解を問うものであります。
 最後に、今後の税制のあり方についてであります。
 今後の税制は、退職給与引当金など大企業、大資産家への特権的減免税措置を従来のように野放しにすべきではありません。財界の調査機関である日本経済調査協議会でさえ、利子配当源泉分離選択課税について、「資本蓄積、内部留保の充実を目的にした税制活用は明らかに時代おくれである」と断言し、その廃止を求めているのであります。このような全面的見直しをすれば、二兆円程度の財源が直ちに確保できるのであります。税制の改正は、特別措置の全面的見直しとともに、法人税、所得税の本法に組み込まれた不公平税制の洗い直しによって行うべきものであると考えますが、これを検討に上せる考えがあるかどうか、お尋ねをするものであります。
 また、税制調査会が中期答申で提起した法人税の負担の引き上げ、さらには、国民的要求が強い大幅な所得税減税について、実施する考えはあるのか、あわせて明らかにされたいのであります。
 以上、国民本位の経済危機打開と税制の改革が急務となっている今日、総理並びに大蔵大臣の決意と誠意ある答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(大平正芳君) 佐藤さんの第一の御質問は、今年度の予算、税制改正案の策案に当たって従来のやり方をどのように改めたかという意味の御質問でございました。一つには、ことしの予算の編成に当たりましては、歳出内容の洗い直しを徹底的にやりまして、経常的経費につきましては、福祉関係、雇用対策関係等を除きまして、全体の伸率を従来に比べて相当低目に抑えたわけでございます。それから第二に、投資的経費でございますが、これは社会資本の整備を通じまして景気の着実な回復を軌道に乗せるために、あなたの言われる生活関連施設を中心に相当予算を確保するように努力をいたしたわけでございます。それから第三には、租税特別措置の洗い直しを従来より一層厳しく見直しをいたしたわけでございます。
 それから第二に、不公平税制の是正はこれで十分と思っているかどうかという御質問でございました。佐藤さんも御案内のように、高度成長期にございました多くの政策減税は大半これを廃止してしまっておるわけでございます。その後も毎年不断にこの特別措置の見直しをやってまいったわけでございますが、ことしも、社会保険診療報酬課税の特例の是正でございますとか、有価証券譲渡益課税の強化でございますとか、価格変動準備金の段階的な整理でございますとか、その他数項目にわたりまして相当な改善を行ったつもりでございまして、今後もこの努力は続けてまいるつもりでございます。
 それから第三に、一般消費税はこの国会には提案を断念したらどうかと、今年度の提案は断念したらどうかということでございました。私どもの方では、この準備ができて御審議をいただけるような状況になりましたら提案をいたしたいと考えておりますので、本年度これは絶対提案いたしませんとお約束をするわけにはまいりません。いわんや、これを最終的には断念すべきでないかというお説でございますけれども、財政再建という問題は避けて通れない課題でございまして、私どもといたしましては、こういう方法によってやるのが一番適切ではないかと考えておりますので、せっかくのお話でございますけれども、断念するつもりはございません。
 その他の点は、ほかの大臣からお答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣金子一平君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(金子一平君) 佐藤さんにお答えいたします。
 今回の特別措置法の改正で取り上げた産業転換投資促進税制、土地税制の緩和は大企業向けの優遇措置だからやめるべきではないかという御意見でございまするが、産業転換投資促進税制は、これは大部分が中小企業を対象にしておるものでございまして、また、雇用機会の維持拡大の見地からも要望の強かったものでございまするので、これを大企業向けと言うわけにはいくまいと思います。
 また、土地税制の緩和は、現在住宅・土地政策が大変むずかしいやっかいなことになっております。こういうときでございまするから、それこそ優良住宅地の供給と公的土地取得の促進を少しでも進めるようにということで、条件つきで部分的に緩和を認めようということでございますので、これが不動産業界に大きなプラスになるとかいうようなことは断じてないと私どもは考えておるのでございます。
 それから、租税特別措置を全面的になぜ見直さないかということでございますが、佐藤さんは百も御承知のことでございまするけれども、租税特別措置の六割以上のものは、公害防止対策、中小企業対策、あるいは零細貯蓄の増強策というようなことで大きな役割りを果たしておるのでございまして、全般的にこれを廃止することは困難と考えます。ただ、存続、新設される項目につきましては、今後もその時点の経済社会情勢を踏まえた上で、これは随時、的確に見直していくことが必要であろうと考えるのでございます。
 それから、貸し倒れ引当金の繰り入れ率や有価証券、価格変動準備金等についての御指摘がございました。これも、今度は貸し倒れ引当金の繰り入れをおおむね二割程度引き下げることにいたしておりまするが、今後も実情に即した見直しは常時行ってまいりたいと考えております。価格変動準備金につきましても、積立率を期限を付した上で段階的に整理を行うことにいたしておるのでございまして、これも相当前進した改正ではなかろうかと考えておるのでございます。
 有価証券譲渡益につきましても、今度は、段階的ではございまするが、課税の方向を強く打ち出しておることを申し上げておきたいと思うのでございます。
 それから、法人税や所得税の本法に組み込まれた不公平税制の洗い直しを行うべきでないかという御指摘でございまするが、先ほども申し上げたことでございまするが、所得税、法人税の負担調整のための仕組みとして今日設けられております益金不算入の措置その他の措置につきましては、これは税制の根幹に関する問題でございまするから、いま直ちにこれに手をつけるつもりはないことをはっきり申し上げておきたいと思うのでございます。
 それから、法人税率の引き上げ、所得減税を実行する考えはないかということでございますが、法人税はいま直ちに税率の引き上げを行うのはその時期にあらずと考えております。
 それから、所得税の減税も、総理からもお答えがございましたように、税負担の現状から考えますると、大変残念でございまするけれども、見送らざるを得ないのが現状でございますということをお答え申し上げたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#34
○副議長(加瀬完君) 中村利次君。
   〔中村利次君登壇、拍手〕
#35
○中村利次君 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題とするに当たり、私は、民社党を代表して、政府の財政政策、税制面の措置等について、総理並びに大蔵大臣の御所見を伺いたいと存じます。
 石油ショックの後遺症とも言うべき財政危機は、いまや重大な政治課題となっています。国民の理解を得ながら積極果敢に財政の健全化に取り組むのは政府の当然の役割りであります。ところが、国民としては、政府の姿勢がややもすれば無定見、場当たり的に映るのではないでしょうか。五十二年度の予算審議に当たって、政府は、公債依存度の歯どめは三〇%である、それ以上の発行はしないと繰り返し強調をしてこられました。ところが、五十三年度には早くもこの歯どめは崩れて、公債依存度は三七%となりました。政府は、臨時異例の措置という表現を用いて言いわけをしたのであります。五十四年度の予算案では公債依存度が三九・六%になり、特例公債も八兆を超えて、臨時異例の措置よりもはるかに厳しくなったのでありますが、言いわけをすべき適当な表現がないのか、政府はだんまりのままであります。総理、これでは困るんです。その場その場、その年その年を何とかしのぎながら、そのうち何とかなるだろうという印象を与えるような政治の姿勢は速やかに改めるべきだと思いますが、いかがですか。
 特例公債脱却の時期についても同じであります。財政収支試算で五十四、五年とし、また五十七年に変更をし、そしてついに五十九年になりました。民社党は、つとに経済動向、雇用、国民生活等との関連において特例公債脱却の時期を六十年代の初期としておりますから、政府の試算がわが党の政策に近づいてきたことになりますが、これは決してわが党にとっても自慢すべきことでも喜ぶべきことでもなく、政府の無定見を厳しく叱正すべきことだと思います。
 最近の新聞等の世論調査によれば、大平内閣の支持率はかなりな高水準と伝えられておりますだけに、国民の期待に背かれないような姿勢を新たにした総理の御精進を期待いたします。御見解を伺いたいと存じます。
 財政の健全化につきましても、国民はすでに言い古された補助金の洗い直しや行政改革の断行など、歳出面での総理の決断と実行を期待しています。
 過日この本会議での総理答弁でおっしゃいましたように、この問題は、確かに総論賛成各論反対的傾向の強い課題でありますだけに、総理の指導性が求められるわけであります。その指導性と勇断がなくて五十五年度から一般消費税の導入というのでは、国民の期待は裏切られることになります。また、百歩譲って、仮に政府の計画どおり五十五年度に五%程度の一般消費税を導入したと仮定して、それによる歳入増と若干の景気回復による税収増を見込めたとしても、とうてい収支のバランスがとれるものではないのですから、国民の支持を得た勇断を避けることはできないわけであります。いかがでしょう。歳出歳入両面でやるべき対策を大胆にお示しいただくことを求めます。
 政府は、社会保険診療報酬に対する課税について若干の是正を行うとしています。是正を求められて久しいこの特別措置を四分の一世紀ぶりに是正する歴史的価値は認めますが、とうていまだ国民の共感を得られるものとは言えません。もちろん、診療報酬技術料の適正化と相まって、国民の期待にこたえ得る完全是正が必要でありますが、いかがですか。具体策をお示しいただきたいと存じます。
 次に、有価証券譲渡益についてお尋ねいたします。いまや有価証券譲渡益を総合課税とすることに異論を唱える者はないと存じますが、その捕捉はまことに至難だと思われます。しかし、不公正を正すためにも、困難を可能にするのが政治と行政の役割りだと存じますが、大蔵大臣の御所見を伺いたいと存じます。
 次に、利子配当所得についてでありますが、これもまた長年の課題であったと言えるでしょう。政府は、五十五年まで源泉選択税率の適用があるから、それまでに対処できるよう主税局、国税庁の検討に民間の金融機関を加えて検討を進める旨の答弁をしてこられたわけでありますが、利子配当所得もまた有価証券に次いでその捕捉がきわめて困難であると言われていますが、五十五年あるいは五十六年実施のめどがおつきになったかどうか、大蔵大臣に伺います。
 次は、土地譲渡益の問題であります。政府は、住宅の供給増を図るため、土地譲渡益所得に対する課税の軽減をしようとしているわけであります。軽減の理由と内容についても格段に不当なものとは思われませんが、しかし、戦後の土地の動向に照らしても、譲渡益所得に対する課税の軽減措置が宅地供給の増加につながった実績は見当たりませんし、むしろ、地価の高騰につながるおそれの方が多いのではないか。現に、最近宅地の値上がりが特に大都市部において目立ち始めましたが、その引き金になっているのは土地税制の見直しに対する期待によるものという見方がきわめて有力であります。加えて、この措置が、宅地価格の高騰要因のみでなく、税制の軽減や地価の値上がりを見込んだ売り惜しみを招くとすれば、きわめて重大な失政となるわけでありますが、総理大臣の御所見はいかがでしょうか。その対策を含めてお伺いいたします。
 最後に、石油関連の増税について質問します。
 イラン政変は石油の量及び価格の両面ですでに世界的な不安要因をつくっていますし、イラン政情の見通し、中東政情についても不安定要因は多いわけであります。世界は、当面する石油問題、また八〇年代の石油・エネルギー対策に追われています。三月には資源エネルギー庁長官が、また五月には通産大臣が出席される国際会議の開催もすでに伝えられておりますが、私は、八〇年代の石油については、量もさることながら、価格の高騰にどう対応するかが重大な問題になると存じます。五年前の石油ショックは私たちにエネルギー対策の誤りが招く恐ろしさを体験させました。石油の値上がりだけでなく、国際的にインフレの不安が高まっているときであります。五十四年度に揮発油税、地方道路税、航空機燃料税の引き上げが計画されておりますが、経済対策の上で、また、物価対策上どのようなお考えをお持ちなのか。また、財源として比較的安易な石油関連の増税を今後も引き続きお続けになるのかどうか。エネルギー問題の重要性がいよいよ問われるときでございますだけに、御所見を承って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(大平正芳君) 中村さんの最初の御質問は、政府の財政再建策が唱えられてから久しいが、赤字公債を脱却する年度もだんだんと延び延びになってきておる、もっと確固たるものを示さなければいけないじゃないかという御趣旨でございました。仰せのとおりでございますが、石油ショック以後の世界不況、意外にその谷合いが深うございまして、これからの回復が相当手間取ってまいりました。経済の自律的な回復力を持つことができませんで、財政支出に依存せざるを得ないような状況が続いておるわけでございまして、早く着手すべきでございますことは御指摘のとおりでございますけれども、そういうことにならなかったことは大変残念でございます。しかしながら、ようやく経済の方にも明るさが出てまいりまして、生産も出荷も在庫整理も順調に進んでおります。幸いに物価も安定いたしております。最終需要も根強いものがございますので、ようやく財政再建に本格的に取り組む条件ができたように思うのでございます。そこで、明年度から本格的に着手しなければなりませんので、ことしその準備をいたそうといたしておるわけでございますことを御理解いただきたいと思います。
 それから第二に、行政改革、補助金整理など、歳出の抑制にはもっと大胆にやらなければならないではないかという御指摘でございます。これまた仰せのとおりでございますが、私どもも、この行政改革、補助金の整理にはこれまでも努力してまいりました。ことしにおきましても、中央省庁で五十一の課の整理、出先機関の一千カ所の整理を計画いたしております。第四次の公務員の定員削減は二万八千人を予定いたして、いま実行中でございます。認許可数もことしは千二百四十ばかりこれを取りやめることにいたしておりまするし、それから補助金整理も千二百七億円この予算でやろうといたしておるわけでございます。もっと大胆にという御趣旨でございますが、今後も一層この方面の圧縮に努力をいたしまして、御期待にこたえなければならぬと考えております。
 自余の問題につきましては関係大臣から御答弁いたします。(拍手)
   〔国務大臣金子一平君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(金子一平君) 中村さんにお答えいたします。
 社会保険診療報酬の今回の是正措置は今回でもう終わりなのか、それとも、今後さらに是正等を図っていくつもりかというのが第一の点でございますが、今回の改正案は、実態に近い概算経費率と中小保険医の公共性に対する配慮としての特別控除のこの二つを組み合わせて構成されたものでございまして、妥当な内容を持っておると考えますので、当分の間これを維持していきたいと考えておる次第でございます。
 それから次は、有価証券の譲渡益の捕捉の具体策としてどんなことを考えておるかという点でございますが、譲渡益の把握につきましては、これは納税者の自主申告に待つことはもちろんでございますけれども、いまいろんな資料、情報の収集についての手段につきまして、関係方面との調整を進めておる最中であることを申し上げておきたいと思います。
 それから、利子配当所得の分離課税を五十五年度で見直しをするつもりかどうかということでございますが、五十五年度の税制改正までには、ぜひひとつ総合課税の結論を得て、税制改正案として五十五年度の通常国会の御審議に間に合わしたいというふうに、いませっかく準備を進めておる最中であることを申し上げておきたいと思います。
 それから次は、土地の譲渡益課税の緩和につきまして、かえって土地の値上がりを誘発するんじゃないかという御意見でございまするけれども、これはもう御承知のとおり、短期譲渡所得の重課制度や法人の土地譲渡益の重課制度はこれをそのまま残して、その基本的な土地課税の枠組みの中で、一定の宅地供給について条件つきで税制の緩和をいたすわけでございますので、それが土地投機につながるというふうには私ども考えておりません。ただ、いろんな土地に対する投機的な動きがあるぞというような御心配もございますので、私どもは、金融機関等についての実態調査の聞き取り調査の上では、いまこの仮需要が土地について起こって、そのための大規模な貸し出しが増加しておるというふうには考えておりませんけれども、なおそういうことにつきましても十分の配慮をいたさなきゃいかぬものですから、仮需要等に対する貸し出しは十分注意するようにという警告をすでに発しておる状況でございます。
 それからもう一つ、最後に、イラン情勢で石油価格が値上がりぎみだが石油課税について再検討すべきではないかということでございますが、イラン情勢の結果石油価格がどうなるかは、これはもう政府としても大きな関心を持っております。石油価格等の高騰を避けるために万般の措置を講じて値上がりを防ぎ、また、特に便乗値上げ等が起こらないように、石油製品について重々の対策を講じておるところでございますが、今回の揮発油税の増税、これは、御承知のとおり、道路の特定財源にするためにやむを得ない措置として引き上げることにいたしたものでございまするが、その物価に及ぼす影響は卸、小売とも大体〇・一%程度と考えておるのでございまして、この問題だけでは私はいますぐこれを見直す必要があるとは考えておりませんが、石油の価格全体については今後の需給について十分な対策を講じてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
#38
○副議長(加瀬完君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後二時四十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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