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1978/03/16 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 本会議 第9号
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1978/03/16 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 本会議 第9号

#1
第087回国会 本会議 第9号
昭和五十四年三月十六日(金曜日)
   午前十時四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第九号
  昭和五十四年三月十六日
   午前十時開議
第一 議員派遣の件
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、故前衆議院議長衆議院議員保利茂君に対し
  弔詞贈呈の件
 一、故衆議院議員成田知巳君に対し弔詞贈呈の
  件
 一、故議員三善信二君に対し弔詞贈呈の件
 一、故議員三善信二君に対する追悼の辞
 一、日程第一
 一、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制
  に関する法律の一部を改正する法律案(趣旨
  説明)
 一、国務大臣の報告に関する件(昭和五十四年
  度地方財政計画について)及び地方交付税法
  の一部を改正する法律案(趣旨説明)
     ―――――・―――――
#3
○議長(安井謙君) これより会議を開きます。
 前衆議院議長衆議院議員保利茂君は、去る四日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 同君に対しましては、すでに弔詞を贈呈いたしました。
 ここにその弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院はさきに衆議院議長として憲政の発揚につとめられまた国務大臣としての重責にあたられました衆議院議員従二位勲一等保利茂君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
     ―――――・―――――
#4
○議長(安井謙君) 衆議院議員成田知巳君は、去る九日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 つきましては、この際、同君に対し、院議をもって弔詞を贈呈することとし、その弔詞は議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 議長において起草いたしました弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院は多年わが国民主政治発展のため力を尽くされました衆議院議員成田知巳君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
    ―――――――――――――
 弔詞の贈呈方は、議長において取り計らいます。
     ―――――・―――――
#6
○議長(安井謙君) 議員三善信二君は、去る七日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 同君に対しましては、すでに弔詞を贈呈いたしました。
 ここにその弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院は議員従三位勲二等三善信二君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
     ―――――・―――――
#7
○議長(安井謙君) 菅野儀作君から発言を求められております。この際、発言を許します。菅野儀作君。
   〔菅野儀作君登壇、拍手〕
#8
○菅野儀作君 本院議員三善信二君は、去る三月七日、悪性リンパ腫のため、東京慈恵会医科大学附属病院において逝去されました。まことに痛惜哀悼の念にたえません。
 私は、ここに、皆様の御同意を得、議員一同を代表して、故三善信二君のみたまに謹んで追悼の言葉をささげたいと存じます。
 三善信二君は、大正十年、熊本県上益城郡嘉島町の素封家で、かつて衆議院議員を務められた三善信房氏の次男として出生されました。
 地元の名門熊本中学では、君は秀才の誉れ高く、なお、柔道に励まれ、全国中学対抗柔道大会で準優勝をするなど、輝かしい戦績を残されました。後年にも、君は、この熊木中学時代をこよなくなつかしく思われ、熊本名物の「ぼした祭り」には、たびはだしで同窓生の隊列の先頭に立たれたとうかがっております。
 やがて君は、自由と剛気の気風で知られる第五高等学校へ進まれ、さらに東京帝国大学法学部政治学科へと進まれました。昭和二十年大学を卒業して直ちに農林省に入られた君は、一時通商産業省、在ビルマ日本国大使館及び福岡県に出向されたほかは、一貫してわが国の農林水産行政のために粉骨砕身され、数多くの業績を残されたのであります。
 特に、水産庁生産部長当時、何回も日ソ漁業交渉に当たられた君は、持ち前の粘り強さと誠意と理論とをもって幾たびか困難な局面を乗り越え、交渉を妥結に導かれました。また、オイルショックと国際化の波という激動の時期に食糧庁長官となられた君は、国民の食糧を確保しつつ、いかにして農民の生活を安定させるかということに日夜苦心されたのであります。
 昭和五十一年十一月農林事務次官を最後に官界を辞された君は、翌五十二年七月郷里熊本県の人々の衆望を担って参議院議員に当選されましたが、君が政界に進むことを決意された背景には、御父君の遺志を継ぐということもさることながら、行政の面ではどうしても壁に突き当たらざるを得ないわが国の農業及び水産業の将来を政治の場において切り開いていこうという、ひそかな決意があったものと推察するのであります。
 事務次官という官僚として最高の地位に上られた後に参議院議員となられた君は、それにもかかわらず、決して高ぶらず、常に謙虚に、かつ真摯に人と接してこられました。君が祖師谷の自宅から国会まで電車に揺られて通われた姿は、多くの人々が目にしたところであります。また、日本の農村、漁村の現実と政策のギャップを痛いほど知っておられた君は、それゆえにこそ、郷里熊本において農村、漁村の青年たちと常にひざを交えて、彼らの悩みを真摯に聞き、また農村、漁村の将来について語り明かしたと承っております。
 君を知る人のすべてが君を敬愛してやまなかった理由は、君が常に誠実、謙虚なお人柄であったと同時に、「肥後もっこす」の精神を受け継いだ静かなる闘志の人であったからであります。
 参議院議員に当選されてまだ一年有半にしかならぬ君は、外務委員会、予算委員会及び公害対策特別委員会に所属されておられました。委員としての発言の機会は多くはありませんでしたが、国際化時代を迎えた日本農業、二百海里時代を迎えた日本漁業の問題について貴重な意見を開陳されました。特に、日ソ漁業交渉をめぐっては、みずからの豊富な知識と体験を踏まえて、じゅんじゅんと政府を鞭撻されたのであります。
 また、党にあっては、国民運動本部推進部長の要職にあったほか、有数の農林水産政策通として、日米農産物交渉や生産者米価の決定に当たって活躍をされてこられました。
 今日、国際化時代を迎えたわが国の農業及び水産業は多くの難問に直面しており、ますます君のような識見と静かなる闘志を持った政治家の活躍を必要としているのであります。このようなときに君を失ったことは、わが参議院のみならず、国家のためにも一大損失であり、まことに痛恨のきわみであります。
 私どもは、必ず君が政治家として大成され、専門とする農業、漁業問題はもとより、国政のあらゆる分野において大いなる活躍をされるものと期待していたのでありますが、不幸にも、あれほど強靱と見受けられた君の体はひそかに病魔の冒すところとなり、その機会を奪ってしまったのであります。君のあの温和な、しかも闘志を秘められた笑顔をこの議場において見ることは、もはやできません。
 ここに、重ねて三善信二君の人となりと残された業績をしのび、議員一同を代表して、謹んで哀悼の意を表する次第であります。御冥福を心からお祈り申し上げます。(拍手)
     ―――――・―――――
#9
○議長(安井謙君) 日程第一 議員派遣の件
 来る四月十六日から二十一日まで、チェコスロバキアのプラハにおいて開催される列国議会同盟の本年度春季会議に、本院から河本嘉久蔵君、柏原ヤス君を派遣いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#11
○議長(安井謙君) この際、日程に追加して、
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。金子国務大臣。
   〔国務大臣金子岩三君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(金子岩三君) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 原子力の開発利用は、わが国におけるエネルギーの安定供給に重要な役割りを果たすものでありますが、その円滑な推進を図るためには、原子力発電所からの使用済み燃料を再処理し、計画的かつ安全に処分するとともに、回収されたウラン及びプルトニウムをリサイクルさせて使用することにより、限られたウラン資源を有効に利用することが不可欠であります。この再処理は、いわば核燃料サイクルのかなめとも言うべきものでありまして、エネルギー資源に乏しいわが国にとっては、とりわけ重要な意義を有するものであります。
 とのような観点から、核燃料サイクル確立の一環として、原子力の平和利用と安全の確保を図りつつ、使用済み燃料の再処理を計画的に推進する体制を確立するとの基本的考えのもとに、これまで動力炉・核燃料開発事業団において、東海村にわが国初の再処理施設の建設を進めてまいりました。本施設につきましては、一年半にわたる慎重な試験を重ねた後、米国との間の交渉を経て、昭和五十二年九月から使用済み燃料を用いた試運転に入っているところであり、今後この試運転の結果を総合的に評価した上で、本格的な操業に入ることとなっております。
 もとより、この再処理施設のみをもって今後のわが国の再処理需要に対処することは不可能であります。したがいまして、当面は、やむを得ず、海外への再処理委託と本施設によって対処することとしておりますが、それ以降のわが国の再処理需要に適確に対処していくためには、今後、動力炉・核燃料開発事業団等における技術と経験の蓄積の上に立って、新たな再処理施設の建設を進めていくことが不可欠であります。
 加えて、再処理施設の建設には十年以上という長期間を要することを考え合わせますと、その建設準備に一刻も早く着手しなければならない時期に立ち至っております。
 現在、再処理事業につきましては、動力炉・核燃料開発事業団及び認可を受けた場合の日本原子力研究所に限り、これを行うことができることとなっておりますが、前述のような諸情勢に対処し、新たな再処理施設の建設にわが国の総力を結集して当たり得るよう、再処理事業を行うことができる者の範囲を拡大するとともに、それに伴って、再処理事業の規制の一層の充実強化を図る等の措置を講ずる必要があります。
 一方、国際核燃料サイクル評価の開始等、核の不拡散をめぐる世界の情勢はとみに厳しさを増しつつありますが、わが国としましては、原子力の平和利用と核の不拡散は両立し得るとの基本理念に立脚し、使用済み燃料の再処理とプルトニウムの利用を計画的に推進し得る体制を確立し、もってわが国の自主的な核燃料サイクルを確立するとの基本的考え方を国際的にも強く貫いてまいる所存であります。
 次に、本法案の要旨を述べさせていただきます。
 第一は、動力炉・核燃料開発事業団及び日本原子力研究所以外の者も内閣総理大臣の指定を受けた場合には再処理事業を行うことができることとすることにより、再処理事業を行うことができろ者の範囲を拡大することであります。
 第二は、再処理事業者は再処理施設について内閣総理大臣の使用前検査及び定期検査を受けなければならないこととする等、再処理事業の規制に関し、その充実強化を図るとともに、関係規定の整備を行うことであります。
 なお、衆議院におきましては、原子力委員会及び原子力安全委員会の意見の尊重義務の規定につきまして所要の修正がなされております。
 以上が、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
#14
○議長(安井謙君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。吉田正雄君。
   〔吉田正雄君登壇、拍手〕
#15
○吉田正雄君 私は、日本社会党を代表し、ただいま提案されました原子炉等規制法の一部を改正する法律案について、十分間というきわめて制限された中で、総理並びに関係各大臣にお尋ねいたします。
 第一は、石油危機、エネルギー危機の危険な誇大宣伝についてであります。
 石油危機論は、百数十年前の石油企業成立以来、常に繰り返されてまいりました。一九二〇年以降のアメリカによる危機論は、メジャーが国内石油資源を温存し、イギリス系資本の拡張阻止を図り、中東、東南アジア、中南米など、海外石油資源確保のため、政府と一体になって展開したキャンペーンであることが今日明らかとなっております。
 今日の危機論の主要な背景は、何よりも、軍事面でさほど必要としなくなったウラン燃料の民需への転用と、一基の建設に数千億円もかかる原子力発電にその目的があります。
 エネルギーの安定供給に名をかり、五千億ドルと言われる国際市場を制覇することは、アメリカ原子力関連産業と政府にとって、不況からの脱出、赤字克服への至上命令とも言えます。しかも、ウラン資源が国際カルテルによって価格の操作が行われていることも、七七年六月、アメリカ下院商業委員会の監視小委員会によって明らかにされました。
 さて、ブルッキングス研究所の七四年経済活動報告、七七年五月の国連報告、昨年秋のCIA報告などでは、石油がここ五十年や百年で枯渇する心配のないことが明らかにされています。石油を初め化石燃料の可採埋蔵量は、採取技術、経済性、政治情勢の三つに大きく左右されると言われています。
 そこで、お尋ねいたしますが、石油を初め化石燃料の究極可採埋蔵量をどれほどと見込んでおいでになりますか、お聞かせください。
 ところで、経済成長率に合わせてエネルギー消費も同じ率で増大すると、たとえば年率六・五%の場合、十年後には倍となり、百年後には実に一千倍も年間に消費することになります。これでは、エネルギー危機以前に環境破壊によって宇宙船「地球号」が死滅するのは、フラーの警告を待つまでもなく明らかであります。いたずらな高度成長政策を改め、安定的な定常成長と、再生可能な太陽系エネルギーの許容範囲内でのエネルギー消費しか許されないことに人類は一日も早く気づくべきであり、政治は勇気をもって誘導すべきであります。
 そこで、経済成長率の見直しと省エネルギーに重点を置いたエネルギー需給計画の見直しが必要と思うが、総理並びに通産大臣の見解をお尋ねいたします。
 第二は、原子力は果たして石油の代替エネルギーになり得るかという点についてであります。昭和五十四年三月十六日 参議院会議録第九号
 まず、原子力発電の非経済性です。昨年四月二十六日に発表されたアメリカ下院の政府活動委員会報告では、次のことを指摘しております。放射性廃棄物と使用済み燃料の最終処分と永久管理及び大型商業用原子炉の解体技術は実証されておらず、これらに要する経費を含めれば原子力発電は従来のエネルギー源より、はるかに高くつくであろうと述べています。わが国における原子力発電の運転状況は、通産省資料によっても、施設利用率は、初年度六六・八%、二年度五一・八%ですが、五年度三三・五%、六年度二九・四%となり、五年目以降急速に低下しています。
 次に、原子力発電の危険性についてであります。前述の報告によれば、大量の放射性棄廃物による放射性核物質から出る高エネルギー放射線の一%が自然放射線のバックグラウドに加われば、何千人もの障害児出産の増加となり、がん患者が何千人も増加することになると述べています。百万キロワット級の原発一基が一年間につくり出す死の灰の量が広島・長崎型原爆の一千発分に相当することを考えるとき、当初宣伝されたクリーン、安全とは全く相反するものであり、原子力発電は研究段階に置くべきものと思うが、いかがでしょうか。
 さらにウランは石油の二百万倍のエネルギー源であるという神話も根本から覆っています。これは、多くの研究機関や学者によるエネルギー収支の分析結果から明瞭であります。つまり、原子力は石油のかん詰めという評価が与えられるゆえんです。
 また、ウラン資源の量そのものもきわめて限られたものであり、国際原子力機関などの推定によっても、現在世界で運転、建設、発注、計画中の合計六億八百五十五万キロワットの四十年分と言われています。これをどのように受けとめておいでになるのか。
 また、以上の点から、従来取り組みの弱かった省エネルギー面からの産業構造の改変、サンシャイン計画など、太陽系再生可能エネルギーの開発に積極的に取り組むべきだと思うが、通産大臣の見解をお聞かせください。
 第三は、再処理工場の危険性についてであります。
 動燃事業団の東海村再処理工場は、五十二年九月から十二月までのホットテストを経て、五十三年二月から本格操業を強行しましたが、半年を経ずして事故を起こし、現在は操業を停止しています。県環境放射能監視委員会の観測データによれば、この間、九月から三月までの半年間に、放射能を含む一万二千トンの廃液が周辺海域に捨てられ、二万二千キュリーの放射性クリプトンが気体として捨てられています。廃液中に含まれる核種や放射能濃度の異常な高さに驚いた県監視委員会は、昨年六月、排水措置について二、三の指摘はしていますが、有効なものでなく、科学技術庁の安全行政における無責任な態度は明白と言えます。
 ところで、再処理工場から出る高レベル廃棄物の処理、管理について、日本では現実に解決の確信が得られたのかどうか、また、東海再処理工場の再開はいつごろになるのか、お伺いいたします。
 現在、カーターの政策によって、核拡散につながる再処理工場の建設は認めないというのがアメリカの方針であります。そこで、日米原子力協定改定交渉におけるアメリカの態度と提案の内容、また、国際共同管理による核燃料パーク構想に対する政府の考え方、さらに、民営再処理工場は本当に実現できると思っているのかどうか、その場合、設置場所、用地規模など、具体的構想はどのようになっているのか、お尋ねいたします。
 第四は、核防護と基本的人権のかかわりについてであります。
 聞くところによると、治安当局は、名称はともあれ、核防護のための保安隊を原子力施設に配置するとのことであるが、最近、全国各地における火力、原子力発電に対する反対運動や、各種公害反対運動に対して、警察庁が機動隊導入による問答無用式の力の鎮圧を方針としているように見受けられる昨今、核保安隊の運営いかんによっては、国民の基本的人権にかかわる重大な問題となります。
 そこで、公安委員長にお尋ねいたしますが、核ジャックが日本で生ずると本気で考えているのかどうか。また、保安隊の活動が、核防護を理由に、日常的に施設従事者や原発反対運動の監視、抑圧に陥るおそれはないのか。もしそうだとすると、核警察国家へのとびらを開くことになりはしないか、見解をお聞きする次第です。
 最後に、日本の核武装に対する各国の不安をどのように払拭するのか、総理にお尋ねいたします。
 歴代内閣によって、いまや自衛隊は名実ともに世界第七位の軍隊にと成長し、憲法第九条は完全にじゅうりんされました。さらに、福田前内閣は危険な論議を一層推し進め、戦術核兵器は第九条に違反しないという恐るべき政府見解を出すに至りました。いかに強弁しようと、第九条違反は明白であります。また、憲法第九十八条は、締結した条約及び国際法規は誠実に遵守することを規定しています。核不拡散条約を批准したわが国は、この規定からも核武装が許されないことは明白であります。さらに、原子力基本法はあくまでも原子力の平和利用を定めております。ここで改めて、憲法と原子力基本法に対する見解をお尋ねいたします。
 さて、自衛隊の現状や、日本政府の今日までの一連の言動から、日本の核武装に対する各国の疑念や不安がつのっていることは否定できません。大平総理が真にハト派であるかどうかの踏み絵でもある核武装問題について、明確に政府として非核武装宣言を世界に向けて行うとともに、法的整備、核物質の軍事転用阻止の具体的措置を講ずる意思があるのかどうか、お尋ねして、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手)
#16
○国務大臣(大平正芳君) 経済成長とエネルギーの消費規制との関係についてのお尋ねが最初にございました。エネルギー資源、とりわけ石油の埋蔵量、その増産の限界等につきましてはいろいろの意見がございますが、いずれそれが限界に至ることもまた明らかであろうと思います。また、エネルギーの供給と使用によりまして環境破壊のおそれがあることも御指摘のとおりでございます。そういう状況でございますけれども、雇用の確保、福祉の向上を期してまいる上におきましては、仰せのように、安定した経済の成長を図ってまいることも必要でございます。そういう状況に対処いたしまして、われわれといたしましては、このエネルギー資源の供給の安定と、その消費の節約を図りながら、適正な経済の成長をねらっていかなければならぬと考えまして、いま、御承知のようなエネルギー政策を、供給の面におきまして、消費の面におきまして展開いたしておるところでございます。御理解をいただきたいと思います。それから、核武装に関するお尋ねでございました。これは、従来から自衛のために最小必要限度を超えない実力を保持することは憲法によって禁止されておらない、したがって、自衛のための必要最小限度の範囲を超えることになるものは、通常兵器でありましてもその保有は許されないと解されるのが憲法の精神だろうと思いますが、その精神は、一方、核兵器でございましても、仮に右の限度の範囲内にとどまるものであれば、憲法上はその保有を禁ずるものでないという解釈を政府はとっておりますことは御案内のとおりであります。
 憲法の解釈は右のとおりでございますけれども、わが国は、政策的な選択といたしまして、いわゆる非核三原則を国是とも言うべき政策として堅持しております。さらに、原子力基本法並びに核兵器不拡散条約の規定によりまして、一切の核兵器を保有し得ないとしていることは言うまでもないところでございます。この非核原則なるものを改めて内外に宣言する必要があるのではないかということでございますが、すでに国会を通じて明らかに鮮明にいたしておりまするし、それを基礎といたしましてわれわれの政策が推進されておりますので、改めて内外の信を問う必要はないのではないかと考えております。(拍手)
   〔国務大臣江崎真澄君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(江崎真澄君) お答え申し上げます。
 化石燃料及びウラン資源の埋蔵量はどれくらいあるのか――これは、多くの専門家の見方としましては、石油の究極的な可採埋蔵量、これにつきましては約二兆バレルと言われております。すでに発見されました量は約一兆バレル、そのうち既往生産分を除きますると、あと六千四百億バレル程度、これがまあ世の中で、あと三十年程度と言われる数字というふうに承知いたしております。石炭は、これは最も化石燃料の中では豊富な資源でありまして、埋蔵量は十兆トン以上、可採炭量だけでも約六千億トン以上、こう言われまして、その分だけでも二百年分以上だというふうに言われております。それから、天然ガスも、基本的には石油とともに将来だんだん枯渇していく炭化水素エネルギーでありまして、確認埋蔵量は約七十一兆立方メートル、これは約四十五年分というふうに言われておるものであります。そのほか、オイルシェールとかオイルサンドの埋蔵量につきましては、いろんな見方があるそうでありまするが、当面経済的に回収可能な量というものはそんなに多くないという見方が大勢であります。それからウラン資源につきましては、確認埋蔵量では約二百二十万トン、また推定埋蔵量では約二百十万トン、合計約四百三十万トンと言われておるわけであります。そのほか、燐鉱石であるとか、頁岩、海水に含まれるウランは大規模なものがありまして、その有効利用のための技術開発が着々と現在進んでおる。これを踏まえまして、国際核燃料サイクル評価――これはINFCEと言っておりますが、国際的なウラン資源の埋蔵量の総合的な評価作業が行われておるところであります。しかも、わが国等におきましては、この貴重で有限なウラン資源につきましては、使用済み核燃料の再処理を今後とも力強く推進する、そうして資源の有効利用を図っていきたいというふうに考えております。
 それから、省エネルギー政策の立場から言っても、今後産業構造の転換を図るべきではないか――これは貴重な御指摘だというふうに思います。わが国経済は、エネルギー等この資源面の制約要因の高まりに加えまして、このエネルギー源の多角化を計画的に進めております。詳しく申し述べませんが、御承知のとおりだと思います。こういったエネルギー事情の変化に対応していくためには、やはり産業構造の積極的な変革を通じていわゆる知識集約型の産業、付加価値の高い産業というものを進めることは不可欠であるというふうに考えておるものであります。
 それから、原子力発電は、経済性から見ても、またその危険性から見ても、これはとうてい採算に合わないものではないかという御指摘でありまするが、この点につきましてはいささか見解を異にするものであります。これは、石油に代替するエネルギーとして最も有望なものはやはり原子力発電である。したがって、これを積極的に進めますためには、何といっても、われわれ担当省としては、その安全性をどう確保していくか、これに最重点をしぼりまして、今後とも安全規制の充実などにより安全確保に万全を期してまいりたいと思っております。そればかりか、国民にその安全性について、やはり深い理解を求め、協力を得なければならぬ問題ですから、そういった面についても十分ひとつ意を用いてまいりたいと思っております。特に、われわれ日本は、核エネルギーの凶悪な面、いわゆる兵器としての洗礼を受けた唯一の犠牲国でありまするが、これはやはり平和利用の面で広く人類に貢献させるという面でこの核エネルギーを本当に征服した、こういうことにたると思いまするので、今後ともこの核エネルギーをどう平和利用の面で人類に貢献させるか、これに熱意を注いでまいりたいというふうに考えておる次第であります。
 それから、だんだん石油にこれがとってかわっていくわけでありまするが、それは実験段階であるのか、もうすでに実施段階であるのかという点につきましては、安全確保に万全を期しながら目下努力をしておるところでありまするが、原子力発電はすでに世界において運転実績から見ましても十分実用化されておる、こういうふうに私どもは判断をしております。たとえば、わが日本におきましては、本年三月一日現在すでに十八基、千百五十万キロワットに達しております。アメリカの場合は、これは七八年十二月末の統計によりますると、七十二基、五千四百五十万キロワット、西ドイツは十三基で九百五十二万キロワットと、着々と実用面で成果を上げておるところであります。
 一方、省エネルギーの問題につきましては、昨年五月、省エネルギー推進の中核となるエネルギーの使用の合理化に関する法律案を国会に提案いたしておりまして、現在、御承知のとおり継続審議になっておりまするが、私どもは速やかな成立をお願い申し上げたいというふうに考えております。
 なお、具体的な説明は省略いたしまするが、本日、閣議におきまして、昨十五日の省エネルギー・省資源対策推進会議における石油節約の基本的な方針、いわゆる五%節約の具体的方途を決定した次第でございます。これを強力に進めて、省エネルギーを図ってまいりたいと、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣金子岩三君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(金子岩三君) 吉田議員にお答え申し上げます。
 わが国の再処理体制の確立に関する問題点として、昨年八月以来の東海再処理施設の故障の件と、高レベル放射性廃棄物の処理処分対策の件について御指摘を受けたのでありますが、まず、再処理事業を初めとする原子力開発利用の推進に当たっては、安全の確保が大前提であり、政府としては、この基本的考え方に基づき、原子力安全委員会の意見を十分尊重しつつ、安全規制に万全を期す所存であることを申し上げたいと存じます。
 そこで第一に、東海再処理施設の故障につきましては、最近、その故障の詳細な内容も判明しましたので、所要の対策を講じた上、今年秋ごろを目途に試運転を再開する予定といたしております。
 また、再処理によって発生する高レベル放射性廃棄物の処理処分対策は、今後の原子力開発利用における最重点課題の一つと考えております。すでに原子力委員会は、放射性廃棄物対策に関する基本的な方針を定めたところであります。政府としては、これに沿って早期に適切な処理処分対策を確立すべく、動燃、原研等におきまして所要の研究開発などを鋭意推進しているところであります。これによって、今後の原子力開発利用の進展に十分対処してまいりたいと考えます。
 また、再処理工場の建設、運転に当たっては、核不拡散に関する国際的動向に留意する必要があります。御指摘のように、最近米国は、昨年三月に発効した核不拡散法に基づき、日米原子力協力協定の改定を希望しておりまして、去る二月の日米協議におきましては、わが方はとりあえず米国側の提案を聴取いたしました。その際、米国側は、核不拡散法及びそれに基づくモデル協定案な説明いたしました。その中には、現行の日米原子力協力協定に規定されていないウラン濃縮などに関しても事前同意を要求する等の内容が含まれております。今後の交渉に当たりましては、核不拡散には積極的に協力しつつも、わが国の原子力平和利用の推進が妨げられてはならないとの基本的立場を貫く所存であります。
 また、再処理その他の核燃料サイクル上の重要項目について国際共同管理を導入してはどうかという、いわば国際核燃料パーク構想とも言うべき考え方につきましては、目下、国際核燃料サイクル評価の場において検討が行われているところであります。わが国といたしましては、再処理を含め、自主的な核燃料サイクルの確立を図ることを基本方針としておりますが、核拡散防止の重要性にもかんがみ、この検討にも積極的に参加しているところであります。
 最後に、民営による再処理工場の具体的構想につきましては、目下、電気事業者を中心とする民間業界において再処理会社設立の準備中であります。その構想によれば、処理能力としては年間一千ないし一千五百トンの規模とし、用地は数百万平方メートルを予定し、さらに、立地地点については、住民及び周辺環境に対する影響等を十分に考慮しつつ、今後具体的に選定を進めるものとしております。このように、民間としてはその総力を挙げて再処理工場の建設に取り組もうとしておりますので、その成果に期待しているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣澁谷直藏君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(澁谷直藏君) お答えいたします。
 核物質の防護等基本的人権の関係についての御質問でございますが、核物質の防護は、あくまでも核施設等に対する不法な攻撃からこれを守るということが目的でございまして、基本的人権とはいささかも抵触するものではございませんし、また、これに名をかりて基本的人権を抑圧するというようなことは毛頭考えておりません。
 次に、日本で核ジャック事件が起こる可能性があるかと、こういうお尋ねでございますが、国際原子力機関の核物質防護に関する勧告におきまして具体的な懸念が想定されております。各国においてもこのための諸対策を積極的に推進しておる趨勢でございますので、わが国においても十分考慮していく必要があると考えております。
 最後に、核ジャック防止ということで反対運動を抑圧するのではないかというお尋ねでございますが、警察としましては、主要な核施設について所要の警戒体制を整備するため、関係府県に外勤警察官を重点的に配分して核防護体制の整備を図りたいと考えておるわけでございまして、合法的な反対運動を抑止するというようなことは全く考えておりません。(拍手)
#20
○議長(安井謙君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#21
○議長(安井謙君) この際、日程に追加して、
 昭和五十四年度地方財政計画についての国務大臣の報告及び地方交付税法の一部を改正する法律案についての趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。澁谷自治大臣。
   〔国務大臣澁谷直藏君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(澁谷直藏君) 昭和五十四年度の地方財政計画の概要及び地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 昭和五十四年度の地方財政につきましては、昭和五十三年度に引き続いて厳しい状況にありますが、現下の経済情勢に適切に対処するとともに、財政の健全化に努めることを目途として、おおむね国と同一の基調により、歳入面におきましては、住民負担の合理化にも配慮しながら地方税源の充実強化を積極的に図るほか、昭和五十三年度に引き続き見込まれる巨額の財源不足につきましては、これを完全に補てんする等、地方財源の確保に努める一方、歳出面におきましては、住民福祉の向上と地域振興の基盤となる社会資本の整備を推進し、あわせて景気の着実な回復に資するよう投資的経費の充実を図るとともに、一般行政経費の節減合理化に努める等、財源の重点的かつ効率的な配分と節度ある財政運営を行う必要があります。
 昭和五十四年度の地方財政計画は、このような考え方を基本とし、次の方針に基づいて策定することといたしました。
 第一に、現下の厳しい地方財政の状況にかんがみ、自動車税、軽自動車税及び軽油引取税の税率の引き上げ、非課税等の特別措置の整理合理化等、地方税源の充実強化と地方税負担の適正化に努める一方、個人住民税の所得控除の引き上げ、ガス税の免税点の引き上げ等、住民負担の軽減合理化の措置を講ずることとしております。
 なお、地方譲与税については、地方道路譲与税を増強し、市町村に対する譲与割合の引き上げを図るとともに、航空機燃料譲与税の増強に伴い、その一部を空港関係都道府県に譲与するための措置を講ずることとしております。
 第二に、地方財源の不足等に対処し、地方財政の運営に支障が生ずることのないようにするため、(一) 昭和五十四年度の地方財源不足見込み額四兆一千億円については、地方財政の重要性にかんがみ、これを完全に補てんすることとし、昭和五十三年度に制度化された地方交付税所要額の確保のための方式の活用及び臨時地方特例交付金による地方交付税の増額で二兆四千六百億円、建設地方債の増発で一兆六千四百億円の財源措置を講ずることとしております。(二) また、地方債資金対策として、政府資金及び公営企業金融公庫資金の増額を図るとともに、公営企業金融公庫資金の貸付利率の引き下げ等の措置を講ずることとしております。
 第三に、最近の経済情勢にかんがみ、景気の着実な回復を図ることに配意しつつ、地域住民の福祉の充実、生活環境の整備及び住民生活の安全の確保等を図るための諸施策を実施することとしております。このため、投資的経費の充実を図ることにより、生活関連施設を中心とする社会資本の整備を推進するとともに、社会福祉施策、教育振興対策等の一層の充実を図ることとし、また、人口急増地域対策を拡充するとともに、過疎地域に対する財政措置を引き続き充実することとしております。
 第四に、地方行財政運営の合理化を図るとともに、国庫補助負担基準の改善等財政秩序の確立を図り、あわせて年度途中における事情の変化に弾力的に対応するよう配慮するほか、地方財政計画の算定内容について所要の是正措置を講ずることとしております。
 以上の方針のもとに、昭和五十四年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は三十八兆八千十四億円となり、前年度に対し四兆四千六百十八億円、一三%の増加となっております。
    ―――――――――――――
 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 第一に、昭和五十四年度分の地方交付税の総額は、現行の法定額に一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れる臨時地方特例交付金三千七百六十六億円及び同特別会計における借入金二兆二千八百億円を加算することといたしました結果、七兆六千八百九十五億円となり、前年度に対し六千四百九十五億円、九・二%の増加となっております。
 また、後年度における地方交付税の総額の確保に資するため、地方交付税法附則第八条の三第一項の規定に基づき、昭和五十四年度における借入純増加額の二分の一に相当する額一兆八百九十五億円を、昭和六十年度から昭和六十九年度までの各年度において、臨時地方特例交付金として一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れることとしております。
 第二に、昭和五十四年度の普通交付税の算定に当たっては、地方財政計画の策定方針に即応し、社会福祉施策の充実、教育水準の向上、公共施設の計画的整備等に要する経費の財源を措置するため、単位費用の改定を行うほか、道府県分に特殊教育諸学校費を新設すること等の改正を行うことといたしております。
 以上が昭和五十四年度の地方財政計画の概要並びに地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
#24
○議長(安井謙君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。志苫裕君。
   〔志苫裕君登壇、拍手〕
#25
○志苫裕君 ただいま報告及び提案のあった問題について、日本社会党を代表して質問いたします。
 さきに行われた自民党の総裁選挙は、およそ国民の共感に乏しく、なかんずく地方政治についての認識はゼロに近かったのでありますが、わずかに大平さんの「田園都市」が救いであったと言えましょう。以来、この田園都市構想なるもの、一躍地域社会づくりの主役にのし上がった感がいたしますので、この際、その輪郭をはっきりさせたいと思います。
 まず、田園都市という都市の概念あるいは都市設計の理念は、経済の発展段階に応じた古い歴史を持つものでありますが、総理の唱えるものはそれと同じ系譜の中にあるものか、それとも全く異質の発想によるものかをお伺いいたしたい。
 所信表明によると、都市の持つ生産性と情報、田園の持つ自然と人間性を結合させて田園都市づくりを構想するとあるのでありますが、われわれは、普通、都市という場合に一定の区域のことを考え、その機能や構成要素のことを考える。そこで、わかりやすくするために、この田園都市を構成する要素は一体何と何なのか、明示してほしい。各省庁の統一見解によると、この構想は、今後の日本の進むべき方向を見定め、国家形成の基本理念を展開したもので、都市と農村が高次に連結された地域生活圏をつくるのだと言いますが、さりとて、それは物質的な都市計画や特定の施策ではなく、この構想に照らしてすべての政策や制度や慣行を吟味する理念であるとも言います。一体何を言っているのか、私にはさっぱりわかりません。電波障害のテレビを見ているようで、題名はあるが映像がはっきりせず、もしかしたらこのまま終わりの字幕が出るのではないかと気がもめるのであります。
 総理は、わが国近代化の過程を反省し、物質文明の限界と時代の転換を説いた。人間関係の荒廃や、格差と不平等に悩む気持ちをとらえて、新しい統合の論理を形成しようとしているかに見える。保守党のリーダーとしてさすがではあるが、しかし、それに対するに田園都市構想では、いささかアナクロニズムではないかと思います。もともと田園都市は、その時代の背景のもとで歴史的役割りを担ったのであって、現代の都市、特に大都市の環境や特質に有効に対応できるとは考えられない。とすれば、深刻な都市問題からの逃避になるのではないかと思うが、いかがでしょう。
 「大平正芳の政策要綱」によると、江戸時代は東京にふるさと社会があった。だから盆踊りのやぐらの貸し出しなどが望ましいと述べておりますが、大都市対策がやぐらの貸し出しじゃ貧困に過ぎる。自治省などの計画によると、「都市と農村を一体とした望ましい空間をつくるための施策」が述べられておりますが、新全総の広域市町村圏でも同じことがうたわれました。さかのぼって、新産都市や工特地域整備においてさえ、人と自然、都市と農村の調和、すなわち「太陽と緑と空間」のある都市づくりが大きく宣伝されたのであります。どんなに背景が変わっても、掲げられる目標は同じ、大平流に言えば田園都市構想だったのであります。過疎過密対策、地方生活圏、二十五万都市、定住圏等々、数え上げれば切りはないが、なぜこうも同じことが重ねられるのか。私は、目標がつけ足しであったのか、さもなけれげ実現の手法を持たなかったかのいずれかだと思うのであります。私的利潤の追求が無制限に行われ、弱肉強食の市場経済の仕組みにメスを入れないで、百万遍唱えても田園都市はできないのであります。中央集権と官庁セクショナリズムが温存されて「個性のある地域社会」などできようはずがないのだが、所見はいかがでしょう。真正面から答えてもらいたい。
 それにしても、役所というか、官僚機構とはしたたかなものであります。一斉にこの構想に食らいついて、「ああ、おれのやってきたことが田園都市だ」、「この仕事がそれだ」と、予算の分捕りに走る。総理の言う「政策を見直し、改め、配列を変える」者など一人もいない。各省庁のやってきたことがすべてこの理念に沿うものであれば、改めて田園都市構想など唱える必要はありますまい。この反省のないなわ張り根性こそ、あなたの言うこの構想に照らして改めるべき第一のものではないかと思うのだが、総理及び関係大臣の所見を伺いたい。
 以上、私はいろいろ述べて田園都市構想の輪郭を伺ったが、率直に言って、総理もまだ模索の段階ではないかと見受ける。時代の転換期において模索や試行錯誤は当然で、これを責めるには当たりません。しかし、総理、この模索の根底には、従来の集権型国土開発という発想を改め、地方分権志向型の地域社会づくりを進めるという理念が基本的にあるものと理解してよいか。所信表明において、権力の中央集中は健全な状態ではないとの認識を示し、地方が主体となる新しい社会の形成を説き、政策要綱では、地方政府の活躍に期待すると言う限り、地方分権の中身と手順を具体的に用意するべきであります。
 たとえば、補助金は中央集権かつ地方の自主性を喪失させる最たるものであり、保守支配の道具でもありますが、この際、思い切ってこれをやめる、その財源は原則として地方に配分することとし、とりあえずは個別補助を総合補助にしてはどうか。そして早い機会に、自治体の歳入割合を地方税五〇、交付税二〇、国庫支出金二〇、起債一〇程度に税財源の配分を行うよう提案をいたします。
 圏域の選定や計画は完全に自治体の裁量に任せるべきで、国の干渉や財源の操作、モデル圏の指定に伴う陳情合戦などはもう見られないと確認してよいか、総理及び関係大臣からも、はっきりと答えてもらいたい。
 最後に、地方財政対策についてお伺いします。
 来年度もまた四兆三千三百億円の財源不足が見込まれ、その手当ては交付税法の本則によらず、附則によって行うことといたしております。現行地方税財政は、そのほとんどを法定をしていることから、地方が財政欠陥の責めを負う余地は非常に少ないものだが、緊急避難と称して不足財源の地方折半を続けることは法の趣旨に反するもはなはだしい。どだい本則と附則が矛盾した形で併存することが法体系としてもおかしいのではないか。わが党は、地方の財政自主権を前提に思い切った改革を主張しているが、現行のたてまえをとる限り国が全面的な責任を持つべきであって、東京都も自治体である限りその例外ではないのであります。総理と自治大臣の所見を伺いたい。
 特に東京については、つまらぬ細工をして国の責任を放棄し、もっぱら美濃部都政ひいては革新自治体の失点として政争の道具にしていることは許せない。強く弾劾をして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(大平正芳君) 志苫さんの第一の御質問は、私の申し上げておる田園都市構想はこれまでの数々の構想とどういう関係にあるのか、同じものか違うものかというような御質問でございました。もちろん、これまで国の内外に田園都市構想なるものがございました。これはそれぞれの時代的な背景におきまして構想されたものでございますので、そういう意味で、今日の時代の背景を考えて構想したという点においては、これまでの構想と変わるところはございません。ただ、今日われわれが達成いたしておりまする科学技術の水準、社会システムが大変高度化いたしておる状況に照応して新しい構想を考えておるわけでございますので、そういう意味におきましては従来のものと違っておると御理解をいただきたいと思います。
 それから第二に、田園都市の構成要素はどう考えておるのかということでございました。本来、田園都市構想なるものは、国づくり、社会づくりの基本理念を問うておるものでございまして、特定の都市のモデルを構想したものではございません。人と人、都市と田園、人工と自然のかかわり合い、それから地域と地域のかかわり合いというものをどのように構想していくかということを考えておるわけでございまして、特定の都市モデルを考えておるものではないというように御理解をいただきたいと思います。
 それから第三に、田園都市構想なるものは巨大な都市の環境や特質に十分対応できる能力があるかということでございました。志苫さんが御指摘のように、都市は高い生産性を持っておりますし、多彩な文化の創造力を持っておるわけでございますけれども、そこには人間性、ゆとり、生きがいというような生活空間が欠けておるわけでございますので、この人間的な側面の回復をしなければならないというのが私どもが持っておる問題意識でございます。
 それから第四の、新産都市でございますとか、工業開発特別地域でございますか、の政策との関連でございますが、新産都市政策等は、御案内のように、昭和三十年代のわが国の一つの拠点開発方式を具体化したものだと思うのでございます。私どもがいま考えておる田園都市構想は、先ほども申しましたように、国づくり、社会づくりで、もっと広い視野に立ちまして既存のいろいろな政策を見直す視点を固めていこうとするものでございまして、拠点開発方式を考えたものではございません。
 第五点といたしまして、地方分権についてどう考えておるのか、中央集権志向にひた走ってきたものを見直さなきゃいかぬ時期が来ておると思うが、この構想はその問題についてどのように考えておるかということでございますが、もとより、あなたが言われたとおり、この中央集権志向型の状態というものをどうしても見直していかなければいかぬと思います。改めなければならぬと思います。仰せのように、地方分権志向の方向にわれわれは政策を進めていかなければならぬと思っております。われわれがいま一生懸命に模索をいたしておりまするこの構想に照らして、中央において掌握する必要のないもの、地方で持っていただくことがよろしいとするもの、それよりも何よりも、地方の住民の方々、地方公共団体の自主的な活力、構想というものをできるだけ生かすという意味におきましては、地方分権志向型の方向に勇気をもって持っていかなければならないものであると私は考えております。
 田園都市構想、まだ仰せのとおり模索中でございまして、多くの方々の知恵を拝借いたしましていま勉強いたしておりまして、既存の政策と対立するものではなくて、既存の政策をどのように見直したらいいかという理念をつくり上げようとしておるものでございまして、志苫さんからも大変な関心を持っていただき、いろいろな御注意をいただきましたことを感謝します。(拍手)
   〔国務大臣澁谷直藏君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(澁谷直藏君) 私に対する質問は、地方財政の状況にかんがみ、できるだけ早い時期に抜本的に税財源の配分を改めて、地方税五〇%、地方交付税二〇%、国庫支出金二〇%、起債一〇%の歳入割合に改めるべきと思うがどうかと、こういうお尋ねでございます。国と地方との間の税財源の配分問題は、国、地方を通ずる事務配分等地方行財政制度全般のあり方と関連する基本的な問題でございますので、現在、地方制度調査会、税制調査会等の御審議をいまいただいておるわけでございます。できるだけ早い機会に地方財政の自主性の強化と財政構造の健全性の確立が図られるように地方財源の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
 次に、地方交付税法第六条、本則と附則と一緒になって矛盾しておるんではないかと、こういう御質問でございますが、御承知のように、地方交付税法附則第八条の三の規定は、同法第六条の三第二項に規定する地方行財政制度の改正の一つとして設けられたものでございまして、矛盾しておるものではございません。
 それから、地方財政に関し現行のたてまえがとられる限り国が全面的に責任を持つべきであり、東京都もその例外ではないのではないか、こういう御質問でございますが、言うまでもなく、現行の地方財政の仕組みは、地方独立財源としての地方税と、税源の偏在を調整しつつ、すべての地方団体に対して財源を保障する機能を持っておる地方交付税、この二つの税を中心として、地方団体がひとしくその行政を円滑に遂行し得るように諸般の制度が組み立てられておるわけでございまして、東京都についても、この制度の中でその行政執行に必要な財源が確保されるようにわれわれとしては配意をしておるわけでございます。美濃部都政を冷淡に取り扱っておるのではないかという質問がございましたが、そのようなことは全くございません。(拍手)
   〔国務大臣中野四郎君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(中野四郎君) 私に対する御質問は、新産都市等について都市と農山漁村との一体化が実現しなかった理由はいかん。――新産都市及び工業整備特別地域は、大都市への人口、産業の過度の集中を防止し、地域格差の是正を図るために、これらの地域を工業開発拠点として整備することにより地域の発展を図ろうとしたものであります。これらの地区においては、地区ごとに差はあるものの、おおむね着実に建設整備が進められまして、地域住民の所得及び生活水準の向上に寄与しているところであります。特に、最近は生活環境に重点を置いた整備の方向に向かってきております。政府としては、これからの地区が新しい時代の要請に沿って発展してまいるよう、今後とも十分配慮をいたしたいと存じます。
 次に、田園都市構想に関連して御意見がありましたが、定住圏の圏域の選定等については地方の主体性を十分に尊重してまいりたいと考えておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#29
○議長(安井謙君) 上林繁次郎君。
   〔上林繁次郎君登壇、拍手〕
#30
○上林繁次郎君 私は、公明党を代表して、昭和五十四年度地方財政計画及び地方交付税法の一部を改正する法律案に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 地方自治制度発足以来三十年を経た今日、地方財政は、膨大な行政需要を抱えながら、昭和五十年度より連続して五年間も財源難に陥り、
   〔議長退席、副議長着席〕
特に昭和五十四年度の財源不足額は四兆一千億円の巨額に達するという、まさに前例のない最大の危機に直面しているのであります。民主主義の基盤である地方自治の健全な発展と住民福祉の向上を期するには、真に住民自治に根差した財政運営を保障するに足る財政基盤の確立を図ることが必須の要件であります。しかるに、政府の対策は、この地方財政危機に当たって、地方交付税率の引き上げや地方税制の改正による一般財源の充実をもってこたえようとせず、交付税会計の借り入れや地方債の増発というその場しのぎの糊塗的な借金財政の押しつけを繰り返してきたにすぎないのであります。その上、ただいま説明がありました昭和五十四年度の地方財政措置は、特に危機感を持って対処したという跡は全く見られません。
 そこで、総理に伺いたいのでありますが、総理は、かねてより、田園都市構想の具体化には地方公共団体の活力によらなければならないと述べております。地方団体が活力を持つためには地方自主財源の拡充が絶対必要であり、総理はそのための地方税財政制度の抜本改革をどう行おうとするのか、これまでの総理の答弁は何ら具体的に示されておりません。地方財政再建のための具体的な考え方と方策を明確にお示し願いたい。
 以下、項目的に質問いたします。
 まず、地方交付税制度についてであります。
 昭和五十四年度の地方財政計画によりますと、歳出規模は三十八兆八千億円で、地方財源の不足額は、これまでの過去四年間の不足額を大幅に上回り、実に四兆一千億円の巨額に達しているのであります。地方交付税法第六条の三第二項の規定によれば、地方財政に引き続き財源不足等の事態が生じた場合には、地方交付税率を引き上げるか、地方行財政制度の基本的改正を行うものとしております。しかるに、今回の財政対策は、過去の財源措置と同じく、借金政策を地方に押しつけるまことに無責任かつ安易なものと言わざるを得ません。昭和五十四年度の国税三税は十六兆三千五百八十億円であり、その三二%の交付税額は五兆二千三百四十五億円であります。借り入れその他による交付税総額は七兆六千八百九十五億円となり、国税三税に対する割合は四七%となるのであります。また、過去三年間における実績を見ますと、五十一年度の交付税総額の割合は四三%、五十二年度は四〇%、五十三年度は四二%と、いずれも四〇%を超えております。したがって、これを制度的に交付税率を四〇%に引き上げたとしても国の財政を圧迫することにはならないと思いますが、この点お答え願いたい。
 次に、交付税会計の借入金についてでありますが、これによると、二分の一の額を国が負担することにしております。残りの二分の一は地方の負担となっております。こうした措置は地方財政の実態を無視した財政対策であり、ごまかしと言う以外ありません。地方負担分については、本来の地方交付税制度の趣旨にかんがみ、今後の地方財政に支障のないような補てん措置をすべきであります。政府の見解を伺いたい。
 次に、地方債について伺います。
 昭和五十四年度の地方債計画は、総額七兆四千十億円で、このうち普通会計分は四兆九千七億円、対前年度比二二・二%と大幅な増加を示しております。本来、地方財源の不足額は地方交付税の引き上げなど自主税源の拡充によって措置されるべきものであります。しかるに、政府はこれを地方債に頼った結果、五十四年度末の普通会計債と公営企業債を加えた地方債総額の残高は四十兆円前後にも達することが予測されております。その結果、今後地方債の償還費は年々増大していくことは必至であります。これは地方財政にとって相当な重圧となることは明白であります。一体、政府は借金政策による公債費の増大をどう認識しているのか、地方の実情からして当然これに対する軽減措置を講ずべきであると考えますが、お答えいただきたい。
 さらに、こうした地方債の増発にもかかわらず、政府資金のウエートは年々低下し、これにかわって民間資金への依存が高くなってきております。これでは、地方債の消化とコストの両面から地方財政を圧迫することは明らかであります。政府は、今回、公営企業金融公庫の貸付利率を〇・一%引き下げたのでありますが、その融資対象は三事業と、きわめて不十分なものであります。したがって、地方債資金の安定確保のためには、現行の公営企業金融公庫を発展的に解消し、地方公共団体金融公庫を創設し、十分な資金を確保すべきであると思いますが、この点どう考えているか。なお、地方債増発の現状から、政府資金の一層の拡充が必要であると思いますが、お答えいただきたい。
 次に、国庫補助金、負担金の整理合理化について伺います。
 これについては、地方制度調査会においてもその整理合理化を積極的に進めるべきであると指摘しておりますが、一向に進んでおりません。政府の発表によりますと、五十四年度の補助金の廃止あるいは統合などの整理合理化件数は千二百十七件、金額にして一千二百六億九千三百万円で、件数、金額とも五十三年度を下回っております。また、五十四年度の一般会計予算における補助金総額は十二兆八千百五十一億円で、五十三年度に比べ一三・八%も伸びております。減るどころか、むしろふえる傾向にあります。政府は補助金の整理合理化に対し一体熱意があるのかどうか、今後補助金の統合、メニュー化など、どのように進めるつもりか、御所見を伺いたい。
 さらに、超過負担について、政府は五十四年度予算の事業費ベースで五百二十九億円の解消を図ったとしておりますが、これではとうてい超過負担の解消にはなりません。超過負担の主たる要因は、単価差、数量差、対象差でありますが、今後これに対する補助負担基準については、社会経済情勢の推移に即した抜本的改革を行わない限り解消されないと思うが、政府のお考えを伺いたい。
 また、わが党は、超過負担について国と地方の考えが相違していることから、両者の見解を統一するため、国と地方団体の代表から成る地方超過負担調査会を設け、速やかに完全解消を図ることを主張してまいりましたが、これに対する見解もあわせて伺いたいのであります。
 以上、政府の明確なる答弁を求めまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(大平正芳君) 私に対する御質問は、地方財政制度の抜本的改革についてのお尋ねでございました。御指摘のように、地方財政は巨額の財源不足を来しておりまして、これに対しまして、政府は、一般財源の充足というよりは、交付税特会からの借り入れでございますとか地方債の増発ということで間に合わせておることは御指摘のとおりでございます。この抜本的改正を図るべしという御議論は、従来から本院におきましても熱心に御主張になられたことは私もよく承知いたしておるわけでございますが、政府はよくその点に理解は持ちますけれども、いまは抜本改正の時期でない、いまちょうど石油危機が起こりまして、一応財政がすべての問題を抱え込んで当場どのようにしてこの危機を克服するかに努力をしておる最中でございますので、そういう時期にこの抜本的改正は冷静に考えられる時期でないという趣旨で、そのことを終始申し上げてきたと思うのでございます。いまなお、その時期が来たと私はまだ考えておりません。けれども、この改革を早くに、なるべく早く手を染めなければならぬことは仰せのとおり心得ておるわけでございます。したがって、これから国の財政再建のことも考えて、これを精力的に進めてまいらなければなりませんが、それとの関連もございまして、地方制度の調査会でございますとか税制調査会等の御論議も十分拝聴いたしながら、仰せの抜本的改革案を構想していかなければならないと考えております。
 その他の問題につきましては関係閣僚からお答えいただくことにいたします。(拍手)
   〔国務大臣澁谷直藏君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(澁谷直藏君) お答えいたします。
 第一問の、交付税会計借入金の二分の一が地方負担になっておる、これを今後の地方財政に支障のないように補てん措置を講じたらどうかと、こういう御質問でございますが、確かに、御承知のように、この残りの二分の一については地方の負担となっておるわけでございますが、このような借入金の償還に係る地方負担分を含めて各年度の地方財政計画の策定を通じて生ずる財源の不足につきましては、地方財政の運営に支障が生じないように、今後とも適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
 次に、公債費の増大に対して軽減措置を講ずべきであると思うがどうかと、こういう御質問でございますが、御指摘のように、昭和五十年度以降地方債は著しく増加してまいりまして、これに伴って公債費が増大しているところでございます。これに対しましては、毎年地方財政計画を策定するわけでございますが、この地方財政計画の中に公債費の所要額を計上しまして、そうしてそれに対する財源措置を講じて、財政の運営に支障が生じないように努めておるわけでございます。
 次に、地方団体金融公庫を創設して十分な資金を確保すべきであると思うがどうかと、こういう御質問でございますが、現在の公営企業金融公庫をこの地方団体金融公庫に改組するという問題、大きな問題であったわけでございますが、御承知のように、昭和五十三年度から、普通会計債に属する臨時地方道整備事業、臨時河川等整備事業及び臨時高等学校整備事業の三事業を新たに公庫の貸付対象とすることにしまして、実質的な大きな改組を図ったところでございまして、昭和五十四年度におきましても、この三事業に対する貸付額を大幅に増額をして、実質的な充実を図っておるわけでございます。
 これに関連しまして、良質な政府資金の一層の拡充を図るべきではないかという御質問でございますが、昭和五十四年度の財政投融資資金計画の政府資金の伸びは前年度比一二・九%にとどまっております。これに対しまして地方債計画の政府資金については前年度比一九%増の二兆九千百億円を確保したわけでございまして、この点、良質な政府資金の充実を図っておると、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
 それから最後に、地方超過負担の問題について、地方超過負担調査会を設けて完全解消を図れと、こういう御質問でございますが、この問題については、もう非常に大きな問題でございまして、政府は従来から、大蔵、自治及び関係各省庁による実態調査を行いまして、毎年この結果に基づいて解消を図ってきておることは御承知のと去りでございます。なお、これが完全に解消したということではございませんので、今後ともこのような考え方に立ちましてこの解消に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
 なお、調査会設置の件でございますが、御承知のように、地方六団体において地方超過負担解消対策特別委員会を設置しておるわけでございますし、われわれは常にその意見を聞き、また、政府の考え方も十分説明して、地方公共団体の理解を求めながら超過負担の解消を今後とも図ってまいりたいと、このように考えておるわけでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣金子一平君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(金子一平君) 上林さんにお答え申し上げます。
 第一の地方交付税率の引き上げでございますが、経済が変動期にあること及び国においても日額の財源不足が生じていることを勘案いたしますると、国、地方間の恒久的な財源配分としての交付税率の変更は困難な状況にあるという判断のもとに、昭和五十三年度におきましては、これにかわる当面の制度として、同年度以降交付税特別会計の借入金の償還について地方財政の負担軽減のため国が実質的にその二分の一を負担するという制度改正を行ったところでございまして、五十四年度におきましても、五十三年度に法定されたこの制度によって地方交付税の所要額の確保を図ることとしておるのでございます。今後できるだけ早い機会に、国と地方を通ずる租税負担の増加を図りながら、地方税財政制度の基本的な改正を行いまして、地方税、地方交付税等の一般財源の増強措置を講じてまいりたいと考えております。次に、地方債の引き受けについて政府資金の一層の拡充を図れということでございますが、昭和五十四年度地方債計画におきましては、厳しい財源事情のもとで二兆二千八百億円という多額の資金運用部資金からの交付税特別会計への貸し付けを行いながら、なお地方債の引き受けに充てる政府資金を財投計画全体の伸び一三%を上回る一九%の伸びといたしまして、総額二兆九千百億円を計上している次第でございます。また、公営企業金融公庫資金につきましても、前年対比二三・六%の伸びの一兆一千三十億円と大幅に増額いたしまして、地方債計画総額に対する政府資金、公営公庫資金を合わせた財政資金比率を五四・二%に引き上げた次第でございます。
 最後に、国庫補助金の整理合理化の問題でございますが、国庫補助金等は、社会保障、文教、公共事業、農政等国の各般の施策を実現するために必要なものでございますが、五十四年度予算編成に当たりましては、補助金等の全体について個別に徹底的な洗い直しを行いまして、廃止、減額、統合、メニュー化等の整理合理化を推進いたしました結果、その廃止、減額額は総額において千二百七億円になっておりますけれども、今後におきましても、そのときどきの社会経済情勢に即応いたしまして補助金等の見直しを行って、整理合理化に努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#34
○副議長(加瀬完君) 神谷信之助君。
   〔神谷信之助君登壇、拍手〕
#35
○神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 現在、自民党政府の大企業本位の高度成長政策の破綻は、地方自治体と地域住民に深い傷跡を残しています。
 かつて、政府、財界の高度成長の掛け声に乗って造成されながら、売れ残ってペンペン草が生えるに任せている工業団地は、全国で七千ヘクタールにも及び、予定された企業は進出せず、工業基地の建設を夢見た多くの新産都市は巨額の負担を背負わされるという事態になっています。この事実は、高度成長政策と中央直結の地方政治の破綻を明白に示しています。総理は、地方自治体をこのような事態に誘導してきた歴代自民党政府の責任をいかにお考えか、お尋ねいたします。
 今日、地方財政の危機は深刻さを加え、来年度の財源不足は、政府のごく控え目な計算によっても四兆一千億円に上り、地方債残高も三十五兆円に達し、住民福祉と生活、教育環境の改善、地域の産業と文化の復興を目指す地方政治に大きな困難をもたらしています。これは、主に政府の経済政策がもたらした長期不況下での地方税収の減少と膨大な借金財政を押しつけながら大企業本位の従来型の不況対策に地方自治体を協力させてきた結果であります。本来、住民の命と暮らしを守ることを任務とする地方自治体を政府の景気対策の道具とするような政策は、憲法の規定する地方自治の本旨にもとるものではありませんか。総理の見解を伺いたい。
 さて、大平総理は、来年度の財源不足に対して、とるべき必要な措置はとったと参議院本会議において答弁されておりますが、その中身は、地方交付税の地方債への振りかえと、交付税特別会計の借り入れという、相も変わらぬ地方自治体への借金押しつけであります。このようなやり方は、財源調整と財源保障の機能を持つ交付税制度の破壊そのものであります。いまこそ、地方交付税税率の引き上げ、超過負担の計画的解消、総合補助金制度導入などを中心とした地方財政再建緊急措置法を制定する考えはありませんか。
 また、地方行財政全般にわたる抜本的改革を進めるために、国、地方、学識経験者の三者同数による内閣直属の地方行財政委員会を設置すべきときと思いますが、総理並びに大蔵、自治両大臣の答弁を求めます。
 総理は、地方財源の充実のためにも一般消費税の導入が必要であるとの答弁をされていますが、すでにわが党が指摘してきましたように、この税の導入は逆に自治体の支出増をもたらします。仮に税収の三分の一程度を地方に配分したとしても、わが党の試算によれば、五十三年度ベースで都道府県は百六十六億、五十一年決算ベースで市町村全体は七百五十七億ものそれぞれマイナスが生じることになります。すなわち、財源不足の補てんどころか増大であり、地方財源の充実は全くの幻想にすぎません。
 このような一般消費税の導入に、事もあろうに、本来自治体を通じて住民福祉充実などを推進すべき自治大臣が積極的な役割りを果たすことは、断じて容認できるものではありません。自治大臣の答弁を求めます。
 次に、深刻な大都市圏の財政窮迫問題についてお伺いいたします。
 この問題の直接的原因は、依存度の高い法人関係税収の激減にあります。また、より構造的には、高度成長政策が進められる中で、大企業の事務所、事業所や行政機関など中枢管理機能の集中、昼間人口の増加、都市の急激な膨張に伴う交通、上下水道、住宅、教育施設、公害、災害対策など、特別の財政需要が発生するからであります。たとえば、経済企画庁でさえ、都市で千人の人口がふえれば六十一億円の社会資本投資が必要になると認めています。東京では約二百万、大阪でも約六十万人の昼間人口が流入している現状では、財政負担も巨額になるのは当然であります。しかし、政府は、こうした大都市圏の特別な財政需要を基準財政需要額に正しく反映せず、地方交付税の配分を不当に低く抑えています。たとえば大阪府では、五十二年度の決算と基準財政需要額との間に、高校建設や公害対策など、主な事業だけで二百五十六億円の開きが出ております。また、東京都に対する基準財政需要額の意図的な削減をやめれば、東京都は一千百億円の地方交付税が配分されると試算しております。自治大臣、これらの大都市需要を適切に反映する措置をとるべきではありませんか、見解を問うものであります。
 さらに、行政投資実績によれば、産業基盤に対する国の負担が、東京都では六三・九%、大阪府では五〇・五%ときわめて優遇されているのに、生活関連では、東京二九・七%、大阪三四・〇%と極端に低いのであります。これでは生活基盤投資の比重の高い大都市圏では莫大な財政負担を生ずるのは当然ではありませんか。このような生活基盤に対する国の財政負担を大幅に引き上げるべきでありますが、大蔵大臣の見解を伺います。
 すでに述べてきたように、大都市の財政危機の重要な原因は、政府の言う、ばらまき福祉や人件費にあるのではありません。わが党は、当面、三大都市圏の都府県と市町村及び全国の政令指定都市に対して、教育、福祉、交通公害など、大都市特有の財政需要を満たすための一般財源となる大都市交付金制度を創設し、人口密度に応じて配分することを提唱するものであります。総理並びに自治大臣の見解を伺います。
 最後に、自治大臣に質問します。
 政府の責任によって赤字に苦しんでいる東京都を不交付団体と称して不当に押しつけている財政調整措置をやめるべきではありませんか。
 さらに、学校建設などの需要増のため公債費比率が異常に高くなっている人口急増市町村に対して、過去の高金利の縁故債の借りかえを行うべきだと思いますが、いかがですか。
 また、国でさえ国債の依存度が四〇%を超えている現在、地方自治体に対する不当な起債制限を改めてはいかがですか。
 以上について明快な答弁を求めるとともに、わが党は、地方自治の復権と拡充のため今後とも奮闘することを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(大平正芳君) 最初の御質問は、工業団地の売れ残りは政府の政治責任ではないかという御指摘でございます。仰せのように、工業団地の売れ行きが順調でないことは政府も承知いたしております。これは石油危機に伴う経済の停滞がもたらしたものでございまして、根本的には景気の回復を通じましてその解消に当たらなければならぬわけでございます。しかし、そういう方向に政策を進めておりまするけれども、それに一般的に頼っておるだけではいけませんので、五十四年度から、遠隔地等の特別誘導地域につきまして、進出企業、地元自治体への工業再配置に連なる補助政策を強めることにいたしております。
 第二は、景気対策を自治体に押しつけるということは地方自治の本旨にもとるではないかという御指摘でございました。本来、中央、地方、車の両輪のように、景気対策ばかりではございませんで、多くの政策は中央、地方の協力を待たなければ実効が上がらないわけでございますし、同時に、その事業を通じまして地方住民の生活、福祉の向上にも連なるわけでございますので、私は、景気対策につきまして地方の協力を求めておりますることは必ずしも御指摘のように自治にもとるものとは考えておりません。
 それから第三に、地方財政再建特別措置法のような構想を持つべきでないかという御指摘でございます。仰せのように、今日、地方財政が大きな財源不足を見ておりまするし、それを、大きな財源対策をそれに対しまして考えなきゃならぬことは、われわれの任務であろうと考えております。また、行財政の体制、運営を合理化しなければならないこと、仰せのように超過負担の解消、補助金の整理、すべての問題につきましては、それぞれその政策に応じまして対応策が進められておるわけでございますので、特に地方財政再建特別措置法というものをまたなくても実行は可能であろうかと考えております。
 それから、地方行財政委員会を設置してこれを推進すべきではないかという御提案でございます。御趣旨は理解できないわけじゃございませんけれども、現に地方制度調査会等がございまして、それぞれ精力的に仕事に当たっておりますので、特別に地方行財政委員会というようなものをこの際設置しなければならないものとは考えません。(拍手)
   〔国務大臣澁谷直藏君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(澁谷直藏君) お答えいたします。
 一般消費税の導入は、それも地方の支出の負担にもなって、実質的な税源の充実にはならないのではないかという御質問でございますが、残念でございますが、その点については私は意見を異にしておるわけであります。いずれにいたしましても、現在、地方財政が非常な逼迫した状況にあるわけでございますから、何らかの方策でこれの再建を図らなければならないのは当然でございまして、私どもはその一環として一般消費税の導入というものを考えておるわけでございまして、これも含めて地方財政の再建対策に真剣に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
 それから、大都市特有の財政需要を満たすために適切な財源措置を講ずべきではないかという御質問でございますが、御指摘のとおり、大都市には大都市特有の財政需要があるわけでございまして、そういった財政需要につきましては、地方交付税の基準財政需要額に的確に反映させましておるわけでございまして、御指摘のような、特定の団体に対して特別の制度を創設するということは考えておらないわけであります。
 それから、東京都が不交付団体であるということの理由での不当な財政調整措置はやめたらどうかという御質問でございますが、不交付団体に対する地方道路譲与税及び義務教育費国庫負担金に係る特例措置があるわけでございますが、これは各地方団体の財源の均衡化を図る見地から設けられたものでございまして、現段階においてこの特例措置をやめるのは適当でないと考えております。
 次に、学校建設などの需要増で公債費比率が高くなっておる人口急増都市について縁故債の低利資金への借りかえを行うべきではないかという御質問でございますが、私どももでき得るならばそういうことをやってまいりたいと考えておるわけでございますが、これにはいろいろ困難な事情もございまして、地方団体の関係者間の協議によって実現されることが望ましいと考えております。
 それから、地方団体の赤字比率というものを理由として起債の制限をしておる制度は改めるべきではないかという御質問でございますが、御承知のように、地方団体は非常に数が多いわけでございまして、国のように単一の財政ではございません。多種多様でございます。そういった個々の地方団体の財政の健全性を維持するためには、一定割合以上の赤字額を有する団体等に対して地方債の発行について一定の制限を行っていくことがこれは必要だと考えておりまして、現行の制度を改める必要はないと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣金子一平君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(金子一平君) 神谷さんにお答えいたします。
 産業基盤より生活基盤の方が国の財政負担が低いではないかということでございますが、公共事業の国の補助、負担率は、その事業の公共性の度合いや効果の及ぶ地域の広さの度合い等を総合勘案して決められておるものでございまして、適切な補助体系をなしておるものと考えておりますので、したがって、現行補助率をいま変える気持ちはありません。ただ、五十四年度公共事業予算を見ますと、広く国民生活充実の基盤となる社会資本の整備を推進することとしておりまして、中でも、下水道、環境衛生、公園等の国民生活に身近な生活環境施設の整備に重点的に金をつぎ込んでおることを申し上げておきたいと思います。
 地方行財政委員会の問題、地方財政再建緊急措置法の問題につきましては、総理の御答弁のとおりと必得ております。(拍手)
#39
○副議長(加瀬完君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日は、これにて散会いたします。
     午後零時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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