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1978/04/03 第87回国会 参議院 参議院会議録情報 第087回国会 本会議 第11号
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1978/04/03 第87回国会 参議院

参議院会議録情報 第087回国会 本会議 第11号

#1
第087回国会 本会議 第11号
昭和五十四年四月三日(火曜日)
   午後四時四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十一号
    ━━━━━━━━━━━━━
昭和五十四年四月三日
 午後一時 本会議
    ―――――――――――――
 第一 昭和五十四年度一般会計予算
 第二 昭和五十四年度特別会計予算
 第三 昭和五十四年度政府関係機関予算
 第四 食糧管理特別会計法の一部を改正する法
  律案(内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(安井謙君) これより会議を開きます。
 日程第一 昭和五十四年度一般会一計予算
 日程第二 昭和五十四年度特別会計予算
 日程第三 昭和五十四年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。予算委員長町村金五君。
    ―――――――――――――
   〔町村金五君登壇、拍手〕
#4
○町村金五君 ただいま議題となりました昭和五十四年度予算三案につきまして、予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 昭和五十四年度予算は、まず、各分野における均衡のとれた経済社会の実現と、第二に、世界経済の安定発展に積極的に貢献し、第三に、危機的状況にある財政再建に一歩を踏み出すことを目標に編成されております。
 一般会計予算は、経常経費の節減合理化に努める一方、投資的経費は、国民生活の基盤整備を促進するとともに、景気の着実な回復に資するため、財源事情が許す限り、その拡大を図ることにしております。その結果、一般会計予算は、前年度当初予算に対し一二・六%増の三十八兆六千一億円となっております。
 財政投融資計画は、民間資金の積極的活用を図ることによって事業部門への資金配分重視の方針が貫かれており、前年度当初計画に対し一三・一%の増加で、十六兆八千三百億円となっております。
 また、公債につきましては、発行額が十五兆二千七百億円、公債依存率は三九・六%となっております。
 これらの予算三案は、去る一月二十五日国会に提出され、一月三十一日金子大蔵大臣から趣旨説明を聴取し、三月七日衆議院からの送付を待って、翌八日から審議に入りました。自来、本日まで意欲的な審査が行われましたが、その間、二月二十三日に仙台、松山、鹿児島の三カ所で地方公聴会を開催したほか、三月十六日に雇用問題等に関する集中審議を、十七、十九、二十二、三十一日、四月二日の五日間にわたり、外国航空機購入予算問題について、当委員会としては初めての証人喚問を含む集中審議を行い、さらに三月二十日に中央公聴会を、三日間にわたって分科会を開くなど、終始慎重かつ熱心に審査を行ってまいりました。
 以下、委員会における質疑の主なる要旨を御報告申し上げます。
 まず、大平総理の「信頼と合意」の政治姿勢に関連して、「その目指すものは何か。総理が政策運営の方向を明確に示さないために、わかりにくさとあいまいさが目立つ。また、田園都市構想を初め多くの構想も中身が示されず、国民は戸惑いを感じておる」等の質疑があり、これに対して大平総理大臣より、「国民との関係では、政治に携わる者が謙虚に身を持するとともに、国民のニーズに耳を傾け、権力に頼ることなく、国民と苦楽を真にともにする決意で当たらなければならないと考えている。また、政党間のあり方は信頼と尊敬の念を持って、それぞれの立場を十分に考え、問題の解決に当たっては、すべての事柄に真剣に取り組む決意である。また、いまの時代は転換期に当たっており、明確な将来展望を示すことは非常に困難である。田園都市構想等のプログラムは、一九八〇年代のわが国の方向づけをしたいと考えており、短期間にまとまるものと長い期間を必要とするものとがあるが、目下学識経験者を中心に鋭意検討中である」旨の答弁がありました。
 次に、外交問題に関する質疑として、「対ソ関係で善隣友好関係を持続するには北方四島の返還が前提条件と思うが、政府の見解を聞きたい。また、さきに行われた南北朝鮮の対話は朝鮮民族統一の見地から歓迎すべきことであるが、わが国はどう対処しようとするのであるか。さらに、海外援助を三年間で倍増する政府の方針に基づき、五十四年度予算は相当増額されたが、わが国の援助は資源開発に偏り過ぎるのではないか」等の質疑がありました。これに対し、園田外務大臣より、「日ソの友好促進は両国間ばかりでなく、アジアの平和のためにも緊要である。しかし、北方領土の返還は全国民の共通の念願であり、この問題にソ連が誠意を持って話し合うか、これにこたえる態度を示すならば、平和条約等の問題を話し合う用意がある。この問題以外では両国は利害が共通する問題も多く、話し合いのできる問題から逐次誠意を持って話を進め、解決を図りながら、四島返還を実現するため粘り強い外交を続けてまいりたい。南北朝鮮の立場、見解にはまだ相当の隔たりがあり、簡単に解決がつくとは思わないが、少なくとも朝鮮半島における南北の対話が平行線であってもこれが進められる状況は歓迎すべきことで、わが国としては朝鮮半島の平和に貢献できるようあらゆる努力をする覚悟である。海外援助のあり方は、大型プロジェクトだけをやっていると資源目当てといったそしりを受け、地域住民の繁栄に役立つかどうか疑問も出ているので、なるべく現地住民の生活向上に直結するものに重点を置くよう十分検討をしなければならない」旨の答弁がありました。
 次に、防衛問題に関し、「大平総理は総合安全保障政策を提唱しているが、その考え方をただしたい。また、現在の国防会議は審議事項も限られ、しかも開催が年一、二回で、形骸化しているのではないか。さらに、わが国固有の領土である国後、択捉両島にソ連が大々的な軍事基地建設を行った戦略的ねらいと、こうした事態に対する国民の不安に関し、防衛当局の見解を聞きたい」等の質疑がありました。これに対し、大平総理大臣並びに山下防衛庁長官より、「国の安全保障は、質の高い節度のある自衛力と、これを補完するものとして日米安全保障条約を誠意を持って運営していくことが基本である。それ以外に、国内においては秩序正しい民主政治の実行と、外に向かっては活発な政治、経済、文化にわたる外交を展開して、これらの総合的な働きによって国の安全確保を図るというのが総合安全保障政策の考え方である。国防会議の運営は、決定に至るまでの過程で参事官会議、幹事会、国防議員懇談会等で慎重な審議が行われており、また審議の対象は、内外の政治、経済、軍事情勢等を含めた重要事項全般にわたっているのであって、形骸化しておるとの批判は当たらない。国後、択捉両島に昨年半ばからソ連部隊の増強と基地建設が行われたことは、この両島は本来わが国固有の領土であり、まことに残念である。防衛庁は島嶼防衛的なものではないかと見ているが、昨今ソ連極東軍が近代化、増強を図っているので、その一環としてどう見るかの問題はあるが、北海道に隣接する地域に旅団クラスの軍事力が配備されたことを軽々に見てはならない。国民の不安解消については、わが国の防衛力も着々と整備されており、また、国の防衛については一刻の怠りもなく専守防衛の体制で対処することにしているので心配はない」旨の答弁がありました。
 次に、経済問題について、「五十三年度の経済成長率実質七%の達成ができない原因は何であるか。また、昨年暮れから卸売物価の高騰、円安傾向による輸入物資の値上がり、需給ギャップの縮小、石油値上げ等の物価上昇要因が多く、政策の重点を景気から物価に移さざるを得なくなったのではないか」等の質疑がありました。これに対し、大平総理大臣を初め関係各大臣より、「前内閣以来七%成長の達成に非常な努力を払ってきたが、大平内閣発足の時点では、追加的な財政政策をとったとしても七%成長実現の見通しは立たなかった。われわれは現実に即して問題を処理しなければならず、できることをしなかったとか断念したとかいうことではないということを御理解願いたい。七%の成長が困難になった最も大きな原因は昨年の急激な円高である。しかし、内需だけで見た成長率は八%となっており、内需拡大型の経済回復が定着しつつある。物価の安定は五十四年度の経済運営の重大な柱で、政府はすでに二月二十二日、「物価対策の総合的推進の方針」を決め、生活物資の安定供給の確保に周到な配慮を払い、政府と自治体が一体となって取り組む体制をつくっている。物価問題は一つの施策で効果を上げるということは無理なので、一つ一つの課題に早目早目に手を打つように心がけてまいりたい。さらに、景気政策との関係では、長い不況からようやく脱出しつつある今日、経済の急激な回復は物価を初め他に波乱を起こすので、ゆっくりであっても着実に前進するタイプの成長に持っていくようにしたい」旨の答弁がありました。
 次に、財政問題に関する質疑として、「政府は五十四年度予算で財政再建の足がかりができたと考えているか。来年度の十五兆円余の国債発行は、最近の長期国債不人気の実情から、消化は困難ではないか。また、連年にわたる巨額な国債発行によって、借りかえ、償還等に遠からず行き詰まりを来す危険があるのではないか。さらに、政府は五十五年度に一般消費税の創設を計画しているが、医師優遇税制の是正を初め、歳入歳出の両面で導入の前提条件が整備できていないのではないか。さらにまた、国の出先機関の統廃合、公団、事業団の整理等、中央地方を通じ極度に膨張した行政機構を低成長時代に見合ったものにするための思い切った行政改革が必要ではないか」等の質疑がありました。これに対し、大平総理大臣並びに金子大蔵大臣より、「五十四年度予算は、従来手つかずだった経常経費をある程度圧縮し、歳入面でも租税特別措置の縮減にもようやく手をつけたが、今後とも一層の努力を継続する決意である。最近の国債の消化難は、金利の底値感、金融政策変更見込み等、市場心理によるものと思う。財政当局としては、金融の緩和基調と低金利政策の基本は景気政策との関連からこれを堅持する方針であり、また、市場の実勢を勘案して国債金利の引き上げを行ったほか、国債多様化政策の採用、資金運用部の引き受け復活等の工夫をこらしており、五十四年度の国債の消化は可能と思う。国債の借りかえについては、従来日銀と資金運用部保有のものが大部分であったが、今後は市中金融機関に借りかえ債を持ってもらうことは避けられない。償還問題は当面規定どおり実施し、将来不足するような事態になれば予算繰り入れで対処する。一般消費税の導入には歳入歳出両面の見直しが必要なことは御指摘のとおりで、来年度は、政策税制の廃止、圧縮等、従来にない努力を払ったが、公害防止、貯蓄奨励等の政策要請によってつくられているものが六割以上も占めている点を御理解願いたい。社会保険診療報酬課税の特例については、二十五年間手つかずであったこの問題にともかく手をつけ、基本的には政府税調の答申の線に沿った改正を行うことにした。ただ、医師の公共性を考え、ある程度税制の上で特別控除を加味して段階的な経費率を決めたことは御理解を願いたい。さらに、歳出面では、スクラップ・アンド・ビルド方式による新規政策費の捻出、補助金の整理合理化等に相当の努力を払っている。行政改革については、社会経済状況の変化に応じて行政運営を改めることは当然であるが、当面大平内閣としては、行政費の節減を徹底して行うことにしており、中央政府の行政組織の改編や再編成はいま取り上げる時期ではなく、何よりも簡素で効率的な行政運営に鋭意努力する決意である」旨の答弁がありました。
 次に、日米経済摩擦に関する質疑として、「ボン・サミットで国際的に公約した七%成長の放棄が日米摩擦の原因ではないか。電電公社を初め政府調達品の門戸開放要求にどう対処するのか。東京ラウンド及び東京サミットに臨む政府の方針はどうか」等の質疑がありました。これに対し、大平総理大臣並びに関係大臣より「五十三年の急激な円高によって政府見通しに狂いが生じたが、五十三年度実績見込みの六%前後の成長は、西独の三%、米国の四・五%に比べても相当高い成長である。さらに五十四年度も、西独、米国、フランス、英国の四カ国の公債発行合計額をも上回る十五兆円余の国債を出して、景気の拡大と経常収支黒字の縮小を図り、世界経済に対する日本の役割りを果たす決意である。しかし、百二十億ドルに上る貿易黒字が対米摩擦の大きな要因であって、昨年後半からの黒字幅の縮小を米国政府は理解しているものの、議会筋に課徴金を課すべしとの動きがあることも事実で、わが国としては黒字圧縮に一段の努力を払う必要がある。政府調達品の門戸開放については、経営の安定、ノーハウ、雇用問題等、多方面にわたる諸般の問題に十分な注意を払いつつ、先進国並みの門戸開放を基本に、早急に解決を図る方向で目下鋭意努力中である。国際経済の諸懸案事項は互恵平等と互譲の精神で解決し、東京ラウンド及び東京サミットを成功に導くことが長い目で見てわが国の国益に合致する」旨の答弁がありました。
 次に、雇用問題に関し、「新経済社会七カ年計画では、完全失業率を一・七%と見込んでおり、五十年代前期経済計画より後退している。中高年齢者の雇用安定のために定年延長の法制化を実行すべきではないか。さらに、定年退職年齢と厚生年金受給開始年齢のギャップの解消を図るべきではないか」等の質疑がありました。これに対し、関係大臣より、「六十年度の労働力人口は五千七百万で、これに対応して可能な限り就業機会の増大を図り、職を求める人には職がある状態と、世帯主の完全失業率を低くすることを想定して七カ年計画を策定している。定年延長はわが国の実情から避けて通れない重大な課題なので、労使の真剣な検討をまず期待したい。定年延長の法制化は必ずしも有効な方法とも思えないので行政指導によって進めることにしているが、各党の御意見については誠意を持って検討するとともに、審議会等で十分論議し、適切な処置をとりたい。老齢年金支給開始年齢引き上げの問題は、年金が本当に必要な時期に必要な給付が受けられる体制をつくるために、目下検討中の年金制度基本構想懇談会の答申を得次第、段階的に改善を図る方向で考えたい」旨の答弁がありました。
 次に、エネルギー問題に関し、「イランの政変に伴い石油の確保に不安はないか。OPECの石油価格の引き上げ、IEAの五%の石油節約の申し合わせ等、エネルギー対策が重要な課題となっているが、その対策をただしたい」との質疑があり、関係大臣より、「わが国の石油は需要期の一−三月は当初の計画どおりの輸入が確保できる見通しである。前回の石油危機と違って、八十日を超す石油備蓄がある上、四月からは不需要期に入るので、当面はそう心配をしなくてもいい。石油消費量の五%節約については、景気回復、雇用改善の観点から大口需要の規制は行わず、暖房用や自家用車等の使用節約を促進することにしたい。将来の問題として、中近東に依存した原油供給の多角化を図り、代替エネルギー等の開発に一層努力し、さらに、石油が重質油に変わっていく傾向にあるので、その対応策を検討する必要がある。石油の確保について量と価格の両面で不透明な要因はあるが、価格の引き上げも、産油国が国際的な価格変動を呼び起こし、かえって困難な事態を招くことへの反省の空気も生まれつつあり、量の面でも、世界的に石油の節約が軌道に乗り、石油備蓄も前進している等、情勢は大きく変わりつつあるので、冷静に対処することが肝要である」旨の答弁がありました。
 最後に、本予算審査に当たり、外国航空機輸入に関連する疑惑について質疑が集中し、広範多岐、かつ詳細をきわめました。これに対し、大平総理大臣より、「疑惑が生じたことははなはだ残念であり、その真相を究明し、公正な解決を図ることが政府の責務である。また、国会の国政調査権には法令の許す範囲内で最大限の協力をしなければならない」との答弁がありました。
 五十四年度予算に計上の早期警戒機E2C購入予算に関し、四月二日の締めくくり総括の冒頭、大平総理大臣より、「政府は昭和五十四年度防衛関係予算のうち早期警戒機購入に係る歳出予算十六億七千三百万円及び国庫債務負担行為三百六十三億八千万円については、今国会における予算委員会の審議の状況を踏まえ、慎重かつ公正な執行に配慮し、当該予算の執行については参議院議長の判断を十分に尊重する所存であります」との発言がありました。
 なお、三月十九日、三十一日の両日証人として出頭した海部八郎君の証言につきましては、その後理事会において慎重に検討の結果、偽証の疑い濃厚なものと認め、四月二日、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律第八条により告発することに決定いたしました。
 なお、質疑はこのほか国政全般にわたって行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて、本日をもって質疑は終局し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して久保委員が反対、自由民主党・自由国民会議を代表して井上委員が賛成、公明党を代表して多田委員が反対、日本共産党を代表して内藤委員が反対、民社党を代表して栗林委員が反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、可否同数となりましたので、国会法第五十条により、委員長は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#5
○議長(安井謙君) 三案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。久保亘君。
   〔久保亘君登壇、拍手〕
#6
○久保亘君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました一九七九年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算の三案に対し、反対の討論を行います。
 いま日本国民にとって早期警戒を必要としているのはインフレの再燃と失業の増大であり、遺憾ながらインフレと失業の危機的状況はE2Cによってとらえることはできがたいのであります。国民はまた、E2Cの装備によって仮想敵国を定め、莫大な国民の税金を費やすよりも、E2Cをめぐる疑惑のごとき航空機汚職の解明とその再発を防止するための早期警戒措置を政府に強く求めているのであります。さらに、いま国民の間には、アメリカのスリーマイル島の原発事故について、これまで政府が原発立地に当たって住民説得の根拠としてきた「これまで事故がないのが何よりの安全の証拠」という神話が崩れ去ったことに対し、政府がどう原子力安全行政を強化するのか、規制措置の見直しをどうするのか、国民は不安のうちに政府の適切かつ速やかなる対応を求めているのであります。大平内閣は、予算案の編成と審議を通じ、果たしてこれらの国民の求める課題に対し、その期待にこたえたであろうか。私は、残念ながらこたえることはできなかったと思うのであります。
 ところで、わが国経済は不況局面を脱出し、順調な回復過程をたどりつつあるとの一部の明るい見通しが出ている一方では、肝心な雇用、中でも中高年齢者の雇用情勢は依然として改善のめどは立っていません。確かに企業収益は、企業によっては史上空前と言われるほど増大してきておりますが、減量経営、すなわち人減らし合理化による利益の追求を定着させた企業は、景気が回復したからといって雇用量を増加させないのが現在の特徴なのであります。五十三年度における財政金融政策は、臨時異例を名分に大企業重視の超大型公共投資と国民大衆の預貯金金利を一方的に犠牲にした超低金利政策によって企業経営を手厚く下支えする一方で、企業は、財政面の多様な保護政策のもとに、合理化、減量化を大義名分に、徹底した強制的な人減らしを行ってきているのであります。しかも、景気が上昇すれば物価がそれを上回る速度で上昇し、景気の足かせとなる現代資本主義経済の矛盾がすでにあらわれてきていることから、今後も、勤労国民の雇用、所得、生活等々の大幅な好転はとうてい見込み得ないのであります。長期不況を克服して日本経済の転換を図るためには、内需中心の経済構造を確立することが必要であり、その実現が、六月末開催の東京サミットにおけるわが国の国際的責務を果たすことになるのであります。しかし、そのおくれが、現在、ECからの貿易不均衡是正の要望となり、日米通商問題におけるアメリカからの圧力の原因ともなっているのであります。加えて、経済構造の転換が達成されない中で、国内的にはインフレ再燃の危険性が高まり、原油価格の値上げが実施され、まさに日本経済は国の内外両面にわたって未解決な課題を抱えた不安定な状態にあると言っても過言ではありません。
 かかる経済問題を抱えている一方では、E2C早期警戒機の購入問題に露出したように、政財官癒着の航空機汚職の構造は、経済の軍事化を促進しようとする危険な動きと相まって、政治不信を増幅しているのが実情であり、戦後保守政治の欠陥と限界を示しているのであります。
 政府の顔とも言うべき政府予算案の具体的問題点を指摘し、私は反対の理由を明らかにしたいと思います。
 まず第一点は、雇用対策が十分でないことであります。
 政府は、十万人の雇用創出と九万人の失業防止対策を講じ、さらに情勢を見て追加措置をとるとの方針を明らかにしておりますが、最も重要な施策としての民間企業の人員削減防止策が欠落しており、また、政府みずから新規雇用機会の拡大を図る面で特記すべきものは何もないのであります。国が雇用政策を進めれば企業が人減らしを進めるというのでは、百二十万人を超える完全失業者が減少する見込みはないのであり、高齢者社会の進む中で生活責任の重い中高年の就業の前途に明るさはありません。すなわち、中高年の有効求人倍率は、平均〇・六に対し〇・三一ないし〇・一八ときわめて厳しく、しかも、政府の宣伝する雇用開発関連予算の消化率は五十三年度まででわずかに九%にとどまっていることから見て、五十四年度において政府の雇用創出計画が達成できる見通しは持ち得ないのであります。少なくとも、雇用促進の前提として中高年の雇用率未達成企業の公表、課徴金、定年延長、差別雇用禁止など企業の雇用責任強化を図る労働行政が進められるべきであります。
 これらの点に関し、政府は何らの前進を決断しようとせず、場当たり的予算措置で現状に対応するだけでは、大平内閣は雇用改善の責任を果たす意思を疑われてもやむを得ないと思うのであります。
 また、先進諸国で週休二日制を実施していないのはわが国だけであり、これでは、外国からの貿易の不均衡、国際収支のアンバランスについての批判を招くのは当然とも言えるのであって、政府の決断が求められるのでありますが、その意欲は見られず、かかる面からの雇用拡大策も図られていません。
 第二の理由は、福祉にしわ寄せした公共事業中心の景気対策、内需拡大策についてであります。
 不況克服のために公共事業投資の拡大を軸にする景気刺激策は、従来からとられたパターンでありますが、一言で言えば、公共事業費の増大が必ずしもかつての成長過程と同様な需要効果を発揮し得なくなってきているのがわが国需要構造の変化であります。中でも、政府の公共事業内容は、道路、港湾などの大型プロジェクト中心の投資が継続されており、住宅、下水道等の生活基盤整備投資は、成長率優先のもとでは抑制ぎみであります。公共事業の需要効果を雇用効果の点から見ても、生活関連投資の方がより有効なことは明らかでありますが、政府の投資にはそのような認識が見られないのであります。新経済七カ年計画を見ても、二〇%が道路投資では、いわゆる低成長経済下での雇用確保、生活安定のための公共投資構造とは認めがたいのであります。
 特に指摘しなければならないことは、五十四年度社会保障関係費は前年比一二・五%増にとどまり、四十七年以来初めて一般会計予算の伸びを下回っている中で、公共事業関係費は五十三年度の大幅な伸びを受けて、五十四年度さらに二〇%の増を図り、国民福祉に大きくしわ寄せを行っていることであります。
 第三の理由は、社会保障の低滞と各種公共料金の値上げによる大衆負担の増加と物価の上昇についてであります。
 安上がりの政府論に立って、初診料の引き上げ、薬代の二分の一負担など、医療制度の改革に着手することなしに、受益者負担を口実に国民の負担を強化しています。政府統計によっても、勤労国民の生活水準は切り詰めを強いられており、とりわけ老人世帯など経済的、社会的弱者の生活は四十八年水準を大きく下回り、社会保障政策の不十分さを物語っています。今回の予算審議に当たって、野党の強い要求を受けて政府が渋々老齢者福祉年金の月額二万円八月実施に応ぜざるを得なかったことも、当然とはいえ、政府の福祉切り捨てに対する国民の強い批判に抗し切れなかったからであります。低成長経済の時代こそ社会福祉の充実を必要としているのであって、本予算案を流れる高負担先行の社会保障見直しの発想は断じて許しがたいのであります。
 また、医療費負担を初め、たばこ値上げ、国鉄運賃値上げ、授業料の引き上げ等々公共料金の軒並みの値上げで、国民の負担は高まる一方であり、その上、卸売物価は四カ月連騰で年率一〇%を超え、消費者物価もまた東京都区部では三月に年率一〇%を超えたのであります。加えて、原油価格は当初の予定の半年繰り上げをOPECが決定し、円高もまたその進行をストップしているのであります。物価の動向にはすでに危険信号が出ているのであります。特に、物価上昇要因が、地価騰貴、公共料金、国債の大量発行など、次第に国内要因主導に移ってきている折、物価抑制政策が重点施策とされなければならないのでありますが、その対応策に見るべきものがなく、国民負担を一段と高める政府の無策は許されません。特に、福祉の充実を理由に一般消費税の導入を企てる政府の姿勢は公共投資優先の高度成長型財政の発想に基づくもので、強く反対するものであります。
 第四の理由は、財政再建に関しての問題であります。
 その一つが、十五兆二千七百億円の巨額の国債発行によって、国債依存率三九・六%、五十四年度末残高五十六兆円にも達し、発行債の消化はきわめて困難となっております。そのことは、予算審議中に国債金利を引き上げる異常な措置にもあらわれているのであります。財政史上かつて見られない深刻な赤字財政に陥った財政再建は、最も重大な財政上の課題であります。それは歳出の洗い直しと歳入の改革でありますが、補助金支出の削減一つをとっても、わずかに千二百億円の整理にすぎず、圧力団体の要求に屈せず、公正、効率を旨とした思い切った財政再建の足がかりをつくるべきであったのであります。
 また、歳入の面でも、税制改正は、物価調整減税の見送り等を含めると実に一兆円に上る大増税を行っておりますが、その内容は、たばこの値上げ、ガソリン税など、取りやすいところから取る大衆増税であり、その一方で、大企業、資産家に対する不公平な優遇措置の是正は、ついに武見会長でさえも国民世論を無視できなくなったにもかかわらず、社会保険診療報酬課税の特例措置の全く不十分な手直し、土地税制の緩和、企業の準備金、引当金制度等、微温的な改正にとどめ、不公平税制がすべて温存されております。このような状況で一般消費税を新設して大衆課税による財政再建を実施しようとしても、国民の大きな批判を招くのは当然であります。一般消費税を強行しようとするなら、総理は、この大衆収奪、物価引き上げに通ずる税制を正面に掲げて総選挙で国民の審判を問うべきであります。その審判を恐れて選挙後に持ち込もうとする、こそくな手段を考えるならば、直ちにこの計画を中止すべきであります。
 次に、国債管理政策が欠落しております。国債償還が今後ますます重要な課題となることは言うまでもありませんが、特に今日の時点で指摘しておかなければならないのは、国債消化とインフレの問題であります。大量の国債発行が市中消化難から通貨供給増につながる通貨当局の介入が予測されるのでありますが、すでに三千億円の買いオペが行われるなど、予測どおりの事態となっております。さきに見た物価上昇の動きに拍車をかける国債の発行と消化についての対策が具体化されていないのは、きわめて危険な財政運営と断ぜざるを得ないのであります。
 第五は、財政改革の大きな柱としての地方財政改革についての問題であります。
 地方財政は五十三年度を大きく上回る四兆一千億円の財源不足が見込まれ、地方債残高は五十四年度末には二十五兆円にも達しようとし、三割自治の地方自治体にとっては大きな負担となり、財政危機は国以上に深刻になっています。地方交付税制度は実質的には破綻しており、自主課税権も起債権も制限されている現状では、地方分権の確立などは望むべくもありません。国と地方との財政構造の改革は経済の転換と密接不可分の関係にありますが、政府にはその認識が全く欠けていると思うのであります。
 大平内閣は田園都市構想を掲げ、「地方の時代」をうたい上げていますが、地方の時代は、民主主義の草の根と言われる地方自治の確立こそ、その中心に据えられなければなりません。国が地方を見てやるという発想こそが、人間的潤いを持つ人間の住む場所という点から見て、都市を砂漠とし、農村を荒廃させた中央集権的官僚政治の最大の政治的犯罪であることに思いをいたし、地方の時代を、地方自治、地方財政の民主的復権の運動としてとらえるべきであります。「地方の時代」は、高度成長期における地域社会の破壊、人間的連帯の喪失を招いた政治政策の責任に対し、抗議を込めて国民の側から語られる言葉なのであります。田園都市構想など、全く国民迎合の人気取りスローガンにすぎず、それこそ政権の国民に対する「甘えの構造」として、国民の側から大平さんにお返ししたいのであります。
 最後に、防衛関係費についてであります。
 防衛関係費二兆円は、世界第八位の軍事費支出国であります。政府は、福祉予算は真っ先に見直しの対象とされますが、軍事費こそ爼上にのせ、不急不要経費の最たるものとして考えなければならないのであります。今回のE2C機購入予算をめぐる一連の黒い疑惑は、わが国の再軍備、軍備増強過程に絶えずつきまとってきた疑惑のあらわれにすぎないのであり、今後も軍備拡大に伴って拡大再生産される黒い疑惑がつきまとうという可能性もまた避けがたく国民の眼に映るのであります。日米安保に拘束される日本に対するアメリカの軍事的、経済的要求の一環であるE2Cの導入が国民の政治不信は増幅しても、決して国家安全保障についての国民の期待にこたえるものではないことを銘記すべきであります。
 また、私は、航空機輸入をめぐる不正、疑惑について、大平政権とその与党に対し強く反省を促したいのであります。総理大臣の犯罪と言われたロッキード事件に続く今回の疑惑は、当初から政府高官の氏名が飛び交い、再びわが国政財官界を巻き込む構造的大疑獄への発展をうかがわせております。戦後政治の金権腐敗の実態がいま国民の前に白日のもとにさらされようとしているのであります。民間機はもとより、五十四年度予算において疑惑発生後に総理の決断で決定されたE2C、疑惑にすっぽり包まれたRF4Eなど軍用機の不正売り込みは、決して中途半端な解明で国民の信頼を回復することはできないのであります。そして、FMS方式をとることによってすべての疑惑の介在を許さないという政府の説明も、また、丸紅、日商の商法が明るみに出れば出るほど、その説得力を失うのであります。特に、これらの疑惑に、要職にあった保守政治家がかかわったのではないかという疑問は、金権に支えられた戦後保守支配の深層を流れる構造的腐敗に対して解明を求める国民の声であります。わが党は、予算委員会の証人喚問に当たり、疑惑の政府高官の出頭を強く求めたのでありますが、政府・与党は、問題を商社の悪徳、不正に矮小化して、民間商社を盾に、疑惑を葬り去ろうとして、喚問を拒絶し続けたのであります。まことに遺憾と言わざるを得ません。
 私は、自由民主党の本院議員の中にも、政治家の喚問に応ずべきことをマスコミを通じて主張された一部の良心が存在することを評価したいと思います。また、野党の要求に対してE2C予算の削除には同意されなかったが、その凍結に合意された与党自民党の判断を、議会民主主義いまだ死滅せざる証明として敬意を表したいと思います。しかし、このことが立法府における与党の真の民主的見識であったかどうかは、今後この院の合意をどう実行するかによって決定されなければなりません、政府・与党が何をもって疑惑解明と見るか、国民の納得と見るか、今後に残された政府・与党の政治責任はきわめて重いのであります。特に、この際、判断を任された本院の代表としての安井議長の後世に誤りなき判断を、民主主義と参議院の良識の名において強く期待するものであります。
 終わりに、私は、制服組による防衛大綱の見直し論や元号の法制化、教育勅語、軍人勅諭の礼賛など、そしてまた、防衛庁の軍事的国防意識をあおり立てる意図的な宣伝など、一連の帝国憲法的反動思潮の高まりに対し、政府の政治姿勢の軍国主義的反動化の傾向として深く憂慮の意を表し、大平内閣の強い反省を促して、日本社会党を代表する反対討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(安井謙君) 岩動道行君。
   〔岩動道行君登壇、拍手〕
#8
○岩動道行君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、ただいま議題となりました昭和五十四年度予算三案に対し、賛成の討論を行います。
 現在われわれが当面している政策課題は、景気の停滞から脱出し、均衡のとれた安定成長路線への円滑な移行であります。また、物価の安定基調を維持しつつ雇用の改善を進め、対外均衡の回復を一層確実なものとすることであります。最近の経済情勢を見ると、ようやく石油危機の後遺症から脱し、安定成長への道を歩むに至っております。設備投資や個人消費も次第に堅調に向かい、全体として内需を中心に景気の順調な回復傾向が続いております。これは、臨時異例のものとして編成された大型予算による公共投資の大幅な拡充と契約の前倒し等が実体経済に浸透した結果、昨年春以来の激しい円高のデフレ効果を緩和しつつ累積的な効果をあらわしてきたものであります。
 このような内需拡大による輸入増加に加え、円高による輸出の減少によって、国際収支の黒字は昨年の秋以降着実に縮小の傾向をたどっております。また、物価についても、政府の積極的な円高の差益還元施策と相まって安定的に推移し、五十三年度の消費者物価は昭和三十五年度以来実に十八年ぶりの低率である三%台にとどまる見込みとなりました。景気の拡大と物価の安定、さらには国民各位の血のにじむような経営努力と積極的な勤労意欲に支えられ、企業活動も活発化し、稼働率も八五%を超え、収益も一段と改善されて、民間経済の活力が発揮できる素地が生じつつある状況となっております。この結果、五十三年度の経済成長率は、内需において八・二%の伸びが見込まれます。しかし、輸出の減少と輸入の増大による海外経常余剰のマイナスによって実質成長率は六%弱程度になるものと推計されております。
 世上、経済成長率が政府の当初見通しの七%目標を達成しなかったことに対し批判する向きもありますが、当を失したものと言わなければなりません。そもそも七%目標は、民間需要を中心に内需を拡大し、対外不均衡の是正を図る観点から設定されたものであり、五十三年度経済はその内容において十分に達成したと言って過言ではありません。政府は、来る東京サミットを含め、諸外国に対してもこの間の事情を説明し、納得を得るよう努力を望むものであります。
 しかし、ここ数年に及ぶ経済産業構造の変革によって生じた雇用問題は、改善の兆しはあるもののなお厳しく、その前途も楽観を許しません。五十四年度もやや高目の六・三%の成長を続け、民間の十分な活力を引き出して雇用の吸収を図るなど、景気回復の着実な定着が望まれるのであります。
 一方、石油ショック以降の不況乗り切りと国際収支の黒字縮小のため財政が主導的役割りを果たしてきたことによって、ここ五年間毎年赤字公債を含む大量の公債発行を余儀なくされ、発行残高の累増を招いております。五十四年末には約五十九兆円に達し、国民一人当たりの借金に換算するなら、実に五十万円を超えるものであり、もし増税も行わずこのまま放置するなら、昭和六十年度には百八十六兆円の公債を保有し、しかも公債収入の約半分近くをその利払いに充当せざるを得ない危機的状況に追い込まれるのであります。いまや、極力公債発行を抑制し、財政再建を図ることが強く求められるゆえんであります。
 昭和五十四年度予算は、以上の経済情勢への適切な対応と、財政再建への端緒を開くことを目的として編成されたものであります。以下、本予算に即し、賛成の理由を申し述べます。
 まず第一は、予算規模を工夫し、景気回復と財政再建への努力とが示されていることであります。
 五十四年度一般会計予算の対前年度伸び率は一二・六%と、四十年度以来最低の伸び率を記録し、全体として規模の圧縮に努め、歳出の削減に努力しております。しかし、需要創出効果の高い一般公共事業を二二・五%と伸ばし、臨時異例の昨年度には及ばないものの、五十一、五十二の両年度を上回る規模を確保し、あわせて、立ちおくれている住宅、下水道、環境施設等、国民生活の基盤となる社会資本の整備を図ることとしております。このほか、文教施設や社会福祉施設など公共投資関連経費についても大幅な増加を図っており、この結果、経済波及効果の高い投資的経費の伸びは一八・五%と、一般会計予算の伸びを大きく上回り、景気の浮揚に貢献するものと思われます。
 一方、財政の健全化を推進するため、行政事務費について前年度予算と同額とする措置を五十四年度も踏襲したほか、その経常経費について節減合理化を行っており、投資部門の大幅な伸びと比較し、国債費を除いた経常的経費の伸びはわずか八・六%にとどめているのであります。このほか、千二百億円に及ぶ補助金の整理合理化や緊要な施策への重点配分など、簡素で効率的な行政を目指しております。
 第二は、税制改正についてであります。
 現下の苦しい財政事情にあって、税収等歳入の確保を図ることは当然であります。今回、揮発油税の引き上げを初め、交際費課税等の租税特別措置の改正など、選択的増税と政策税制の是正が行われており、初年度四千三百四十億円、平年度六千二百七十億円に及ぶ近年にない増税策が講ぜられています。また、たばこや国鉄運賃の公共料金の引き上げも行われることとしていますが、現下の財政事情を勘案し、財政収入の確保、受益者負担の適正化から見て、やむを得ぬ措置と言わなければなりません。特に、歴代内閣が是正を意図しながら二十五年間継続されてきたいわゆる医師税制について、収入に応じ段階的に課税することの改正に踏み切ったことは、きわめて勇気ある決断であります。
 第三は、雇用対策に万全の配慮がなされていることであります。
 雇用の安定は現在の政策目標の柱であり、本予算によって景気を回復し、雇用の拡大を図ろうとしているわけでありますが、また、予算自体によっても直接の雇用対策を講じております。すなわち、公共事業の執行によって相当の雇用吸収がなされますが、さらに、国が関与する公共サービス部門のうち、福祉、医療施設関係及び文教関係合わせて約五万五千人の新規雇用増加が図られることとなっております。また、現在の雇用対策のうち雇用開発給付金制度の拡充や定年延長奨励金の充実等によって、延べ十九万人の雇用増や失業予防が、あるいは失業給付の改善によって約百六十三万人に及ぶ失業者の生活安定が図られるよう措置されております。
 第四は、福祉対策の改善についてであります。
 無拠出制の福祉年金については、物価上昇をはるかに上回る九・九%を引き上げ、月額一万八千円としたほか、さらに衆議院での話し合いによって、月額二万円に引き上げることとしております。また、厚生年金や国民年金についても、消費者物価の上昇が五%に達せず、スライド条項の義務的適用がなかったにもかかわらず、五十三年度物価上昇率を上回る四%の引き上げを行っております。この結果、厚生年金のモデル計算に従えば、支給月額は十万八千円に増額されることとなります。このほか、在職老齢年金の支給制限の緩和、あるいは低所得者に対する児童手当の改善、原爆被爆者特別手当の増額など、きめ細かな対策が講じられております。
 このように、厳しい財源の中でも必要な福祉施策はあとう限り措置されており、一部にある福祉後退の批判は全く根拠のないものであります。
 この際、福祉について強調したいことは、わが国社会保障の水準がすでに福祉先進諸国に比べ、さして遜色のないものとなっておりますが、今後さらに改善を図りつついかにして社会保障費用を調達するかが重要な課題であることであります。福祉の費用は天から降るものではなく、究極のところ、国民全体の負担に頼らざるを得ないものであります。この点に対する国民の理解を得るよう政府の努力を要望するとともに、いわゆるばらまき福祉に堕することなく、また、怠け者をつくらない節度ある社会保障であることを強く要請するものであります。
 以上のほか、教育費軽減のための育英奨学資金の飛躍的充実や、石油備蓄拡充のための石油対策の増強、あるいは経済協力の三年間倍増など、各般の施策が五十四年度予算の関係経費に盛り込まれております。
 なお、今回の審議の過程で執行が保留されるE2C予算について一言申し上げます。
 申すまでもなく、早期警戒機の導入は、わが国の防衛の観点から長年にわたって厳正に検討された結果、防衛計画の大綱で決定され、五十四年度予算に初めて計上されたものであります。このE2C予算について疑惑を受けたことはまことに遺憾であり、かかる疑惑の究明は徹底して行われるべきでありますが、早期警戒機の候補機はE2C一機種であり、その選択に他の機種が入り込む余地はなく、購入に当たっても、米国政府と日本政府との政府間契約であることを勘案すれば、疑惑の入る余地はあり得ないと思うのであります。また、本機の契約と受け渡しの間に四年以上の期間を要するものであり、今回の保留措置によってさらにその期間が延びるとなれば、わが国の防衛体制に重大な欠陥を生むことなしとしません。速やかに国民の納得のいく問題解明を行い、E2C予算の執行を可能にされるよう切望するものであります。
 最後に、私は、大平内閣に今後の政策運営のあり方について要望をいたすものであります。
 いまやわが国は、経済各分野のアンバランスの是正や失業防止のほか、貿易摩擦解消のため世界経済との調整という困難な問題にも直面しております。この六月、アジアで初めて開催される東京サミットを成功に導き、各国協調の精神に沿って、エネルギー問題を初め各国が直面するむずかしい課題に対処していかなければなりません。このためには、先見性ある政治識見に加え、バランスのとれた手がたい重厚な政策運営が望まれるのであります。これはまた、百五十万人の自民党全党員・党友参加によって選出された大平総裁・総理に期待されるゆえんもまたここにあると思います。
 国民は、いまや従来の単純な高度成長の延長や惰性と訣別し、安定成長の時代にふさわしい真に新しい理念に裏づけされた政策を待望しており、単なる一時的人気取りの施策には飽きております。大平総裁は、就任後、文化を重視し、地方を尊重する田園都市構想や、個々の家庭基盤の充実を前提とした日本型福祉社会の実現など、長年温めていた新しい国家像を打ち出されました。社会産業構造の変化と高学歴社会への移行、そして老齢人口の急増を考えるならば、これらが将来の日本社会の進むべき方向であるととは言うまでもありません。さりながら、かかる施策の推進には、国民一人一人の自覚と同時に、あらゆる意味で負担の増加をまた伴わざるを得ません。しかしながら、安易な増税は許されません。たとえば、一般消費税の導入については、国民の理解と協力が得られるよう慎重に配慮を願いたいと思う次第であります。
 大平総理は、国民に対し不評判の政策も場合によってはとらざるを得ないとの考え方を示された初の総理大臣でもあります。私は、大平総理がみずからの信念として打ち出された政策を、信頼と合意に基づき、着実にタイムリーに実行し、来るべき八〇年代に向けて国民生活を質的に充実させ、また、国際社会への責務を果たしていく平和日本を構築されんことを望み、賛成討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(安井謙君) 相沢武彦君。
   〔相沢武彦君登壇、拍手〕
#10
○相沢武彦君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十四年度政府予算三案に対し、反対の討論を行います。
 大平内閣初の予算編成による昭和五十四年度予算三案は、総理の唱えた「信頼と合意」の政治、あるいは福祉社会の建設、田園都市構想のビジョン、チープガバメントの主張と結びつけ、従来の自民党政権の政策からいかに脱皮の第一歩を踏み出すかを示す試金石であったのであります。しかしながら、予算案の内容からは福祉社会建設へ向かう何らの意欲も見出せず、むしろ福祉の後退を示し、また、チープガバメントの主張にしても、実践の意欲が皆無に等しいと言わねばなりません。結局は、財政再建を最優先課題として、経済成長率を低目に設定し、財政支出の規模を押え、財政再建の足がかりを一般消費税の五十五年度導入に求めております。したがって、国民負担の増大を先行させ、経済社会問題の最大の課題である景気回復、失業対策、雇用創出等が中途半端なものとなっているのであります。
 以下、私は反対の理由を要約して述べます。
 反対の第一は、雇用対策が不十分であるということであります。
 現在、景気の先行きに明るさが見え始めたと見られております。その中で、昨年九月期以来、総体的に見て企業収益がふえてまいりました。それには内需の堅調、低金利、昨年の円高原料安等の要因がありますが、企業の減量経営の定着が基本的要因になっていると見るべきであります。減量経営の中で行われた人員整理によって、かってない多数の完全失業者が出され、約百二十万人ラインの完全失業者が定着状態になり、労働力人口の増加の関係から見て、政府の見通しでも完全失業率は五十四年度においても改善されないことになっております。しかも、その背景にある労働力人口の推移が中高年齢者の急速な増加となることは明らかであります。したがって、中高年齢者の雇用の継続と雇用の創出を中心とする雇用対策の充実は最大の課題と言わねばなりません。しかるに、政府予算案では、ある程度の対策の充足は認められるものの、その本質は、雇用情勢の大きな変化にもかかわらず、糊塗的な対応策に終始しております。労働市場センターにおける職業紹介業務の機械化による迅速化や、雇用促進事業団の職業研究所の基礎研究も、現状に即した雇用創出機能として有機的に関連を持ち、機能を発揮するには至っていないのが現状であります。したがって、積極的な基本対策が緊要な課題でありますが、政府は予算案の範囲で事足れりと言わぬばかりに、中期的な展望に立ったわれわれの具体的提案に対してもきわめて消極的な姿勢に終始しているのであります。これでは国民の不安と雇用問題の解決はとうてい望めないと言わざるを得ないのであります。
 反対理由の第二は、福祉関係予算が後退を余儀なくされていることであります。
 老後の生活に不安を持つお年寄りの方や、母子世帯、あるいは心身障害者など、社会的に弱い立場に置かれ、長期不況で苦しい生活を強いられている人々に対する施策の充実がいまほど求められているときはありません。しかし、五十四年度予算は、財政再建を最優先させ、福祉施策を足踏みさせ、実質的に後退させる予算となっているのであります。これは、社会保障関係費の伸び率が一二・五%にとどまっていることからも明らかであります。
 第三に、公共事業関係費がこれまでの投資事業のパターンを踏襲し、生活関連事業重視の国民的要求にほど遠い内容であることであります。すなわち、生活環境施設整備と住宅対策を合わせても公共事業費のうちの四分の一にすぎない、道路、港湾など産業関連重視の財政運営であり、高度成長時代の体質から少しも脱皮していない姿を明確に示すものであります。こうした予算案からは、さきに述べた福祉の後退とあわせ、福祉社会建設に踏み出す何らの姿勢も見出せないのであります。
 反対理由の第四は、物価調整減税をも見送り、公共料金の一斉値上げをして、実質増税と受益者負担原則を強化していることは、国民家計を圧迫し、卸売物価の高騰の中で消費者物価上昇を促進して、個人消費を抑え、景気回復に逆行することであります。
 政府の言う財政再建の立場からしても、現状においては、少なくとも物価調整減税を行い、国民の家計の可処分所得の伸びを図ることは、国民の生活を守り、GNPの五〇%以上を占める個人消費を喚起する上からも必要不可欠なことであります。予算案では、これを無視して所得税減税を見送り、自動的に所得税を増税し、加えて、公共料金値上げをして家計の負担を大きくするだけでなく、卸売物価上昇が年率で二けたとなり、インフレ再燃の危険水域にある中で、消費者物価上昇へ拍車をかけようとしていると言わねばなりません。また、それが国民の経済活力に冷水を浴びせ、景気回復に逆行することは明らかであります。
 反対理由の第五は、政府はみずから財政再建の重要性を訴えながら、不公平税制の是正には抜本的な取り組みをしようとせず、また、安くつく効率のよい政府などと主張しながら、行政改革と行政経費節減に見るべき進展がないことであります。
 予算案では、前で述べた所得税の実質増税等を行い、また、いまや大衆課税となっているガソリン税を二五%と大幅に引き上げておりますが、その一方で、徹底すべき不公平税制の是正にはいまだ及び腰の姿勢で終始しているのであります。いわゆる医師優遇税制も五段階控除率逓減制度の採用を見たものの、診療報酬の改正等を含めた抜本改正については明確な方針が定まらず、大きな問題を残しております。また、企業関係の優遇措置については、その改廃をしたものの、是正の徹底にはほど遠いと言わざるを得ません。他方、宅地供給難を理由とした土地税制の緩和は、総合的な土地対策、地価対策の欠如による売り手市場の中で、すでに著しい地価高騰を見ており、土地供給効果に大きな疑問を残していると言わねばなりません。
 一方、大平総理が国民的要求に応じたチープガバメントの主張は、財政支出の規模を低水準に抑えただけであって、結果として、国債依存率は四〇%に近づき、不公平税制の抜本的是正をおいたまま所得税の実質増税、ガソリン税の大幅引き上げ等の大衆課税の強化と、公共料金値上げに見られるとおり、国民に負担の増加を要求する予算となっているのであります。一方、行政官庁の経費の節減は、経常事務費の据え置きや公務員のグリーン車利用制限、自動車の計画的削減、給与改善費の抑制等とされているものの、実質的には積極的な成果はなくて、さらに国民が期待する行政機構の肥大化に対する改革に取り組む姿勢は残念ながら後退しているのであります。こうした予算内容のままで政府は一般消費税の五十五年度導入を組み込もうとしておりますが、一般消費税それ自体が持つ欠点とともに、導入やむなしとする態度はとうてい納得できるものでなく、強く反対するものであります。
 反対理由の第六は、地方財政対策に全く改善の跡が見られないということであります。
 一般会計予算の伸び率が一二・六%に対し、地方財政関係費はわずかに二・五%の伸び率で、物価の上昇分を考えれば実質減少の予算内容であります。公共事業の伸び率を高めたのですから、地方財政負担分も相当に大きくなるのでありますが、地方財政関係費に応分の配慮はなされていないのであります。また、生活関連の事業では、いままで地方自治体が超過負担に耐えながら地域住民のために事業を行ってまいりましたが、これも切り下げられています。これでは、地方財政の改善はもとより、総理の言う田園都市構想に対しても、その端緒をも見出すことができない予算と言わざるを得ません。
 反対理由の第七は、節度のない大量の国債発行であります。
 前年度比六二・六%増の八兆五百五十億円という巨額な特例公債を含め、合計十五兆二千七百億円という大量の国債を発行せざるを得なくなったことは、政府のこれまでの経済財政政策とその運営の失敗によるものであると言わねばなりません。しかも、このような巨額の国債発行はインフレの危険を増大し、資金需給の悪化をもたらし、国民の税負担の増大など不安材料を与えるとともに、その消化についてもきわめて困難視されています。このことは、すでに三月から十年債を六・一%から六・五%へと利率を引き上げねばならない状態になり、それでも市場の実勢とは大きな乖離が見られ、再度の引き上げが望まれていることからも明らかであります。
 こうした市場の実情を無視し、公債管理政策の確立を放置して大量の国債を発行し続けることは、まさに御用金調達方式の踏襲そのものであり、さきに指摘したように、今後の経済と財政に一層の不安を与えることになります。大量の国債発行の背景にはすでに卸売物価の急上昇が続いており、さらに中東原油価格の繰り上げ値上げが決定され、加えて、メジャーからの供給制限が通告されました。これらの価格が消費者物価上昇に点火することが予測されて、通貨量の増大とともに、すでにインフレ再燃は危険水域に達したと見られています。したがって、節度のない大量国債発行はインフレに火をつけ、油を注ぐ結果となりかねないのであります。
 以上、重点的に要約して申し述べた理由によりまして、五十四年度政府予算三案に反対の態度を表明するとともに、本院予算委員会においてしばしば論議された航空機購入に伴う不正取引問題について、政府は真相を徹底究明し、国民の疑惑を晴らし、政治のえりを正すことを強く要望して、私の反対討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(安井謙君) 渡辺武君。
   〔渡辺武君登壇、拍手〕
#12
○渡辺武君 私は、日本共産党を代表して、昭和五十四年度予算三案に反対の討論を行います。
 反対の理由の第一は、この予算案が、今日の財政と経済の危機をあくまでも大企業本位、国民犠牲の方向で打開しようとする、きわめて反動的な内容のものであるところにあります。
 予算案が、不況打開を口実として、一方では投資的経費、とりわけ大型プロジェクト中心の一般公共事業費を二二・五%も伸ばし、他方では、このことから生まれる財政赤字の拡大を、社会保障費、教育費など国民の福祉にかかわる経常経費の切り詰めと大幅な増税、公共料金の引き上げなどによって賄おうとしていることは、よく知られております。しかし、この方向は、単に不況のための一時的な対策ではなく、歴代自民党政府がみずからつくり出した今日の危機を、大企業本位、国民への犠牲強要の方向で打開しようとする基本政策のあらわれにほかなりません。このことは、五十九年度までの財政収支試算が、投資的経費の拡大、経常経費の圧縮を一層推し進め、さらにはこの五年間に実に二十八兆二千六百億円もの大増税を予定して、これを一般消費税で賄おうとしていることを見ただけでも、また、六十年度までの新経済社会七カ年計画が同様の方向を政府の中期の経済計画として示していることを見ただけでも、明らかであります。
 今日、わが国経済と国民生活の危機はきわめて深刻であります。五年来の不況の中で、人減らし、下請いじめの減量経営を進めてきた大企業は、この三月期の決算で史上最高の利益を謳歌しております。他方、国民生活は、まさにこのためにこそ連続四十二カ月に及ぶ月一千件以上の倒産、連続二十五カ月に及ぶ百万人を超える完全失業という事態に見舞われております。財政破局もまた、国債の消化難と暴落に見られるように、一段と激しくなっております。加えて、先進国首脳会議をめぐるアメリカの激しい対日圧力がわが国の中小企業、農業に新たな打撃を与えようとしており、さらに、国際的な原油価格の高騰や加圧水型軽水炉の安全性を根底から問うアメリカの原子力発電所の大事故は、対米従属的エネルギー政策の矛盾と危険を一層あらわにしております。
 これらのことは、戦後三十余年の保守政治が進めてきた大企業本位、アメリカべったりの高度成長型経済政策がわが国経済と国民生活を抜き差しならないどろ沼に追い込んでしまったこと、したがって経済政策の基本を思い切って国民本位に切りかえることなくしては、その再建の道はないことを明白に物語るものであります。
 私は、五十四年度予算案と政府の経済政策が結局は経済と国民生活の危機を一層激しくするものであることを、はっきり指摘しておかなければなりません。
 反対の理由の第二は、この予算案が切迫しているインフレの危険を一層激しくさせるところにあります。
 森永日本銀行総裁は、予算委員会でのわが党の質問に答えて、最近の物価の情勢がさきの物価狂乱直前の状態に近いことを認めました。これは重大な事態と言わなければなりません。事実、石油を初めとする国際商品市況の急騰、急速に全商品に波及する形勢を見せている卸売物価の急騰、大企業の手にある大量のだぶつき資金と、動き始めた投機などを見れば、現在がきわめて危険な状態にあることは明らかであります。
 ところで、指摘しなければならないことは、政府の大量の公共事業費の支出が地価や建設資材の値上がりの一つの原因となっており、また、相次ぐ国債の大増発が通貨供給量を増大させる主な要因となって、インフレ高進の危険を増大さしているという事実であります。ところが、政府は、五十四年度予算によって、国鉄運賃、たばこ定価、大学入学金など公共料金の値上げを図り、また、歳入総額の実に四〇%、十五兆三千億円もの大量の国債発行を強引に進めようとし、さらには来年度から、最悪の大衆課税であり、物価引き上げを税制そのものの必要要件とする一般消費税の導入を強行しようとしております。まさに燃え始めた物価狂乱の火に油を注ぐものであり、政府の責任は重大と言わなければなりません。
 反対の理由の第三は、この予算案が地方財政の危機を一層激しくするところにあります。
 一斉地方選挙の中で、政府・自民党首脳は、あたかも革新自治体が地方財政の危機を招いたかのような宣伝を繰り返しております。しかし、大企業の事業所、行政機関などの中枢管理機構の集中や昼間人口の増大などによる大都市の特別な財政需要を賄う財源の手当てをするどころか、逆に、地方交付税の補正係数を操作して東京都だけで三千億円から四千億円にも上る不当な削減を行っているのはだれなのか。また、大企業本位の地域開発をあおって、全国各地に三万ヘクタールにも及ぶ利用の当てのない工業団地をつくり出し、自治体を借金まみれにさしているのは一体だれなのか。また、税財政権限の抜本的再配分をせよとの全国の自治体の要求を無視し続け、「地方の時代」、田園都市構想などのバラ色の言葉の裏で、実に四兆一千億円にも上る財政不足を地方債への振りかえや交付税特別会計での借り入れなどでごまかし、自治体には一層の借金まみれと住民への負担の転嫁を強要しているのはだれなのか、厳しく問わなければなりません。
 国家財政を破局に導き、その再建の展望をさえ出すことのできない自民党政府に地方財政の危機打開を期待できないのは当然と言わなければなりません。
 次に、私は、反対理由の第四として、E2C早期警戒機を初めとする航空機導入をめぐる疑惑を挙げなければなりません。
 本院での証人喚問や政府追及によって明らかにされた事実だけでも、疑惑は、E2Cはもとより、第二次FXをめぐるF4H戦闘機、RF4E戦闘偵察機、エアバス商戦でのボーイング747旅客機から防衛庁が現在購入中のF15戦闘機に至るまで、長期かつ大規模なものとなっております。また、判明しただけでも約三百万ドルに上る日商岩井の裏金や、そのほとんどが実体不明となっている十億円にも及ぶ政治献金などは、日商岩井と政治家との腐敗した癒着関係の根深さをまざまざと示すものと言わなければなりません。したがって、E2Cはもとより、F15など疑惑に包まれた軍用機予算を削除することは、政府が当然とるべき最低限の措置であります。
 政府が国民の批判に耳をかさず、E2C機予算の削除を頑強に拒否し続けたことはまことに許しがたいことであり、また、わが党を除く各党の合意で、衆議院同様、いわゆる凍結なる措置によって事態を糊塗したことは、きわめて遺憾であります。わが党がこのような予算に反対することは当然のことと言わなければなりません。
 航空機疑惑の徹底解明の決意を明らかにした本院決議に基づき、国会が疑惑の政治家を含む証人喚問などにより真相の全面的解明に全力を尽くすことは、国民に対する重大な責務であります。わが党は、E2C予算の計上に重ねて強く反対するとともに、大平総理大臣の消極的姿勢を厳しく批判し、国会での疑惑解明に政府が全面的に協力することを強く要求するものであります。
 最後に、反対理由の第五は、この予算が日米共同作戦の具体化と対米従属下の軍国主義復活を目指すきわめて危険なものであるところにあります。
 軍事費はついに戦後初めて二兆円を超えました。この中には、航空作戦機能強化のためのE2C早期警戒機、F15主力戦闘機や、海上作戦力増強のための護衛艦隊建造、P3C対潜哨戒機等が含まれております。これらの兵器によって攻撃機能を飛躍的に強化された自衛隊が昨年末合意された日米共同作戦の指針のもとでアメリカ極東戦略に急速に組み込まれていることは、もはや隠れもない事実であり、最近の日米共同演習がこのことを明白に物語っているところであります。五十四年度予算案は、二百八十億円に上る何らの法的根拠もない在日米軍駐留費の不当な肩がわりを含めて、アメリカのアジア侵略を補完する危険な従属的内容を持つものと言わなければなりません。
 また、天皇への盲目的忠誠を誓わせた軍人勅諭を公然と美化する発言を防衛大学の卒業式の席上で許したことは、侵略戦争と暗黒政治を肯定した許しがたい行為であります。それは、天皇元首化に通ずる元号法制化法案や、有事立法すなわち戦事立法制定の策動などとともに、軍国主義復活強化を推進するものにほかなりません。
 私は、この予算案が、以上述べたように、国民生活防衛と経済危機打開に逆行し、また、アジアと日本の平和と安全、わが国の民主主義の将来に重大な危険をもたらすものであることを重ねて強く指摘して、反対の討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(安井謙君) 井上計君。
   〔井上計君登壇、拍手〕
#14
○井上計君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となっております昭和五十四年度予算三案に対し、一括して反対の討論を行います。
 大平総理は、今国会冒頭の施政方針演説において、「信頼と合意」の政治を実行することを強く主張し、国民に対し公約されました。しかるに、衆参両院における予算審議の過程に見られる総理の言動からは、この主張はただ単なるスローガンにしかすぎず、真に国民の信頼を得るための姿勢を貫く決意があるとは、いささかも感じることができなかったのであります。
 最近の世論調査によれば、大平内閣の支持率は、昨年十二月の組閣当初に比べると著しく低下していると言われております。これは、とりもなおさず、去る三月初め、衆議院の予算審議の最終段階において、自由民主党とわが党及び公明党との間において事実上合意されていたのにもかかわらず、大平総理は、いかなる理由によるものか判然とさせぬまま、予算書修正を突然拒否した無責任さがその主なる理由であります。内外ともに重要な政治課題が山積している現在、総理の決断のなさが、国民の最も求めている勇気ある政治家像にはほど遠いことを感じたことが支持率の大幅低下の原因であることを承知されなくてはなりません。
 総理、私がいまさら申すまでもなく、わが国はいま、あらゆる面において重大な事態に直面しているのであります。この事態を乗り切って、二十一世紀へ向かって力強く歩み続けるためには、思い切った発想の大転換が必要であります。いたずらに従来の慣習にこだわったり、無定見に前例を踏襲するがごとき官僚的な待ちの政治では、国民の不信と不安はますます増大するばかりであります。
 そこで、私は、昭和五十四年度予算案の中にある問題点を指摘をして反対の態度を明らかにし、総理の反省を求めたいと思います。
 その第一点は、今回の予算委員会の審議を顧みても明らかなように、本予算案の内容は、景気回復の施策も、物価抑制の対策においても、きわめて中途半端なものと言わざるを得ないのであります。
 わが党は、昨年も主張いたしましたが、昭和五十四年度も比較的高い経済成長を目指し、急速に景気回復を軌道に乗せるべきであるとの立場から、一兆円減税を直ちに実施すべきであることを強く要求してきたのであります。しかるに、政府予算案には、減税はおろか、逆に、ガソリン税の引き上げ、消費者米価、たばこ、国鉄運賃等の値上げ等々を織り込み、不況に苦しんでいる国民にさらに一層の負担増を強いる内容となっております。このことは、ようやく景気回復への足がかりをつかみかけた国民の足を引っ張ることになるのは確実であります。特に、最近の卸売物価の急騰と地価の著しい高騰は、わが国経済が再びスタグフレーションに陥る危険性をはらんでおり、さらに加えて、石油輸入価格の急騰と円相場の急落は、五十四年度経済成長率六・三%の達成も、四・九%の物価抑制策も不可能となるおそれが強まっております。これらの原因は、さきに指摘したとおり、中途半端な政府予算案と大平内閣の先見性の欠如にあると言わざるを得ないのであります。わが党の主張した一兆円減税は、ただ単なる無責任な実行不可能な政策や人気取りの政策ではありません。昨年わが党が発表した中期経済計画政策の財政五カ年計画で主張しているように、五十四年度も引き続いて財政主導によって景気回復への全力投球を行い、日本経済が立ち直り、新しい発展段階を迎えたときにおいて、財政再建の体制づくりを行うという政策であります。
 そこで、私は、昨年十月臨時国会における補正予算案反対の討論において当時の福田総理に対し提言した同じことを改めて大平総理にも提言をいたします。
 総理、やせた鶏は卵を産まないのであります。栄養を与えなくては、いかに優秀な牛といえども乳の出が悪いのは当然であります。まず何よりの急務は、景気を回復させ、企業経営の安定と雇用不安の解消なくして財政健全化への道は開かれないのであります。しかるに、わが党の提唱した減税を初め景気回復への方策を拒否した政府の姿勢の中には、依然として近視眼的な財政政策のからの中に閉じこもっている官僚的な無責任主義がありありと感じられることを、まことに残念に思うものであります。
 反対の第二点。総理は、効率のよい政治、安くつく政治の実現を公約をされました。安くつく政治、効率のよい政治とは、すなわち、むだを排除し、合理化を図って、歳出の縮小、経費の節減を実行することは当然でありましょう。しかるに、そのためにも最大の課題である行政改革の断行が大平内閣では全く影をひそめているではありませんか。不公正税制の改善も、評価すべき点はほとんどないではありませんか。やるべきことを実行せず、政治の姿勢も正さずして、国民の負担増によってのみ当面の危機を回避しようとするやり方は断じて許されるべきではありません。行政改革は直ちに強力に実行すべきであります。同時に、公務員は国民全体への奉仕者であることを自覚し、行政の合理化を実行するためには、政府はまず信賞必罰の方針を強く打ち出さなくてはなりません。まじめに働いているのに、なおかつ不況に苦しみ、雇用不安におののいている善良な国民の迷惑を全く顧みず、依然として違法ストを繰り返そうとしている国労や動労、さらには全逓等の公労協に対する政府当局の遠慮や甘やかしの態度を直ちに改めなければ、(拍手)国民の不信と不満はますます高まるばかりであります。公労協の諸君が違法ストによって生じる国家財政の莫大なる損害を認識し、その過ちを反省して生産性向上に努力するならば、多額の血税の浪費が解消されることは明らかであります。(拍手)そのほかにもむだな歳出がまだまだ多く残されております。国民の立場に立つ政治、まじめに働く人が損をしない政治を速やかに実現するためにも、大平総理は真の勇気を持ってこの局面の打開に挺身されなくてはなりません。
 総理、以上の点からも考えても、一般消費税の導入計画は直ちに中止すべきであります。最近、全国各地において、各団体各層により、一般消費税創設反対の声が燎原の火のように燃え上がっております。この国民の声を無視して、五十五年度より一般消費税を導入するがごとき方針は、民主国家の為政者として断じてとるべきではありません。
 力によって政権を獲得された総理の力を、いまこそ存分に発揮すべきであります。それには、国民の声を素直に受けとめ、忠実に実行することであります。これがすなわち力のある人の正しい政治姿勢でありましょう。合意と信頼の政治を実現するためにはどうすべきか、大平総理、いま一度真剣に検討され、反省されることを強く要望して、私の反対討論を終わります。(拍手)
#15
○議長(安井謙君) これにて討論は終局いたしました。
 これより三案を一括して採決いたします。
 表決は記名投票をもって行います。三案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#16
○議長(安井謙君) 塩見俊二君から、歩行困難のため、投票を参事に委託したいとの申し出がございました。これを許可いたします。
 投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#17
○議長(安井謙君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#18
○議長(安井謙君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百四十六票
  白色票          百二十四票
  青色票          百二十二票
 よって、三案は可決されました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百二十四名
      安孫子藤吉君    青井 政美君
      浅野  拡君    井上 吉夫君
      伊江 朝雄君    岩動 道行君
      石破 二朗君    石本  茂君
      糸山英太郎君    稲嶺 一郎君
      岩上 二郎君    岩崎 純三君
      上田  稔君    上原 正吉君
      植木 光教君    江藤  智君
      衛藤征士郎君    遠藤  要君
      遠藤 政夫君    小澤 太郎君
      大石 武一君    大島 友治君
      大鷹 淑子君    大谷藤之助君
      岡田  広君    長田 裕二君
      加藤 武徳君    梶木 又三君
      片山 正英君    金井 元彦君
      金丸 三郎君    上條 勝久君
      亀井 久興君    亀長 友義君
      河本嘉久蔵君    木村 睦男君
      北  修二君    久次米健太郎君
      楠  正俊君    熊谷太三郎君
      熊谷  弘君    源田  実君
      小林 国司君    古賀雷四郎君
      後藤 正夫君    郡  祐一君
      佐々木 満君    佐藤 信二君
      斎藤栄三郎君    斎藤 十朗君
      坂野 重信君    坂元 親男君
      山東 昭子君    志村 愛子君
      塩見 俊二君    嶋崎  均君
      下条進一郎君    新谷寅三郎君
      菅野 儀作君    鈴木 正一君
      鈴木 省吾君    世耕 政隆君
      園田 清充君    田代由紀男君
      高橋 圭三君    高橋 誉冨君
      高平 公友君    竹内  潔君
      玉置 和郎君    塚田十一郎君
      土屋 義彦君    戸塚 進也君
      徳永 正利君    内藤誉三郎君
      中西 一郎君    中村 啓一君
      中村 太郎君    中村 禎二君
      中山 太郎君    永野 嚴雄君
      夏目 忠雄君    鍋島 直紹君
      成相 善十君    西村 尚治君
      野呂田芳成君    長谷 川信君
      秦野  章君    初村滝一郎君
      鳩山威一郎君    林  寛子君
      林  ゆう君    原 文兵衛君
      桧垣徳太郎君    平井 卓志君
      福岡日出麿君    福島 茂夫君
      藤井 裕久君    藤井 丙午君
      藤川 一秋君    藤田 正明君
      二木 謙吾君    降矢 敬義君
      降矢 敬雄君    細川 護煕君
      堀内 俊夫君    堀江 正夫君
      真鍋 賢二君    前田 勲男君
      増岡 康治君    増田  盛君
      町村 金五君    丸茂 重貞君
      宮田  輝君    最上  進君
      望月 邦夫君    森下  泰君
      八木 一郎君    安田 隆明君
      山崎 竜男君    山内 一郎君
      山本 富雄君    吉田  実君
      河野 謙三君    前島英三郎君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百二十二名
      阿具根 登君    青木 薪次君
      赤桐  操君    茜ケ久保重光君
      秋山 長造君    穐山  篤君
      案納  勝君    上田  哲君
      小野  明君    大木 正吾君
      大塚  喬君    大森  昭君
      粕谷 照美君    片岡 勝治君
      片山 甚市君    勝又 武一君
      川村清一君    久保  亘君
      栗原 俊夫君    小谷  守君
      小柳  勇君    小山 一平君
      佐藤 三吾君    坂倉 藤吾君
      志苫  裕君    瀬谷 英行君
      田中寿美子君    高杉 廸忠君
      竹田 四郎君    対馬 孝且君
      寺田 熊雄君    戸叶  武君
      野口 忠夫君    野田  哲君
      浜本 万三君    広田 幸一君
      福間 知之君    藤田  進君
      松前 達郎君    松本 英一君
      丸谷 金保君    宮之原貞光君
      村沢  牧君    村田 秀三君
      目黒今朝次郎君    森下 昭司君
      矢田部 理君    安恒 良一君
      安永 英雄君    山崎  昇君
      吉田忠三郎君    吉田 正雄君
      和田 静夫君    阿部 憲一君
      相沢 武彦君    和泉 照雄君
      内田 善利君    太田 淳夫君
      柏原 ヤス君    上林繁次郎君
      黒柳  明君    桑名 義治君
      小平 芳平君    塩出 啓典君
      渋谷 邦彦君    白木義一郎君
      鈴木 一弘君    田代富士男君
      多田 省吾君    中尾 辰義君
      中野  明君    二宮 文造君
      馬場  富君    原田  立君
      藤原 房雄君    三木 忠雄君
      峯山 昭範君    宮崎 正義君
      矢追 秀彦君    矢原 秀男君
      渡部 通子君    市川 正一君
      上田耕一郎君    小笠原貞子君
      神谷信之助君    河田 賢治君
      沓脱タケ子君    小巻 敏雄君
      佐藤 昭夫君    下田 京子君
      立木  洋君    内藤  功君
      橋本  敦君    宮本 顕治君
      安武 洋子君    山中 郁子君
      渡辺  武君    井上  計君
      柄谷 道一君    木島 則夫君
      栗林 卓司君    三治 重信君
      田渕 哲也君    中村 利次君
      藤井 恒男君    向井 長年君
      柳澤 錬造君    和田 春生君
      青島 幸男君    市川 房枝君
      喜屋武眞榮君    下村  泰君
      山田  勇君    有田 一寿君
      柿澤 弘治君    野末 陳平君
      円山 雅也君    森田 重郎君
      江田 五月君    田  英夫君
      秦   豊君    加瀬  完君
     ―――――・―――――
#19
○議長(安井謙君) 日程第四 食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長坂野重信君。
   〔坂野重信君登壇、拍手〕
#20
○坂野重信君 ただいま議題となりました食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、政府の保有する昭和五十年以降五十三年以前に生産された米穀のうち過剰となるものを食糧以外の用等に売り渡すことによって生ずる食糧管理特別会計の国内米管理勘定の損失を補てんするため、当該売り渡しの年度以降七年度内の期間において計画的に一般会計から同勘定へ繰入金をし、この間、毎年度の繰入金をもって整理し得ない損失の残額は、同勘定の損失として繰り越し整理することができることとしようとするものであります。
 委員会における質疑の詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#21
○議長(安井謙君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#22
○議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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