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1978/05/31 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 科学技術振興対策特別委員会 第8号
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1978/05/31 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 科学技術振興対策特別委員会 第8号

#1
第087回国会 科学技術振興対策特別委員会 第8号
昭和五十四年五月三十一日(木曜日)
   午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 大橋 敏雄君
   理事 木野 晴夫君 理事小宮山重四郎君
   理事 塚原 俊平君 理事 与謝野 馨君
   理事 田畑政一郎君 理事 日野 市朗君
   理事 貝沼 次郎君 理事 吉田 之久君
      伊藤宗一郎君    小沢 一郎君
      玉沢徳一郎君    渡辺 栄一君
      安島 友義君    上坂  昇君
      村山 喜一君    渡部 行雄君
      近江巳記夫君    瀬崎 博義君
      大成 正雄君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      金子 岩三君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     半澤 治雄君
        科学技術庁計画
        局長      大澤 弘之君
        科学技術庁原子
        力局長     山野 正登君
        科学技術庁原子
        力安全局長   牧村 信之君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       児玉 勝臣君
 委員外の出席者
        原子力安全委員
        会委員長    吹田 徳雄君
        原子力安全委員
        会委員     内田 秀雄君
        資源エネルギー
        庁長官官房国際
        資源課長    沢田  仁君
        特別委員会第二
        調査室長    曽根原幸雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月三十一日
 辞任         補欠選任
  石野 久男君     村山 喜一君
同日
 辞任         補欠選任
  村山 喜一君     石野 久男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(原子力の安全性
 確保に関する問題)
     ――――◇―――――
#2
○大橋委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 この際、原子力安全委員会から発言を求められております。これを許します。吹田委員長。
#3
○吹田説明員 米国原子力発電所事故に関しまして、原子力安全委員会における調査審議の経緯等につきまして御報告申し上げます。
 まず最初に、わが国における対応から申し上げます。
 御承知のように本年三月二十八日、米国のスリーマイルアイランド原子力発電所二号機におきまして、二次給水系の故障に端を発しまして、一部設備の不良、機器の故障、運転員の誤操作なども重なりまして放射性物質が外部環境に異常に放出されるという事故が発生いたしました。
 原子力安全委員会といたしましては、これは米国の事故でございますが、本件事故はわが国の加圧水型炉の安全性を考える上で非常に重要な意味を持つものと考えておりまして、さらに本事故により得られました経験は非常に貴重な経験でございますので、わが国の原子力安全確保の一層の強化を図っていく上にこれを十分いろいろな点で検討してまいりましたし、これからもするつもりでございます。
 このような観点から、原子力安全委員会は、事故後直ちに米国に派遣されておりました――ちょうど幸い田島委員がおられましたので、田島委員並びに大使館を通じまして情報を得るなどによりまして、できるだけ正確な情報の集収に努めました。また、原子力安全委員会としてとるべき措置に関しまして検討を行いまして、各般の施策を進めているところでございます。
 まず、米国における事故の調査に関しましては、その状況を的確に把握し、また米国NRC等の対応等につきまして調査するために、本日見えております内田委員その他原子炉安全専門審査会の専門家を派遣しまして、所要の専門的技術的情報の入手に努めておりまして、現在もなお三人の専門家を派遣しております。
 さらに、このようにして得られました情報を分析いたしまして、本件事故の経験をわが国の原子力安全確保に反映させるため、委員会に米国原子力発電所事故調査特別委員会を設けまして、事故の原因、影響等につきまして幅広く検討を行うことといたしまして、鋭意調査審議を進めてまいりました。昨日お手元にございます第一次報告書を取りまとめましたので、正誤がいろいろ多うございますけれども、なるべく早く皆様のお手元に渡した方がよろしいのではないかということで、実は本日お手元にお届けした次第でございます。
 第二に、安全確保に万全を期するため、わが国原子力発電所につきまして、本件事故に関しまして保安規定、運転要領、運転中の監視の実施等につきまして早急に検討を実施させることといたしました。このような方針に基づきまして通産省、科学技術庁におきましては、原子力発電所の管理体制の再点検を実施してまいりましたほか、特別保安監査等を実施してきておるところでございます。
 また、今回の事故によりまして、圧力逃がし弁が開放状態を続けるといった非常に特殊な過渡状態におきまして加圧器の水位が異常を示すという知見が得られました。これはアメリカの事故に非常に特徴的でございますが、わが国の原子力発電所の安全の確保に万全を期する観点から、加圧器水位計に係る問題がECCSの機能及び性能に及ぼす影響につきまして所要の安全解析を前から続けておりますが、いまも行っているところでございます。
 このほか、特に原子力発電所における事故の発生に伴います防災対策につきまして、米国における事故の経験にかんがみまして、安全委員会におきましても、原子力発電所等周辺の防災活動のより円滑な実施を図るため、原子力発電所等周辺防災対策専門部会を設置いたしまして鋭意検討を進めているところでございます。
 次に、加圧水型炉の非常に問題になりました加圧器水位問題につきまして若干御説明をつけ加えたいと思います。
 安全委員会は、四月十四日米国原子力規制委員会の指摘した加圧器水位の問題に関連いたしまして、本件が非常用炉心冷却設備の機能及び性能に及ぼす影響について、わが国独自の科学技術的立場から慎重に検討を行う必要があると考えます。この前申し上げましたように、日本の原子力施設の安全性は私たちで守るという姿勢をやはりこの際出さないといけない。将来の原子力開発を健全に進めるという上で、私たちとしてはアメリカの事故を貴重な経験として取り入れる必要がございます。科学技術的立場から慎重に検討を行う必要があると考えまして、これに基づき、通産省の指導によりまして大飯発電所一号炉は停止されまして解析が行われてきましたことは御承知のとおりでございます。
 通産省は、五月一日大飯発電所の解析結果及びこれに基づく措置につきまして安全委員会に報告いたしました。原子力安全委員会は、原子炉安全専門審査会の発電用炉部会における慎重な調査審議の後に、五月十九日、これを踏まえまして大飯発電所は現状のままで安全性が損なわれることはなく、この問題に関連する通産省の解析に基づく措置は妥当なものと認めました。
 なお、原子力安全委員会は、大飯発電所につきまして解析結果とあわせまして前に通産から指示をしておりました管理体制の再点検及び特別監査結果につきまして通産省から報告を受けまして、これを原子炉安全専門審査会発電用炉部会において調査審議した後、通産省が電力事業者に対して行う指示事項に対する追加等を行わせることとし、安全性について十分確認した上で、五月十九日これを妥当なものと認めております。
 さらに、原子力安全委員会といたしましては、美浜発電所三号機等に発見されました支持ピンの損傷問題高浜発電所一号機に発見されました充てん・高圧注入ポンプ軸の折損問題等につきまして、原子炉安全専門審査会の検討を踏まえた上で、これが大飯発電所原子炉の安全性に支障を及ぼすものではないと判断したところでございます。
 原子力安全委員会といたしましては、引き続き大飯発電所以外の加圧水型炉につきましても、加圧器水位計に係る問題に関する安全解析の結果を慎重に調査審議することとしております。
 また、大飯発電所以外のすべての原子力発電所、これはPもBもでございますが、これの管理体制の再点検結果については、目下審査会で鋭意検討が進められております。
 安全委員会といたしましては、以上のとおりTMI事故に関する施策を進めているところでございますが、TMIの教訓をわが国の安全規制に反映するという考え方のもとに今後の検討を進めてまいる所存でございます。
 お手元の第一次報告書は、大体TMIの事実を中心として、ある程度問題点に触れておりますが、なるべく事実を中心としてまとめまして、今度その中からこの特別委員会は問題点を出しまして、現在ワーキンググループをつくっておりますが、それから得ましたいろいろな問題点を各関連の部会に回しまして、これから早急に検討することになっております。
 以上、最初に、私、委員長として大体の概略を申し上げました。
    ―――――――――――――
#4
○大橋委員長 質疑の申し出があります。順次これを許します。与謝野馨君。
#5
○与謝野委員 まず、科学技術庁長官にお伺いしたいのですが、今回の事故発生以来、これは米国の事故でございますが、日本政府としての対応につきまして、科学技術庁長官は御満足をしているかどうかという点についてお伺いしたいと思います。
#6
○金子(岩)国務大臣 アメリカの原子力の事故につき、わが国の対応の仕方に対して政府は満足しておるかというような質問でございますけれども、私は満足しておるということもはっきり申し上げにくいのでございますが、できるだけの努力は積み重ねて、わが国はわが国独自の原子力の将来の開発研究についてできるだけの受けとめ方をして、この事故の教訓を大いに生かして、将来の原子力の推進、開発に努力をしたいという考え方で進めてまいりたいと思います。
#7
○与謝野委員 そこで、いまさらではないのですが、この事故が起きてから、原子力発電というものは、将来日本のエネルギーの供給源としていかがなものかという議論も大変出てきているわけでございまして、日本のエネルギー需給の中で原子力発電の位置づけというものに変化があったかどうか、それを通産にお伺いしたいわけであります。
#8
○児玉(勝)政府委員 このたびのスリーマイルアイランドの事故に端を発しまして、先生おっしゃいますように、全世界におきまして原子力開発のテンポというのが若干おくれぎみになっておるわけでございます。しかしながら、最近行われましたIEAの閣僚会議等におきましても、油の代替エネルギーとして原子力を進めなければならぬということの合意もされておりますし、またそういう原子力に対する安全性、信頼性の回復ということをまず第一義といたしまして、原子力の開発というのは特に日本の国の場合には非常に重要な意味を持っているわけでございます。すなわち、今年度末におきまして約千二百万キロワットという稼働になりまして、全電力設備の一〇・八%というシェアを占めるようになりまして、この原子力発電所の稼働という問題が電力の需給バランスの上にも問題がございますし、またさらに油のいわゆる節約と申しますか、そういう意味からいきましても、その原子力発電所の稼働というのが非常に大きく影響を受けているわけでございます。
 それで、今後のいわゆるエネルギー対策という意味からいきましても、油の拡大というのは海外のいろいろな油の事情からいきましても余り期待できないわけでございますし、またコストも非常に高くなる可能性もございます。そういう意味で、脱石油ということの政策をさらに強力に進めなければならぬし、そのためには原子力というのがやはり最大の手段であるということは毫も変わらないのではないか、こう思っております。そういう意味で、原子力の安全に対する国民の信頼性の回得ということに全力を挙げてまいりたい、こう考えております。
#9
○与謝野委員 いま通産の御答弁の中で、安全性と信頼性という言葉がございましたが、安全性は損なわれていないのではないか。そういう客観性の問題としての安全性というものと、それから住民が持つ原子力に対する気持ち、これは主観の問題でございます。
 内田委員にお伺いしたいのですけれども、原子力発電の安全性が損なわれた、あるいは今回の事故によって住民あるいは立地周辺の方々の信頼性というものが非常に低くなったんだという議論がありますが、客観的な条件として安全性、それから主観的な要素としての信頼性というこの二つの問題、今後どういうふうに信頼性などは回復していった方がいいというふうにお考えでしょうか。
#10
○内田説明員 お答え申し上げます。
 今回のスリーマイルアイランドの原子力発電所の事故といいますのは、商業用発電炉にもかかわらず、いままで考えられなかった放射能がかなりの量出たということで重視しなければならない唯一の事故でございますが、当初は、御案内のように、事故の経過、原因等が十分につかめませんでしたために、かなり情報が乱れておったというような印象を持っておるわけでありますが、もう最近になりますと、その事故の経過、原因、結果もかなり判明いたしまして、私も四月六日から二十日までアメリカへ参りまして、その調査もし、また現地を訪れたり、あるいはペンシルベニア州の副知事に会ったりしたわけでありますけれども、事故が終息した後では、周辺の一般の人には、こちらで私が参ります前に予想しておったほどにはそう人心の動揺はなかったように思うわけでございます。
 事故の結果から言いますと、燃料のかなりの部分が破損、崩壊したということでありますが、それにもかかわらず燃料は溶けてなかったということがはっきりいたしておりますし、それから環境に出ました放射能も、結果的に見ますと、周辺八十キロ以内の人に対します集団積算線量は、お手元の資料にもありますように、三千三百人レムというのを信頼ある情報としてNRCがまとめておりますが、その結果から判断しましても、また個人当たりの線量にいたしましても最大八十三ミリレムと考えれば十分であるということでありまして、これはICRPの勧告あるいは日本、アメリカもそれにフォローしております通常時の許容線量であります年間五百ミリレムに比べましても五分の一以下であったということは不幸中の幸いでもあり、またそういうことがわかりましたために、今度の事故の放射能の影響そのものに対しましては当初危惧したほどではなかったということがわかっております。
 しかしながら、この事故の経過と原因等を見てみますと、これから学び得ることが非常に多いわけでありまして、その教訓を得まして、改良すべきことは改良し、修正すべきことは修正していくことができますならば、わが国の原子力の安全向上に一層寄与することができる、一般の人の御理解も十分得られるのではないか、こう思っておるわけでございます。
#11
○与謝野委員 そこで、通産にお伺いしたいのですが、日本の原子力発電所の立地ということは、今後相当な困難性を伴う、これをどういうように乗り越えていくかという点についてお伺いしたいと思います。
#12
○児玉(勝)政府委員 先生おっしゃいますように、今度の事故を契機に、一つのムード的な意味からいきましても、地元の原子力立地に関する理解を得るということは非常な因難に立ち至っておるということは事実であろうかと思います。
 そういう意味で、日本の原子力発電の開発の基底は平和利用であり平和利用ということは、とりもなおさず安全第一であるということでございます。そういう意味からいきまして、まず安全であるということの信頼を国民からかち得るということである、そう思います。したがいまして、現在ございます発電所の運転ということについて、通産省といたしましては万全を期するという意味で、全力を挙げまして電力会社のいわゆる保安、監督ということに努めたいと思います。そういうことで、実質的にまず信頼性の高い運転をして国民の皆さんに実態をお見せするということが信頼をかち得る一番の道ではないか、こう思っております。
 さらに、情報ということで、地方公共団体といいますか、地方自治体の御理解というのがなければいけませんし、それがいずれは各地元の皆さん方に原子力の必要性、それから原子力の安全という問題についての御理解を得る糸口になるかと思いますので、そういう意味で、いままでのように単に中央だけでやるのではなく、地方に対して国の検査官を派遣するとか、常駐させるとか、それからまた地元の市町村、県とさらに密接な連携をとる、そういうことで、機会あるごとに地元の皆さん方とよく接触しながら御理解を深めていくということがコンセンサスを得る上で一番大切なことではないかと思っております。
#13
○与謝野委員 安全委員長にお伺いしたいのですが、この問題もそうですが、今後この種の問題について各国との情報交換等をしっかりやらなければならないということですけれども、その辺の対応あるいは姿勢はどういうふうになっているでしょうか。
#14
○吹田説明員 局長に答えていただきます。
#15
○牧村政府委員 今回の事故の教訓から、私ども情報の早期入手ということにつきまして非常に歯がゆいと申しますか、そういう経験をしたわけでございます。幸いに原子力安全委員会は直ちに専門家をとにかく派遣して調べてもらおうという措置をとりました関係で、今回の事故の情報はほかの国よりは相当入手でき、また内容の濃いものを入手し得たと思っておる次第でございますけれども、このようなことが現在国際的にもいろいろ問題になっておるところでございます。
 それで、その具体的な例を申し上げますと、OECDの下部機関にNEA、原子力機関というのがございますが、ここでも常時このような事故の情報を交換し合う場をつくるべきだという議論がなされておるところでございます。またIAEAでも、今回の事故を契機にいたしまして、各国の専門家を集めましてこれに関する議論を始めておるところでございます。したがいまして、今後は世界的に各国で起こった事故の様子、原因あるいはその対策等を常時各国の規制当局も使えるようにするというふうな体制をつくっていくことがきわめて大切なことだと思いますので、私どももこの対応につきましては、関係する通産省等と協力いたしまして積極的にこの構想を実現するように持ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#16
○与謝野委員 そこで、二点について安全委員会の内田先生にお伺いしたいのです。
 一つは、起こってしまったことはしようがないのですが、今回の事故が発生する過程で運転員が適正な知識を持ち、妥当な対応をしていれば発電所外に放射性物質の放出が起こらなかったというふうにお考えなのか、あるいはこれは運転員がどのような対応をしてもこういう事故は起きたのだというふうにお考えなのかという点、要するに運転員の対応の仕方の適切性、妥当性という問題、それが第一点。
 それから加圧水型という話になっておりますが、加圧水型というのも各社がつくっておりまして、それぞれ微妙なところで設計等が違っているはずなわけで、日本が使っております加圧水型はウエスチングハウスのものだけでありまして、今回のものはバブコック・アンド・ウイルコックスのものでございます。加圧水型と一口に言っても各社、各国でそれぞれ違うわけでございまして、その違いというものはこういう事故の防止に効いてくるものなのかどうかという二点をお伺いしたいと思います。
#17
○内田説明員 いまの先生の御質問の一点一二点にあるいは関連がございますので、多少重複あるいは混ぜましてお答えせざるを得ないかと思いますけれども、TMIの事故の原因、経過は、最近その報告書以降にもかなり詳しくわかってまいりました。その報告書は五月の中旬の時点での情報を整理されたもの、こう御理解いただきたいと思います。
 御案内と思いますけれども、TMIの事故の当初の問題点といいますのは、二次系の脱塩装置のイオン交換樹脂を移送している間に復水ポンプとブースターポンプがとまった、それから二次系が全部トリップしたということがまず原因と言われております。その後、補助給水ポンプのバルブが締まったままで、動いたけれども水が入らなかったというのが第二点。それから一次系に行きまして、一次系の加圧器にあります逃がし安全弁が開いたけれども、噴きどまらなかったという点が言われております。
 この三点だけを考えましても、その後の最近の資料でありますと、まず事故の原因であります復水脱塩装置とポンプとの関連でありますが、復水脱塩装置が、脱塩塔が八基ありますが、そのうちの一基についてイオン交換樹脂を再生器に送るべく操作をしております。この操作そのものは差し支えないわけでありますが、その操作に当たりまして、空気と水とでもってそのイオン交換樹脂を送るわけでありますが、それが途中で詰まってしまったわけであります。ところが、その空気系でありますが、その空気系は、どうもそのイオン交換樹脂の、八基にあります前後のバルブを操作しております空気バルブと同じもとのようでございます。したがいまして、イオン交換樹脂が詰まってしまったために、水をその空気系に吸い込んでしまったわけであります。その結果、イオン交換樹脂の前後のバルブが一遍に閉まったということが主給水系統をトリップした最初でございまして、それが詰まりますと、その前にあります復水ポンプ、それから後にありますブースターポンプがとまりますし、それからメーンフィードポンプがとまるのもこれは当然になります。
 その後、補助給水ポンプが三基ありますが、これが一応自動でスタートしたわけであります。スタートというのは回転をしたのでありますが、その出口にありますバルブが閉まったままであった。これは明らかにテクニカルスペシフィケーションといいますか、運転指針といいますか、それに違反である、こう言われております。これは常時あけておかなければならないバルブでありましたので、これを閉めたままで運転したというのは明らかな規則違反と言われております。
 その後、一次系にそれが影響しまして、逃がし安全弁が先に噴いたわけであります。設計上、一つの問題点と言われておりますのは、二次糸の、すなわちタービン側のトラブルがありましたときに一次系のリアクターのトリップをすぐしなかった、しないように設計されておりますが、これはなるべく原子炉をとめない方向にということでそういうことになっているんだと思いますが、この点は一つ問題とされております。御存じのように、日本では蒸気タービンがトリップするとか、あるいは負荷遮断になりますと、リアクターがスクラムするようになっているわけであります。ところが、このTMIでさらに不思議なことは、逃がし安全弁が噴きまして、それがとまらなかったのでありますけれども、最近知り得ました情報によりますと、逃がし安全弁は事故のかなり前から漏れていたということであります。漏れっ放しになったままでリアクターを運転しておったということが最近はっきりいたしたわけであります。でありますので、その逃がし安全弁が完全にオープンになりましてから噴きどまらないことになりましても、そのこと自身がわからないわけであります。そのために、それを認識するために二時間半くらい噴きっ放しであったということが言われております。
 その後、高圧注水系が設計どおり入りましたが、これを加圧器の水位計の指示だけの情報でもって高圧注水系をとめたり入れたりした操作が続いております。これが高圧注水系のポンプとしては起動しておったわけでありますけれども、水の注入というのがECCSのモードではなくて充てんのモードであった、メークアップのモードであったということで、ECCSとしての性能を十分発揮させることができなかった、あるいはコンテナベッセルの分離ができなかった等々のことが言われております。
 そこで、NRCのデントン局長が指摘しておりますのを紹介したいと思いますが、このB&W社の設計の特徴としまして、本来は何らトラブルがなければ十分機能を発揮していたと思いますけれども、こういう異常状態があったときから見ますと、設計上問題があるという点が幾つか指摘されております。すなわち、この蒸気発生器は冷却管が真っすぐな蒸気発生器でありまして、ここでは加熱蒸気をつくるわけであります。したがいまして、蒸気発生器の中の水位はもともと低くて、二次系の水の量といいますのは、ウエスチング側の設計あるいは日本の原子炉に比べますと、三分の一から八分の一ぐらいしかない。したがいまして、こういう異常状態のときに蒸気発生器側の水がすぐに空になりまして、TMIの事故でありましても、約一分足らずで空になってしまったわけであります。ということは、結局原子炉の冷却系が喪失したことに相当するわけであります。
 それから、蒸気発生器、原子炉圧力容器、ポンプの位置関係がウエスチングのタイプのものと非常に違いまして、蒸気発生器と原子炉圧力容器、ポンプがほほ同じ高さにありますので、循環ポンプが利用できないようなときには循環が非常に悪くなるということが指摘されております。
 そのような次第でありまして、設計上の問題点は、先ほどの第一点のところでまぜてお話し申し上げましたので、御理解いただけるかと思います。
 以上でございます。
#18
○与謝野委員 もう少しはっきり伺いたいのは、運転要員の資質の問題、訓練の問題が一つあると思うわけです。それから原子力発電所のいろいろな機械が万一の場合安全側に落ちるという設計になっているはずですが、補助ポンプのバルブを締めるとか締めないとかまでをそういう範疇に含めるということは、一般的な機械の設計、こういう複雑な機械の設計の場合ですらできないのではないか。むしろそういうバルブを締めたか締めなかったかということは運転管理、人間の問題でして、その辺は、アメリカではいまどういうふうに考えられているのでしょうか。その運転要員の注意とか資質とか保守点検の際の注意義務とか、そういう問題については反省はなされているのでしょうか。
#19
○内田説明員 アメリカにおきます運転員の操作あるいは運転要領等の関連につきまして、現在NRCが十分に議論していることだと思いますので、明確にお答えすることはできないわけでありますが、補助給水ポンプのバルブが閉まっているということだけは明確に規則違反であるとNRCは言っております。
 原子力発電のような複雑な装置でありますので、最終的な安全は運転者にかなりのロードがかかっているのは当然でございますけれども、やはり運転員がこういう異常状態のときに操作をしたり、あるいは機器そのものがそれに応じて動作をするということに対しましては、幾つかの複数の情報を与えることと、それから十分な判断の時間を与えるということ等が必要であると思いますので、単に運転員のミスということに帰するわけにはいかないだろうと思いますので、将来これから学ぶことは、こういう異常状態を考慮しまして、運転上の操作あるいは動作に対してどのくらいまで自動で置きかえることができるかということを十分検討すべきではないか、こう思っております。
 わが国におきます対応は、むしろ通産省の方からお話しいただけるかと思っております。
#20
○与謝野委員 そこで、原子炉の外に出ました放射線の量でございますけれども、恐らく気体系の放射性同位元素が出たのだろうと思いますが、一つは、そういう気体系のものはある一定の減衰曲線を持っていて、いつまでも周辺の環境に影響を与えるということもないと思いますし、また三千五百人レムという単位も大変わかりにくい単位でございますので、たとえばわれわれが胃のレントゲンを撮るというような場合と比較して、環境に与えた放射線の影響というのはどのぐらいかということを具体的にお伺いしたいと思います。
#21
○牧村政府委員 まず、今回の事故は三月二十八日に起きたわけでございますが、事故が起きましてから四月七日までの累積で、ちょうど原子炉の周辺にずっと人が外にいた場合の累積の量というものがNRCから発表されておりますか、その累積で最大八十五ミリレム程度であるというふうに言われておるわけでございます。これは日本人が受けております自然放射線の量とほほ同量でございます。それで、たとえばエックス線写真を撮ったりなんかする量も、胸部などの場合の例でございますが、ほぼそれに近い量の放射線の量であったかと思います。したがいまして、先ほど内田先生も御説明いたしましたように、一般人の年間許容被曝線量というのが一CRPから言われておりますけれども、それよりも非常に下回ったということは不幸中の幸いであったかと思います。それからまた、その近隣に住んでおられる方で生の牛乳等を飲んでおられる方数百人の方々に、全身カウンターと申しますか、人間がカウンターの中に入りましてそれで全身の放射線量をはかるというようなことをアメリカで行っておりますけれども、これは通常のバックグラウンドの値と何ら変わらなかったということが言われております。
 それから、それではどのくらいの人がどのくらい浴びたかということは、先ほど内田先生もお話しございましたけれども、三千五百五十ミリレムという数字が発表されておりまして、この数字は
 一人平均一・八ミリレムという数字と現在推定しておるところでございます。そのほか植物等に関する影響調査等も行われておりますけれども、ほとんど問題になるような数字は出ていない。それからミルクについても一部に最大四・一掛ける十のマイナス五乗マイクロキューリー・パー・リットルというやや通常レベルを若干上回った数字もございますけれども、これは一回限りでほとんどその後は検出されていないというような報告でございます。
 また、先ほど先生御指摘のように放射性の希ガスが原子炉から放出されたわけでございまして、その量は希ガスが数百万キューリーと非常に多い量でございます。それからヨードは幸いにして数キューリーと非常に少なかった。それからセシウムという放射性物質が無視し得る程度に出されておるということでございますので、放出されました希ガスはゼノン133というものが大部分でございますが、半減期は大体五・三日、五日ちょっとで半分の濃度になってしまうというような非常に短半減期のものでございます。それからヨード133につきましては半減期は八日という短半減期のものでございます。したがいまして、その後放出がとまっておりますので、現在のスリーマイルアイランドの敷地の放射線の量というのはほとんど通常の平常値と同じレベルに戻っておるというふうに私どもはNRCの発表で聞いておるところでございます。
#22
○与謝野委員 そこで、この一連の事故の過程で原子炉容器内の水位が下がった、それに対して水位計が正しい値を示さなかったために中に十分な水があるかどうかということが確認できなかった、そのために燃料体が空気にさらされたという状況が起きたということですが、その水位計の信頼性というのはそんなに低いものなんでしょうか。
#23
○内田説明員 加圧器についております水位計でございますが、これはスリーマイルアイランドの原子炉につきましても、加圧器についている水位計そのものは正しい水位を示しておりまして信頼性は高いと言われておりますし、またわが国の原子炉についております水位計も十分信頼性があると判断してよいと思いますが、TMIで問題になりましたのは加圧器の水位計そのものよりも、加圧器の水位だけでもって一次冷却系の全水量を判断することに間違いがあったというように言われておりますので、その点が問題でございます。水位計そのものは信頼あると思います。
#24
○与謝野委員 日本でも水位計の問題、これは信頼性があるかどうかということで大飯の発電所なんかもとめたわけですが、その後安全解析をされたと思いますが、その安全解析の結果についてお伺いしたいと思います。
#25
○児玉(勝)政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたTMIの事故に関連いたします加圧器逃がし弁が、放出してとまらないという場合のECCSの動作について確認をするということで大飯一号機をとめたわけでございますが、それに関する解析というのは二つ考えておりまして、一つは、原子炉が定格出力で運転中に主給水ポンプが全停をした、しかもその際に自動起動するように設計された補助給水ポンプが自動的には作動しないということが一つ。それからケース二番目といたしましては、いまのケースの一に加えまして、二重故障の際に何らかの原因により加圧器逃がし弁が開き、かつ一次系の圧力が低下しても閉止せず、その結果加圧器逃がしタンクのラプチャーディスクが作動し、格納容器内へ一次冷却材が流出する、そういうような想定をしております。
 最初の第一番目のケースにつきましては、主給水が全部喪失してしまうということで原子炉がトリップいたしまして、加圧器の圧力上昇というのは軽微であります。これはスリーマイルアイランドに比べまして、先ほど内田委員がおっしゃいましたように、二次側の水の保有量が大きいためにそれほど一次側の圧力が上がりませんで、逃がし弁が作動設定値以下で圧力上昇が終わってしまう、したがって逃がし弁は働かないで十分プラントは安全に停止するということを確認しております。
 それからケース二の場合につきましては、ECCSが事故後三分で働きます。これは上部炉心注入系でございますが、また十分以内に加圧注入系が作動するということで、炉心の健全性を損なわなくプラントは安全に停止するというふうに解析されております。
#26
○与謝野委員 そこで、大飯の原子力発電所を安全解析をするためにとめたわけですが、点検をしましたり安全解析をするためにわざわざ大飯の発電所までとめる必要はなかったのではないかという議論が一部でありますし、私も実際とめてみて点検したところはとめなくても点検できたところではないかと思っているわけですが、大飯の発電所というのは相当長時間かけて安全委員会の中で御論議、御検討されたことですから、それなりにその結論は尊重すべきでございますが、いま振り返ってみて、安全委員長、この大飯の発電所というものをとめてまで安全解析あるいは点検をする必要が一体あったのかどうか、その点をお伺いしたいわけです。
#27
○吹田説明員 お答えいたします。安全委員会というのは、安全に幅のあるときにはできるだけ安全サイドをとるというのが基本的な姿勢でございます。今回のTMIの事故で一番問題になりましたのは水位計でございます。これは内田委員からもお話しのように、メーカーが違いますと水位計の重要性というのはもちろん違ってまいりますけれども、そのときのNRCとウエスチングの指示というのは、アンド回路に対しましては水位計に頼らずにある条件を満たした場合には手動でやりなさい、そういう指示でございまして、ECCSの起動をそういう事故の場合にオペレーターに判断させるというのが果たして妥当であるかどうかというのを私たち自身で判断する必要がある。そのためには十分な解析のデータを私たちが持つ必要がある、そういう立場を実は貫いたのでございます。
#28
○与謝野委員 恐らくシミュレーションをされたんだろうと思いますが、そのコードはどこのだれのコードで解析されたわけですか。
#29
○児玉(勝)政府委員 このシミュレーションのコードはウエスチングハウス社のMARVELというコードでいたしております。MARVELというのは過渡現象といいますか、一次系の熱流速の非常にわずかな変動について正確な情報を出すという計算をする、そういうことにすぐれているコードでございます。
#30
○与謝野委員 先ほど内田委員の御答弁は、十分な時間あるいは判断をする余裕を与えながらも、運転をしている人たちが特にしっかりとした判断をしなければならないという御趣旨だったと思うわけです。日本の原子力発電所は各地にございますが、第一点は、スリーマイルアイランドでは、その当時コントロールルームにいた人の数は非常に少ないというような印象を持っておりますが、日本の場合、その運転要員の配置、そういうものを再検討されるおつもりか、あるいは保安規定、点検の規定あるいはオペレーションのスペック等々を現在再点検中でございますか、それとも現状のままでいいんだというふうにお考えでしょうか。
#31
○児玉(勝)政府委員 ただいまの運転員の数と、それから勤務といいますか、運転要領の内容ということにつきましては、安全委員会からの御指摘もございまして、三月三十一日に資源エネルギー庁長官名で、原子力発電所を持っております各会社についてその内容の点検を命じたところでありまして、その報告に基づきまして内容の検討をいたしまして、その後実際に各発電所に出向きまして特別監査をしております。
 その監査のときに、安全といいますか、運転要領の内容ということのチェックと、それからもう一つ、これはマン・マシン問題でございますので、運転要領というのは、往々にしてそのメーカーからの運転員に対する過大な要求ということがその中に含まれている可能性もございますので、運転員との懇談ということで、実際にこの機械を運転するにはどういう問題があるのかというような話も聞きまして、さらに一番最後に、運転員の一直にPWRの訓練センターへ来てもらいまして、そこで実際の異常時の操作をやってもらったわけであります。午前に一課題午後に一課題ということで大体二、三時間かかって、原子炉を事故が発生したものを停止させるという非常に大きな、またスリーマイルアイランドに似たような事故を起こさせまして、そのときの対応を見たわけでございます。そのときも、実際の運転員というのは直長一人に副直長が一人、それから操作員が二人、大体四人の一直でやってもらっております。
 そういうことからいきまして、現在大飯の発電所におきましては一直十三名と聞いておりますが、これは現場の補機の修理員を入れての話でございまして、コントロールルームの中におりますのは七名でございます。そういう意味ではツーユニットを制御するにはまず十分な陣容ではないか、こう考えております。
#32
○与謝野委員 そこで、大飯の発電所をとめて解析をやったり点検をやったりされて、結局運転再開してもよろしいという結論を出されたわけですが、そのときに特に安全委員会から運転再開に当たって指摘をされた事項というものは一体どういうことでございましょうか。
#33
○吹田説明員 私アメリカの事故からいろいろ学びましたけれども、いまちょっと話が出ました人間と機械との相互作用、もっと言いますと人間と機械とを含めたデザインのフィロソフィーというのが非常に重要であろう。そういうことで一人のTMIのオペレーターの挙動だけを考えるのは少し正当さを失う可能性がございますので、マシンと人間との全体のシステムとしての安全性、そういう関係を十分検討する必要があるかと思います。特にわれわれが問題にいたしましたのは、もちろん解析の過程とその計算と結果でございますが、そのほかに、いま言いましたように、ウエスチングハウスのデザインのフィロソフィーに合うような運転員の教育訓練が必要になります。
 そういうことと、異常時に人間が判断する、もちろんオペレーターも必要でございますが、それ以上にその事象を的確に判断するヘッドというものが非常に重要である。ですから、当直長のほかにそれを補佐するような判断グループが必要ではなかろうかということを特に実は注意をいたしたのでございまして、通産の方ではこれを受けまして電気事業者に対して指示をしておるようでございます。
#34
○与謝野委員 そこで、アメリカの加圧水型もウエスチングハウスがつくったもの、あるいはB&Wがつくったもの等々ございますが、アメリカの国内の原子力発電所はB&Wのもの、あるいはウエスチングハウスのもの、それぞれこの事故の結果一体どういう対応をとっておられるのでしょうか。
#35
○内田説明員 B&W社のものもウエスチングのものも、あるいはCEのものにつきましても、私がアメリカにおりました当時のNRCの対応というのは、いずれも停止することなく運転要領あるいは保安規定等の点検をすることを指示しただけでございます。それにつきましては幾つかのNRCからの指示文書が出ております。
 私が帰ってまいりました後にNRCのスタッフからの提案がありまして、特に先ほどちょっと触れましたようなB&W社の設計上の問題点、それから運転要領の問題点あるいは特に人の操作に余りも頼り過ぎるというような問題点をNRCのスタッフから提言を受けまし三米国の規制委員会は、B&W社の炉に限りまして停止を命じたと聞いております。
 以上でございます。
#36
○与謝野委員 そこで、日本ではこんなことば起こり得るはずもないと私は信じておりますが、地方自治体との連絡体制あるいは今後地元との連絡というものについては、通産はどういう対応をされているのでしょうか。
#37
○児玉(勝)政府委員 このたびの総点検の指示におきましても、実は八項目にわたる指示をいたしたわけでございます。それで、ただいま先生おっしゃいました運転員の資質の向上ということと、その監督者の訓練ということに一番重点を置くようにしております。
 それで、いろいろございますが、その中に非常時の連絡体制の整備充実についてということで、発電所に事故、故障の異常事態が発生したときは、現在でも関係地方自治体に直ちに連絡することとされているが、その趣旨をより一層徹底することということで、まず指示をしております。
 具体的にどういうような手を打つかということについては、いわゆる連絡者の担当を決めておく。だれだれがその町の総務課長にあて必ずやること、要するに、マン・ツー・マンの一つの約束をさせる。それが全責任を負うことというようなかっこうの問題と、それから公衆電話ではいっぱいになってしまって実際上肝心な連絡がなかなかとれないということもございますし、そういうことで、地元と発電所の間の非常連絡の通信をどうするかということをいま検討しております。これはいろいろな方法もございますので、その中で一番適切な方法をとりたいと思っております。
 また、通産省といたしましても、いま常駐検査官というのを考えておりますけれども、常駐検査官が直ちに発電所の中に入りまして、その異常状態について客観的な判断をし、それを地元に伝えるということでの情報の的確性ということをしなければいけませんし、それからその情報をいち早く地元に知らせなければいけませんし、いろいろデマが飛び交う余地もないほど正しい情報を繰り返し繰り返し伝える。その伝達方法をどうすべきか。それも有線放送とかいう方法もございますけれども、それ以外にテレビの普及率が非常に高いところに着目をいたしまして、そういうテレビの中に割り込んで放送する方法とか、いろいろいま考えている最中でございますが、いずれ地元が納得していただけるような方法を選択したいというように考えております。
#38
○与謝野委員 大飯の発電所をとめたことによりまして、原子力発電所の周辺の住民というのは、原子力の技術とか安全性につきましては関心はお持ちですけれども、非常に直観的な判断しかなされないわけでございまして、安全委員会が運転再開をしてよろしいという結論を出したにもかかわらず、多分まだ大飯の発電所は動いていないのではないかと思います。地元との対策で慎重にやられるということは結構でございますが、一体運転再開の見込みはあるのかどうかという点についてお伺いをしたいと思います。
#39
○児玉(勝)政府委員 大飯発電所のいわゆるTMIに端を発しましたECCSの検討につきましては、五月十九日に科学的検討の判断として、安全委員会から通産省の方針は妥当であるという御結論をいただいたわけでございます。それで、その結論に至った経緯等を地元に対していろいろ御説明するということで、まずその理解を深めておるところでございます。
 また、防災計画というものも見直されなければなりませんので、防災計画についての地元での対応ということが現在進められておる最中でございます。そこで、福井県それから大飯町におきます防災計画の見直しということで地元の対応が整いましたら運転をしたい、こう考えております。
#40
○与謝野委員 日本の原子力発電というのは、発電設備の中でも一割を超えるというようなものになってまいったわけです。ことしの夏に向けまして、西日本では電力不足が起こるのではないかという一部懸念もありますが、日本の加圧水型はいまほとんど全部とまっていると思いますし、またBWRにつきましても定期点検をやっておるものもあると思いますが、これらを全部ひっくるめまして、日本の原子力発電所の運転再開の見込みというのは一体どういうふうにお考えでしょうか。
#41
○児玉(勝)政府委員 先生ただいまおっしゃいましたように、原子力発電所の稼働というのは、油の節約、それから電力需給という意味からいきまして非常に重要な起点に立っております。そういう意味で原子力発電所の早期運転開始ということが望まれるところでございますが、ただいま先生おっしゃいますように、大部分のものがいま定期点検中でございます。
 ちなみに、ただいま運転しておりますのが七基で、四百六十七万キロでございます。あとの約八百万キロというのが定期点検中と言ってよろしいかと思います。そういうことで、定期点検の終わりましたものにつきましては、今度の総点検の結果も踏まえまして、スリーマイルアイランドの教訓を十分に取り入れた形で運転再開をしていきたい、こう思っております。
 そういう意味では、BWRの場合には総点検はすべて終わっておりますが、総点検の結果につきましては、まだ安全委員会からの最終的な御結論をいただいておりませんので、これが結論を得次第、BWRの運転再開、具体的には島根の原子力発電所の運転再開ということをさせていただきたいと思います。
 しかし、PWRにつきましては、大飯につきましては一応結論を出していただきましたが、それ以外のPWRにつきましては、加圧器におきます逃がし弁のスタックオープンということについての事故解析がただいま進行中でございますので、それが得次第、総点検の結果とあわせて安全委員会の御結論をいただきまして、その後再開に向けて進みたい、こう考えております。
#42
○与謝野委員 安全委員会にもう一度お伺いしたいのですが、一連の御報告を聞いていますと、メーンポンプがだめになれば補助ポンプがちゃんと動く、原子炉の中の圧力、温度等が異常に上昇すればタービンがトリップする、原子炉もスクラムする、圧力が上がれば逃がし弁は開く、水位が下がれば高圧注入系はちゃんと動くということで、B&Wの場合も、私は機械自体は安全な方向へちゃんと動いていたのじゃないかというふうに思うわけです。安全な方向に動いたときに、それは一部機器の信頼性が低かった、あるいは逃がし弁がきちっと締まらなかったということはあるにしましても、このスリーマイルアイランドの事故はやはり人為的なあるいはマルオペレーションの部分が一もちろん安全委員長がおっしゃいましたように、機械と人間とのトータルのシステムとして考えていかなければいけないということは確かなことでございますけれども、スリーマイルアイランドの場合も、私の第一感では機械自身は安全な方へ安全な方へと動いていったというふうに考えているわけでありまして、むしろ運転員の知識とか判断とか、その場での対応に対する訓練、そういうことを高めることが私はむしろ重要ではないかと考えておりますが、その点は安全委員長、どういうふうにお考えでしょうか。
#43
○吹田説明員 先生のおっしゃるとおりでございますが、B&W社の基本的な考え方は、御承知のようにバブというのは火力発電、ボイラーに重点を置きまして、インチプレーテッド・コントロール・システムというのは前からずっとございまして、そういう中でオペレーターがどういう役割りを果たすかといいますと、内田委員もちょっと触れましたように、エフィシェンシーとか、そういうものを考えますと、ほかの考え方よりも人間の役割りというのは非常に多くなってまいりました。したがって、デザインの方で二次と一次のカップリングが非常にルーズにできておりまして、そのルーズが非常に特徴なんですが、その特徴を生かすためにはやはり人間の役割りというのは相当大きいものがある。ですから、そういうデザインフィロソフィーの上に立った人間というのを十分教育していく、訓練する、そして異常事態に対してどうするかというその両方をこの際検討するのが一番いいのじゃないかと私は考えております。
#44
○与謝野委員 いまB&Wの設計に対する思想ということをおっしゃったわけですが、それに比べますとウエスチングハウスのデザインフィロソフィーというものは違うものでございましょうか。
#45
○吹田説明員 私のいままで調べたところでは、たとえば先ほどの水位計の問題にいたしましても水量の問題にいたしましても、量的に非常に違うところを見ますと、そういう二次と一次のカップリングは非常にクローズカップリングでございます。ですから、そういうデザインフィロソフィーからいいますと相当違っているように私は思いますが、それにいたしましても、ウエスチングハウスが完璧かというと私はそうではないと思います。そういうウエスチングハウスのデザインフィロソフィーでいまのような事故は果たしてあり得るかというと、非常にないのでございますが、また別の事故というのは考えられるのじゃないか、こう考えて、われわれとしては安全の上にもやはり安全を確保するために、そういう見方で日本のウエスチングハウスの原子炉を十分見ていく必要がある。現状では、確かにいまの考えでは相当安全であるということは言えますけれども、安全委員会としては、そういう十二分に安全を確保するという姿勢をこれから持っていきたいと思います。
#46
○与謝野委員 そこで、最後に科学技術庁長官にお伺いしたいのですが、この事故は別に日本が起こした事故ではないわけで、日本の原子力発電所は、ささいな故障につきましてもオーバーとも言えるほどの対応と時間と検討をいままで重ねてきたわけでして、そういう意味で私は、日本の原子力の安全行政というものは非常に安全サイドに立って物を考えてきた結果、それなりの成果はおさめていると思うわけですが、アメリカの原子力発電所の事故とはいえ、もって他山の石という言葉もございますし、今後地元での立地ということも非常に困難になってまいりましたし、またすでに運転している発電所の周辺の方々もある意味での不安をお持ちになり始めたということもありますし、今後日本の原子力産業界あるいは電力の供給、エネルギーの需給等を考えますと、いずれにいたしましても原子力発電所を運転していかなければならない、建設していかなければならないというのは避けがたい現実であるわけです。そういう避けがたい現実の中で原子力委員長として今後どういうふうに取り組まれていくのか、その基本的な姿勢だけお示し願いたいと思うわけです。
#47
○金子(岩)国務大臣 アメリカの原子力発電所の事故がわが国の原子力行政にどのような影響を及ぼしたかということを考えますと、やはり打撃は受けたことになっておるわけです。これは日本ばかりでなく世界的にこの事故は大きな打撃を与えておると思うのです。この機会に私は、ちょっと念を入れ過ぎて慎重過ぎるじゃないかというような御議論もあることもよく承知いたしておりますけれども、やはり慎重の上にも慎重を期し、この事故をいい教訓として雨降って地が固まったような成果をつくり出すことがわが国の将来の原子力行政には大きなプラスである、こういう考え方のもとに、多少慎重過ぎたという批判もあるかもしれませんけれども、わが国の代替エネルギーが原子力発電以外にないことは国民ひとしく承知されておるのでございますから、この慎重さが今後原子力発電を開発する場合、地域住民に必要以上の不安を与えたりというようなことは一時的にはあったかもしれませんけれども、やはりここで日にちをかけて慎重に検討しておくと、マスコミ自体も非常に慎重に原子力の将来について御意見も述べておるようでございますから、私は、これを契機に日本の原子力の発展はひとつ大いに飛躍ができる、このように確信をいたしております。
#48
○与謝野委員 どうもありがとうございました。以上をもって質問を終わります。
#49
○大橋委員長 次に、田畑政一郎君。
#50
○田畑委員 最初にお断りいたしておきますが、私は余り技術は専門家でございませんので、ひとつわかりやすく御答弁いただきたいと思います。私の出身地であります福井県に大飯発電所以下たくさん原子力発電所をおつくりになっていただいたおかげで科学技術の関係をやっている、こういうわけでございます。
 最初に、先ほどから御質問がございましたが、大飯原発の再開の見通しについて今後どういう手順になるのかということを少しく具体的にお伺いをいたしたいと思うわけでございます。
 言うまでもございませんが、四十一年に東海村に十六万六千キロの原子力発電所ができました。以来十四年間に大飯町には百十七万五千キロの原子力発電所ができまして、いまとまっておるわけです。前の委員会でも申し上げましたが、この原子力発電所のいわゆる出力の大型化というのが非常に急速に進んでいると思うのです。そこに放射能に対する非常な危惧もありますと同時に、そう急に大型化していいのかどうか、急ぎ過ぎるのじゃないかという議論があることは事実でございます。私ども社会党といたしまして実験研究を十分重ねるべきであるということを申しておるのも、そういう主張の一環であると思っておるわけでございます。
 そういう意味からいたしますと、いま停止中の大飯一号機百十七万五千キロ、試運転中の大飯二号機の百十七万五千キロ、これはわが国というか世界でも最大の原子炉でございまして、これの再開には慎重な上にも慎重な態度をとっていただくということが、私は日本の原子力行政としては当然ではないかというふうに思っておるわけでございます。御案内のとおり、地元におきましては、この再開についていろいろな注文もついております。また、いろいろな点でまだ疑問が残っておるという声も毎日の地元の新聞をにぎわしておるというような状況でございまして、今後どういうふうに問題になっていくのか、あるいはどこに問題があるのかといったような点について具体的にお伺いをいたしたい、こう思います。
#51
○児玉(勝)政府委員 大飯の一時停止に関連いたしまして緊急炉心冷却装置の安全解析と管理体制の再点検を実施してきたわけでございますが、五月十九日に原子力安全委員会におかれて、大飯発電所を現状のまま運転しても支障ないとのお考え、それから同発電所の管理体制に関する指示事項ということもともに妥当なものであるという最終結論をいただいたわけでございます。
 その後、科学技術庁と相携えまして、五月二十四日にその結論に至った経緯、それから点検を行った内容ということについて福井県に説明をしております。それから二十五日には地元の大飯町で説明をしております。それから五月二十八日には県議会の環境対策特別委員会委員協議会で御説明をいたしております。そういうことで、地元のそういう行政的判断をされる方々について逐一御説明をしておるところでございます。この方々が御了承いただきまして、その上で運転再開ということに進みたい、こう考えております。
 いま福井県におきましては、安全問題については顧問の先生が四人おいででございますが、その先生方の御意見等もいただきましたし、また、それに対する対応ということもわれわれも用意しておりますが、それに合わせまして、防災対策に関する国の方針ということも、当方といたしましてはっきりした形でお出しするということを考えております。県としまして、そういうような国の一つの対応をもとといたしまして、県議会におきます環境対策特別委員会とか原子力防災対策部会とか、そういうような一連の手続を踏まれましていろいろ防災問題、安全問題について御検討いただける、そう考えております。
#52
○田畑委員 それでは具体的に言いますと、福井県それから大飯町、そういう地元の了解が確実に行われた後でなければ大飯原発の一号機は再開されない、こういうふうに理解してよろしいですか。
#53
○児玉(勝)政府委員 これは法律上運転を再開することについての規定は別にございませんけれども、これは法律以前の問題といたしまして地元の御了解、御理解がなくては運転も建設もできないわけでございますので、その辺十分御理解を得るようにしたいと考えております。
#54
○田畑委員 ぜひこの点につきましては、いま言いました地元の福井県、大飯町のOKといいますか、理解をとってから再開をするということにお願いをいたしたいと思います。
 それから、この大飯原発の問題に関連をいたしまして、地元の要求しております防災計画につきましては、中央はかなりこたえておられると思います。ただ問題は、先般の説明会におきましても、一時間当たり一ミリレムを基準といたしまして、一ミリレムを超えた場合においては四キロ以内の範囲内について防災体制を講ずる、こういうことになっておるように聞いております。ただ問題は、わが国の原子炉というのは、アメリカの今回の事故もございましたが、大気中に放射能を発散させるということではなくて、できるだけというか、絶対外に漏らさないということを基本にして今日まで設計をされ、主張をされてきたと思うわけでございます。そういたしますと、この一ミリレムという数字が出るというときは、これはもう相当な、最悪の事態であるというふうにわれわれは考えざるを得ないわけでございます。もちろん地元でもそういう見解がございまして、出ないというものが出たときには、これはアメリカの何倍かの大きい問題が原子炉内あるいは格納容器内において発生しているんじゃないかというようなことを申しておるわけでございます。したがって、今回のこのアメリカの原子力発電所事故調査特別委員会の報告書によりましても、アメリカのこの事故原子炉においては溶融が何回か起こったということになっておるわけでございますが、そういった意味で、たとえば原子力発電所内において事故が発生をしたという場合には、外部に一ミリレムの反応がなくても、やはり避難あるいは非常事態の体制をとるべきじゃないかというような議論があるわけでございますが、この点についてはどうお考えになるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
#55
○牧村政府委員 先生おっしゃいますように、一ミリレントゲン・パー・アワーというものが県の防災対策整備のお話し合いのときに出てきたことは事実でございます。私どもの現在考えております防災対策におきましては、当然原子炉の中で事故が起きましたときには、それが遅滞なく県並びに国等に連絡が来るわけでございます。そこで、その事故の様態によりまして、直ちに国が支援する専門家の派遣等を行って県あるいは町が行います防災対策のお手伝いを責任を持っていたしたいということにつきまして御説明をしておったところでございますが、先生御承知のように、県は原子炉施設の周辺におきましてみずから平常時の環境モニタリングを実施しておられるわけでございます。県自体でも何かこのモニタリングをやっておるときに異常事態を発見したときにみずから何か手を打つ、そういうようなことをできるような一つの参考値がないものであろうかという御要請がございまして、それでいろいろ検討いたしました結果、私どもも、何か万一の事故が起きたときに、各国でどのような警戒指標と申しますか、警戒線量と申しますか、そういうものをつくっておる国もあるわけでございますので、そういう点も調べて一応参考の値といたしまして、こういうことでお考えになるのも一つの方法ではないでしょうかというのを示したところでございます。
 しかしながら、私どもの考え方は、先生も御指摘のように、外部に一ミリレントゲン・パー・アワーというような測定値が出るときには、原子炉の中では相当大きな異常が起きておるはずでございますので、それより以前に当然施設者から国、県、町へ異常事態の発生を連絡してくるはずであるというふうに考えておるところでございます。そこで、この一ミリレントゲン・パー・アワーを当面の措置として示したわけでございます。これらの数値につきましては、現在安全委員会の中に環境の緊急時の対策問題を専門に検討いたします専門部会をつくっていただいておりまして、将来逐次この辺を整備するということでいろいろこういう問題を含めて御検討をいただきたいとお願いをしておるところでございます。したがいまして、先生のこの御指摘の数字はあくまでも参考に、しかも暫定的に県が何か自分で持ちたいとおっしゃるならば、こういう値でいかがでございましょうかというふうに私どもがお示しした数字でございますので、この辺は御理解賜りたいと思うのでございます。
#56
○田畑委員 いま私が申し上げましたことについては、近く本格的なこうした防災の計画が組まれるそうでございますから、ぜひ御考慮をいただきたい、こう思います。同時に、いま県の話が出ましたが、県が観測する機械につきまして、そういう非常事態といいますか、災害事態を予定した機械類は県には配置をされておりません。これも地元としては強く要望しているところでありますから、ぜひ御検討いただくようにお願いしたいと思います。
#57
○牧村政府委員 当然原子炉に万一の災害が起きたときに測定器が必要でございます。県がお持ちのモニタリングというのは、大体基準として、たとえば福井県の場合には三ミリレントゲン・パー・アワーまではかれるようになっておるものでございます。計測器によりますと、そのレンジを切りかえることによってさらに高いレベルまではかれるものも当然お持ちでございますけれども、もし緊急時の事態が発生したときには、現在県のお持ちのモニタリングのシステムだけでは不足であろうと思います。
 そこで、国の当面の措置といたしましては、そういう緊急事態が起きたときには、専門家が各機関のあらかじめ準備いたしました計測器類を持参いたしまして測定を実施する体制をいますでに案ができておるところでございます。したがいまして、もし万万一そういう際には、そういう計器類を所持して県のいろいろな対策に御協力申し上げるという体制をいまつくっております。先生の御指摘は、もっと長期的にそういうものも今後整備せいという御指摘であろうと思います。至極ごもっともなことであろうかと思いますので、今後の予算措置等についてはできる限りの努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
#58
○田畑委員 これはついでに一つ申し上げておきますが、長官、私再三この委員会で要望しているのですが、わが福井県には九つの原子力発電所があります。福島県なども多いわけでございますが、そういうところに国は責任ある管理体制といいますか、国のいわゆる責任者を派遣しておくという体制がないのです。しかも、行政組織法上何もない。これほど原子力発電所が大きい問題になって、しかも一地点の地域に対して多数の発電所がつくられておるときに、行政組織法上きちんとした国の出先があって、原子力発電所に少なくとも一人とか、あるいはまた大飯なら大飯、一セット、一ブロックに対して一人であるという形できちんと責任者をふだんから置いておくべきじゃないですか。これがいまだになされていない。前の熊谷長官のときにも、私はここで申し上げた。ずっと昔から原子力発電所のある地域からはそういう要望が出ているのですよ。全部国がやると言っておるのに、実際してないじゃないか。これは地方の不満です。こういうアメリカの事故が起きたことを契機にして、長官としては責任をもってやってもらわなければいかぬと思う。いわゆる形式的な調整官事務所では問題にならない。きちんとした責任者を置いておかなければならない。それぐらいのことはやってもらわないと、地元としては何のためにこんなものをつくっておるかということになるのですが、どうですか。
#59
○児玉(勝)政府委員 大臣がお答えの前にちょっと通産省からお答えさせていただきます。
 いま先生の御要望のとおり、各地域から各発電所に責任ある検査官を置けという声があることは事実でございます。そういう意味で、通産省といたしましては、今度の問題を契機にいたしまして、各発電所に常駐の検査官を置くよう考えております。
#60
○金子(岩)国務大臣 いま児玉審議官から検討中と申されていますから近く実行されると思います。ただ、お話を承っておりまして、先ほど私のところの安全局長の計器を持って故障があったら飛んで出かけていくような話を聞いておりますと、その計器は何千万するか知りませんけれども、そのぐらいの計器は原子力発電所が五つも十も集中しておるような県にはちゃんと防災対策上備えつけておくべきだ、本当に怠慢だな、御指摘のとおり、私はいままでずっとその主張を田畑先生がしておったことをやらないとすれば、まことに怠慢だったと思います。通産省を督励して大臣と話をして御期待に沿うように実行に移したいと思います。
#61
○田畑委員 さらにもう一つお伺いいたしたいと思うのでございますが、これは五月の十八日でございます。
 福井労働基準局と労働省が福井県にございますところの原発三社を集めまして、雇用労働者の避難体制の確立を急げということについて話をいたしておるわけでございます。その内容は、結局各原子力発電所におけるところの下請企業の労働者、これは年間数千人に及んでおる。ところが、これらの諸君に対するところのいわゆる避難訓練、避難体制あるいは防災体制というのは全然訓練がなされておらないわけでございます。ところが、私どもの知人、友人が今回の事故に関連いたしまして原子力発電所へ行ってまいりますと、元請といいますか、いわゆる原発三社の従業員に対してはロマンスカーなどが置いてございまして、いよいよとなったらあれに乗って逃げるのだというようなことを説明しているわけです。ところが、下請に対しては全然そういうことがなされていない。だから労働省と労働基準局は、これに対していわゆる原発三社が責任を持ってやるべきじゃないか、法律上の根拠はここにあるということで、労働安全衛生法第二十九条を引き合いに出しまして、原発三社に対して要求しているわけなんですね。こういうことを考えてみますると、いわゆる下請労働者はほうりっ放し、ましてその周辺におる住民に対しては避難計画がいままでは全然整ってなかったことは明らかでございます。こういう状況では私はどうかと思うわけでございまして、これに対してやはり関係の通産あるいはまた科学技術庁も全然関係なしとはしないわけでございまして、この辺についてはきちんとやってもらわなければならぬというふうに思うわけでございますが、いかがでございましょう。
#62
○児玉(勝)政府委員 下請労働者の退避対策につきましては、先生おっしゃいますとおり、やはり原子力発電所内部に働く人たちの安全を確保するという意味で非常に重要な問題でございます。これは原子力発電所に働きますそこの会社の正社員ということばかりでなく、同様に避難といいますか退避問題については考えなければならないことであろうと考えております。そういう意味で、災害対策基本法に基づきまして、各発電所におきましても非常災害対策要領とか非常災害対策細則というのがございまして、それに基づいて退避をどういうふうにやるかということも決めておりますし、それによっての退避訓練というのは年一回以上実施することが義務づけられておりまして、これは電力会社の社員と同様に下請労働者も含めた一体的な訓練を実施するということになっております。したがいまして、通産省といたしましては、今回のTMIの事故にかんがみまして、実効性のある訓練、防災体制というのをさらに図りたいと思いますし、実際に訓練の状況をわれわれが監査するというふうなかっこうで一つ一つ確かめていきたい、こう考えております。
#63
○田畑委員 これは多くお話しする必要はないと思いますが、正規の従業員よりもいわゆる下請業者の従業員の方が数としては多いわけですね。ですから、その辺きちんと指導をして、やってもらう、電力会社に義務づけるということはお願いしなければならぬと思いますので、やっていただきたいということを要求いたしておきます。
 それから、原子力安全委員会のあり方について御質問いたしたいと思うのでございますが、今回の事故あるいは大飯一号機の解析問題等を通じまして、御案内のとおり、いろいろなこれに対する批判といいますか、安全だというけれどもこういう点はどうなっているんだというようなことが新聞紙上で大きく出ておりますし、また世上運動としても発展をしておるところでございます。そういうことからいたしまして、原子力安全委員会というのは、言うならば安全に関する独立機関として体制を整えられたということは大変先見の明があったのじゃないかというふうに私思うわけでございます。したがって、ますます独立した立場で、安全の問題については責任を持って対処してもらわなければならないのではないか。現に地元福井県におきましても、今度の再開に当たりましては、原子力安全委員会の見解はどうなのだということを最初に最も強く求めておるわけでございまして、そういう意味では、私はひとつしっかりやっていただきたいというふうに思うわけでございます。しかしながら、今日までの経過というのをながめてみますると、御案内のとおりここの委員会においても議論になりましたが、アメリカの事故が発生いたしました際に最初出されました談話は、わが国においては起こり得ないことであって、安全である、こういう俗に言ういわゆる安全宣言というのがなされているわけでございますね。その後、いわゆる五月十九日の見解等につきましても、言うならば、これは通産の解析の結果安全であるということだけが言われておるわけでございます。したがって、世上行われておるいろいろな批判に対しましては、これはこういうわけだからこうなるのだというような反論といいますか、そういったものについては私は余りなされておらないのではないかというふうに思うわけでございます。やはり原子力行政というのは国民合意のもとに進めなければならぬのでございます。原子力基本法は自主、民主、公開の三原則を貫いているわけでございますから、やはり大きい批判に対しては国民がある程度納得できるような説明というものをすべきじゃないかというように考えておるわ万でございまするが、そういった問題についてやはり不十分だというふうに考えるものでございまして、その点の御見解をひとつ安全委員会から賜りたいと思うわけでございます。
 それから、これは長官にお伺いをいたしたいと思うのでございまするが、原子力安全委員会が独立性を持つ、そして安全の問題に真剣に取り組む、これは企業とか電力事情とかに関係なく国民の生命、財産のために安全をもっぱら追求していくという立場に立ちますると、本当はアメリカの規制委員会と比較をしたいところでございますけれども、仮にいまそこまでいかないにいたしましても、たとえばいまの原子力委員会及び原子力安全委員会設置法の中におきましては、それぞれ関係省庁のものを含めまして安全問題について議論をするということになっておる。それでは私は本当に独自性を発揮できないと思う。やはりそういうものから超越したといいますか、それの一歩上の立場で安全問題を議論しなければならぬのじゃないか。だから今日世上におきましては、電力事情によって大飯原発は動かすのじゃないかというようなことを言われていることは御案内のとおりであります。そういうことがなぜ言われるかというと、これまたいわゆる通産といいますか、そういったところの諸君も含めまして安全委員会の事務局体制が持たれておるというところに問題があるのじゃないかと思うのです。
 そうしますと、このアメリカ原子力発電所の事故の問題というのは、単にいま解析問題とかあるいは技術問題とかということだけではなくて、機構問題、政府の機構が一体どうあるべきなのかというところに及んで議論をしなければならぬときに来ておるのじゃないかというふうに思うわけでございます。この点について、アメリカの規制委員会、そして現在の日本の法律、こういうものに基づいて一体どのような反省を長官はなされておるのかということをここでお伺いしたいと思うのです。
#64
○吹田説明員 安全委員会といたしましては、設立の趣旨に従いまして、諮問機関ではございますが相当権限が与えられておりますので、そういう点を私たちは十分認識しておりまして、行政とはある線を画しまして積極的にいろいろな意見を述べております。三月三十日の総点検の結果がいま出ておりまして、いろいろなことがよくわかってまいりました。
 それから大飯の件でございますが、それも四月十四日委員長談話におきまして、やはり加圧器の水位計の問題がございましたのも、われわれが非常に強くそれに関心を持ったのでございます。その趣旨を生かしまして通産がやった解析結果を私たちは検討いたしましたので、途中から見ますと非常に受け身のようでございますが、実は最初から一連の流れを見ていただきますと、安全委員会というのは、設立の趣旨に従いまして私たち五人の委員は全力を挙げて日本の原子力施設の安全をこれまで守ってきましたが、これからも守っていきたいと実は考えております。
#65
○金子(岩)国務大臣 安全委員会は純粋な、もっぱら技術面からの学者的な見解を結論として出すのが使命でございます。ただ、先生御指摘のとおり、多少わかりやすく国民が納得するような理論づけをもう少ししたらどうかということを先ほど申されておりましたが、その点は、やはり安全委員会は余り説明の度を超すと多少政治的な配慮があるんじゃないかなという勘ぐりを国民に与えてはいかないということで、慎重を期してあのような結論を出していったものと推測しておるのでございます。
 私にお尋ねの安全委員会のあり方、アメリカの規制委員会のあり方、このアメリカの事故によっていよいよ安全委員会が本当に活動を開始したその結果から考えまして、安全委員会の機構をもう少し改めるべきじゃないかというような御指摘があったようでございますけれども、いまのところ私は、日本の安全委員会は、アメリカの事故以来真剣に取り組んでいただいて、結果的に見て、本当に適正な結論を出して適正な委員会の運営をやっていらっしゃる、このように受けとめております。したがって、いま直ちに機構を改革し、改めてどうこうというような考え方はございません。
#66
○田畑委員 安全委員会というもののあり方についてでございますけれども、やはり今日こうした大問題に対しましては世上の批判というのがあるわけですね。学問的な批判、技術的な批判というものがあるわけです。やはりそういう大まかなものに対しては説明を加えていくというか、反論していくといいますか、そういうものがないと、片方は危険だと言うし、片方はこれで大丈夫だと言う。それだけではいけないんじゃないか。だから大丈夫だという根拠は示されなければなりませんが、同時に、それじゃ危険だという方に対してはある程度やはり納得のできるようなものを、これは全部出せというわけにもいかぬでしょうけれども、重立ったものについては反論をしていくといいますか、出していくだけのそういうものがないと、やはり国民合意のものにはなっていかないと私は思うのですね。だから、その辺のところを、安全委員会というものはそこまでやっていただくというふうな仕組みをつくっていただかなければならぬのじゃないか。
 それから、原子力安全委員会が本当に純粋の立場で力が発揮できるようにするためには、関係省庁の者がそれぞれ資料を持って安全性について立ち入ってくるのでは安全委員会は本当の力は発揮できないんじゃないですか。私はアメリカの規制委員会ほどしてくれとは言いませんけれども、その辺までぐらいのことは、これは何というか、安全委員会にひとつ各省庁をチェックできるだけの力を、もちろんいままでもやっていらっしゃいますけれども、それとはいわゆる全然関係がない、各省庁と関係がないという立場で、やれるだけのものはやはり研究をしていただかなければならぬのではないかということを長官に申し上げておるわけです。
#67
○金子(岩)国務大臣 大変適切な御意見のように私も受けとめております。ただ、各省庁からいろいろな資料を提出してもらってと、こう申されていらっしゃるようでございますが、私も詳しくは存じませんけれども、安全委員会でもやはり科学技術庁にある資料だけでは審議上困るので、参考資料として資料の提出を求めていらっしゃるんじゃないでしょうか。決して各省庁の資料なり意見によって安全委員会の検討、結論に影響があるとは私は見ていないのでございます。
#68
○田畑委員 私は、こういうことで長く時間とるのはどうかと思うのですが、なぜそういうことを思うかと言いますと、安全委員会は今日に至るまでに何回か資料の手直しというか、解析の手直しを求めておられるわけですね。なぜ何回かいわゆる段階を踏んでやっておられるのかということなんです。そういうことを想像いたしますと、これは初めからきちんとしたものが出てくればいいのですが、思うとおりのものが出てこないから、やはりそういうことをしておられるのだと思う。ということは結局、そこに至るまでのいわゆる工作といいますか、仕事の過程において、関係省庁の意向というのが入ってきて、そして思うようなものが出てこないということになっておるんじゃないかという疑問を持つわけです。だから、資料の提出とか意見を求めるとか、これは当然です。当然ですが、原子力安全委員会は、原子力安全委員会の事務局を独立させて、そうしてそれが検討されるということでないと、その中に通産が事務局にいる、その中に運輸省がいるということでは、国民の側から見ますと、原子力安全委員会の独立性というか、主体性というのがちょっと曇りガラスのように曇って見えるわけなんですね。そういうことはこれからの日本の原子力行政を進める上においてはおもしろくないことなんじゃないか、私はこう思うのですよ。だから、その辺をきちんとやっていただきたいというのが私の希望なんです。少し検討するぐらいのことは言うてくださいよ。
#69
○牧村政府委員 安全委員会ができ上がりまして、いま盛んに体制づくりをしでおるところであることは先生も御存じのとおりでございます。そこで、今回の安全委員会ができましたときの法改正に当たりましては、規制責任はそれぞれの省庁が負うという立場になりまして、先生御指摘のように、一見通産省からいろいろな追加資料等をとるのが独自性がないではないかというふうな御指摘がただいまあったわけでございますが、その追加をするということも安全委員会が行いますダブルチェックをよりよくする、あるいは別の観点からこういう資料を持ってこいというような指示を積極的に今回の場合でもなさっておられるわけでございます。
 また、安全委員会は、常々原子力研究所が安全研究あるいは安全解析をいま一生懸命進めておるところでございまして、原子力研究所ともきわめて連絡を密にいたしまして、今回の場合でも原研の持っておりますコードで通産の行ったケースについて検討をさせるというふうなことも実は行っておりまして、そういう意味で十分ダブルチェックの実を上げようというふうに考えておるところでございます。
 ただ、それの結果の発表のときに通産省が責任をもって行っていく行政について修正等がなされた場合には、その修正を踏まえて通産省の方針は結構であろうというふうな表現をとって発表しておりますので、ややもすると先生の御指摘のような受け取り方を外部の方々にされておる点があるのではないかということも十分今後の反省の材料にさせていただきたいと考えておるところでございます。
#70
○田畑委員 この問題はまたいずれ議論させていただきます。
 次に、きょう出ました報告書でございますが、これはいずれ読ましていただきたいと思うのでございますが、ただ、きょうの新聞等によりますと、きょうの報告書の中で人為ミスを前面に出しておるという評価をしているところもあるわけでございます。
 そのとおりであるかどうかは私はわかりませんが、ただここで私が思いますのは、アメリカのNRCは圧力低だけでECCSを作動するというふうに回路の変更を行うというふうな指導をしておるという新聞記事が出ておるわけでございます。わが国はそれをやらないのですね。いまのままでいいというわけだ。非常に技術的なことでございますが、果たしてそのままでいいのかどうか。人為ミスというのは、これはないことが望ましいのでございますが、本来はあることもあるということを想定してこういう機械設備がなされているのだと思うのですね。そうすると、結局この間の事故の一番の問題点は何かというと水位計の問題が出てきておるわけでございますが、この水位計に連動しないでもECCSが働くというふうにひとつ変更しようというのは、これは私は合理的なように見えるのですね。非常にいいように見える。なぜ日本はこれをしなくてもいいのかという点ですね。どっちが安全なのかという素朴な疑問を持つのでございますが、安全委員長、いかがでございますか。
#71
○児玉(勝)政府委員 先に通産省の方からお答えをさせていただきます。
 NRCは四月十四日付の発表といたしまして、米国内のPWR型発電炉に対して加圧器の水位に関係なく加圧器圧力低で安全注入信号を発信させるように勧告したところでございます。その勧告の真意は、特に説明はございませんけれども、TMI事故で見られるようなこともございましたので、加圧器逃がし弁が開いて固着してしまう、そういう特殊な事象に着目しての判断であると考えられております。それで、わが国といたしまして、このような特殊な事象に対してすべて画一的な対応を図る必要があるのかどうかというところが考え方の問題ではないか、こう考えます。
 それで、大飯発電所につきましては、現状のままでよいという結論になったわけでございますが、ほかのPWR型についてはただいまシミユレーション中でございまして、それによって今後の対応を考えたいと考えております。大飯の安全注入信号に圧力低のみの回路をなぜ採用しなかったのかという点であろうかと思います。それで、圧力低信号とそれから水位低信号と両方一致したときに安全注入信号が入るように現在できているわけでございますが、それを圧力低のみの回路にするという利点を考えますと、これはECCSの機能が発揮されるべき事象全般にその機能が及ぶということではないと考えられます。一つは、加圧器逃がし弁が開いて固着した場合、それからもう一つは、加圧器上部配管の破断というようなことで、水位が加圧器の上部に張りつくというような特殊な条件のときに限定されるわけでございます。したがって、そういうふうなことで現象をシミュレートしてまいりますと、大飯の場合には、計算の結果のとおり十分以内にECCSが作動するということで原子炉は安全に停止するわけでございます。
 また、Pだけの回路ということにいたしましても、その場合も約三分でECCSが作動するということでございまして、その間の時間は若干ございますけれども、しかしそれは逃がしタンクの中に蒸気がたまる時間ということをとりますと、実際にECCSが働いて炉が安全に停止するというような事故のモードについてはほとんど変わりがないということを一応確認しております。したがいまして、従来水位低という信号をなぜ入れてあるかということは、一つは誤動作防止ということでのメリットを考えておりますので、そういうことで従来運転経験をずっと積み重ねてまいっておりますので、そういうような従来の運転のなれに対してそういうことを切りかえるということによる、俗に言いますヒューマンエラーが増加するのではないかということを恐れたわけでございます。
 そういう意味で、従来の方法でも十分にECCSの機能が保たれるのであれば、特にPのみ回路にすることの誤動作の増加ということを考えれば従来のままでいいのではないか、こういう判断をしたわけでございます。
 そういうことで、安全委員会の方に従来の方法でも十分に安全停止することの御説明を申し上げたということでございます。
#72
○吹田説明員 安全委員会としては、先生御指摘のようにPのみで働く回路についても最初から非常に関心を持っておりまして、通産から出ました解析結果に追加資料として出してもらいまして、安全委員会としては大飯の発電所の特殊性を考えながら、しかもそのPだけの場合どうなるかということを実は委員会で検討いたしました。その結果いろいろなメリット、デメリットを考えまして、やはり私たちは、解析の結果からも通産の措置はよろしいであろうという結論になりました。
 ただし、大飯のそれは特殊性がございまして、そういうのが非常にウエートがありましてその結果になりましたので、大飯以外のPWRに対しましてはその点は十分慎重にやる考えでございます。
#73
○田畑委員 そうするとUHIというのですか、これは大飯にだけついているわけですね。これは関係あるのですか。
#74
○吹田説明員 大飯の発電所はいま御指摘のUHIと、もう一つは格納容器の容量がほかに比べて非常に小さくなっております。ですから格納容器圧力高によりましてSI信号の設定が低くなっております。そういう二つの特殊性がいまのPだけで働く場合のデメリット、メリットを考えますと、そういう特殊性の方が非常にきいてまいりまして、私たちの判断では、その大飯発電所においてはPプラスしの回路の方がよろしいであろうと考えたのであります。
#75
○田畑委員 それではさらにお伺いいたしますが、この大飯原発以外の加圧水型の発電所でございますね、これはいま言うとおり格納容器が非常に大きくて、しかもいわゆるUHIがないわけでございますね。ここにつきましては圧力低だけでいわゆるECCSが働くということに回路の変更を行うといいますか、改造するというふうに理解してよろしゅうございますか。
#76
○児玉(勝)政府委員 ただいまの問題につきましては、いま通産省におきまして検討をさせておりますので、まだ問題を安全委員会の方に申し上げておりませんので、私の方から御説明させていただきます。
 大飯以外のPWRの問題につきましては、大飯は四ループの原子炉でございますけれども、それ以外の発電所は三ループそれから二ループというふうに分けられますので、そういう代表的な原子炉につきまして今度ECCSがどういうふうな働きをするかということについていろいろなケースについていま計算をさせております。したがいまして、その状況と、それからその対応ということの組み合わせを考えました上でどういうような方法をとるか、いまからすぐにPオンリーにするということまでの結論は出ておりませんが、よく検討した上、安全委員会に御説明をしたい、こう考えております。
#77
○吹田説明員 安全委員会の態度を申し上げますと、一応諮問機関という立場からしますと、やはりいま児玉審議官が言いましたような通産のそういう十分な検討がなされた報告を聞いた上で私たち検討することになっておりますけれども、やはり私たちは独自の立場でそれに対する考え方をまとめていきたいとは思っております。ですから、いまPのみの方がよろしいというようなことは考えておりませんで、もう少しいろいろな点からPプラスLとPと、私たちも通産が出てきた場合には対応できるようにあらかじめ考えておきたいと思っております。
#78
○田畑委員 そうすると、先ほど言いましたNRCがとったことについても関心を持って検討している、こういうふうに理解していいんですか。
#79
○吹田説明員 もちろんそうでございまして、それの裏づけとなるデータも十分検討いたしたいと考えております。われわれはいつもその時点でベストの安全性というのを追求するのが任務でございますので、手に入る資料あるいはわれわれのできる範囲でやっていきたいと思っております。
#80
○田畑委員 今回の事故それから大飯原発の解析、こういうものを見まして、普通の人が一般的に持ちましたいわゆる感想といいますか、そういうのは、原発というのは事故が起きたらすぐ緊急の炉心冷却装置がきいて、そしてもう事故に至らない、こういうふうに考えておったわけです。また、事実安全であるという説明には、ごく簡単にそういうことを感じさせるようなことが多かったわけですが、実際は解析の結果を見ますと、今回の事故の場合十分後にしかこのECCSが作動しない、こういうことになっておるわけです。しかも、それは格納容器でございますか、その中の圧力が上昇したことによって初めて作動する、こういうことになっておるわけですね。その前にはもう一つの冷却装置がありまして、UHIというのがきくのだ、こうなっておる。ところが、いろいろ私ども調べたところでは、UHIというのも一遍に水がどっと落ちてくるわけではないのですね。しかも、その水の量はおのずと限界がありまして、幾らでも来るわけではない、最大の量で二十九トンと書いてあるのです。そうすると、それもいわゆるその炉の中の状況に応じて水が出る、あるいはとまる、こういう形の装置なんですね。そういうことをいろいろ調べてみますと、果たしてそれだけで大丈夫なんだろうか、十分間もたって大丈夫なんだろうか、しかも十分後に確実に緊急炉心冷却装置が動くという保証というのはどこにあるのかというようなことについても率直に疑問があるわけでございます。そういった点、これは技術者の方がみんな集まって研究しておられるわけでございますから間違いはないと思うのでございますが、そういう根拠を一口に言えということはなかなかむずかしいと思いますけれども、そういう点について原子力安全委員会としては絶対万全であるということをこの委員会において表明をしていただきたいと私は思うのです。ということは、村主先生という方がいらっしゃるのですが、福井県に御説明に来られたわけです。説明はわかったけれども本当に大丈夫ですか、こういうふうに漁業組合長その他の者が聞いたら、絶対大丈夫だ、大体大飯発電所に事故が起こるとすれば百万年に一回しか起こらぬ、こうおっしゃったのです。それで、地方の新聞は全部百万年に一回を取り上げまして、これは百万年に一回だから、その時分には大飯発電所もつぶれているのだから大丈夫ということで、完全に大丈夫という見出しで書いておるのです。この前の長官とどなたかの議論の中で、そういう何万年に一回とか何億年に一回とかいうことについては、長官もどうも余り信用できないという御回答をなさっておったのですが、少なくとも科学者と言われる方が百万年に一回とかそういう形で地元を説得されるということは、これだけの事故が起きた後に私はいかがかと思うのです。だから、素人にわからせるにしても、もっと別な表現があるのじゃないか。そういう意味でも、私はこの委員会のあり方というものについてまだ非常に納得できないものを持っているわけなんです。だから、ここで原子力安全委員会としては、通産の出したこの十分後、しかも原子炉は三十三秒で停止することになっている。アメリカでは九秒から十二秒で停止しているのに、きょうの報告書では溶融が三回起こっておると出ておるでしょう。三十三秒で大丈夫なんですか、溶融は起こらないのですか、十分後にECCSが働いて大丈夫なのかどうか、本当に働くのかどうかという点を率直に疑問に思っているわけでございまして、ひとつ責任ある言明をお願いしたいと思います。百万年に一回は困りますよ。
#81
○吹田説明員 その点、内田委員から答えていただきます。
#82
○内田説明員 それでは委員長の御指示がありましたので、私から御説明させていただきたいと思います。
 大飯の原子力発電所は御存じのように四ループございまして、一般の三ループ、二ループの原子炉に比べますと非常に特殊な性格を持っております。そのためにアイスコンデンサーも持っておりますし、またアイスコンデンサーがありますために格納容器も小さくなっておるわけでございます。そしてECCSと申しましても、UHIもありますし、高圧注入系、蓄圧タンク、低圧注入系というのがあるわけでありまして、それぞれの事象に対応して最も適切なECCSの系統が作動して、それによって安全性が確保されればそれで十分でございます。
 そういうようなことを原子炉安全専門審査会の発電用炉部会で確認した結果が、先ほど委員長が御報告になったとおりでございます。
 この加圧器についております逃がし安全弁の噴きどまりということを一つの事象として取り上げました解析でございますので、その放出される水量というのは、炉に入っております一次系に比べますとかなり容量は小さな量でございまして、通常大きな事故を想定します冷却材喪失事故というものに比べますとかなり性格が違っております。流出量が小さいだけに、またUHIあるいは高圧注入系の入ります時間がおくれましても問題はないわけでありますし、またUHIあるいは高圧注入系も、炉心を冷却するというよりもむしろ流出した水を補給するというような性格の方が、どちらかというと多いわけであります。もちろん冷たい水が入りますから冷却がされまして炉心の溶融などは起こらないことが確認されているわけでございます。したがいまして、通産省の解析に基づきました内容を、原子炉安全専門審査会の発電用炉部会が安全の確認をやられたことでありまして、十分信頼のあるといいますか、ダブルチェックの結果でございますので、内容をその旨お受け取りいただければありがたいと思っております。
#83
○田畑委員 終わります。
#84
○大橋委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時五十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四十五分開議
#85
○大橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。村山喜一君。
#86
○村山(喜)委員 先ほど安全委員会の方から第一次のスリーマイルアイランドの事故調査特別委員会の報告書をいただきましたので、ばらばらめくりながら中身を読んでまいったところでございますが、第一次の報告書でございますから最終的な結論というものはまだ出ていないだろうと思いますが、スリーマイルアイランドの事故はいろいろな見方があるようでございます。アメリカのNRCの見方は人為的なミスが中心だ、それに若干の器具や機材等の問題もあるけれども、主たる原因は人為的なミスなんだ、こういうとらえ方をしているように見受けるのでございます。日本におきます原子力産業会議の見方も大体同じような見方をしているように見受けるのでございますが、アメリカ下院調査団の原発事故の報告書というものの記事によりますと、これは人為的なミスではないんだ、こういう見方を強めている報告書が出されておるわけでございます。
 そこで、私は第一にお尋ねをいたしたいのは、このTMIの事故は、安全委員会並びに科学技術庁としては、どういう見方で見ているんであろうか。これは第一次報告書の中にあるとおりの見方がもちろん中心になるのではありましょうが、その主たる原因は何か。どういうふうにごらんになっているのか。その見方について説明を願いたいのであります。
#87
○吹田説明員 私たちは、アメリカの今回の事故を非常に重要視しておりまして、いろいろな見方がございます。しかし、基本的な見方は、単純に人為ミスとか機械のミスとかではございませんで、むしろ機械と人間を含めましたトータルのシステムのデザインフィロソフィーというところに非常に重点を置いてながめてまいりました。そういたしますと、機械と人間、そして機械と人間のかかわり合いという三つが出てまいります。それを統一するのがデザインフィロソフィーでありますから、私たちは単純な人為ミスとか単純な機械のミスとか、そういうとらえ方はしておりません。しかし、それを実際わが国に反映さすといたしますと、実際面といたしましては、原子炉の安全面を考えますと、保安規定でございますとか運転要領、操作、運転中の監視等の重要性というような形であらわれてまいます。
 もう一つは、緊急事態への、これはいまのデザインフィロソフィーとは少し違いますが、緊急事態の対応策というのが重要になってまいります。ですから、これらの貴重な教訓をわれわれとしては取り入れたいと思いまして、そこの第一次の報告書をまとめました事故調査特別委員会におきましては、その第一次の報告書からさらにいろいろなデータ、これは五月中旬までのデータでございますが、それ以後非常にいろいろなデータが出ておりますので、そういうものを十分踏まえた上で、今後わが国の安全確保に十分反映していきたいと思っております。
#88
○牧村政府委員 ただいま安全委員長が申し上げましたとおりでございますが、若干補足をさせていただきたいと思います。
 この中間報告におきましては、五月の半ばごろまでに入手しました公式的なデータ並びに当時アメリカに参りました専門家がNRCの担当官等から得たいろいろな情報をもとにしてまとめておる次第でございます。
 確かに先生おっしゃいますように、NRCの査察実施局では、この事故に至りました中で非常に大きな点として六つの人為的あるいは設計上、機械上のミスがあるというふうなことで、この段階において取りまとめました報告書では、ややそういう点が強調されているかもしれないと思います。ただし、先生が先ほどおっしゃられた両院の報告は、この取りまとめを行いました以後に入ってきた情報でございます。したがいまして、この報告書は、さらに逐次新しい情報を追補していくつもりでございますので、そういう点も今後報告書に盛り込まれていく。また、人為的なミスと単にきめつけるのは非常に危険なことがあるのではないかと思います。たとえば、マニュアルどおりやっておったけれども、それが結果的には運転上まずい結果になったというのもミスというような言葉で言われている面が多分にあるかもしれないわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、アメリカの実情を十分調査いたしまして、先ほども委員長が申し上げておりましたように、調査特別委員会でこの辺の問題を今後十分議論していただきまして、日本の原子力発電所にどういうふうに適用していくかということを慎重に考えてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#89
○村山(喜)委員 わかりました。
 そこで第二点は、これは四月十八日の朝日新聞に出ておりまして、五月二十二日のエコノミストでも取り上げられておるのですが、内田委員のワシントン談話というのが記事として出ております。その内容を読みますと、「NRCが事故に関するデータを公開していることはいい面もあろうが、社会や制度の違う日本でできるとは思わない。日本ではむしろ率直な意見が出てこなくなる恐れがあるし、個人の責任問題や商業機密を公開することの是非もある。」こういうような意味のことを言われたやに報道がされております。
 委員はもちろん御承知のように原子力基本法の中では平和、民主、公開の原則というものが明らかにされているわけでございますが、情報公開のないところに国民の理解も納得もない、このことははっきりしていることだと思うのでございます。そこで、パブリックアクセプタンスという言葉がよく使われておるわけですが、こういうような考え方を内田委員は事実発表をされたのでありましょうか。その発言の趣旨というようなものはどういうようなものであったのか、このことをお尋ねをいたしたいのであります。
#90
○内田説明員 お答え申し上げます。
 私は四月六日に原子力安全委員会の御指示を受けまして、スリーマイルアイランドの事故の真相をなるべく詳しく究明して、早く日本の原子炉安全に寄与したいということで、どういう点が問題、どういう点が改良あるいは修正すべき点であるかということを学び取るために行ったわけであります。専門家も三人参りましたが、新聞記者との応答で、あたかも調査団を派遣されたように誤解されることを私は大変迷惑に思ったわけであります。専門家が参り、私も専門家個人としてあちらへ参りまして、正しい情報を早く日本に持ち返りまして、日本の原子力安全委員会にできました原子力発電事故調査特別委員会で十分審議をして、それをそしゃくして日本の原子力安全に寄与させるというのが目的で参ったわけでありますので、私はあちらで個人の意見を発表することを差し控えてきたわけでございます。当然事故調査によります資料並びにそれを正しく判断した資料は早く公開して、多くの人のディスカッションの資料にもしたいし、また、一般の方の御理解を得るためにも、調査の結果は公開されることを私は非常に期待しておるわけでございまして、御趣旨のような発言はしたと思っておりません。
#91
○村山(喜)委員 個人としての見解を尋ねられたからそういうようにお答えになったのかもしれないわけですね。したがって、自分としては持ち返って安全委員会に報告をして、その中で資料の公開はできるだけやるべきだ、こういうようなお考えだ、いまでもそういうふうにお考えになっていらっしゃるのですか。
#92
○内田説明員 そうでございます。
#93
○村山(喜)委員 そこで、科学技術庁長官にお尋ねをいたします。
 五月の二十九日ですか、新聞に出ておりましたが、記者会見の席で、大飯原発一号機の安全解析の全資料を公開させるというのは、一部が公開されない形で最終結論を十九日に出した後一週間たって初めて公開をするということに対して、記者団の抗議から、これ以上隠している資料があるとするならば、それは全部出して、そういう国民の同意を求めるような、理解を求めるような方法をとるのだ――私は、長官の発言は大変尊敬できる発言だと思うのでございますが、いま安全解析等に使いました大飯原発一号機の資料は未公開のものがあるのかどうかは、事務局の方からお聞きをしたいと思います。大臣の御所見はそういうようなことで結構でございますが、安全委員会の事務局として科学技術庁の安全局が発電用の商業炉につきましては通産省だと言うような関係もありますので、科学技術庁長官の誠意ある発言というものがどの程度実効的に期待ができるのであろうかということが懸念をされるわけでございますが、その点は政府として問題ございませんか。それは大臣にお答えをいただきます。
#94
○金子(岩)国務大臣 私は、かねがね原子力行政を推進していく上から考えまして、特に今度のアメリカの事故以降とにかく秘密があってはならない、この際ひとつ赤裸々に率直に国民に知らしめて、そうして御理解と御協力を得ることがわが国の原子力行政の推進の大きな一つの基本的な考え方になるのじゃないかというようなたてまえでずっと取り組んでまいっておりますので、記者会見でも、そのようないろいろな質問がありましたから、もし未公開のものがあれば大いにそれは公開させるようにいたしましょうというお答えをしたわけでございます。
#95
○村山(喜)委員 実効性はありますか。
#96
○牧村政府委員 ただいま審査等に当たりましての資料の公開の問題につきましては、今回の法改正によりまして、行政庁が自分の考え方をつくりまして、それを説明する資料を含めて、安全委員会に、安全の問題につきましては提出されるわけでございます。その段階で、通産省の見解は通産省から報告されることになるわけでございます。
 そこで、安全委員会は、その資料を受けて、通常の場合は安全専門審査会が審査をするわけでございます。それで、不足する資料は通産省等、行政庁から再度提出させるということで審議が進められるわけでございます。その審議が終了いたしましたときに、審査に使いました資料につきましては、整理いたしまして、結論に添付いたしまして、今度は安全委員会が――事務的には科学技術庁でございますが、安全委員会が発表するという形で、再度ダブったものが中には相当ございますけれども発表されるという手段で進めていくつもりでございますので、先生御懸念のその実効性ということにつきましては、安全委員会は常々公開ということについては非常に真剣にお考えいただいておりますので、私どももその懸念はまずなかろうかと思います。
 ただ、おわびいたしたいことは、非常に多忙な、連日のように会議、審査等を行っておりましたために、今回はその一部のデータにつきまして、委員会が決定いたしましたときに発表漏れがあった。それに気がつきまして、直ちに発表するに当たりまして、通産省の方で資料を印刷してもらうとかいうようなことでの時間のロスもございましたけれども、約一週間弱で追加して発表さしていただいたということでございまして、その点について、ある面ではいろいろな疑惑を受けたのを私ども反省しておりますので、今後はそういうことのないようにいたしたい、かように考えておるところでございます。
#97
○村山(喜)委員 原子力安全局が五月二十四日に出しました「大飯発電所に関する検討について」というものの五ページで、スリーマイルアイランドの二号炉の事故というのは、もうとにかく特殊な事象だというとらえ方をしておいでになるのです。特殊な事象というとらえ方の中では、あれはそういう炉の性格から見て非常にコントロールしにくい炉でもあったし、またいろいろな事故の原因が重なり合って、そしてこういうような大変な事故を発生した、だからこれは信じられないような事故なんだ、そういうような意味の特殊な事象だ、こうとらえておられて、あとは全体のコントロールとチェックの体制があるなら日本の場合には大丈夫なんだ、こういうとらえ方の中からこの大飯発電所の安全審査というものの報告が出てきたんでしょうか。その前提条件としてそういうようなはしがきが書いてございますから、そのことだけをちょっと聞いておきたいと思います。
#98
○牧村政府委員 ほほ先生御指摘のとおりでございまして、この審査の報告の次のページに「TMI事故の概要」という囲ったものがありますが、これは科学技術庁原子力局が先生方の審査の経緯等を踏まえまして、比較的わかりやすく説明するためにつくったものでございます。
 ここで特殊な事象と申し上げておりますのはいろいろあるわけでございますが、非常に大きく申し上げますと、先ほど内田先生からもお話がございましたけれども、日本の原子炉におきまして二次系の主ポンプが停止したときに、当然補助系のポンプが動くわけでございますが、アメリカでもそれが動いたわけでございますが、弁が閉まっておった。その弁が閉まったままで原子炉の運転が行われておったというところがまず第一点、非常な特殊な事故であろうかと思うのであります。日本の場合には弁が常に開になっておるか、ポンプが動けば必ず開になるようなことになっております。そういうようなことを常時運転員が点検しておるというようなことを考えますと、その点だけでも特殊な事象とも言えるかと思います。
 そのほか、逃がし弁の開きっ放しの問題もございます。この辺も、私ども日本の原子炉の運転をしている人々にいろいろ聞いても、非常に理解しがたい面もあるわけでございます。その他いろいろあるわけでございますが、そういうような特殊な事象で起こった。
 それから解析自身の問題といたしましても、逃がし弁が開きっ放しになっておるような事象というのは、原子炉の安全を考えた場合に非常に起こりにくい事象でございまして、この意味でも、ある点では特殊な事象ということでございます。ただ、残念なことには、逃がし弁が開きっ放しというようなことについての解析が日本では十分なされていなかったことも事実でございます。したがいまして、この解析自身は、そういう意味合いにおきまして特殊な事象というふうに言ってよかろうかと私ども事務局は考えておるところでございます。
#99
○村山(喜)委員 そこでお尋ねいたしますが、TMIのこの事故からどういうことを学び取るかということが最大の問題点なんでしょうが、いまの時点においては、どういうことを日本の安全審査の上において、あるいは安全の解析の上においておやりになったわけですか。それは直接的には大飯の再開に向けての解析の中で生かされた、こういうように受け取ってよろしゅうございますか。
#100
○牧村政府委員 この事故の教訓というものは、今後安全委員会といたしましては特別部会をつくりましていろいろ検討していくわけでございます。その結果によりましては、安全審査の基準に反映しなければならないようなものも出てまいると思います。また、保安規定であるとか運転マニュアルというような、原子炉の運転にかかわる問題に修正を加えていく必要もあるいは出てくるかと思います。また、安全関係機器をよりよくするための設計の変更にあらわれてくることも予想されるところでございます。このようなものは、アメリカの本当の原因調査も見ませんと最終的には言えないわけであろうかと思います。しかし、時間をかけてそういうような審査をするだけでは、いまある原子炉はそれではどうなのかということになるわけであります。したがいまして、いまわかっておる事象について改善できることはいま直ちにしていく姿勢が必要であろうということを私ども考えておりまして、安全委員会は、事故が起き、主要な事故原因というのがシークェンスがわかったところで日本のすべての原子炉について通産省に再点検するように、また、私どもの所管の炉についても再点検するようにという指示をされたわけでございます。それに基づいて当面いま直ちにやって、よりよい安全を確保するということについて現在一生懸命やっておるところでございます。したがって、短期的にも対応いたしますし、長期的にも対応するのが正しい姿勢でないかというふうに私どもは考えておるところでございます。
#101
○村山(喜)委員 そこで、スリーマイルアイランドの事故を起こしました原子炉の事故の背景というものをどういうふうに分析していらっしゃるのでしょうか。というのは、特別委員会の第一次報告書というのは非常に技術的な立場から解析をされておいでになります。もちろん任務がそういう任務でございますからそういうようなことであろうと思うのですが、われわれが聞くところにより、あるいはまたいろいろな資料で調べてまいりますと、どうもこの原子炉は、技術的には、特別委員会の資料の中にもございますように、大変特異な状況を持っていることも事実でございまして、性能が非常に過敏なといいますか、そういうような炉であるようでございます。事故の発生の記録を見てまいりましても、大体九秒から十秒ぐらいの間にもうスクラムが始まるようなかっこうでございますから、非常に過敏な炉だなということがわかりますが、しかしアメリカの資料によりましても、あるいはアメリカのこのスリーマイルアイランドの事故をどのように見ているかというソビエトの報道を見ましても、この炉は小さなトラブルを繰り返していた炉なのだということが報道されております。
 それで、一月の二十六日には、米国の憂慮する科学者同盟がNRCに対しまして十六基の原子炉のリストを提出して、それを停止して点検を申し入れ、その中にTMIも入っている。それからペンシルベニア州のECNP、原子力を考える環境保護連合、これが去年、二号炉については停止をして危険評価をやり直してもらいたいということで、行政不服審査機関に訴えていた。ところがそれを取り上げていない。そういうような官僚制度、機構の硬直性による人災ではないか、こういうような報道がありまするし、また二号炉については、百九十五回の事故を起こしているというような報道が日本の新聞にも出ておりました。その中には原子炉が動かない事故などというのが十二件あったり、あるいはECCSの作動を促すような事故が四件あった。そういうようなことも隠して七八年の十二月三十日に全面運転に入ったわけです。それは七八年じゅうに運転を開始したら二千万ドルの税金が浮くのだ、また税金を安くしてもらうだけではなしに、電力料金の値上げを認めるという特典がついておる、だからとにかくしゃにむに去年のうちに運転を開始しなければならないというような背景があったのだ、それが今日のこういうような大きな事故を生み出した原因になっているのではないかという報道があります。もちろん、そういうような報告書は安全委員会の方からも出ておりませんし、あるいは科学技術庁の方からも出ておりません。
 そこで、これはやはり政治の問題だろうと私は思うのでございますが、内田委員はわざわざアメリカまで行かれたわけでございますが、そういうようなお話はお聞きにならなかったかどうか。あるいはまた科学技術庁長官は、どうもあの炉は大変危険な炉だ、過敏性の炉なのだというような話をかねがね聞いておった、その背景の中には、いま私が言うような問題があったのだという話は聞いておったぞというようなことがございますかどうか、あるいはそういうようなことはおれたちは全然知らぬぞ、そんなのはでたらめだ、こういうことでございましょうか。この点についてどういうふうにとらえておられるのか、お聞きしておきたいのでございます。
#102
○牧村政府委員 まず私から事実関係の点について御説明申し上げたいと思います。
 先生おっしゃいますように、規制委員会におきましても、この炉が動く前に数多い原子炉トリップトラブル等があったという報告がございます。二十一件の故障またはトラブルが起きたことを報告されております。そしてこの二十一件のうち、機器の故障が十五件、運転員の操作ミスによるものが二件、その他の原因によるものが四件と言われておるところでございます。特に、その中にECCS系の問題も含まれておるとか、いろいろ問題があったかと思います。
 それで、そういう点は確かでございますが、日本の場合、こういう試運転中の問題は特に通産省が直接検査をすることになっておりますので、まずそういうようなトラブルがあったときは徹底的に事故の原因等を究明しなければ運転を再開させないと私は信じておりますが、その辺の点につきましては、通産省の方から御報告させていただきたいと思います。
#103
○児玉(勝)政府委員 ただいま安全局長の方からお話がありましたように、TMIの二号機が試運転中に相当なトラブルを起こしていたということを実は後で知ったわけでございますが、少なくともここに出ております、われわれが調べた範囲の事故ということであれば、設計段階に至りまして、事故の再発防止のチェックが十分なされるべきであったというふうにわれわれは考えております。そういう点で、使用前検査というものが日本の場合にはまだまだ十分機能していると考えてよいのではないかと考えております。
#104
○村山(喜)委員 そこで、原子炉の安全解析というものは、大飯一号機とTMIの主要なパラメーターの比較をしながら当然おやりになっているのだろうと思うのですが、たとえばスクラムまでの時間は、TMIの場合は九秒から十二秒ということで大変時間が短いわけですが、大飯一号機の場合には三十三秒かかる。そのほかに水冷式であるとか空冷式とか、あるいは補助給水の比較であるとか、あるいは加圧器の逃がし弁の問題であるとか いろいろな問題がございますが、そういうような比較をしながら大飯一号機の安全解析というものはやられたことになっておりましょうか、なっておりませんか。
#105
○児玉(勝)政府委員 安全解析の中で、特にスリーマイルアイランドの発電所との間の照合をやりながらやっておるわけでございませんで、一番最初の事故の想定、トラブルの想定はスリーマイルアイランドの事故の場合を想定しております。したがって、スリーマイルアイランドで起った事象と後で結果的に照合しようということになれば、いま先生がおっしゃいました三十三秒でトリップするという問題なんかの照合については、後でできますが、すべての性能について大飯とスリーマイルアイランドが類似しているわけではございませんので、その点の相違ということは、特になぜそこが違うのかということについては、スリーマイルアイランドの発電所の内容についてもよく存じておりませんので、大飯についての説明は十分できますが、差というのはなかなかはっきりは言えないかと思います。
#106
○内田説明員 けさほどの田畑先生からも御質問がございましたが、同じ問題でございますので、補足的なお答えを申し上げたいと思います。
 たとえばスクラムがTMIの事象では九秒とか十秒くらいで大飯の事象では三十三秒であったがどうであろうか、こう言われることでございますけれども、TMIのスクラムが二次系から直接出ないにもかかわらず早かったのは、これは二次系の水量が非常に少ないということが結果といたしまして冷却がしにくい。でありますので、一次系の圧力の立ち上がりが早くてスクラムが早く入った。大飯の場合には、比較相対的に言いますと同じ約百万キロワットの原子炉でありますけれども、TMIは二系統でありまして、大飯は四系統でございますし、また蒸気発生器の機能といいますか性格が違いますために水量が非常に多いわけであります。したがって、一見同じ事象でありましても、大飯の方はスクラムがゆっくりでもよいという、すなわち蒸気発生器側での冷却が十分続いておった、こういうふうに御理解いただければ結構だと思っております。
#107
○村山(喜)委員 そういう炉の構造になっていることは資料を見てまいりますとわかりますが、原子炉の中にあります冷却水の量は、比較をいたしますとどれぐらい大飯一号機の場合とTMIの場合とは差があるのですか。炉心の中です。
#108
○児玉(勝)政府委員 炉心の大きさについてはちょっと手元にございませんが、一次冷却材の重量ということで申し上げますと、これはほとんど差がございません。スリーマイルアイランドにおきましては一時間当たり六万二千トンでございますし、大飯につきましては六万トンでございます。
#109
○村山(喜)委員 それはわかっているのです。大飯の一号機の場合には六万トンでTMIの場合には六万二千五百五十トンというのはわかっております。容量が小さいわけですから冷却水がTMIの方は早く回らなければならない、そういう構造になって温度が急上昇するということもわかっておるのです。だけれども、いま内田委員が言われましたように、炉心の中の水量が違うのだ、こうおっしゃったから、ではどのぐらい中の量に違いがあるのですかと私は聞いている。
#110
○児玉(勝)政府委員 ただいま先生がおっしゃいました点につきまして、内田委員のおっしゃったのは蒸気発生器の二次側の水量がスリーマイルアイランドの場合には少なく大飯の場合には多いという意味でございまして、約四倍でございます。スリーマイルアイランドの場合には保有水量は約五十トン、それから大飯の場合には百九十トンであります。
#111
○村山(喜)委員 そこで、この大飯一号機の場合には、もちろん安全解析をされましたその中には二つのケースについてやられたというのがございますが、加圧器水位計に関する関連した事象を模擬して解析をしたというものやら、あるいは主給水喪失の解析等を解析の資料としてここにいただいております。その中で、エコノミストの四月二十四日号の中に、日本学術会議原子力特別委員会の幹事をしていらっしゃる中島篤之助さんが書かれた記事がございます。その中には、スリーマイルアイランドと今度鹿児島につくろうとしている川内原発との仕様比較という一つの対比表が出ているわけでございます。
 そこで、そこの中から安全審査、安全事故解析のやり方という中で、設計想定事故を考えて、冷却材喪失事故、解析の結果と、この大飯の場合には一次系大口径配管の破断、これはやはり解析の対象になっておるんだと思うのでございます。しかしながら、中小のパイプの破断の場合には、川内原発の場合について私も資料を見てみました。その中では、その二つとも小口径パイプの破断の場合も取り入れた解析がなされまして、そういうような安全審査の上でいいだろう、こういう一つの資料を審査をされた経過を知っているわけでございますが、この大飯の場合には、今度の一連の事故に関連をいたしまして小口径破断の現象を安全解析の対象にされたのでありましょうか、されなかったのですか。
#112
○児玉(勝)政府委員 大飯の安全審査におきましても小口径破断の安全解析はやっております。しかしながら、今度のような逃がし弁が開いてとまらないという特殊な条件の流出事故についての解析はいたしておりません。
#113
○村山(喜)委員 ということは、炉の構造が、圧力逃がし弁が開きっ放しになるような設計になってない、こういうことでございましょうか。
#114
○児玉(勝)政府委員 もともと逃がし弁というのは、そういう圧力の調節を行うところでございますので、その圧力を調節するために水蒸気を出したり、それからとめたりということでの調節機構があるわけでございますので、そういうところでの連続した放出というのはもともと考えておりませんし、またそういう事故が起こったときにはどういう対応をするかということのマニュアルがあるわけでございます。逃がし弁が大飯の場合は二つございまして、一方が開きっ放しになりました場合には一方の元弁を閉めるということが決まっておりまして、そういう点で逃がし弁の事故というのを操作上防止するということで考えております。
 それで、そういうような事故解析等は行わなかったわけでございますけれども、スリーマイルアイランドの例によりまして急遽そういう開きっ放しでとまらないという事故を想定してみろ、こういうことでございましたので、従来やっていない想定をさせていただいた、こういうことでございます。
#115
○村山(喜)委員 その加圧器の逃がし弁は、百六十四・二気圧までは開かない、それで加圧器の圧力の最高は百六十二・七なんだから、それは差し支えない、そういうような結論でございますか。
#116
○児玉(勝)政府委員 先ほどの安全逃がし弁のところのお話でございますが、これはケース一、ケース二と解析いたしましたけれども、ケース一におきましては、その圧力が十分に上昇する前に圧力のピークが過ぎますので、加圧器逃がし弁の動作設定値を下回ることによって逃がし弁は作動しないで済むということになるわけでございます。
 それで、その内容といたしましては、一次系の温度上昇によりまして圧力が上昇いたしますが、約三十五秒で原子炉圧力は百六十二・七気圧のピーク値に達します。しかしながら一方、加圧器逃がし弁動作設定圧力は百六十四・二気圧でございますので、この設定圧力に対してプラス・マイナス〇・七二気圧の範囲内で動作するということにこの弁はできておりますので、使用前検査においてもその辺の機能について十分検査しておりますので、開くことはないというふうに結論づけたわけでございます。
#117
○村山(喜)委員 大飯一号の場合には、この加圧器の水位というのは圧力と大体正常な働きをする場合には一致するわけでしょうが、それが加圧器の圧力の低下によりまして三分後にSCCEが作動をする、こういうようなことになるわけですか。
#118
○児玉(勝)政府委員 先生おっしゃるように、その三分後にECCS信号が発信されるということでございます。
#119
○村山(喜)委員 さきにはスクラムが働くまでの間が三十三秒ある、あるいはこのECCSが加圧器の圧力の低下によって作動する場合には三分ある。すると、この時間が、たとえば今度のスリーマイルアイランドの場合にはスクラムが働くまでの間にわずか九秒から十二秒ぐらいでああいう状態が発生をしたわけでございますが、一体その間は一〇〇%出力で炉は動いているわけでございますね、スクラムが働くまでの間は。その間におけるいわゆる放射能のそういう核分裂が続く間のベータ線とかあるいはガンマ線とかというような問題については、安全評価の上では問題はないということになっておりますか。
#120
○児玉(勝)政府委員 主給水が全量喪失いたしましてから三十三秒後に原子炉がとまるわけでございますけれども、その十五秒のときに加圧器逃がし弁が開きます。その弁が開きまして、そこを通じまして炉の中のいわゆる水蒸気とそれから加圧水が逃がしタンクに流れるわけでございます。したがいまして、いまおっしゃったように炉の中の水がじかに外へ出るということを言っているわけではないのでございます。それで、そこの表をごらんになっていただきますと、炉心上部注入系、これがECCSのUHIというものでございますが、それが百七十九秒で入るということになりまして、それでその後の話は、また要するに十分後にSl信号が発信されるということでございます。それで、先ほど先生おっしゃいますように三十三秒間フル出力で冷却されてないのかというお話でございましたが、そういうことでございませんで、これは正常に冷却されたまま三十三秒運転しておる、こういうことを言ったわけでございます。
#121
○村山(喜)委員 今度のスリーマイルアイランドの場合に、この緊急冷却装置の働きが本当に完全であったのだろうかどうだろうかということが疑問視されておるわけでございますが、大飯の場合には、まず第一に高圧系のポンプが注入をされて、そして第一次の冷却材の喪失事故の場合には高圧注入ポンプで充てんをする、そしてそれでも加圧器水位の維持ができない場合には蓄圧タンクの中から低圧のポンプで注入をする、それで破断面積が大きい場合にはECCSが働く、こういうような形の非常に段階別のそのような措置がとられるように聞いているわけでございますが、今度のTMIの場合には二分後に高圧注入系がオンされた。それで、それは炉心の中に確実に注入をされたのであろうかどうだろうか。というのは、蒸気発生器の状況がその場合にどういうふうになっておったのかわからないわけでございますが、これは設計の中では毎秒三十センチぐらいの速度で入るようになっておるけれども、三センチぐらいの速度しか働かなかったのではないだろうかというような見方があるようでございますが、スリーマイルアイランドの場合には、この緊急冷却装置の高圧注入系がオンをされた場合には注入ポンプが二台あったわけでございますが、それは果たして有効に働いたというふうに分析をしていらっしゃるのでありましょうか。高温のために中に入ることができなくて、その周辺をそういうような効果のない姿で水が散逸をした、こういうような報告も聞くのでありますが、そこら辺はどういうふうになっているのですか。
#122
○内田説明員 スリーマイルアイランドのECCSの一つであります高圧注入系ポンプの作動というものは、いま御質問のように非常におかしな作用をいたしまして、結果だけ申し上げますと、ECCSとしての作用はほとんどしなくて、充てんポンプとしての機能しか果たしていなかった、こういうことでありました。すなわち、けさほどもちょっと触れましたが、TMIで事故に入る前から加圧器の逃がし弁がかなりの量漏れておりまして、その漏れているものを補うために充てんポンプで加圧器のスプレーをほとんどマニュアルで吹きっ放しでございました。したがいましてボロンも減るということで、ボロンの維持に苦慮しておったということもありますが、そこに事故が起こりましたので、逃がし弁がさらにあきましても余り気がつかなかったというわけでありますが、高圧注入系が事故後二分で二台入りました。充てんポンプとしてすでに一台動いておりますので、三台が高圧注入モードとして事故の二分後に入ったことは多分間違いないと思います。しかしながら、一台目はその事故後四分三十秒、すなわち入りましてから二分三十秒後に、それからもう一台は事故後十分三十秒、すなわち動き出しましてから八分三十秒後にとめております。そのときのとめた判断に水位計の問題があるわけでありますけれども、とめた後また入れております。この高圧注入系のポンプは事故前にもかなり入れたり切ったり手動でやっております。そして事故の十分三十秒後に二台切られたわけでありますけれども、その後また入りまして、結局充てん高圧ポンプの三台が入った形でありますけれども、本来のECCSの注入のモード、すなわち低温側の配管に入ったのではなくて、全体の一次冷却系の水量の補給のような形で入った。つまり充てんモードで入ったということが最近明確になっております。したがいまして、ポンプそのものは動いたわけでありますけれども、本来のECCSの機能を果たさないような形でしか使ってなかったということでございます。その点がこの事故の一つの特徴でございます。
 以上でございます。
#123
○村山(喜)委員 時間がありませんので急ぎますが、この大飯一号機の場合には二次系の補助系が手動操作によって十五分後に作動された、こういうような形ですから、やはり最後は手動操作に頼らなければならないのだというふうに読み取れるわけでございますが、それは自動操作の基本となります安全設計の考え方からした場合には重大な欠陥を持っているのではなかろうかと思うのでございますが、その点はいかがでございますか。
 それから、制御棒のクラスター案内管の支持ピン、たわみピンの検査の結果をずっと見てまいりましたが、大飯の場合にはたわみビンはない炉の構造になっておりますね。それはああいうふうな大型出力であるし、また改善をされた結果たわみピンがない炉になったのかどうか知りませんが、関西電力の高浜二号機、たわみピンが合計五十五本、支持ピンが四十二本、九州電力の玄海一号機、たわみピンが二十本、四国電力の伊方一号機、たわみピンが十一本、支持ピンが四本、関西電力の美浜三号機、支持ピンが百六本、これは支持ピンだけ、それから美浜二号機の場合には、たわみピンが九本、これは五月十一日までの数字でございますが、検査結果として以上の数字が支持ピンあるいはたわみピンの故障という形で出ております。
 あるいはまた、大飯の場合に関連をいたしまして、高圧注入系のポンプのなにが壊れておったというようなことから、それは焼きが足らないからそういうようなことになったのだ、こういうことでございますが、たわみピンなり支持ピンなりを調べてまいりますと、どうもウエスチングハウス社の製品はよくて、日本の三菱重工業なりその他三菱金属社製、日立金属社製という国産の製品がやられている。一体これは金属の疲れが早くくるのか、あるいは焼きが足らなくて十分な素材として酷使に耐えられないようなものになっているのかというような問題点が残っているわけでございますが、それらの問題については安全委員会ではどういうふうに点検をし、それに対する評価をされて指導をしていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
#124
○牧村政府委員 まずECCSの稼働の問題について私からお答えいたします。
 現在の安全委員会の安全審査の基本的な考え方といたしまして、ECCSは自動で稼働させることを原則としております。それで、その自動がどうしてもできないときに最後のとりでに手動を許すという形で考えておるところでございます。したがいまして、今回の通産省が行いました安全性の解析を安全委員会が検討いたしましたときに、今度のスリーマイルアイランドの事故において、二号炉の操作においてただいま内田先生が御説明なさいましたようなECCSの稼働についていろいろな疑問点が出ておりますこと等も踏まえまして、安全委員会といたしましては、ECCSがもし入った後とめる場合には十分慎重に考えなくてはいけない、単に水位計のみを見ていてはいけません、炉の温度の状況等その他の炉内の状況を示すいろいろなデータを踏まえて、とめてもいいかどうかを判断しろということを通産省に指示したところでございます。
 それで、通産省の方ではそれを受けて、非常時における運転マニュアル等にそれを明記し、またそういう訓練をするというふうなことが通産省の方から各電力会社、特に大飯発電所にはすでに指示がなされたということになっておる次第でございます。
 ピンにつきましては、通産省の方からお答えをお願いしたいと思います。
#125
○児玉(勝)政府委員 支持ピンの問題についてお答えいたします。
 支持ピンの損傷の原因といたしましては、支持ピンの取りつけ時のいわゆる応力が過大であったのではないかということ、それから運転時の熱応力の作用、それから材料の熱処理条件が適切でなかったのではないか、そういうことが複合いたしまして起こったものと考えられております。特に国産品についてその条件が悪かったわけでありますが、特に熱処理条件の一つである溶体化処理温度が十分でなかったということが認められております。
 そういうことで、原子力安全委員会に五月十四日報告いたしまして、五月二十九日に開催されま体の全部の調査が終わるというお話なんですね。そうすると何カ月もないわけですね。これはやり方の問題ですからとやかく言うことじゃないですが、いずれにしてもこれは世界を震駭させた今回の大がかりな事故なんですね。それだけにわが国としてはすでに十数基の原発も稼働しておるわけでございますから、フォローして徹底した情報収集に当たり、分析に当たっていく。これが国民のそういう不安解消に向ける政府の取り組みの姿勢を示す一つの道ではないかと思うのです。別にこのアタッシェの人が力があるとかないとか私は言いませんけれども、それだけの専門家であるかどうかという点になってきますと、情報というのは、やはり専門家であって初めてこれがダイヤモンドであるのか石であるのかわかるのであって、その辺の判断ができなければだめで、ただ与えられた資料だけを見ておればいいのだ、そういうものではないと思うのですよ。ですから、それは専門家の皆さんがお考えになることでありますから、いいとか悪いとか私は言いませんけれども、そういう取り組みの仕方についてもう一度よく政府部内で検討された方がいいのではないか、このように思うのですが、その点、いかがですか。
#126
○牧村政府委員 先生の御指摘でございますので、安全委員会あるいは特別部会の先生方と十分御検討をしていただき、必要があれば再度派遣するというような措置もとっていきたいというふうに考えます。
#127
○近江委員 大飯原発の運転再開を認められたわけでございますが、当然安全委員会としてはいろいろな意見が出たと思うのです。最終結論は全会一致でやられたのか。その間当然、これは秘密事項になるのじゃないかと思いますけれども、相当反対した人もあると思うのですね。その辺、差し支えない範囲で、時間の関係もございますが、御披露していただければ非常にいいんじゃないかと思うのですが、いかがでございますか。
#128
○吹田説明員 安全委員会は行政とは一線を画しますし、政治的な要素その他のことはできるだけ考えないようにいたしまして、この問題を慎重審議いたしました。その慎重審議いたします場合に、いろいろな意見が出るのは当然でございまして、むしろ私といたしましては、いろいろな意見をその場で出していただきませんと、考え落としがありますと困りますので、いろいろなケースを考えました。あの決定は五人の委員の全員の同意のもとに決定いたしました。
#129
○牧村政府委員 大飯をとめましたときは、ただいま委員長は五人と申し上げましたけれども、内田先生がアメリカに調査中でございますので、四人の先生の全員の合意でございますので、訂正させていただきます。
#130
○近江委員 大飯原発を停止することを決定された、この直接的な問題点というのは、NRCが指摘しておりましたように、加圧器の水位計が正しい表示をしない、その結果、非常時にECCSが働かないというおそれがある、こういうことから停止をされた、このように聞いておるわけです。
 そこでお聞きしますが、この加圧器の水位計というものは、完全解析の結果信頼に足るものであったのかどうかということが一つです。
 それから、ECCSが事故発生直後に作動するよう改善する必要がなかったのかどうか、これが二つであります。
 それから三つ目に、大飯原発と同一メーカー製で全く同じECCSを持つ米国内の原発は、すでにこのECCSが原子炉圧力容器の圧力計の指示だけで作動するシステムになっているということが報道によって明らかにされておるわけですが、こういう点を知っておったかどうかという問題であります。
 この三つの点にお答えいただきたいと思うのです。
#131
○牧村政府委員 わが国のウエスチングハウスタイプの水位計の性能につきましては、通産省の調査、また通産省から安全委員会サイドに報告を受け、専門の先生に御検討いただいた結果、加圧器の水位計自身は十分性能がいいものであるということは判明しております。ただし、今回解析いたしましたのは、圧力逃がし弁があけっ放しになっておるというスリーマイルアイランドの事故を想定いたしますと、そういうようなときには、必ずしも水位計が炉内の水量を正確に示すわけにはいかないという結果が出たわけでございます。そうなりますと、水位計低で、並びに圧力が低になったときに日本の大部分のPWRはECCSが作動するという条件になっておる。したがいまして、このような特殊な条件では、日本の加圧水型原子炉におきましては水位計がやはり炉内の水位を正確に示さないということは当然考えられるということであるわけでございます。それに必要な解析を行ったわけでございますが、大飯の場合には、先ほどからも御説明しておりますが、アイスコンデンサーという特殊なコンテナの中の冷却装置を持っておること、それからUHIという上部注入の緊急冷却装置を持っておるというような特殊性から改善する必要はない、従来の自動起動の方式でいいという結論が出されたわけでございます。その際、安全委員会等で議論いたしておりましたときに、アメリカにおきますPWRにつきまして、Pのみ回路でやっておるところ、あるいは圧力と水位計の両方でとっておるところ、それから大飯みたいなアイスコンデンサーを持っておる原子炉におきましてもPのみの原子炉があること、それももちろん御承知の上でその解析結果を検討なさったというふうに私は了解しております。
#132
○近江委員 一応専門家の皆さんがそういう判断をされているわけですから、それ以上どうのということは私も資料を持ち合わせておらぬわけでございますけれども、アメリカの方ではまだ完全に調査が終わっていないという時点の中でゴーを出していいのかどうかという、そういう不安を非常に感じております。
 それで、今回の事故を見ておりまして、アメリカのNRCの果たした役割りというものにつきましてはそれなりに評価もできると思うのですが、万が一そういうことはないと思いますが、わが国におきまして同様のそういう事故が起きた場合、わが国に果たしてそういう事故調査等に当たる体制あるいは能力等、米国に比較した場合非常に問題があるのではないかと思うわけです。この事故調査というときにおきましては、メーカーであるとか電力会社あるいは官庁でもないいわゆる第三者による機関が当たる方が非常に安全に関する国民の信頼を得る道ではないかという声も強いわけでございます。英国等ではたとえばロイド協会等がある。西ドイツではTUVですか、技術監督協会ですか、こういうところが何かあったときには当たっていくというような体制になっているようでございますが、わが国の場合、そういう万一のことはないと思いますけれども、そういう点について問題はないわけですか。どのようにお考えですか。
#133
○児玉(勝)政府委員 従来の発電所の運転と違って非常な異常事態が発生した場合には、いま先生おっしゃいましたようないろいろな各方面の専門家の協力を得なければならないわけでございまして、当然日本の場合には監督官庁である通産省の検査官がそれにまず当たるということになろうかと思います。そういう意味で、ただいま本省には約二十名の検査官がおりますし、それから各通産局全体合わせますと大体百名近くの検査官がおりますので、まずそういう第一線を活用するというふうに考えております。
 また、この事故を機会に常駐の検査官というのを各サイトに一人または二人ずつ置こうか、こう考えておりますが、一番最初の異常事態のときにまずその検査官が活動するということから始まるのではないかと思います。さらに、われわれだけでは手に負えないといいますか、なかなか専門的な知識が足りないという場合には専門家の出動をお願いする。それから放射能関係の問題もございますので、放射能関係の測定の専門家、それから今度は防災計画の方に発展いたしますけれども、そちらの方の専門家の出動体制ということが必要であろうかと思います。そういう意味で、スリーマイルの教訓を生かしまして、専門家の集団が機能的にそういう問題の処理に当たれるようにしたい、こう考えております。
#134
○近江委員 いまお聞きしまして、思いつくままにおっしゃったとは私は思いませんけれども、やはりそういうものはきちっとやっておく必要があると思うのですよ。まだ正式にはできてないわけでしょう。どうなんですか。
#135
○牧村政府委員 実はこの問題に対しまして、アメリカの事故発生以来、事故対策をどうすればいいかということを検討すべきであるという総理の御指示がございまして、関係各省が集まりまして四月二十七日に当面とるべき措置というものを定めたわけでございます。そこで、主としてこの問題に関係ある通産省と科学技術庁は、ただいま児玉審議官が御説明しましたような体制について直ちに体制づくりを始めておりまして、ほとんどその骨格ができ上がっております。近く中央防災会議の方へこれを提出するという運びになることになっております。
 それから、先ほどの児玉審議官のお話に若干補足させていただきますと、中央におきましても安全委員会を中心とした緊急技術の助言組織をつくることを考えております。先ほどのお話に加えまして、安全委員会に関係各省並びに専門家を集めまして、国並びに地方公共団体等に的確に助言する組織をつくっていこうということで、これにつきましても現在安全委員会でほぼ御相談が終了いたしまして、人選に入っておるところでございます。
#136
○近江委員 このアメリカの事故が引き金でわが国もそういう体制がとられるようになった。わが国で起きなかったことは不幸中の幸いでございますけれども、いまも一応の組織があるわけですから、それで間に合わすということもあるわけですが、こういうアメリカの事故がなくても、いざという場合にはこういうことができておりましたというのが本当の体制だと私は思うのですよ。そういう点では、やはり後手を踏んでおるという姿がここに出ておると思うのですよ。大臣、どう思いますか。
#137
○金子(岩)国務大臣 御指摘のとおり、多少手抜かりがないとは言えないと思います。したがって、アメリカのあの事故が大変な教訓になりまして、防災体制もいま局長の説明のとおり早急に万全の対策を立てておるわけであります。
#138
○近江委員 そこで、ほかの委員からも質問が出たと思いますが、今回のこの事故を教訓としまして、今後の基本設計あるいは詳細設計あるいは安全審査、定期点検等のあり方につきまして今後このようにしていきたい、特にこういう点を改善していきたいという点につきまして簡潔にお答えいただきたいと思うのです。
#139
○牧村政府委員 今後の新しい原子炉の審査、設計、詳細設計あるいは運転マニュアル等につきましての問題点につきましては、実は安全委員会の中に事故対策の特別委員会をつくって、安全審査の関係の先生あるいは安全基準を議論いただいている先生、その他専門家を集めた部会をつくっておるところでございます。そこでいろいろ御意見をいただきまして、それを踏まえて安全委員会として適宜的確に対処していきたいというふうに考えておるところでございます。
 当面、現在稼働しておる原子炉につきましては、安全委員会の考え方としては、とにかく総点検を通産省に厳重にやってもらい、その点検の結果を聞いて安全委員会の御注文もいたしまして、それを踏まえて現在通産省が指示をしているところでございます。その指示が完全に守られれば安全は十分確保できるというふうに考えておるところでございます。さらに、既存のものであっても、改善すべき点が明確になれば改善していくという姿勢は、もちろん安全委員会としてもお持ちであるというふうに承知しておるところでございます。
#140
○近江委員 そういう点につきましては、幾ら時間をかけてもかけ過ぎることはないわけでございますから、ひとつ後心配ないように十分そういう体制をとっていただきたい。これは強く要望しておきます。
 それから、今回のアメリカの事故も、人為的なミスだとかいろいろなことが言われておるわけですが、最近では、そういうことよりも計器の誤った表示であるとかいろいろなことが言われてきておるわけでございます。いずれにしましても、この種の事故というものは、そういう操作ミスということも非常に大きな要因になってくるのではないか。
 この間もシカゴの方ですか、ジェット機が墜落しておりますが、あれだって設計自体にも当然重大な欠陥がある。しかし、点検等をやっておれば事前にそれは発見できたのではないかと思うのですね。そういう点で、幾ら科学技術が進歩したと言っても、やはりどういう不測の事態が起きるかもわからぬわけです。そういう点で、今後はさらに設計、改良、点検、いろいろやっていかなければならぬわけでございますが、同時に、操作する人の訓練が非常に大事だと私は思うのです。
 そこで、日常的な教育訓練については電力会社に任しておると思うのですが、その辺についてどういうような厳しい訓練をしておるのか。あるいはまた運転員といいましても、原子炉主任技術者というのは、これは監督者としておられるわけでございますが、いま大体お聞きするところ六百名のうち五十名ぐらいだ。あとはいわゆる社内教育でやった人が従事しておる。こういう点について、国家試験制度等を導入して、それだけの内容を持った人が当たるべきではないか、こういう意見も非常に出ておるようでございますが、そういう点について、政府としてはどういうお考えを持っておられますか。
#141
○児玉(勝)政府委員 マン・マシン問題については、まさに先生おっしゃるとおり非常に重要な問題であると思います。今度の総点検におきましても、安全委員会からも運転員の資質向上ということについて十分な指導をするようにと強く言われております。そして大飯の今度の再開に際しましての総点検の指示事項の中にもそれを第一項目として入れております。
 それで、運転員そのものも当然大事でございますが、責任者、飛行機で言いますといわゆる機長というような役目のそういう責任者の訓練も十分にやるべきである、こういう御指摘もいただいております。したがいまして、そういうような人たちの対社会的な責任という問題も一含めまして、そういう技術の向上という問題をどのようにして維持するかということであろうかと思います。
 それで、いま先生おっしゃいましたように、従来は各社内教育、それから各PWRまたはBWRの訓練センターにおいて運転技術の向上を図っているわけでございますけれども、今後はその運転の訓練のいわゆる年度計画というものを通産省に出させるということで、計画的な訓練をさせるということをまず保安規定の上で明らかにさせたいと思っております。
 それから、資格の問題でございますが、これも一つはそういう各運転員のいわゆる張り合いといいますか、そういうこともございますので、ただのんべんだらりとやっているのではなく、そういう資格的なかっこうで、生活的な保障を含めて、そういう制度を取り入れるということも考えられます。この点につきましては、アメリカでもそういうルールを採用しておりますので、外国の情勢もよく考えまして、日本の国のこういう保安運転の資質を維持する制度としてどういうのがなじむのか、十分検討した上で採用したい、こう考えております。
#142
○近江委員 これは資格を与えたからそれで十分かというと、そうじゃないのですね。たとえばパイロットもそうでしょう。現在機長であっても、定期的な厳しい訓練を受け、試験を受け、それでだめなら休まされる。そういう厳しい、以前取った免許がそのまま通用するという世界じゃないわけですよ。重大事故につながる、人命に大変なつながりがあるわけですから、そういうただ単なる資格をつくったからそれでいいんだじゃなくして、責任者は当然でありますが、またそれに従事する運転員に対しても絶えず技術の先端を勉強させる、そういうことがやはり大事なんですよ。いま私が申し上げたパイロットの例にならって、その辺についてはどのように考えていますか。
#143
○児玉(勝)政府委員 先ほど申し上げました年度初めに定期的な訓練の計画を出させるという中に、いま先生おっしゃいましたような再訓練の日程をもちろん入れて考えなければいけないと思いますし、また資格を考える場合には、そういう資格のいわゆる技術を維持する再訓練というものを十分考えていきたいと思っております。
#144
○近江委員 今回のアメリカの事故を見ましても、本当に短時間の間に次々と連動して重大事故という、そこまでいっているわけですね。ですから、これは本当に一人一人のそういう能力、技術の習得と同時にチームワークといいますか、これは非常に大事なことだと思います。政府としても、今後そこに働く方々の運転員に対する適性訓練といいますか技術の習得といいますか、そういう点については、いま計画を変えてやっていくということをおっしゃっているわけですが、速やかにそういうことを実施していただいてやっていただきたい、このように思います。
 それから先ほども私はちょっと述べましたが、今回のアメリカの事故については人為的なミスだと当初言われておったわけですが、いわゆる下院の委員会が、事故の主要原因というものは人為的なミスというよりも機器の不調と計器の誤表示が事故を引き起こした、こういう調査報告をまとめたということが伝えられておるわけです。この調査報告につきまして、政府それからまた安全委員長もお見えでございますから、どのように受けとめておられますか。
#145
○吹田説明員 その件に関しましては、単純な人為ミスとかあるいは機械のミスというふうに片づけることは非常に危険でございまして、やはり先ほどからいろいろ答えておりますようにマン・マシンの全体を考えて、そしてそのもとになりますデザインフィロソフィーというものから考えまして、機械ないし人がああいうときにはどういう動作をしたか、たとえば機械の誤動作あるいは機械自身が誤操作したようなものを人間が見る場合に、そういう誤操作であるとか誤動作であるということを認識しますとよろしいのでございますけれども、それが正しいと見ますと非常に誤ってまいります。つまり機械と人間とのその境界、領域というのは非常に重要だと思いますので、単純に機械のミスとか人為ミスとか言うのは少し早計だと私は考えます。
#146
○近江委員 政府の方はどう見ていますか。
#147
○牧村政府委員 私の方も、全くただいま吹田委員長がお答えしましたとおりでございまして、単に人為ミスでああいう事故が起きたときめつけるというようなことは、将来に対してきわめて禍根を残すもとになろうかと思っております。したがいまして、人間の思考と機械との結びつきをいかにしてうまくしていくか、運転マニュアルをどう改善していくか、あるいは機器の表示、コントロールルームの表示を人間がミスをしないようにどういうふうに配置するかとか、いろいろな問題がこれから出てこようかと思います。その点についていろいろ検討していって、今後原子炉の安全性をよりよいものにしていくという姿勢がきわめて重要ではないかと考えておるところでございます。
#148
○児玉(勝)政府委員 通産省におきましても、今回の事故に際しまして特別監査をやっておりまして、第一日目は運転要領または保安規定の検討というのが実際的にどうなっておるかということで、現場との照合ということに第一日目を費しました。
 第二日目には、その運転員の方々との懇談をいたしまして、往々にして運転要領とかテクニカルスペックというものが、メーカー側からの機械をお守りするためのいわゆる指示ということで、労働強化といいますか、そういう実際に運転する人たちの問題についてどれだけ配慮されているのかということについては非常に疑問でありますので、実際に運転をする人たちが機械を見たときの印象というのをいろいろ伺っております。そういうことで、運転要領というのは過大な義務を負わせているものなのかどうなのかということで、その辺の融合点を考えたつもりでございます。
 第三日目には、実際に運転をされている一チームにPWRの運転訓練センターに来ていただきまして、そこで異常状態の運転操作の実際的な動作というのを見せていただいたわけであります。そこでもやはりいろいろなデータ、いろいろな信号、それからいろいろな操作というものを次々とやりますが、それが実際上どのように組み合わせてやるかということを、私は参りませんでしたけれども、検査官が後ろにおりまして非常にきめ細かく見てまいりました。
 そういうことで、人間の判断というものと、それから機械の負うべき問題とをどういうふうに組み合わせるべきかということを、そういう問題を基盤にいたしまして、われわれとしても十分考えていきたい、こう考えております。
#149
○近江委員 検査官が通産省では二十名、それからいろいろな分野を入れて約百名ということを先ほどおっしゃっていたわけですか、この方々は、パイロットで言うならば査察操縦士みたいなものですね。一番技術もわかり、的確に指導もできる人じゃないとだめなんです。皆さん方の訓練はどうなっているのですか。肝心の検査官がわからないで指導なんかできないわけでしょう。それはいかがですか。
#150
○児玉(勝)政府委員 原子力施設の検査ができる者につきましては、まず原研の原子炉研修所で半年以上訓練を受ける、それから通産省の中で毎年再訓練をやっておりまして、そこで実際の検査の技術というもの、それから検査の心構え、そういうことについて常々教育しております。それから外国への留学もほとんどの者がしておりますので、そういうことからして原子力のいろいろな問題について各電力会社の原子力担当者とは対等に、かつ相当な議論ができるようになっておると思います。
#151
○近江委員 私ら素人がこういう言い方をするのは非常にどうかと思いますけれども、わからないだけに不安を持つわけです。ですから、電力会社に任せっきりになって、ただ上で決めたことをこうやってくれ、実際やっておることを見たってさっぱりわからない、こういうようなことではどうしようもないと思うのです。これだけの重大事故がアメリカにおいて発生しておるわけですから、これはわが国にとっても非常にゆゆしき問題だと思いますし、その点、政府部内において皆さん方自身がみずから十分訓練を受けていく、技術を習得していく、こういう努力をやっていただきたいと思います。これは一番肝心かなめだと思います。その上に立って、先ほどお話しになったこの点を充実していただきたいと思います。
 それから、防災対策、住民の避難等緊急時対策の防災計画、訓練状況等、この辺につきましては大丈夫ですか。どういうようになっていますか。
#152
○牧村政府委員 わが国の原子力発電所等で万一の事故が発生した場合の先生御指摘の事故対策につきましては、災害対策基本法に基づきまして措置をするよう法律の制度はすでにできておるわけでございます。国の行政機関並びに地方公共団体はそれぞれ防災業務計画等を作成しておるところでございます。原子力発電所あるいは再処理施設あるいは研究炉等が置かれております地区につきましても、すべての県が防災対策を持っておるわけでございます。したがって、その骨組みはすでにでき上がっておるわけでございますけれども、残念ながら、万一事故が起きたときにそれが果たして非常に効果的にワーカブルであるかどうかということは、今回の事故発生以来いろいろ検討してみますと、なお疑問の点があったわけでございます。
 そこで、先ほども御説明いたしましたけれども、総理の御指示によりまして関係各省が集まりまして、当面とるべき措置並びに安全委員会における専門的な検討をしていただくこと、それから国と地方公共団体がお互いに密接に協力し合える体制をつくろう、主としてその三つのことを定めまして、現在関係各省におきまして当面とるべき措置につきまして早急な具体化を検討しておりまして、科学技術庁、通産省においてはすでにその原案をつくり関係各省にお示ししておる段階でございまして、来月早々には成案が得られるものと思っておるところでございます。
 当面とるべき措置といたしまして決めましたことは、まず事故が起きたときに連絡通報がきわめて重要でございますので、国の機関及び地方公共団体と設置者との間の緊急時の連絡体制を、現在あるわけでございますが、再点検して、しかもそれがすべての関係者に周知徹底させておく必要がございます。いまの、たとえば科学技術庁の場合も、現在あるわけでございますけれども、この周知徹底は若干人がかわった後など的確にいってなかったということもあり、反省すべき点があったわけでございますので、その辺を再確認すべきであるということがまず第一点だと思います。
 それから第二点は、先ほど申し上げましたが、原子力安全委員会を中心とした緊急技術助言体制を中央につくりたいということでございます。ここで地方並びに現地に参ります専門家チームとの連携をよくとりながら的確な指導、助言が行えるようにいたしたいというのが第二点でございます。
 それから第三点は、緊急時に直ちに地方公共団体が行います防災対策をより充実させるために専門家チームを派遣するということでございます。まずこの問題につきましては、原子炉の事故の拡大防止ということは、昨年度の場合は通産省に主として担当していただきまして、それから事故によって外へ出てくる放射線の対策については、科学技術庁が地方公共団体を責任を持って助言、協力する専門家チームを派遣する。この構想につきましては科学技術庁においてはすでに組み上げておったところでございますが、それをさらに強化し徹底を図ることにいたしております。
 それから、緊急時におきましては当然モニタリングが必要になってまいります。しかし、現在の地方公共団体におきましては平常時のモニタリングを中心に行われておるわけでございますので、それだけでは不十分な面が多々あろうかと思います。そこで、緊急時に当たりましてはモニタリングをする要員であるとか器具の動員体制を再確認する。すでに用意されておりますが、詳細に再確認し、また強化をするということが第四点でございます。
 それから、現地の対策本部のもとで、放射線に関しまして、場合によりましては治療診断等が行われる必要がございますので、医療機関を明確にするなど、医療体制の再整備をするということでございます。科学技術庁の役割りは、幸い放射線医学総合研究所を持っておりますので、そこの医師並びに看護婦を緊急時には派遣するということを含めまして、現在地元の都道府県との間にいろいろこれから御相談申し上げていくというふうにしておるところでございます。
 それから、安全委員会におきましては、こういうような活動をするのに必要な技術的ないろいろな指標につきまして、果たしていま日本が持っております指標でいいかどうか、一応の指標を持っておるわけでございますが、これに対しましてなおワーカブルではないという御批判もございますので、そういうような技術的な問題につきましてはやや時間をかけまして検討をお願いし、逐次防災対策に役立てていきたいということで御審議をお願いしておるところでございます。したがいまして、当面は専門家を派遣してそういう的確な助言を地方公共団体等にしてあげるということでやっていこう、それからこういうことを進めますに当たりましては地元との連絡がきわめて重要でございますので、われわれ成案ができ次第関係都道府県と御相談申し上げるということを考えておるところでございまして、すでに一部の県等につきましては具体的な御相談に入っているというのが現状でございます。
 以上でございます。
#153
○近江委員 今後は従来以上に原発地点の住民の皆さん方の意思も十分尊重するということは非常に大事だと思うのです。そのために政府であるとか電気事業者がどういう方法をとったらいいかという問題であります。今回の事故につきまして、原発立地地点に対して、だれが、いつ、だれに対して、何回どういう内容のものについて説明してきたか、いままでとってこられたケースについて簡潔に御説明をいただきたいと思います。
#154
○牧村政府委員 ただいま手元にございませんか、私の知っている範囲では、福井県につきましては、すでに数回にわたりいろいろお話し合いをしてきたところでございます。そのほか愛媛県、九州の佐賀県等からの問い合わせ等がございまして、それに対しては担当の者から的確に御返事をさせていただいているほか、通産省の方におかれましても、関係の立地地点の関係者の方を集められての会議等におきまして、私どもも参加いたしまして防災の考え方等も御説明しておるところでございます。
#155
○近江委員 これは立地地点に対して漏れなくやったのですか。
#156
○児玉(勝)政府委員 現在運転中の地点並びにこれから建設しようとする立地地点と合わせまして、そこの都道府県の関係者といいますか課長会議を開催いたしまして、その上におきましてスリーマイルの事故の内容の説明、それから防災の考え方というのをたしか二回にわたってやっております。
#157
○近江委員 多い少ないは別にして、今後ともそういうコミュニケーションを十分やっていただくことをお願いしたいと思います。
 それから、原発の安全対策に関しまして、こういう国際的な事故の情報網整備あるいは充実、技術交換の重要性、これは非常に大事なことでございますが、国内の原発に関するデータバンク――一々科学技術庁あるいは通産省に聞かなければならぬ。ところが、なかなか資料は出さない。われわれ委員会で言ってもなかなか出さぬわけでしょう。そういうことでこういうデータバンクの設置が非常に必要ではないかという声が高まってきておるように私は思うのですが、これにつきまして政府としてはどのようにお考えでございますか。
#158
○牧村政府委員 将来構想としてこういうものができていくことはきわめて大事なことであろうかと思いますが、現時点におきましては行政庁から安全委員会にささいな事故でございましても報告が行われるシステムがすでにとられております。その事故等につきまして、原子力安全委員会は月報というものを発行する計画を持っておりますので、当面その月報等に事故の概要――措置につきましてはあるいはおくれるかもしれませんが、その時点で措置がとられた場合にはその措置というものを逐次公表していきたいというふうに考えておるところでございます。
#159
○近江委員 この原発のいわゆる安全対策という問題は、今回の事故を通じて世界じゅうに非常に大きな衝撃を与えたわけですが、ちょうど東京サミットが六月下旬に開かれるわけでございまして、当然エネルギー問題は大きく論議されるんじゃないかと私は思っておるのです。安全対策という問題につきまして当然議題にもなるんじゃないかと思います。わが国で開催されるわけですから、わが国としてこの安全対策については議題としてむしろ大きく取り上げていくべきじゃないかと私は思うのですが、政府はどのように考えておりますか。
#160
○児玉(勝)政府委員 東京サミットにおきまして、エネルギー問題が大きなテーマになるということは先生のおっしゃるとおりかと思います。先ほどお話もありましたIEA閣僚理事会も五月の二十一、二十二日に開催されまして、その折にも石油の節約の問題と同時に原子力の開発、それから石炭開発、需要の拡大、そういうような問題も決めております。そういうことで先進各国とも共通の話題でございますので、原子力の安全の問題についても何らかの合意があるのではないかと思っておりますが、ただいま先生おっしゃいますように、日本の国かそのリーダーとしてその提案をするかどうかにつきましては十分各国と相談の上対処したい、こう考えております。
#161
○近江委員 ただ、各国からこういうことをやろうじゃないかという呼びかけがあって、それは日本も当然そうですという消極的なことではなくして、当然準備会議は何回もなさっていると思うのですが、特に天谷さんなんかその中心でやっておられると思うのです。当然これは大きな問題であるとわが国として提言すべきだと私は思うのです。その点はいかがですか、大臣。
#162
○児玉(勝)政府委員 原子力の推進は何と言っても安全第一でございますので、そういう点につきましては、原子力平和利用の盟主であるわが国でございますので、そういう意味で提案するような立場になりたい、こう考えております。
#163
○近江委員 先ほど田畑さんもおっしゃったように、安全問題というものは一番大きい問題だとほくは思うのです。そういう点でサミットにおいてはそういう方向でやっていきたいという答弁があったわけですが、国民の前で、安全に関する専門家による徹底的ないわゆる討議をしてもらう、たとえば中央シンポジウム等を開催する、こういうような点について私は大いにやるべきだと思うのですが、いかがですか。
#164
○牧村政府委員 安全委員会が発足いたしましてから、この問題は一つの基本的な方針としてすでに先生御指摘のようなシンポジウムをぜひ開催したいということで鋭意準備中でございます。しかしながら、実は今回の事故が起きましてこの二カ月非常に多忙でございまして、若干そのための準備がいま手つかずになっておりますけれども、私はこの事故の原因等が判明したところで、そういうシンポジウムの一つの課題とすることは当然考えられることではないかと考えておりますので、安全委員会等にお諮りしつつ対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#165
○近江委員 同じことにつきまして、吹田安全委員長の方からお聞きしたいと思います。
#166
○吹田説明員 いま局長からお答えいたしましたように、安全委員会といたしましても、初めから公開ヒヤリング、公開シンポジウムというのを非常に重視しておりまして、それをどういうふうに進めるかというのを実は議論しておりましたときにこういう事故が起こってまいりまして、今後も、少し落ちつきましたならば、それにできるだけ精力を注いで実現いたしたいと思っております。
#167
○近江委員 ぜひそれはやっていただきたい、このように思います。
 それから、今回の事故が起きまして、それまでも国民は非常に不安を持っておりますし、われわれも大きな疑問を抱いてきたわけでございますが、今後の原発のいわゆる開発の計画でございますが、昭和五十二年六月六日の長期エネルギー需給暫定見通し、これを見ますと、昭和六十年度で促進ケース三千三百万キロ、対策現状維持ケース二千六百万キロ、このようになっておるわけでございますが、今回の事故というのは非常に大きな影響を与える、私はこのように思っておるわけですが、安全という点におきまして石橋をたたいて渡っていく、こういう観点からいきましてこういう二つのケースが出ておるわけですが、こういう点見直しをして、今後どういうスピードといいますか、状態で進んでいくのか、この点についてどのようにお考えですか。
#168
○児玉(勝)政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、原子力開発につきまして今度のスリーマイルの事故が非常にムード的にディスターブされるような雰囲気になったということは否めない事実でございます。しかしながら、日本の国の原子力に期待する問題、すなわち日本の国のエネルギーの置かれている状況というのは非常に厳しいわけでありまして、やはり石油の情勢からいきましても、イランの問題等々、油の量の問題を含めまして値段の問題にも非常に大きな問題を含んでまいりまして、そういう意味で石油のウエートをなるべく少なくして、日本のエネルギーの体質をよくするということがやはり大きな問題であることには変わりないと思うわけでございます。
 そういう意味で、石油の量を減らすということに対しまして、原子力はやはり大きな担い手でありますし、またLNGとか石炭とかというようなものに脱石油の分を負担させるにいたしましても、やはり非常に多くの部分を原子力が負わなければならないということは事実でございます。そういうことでやはり安全第一で原子力の開発を進めなければいかぬ。その安全第一でということの国民的コンセンサスをどのようにして得るかということは、やはり現在の千二百万キロの原子力発電所をりっぱに運転してみせる、そういうことがまず第一歩の考え方であろうし、またいまのところ約二千八百万キロの原子力発電所の建設が望まれておりますけれども、それでさらに数百万キロによって昭和六十年には三千万キロに達したい一こう考えております。三千三百万という一応計画を立てておりますけれども、大体一年おくれぐらいで達成できるのではないかとわれわれは考えておりますが、道は非常に険しいわけでございますが、険しいからといってこの道を避けるわけにはいかない、こう考えております。
#169
○近江委員 大臣も同じ御意見ですか。
#170
○金子(岩)国務大臣 御指摘の御意見に全く同感でございます。
#171
○近江委員 しかし国民は非常に不安を持ってこれを見ておるわけですから、そういう点、ただこの開発促進である、石油が非常に逼迫してきておる、こういうことでやむを得ないじゃないか、そういう流されていくことであってはならぬと思うのですよ。ですから従来以上の安全対策というものについては、これは政府としては形だけではない、真剣な取り組みをしなければいかぬと思うのです。その点について、もう時間もあと五分ちょっとしかないのですけれども、そういうことで特にまとめとして、いままでずっといろんな答弁をしていただいたのですが、今後こういう目標については変えないでこのまま進みたいとおっしゃっているわけですから、政府として、特に力を入れたいという点について、簡潔にひとつ御答弁いただきたいと思います。
#172
○金子(岩)国務大臣 特にアメリカの事故が起こりまして以来、安全対策はもちろんのこと、防災対策についても政府、地方公共団体も含めたいわゆるとりあえずの取り急いだ対策あるいは中期対策といったような仕分けをしまして、全省庁が全力を挙げて、そういうことがあってはなりませんけれども、万々一事故があった場合はということも想定いたしまして、防災対策もいわゆる住民の安心のいくような対策を立てようとして努力をいたしております。そう日にちはかけなくて結論が出るようになっておるわけでございます。
#173
○近江委員 そう日にちをかけないで結論が出るというのは、どういう結論が出るか知らぬけれども、そんなに簡単に結論が出るものではないのですよ。日々新たに毎日前進して、真剣な取り組みをしていかなければいかぬわけでしょう。そういう点、長官がおっしゃったのは一つの対策の青写真といいますか、そういうことをおっしゃったと思うのですが、それに基づいてまた実行していくという点になってきますと、これは並々ならぬものがあると思うのです。そういう点、いずれにしても私が申し上げたいのは、計画の見直しをしないでこれでいくとおっしゃっているわけですから、いままでのような取り組みの姿勢であってはなりませんよということを言っているわけです。真剣な取り組みをやっていく必要があると思うのです。それがためには、こういう計画はおくれてもやむを得ぬ、このように思います。そういう点で十分なひとつ取り組みをしていただきたいと思うのです。
 きょうは天谷さんのかわりに審議官に来ていただいておりますので、最後に一間だけお聞きしますが、今回のサミットにおきまして天谷さんがいわゆるエネルギーの中心になって取りまとめをなさっていくということを聞いておるわけでございますが、いわゆる天谷計画といいますか、わが国の計画といいますか、こういう点で目玉として何を提案されようとしておるのか、この点について一点お聞きしたいということであります。
 それから、代替エネルギーの開発導入の促進についてエネルギー開発導入促進臨時措置法というものを計画しておられるということも聞いておるわけですが、それについて計画されておられるのかどうか、この二点について簡潔にお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#174
○沢田説明員 まずサミットでございますが、サミットで五つの課題を持っておりますけれども、その中で、エネルギー問題がやはり一番重要な議題になると私ども考えております。とりわけ現下の情勢、それからこれからの中長期を展望いたしますと非常に険しい情勢が予想されますので、今回のサミットにおきましては、石油問題のみならず代替問題を含めて十分な首脳間の検討が行われることを期待しております。
 エネルギー対策といたしまして、特に目玉と申しますか、非常に即効的なものはなかなかないというのが現実かと思います。われわれは、むしろじみちな代替エネルギーの開発に向かっていかなる方法を早くとるべきかということを首脳間で議論すべきだと存じます。
 それから、お尋ねの第二点の代替エネルギーの開発問題でございますが、現在検討中でございます。八〇年代を考えてみますと、節約も必要でございますけれども、まず一つは代替エネルギーを開発することが最も重要なことだと思います。
 その中に二つございまして、まず第一は、石炭とか、原子力とか、そういった石油にかわるエネルギーになるべくエネルギー源を転換していくことが一つ考えられます。それから第二に、もう少し長い目で見まして、技術的に見て新しいエネルギーを開発する、代替エネルギー技術を開発していくことが必要かと思います。
 そういった点で、現在法制あるいは税制を含む財源を考えます場合に、やはりいまのこの時期において十分見直してみる必要があると思います。財源問題も含めまして、現在通産省におきまして検討を進めておるところでございます。いましばらく時間をいただきたいと思います。
#175
○近江委員 児玉審議官、何か補足があったらちょっと言ってもらいたい。
#176
○児玉(勝)政府委員 ただいま国際資源課長の方から申し上げましたとおり、サミットにおきましても、このエネルギー問題は非常に重要な課題でございます。その点につきましては、先ほど先生から言われましたように、主催国として恥ずかしくない提案をしたい、こう考えております。
 それから、代替エネルギーの問題につきましては前からいろいろ問題になっておったわけでございますけれども、まさにエネルギー事情は予断を許さない時期に参りましたので、そういう点において国民の支持を得まして、新しい財政機構というものの方向を考えてみたい、こう考えております。
 よろしくお願いいたします。
#177
○近江委員 どうもありがとうございました。
#178
○大橋委員長 次に、吉田之久君。
#179
○吉田委員 今度のスリーマイルアイランドの事故によりまして、関係者の皆さん方も大変御心労のことだと思います。国民もいまこれを注目しているところでございます。
 ただ私は、先ほど来の質問と答弁を承っておりまして、吹田安全委員長の御心労のほどはお察し申し上げますけれども、どうも委員長のおっしゃることがわかるようでわからない点がございます。この前十九日にお伺いしましたときにも、今度のこの事故というものはしょせん人間と機械のミスマッチである、あるいは先ほどデザインフィロソフィーの問題に突き詰めたところなるのではないかというようなお話でございますけれども、そういうフィロソフィーの世界、哲学の世界に逃げ込むというと語弊がありますけれども、そういう一つのテーマになってしまいますと、国民というものはますますわからなくなるわけであります。
 私どもは、しょせん今度のスリーマイルアイランドの事故というものはきわめて初歩的なミスの重複によって生じた事故だというふうに考えているわけでございますが、そういう点でもう少し厳しい科学的な追求という姿勢を終始持ち続けられないと、この原子力の将来に対して国民自身がいよいよ戸惑うのではないかというふうな気がするわけでございます。その辺、委員長のお考えをお伺いしたいと思います。
#180
○吹田説明員 私がデザインフィロソフィーと申し上げましたのを非常にむずかしいようにおとりになっているのでございますけれども、もっと簡単に申し上げますと、メーカーによってデザインに対する考え方が違いますということでございます。ですから、私の言うデザインというのは、人も機械も含めた全体を考えてやる必要があろう、それでございませんと、TMIの事故をわれわれが整理して、それを日本の安全規制に何らかのかっこうで反映しようとする場合に、そういうまとめ方をいたしませんと、非常に末梢的なことだけが取り上げられまして、真に日本の原子力発電の安全性を向上するためにはどこか抜けたところが出るのではないかという意味で、やはり全体のながめ方、考え方をまとめる必要があるということを実は強調いたしまして、実際それを具体化する場合には、人間の方に重点を置くとか、機械に重点を置くとか、もう少しわかりやすくなりますけれども、われわれといたしましては、そういう統一的な考え方が必要だということを少し強調したわけでございます。
#181
○吉田委員 私はいまの御説明であると少し理解できるわけなんですが、そういたしますと、委員長自身は、現在の各メーカーのデザインそのものは余りに人を過大に信じ過ぎているというところで手抜かりがある、そう判断していらっしゃるのかどうか。あるいはデザインそのものにさらによほど綿密な検討が高度に加えられないと、この状態では依然として人とのミスマッチが間々起こり得る、こういう断定をなさっているのでございますか。
#182
○吹田説明員 実を申しますと、アメリカでああいう事故が起こりまして、あれほどの人為ミスがどうして起こるのかというのを最初は非常に不思議に感じまして、それをだんだん煮詰めてまいりますと、前にも申し上げましたように、デザインの考え方というのが各社によって違うのだ、そういうことに到達いたしまして、それでまとめてみますと、ああいう機械の設計あるいはオペレー亀がああいう動作をするのも、あるいは先ほどから内田委員が報告しておられましたように、これまでのいろいろなトラブルというのをかなり整理をしてみますとそういうことになるということでございまして、私は一つの整理の仕方としてそれを申し上げました。
 実際具体的にどういうものになるかというのは、ここにあります特別委員会でワーキンググループをつくりまして、たとえばこれを基準にどういうふうに問題を持っていけばよろしいか、それから運転にはどういうものがよろしいか、あるいは安全研究についてどういうふうにわが国として取り上げたらよろしいかというふうにしてまいります。そこで検討することになっております。
#183
○吉田委員 事実アメリカで事故が起こったわけでありますし、よほどそれが作為的な事故でない限り、委員長のおっしゃる点はアメリカに関しては確かに言い得るかもしれないと思いますけれども、私は、われわれの考え方の中にアメリカに対する過信があり過ぎて、アメリカでさえ事故が起こるのだから、これは日本では大変だというふうに動揺し過ぎるということも少し危険な要素ではないか、考えるべき要素ではないかというふうに思うわけでございます。なぜかと申しますと、この問題につきまして、もちろん委員長初め、われわれ、皆さん方、大いに心配しているわけでございますけれども、だれよりも一番この問題と深刻に取り組んで、そして思い詰めて原因を検討しているグループがあると思います。それは原子力発電所で働いている電力の労働者であると思います。自分のことでございますからね。
 実は、その電力の労働者が組織いたしております電労連がスリーマイルアイランド事故に関するわれわれの見解というものを最近まとめました。ただいままだ草案のところでございますが、私はそれをきのういただきました。この人たちが申しますことは、「現時点までに、米国原子力規制委員会(NRC)および、わが国の原子力安全委員会などが発表した事故経過ならびに分析によれば、代表的な起因事象として、二次給水系のトラブルにより、主給水ポンプの停止を発端に、補助給水ポンプ出口弁の閉止、加圧器逃し弁が吹き止まらなかった等の要因があげられており、機器が正常な作動状態におかれていなかったことなど、保安基準・運転要領に基づいた適切な措置が講じられなかった等、わが国の発電所の設備、またわれわれの運転操作の常識からは到底考えられない疑問な点が多い。」、こう言い切っているわけであります。単に主観的に言っているわけではありません。彼ら自身、専門家が現地に調査に赴きまして、そして得た結論がそうなのでございます。
 われわれは、今度のこの事故を一つの教訓としていろいろ措置すべき、再検討すべき点はいっぱいあると思いますけれども、この事故が直ちにわが国においてあすにでも起こりかねない事故だというふうに短絡的に考えることはいささか間違いが多いのではないかと思います。今日の日本の労働者というものはもっとシビアに運転操作に取り組んでいると私は信じているわけでございますが、委員長はいかがでございますか。
#184
○吹田説明員 私もそのように思っておりまして、日本ではこれまでもそういう訓練を非常にやってまいりましたが、やはりアメリカのああいう事故を教訓といたしまして、一層そういう保安規定その他を強化することによりまして、わが国の原子力発電所の安全性を高めることになろうかと思います。これまでも日本のそういうのは確かに相当よくやっておったと思います。
#185
○吉田委員 たまたまアメリカで起こった一つのミスでありますけれども、それを契機としていろいろと安全点検や解析をすること自身は大いに結構なことだと私は思います。しかし、果たして大飯一号をとめなければならなかったのかという点でございます。特に最初委員長は、これはアメリカで生じた事故であって、直ちに日本の原子力の安全の根幹をゆすぶるものではないという見解を表明されて、それからしばらくして大飯を停止された。やはり国民から見ますと、それほど危険なのかという点で、原子力に対するあらぬ恐怖感というものが一挙に噴き出たということは否めないと思うのです。
 一方、諸外国におきまして、同じこの事故を見ながら、諸外国が運転を停止してまでそういう安全解析にかかったかどうかという点もこの際比較検討されなければならないと思います。その点では、今日の時点ではいかがお考えでございますか。
#186
○吹田説明員 三月三十日の私の談話の内容でございますが、あのときは、日本の原子炉というのは実際こういうふうにやっておりますよという実態を示しまして、そしてアメリカのああいう事故を教訓にすると、いま早速再点検――あれに書いておりますのはもう少し広い意味の再点検でございますが、そういうのをやるべきであろう、そういうところでウエスチングハウスとNRCとの、つまりECCSの手動による起動でございますが、そういう問題が出てまいりました。これが日本でそれに対する十分なデータがございませんでしたら、ああいう措置はあるいは変わったかもわかりませんが、あの時点におきましてはその手動がどのくらい時間の余裕があるのか、そういうのがわれわれとしてはECCSの起動は自動的であるという原則に立ってあれを考えました場合に、やはり安全委員会としては安全なサイドに持っていくというのか私たちの姿勢でございまして、通産省が大飯をとめるという申し出がございましたので、私たちはそれに同意したのでございます。
#187
○吉田委員 われわれの聞いておりますところでは、西ドイツの場合、ニュースを聞いて直ちに高官をアメリカに派遣して検討の上、とめる必要はないと決めた。あるいはフランスの場合には、ECCSが働いておかしくなったときはマニュアルに切りかえることが必要だ、その手引書を検討しようではないかということになった。御本家のアメリカは、同様の発電所は注意しながら全部現在動かしておる、こういう状態でございます。
 われわれはすでに済んだことでございますからとやかく申しませんけれども、何か日本の安全委員会は少し動揺なさったような感じをやはり外部に与えております。あるいはいささかオーバーアクションのきらいがあるのではないかという批判めいた言葉もなしといたしません。したがって、私たちは今後こういういろいろな事態を望むわけではございませんけれども、絶えず安全委員長初め安全委員会の皆さん方は、確信に満ちた毅然たる態度で、しかも徹底的に安全を追求していく、やはりこういう姿勢を堅持していただかないといけないのではないかというふうに思うわけでございます。
 ところで、五月十九日に安全委員会が安全宣言をなさいましたけれども、それからきょうまでどのような経過をたどっているか、すでに各委員からも御質問がありましたけれども、その概要と、特に大飯の再開の見通しについて、さらに具体的に予測し得る点があるならば申していただきたいと思います。
#188
○児玉(勝)政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、大飯原発の解析結果につきましては、五月の十九日に安全委員会からその結論をいただいたわけでございます。その後、科学技術庁が安全委員会の事務局としてのお立場、それから防災計画を指導される立場ということで、科学技術庁と通産省と相携えまして福井県に参りまして、二十四日に福井県に御説明し、二十五日に大飯町で御説明をしております。さらに、二十八日に福井県の環境特別委員会の全員協議会で御説明をさせていただいております。
 そういうことで、安全問題並びに防災問題について逐一県と協議、御説明をして御理解を得ているところでございまして、県といたしましては、あといろいろ防災計画であるとか安全問題についての諸施策であるとか、そういうことについていろいろな手続を踏まれて、その後再開について十分了解をしていただけるものだ、そういうふうに期待しておるところでございます。
#189
○吉田委員 私どもは、県の技術顧問会議の方々の御意見といたしまして、ECCS動作後一定時間内は手動操作ができないように自動阻止させること及び手動弁の中央制御室で開閉表示させることなどについての回答を求めておられるやに聞いておりますけれども、そのとおりでございますか、また、それに対する国の考え方はいかがでございますか。
#190
○牧村政府委員 先生御指摘のとおりでございますが、先生御指摘の二つの問題につきましては、いま直ちに顧問の先生の御指摘をやるのがいいのかどうか、これは慎重な検討を要する問題でございます。たとえばECCSが動いてそれをとめるのを自動にしなさいというような、簡単に言いますとそういう御意見でございますが、果たしてそれが一番安全な方法なのかどうか、そういう問題もございます。あるいは技術が開発されればそういうことも可能になってくるかもしれません。そういうことで、安全委員会の審査会の先生方とも御議論いただきまして、大体同様の意見に落ちついておりますのは、これは長期的な問題として安全委員会側でも十分検討してもらいたいのだというようなことでお答えすることで御了解を得ておりまして、近々県の御要請によりまして御返事を出すということにいたしておるところでございます。
#191
○吉田委員 よくわかります。確かにその辺が今後の研究課題のポイントであるかもしれませんから、そういう点で大いに衆知を集めて、その示唆に対して的確に対応されるような御努力を願いたいと思う次第でございます。
 特に現地におきましては、防災計画が一番重要だと思います。地上、空中等の緊急モニタリングあるいは連絡通報システムあるいは避難誘導方法、こういうことについてもさらに具体的に策定してほしいという要求があるやに承っておりますけれども、これに対しての今日現在のお考え方はいかがでございますか。
#192
○牧村政府委員 ただいまの先生の御趣旨の中には、これから専門家の間で十分議論をしていかなければならない点もないわけではございませんが、私どもとしては、事故が起きたらば関係各省協力しまして、直ちに専門家を現地に派遣いたしまして、県の行います防災計画を責任を持って指導助言していくという体制をつくります、また中央においては、安全委員会が地方に派遣された専門家あるいは地方公共団体、国等を助言する組織をつくって、それにさらに万全な措置を講じますというようなことで、そのほか当面とるべき措置として決めましたことについて、十分御説明をしておるところでございます。当然先生御指摘のような問題を地方の防災計画の中に織り込まなければならないわけでございますが、それをよりワーカブルにするような方策をぜひとっていきたい。
 それから、中長期的に必要な技術的な検討課題については、いま安全委員会の専門部会で鋭意検討を始めたところでございますので、その結論が出次第、その結果を防災計画の中に盛り込んでいくという対処方針で臨みたいと考えているところでございます。
#193
○吉田委員 よく地元の方々の要望に対して対処され、また不安を少しでも早く除去するために一層の御努力を願いながら、再開を早める努力をしていただきたいと思います。
 しかし、長官あるいは委員長に申し上げたいのですが、このような経過をたどりまして四月十四日に停止命令が出まして、通産で二週間、科学技術庁で二週間、現地説明が三週間ないし四週間かかる見込みでございました。合計八週間、大体二カ月ブランクになるわけであります。ことほどさように、この種の問題というのは、一たんとめてしまうとなかなか再開が容易ならぬ問題であろうと思います。したがって、今後の電力の需給状況などを見通しますときに、国民全体にとっても非常に深刻な問題が惹起いたします一つの要因にこの種の問題がなり得るということでございます。
 つきましては、美浜三号など、後のこれからの点検をどう対処していかれようとするのか、あるいは支持ピンやたわみピンなどの取りかえもいろいろ必要が出てきているようでございますけれども、その辺の解析や作業をできるだけ同時にやって、なるべく最短の時間で安全を追求し、再開を可能にするというような努力が精いっぱい払われなければならないと私は思うわけでございますけれども、その辺いかがでございますか。
#194
○児玉(勝)政府委員 PWRの定期点検がいま最盛時でございますけれども、その中でも、いま先生おっしゃいましたように、支持ピン、たわみピンの取りかえという問題が出てまいりまして、その支持ピン、たわみピンの原因調査が終わりまして、それの対応策ということで、実は一昨日安全委員会の原子力発電用炉部会におきましてその対応策を決定していただいたわけでございます。したがいまして、直ちに工事認可申請を出させまして、その上で支持ピンの取りかえ、たわみピンの取りかえということを直ちに実施させたいと思います。
 それで、このピンの発注を入れましてでき上がるまでに二カ月近くかかりますので、先生おっしゃいますように早急に着工させて、この工事の完成を待ちたいと思います。それにしましても、おのおのの発電所の当初の運転開始に比べまして約一カ月から二カ月ほどおのおの延びるという見通しになっておりますので、なるべく早くやるようにいたしたいと思います。
#195
○吉田委員 特に支持ピンの折損がいずれも国産品であるということは、われわれとしては非常に残念な事態だと思うのです。一体わが国の科学技術はどうなっているのだろうかと思わざるを得ないわけでございまして、その辺の原因ないしは今後の対策と申しますか、そういう点で、真剣な技術的な検討や指示が一体なされているのかどうかという点をお聞きしておきます。
#196
○児玉(勝)政府委員 支持ピンそれからたわみピンの折損の原因は、取りつけのときの応力が高かったこと、それから材料の熱処理条件が適切でなかったこと等が複合して起こったものと考えております。特に国産品については熱処理条件の一つであります溶体化処理温度が十分でなかったということが認められておりますので、この辺を十分に注意いたしまして、溶体化処理並びに時効処理をあわせて行いまして、それで割れ感受性の低い材料を生産して作製したい、こう考えております。
 こういうように大量に欠陥が出ましたのは、やはり当初の冶金に関する情報というのが少なくとも足りなかったのではないかということも反省しておりまして、海外の情報もあわせまして今後十分に追跡調査をしていきたい、こう考えております。
#197
○吉田委員 いまお話のとおり、今日の原子力発電の一番のウイークポイントというものは、そういう冶金とか機械工学の面に、はしなくもあらわれているのではないか。しかし、それも全体的な原子力発電の推進のために大変大事な部門でございまして、そういう点での御指導なども一層努力をしていただきたいと思うのでございますが、特にたわみピンにつきましては、輸入品の中にもそういう折損事故があるようでございます。日本のたわみピンで、かつ輸入品でそういうものが出たということは、当然海外にもいろいろな情報として伝わり、若干の影響を与えるのではないか。あるいは海外はこの問題についてどういう反応を示しているか、もしおわかりでしたら……。
#198
○児玉(勝)政府委員 たわみピンにつきまして、先生おっしゃいますように、輸入、国産いずれもございますけれども、海外にそういうようなたわみピンの損傷があるかどうかにつきましていろいろ問い合わせたわけでございますけれども、いまのところ海外においてそのようなたわみピンの折損事故はないと聞いております。
#199
○吉田委員 ちょっとおかしいですね。同じ製品が海外でつくられて、それで日本の原子炉でだけそういう折損が生ずるとするならば、何か取りつけの仕方がよほどおかしかったのか、別の要因が付加されて検討されなければならないと思います。その辺の研究も大いに必要ではないでしょうか。
 それから、この機会にスリーマイル島の事故と、それから国内で頻発しております支持ピン、たわみビンの折損、そういうものが時期的に一緒になっておりますから、それもこれも全部原子力発電というのは大変危険なものだ、いつ何が起こるかもわからないというような不安を国民に与えているように思いますし、私は与えても無理からぬ話だと思います。しかし、本質的に今度のスリーマイル島に起こった事故あるいは支持ピン、たわみピンの折損によるいろいろな支障、それが原子力発電所の事故として同一次元のものか、あるいはかなり違った異質のものであるか、そういう支持ピン、たわみピンの若干の折損事故が直ちにそういうスリーマイル島で起こったような大事故にはつながるのか、つながらないのか、その辺のところをどうお考えでございましょうか。
#200
○児玉(勝)政府委員 今回発見されましたような支持ピン、たわみピンの損傷は、制御棒クラスターのスクラム機能に支障が及ばないこと及び支持ピン及びたわみピンの折損は一次冷却材系統へ影響をしないということを実験で確認しております。したがいまして、今回のTMIの事故のようなものとは性格も違いますので、その点十分分けて対処することが可能であろう、こう思っております。
#201
○吉田委員 ですから、いろいろ今後の原子力の開発につきましては、いろいろな問題がもちろん惹起してくると思います。それに正しく対処して、正式に乗り越えて、克服して、そしてより安全を追求しながら国家民族のために原子力を完全に駆便していかなければならない、それがわれわれに課せられた課題だと思います。
 そういう点では、いろいろとこういう折損事故とか若干のトラブルが出てまいるでございましょうけれども、それはこの程度のものだ、それとこれとについてはそう動揺すべきものではない、しかし、直ちに可能なる点検を急ごう、こういう十分国民に対して行き届いた説明と指導というものがやはり要ると思うのでございまして、そういう点では、特に長官に私の考え方を申し上げて長官の御意見を承りたいと思う次第でございます。
#202
○金子(岩)国務大臣 いろいろと御意見を承った点は、御指摘のとおりでございます。
 いろいろ技術的なことは私は抜きにしまして、政治的に見まして、この事故の後の処理に大変手間取ってわが国の原子力行政に足踏みをさせたことはまことに遺憾でございます。しかし、できるだけ足踏みの時間を短くするように努力をいたしたいと思います。
#203
○吉田委員 以上で質問を終わります。
#204
○大橋委員長 次に、瀬崎博義君。
#205
○瀬崎委員 私は、五月二十一日と二十二日の両日、共産党の調査団の団長として大飯原子力発電所と高浜原子力発電所の調査に行ってきたわけであります。
 私どもの目的としたところは、スリーマイルアイランドの事故が日本の原子力発電所にどう生かされているだろうかということ、それから避難計画を含む地域の防災計画の検討がどうなっているだろうかということ、それからこの事故が起こって地元の住民の方々や自治体の生の声をお聞きしたいというふうなことがあったわけであります。
 そこで、まず大臣に伺いたいのです。地元で強く印象づけられましたのは、このスリーマイルアイランドの事故の教訓は何であるのかということがよく住民に説得されているのではなくて、むしろこの状態で大飯の原子力発電所の再開などがおくれたらこの夏場の電力危機は大変だということのPRが先行しているわけですね。もちろん私どももこの電力危機を放置しようなどとは思っておりません。しかし、ことしの夏場の電力危機の乗り切り方というのは、ただでさえ操業率の悪い原子力だけを当てにしなくても、その他多面的な対策がなければならないし、また、そうしなければ乗り切れるものではないと思うのですね。
 そこで、大臣はスリーマイルアイランドの事故に関連して、なお安全上検討すべき事項があっても短絡的にこの電力危機に対応するために運転再開を優先させる立場をとられるのか、それともこの際電力供給の問題については幅広い検討で乗り切ることとして、スリーマイルアイランドからくみ取るべき教訓のすべてをくみ取って安全問題を検討し尽くす、この立場を優先されるのですか。どちらの立場をとっていかれるおつもりですか。
#206
○金子(岩)国務大臣 私の原子力平和利用に対する基本的な姿勢は、たびたび申し上げておるとおりで、いまも変わってはおりません。やはり念には念を入れて、特にアメリカのあの事故の後、あの教訓をいかにして将来のわが国の原子力の開発に生かすかという見地に立ちまして、慎重な検討を続け、本当に安全性に自信を持ち、またあわせて防災対策もとりあえずのもの、長期的のもの、こういうものも一応の見きわめもつけたい、しかる後に原子力の平和利用に全力を挙げて推進を図りたい、こういう考え方でございます。
#207
○瀬崎委員 けさほど来の審議の中でいろいろスリーマイルアイランドの事故について御報告が出ているわけでありますが、その中で、私もメモ程度ですから多少のニュアンスの違いはあるかもしれませんが、環境への放射能の影響は非常に少なかった、あるいは公衆に与えているいろいろなトラブルは言われているほどではなかったとか、また燃料棒は溶けていないというふうな話が出ているわけであります。
 いただきました特別委員会の第一次報告書でも確かに炉心は溶融に至っていないということが明記されてはおりますけれども、その一方で「炉心の露出は事故中三回に亘って生じており各々数十分から数時間露出状態が継続したと考えられ、その間炉心は崩壊熱により加熱されていたと思われる。燃料棒は大幅に破損してガス放出を生じており」というふうなことが記載されているわけですね。
 このような燃料棒の大幅な破損というものは、溶融がなかったからといって軽く済ましてしまえる程度のものなのか、これ自体はきわめて重大な事故だと認識しなければならないのか、どちらですか。
#208
○牧村政府委員 先生おっしゃいますように、スリーマイルアイランドの事故で原子炉炉心の損傷の推定がNRC等で行われており、その点につきましては今回発表いたしました中間報告に記載しておるところでございます。おっしゃいますように、確かにこの燃料が一時空だきの状態と申しますか、数時間露出して燃料の相当の量が破損したということは、原子炉の安全を考えます場合にきわめて大きな問題点でございます。そのような観点から、ECCSの稼働の不安と現在の自動起動の条件では入らないかもしれないという疑問がNRC等から出され、手動によってでもやりなさいという指示がアメリカの事業者に出されたわけです。その辺について、われわれは手動というものを時間的な余裕が十分あれば認めたであろうかと思いますが、その当時、残念ながら日本にはそれだけのデータを持ち合わせてなかったというために、通産省の方で、大飯の問題につきましては炉を停止して十分な解析をやろうじゃないかということになったわけでございます。その解析結果からは……
#209
○瀬崎委員 そこまでは聞いているのじゃないのだ。この損傷は技術的に見て重大なものなのかどうかということを聞いている。
#210
○内田説明員 では私からお答えいたします。
 いま先生の御指摘のように、両方の記事はそのとおりでございまして、炉心の溶融はありませんでしたけれども、燃料がかなり壊れたということは非常に重大な事故でございます。しかし、その原因を考えますと、先ほど来申し上げておりますように、ECCSの高圧注入ポンプは、充てんモードのポンプとして長時間動かしたりとめたりした間欠的な運転しか行われてなかったということが大きな原因でございます。
#211
○瀬崎委員 この報告書では、燃料棒の破損状態について、燃料棒上部一・五メートル程度は相当破壊されたフラグメンテッド領域と推測されると書いてありますが、これは具体的にはどういう状況を言っているわけなのですか。
#212
○内田説明員 もちろん燃料が破損したとか、あるいは溶融しなかったということを直接圧力容器をあけて見ることができるわけではございませんが、燃料がかなり壊れたのではないかということは、圧力容器の中の温度計の指示から局部的にかなり温度が高かったということがまず第一でございます。
 それから、事故後、早速事故のシークェンスに沿いましてNRCも解析をしております。その結果、かなりの温度上昇があったということがわかります。また、圧力容器の中の圧力と温度の記録がございます。それらを踏まえますと、そこに書いてございますように、炉心のちょうど上の真ん中あたりがかなり崩壊したということが推定されるわけでございます。もちろん中を見ているわけではございませんけれども、その予測は十分当たっているかと思いますが、その予測が当たっているかどうかということは、また別の角度で言いますと、ゼノン133の放出量からも推定されているところでございます。
 以上でございます。
#213
○瀬崎委員 たとえば日経の記事で、その状態に当たることを表現したのじゃないかと思うのですが、「高さ三・六メートルの炉心の上半分の一・五メートルほどは、三万六千八百十六本もある燃料棒の被覆管が高熱のため裂けてささくれ立った破片がぶら下がり、まるでかさのように広がって逆ピラミッド型をしているので、冷却水の通過が九三%も妨げられ、流量が二百分の一に落ちている。」ということが出ております。こういうことも大体いま言われている推定から成り立つことなのですか。
#214
○内田説明員 そこの表現どおりのことを私はよく存じませんし、特にかさのようになったということはどういった推定からきたかわかりませんけれども、いま申し上げましたように温度、圧力の記録、それからその後の解析並びに放射能の放出量等からの予測から出ていることでございます。
 それで燃料被覆管は確かにかなり破損したと思います。破損しましたのが重なりまして一部局部的な流れを防いでいる。これをブロッキングと言っております。燃料被覆管の最高温度は多分千七百五十度以下であろうと言われておりますけれども、燃料被覆管がこういう事故状態で千七百五十度になったということはかなり大きな打撃でございます。
#215
○瀬崎委員 そういう状態の燃料露出が数十分から数時間続いた。数十分と数時間では大分違いがあるように思うのですが、もしも今回の事故についてさらに悪いケースを重ねて考えた場合、これは素人考えではありますが、たとえばこの報告書に指摘されておりますね。出口弁を閉じたまま運転に入ったのが間違いだと言われるのです。八分後にそれは開いたとなっていますが、この開くのがさらにおくれたということ、あるいは加圧器逃がし弁が開きっ放しで二時間二十分ほったらかしであった、これに気がつくのがさらにおくれておったら一体どうだろうかとか、あるいはECCSを入れたりとめたりしておるわけですが、この操作がもっとまずい状態であった場合、また格納容器の隔離がおくれておったということがありますが、さらにこれがおくれた場合、この燃料の大破損は溶融という事態に結びついていくべき性質のものだったのですか、そういう心配はなかったのでしょうか。
#216
○内田説明員 原子炉の安全は、申し上げるまでもなく多重の防護施設でもって何重にもの安全対策をとっておるわけでありますけれども、先生がおっしゃいましたように何重の安全なり何重の装置なりがすべてうまくいかなかった、そういうことを次々と重ねていきますと、要するに原子炉の中の水が全部なくてそのまま放置ということでありますので、多分溶けることになるのはやむを得ないと思いますが、そういうことがないように安全対策を十分しているわけでございます。
#217
○瀬崎委員 問題は、多重防護と言われることが果たして今回当たっているのかどうか、ここを私どもは大変心配するし、国民も心配していると思うのです。
 ちょっと大臣にも感想を伺っておきたいのですが、いま内田先生が言われました安全確保のための基本的な考え方、つまり多重防護についてはこう述べてあるのです。「第二の防護」のところで、「上述のような配慮にもかかわらず、運転中に何らかの故障や誤操作が発生するものとし、」つまり今回の場合は誤操作が幾つかあったと言われておるのですが、「誤操作が発生するものとし、そのような場合に対応して、多重的かつ独立的なバックアップ施設を設けたり、設備の破損の防止や事故の影響を少なくするための安全防護施設を設けるなどにより、大きな事故に発展することがないよう対策を」講じてあるはずなのですが、実はそういう第一のミスが第二のより大きな事故に発展し、そこでまたミスが生じて、それがまたより大きな事故に発展したので、決して事故を小さくする方向に働いていなかったように国民サイドでは受け取れるのです。大臣、そういうふうに今回の事故を見ていらっしゃいませんか。これは素人の立場から一度率直な考えをお聞きしたいのです。
#218
○金子(岩)国務大臣 私は全く素人ですから、いまの瀬崎先生の質問でありますけれども、私は素人であるが、これをどのように判定しておるということを申しますとね。素人ですから、その方は安全委員会にすべてお任せして御検討願っておるのでございます。私から余り物をはっきり言うことは適当じゃないのです。
#219
○瀬崎委員 素人は素人なりに、私どももそうですが、やはりこういうものを率直にながめて、どういう点を国民は危険と感ずるかを大いに論議しなければならないと思う。それでこそ初めて国民の理解というのが生まれるのじゃないでしょうか。科学技術庁長官として安全の面は私が責任を持つのだとこの前の委員会でおっしゃっている方がコメントを避けるということは非常に残念だと思います。
 さらに、この報告書を私も念入りには読む時間がないのでありますが、こういうことが述べてあります。このスリーマイルアイランドの原子炉は飛行場に非常に近かったということが書いてありまして、そのために格納容器が特別に厚いPSコンクリート製であることが特徴の一つである、これが今回の事故の影響の緩和に一部役立っている、こういうことなんです。具体的には一体どういうふうに緩和に役立ったのか、ここを少し教えていただきたいと思うのです。
#220
○内田説明員 そこに緩和に役立っていると言いますのは、格納容器がコンクリート製でありまして、格納容器の厚さが飛行場に近いという対策上かなり厚くなっているわけであります。いまそのはっきりした数値は覚えておりません。したがいまして、格納容器の中に今回のような放射能が多量に出ますと、放射線の遮蔽効果がかなりあったということでございます。そのことを指摘しているわけでございます。
#221
○瀬崎委員 そうしますと、逆に言いますと、たとえばわが国のように大体鋼板で囲ってあった上に建築用のコンクリートでつくられているというふうな場合ですと、このスリーマイルアイランドよりはもっともっと放射能の影響が外部に強く出たであろう、こういうことが言えるわけですか。
#222
○内田説明員 ただいま両者を比較して、日本の格納容器のコンクリートの厚さ対遮蔽の問題について詳しい資料は持っておりませんが、放射能の放出には関係ございませんで、放射線が格納容器の中にかなり出たとすれば、それの遮蔽効果が厚さによって影響する、こういうことでございます。
#223
○瀬崎委員 ですから、それでは少なくもここに「事故の影響の緩和に」、つまり格納容器内の放射線の外部に対する影響の緩和に役立ったと言われる限りは、アメリカではそれ以外の原子力発電所でこれと同じ事故が起こったとした場合にはもっと影響が大きかった、こういうふうに理解せざるを得ませんね。そういうことでいいのですか。
#224
○内田説明員 いま数値的な補足を申し上げますと、TMIの格納容器では、場所によって違うと思いますけれども厚さが約四フィートと書いてあります。すなわち約百二十センチメーターでありまして、日本の原子炉でありましても、物によって多少出入りはありますけれども約九十センチメーターでございます。
#225
○瀬崎委員 こういう点でも、TMIの場合は空港に近い原子炉であったことで多少被害が少なくなっている、一般の原子炉の場合ですともう少し被害が大きかったかもしれないということが、暗にここから読み取れるのではないかと私は思います。だから、決してこれは軽視できない、あらゆる角度から見て重要な問題を含んでおると思うのです。
 それから、先ほど来これもずいぶんと特殊、特殊ということが強調されました。大体しかしB&Wの原子炉は、すでにアメリカでは報告書によれば一九七三年からですから六年ほど前ですね。全部で、事故を起こした原子炉を除いて八基運転しているように思うのですが、そうではないのですか。
#226
○児玉(勝)政府委員 そのとおりでございます。
#227
○瀬崎委員 であれば、そういうふうな運転実績を踏まえて、バブコック社の原子炉についてはこういう弱点があるというふうなことは安全審査で大体チェックされておらなければならないと思のですが、それが見逃されて、事故になって初めて先ほど来指摘されたあれこれの弱点を持っているということになっている。この点は私どうも理解できないのです。もしもこれが一般的な共通の欠陥だとすれば、当然のことながらこの事故以前の問題としてそれは発見されているはずだと思うのです。そういうところにこの事故は重大性がある。だから、日本の場合だってウエスチングハウスは一般的には危険はないと言われても、ごくごく特殊な場合をとればこれと似たようなケースというのは予想されるのではないかという前提で見直すものなら見直すべきではないかと思うのですが、これは吹田先生いかがでしょうか。
#228
○吹田説明員 安全審査でございますが、安全審査のときは基本設計を重点的に考えます。しかし、使用前検査、それから定検、その他もろもろの検査をいたしまして、先ほど御指摘のような多重防護というのは広い意味ではそういうものを十分念を入れてやるというのが非常に一つの多重防護の重要なところでございます。安全審査で問題になるようなのがアメリカで指摘されましたならば、われわれもそれを一つの教訓として、こちらでは現在その事故調査特別委員会というのがございますので、そこでいま問題を洗っておりまして、ワーキンググループを六つか七つつくっておりまして、もうスタートいたしましたので、そこで十分そういう点は検討いたしたいと思っております。
#229
○牧村政府委員 ちょっと補足させていただきますが、アメリカの原子力規制委員会のヘンドリー委員長も、この問題につきましてNRCの審査に不備があったのではないかというような疑問を呈しておりまして、事故の原因究明の過程で審査の点についても十分検討をすべきであるというふうなことを言っております。したがいまして、アメリカでも従来の審査が十分であったかどうかという見直しが行われると考えられますので、その辺の教訓は、日本も十分にただいま委員長が申し上げたように参考にすべき事柄だというふうに考えます。
#230
○瀬崎委員 この前の委員会のときに、試運転の段階でもすでにこのスリーマイルアイランドの原子力発電所はECCSの作動に至るような故障といいますかトラブルとか、あるいは原子炉が自動的にストップするような事故もあったのではないか、私どもはそういうことを聞いているがということをお尋ねしたら、政府側は、当時情報を持っていない、報告するということでしたが、いかがでしたか。
#231
○児玉(勝)政府委員 TMIの二号機が試運転中にいろいろ事故を起こしたのではないかという御質問に対して、先生おっしゃるとおりこの前は余り情報がございませんでしたけれども、その後調べますと、五十三年の三月二十八日に初臨界に達しておりまして、それ以降十二月三十日までの間に試運転期間中に二十一件の故障またはトラブルが報告されております。二十一件のうち、機器の故障が十五件、運転員の操作ミスによるものが二件、その他の原因によるものが四件という内訳になっておりまして、その中でECCSが働くような事故が四件報告されております。
#232
○瀬崎委員 そういうわけですから、すでに試運転段階でも十分注目しておれば、この原子炉が基本的な欠陥を持ったものであるということは発見できたと思うのです。
 それから、とにかく運転に入ってわずか三カ月で、先ほどやはりこれは重大な事故だ、これだけの燃料の破損が起こるようなことは、安全審査上は恐らく予期していないと思いますから、そんなものだったら認めないと思いますから、当然審査にミスがあった、欠陥があったと見るのが普通の立場で、これで安全審査が間違ってなかったということになると、安全審査は何のためにやっているのだということに逆になると思うのですね。ですから、そういう点では吹田委員長もアメリカのその見直しを待って日本に反映させたい、ぜひそうしていただきたいと思うのです。
 ただ、先ほどスリーマイルアイランドの二号炉と、それから大飯などわが国のウエスチングハウスの原子炉を比較して、向こうの欠陥は日本の原子炉の欠陥ではないのだと、その違いを非常に強調されるのですね。この点に対して私が言っているのは、恐らくこのバブコック社のものについても一般的には安全だと確信されておったと思うのです。でも特殊的にはこういうことが起こるわけなんです。だから、もちろん今度のスリーマイルアイランドと同じケースの事故がそのままウエスチングハウス型で再現するとは思わないけれども、しかしなお違ったパターンで特殊な事故というものがあらわれる可能性があるということで、見直すべきが基本的な態度ではないか。ウエスチングは型が違うんだ、構造が違うんだから大丈夫、こう済まされたのでは何もスリーマイルアイランドの教訓をくんだことにならないのではないか、こういうことを私は申し上げておるのですが、こういう考え方に対しては、委員長いかがでしょう。
#233
○吹田説明員 長期的にはまさにおっしゃるとおりでございまして、そういうことを考える上でも、私がけさから申しておりますデザインフィロソフィーというのが非常に重要になってまいりまして、それがどのデザインフィロソフィーも一〇〇%完全であるとは申せません。ですから、そういう見方で今後長期的には見る必要があるかと思います。しかし、単に安全審査だけを厳重にやればよろしいというのでなくて、それ以後の各段階における検査、それからいろいろな運転マニュアルとか保安規定というものをその内容も含めて遵守するということで初めて安全審査の審査したことが生きてまいりますので、安全審査だけがどうかというふうになりますと、それは御承知のように基本設計でございますので、むしろ一般的な考え方というものに重点が置かれるかと思いますが、いずれにいたしましても日本のそういうウエスチングの製品に対してもわれわれは慎重にやっていきたいと考えております。
#234
○瀬崎委員 そこで、アメリカの安全審査の見直しを大いに参考にするということに関連してなんですが、すでにこのTMIの事故を契機にしてわが国の大飯原子力発電所の安全審査についても見直ししてみる必要のある部分があるのじゃないかということが主として参議院の科学技術特別委員会の方で論議されているわけですね。わが党の佐藤議員が主として質問に当たっているわけであります。
 大飯原子力発電所の場合は出力百十七万キロワットの大きさに対して、格納容器を小型にするために一般的には二つの特別な装置をつけたと言われておりまして、一つがアイスコンデーサー方式であり、一つが第四のECCSといいますかECCSの補強として上部炉心注入系を新たに装置しているわけですね。これはもちろん安全審査では途中から変更申請でつけ加えられたものでございます。この安全審査についての論議なんですね。
 まず児玉審議官に聞きたいのでありますが、原研がROSAUにUHIをつけて実験をやって、その実験結果のまとめにおいてその効果が、いろいろ慎重な言い回しをしてはおるけれども、否定的な面があるという結論を出しておるわけです。そのことについて児玉審議官は「この実験」――つまりROSAUの実験は「きわめて小規模のものでありまして、実用炉の特性を十分に模擬したものとは考えられません」と答える一方で、同じくこのときの安全審査の資料として出されている三菱重工高砂工場におけるUHIの実験については「そういうことを補足した意味で三菱重工で大きなものでのモデルの実験をやったわけ」、つまりROSAUを補足したのが三菱重工の実験だ、こういうふうにお答えになっているわけですね。もう一遍議事録どおり読んでみますと、「そういうことを補足した意味で三菱重工で大きなものでのモデルの実験をやったわけでありまして、」こうなっているのです。
 この三菱の実験結果の報告書は、五十一年の五月十日安全専門審査会に提出されているはずなんですね。ところが、原研のROSAU、UHIの本試験というものは、その五十一年の五月十日に第一回目が行われているのじゃないですか。
#235
○児玉(勝)政府委員 ただいま先生がおっしゃいました私の前のお答えの原研の結果を補足して三菱重工の実験をやったというくだりは、それはどうも事実と違うように私は思います。三菱重工の実験の方が安全審査の前提として実験をいたしましたので、いまおっしゃったように、順序といたしましては三菱重工の実験があり、それから原研の報告書が提出され、そして安全審査の中で原研の成果も入れて判定された、審査をされた、こういう道筋であろうと思います。
#236
○瀬崎委員 結局、逆は可能なんですよ。つまり三菱の実験の補正をROSAUで行った、こういうのならまだ話はわかるのですよ。それは可能でしょう。しかし逆に、後から行われたROSAUの実験の補正を先にやった三菱の実験でするなんという、こんなものはできっこない話ですね。できっこないことを平気で国会で答えてごまかしてしまう。けしからぬと思うのです。だから間違いなら間違いと、この答弁をはっきり撤回しておいてほしいのです。
#237
○児玉(勝)政府委員 そこのくだりは間違いでございます。どうも申しわけありませんでした。
#238
○瀬崎委員 次いで、あなたはここで、いわゆるROSAの実験はスケールが小さいから実用炉の特性を十分に模擬したものとは考えられない、この点三菱の方は大きいからずっと実際に近いというふうな評価を出していらっしゃるわけですね。
 そこで、引き続いて児玉審議官にお尋ねしたいのだけれども、ROSAUの装置には原子炉の上部ヘッド、上部プレナムのほかに、ヒーターロッド入りの炉心とか、あるいは蒸気発生器とか、あるいは循環ポンプや加圧器など、いわゆる一次系の主要な部分についてはほぼ全面的に装備されておったのじゃないですか。
#239
○児玉(勝)政府委員 ROSAUは小さい設備ではございましたけれども、炉全体の様子を知るという意味でいろいろな設備がついていたことは間違いございません。
#240
○瀬崎委員 それじゃ三菱の実験装置には、そういう一次系の主要な部分というものはついておったのですか、ついてなかったのですか。
#241
○児玉(勝)政府委員 三菱の実験におきましては炉心のヒーターはついておりません。
#242
○瀬崎委員 それだけですか。その他の一次系については……。
#243
○児玉(勝)政府委員 したがいまして、三菱の実験と申しますのは、UHIから上部のプレナムに水が入って、それが炉心に入るというところの過程までを実験したものでございます。
#244
○瀬崎委員 これは専門家の先生に少し伺っておきたいのです。吹田先生でも内田先生でも結構なんですが、全然装置が違うわけなんですね。片一方は上部ヘッドと上部プレナムだけを備えた装置、片一方はそれにほほ一次系の主要な部分を全部兼ね備えているという総合的な実験装置です。こういうものを、片一方は大きい、片一方は小さい、そうして小さいものはだめ、大きいものはいいんだ、こういうふうな比較をすることは正しいのでしょうか。
#245
○内田説明員 大きいとか小さいとかという比較の対象ではございませんで、三菱高砂研究所におきます実験といいますのは、UHIを上部ヘッドにつけまして、そのUHIと上部ヘッドとその下の上部プレナムのところを模擬した装置でございまして、炉心からの発熱を、これは蒸気を注入することで模擬しておりまして、UHIから注入された水がこの干から上がってきます蒸気とどのように置換して、上部ヘッドが空になるまでのどういうふうな流体挙動と時間との関係があるかということを調べたわけでありまして、その部分を解析のコードに適用するところをやったわけでございます。原研のROSAUは、本来UHIを初めから持っているものではございませんで、PWRとしてのシステム全体の実験装置でありますが、そこに急遽UHIを模擬したものをつけましてやったわけでございますので、三菱のと目的といいますか性格は違うわけでございます。大きいとか、小さいからどうという判断ではないと思っております。
#246
○瀬崎委員 ここでも児玉審議官、はっきりさせてほしいのですが、あなたは国会答弁で、ROSAUの実験結果、その報告書に書いてあることは、装置全体が小さいがゆえにそれは信用できないのだ、それを実物に当てはめられない、三菱は大きいのだからこれの方が実物に近くて役に立つのだ、こういうふうな評価をされておるのですね。だから、そんなことでROSAUの実験結果が否定されたとすれば、これは重大な問題なのです。その答弁が違っているということをいま内田先生がおっしゃっておりますから、これもはっきりと国会答弁の訂正をしておいてほしいと思うのです。
#247
○内田説明員 補足いたしますと、ROSAUが小さいということを審議官が申されましたのは、ROSAUのシステムで問題点が幾つか指摘されたことは御存じだと思います。すなわち、模擬の圧力容器のダウンカマーのギャップが非常に小さかった、それからシステムとしてのポンプの挙動が実炉を模擬した形にはどうもなっていない、これは実験した結果からそういう判断なり指摘がされておるわけでありまして、そういった意味で実験装置の小さいことの問題点を恐らく児玉審議官は指摘されたのではないかと思います。
#248
○瀬崎委員 私が申し上げるのは、それだけで終わっておれば問題がないが、いま言いましたように答弁が続いておりまして、その一方で、三菱のものが信用できるという理由をスケールの大きいことに挙げられたのです。だから、目的と性格の違う装置を大きさで比較するというのは、これはナンセンスだと思うのだけれども、そういうことが平気で答弁されている。そういう通産が、いまの大飯の再開を急いでいるとするなら、これはなおさらけしからぬと思う。だから、こういう間違った答弁は間違ったものとして率直に認めて、撤回してほしいと思うのです。
#249
○児玉(勝)政府委員 確かに私の表現が不十分であったかもしれませんけれども、私の申し上げたのは、当時安全審査に使いましたSATAN6という解析コードが、そういうものの実験の上で正当なものであるという判断を安全審査会がおやりになったわけですけれども、そのときの原研で行いました実験の成果もお踏まえになりまして、それから三菱の場合は、上部プレナムに入った水が炉心に入る、要するにその入るか入らないかという問題については、それは三菱の実験が確かであろうということでありまして、そこのところを私の言い回しが不十分であったかと思いますが、おのおの違った実験としてみなしてよろしいのではないかと思っております。
#250
○瀬崎委員 そういう意味で全く違った目的、性格の実験とすれば、ROSAUの結論は結論として、私はきちっと安全審査に反映していかなければならないのじゃないかと思うのです。その点でROSAUの実験の結論として言っていることは、「原子力安全性研究の現状」の方では、非常に明確に「UHI注入水の持つ凝縮減圧効果が少なくともROSAU試験においては炉心冷却に有害であったことは確実である。」こういうきわめて断定的な、相当明確な表現をとっているわけですね。
 それからJAER1−Mの方では、この点もう少し詳しく述べてありますけれども、それも大体同じような表現をとっています。いわゆる上部ヘッドのところで流体の混合はそれほど完全ではない、こういうふうな現象が起こること、それからもう一つは「蒸気または二相流体中への冷水の注入は激しい凝縮減圧効果を持ち、それが一次系各部の流動のパターンを変化させる事がある。」この二つのことについては「ROSAU試験装置固有の特性ではなく、きわめて一般的な事実であるという認識に立つならば、UHIの安全評価においてこれらの事実を考慮に入れるべきである事は論をまたないであろう。」こう書かれているのですね。もちろんこの後にいまのスケールの問題その他のいろいろな事情から、これを実物に適用する場合にはそれなりの配慮が要るということは書かれているのですが、いわゆる実物に適用する場合に配慮はしなければならないよということのみ強調されて、この前段部分が無視されているのがあの安全審査の特徴ではないかと思うのです。こういう点はいかがですか。
#251
○牧村政府委員 参議院の佐藤先生の御質問のときにも申し上げたわけでございますが、確かに原研のROSAU計画のうち、代表的に言いますと四つの試験が行われておりまして、安全審査時におきましては、最初のUHIの設定圧力を七十五気圧にしたときのデータが主に使われたわけでございます。そこで、先生ただいま御指摘のような現象が実験の結果起こったわけでございます。しかし、この問題につきましては、この模擬装置が、実際の原子炉に比べましてダウンカマーが相対的に狭い等の実際の原子炉との違いからくるものであるということが、この解析に使いましたSATANという解析コードに十分反映されていることが確認されて審査が行われたということに相なっているわけでございますが、その後の三つの試験におきまして、UHIの設定圧力を八十四気圧にする、あるいは百気圧にするというような実験の結果につきましては、十分に入っておるというデータも出ておるわけでございます。
 ここで、このROSAの研究につきまして、アメリカの規制当局も非常にこれを注目したわけでございます。当時の私どもの原子力委員会の安全専門審査会でも、この問題を慎重に引き続き検討しようではないかということを議論しておりました。そこで、日米の両者の専門家でたびたびこの原研の実験結果、それから三菱の実験結果、あるいはアメリカで行いました実験結果等を持ち寄りまして、種々の議論が行われたわけでございます。
 その最終的な日本の対応といたしましては、UHIの設定圧力をたしか当時の審査では八十四気圧に設定いたしましたものを九十八気圧に変更するということにいたしまして、この問題の最終的な結論として、そういう設計変更をさせたというのがUHIの原研の実験に対する後々のフォローアップの状況でございます。
#252
○瀬崎委員 いまの牧村局長の説明によれば、五十一年五月十七日の安全審査の結果の時点で、原研の実験はSATAN6のコードの妥当性を立証した、こう言っているけれども、原研側は、その時点では、SATAN6のコードが果たして実験結果と合うのかどうかということについては、まだ結論は出ていない。それもそのはずで、本試験がまだ二回目を終わっただけの段階です。本試験は全部で八回やるのだけれども、五月十日、五月十二日、この二回の実験しか終わっていない段階で、どうやってSATAN6は立証されたという結論があるというのですか。
#253
○牧村政府委員 原研で用いましたような実験装置の特色である、たとえばダウンカマーが相対的に狭い場合には、SATAN6の解析結果では注入水が入らないケースがあるという解析がございまして、非常によく合っておるということがその当時行われておったというふうに私は聞いております。
#254
○瀬崎委員 それはだれがそういう判断をしたというのですか。
#255
○牧村政府委員 審査会でいたしております。
#256
○瀬崎委員 原研に実験を委嘱しておいて、原研の判断を参考にすべきなのに、実験だけ原研にやらせておいて、実験結果に対する原研側の担当者の意見は聞かないで、それを一方的に、実験していない、携わっていない安全審査の方でSATAN6コードは正しいという判断、これはきわめて一方的で、独断で、非科学的だと私は思うのですね。ここらに当時の安全審査の大きな問題点があるように私は思うのです。局長、いかがですか。これは原研が判断をしているのならいいよ。
#257
○牧村政府委員 先生御指摘のように、その最初の実験の結果が出ましたときの状態はあるいはそうかもしれませんけれども、その後の実験結果等が出た段階におきまして、原研の研究者も参画した日米の専門家の会議で、十分この辺の議論がなされておるわけでございます。その結果を踏まえてのSATAN6というものの解析コードというのは妥当であるという判断が出た。その判断が出ました結果、十分に安全を確保する意味でUHIの当初の作動圧力を変更するという結論が出てきたわけでございます。
#258
○瀬崎委員 あなたの論理は全く時間的に矛盾しているわけですよ。いま私が問題にしているのは、五月十七日の安全審査の結論を問題にしておるわけです。このときに安全審査会が、SATAN6の解析結果と、それからいわゆる原研ROSAUによる実験結果は一致するという判断が下されたというのですが、判断を下せるような試験がまだ行われていない。たった二回の試験だけで、まだそのデータの分析をまとめるような状態には原研側はなかったというのでしょう。それなのに、なぜそういうコードと実験結果の一致という結論が下せるのですか。
#259
○牧村政府委員 ただいま審査会のあれを持ってきておりませんが、審査会におきましては、この原研の実験の結果を参考にしたいと書いてあったかと思います。当然その辺で十分踏まえてのあれでないので参考にしたというふうに表現してあったかと思います。
#260
○内田説明員 多少補足させていただきたいと思いますけれども、原研で非常に有益な実験をされまして、その成果も踏まえておるわけでありますが、同時に三菱重工並びにウエスチングハウスでかなり大がかりな実験をいたしまして、実際の申請者が出しておりますコードは、ウエスチングハウスが開発しておりますSATAN6にUHIを用いたわけであります。そのコードのモデルが適切であるかどうかという判断に原研のデータ並びにウエスチングハウスのデータというものは使われておるわけでございます。そのようなことを当時の安全専門審査会のECCS検討会並びに審査会自身でチェックしたわけでございまして、要するにSATAN6のモデルの妥当性を原研のあの実験あるいは三菱重工の実験からモデルの適用が妥当であるということを判断したわけでございます。
#261
○瀬崎委員 時間がないので残念なのですけれども、そのモデルの妥当性を検討するに当たってR
OSAUの実験の意義を当時報告書に強調していますね。つまり三菱の実験にしても、それからウエスチングハウスの実験にしても、それらの初期条件というものがそもそも検証しようとしているSATAN6によって与えられているではないか。だから、われわれが正しいかどうかを試そうというコードを使って初期条件を設定しているのだから、これは矛盾だ。そういう点で、そもそも出発点から改めてSATAN6のコードが実験結果に合うかどうかということを確認する必要があるのでROSAUの実験の意義があった、こういうことなのですね。
 その結論については、あれをありのまま率直に読み取ってほしいというのが、実は私、秘書を通じて昨日この解析グループのキャップというのですか、安達さんという方がいらっしゃいますが、お電話で聞いたわけなのです。その回答がそういうことであったわけです。決して原研のこの一連の実験結果が忠実に安全審査に反映されたとは受け取っていらっしゃらないような印象なのです。この点については、当時のこの原研の実験というものの特徴がどういうところにあったのか、意義と役割りは何だったのか、本当の研究に携わった、実験に携わった人々の御意見はどうであったのかというものをもう一遍くんで、当時の安全審査が本当に妥当であったのかどうか、私はそういう謙虚さを持つことがこのスリーマイルアイランド事故の教訓を率直に学び取っていくことになるのじゃないかと思うのですね。この点はひとつそういう安全審査に臨む態度といいますか、それこそ哲学の問題にも属すると思いますので、委員長の方でひとつお答えをいただきたいと思います。
#262
○吹田説明員 私が聞いている範囲では、コードのチェックをするために原研でいまのように参考の実験をしたと聞いておりまして、確かに原研の論文を私も実は読んでみたのですが、非常にわかりにくい、何を証明しようとしておるのか十分わかりませんでしたが、いろいろ説明を聞いてみますと、やはりSATAN6が妥当なことを十分証明しているようにも思えましたので、現在の時点ではそういうふうに私は了解しております。
#263
○瀬崎委員 この点は私どもがこの原研の当時の研究担当者と、これは電話だけでありますから深い真意はわからないわけでありますけれども、しかし私自身が感じた範囲では、当時の原研が一連のこの十回にわたるROSAUを使った総合的な実験結果が当時の安全審査に正しくくみ取られていないような印象を受けているわけなのです。だとするならば、何のためにわざわざSATAN6というコードの妥当性について原研に研究を委嘱したのか、多額の国費を使った意味もなくなるわけであります。そういうのを私はこの機会に一遍検討し直すのも一つの大きな任務ではないか。だから、安全委員会の方でそういうことをやる必要なしと言われるならば、私ども専門家でない国会議員が聞くのは大変つらいことであります。勉強もせにゃいかぬ。だけど、やはりそういうことは必要かなと思うのですね。これはこの科学技術特別委員会の委員長として、一度ROSAU実験に直接関与した実験グループの代表の方を呼んでその意見を聞く、そういうふうな機会を設けることもひとつ御検討いただきたいと思うのであります。
 それから、そういう問題も含めまして、スリーマイルアイランド事故の教訓が本当に日本の原子力発電所に生かされているかどうか、この点で私現地へ行って大いにはだ寒い思いをしているわけであります。
 先ほど児玉審議官がROSAUの実験と、それから三菱の実験と、スケールで比較して小さいからだめ、大きいからいいというふうな、単純に言えばそういうふうにとれる発言をされているのですが、これと全く同じことをもっと極端な形で関電の説明者はやるわけであります。たとえばROSAUの実験は実物の四百分の一なんだ、だからそんなものでは全然証明にならない。この点、三菱の実験は、スケールは二分の一と四分の一だ、はるかに大きいじゃないか、こういうこと自身が全く無意味なことであるにかかわらず、素人の集まりだということか何か知りませんけれども、こういうことでごまかそうとする態度があるわけですね。四百分の一とどんな根拠で出てきたのか私ども疑いたいのでありますけれども、そういうふうな電力会社の態度があるわけですね。だから、われわれとしては、そういう点を何とかただしたいと国会で一生懸命審議しているわけですね。だから、こういうスリーマイルアイランド事故を十分生かすために、大飯原子力発電所の再開をむやみやたらに急ぐべきではないとか、あるいはまたもっとこういう点を教訓にすべきではないかとか、本当に多重防護というののなら、信頼の置ける多重防護に改めるためにはどうすべきだとか、いろいろ問題があると思うのです。こういう点で決議というふうなものでもわれわれできる事態になれば、大臣はそういうものを尊重して、きちっと行政に反映さしてあげますか。
#264
○金子(岩)国務大臣 いろいろ大変御参考になる御指摘をいただきまして勉強になりました。いつも申し上げておりますとおり、慎重を期しながら原子力行政を推進したいという考えでございますので、いろいろな御提言も十分理解を持って取り入れていきたいと考えております。
#265
○瀬崎委員 だから私が言っておりますのは、私だけの提言という形じゃなしに、この際、委員会として少なくも最小限これだけは政府に要望しようではないかというふうな形のものが、決議という形になるか、あるいは委員長が代表して御発言になるという形になるかわかりませんが、そういうものが出たときにはそれは尊重されますかということを聞いているわけです。
#266
○金子(岩)国務大臣 それは国会でいろいろな手続上の問題をお決めになれば十分尊重いたします。
#267
○瀬崎委員 なかなか質疑答弁だけを通じては、政府並びに安全委員会の審査のあり方とか原子力行政が、こういう大きなスリーマイルアイランド事故を経験したにかかわらず変わりそうにないわけです。そういう点では、大臣も委員会としての意思を固められるならばそれには従うということでありますから、この点についても、この際何らかの決議を出して、政府側に慎重な対処を要請するような措置もとっていただきたい。
 それからもう一点は、現地の原子力発電所を見ますとよくわかるのですが、運転ミスという言葉が当たるかどうかわかりませんけれども、この本にもちょっと書いていますね。それなりの運転細則はアメリカにもあったのでしょうが、いざ事故が起こってみると――おもしろい表現をしてあったですね。「運転員の資格、経験等或は事故当時の人数、配置等について現在必ずしも明確になっていない。」これもちょっとおかしいと思うのですが、まあまあ明確ではないが、少なくもこういうことは言えるということで、「事故後数時間にわたって状態が悪化して行くなかで、運転員が事故を防止し、あるいは軽減化するために必要な情報は殆んどすべて制御室に存在したと考えられる。」この点は大飯もスリーマイルもそう変わらないと私は思うのです。ところが「事故後制御室内で部屋一杯にライトが点滅し警報ブザーがなり、」「いわゆる“hassle factor”の状態が存在して正確な判断の妨げとなったともいわれている。」というふうなところは、私はいかに訓練、教育を徹底していても、あるいは大飯の場合にも起こり得るのではないかという気もするのです。これは現地に行っていろいろ説明を聞き、制御室の状況を目の前にしますと、あるいは運転員の要員の数などを聞きますとよくわかることなんです。そういう点では、本委員会としても一度大飯原子力発電所を調査すべきではないかと思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思うのです。
#268
○大橋委員長 瀬崎委員のいまの御要望は聞きましたので、理事会等にもこの内容をそのままお話ししてみたいと思います。
#269
○瀬崎委員 終わります。
#270
○大橋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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