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1978/04/25 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 決算委員会 第9号
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1978/04/25 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 決算委員会 第9号

#1
第087回国会 決算委員会 第9号
昭和五十四年四月二十五日(水曜日)
   午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 加藤 清二君
   理事 國場 幸昌君 理事 津島 雄二君
   理事 森  美秀君 理事 馬場猪太郎君
   理事 原   茂君 理事 林  孝矩君
      玉生 孝久君    西田  司君
      野田 卯一君    楯 兼次郎君
      春田 重昭君    安藤  巖君
      田川 誠一君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 栗原 祐幸君
 出席政府委員
        労働大臣官房長 関  英夫君
        労働大臣官房会
        計課長     増田 雅一君
        労働大臣官房審
        議官      松井 達郎君
        労働省労働基準
        局長      岩崎 隆造君
        労働省職業安定
        局長      細野  正君
 委員外の出席者
        国立国会図書館
        総務部副部長  高橋徳太郎君
        郵政省人事局人
        事課長     岩田 立夫君
        労働大臣官房参
        事官      清水 傳雄君
        会計検査院事務
        総局第三局長  松尾恭一郎君
        会計検査院事務
        総局第三局審議
        官       杉田 久男君
        参  考  人
        (雇用促進事業
        団理事)    渡辺 慎吾君
        決算委員会調査
        室長      黒田 能行君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十四日
 辞任         補欠選任
  春田 重昭君     大久保直彦君
同日
 辞任         補欠選任
  大久保直彦君     春田 重昭君
同月二十五日
 理事森美秀君十八日委員辞任につき、その補欠
 として森美秀君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 参考人出頭要求に関する件
 昭和五十一年度一般会計歳入歳出決算
 昭和五十一年度特別会計歳入歳出決算
 昭和五十一年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和五十一年度政府関係機関決算書
 昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和五十一年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (労働省所管)
     ――――◇―――――
#2
○加藤委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員になっております。これよりその補欠選任を行うのでありますが、先例により、委員長において指名するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 それでは、森美秀君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
#4
○加藤委員長 昭和五十一年度決算外二件を一括して議題といたします。
 本日は、労働省所管について審査を行います。
 この際、お諮りいたします。
 本件審査のため、本日、参考人として雇用促進事業団理事渡辺慎吾君の出席を求め 意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
#6
○加藤委員長 まず、労働大臣から概要の説明を求めます。栗原労働大臣。
#7
○栗原国務大臣 労働省所管の昭和五十一年度決算について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、一般会計の歳出決算について申し上げます。
 歳出予算現額は三千四百十五億六千五万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額三千四百十五億三千七百四万円余、前年度繰越額二千万円、予備費使用額三百万円余となっております。
 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額三千三百八十九億二千二百四十五万円余、不用額二十六億三千七百五十九万円余で決算を結了いたしました。
 支出済歳出額の主なものについて申し上げますと、雇用保険国庫負担金及び失業対策事業費等であります。
 これらの経費は、雇用保険法に基づく求職者給付等に要する費用の一部負担及び緊急失業対策法に基づき実施した失業対策事業に要したもの等でありますが、このうち、失業対策事業の主な実績は、事業主体数六百五十カ所、事業数二千五百九十二、失業者の吸収人員一日平均九万二千人余となっております。
 なお、不用額の主なものは、職業転換対策事業費等であります。
 次に、特別会計の決算について申し上げます。
 まず、労働保険特別会計について申し上げます。
 この会計は、労働保険特別会計法に基づいて昭和四十七年度に設置されたものであり、労災勘定、雇用勘定及び徴収勘定に区分されております。
 初めに労災勘定について申し上げます。
 歳入につきましては、歳入予算額九千百五億一千七百七十五万円余に対しまして、収納済歳入額七千七百一億二百四十八万円余でありまして、差し引き一千四百四億一千五百二十六万円余の減となっております。これは、徴収勘定からの受け入れが予定より少なかったこと等によるものであります。
 次に、歳出につきましては、歳出予算現額九千百十四億一千三百二十九万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額九千百五億一千七百七十五万円余、前年度繰越額八億九千五百五十四万円余であります。
 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額四千五百五十五億一千四百三十六万円余、翌年度繰越額三十五億三千七百四十八万円余、不用額四千五百二十三億六千百四十四万円余で決算を結了いたしました。
 支出済歳出額の主なものは、労働者災害補償保険法に基づく保険給付に必要な経費及び労働福祉事業に必要な経費等であります。
 この事業の実績の概要について申し上げます。
 保険給付の支払件数は四百五十八万九千件余、支払金額は三千四百三十一億一千八十八万円余となっております。
 なお、不用額の主なものは、支払備金等に充てるものであります。
 次に、雇用勘定について申し上げます。
 まず、歳入につきましては、歳入予算額一兆五百五十二億八千八百六十五万円余に対しまして、収納済歳入額八千四百八十六億四千九百七万円余でありまして、差し引き二千六十六億三千九百五十八万円余の減となっております。これは、失業給付金等に不用額を生じたこと等により積立金からの受け入れを必要としなかったため等によるものであります。
 次に、歳出につきましては、歳出予算現額一兆五百五十三億五千六百八十五万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額一兆五百五十二億八千八百六十五万円余、前年度繰越額六千八百十九万円余であります。
 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額八千四十二億二千七百三十六万円余、翌年度繰越額は八億一千六百十万円余、不用額二千五百三億一千三百三十七万円余で決算を結了いたしました。
 支出済歳出額の主なものは、雇用保険法に基づく失業給付に必要な経費及び雇用改善等事業に必要な経費等であります。
 この事業の実績の概要について申し上げます。
 失業給付のうち、一般求職者給付及び日雇い労働求職者給付の月平均受給者実人員は、一般求職者給付六十四万八千人余、日雇い労働求職者給付十三万一千人余、また、短期雇用特例求職者給付及び就職促進給付の受給者数は、短期雇用特例求職者給付六十九万一千人余、就職促進給付四万一千人余でありまして、支給金額は、一般求職者給付五千五百五十五億五千四百九十五万円余、日雇い労働求職者給付百八十二億二千五百八十七万円余、短期雇用特例求職者給付九百九十八億八千八百三万円余、就職促進給付三十四億八千八百六十四万円余となっております。
 なお、不用額の主なものは、予備費等であります。
 次に、徴収勘定について申し上げます。
 まず、歳入につきましては、歳入予算額一兆三千二百二億七千七百四十万円余に対しまして、収納済歳入額一兆一千五百四十九億一千百三十八万円余でありまして、差し引き一千六百五十三億六千六百二万円余の減となっております。これは、賃金の上昇率が予定より低かったこと等により、保険料収入が予定を下回ったこと等によるものであります。
 次に、歳出につきましては、歳出予節現額及び歳出予算額とも一兆三千二百二億七千七百四十万円余であります。この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額一兆一千四百六十億三千四百八万円余、不用額一千七百四十二億四千三百三十一万円余で決算を結了いたしました。
 支出済歳出額の主なものは、労災勘定及び雇用勘定への繰り入れに必要な経費であります。
 この事業の実績の概要について申し上げますと、労災保険適用事業場数百五十三万八千余、労災保険適用労働者数二千八百九十八万一千人余、雇用保険適用事業場数百四万四千余、一般雇用保険適用労働者数二千三百三十八万四千人余、日雇雇用保険適用労働者数十八万八千人余となっております。
 なお、不用額の主なものは、他勘定への繰り入れに必要な経費であります。
 最後に、石炭及び石油対策特別会計のうち、労働省所掌分の炭鉱離職者援護対策費及び産炭地域開発雇用対策費の歳出決算について申し上げます。
 歳出予算現額百四十五億三千五百五十七万円余でありまして、この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額百三十八億七百十六万円余、不用額七億二千八百四十一万円余で決算を結了いたしました。
 この事業の実績の概要について申し上げます。
 まず、炭鉱離職者援護事業につきましては、移住資金四百二十六件、雇用奨励金一千三百二十三件でありまして、支給金額は、移住資金二千六百八十五万円余、雇用奨励金三千八百二十万円余となっております。
 次に、炭鉱離職者緊急就労対策事業につきましては、事業主体数四十四カ所、事業数二百四十、就労人員延べ七十四万五千人余となっております。
 また、産炭地域開発就労事業につきましては、事業主体数四十五カ所、事業数百六十、就労人員延べ七十三万二千人余となっております。
 なお、不用額の主なものは、炭鉱離職者援護対策費であります。
 以上が労働省所管に属する昭和五十一年度一般会計及び特別会計の決算の概要であります。
 なお、昭和五十一年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じております。
 これらの指摘事項につきましては、鋭意改善に努め、今後このような御指摘を受けることのないよう一層努力をいたしたいと存じます。
 以上をもちまして、労働省所管に属する一般会計及び特別会計の決算の説明を終わります。
 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
#8
○加藤委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
#9
○加藤委員長 速記を始めて。
 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。松尾会計検査院第三局長。
#10
○松尾会計検査院説明員 昭和五十一年度労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明申し上げます。
 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件でございます。
 検査報告番号四八号は、失業給付金の支給が適正でなかったもので、雇用保険事業における失業給付金の受給者が再就職しているのに、引き続き失業給付金を支給していて給付の適正を欠いているというものでございます。
 また、検査報告番号四九号は、雇用調整給付金の支給が適正でなかったもので、雇用保険事業における雇用調整給付金の給付に当たり、実質的に休業日に該当しない日を支給対象の休業日としていたなど給付の適正を欠いているというものでございます。
 以上、簡単でございますが説明を終わります。
#11
○加藤委員長 これにて説明の聴取を終わります。
#12
○加藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津島雄二君。
#13
○津島委員 ちょうど時あたかも春闘の最中、まず大臣、スト等を控えて大変御心労多いと思いますけれども、お疲れでしょうかどうでしょうか、まずねぎらいの意味も込めてお伺いいたします。
#14
○栗原国務大臣 ねぎらいのお言葉をいただきましてありがとうございます。元気でございます。
#15
○津島委員 大変元気な御様子なので、安心して労働問題全般についてお伺いをいたしたいと思いますけれども、やはりきょうはこの日でございますから、私どもこの国会へ出てくるにも大変難儀をいたしました。現在問題になっております昭和五十一年度の決算に関連いたしましても、毎年毎年こういう春闘というようなことで年中行事になっておる。そのたびに労使双方がいろいろな立場から国民に訴えておられるわけでございますけれども、相変わらずこういう慣行が続いているわけでございます。しかし、昭和五十一年と申しますと、すでに日本の経済が従来の四十年代までの高度成長から非常に基調が変わってきたと言われた時代でございまして、その後の春闘の状態を見ますと明らかに結果としては変わってきているわけでございますから、その辺の評価を含めてまずお伺いしたいのでございますけれども、まず私どもいま非常に苦労しているようなこの話、ことしの春闘、これについて大臣としては国民に対してこの機会に、できるだけ早い解決がいま努力されておるから、まあ安心と言えるわけはないのでありますけれども、ひとつ当局及び当事者の努力を待ってほしいというお気持ちなのかどうか、その辺をお伺いいたしたいと思います。
#16
○栗原国務大臣 きょう国鉄並びに私鉄がスト体制に入ったということははなはだ残念なことでございますけれども、しかし、もうテレビ等で御案内だと思いますが、公労委その他関係者の御努力によりまして収拾の方向に向かっておるというふうに聞いております。労使の方々や関係者の皆さんの御協力をいただきまして、国民的合意の上に早くこの事態がおさまることを期待をしますし、またそうなるのではないかというふうに考えております。
#17
○津島委員 現在ちょうど努力が進められている最中でございますから、大臣として具体的な見通しを述べられるのは非常にむずかしいと思いますので、別の角度か石お伺いいたしますけれども、ここ二、三年間の春闘は一般庶民から言いますと十年一日のごとき春闘である。あらかじめスケジュールを設定して、そしてそれが決まればとにかくそのスケジュールどおり進んでしまう。私どもとしてわからないのは、たとえば調停工作が行われている最中にストを打つというようなことは、国民の一人としてどうしてもわからないわけでございますけれども、最初に、ここ三年間を概観されまして、昭和四十年代の高度成長時代の春闘と幾らか変わった様子があるのかどうか、概観の御感触をお伺いしたいのでございます。
#18
○松井政府委員 まず私の方から最初に現象的な面を申し上げまして、そして大臣のお考えを述べていただくということにさせていただきたいと存じます。
 確かにここ三、四年、いわゆる安定成長というような時期になってまいりまして、春闘のあり方と申しますかそういうものにつきましても、私どもといたしましては、労使それぞれがそれぞれの立場からやはり見直しというような議論も出てくるくらいでございまして、いろいろと御論議が進んできているのではなかろうかと存じます。それでたとえば一部には物価の安定ということを考えてスライド制を導入というような意見もございます。まだこれは少数の意見でございますが、そういう意見が出てきているところもございます。あるいは先生御指摘のスケジュール的な闘争というものにつきましても、いろいろと御意見が出てきておるのではなかろうかと思います。
 またさらに、賃上げ要求の組み立て方というようなものにつきましても、単に賃上げということではなくて、実質賃金と申しますか、あるいは労働者の実質生活をどうして確保していったらいいかというような面で、賃金だけではなくて労働時間とか雇用とかそういうふうな多角的な問題を取り上げていこうというような傾向がだんだん広がってきているのではなかろうかと思います。そしてことしの要求内容を見ましても、民間の組合を見てみますと、たとえば実質成長分をまるまる要求に乗せるというよりは、実質成長の三分の一程度は要求として求めるけれども、しかしながら残りは雇用なり何なりに向けていったらよろしいというような考え方も出てきているわけでございまして、私どもとしましては、このような安定成長ということで、いわゆる春闘を取り巻く客観的な条件も変わってまいりますと、やはりいろいろな議論が深まってきているのではなかろうかというふうに存ずる次第でございます。
#19
○栗原国務大臣 いま政府委員から述べましたけれども、表面的にはスケジュール闘争というようなものも見られますけれども、すべてとは申しませんけれども、大体におきましてお互いに労使が平和裏に話し合いをしてできるだけストライキを避けたい、そういう努力をされてきているのではないかというふうに思います。そういう意味では、日本の労使というものは非常に健全になりつつあるのではないか、そういうふうに私は考えております。
#20
○津島委員 大臣がかなり日本の労使関係を高く評価しておられるのはわかるのでありますけれども、一般庶民の立場から言うと必ずしも理解できない点があるわけでございまして、たとえば春闘で私どもが目にし耳にする姿というのは、やはり非常に大きな組織労働者あるいは組合が中心となりまして、これと倒産の心配のない官公労中心の方々が、かつて盛んに言われたように、総労働とか総資本とかいうような言い方でいかにも勤労者全体のために闘っておられるというような闘争をなさるわけでありますけれども、しかし振り返ってみますと、その闘争戦術によって影響を受けるのは一般市民でございますし、組織されていない労働者の方あるいは農民あるいは中小企業者、片方では非常に生活の不便といいますか、場合によっては緊急事態にも対処できないような非常に困った立場に置かれる。
 またもう一つだんだんと御議論いただきたいのでありますけれども、安定成長時代に入ってきて一部の力のある方だけが過度のシェアを要求するということになりますと、それは寡占か独占かという状態を背景にしまして容易に物価に転嫁されやすい。しかし、組織されてない労働者の方あるいは中小企業の方は、物価が上がってきましてもこれに対応できないという苦しみを持っておられるわけですね。
 そういう社会経済情勢の進展の中で見ますと、毎年こういう大幅な賃上げを組織労働者で強いところが中心になっておやりになるという春闘方式というものが、本当に国民的な意味で勤労者全体の福祉の向上につながるかどうかということを、やはりいま私ども真剣に考えてみる必要があるんじゃないかと思うのです。
 そのような意味で、健全だと言われておりますけれども、評価がおのずから区々にわたるわけでありまして、特に私問題にしたいのは、ここ二、三年間確かにストのやり方等もかつてに比べると幾らかやはり一般庶民の立場も考えるというような雰囲気が出てきておりますけれども、その反面ストがおとなし過ぎた、春闘の闘いが足らなかったから賃金の上昇率がダウンをしたというような議論をなさる方が非常に多い。主として労働の立場に立っておられる方がそういうことを言っておられるわけなんでありますけれども、いまの大臣の最近の春闘の評価と関連をいたしまして、果たしてそういうことなのかどうなのか。
 私自身調べてみますと、五十一年以降いわゆる賃金上昇率というものは、消費者物価の上昇率が鎮静するに従って率としては安定に向かっている、上げ幅は小さくなっておりますけれども、おおむね消費者物価の上昇率を十分上回っておりますし、それからまた、もっとマクロ的に見ましても、国民所得統計の中の国民所得の中のいわゆる雇用者所得、勤労者の方々の取り分というものを総体で見ましても、シェアは大きくなっているわけでございますし、あるいは一人当たりに調整しましても、やはりシェアは大きくなっている。そういう意味で言いますと、労働分配率は確かに上がっている。むしろ春闘のストが静かになり、そして目に見えた賃金上昇率は従来よりも高くなく見えておりますけれども、労働分配率は着実に上がっているという事実があるわけでございますね。
 そういうことを頭に置いて考えてみた場合に、国民一般に、特に弱い方々に迷惑をかけるようなああいうストのやり方が、必ずしも勤労者の方々の利益につながっていたのかどうなのか。むしろもう少し賢明に実質的な勤労者、しかも全体としての勤労者のバランスをとりながら立場の向上を考えていくというやり方があり得ると思うのでございますが、いま私が申し述べたような数字を前提として、大臣はどのように評価しておられるのか。つまり先ほど言われた健全な方向に向かっているとおっしゃることが、今後において私がお話ししたような意味の本当の健全な勤労者の地位の向上に向かって進んでいるのかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。
#21
○栗原国務大臣 津島さんのお話、私同感するところ非常に多いわけであります。それは私もいま申しましたように、日本のいままでの労働運動、特に春闘というようなこういう方式が、国民の皆さん方からは非常にそれはけしからぬことだ、大変困ったことだというような声があったことは事実だと思うのです。それと同時に、最近は、経済成長の例の四十八年の狂乱物価以来だんだん景気の問題もこれあり、あるいは海外との問題もこれあり、国民の批判と客観情勢というものが相まちまして、労働者の人たちも、また使用者の人たちも、どういう方向へ労使の関係を持っていくかということについて非常にじっくりと落ち着いた考え方になってきたと思うのです。だから、私はそういう意味で評価しているのです。いま現状は、すべて国民が祝福をし、これで結構だというものばかりではないと思うのです。国民の方々の中には、まだまだ不満の人たちがたくさんある。特に、中小企業、零細企業の人たちからすると大きな問題があると思います。その点は私は認めているのです。しかし、傾向的に見ますと、非常に腰を据えて労使が話し合っていこう、国民全体に迷惑をかけるようなことをしない方に行こうというふうになっている、こういうふうに見ている。
 いまお挙げになりました実質労働配分等の問題ですね。それは私もそう思いますし、それからこの問題につきましては政府当局の方からもいろいろと考えを、もし津島さんの方でお聞きしたいという御要望ならば、私の方の政府委員の方からお答えいたしても結構でございます。もうおわかりでしょうから省略してもいいのですよ。
#22
○津島委員 若干の問題点に関連して、それではお伺いをいたします。
 まず、民間における春闘を中心にした労使関係でございますけれども、私どもの印象から言えば、日本の労使関係が賃金闘争に偏重してい過ぎたという印象は免れないと思うのでございますね。確かに、日本のように高度成長が長く続いた場合には、何としても高度成長の成果をできるだけたくさん取り込むということに専心されることはわかるわけでありますけれども、その基調が先ほどから御議論のように変わってきておりますときに、やはり反省が要る。
 そこで、まず第一に、賃上げ闘争のあり方でありますけれども、毎年毎年春にお互いに土俵に上ったかっこうで、イロハからまた話を始めるということが果たしてどういうものなのか。つまり、いま国民各層あるいは経済の各部門が一番望んでおりますのは、成長率をいたずらに上げて不安定にするよりも、むしろ確かな将来が欲しい、きょうよりも来年、来年よりも再来年は確かに自分たちの生活も福祉も上がっていくということ、そしてまた、それを基礎に経営者も勤労者も生活設計ができるのだということが大事だと思うのでございますけれども、そのような見地から言えば、いわゆる賃金について、もう少し長期的な視野から労使間で取り決めをする。外国においては、一年の賃金契約というのはむしろ少ない方でございまして、もう少し長い期間にわたって労使の話し合いが行われているわけであります。そういう慣行を日本に徐々に導入していくという可能性はどうかということを、まず一点伺いたいと思うのです。
 それと関連をいたしまして、確かに基本的な賃金では、やや長期的に決めますと、そのとき、そのときの経済情勢に対応できない場合もありますし、それから同時にまた、いままでのような決め方であるから産業別にびしっと決めていく形になったのですけれども、やはり企業努力というものもその企業の従業員の方に配分をするという考え方が表に出てきていい。そうすれば、春闘という形でなくて、企業の決算を見ながら、各企業でもう少し企業努力の結果を勤労者に配分をするという努力も出ていくのではなかろうか。こういう考え方についてどう考えられるか。
 それから同時に、そのことが、賃金闘争ばかりでなくて、もう少し幅の広い労働者の福祉政策についてもじっくりと労使間で話し合うという素地が出てくるんではなかろうか、これが三点でございます。
 この三つの御指摘する点につきまして、大臣あるいは事務当局の御見解をお伺いしたい。
#23
○栗原国務大臣 私から最初に申し上げまして、後、政府委員から……。
 御指摘のとおり、賃金だけでいろいろと話をするというようなことでなくて、もっと総合的にやるべきだということについて、私は賛成ですね。特に雇用が非常に厳しいときでございますし、そういった雇用の面あるいは実質賃金を確保するという意味から物価の問題、それからいま一つは、世界の中の日本である。それから、春闘とか何かというのは一回、一回のものじゃない。そういうことで、一回、一回というよりも、むしろ長期的に物を見るというような考え方も労使の中で必要じゃないか。
 この間、NHKの政治討論がございまして、労働界の代表の方とそれから経済界の代表の方と私とやりましたけれども、そのとき私、率直に申し上げたのですが、世界の中の日本である。それから、労働者の賃金というのは一回だけでいいものじゃない。やはり安定してずっと続くということが必要だ。そういう長期的な視野から考えるべきだ。雇用の問題も考えなければいけない。そういうことからすると、物価の問題等についても真剣にわれわれ政府も取り組まなければならないという話をしたわけでございまして、総合的に考えるべきものと考えております。
 あとは政府委員から……。
#24
○松井政府委員 大臣の御説明でほとんど尽きているところでございますが、先生から具体的にお話のありました賃金について一年という短ではなくてもっと長期的にというようなお話がございました点でございますが、これは私から申し上げるまでもなく、世界のほかの国を見ますと、こういう問題についてはもっと長期的に取り組んでいる国がございまして、たとえばアメリカなどにおきますように、大体三年間分の賃上げについて協約を結ぶというようなやり方をやっている国がございます。一方、ドイツなどは、御存じのとおり毎年毎年、まあ日本よりちょっと先、一月、二月ごろが中心でございますが、そのときにその年の賃上げをその年の物価見通しとの関連において決めるというやり方をとっている国柄の国もございまして、私どもとしましては、なかなかどちらがいいかということは、その国の置かれている現状とかあるいはその国の労使関係の歴史とかいろいろな観点が総合考慮されなければならぬことだと思います。
 ただ、先ほどちょっと申し上げましたが、もう少し長期的に物事を見ていこうじゃないかというような意見を持っている組合も一部には見られるところでございます。いずれにしましても、いままで長く続いてきた慣行でございますので、これを改めるにはやはり労使の合意というものができていかなければいかぬと思いますので、いろいろな点、特に安定経済成長というようなこととか物価が鎮静化してきているとか、その辺もにらみまして、こういうような問題について労使の間の議論が進んでいくということが、こういう問題を考えるときには私は何よりも必要なのではなかろうかと思います。
#25
○津島委員 先ほど御指摘した三点について必ずしも的確な御答弁はいただけなかったわけでありますが、これはまた別の機会にじっくりお伺いすることにしまして、今度は同じように春闘に関連して、いわゆる公共部門における春闘方式といいますか、ストライキの問題についてちょっと触れてみたいのであります。
 私は、公共部門の勤労者の方々の立場、これはやはり労働基本権というものを尊重しながら十分にその立場を尊重してやっていくべきであるということはもちろん賛成でありますけれども、ただ特に問題になりますのは、いずれも親方日の丸的な立場におられて、決して倒産もないというような状態の中で、しかも多かれ少なかれ独占的な立場にあるところが多いわけでありますから、これが主導して賃上げをやるということが、一つには物価へのはね返りは非常に大きいと考えるわけであります。同時にまた、いまの財政の赤字の状態を考えますと、いわば民間企業で許されないような赤字経営をみんなやっているわけですね。その赤字経営を前提とした賃上げといいますか、これを国民全体に押しつけるということになりかねないのではないかという意味で、少なくとも安定成長時代で、しかも財政赤字が続いているときに、いわゆる官公労と言われるような方々が先頭に立った労働運動というものが、日本の大部分の勤労者にとって果たしてどういうものかという非常に大きな疑問を持っておるわけでございます。
 そこで、一点だけお伺いをいたしますけれども、たとえば現在でも、調停作業が行われている最中にストを打たれる。ということは、いままでストを打つことによって調停の結果に何らかの影響があったのかどうか、まずこれをお伺いしたいのです。もしないとすれば、一体どういうことでストをお打ちになるのか。これは労働大臣に伺ってもわからないと思うのですが、調停に影響があったのかどうか、まず一つお伺いしたいと思います。
#26
○松井政府委員 先生のただいまの御質問、先生がおっしゃいましたように私どもも直接お答えするあれではないと思いますけれども、御存じのとおり、公共企業体等が賃金を決めます場合に当たりましては民間準拠という考え方が、これは昭和三十九年でございましたが、いわゆる池田・太田会談以来そういうような考え方でやっていこうというようなことで、ここ十数年来定着してきた考え方ではなかろうかと思います。このような考え方は結局、公共部門におきましては、場合によっては収益の上がるところがあるかもしれないけれども、また場合によってはずっと赤字が続くというようなところもある。公共部門における事業の種類というものは、これは必ずしも営利性という観点ばかりではなくて、公共性という観点からなされているために、民間以上に赤字が出、あるいは黒字になるというようなこともあるという観点から、民間の一般の方の賃金の水準に準拠していこうという考え方でなされてきたものであるというふうに理解されているところでございます。私どもとしましては、現状においてはこういう考え方が妥当なのではなかろうかというふうに思っております。実際問題としまして、公共企業体等労働委員会、いわゆる公労委におきまして調停作業が行われ、あるいは仲裁になりまして公企体の賃金が決まる場合には、こういうものを参考にして決められているところでございます。
 したがって、先生御指摘のとおり、調停が進んでいるときにストライキをする。申すまでもなく公共部門におけるストライキは公労法によって禁止されているわけでございまして、それ以上に、調停にかかっている間にストライキをやるというのは、私どもとしては、これはストライキそのものとして筋が違っているのではないかと思います。そうしてまた、公労委における賃金決定というものにつきましては先ほど申し上げたような考え方がございますので、私どもとしまして、そういう意味におきましても公労委がこれによって影響を受けるというようなことは公労委としてもあり得ないというふうにおっしゃるのではなかろうかというふうに存じます。
#27
○津島委員 いまの御説明から伺いましてもわかるとおり、そもそもこういう春闘の段階においてストを打つということは本当に当事者の中でもわからないという方が多いわけでございまして、この問題についての質疑の締めくくりとしてスト権問題を本当は取り上げるべきだと思いますけれども、これは労働大臣の必ずしも御所管でございませんから希望だけ述べておきたいと思うのでありますが、やはりいま御検討中の公務員制度全般、スト権問題につきましても、国民の素朴な疑問ということ、そしてスト権というものを、スト権が与えられていないのに従来とも非常に乱用をされている、これを十分に念頭に置いた上、適正な結論を出していただきたい、こういうふうに希望する次第でございます。
 次に移ります前に一言。いかがでしょう、大臣。去年からことしにかけての賃上げの状況、それからいま示されているような有額回答、各部門について出されておりますが、まあ大体そこから常識的に理解できるようなところで国民に余り迷惑なしにおさまるんでしょうか、どうでしょうか。お答えにくければ結構でございます。
#28
○栗原国務大臣 これはなかなか見る人によって違いますから一概に言えませんけれども、私どもから見ますと、ことしの賃金決定はわりあいに労使が良識を発揮して決められておるのではないか、わりあいに良識を持ってやられておるのではないか、そういうように考えております。
#29
○津島委員 それでは国民にかわりまして、早く解決されて私どもが安心して日常生活できるように重ねてお願いを申し上げまして、次に移りたいと思います。
 いまの春闘の問題に関連して申し上げましたように、賃上げ中心の労使紛争というものあるいは労働運動というものが一つの壁に当たってきていることは申し上げるまでもありませんが、先ほど大臣もちょっと触れられたように、やはりこういう安定成長になってまいりますと、みんなにひとしく仕事を与える、雇用の問題というものが、組織労働者の賃上げと並んで非常に大きな社会的な問題になると思うのであります。特に強いところだけが腕ずくで取っていくということは、結局多くの労働者から仕事を奪うという結果になりかねない。それからまた、あるいはインフレーションを生んで大部分の庶民は苦しむという結果になるわけであります。この労働政策のもう一つの盾の半面であります雇用の問題で、ずっと日本から見れば非常に高い失業率が続いているわけでありますけれども、この失業問題に対応して基本的にまず大臣あるいは労働省当局が雇用を創出するということについてどのような角度で物事を考えておられるのでしょうか、まず総論をお伺いしたい。
#30
○細野政府委員 雇用問題を解決する場合に、先生御指摘のように何と申しましても雇用機会というものを確保するということが基本であるわけでございまして、その場合にいわば労働省一省でこの問題に十分な役割りを果たすということはとてもできないわけでありまして、関係各省、なかんずく経済諸官庁との密接な連携が必要でございます。そういう意味で経済諸官庁にもいろいろな御協力をいただきまして、現段階におきまして、たとえば適正な経済成長率を維持をして、まず一般的な総需要の拡大を図っていくということ、それからそれだけではなかなか、特に最近限界雇用係数が下がるその他、景気自体の拡大基調と雇用需要の増大との間にかなりずれが出てきておるわけでございまして、そういう意味で、一般的な需要の創出というだけでは足りませんで、やはり具体的にその需要の拡大というものが雇用の場の確保ということに結びつくための対策というものがどうしても必要になってきておるわけでございます。その面につきましても、これも労働省だけではなかなか十分な役割りを達成しがたい面が多々ございまして、たとえば教育、社会福祉その他の部門についても重点を置いて強化をしていただくというふうな問題、あるいは造船等のような構造不況の業種については、緊急にその需要喚起をして雇用の減少というものにある程度歯どめをかけていただかないと急激な社会不安を起こすというふうな問題もございますし、あるいは、各市町村を初め公共団体等におかれてもいろいろ雇用面に配慮される場合に、それについてある程度国の財政的に支えるための努力というものも必要になってくるわけでございます。そういう各面にわたるいろいろな面につきましては、当然経済企画庁なりあるいは通産省なり、あるいは公共事業を拡大して不況地域に重点的に配分するということになりますと、これは建設省なり農林省なり、いろいろ各省の御協力が要るわけでございます。たとえば今年度予算等につきましては、かなり各省の御協力をいただいてそういう点について予算の中にも具体的に盛り込んでいただいたわけでございます。
 そういう全体的な、何と言いますか雇用需要を確保する、あるいは補完をするというふうな努力の上に、私ども自体としましても、たとえば、後ほど先生からもお尋ねがあるかと思うのでございますけれども、現在中高年齢者の失業者が非常に滞留しているという状況を解決するために、開発給付金というような制度を、補助率なり補助期間を飛躍的に拡大しまして、先ほど申しましたようなせっかく仕事自体はある程度ふえてきているのだけれども、それがなかなか具体的な求人、なかんずく常用に結びつかない、あるいは常用の中でも中高年の失業者に結びつきにくい、そういう中高年失業者と仕事の増大というものとを具体的に結びつけるための補完措置みたいなものが必要じゃないか、こういうふうなことで、いろいろな角度から先生御指摘の雇用の場の確保、雇用の創出という問題について政府全体に御協力をいただきながら取り組んでいるというのが現状であり、また私どもの考え方なわけでございます。
#31
○津島委員 労働省が具体的に持っておられる政策手段についてはすぐ後で伺うことにしまして、その前にいま総論的に局長からお話のありました雇用政策を国の政策、特に経済政策の中でしっかりと位置づけるということは非常に大切だと思うのです。私自身、行政にいた経験から申しまして、経済官庁にいたわけですけれども、雇用問題がたとえば予算編成なり金融政策なり、具体的な形で国の政策を決めたという場面が非常に少なかったんではなかろうか。逆に言えば、抽象的にたとえば失業率が上がっているから成長率を上げるべきであるとか、あるいは特定不況業種、不況地域についての対策が必要であるとか、こういう常識的な、それこそ田舎のいろりばたでも議論できる程度の議論が行われるのでありますけれども、たとえば国会で補正予算を組めば、それが本当にどの程度の雇用増に結びつくかということを聞かれれば皆さん立ち往生してしまうというのが日本の経済政策の現状なんですね。これは労働省あるいは経済官庁としてもやむを得ないことなんで、最初から発想方法がそうできてないわけですね。いわば経済成長率が上がれば多少は雇用がふえるであろうというような、せいぜい過去の趨勢からモデルをつくって理論的な計算をやるという程度だと思うのです。
 そこで、具体的な御提案をできればしたいわけでありますけれども、もう少し失業率であるとか雇用の創出について、具体的に経済政策を決める場合に、労働省あるいは労働政策から来たところの要求を組み入れる仕組みが必要なのではないか。いま労働省としてどういう場でそういう意見を言わされているのか、それが具体的に予算編成なり補正予算の編成にどのようにいまの制度で生かされているのか、簡単にちょっとお伺いをしたいのであります。余り具体的なものは出てこないと思いますけれども。
#32
○栗原国務大臣 御指摘の点、まことに大事なところでございまして、私も大臣に就任して考えたことはそこなんです。労働行政というものは余りにも離れておった、こそくに過ぎていた、これはいかぬということで、実は成長率等につきましても経済企画庁長官と会いまして私の方からの数値というものを申し上げた。それから、公共事業なんかを各省やりますね。一体それでどの程度の雇用創出ができるのか、ちゃんと押さえてもらいたい。今度はこれは大蔵でちゃんと押さえてくれましたけれども、大蔵が知っているのじゃなくて労働省も、各省ごとにみんな知っている、そのために私どもは通産省とも話をするし、建設省とも首脳部がそれぞれ話しまして、まあ完全なものではございませんけれども、いままでから見ますと、予算の中でどう雇用を創出するか、国全体として考えてもらいたい、一つ一つの施策が雇用にどうつながるか考えてもらいたいということを言ってきたわけでございます。そういう意味では若干の進歩になり得たのじゃないかと思います。
 なお、私どもはいろいろ産業団体とか労働団体の代表の方々と会いますけれども、私が労働団体の方々と会うときには通産大臣も一緒に行ってくれ、あるいは経済企画庁長官も一緒に行ってくれ、また、経済団体と会うときには、通産大臣や経済企画庁長官だけでなしに私も行く、そして雇用問題上からいろいろ産業政策について注文をつける、また、労働組合の人たちに御協力をいただく、そういう手法をいまとっているわけでございます。
#33
○津島委員 まあそういう現状であろうと思うので、大変大臣も事務当局も努力はしておられると思うのですけれども、いまの制度の中にぴったりおさまるような姿になっていない。そういう意味でひとっこれから雇用問題を検討する横断的な機関をぜひ政府の内部につくっていただきたい。そして、具体的に雇用政策の見地から経済政策にこれだけのことはやってほしいということを国民にわかるように、政府の中で大臣同士が話をしましたというのじゃ国民はさっぱりわからないのですから、けじめをつける仕組みをぜひつくっていただきたいということをまず御提案申し上げておきます。
 各論として二つ申し上げておきたいのです。
 一つは、次に出てまいります民間の活力を生かすというような場合にも、日本の民間の経済の構造を変えていかないといけないのです。結局、いまの日本の民間経済の合理化の方向というのは省力化なんです。これはできるだけ効率的に生産をする、その要請は非常に強いわけでありますけれども、同時にそういう一つの経済の流れの中で雇用を確保していくというか、もう少し前向きに人を使う、人間をたくさん使いながら、同時に日本の経済社会のために必要な部門もあると思うのです。それをどういう方向に誘導していくのかということを、ひとつ積極的に御検討いただきたい。いままで労働省は、ほかの経済官庁のやったしりぬぐいばかりさせられてきている、これが第一点。
 それから第二点は、いわゆる第三次部門と申しますか、半ば公共サービスであり半ば民間の仕事であるという、たとえば医僚とか文教とか、こういう面にできるだけ有益な労働力を活用する。こういうものは直接生産には響きませんけれども、しかし日本の社会の質を高めるために非常にプラスになるわけであります。
 それを労働省として、ひとつ整合性のある提案をしていただきたい。私の見るところ、たとえばほかの官庁がそれぞれの立場からおやりになっておりますけれども、整合性がないし、それから予算の場合にもどたばた騒ぎで終わってしまうということでありますので、ぜひひとつこの二点を御検討いただきたいと思います。
 そこで、時間がありませんので具体的な問題に入ってまいりますが、労働省として、従来は失対事業ということで国の費用でしりぬぐいをさせられてきた。しりぬぐいと言うと非常に言葉が悪くなりますけれども。そこでここ数年間、雇用対策としてできるだけ民間の活力を生かそうというわけで、中高年齢者雇用開発給付金であるとか、特定不況業種に対する同じような開発給付金であるとか、あるいは定年延長の場合の奨励金、民間の企業に奨励金を出して定年を延ばしていただく、高齢者をもう少し雇っていただくというようなことをやっておられるわけです。これは失対事業ばかりでもあれなんで、できるだけ民間もその気になってやってほしいということなんでしょうけれども、考えようによっては、本来やらなければならぬことを、奨励金を出して、金でだまして何とか雇ってもらうというふうにもとれる。これが緊急対策として、万やむを得ず一定時期に行われて効果を生んでいるならいいのですけれども、そうでないと、国から金が来るから、とにかくお年寄りだけれども窓際に座っておいていただこうということになったら、これは御当人にも気の毒だし、国のためにもならない。しかも民間企業というのは基本的に合理化の圧力がかかっておりますから、それに逆櫓をかけるような話でありますね。
 そこで、こういう一連のいまの雇用奨励金というものについてどのように評価しておられるのか、いままでおやりになった結果、具体的に何か雇用効果があったのかどうか。私の見るところ、雇用の効果があったという資料は何一つないような気がするのです。不用額が毎年たくさん出ておる。もし効果が十分でないとするならば、将来その経験を生かして、どのような方向に御検討になるのか、この点をお伺いしたいと思います。
#34
○細野政府委員 各種の奨励金、助成金というものが、先生御指摘のようになかなかむずかしい問題があるという点は事実でございます。先ほど、非常に不用額があって余っているじゃないかというような御指摘がございましたが、たとえば今回の開発給付金で申し上げますと、開発給付金自体、一昨年の十月から始めて、初めはやはり知られていなかったこともあって、なかなか消化がされなかったわけでございますが、最近、まだ五十四年度予算による改善の内容が決まっていない段階において、すでに先ほど申し上げましたような経済自体の緩やかながらも着実な拡大傾向とも見合いまして、中高年の開発給付金の活用が非常に高まりまして、五十三年度の予算のベースで申し上げますと、当初予算の約二倍ぐらいの消化が現在の制度でも行われる見込みでございます。
 この効果ということでございますが、その開発給付金が支払われるときには、当然中高年齢者が雇われるという事実の上で支給されているわけでございますけれども、それだけではなくて、要件としまして、開発給付金につきましては、中高年齢者のその企業における数がふえるか割合がふえるかどちらかでなければいけない。ですから、一人減って一人新しく入れてもこれは対象にしないということでございますから、そういう意味での中高年齢の失業者の雇用がふえていくということについての役割りを果たしていることだけは確実ではなかろうか。しかも、先ほど申しましたように、経済的な条件にも恵まれた点もございまして、急激に最近利用が活発化して、五十三年度予算でも約二倍ぐらい、したがいまして、五十四年度予算におきましては中高年齢者開発給付金で約五万五千人、その他を含めて約十万人ぐらいの雇用増を図りたいと考えております。現在のところ私どもは、この改善される内容についての徹底的なPRをやらなければいかぬと思っておりますが、このPRとあわせまして、この目標が実現しなければならぬし、またできるのではないかなというふうに考えているわけでございます。
 そのほかの各種の給付金につきましては、これは実態的な動きがないところに、金だけで事が進捗するというわけにはなかなかまいらない事情がございますが、しかし定年延長その他の問題につきましても、急激に最近定年延長の機運が盛り上がっておりますし、それが社会的あるいは政治的な大問題にもなりつつあるわけでございます。たとえば、御案内かと思いますけれども、関西の代表的な三百数社の労使で構成しております産業労使会議におきまして、定年延長を含む雇用延長をすぐ六十まで持っていこうじゃないか、その場合に、賃金体系なり退職金なり人事管理なりその他もろもろの制度について、労使でもって大体こういう条件でやらなければいかぬという条件整備の合意までできているというようなことでございまして、そういう機運の中で、定年延長奨励金等についてもかなり大幅の拡充をこの予算でやっていただきましたので、それも先ほど申しましたような開発給付金に準じた活用が図られるように私どももPRその他に努力をしてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
#35
○津島委員 最近の五十三、四年度についてはかなりよくなっているというお話ですが、五十一年度、いまの決算のこの数字から見ますと、たとえば高年齢者雇用奨励金、これは予算で約五十六億組まれて、実際に使われたのは十四億ですね。翌年度の五十二年度でも、予算は六十億組んだが実質は二十億なんですね。そういう状態が続いてきたということで、いまの御答弁のように進んでいけばそれ自体は結構なことだと思うのでございます。ところがもう一つこわいのは、これは一年間払いますということなんですね。さあ一年間窓際に置きました、来年はもう終わったからチョンですよというようなことになったら、結局制度の本来の目的は何も達成しなかった、おまけに今度は逆に、もう一年また労働省からいただければ続けて雇用しますよということになると、これは四十五歳とか五十五歳以上の人はずっと、これは国の金とは必ずしも言えませんけれども、企業から拠出している金でありますけれども、公的なお金をもらわなければ雇わないというところにいくおそれがあります。そういう意味で、この奨励金というものはあくまでも短期的なカンフル注射として考えて、その後の抜本的な対策はやはり本腰を入れてお考えになっていただきたいということを御要望申し上げておきます。
 次の最後の質問に入ります前に、中高年齢者の方の雇用問題というのは確かに非常にむずかしい問題でございまして、できるだけ働けるうちは働いていただくということは大変望ましいのでありますが、これと、それから公的年金制度との整合性が必ずしも十分できていない。きのうあたりの報道では、ようやく大臣レベルでこういう政策の整合性を考えようじゃないかということになってきておられるようでありますが、その点をひとつけじめのついた政策にしていただきたいということを御要望申し上げておきます。
 この奨励金の先の問題について、一言で結構ですが、大臣、どういう感触をお持ちになっているのか。とにかくこの奨励金だけが目玉ということになりますと、後大変だと思うのですが、御感触をお伺いしたいと思います。
#36
○栗原国務大臣 御指摘の点もまことにごもっともな点だと思います。ただ、この奨励金というのは、いま局長からも話をいたしましたが、景気がうんといいときには出す必要がないわけですね。景気がうんと悪いときにはこれをやってもなかなか雇わぬですね。ちょうど景気がだんだん、まあまあ上向いてくるなというときでございますから、利用というものは多いと思うのです。ただ問題は、これを乱用される、悪用されるということは厳に慎まなければいけない。それと同時に、お説のとおりそれによって中高年齢者の雇用が定着をする、これが最も肝要でございまして、その点についての指導と申しますか根回しと申しますか、そういうことについては万全を期していきたい、こう考えております。
#37
○津島委員 雇用対策について一層の努力をお願いして、次の最後の問題に触れたいと思うのですが、先ほど申し上げましたように、これからの労働政策というものが、賃上げであるとか雇用であるとかということばかりでなくて、より広く労働者の方、勤労者の万の幸せを考える方向に行っていただきたいわけでありますが、その一つの柱として従来から財形貯蓄というのをやって、いろいろやっておられます。制度としてきわめて複雑な制度でございまして、私もかって社会労働委員会で御質問したことがあるのですが、当時の印象では、余り制度がむずかしいものですから、制度をつくってもなかなか利用してもらえないという実情に見受けたのでありますが、最近の数字を見ますと、貯金をなさるとか信託をするとかいうような金融貯蓄の方は、この制度を利用して大分やっておられる。五十四年二月の状態で契約者が約一千万人近くなった。九百二十万人ぐらいになっているということで、大変結構なことだと思うのですけれども、問題は、銀行ばっかり金融資産を置いておいてもいたし方ないので、たとえばしっかりした家をつくってもらう。日本の場合に、勤労者が欧米に比べて一番苦労しておられるのは家であろうと思うのでございますが、その点ではいろいろなことをやってもなかなか目的が達成できない。財産形成持ち家融資なんという制度がありますけれども、五十二年度ではわずか百七十四件、戸数で約千三百軒、それが五十三年度になりますと百十三件で七百九十二軒ですか、かえって減ったりしているのですね。これは非常にぐあいの悪いことなんですけれども、何かこの制度がよく利用できるような工夫がないでしょうかという点でございます。
 去年も私は御提案申し上げたのですが、土地政策を大蔵省や建設省だけに任せておかずに、この財形貯蓄に乗る場合には、たとえば企業が不覚にも利用できない土地を買っちゃった。いまはそれを手放すとみんな罰金的な税金をかけられているわけですから、財形貯蓄をやっている勤労者、従業員の方に手放すときには一定の条件を付して罰金の税金をかけないという制度もあってもいいじゃないかという御提案をしたわけでございます。今度の税制改正では、皆さん御存じかと思うのですけれども、大蔵省も、会社が何か宅地供給業者に建てさせてそしていまの従業員に売るような場合には緩めるという改正まではやっておるのですけれども、何も宅建業者に払い下げる場合だけ軽減する必要はないのでありまして、この辺でもう少し労働省の御検討をお願いしたいと思います。この点について簡単な御答弁をいただいて、終えたいと思います。
#38
○岩崎政府委員 いま先生からお話がありました昨年財形法を改正する際に社会労働委員会の先生の御提言もいただきましたし、私どもこの土地税制を含めました土地政策、住宅政策、これを総合的、多元的に進めていかなければならぬという観点から、現在財形審議会というのが御承知のとおりございますが、そこでやはり基本問題懇談会というのを設けておりまして、いろいろと精力的に御検討いただいております。私どもも関係各省との連携を密にしながら一層勉強させていただきまして、この持ち家制度というものを本当に財形制度の中核として推進できるような形で持っていきたいと努力いたしたいと思っております。
#39
○津島委員 ありがとうございました。終わります。
#40
○加藤委員長 原茂君。
#41
○原(茂)委員 雇用問題を中心に大臣にお伺いいたしますが、必要がありましたら政府委員に答弁をお願いしたい。
 いま尊敬する津島委員の質問を聞いていまして、聞いていなければよかったのですが、聞いていますと、やはりこれはちょっと私どもの考え方を申し上げまして、もし必要があれば、後御答弁いただくときに触れていただいても結構です。
 第一に、いま西ドイツとかイギリスなんかも石油ショック以来、従来非常に安定したある意味の労働運動をやっていたのですが、特に経営参加の一つの形態を新しくつくってやってきた、その西ドイツなども、最近になりますと非常に激しいストをやるようになった。日本ばかりではない。日本の最近の状況というのは大変穏便に、おとなしく、数も少なくなっている。西ドイツなりイギリスを見たら、非常に激しいものになっているという現状だということだけ前提に申し上げておきます。
 それから二つ目に、未組織労働者にも、ストをやるような力のある組合はいいんだけれども、その影響というものがやはり賃上げまた物価の値上げというようなことを通じて未組織労働者への影響は非常に大きい、この面のあることは兜定できないと思うのです。しかしそのことが同時に、半年か一年かは知りませんが、やはりきちっと公労協なりあるいは大手組合なりの賃上げというものが参考になって未組織労働者あるいは中小組合の諸君の賃上げにも影響してくるという意味で、悪い影響だけがあって賃上げの影響がないんだというようなことは全然ないというふうに考えておりますが、それを一つ申し上げておきたい。組織が大きくてストライキができるところは非常にいいようだがと言っているのですが、やはりいまのストというのは相当大きな犠牲を伴っているのですね。犠牲のないストをやっているわけじゃないのです。その犠牲の一部が結局未組織の労働者あるいは中小企業に働く労働者にも、時間がたってやはり賃上げその他の影響となってあらわれてくる。制度要求をいろいろする、その制度要求の一端がやはり彼らにも敷衍することができるという意味では、物価が上がって未組織労働者だけが苦労するなんというようなばかなことはないという見解を持っておりますので、これも申し上げておきたいと思ったわけです。
 次に、労働分配率の問題ですけれども、労働分配率が確かにある時期を調べるとだんだん上がってくることは間違いない。相関的な指数としては物価の上がり方とかいろいろあります。社会保障の内容の労働者階級の負担率の問題その他ずいぶんありますが、それは別にしても、労働分配率が高まってきたということには、ただ話し合いという状況だけでここまできたかというと、いままでの実績は、遺憾ながらストを構えたりストを行ったという実績の中で今日のような分配率が少しでも前よりよくなったという事実のあることも、これは否定できないということも申し上げておきたいし、それから賃金の長期安定的な取り決めができないだろうか。いまアメリカの一部ですけれども、あるいはドイツその他の毎年毎年日本と同じような状況のところの答弁もありました。そのとおりなんですが、この長期安定的な賃金の取り決めをもし日本で行うということになるなら、ある程度自分の生活コストというものの、多少の幅はあってもそれに対する基準というものがぴちっと前提されていなければできないのですね。高度経済成長の時代から今日のような低成長に移りまして、非常に変動の激しい経済なりあるいは生活環境の変化の中に、いま日本ではちょっと三年だの二年だのという長期安定賃金の取り決めなどというのは不可能ではないかというふうに考えております。
 それから、公共企業体等のストライキあるいは大手私鉄のストライキ、この調停中にストが行われて何の効果があるのか。何か遠慮をなさって余りぴちっとした御答弁がなかったのですが、たとえば今回なんかは八時半に公労委がきちっと五・四から五・六出して、どうなりますか、すぐにお昼前後には国鉄その他もあるいは私鉄もそれにならって旗を倒したり、あるいは収拾の道へ向かうような努力をいましていると私は思うのですが、これもストを構えストを行いという中で事実進展した五・四から五・六にいまなっているわけです。これがどのような解決になるかはお昼ごろわかると思うのです。したがって、従来もありましたけれども、調停中といえどもストを構えあるいはストを行うということが、多少ではあるけれども賃上げに影響した事実のあることはいまも間違いなく事実として存在するということだけ申し上げておきます。
 これに対して、またおまえの考えとは違うよという当局の大臣の御答弁があるなら、これから質問をしていく過程の中でひとつおっしゃっていただきたい。
 それで、質問に入る前に一つ先にお伺いしておきたいのでありますが、この間運輸大臣森山さんが、国鉄の役員として労働組合の代表を一名監査委員に任命して、そして経営の実態をわかってもらいながら何とかして不測の事態を避けながら国鉄再建に寄与してもらいたいという話をされました。これは一つの考え方だと私は思うのですが、労働大臣としては、こういった森山さんの考え方を一国鉄に限定するのじゃなくて、他にもいっぱい応用しようと思えばできるのですが、こういった考えをもっと広げていこうというお考えはありませんか、大臣の考えをひとつ。
#42
○栗原国務大臣 私は、森山運輸大臣の国鉄再建に当たりまして労働者側から監査委員を入れる、この思想は大変結構だと思います。ただ、それをよその方に広げるかどうかということにつきましては、どういうものにどうするのかということまでよくわかりませんと、何でもかんでも入れていけばいいというものではないという意味合いから、よそのことにつきまして私がいま発言することは差し控えさせていただきますけれども、国鉄に関する限りは大変いいのじゃないか、そういうように評価いたします。
 それから、いま先生から、津島委員からいろいろお話があったことについて御感想を述べられました。私の感想を申し上げますとこういうことなんですね。私は津島委員が言われたことの中に、国民の中にはこういう意見、こういう意見があるということ、それは事実そのとおりあると思うのですよ。ですから、それを忠実に発言された津島委員の発言についてはわれわれとしても耳を傾けざるを得ないし、傾けるのは当然であると思います。ただ、また私がこの間のNHKの政治討論会でいろいろ財界の人、労働界の人と話しました。そのときに、いま先生御指摘になったように長期的の問題とかいろいろありましたね。これは私は、そういうことを考えていただいたらいかがでございましょうか、いわゆる賃金その他の問題は労使の間で解決すべきことではあるけれども、しかし皆さん方も国民の声、各界の声をよく聞いていただきたい、その中に私はこういうことを考えますということを申し上げたわけです。最終的には労使がよく話し合っていただきたい、こう思います。したがいまして、いま一々それに対する御感想がございましたが、御感想は御感想として傾聴いたしたいと思います。
#43
○原(茂)委員 津島委員が言ったのは、断わったように尊敬する津島委員の発言ですから、私はそれに反駁したわけじゃありませんよ。聞いていて、やはりあなた方が遠慮して言わなかったようなことまで含めて言っておく必要があると思ったから言っただけです。時間がもったいないからこれはやめます。
 ただ、運輸大臣のあれは非常にいいことだと思うなら、労働行政を担当する大臣ですから、至急に他に及ぼすことはできないかという検討はしていただいた方がいいと思うのです。これは私から要望しておきます。
 そこで、労働省発行の五十一年度の労働白書、五十二年版の労働白書と言うのですか、これを中心に少し聞きたいなと思って、現在の問題に敷衍しながらお聞きをするわけです。
 その労働白書に、景気が回復過程をたどっているにもかかわらず雇用、失業の改善がおくれている、その原因は、景気の先行き見通しに慎重で雇用増加を避けて残業増加で対応する企業の姿勢にある、こういう指摘をしているのです。全くそのとおりだったと思うのですね。内容は、まず第一部の「昭和五十一年労働経済の推移と特徴」の部分で、雇用問題は完全失業者が戦後最大規模の年平均百八万人に達し、就業者は年平均〇・九%増加したとはいえ、製造業者で見ると前年比〇・四%減と三年連続の減少になったとしています。また賃金問題は、所定外給与などの伸びにより前年を上回る改善を示したと述べているものの、勤労者の家計は国鉄、私鉄、郵便、電話料金など公共料金引き上げを中心とする物価上昇率を差し引いた実収入は全国平均で〇・一%増にすぎず、消費支出は〇・五%のマイナスになったと指摘しています。
 次に、第二部の「安定成長下における労働経済の課題」という項では、二種類のいわゆる雇用指標を使って、今回の不況からの回復過程四十八年後期から五十二年初期は、前回四十五年中期から四十八年後期や前々回三十九年後期から四十二年に比較して雇用の減少がひどく、その改善がおくれていると指摘し、その特徴として、製造部門、特に投資関連業種の雇用停滞が目立つ。二つ目に、労働生産性上昇は顕著だが、雇用減少の中で労働時間の増加が大きくなっている。三つ目に、第三次産業も雇用の伸び悩みが見られる。四つ目に、中高年労働者と大卒者への影響が特に大きいなどと指摘しております。これはあなたが発行したものです。そこで、今後の雇用改善のためにも設備投資の回復が重要だと強調しまして、最後に、中高年齢労働者の需要緩和が長期的に続くと見られるので、定年延長など中高年の離職者を出さない仕組みの検討と中高年雇用対策の推進が望ましい――人ごとのように言っておりますが、望ましい。二つ目に、勤労者福祉の観点だけでなく雇用機会の確保の面から労働時間の短縮が重要であり、労使は自主的に取り組む必要がある。三つ目に、大卒者の増加と、それへの産業界の需要緩和に対し長期的な対策を検討すべきだという問題点を、三つ明らかにしている。
 総じてこの白書では、労働時間の短縮をこれまでの勤労者福祉あるいは労働条件改善の視点だけではなくて、雇用拡大の見地から取り上げているところに特徴がある。石油危機以来、米労働界や西独労働界でも七六年秋以来要求が強く出されておりまして、わが国でも総評が七七年七月十八日に発表したいわゆる労働運動方針の中で、当面の最大課題は雇用、失業問題だとして、その解決策を週三十五時間労働、週休二日制を基本とする労働時間の短縮に求めるというようなことが発表されましたが、期せずしてこれは労働白書と総評の労働運動の着眼が一致したとも言えます。期せずしてそうなったのですが、実現しようと思いましてもそう簡単にこれがいくものではないと私も思います。
 そこで、次の質問に答えていただきたい。五十年以後いわゆる定年制延長、時間短縮、週休二日制の完全実施、残業規制、有給休暇の増加がどうなっているか、資料をちょうだいしました。資料全部は来ておりませんが、いま申し上げた五つの問題について、できるだけ簡潔に数字だけお答えをいただきたい。
#44
○細野政府委員 最初にまず、定年の状況について申し上げます。
 定年の状況は五十五歳定年がかつて非常に多かったわけでございます。十年前の昭和四十三年に、全体の定年を決めている、一律定年でございますが、その企業の中で六三・二%が五十五歳というふうに決めていたわけでございます。これが一番新しい調査では、五十三年でございますが、四一・三%、約二二ポイントほど五十五歳定年というのは減っているわけであります。変わりまして、六十歳以上の定年でございますが、これが同じ十年前の四十三年には、全体としまして、六十歳以上の計でございますが、二二%であったものが、五十三年には三九%というふうに一七ポイントほどふえているわけでございます。長期的に見ましても、いま申しましたように定年の年齢自体が延長の方向に向いておりますが、特に四十九年以降の不況下におきましても定年自体が延びる傾向にあるということがうかがわれるわけでございます。
#45
○岩崎政府委員 私から時間の問題、それから週休二日制の問題、有給休暇の問題等についてお答えを申し上げたいと思います。
 全産業それから全規模合計でございますが、月間の実労働時間、これは三十五年が一番多かったわけでございますけれども、四十九年、五十年には不況のこともありまして大幅に減少いたしました。その後生産の回復とともに労働時間がやや増加に転じております。そして五十三年の月間実労働時間は百七十五・二時間ということになっておりまして、四十八年にはこれが百八十二・〇時間でございましたので、なお相当低いことになっております。
 ちなみに、四十八年では、時間外労働、所定外労働時間は十五・四時間でございましたのが、五十三年では十二・三時間になっております。これが実は五十年ごろにボトムがございまして十・六時間、それから比べますと五十一年、五十二年、五十三年は若干ずつふえておりますが、それ以前、四十八年以前に比べますとまだ相当低い水準にございます。
 それから、週休二日制につきましては、五十一年ごろに一定の水準に達しまして、その後五十二年、五十三年はほとんど横ばいになっております。これが三十人以上の規模の企業体で最近のものとしては五十二年の九月末の調査がございますが、何らかの形で週休二日制を実施している企業は全体の四四%、その適用を受けておる労働者が七二%ということになっております。ちなみに、何らかの形と申しますのは月に一回あるいは隔週に一回というようなものも含めておりますので、毎週週休二日という形のものをとりますと、労働者ベースで二三%という数字になっております。
 それから、年次有給休暇の取得の問題でございます。これにつきましては、実は調査がちょっと古い数字でございますが、五十一年には年次有給休暇の不用日数が十三・四日になっておりまして、平均の取得日数が八・二日ということになっております。ちなみに、六年前の四十五年を比較いたしますと、不用日数が十一・六日、取得日数が七・二日ということになっておりますので、若干の前進が見られます。ただ実際には、年次休暇の不用日数に対しましての取得率がいま申し上げましたように六〇%程度であるというところに一一つの問題があることは、私どもも存じております。
#46
○原(茂)委員 残業規制の問題は。
#47
○岩崎政府委員 残業規制と申しますか、先ほど残業時間の問題として申し上げました。
#48
○原(茂)委員 週休二日制はまず隗より始めろで官庁からできるだけやろうじゃないかと言ったのですが、いまどこまでいっていますか。
#49
○岩崎政府委員 これは必ずしも私どもの所管でございませんが、総理府の人事局中心に、各省では現在試行という形でやっております。これは閉庁方式でございませんで、交代に休むということで一昨年度、昨年度ということでやっておりますが、これは一昨年度は人員を四つに分けまして、それで四分の一ずつが月に一回ずつ休むという形、それから昨年度は三分の一ずつが月に一回ずつ休むという形で試行をしております。この試行の結果が早晩出てまいると思います。各省の業務内容によってそれ自身支障があるということもございまして、試行そのものにも手をつけない部局が若干はあるようでございますが、そういった結果を勘案いたしまして、人事院なりあるいは人事局のその次の方針というものが示されるものと考えております。
#50
○原(茂)委員 そうそう、忘れたのですが、白書を読んでいるうちに、歴代自民党政府の雇用問題、失業問題、要するに政府として、やはりこういった状態にさせた原因に対して負うべき責任があるだろうと思うのですよ。ごく自然に出たので、政府に何も責任がないというわけにはいかないと思う。私は、こういった雇用問題がクローズアップされるような失業問題なり、今後の雇用不安の増大というものを起こした政治的な責任というものを、政府でやはり考えていいのじゃないかと思うのです。だから何をする、だからこうする、いろいろな手当てをしているわけですが、一口に言って、こういう問題がクローズアップされるに至るまでには、歴代自民党政府にもやはり責任というものはあるというふうに考えますが、大臣どうですか。
#51
○栗原国務大臣 物事は両面でございまして、日本がここまで、いろいろ言われますけれども非常に経済力の大きな国になったということは、国民の皆さんの御協力、御努力はもちろんでございますが、政権を担当した自由民主党と政府にもこれは大いに関係があると思います。同時に、その反面いろいろの矛盾が出ております。それに対する謙虚な反省は常にあらねばならない、こう考えております。
#52
○原(茂)委員 そこで、同じような意味で、やはり企業にも責任がある、企業の経営者にも同じような意味で責任がやはりあるというふうに私は思いますが、どうでしょうか。
#53
○栗原国務大臣 そういう意味で、労使ともども責任があると思います。
#54
○原(茂)委員 政府のことは政府自体がお考えになって、その責任をやはり今後の行政面で生かしていくよりしようがない。労働省として、企業にも責任があるという点で、今後企業に対する指導はやはりすべき、だと思うのですが、今日までを振り返ってみて、企業にも道義的な、あるいはその他の責任として考えていかなければいけないというふうに指導するためには、やはり焦点を一つなり二つなり置かなければいけないわけですが、大臣どうでしょう。企業の責任というものはこういう点にあるというものをお考えでしたらおっしゃっていただいて、それに向かって企業に対する指導をこれからはしていく必要があると思うのですが、どうでしょう。
#55
○栗原国務大臣 企業に対して、おまえ、これ責任あるぞと、こう押しつけるようなことは、企業の自由といいますか、そういうものに対して干渉することでございますから、これはできないと思います。ただ、企業に対して強く要望するということはあります。特に現代においては、私は二つあると思います。
 一つは、減量経営に藉口して人減らしをする、そういうことは厳に慎んでもらいたい、企業の社会的責任も考えてもらいたいということが一つ。いま一つは、高年齢社会に移行していきます。そこで、高年齢者の方々に生きがいを与える、働く能力のある人たちに職場を与えるということは、これは政府の責任ではありますけれども、同時に企業の皆さん方にもその社会的な責任というものを負ってもらわなければいかぬ。
 この二点につきましては、すでに新聞等で御案内だと思いますが、私と通産大臣とが経済界の代表に対しまして、国会の論議を踏まえていろいろ要望をしているわけでございます。これに対しまして、経済団体の代表の方から、趣旨はよくわかった、そういう点について努力いたしたい、ただ、企業側にもいろいろ労働側や政府に対して要望するところもあるということで、その御意見を承っておるわけでございます。
#56
○原(茂)委員 要するに、社会不安を少しでもなくしていくような意味での非常に広範な責任というものはやはり前提としては感じなければいけないですね。大臣のその考え方でいいと思います。
 そこで、いままでとにかく完全雇用が達成されたという、完全雇用というのはある意味では神話みたいな状態に、日本ばかりじゃありませんが、なってきたのですが、現在では不完全雇用というものが常識であって、すべての行政もあるいは国民の心構えも、不完全雇用というものを前提にした考え方で取り組んでいかなければいけないという事態にもうなったのだ。二、三年たてばまた完全雇用の神話が復活するのだというような甘い考え方は間違いなのであって、不完全雇用が常態なんだ、こう考える状態になったと思うのですが、これは大臣どうですか。
#57
○細野政府委員 先生御指摘のように経済的な要因、構造が非常に大きく変わっておりますので、そういう意味で、かつてのような失業率なり雇用の状態を再現するということが非常に困難になってきているという点は御指摘のとおりであります。
 ただし、一方におきまして現在の状態というのは、高度成長から安定成長への変化のプロセス的な問題と、それから先生御指摘のようなその長期的な側面と両方が混在しているという面もまた否定できないわけであります。そういう意味で現在のプロセス的なものをできるだけ、先生も先ほどおっしゃいましたように社会不安を起こさないような形で乗り切ることによりまして、今後の状態につきましては改善の望める面もまた出てくるというふうに考えているわけでございます。
#58
○原(茂)委員 わざわざ大臣から違った答弁をもらおうと思って逆に言ったんですがね。確かに、いま不完全雇用の状態が相当続くだろうと思うのです。かと言って、それでいいのだという前提に立って仕事をしてはいけないと思いますので、やはり低成長は低成長なりの完全雇用というものを模索して、それに向かって努力しなければいけないと思うのですよ。その意味で、ある程度当局あるいは大臣として、いやそうは言ってもいまのような不完全雇用の時代を通ったら、何年ぐらいたったら低成長下における完全雇用というものを目標にしていきたい、いくんだというようなことを言えるなら、そういう目標ぐらいひとつ政府として、特に労働行政の一番の責任者としてはぴしっとそういう目標を設定した上でおやりになっていただくことが必要じゃないか。これがまた労働階級にもある程度の希望を与えていきますし、何となく不安が増大している中におけるいわゆる明るさというものはそういうところから来ると思う。いま渦中にある労働者は、これはどうなっちゃうんだろう、あしたどうなる、来年どうなるんだというので、考え始めると悪い方だけ考えていますよ。それを、いやこういう条件を整えていって、低成長下にあっても完全雇用というものをわれわれは目標にしているし、それは何年なら何年ぐらいで達成したいと思っているのだというような行政庁としての明るさ、希望、不安をなくすようなものを与えていただくことが必要だというふうに思うのですが、大臣どうですか。
#59
○栗原国務大臣 先生のおっしゃることを別の言葉で言いますと、いま完全雇用というのは一体どの程度だろうかということだろうと思うのですよ。この点につきましては新経済社会七カ年計画におきましても、いろいろ定義をしているようでございます。とにかく年とった人がふえる、それから女子の労働力がふえてくる、それから若い人たちの職業選好度というやつが非常に高くなってくる、いろいろの要件がございますので、全く一人も失業者がいないなどということはできないわけです。ですから、どの程度の失業者であるならばこれは完全雇用と言えるだろうかという問題でございます。その目標はございますので、その目標に向かって政府がどう取り組むかというプランもございます。それにつきましては政府委員の方から答弁させます。
#60
○細野政府委員 どういう状態を完全雇用と言うかというのでございますが、いま大臣からお答え申し上げましたように非常に議論のあるところでございまして、特に質的な面を重視すればするほど非常に定義がむずかしいというふうに思われるわけでございますが、一応いろいろな雇用関係、経済関係の指標を総合しまして、それで一応の考え方としまして、労働力の需要と供給が大体見合う、それで失業者の数自体も社会的にあるいは労働市場の条件の中でかなり少ない状況であるというふうなことを想定しました場合に、一応現在検討しております七カ年計画の中では一・七%程度ぐらいの失業率であって、需給関係にバランスが大きく崩れていなければ一応完全雇用というふうに見てもいいのじゃないかというふうな考え方に立ちまして、そういう状態に持っていくために、七カ年計画の前半におきましていろいろな経済政策等、雇用政策等総合的に実施することによって産業界における大きな需給ギャップ、それから労働力需給面における大きな需給ギャップ、これを何とか前半で解消いたしまして、後半で一・七%という目標まで持っていきたいというふうな想定で、現在いろいろな施策について政府が連携をとりながら検討をしているという状況でございます。
#61
○原(茂)委員 不完全失業者はいまのところ問題にしない論議でいいのですが、そのとおりなんです。一・七を七カ年計画の後半でと言うのですが、それをもう、度現在の状況に合わして手直しをした上で、少し声を大にして、こういう目標で、まあ常識的な線の一・七までは持っていけるというようなことをする必要はありませんか。かつての七カ年計画の後半といった、それをつくったのはおととしじゃなかったですか。それはいつですか。
#62
○細野政府委員 政府部内でそういう考え方がある程度コンセンサスになりましたのは、むしろ昨年の暮れからでございます。
#63
○原(茂)委員 それならわりあいに新しいからいいのでしょうが、とにかくそれを責任を持って、もうちょっと国民全体がわかるような方法で知らしてやるという何か方途を講ずる方がいいのじゃないかと思うのですね。それは私はおととしそういう案があったということを前から聞いていますから頭にあったのですが、だからむしろ訂正せいと言いたかったのですが、去年の暮れということになれば、これは非常に新しいのですから差し支えないと思いますが、それをもうちょっと国民全体に、いまのような状態の中にはぴしっと出していく必要があるのじゃないかと考えもしますので、これはぜひ何とか知らせてもらいたいと思うが、どうですか。
#64
○細野政府委員 ただいま申し上げました政府の考え方は七カ年計画の基本構想の中で表に出ているものではございますが、しかし現在七カ年計画の本計画自体は策定中でございまして、これが策定された段階におきまして国民の方々にも広く周知を申し上げると同時に、御理解をいただくようないろいろな努力をしなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。
#65
○原(茂)委員 その本計画はいつできるのですか。
#66
○細野政府委員 本年の夏ごろをめどに計画を策定中でございます。
#67
○原(茂)委員 労働省は、ごろと言ったらそのとおりやるのかどうか知らぬが、ほかのところは大体、夏ごろと言うと秋ごろになったり冬ごろになるのですよね。労働省はいままでの実績で、夏ごろというのは夏ごろですか、いつも。七、八月ですか。もう一遍。
#68
○細野政府委員 御案内の経済企画庁を中心にやっておるものでございますが、労働省も参画いたしまして、そのスケジュールは狂わないものというふうに考えております。
#69
○原(茂)委員 それはりっぱですね。私も覚えていますから。それを見せて国民に大々的にアピールする必要がある、こういう点は。いまの時期に非常に大事だと思います。
 それから、これから五年先まで見通して、いわゆる完全失業者でいいのですが、失業者はいまより減ると思うのですが、これからまだふえると思うか。五年先を見通したときに、現在の段階で労働当局としてどうお考えになるのか。減るのでもふえるのでもいいのですが、失業問題そのものにどういう対策を考えていこうとしているのかを、もしふえるならなおさらですね、ひとつそれを一緒に答えてください。
#70
○細野政府委員 失業者がどうなるかという問題は、基本的に経済がどうなるかということにもかかわりが大きいわけでございまして、そういう意味で現在の経済をめぐる諸環境にもいろいろ不確定要因、たとえば円高がどうなるかとか石油の問題がどうなるかということがございますが、一応現在のところ緩やかながらも着実な拡大基調にあるということが言えるわけでございます。そういうことを反映しまして、失業者の数自体も昨年の十二月ごろからようやく傾向的には減少の傾向があらわれました。たとえば、五十四年二月で申し上げますと、前年比で一一%ほど減っているわけでございます。この減り方自体も、一カ月だけでございますのでこれほどの大幅な減を今後も期待できるかどうかいろいろ問題がございますが、減少基調に入ってきていることも事実のようにうかがえるわけでございます。
 ただ、先ほど申しましたように、計画期間の前半におきまして、五年とおっしゃいましたが、七年のうちの前半というと三、四年ということになるわけでございますが、その期間中にはまだ経済全体でも大きな需給ギャップ自体が解消しない業種、たとえば典型的には造船等もございまして、造船全体としては減量にかなり山を越したのではないかと、特に大手中心に思っておりますけれども、下請関連を初め、今後も若干離職者が出ることを予想しなければならぬような状況もございますので、したがいまして、昨年の暮れ以来からあらわれた減少傾向がそのまま一直線に延ばし得るかどうかということにも相当問題がございます。そういう意味で計画期間の前半というのはなかなか顕著な失業状況の改善というのはむずかしいのではなかろうか。しかし、経済的な需給ギャップというものが計画期間の前半で解消されれば、後半には雇用、失業についてのある程度のはっきりした改善というものも見込まれるのじゃなかろうか、こんなふうな想定で現在の経済政策、それからそれに連動して雇用政策等も検討いたしているわけでございます。
 その中で特に私どもが重点を置いて考えておりますのは、先ほど先生からも御指摘がございましたように、今後急速に高齢化が進むという過程の中で、現在すでに中高年齢の失業者がかなり滞留傾向が見られておるわけでございまして、この問題を現段階で解決の方向を定めておかなければ、当面の問題としても大問題でございますほかに、今後の中期的な将来においても大きな問題になるのではなかろうかという観点から、中高年齢の失業対策というものを強化をしようということに特に力点を置いているわけでございます。
 そういう観点で、先ほど御指摘等も出ましたけれども、非常に異例な制度ではございますけれども、中高年齢者を雇用される事業主に対する助成という、幅なり年数が世界の各国でやっている制度に比較しましても非常に異例なほど大幅な制度を今回採用して、そういう意味での高年齢者雇用、高齢者を雇い入れていく、そういう社会的な慣行をつくっていきたいということが一つございます。
 それからもう一つは、先ほど先生からもお尋ねがございました定年の延長あるいは再雇用を含めての全体的な雇用延長というものを急速に広めていかなければならぬ。先ほどお答えしましたように、不況下でもテンポは鈍りながらも定年延長というものは続いているわけでございますが、このテンポではやはりわが国の高齢化に対応できないのではないかという危機感を私ども持っておるわけでございまして、定年延長に実効のある方策というものをぜひとも考え、実行しなければいかぬというふうなところに力点を置いて現在対策を考えておるわけでございます。
#71
○原(茂)委員 われわれは確かにいまの経済の見通しなんというものを立てることは非常に困難ですよね、コンピューターがあるわけじゃなし、政府の各機関の資料を十分に駆使できるわけじゃなし。労働省はできるのですよ。しかも、労働省はある程度中期、長期の見通しも持たなければ、失業給付の問題だって予算を立てるのだってできないわけですよ。しかも長期の見通しがなくて来年度の予算をなんというのはあり得ないわけですからね。したがって、いまの経済の見通しは非常に困難であるが、最近は少しはよくなった、造船もまあまあ頭打ちでそろそろよくなるだろうというのは、われわれの言う言葉、考え方なんですよ。私は造船なんかもここ三、四年でよくなるというふうに考える材料を個人だから持っていません。非常にまだ困難があると思う。造船が昔のように復調することはないんじゃないかとすら考えていますからね。これを前のカーブを考えながら、それに何年かでつなげようなんという考え方はどだい誤りじゃないかという、これは個人の見解でわかりませんが、あるいはまた最近よくなった、失業率が減ってきた、あるいは雇用の率が増大されたという資料を見ても、こんなわずかなものですからね。恐らく女の人のパートなんかを採用することによってこの数字がわずかによくなっているという面だってあるだろうというふうに思いますし、したがって、われわれは経済の見通しは非常に困難なんですが、幾ら困難があっても、個人の原茂じゃなくて、労働省としては十分に、危険はあるかもしれませんが、われわれよりは材料はとにかく集めいいのですから、もう少し材料をぴちっと駆使しながら、困難であっても、その作業をどこの局でどの人たちでやるのか知りませんが進めていくように、各省から全部資料を集めておやりになって、労働省の権威にかけても今後三年たったら失業率は減っていくんだ、あるいは何年たったらこうなるんだということぐらいは、さっきの私の要望と同じように、ひとつそういう基礎をきちっとおつくりいただくように私はお願いしたい。いまのような、どうも見通しの問題は云々と言われますと、私どもですら全然わからないわけですから、労働省はもうちょっと科学的にしかも組織的にそれが計算できる立場にあるので、困難があってもそれをおやりになるところに、いまのような雇用不安の増大されている中における労働行政の一番中心を置いていいんじゃないかという感じがするものですから、これは要望として、私の考えを申し上げてお願いしておきます。
 それから、こうした雇用問題というものを私が初めて取り上げているのですが、こういうことを言わなきゃいけない経済環境、これに対応するたとえば労働運動も新たな対応に迫られている。事実変化しています。労使関係のあり方も当然変化しなければいけない、変化をしている。同じように政府の対応策も、従来のパターンでやることは許されないと思うので、これは大臣でも結構なんですが、労働運動が新たな対応を迫られている。その前提に立ち、また労使関係のあり方も新たな対応に迫られている。同じ意味で、政府がこのいまの状況にどう対応するのか、政府としての対応の仕方をちょっとお伺いしたい。
#72
○栗原国務大臣 特に高年齢者の雇用、定年の延長等をとってみますと、確かに労使間の考え方というのは決定的になるわけですね。御案内のとおり、定年延長ということを阻害しているゆえんのものは何かというと、年功序列型の賃金慣行、これにあるわけです。ですからこのネックを破らない限り、定年延長しろと言ってもなかなか無理なんです。高年齢者の雇用率を高めろと言いましても、中小企業はもう雇用率を達成しているのですよ。大企業が達成しない。
 大企業はなぜ達成しないかというと、この年功序列型の賃金体系です。定年になって離職者が出た、だから高年齢者の人を雇うということになれば、冗談じゃない、自分のところの定年になった者を追い出しておいてよそから雇い入れるというのは何事だと、労働秩序の中でもいろいろ異変が起こるわけです。そこで、よそから雇うくらいならば定年を延長しろ、定年を延長するためにはどうするかというと、年功序列型の賃金体系というものをぶち破らなければならない。この点については使用者の方も、むしろそういうことだからわれわれはなかなか定年延長できないのだというエクスキューズに使っている。それから労働側から言いますと今度は逆に、冗談じゃない、定年は延長すべきだ。年功序列の賃金体系については大分変わってきております。変わってきておりますけれども、いままではその問題については触れたがらないという傾向があったわけです。そこら辺は壁をぶち抜かなければだめなわけです。
 ですから、私どもは経済団体の人たちに対しても、あなた方の方も少し呼びかけたらどうだ、労働組合の人たちも応じたらどうだ、あるいは場合によっては、おれたちはこうするから経営者はこうしないかと反対提案したっていいじゃないかというようなことを、いまナショナルセンターではやり始めたわけです。私はこれをナショナルセンターでやると同時に、地方に企業別、産業別行政指導を徹底しなければならない。いままで、行政指導でやると言ったってなかなか行政指導でできないじゃないかという御批判ございますね。私、大臣になりましてそうだと思うのですよ。本当に行政指導をやったかどうか。
 しかし、行政指導をさせないような環境もあるわけです。それはどういうことかといいますと、これは先生お怒りにならぬでいただきたいのですが、国会なら国会というものに役人全部がくぎづけになりますと、これは行政指導できないのです。ですから、私どもは努めることは努めるけれども、同時に行政指導させていただくような環境をぜひつくっていただきたい、そういうことも御支援いただきたいと思っているのです。ですから、私はいま、国会でいろいろ答弁いたしまして、それをどういうことを言ったかということを調べまして、関係団体に対しては、国会ではこういう議論があった、これについてあなたはどう思うかということをいまやっているわけです。私自身も、国会のお許しをいただけるようになりますれば、末端へ行ってこれはどうだということをやりたいと思います。
 定年制の延長の問題はまさにそれだと思うのです。またそれと同時に、今度の国会におきましていろいろ御審議いただきまして、予算修正に関連いたしまして野党の皆さん方から定年延長に関する法制化の問題が出ております。これらの問題につきましては、その定年延長の法制化をも含めまして審議会で御議論をいただきたいと、その準備をいましているところでございます。そういう意味で、政府も行政指導の面でも新たな工夫をこらしていかなければならぬ、こう考えております。
#73
○原(茂)委員 中高年齢層対策に関しては、馬場委員が専門的に後でお伺いします。
 労働省がこの段階においてどういう対応をするかについて、いま具体的にぴちっとした答えにはなっていないと思うのですが、大臣のおっしゃったことも必要ですからやっていただくとして、ただ、時間の都合で私はこうしたらということを申し上げませんが、大臣の言った国会でくぎづけになっているために行政指導ができない、その時間がないというのは、私はもってのほかの考えだと思います。国会はすなわち行政指導のあり方の基本的な問題を、国民を代表してわれわれが皆さんに注文をつけたり論議しているのですから、ここでの十分な意見の把握というものが行政指導の中心にならなければいけない。したがって、民主国会であり議会中心の今日、大臣がここにくぎづけになってどうも行政指導する時間がないのだなんと言うことは、これはもってのほかだというふうに考えます。
 そこで、最後にもう一つお伺いするのですが、英国のチャールズ皇太子がことしの二月ですか、国会議員や科学者との昼食会の席上の演説で、イギリスの労働組合は交渉能力を欠いているとは思えない、争議行為の行き過ぎは労使間の意思疎通のまずさと誤解から生じているのではないか、わが国のいわゆる経営陣は労使関係に占める人間的な要素の大切さを軽視しているようだと言ってのけて、あっと言わせたわけですよね。要するに、経営者にもその責任があるぞと。世論調査では、当時スト権の強さあるいは行き過ぎ、これは少し反省しなければという声が出始めている最中だったので、この皇太子の意見は国民をびっくりさせた。これは事実そうらしい。さらに、皇太子は、重役の皆さんも一般の従業員と食堂を一緒にしてはどうかというところまでやったわけですね。ですから、驚いたことは間違いないと思うのですが、若い世代を含めて国民に認識させる上では非常に効果があった。労組いじめだけでは問題解決にならないというようなことを結論的には英皇太子は訴えたわけですが、これは世論形成の上で、そうかなという意味で非常に効果があったようだ。いま申し上げたようなことがありましたが、この労使関係に占める人間的な要素の大切さ、これは非常に同感なんですが、大臣はどう思うかが一点。
 それから、わが国でも、いまだに重役や政府行政府幹部と一般従業員あるいは職員との食堂を違えているところがいっぱいあるのですよね。労働省、どうですかね。局長さんと一般と違っているかどうか知りませんが、電電公社へ行ってもそうですね。違っていますね。そういうところが非常にあるのですよ。民間の企業にもあるのですね。これは人間的な関係を非常に重要だと思うならこういう点も考えろという英皇太子の考え方は非常に同感なんで、こういう点は、さっきの行政指導じゃないけれども、やはり労働行政の長としてはこういうことも、まあまあ英皇太子が言ったから言うのじゃないけれども、大事だと思うが、できるだけやれというような指導を、大臣が率先一般の食堂へ行って飯を食って範を示すとか、そういうようなことはやはりやる必要があるのではないかと思うのですね。
 それから、最後になるのですが、ストがあると処分を発表するのですよね。まあ全逓のマル生なんか大変な量のあれを発表するとかしないとか。冗談じゃねえというので、いま大騒ぎになっていますよ。これはわれわれ、断固すべきじゃないという立場なんですが、ストがあると必ず、今度のことだって国鉄があれだけストをやれば、また処罰が行われる。英皇太子の言うのじゃないが、ストの責任は労働者ばかりにあるのじゃない。労働者いじめのような処分をしたから問題がおさまるものではない、経営の側にもやはり責任はあるのだ、英皇太子の言うような観点、私は同感なんだ。そういう点から言うと、マル生の全逓のストにしても、一方的に組合だけ処分する、国鉄の今回の問題でも、国鉄の組合員に対してだけ処分をする。経営の側に処分をしたと、いままで聞いたことがない。私は、経営の側にも処分をびしっとやることを通じて、当然責任あるのですから、そこまで紛糾させて、問題解決しないでストに持っていったのですから。
 したがって、今度の場合のストなんか、きょうのストなんというのはある程度――労働大臣はそんな考えはないかもしれないが、いまの政府として、やっぱりやらした方がいい、やらして処分して、だんだん労組の力をそいでいきたいというような考えがあるんじゃないかなという憶測すらできるほど、とめられたものをやったという印象です。これは後で、時間がないからいま言いませんが、あれだけ出すならストはとまったのじゃないかという考えなんですが、これは政府自民党の方針として、やらせる。やらしていく。できるだけ処分をしていく。そうして組合のきばを抜いていくんだ、力をそいでいくんだというような方針であれをやらしたんだな、きょうのストなんか私はそう思っているのです。
 しかし、大臣はそんなことはないと思う。労働大臣だから、労働者の側に立っているから、そんなことはないと思うのですが、しかし、ストの処分を行うというときには、経営者に何ら責任がないという立場で経営者の処分をしないということに対しては、非常に片手落ちである。その意味では、英皇太子のこの演説というのは非常に同感なんですが、一体大臣はこれに対してどういうふうにお思いになるかを最後に聞いておきたい。
#74
○栗原国務大臣 最初に国会の方の問題が出ましたけれども、これは冒頭にも申し上げましたけれども、私は行政指導をしっかりやりたい、そういう意味で国会側の御激励、御鞭撻をいただきたいという趣旨でございます。御了解いただきたいと思います。
 それから、英国皇太子の話が出ましたけれども、英国の皇太子の言う意味ですね、これが本当に経営者も労働者と一緒になってざっくばらんにやれ、そういう意味なら、私は結構なことを言っていると思いますよ。労働省のお話がありましたけれども、私は労働省に参りまして、労働省くらい人間臭い役所はないと思うのです。そういう意味では、労働省の諸君は先生のめがねにかなっているんじゃないかと思っております。
 ただ、いま全逓等の問題が出まして、ストライキをやってそれを処分するというのはいかがなものかということでございますが、この問題について私がここで、その実態をよく把握しないでいろいろコメントすることは適当でないと思います。ただ、一般的に言う場合には、違法行為があった場合に処分権者が処分をする、これは一般的に当然のことではないか、こう考えます。
#75
○原(茂)委員 これで終わりますが、大臣の、いまコメントするのはどうかと思うというのは、私は一般論的に言っているのでして、ストがあって、ストの責任は一方的に組合だけにあるんだという前提の処分というのはどうかと思う、やはり経営の側に対する処分なり譴責を行う必要がある、そういまだに思っていますが、大臣は言えないでしょうから、それ以上追及しない。
 これで終わります。
#76
○加藤委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。
    午後零時四十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十四分開議
#77
○加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。馬場猪太郎君。
#78
○馬場(猪)委員 昭和五十年代に入ってから、完全失業率が二%、そして百万の状態が続いておりますけれども、その中でも二十歳未満の青少年等については、経済が非常に伸びていた時代と比べれば有効求人倍率も、少ないけれどもまあそこそこ求人のある状態の中で、結局雇用対策の中心は中高年問題だと思います。その中高年問題について、五十五歳、高齢者の六%の達成について最近どのような状態になっておりましょうか、お聞かせいただきたいと思います。
#79
○細野政府委員 御指摘ございました高年齢者の雇用率でございますが、法律では六%、五十五歳以上の方を雇うべく努めなければならないという努力義務の規定になっておるわけでございますが、その達成の状況は、五十三年つまり昨年六月の状態でございますと五・六%ということで、その達成の割合が法律で定めている努力義務を下回っている状況でございます。
 なお、これを規模別に見ますと、大きな規模の企業ほど達成の割合が低く、小規模のところでは平均としましては雇用率を上回っておるというふうな状況にございます。
#80
○馬場(猪)委員 完全失業者数が五十年の百万人で一・九%から五十三年度は二・二%にふえておりますし、しかも四十五歳以上の方々についても四十一万人、二・〇%、だんだんふえていっている状態にありますが、依然としていまも同じような傾向が続いていっておりますか。
#81
○細野政府委員 全般的に見まして、失業者の中に占める割合、若年の方もふえているのですけれども、ふえ方の割合は、極端ではございませんけれども中高年層の方が高いという傾向がございます。それから、求人倍率につきましても、先ほど御指摘のように、全般的に求人倍率自体が低下の傾向にある中でやはり高齢になればなるほどその落ち方が激しいという点は、御指摘のとおりだと思うわけであります。
#82
○馬場(猪)委員 いま言われたように、成績の悪いのはむしろ千人以上というような大企業で、百人程度のところはずいぶん努力もしていただいたのですが、そういう大企業についてどういう点に一番問題点が多いわけでしょうか。
#83
○細野政府委員 賃金なり雇用の慣行なりというようなものが年功序列の型になっておる、その形が大企業の方がはるかに明確であるということが一つの大きなネックになっておると思うわけでございます。そのほか、大企業の場合には、関連会社等に年輩の方を有効に活用していただけるような余地を持っておられるというふうな側面も、もう一つの要素として考えられるわけでございます。
#84
○馬場(猪)委員 それらに対して四十八年以来ずっと努力を続けられているのですが、五十一年、五十二年などの実績を見ますと、五十年度で四万五千円であった定年延長奨励金が、五十一年は八万になり、五十二年は十二万、中小企業の場合ですけれども、どんどんふやしていかれているにもかかわらず、予算の上ではずいぶんと不用額を出しておりますね。たとえば定年延長奨励金について、五十一年度が三十億について二億四千万しか使っていない、約七%です。五十二年が四十七億について二億六千万、五%ぐらいというふうに非常に使われていないというのは、どういうところに原因があるのでしょう。
#85
○細野政府委員 一つには、この制度がなかなか周知されていないという問題があって、私どももそういう点についての反省をいたしておるわけでございます。もう一つの側面は、不況下におきまして、定年延長自体は徐々には進んでおりますけれども、その進み方のテンポが高成長のときに比べてかなり落ちております。そういう意味で助成金がなかなか活用されないという、そういう両方の側面があるかというふうに考えておるわけでございます。
#86
○馬場(猪)委員 五十三年度は、いま見通しとしてはどうですか。
#87
○細野政府委員 五十三年度におきましても、中高年齢者の開発給付金の方は予算を二倍ぐらい上回るぐらいの出方をするんじゃないかというふうに現在の実績見通しで考えておるわけでございますが、御指摘の定年延長奨励金につきましては、やはり相当の未消化が残るというふうに考えております。
#88
○馬場(猪)委員 昨年の暮れぐらいとかごく最近の数字で言ったらどれくらいになっていますか。
#89
○細野政府委員 五十三年度の実績見込みとしましては、対象人員で約三千八百人、支給金額約五億八千万円でございまして、一応積算的に見込んでおります金額に比べまして一割程度という見込みでございます。
#90
○馬場(猪)委員 いま局長知られてないからと言うのは、初年度はいいと思うのです。三年続いていますね、これ。三年同じような条件が続いているのです。ですから初年度の――五十一年度は初年度じゃないですけれども、五十年度から比べて五十一年度、大幅にふやされた年についてはこれは予測しがたいということが言えるのですが、同じように二年、三年続いているというのは、これはどういうことなんでしょうか。
#91
○細野政府委員 やはり基本的には定年延長のテンポが鈍った、定年延長を実施する企業の割合等も減ってきたということにあるわけでございますが、同時に統計等で見ますと定年延長をやっておられるところもあるわけでございまして、それに比べると利用されているのが少ないというのは、やはり御存じないんじゃないかという面も、これもちょっと否定できないんじゃなかろうか。
 そういう意味で、私ども定年延長自体を、いまの高齢化のテンポから考えまして、いまの定年延長のテンポというものは遅過ぎるというふうに危機感を持っておるわけでございますが、そういう意味での実態的な定年延長を促進すると同時に、この制度の周知徹底をまだまだやらなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。
#92
○馬場(猪)委員 ずっと参議院の議事録も読ましていただきましたけれども、三年間同じことを言っておられるわけですね。知られてないから、そんな答弁だけで三年間ずっと過ごされておって、これだけの不用額を出されておるのですね。
 これだけだったらいいですよ。またその後の高齢者雇用奨励金もそうでしょう。五十五億に対して十三億、約十四億ですか、二二%ぐらい、五十二年度の五十九億に対して二十億ぐらいというふうに、これも成績悪いですね。この高齢者雇用奨励金について、これの五十三年度の見通しはどうですか。
#93
○清水説明員 大体五十二年度と同額程度、だと見ておりますけれども、ただこれは中高年の雇用開発給付金を発足させておりますので、そちらの方に相当利用される方が流れていっておるのではないか、こういうふうに考えております。
#94
○馬場(猪)委員 これもやはり同じような傾向ですね。ですから、三年も続いてずっと不用額がたくさん出るような状態では、努力はしておられるのでしょうけれども、その努力のポイントが全然違っておるんじゃないでしょうかね。どういう努力をなさってきたのですか。
#95
○細野政府委員 この制度につきましては、いろいろなパンフレットとかリーフレットとかそういうものをつくり、あるいは安定所の窓口に用意をしておいて一般にお配りするのみならず、求人、求職の方々にすぐ利用しやすい形でそういうものを備えつけておくというようないろいろな努力をしているわけでございますが、むしろ私どもは、今後の問題としまして、たとえば高年齢者の雇用という問題を取り上げてみました場合に、高年齢者の雇用率の悪いのは主として大企業でございますので、大企業の中で雇用率の非常に悪いところにつきましては、法律に基づきまして達成計画というものをつくってもらうことになっているわけでございます。そういう達成計画をつくってもらいまして、計画の内容自体を適正に指導するのみならず、その実行をフォローしていくということになるわけでございまして、そういう形を通じまして現実にこういうものの制度が利用され、また雇用率自体が上がっていくというふうな、実態とこういう制度の活用とが並行して進むような形を実施してまいりたいというふうに考えておるわけであります。
#96
○馬場(猪)委員 だから、初年度、五十一年度も五十二年度も五十三年度も同じ方法をやってきたわけですか。五十一年度はこういうことをやった、五十二年度はそれで成績が上がらなかったのでこういうことをやったという何かありますか、そうしたら。
#97
○細野政府委員 ただいま申し上げました雇用率の達成計画を命じましたのはことしの一月からでございまして、そういう意味で従来にない制度を取り入れまして、そういうものとこの援護制度というものを関連づけながら進めてまいりたい、こういうように考えておるわけでございます。
#98
○馬場(猪)委員 そうすると、一月までこの三年の間は、じゃほかのことは何も手を打ってなかったということになるのですか。
#99
○清水説明員 逐次周知徹底、PRにつきましてそれぞれ前年の実績等を考えまして、そのための努力をいたしてまいっておりまして、確かに予算額に比べまして未消化分が多いわけでございますけれども、各年ごとに消化率を見てまいりますと、逐年これは上昇傾向をたどってまいっておるわけでございます。たとえば継続雇用奨励金につきましても、五十一年度におきましては一二・六%程度の実績でございましたけれども、五十二年度はこれは五一・五%というふうなぐあいに上昇してまいっております。高年齢者の雇用奨励金につきましても、五十年度につきましては七・八%というわずかなものでありましたが、五十三年度におきましては三四%。定年延長奨励金についても大体同様な形でまいっております。大体その周知につきまして約三十万部ほどパンフレットを作成いたしまして、そうしたものを機会あるごとに配布するとか説明会等で使うというふうな形で努力を傾けておる、こういうことでございます。
#100
○馬場(猪)委員 九三%使って七%が残って、そして七%残った分が六%になった、五%になったという進捗率ならいいですよ。使ったのが七%で、九三%がわずかに減った。それがしかもPRだけに頼ってやっておるのですか。そういうやり方をしておって、こんなことでただお金を出す、給付金を出すというだけでは無理な面もあるわけなんでしょう。
 一年、二年ならいいですよ。三年続いておる。しかも今年度もまた大幅に伸びておるわけでしょう。もし四年同じような状態が続いたら、これはどういうことになるのですか。この雇用法をつくるときには、会期延長したりして大騒ぎはするんだけれども、組んだ予算がこんな状態で三年も使われないという状態がずっと続いておったら、これはやはり決算の立場から見るとふやせないじゃないですか。これは大臣どうですか。
#101
○栗原国務大臣 御指摘の点は私どももそういう感じでございます。非常に遺憾でございます。残念だと思っております。しかし、この制度は創意工夫をこらして使われるようにしなければいけないんじゃないかということで、実は五十四年度の予算では相当思い切った、というより財政上思い切った措置をとったわけでございますが、なお各党とのお話し合いの中でこれをふやしていくということで、内容的にも魅力あるものにして消化を図っていきたい、こう考えております。
#102
○馬場(猪)委員 言葉は魅力あると言われますけれども、この三年間の実績だけ見ていますと、ことしだけ飛躍的に伸びるというような感じはいたしませんね。何かやはりもっと抜本的な対策を講じないことには伸びない。ということは、予算が使われないということは、これは積算の基礎になった、恐らく三十億についてどれぐらいの雇用を確保できる、あるいは四十七億使ってどれぐらい確保できると思っていたものが、その七%と言ったら、数字的に言ったらどれぐらいになるのですか。雇用にどれぐらい寄与していることになるのですか。
#103
○栗原国務大臣 今度は、別に安易に考えるわけじゃございませんけれども、いままでから比べますと相当金額を張り込んでおりますし、PRする場合にも、いままでよりもこれだけ多くなりましたよ、どうぞ御利用くださいと、PRも非常にしやすくなると思うのですね。ですから、こういう制度はよろしくないと言って廃止をするなら別でございますけれども、やはりこれは助長しなければならぬということでございますので、工夫をこらしてPR、普及に尽くしたい、こう考えております。
#104
○馬場(猪)委員 中高年齢者雇用開発給付金にしましても、五十二年度が一億五千万でしょう。今度は二十九億八千八百万ですから三十倍になっているわけですね。そしてこれで十万人の雇用を出されると言われるのでしょう。これは内閣が大きな目玉として発表されているのです。ところが、五十一年、五十二年流でいきますと、十万人が実は千人だったというような結果になりかねないわけです。看板に余りにも偽りありということになりかねないと思うからあえてこういうことを申し上げているのですが、先ほどからPR、PRと言われるのだけれども、PRだけで、お金でつるようなやり方、それだけで雇用がふえるものでしょうか。
#105
○細野政府委員 開発給付金につきましては一昨年の十月から発足しておりますので、発足当初は知られていなかったことが一番基本原因でございました。最近は非常に活用の度が高まりまして、現在のところ、開発給付金については五十三年度予算のほぼ二倍くらいは消化されるのではないかというふうに見込まれておるわけでございます。これは支給決定の前に支給についての資格の決定をしておりますが、その資格決定件数から見てそういうことが言えるわけであります。
 なぜそうなるかということにつきましては、御案内のように経済がある程度拡大基調に向かいますと同時に、求人が徐々にふえてきているわけでございます。そういう求人のふえている動向と開発給付金とが結びつきまして、したがいまして、求人者がこの制度を活用する。つまり知ると同時に実態自体もふえつつあるという両面が相まちまして、この制度が急激にいま伸びつつあるわけでございます。そこへ、今度の予算におきまして大幅な内容の拡充をしていただきましたので、私どもは、中高年齢者開発給付金によって五万五千人の雇用の拡大を図るということを申しておるわけでございます。この数字の達成というのはやらなければいけませんが、同時にやれるというふうに考えているわけでございます。
 そういうふうに、他の制度につきましても、先生御指摘のようにPRだけではなかなか活用されるということがむずかしゅうございますので、実態の促進ということに力を注いで、それと関連させながらこういう制度の活用を図っていく必要があるということで、先ほど申し上げたようなことを申し上げたわけでございます。
#106
○馬場(猪)委員 もし伸びるとすれば、これから伸びるのは、PRよりかむしろ経済の実態が変わってきたことによる要因の方が大きいわけなんでしょう。極端な言い方をしたら、いままでのやり方でほったらかしておいても、景気が上向いてきたら自然にふえてきますよ。もちろん皆さんの方でやられることは限度があることはよくわかりますけれども、しかし、こういうやり方をしているということは、三年間全く同じやり方しかしてないのかしらと思いまして、ですから、あえてどれだけの研究をなさって、同じPRにしても、あるいは手続の緩和とかこういう点もどういう努力をなさったのか、そういうことをひとつ教えていただきたいと言っているのですよ。そういうことを一つもお答えいただけないのですよ。
#107
○細野政府委員 活用されない点については、確かに先生御指摘のように、せっかく努力するわりに内容、助成の中身が乏しいじゃないかというふうな御指摘もございましたし、それから手続が非常にめんどうじゃないかという御指摘もございまして、そういう点につきましては労使関係者の方々のいろいろな御意見を伺った上で、手続等についても、会計検査上どうしても必要なものはやむを得ないと思うのでございますけれども、そうじゃなくて簡素化できるものについての簡素化等を図りますし、同時に内容についても、さっき先生から御指摘がありましたように、かなりここ一両年充実をしてきているという状況なわけでございます。
#108
○馬場(猪)委員 そういう制度的な中身、皆さんの労働省でやられる仕事については限界があることはよくわかりますよ。その中でも先ほど三十万部のパンフレットを安定所に置いてなどと言われるけれども、安定所が果たして信頼されているのですか。安定所自体だって、いま利用されているのは、新しく職を求めるというのは一一・九%ですか、ほかの要因で新しく就職されたというあれを見ますと、政策労組会議ですか、ここで調べられた数字が合っているかどうかわかりませんけれども、ここらで見ましても、大体縁故関係とかもとの会社とかということで再就職なさっている方が多いわけでしょう。だから、安定所によって再就職したというのはこの率からいけば非常に低いのですが、皆さんの方ではどれぐらいの率を確保していらっしゃるのか、その点もひとつお教えいただきたい。
#109
○細野政府委員 雇用動向調査という調査がございまして、その中で毎年労働力の流動がどのくらいあって、その中でどういう経路で就職しておられるかという調査をやっておるわけでございます。その結果によりますと、大体二割ぐらいが安定所を経由しておられるわけでございます。
 この二割という数字でございますが、労働力の流動自体はそのほとんど大部分が自発的な、自己都合の流動によるものでございまして、それがすべて安定所を経由するのがいいのだと言うわけにもまいりませんので、各国とも、たとえばアメリカ等でも、正確な統計はないのですけれども、労働省なんかの資料によると一六、七%ぐらいが安定所経由というような数字もございまして、できるだけ労働市場に関する情報等を見ながら職を選んでいただく方がいいという意味では、安定所の紹介を受けるまでにやることはともかくとしまして、安定所で情報等を見ながら選職していただく方が望ましいことは事実だと思います。
 それから、やはり安定所の紹介によるという率が余りにも低過ぎるというのも確かに問題があるわけでございます。
 そういう意味で、多ければいいという性質のものではございませんけれども、二割ないし三割の方が安定所を経由して就職され、その際にどれだけ労働市場の中で状況をよく知った上で判断をしておられるかというふうな、率と同時に内容の充実、その両面が非常に大切だと思っているわけでございます。
 そういう意味で、安定所における情報をできるだけ豊富なものにするということ、それから安定所を頼ってこられた方の態様に応じまして、つまり情報だけであとは自分で選ぶよという方はそれでいいと思うわけでございますが、高年齢者の方とか身体障害者の方とか、かなりマン・ツー・マンで、それこそ求人開拓までも個人のためにやらなければならないという方もございますし、それからその中間程度にある程度の職業指導等の必要な方もあるわけでございます。そういう態様別に紹介をやっていかなければいかぬとか、あるいはそういう態様別紹介が行えるような能力の養成をしなければならない。そういう側面に現在力を注いで、各県二カ所ずつぐらいの安定所でいろいろな実験をお願いしてやってみて、いいものは取り入れるというような方向で現在やらしていただいているわけでございます。
#110
○馬場(猪)委員 話が安定所の方に飛んでしまいましたけれども、ついでですから……。
 その安定所も、いま言われた皆さんの方では二〇%ぐらいの御利用があるということなんですが、それにしても、日本的なのかもしれませんけれども、関連会社であるとかあるいは縁故関係の方がずっと比率が高いのですね。安定所に行かずにそちらに行くというのは、それだけある程度安定所に対する信頼度が薄いと見なければならぬと思うのですが、何かそれについての対策は講じていらっしゃるのですか。
 たとえば、十年前と五年前といまと労働市場の状態は全然違うのに、同じ人数でもしやっているとすれば、恐らくきめ細かく相談できませんね。医療と同じで、二時間待って三分間医療とよく言われるものと同じことで、失業なさっている方にしてみればわらにもすがるような気持ちで行くけれども、事務的にぱっぱっぱっとコンベヤーに乗ったような形で送られるというような形になっておったら、これは信頼度は高くなりませんからね。そういうところへパンフレットだけ置いて先ほどのPRをやっているというのだったら、やっていること自体が空回りしているのじゃないかと思いますので、あえて申し上げているのですが、どうですか。
#111
○細野政府委員 先生から御指摘がございましたように、安定所の業務が非常にふえてきているのと同時に、かつてのように高度成長の過程でございますと、むしろ求人者の方が安定所に頼っておいでになって、そういう意味で会社との関係でいいますと安定所は待ちの姿勢でよかったわけでございますけれども、現在はむしろ逆で、企業の方にこちらから出向いて求人を開拓しなければならぬというわけでございます。そういう意味で、従来の高度成長の中で来ておりましたいろいろな組織なり、あるいは機能のあり方自体について直さなきゃいかぬという問題がございまして、私どもも求人開拓を積極的にやるために特別の求人開拓班を設けるとかいろいろな工夫をしまして、求人開拓のために努力をしておるわけでございます。
 一方、たとえば先生御指摘の政策推進会議の調査等によりますと、会社のあっせんなり縁故の割合が高いことも事実でございます。たとえば、私ども構造不況業種等の対策としての経験からいいますと、かつて石炭産業についての経験があるわけでございますが、やはり大企業を含む大規模な合理化が行われます場合に、何といっても自分のところから出ていく離職者についてはその会社がかなり努力をしていただかなければならぬ。また大企業等の離職者について見ますと、一般の求職条件というものといままで受けておられた処遇との間にかなり差があるわけでございます。その意味で、いままでいた条件に近いところで、しかもできることなら気心の知れたところにというのが、離職者の方としてみれば無理からぬお気持ちでございます。そういう意味で、構造不況的な様相を示した場合の就職あっせんの形というのはやはり会社都合なり縁故を頼るという形がどうしても多くなりがちだという点は、性格的にやむを得ない面もあるというふうに私ども思っております。
 しかし、それだけに頼るということはもちろん問題でございまして、安定所自体も先ほど申しましたようないろいろな工夫をいたしまして、求職者の信頼をかち得られるように、特に中小以下の方になりますと、いま御指摘のような会社のあっせんとか縁故とかいうことがなかなかむずかしい要素がございますから、そういう方々の御要望に十分こたえられるようにしてまいりたいと思っておるところでございます。
#112
○馬場(猪)委員 それから、中高年齢者の雇用開発給付金あたりについては、給与の八〇%近くがもうほとんど助成ということになるわけですね。いかにもお金でつってやっているような感じで、そういうことで入った場合は金の切れ目が縁の切れ目で、その助成が出なくなった途端にその制度が生きてこないというおそれがあると思うのですが、その点はどういうふうにお考えになっていますか。
#113
○細野政府委員 この制度につきましては、いわば需給資格の決定みたいな段階と実際に支給する段階とがございます。支給自体は半年ごとに実績を見て支給をするというやり方をとっておるわけでございます。したがいまして、一番長い方は、高年齢の方については、現在御審議をいただいておる法律が通ると一年半までということになるわけでございます。したがいまして、まずそれぞれの受給資格を決めますときに、単にこの期間中だけ雇うということではなくて、引き続き雇うという体制になっておるかどうかということを調査をいたしまして、その上で判断をさせていただくということでございます。
 それから今度は、実際の支給段階になりますと、それぞれの段階でチェックをして、継続して現に雇っておられるかどうか、それから今後も雇い続けられるかどうかということのチェックをしながら支給をしていく、こういうことになっておるわけでございます。
 そういう意味で、一年半たったらすぐやめるような状況になっておるところについては支給の対象になりませんし、またそういうことが最後の支給段階でわかりました場合には返還をしていただく、こういうシステムになっているわけでございます。
 そのほか、この制度自体につきましては、単に高齢者を雇うというだけではなくて、高齢者をいままでよりもふやすとか、いままでよりも割合を高めるということが要件になっておりますので、そういう意味では高齢者の雇用自体についても、現に経験のあるところにおいて雇っていただくということになるわけでございますので、そういうところに対してよく指導なり趣旨の徹底をやることと、先ほど申しましたようなチェック段階を経ることによりまして乱用は防いでまいりたい、こう思っておるわけでございます。
#114
○馬場(猪)委員 定年延長の奨励金にしろ開発給付金にしろ、結局これは皆誘導策だけですね。根本的にはいま御答弁があったような趣旨でなしに、やるつもりであっても、企業の側が耐え切れないような状態ではだめですし、そういう点についてはもちろん労働省だけではありませんけれども、そういう意味から午前中にも通産省というお話もあったわけですけれども、労働省サイドとしてはいままではもう一つ産業政策全般について確かに発言が弱かったような感じがするのです。
 たとえば、三十年代のいわゆる高度成長と言われる出発点の時期に当たって、一番最初にはむしろ労働問題、雇用の拡大ということから出発したのじゃないでしょうか。それが逆に経済の高度成長という形へ行ったわけですから、そういう点では対応が労働省としては一歩も二歩もおくれているのじゃないかという感じがいたしますが、その点はどうですか。
#115
○栗原国務大臣 この点はお説のとおりだと思います。いまの労働省の行政というのは後追い行政が非常に多かったと思います。これは率直に認めなければならない。これは何かというと、高度成長で経済がどんどん進んでいけばよろしい、それで来たものですから、どうしても失業した場合どうだとかなんとか、そういう方面ですね、それはやりましたけれども、積極的に雇用を創出するということについてそれほどできなかったということは率直に認めなければならぬと思います。
 しかし、だからといって手をこまねいているわけにはまいらぬということで、経済政策との関連を重視してこれから労働行政にひとつ取り組んでいこう。たとえば構造不況業種というものをどうするんだ。第三次産業の方へ誘導するというけれども、一体その第三次産業というのはどういう方面へ行ったらいいのか。あるいは、第三次産業とか第四次とか第五次とか言いますけれども、第二次産業というものについてもう一回活力を与えなければならぬのじゃないか。そういうものがなければ第三次、第四次なんと言ってみてもしょせんまたとまってしまう。だから恒久的な雇用創出について関係省庁、特に通産省とは密接な連絡をとらなければならぬ。現象的な問題の応急的な措置として雇用開発給付金の大幅な拡充ということはやりますけれども、これはどこまでも一時的です。御指摘のとおり恒久的な対策についておくれをとっておったので、これを挽回したいということでいま鋭意努力をしておるところでございまして、ひとつ御激励、御叱咤を賜りたいと思います。
#116
○馬場(猪)委員 いま大臣おっしゃったとおり、やはり抜本的な経済政策との関連が中心だと思いますが、それは後ほどまた議論することといたしまして、引き続いて、構造改善等の事業費についても不執行、不用額が非常に多いわけですが、これについてもひとつお聞きしたいと思います。
 五十年度の当初が二十八億五千万八千円で、五十年度はむしろ逆にいろいろと移転、流用等によって埋めたわけですが、いただいた資料によりますと五十一年度が五百五十七億二千万、そのうち実績としては九十二億、これは実に八三%も不用額になっておりますね。五十二年度も同じように八四%不用額になっております。これも先ほどと同じように、大体五十三年度の現状はどういうことでしょうか。
#117
○細野政府委員 先生お尋ねの給付金は雇用調整給付金のお尋ねかと思いますが、雇用調整給付金でよろしゅうございますか。
#118
○馬場(猪)委員 それも含んで雇用改善事業費等ということで挙がっている項目を皆見ますと、雇用安定資金としては五十三年度は六百十一億になっておりますね。このごつい長い資料をいただいたのですけれども、これに載っております。これをちょっとこちらで省略したのですが、そのうち雇用給付金は五百五十七億のうちの三百八十九億になっていますから、全体としてもですし、雇用給付金としても、どちらも執行率が非常に悪い。
#119
○細野政府委員 雇用調整給付金につきましては、先生御指摘のように、制度発足のときには非常に活用されまして、予算が足りなくなって予備費を流用するというようなことをさせていただいたわけでございます。これは実態的に、この当時一時休業という形で雇用調整をされる企業が激増したわけでございまして、これはたとえば雇用管理調査等におきましても、一時休業の形での雇用調整が激増しているという実態と見合っておるわけでございます。
 最近の動向としましては、むしろ業況がアンバランスになりまして、一時休業という形での雇用調整が非常に減っているわけでございます。つまり、比較的業況が回復の方に向かったものについては一時休業はやらない、それから非常に悪化したものについては一時休業では間に合わないというふうに両極分解しまして、実態的にも一時休業という形の雇用調整が減ったということの結果、いま先生御指摘のように、支給金の決定金額が非常に減っておるわけでございます。
 最近は、これにつきましても、手続問題とか給付の内容、期間等について、あるいは要件について、もう少し利用しやすくしてくれという御要望がございまして、そういう御要望に基づいて、昨年の十月に、労使の御意見をほとんど取り入れた内容の改善をいたしまして、その結果、ある程度全般的に実態としては雇用調整が減っている状況の中で、五十二年度に比べますと五十三年度は利用の状況が少しふえてまいりまして、五十四年二月までの数字で申し上げますと、対象になりました休業の延べ日数が百三十五万日ということで、五十二年度一年間の百二十五万よりもすでにふえておるわけでございます。それから支給決定金額も三十一億五千六百万が、二月までの途中経過でございますけれども、三十七億というふうにふえておるわけでございます。そういう意味で、実態的には減る状況にありながら、給付金の対象になるところはふえてきているという状況に現在あるわけでございます。
 なお、雇用調整給付金なり、あるいは先ほど御指摘ございました定年延長奨励金なり、全般を含めての共通の問題でございますけれども、安定資金にかかわる制度というのは、そのときの経済情勢によって、いまの雇調金が一番いい例なんでございますけれども、経済情勢に合うとぐんと伸びるし、経済情勢に合わないと伸びがとまるという面がございます。それの見通しが非常に困難でございまして、そこで、できるだけ予算を決めますときに過去の実績等を配慮はいたしますけれども、急に伸びたときにあわてずに済むように、ある程度余裕を持って決めておいて、そのかわりこちらが伸びて、それでこちらが伸びなかったという場合には流用するというような比較的弾力的な組み方をし、かつその予算でも足りないときには、積んである安定資金から出して使うという、全体的に不測の事態によってかなり使われる金額に変動があるということをもともと予定した制度でございます。
 それにしても最初の積算がずさんではないかという御指摘なわけでございまして、それはそのとおりでございますけれども、全般的にそういう性格があるという点は御理解いただきたいと思うわけでございます。
#120
○馬場(猪)委員 それはもちろん経済のことですからわかります。しかし、先ほどと同じように、これだって三年間同じことを繰り返しているのです。そして、この制度についても五十三年度は少しはましにはなっているのでしょうけれども、それでも十二月まででは六百十一億の予算に対して七十八億でしょう。せめて半分ぐらい使っているというならいいですけれども、どうもこれを見てみますと、一七%だとかあるいはまた一六%だとかいうような状態でしょう。これでは積算見積もりが余りにもルーズ過ぎはしないか。あくまで純然たる数字の上からいきますと、財政の上からいきますと、これだけ窮屈な財政のもとで、これだけ余るような予算を平気で三年も四年も続けて組むのか、これはそういうふうな目で見なければならぬと思うのです。
 この三年間同じことを続けていることについては、先ほど言われたように、PRが足りないとか経済の見通しが足りないとか、それだけでは済まないのじゃないですか。
#121
○細野政府委員 御指摘ございましたように、積算等についてもかなり実績と乖離しているのは事実でございます。それから、先ほど申しましたように、私どもいろいろ労使の御意見を伺いながら、ほとんどの御意見を取り入れるというような形で改善等の努力もしているわけでございますが、その効果が実績としてあらわれなければ、これは御指摘のとおりのわけでございます。
 ただ、御理解いただきたい点は、この制度は御案内のように、事業主の負担分だけでもって、保険料という形で集めまして、それで先ほど申しましたような経済の動向によって活用の仕方が非常に差の出る性格のものに対処するための制度でございまして、これが余りますと安定資金に積み立てまして、それでさっき雇調金で御指摘がございましたような、ああいう年にどっと出せるようにという性質のものでございまして、余ったから予算がむだになってそれを削減するという性質のものではない。むしろ余りは全部安定資金に積み立てておいて、どっと出るときに備える。したがいまして、個々の給付金自体についても活用されるときとされないときがある、それのみならず、全体としても年によってどっと出るときと出ないときがあるというふうな性格のものであるという点も、ひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#122
○馬場(猪)委員 それはわかりますけれども、しかし見通しの甘さというものは、政府部内で通産省の見通しと労働省の見通しと違うはずはないでしょう、しょっちゅう話しているのですから。
 たとえば、造船なんかはいつごろから悪くなったのですか。
#123
○清水説明員 いろいろ問題になって、雇用不安等が大きく言われ出したのは五十二年からでございます。
#124
○馬場(猪)委員 そういうことはないですよ。造船業界は四十九年ぐらいからずっと悪かったじゃないですか。韓国の方はどんどん新しい造船設備ができてくる、世界の船腹は余っておって、四十八年の直後から、石油ショック以後からです。三井造船あたり、私の友だちがたくさんおりますが、そのときから皆言うておったのですよ。当事者自身が、日本病を克服できるかどうか、造船業界は四十九年、五十年ごろから言うておったのですよ。当事者がそういうことを言うているときに、労働省はまだ五十二年からという認識を持っているから対策がおくれるのじゃないですか。これは経済の見通しがおくれているのじゃないのですよ。そういう言い方をするのだったら、見通しをしていないのですよ。
 造船だけではありませんよ。繊維なんかずっと長いでしょう。もう十五、六年になるでしょう。その間どうなんですか。経済の見通しで、特に繊維なんか悪いのでしょう。造船なんか悪いのでしょう。五十二年度から始まったのじゃないのですよ。この法律ができたときから始まったのじゃないのですよ。少なくとも四十九年ごろ、当事者自体が造船は半分にしなければだめだという認識を皆が持っているときに、同じような認識をもし労働省が持っておったら、これは転業対策とか職業訓練をやるとか、早くから手が打てたはずなんです。それをやっていなかったということじゃないですか。見通しがむずかしいのではなしに、そういう分析をやっていないということになるのじゃないですか。
#125
○細野政府委員 御指摘のように、いろいろな意味で私ども反省しなければならぬ点も多いわけでございますが、ただ先ほど来申し上げておりますのは、同じ不況の状況の中でも、この雇用調整給付金を使ってやるような一時休業で対処する場合と、そういう形でないやり方でいく場合といろいろございます。したがいまして、率直に申し上げまして、雇用調整給付金みたいな制度とか、あるいは今度やる開発給付金みたいな制度とか、いつでも初めての試みをその都度やっておるものでございますから、そういうものがどういう段階で非常に使われるかとか、同じ不況でもこれは案外思ったほど使われないとかいうことについて、私どももなかなか予測が立てにくかったという側面もございまして、そういう意味で逐一私どもはいわばその都度その都度経験を積んで、こういうものについて今後の事態に対して私どもがもっと確実な予測の上に積算等がやれるような経験を勉強しつつあるような状況でございまして、そういう意味で今後十分予算と実績との間に乖離のないような方向に努力をさせていただきたい、こう思っておるわけでございます。
#126
○馬場(猪)委員 たとえば、造船なんかというのは世界的な構造不況業種でしょう。建築用のセメントだとか平電炉関係というのは、建築土木の需要というのは石油ショック後何年かしたら立ち直るというのはある程度はっきり見通しがつくわけですよ。こういうものについては、長い目で見れば転業も必要ないのですよ。一時の縮小だけですよ。ところが、造船なんかやはり半分以上は転業しなければならぬわけですよ。そういうものについては調整金がたくさん要るでしょう。しかし、こういう縮小によってまた回復の見込みのあるようなセメントだとか平電炉というようなものは何とか生き長らえさせば、一時的な三年ないし五年の見通しで長らえさせればまた好況になってくるような可能性があるものですから、そういう見通しを、業種別の見通しを全部つけていかないと、これはどれもこれも皆不用額が多く出るような使い方になってしまっているのじゃないかと言っているのですよ。結局、目先のことだけにとらわれて、経済の大きな流れの中でどういう産業がどういう対応をしたらいいかというマクロな対応の仕方を労働省が考えていらっしゃらないから、こういうことになっているのじゃないですか、こう言っているのです。
#127
○細野政府委員 そういう意味での各業種別の産業の実態について、私ども必ずしも詳しくないという点は御指摘のとおりでございまして、そういう意味では、たとえば造船とかそういう問題につきましても、関連の事業所管官庁とも連絡をとりながらそういう点についての実態を私どもも勉強しながら対処をしているというのが本当のところなわけでございまして、今後とも私どもはそういう意味での業種別の状況に強くなるような勉強をしなければいかぬ、こう思っておるわけでございます。
 ただ、たとえば先ほど申しましたような雇用調整給付金にしてもあるいは訓練の調整給付金にしましても、規模要件がどのくらいがいいかとか、初めてやります場合にはどのぐらいな金が出るかわからぬところがいろいろございまして、逐一やっていく間にここが悪いとかあるいはこういう点は予想外に伸びたとか、そういう経験を経ながら制度自体につきましても直し、それから見通しの立て方についても直しというようなことで現在までやらしてきていただいているというのが本当のところでございまして、そういう意味で、いままで経験し学びとったものを今後とも生かしながら、できるだけ予算と実績との差を縮めるように努力をしてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
#128
○馬場(猪)委員 先ほど大臣も、とにかくいままでの労働行政は後追い行政ばっかりだ、対症療法ばっかりだと言われたのですが、やはり確かに今後も先の見通しを的確につかまないと、予算の編成だってむだなことを多くするだろうし、また逆に足らないような問題も出てくるでしょうし、そういう面では産業政策とは一体のものだと言われたのですが、それではひとつ、七〇年代の通産政策というのは四十六年五月に出してますね。これは労働省としては研究されてますか、お読みになっていますか。
#129
○細野政府委員 その作成の過程においては私どもも御相談は受けておりますけれども、詳しい内容について私どもは十分そしゃくをしているかどうかについては問題があります。
#130
○馬場(猪)委員 四十六年の五月に出していますけれども、その前に四十二年に本当は出しているのですよ、通産省の内部で、日の目を見なかっただけで。その中にもうすでに公害の問題だとか立地条件の問題だとかあるいは国際競争力の摩擦の問題とかで、大体四十七、八年ごろになれば産業政策も転換しなければならないし、労働人口についても転換しなければならぬということをその当時、四十二年から全部書いておるのですよ。そして四十六年に、これはちゃんと通産省内部でも意思統一を図って文章として発表しておるのですよ。そういうものをきちっと研究しておったら、やはり先の見通しなんかつけやすいのじゃないですか。そういうことをやらずにやっているものですから、後手後手のとにかく対症療法に終わってしまうということになるのじゃないですか。この中ではっきり、一部の産業を除いて労働力の過剰化というようなことが全部通商産業政策の中に載っているのじゃないですか。そういうことをやはり先、先読んでいかないとどうしても、いま大臣は元気よく先の見通しをつけて言われるけれども、実際にはそれがいま内部で対応できてないのじゃないですか。
#131
○栗原国務大臣 通産省から出たパンフレット、これをよく読むことも非常に重要だと思います。ただ、現実的な処理になりますと、産業構造が変わっていく、しかしどう変わっていくか、しかもその変わっていくのに具体的にどれがいいんだというのが、なかなか書いてあるものだけではわからないわけですよ。そういう意味で、一般論的にこういうふうに変わるという研究ももちろん必要ですが、より必要なことは、どういう職種に持っていったらいいか、その職種はどうして創出できるかという話し合いがないといけないと思うのです。
 そういう意味の話し合いがいままで欠けておりましたので、通産省の首脳と定期的に私ども会ってそういう問題について論議を重ねておる。具体的な雇用創出の場をどうつくるか、そのための産業政策をどうするかということは、すでに二回にわたって行っているわけでございます。今後鋭意これを続けていきたい、こう考えております。
#132
○馬場(猪)委員 私、別に通産省の出したテキストを読めと言っているのじゃないのですけれども、そういうものもやはり読んで、もっと広い視野でやっていかないと、どうしても後追い行政になりますよと、こう申し上げているだけですから、別にそれを読んでいただかなくても、はだで感じていただくのが一番確かなんでしょうけれども、しかしそういう姿勢がいままで欠如しておったのじゃないかと思いますし、それがこういうような不用額を多く出すような場当たり的な対策、そしてその都度その都度出すから複雑な、給付金の名前でも百幾つにもわたっておりますね。これは系統的にきちっとあらかじめ予測して出すような問題であれば、もう少し整理もしやすいわけですよ。ところが、問題にぶつかって、そのときにこの調整金が必要だとか開発資金が必要だということで、その都度その都度行政でしょう。それがよけい複雑にして、不用額を出すような原因になっているのじゃないですか。
 それならば、決算にかんがみて、それを参考にして次に生かすためには、先の見通しというようなものをつけながらやらなければいかぬ。そのためには、私先ほど言ったように通産省の出しておるのも一つの資料になるのだし、そういう対応の仕方というものは労働行政の中にこれから持ち込まなければいけないのではないですかと、こう言っているのです。大臣はわかっていただいているのですが、局長さんまだもう一つ理解していただいていないような感じがしますので……。
#133
○細野政府委員 私どもも通産省なりあるいは建設省なりいろいろな関連のところと連絡をとっていろいろな面での知識の交換、情報交換等をやりますし、同時に私ども自体も今後の労働力需給状況というようなものの見通しを持たなければなりませんので、その過程において当然密接に関連の多い産業の今後のあり方あるいは行く末というようなものについての情報を持っていなければいけませんので、そういう意味での勉強をいたしてきているわけでございますが、しかしそういう点についてまだ至らない点が多々あるじゃないかという御指摘については、まことに私どももそういうふうに感じますので、今後ともそういう勉強の過程で各産業関係官庁からの情報等についても十分そしゃくをするように努力をしてまいりたい、こう思うわけであります。
#134
○馬場(猪)委員 やはり問題は、いわゆる突発的に起こってからそれに対処するということでなしに、あらかじめ予測して、たとえば好況のうちから次の不況の対策というものを立ててこそ軟着陸できるわけでしょう。いまの日本の場合はその予測がおくれておるというのか、狂っておるのか、不勉強なのかそれは知りませんけれども、対症療法に終わっているということは、そういう先行きの予測というものが、情報収集力というのがあったのかどうか、それを行使してないのか知りませんけれども、その点が弱かったのじゃないかと思うのです。よく西ドイツと比較されるのは、西ドイツの場合は比較的好況のときから不況対策としての労働政策というのを打ち出しておった。そこにやはりスムーズに移行しているという点があるということをよく読みますけれども、そういう点をひとつ今後留意をしていただきたいと思うのです。
 その意味から言うと、これは労働省当てにならぬというふうに思ったのか思わないのか知りませんけれども、最近地域で対策協議会をつくったり、あるいは地域の自治体が中心になって事業者やあるいは労働者や第三者、学者を入れて協議会をつくったり研究会をつくったりなどして雇用問題に取り組んでおりますね。特に地場産業との結びつきの多いような地域自治体あたりはそういうことを取り上げておりますが、それに対してはどういうふうにお考えになりますか。
#135
○細野政府委員 雇用問題を解決いたします場合に、各自治体がそれぞれの地域の実情に即応したいろいろなきめ細かな御配慮をいただき、また私どもと密接に連携をとりながらやっていただく必要があるわけです。そういう意味で雇用問題について、場合によっては行政機関同士の連携のための連絡会議みたいなもの、あるいは場合によっては公労使四者構成みたいな形でのいろいろな御議論をいただく場というようなものが必要なわけでございます。そういう意味で、いま御指摘のように各県ともそれぞれの工夫をしておられるわけで、私どももそういう点について協力できる面も多々ございますので、そういう意味での連携をとりながらやっているというのが実情でございます。
 私どもも国の行政としてやる場合に必ずしもなかなか手を出しにくいというような問題、あるいは私どもの手の届かない問題等について、各地方公共団体でいろいろやっていただいている面もございます。そういう点についていろいろ援助しなければいかぬということでいろいろやってみたわけでございますけれども、特に今回の予算におきましては、自治体で特に構造不況地域等の自治体は財政的にも非常に苦しい状態にございますので、それに対する援助の方法もいろいろ考えたわけでございますけれども、幸い自治省が従来の地方債方式のみならず交付税においても特別の配慮をしようというお考えをいただいておるものでございますから、その中でそういういま申し上げたような問題についてもいろいろめんどうを見ていただく点について自治省の御了解も得て進めておるというような状態でございます。
#136
○馬場(猪)委員 そういうことは望ましい方法であり、今後も労働省としてもてこ入れをしたいというお気持ちはお持ちなんですね。もちろん自治省も直接の関係でございましょうけれども、自治省の場合は何もかも総合的に判断されてその中に埋没されてしまうおそれがありますし、せっかく府県だけでなくて市町村あたりまで積極的にそういうことをとり出しているわけですから、労働省としても制度的にあるいは権限の上で予算の上で、今後も何らかの形で協力していくというような姿勢はお持ちなんでしょうか。この点大臣からもお答えをいただきたいと思います。
#137
○細野政府委員 たとえば地方における雇用開発のためのいろいろな創意工夫をしなければならぬというような問題につきましては、今回地方に開発委員会を設けて、その予算を労働省としてめんどうを見ていこうという、そういうやり方を現在検討していることは御案内のとおりでございます。そのほか、各自治体でいろいろ御検討になる問題について私どもが応援できるものについてはこれは応援をするということで、いろいろな工夫をしてまいりたいと思っているわけでございます。
#138
○栗原国務大臣 いま局長から申し上げましたとおり、基本的に言いますと、雇用創出ということは労働省だけでできない。政府だけでもできない。本当に国民の皆さんの御協力をいただかなければならぬ。特に雇用創出の場は地方ですから、地方の御意見というのは十分に聞かなければならない。極端な言い方をいたしますれば、これをやれば必ず雇用がふえるんだ、いい仕事だというなら、苦しい財政状態ですけれども金を投じていいと思うのですよ。問題は、金をくれれば雇用ができるぞ、この思想に対しては私どもは賛成できない。ただし、これをやったら必ず雇用の創出にとっていいんだ、これをやるためには金が必要だという場合には金を惜しむべきでない、そういう基本的な姿勢で取り組んでおるということを御承知賜りたいと思います。
#139
○馬場(猪)委員 私も、最初から金でつるというやり方はだめですよということを申し上げているわけですから、その点では私も大臣と一緒です。しかし、今後ともそういう地方の創意工夫を生かせるような方法、そしてまたもっと大局的な立場からの労働行政ということを一遍考えていただいて、今後の雇用対策に資していただきたいということを御要望申し上げまして、終わりたいと思います。
#140
○加藤委員長 楯兼次郎君。
#141
○楯委員 私は、労働省にとっては直接の担当であるかどうかわかりませんが、全逓の俗称マル生問題、これについて労働省の意見をお伺いしたいと思うのです。
 私が全逓の俗称マル生問題を見聞してから十年くらいになると思うのです。ところが、十年以上たってもこの問題が解決をしない。とうとう昨年の年末年始はあのような混乱状態が起きた。この間労働省は、労使関係の指導監督の立場にある省として、監督があるかどうかわかりませんが、指導的立場にあると私は思っておりますので、長年にわたる全逓マル生問題について郵政省に何らかの解決方のサゼスチョンなり忠告を行ったかどうかという点を、まずお聞きをいたしたいと思うのです。
#142
○松井政府委員 お答えいたします。
 このいわゆるマル生問題というのが私どもに話が参りましたのは、去年の十一月ごろからではなかったかと思います。それで私どもといたしましても、全逓の組合の方それから郵政省の方、双方からこの問題についての考え方を伺ったわけでございまして、そこで出てきた問題点につきましてはそれぞれ双方から意見を伺ったわけでございますけれども、私どもとしましては、何しろ片方は郵政省であり片方は全逓という大きな組織でございまして、やはり基本的には労使の間でこの問題の適切な処理を図られるのが原則であると思いますし、また具体的にそれが不当労働行為というような形で問題になってきますれば、これは公労委において問題の適切な処理を図られるというのが基本であろうというような考え方のもとにそれぞれお話をいたしたというのが、私どもの対処の仕方でございます。
#143
○楯委員 初期の間ならば、いま答弁をされました方の答弁で私は納得するのですよ。ところが、冒頭言いましたように十年の余もかかっておる。正確にはわかりませんが、私が承知をしてからでも十年の余になる。幾ら権威ある郵政省の組合、当局といえども、十年以上も同じような紛争を繰り返しておるということになれば、私は労働省の紛争解決に尽くす役割りもまた大きいものがあるのではないか、そういう立場から質問をしたわけです。まあ相手は自分のところよりでっかいのかどうかわかりませんが、でっかいやつだから職制上形式的に要請をしたという程度のものですか、どうです。
#144
○松井政府委員 組合のお話によりますと、十年なりあるいは十五年なりという問題があるのじゃないかという御指摘でございますが、私どもそれぞれの意見を伺いますと、やはりその中にはいろいろな経緯、過程があったのではないかと思います。私もこの問題の歴史、沿革についてはそれほど詳しいわけではございませんが、労務政策転換の問題とか、あるいは途中の過程で今度は折衝ルールというものが実ってお互いの間で話し合いが進んだとか、こういういろいろな過程があったのではなかろうかと思います。それで、それがその後いろいろな経緯を経まして、昨年の十一月ごろからこの問題が表面に出てきたのではなかろうかと思いますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げたようなのがやはり労使関係を考えていく上での基本ではないかというような立場から、こういうような考え方で対処いたしているところでございます。
#145
○栗原国務大臣 私も、御案内のとおり、昨年の十二月に労働大臣になったばかりでございますので、この十年来のいきさつについて承知をしておりません。承知をしておりませんが、ただいま政府委員から申し上げましたとおり、郵政の労使というのはやはりそれぞれ大きな組織であり、機関でございますので、これらの方々が本当に公益事業ということに着目して虚心に話し合いを粘り強くする。とにかく人間関係は、お互いに言いたいことを言っても、それがお互いに了解できる、理解できる、こういう信頼関係がないところには、これは幾ら年月を経ましても実りあるものにならぬと思うのです。そういう点につきましてのお互いの話し合いをもっと積極的にやるべきじゃないかというのが私の考え方でございまして、労働省といたしましては郵政当局に対しまして、いろいろあるだろうけれども虚心に話し合っていくべきだということを申し上げておるということでございます。それ以上、郵政省、こっち来い、あっち行け、こういうわけには現実問題できないと思います。
#146
○楯委員 いま大臣の言われること、よくわかるのです。あなたは就任以来短期間ですからね。ただ、十年以上もこういう問題をほうっておくというところに私の質問の要旨があるわけです。権限の分担はわかりませんが、なぜ協力をして早く解決をしないのか。しようという意味はわかるのですよ。十年以上も、あなた以外の大臣もそうだと思うのですが、しよう、するようでは、これはちょっと常識外れではないか、こう思うわけですよ。
 それで、次にお伺いしますのは、俗称マル生紛争というのはどういうところに原因があると労働省はお考えになるかということですよ。私は昨年調査にも行ったのですが、こういうふうに考えるのです。これは物取り闘争ではないわけですね。ベースアップ、給料を上げよ、上げなければストライキをやるという問題でもないと思うのですね。それから、何かを要求して、それをよこせ、取れないから取るために紛争が起きる、こういうものでもないと私は思うのです。私も昨年の暮れから現地を回ったり、頭を突っ込んだわけですけれども、われわれの認識としては、まず郵政省当局が全逓という組合を認めない、いわゆる否認的な態度――まあ否認とは私は言いませんけれども、管理者が否認的な態度をとっておるというところに問題がある。それから、全部とは言いません、まあ、ところによっては組合員に対する非常に高圧的な態度を管理者はとっておる。それから、いやがらせがすごいですね。
 たとえば、これは写真をもらってきたのですが、朝、郵便の仕分けをやる、そうすると、仕分け員と同数ぐらいの管理者が後ろに立って、腕組みをしてこれを監視しておるわけです。だから、郵便がおくれる、忙しければ管理者も一緒になって手伝えばいいと私は思うのですが、働く人と同数ぐらいの人がその仕分けを監視をしておる。それから、よく言われますように、便所へ行ったら何分かかった、これはうそか本当かわかりませんが、タイムウォッチで時間をとって、おまえの便所、大小どちらかわかりませんが、長過ぎる、そういうようなとにかくいやがらせをやる。
 これは、たとえは悪いかもしれませんけれども、ちょうどしゅうとが十年以上も嫁をいびり倒しておる、私は一言で言えば、労使関係はこういう状態ではなかったかと思う。これがもう十年以上も続きますから、これもたとえが悪いかもわかりませんけれども、昨年の年末年始はいわゆる窮鼠ネコをかむ、こういうのが十年間の俗称マル生問題における最も適切なたとえではないかと、私はこう思うのです。
 でありまするから、では、労働省としては、俗称マル生が起きた原因はどこにあるとお考えになりますか。
#147
○松井政府委員 ただいま先生から、全逓の否認とかあるいは細々したいろんな具体的な事実の御指摘がございました。私自身もその具体的な事実につきましては実はつまびらかにいたしておりませんし、また郵政省に全逓否認の態度があったというようなことにつきましては、私はそんなことはあるはずがないというふうに思います。
 それで、労使関係の話し合いの仕方をめぐって、やはりこの十年の間にいろいろないきさつはあったと思いますけれども、しかしながら、私どもとしましては、それぞれの間でやはり話し合いを深めていこうというような努力はいろいろな過程を通じてそれぞれ努力をされてきておるものだというふうに理解をいたしております。
#148
○楯委員 耳が遠いせいか、ちょっとわからなかったのですが、その俗称マル生の紛争の原因はどこにあるとお考えになるかということです。これは、組合の方からその発生の原因をつくったわけじゃないと思うわけですよ。その原因はどこにあるとお考えですか。
#149
○松井政府委員 マル生問題は何であるかということになりますと、その定義自体から発するわけでございまして、非常にむずかしい問題になってくると思いますし、私ども、いわば労使関係の局外にある者から見まして、こうこうこういうものがマル生であり、こうこうこういうものがその原因であるというふうに指摘するということはまことにむずかしい問題だろうと思いますが、私どもとしましては、もうマル生の事実はどういうことであるかとか、あるいはマル生の原因はどういうことであるかということよりは、労使関係の改善の努力が進められていくということが問題の基本ではなかろうかというふうに認識して、さよう申し上げたわけでございます。
#150
○楯委員 これからの解決が必要である、これはよくわかるのです。しかし、その原因を検討しなければ、円満な抜本的な解決は私はできないと思うのです。だから私はお聞きしておるのですが、ただその場限りのまあまあということでは、この問題はまた再発するんではないか、こう思います。
 これはそれだけにして、次にお伺いいたしたいのは、最近、全逓の組合員の大量処分が行われる、こういううわさがあるわけですね。これはわれわれが見聞した大量な数字からいっても、あるいはいつやられるかわかりませんけれども、事前にこういうことが堂々とマスコミに報道されるという例も聞いたことはないわけです。これは一体どういうことであるかということですね。いままで私も長く国会におるのですが、こういう大量な処分をやがて行うであろうというような例は聞いたことも見たこともないわけですね。これはどういうところに意図があると――あなたが、労働省がやられるのではないから、どうしてやるのかと言っては質問の的が違うと思うのですが、どういうところにあると、指導的立場にある労働省は考えるのか。恐らく、こういう問題については連絡はあったと思うのですね。
 それから、私はまさかこんなことがあり得るとは思わぬのですけれども、もしあのような大量処分が行われるならば、先ほど二、三申し上げたように、俗称マル生発生の原因は管理者にあるわけですから、管理者の方も同数の処分者を出していただかなければ全く不平等だと思うのです。片手落ちだと思うのです。一方だけが悪くて、われわれは少しも悪くはない、これでは公平な行政は行われ得ない、こう思うのですが、そういう点についてどうですか。
#151
○松井政府委員 私ども、処分という問題につきましては、処分権者と申しますか任命権者と申しますか、つまり郵政大臣の御判断、責任において行われるものだと思いますし、私どもも事前に通知を受けたということもございません。ただ、新聞に報道されましたので私どももそれは読んでおります。それで、一般論として申しますれば、これはやはり法律に違反したというような事実があった場合に、それに対して処分が行われるということは当然のことではなかろうかというふうに思うわけでございます。
 それから、先生御指摘の第二の点でございますが、管理者に責任があれば管理者についても処分が行われてしかるべきではないかというような御指摘でございますけれども、この点につきましては、私ども先生の御質問実はちょっとはっきりわからないのでございますが、たとえば具体的に一つの問題が起こりまして、これは不当労働行為ではないかというような問題が起こりますれば、これは不当労働行為であるかどうかというような問題、これはマル生の紛争の過程においてたくさんの紛争事件があるということで公労委にかかってきているわけでございまして、私の記憶しております限りでは、たしかこの問題が公労委で取り扱われました際に、去年の大みそかでございますか、審査委員長の口頭メモが出まして、その際に、当局は不当労働行為が確定した場合、当該管理者に対してケース・バイ・ケースで処分を含む厳正な処置をとることという一項が書いてございますが、こういう考え方に従ってなさるべきであろうというふうに私は思います。
#152
○楯委員 それでは、抽象論を言っておっても仕方がありませんので、私は管理者に大半の、大半というか、その原因の責任があるではないかということを――これは特別の局であろうと思うのです。昨年の暮れ、国会でがたがた言っておっても仕方がないので、御承知のようにわれわれ社会党が調査団をつくって、全部ではありませんが、実際の現地はどうか、おまえも調査に行けということで、私も数カ所行ってまいりました。この前郵政省のときにも申し上げたのですが、時間がなくて言いっ放しになっております。きょうは時間があと三十分ばかりありますから、その中で三つ実例を挙げて、現地の実情はこういうものであるということをひとつ労働省にも聞いていただいて、郵政省に適切なアドバイスをしていただきたい、こう思います。
 まず三つのうちの一つは、岐阜県へ調査に行けというので私は岐阜県へ行ったのですが、岐阜県に中津川郵便局というのがあります。ここで局長が組合員を戒告処分にしたのです。ところが、戒告処分にして、それで父親のところへ電話をかけて、言い方は簡単に省略しますと、おまえのところの息子はけしからぬ、戒告処分にしたのですからほめたわけじゃないのですね。おまえのところの息子はどうもけしからぬので親からもよく注意をせよ、現地の局長がこういう電話をしたわけです。その戒告処分を受けた人は、子供じゃないのですよ。二世帯入っておるわけですから、おやじさんと子供夫婦と孫があるのです。子供もあるような人のおやじさんに電話をかけた。そこで本人が帰ってまいりまして、父親から、おまえは何をやったのか、こう言われた。おやじさんにしてみれば、局長からしかられたものですから、何をやったか、何もやらない、そこで、やったやらぬで夫婦、親子、大げんかになったわけです。だから、自分が戒告処分をしておいて父親のところへ電話をかけて、子供に忠告をせよと家庭争議を起こすような原因をつくるやり方、これはいいか悪いかということです。
 この前おいでになった郵政の方にも質問したのですけれども、時間がなくて明確な質疑応答がなされなかったわけです。私は、これは労働省の立場からいけば近代的な労使関係じゃないと思うのです。適切な言葉がないのですが、徒弟制度のようなやり方だ、こう思っておるのです。
 ところが、不思議なことに、父親は中津川の局長から電話を聞いた、郵政省の方は、いや、中津川の所属の局長ではない、かけたことはかけたがよその局長がかけたのだ、こういうことを突っ張って、ここに来ておられるかどうか知らぬが郵政省の人事課長さんが、私のところに三回か四回来て、いや、ほかの局長だ、私の方は当人だというので、何だかこの問題がほかの方に発展して、中津川の局長が電話をかけたのかかけぬのかということで数日間やっておるわけです。
 ところが、今月の十三日に、たまりかねた郵政省は、名古屋の郵政局から二名中津川市の父親の元へ行かせまして事情を聞いてきたのです。それで私は、中津川の局長が父親のところへ電話をかけたということははっきりしたのだ、こう思っておりましたら、またきのう、ここにお見えになりすけれども、郵政省の課長補佐さんが見えて、名古屋と連絡をとったら、電話は確かにかかってきたというのですね。父親がどなたですかと言ったら、局長だと言う。それでもう一回だれですかと言ったら、局長だと言う。父親の方は、それは処分されたのですから、中津川の局長だと思っておるわけです。ところが、きのうも郵政省の課長補佐さんの話では、あれはどうも怪電話である、中津川という字句はなかったのだ、ただ局長と言っただけだから中津川の局長ではない、こういうことを言われるわけです。
 ここで言った言わぬなんということをあなた方にお話し申し上げたところできりがない話ですが、本人を戒告処分して、子供もある三十に手が届くような男の父親に、おまえのところの息子はけしからぬから注意をせよと言うようなやり方がいいか悪いかということです。
 それからもう一つは、よその局長がかけたのならばよくて、直属の局長がかけたということが露見をしては困るということで執拗に拒否するものですから、私はそこに疑惑を持つわけですが、これはどういうことですか。直属の局長がかけた場合には、たとえば公務員法九十九条か百条に抵触をするから拒否しておるのか、その点がよくわからぬのです。なぜこうも執拗に二回も三回も私の部屋でもう数時間にわたって、かけたかけぬをやられるのかというのがわからぬのです。
 この二点はどうお考えになりますか。
#153
○岩田説明員 先生から電話の件について事実はどうかということで、私の方からいろいろ御説明にも上がったわけでございますが、私の方の調査では、やはり中津川の局長は電話をしてないということでございます。そういうことになりますとこれは非常におかしい。私たちは中津川の局長に何回も本当かというようなことも調査をしたわけでございますが、どうしても私はやっておりませんと言うわけでございます。そういうことになりますと、もうこれは相手のおやじさんの方に当たって御事情を聞くよりしようがないということになりまして、今月の十三日ですか、郵政局の方から、これは中津川の局長に行かしても何ともならぬと思いまして、郵政局の方から二人やりまして、お父さんとお話をしてみたということでございます。
 お父さんとお話をしますと、確かに十一月の三十日ですか、電話はかかってきた。そのときの模様というのは、電話がかかってきまして、それで相手は名のりもしなかった。突然、だれだれとだれだれとだれだれ、この三人が処分を受けたというような電話だった。その中に自分の息子さんの名前があったので、そのお父さんは、どちらさんですかと問うた。そうしたらしばらく無言だった。そしていっときおいて、もう一遍どちらさんですかと聞いたら、局長だ、こんな答えがあったという。事実はそういうことでございます。
 それで、私の方も、これ以上お父さんも記憶がないわけでございまして、いろいろ考えるわけでございますが、やはりもし中津川の局長がかけるとすれば、もうちょっとはっきり責任を持った言い方をすると私は思うのですね。そういうことで、この電話は確かにだれがかけたかわからぬということで、私の方もその中津川郵便局の局長以外の多少の関係者にも当たってみましたが、それについては事実が明らかになってないというような状況でございます。
#154
○楯委員 この場でこんなことを議論してもしようがないのですが、ただ、初めは徹底的に否定しておったわけですね。ところが、四月十三日に名古屋の郵政局から行ってから言い方が変わってきたわけですよ。三十日には絶対かけておらないとかいろいろ言っておりましたけれども、いや二十九日にかけたとか何とか言っておったのですが、ただ、電話がかかってきたので父親が確認をしたら、しばらく間をとって、局長である、中津川ということを言わなかったから怪電話である、こういうことになっておるわけですが、こんなことをここでやってもしようがない。あなたと二人でまた終わってからやりましょう。
 どうですか、労働省として、こんなばかなやり方は、適切な言葉はないのですが、私は徒弟制度的やり方である、こういうふうに言っておるのですが、ちょっと近代労使関係としては考えられぬじゃないですか、どうですか。専門家の立場から見てどうですか。
#155
○松井政府委員 一つの労使関係の中にはいろいろな事情もございましょうし、そういうことから、この中津川の郵便局でございますか、こういうところの労使慣行あるいはこの辺の人たちの地縁関係あるいは血縁関係にある人たちの考え方、いろいろとあるだろうと思いますので、私どもも一概に、一体そういうようなことを考えて適当であったかどうかというようなことについて判断をするというのも、こういう公式の場でやることは余り適当ではないのではなかろうかと思います。
 ただ、私ども労働省の立場から見ましてと申しますか、あるいはこういう労使関係を預かっておる立場から見まして、一つの問題は、法律に違反するとすれば、私どもの立場から見ますと、労働組合法違反と申しますか、不当労働行為になると申しますか、こういうような問題は法律上の角度から一つの問題としては出てくるのではなかろうかと思います。
 ただ、こういうような処分の内容を知らせた。これは知らせた人が、いまたしかお話を聞きますとまだはっきりと定まっていないようでございますけれども、いずれにしましても、こういうような問題が仮に不当労働行為になるとすれば、どういうねらいでもってやったのかとか、あるいはどういう結果の発生を頭に描いて考えられておったのかとか、そういうことが生ずる可能性があったとかなかったとか、そういうような事実等も密接に関連してくる問題でございまして、私どもとしましてこういうことが一概に不当労働行為になるというふうに申し上げるわけにはいかず、やはりこういうような事態を、客観的な事実を総合的に考えなければ判定は下しがたい、実際にそういうことをやっていただくのは、もし問題になってこれを争うとすれば、やはりこれは労働委員会において黒白がつけられるべき問題ではなかろうかと思います。
#156
○楯委員 時間の制約がありますから……。
 だから、数カ所行っただけでこんなような問題が幾らでもあるのですよ。だから全部言うわけにいきませんし、時間の制約上今度は次の問題に移ります。
 これは各務原郵便局――岐阜郵便局の関係ですが、われわれ調査団が各務原郵便局に行ったのです。そのときに、この各務原郵便局の組合の支部長、組合の責任者は岐阜郵便局におるのですよ。全逓組合に行くと、各務原も岐阜の管轄なものですから、われわれが調査に行くというので、岐阜の中央支部長である五島支部長というのが事前に休暇届を出してわれわれに事情説明のために当日行動をともにしたわけですね。ところが、われわれが調査して帰った。九日に行って帰る、十一日に岐阜の郵便局長はこの五島支部長というのを戒告処分にしたわけです。私どもは、これは加藤委員長も同行したのですが、われわれも責任上困っちゃったのですよ。だから、それはちょっとひどいじゃないか、戒告処分だけは取り消してもらいたいという申し入れをしたわけです。ところが、依然今日に至るもその取り消しの報告はないわけです。
 それで、私が不思議に思いまするのは、われわれ三名の議員が調査に行ったときに、事情説明のために同席をしておったのは、この五島岐阜支部長を初め局長さん、それから、正確な名前は知りませんが、次長さんとか庶務課長さんとかというような管理者の方、これは全部行動をともにしておったわけです。局長さんや管理者の方は休暇をとっておられるかどうか私は知りませんけれども、それに同じように参加しておった組合の支部長だけ戒告処分にするということは一体どういうことであるか。
 だから、これは別にでっち上げでもうそでも何でもない。これは加藤委員長も同行しておったわけで、はっきりしておるわけですよ。これはどういうわけですか。しかも、本人はやりとり上許可があったとかなかったとかいう問題はありますけれども、局長は、われわれ調査団が現地に行くというようなことはわかり切っておることですからね。そういうことを知っておりながら、事前に休暇届を出しながら、休暇をとって各務原の局長、管理者と行動をともにしたら、組合の支部長だけ戒告処分にするというのはどういうわけですか。
 労働省、どうですか。専門的立場から一遍、このやり方がけんか両成敗的なものか。俗称マル生を起こさせる原因はこういうところにあるのじゃないですか。これはどうお考えになりますか。
#157
○松井政府委員 いまのお話では、休暇届を出して休暇をとった、にもかかわらず戒告処分に付したというお話でございましたが、休暇届を出して、いわゆる有給休暇が適正に管理者から与えられておれば、これは問題は生じないのだろうと思いますので、私は、多分問題の生じた原因は、有給休暇が法の手続に従って請求され、そして与えられておったかどうか、こういう点に問題があったのではないかと推測するわけでございまして、先生、その理由を私にいまお問いになりましたけれども、管理者の方には管理者の方で、その辺の問題もお考えになって戒告処分の理由ありというふうな御判定になったのだろうと思いますが、一応郵政省の御意見を伺った上で、私としてはお答え申し上げたいと思います。
#158
○楯委員 これは、局長も管理者も組合の支部長も同席しておって、なぜ支部長だけが戒告処分を受けるのかという点ですよ。許可とか手続とかじゃないです。われわれが行っておるのはわかっていますからね。これは同じ官側を擁護するというだけの立場で答弁してもらっては困る。あなたがそんなことを言っておったら解決しませんよ、このマル生問題は。同じ穴のなどという式でやっておったら解決しないのですよ。やはり立場をかえて、渦中の人はもう上がっておって自分だけよくてほかはみんな悪いという考え方でやっておるのですから、あなた方が外から誤りを正さなければ正す人はないですよ。むずかしいことじゃないじゃないですか。われわれ調査団が行く、われわれが行くということは事前にわかっておる。したがって、局長も管理者もわれわれの行った日にちには仕事をやらずに一室に会して、支部長もおった。ところが、支部長だけは戒告処分を受けるというのはどういうわけですか。こんな片手落ちなことをやらして、いや、事情があるだろうなんと言っておったのでは、この問題は解決しませんよ。
 そこで、当局は私のこういう質問に対して回答書を持ってきた。郵政省の回答書です。時間がそのくらいありますから読むので、あなた頭いいでしょうから聞いておってください。
 十二月八日午後六時ごろ、十二月九日の年休請求書を郵便課長にお願いしますと言って提出をして帰った。郵便課長は、この年休請求については業務に支障があり付与できる状況になかったので、この旨を当日本人に、帰ってしまった後、夜、電報で通知をした。さらに、九日当日、本人が所定の勤務につかなかったので、再度出勤を電報で命令した、こういうことです。
 それからいよいよ今度は十日になって五島支部長が出てきたので、おまえは何で休んだのか、こう言って事情の疎明を求めたが、本人は、これは私は本人に同情しますよ、私の方にはとらなければならない理由があったからとった、こういうことを言ったので戒告処分にした。これは当局回答ですよ。
 ところが本人は、われわれ調査団が行ってそこに出席するために休暇届けを出して休んだということを言っておる。課長も局長も皆知っておるわけです。それをあえて、おまえは何で休んだんだ。そのときに、いや申しわけありません、実は社会党の連中が来たのでその説明のために休みましたと言えば、ああそうかと言って戒告処分にならなかったかもしらぬですね、ここの文面の意味するものは。ところが、必要があったので休んだと言ったから、言い方が悪いので戒告処分にしたという文章としかとれぬですよ。つまりわれわれが調査に行って、組合の責任者が来て説明をするということがわかり切っておって、おまえなぜ休んだかということを聞いておるのですからね。
 この文面を見ると、まず九日の休暇をお願いしますと言って出していった。当然上司からいけば、人員の操配表を見てあすはだめだ、こう言わなければいかぬわけです。ところが、そのときには黙っておって、翌日の朝電報で出勤せよと言う。一体電報代はだれが払ったのかとこの前私は言ったのです。そうでしょう。出てきたら、理由がわかっておるのに、何で休んだ。言い方によっては戒告処分にもしない場合があるという意味にしかこれはとれない。しかも、戒告処分にしたのは十一日ですから、一日置いて戒告処分を行っている。理不尽ですよ、めちゃくちゃですよ、こんなことは人権無視ですよ。
 こういうのがマル生紛争の原因なんです。どう思いますか。あなた、あんまり同じ官庁の味方ばかりしておってはだめですよ、はっきり公平な立場に立って物を言わなければ。どうです。
#159
○松井政府委員 その支部長さんの場合に有給休暇をおとりになったのかどういう形の休暇をおとりになったのか、私よくわかりませんけれども、仮に有給休暇ということになりますれば、これは基準法上業務の正常な運営を阻害するかどうかということでそれを認めるかどうかということが決まってくるわけでございましょうから、その場合に、局の運営を考えてみた場合に業務の正常な運営を阻害するようなことになる、そういうことで判定してそれを届け出の際に申しますれば、そこでいわゆる時季変更権が生ずるということになってまいるのじゃないかと思います。
 実際に具体的な事実、いま先生が御指摘になりました文章は当局の文章であるということでございますが、具体的にたとえば電報でやったとかあるいは電話でやったとかいろいろな問題はあるだろうと思いますし、そうしますとそういうものは一体到達したのかしないのかとか非常にむずかしい法律問題が生じてくるとは思いますけれども、一般論といたしましては、請求があった場合に管理者の側においていわゆる時季変更権を行使していなければそれは休暇が成立しているわけでございますし、また時季変更権を行使して与えないということを言っておれば生じないわけでございますので、その辺は出てきた事実をどんなふうに考えるかという問題でございますが、その一般論に即して考えるべき問題ではなかろうかというふうに思います。
#160
○楯委員 電報を打ったというところをあなた、考えていただきたいのですよ。本当に何も他意がなくて、休暇届けを持ってきた、いや、とてもこれは人が足らぬから休めませんよと言えば、本人が何と言おうともだめだと言ってやれば電報なんか打つ必要はないのですよ。そうでしょう。そのときには黙っておって、そして帰ったら電報を二回も打つ。大体休暇というのは、この前も言ったのですが、冠婚葬祭とか旅行をするというときにとるのです。それを出発の朝出てこいなんというやり方は常識外れですよ。だから、それを戒告処分にしようという、意図するものがどこにあるかということを私は言っておるのですよ。余り初めからえげつない言葉を使ってはいかぬと思って心臓が弱いので遠慮しておるのですけれども。だから、本当にノーマルな常識的な課長で操配表を見て、いや、これはだめだからと言えばそんな電報なんか打たないですよ。その前にだめとかいいとか言ったか知らぬけれども、黙って帰らせておいて、そして後でもう休むに決まっておるということを承知で二回も電報を打っておいて、そして今度は十日に出てきたら、おまえどういう理由や、そんなことわかり切っておるのにその理由を聞いてそれで戒告処分。それならわれわれと同席した管理者や局長は何ですか、休暇とったのか。戒告処分も何も受けないじゃないですか、同じことをやっておって。
 こういう点を考えてもらうと、それは言い方、言いわけはいろいろあるだろうと思うけれども、やることなすことマル生の根源というものは、しつらえられたというか、穴を掘って待ち構えておる。ちょうどスピード違反で、あれはネズミ取りと言いますか、待ち構えておってやるのと一緒ですよ。
 もうあと十分しかありませんから、もう一つ問題を言います。
 これはちょっと古い話ですが、五十三年、去年の三月一日の二時ごろに岐阜の郵便局の次長室で、郵便課の川村君というのが次長に面会したわけです。その面会の内容は、この人は郵便課ですけれども、保険課の外務を希望しておったのですね。ところが、家庭の事情が変わったのでその配転を断りに行ったのです。家庭の事情が変わりましたので・この前の保険課外務への配転は取り消していただきたいと。そのときの、いまおられるかどうか知りませんが、杉島順一という次長さんが、時間がないので前は省略しますが、最後にこういうことを言っておるのです。「君も主任に昇格する時期に来ているし、主事になれば岐阜局にとどまることはできないだろう。ストライキをやる組合におることがいかぬのだから、この時期に考えてみる必要があると思うが……。全逓さんに何か義理があるのか。労金で金でも借りておるのか。」こういうことを次長さんが言っておられる。だから、このやりとりから見ると、転勤、職場転換を希望する者には組合脱退を条件とする、こういうことがはっきりしておるわけです。
 このことについてやはり私は郵政省に言うて、回答書を持って見えたのですが、この回答書というのはきわめて簡単なもので、一番最後に、「春闘前であったので違法ストライキに参加しないよう話した。」こういう回答書を持ってきた。
 ところが、全逓は去年はストライキをやっておらぬのです。そういうことから類推すると、困り切ってこういう回答書を持ってきたのだろうと思うのですが、もう何か希望すれば組合脱退が交換条件。これで全部が類推できるわけです。どう思いますか。不当労働行為じゃないですか、これは。
#161
○加藤委員長 その前に、岩田人事課長が何度も手を挙げておるので、岩田人事課長。
#162
○岩田説明員 先生のお話をお聞きしたのですが、ちょっと郵政省からも一言釈明させていただきたいわけでございますが、特にこの岐阜の郵便局の支部長の件、年休の件でございますが、これにつきまして背景を申し上げますと、もうすでに闘争期間に入っておりまして、年休闘争、それからあちこちの郵便物がたまるということもあったわけでございます。そうしてこの御本人は八日、問題の日の前日、この日にすでに年休の申し出をして、それが業務支障があってだめだというときに無断で欠勤をしたという事実が一つございます。その明くる日に、またもう一回年休届を郵便課長のところに持っていきまして、あす休むと言って、郵便課長が、休みをとられればいろいろ業務のことを考えなければいかぬのですから、考えて、返事をするいとまもなく、すぐに帰られた。そうすると、もう連絡の方法としては電報しかなかった、こういうことで電報を打って出勤するように命じた、こういうわけでございます。
 二日間にわたってこういう欠勤という状態が続いたので戒告処分をしたわけでございまして、確かに、そのうちの後の一日は先生方に同行をして、同じ支部内でございますが岐阜郵便局と別の各務原、そこの郵便局に行ったことは事実でございますが、それにしましても、先生はそこへ行ったことを知っておるだろうと言われるのですが、先生方がいらしても必ず支部長が同道するというわけでもないですし、分会長で済ますこともあるし、地区の役員とか地本の役員が御一緒することもあるということで、当該岐阜局の管理者は、岐阜局の局長、次長はその各務原局に行っておりませんし、そういうことで、本人が先生に同道したということは知らなかったということで疎明を求めて、どうして休んだかと聞いたのじゃないかと思っております。
 それで、最終的には戒告の処分をしたわけでございますが、決してその疎明のときの言い方が悪かったとかなんとかというのではなく、やはりこの年休の申し出に対して、それを他日に振りかえたというにもかかわらず、二日間欠勤したということで処分したわけでございまして、いろいろの背景の事情もあることを御理解願いたい、このように思うわけでございます。
#163
○楯委員 あなた、局長さんの方の報告だけ聞いて言っておるからそんなことを言っておるのですよ。われわれは同室で両方の人の――同室でやっておるのですから。だからもう、これ以外のあらゆる問題がみんな局長さんの報告したやつを持ってきて、まるのみにしてやっておる。
 さっき言った中津川の父親の話も、四月十三日まで、郵政省から行くまでは全然違ったことを言っておったのですよ。行ってから、ただ怪電話である、中津川と言わなかったから怪電話であるということを言っておるだけで、そういう言い方ではわれわれは納得できない。
 ならば、なぜ出てきたときに釈明を求めたなんというのを長々と書いておるのですか。そんな必要ないじゃないですか。知っておるものだから、だから本人に、十日に出勤して、なぜ休んだかといって釈明を求めたらはっきり理由を言わなかったから戒告処分にしたとあなたの文書に書いてあるのですよ。あなたのいまの言い方ならそんな必要ないですよ。そうじゃないですか。それから、郵便課長か休暇許可者がはっきり、あす、あさってはだめだ、こういうことを言っておれば、そんな二回も電報を打つ必要なんかないじゃないですか。そういうごまかしばかりやっておるからマル生紛争というのは解決をしないのですよ。そんなものは常識でしょう。担当者が、責任者があした、あさっても休めぬと言えば、後から二回も電報を打つようないやがらせをやる必要はないじゃないですか。非常識ですよ。だれが休暇をとるときでも、そんな、よろしいとか出てこいとか、二回も三回も電報を打ちますか。そんなあり得ないことをあなた答弁に持ってきて、それを否定する、抗弁するということはおかしいですよ。それなら何の理由で休んだかなんということを何で力を入れて長々と聞くのですか。それを言わなかったから戒告処分にした、まん中の一部を取ってごらんなさい、そこにくっつくのですよ。
 時間が来ましたのでやめますが、数え上げればもう切りがない。したがって私は全逓マル生の――それは若い人たちがいろいろはね上がってするというのは、それは原因から以後の過程の問題ですよ。原因をつくっておるのは、これは物取りでも何でもない。いわゆる当局側、管理者側にもう――全部の現場の局長と私は言いません。それは私の岐阜県でも飛騨地方は、全部全逓の組合員ですけれども、何にも紛争もなければ日常の業務も円満に行われておるのですよ。それは特定の局のことを言っておるのですけれども、われわれが現地へ行って実際の検分をするとみんな管理者の方に責任がある、こう断言してもまず誤りではないと思う。だからそういう点を労働省もよく考えて、十年以上もまだほうっておかないように、栗原さん、あなたの任期中に解決をするように指導してくださいよ。お願いしまして終わります。
#164
○加藤委員長 さっきの最後の質問に対する松井審議官の答弁が残っておりますので、松井審議官。
#165
○松井政府委員 第三番目の最後の問題点、先生のお挙げになりました例でございますが、いままでの不当労働行為の先例などを見ますと、特定の組合から脱退を勧奨すると申しますか、そういうことがはっきりすればこれは不当労働行為になるというのがいままでの先例でございます。ただ問題は、やはりどういうことをやることが組合脱退勧奨に該当するかという具体的な事実であり、また具体的な事実につきましては認定の問題が出てくると思います。この問題につきましては、これれは労働委員会に判定する権限があるわけでございまして、もし仮にこの問題が公労委にかかっておりますとすれば、やはり公労委でこの問題についての判断が下るのではないかというふうに承知いたします。
#166
○栗原国務大臣 いろいろお話を聞きまして、先生の言うことを別に疑っておるわけではございません。といって、郵政省側の言うことがおかしいともこの段階では断定できない。私は、こういうふうになりました大きな原因というのは、やはりお互いの不信感といいますか、そこにあると思うのです。不信感を解決する方法は何かというと、おれだけが正しくて相手が悪いのだ、そういう一方的に相手を非難するということではいかぬと思うのですね。そういう意味合いで、労使が虚心に腹を割って話し合っていただきたい、このことを要望いたす次第でございます。
#167
○楯委員 どうもありがとうございました。
#168
○加藤委員長 春田重昭君。
    〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕
#169
○春田委員 きょうは四点にわたって御質問申し上げますけれども、まず最初に、きょう雇用促進事業団の参考人の方がおいでになっておりますので、その問題から入りたいと思っております。
 雇用促進事業団の運営する雇用促進団地というのがございますけれども、雇用促進事業団地ですね、いわゆる移転就職用の宿舎といいますか、これは私当初炭鉱離職者を対象にして建てられたと聞いておりますけれども、その後の社会情勢の変化によりまして相当内容が変わってきていると聞いております。労働省としてはいかなる御見解をお持ちなのか、まずお尋ねしたいと思います。
#170
○細野政府委員 移転就職者用の宿舎につきましては、先生御指摘のように、あれをつくりました当初は石炭の離職者が大量に発生しまして、その地域自体がいわば炭鉱地帯でございますから、炭鉱が閉山することに伴ってよその地域に大量に就職しなければならないという事態に着目しまして、そういうふうに住居を移転して就職する方のために、その再就職を援護するという役割りを持って宿舎が建設されたわけでございます。もちろん炭鉱の合理化問題がある程度山を越えた段階におきましても、他の産業におきましても同様に移転して就職しなければならぬ方がございまして、そういう意味で産業別、地域別の労働力の需給の調整という観点から、引き続き移転就職する方のために雇用促進住宅の建設をずっと続けておる、それで現在に至っておるというのがこの住宅の設立の目的と経緯でございます。
#171
○春田委員 そこで運営の状況をお尋ねしてまいりますけれども、現在の運営戸数と入居状況でございますけれども、まず数字をもってお示し願いたいと思います。
#172
○渡辺参考人 ことしの二月末現在で運営戸数が十万六千百十九戸でございます。その中で入居者が入っておるところ、入居戸数が九万四千三戸でございまして、空き家が一万二千百十六戸ということになっております。
#173
○春田委員 空き家数が一万二千百十六戸あるということでございますけれども、その理由はどういう理由なんですか。
#174
○渡辺参考人 先ほども職安局長が申し上げましたように移転就職者のためにこの住宅があるわけでございます。したがって、その移転就職者が住宅に入りたいという場合にある程度空き家がないといけないということはあろうかと思います。ただし、建って間もない住宅につきましては入居率が悪い場合がございます。それは私どもといたしましては、安定所でございますとかあるいは関係の地方公共団体でございますとかそういったところにお願いをして、PRをして、よく入っていただくようにやっておるわけでございます。
 なかなか入らない理由の一つといたしましては、ここに工場が誘致されるというような条件があって建てたところで思うように工場が計画どおり建たなかったとか、そういった場合もございますが、おおむね建ったばかりのところで入居率が悪い場合が多いということでございます。
#175
○春田委員 資料をいただいておりますけれども、一万二千百十六戸のうち二Kが九千八百十四戸、二DKが千八百十七、三DKが四百八十五という形になっておりますね。この数字からすれば建ったところは非常に少ないのでございまして、いわゆる狭い二K等が、二Kは五十年ぐらいでやめておりますけれども、こういうところがあいておるという感じになっておるわけでございまして、決して新しいところが入ってないということじゃないと思うのです。この問題、後に私質問いたしますけれども、それぞれ理由があります。一つとしては、やはり移転就職用ですから若干のスペースといいますか空き家を設けていく必要があるということを聞いておりますけれども、これは大体トータル的には何%ぐらいあけていくという目標があるんですか。
#176
○渡辺参考人 おおむね五%程度、したがって九五%ぐらい入居率があると一番いい状態ではないか。現在は先ほど申し上げましたように九〇%程度でございまして、最高ではないけれども、まあまあじゃないかなというふうに考えております。
#177
○春田委員 五%ぐらいの目標でございますけれども、実際は倍の一一%いっているわけでございまして、私としてはあき過ぎじゃないか、こう見ておるわけでございますけれども、これはそれなりの理由があると思います。いま言ったように二Kが非常に多いわけです。この二Kの面積、部屋数、これはどれくらいなんですか。
#178
○渡辺参考人 二Kふろなしの場合でございますと、三十三平米でございます。二Kでございますから二間にキッチン、これが一番狭い住宅でございます。
#179
○春田委員 二間といったら何畳、何畳ですか。
#180
○渡辺参考人 六畳と三畳のものと、六畳と四畳半のものでございます。
#181
○春田委員 先ほど私が数字で示したように、全体の約八割近くが二Kがあいているわけです。これは当然いま言ったような面積でありますし部屋の数でございますから、近代的な生活をするには非常に不便でございますし、こういう点からいって早急に二Kというのは考えを新たにして、入居者の利便になるように考えてみる必要があるんじゃないかと思いますね。そういう点でいま入っている方からの要望で二戸一、いわゆる改造の要望があるわけでございます。そこで、現在家族数が多かった場合、いわゆる二部屋まで借りられるという基準というのは設けておられるんですか。
#182
○渡辺参考人 二戸貸しにつきましては基準がございまして、一つの方の基準は六畳と三畳の場合でございますが、これの場合には本人を含めまして家族が四人以上でございまして、本人及び配偶者以外の同居者に十五歳以上の者が一人おるという場合でございます。それから六畳と四畳半の場合につきましては、先ほど申し上げました四人以上が五人以上ということになっておる、これが基準でございます。
#183
○春田委員 そこで私の地元でも相当ないわゆる二戸貸しのケースが出ておるわけでございます、こういう基準に合って。ところが、棟が違ったり階段が違ったりして非常な不便を買っているということで、いわゆる二戸一、壁をぶち抜いて何とか一緒に生活やりたい、こういう要望が非常にきついわけでございます。こういう点を事業団としては考えていく必要があるのではないかと思いますけれども、どうでしょうか。
#184
○渡辺参考人 先生仰せのとおりでございまして、条件の合うところにつきましては、二戸をぶち抜きまして二月にするというような方策を講じておるところでございます。どういう場合にそれをしておるかと申しますと、対象宿舎の入居者がよその宿舎に一時移動ができるような状況がないとちょっとできないわけです。それから、先ほど問題になりました二戸貸しがかなり実施されておるというような条件、それからさらに、入っている人じゃなくて、入りたい人もまだあるわけで、入りたい人と入っている人との調和というものがうまくいかないとできないわけでございまして、そういう条件に合ったところについては、二戸をぶち抜いて二月にするというようなことをやってきておるわけでございます。
 これは五十年度から実施しておりまして、大体一年に二百戸のものを百戸に改造していきたいというふうに考えておるわけでございます。実績もいままでに大体五百戸を二百五十戸ぐらいに改造をしておるところでございますし、それからさらに本年度といたしましては三百戸を百五十戸ぐらいにする計画を持っておるところでございます。
#185
○春田委員 それなりの努力をなさっているみたいでございますけれども、全体の数からすればこれは非常に少ないわけでございまして、これらの二Kにつきましては八万六千戸ございますので、もっとスピードを早めていただきたいと思っておるわけでございますけれども、将来、二戸一につきましては何年計画でどれぐらいしたいという計画をお持ちなんですか。
    〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕
#186
○渡辺参考人 先ほど申し上げましたように、一年に二百戸を百戸にしていきたいというのが当面の計画でございまして、ことしはそれ以上計画しておりますけれども、将来においてもそういった方向で実現していきたいというふうに考えております。
#187
○春田委員 要するに、これは予算の枠がありまして、事業団もできないと思うのです。
 そこで、大臣にお尋ねしますけれども、こういう要望が非常にきついわけです。そういう点で、予算の範囲内で事業団はそれなりの努力をなさっていると思いますけれども、いかんせん決められた予算でございますからできない、一年で二百戸、こういう形になるわけですね。ところが、全体で約八万六千戸あるのです。いま実際に約一万戸あいているわけですから、これは今後相当あいていくのじゃないか、こういう考え方を持っております。今後、新しい団地は二DKや三DKになっておりますから、二Kがなくなっていくという点で、そちらの方向に非常に目が移っていく。したがって、二Kそのものは入る人が非常に少なくなってくるのじゃないか、こう考えておりますので、この点につきましてはもっと予算の枠をつぎ込んで、そういう方向に改造していかなかったら、空き家が非常に多くなってくるという感じがするわけです。そういう点で、予算の枠の拡大を大臣の方に要望しておきたいわけでございますけれども、どうでございましょう。
#188
○細野政府委員 事業団からもよく事情を伺いまして、必要があれば協力してやれるようにいたしたいと思います。
#189
○春田委員 それでもう一点、やはり改造問題で電力の問題、いわゆるアンペアの問題があります。
 これは大臣も御存じだと思いますけれども、現在の既成の団地はほとんど十アンペアないし十五アンペアだと思いますけれども、十五アンペア等におきましては、夏のクーラー、そして電子レンジ等、こういうものがつけられないわけです。たとえば中層の四階ないし五階建ての団地は、非常に屋根が薄いものですから、階上にいけばいくほど、真夏の直射日光で、特に子供とかお年寄りがおるところは非常に住みにくいわけですね。そういう点で、電力を十五アンペアのものを二十アンペアにしたらクーラーが取りつけられるから、何とかアップしてほしいのだという要望があるわけでございますけれども、これも予算の枠がありますから決められないという状況になっているわけですね。これは私は前回も質問いたしましたけれども、この電力容量のアップの問題、これも二戸一と同じように順次改善ないし修繕されていっているのですか。
#190
○渡辺参考人 先生の仰せのとおりでございまして、現在十アンペアのところが若干あります。それは十五アンペアになったところもございますが、本年度から十アンペアのところ、十五アンペアのところを二十アンペア以上にいたすことにしております。本年につきましては四十二カ所予定をしておるところでございます。
#191
○春田委員 全国で団地数はどれぐらいあるのですか。
#192
○渡辺参考人 団地数は約九百でございます。
#193
○春田委員 九百団地のうち四十二団地という意味ですか。
#194
○渡辺参考人 希望が出ておりますところが、実は寒いところもございますし、九百全部ではなくて、五百カ所でございます。したがって、五百カ所の希望の中でことしは四十二カ所。それからちょっと言い忘れましたけれども、大体五十年以降につきましては、全部の住宅が二十アンペア以上になっておるということでございます。
#195
○春田委員 五十年以降に建設のものは、二DKでも二十アンペアになっているわけですか。
#196
○渡辺参考人 おおむねなっております。
#197
○春田委員 この四十二団地というのは、ことしはこういう形で出ておるわけでございますけれども、このペースでいったら、五百団地のうちの四十二団地ですから、やはり十年ぐらいかかってしまうわけですね。これは先ほどのことと同じですけれども、ことしは四十二団地だけれども、来年はこれぐらいふやしたい、何年ぐらいでこれを解消したい、全部二十アンペアにしたいという計画はお持ちなんですか。
#198
○渡辺参考人 実は去年は十八カ所直しまして、ことしは奮発して四十二カ所にしたわけでございます。来年以降につきましても、できればことし以上の個所数にしていきたいと思いますけれども、それにいたしましてもかなりの年数がかかるというふうに考えております。
#199
○春田委員 ことしの予算では、この改善費、修繕費というのはどれぐらいとっておるのですか。
#200
○渡辺参考人 修繕費全体といたしまして約三十億程度でございます。この中から、このアンペアの改善につきまして二億四千万ぐらい支出したいという計画でございます。
#201
○春田委員 これは労働省に聞きたいのですけれども、いま事業団の方は三十億とおっしゃいましたけれども、労働省としては、ことしの予算枠は大体どのぐらいと見ておりますか。
#202
○細野政府委員 事業団の予算の大どころにつきましては、労働省が相談をしながらやっておりますが、いま御指摘のような細かい問題は、ほぼ事業団にお任せしておりますので、事業団の全体の予算の中で考えていただいておるわけでございます。
#203
○春田委員 いま事業団の方が三十億とおっしゃいましたけれども、大枠はどのぐらいですか。三十億で間違いないのですか。
#204
○細野政府委員 ラウンドで先ほど渡辺理事がおっしゃったわけでございまして、正確には認可予算が三十四億八千万というふうに記憶しております。
#205
○春田委員 三十四億八千万の修繕費の中で、電力の改善費、修繕費は二億四千万、こういうふうに理解していいですね。
 こういうことで、大臣、この修繕費というのは、私資料をいただいたわけでございますけれども、五十一年が三十三億三千万出ておるのです。五十二年が同じく三十一億二千万に減っているわけですね。五十三年には三十一億九千万、同じぐらい。五十四年にやっと三十四億八千万出ているわけです。こういうことで全体の予算の伸びというのは二〇%前後、ことしは一二%でございますけれども、そういう伸びからしたら、修繕費は枠が伸びていない。非常にシビアになっている、冷たい措置になっているという形になっておるわけですね。こういうことで、要するに、いま言ったように二戸一の問題にしても電力のアップにしてもなかなか思うとおりにいかない、入っている人の要望どおりなかなかいかない、このまま行ったら十年ないし十五年かかる、こういう形になっているわけです。
 現に夏になって、私もその団地に行きますけれども、それはとてもじゃないが一対一の対話もできない、こういう形。産まれたばかりの赤ちゃんが眠れなくて夜中じゅう泣いてしまって、お父さんが仕事に行けないという現象も起こっているということで、電力アップの問題はきつい要望があるわけです。
 こういうことで、これは事業団だけ責めることはできませんし、本当に全体の枠を広げる以外にないわけですから、こういう点では思い切った修繕費の枠の拡大をしなかったら、これはいつまでたっても要望どおりいかないわけですね。こういう点で、実情をよく考えていただいて大幅なアップをしていただきたいと要望するわけでございますけれども、どうでございましょうか。
#206
○栗原国務大臣 先ほども政府委員から話をいたしましたけれども、これは御案内のとおり事業団の自賄いの資金でやっておりますから、いろいろその中に問題があると思いますが、ただせっかくつくりましても、非常に狭くて住めないとかあるいは不便でしょうがないというのをそのままにしておくことは適当でないと思います。私ども、事業団の方ともよく相談をいたしまして、お手伝いできますことにつきましては積極的に御協力いたしたい、こう考えております。
#207
○春田委員 いずれにいたしましても、この雇用促進事業団というのは、国の住宅建設計画の中の一環として行われておるわけですね。今後、住宅建設というのはいわゆる量よりも質という方向に転換なさって、三DKとか三LDKがふえてきておりますので、こういう面でもやはり変えていく必要があるのではないかという考え方を持っておるわけでございます。
 その他地元からは集会所がないとか給水管の改修、浴室の補修とか壁のひび割れとか自転車置き場の増設、そういう細かい問題が出ておりますので、こういう点も鋭意前向きで検討してその要望に従ってひとつ取り組んでいただきたい、こう思うわけでございます。
 最後に、入居の資格の条件の中に、これは当然本人が仕事をしていなくてはいけない、いわゆる就職していなくてはいけないわけでございますけれども、何らかの理由によって仕事がなくなったとかそれから定年になってやめたとかいう理由があるわけでございますけれども、家賃の支払い能力は十分あるといった場合、あなた資格がないから出ていけというのは余りにも冷た過ぎる措置じゃないかと思うのですけれども、この辺の特段の配慮といいますか措置はできないものでしょうか。
#208
○渡辺参考人 入居者の資格を、たとえば労働者でなくなるとかあるいは奥さんがお亡くなりになるとかあるいは娘がお嫁に行って一人だけになるとかいった場合には、契約書の規定に従いまして出ていかなければならぬということに一応なっておるわけでございますが、しかし、そこへ入っている労働者の方の生活のことも当然考えていかなければいかぬわけでございまして、したがって、貸与期間は原則として一年でございますが、一年の場合は一年の最後の日まで、それからもう一年延ばせるわけでございますが、そのもう一年延ばした場合にはそのまた一年の最後の日まではおられるというふうになっているわけでございます。それは通達でそういうふうにちゃんとなっているわけですが、しかしさらにその期間を超えましてもなおかつお気の毒なような場合があるわけでございまして、そういった場合には特別に事情によりまして退去を猶予いたしますというような措置をとっておるところでございます。
#209
○春田委員 いずれにいたしましてもこの団地は、最初に言ったように相当社会情勢が変わってきておりますので、あくまでもそういう労働者といいますか働く人の味方になって貸与をしていただきたい、このように要望しておきます。時間の関係でこの問題は終わります。
 次いで、財形の問題でございます。これは午前中も質問がございましたけれども、さらに煮詰めて御質問申し上げたいと思います。
 財形貯蓄による雇用促進事業団の持ち家融資制度がございますね。その仕組みと内容について簡単に御説明いただきたいと思います。
#210
○岩崎政府委員 財形持ち家融資制度には、大きく分けまして持ち家分譲の融資制度とそれから個人に対します持ち家転貸融資制度とございます。大まかに申し上げまして、財形持ち家分譲融資制度と申しますのは、労働者の財形貯蓄に基づきまして、事業主ないし事業主の団体、協同組合等も含めてですが、それが融資を受けて建設いたしまして、それを従業員にあるいは事業主団体に加入している事業主の従業員に分譲する。そしてその一定の年限に一定の利子を事業主に返還をさせてまいりまして、そしてその融資を受けた雇用促進事業団に返すという制度になっております。
 それから、持ち家転貸融資といいますのは、これは事業主が雇用促進事業団から資金を借りまして、持ち家をつくりたいという従業員に個人融資をするという形の制度でございます。それに対して一定の事業主の拠出につきましては減税措置もございますし、また事業主が従業員に対して融資をする際に一定の助成措置をするというような仕組みになっております。
#211
○春田委員 そこでまず、分譲の融資の制度についてお尋ねしますけれども、この予算枠と資付決定額と件数、これは年度別に御説明いただきたいと思います。
#212
○岩崎政府委員 財形持ち家の分譲融資の方は昭和四十八年の九月から発足いたしております。それで昨年度五十三年度末までに総計で千百四十億という計画になっておりまして、融資の実績が三百八十九億円となっております。それで年度別に申しますと、四十八年、四十九年は後ほど御要求がありましたら資料として差し上げますが、五十年度百三十億円の融資計画に対して九十四億八千万円の実績。五十一年度百三十億円に対して八十二億八千万円。五十二年度百五十億円に対しまして百九億七千万円。五十三年度は二百億円に対しまして、これは五十四年の二月末までで六十五億七千万円ということになっております。
#213
○春田委員 五十四年度の予算枠はどれぐらいとっているのですか。
#214
○岩崎政府委員 三百億でございます。
#215
○春田委員 五十四年度の予算枠は三百億ということで五十三年度と比べたら百億アップしておりますけれども、しかしいま御説明があったように決定額は非常に少ないわけでしょう。これではどんなに予算枠をふやしたと言っても、決定額は全然少ない。特に五十三年度は六十五億になっている。二百億の枠について六十五億しか決定していない。五十二年度の百九億から相当下がっているわけですね。こういう点からして非常に矛盾しているような感じがするわけでございますけれども、これはどういう原因なんですか。
#216
○岩崎政府委員 この制度につきましては、当初はもちろんまだ本制度の趣旨、内容に対する事業主その他一般への周知が徹底していなかった。あるいはまた、企業において従来自己資金ないし会社で従業員に対する分譲をしていたというようなことに対しまして、財形分譲制度に乗るということに対する対応がおくれていたという点もあったと思います。
 昨年度五十三年度につきましては、ただ、まだこれは五十二年二月末現在の実績でこういう数字でございますが、若干伸びるといたしましても五十二年度よりは落ちていると思います。これは実は経過措置といたしまして、分譲を受ける勤労者の資格といたしまして財形貯蓄の期間が三年以上なければいけないというものを本則といたしておりますが、それを暫定措置として一年以上あればいいということにいたしておりましたのが、昨年度いっぱいで切れるという見込みでございました。それが今年度からさらに二年間その暫定措置が延長されることになりました。そこで、これからは伸びると思いますが、昨年度そういうことで切れるんじゃないかということになりますと、まだなかなか財形貯蓄を三年以上やっているという従業員は数が少なくなりますので、それに対する対応が事業主団体あるいは事業主等において手控えがあったということもあって落ちているというように考えております。
#217
○春田委員 すでに開始して六年になるわけでしょう。いま局長おっしゃったように、当初はそういう形で少なかったけれども漸次ふえてきていると言っても、全体的には六割くらいしかいってないわけですよ。特に五十三年度はそういう半分以下、この時点は二月現在ですからわかりませんけれども、三分の一しかいってないわけですね。これを五十四年度また枠をふやしたとしても、それだけの意気込みはわかりますよ、しかし本当にそれだけの実績が上がるかといったら、過去の実績から言ったら非常に疑問である。こういう点で制度そのものに若干足りない面が、事業主ないし従業員が借りられない面があるんじゃないかという感じがするわけでございますけれども、制度そのものの不備という点はございませんか。
#218
○岩崎政府委員 本来財形を通じましての持ち家融資にいたしましても、勤労者が自己努力をいたしまして、それに対して事業主なりあるいは国が援助をするという形で制度そのものが組まれておりますので、その基本を崩すわけにはいかないわけでございますから、その面でたとえば事業主が負担があり過ぎるとかというようなこと、あるいはまた労働者の財形貯蓄というものが、非常にいまや財形貯蓄の加入者は多いわけでございますけれども、それが実際にこういった持ち家意欲というものに対する直接的な関連と申しますか、そういうもののつながりということでまだ十分でないというような点もあろうかと思います。私どもも制度的に若干ずつではございますが、従来ネックになっているようなものについて一つずつ改善措置を講じてきておりますけれども、五十三年度におきましても一定の改善をいたしましたので、実際にその効果があらわれてくるのが五十四年度ではないかというように考えておりますので、三百億即満杯ということにいきますかどうかは別といたしまして、相当程度の実績は考えられると思っております。
#219
○春田委員 いま言ったように五十四年度は期待していると言いますけれども、これは発足して六年ですから、一、二年は悪かったとしてもそれはわかりますよ。三年、四年目にはそういう予算枠に近づいて努力していきます。こういうことだったらわかりますけれども、六年目にして今日まで非常に悪いわけでございますから、そういう点においてはやはり非常に問題があるのじゃないかと私は思うのです。住宅金融公庫なんかはほとんど満杯で非常に足りないという状況になっておりますけれども、この財形だけは予算だけはどんとありますけれどもその実績は非常に手薄いということで、これから中身の問題に入っていきたいと思いますが、借り入れることができないような非常にむずかしい条件等があるのじゃないかという感じがするわけですね。
 そこで一つは、これは従業員が借りようと思っても事業主ないし団体を通して借りなければいけないという面があります。そういう点で住宅金融公庫と違いまして、事業主がその気にならなかったらこれはなかなか活用できないわけですね。そういう点で、事業主に対する負担というものがあるわけです。これは従業員に対する軽減措置ということで、これがその分だけ事業主が負担するようになっておりますけれども、事業主あるいは団体に対してどれくらいの負担があるのか、明確に御説明いただきたいと思うのです。
#220
○岩崎政府委員 事業主が住宅を建設または購入して従業員に分譲する場合でございますが、しなければならない負担軽減措置の例を一、二申しますと、分譲価格を標準譲渡価格から住宅の建設費または購入費の三%相当額を控除した額として従業員には分譲した場合ということでございます。それから二つの例としましては、分譲価格を標準譲渡価格とした場合には、事業主は十年以上の期間にわたって分譲貸付相当額の二%、ただし中小企業の場合にはこれが一・五%限度でよろしいわけですが、その利子補給を従業員に対してするというのが二つの例でございます。そのようなことで、従業員の負担を軽減するために事業主に一定の負担を課する、こういうことになっておりますが、この事業主の負担分につきましては、もちろん経費として税的な軽減措置は講ぜられておるわけでございます。
#221
○春田委員 当然財形の趣旨として、これは政府そして事業主、従業員等が寄り合って助け合っていくというその趣旨はわかるわけでございますけれども、実績から判断してその中身が非常に薄いということは、やはり事業主がその気にならなかったらこれは借りられないわけですから、そのように事務費三%の負担、一・五%の利子補給、こういう点も事業主の大きな負担になっているのじゃないかと思うのですね。こういうことで、事業主の負担をもっと軽くする、税の面では軽くなさっていると聞いておりますけれども、それ以外にもともと軽くするような方法を考えていく必要があるのじゃないかと思うのですけれども、どうでございましょう。
#222
○岩崎政府委員 最初に申し上げましたように、これは勤労者の自己努力に対して国なり事業主が一定の援助をするということによって勤労者の財産形成をしていこうという趣旨の一つとしての持ち家分譲融資があるわけでございますから、その企業のある程度の負担ということは当然免れない、こういうことになるわけでございますけれども、今後この財形持ち家融資制度が事業者にとってできる限り受け入れやすいものにということは、私ども財形の審議会、これは公労使の構成の審議会で現在基本問題懇談会というものでいろいろと財形の問題について検討しております。そういう御意見等も拝聴いたしまして慎重に検討をしてまいりたい、このように考えます。
#223
○春田委員 先ほど局長から実績の件数をお示しいただきましたけれども、さらにこれは事業主と勤住協と事業主団体の三通りに分けた場合、非常に事業主が申請していないといいますか、事業主を通しての借り入れが非常に少ないという傾向になっております。
 たとえば、五十年は全体で二百五十四件ございました。この中で事業主が二百二十二件、五百六十五戸の申請があったわけでございます。それに対するいわゆる事業主の団体でございますけれども、二十八件の四百五十五戸、こういうことで、この時点では事業主の方が件数、戸数としては多かったわけです。ところが、五十一年になりますと、事業主が三百五十一戸に対しまして事業主団体が五百十戸、こういうことで、この時点ではもう逆転しておるのでございますね。五十二年になりますと、さらに事業主が百六戸に対しまして事業主団体は一千四十四戸ということで、事業主の方が一割しか申請していない。さらに、五十三年度につきましては、四十九戸の事業主の申請に対しまして事業主団体が五百四十四戸ということで、ほとんどが事業主の団体を通していわゆる分譲を受けているようなかっこうになっているわけです。
 こういう点からして、確かに事業主団体の二分の一が加入すればそれで受けられるという条件になっておるようでございますけれども、こういう数字の点からいって事業主が非常に硬化してきている。この数字を見ていると、事業主単独の申請というのは非常につらくなってきているのではないか。そういう点で、先ほど言ったように、事業主もある程度の負担は必要かもしれないけれども、それをもっと軽くしてやらなかったらこの制度そのものが本当に生かされないんじゃないかという感じを持つわけです。こういう点で特別な配慮が必要じゃないかと思いますけれども、どうでございましょう。
#224
○岩崎政府委員 いま御指摘の点につきましては、結局、事業主単独でやれるものというと、ある程度の規模以上の企業になるわけでございますが、そういう企業につきましては、先ほども申し上げましたが、独自の住宅の融資制度あるいは分譲融資をするというような制度を持っていたという経過もございます。したがって、このいまの財形融資制度と関連して運用を図るために、それとの対応のための若干の時間的な経過が必要だったということもございますし、それから、何と申しましても、中小企業は独自でやるというほど従業員の規模もありませんし、また資金力もないということから、事業協同組合が中心になりまして、その加盟の事業主が事業協同組合の形で協同してつくりまして、それぞれの従業員に何戸かずつ分譲するという形がむしろ運用の場合に利用されやすいということがございまして、現在そういう実績になっている面もあると思います。
 ただ、いま御指摘のような負担の面から消極的であるというようなことももちろんございましょう。それから事務的な負担が案外煩わしいというような声も聞いておりますので、その辺含めまして、今後慎重に検討してまいりたいと思います。
#225
○春田委員 じゃ、もう一点。持ち家制度がございますね。この持ち家制度は五十二年度から発足していますけれども、この予算額と決定を五十二年度、五十三年度につきまして御説明いただきたいと思います。
#226
○岩崎政府委員 これは財形の持ち家に対する転貸融資と私ども言っております。私どもが雇用促進事業団を通じての直接の所管をしております数字だけから申しますと、非常に残念なことでございまして恐縮でございますが、五十二年度二百億円の融資枠を用意していたのに対して実績が約七千万円ということでございます。それから五十三年度はその倍の四百億を予定しておりましたのが四億三千四百万円、合計で百六件、五億百万円というのが現在までの実績でございます。これは、まことにその融資計画と比べまして小さいということは認めざるを得ないと思っております。
#227
○春田委員 これも名のみあって実体がないという形になっておるわけでございまして、本当にどういう原因でこういう形で終わってしまったのか私もわからないわけでございますけれども、労働省としては、いかなる対策をこの二カ年反省して立てようとしておるのか、この点、御説明いただきたいと思います。
#228
○岩崎政府委員 この転貸融資制度は、もちろん五十二年度から発足してまだ日が浅いということが一番でございますし、また、先ほども申し上げておりますが、大企業などでは企業の中ですでに持っております社内の個人に対する融資制度との調整というようなことで対応がおくれております。それからまた、若干金利がここのところ低下しておりますので、勤労者が貸し付けの申し込みを手控えているというようなこともありますし、それからもう一つは、これに関しては財形貯蓄を三年以上している者が融資を受ける資格を有するということでございますが、財形貯蓄が始まってまだ間もないと申しますか、そういうことから資格者がないということもございます。
 ただ、私ども、この持ち家の転貸融資につきましては、やはり基本に住宅金融公庫等の既存の融資の上にさらに足りない資金枠を上積みをしていこうというような指向が多かろうと思いまして、私どもの所管しておりますものは実績がそのようなことでございますが、住宅金融公庫の方を通じての実績はそれよりは若干出ておりまして、同じような制度を運用していく機関が、私どもの転貸融資、それから直接融資といたしましては住宅金融公庫、それから共済組合を通じての融資、これがいずれも財形の個人に対する持ち家融資制度ということになっております。これらの総合的な既存の住宅金融公庫等の公的機関の融資制度とのリンクと申しますか、そういうものをいろいろなPRも含めまして促進していくことによって実績が上がっていくのじゃないかと思います。それから、若干の改善を今後とも検討いたしまして、この点についてはPRも十分にしなければなりませんが、そういった裏づけもまちながら努力をしてまいりたい、このように考えます。
#229
○春田委員 住宅金融公庫は公庫でそれなりの努力をしているのであって、共済組合は共済組合でそれなりに努力しているのであって、ここでは財形の持ち家という形で五十二年度が二百億、五十三年度が四百億という一つの計画を持っているのですから、それはそれで推進しなかったらやはり意味がないじゃないですか。それは理由にならないと思うのですよ。そういう点で、確かに日が浅かったという面もあるでしょう。しかしいま言ったように、分譲と違いまして持ち家は三年の財形のいわゆる経緯が必要である、こういう形になっているわけですね。従業員にとっては分譲よりも持ち家の方を望む率が高いと思うのですよ。ところが現実においては低い。もう極端に話にならない。となれば、その辺のいわゆる三年の財形の義務があるという点が非常に厳しいのじゃないか。私からすれば、分譲と同じように一年ぐらいにしたらどうかという考え方を持っているわけでございますけれども、この点はむずかしいのですか。
#230
○岩崎政府委員 その点は、個人の持ち家に対する融資制度というものは、実は、本来財形持ち家分譲融資の方をやっておったのですが、やはり住宅金融公庫とかそういう既存のものに対する増し借りをしたいというような要請もありますので、それに対して個人融資ができるような形で昭和五十二年度から発足しようということでやった措置でございまして、特に、やはり財形貯蓄の裏づけのある者に融資をする、個人に対して融資をするということになりますので、個人の財形貯蓄の実績が三年以上というところを、持ち家分譲融資のように事業主の一つの裏づけがあるのと違いまして、そこは暫定期間にせよ一年にしてない理由だというふうに私ども理解しております。
#231
○春田委員 実績を上げるためにはその点も考えていく必要があるのじゃないかと思うのですよ。
 さらに、分譲と持ち家の場合、金利が違いますね。分譲と持ち家の場合、従業員に最初にかかる金利はどうなっているのですか。
#232
○岩崎政府委員 財形分譲融資の方の金利につきましては、中小企業を対象にいたしましては年六・〇五%、それから大企業につきましては年六・五五%ということになっております。それから転貸融資の方は現在六・三二%と、確かにちょうど中小企業と大企業の中間ぐらいな利率になっております。
#233
○春田委員 これは分譲の場合は、中小企業の場合には国が利子補給して六・〇五になっているわけですね。ここでは〇・二七の差があるわけです。こういう点もやはり転貸がスムーズにいかない面があるんじゃないかと思うんですよ。この際金利も同じにするためには、国の利子補給というものを転貸にするべきじゃないかと私は思うんですけれども、どうなんですか。
#234
○岩崎政府委員 先ほども申し上げましたように、個人融資に対するものにつきましては、従来から存しますいろいろな融資に対してさらに上積みをするというようなことの要請について、ともあれこういった制度を創設して利用に供しようという考え方から、先ほど申し上げた財形貯蓄の裏づけを持った者に対して住宅資金を確保しやすいようにというような趣旨もございましたので、そういった面からとりあえず発足をしたという経過がございます。したがいまして、国がそれに対しましても利子補給をするということになりますと、そういったものを発足いたさせました経過あるいはその基本的性格という点からいろいろと問題があろうかというふうに考えておりまして、現在のところそこまでちょっと無理ではないかというふうに考えております。
#235
○春田委員 同じ財形で、分譲では六・〇五、しかし持ち家は六・三二というのは、それは全然違う性格だったらいいですよ。同じ財形の中でそういう利率が違うというのはおかしいじゃないかということで、やはりこの率は合わすべきじゃないですか。時間がございませんのでそれ以上質問できませんけれども。ちょっと前へ進みますけれども、そういう点では利子補給も若干いわゆる持ち家の場合にもやりまして、分譲と同じような率にして、本当に借りやすいようなそういう条件にすべきじゃないかと私は思うのです。
 さらに、金利の問題が出ましたので確認しておきたいと思うのですが、公定歩合が〇・七五上がりました、五月から上がるみたいでございますけれども、財形貯蓄の金利の場合、これはどういうふうにお考えになっておるんですか。
#236
○岩崎政府委員 転貸融資の貸付金利の場合には、いまありますところの六・三二%から、多分近い機会にほかの金利上昇とのバランス上若干の引き上げをすることになろうかと思います。まだ引き上げ幅、それから時期等については必ずしも明確ではございません。
#237
○春田委員 転貸の場合はそうですけれども、分譲の場合はどうなんですか。
#238
○岩崎政府委員 分譲の融資につきましては、私どもの現在の金利が、年金福祉事業団の行います年金分譲融資と同様に、資金運用部資金の貸出金利と連動しております。したがいまして、そちらのものと歩調を合わせるということになろうかと思います。
#239
○春田委員 他の関連があるということは、これは住宅金融公庫との関連があるということで理解していいんですか。
#240
○岩崎政府委員 当然住宅金融公庫の金利とも関係がございます。
#241
○春田委員 きょうの新聞報道によりますと、住宅金融公庫の個人向け融資、これは自民党の部会では据え置きという形が決議されたと聞いておりますけれども、これを政府が実行した場合、これは政府が実行するかどうかということはあれですけれども、大臣、この問題につきましてはどういう見解ですか。
#242
○岩崎政府委員 基本的には先ほど申し上げましたように資金運用部資金のものと連動するというかっこうになっておりますので、そちらの方の政策的な決定に私どもの方は合うということになろうかと思います。まだ事務的にはちょっと検討の段階になっておりません。
#243
○春田委員 最後にもう一点だけお尋ねしますけれども、この転貸の場合は最高限度額千五百万まで借りられるようになっております。ただし、それは財形貯蓄の三倍という形になっているわけですね。三倍ということは、千五百万借りようと思ったら五百万の財形の預託がなかったらいけないわけです。この五百万というのは相当厳しいんじゃないかと私は思うのです。私が総理府の方からいただいた資料によりますと、四人家族の平均家族で年収が大体五十三年度は三百六十五万になっています。このうち貯蓄に回る率が大体四十五万円。したがって、この四十五万円で三年として百三十五万ですから、その三倍で四百五万円しか借りられないわけですね。こういう点からして、千五百万借りようと思うためには五百万のいわゆる預託をしなければならない。この率でいったら大体十一年かかってしまうんですね。こういう点でも、確かに五十四年度ですか、二倍から三倍に上げられたという、それは認めますけれども、三倍でもやっぱり厳しいんじゃないか。もっと倍率を高くする必要があるんじゃないか。限度額千五百万まで借りられますよと言っているけれども、実際は借りられない。そういう仕組みになっているんですよ。この点もやはり考える必要があるんじゃないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
#244
○岩崎政府委員 いま先生からも御指摘がありましたように、昨年度この財産形成法を改正いたしまして、全般の財形制度を改善する際に従来の二倍の枠を三倍までにしたわけでございます。これは持ち家融資制度、この転貸の個人に対する融資制度の実績がどこに一体隘路があるのかということをいろいろと私どもも分析をしてみなければいかぬと思っていますが、先ほども申し上げましたように、個人が融資を受けようとなりますと、現在のところ住宅金融公庫の融資が最初にある。それに対する、そのほかのものもありましょうが、一つの上積みとしてこれがあるということでもございますので、私どもは、二倍を三倍にした―これは三倍が五倍、五倍が幾らということがよろしいことだ、その面からいいますと多ければ多いほどいいということになりましょうけれども、一方においてやはり個人の自己努力の財形貯蓄を見合いにして融資をするという基本の考え方がございますので、そういう面からどの辺が限度であろうかというような基本的な性格の面からの議論もあろうかと思います。今後ともに検討させていただく課題にはさせていただきたいと思います。
#245
○春田委員 時間の関係上これで終わりますけれども、いずれにいたしましても日本の住宅困窮者はまだ八百余万世帯あると言われております。そういう点から言って、非常に持ち家を志望する声は高いわけです。したがって、銀行へ行ったり、また郵便局へ行ったり――いろんな週刊誌、報道等においてはこの財形貯蓄というのは物すごく宣伝されているんです、PRだけは。財形貯蓄があるから借りられますよと言っているけれども、実際の中身を調べていってみるとなかなか借りられない。非常に厳しい条件になっているわけですよ。実績からしてもそうなっています。そういう点では、もうちょっと弾力的な運用をしながら本当に従業員や事業主が借りられるようなそういう条件整備をしていかなかったら、ただうたい文句だけはいいけれども、いわゆる名のみあって実体がないという財形貯蓄の中身になっておりますから、そういう点も含めて今後対処していただきたい。
 最後に大臣に、この問題につきまして御決意といいますか御見解をお承りしまして、この問題につきましては終わりたいと思います。
#246
○栗原国務大臣 御趣旨をよく生かせる方法がどこにあるかということを検討してみたいと思います。
#247
○春田委員 渡辺参考人、もうこれで結構でございますから。どうも御苦労さんでございました。
 続きまして、労働福祉事業団の休養所の問題があるわけでございますけれども、いま全国にこの休養所は何カ所ございますか。
#248
○岩崎政府委員 全国で十カ所ございます。
#249
○春田委員 この設置目的とその概要を簡単にひとつ答えていただきたいのです。
#250
○岩崎政府委員 この休養所は労働福祉事業団で設置運営を行っておりますが、その設置目的は、業務上災害ないし通勤災害等で災害をこうむりました被災労働者が、その傷病の治癒後、休養を必要とするということで、基本的には温泉で保養をしていただくというようなために設置をしております。ただ、その運営面で、その方だけの利用では余裕があるという場合には、一般労働者あるいはその家族等も利用できるというような形で設置運営をしております。
#251
○春田委員 現在全国で十カ所でございますけれども、これは将来ふやす計画はございますか。
#252
○岩崎政府委員 四十七年に二カ所できまして、九カ所になっておりますが、その後増設は五十一年に一カ所と、今年五十四年度に山口に一カ所増設をする予定にしております。
#253
○春田委員 私は、四十八年の議事録を持っております。当時の大臣は加藤大臣。当時八カ所でございますけれども、これを倍増したいという御答弁があるわけですね。これは労働省の基本方針とするという形になっておりますけれども、六年たちましてその後二カ所ふえておりますが、倍増にはなっておりませんが、どんなものでしょうか。
#254
○岩崎政府委員 確かに、四十八年以降できましたのは、先ほど申し上げましたが五十一年にできましたものと今回のものと二カ所増設ということが現在までの実績でございます。
#255
○春田委員 そうしたら、当時の加藤大臣はうそをついたことになるわけだな。大臣はもう一年でやめちゃうのだから、その後事務局の方がサボっているといいますか、大臣の言うことを全然聞いていないことになるのじゃないですか。これははっきり言っていますよ、倍増すると。まあいいです。
 それで、時間がございませんので、この十カ所の休養所の利用率がいま問題になっておるわけでございまして、五十一年、五十二年、五十三年度、この三カ年で結構でございますから、いわゆる全国的な利用者の延べ人員と、それの利用率をお示しいただきたいと思います。宿泊だけでいいですから。
#256
○岩崎政府委員 宿泊が五十一年度、延べで申しまして、七万七千六百十二、それから五十二年度が八万一千百九十九、五十三年度は、まだ五十四年の一月までしか実績がありませんが、これは六万一千百二十六となっております。定員に対する利用率で申しますと、五十一年度が三〇・一%、五十二年度が三〇・〇%、五十三年度は一月までで二六・九%ということになっております。
#257
○春田委員 非常に利用率が悪いわけですよ。これ、十カ所の内訳をずっと見てみますと、二〇%以下というところも三カ所ぐらいございますね。二五%以下が二カ所ということで、地域によっては相当悪い。中には沖繩の白雲荘なんか六〇%以上いっておりますけれども、全体的に言ったらもう三〇%しかいっていない。こういうことから非常に過去からも問題になっておりまして、全然御努力なさっていないみたいでございますが、局長、よく聞いておってください。これは四十八年六月の決算委員会でわが党の坂井委員が質問いたしまして、当時の加藤大臣はこのようにおっしゃっております。「今後この休養施設に対しましても、全国で八カ所では少ないですから、本年度はこれに対しまして画期的にこれを倍増するような方向で、これらの施設の充実、そうしてほんとうに活用できるようなかっこうに持っていきたい、私といたしまして、また労働省の基本方針として、雇用促進事業団のほうにもこう指示いたす所存であります。」こう答弁なさっているのですよ。そういう点で、この当時はたしか二〇%前後だった。確かに一〇%は上がったわけですよ。一〇%の努力しかなさってない。いわゆる全体の三〇%しか利用してないというかっこうになっていますね。これは一生懸命、本当に真剣にやられたかどうかと私は疑問を持つわけでございますけれども、どんな対策を今日までなさってきたんですか。
#258
○岩崎政府委員 いま御指摘の点、そのとおり事実でございます。ただ、その当時の二〇%から一〇%ほど向上をしてきておりますけれども、私ども考えますのに、一つには立地条件的な面もあると思いますし、それから非常に古い時代に建ったものが相当施設が老朽化していると申しますか、今様的な需要にこたえていないという面があろうと思います。この点は私どもも施設改造をいたしまして、現在の需要に即応するようなものにしてまいりたいという努力もいたしますし、それから何と申しましてもやはり施設利用のためのPRが大切でございます。これは労働福祉事業団はもちろんのこと、私どもの行政機関も通じまして、パンフレットも私、手元に持っておりますが、そういったものあるいは各種の旅行案内等にも掲載をしてもらうというようなことで努力をいたしてまいっておりますが、御指摘もございますので今後ともに一層の積極的なPRに努めてまいりたいと考えております。
#259
○春田委員 いや、努力してないから言っているのであって、六年間で一〇%しか上がってないのですよ。これでもよしとしているのですか。それは一、二年で効果がないのはわかりますけれども、長期的にずっとこういう状態なんでしょう。特に五十三年度はもう三〇%を割っている。これは暖冬異変で蔵王パレスが使えなかったという理由を聞きましたけれども、それにしてもやはり三〇%前後で、七〇%は利用してないという形になっているわけですよ。一生懸命努力します、PRしますと言っても実績が上がってこなかったらこれは言えないですよ。ましてこの休養所を利用される方は、無料でできる方は八級以上の障害者の方になっておりますけれども、この方たちが同名利用しているか御存じですか。五十一年度から言ってくださいよ。
#260
○岩崎政府委員 必ずしもはっきりした数字を聞いておりませんけれども、福祉事業団から聞いたところでは、五十三年度で約三百人ぐらいというふうに承知いたしております。
#261
○春田委員 大臣、よく聞いてくださいよ。一般の労働者ないし家族も利用できるのですけれども、実際本来の趣旨はそういう障害者の八級以上の方が無料で利用できるのです。ところが、この私の資料では五十一年度はそういう方が三百十六名しか利用してない、五十二年が三百四名、五十三年度が四百四十八名なんです。全体の割合からいったら五十一年度が〇・四一なんです。五十二年度が〇・三七%、五十三年度は〇・七三%ということで、一%に満たないのです。PRしている、一生懸命やっていると言っても、現実に本当に利用する人が全然利用してないわけですよ。大切な財産が残っている、眠っているわけですよ。こういう現況、これはもういまから六年前、うちの坂井委員が言って、本当に当時の加藤大臣も、そしていろいろな皆さん方も、努力しますという約束で今日まで来て、なおかつ一〇%しか上がってない。現実本当に利用しているかというと利用してない、いわゆる部外者の方が利用している形になっているわけですね。こういう面で本当に何のための休養所か、何のための保養所かという形になるわけですよ。
 こういう点で、この際、この保養所をいろいろな面で相当検討して抜本的改善をしなかったら、これは率は上がらないと思うのです。他の中小企業のセンターなんかあります、中小企業レクリエーションセンター等がありますけれども、これは地域によってはもう六〇%なり五七%という、相当効果を上げておるわけですね。こういうことで、他の施設と比べた場合相当の開きがある。こういうことから考えて、確かに温泉の療養で、施設等がないかもしれません。レクリエーション施設がないという面もあるかもしれないけれども、しかし、少なくともいま国がいろいろな施設を持っている国民宿舎なんかもう満員満員で盛況でしょう。ところが、この施設はそういう形で全然閑古鳥が鳴いている、こういう形になっているわけですね。こういう点で、努力されているという言葉だけはいいけれども、中身は全然努力されてないのだから、これは他の施設も含めて統合ないし整理して、またその中身をもっと充実して、もっと利用しやすいようにやはり改善すべきじゃないですか。
#262
○岩崎政府委員 先生から御指摘をいただきました点につきましては、私ども労働福祉事業団とも十分に運用実績――それで、それがどういう点に問題点があるか、そしてそれをどうすればいいかという点を含めまして早急に検討いたしまして、具体的な改善措置を進めてまいりたいと思います。
#263
○春田委員 もう一つ質問がございますので、時間がございませんからこの問題はもう一つだけ言っておきますけれども、この旅費があるのです。
 旅費が最高三千六百円出るのです。ところが、私の計算でいきますと、東京周辺の方が蔵王に行こうと思います。蔵王と東京間では約三千三百円するのです。往復六千六百円。したがって、三千円の持ち出しになっちゃうのです。また関西関係の方がこの保養所を利用しようと思ったら大沢野パレスがある。富山県にあるのですが、これも大体片道三千百円になるのです。往復六千二百円ということで二千六百円の持ち出しになる。しかも、これは特急券を認めてない。急行料金だけしか認めてない。こういういわゆる八級以上の方は無料だ無料だと言っているけれども、そういう持ち出しがある、こういう形になっている。
 また付き添い、やはり重症患者は付き添いが要るのですよ。ところが、いま現在三級までは認めているみたいでございますけれども、やはり八級以上は付き添いに、介護人がなかったら一人じゃ行けないですよ。そういうやはり付添人の旅費、宿泊費等もやはり見てやらなかったら、なかなかその利用価値が上がってこないと私は思うのです。
 そういう点で、この旅費の問題、付き添いの問題等々も含めまして全体的な抜本的な改正をお願いしたいと思うのです。この問題につきましても、前回加藤大臣は大みえを切っておりますけれども、これは大臣どう思いますか。
#264
○栗原国務大臣 加藤大臣は別といたしまして、私は自分の育ったことについて責任を持ちたいと思います。したがいまして、これから私が述べることについて責任を持ちます。
#265
○春田委員 どう責任をとるのですか。
#266
○栗原国務大臣 ただいま申し上げましたとおり、よく検討いたしまして、御指摘の点のないように努力をいたしたい、こう思います。
#267
○春田委員 時間が差し迫ってまいりましたけれども、これはおとといですか、自民党から公明党、民社党に五十四年度予算修正の問題につきまして、雇用問題について御回答がございました。きのうの社労委員会でもかなりの質問が出たと聞いておりますけれども、この点で私なりに若干確認しておきたいと思うのですが、この中で、地方の雇用開発委員会を全国に五カ所設置するという形で御回答をいただいておりますけれども、この全国五カ所というのはどこの県に値するのか、御説明いただきたいと思います。
#268
○細野政府委員 お尋ねのございました地方の雇用開発委員会でございますが、現在までのところまだ五カ所という個所数だけでございまして、この個所づけにつきましては、関係者ともよく相談した上で決めたい、こういう考え方でございます。
#269
○春田委員 その域の答弁を出てないみたいでございますけれども、私の想定するところは、当然不況地域がその個所に値するのじゃないかと思っておりますけれども、どうでしょう。
#270
○細野政府委員 先生のお話のように、不況地域等を重点にしつつ関係者とよく相談をしたい、こういうことでございます。
#271
○春田委員 さらに、定年延長の問題、これは雇用審議会に諮問するということになっておりますけれども、時期はいつごろ諮問なさるのですか。
#272
○細野政府委員 これはできるだけ早いというふうなお答えになっているわけでございますが、現在、雇用審議会では雇用対策基本計画の改定作業をやっていただいておりますので、審議会の都合等もよく連絡調整をとりまして、できるだけ早く御諮問を申し上げたい、こう思っているわけでございます。
#273
○春田委員 この定年延長の問題につきましては、かって大臣は、それはいいとしても、定年延長することによってヤング層の就職が非常に困難になるのじゃないかという反面も出てくるという御答弁を何かなさったように聞いたことがございますけれども、いまの大臣のこの定年延長のいわゆる立法化の問題につきましてはどういう御心境でございましょうか。
#274
○栗原国務大臣 定年延長することによって若年の労働者の就職がむずかしくなるというのは、私が言ったのじゃなくて、ある議員さんが私にそういうことを言われたわけでございます。私が言ったわけじゃございません。この定年延長の問題については、ただいま局長から話がありましたとおり、立法化を含めて審議会で御審議をいただくということでございます。
#275
○春田委員 わかりました。
 それから、先ほども質問が出ましたけれども、高齢者と身障者の雇用でございますけれども、これは法定雇用率がございます。高齢者の場合は企業に六%、身障者の場合は大体一・五%前後だと聞いておりますけれども、この雇用の法定率が、大企業になるほどいわゆる未達成のところが非常に多いと聞いております。そういう点で、特に高齢者の場合には六%は努力目標といいますか努力達成目標になっておりますので、そういう点では企業等が非常に甘い考えを持っているのじゃないか。身障者の場合には納付金制度をとっております。そこで、この高齢者の場合も納付金制度を設けたらどうかという意見があるわけですね。確かに数が多いから大変だということがございますけれども、統計をとってみれば、大企業等は五社に四社が雇用してない、こういう形で、中小零細企業等はむずかしいとしても、大企業等が雇用しないというのはおかしい。こういう点でも、もっと厳しくするために、努力目標じゃなくして、そういう身障者と同じように納付金制度――金を出せばいいというような考え方ではだめですけれども、ある程度の厳しい罰則等も科したらどうかと私は思っているわけでございますけれども、この点どうでございますか。
#276
○細野政府委員 高齢者の雇用の問題がなかなか進まないのは大企業であるというのは御指摘のとおりでございます。大企業がなかなか進まない一つの大きな阻害要因は、先生も御案内の、賃金が年齢によってだんだん高くなる、あるいは退職金が勤続年数に応じて積み重なる、それから、昇進制度等もどうしても年齢に応じた仕組みになっているというふうないろいろなところの年功的な賃金体系だけじゃなくて、雇用慣行全般にわたる問題がありまして、この辺の問題を片づけないで高年齢者の雇用なり定年の延長だけを進めるということにはなかなか困難な問題がございます。そこで、高年齢者の雇用率につきましても、これを努力義務にしたということも、その大きな理由の一つがいま申し上げましたようなところにあるかと思うわけでございますが、そういう意味で、私どもは、こういう年功的な賃金体系、雇用慣行あるいは退職金の問題、そういうふうな点はまさに労使でもってお話し合いを願わないと、こちらの方へ改正した方がいいという方向までは言えても、個々の企業の中におけるいま申し上げました雇用慣行、賃金体系というようなものを具体的に直すのはやはり労使がお話し合いでやっていただかなければならぬ、こういうことになるわけでございます。したがいまして、この労使のコンセンサスづくりと現実の問題に対する解決案を両方のお話し合いで詰めていただかないで、雇用率なりあるいは定年の延長の方だけを強制力をもってやることについてはなかなか問題があるのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
 そこで、そうは言っても、非常に高齢化のテンポが早いときに、これは労使の問題だといって任しておくことではとても高齢化のテンポに追いつかないわけでございますので、私どもも具体的ないろいろな行政指導のやり方について実効のある方策を考えまして、いま申し上げましたような条件整備の問題とそれから定年なりあるいは再雇用を含めての雇用延長なりとが同時並行的に行われるような方策を、いろいろといま企画をしているというのが現実の段階なわけでございます。
#277
○春田委員 いずれにいたしましても労働省は働く人の味方であって弱い人の味方にならなくてはならないわけでございますから、そういう点では、こういう高齢者、身障者、非常に就職が困難です。全体の就職というのは職安に行ったら大体二人に一人はあるんですけれども、こういう人は十人に一人ですから、そういう点で御配慮いただきたい、このようにお願いいたしまして、時間が参りましたので終わります。
 どうもありがとうございました。
#278
○加藤委員長 安藤巖君。
#279
○安藤委員 私は労働者の腰痛の問題についてお尋ねをするのですが、番外で臨時に大臣に春闘の問題について一言だけお尋ねしておきたいと思います。
 午前中の答弁で大臣は、ことしの春闘は労使ともわりあいに良識を持って対処をしておられるのではないかと思うというふうに見解を述べられたのですが、私の考えと大分違いますので一言だけお尋ねするのですが、たとえば鉄鋼、電機、自動車、いわゆるIMF・JC関係、この大手各社の回答は定昇込みで五・〇%から七・五%という非常にこれは低額なものなんですね。そして通産大臣ともども物を言いなさった減量経営の問題、この減量経営で大量の失業者を社会にほうり出しているというようなことをやって、そしてその反面、たとえば鉄鋼大手五社の経常利益で言いますと、ことしの三月期には昨年の九月期と比べて七倍以上の利益を挙げている、大もうけをしているわけですよ。だから、そういう点からいたしますと、まさに大企業の失業者を社会にほうり出すというような反社会的な行為がある。そして、しかもそういうような大もうけをしながら、これは朝日新聞だったと思いますけれども、現在の問題を将来の問題にすりかえて、いわゆる賃金支払い能力論の問題を支払い不能論というところまでいって低賃金を押しつけている、こういうような実態になっていると思うのです。だから、こういうことからすると、労働者の側にとってみれば、まさにこれは憲法でも保障されている生存権の問題にも直接かかわってくるような問題だと思うのです。
 だから、そういう点からいたしますと、わりあいに良識を持って云々というようなことで大臣は澄ましておられてはどうかと思うのですが、こういうような点について、労働行政を担当しておられる大臣として減量経営についても物を申された経過もあります。だからこういうことについてしかるべき適当な措置をおとりになるお考えはないのか、これをまずお伺いしたいと思います。
#280
○栗原国務大臣 大企業が減量経営に籍口してやるということはよろしくないということは私が申すまでもないことなんです。ただ問題は、なぜ減量経営するかというと、非常に体質を強化するためにどうしてもやらなければならぬぎりぎりの問題というのもあると思うのです。だから減量経営は一切だめだとはなかなか言い切れない面がある。問題は、労使の間で話し合いを詰めて、どうしても減量経営をせざるを得ないというときにはそれはそれなりの方途があろうと思うのですね。ですから減量経営即悪というふうには断ぜられないと思うのです。
 それからいま一つ、今度の春闘でそれぞれの産業、企業の間で賃金が決まったその決まり方を見ますと、比較的話し合いで決まっておるじゃないか。昨夜からのいろいろの交渉につきましてもまあまあ労使が本当に何とかしてストのないように、それで早く妥結しようという努力をされておったと私は思うのです。そういう意味で比較的良識のある行為でなかったか、こういうふうに言っているのでありまして、これは非常識な行為であるとは言えないと思います。
#281
○安藤委員 いや良識のあるという見解はいま伺いましたが、先ほど私が言いましたような鉄鋼の場合で言いますと、相当大きな利益を上げている。にもかかわらず、低額な回答しか出していないというようなことになると、これは良識なのかということを疑いたくなってくるものですから、その辺のところはどうかということなんです。
#282
○栗原国務大臣 見方によりけりですけれども、それで労使がおさまっているわけでございますから、私はそれはそれなりに評価していいんじゃないかと思います。
#283
○安藤委員 この問題を議論しておりますと相当時間がかかりますので、これで打ち切りまして、予定どおりの腰痛の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 まず、国立国会図書館の職員の腰痛問題についてお尋ねするのですが、これは労働省の方は直接関係がないというようなことで知らぬ顔しておられぬように、後でお尋ねをしますから、お願いしたいと思います。
 この問題については、昨年の三月一日に予算委員会の第一分科会で私どもの柴田睦夫議員が、国会図書館の職員の中で腰痛を訴える職員が相当たくさんいるという問題点を指摘して質問をいたしましたところ、館長さんの方でも、そういう者がおるということなので館としても目下この実態の調査を進めておりますという答弁をいただいておるのです。どういうような調査をされてその結果はどうなったのか、お伺いします。
#284
○高橋国立国会図書館参事 お答えを申し上げます。
 昨年の五月にある女性職員から公災の認定の申請が出ております。その前後から腰痛の訴えが数多く出ておりましたので、館といたしましては東京労災病院、これに照会をいたしましてそういう調査ができるかどうかということで、東京労災病院のあっせんによりまして東海大学の方にこの調査を依頼するということをいたしました。
 それは、六月の下旬から八月の上旬にかけまして、訴えの出ておる職員に対する問診あるいは来館をして診断をしてもらう。それから職場労働環境につきまして分析的な研究調査をしてもらう。たとえば映画に撮りまして後から分析をする。職員が労働をしておりますところに先方の研究者が参りましてずっとそばについて視察をいたしまして分析検討をする、こういう調査をお願いをいたしたわけでございます。
 その結果、十一月になりまして一応報告が出されました。その報告の結果、診断を受けた者の中で十二、三名の者がこれはやはりさらに精密な診断を要する、こういう指摘もございました。
 大体労働の強度とかそういう方につきましては、その報告書の中に、女子職員については保育所の保母の業務と比較をいたしました場合に、乳児を扱う保母さんよりはやや重く、乳・幼児を扱う保母さんよりはやや軽い、こういう判定でございました。それから男子職員の場合におきましては、これは私どもよくわからない点もございますが、電力会社の営業所、これと比較をいたしまして、そこの事務系職種よりは重く、現業系職種よりは軽い、こういうふうな判定でございました。
 これだけでは要領を得ませんが、実は職員のうちさらに精密検診を要する者が十二、三名いる、こういう御指摘に基づきまして、それに、かねてから腰痛を訴え、検診をしてもらいたいという希望のありました者の中からさらに加えまして、二十数名の者につきまして十二月から一月にかけて検診をしてもらいました。その結果の報告がこの四月に入ってから出されております。その結果、大多数の者はレントゲンの透視を受けあるいは触診を受けたわけでございますが、そのうち約半数の十数名の者が、将来腰痛を訴えてくる可能性があるから、たとえば配置をかえる等のケアをした方がよろしい、こういう指摘もございました。
 そういうのが大体調査の内容と経過でございます。
#285
○安藤委員 いまの東海大学の調査の結果は、私も入手しておりますので読んであります。
 そこで、この東海大学の調査の結果についてはいまおっしゃったような中身があるのですが、仕事の量、事務量、これをしっかりと把握していないという批判が相当あるということは御存じないのかもしれませんが、そういうような腰痛の訴えが出てきているのは一体どういうところに原因があるとお考えになってみえるのですか。
#286
○高橋国立国会図書館参事 御説明申し上げます。
 訴えのほとんどすべては、図書館でございますから書庫がございまして、これで閲覧者の請求に応じまして本を取り出しまして、機械の搬送設備もございますから、その搬送設備と書架との間の運搬、あるいは搬送設備から出てまいりましたものを閲覧者、請求者にお渡しする、こういう作業でございまして、それの従事職員の中からそういう訴えが非常に多いわけでございます。閲覧者の数がここ数年間に五割ないし七割ぐらいふえておる。この十年ばかりの間に相当ふえております。これに伴いまして、書庫からの出納と申しておりますが、その出納の量がやはり激増しております。しかしながら、それに比例するだけの増員はなかなか困難でございます。したがいまして、たとえば繁忙期には臨時にアルバイト職員を入れて手伝ってもらうという措置もいたしましたが、やはりその作業の量が若干ずつ圧力となっておるという点から、こういう訴えが出ているとわれわれは考えております。
#287
○安藤委員 いま概括的なお話があったのですが、この東海大学の調査は仕事の量の増大についての視点を欠いているという批判があるのですが、いまおっしゃったように、閲覧者の数が増加して本の出納量が激増している、これが大きな原因だと私は思うのです。職員組合の方でもそういう指摘をしているのです。
 これは、委員の先生方も国会図書館を御利用になるので参考までに申し上げたいと思うのですが、月別の一日平均の出納冊数、これは昭和四十九年は最高が十月の千五百九十三だったのですが、五十年になりますと前年度の最高を上回るのが六カ月、そして最高が千八百五。それが五十一年になりますと、五十年の最高を上回るのがまた六カ月間あるのです。そして最高は二千十七冊、こうなっておるわけです。先ほど五〇%ないし七〇%増とおっしゃったのですが、こういうような事務量の増大、これが大きな原因じゃないかと思うのです。部別に言いますと閲覧部、これがそういう関係で仕事量がふえてくる部局だと思うのです。――うなずいておられるから認めていただいていると思うのです。
 ところが、この閲覧部の図書課では昭和四十三年以降増員なし。だから、組合の方の調査でいくと、これは八年前に比較して二・四倍の労働に従事していることになる。しかもそれは、先ほどおっしゃったような書庫への出し入れ等も含めて、本の入ったトレーの持ち上げ作業あるいは中央の出納台での本を渡したり受け取ったりする長時間の中腰作業、こういうのが二・四倍にふえている、こういうことなのですよ。だから、これが一番大きな原因だと思うのです。
 そこで、先ほど増員の話をちょっとおっしゃったのですが、増員の問題は、国会図書館は定員法のあの中には入っていないと思うのですが、なかなか厳しい状況だと思うのです。この増員の問題についても、先ほど申し上げました昨年三月一日の予算委員会第一分科会で館長の「でき得れば現在の事務量にふさわしい増員を得まして、はなはだしい事務の負担にならないように努力はいたしたいと思っております。」という答弁もあるのです。先ほどパート云々というようなこともおっしゃったのですが、具体的に人をふやすという方向ではどういうようなことを考えておられるのでしょうか。
#288
○高橋国立国会図書館参事 お答え申し上げます。
 御説のとおり正規職員の増員ということは、ここ数年来非常に困難になっております。御承知のとおりであろうかと思います。
 そこで、もちろんわれわれ正規職員の増員をあきらめておるというわけではございませんが、非常に困難な状況でございますので、これにかわるものといたしまして臨時職員、たとえばパートタイマーとかいうふうな形の職員を入れまして人の頭数、作業に従事する人数を見ていかなければならぬであろう。それで、いまそういう計画をやろうではないかということで原局の方といろいろ協議をしておるところでございます。そういう方法でとりあえずやろうじゃないかということでございます。
#289
○安藤委員 そこで、先ほど公災認定の申請のお話をなさったのですが、この関係につきましては、公務上災害に認定してほしい――腰痛だけに限りませんが、あると思うのです。ところが、なかなかそういう申請をしにくい環境にある。そういうようなことを考えあるいは訴えると、君は体がもともと弱いからだ、昔はこうやってしっかりやったんだ、ほかのところで何かそういう原因をつくってきていまここでそんなことを言ったってだめじゃないかというようなことで、申請をするにはなかなか勇気が要るというような雰囲気だということも聞いているのですが、そんなことはないですか。
#290
○高橋国立国会図書館参事 お答えいたします。
 職員の先輩格の者の中には昔からの者もおりまして、いまおっしゃったようなことを申す者が全くないということはございませんが、当館の職場においては、そういう、たとえば腰痛を訴えるということあるいは公災認定の申請を出すということについて職場の圧力があってやりにくいというような雰囲気はないと申し上げてよろしいかと存じます。むしろ、そういうときに申請書の書き方がわからぬというので担当課長が書いてやったとかいうふうな例もございますくらいで、そういう点についての御心配はないというふうにお答え申し上げてよろしいかと存じます。
#291
○安藤委員 一人公務上災害として認定をされた方がございますね。新田さんという方で閲覧部の図書課の人だと聞いております。この人は腰痛です。昭和五十二年三月に認定申請をして、そして十一月に公災として認定をされたというふうに聞いております。
 公務上の災害として認定をされるに当たっては、労働省の方から公務上災害の問題について認定基準というのをいろいろ出しておられるのですが、これはストレートにそれに従うということじゃないのかもしれませんが、これはどういう程度に参考にしておられるのでしょうか。
#292
○高橋国立国会図書館参事 お答えいたします。
 これが出ました後、人事院規則が改定されまして、国家公務員に関する基準というものが後から出されてまいります。国会職員のそれにつきましては、人事院の規則類は準用するという形でございますので、われわれは認定をいたします場合に、人事院のそういう諸基準を援用して認定をいたします。そういうかっこうでございます。
#293
○安藤委員 そこで、人事院の方にはいわゆる業務上災害、職業病というふうに認定するかどうかということの基準について、労働省の方から出しておられるのじゃないかと思うのですがね。それを間接的に、いまのお話のように、参考にするという仕組みじゃないかというふうに思っておるのですが、たとえばその基準、これは腰痛の認定基準というのが、これもちょっと古いのですが、昭和五十一年十月十六日、基発第七百五十号で改定をされておるわけです。まあ災害性の原因による場合とそれから災害性の原因によらない腰痛の場合というふうに分けられておるのですが、国会図書館の場合は災害性というのはちょっと考えられないと思うのですが、災害性によらないという場合ですと、細かいところまでは言いませんが、たとえばおおむね二十キログラム程度以上の重量物あるいは軽重不同の物を繰り返し中腰で扱うとか、あるいは腰にとってきわめて不自然ないし非生理的な姿勢で毎日数時間程度行う労働があるとか、あるいは三十キログラム以上の重量物を扱うのが労働時間の三分の一とか、二十キログラム以上の重量物を労働時間の半分程度以上とかというようなことになっておるのです。
 そういうようなのは国会図書館の場合はないのじゃないかなと私は思うのですが、あればそうだというふうに話していただきたいのですが、先ほど私がお伺いしました新田さんの場合、これはやはりそういうような基準に――参考にされているという程度で、そういうような基準に当てはまるということで認定をされたのかどうか、いかがですか。
#294
○高橋国立国会図書館参事 お答えいたします。
 国会図書館の中におきましては、先ほどの御説明申し上げました書庫関係の出納の作業におきましては、要求されました本をちょうどこのくらいの大きさの箱、アルミニウムでこしらえました箱でございます、これは搬送機によって自動的に地下の書庫から上がってくるわけでございますが、その箱に、トレーと申しておりますが、そのトレーに本を納めて、それを単位にして運搬したりいたしております。この単位が約十五キロから十七キロぐらいになるのが実態でございます。それを大体余りいっぱいにしないで運びなさい、こうふだん指示しておるわけでございます。でございますから、平均いたしまして二十キロという基準には達しないと思います。まあ繁忙期など、トレーの数が限りがありますので、いっぱい詰め込んでわっと運んでしまうというようなこともややあるようでございますが、平均いたしますと、一つ一つの荷物は二十キロには達しません。
 それから、従事する時間でございますが、大体書庫内に入りますのが一日置きに入りまして、その中で一日の半分ぐらいの時間を勤務する、こういうことになります。ですから、一日置きの半日というぐらいの基準であろうかと思っておりますが、その部分、その部分のローテーションの単位によりまして、あるいはそれを超える職員が若干出てくるというようなこともございましょう。しかし、大体においてそういう労働形態でございます。
 そういたしまして、この二十キロに達しないのがどうかということでございますが、当館におきましては、実は一般の職場と違いまして、図書館と申しますと女子職員が非常に比率が高うございます。そういうふうなことも勘案をいたします。それから、たとえば、先ほど職種によって将来発生する可能性の指摘というふうなことを申し上げましたが、やはりちょっと骨格に異常のある人なんかはそういうのが出やすい。たとえば、これは医師から聞いた話でございますから、私、専門的に保証というわけにはまいりませんが、一定の年齢に達すると当然出てくるような腰痛というのもあるんだそうでございまして、ただ、そういうふうな可能性のある人がそういう作業に従事したためにそこで発生するというふうなこともあろうかと思います。
 そういう点に公務起因というふうな形の認定をいたしまして、われわれとしては、二十キロには達しない、あるいは全労働時間の半分以上というふうなことでもございませんけれども、たとえば女子職員が多いとかいうようなことをいろいろ勘案いたしまして、その腰痛の発生した契機としての公務起因性というものを認めて認定をいたしたという次第でございます。
#295
○安藤委員 そこで、労働省の方にお尋ねをするわけなんですが、いまお聞き及びのように、労働省の方でおつくりになった腰痛の認定基準にはそのまま当てはまらない場合のようにいま聞いておったのですが、その場合でも、いまおっしゃったような趣旨から公災として認定をされておるという事例があるわけなんです。これは実際問題として、そういう職場にも腰痛を訴える労働者の数が実際に多いということは事実ですし、そして、そういう腰痛を公務上こうむることになったという人たちもあるということだと思うのです。これは、もちろん、いま速記をやっていただいておるのですが、この速記をやっていただいておる人にしても、あるいは委員部の方々にしても、全くいまの労災の認定基準からすればてんで当てはまらない、腰部に特に負担を生ずるというようなことは普通は考えられないのですが、そういうような職場においても、長時間同じような姿勢でおるとか、あるいは腰をどうか動かすとかということで、そういうような職場にもある。図書館の場合は行政職(一)ですね、そういう人たちの中にも腰痛が出てくる、公災として認定されているという事例も出てくるというようなことだと思うのです。
 そこで、私は、これはまた公務に限らず、一般の民間の場合でも同じだと思います。だから、そういう点からして労働省の方にお尋ねする趣旨は、先ほど私が認定基準の一部を読み上げましたようなことではなくて、労働者の職業病を業務上あるいは公務上としてもっともっと認定をして、救済をしていくというような方向でこれを改定さるべきではないか。改定されましたのは、先ほど私が言いましたのは、もう昭和五十一年の話なんですね。そのときわずかに前進をしたのですが、いま言いましたような一つの事例からすると、もっともっとこれは前進をさるべきではないかというふうに思うのです。
 時間がありませんから、参考までに私が申し上げたいと思うのですが、たとえば、これは労基法施行規則第三十五条、業務上の疾病の範囲の関係の改正に対する出版労連の人たちの意見が一つあるのですが、これは重量物を取り扱う業務というのがありますね、災害性によらない場合に。そういうようなのについて、そういうふうに業務が限定されているけれども、出版の状況から言えば、一日じゅう机の上の業務、デスクワークに携わっている編集者、校正者、一般事務従事者には静的筋疲労から生ずる腰痛が多数発生しておるというようなこともあるのです。こういうようなこともあるということ。
 それからさらに先ほど認定の基準があったんですが、これは一つの意見として私は貴重な意見だと思って紹介するのですが、小豆沢病院の整形外科部長さんの芹沢という人の意見があるんですが、業務上かどうかの判断の基準としては三つあるんだ。労働者の側からいっても労働省といえどもまた医者の側からいってもこれは守ってもらいたいということで、一つは、職場につく前はそういう症状がなく、仕事についたらその症状が出てきた。それから二つ目が、その症状は決して一人だけではなくて、その職場に多発しておる。そしてその職場を休んだりやめたりあるいは職場を離れると症状が軽快したり治ってしまったりする。こういうような三つの条件がそろうかそろわないかが問題で、そこのところを判断の基準にすべきだというような貴重な意見もあるんです。
 だから、そういうことも踏まえて、業務上災害の認定の基準というものを再検討されるべきではないかというふうに思うのですが、このことをお伺いして、私の質問を終わります。
#296
○岩崎政府委員 安藤先生御指摘のように、現在の腰痛に関する認定基準は昭和五十一年に改正をいたしまして、それ以前のものよりいま先生も若干前進したというふうにおっしゃっていただきましたが、私どもとしてはまだ三年前のものでございますから、最近の知見に基づいたものだというふうに理解をしております。ただ、その後組合関係あるいは専門家の先生方の御意見も、いろいろな面でこの職業病認定に関しましては論文の発表なり意見なりというものが出てまいっておりますし、私どもそういう意味で、この基準法施行規則三十五条は昨年施行いたしたわけでございますが、これの見直しをそのときそのときの新しい知見に基づいてやっていく必要があろうということで、専門家の先生方にお願いいたしまして会議を持って検討いたしていただくことにしております。そういう場面でそのようないろいろな論文とかあるいは御意見というようなものも十分参考にされながら御検討いただけるものと考えておりますので、いまの問題につきましても、その専門家会議の御検討にゆだねたいというように考えます。
#297
○安藤委員 終わります。
#298
○加藤委員長 次回は、明後二十七日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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