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1978/02/27 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 予算委員会第三分科会 第1号
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1978/02/27 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 予算委員会第三分科会 第1号

#1
第087回国会 予算委員会第三分科会 第1号
本分科会は昭和五十四年二月二十二日(木曜日)委
員会において、設置することに決した。
二月二十二日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任さ
 れた。
      伊東 正義君    大坪健一郎君
      塩川正十郎君    玉沢徳一郎君
      野呂 恭一君    岡田 利春君
      川俣健二郎君    藤田 高敏君
      広沢 直樹君    河村  勝君
二月二十二日
 野呂恭一君が委員長の指名で、主査に選任され
 た。
―――――――――――――――――――――
昭和五十四年二月二十七日(火曜日)
    午前十時開議
 出席分科員
   主 査 野呂 恭一君
      伊東 正義君    塩川正十郎君
      玉沢徳一郎君    大原  亨君
      岡田 利春君    斉藤 正男君
      柴田 健治君    鈴木  強君
      土井たか子君    藤田 高敏君
      斎藤  実君    春田 重昭君
      広沢 直樹君
   兼務 井上  泉君 兼務 井上 一成君
   兼務 野坂 浩賢君 兼務 山本 政弘君
   兼務 貝沼 次郎君 兼務 権藤 恒夫君
   兼務 古川 雅司君 兼務 渡部 一郎君
   兼務 中野 寛成君 兼務 安藤  巖君
   兼務 津川 武一君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 橋本龍太郎君
 出席政府委員
        人事院事務総局
        給与局長    角野幸三郎君
        厚生大臣官房長 大和田 潔君
        厚生大臣官房会
        計課長     加藤 陸美君
        厚生省公衆衛生
        局長      田中 明夫君
        厚生省環境衛生
        局長      山中  和君
        厚生省環境衛生
        局水道環境部長 国川 建二君
        厚生省医務局長 佐分利輝彦君
        厚生省薬務局長 中野 徹雄君
        厚生省薬務局審
        議官      本橋 信夫君
        厚生省社会局長 山下 眞臣君
        厚生省児童家庭
        局長      竹内 嘉巳君
        厚生省保険局長 石野 清治君
        厚生省年金局長 木暮 保成君
        厚生省援護局長 河野 義男君
        社会保険庁医療
        保険部長    此村 友一君
        社会保険庁年金
        保険部長    持永 和見君
 分科員外の出席者
        総理府恩給局次
        長       藤井 良二君
        総理府恩給局恩
        給問題審議室長 手塚 康夫君
        青少年対策本部
        参事官     菊池 貞二君
        警察庁刑事局保
        安部防犯課長  柳館  栄君
        大蔵省主計局主
        計官      安原  正君
        大蔵省主税局税
        制第一課長   水野  勝君
        国税庁間税部酒
        税課長     大橋  實君
        文部省大学局医
        学教育課長   五十嵐耕一君
        文部省体育局体
        育課長     北橋  徹君
        文部省体育局学
        校保健課長   島田  治君
        労働大臣官房労
        働保険徴収課長 今井 好昭君
        建設省住宅局建
        築指導課長   松谷蒼一郎君
        消防庁予防救急
        課長      中島 忠能君
    ―――――――――――――
分科員の異動
二月二十七日
 辞任         補欠選任
  岡田 利春君     土井たか子君
  川俣健二郎君     柴田 健治君
  広沢 直樹君     宮地 正介君
同日
 辞任         補欠選任
  柴田 健治君     斉藤 正男君
  土井たか子君     鈴木  強君
  宮地 正介君     斎藤  実君
同日
 辞任         補欠選任
  斉藤 正男君     大原  亨君
  鈴木  強君     岡田 利春君
  斎藤  実君     春田 重昭君
同日
 辞任         補欠選任
  大原  亨君     川俣健二郎君
  春田 重昭君     広沢 直樹君
同日
 第一分科員野坂浩賢君、第二分科員井上泉君、
 井上一成君、貝沼次郎君、安藤巖君、津川武一
 君、第四分科員山本政弘君、権藤恒夫君、第五
 分科員古川雅司君、渡部一郎君及び中野寛成君
 が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十四年度一般会計予算
 昭和五十四年度特別会計予算
 昭和五十四年度政府関係機関予算
 (厚生省所管)
     ――――◇―――――
#2
○野呂主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、よろしく御協力のほどをお願い申し上げます。
 本分科会は、昭和五十四年度一般会計予算、昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算中厚生省、労働省及び自治省所管について審査を行うことになっております。
 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたしたいと存じます。
 まず、厚生省所管について説明を聴取いたします。橋本厚生大臣。
#3
○橋本国務大臣 昭和五十四年度厚生省所管一般会計及び特別会計予算案の概要について御説明申し上げます。
 昭和五十四年度厚生省所管一般会計予算の総額は七兆五千五百四十億円余でありまして、これを昭和五十三年度当初予算額六兆七千七十六億円余と比較いたしますと、八千四百六十三億円余の増額、一二・六%の増加となっており、国の一般会計予算総額に対し一九・六%の割合を占めております。
 最近におけるわが国の経済情勢及び財政事情はきわめて厳しいものがあり、そのため、明年度予算は、景気の回復基調を一層確実なものとすることにより国民生活の安定を図り、わが国経済を均衡のとれた安定成長路線に移行させることをねらいとして編成されたところでありますが、厚生省予算は、各方面の絶大な御理解と御協力によりまして前述のとおりの結果を見るに至りました。
 この機会に各位の御支援に対し衷心より感謝申し上げますとともに、責任の重大さに思いを新たにし、国民の健康と福祉を守る厚生行政の進展に一層努力をいたす決意であります。
 昭和五十四年度の予算編成に当たっては、財政の健全化に配意しつつ、財源の重点的、効率的配分を図るため、社会保障に関する各種施策について優先度の厳しい選択を行うとともに、真に必要な分野に重点的に、かつきめの細かい配慮を加え、その質的向上を図ることといたしましたが、この際私の特に留意した点を申し上げたいと存じます。
 第一は、国際児童年を契機として児童福祉に関する特別対策を立て、心身障害児の発生予防、早期発見及び早期治療施策の拡充、小児医療、母子保健の充実、児童の健全育成事業の促進を図るとともに、記念事業として各種施設の整備、児童福祉協力基金の創設及び記念行事を展開することとしたところであります。
 第二は、低所得階層、心身障害児・者及び老人等社会的、経済的に弱い立場にある人々に対する自立の助長、生きがいのある社会生活への参加、在宅福祉サービスの強化、生活保護基準の引き上げ、世帯更生資金等の貸付原資の増額、社会福祉施設の整備及び運営の改善を図るほか、民間社会福祉事業に対する助成を強化することといたしました。
 第三は、年金制度について、拠出制年金に関し、特例的な措置として、物価スライドの実施及び実施時期の繰り上げ、厚生年金及び船員保険における在職老齢年金等の改善のほか、福祉年金の改善を図ることとしたところであります。
 第四は、国民の保健医療の確保について、救急医療体制等の計画的な整備、脳卒中等の特殊疾病対策及び専門医療機能の強化、医療従事者の養成確保を図るほか、国民の健康づくりの推進、難病対策、精神衛生対策等の充実、医療保険制度に対する財政措置の強化等を図ることといたしております。
 以上のほか、公共投資の一環としての生活環境施設の大幅な整備、食品等の安全確保対策、医薬品副作用被害救済制度の創設、原爆被爆者、戦争犠牲者のための対策、環境衛生関係営業の振興等についても、その推進を図ることといたしております。
 以下、主要な事項についてその概要を御説明申し上げるべきではございますが、委員各位のお手元に資料を配付いたしておりますので、お許しを得て、説明を省略させていただきたいと存じます。
 何とぞ、本予算案の成立につきましては、格別の御協力をお願いいたす次第であります。
#4
○野呂主査 この際、お諮りいたします。
 厚生省所管関係予算の重点項目につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○野呂主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔橋本国務大臣の説明を省略した部分〕
 以下、主要な事項について、その概要を御説明申し上げます。
 第一は、生活保護費であります。
 生活扶助基準については、五十四年度経済見通しによる個人消費支出の動向等を勘案し、前年度当初に比し八・三%引き上げることとしたほか、少人数世帯の処遇改善、住宅、教育、出産、葬祭等の各扶助についても所要の改善を行うこととし、九千二百二十二億円余を計上いたしておりますが、これは前年度予算に比し八百三十九億円余の増額であります。
 第二は、社会福祉費であります。
 まず、低所得階層に対しては、世帯更生資金、母子福祉貸付金の原資の増額、児童扶養手当の額の引き上げを図ることといたしております。
 心身障害児・者の福祉については、福祉手当、特別児童扶養手当の額の引き上げを行うとともに、新たに障害者福祉都市づくり事業の助成、補装具として電動車いすの給付、身体障害者通所授産施設、心身障害児総合医療療育センター、精神薄弱者福祉ホーム等の整備を図るほか、障害者社会参加促進事業、障害児保育、心身障害児通園事業及び精神薄弱者通所援護事業等の拡充に意を用いたところであります。
 さらに、母子保健については、精神薄弱児の発生予防対策として、代謝異常検査の拡充を図るほか、妊産婦、乳幼児の健康診査を充実し、新たに総合母子保健センターを設置することといたしております。
 老人福祉については、新たに生きがいと創造の事業の助成、デイ・サービス事業をはじめるほか、老人の就労あっせん事業、家庭奉仕員派遣事業、機能回復訓練事業等在宅福祉サービスの一層の充実を図ることといたしております。
 児童の健全育成については、児童館、母親クラブ等の拡充を図るとともに、国際児童年記念事業として各種施設の整備を行うほか、児童手当については、低所得階層に対する手当額の増額、福祉施設の増設等を行うことといたしております。
 社会福祉施設の整備については、特別養護老人ホーム、心身障害児・者施設、保育所等の整備を進めるとともに、基準面積の改善等を図ることといたしております。
 また、社会福祉施設の運営については、栄養士、保育所保母の増員、年休代替要員費の改善、事務職員雇上費の拡充、重度加算の改善等の措置を講ずることといたしております。
 以上のほか、都道府県、市町村社会福祉協議会における専門職員の増員、ボランティア活動の充実等民間福祉活動の推進、さらに同和対策等についても、それぞれ所要の措置を講ずることといたしております。
 以上申し上げました社会福祉費の総額は一兆二千三百十八億円余でありまして、前年度に比し一千三百四十八億円余の増額となっております。
 第三は、社会保険費であります。
 まず、社会保険国庫負担金でありますが、厚生保険特別会計及び船員保険特別会計への繰入れに必要な経費として一兆三百四十三億円余を計上いたしております。
 厚生年金保険及び船員保険の年金部門については、物価スライドによる給付改善及びスライド実施時期の繰り上げ、在職老齢年金の支給制限の緩和、遺族年金の寡婦加算額の引き上げの措置を講ずることとし、これに要する経費として五千百七億円余を計上いたしております。
 政府管掌健康保険については国庫負担四千三百五億円余を、船員保険の疾病部門については十五億円を計上いたしております。
 次に、国民年金国庫負担金でありますが、国民年金特別会計への繰り入れに必要な経費として一兆五千九百三十二億円余を計上いたしております。
 このうち、拠出制国民年金については、物価スライドによる給付改善及びスライド実施時期の繰り上げを行うことといたしております。
 福祉年金については、老齢福祉年金の月額一万六千五百円を八月から一万八千円に引き上げるしともに、障害福祉年金及び母子、準母子福祉年金についてもこれに準じた引上げを行い、また、本人所得制限について、その緩和措置を講ずることとし、所要の経費を計上いたしております。
 国民健康保険助成費については、総額一兆九千五百十四億円余を計上いたしておりますが、このうちには、療養給付費補助金、財政調整交付金、国民健康保険組合臨時調整補助金及び臨時財政調整交付金などの経費が含まれております。
 なお、健康保険組合に対する給付費臨時補助金については十五億円を計上いたしております。
 以上申し上げました社会保険費の総額は四兆六千六百五十六億円余でありまして、前年度に比し五千四百六十億円余の増額であります。
 第四は、保健衛生対策費であります。
 まず、医療供給体制の整備については、救急医療のための各種センター等の計画的整備、へき地医療対策としての中核病院等の整備を推進するとともに、脳卒中リハビリテーション対策の確立、がん、循環器病、小児専門病院等の専門医療機能の強化を図ることといたしております。
 また、看護婦確保対策については、看護婦等貸費生貸与金の額の引き上げ、養成所の整備及び処遇の改善を図るほか、理学療法士、歯科衛生士等についても必要な対策を講ずることといたしております。
 さらに、国民健康づくり対策の推進については、市町村保健センターの整備、婦人の健康づくり活動の拡充を図るほか、がん、循環器病等の予防対策を充実することといたしております。
 このほか、難病対策については、調査研究の推進、専門医療機関の整備を図るとともに、特定疾患治療費の対象疾患の拡大、小児慢性特定疾患治療研究費の対象範囲の拡大等の措置を講ずることといたしております。
 原爆障害者対策については、特別手当等の改善、所得制限の緩和等を図るとともに、保健福祉施設の整備等を行うことといたしております。
 保健予防対策については、特殊感染症に係る高度安全検査施設の整備、空港検疫出張所の新設等を図ることといたしております。
 また、精神衛生対策については、精神衛生社会生活適応施設の整備、酒害相談事業の推進を図ることといたしております。
 以上のほか、公的病院の助成、医師研修事業の充実、腎不全、結核等の疾病対策費を含めて、保健衛生対策費は総額三千八百五十五億円余でありまして、前年度に比し二百六十一億円余の増額であります。
 第五は、戦傷病者戦没者遺族等の援護費であります。
 戦傷病者戦没者遺族等に対する年金については、恩給法の改正に準じた額の引上げ、対象範囲の拡大を行うこととし、戦没者の遺族に対する特別弔慰金については、昭和五十年四月一日以降公務扶助料等の受給権を失った遺族等に特別弔慰金を支給することといたしております。
 さらに、遺骨収集、戦跡慰霊巡拝の実施、中国等からの引き揚げ者に対する援護措置の拡充を行うこととし、遺族及び留守家族等援護費として合計一千三百九億円余を計上いたしておりますが、これは前年度に比し二百二億円余の増額であります。
 第六は、環境衛生施設整備費であります。
 まず、水道施設整備費については、水道水源開発事業を重点的に整備することとし、九百四十九億円余を計上いたしております。
 廃棄物処理施設整備費については、年次計画による所要の事業量を確保するとともに、大都市圏域における廃棄物最終処分場に係る基本構想のための調査を行うこととして六百二十億円余を計上し、環境衛生施設整備費は合わせて一千五百六十九億円余となり、前年度予算に比し三百九億円余の増額となっております。
 以上のほか、日常生活の安全確保対策については、食品、医薬品等の安全性に関する情報収集体制の強化、研究費の増額、試験検査施設の整備等について所要の経費を計上するとともに、医薬品の副作用による被害者の救済を図るため、医薬品副作用被害救済制度を創設することといたしております。
 このほか、新鮮血確保対策の推進、麻薬覚せい剤対策の強化などに要する予算の確保にも努めたところであります。
 以上、昭和五十四年度厚生省所管一般会計予算案の概要を御説明申し上げました。
 次に、昭和五十四年度厚生省所管特別会計予算案について申し上げます。
 第一に、厚生保険特別会計については一般会計から一兆八百六十五億円余の繰り入れを行い、各勘定の歳入、歳出予算を計上いたしております。
 第二に、船員保険特別会計については一般会計から二百四十六億円余の繰り入れを行い、歳入、歳出予算を計上いたしております。
 第三に、国立病院特別会計については一般会計から七百三十四億円余の繰り入れを行い、各勘定の歳入、歳出予算を計上いたしております。
 第四に、あへん特別会計については、歳入、歳出ともに十二億円余を計上いたしております。
 第五に、国民年金特別会計については、一般会計から一兆五千九百三十二億円余の繰り入れを行い、各勘定の歳入、歳出予算を計上いたしております。
 以上、昭和五十四年度厚生省所管特別会計の予算案について御説明申し上げました。
 何とぞ、本予算案の成立について格別の御協力を賜りますようお願いする次第であります。
    ―――――――――――――
#6
○野呂主査 以上をもちまして厚生省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○野呂主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑の時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局に申し上げますが、質疑の時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
#8
○柴田(健)分科員 私は、難病中の難病として長い歴史を持っておるハンセン氏病に関連をして、予算関係を含めていろいろとお尋ね申し上げたいと思うのであります。
 時間の制約がございますので簡潔にお尋ね申し上げたいと思いますが、まず、ハンセン氏病の療養所が御承知のように全国に十三カ所ございます。民間で二カ所でございますが、何としても、このハンセン氏病対策の関係する予算要求の段階でいろいろと厚生省を通じて大蔵省にもお願いを申し上げ、年次予算の増額を見ておることも事実でありますが、この中身を検討すると、なおかつ部分的にまだ十分ではないという見方もわれわれはしておるわけであります。特に、ハンセン氏病患者の年齢が高齢化してまいりますと、いままで療養所内における相互の助け合いという立場で作業をお互いにしつつ助けてきたわけでありますが、どうしても自分の身が手いっぱいで作業も十分できないし、また身の回りの世話もできない。そういうことで、それに要するいろいろな作業があるわけでございまして、この作業を変換という言葉でいろいろと処置しておるところでございますが、何としても作業変換に伴う賃金というものが必要だ。
 こういうことから、臨時の賃金職員というものが予算の中で確立してこないと十分看護もできないし、また患者のめんどうも見れない。こういうことになるわけでありますから、そこに賃金職員というものがどうしてもふえざるを得ない。ところが、いまの賃金の算定を見ると、各省同列ということで、昨年より七十円値上げで二千九百三十円から三千円になる。看護職員の方は三千六百円が三千七百三十円ということで、まことにお粗末だと思うのです。これは何とかならないものか。各省にわたるから、公平論から言うと、このらいの療養所だけ一般賃金職員を上げることはできたいという均衡論からそういう御意見のようでありますが、厚生省としては、この低賃金で本当に賃金職員としていいのかどうか、お考えをお尋ねしたい。
 要するに、これをまた定数に入れるということも要求としては当然の要求であろうと思っておるわけですが、この点について、今五十四年度の七十円値上げの三千円、そしてこれを定数に入れる問題、この二つをお答え願いたいと思うのです。
#9
○佐分利政府委員 賃金職員の賃金の単価につきましては、柴田委員御要望のとおり決して十分なものではないと思っております。しかしながら、毎年少しずつ増額をいたしております。
 さらに、賃金職員につきましても、その勤務年数等に応じて金額をふやしておりますし、また社会保険料、夜間看護手当といったものも支払っておりますし、予算の範囲内でできるだけの待遇改善はするように努力をしているところでございます。しかしながら、一般的には各種施設の賃金職員の単価の均衡の問題がございますので、らいの療養所の賃金職員だけ大幅に上げるということは困難な実情にございます。
 また、柴田委員が御要望のように、賃金職員というのは決して望ましい形ではございません。したがって、看護婦の有資格者でございます賃金職員につきましては、当該施設の看護職員の増員のときあるいは欠員補充のときに逐次定員に切りかえてまいりたいと考えておりますし、また基本的な問題といたしまして、できるだけ早く賃金職員を定員に振りかえるように今後も一層の努力をいたしたいと考えております。
#10
○柴田(健)分科員 局長の答弁では、努力はするがなかなかむずかしいと言う。これは厚生省の苦しい答弁だと私は思うのですが、問題は、大蔵省の査定、大蔵省の認識の問題だと思うのです。
 現在、賃金職員が六百十八人ということになっている。それから看護婦の方が五十四人。せめて看護婦だけでも早急に定数に入れるべきではないか。それを依然として賃金職員として残しておる。これは医療職員というものは医師であろうと看護婦であろうと同じような任務を持っておるわけですから、これを賃金職員という不安定な雇用条件で勤務させるということは何としてもわれわれは理解できないのであって、せめて看護婦だけでも五十四年度に直ちに定数に入れて処置すべきだと思うのですが、これは大臣の高度な政治判断だと思うので、この点について大臣の所見を聞いておきたい。
#11
○橋本国務大臣 私どもの国立病院の療養所、これはハンセン氏病の療養所のみならず、全体について、賃金職員の定員化の問題を含めて定員問題というものに対しては非常に大きな問題があると考えております。
 ただ、同時に御理解いただきたいことは、現在の総定員法の枠の中で、やはりどうしても一定の限界がある。そして、医療需要の多様化に伴って、職員の配置につきましても従来以上にきめの細かい配置をしなければならない状況の中でありまして、今後とも最善の努力をしていきますということを申し上げると同時に、ぜひとも御協力のほどをお願いいたします。
#12
○柴田(健)分科員 この看護婦の方の三千六百円が三千七百三十円という賃金ですね。いま病院で個人が臨時の看護を頼むと一日最低八千円、多いところは一万二千円になっているのです。慈恵医大でも、ぼくはちょいちょい御厄介になるのですが、行ってみると、付添看護婦というのは、正式な免許を持っておる者もおるし、持っていない者もおる。それは全部一万円前後ですよ。そういう民間の付添看護婦の賃金というか、日当が非常に高い。それで、ハンセン氏病というのは、長い歴史の中で差別、先入観を植えつけてきた。非常に恐ろしい病気だということで、一般国民の中でも、らいというとまだ恐怖心を持つ。そういう現今の情勢の中で、そういう看護婦に対して、結局百三十円上げて三千七百三十円というのは、だれが考えても安い、常識外れの賃金だと思うのですね。いま大臣は、いろいろ他との比較論の上に立ってなかなか困難だという答弁でございますが、困難な病気で無理をする看護婦に対してより一層理解を深めてやるということが大切だ。
 それから賃金職員の六百十八人も、これはことしたった七十円、これでは話にならぬと思うのですね。こういう査定をした大蔵省の感覚のずれというか、人間尊重という言葉がいま盛んに使われながら、どうもおかしいという気がするので、これは十分な配慮をしていただきたい。
 先ほど大臣は今後努力をするというお答えですが、ただ、努力にはいろいろ限界がある。努力にもよりますが、厚生省の中でもこのらい療養所――ほかの国立療養所もございますが、それらの面も大臣としては皆に合わすということもあるでしょうが、ハンセン氏病の療養所についてはその最重点で、これは何はさておいてもという心構えでぜひ処置してもらいたいと思うのですが、ひとつぜひ決意のほどを聞いておきたいと思います。
#13
○橋本国務大臣 従来とも努力をしてきたつもりでありますけれども、御激励を受けて、なお一層の努力をしてまいりたい、そのように思います。
#14
○柴田(健)分科員 飛び飛び申し上げますが、ぜひ御努力を願いたいと思います。
 次に、医療機械の問題です。
 いろいろと各療養所について新しい設備改善に努力をしていただいておることはわかるのですが、しかしほかの国立療養所と比べてみた場合に、らい療養所はレントゲンその他含めて非常におくれておる。治療センターが多磨を含めて今後順次やられるだろうと思いますが、そのやられることは当然われわれはもろ手を上げて賛成し、また強い要求をしてまいりましたが、これは早い機会に、この治療センターの整備拡充とあわせて、それぞれの療養所の医療機械の新しい機械の購入等を含めてぜひ整備をしてもらいたいと思うのです。
 大臣、これもあなたの決意いかんですが、ひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
#15
○佐分利政府委員 御指摘のように、らい療養所の医療機械の整備は、国立病院やまた他の療養所に比べますとおくれております。しかしながら、現在御審議を願っております五十四年度の予算案では、らい療養所の医療機械の購入費が約五千万円ふえまして、伸び率は五四%となっているわけでございます。また、お話の中にございました多磨療養所の医療センターの機械整備等の仕上げも新年度予算には入っておりますし、また新たに菊池の治療センターの先行投資としての機械の購入費二千万円も計上されているわけでございます。
 そのように、厳しい新年度の予算案の中では格段の配慮がしてあるのではないかと思うのでございますけれども、確かに御指摘のようにまだ十分ではございませんので、今後も一層の努力をいたしたいと考えております。
#16
○柴田(健)分科員 この医療器具の改善については最善の努力を願いたいと思います。
 われわれが現地に参りましていろいろ見させていただいて、国の管理する方はどちらかというと――大体モデル的というか、りっぱな施設という国民の常識の判断から言うと、国立、県立、組合立、個人というのでは、いまかえって個人の方が非常に近代化されておる。国の方がおくれておるというのはどうもわれわれは納得ができないと思いますので、努力を願いたいと思います。
 それから、設備の中で建物の関係ですが、不自由者棟や、そういう点については逐次改善されてきておりますが、特に管理棟やその他のぜひ必要なものがおくれておることなんですが、これらの整備を急いでもらわないと私たちはどうも理解ができないという見解を持つわけでありますので、ぜひこの点について熱意を持ってやってもらいたい。この点についてのお答えを願いたいと思います。
#17
○佐分利政府委員 らい療養所の建物整備の予算もここ数年は著しく増額されておりまして、新年度は約三十四億足らずということで、伸び率は三〇%でございます。そういった関係で、まず不自由者棟の整備は五十四年度をもって一応全部終わると考えております。問題は軽症病棟でございますが、これがまだ四割近く残ってまいりますけれども、これも五十七年度末までには全部りっぱにいたしたい。
 そこで、最後に残るのが強く御指摘のございました管理棟、サービス棟でございます。先ほどから申しておりますように、どうしても病棟の方の整備が優先いたしますので、管理棟、サービス棟の整備は後回しになるわけでございますけれども、個々の建物を点検いたしまして、老朽度だとか保安度の非常に悪いものにつきましては優先的に整備をいたしたいと考えております。
 したがいまして、先生の地元の邑久光明園のサービス棟あたりは、新年度の予算案が御承認になれば新年度中に改築をしたらどうかと考えている次第でございますが、管理棟の整備についても、今後はできるだけの努力を払いたいと考えております。
#18
○柴田(健)分科員 建物の整備はいろいろ熱意を持ってやっていただいておりますから感謝申し上げながら、おくれておる点の改善策をひとつお願いしたい。
 建物にあわせて防災設備が、いろいろな基準どおりやっておりますというお答えだろうと思うのですが、私はもともと消防が専門ですから消防の専門の立場から言うと、まだまだ形式的な面が多過ぎる。もう少し充実した防火防災の設備を配慮してもらいたい。入っておる人がどちらかというと健康体な人でないわけですから、それだけにきめ細かい防災設備もあわせてやっていただかなければいけないと思っておるのですが、これについてお答えを願いたい。
#19
○佐分利政府委員 確かにここ数件の火災事故が発生しておりますけれども、先ほども御指摘がございました給食関係等のサービス棟が火災事故を起こしていると思うのでございます。しかし、そういったところにつきましても防災設備の整備はかなり進めてきたつもりでございます。ただ、まだ不十分なところがございまして、特に非常電源設備だとか警報設備だとか、そういった点についてまだ足らない点がございますので、これらの点はやはり新年度の予算で整備を一応終わりたいと考えております。
 ただ、御案内のように、管理棟、サービス棟部門の建物が非常に古くなっておりますので、ちょっとした火災がすぐ大きな火災になりやすいような状態になっておりますので、先ほどの建物の改築等もあわせて十分配慮をいたしたいと考えております。
#20
○柴田(健)分科員 よくしてもらわなければなりませんので、いままでの欠陥を強く指摘するということはなるべく差し控えたい。皆さん方と一緒になってわれわれも努力しなければならぬと思っておりますので、大蔵省との折衝については、そういう点についてはぜひ十分配慮してもらうべく強い折衝をしてもらいたい。これは希望意見として申し上げておきます。
 次に、時間も大分迫って参りましたが、長島、光明に関係する問題ではございますが、架橋の問題、これはもう八、九年前から関係者が強い要望としていろいろな形で運動をしてまいりました。私も予算の分科会でこれで三回御質問申し上げてきましたが、官僚の答弁というものは、検討いたしますとか、善処いたしますとか、考慮しますとか、調査研究しますとか、いろいろ言葉遣いは非常に丁重なんですが、しかし中身はなかなか親切というところまではいかない。形式的に終わっておる面が多いというふうにわれわれは受けとめておるわけです。それでは困るわけで、もう三回目の質問でありますから、この辺で一歩も二歩も前進する形でひとつお答えを願いたい。こういうことを申し上げてお尋ね申し上げるのです。
 前回の質問のときにも、調査費を組んで直ちに調査を願いたいということをお願いした。ところが、調査費はないが、出先の三者会議という一つの協議会を持ってもらって協議を二、三回やられたようで、その協議の中身なんですが、ただ経済効率という立場でとらえてやっておるのか、それとも人道主義的にとらえてやっておるのか、どういう原点に立って、何を基調にして協議を進めておるのか、その経過をまず聞かせてもらいたい。
#21
○佐分利政府委員 国と県と地元の邑久町の三者の協議でございますけれども、昨年の一月から行っておりまして、最も新しいものは、先週の二月二十四日土曜日に第五回の連絡会議を行っております。
 それで、これは長くなりますので簡単に申し上げたいと思うのでございますけれども、まず橋をかける場合に、最短距離をただ橋でつなげばいいというものではございません。まず、橋の海面からの高さをどの程度にしたらいいかというような問題もございますし、また最短距離の対岸には民家等もかなり建ってまいりましたので、その立ち退きの問題等がございます。また、橋をかければいいということではございませんで、本土の方の道路また島の方の道路、こういったものの整備の問題がございます。したがって、そういった行政上の問題がまずあるわけでございますけれども、最も問題になってまいりますのは、やはり財政上の問題でございまして、地元の町と県と国、この国の場合には建設省が入ってくるわけでございますが、そこが一体どういうふうに費用を負担すればいいのかといったような問題があるわけでございます。
 そこで、柴田委員の立場からお考えになりますと、どうも何回も同じような協議を繰り返して一向進展がないというふうにお考えかもしれませんけれども、先週土曜日二十四日の第五回の連絡会議等では、やはり県側がまず一歩でも二歩でも話を進めようじゃないか、実現に向かって着実に前進しようじゃないかというような提案をいたしまして、かなり具体的な意見の交換をいたしております。
 それで、橋をどこにどういうふうな高さでどの程度のものをつくるかといった技術的な問題はさておきまして、橋並びに本土、島の道路の費用の負担につきましては、これは一応公共事業というようなことで、地元の町と県と国とで法律に基づく負担をしていくというような方向ではなかろうかということにいまのところなっているわけでございます。
#22
○柴田(健)分科員 二十四日に緊急にやられたようでありますけれども、これは何か国会の予算委員会が開かれて質問をされるということで急遽やられたということを聞くのですが、それはそれで協議を続けていくことも一つの前進になることですからよろしいが、やり方は二つあると私は考えます。
 一つは、長島、光明園の施設は行政財産として厚生省が管理している。行政財産の管理運営上必要な施設としてやるのか、もう一つは、公共事業として、町村なり県なり建設省という面で地方道として道路法に基づいて事業を実施するのか、この二つしかないと思うのですね。どの道を選ぶかということになると、私は公共事業でやるべきだろうという判断に立っています。やる方法は、向こうは行政財産ですから、あの中の道路だけを厚生省が無償で町村へおろす、そして町村はそれを町道として格づけをする。こちらは県道でありますから、県道と町道を結ぶという立場でまず道路法の認定を受ける、町道として認定する、そして県道との結びつきを考えて町と県とが一般道として、一般県道にするか、一般町道にするか、それは別として、一般公共事業で地方道として工事をする方が一番いいだろう、こういう二つの考え方があるけれども、どちらが筋が通るかというと、一般公共でやった方がいいだろう、こういう判断を私はしておるわけですが、この点についてお考えを聞かせていただきたいと思います。
#23
○佐分利政府委員 医務局といたしましても、ただいま柴田委員から御示唆がございましたような公共事業ということで、地方道ということで整備する方向が最も望ましいのではないかと考えておりますし、二月二十四日の連絡会議におきましてもそのような方向で検討されたと聞いております。ただ、そういった場合にも、医務局といたしましては、少なくとも島の中の道路の周辺の環境整備といったようなものはしなければならないわけでございまして、こういった予算も決して少ないものではございません。
#24
○柴田(健)分科員 町村の方もいままでいろいろな形で、国の施設ではあるけれども、五十三年度の決算がまだわからぬけれども、五十二年度でも、全国十三の療養所の関係の市町村は、事業費として一億五千万余り投資しておるわけです。一億五千七百四十万の一般財源、そのうち四千五百二十五万円を町村が負担している。そういうことで、みんなで協力し合っている施設ですから、それにこたえるためにも、国は、厚生省としては、一般公共としても、ぜひ県なり町なり、そしてまた建設省の方に協力するという姿勢がなければならぬと私は思うのです。たとえばあれを一般公共でやるにしても、直ちに厚生省は町村へ無償交付の手続をとってやる、積極的な厚生省の姿勢いかんで進捗率というものは違ってくると私は思うので、厚生省が本気でやるのなら先頭に立ってやるべきだ。それに関連して地域の住民に、ハンセン氏病という病気が一般社会に何ら影響を及ぼすものではない、そういう長い歴史の差別的観念というか、そういうものを払拭する必要がある。それは町村なり県なり厚生省が三者一体となって強力な運動というか、そういうものを推し進める必要があろうかと思うのであります。何としてもこれは高度な政治判断というものも必要でございますから、時間もございませんが、ひとつ大臣から強力に、大体いつごろまでにはどういう形で進めるように厚生省としては希望を持っておるとか、また強力に進めて、およそどの程度には着工までこぎつけるように協力するというようなお答えを願いたい、それをもって私の質問を終わりたい、こう思います。
#25
○橋本国務大臣 従来からこれの経緯、柴田委員とともに何遍も私も仲介しておりますからよく存じているつもりであります。いま医務局長からお答えをいたしましたように、私どもとしては、地方道でこの架橋は実施したいという考え方で現在内部の調整をいたしております。私自身の気持ちから言えば、これはできるだけ早くに解決をしてあげたいという気持ちに変わりはございません。ただ、これから先は逆に県及び地元の方々との対話の問題でありますから、私どもとしてはできるだけ早い機会に、できればそれこそ五十五年度には実際の仕事にかかれるような状態をつくり出したいと考えております。ことに柴田委員の関係の地域でもありますだけに、地元の方々との話し合いについてはぜひ側面からの御支援をお願いしたい、そのように考えております。
#26
○野呂主査 これにて柴田健治君の質疑は終了いたしました。
 次に、斉藤正男君。
#27
○斉藤(正)分科員 私がこれからお尋ねしたい屎尿浄化槽の問題につきましては、主管する省がどこであるのか、多岐にわたっておりますので、橋本厚生大臣には、厚生省所管であるかどうか私もよくわからないわけです。大変御迷惑だと思いますけれども、当分科会でお願いすることにいたしましたので、懇切丁寧な御答弁をいただきたいと思うわけであります。
 特に最近、一般家庭の屎尿浄化槽の普及が広がってまいりました。調べてみますと、いろいろな法律規則がございまして、それぞれの省庁で指導監督をいただいているようでございますけれども、最近特に屎尿浄化槽から出される放流水が汚濁していたり、また窒素とか燐酸とかいうような成分が多分に含まれておりまして、そのために衛生上の見地からだけでなくて、稲作その他一般農作物にも被害が及んでいるということが各地随所に散見されるわけであります。これは屎尿浄化槽の構造上の問題あるいは施工上の問題、さらに維持管理の問題にまでわたっていろいろな課題がいまあると考えるわけであります。
 そこで、かいつまんで数点をお尋ねしたいわけでありますけれども、まずその第一点は、屎尿浄化槽の設置状況及びこの浄化槽から放流される排水の実態はどのようになっておるのか、厚生省でつかんでいる範囲の御答弁をいただきたいと思います。
#28
○国川政府委員 お答えいたします。
 最近、屎尿浄化槽というのは非常にふえておりまして、特に新しく家を建てられる方々はほとんどの場合水洗便所にしたいという御意向でございまして、下水道がない場合にはそのために屎尿浄化槽を設置しなければならないということに相なるわけでございます。
 先生御承知のように、浄化槽を設置する場合には、新築する場合には大体において建築基準法に基づいて手続がとられる、それから改築するような場合には廃棄物処理法に基づく届け出という形で設置されるわけでございます。
 現在、全国に設置されております浄化槽の台数は約二百九十万基と言われております。個々に設置される場合が大変に多いために、実はそのほかに届けられていない、あるいは確認を受けていない浄化槽もかなりあるのではないかと思われます。毎年浄化槽がふえる数は、三十万とかあるいは四十万程度という状況でございまして、屎尿浄化槽に依存している人口は約二千百万人というように私ども推測いたしております。
 これらの浄化槽の放流水の状況はどうかということでございますが、厚生省といたしましてはこれらの屎尿浄化槽の維持管理面を担当しているわけでございます。したがいまして、その維持管理が適正に行われて適正な水質で放流されるように種々指導監督いたしているわけでございますが、その実態から申しますと、必ずしもすべてがいいとは限らないのは御指摘のとおりでございまして、遺憾ながら基準に合致しない水質のものが放流されているというケースも間々見受けられます。そのために、いまお話にありましたように、農作物への被害等の問題が提起されることも私ども承知いたしております。
 こういう状況でございますが、その原因はと申しますと、なかなか個々のケースで違ってまいります。維持管理面が不十分である場合も考慮されますし、あるいは構造そのものが使用の形態にとって必ずしも適切でない、あるいは施工の点もいろいろありますので一概には申せませんけれども、実態は必ずしもすべて大変良好であるというわけにはいかない面がありますことを承知しております。
#29
○斉藤(正)分科員 いまお答えをいただきまして、二百数十万基が設置され、しかも年々三十万ないし四十万基がふえている、これを利用している者は二千百万人、公共下水道がまだまだきわめて不十分な今日、各家庭が設置する屎尿浄化槽はますます普及をしていくし、またお話にもありましたように、新築の場合は建築基準法に基づく確認申請に含まれていることでありますけれども、衛生思想の普及と言っていいのですか、一種の流行と言っていいのですか、水洗便所に普通便所、くみ取り便所を改造するケースは非常に多いと思うのですよ。その際、お話にありましたように届け出でいい、許可、認可ではないということになっている法制上の問題もこれあり、本当に届け出てやったのか、あるいは無届けでやったのか、新築の場合は別として、非常に把握が困難だと思うわけでありまして、実際はいま言われました計数以上のものが私は普及しているのではないかと思うわけでございます。もちろんこれらは公共下水道が設置されればそれへ投入するという形になりますので、廃棄の処分を各個人がやるわけだと思います。しかし、先ほども申し上げましたように、公共下水道がきわめてまだ不十分な今日、なお今後急カーブでこれがふえていくという状態は続くのではないかと思うわけであります。
 そこで、いまもちょっとお触れになりましたけれども、屎尿浄化槽の維持管理の基準があると思うのです。これを使う人数によって排出基準等も決められていると思うのです。これらの屎尿浄化槽の維持管理基準はどういうものに明確に決まっているのか、また、これに対してどのような指導をなさっているのか、二点目として伺いたいと思います。
#30
○国川政府委員 ただいまお話がございました維持管理の基準は、通称廃棄物処理法と言っておりますが、その施行規則に決められているわけでございます。
 その内容をかいつまんで申し上げますと、まず第一点は、浄化槽そのものが正常な機能を維持しなければならないという観点から、定期的に浄化槽の槽や付属機器と申しますか、装置部分の点検を行うこと、あるいは屎尿浄化槽の中に使用しておりますとスカムというものがたまります、あるいは汚泥も出てまいります、そういうものを適切に清掃する、それから機械部分等が正常に運転される、そういうことをしなければいけないという規定がございます。
 さらには、そのほか屎尿浄化槽から悪臭が発生してはいけないとか、あるいは蚊やハエが発生するのを防がなければいけないとかいう規定もございます。
 それからもう一つは、屎尿浄化槽から放流される放流水の水質について、これはBODで決めておりますけれども、規模によってその水質基準が定められております。そういう具体的なことが決められておるわけでございます。
 さらに、清掃する場合には、清掃のやり方についての基準が別にまた設けられております。
 そういう基準に基づいて屎尿浄化槽は管理しなければならないことになっているわけでございます。
 しかしながら、御承知のように、屎尿浄化槽といいましても個人家庭用のものからビルといいますか、非常に大きな建物で数百人が使うような屎尿浄化槽の場合もございますので、二通りに分けております。
 一つは、屎尿浄化槽の使用人員が五百一人以上の場合、そういう大型の屎尿浄化槽の場合には維持管理をするために技術管理者を設置しなければいけないという義務づけを行っております。五百人以下の屎尿浄化槽、一般家庭の屎尿浄化槽を含んでいるわけでございますが、そういう場合には事実上技術管理者の設置を義務づけることは困難でございますが、必ず定期的に保守点検を受けなければいけないということと、そのために必要に応じて専門的な知識や技術を有する者に依頼して点検を受けなければいけない、そういう義務づけを行っているわけでございます。
 そういうことを厳格に守れるよう私どもといたしましては、都道府県を通じて、保健所を通じて指導監督いたしているというのが具体的な内容でございます。
#31
○斉藤(正)分科員 この屎尿浄化槽から出る排水については基準が設けられておって、もっとも排水基準といいましてもBODだけのようでございますけれども、百人以下の場合は九〇ppm、百一人から五百人までは六〇ppm、五百一人以上が三〇ppmということで、特にいまお話にありましたように、五百一人以上の場合の三〇ppm、これは設置者が技術管理者を置いて常時監視しなければならぬということのようでありますけれども、私が問題にしたいのは、やはり百人以上とかあるいは五百人以上とかという規模のものは、いまお話にありましたように、企業の怠慢でそそうがあったということはあるにいたしましても、比較的管理はうまくいっていると思うのですよ。問題は、各家庭の浄化槽が放任されているんじゃないかというように思うわけです。いま定期的に清掃なり点検を行うシステムになっているというお話でございましたけれども、定期的に、とはどういうことなのか、あるいは清掃、点検はだれがどういうようにやるのか。もう少し詳しくお答えください。
#32
○国川政府委員 具体的に申し上げますと、かねてからの問題ということで、私どもも昨年八月施行規則を改正いたしまして、地方公共団体の機関あるいは厚生大臣の指定する機関、検査機関でございますが、そういうものが特に五百人以下の浄化槽につきましては少なくとも年一回以上、適正な清掃あるいは維持管理が行われているかどうかをチェックするというような立場からこれを点検するという仕組みに改めたわけでございます。もちろん先ほど申しましたように、従来から専門の業者と申しますか、そういう技術者がいない小型の浄化槽につきましては、専門の業者と契約をしまして維持管理の依頼を行っているという仕組みになっております。全国的な調査ではございませんけれども、五十年度に一都六県につきまして私どもその実態調査をしたことはございます。それによりますと、そういう五百人以下の屎尿浄化槽で、専門業者と委託契約をしましてきちんとやっているというのが、ほぼ八割はそういうように行われている。残りの二割は、そういう契約までには至っていないけれども、必要に応じて依頼するという仕組みになっているように実態は伺っております。
#33
○斉藤(正)分科員 その場合、設置者の申告なり要請に基づいて清掃、点検に来るのか、あるいは行政として、これは市町村の場合、県の保健所でやったりあるいは市の保健所でやったりということだと思うわけでありますけれども、その指導監督の機関が積極的に設置者の申告を待たずに来るものなのか、その辺のけじめというのはどうなっていますか。
#34
○国川政府委員 もちろん維持管理が行われているかどうかをチェック、点検しますのは保健所の業務でございますから、行政的な立場からそういうものが行われているかどうかをするのがたてまえでございます。ただ、実際問題といたしまして、非常に数が多いということがございますから、なかなかすべてが行えないという面も考えられるわけです。そこで、私どもそれらを補完すると申しますか、それをさらに充実させるために、先ほどお話ししました昨年八月規則を改正いたしまして、そういうことをきちんと見守るための検査機関を新たに設けて漏れのないようにいたしたい、そういう仕組みをとったわけでございまして、若干これには準備段階も必要でございますから、すぐにというわけではございませんけれども、五十五年の一月からこれを施行することにいたしておりまして、ことしじゅうにそういう検査機関の充足を図りたいと現在鋭意努力しているところでございます。
#35
○斉藤(正)分科員 非常に把握がむずかしいし、たとえば広域な地域で、すべての家庭でもないし、ばらばらなんですね。したがって、清掃したり点検をしたりという機関があっても、西に東にばらばらに一日何件かやらなければならないというケースも出てくるでありましょうし、めんどうだからある地域をまとめて、ある期間にはこの地域をやりますよというようなことも当然清掃なり検査をする機関としてはやりたいと思うのですね、効率を上げる意味で。ところが、現実は、私の知っている限りでは、ぼちぼち一年になりますから見てくれませんかと言って、指定機関に設置者が連絡をする、そうすると、いつごろ伺いますよということで、旬日を経ずして来てくれるというシステムがいまは普通だと思うのですよ。これが少し徹底してきますと、今度はその機関からお宅の浄化槽の検査日が近づきましたよ、いつからいつまでの間に伺いますというようなはがき連絡等が来る。これはある程度進んだ地域ではないかと思うのですよ。いずれにしても、私はいま、昨年の八月そういう規則が制定をされて五十五年を目指して完全な清掃なり検査を確立するということでございますから、遅まきながらぜひひとつこれは徹底をしていただきたいと思うわけであります。
 そこで、いま設置されている浄化槽については厚生省が指導され、処置をされているということはよくわかりましたけれども、冒頭申し上げましたように、これを設備をする場合は建築基準法に基づく確認申請に入れる、あるいは改造の場合は届け出制だということでありまして、建設省の所管のようであります。いまちまたに出ている浄化槽すべてが全く排出基準その他に合致した装置であるかどうかは、これは建設省の所管だと思うのですけれども、どういう形で検査をされ、合格品とされているのか、伺いたいと思います。
#36
○松谷説明員 お答え申し上げます。
 建設省では、建築基準法に基づきまして屎尿浄化槽の構造の基準を建設大臣が定めております。その定められました構造基準に従って屎尿浄化槽がつくられているかどうかということを特定行政庁、これは建築基準法の規定にございますが、都道府県及び主要な市でございます。その特定行政庁において建築物の確認申請の際にチェックをすることになっております。
 ただ、すでに建物がありまして、その中で便所を水洗化するというような場合につきましては、先ほどの厚生省からの御答弁のように、届け出によってこれをチェックするということにしております。
#37
○斉藤(正)分科員 これは家族の人数あるいは企業の従業員の人数等々によって大小さまざまですし、見てみると様式もさまざまですね。槽が分かれていて、順次ろ過されていって、排出水は基準に達しているという構造のようでありますけれども、本当に各メーカー大小さまざまありますね。これが適格なものであるかどうかということは、設置者が確認申請に基づいて届け出を出したときに見てこれならよろしいというのか、あるいは製造段階でのチェックもできているのか、その辺はいかがですか。
#38
○松谷説明員 屎尿浄化槽の構造につきましては、先ほど申し上げましたように、建設大臣が指定をすることになっておりますが、そのときに、その構造基準によって十分に屎尿が浄化できるかどうかということを、かなりの月日をかけまして検討いたしまして、試験をいたします。それで、これなら十分いけるというものについて建設大臣が指定をする、その指定されました構造については確認申請の際に確認する、こういうことになっております。
#39
○斉藤(正)分科員 その場合、その製品に建設大臣認可とか合格とかいうラベルか何かあるのですか。
#40
○松谷説明員 別に製品にラベルを張っておるわけではございませんが、各特定行政庁あてに、建設大臣が指定いたしました構造はこういうものだということを通牒によって知らせております。
#41
○斉藤(正)分科員 この屎尿浄化槽の歴史というものはそんなに古いものではありません。戦後急速に発展した施設であり、企業側に言わせれば産業だと思うのです。そういうものができたのはいつごろですか。
#42
○松谷説明員 構造によっていろいろと違いますが、大体十年ぐらい前でございます。
#43
○斉藤(正)分科員 現実に対して行政が後追いのような感じがいたしますけれども、これは屎尿浄化槽だけでなくて、すべてそういう傾向というのはあるように思うわけです。
 いずれにいたしましても、確認申請に基づく新設の場合はほとんど漏れないと思うのでありますけれども、改造の場合、届け出したかしないかということはほとんどわからないわけです。何か屋敷のすみをほじくっているなと思うと、浄化槽を埋めている。それは届け出もしていない。そして、排水はどこへ出しているかと思うと、簡単に下水へ流している。下水があれば結構ですけれども、下水がないところなんか、しばらくビニール管を引っ張ってじめじめした湿地のようなところへ流しているというのが現実なんですね。
 そういう意味で、環境庁の水質汚濁防止法に基づく基準もあるわけでありますけれども、屎尿浄化槽の主管官庁として、設置の場合は建設省、管理の場合は厚生省、そして水質基準の場合は環境庁というように、主として三省庁にまたがっている問題であって、非常に多岐にわたっております。
 最後に大臣に伺いたいわけでありますけれども、こうした問題であっても、現実には衛生上あるいは環境上、あるいは特に農作物に対する影響、さらには湖水、河川、海洋等の魚介類等への影響等々考えますと、最近非常に努力をされている姿はわかりますが、関係官庁でさらに協議の上、善処方をお願いしたいというように思うわけでありますけれども、見解を伺って、質問を終わります。
#44
○橋本国務大臣 確かに下水道の普及率がいまだしといういまのこの日本の状況の中で、この問題は、いろいろな面で大変やっかいな問題を生んでいることは御指摘のとおりであります。ただ、いま水道環境部長から申し上げましたように、私どもなりにも努力をしてまいりましたけれども、今後ともに関係各省庁連携をとりながら努力をしてまいりたいと思います。
#45
○斉藤(正)分科員 終わります。
#46
○野呂主査 これにて斉藤正男君の質疑は終了いたしました。
 次に、古川雅司君。
#47
○古川(雅)分科員 初めに、スモン患者の救済策についてお伺いを進めてまいります。
 去る二月二十二日に広島地裁で言い渡された広島スモンの訴訟判決に対して、厚生省は二十四日、広島高裁に控訴をされました。被告の製薬三社のうち、田辺製薬も即日控訴いたしましたし、残る二社もこの国の控訴に追随をして控訴をすると見られております。
 広島地裁の判決は、御承知のとおり、国は薬事法上医薬品安全確保義務がある、三十一年一月にはスモンの予見が可能だったのに、被害を回避する措置をとらなかった責任があるというふうに指摘をしているわけでございます。
 国はこれに反論の論拠を並べておられるわけでございますが、当然患者の皆さんは、国は患者らの早期救済を表明しながら、一方ではこうした不当な抗争を続けている、これは被害者と国民に対する偽りであって、裁判に対する挑戦であるというふうにきめつけております。これは初めての判決ではありませんで、過去三回の判決を通して見てまいりましても、国の責任を明確に示しながらなおかつ前回の福岡判決をさらに一層深めた点、仮執行限度額を高めるなどしたそういった内容を見ても、裁判所としての意思表明が明確になっております。
 数々の機会に厚生大臣もコメントをしておられますが、和解による解決を示唆されながら、なおかつ、患者の皆さんの側には、こうした国の控訴をするという態度、姿勢を通して大きな不満が残されているわけでございますが、大臣の所信を改めてお伺いをしておきたいと思うのです。
#48
○橋本国務大臣 先般の広島地裁におけるスモンの判決について、私は、自分の談話といたしましても、従来以上に厳しい内容を持つものと受けとめておるということを申し上げました。ただ、これに対して、私どもとしては、主として薬事法上の国の責任というもののあり方について、広島高裁に対して控訴の手続をとって上級審の御判断を求めることとしたこと、御指摘のとおりであります。ただ、それと同時に、患者の方々の救済を急ぐということは、別途の問題として私どもは考えてまいりたいと思っております。
 そして、判決が出ました当日におきましても、私は一括解決のチャンスをとらえて進みたいということを申し上げました。従来、一括解決に向かうには幾つかの問題点がありましたことは御承知のとおりでありまして、恒久対策の問題、また田辺製薬の対応等々があったわけでありますが、私は、その田辺製薬が、ほかの部分については別として、その患者救済という一点については国に対して同調の態度をとるようになりましたこと、また、これは患者の方々から、申し上げたときおしかりを受けましたけれども、患者の方々の福祉に対するサービスという観点から御要求を見直す場合においては、和解への糸口があるものというような受けとめをいたしておりまして、一括解決を急ぎたいと考えております。
 その場合にもう一つ問題がありますのは、投薬証明のない患者の方々に対してどう対処するかという問題であったわけでありますが、これは可部和解、可部判決の延長線上のものとしていま東京地裁に対してその判断を求めておるところでありまして、私は、三、四月ころにはその判断というものを東京地裁からお示しいただけるであろうと考えております。
 今回、私どもが薬事法の改正法、薬害による被害者救済基金の創設の法律案、これらをいずれも国会に提出して御審議を願おうとしているわけでございますが、こうした諸般の情勢を踏まえて、私は、一括解決に踏み切りたい、こういうことを考えておりまして、これにつきましては、従来からのいろいろな患者の方々の御不満、怨念というものがあることも承知をいたしておりますが、ぜひともそういう機運に向けて進められるような御協力を国会に対してもお願いをいたしたいと考えております。
#49
○古川(雅)分科員 いま御答弁の中で、投薬証明のない人に対しても救済の手を差し伸べると言った。これは前小沢厚生大臣の非常に積極的な前向きの姿勢がございました。むしろ橋本大臣になってこの点どうもはっきりしなくなったのじゃないかという声も聞かれるわけでございます。と申しますのは、いわゆる救済の基準の内容をむしろ積極的に厚生省が示すことによってこの問題の解決が具体的になされていくのじゃないか、その基準があいまいなところにこの点の解決のおくれが出ているのじゃないかという批判も一部にあるわけでございます。大臣は、この点どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#50
○橋本国務大臣 私としては大変残念な話を伺ったわけでありますけれども、実は小沢大臣のとき、小沢大臣が本当に積極的にこれに対応されたことは間違いございませんけれども、同時に、投薬証明のない患者の方々の処置について東京地裁にお尋ねになったのも小沢大臣のときでございます。私は、むしろそれを急いでくれと督促をしておる側でございまして、少なくともそんなに後ろにすさったつもりはないのであります。
#51
○古川(雅)分科員 大臣も岡山の御出身でありますし、スモンの患者の方をたくさん抱えているところの御出身でございますから、よもや後退させたり、いたずらに遅延させる、そういう事態は御任期中にはない、そういうふうに私は考えておりますけれども、どうかこの点の解決もひとつ早急に強力にお進めをいただきたい。
 なおかつ、細かいことでありますけれども、患者の方に対してはり、きゅうの治療費をいま月五回分だけ無料化されているわけでございます。御承知のとおり、地方の自治体から半額負担に対して非常に強い要請が出ているわけでございます。国、製薬会社の責任であって、これは全額国庫負担をすべきだという主張が長い間続いているわけでございますが、大臣は、十二月十六日の岡山県庁での会見で、これまた非常に強く不満を漏らしておられました。むしろこれは全額国が負担すべきだという御主張であったと私は受け取っているわけでございますが、残念ながらそこまで実現に至ってないわけでございます。この点の見通し、また今後の進め方について伺っておきたいと思います。
#52
○中野政府委員 先生御指摘のはり、きゅうの無料化の問題につきましては、従前から進められてまいりました二分の一都道府県負担のいわゆる特定疾患治療の問題の一環として、いわばその上積みというかっこうで実施に踏み切ったものでございます。その際に、先生御指摘のとおりに、数県の知事さんの方から、またその後は知事会の御意向としまして、都道府県負担の解消という強い御要望がありましたことは事実でございまして、私どもといたしましては、五十四年度予算の編成の過程におきまして、この件について自治省と問題の解決の方途を探るべく、非常に真剣に合議をいたしたところでございます。残念ながら、現時点におきましてはこの問題の解決の具体的な方策というようなものにはまだ到達いたしておりませんが、私どもといたしましては、先ほど大臣の御指摘にもありましたように、いわばスモン問題の全体的な解決、和解の路線上におきましての全体的な解決の一環といたしまして、できるだけこの問題の都道府県との間の問題の解決を急ぎたい、その具体的な方途を発見したいということで努力をいたしておるところでございます。
 いずれにいたしましても、一方で難病対策の上積みということの性格と、さらに知事会側の都道府県がこれについての負担をするいわれはないではないかということの両方をいかにかみ合わせるかという問題でありまして、特に恒久対策のあり方についてのその財源の企業側負担というような問題につきましては、現在まだ未解決の面がございます。この恒久対策についての企業側負担の絡みにおいて何とかこの問題を早期に解決を図ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
#53
○古川(雅)分科員 今後の問題で一つ大きなかぎになりますのは、先ほど大臣の御答弁にもありました薬事法の問題でございますが、いわゆる医薬品等の安全性それから有効性の確保に万全を期すために、厚生省も強力にお取り組みをいただいているわけでありますけれども、薬事法制の整備ということが長い間言われながら、なかなか実際には進んでいないのじゃないか。やむを得ず発生する副作用の被害についても、これを救済するための関連法案を大臣としては今国会に提出をしたいというふうにコメントしているやに伺っておりますが、これはどういうことでございましょうか、具体的にお示しをいただきたい。
#54
○橋本国務大臣 医薬品の事故による被害者の救済についての法律は、私はもう数日中に国会に御提出ができるであろうと考えております。最終的な法制局とのすり合わせをいたしておる最中でありますので、もう近いうちに国会に提出ができるでありましょう。薬事法は予算関連法案ではありませんので、国会の方からも三月の半ばまでに提出ということを命ぜられておりますし、時間を切られておりますし、救済基金の法律が法制局審議を終わりましたら、その後すぐにこれは法制局との協議に入るわけでありまして、いずれも今国会中に提案をし、御審議を願い、成立を図っていただきたいと考えております。
#55
○古川(雅)分科員 いろいろ伺ってまいりましたが、いずれにいたしましても、スモン患者の幅広い、なおかつ具体的な救済についてさらに力強くお取り組みをいただきたい。御要望申し上げまして、次の質問に移ります。
 多少マクロな問題になりますが、成人病対策と老人医療の問題についてお伺いを進めてまいります。
 成人病、いわゆる脳卒中、がん、心臓病等の対策については政府も積極的に進めておられることはよく理解できるわけであります。しかし、依然として総死亡の中に占めるこうした成人病の割合というのは減少を見ていないわけでありまして、昭和四十七年で五七%、五十年で五八%、五十一一年で六〇%という数字が挙がっております。従来こうした対策の強化は、成人病予防法といった仮の名前でありますが、そうした一つの法に基づいた対策の体系をまず整備すべきではないかという主張をしてまいりました。従来、歴代の厚生大臣はそれに対して、法制化ということも考えるべきであるけれども、むしろ専門医であるとか保健所医であるとか、設備の充実強化が先であるということを主張してこられたわけであります。小沢前厚生大臣も、条件整備、知識の普及あるいは早期発見、早期治療、そういった対策のための推進が先であるということを述べておられました。しかし、実際には、こうした成人病に対する取り組みというのが果たしてどれだけ進んでいるか、まだまだ非常に弱いのじゃないか。現在でも、国立がんセンターあるいは専門の診療所、そういった点においても決して充実強化されてきたというこうには目立って感じられない。あるいは対策費の中身を見てまいりましても、がん研究の助成費であるとか、専門技術者の養成、訓練のための国の助成であるとか、そういった点はむしろ横ばいであったり、中には減少しているものも目につくわけであります。
 こうした成人病による死亡数が一向に減っていない、なおかつ対策についてはまだまだおくれをとっているという現状に照らして、このままの対策の取り組みで将来いいのかどうか、大臣御在任の期間中にこれを一歩前進させる何らかの対策なりお考えをお持ちであれば、この際お示しをいただきたいと思います。
#56
○橋本国務大臣 古川分科員から大変手厳しい御指摘をいただきましたが、私どもなりに今日まで努力は進めてまいったつもりでありますし、本年度以降におきましても、ようやく大阪の循環器病センターの整備が終わりますので、今度は地方各ブロックに地方の循環器病センターを国としてつくってまいりたいということで、すでに五十四年度予算の中にも一部はそれを計上いたしております。また、従来から非常に問題になっておりました脳卒中後のリハビリテーションも、国立療養所を使いながらようやく対応のできるそのスタートの予算が計上されておりまして、そういう意味では、私どもなりに努力をしてきたつもりでございます。ただし、それで万全だとは決して私も申しません。
 そこで、従来から古川さんよく成人病予防法の制定ということを御論議になっておられたわけでありますが、成人病の本体そのものが必ずしも明確な科学的な結論がまだ出されておりません状況の中で、現在むしろ研究を進めることに精力的な努力が続けられている状況でございます。また、結核等とは性格を異にするものでありますだけに、多少今度は御本人のプライバシーの問題とも絡む部分がありまして、法制化ということが必ずしもベストだとは私は思いません。ただ、公明党の古寺委員から先年、がんについての審議会というような御提案がありまして、それを受けての専門家による検討の場をいま準備中でありますが、これに続いて、成人病予防対策というものについてのやはり専門家から成る打合会をつくりたいということで準備を急いでおりまして、当面、まずがんについて、本年の三月中を目途にして予防対策打合会を設ける準備をしておりますが、循環器系疾患についても同じような考え方から、予防対策打合会というものを設け、それについて専門家の方々の御意見を伺い、今後の対策を一層進めていこうという考え方をとっておるところであります。
#57
○古川(雅)分科員 現状をよく御説明いただいたわけでございますが、確かに成人病全体について、これを体系的にどう対処していくか、どう取り組んでいくか、研究調査にしてもどう進めていくかということがまだまだ明らかでない現状でありまして、特にがん一つにつきましても、専門家、専門医の意見を取りまとめるあるいは聴取するという段階を繰り返しているのじゃないかという感じがいたします。なおかつ、そういう専門医との会合を持っても、その意見を本当に吸い上げて行政の面に反映しているのかどうかということが私たちにも一つの不安の材料でありまして、がんの専門医、専門家から意見を聴取しても、それを取り上げているのかどうか。たとえば、全国にがんの専門病院あるいは診療所等がございますが、そこにおけるいわゆる診療データというものが確立していない、ばらばらである。したがって、全国的なデータの整理あるいは統計をまとめることができない。そういったものを厚生省の指導によってまとまったデータがとれるようにしてほしいというような意見もあるわけでございまして、そういう点はまだまだばらばらであるし、取り組みの弱さというものも感じられるわけでございます。そういうことも含めて、私たちは強力に、なおかつ大幅な前進を望みたいところでありますが、ひとつ着実な前進を期していただきたいと思うのであります。
 老人医療につきましては、昨年の本分科会におきまして小沢厚生大臣が、老人保健医療体系について少なくとも来年の秋、ということは五十四年の秋に実施をしたい、そういう見通しを御答弁になったわけでございます。これにはいろいろな前提もあるわけでございますけれども、時間がございませんので簡単に申し上げますが、これは長年の懸案でございますし、いろいろな問題あるいは矛盾を抱えながら一日も早く解決をしなければならない大事な問題だと思いますので、橋本大臣から、現在における見通しについて明確にお示しいただきたいと思います。
#58
○橋本国務大臣 その前に、先ほどの御意見にちょっと補足をさせていただきますけれども、がんは、いままで研究班をつくったことはありますけれども、厚生大臣の私的な諮問機関としての打合会を行ったことは実はございません。今回初めて、がんについても循環器病についても行おうとしているわけでありまして、その姿勢は御評価をいただきたいと思います。
 また、老人保健医療対策につきまして、作業のおくれのために関係をされる方々に大変御心配をかけておりますことを、この機会におわびを申し上げます。
 確かに、現在、小沢大臣がお考えになりました時期よりも作業は非常におくれておりまして、なかなか本年度中に間に合うという状況にございません。それは、一つは、本格的な高齢化社会の到来を目前にして、いまからスタートをさせようとする老人保健医療の体系というものは、非常に大きな問題を将来に含みますだけに、関係各方面との意見の調整等非常に手間取っておる分野がございます。関係する方面にいたしましても非常に大きな範囲になりますだけに、当初より時間がかかっております。できるだけ早く少なくとも案を御提示するところまで持っていきたいと努力中でありますが、まだいつまでにお目にかけられるというところまで作業が詰まっておりません。
#59
○古川(雅)分科員 そうなりますと、小沢前大臣のお約束というのは、そうしたいろいろな事情で当面期待できないというふうに受け取るわけでございます。特に小沢大臣は、老人保健医療サービスについては、いわゆる別建ての法体系ということをはっきり示された上で、五十四年の秋までに実施するというふうに明言されたわけでございますが、その辺の立て分け方、法体系に対する考え方は変わっていないわけでございますか。
#60
○橋本国務大臣 別建ての法体系による老人保健医療体制の整備という方針に、何ら変わりはございません。
 ただ、小沢大臣御退任の直前に、一つの方向を事務当局に指示していかれたわけでありますが、その中に、たとえば予防給付について六十五歳からという内容を持っておりまして、同時に、私に引き継ぎをいただきました時点で、自分としては六十五までようやく持ってきたけれども、もっとこの年齢は下げられればその方が望ましい、四十五なり四十なりまで下げられた方が望ましいので、そういう点も含めて努力してほしいという引き継ぎを受けまして、実はそういう問題も含んでいま努力中でございます。
#61
○古川(雅)分科員 橋本厚生大臣御在任中のその見通しというものは、ここでは御明言できませんか。
#62
○橋本国務大臣 私の首がいつまであるか自体がわからぬわけでありまして、それこそ、できるだけ早くに取りまとめをいたしたいということだけ申し上げさせていただきます。
#63
○古川(雅)分科員 最後に、また大変グローバルな御質問を申し上げますが、最近世界各国で、いわゆる福祉の切り詰めという傾向が顕著になってきております。御承知のとおり、欧州諸国は、特に日本が福祉国家を標榜する上での一つのモデルになってまいりました。日本の福祉政策も欧州に追いつけということでここまで来たわけでありますけれども、最近、こうした福祉先進国においては、たとえばフランスでは老齢年金と健康保険料率の大幅な引き上げであるとか、西ドイツでは昨年、一昨年二回にわたって年金法の改革、英国では政府予算の社会保障関係費の削減、イタリアでも同じような傾向を示しております。いずれにいたしましても、こうした福祉のいわゆる受難時代に入っているわけでございまして、日本もいわゆる低成長時代、そして財政難の時代に入って、福祉見直しというそういう名のもとに、福祉の後退ということが国民の間で大きな不安として印象づけられております。いまだ、わが国の福祉におきましてはいわゆるナショナルミニマムを確立していない、なおかつ達成していない時期にあって、後退だけが、あるいは受益者負担の増大だけがとかく議論されるということは非常に残念なことでありまして、福祉に対しては非常に御理解の深い、また御経験の深い大臣においては、よもや御在任期間中にこうした福祉後退に対する姿勢を、一分たりともそうした姿勢を打ち出すことはないと確信はいたしておりますけれども、こうした世界的な傾向とわが国の福祉の将来について大臣はどのような展望を持っていらっしゃるのか、その点をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#64
○橋本国務大臣 これは本当に大変大きな御質問をいただいたわけでありますけれども、私は、福祉の後退という事態を招くつもりはありません。
 ただ、同時に私は、必ずしも欧米の現在の社会保障制度のあり方を日本がそのままに受け入れるということがベストであるかどうかには、疑念を持っております。というのは、家族構成、また老親同居率その他に非常に大きな差異のあるヨーロッパの諸国の制度、核家族化が言われながらも老親同居世帯の方がまだはるかに多い日本における社会保障の今後のあり方とは、おのずから違った姿があるべきだと思っております。
 それと同時に、これからだんだん社会保障関係の経費というものは当然増大をしていくわけでありますが、これは、保険料の形態をとりましょうとも、税の形態をとりましょうとも、いずれにしても国民の負担でありますから、その国民の負担の給付についての合意の得られるリミットというものはおのずから考えていかなければなりません。その中でいかにそれを効果的に重点的に必要な場に使っていくか、これについては今後とも国会の御意見も十分に伺いながら私どもとして努力をしていきたい、そのように考えております。
#65
○古川(雅)分科員 終わります。
#66
○野呂主査 これにて古川雅司君の質疑は終了いたしました。
 次に、山本政弘君。
#67
○山本(政)分科員 障害者の社会参加を促進するために障害者の社会参加促進事業の充実を図るということで、今度初めてその一環として電動車いすの取り入れが行われたことは大変結構なことだと私は思うのですが、その中で若干お伺いしたいと思うのですけれども、従来、車いすの交付、これは五十一年度は一万二千八百二十九台、五十二年度は一万三千八百七十九台、五十三年と五十四年はおわかりでしょうか。
#68
○山下政府委員 五十三年度は、まだ年度途中でございますので、明確な数字は出ておりません。
#69
○山本(政)分科員 そうしますと、いままでは少なくとも電動車いすについては給付対象者は四千三百四十人、これは四十五年の身体障害者実態調査によってはじき出されたものだ、こう思いますが、お話によりますと、現在までの普及数が二千四百台、これは日常生活用具の支給ということで行われていると思います。そこで残りの千九百四十台が今度の支給対象になったのだというふうに私は理解するわけですが、そうしますと、今度の五十四年度の予算で六百四十台一億六百五十万円ということで計算をしますと、三カ年計画で支給するということになるのですか。
#70
○山下政府委員 そのように考えております。
#71
○山本(政)分科員 そうしますと、ちょっとお伺いしたいのですが、障害福祉年金の受給者は五十五万人から五十六万人、こう言われているわけです。そうして福祉手当の受給者が三十六万人、こう言われております。そうすると、いまの四千三百四十人、大まかに言うと四千人という数字になりますが、これは実態としては非常に少ないんじゃないか、そんな感じがするわけです。つまり、ぼくに言わせれば、車いすを必要とする人たちは実態としてはもっと多いはずではないかと思いますけれども、いかがでしょう。
#72
○山下政府委員 まず、先生よく御承知のとおりに、身体障害者の実態調査、昭和四十五年に調査をいたしましたものをもとにいたしております。五十年実施ができませんでしたので、今年度予定をいたしておるわけでございますが、その点が一つはあると思います。
 ただ、この車いすの対象者として私どもが当面ことしから措置対象に取り上げる場合に考えました考え方は、やはり重度の歩行困難者でございまして、電動車いすによらなければ歩行ができないという対象に限定をいたしまして、それで当面低所得に属する方から始めていきたい、そういう考え方で一応の整理をいたしましたものが、ただいま先生がおっしゃいましたような数字になっておる次第でございます。
#73
○山本(政)分科員 いまのお答えについては後からもう一度お伺いしたいと思うのですが、再度ぼくがお伺いしたいのは、確かに四十五年の実態調査で四千三百四十人という数字が出てきたのだけれども、障害福祉年金の受給者が五十五万人から五十六万人ぐらいおるだろう、しかも福祉手当をいただいている人たち、これは重い人ですね、重度の人ですね、その人たちが三十六万人おるとするならば、四千人という数字はきわめて少ないのじゃないかという気がしてぼくはならぬわけです。もっと実態としては多いはずじゃないか。つまりあなたのおっしゃるように、動力つきをいま支給するしない、そういう範囲の、つまり医学的な機能的な判定といいますか、そういうことは別として、実際に電動車いすを必要とされている方はもっと多かるべきではないかというのがぼくの質問なんですが、その点はいかがでしょう。
#74
○山下政府委員 福祉年金受給者もしくは福祉手当の支給対象者というのは身体障害者全体でございますが、主として車いすの対象になりますのは、聴覚障害、肢体不自由、内部障害、複合障害、いろいろございますけれども、肢体不自由の者が中心になろうかと思います。そういう意味で、その数字から直ちにはあれかと思いますけれども、何分にも四十五年の実態調査をもとにしていることでもございますし、先生がおっしゃるような点はあろうかと存じます。
#75
○山本(政)分科員 とすると、現在までの普及数を差し引いた、つまり千九百四十台という支給台数は今後多くなる可能性があると見ていいですね。
#76
○山下政府委員 一つには、今年度実態調査を予定いたしております。そういった結果等も参酌いたしまして、御指摘のようなことも考えていかなければならぬかと思います。
#77
○山本(政)分科員 ありがとうございました。
 それではお伺いしたいのですが、いま局長がいみじくもおっしゃったように、つまり低所得者であり、そして電動車いすを必要とする者という問題ですね。私は実は、日本のような家屋の中では手動の車いすだけれども、外に出る場合にはやはり電動車いすが必要だろうと思うのです。要するに、この予算の冒頭にあるように、障害者の社会参加を促進するというために電動車いすを新規の予算としておつけになったとするのだったらば、手動の車いすを使っておる人たちに対しては電動車いすを給付しないのだというふうなおっしゃり方をしているように承ったのですけれども、それはぼくはちょっと腑に落ちないのです。電動車いすは社会参加をするためということは、つまり家の中で手動の車いすが必要であっても、外に出るときには電動車いすを必要とする場合が非常にあるだろう、それがつまり社会参加ということの意味だろうとぼくは思うのですけれども、どうもそういう意味では、厚生省のお考えというのは非常に範囲が狭いのではないか。つまり、非常に機能的な方向にばかり目をとられておって、ここに書かれておるような社会参加ということを本当にお考えになっているのだろうかどうだろうか、大変ぼくはそういう点で疑問なんです。その点いかがでしょう。
#78
○山下政府委員 繰り返しになりまして恐縮でございますが、今年度予算を組みますとき議論をいたしまして整理いたしたわけでございますが、手動の車いすでできる方には手動でお願いをいたしたい、それができない方で重度の歩行困難の方に電動を導入いたしたいという考え方を基本に持っておるわけでございます。手動車いすの方がなるたけ手を使ってやられるということは、残存機能の維持にも役立つことでもございますし、そういうこともございますので、できるだけ電動でなければぐあいが悪いという方にしぼってこの支給をいたしていきたいと考えておるわけでございます。
 ただ、先生いま御指摘ございましたように、電動車いすは、日本の家屋の状況等から見まして、屋内での使用に非常に不便な場合がございます。そういう場合につきましては、歩行車でございますとかあるいはいすつきの歩行車でございますとか、そういったものの併給ということにつきましては十分検討いたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#79
○山本(政)分科員 一つだけ前進をしたようなお答えがありますが、ぼくはそれだけでは不十分じゃないかと思うのは、たとえば地域社会の交流というようなことで家から一歩出て買い物をするとか、あるいは町の集会に出るとかいうようなときに、手動の車いすで十分に機能的にやれるかと言ったらば、それは機能しないだろうと思うのです。そういう場合にはやはり電動の車いすが必要になりはしないだろうか。スピードの点からいったって、操作の点からいったって、非常に便利であろうと思う。だからといって、その人たちがそういう場合に手動の車いすを全部捨ててしまって、ただ安易に電動の車いすに依存をするということにはぼくはならぬと思うのです。そうなれば自分自身の機能を退化させるわけですから、そういうようなことを選ぶはずがないとぼくは思うし、ぼく自身が何人かの人に聞いても、そういう考えは全く持っていない。つまり、あの人たちが欲しているのは、地域社会で行動するためには行動半径が広くあってほしい、そのための電動車いすが欲しいということなんですね。とすれば、ぼくの言いたいことは、初めはおっしゃるような考え方であっても、そういう条件が満たされてくるならば、つまり支給対象が仮に三年計画であっても満たされた暁には、もう一つ考え方を広げて、併給ということは考えられないのだろうか。絶対に併給はだめだというふうに考えるのは非常におかしいと思うのです。非常に窮屈な考え方じゃないでしょうか。
#80
○山下政府委員 現段階といたしましては、やはり手動の車いすによりがたい方については電動の車いすを考えるというたてまえで考えておる次第でございます。
#81
○山本(政)分科員 時間がたくさんあれば別ですけれども、ひとつ考えてください。ぼくは前向きに将来考えてほしいと思うのです。
 それで、このことだけでもう一つお伺いしておきますが、修理費はどうなりますか。つまり、日常生活用具としての電動車いすが支給されていますね、その場合のあれは、今度はやはり補装具として取り扱われるのかどうか、この点はいかがでしょう。
#82
○山下政府委員 モーター、キャスター、バッテリーというような高い修理費を要するものにつきましては、当然補装具の一環として考えていきたいと思っておりますし、かつまた、従来日常生活用具給付事業なり民間の各種の補助金等によって取得した方がおられます、そのような方につきましても、これを対象に考えていくという方向で検討させていただきたいと思っております。
#83
○山本(政)分科員 これも重度障害の人なんですけれども、その人のところへ行ってちょっと調べてみましたら、三人家族、夫婦、子供一人、一級ですが、いままでは月額二万四千八百円ですね。それから福祉手当が六千二百円いただいているわけです。これが政府の方からいただいている年金ですけれども、それじゃもちろん親子三人じゃ足りません。したがって、七十五歳のお父さん、お母さんが七十歳、お菓子屋さんといってもいわゆるきれいな洋菓子屋をやっているわけじゃありません。で、その人は両親から五万円をもらっているわけです。そこでようやく親子三人が生活をしているわけでありますけれども、その人の話では、五万円をいただかなくては、とても年金だけではどうにもなりませんというお話であったわけです。
 そこで、私がお伺いしたいのは、よく年金の担当の方にお伺いいたしますと、老齢福祉年金は給付の条件としては七十歳以上だ、他の年金を受けておらないということ、あるいは所得制限もあります。
 しかし、最後に申し上げたいことは、七十歳以上になっていることで収入減を補うという意味があるというようなことも私は伺ったのですが、いずれにしても、その老齢福祉年金を基準にして、障害福祉年金というものが右へならえということで考えられているのではないだろうかというふうに私は思うのです。そしてそれは、拠出年金と無拠出年金という大別をして、無拠出年金の一つの体系の中に、いま申し上げたように、老齢福祉年金を基準に置いて障害福祉年金というものが考えられておる。だから、老齢福祉年金と障害福祉年金の二級の金額はまさしく同じだし、一級はその一・五倍だ、こういうふうになっているんだろうと思うのですね。だけれども、老齢福祉年金というものは私は将来なくなっていく、つまり皆さんたちがおっしゃるように経過的な年金だというふうに私は理解している。とすれば、障害福祉年金というものは経過的な年金だというふうに考えられていいのかという問題は、私は問題として残り得るだろうと思うのです。だから、それを老齢福祉年金と同じように右へならえをして、そして二級が老齢福祉年金と同じで一級が一・五倍という算定の仕方は、そもそも無理がありはしないか。と申しますのは、いま申し上げたように、生まれたときから障害者になって、現在結婚をし子供が生まれている中で、要するに生活ということになれば障害福祉年金というものは非常に低額でしかない。参考までに総理府統計局の資料を見ましたら、五十二年の平均ですけれども、勤労者の三十七・八歳の人の消費支出は十九万三千二百九十円であります。とすると、絶対的にこの金額というのは足らないのじゃないかという感じがするのです。私のお伺いしたいのは、それでもなおかつ老齢福祉年金に障害年金は将来とも右へならえをする、そういうお考えなのかどうなのか、そのことをお伺いしたい。
#84
○木暮政府委員 ただいま先生のお話にございましたように、老齢福祉年金の場合には経過年金というふうに申しておりますが、いまの受給をしておられる方が、制度ができましたときにすでに高齢の方で年金に入っていただけないということで、老齢福祉年金を出しておるわけでございまして、次第次第に受給者の方が少なくなっていくということでございます。一方、障害の場合には、これも制度ができましたときにすでに障害になっておられた、二十歳以上で障害になっておられた方というのは、いわば経過的な障害福祉年金というふうに言うことができようかと思いますが、現在二十歳未満で障害になられた方が、児童関係の手当を受けられて二十歳から障害福祉年金の方にかわってまいりますけれども、これは経過的な制度ではございませんで、今後とも障害福祉年金を受給する方が出てくるという問題がございます。確かに、老齢福祉年金と障害福祉年金はそこで差があるわけでございますけれども、やはり障害福祉年金の新しく出てくる方を特別扱いをするということは、経過的な障害福祉年金をもらっておられる方との問題がどうしても関連として出てまいりますし、経過的な障害福祉年金の方はまた経過的な老齢福祉年金との関連が出てまいりますので、切り離して考えるのはなかなかむずかしいというふうに思っておる次第でございます。
#85
○山本(政)分科員 そうすると、つまり経過的であり非経過的であるという、言葉として妙な申し上げ方をするのですけれども、そういうことになると、要するに今後障害福祉年金については全く体系としては別途な体系とすることは考えられぬということですか。
#86
○木暮政府委員 先ほどの先生のお話にもございましたように、年金制度を仕組みます場合に、老齢年金と障害年金がどこの国の場合にも中心的な柱になっておるわけでございまして、老齢による所得の減少、それからまた障害による所得の減少という形でとらえまして、所得保障をするといよ形でできておるわけでございますので、年金制度といたしましては、やはり今後とも、老齢と障害のバランスを見ながらやっていかざるを得ないというふうに思っておる次第でございます。
#87
○山本(政)分科員 自立をしている障害者、自をしている障害者と言ったら言い方がおかしいかもわかりませんけれども、つまり親がかりでないそういう人たち、一家を持っている障害者というのは比較的に生計費というのはわかりやすいと思うが、親がかりになっている人たちは一体幾らぐらいかという認定は、私は実際問題としてはむずかしくなるというふうな感じがするのです。しかし、ともあれ四人家族の生活保護費というのは実ははるかに高いわけですね。それに比べてみると、障害福祉年金の受給額というのは大体その三分の一くらいじゃないでしょうか。間違っていたら御訂正を願いたいわけですけれども、私は大体それくらいじゃないかと思うのです。四人家族の人の生活保護費というのは私ははるかに高いと思うのです。そうすると、いまのような福祉年金額でいくと大変格差があるような感じもするわけですよ。だから、単に老齢福祉年金とのことだけで考えていいのだろうかどうだろうか。つまり生活ということを考えると、私はそういうことで済まされないのじゃないかという感じがするわけです。だから、私どもが六万円年金とかこういうことを申し上げているのは、実は四人家族の生活保護費のせめて三分の二くらいは障害福祉年金として支給してもいいのではないかという感じを持っているから、そういうことを申し上げているわけです。
 いま申し上げたように、三人家族で三万一千円ですね。局長、三万一千円で、七十歳のお母さん、七十五歳のお父さんが亡くなって五万円の支給がなくなったときに、生活をやっていけますか。
#88
○木暮政府委員 障害福祉年金、老齢福祉年金を通じまして、福祉年金のレベルをどうしたらいいかという問題に関連してくると思うわけでございます。
 それで、福祉年金ができまして、老齢福祉年金で言いますと、当時は敬老的な年金だということが言われておったわけでございますが、次第次第に充実をしてまいりまして、かなり生活の支えになるというところまで来つつあるというふうに思うわけでございますが、それにいたしましても、福祉年金をもっと充実をするようにということを各方面から言われておるわけでございます。私どもも老齢、障害を含めまして、福祉年金の水準が現在のままでいいというふうには思っておらないわけでございます。年金の性格から言いまして、すべての方々の実生活にぴったり合うということにはいかないと思いますけれども、なるべく福祉年金を充実していきたいという気持ちがあるわけでございますが、これは一つには、非常に大ぜいの方に出しておりますので財源的にも大変だということがございますし、もう一つには、先ほどお話もございましたけれども、拠出年金とのバランス問題というのがどうしてもあるわけでございます。そこで、何とか両方の面につきまして打開策を見出したいというふうに考えておりまして、厚生大臣の私的諮問機関といたしまして年金制度基本構想懇談会をやっていただいておるわけでございます。一昨年の暮れ膨大な中間報告を出していただいたわけでございますが、近くその中間報告をさらに詰めたものを出していただけるという段階に来ております。障害を老齢と切り離してというところまではなかなかむずかしいかと思いますけれども、福祉年金一般のレベルとしては御意見がいただけると思いますので、福祉年金の水準のレベルアップにはできるだけの努力をさせていただきたい、こういうふうに思っております。
#89
○山本(政)分科員 時間がないですから一つだけ。
 ぼくは拠出年金と無拠出年金というのは、とにかく金額の上でも差がたくさんあると思うのです。そしてそれは、おっしゃるような財政的な問題を無視してはできないということもよくわかるのですよ。だけれども、金額だけじゃないのではないかという感じもするわけです。たとえば今度四%上げたということで各種年金が上がるわけですね。しかし、これを見ますと、支給があるものは五十四年六月から、これは拠出年金ですが、しかし無拠出年金の場合は五十四年八月から、常にそういう差が額の上だけではなくてほかの面からもぼくはあるような気がしてならないわけですね。それは何かといったら、根底にはどうも拠出、無拠出というそれだけのことで、あるような気がしてなりません。なぜこれは六月で片一方が八月なんでしょう。それを教えていただきたいのです。
#90
○木暮政府委員 スライドの実施時期をそろえろという御要望は国会からも各審議会からもいただいておりまして、現在は法律の規定よりもかなり早めまして、厚生年金六月、拠出制の国民年金七月、福祉年金八月というところまでまいったわけでございます。
 福祉年金が八月ということでございますが、所得制限がございまして、所得制限は前年度の所得状況によりましてやるということでございますので、前年度の所得がわかりまして、それを所得制限のレベルまで持ってくるためにどうしても八月までかかるということでございます。
 それから、厚生年金と国民年金が一月違うわけでございますが、物価の結果がわかりますのが四月の末か五月の初めになるわけでございます。そこで、業務課が全力を挙げて厚生年金の改定事務をやるわけでございますが、いま御承知のように、新規裁定も非常にふえておりますので、業務量としてはパンクに近い状態でございまして、国民年金も同時にやれないということがございまして、六月、七月、八月ということになっておるわけでございます。
#91
○山本(政)分科員 終わります。
#92
○野呂主査 これにて山本政弘君の質疑は終了いたしました。
 次に、野坂浩賢君。
#93
○野坂分科員 二点質問をしたいと思いますが、最初に同和対策事業についてお尋ねをしたいと考えております。
 総理府から出されております「同和対策の現況」というのがございますが、これには、同和対策事業は大きく分けて、生活環境の改善、社会福祉、産業振興、雇用促進、教育文化、基本的人権、その他の同和問題に関する知識、大体七点に分けてあります。厚生省におかれましても、同和対策事業は非常に熱心に進められておるというふうに思うわけでありますけれども、最近どこに力点を置いてこの施策を行われておるか、まずお尋ねをしたいと思います。
#94
○山下政府委員 ただいま先生お話ございましたように、厚生省におきましては、生活環境整備、それから福祉、保健医療の推進という見地から事業を進めておるわけでございます。
 どこにと特にあれしているわけではございません、全般的に推進をいたしたいと思っているわけでございますが、大きく分けますと、同和対策の施設整備費の予算、それから同和対策のいわゆる非物的事業と申しますか事業費の面と、大体両面からの推進を図っておるわけでございます。
#95
○野坂分科員 局長からお話がございましたように、生活環境の施設の整備が重点になっておるわけでございます。私どももそのように把握をしておるわけでありますが、先ほど予算委員会の第一分科会で、この間の国会で三年間延長になりましたその中で、財政負担が地方自治体に非常に過重にかかっておるということが問題になりまして、第二項でこれを解消しなければならぬということが明確に書いてありまして、これは御承知だと思うのですが、それについて先ほどただしましたら、内容的には国が三割で地方自治体が七割負担ということになっておるわけです。答弁としては、この法律は三分の二は国が持たなければならぬということになっているのに逆ではないか、それは単独事業があってやっておると言うのです。そのために、それを拡大して新規事業でこれを拾っていきたいということなんです。
 厚生省も新規事業を五十四年度で要求をされておりますが、新しい事業を幾ら要求して、そのうち、大蔵省はどの程度とって予算の上にあらわれたか、その点をまずお聞きしたい。
#96
○山下政府委員 まず施設整備の観点では、屠畜場の用地費、用地費につきましても新たに補助対象に加える点が二件ございます。それから、隣保館の運営費の面につきまして、補助単価三百十万から三百六十万に大幅にふやしましたが、内容的には、おおむね一館当たり一人の人件費を出しているわけでございますが、大型の隣保館につきまして従来二人の補助をいたしております。その範囲を、従来六百世帯以上ということでございましたのを四百世帯以上に拡大をしていくというような点が制度としての新しい点かと思います。
#97
○野坂分科員 いまの隣保館の運営ですね、そういう点について、新規というよりもこれを拡大したという意味で既設の制度を改正していただいた。言うなれば屠畜場の取得費ですね、これが一応採択されたのではないか。そのほかに、火葬場用地の取得の問題とか、同和地区の診療所の問題とか、同和保育所、児童館の用地費の問題、生活相談員、保健婦配置、こういうのは全部削られておるのです。それで、やはり現地にはこの声が強いということでありますが、これについて将来何としてもやってもらわなければならぬ、こう思うのです。局長としては、これを新規事業として採択されるように、今後鋭意努力をしてもらわなければならぬと思いますが、どうでしょう。
#98
○山下政府委員 失礼いたしました。いまお話がございましたように、屠畜場と火葬場の用地取得費がこのたび新しく認められたわけでございます。
 社会局の関係といたしましては、お話ございました生活相談員の設置という新規要求をいたしておりましたが、今回実っておりません。これは隣保館の充実ということを優先して、相談事業ということで同じ系列に属するものですから、そちらの充実を優先したという経緯があるわけでございますが、今後とも生活相談員の制度につきましては、十分検討いたしまして相談をいたしてまいりたいと考えております。
#99
○野坂分科員 そこで、具体的にお尋ねをしますが、いま環境の施設、それに伴う調査、こういうことですが、先ほど山本さんからもいろいろとお話がありましたが、時間がありませんから私から申し上げますが、一般地域の生活保護率は大体一・二一%、これは「同和対策の現況」にも書いてございます。それから、同和地区の保護世帯は七・六%。それから、障害者というのは非常に視覚障害が多いですね。ここに予算の中に出しておりますように、トラホームというのが非常に多い。これは一般が一八・七%に対して同和地区は三四・四%、こういうふうに私どもは把握しております。それから、障害者の就労状況というのは、一般の場合、就労、ときどき就労というのが四四・一なんです。同和地区の場合は、就労が一九・六、ときどき就労というのが四・三、合わせて二三・九、こういうことになっております。不就労というのは五五・九%と七六・一%、非常に格差がありますね。そういう状況でありますし、妊産婦の早産、流産、死産というのは四・二%もありますね。こういう実態、中身をもっと調査をしてもらわなければならぬのではなかろうか。
 その結果かどうかわかりませんが、老齢人口比を見てみますと、六十歳以上の方は、一般の場合は一一・七%いらっしゃるけれども、同和地区の場合は七・五%、六十五歳は七・六と五・三という比率になっておる。これは全国の基準ではありませんが、大阪府で四十六年から五十一年まで六年間の統計をとりますと、死亡年齢というのは平均して六十・七七歳になっております。ずいぶん、十三歳から十四歳違うじゃないか。なぜ死亡年齢といいますか平均寿齢といいますか、これがこんなに差があるのか。私は、いま指摘したような個人の個々のことを積み上げてくると、ここに原因があるのではなかろうか、こういうふうに思うわけですけれども、厚生省としてはそういう調査をされたことがあるのか。そして、こういう格差がある原因はどこからくるのか。いわゆる過重労働で、一般に皆さんのように公務員とかそういう職業ではなしに、普通の日雇い事業等が多いということもありましょうが、この実態はどのようにお考えになり、把握をされ、そして今後どのように対処をされようと考えていらっしゃるか、お尋ねしておきたい。
#100
○橋本国務大臣 いま御指摘になりましたような話が部落解放同盟一九七九年度の一般運動方針の中にもあったように思います。これは確かに御指摘のような事態が現実にまだ残っております部分、私ども認めざるを得ないと思います。これは長年の間にやはり生活環境その他の開き、またいま野坂委員御指摘のような労働の実態、あるいはそういう状態の中での所得の低さによる栄養摂取の問題等々、いろいろな原因が積み重なってこういう状態をつくってきたのではないか、私は率直にそういうふうに受けとめております。
 御指摘にもありましたが、いままで厚生省として生活環境施設整備事業についてはある程度私どもいままで努力してきたものがお認めをいただけるのではないかと思いますが、いわゆる物ではない、いま御指摘になったたとえばトラホームの予防でありますとか、妊産婦に対する健康診断の問題でありますとか、今後においてやはり重点的に考えていかなければならない一つのポイントはそうしたところにあろうかと思います。調査等したかどうか私は知りません。知りませんが、いまの御質問等を承っておりましても、率直にそういう方向を考えていくべきだと思っておりますということを申し上げておきます。
#101
○野坂分科員 ありがとうございました。
 調査をしたかどうかわからないけれども、大臣としての所信表明をいただきました。先ほど総理府総務長官も、五十四年度中に各省の大臣に、この間国会で決議されました実態調査をやってもらうということを言明されております。ちょうど一般質問のときには大臣おいでになりませんでしたので、五十四年度中に大臣みずから他の閣僚と同じように、同和地区の実態調査をやっていただく、こういうふうに理解をしておいてもよろしゅうございましょうか。
#102
○橋本国務大臣 関係省庁とも連携をとりながら、同じような努力をしてまいりたいと思います。
#103
○野坂分科員 お話がありましたように、そういう意味では、保健婦の配置とか、いわゆる同和保育所とか、同和地区の診療所の施設整備とか、こういうことは当然必要になってくると思うのです。それらの実現について大臣に積極的に努力をしてもらい、実現をしてもらわなければならぬ、こう思うのですが、いまお答えをいただきました具体的な内客として私の方から提起しておるわけですが、その点についてはどのようにお考えですか。
#104
○橋本国務大臣 私は現実にあちらこちら知るところを頭の中で思い起こしてみまして、地域によってそれぞれの優先度に相当な開きがあるような感じがいたします。まだ道路整備等を必要とするような地域もありますし、野坂委員御指摘のように、診療機関が必要な場所もあれば、また保育所等が必要な場所もある、相当地域によってのばらつきが出ておるように感じております。それぞれの地域の実情、それぞれの県当局から私どもの方に参ります情報をもとにしながら、また野坂委員たち関係の皆さんがお手元の資料等がありましたら遠慮なく私どもに御提起をいただきまして、そうしたものを踏まえて努力をしてまいりたい、そのように思います。
#105
○野坂分科員 情報と大臣みずからの実態調査で対処していただきますように要望しておきます。
 社会局長から先ほど御答弁いただきましたが、特に隣保館に力を入れたので十分ほかのところに手が回らなかったような意味のお話をいただいたわけですが、努力をされまして、隣保館というのは八百二十館御建設をいただいております。いまお話がありましたように、手当につきましても三百十万から三百六十万、運営費が十五億で、五百四十億、ことしの予算には計上されております。
 ただ、いまの同和地区の地域指定になっておる地域は、何カ所か御存じですか。
#106
○山下政府委員 四千三百七十四地区でございます。
#107
○野坂分科員 もうありませんか。
#108
○山下政府委員 五十年実態調査における対象地域が……
#109
○野坂分科員 五十年調査はそのとおりだったのですが、その後指定された地域は、政府が認めております百二十カ所、百二十地域も追加されておることを御了承いただかなければなりませんし、私たちが調査をしておりますが、大体実態としては五千三百六十七あるはずでありますから、総理府でもそれが出れば受け付けます、こういうことを明確にしておりますから、そういう対処の方針で進めていただきたい、こう思うのであります。
 そういたしますと、大体隣保館というのは五十世帯に一館というような、それを基準にしてやるということになっておりますね。そうすると、八百二十と五千ということになりますと、大分まだ建てていただかなければならぬということになるわけなんです。それは君、五十世帯と言っても、その基準があって、基準はそうだけれども百の場合もあるし二百の場合もある、こういう反論もありましょうが、それにしても非常に懸隔があるということになりますね。三カ年間でこれを実現するというのはなかなかむずかしいじゃなかろうか、こういうふうに思うわけです。もう何館建設をされて、この地域の隣保館の設置というものはあとどの程度お考えになっておるのですか、長期計画として。
#110
○山下政府委員 実は昨年の速記録を私、勉強いたしまして、そういう御指摘をいただいているということを承知いたしまして、種々検討いたしているわけでございますけれども、やはり先生いみじくもおっしゃいましたように、機つかの地域が集まりまして一つの隣保館をつくるということもございます。それから、他の類似した施設を建設することによりまして、必ずしも隣保館でない施設によって対処していくというようなケースもございますので、ここであと何館という数字を具体的に申し上げることは非常に困難なわけでございますけれども、いずれにいたしましても、隣保館というものが同和対策事業の中で占めます比重というのは非常に重いものがあって、重要な施設だと考えておりますので、これを最重点に今後とも整備を図っていきたい、できるだけふやしてまいりたい、そういう気持ちでおります。
#111
○野坂分科員 地域から要望があれば、それに対応して善処するということでございますね。
#112
○山下政府委員 そのように考えております。
#113
○野坂分科員 それでは次に進ましていただきます。
 寝たきり老人ということだけには限りませんが、相当高齢者の皆さんと介護人との関係についてお尋ねをしたいと思うのです。
 年が寄りますと、ちょっとぼけてまいりまして、長期療養の場合が非常に多い。また急な事故その他によって入院をする場合、これは付添人といいますか介護人が必ず必要になってまいります。いま基準看護といいますか、完全看護というふうに国民の皆さん理解されておりますが、現実に病院で看護婦さんにお世話になるということが、看護婦さんは一生懸命なんですけれども、むずかしいという状況を私たちはしょっちゅう見ております。局長や大臣もお見かけになるだろうと思うのですけれども。一人の病人が出てまいりますと、これは若い人、年寄りに限りませんが、それの介護人を雇うということになりますと、いま大体一日八千円ぐらい払わなければなりません。それだけの生活費の支出と負担は大変でありますから、だれか勤めておる者がやめるとか、そういうかっこうでその場を切り回しますが、その家庭生活は破壊されるのですね。病人も大変でありますが、元気な家内じゅうが大変な状況に陥るというのは御承知のとおりだろうと思うのです。
 それについて、病院に行ってまいりますと、たとえば一病棟、一階なら一階、二階なら二階の階数を見ますと、日中は六十人ぐらいいらっしゃいますけれども、夜は大体三人ぐらい。しょっちゅうボタンを押して看護婦さんを呼ぶといっても、いろいろおしっこその他が出てまいりますから、それでとっても手が回らないというのが現況であります。
 だから、介護人は必要になってくるということから、厚生省の方では基準看護の方法として特一とか特二とか一類とか二類とかあって、基準点数に付加してそういう対応がされておるということをお聞きをいたしました。しかし、それで病院側は全部看護婦さんを雇っておるのかどうかということは私たちはよく把握できておりませんが、その点はどのようになっておるだろうか。介護人をつけなくてもいいだろうか。しかし、現実には、たてまえは基準看護、完全看護になっておるけれども、本音といいますか、実態としては介護人をつけざるを得ない。こういう点について厚生省としては善処方をお願いしなければならぬわけですけれども、どのようにお考えになっておるのかということが一点。
 二点目ですが、お年寄りは病院に入られることを非常にお好みにならない。そこの奥様、お嫁さん、こういう方々が介護をされるわけですけれども、これは疲れてみずから命をその老人よりも早く絶つという場合を私の周りでも何回となく見ておるわけであります。これについて、デーサービスというようなかっこうで対処されようとしておりますけれども、このことは全国的にぜひ実施をしてもらわなければならぬと思いますが、ことしは二十カ所でありますから、これが全国的にはいつごろやってもらえるだろうか、こういうふうに考えておるわけですが、その点どうでしょう。
#114
○石野政府委員 二つの御質問のうちの第一点につきまして私からお答え申し上げます。
 基準看護の承認を受けました病院におきましては、当然これは病院自体で看護するのがたてまえでございます。そのために、先生おっしゃるように、特二類から三類までいろいろ分けまして、実態に沿うように医療費の面でも配慮いたしておるわけでございまして、特に五十三年の二月の医療費改定の際には、一般の医療費改定につきましては九・六%のアップでございましたけれども、そういう実態がございますので、特に看護関係については二〇%のアップをいたしました。さらに配慮いたしましたのは特に二類看護の分野で、特別加算といたしまして、普通の基準看護の加算でございますと百五十二点でございますけれども、重症で常時介護を要する者がいました場合には二百七十三点をさらに加算するということで、実は対処いたしたわけでございます。
 しかしながら、それだけでは私、全病院について全部が問題が解決できるというふうには考えておりませんので、問題は看護婦の供給の問題もございます。それから、看護のあり方、そういう問題もいろいろございまして、非常にむずかしい点はございますけれども、さらにそういうことも配慮しながら検討を続けていって、できるだけそういう不満が起こらないような形で医療費改定の際にも配慮してまいりたい、そういうふうに考えております。
#115
○野坂分科員 病院側でいつどういう人たちが入ってくるかわかりませんから、その対応の仕方ですね。いまおっしゃるように、たてまえとしては用意をしていないわけですから、たくさん入ってくるとそこで膨張するというようなことで、なかなか手が回らないし、汚い仕事をしなければならぬわけですから、病人を持つ家庭も気の毒に思ってやはり出ていく、そして家の方は混乱をするしいうことがあるわけですね。
 局長がおっしゃったように、二百七十三点というと二千七百三十円でございますから、私が申し上げたよりも格段の差があるわけです。特一にしても三千百五十円ですし、特二で二千六百十円しいうかっこうになっていますから、一般の介護人との差が相当ございますね。これについて、もっとこの点数を、健康保険料の掛金の問題もありましょうが、特にこれについては実質切り離して何とか考えていかなければ、低所得者の場合には異常な事態になるように私は思うわけです。その点についてはさらに御検討をいただく必要があるのではないだろうか、そう経験の中から申し上げておくわけでありますが、時間がありませんから、その点と、デーサービスの点はちょっと聞き落としたのですが、どうでしょうか。
#116
○山下政府委員 在宅の寝たきり老人に対します対策といたしましては、従来から御承知のように、家庭奉仕員の派遣でございますとか、あるいは短期の保護事業というようなものを昨年からやっておりましたが、五十四年度、いまお話がございましたように、デーサービス事業ということが始まるわけでございます。
 お話にございましたように、初年度でございますので、二十個所分当面予算計上いたしておるわけでございますが、全国に普及するのにどのくらいという年数をまだ明確に計算いたしておるわけではございませんが、これは恐らく需要も非常に多いと思いますので、五十五年度以降も格段の拡充を図っていきたいと考えておる次第でございます。
#117
○野坂分科員 三十八万人の寝たきり老人のうち、七万人収容程度の特別養護老人ホームができておることは承知しておりますが、残された方が三十一万人もいらっしゃるわけですから、家庭生活の安定を目指してぜひ実施を急いでいただきたいということであります。
 それから、いま局長さんから御答弁をいただいて私が質疑をしたのですが、二千七百三十円程度で十分かということになると、問題があるような気がしてならぬわけですけれども、それは掛金とは別に新たな対処の方向というものをきちんと打ち出していただきたいと思うのですけれども、その点どうでしょう。
#118
○石野政府委員 基準看護の問題につきましては、点数だけの問題とは実は考えておりませんで、看護のあり方、たとえば看護婦、准看護婦、看護助手の比率の問題、それから看護の業務量の問題、そういう実態もある程度見ながら検討しなければならぬ問題がございます。したがいまして、そういう問題とそれからいまおっしゃったような看護点数とのかみ合わせ、これが非常に重大だと思いますので、鋭意これについては努力してまいりたい、こう思うわけでございます。
#119
○野坂分科員 これで終わりますが、病院に送り込めば、後は安心をしておれる看護体制に入れるというふうに考えてよろしゅうございますか。
#120
○石野政府委員 そういう方向で努力してまいりたいと思います。
#121
○野坂分科員 それでは終わります。
#122
○野呂主査 これにて野坂浩賢君の質疑は終了いたしました。
 午後二時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時五十八分開議
#123
○玉沢主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 厚生省所管について質疑を続行いたします。渡部一郎君。
#124
○渡部(一)分科員 私は、ことしは国際児童年ということもありまして、児童福祉対策について若干の質疑を行いたいと存じます。
 厚生大臣は御着任以来目覚ましく御活躍中でございますが、先日の社労委員会において所信表明を行い、その中で、「本年は、国連の決議により国際児童年とされ、各国において、児童の福祉を向上するための施策を推進することが要請されております。次代の社会を担う児童の健全な育成と資質の向上を図ることの重要性は、幾ら強調しても強調し過ぎることはありません。このような考え方に立ち、来年度の最重点施策として国際児童年特別対策を取り上げ、」と言って、そして保育対策、健全育成対策など児童福祉対策の充実を図るということを述べておられますが、具体的にどのようなことをなさろうとしておるのか、簡略にお伺いさせていただきたいと存じます。
#125
○竹内政府委員 お答え申し上げます。
 厚生省といたしましては、心身障害児の対策と母子保健対策の、この二つを焦点にいたしまして、さらに健全育成、保育対策、そして国際児童年ということでの特段の記念事業ということを内容にいたしておりますが、心身障害児対策の方では、私どもとしては心身障害児の総合療育センターを整備し、かつ心身障害児の通園事業あるいは心身障害児の総合通園センターを新しく整備をするということ、並びに母子保健関係ではクレチンあるいはケトステックス等の先天性の障害の防止を目途といたしました新しい検査方式を妊産婦、乳幼児の健康診査に取り入れ、さらには総合母子保健センターを整備することによりまして母子保健の面での充実を図る、この辺を主体として考えております。
#126
○渡部(一)分科員 そこで、大綱的な御方針を伺ったわけでありますが、私は最近非常に憂慮を深くしておりますのは、私がいろいろと国民の皆さんの御意見を聞いている中で、子供の健康が非常に悪くなりつつあるのではないかという憂慮の声を耳にするのであります。
 たとえば私の居住する神戸市において、学校の校長先生が言っていることでありますが、子供を運動場で運動させていると、大腿骨骨折が非常にふえておる。また、運動会の際に教師が生徒の背中に激励のつもりで触れたところが、肩甲骨が折れたという極端な異常現象が起こっているということでございました。
 去る昭和五十三年十月九日、NHKテレビの「警告!!日本の子供のからだは蝕まれている!」という特集がございましたが、これは私がいま申し述べたことを、日本体育大学の協力を得て千名からの大きな世論調査によって、こうしたものでは一番広い範囲で行われたものと思われますが、すでにデータ等は大臣のお手元にあると存じますので簡略に申し上げますが、「自己防御能力が落ちた」として、これが最近目立つという小学校が七九%、中学校五二%、高校四一%、「まばたきが鈍く、目にゴミや虫が入る」というのが小学校六七%、中学校五八%、「ちょっとしたことで骨折する」というのが小学校七七%、中学校八二%、高校六八%です。山形県平田中学校では全校生徒の五分の一が骨折経験者であるというような恐ろしいデータまで述べられております。それから、「朝礼のときなどバタバタ倒れる」のが、これが最近目立つのが小学校八二%、中学校九四%で、愛知県の瀬戸中学では二学期初めの始業式において実に一割の生徒が倒れた。これまたすさまじい数でありまして、ほかの事情もあったかとも思われますが、ちょっと異常である。
 また、「足がおかしい」の中で、「棒のぼりなど足うらを使ってのぼれない」というのが小学校六八%です。また、この調査に関連して、都会地の子供は農村地の子供より土踏まずの形成が三年ないし四年おくれておる。
 また、「子供の老化が早くなった」の中で、「肩こりを訴える子が目立つ」というのが小学校六五%、中学校八七%、高校八九%で、「神経性胃かいようなど目立つ」というのが小学校二五%、中学校は六二%、高校は八五%で、旭川医大の第三内科の並木先生の報告によれば、十年間に神経性胃潰瘍は学童において実に二倍になっておる。「高血圧や動脈硬化が目立つ」とか「腰痛の訴えが目立つ」というような数字も挙げられております。
 また、「背すじがおかしい」の中で挙げているのは、背筋力が極端に低下しているし、また子供の疲労が問題になっておる。子供の無気力、無関心、無感動は学校での大きな問題になっておる。朝礼のときからあくびをするとか、休み時間もぼやっとしていて集中力がないとか、そんなデー々が次から次へと述べられております。
 ここで述べたパーセンテージは、養護教員がこれに気がついたという数字でありますから、実際数は少数のものでございましょうが、こうした傾向があらわれているという意味ではきわめて大きな警告ではないかと思われます。子供が成人病にかかっている、子供の体力が低下している、子供の健康がどうかなっているのではないかと、こういう不安はPTAの皆さんからも大きく寄せられているところであります。
 こうしたことについて、まずどういう認識を厚生省は持たれているか、どういうデータを持たれているか、どういう対策を持たれているかと順にお伺いしなければならぬのでありますが、まず、どのような認識を持たれ、そして評価されているか、そこのところをお伺いしたいと思います。
#127
○橋本国務大臣 いま渡部委員の御指摘になりましたような傾向というものは、私ども自体が非常に問題視しておるところでございます。これは一般的に申しまして、子供の背丈もまた体重も非常に大きくなって、見た目は大変すてきな体格をしておるわけでありますが、基礎的な体力が落ちたということは否めない事実であろうと思います。
 厚生省自身としましても、いままでそうした点についていろいろな面からの工夫はしてまいりましたが、結局、近年における社会経済情勢の変動というものの中で、家庭生活のあり方、また親御さんの子供に対する養育の意識、また生活環境の変化といったような状況が児童を取り巻く環境そのものにも非常に大きな変化をもたらしている。ことにそれは都市部において子供の遊び場不足というものにはっきり出ておるという感じがいたします。そのために児童の体力がどうしても落ちてくる。こうした問題がありまして、私どもとしては、この児童年を契機にした母子保健対策の見直しを、厚生省自体としてやっていく中でこうした問題についても考えをめぐらしてまいりたい、そのように考えておるわけであります。
#128
○渡部(一)分科員 大臣は少し先の方までお答えになりましたのでありがたく思っておるわけでありますが、私に言わせますと、厚生省はまずデータの持ち合わせがない。それは先ほど私の方へ提示されました厚生省のデータの「学校保健統計調査」の昭和五十二年度のものによりますれば、心臓疾患、腎臓疾患、肥満傾向の三つについて、昭和三十二年、四十二年、五十二年について数字が出ております。しかし、これは学校の校医が調査されたものだそうでございまして、このパーセンテージは非常に疑わしいと述べられております。特に肥満傾向なんというのは、どれから肥満というのかも明らかでない。そして心臓と腎臓だけしか調べてない。もう一つまずいことは、大臣がおっしゃいましたが、環境が変わったのが子供の健康に影響を与えたことはもうほぼ間違いないと思いますが、データが不足なので、どれが悪いのか、どれが一次的なものか二次的なものかが分析、証明がされてないということです。
 そして、私がもう結論を言ってしまいますけれども、この調査をするに当たって、私は厚生省の課長さんたちに何人かお越しをいただいて、相当の数の人に来ていただいてチェックをしましたら、その中の何人かは、その対策を立てるに当たって、それは厚生省の所管ではない、文部省の学校保健課の担当であると言う。事実、学校保健法の条文を見れば、学校の児童、生徒、学生の健康の保持増進に対しては学校保健法という法律によって文部省が所管することになっておる。そこで、私は文部省の方に、じゃそういうデータはないですかと今度はお伺いしたわけであります。そうしたら、これまた何にもデータがない。そして要するに、文部省の方で出してきたデータというのは、体力づくりで体力が強くなったというデータである。
 私は、スポーツとか体力のことを聞いておるのではなくて、子供の健康保持の問題を聞いておるのですが、まさにこの問題は、ちょうど行政の穴に落ち込んでいるという認識を持ったわけでありますが、この辺、大臣の御見識をぜひとも承っておきたいと思います。
#129
○橋本国務大臣 御指摘の点はまさにそのとおりでありまして、私どもがこれから取り組んでいかなければならない一つの問題点であります。
 従来大きく抜けておりましたのが、一つは家庭の婦人に対する対策でありました。これはようやくいま軌道に乗りつつあります。今後残っておりますものは学童保健というもので、文部省にお預けをしておりました分野、しかし私どもが無関心であってはならない分野、まさにいま御指摘の分野をわれわれはこれから考えていかなければならぬと思っております。
#130
○渡部(一)分科員 非常に大臣に明快にお答えをいただきましたので、私も大変ありがたく思っているのですよ。
 そこで、まさに問題は、学校の生徒たちのこういう成人病あるいはそうした状況というものが生まれつつあるのに対して、文部省側と厚生省側と両方側からその穴を埋めにかからなければならぬ。これはやはり法律上の手配も必要かと私は存じますが、これらについて御検討、御研究をいただいた上、要するに子供の問題について、子供のこうした病気の傾向、世上ささやかれている傾向について、研究班をつくるなり、研究所をつくるなり、所管すべきグループを形成するなりの合議、打ち合わせが必要かと存じますが、その点はどうお考えでございましょうか。
#131
○橋本国務大臣 いま私どもは、実はこの国際児童年を契機として、日本の母子保健というものを全面的に見直そうといたしております。これはそれこそ妊娠する以前の母親の健康教育の問題から妊娠中の母親の健康保持、そして生まれてくる子供さんにいかに安全に健康に生まれてきてもらうか、そしてその子供さんを心も体もいかに健康に育てていってもらうか、これを私どもは総合的な見直しをしたいということを考えておりまして、そのための会議等を実施する予算も五十四年度予算の中には計上いたしております。
 これには社会教育の専門家、児童心理の専門家、医学の関係者、さらには、それこそ私はよく宗教家、哲学者まで入ってもらいたいということを申しますが、ある程度一年なり二年なりという時間をかけてでも、根本的な母子保健体制というものの見直しを図ってまいりたいというふうに考えております。
 まさに御指摘の問題はその延長線上の問題としてまず私どもは考えてまいりたい。そして、その間におきまして文部省側に対して御相談をかけることはもちろんいたしますし、また協力の要請があれば最大限私どもは厚生省として協力をしながら、その中において将来この問題にどう対処すべきかを検討してまいりたい、そのように考えております。
#132
○渡部(一)分科員 おっしゃっているお話から言えばもう完璧なお答えになっておりまして、大変ありがたく思っております。
 特にここのところで大臣に私は、最近の巨大な迷信についてひとつ御見識を承っておきたい。というのは、この問題をぼくは調べるにかかっておもしろいものを発見したのです。そんなことを言うと総理府に気の毒なのですが、これは「体力つくり推進校研究発表大会要旨」というので、総理府が所管され、かつ文部省がここのところで三百十四校に対して一年間十万円ずつ出して体力づくりをやりましょうと言っておられるのです。この中のデータを見ると、体力づくりというのでみんなが体力づくり、体力づくりと学校の中で相談して、一歩前進させるためにいろいろ活躍したことが文章上書かれておるのです。数字的にどういうデータが上がったかは一切触れていない。おもしろい不思議なデータです。非常に定性的に書いてある。
 ところが、この文章は子供が非常に健康になったというたぐいのことが書いてあるのですが、体力づくりとはそも何ぞやということについての定義がない。言ってみれば、悪く言えば、戦争中の国民皆兵の時代に、子供の体を、跳ぶ、はねる、走る、担ぐというような能力さえ強力にすれば上がった時代の産物である。私はそう思うのです。ところが、その学校の中で子供がどのくらい健康になったかについてはチェックもされていないし、検討もされていない。だから、子供の病気治療の問題と健康保持の問題とスポーツの問題とがばらばらになっておる。だから、これはまさに馬並みの体力増強である。国民徴兵型でこう来ておる。そして、橋本厚生大臣の率いる医療、治療を担当する部分がそこにどかっと座っておられて、そごは学校保健法のバリケードがあるからちょっと手が出しにくいという状況がある。そしてその真ん中に、妙なことなのですけれども、健康保持の分野が、健康を推持するという分野の部分というものが存在すると思うのです。
 もう一つ、大人の方の話をしますけれども、最近ジョッギングが大はやりです。ランニングがはやる。わが国会の周りでも国会議員で走っておる人がたくさんおります。あるいは鉄棒にぶら下がっている人もたくさんおります。これはぶら下がったら背骨が伸びるからなどと言っておるわけであります。それらが本当に健康にいいかどうかについては、治療医学は発達しておるが、健康医学という面では全然発達しておらぬ。そこのためにうわさ話が広がっておるわけですね。走ればいいというので日本じゅう走って、マラソンをやって、この間からマラソン大会で次から次へ死ぬ人が出てくる。今度はぶら下がることによって背骨の外れる人が必ず出てくる。何をやっても、個人的でなく、かつ乱暴な健康保持に関する迷信的発言がスポーツの方からとそれから治療の方からと両方やってきて、健康保持の医学という分野が抜けておるのではないか。
 私は、すでに姫路において健康医科大学というものが構想されておることを高く評価している一人でありますけれども、治療医学から健康医学とでも言うべきものに発展させる方向の施策をしないと、この問題はやはり片づかない面があるのではないか。つまり、治療する医学が学校保健の部分にもっと踏み込む、そしてもう一つ健康の医学というものが踏み込むということがあって、この児童保健というもの、児童の健康維持ということは前進するのではないか。
 その辺を大きく前進させていただきたいと思うのですが、いかがお考えでございましょうか。
#133
○橋本国務大臣 私は、いわゆる体力づくりという言葉がどういう意味を持つか、私なり、自分なりの解釈をいたしておりますが、それは結局、栄養と運動と休養というもののバランスをいかにとって自分の健康を維持するかということでありましょう。ただ、その中で、発育盛りの子供たちにとっては、その運動という分野が非常に大きなウエートを占めてくるということも間違いありません。そして、それによって本来持つべき体の機能を発育させていく。その意味で、先ほど私は都市における遊び場不足というものを一つの例として申し上げたわけであります。
 いま私どもが、先ほど御説明を申し上げましたような母子保健体系の全面的な見直しというものを考えておりますのは、いま文部省の方でおやりをいただいております学童保健に行くまでの過程において、育ち盛り、幼児期の子供たちが学校生活の中で今度はそれなりの勉強をし、スポーツをしていく上で、それに耐えられる心と体の状態をつくっていくことだろうと私どもは考えております。
 いまたまたま大人の方で幾つかの例示を挙げてのお話がありましたが、これはまさにいま老人保健医療対策のおくれでおしかりを受けておりますけれども、その中において成人における予防給付というものをどこまで持っていけるかということで、関係者との打ち合わせに時間をとっておりますと申し上げている問題点でありまして、健やかに年をとっていっていただくためにも、たとえばいわゆる成人病の心配の始まる四十あるいは四十五歳ぐらいからの健康管理というものが非常に大きなウエートを占めていくわけでありまして、その健康診断等を受けていただく、その中において問題の場所が見つかる、それが生活指導で済むべきか、あるいは栄養指導で済むものか、あるいはその上に医学的な治療を必要とするものか、それをその時期から判断していけば、将来における健康な状態での老後が迎えられるというふうに私は考えております。
 その意味では、実は子供さんの健康保持も大人の抱える問題もまさに同質同根でありまして、私どもはそういう考え方をもってこれからも取り組んでいきたいと思っております。
#134
○渡部(一)分科員 大臣は問題を非常に的確にとらえておられるように思います。私は、この問題はもう一回逆に戻りまして、基本的方向はきちんとできておられるように思いますから、この児童の間に存在するところの、まあひっくるめて私がさっき言いました児童の成人病とでも言うべき、児童の老化とでも言うべき、何か退行現象とでも言うべき状況があらわれているという指摘に対して、何らかの原因の究明、現状の分析について一歩前進的な措置をとっていただきたい。もっと科学的に、NHKでおやりになったのが非科学的とは言いませんが、行政官庁によってコントロールされた、医学的に見て正式な実態調査を行う、そして科学的データを集積する、そして原因について科学的なテーマでそれを全部集めて解析をする、そして対策をとるというふうに、一つずつの問題を早急にとってはいただけないものか。
 もう大づかみな予算が出ているところでありますから、いまさら一つのプロジェクトを発足させるのにも非常に困難な問題が幾つかあるのは存じておるわけでございますけれども、これほどのテーマでございますので、私は、早急に手をつけていただくという御意向が教示されれば、これにすぎたことはないと思うのですが、いかがでございますか。
#135
○橋本国務大臣 現在の時点でもすでに厚生省は一歳半児の健診、三歳児の健診を行っておるわけでありますし、過去にもある程度蓄積してきておるものがあると思います。また、文部省としても、学校保健の立場から行っておられる学童の健康診査というもの、そのデータをいままで解析せずに、むしろそのときそのときの健康診断で終わりにしてきているのではないか。お互いに厚生省の場合にもそういう欠陥があるいはあるかもしれません。むしろ、そういうものを含めて過去にあるべきデータを解析してみる努力を事務当局にも命じたいと思いますし、必要があれば、逆に今後の課題として検討してまいりたいと思います。
#136
○渡部(一)分科員 私は、医学的な素養は実は申しわけないけれどもないのですが、ここで出されているデータを見ますと、私の科学的知識によりますと、これはデータとしてはほぼ使えないデータになってしまっておる。というのは、調べる人が雑多に調べてしまったために、幾ら足し合わせても大づかみの傾向しか出てこない。しかも、年数ごとに子供にこういう傾向があるかどうかについて非常に粗っぽく集めてありますので、それもむずかしい。ですから、解析不能の状況ではないかと思われます。
 ただ、大臣にせっかくそうおっしゃっていただいたので、私はきょうどうこうという議論は慎んで、大臣がしかるべきときにこの問題についての御報告をしていただくことを望みたい。特に大臣に文部省の所管される事項についてこれだけおっしゃっていただいたというのは画期的なことです。ですから、あと文部省との間でよほど丁寧なお打ち合わせが要ることだろうと私もお察ししておりますし……(橋本国務大臣「課長さんがおられますから大丈夫です」と呼ぶ)そうですか。それではひとつ十分その辺を御研究いただきたい。
 日本のマスコミでは最も強力なNHKがどかんと放送した。そしてある意味の衝撃が行われている。それに対して行政がいつまでも動かないということであってはならない。大衆の声なき声を聞くのが行政の主体ではないかと思いますし、その意味から言えば、声なき声どころか、大声でマスコミがわめいておられるわけでありますから、これに対する答えというのは、ある意味で的確にスピーディーに対処されることが望ましいと思いますが、いかがでございますか。
#137
○竹内政府委員 ただいま御指摘いただきました学問的な研究の問題でございますが、私ども心身障害研究費というのを五十三年度で五億一千万、明年度で五億四千万持っておりますけれども、その中で、わが国における幼児の体力の研究問題についての研究をいま進めていただいております。
 そういうかっこうで、統計的あるいは学問的に整備されたものがどこまで出るか必ずしもわかりませんけれども、横浜国立大学の斎藤先生にお願いをしてやっておりますので、まとまり次第御報告できると思います。あとは文部省の方から……。
#138
○島田説明員 ただいま先生から御指摘いただきました趣旨につきましては、私の学校保健課がもちろん中心でございますが、体育局へ帰りまして十分また研究させていただきたいと存じます。
 先ほどちょっとデータの御指摘もあったわけでございますが、私の方で学校保健統計として、全国統計で、指定統計でやっておりますのは、たとえば心臓疾患につきまして、学校医の先生方が診断していただいた結果を集計するとか、あるいは腎臓疾患ですと、一応リトマス紙の検査は出すのでございますが、そういうもので集計するというようなかっこうでございます。先ほどから御指摘いただきましたような、新しい病気と言うとおかしいのでございますけれども、成人病的なものを含めた問題は、これは問題意識は十分に持っておるわけでございます。
 実は日本学校保健会というものもございまして、これは学校医の先生方を中心にした保健活動の団体でございますが、ここに実は大学の諸先生方もずいぶん御参加をいただいて、いろいろな委員会をつくって、心臓疾患委員会でございますとか、腎臓疾患委員会でございますとか、あるいは運動維持の関係の委員会でございますとかというものをつくって御研究願っております。このあたりでわりあい部分的なデータは出てまいるのでございますけれども、全国的にうまく公表するようなものはまだ出てこない。しかし、そう言いながら、目指す方向といたしましては、たとえばさっき先生御指摘の、病気を持った子供に運動制限をするとしても、どの程度の段階でどうしていくかというようなあたりの検討も、実は少し着手していただいております。
 そういう方向もございますので、先ほど厚生大臣からお話がございました御趣旨を受けて、厚生省にもよく御検討を仰ぎながら一緒にこの問題に対処してまいりたいと思っているわけでございます。
#139
○渡部(一)分科員 ぼくは、御回答としては、厚生省のおっしゃること、大臣がおっしゃってくださったことも、いま文部省がおっしゃってくださったこともりっぱなお答えだと思います。ただ、それをやるかやらないかです。
 なぜそんなことにくぎを刺すかといいますと、学校保健法の法律を拡大的に解釈すれば、私のいま言ったようなことはできたはずなんですね。この程度の法律でできないとなると、いまのお言葉も疑わしいわけですね。私はえげつなく言うておるわけですが、信じられないという気持ちなんです。ということは、これほど大きな穴ぼこのところに問題を置いておいて、すでにNHKが放送されたのは十月ですが、そういうことがぼくらの耳に入ったのはもう三年も前からです。そういうことに対して対処が悪過ぎたのではないのか。もっと早いところこうした問題について解明されてよかったのではないか。ですから、期限をつけるのはおかしいのですけれども、半年なり一年の間にしかるべき御回答を文部省としてもしていただきたいし、厚生省としてもあるまとめ方をしていただければ幸いだと思います。
#140
○橋本国務大臣 両省これは責任を持って相談をいたします。
 ただ、この五十四年度予算の中でそこまで細かいデータの集積ができるかどうかについては、必ずしも私も自信を持てませんけれども、もしそれができない場合には五十五年度の概算要求の中にそういうものを組み込んででも取り組んでいきたい、そのように思います。
#141
○渡部(一)分科員 ありがとうございました。
#142
○玉沢主査代理 これにて渡部一郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、井上一成君。
#143
○井上(一)分科員 私は、何物にもかえることのできないとうといものは人の命でありますということをまず冒頭に申し上げたいわけであります。そして、そのとうとい人の命を守ることの施策、これこそまた何物にも増して大切であり、かつまたより優先すべき施策であろうか、こういうふうに考えるわけであります。
 そこで、ひとつ救急医療対策について若干の御質問をいたしたいと思います。
 救急医療とは、本来、生命に危険があるか、あるいは直ちに治療を要する急傷病に対する救命救急医療であろうと思います。とりわけ急病、外傷、救命の三つの分野から成り立っているのではないかと思います。しかし、今日の社会状況の変化、核家族が増加していること、あるいは医師の休日、夜間は休みたいという必然的な要求、自然な要求、あるいは医師の職住分離の増加、こういうことと、さらにこれはぜひ考えなければいけないことではありますけれども、運営が維持できない現状の国の施策によって夜間、休日診療の不採算性のために診療に加わらないということ、こういうような状態がすなわち休日、夜間の時間外救急診療が必要になってくるわけであります。俗に言う一次救急医療センター、休日応急センター、こういうものの必要性があるわけであります。先ほど申し上げました救命救急医療機関、そしていま申し上げました休日、夜間の一次救急医療センター、こういう医療機関の役割りの区分については一般国民は常識として十分承知ができ得ないわけなんですね。そういうところから何が必要になり、どんな状態が起こってくるかということであります。初期医療といわゆる選別をする医療機関、こういうことの必要が起こり得るわけであります。
 ごく最近大きな社会問題として患者のたらい回しということが大きく報道されております。ここに第一線で救急医療機関に携わって御苦労いただいている先生がこういうことを書かれております。「医師二人が往診こばみ、ケガの女高生、出血多量で死ぬ」「死招いた日曜休診、おぼれた女性放置」「生後四カ月の赤ちゃん、四つの病院をタライ回しで死亡」云々「こうした新聞記事が一日も早くなくなることを特に切望する。」第一線の先生がこのように、いまの社会問題を、不幸な事態の発生を何とか未然に防いでほしい、こういうことを強く訴えていらっしゃるわけであります。
 救急告示病院というのがあってそこへ行く、しかしそこは初期の診断の中から、初期医療の次の手だてとして専門的な設備あるいは専門的な治療がその告示病院ででき得なかった。いろいろな事情でこういうような不幸な事態が発生したわけであります。私は、とりわけ申し上げたいのは、重症の救急患者を取り扱う救命救急センターがどうしても必要であるということでありますし、そのために十分な施策が講じられなければいけない、救急医療は医療の原点であるという強い認識を持っております。
 そこで、まずお尋ねをいたしたいと思います。これらの私がいま申し上げたそういう実情、あるいは私の提示する考え、このことについて国の考えあるいは施策は一体どうお持ちでいらっしゃるのか、あるいはそれに基づいてどのような施策で対応しようとなさっていらっしゃるのか、ひとつお伺いをいたします。
#144
○佐分利政府委員 救急医療が医療の出発点であり原点であるという点については、先生の御意見と全く同様でございます。したがいまして、現在進行中の昭和五十二年度からの救急医療対策によりますと、まず第一次救急医療の体制につきましては、五十一年度までは人口十万以上の都市に休日夜間急患センターを置くということになっておりましたものを、五万以上十万未満の市にも休日夜間急患センターを設置するように計画をいたしました。また、各地医師会の在宅当番制をさらに充実強化することとしたのでございます。
 また、入院を要する第二次救急医療体制につきましては、できれば一つの病院で二十四時間、三百六十五日やっていただければ理想的でございますが、日本だけでなく、諸外国においても幾つかの病院が輪番制で担当いたしております。したがって、そういった病院の輪番制によって第二次の救急医療システムを確保したい。また、そういった適当な病院がない地区においては、ある病院は内科、ある病院は外科、ある病院は産婦人科というように、診療科目協定方式によって第二次の救急医療を確保しよう。さらに、もっと病院のないところでは、たとえば医師会が持っております開放型の病院を大いに活用して第二次救急医療を担当していただこうという方式を進めております。
 また、最終的に救命救急を担当いたします第三次の救急医療の体制につきましては、少なくとも各県に一つ、人口の多い県では複数ということで、一応全国七十八カ所の第三次救命救急センターを整備するという考え方で、年次計画で進んでおります。
 そのほか、先ほど先生から御指摘がございました、たらい回しをなくすために救急医療の広域の医療情報システムを整備しよう。それで、病院のあるいは診療所の状況が常時救急隊の方に的確に入っておればたらい回しがなくなるはずでございますので、そういった救急医療の情報システムも全国的に整備しよう。
 さらに、最も基本となります救急医療を担当いたします医師などの医療関係者の再教育訓練、こういったものにも力を入れようという計画で進んでおります。
#145
○井上(一)分科員 五十二年七月六日に出されて、五十三年五月九日に一部改正をされている厚生省の医務局の「救急医療対策事業実施要綱」というのがあるわけなんですね。この九ページには、いわゆる一次、二次の医療施設及び患者の搬送機関との円滑な連帯体制を前提にして、救命救急センターの確保をうたっていると私は理解しているのです。そのとおりでよろしいでしょうか。
#146
○佐分利政府委員 そのとおりで結構でございます。
#147
○井上(一)分科員 逆に言えば、一次での初期診療なりあるいは選別、そして二次の体制の十分でないところで三次の施設をつくっても、実質的にはすべての機能を果たしているということは言えないと思うのです。むしろ、やはり一次、二次の医療施設が完備された中で三次の施設が有効かつ機能的にその役割りを果たしていく、こういうふうに私は思います。そういうことを考えれば、ただ単に全国で七十八カ所なんだということだけで、数字的に割り切れるものではないと思うのです。一次の医療機関、二次のそういう搬送機関、そういうことをも十分加味される必要があるのではないだろうか、この点についてはいかがでしょうか。
#148
○佐分利政府委員 その点につきましては、御指摘のとおりでございまして、五十二年度からの新しい救急医療対策に基づく一次の体制、二次の体制ができ上がっているところに第三次の体制ができれば最も理想的でございます。しかし、地域によっては救命救急センターを早く設置しなければ――従来の告示病院の体制とかあるいは地区医師会の在宅当番制とか、そういうものがございますから、救命救急センターを設置することによってかなりの成果を上げることができるという地域もあるわけでございまして、そういった地域については、一次、二次の体制はまだ不備でございますけれども、第三次の体制を先に手をつけたところがございます。
#149
○井上(一)分科員 そこで、具体的にお聞きをしたいと思います。
 厚生省としては、大阪府下の状態についてどういうふうに現状を御認識になっていらっしゃるのか、まずお伺いをいたします。
#150
○佐分利政府委員 大阪府下は救急医療の体制が非常に進んでいる地域の一つであると考えております。まず、第一次の休日夜間急患センターがすでに二十六カ所設置されております。また、そういった休日夜間急患センターが大変強力でございますので、ほかの地区で実施しております地区医師会の在宅当番制は大阪では行われておりません。また、第二次の幾つかの病院の輪番制による第二次救急医療体制は五十三年度から実施されておりまして、これも大変うまくいっている方ではないかと思っております。最後の第三次の救命センターでございますが、現在国が補助金を出して整備いたしましたものは関西医科大学の救命救急センター一カ所でございまして、私どもといたしましては、大阪府では少なくとも五つ以上の救命救急センターが必要だと思っておりますが、残りの救命救急センターにつきまして、まだ府の計画が固まっておりませんので、府の計画がよく固まるのを待っているような状況でございます。
#151
○井上(一)分科員 局長、私からこういうことを申し上げるのはどうかと思うのですけれども、もう少し大阪府下全体の実情というものをあなた自身で御認識になる機会を持っていただきたい。とりわけ大阪府北部、俗に三島地区というブロックでは、すでに一次の初期診療施設が十分に設置されておる。もちろんこれはすべて国の十分な補助金なり、整備助成があったわけではありませんよ。ありませんけれども、そういうように地域医師会との連携の中で人命尊重というか、そういう盛り上がった声がそれをつくった。あるいは二次の搬送病院群も十分確保されている。さらに、三次の救命救急センターといういわゆる医療資源の供給源が必要不可欠なものになるわけですけれども、そういうものも十分に備わっておる、いわゆる二十四時間の診療体制が十分である。具体的には大阪医科大学という施設もあります。さらに、その学長から知事あてに三次センターの設置要望がすでに昨年の七月六日に出されているわけなんです。そういうことを局長自身が十分に認識されて、やはり優先をして、そういうつくることができ得る土壌の中へぜひ――府から待っているんだということじゃなく、国が積極的にそういう実情の認識をなさって、建設にあるいは整備に取り組むべきではないだろうか。
 大臣、そういう一次、二次の状態あるいは大阪医科大学という十分な体制の中で三次救命救急センターの必要性を強く私はここで提唱をするわけです。そういう実情を踏まえて、もちろん大阪府から一つの手続、手順がありますけれども、そういう実情であるという認識に立って、大臣のお考えをひとつここで聞かしてください。
#152
○橋本国務大臣 私も、実は具体的にその三島地区という部分についての状況は把握をいたしておりませんが、いま医務局長に確かめてみますと、救命救急センターをつくる候補地というふうに聞いておるということであります。ですから、いま御指摘になりましたような他の部分につきましては、私ども実態を調べて検討してみたいと思います。
#153
○井上(一)分科員 ぜひ実情をお調べ願って、早急にその建設に着手していただくように強く要望をいたしておきます。
 次に、私は何らかの形でハンディを背負った人人に対する手だて、施策というものが少し不十分であるというか、少しというよりはむしろ全く不十分であるという表現を使いたいわけであります。なかんずく心身障害児、さらには成長して心身に障害を持った方々に対する手だてというものが余りにも冷たいのではないか、こういうふうに思うのです。それで、ごく簡単に質問をいたします。
 心身障害児として施設で、ハンディを克服しながら社会人になるべく復帰を目指しての機能回復あるいはそういう手だてを受けておる子供たちが成人になった場合、すぐにその施設から追い出されてしまうということをよく聞くわけです。これは施設の数の問題だとかあるいは予算の問題等があろうかと思うのですけれども、率直に言って、どうでしょうか、局長、不十分だということはもちろんお認めになると思うのですけれども、もっともっとこのことについては厚生省として力を入れなければいけないのだという御認識に立っていらっしゃいますか。
#154
○竹内政府委員 私ども、心身障害児の施設の整備は、これからもそうでございますし、これまでも計画的に整備を図ってまいりました。現在、総定員で申しまして六万四千三百十三名というのが総定員になっております。これに対しまして精神薄弱者、大人の方でございますが、施設につきましては、十八歳以上の者を含めまして今後ともふえてまいろうと思います。私どもとしては約三万七千五百九十三人の精神薄弱者の施設の収容定員を持っておりますが、さらに社会的に重要とすれば、これはもっと整備しなければならない。御指摘のとおりに考えております。
 ただ、一言つけ加えさせていただきますと、私ども、先生御指摘のような点もございますので、精神薄弱児の施設及び肢体不自由児の施設、それから重度の肢体不自由とそれから精神薄弱の兼ね備わった重症心身障害児、この三つにつきましては、その子供が特に障害の程度が重度であり、年をとっても引き続き置いておく必要があるんじゃないかという判断がありますときには、法律上は二十歳が限界ではございますけれども、必要に応じて入所できるという道も法律上残してございます。そういう点で、先生の御指摘については十分配慮しつつ取り組んでまいりたい、かように考えております。
#155
○井上(一)分科員 大臣に、私は法律上残してあるのだという、そのこともいまの問題としては決してそれをどうだという考えはないのですけれども、もっと明確に法律を制定すべきだ。法の整備がおくれておるから、予算についても十分でないし、あるいはそういう人たちに対して手厚い施策が全く講じられてない。自宅待機者が相当数いらっしゃるわけです。その人たちの人生というか、生きる道を全く摘んでしまっておるのだということを言っても過言でないわけです。八〇%前後の人が、極端な言い方ですけれども、何らかの形で社会復帰を望んでおるのです。私自身、厚生省の今回の予算の前年度比の伸び率から見ても、本当に一三・八%、非常に微々たるものだと思うのです。もっともっと思い切って厚生省が本腰を入れて、大蔵にうんと予算要求をして、こういう人たちに対する予算を組まなければ、本当に温かい、福祉に寄せる施策ではない。大臣、本当に強い反省の中から、ひとつ十分な法制度に踏み切るというぐらいの御決心をお持ちであるのかどうか、その一点だけお答えいただけませんでしょうか。
#156
○橋本国務大臣 予算編成に際して努力が足りなかったというおしかりは、まあ私どもなりに努力はしたつもりでありますが、足りなかったと言われれば、それはおわびを申し上げなければなりません。
 ただ、私いま伺っておって、井上さんとちょっと意見を異にする部分がございます。と申しますのは、私は自分の父親がたまたま肢体不自由でありましたためにそういう感じを持つのかもしれませんが、私は、各種の障害児、障害者の方々の施設入所が、本人にとっては必ずしも幸せだとは限らないという気持ちを実は持っております。むしろその意味では、私どもは、その御家庭において、心身に障害を持たれる子供さん、また成人に達した方でも結構でありますけれども、家計に著しい圧迫を受けないような状態をつくってあげて、御家族の愛情に包まれ得るチャンスを残す方が幸せなケースも多々あるという感じがしてなりません。現在まだ施設整備が十分に足りておらないことは事実でありまして、今後においてもこの施設整備の重要性は私ども決して忘れるわけではありませんけれども、施設収容が万能ではないということだけは私は考えてみる必要があるような気がいたします。その意味では、在宅対策というものがこれからなお一層力を入れていかなければならぬ課題であることも間違いありません。
#157
○井上(一)分科員 大臣、隔離した中で、とかいうのじゃないのです。一日も早く社会復帰ができるような、あるいは在宅で、本当にその子のため、その人のためなのかどうか、そこは十分考えなければいけないのですよ。
 大臣、それからもう一点、私は、児から者になる、いわゆる子供から大人にかわるそのときの施策がいまの法律では不十分だということを言っているのですよ。やむを得ないから、いわゆる児の収容施設において、者になっても引き続いて措置を講じているという現実は知っております。そして、それはどこかで法律を、そういうことも少しは逃げられるようにこしらえてあるのです――そんなものではいけないということを私は言っているのです。もっと真正面から取り組むだけの御決心をお持ちなのかどうか。それには十分な法を制定しなさいということなんです。それについていかがですかということです。大臣、どうぞ。
#158
○橋本国務大臣 ですから、むしろ私は施設整備はやっていきますということを申し上げております。その必要性を決して否定いたしてはおりません。
#159
○井上(一)分科員 時間がありませんので、もっとこの問題については大臣にお願いをしたいと思うのですが、いまのお答えは、法の改正も含めて十分な取り組みをしていきたい、改正ということが十分でなければ、法を充足して十分な手だてをしていくというふうに私は理解したいと思います。
 さらに私は、社会の宝は何なのかと聞かれたら、すかさず子供たちであるということを申し上げているのです。その子供たちに対して、本年は国際児童年でもあります。子供たちの健やかな成長は児童福祉法の冒頭に明記されているわけです。そういうところで、いろいろと厚生省としては今日までそれなりに施策を講じてきていただいたことには、私なりに一定の評価もしていきたいと思います。とりわけ、共働きの中で子供の保育を預かる保育所の整備については、年々その充実を満たしておるわけでありますけれども、それはいま申し上げたように、その取り組みについては私自身一定の評価をしたい、こういうふうに申し上げているのです。国には一定の負担が明確にされているわけでありますが、過去は、国の対応策としては非常に低額で負担額は打ち切られておったというのが事実であるわけであります。しかし、昭和四十八年から一定の基準単価を設けられるようになったわけであります。私はこの基準単価を設けたことについては、いま申し上げたように、それなりの前進であろう、あるいは実態に近づいたことだ、こういうふうに理解をしています。しかしながら、その基準単価も、実際にはまだまだ実額にほど遠いわけなんですね。ひとつ今後、いままでの取り組みの非は非として、あるいは取り組みの至らなかったことは至らなかったこととして、より前進さすための、あるいはその子供たちの十分な保育を考えていくという姿勢からも、今後その基準単価というものは実額に応じた単価に近づけていくべきであり、またそのようにしていくべきである、そのことが完全な保育につながっていくんだ、子供を大切にすることに国の施策が通じていくのだ、こういうふうに私は思うのです。いかがでしょうか、この点についてひとつお考えを聞かしていただきたいと思います。
#160
○竹内政府委員 保育所の整備費の補助単価につきまして、先生の御発言のとおりでございまして、私どもも、補助単価につきましては、標準仕様の設定を含めまして建築単価の改善に、今後とも実情に即しながらこれを引き上げて、改善に努めめてまいりたい、かように考えております。
#161
○井上(一)分科員 最後にもう一点、私は老人福祉について、老人対策についてお尋ねをいたします。
 老人福祉については、年金のこと等もありまして、お尋ねしたいことはいろいろとたくさんあるわけでありますが、ここでひとつ老人に対する住宅対策のお考えを聞きたいと思うのです。具体的には、これはたしか、日本住宅公団の家賃値上げのときにいろいろの質疑を交わした中で、とりわけ福祉に対する思いやりということも十分配慮していくというような答弁があるわけであります。ところが、住宅公団の方から厚生大臣に依頼があるわけでありますね。それは、老人世帯に対しては旧家賃との差額減額まで十分に考えない――現状の市町村の生活保護世帯に対する住宅扶助の限度額、五十三年度はたしか二万一千二百円だったと思うのですが、その上回ったときにはその差額を減額するというふうにしているわけでありますけれども、今回の公団から厚生大臣に対する要望については、老人世帯に対しては、生活保護を受けるということでない限り、その恩恵というか思いやりの施策が全くないということであります。
 そこで、老人世帯に対して一歩進めて、旧家賃との差額減額まで考えていくべきであるというのが私の考え方なんですね。そういう考え方に対して、公団に対して厚生省としては指導をされるのかどうか、あるいはそういう意思を厚生省は持っていらっしゃるのかどうか、あるいはこのことについて厚生省は何らかのサゼスチョンを公団にされたのかどうか、こういう点について質問をいたしまして、終えたいと思います。
#162
○山下政府委員 お話ございましたように、被保護世帯のほか、低所得の老人世帯、母子世帯、心身障害者世帯につきまして、生活保護の住宅扶助基準を超える部分については減額する、そこまでの配慮はなされているわけでございます。先生の御指摘は、現行家賃と住宅扶助基準額との間の問題、ここまでさらに配慮すべきではないか、こういう御主張であろうかと思うのでございますが、住宅公団側の判断もまたなければなりませんので、先生の御趣旨よくわかりましたので、これを受けまして、連絡して検討方を依頼してみたいと考えております。
#163
○井上(一)分科員 終わります。ありがとうございました。
#164
○玉沢主査代理 これにて井上一成君の質疑は終了いたしました。
 次に、大原亨君。
    〔玉沢主査代理退席、岡田(利)主査代理着
    席〕
#165
○大原(亨)分科員 予算審議中でありますが、私はきょう、原爆被爆者の現行制度の認定問題につきまして、具体的な例を挙げまして、政府のこれに対する見解をお聞きをいたしたいと思います。
 私どもは昭和三十二年に国会で決議をし、また原爆被爆者の認定制度を発足させたわけであります。当時厚生大臣は、恐らくお父さんが厚生大臣をしておられた後の年であると思いますが、当時は橋本厚生大臣、お父さんではなかったのでありますけれども、それ以来かなり時間が経過をいたしておりまして、この制度を運営いたしてまいりました結果を反省いたしてみますと、四十三年に特別措置法ができまして、医療法と二つ合わせて原爆二法で原爆対策を進めてきたわけでありますが、しかしこの被爆者対策の中心となるのは、言うなれば認定被爆者の制度であります。この認定被爆者の制度について、事実に照らしてひとつ再検討をすべき段階に来ておるのではないかという点を私は強調いたしたいと思うわけであります。
 非常に社会問題になりましたけれども、畠中敬恵さんという被爆者の方が、自分の胎内で被爆をした次女百合子さんを、いわゆる認定被爆者である原爆小頭症である百合子さんを抱えて、そして病気と暮らしとの間において非常に苦しんでこられた中で、つい昨年の年末も押し迫った段階で亡くなられたわけであります。亡くなられた段階で、すでに早くから認定申請をされておったわけでありますが、その認定書が畠中敬恵さんが亡くなられた後で届くというふうな結果になりました。自分の胎内で被爆をいたしまして原爆小頭症にかかられたお嬢さんは認定患者として認定をされておりながら、自分の母体の一部の赤ちゃんが認定されておりながら、母親が多量の放射能を受けているにもかかわらず、あるいは病弱であるにもかかわらず、認定されないのはなぜであろうか、こういう問題を私は具体的に取り上げて、制度の再検討の貴重な資料にしてもらいたいと思うわけであります。
 まず最初にお聞きいたしますが、畠中敬恵さんの申請から認定に至るまでの経過について、政府委員からお答えをいただきたいと思います。
#166
○田中(明)政府委員 畠中さんにつきまして、申請の傷病名は左大腿骨、右下腿骨腫瘍ということで昭和五十三年の十一月六日に申請がございまして、県から厚生省に進達されましたのが十一月六日でございます。この件につきまして、十一月二十七日に原子爆弾被爆者医療審議会において審議がなされました。審議の結果、添付されました医学的所見につきましてさらにバイオプシー、病理標本の検査によります腫瘍の病理組織学的な所見が必要であるということになりまして、厚生省から県を通じまして、担当の医師にバイオプシーの所見を照会いたしたわけでございます。この照会に対しまして担当の医師から、畠中さんの病状が重篤であってバイオプシーによる検査にたえられる状態ではないという回答を得まして、厚生省といたしましては、そういう状態であるならばやむを得ないので、担当のお医者さんからそれにかわる診断書の提出を求めまして、次回の審議会まで待つことをせずに、審議会の会長である御園生委員の意見を聞きまして、十二月二十五日に認定いたしまして、早速、県に通知いたしたところでございますが、畠中さんの病気の進行は非常に早く、十二月二十六日にお亡くなりになったわけでございます。したがいまして、厚生省の認定されたという通知を聞く前に畠中さんは御不幸にもお亡くなりになったということでございます。
#167
○大原(亨)分科員 畠中さんの認定疾病は骨移転がんというふうに診断をされておるわけですが、公衆衛生局長はお医者さんで専門家でありますけれども、言うならばこの疾病はどのような性質の疾病であるか、お答えいただきたい。
#168
○田中(明)政府委員 診断書にあります左大腿骨、右下腿骨の悪性腫瘍ということでございますが、一般的に骨の悪性腫瘍というのは、ほかの場所にありますがんから転移して骨に悪性腫瘍をつくるということが多いもので、畠中さんの場合も、恐らくほかの場所に原発巣がありまして、その転移によって骨の悪性腫瘍を生じたものであると考えられるわけでございます。したがいまして、そういうような意味合いから、原爆医療審議会といたしましても、病理的な所見を求めまして、初めのがんといいますか、がんの原発巣がいかなる種類のものであるかということを特定いたしまして的確な認定をされようとしたのではないかと考えられるわけでございます。
#169
○大原(亨)分科員 認定書に「骨転移癌(原発巣不明)」と書いてあります病気は早くからわかるものなのですか。早期に診断できるものなのですか。がんの進行が急速に進んで、そして致命傷になるものですか。そういう点についてお答えいただきたいと思います。
#170
○田中(明)政府委員 一般的に申しまして、がんの進行というのは、若い人の場合には早うございますし、高齢の方では遅いというふうに言われております。
 畠中さんの場合は、大正九年お生まれということでございますので、六十歳に近かったのではないかと考えるわけですが、年齢的に申しますとがんの好発年齢でございますし、特に高齢で遅いということもございませんでしょうし、特に若齢で早いということもないと考えられます。
 骨のがんにつきましては、先ほども申し上げましたように、通常ほかの原発巣から転移して骨のがんがつくられるということが多いわけでございますので、畠中さんの場合にも、恐らく原発巣はほかにあったのではないかと考えられるわけでございますし、診断書にも原発巣は不明という記載があるわけでございます。したがいまして、原発巣がどこにあり、それがいつごろから発生したかということについては、残念ながらわれわれが持っております医学的な所見でははっきりしないわけでございます。
 ただ、原爆といいますか、放射線を多量に受けた方の場合には、がんの転移等が起こりやすいということも言われております。
#171
○大原(亨)分科員 畠中敬恵さんの次女で百合子さんは、被爆当時は広島の約〇・七三キロ、ですから七百三十メーターのところで被爆をされたおけでありますけれども、妊娠三カ月でありました。現在三十二歳であります。認定を受けていらっしゃる方でありますけれども、その百合子さんの状況がどうであるかということについて、厚生省は認定に当たって事情をつまびらかにしたことがございますか。
#172
○田中(明)政府委員 当然、認定された疾病でございますので、お子さんの百合子さんについても、申請がございまして、それについて必要な医学的所見がつけ加えられておったわけでございますが、まことに申しわけございませんが、ここに手持ちとしては持ち合わせておりません。
    〔岡田(利)主査代理退席、主査着席〕
#173
○大原(亨)分科員 爆心地から七百三十メーターの地点で多量の放射能を浴びて、お母さんの敬恵さんは、やはり多量に放射能を浴びた人の症状と同じように、頭髪が抜け、歯茎から血が出、あるいは吐血をし、血便を出される、こういう症状を繰り返されたわけであります。そして、私どもが常識的に考えてみるならば、妊娠中に体内の一部の胎児がそういう障害を受けるという場合に、その母体が認定疾病の対象として国から認定を受けないということはおかしいのではないか。私は熊本の水俣病について調べてみたのですが、胎児性水俣病で二十四名の人が認定を受けているわけですが、その二十二名のお母さんはやはり認定を受けているわけです。この方は十二月二十六日に死没をされる一日前の二十五日に認定を急遽いたしました。そして認定書が着いたのが翌年の一月六日であります。そうすると、認定制度とは一体何であるかということが問題になると私は思うわけです。最近の認定の動向をずっと見てみますと、却下の比率が非常に高いわけです。そうすると、いまの認定制度自体に問題があるのではないか。いまの認定制度は、簡単に言って個人個人の疾病中心になっているわけでありますが、この認定の手続について簡単にお答えいただきたいと思います。
#174
○田中(明)政府委員 被爆者が原爆に起因すると考えられるような病気にかかった場合には、お医者さんの診断書等必要な医学的な書類を添付いたしまして、県を通じて厚生省に、原爆に起因する疾病であるからいわゆる認定疾病として認めてほしいという申請を出すわけでございます。その申請を受け付けた場合、厚生省は、先ほど申し上げました原子爆弾被爆者医療審議会に諮りまして、専門的な先生方の審議を経まして、それが原爆に起因する疾病であるというふうに考えられた場合にはそのように認定いたしまして、いわゆる認定疾病として認める旨の通知を患者の方に送るわけでございます。
#175
○大原(亨)分科員 現在の医療法ができて、四十三年に特別措置法ができたわけですが、特別措置法では健康管理手当の対象となる疾病十一を厚生大臣は指定をすることになりました。そして爆心地から二キロ以内で放射線を受けた被爆者は保健手当の対象になるということでありますね。
 そういうふうに制度がだんだんと改善をされてまいりましたことを振り返ってみますと、いまお答えになりました認定の制度というものは、言うなれば被爆者の申請に基づく認定であって、そしていわゆる認定疾病は、畠中さんの場合のように非常に致命的な欠陥、白血病とか骨髄がんとかいうふうな症状が出てきて初めて認定するということになるわけです。そういたしますと、認定制度というものが、制度の中心として放射能傷害に起因する障害者、被爆者に対する制度としては非常に後手後手ではないか。
 そこで、私はこの問題については改めて考え直すべき段階に来ておるのではないかと思うわけですが、これに関連いたしまして、畠中敬恵さんは爆心地から七百三十メートルのところで被爆をされたわけです。そこの被曝線量というのは一体どのくらいであったか、これをお答えいただきます。
#176
○田中(明)政府委員 広島の場合、爆心地から七百メートルの場所におきます直接被曝量は六千五百二十五レムと推定されております。ただ、ちょっと私どもの方から申し上げておきたいことは、畠中さんの被爆された地点、七百メートルということも言われておりますが、私ども厚生省に被爆者健康手帳申請を出す場合の書類には、榎町で、これは爆心地から一キロメートルの地点であったというふうになっております。一キロメールだといたしますと、被曝線量は千二百十三レムになります。
#177
○大原(亨)分科員 放射能の国際的な許容量の関係は議論のあるところでありますが、一般には許容量が五レムでありますから、いまお答えがありましたように、一千メートルの地点で一千二百十三レムというのは、これは瞬間的な放射能でありまして、後で残留放射能の影響があるわけでありますし、残留放射能はそれの倍くらいの汚染度を持っておる、破壊率を持っておる、こういうふうに言われておるわけですから、これは莫大な線量を受けられた。ですから、五百メートルとか千メートルあたりで被爆をした人は大体半分近くは死んでいるという状況であって、いろいろな事情で生きられたという被爆者に対しまして、畠中さんの場合でございますと、これはたとえばもう少し制度といたしまして、妊娠された方が小頭症になっているわけですから、そういう障害を受けているのですから、母体がたくさんの放射能を浴びて、その機能に障害が起きていることは事実ですから、そういうことを想定しながら、もう少し早く認定をするならば、これは一定の救済の目標を達成することができるのではないかということが一つ。
 もう一つは、おくれて認定したわけですが、認定によりまして一カ月分だけの特別手当と医療手当が出されたというふうに私は承知をいたしておるわけですね。そういう制度を、たとえば三十二年の制度が制定されたところまでさかのぼってやるということになるならば、そこから援護法などというふうに法の制定のところまでさかのぼるということになるならば、小頭症の患者――次男の人は、男の方は背中にお母さんがおんぶしておられて、被爆後翌月亡くなられておりますけれども、そういうことで、小頭症を抱えて長い間苦労をされて、自分自体の治療もできないという状況であって、土壇場で認定を受けるというふうなことからいいまして、さかのぼるというふうなこと等は、これは制度の中心といたしまして、政府は国家補償的社会保障であるというふうに規定づけるし、最高裁の判決もあるわけですから、そういう二つの面で私は検討を要する点ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#178
○田中(明)政府委員 現在の制度におきましては、先生御承知のとおりに、被爆者に起こりました疾病につきまして、それが原爆に起因するものであるかどうかということを審査いたしまして、起因するものであると認定された場合には、特別手当等、他のケースに比較しまして手厚いいろいろな措置が講ぜられることになっているわけでございます。これを、認定された場合に被爆時までにさかのぼるという御意見でございましたけれども、現在の法律のたてまえからはそれはむずかしいわけでございますし、ちょっとそこまでさかのぼるということにつきましては、私どもといたしましてもいろいろ検討する必要があろうかと存じております。
#179
○大原(亨)分科員 時間もなんですけれども、お答えがありましたように、いまの認定制度といえのは、個人が医師の診断に基づいて申請する、そしてその申請書類に基づいて厚生省は医療審議会にかける、その前に専門家の意見を聞く、A、B、Cに分ける、こういうふうな手当てを講じておるようでありますね。
 そこで、二カ月に一回開かれる医療審議会が、この畠中さんの例のように非常に後手に回るという例があるので、会長一任の方式等も今回はとられておるわけでありますが、そういう問題が一つあることと一緒に、その際に、やはり患者の立場、被爆者の立場に立って考えてみると、一定の致命的な障害を確認しなければ申請できないということになると、白血病にいたしましても、この場合のがんにいたしましても、なかなか申請の手続を出すことができないし、医師の方もなかなか書類を書くのにちゅうちょするということがありまして、問題であります。
 そこで、私は、これは大臣の考えも聞きたいわけでありますが、この畠中敬恵さんの例を振り返ってみまして、傷害作用に起因する疾病を認定するというぎりぎりの制度ではなしに、熱線、爆風、放射線を多量に受けた被爆者については、つまり保健手当の考えのように、爆心地から一定の距離において致命的な放射能を受けた被爆者については、いまの認定疾病の範囲というものを少し広げて、たとえば健康管理手当の対象となる関連疾病の十一のように広げてまいりまして、そういう機能の障害が身体に出たならば、放射能を多量に浴びた人については、非常に危険性を持つし、将来において管理をしなければならないという観点で、被曝線量を原則として、疾病の方を幅を広げた考え方で、健康管理手当の対象疾病と同じように関連的な疾病まで広げまして、そしてもちろん慎重を期するわけでありますが、認定制度を行うということが必要ではないか。いまの疾病を原則として距離を従に考えるという方向もさることながら、これは一キロとか、一キロを超えまして二キロとかいうふうな人や、妊娠者で残留放射能をたくさん受けておる人がありますから、そういう法文も残すことが必要でありますが、もう一つは、被曝線量を基礎にいたしまして、疾病をぎりぎり認定という範囲をもう少し広げて考えていく、そして認定制度が手おくれにならないような措置をとることが必要ではないか。こういうふうに私は畠中さんの例を見まして痛切に考えたわけでありますが、この点につきまして公衆衛生局長のお答えをいただいて、大臣の所見をお聞かせいただきたいと思います。
#180
○田中(明)政府委員 現在、原爆審議会におきましては、先生いま御指摘のとおり、疾病の種類あるいは被曝の線量等を非常に重要な参考の項目ということにいたしまして、専門家による審査を行っているわけでございますので、先生おっしゃられたことは当然現在の審査においても十分に加味されているのではないかというふうに私ども事務当局としては考えておるわけでございます。
#181
○大原(亨)分科員 いまのお答えはいままでやってきたことを言ったわけだが、それでは、いろいろな資料をこれからまた改めて援護法とか原爆二法のときにやりますけれども、やはり却下の比率が非常に上がっておる。昭和三十二年には一二%であったのが現在七五%になっておる。つまり認定の比率が急速に下がっておる。そういうことは、時間がたつに従って疾病の認定というものが非常に困難性を伴うということである。土壇場で認定したときにはもう手おくれだということになるのです。これはもちろんここで一遍に答弁して解決するという問題ではありませんけれども、そういう状況というものが全体から見ると実際に出てきておるわけです。そして三十何万の中で四千二百人余りが認定患者でありますが、どんどん死没者もふえて減っておるわけです。
 ですから、認定制度を放射能障害、原爆障害の中心的な施策とする場合には、もう少し側面を変えて、科学的な被曝の放射線量を基礎にして疾病を認定するという方法に、この認定にアプローチをしていくことが必要ではないか、こういうふうに思います。かなり議論のある問題でありますから、これはベテランでもある厚生大臣の方から御答弁をいただきます。
#182
○橋本国務大臣 現在でも、疾病の種類あるいは年齢等の状況のほかに、放射線量の多寡についても十分私は考慮しているところだと信じておりますけれども、御指摘の件についてのお話は、その御趣旨、お気持ちもよくわかりますので、広島、また長崎等の認定資料も十分に調査させていただきたい。そして原爆医療審議会等の意見を聞いて対処してまいりたいと思います。
 同時に、いま御注意になりましたような認定事務についてできるだけ速やかに行うように今後ともに努力をしてまいりたい、そのように思います。
#183
○野呂主査 これにて大原亨君の質疑は終了いたしました。
 次に、斎藤実君。
#184
○斎藤(実)分科員 私は特に地域医療の問題、なかんずく僻地の医療問題についてお尋ねいたしたいと思います。
 北海道の例でございますが、面積が広いし、人口が少ないということもあるかもしれませんけれども、私どもが地域を訪ねた場合、率直に要望なり陳情を受けることは、道路だとか学校だとかあるいは下水だとかいうこともありますけれども、最も深刻な問題は、お医者さんが足りないということなんですね。内科の医者はおりますけれども、外科がいない、あるいは産婦人科の医者がいない、あるいは眼科、歯科の医者がいないということで、何か突発的な病人が出た場合は車で二時間か三時間かかって都市に運ばなければならぬ。ある村では、お医者さんが来ないものですから、週に二日とか三日とかいうふうに公立病院からお医者さんを呼んでもらう。非常に深刻な問題を僻地では抱えておるわけです。
 私は、僻地における医療問題というのは、地域住民の健康という問題もありますけれども、人命に関するきわめて緊急な問題でございますので、この過疎地域あるいは僻地の診療所あるいは医師の不足、これをどのように厚生省は把握し、認識しているのか、まずこの点からお尋ねしたいと思います。
#185
○佐分利政府委員 厚生省といたしましては、僻地の医療の問題は非常に重要な課題だと考えておりまして、すでに昭和三十一年度から僻地医療対策を推進いたしております。第一次計画では診療所の設置に主眼を置きましたが、第二次計画では患者輸送車、巡回診療車の整備に力を入れました。また、第三次計画では国立病院その他の公的病院を親元病院として僻地に医師を派遣するという政策とか、また僻地の周辺の地域の病院、診療所、保健所等関係機関との僻地・地域医療連携対策、こういったものに力を入れてまいりましたし、また四十九年からは僻地に勤務する医師のための修学資金に対して補助金を交付するようにいたしました。
 現在第四次の五カ年計画が進行中でございまして、五十四年度はその五年目でございますが、この計画では特に広域市町村圏ごとに僻地中核病院といったものを設けまして、その病院に医師、看護婦を配置いたしまして僻地の診療所に交代で勤務させるあるいは巡回診療をさせるといった新しい政策を打ち出すと同時に、人口の比較的多い地区には保健婦を駐在させまして、保健指導所を設けて平素から地域住民の健康管理に力を注ぐ、一たん病気が起こった場合にはその保健婦が最寄りの医療機関に連絡をとる、そういった政策を進めております。
 現在御審議を願っております予算案においても、明年度は僻地医療対策は約六億円増額されております。
#186
○斎藤(実)分科員 いま第一次から第四次までの僻地医療対策について御答弁がありました。
 この第四次は五十四年度で最終年度を迎えるわけでございます。第四次までの対策については後でまた触れますが、五十五年度以降年次計画を立てて僻地医療対策を実施するわけでございますが、この第五次の柱は一体何を柱とするのか、まず伺っておきたいと思います。
#187
○佐分利政府委員 まず、基礎となります無医地区の調査を昨年十月現在で実施をいたしました。現在その内容を検討、整理中でございます。そういったものに基づきまして、これまでの四回にわたる僻地医療対策の経験を生かしまして、新しい時代に即応した新しい僻地医療対策を構想してみたいと考えております。
#188
○斎藤(実)分科員 行政管理庁から厚生省に対して、現在進められております第四次僻地医療計画の策定の基礎となっている昭和四十八年の無医地区調査に対して、勧告が出されておるわけでございます。その一つは、調査が非常に不十分だ、把握漏れもずいぶんある、あるいは厚生省と都道府県との間に無医地区の数に大きな差がある、あるいは無医地区の範囲のとり方など、その基準について再検討する必要があるのではないかというふうに指摘をされているわけですが、この勧告をどのように受けとめ第五次に反映させようとしているのか、御答弁いただきたいと思います。
#189
○佐分利政府委員 昨年十月の行管の勧告は、ただいま御指摘がございましたように、把握漏れが一部あった、また逆に無医地区でないのに無医地区として掲上したものもあった、さらに地元の市町村あるいは県と厚生省で地区のとり方に考え方の相違があった、これは具体的に無医地区が幾つも隣接してあるときに、一つとしてとるのか、複数としてとるのかといったような問題でございますが、そういった単純な問題も確かにございましたが、大きな問題は、たとえば四十八年に調査いたしました後、アフターケア、フォローアップを従来はしてなかったわけでございますね、その点を行管は強く指摘したわけでございまして、こういった計画は、たとえ五カ年計画であってもアフターケアを十分にして、ときどき見直しをし、補正をする必要があるのじゃないかということを申しております。
 したがって、昨年十月に実施いたしました無医地区調査についてはそういう点は十分注意をして、また各都道府県、市町村にもそういった点十分注意を喚起いたしまして調査をいたしました。
 こういった調査はすでに三十一年から行っておりますので、十分な経験を持っていたはずでございますが、先ほど申し上げたような単純なミスも一部あったわけでございます。今後はそのようなことがないようにしたいとまず考えております。
#190
○斎藤(実)分科員 過疎地帯あるいは僻地という地域は社会経済状態の変化によって非常に変わるわけですね。たとえば交通が便利になったとか、あるいは道路が便利になったとか、あるいは産業基盤の変化だとか、あるいは逆の立場もありまして、僻地の医療の対象地域の増減、これと年次計画とギャップが出てくる場合もあると私は思うのですね。それで、この僻地の調査を絶えず適切に、しかも正確に把握をするということがやはり大きな政策の裏づけになるのではないか。したがって、やはりきちっと状況を把握し認識をしなければ、次の手は打てないと私は思うのですね。それで、これから第五次計画が始まるわけですが、この僻地の無医地区調査はどういうふうになっておりますか。
#191
○佐分利政府委員 先ほど申し上げましたように、現在集計中でございまして、昨年十月の調査の結果はまだまとまっておりませんけれども、大体の見当では、四十八年の調査で約二千ございました無医地区が千八百余りに減っているのではないかと思っております。
 なお、そういった数の問題のほかに、各地区の内容についても精査をいたしております。
#192
○斎藤(実)分科員 次に、僻地に勤務するお医者さんを確保するために修学資金という制度があるわけです。これについてお尋ねをしたいと思います。
 これは四十九年から発足したわけですね。卒業後一定の義務年限というものを課して、そして僻地の医療に従事をさせることになっているわけですが、私は、この修学資金制度は僻地の医師不足解消のために実効のある対策となっているのかどうかということにきわめて疑問を持っておるものでございまして、この修学資金制度が果たして的確な効果をあらわしているかどうかについて、まず厚生省の見解を伺いたい。
#193
○佐分利政府委員 厚生省が補助金を交付するようになりましたのは四十九年度からでございますので、その第一回の卒業生が昨年三月に卒業したわけでございます。したがって、その十五、六名の卒業生について現在その後の勤務状況を追跡しているところでございまして、厚生省の補助金制度についてはこれからその成果がはっきりしてくると考えております。
 ただ、先生のおひざ元の北海道におきましては、私が北海道の衛生部長をやっておりました昭和四十五年にその制度を創設したのでございますけれども、はっきりと僻地に勤務しております者は一割に満たないわけでございます。しかしながら、なおその数倍の諸君が現在臨床研修を受けつつあるというような状況にもございますので、北海道の制度についても、現時点で端的に、この制度は余り効果がないと言い切ってしまうのはまだ早いのじゃないかという感じを持っております。
#194
○斎藤(実)分科員 いま、私が質問をするまでもなく、北海道のことに触れられましたから申し上げますけれども、修学資金の支給対象は、昭和四十五年からで医科が百五十人、歯科が二十一人、合計百七十一人が対象になっていまして、これに対して実際に辺地に赴任したのは医科の九人だけで、歯科医はゼロになっております。こういう状態でございまして、これは一体なぜこういうふうに僻地に行きたがらないのか、こういう制度が果たしてお医者さんを僻地にやれる大きなポイントになるかどうかきわめて疑問だと思うのですが、修学資金を支給するに当たっては、指定する辺地の公的病院あるいは診療所に最低一・五倍の期間勤務することを条件としているわけですね。だから、六年学校にいれば九年ということになりますね。金は貸してもらったけれども実際は行ってない、その場合には金はもう返してしまう、月五万円ですから三百六十万円ですか。これはよく聞いてみますと、なぜ僻地に行きたがらないかというと、子供の教育に困る、これがすぐ出てくるわけですね。それから勉強をする医療機関がないということ、それからアドバイスを受けたり相談する先輩がいないということ、こういう一つのネックがあるわけですね。これを解決しなければこういう制度をつくってもむだではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
#195
○佐分利政府委員 確かに、僻地の診療所だとかあるいは僻地の小さな病院だけで見ると、そのようになるわけでございますけれども、先ほど申し上げました、明年度が最終年度の第四次計画で打ち出しました、広域市町村圏に一つの僻地中核病院、この構想が実ってまいりますと、そういったところに勤務して僻地に交代で出るとか、あるいは巡回診療に行くとか、またそういった病院で医学の研究だとか研修が受けられるとか、そういったことが起こってくるわけでございます。そういった関係から、第五次の計画においても、僻地中核病院の拡大とか充実にはさらに力を入れて、ただいま先生から御指摘のあったような問題点を少しでも少なくしていこうと考えております。
#196
○斎藤(実)分科員 私ども実際に僻地に行くと、率直にお医者さんを何とかしてくれと、これは切実な問題なんです。商売がどうだとか景気がどうだとかいう問題じゃないわけですね。生命にかかわる問題なんです。ですから、この率直な僻地医療といいますかお医者さんについては、これは最大の努力をしなければならぬと私は思うのです。
 そこで、お医者さんを適正に僻地に配置をしていく、そして地域住民の要望にこたえるということについては、やはり大学教育あるいは医療行政あるいは受け入れ体制というものががしっとかみ合わないと、この問題は解決しないと思うのですが、いかがでしょうか。
#197
○佐分利政府委員 そのように考えております。
#198
○斎藤(実)分科員 大臣、この深刻な問題についてどう認識されているか、ひとつお答えいただきたい。
#199
○橋本国務大臣 先ほどから医務局長がお答えもしておりますように、第四次までの計画の最終年次を五十四年度に控えながら、まだ千八百カ所くらいは恐らく無医地区が残るだろうという状態の深刻さは、私どもも非常によく知っておるつもりであります。そして同時に、いま御指摘になりましたように、僻地に勤務することを条件として貸与を受けていた奨学金を返しても、その後行きたがらぬという実態も存じております。
 私は、いま医務局長が申しておりましたように、やはり一つのかぎは、僻地中核病院の整備というものにあると思います。そしてその僻地中核病院に籍を置く医師が、巡回診療あるいは僻地診療所に交代で勤務をする、そして一定時間たって今度は僻地中核病院に帰ってくる、そこにおいては自分の本来の研究、研修の場を持つことができる、こういうある程度のネットワークをつくっていかないと、最終的な決着はなかなかつかないという感じがありまして、恐らく、五十四年度で終わります第四次計画の結論を待って、引き続いて第五次以降の計画をまた組まなければならぬと思いますが、その中においてはやはり僻地中核病院の整備というものが一つの大きな基本の柱になるだろうと存じます。
 そのほかに、あと当然、僻地医療情報システムというものをこの中に取り上げていきたい、そういうものによって僻地における医療需要に適確な対応をしていきたい。また、いままで行ってまいりました施策の延長ではありますけれども、医師だけではなく、医療に従事する関係職種全体についての確保策そのものを改めて立てなければならぬ、そういう状態を私どもは目前に控えておる、そのように思っております。
#200
○斎藤(実)分科員 この僻地に対するお医者さんの件ですが、これは欧米の国では、卒業後一定の期間辺地に赴く制度がとられているところもあるようでございますが、日本においても、たとえば開業医になるあるいは保険医になる資格条件の一つとして、一定の期間病院勤務の義務づけをすることができないのか、こういう法的措置を考えてもいいのではないかと思うのですが、いかがでしょう。
#201
○佐分利政府委員 厳密な意味では、医師に僻地勤務を義務づけておりますのは、共産圏しかございません。ただ、イギリスとかオランダあたりでございますと、各地域の保険医の定数制がしかれておりますので、余った医師は自然田舎の方に、僻地の方に行かなければならない、こういうような仕組みになっているわけでございますけれども、西ドイツもかつてそういう制度をしいておりましたが、一九六五年、憲法違反で最高裁で負けたわけでございます。そこで、いつも憲法違反論がついて回るわけでございまして、なかなか一般医師また保険医に義務づけるということは困難ではなかろうかと言われております。ただ、アメリカにおきましても、国公立の大学を卒業した連中には義務づけられないだろうかというような議論は現在も行われております。
 したがって、私どもといたしましては、やはり従来の施策で、修学資金をお貸しするとかあるいは中核病院を整備するとか、あるいは医療金融公庫で特別の融資措置を講じるとか、また地元の県や市町村では行っておりますが、補助金等の助成措置を講じるとか、そういった方法で誘導するより仕方がないのではないかと考えております。
#202
○斎藤(実)分科員 現在、医学生が卒業しても、大学の付属病院だとかあるいは研修のためだとかあるいは学位を取得するためということで、どうしても地方に行きたがらない。その他にもいろいろ問題があると思いますが、私はこの解決策として、国立病院あるいは比較的大きな公的な病院の教育、研究機能を整備していく必要があるのではないか、特に大学の教育病院と関連を持たせて、この卒後研修を行うような活用の方法は考えられないものかどうか、いかがでしょうか。
#203
○佐分利政府委員 御指摘のとおりでございまして、現在臨床研修を受けております医師の八割は、大学の付属病院で研修を受けております。だんだんふえてはおりますが、大学以外の研修指定病院で受けている者はまだ二割でございます。数にいたしますと大学関係が百六病院、その他の指定病院が百五十八病院でございまして、欧米と比べましても、まだ関連病院と申しますか教育病院の数は少のうございます。したがって、ただいま御示唆がございましたように、私どもといたしましても、国公立の病院を整備強化いたしまして、どんどん若い医師を研修生として受け入れられるようにしてまいりたいと努力をいたしておりますし、また明年度の予算案でもかなりの予算が計上してございます。
#204
○斎藤(実)分科員 実は、先ほど私が僻地の実情をお話し申し上げましたように、現実には医者が足りない。そこで、地方自治体では、日本人の医者が来てくれないので、また来ても莫大なお金がかかるということで、じゃ一体どうするのだということで、外国から医師をずいぶん招聘をしているのですが、この外国からの医師の招聘の状況はどういうふうになっているのか、正確に把握をされているのかどうか、伺いたい。
#205
○佐分利政府委員 法務省と協力いたしまして、きわめて正確に把握をいたしております。
 昭和五十二年末で千百五十四人の外国医師が日本の国内で活躍をいたしておりまして、先年と比べますと百名近くふえております。ただ、この千百五十四人が全部辺地で活躍しているわけではございません。三百九十二人は大きな都市で診療に従事しておりますが、こういった方々も、辺地で長年診療に従事し、その後都会に回ってきた方が多くなっております。ただ、日本の場合は非常に医師の入国が厳しゅうございまして、日本の医師免許を持っていないと入国させないわけでございます。これは戦前日本の大学を出て免許を持っている人と、また戦後日本の試験を受けて免許を新たにもらったという人とあるわけでございますけれども、そういう意味で質的には余り日本の医師と違わないと考えております。
 しかし、言葉の上でどうしてもいろいろ不便な問題がございますので、現在やむを得ず辺地、離島等に外国医師を招聘いたしておりますけれども、そういった施策をやると同時に、先ほど来御要望のございました日本人の医師をできるだけ辺地とか離島に派遣するようにさらに努力をしてまいりたいと考えております。
#206
○斎藤(実)分科員 北海道は三百五十の無医地区を抱えておるわけでございますが、全国と北海道を比較してみても、人口十万人当たりの医者の数は、北海道が百十一名で全国が百十九名ということで医者が少ないわけでございます。先ほど申し上げましたように、医者の確保についてはこれは大変頭の痛い問題です。道内に医者を定着させるためには、私は医科系の大学といいますか、北海道に国立医大の新設ということが必要だろうと思うし、ぜひひとつ厚生省でも検討していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#207
○佐分利政府委員 北海道にはすでに北海道大学医学部と札幌医科大学、さらに旭川医科大学と三校あるわけでございますけれども、あのように広大な地域でございますし、また地域的に見ると道東方面で非常に医師が不足しておるわけでございます。そういった関係で、昨年から実施に移されました第四次北海道開発計画においても、この計画の十年間にもう一校国立大学を道東方面に誘致したいという計画が盛られていることはよく承知いたしております。
 この点につきましては、文部省ともよく相談をしながら、ほかの県でまだ医科大学を誘致してもらいたいとか、あるいは医科大学を国立に移してもらいたいとかいろいろな問題がございますので、そういったことも文部省であわせてお考えになるのじゃないかと思いますが、厚生省としては、できるだけそのような御期待に沿えるように側面的な援助をいたしたいと思っております。
#208
○斎藤(実)分科員 以上で質問を終わります。
#209
○野呂主査 これにて斎藤実君の質疑は終了いたしました。
 次に、中野寛成君。
#210
○中野(寛)分科員 ただいま辺地の問題が取り上げられていたわけでありますが、私は逆に今度は人口急増都市の立場から、保育所の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 すなわち、保育所に関連をいたします超過負担の問題ですが、教育財政とあわせましてこの超過負担の問題は訴訟も提起されておりますし、そして大臣を初め厚生省の皆様方、それこそ耳にたこができるくらいに今日まで聞かされてもきていると思うのであります。言うならば、こう申し上げれば何と何を問題点として私が御指摘を申し上げるかというのが、もうすでに頭の中で想定されるくらいではないかとさえ思うのでございます。しかしながら、現実にはそれぞれの自治体は大幅な赤字財政の中で、この教育及び保育所に関する財政赤字というものがきわめて深刻な問題を提起し、そしてその財政硬直化の原因として占める比率は本当に大きなものがあるわけであります。あえてこの問題を再び取り上げざるを得ない、そういう感じがするわけであります。
 中でも、この場合には、特に施設整備費が中心となるわけでありますが、あわせまして、これは全国的な問題として保育運営費に関する超過負担の問題も同時に提起せざるを得ないわけでありますが、保育所不足とあわせまして、今日どれだけの要保育児童がなおまだ待機をさせられているか、ウエーティング状態にあるか、そうしてどれだけ保育所がまだ設置されなければならないか、そしてそれに対して、これは設置基準に対する感覚の違いから、金額に換算すると大変大きな差が出てこようかと思いますけれども、現在の必要数等について厚生省としてどのように把握しておられますか、まずお伺いしたい。
#211
○竹内政府委員 要保育児童の数の中で現在、約二万カ所、二百万人の保育児童を保育所で入所をさしているわけでありますけれども、現在大ざっぱな感覚で申し上げますと、約二十五万人の要保育児童がいわば先生のおっしゃる待機の状態というふうにグロースで理解いたしております。したがいまして、総体的な考え方でいきますと、あと二十五万人ということになりますと約二千五百カ所くらいということになりましょう。大ざっぱな計算になりますけれども、約七百億ないし七百五十億くらいが、保育所の整備というだけになれば、正確な数字ではございませんけれども、大ざっぱな感じとして申し上げられるのではないかと思います。
#212
○中野(寛)分科員 時あたかも国際児童年でありますが、同時に、私自身も地方議員の経験がありますが、たとえば幼稚園と保育所のどっちを建てるかという選択をもし財政上迫られたとしたら、自治体はいやも応もなく保育所を選ぶと思います。私たちもそのような立場でやってまいりました。すなわち、保育所に関する親の願い、そして住民の願いというのはそれだけ強いわけであります。
 私はそういうことから考えますときに、まだ待たされている二十五万人の皆様のために、かつ自治体の財政事情のためには設置基準、そして超過負担その他のことについて本当に厚生省として真剣にお取り組みいただかなければならないことは申し上げるまでもないと思うのであります。当初あたかも国際児童年と申し上げましたけれども、本当に子供たちが安心して預けられる――親の事情または財政的な事情、家計の上の事情で保育所に預けなければならないという事情はむしろなくさなければいけないことではありますけれども、しかし親、だれとても好きこのんで保育所に預けるわけではございません。その重要性から考えますときに、本当に真剣にこの問題が考えられなければいけないと思うのであります。
 たまたま教育施設と保育所施設をよく対比して論じられることがあります。これは厚生省のサイドからすれば必ずしも本意のことではないかもしれません。きわめて不本意なことなのかもしれません。しかし住民の立場から見ると、これはいやが応でも対比せざるを得ないように並んでいるのであります。でありますから、そこであえてそのことを付加させていただきますと、たとえば人口急増都市の場合には、用地についても義務教育施設は措置がなされております。もちろん三分の一補助であり、まあそれを三年間にわたって交付するわけですから、その内容はまだまだ十分とは言えないかもしれません。しかし、交付率等を四〇%から五〇%に上げる、ことしは昨年の七〇%から七五%に上げる等、用地費についても大変前向きに取り組まれてきたところであります。もちろん教育施設といえども、用地は償却資産ではないという立場から、今日までというよりも数年前までは、教育施設といえども措置をされていなかったいきさつも私は承知をいたしておりますが、それでもなおかつ、人口急増都市は人口がふえて、そして次に何が施設として必要かというと、学校より先に保育所であります。いろんな状態等を勘案して、これら保育所の行政について幅広くかつ緊急に積極的な施策が望まれるわけでありますが、大臣の基本的な御所信を承りたいと思います。
#213
○橋本国務大臣 中野さんが御指摘になりました実態というものは、私どももいやというほど存じております。
 もともと私どもは、保育所というものが要保育対象児というものを中心にして考えられていた時代において、ほぼ百六十万人分の保育施設を完備すればその需要にこたえられるという考え方を持っておりました。ところが、四十七年に文部省、厚生省の両方が共同で地方自治体を通じて実態調査をし、将来における幼児保育、幼児教育機関の要望等を調査してみますと、その数字は大幅に狂わざるを得なかったわけであります。そしていま児童家庭局長からお答えを申し上げましたような数字を現実のものとして受けとめ、それに対して保育所の緊急整備を始めて今日まで参りました。その間におきまして、ある程度数を整備していく必要上、手おくれになっておった部分があることは事実でありますし、今後においてそうした点を一つずつ埋めていかなければならないことは間違いありません。
 ただ、私ども、四十九年度に厚生、大蔵、自治三省の合同で実施した施設整備の実態調査の結果等に基づきまして、補助単価の引き上げとか補助基準面積の拡大等、逐年改善の措置をとってまいりました。ですから、ある程度いわゆる超過負担問題というものに対して国としてはこたえる努力はしてきたつもりでございます。
 五十四年度予算における保育所の措置費の改善等につきましては、五十三年度に厚生、自治、大蔵の三省が合同で実施をいたしました昭和五十二年度の保育所措置費補助金実態調査の結果を踏まえて、保育所の人件費等についてもそれぞれの改正を加え、多少ともに地方自治体の財政負担の軽減を図ってまいりました。今後においても逐年そういう努力はしてまいるつもりでございます。
#214
○中野(寛)分科員 大臣のお答えも、この問題意識をお持ちになって、そして前向きにお取り組みになっていることは私も了解をするものであります。ただ問題は、自治体が保育行政にかけている費用と、そして国庫が負担をしている費用との差が余りにも大きいということであります。もちろん国の算定基準よりももっと費用をかけて施設を建て、そしてまた、人件費に至ってはむしろ国の基準よりもかなり保母さんの数をふやしている、そういう実態はあります。しかし、これでも、決して単に自治体が住民のごきげん取りでそれをやっているということではなくて、やはり住民なり父母からの本当に切実な願いがそこに発揮されて、行政の現場である自治体は、財政事情が苦しいにもかかわらず、やむを得ずその問題に取り組んでいるということを前向きに理解していただきたいと私は思うのであります。
 そういう意味で、今日時点でまだ、たとえば職員配置基準にいたしましても、ゼロ歳児、一歳児、二歳児、これがいわゆる六対一という関係、それから三歳児が二十対一、四歳児、五歳児が三十対一という関係にしましても、ほとんどこのとおりに守っている自治体というのは、実は私の知る限りでは少ないのであります。必ず自治体から大臣に恐らく年末年始要望があったでしょうけれども、これはすべてこの保母さんの数をもっとふやしてほしい、保母さんのいろんな労働条件その他も考え合わせながら、これはきわめて切実に望まれていることであります。このことを、単に国の基準がこうであるから、そして目下それを改正する意図はありませんというお答えだけでは、実は自治体も納得しませんし、ましてや住民はなかなか納得しがたいのであります。まして、一時的に子供が教育の目的で預けられている幼稚園と違いまして、保育所での保育は生活そのものであります。そこに私は、学校の教師や幼稚園の先生とまた違ったきわめて大きな意味があると思うのであります。
 そのことにつきましても私は考えていただきたいと思いますし、たまたまこれは私の住んでいる町の百四十人規模の保育所で、五十二年度の決算でどうなったか、決算としては一番新しい決算になるわけでありますが、それで調べますと、たとえば一つの保育所を建てるのに、面積八百三十八平米ですが、金額が一億四千六百六十万かかっているわけであります。その約一億五千万に近い費用のうち、国の算定基準によって算定をいたしますと八千百万円にしかならない。約半分の算定基準になってしまうんです。これはどこから出てくるんだろうか。またそれ以外に、外部工事といたしましてプール、手洗い場、足洗い場、遊具等を計算に入れますと、もっと費用は加算されます。そのほか、建てる前に土地のボーリングをいたします、設計をいたします、事務費を出します。これを加えますと、もう一つ加算をされてしまうわけであります。この差はどうして出るんだろうか。
 ちなみに、ぜいたくな建物を建てているんではありませんかと聞いてみました。そういたしますと、たとえば建設コストが確かに五十二年度若干高目の分はあったかもしれないけれども、それでもむだな税金を使わないようにするために精いっぱいの努力をしたという答えと同時に、民間の保育所流にいろんなことを切り詰め、または切り捨てて建てたとしても、たとえばこの場合の町の単価は人数で割りますと約十七万になりますが、民間保育所でも十三万ないし十四万かかると言われています。国の算定基準で、単価は十万そこそこであります。その後引き上げられまして、五十三年度約十一万二千に引き上げられてはおりますけれども、この差はいかんともしがたいのであります。これについて自治体としては、本当にもう叫び出さぬばかりに、何とかしてくださいという要請をしている。それ以外に、設備整備費として厨房費等を入れてまいりますと、やはりまた国の算定基準の二倍の費用がかかっております。この違いはどこから生まれるんでしょう。
#215
○竹内政府委員 お答えいたします。
 先生御指摘のように、豊中市のケースでございます。おっしゃるように、本体の工事の単価が平米当たり、実際にやられたのが十七万五千円、国の単価は十万三千八百円でございます。単価差がすでにもう約七割そこに出ているわけでございます。
 もともとこの部分について申し上げましても、私どもの方は国の建築基準単価としては、建設省の官庁営繕の単価を参考にして、それをベースにして実は算定をいたしております。そういった関係上、一概に個々のケースの単価をフルに私どもがそのまま国庫補助の対象というのはなかなかむずかしい点もございます。その点は、それぞれ個個の保育所の整備費の補助を申請されるところにも十分御理解を得ながら、そういう状態だということの中で御判断をいただいてきておるわけであります。もちろん私どもも、先生も御指摘のように、五十三年度にはさらにこれを上積みし、また五十四年度もさらにこの単価を引き上げて、できるだけそういった実行との差が縮まるようには努力はいたしますけれども、しかし私どもの立場からいたしましても、この平米当たり十七万五千円という単価はいささか、大阪の豊中という地域的な事情があるにいたしましても、正直言って、素直にそのまま国の補助単価に持ち込んでしかるべきものとまで言い切れるかどうか、ちょっと疑問を持たざるを得ない点がございます。
 それから、もともとその面積につきましても、私どもの方で示しております保育室、遊戯室の平米が、百四十人規模のところに当ててみますと、約三百三十平米に対しまして、大体四百四十一平米というふうに百平米ばかり多いわけであります。そういったこともありまして、御指摘のように、八千百三十七万九千円の補助で、差し引き六千五百万円のいわば超過負担を現実に生じたということはございます。
 そういった意味で、先生の御指摘それ自体について、その単価がいい悪いということの前に、少なくとも自治体が国の示された単価で現実にその保育所が標準規模のものがきちんと建てられる、またそれが実行上も可能だというだけの単価であるようにという努力は今後とも続けてまいりたいと思いますが、その意味ではどうしても、ただ保育所だけではございませんで、社会福祉施設整備費全体の中で、各収容施設等の設備費の単価の問題とも横に絡み合いますので、なかなか十分に御期待に沿えないという点はおわびを申し上げますけれども、これからも努力はいたします。とは言いながらも、御指摘のような単価が常にフルに補助対象になるようにということについては、若干これからの時間的な余裕をいただきませんことには、私どもも十分対応いたしますという確信のあるお答えをするには至りませんのをおわび申し上げたいと思います。
#216
○中野(寛)分科員 そこまでお認めいただきますと後が言いにくくなってしまいますけれども、それでは結局どうするのだということにしかならないのでありますけれども、これは一つだけ加えてお聞きしますが、算定基準に比べてそのような市町村の保育所というのはぜいたくなんでしょうか、国の算定基準の基礎となる設置基準というのでしょうか、そういうものに比べて。そしてその設置基準というものはそれぞれ明らかにされているのでしょうか。
#217
○竹内政府委員 お答え申し上げます。
 設置基準そのものは標準仕様として示されておりますし、単価につきましても、官庁営繕単価をベースにいたしまして、その補助の際にもきちんとその単価を幾らというふうにお示しをした上で、補助の協議をいただいておるわけでございます。
#218
○中野(寛)分科員 最終的に十分でないというふうにお認めになられましたので、厚生省はその認識があるのだということがわかりましたけれども、結局、もしその設置基準だとかというものにきちんと合った保育所でなくて、それよりもよりりっぱな充実した保育所が建てられたりした場合、それはその市町村のぜいたくというふうに考えるよりも、むしろいま国の設置基準の方が実態に合わないのではないか。国民の要求、住民の要求というものに必ずしも合わないのではないか。むしろ多くの自治体が国の基準よりもよりよい方向に持っていったとした場合に、それは国の基準そのものを今度は逆に変えざるを得ないということになるのではないか。むしろそれよりもいっそのこと、国の方でこれは最低基準ですとおっしゃるのならばまた別であります。そしてこの最低基準しか財政の都合上補てんできませんと最初から頭を下げてしまうのだったら、それはまた話は別ですけれども、しかし私は、その基準そのものだって洗い直さなければいけないだろうし、そしてこの超過負担についてはやはり最大の努力を払って、中央、地方が力を合わせてこの大事な事業を進めていくという姿勢を示すためにも、大変な御努力をお願いする以外にない、このように思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
#219
○橋本国務大臣 また認めてしまってしかられるかもしれませんが、御指摘のような問題点があることを決して私は否定をいたしません。ただ、それは最低基準というものとは私は違うと思うのです。というのは、大体現実にそういう国の示しております基準どおりで保育所を運営していきたいというところ、おつくりをいただいておるところがあることも、これは中野さんお認めをいただけるだろうと思うのです。
 そうしますと、地域によって相当開きのあるものの中で、大変失礼でありますけれども、大都市の人口稠密地帯、さらに人口急増という問題を抱えておられる地域とそうでない地域を一律の中での御議論というのには、ちょっと私は無理があるのではないかと思います。ただ、基本的に御指摘になったような問題があることを私は決して否定をいたしません。
 そしてなお、二十五万人余りの保育所の整備を私どもが急いでいきます過程の中で、これからむしろ零歳児保育でありますとか、さらにいま少しおくれております三歳児保育の拡大であるとかあるいは障害児保育とかいった、住民の保育の多様化というものに対する答えも私どもが出していかなければなりません。そうした中で、総合的な保育対策というものを推し進めていく中において、今後少しずつでも私どもが改善をしていくということをきょうは申し上げておきたいと思うのです。その点は御理解をいただきたいと思います。
#220
○中野(寛)分科員 大臣の御答弁の中に、やはり地域差等もあって一律にはいかないというお答え、私はその御答弁を大事にしたい。むしろこういうところは地域差があって大変費用がかさみますから、逆に言えば、地域差があるからこそ何とかお願いしたいと言わざるを得なくなってしまいます。私はそのことをぜひ御勘案をいただきたいと思います。
#221
○橋本国務大臣 むしろ今後において私どもが検討していくべき一つの課題と受けとめさせていただきます。
#222
○中野(寛)分科員 それから今度は、人的な配置基準の問題でありますが、時間がありませんから、この問題とあわせて、いま大臣の御答弁の中にございました障害児保育の問題であります。
 ことしの予算書を拝見いたしますと、大変前向きにお取り組みいただいていることがよくわかります。障害児保育費の充実として、対象人員を五百九十一人から千八百二十四人にまで引き上げているわけですから、その御努力は多とするところでありますが、しかしながらこれまた、実際の需要という言い方はどうもあれですが、行政需要から見ますと、本当にまだまだ内容が少ないと言わざるを得ない。
    〔主査退席、岡田(利)主査代理着席〕
むしろこれは何か特別の条件を付した障害児の中のこういう障害児の人、またこの程度の障害児の人という条件をつけてしまっているのではないかと思えるくらいに、まだ実数から比べると少ないわけであります。
 障害児の場合には、早期発見、そして早期の措置が大変望まれます。また同時に、障害児を持っておられます、また保育児を持っておられますような年齢のお父さん、お母さんというのはまだ若うございますから、遠くの施設にそういう障害児を預けに行くということは大変な負担であります。身近にあります保育所で障害児保育がなされるとするならば、これこそ本当に行き届いた保育行政ということが言えるだろうと思います。せっかく取り組み始められました障害児保育で、たまたまことしは文部省の方でも養護学校教育を義務化して取り組んでいるわけでございますけれども、私はそれが保育所だから学校だからと必ずしも区別したくないのです。やはり意味は、保育の場所であろうと教育の場所であろうと同じ意味を持つと思います。まして保育所も人間教育の場であることに変わりはないと思います。そういう意味で、より一層この問題には真剣に取り組んでいただき、かつその人的配置につきましても格段の措置をお願いしたいわけであります。
 ちなみに、私もいまの事例で申し上げますと、豊中で障害児保育について幾らか国からもらっているのと聞きましたら、いや、まだ一銭ももらっていませんという答えが返ってまいりましたが、この差はいかになっているのか。今後の御計画、お見通しもお聞かせいただきたいと思います。
#223
○竹内政府委員 障害児保育につきましては、御指摘のように、本年度はまだ対象人員数が必ずしも十分ではございません。そういったことから、最終的な調整がおくれまして、豊中市を含めまして全国の障害児保育を行っているところに対する障害児保育の補助金の交付は三月に延びておりますので、大変申しわけないと思いますが、三月には対象数に対して補助が行われる予定でございます。
 ただ、昭和五十三年度中の中間でございますけれども、私どもが掌握しました補助対象として、都道府県から協議をいただきました総数が千七百三十四名でありました。つまり千七百三十四名が、昭和五十三年度に一応各都道府県が障害児保育の補助金の対象として厚生省に申請をしてきたというものでございます。これをある程度前提にいたしまして、私どもは明年度約千八百二十八名という数字をはじいたわけでございますが……。
#224
○中野(寛)分科員 ちょっと答弁の途中ですが、ちなみにその豊中市で障害児保育としてやっているのが八十四名いるのですが、この数字と全国的ないまおっしゃった数字と比べてみますと、実数が大変違うわけです。だから、障害そのものの内容についても御判断が違うのではないのですか。
 それともう一つ、府県に対して市が今日まで要請をしても、都道府県段階で切られている実態があることも御存じだと思います。
#225
○竹内政府委員 大阪府について申し上げますと、先ほど申しました千七百三十四名のうち、大阪府は約四百名を占めております。つまり大阪府が全国の障害児保育の約四分の一を占めておる。次が東京都の約二百名という数字でございます。したがいまして、豊中市の八十数名のように、大阪府は障害児保育についてもいわば先進県でございまして、障害児保育の対象児童数が一番多い自治体でございます。豊中市の八十数名というのは私は決して否定いたしておりませんし、それを前提にした上での千七百三十四名であるということを申し上げております。
 それから、おっしゃるように、確かに、都道府県でそのチェックをする際に、一市町村で一人だけというようなケースがございますと、市町村に対する補助金がいわゆる零細補助になって、実はいまの補助金の仕組みからしますと、その補助対象にならないわけでございます。そういう零細補助の対象のために、対象に乗ってこない数もそのほかにございますことを私どもは理解をいたしております。私どもとしては、たとえ一人でもこういった者がその対象になるようにという努力は将来とも続けてまいりたいと思いますし、そういう意味での改善はこれからも図ってまいりたいと思います。
 しかし、先生が御指摘のように、少なくとも障害児保育が行われることが、いわば在宅の障害児を持つ親御さんたちにとって非常に大きな救いにもなろうし、健常児の子供にとってもプラスだと思いますので、この点については今後とも格段の充実を努力することをお約束いたしたいと思います。
#226
○中野(寛)分科員 時間ですから、終わります。ありがとうございました。
#227
○岡田(利)主査代理 これにて中野寛成君の質疑は終了いたしました。
 次に、貝沼次郎君。
#228
○貝沼分科員 質問の前段といたしまして、私のところに意見書がありますので、その一部分を読んでおきたいと思います。
 「太平洋戦争直前、戦傷兵の外科手術に際し、負傷部位の血行障害状況を調べる手段として、旧陸海軍が、X線造影剤「トロトラスト」の注射を行なった患者の実数は、三万人に及ぶと推定されている。「トロトラスト」の注射は、これにより外科手術の作業を容易ならしめた利点があったことは確かであるが、反面次に述べる致命的な一大欠陥を包蔵していたことに対しては、当時の医学的知識水準では、これを殆ど無害と看做し、回復し得ない恐るべき薬害の存在についての適切な配慮を全く欠いていたことは、かえすがえすも遺憾な次第なのであった。 即ちこの「トロトラスト」の主成分は、放射性物質トリウムであり、現在原子力発電等で重大な社会問題となっている放射性元素プルトニウムと同一種類の放射線、即ちα線を半永久的(半減期百四十億年)に放出する。そのため、一度これを人体内に注入した場合は、「トロトラスト」は永久に人体内に沈着して、絶えず放射線を放出し続ける所謂内部被曝の結果、爾后三十―四十年后には、普通人に比較して、肝癌(二十二倍)白血病(四倍)等を発生させる危険極まりない造影剤なのであった。(因みに昭和二十五年厚生省はその使用を禁止した。)」というような意見書が来ております。
 トロトラストのことは、社会労働委員会でも昭和五十一年ごろにもうずいぶん議論なさっておりますので、一々私が申し上げるまでもないわけでありますが、しかしながらこの問題の特異性といたしましては、一つは人道問題であるという――軍人として戦争に行かなければかからなかった病気である。国のために働いてかかった病気で、自分自身の自由意思でかかったものではないということなんですね。ここに国家的救済の責任があると私は思うわけであります。そういう意味から、救済はナショナルプロジェクトで当然やるべきであった。WHOあたりでは、日本ではナショナルプロジェクトでやっておるというふうに考えておるようでありますが、実態は当然そうならなければならないと私は思うわけであります。しかし、ちょっとほど遠いのではないか。
 もう一点は、放射線から人体を守るための安全基準を見つけ出すために、実はこれはかけがえのない経験であるということだと思います。しかも、現実にトロトラスト患者はいま発がんしているということ、そのためにその救済あるいは治療法の発見は焦眉の急を要する問題だと私は思います。
 またもう一点は、原発問題とも深いかかわり合いを持ってくるということが考えられますので、この際しっかりした解決策を立てておかなければならないというようなところで、問題は非常に重要であると思いますので、今回もう一回取り上げさせていただいたわけでございますが、こういう点についての認識について大臣はどのようにお考えでしょうか。
#229
○橋本国務大臣 いま貝沼分科員が御指摘になりましたような問題点を踏まえて、私たちはトロトラスト沈着者に対する対策というものは今後ともに継続的に行うべきものと考えております。
 御承知のとおり、肝臓等に沈着し、晩発性の障害を生ずるものでありますから、継続的な定期検診、障害の早期発見、早期治療を行う必要が当然あるからであります。
 これについての細かい点につきまして局長から補足をさせますが、認識としては、そうしたものを踏まえてこういう考え方をとっているところであります。
#230
○河野(義)政府委員 いま大臣から申し上げましたように、そういう考え方のもとにおきまして、今年度トロトラスト沈着者に対する検診を実施したわけでございまして、まず沈着者を正確に把握するということ、それからそれらの人に対しましての健康管理を五十四年度以降展開する、こういうふうに考えておるわけでございます。
#231
○貝沼分科員 それで、五十一年に国会で議論されて以後いろいろと厚生省では対策を講じておるようでありますが、その対応策について説明をしていただきたいと思います。
#232
○河野(義)政府委員 五十一年に、先生御指摘のように、この問題が取り上げられまして、まずトロトラストの沈着者をどのように把握するかという問題に取り組みまして、検診方法等につきまして結論を得て、五十二年度とそれから五十三年度におきまして、戦傷病者でトロトラストを注入されたと思われる人について検診を実施しておるわけでございます。現在継続しておりますが、われわれといたしましては、検診漏れのないように十分周知徹底を図っておるところでございます。
 その結果、トロトラストが注入されている方につきましての健康管理対策を今後実施してまいるわけでございますが、その基本的な姿勢は、トロトラスト注入者を正確に把握、管理いたしまして、障害を早期に発見して、早期の治療の体制を確立する、こういうことで進めてまいりたい、かように考えております。
#233
○貝沼分科員 健康管理の実施を継続的にこれからされるということでありますが、現在、トロトラスト沈着者の年齢とかその辺を考えてみましても、恐らくこれからふえることはないだろうと思いますし、そういう点から考えましても、私は二十年ぐらいは継続的にやらなければならないんじゃないかと思う。
 したがって、先ほどの継続的に健康管理等をやっていくということは、大体どういう内容のことをお考えなんでしょうか。
#234
○河野(義)政府委員 トロトラスト沈着者は、御指摘のように、最近高齢化されていることも事実でございまして、その障害の性質上、長期にわたって継続的に実施していかなければならない問題であるわけでございます。
 今後のトロトラスト沈着者に対する健康管理の方法でございますが、まず、五十四年度からは年二回身体の全機能にわたる検査を実施するという方針でございまして、その結果を中央に集めまして、これをマクロに観察する、そういう体制を考えております。それから、一方これに関する専門家の委員会を設けまして、トロトラスト沈着者に対する治療指針とかあるいは生活指導要領、そういったものを作成しまして沈着者に対する適切な健康管理を実施していこう、このように考えております。
#235
○貝沼分科員 先ほど私は二十年ということを一応申し上げたわけですが、その長さについてはどう考えますか。
#236
○河野(義)政府委員 必要な期間につきまして考えていきたい、かように考えております。
#237
○貝沼分科員 それはぜひやっていただきたいと思います。
 それから、五十二年度、五十三年度と実態の掌握を呼びかけによってやってきたわけでありまして、この辺は西ドイツのやり方とはちょっと違うわけであります。たとえば岡山県の場合を見ますと、戦傷病者手帳を持っておられる方が三千七百八十一名のうち受診者千七十七人、大体二八・五%という受診率でありますが、恐らく全国的にも五〇%足らずではないかと思うのです。したがって、当然落ちこぼれというものが出てくるわけであります。その落ちこぼれの方々に不安を与えてはならないというのが私の言わんとするところであります。
 そこで、今回の実態把握のときに呼びかけに応じなかった人でも、後日これは病気が出てきたとか、明らかにトロトラスト患者であるというふうにわかった場合には、どういうような対応を講じられますか。
#238
○河野(義)政府委員 まず私ども、受診漏れがないようにということをいまの段階で一番考えております。都道府県を通じましてトロトラストを注入された方に呼びかけて、あと一カ月ちょっとございますが、その期間に全員受診されるように、また戦傷病者の組織、御承知のように日本傷痍軍人会もあるわけでございますが、日本傷痍軍人会の組織を通しても現在その周知徹底を図っておりますし、それから先月全国民生部長会議の議題にも取り上げまして、まず受診漏れのないようにと周知徹底方を強化していく、そういうお願いもしたわけでございます。
 それから、いま先生が御指摘のように、それでも受診されなかった方があった場合の問題でございますが、そういったケースの中で一般の検査をされた場合に、その結果トロトラストが沈着していることも判明したというようなケースも出てこようかと思います。自分は大丈夫だと思って受けていなかったのがそういった検査をされた機会に判明したという者につきましては、五十四年度から年二回実施します定期検診の対象にいたしまして健康管理対策を実施していきたい、かように考えております。
 それからまた、病気その他の事情で、その間に本人の責任ではなくて受診できなかったというようなケースがあるいはないとは言えないわけでございますが、そういった具体的なケースにつきましては、都道府県と十分相談いたしまして前向きに対応できる道を考えていきたい、かように考えております。
#239
○貝沼分科員 それはよくわかりますが、ここで半数もの人が、呼びかけに応じていないのか抜けているのかわかりませんが、要するに把握されていないわけでありますから、せめてもう一年ぐらいこの把握の期間を延ばすことはできないのか。この点はいかがですか。
#240
○河野(義)政府委員 この対象は、戦傷病者手帳の所持者であって、先ほど先生もお話がございましたように、その中で外科手術を受けられてそういう血管造影剤が注入されたと思われる方が対象になるわけでございまして、全体に対する比率はあるいは五〇%かあるいはそれ以下かもしれませんが、外科手術などを受けられまして、そのトロトラストを注入されたと思われる人が漏れなく受けていただくためには、先ほど申しましたように、二年にわたりまして、日本傷痍軍人会の組織とかあるいは行政の線を通じまして周知徹底を図ってまいりまして、先ほど申しましたような特別のケース以外には全員受けていただくということを期待しておりますし、またそのような努力を今後も続けていきたいと思います。
#241
○貝沼分科員 それから、継続的な健康管理の問題でありますが、これはどういう単位で行われますか。
 話によりますと、都道府県単位ではないかと言われておりますが、いかがでございましょうか。
#242
○中野政府委員 定期の検診あるいは治療等につきましては、都道府県における基幹的な病院を指定いたしまして、その医療機関によりまして検診、治療その他の健康管理をお願いしたい、かように考えております。
#243
○貝沼分科員 それで、都道府県単位ということにつきまして、実は私も、実際にかかっておる方、それからその治療に当たっておる方、こういういろいろな人たちから話を聞きましたが、そうしますと、いろいろな意見があります。ことに傷痍軍人の方は昔の軍医学校みたいなものを非常に高く評価しておりまして、そういう意味で、最も信頼の置ける医療センターみたいなものをやはり国につくっていただきたいという考えがありました。
 それから、お医者さんの方の考え方としては、県でやったとしてもたかだか三名とか四名とかであるかもしれない。それで、WHOで言っておるようなナショナルプロジェクトというような仕事をするには、とても数が少な過ぎてデータがそろわない。しかも、国際的な話はもうギブ・アンド・テークである。したがって、外国の資料を――外国といってもトロトラストの場合は特に西ドイツになるわけですけれども、その結果の資料を得ようと思うならば、日本もそれだけのものを与えなければならぬ。ところが、余りにもばらばらで、そして日本の国のものを一つにまとめようとすれば五十人もの人が寄ってきて結論を出さなければならないということは、これは小学校じゃないんだからそう簡単にはいかない。むしろそういう都道府県よりは厚生省の医務局、地方医務局、この単位のブロックにして研究をして、治療方法を発見して治療に当たっていくという方法、しかもそれはすべてがそうではなしに、いま二回健康管理をやるという話でございますが、そのうちの一回をブロックにして、一回はその県のところでやっても、そういういろいろな方法をとっていくならばもっと合理的なものができ上がるのではないか、こういう考え方を述べておる方がおりましたけれども、この点について厚生省の考えはいかがでしょうか。
#244
○中野政府委員 いま、健康管理につきまして、ブロック機関を置いてやるのが適切じゃないかということでございますが、一方この対象者を考えますと、戦傷病者でございまして、身体的に障害のある人であるわけでございまして、検診とか治療等に当たりましてそういった方の便宜も考えなければならぬということも考慮いたしまして、その各県ごとの最も基幹的な病院を指定して、そこに担当してもらうと同時に、これらの指定医療機関におきまして、年二回の定期の検査の結果につきましては各人別の記録を厚生省に集中管理しまして、専門家によりましてこれをマクロに、また時系列的に観察していただく、こういう体制もあわせて考えておるわけでございます。
 また、各県における指定医療機関につきましては、先ほど申しましたような専門委員会を置きまして、その専門委員会におきまして、その治療指針とか生活指導指針とか、そういったものを御検討いただきまして、そういう方法を通じまして指定医療機関を指導あるいは助言していただく、そして先生がおっしゃるような役割りを実質的に確保していきたい、こういうふうに考えております。
#245
○貝沼分科員 時間がなくなってまいりましたので急ぎますが、専門委員会も設置するそうでありますから、ただいまの答弁のように専門委員の意見をよく組み入れていただきたいと思うわけであります。
 たとえば日本の国内におきましても、東京におけるこのトロトラストの検査の項目はずいぶんたくさんある。ところが、名古屋はまた別な方法でやっておる、九州はまた全然違うということでは、これはナショナルプロジェクトには当たらないと私は思うのですね。そういった項目についても、どれとどれをはっきりするか、その辺も専門家の意見をよく聞いて進めていただきたい。このことを主張しておきます。
 それから、時間がありませんので次の問題に移りますが、スモンの問題であります。同僚議員から午前中スモンの質問もなされておると思いますが、確認だけしておきたいと思います。
 二点だけお尋ねしたいのですが、その一点は、福岡スモン判決後小沢厚生大臣は、投薬証明のない人でも状況から見てスモン患者に間違いない人たちについては国が何らかの救済措置をとるのが当然と思っている、こういう見解を示したわけでありますが、私は橋本厚生大臣も当然これは踏襲されるだろうと思っております。
 ただ問題は、これを進める場合に、この投薬証明のない人を、たとえば一人のお医者さんがこの人はスモン患者ですというふうに言ったらそれが対象になるのか、それとも複数の医者がこれを判断しなければならないのか、その辺の基準の問題はどういうふうにお考えなのでしょうか。
#246
○中野政府委員 現在政府が進めておりますところの和解によるスモン患者の救済方式は、裁判所によって示されましたところの十五人の、特に神経内科系統の先生が多いわけでございますが、十五人の鑑定団の鑑定によりまして、その薬物関連性とそれから症度の認定を行うということになっておりまして、この方式をいまのところ政府としては変更するつもりはございません。
 すなわち、ある一人のお医者さんの認定とか判断ということではなしに、全国統一的な十五名の鑑定団によるところのその鑑定を待ちまして患者の救済を行うというのが政府の一貫した方針でございます。
#247
○貝沼分科員 それから第二点目は、提訴に加わっていない患者、これは大臣は地元でよく御存じのことでありまして、たくさんおるわけでありますが、こういう患者について大臣は一括救済というような言葉もおっしゃっておるようでありますけれども、こういう患者については厚生省はどのようにお考えですか。
#248
○中野政府委員 この問題については国会でも再三にわたって御質問を受けたところでございますが、現在、国の進めております和解は、何はともあれ訴訟によって国を被告として、国以外ももちろん製薬会社もあるわけでございますが、提訴されている件数は患者数にして四千名を上回っている多数の件数がございます。この訴訟上の和解、提訴されました患者の方々の御納得のいく和解を全国統一的な方式で図るというのが、現在の政府の最大限に努力をしている点でございまして、訴訟上あらわれていないいわゆる未提訴患者の問題、この問題につきましては、私どもとしてもその問題があるということは認識をしておりますが、これは全国統一的に訴訟上の和解によって事柄が解決した後にいかなる方式が検討さるべきか、その第二段階の問題であるということでございまして、現在未提訴患者についての政府の方針は全く白紙でございます。
#249
○貝沼分科員 全く白紙ということは、将来は救済をするという考えがあるのでしょうか、それとも裁判に加わらない者は論外という考えなのですか、どっちですか。
#250
○橋本国務大臣 論外ということは考えておりません。その言葉はちょっとなしにしていただきたい。というのは、いま薬務局長から申し上げましたように、現に私どもは四千人を超える患者の方方からの訴訟を受けて、一括解決ということを私は申し上げて、いまそれを目指して努力をしている最中でありますから、まずそれを解決いたしたい。そして、その次の段階での国の努力対象というものが、いま訴訟に加わっておられない患者の方々の救済ということであろうと考えております。
#251
○貝沼分科員 これは重大な問題でありますので、ぜひ早く救済されるように厚生省は努力していただきたいと思います。
 先ほど一つ言い忘れたことがありますので、トロトラスト問題のところで、これは補償の問題でありますが、恩給局の方はいらっしゃいますか。――現在の補償のあり方では非常に不満であるという声が高まっております。そこで、特段の配慮をもってこれの待遇をよくする考えはないかどうか、ずばり聞きたいと思います。
#252
○藤井説明員 一般的に申し上げまして、公務傷病の外科療法、薬物療法によります二次的な障害につきましては、公務傷病との因果関係がありと認定しているところでございます。いま問題にされておりますトロトラストによる二次的な障害につきましても、公務傷病としてその該当の傷病恩給を支給している次第でございます。御指摘の趣旨がトロトラスト残留者につきましてさらに格段の配慮を行えということでございますれば、傷病恩給の症状等差の基本に触れるような問題でございますので、慎重な検討が必要だと思いますけれども、トロトラスト残留者につきましては、先ほど御説明がございましたように、厚生省においていろいろと調査研究されるようでございますので、今後とも厚生省と十分な連絡を図りつつ、御質問の御趣旨に忠実に、必要に応じて対策を講じてまいりたいというふうに思っております。
#253
○貝沼分科員 ぜひお願いいたします。
 時間が参りましたので、以上で終わりたいと思いますが、国立大学の付属病院の問題は時間の関係で質問できませんでした。来られた政府委員の方、本当に申しわけございません。
 以上で終わります。
#254
○岡田(利)主査代理 これにて貝沼次郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、津川武一君。
#255
○津川分科員 アルコール飲酒について若干質問いたします。
 昨年のこの分科会で、私はアルコール対策に対して質問して、最後を次のように結んでおります。「来年またこの席できょう質問したのがどのくらい前進しているか、ひとつ激励も含めてお尋ねします」と、こう約束したわけであります。ところが、実際、厚生省やってみているところを見ますと、ことしは精神衛生センターを中核として酒害問題に取り組む方針を決めた。酒害相談所を開設して、医師、保健婦、ソシアルケースワーカーらがスタッフとなって、一週三回程度の酒害相談を受け、アルコール中毒者や酒害に悩む家族、関係者らの相談に応じることになった、こういうふうになったようです。本当によかったと思います。国民の皆さんの要求が実現し始めたし、私もその一端に参加してよかったと思っております。
 そこで、五十四年度の予算で、こういうことが実際はどう進んだか、御説明願いたいと思います。
#256
○田中(明)政府委員 昨年、先生からいろいろ御質問があったわけでございますが、私どもといたしましては、その趣旨は、地域における酒害対策を充実強化せよということであったというふうに理解しております。
 昭和五十四年度の予算案におきましては、新しく地域における酒害対策の推進を図るために、先生いま御指摘のように、全国十二カ所の精神衛生センターにおきまして酒害相談事業を実施することといたしております。それで、これは三年間の計画で、すべてのセンターで実施するようにいたしたいというふうに考えております。
 この事業は、精神衛生センターが中心となりまして専門の嘱託医等による酒害相談、適正飲酒の思想普及あるいは断酒会等、民間団体の指導育成というようなことを行うほか、保健所等とも十分な連携をとりまして、地域における酒害予防の総合的な対策を実施してまいりたいというふうに考えております。
 また、二番目といたしまして、従来アルコール中毒の臨床医等の研修を実施しておりまして、この研修におきまして医師と保健婦の研修を行ってきておるわけでございますが、昭和五十四年度におきましては、これに加えまして看護婦さんの研修課程を新たに設けるほか、医師、保健婦につきましても研修の回数を増加してまいり、こういう関係者の研修の充実強化を図るということを計画しております。
 このほか、酒害予防に関する思想普及あるいは断酒会等の民間団体の活動に対する助成、またアルコール中毒等に関する調査研究等を従来とも実施しておりましたが、一層充実を図るべく予算の増額を図っておるわけでございます。
#257
○津川分科員 予算面では、金額で言うとどうなりましたか。全体の額だけでいいです。
#258
○田中(明)政府委員 五十三年度におきまして二千八万二千円だったものが、五十四年度におきましては四千九百六十六万円ということでございますので、五十三年度に比べて二千九百五十七万八千円の増になっております。
#259
○津川分科員 全国アルコール問題協議会なんか、その点で厚生省のやったのを非常に高く評価しております。
 そこで、私この間も全国アルコール問題協議会に出席しまして、それをさらに前進せしめる意味において、質問をもう少し続けていきます。
 大蔵省にお尋ねしますが、私たち国民は一年にどのくらいいわゆる酒を飲んでいるか、これをまずお尋ねしたいと思うのです。飲んでいる酒の量、国民が酒のために使っているお金、酒に対する税金はどのくらいになっているか、説明願います。
#260
○大橋説明員 お答えいたします。
 お酒の消費数量でございますけれども、お酒の業者が直接消費者に販売いたしました数量の統計がございますので、これによって申し上げますと、直近の昭和五十二年度の消費数量は、全体で約六百三十三万キロリットル、国民一人当たりで申しますと五十六・〇リットル。
 また、その消費金額でございますが、これは正確なものがないわけでございますけれども、一応ただいまの消費数量に酒類の代表的な銘柄が一般的な価格で販売されたものとしまして試算いたします場合には、三兆二千四百億円、国民一人当たりで申しますと二万八千七百円、こういった金額になるわけでございます。
 それから、酒税の収入の方でございますが、実績で申し上げますと、五十二年度が一兆一千百五億円、それから五十三年度の予算でございますが、一兆四千百六十億円、五十四年度の予算案では一兆三千八百八十億円、こういうふうになっております。
#261
○津川分科員 国民は、これだけの酒を飲んでこれだけの酒税を払っております。
 そこで、その結果アルコール中毒にかかったり、けさも札幌でかなりの酒飲みが猟銃を乱射したり、また酒を飲んで身を持ち崩して首になったり、電信柱を抱いて小便したりするようなお父ささんではPTAの会合に来ないでくれと子供に言われたり、むちゃくちゃなことが出ております。これが一つの問題です。
 もう一方において、酒は社会的に必要なもの、酒は百薬の長と言われております。私もその点ではそう思って、酒を上手に飲む運動を進めておる一人であります。
 そこで、こういう国民に対する酒の役割り、酒から出てくる害をどうするかという点で、ひとつ政府の見解を明らかにしていただきたいと思うのです。これまで法律で明らかになっているのは、酒に酔つて公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律、いわゆる酩酊防止法ですが、これの二条で、「すべて国民は、飲酒を強要する等の悪習を排除し、飲酒についての節度を保つように努めなければならない。」これだけが公的な国の態度なわけです。国民の飲酒に対する問題と、飲酒から起きる問題に対して、これが初めてのことになるかもわかりませんが、政府の見解、大臣の見解を公にしていただいて、それをまた国民とともに問題にしてみたいと思うわけであります。
#262
○橋本国務大臣 この法律の題名を見ました途端に、非常に照れ臭い思いをするくらい、私自身がのんべいであります。
 ただ、お酒についての習慣というもの、これはもう津川さんよく御承知のように、社会、風俗、宗教、いろいろな関係がありまして、一律に禁酒等の規制を行うことがいいとは私は思いません。ただ、現実に飲酒人口が五千万人を超えている状況の中で、やはり酒による害というものに対しての正しい知識の普及、またお酒を飲む場合の適当な飲み方と言いましょうか、そういうものについての思想の普及ということは、国としても当然やっていかなければならないことであります。
 もう一つの問題点としては、未成年者あるいはアルコール中毒者など、アルコール性飲料を摂取することが医学的に見て好ましくない、不適当な人々に対して、禁酒、断酒といった行動についての指導もやっていかなければならぬことだろうと思います。むしろ五十四年度におきまして、私どもとしては関係省庁、またこうした方面についての専門家の方々にお集まりをいただきまして、酒害対策についての検討会議というものを持ちたい、そうしてアルコール中毒の予防、治療、更生など総合的な対策についての検討をしてまいりたい、そのように考えております。
#263
○津川分科員 いま大臣から、禁酒でない、大臣も飲むということを聞いて私も安心したのですが、禁酒をやって成功しているためしがない。それから、こういう運動を政府が直接手がけて成功した例もない。そこで、民間団体がやること、これに政府が援助することがきわめて必要なので、そこいらの点をもう少し聞いてみます。
 この間も全国アルコール問題協議会が開かれ、私も出席しましたが、そこで飲酒についての正しい啓蒙、アルコール中毒にならないための予防、アルコールで身を持ち崩してしまった人たちの保護、それから社会復帰、更生をどうするか、かなり論議になっております。
 この間、私たちの病院のある弘前の警察に行って、いまの酒を飲んで公衆に迷惑を及ぼす行為を取り締まる法律の運用について、一線の警官の苦労も聞いてみましたが、その人たちも、われわれは保護するだけだ、そうでなくして、もっと啓蒙してほしい、予防措置を講じてほしい、保護した者を収容して治療してほしい。そうして、それを社会復帰さしてほしい。そうならないとどうにもならない、こういうことです。
 そこで、これを民間でどうしてやっているかというと、いま断酒の会が非常にりっぱにやっている。私もこの人たちと一緒にやっております。ここでは、現実に問題が起きたときよりも、抜け出した人たちの組織になっておって、実際にいま困っておる、けさの札幌のような場合、家族の会、ここらも実際上ぶつかっている場面なわけなんです。いま断酒の会などの団体を通じて補助していますが、この家族の会が、精神病の場合もそうです、徹底的に問題をつかまえておりますので、ここに入って、家族の会と一緒に厚生省が話し合いをする、これに援助をする、これに補助するということでなければ事は直らないと思いますが、ここらの見解を伺わしていただきます。
#264
○田中(明)政府委員 アルコール中毒者の社会復帰あるいは再発防止等を図る上で、先生いまおっしゃられました断酒会等の民間団体、当然家族会も入るわけでございますが、そういう民間団体の活動がきわめて有意義であるという認識にわれわれは立っておりまして、その姿勢が非常に必要であるというふうに感じております。従来ともこれらの民間団体に対して助成をやってまいったわけですが、今後とも引き続いてこれらの民間団体を助成し、その活動を期待したい、かように思います。
#265
○津川分科員 それも大事なんです。そうでなくて、断酒会は皆さんの援助がある程度できているわけです。そこで、いまどろ沼に入って闘っている人たちの家族の会、ここのところがアルコール予防の、更生の基本的な性格を持っておりますので、これに対する考え方を私はお伺いしたわけです。
#266
○田中(明)政府委員 いままで家族の方々、患者さん、また中毒者の方等抱えて一番苦労している方につきましては、われわれもその御意見を拝聴しているところでありますが、先ほど申し上げましたように、今後精神衛生センターにおきまして、地域のアルコール中毒の予防活動をいろいろと展開していこうというふうに考えているわけでございますので、そういう家族の方々あるいは家族会の方々とも十分協力してやっていきたいと存じます。
#267
○津川分科員 センターをつくってやるときの非常に大事な協力者としては、家族の会というものを忘れないで進めていっていただきたいと思うわけでございます。
 その次に、今度は収容と治療です。いま、アルコール患者を収容して、関係の医療機関、関係のお医者さん、ケースワーカー、看護婦さん、いろいろな種類の人たちが懸命に取り組んでいます。薬での治療、いろいろな心理療法、作業療法、グループ治療、集団治療、かなり広い分野にわたって人手のかかる、根気の要る、時間のかかる態勢が進んでおりますが、ぼくらのところも電気療法なんかやってかなり広いスペースでやっているけれども、一生懸命やるが、このやる人たちにペイされていない。具体的に言うと、健康保険法の点数になっていないので、やっている人たちと看護婦さんたちの間でも、おまえらのためにおれたちは要らない月給を払わなければならぬということにもなってきて、やるときの本当の意見の一致と、やるという気力を出していくためには、この集団医療というものを学問的に治療に位置づけて、これを医療の報酬の中でも考えて点数表に組み入れることがかなり必要になっておりますが、この集団医療に対する方針も伺わせていただきます。
#268
○田中(明)政府委員 治療法といたしましての集団精神療法というものにつきましては、私ども、専門家から各種の意見を聞かされておりますし、今後とも専門家の意見を聞きまして、さらに理解を深めてまいりたいというふうに存じております。
 これに対する診療報酬という問題になりますと、根幹になりますのは社会保険での診療報酬といいますか、いわゆる点数ということになろうかと思いますが、現在の段階ではまだこれについての点数というものはないわけでございまして、先ほど申しましたように、今後、専門家の意見を聞きながらこの療法について理解を深めていき、一つの療法というふうに確定いたしました段階において診療報酬についても定めていくということになるのではないかと存じております。
#269
○津川分科員 注射を打つ、薬もやるが、この治療がアルコール患者を治療して更生させるかなめだと私は思うので、さらに一層の対策を進めていただきたいと思います。
 このグループ治療の中できわめて大事なのは、作業療法です。作業療法に対しては、作業療法士、指導者がいるところへある程度まで点数化されてきた。ここにまた一つの芽が出ているのです。それを一般に広めていく。その中で作業療法をやるときに、ぼくらのところはいけるのです、アルコール病棟、特別病棟なんかも持っているからね。そうでないところでやるというときには、作業療法士が手に入らない。いま作業療法士を雇おうとすれば五十万近い月給を要求されるわけだ。これでは作業療法士を入れようにも入れようがない。そこで、作業療法士が社会的需要に十分応ずる分だけふえる間暫定の措置を講じて、それを補う者に対して作業療法士として迎えていただいてペイさせるということが、いま対策を進める上で非常に必要になってきているのですが、ここいらあたりの考え方を伺わせていただきます。
#270
○田中(明)政府委員 私、いま公衆衛生局におりますが、前にほかにおったわけでございますが、その当時、いわゆるデーケアというのが保険の診療報酬として新しく評価されたわけでございます。このときにも、いま先生がおっしゃっておられる集団的な精神療法といいますか、それと似た面もあるのではないかというふうに考えているわけでございまして、作業療法につきましては、これもまた先生御存じのとおり、本当の意味での作業療法というのと、患者さんに労働をさせるというような意味でやられているような問題もございまして、これを診療報酬として評価するのにはまだいろいろと検討しなければならない分野も残っておりますけれども、先生のおっしゃられている趣旨は、デーケアあるいはそれの延長上の問題として、厚生省として今後積極的に十分検討をしてまいるつもりでございます。
#271
○津川分科員 これは中央精神衛生審議会にもぜひかけて前進を図っていただきたいと思うのです。かければ私はそうなると思います。
 その次に、こういうことを厚生省が今度決めた、やらした、二千万から五千万に近い予算にふやしたが、これをやるのは一線です。地方自治体、特に県庁、都道府県、そして保健所。先ほど、お医者さんを、保健婦さんを、看護婦さんをアルコール中毒問題で教育したと言われたが、非常によろしい。ところが、その教育を受けてきた保健婦さんが、ほかの仕事がいっぱいあるもんだから、行ってみると、それをやっていないのです。余りにも保健所の業務が多いから、その仕事が従になっているのです。そこを確立しないと、保健婦さんがせっかく習ってきたいい考え方と知識が宝の持ちぐされとなっているので、ここのところがいま大事なわけなんで、一線の保健所業務をやはり強化する必要があると思います。いかがでございます。
#272
○田中(明)政府委員 その点に関しましては、私どもと先生のお考えと必ずしも一致しないのではないかと思いますのは、実際にこういう訓練を受けまして保健所で働いているのは保健婦さんが多いわけでございますが、保健婦さんは、精神病の患者さんあるいはアルコール中毒の患者さんだけが介護する対象ではございませんでして、いろいろな種類の病人、あるいは乳幼児それから妊婦、いろいろあるわけでございまして、それで、いま保健所は、先生が言われるように疾病専門別に業務を分担しているような保健所もございますけれども、多くの保健所は、どちらかというと地域別に分担して、その地域で起こった保健を必要とするようないろいろな事象に対して活動しているというようなところが多いわけでございますので、いま先生がおっしゃられたようなことを全部の保健所でやると、アルコール中毒というような特定のことに限定することによってかえって保健婦さんの活動がしにくくなるような面もできてくるのではないかということが心配されますので、当然私どもとしても、こういう訓練を受けられた方にその訓練の成果を十分発揮していただきたいということは願っておるわけでございますので、その形態が専任という形をとるのがいいかどうかは、ちょっともう少し検討させていただくことにしまして、できるだけ研修がむだにならないように努力してまいりたいと思っております。
#273
○津川分科員 アルコール専任というと問題があるけれども、精神衛生全体をひっくるめて、そうしないとほかの業務のためにやっていけないというのが現状なんです。そうして、去年、全体総合するということはないかと言って、総理府出てこいと言ったら、出てこないのです。これを政府のどこでやるかと言うと、統括できないというのです。
 そこで、厚生省はこうして進めてくれている。しかし、その他の交通事故だとか犯罪関係、そちらは除いて、教育と啓蒙と、それから予防と保護と収容と治療と社会復帰と、いろいろな問題が出てきますけれども、アメリカにあるヒューズ法みたいに、全体として法体系として一本に総合法を立てたら非常にいいんじゃないか。厚生省の個々の努力は買う。その点は喜んでいる。この間アルコール問題協議会でも、そういう基本法として一本にまとめていくように、いますぐできないかもわからないけれどもそこを目指していくべき必要があるというので、そういう総合法をやっていく、こういうことがぜひ必要になってきているのですが、これは検討するおつもりか。いまするというわけにいかなくても、そういう方向がいまきわめて求められておりますので、いまやっている仕事をもっと進めていただくと同時に、ここまでやらなければいかぬと思いますが、いかがでございます。
#274
○田中(明)政府委員 先ほど大臣が申し上げましたように、昭和五十四年度におきましては、関係の省庁それから専門家の方々に集まっていただきまして、酒害対策について総合的な検討をいたしてまいりたいと考えておりますので、その検討の過程におきまして、いま先生御提案の問題等もいろいろと総合的に検討いたしてまいりたいと思いますが、厚生省といたしましては、そういう特別法といいますか、アルコール中毒基本法という問題はそういう意味で将来の問題として検討させていただきたいと思います。
#275
○津川分科員 最後に、大蔵省、聞かれているとおり、やらなければならぬ問題がたくさんあるわけです。三兆二、三千億円の酒を飲んで、一兆二、三千億円の税金を取って、大蔵省、これでいいのかということ。この間、厚生省の予算七千万円のを削って五千万円なんだな。四千九百万足らず。これでいいかということです。アメリカでは予算のうち一億九千万ドル、これを防止、治療、更生に使っているのです。ヨーロッパでもイギリス、西ドイツなどの先進国では、多いところで酒税の一〇%、少なくても五%。いま一兆何千億円の酒税を取っておいて五千万円、二万分の一なんです。ここのところをやはりもう少し出さなきゃならぬ、出してきてほしい。これを披瀝していただきたいと思うのです。
 これで私の質問は終わりますが、来年は全体の基本法の法制化に進んでいるかどうか、大蔵省はもう少し出すのかどうかということを中心にやっていきますから、大蔵省、答えていただきたいと思います。
#276
○安原説明員 ただいま先生の方から、アルコール中毒対策をめぐりましていろいろな問題点の御指摘がございました。われわれといたしましてもその重要性は十分認識しているつもりでございます。今後総合的な対応が必要であるというぐあいに考えております。先ほども厚生省の方から御説明がありましたように、五十四年度予算におきましては、五十三年度に対しまして二・五倍の四千九百万円の予算を計上しているわけでございます。今後の進め方につきましては、厚生省とよく協議しまして対処してまいりたいと思っております。
#277
○津川分科員 終わります。
#278
○岡田(利)主査代理 これにて津川武一君の質疑は終了いたしました。
 次に、土井たか子君。
#279
○土井分科員 私は、食品添加物についてまずお尋ねをいたします。
 この食品添加物の中でオルトフェニルフェノール、OPP、柑橘類の防カビ剤に使用されている物質でございますが、これが御承知のとおり五十二年四月三十日に食品添加物として厚生省によって指定をされまして、それ以後現在に至るまでこれを使用いたしているわけでありますが、グレープフルーツとかレモンのたぐいにこのOPPが使用されているときには、この使用について、使用しているという表示をするようにという厚生省からの行政指導があったはずであります。これについては非常に不徹底で、現在このやり方自身が、極端に言うと行政指導があってもなくても同じような店頭での売り方をしているというところから、非常に、守ってはいらっしゃるけれども表示の仕方にもう一つ問題があるということまでひっくるめて、一応しかし表示をするということの認識はされております。
 ところが、もう一つここにサイアベンダゾール、TBZ、この物質が昨年の七月でしたか解禁になりまして、柑橘類について同じく防カビ剤として使用されることがいまは許されるかっこうになっておりますが、このTBZの場合については、使用していることを表示するということは必要ないのでございますか、いかがでございますか。
#280
○山中政府委員 OPPにつきましては、安全性に問題はないということでございますが、当時、食品衛生調査会におきましても、消費者の選択に資するためにその表示を指導した方がよろしいということを受けまして、これにつきまして表示を指導したわけでございます。
 先生御指摘のように、指導でございますのでいろいろの問題がございますが、卸段階までは九〇%近い表示がございますが、どうも小売では、その表示が荷札その他にありますので、なかなかうまくいかないという点は承知しておりますが、引き続き二度ばかりこれを指導いたしました。なお、毎年の会議におきましてもこの指導を徹底しております。
 サイアベンダゾール、TBZにつきましても、これは柑橘類の防カビ剤として当然OPPと同じような使い方をされるということでございまして、表示を指導したならば、当然これに対しても表示の指導が必要だと考えております。
#281
○土井分科員 必要だと考えておりますというのは、TBZについてまだなすっていらっしゃらないのですね。
#282
○山中政府委員 TBZにつきましては、食品衛生調査会では特に意見はございませんでしたが、先ほど申し上げましたように、OPPと同じようにすべきだという考えのもとに、これを許可するに際しまして、表示は全くOPPと同じように指導いたしました。ちょうど八月三十日に局長通知を出しまして、全くOPPと同じような表示をするようにと指導しております。
#283
○土井分科員 OPPと同じような指導をなすっているということであるなら、いま店頭で売られているたとえばバナナについてまでもTBZは使用されているというかっこうだろうと思います、柑橘類は言うまでもなく。TBZ使用という表示はどこに行っても見たことないです。OPPの場合は、これは不十分ながら表示をする必要があるという、これは業者の方の御認識でありましょう。しかし、TBZについて確めてみると、その御認識がないのです。これは行政指導の上でそごがあるのじゃないですか。
#284
○山中政府委員 OPPとTBZの使い方でございますが、OPPはいわゆる白カビに効くものでございまして、一般にはOPPを使用するわけでございます。それから、軸腐れ病の流行があると思われるときにTBZがOPPにかわって使われるわけでございます。したがいまして、TBZは使われない年もございますし、使われても非常に短期間でございます。と言いますのは、TBZはOPPに比べまして非常に高価なものでございます。したがいまして、TBZはOPPのように始終使われないというものでございまして、表示がなかなか見当たらないということは当然かと思います。
#285
○土井分科員 四の五のおっしゃいますけれども、TBZとOPPは要するに違うのでしょう。防カビ剤という意味においては同じでも、毒性検査の上では、私は専門家じゃありませんから詳しい事情はよくわかりませんけれども、学識経験者などに聞きますと、OPPとTBZというのは違う。どのように違うかというふうな説明をよくなさいますよ。そして現にこれの有害性、有毒性というふうな問題についても、TBZの安全性については、米国やFAO、WHOでは添加物としてじゃなくて、農薬として認めてきたというふうな由来がある。日本の場合は、残留農薬研究所でのTBZの遺伝毒性のテストで安全を出してはいるけれども、OPPのテストには、ほかの遺伝学者よりテストに誤りがあるというふうな指摘も現在出たままのはずであるというふうなデータに基づくいろいろな見解もお伺いできるのです。
 だから、そういうことからすると、いまの御答弁では、一生懸命に言い抜けをしようというふうなことでお答えになっているとはまさか私、思わないのですけれども、OPPと同じように表示をするということに対して行政指導を徹底さす努力ぐらいはやっていただいてあたりまえじゃないかと思います。消費者の側からすると、OPPの説も、これは完全にシロ、絶対安全だという認識がまだまだ具体的になっておりません。と同時に、TBZについてはさらに一層――OPPについてわれわれはまだまだ疑惑が解消されていない間に、またぞろTBZについても厚生省の方でよろしいというふうなサインが出た、これは一体どういうことだろうという気持ちでいる方々というのは少なくないということをここで申し上げたいと思うのです。これは行政指導、できるでしょう。
#286
○山中政府委員 先生、TBZにつきましてはOPPと違う指導をしているような御印象でございますが、全く同じ指導をしております。通知も出しておりますし、それから主管課長会議等におきましても、OPPと並べてTBZも同じように表示するようにという指導は十分してございます。
 それからもう一点、他国では農薬、日本では添加物と言われておりますが、実は農薬で規制すれば残留基準をつくるわけでございます。日本ではとってからつけるものは全部添加物としておりますので、それで向こうは農薬に使っておる、こちらは添加物に使っておるという比較はちょっと違いますので、全く同じような基準をつくってやっておるわけでございます。
#287
○土井分科員 同じような行政指導をやっておりますがというふうな御答弁ですから、それでは一回市場調査をやってください。行政指導をやったらあとはどういうかっこうになっていったってこれは関係ないというふうなことでなしに、行政指導したことが適正に行われているかどうかということに対して吟味していただく必要があるように思いますので、ぜひ一回市場調査をやってもらわないと困りますよ。よろしゅうございますね。
#288
○山中政府委員 OPPのその後もございますので、これは後を追いかけて調査をいたしたいと思っております。
#289
○土井分科員 店頭表示についての実態調査を関西の方で主婦の方々が非常にまめに熱心にやられた結果というのがデータとして出ているのですが、これはOPPについて申し上げておきますが、中には店頭でOPP不検出とわざわざ書いてある表示があるのだそうであります。不検出ということになると、素人判断では全くOPPが使われてないというふうにも理解する人があるだろう。しかし、実際問題は、不検出と書いてあっても、〇・五PPM以下を検出限界として切り上げて考えているということを一つは認識しておく必要があったりいたしますので、それは素人さん相手にやるという認識でいくと、この表示なんというのは、適正か不適正かといったら、まあ適正とは言いがたいという表示のやり方じゃないかと思います。それからさらに、大変御丁寧に厚生省認可OPP使用と書いてある表示もあるのです。まるで厚生省認可であるから全く安全ですよという印象を与えるという向きもあるんじゃないか。厚生省認可、御丁寧であると言えば言えるかもしれませんけれども、不必要だというふうな声が消費者の側からも出てきたりいたします。
 ですから、いろいろ行政指導なさる場合に、具体的に表示の仕方についても、このようなというふうなところまで指導していただくことがこの節どうしても必要であるようです。あっちこっちでばらつきがありますし、表示の仕方についても一定してない。したがって、いろいろ紛らわしい表示がかえって出回るというきらいもなきにしもあらずであります。
 だから、こういうことを申し上げると同時に、行政指導ですから、つけてもつけなくてもいいというふうに考えられる方が中にあるようでありまして、これはわざわざ表示することというふうに考えていらっしゃる趣旨が徹底しないきらいがあるのです。これは表示することを義務づけるということの方がいいんじゃないでしょうか。というのは、消費者の側からしたら、それを見て取捨選択するということがあるわけでありまして、表示でそう書いてあるということが品物を選ぶ場合の一つの目安になるわけでありますから、使用しているにもかかわらずそれを表示していないとか、表示の仕方がさらに不適正であるとか、もう一つ表示の仕方が消費者に対して親切を欠くなんというふうな場合、これはどうもいろいろ支障を来すような状況になっているので、この点も一回点検をされまして、義務づけをこういうかっこうでしてはどうかというふうな検討をされる必要があるように思います。いかがですか。
#290
○山中政府委員 表示の問題につきましてはいろいろ関連がございまして、食品衛生法における表示は、飲食に起因する衛生上の危害の防止のために表示するという法律上の項目がございます。したがいまして、義務づけと先生おっしゃいますが、そういう意味で義務づけたいけれども、これは指導ということで、しかし気持ちは、言葉で言えば強力な指導ということで必ずやってくれという態度でやっております。
 そのほか、いわゆるJASの法律による表示あるいは公取における不当表示防止法の問題、そういう問題もありますので、私も一度そういう面での連絡をとって、表示問題というのは消費者の非常に希望しておるところでございますので、一度検討いたしたいと思っております。
#291
○土井分科員 そうすると、それは一度検討していただく、何度も検討していただくにこしたことはないわけですが、いつごろまでに具体的にしていただけますか。
#292
○山中政府委員 食品衛生法の上では、義務づけということはこの種のものにつきましては非常に困難でございます。したがいまして、ほかの省庁と連絡をとらしていただきますので、いつということをここではっきり申し上げられませんので、協議をさせていただきたいと思います。
#293
○土井分科員 それは協議も必要でしょうが、これはできる限り早くやっていただくことを再度申し上げたいと思います。よろしゅうございますね。
 それで、OPPについてはもうあと一点聞きたいことは、ジフェニルとOPPが併用されているというかっこうになっておりますが、相乗作用に対する毒性の検査、調査というのは、厚生省としてはやっていらっしゃるのですか。
#294
○山中政府委員 OPPとTBZは同時に使われることはないわけでございます。
#295
○土井分科員 いま私が申し上げた質問をよく聞いていただきたいのです。そうは申し上げておりません。
#296
○山中政府委員 どうも申しわけありません。ジフェニルとオルトフェニルフェノール、OPPとの関係でございますが、ジフェニルは、もし摂取された場合には肝臓の中でOPPに変わるわけでございます。したがいまして、相乗毒性というのはその量によるわけでございます。量は、それぞれ百分の一の安全率を掛けまして相乗毒性が防げるようにして基準を決めておるわけでございます。
#297
○土井分科員 その数値の問題などについては、少し時間をかけてまた他日、質問をしたいと思いますけれども、いま厚生省ではそういう調査を続けていらっしゃるかどうかという点はどうなんですか。これを聞いているのですよ。
#298
○山中政府委員 この食品添加物の再評価につきましては、御承知のように、四十九年以降に慢性毒性試験、それから催奇形性試験、それから相乗毒性、さらに五十一年度からアレルギー試験も加えましてこの再評価をやっております。全部で三百三十四品目あるわけでございますが、その中ですでにいろいろ評価をしたもの、あるいは残らないもの、そういうものを除きまして三十四品目、成分数にして二十七品目でございますが、これについて四十九年以来この試験をずっと行っておるわけでございます。あと五品目くらい残っておるということになりますが、さらにここで変異原性の問題、それからがん原性の問題、いわゆる遺伝毒性と言われる問題が起こりまして、来年度からはいままでのをもう一度見直すということで、幸いエームズ・テストという、非常に簡易に変異原性の量というか、定性的なことをやる実験ができるようになりましたので、それを来年度から約五十品目ずつやっていきたいと思っております。これも衛生試験所に安全性生物試験研究センターができまして、これの実験をやる組織ができましたので、来年度からこれを続けて、さらに国民のこの障害についてきわめていきたいと思っております。
#299
○土井分科員 これは研究を片やでやりながら、片やは使用を認めていくというかっこうが並行して厚生省は常に続いているわけでありますけれども、ひとつその研究体制というものを整備しながらこれはやっていく必要がさらにあろうかと思いますが、もう一つここで問題をはっきりさせておかなければならないのは、昨年の六月六日に私は公環特の場で――ジブチルヒドロキシトルエン、BHT、これは酸化防止剤で、私たちの身近な食品の中にもこれが使われております。例を挙げますと、食用油であるとかチューインガムであるとか魚の塩干物などにこれが使われているわけですね。この問題について、厚生省としては遺伝毒性、染色体に対する化学物質の作用という点から、ずっとまだ鋭意調査をお続けになっている最中だということもあの節承っているわけです。これも同じように、並行して調査をしながら使用することを認めていらっしゃるわけでありますが、すでにこの問題はアメリカのFDA、食品医薬品局は、昨年の五月末でございましたが、動物の実験結果から、この問題のBHTを安全添加物リストから外しまして、メーカーに注意を与えるという行政措置をしているということは、われわれの認識に新しいところなんです。
 こういうことから考えると、日本の厚生省としても心してBHTの問題の取り扱いをしていただかなければならないやさきに、この六月六日にお尋ねをした中身を、きょうはさらに確認したいと思っているわけでありますが、ある研究者の発表によりまして、これは大阪大学の植村先生なんですが、赤ちゃんが毎日飲んでいる粉ミルクの中にBHTが混入していたという事実、それからさらに、赤ちゃんは哺乳びんを使用して授乳されるわけですが、この哺乳びんに使用するところの乳首の中からまたBHTが検出されたという事実、こういう事実を取り上げて、哺乳びんの乳首やそれから粉ミルクなどにこういうBHTが混入するということは、厚生省として認めていらっしゃいますかと聞いたら、認めておりませんと言われる。好ましくないことですねと言ったら、好ましくないことだと言われる。そこで、この粉ミルクからBHTが検出されている理由というものを追跡調査をして、そして排除するように強い行政指導を行いたいということを言われ、片や乳首については、BHTが検出されないような乳首を市販するように行政指導をしたいということを言われたわけであります。
 この両方の行政指導は、現状はどのようになっていますか。
#300
○山中政府委員 粉乳の中にBHTが含まれていたということにつきましては、いまだ出どころにつきまして原因がわかっておりません。しかし、その量につきましては、東京都の研究結果のほか、厚生省におきましても、その後発がん性の検査、遺伝性の検査等をやっておりまして、その中間結果を見ましても、量については安全だ、こういうふうに考えております。
 それから、BHTが含まれておりまして、これで溶出しないものに切りかえられないかということは、その後も検討をしております。実は合成ゴムに安定剤としてBHTが入るわけでございますが、その安定剤を切りかえるということになります。その後、鋭意このBHTの遺伝毒性その他について検討したわけでございますが、現在その検討結果から見ますと、ほかの安定剤に切りかえるのは、現在時点ではむしろまだBHTの方が問題がないのではないか、こう考えられますので、これはまだ続けておるわけでございます。
 それからもう一つ、天然ゴムに切りかえることにつきましては、天然ゴムの方が溶出物が非常に多いわけで、これは今後もその内容を検討しなければならないということでございます。シリコン樹脂という話が昨年六月に出たと聞いておりますが、その全面切りかえは、これは価格の点で非常に問題があるということでございまして、約倍ぐらいの値段になるわけでございます。私どもがいま追及していますBHTの安全性の問題と比較しまして、これに切りかえてしまうということはちょっと困難かと考えております。
#301
○土井分科員 価格の点で二倍以上というのは、どういうふうな品目をお調べになったのかよくわかりませんが、実際問題、消費者の方々にいろいろ調査をしてみますと、イソプレンゴムとシリコンゴムとを対比してみますと、シリコンゴムの場合は耐用性が長いために、むしろ経済性からいったら、そんな二倍もかかるというふうに認識をされている方は実はございませんでした。この安全性というふうな問題からすると、むしろ、赤ちゃんに対して母親が一番気を使うのはそういう問題でございますので、一つはその点をもう少しよく御認識いただく必要があるように思います。強く行政指導をしたいと昨年来おっしゃってこの方、店頭を見ますと、相変わらず以前と何の違いもない、同じような取り扱いをなされているにすぎないのですね。
 それから同時に、赤ちゃんに対しての粉ミルクの中身についても、ほかの物質がまざるよりもまだBHTの方がましだというふうなただいまの御答弁というのは、これはいただけない御答弁だなと思って私は承っておりました。どういうわけでこれが混入したのかということを、真剣に熱心にお調べになりましたか。それをまたお尋ねすると、長い御答弁だろうと思うのですが、実はこのことに対して追跡調査をさらにやってみると、十分とは言えませんが、一カ月前に調べた結果、従前と同じように、購入した粉ミルクの中からBHTが検出されたというふうなデータが出ておりますし、さらに、プラスチックを通る工程というものをやめたあるメーカーのその結果を見ますと、これはBHTが検出される度合いがやや減っているのです。だから、恐らくプラスチックの工程を通るところで問題があるのじゃなかろうかというふうな意見も出たりしています。この点、厚生省はやはり少し追跡調査をやって、なぜこういうことになったかというのを具体的に真剣にお調べいただきたいと私は思いますね。
 それと同時に、実はこういう問題もあったものだから、昨年の六月六日に、この合成樹脂製の容器包装などについてどういうふうにこれに対する対策をお考えになっているかと言うと、BHTが溶出しないような、良質のものにしていくような規格基準の作業を精力的に行っているというような御答弁だったのです。規格基準ができましたか、いかがです。
#302
○山中政府委員 合成樹脂の容器包装につきましては、すでに四十一年ごろに一般的な溶出試験ということで規制したわけでございます。その後四十八年から五十二年にかけまして、塩ビの容器包装につきまして溶出試験、さらに材質試験も加えましてそれをやったわけでございます。
#303
○土井分科員 その辺は結構なんです。昨年の六月六日に聞いた節、規格基準の作業を現在進めているから、この作業の進展に伴って、私がいろいろ言ったことに対しては厚生省として答えられるだろうという御答弁なんですよ。だから、規格基準はできましたかと聞いているのです。
#304
○山中政府委員 その規格基準は、今度は三つの樹脂につきまして規格基準を決める作業を進めておりまして、非常に近いときに、目前でございます、近いときに食品衛生調査会にかける準備をしております。事務的にはこれはできております。
#305
○土井分科員 事務的にはできていて、全く近い将来に食品衛生調査会の方にそれをおかけになるということなんですね。現在は、容器はメーカー側の自主規制ということに万事ゆだねられているわけでしょう。ですから、こういう点からすると、いろいろ思わしくない問題というのは現に出てまいっているわけで、容器の点からすると、これはできる限り早くその規格基準というものを必要としているということをまず申し上げたいと思うのです。
 もう一点、これはBHTについて関西の方の熱心なお母さん方が調べていかれるうちに、最近お菓子の中からBHTが多量に検出されるという事実に遭遇したわけであります。それは、特にお菓子の中で問題をずっと見てまいりますと、このお菓子をつくるのに使用されている原料の油のたぐいから恐らくBHTというものが検出されているのじゃないか、こういうことが問題になってきているわけです。
 最近、子供たちの骨折が多いというのを学校に行くとよく体育の時間などで聞くことがありますし、それからやはり肝臓、腎臓などのいろいろな機能障害という件数が昔に比べるとぐんぐんふえていっている。一体これはどの辺に原因があるか。ほかに原因のありかというものをいろいろお調べになっていることもあるかもしれませんけれども、こういう食品添加物というものにその原因の一端があるということをおっしゃる学識経験者というのは非常に多いわけであります。
 そういうことから考えてまいりますと、このBHTがお菓子から検出されたという事情なんというのも、私は余り軽く見過ごすわけにはいかない問題だろうと思うのです。それで、現にこのBHTを使用しているバターであるとか油であるとか、そういうBHTが酸化防止剤として使用されている原料をお菓子に使用されている場合、これはやはり表示をしていただきたいと私は言いたいのです。しかし、表示をしていただきたいと言っても、技術的にむずかしい問題があろうかと思うのです。そこで、一つの提案をいたしますから、これはできることかできないことか考えていただきたい。
 それはどういうことかというと、現在、油を一〇%以上お菓子に使用している場合には、そのお菓子の製造年月日を表示するという義務がありますね。一〇%以上油を使用している場合製造年月日が表示できるわけでありますから、それと同時に、BHTというものがこの中に含まれているかどうかというのは、原料についてずっと表示する欄というものがあるわけでありますから、あそこに表示をすることができるんじゃないか、このように考えるのです。これは技術的にできることでしょう。これは調べてみると非常にたくさん混入されているのですよ。物品の名前を言ってもいいですよ。たとえばキャラメルコーンであるとかポテトチップスとか、そういうたぐいに至るまで混入されている。メーカーの名前も具体的に言っていいけれども、最近は、これは私の方で調べた結果は出ないということがございましたので、これは出ないというふうな認識で出しましたなんというような言いわけをなすっているのだけれども、検体を持っていって調べてみると、その出ないとメーカーがおっしゃる検体からも出ているという実情があるわけですから、この点ひとつ調べてみていただいて、こういう問題が実情としてあるということの上に立って、表示の点においても、私はこういうことが技術的に可能だと思うので、ぜひ行政の上でお考えいただきたい点だと思います。いかがですか。
#306
○山中政府委員 酸化防止剤としてBHTが用いられているということは御承知のとおりでございます。油菓子につきましても、そういう点も考慮の中へ入れて、実は五十二年の十一月に通知を出しまして府県に警告をしたところでございますが、それで、その表示問題というのが現在県では条例問題としてやっておると思います。
 ただいまのBHTの表示のことでございますが、この点につきましても、いろいろ関係者とよく検討してみたいと思います。
#307
○土井分科員 時間ですが、最後に、この問題など、プラスチックの食器類、容器類に対して、一体厚生省としては、この食品衛生法の規制を強化するというふうな意味も含めて、どれくらいの予算を計上して調査研究をやっていらっしゃるのですか。これは五十二年、五十三年を見ると、まことに少ないですよ。これで、いまのBHTの問題も含めて規格基準をつくりますとおっしゃるだけの額だろうかと、目を疑いたくなるような中身であります。厚生省としては懸案がいっぱいありますから、予算を大蔵省から分捕ってくることに橋本厚生大臣はかなり努力されてこれは懸命にがんばられるだろうとは思いますけれども、こういう食品添加物から国民の健康を守る、これからだんだん成長していく子供たちの健康というものを思い、慢性毒性に対する検査などというものも非常に重要な課題なので、こういう点についての予算の計上の仕方というのにもうちょっと意を用いていただきたいと思うのです。実は一千万円ぐらいですよ。大臣、ちょっと一言言ってください。
#308
○橋本国務大臣 実はこの問題だけではなくて、研究費等につきましては欲しいものがまだほかにいっぱいございます。これからも努力をしていきたいと思います。
#309
○岡田(利)主査代理 これにて土井たか子君の質疑は終了いたしました。
 次に、権藤恒夫君。
#310
○権藤分科員 私は、厚生年金それから健康保険、各種共済年金、雇用保険の保険金のことについてお伺いしたいと思います。
 国鉄の運賃がまた五月の二十日から約八・三%ほど上がるように決まっておりますが、一方、民間サラリーマンにおきます通勤手当の支給状況は九七・四%、これはほとんど一〇〇%と言っていいと思うのですが、各企業が雇用者に対しまして通勤費を支給しております。そのうち全額支給をしているところが五一%、これは人事院の調査で明確になっております。
 そこで、お伺いしたいのですが、所得税法で非課税とされております通勤手当の限度額は一カ月一万七千円、これは認めておりますね。この通勤費ですけれども、これは必要経費とみなしておるのかどうかということなんです。大蔵省の方、お願いします。
#311
○水野説明員 所得税法におきましては、一定の範囲の通勤費は非課税といたしておるわけでございます。現在の所得税法で、サラリーマンにつきまして必要経費という形での控除は一般的な給与所得控除の方で配慮いたしておるということでございまして、特別の必要経費についての控除というたてまえ、形はとっておらないわけでございまして、課税所得そのものとして、非課税所得として規定をいたしておるわけでございます。
#312
○権藤分科員 もう少し詳しく理由を説明してほしいわけなんですけれども、これは所得でないから非課税とした、こういうことですか。所得にはならないですね。報酬じゃない、報酬には含まないということで。勤労者は労働をして所得を得るわけですが、そのために必要な経費として現在では一万七千円までは課税の対象から外そう、こういう考えがあると思うのですけれども、これを報酬とみなすのか所得とみなすのか、その辺についてのお考えはいかがでございましょう。
#313
○水野説明員 形式的に申し上げますと、所得税法におきまして非課税所得として掲げることによりまして所得から除外をいたしておりますので、一応は所得に入りながらそれは非課税の所得である、形式的にはそういうような形で扱っておると申し上げていいかと思います。
#314
○権藤分科員 この非課税扱いというのが、年々国鉄あるいは私鉄の運賃の値上げ等によりまして額が大きくなっておりますね。これはどういう理由でございますか。
#315
○水野説明員 通勤手当は一定の範囲で非課税にいたしております。その一定の範囲といたしましては、通常一般的に必要とされる部分として、法律に書かれておるわけでございます。
 それでは、一般の通勤者につきまして「通常必要であると認められる部分」というのはどんな範囲のものかということでございますが、その点につきましては、最近ほとんど毎年人事院勧告で通勤手当の部分につきましても勧告が行われているわけでございまして、これは全国の事業所につきまして人事院がお調べになる、その結果として出されるのが公務員につきましての通勤手当の勧告でございます。その金額が恐らく一般的に「通常必要であると認められる部分として」適当ではなかろうかということで、従来は、この勧告におきますところの公務員の通勤手当に準拠いたしまして非課税の範囲を定めさせていただいているわけでございます。
#316
○権藤分科員 よろしいでしょう。
 そこで、厚生省、労働省にお伺いしたいのですけれども、この通勤手当が厚生年金それから健康保険、各種共済年金の算出の根拠といいますか、その標準報酬月額に含まれておるということなんですけれども、大蔵省としてはこれを非課税としたのは、働く人が現場まで行くその必要な経費である、こういうふうに認めておるのだろうと思うのです。そこで所得税の対象外にしておる。そういうようなことから考えてみますと、この標準報酬月額の中に通勤手当が含まれておるということはちょっと私ども奇異な感じがするわけですけれども、この標準報酬月額の算定されたところをひとつ御説明いただきたいと思います。
#317
○此村政府委員 健康保険それから厚生年金保険におきましては、たとえば出張旅費などのように臨時的に支給されるものを除きまして、名称のいかんを問わず、労務の対償として経常的、実質的に事業主から被保険者に支給されるものすべてを報酬の範囲内でとらえておるわけでございます。これは一つには、社会保険における標準報酬というものが傷病手当金とか年金額の基礎になっていること、そういうふうな給付とリンクをしておるというようなことと関連があるわけでございます。
#318
○権藤分科員 その給付のことについてもまた後で触れたいと思うのですけれども、この通勤手当、これは所得、報酬とみなされますか、もう一回お聞きしておきたいのです。
#319
○此村政府委員 先生のお話は、要するに所得税法上の所得から外していることと矛盾するのではないか、かようなことかと思います。
 社会保険制度におきましては、たとえば現実に諸手当というのがあるわけでございますけれども、諸手当というのが、社会保険の適用事業所を見ます場合に、いろいろ種々雑多な形態もございます。特に中小企業も含めまして必ずしも一様ではございませんので、現実に所得を把握、つまり給付の根源になります収入の把握におきまして、総合的にそういうものをすべてとらえる、こういうたてまえでいままで来ているわけでございます。
#320
○権藤分科員 いままでそうであったろうと思います、現実にそうですから。ですけれども、大蔵省でさえも通勤手当は当然所得ではないのだ、所得であるようだけれども、これは所得を得るためにそこまで行くための経費だから、一万七千円まで非課税にしよう、また運賃等が値上げすれば、昨年から千円免税点というのは引き上げられておるけれども、そこのところはもう一つ検討する必要があるのではないか、こう思うわけです。
 と申し上げますのは、たとえば都心から遠いところになりますと、自動的に通勤手当というものが増額されてくる。それから、会社の命令であっちへ行け、こっちへ行けということで転勤というのがある。そうしますと通勤距離が遠くなる、自動的に通勤手当というのは上がってくる。その通勤手当というものが所得の中に含まれまして保険料というものが算出されていきますと、その他の手当それから基本給というのは変わらなくても、通勤手当というものが含まれておりますから、標準報酬月額というのは上がってくる、そのためにこの月額保険料というものが一ランク、二ランク上がってくる、そういう結果が生じておるわけでありますね。もう御存じだろうと思うのです。
 ですから、あなたが先ほど、反対給付があるからいいではないかとおっしゃっておりますけれども、その反対給付の問題は別としまして、これは基本的に厚生年金の額が少ないわけでありまして、それは今後の問題として、改正すべきところは改正しなければならぬだろうと思うわけです。
 しかし、自分の個人の所得、収入にはならない通勤手当も含んだ標準報酬額というものは、ちょっと矛盾するところがあるだろうと思うのでございます。
 それで、この点につきまして将来何か改正されるか、あるいはこういう問題を検討するか、そういう御意思があるかどうか、ひとつお伺いしておきたいと思うのです。
#321
○此村政府委員 先生おっしゃいますように、実費弁償的なものを標準報酬の算定の基礎となる報酬から外したらどうかというのも一つの考え方であろうと思うわけでございますが、先ほど来御説明しましたように、現実に社会保険制度を長年にわたって構築しておる一つの要素でございまして、客観的な条件としましては、現在支給されております諸手当を全般的にどういうふうに取り扱うか、それから仮に除外するとしても、それをどの程度除外するか、あるいは健康保険、厚生年金以外の他制度におきましても現実に適用されている例がございますので、それとの均衡をどうするか、かなり大きな将来の検討問題だと考えております。
#322
○権藤分科員 もう御存じだろうと思いますが念のために申し上げておきますけれども、月給十八万円の男子ですけれども、この人が通勤手当を現在四千円もらっておるとしますと、厚生年金保険料が八千百九十円、健康保険料が七千二百円、雇用保険料が九百十五円、合計一万六千三百五円になります。そうしてこの人の純手取り額が十六万三千六百九十五円になるわけです。ところが、通勤手当が二千円上がりますと純手取り額が十六万二千八百四十円になる。月額にしましてマイナス八百五十五円、一年間に一万二百六十円の減収になるわけです。また、通勤手当が一万六千円になりますと、月額千七百七十円保険料が高くなるのです。年間にしますと二万一千二百四十円。要するに、その他の手当も変わらない、基本給も変わらない、ただ通勤手当がふえたというだけでこういうような所得の差が生じてくるわけです。こういうものを矛盾とはお感じになりませんか。いかがでございましょう。
#323
○此村政府委員 いまおっしゃいましたように、要するに問題は、私どもの方は報酬の中に入れているわけでございますので、その場合に、そういう観念に立てばそれだけ報酬が上がるわけでございますから、現行制度上はやむを得ない。しかしながら、先ほど申しましたことの繰り返しになりますが、こういった通勤手当の問題について、いつまでもこのままで放置してよいかどうかというのは十分検討しなければならぬ、かように考えております。
#324
○権藤分科員 これはぜひとも検討をしていただきたいと思います。このままではきわめて大きな社会問題にまで発展する可能性があるのではないか、こういうふうに思っております。
 最後に、念を押して聞いておきたいのですが、通勤手当を標準報酬月額、こういうようなことにならないように、厚生省と大蔵省と意見の一致が必要だろうと私は思うわけであります。
 そこで、大臣にお伺いしておきたいのですが、先ほどから申し上げておりますように、いわゆる非課税にしたのは、いろいろな理由がつけられましたけれども、勤労所得を得るために必要なものであるということで、運賃の値上げに伴ってこの通勤手当の非課税も引き上げておるわけでありますから、厚生あるいは健康、共済年金等の保険料の月額の算定をするにしても私はやはり何らかの非課税措置というものをとる必要があると思いますが、当局も検討するということでございますので、大臣に、どういう時期にどういう方法でこれを検討するのか、お聞きしておきたいと思います。
#325
○橋本国務大臣 私もいま伺っておりまして、一つの御主張だということはそのとおりに私も感じます。また、小沢前大臣が昨年の分科会で、同じような問題について、これは実費弁償的なものについて将来やはり考えるべきだということを発言しておられることも存じております。ただ、現在、率直に申しまして、非課税所得という言葉があるとおり、その所得の中で組んで現行の体制ができておりますから、医療保険部長の立場からすればああいう御答弁になることは、これはお許しをいただきたい。各種の社会保険、各制度ともに同じような方式をとっておりまして、健康保険、また厚生年金保険だけの問題でもありませんので、横並びの問題として今後検討さしていただきたい。その場合には、当然各方面いろいろな角度からの御意見等も伺わなければなりませんだけに、すぐいつまでにという時期を申し上げるわけにもいかないと思いますが、検討はいたしてまいりたい、今後さらに検討していきたい、そのように思います。
#326
○権藤分科員 それから、昨年七月から国民年金の第三回特例納付が行われております。これは、ペナルティーの意味も含めまして月額四千円の保険料となっており、過去一度も納めてない人は最高五十二万八千円、これを二年間のうちに自由に払うようになっております。収入の少ない人は非常に大変なことであろうと思います。そこで、地方自治体の一部では、納付者に対しまして自主的に貸し付け等の援助を行っておると聞いております。これは国民年金でございますから、当然厚生省の所管であるわけであります。したがいまして、地方自治体でもそういう援助をしておるわけでありますから、国としても何らかの措置を講じてやる必要があるのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、いかがでございましょうか。
#327
○持永政府委員 昨年から始まりました特例納付について、御指摘のように地方自治体がいろいろと貸し付けをやっておるということは私ども伺っておりますけれども、いろいろと国会での御議論もございましたので、本来的には、いままでこつこつ保険料を納めてきた人とのバランスの問題がございます。したがいまして、できる限りは自分で御努力いただくというのが前提かと思いますけれども、それでもどうしても納められない低所得の方もおられるかと思いますので、そういった人たちにつきましては、世帯更生資金制度の活用というようなことを五十四年度の予算において措置いたすことにいたしております。
#328
○権藤分科員 以上で終わります。
#329
○岡田(利)主査代理 これにて権藤恒夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、安藤巖君。
#330
○安藤分科員 私は、国立病院等の医療体制についてお尋ねをいたしたいと思います。
 まず最初に、大臣にお答えいただきたいと思うのですが、これは厚生大臣の私的諮問機関になっております国立病院・療養所問題懇談会というのがございますが、この懇談会が昨年の十二月二十日「国立病院・療養所において当面講ずべき措置について」と題する提言をしておられるわけです。もちろん大臣はごらんになっておられると思いますけれども、ここで提言をされておりますのは「現在の国立病院・療養所の診療機能、定員、施設整備等の面における立ち遅れ」がある。「われわれは現状を早急に改善する必要があると認めた。」というふうにあるわけですね。そして中身は、もちろん細かいことは申し上げませんけれども、「国立病院・療養所の現状と問題点」という項に「医師、看護婦等の不足など人員配置や設備整備等の面で依然として立ち遅れがあり、その結果病院個々については与えられた役割を必ずしも十分果たすことができない事態に至っている。」という指摘があります。こういう提言があるわけですが、これは施設機能の拡充強化の必要性を、そしてそれには人員の増加が必要だということを言っておられるわけですが、これは総定員法の枠というのがあって、結局その枠が足かせとなっておって、国民の要請にこたえられない状態だという指摘だというふうに思っております。
    〔岡田(利)主査代理退席、主査着席〕
そういうふうによく言われておるわけですが、この提言に対して厚生大臣としてはどういうふうにこたえていこうとしておられるのか、まず最初にお尋ねしたいと思います。
#331
○橋本国務大臣 この懇談会の提言は、私どもとしても非常に貴重な、また今後参考にしていくべきものだと受けとめております。そして同時に、総定員法の枠の問題も出ましたが、その中におきましても最大限できる努力をしながら、本年度においても増員を図り、それぞれ所要の対応ができ、少しでも前進を図ってきておるわけであります。この中におきまして五十四年度予算の編成に当たりまして、たとえば脳卒中リハビリテーション対策の推進でありますとかあるいは臨床研究機能の強化等、これは定員配置の上におきましてもその趣旨を反映することに努めたわけでありまして、今後においてますます国立病院、療養所というものが負うべき役割りというものも大きくなるわけでありますし、このあり方についての基本的な問題に一層深く研究を願い、それを踏まえて私どもとして一層の努力をしてまいりたい、そのように思います。
#332
○安藤分科員 そこで、具体的にお話を伺いたいのですが、いま申し上げた懇談会が重症心身障害児、それから進行性筋ジストロフィーの問題についても提言をしておるわけなんです。これは「医療従事者の充足について」という項目で「政策医療の推進」ということで指摘をしておるのですが、「政策的に推進すべき難病、救急医療、へき地医療対策や、特に国立療養所における脳卒中リハビリテーション、」それからいま申し上げました「重症心身障害児(者)、進行性筋ジストロフィー児(者)、らい患者対策等のために早急に専門医師の確保をはじめ必要な増員を図る必要がある。」というふうに指摘がされております。
 そこでお尋ねしたいのは、いま私が持っておりますのは重心、筋ジスの配置基準、これは厚生省がおつくりになったもので、これは四十床当たりの人員の配置基準が書かれております。これは四十床で四十人の人員を配置するということになって、結局四十対四十、これを実現しようというためにつくられておるのだと思うのですが、この四十人の内訳は、厚生省の方がよく御存じだから申し上げるまでもないと思うのですが、賃金職員が十三人入っているわけですね。そのうち行(二)関係が十名、医の(三)、これは看護婦さんになりますけれども、三名ということになりますと、これで本当に一対一、四十対四十ということになっているのかどうか。いま私があえて読み上げましたような懇談会の指摘、「必要な増員を図る必要がある。」という指摘からすると、本当にこの賃金職員十三名を含めて対応できるのかどうか。総定員法の枠の関係があるのですが、きちっと定員内職員としての四十人を要求されたのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
#333
○佐分利政府委員 重症心身障害児者、進行性筋ジストロフィー児者の看護につきましては、古い歴史がございまして、特に筋ジスの場合は三十九年度から始まっているわけでございますが、初めは患者四十人に二十七人の職員だったわけで、これが四十八年には三十三人にふえた、そして最終的に四十九年から四十人になったわけでございます。その間の努力はまず買っていただきたいと思います。
 そこで、四十人に対して四十人の職員というのは、こういった方々の場合には、医療のサービスのほかに生活介護、生活介助のサービスがございますし、またサービスそのものも非常に複雑であるということから、ほかの病気に比べると非常にたくさんの職員が配置してございます。
 御指摘の、四十人のうち十三人は賃金職員ではないか、それは初めからそのように要求したのかという点でございますけれども、重心とか筋ジスのサービスの中には、清掃とかあるいは洗たくとか、そういった単純業務でもあるわけでございまして、そういった仕事については賃金職員がなじむわけでございます。そういう関係から、厚生省といたしましても、賃金職員で要求いたしましたし、また現在賃金職員が入っているわけでございます。
#334
○安藤分科員 いま洗たく関係のいわゆる行(二)の関係の御説明があったのですけれども、医(三)の看護婦三名というのが賃金職員になっておりますね。だから、この辺は、看護婦と言いますと常時つきっきり、そういう症状の方だと思います。だから、四十対四十、一対一ということになっておるのだろうと思いますが、そうなりますと、看護婦の賃金職員ということになりますと、賃金職員は恒常的な職務についてはいけないというのが閣議の決定になっておるわけです。そういうのを防止するということになっておるわけですが、看護婦さんということになりますと、常時いわゆる医師の介添え役ということもやったり、あるいは身の回りの世話もやったりというようなことも必要だと思います。そうしますと、いまの恒常的な職務に賃金職員はついてはならないのだということになりますと、これが十分な配置基準と言えるのかどうかということで、疑問に思うわけなんですが、いかがですか。
#335
○佐分利政府委員 御指摘のように、十分であるとは申せません。しかし、看護婦の場合にも、病気休暇のための要員とかあるいは産休の代替要員とか、そういった臨時的な要員もあるわけでございます。そのようなものについてはやはり賃金職員がなじむのじゃないかと思います。しかし、先生もよく御存じのように、現在の国立病院、療養所の賃金職員の中には、明らかに定員見合いの職員が賃金職員となって入っております。これはやはり総定員法の締めつけの厳しさといったもののあらわれであると思うのでございますが、私どもといたしましては、一方においては総定員法の趣旨に従いつつ、一方においてはその枠内でできるだけの増員を図るという努力をしてまいりましたし、また今後もしてまいりたい。また、定員にすべき職員については、少しずつでも定員化を図りたいと考えております。
#336
○安藤分科員 そうしますと、私としては全部定員職員にすべきだと思うのですけれども、さしあたって医療職(三)の看護婦三名については定員化を図るというような御努力もこれからはしていかれないのか、いかれるのか、どちらなんでしょうか。
#337
○佐分利政府委員 一部の賃金の看護婦の中には、先ほど申し上げましたように、病休要員だとかあるいは産休要員だとか、そういうものがございます。しかし、そうでない純粋な定員見合いの賃金の看護職員につきましては、できるだけ早く定員化を図りたいと考えておりますし、また努力もするつもりでございます。
#338
○安藤分科員 そういういろいろ休暇をとったときの臨時的なものというならわかるのです。この問題についてそう長く議論をするつもりはありませんが、四十名以上おりまして、そして四十名を超えている人たちがそういう休暇をとった場合の穴埋めということでやるというならわかるのです。これは四十対四十ということで配置基準が決められてきている。経過はお話ししなくてもいいと思うのですけれども、これは四十八年四月五日、参議院の予算委第四分科会で大臣が答弁したことから始まっておるわけですね。その趣旨は、やはり四十対四十ということであったと思うのです。そうなりますと、やはり四十対四十を確保するには、きちっと看護婦さんが一人の患者さんについておるという状態が常時確保されなければおかしいのじゃないかと思いますね。
 だから、そういう意味からして、看護婦さんが三名非常勤だというのはやはりどうも解せないと思うのです。だから、いまおっしゃったように、できるだけ定員に入れるべき人は定員化していくようにこれからも要望もし、努力もしていくということですので、御努力をお願いしたいということを申し上げまして、次の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 難病対策のことをお尋ねしたいのですが、いろいろ難病対策で御努力をしておられるということはわかります。その一環としまして、臨床研究部というのをあちこちに設置をされて、それぞれの専門部門を充実しておられるということも知っておりますし、この臨床研究部がそれぞれ国立病院等にできておりますけれども、この配置人員は、現在のところ臨床研究部として発足をしているところについては全部充足されておるというふうに言えますか。
#339
○佐分利政府委員 必ずしも十分ではございませんが、できるだけの配置はしているつもりでございます。
#340
○安藤分科員 そこで、具体的にお話を伺いたいのですが、国立の名古屋病院でも五十一年度から、ここは血液疾患を担当するということで血液病センターというのが御承知のとおり設置されておるようです。そこで、ここには研究職の人が三人、医療職の人が三人、こういうふうに配置されていることになっているわけですね。このうち研究職の人が、この名古屋病院の所属ということではなくて、国立病院医療センターの所属になっているようですが、これはどういう理由ですか。
#341
○佐分利政府委員 まず、国立病院が研究職を持つようになりましたのは、四十九年の医療センターの臨床研究部の発足が初めてでございまして、まだ歴史が新しゅうございます。したがいまして、御指摘のございました名古屋だとか相模原だとか、そういうふうなほかの臨床研究部は、その後五十一年度から発足をしているわけでございます。そういう関係で、もう少し国立病院の臨床研究部のあり方というようなものを見きわめた上で、純粋な研究職を各病院の臨床研究部に配置するかどうかというようなことを決めてまいりたいと考えるわけでございます。また、当時のいきさつといたしましては、先生も御存じのように、医療職の方が給与が高いわけでございますね。そうすると、医療職の方が人を得やすいのじゃなかろうかというようなこととか、あるいは臨床をやりながら臨床研究するというふうないい面もあるのじゃないかとか、そういうふうな純粋な理論もございまして、いま国立病院付属の臨床研究部のあり方を検討中、実験中ということでございますので、いましばらく時間を拝借させていただきたいと思います。
#342
○安藤分科員 いまおっしゃった医療職の人たちのことなんですが、これは臨床研究をすることはもちろんそうだろうと思うのですけれども、実際には診療に当たるということもあるのじゃないかと思うのですね。それが非常に効果的だというお話がいまあったのですが、そうしますと、この血液病センターには、ベッドも備えつけてそして看護婦さんも配置する、こういうことになっていると思うのです。
 そこで、国立名古屋病院の場合で言いますと、昭和四十九年度に三人医療職、いわゆるお医者さんが採用されて血液病の治療に当たってきておられた。五十一年度からいよいよこの臨床研究部血液病センターというのが設置されたということになって、四十九年度に採用された人たちが今度その血液病センターの方へ行くことになるわけですね。そうしますと、本院の方の血液病関係の診療に支障を来すというようなことがあって、併任というようなことでやりくりをしているという話も聞いたのです。そうなると、臨床研究部というのが本格的に設けられてその道専門で診療に当たる、あるいは研究に当たるということに支障を来すというようなことになってきておる状態ではないのかどうか、お伺いしたいのです。
 それからもう一つは、そういう血液病の診療に当たるということで四十九年度からもう実際にやってきておられるわけですね。今度血液病センターというのができて、そこへ配置されるということになってしまった。だから、いままで血液病ばかりではなかったと思うのですけれども、血液病を中心にして内科の病棟があったけれども、そこのお医者さん三人引っこ抜くことになってしまったので、その病棟を閉鎖するというようなことになって、ただでさえ入院を待機しておられる患者さんが多い状態にいまあるわけなんですけれども、よけいそれに拍車をかけるというような状態になって、患者さんの需要に応じ切れない状態が出てきているという話も聞いているのですけれども、その辺のところはうまくいっているのでしょうかね。
#343
○佐分利政府委員 十分うまくいっているとは言えないと思いますが、私はかなりよくやってくれていると思っております。もともと四十九年に医師たる定員三名を配属いたしましたときには、将来は臨床研究部ができるから臨床しながら研究もやるのだ、そういうことで配置したわけでございます。また、国立病院の定員配置といたしましては、研究関係は研究関係、診療関係は診療関係、ただ臨床研究部の場合には、研究をしながら臨床し、臨床しながら研究をするところに国立病院の臨床研究部の特色が出せるのじゃないか、いい臨床研究ができるのじゃないかという基本的な考え方があるわけでございまして、境界領域になるわけでございますけれども、私どもは当初医師三名を配置したときが、すでに将来はこれは研究の方も担当するということになっておりましたし、またその後、臨床面は臨床面として、少しずつではございますけれども、医師等の定員も充足しておりますので、必ずしも十分ではございませんけれども、名古屋病院ではかなりよくやってくれている、また先ほども申しましたように、国立病院における臨床研究部のあり方というふうなものをよく実験していてくれると考えております。
#344
○安藤分科員 私が心配するのは、先ほど申し上げたような経過で、四十九年度に採用されて血液病関係の治療に当たってみえるというようなことが事実の経過としてあるわけですね。だから、臨床研究部血液病センターのためにもともとそういう予定で採用された人たちですから、そういうふうに行くのは結構ですし、また行かなくてはおかしいと思うのですが、本院の方のそういう診療に支障を来しているという面なきにしもあらずという話を聞いたものですから、そちらの本院の方の病棟も閉鎖してということになってきますと、これはいろいろ差しさわりが出てきていることになるのじゃないか。だから、その辺のところもよく見きわめていただいて、これはそれぞれの病院サイドでのやりくりの問題にもなろうかと思いますけれども、適正な措置をとっていただきたいということをお願いしておきたいのです。
 次に、救命救急センターのことについてお尋ねをいたしたいと思います。
 これは御承知のように、いわゆるたらい回し防止というのが一つのきっかけになって、救急医療対策事業の一環として、特に心筋梗塞とか脳卒中とかあるいは頭部の損傷とかという重症の救急患者の医療を確保するということで設けられたことは私も知っております。この関係で、五十三年度から名古屋と呉でも救命救急センターが設置去れることになったということは聞いておるのですが、これがオープンするのはいつなのかということ、呉と名古屋の関係だけでいいです。それから、設備の進行状況はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
#345
○佐分利政府委員 完全なオープンは本年四月一日という予定でございまして、すでに救命救急の業務の一部は担当いたしております。
#346
○安藤分科員 人員枠は一カ所三十八人というしうに聞いておりますけれども、これは従来の定員の枠から別枠として三十八人というふうにつけられたものかどうか、いかがですか。
#347
○佐分利政府委員 完全な別枠としてつけております。
#348
○安藤分科員 ところが、本院である国立病院の方、そちらがいろいろ患者さんの要望にこたえていくためには、人員不足ということで常時悩んでいる問題があるのですが、そういうことで三十八人の枠を、本院の方の治療、診療に当たるということで、言葉は悪いですが、流用みたいなそういう懸念というのは全くなく、全然別枠に三十八人でやれるという体制にある、こういうふうに認識しておられるわけですか。
#349
○佐分利政府委員 私どもはそのように指示して三十八名の定員を割り振ったのでございます。
 なお、先ほど来名古屋病院の定員についていろいろ問題になっておりますが、先生がお話しになりました血液病センター設置のときに名古屋財界の寄付がございまして、増床が行われているわけでございます。そのあたりが、名古屋病院の人事運営面で少し無理を起こしているといった事態が生じているのではないかと思っております。
#350
○安藤分科員 次に、定員の問題についてお尋ねしたいのですが、国立病院関係では医療職関係は、いま行政管理庁がやっておられる定員削減の対象から外れているということは伺っております。行(一)、行(二)の関係が削減の対象になっているということも聞いておりますが、病院の会計課の歳入係、結局は治療費の支払いを受け入れる側の業務は、当然のことながら恒常的な職務だというふうに私は思っているのです。これは異論のないところだと思うのですが、名古屋病院の場合で言いますと、行(一)の事務部門の定員が八名、これは削減が始まってからだと思うのですが、削減をされて、現在、定員の職員は六十一名、そのうち二人は地方医務局へとられているわけです。そして賃金職員がそれにプラスして十八名おるということになっております。会計課の歳入係は、定員職員が四名、うち一人は係長、賃金職員が二名、こういう配置になっておりまして、先ほど言いました医療費の受け入れ業務、保険金の請求事務、この仕事に賃金職員の人たちが定員職員の人たちと同じように担当を組んで当たっておる。そこで、賃金職員の人たちは出納員になれないものですから、実際やる仕事は一緒なのですが、定員職員の人の判こを使ってやっておるというのが実態だと聞いているのですよ。そうなりますと、これはまさに賃金職員の人たちが恒常的な職務を恒常的に行っている状態がそこにあるのではないかと思うわけです。
 賃金職員ですと、一年間ずっと通しで採用してはならぬということがあるものですから、三月三十日あるいは三十一日に契約を一遍解除して、一日置いて四月一日あるいは二日からまた同じ仕事と、わずか一日抜けるだけで恒常的な仕事をやっておるわけです。だから、こういう実態から見ますと、この行(一)関係の賃金職員もまさに定員の中に入れていかなければならぬのじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
#351
○佐分利政府委員 名古屋病院の場合には、特に外来患者が多うございますし、また全般的に入院、外来を通じて診療活動が活発でございます。そういう関係で、医事課にも会計課にも賃金職員がほかの病院よりもたくさんいると思うのでございますけれども、先生はいま会計課で定員職員と全く同じことをやっているじゃないかとおっしゃいましたが、私どもはそのようには思っておりませんし、また指導もしていないわけで、やはり補助者として、金銭の出納には当たっていない、その他の書類の出し入れとか物品の払い出しとか、そういうふうなことをやっていると考えているわけでございます。しかしながら、確かに名古屋病院の場合には賃金職員が多いわけでございまして、こういった方々はやはりできるだけ早く定員化をしていくべきではないか、またその前に、賃金職員としてもっと処遇を改善すべきではないかという問題があるのかもしれません。
#352
○安藤分科員 そこで、時間が来ましたから最後に一点お尋ねして終わりますけれども、労働組合などが前に病院当局に定員をもっとふやしてほしいという要求をしましたときには、定員オーバーになるからということで断られておった。しかし、最近は、いまの御答弁のような御趣旨だろうと思うのですが、定員はふやしたい、賃金職員を含めてこれはもうずっとやってもらわなければならぬ必要な人間だ、しかし地方医務局あるいは本省へ要求しても、これはなかなか認めてもらえないのだからというふうに、泣き言を言うというのですか、本省の方がちっとも言うことを聞いてくれないのだ、実情はこうだというふうに変わってきているのが実情のようです。だから、そういうことからしますと、いまもしかるべく定員の増を考えていきたいとおっしゃったのですが、これは定員の増員要求をきちっとすべきではないかと思うのです。
 それで、医療職関係は先ほど申し上げましたように、人員削減の対象から外れておりますけれども、いま申し上げましたような実態からすると、行(一)、行(二)の関係も、国立病院の関係はやはり定員削減の対象から外していくという方向で行政管理庁の方へ要求をされてしかるべきではないかと思うのですが、いかがでしょう。
#353
○佐分利政府委員 そのような要求は私どももいたしております。しかし、なかなか思うようにならないわけでございます。ただ、五十四年度におきましても、きわめて厳しい定員事情のもとではございましたが、国立病院の場合、全部含めますと、賃金職員を除いて八百十二名ふえているわけでございます。これはほかの省庁などと比べていただいても、行管としてはかなりふやしているという気持ちが強いわけでございます。
 そういうことで、私どもも、定員はもっとふやしてもらいたい、賃金職員も多くなってまいりましたから何カ年計画で定員化したいという気持ちは持っておりますけれども、やはり各省庁横並びの問題もございますし、また総定員法の趣旨といったこともございまして、必ずしも思うようにはまいっておりません。しかしながら、先ほども申し上げましたように、ここ十年間の国立病院、療養所の定員のふえ方というものを見ていただけば、決してわれわれが惰眠をむさぼっておったのではない、できるだけの努力をしてきたということはわかっていただけると思っております。
#354
○安藤分科員 終わります。
#355
○野呂主査 これにて安藤巖君の質疑は終了いたしました。
 次に、鈴木強君。
#356
○鈴木(強)分科員 最初に、日本住血吸虫病の問題についてお尋ねいたします。
 御承知のように、山梨、岡山、広島、福岡、佐賀の、この五県の地方病とも言われております日本住血吸虫病を絶滅するための予防施設の整備につきましては、昭和三十二年度より厚生省におかれましても本格的に取り組まれ、大変な努力を払われて今日に至っておるのでございますが、その結果大きな成果が上がっておりまして、まことに御苦労に存じますし、感謝にたえません。
 そこで、私がお伺いしたいのは、昭和四十九年に、最後の仕上げとしまして寄生虫病予防法の一部が改正され、昭和四十九年度以降五カ年間で残された部分全部を完了する、農業用用水、河川等の溝渠のコンクリート化を完成するというような御方針であったように伺っておりますが、残念ながら、本年年度末を迎えまして約六万二百二十六メートルが残ってしまったわけでございます。非常に残念に思いますが、これはどうして最初の基本計画と実施計画が狂ったのでございましょうか。この点をお伺いします。
#357
○田中(明)政府委員 先生御指摘のとおり、日本住血吸虫病を予防するための溝渠のコンクリートの五カ年計画につきましては、四十九年以降五年で完成する予定でございましたが、御案内のとおり、ちょうど四十八年以降大きな経済変動がございまして、工事費が著しく高騰したという理由等によりまして、当初の予定計画どおりにはまいらなかったと了解しております。
#358
○鈴木(強)分科員 それは非常に残念なことですが、しからば、残された六万二百二十六メートルを完全に実施するための措置はどういうふうになさるおつもりですか。
#359
○田中(明)政府委員 計画の残存部分につきましては、厚生省関係の分のほか、当初は宅地造成あるいは農業構造改善事業等で実施する予定であったものも一部含めまして、五十四年度から二カ年の予算措置によりまして完成することといたしております。そして五十四年度におきましては、そのために七億二千万の予算を計上しております。
#360
○鈴木(強)分科員 この点についてちょっと疑義がありますから確かめておきたいのですが、従来、寄生虫病予防法第三条ノ二の二項によりまして、当該県知事とも十分連絡をとって基本計画をお立てになり、実施してまいったのでございますが、それはこの法三条ノ二の二項が準拠法であったのじゃございませんか。
 ところが、今回はそれが改正されないままに計画を立て、予算措置をされたということですから、従来やってまいりました例からしますと、法律的にちょっと疑義があるように私は思うのでございますけれども、その点は問題ないのですか。
#361
○田中(明)政府委員 御指摘のとおり、法律は一応切れるわけでございますけれども、予算措置として、先ほど申しましたように、二カ年計画で実施するというふうに関係方面と了解をとり、都道府県とも十分協議して実施することにいたしております。
#362
○鈴木(強)分科員 私の言うのは、法的に疑義が残らないかということなんです。ですから、その点は厳密に考えると問題があるように私は思うのですよ。
 これから残された二年間に、法律改正をせずに、要するに準拠法がなくて計画を立て、これを予算化して実行するということですから、後々問題が起きないかということですよ。その点は政府として絶対責任を持ってもらえるのでしょうね。
#363
○田中(明)政府委員 ほかの事業につきましても予算措置で行っているものはいろいろございますし、この点につきましては、先ほどから申し上げておりますように、政府として責任を持って二カ年計画で実施してまいりたいと思っております。
#364
○鈴木(強)分科員 私は若干疑義を残しますが、いまの答弁を了承するわけにはいきませんが、聞きおきたいと思います。この点はぜひ大臣からもひとつはっきりしておいてください。
#365
○橋本国務大臣 いま公衆衛生局長から答弁をいたしましたとおり、計画年次を終了するに当たってなお残してしまった事業について、これは予算措置で対応しようということにつきまして、私は法的に問題はないと考えております。関係方面全部の了解をとっての事業でありますから、これを実施して完成をしたい、そう思っております。
#366
○鈴木(強)分科員 わかりました。
 それでは、残された部分の六万二百二十六メーターについては、特に私の選挙区の山梨県は非常に多うございますが、残された県は山梨、福岡、佐賀の三県だと思います。したがって、この三県を二カ年間でどのようにしてやられるのか、具体的に各県別に、残メーター数と国庫補助額をひとつ示してもらいたい。
#367
○田中(明)政府委員 先生御指摘のとおり、現在までに未完成の分は山梨、福岡、佐賀の三県でございまして、それぞれ、山梨につきましては二万六千メートル弱、福岡につきましては二万三千五百メートル、佐賀につきましては一万一千メートル弱ということになっておりまして、このそれぞれにつきまして、今後県と十分協議いたしまして年度別の割り当てを決めまして、二カ年で実施してまいりたいというふうに思っております。
#368
○鈴木(強)分科員 五十四年と五十五年のこの二カ年でおやりになるわけですから、今年度の予算で何ぼ組んであるのか、残った分は来年どうなるのか、ちゃんと答えてくださいよ。
#369
○田中(明)政府委員 先ほども申し上げましたように、五十四年度分につきましては、全体といたしまして三万三千七百七十三メートル、七億二千万でございまして、県別につきましては、これから県と相談して決めたいと思っているわけでございます。
#370
○鈴木(強)分科員 その七億二千万円の根拠は一体どうなっているのか。いまここで言えないのですか。各県別のこの配算はどうなっているのか。根拠がなくて予算は組めないでしょう。
#371
○田中(明)政府委員 私どもといたしましては、全体が六万メートル強残っているわけでございまして、このうち、先ほども申しましたように、初年度、五十四年度におきまして三万三千七百七十三メートルということで、県別の内訳につきましてはこれから県と相談して決めるということで、事業の全体といたしましては十分計画ができているというふうに考えております。
#372
○鈴木(強)分科員 大臣、事務官僚というのはそういう形式的な答弁をするんだよ。予算編成するのには根拠があるはずなんだ。そんな抽象論じゃなくて、具体的に聞いているんだから、答えなさいよ。
#373
○橋本国務大臣 私もいまお話を伺っておりましたけれども、ことしの予算編成時における総事業量としての枠が、この三万三千七百七十三でありますか、この数字でありまして、各県からの御要望の数字はこれから持ち込むということでありますから、決定次第御連絡をするということで御了解をいただけませんでしょうか。
#374
○鈴木(強)分科員 こんなところで時間をかけたくないのですけれども、少なくとも皆さんが努力はしてくれたが、結果的に残った。しかも厳密に言ったら、大臣はそうおっしゃるけれども、法律的に見て疑義がある。疑義があるものを法律改正もしないで予算化してやろうという。それには、たとえば山梨県は幾ら残っている、それを二カ年間にどうしてほしい――それは県と相談しなければなりませんけれども、厚生省は厚生省としての一応の判断なり基準というものを考えてこの予算を組んだと私は思うのですよ。根拠というものはあると思うのですよ。これからその根拠に基づいて、残された山梨、福岡、佐賀県と相談する。これはわかりますよ。厚生省としてはどういう形でこの残った分をやろうとするのか、半分半分でやろうとするのか、そういう点を伺っているのです。予算をつくる場合に必ず根拠があったはずですね。原因があったはずです。それを示してください。
#375
○田中(明)政府委員 たびたび申し上げておりますけれども、厚生省といたしましては、一応三県あわせまして、ただいま申し上げたような総合的な計画を立てたわけでございまして、各県あるいは各市町村につきましての積算というような形ではございませんので、これから県と相談し、決めてまいりたいということでございます。
#376
○鈴木(強)分科員 そんな答弁は絶対納得できない。そんなことであなたはわれわれをごまかす、と言うとあれですが、答弁して通そうなんということは納得できないのですよ。そんなばかなことないでしょう。
 少なくとも厚生省としてはこうやりたいんだという一つの方針をお持ちになって、予算を計上したと思うのですよ。それを、これから相談してやるんでございますと言うが、しからば一体いつまでに これをやるのですか。いつになったらわかるのですか。そんな無責任な提案はないですよ。何も県と相談しないでそんなことやれますか。基本計画を立てるときには県知事と相談してやるはずなんだ。法律にもそう書いてある。
#377
○田中(明)政府委員 私どもといたしましては、全体計画ということで大体半分の額を計上しているわけでございますが、県との相談につきましては、早ければ三月に入りましたら始めたいというように考えております。
#378
○鈴木(強)分科員 法律を読んでみなさい。知事と相談をして計画を立てることになっているんだ、原則論において。
#379
○橋本国務大臣 いま御指摘のとおり、「毎年度其ノ年度ノ開始前迄ニ」ということで、まだ開始前に多少時間がありますから、その辺お許しをいただいて、相談をさせていただきたいと思います。
#380
○鈴木(強)分科員 そういう逃げ口上じゃだめですよ。いつまでに決まるのですか。
#381
○田中(明)政府委員 この予算の成立までに十分県と相談いたしまして、予算が成立した暁には、県と相談した結果に基づいて実施してまいりたいというふうに考えております。
#382
○鈴木(強)分科員 非常に努力をしてくれているんだが、そういう努力が水泡に帰するような答弁はだめですよ。もう少しわれわれが納得できる答弁をしなきゃだめですよ。あなた方は何をしているのか。――では、できるだけ早く相談をして、計画を立てたら私に必ず知らせてください。
 それから、現在患者はどの程度全国的におりますか。それから、最近における発生状況はどうなっているか。それから、患者に対する治療費の補助はどうなっているか。患者数は各県別に知らせてもらいたい。
#383
○田中(明)政府委員 昭和五十二年度におきます届け出患者数は九十七名でございました。五十三年度につきましては、まだ十一月までしか集計されておりませんが、五十六名ということで、さらにさかのぼりますと、五十年百五十四、五十一年百十一ということで、年々減少の傾向を示しております。
 そのうち、公費負担による治療処置の人数は、五十年二十九名、五十一年十七名、五十二年十八名ということになっておりまして、五十三年につきましては、まだ数字が出ておりません。
#384
○鈴木(強)分科員 ぼくの質問をよく聞いていなさいよ。各県別に知らせてくれと言っている。上のそらで聞いていちゃだめだ。
#385
○田中(明)政府委員 県別に申し上げますと、届け出患者数は、山梨県につきまして、五十年百三十、五十一年百十、五十二年九十五、五十三年は、先ほど申しましたように、十一月までの数字でございますが、五十一。広島県につきましては、五十年三、五十一年二、五十二年一、五十三年は四ということになっております。福岡県につきましては、五十年一、五十一年、五十二年は届け出がございませんで、五十三年は十一月までに一例の届け出がございます。それから佐賀県につきましては、五十年二十、五十一年三、五十二年、五十三年については届け出がございません。そのほかの県といたしまして、五十年はございませんでしたが、五十一年に二、五十二年に一、五十三年はございません。
 それから、治療処置の人数でございますが、山梨県は五十年が十一、五十一年がゼロ、五十二年が七。広島県は五十年が十、五十一年が十、五十二年が七。福岡県は五十年が一、五十一年が一、五十二年なし。佐賀県は五十年が七、五十一年が六、五十二年が四という内訳になっております。
#386
○鈴木(強)分科員 大臣、千億の功を一簣に欠くようなことでなくて、残された分についてはやっぱり責任もあるわけですから、ひとつ私の言わんとすることはできるだけ県とも相談をして、せっかくの予算を組んだ以上、早急にこれができるように、事前に手回しをして検討を加えていくのが筋じゃないですか。私はそう思うんです。
 ですから、その点を伺ったわけですが、まだ接触しておらないということでありますから、早急に接触をしていただいて、各県の意向を体して、その県の意向に沿えるように万全な配慮をしていただくことを大臣に特にお願いいたしますが、よろしゅうございますか。
#387
○橋本国務大臣 そのとおりに努力をいたします。
#388
○鈴木(強)分科員 では、二番目に、筋拘縮症の治療対策と治療費の援助についてお伺いします。
 現在、患者が一番多いのは山梨県だと思います。現在、厚生省が把握しております筋拘縮症児は、いま山梨県にどのくらいおると推定されますか。調査の結果はどうなっていますか。
#389
○竹内政府委員 筋拘縮症の検診結果でまいりまして、確かに山梨県が一番多うございまして、全国的な数値で整理いたしましたのが四百四十二名でございますが、なおその後昨年の末に新しく整理をいたしました段階で、四百五十五名というのが私どもの現在一番直近に掌握している数字でございます。
#390
○鈴木(強)分科員 そのうち手術を受けた子供は何人おりますか。
#391
○竹内政府委員 山梨県でだけというのは、申しわけございませんが、掌握はいたしておりませんが、全般的に、全国で四千六百三十一名のうち四百十七名というふうに私どもは掌握をいたしております。
#392
○鈴木(強)分科員 山梨県の分はわかりませんね。
#393
○竹内政府委員 山梨県の分での手術数というのは完全に掌握しておりません。申しわけございません。
#394
○鈴木(強)分科員 ひとつこれは県とも連絡をとって、そういう各県別の実態調査はよくしてくださいよ。そうしないと対策が立たないでしょう。
 それで、この一年間に新たにこの患者がふえておると思うのですが、その調査はしておられますか。
#395
○竹内政府委員 一昨年に私どもがつかみました数字が全国で三千六百六十九名、その一年後に四千百十九人というふうに、私どもとしては数字を全数として掌握をいたしております。したがいまして、約四百五十名の増というふうに理解しております。
#396
○鈴木(強)分科員 それで、こういう子供たちは小学校、中学校あるいは高校に進学をしておる子もあるかもしれませんが、普通の児童生徒と違いまして、学校におきましても、たとえば便所の施設一つとりましても、足が曲がらない、したがって日本式のトイレではなかなか思うように用便が足せない、したがって洋式の便器にかえてほしいというような具体的な要求もあると思いますが、現在文部省の方で把握をされております小中高の児童の中で、拘縮症といいますか、短縮症とも言っておるのですが、こういう児童はどのくらいおるか、御調査になっておられますでしょうか。そしてそういう施設についてどういう配慮をしていただいておりますか。ちょっと伺いたいのです。
#397
○島田説明員 ただいまの御指摘でございますが、昭和五十三年度現在での全国集計というのはちょっと私ども持ち合わせていないわけでございます。
 厚生省の方で先ほど数字を御発表になったわけでございますが、私の方といたしましては、学校検診に際して筋短縮、拘縮症についてできるだけ発見に努めて、それから疑わしいものについては保健所の療育指導を受けるように学校に指導いたしております。
 ちなみに、山梨県の場合で申し上げますと、山梨県では、たとえば鰍沢小学校あるいは増穂小学校というあたりが非常に多かったわけでございます。ここは便所を洋式に、個数を幾ら直したかということはちょっといま押さえていないのですけれども、洋式に改善している、あるいはこの学校には指導専任の教員を各一名ずつ配置している、それから県教育委員会で研究班等をつくって、この体育の指導等の細かい指導資料をつくって指導している、こういうことでございます。他の県についても、これがある意味で一つのモデルでございますので、しっかりやっていきたいと思っております。
#398
○鈴木(強)分科員 時間がありませんから多くを申し上げることはできませんが、ぜひ今後におきましても適切な御措置をしていただくように、格段の御協力をひとつお願いしておきます。
 それからもう一つ、治療のことですが、この治療費については、現在、児童育成費といいますか、そういうものが唯一の手がかりになっておるわけですが、これに該当する者は少ない。それから、身体障害者の面においての援助ということもなかなか思うようにいかないというので、私は昭和三十八、九年ごろからこの問題と取り組んでおるわけですけれども、歴代厚生大臣に対しても、現行制度にとらわれないで、新しく問題になりましたこの拘縮症の問題についてはぜひ格段の配慮をしてほしいということをお願いしてあるわけです。一昨年も、渡辺厚生大臣からも、非常にむずかしい問題ではあるが検討をしようというお答えもいただいておるわけですけれども、橋本厚生大臣にも、まだその育成費以外にはなかなか援助をしていただけないような状況でございますから、何か新しい方法を考えて、これらの児童のために、父兄のために、温かい国の手を差し伸べていただきたいということを重ねてお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#399
○橋本国務大臣 いま確かに、御指摘のとおりに、育成医療の対象とし、またその症状によっては肢体不自由児施設等への入所措置等を講じているところでありますが、なお一層研究をしてまいりたいと考えております。
#400
○鈴木(強)分科員 この問題は、注射による治療ミスか、あるいはその注射液が悪いのかということでいま法廷で争われている問題でございます。ですから、その問題はその問題としていずれ決着がつくでございましょうが、しかし現実に病気になっている子供たちは毎日毎日苦しんでおりますし、成長しているわけでございますから、そういう意味におきまして、大臣におかれましても今後ぜひ格段の御配慮をいただいて、どうか国の施策をつくっていただくようにお願いを申し上げておく次第でございます。
 それから、大臣はたばこをお吸いになっておりますね。いま禁煙運動とかあるいは嫌煙権確立運動というものが盛んに行われておりまして、ややこれは運動が定着してきているように思います。一部は電車の中では時間的に地域的に吸ってはいけないというようなこともやっておられまして、私は非常に喜んでおる者の一人ですが、こういう禁煙運動、嫌煙権運動というものに大臣は賛成ですか。反対ですか。
#401
○橋本国務大臣 私は大変なヘビースモーカーでありますけれども、少なくとも吸ってはいかぬというところで吸うほど非常識ではないつもりであります。
 ただ、私どもがマスコミ等を通じて拝見をしている限りにおいては、大変厳しい運動のようでありまして、私のようなたばこ吸いにとりましてはなかなかつらい話だなと感じております。
#402
○鈴木(強)分科員 私はかつて七十本のヘビースモーカーだったのですが、昭和三十六年からやめております。実に快適で、この分なら長生きをするように思うのですが、大臣も、つらいことですけれども、ひとつやってごらんになったらどうですか。健康上も非常にいいわけでございますから、お勧めをしておきます。
 それは余談でございますが、ところで、日本でがん患者がかなりおるわけですが、どのくらいおりましょうか。そして、そのうち喫煙が原因でがんになった、つまり肺がんですが、そういう患者の数は捕捉しておりますか。
#403
○田中(明)政府委員 がん患者の数につきましては、残念ながらそういう調査をここのところしておりませんので、把握しておりません。
#404
○鈴木(強)分科員 がん患者というのは、日本におるがん患者の数はわかっておるけれども、喫煙が原因でのがん患者はということです。その点ちゃんと……。
#405
○田中(明)政府委員 失礼いたしました。
 がんの患者で、喫煙が原因でがんになっているという者の数は、調査をしておりませんのでわかりません。
#406
○鈴木(強)分科員 こういう点も、大変ですけれども、一遍医師会の先生とよく御相談なすって、そしてやはり調査をされてみたらいいと思うのですよ。こういうことも非常に大切なことだと思いますから、今後研究をしてみてください。
 それで、大臣、いま、がんになりますともう全く不治の病だと言われておりまして、われわれにとってがんというのは最大の敵だと言われているわけです。この敵を倒すための研究ですね。そういうことは医師会の皆さんもあるいは学界の皆さんも一生懸命やってくださっておるのですけれども、なまぬるいではないか、もっと国は徹底的に予算をつぎ込んでいいからこの研究をやってほしいというのが偽らざる国民の願いだと私は思うのですよ。五十四年度予算にどの程度の予算が組まれておりますか、私は知らせてもらいたいのですけれども、ぜひ今後ともこのがんの治療に対して厚生省がもっともっと積極果敢にひとつやってほしい、こう思いますが、お答えをいただきます。
#407
○佐分利政府委員 五十四年度予算案のがん研究助成金の額は十五億二千万円でございます。これは厚生省ががんの応用的な面の研究をするための予算でございまして、ほぼ同額を文部省が計上しておりまして、がんの基礎的な面の研究を厚生省と文部省とで協議しながら推進いたしております。
#408
○鈴木(強)分科員 ぜひひとつ今後とも一層の努力をお願いしておきます。
 それから、私もう一つお伺いしたいと思いましたが、時間がありませんので終わりますが、特に大臣に政管健保と組合健保との財政調整の問題ですが、これは非常に大きな問題でございますから、無理をしないように、もっと抜本的な改革をしていただくことが先決でございますから、その点はひとつ賢明な、まだ若い、未来を担う大臣でございますから、大きな希望を私ども持っておりますので、間違いない方法でこれを措置していただきたい、これだけお願いをいたしまして、終わります。ありがとうございました。
#409
○野呂主査 これにて鈴木強君の質疑は終了いたしました。
 次に、春田重昭君。
#410
○春田分科員 私は保育所に関するさまざまな問題につきましてきょうは御質問していきたいと思います。
 最初に、保育所の国庫補助の対象になります保育単価の問題でございますけれども、この保育単価は、児童の年齢、また定員等によっても異なりますけれども、その他地域区分によっても差が出ているわけでございまして、この地域区分は何をもとに区分しているのか、まず御説明いただきたいと思います。
#411
○竹内政府委員 お答え申し上げます。
 保育所の措置費は、施設の従事職員の給与等の人件費及び入所児童の一般生活費等が内容になるわけでございます。その主体になります人件費の算定に当たりましては、本俸を初めといたしまして、期末、勤勉手当等の諸手当あるいは人事院勧告によるベースアップ等、国家公務員の給与体系に準拠いたしております。したがいまして、いま御指摘いただきましたように、地域差というのがございまするのは、人事院規則で定めております調整手当の級地区分を適用いたしておるところでございます。そういうことで、私どもとしては地方公務員である保健所の職員あるいは法人の職員等についてどのような給与体系が一番公平妥当に準拠されるかということになりますと、やはり国家公務員の給与ベースに準拠するのが一番妥当ではないかということでこういう方式をとっておるわけでございます。
#412
○春田分科員 そこで、調整手当という問題が出ましたので、きょうは人事院の方がお見えになっておりますのでお尋ねしたいわけでございますけれども、人事院の規則があるわけでございますが、調整手当というのが法の第十一条の三で決まっておりますけれども、この内容につきましてもう少し詳しく人事院の方から御説明いただきたいと思います。
#413
○角野政府委員 給与法の関係でございますので、人事院の方からお答えをさせていただきますが、現在の地域給と申しますか、国家公務員の調整手当は、いま先生お話しのとおり、給与法の中で十一条の三というところで規定をいたしておりまして、その中で柱になりますものは、民間賃金、それから物価、生計費、この三つを要素といたしまして、それらが特に高い地域に在勤する国家公務員に対して支給するという柱が立ってございます。
 それが第一の基本原則でございますが、ところで地域の問題につきましては経緯がございまして、わが国の戦後の国家公務員の給与の地域給の歴史と若干関係がございますので、ちょっと振り返って申し上げますと、当初戦後に勤務地手当という地域給がございまして、これが昭和三十二年でございますが、暫定手当に切り変わりまして、いわば金額において、地域において凍結した時期がございます。そのときに、その地域区分は凍結する、当分このままいくということが基本線にございまして、その後十年たちまして昭和四十二年でございますが、現在の調整手当がそのときにできたわけでございますが、そのときのことを申し上げますと、その凍結された暫定手当が、私どもの人事院の勧告で都市手当という勧告をいたしましたときに、都市手当ではなくて、御審議をいただきまして調整手当ということで発足したという四十二年の経緯がございますが、その二度目の経緯のときも、この地域区分については原則としてこのままとするという附帯の御決議をいただいておりまして、したがいまして現在地域給であります調整手当の運用につきましては、地域区分はほとんど昔の勤務地手当の時代のそのままつながっておる、そのまま踏襲しておるというのが実情でございます。ただ、例外が若干ございまして、現在の調整手当の十一条の三にも書いてございますが、ただ、その上位の地域に非常に近いところで、その上位の地域に比べまして民間給与、生計費、物価等が本当に類似しているというところに限って、例外的に上位の級地を官署として適用しておる、その両方で運用している次第でございます。
#414
○春田分科員 大臣も局長もよく聞いていただきたいと思うのですが、いまの人事院の局長の御答弁にありましたように、私の地元の大阪の例から言ったら、全く例外的な措置に類似するような問題が出ているわけでございまして、たとえて言うならば、私の地元、大阪の京阪方面でございますけれども、守口市という市があるわけですね。人口十七万でございますが、この地域は特甲地域になっているわけです。その隣に十四万の門真市がある。この地域は乙地域になっていますね。その隣は寝屋川市、これは特甲地域、その裏側に四条畷市、交野市、大東市、こういう市がございますが、これがいわゆる丙地域になっているのです。その隣の枚方市は特甲地域ということで、同じ一つのブロックの中で、さまざまな特甲地域それから乙地域、丙地域という形で多種多様になっているわけでございまして、そういう乙地域や丙地域の市町村からは、全く同一ブロックであり、全く同一経済圏である――先ほど人事院の局長の話では、物価の面と民間の給与の面と生計費によってその地域区分を分けているという説明がございましたけれども、私から言わせれば、物価の面におきましても民間の給与においても生計費においても全く変わらない。むしろ逆な面だってあるわけですね。人事院の規則には、確かに門真市では乙地域、その他大東市、四条畷市、交野市では丙地域になっておりますけれども、いわゆる例外的な措置として、官署の場合には準じてやっているわけです。
 そういう点で私は、こういう地域は少なくとも同一経済圏でございまして、同一ブロックでございますから、いわゆる官署と同じように、保育単価の面におきましても同一の特甲地域に並べるべきではないか、このような考え方を持っているわけでございますけれども、この辺、局長はどのようにお考えになりますか。
#415
○竹内政府委員 先生の御趣旨は私どもとしてもよく理解できるわけでございます。ただ、大変申しわけございませんが、私どもとしてはいままでのところ、やはりどこかで準拠しなければならないということから、実は先生の御指摘の大阪府の一部で、周囲が完全に甲もしくは乙あるいは特甲で囲まれておって丙地域になっているものについては、一応乙地域という例外は設けております。しかし、完全にそれに取り巻かれていないケースの場合に、いま先生が四条畷などについて御指摘いただきまして、そういったところについては遺憾ながら調整手当の地域区分がそのまままだ適用されているわけでございます。私どもとしては、現在の保育所の保育単価そのものが非常に複雑になり過ぎておりますので、できればこれは簡素化いたしたいとは思っております。ただ、これの簡素化というのは非常にむずかしゅうございまして、中途半端に簡素化をするということは、逆に言いますと、ある意味では相当の上乗せが出てまいりますので、一律にどこでもというわけにはいかないと思います。
 そういう意味で、御指摘の点につきましては、私どもできるだけ実態調査などを含めて、ただいま御紹介いたしましたように、周囲が完全に上位の地域に囲まれているところはその周囲の地域に準ずるという仕組みについてさらにこれが拡大できるかどうか少し検討させていただいて、財政当局あるいは人事当局の方の御意見も聞きながら対処してみたい、かように考えております。
#416
○春田分科員 大東市や四条畷市、交野市は周辺は確かに特甲地域になっているんです。囲まれているんですよ。だから、例外的な措置も若干大阪府では認めているという局長の答弁でございますけれども、この市におきましてはそういう面の配慮も十分やっていただきたい。地元からの要望からすれば、非常に保育単価の面で差があるわけでございます。
 局長も十分御存じだと思いますけれども、大臣もせっかくおいでになっておりますので聞いていただきたいと思うのでありますが、たとえば地域指定の格差によってどれくらいの差が出てくるか。保育所の規模が六十人から九十人の規模の例で見ますと、特甲地域は児童一人当たり四万三千六百円つくわけですね。乙地域は四万一千九百六十円、丙地域では四万九百八十円という形になるわけです。したがって、特甲地域といわゆる乙地域の差は千六百四十円、特甲地域と丙地域の差は二千六百二十円という形になります。これは児童一人当たりでございますから、これを九十人の規模の保育所で見た場合、一月で換算した場合、乙地域で月十四万七千六百円、丙地域で二十三万五千八百円の差が出てくるわけですね。これを年間ベースで計算いたしますと、何と百七十七万一千二百円、そして特甲と丙地域におきますと二百八十二万九千六百円、相当な差になってくるわけですね。
 こういう点で、最終的にこの負担というのは父兄の方につけられて負担になってくるわけでございますので、要するに私から言わせれば、物価の面におきましても生計費におきましても民間の給与におきましても全く変わりありませんので、早急にこの地域におきましては見直しをしていただきたい。最終的に大臣からこの件につきましては御答弁をいただきたいと思います。
#417
○橋本国務大臣 私どもも自分たちの郷里に当てはめてみた場合に、いまの御質問のお気持ちはよくわかります。ただ、いまこれは保育の場合ちょっと問題は別でありますけれども、たとえば生活保護の級地指定の場合でも、実は私どもの目で見て本当に変わらぬと思うようなところで、計算式に入れて数字をはじいてみると、なるほどそれだけの差が出るという結果にぶつかった自分の記憶もございます。
 いまの御指摘の問題は、結局人事院規則で定められた級地にどう特例を設けるかという話でありますから、非常にむずかしい問題も実際に実務を担当する諸君からすればあるだろうと思います。私ども、できるだけ不公平がないように努力をさせていくように、またしていくようにしたいと思います。
#418
○春田分科員 官署の場合はそういう特例を持っているわけでございますので、十分そういう面におきましても御配慮をいただきたいというように要望をしておきます。
 続きまして、同じく国庫補助の対象となりますいわゆる施設整備費、建設費ですね、それから運営費につきましてお伺いしたいわけでございますけれども、この建設費に対する現在の国庫補助の基準というのがありますが、これを最初にお示し願いたいと思います。
#419
○竹内政府委員 基準とおっしゃる意味は、いわば単価の問題かと存じます。私どもの方は、単価につきましては毎年官庁営繕単価を一応参考にいたしましてそれぞれ整理をいたしているわけでございますが、一般的には、整備費の補助単価といたしましては、五十三年度が一応一平米当たり十一万二千六百円、来年度、つまり五十四年度についてでございますけれども、これは最終的に予算が成立するまでに一応大蔵省ときちんと整理をいたしたいと思っておりますが、十一万七千六百円見当が落ちつくところではないかということで、まだ作業中でございますので、確定ではございません。
 設備費等につきましては、児童一人当たりという形で見ておりまして、五十三年度は二万円ということで、五十二年度、五十三年度、二万円の一応据え置きになっておりまして、この点は設備費の中身の詰めでもう一度整理をしてみたい、かように考えております。
#420
○春田分科員 基準面積とありますね。基準面積は何平米ですか。
#421
○竹内政府委員 基準面積につきましては、定員百四十人の場合に当てはめてみますと、大体児童一人当たり五・六平米という基準をここしばらく動かしておりません。
#422
○春田分科員 この単価の面でございますけれども、五十三年度が一平米当たり十一万二千六百円ですか、五十四年度が十一万七千六百円というのは、大体アップ率としては、率から言ったら何%ぐらいになっちゃうのですか。
#423
○竹内政府委員 アップ率といたしましては、五十二年度と五十三年度との間は約八・五%のアップでございまして、五十四年度につきましては五十三年度に対して四・四%程度のアップという予定でございます。
#424
○春田分科員 この四・四%というのは何を基準として決めておられるのですか。
#425
○竹内政府委員 四・四%と申しますのは、木造の場合とそれからブロックの場合と鉄筋の場合とで実はアップ率はそれぞれ異なるわけでございますけれども、鉄筋の場合の官庁営繕単価を参考として予定をいたしますと、大体四・四%という数字がはじかれておるということでございます。
#426
○春田分科員 しかし、建築資材は相当五十四年度におきましては上昇するだろうと言われておりますし、現に上昇しております。たとえば鉄の面においても相当値上がりしそうだし、合板の面においてもそうでございますし、またアルミにおきましても、相当過去におきましては投げ売り的なそういう安売りが行われておりましたけれども、最近は相当アルミだって高くなってきている。こういう背景があるわけでしょう。この建築資材の面におきましては、一番大きな原因となるのは原油の問題ですね。この原油の値上げというものは、OPECは、ことしは一四・五%ですか、何段階かで上げるようになっているでしょう。この前のイラン政変におきましては一四%じゃとてもじゃないがいかないということで、サウジ、クウェート、周辺のそういうOPECの諸国も二〇%以上本年度上げようという動きが出ているわけですね。そういう点からしたら、四・四%というのは、五十二年度、五十三年度では言えるかもしれませんけれども、五十四年度に関しては非常に上昇率としては低いのじゃないかという感じがするわけでございまして、この分だけ、それだけしか見ないとなれば、当然地方自治体が超過負担という形になるわけです。この四・四%は低いのじゃないですか、もっと上げるべきじゃないですか。
#427
○竹内政府委員 保育所に限りませず、社会福祉施設整備費の中の単価でございますけれども、私どもの方で補助単価を一応設定するに当たりまして、これからの市場価格の推移というのを見通した形で予算上あらかじめ組むということは、実質的にきわめてむずかしゅうございまして、申しわけございませんが、どうしても五十三年度の実績というものを一つベースにしながらはじいてまいらないと、なかなか数字として固めることがむずかしいのではないかと思います。そういう意味で、そこらあたりにもしばしば先生方から御指摘をいただいております超過負担問題というのも起こりやすいのではないか。ただしかし、あえて申し上げさせていただきますれば、これは何も保育所だけの問題でなくて、やはり国全体の、この種の補助単価だけでなく、実行単価の問題にもそれぞれ当てはまってくる問題でございまして、保育所だけで直ちにその問題の解決というものができるとはなかなか思いかねますので、ひとつ私どもの方も十分他のものと並行しながら、現実に即するように努力はさせていただきたいと思います。
#428
○春田分科員 いずれにいたしましても、このイラン政変というのは第二の石油ショックにならないと思いますけれども、四十九年度のオイルショックのときは年度途中に単価改正があったわけですね。そういう点で、五十四年度はそうした背景があったならば、この単価のアップというのは非常に少ない、こういう点から考えて、十分その辺も配慮していただきたい、このように思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、建設費の問題につきましては、相当地元におきましては大きな負担になっているわけです。これは現在用地取得が保育園の場合はございませんので、その分だけ地元負担になるわけでございますが、たとえて言うならば、これも私の地元の問題でございますけれども、五十年四月に開設した保育園があるわけでございまして、大臣もお聞きいただきたいと思うのですが、五十年のときの建設費用が約二億六千二百二十二万かかっているわけですね。国の補助は千五百五十七万です。大阪府が一千八百六十万、地元市町村が当然負担すべき額が三千四百十七万なんですが、残りの一億九千三百八十八万というのが持ち出しになっている。したがって、前の市町村が当然負担すべき三千四百十七万円を合算すれば、率として七四%がいわゆる地元市町村の負担になっているわけですね。これは私の地元の枚方市の例でございますが、同じ門真市の例でも、これは五十年度建設されたある保育所では三億三千六百七十万かかっております。市の持ち出しが二億五千九百二十三万円、七七%。こういう形で相当地元市町村に負担がかかっているわけです。
 私の地元市町村というのは人口急増地域で、保育所の新設、増設という声が非常に多いわけですね。また共かせぎが多いものですから、そういう背景からしてもっと国の補助というものも拡大すべきである、このように考えるわけでございますけれども、大臣としてはどのようにお考えになりますか。
#429
○橋本国務大臣 現実に保育所についていろいろな問題があることは私ども承知をいたしておりますが、私どもとしては、四十七年の文部省、厚生省の共同調査を実施しますまで、要保育対象児童というものを百六十万見当で考えておりました。言いかえれば、百六十万人の子供さんをお預かりできる施設整備があれば保育所というものは十分という計算をしておったわけであります。ところが、その結果が非常に大きく需要が伸びておりまして、その後保育所の緊急整備計画等で必死になって追っかけながら、あとようやく二十五万名程度の施設整備を行えば保育需要に対応できるというところまで駆け足で参りました。それだけに、まだあと二十五万人の保育所を整備しなければならないという一つの大きな課題を抱えております。それだけにある程度手の届かないところがあることも承知しながら、追っているという状況も御理解をいただきますように。私どもとしても、この状態を改善するための努力は今後とも続けてまいります。
#430
○春田分科員 さらに、運営費の中で保母の配置基準といいますか、人員の配置がございます。これも時間がございませんので、こちらから言わしていただきますれば、厚生省の国の基準というものは、ゼロ歳児に関しましては特別の配置が行われているみたいでございますが、一歳児、二歳児に関しましては、六人に対して保母さんが一人という形になっております。三歳児で二十対一、四歳児で三十対一という形になっておりますけれども、私もいろいろな市町村の実態調査をやりましたならば、これよりかなり厳しい数字でもってやっております。たとえて言うならば、一歳児、二歳児に関しましては、国の六対一の割合を市町村では四対一、三歳児に関しましては、二十対一を現場では十五対一、四歳児に関しては三十対一の基準に対しまして現場では二十五対一、このように保母さんの要求等も強いと思いますけれども、現実に子供さんを預かる身としてはこれくらいは最低必要であるという形で、かなりシビアに保母さんの数をふやしておるわけです。その面が結局超過負担といいますか、地元市町村の負担になっているわけですね。そういう点で運営費の額を、これも枚方市の決算で見ますと、五十年度九億一千七百五十三万円かかっております。そのうち国の補助は九千六十五万、率でいうと九・九%、大阪府が三千五百四十九万で三・九%、父兄の保育料の徴収費がございますので、これが六千九百六万円で七・五%、残り七億二千二百三十三万円の、率でいって七八%は地元市町村の負担という形になっているわけです。
 それで、国の運営費に対する補助というものは、公称、市町村が出した実費から父兄の徴収費を控除して、残りの八〇%を国が一応補助するという形になっておりますけれども、現実は全く逆になっている。運営費に関してもそのようなことが言えるわけですね。そういう点で、この運営費につきましてももっと現場に即応して対応していただきたい、このように要望する次第でございますけれども、どうでございましょう。
#431
○竹内政府委員 先生の御指摘のような事実があることは、私ども十分承知しているわけでございます。もちろん私どもも漫然と放置しておるわけではございませんで、毎年保育所の措置費の改善ということは、改善内容そのすべてが先生の御指摘のようないわば超過負担の解消ということに直接またつながっていくものと思っております。現実に私どもは、いわゆる三十対一、二十対一といったような定数の配置のほかに、五十四年度では九十人以下のところには常時一人の保母を加配できるような、あるいは九十一人以上については非常勤保母を六時間分を必ずつけるというような形で、できるだけそういった実態についての調整機能と申しますか、実態と基準との差を縮めるという努力は続けてはきておるわけであります。
 ただ、一言で申し上げるのは非常にむずかしいわけでございますけれども、全国的な配置の状態から見ますと、いわゆる大都市周辺である程度市町村に財政余力のあるところで行われている保母の配置の状態と、いわゆる過疎的なと申しますか、農村圏などでいわば定数どおりでやっているところもあるわけであります。そういう意味では、私どもといたしましては、措置費という国庫負担金といたしましては、全国的な視野で公正な最低基準の水準を保つということを横でカバーをしながら、かつは、先ほど申しましたように、措置費の改善の中でできるだけそういった実態に近づけられるような、あるいはその実態があるものについての差を縮め得るような対応策というものを、措置費の内容改善ということを今後とも続けていくことによって、少しでも御期待に沿えるようにという努力を続けてまいりたいと思っております。
#432
○春田分科員 確かに国の基準でやっている地域だってあると思います。ただ、人口急増地域というのはそういうわけにいかないわけですね。特に、小学校、中学校には特別の配慮が人口急増地域にはされております。そういう面で、義務教育ではございませんけれども、義務化しつつある保育所の問題につきましてもそういう特別の配慮をいただきたい。
 時間がございませんので、最後に大臣にお伺いするわけでございますが、この保育所の設置という問題は、ただに児童を保育するという面から、より積極的に、社会的に児童を教育していくといいますか、また働く婦人の権利を保障するという面においても非常に重要性を増してきておるわけです。そういう面では、私の市町村、地元市町村におきましては、待機児童が各市で大体一千名以上おるわけでございまして、保育所の充実強化は非常に叫ばれておりますので、そういう面でもっと国のいわゆる充実拡大というのですか、この辺をよろしくお願いしたい。
 最後に大臣の決意を伺って、終わりたいと思います。
#433
○橋本国務大臣 いま御指摘がありましたような問題点ばかりでなく、むしろ家庭のニーズの変化、すなわち障害児保育でありますとか零歳児保育、そうしたものを含めまして、今後とも全力を尽くしてまいりたいと思います。
#434
○春田分科員 障害児保育につきましても若干御質問する予定でございましたが、時間がございませんので、また次の機会に譲りたいと思います。どうもありがとうございました。
#435
○野呂主査 これにて春田重昭君の質疑は終了いたしました。
 次に、井上泉君。
#436
○井上(泉)分科員 大変遅くなって恐縮です、大臣若いから構わぬかもしれぬけれども。
 最初に医務局長に、それぞれ厚生省の局長クラスを代表して……。
 厚生大臣がかわると厚生行政の面に何か変わった面が出てくるのかどうか、その点ひとつ。
#437
○佐分利政府委員 そのときの社会情勢に応じて若干の変化は出ることがございますけれども、基本的には変わることは余りないように思っております。
#438
○井上(泉)分科員 それでは、基本的に変わらぬということになると、大臣が甲が乙になってもそう変わらないということですか。たとえば、いまの大臣がかわっても別に厚生行政の上には何ら変化はないということですか。
#439
○佐分利政府委員 これは、先ほども申しましたように、大臣御自身がおかわりになるということのほかに、いろいろと環境の変化ということもあるわけでございます。いろいろな外郭団体や圧力団体等々ございまして、そちらの方がどういうふうに反応してくるかというようなことに主として左右されるのではないかと思います。
#440
○井上(泉)分科員 それは余りまじめな答弁じゃないですが、そういうふうに外の圧力団体で変わってくると、厚生省が、たとえば医療行政、あなたの所管も変わってくるのですか。
#441
○佐分利政府委員 それは圧力があるから変わるということではなく、やはり国会におけるいろいろな高度の御判断、あるいは事務当局といたしましてもいろいろな方面から検討するわけでございますが、若干妥協した方がいいということもございますし、むしろ態度を厳しくした方がいいということもございまして、一概には申せないと思いますけれども、やはり基本的には一つの理念というのがございまして、それに向かって進んでいるのではないかと思っております。
#442
○井上(泉)分科員 そうすると、たびたびかわる大臣よりも、事務当局の方が厚生行政を推進させていく一番の中心的な力である、こう考えていいですか。
#443
○佐分利政府委員 そのようにはっきりは申せませんが、いろいろ資料も事務当局はたくさん持っておりますし、また昔からのいろんないきさつといったものもよく心得ておりまして、いろいろ検討した上での一つの政策でございますから、情勢即応ということはございますけれども、それほど変わるということはないのじゃないかと思っております。
#444
○井上(泉)分科員 そういうことは、やはり官僚が政治を引きずる、政治家が、橋本厚生大臣という新進気鋭の意欲に満ちた厚生大臣がやってきて、ああしたいこうしたいと思っても、従来の慣行からいろいろあって、そう変わったことはできませんよ、じっとしんぼうしなさい、昔の流れに沿うてやりますよ、こういうことに大方の厚生行政というものは進まれておるではないか、こういうふうに思うのですが、そう受け取っておいて間違いないのか。さらにはまた、大臣と事務当局との関係というものはどういうところにあるのか、その点をひとつ。
#445
○佐分利政府委員 それは先生の思い過ごしではないかと思います。私どもも、たとえば前大臣のときにつくったプランというのがございまして、それはみんなで衆知を集めてよく検討した上でつくったものであり、当時の大臣の御意向もできるだけ組み入れたものでございますけれども、たとえば大臣がかわりまして、非常にユニークな構想をお持ちであって、なるほどというようなときには、やはりその方向に方針が変わることもございますし、また非常に大きな問題ということになりますと、これは本当に上の方で方針を決めていただかないと、事務当局ではどうにもできないというような問題もあるわけでございます。でございますから、端的に申しますと、昔よりも国会の御意向とか党あるいは大臣の御意向というのは強く政策に反映されるようになっているのではないかと思います。
#446
○井上(泉)分科員 局長は非常にまじめに、いんぎんに答弁をされるのですが、橋本厚生大臣になってユニークな新しい方針とか何か出てきたものがあるのですか。
#447
○佐分利政府委員 大きな問題ということになりますと、厚生大臣もやはり御一存ではお決めになれませんでございましょう。やはり総理の御意向などもあるわけでございますが、たとえば私が新年度の予算案で非常に感銘を受けておりますものの一つは、沖繩の被爆者に対してお見舞い金を出すようになさった。これは大臣が御就任以前からの持論でございまして、やはり大臣に御就任になったので実現したのではないか。例の対馬丸のお見舞い金と同じような性格のものではないか、こう思うのでございますけれども、そういうふうな新大臣の一つのヒューマニズムというものが、新年度の予算案の中には至るところに顔を出していると思っております。
 また、医務局でも、国立病院、療養所の定員問題というのはなかなかむずかしい問題で、事務当局、医務局が最も頭を悩ます問題でございますけれども、今回の定員の査定に当たりましては、大臣も非常にバックアップしてくださいまして、おかげさまであのような結果になったということも、大臣にその面でお世話になるというようなことはきわめて珍しいのではないかと考えております。
#448
○井上(泉)分科員 そういう大臣のヒューマニズム、非常に豊かなヒューマニズムを持ち、そしてまた厚生行政について意欲的ということは、私も、党は違いますけれども、前々から大臣には、若いながらよくがんばっておるということで、国会活動を通じて敬意を表してきた一人です。
 大臣は就任早々、医師の税制優遇措置について、いままでの厚生大臣の、前の厚生大臣の言っておったことといわば正反対の印象を受けるような発言をされたわけでありますが、そういうことは多くの期待した国民に対して一種の異様な印象を与えたのではないか。私自身がそれを感じたのですから、この医師の悪評高い優遇税制の措置について、大臣は新聞談話で載っておったような見解を今日においても堅持をされておるのか、この公の場所で見解を承っておきたいと思うのです。
#449
○橋本国務大臣 私は、確かに就任の後の記者会見において、社会保険診療報酬に対する租税特別措置の適用についての質問が出ましたときに、これはすぐれて税制の話であり、むしろまた政治的な問題であるから、本来私の答えるべきことでないかもしれない、ただし非常に大きな医療制度全体に影響のある問題だけに、その結果によってはあるいは追加要求等を財政当局に向かってしなければならないかもしれないということは申しております。それは、五十四年度予算の概算要求をまとめます時点においては、現在の租税特別措置の体系のもとにおいて概算要求は組まれておるわけでありますから、それによって影響の出る部分については追加要求等の必要が出る場合もあり得たわけでございまして、確かにそういう発言はいたしました。そして現在私は、すぐれて税制の問題でありますが、私の立場は医療行政を抱える責任者でありますから、この問題の円満な解決を望んできたところでありまして、今回の決着を見たことについては、関係者の努力というものを評価すべきものだと考えております。
#450
○井上(泉)分科員 そうすると、医務局長にお尋ねをするわけですが、医師のいわば税制の問題、ここで論議することではないのですが、医師の診療体制――最近週刊誌で、徳洲会という医療法人が見る見るうちに幾つかの病院をつくって、そして二十四時間全く病院の門はあけっ放しで診療しておる。そういうふうなものが民間の医療機関でできている。また、週刊誌の報道によれば、武見医師会長とは対決をするというような姿勢の中で行っておるというような話をされておるし、あるいは沖繩にも広大な病院を建設されるというようなことで、非常に一般の庶民大衆からは共感を得ておる。こういう医療法人が主要なところに幾つかできておるわけですが、こういう傾向というものを医務局長としてはどう評価しておるのか。
#451
○佐分利政府委員 徳洲会病院が二十四時間年中無休といったようないろいろりっぱなスローガンを掲げておりますけれども、そのとおりにおやりになるのであれば、大変結構なことであると私は考えております。
 しかしながら、物事は、やり過ぎまして地域にトラブルを起こしてはまた問題があるわけでございまして、地域医療全般の円満な推進、発展、向上というようなことを考えれば、双方がよく話し合って、感情的にならないで平和に物事を進めていただきたいと思っております。そういった意味で、こういった問題は、各都道府県の知事がその地域の実情をよく調べ、関係方面の意見をよく聞いて、うまく平和に進めていくべき筋合いのものではないかと思っております。
 なお、参考のために申し上げますが、たとえば沖繩の場合には、沖繩医師会と徳洲会はきわめて友好裏に計画を進めているわけでございますし、またすでにでき上がっております大阪の徳洲会系四病院の場合には、大阪府医師会と徳洲会とは一応共存共栄の形でやっていると思うのでございます。したがって、一部の地域で大変なトラブルが起こっておりますけれども、これは少し双方が感情的になり過ぎたというような感じがするのでございまして、その辺のできるだけ早い時期の円満な解決を願っているところでございます。
#452
○井上(泉)分科員 医師会あるいは医師が競うて国民の医療に努力していただくということは非常に結構なことでありますので、そういう点で、厚生省が医師会寄りだとかいろいろな批判のそしりを受けないように、ひとつこの徳洲会のやっておる二十四時間医療というものは、やはり国民としてあってもいいな、こういう感じを受けるわけでございますので、その辺の指導をよろしくお願いをしておきたいと思います。あなたにばかり質問すると時間がなくなるので、次に移ります。医務局長さん、もういいです。
 そこで、次に、石野保険局長にお尋ねするわけですが、保険関係できょうも建設労働組合の関係者の方が、国保の改善について建設国保に対する統一の要望事項ということで陳情に、請願行動に来られたわけです。この建設業者の国保は擬制適用でやっておったのがこういうふうに変わってきたのですが、この建設国保組合の管理運営をより充実安定をさすために、厚生省の方としても指導して、そしてまた施策を講じてもらいたいと思うわけですが、どういうふうなお考えで対処しておられるか、承りたいと思います。
#453
○石野政府委員 建設国保の問題でございますけれども、財政力の基盤という面から見ますと、非常に弱いという面がございまして、一般的には医療費の二五%につきまして法定補助をやっているわけでございますけれども、そのほかに五十三年度から新たに法定補助というふうにいたしまして医療費の一五%の範囲内で増額できるような法改正が行われました。これによりまして、建設関係の新設国保組合につきましては最大限の一五%の増額を図るというふうにいたしました。したがいまして、法律的には医療費の四〇%がいわば法的給付に近い形でなされるわけでございますが、そのほかにさらに臨時調整補助金というものを計上いたしまして、さらにその上に上乗せをするという形によりまして、新設の建設国保組合に対しましては相当大幅な国庫補助をいたしております。
 ちなみに、五十二年度を見ますと、国庫補助につきまして四四・九%という補助率になっておりますし、また既設のそのほかの組合と比較しますと、既設組合は補助率三四%でございますので、相当大幅な相違がございます。同時に、給付率の面から見ましても、実は新設組合の方が一般の既設組合よりも高うございまして、高額療養費を除きまして八一・九%というのが新設組合の給付率になっております。したがいまして、高額療養費を除きましても約一九%の自己負担で医療が受けられる。それに反しまして、既設組合は給付率が七七%でございますので、二三%の自己負担をしなくちゃならない、こういうことでございまして、既設組合よりもいまの建設国保、新設の国保組合に対しましては大幅な手厚い補助を行っているというのが実情でございます。
 その結果、国保組合の決算状況を見ましても、五十二年度におきましては、組合は全部で百八十二ございますけれども、黒字組合が百八十一、その剰余金につきましては百二十三億、大体平均しまして一組合一億程度の黒字になっている、こういうことになっております。新設につきましても同様でございまして、新設国保組合につきましては全部で三十四ございますけれども、いずれも黒字組合でございまして、三十二億の決算剰余金を出しておりますので、黒字組合の収益金は一億というふうな大体の数字になっておるわけでございます。
#454
○井上(泉)分科員 建設国保は本当に財政力の弱い集まりでありますが、そういう点で、市町村に対する事務費の補助がこの予算でも千三百七十四円となっている。片方組合関係は六百二十二円ということになるが、建設国保はせめて公営国保と同じような事務費の負担ということにはならないでしょうか。
#455
○石野政府委員 市町村国保につきましての事務費は、大蔵省、自治省、厚生省三省が合同調査を行いまして、実質的に超過負担にならないようにという形で措置をいたしまして、その額になっておるわけでございます。建設国保の場合でございますと、実際にその調査をやってみますると、実はその数字にはならないわけでございまして、ここに大蔵省もおりますけれども、現在、五十四年度の六百二十二円というのが最高の補助金額ではないかと私どもは考えております。
#456
○井上(泉)分科員 最高の金額でないかと思われる数字が出されておるわけですけれども、実際個個の建設国保組合でいろいろ話を聞きますと、組合の中の担当職員も公的な国保の職員とは給料でも大変な差額がある中で運営をしておるわけですから、国保の事務手当というものは、今年度、五十四年度直ちにということはないけれども、漸進的に事務費の負担というものは公営と同じような状態にまで持っていくのが理想ではないかと思うのです。そういう方向で検討してもらいたいと思うが、どうでしょう。
#457
○石野政府委員 実はそういう陳情がございまして、私どもは、国保組合に対しまして一遍全部実態調査をしようではないか、それによって必要なものは上げましょう、こういうことを再三再四話をしているのですが、それは勘弁してくれというものですから、なかなかその実態がつかめない。そうなりますと、財政当局に対して幾らということを私どもも強く要請できないといううらみがあるわけでございます。
#458
○井上(泉)分科員 要請ができない状態ではあるけれども、そういう点についても、国民の願望でありますので、なお検討していただきたいと思います。
 次に、私は保育園の関係について。
 保育園の保育の時間というものは大体八時から四時ごろまでが普通ですけれども、勤労者が子弟を預ける場合に、四時ごろに子供を出すということになると大変なことになるわけです。そういう点から、保育所の保育の時間をもっと延長さす、あるいは保育所の保母の数を増員さす、あるいは保育所の施設をもっと充実させる。絶対的に保育園の数というのが少ないのですから、保育園の大幅な増設というものは今後の厚生行政の上で――子供のときから、片っ方の子は保育園へ行く、片っ方の子は行けない、そういう差別のないような保育行政というものをぜひ指導してもらいたいと思うのですが、大臣、どうですか。
#459
○橋本国務大臣 井上さんよく御承知のとおりに、保育所というものは、保育に欠ける児童を対象としておるわけでありまして、保育に欠けないお子さんまで保育所にということは私ども多少無理があるのではないかと思います。ただ、現実に四十七年の調査の結果、私どもが考えておりましたよりもはるかに多く保育所を希望されるお子さんがあるということで、それ以来必死で急増させてきまして、ようやく二百万人を突破する子供さんたちの受け入れができるところまで来て、あと二十五万ほどの子供さんに対して今後の施設整備をしようとしているところでありますから、今後ともに実際に保育の必要な子供さんたちが皆さん保育所に入れる状態をつくるためには全力を尽くします。
#460
○井上(泉)分科員 保育に欠ける子供を収容するのにまだその施設が足りないというわけですか。保育に欠けない子供を保育所に入れろと言っておらないですから。私の質問の仕方が悪かったかもしれません。訂正するわけですが、要するに保育所というものは、最近幼稚園ブームなんかも出てきておるのでかなり幼稚園ができておるわけですけれども、幼稚園へ行ける子供の数よりも保育園へ預けなければならない家庭が絶対的に多いのですから、私は厚生行政の中で保育園の充実ということを中心に考えてもらいたいと思います。
 もう時間がありませんので、次の質問をして私の質問を終わりたいと思いますが、最近経済界の不況の中で失業者が非常に増大しておる。私は、これは質問の予告もしてなかったわけですから、大臣の見解を承ってその方向をひとつ検討してもらいたいと思うのは、生活保護費、つまり造船で首になった、あるいは製紙産業で首になった、機械産業の工場で首になったということで退職をした者が、失業保険をもらっておるうちはいいけれども、この失業保険がなくなった場合には、生活のよりどころというものは生活保護費に頼らなければならないわけです。ところが、生活保護費の算定基準というものが、たとえばカラーテレビを持っておるとか、あるいは家具がどうだとかいろいろ細かいものがあって、生活保護を受けることによって受ける精神的な悲哀感というものは大変なものだと私は思うのです。そういう点で、失業者の生活保護費の支給についてはかなり基準を緩和しなければいかぬと私は思うのですが、大臣、どうお思いですか。
#461
○橋本国務大臣 昨今の不況状態の中で、ことに特定不況業種からの離職者が多い状態は、政府全体としても非常に憂慮にたえない話でありますし、この方々が、失業保険給付というよりも、要するに新たな雇用をいかにして確保するかということがむしろ最大の問題点であろうと私は思います。私はこれと生活保護費と絡めて余り論じたくありません。それよりも、むしろ再雇用の道を開くことの方が優先する問題だと思います。それと同時に、生活保護の基準を最近ある程度手直しを続けてきた中で、そう大きく引き上げる必要があるとは私は考えておりません。ことしも大体消費者物価の上昇に見合う数字の改定はいたしておるところでありますが、必要なだけの改善措置は年年してきておる、そのように考えております。
#462
○井上(泉)分科員 再雇用の道を開くというのは、一番いいことです。一番いいことであるがために、当国会でも雇用問題を中心にその対策を追及しておるわけでありますが、しかしその雇用対策で再雇用の道を得られないという者がたくさん出ることは必至である。必至であるが、私はいまの生活保護費の二万円支給を一人二万三千円にせよ、五千円にせよと言っておるのではなしに、生活保護費を支給する対象に、家具とかカラーテレビがあるようでは、カラーテレビの聴視料も要るのだから、それで保護費をもらっているような家庭がカラーテレビを見るというようなことはもってのほかだということで、いままでよりぐっと生活環境をダウンさせなければいかぬような状況が生まれてくるのではないか。そういうふうなことのないように、これは失業者の家庭にも子供もおるしお年寄りもおるわけだし、それ以上いままでの生活環境を悪化させることのないような生活保護家庭に対する取り扱いを検討し直していかなければいかぬのじゃないか、それに対する意見を大臣に求めておるわけです。
#463
○橋本国務大臣 お言葉を返して大変恐縮でありますけれども、特定不況業種による新たな離職者の方々は、なるほど従来において一定の生活水準を維持しておられ、たとえばそういう水準の生活をしておられたかもしれません。しかし、いまのようなお話からいきますと、実はこの特定不況業種にかかわりなく、たとえば高齢のためにあるいは身寄りがないためにすでに生活保護を受けておられた方々もたくさんあるわけでありまして、そうした方々には従来からの生活保護費の基準でがまんをしてきていただいておるわけであります。そうしますと、その点の均衡問題というのも出てくるわけでありまして、年々その生活保護の水準というものを上げていくことは、私どもは当然努力をしていくことでありますけれども、必ずしもいま、その問題から発生して、逆に生活保護基準の見直しをしなければならない状態にあるとは私は考えておりません。
#464
○井上(泉)分科員 特定不況業種として指定された業種以外でも、いま世の中不景気ですから、離職者というものは相当数出る、相当数出る中で生活保護家庭というものも増大をしていきはしないか。増大しないようなら結構ですが、増大していった場合に、生活保護家庭に転落をしても国は十分なめんどうを見ますよ、こういう厚生省としての温情ある行政を期待するものでありますから、以上のような質問を申し上げたわけであります。その点もひとつ大臣も留意して取り組んでいただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
#465
○野呂主査 これにて井上泉君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十八日午前十時から開会し、厚生省所管について審査をいたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後九時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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