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1978/03/02 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 予算委員会第一分科会 第4号
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1978/03/02 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 予算委員会第一分科会 第4号

#1
第087回国会 予算委員会第一分科会 第4号
昭和五十四年三月二日(金曜日)
   午前十時開議
 出席分科員
  主査 藤波 孝生君
      愛野興一郎君    竹下  登君
      浜田 幸一君    安宅 常彦君
      稲葉 誠一君    大出  俊君
      高沢 寅男君    山花 貞夫君
      山本 政弘君    湯山  勇君
      近江巳記夫君    薮仲 義彦君
   兼務 井上  泉君 兼務 井上 普方君
   兼務 川崎 寛治君 兼務 土井たか子君
   兼務 山口 鶴男君 兼務 寺前  巖君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 古井 喜實君
 出席政府委員
        内閣法制局第一
        部長      茂串  俊君
        人事院総裁   藤井 貞夫君
        人事院事務総局
        職員局長    金井 八郎君
        法務大臣官房会
        計課長     石山  陽君
        法務省民事局長 香川 保一君
        法務省刑事局長 伊藤 榮樹君
        法務省保護局長 稲田 克巳君
        法務省訟務局長 蓑田 速夫君
        法務省人権擁護
        局長      鬼塚賢太郎君
        法務省入国管理
        局長      小杉 照夫君
        外務大臣官房領
        移住部長事   塚本 政雄君
        大蔵省主計局次
        長       禿河 徹映君
 分科員外の出席者
        衆議院事務総長 大久保 孟君
        衆議院法制局長 大井 民雄君
        参議院事務総長 植木 正張君
        裁判官弾劾裁判
        所事務局長   西村 健一君
        裁判官訴追委員
        会事務局長   山崎 宏八君
        国立国会図書館
        長       岸田  實君
        国立国会図書館
        副館長     酒井  悌君
        警察庁警備局外
        事課長     鳴海 国博君
        外務省経済協力
        局外務参事官  大鷹  弘君
        大蔵省主計局主
        計官      加藤 剛一君
        大蔵省主計局主
        計官      川崎 正道君
        大蔵省国際金融
        局企画課長   橋本 貞夫君
        国税庁直税部法
        人税課長    山本 昭市君
        文部省社会教育
        局社会教育課長 浪貝 一良君
        文化庁文化部著
        作権課長    小山 忠男君
        厚生省薬務局企
        画課長     下村  健君
    ─────────────
分科員の異動
三月二日
 辞任         補欠選任
  安宅 常彦君     高沢 寅男君
  稲葉 誠一君     山花 貞夫君
  坂口  力君     谷口 是巨君
同日
 辞任         補欠選任
  高沢 寅男君     山本 政弘君
  山花 貞夫君     湯山  勇君
  谷口 是巨君     正木 良明君
同日
 辞任         補欠選任
  山本 政弘君     安宅 常彦君
  湯山  勇君     稲葉 誠一君
  正木 良明君     薮仲 義彦君
同日
 辞任         補欠選任
  薮仲 義彦君     坂口  力君
同日
 第二分科員川崎寛治君、第三分科員井上泉君、
 第四分科員寺前巖君、第五分科員井上普方君、
 土井たか子君及び山口鶴男君が本分科兼務とな
 った。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 昭和五十四年度一般会計予算
 昭和五十四年度特別会計予算
 昭和五十四年度政府関係機関予算
 (国会及び法務省所管)
     ────◇─────
#2
○藤波主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。
 昭和五十四年度一般会計予算、昭和五十四年度特別会計予算及び昭和五十四年度政府関係機関予算中、国会所管について審査を進めます。
 まず、衆議院関係予算の説明を求めます。大久保衆議院事務総長。
#3
○大久保事務総長 昭和五十四年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。
 昭和五十四年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、三百七十八億五百十万円でありまして、これを前年度予算額三百四十五億五千三百七十二万六千円に比較いたしますと、三十二億五千百三十七万四千円の増加となっております。
 次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、三百四十二億八千百十七万四千円を計上いたしております。この経費は、議員及び委員会関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し二十八億二千七百七十一万九千円の増加となっておりますが、増加したものの主なものは、立法事務費の月額四十万円を六十万円に、議会雑費の日額三千五百円を四千五百円に増額計上したほか、議員の海外派遣に必要な経費、招聘外国人滞在費、議案類印刷費及び通信費等の増加並びに議員秘書の待遇改善に要する経費でございます。
 また、事務局庁舎の竣工、委員長室等の整備に伴う必要な経費及び国際会議場の建築準備経費を新たに計上いたしました。
 なお、事務局要員を新規に十七名増員することといたしております。
 第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、三十五億一千六百九十二万六千円を計上いたしております。このうち主なものは、五十四年夏完成予定の事務局庁舎の新営費十四億五千五百六十五万円のほか、この新庁舎に設置いたします電話交換設備費四億一千五百十六万円、五十五年度完成を目途として建築中の高輪議員宿舎の新営費八億一千三百万円及び健康センター施設費、委員長室の新設費等であります。
 また国会周辺等整備に必要な土地購入費は、引き続き一億五千万円計上することといたしております。第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。以上簡単でありますが、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。よろしく御審議のほどをお願いいたします。
#4
○藤波主査 次に、参議院関係予算の説明を求めます。植木参議院事務総長。
#5
○植木参議院事務総長 昭和五十四年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。
 昭和五十四年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は、二百一億七千百四十四万六千円でありまして、これを前年度予算額百八十六億九千五百八十五万一千円に比較いたしますと、十四億七千五百五十九万五千円の増加となっております。
 次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、百九十七億五千五百五十七万円を計上いたしております。
 この経費は、議員及び委員会関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し、十四億七千三十七万八千円の増加となっておりますが、増加したものの主なものは、立法事務費の月額四十万円を六十万円に、議会雑費の日額三千五百円を四千五百円に増額計上したほか、議員の海外派遣に必要な経費、招聘外国人滞在費、議案類印刷費及び通信費等の増加並びに議員秘書の待遇改善に要する経費でございます。
 第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、四億一千八十七万六千円を計上いたしております。
 第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。
 以上簡単でありますが、参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどをお願いいたします。
#6
○藤波主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を求めます。岸田国立国会図書館長。
#7
○岸田国立国会図書館長 昭和五十四年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。
 昭和五十四年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、六十七億三千五百九十三万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、二億五十四万一千円の増加となっております。
 次に、その概要を御説明申し上げますと、第一は、国立国会図書館の管理運営に必要な経費でありまして、六十二億一千十八万七千円を計上いたしております。
 増加したものの主なものを申し上げますと、職員の給与に関する経費、立法調査業務を充実するための経費、図書館資料の購入に要する経費、図書館業務機械化の促進に要する経費、米国の日本占領関係資料等の収集に要する経費、その他でございます。
 第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、四億二万九千円を計上いたしております。
 第三は、国立国会図書館の施設整備に必要な経費でございまして、一億二千五百七十一万四千円を計上いたしております。
 これは、別館建設基本設計委託費及び特殊書架の増設等に要する経費でございます。
 以上簡単でございますが、国立国会図書館関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどをお願いいたします。
#8
○藤波主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を求めます。西村裁判官弾劾裁判所事務局長。
#9
○西村裁判官弾劾裁判所参事 昭和五十四年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。
 昭和五十四年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、六千七百六十三万円でありまして、これを前年度予算額五千七百九十二万八千円に比較いたしますと、九百七十万二千円の増加となっております。
 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長の職務雑費、委員旅費及び事務局職員の給与に関する経費、事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費、庁費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうち、主なものは、職員給与関係経費の増加によるものでございます。
 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
#10
○藤波主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を求めます。山崎裁判官訴追委員会事務局長。
#11
○山崎裁判官訴追委員会参事 昭和五十四年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。
 昭和五十四年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、八千七十三万八千円でありまして、これを前年度予算額七千二百四十八万四千円に比較いたしますと、八百二十五万四千円の増加となっております。
 この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうち主なものは、委員長室等の整備に伴う経費及び職員給与関係経費の増加によるものであります。
 よろしく御審議のほどをお願いいたします。
#12
○藤波主査 以上で説明は終わりました。
    ─────────────
#13
○藤波主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
#14
○山口(鶴)分科員 主計局次長の禿河さんがおられるのですから、まずお尋ねしたいと思うのです。
 きょうの新聞を拝見いたしますと、予算修正に関する記事が散見されます。そこでお尋ねをしたいのでありますが、一昨年は与野党書記長・幹事長会談で話し合いをいたしまして予算書の修正を行いました。昨年も与野党間で話し合いをいたしまして、私ども社会党はあくまでも予算の形式修正をすべきであるということで強く主張いたしたわけでございますが、当時長岡主計局長は、予算修正をいたします場合、特に政府修正をいたします場合は、修正案の作成の作業、それからさらに、参議院の事務総長もおられますが、参議院の審議のことを考えれば全部予算書を印刷し直さなければならない、そのためには相当の日にちが必要である、少なくとも十日間は絶対に必要であるということを私たちに言われたのであります。今回予算書の修正、特に形式修正の問題が議論されているやに新聞で拝見をいたすのでありますが、昨年長岡主計局長が言われた言明は、今日いまも変わりがないのかどうか、その辺大蔵の事務当局としての見解をひとつ承っておきたいと思います。
#15
○禿河政府委員 一昨年、昭和五十二年度の予算修正がございました状況を申し上げますと、ただいま先生のお話がございましたとおり、与野党幹事長・書記長会談の結果方向が決まったのが一昨年の三月九日でございました。それで政府修正でいくということに相なりまして、私ども予算の修正書、それから予算の原案と申しますか、それを修正する、もとを直していく、そういう作業にかかったわけでございますが、予算の修正書の方が、いろいろ作業いたしましてでき上がりましたのが三月十五日でございまして、十五日に閣議を経まして国会に提出をいたしました。それからいわゆる修正済み予算書と申しますか、もとを直して全面的に書きかえたのが国会に提出できましたのが、実質的に与野党間の話がついて作業を始めましてから九日目の三月十七日でございました。
 そういう点から見ましても、私ども精いっぱいそういう場合に努力はいたしましても、最終的にはどうしても物理的に十日ぐらいの日にちが必要だ、かように考えている次第でございます。
#16
○山口(鶴)分科員 本日は三月二日であります。きょう仮に、まとまるかどうかわかりませんから仮にというところでしょう、一昨年と同じような形で修正しようという話ができたといたしましても、いまのお話を総合いたしますならば、予算書が私どもの手元に配付されるのはおおむね九日ないし十日、少なくとも三月の十日ないし十一日になる、かように考えてよろしいわけですね。
#17
○禿河政府委員 私どものその作業は、どういたしましてもその修正の内容あるいは範囲ということによってある程度左右されることは、これは事実でございます。本年度の場合どうなりますか、私どもまだわかりませんけれども、精いっぱい作業をいたしましても、どうしてもある程度の日数は、それはどうしても避けられないことであろうとは思っております。
 ただ、本年度の場合、何日までならできるあるいは何日まではだめだとかいうふうなことは、ちょっと今後の推移と申しますか、修正というふうなことになりました場合の内容なり範囲なりというものを見ないと、いまここでいつまでとかというふうなことを申し上げることはできないわけでございます。
#18
○山口(鶴)分科員 昨年、形式修正をするか実質修正をするかということで議論になりました。その際も社会福祉関係予算を手直しするかどうかということであったわけでございまして、本日の新聞で伝えられる、修正をしようかなという話し合いになっている内容とほぼ同じであります。とすれば、昨年長岡主計局長が十日は絶対かかります、こう言われたことと今回は全く内容的には同じだと私は思うのです。そういう意味では、昨年十日は何としてもかかる、これが大蔵省の私たちに対する言明だったわけですから、それは今日も変わりがない、本年の事態においてもほぼ変わりがない、かように受け取ってよろしゅうございますか。
#19
○禿河政府委員 仮に今回修正ということに相なり、その内容が昨年と大体同じというふうなことに相なりますならば、やはり昨年局長が申し上げました程度の、それははっきり何日とは申し上げかねますけれども、それに大体近い日数はどうしても物理的に必要ではないかなと、現在はそう考えております。
#20
○山口(鶴)分科員 現在はなんというのはよけいですよ。そう考えておる、こう理解してよろしいですね。
#21
○禿河政府委員 さよう考えております。
#22
○山口(鶴)分科員 そこで、私は事務総長にお尋ねしたいと思うのですが、参議院の事務総長にも関連してお尋ねしたいと思うのですが、修正の方法は、政府修正ばかりではありません、国会修正もあります。一昨年の場合もそういう議論がございました。法律案の場合は修正することはしばしばございます。現在の与野党伯仲の国会では、私は審議することは修正することだ、こう考えてよろしいのじゃないかと思っております。その場合の修正案は衆議院法制局でおつくりになりますね。私は、予算書につきましても、当然政府修正ではない、国会修正をする場合、国会のスタッフによっておつくりになる、これが正しい姿だと思いますが、いかがですか。
#23
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 この点につきましては、昨年も同じ御質問をいただきまして、そのときにも御答弁申し上げましたが、これは基本的には制度的な壁がございますが、われわれも、予算委員会の調査室のみならず各委員会の調査室においてなるべく自分らの範囲でやりたい、そういう意欲を持ちまして、特に最近は一生懸命やっております。ところが現実には、それだけの人数的な壁等ございましてできないということは現実の姿でございます。
#24
○山口(鶴)分科員 どうもそういう点が残念なのですね。後で国会の予算をお尋ねしたいと思うので、その点はちょっとおきましょう。
 参議院の事務総長に私はお尋ねしたいと思うのですが、参議院で予算を審議いたします場合を考えれば、予算というのは、私が言うまでもなく組織と項までが予算書ですね。あとは参考資料といいますか、そういう形になるわけですが、しかし、組織と項だけ、国会修正だからといって簡単な紙っぺら一枚が出されて、それが参議院に行くということでは、参議院の予算審議に大変差し支えがあるのじゃないかと私は思うのです。そういう点があるからこそ一昨年の場合も、私とすれば、本来国会がりっぱな機能を持っておれば何も政府修正なんかする必要はない、国会で修正するというのが本当に正しい姿だ、立法府としての国会の正しい姿だと思うのですが、しかし残念なことに、その参考書類まで全部修正をいたしまして、そして参議院の審議がやはりきちっとした予算書で審議をするのでなければ参議院の皆さんに申しわけないということで、そういう事情もこれあり、政府修正にならざるを得なかったというふうに私は記憶をいたしております。参議院の予算審議をお考えになった場合、そういった私の言ったような形のきちっとした予算書がいわば審議の対象であるべきだということについての参議院事務総長のお考えはいかがですか。
#25
○植木参議院事務総長 先生御存じのように、仮に衆議院で修正とかそういうことがございますと、参議院における審議は衆議院の修正が加わったものが原案ということで審議をいたします。そういう形から申せば、衆議院から送付された予算というものがきちっと修正も入った完璧なものであることが一番望ましいというふうに考えております。
#26
○山口(鶴)分科員 時間もありませんから、この点は以上で終わっておきましょう。
 特に禿河さんに申し上げておきたいと思うのですが、去年言ったこととことし言うことが違うというようなことはまさに国会軽視でありますので、その点だけは、私たちきちっとただいまの禿河さん、いわば大蔵省事務当局の御答弁を踏まえておるということだけここで申し上げておきたいと存じます。
 さてそこで、いま議論いたしましたように、わが国の国会は予算の修正案すらつくる能力がないというまことに残念な状態でございます。この点はまさに立法府としての機能をきちっと持っておりますアメリカの状態に比べまして私は非常に残念だとかねがね思っております。
 そこでお尋ねをいたしますが、ことしの一般会計の伸び率は一二・六%、経常経費、投資的経費を分けましても、経常経費が一〇・九%、投資的経費が一八・五%の伸びであります。これに対して、国会の予算を拝見いたしますと、事務総長の努力で改善の面はもちろんあるわけでございますが、国会の経常経費の伸びは七・六%、施設整備、いわば投資的経費に類するものが一三・六%、平均いたしまして国会予算の伸びは八・二%であります。こうなりますと、国の予算の伸びよりも国会の予算の伸びが低い、特に一般会計の経常経費の伸びに比べて国会の経常経費のみならず国会の予算全体の伸びが低いということは、いわば行政府に対して立法府が地盤沈下しているということじゃありませんか。私はこれでは大変残念だと思うのです。この点に対する御感想があれば、事務総長から伺っておきましょう。
#27
○大久保事務総長 いま先生から比較されました数字、現実はそのとおりでございます。私どもから感想と申しましても、私としては、国会の運営が円滑にいくようにできるだけの努力をしたつもりでございます。
#28
○山口(鶴)分科員 努力をしたことはわかります。ただ、先ほど来指摘したように、わが国の国会の機能というものが十分でない、こういう認識はお互い持っておると思うのですね。
 それから、今度の国会でも、ダグラス、グラマンの問題が大きな問題になっております。三年前もロッキード問題が起こりました。その際、国民の皆さん方の感想をいろいろ聞いてみますと、アメリカの上院のチャーチ委員会なりあるいはプロキシマイヤー委員会なりがあれだけの徹底的な調査活動をやっておるのに、わが国の国会の国政調査権に基づく調査活動というものはどうも鈍いのではないだろうか、こういうような感想を残念ながらしばしば聞くのであります。私は事実そのとおりではないかと思うのですね。それではアメリカなんかはどうするかと言いますと、ちょうど国会における議院運営委員会がございまして、そうして問題が起きれば、その問題の起きました委員会に対して多額のいわば経費というものを付与するわけであります。そういたしますと、チャーチ委員会なりプロキシマイヤー委員会では有能なスタッフを多数抱えまして、そうして徹底的な調査活動をやる、そういう中でそれぞれの委員会が疑惑究明に力を尽くす、こういう仕組みになっていると承っているのであります。こういう点、私は、わが国の国会の状況というものを非常に残念に思う一人であります。
 衆参両院の事務総長にお伺いしたいのですが、やはりわが国もアメリカに負けないような疑惑追及のいわばシステムというものを持つような、機能が発揮できるような、そういう国会にしていきたいなあという感想は多分お持ちだと思うのですが、いかがですか。
#29
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 基本的には先生のおっしゃることと同じ意見でございます。毎年、調査スタッフにつきましても努力はしております。今後も善処するつもりでおります。
#30
○植木参議院事務総長 私どもの現状を申し上げますと、今度の航空機の特別委員会の調査スタッフは、各調査室から抽出をいたしまして、あるいは事務局から応援のような形で出しまして、全部で九人ぐらいというような体制でございます。できましたら、予算等潤沢にありまして、必要なスタッフも外部から臨時に雇う、その他の措置で十分な体制がとれることを私どもも望んでおります。
#31
○山口(鶴)分科員 先ほど衆議院の予算の説明をお伺いしましたら、新規に十七名を増員をされたということを承りまして、御努力については多といたしたいと思います。ただ、これではどうも十分でないということは、先ほど来お答えにありましたとおりです。
 そこで、私は禿河さんにお尋ねしたいと思うのですが、やはり大蔵省が査定などしてにらんでいるから、ついどうも衆議院の事務総長さんも参議院の事務総長さんもあるいは衆参両院の庶務部長さんも予算を要求するのに遠慮をするということがあるのではないかと推察をするわけなんです。ただ、財政法の規定からいきましても、国会の予算、それから国会図書館の館長さんもおられますが、国会図書館、こういうものの予算については、各省庁の予算の決め方と規定の仕方が違うわけですね。ですから、私は、大蔵省が国会図書館や衆参両院の予算の査定をするなどということはすべきではない、要求したものはそのまま認める、こういう仕組みが必要だ、それが財政法の規定に合った正しい姿だ、かように思うのですが、禿河さんの御見解はどうですか。
#32
○禿河政府委員 ただいまお話がございましたとおり、財政法でいわゆる二重予算という制度が実は設けられております。この趣旨は、私から申し上げるまでもございませんと思いますが、内閣には予算の編成権というものがございますが、そういう内閣の予算編成権によりまして国会の権能の十分な発揮が制約されるようなことがあってはいけない、こういう趣旨からこの二重予算制度というものは設けられたものであると考えております。そういう点におきまして、国会あるいは会計検査院あるいは最高裁判所という独立機関というものにつきまして財政法上の規定も設けられておるわけでございますが、憲法の上におきましても国会が国権の最高機関であることは明記されております。一方、やはり憲法におきまして予算の発議権というものは内閣にあるということになっておるわけでございまして、私ども実際に予算の編成作業をいたします場合に、端的に申しまして、御要求のございましたものにつきまして、やはり財政当局あるいは政府と申しますか内閣と申しますか、そういう観点からいろいろ国会の予算等につきまして御協議をさしていただく、それはどうしても避けられないことであろうと思っております。ただその場合に、やはり国権の最高機関でございます国会の予算等につきましては十分御協議を重ねまして、そして御納得いただくような方向に持っていきまして、財政法の規定に基づきますいわゆる二重予算の仕組みが実際に発動されることがないように十分考えて私どもこれまでもやってきたつもりでございますし、今後ともそういう方向でいろいろ御協議を重ね、御了解を得てやっていきたい、かように考えておる次第でございます。
#33
○山口(鶴)分科員 確かに二重予算の仕組みはあるけれどもこれが発動されたことはない。まあ大体議運におきましても説明があってそれを了承しているということであります。ただそれは、やはり国会も野党もあれば与党もあるという中で円満にということでやっているだけでございまして、それではいまの国会の機能が十分であるかということを個々の議員の皆さん方にお尋ねをすれば、十分だというお返事をなさる方は少ないのが私は状況だと思うのです。
 そこで、確かに大蔵省が大蔵省の立場で調整することが必要な経費もあることは私は事実だと思いますよ。国会の買う自動車の単価と一般省庁の買う自動車の単価が著しく違うということでもこれは困るでしょうし、あるいは旅費の算定の基準等が違ってもおかしいでしょうし、そういった意味での事務的な国のいわば予算を積算する基準に右へならえするという意味で調整をするものがあることは私も認めます。しかし、国会独自の予算といいますか、他の行政官庁にはない種類の予算、さらには国会の機能を充実強化するためには、総定員法で行政官庁については定員を抑えているけれども、しかし、国会だの国会図書館、いわば衆参両院と国会図書館の職員の増員については、これはおのずから別だという観点は当然必要だろうと私は思うのですね。
 そういう意味で、この予算について査定をするというようなことではなくて、いわば国会図書館あるいは衆参両院、他の行政庁には見られない特殊な経費につきましては十分事前に話し合いを尽くして、そうして納得の上で結論を出す、大蔵省が査定をするというような立場ではなくて話し合いでもって結論を出す、こういった運営をすべきだと思います。今日までもそういう努力が漸次積み重なってきておることは私も承知をいたしますけれども、やはりいま申し上げたような原則を、この際きちっと大蔵省も打ち立てておく必要があるんではないだろうか、その点を了解しておく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
#34
○禿河政府委員 私ども基本的に国会の機能と申しますか、その活動に支障を来さないようにできるだけ配慮してまいったつもりでございますし、今後ともそういう気持ちにもちろん変わりはございません。
 ただ、私どもやはり財政全般を預かる立場でございまして、そういう国会の特殊性と申しますか、そういうものは十分考えていかなくちゃならぬ、そういう原則はもちろんでございますけれども、たとえばこれだけはもう一切私どもは手を触れないとかいうわけにはなかなかいきかねる面も実際問題としては出てくることもあろうかと思いますが、先生のお話がございましたそういう国会の他の官庁にない特殊な事情なりお立場なり権能なり、そういうものにつきましては私ども十分それを勘案し、尊重いたしまして、協議を重ね、御了解を得てこれからもやってまいりたい、かように考えております。
#35
○山口(鶴)分科員 いまお話のありました点では一〇〇%結構だというわけにはいきませんけれども、少なくとも従来から見れば前進をしているし、他の行政官庁に見られない国会の特殊な経費については査定ということではなくて、あくまでも話し合いで決めていきたい、こういう趣旨はある程度了解できますので、以上でその点については終わっておきましょう。
 次に、国会図書館についてお尋ねしたいのですが、図書館長おられますが、国会図書館は単に国会の図書館というばかりではなくて、日本の中央図書館としての権能もお持ちである、また機能も持たなければならない、かように考えているわけでございますが、国会図書館の他の図書館に見られない特殊な事情というものがあれば、簡単に御説明をいただきたいと思います。
#36
○岸田国立国会図書館長 ただいま先生が仰せになりましたように、私のところは国会の調査図書館あるいは国会のデータセンターとしての重要な使命がございまして、この使命に基づきまして国会における国政の審議あるいは議員活動にお手伝いをさせていただいておる。そのほかに、わが国の唯一の中央図書館としての使命を私のところの法律が定めておるわけでございまして、国内のあらゆる種類の図書館あるいは調査研究機関あるいは司法、行政の諸機関等に対し、さらには国民全体に対しましての文化情報センターとしての使命を果たさなければならぬわけでございます。また、わが国を代表いたしまして諸外国の中央図書館と緊密な連携をとり、国際的な図書館協力を維持していく、あるいは図書館に関する国際機関に参加いたしまして、そしてそれぞれの機関が行います事業に寄与をしていくというような使命を持っておるわけでございます。
 そこで、国内各機関及び国民に中央図書館としての奉仕をするというためには、所蔵資料をさらに一層充実させまして、またその資料の利用の高度化を図るということが必要でございます。国内におきましては納本制度がございますから、それを徹底させまして、網羅的にわが国の出版物の収集の徹底を図る。また外国の文献につきましても、諸外国の主要な文献、ことに議会資料であるとか政府刊行物であるとか、また科学技術に関する新しい研究が示される逐次刊行物であるとか、主要な学術文献等につきましては、これをできるだけ手広く収集いたしまして国民に提供するということが中央図書館としての責務であり、これは諸外国の中央図書館が非常な熱意を持って努力しているところでございまして、この点に関しましてもわが館の現状はまだまだ十分ではございません。今後さらに努力していかなければならぬと思っております。そういう使命を持っておるわけでございます。
#37
○山口(鶴)分科員 そういう使命をお持ちの国立国会図書館であります。予算が六十七億三千五百九十三万円ではいまの権能に比べていかがかと思います。
 そこで、禿河さんにお伺いしたいのですが、国立国会図書館は、昭和五十九年度を目指しまして別館の建設を始めております。建物の予算も、もちろんこれは十分つけていただかなければならぬと思いますが、それに対する内容の問題も重要だろうと思います。
 最近ドル減らしのことがよく問題になるのですが、こういうときこそ外国の図書の購入等については思い切った予算をつけていただきたい。それからまた、建物ばかりつくって人員を充実しないのでは何の話にもならぬわけでありまして、他の行政官庁は定員法で定員をしばっておりますけれども、国立国会図書館の場合はおのずから別な使命があるわけですから、そういう意味でも人員の拡充等については十分な配慮をしていただきたい、かように思いますが、お答えをいただきたいと思います。
#38
○禿河政府委員 国立国会図書館の図書の購入費あるいは別館の建設等につきまして私ども最大限の努力と申しますか、御協力は申し上げてきたつもりでございます。
 定員の関係につきまして、行政部門におきまして定員削減ということをやっております大変厳しい中でございますけれども、やはりその機能に即応するように私どももできるだけのことはいたしたいと考えておりますが、定員関係につきまして飛躍的に一挙にというふうなわけにはなかなかいきかねる面はあろうかと思いますが、なおその実情に合いますように今後ともよく御相談申し上げていきたいと考えております。
#39
○藤波主査 以上で山口鶴男君の質疑は終了いたしました。
 次に、高沢寅男君。
#40
○高沢分科員 ただいま山口委員から立法府としての国会の特殊性、したがって、それに即した国会の予算のあり方について御質問があったわけでありますが、私も同じ考え方を土台としながら国会職員の待遇の問題についてお尋ねをいたしたい、このように考えます。
 国会職員は、国権の最高機関である国会で働く職員でありますから、当然一般の政府職員とは非常に異なる勤務の特殊性があります。また、他の省庁と異なり出先機関がないために他へ転出する機会がなく、必然的に狭い枠の中で年齢構成も高くなるという特殊事情があります。したがいまして、国会職員の労働条件や待遇等についてはそうした国会の特殊性が十分考慮されなければならない、このように思うわけであります。そうすることによって職員の労働意欲を向上させることとなり、ひいては国会運営や国会機能の充実に寄与することにつながるものと考えるわけです。
 ところで、国会職員の処遇の現状を見ますと、四つの給料表のいずれにおいても上位、中位等級における行き詰まりが著しく大きな問題となっております。たとえばこれは行(一)の問題でありますが、行(一)職員については、例年事務総長はその上位等級の定数拡大に努力されており、来年度予算においてもその努力の跡は認められますが、現状の行き詰まりを解消するにはまだまだ十分とは言えないと思います。特に二等級では、間差ダウンの著しい十五号給以上に四十二名もの人が滞留している現状であります。この二等級の行き詰まりを打開する方策を講じて、さらに二等級の定数そのものを拡大して上位、中位等級における頭打ちの解消を図るべきだと思いますが、総長の見解をお尋ねをしたいと思います。
#41
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 第一点は、各給料表において上位等級が行き詰まっている、これは現実でございます。その点につきましては、毎年上位等級の定数確保に努力しております。五十四年度におきましても大蔵当局と折衝いたしまして、その御理解も得まして、われわれとしてはかなりやったつもりでおります。なお、今後この点については努力を続けてまいりたいと思っております。
 第二の点といたしまして行(一)二等級を一等級に持っていくようにというお話でございますが、これは、一応給料表につきましては職階制をとっておりますので、一等級にするにはどうしても管理職という壁がございます。その点で非常にむずかしい点がございます。ただ、いま考えておりますのは、特殊な職場につきましてそれを何とか解決したい、検討したいということを考えております。
#42
○高沢分科員 いま言われたような壁のあることは私も当然承知いたしておりますが、最初の総論に戻りまして、国会という特殊な機能という立場からひとつその壁を破るような努力を今後ともぜひお願いしたいと思います。
 そこで、次に具体論として技術職員、特に自動車課の運転者の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 技術職員については、四等級から七等級までいずれの等級においても高位号給に滞留が見られます。これは行(二)から行(一)への移行後の運用に問題があるのではないか、こう思うのであります。現状を見ますと、七等級に移行後、在級年数に関係なく一定号給まで歩かされて、六等級昇格後も間差の低い号給を長く歩み、さらに今度は五等級に昇格してもまたすぐに問差ダウンの号給に達し、そして不利益の増大する双子昇格号給を歩まなければならぬ、こういう現状にあるわけであります。こういう不利益を救済するには、まず七等級の在級年数を行(二)三等級在級年数と通算して四年程度で六等級昇格を行うようにして、また双子号給にぶつかる以前に上位等級へ昇格させる、こういうようなやり方が必要ではないか、こう思うのでありますが、総長の見解はいかがでしょう。
#43
○大久保事務総長 お答えいたします。
 技術職員の中で特に自動車の運転手さんのことについての御質問でございます。この点につきましては、先生御承知のとおり、採用の際は行(二)の形で採用しまして約一年半ほどで行(一)の方に移行しているというのが現実の運用でございます。そういう形をとりますので、どうしても行(一)職とのバランスといいますか均衡上、すぐ七等級に移行してから六等級にというわけにはまいらないわけでございます。
 そこで、先生の御提案と申しますか、通算して四年ぐらいということにつきましては、毎年若干改善はしておりますが、そういう点も含めまして今後検討していきたいと考えております。
#44
○高沢分科員 この点は特に自動車の関係で仕事をされる人のこれまた大変な意欲の問題にも関係しますので、ぜひまた来年度に向けての御努力を願いたい、こう思います。
 次に、技術職の四等級定数の拡大についてお尋ねをしたいと思います。
 五十三年度に引き続きまして今回も十名の定数増がありました。これは私は非常に前向きな努力として評価するものであります。しかし、昨年も私指摘しましたように、五等級在級者の六四%を占める運転者は、五の十号から十八号までに四十五名もおります。また、そのうち、昇格が双子号給となる十七号、十八号にいる者は本年四月予定者を含めると十五名以上に達し、さらには十九号の三つ子昇格対象者も生ずるのではないかと思われます。こういう現状はまことに重大な問題だと思います。
 したがいまして、まずとりあえずは運用面での御努力をお願いすると同時に、今後さらに一層の四等級定数の拡大を図っていただきたいと思います。この四等級定数拡大についての総長のお考えをお聞きしたいと思います。
#45
○大久保事務総長 お答えいたします。
 自動車の運転手さんにつきましては、先生御指摘の四等級の定数拡大が最もポイントになっております。そういう意味におきまして、今年度も先生から御指摘がありましたが、十名の増加をしております。現実には運用面においてもう少し多く実行できると考えております。この点はポイントになっておりますので、今後も拡大に努力していきたい、こう考えております。
#46
○高沢分科員 いま言われた今後の定数拡大と同時に、とりあえずのいまの問題としての運用面について、もう少し具体的な御説明をお願いしたいと思います。
#47
○大久保事務総長 実際は七月段階で行いますので、まだ数字の具体的なものは持っておりませんが、例年の例によりますと、欠員その他ございまして、現実にはもっと昇格できるというように考えております。
#48
○高沢分科員 その四等級の問題でありますが、現在四等級に在級する人たちの現状はどうかといいますと、すでに運転者の三割近くが四等級に在級しております。そして、そのほとんどが、一年の給料のアップが一・三%から二・五%しか昇給しないという高位号給に達しており、また年齢的に見ても非常な高齢者であるというような理由で昇給延伸の状態になっておる、こういう状態であります。こういう実態を十分考慮されて、私としては、これは将来の問題ではありますけれども、先ほどは四等級の定数拡大をお願いしたわけでありますが、さらに今度は、たとえば四等級から三等級へ進む、そういうような前向きにひとつとびらをあける御努力をお願いしたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
#49
○大久保事務総長 お答えいたします。
 四等級から三等級、行政職(一)の適用につきましては制度的に無理がございます。この点は特殊なケースとして考えるしかないと思いますが、そういう点では今後も考えていきたいと思っております。
#50
○高沢分科員 私は、いまの問題は事務総長は大変壁が厚い、こういう御説明でありますけれども、この点もしかし、後ほど触れます議警職の問題等においてもそういう壁を破るいろいろな努力もされてきておるということでありますから、これはまさに意思あれば道あり、こういう言葉がありますが、その方向を開こうというお考えがあれば、当然先ほどの山口委員の大蔵省との交渉の問題もありますが、ひとつぜひ道を開いていただきたい、こう思うわけであります。
 次に、具体的には用務員の待遇改善の問題でお尋ねをいたしたいと思います。
 先ほど事務総長言われましたように、行(一)と行(二)の関係であります。初任給の格づけが有利である、こういうことで行。職表が残されているわけでありますが、それならば、その有利な条件で採用された後になるべく早い時期に行(一)へ移行させるべきだ、このように私は思います。用務員は従来、普通の場合におきましても、採用後大体九年から十年行(二)に在職した後に行(一)へ移行しておりましたが、昨年は一部の人たちが八年で移行する、こういうふうなケースも出てきております。この点については私は一歩前進である、このように評価をいたしますが、これからもひとつこういう傾向を強めて、行(二)から行(一)へ移行するその年数が短縮されるような方向でひとつ総長の御努力をお願いしたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
#51
○大久保事務総長 お答えいたします。
 この点につきましては、少しでも行(二)在職期間が短縮できるよう今後努力していきたいと考えております。
#52
○高沢分科員 いまの用務員の実態ですが、これをさらに申し上げますと、特に行(一)六等級での行き詰まりが非常に多いわけであります。用務員の全体の数の約五〇%の人がこの行(一)六等級に在級しております。そして、その全員が間差ダウンの号給のところに滞留している、こういう実態があります。しかも、先ほども申しました高齢者が非常に多い職種であるという点も考慮に入れるならば、六等級から五等級への昇格をさらに拡大していただきたい、このように思うのでありますが、総長の見解はいかでしょうか。
#53
○大久保事務総長 お答えいたします。
 用務員さんの六等級から五等級という昇格の点でございますが、これは五等級になりますと一応役職の形をとりますので、そういう制約がございます。ただ、高位号俸者あるいは高齢者につきましては、処遇上でできるだけ配慮をしていきたいと考えております。
#54
○高沢分科員 これはどの職種をとっても同じでありますけれども、要するに、最初に私の申し上げた、国会の職員というのは非常に狭い枠の中で異動が思うようにならないというところから、次第に年がたつにつれて詰まってきている、こういう状態でありますから、その詰まってきたのをとびらをあけるには、あなたのいま言われたそういう壁の問題は私はわかるわけですけれども、やはりこのとびらをあけていくという努力を用務員の場合でもやるべきだ、私はこのように考えるわけです。
 さて次に、速記職員の待遇の問題に移りたいと思います。
 近年、一般職においては給料表上のランクアップあるいは運用の緩みが見られまして、衆議院においても行政職ではそれに見合った措置がとられておりますが、速記職についてはまだ十分な措置はとられていない、このように私は見るわけであります。現行の給料表ができた昭和三十二年の当時と比べてみると、行政職との対比においては速記職の上位等級ではほぼ現在一ランク落ち込んでいる、こういうふうな格差のできた状態にあります。しかも、この速記職員の人員構成のピークは速記職一等級の高位号給にまた差しかかっている、こういう状態にあります。したがいまして、運用面においても速記職表の行き詰まりは非常に深刻な状態になっておる、こういう状態でありますが、この行き詰まりを放置しておくわけにはいかないと思うので、そこでこの打開策を見出すために、総長の御努力もさることながら、速記の職場の皆さんがいわば自主的に、自発的にこの問題を打開するための案を検討する特別なチームをつくって、現在検討されておる、このように伺っているわけでありますが、この検討が恐らくことしの夏ごろに向けて一つの結論、線が出てくるのじゃないのか、私はこのように思うわけでありますが、こういう線が出てきた場合に、これを受けて実現するという方向について事務総長の特段の御配慮をお願いしたい、私はこのように思うわけであります。
 その上に立って、具体的な議論に入るわけでありますが、本年の一月現在の速記職一等級の在級者を調べてみますと、十二号から二十号の間に五十名がひしめいている、こういう状態であります。そして全員がやはり昇給間差の落ち込んだところに在級している、こういう状態であります。また、速記職一等級への昇格基準を満たしている有資格者は十五名にも達しております。しかし、一等級への昇格がきわめて厳しい、こういう状態にあるために、速記職二等級高位号給に滞留している人たちは非常な不利をこうむっておる、こういう現状にあると私は考えます。
 このような行き詰まりの現状を打開するためには、事務総長の御努力によりまして漸次行(一)二等級への移行が図られてはおりますが、しかし、これにしても大体毎年一名程度というようなわずかな定数増で、とてもこの実態に合う状態にはなっておりません。また、速記職一等級の定数に至っては、昭和四十六年から、すでに七年以上になるわけですが、三十一名という据え置いた数がずっとこの七年以上続いてきておる、こういう状態にあります。
 したがいまして、この際、行(一)二等級への移行をさらに促進すると同時に、速記職一等級定数もまた大幅な拡大を図り、有資格者がいずれもスムーズに昇格できるようにすべきだ、このようにも考えるのでありますが、総長のお考えをお聞きしたいと思います。
#55
○大久保事務総長 お答えいたします。
 速記職の速記監督につきまして行(一)二等級適用の数をふやせということでございまして、この点は、先生御存じと思いますが、毎年努力しております。五十四年度につきましても一名とりまして、現在合計八名になっております。それから、速記一等級定数がそのままになっているじゃないかというお話でございますが、これは当然行(一)二等級に持っていけばその分があく。と同時に、二等級の段階で一等級暫定の運用というのもございまして、現実に、運用につきましてはかなり昇格なり昇給はしているつもりでございます。なお、この点につきましては今後とも努力していきたいと考えております。
#56
○高沢分科員 総長は、かなり努力をしておる、こういうお答えでありますが、速記職の現場にいる人たちの声を私が聞く限りにおいては、その評価はしながらも、まだまだ不十分である、こういう声が強いわけでありまして、そういうところから、先ほど申しました、この人たちの自主的なその打開策のための検討チームもできておる、こういう実態であるわけであります。この検討チームの現在の作業の仕方、あるいは夏ごろにその結論が出てくるならば、それを受けて、この実現のためのどういうふうな腹づもりをお持ちか、このチームの作業についての総長の御見解もまたこの際ひとつお聞きしたいと思います。
#57
○大久保事務総長 お答えいたします。
 そのお話は私まだ具体的に聞いておりませんので、どういう形のものを検討されているのかわかりませんが、そういうのがもし結論的に出まして、記録の方から話があれば、一応検討した上で――これは両院にまたがる問題でございますので参議院とも協議しなければならないと思います。見た上で検討したいと考えております。
#58
○高沢分科員 総長の指揮下の職場においてそういう真剣な動きが出ておる、こういう実態でありますから、現段階ではまだ承知しておられないということであるならば、早速そういう努力をしている人たちと話し合って、その意欲をくみ取っていただいて、そしてひとつ措置を講じていただきたい、こう考えるわけであります。
 次に、議警職の問題についてお尋ねいたします。
 議警職においても全体的に頭打ちの傾向が見られます。特に議警職一等級、二等級においてその傾向が顕著であります。
 行(一)においては課長補佐は二等級から四等級に分かれておりますが、その約八五%を二等級、三等級が占めて、その中でも二等級が課長補佐の主流を占めつつある傾向になっております。したがいまして、議警職においても、このような行(一)表のランクアップに見合った措置を講ずるべきではないか、このように私は思います。
 すなわち、具体的に言えば衛視長を特一等級に格づけすること、これが第一。それから第二には、議警職二等級以上の頭打ちを解消するために、議警職一等級の副長課長補佐は特一等級に暫定移行させる、こういうような道を開くべきではないかと思いますが、総長の見解はいかがでしょうか。
#59
○大久保事務総長 お答えいたします。
 この点につきましては、昨年も先生から御指摘があり、御質問がございました。率直に申しまして、特一等級は、いわゆる重要な困難な任務を行う衛視長ということで格づけしております。本来衛視長が一等級ということになっておりますので、これを一遍に飛び越してすぐ衛視長即特一等級ということは無理だというふうに考えております。
 それから、課長補佐である衛視副長を即特一等級というお話でございますが、この点も、さっき申しましたと同じ意味で、現在の制度的な問題としては無理な点がございます。ただ、先生御指摘のように、こういう上位号給におる方は、警務の場合でも、速記の場合でも、一般職でも、非常に苦労されて、われわれで言いますと職務の中心的な存在でございます。そういう意味におきまして、その待遇改善については今後とも全力投球していきたい、こういうように考えてはおります。
#60
○高沢分科員 いま言われたとおり、そういう高位号給で滞留されている人たちの場合には、経済的な待遇の面が一つと、同時に、もう一つは、当然社会的なその立場というものも、これは、御本人がこれでもって意欲を持ってできるというような状態がやはり保障される必要がある、こう私は思います。したがいまして、そこの壁を破るという、こういう点についても、大変重ね重ねで恐縮でありますが、御努力をお願いしたいと思います。
 最後に、女子の昇給、昇任問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 行(一)表適用の女子職員の昇格につきましては、やはりここ数年来漸次改善の傾向にあるというふうに私も思います。特に昨年は六等級から五等級への昇格について前進が見られて、男子との格差が一歩縮まりました。このことは私は大変評価するものであります。さらに、五等級から四等級への昇格についても改善が見られます。特に五等級の高位号給者の半数以上の昇格が行われたということは、これは特に女子職員にとっては非常な希望を持たせる措置であったと思います。しかしまだ、十分だ、これでよろしいというような状態ではないと思います。したがいまして、女子職員の上位等級への昇格がおくれているのは、これは根本的には、やはり依然として男女分業的な職場配置の関係というところから出てきている面がやはりあろうかと思います。そういう面においては、その能力に応じて、意欲に応じて女子の職域の拡大が図られていいのじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。したがいまして、能力、意欲のある女性には積極的に職域を拡大して、そしてチャンスを与えていくという、こういう具体的な施策を講ずることが必要ではないか。そして、それに見合って今度は昇格、昇任、これもまた促進される、こういうような行き方が必要ではないかと思いますが、総長のお考えをお聞きしたいと思います。
#61
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 女子職員につきまして、先生御指摘の能力に応じて大いに職域を広げろ――もちろん国会職員の場合には特殊な職場がございますから、そういうところは無理でございますが、一般論としまして、十分能力がある方はそれ相応の職種でやっていただきたいというふうに考えております。それから昇格、昇給につきましても、私としては漸次改善しているつもりでございます。
#62
○高沢分科員 以上、私は予定いたしましたそれぞれの具体論の質問は終わったわけであります。
 おしなべて総長のお答えは、その改善に努力するというお答えであったわけであります。私もまたここ数年来の実績を見て、確かに一歩一歩進んできているということは間違いないと思いますが、ただ、最初に申し上げました滞留の実態からすれば、まだまだとても現状は満足できない状態だということでありまして、そこの枠を超えていくためには現行制度の壁をある程度破らなければいかぬという面のお答えがあったわけですが、その壁を破るという面において、また将来に向かって特段の努力をしていただきますようお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#63
○藤波主査 以上で高沢寅男君の質疑は終了いたしました。
 次に、山本政弘君。
#64
○山本(政)分科員 最近多党化、それから国会の会期の長期化、施設の拡充などがありまして、同時に国会議員がふえました。そういう中で事務局職員の業務内容というのは非常に多様化してきていると思うのです。事務量も増大してきている。だけれども、これに対応した人員増というものが昨年までほとんど行われていない。各職場とも人員増の要求がかなり切実になってきているのじゃないかと思います。ことしは事務局庁舎ができる。それから委員長室、国会健康センターが新設されるということですが、昨年も私は人員増についての質問をいたしました。そのときに総長は、「事務局庁舎完成に伴う管理要員等もありますので、あわせて検討してみたい、」こうお答えになったと思うのですね。
 そこでお聞きしたいのは、五十四年度予算でどういうふうに措置をされておるのか、まずその点をお伺いいたします。
#65
○大久保事務総長 お答えいたします。
 五十四年度予算で人員増をどう処理したかということでございますが、予算上は十七名増員しております。これは委員長室開設、事務局庁舎の管理要員、そういったものを含めまして合計十七名増員となっております。ただ、事務局庁舎の管理要員につきましては、非常勤職員及び業者の導入による転用人員と申しますか、ある職種につきましては業者に委任して、そこで浮いたと申しますか、人員をそっちへ持っていく、そういう形でやっていきたいと考えております。
 一番問題になりますのは委員長室の配置でございますが、結局二十四名必要なわけでございます。これにつきましては十二名増員になった分を使いまして、残り十二名につきましては実行上やりくりいたしまして、五十五年度において何らかの予算的な措置を講じたいと考えております。
 健康センターにつきましては、五十四年度は現実に三カ月間でもありますし、さしあたって受付の管理要員として予算上非常勤職員二名がとれましたので、本格的な業務が開始された場合には必要な人員を確保していきたいと考えております。
 以上でございます。
#66
○山本(政)分科員 五十五年度に十二名、ちゃんとお答えをいただきましたから、それをひとつお願いいたします。
 そこで、もう一つ。速記職員の増員ですが、欠員補充の問題について昨年も申し上げましたけれども、多党化あるいは与野党伯仲というような国会の状況を反映しまして審議時間が非常に増大している。これは事実だろうと私思うのですけれども、同時にまた、内容も広範かつ専門化しておるということで、速記職員がますます過重な労働を強いられておる。こういうような状態を改善するために速記職員の大幅増員が必要であるということは私から申し上げる必要もないことだと思います。
 率直に申し上げまして、私もこの問題を取り上げて十年くらいたっております。毎年毎年お話をしているのですが、実態は一体どういうふうになっているかというと、増員をしてない。増員どころか、まだ多数の欠員を抱えておるというのが実態であります。
 昨年の分科会でも総長は、欠員補充について、五十四年度にはほぼ解消されるのではないか、こういう答弁をされたと思うのですが、いろいろな事情があったと思うのです。退職者が出たとか、そういうことがあったと思いますが、現在、昨年と全く同数ですね。百七十二名の定員に対して十名が欠員になっている。そういう結果、第一線で速記に従事している職員の数は六十二組、百二十四名、依然として速記職員の数は低下したままだ。職場では繁忙期の対策に苦慮しているのが実態だと思うのですけれども、私、不思議なのは、四十九年の四月に定員が百七十名になって、そしてずっと欠員が続いておるわけです。充足されたことはないのですね。たとえば四十九年四月に十四名、一番多いときには五十一年の七月に二十名という欠員で、ずっとその欠員が補充されていない。私はその点では大変不思議なので、なぜ充足されないのだろうか、こう思うわけです。
 もう一つは、繁忙期における一日の最高の速記時間が七十時間、その結果、一日三回という適正な出務回数をかなりオーバーして、一日に九回というのもあるわけですね。そればかりじゃなくて、ピークは、これは五十一年の十二回でありますけれども、これなんか、要するに前に、三十八年当時に比べますと一・五倍ですか、そういうふうになっているという実態がある。昨年でしたか、繁忙期の抜本的な対策について伺った際に、総長から、基本的な計画を立てて将来は考えてみたいという答弁があった。そこで、いま申し上げたように、ずっと、要するに定員が満たされていないのですけれども、そういうお答えがあったのだが、一体何らか基本的な計画を実際にお持ちなのかどうか、この点はいかがでしょう。
#67
○大久保事務総長 お答えいたします。
 先生御指摘の最近の速記の繁忙期間が長いということで、昨年もこの点につきましてはお答え申しましたが、ちょうど予算分科の行われている時点、こういう時点が平常化するような状態であれば将来基本的に考えていきたいということを申し上げたつもりでおります。
 それで、じゃ基本的な計画というのはあるのかということでございますが、これは結局速記の職員をふやすということだと私は考えております。ただ、先生御承知と思いますが、非常に高い技術を持っておられる方でございまして、普通の職員のように、それでは来年もう少し採用するかというわけにはいかないものですから、それで、私といたしましては、さっき先生が御指摘ございましたが、欠員をまず完全補充するという姿勢で進んでまいっております。その点につきましても、昨年は、五十四年の十月にはほぼ欠員はなくなるだろうということを申しましたが、現実には退職される方がありまして、十月になっても完全に補充というわけにはいかないような状態でございます。私といたしましては、まず欠員を補充して、それから、さっき申しましたように、繁忙時期が恒常化するようならば、ほかの定員を振り分けてもまず増員という形に持っていくのが基本的な計画といいますか、ことだと考えております。
#68
○山本(政)分科員 そうすると、本年度に欠員を完全に補充することができるかどうか、これが一つ。
 もう一つは、その点についての具体的な対策、聞かしていただけますか。
#69
○大久保事務総長 お答えいたします。
 先生の御質問は、十月段階になっても三名の欠員じゃないか、それをどう補充するのかということだと思いますが、これはさっきも申しましたが、それでは民間から採って補充するという手もございますが、なかなかその点むずかしいので、どうしても長期にかかって、この次の段階で解決するというしかないと思います。
#70
○山本(政)分科員 お約束、それじゃ明年度はしていただけますね、ちゃんと。要するにこの次は欠員は充足すると。
#71
○大久保事務総長 お答えいたします。
 この次の年と申しましたのですが、これは一応いま速記の方は養成所を卒業してこられるということで、大体三年計画で十名ということで進んでおりますので、それ以上、技術的なレベルが上がってくればいいのですが、大体限度ということになると思います。
#72
○山本(政)分科員 ぼくは国会が長期化をしているということも一つの理由で申し上げたのですが、もちろん繁忙期というのは一つの時限的な問題かもわかりませんが、七十一国会が二百五十時間三十六分、それからずっと上がりに上がっているのですよ、繁忙期の月間の会議の時間を比較してみますと。そして下がったことがないので、いまや六百六十四時間四十五分という二倍以上でしょう。そうすると、ここは考えなければならぬと思うのですね。それはやはり皆さん方管理なさる人たちの責任だろうと思うのですよ。だから私が申し上げているので、要するに五年間に二・七倍ぐらいになっておるんじゃないですか、時間数からいったら。これは大変なことだと思うのですよ。そうすると、ある期間の対策というのは、ぼくは必要だと思うのです。それをないがしろにしているんじゃないかという気がするから、ぼくはあえてお伺いしているわけです。
 欠員との関係で申し上げたいのですが、いまお話がありまして、なかなかむずかしいという話があったんだけれども、速記者の供給源である養成所の充実、これが一番ですね。一般公募という方法もありますけれども、これからの合格者はなかなかむずかしいだろうと思いますが、そうすると要するに養成所に頼らざるを得ない、こういうことになる。したがって、養成所に優秀な人員を確保するための積極的な措置というものが必要になってくるのじゃないか。これもぼくは昨年申し上げたと思うのですが、繰り返し申し上げるようですけれども、たとえば生徒の手当、ここ数年千円とか千五百円とかというような増額の措置は講じておりますけれども、現在の手当額が少額のために魅力が薄いんじゃないかというような気もします。したがって、これを思い切って改善をして生徒に意欲を持たせるということも一つの方法だと私は思うのです。したがって、そういう意味で、養成所に優秀な人材を確保するためにも何かひとつ対策を考えなければいかぬのじゃないかという気がするのですが、この点についてのお考えはございませんでしょうか。
#73
○大久保事務総長 この点につきましても、昨年先生から御指摘を受け、私の方としても検討さしていただいたわけでございます。結論的に申しますと、やはり試験に受かった人をすぐ職員というわけにもいかないものですから、研修科というのがございまして、半年研修科をやってから本院採用ということがございますが、研修科に進級した時点で採用という方法をいま検討しております。
#74
○山本(政)分科員 そのほかにも、たとえば警務職員、それから保守要員、自動車課の代者要員、それから調査員等の増員についても、ひとつぜひ努力をしていただきたいと思います。
 もう一つ、宿日直の問題がございます。
 これも数年来取り上げて逐次改善はされてきたと思いますけれども、そして三日に一回というような極端な宿直の個所がなくなってきておることも事実ですが、しかし、衆議院の各職場を見ますと、まだ十四カ所、一日に三十六名という職員が宿直なさっておる。しかも、そのほとんどが「本来の勤務に従事しないで行う」という人事院規則の線とは異なって、本来勤務の延長であるというふうに伺っております。翌日の勤務というものを考えますと、健康管理の面からもうひとつ改善工夫があっていいのではないか、こう思います。ことしは宿舎に業者が導入されるということでありますが、ぼくは業者の導入の是非については議論の余地がまだあると思いますが、それをいま問おうとは思いません。ただ、宿直の人員、回数の面で改善を図られると聞いておるわけですが、そういう面で具体的な運用面についてひとつ説明していただけませんでしょうか。それが一つ。
 もう一つは、他の職場も含めて複数の宿直個所を持つ職場について、できるだけ個所減を図っていくべきではないかと考えておるわけですけれども、何か総長の方でお考えがあればお伺いしたいと思います。
#75
○大久保事務総長 お答えいたします。
 宿日直勤務につきましては、職員の健康管理を十分に考慮して過重な勤務にならないように努力しております。昨年もこの点につきまして御指摘がありまして、今年四月からは、われわれとしては一つの前進としてやっていきたいと思っております。その点を御説明申し上げます。
 第一に、議員宿舎の宿日直勤務の改善につきましては、赤坂、九段議員宿舎につきまして、本年四月から業者を一人ずつ導入することによりまして、現在一回の宿日直勤務人員三人を二人に、また五日ないし六日に一回の宿日直勤務を八日に一回の割りに軽減したいと存じております。また青山、三宅坂宿舎につきましても、職員を一人ずつ増員いたしまして、五日ないし六日に一回の宿日直周期を六日ないし七日に軽減したいと考えております。
 もう一点御指摘のありました宿日直個所を減らすようなことはどうかという点でございますが、さしあたり事務局庁舎が完成いたしますと、いま自動車課の配車関係は二カ所で行っておりますのを一カ所に統合いたしまして効率化したいというふうに考えております。
#76
○山本(政)分科員 高輪の宿舎が来年できますね。これはどうなりますか。
#77
○大久保事務総長 高輪宿舎につきましては、五十五年度第一期工事が完成した段階で検討するわけでございますが、当然その際には、現在あります青山議員宿舎、そういうところを廃止してやるわけで、そのときにはその人員を持っていくわけでございますが、その点につきましても過重にならないような、ほかとの均衡のとれるような形でやっていきたいと考えております。
#78
○山本(政)分科員 次にお伺いしたいのですが、婦人の母性保護、特に産前産後の休暇について人事院にお伺いしたいわけです。
 婦人労働者の母性保護について十分な配慮が必要だと私は思うのですが、特に産前産後の休暇について、いまは前後各六週間ですけれども、従来から公務員関係では、産前産後の八週間の制度を主張しておる。最近では専門医の中でも、特に産後は大幅な延長が必要であるという声も聞いております。また、昨年総理府から発表されました「婦人の現状と施策」というものによりますと、六週間を超えて休業している人たちが五一・二%に上がっているということであります。一方、人事院において一昨年「女子職員の妊娠、出産に関する調査」というものを行っておりますが、これはまだ結論が出ていないようですけれども、いまどんな検討を行っているのか。一昨年にやったのですけれども、まだ結論が出ていないというのですけれども、一体どういうふうな検討を行っておるのか、また、いつごろまでに結論が出されるのか。欲を言えば、さらに私は産休の延長という方向で検討していただきたいと思うのですけれども、そういう検討は一体なされているのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
#79
○藤井(貞)政府委員 お答えいたします。
 女子職員の産前産後の問題、これにつきましては、私たちも特に母性保護という観点から大変な関心を持って従来からも取り扱ってきたつもりでございます。
 いまお話がございましたように、私の方で女子職員を対象といたしまして妊娠、産後というものについての調査を行いまして、昨年その概要の発表をいたしております。六月であったと思います。その後、これを基礎にいたしまして、調査結果の分析検討をいま鋭意急いでおる段階でございます。中間的にわれわれが入手いたしました結果によりますと、特に問題になります産後の問題でございますが、女子職員の約二六%程度が六週間に引き続いてとっており、さらに、休暇といいますか休みを要求しておる、現に休んでおるという者がございます。その内容を見ますと、そのうちの八割はやはり大体二週間程度というものが多いようであります。なぜそういうふうになるかという理由も聞きますと、これは当然のことながら母体の回復がまだ十分でない、したがって、その程度はひとつ休ましていただきたいんだということに相なっております。
 こういう結果を踏まえまして、現在いろいろな角度から検討を加えております。特に母性の健康ないし福祉という観点が大変重要でございます。それに民間のこれについての取り扱いの状況、あるいは地方団体側の対応の仕方というものも参考にいろいろ調べておりますが、やはり徐々に六週間というものを延ばしていこうというような傾向が顕著に出てまいっておることは事実でございます。そういう点も踏まえまして、現在制度としてどうあるべきかということについて鋭意検討を続けておる段階でございますが、そう長く検討ばかりということではございません、大体結論が出かかっておりますので、今後とも事務当局を中心にいたしまして、さらに精力的に作業を続けまして、できるだけ早く結論を得たい、かように考えております。
#80
○山本(政)分科員 いまお答えがあったわけですけれども、総長にお伺いしたいのです。
 人事院の方で、公務員について制度としてどうあるべきかということで検討し、早急に結論を出すというような話がありましたけれども、もしという言葉を一応使いましょう、産休の延長ということで結論が出た場合には、国会職員についてもぼくは当然準用されるべきだと思うのですが、どうでしょう。
#81
○大久保事務総長 お答えいたします。
 人事院の方で結論を出されて、現在の前後六週間からさらにふやすということが決まりましたならば、国会職員につきましても政府職員と同じ取り扱いをするつもりでございます。
#82
○山本(政)分科員 話をちょっともとに戻すようですけれども、速記の方ですね、ぼくは速記者というものを養成することは、もちろん国会という場所ですから大変質的に高い人たちが要求される、こう思うのですけれども、実はよくわからないのは、三十八年以降五十四年度まで定数が満たされたことがないんではないかという感じがするのです。その辺が十分わからないんですよ。三十八年から五十四年度というこの長期間にわたって、要するに速記者の定数がなぜ満たされていないのか、かなり長期間だと思うのですね、年月から言えば。だから、その間に改善策というものは当然長期的に立てられるべきだと思うのですけれども、それが立てられていない。いまから早急に立てるかと言えば、いまお答えのように、質的に高い人たちが要求されるからむずかしいということになれば、率直に申し上げますと、百年河清とは申し上げませんけれども、そのように期待できないような感じがするのですが、その辺、ぼくの納得のいくような説明をしていただけないかと、こう思うのです。なぜ三十八年から五十四年に至るまで定数が満たされないんだろうか、実はわからないんです。いろいろな要するにアクシデントもあったかもわかりません。しかし、それだけの要するに長期間の間に満たされるべきだと思うんだけれども、そして現実に時間からいっても回数からいってもかなりふえているという事実があるとすれば、ぼくは、これはやはり総長だけの責任じゃないと思いますよ、しかし、何らかのことを講ずることが本当だと思うのです。同時に、ほかの、何といいますか、調査員とか、あるいは代者要員とか、警務職員とか、保守員とかいうことについてもやはり少し前向きのお考えをいただけないか、こんな感じがするのです。
#83
○大久保事務総長 お答えいたします。
 私も、率直に申しまして、その期間どうしてふえてなかったかということは、多少過去のことでございますから、その時点その時点でいろいろな事情があったと思います。それから、やはり優秀な速記者を入れるという壁もあったと思いますので、具体的なお答えは差し控えさせていただきたいと思います。ただ、今後の姿勢といたしましては、先生の趣旨を体しまして今後とも進めていきたい、こういうように存じております。
#84
○山本(政)分科員 こういうことを言うと怒られるかもわかりませんけれども、ぼくはいろいろな要するに経費という面が必要だろうと思うのですね。かっこいいことを言うつもりはありません。しかし、そういう意味では、少なくとも仕事がオーバーになっているようだったら、やはりそれは前に比べてオーバーにならないように措置だけはとってほしいし、あるいは、よく知りませんが、速記者の設備が必要なのか、あるいは教える人たちが必要なのか、それが不足なのか、そんなことはぼくにはわかりませんが、しかし、必要ならばそういうことの措置もぜひしていただきたい、そのことをお願いいたしまして終わります。
 ありがとうございました。
#85
○藤波主査 以上で山本政弘君の質疑は終了いたしました。
 次に、山花貞夫君。
#86
○山花分科員 今日、国会議員の国会活動を初めとした政治活動、また、これに伴う調査研究その他の活動の領域は大変広範になっています。その他の関連におきまして、そうした国会議員の政治的な意見、調査、研究の報告などの公表されました著作物について、報道、批評、研究その他の目的のために引用して利用される場合が大変多くなっています。特に、国や地方公共団体の機関が一般に周知させることを目的として、そうしたものについての著作物を作成し、これが他に対する説明の材料として新聞、雑誌その他の刊行物に転載されることも多くなっています。同時に、国会議員の公開して行われた政治上の演説とか陳述などにつきまして、これが編集されて刊行物になり、あるいはそうしたものが新聞または雑誌に掲載される、放送される、こういう事例が非常に多くなっているわけでありますけれども、こうした場合の著作権との関連につきましてお伺いをいたしたいと思います。
 まず、個別のケースについて御判断をいただくということについては妥当でない部分があると思いますけれども、必要の範囲で確認をしておきたいと思うのですが、事務総長にお尋ねしますけれども、五十一年の三月四日の衆議院の予算委員会、五十一年の五月二十日の科学技術特別委員会、同年六月十日の同委員会で、村山喜一議員が川内原子力発電所建設について質疑を行っているわけでありますけれども、これに関連して、衆議院議長に対して関係住民の方から問題ありとして取り上げるような文書の要請などがあったかどうかということについてお伺いいたします。
#87
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 昨年の春以来私の方で調べました範囲におきましては、衆議院議長あてにそういう書面なり文書は来ておりません。
#88
○山花分科員 重ねてお伺いしますけれども、「開発公害研究資料第一集」として「川内原子力発電所建設と地盤1」と題する刊行物についてですけれども、衆議院議長に問題として取り上げるというような文書による要請、陳情などはありませんでしたでしょうか。
#89
○大久保事務総長 先ほどお答え申し上げましたが、そういう文書あるいは陳情について、衆議院議長あてに来ているものはございません。
#90
○山花分科員 個々のケースについてですけれども、各議員の活動について問題が提起されたような場合には、衆議院の議運などで問題とされるということもあると思いますけれども、この川内原子力発電に関連する著作権の問題で議運の方で話題になったことがあるでしょうか。
#91
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 私も議運の理事会には毎回必ず出ておりますが、そういう話は聞いておりません。
#92
○山花分科員 衆議院の法制局長にお伺いしたいと思いますけれども、国会議員が書物の著者ないし共著者といたしまして、国会の委員会審議における自己の質疑及びこれに対する国務大臣等の答弁の内容を委員会の議事録に基づきまして、著作物の中に引用するということは、著作権法上何らかの問題になるのでしょうか。
#93
○大井法制局長 お答え申し上げます。
 実は、衆議院法制局は、著作権法の所管庁でもございませんし、また、委員会議録の所管部局でもないわけでございますが、御質問でございますので、一つの参考意見として見解を申し上げます。
 御質問の点について考えますならば、議員が自己の発言を著書の中で引用されることは自由でございます。
 次に、委員会議録につきましては議論があるところでございますが、これが著作権法三十二条一項にいう「公表された著作物」に該当するものと解するのが適当であろうと判断しておりますので、これを引用いたしまして利用いたしますことは著作権法に違反するものではないと考えております。
#94
○山花分科員 同じ問題についてですけれども、内閣法制局の御見解を伺いたいと思います。
#95
○茂串政府委員 お答え申し上げます。
 委員会議録が「公表された著作物」に該当するということでありますれば、ただいま衆議院法制局長が述べられましたとおり、著作権法第三十二条第一項の定めるところに従いまして、この会議録を引用して利用するということは何ら問題がないというふうに考えております。
#96
○山花分科員 いまお伺いいたしました川内原発問題に関連してでありますけれども、ある新聞記事などによりますと、これに関し著作権法違反であると内閣法制局及び衆議院法制局は見解を示したという記事があったわけでありますけれども、そうした事実があったかなかったかということについて御両者からお伺いしたいと思います。
 同時に、そうした問題について、いわば院の外の一般の第三者の問い合わせに対して、個別テーマについてそれぞれの法制局において意見を発表するということがあるのかどうかということについても、この際お伺いしておきたいと思います。
#97
○大井法制局長 お答え申し上げます。
 山花委員御指摘のような事実、すなわち著作権法違反であるというような法的見解をお示しのようなことに関連しまして発表したという事実は全くございません。
 もとより衆議院法制局は、国会法に明示されておりまするとおり、「議員の法制に関する立案に資するため」に設けられました補佐機関でございます。したがいまして、議員以外の第三者に対しまして直接に法律上の見解を発表し、示すというようなことは職務外のことと心得ております。
#98
○茂串政府委員 ただいま御指摘の問題につきまして、内閣法制局といたしまして著作権法違反であるという見解を発表した事実は全くございません。
 それから内閣法制局というところは、御承知のとおりでございまして、内閣法制局設置法によりまして、法律問題に関して内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対して意見を述べることを任務とする機関でございまして、一般の私人に対しまして直接に見解を表明する立場には立っておらないわけでございます。
#99
○山花分科員 この際、文部省に対して、著作権法を所管する官庁として文化庁に対してお伺いしておきたいと思うのですが、国会の各委員会の議事録は著作権法のいわゆる著作物であるということでしょうか。そうであるとするならば、その法的根拠はいかがでしょうか。この点について、この際関連してお伺いしておきたいと思います。
#100
○小山説明員 お答え申し上げます。
 国会における議員の御発言につきましては、著作権法に言う著作物に該当するものと考えております。その理由としましては、著作権法におきましては、著作物というものを人間の「思想又は感情を創作的に表現したもの」というふうに定義をしておりますが、国会議員の御発言はその思想、感情の創作的な表現に当たる、したがいまして著作物に該当するというふうに考えております。
#101
○山花分科員 関連してもう一つお伺いしておきたいと思いますけれども、委員会などにおける議員の発言は、発言した議員はその議事録について著作権があると、こう考えてよろしいわけでしょうか。同時に、政府関係者が答弁をした場合、その著作権は国のものということになるのでしょうか、あるいは答弁をした特定の方のものとなるのでしょうか、この関連についてお伺いしておきたいと思います。
#102
○小山説明員 国会における議員の発言につきましては、その発言をされました議員がその発言の部分につきまして著作権を持つものと考えます。また、政府委員等の答弁につきましては、その発言をしました政府委員等が自己の発言した分につきましての著作権を持つというふうに考えております。
#103
○山花分科員 なお、委員会における発言についてでありますけれども、これは公開の場における発言、こう理解してよろしいのでしょうか、この点についてもお伺いしておきたいと思います。
#104
○小山説明員 公開の委員会における議員の発言につきましては、著作権法第四十条によりまして著作権が制限をされておりますが、この場合の公開と申しますのは、その委員会にたとえば委員長の許可を得まして報道機関あるいは傍聴者が入場しておる、そういうような状況であれば当該委員会は公開の状況にあるというふうに考えております。
#105
○山花分科員 いま御指摘の著作権法の第四十条によりますと、「公開して行なわれた政治上の演説又は陳述」「における公開の陳述は、同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。」と、このようにいわゆる転載について規定しております。議事録がなくとも、テープから複製することをも含めて、政治上の演説であれば利用できる、こう理解してよろしいのではないかと思います。たとえば原発の問題などにつきましては、その安全性をめぐって、あるいはエネルギー政策をめぐって与野党が激しく争っている政治上のテーマであります。そういたしますと、こうした問題をめぐっての発言に関しましては、これは著作権法上の四十条に言う「公開して行なわれた政治上の演説又は陳述」、このように理解してよろしいのでしょうか。
#106
○小山説明員 著作権法第四十条第一項に言っております「政治上の演説又は陳述」と申しますのは、政治の方向に影響を与えるような意図をもちまして自己の見解を述べるということを指すというふうに理解をしております。国会議員の国会における発言につきましては、政治家としての立場から政治的な識見あるいは信念のもとに自己の所信を表明されるものであるということが通例であると考えますので、したがいまして、その発言につきましては原則としてこの第一項に言います「政治上の演説又は陳述」に該当するものというふうに考えております。
#107
○山花分科員 先ほど触れました川内原発の問題につきまして、関係者から東京の地方裁判所に、先ほど指摘をいたしました研究資料等について販売の禁止を求める仮処分申請がなされました。東京地裁におきましては、昨年の三月二十日申請人「提出の疎明資料によっても被保全権利を認めるに足りる疎明がないので本件申請は却下する」との却下決定がなされた経過があるわけでありますけれども、著作権法の目的からいいまして、これは著作権者等の権利の保護を定めたものであると理解をいたします。したがって、著作権者は権利侵害に対して請求権が認められるものと思いますけれども、第三者にはこれを訴える権利というものはないのではないか、著作権の理解についてですけれども、お伺いをいたしたいと思います。
#108
○小山説明員 著作権の侵害が発生した場合におきましては、民事上の関係では、侵害をこうむりました著作権者が自分の権利あるいは利益を回復するためにみずから差しとめ請求あるいは損害賠償請求等の民事上の請求を提出することができます。また、刑事上の救済を受けるためには、その侵害をこうむった著作権者が刑事上の告訴をするというふうになっております。なお、刑事上の関係につきましては、著作権法は親告罪としておりまして、その侵害をこうむった著作権者がみずから告訴をするというようなたてまえをとっております。
#109
○山花分科員 それぞれ御説明いただきまして、国会議員の委員会等における発言の議事録についての引用による利用あるいは転載の範囲、これとの関連において著作権の帰属あるいはこれに対する権利侵害の場合の取り扱いの御説明をいただきました。なお、先ほど指摘いたしました「開発公害研究資料第一集」「川内原子力発電所建設と地盤1」と題する刊行物につきまして、著作権法に違反するというものではないということについても理解できましたので、以上で私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#110
○藤波主査 以上で山花貞夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、川崎寛治君。
#111
○川崎分科員 私は、限られた時間でありますが、国会付属機関の立法並びに調査の機能の強化という問題についてしぼってお尋ねをしたいと思います。
 まず、岸田国会図書館長にお尋ねをいたしますが、五十四年度の国会図書館予算では、立法調査事務の機能拡充、こういうことで、非常勤職員を六名増員をされて、二十三名にされた。つまり人的な面で見ますとこれだけにとどまったのでしょうか。
#112
○岸田国立国会図書館長 五十四年度予算で計上せられておりますものは、人的な問題としては、ただいま仰せになりました特別調査員の六名の増員でございます。
#113
○川崎分科員 国会からアメリカの国会図書館等の調査をなして、いろいろと議会の方でも議論が進んでおるわけでありますが、私は、現在の立法考査局の機能というものについて少し具体的に突っ込んでお尋ねしてみたい、こう思います。
 といいますことは、たとえば法務調査室、この三カ年計画を伺っておるわけであります。この法務調査室は、現定員が六名ですね。現在の配置人員が六名。この六名で司法制度、法曹、民事、商事、民事訴訟、国家賠償、行政訴訟、出入国管理、人権問題、刑法、刑事訴訟、検察、矯正、保護、警察、消防、防衛、国防制度、これだけの問題を現在は進められておると思うのでありますが、今日のこういう非常に複雑な、また変化の激しい時代に、これで対応できると図書館長はお考えでしょうか。
#114
○岸田国立国会図書館長 現在、調査立法考査局におきまして調査に当たっておる人員の総数は九十五名でございます。総員は百五十五名でございますが、残りの職員は、資料の収集、整理に当たっております。九十五名の職員で広範なすべての問題についての調査業務を行うということになりますので、ただいま仰せになりました法務に関することにつきましては、六名というような数字での職員しか配置できない、こういうことになっております。
 最近、議員の依頼による調査も非常にふえてまいりましたし、また、行政や社会事象の複雑化あるいは専門化等の傾向を強くいたしておりますので、依頼によって調査しなければならない事項も非常にむずかしくなっております。とりわけ、最近は外国の事情調査が四六%、半分に近いことになっておりまして、世界の各国各地域のいろいろの問題についての御依頼がございます。それらに対応するものとしては、わが方の調査陣容、スタッフの陣容というものがはなはだ不十分であって、現状でまいりましたならば、わが館の国会に対する奉仕の使命は十分に果たし得ないということをつくづく痛感しておる次第でございます。
#115
○川崎分科員 法務調査室についてもそのとおりで、防衛問題等安全保障の問題が非常に議論になっておる、あるいは相互安全保障という議論にまでなってきておるのでありますが、そういう状態の中で、私が言いましたように六名、それがいまの司法関係から何から全部含んでいるわけですね。とうていできない。
 外務調査室を見ますと、これは五名。ここで国際、日本外交、アメリカ、ヨーロッパ、EC、ソ連、東欧、中近東、アフリカ、中国、朝鮮、東南アジア、オセアニア、国際法、国際機関、これを五名でやっておるわけですね。
 それから、特にまた財政金融の方で見ますと、これはまた今日の大変な国際化の時代、あるいはサミットが毎年やられる、こういう時代に、現在は財政金融課で七名です。これで経済一般、経済政策、経済計画、国民経済計算、独占・公正取引、物価一般、国際経済一般、経済協力、多国籍企業、国際投資、予算、決算、財政一般、財政投融資、国有財産、専売制度、地方財政、租税、国内金融、貨幣、証券、公社債、保険、国際金融、国際通貨、国際収支、物価、国民所得、景気、これだけのものをやるというのは、私は超人的だと思う。日本の立法考査局というのは本当にすばらしい超人的な活躍をしておると思います。
 私もよく利用させてもらっておりますが、大変御苦労して、それぞれ力いっぱいの努力をされてわれわれの要求に応じておる、こう思います。しかし、決して十分だとは思っておりませんが、努力は私は高く評価をいたしております。
 そこで、主計局次長が見えておると思うのでありますが、財政の立場で、査定をしておる主計局の禿河次長としては、いま言いました法務あるいは外交、さらにはいまの財政金融、そういうものが、いま私が指摘したような人員で立法調査の機能を果たし得ると財政当局としてお考えになるかどうか、伺いたいと思います。
#116
○禿河政府委員 国会図書館におきます立法調査機能の点につきまして、ただいま先生の方から現在の陣容で十分その機能を果たすことができるか、こういう御質問がございましたが、確かにこういう立法調査機能を発揮いたしますためには、それが十全を期するためには、スタッフがたくさんいて、関係の資料も十分整っておるというふうなことが望ましいことは私も否定はいたしません。
 ただ、御承知のとおり、行政各省庁におきまして、定員につきましては厳しい削減計画に基づく削減等も実は行っております。そういう情勢の中で、国会図書館の定員につきましてその増加を図るということは、実際問題として実はなかなか困難であると申さざるを得ないわけでございます。そういう点を勘案いたしまして、私どもこの定員ということではなくて、何か国会図書館の立法調査の機能の強化を図る方法はないかということで、図書館の方ともいろいろ御相談を申し上げて、先ほどお話がございました特別調査員というものの拡充でこれを補っていこうというふうなことをやってきたわけでございます。五十三年度におきまして七名、五十四年度におきまして六名の増というふうなことで、現在二十三名の特別調査員というふうな陣容に相なるわけでございますので、こういう人的な面では、そういうふうな面も拡充強化を図って、あるいはまたいろいろ資料の購入費等につきましてもできるだけ私ども御協力申し上げまして、この調査機能の強化ということに資するようにいたしたいと努力いたしておるような次第でございます。
#117
○川崎分科員 岸田図書館長にお尋ねいたしますが、定数の関係で、国権の最高機関であります国会の調査機能についてもその枠に縛られてどうにもならぬのだ、だから便法として非常勤職員で、こういうことですが、ただ立法考査という問題について考えますと、これは短期のものではないと思うのですね。相当腰を据えて長期間にわたって積み上げていかなければならない。だから、直ちに役に立つような人をどこかから権威者を集めてきてというわけにはいかないと私は思うのです。
 それから、いま外国のいろいろな問い合わせ、こういうことがあると思います。私もこの点については痛感をいたしております。たとえばアメリカのSECの問題等、残念ながらこれは行政府の方にも十分な資料はありません。大蔵省の証券局を呼んで聞いてみましても、大変危うい説明しかできないわけです。立法考査局の方は、人手が少ないから十分な翻訳ができていなかったものも、私の要求に応じて急いで翻訳をして持ってきてもらいました。そういたしますと、この問題は日本における、たとえばSECと日本との証券行政のあり方の比較をしましても、これはもう昭和二十七年に廃止をいたしました日本の証券取引委員会以後の問題と、あるいはアメリカにおける制度の変革、さらには国連における問題の追及、OECDの基準の示しに対する対応の仕方というふうなものを考えてまいりますと、これはもういまの行政府もなかなかこたえ切らぬ。まして、そうなりますと、むしろ国会の付属機関が、こういうものについては絶えず積み上げておくということが国会の審議の権威を持ってくる、こういうことになると私は思うのです。そういう意味でまいりましたならば、非常勤職員で、便法で補充をしていくというやり方ではだめだ、私はこう言わざるを得ないと思うのです。図書館長、いかがですか。
#118
○岸田国立国会図書館長 私どもといたしましては、いまの陣容ではとうてい現在の広範な事項に対する調査の万全を期しがたいと思っております。しかし、なかなか増員もむずかしいということでございまして、やむなくわが調査スタッフの欠けておるところ、手薄なところ、そういう専門分野につきまして、特別調査員という非常勤の職員を委嘱していろいろ御協力を願ったり、関係職員の指導をしていただくということでまいっておりますけれども、それらの方はほかの仕事も持っておられる方でございまして、われわれが必要とするときに常時実勢力として御参加願うということはなかなかむずかしい事情にもございます。いずれにいたしましても、調査スタッフの陣容を拡充しなければ、将来の調査機能の充実ということはなかなか実現できないというふうに存じておる次第でございます。
#119
○川崎分科員 議員団がアメリカ国会図書館の視察を行っていま検討しておるというのでありますが、アメリカにおける調査立法考査局、これは何と言うのでしょうか、CRSと言うのですか、アメリカの組織と日本の組織を比較しました場合に、一九七〇年以降の日本と、それから七〇年以降のアメリカというものの――つまりアメリカはもう立法府改革法というので付属機関の体制改革をやっておるわけでありますが、ひとつその辺を比較をして御説明願いたいと思います。
#120
○岸田国立国会図書館長 結論から申しますと、現在、私のところの調査立法考査局は総員百五十五名でございますが、これに相当するアメリカの議会図書館の議会調査局の職員数は八百十三名でございまして、わが方の五・二倍の陣容を持っておるわけでございます。
 この際、過去の経過を御報告申し上げまして、私のところが置かれておる状況を御説明申し上げたいと思いますが、昭和二十三年、三十年前に当館ができましたときは当館の調査局は四十九名で発足いたしております。そのときはアメリカの議会図書館の調査局は百十三名でございました。二・三倍の陣容でございました。それから十年間に、ですから昭和三十三年までの間に当館は逐年機構を拡充いたしまして、人員を増加いたしまして百五十名になりました。そのときにはアメリカの議会調査局は百六十三名で、一・一倍に当たったわけです。すなわち、わが方が後から追いかけていってようやく肩を並べたという状態になったわけでございます。
 ところが、それ以後今日に至るまで二十年間に、私のところはわずかに五名の増員しか認められないという現状停滞的な状態で推移してきておるわけでございます。その間に、議会調査局は約五倍の増員をいたしてきております。それは、皆様も御承知のように、情報化時代というふうなことが言われますように、情報の収集、活用ということが非常に重視されてまいりまして、ちょうど私どもが足踏みを始めたころから、アメリカではもう急速に議会調査局の陣容を充実しまして、ことに一九七〇年におきましては、立法府改革法という法律を出しまして、画期的な増員をやったわけでございます。そこで現在におきましては五・二倍に当っておるという状態で、もうとうてい星川にも及ばない、業務の実態もまさにそうでございまして、われわれとしては非常に焦慮の念を持っておる次第でございます。
#121
○川崎分科員 いま御答弁のように、大変国際化の時代に日本は足踏みをしておくれておると思います。これは一方で言いますと、国会自体の責任だと思います。私は去年、議院運営委員会に一年間でしたが所属をしておりまして、この点は議会の予算のあり方としても提起をしたこともございます。また、わが党の議運の理事の諸君にも、議会の調査費の関係については財政当局との間で少しいさかいがあってももっと要求を通すべきである、もう少し自主的な検討をやれということを私は要求しております。これは後ほど事務総長の方に、常任委員会調査室の問題あるいは国会立法考査局と常任委員会調査室その他の関係でもまたお尋ねしますが、この点については議会側がもう少し本腰を入れなければいかぬということを痛感しておりますので、国会図書館長の方を責めるだけにはまいらぬ、こういうふうに自己批判もしておるわけです。
 そこで、西ドイツの方はどうでしょうか。西ドイツは日本との人口やらその他から考えますと、日本の方がはるかに大きな規模でなくちゃならぬ、こう思うのです。ところが、西ドイツもやはり日本よりももう少しましだという感じがするのですが、いかがですか。
#122
○岸田国立国会図書館長 西独の連邦議会に――これは連邦議会だけのものでございますが、学術サービス総局という局がございまして、そこがちょうど私どもの調査立法考査局に当たるものでございますが、この所掌の内容は若干違いまして、衆議院の調査室に当たるものと調査立法考査局を一本にしたような、これは一院だけに設置されておりますからそういう形にもなっておりますし、また、請願の事務等を扱ったりしておりまして、現在は四百名の職員でございますが、その中で、調査立法考査局に当たる仕事を担当する職員の数は、はっきりは出ておりませんが、部局の分掌等からたどって推定いたしますと、約二百五十名ぐらいが資料の収集、整理及び調査事務を担当しておるというふうに考えております。
 西独のこの調査陣容は、私どもができましたときにはまだできておりませんで、過去に西独から私のところに見学に来られたりしたこともあったそうです。当館よりもおくれて発足をいたしてまいりましたが、これもやはり一九七〇年に非常に大きな改革をいたしまして、陣容を非常に整備をした、そのために当館は、前は優位にありましたが、現在は立ちおくれてきておるということでございます。
#123
○川崎分科員 禿河主計局次長、いまお聞きのとおりです。そして、たとえば国民経済に死活的な関係のありますエネルギーの問題にしましても、今日の立法考査局は、商工課の中に電力、石炭、石油、ガス、その他のエネルギー、それから原子力、それらをひっくるめてたった一名だ、こういうふうに聞いておりますが、こんなことでどうなるのかと、本当に慄然たるものがあるのです。ドイツにしましても、あるいはアメリカにいたしましても、国際化の中でそういう飛躍的な拡充をいたしております。ですから、これは国会自体ももっと検討し、具体的な構想を練って進めにゃいかぬと思いますが、財政当局としても、この問題については本当に根本的に見直す――総定員法で縛られてどうにもなりません、だから何とか便法をということでは済まない問題だ、こう思います。
 ですから、財政当局にひとつそこを聞いておいていただいて、図書館長にお尋ねしますが、私は拝見をしました、拡充三カ年計画を見てみましても、これじゃだめだ、こう思います。やはりもっと抜本的に練り直さにゃいかぬ、こう思いますが、拡充三カ年計画の初年度をいつにして、何カ年間でやっていこうということなんですか。それと抜本的な見直しという問題と二つ……。
#124
○岸田国立国会図書館長 ただいま仰せになりました、局の拡充三カ年計画というものをつくりましたのは、昭和五十二年二月に調査立法考査局の拡充に関する質疑が当院の予算委員会でございまして、福田総理の答弁がありましたが、そのときには衆議院の議院運営委員会の決定があれば十分に考慮をしましょうという趣旨でございました。それを受けまして、当時の図書館運営小委員長から当館の拡充計画を策定しろという御指示がございまして、つくったものでございます。
 われわれとしては、せめて倍ぐらいにすれば、現在の機能の三倍ぐらいの仕事をやることができるのじゃないか、それによりましてコンピューター化も進め、あるいは資料の収集もさらに充実強化することができ、かつ調査陣容を倍増することができるわけでございますから、それで当館の使命は相当に果たせるのではないかというので、百五十名の増員という計画を立てた次第でございます。
#125
○川崎分科員 大蔵省、この計画について相談をし合っておるというふうに先ほどお話があったわけでありますが、私は、この予算措置についてはむしろこれじゃ足らぬ、こういうことを先ほどから申し上げておるわけですから、財政当局としての見解を伺いたいと思います。
#126
○禿河政府委員 私ども財政当局の立場にあります人間といたしましても、国会の立法調査機能の発揮ということにつきましては、厳しい財政状況の中でも財政的にできるだけ努力をして御協力いたしていきたいという気持ちにはもちろん変わりはございません。
    〔主査退席、愛野主査代理着席〕
 ただ、ただいまお話がございました、五十二年の九月でございますか、に作成されました調査及び立法考査局整備拡充三カ年計画、三カ年で百五十人定員をふやしていこうという問題につきましては、厳しい、限られた財源事情の中で、しかも、他方におきまして行政部門において厳しい定員管理を行ってきておるということの中で、これを私どもどういうふうに受けとめるべきかというのは、率直に申しまして大変苦しいところでございます。私ども、国会あるいは国会図書館の調査機能の拡充ということはできるだけ努力してまいりたいと思いますけれども、定員につきまして色よい御答弁がなかなかしにくいというのが、実は率直なところでございます。私どもといたしましては、先ほど申しましたようないろいろな工夫をこらしたり、あるいはできるだけの財政的な面での配慮とかいうふうなことで、御協力できるところは極力御協力申し上げてきたつもりでございますが、今後とも図書館の関係の方々等とも十分相談をいたしながら、どういうふうにしてその調査機能等の拡充を実質的に図っていけるかということにつきまして十分検討、協議させていただきたいと思っております。
#127
○川崎分科員 十分理解をしながらも、財政当局としての大変苦しい答弁をあれこれと言われましたが、せめてこの拡充三カ年計画というものについては速やかに実行をし、達成をするように進めてもらいたい、こういうふうに思います。
 そこで次に、事務総長にお尋ねしますが、きょう、そういうことで時間がありませんので、常任委員会調査室の強化という問題については触れる時間がございませんが、これは数年前私は常任委員会調査室の機能も強化せいということをやったことがあります。
 なお、これ非常に時間がないのであれですが、一つ落としておりましたのは海外調査ですね。海外調査の予算が非常に少ないと私は思うのです。一人三カ月というのがいま組まれておるようですけれども、やはり海外調査というのは、問題に応じては機能的に出ていって実態を踏まえる。むしろ国会議員は世界を走っておりますから現場を見ております。つまり、現場を見ておるということはやはり非常に強いわけですから、その意味では、この海外調査の予算についてもひとつ財政当局は、これは苦しいのでしょう、わかっていますが、しかし検討してもらうということを要望しておきたいと思うのです。
 そこで、事務総長、これは、議会制度調査協議会というのですか、議運の中にあるのは。あの理事諸君でいろいろやっておると思うのですが、国会周辺を見ますときに、いまの立法考査局、それから衆参両院の常任委員会調査室、それから衆参両院の法制局とあります。それぞれ一生懸命努力しております。これらのものを、いま別々にこうあるわけですが、別々というかそれぞれあるわけですけれども、もう少し統合して、機能をより強化するということについては、これまでこの協議会の方でそういう検討があったのかどうか、ちょっと伺っておきたいと思うのです。
#128
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 先生御指摘の協議会は、議会制度協議会で、議長の諮問機関になっておりまして、その場で、私もずっと数年出ておりますが、いまそれぞれ衆議院、参議院が独立して、その独立した衆、参に法制局、常任委員会調査室がございます、それを一本にしてやるという具体的な話は聞いておりません。
 ただ、かつて議運の理事会の段階で、調査室につきましてもっと効率的にやったらどうかというときにその話が出ましたけれども、これは大きな制度の改正でございますし、それぞれ独立して三十年たっておりますので、そのときには衆参で意見がなかなか一致しなかったということでございます。
#129
○川崎分科員 最後に、私はこれは西ドイツの学術サービス総局というものの組織図を見まして、中央請願・陳情事務局に五十三名おるわけですね。わが衆議院の請願課には十四名ということですね。これは事務総長にお尋ねする問題ではないと思うのだけれども、議会制度協議会なり理事会なり各常任委員会なりでも検討しなければならぬと思うことですが、陳情、請願、これは憲法の権利でもあります。西ドイツは細かく問題を整理をし、また直接請願者と連携をとりながら取り上げておる。民主主義という面から言うと、せめて――陳情が平均して一千件、請願が七千件、こういうふうに聞いておりますけれども、ただ国会の最後に処理をするようないまの行き方ではいけないのではないか。これはわれわれも常任委員会でも特別委員会でも議論は出ておりますが、請願、陳情の扱いについてはひとつ考えなければならぬのじゃないかな、こう思っておるのですが、事務局を預かっておる事務総長としてどうお考えになりますか。
#130
○大久保事務総長 お答え申し上げます。
 具体的な事務につきましては、われわれそのときに応じまして事務が非常に煩瑣になった場合にはその分だけ考えます。ただ、先生御指摘の請願につきまして、現実には会期終了前に各委員会で採択されておる。それにつきましてはすでに議運の理事会でももう少し丁寧にやるべきであるということで、私の記憶でもたしか二度議長名で各常任委員長に会期の途中でもやれるようにという通達と申しますか、出したこともございます。この点につきましても、議会制度協議会で検討事項になっております。
 以上でございます。
#131
○川崎分科員 終わります。
#132
○愛野主査代理 以上で川崎寛治君の質疑は終了いたしました。
 次に、寺前巖君。
#133
○寺前分科員 限られた時間でございますので、言いたい、聞きたいことはたくさんありますし、お答えする方もお答えしたいことはたくさんあるだろうと思いますが、ひとつ簡潔に、わかりやすく御答弁をいただきたいと思います。
 この間アメリカの議会図書館の話を聞いておりましたら、予算の七分の一を割いて身体障害者、なかんずく視覚障害者のサービスに充てているということを私は聞きました。ところが、この間国会図書館に行ってみると、この建物に視覚障害者がお見えになったときにまずどこで相談されるのだろうか、すぐに私は頭をひねりました。国会図書館で一体何をやっているのだろうか。そうすると、最近専門的学術文献についての録音サービスをやっている、それはどうして受け付けてもらうのですかと言ったら、電話ですという話です。私は決してそのことが悪いというわけじゃないのです。また、サービスをやっておられるお部屋にも行きました。何はさておいても直観的に感じたことは、国立国会図書館、国民に納本の義務を与えてまで法律的につくられているこのような中央センター的な役割りをするとともに、国政舞台において重要な使命を果たしている建物、これが積極的に視覚の障害者には使えないのだろうか、なぜあまねく国民が利用することができるようにしないのであろうかということを感じたわけです。私は率直に言ってそういうふうな感じを持ったわけですが、所管をしておられる国立国会図書館としてはどういうふうに見ておられるのか、御見解を聞きたいと思います。
#134
○酒井国立国会図書館副館長 お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のとおり、米国の議会図書館におきましては、総予算一億五千万ドルばかりの中で、視覚障害者を含めまして身体障害者全部の予算は約二千万ドル使っております。七分の一という御指摘はまさにそのとおりでございます。人員におきましても、総人員五千名の中で百五十五人がこの業務に当たっておるわけでございます。
 それに引きかえまして当館は、視覚障害の方々に対する学術文献録音のサービスが始まりましたのは五十年でございましてまことに日が浅うございますけれども、もうすでに作成いたしましたテープの数はタイトルにいたしまして三百タイトル、テープの数にいたしまして四千リールばかりございまして、これは相当の効果を上げて、また利用者から非常に喜ばれておるということを聞いて喜んでおる次第でございます。
 われわれの将来の目標は、近く完成を予定されております別館の落成をめどといたしまして視覚障害者の方々、身体障害者の方々に対する根本的な図書館奉仕の改善ということを現在検討中でございます。
 なお、現に形にあらわれておりませんけれども、点字図書の作成、量産等に非常に役に立つために、コンピューターを利用いたしまして自動点訳システムだとか点字カセットシステムだとか、そのようなものの開発が関係者において進められておりますが、この開発に当たりましては当館のコンピューターを提供いたしまして積極的に協力を申し上げておるというのが現在の状況でございます。
#135
○寺前分科員 せっかくおやりになっている録音サービスを見ても、なかなか時間のかかる仕事だなと思いました。それは体制的にもかなり負担の大きなやり方になっている。物によっては半年、一年もかからなければできない。視覚の障害者が勉強したいと思っても、せっかくのサービスがこれだけ時間がかかつてはたまったものではない。何とか改善はできないのか。聞くところによりますと、施設そのものも必要になるし体制そのものも必要になるから、別館建設のときに何らかの処置をということを検討しておられるようですけれども、せっかく新しい別館を建てられる以上は、この分野についての検討が十分なされているのか、どういう構想をお持ちなのかお示しいただきたいと思います。
#136
○酒井国立国会図書館副館長 別館の完成時を目指しまして当館といたしましてはあらゆる業務につきまして再検討し、別館完成時の機構、機能を現在真剣に検討中でございます。その中に当然ただいま先生御指摘のような視覚障害者を中心とした身体障害者に対するサービスの改善というものが含まれておるわけでございます。現在具体的にわれわれが考えております基本的な姿勢といたしまして、全国を対象とした奉仕に徹する、これは国立中央図書館として当然の態度でございます。それから、各地にございますところの点字図書館等の業務の活動に積極的に援助をする。それから、一般の点字図書館でカバーし切れない分野について、いわゆる学術文献でございますけれども、これについて拡充を図っていくというのが根本的な姿勢でございます。
 具体的に申し上げますと、現在行っておりますところの学術文献の量的増産と申しますか、もう少し幅広く、数多くやりたい、このように考えております。そのためには当然、現在六室ございます録音室の増設というものも考えなければならぬと思っております。
 次いで、これは非常にむずかしい問題を内包しておるのでございますけれども、日本全国の各地にございます点字図書館等が所蔵しておるところの点字図書だとか録音テープの総合目録というようなものをつくることを真剣に考えておるわけでございます。非常にむずかしい問題がございますけれども、これは視覚障害者の方で勉強したいという方には文献情報を提供しなければなりませんから、そのための非常にいいよすがとなりますし、また点訳奉仕者の活動のためにも、奉仕のためにも非常に役に立つことと考えておる次第でございます。これは非常にむずかしい問題を内包しているということを前提にしてお話を申し上げました。
 それから、当館に来館されるところの研究者のためには、必要な施設、機器及び体制というものを整備しなければならぬと思っております。弱視者の方々のために拡大読書機だとか、それからいろいろ複写サービスをやっておりますけれども、特に大きく複写ができるところの拡大複写機の設置、それから洋書を直接利用なさる障害者の方々のためにオプタコンという機械の設置も当然考えなければならぬと思っております。それからまた、助手を帯同して来館される研究者の方々に対しましては、特別な部屋というようなものもつくらなければならないと思っております。また、アメリカの議会図書館だとか世界の国立の中央図書館なんかと連携をいたしまして、それらの国々が持っておりますところの点字の目録というものを入手して、備えつけることも考えておるわけでございます。
 それから、国立国会図書館法の二十一条に適切な方法で日本国内の図書館を援助するという規定がございます。したがいまして、この規定によりまして各地の公共図書館、点字図書館等がよりよい奉仕ができるように積極的な援助の方策を考えていく、その方策はどのようなものがあるかというようなことを含めまして現在検討を進めておるわけでございます。
 以上のような業務を管理し、また視覚障害者のためにいろいろな文献情報を提供し、また文献レファレンスサービスを実施する、つまり相談に応ずるための特別のユニットというものも設置の必要というものが当然起こってくるであろうと思っております。現在、先生が御指摘になりましたように、この特別のユニットというものがございませんで、参考書誌部の経済社会課が担当しておるものでございますから、来館された方にはちょっと戸惑うというような事態があるわけでございますけれども、将来におきましてはそれらの業務を全部管理するところのユニットというものを考えなければならない、このように考えております。
 しかし、これらの構想を実現するというのにも、いろいろな経費だとか人員というものが必要でございますから、関係方面の御理解と御認識をいただきまして、これが実現できるように十分に努力してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#137
○寺前分科員 いま出された方針が絵にかいたもちにならないようにぜひとも館長さんにも御努力をいただきたいと思うわけですが、しかし私はこの際に指摘をしなければならない重大な問題があると思うのです。
 それは、国会図書館に国民は納本の義務を課せられているわけです。この国会図書館にも点字図書がかつては数百冊も入っておったというふうに私は聞いている。ところが、その本がなくなっている。一体この管理をどうしておったのか。管理だけではない、ちゃんと提供するという仕事をなぜやらなかったのか。一体この問題についてどういうふうに責任を感じておられるのかを御説明いただきたいと思うのです。
#138
○酒井国立国会図書館副館長 当館が発足いたしました昭和二十三年のときでございますけれども、その時点におきましては、点字図書の取り扱いというものが非常に特殊なもので困難であるということからいたしまして、これを館に持っておりますといたずらに死蔵されるというおそれがありますので、他の適当な機関にお渡しいたしましてこの活用を図っていくというように考えて他に渡した次第でございます。その渡された図書館が当館にかわりまして当館の業務を分担するというような形でやってもらっておる、このような考えでございます。
 現在点字の図書と申しますのは、国内におきましては大体八十万冊あると言われております。それでタイトル数にいたしますと三十万タイトル、このような数字を挙げる人があるわけでございまして、これらのものが全部納本の対象になっておるわけではございません。その八十万冊の主なものは一人一人の点訳の方が手でつくったものでございます。これは納本の対象にはなりません。それで、出版企業が作成いたしましたところの資料というものは当然納本の対象になるわけでございます。そのほか厚生省が委託をいたしまして、たとえば日本点字図書館、ライトハウス等に委託をいたしまして点字をつくるものがございますけれども、これは数量的に限られております。
 一つの例を申し上げますならば、日本点字図書館におきましては一カ年問百タイトル、一タイトルにつきまして八十部つくっております。そのうちの十部と申しますのは点字図書館自体が使いますし、あとの七十部というものを厚生省の指定するところの図書館にやっておるわけでございまして、それでそのほかに文部省におきましては、ライトハウスその他二、三の機関に委託をいたしまして、主として盲学校の学生のための教科書をつくっておる。これを文部省が買い上げて無償配付しておるということを聞いております。
 この厚生省だとか文部省の委託を受けて作成しておる点字につきましてはこれは納本の対象になるか、非常に大きな問題があるわけでございまして、将来を見通しまして、いま先生の御指摘のあるような点をも含めまして十分検討を進めていきたい、このように考えておる次第でございます。
#139
○寺前分科員 いずれにしても、せっかくあった図書をここで管理することができないから出していったというのが事実の経過であったことはきわめて歴然たることであります。私は、ここ自身が管理をするという姿勢になる、ここの建物にあるところの蔵書が視力障害者のために提供することができる、さらにまた全国の公立図書館なりしかるべき図書館とのセンターの役割りをする、ここ自身が積極的にこの分野に取り組むという体制を持たないことには、これは生きてくることはできないのは当然だと思うのです。問題は、私はやはり基本はそこにあると思うのです。こういう視覚障害者の分野に対する中央図書館としての使命を果たすのだというやはり積極性をしっかりと確立をしていただきたいということを強く要望するものでありますが、しかし私はここであえて問題を提起したいわけです。
 先ほどもちょっと言いましたが、玄関へ行って相談することすらできない。せっかくこの建物に来た。そしたら、ちょっと見たいな。見たい内容について自分で読むわけにはいかない。ちょっとしばらくそこの要点を読んでくれないかという、そのぐらいの対面サービスをやる体制と部屋をつくるぐらいのことは、私は早くここ自身もやらなければならないし、全国の図書館というものはそういうふうにやる必要があるのじゃないだろうか、強くそのことを感ずるわけですけれども、専門的に長年あなたはこの分野に対する積極的な役割りをしておられたということを聞いているだけに、特にこの点についての御意見あるいは態度を聞かしていただきたいと思うのです。
#140
○酒井国立国会図書館副館長 国立の中央図書館としての機能、使命、それから地域サービスを使命とするところの公共図書館その他、図書館と申しますのは館種別によっておのおの機能が違っておるわけでございまして、当館の使命は、先ほども申し上げましたように幾つかの全国を対象としたところの使命を持っておるわけでございまして、その中でいま先生の御指摘のような来館者の視覚障害者の方が確かにまごつくような――特別のユニットを現在遺憾ながら設けてはおりません。しかし、お見えになりましたならば、私の方は喜んでただいま先生のおっしゃったような文献の検索だとか必要な文献についての説明だとか、いわゆるレファレンスサービスと申しますけれども、それについては現在もやっておるわけでございまして、将来の問題といたしまして、別館建設のときにはりっぱなものに仕上げていきたい、このように考えておるわけでございます。
 一概に対面朗読と申しましても国立の中央図書館がやる対面のサービスと公共図書館がやる対面朗読のサービスというのはおのずから差がある、このように私は考えております。
#141
○寺前分科員 文部省お見えになっていますか。――文部省は、この視覚障害者に対面朗読を公立図書館でやっているところがあることを御存じでしょうか。
#142
○浪貝説明員 お答えいたします。
 現在公共図書館、公立の図書館で対面朗読の実施をしている図書館は十館ございます。
#143
○寺前分科員 図書館法を見ますと、図書館法では「図書館奉仕」というところがあって、郷土の資料とか地方行政資料とか美術品からレコードからフィルムの収集にも十分留意をして図書館活動をやりなさいということが指摘をしてあります。せっかく地方にそういう公共図書館があるけれども、視覚障害者は実際に行ってもめんどうを見てもらうことができない。点字図書といっても、それは一部分の本を点字にしているにすぎないものであります。と考えると、積極的な社会教育活動として図書館法としてまで存在しているこの図書館、それは無料で広く国民には使わしているわけでありますが、視覚障害者がこれらのものを享受しようとするならば、そこには介助者がなかったらできない相談だと思うのです。私は、そういう意味において中央図書館においても積極的な改善をするとともに、地方の公共図書館においても対面朗読をするという施策を積極的に方針として確立する必要があると思うのですが、文部省としてはどういう見解に立っておられるのかお聞きをしたいと思います。
#144
○浪貝説明員 公立図書館におきましても視覚障害者のサービスの実施ということを進めているわけでございまして、内容といたしましては、ただいまお話のございました対面朗読がその一つでございます。そのほかに点字図書、録音テープの整備、それから弱視者用の拡大読書機の設置等ございます。それぞれ図書館設置者が地域の実情や利用者の要望などを考慮しながら整備を進めているという状況でございます。文部省といたしましては図書館建設の際など視力障害者を含めます身体障害者の利用の便宜を考える施設となるように指導しておりますし、また、公立図書館が点字図書、録音テープ等の整備に要する経費の一部を補助いたしまして、その充実を期待しているところでございます。
#145
○寺前分科員 私の質問は、いま東京を中心にしてわずか十館しかない対面朗読の問題について改善をしていくように施設の面も体制の面も考えていく指導が要るのではないかということを特に強調しているのです。そのことを今後の指導方針として確立されないですかと言っている。どうです。
#146
○浪貝説明員 現在公立図書館で正規にと申しますか事業に掲げまして対面朗読というものをやっておりますのは十館でございます。その内容を見ますと、館の職員がやっているものもございますし、それからいわゆるボランティア、そういったものがこの活動をしているということもございます。特にボランティア活動につきましては、いわば地域社会の中に生きる国民の生きがいといいますか、そういったものにつながる非常に重要な事項だと思います。そういったことで、視力障害者に対する公共図書館の果たす役割りと申しますか、事業の方向と申しますか、そういうものにつきましては、ただいま申し上げましたとおりいろいろな手だてがあるわけでございます。そういった中で有効な相当の手段といたしまして対面朗読というものがあると私は考えております。そういったことで、それを推進するということになるわけでございますけれども、具体的には職員の充実とか、それから地域におけるボランティア活動の推進とか、そういったものを総合的に進めなければならぬわけでございます。そういった観点で社会教育といたしまして、たとえばボランティア活動の推進ということで補助金等も出して、それぞれのグループ、その中には点字、録音テープの作成、それからいま申し上げたような対面朗読のグループとか、そういったものが育ちつつあるわけでございまして、そういった総合的な施策を進めたいというふうに考えております。
#147
○寺前分科員 歯切れよくきちっと方針として検討していただきたいということを私は提起をしておきたいと思うのです。
 なお、こういう活動を国立国会図書館においてもやろうということになると、やはり体制というのは不可分の問題です。それから施設というのは不可分の問題。それから、別館建設というのが特別な新たな画期的な段階になるという形で先ほどいろいろ構想を述べられたと思うのです。そこまで構想を描かれたのですから、積極的に、職員の採用の場合には当然のことながら視覚障害者にも仕事の場を提供するということもあわせて検討されるべき性格だと思うのですが、そういうことは十分考慮しておられますかどうかをお聞きをしたいと思います。
#148
○酒井国立国会図書館副館長 正直に申し上げまして、現段階の構想におきましては、そのようななににはいっておりません。しかし、将来視覚障害者でなければ処置できないような事態というものが発生いたしましたときには、当然視覚障害者を採用してお手伝いを願うということになろう、このように私は考えております。
#149
○寺前分科員 時間が参りましたので館長さんにお聞きをしたいと思うのですが、障害者は特別な施策があって初めて一般社会人と同じようにその権利を享受することができると思うのです。したがって、そこには特別な施策が必要になる。施設も要るでしょうし、お金も要るでしょうし、人も要るであろう。私はここにこそ政治の値打ちがあると思う。だから、特別に意識をしなかったならばこの事業というのはできないと思う。せっかく館長さんなり副館長さんなり、歴史的に国会図書館が新しい段階を迎えられるだけに、そういう決意をしっかりと踏んまえて活動をしていただきたい、私はその点を特に要望するわけです。
 また、視覚障害者は昔からよく言われたものです、三療の仕事が自分たちの仕事の範囲だと。しかし、それだけでは視覚障害者、八割からの人が中途失明者でありますけれども、こういう人たちの仕事の分野を特別にまたつくるということも社会的に考えなければいかぬ話です。たとえばフランスへ行ったら、電話交換は視覚障害者のために機械の装置を改善してまで提供しようじゃないか、そういう研究を各国ともいろいろやっておるわけです。私は、視覚障害者でなければできない仕事という消極的な態度ではなくて、積極的に国立図書館の中にそういう人たちの仕事の分野の拡大をあわせて考えるということも一つの使命としてぜひとも考えていただきたい。
 最後に、私は、館長さんがどういう決意でこの問題に対処されるのかをお伺いして終わりたいと思います。
#150
○岸田国立国会図書館長 先生の非常に御熱意のこもりましたいろいろの御質疑を伺いまして、実は私も感銘いたしておるところでございます。
 ただいま副館長がるる御説明申し上げましたように、当館としても従来からいろいろと構想を考えたりして持っておるわけでございます。その一つが、いま申し上げました学術文献の録音テープの作成ということになっておりますが、将来とも本問題に関しましては十分に関心を持ちまして、別館建設等の際にはできるだけ御便宜を与え得るような施設もつくり、またいろいろな施策も講じてまいりたい、努力を重ねてまいりたいと存じております。
#151
○寺前分科員 もう時間が参りましたのでこれでやめようと思ったのですが、一言だけつけ加えておきたいのは、資料購入費がずいぶんたくさんふえるようになってきました。これは非常に結構なことだと思うのですが、そういうものに対する処理、利用、保管の体制というのを一方で考えなかったならば、これは現実の仕事の面においては大変だと思うのです。しかも、いま書庫が満杯の方向に来つつある。そうすると整理の仕方も非常に厄介になってきておるわけです。現実的にそういう処理を十分に、職員の皆さんに迷惑をかけないように検討してもらうということ、この点を重ねてお聞きしたいのと、いまの御答弁の中で、視覚障害者のために特別に職域を国会図書館としても考えるという問題については、一言、もう一度お聞きをして、これで終わりたいと思います。
#152
○岸田国立国会図書館長 先生の御趣旨に沿いまして今後十分に検討してまいりたいと存じます。
#153
○寺前分科員 終わります。
 ありがとうございました。
#154
○愛野主査代理 以上で寺前巖君の質疑は終了いたしました。
 これにて国会所管についての質疑は終了いたしました。
 この際、暫時休憩いたします。
    午後一時八分休憩
     ────◇─────
    午後一時三十分開議
#155
○愛野主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 法務省所管について審査を進めます。
 まず、政府から説明を求めます。古井法務大臣。
#156
○古井国務大臣 昭和五十四年度法務省所管予定経費要求の内容につきまして、大要を御説明申し上げます。
 昭和五十四年度の予定経費要求額は三千二百一億三千二十一万四千円であります。前年度予算額二千九百五十六億三千八百十九万円と比較いたしますと、二百四十四億九千二百二万四千円の増額となっております。
 さて、予定経費の増減について、内容を大別して御説明いたしますと、第一に、人件費関係の増百七十二億九千八百十万円であります。これは、昇給等の原資として職員基本給の増額分が主なものでありますが、そのほかに、検事、法務事務官、検察事務官等四百二十五人の増員に要する人件費が含まれております。
 ここで、増員の内容について申し上げますと、一、特殊事件、財政経済事件、公安労働事件、交通事件、公害事件等に対処するとともに、公判審理の迅速化を図るため、検事六人、検察事務官九十四人、二、登記事件、国の利害関係のある争訟事件及び人権侵犯相談事件に対処するため、検事二人、法務事務官二百四人、三、刑務所における保安体制の充実並びに医療体制の充実を図るため、看守等四十八人、看護士(婦)十二人、四、非行青少年対策を充実するため、少年鑑別所教官七人、保護観察官十三人、五、出入国審査及び在留資格審査に対処するため、入国審査官十七人、入国警備官六人、六、暴力主義的破壊活動に対する調査機能を充実するため、公安調査官十六人となっております。
 他方、昭和五十一年の閣議決定に基づく「昭和五十二年度以降の定員管理計画の実施について」による昭和五十四年度定員削減分として三百三十五人が減員されることとなりますので、これを差し引きますと、九十人の定員増加となるのであります。
 なお、昭和五十四年度においては、沖繩特別措置法に基づく定員十五人が、別途、減員されることとなっております。
 第二に、一般事務費の増七十一億九千三百九十二万四千円であります。これは、事務量の増加に伴って増額されたもののほか、職員の執務環境の整備改善並びに保護司実費弁償金及び人権擁護委員実費弁償金の単価引き上げに伴う増額分等であります。
 次に、主な事項の経費について概略を御説明いたします。
 第一に、法務局、地方法務局において登記、供託、戸籍等の事務を処理するために要する経費として四十億二千五百十四万六千円、第二に、検察庁において刑事事件を処理するための検察活動に要する経費として二十一億九千百九十八万五千円、第三に、拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院の被収容者の衣食、医療、教育、作業等に要する経費として百九十六億三千八百九十八万四千円、第四に、保護観察に付された少年等を更生させるための補導援護に要する経費として三十一億四千七百九十九万八千円、第五に、出入国の審査、在日外国人の在留資格審査及び不法入国者等の護送、収容、送還等を行うのに要する経費として四億七千二百五十九万九千円、外国人登録法に基づく在日外国人の登録等の事務を処理するために要する経費として十一億四千三百二万四千円、第六に、公安調査庁において処理する破壊活動防止のための調査活動等に要する経費として十六億六千五百八十九万五千円、第七に、法務局、検察庁等の庁舎及び刑務所、少年院等の収容施設の新営整備に要する経費として、百五十五億六千五百八十八万四千円が計上されております。
 最後に、当省主管歳入予算について一言御説明申し上げます。
 昭和五十四年度法務省主管歳入予算額は七百五十三億二千八百九万一千円でありまして、前年度予算額七百六十五億七千四百十五万七千円と比較しますと、十二億四千六百六万六千円の減額となっております。
 以上、法務省関係昭和五十四年度予算について、その概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
#157
○愛野主査代理 これにて説明は終わりました。
    ─────────────
#158
○愛野主査代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上泉君。
#159
○井上(泉)分科員 大臣は法律の専門家でもありますし、政治的な経歴も大変なものでありますし、そうした大臣に私が質問申し上げるのも何か愚問が続出するかもしれませんけれども、その辺はひとつ御了承願いたいと思います。
 まず、今日平均寿命が延びたといいましても、もう八十歳以上といえばかなり老齢の域にあると思うのです。七十歳過ぎても大臣のような健康な方もおるわけですけれども、今日帝銀事件の平沢先生、私はあえて先生と言いますが、平沢先生は今日牢獄に入られてもうずいぶん久しいわけです。年齢もすでに八十八歳という年齢を迎えておるわけですが、この事実を大臣は御承知をなさっておるでしょうか。
#160
○古井国務大臣 細かくまで知っているかどうか知りませんけれども、概略は承知しております。米寿になられる、こういう時期になっていることも承知いたしております。
#161
○井上(泉)分科員 米寿ということは、われわれ人間社会においてこれは祝福にたえないわけですが、その祝福にたえない年齢に達した平沢さんが、いまなお獄中で再審の要求をしながら、さらには仮釈放の、保釈の要求もしておるわけでありますが、これは保釈というのか仮釈放というのか法律的にはどうかは知りませんが、とにかくしゃばへ出すということ、それを本人も熱望しておるし、またわれわれ真相追及をする運動を進める者といたしましても、何といってももう八十八にもなったんだから、ひとつ何らかの決着をつけて余生を全うさすような、そういう温情ある法の措置がとれないものかどうか、その辺の大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
#162
○古井国務大臣 心情といたしますと、本当にそういっても余命がどこまであるかわからぬ方でもありますし、長い間こうしてきたわけでありますから、何とかならぬものかいなという気持ちはだれしも起こるだろうと思うのであります。
 しかしながら一方、いまの法制、法秩序という立場もありまして、扱い得る限度も規制されているというようなものであります。でありますから、再審もたびたび出してはおいでになるようでありますし、現に係属中でもあるようでもありますし、それから恩赦の申請も何遍かなさっているようでありますが、それぞれいまのルールに従って処理していかぬとならぬという秩序維持の規制のルールなどもありまして、なかなかこの問題の処理には難渋というか、心を痛めておるわけでありますけれども、きょうそんならすべて跳び越えてこうするということをすぐ申し上げるということもできかねておる、こういう状況であります。
#163
○井上(泉)分科員 私は、先般この平沢さんに面会に宮城の拘置所に行ったわけですが、本人といたしましては、健康的には、私どもに話すのには非常に元気で、このとおりぴんぴんしておる、そうして何としてでもこれは真実を明らかにするために一遍出て争わないと、もう自分が死に切れない、すでにもう八十八歳という年を迎えておるから、こう言って、まさに悲憤慷慨の感を示しておったわけでありますので、そういう点について、これはいろいろな要求が出されておるけれども、これをずるずる引っ張っていけば、もう八十八だから枯れ木が折れるようにいつかはいくだろうというような形にするのではなしに、やはり事実は事実としての要求の出ておるものに対しては、誠意をもって対処してやっていただきたい、こういうことを私要望しておきたいと思いますので、いま一度大臣のお気持ちを聞かせていただきたいと思います。
#164
○古井国務大臣 おっしゃる御趣旨はよくわかりますが、さっき申し上げたようないま事情におりますので、お話をよく伺っておきたいと思っております。
#165
○井上(泉)分科員 次に、私は同和問題に関することで若干お尋ねをしたいと思うのですが、その前に、事実認識といいますか、大臣は鳥取県の出身であられますが、鳥取県の地区にも同和地区はあると思いますが、その状況というものについてどれだけの認識を持っておられるのか、簡単に御答弁を願いたいと思います。
#166
○古井国務大臣 私の郷里には、あるどころではない、実に多いのでありまして、われわれの生まれたところなどにいたしましても同和部落はたくさんありまして、われわれの子供の、小学校のときから一緒に学校に行っておったものであります。その友達というのは、まだ健在の者がおりましたり、われわれのところでは、何というか、一緒になってしまって、一遍ああいうところをのぞいてこいとか言われるけれども、のぞいてこいどころではない、始終通ったり、行ったり、のぞいたりしておるというような状況で、一〇〇%とまで大きなことは言いませんけれども、ある程度わかっているつもりでおります。
#167
○井上(泉)分科員 まあ大臣の地域におきましては、大臣という俗世間で言う偉い政治家が出ておるので、その地区のいろいろな問題等は解決をされておるかもしれませんけれども、まだまだ全国の同和地域におきましては、同和対策特別措置法に基づくいろいろな仕事というのをせねばならないところがたくさんあるということは認識をしておっていただきたいと思います。
 そこで、いま部落解放同盟もそうでありますが、私どもといたしましても、いわゆる狭山事件によって石川一雄君がいま千葉の刑務所に服役をしておるわけであります。ところが、その千葉の刑務所に服役しておることに対して、再審の要求あるいは新しい証拠に基づく事実調べ、そういうようなことをいろいろ要求しておるわけですけれども、なかなかはかばかしくいかないわけで、われわれとしても石川君に対しても申しわけなく思っておるわけですが、せめて、もう十何年も刑務所におるのだから、これを釈放するようなそういう道というものはないのかどうか、ひとつ大臣に御見解を承りたいと思います。
#168
○古井国務大臣 いまの法制ではある基準が決められておるわけでありますので、具体的に基準に合う合わぬ、その辺がどうなっておるか、一遍正確に知っております事務当局から、その辺をお答えさせたいと思います。
#169
○伊藤(榮)政府委員 御承知のとおり、無期懲役ということで服役しておるわけでございますが、無期懲役の場合は、裁判が決まりまして刑の執行が始まりましてから十年を経過いたしますと、仮釈放の要件が出てまいるわけでございます。そういう法律上の規定がございますために、当面は直ちに釈放ということが考えられない、こういう手続上の問題があるわけでございます。
#170
○井上(泉)分科員 普通一般の場合には、未決で何年かおったら、それを新しい刑を決めたときに未決通算何年とかいうのをやるのは、どういう精神に基づいてあれは繰り入れておるのでしょう。
#171
○伊藤(榮)政府委員 一般に、特に有期の懲役刑を言い渡します場合に、未決勾留日数を刑の中に算入するという制度がございますが、これはその審理に普通要する期間というものを想定しまして、それを超えるような勾留日数が生じました場合には、刑に服しておるわけではありませんが、やはり自由を拘束されて施設の中に入れられていた、こういう事実を一応評価いたしまして刑期の中へ裁判所が判決で一緒に算入する、こういうことになっておるわけでございます。
#172
○井上(泉)分科員 そういうふうに事実は刑務所で拘束をしておったという、その事実を評価して、およそ何割ぐらいが未決の場合に刑の執行の中に繰り入れられるのですか、どれぐらいのものが。およその見当でいいです。
#173
○伊藤(榮)政府委員 具体的な事情において千差万別でございますので、およそとおっしゃられましてもなかなかお答えしにくいのですけれども、未決勾留日数がたとえば一年、二年というような長い勾留日数にわたります場合には、その相当部分を刑期に算入するというような事例もあるようでございますし、また、逆に被告人の争い方が必ずしも合理的でなかったということで長引いたような場合には、余り未決算入がなされない場合もあるようでございまして、ちょっと一律にはお答えしかねるわけでございます。
#174
○井上(泉)分科員 そういう答えができないにしても、いずれにしても未決で勾留しておったことに対して、何らかのそういう勾留したことの代償といいますか、それを評価して何年か繰り入れる、こういうことはやはり法としての温情ある配慮といいますか、別にせんならぬという法律になっておるのかどうか、これは法としての温情ある措置なのか、その辺ひとつ説明していただきたいと思います。
#175
○伊藤(榮)政府委員 一般に言われます未決通算というのは、未決勾留日数のうち幾らかを裁判所が通算してあげることができる、こういうことにされておりまして、裁判所が気の毒だなと思った場合には通算する、こういうことになっております。
#176
○井上(泉)分科員 そういうようにしてあげることができるということによって、裁判所が気の毒だなと思って出す。これはすべての未決勾留者に当てはまる言葉ですが、そういう法の措置がある中で、無期懲役の者には、おまえは無期だから、二十年おるか三十年おるかもわからぬから、刑期がないから未決のものは全然考えないというのはちょっと手落ちじゃないか。何ぼ無期でも、こうやって十三年間、もう十五年近くも入っておるわけですから、そうすれば、刑の執行後十年たっていないと仮釈放の資格がないという場合にも、やはり未決に長くおったものを何らか繰り入れるということに何か法的に障害でもあるのですか。
#177
○伊藤(榮)政府委員 無期懲役を言い渡します場合に、未決勾留日数を通算するということは法律上できないわけではございませんが、結局、無限大から幾らを引いても無限大だというようなお考えじゃないかと思いますが、裁判所では、無期懲役の場合には未決通算はほとんどなさらないようでございます。もし無期懲役刑についても未決通算を言い渡しました場合には、恩赦等によりまして減刑になりましたような場合に若干それが意味が出てくるんじゃないかと思います。それ以外には余り意味がない。と申しますのは、仮釈放の条件の期間を計算しますときには、未決勾留日数を頭に置かないで、実際に勤めた、服役した刑期を勘定いたしますので、そういうことになろうかと思います。実情としては、裁判所がやろうと思えばやるのに障害になる法律はない、こういうことでございます。
#178
○井上(泉)分科員 それでは大臣、いま刑事局長が言われるように、やろうと思えばやれないことはない、別に法律的な障害はない、こういうことですが、これはあなた、仮に法務大臣という立場を離れて、あなたは弁護士の資格も持っておられるのですが、やはり法のもとにおける恩恵というものは平等に受けさせるべきだと思うし、人間的に考えても、もう十何年も刑務所へ入っておるんだから、無期懲役が言い渡しをされて十年たって仮釈放の条件ができるというようなことに固執することなく考えられたらどうですか。もうそれだけ石川君は――私も正確には覚えていないのですけれども、確かにもう十五年近くも入っておるのですから、いわゆる未決に勾留したものを通算するという法の精神から言っても、裁判所がやろうと思えばできないことはない。これはいわゆる裁判官なり何なりの考え方、判断の仕方にあると思うのですが、その点ひとつこれは法務大臣としてそこらあたりを検討して対処してもらえぬでしょうか。
#179
○古井国務大臣 問題が大分根本的になってきますので軽々しきことも言えないわけでありますが、相当幅を持って弾力的に処理できるのも非常なメリットもあるけれども、またそれが許されるとなると、いい場合ばかりならいいですけれども、まずい場合も起こりかねないというのがいまの民主法制の基本のたてまえでありますので、りっぱな人ばかりが運用したらいいけれども、そうでない場合でもあったらとんでもないことが起こる、こういうことにもなるのでありますので、そこはいろんな角度からよく考えてみなければならぬ問題ですから、私もすぐさまどうでありますとか申し上げかねますけれども、ちょっと長目に検討してみたらどうか、こういう気がいたします。
#180
○井上(泉)分科員 大臣、もう結構ですから……。
 そこで、大臣のいないところでどうかと思いますけれども、これは刑事局の所管ではないかもしれませんけれども、私は、午前中に自治省の分科会で、警察庁、公安委員長に、銃砲刀剣類の所持に関するこの法律をもっと見直したらどうだ――大臣も公安委員長もそういうことを言っておったので、こういう話をしたわけですけれども、やはりこの法律は、これは法をつくるのに警察庁が出すのか法務省が出すのか、その辺のことも私は知りませんので、あえて刑事局長にお尋ねするわけですけれども、現行のこういう法律というものは、法の適用どおりに運用が正しく行われておれば別に問題ないと思うわけですけれども、一斉調査すれば、二百人以上の者がいままで殺人あるいは傷害等の行為をした者ということで出ておるので慄然とするわけですが、やはりこの点においては法律の改正をせねばならぬじゃないか、こういうように思うので、その点についての刑事局長の御見解と、それからさらにもう一点は、いまも大臣の説明の中で、暴力的破壊活動を防止するための定員の増とかいうようなことも出ておりましたが、暴力的破壊活動というようなもの、まだそういうふうな傾向というものがいま多分に存在をするのか、また、それがこういう法律で暴力的破壊活動を取り締まるための措置として、いまこの方面に人をふやす必要があるのかどうか、そういう点に私も疑問を持つので、その辺をあわせて御答弁願いまして、私の質問を終わりたいと思います。
#181
○伊藤(榮)政府委員 二つの点についてお尋ねでございましたが、まず第一に銃砲等の取り締まりの点でございますが、これは法律を改正するといたしますれば警察の方でおやりになる問題で、私どもの直接の所管ではございませんが、私どもの扱います刑事事件と隣接した分野のことでございますので、そういった面から見た感触というようなものを申し上げさせていただきますと、現在の銃刀法でも、所持を許可してはならない場合というのがいろいろ書いてございまして、それが適切に運用できればある程度機能を発揮し得るような、そういう法律にはなっていると思うのでございます。ところが、やはり各都道府県等におきます人手の関係とかいろいろなことから、それでは十分な調査ができないために結局しり抜けになるおそれがあるというようなお考えがもしあるといたしますと、そういう意味で、もっとわかりやすい基準を立てるように法律を改める、こういうことも必要ではなかろうか。いずれにしましても、そういったいろんな定めをされまして、この定めに違反したりいたしますと罰則がかかるわけでして、その罰則の点につきましてはいつも私どもの方で御相談に乗るわけでございますので、ただいまの御指摘等も踏まえまして、そういった際には適切に対応してまいりたいと思うわけでございます。
 それから、先ほど大臣が御説明申し上げました予算の内容の中で、暴力主義的破壊活動を防止するための経費の点でございますが、これは簡単に申し上げれば、公安調査庁関係の経費というのを御説明申し上げたわけでございます。これも私直接の所管ではございませんが、近時やはり過激派というようなもの、あるいは国際的なテロリストというようなものの騒動もいろいろあるようでございまして、検察当局もそうでございますけれども、そういうものに対する対策というのは第一義的に努力をしなければならない。そうすることによってわが国の民主主義的な秩序を守っていかなければならない、こういうふうに考えておりますので、そういう意味で、わずかではございますけれどもそういう方面にも予算的な措置をお願いしておる、こういうことでございます。
#182
○井上(泉)分科員 どうもありがとうございました。
#183
○愛野主査代理 以上で井上泉君の質疑は終了いたしました。
 次に、湯山勇君。
#184
○湯山分科員 私は、同和問題についてお尋ねいたしたいと思います。先般この委員会におきまして矢山有作委員から質問がございましたし、私も昨年同じような問題についてお尋ねしておりますので、それらとの関連でお尋ねいたしたいと思います。
 まず、ただいま大臣からの御説明の中で、登記事務と人権合わせて約二百四名の法務事務官の増員があったということでございました。昨年も、一法務局、一地方法務局四名程度ではとてもさばききれない。特設人権相談所、これは同和地区住民を対象にしたものですが、これも五万、六万も超えておる状態でございますので、ぜひとも人をふやしてほしいということをお願いしておりましたが、人権関係だけに限って言えばどれだけ増員になったのでしょうか。
#185
○鬼塚政府委員 お答えいたします。
 人権擁護関係は増員が三名、減員が一名でございますので、純増が二名でございます。
#186
○湯山分科員 いまの二百四名というのは全国でですか。
#187
○鬼塚政府委員 全国でございます。
#188
○湯山分科員 それじゃ、現在この二百四名というのはどこにいくのでしょうか。
#189
○鬼塚政府委員 御承知のとおり、法務局が八つと地方法務局が四十二ございまして、法務局の人権擁護部の中に人権擁護課が一課、二課とございまして、それから地方法務局は人権擁護課だけでございまして、その人権擁護部及び人権擁護課に配置されているわけでございます。
#190
○湯山分科員 それじゃ地方法務局にいまの一名ずつふえるという意味ですか。
#191
○鬼塚政府委員 今度増員になりました二名がどこへ配置されるかということでございますね。――これは、一名は大阪法務局の人権擁護部、もう一名は浦和の地方法務局に配置を予定しております。
#192
○湯山分科員 昨年も申し上げたのですけれども、非常に仕事が多くて、局長は昨年もほかから手伝うと言われたのですが、ほかも大変忙しい。ことに登記なんか忙しくて相当ふえる状態なので、困難ではあろうがぜひ増員してほしいということで、大臣も努力すると約束なさったのですが、これではどうもふえたことに余りならないので、もう少し地方法務局なんかへ、それぞれ現在が四名程度ですからもう一名ずつ、五名ぐらいになるようにひとつ配慮するわけにはいきませんか。
#193
○鬼塚政府委員 先生の御配慮、非常にありがたく思っておりまして、御趣旨を体しまして、予算におきましても増員は人権擁護局関係では十八名要求したわけでございますが、増員については非常に厳しい情勢でございますので、それでも法務省の他の部局の非常な御配慮をいただきまして昨年並みの増員をさせていただいたわけでございます。これは全国一律に同じ数が要るわけではございませんで、やはり非常に件数の多いところには多く配置しております。したがいまして、大阪は御承知のとおり特に同和問題が大変でございますので大阪に一名、それから浦和は最近都市の膨張に伴いまして非常に事件がふえておりますので一名配置したわけでございますが、今後も努力いたしまして、御指摘のような少ない庁にもふやすように努力いたしたいと存じます。
#194
○湯山分科員 それでは、同和問題を対象とした地区住民の特設人権相談、これは統計としては最近のは何年のものが出ておりますか。五十二年のはございますか。
#195
○鬼塚政府委員 同和地区を有する市町村のいわゆる特設人権相談所の数字がございますが、一番最近の私の手元にある数字は五十二年でございまして、開設回数が九千九百七十七回、取り扱い件数が五万六千八百二十二件でございます。
#196
○湯山分科員 九千九百というのは大方一万回ですね。それで、現在人権関係担当の職員の数は八百くらいですか、二百ですか四百ですか。
#197
○鬼塚政府委員 先ほど申し上げました二百名余の数と申しますのは、人権事務を専任としてやっているものでございまして、今度の予算を御承認いただきますとこれが二百二名ということになりますが、それ以外に、全国にいま二百五十四支局がございます。支局も人権事務をいたしておりまして、ただ専任者がおりませんので、支局長とか次長とか総務課長、こういう総務関係の者が兼務しているわけでございます。ただいまこの支局が二百五十四でございます。
#198
○湯山分科員 これで見ますと一人が二十回くらいですし、それから担当件数も百件以上ですね。
#199
○鬼塚政府委員 どうも大変言葉が足りなくて申しわけございません。これもよく御承知だと思いますが、人権の職員以外に人権擁護委員がいま全国で一万人以上おりまして、特設相談所につきましては特に人権擁護委員が積極的に参加されておるわけでございます。
#200
○湯山分科員 その人たちの手当や処遇の問題もあるのですけれども、とにかく毎年同じことを言わなければならないのは非常に残念でございますので、私たちもお手伝いいたしたいと思いますけれども、ひとつこの機会に思い切って増員にがんばってほしいと思います。
 時間の関係もありますから次に移ります。
 いま井上委員の方からもございましたが、狭山事件の問題について、これは刑事局長の方からでしたか、昨年私が取り上げたのは、直接の問題ではなくて、狭山事件に関連して七名の正常でない形で亡くなった人がある。その中で特に被害者であると言われておる中田善枝さんの関係で次々と自殺者が出ている。たとえば、善枝さんが殺された五日後に、あすが結婚式だという日に、中田家の作男をしていた奥富玄二という人が農薬自殺。十日後には、当日二人の怪しい男を目撃したというので警察に届けていった田中昇という人が胸を刺して自殺。それから、判決があった後でこの中田善枝さんの姉さんが農薬自殺。それから、石川君が行っておった石田養豚場の兄さんが鉄道自殺。それから、最近では善枝さんの兄さんが、ラーメン屋をしておった人が自殺。こんなふうに続いておるし、そのほかの二人もいろいろ死因等にはっきりしない点があるということで、法務大臣も、どういう言葉を使われたか、まことにこれは奇妙な感じがするということを答えておられました。
 法務行政としては、ただ警察の方でそういう疑問がなかったのでそのままになっているということですけれども、しかしこれだけ、大臣も奇妙だと言われるような問題というものは、何らかの形でこれをはっきりさせることが法務行政の役目じゃないだろうかということを申し上げて、当時局長も、いま再審の手続中だから、その再審の文書の中にそういうことがあれば、それを再審の手続の中で明らかにされるということもあるだろうという意味のことをお答えになっておられたし、それから大臣も同じように、再審の請求が行われておるのだからとやかくは言えないけれども、それらの機会を通して明らかにされるのじゃないかという意味のお答えがございました。これは再審の問題、直接御関係がないと言えばそうなんですが、その後の進行状況はどんな状況か、刑事局長から伺いたいと思います。
#201
○伊藤(榮)政府委員 申し上げるまでもないことかと思いますが、昭和五十二年の八月三十日に東京高等裁判所に対しまして、新たな証拠があって、それによれば犯人ではないという理由で再審請求が出ておりまして、現在裁判所の手元でいろいろ検討がなされていると思いますけれども、何分裁判所の中で裁判官がおやりになっておることでございますので、検察当局としても、どんなことをいま裁判所がおやりになっておるのか知るすべもない、こういう状況でございます。ただ、再審請求書自体は検察当局も拝見させていただいておりますが、その再審請求書自体には、昨年も、またただいまも御指摘になりましたような自殺された方々の問題というものは特にはあらわれていないようでございます。したがいまして、今後またこういった点について再審請求の弁護人の方々が何らかの問題提起をされるとか、そういうことがございますると、裁判所もまたそういう観点で再審請求を見ていくことになるのじゃないか、かように思っておるわけでございます。
#202
○湯山分科員 これは、再審開始の決定がなされるのはおおよそいつごろという見当もつかないのでしょうか。
#203
○伊藤(榮)政府委員 これはもう、どうも裁判所のおやりになりますことで何とも見当がつきかねますけれども、まだ正確な報告を受けておりませんが、ごく最近、検察官がこの再審請求に対する意見書をちょうど出したか、出すという時点のようでございますから、そうしますと裁判所が、一応の材料がそろう、それで予定をお立てになるのじゃないか、こう思っております。
#204
○湯山分科員 通常ですと、それが出てどれぐらいの期間で決定がなされるか、常識的に。いかがですか。
#205
○伊藤(榮)政府委員 再審請求が出ましてすでに一年半経過しておるわけでございます。したがいまして、これは事件の性格によってあるいは論点の多さによって異なるでございましょうけれども、そう何年というような年月は普通ならかからないのじゃないかと思っております。ただし、いま御指摘のように、それが御期待のような再審開始決定になるのか、棄却決定になるのか、この辺はもう裁判所しかわからないことでございますので、私からは何とも申し上げられません。
#206
○湯山分科員 御指摘もあったと思いますけれども、今度の大阪の三菱銀行の事件、これも犯人は部落の出身者じゃないかというような投書も来ておるということで、それらとあわせてみますと、狭山事件についていろいろ言われておる差別裁判ではないかというような問題も見過ごすことができない問題だというように考えますので、ひとつ御留意を願いたいと思います。
 それから、次の問題は、たびたび問題になっておりました地名総鑑に対する法的規制の問題でございますが、しばしば問題になったと思いますけれども、この間この予算委員会での御答弁を聞いておりますと、法務省の態度といいますか、何か後退したような感じでございまして、当初私どもがお聞きして理解しておるところによれば、これはもう単に善意の理解だけでは解決しない、できるだけ早く法的措置がとられるべきであるということも御答弁で述べておられます。それから具体的には、結局は発行する者をその時点で処分の対象とするというような立法措置がベターではないかということも言われております。ただ、先般の予算委員会でのお話では、むしろそれが少し別な方向へ行って、利用者ですね、地名総鑑を利用して、しかも営利を求めた、つまり私立探偵社とか興信所、そういうものを規制するという方法はないかということに対しては、局長の御答弁は、これは自分のところの所管じゃないというようなことで、結局総務長官が、じゃ私のところで当たってみようというようなことになりましたので、何かこの問題の法的規制が法務省から総理府へ移ったかのような印象を受けておりますが、これはどのように考えておられるのか、承りたいと思います。
#207
○鬼塚政府委員 昨年のやはり予算委員会で、湯山先生を初めとしまして数人の先生方から、この法規制の問題についていろいろ具体的な御質問がございまして、ただいま御指摘のように、大臣を初めといたしまして私どもも、従来のような単なる啓発だけではちょっと処理が手に余るのではないか、やはり法的規制も考える必要があるのではないかということを申し上げまして、具体的な検討に着手いたしておるわけでございます。
 ただいま先生が後退と申されましたけれども、実はこの問題の被害者と言われる同和地区の方々の声といたしまして、こういう差別を金もうけのためにするような非常に悪どい出版販売行為、これは非常にけしからぬことだから、こういうのをぜひ取り締まってほしいという声と同時に、こういうものを出版しております人あるいは購入した人たちは、かなりいわゆる興信所の人たちが多いわけでございまして、そういう人たちがまたこういうものを利用することによって、いわゆる就職差別あるいは結婚差別というようなことを現にしているというような声もございまして、それに対する何らかの規制ということも考えるべきではないかという両方の声があったわけでございます。私どもといたしましては、とりあえずは、昨年湯山先生に答弁申し上げましたように、金もうけのためにするというのは結局出版販売している人たちでございまして、購入企業は金もうけというよりは就職差別か何かの関係でするわけでございますので、やはりそういう事柄の悪質性ということに着目いたしまして、こういう出版販売行為を法規制するにはどういう問題点があるか、どういう形の規制ならできるだろうかという点でずっと精力的に検討を続けているわけでございまして、これは現在もそういう検討を続けているわけでございます。
 ただ、ほかの先生方にも申し上げましたが、事がやはり表現の自由、出版の自由の制約に関することでございますので、憲法二十一条の関係、特にこの問題につきましては最高裁判所の大法廷の判例もございまして、幾つかの条件ということがありますので、そういう条件に適応するかどうかという点を慎重に検討しなければなりませんし、それ以外に、やはり刑罰を科するということになりますと、いわゆる罪刑法定主義の関係で構成要件というものをいろいろ厳密に考えなければなりません。その他いろいろ実は非常に困難な問題がございまして、検討を進めるに従いましていろいろ問題点が浮かび上がってきて、現在それに懸命に取り組んでいる、そういう意味では非常に困難な状態になっておりますが、何とか芽を出せないものかということで取り組んでいる最中でございます。
 それで、興信所の制約の関係は、この前申し上げたことでございますけれども、いわゆる業界の監督指導ということになりますので、そうなりますと、これはちょっと直接法務省の所管というわけにはまいらぬのではないかということで答弁申し上げたわけでございます。
#208
○湯山分科員 大体は昨年の御答弁と余り前進がないわけです。いまおっしゃったような憲法との関係その他刑の問題とか、どこまで進んで、どこが具体的に引っかかっておるのかというような、もっと具体的な点があれば、この点が解決すればできるんだとかいうような具体的な問題を簡単には言えませんか。
#209
○鬼塚政府委員 実はいま申し上げました以外に、これはまだ私が個人で考えていることでございますが、憲法八十二条の裁判の公開の原則でございますけれども、この中には、出版に関する犯罪は常に裁判を公開しなければならない、いわゆる非公開の裁判は許されないということになっております。そういたしますと、地名総鑑というのは同和地区の地名を書いてあるわけでございまして、これが余り公になっては非常に差別に利用されて困るということで取り締まろうというわけでございますけれども、裁判に出ますとやはりそれが起訴状に書かれるとか判決書に書かれるということで、しかも非公開は絶対に許されないということになりますと、せっかくの配慮がまた逆になるおそれもあるのではないかというような点もございます。具体的にはいろいろあるのでございますが、そういう点を検討しているわけでございます。
#210
○湯山分科員 時間の関係もありまして余り詳しくお聞きできませんけれども、同和対策事業特別措置法というのは本来特別措置法であって、この法律をつくるときに、現在日本国憲法においては差別というのはないんだ、そのない差別を国が認めてそういう立法をするということはそれ自体矛盾じゃないかというような御意見もありました。それからまた、特別措置法にいう住宅等の問題につきましても、本来地方自治法によれば困窮度に応じていく、その順序を対象地区なるがゆえに優先させるということも自治法の違反じゃないかという意見があり、今日そういう問題もあります。それからまた、いろいろな助成、補助率、起債の償還、これなども従来の常識を破っておる。つまり、構造改善なら構造改善の補助率が通常の法定のものと違っているというようなこと。現在の、大きく言えば憲法を含めて、法律の枠では処理できないそれをあえてやらなければならないのだというのが措置法の趣旨であって、それなるがゆえに恒久立法ではなくて、そういうことをある程度わきまえているんだということから時限立法にしたいきさつもあります。
 いま局長の御答弁を聞いていますと、制約事項というのは現存するいろいろなものが制約条件になってなかなか困難だということでございますけれども、本来この対策というものは、いま申し上げましたように、とにかく特別措置なのであって、極端に言えば憲法十四条とも抵触するということもあえてしているということを考えれば、従来の枠の中じゃなくて特別措置として、こういう差別を売り物にする出版販売はもちろんですが、利用者でも、自分の事業場だけじゃなくて、興信所、探偵社というようなものはそれによって一件幾らで請け負ってもうけておるわけですから、とにかくこれらについて、いまのようなのを超えた、従来の法律なんかを超えた特別措置で、あるいは時限立法でも結構ですが、それでもって規制するということが必要ではないか、このことについてどうお考えでしょうか。
#211
○鬼塚政府委員 御趣旨は非常によく理解できるのでございますし、行政といたしましてはあらゆる可能性を考えましてこういう差別解消に最善の努力を尽くすべきであろうと思いますが、やはり事罰則を伴う法律ということになりますと、これはどうしても憲法との関係を考えないわけにはまいりませんので、なお一層その点をよく検討してまいりたいと思っております。
#212
○湯山分科員 いままで、特別措置法だからというので、そういう枠を超えてというような発想のもとの御検討はあったのでしょうか。
#213
○鬼塚政府委員 枠と申しますと、憲法の枠という御趣旨でございましょうか。もしそうだとしますとちょっと……(湯山分科員「含めてですね」と呼ぶ)憲法を超えているという検討はなかったのではないかというように考えます。
#214
○湯山分科員 私は特に憲法とは言いませんけれども、憲法も第十四条では差別はないことになっている。その憲法のもとで差別がある法律ができるという、矛盾なんです。いわば、これはある意味では憲法を無視していると言ってもいいわけで、そういうことからいえば、特別措置中の特別措置というような考え方で、先ほども言ったように罰則があってもできる方法はないか、そういう検討をひとつぜひやってほしいと思うのですが、いかがですか。
#215
○鬼塚政府委員 憲法の各条文だけで比較しますと一見矛盾対立するかのようなことでございますが、憲法はやはり全体として総合的にその精神をくみ取らなければならないと思いますので、十四条も含めましてそういう観点で検討を続けたいと思っております。
#216
○湯山分科員 時間がありませんが、そういう点で言えば、憲法の非常に重要な柱というのはやはり基本的な人権を守るということなんです。そのことが確立されれば、裁判の手続等の問題はむしろそれに付随する問題であって、そこの点も若干のあれがあったにしても、大きい柱、たとえば平和の問題とか基本的人権とか、そういったようなものが守られるためにこの特別措置法もそういう措置がとられたわけですから、この点を含んでもう一つ前進してもらわないと、同じ論議を繰り返しながらこれは何年たつかわからないということになりかねないので、大臣もあわせて憲法の大きな柱である基本的人権を守っていく、このことが達成されるためという大義のもとにひとつ大きい枠で検討していただきたい。これは大臣にお願いしたいのと、大臣のお見えにならないときに申しましたのは、大臣の先ほどの御説明で、法務局関係の登記事務とか人権事務に増員があったということですが、人権関係は全国でわずか二名なので、これではどうも余り情けないので、この際ひとつもう措置法も新たな段階に入るというときでございますから、この担当官をふやすために一層の御努力をいただきたいという二点を大臣にお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#217
○古井国務大臣 途中で失礼して十分伺わなかったのでありますが、基本的人権という問題が一番大切だということは委員会などでも私の意見も申し上げたようなわけで、ここが出発点だった、大体人権宣言が民主社会が発展したもとだったというぐらいに思うのでありますね。そういう観点から、基本的人権、それからまた人間の平等、これは日本の憲法も大原則にしている。特別措置法の理解は先生とは少し違うかもしらぬ。その大原則からいって、ああいう特別措置法も現在の実情からいって必要だ、その原則を超えたのじゃなくて実現するために必要だというふうに私は理解しておるわけで、超憲法的にとは私は思っていないわけであります。
 そういうことにいたしまして、地名総鑑とか苦々しいことが起こっているわけでありますが、これが解決がつかずにおる。苦々しいには決まっておるけれどもなかなか始末がつかぬ、こういうので弱っているので法律でもつくれと言われる意味のように聞きましたが、法律をつくるという問題になると、また別の大事な表現の自由という憲法の大原則というものとの関係を考えなければいかぬ。表現、出版の自由というものですね、これが失われたらこの社会はまただめになってしまうから、またそこの原則との関係が起こってくるので、これは非常に重大なんですね、片っ方の意味はわかりますけれども。
 そこで、一つにはこうして国会などでも皆さん方から権威のある御意見も出ておるわけですね、地名総鑑なんておかしいじゃないかと。世論もこれに響いてくると思うのですね。それから、地名総鑑にかかわらず、時代が進みますと若い世代はまた考えが変わってきておる、御承知のとおりですね。むしろ年配の者の方が相変わらずやって、今日、小学校、中学校、高等学校というのはほとんど考えが変わってきておるんですね。こういうふうな情勢の、時代の変化もありますし、そこらをにらみ合わせて、できたら憲法の表現の自由という大原則も守りたい、片っ方のまずいことも解消したい、こういう両方の欲があるわけですね。そこが非常に苦しむところでありますので、おろそかにする意味じゃありませんけれども、これは両方じっくり考えて現実的な処理をしたい、こう思いますので、御了承願いたいと思います。
#218
○湯山分科員 人権擁護の定員の問題、少な過ぎるのです。
#219
○古井国務大臣 聞き漏らしましたけれども、また後でよく聞きまして……。
#220
○湯山分科員 努力してください。
 終わります。
#221
○愛野主査代理 以上で湯山勇君の質疑は終了いたしました。
 次に、稲葉誠一君。
#222
○稲葉(誠)分科員 刑事局長にお尋ねをするわけですが、この前新聞紙上で拝見したところによりますと、前総理の福田赳夫さんが被告訴人を不詳として名誉棄損で、これは最高検ですか、告訴をされたということをお聞きしたのですが、そういう事実があるかないか、その日時等について、あるいは告訴事実について御説明を願いたい、こう思います。
#223
○伊藤(榮)政府委員 御指摘に関する告訴でございますが、本年二月二十一日、福田赳夫氏が告訴人となり、氏名不詳者を被告訴人とする名誉棄損事件の告訴が東京地検に出されまして、受理をいたしております。
 告訴事実の概要は、簡単に申し上げますと、被告訴人は告訴人の名誉を棄損する目的を持って内容虚偽のいわゆる海部メモなる文書二通を関係者に頒布し、その結果、昭和五十四年二月六日及び同月十三日の二回にわたり東京新聞紙上にその全文または一部を登載させた。それから、同月十四日、衆議院予算委員会において同文書を複写したものを出席委員数十名に頒布するに至らしめた。この二つの事実が公然事実を摘示して人の名誉を棄損した、こういうものでございます。
#224
○稲葉(誠)分科員 そうすると、それは東京地検で受理されて今後捜査を開始される、こういうふうに思うのでございますが、捜査の中においてはどういう点が中心となって捜査をやるということになるんでしょうか。
#225
○伊藤(榮)政府委員 告訴を受理したわけですから、当然捜査を開始することになると思います。捜査をいたします場合に、具体的事件の捜査の手順でございますので、どこがどういう手順でということを申し上げるわけにいきませんけれども、私どもの常識からいたしますと、やはり問題点としては数点あろうかと思います。
 まず第一に、この告訴状に書いてあるような頒布の事実があるかどうかとか、あるいは氏名不詳者はだれであるかということを割り出さなければいかぬと思います。
 それから、この名誉を棄損されたとされます方が公務員でございますから、それらの文書の内容の真否というようなものも捜査の対象になるんじゃないか、こう思います。
#226
○稲葉(誠)分科員 それはこのグラマンなりダグラスの事件との関連において重要性を持っておる告訴であり、重要性を持っておる捜査になる、こういうふうに常識的に理解してよろしいでしょうか。
#227
○伊藤(榮)政府委員 この告訴自体は名誉棄損の告訴でありますからそれ自体完結したものでございますが、捜査の過程におきましてあるいはただいま問題になっておりますダグラス、グラマン問題含みの事柄に触れてくるかもしれない、こういうふうに思います。
#228
○稲葉(誠)分科員 そうすると、当然メモに書いてある名前の人ですね、岸さんなり海部さんなり――福田さんは告訴人ですから告訴補充調書をつくるのかもわかりませんけれども、そこに書いてあると言うとちょっとこれは言葉がまずいかもわかりませんが、そうですね、世上言われておるところのそういう人ですね、岸さんなり海部さんなりということについても、当然何らかの事情聴取があり得るだろう、こういうふうに見るのが素直な見方でしょうか。
#229
○伊藤(榮)政府委員 一つの見方であろうと思いますが、いずれにしろその記載内容の真否というものを判断するその中において必要な捜査を尽くす、こういうことだろうと思います。
#230
○稲葉(誠)分科員 それはそれとしておきまして、私は、特定の事件じゃなくて、全くの一般論としてお聞きをすることですが、世上言われていることで相当法律的な誤解があるように思われるものですからお聞きをするのですが、それはたとえば公訴時効の中断の問題あるいは停止の問題というか、この辺のところが非常に議論が間違っておるというように考える。ということは、現行法では時効中断の制度はなくなっているわけですね。そうして時効停止の制度を採用したのだ、こういうことですね。だから、中断と停止とはどういうふうに違うのかというどころから、まず御説明願いましょうか。
#231
○伊藤(榮)政府委員 旧刑事訴訟法の時代には時効の中断という概念がございまして、何らかの事柄があると時効がそこでとぎれて、その中断した事由がやみますと、また全時効期間が進行を始める、こういうことでございましたが、現在の刑事訴訟法は停止ということを使っておりますから、たとえば三年で時効になるもののうち、一年がもうたってしまって、そこで時効を停止する事由が生じまして、しばらくして停止の事由がやむ、やんだ時点からまた残りの二年間が進行を始める、こういうことでございます。
#232
○稲葉(誠)分科員 それが何か世上はごちゃごちゃになって言われておるわけです。
 それからもう一つ。これは時効の停止の場合に、たとえば刑訴法二百五十五条、「犯人が国外にいる場合」は、「その進行を停止する。」こういうふうにあるわけですね。この「国外にいる」ものというのが、理解の仕方がこれまた違ってきておる。これは国外に旅行中である場合は「国外にいる」ということには含まれない、国外に旅行中の場合には、住所が国内にあって起訴状なりなんなりの送達が可能なのだから、その場合は「国外にいる」ということにはならないというふうに理解してよろしいか。となると、ただ外国旅行をした、いろいろなビジネスでアメリカならアメリカに行ってきたという場合であっても、時効は何ら停止をしない、こういうふうな理解の仕方でよろしいでしょうか。
#233
○伊藤(榮)政府委員 これも一種の常識問題でございまして、二、三日香港へ遊びに行ってくるというようなものを一々とらえて「国外にいる」ということを考えるのは適当でないと思います。いずれにしても、一つのめどとして起訴状の送達期間といったようなものも頭に置くことができると思いますけれども、ただ、実際の運用としては、仮に起訴しました場合に、被告人側から私は国外にいなかったのだとか、あるいは検察官の方からは国外にいたのだとか争いになる場合が生じますから、実際の運用としてはなるべく細かく国外にいた期間を拾っていった方がいいかと思いますが、理屈の上から言いますと御指摘のとおりだと思います。
#234
○稲葉(誠)分科員 三百二十一条の一項各号の「国外にいる」という場合にはとは違うわけですか。この場合は公判への召喚の困難な事由としての「国外にいる」という場合なのだから、この刑訴法の二百五十五条の時効の関係の「国外にいる」という場合とは違うという理解の仕方でよろしいでしょうかな。
#235
○伊藤(榮)政府委員 結局三百二十一条の方は、お読みいただけばおわかりのように国外にいるため証言できない、こういうことでございますから、三百二十一条の趣旨に照らして考えていく。したがって、時効の場合と三百二十一条の場合とで若干解釈の幅が異なってくるということはあるかもしれないと思います。
#236
○稲葉(誠)分科員 そうすると、共犯関係の場合には時効の進行はどういうふうになるわけですか。
#237
○伊藤(榮)政府委員 共犯者が起訴されますと、起訴されなかった共犯についても時効の進行が停止をいたします。そして起訴された共犯者について裁判が確定しますと、その時点から起訴されなかった共犯者についても再び時効期間の残りが進行を始める、こういうことでございます。
#238
○稲葉(誠)分科員 ただ刑事訴訟法の九条ですね。「関連事件」「数個の事件は、左の場合に関連する」というものの一項二号の「数人が共に同一又は別個の罪を犯したとき。」この場合には共犯に含まれないというのがコンメンタールのようですが、こういう理解の仕方でいいでしょうかね。
#239
○伊藤(榮)政府委員 いまコンメンタールを引いておっしゃいましたが、そのとおりでいいと思います。事件が関連するというのは、一緒に審理をする便宜の観点から定まった規定でございます。
 一方、共犯というのは、ともに罪を犯した場合あるいは必要的共犯と言われるもの、そういうものがこれに当たると思います。
#240
○稲葉(誠)分科員 それからもう一つ、よく問題になってくるのは包括一罪という規定なのですね。これもまた率直に言うと、わかったようなわからないような規定なのですが、改正刑法準備草案では、包括一罪について七十一条で、「同一の罪名に触れる数個の行為であっても、日時及び場所の近接、方法の類似、機会の同一、意思の継続その他各行為の間における密接な関係から、その全体を一個の行為として評価することを相当とするときは、これを包括して、一個の罪として処断する。」こういうふうになっておるわけですね、定義は。これはもちろん定義ですから抽象的ですけれども、これが大体包括一罪の定義、こういうふうに見てよろしいですか。
#241
○伊藤(榮)政府委員 大体現在運用で固まっております包括一罪というものを定義づければそうなるということで、そのような規定になったわけでございます。
 簡単に申しますと、一晩のうちに、同じ家へまずどろぼうに入ってたんすを盗み出した、それを車に積んでおいて、また入っていって、今度はお金を盗み出したというような場合は、やはり日時、場所の近接性、その犯罪の罪質の同一性、そういうものから見まして、一つのどろぼうと見た方がいいのじゃないか、そういうのが包括一罪の本質でございます。
#242
○稲葉(誠)分科員 包括一罪というのは、普通の場合――いまのは窃盗ですけれども、業務上横領の場合に多いように思うわけですが、何かあなたが国会の中で――これは正確に議事録を見れば違うのですけれども、グラマン、ダグラスの事件の外為法違反の場合でも、何か包括一罪になるかのようにちょっととれるような発言をされたというようにとる人もいるのですね。私はよく聞いていたからそうじゃないと思っていたのですけれども、その点はどうなのですか。
#243
○伊藤(榮)政府委員 当時大出委員から御質問がありまして、私もおよそ外為法違反などというものに包括一罪なんということを考えたこともなかったものですから、とっさのことでございましたから、勉強いたしますことに――御答弁申し上げたのですが、外為法違反というのは典型的な場合、個々の支払いあるいは受領、一個ごとに犯罪が成立することは当然でございまして、外為法違反の支払いあるいは受領につきまして、包括一罪という概念はちょっと入りにくいと思います。その証拠に、被告人児玉譽士夫にかかわります外為法違反の公訴事実をごらんいただけばおわかりのように、個々の一回一回の支払い、あれの場合は受領でございますが、それを一つの犯罪として公訴を提起し、それらは併合罪の関係にある、こういう処理をしておるわけであります。
#244
○稲葉(誠)分科員 そこで、いま外為法の話が出たのですが、正式には外国為替及び外国貿易管理法、これは大蔵省の国際金融局の所管らしいのですが、それはいいとして、罰則ですね。この罰則を見るというと、これまたよくわからない。第七十条が三年以下の懲役の場合、七十一条が一年以下の場合、七十二条が六月以下の場合、いろいろありまして、何だかわかりにくい法律なんですが、これは、普通の場合にある外為法違反の通例の形というのは大体どれが多いのでしょうか。
#245
○伊藤(榮)政府委員 外為法は、外為法だけ見てもさっぱりわかりませんで、政令を見て、さらに大蔵省令を見ないとわからないわけでございまして、それらを踏まえまして、通常一番外為法違反に問われる例を挙げますと、外国人、これは外国企業も含みますし、外国にある日本企業の現地法人も含みますが、外国人あるいは外国法人がわが国でわが国に居住する者に対して標準決済方法以外の方法で支払いを行う場合、これには日銀の許可が要る。許可がないと七十条違反になってくる。それから、逆にわが国から外国にいる者、これは本邦居住者でも非居住者でもいいのですけれども、それに向けて支払いをなす場合には日銀の許可が要る。許可を受けないでやると七十条違反になる。これが典型的な例じゃないかと思います。
#246
○稲葉(誠)分科員 後の例は二十七条ですね。
#247
○伊藤(榮)政府委員 はい。
#248
○稲葉(誠)分科員 そうですが。前のは何条でしたっけ、本当にわからない法律だな、これは。前のは何条でしたか。
#249
○伊藤(榮)政府委員 私も、細かい条文なものですから的確を期しがたいのですけれども、どっちも二十七条じゃないかと思います。
#250
○稲葉(誠)分科員 そうすると、一般論から技術論に入ってしまってはちょっとぐあいが悪いかもわかりませんけれども、この前の国会の証人が、名前は忘れましたが、何という人でしたっけ、その人が外為法違反の何とかかんとかと言っていましたね。それはこの二十七条のことを言っているというふうに理解してよろしいですか。
#251
○伊藤(榮)政府委員 何か良心に恥じるような記憶ということでございまして、何条に当たることか、よくわかりませんでした。
#252
○稲葉(誠)分科員 けれども、それは何か外為法違反のおそれとかと言っていたでしょう。外為法というのは、考えてみると、あの海部メモとの関連で見ると、二十七条になりますか。
#253
○伊藤(榮)政府委員 前提を置かなければならぬのですが、海部メモに書いてあることについて外為法違反に問われるおそれがあるという話であったとすれば、御指摘のとおり、二十七条違反の問題じゃないかと思います。
#254
○稲葉(誠)分科員 そこで、あとは詳しい点については月曜日にまた集中審議があるので、そこでお聞きをすることになるわけなのですが、一つ具体的なことでお聞きをしていきたいのは、島田常務が亡くなられる前に、あそこの「京味」という料理屋で会ったわけですね。会ったときに、一緒にいた人の話がよく新聞やその他に出ているのですが、その話を聞くと、検察庁の調べが連日にわたっていますね、事実とすれば。二十九、三十、三十一連日にわたっているように聞いておるわけです。しかも、その調べが非常にきつかったというようなことを漏らしておるということですね。それはある程度きついのはしようがないので、あなた、これをやりましたか、やりません、はい、じゃあ帰ってよろしいというわけにはいかないから、ある程度はしょうがないかもわかりませんが、そういうふうに連日調べて、何か深夜にまで及んだということが一部出ているんですよ。そういうような事実はあったのでしょうか。
#255
○伊藤(榮)政府委員 東京地検から報告を得ましたところによりますと、確かに亡くなられる前日までの数日間は毎日おいでいただいておったようでございます。しかしながら、深夜まで事情をお聞きしたとかそういうことはなくて、長いときでも五、六時間程度ということであったようでございまして、一般的なお話を伺っておったようでございますので、ただお茶を飲みながら雑談をするというような雰囲気ではないという意味において、どういうふうにお感じになりましたか知りませんけれども、そういう心理的な圧迫を加えるようなそういう状況ではなかった、こういうふうに聞いております。
 なお、この際、おわびを申し上げながら訂正させていただきたいと思いますが、本委員会での稲葉委員の御質問に対しまして、役員会のあった三十日の日は、検察当局は島田さんから事情を聞いていないということのようであるとお答えをいたしましたが、さらに確かめましたところ、三十日にも東京地検においでになっておりましたので、訂正させていただきます。
#256
○稲葉(誠)分科員 そうすると、毎日毎日調べていて、何か列席した人の話を聞くと、検事が同じことばかり聞いている、ということは、カーンから金が政府高官に渡ったか渡ったかと、そんなことばかり聞いている、こういうふうに言っているわけですね、「京味」で一緒にいた人がですよ、何とかいう評論家。この人の言うことが全部正しいかどうか知らぬけれども、とにかく検事はそればかり聞いている、こう言うんですね。そこがポイントだから聞くのはやむを得ないかもわかりませんけれども、だから島田さんは、それならそれはカーンに聞いてくれと、こう言ったというんですね。だから、カーンから政府高官に金が渡ったのか、渡る約束があったのかとかそういうことを聞くというのは、それは自白が証拠の王と言われた過去の捜査のやり方じゃないのかな。といっても、自白がなければそこから出発しないのだから、なかなかむずかしいところだけれども、何か金の流れ、約束があったかなかったか、ほとんどそればかり聞いていたと言っているようなのですが、どうなんですか。
#257
○伊藤(榮)政府委員 私が報告を受けております事情聴取の内容とは、ずいぶんニュアンスの違うお話だと思います。ただ、それじゃどういうことを聞いたのかとおっしゃられても、ちょっと申し上げるわけにはいかないのですけれども、要するに、日商岩井の営業あるいは営業に関連する一般的事項を広く伺っておったということのようでございます。
#258
○稲葉(誠)分科員 それはまた月曜日にやりますからあれですが、そんなに広く伺うのに、毎日毎日呼ばなければならぬというのもおかしな話なんで、広く伺った中にいまの金の流れのことも入っていたわけでしょう。入っていなければ、これはおかしいよ。そういうことなんでしょう。
 それから、検事に対して何か、そんなことを毎日毎日聞かれてもかなわぬからハリー・カーンに聞いてくれ、こういうふうに言ったというようなことも出ているわけですね、それは真実かどうかは別として。だから、結局あなたの方としても、ハリー・カーンならハリー・カーンに、嘱託尋問なり共助によるか、そういうような形で当然聞かなければ、事件としてはそういう形をとらなきゃならないんじゃないですか。それはもう時期の問題ですか。
#259
○伊藤(榮)政府委員 鋭意捜査を続行しておりますので、必要が生すれば、必要な部分の捜査はすると思います。
#260
○稲葉(誠)分科員 必要が生すれば必要な部分の捜査をするに決まっているんだ、それをやらなかったらどうかしているんだからね。
 それはまあそうとして、だけれども、いまの金の流れ、カーン氏から約束したとかなんとかということは、仮にあったとかなかったとか言われても、それはもうすでに時効にかかっているんじゃないですか。時効にかかっているかかかっていないか調べてみなければわからぬからということで、そこを聞こうとされているわけですか。
#261
○伊藤(榮)政府委員 稲葉委員は、カーンとの関係を一生懸命聞いたとか、あるいはカーンに聞いてくださいと反論したとかいうことを前提にお聞きになりますので、何ともお答えのしようがないわけでございます。
 ただ、島田さんからどんな事情の聞き方をしておったかということを述べますと、検察がどういうことをいま考えておるかということがわかってしまいますので、しばらく御容赦をいただきたいと思います。
#262
○稲葉(誠)分科員 そのしばらく御容赦というのはいいですが、しばらくにも限度があるのです。グラマンからのSECの資料が来て、当然一般の国民は、あるところに対して、俗に言う家宅捜索というか、押収捜索が行われるのではないかというように思っておったと思うのですよ、一般的に言って。ところが、それがいままで行われないというのは、これは一生懸命やっているんだろうけれども、何かちょっとがっかりしている人もいるわけですね。いや、特捜部が一番がっかりしたかもしれぬけれども。そこら辺のところはどうなんです。
#263
○伊藤(榮)政府委員 ときどきお答えをいたしておりますが、今回の問題は、たとえば日商岩井なら日商岩井という一社をめぐって、いろいろな金の流れ、動きがあるわけでございまして、それを端から一つずつつまんで究明できるというようなものではないわけでございます。したがいまして、これは私の予測でございますけれども、昨日あたりまた検事がアメリカへ行ったようでございますが、ダグラス社の資料も入手をいたしまして、その間また非常に広い角度の捜査を行いまして、全体をつかみながら究明をしていく、こういうことになるんじゃないかと思います。
#264
○愛野主査代理 以上で稲葉誠一君の質疑は終了いたしました。
 次に、土井たか子君。
#265
○土井分科員 まず法務大臣に、本題に入る前にお尋ねしたいことが一つございます。
 それは、去る二月二十八日の外務委員会の席におきまして、すでに一月二十三日に外務委員長名で外務委員会の理事の一致の賛成でもって資料要求を法務省に対していたしました。中身は出入国の記録でありますが、具体的にチータム氏、カーン氏についてのこの出入国記録に対しての資料要求に対しまして、ただいま法務省としてはどういうお考えをお持ちでいらっしゃいますか。
#266
○古井国務大臣 出入国管理記録について外務委員会の方から御要求があることは、私も、直接じゃありませんが、間接に聞いております。
 国会の両院あるいは委員会として要求される場合には、これを尊重してこれに応ずる、これがたてまえでありますから、極力そうするようにすべきものだ、これは私がそう言うだけではなくて、そういうものだ、それはあたりまえだ、そう思っておるのであります。
    〔愛野主査代理退席、主査着席〕
 ただ、憲法のいろんな諸原則もありまして、ことに私はくどいほど、自分の意見かもしらぬが、言うのですが、そもそもこの民主社会が発展したもとは人権の尊重だったじゃないか。人権宣言からこの民主社会が発展したじゃないか。人権の尊重ということはきわめて重大な民主社会の出発点とも言うべき大原則であると私はそう思っておるのです。憲法もそういう精神を、この人権の尊重という大原則を片方に打ち立てておるわけです。そういう片方の非常に大きな原則もあるのですね。
 それで、個人個人の行動というものは、その個人にとって、その人の人権といいますか。プライバシーといいますか、というようなことで支障を起こす場合だってあり得るのです、これは。いつどこへ行ってどうなったということを何年もさかのぼったり、行動が明らかになってきますね。そういう面もありますので、その辺からいって、慎重に、片方のそういう原則も憲法上あるのだから、考慮して、しかしできるだけは応ずるのがたてまえですから、それを頭に置きながら、ひどいことないか、こういうことを検討して考えてみなければならぬというような一面があると思っておるのであります。
 それで、いろいろ検討したり相談をしたりしておる、こういうのが現状でありまして、どっちも問題は大事な問題なんですからして、十分検討をしようというので、そういう途中であるというのが現状であります。
#267
○土井分科員 釈迦に説法のたぐいになりますが、憲法を出してそういう御答弁をされますと、人権侵害にわたらないようにという配慮は、日常、国民相互間の生活上、やはり忘れてはならない基本問題だというのは言うまでもございません。しかし、事は、われわれが資料要求をする立場にあるその根拠というのは何かというと、大臣御承知のとおり憲法六十二条なんですね。憲法六十二条というのはどこに由来しているかというと、憲法四十一条なんです。憲法四十一条の国会の最高機関制というのは何に由来しているかというと、国民主権制なんですね。国民に信託をされておる国会審議の場で、どうしてもこの資料については必要だということを与野党間で認識を一にして、そして委員会の名において委員長が要求をしたという資料について、なおかつ法務省としては、これが一体人権侵害にわたらないかどうか、十年も前のことによみがえってとおっしゃいますが、具体的に何年の出入国記録ということを明示しているのです。それ以外のものを要求しているわけじゃございません。具体的に要求しているのです。したがいまして、それから人権侵害というものが起こるかどうかというふうなことのいろいろな討議をされていくということは少しおかしいのじゃないか、こういう考えを私は持っているわけであります。日ごろの法務大臣にしていまの御答弁はちょっと考えられないような御答弁なんでありますが、やはり国会の審議というものを尊重するという立場からすれば、これは国会法百四条を引き合いに出すまでもなく、いま法務省として資料要求にこたえてその資料を提出されるという義務がおありになるはずなんです。検討はいつまで続くわけでありますか。
#268
○古井国務大臣 お話はようわかっているのですけれども、さっき申しますように、国政調査、これも大事だし、そのためにちゃんと国会法に基づいて要求される場合は、それに応ずるのがたてまえでもありますから、それはわかっているのです。わかっておりますが、しかし、同じような意味で、いまのチータムとかなんとかという人間ということは、いまの場合にしても、似たような場合に、あの人間の過去の出入国の記録を、つまり行動ですね、出せ出せと言われると、同じ理屈になるかもしらぬし、つまり、この場合のみならず、そういう要求をされるほかの場合のこともあり得るかもしらぬし、そこらも、あなたはここということで話をなさっておりますし、またごもっともにそこは聞こえるのですけれども、われわれとしては、ほかの場合だって、また国政調査であり得るという場合も考えておかなければなりませんし、そういうこともありますし、事柄は人権という問題は一つの大きな問題でもあるから、だめだと言っているのじゃないですよ、まだ。ないけれども、そこらがあるから、よく詰めて結論を出そうや、こういうことでずれておるというわけですから、もうちょっと研究させていただきたいと思います。
#269
○土井分科員 これは、法務大臣、政治的な配慮なんですか。いろいろ御判断なすっているのは政治的な判断と理解させていただいてよろしゅうございますか、いまの。
#270
○古井国務大臣 私は、政治的な判断がとかく欠けておる人間でありまして、純理上の問題としていまのようなことを申し上げておるのです。
#271
○土井分科員 純理上の問題と承りました。それならば、一月の二十三日に要求をしてからもう一カ月は優にたってしまったのです。その間ずっと考慮、考慮、考慮と連日やっていらっしゃるのですか。時間がかかり過ぎるじゃありませんか。資料要求をして時期を外すと、その資料には意味がないという政治的な意味もあるのです。したがいまして、いまの御配慮について御検討されるのは結構ですが、一体いつまで続くかということもひとつ御明示くださいませんか、これは政治問題じゃないという御発言ですから。
#272
○古井国務大臣 むしろそこが政治問題ならいつまでにということも言えるかもしれませんけれども、そういうことは抜きにして、だからこうだという結論が出れば、あしたでも出るかもしらぬし、出なければ少しかかるかもしらぬし、つまり、議論をし、検討をして結論が出るときにということになりますので、早いかもしらぬし、もうちょっとかかるかもしらぬ、結論が出ればそれだけのものですから。もうちょっと研究させていただきたいと思います。
#273
○土井分科員 法務大臣、それは政治問題ならすぐ答えられるけれども、そうでないために答えられないとおっしゃるのは、しかし、それ自身が政治問題化していくのです。出される時期というものが当を失した場合には、それ自身が政治問題になるということも大臣御承知のとおりなのです。
 いま外務委員会の資料をめぐって、私は単に外務委員会だけの問題ではないと心得ております。やはり国会の国政調査権のあるべき姿というのは一体どういうことかという基本問題にも触れてまいります。資料要求にこたえて、政府がその資料を提出する義務があるという問題にもなってまいります。したがいまして、そういうことから言うと、国会運営上の基本問題だと私は考えております。ここは御承知のとおり裁判所じゃございません。検察庁でもないです。政治問題を追及する場所なのです。政治的な課題に対して国民の信頼にこたえていかなければならない。そういうことからすると、当然この資料は必要だと各議員が一致して検討した結果結論を出し、委員会の名において委員長が要求している資料に対して、なおかつ大臣は、そういうふうな配慮が必要だと言って、一日一日延引されるかっこうになるのは、これ自身やはり政治問題ですよ。純理的な問題じゃないと思います。法理的な問題でどうしてこれが説明できますか。少し法務大臣、日ごろの法務大臣らしくきっぱりとここではやっていただかないと、悔いを千載に残すと私は思いますが、いかがでございますか。
#274
○古井国務大臣 いままで申し上げたような筋で、ただ純理的な問題として結論を出そうということには変わりはありません。ありませんし、国政調査権が大切なものだということもよくわかっておりますし、同時に、よけいなことを言っておったら時間がかかりますけれども、国政調査だってどういうふうにしたら一番効果的になるか、いまのような姿以上に効果的にするにはどうしたらいいかなんという問題も、将来はあると思うのです。しかし、それはよけいなことです。
 だから、それは別にいたしますけれども、やはりそれはそれとして、さっき申しましたように、事柄は軽いようでそう軽くないと私は思っておるのです。のみならず、今度の場合というわけじゃありませんけれども、法務省の関係の仕事でも、とかくどっちかというと、役所が権力に携っている役所でもありまして、人権擁護局があるにしましても、人権という問題にしても、特殊な問題だけという考え方が強いし、基本的な大問題だという認識もどっちかと言うといままで弱いじゃないか、薄いじゃないかというような気もしますし、わりにやかましく人権という問題をもっと考えなければならぬということを私は思いもし、言いもするというような状況で、この問題に触れるところは相当詰めて、右であろうが左であろうが、それは構わぬ、詰めて結論を出したいものだ、こういうことでおりますので、もうちょっと時間をいただきたいと思うのです。
#275
○土井分科員 昨日か一昨日、外務委員長にお会いになりましたか、大臣。
#276
○古井国務大臣 外務委員長はもう同僚でありますので、それはどこででも出合うこともありますし、会いましたからといって珍しいことでも何でもないので、それは会ったこともありますよ。どこででもまた会えますよ。そんなこともありますが、それはそれ、これはこれ、こういうことでございます。
#277
○土井分科員 それはそれ、これはこれじゃないのです。正式に外務委員会の席で法務大臣に対して申し入れよう、話をしようということがお約束として委員長にございましたから、したがいまして、外務委員長は法務大臣にお会いになったということを、われわれは恐らくそうであろうと思っているので、この問題について法務大臣はお会いになりましたかということを申し上げているのです。
#278
○古井国務大臣 それはどうも失礼しました。
 そういう意味で、会ったのか会わぬか、こういうお話ですか。それは外務委員長からも話を伺いました。同じことを言っておきました。もうちょっと研究させてくれ、私の方はよく考えておく、そういう意味に言っておきました。話は聞きました。そのとおりです。
#279
○土井分科員 もうちょっともうちょっととおっしゃるのをいつまでも待つわけにはいかないのです。法務大臣、御承知のとおり、国会の方では審議の必要性というものは何よりも増して重うございますから、そういう責任を果たしていくという立場からすると、これは限度があると思いますよ。そうして大平内閣総理大臣のお約束の中にも、グラマン問題についても疑惑追及に対しては全面的に協力を惜しまない、協力をする、政治生命をかけてとまでおっしゃっているのです。そういうことからすると、法務大臣、いつまでもずるずると引き延ばして、私たちはまだ検討中、検討中とおっしゃることをいつまでも聞かされてばかりいるわけにいかない。これはいつごろまでにこの検討の結果が出るわけなんですか、再度申し上げますが。これはやはりいつまでもというわけにまいりませんよ、法務大臣。
#280
○古井国務大臣 同じことの繰り返しになると思うのですけれども、できるだけ早くと思っておりますけれども、あしたとかきょうとか、そういつまでとおっしゃっても、結論が出てしまえば、到達すればすぐにでものことですし、ちょっとそこのところは、同じことの繰り返しにすぎないと思いますけれども、そういうことだということでお答えしておきます。
#281
○土井分科員 問題は物理的なことじゃないんでしょう。大変人為的なことじゃありませんか。これは人間がその問題に対してどう考えるかということを、法務大臣を中心にかどうかは私わかりませんけれども、法務省として構築されればいいわけでしょう、この問題に対しての認識。先ほどおっしゃったように、その問題の焦点、どういうふうに考えていくかというその焦点だけははっきりしているんですから、どう考えていくかということの構築は、こんなものはいつまでたっても、はっきりいつ出せるかわからないという問題じゃないと私は思います。きょうにでもやろうとすればできることですよ。それをきょうかあしたかわからない、いつかわからないというふうにおっしゃることは、やはりこれ自身政治的な問題ですね。いかがでございますか。
#282
○古井国務大臣 右から左からあなたに攻め上げられるというとあれですけれども、たとえば、この事件とは言いませんけれども、私は入管記録につきましての人権という点が気になる点ですけれども、本人が同意したとか、関係した本人が出して構いませんとか、明瞭に本人の利益に反しない、こういうことなら人権との関係はそれで大体解決つくと思うのですよ、そういう場合なら。そうでしょう。関係した本人がいつどう動いておろうが一向構いません、あるいは利益に反しないことは明瞭だ、それは気が楽ですが、そのことを抜きにして一つの結論を出そう、こういうことであると、人権ということを相当重く考える立場から言いますと、いろいろ考えてみているんですよ。そういう人権という角度からも、いままでの扱いについてもよく考えてみなければならぬ点もありますし、おっしゃるほど、きょうにでもとおっしゃっても、問題はいろいろな角度から言ってもそう簡単でないので時間をかけておるわけです。しかし、決して国政調査権がどうでもいいとか軽んじておる意味じゃないんですよ。同時に、国政調査権というものをあらゆる憲法の原則を踏み越えてもいいということにはなっていないと私は思っておるんです。調和すべきものだというんじゃないかと思う。そういうものだと思うから、やはりそこらは研究して妥当な結論を出したいものだ、こういうことでございます。
#283
○土井分科員 従来から、いま法務大臣がおっしゃったような事例というのは国政調査権に関していろいろございまして、御存じのとおりです。判例の上でもございます、浦和事件を皮切りに。戦後わずかばかりたったころからこの問題で、司法権に対しての国政調査権というのがどういう範囲に及ぶかとかいろいろ具体的なことについての事例というのはございますね。いままである事例がら判断いたしますと、今回の問題は、それはやってはいけない範囲に絶対ひっかからないと私自身は確信を持つからこのように言うわけであります。これ自身いま係争中の事件じゃないでしょう。捜査をやるわけじゃないんです。取り調べをやるわけじゃないんです。国会で審議をする途上、関連して援用すべき問題の具体的な裏づけとして必要な資料だ、こうなるわけですよ。司法権を侵すわけでもない。ただ、憲法とおっしゃいますと、そこで保障されているのは司法権の独立ですからね。国会の最高機関制からすると、行政権に対して関与するということは当然にあるし、また議院内閣制からすると、このやり方に対しては国会に対して最大限の協力というものを行政側はやっていかなければならない、そういう立場にあるわけでしょう。だから、それからすると、今回の資料というのは憲法から考えてどこが問題なんですか。人権という点を最大限に考えて尊重していって、かついま何が問題なんですか。憲法からすると断じてこれは背馳することにならないと思うのですよ。いかがです。
#284
○古井国務大臣 外国の人ばかりでなく、日本の国民の場合だって出入国記録というものはあれですし、その人間の行動、こういうふうにいつ出てこうなったと、その人にとっては差し支えない場合もありましょう。本人が同意しているとか、あるいは明瞭にこれは本人の利益に反しない、こういうことになっておれば人権の問題は解消だと思うのですね。
 従来、出入国記録を出せとおっしゃる場合について考え方がすっきりしていないような点があったように私は思うのです。そういうことで、出任せだ、そのたびごとにやっておるんじゃいかぬ、考え方をちゃんと整理して、出入国記録をお目にかけるとかいうことについては、していかぬといかぬじゃないかということもありまして――私、よけいなことを言い出したのかもしれませんが、そういうことを言い出して、ちゃんと考え方を整とんしようじゃないか、人権という問題をちょっと軽んじているのじゃないかという感じもしますので、だからそういう角度からちゃんと考え方を立てて扱おうじゃないか、こういうことでおったりいたしますので、この問題はそういう点等、ごうごうということを詰めて考えてちゃんと結論を出したい、こう思っておるのです。
#285
○土井分科員 そうすると、いまの法務大臣の御発言は、ことしの一月の四日にSECから報告書が出て以後、従来は個々の議員が要求することにこたえて資料は提出をしてきたけれども、以後は委員会からの要求がなければ提出できないという以前にお考えになったことでありましょうと私は推測をいたします。
 いまの御発言を承っておりますと、委員会からの資料要求が与野党一致のもとにあったとしても、なおかつそれについて法務省当局としては、その要求にこたえ得る場合とこたえ得ない場合がある、このようなことをお答えになっていると理解してよろしゅうございますか。
#286
○古井国務大臣 要求が委員会の要求でない場合についても行政の裁量だということに抽象的には言えますわな。行政の裁量だという場合だって、どう扱うかという考え方をちゃんとしておかなければいかぬということもあるのです。そこも含めて、実は考え方をちゃんと整とんしようと言って議論をしておるわけなんです、そうでない場合も含めて。その場合だって扱いが何かはっきりしないような点があるのですよ。ですから、考え方をはっきりしようじゃないか、こういうこともありまして、まあもう少し、そう言ったっていつまでもというわけにいきませんから、詰めたいと思っております。そういう状況でおります。
#287
○土井分科員 そうすると、委員会から資料要求があった場合でも、それに対して提出できない場合もある、つまり法務省としては、委員会から要求があれば資料に対しては提出いたしますとおっしゃった前言は撤回されるわけでありますね。
#288
○古井国務大臣 委員会の要求がある場合は応ずるのがたてまえだという、ここにはまた一つの大原則がありますからね。ですから、その場合はまた格別そういう原則も尊重し、そうでない場合と同じようにということは言っておるわけじゃないので、そういう点をちゃんと踏まえて、そうでない場合だってありますから、考え方を整とんしようということでおるわけであります。
#289
○土井分科員 いま私が取り上げております具体的事例は、委員長名によって外務委員会が要求している資料なんですよ。委員長の名前において要求している資料というのは、つまり委員会要求とお考えいただいてこれは間違っていないと思うのです。これは与野党一致の賛成のもとに委員長の要求された資料なんです。具体的な名前を挙げれば委員長名で要求されている。したがって、これに対しては格段の配慮があってしかるべきだということに、いまの御答弁からすればなります。そうですね。ほかのいろんな案件と全部をひっくるめて今回整理してみよう、それも結構です。どうぞ御自由に御整理くださいませと言いたいですけれども、この具体的な事例についていたずらに整理をされることのために延引させられて、一日一日これが日延ばしになるという事実に対しては、法務大臣は何もお考えになりませんか。
#290
○古井国務大臣 この席で申し上げることではないと思いますけれども、さっきあなたがお触れになった外務委員長からもそのお話があり、外務委員長にも似たようなことを申し上げておったところでありまして、そういつまでもというわけにはいきますまいけれども、やはり詰めて結論を出したいものだ、そう思っております。
#291
○土井分科員 どうも要領得ませんね。私はきょうの持ち時間を全部これに費やしました。本題についての質問には入れませんでしたけれども、しかし、なおかつこれに対して大臣、納得できませんよ。委員会からの要求があれば提出すると言われたことに対して、こういう中身であるということの具体的な例にこれはなってまいります。法務省が言われたことに対して、みずから言われたことに対して裏切るようなかっこうになってまいりますが、法務大臣としてはこれでよろしいとお考えなんですか。
#292
○古井国務大臣 ですから、そう結論を出してしまっておると申し上げておるわけでもない。いま検討して詰めて結論を出そうとしているのだということでありますので、そういう意味でひとつお受け取り願っておきたいと思います。
#293
○土井分科員 非常に誠意のない御答弁ですね。これは、検討検討とおっしゃるが、大体その検討というのは一体どれくらい検討すればいいかという問題がその次に必ず出てまいります。何遍も繰り返して申しますが、もう一カ月たっているのですよ。これは常識では、委員長名によって資料要求をしてから、待たされて待たされて、全然これは資料が出てこない、どうなっているのかと何度となく問いただして、もう少し待ってください、もう少し待ってください。そして、その理由を聞くと、先日の外務委員会では局長が答えていわく、いろいろとこういう問題に対して取り上げられると例外なく疑惑濃厚な被疑者に仕立て上げられてしまう、こういう問題があるというふうなことまで言われて、個人のプライバシーや人権や名誉、信用というようなものが著しく傷つけられる事態というものが十分想定されるので、法務当局といたしましては、個人のプライバシー尊重の観点からこの問題に対して苦慮いたしておりますというふうな意味も含めて、報道機関もこれを大々的に取り上げるからこれについては困るというふうなことも言われているわけであります。事はそんな法務大臣がきょうお答えになった純理論的なことじゃないのですよ、問題は、この中身を聞くと。局長答弁の中身はまことに政治的なんです。政治判断をいま法務当局としてはされているということに尽きるのですよ。
 もう大臣はお聞き及びかと思いますけれども、外務大臣は、これは事務的に処理すべき問題である、委員会から要求されたものを事務当局が政治判断をして出すとか出さぬとかいうふうなことは当国会では通用しない、こう言われているのです。当然だと思いますよ、これは。国会においてこういうことをまかり通らせたら、これはファッショですよ。最も法務大臣がおきらいなファッショですよ。法務大臣は、こういうことに対しては身を挺していままで闘ってこられた。そういう行政ファッショということを許していくことに相なりませんか。私は、やはり、議院内閣制とか議会制民主主義というものの立場からすると、いまこの問題というものは非常に大事なことを提起していると思う。笑い事じゃないですよ。法務大臣が議会制民主主義というものを守っていきたいというお立場は、人よりも重々おありになるということを私は確信してやまない一人でありますが、こういうことからすると、問題は非常に大事なことであります。大事に考えられるから慎重に検討する検討の時間をそれなりに必要だとまた言われるかもしれないけれども、いつまでもこれは待つわけにまいりません。再度このことに対して、いつはっきりさせてもらえるかということを私は重ねてお尋ねいたします。いかがでございますか。
#294
○古井国務大臣 議会制民主主義の大切なこともわかっているつもりでおります。それから憲法の諸原則の大切なことも多少理解を持っていると思っております。さっきも申しましたように、こういう民主制度が発展した原点といえば人権宣言だったというぐらいに私は思っております。人権ということも思っております。ですから、そう全部をわからぬでおるわけでもないが、委員会というか国会の資料要求がもとになって要求されましたことは格別大切な場合だ、こういうこともわかっておりますし、できるだけ早いところ考えを決めたい、こういうことでおるわけですから、これは何遍も同じことを繰り返してお尋ねでも、その間に考えが変わるわけでもありませんから、いまのとおりに、ひとつできるだけ早くと、こういうことできょうは申し上げておく以外にないと思っております。
#295
○土井分科員 最後に一言、それでは法務大臣に申し上げますが、これだけ時間をかけて、何をお考えになっているのか、さっぱり私にはわかりませんが、しかし資料要求にこたえる法務省としての取り上げ方、態度というものに対して、こういうものですという公式見解でも発表される御予定でありますか。そのために時間をかけていま御検討中なんですか。具体的にもう資料要求に対しては、一カ月ももっともっと超えた――具体的な要求があるということもいいかげんに考えながらそういうことをやっていらっしゃるということからすれば、これは近々に、そういう法務省なりの公式見解でも発表されるのでありますか。いかがなんですか。
#296
○古井国務大臣 考え方を整とんしたり、扱い方針を立てますということは、発表する場合もあれば、発表しないで実行する場合もあり、こういうことで、こういう考え方で扱おうや、こういうことは内部的に決めたらそのとおり実行するわけですし、また、必要があれば出したって構いやしないし、それは出すことを一つも差し支えがあるわけじゃないし、それは考えをきちんと整とんしていって結論出しますればね。ですから、何も秘密でも何でもない、至ってフェアな問題ですよ。フェアな、純理的な問題と私はいま自分では考えておるのです。
#297
○土井分科員 最後に、それでは申し上げますが、フェアであるならば、この外務委員長名による外務委員会からの資料要求にこたえてお出しになる節、なぜこれだけ事が延引し、そして具体的に時日を要したかという理由も明記していただく必要を私はここで申し上げたいと思います。よろしゅうございますね、法務省としては。なぜこれだけ時間がかかったか、どうしてこの資料を出すのにこういう論議をことさら必要としたか。そして論議の内容に対して、これを法務省としては大事と思ったからいままでこれだけ時間がかかったのだ、出すのがおくれたというその理由も、そのときにはっきりと明示していただくことを私は要求しますが、法務大臣、よろしゅうございますね。
#298
○古井国務大臣 私は頭が悪いせいかしらぬが、外務委員会でそういうふうに出せ、理由を出せと、外務委員会の要求ですからね、それに対しての返答として言われるんなら、それはそういうことをしなきゃならぬですよ。場所が、そういう筋だと私は思うのですね。ですから、いまおっしゃっている意味が、どこで出せと言っておられるのか、外務委員会で出せと言っておられるのか、ここで出せと言っておられるのか、やっぱりそこらはちゃんと筋道が通るように処理しようじゃありませんか。
#299
○藤波主査 土井君、時間が来ておりますので、お心得ください。
#300
○土井分科員 わかっております。
 それは外務委員あてに出していただくことを強く要求します。法務大臣、よろしいですね。
#301
○古井国務大臣 いまの点は、あなたもそれは有力な外務委員会の委員でしょうが、外務委員会からおっしゃるなら、外務委員会の責任者からいまのこういうものを出せとかおっしゃるなら、言っていただくことはありがたいと思うのです。
#302
○藤波主査 土井君、よろしいですか。
#303
○土井分科員 終わります。
#304
○藤波主査 以上で土井たか子君の質疑は終了いたしました。
 次に、山本政弘君。
#305
○山本(政)分科員 質問に入ります前に幾らか説明をして、そしてまず日中の国交回復までにあるいは平和条約について御尽力なさった法務大臣ですから、お考えをお伺いしたいと思うのですけれども、私のところへ大変多くの人たちから、中国からお帰りになった人たちの国籍問題について要請が来ております。一、二挙げますと、名前はちょっと控えさしていただきますが、Nという婦人でありますけれども、江西省の九江から昭和四十九年十一月十五日に子供さんを四人連れて帰られた。五十一年九月に第一回目の帰化申請をしました。五十三年五月にそれが不許可になった。理由は、日本の社会で生活をする上には疑問が持たれる、こういうことが不許可の理由であったようであります。第二回目に、ことしの一月に申請をして二月に受け付けをされたようでありますが、そのNという婦人は日本の国籍がある。ところが向こうで正式の結婚をしておらなくて子供さんがおるわけであります。法的に言えばこの人たちは私生児ということになるかもわかりません。したがって、中国から帰ってきたときはその人たちは護照で帰ってきたわけであります。そこの護照で帰ってきたというのが実は問題点でありますけれども、駐日大使館では昭和五十年にすでにもう脱籍をしておる。
    〔主査退席、愛野主査代理着席〕
 私がお伺いしたいのは、調査に大変時間がかかっておるということで、そんなに一体時間がかかるのかということが一つあるわけです。
 もう一つは、これはいま先ほどでありますけれども、Tというこれも女性の方であります。いま五十五歳でありますけれども、昭和十五年十月に渡満をいたしまして、当時の北満三江省の開拓団に入りまして、二十年に主人がシベリアに抑留されて、抑留されたまま病死をされた。自分と長男が残っておったわけでありますけれども、飢えと寒さでその人の弟と長男と一緒に中国人のところへ行った。その中国人が大変いい人で、家族のめんどうを見るからということで、正式の結婚ではなかったけれども、同棲の形でいままでおったということであります。何回も確認いたしましたけれども、正式の結婚ではなかった、同棲の形だったんだ、こういう話でありました。弟さんは二十八年に帰国をいたしまして、その女性も一緒に帰りたかったんですけれども、子供がいる。同時に中国の人と子供ができたということもあるというようなことで、人情として帰れずにそこへとどまったということであります、ところが、その御主人も病死をいたしまして、五十一年九月に引き揚げた。中国側の方では日本国籍、中国籍いずれであっても帰れるということで、やはり護照を出してもらって帰ってきた。ところが五十三年になっていろいろ手続をするのですけれども、中国籍をまず抜けということで、五十三年の六月に中国籍を離籍したということであります。
 ちょっとややこしくなりますけれども、そのTという婦人と中国人の間に生まれた子供が三人、この人も帰ってきておるわけです。それからTという人と前の御主人、日本人ですが、その人との間に子供がある。その子供さんが向こうで奥さんをもらったということで、その間に子供さんが三人おる。ぼくが大変理解ができないのは、その婦人と中国人の間に生まれた三人の人たちは帰化の手続をしなさい、それから前の御主人とその婦人との間の子供さんと奥さん、それから長男、五歳でありますけれども、その人たちはやはり無国籍であるから帰化の手続をしなさい。そこで非常にぼくにわからないのは、前の御主人との子供であった人が中国の方と結婚して、そして子供が二人おる。十一歳と九歳であります。この人は国交回復前に生まれたから日本人である、非常にややこしいわけですね。九人のうち二人が、中国で生まれた人が日本人であって、あとの人たちは全部国籍を抜いたわけですから無国籍になっておる、こういう実態があるわけです。前者の場合就籍してもきわめて不安だというようなことがあって、先ほどでしたが涙をこぼされたわけでありますけれども、そういう実態についていまからお伺いしたいのですけれども、大臣、こういう実態があるということについて一体どういうふうにお考えになっておりますか、まずお伺いしたいのです。
#306
○香川政府委員 事務的なことでございますので私からお答え申し上げますが、確かにいわゆる中国の孤児の帰化の問題はいろいろのケースがございまして、私どももその取り扱いに苦慮いたしておるわけであります。いずれにいたしましても向こうでの実態というものが十分把握できませんと、前提として考えることが固まらないわけなんでございますが、この実態はなかなかむずかしいわけであります。たとえば日本人の子供でありましても、今日までに明らかに中国に就籍しておるというふうな方もおられますし、またその就籍したと称されておるけれども一体適法なものかどうかということも問題になりますし、また護照を持って帰ってこられますと一応は中国人というふうに観念すべきものなんですけれども、いろいろの実態が明らかになってまいりますと、必ずしも中国人だから護照を持って日本に入ってきたというのではなくて、便宜護照を入手して入ってきたというふうなケースもあるようでございまして、そういう実態をケースごとに把握するのが、なかなか関係者も少のうございますので手間がかかる、時間を要しておるという点はあると思います。ただ、私どもの基本的な姿勢といたしましては、いずれにしても、仮に就籍が適法にされたとしても元日本人であることは間違いないわけでございますから、したがって御承知のとおり国籍法の六条四号では元日本人で日本の国籍を失った者が日本に住所を有する限りは簡易な帰化手続を認めておるわけでありまして、ほかの要件なしに帰化を認めるということにいたしておるわけでございます。それをフルに活用いたしまして、率直に申し上げまして若干事実認定のところで確証は得られないけれども、このケースはこうだというふうに判断した方がいいというふうな、いわば裁量的な判断をいたしまして、できるだけ簡易に帰化を認めるような取り扱いをいたしておるつもりでございます。
 ところが一方ではまた、自分は護照を持って入ってきたけれども、日本人のままだということを強く言われる場合もあるわけでございまして、こういう場合には護照を手に入れた経緯あるいは就籍した経緯等もつまびらかにいたしませんと、言うなりに依然として日本人であるというふうに判断するのが法律的には相当問題でございますので、そういうケースが一番実は帰化の面にあらわれてこなくて、就籍の問題として戸籍の取り扱いに苦慮しているところでございまして、基本的にはただいま申しましたように気の毒な状況にもあるわけでございますので、できるだけ簡便に、結論的には日本人としての法律上の扱いができるようにいろいろ工夫し、努力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#307
○山本(政)分科員 国籍については複数の国籍を持っているとか、あるいはいずれの国籍も持たないという場合があるだろうと私は思うのです、おっしゃるように。ただ、いまのような状況の中で、公法上の権利義務というのは言うまでもないことですけれども、私法上の保護というものも各人の持つ国籍に依存するというのは大変大きいと思うのです。つまり、個人の権利とか義務とかいうようなものが国家の法的な保障のもとで実現されることが非常に大きいということがいまの現実だとするならば、いずれかの国籍を持つことが基本的人権の一つだと私は思うのです。ところが、現実には、いま私が申し上げたように、御説明がありましたけれども、なかなか国籍を持つことができないし、そして、日本国籍を認めていただけない。私は、国籍唯一の原則というものは、これは国籍の立法上の一つの理想であるかもわからない。理想であるかもわからぬけれども、そのことによってこうむる障害というのは大変大きいのだということを考えるならば、その原則というものを貫徹させるということもまた大変むずかしいことだろう、こう思うのです。とすれば、その中でやはり何らかの配慮というものがあってもいいだろうと私は思うのです。つまり、帰化をするという場合に、帰化を許可する前提条件とか、あるいは緩厳と言うのですか、緩やかであるとか厳しいとかというのだろうと思うのですが、その程度が異なってもいいだろうと私は思うのです。ましてや中国にかつておって、それで非常に苦労して、当時の事情の中では中国国籍に入らざるを得なかった実態も多くあっただろうと思うのです。
 それで、そういう判決は札幌の地裁でも、中国の場合ではないけれども、ソビエトですか、そのときの判決がちゃんとあった、実例があるとするならば。そういうことに対して何で四十九年に帰ってこられて、そして手続をして、今日まで足かけ六年間というものに対して、要するに日本の社会生活になじまないという理由によって延引させられていく、それは私にはわからない。あなた方は簡略にする方法がある。なるほど法律に書いている。しかし、その簡略になる方法というものがなぜ使えないだろうか。そのためにたくさんの人が泣いている現実があるのですよ。そのことがなぜそれだけの長時間がかかるのかということですね。それがわからないのです。大臣、どうですか。いま九人お帰りになって二人の人が、しかも婦人に言わせれば向こうで生まれた孫の人が日本人であって、自分の子供が日本人になれないという、そういう常識を外れたことがあるだろうかということなのですよ。お考えを聞かしていただきたい。法的であるとかないとかではなくて、社会通念として大臣はどういうふうにお考えになるかということを聞かしていただきたいのです。
#308
○古井国務大臣 このお話しの問題については、まずもって人道的な立場から考えなければならぬということだと私は思っているのです。それを現行の法律あるいはそのもとにおける事務扱いで、できるだけそういう方向で人道的に処理するということをやろうというときに、扱えるか扱えぬか、どうしたら扱えるかという事務扱いの問題になりますと、私もどこに突っかかって、どうなるかということは自分自身よくわかりませんから、詳しい事務当局の方から聞いていただくほかありませんが、できるだけ基本的に考え方をそこに置いて、扱いが何とかつかぬものかという考え方でこれ処理したいものだ、こういうふうに思っております。どこに突き当たるとかどうというところは、私は自分では知識も自信もありませんから何とも申し上げられません。
#309
○山本(政)分科員 日本の国籍法によるならば、国籍のない人たちが帰化をしようとする場合のほかは原国籍の所属国の法律というものが――自国民が外国に帰化することによってその国籍を自動的に喪失する、そういう場合でなければ日本では帰化することができないことになっていますね。それを皆さん方が盾におとりになっているのではないかとぼくは思うのですよ。というのは、どんな場合でも二重国籍の発生のおそれのないときにだけ帰化を許すということが実際は実態に基づいておるのだろうかどうだろうか、事実とはかけ離れておるのじゃないだろうかという感じがぼくはするわけです。つまり、二重国籍の発生という点をなぜ現実を無視してまで優先をさせているのかというところに大きな問題があるような気がするのですね。ところが現実には、私はいろいろな話を聞いているとそういうふうにしか思えない点が多々あるということなんですよ。その辺、いかがでしよう。
#310
○香川政府委員 おっしゃるとおり、わが国の国籍法は二重国籍を防止するということで、二重国籍になるような帰化は違法だという原則を持っておるわけでありまして、これは現在の国際的な一つの合意でもあるわけでございます。
    〔愛野主査代理退席、主査着席〕
 ただ具体的なケースにおきましてこの中国孤児の場合には、日本に帰ってまいりまして何年かたっておる。しかも向こうでの経緯が必ずしも明確につかめないというふうな場合にはざっくばらんに申し上げまして、実はこれは相当法律的でないというおしかりを受けるかもしれませんけれども、現実には中国官権の支配が及んでいないというふうな実態にございますれば、いわば無国籍、中国籍を持っていないというふうな判断をいたしまして、そういたしますと、中国籍を離脱してこなければ日本国籍は与えられないという障害が取っ払われるわけでございます。ケースによりましてはそういう無国籍だというふうな判断をいたしまして帰化を認めておる例もあるわけでございまして、これをすべての場合にそうしていいかということになりますと若干ちゅうちょされるわけでございますが、ケースによりましてはそういったいわば便法的な扱いも重ねてきておるわけでございまして、さらにその辺のところを工夫させていただきたいというふうに思っております。
#311
○山本(政)分科員 私は、こういうケースですから法律というものを厳格に適用しないで、運用によって要するにそういう人たちを救済する方法がないものかという立場でお伺いしているのですよ。ですから、いまさっきのTという婦人の場合によりますと、その人が開拓団の御主人と渡ったときに生まれているお子さん、そしてその人が中国で中国人の女性と結婚して生まれた子供、三人おるわけですが、女の人が十一歳と九歳、男の人は五歳ですよ。その場合に、十一歳と九歳のお子さんの二人は国交回復前に生まれた人なんだから日本人である、こう言っているわけですね。これはまさしくあなたのおっしゃったように、非常に有効にというか、弾力性がある適用をしたのかもわかりません。しかし、それはそれとしてまた法的な問題が残ると私は思うのです、そういうことをおっしゃれば。京都の地裁で問題があったような、要するに中華人民共和国と台湾政府との間の法的な解釈というのがあっただろうと私は思うのですよ。それで京都の判決が出たと思うのです。これはその人に対して非常に有利に判決が出たと私は思うのです。そして、いまのこの二人の場合に対しては、あなた方は非常に便法といいますか、要するに非常に寛大にお考えになっていると私は思うのですけれども、それにしても、三人の子供のうちの十一歳と九歳の方はいい。五歳の人はなぜ日本人にしてもらえぬか。同じきょうだいではありませんか。血筋から言ったってはっきり明瞭にわかっていることについて、上の方の二人は要するに日本国籍で、こちらの人は中国国籍だから離脱をしなさい。その解釈は、要するに国交回復前後ということになるの。私は、これも規矩準縄に逆な意味でとらわれているんじゃないかと思うのですね。
 もう一つ。要するに国籍の唯一の原則というものが、それは原則でしょうよ。だけれども、国籍法の中には二重国籍を認めているじゃありませんか。認めているケースがあるのですよ。九条はそうだと私は思うのです。要するに、生地主義をとる国で日本人の子供が生まれた場合には、子供のために日本の国籍を留保した場合には二重国籍を認めているじゃありませんか。あなた方は国籍唯一の原則を唱えながら片一方では二重国籍を認めているのですよ。中国から帰った人の場合には、そういうことがあるにもかかわらず、片一方では九条というような条件というものがある。唯一の原則のほかに例外があるのです。ということがあるにもかかわらず、今度は中国の人たちのケースに関してはかたくなに唯一の原則、唯一の原則でやっているんじゃないかという感じが私はするのです。その辺をもう少し考えていただく余地はないんだろうかという気が私はしてならぬわけです。
 生活実態を何でしたらちゃんと御案内して連れていきますよ。お母さんが日本人で、あとの四人の子供が全部中国の国籍で、そして国籍離脱をした。そしていまは宙ぶらりんになっておる。したがって、貿易会社に二人勤めているけれども、平和条約ができたいま、日中の貿易が高まってきておるという中で、貿易会社の人たちもその人たちを向こうに派遣をしたいという気持ちがあるけれども、向こうに渡れないという現実もある。したがって、中国語も日本語も話せるという中で向こうに行けないという中では、会社にだんだんといづらくなってきたという点も私は聞いているのですよ。五年ほったらかしているのですよ。あなた方は、ここに特別帰化の方法がある、こうおっしゃっているのですけれども、特別帰化の方法というものを適用なさろうというお気持ちがないんじゃないですか。五年間ほったらかしては、やはりさすがにひどいなという感じが私はいたしますよ。しかも、第一回目のときには、日本の社会になじまない――なじまないという理由は一体どういう理由なのか。もし御存じであるならばお聞かせいただきたい。どういう点がなじまないのか。
#312
○香川政府委員 具体的なケースの点でなくて一般論として申し上げますが、御承知のとおり、日本人として帰化を認めるという場合には、やはり日本国民への同化の程度ということが一つの要素になるわけでございまして、どこまで同化しておるか。たとえば生活様式が全く日本式でなく、あるいは言葉も日本語が全く話せないというふうな場合に、それを日本人として帰化を認めるということはいかがなものか、こういう考え方が国籍法にあるわけでございまして、そういうことがいわゆるなじまないということの言いかえだと思うのであります。
 二重国籍の問題は、これは外国の方から、ある人を自分の国の国民だ、こういうふうに言われる事由があるわけでございまして、そういうことから、たとえばさっきお挙げになりました国籍法の九条なんかは、まさに、外国では、ある国では生地主義をとっておるためにその国で生まれればすべてその国の国民、ところがその父親は日本人であるというふうな場合には日本国法から見ますと日本人、こう言わざるを得ないわけでございますが、しかし、それがまさに、二重国籍のままほっておくことになりますと、本人の幸福にも関係する問題でございます。したがって、国籍法の九条は、日本国籍を留保する旨の意思表示をしておかなければさかのぼって日本国籍を失いますよ、こういうことで二重国籍の防止をむしろ図る規定でございまして、だから、あからさまに二重国籍になることを承知の上で帰化を認めるということは、これは国籍法違反になるだろうと思うのであります。だからそこのところが、ケースによっては二重国籍にならない、言いかえれば、現に無国籍であるというふうな認定の幅をどこまで広げるかという運用の問題だろうと思うのでありまして、その辺のところを先ほど申しましたように、やはりケースに応じてできるだけ救済の方向で弾力的に考えてまいりたい。こういうふうに考えているわけでございます。
#313
○山本(政)分科員 いまおっしゃったことを逆用するように聞こえるかもわかりませんけれどもね、たとえばTさんのケースを見ますと、開拓団として渡満をした、そのときにできたお子さんがおる。これは要するに両方とも日本人ですから、生まれたお子さんも日本人ですね。しかし、その人は要するに中国の女性と結婚して、当時の事情の中で大変遅い時期でありますけれども中国籍を取得した。その中国籍を取得するについてはいろいろな事情があったということなんですよ。私は、そういうことを考えれば経過としては非常に明白だし、そしてこれは札幌地裁の判決を考えるわけですけれども、札幌地裁の判決は、要するに、当時の樺太の事情においては必ずしも本人の自由意思によるというふうには認めがたいではないかという判決があったとぼくは思う。そうすると、いまその判決を頭の中に浮かべて、要するに、この開拓団の日本人の夫婦の子供として生まれた人たちがその当時の状況の中で中国国籍を取得したということについても、私は当時の事情の中で情状考慮すべきようなことがあるんじゃないだろうかという気もするわけです。それ以上のことは私は申し上げません。しかし、にもかかわらず、要するに法務省としては非常にかたくなな態度をおとりになっているんじゃないだろうかという感じがする。
 もう一つは、法務省から通達がかなり前に出ておりますね。中国からの帰国者の外人登録については、各地方の法務局に国籍法八条に基づいて外人登録をするようにという通達を出している。そして、一たんそういうことをさせておいて、戸籍が明白な者については後で取り消すから、こう言っているのですよ。片や法を適用する場合には非常に強い態度をしておって、自分たちが取り消す場合には簡単に取り消すからというようなことで一体やれるのだろうか。弱い者に対してはあなた方は非常に強くなって、自分たちがそういうことを取り消す場合には非常に安易に取り消すような態度をお持ちになっているんじゃないかという気が、これは勘ぐりといって怒られるかもわかりませんけれども、そんな感じがするのですよ。とすれば、おっしゃるように特別帰化ということがあるのでしょう。簡易に要するに帰化を認めるということがあるというんだったら、ぜひそういうことをとってほしいとぼくは思うのですよ。二年も三年も、そしてひどい場合には五年もそういうことで放置されている人たちに対してもう少し温かい目で見てほしいとぼくは思うのです。
 そして、なじまないと言うけれども、日本人のお母さんのもとで、都営住宅でちゃんと近隣の皆さんと一緒に生活をし、日本人の会社に勤めておるという人たちが、どうしてなじまないという解釈になるのだろうか。言葉が日本人と同じように流暢でなければ要するに帰化を認めることができないというんだったら、それはもうぼくは法律には情がないんだというしか解釈せざるを得ないと思うのですね。
 ですから、そういう点について、局長の方からも要するに簡易な方法が考えられているんだ、こうおっしゃったけれども、現実は非常に長期間まだうめいている人がおるのですよ、大臣。そういう意味で、ぜひ私は、そういう人たちに対して帰化の条件をおっしゃるように非常に簡略にしながら、そして期間的にも短くするということをひとつ約束してほしいと思うのです。いかがでしょう。
#314
○古井国務大臣 先ほども申し上げましたように、扱いが何とかつく限り、扱いをいいあんばいにして結末を処理したいと思うのです。どうにもこうにもいまの法律とか扱いの基準で動きがつかぬということならいたしかたありませんけれども、何とかそれはいいあんばいの扱いをしたい、こういう気持ちでおりますので、御了承願いたいと思います。
#315
○山本(政)分科員 終わります。
#316
○藤波主査 以上で山本政弘君の質疑は終了いたしました。
 次に、井上普方君。
#317
○井上(普)分科員 まず第一番にお伺いしたいのでございますが、刑事局長、いわゆる直捜事件と称しまして、検察庁が直接捜査して、司法警察を全然使わずに捜査する事件がありますが、この直捜事件というのは大体全起訴事件のうちの何%ぐらいを占めて、そしてまた、直捜事件によって無罪判決を受けるのはどれくらいの比率があるのでございますか、お伺いします。
#318
○伊藤(榮)政府委員 いま直捜事件というお言葉でございましたが、私どもは検事認知事件というのを普通使っておりますので、検事認知事件という言葉で申し上げさせていただきますが、ただいま正確な統計を持っておりませんが、交通違反などを除きました総事件の中の恐らくせいぜい二、三%ぐらいじゃないかと思います。その中で無罪になるのがどのぐらいあるかということでございますが、これも正確な統計はございませんが、無罪になります事件は一般におよそ〇・何%ということでございますから、ごくわずかなものじゃないかと思います。
#319
○井上(普)分科員 私は、いわゆる検事認知事件ですかの、徳島県で起こりました、昭和四十六年二月二十三日に逮捕いたしまして、五十三年の十月二十八日に判決のあった領家高蔵という人の事件についてお伺いいたしたいのであります。
 この事件は、農協の幹部である領家高蔵という人が背任罪によって逮捕をされました。逮捕されまして、二十三日留置されましていろいろと調べられました。四十六年に逮捕されて、その後これが四十六年四月に起訴されたわけであります。これはもう御存じのとおりでありますが、この事件は背任で起訴した。しかし今度は、この事件は背任で成立しないかもわからないというので次から次へと追訴を行ってまいりました。
 そして四十八年には、その最初の背任罪につきましては、御承知のように徳島地裁におきましてこういう判決になっている。裁判所の言う判決文が、概略、背任であるからいかなる損害を与えたか明瞭にしなさいという裁判所の命令は下したけれども、それにこたえて検察側は訴因変更請求書を第五次まで提出したが、その中身について追及するとその都度説明が違う、それで訴訟の対象が明らかにならないということで、この背任罪は四十八年に公訴棄却と裁判所がしたのであります。
 続いて、その追訴を行った事件につきましては五十三年十一月に判決がなされました。その判決文を読んでみますとこれまた大変です。判決文をお持ちだろうと思いますが、要は、不法領得の意思なしというのが補助金適正化法違反についてであります。あるいはまた、組合合併に伴う異常な黒字分をそれぞれの組合で分配することは合併予備契約第八条でも認められ、県庁の指導等でもあった。農協理事会も会議で了解している。被告が領得したものではない。続いては、補助金の不正受給につきましては県庁側が欺罔されて錯誤に陥ったという証拠もない。県庁側の取り調べがほとんどなされていない。線下補償についての横領事件については、これは四国電力の高圧線の下になる農地に対する補償金を預かっておった、その中の金利十三万五千円を横領したということでありますが、このことにつきましても、これも犯意がない。そして結論としては、欺罔された者の捜査がなされていない。組合合併関係については指導した県庁や市の裏づけを行っていない。同時期の他の農協合併の利益配分も何も調べていない。特にこういうことも書いてございます。この昭和四十四年四月一日に徳島市農協に合併した農事放送共同組合というのはもうすでに四月一日に消滅してておるのだけれども、これが依然として存続するがごとき起訴状となっている。起訴状は、これが四月二十二日でありますが、四月十日、すなわち四月一日に消滅した農事放送共同組合に対して、四月十日に所有の現金、五月九日の同組合所有の現金とかいう言葉を使っていると言って、裁判所はこの起訴状を批判いたしておるのであります。
 そこで結論としては、先ほども申しましたように、捜査が不十分である、証拠が不十分であるということでこれを無罪にいたしたのでございます。地方裁判所は無罪の宣告を行いました。ところが、それにつきまして今度は徳島県の地方検察庁では談話を発表いたしております。これは新聞発表でございますので、どこまで真意を伝えておるか、私もつまびらかではございませんけれども、新聞の報ずるところによりますと、次席検事は、判決には一部不満も残るが、現段階では原判決を覆すだけの証拠がなく、控訴は断念する、また、事件捜査に不備、欠陥があったとの批判は甘んじて受けるという談話を発表しておるのであります。これは私は実は恐ろしいことだと思うのです。実に恐ろしいことだと思いますので、あえてきょうここで質問いたすのであります。刑事局長あるいは法務省当局は、この事件に対してどのような御感想をお持ちになっておるのか、お伺いいたしたいと思います。
#320
○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘の領家高蔵氏に対します背任、業務上横領、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律違反事件の経過、概要は、ただいまお述べになりましたとおりでございます。
 この事件は、先ほど御指摘の昭和四十八年六月に背任の点について公訴棄却の判決がございました。また、昨年十月にそのような部分について無罪判決がなされまして、それは当然私どもも速報を受けまして、判決書をよく検討したわけでございます。
 確かに、判決でいろいろ指摘されているような問題点に私どもも気づくわけでございまして、事件の詳細をその後報告を受けまして聞き取ったわけでございますが、私のいま感じておりますことを率直に申し上げますと、当時検察官としては、地方の小さい検察庁でございますけれども、正義感に燃えたと申しますか、検察がひとつやるべき事件であるという決意のもとに一生懸命熱意を持って捜査、処理に当たったものと私は思っておりますけれども、裁判の結果を私が見てみますと、やはり判決で言っておりますように、処理に当たって法律的な吟味が不足しておったことはどうも間違いなさそうでございます。それからさらに、その法律的な吟味が不足したこととの関連において、必要な捜査が尽くされていなかった面も指摘せざるを得ないわけでございます。そういう意味で、私は、この事件は検察の独自捜査、検察官認知事件の捜査のあり方として、将来にわたって、私ども初め全検察官が職務執行の適正を期し、また適切な事件に対する対応を行いますために一つのいい教訓を与えられたものと受けとめておるわけでございまして、この機会に、今後における検察運営を、万に一つも裁判所からさような御指摘を受けることのない、りっぱなものにしていかなければならないと感じておる次第でございます。
#321
○井上(普)分科員 検察当局はそれでいいかもしれません。しかし、私はこれは重大な問題を含んでおると思うのです。これは私は確認しておるわけではありません。しかし、世上一般に言われておりますのは、実はこれは投書事件によって県警察においても一年前に事情聴取をしておる。ところが事件にならないというので、いわゆる捨てた事件といいますか、そういうことも承っておるのであります。そこで若い熱心な検事がやってきまして、そしてこれまた投書によってこの事件を取り上げて、領家高蔵君、福本幸雄君を逮捕したのではありませんか。これは投書事件でございましょう。どうでございます。
#322
○伊藤(榮)政府委員 警察が捨てた事件をまた拾い上げたということを御指摘でございますが、詳細調べてみますと、お説のとおり、検察庁へ舞い込みました投書に端を発して捜査を展開した事件のようでございます。領家氏の事件のほかに福本氏の事件が派生的に出まして、そこで福本氏が組合長をしておられる見能林農協へ参りまして書類を押さえました際に、警察のものと思われる付せんがついておったということでございまして、その福本氏に聞いてみたら、一年ばかり前に警察に書類を預かられたことがあって、その後何もなく返されておる、こういう話があったそうで、その時点で検察としては、ああ、警察が前に関心を持っておった事件かなということを知ったようでございますが、その時点で改めて警察と連絡をしないでそのまま捜査を遂げた、こういう事情のように承知いたしております。
#323
○井上(普)分科員 私はこの事件を聞きまして、投書事件であった。恐ろしいのです。こんなことでやられるのであれば、投書事件はだれでもできますよ。投書事件でやった。それは福本氏を逮捕した後に初めて知ったということは言われますけれども、私も当時徳島におりまして、この事件の一切につきまして聞いております。先ほど私は、警察が調べたといううわさと言ってみましたけれども、私も確証があってあえてうわさという言葉を使ったのです。警察が手をつけたけれどもこれは事件にならないと言って放した問題を、投書事件によってやった。投書事件で背任、横領で起訴したけれども、これじゃ危ないというので、追訴追訴と五次にわたって追訴しているのです。そして、この背任罪について公訴棄却したときの判決文は何と書いてありますか。事件の一貫性がない。検察庁の説明には追訴の一貫性がないということすら指摘しておるではありませんか。私どもが考えますに、これは被疑者を逮捕したけれども、直捜事件でもあり、もし無罪にでもなったら大変だというので、次から次へ調べ上げていって、微細なる問題にまでも横領事件を加えておると思わざるを得ない。一例を挙げますと、二万八千円の横領、三万六千円の横領というのまで追訴の原因になっておる。私は、いま刑事局長が将来の独自調査の教訓としたいとおっしゃられた、そのとおりだろうと思う。そうあってほしいと思う。しかし、それは捜査技術だけの教訓であってはならぬと思う。われわれだって、どんな人間でもたたけばほこりはあります。もしわれわれが検察庁に、若い変な正義感のある検事にひっかかった場合、身辺を徹底的に調べられてごらんなさい。何が出てくるかわからない。これは古井法務大臣だってあると思う。こういうようなことをやられたら、まさにファッショじゃないですか。私はこの事件はそういう恐ろしさを感ずるのです。
 法務大臣、大体こういうような事件です。あなたはどう考えられますか。この事件はまさに検察ファッショの一つのあらわれだ、直捜事件であるがゆえに徹底的に罪にしなければならぬという意思が、意地がこれにあらわれておるのじゃなかろうかと私には思われるのですが、法務大臣、いかがでございますか。あなたは十分知りませんけれども、いま私の言っておることをまともに聞くわけにはいかぬでしょう。そういう気持ちにはならないでしょうが、恐らく刑事局長の言うことだったら御信用になるので、法務大臣の御感想を承りたいのです。
#324
○古井国務大臣 段々のお話を伺っておりましたり、また裁判所の見解もさっき伺ったようなわけですけれども、そういうところから見ますと、先ほども刑事局長が、反省をしなければならぬ、また他にもこういうことを起こさぬような資料にしなければいかぬと申しておりましたが、そのとおりであるとすれば、本当にこれはそういうことが起こらないように他にも戒めなければならぬと思うのです。そう悪意ばかりで始めたかどうか知りませんけれども、伺う限りでは、これは確かに反省の糧であるというふうに思いますね。
 ついでですけれども、どうしても権力に携わる立場におります者は、一人一人の立場というものを軽く考えやすいものでして、だから私は、ちょっとくどいほど人権人権と言うのですよ。人に言う前に、自分が権力の立場におる者はそういう考えを持てという意味において言うのです。皆さんに人権人権と言っているのじゃないですけれども、そういうわけですから、これはひとつ話をよく伺いましたから、われわれの反省の材料とさせてもらいたいと思います。
#325
○井上(普)分科員 そこで、いま法務大臣は人権とおっしゃった。そのとおりなんです。二人とも県農協の幹部なんです。片方の福本という人は当時県会議員だったのです。言いますならば地位もある方です。これで七年八カ月ともかく世の中を狭く考えながら過ごしてきたわけです。刑事局長さんは、これらに対する検察庁側としての反省でございましょう。しかし、この人権は一体どうするんだということになるのです。私はこの事件を最初から見ておりました。当時からこれは政治的陰謀じゃないかということを私は常に演説でも申しております。私らが演壇に立ちますと尋ねられる。座談会では、一体あの領家さんの事件はどんなですかと言われる。あれは政治事件だ、これは完全なる無罪になるに間違いないということを私が確信を持って言うことができたのは、警察が一たん捨てた事件を取り上げて、そして司法警察を使わずに直接捜査事件、いわゆる検事認知事件としてやった、ここに大きな無理がある。裁判所は必ず無罪を判決してくれるというように確信したから、私は言ってきたのです。案の定、四十八年には逮捕したときの罪名を公訴棄却しておるのです。この領家、福本両氏の事件の背景について私は憶測があります。私は推察するものがあります。しかし、これはあくまでも私の推察でございますので申し上げません。しかし、こういうように七年八カ月も無実の罪に泣いた。実は当時新聞に、でかでかと四面トップに大きく何日にもわたって報道せられた事件なんです。検察庁の一方的な発表を新聞は麗々しく書いたものなんです。そして七年八カ月たって無罪判決。しかも、その無罪判決は、証拠不十分である、検察側の捜査に大きなミスがある――こういうことで果たしていいのでしょうか。そして検察庁の一片の談話は、先ほども申しましたように、何と批判せられても甘んじてその批判は受けると、これだけなんですよ。この被疑者の人権は一体どうなるのです。大臣、御所見を承りたい。
#326
○古井国務大臣 先ほど来申したとおりに私は思っておりますもので、さあそれでその人権に対してどう埋め合わせをするか、こういうことであるかもしらぬのです。しかし、そこまでは私よくわかりませんけれども、とにかくこれはよく反省してみる、また他の教えにしてみる価値があるというふうに思っておりますので、御了承願います。
#327
○井上(普)分科員 私は本人にも、この事件を一つの大きい教訓にするんだと申されたならば――話のわかる人なんです。法務大臣あるいは刑事局長からこういうような言明があったと言いましたならば、恐らく了解してくれると思う。しかし、私らの立場とすれば了解はできない。特に直捜事件であるがゆえに、一番最初刑事局長にお伺いしたように、検事認知事件としてやったので恐らく〇・〇何%しか――ともかく検事認知事件としては絶対に無罪にしてはならない。その無罪にしてはならないという意識があって、この事件は追訴追訴といって五次にわたってやっているのです。これはやられたら、だれだって出てきます。そしてその事件には一貫性がないというのですから。それで、これらに携わった検察陣はいかなる反省をなさっておられるのか、あるいは行政的にはどういうような処置をとられるのか、お伺いいたしたいと思うのです。
#328
○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘をいただいております事件の結末を見ましたことにつきまして、私、現地の検察庁の者にかわりまして関係者の方におわびをいたしておきたいと思います。
 担当しました者につきましては、検察官の身分保障ということもございますけれども、何分事が人事に絡むことでございますから、こういう公の席でこうこうだというふうに申し上げるわけにもまいりませんけれども、御指摘の点は、先ほどの私のお答えからもおわかりいただけますように、私よくわかっておりますので、十分考慮に入れさせていただきたいと思います。
#329
○井上(普)分科員 この事件で一人の自殺者が出ておることも御存じでしょう。どうかひとつこういうような無理な捜査はなさらぬように、そしてまた、検察庁は一たん逮捕し起訴すればどうしても有罪にしなければならぬというふうな意地を出さぬように、それは若い正義感にあふれた諸君であれば、あるいは逮捕してしまえば、もしこれが無罪になったらとはやる気持ちもありましょうけれども、そこはひとつ抑えなければならない。そうしなければ日本はやがて検察ファッショになってしまう。帝人事件は、古井さんもよく御存じのとおり、砂上の楼閣ということになったのです。帝人事件を契機にして日本のファッショは進んだ――契機とは申し上げませんけれども、一つの現象としてなったことも検察陣は反省していただきたい。これは明らかに政治事件だと思っています。背景には、政治事件があった。今後検察当局は心して対処していただくよう強く要求いたしまして、終わります。
#330
○藤波主査 以上で井上普方君の質疑は終了いたしました。
 次に、安宅常彦君。
#331
○安宅分科員 法務大臣、またうるさいのが参りました。
 私さきに本委員会で韓国研究院あるいは国際関係共同研究所、もちろん共同研究所の方は元駐韓大使の金山政英氏がやっているのですが、いずれもこれを主宰している崔書勉という人は、日本の朴東宣と言われている。これは日本では皆常識なんですね。言うならば、私どもの認識では日本における対外工作――さきに統一協会などの対米工作が大変問題になりました。そのときに、日本でも、統一協会というところの池田文子という人ですか、この問題がフレーザー委員会から指摘されたときに私は談話を求められて、ある新聞に私の談話が載った。途端に池田文子という人から面会強要のあれがありまして、いやがらせの電話がじゃかすかあったのですが、言うならばこういう内政干渉の最たることをやっている人物――私はそう思っているのです。確信しているのですがね。これは韓国人の不正入国の問題で質疑をやったわけですが、調べれば調べるほど疑惑が深くなるわけなんです。きょうは分科会ですから、ことさらにどうのこうのというわけじゃありませんが、私ども一生かかってもこういう問題は取り組んで徹底的にたださなきゃならぬ、こう思っています。したがって、きょうはそういう立場から若干の問題について確認をしていきたい、こういうことで質問をいたします。
 そこで、まず崔書勉が主宰している東京韓国研究院並びに元駐韓大使金山政英が所長をしている国際関係共同研究所及び図書センターというものも経営しておりますが、これらに関する脱税事件について特に国税庁がいろいろと調べまして、結局使途不明金として処理した部分約四千万円を中心に、税法上の措置は別として、そのほかの立場で調査すべきではないか。警察もおいでになっているかもしれませんが、少なくとも事情聴取といいますか、補助金のことなんかどういうふうになっているのか、こういうことをやるべきではないか、私はそう考えております。
 こういう立場からまず大蔵省に聞きたいのですが、東京韓国研究院に対する韓国政府からの補助金と、それから韓国にある国際韓国研究院から送金があった分の金額。政府から補助金として来た分と、それから研究院から日本における機関に来た分とを年次ごとに国税庁から報告をしていただきたい。それから、ドルで来たのかウォンで来たのか、あるいは日本の円で来たのか、それから日本における外為銀行との接点はどうなっているのか、こういうことについてまず質問をしたいと思います。答弁願います。
#332
○山本説明員 ただいまお尋ねの補助金につきましては、二月十九日の予算委員会におきまして国税庁長官からお答え申し上げたことがございますけれども、その具体的な個別的な金額の内容につきましては、あくまでも個々の納税者の内容にかかわるものでございますので差し控えさせていただきたいと思います。ただ、長官が申し上げましたとおり、そういった資金につきましては税務上は適正に課税処理をいたしております。
#333
○安宅分科員 それじゃ外為の方の関係、答弁してください。
#334
○橋本説明員 為替管理法につきましては、個々の資金の送金というわけではなく、わが国の為替市場とか国際収支とか、そういう観点から調べておりますけれども、本件につきまして特に外為法違反の疑いがあるかどうか、私どもの方から当該資金の受領者である東京韓国研究院に問い合わせましたところ、これらの資金につきましては、日本にある外国為替銀行を通じてドルで受け取っておるという回答をいただいております。この点、当時の外為法令に照らし合わせてみて特に問題はない、こういうふうに思っております。
#335
○安宅分科員 私は法律に違反しているか違反してないかなんて、そんなことを聞いているのじゃありません。あなたにもこの間申し上げたとおり、日本における公益法人が韓国政府から補助をもらっているのですね。ですから、そういう立場で言うならば、どういう流れがあるかということは大蔵省は、もっと言うならば、外務省なんか当然もっと詳しく調査しておかなければならないことではないか、こういう意味で言っているのです。外為法に違反しているか違反してないかなんか言っているのじゃない。
 それから国税庁、向こうも言わない、だれも言わないのに、ある新聞なんか全部年次ごとのやつが出ておりますよ。何千何百何十何ドルまで出ておる。守秘義務を守らない人があなたの庁内におるのですか。国会にはいないけれども、新聞社にはおるのですか。どうなんです。長官と話してみたら、ちゃんと合うと言っておりました、あなたが言うように、言わないけれども。ただし、韓国の研究院から来ている分、政府から来ている分でないものは約三億四千万円である、四十九年から五十二年まで入っていますと。だから、それは年次ごとの内訳がわからないから私は聞いているのです。外国から援助をもらっているのですから、そのことについて、そういうものは違反であるとか違反でないとかは別、特に国税庁は脱税を調べたのですから、その金額はどのぐらいあるかということぐらいは答弁して何も構わない話じゃないですか。法務大臣、これは人権に関係ない。さっきみたいなあんな論争しなくてもいいことじゃないか、私はそう思うのです。国税庁、どうです。大蔵省、どうです。もう一回……。
#336
○山本説明員 ただいまお尋ねの補助金の流入状況につきまして新聞報道が行われましたことにつきましては、私も新聞を拝見して存じておりますけれども、どのようにしてそういう報道をなされたのか、私どもといたしましてはつまびらかでないわけでございます。
 なお、あくまでも税務調査によりまして知りました内容につきましては、まことに恐縮でございますけれども、法律上個々の内容につきまして私どもお答え申すわけにいかないわけでございまして、何分御了承いただきたいと思います。
#337
○安宅分科員 再度あなたに聞きますが、それでは新聞に出ている金額は、国税庁に申し上げておりますが、合っていますね。同じですね、どこから漏れたかは別として。
#338
○山本説明員 ほぼそのように近いものと承知いたしております。
#339
○安宅分科員 ほぼ近くではないですよ。端数まで合っているはずです。どうですか。
#340
○山本説明員 端数につきましてはつまびらかでございません。恐縮でございます。
#341
○安宅分科員 まあいいでしょう。そういうことを言わなければならない立場なんでしょうからね。やや近いのではなくて、ほとんど近い。ほとんどでもなくて、本当にそのまま、こういうようにあなたの顔色を見て私は理解します。ただ、三億四千万円という研究院からのもの、政府からではないものについては、三億四千万円というのはほぼ合っていますか。
#342
○山本説明員 ただいまの三億四千万という数字につきましては新聞報道で私拝見いたしておりますけれども、税務調査の結果、それと照合してどうであったかということにつきましては、大変恐縮でございますけれども、税務上の内容でございますので答弁いたしかねるわけでございます。
#343
○安宅分科員 まあいいですよ、あなたここで言わなくたって、私えらい人から聞いたもの。ただ、もっと具体的に言うと、四十九年から五十二年までの間に入っています、金額はそのとおりです、こうなっているんです。ようございますな。大体その辺でしょう。
#344
○山本説明員 私ここで断言することはなかなかできないのでございまして、まことに恐縮でございますけれども……
#345
○安宅分科員 大体そんなものかということで、さっき言ったでしょう、そんなものだということを。
#346
○山本説明員 ほぼそのようなものと承知いたしております。
#347
○安宅分科員 大蔵省の国際金融局、どうなんですか。これは私は不思議に思ったのは、何千何百何十何万、一の単位の三ドルまで端数がついているのです。だから、はてな、これはウォン貨で入ってきて、そしてドル換算を外為銀行は相場でやったから、だからそういう端数がついたのかなあと、こう思ったわけですよね。そういうふうに不審に思ったから私聞いたのですが、円で入ってきたのかドルで入ってきたのか、政府の分と研究院から来た分と答えてください。
#348
○橋本説明員 いずれもわが国にはドルで入ってきた、こういうふうに私どもは聞いております。
#349
○安宅分科員 それで、これは一体どういうようになっているんだろう。借入金があったり、経理がずさんで、それで穴埋めのために相当使ったような状況ですよね、国税庁から漏れ承るところによると。そういうために、脱税の分として、脱税という言葉がおかしいならば、使途不明金ですか、使途不明金としてどうにでも料理してくださいという意味のことを言った分は約四千万円しかはね返らなかった。膨大な赤字を背負っておったようですということになっておりますが、大体そのとおりですか。
#350
○山本説明員 使途不明金につきましては、約四千万という数字を先般長官がお答え申し上げたわけでございますけれども、この使途不明金につきましては、税務調査の過程におきまして解明に極力努力をいたしましたけれども、遺憾ながらその使途につきましてわからなかったわけでございます。
#351
○安宅分科員 いま長官が四千万円が使途不明金だと言ったのでしょう。答弁する立場にないのでしょう、本当は。どうなんですか、これは。いいですか、これは長官が言ったからいいのか、知り得た秘密は守秘義務だから、本当は長官も言っては悪いことを言ってしまったのか、どっちですか。
#352
○山本説明員 その計数につきましては、かねがね新聞報道等にもあったように承知いたしておりまして、そういった意味でお答え申し上げたと思います。
#353
○安宅分科員 だから、新聞の例をとってあなたに言ったんじゃありませんか、さっき。新聞に出たから国税庁長官が言ったとあなたは言う。同じ新聞で言ったことをなぜ言えないのです。理屈に合わないことは言わないでくださいよ。どうなんですか。
#354
○山本説明員 先ほど私は、そういったことで、ほぼそういう額でございますということで御答弁申し上げたところでございまして、そういう意味では先ほどの四千万の御答弁と考え方は一致していると思っております。
#355
○安宅分科員 だから、端数までちゃんと書いてあるのです、新聞は。ほぼじゃなくて、そのとおりなんでしょうと言っているのです。ただ、どうなんですか、ほぼじゃないでしょう。一致しているんでしょう。
#356
○山本説明員 ほぼ一致しているというふうに御理解いただきたいと思います。
#357
○安宅分科員 がんこな人だなあ。こんなところで時間を食ってもしようがない。まあいいでしょう。
 これは赤字の穴埋めのためにどんなことをやったかというと、やはり協力をしている民間の会社、個人、それから崔書勉個人からの借入金など膨大な借入金があったということです。それで、こういうことにつきまして、経理がずざんでどこに使ったか言えません、こういうふてくされたような答弁なんですね、この研究院なるものは。ですから法務大臣、どうなんでしょう。これは法務当局に聞いてもいいんですけれども、事情を聴取するとか、警察の人が来ているならば捜査等、私は疑わしいと思っているのですが、そこまでいかないということならば、事情を聞くぐらいのことはやってもいいんじゃないかと思いますが、両者から答弁願えればありがたいです。
#358
○伊藤(榮)政府委員 いろいろな御指摘がありましたが、まず脱税の問題については、国税当局から検察当局の方へ告発をされるというようなこともなかったようでございます。そういうわけで国税御当局としては、いわゆる刑罰に処すべき脱税とはごらんになれなかったのではないかと思います。
 しかしながら、先般も御指摘になりましたし、本日も種々御指摘がなされておるわけでございますので、これからまたいろいろ御指摘もあると思いますから、それらを検察当局に伝えて検討してもらうことにしたいと思います。
#359
○鳴海説明員 国税御当局におきます御措置ぶりについては先ほど国税庁の方からお話があったとおりでございますが、警察といたしましては、この点あるいは問題をめぐりまして、ただいまのところ何らかの犯罪の疑いがあるものか、あるいはないものか、いまだ関連する情報を把握していないということでございまして、捜査上の措置はとっておらないということでございます。
#360
○安宅分科員 それじゃ私言いますが、ちょっと触れましたが、池田文子という統一協会の日本における責任者が、あなたはおれに面会しろと議員会館を訪ねてきまして、あんなフレーザー委員会なんかごちゃごちゃやっているけれども、正式の金だ、何が問題なんだということでさんざんばら皮肉を言ってきたんです。それから今度はいやがらせの電話が山ほど来ているんですね。そういう立場から幾ら調べるったっておっかなくないんだなんて言うんだ。ですからそういう開き直り方をしている。崔書勉が言うのならまだ話は違う。池田文子なんという本来ならば統一協会に関係ない、韓国研究院とは関係のないところから来るくらいですから、緊密な連絡網があってやられる。私は国会議員として非常にふんまんにたえなかったですよ。そういうことを含めて事情を聞いてくださいよ、警察も。よろしゅうございますか。
#361
○鳴海説明員 警察といたしましては、犯罪の捜査という重い責任を負っているわけでございまして、もちろん私ども、いろいろな風評であるとかそういったものについて常々耳を澄ませておるということではございますが、しかしこれを言葉はともかくも、一つの犯罪の捜査という手続に持ってまいるということ、これは非常に人権にも重く影響する行為ではないか、そういうことで、そういったいろいろな端緒になるような事柄については常に耳を澄ますということではございますが、捜査ということについては慎重にやってまいりたい、かように考えております。
#362
○安宅分科員 私、予算委員の一人として、私が崔書勉からは言われなかったけれども、関係のないはずなのに、そういう東京韓国研究院なんぞに来た金は韓国政府から正式に来た金なのにへらへら言うなというふうな意味で、あなたは私と会ってそのことで議論しなければならない。どこへ出ても間違いのない金だ、何をよけいなことを言うんだ――これこそ私の人権が吹っ飛んでいったようなものじゃないですか。そっちの方に耳を澄ませてくださいよ。だから、捜査してくれとは言ってない。私はそこまでは言わないけれども、事情などについて聞いてもらえないかと言っているんだが、どうですか。
#363
○鳴海説明員 私ども犯罪の捜査に当たっているわけでございますが、いろいろそういうことで風評といったものにもちろん耳を澄ませてやってまいるということはお答えできるわけでございますが、しかし風評というものも(安宅分科員「いや、風評じゃないですよ、私のことは」と呼ぶ)そこで、耳を澄ましてやってまいることではございますが、ただいま現在、私ども捜査に移行すべき関連する情報を得ていないという現段階でございまして、これについては今後とも関心は持ってまいりますけれども、直ちに捜査という手続に入るということは申し上げられないということでございます。
#364
○安宅分科員 そういうことまで言っていないのですね。捜査の段階というのはどこまで広く解釈するのかわかりませんけれども、衆議院の第二議員会館の面会簿を見ればわかります、それで私の部屋まで来たんですから。そういうことについてわあわあ部屋の中で言っておったのです。それは日にちははっきりするでしょう、調べれば。なぜそういうことを言いに来たのかということくらいは、私の人権が侵害されるというか、非常にとんでもないことを言われたことについて、いま初めて言うのですけれども、そういうことについても事情は聴取していただけませんか。どうなんですか。向こうの人権は大変大切なことのようでございますが、私の人権は大したことないんでございますか。
#365
○鳴海説明員 繰り返しの言葉になる部分が出てまいりますけれども、警察としましては、先生のいまのお話なども、私どもの一つの捜査の端緒となる資料であるかどうかということにつきましても、これは関心を持たしていただきまして、そして私どもの警察の執行部におきまして、この犯罪の捜査ということに移り得る資料あるいは情報というものが入手できるよう努力をしてまいるという考えでおりますけれども、一般論として申しますと、単に新聞であるとか、あるいは週刊誌であるとか(安宅分科員「もういいですよ」と呼ぶ)よろしゅうございますか。
#366
○安宅分科員 週刊誌であるとか新聞であるとかじゃなくて、私個人が受けたことを例にして言っておるのですよ。それだけは念頭に置いてくださいよ。こっそりとあなた方にたれ込んだり何かしてないで、国会の場において事情を明らかにしておるのですから、一般論で片づけないでください。あなたがそういう態度だったらそういう態度で結構です。
 時間がありませんから、それでは次に、崔書勉が一九六七年八月一日、日本円並びにスイスの小切手で、金額にして約三千万円以上の分を持って日本から韓国に出国したため金浦空港で逮捕された事件、これはもちろん時効になっておるかもしれませんが、これは韓国のいわゆる日本の外為法みたいな外換管理法という略称でございますが、この法律と関税法違反にこの人は問われているわけです。スイスの小切手というのはどういう性格の小切手なのか。それから日本円を持ち出す以上は、もちろん異常に超過していると私は思いますが、当然これに対する日本の法律も韓国同様、量刑の違いはいろいろあるでしょうが、違反になるはずではないかと思いますが、法務省の刑事局長あるいは大蔵省筋から答弁を願えればありがたいと思います。
#367
○伊藤(榮)政府委員 韓国でのことでございますので、具体的な関係が私どもはっきり承知できていないのでございますけれども、お話によりますと、日本円、ドルあるいは小切手などで三千万円以上の金を持ち込もうとした、こういうことのようでございます。こういうことが事実であるといたしますと、当時の外為法による規制に違反しておることは間違いないんじゃないかと思います。
#368
○安宅分科員 これは私個人で新聞の記事や何かで言っておるのじゃありません。私、五十一年の二月二日、法務省に資料要求いたしました。これは法務省の資料です。これに書いてあるのであります。そして日本円かスイスの小切手かということは書いてありませんが、そのとき事情を聞いたところ、そういう説明がございました。こういうことでありますということで、そのときに説明をしていったわけですから……。名前は言いません。五十一年だから忘れた。そういうことであなたの方は知っているのであります。新聞ではありません。
#369
○小杉政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、この崔書勉が金浦空港で逮捕されまして、その後日本に入ってまいりましたのは、昭和四十三年三月に入国申請を行ってきたわけでございますけれども、その当時、実は私ども入管当局といたしましては、この人間が昭和四十二年八月一日に、金浦空港におきましていわゆる残刑執行の問題で逮捕されて、それでソウルの矯導所に収監されたという経緯は知っておったのでございますが、韓国のいわゆる外換管理法でございますか、これの違反の件で逮捕されたということは当時私ども存じておらなかったのでございます。
#370
○安宅分科員 そんなことはありません。スイスの小切手と円、全部詳しく報告し――それは前から知っておったのはわかっておる。だから再入国を申請してきたときに非常に長い期間がかかりました、こういうことを言っておるのでありまして、あなたは間違った答弁をしないでください。
 それからついでに言っておきます。そういうことが法務省はうんと多い。たとえば日野さんという人がおりますか。この人は崔重夏という人と崔書勉という人とは同一人物だということは法務省としては関知しておりません。知りません。こういう答弁を最近の国会でしております。もうすでにこの資料にはちゃんと書いてある。うそですよ。どうなんですか。
#371
○小杉政府委員 先ほど先生が御指摘になられました資料というのは五十一年の資料だろうと思いますが、五十一年当時の私どもの情報としてはそういう事実を知るに至ったわけでございますが、崔重夏と崔書勉とは同一人物であるということは、たとえば日本に不法入国してまいりましたあの当時、私どもは全く知らなかったわけでございます。それで、現にその人物であるということが判明したのが――判明したと申しますか、韓国で問題になりましたのが例の四十二年八月一日ですか、金浦空港において逮捕されたその時点においてわれわれは初めて知ったということでございます。
#372
○安宅分科員 だから私は最近のと言ったのですが、ここでさっき立って質問しましたね、土井たか子さんの質問に対して、あなたの方の方が、現在でも知っていないという答弁をしているのですよ、名前を二重に使っていることは関知しておりませんと。
 それからあなた、何回もがんばるけれども、今度あなたの問題に入りますが、再入国するときにいろいろ問題があって、そのために入れるか入れないかで法務省の中で議論になったのでしょう。そういう意味のことをこの資料には書いてありますから、その当時知らなかったとは言わせないのです。とっつかまったときは知らなかったかもしれぬけれども、再入国したときにはすでにわかっておった。刑の執行を免除されて来たのでしょう。しかも一九四八年だかの恩赦で刑がなくなっておったということがわかった。それは何かというと、崔重夏という人物と同じだということだからとっつかまってそういうふうになったのだ。そのいきさつみんな知っていて、その当時知らなかったとは言わせないですよ。うそばかり言うなと言うのだ。
#373
○小杉政府委員 昨年の、あれは外務委員会であったと思いますが、私どもの日野課長が答えておりますのは、崔書勉と崔重夏なる者が同一人物であるかどうかをわれわれとしては確認する手段がない、ただ、金浦空港事件を契機にいたしまして韓国側において彼らが同一人物だと言われている事実は知っておる、そういう趣旨であります。私どもとして同一性というものを確認する手段がないということを申し上げたはずでございます。
#374
○安宅分科員 そんなことありませんよ。あなたの答弁だったらますますおかしいではありませんか。そういうことも知らない、関知しない、関係ないということないでしょう。同じ人物だとわかったから入れるか入れないかで論議になったのじゃないでしょうか。そんなことは当然じゃないでしょうか。私の言いたいのは何かといいますと、刑の執行停止があっても殺人犯だということはわかっている。恩赦だから無罪でしょうね。だけれども、この人がどんなことをやっているのか、どういう人かということを調べたら――半年くらいかかっているのですな、期間満了後再入国を許可する場合に。慎重に検討した結果入れたのでしょう。入れたことについて文句は言わないけれども――いや、文句言いたいところだな。そういうことをわかっておって入れたということについて、私は不満を持っているのですよ。そういうことです。あなた幾ら抗弁したって、後で議事録見ればわかること。確認だからきょうはいいでしょう。そのうちうそついたことはきょうの議事録と全部照合してもう一回あなたと渡り合わなければならないことを残念に思います。
 そこで、これは当時知っていたのですから、政治論ですから大臣に聞きたいのですが、密入国してきて、亡命的なものに類する人だというので、初めそういう主張をしたから日本に密入国しておった者でも入れたのですよ。そうしたら、金浦空港で何年か後にとっつかまってしまった。そしてその当時は亡命なんということはないですよ。いまの朴政権とは緊密な連絡があった。政治亡命も何もない。前の入国したときの理由はすでに消えているのです。しかも外為法違反の疑いがある。そういうことをやった人がもう一回入るというのは私どうしても納得できないのでございます。まこと向こうへ行ったら殺されるわけじゃないです。今度は刑の執行停止になって、もう終わりなんですからね。初めは亡命に類するようなそういう立場だから私は困るというのでそれを認めた。法務大臣が認めたのですから……。密入国したのを申告してきて、それでわかったけれども、強制送還しようとしたら、おれは亡命者だという意味のことを言ったから、日本に置いてやった、初めはこういうのです。この事件が起きてからは、もうすでにそのときは李承晩の政権から張勉の政権からずっとかわっていまの朴政権の時代になっているのですから、刑の執行停止をされているのですから、亡命者でも何でもない。しかも日本の円を多額に持ち出してみたり、スイスの小切手を持って行ったり……。後で大蔵省に確認をとっておきますが、どういう性格のものか、調べてください。それをやった者がもう一回再入国するときは厳しくやらなければならないのが本当じゃないでしょうかね。どうでしょうか、法務大臣。亡命者としての理由はなくなっているのです。
#375
○小杉政府委員 ただいまの先生の御質問の趣旨が必ずしも明確に理解できないのでございますが、確かに最初に彼が日本に入りましたときは、反李承晩活動をやりまして逮捕令が出るとかいろいろ迫害を受ける可能性がございまして、いわゆる政治亡命的な申し出があったというのは事実でございますが、二度目の昭和四十二年八月一日にわが国の再入国許可を得て韓国へ帰りました際は、たまたま現地で逮捕されるというような事態が起こったものの、当時彼はかなり自由に韓国と日本の間を往来しておったわけでございまして、政治亡命的な背景というのはその時点においてはなかったということでございます。
#376
○安宅分科員 だから最初の理由が消えていることは前からわかっているくせに、今度は大丈夫なんだから向こうに帰ってくださいというのが本当じゃないかと言っているの。
 法務大臣、どうですか。もう逮捕される前から何回も行っているの。計算してみたら、いままで、一九六一年以来百六十八回行っています。この人、日本にいるときなんか少ないの。後で調べてくださいよ、大臣。私、資料を出してもいいの。こういう人が逮捕されてからの再入国というのがおかしいと言っているのは、逮捕される前からだって政治亡命だ、政治亡命だと言いながらあなた方を偽って入ってきて、そしてその事由がなくなってものほほんとして置く法務省なり日本の政府が間違いではありませんかということを含めて言っているのです。どうです。何回も言っているんだもの。
#377
○古井国務大臣 よう調べておきます。
#378
○安宅分科員 大臣、調べてみて、おかしいなと思うときはおかしいなということを連絡、おかしくないというのだったら、私に連絡していただけますか。どうですか、大臣。
#379
○古井国務大臣 よく研究してみます。
#380
○安宅分科員 苦しそうな答弁ですね。
 それから、いま少し別な問題に入りますが、大都君、例の処分された人の愛人と言われている徐晶珍という女の人は大都君がソウル在勤以前から日本に出入りしているのですね。商用、それから研修、観光、親族訪問、来るたび来るたび違っているのですよ。あの人は大都君と仲よくなったから入ったのじゃないのだ。ようございますか。だから、この問題、非常に背景がおかしいと思っているのです。この女の人の任務は、何かスパイもどきの、そういう行動ではないか。役割りもそういうことではないかと私疑っているのですが、そういう意味で言えば、何か大都君こそ犠牲者だと思うのです。背景を隠すための犠牲者みたいに私には考えられるのですよ。この人の分になると、ほかの人と違って、大都君がソウルにいる前の出入国の資料を出してくださいと言うと、入国の事情はつまびらかにならずという不詳、それから身元引受人はわからない。この人に限っては全然わからない、わからないで大体来ているのですよ。あとの人は皆わかっているんだよ。それはおかしいと思うのですが、そういうことはあり得るでしょうかね、大臣、どうですか。
#381
○古井国務大臣 あなたがいろいろ調べたようだから、ひとつ調べておられるところを教えてもらいます。それでよく参考にします。
#382
○安宅分科員 では、法務大臣を近日中に訪れまして詳しく説明いたしますが、聞いてくれますか、どうですか。
#383
○古井国務大臣 どなたでもお目にかかっておりますから……。
#384
○安宅分科員 今度は入管の事務当局に言いますけれども、私は確信を持っておるのですよ。身元引受人というのはだれであるかということについてはあなた方絶対に言わないですね。これは、私は確信あります。ですから、いつまでも隠しおおせるおつもりでしょうか、どうです。
#385
○小杉政府委員 私ども実はいろいろ過去の資料を調査いたしたんでございますが、特に徐晶珍の入国申請につきましては、法務省において承知しております身元保証人は、結局査証発給につきまして外務省から事前協議のあった件に限られておるわけでありまして、それは先般来問題になっておりました二度の来日の際のものでございます。それで、そのほかの入国事案につきましては、法務省に事前の協議が行われることなく、外務省限りで査証が発給されておりまするので、私どもとしては実は承知していない。うそも隠しもないところでございます。
#386
○安宅分科員 外務省から法務省に協議のあった分もないのです。もちろん外務省、現地で査証発行した分は一年限りで焼き捨てたと言っているからこれはないかもしれませんよ。そうでない分についてもあなたの方ではつまびらかならずという回答が来ている分がありますから、きょうは議論しませんから、後で突き合わせてみましょう。いいですな、どうですか。
#387
○小杉政府委員 結構でございます。
#388
○安宅分科員 それからついでに李丙允のことです。李丙允という人はもと韓国の外務部におって、法務部におって、それから現地採用で駐韓日本大使館に採用されて、それで便宜を計らってもらって日本に入ってきている。入国の理由は、在日居留民団に就職のためとなっています。それ以来五、六年日本におってほとんど大阪で活動しているようであります。もともと在日居留民団というのは在日居留民がやっている組織なんです。法務部や外務部におった、しかも、日本大使館がどういう縁故でこの人を採用したかわかりませんが、日本大使館におった人が、在日居留民団に就職するという理由で入るときには慎重な考慮が払われなければならないはずなのにそれを認めております。だらだらとそれから五、六年ですね。戸籍法が明るいとか明るくないとかという理由なんだそうですが、いまおります。そういうことは任意団体で、そして在日の外国人がやっている団体の中にそういう人をもぐり込ませるようなことは本当は正しくないと思いますが、大臣いかがでしょう。
#389
○古井国務大臣 どうも事実をつまびらかにせぬものですから、あなたの話を聞くといろいろなことがあるようですね。けれども、こっちはつまびらかにしてないものだから、その事実について何とも言えないけれども また事実をよく聞いて、調べてみましょう。
#390
○安宅分科員 これは法務省からどういう御質問があるかということで盛んに聞きに来るんですね、本当のことを言いますと。その人たちと話したときですが、やはり在日韓国人の団体ですから、日本にいない韓国人がその枢要な地位に座るなんということは、本来原則から外れておることだなということを漏らしているくらいに不思議な現象なのではないかと私は思います。どうですか局長。
#391
○小杉政府委員 先ほど先生もうすでに実態についてお話がございましたが、結局……(安宅分科員「おかしくないかおかしいかだけでいい、時間がないんだよ」と呼ぶ)私は特におかしいというふうには認識いたしておりません。と申しますのは、当人の就職目的というのが、この方の韓国法務部あるいは日本大使館に勤務しておったという経験を生かして在阪居留民の戸籍、出入国関係の事務というようなものを担当させるということでございまして、少くも民団の本部の活動内容等から雇用の必要性があったのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#392
○安宅分科員 しかもこの人の身元保証人がまた金山政英――その都度によって違いますが、金山さんが韓国研究院の例の崔書勉に頼まれて、大都さんに、だれか従業員を世話してくれないかと言った程度で、おれは知らない人だけれども身元保証人になったという金山さんがまた身元保証人になっているんです。ようございますか。そのほかにこの人の傘下にあった人々がいまどういう活動をしているかについて、まだ証拠がはっきりしていませんからきょうは言いませんが、その背景は逐次今後あなた方に注意を喚起するつもりで言うことになるでしょう。いまのことは原則としてはおかしいんだという意見なんですよ。あなたは原則としておかしくないと言う。大変な違いですな。月とスッポン。そういう考え方は、国会でたてまえと本音があるらしい、さっきの大臣みたいに。だけれどもそんなことはあっさり、おかしいというんだったらおかしいな、だけれども事情があるのでしょうぐらいなことを言っておけば、あなたもりっぱなのよ。おかしくないなんて何だい。そういうことを今度はっきりしてください。
 それから、次に確認しておきたいことは、財団法人アジア技術協力会というのがあります。これは理事長が金山政英、この設立の目的、こういうものはわかっています。それから外務省の資料によってどういう事業をやっているかということもわかっています。これは一九七四年に設立されました。また東京韓国研究院なるもの、そういうところに韓国政府と韓国にある国際韓国研究院から金がくるようになったのは一九七三年から。しかも金大中事件が起きたとき、大体こういう年から設立をされています。目的には日韓両国を初めアジアの民族の友好のためにいろいろなことをやるとかいろいろ書いてありますが、ほとんど九九%まで韓国のことをいろいろやっている公益法人であります。外務省、そのとおり理解してよろしいか。
#393
○大鷹説明員 ただいま安宅先生おっしゃったとおりでございます。
#394
○安宅分科員 どうもあなたに出てこられると、大鷹さんから大変朝鮮の問題でお世話になっているから余り言いたくないのですけれども、どうなんですか。こういうものは、私が聞くところによると、一千万円の基金は協力してくださる会社、そういうところあたりから募集して集まったそうですね。それで運営その他についてはどういうところからの収入によってやっているのでしょうか。大体大まかなところの中間報告として資料提出に応じていただいておりますから、詳しいところは、わかっていないところは後ほどすべての事業の内容、それから招聘した人員、どこに訓練工としてあるいは研修者として招致したか、あるいは向こうにこちらの人を紹介してやったりした事業、人名、そういうことまですべて私に報告できるような立場にあるでしょうか。特に私指摘したいのは、あなたの外務省の方から出てきた資料では収支決算が出ています。四十九年総収入額六百六十五万かっきり、総支出額六百六十五万かっきり、五十年、収入一千四百七万八千五百円、支出も同じ、五十一年、収入一千四百三十五万四千円、支出も同じ、五十二年、収入一千四百十二万七千九百円、支出も同じ、しかも最後の方はゼロ、こんな収支決算というのは世の中にあるでしょうか。そんなことがあるでしょうか。どう思いますか、大鷹さん。
#395
○大鷹説明員 この協力会の運営は会員の会費と一般の寄付金等で賄われております。
 それで決算の状況、私どもの資料に基づいていらっしゃると思うのですけれども、ただいま先生おっしゃられたとおり、収入と支出がぴしゃりと合っているという点御指摘がございました。これは、こういう会を運営する人たちというのは、収入の分をできるだけ一〇〇%使いたいということでございますので、ぴたり合っているということは彼らがよくやったということじゃないかと思います。
#396
○安宅分科員 それは詭弁というものだ。何ぼがんばったってそれは違うのですよ。繰越金とか、皆あるはずですよ。そういうことが書いてないから帳じり合わせたその内容を報告してないんだというなら理屈はわかる。何ぼ努力したって一銭一厘間違いなくぴたりと合うなんて、しかも端数がついてない、ゼロが三つか二つ必ずついている、こんなばかな収支決算というのは世の中にない。つまり非常にずさんな経営をしているということです。
 これは外務省の許可した公益法人ですね。
#397
○大鷹説明員 これは外務省が認可した公益法人でございます。
#398
○安宅分科員 それで外務省が補助金を出していない。
 会員というのは何人ぐらいいるのですか、協力している会社とかそういうものが会員なんですか、どうなんですか。
#399
○大鷹説明員 先ほど安宅先生からこの財団のいろいろな詳しい中身については、追って調査して知らせよ、こういうお話でございました。現在私どもお手元に差し上げた資料、さらに詳しいものを入手すべく調査をいたしております。ただいま御質問のあった会員の氏名あるいは人数、こういう問題も私どもいま調べているところでございます。
#400
○安宅分科員 先ほど私のところに来た人の話、ちょっと気にかかることがございました。この協会の同意を得なければ発表できませんという意味に通ずる言葉がありましたので、外務省が認可した、麗々しく「外務省関係公益法人等一覧表」、こういうものが大臣官房総務課が出しています。この中に書いてある公益法人ですね。この同意を得なければ資料は出せませんなどという立場にはないはずでありますから、そういうことをおっしゃらないでいただきたいと思います。あくまでもこれは中間報告ですと言ってきましたから、ただいま大鷹さんがおっしゃったように詳しく御報告ができるものと私は理解しておりますが、それでよろしゅうございますね。
#401
○大鷹説明員 こういう公益法人の詳細につきましては、これを公表するに際してはやはり関係しております個人とか法人のプライバシーとか、そういうものにかかわる可能性もございますので、その個人及び法人の事前の了解を得る必要があると考えております。
#402
○安宅分科員 相当の金額ですから、会社の寄付や会費だけでやっているというならば、私は相当の会社から相当の金を出してもらっていると思いますよ。ですから一千万円の基金もさることながら、その会社は裏金から出したか表金から出したか、これだって相当問題でございます。ですから私どもは、これは公表したり何かしないことを条件にしても結構ですから、ぜひひとつ知らしてもらいたい。
 なぜ疑いを持っているかというと、さっき四千万円の使途不明金などというものが片方では出てきた。経営しているのは同じ人ですよ。その人は前に総務長官なんかやられました参議院の植木さん、この人も理事になっていますね。それから韓国系の信用金庫ですか、理事長をやっている許さんという大金持ちの人もおりますね。ロッテの親分の重光さんなんかもおります。ほとんどあとは全部理事は韓国人ですよ。アジアの人で、インドネシアだとか中国だとかタイだとかは一人もいない。こんなもの設立の目的と違うでしょう。一体どういう団体なのかということさえも非常に疑いの目をもって私は見ていますから、外務省はこういうことはプライバシーの問題があるから公表はできないなんて言うが、麗々しくこういうものを出しておくくらいの団体ですから、はっきりしていただきたいと思うのです。疑いの目をもって見られないようにしていただきたいと思うのです。いかがですか。
#403
○大鷹説明員 いずれにいたしましても、今後できるだけ早い時期に調査を行いまして、可能な範囲内でその結果をお耳に入れることにいたしたいと思います。
#404
○安宅分科員 法務大臣、最後ですが、私はばらばらで、ずうずう弁で言ったから、あなたはちょっとわかりにくいかもしれませんが、私は後で話を聞きますとおっしゃいましたので、非常に光栄に思っております。先ほど非常に気にかかるようなやじを飛ばしまして申しわけありませんが、とにかく私は真剣なんです。あなたがおっしゃった韓国に対する過剰サービス、これは本当にあなたの発言は正しいのですよ。ですからこういう問題について、知らない人の保証人になっている元韓国大使があったり、知らないはずの人が日本から帰るときにパスポートがなくなったのをまた再発行するときの保証人になってみたり、先ほど言った在日居留民団の役員をしている人を入国させるときも身元保証人になってみたり、いろいろな背景をずっと系統的に一覧表にしてわかりやすく出しますよ。そうすると、その背景というものはいかに汚ないもので恐ろしいものかということが大体わかるんじゃないでしょうか。私はそういうことを非常に心配しているのです。
 日本の外交といいますか、これは外務大臣がきょういないから言えませんけれども、非常に心配なことが多過ぎるのです。いまの外務大臣はなかなか姿勢がいいようですし、もともとこういう問題について民主化をしなければならないと、政治家の一徹の信念として持っておられる人が法務大臣の時期にこそ相当大きな解決をしなければならないな、私はそう思って、きょうはその準備のための確認をしたのであります。あなたが先ほど申されました、そういうことについて詳しく聞かせてくれ、その上でやってみましょうという発言を私は非常にありがたく思います。
 私どもはただ政府をいじめてやろうとか、外務省や法務省をいじめてやろうとか、そういうことではなくて、たとえば先ほど言ったように大都君が処分された、田之上君が処分されたその理由だってどうも薄弱な点があり過ぎる。在留期限を延ばすときの手続に続柄が書いてなかったとか、住所が書いてなかったとか、手続のちょっとしたきず、女性がおったとか、そういうことだけで免職になったりするものでしょうかね。何かあの人たちには大きな魔の手があって、その中で動かされている人たちのような気がしてならないのです。このことを非常に私は心配するがゆえに、あなたに詳しく――あなたは専門家ですからね。中国問題や何かで難儀した専門家ですから、そういうことについてあなたの御高見を承りながら私は御進講を申し上げたいと思いますからよろしくお願いいたします。
 これで終わります。どうもありがとうございました。
#405
○藤波主査 以上で安宅常彦君の質疑は終了いたしました。
 次に、薮仲義彦君。
#406
○薮仲分科員 最初に、大臣にお伺いしたいことがあるのでございますが、長年法曹界で活躍された静岡県弁護士会の鈴木信雄弁護士、この鈴木弁護士は現在八十歳という御高齢ですが、弁護士生活も五十有余年、その間静岡県弁護士会長あるいは日弁連の副会長、関東弁護士会連合会理事長等を歴任なさって、現在でも非常にお元気で第一線で活躍をしていらっしゃる方でございます。このように多年にわたって法曹界に幾多の功績を残してこられたこの方が、司法の適正、円滑な運営のために、裁判所の予算の増額等を含めまして法務省や最高裁判所当局に長年、何回となく要望をしておられるのでございますけれども、このことについて大臣は御存じでございますか。
#407
○古井国務大臣 鈴木さんからは、個別的にもわれわれのところにも書面をいただいたこともありますし、それから聞き及んでもおりますし、あなたがおっしゃったように、静岡の会長をされたり、日弁連の副会長をされたり、非常に長い経験も持っておいでになるし、人柄もりっぱな人のように私は聞いて、そう承知しておりますので、そういう方が本当に自分の体験やまじめな立場からおっしゃる意見というのはとうといと思うのです。裁判官の数が少ない、これは鈴木さんのみならず、そこが裁判が遅くなる一番のもとであるとか、ポイントだということをおっしゃる方はたくさんあるのであります。非常に傾聴して、お話を聞いておるというようなことであります。
 そういうわけですから、この問題に対しても、最高裁におられた横田さんは、裁判官の増員という問題が一番の問題だということを、あれは何かに書いておりましたな。これは非常に重要な点だと思っております。
 ただ、私自身は知る機会がまだ少ないものですから、聞いておるぐらいのもので、自分の体験ということでそこまでは認識は十分徹底しておらぬので、これはよく考えてみなければならぬと思っております。
 お尋ねはいろいろあるかもしれませんが、とりあえずそういうことを申し上げておきます。
#408
○薮仲分科員 いま大臣の御発言の中にございましたように、いみじくも鈴木弁護士も一番懸念し、指摘しておられましたのは、最近裁判所に係属する事件が非常にふえておる傾向にあります。やはり国民のためにも、こういう事件を適正、迅速に処理する上で、裁判官の数がいかがですかという点、少なくはないのかという点は、確かに非常に懸念していらっしゃいます。
 それともう一点、三権分立の立場を踏まえた上で、やはり適正な裁判の運営ということから、鈴木さんは、裁判所の予算獲得について歴代の法務大臣が非常に努力をしていらっしゃるということは十分理解はしておられますが、さらに予算獲得について御努力をいただきたい、こういうことがあの方の大きな念願でございますが、その辺についての大臣の御決意を伺わしていただきたいのでございます。
#409
○古井国務大臣 御案内のように、いまの日本の体制では、裁判官の数がこれで適当か足らぬのか、こういうことはまずもって最高裁が考えるべき問題でありますね。しかしながら、われわれは国会に対しては、裁判官の数の問題にせよ、責任を持って説明をしたり応答しなければならぬ、責任を負わなければならぬ立場におりますから、最高裁だけのものだと言ってしまうわけにはいかぬ立場におるわけであります。その辺はよく考えて、最高裁の考えは尊重しなければならぬ。けれども、われわれも無関係だと言ってはおれない。こういう立場で、この問題にはわれわれも力を入れなければならぬ、そう思っております。
 ただ、増員の問題になりますと、いまお尋ねというわけでもないけれども、数だけ、定員だけをふやしたって、給源があるかどうか、いい人が得られなければ仕方がないですし、また、数だけそろえても能力、素質が整わないと、数だけではどうにもならぬことでありますし、それから裁判の運営手続、こういうことも考えなければ、裁判が迅速に処理できるということにもなりませんし、そういうこともこれはあわせて考えないと、裁判所というものをより有用な、皆が信頼する機構に持ち上げることはできないだろうと思うのです。そういうことも含めてよく検討したいと思っております。
#410
○薮仲分科員 どうか国民のためにも、鈴木さんが私心を捨ててそのお立場で要望していらっしゃることについて、何とぞ今後とも特段の御努力をいただくようにお願いをいたしておきます。
 それでは、ちょっとこれは大臣の直接の所管ではないので申しわけないとは思いながら聞くわけでございますが、スモンの問題についてお伺いしたいわけでございます。
 この問題、現在係争中でございますので、控訴等の問題になりますと厚生大臣から協議を受ける、そして控訴について、するかしないかの判断を協議なさるという立場から、大臣の見解を伺っておきたいのでございますが、私は法律の専門家ではございませんので、この問題を法律的に大臣とお話し合いする気はございません。これはやはり国民感情といいますか、一般的な国民の受ける感じ、われわれで言えばいわゆる政治的、行政上の観点から大臣の見解をこの際伺っておきたいと思います。
 冒頭に、これは大臣にお伺いしたいのは、先般二月二十二日に広島地裁の判決がございました。これを含めて四つの地方裁判所の判決が出まして、原告勝訴、国及び製薬会社の責任を明確にするという点では、各地裁の判決は多少相違がございますけれども、やはり共通している判断だろうと思うのでございます。この点を厚生大臣から協議を受けて控訴に踏み切られたと思うのでありますが、やはり国として上級審の判断を仰がなければならない、これは大事な問題だと思います。ただ、これを一般的にわれわれ国民の側から感ずる問題は、法廷で争われているこの法廷の論争よりも、四つの地方裁判所で判決が出た、しかも同じような形の判決でした。国民全体の受ける影響というものは非常に大きいものがあるし、そういう国民感情というものをやはり行政の中で無視できない。私がなぜこれを取り上げるかというと、一番懸念しますのは、これからまたどんどんとことしも判決が出ていくと思うのです、結審されるところもございますから。やはり国民の側が素朴に受けておりますのは、これはやはり製薬会社が悪いのですね、薬を認可している国の責任も避けられないでしょうねと、こういう感じが素朴な国民感情だと思うのです。もうそろそろこの辺で、裁判するよりも、長年裁判で苦しんでいらっしゃる患者さんを救ってほしいな、もう裁判なんかやめて何とかならないかな、こういう感じがだんだん広まっていくんじゃないか。私のような、直接この問題と余り関係なかった立場の者にもだんだん事柄が波及してくる。ということは、判決がおりるたびに、これはかえって解決がしにくくなるといいますか、国にとってはマイナスになるんではないかと私は思う。そういう点から、まず、この問題解決について、法務大臣としてのお立場からどのようなお気持ちでいらっしゃるか、ちょっとお伺いしたいのです。
#411
○古井国務大臣 この問題につきましては、また必要に応じて専門的な立場から事務当局から補足してもらってもよいと思っておりますけれども、申すまでもなしに、法務省は裁判を引き受ける窓口みたいになっておるわけで、ちょうど弁護士さんみたいな立場ですね。依頼人は厚生省なんですね、実態を握っておるのは。厚生省の考え、あそこの政策というものが一番ウエートを占めるわけでありますね。そこで、われわれの方はそういう立場ですから、厚生省を差しおいてかれこれ言うのは差し控えた方がいいかもしらぬと思うのであります。
 ただ、せっかくお尋ねでもありますので、少々枠を外れているかもしらぬとも思いますけれども、こういうふうに裁判に持ち込んで、あそこで長いことかかってこの問題を、具体問題を処理していかなければならぬというのはどういうものか。行政的にこれを処理するという、鑑別する、そういう姿勢はつくれないものか。それで、鑑別した結果に基づいてこういう処置をするというような、そういうことをやることができたら、裁判に持っていって、大ぜいで持っていって長いことかかってという、そういう煩わしい時間のかかることをしなくても済むわけです。そういう点は、厚生省の方でも考えてきておられるように私は感じておるのです。そういう考え方が発展するように、私は非常に希望するわけであります。
 ただ、とりあえずの訴訟の問題になりますと、四つも判決が出て、下級審ではありますけれども、一つの方向が大体出てきておりますね。国も安全性については責任を負わなければならぬという方向は出てきておりますね。これからこの方向が変わってくるとは私には思えない、大体方向が出たような気がするのです。そういうことでもあるから、さっきのような行政的な政策を考えることは、もう時期に来たと思うのですが、いまの当面の訴訟の問題は、今度も控訴をやめたらどうだというような御意見もありました。けれども、これは、まだ次の段についての準備もできておりませんし、どうして処理するかということが欠けておるわけです。そうすると、やはり裁判の道でもっていまのところこれは処理していくしかないというようなことでもありますし、そういっても、まだ下級審の裁判なものですから、安全性に対する責任についてもまだ理論的にも詰めなければならぬ点もあるようであります。そういうことは裁判でもっと詰めたらよかろうと思います。
 それから、広島は広島ですけれども、ほかの裁判所で控訴して現在係属中というような事情もありますので、この控訴そのものについてはすぐさまここでもうやめてしまえとまではちょっといきにくいように思うのですけれども、ひっくるめて今後について考えるべきじゃないだろうか、そういうふうに思っております。
#412
○薮仲分科員 大臣に重ねて聞くのもいかがかと思うのでございますけれども、大臣の言わんとすることはよくわかるのです。
 そこで、もうちょっとお伺いしたいのは、広島地裁の判決等を見てだれしも感じたと思うのです。地裁といえども裁判官が三分の二の仮執行を認めている。通常こういう判決の場合は、三分の二というのは相当思い切った裁判官の決定じゃないか。ということは、ある意味では上級審でもこの判決が覆ることはないだろう。よほどの確証といいますか、確信を裁判官はお持ちじゃないかなというように私も感ずるのです。そうすると、いま大臣おっしゃいましたように、国の責任を明確にしなければならない、いわゆる国賠法の精神がある。憲法十七条に基づいてのことですから。最近は国賠法の精神も、昔のようにお上のやったことは間違いがないということでありません、主権者の国民の皆様の立場に立って、国のやったことにも責任がありますよ、このような形で、民法の不法行為の賠償と同じような理解のされ方がある意味では定着しているのは事実です。と同時に、このように地裁が、いろいろな判決、ばらばらでございますから、これをもとに解決しようといっても非常に困難だ、控訴しなければならないという大臣のいまの御発言、わかるのですが、私が言いたいのは、時期もそろそろ来ているという大臣の御判断にありますように、このような広島地裁の判決を見ておりますと、もう本当に時期は来過ぎているんじゃないか、ある意味では控訴を早く取り下げてほしいというのは事実です。私も取り下げたらどうですかと、こう申し上げた。しかし、条件が整ってないからという立場はわかります。それなら、私は、早く救済のための患者の方と合意できる条件を、むしろ大臣の方からも、このような判決の趣旨からして、いつまでも国が争うべきじゃないのじゃないかということを厚生大臣と積極的な御協議をいただけないか、なるべく控訴取り下げを含めて、早く解決できる協議をできないか。これは私、厚生大臣にもこの分科会で質問してございますので、大臣のそのお考えをちょっとお伺いしたいと思うのです。
#413
○古井国務大臣 いまの御発言の趣旨はよくわかりますので、私の方としても、厚生省とよく前向きに相談をしたいものだ、そう思っております。
#414
○薮仲分科員 大臣のその御答弁を聞いて、私も一日も早く患者が救済されることを望んでおる一人でございますから、それで終わりたいところでございますけれども、ちょうど厚生省の方を呼んでございます。私は国民として素朴な形で質問いたしますから、今後のために、厚生省の薬務行政上、法律的に詳しくない方、いわゆる行政を信頼している多くの国民の皆様にわかるような表現の仕方でお答えをいただきたいと思うのです。
 一つは、われわれはいわゆる局方に収載されている薬は安全だという一般的な国民感情を持っております。いわゆる薬屋さん、薬局等で売っている薬は、用法、用量、医師の指示に従って飲めば安全です、あるいはまたお医者さんへ行ったときこれを飲みなさいと言って袋に入っている薬、これは少なくともその裏には厚生省が認可していらっしゃる、認可してくれているんだ、だから、薬に対する、安全に対するその裏づけが国民感情の中にあって、国民は薬を安心して飲む、こう思うのですね。
 そういう意味で、直截に聞くならば、局方に収載されている薬等を含めて薬屋さんや薬局、病院等で使っております薬は、用法、用量、適応さえ間違いなければ大丈夫なのかと、こう聞かれたら何とお答えになりますか。
#415
○下村説明員 安全性の確保という問題につきましては、薬務行政上の最も重大な問題ということで私ども取り組んでおりまして、医薬品のいまおっしゃいますような安全性ということにつきまして、一般論として、私どものやっておる承認について御信頼いただいて結構だというふうに私も思っております。ただ、これはもうもちろん先生も十分御承知の上でお聞きいただいていると思うのでございますが、薬の本性といたしまして絶対的な安全性というものはないということになっておりますので、その面については御理解いただきたいと思っております。
#416
○薮仲分科員 その最後のところが非常にひっかかるところで、もしもその点を国民の皆様に強調しなければならないのだったら、国民に周知徹底させる手続はとるべきだと私は思うのです。いまたばこですら、吸い過ぎは気をつけなさい。だったらば、薬を多量に服用することは危険ですと明確に薬屋の店頭に掲示して、薬は余り飲みなさんなということをはっきり掲示するくらいの責任は持たれたらどうですか。その最後の一言が非常に私は気にかかる。ですから、もしも本当に責任を感ずるのだったら、国民の生命を守る立場から、飲み過ぎには気をつけるということを国民の皆様に周知徹底させない限り、同じような災いが起きるのじゃないか、こう思うのです。これは簡単にはお答えをいただく気持ちはございませんが、むずかしい問題でしょう。しかし、そのことはよく心にとどめて薬務行政をやっていただきたい。
 もう一点お伺いしますけれども、現行の薬事法でいわゆる局方に収載されておるもの、もしくは今度――それから新薬を製造する場合、これは厚生省が認可をする。いまおっしゃったように、われわれはわかっているのです。有効性と同時に副作用があるということはわかっております。ただそこで、いまもうおやりになっているように、モニターとかいろいろな形で、副作用が起きた場合にはすぐ何とかしょうということは、厚生省も十分配慮し、考慮していることだと思うのです。そうしますと、薬事法の性格の中に――厚生省は、いわゆる副作用についての問題が起きないように、予見の可能性を含めて国民に対して私は責任を持つべきだと思いますけれども、いかがですか。
#417
○下村説明員 現在の薬事法では、実はその辺の各種の情報の提供等につきまして国がどういうことをやっていくのか、必ずしも明確になっていない面もございます。使用上の注意というふうな形で、現行の薬事法ではいろいろの記載を義務づけておるというふうなことでやっておるわけでございます。したがいまして、現在のところは、いろいろ行政指導の面で処理している問題も多いわけでございます。しかし、これでは不十分でございますので、この国会に薬事法の改正を提案いたしまして、各種の副作用情報の収集あるいはそれの伝達というふうな面につきましても法律上明確にいたしたいと考えて、目下いろいろ作業を急いでおるところでございます。
#418
○薮仲分科員 その辺の答弁から、非常に避けて通るというか、国民の皆さんにはいまのことを活字にしてお読みいただいてもなかなかよくわからない部分なんですけれども、ですから、最初に私がお断りしたように、やはりこのようなものについて、予見可能性について責任を持たなければならないのが厚生省の薬務行政だと思うのです。
 私は厚生大臣に質問いたしましたとき、厚生大臣は薬事法の改正の趣旨の中に安全ということを入れます。じゃ、いままで入っていなかったのか。だったら、これは重大な問題です。しかし、これはいま裁判で争われている争点の一つですから避けて通ってそのような御答弁かもしれませんけれども、今日まで少なくとも国民の大方の方が薬を飲んできたという中には、厚生省が認可した、しかも安全である、副作用についても十分配慮してくれているという国民の信頼があっての薬務行政であって、それをそんなあいまいな形で処理なさるということは、今後絶対におやめになる、おやめなさいと私はここで指摘をいたしておきます。
 これはちょっと簡単にそうですとかそうじゃないとだけ厚生省お答えください。大阪地裁で和解ということが報道されておりますけれども、この中で東京地裁ですか、可部和解を前提とする、二番目に、国、製薬会社はスモンとキノホルムの因果関係を認める、三番目に、国、製薬会社はスモン禍を引き起こした責任を認め、反省する、四番目に、国、製薬会社は今後薬害防止に最善の努力を払い、医薬品の安全確保に万全を期する、これが和解の条件になっていると思いますが、大体この骨子について誤りがありますか。それともこのとおりですか。
#419
○下村説明員 そのとおりでございます。
#420
○薮仲分科員 じゃ、時間でございますので、最後に大臣に御見解を伺って終わりたいと思うのでございますが、なぜ私がここで申し上げておりますかというと、いわゆる薬事法を改正しようというその精神の中に、安全ということを明文化しよう、明文化しなくても、当然、現在のすべての判決は、安全義務ありという判断に立っております。これは法廷もやはり国民感情を無視しては成立しないし、また行政は国民の信頼あっての行政でございますので、そういう立場から薬事法を改正しようという趣旨はわかりますけれども、現行法の中にも十分国民の生命、安全を守る責任と義務が厚生省にある。書かれておろうと書かれてなかろうと、これは建設省であれ、運輸省であれ、何のために行政があるかと言えば、日本国民の生命、財産を安全に、しかも快適な生活を守るために行政があるのであって、安全を守らない行政などはこの世の中にあってもらいたくない。もしも安全を守らないという厚生省であるならば、私は国民から総スカンを食って、厚生省などはやめてくれ、こういうことになりかねないと思うのでございます。
 そこで、私は厚生省の行政というものは安全を守るべきだという大前提、これは当然だと思うのです。と同時に、この中でもあるように、キノホルムの因果関係は認めております。またスモンの責任は認めます。この和解に立って、三分の一は国が責任を持たなければならない、こうなってくるのです。そうしますと、国賠法の精神からいって、上級審で判断を求めることは、国民感情としてはもはや余り意味がないというよりは、やめてほしいという感じを持つと思うのです。
 なぜ私がこれを申し上げるかというと、国が控訴したとき、私もスモンの方と何人かお話をいたしました。その方は寒空に街頭に立って、またカンパを始めて裁判を続けております。控訴されると、またこれから五年、十年、さらに上告まで争われればどれほど長い期間であるか。その患者の方にはもう御主人の亡くなった方もいます。お母さんは私に言っていました。私の子供はいま失明しております。三つのとき下痢をしたので、子供一の手を引いてスキップしながら病院へ行きました。一週間、そして十五日たって、病院から来るとき、足ががたがたで、そばで支えなければ歩けませんでした。これがスモンの被害です。このときお母さんは何を恨んだか。薬屋さんと、もう少し厚生省に対して早くという気持ちが、親とするならば当然だと思うのです。私はこういう言い方はいやなんですけれども、そういう被害を受けた方がこれを何とかしようと言いますと、現行法では、やはり国とか製薬会社の過失責任というものが明確にならなければならない。裁判に非常に長い時間、お金がかかる。いわゆる原告側は働いて税金を納めてカンパをして裁判を続けています。逆に、先ほどもいやだと言いましたけれども、国は納めていただいた税金で裁判をやらなければならない。私はこんな悲しい話はないのじゃないか、もうやめてほしいというのが私の素朴な感情なんですね。むずかしい法理論はいろいろあるかもしれません。重ねてでございますが、私はどうか一日も早い患者の方の救済を、くれぐれも大臣の御努力によって厚生省と協議をしていただきたい、こう思うのでございますが、いかがでございますか。
#421
○古井国務大臣 御趣旨はよく理解できるように思いますので、先ほども申しましたように、厚生省とわれわれでまたよく協議しまして、前向きに進むように努力したいと思っております。
#422
○薮仲分科員 終わります。
#423
○藤波主査 以上で薮仲義彦君の質疑は終了いたしました。
 これにて法務省所管の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして本分科会における審査はすべて終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 分科員各位の熱心な御審議と格別の御協力によりまして、本日ここに本分科会の議事がすべて終了することに相なりましたことを深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後六時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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