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1978/05/30 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 逓信委員会 第13号
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1978/05/30 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 逓信委員会 第13号

#1
第087回国会 逓信委員会 第13号
昭和五十四年五月三十日(水曜日)
    午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 石野 久男君
   理事 加藤常太郎君 理事 左藤  恵君
   理事 宮崎 茂一君 理事 渡辺 秀央君
   理事 久保  等君 理事 野口 幸一君
   理事 鳥居 一雄君 理事 青山  丘君
      安倍晋太郎君    足立 篤郎君
      亀岡 高夫君    小島 静馬君
      近藤 鉄雄君    廣瀬 正雄君
      堀之内久男君    村上  勇君
      森  美秀君    阿部未喜男君
      鈴木  強君    武部  文君
      米田 東吾君    大野  潔君
      田中 昭二君    竹内 勝彦君
      藤原ひろ子君    大成 正雄君
 出席国務大臣
        郵 政 大 臣 白浜 仁吉君
 出席政府委員
        内閣法制局第二
        部長      味村  治君
        郵政大臣官房長 林  乙也君
        郵政省電波監理
        局長      平野 正雄君
 委員外の出席者
        外務省国際連合
        局専門機関課長 今西正次郎君
        文部省大学局審
        議官      阿部 充夫君
        運輸省海運局監
        督課長     大塚 秀夫君
        会計検査院事務
        総局第五局長  小野光次郎君
        参  考  人
        (日本放送協会
        会長)     坂本 朝一君
        参  考  人
        (日本放送協会
        専務理事)   川原 正人君
        参  考  人
        (日本放送協会
        専務理事)   堀 四志男君
        参  考  人
        (日本放送協会
        理事)     坂倉 孝一君
        参  考  人
        (社団法人日本
        船主協会理事
        長)      吉田 俊朗君
        参  考  人
        (全日本海員組
        合中央執行委
        員)      柴山 義一君
        逓信委員会調査
        室長      芦田 茂男君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十九日
 辞任         補欠選任
  伊藤 公介君     川合  武君
同月三十日
 辞任         補欠選任
  河本 敏夫君     近藤 鉄雄君
  椎名悦三郎君     小島 静馬君
  長谷川四郎君     森  美秀君
  川合  武君     大成 正雄君
同日
 辞任         補欠選任
  小島 静馬君     椎名悦三郎君
  近藤 鉄雄君     河本 敏夫君
  森  美秀君     長谷川四郎君
  大成 正雄君     伊藤 公介君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第六
 三号)
 日本放送協会昭和五十一年度財産目録、貸借対
 照表及び損益計算書
     ――――◇―――――
#2
○石野委員長 これより会議を開きます。
 電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、本日、日本放送協会専務理事堀四志男君、社団法人日本船主協会理事長吉田俊朗君及び全日本海員組合中央執行委員柴山義一君を参考人として御出席を願い、御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○石野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
#4
○石野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木強君。
#5
○鈴木(強)委員 電波法の一部改正につきまして若干の質疑をいたしたいと存じます。
 本日は、大変御多用の中を、船主協会の吉田理事長並びに海員組合の柴山中央執行委員、おいでいただきましてありがとう存じました。
 お二人の参考人に御質疑を申し上げる前に二つほど郵政省にお伺いをいたしておきたいことがございます。
 その一つは、これはもう何回も申し上げておりますが、電波法並びに放送法の改正の問題でございます。先般久保委員からも強くお話が出ておりましたが、昭和三十九年九月八日の臨時放送関係法制調査会の答申に基づいて、わが国の電波、放送の基本的な問題の改正が爼上に上っておったわけでございます。すでに十五年の年月を経ておりますが、いまだにこの答申は宙に浮いておるということでございまして、まことにわれわれ遺憾に思っております。
 それで、今回もそういった基本的な電波、放送法の改正をさておいて、国際的な条約に基づく改正でありますからやむを得ないと思いますけれども、先般の放送大学学園法の問題と同じように、ときには放送体系の基本にかかわるような問題が、もっとやらなければならない前段の解決すべき問題を抜きにしてやられていくということは、何としてもこれは勘弁できないのですよ。今回もその一つだと思いますが、特に今回の場合は国際条約に基づくものでありますから私も了といたしますが、ぜひひとつ、長い懸案でありますので、できるだけ早い機会にわれわれが念願しております、また国民が念願しております……(私語する者あり)
#6
○石野委員長 御静粛に願います。
#7
○鈴木(強)委員 電波、放送法の基本的な問題の改正をしていただいて、昭和二十五年以来今日まで手がついておらない放送法制について、時代に即応できるような形に持っていってほしいと私は強く願っておるわけでありまして、ぜひひとつこの点についてはもう一度大臣から御所信を承っておきたいと思います。
#8
○白浜国務大臣 いま御意見のあるところは私どもも十分わきまえて検討を続けておるわけでありますし、また御指摘のとおり非常に技術の進歩が早いことでもございますから、一生懸命努力して、一日も早く御期待に沿いたいと考えております。
#9
○鈴木(強)委員 それからもう一つは、今回提案されました電波法の一部改正法案は、一九七四年の新たに改正をされました海上における人命の安全のための国際条約、この発効ということを考えまして、早目に電波法の改正を行うということでございます。それで、根っこになっております条約本体は、二十五カ国以上の国が批准をし、批准をした二十五カ国以上の締約国の商船船腹量の合計が総トン数で世界の商船総船腹量の五〇%以上になったとき、そしてそれから一カ年たった後に効力を発生する、こういうことになっております。何か五月二十四日、ブルガリア国がこの条約を批准したので規定の二十五以上の締約国数になったということでありますが、この情報は確実のところはどうなのか、明らかにしていただきたい。
#10
○平野政府委員 去る五月二十四日にルーマニアが二十五カ国目の締約国と相なりました。船腹量もすでに五〇%を超えておりますので、外務省によりますと、明年の五月二十五日には発効するということになるわけでございます。
#11
○鈴木(強)委員 そこで、参考人のお二人に御意見を承りたいのでございますが、今回の電波法の改正は、いま申し述べましたように、海上における人命の安全のための国際条約の発効に備えて改正になるのでありますが、特に船舶関係の皆さんについては大変重要な、しかも今度は法律をもって義務づけられるというような大事な問題でございますし、特に海上に参りますと、もう通信というものに依存せざるを得ないような状態ではないかと思いますので、そういう意味から申しまして、国際条約の発効に伴って万般の準備をしておくということは当然のことと思いますが、特に今回の改正が船舶局の無線電話の聴守義務をはっきり決めておりますので、そうなりますと、その設備をいたしますためのいろいろな諸経費とか、それから、それに伴う要員問題その他出てくると思います。したがって、この際特に、この法案の改正によって影響を受ける船主協会それから海員組合の労働組合の側に特別な御意見がございましたら、最初に若干でも結構ですからお聞かせしていただいて、それから具体的な問題を提起して若干意見を申し上げてみたいと思いますが、よろしくお願いします。
#12
○吉田参考人 お答えいたします。
 まず、今回の法律改正といいますか、条約の成立につきましては、従来より十分関係方面と対応してまいりまして、ほとんど問題がないと言ってよろしいかと思います。具体的に申し上げますと、レーダーの設置義務でございますが、これはすでに五十一年から、船舶安全法関係の規則をもちまして実施しておりまして、ことに大型船につきましては、その安全法の規制以上にほとんどの船がつけているというような現状でございまして、レーダーにつきましては船主の負担ということは余りお考えいただかなくてもいいかと思います。
 それから、新しく設置義務を負いました二メガの受信機でございますが、これはオートアラームも含めまして一台せいぜい百万円程度のことでありまして、対象船舶も千五百隻程度と推算されておりますが、これはもう人命安全のためわれわれ当然覚悟しなければならない問題でございまして、従来より十分検討済みの問題でありまして、特に意見はございません。
 一般的にそういうことでございます。
#13
○柴山参考人 お答えいたします。
 一九七四年の海上人命安全条約の発効に備えまして今回の電波法改正にかかわる国内措置につきましては、きわめて望ましい措置であると考えるわけでございます。
 海上におきまする無線通信の本来的な使命、すなわち人命財産の保全を全うするという意味からもこのたびの電波法改正は当然であり、むしろ遅いくらいという感じを持っているわけでございます。なぜならば、国際的な船舶の遭難通信の周波数でありますところの無線電話の二千百八十二キロヘルツを、無線電信の遭難周波数の五百キロヘルツと同様に無線電信の設置船にも常時聴守が義務づけられるということにつきましては、現行の無線通信の聴守体制の制度的矛盾を解消し、船舶航行の安全、人命救助に大きく寄与するからであります。
 なお、この問題につきましてなお二、三の問題がございますので、この機会に申し上げておきたいと思うわけでございます。
 御承知のように、オートアラームは言うまでもなく、無線電信の場合は四秒の長符を十二回発信をする、無線電話につきましてはピーポーの方式を三十秒ないし一分間先に電波を出さなければオートアラームが作動しないという技術面におきまする致命的欠陥がございます。無線通信士が無線室に当直をする場合につきましては、オートアラームの状態から手動操作に切りかえまして無線電話の二一八二キロヘルツが聴守できる、こういう受信機を取りつけたオートアラームが望ましいわけでございます。したがいまして、義務船舶局の無線電話の二一八二キロヘルツのオートアラームにつきましては、可聴警報機づきのオートアラームを設置することを今後検討すべきであると考えます。この可聴警報機つきのオートアラームの導入に当たりましては郵政省の型式検定に合格したものとし、一定以上の技術的条件を義務づける必要があると考えます。
 第二の問題点といたしましては、オートアラームは空電等によって誤動作をすることが従来から指摘をされているわけでございます。遭難通信等の受信の正確を期すためにも、また通信士が休息時間の中断等から解放されるためにも、誤動作の解消は強く望まれているわけでございます。特に二一八二キロヘルツの中短波帯では、空電によりますところの誤動作の多発が考えられますので、政府は今後オートアラームの誤動作防止のため一層の技術面の改善を図るよう努力をされる必要があると考えるわけでございます。
 三つ目といたしましては、無線電話の二一八二キロヘルツの常時聴守体制が確立をいたしますと、無線電信の設置船と無線電話設置船間におきまして救難連絡体制が強化をされることになります。しかし、わが国の電話級通信士の国家試験の範囲には、英語あるいは英会話を課していないのでございます。わが国の漁船がアメリカ、ソ連あるいはニュージーランド、オーストラリア等の外国周辺で操業しているものがたくさんあるわけでございます。無線電話の二一八二キロヘルツの聴守体制が実現をいたしましても、電話級通信士が英会話による通信ができないときは外国船との間におきまする救難の実効が上がらないことになるわけでございます。したがいまして、電話級通信士に対するQコードによる遭難通信あるいは英会話による遭難通信のための最小限の再教育が必要であるということを付言しておきたいと思います。
 以上でございます。
#14
○鈴木(強)委員 ありがとうございました。
 柴山さんの御意見で問題点が三つあることが明らかになりました。私もその点は大体前から考えておりました問題点でございまして、これからもう少しその点を詰めて質疑をしたいと思います。郵政省の方にも御意見を承りたいと思います。
 そこで、まず第一番に、今回の国際条約の附属書の一般規定によりますと、その第三規則あるいは第四規則に基づいて設置された船舶無線電信局は、海上にある間、少なくとも一人の無線通信士を乗り組ませ、無線電信自動警急機、これはオートアラームですね、これを設けない場合は頭掛け受話器または拡声器を使用する無線の通信士により無線電信遭難周波数、いわゆる五百キロヘルツで無休聴守する義務を課せられております。ところが今回の改正によりまして、これらの無線電信によるSOSを受信できる船舶局のうち、国際航路に従事する船舶の義務船舶局は、SOSの電信のほかに新たに無線電話の遭難周波数によるいわゆる二一八二キロヘルツですね、ここに新たにそういう周波数による設備をして、そして無休で遭難通信を受信しなければならないという義務づけがされたわけでございます。したがって、電信だけで済んだものが、今度は電話も設置しなければならない。しかもその設置については、規則第十条によりますとかなり厳しい制限がつけてございまして、たとえば「無線電話遭難周波数聴守受信機は、あらかじめ無線電話遭難周波数に同調させておく。拡声器が船橋にある場合には、無線電話警急信号がない間その拡声器を作動させないためのろ波装置その他の装置をこの受信機に取り付ける。この装置は、スイッチを容易に開閉することができるものでなければならず、聴守の維持が船舶の安全な航行を妨げる状態にあると船長が認める場合に使用することができる。」「無線電話送信機を備える場合には、誤って作動させることを防止するように設計された無線電話警急信号自動発生装置であってこの章の第十六規則(c)の規定に適合するものを取り付ける。この装置は、遭難通報を直ちに送信し得るようにいつでも作動を停止することができるものでなければならない。」とか、そのほかにもございますが、非常に厳しい制限がついておるわけです。ですから吉田さんおっしゃるように、レーダーのことは後で伺いますけれども、今回の場合でも、一台百万とおっしゃいましたか、ですから大したことはないともおっしゃるわけですが、金額の面よりむしろそういった問題が私は重視されなければならないと思うのです。ですから、いま柴山さんがおっしゃったようなオートアラームをつける際誤作動があってはいけないということは、私どもこの法案を十数年前でしたか、オートアラームを導入することによって船舶職員の数を三名を二名、二名を一名に減らしてもよろしいというようなことがございまして、船舶職員法との関連で問題がないだろうかということをかなり詰めた論議をしたいきさつがあるのです。ですからして、いま柴山さんのお示しになりましたような問題点を今後なくすることがやはり緊急の課題だと私は思うのでございます。通信士の方は本当に夜も盆も正月もなく、海上においてひたすらに人命財産を守るためにがんばってくれているわけです。しかも私は、通信なくして船舶の航行はないと言ってもいいと思うのです。そのくらい重要な仕事だと私は思います。ですから、いまオートアラームの可聴警報機つきのものにしてほしいとか型式については郵政大臣の検定に合格したものにしてくれとか、その型式についてはかなり厳しい基準をつくってくれとか、まことにもっともですよ。特に空電による誤作動、雷ですね、こういったものによって不必要な労力を費やさなければならないという面もあるわけです。ですから、通信士にとりましては大変なオーバーワークになるという危険性もあるわけです。果たして要員措置が先般の改正のような形でいいのかどうなのか、大変問題だと思うのです。特にオートアラームについては、今度設置台数もはっきりこの規則によりまして義務づけられております。そういう点を考えると非常に問題があるように思うわけですから、そういう規則全体をながめてみて、ひとつこの規則に間違わないような設備をしていただきたいと思うのです。
 それから柴山さん、二一八二キロヘルツによる電話の場合、空電による誤作動というものがかなりあるのではないかと思うのですが、このオートアラームが設置されましてからきょうまでの間にどの程度の誤作動があったか、計数的にもしっかんでおられましたらお聞かせいただきたいと思うのでございますが、いかがでしょうか。これは船主協会の方でも結構です。もしそういうふうな統計数字がありましたら示していただきたいのです。
#15
○吉田参考人 正式なデータはとっておりませんので正式な数字は申し上げることはできませんが、概括的に言いまして、機器の信頼度がだんだん高まりつつある、特に二、三の会社に、大手でございますが照会いたしましたところ、故障なりその他が非常に減少しているということをきのう確かめました次第でございまして、信頼度が相当高まっておるということが言えると思います。
#16
○柴山参考人 オートアラームの空電等による誤作動につきましては、私も具体的なデータは持っておりません。ただ、無線電信の五百キロヘルツのオートアラームの空電による誤作動というのは技術的に改善をされまして、かなり精度はよくなっているわけでございます。ただ本質的な問題といたしまして、遭難信号をよりょく受信をするために感度を上げますと、逆に雷等の空電の感度も上がるわけでございます。これを技術的に解決するにはなかなか非常に困難な問題があるわけでございます。今回の無線電話の二一八二キロヘルツにつきましては、中短波帯は特に空電が多うございますので、これは五百キロヘルツに比べて空電による誤作動が多くなるのではないかというふうに心配をしているわけでございます。
#17
○鈴木(強)委員 そこで、郵政省にちょっと意見を聞いておきたいのですけれども、オートアラームが導入されまして十数年たっているわけですが、いまお聞きのような問題点が出ておるわけですね。いろいろ努力をされて、できるだけそういうことのないように配慮をされ、行政的な面で指導できる点は指導されておられると思いますが、特に今回のこの電波法の改正によりまして、一層空電等の誤作動が多いと予想される電話の二一八二キロヘルツの受信機がつけられていくのでありますから、そういう面から、いま柴山さんのおっしゃいましたような手動による切りかえですね、そういったものを含めまして可聴警報機つきの型式というものにぜひやってほしいという意見もございますし、また空電による誤作動等についても、何かそれを最小限に食いとめるような精巧な機械をひとつ考えてほしい、技術的な面もあわせて、そういうふうなことをおっしゃいましたけれども、この技術面の改善については今後とも郵政省として最善を尽くしていただきたいと思いますが、この点いかがですか。
#18
○平野政府委員 無線電信の警急信号でございますが、これは信号の構成が比較的簡単でございますので、従来まれに空電等による誤動作が生じておったわけでございます。しかし、先ほど来お話しのように非常に性能がよくなりまして、今後ともその対策を続けてまいりたいというふうに存じておりますが、今回の無線電話の警急信号は二音からなる可聴周波数で構成されておりますので、誤動作はきわめて少なくなるというふうに考えております。現在、先ほど来お話しのございました可聴警報機つきオートアラームに対する御要望もあるわけでございますが、郵政省を中心にいたしまして関係方面と検討を進めておりまして、来年の条約発効までには必要な各船舶にこの可聴警報機つきオートアラームの御要望に沿った機器がつけ得るように、また空電誤差がきわめて少なくなるであろうということを申し上げたわけでございますけれども、さらに検討を続けまして御趣旨に沿うように持ってまいりたい、そのように存じております。
#19
○鈴木(強)委員 柴山さん、ちょっと私不勉強で教えていただきたいのですが、五百キロヘルツですね、この電信の場合のオートアラームというのは、遭難した場合にSOSを発しますね。その場合に、自動警報機に何か四秒ずつ十二回の信号が入ってくる。これは五百キロヘルツの場合で、それからボイスの場合、二一八二キロヘルツの場合はピーポーというのが三十秒ずつ一分間続いてくるという話でしたね。そうすると三十秒ですから二回入りますね。SOSの五百キロヘルツというものが発信されると、四秒ずつ十二回の信号が自動的にオートアラームの中に入ってくるというような形になっているのでしょうか、それからボイスの場合にはどうなっているのでしょうか、そこのところをもうちょっと教えていただきたいのです。メーデー、メーデーと言うのですね。そうすると、メーデーと言うとそれが入ってくるようになるのですか。
#20
○柴山参考人 遭難通信のSOSを出す前に、各船舶局に設置をされておりますオートアラームを作動させるためには、SOSを発信いたしましても直ちにオートアラームは作動いたしません、そこで前置信号ということで、オートアラーム設置船が受信できるように、電信船の場合は五百キロヘルツの場合でございますが、四秒のモールスの長符を十二回出すわけでございまして、それをやった後でSOSを発信するということでございます。この四秒の長符の十二回を前置信号と言っているわけでございまして、これを出すことによってオートアラームが作動をする、こういうことになります。
 それから無線電話につきましては、二一八二キロヘルツの方は可聴周波数でございまして、ピーポー、ピーポーと繰り返す信号を三十秒ないしは一分間発信をしなさい、そのことによって各船のオートアラームが作動する、その後に遭難通信を発信をする、こういう手続をとることになっているわけでございます。
#21
○鈴木(強)委員 わかりました。
 それから、新たに無線電話遭難周波数聴守受信機をつける場合、オートアラームをつける場合に、今度の第十規則の「無線電信設備」というところの中に、それぞれさっき私が読み上げましたような非常に強い条件がつけられておりますが、いままでつけてあるものは大体この条件に適合をしているものと見てよろしゅうございますか。
#22
○平野政府委員 ただいま先生御指摘の点につきましては、全部義務検定済みでございまして、条件を満足いたしております。
#23
○鈴木(強)委員 義務検定で条件を満たしているということですが、残念ながらいろいろと事故が発生したりするわけですね。したがって、いま局長からも御答弁がございましたが、本条約が成立をしそれから電波法が動いていく、それまでに可聴警報つきのオートアラームというものが開発できそうですから、皆さんも大変勉強されてこられたこともわかりますのでこれ以上申し上げませんが、さらにこの二一八二キロヘルツの空電等による誤作動ができるだけ少なくなるようなこともあわせて十分検討を加えて、せっかくの安全を守ろうという政策がそのとおり円満に行われますように、ひつと最大の御努力をお願いしておきたいと思います。
 それから、もう一つ柴山さんの御指摘になりました、これは電話級無線通信士にとどまらず船舶職員全体としての教育といいますか、特に英会話ということは私は非常に重要だと思います。確かに無線電信あるいは電話のそれぞれの級は国家試験を受けてお取りになるわけですから、一応の英会話なり英作文なり英文和訳なり、そういったものは試験ではやっておられると思いますが、実際に自分が英会話ができるのかどうなのかということはやはり私は問題になると思うのですね。したがって、御指摘のように、今度は電信も電話を持つわけですから、ある国の海岸にわが国の船舶が行った、そのときに日本語でSOSをやってみたところで、信号は出たけれども話ができないということでは、これは困るわけですね、チンプンカンプンになるわけですから。そういう意味から申しまして、やはり相当な会話のできるような再訓練ということをやるべきであると私は強く思っておるわけです。それで特にこの問題につきましては、国際条約も何か一応海事協議機関の方で採択をされているように伺っておりますが、それとあわせて早急に、そういう条約が結ばれる結ばれないにかかわらず、職員の再訓練ということは御指摘のようにやる必要があると思います。
 こういう面は、吉田さんどうなんでしょうか。船主協会の方としても全く同感だと思いますね。したがってその訓練をどうするかということはそれぞれお考えがあると思いますけれども、その点に対するお考え方をひとつお伺いしたい。
#24
○吉田参考人 先生のお尋ねの趣旨は、電話の聴守あるいは応答についての乗組員の能力向上といいますか、素質を高める必要があるという御意見だと思いますが、おっしゃるとおり、国際ライセンスを持っておりまして十分聴守、応答の能力を持っていると言うことができるのでございますが、なお心配でございますので、社内教育はもちろんのこと、政府関係の再教育機関あるいは昨年創立を見ました雇用促進センター等におきまして英語の講習会を引き続きやっておりまして、そういう体制に備えるべく海運界としては努力しておるところでございます。
#25
○鈴木(強)委員 郵政省の方、政府の方は、ちょっと私条約の名前を忘れましたが、船舶職員の教育とか資格とかそういったものに対する基準を決めた条約というのが海事協議機関でたしか採択されておりますね、それはまだ去年でしたか採択されたものですから批准はずっと後になると思いますけれども、やはり批准は批准として、いまお話しのようなことについては当然やらなければ、せっかくこういう制度をつくりましてもそれが生かされないという結果になると思いますね。ですから、いま吉田理事長からもお話がございましたが、ひとつ政府の方もできるだけタイアップをして、行政サイドからも積極的に支援をしていただくようなことをしてほしいと思うのですがね。それに対していかがでしょう。
#26
○平野政府委員 人命財貨の保全という非常に重要な問題を含んでおるわけでございますので、先生御指摘のように関係方面と十分に協力をしながら遺憾のないように進めてまいりたいと存じております。
#27
○鈴木(強)委員 これは一九七八年に政府間海事協議機関で決まった、IMCOの採択をしたものでして、船員の訓練、資格証明、当直維持基準に関する条約、略称STCW条約と言っているそうでありますが、これは日本としても批准をするという手続は当然にこれからとられるわけでしょう。その点はどうですか。
#28
○平野政府委員 現在この条約を批准、受諾、承認または加入のために必要な文書を寄託した国はないというふうに聞いておりますけれども、非常に重要な問題でございますので、わが国といたしましてもせっかく積極的に対処してまいりたい、このように存じております。
#29
○鈴木(強)委員 じゃ、オートアラーム、電話の義務についての問題はこれで一応終わりまして、次にレーダーのことでございますが、船舶安全法第二条の規定によって、現在船舶はレーダーを備えております。また備えつけなければならないということになっておりまして、さっき吉田理事長からもお話がございましたが、現在は総トン数五百トン以上の船舶は一台、それから旅客船、それと危険物バラ積み船、それから引火性または爆発性のガスを発生する液体で危険物以外のものを運送するタンカー及びタンク船であって総トン数三百トン以上のものは一台、それから長さが二百メートル以上の船舶が二台、これが船舶安全法によって義務づけられているレーダーなんですが、今回、安全条約第十二規則によりましてこういうふうに変わりましたね。総トン数千六百トン以上一万トン未満の船舶には少なくとも一つのレーダーをつける、それから総トン数一万トン以上の船舶にはそれぞれ独立に作動し得る少なくとも二つのレーダーを設ける、そのレーダーは主管庁の承認する型式のものでなければならない、こういうふうに変わりました。したがって、現在つけられている船舶がどの程度あるか吉田さんおわかりですか。現在総トン数五百トン以上の船舶は一台、船舶安全法第二条の規定によって義務づけられているレーダーの設置されている船舶の数というのはわかりますか。わかったら教えてください。これは柴山さんの方でも結構です。どちらでももしわかっていたら……。わからないですか。――これは郵政省の方でわかりませんか。
#30
○平野政府委員 外航船はわかっております。約千八百隻でございます。
#31
○鈴木(強)委員 それで、この改正によって従来の船舶安全法に基づく設置義務から見ると私は少し厳しくなったように思うのでございますけれども、これによって新たにレーダーをつけなければならぬというような船はないでしょうか。一台あって、それを二台にしなければならぬというようなことが当然出てくると思いますけれども、そういう御調査はまだできておりませんでしょうか。
#32
○吉田参考人 先ほども申し上げたと思いますが、まず現在二台つけておる二百メートル以上の船舶につきましては、もうほとんど問題ないと言うことができます。
 それから、いま危険物は三百トン、その他の一般船舶は五百トン以上のものは一台というのが、今度の条約では千六百トンになりまして、むしろ範囲がカバーされておるわけでございまして、特に新しくつけるというような必要性がほとんどない。大型船につきましては、二百メーターというのは大体三万トン程度の船でございますので、三万トン以上の船は現在つけておりますが、事実上、先ほども申し上げましたとおり、一万トン以上のような大型船はほとんど二台つけているのが現状でございまして、新たにつけるというのはごく例外的なことだと言うことができると思います。
#33
○鈴木(強)委員 そうしますと、現行船舶安全法第二条によって義務づけられております三つの種別ですね。今回はトン数の方で来ていますから、われわれ素人にはよくびんとこれが合わないわけですよね。ですから、十二条の規則によって義務づけられるレーダーが、若干の手心は加えなければならぬとしても、大体第二条の規則改正によって義務づけられたものについては大丈夫だ、いまの現状の中で船舶安全法の中でやっている大体それで済む、多少の問題はあるのかもしらぬということですね。わかりました。
 それで、ちょっと私も具体的な数字を持っておらないのでお聞きするのですけれども、そのレーダーは当然型式検定には合格しているわけですね。ところが、船舶職員の皆さんから、私ども友だちなんかいるものですからお伺いしますと、やはりレーダーの故障というものがあるように聞いているのですね。そういった実態を吉田さんの方ではどうおつかみになっているでしょうか。
#34
○吉田参考人 先ほど、オートアラームの件でちょっと申し上げましたが、昨日、大手の二、三社の担当者に電話で照会いたしましたが、当初、二台をつけるという趣旨は、機器の故障、そのレーダーに対する信頼度というものが問題になったのでございますが、現在においては機器の信頼度とともに保守の完全さによって事故なり故障なりというものがほとんど起きておらぬというふうに、私ども電話照会で確かめた次第でございます。詳しい故障の実績その他は、調べれば調べることができると思いますが、きょうの段階でちょっと間に合いませんので……。
#35
○鈴木(強)委員 お忙しいところ恐縮でございますが、後ほどで結構ですから、一つの資料にしたいと思いますので、何とかまとめてみていただきたい。後ほど文書で出していただいて結構です。
 それで、電波監理局長さん、型式検定に合格をしてそしていよいよ船にレーダーを取りつける場合に、そのときまた一遍検査するのですか。そういうときに、だめだというような不合格になったという例はどうなんでしょうか。あるのでしょうか、ないのでしょうか。
#36
○平野政府委員 取りつけ検査に当たりまして不合格になった例はございません。
 なお、先ほど外航については約千八百というふうに申し上げましたが、実は内航につきまして千隻以上ございます。したがいまして、法律的にはすでにそれだけ先行しておるということが言えようかと思っております。
#37
○鈴木(強)委員 大体問題点として指摘をされました点についての解明はできたわけでございます。
 私は、きょう特にわずかな時間でありましてもお二人の参考人においでいただきましたのは、さっきも述べましたように、この電波法の改正というのは非常に重大な要素を持っておるものでございますから、将来にわたって、もしこういう点をこうしておけばよかったというようなことのないように万全の配慮をしておく必要があると私は思いました。われわれが立法サイドで、立法府でいろいろ論ずるわけでありますが、正直言いまして、実態というものを必ずしも的確に知り得ておりません。ですから、私たちはやはり皆さんのとうとい御意見を拝聴して、そして問題があればそれをお互いに検討し、そしてそれを改善していく、それで万全なものに一歩でも近づける。特にこの場合は、近づけるというよりも絶対安全という体制をつくっておきませんと、後顧に憂えを残すような気がいたします。特にこれが国際的な条約のもとに行われるのでありますから、少なくとも海運国として興ったわが国が他国に劣るようなことがありましてはこれは非常に恥でありますので、特にさっき申し上げましたような英会話の訓練等については万難を排してひとつ再訓練をしていただいて、そしてどこに参りましても、SOSやメーデーの信号だけでなくて、具体的な遭難の実態というものを詳細に知り得、またこちらから応答して、間髪を入れず遭難時における救助態勢がとれますような配慮も絶対必要だと思いますので、そういう点にも留意していただいて、ぜひ今後とも海上におけるわが国の大事なお仕事を円満にやっていただくように心からお願いする次第であります。きょうは本当にお忙しいところ、ありがとうございました。それでは参考人に対してはこれで終わらせていただきます。
 それから、次の問題は人工衛星による無線通信の実用化に対処する法律改正でございますが、今回の改正は二つあると思いますが、特に私がここで指摘をし、政府の見解を伺っておきたいのは、衛星というのは空間を飛ぶものですね。一体宇宙というのはだれのものなのか。日本の上空は日本の空界であると、一般的にはそう言っておりますね。国際法上、領土権というものと領空権というものは一体どうなのか。どこかの国の上に放送衛星を静止させようとすれば、その国は領空権を犯したと言われてもこれは仕方がないじゃないですかね。静止衛星の場合には、幸いわが国の領土の上に衛星を打ち上げるというようなことはまあないでございましょう。しかし、非静止衛星の場合には、その領土の上を通過するということがありますね。そういう場合、領空権というのはどういうふうな国際的な解釈になっているのか、これを最初に教えてもらいたい。
#38
○石野委員長 吉田参考人、柴山参考人には、お忙しいところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。
#39
○平野政府委員 領空権の問題でございますが、大変むずかしい問題でございまして、現在まだ国連等の決議はないわけでございますけれども、宇宙につきましては、南極等と同じように、人類共通の所有物であるという認識が大体各国に定着しつつあるのじゃないかと思っております。もちろん、国の中には、ただいま先生御指摘になりましたように、わが国の上空はわが国の持ち物であるというような主張をする国がないとは言えませんけれども、大体人類共通の所有物であるという認識でございます。
#40
○鈴木(強)委員 これは監理局長、あなたの答弁は大変問題なんですよ。じゃ、わが国の、日本領土の上は万国共通のものなんですか。そこへどこの飛行機が飛び歩いても構わぬと言うの。そういう話はないですよ。わが国の領空を侵犯したってすぐ問題になる。ソ連が北海道の上に来たらこれは領空侵犯でしょう。そんな解釈はないでしょう。だからそれはおかしいな。
#41
○平野政府委員 宇宙物体との関連において先生おっしゃいましたので、宇宙という認識で申し上げたわけでございます。御理解をいただきたいと思います。
#42
○鈴木(強)委員 宇宙というのは一体地上何メートルから先を宇宙というの。ただ宇宙と言ったって漠然としてわからぬよ。
#43
○平野政府委員 科学技術的にはそれぞれ国際会議等におきまして主張があるわけでございますけれども、現在国際的に定着をいたしましたどこからどこまでが宇宙であるという定義はまだないわけでございます。
#44
○鈴木(強)委員 そうすると、人工衛星で地球に一番近い軌道を飛ぶのは何メーターですか。
#45
○平野政府委員 先生御承知のように、対地静止衛星と移動衛星とあるわけでございますが、この移動衛星がいま先生がおっしゃいました趣旨に合うものというふうに考えております。それで、いま上がっております移動衛星を見ますと、大体七、八百キロメーター上空あるいはそれ以上を飛んでおります。
#46
○鈴木(強)委員 七、八百キロメーター以上は宇宙という解釈で、そこのところを飛ぶときには万国共通のものである。では宇宙というものは、私は不勉強でよくわからないんだけれども、地上から何メートルのところを宇宙というの。それの方がわかるんですね。
#47
○平野政府委員 先ほど申しました科学技術的な会議等におきましては、その会議の目的に照らしまして、若干ニュアンスは違いますけれども、大気圏を取り上げまして、大気圏の外と内というような取り上げ方をいたしております分野もございます。
#48
○鈴木(強)委員 これは私も不勉強ですし、大気圏とは一体どこなのか、そういうことは詰めた論議がこの場合ちょっと無理と思います。国際法的に一つのスタンダードがあればいいわけだけれども、それがないようにおっしゃいます。そうであれば、これから宇宙空間を利用して人工衛星を飛ばして、大いに国家人類の福祉、文化のために貢献しようというためにやるわけですから、国際的にどういうところまでは領空権の侵害にならないとかということをはっきりしておかないと今後問題が起きると思うのですよ。たとえば宇宙に上げた物体が、今度アメリカのあれが落ちてくるというような心配があるでしょう。落ちてきた場合一体だれが補償するの。たとえば日本人が家を焼かれたとか被害があったり、死んだとか、そういう被害に対してはだれが弁償することになるんですか。そういうことは決まっているんですか。
#49
○平野政府委員 先生御承知のように、宇宙物体賠償条約等いわゆる宇宙三条約と言われる条約がございまして、これの批准等をめぐりまして科学技術庁、外務省等がいろいろ検討をいたしております。まだ日本は批准をいたしていない、そういう状況でございます。
#50
○鈴木(強)委員 ですから、批准をしない間に落ちてきたら一体だれがそれを補償してくれるんですか。結局日本人がアメリカなりソ連なりの打ち上げた人工衛星によって被害を受けても、泣き寝入りをしなければならぬというかっこうになるのじゃないですかね。ですから、そういういろいろ付随した問題もあると思いますから、領空というのは一体どこまでが領空なのか。領空というのはあるんですよ、少なくとも大気圏とか宇宙とかいう解釈はあったとしても。そういうものがどうなのか、そういう解釈、定義はひとつできるだけ明確にしておいた方が私はいいと思いますから、また外務省とも御相談いただくし、なかったら国際的にもそういう点の討議をひとつ日本から提案して、はっきりしておいた方が私は今後のためにいいと思うのですよ。もう相当の衛星が宇宙空間に上がっているわけですからね。静止衛星なんかの場合にはどうなるか私わかりませんけれども、少なくともその国の上に二年なり三年なり静止をしているわけですからね。おれの国の上に何だ、領空侵犯じゃないかというようなことが出てきても困るわけですから、そういう点についてもひとつ詰めた話し合いをしておいていただきたい、これは懸案事項にしてお願いをしておきます。
 それから、この法律改正によりまして人工衛星による無線通信の法的整備というのができ上がってくるわけなんですが、五十七年なり五十八年に通信衛星あるいは放送衛星をわが国において打ち上げるということについてはいままでの経緯で大体わかっておりますが、もう一度念を押しておきたいのですが、もう五十七年には通信衛星、五十八年には放送衛星とこれは間違いなく上がる、こう理解をしておいていいですね。
#51
○平野政府委員 実用の通信衛星につきましては、宇宙開発計画におきまして五十七年度打ち上げ可であるということに相なっておりますので、これはもう間違いございません。それから実用放送衛星につきましては、現在のところ宇宙開発計画の中におきまして、関係機関と十二分に検討を進める、こういうことになっておりまして、私どもといたしましては、昨年宇宙開発委員会に見直し要請をいたしました線に沿いまして五十八年に打ち上げたい、こういうふうに存じておりますが、現在のところまだ若干の未確定要素がある、こういう状況でございます。
#52
○鈴木(強)委員 こういう法律をつくるんですからね。もうちゃんと決めて、法律提案時にこれは間違いない、いまの通信衛星と同じような自信と確信を持った計画を示していただくことが私はいいことだと思うのですよ。ですから、まだどうなるかわからぬというようなことを考えながら法律改正をするということがちょっとわれわれ引っかかるのですよ。しかし、幸い通信衛星が上がりますから、その面では放送衛星がどうあろうと法律が必要だ、こういうことでわれわれは賛成しております。
 それからもう一つ、技術的な面で、遠隔操作によって電波を停止させたり、場所を移動させたりするという、これは重要な問題だと思いますが、技術的にはそういうことはできるわけですね、停止したり、移動させるということは。これをやる場合、だれがこれを判断するのですかね、その点だけ伺っておきたいと思います。日本の場合には技術的に可能ですね。
#53
○平野政府委員 たとえば放送衛星の場合ですと、先生御承知のように、日本の放送衛星の打ち上げ場所及び周波数につきまして、国際会議によりまして協定が結ばれておるわけでございます。したがいまして、その協定の範囲内で打ち上げる限りにおきましては、これは国際的なトラブルは毛頭ないわけでございますけれども、もし仮に各国の要請等によりましてこの協定が改正される、わが国の衛星の設置場所が変わるというようなことになりますと、これは当然国際会議でございますので、いわゆるITU等からの要請に基づきまして、わが国といたしましては必要な対策をとる必要がある、こういうことになるわけでございます。(鈴木(強)委員「必要な対策をとるのじゃなくて、停止したり動かしたりするのはだれが判断するのですか」と呼ぶ)失礼をいたしました。七十一条の発動につきましては郵政大臣が命ずるわけでございます。
#54
○鈴木(強)委員 郵政大臣がだれにも相談しないでやるわけですか、専権事項ですか。
#55
○平野政府委員 もちろん非常に重要な問題でございますので、国際的な情勢を踏まえまして、宇宙開発委員会その他との協議、また郵政省内といたしましては郵政大臣の諮問機関でございます電波監理審議会等に諮りまして、問題のない行為を行いたいということでございます。
#56
○鈴木(強)委員 わかりました。これで終わります。
#57
○石野委員長 次に阿部未喜男君。
#58
○阿部(未)委員 これは大臣の責任だとは思いませんけれども、きょうは五月の三十日でございまして、通常国会が十二月に召集さるるのは、これはもう国会法でも明らかなところでございます。この電波法の一部改正が提案されたのは四月でございますが、本来ならばこれはもう会期が終わっておるところでございます。すでに五月二十日で会期が終わっておるわけですが、いわゆる会期の終わりになって突如として電波法の改正を提案をしなければならなかった理由はどこにあるのか、あわせてこの電波法の改正の要点だけ、かいつまんで御説明願いたいと思います。
#59
○平野政府委員 緊急やむを得ないということで御提案を申し上げたわけでございますが、何分にも先ほど来お話がございましたように、一九七四年の人命安全条約、これの批准を控えまして、国内法の整備がどうしても必要であるということでお願いを申し上げることに相なったわけでございますが、その内容が技術的にも制度的にも非常に複雑な問題が多々ございまして、運輸省その他関係方面との調整に時間がかかったということでございます。
 また、人工衛星の関係につきましても、御承知のようにいよいよ実用化時代に入ろうとしておる、しかも一人工衛星を製作し打ち上げるまでにジうしても四年かかってしまう、これは国内でやりましても外国に頼みましても最小限四年はかかってしまう、こういう状況の中におきまして、やはり国際的な観点からも早く改正をお願いする必要があるという立場で、関係方面といろいろ検討をしたわけでございます。たとえば、科学技術庁、通産省その他、大体宇宙問題につきましては各省庁が非常に真剣に取り組んでいただいたわけでございますけれども、何分にも内容的に見まして、技術的にまた将来の問題に非常に関係があるというような点から時間がかかってしまったということで、先生御指摘のように御提案が非常におくれてしまいましたことは申しわけないと思っております。
#60
○阿部(未)委員 一九七四年の海洋人命安全条約、これはどうもこの国会での批准は困難な見通しのようでございますが、さらに一九七八年の同じく海洋人命安全条約の議定書、これもこの国会の批准はかなり困難ではないかと思われます。もう一つの、人工衛星が実用化時代に入る、これはおっしゃったように昭和五十七年度くらいの予定でございますから、そうすると、いずれの条件から見てもそう急がなければならない必要がなかったという気がするわけですけれども、仮に急ぐ必要があったとするならば、これはこれから気をつけてもらいたいのですが、通信・放送衛星機構等はいち早く提案をされておるわけですから、その時期までには少なくともやはり準備をさるるべきだった。ただ模様を見ながら適当な時期にぽっと出されたのでは審議をするわれわれの方でも非常に迷惑をします。そういう状況がありますので、いまのお話、大体わかりましたが、私は局長おっしゃるように、どうでもこうでもこの国会で成立をさせてもらわなければならないというような意欲と熱意を持って提案をされた法案のようには理解しがたいのでございます。しかし、だからと言って審議を始めた以上、何もこの法案をとめるというような気は毛頭ございませんけれども、少し事務当局は熱意を持って取り組んでもらいたい、このことをまずひとつお願いをしておきたいと思います。ようございますか。
#61
○平野政府委員 この一九七四年の人命安全条約につきましては、国内法が国会におきまして御了承いただければ、審議が完了いたしますれば、外務省所管でございますけれども条約の批准を今国会の中で行うというふうに聞いております。ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
 それから、一九七八年の議定書の関係でございますけれども、これは五月二十九日現在二カ国が批准を終えておるというふうに聞いておりますし、その発効条件につきましては、世界の商船船腹量の五〇%以上となるような十五カ国以上の国が締約国となった日の後六カ月で効力を生ずる、こういう状況でございますので、この批准につきましては私どもといたしましても前向きに取り組んでいくだけの重要性があるというふうに存じておりますけれども、今国会ではお願いできていない、こういうことでございます。
#62
○阿部(未)委員 そうするとちょっと私は疑問が生ずるのですが、先ほどの局長のお話では、国内法の整備をしなければ条約の批准が困難だというふうにおっしゃいました。いまのお話では、どうも条約が批准をされるので国内法を整備しなければならないというふうに聞こえたのですが、仮にそうでなかったとしても、それでは国内法が整備できないうちになぜ条約の批准を国会に出してくるのですか。これは国際条約の方が先に出てますよ。おかしいじゃないですか。まず国内法が整備されて、それから条約の批准が提起さるるならば、順序として理解ができます。しかし、国会に出されておるのは条約の批准が先に出て、国内法は整備できるかできないかわからない、こういう状況ではございませんか。いまあなた、批准をさるる模様だと、こうおっしゃいましたが、国内法が整備さるれば条約の方も批准さるる模様でございますと、こうおっしゃいましたが、これは条約が先に出ておるのですよ。国内法ができないうちに。取り扱いがおかしくないですか。
#63
○平野政府委員 国会には条約と国内法と同時に御提案申し上げておるわけでございますし、外務省の方の見解といたしましては、国内法が批准されなければ国会で議了されましても批准はいたせないというふうに聞いております。
#64
○阿部(未)委員 どうも答弁がはっきりしないのですけれども、手続としては、国内法が成立してから、整備をされてから条約の批准を提案をする、そういう順序になるのじゃないですか。もし仮に条約の批准だけ先に済んでしまって、国内法はいつまでもできなかったということになったら、大変おかしなことになるでしょう。
#65
○平野政府委員 物理的に同時に御提案を申し上げておるということでございまして、実行的には、先生おっしゃいますように、国内法の整備ができたのを見て条約が批准される、こういう順序になろうかと思います。
#66
○阿部(未)委員 それでは外務委員会としては、提案はされておるが、こちらの法案が、国内法の整備ができるまでは批准もできないのが提案をされておる、そういう状況になるわけでございますね。
#67
○平野政府委員 条約につきましては、もう先生御承知のように、国会で承認をいただいた上で政府、いわゆる外務省が批准をする、こういう順序になろうかと思います。
#68
○阿部(未)委員 ただ、国会の承認がなければ批准ができないはずだと私は思うのです。国会の承認は批准の前提になるはずだと私は思うのです。その国会の承認を国内法が整備されないうちにやらせるというようなことは、手続上おかしくないですかと私は言うのです。そうでしょう。やはりこちらの国内法の整備ができた上で、条約の批准ができる手続きをとる。そうしなければ、国内法の整備ができないものを、条約だけは審議をさせて批准を保留しておくというふうなかっこうは、これは何年たつかわかりませんから、手続としては非常におかしいように私は思います。実はきょうはこれで議論する気はなかったのですが、あなたの答弁がちょっとおかしかったので……。
#69
○平野政府委員 外務委員会におきましても、先生がおっしゃいますように、国内法を早く審議して承認をしてもらうようにというような御意見があったやに聞いております。
#70
○阿部(未)委員 ちょっと釈然としませんけれども、この問題で余り時間をとりたくありませんから。実は私は、電波法の一部改正が突如として提案をされたのは、いわゆる放送大学学園法との関連ではないのかというふうに思ったのですけれども、内容的にはそういうものではないようでございます。
 そこで、この法体系の問題ですけれども、この放送大学学園法というものは、成立をすれば放送大学学園が放送事業者になるわけでございますか。
#71
○平野政府委員 放送大学学園法が成立をいたしましても、放送大学学園は放送事業者になるわけではございませんで、電波法によりまして申請が審査されて、郵政大臣の許可がおりるということがございませんと放送事業者にはならないというふうに存じております。
#72
○阿部(未)委員 今次の放送法の改正によりますと、放送大学学園法の中で放送法が改正をされて、まず第二章の日本放送協会の次に、第二章の二に放送大学学園というものが入ってくるように私は見ております。これは放送事業者だから入ってくるのであって、放送事業者でない者が入ってくるのはおかしいので、本来放送法のたてまえは、放送事業者である日本放送協会と一般放送事業者というように二本立てになっておる。これに新たに二章の二が入って、放送事業者である放送大学学園が出てくるのじゃないのですか、そういう法の精神じゃないのですか。
#73
○平野政府委員 放送法は、ただいま先生がおっしゃいましたように、NHK及び民放につきましても、放送法における法体制ができ上がりまして、そしてNHK及び各民放が申請をいたしまして、郵政大臣の許可を受けて放送事業者になるわけでございます。したがいまして、放送大学学園につきましても同様に、一章設けた瞬間に放送事業者になるわけではございませんで、郵政大臣の認可が必要である、こういうことになろうかと思います。
#74
○阿部(未)委員 それでは逆説的に言えば、放送事業者でない者が放送法の中に入ってくる必要はないでしょう。放送事業者だから放送法の中に入ってくるのであって、放送事業者でない者が何で放送法の中に入ってくるのですか。放送法の中だけに入って、放送事業を行わない者が放送法の拘束を受けるという理由はどこにあるのですか。
#75
○平野政府委員 放送大学学園の必要性を検討いたしました結果、放送法の手入れが必要であるということで、放送法の中に一章設けたわけでございまして、いわゆる放送大学学園は、先ほど来申し上げておりますように、放送事業者ではないというふうに考えておるわけでございます。
#76
○阿部(未)委員 放送事業者でない者が放送法の適用を受ける理由はどこにあるのですかと私は聞いておるのです。
#77
○平野政府委員 放送事業者になるためには、放送法の適用を受ける必要があるわけでございますので、放送大学学園のあり方等に対応いたしました最小限の放送法の改正をする必要があるということになるわけでございます。
#78
○阿部(未)委員 それでは放送法の四条を私は読んでみますが、放送法の四条は「放送事業者(電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)の規定により放送局の免許を受けた者をいう。)」とあって、免許を受けない者は、これは明らかに放送事業者じゃないわけでしょう。それがどうして放送法の適用を受けるのですか。
#79
○平野政府委員 放送大学学園は、先ほど来申し上げておりますように郵政大臣の免許、許可がございませんと放送事業者にはならないわけでございまして、現在の段階といたしましては、放送事業者たり得べき者であるということになろうかと思います。
#80
○阿部(未)委員 放送の免許というものは、本来そういう予断と偏見を持って行われるものなんですか。
#81
○平野政府委員 予断と偏見と仰せられる御趣旨がよくわかりませんけれども、私どもといたしましては、NHK及び民放に対応いたしました放送法がつくられまして、その時点におきましては現在のNHKあるいは現在の民放はなかったわけでございますので、放送大学学園につきましても同様であろうというふうに考えておるわけでございます。
#82
○阿部(未)委員 どうも私はわからないのですけれども、それならば仮に百歩譲って考えて、これが郵政大臣の免許を受けた、それから法の改正をしても私は法手続上遅くはないという気がするのです。そのときは、郵政大臣の免許を受けて、しかも試験期間みたいなものがありますね、予備免許という手続があるわけですから、免許を受けてからでも結構間に合うと思うのですけれども、そういう意味で私はどうもこの法の運用といいますか、つくり方が納得ができないのですよ。
 いまおっしゃったように放送事業者たり得る者などという解釈が成り立つならば、民間の企業の方々が申請をされた場合でも、あなた方はやはりこれは放送事業者たり得るか、たり得ないかということを、何年も前から予断しなければならないわけでしょう。私は、やはりこれはあくまでも郵政大臣の免許があったときから放送事業者たり得る者になるのであって、そしてその中で放送法が改正をされていくという手続の方が正しいのではないか。もしあなたのお説が正しければ、十年も二十年も前から、あなたのところは放送免許をいたしますからと、こういう理屈になるのですよね。何のために電波法があるのかわからないのです。電波法の精神は、郵政大臣に関係の書類を添えて申請をして、免許があってから放送局を開設することができるというのが電波法のたてまえになっておるはずであります。そういう十年も前から予断を持って、あなたのところは放送免許をしますからおやりになりませんかなどということになるのですか、大体。
#83
○平野政府委員 電波法のたてまえは先生がおっしゃるとおりでございまして、郵政大臣に申請書が出されて、そして審査の結果、予備免許がおろされる。実はそれで必要かつ十分かと申しますと十分ではございませんで、本免許になって初めて放送事業者である、こういうことに相なるわけでございます。
 それで、放送大学学園につきましては、先生御承知のような臨時放送関係法制調査会におきまして種々御検討された結果、将来のテレビジョン放送による教育機能がますます重要になるであろう、またそのためには周波数を確保しておく必要もある、それからその態様につきましても、従来の経験にかんがみまして、特殊法人とは言っておりませんけれども、従来のようなスポンサードカンパニーでは困るではないかというような御答申をいただいておりますので、私どもといたしましてはその流れを十分に踏まえながら、省の中におきましてもあるいは文部省に対しましても積極的に協力し、検討してきたわけでございます。その途中におきまして、テレビ及びFMを全国それぞれ一系統周波数を予定しておくというような行為も行ったわけでございます。一方放送法につきましては、もともと放送法というものが国立大学を予定していないというような状況、さらには私立大学というようなものもそぐわないであろう。要するに放送法に基づきまして申請が出せるような状況では実はなかったわけでございまして、十年来、わが省におきまして、また文部省の各種の委員会に協力をいたしまして、わが省の考え方を十二分に反映させながら現在に至ったということでございまして、御指摘のように相当長期間私どもとしましても検討をして現状に至っておるという状況でございます。
#84
○阿部(未)委員 御説明を承っても私はどうもなるほどと思えないのでございます。電波法というものが厳然としてあって、郵政大臣からその免許を与えられた者が放送局を開設し放送事業者になるんだ、そう電波法でもちゃんと四条に規定をしてあるのに、まだ免許も与えられていない者のために放送法を改正しなければならない、どうも私はその辺が釈然としないのですが、これは一般の、たとえば民間の企業の方々の場合でも、こういうふうにあらかじめあそこに免許を与えるんだということで法改正等をやって受け入れができるように、これからも法律の改正の場合にはいつもそういう手続をおとりになるわけでございますか。
#85
○平野政府委員 放送法に適合した申請書が提出いたされますと、電波法との関連も含めまして審査をするわけでございまして、審査の結果、郵政大臣が認可するかしないかという判断をされるわけでございます。さらに、その前の時点におきましても電波監理審議会の御意見も徴するということでございまして、先生が申されますように、申請された者はあらかじめ免許することを予定して審査をするとか、免許することを予定して申請書が提出されるということはないわけでございます。
#86
○阿部(未)委員 電波法の解釈は、局長さんおっしゃるとおりだと私もそう理解をいたしております。しかるに先ほどのお話では、免許を与えてしかるべきであろうというふうな前提に立ってこの法の改正をするのだ、こうさっきおっしゃいました。私は電波法の解釈は、いま局長さんがおっしゃったとおり、申請が出されて大臣がそれを見て免許しかるべきであれば免許を与える、そういう精神のものだと今日まで理解をしてきたがゆえに、今回のこの措置が、あらかじめ申請書も出ていない、審査もしていないのに免許を与えるという前提で法律を改正いたしますよ、こういう理屈が成り立つのかどうか、それを私はお伺いしておるのです。
#87
○平野政府委員 先ほど来申しておりますように、臨放調の流れを踏まえながら長年郵政省独自といたしまして、さらには文部省のつくりました委員会を通じまして検討をしてまいったわけでございます。その結果、放送手段として大学教育を実施をする、いわゆるテレビジョン放送の放送機能を十二分に活用することができるという面におきまして郵政省といたしまして賛成をしたわけでございます。したがいまして、少なくとも正規の大学の大学教育であるという観点、あるいは片や手段とはいいながら放送であるという観点等から検討いたしまして、学園の一章を設けることにしたわけでございますが、先生おっしゃいますように、だからといって学園から申請書が出てくれば審査もしないで免許を与えるということはないわけでございまして、電波法、放送法の趣旨に照らしましてきわめて厳しい審査をすることを予定しておるわけでございます。
#88
○阿部(未)委員 これはほかの先生方もお聞きになっておるのですが、局長のお話では非常に矛盾をしてきまして、長い間検討した、趣旨に賛成だ――趣旨が賛成ならばあらかじめ免許を与えることになるのだろうか。私が言うのは、電波法上免許を与えられた者が放送事業者になるんだという解釈を持っておりますから、その免許をあらかじめ与えるという――さっきは与えてしかるべきだ、免許してしかるべきであろうという前提だというふうにおっしゃった。少し変わってきたようですが、どうも長い間検討したからといって法を曲げるわけにはいかないのではないか。やはり手続としては申請があり、審査をし、免許を与え、放送事業者になる、そこで放送法は当然改正されなければならないことになるでしょう、新しい体系ができるわけですから。そういう手続にならなければ、初めから免許をすることを前提にして放送法を改正してしまうということは、どうも法の運用が曲げられているように私は思われてならないのです。とりわけ放送法等の新しい一つの体系ができる、これは後ほどもっと詳しくお伺いしますけれども、今日まで郵政省は挙げて公共放送であるNHKと、そして民間放送の二本立てが最も好ましいということをずっと言い続けておいでになったわけです。にもかかわらず今回放送協会でもなければ民間放送と言われる一般放送事業者でもない、もう一つ新しい放送事業者をつくろうとなさっておるわけでしょう。これは私は放送法上非常に大きい問題だと思うのです。その非常に大きい問題が、われわれが取り上げなければ逓信委員会に付議されることもなく、これは恐らく文教委員会で通過していったであろうと思います。こういう重大な放送法の根幹にかかわる改正が、放送法の改正として一つの法案として提案をされずに、放送大学学園法というものの附則か何かで改正をされようとし、一方、余り急がなくてもいいような電波法のほんのわずかな改正があわてて提案をされてくる、その辺に私は非常に不審を感ずるのです。どういういきさつになりますか。
#89
○平野政府委員 放送大学構想につきましては、先ほども申し上げましたように、去る昭和四十四年、郵政、文部両大臣の私的諮問機関といたしまして放送大学問題懇談会を設けまして審議を行ってまいりましたが、郵政省といたしましても、放送の教育的機能を発揮する上において有効適切な施策であるという観点から、テレビジョン放送及びラジオ放送用周波数を全国一系統留保してきたわけでございます。文部省におきましても昭和四十七年、学識経験者から成る放送大学設置に関する調査研究会議を設けるとともに、四十九年には放送大学創設準備に関する調査研究会議を設け、さらに詳細な検討を進められたわけでございます。郵政省といたしましてはこれらの審議に積極的に協力をいたしまして郵政省の意向を十分反映させてきたわけでございまして、その結果、放送大学学園と放送局とを一体とするとともに、その設置形態は、国立でもない私学でもないいわゆる特殊法人とすることが適当であるという結論を得たわけでございます。
 このような審議を受けまして、今回放送大学学園法案が提出されることになったわけでございますが、これを放送法上どのように位置づけるかといったその放送の規律の仕方につきまして、放送大学学園のあり方とまさに密接不可分な関係があるわけでございます。放送大学の目的なり姿、形、先ほど申しました大学教育の面からする規制がいかにあるべきであるか、放送という面からの規律がいかにあるべきであるか、あるいは特殊法人立の大学という面からどのように考えるかという面が、まさに密接不可分な状況でございます。今回この学園の目的なりあるいは業務等が明確になったわけでございまして、この業務を実施するに当たりまして、必要な点について放送大学学園法案の附則によりまして放送法を改正することになったわけでございます。このような経緯、理由でございます。
#90
○阿部(未)委員 行政の間でどういうお話し合いが行われ、どういう経過があったか、それは私は承知をしませんけれども、免許をされる郵政大臣も法を曲げて免許をするわけにはまいらないのでございまして、法によって免許を与えるというのが私はたてまえだろうと思います。いま局長のお話では、行政の間でこういう話し合いがあったのだから当然だというふうに私聞こえますけれども、行政の間でどういう話し合いがあろうとも、郵政大臣が免許を与えるに当たっては、電波法の精神にのっとって、電波法の手続にのっとって免許を与えるべき筋のものだと私は思います。したがって、行政の間でどういう話し合いがあったか、そんなことはここでは全然問題になりません。手続が正しいかどうか、大臣の免許手続が、行政の間で話し合いがあったならば法を犯してでもやれるのかどうかですよ。そんな答弁なら納得できませんよ。そうでしょう。郵政大臣は確かに免許を与える権限を与えられています。しかしそれは法にのっとって与えるのであって、行政の間の話し合いがあったから法を曲げても免許をあらかじめ与えるということを約束するというばかなことはあってはならないはずです。どうですか。
#91
○白浜国務大臣 非常にむずかしい問題で、私も承っておりながら、さっぱり法律がわからないものですから理解に苦しんでいるところでございますが、幸い法制局の方から見えておりますので、御説明させますので御理解をいただきたいと思います。
#92
○味村政府委員 大変むずかしい問題でございますが、まず放送大学学園法、これは放送大学学園をつくりましてそれが放送大学を設立する、その放送大学というのは放送による教育を行う大学でございますから、したがいまして当然に放送を行うということを予定しているわけでございます。ところが、放送を行いますのにはもちろん電波法の免許を受けなければなりません。そのことはもうおっしゃるとおりでございます。したがいまして、郵政大臣は電波法の規定に従いまして、放送大学学園が放送事業者たるにふさわしいかどうか、免許を与えるにふさわしいかどうかという審査をするわけでございます。そしてそれが適法である、ふさわしいということになれば免許を与える。したがいまして、放送法の改正を今度の附則でやっているわけでございますが、それはそういうふうに与えられました場合に放送大学学園は放送事業者になるわけでございます。
 ところが、放送事業者になりました場合に放送大学学園につきましての放送法の適用がどうなるのかということは、これは放送法の規定を検討する必要があるわけでございますので、そこで検討いたしました結果、放送法を改正するという案を御提案申し上げたわけでございます。つまり放送大学学園は放送事業者となるということを予定して放送法の改正を附則で行うという案を御提案申し上げたわけでございますが、それは決して電波法の免許の要件を放送大学学園に限って緩めるとか無視するとかそんなことではございませんで、電波法に従いまして免許を受けた場合に放送事業者になる、その場合に放送法の適用はどうなるかということをこの放送大学学園法の附則で規定したわけでございます。
#93
○阿部(未)委員 やっぱり私はわからないのです。せっかく御説明いただきましたがわからない。おっしゃるとおり、電波法の手続としては、申請をして、審査をして、免許が与えられる、これが電波法の手続であることは間違いがないはずでございます。ところがいまのお話でも、免許を与えられることを前提として、そういう前提の上に立った法の運用というものがあるものでございましょうか。それでは民間の事業者が免許を与えられることを前提としてとやられたらこれは一体どうなるのですか。だから、行政で話し合えば法はどうでもなるというようなお考えではないのですか、私が言いたいのはそこなんですよ。行政の間の話し合いがつけば法律なんかくそ食らえだ、そうお考えになってお出しになったからこういうものになったんじゃないのですか、立法府を無視し過ぎておるのではないのですか、そう私は聞きたいのです。
 法に不備があれば、われわれ立法府ですから、法の不備を直すにやぶさかでありません。不備を不備のままにしておいて無理な因縁をつけて曲げて運用しようとする、そこに無理があるように私は思えてならない。立法府を軽視しておるように思えてならない。なぜもっと素直に率直に、法の改正なら――たとえば、あなた専門ですが、私はこの放送法を見る限りにおいては、第二章は日本放送協会を規定をし、第三章は一般放送事業者の規定がある。それならば当然新しくできるこの放送大学学園は第三章として挿入をされ、以下第四章に繰り下げられていく、これが法律の読み方としては正しいと思うのですよ。ただ、いままであなた方は簡易な手続をとるために二章の二とか二章の三とかいって異質なものをどんどんせり込んでいっているんですよ。そんなむちゃなことをせずに、なぜ抜本的な改正をしないのですか。そんなになってくると逓信委員会で大変だろう、だからこっそり文教委員会などわからぬところでやっておけ、そういうお気持ちがあるからこういう提案の仕方になってくるのでしょう、こう私は聞いておるのです。どうですか。
#94
○味村政府委員 一点にしぼって申し上げますが、放送大学学園の免許につきまして、電波法を曲げて免許を与えるなどということは全然考えていないわけでございます。放送大学学園は、電波法に規定いたしております免許の要件を自分で充足いたしまして、そして郵政大臣の免許を受ける、これを予定しているわけでございまして、決して電波法を無視して免許を受けるというようなことは予定していないわけでございます。
#95
○阿部(未)委員 それなら何も、あらかじめ免許を与えるということを前提にするなどとむずかしいことをおっしゃらずに、電波法の手続どおりに申請をなさったらどうですか。法人をつくって申請をなさる、申請をなさって審査をされる、審査をされて免許が出る、それから法律の改正をおやりになったって結構じゃないですか。なぜ先に無理してこういうことをおやりにならなければならぬのですか。手続どおりになさってください。
#96
○味村政府委員 これは法律の考え方の問題でございますが、放送大学学園は放送するということを前提にしてできているわけでございます。そして、いま申し上げましたように、電波法の要件を充足するというのは学園自体がやるわけでございまして、その免許を受けました上で放送を開始する、こういう予定でございます。そういたしました場合、放送を開始する場合には放送法の適用がどうなるかという問題が生じますので、附則で放送法の改正をお願いしているということでございます。先生のおっしゃいますように、免許を受けて、それから放送法の改正を行うということも考えられないことはございませんでしょうが、しかし放送をしなければ放送大学学園の使命は達成できないわけでございますので、あらかじめ放送法の改正を附則でお願いするということは差し支えがない、むしろ合理的であろうと考えます。
#97
○阿部(未)委員 私は、法律というものはあらかじめ予測をしてつくるものではないと理解しておったのです。十年先、二十年先を予測して法律をつくったというようなことは余り聞かない。三年先こうなるであろう、十年先こうなるであろうという想定はあっても、立法するときには今日の時点においてそれが必要であるからつくるのが法律だと私は聞いておったのですが、最近変わったようで、三年先、五年先を見通して法律をおつくりになるようでございますけれども、そういうふうに立法の精神が変わってきたわけでございますか。
#98
○味村政府委員 法律は、一定の政策的な必要がございまして、その必要を満たすためにつくるわけでございます。この場合は、放送によって大学教育を行う必要があるという政策、それを満たすために放送法の改正が必要であるという判断に立っているわけでございます。
#99
○阿部(未)委員 現時点で放送による大学教育を行うことになった、だから必要だ、これが大体法を提案するときの原則にならなければならない。三年先に必要であろう、五年先に必要であろう、だからつくっておかなければならぬというような法律はぼくはおかしいと思うし、また、申し上げたように、ちゃんと電波法という法律がここにあるわけですから、この法律に従って申請をする、審査をする、免許が出る、そこで、免許されたが現行放送法ではぐあいが悪い、現行放送法をこういうふうに変えてもらいたい、これが法律をつくるときのたてまえであり、順序であると思います。あなた方は自分たちの都合のいいように、あらかじめ予測できれば三年も五年も前からi放送大学が何年にできるか知りませんが、ことしや来年にできぬことだけは間違いがないのです。三年も先のことをいまから法律を改正しておこうなどということは、どうもぼくは理解ができない。放送大学学園をつくるときに、この辺で放送法の改正をしておいた方が、附則かなんかでちょっとやっておけば簡単にいって都合がいいからそういうふうにやりましょうということで、恐らく文部省が郵政省の頭をなでてこうやった。これは私の予測ですからそのとおりやったかどうかわかりませんが、そういうことにしかならないのじゃないか、こう思うのです。
 私は、このことに余り時間をとるつもりはなかったのです。答弁がおかしいものですから長くなってしまいましたが、先に行きますよ。これは私、非常に疑問を残しておる。法制局の方にもお願いしておきますが、将来この放送法という重要な、放送の抜本的な改正にかかわるような問題を提起するときには、別々に法律を出してもらいたい。何かの附則でくっつけたり、「及び」とか「並びに」とかいうことで他の法律の変更を一緒にやるというのは、ごく軽微なものを除いては十分気をつけてもらいたいということをこの際、法制局にお願いしておきます。
 次に入りたいのですが、電波法の一条ではこう言っていますね。「電波の公平且つ能率的な利用を確保すること」それから放送法の一条一号で「放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障する」こういうふうに規定されております。
 そこで、いまあらかじめ免許する、免許を予定するとかなんとかいろいろありましたけれども、そういう精神にのっとっておるとお考えになっておるのでしょうか。どこでもいいです、答弁できるところでしてください。
#100
○平野政府委員 学園法は「目的」の中で「当該大学における教育に必要な放送を行うこと等により、大学教育の機会に対する広範な国民の要請にこたえるとともに、大学教育のための放送の普及発達を図ること」を掲げておるわけでございまして、郵政省といたしましても、この目的に沿って放送大学学園の放送が全国的に普及し、できるだけ広範囲で放送の受信が可能となるように、周波数の手当て等できる限りの努力をしてまいりたいと存じておるところでございます。
#101
○阿部(未)委員 郵政省はそういうふうに電波等について、放送法や電波法の精神「最大限に普及され」るということなり「公平且つ能率的」であるということについて十分な配慮を行いたい、こういう御答弁でございます。それでは、その配慮にこたえるように文部省としては「国民に最大限に普及され」あるいは「電波の公平且つ能率的な利用」ができる計画をお持ちなのかどうか、お知らせ願いたいと思います。
#102
○阿部説明員 お答えいたします。
 放送大学学園の放送対象地域の問題に関連しての御質問でございますが、この法案の第一条におきましても、学園は「大学教育のための放送の普及発達を図ることを目的とする。」というような規定も置かれておるわけでございまして、もちろんこの大学をつくっていきます関係上、全国ということを念頭に置きながら進めていく必要があることは当然のことでございますし、私どももそのように認識しておるわけでございます。
 しかしながら、具体の計画の問題につきましては、当面関東地域を対象の地域といたしまして放送大学の発足ということを考えておるわけでございますが、実際に進めてまいります場合に、何せ新しいものでございますし、学習センターの整備の問題その他種々むずかしい問題も抱えておりますので、実施の状況を見ながら将来の計画については検討してまいりたいということで、現段階でお答えできないことはまことに申しわけないわけでございますが、そういった考え方を持っておるわけでございます。
#103
○阿部(未)委員 そうすると、郵政省側としては、全国的にいわゆる国民に最大限に普及されるような手当てをする、こうお考えのようですけれども、申請をされるであろう放送大学学園の方では、さしむき東京タワーからの電波であって、いわゆる関東、それも完全なカバーにはならないと思うのですが、その程度のことしかできない。そうなると、将来の計画は、それは全国普及が目的でしょうけれども、さしむきの計画としてはないわけですね。それが一体いま申し上げた放送法一条なり電波法一条の目的に沿うと言えるのでしょうか、どうでしょう。私は非常に無理があるように思います。まず電波法、放送法の国民に最大限に普及するという精神、公平かつ能率的に使うという精神から考えて、いまでさえテレビのチャンネルは山ほどある関東にまたやる、ほかのところはない、そういう電波の利用が、国民に最大限に普及されるものであり、かつ公平に利用されておるとお考えになりますか。
#104
○平野政府委員 先生御承知のように、全国あまねく放送を必要とするNHKが現状に至るには相当年月がかかったわけでございまして、放送大学学園につきましてもある程度の年月は必要かと思いますけれども、私どもといたしましては、電波法の趣旨あるいは先生おっしゃいました放送法の趣旨に照らしまして、できるだけ早く全国普及を図るように努力してまいるべきであるというふうに存じております。
#105
○阿部(未)委員 郵政省としてのお考えは先ほどもお話があったし、要請があればそれにこたえ得る電波の割り当て等についてもお考えになっておる、これは先ほど局長から聞いたところです。しかし、肝心の放送大学学園、法人である放送大学学園は、目的としては持っておるけれどもいまのところ具体的な計画がない、こうおっしゃる。具体的な計画がないのにこれに免許するというのは、これはおかしなことになってきて、この精神にもとることにならないか、私はそこをお伺いしておる。郵政省の手当てはわかりますよ。郵政省はそういう期待を持ち、そういうふうにおやりになっているということはわかりますけれども、しかし申請される方にないのですよ、具体的プランが。それは一体どうなりますか。
#106
○平野政府委員 既存の放送、NHKあるいは民放にいたしましても、申請書提出の段階におきましては将来計画等を十二分に聴取をするということにいたしております。放送大学学園側といたしましても、申請の段階までできるだけ早い時期に将来計画をお示しいただけるものと期待をしておるわけでございます。
#107
○阿部(未)委員 大体わかりました。この法案がすべて期待の上に成り立った法案であるということだけは、文部省の説明、それから法制局、郵政省の御説明を聞いて大体わかりました。
 ただ局長、あなたに申し上げておきたいのですが、かつてNHKの普及がこういうテンポでいったのだ、民放がこうであったのだから、だからそれでいいのだということはぼくは間違いだと思うのです。やはりあなたは法の精神に立って、少なくとも免許をするに当たっては、あまねく、あまねくという言葉が悪ければ、最大限国民に普及するようなシステムにしておかなければならないわけですよ。その意味から言うならば、放送衛星がもう具体的な日程に上っていますが、放送衛星を利用すれば、この放送大学は全国をあまねく、しかも同じ時期からやることができる。私は教育の問題は専門家じゃありませんけれども、一定の地域の人だけが放送による大学の教育を受けられて、それ以外の地域の人が受けられないということは教育の機会均等という意味からいっても私はおかしいと思っているのです、これは素人ですから論争しませんけれども。電波法の意義からいってもおかしい。放送法からいってもおかしい。じゃ何かと言えば、期待の上に成り立っておるのであって、そういうことを期待しておるということにしかすぎないような気がします。もっとこの問題を議論したいのですけれども、そういうことであるならばもう少し慎重に、この法案については時間を与えていただいて議論をする必要がある。
 文部省にしてもそうですよ。いまわざわざ電波を出すものをつくり上げていろいろな準備をしてみても、恐らく昭和五十八年ごろには放送衛星が上がる。放送衛星を一番利用するのは放送大学になるだろうと私は思っておるのですよ。ならばその方向に向かって努力することの方が教育の機会均等あるいは電波法の精神からしても好ましい方向であって、ここで一日を急いでこの法律をつくり上げなければならないという根拠は非常に薄いと言わなければなりません。
 そこで、もう一つこの内容についてお伺いをしますけれども、NHK、お見えになっていただいておりますね。NHKにお伺いしますが、NHKでもいま教育放送というのがございますね。この教育放送では学校放送とそれから学校放送以外の教養というようなことをうたってあるようでございますけれども、このNHKの学校放送といま予定されておる放送大学学園法とでは、NHKの側はどういう違いが出てくるとお考えになりますか。
#108
○堀参考人 お答えいたします。
 放送大学の具体的計画があって、したがってどういう科目をどういう形で取り上げ、そしてどの部分を放送にゆだねるかということはいまだはっきりいたしておりません。したがいまして、それとわれわれの放送番組との関連ははなはだしく不分明な部分が多く残っております。
#109
○阿部(未)委員 いまNHKの方からも、これは非常に不分明だというお言葉があった。私もそう思うのです。たとえば、ここでおやりになるのは大学教育だと私は理解するのですけれども、文部省にお伺いしますけれども、これは大学だけおやりになるわけですね。そうすると現行NHKの教育放送は、まあ幼稚園とは言わないが、小中高まではNHKの教育放送でやっているのです。大学だけをなぜ文部省がやらなければならないのか。文部省がおやりになるのなら大学から小学校までみんなやればいいのであって、なぜ大学だけは文部省がやり、小中高はNHKがやるのか。同じ教育放送でしょう。これは教育放送の中の学校放送ですか、社会教育になるのですか、どっちですか。
#110
○阿部説明員 放送大学学園が行います放送は、放送大学の教育課程にのっとった内容のものを放送するという考え方でございますので、学校教育放送になるというふうに考えております。
#111
○阿部(未)委員 NHKでもこの区分はなかなかむずかしいとぼくは思うのですけれども、NHKの場合には学校放送と学校放送以外の教育番組、放送というふうに規定しておるようでございます。しかし、たとえば大学の講座をおやりになっても、時報ぐらいは知らせてやらなければならぬだろうと思うのですね。時報は一体大学のあれになるのか社会教育になるのか、これはなかなかむずかしい問題ですよ。私は多分に社会教育が含まれると思う。たとえば大学生として勉強しておる、受信しておる人以外の一般の人だって、これは見られるわけでしょう。一般の人が見た場合には、これは大学教育ではなくて社会教育ですよ。大学の学生たる者が見た場合にはこれは大学教育たり得ても、一般の人が見た場合には社会教育にしかならぬわけですよ。あなたは、おれたちの放送は学校教育であって社会教育ではないと判然と言い切れますか。
#112
○阿部説明員 放送法制の問題でございますので、私余り的確でない面があろうかと思いますけれども、学校教育のための番組あるいは社会教育のための番組ということの分類につきまして、先生おっしゃるような点があることはまさにそのとおりだと思います。ただ、その場合の分類のいたし方といたしまして、いわば放送の意図と申しますか、本来のねらいというものがどこにあるかと
 いうことによって区分をしていくということにな
 るのではなかろうかと思っておるわけでございます。今回の場合には、大学の教育課程にのっとって、大学に登録をいたしました学生に対して教育をするというのが本来のねらいでございまして、それ以外に一般の方々がごらんいただくのももちろん結構でございますし、その場合に社会教育的な意味を持つことも確かでございますけれども、本来のねらいとするところはまさに大学教育のためのものである、こういうふうに考えておるところでございます。
#113
○阿部(未)委員 NHKにお伺いしますが、NHKも、教育放送の中の学校放送と呼ばれるものはそれぞれ小学校向け、中学校向け、高校向けというものがあるように私は考えております。もちろん一般の人が見て悪いことはありませんけれども、目的とするところは小学生、中学生、高校生を対象にしながら放送されておるというふうに私は理解をいたします。そうしますと、高校まではNHKで、大学だけが法人をつくらなければならないという意味が今度私はわからなくなってくるのですが、これはどういうことでしょうか。ずいぶん検討されたようですから、行政の間で検討された経過について、なぜ大学だけが法人をつくってやらなければならない、高校までの学校教育はNHKがやるのだというふうにお分けにならなければならなかったのか、そこを聞かせてください。
#114
○阿部説明員 NHKが現在やっておられます放送は、おっしゃいますように小学校等の学校向けのものから上は大学レベルの番組まであるわけでございますが、その中で、いわばNHK学園の高等学校の関係の部分は若干別かと思いますけれども、他のものはNHKみずからが小学校等を持って自分のところで卒業させるという仕組みではなくて、小学校等がそれぞれ存在している場合にいわば副教材的にその放送が活用されるという関係でございますので、今回の私どもの考えております放送大学そのものは、そういう大学をつくって、その大学の学生を受け入れ、学士等として正式の資格を与えて卒業させるという学校そのものをつくるというのをねらいにしておるわけでございますので、若干趣旨が違うところがあろうかと思います。
#115
○阿部(未)委員 その趣旨はわかります。しかし、その趣旨はわかりますが、内容としては変わらないものをやっておる。ただあとは卒業の免許を与えるような学校体系にするのか、NHKのような副教材的なものにするのか。しかしNHKの放送の内容を変えて悪いという規定はどこにもないわけですから、番組の編成は自由になっているわけですから、もしこういうものをつくるのならば、私は、すでに高校教育まで放送しておるNHKが、妥当かどうかわかりませんが、これをやってもいいのではないか、やったっておかしくないじゃないか、改めてこういう法人をつくらなければならない理由はないではないかという気がするのですが、仮にNHKにそういう話があったら、NHKはどうお考えになりますか。
#116
○堀参考人 お答えいたします。
 NHKは、昭和四十四年、この問題が世上議論に上ったときに、当時の会長の前田から、NHKは放送大学の放送部面を受け持つ用意があるという発言をいたしたことは事実であります。また、当時そういう気持ちでございました。ところが、いまお話しになりました中に出てまいりますように、昭和四十七年、放送大学設置に関する調査研究会議というものが設置されまして、四十八年、大学と放送とは一体であるべきだという中間報告が出され、その後四十九年、同じ趣旨のあれが最終答申として出たわけでございます。その段階におきまして、NHKは当然のことながら大学をも含めてNHKがやるべきかどうかということに対する選択を迫られたわけでございます。そして、われわれとしては、NHKの受信料の性格あるいはNHKの性格から見て、大学を持ち、しかも大学放送を行うということについて消極的にならざるを得なくなりまして、その当時の会長でございます小野から、国会答弁において、われわれはこの問題について消極的な旨の発言があったわけでございます。
 それでは、いまNHKはやる意思があるかどうかということでございますが、いろいろ事態が変遷しておりますので、私としては、いままでの経過をあらましお話し申し上げて、答弁にかえさせていただきたいと思います。
#117
○阿部(未)委員 まるきり逆のことを文部省にお伺いいたします。
 せっかく大学放送をおやりになるのですから、いまNHKがやっている高校、中学、小学校の教育放送も今度はそっちでおやりになるお考えがありますか。
#118
○阿部説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、今回の放送大学の構想は、大学そのものを新しくつくるという構想でございます。小学校等のものについてそういう学校をつくらなければならないということではないわけでございますので、学校放送としてNHKにつくっていただいているいまの番組というのは非常に適切なものでも一ございますし、私どもとしてはああいったNHKのこれまでの積み上げの成果というものをぜひ大事にしていきたいというふうに考えているわけでございます。
#119
○阿部(未)委員 私は教育放送という性格から考えれば、やはりこれは区別すべきではないかという気がするのです。NHKは教養までで、そしてあと教育ということになれば文部省が所管をするということが正しいのではないか。ただ、今度逆に放送という面から考えれば、文部省が出てくるというのはおかしいような気がして、NHKでやった方が正しいのではないか。その辺、私は、NHKがやるのが正しいのかどうかよくわかりませんよ。わかりませんが、いずれにしても、いまお伺いしてみると行政の間で話がついたとおっしゃいますけれども、内容はまことにお粗末なものだという一言に尽きます。
 この機会に、もう一つだけお伺いしておきます。どうも文部省も政府も金が余って困っておって、こういう計画を立てられたように見受けられますが、実はNHKの方では、学校のテレビ受信機からは、大臣の許可をいただきまして受信料を免除しておるのです。しかし、そんなに文部省で金が余るならば、今日国民の負担になっておる受信料を値上げをしなければならないというような状況になっておるわけですから、さしむき、その余ったお金を学校の受信機の受信料だけは、文部省の方から協会の方に払っていただくように、こう考えてもらえませんか。
#120
○阿部説明員 大変恐縮でございますけれども一、先生ただいま御指摘の件につきましては、文部省社会教育局が所管をいたしておりまして、私、所管外でございますが、お話があったことを十分お伝えすることにさせていただきたいと思います。
#121
○阿部(未)委員 NHKはどうお考えになりますか。大変たくさんの、恐らく二十億ぐらいになるのではないかという記憶がありますが、学校の受像機について免除しておるのです。ところが国、文部省の方では金があり余って困るのでこういえ計画を立てておやりになろうというのですから、この機会に大臣に申請して免除を取り消していただいて、文部省の方から学校の受信機の受信料をもらうようにお考えになったらどうですか。
#122
○堀参考人 お答えいたします。
 この問題につきましては、逓信委員会でもなるべく免除範囲を狭めたいということで基本的な立場を明らかにし、御協力をお願いしているわけでございますが、長い歴史とNHKの公共の福祉という立場からの活動から見まして、各方面の了解を得てスムーズにこの問題が解決できるように今後も努力したいと思っております。
#123
○阿部(未)委員 最後に文部省にちょっとお伺いしておきます。
 けさの朝日新聞ですけれども、内藤文部大臣も、努力はしたいが、なかなかこの国会の成立はむずかしいようだ、こうおっしゃっておられますね。もう一つ聞いておきたいのですが、よくわからないのですけれども、内藤文部大臣の言葉に「郵政の関係のことは面倒で、そう文部省が動くことはできない」と言ったと書いてあるのです。郵政の関係がどういうふうにめんどうなんでしょうか。文部省の最高責任者のお話でありますから、新聞がうそならうそと言ってください。こうおっしゃったのなら、その真意をお知らせください。
#124
○阿部説明員 大変恐縮でございますが、私その会合に立ち会っておりませんで、けさ新聞を読んで私もびっくりしたわけでございます。私どもといたしましては、せっかく今国会に御提案申し上げています法案をぜひとも十分御審議をいただきまして、早急に上げていただくようにお願いを申し上げる立場でございます。
#125
○阿部(未)委員 阿部さん、せっかく来ていただいてこういうことを申し上げるのは気の毒ですけれども、だから私は、どなたでも結構ですけれども大臣にかわって御答弁のできるお方に御出席をいただきたい、こうお願いしておきました。来るときは、新聞に出ておるのですから、このぐらいのことは質問されるであろうと考えて、大臣に聞いて出席してもらうように、これからは気をつけてもらいたいと思います。
 最後に、郵政大臣にお願いしておきます。
 いま議論をしてまいりましたし、新聞にも出ておりますが、これは教育の大きい問題でもあるし、また放送法の根幹にもかかわる重要な問題でございます。私は放送大学をつくることそれ自体に反対するものではありません。これは私は必要だと思っております。思っておりますが、いまここで一日を争ってやらなければならないような問題ではないような気がしますので、もう少し時間をかけてじっくり議論をさしていただく。そのためには、この国会での成立を急がずに、時間をかしていただきたい。そのことをお願いして、質問を終わります。大臣に、あれば一言……。
#126
○白浜国務大臣 関係者で一生懸命勉強して、ぜひとも成立させていただきたいということで提案申し上げているのは御承知のとおりでございますが、国会の審議の上においてどうこうするというふうなことになるかということについては、私の方から発言をすることはなかなかむずかしい問題でございますので、どうぞその辺は御理解をいただきたいと思います。
#127
○阿部(未)委員 終わります。
#128
○石野委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。
    午後零時四十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十五分開議
#129
○石野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。青山丘君。
#130
○青山委員 今回の電波法の改正の理由の一つには、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約の発効に備えてということになっております。この国際条約は一体どのような内容のものか、それから、この条約の発効というのはどのように見通しを立てておられるのか、日本はこの条約に対して批准をしていく見通しについてはどうか、まずお尋ねをいたします。
#131
○今西説明員 まず一九七四年の海上人命安全条約はどのような条約であるかという点でございますが、海上人命安全条約は、航海の安全、特に人命の安全を確保するという観点から、船舶の構造、設備等に関する安全規制を中心といたしまして統一的な技術規則を定めるものでございまして、海事関係の基本条約といたしまして大変長い歴史を有しております。現行の条約は一九六〇年のものでございますが、これは第四番目のものでございまして、今国会において御承認をお願いいたしております一九七四年の海上人命安全条約は第五番目のものに当たるわけでございます。
 条約は条約本文と附属書等から成っておりまして、条約本文は前文及び十三カ条の条文から成っております。これは条約上の手続事項を定めております。それから附属書は九章二百五十五規則という大変膨大なものでございますが、これは条約の目的でございますところの技術規則を定めておるわけでございます。
 次にこの条約の発効見通しでございますが、ただいまからほほ一年後でございますが、明年の五月二十五日に発効する予定でございます。
 それから次に、わが国の批准見通しでございますが、今国会におきまして御承認を得まして国内体制が万全であるという確認を得ました後は、早急に批准をいたしたいと考えております。
#132
○青山委員 日本は商船の保有量が非常に多く、全世界の商船船腹量のおよそ一割、一〇%近くを占めている。こういうことになりますと、わが日本という国はいわゆる海運国である。その海運国日本が船舶の安全を図るという立場に立ってきますと、いまだ批准していないというのは、素朴な国民感情からしますと、一体どういう理由なんだということになってくるのではないか。その辺の御見解をまず聞かしていただきたい。
 それから、日本以外の国でまだ批准していないいわゆる海運国というのはどんな国がありますか、お聞かせいただきたい。
#133
○今西説明員 日本が現在に至るも本条約に関する批准を行っていないのはおかしいではないか、何か理由があるのではないかという御質問でございますが、この条約の目的は、船舶の構造、設備等に関する統一的な規則を設定いたしまして、それによりまして海上における人命の安全を増進するというところにございますが、この目的を有効に達成するためには、主要国を含みますところの多数の国が締約国になるということが必要でございまして、その辺の各国の動向を見守っておったということが一点ございます。
 右につけ加えまして、実はただいま今国会において御承認をお願いいたしております七四年の条約でございますが、この一部を追加修正しようという動きが実はあったわけでございます。これは海洋の汚染防止、人命の安全確保という観点から、この七四年条約の一部を、タンカーの安全規制を中心といたしまして一部追加修正しようという動きがございまして、これは昨年の一九七八年二月にIMCOが主催いたしました外交会議におきまして、七四年条約に関する一九七八年議定書という形で結実いたしたわけでございます。この辺の動きを見ておりましたわけでございますが、しかる後に加入手続を開始するという方針を固めた次第でございます。
 それから、日本以外の加入手続をとってない国はどれどれかということでございますが、海運国、商船船腹量の総トン数の合計で見まして大体十位ぐらいまでをとってみますと、そのうちで締約国になっていない国は、日本、ギリシャ、ソ連、イタリアというところでございます。
#134
○青山委員 国際条約が来年発効する見通しだ、こういうことになってきておりますと、海運国としての日本のいわゆる政府の役割りという立場からしてまいりますと、船舶の安全、これはもちろん人命及び財産の保全という立場に立つわけですが、現実には七四年条約後にも相当な事故があった、したがって七八年の議定書、こういう経過だというふうに私は聞いているのです。そうなってまいりますと、もう少し対応が早くなければいけなかったではないかという私自身の感じがするわけです。その辺のこれまでの取り扱い――世界の国の対応を見ていたというのが、先ほども言われた海事関係の基本的な条約である一九七四年の海上人命安全条約に対する認識だとすれば、対応がいささか遅きに失した。もっともっとこれからまだ進んで論議しなければならない問題があるのではないかと考えるにもかかわらず、現在国内法の審議に入ってきたというのは、若干私は遅いような気もするのですよ。そこで、条約の承認に関する国内審査といいますか、現在進めておられる国会の審議状況というのはどうなっておりますか。
 それから、これは外務省にお尋ねしておるのですが、条約の方は承認されたが電波法の改正がもしできなかったということになってくると、政府はこの条約を批准していくのかどうかという、その辺の見解はいかがでしょう。
#135
○今西説明員 七四年条約、これは現在審議継続中でございますが、本日午前の参議院本会議におきまして御承認いただいたわけでございます。それから衆議院におきましても、早期に御承認いただくことを念願しておるわけでございます。
 それから、条約を御承認いただいて万一電波法の改正ができない場合には批准の方針はどうであるかという御質問でございますが、もし電波法の改正が認められない場合は、条約に加入するための国内体制が十全でないということになりますから大変困ることになるわけでございますが、これは電波法の改正を待ってその後に加入手続をするということにならざるを得ないと考えております。
#136
○青山委員 電波法の改正を待って批准の手続をしていく、こういうことですが、来年の五月には条約が発効していく。日本がもし批准しなかった場合に、具体的にはどんな不都合が生まれてきますか。
#137
○今西説明員 わが国は海上人命安全条約の分野におきまして、長年にわたりまして国際協力に非常に貢献いたしてまいっております。また、今日は特に海運、造船の分野におきまして日本の国際的地位は重要でございます。また、この条約の作成の主体となりましたIMCOにおきましても、理事国といたしまして重要な位置を占めております。そういった意味におきまして、もし発効後も日本が締約国になれないというような事態になりますと、まず国際協力上の観点から申しましてこれは大変困ったことになりまして、望ましいことではないというのが第一点でございます。
 それでは具体的にはどういう不都合が生ずるのかという点でございますが、万一締約国になれない場合は、条約上で認められておりますところの証書、これは検査をやったということを証明する紙でございますが、これを相互承認するというその制度に均てんすることができないということになりますから、一々具体的に検査を受けなければいけないことになるという意味におきまして海運の運航における自由が阻害されるおそれがある、そういう具体的な支障が懸念されるわけでございます。
#138
○青山委員 海運国では日本以外の国もまだ批准していない国があるということなんですけれども、大体、海上人命安全条約に限らず日本の対応というものがIMCOの姿勢とは必ずしもマッチしていないのかと思うような節をときどき感じます。それは対応が非常に慎重過ぎるのか、対応が遅いのか、あるいはIMCOの姿勢に対して疑問を持っておられるのか、その辺はどうですか。
#139
○今西説明員 IMCOで出てきます問題につきましては、外務省といたしましては関係省庁と十分に御協議、御連絡申し上げながら慎重に対処しておるということでございまして、後向きということではございませんで大変慎重に対処しておるということでございますので、そういうことで御理解いただきたいと思います。
#140
○青山委員 私が心配しておるのは、対応がおくれることによってさらにまた新しい事態が出てくるということですね。つまり一九七八年の議定書、より緩やかな形ですけれども、これもやがて日本に承認を求めてくるでしょう。そういうような新しい事態がどんどん出てくるのではないか。そういうことから考えていきますと、若干対応がおくれてきておるような気がしますが、いかがでしょうか。
#141
○今西説明員 先ほど七四年の海上人命安全条約に関する審議状況に関連いたしまして、私の方から述べておけばよかった点でございますが、実は七四年条約に関します一九七八年の議定書につきましても、七四年条約とあわせまして今国会で御審議いただいている状況でございます。
#142
○青山委員 今回の電波法の改正では聴守義務が強化されるということになっておりますが、この聴守については本来通信士が耳で行うことを基本とするべきだと私は考えます。今回の改正案ではどのようになっておりますか。
#143
○平野政府委員 今回の改正の内容でございますが、国際航海に従事する船舶の義務船舶局で五百キロヘルツの周波数の指定を受けておるもの、この義務船舶局と申しますのは、漁船の義務船舶局で郵政省令で定めるもの及び船舶安全法第四条第二項の規定により無線電話をもって無線電信にかえたものを除くわけでございますが、その義務船舶局で五百キロヘルツの周波数の指定を受けているものが、当該五百キロヘルツの周波数及び二一八二キロヘルツの周波数の両周波数を常時聴守しなければならないということに相なるわけでございます。
 改正の理由でございますが、現在の海上における遭難通信制度が、電信用の五百キロヘルツによるものと電話用の二一八二キロヘルツによるものとに分かれて存在しておりまして、電信船の近くで電話船が二一八二キロヘルツの遭難信号を発信いたしましても、電信船はそれを受信することができないという問題がございます。この点を改善するために新たに電信船につきまして二一八二キロヘルツの聴守を義務づけようとするわけでございます。
#144
○青山委員 二一八二キロヘルツは、無線電信の遭難周波数である五百キロヘルツと同様に、無線電信通信船にも常時聴守が義務づけられている、二一八二キロヘルツの聴守をオートアラームで行うということを認めるとしてまいりますと、法律の発効までに聴守が義務づけられている船舶に設置されなければなりませんが、その準備の状況と見通しについてはどのように見ておられますか。
#145
○平野政府委員 改正法施行までの聴守義務の準備状況とその見通しでございますけれども、無線電話遭難周波数二一八二キロヘルツの無休聴守は、その運用時間を含めまして常時無線電話警急自動受信機によって行ってもよいことといたしております点は、先生御指摘のとおりでございます。この無線電話警急自動受信機は、電波法三十七条の規定によりまして型式検定に合格した型式のものでなければ施設してはならないことになっておりまして、そのため郵政省といたしましては、一九七四年海上人命安全条約の発効までに、先ほどお話がございました来年の五月二十五日までに、全該当船舶に設置が可能となるよう、関係省令及び型式検定の実施体制を含めまして、諸般の準備を進めております。現在のところ、十分間に合うものと予定をいたしております。
#146
○青山委員 準備状況は十分に見通しが立つということですね。
 今回の改正案によりますと、国際航海に従事する電信船は無休聴守が義務づけられておりますが、国内航海に従事する電信船については義務づけられておりません。船舶の安全という立場からしますと、国内航海に従事する電信船、電信局についても無休聴守の義務づけが必要ではないか〉私は考えますが、いかがでしょうか。
 それからもう一つ、二百海里内における船舶で漁船は除くということになっておりますから、今回の法改正では商船に的がしぼってあるというとなのでしょうが、実態は漁船にも受信可能な施設設備がしてあるとも私は聞いておりますが、二百海里時代に入ってきて国内航海という枠が広がってきますと、現実問題として国際法上問題はないのかどうか、お聞かせいただきたい。
#147
○平野政府委員 今回の電波法改正は、一九七四年海上人命安全条約の発効によりまして新たに聴守を義務づけられた船舶局に対し所要の措置を講じたものでございます。船舶の安全という観点からいたしますと、先生御指摘のような国内航海に従事する電信船も無休聴守することが望ましいわけでございますが、わが国の周辺海域における遭難通信等重要通信につきましては、海上保安庁の海岸局が無休聴守を行っておりますので、これによって対応ができようかと考えております。したがいまして、国内航海に従事する電信船に対してまで無休聴守の義務を課する必要は当面ないものと考えておるわけでございます。しかしながら、聴守の密度を増すためには可能な限り船舶側も聴守に参加する必要がございますので、国内航海に従事する船舶の船舶局に対しましても、限定された時間ではございますけれども、聴守の義務を課しておるわけでございます。
 次に、漁船の問題でございますが、今回の電波法の改正は先生申されたとおりの所要の措置を講じたものでございますが、船舶の遭難海域におきまして操業中の同条約の適用を受けない一般漁船の船舶局に対しまして救助支援を行う必要がある場合には、海上保安庁からの要請を受けまして、出漁中の漁船の船舶局に救助に関する一斉指令を所属の漁業用海岸局から行うことになっておりまして、こういう方法によりまして漁船の対応を実施しておるということでございます。
#148
○青山委員 一つ聞かしていただきたいのですが、漁船を省かれた意味がちょっとわからないのです。その辺の経過がわかりましたら教えていただきたい。
 それから、今回の改正では、いわゆる無線電信を設置してある船は、無線電話からの遭難信号をキャッチすることはできる、しかし通信はできない、交信はできないといいますか、人命の安全を確保していくという立場からすれば、あるいは船舶の安全を確保するという立場からすれば、電信船にも電話施設を設置する義務を、いわゆる交信をするという立場から考えるべきではないかと思うのです。その辺の御見解はいかがでしょうか。
#149
○平野政府委員 漁船につきましても同様の対応を考えるべきではないかと申される御意図はよく理解するわけでございます。漁船といたしましても、沿岸だけではなくて二百海里あるいはその外にも出てまいるわけでございます。しかしながら、このような動作は国際的な対応というものが必要になるわけでございまして、したがいまして、そのような国際的な合意ということとあわせてやはり逐次密度を濃くしていくというような方向で従来も進んでまいっておりますし、将来も考えてまいらねばならないものというふうに考えておるわけでございます。現在のところは、ただいま申しましたように、一応海上保安庁が対応をしておる、こういう状況でございます。
 次に、二番目に申されました点につきましては、この条約の規定によりまして無線電信局を備える船舶に対し、無線電信遭難周波数、これは五百キロヘルツですが、それでの無休聴守に加えて、無線電話局を備える船舶の捜索、救助を容易にするために無線電話遭難周波数二一八二キロヘルツでの無休聴守をしなければならない旨の規定を設けておりますが、これらの無線電話局と通信するための無線電話の設置義務の規定は御指摘のようにないわけでございます。
 この条約の規定の趣旨は、従来の海上遭難制度が無線電信と無線電話の二つの制度に分かれて存在しているために相互の連携が保たれない、全体として効果的な制度とは言えなくなってきているというところから、現在の制度を基礎にいたしまして多くの国が実施することができる妥当な範囲内においてその改善を図ろうとするものでございます。先ほども申しました国際的な合意がこういう状況のところまで参った、こういうふうに考えております。この条約の規定は、現在の制度を一歩改善させたということは疑いがないわけでして、その効果は十分に期待できるであろう、こういうふうに考えております。
 次に、この条約の規定は最低の基準を定めたものでございまして、国内的により厳しい条件を課することは差し支えないのではないか、もう先生のおっしゃるとおりでございますが、この条約の性格上、やはり世界の海域を航行する船舶を国際的に規律するわけでございますので、各国が勝手にこの条約の規定と異なる条件を課することは、条約の趣旨から見て必ずしも好ましいことではないという点を御理解いただきたいわけでございます。今後その必要性に応じまして国際的な合意を取りつけるような努力も必要かと思いますし、またわが国の特殊性という点から見まして将来さらに検討をしていくべき問題かと思っております。
#150
○青山委員 最後に一つだけ質問させてもらいます。現在どのように考えておられるのか見解を求めておけばそれでいいです。
 一つは受信機が警急信号を受けてからしか作動しないという問題、それから誤作動があるという問題、それから言葉の問題、三つほど問題があるようですけれども、それらはこれからどのようにして解決をしていかれるのか、その見通しについてお尋ねをして質問を終わります。
#151
○平野政府委員 警急自動受信機の問題でございますけれども、この問題につきましては、現在郵政省が中心になりまして関係方面、特にメーカー等といま懸命に詰めておるところでございますが、見通しが大分立ってまいりまして、来年五月二十五日の発効までには十分に対応できるであろうというふうに考えております。
 また誤動作の問題でございますけれども、電信につきましても非常に技術が発達をいたしておりまして、最近は誤動作が珍しいというような状況になってきております。これは、これでもう誤動作皆無という方向に向けてさらに進歩を促進してまいりたい。電話の誤動作につきましては、これは電信と違いまして二信号方式と申しますか、それで対応することになりますので、まず誤動作は起きないだろう、こういうふうに確信をしております。しかし人命、財貨の保全に非常に重要な関係を持つ機器でございますので、さらにみがきをかけてまいりたい、こういうように考えております。
 それから英語の問題につきましては、いわゆる今回対象といたしますような電信船あるいは電話船には大体一級通信士あるいは二級通信士が乗っておりまして、この方々は相当英語に熟達されておるというように承知をしておるわけでございまして、それよりも低位の従事者がこのような業務につかれる場合のことを考慮いたしますと、やはり郵政省といたしましても関係方面と十分に連携を保ちながら対応してまいりたい、こういうふうに存じておるわけでございます。
#152
○青山委員 終わります。
#153
○石野委員長 次に、藤原ひろ子君。
#154
○藤原委員 今回の法改正の審議に関連をいたしまして、私は現行の電波法が正しく守られているかどうかという問題、つまり日本船籍の船舶に外国人の船員が乗船しているいわゆるマルシップの問題に対する電波管理体制上の問題について質問をしていきたいと思います。
 まず最初に運輸省にお尋ねをいたしますが、日本船籍を持っております船舶が外国に裸貸し渡しをされている実態、つまり海上運送法の第四十四条の二に基づきます船舶は現在何杯あって、その総トン数はどれぐらいになっているか、お尋ねをしたいと思います。
#155
○大塚説明員 日本籍船で外国に裸貸し渡しされております船舶は、昨年の六月時点で約百九十五隻ございます。総トン数にしまして、約ではございますが百七十五万総トンくらいであるとこちらの方で調査しております。
#156
○藤原委員 日本船籍の船舶に外国人の船員が配置をされているということは、日本の船員労働者にとりましても雇用促進の立場からもいろいろと問題が生じているというふうに思います。運輸省は日本船員労働者の雇用確保の立場から見て、このようなあり方が正しいというふうにお考えになっているでしょうか、いかがでしょうか。
#157
○大塚説明員 先ほど申し上げました約百九十五隻というのは海外に裸貸し渡しされている日本船でございますけれども、マルシップというのは、先生御案内のように、海外に裸貸し渡しされました日本船を、外国で東南アジア船員等配乗した上、日本の海運会社が再用船するというものでございまして、その百九十五隻の相当部分あると思いますが、実態はよくつかみかねております。
 このようなマルシップが生じました原因というのは、日本船の運航コストが上昇してまいりまして国際競争力が低下してきた。競争力を維持するためにこのような形態、つまり外国に裸貸し渡ししてコストの安い船員を乗せるというようないわゆるマルシップが登場したものと考えられまして、海運の経済的な問題からしてある程度やむを得ないのじゃないかと考えておりますけれども、ただ、国際的にもいろいろマルシップが問題になっておりまして、最近海運企業でも自覚が高まり、このような船舶につきましても、いま先生御指摘のように、雇用の確保あるいは安全対策上日本の船員を一部混乗させるというような形態がふえてまいっております。われわれマルシップを完全に排除することは困難だとは考えておりますけれども、このように混乗がふえてきたということは好ましい傾向というように評価しております。
#158
○藤原委員 いまの御答弁によりますと、つかみがねているというふうな状態であるとか、ある程度やむを得ないというふうな考えを持っておられたりする中で、やはり根絶がしにくいという状態が出ているのであろうと思うわけですけれども、それじゃ、そういう運輸省の態度の中に、実際問題といたしまして私は違法な行為さえ起こっているというふうに指摘をしたいと思うわけです。つまり実際問題といたしまして、マルシップによりまして日本の船員労働者の職場が侵害されているというのは事実です。これらにつきまして、昭和四十二年の三月十四日の閣議におきまして、当時の早川労働大臣は、外国人の労働者の国内受け入れについてはその必要がないというふうに発言をされ、このことは閣議で決定をされたはずでございます6さらに四十七年一月の閣議におきましてこの了解事項は再確認をされております。当然この閣議了解事項は運輸行政にとりましても遵守されなければならないのではないでしょうか。私は、このマルシップによりまして日本の船員労働者の職場が侵害をされているという問題につきまして電波法上の側面から問題にしていきたい、こういうふうに思って質問をしているという次第なんです。
 そこで、郵政省にお尋ねをするわけですけれども、昭和四十八年の十二月十三日、本省の電波監理局長名で各地方電波監理局長に対しまして通達が出されておりますけれども、その内容について明らかにしていただきたい。あわせて、その通達がなぜ出されたのか、そういう背景についても御答弁いただきたい、こう思うわけでございます。
#159
○平野政府委員 昭和四十八年十月に全日本海員組合から郵政大臣に対しまして、外国人労働者の国内受け入れ排除に関する要請の陳情書が提出されたわけでございます。当省といたしましては、先ほど申されました四十八年十二月十三日付で各地方電波監理局長、沖繩郵政管理事務所長あてに「外国人労働者の国内受け入れ排除に関する要請について」という通達を出しまして「無線従事者の適正配置方指導につき格段の配意をされたい」という要請をしたわけでございます。その後もこの種船舶の実態把握に努めておるところでございますが、船舶の運航は動きが激しくかつ複雑である等の理由によりまして的確な把握が必ずしも容易ではございませんで、苦慮をしておるわけでございます。地方電波監理局におきましては、できる限り船舶局の臨時検査等のあらゆる機会をとらえまして法の厳正な実施を図るために関係者に対して所定の無線従事者を配備するよう指導に努めてきておるというのがこの通達以降の努力の実態でございます。
#160
○藤原委員 いまの郵政省の答弁を聞かれ、このような通達が出ている中での運輸省のお考えはいかがでしょうか。先ほど申しましたように、こういった閣議の了解事項あるいは郵政省が出しております通達、こういうものは運輸省としても守っていかなければならないというふうに私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
#161
○大塚説明員 先ほども申し上げましたように、マルシップが登場してきた背景というものもございますけれども、一方、私ども、現在の海運不況下において雇用の確保というものについても非常に重点を置いておりまして、今年度の予算において利子補給の復活というようなことで日本船の国際競争力をつけるということについて今後政策を展開していく、このような日本船の国際競争力の確保という面でマルシップのような形態というものをなるべく今後少なくしていきたい、このように考えております。
 閣議了解につきましては、いままでの私どもの理解といたしましては、海外に裸貸し渡しされるような日本船については直接及ばないというふうに理解しておりますけれども、マルシップそのものについては、雇用の確保という点で問題があるという点で、今後ともより日本船員の雇用の機会の確保という面からこのような問題を海運政策上取り上げていきたいと考えております。
#162
○藤原委員 日本の郵政大臣が免許を与えました無線局を操作するためには郵政大臣の免許を受けた者、つまり無線従事者の資格を持っている、こういう人が操作をしなければ電波法の違反になるというふうに考えるわけですけれども、いかがでしょうか。
#163
○平野政府委員 電波法による免許を受けた船舶の無線局に配置をいたします無線通信士は、郵政大臣の発給する無線従事者の免許証を有する者でなければならないということに相なっております。
#164
○藤原委員 それでは、この日本船籍を有しております船舶の無線局については、日本の試験に合格をした有資格者が乗船をして無線局の操作をしているというふうに断言ができるでしょうか、いかがでしょうか。
#165
○平野政府委員 ただいま申し上げましたところによりまして、外国政府が発給をした無線通信士の証明書を有する者を配置いたしましても、その者が郵政大臣の免許を有しない限り電波法上配置義務違反となります。また、その者がその船舶局の無線設備の操作を行えば、無資格操作となるわけでございます。
#166
○藤原委員 そうしますと、これは大変な事実だなというふうに思うわけですけれども、私が調査をした中では、実際の問題として、マルシップの関係は郵政省が立入検査をするときだけ郵政大臣の免許を受けた有資格者が立ち会い、その船舶の航海中は無資格者であります外国人が操作しているというふうなことがありますが、これはいかがでしょうか。
#167
○平野政府委員 そのようなことは絶対にあってはならないことでございます。
#168
○藤原委員 あってはならないことが実際の調べの中であるわけですけれども、後で事実をもって指摘をしたいと思うのですが、それではその前に、マルシップ関係の船舶の無線従業者の名簿一覧、これを後ほど資料として提出をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#169
○平野政府委員 その点につきましては、先ほど先生が申されました通達の中でも、いわゆるマルシップとおぼしき船の持ち主等に照会をする、運航者に照会をする、できるだけその実態把握に堅めなさいということを申しておりまして、地方電波監理局におきまして鋭意努力はしておるわけでございますけれども、現在のところ先生に御提出できるようなチャートは準備できないわけでございます。
#170
○藤原委員 そういったものが名簿ができないというふうなところにも、私はやはりそういう体制が法の網をくぐらせるすきを与えるのではないか、こういうふうに思うわけです。一両日というふうな無理なことは申しませんけれども、このマルシップ関係の船舶の無線従事者という人たちの名簿を、若干日数がかかっても結構ですから提出をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#171
○平野政府委員 先ほども申し上げましたように、各地方電波監理局の管轄下にある者を重点的に、当該船舶局に配置されている外国人の実態の調査を、免許人など関係者に照会するなどいたしまして調査をするという努力を地方電波監理局がしておることは間違いない事実でございますけれども、先ほども申しましたようになかなか異動が激しいというような実態、それから各港に常駐をしておるわけではございません、船の出入りが非常にアトランダムでもございますし、職員が常駐をしてキャッチをするというようなことも非常にむずかしい、また免許人等に知らせてもらいたいということを申しましてもなかなか出してくれない。まあ種々の理由によりまして、なかなか先生がおっしゃいますような調書を作成することはむずかしいわけでございます。
#172
○藤原委員 それでは、この問題につきまして具体的にお聞きをしていきたいと思います。
 第五真実丸という七千十三トンの船舶があるわけですけれども、この船舶はどこのオーナーのものか、運輸省にお答え願いたいと思います。
#173
○大塚説明員 三菱信託銀行が所有者だと理解しております。
#174
○藤原委員 それでは郵政省にお尋ねをいたしますが、この船舶の呼び出し符号、つまりコールサイン、これはJDUW、こういうふうになっておりますが、このコールサインは郵政大臣が与えられた無線局であるわけですね。
#175
○平野政府委員 お答え申し上げます。
 国際呼び出し符字列分配表によりますと、JAAからJSZ等、船舶局は四文字によって構成されるわけでございます。したがいまして、確認するわけにはまいりませんけれども、先生のおっしゃいましたものは郵政大臣が与えたものというふうに考えられます。
#176
○藤原委員 実は、私はここに韓国の財団法人韓国船舶通信士協会発行の海員乗船一覧表の資料を持っているわけです。これを見ますと、海外就業という欄に第五真実丸の船名がありまして、そのコールサインは先ほど申しましたJDUW、こうなっております。しかも、この通信長はパク・キョン・ファンという人になっているわけです。この資料を見ますと、先ほど来から私が指摘してまいりましたように電波法から見ても違反であるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#177
○平野政府委員 先生が申されたとおりであれば違反であると思います。
#178
○藤原委員 ただいまのは、このとおりならば違反であるということですが、ここに事実、印刷がされてあるわけですから、私はこれは事実の資料に基づいて申しているわけです。
 この資料を見ますと、いま申し上げた船舶だけにとどまらないわけですね。たとえば第六真実丸、これのコールサインはJPGBというのであり、これも国際呼び出し符字列分配表、これに基づきまして日本政府に与えられましたコールサインの一つであるわけです。しかもこの船舶の通信長、つまり第六真実丸の通信長はイ・チェー・ヒョンというふうになっているわけです。
 運輸省の海運行政によりまして、日本船籍を持っております船舶に外国人船員が乗船をして、しかも日本の郵政大臣が免許を与えた無線局の操作を日本の無線従事の資格を持たない者が行っているのであり、明らかに私は電波法違反にもつながる問題だというふうに思うわけです。いま監理局長さんからも明確にこれは違反だというお言葉があったとおりだと思います。こういうことは郵政省の電波監理上重要な問題であるというふうに私は思うわけです。船主は低労働条件の東南アジア船員に目をつけて、もっぱら利潤の追求ということだけを考えて外国への裸用船を行っているわけです。これがいまのマルシップの真の姿であるというふうに思うわけです。
 時間がありませんのでたくさんの例を申し上げることができませんが、こういう状態にあるわけですけれども、郵政省はこれでもなお、各地方の電波監理局の管轄下にあるのだからその名簿の取りまとめが大変しにくいとか、あるいは移動が激しいからうまくできないとか、職員が常駐していないとか、そういうことで名簿さえもつくろうとしないでおられるということは、私は大変重大な問題だというふうに思うわけです。私のところへ資料を提出していただくということのためにこういう名簿をわざわざつくるというのではなくて、こういうマルシップのようなものが横行している、通達を出したって無視されているというふうな状態の中で、私が資料の要求をしようとしまいと、こういった初歩的な名簿からまずつくっていくというふうなことを郵政省はすべきではないか。違反だということを明らかに答弁をされながら、こういった具体的な作業が進まないというところに私は大きな問題があるというふうに考えますが、この点いかがでしょうか。これでも資料の提出は無理だということでしょうか。
#179
○平野政府委員 郵政省といたしましては、先ほど来申し上げておりますように地方電波監理局に通達をいたしまして、この種船舶の実態把握に努めてまいっておりますし、法の施行を確保するために機会あるごとに所定の無線従事者を配置するように指導してまいっておるわけでございます。その結果、幾つかの船が正常化と申しますか、郵政大臣の許可を受けた無線従事者を配置をして出航していくというような状況で、この不法性がなくなっておるということも実は事実でございます。また、この法の規定に照らしまして無線局の運用停止を命じたこともあるわけでございまして、郵政省といたしましては、非常に困難な情勢と申しますか、いつも船の入港を待っておって一つ一つつぶしていくというような対応が非常にしにくい。また、免許人の方に連絡をいたしましても、たとえば日本人名義で選任届が出てくるとかというようなことでなかなかその実態がつかみにくい。どうしても通告等を受けまして港に出かけていって、そうしてその相手方と話をしてみるというようなことによって、なるほどというような場合には説得をするというような対応を従来から主とした作業として続けてきておるわけでございますので、なかなか先生のおっしゃるような全国的なマルシップの現在の状況というものをお示しすることがむずかしい、こういうことでございます。御理解をいただきたいと思います。
#180
○藤原委員 それでは、有資格者を配置しているのだ、こういうふうにおっしゃいますけれども、私が先ほど申しました第五真実丸あるいは第六真実丸、これの調査を直ちに行うべきだ、郵政省は指摘されたことが事実なのかどうかということを調査をされる必要があるというふうに思います。その調査の上に立って、事実であればどのような――先ほどは、ほかの場合に運用停止を命じたこともある――そうしたら、これが事実であるならば、調査に基づいてきちんとした処置をなさるということが必要だろうというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#181
○平野政府委員 従来も、通告がございました場合には、ほかの検査事務等との関連も考慮しながらでございますけれども、できるだけ臨時検査等の対応をしてまいったわけでございますので、ただいま先生の御指摘の問題につきましても今後努力をしてまいりたいと思うわけでございます。
#182
○藤原委員 もう一度確かめたいと思いますが、努力をしていきたいということなのか。私は、直ちに調査をしていただいてその処置をすべきではないか、こう申し上げておりますので、その点いかがでしょうか。努力と申しますと大変あいまいに感じるわけです。
#183
○平野政府委員 調査をいたしたいと思います。
#184
○藤原委員 古来わが国、日本の国は海運国として今日まで世界に君臨をしてまいりましたし、また海運事業といいますのは日本の産業の中でも非常に重要な部分を占めるものだと思うわけです。この海運事業は、今後も引き続き発展させるべきわが国の大切な産業の一つであるというふうに私は思うわけでございます。この海運事業がまさに名前だけとなりまして、その実態は外国の船員労働者によってしか支えられていないというふうな状態にあることは大変残念なことだと思うわけです。しかも、こういったことが法に基づかないで違法で行われているというふうな状態があるわけですから、これはすぐ調査をしていただくということですから事実が明らかになると思いますが、こういう状態にありながら、しかも外国人でわが日本の海運事業が支えられている。日本人でたくさんの人たちが雇用してほしい、こういう人は町にあふれている、海にあふれているという状態であるにもかかわらず、こういう事態があるということは大変残念なことだと思うわけです。本来、私は、日本船籍を有しております船舶につきましては日本人の船員がその航行の全責任を負うべきことなんだというふうに思うわけです。
 最後に、これらの点につきまして、郵政大臣が免許をおろしておられるわけですから、こういう中で事態が起こっておるわけですから、そういった問題及び日本の海運事業、こういうことにも触れて郵政大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#185
○白浜国務大臣 ただいま御指摘の点については、私どももできるだけ早く調査をしてまいり、またいまの問題につきましても今後一層指導を強化してまいりたいと思いますので、御理解をお願いします。
#186
○藤原委員 終わります。
#187
○石野委員長 これにて質疑は終局いたしました。
#188
○石野委員長 討論の申し出がありませんので、これより採決に入ります。
 電波法の一部を改正する法律案について採択いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#189
○石野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#190
○石野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#191
○石野委員長 日本放送協会昭和五十一年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書を議題とし、審査に入ります。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件の審査が終了するまで、随時、参考人として日本放送協会当局の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#192
○石野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 まず、郵政大臣から説明を求めます。郵政大臣白浜仁吉君。
#193
○白浜国務大臣 ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十一年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書の国会提出につきまして、概略御説明申し上げます。
 これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院の検査を経まして国会に提出するものであります。
 日本放送協会から提出された昭和五十一年度の貸借対照表等によりますと、昭和五十二年三月三十一日現在における資産総額は、一千七百二十九億二千六百万円で、前年度に比し、二百五十七億九千七百万円の増加となっております。
 これに対しまして、負債総額は、七百八十四億二千二百万円で、前年度に比し、五十二億八千四百万円の増加となっております。
 資本総額は、九百四十五億四百万円で、前年度に比し、二百五億一千三百万円の増加となっております。
 資産の内容を見ますと、流動資産四百二億五千百万円、固定資産一千三百七億四千七百万円、特定資産十七億三千万円、繰り延べ勘定一億九千八百万円であり、固定資産の内容は、建物五百二十五億八千五百万円、土地百五十二億八千六百万円、機械三百五十六億五千二百万円、その他の固定資産二百七十二億二千四百万円となっております。
 また、負債の内容は、流動負債二百四十六億二千百万円、固定負債五百三十八億百万円であり、固定負債の内容は、放送債券百四十九億二千万円、長期借入金三百三十一億八千百万円、退職手当引当金五十七億円となっております。
 資本の内容につきましては、資本七百五十億円、繰越欠損金十億九百万円、当期事業収支差金二百五億一千三百万円となっております。
 次に、損益について御説明申し上げます。
 経常事業収入は、一千九百十五億五百万円で、前年度に比し、六百一億三千百万円の増加となっております。
 これに対しまして、経常事業支出は、一千七百二億一千五百万円で、前年度に比し、二百八億七千百万円の増加となっております。
 この結果、経常事業収支差金は、二百十二億九千万円となっております。
 これに、特別収入七億五千五百万円及び特別支出十五億三千二百万円を含めまして、事業収入は一千九百二十二億六千万円、事業支出は一千七百十七億四千七百万円で、事業収支差金は二百五億一千三百万円となっております。
 以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
#194
○石野委員長 次に、参考人日本放送協会会長坂本朝一君から補足説明を求めます。坂本参考人。
#195
○坂本参考人 ただいま郵政大臣から、日本放送協会の昭和五十一年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書の概要につきまして御説明がございましたが、委員長の御指名によりまして、補足説明を申し上げることといたします。
 まず、当年度末現在の資産総額は、一千七百二十九億二千六百万円で、この内訳は、流動資産四百二億五千百万円、固定資産一千三百七億四千七百万円、特定資産十七億三千万円、繰り延べ勘定一億九千八百万円でございまして、固定資産の内容は、建物五百二十五億八千五百万円、土地百五十二億八千六百万円、機械三百五十六億五千二百万円、その他の固定資産二百七十二億二千四百万円でございます。
 この資産総額を前年度末に比較いたしますと、二百五十七億九千七百万円の増加となっております。
 これは主として、当期事業収支差金二百五億一千三百万円のうち、九十八億二千百万円を翌年度以降の財政安定のための財源に充てるため、その使用を翌年度以降に繰り延べたこと、受信料前受け金が六十六億五千六百万円増加したことなどにより流動資産が百八十億四千七百万円増加し、また、当年度の建設計画に基づきテレビジョン放送局の建設、テレビジョン放送設備の整備等を行ったことにより、固定資産が七十三億三千五百万円増加したためでございます。
 一方、これに対します負債総額は、七百八十四億二千二百万円で、この内訳は、流動負債二百四十六億二千百万円、固定負債五百三十八億百万円でございまして、固定負債の内容は、放送債券百四十九億二千万円、長期借入金三百三十一億八千百万円、退職手当引当金五十七億円でございます。
 この負債総額を前年度末に比較いたしますと、五十二億八千四百万円の増加となっておりますが、これは受信料前受け金等の増加により流動負債が六十九億九千四百万円増加し、一方、長期借入金の減少等により固定負債が十七億一千万円減少したためでございます。
 また、資本総額は、九百四十五億四百万円で、この内訳は、資本七百五十億円、繰越欠損金十億九百万円及び当期事業収支差金二百五億一千三百万円でございます。この資本総額を前年度末に比較いたしますと、二百五億一千三百万円の増加となっております。
 次に、損益計算書により経常事業収支について見ますと、まず受信料等の経常事業収入は、一千九百十五億五百万円で、前年度に比較しまして、六百一億三千百万円の増加となりました。
 これは主として、昭和五十一年以降三カ年の経営見通しに基づき、やむを得ず昭和五十一年六月以降放送受信料額の改定を行うとともに、極力受信者の維持増加に努めました結果でございます。
 なお、有料受信契約者数は、カラー契約におきまして、当年度内に百万件増加し、当年度末に二千三百十二万件となり、普通契約は、カラー契約受信者の増加に伴い、当年度内に五十三万件減少し、当年度末三百三十一万件となりました。
 次に、経常事業支出は、一千七百二億一千五百万円で、この内訳は、給与六百三十七億七千二百万円、国内放送費四百二十三億四百万円、国際放送費十億四千三百万円、営業費二百二十三億七千八百万円、調査研究費二十億九千万円、管理費二百七億六千五百万円、減価償却費百二十九億五千五百万円、財務費三十九億八百万円となっております。
 これを前年度に比較いたしますと、二百八億七千百万円の増加となりましたが、これは主として、放送番組内容の充実刷新、受信者の維持増加対策の推進及びこれらの事業遂行に伴う維持運用費等の増加によるものでございます。
 以上のとおり、放送受信料額の改定を実施するとともに、極力受信者の開発と事業運営の合理化を図りました結果、経常事業収支差金は二百十二億九千万円となりました。
 この経常事業収支差金に、固定資産の売却益等の特別収入七億五千五百万円を加え、固定資産の売却損等の特別支出十五億三千二百万円を差し引いた当期事業収支差金は二百五億一千三百万円となりました。
 このうち、債務の償還等に充てた資本支出充当は百六億九千二百万円であり、事業収支剰余金は九十八億二千百万円であります。
 なお、この事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。
 これをもちまして、協会の昭和五十一年度末における財政状態及び当年度の事業成績につきましての補足説明を終わらせていただきますが、今後の事業運営に当たりましても、公共放送としての使命と責務を銘記し、一層放送事業の発展に努力してまいりたい所存でございます。
 何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。
#196
○石野委員長 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を求めます。小野第五局長。
#197
○小野会計検査院説明員 日本放送協会の昭和五十一年度決算の検査結果につきまして御説明を申し上げます。
 日本放送協会の昭和五十一年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書は、昭和五十二年十月二十八日内閣から送付を受け、その検査を終えて、同年十一月十八日内閣に回付いたしました。
 同協会の会計につきまして検査をいたしました結果、特に不当と認めた事項はございません。
 以上、簡単でございますが説明を終わります。
#198
○石野委員長 これにて説明は終わりました。
 本件に対する質疑は次回に譲ることといたします。次回は、明三十一日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十五分散会
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ソース: 国立国会図書館
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