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1978/04/10 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 運輸委員会 第7号
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1978/04/10 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 運輸委員会 第7号

#1
第087回国会 運輸委員会 第7号
昭和五十四年四月十日(火曜日)
    午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 箕輪  登君
   理事 佐藤 守良君 理事 関谷 勝嗣君
   理事 堀内 光雄君 理事 佐野  進君
   理事 渡辺 芳男君 理事 西中  清君
   理事 山本悌二郎君
      石井  一君   小此木彦三郎君
      玉生 孝久君    古屋  亨君
      太田 一夫君    久保 三郎君
      斉藤 正男君    坂本 恭一君
      田畑政一郎君    有島 重武君
      草野  威君    薮仲 義彦君
      河村  勝君    小林 政子君
      中馬 弘毅君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 森山 欽司君
 出席政府委員
        運輸大臣官房総
        務審議官    杉浦 喬也君
        運輸省海運局長 真島  健君
        運輸省海運局次
        長       妹尾 弘人君
        運輸省船舶局長 謝敷 宗登君
        運輸省船員局長 向井  清君
        運輸省鉄道監督
        局長      山上 孝史君
        運輸省航空局長 松本  操君
        海上保安庁長官 高橋 壽夫君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第一課長   加藤  晶君
        外務省国際連合
        局外務参事官  中村 泰三君
        通商産業省貿易
        局輸出課長   松田 岩夫君
        資源エネルギー
        庁石油部石油備
        蓄対策室長   森清 圀生君
        労働省労働基準
        局安全衛生部安
        全課長     津沢 健一君
        日本国有鉄道常
        務理事     藤田 義人君
        日本国有鉄道新
        幹線建設局長  吉村  恒君
        参  考  人
        (日本鉄道建設
        公団総裁)   川島 廣守君
        参  考  人
        (日本鉄道建設
        公団理事)   藤田 雅弘君
        参  考  人
        (日本鉄道建設
        公団理事)   大平 拓也君
        運輸委員会調査
        室長      榎本 善臣君
    ―――――――――――――
三月二十三日
 自動車検査登録代理士の立法化反対に関する請
 願外一件(久保三郎君紹介)(第二二五〇号)
 同(松本忠助君紹介)(第二二五一号)
 戦没者遺族に対する国鉄乗車券の補助復活に関
 する請願(正示啓次郎君紹介)(第二二九九号)
同月二十八日
 造船業の不況対策等に関する請願(青山丘君紹
 介)(第二四一八号)
 同(稲富稜人君紹介)(第二四一九号)
 同(受田新吉君紹介)(第二四二〇号)
 同(大内啓伍君紹介)(第二四二一号)
 同(春日一幸君紹介)(第二四二二号)
 同(河村勝君紹介)(第二四二三号)
 同(神田厚君紹介)(第二四二四号)
 同(小平忠君紹介)(第二四二五号)
 同(小宮武喜君紹介)(第二四二六号)
 同(佐々木良作君紹介)(第二四二七号)
 同(曽祢益君紹介)(第二四二八号)
 同(高橋高望君紹介)(第二四二九号)
 同(塚本三郎君紹介)(第二四三〇号)
 同(玉置一弥君紹介)(第二四三一号)
 同(竹本孫一君紹介)(第二四三二号)
 同(中井洽君紹介)(第二四三三号)
 同(中野寛成君紹介)(第二四三四号)
 同(中村正雄君紹介)(第二四三五号)
 同(永末英一君紹介)(第二四三六号)
 同(西田八郎君紹介)(第二四三七号)
 同(西村章三君紹介)(第二四三八号)
 同(宮田早苗君紹介)(第二四三九号)
 同(山本悌二郎君紹介)(第二四四〇号)
 同(吉田之久君紹介)(第二四四一号)
 同(米沢隆君紹介)(第二四四二号)
 同(和田耕作君紹介)(第二四四三号)
 同(渡辺武三君紹介)(第二四四四号)
 同(渡辺朗君紹介)(第二四四五号)
 自動車検査登録代理士の立法化反対に関する請
 願(武田一夫君紹介)(第二五二二号)
四月三日
 自動車検査登録代理士の立法化反対に関する請
 願(二見伸明君紹介)(第二七〇六号)
同月四日
 中小民営交通事業等の経営健全化に関する請願
 (井出一太郎君紹介)(第二八一二号)
 同(小川平二君紹介)(第二八一三号)
 同(唐沢俊二郎君紹介)(第二八一四号)
 同(倉石忠雄君紹介)(第二八一五号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第二八一六号)
 同(清水勇君紹介)(第二八一七号)
 同(下平正一君紹介)(第二八一八号)
 同(中島衛君紹介)(第二八一九号)
 同(中村茂君紹介)(第二八二〇号)
 同(羽田孜君紹介)(第二八二一号)
 同(原茂君紹介)(第二八二二号)
 同(増田甲子七君紹介)(第二八二三号)
 同(向山一人君紹介)(第二八二四号)
 国鉄ローカル線の維持及び運行確保に関する請
 願(井出一太郎君紹介)(第二八二五号)
 同(小川平二君紹介)(第二八二六号)
 同(唐沢俊二郎君紹介)(第二八二七号)
 同(倉石忠雄君紹介)(第二八二八号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第二八二九号)
 同(清水勇君紹介)(第二八三〇号)
 同(下平正一君紹介)(第二八三一号)
 同(中島衛君紹介)(第二八三二号)
 同(中村茂君紹介)(第二八三三号)
 同(羽田孜君紹介)(第二八三四号)
 同(原茂君紹介)(第二八三五号)
 同(増田甲子七君紹介)(第二八三六号)
 同(向山一人君紹介)(第二八三七号)
 自動車検査登録代理士の立法化反対に関する請
 願(坂口力君紹介)(第二九〇四号)
 は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
三月二十七日
 北陸新幹線の建設促進に関する陳情書外一件
 (石川県議会議長佐々木博外七名)(第一八七号)
 九州新幹線の建設促進に関する陳情書外三件
 (福岡県議会議長早麻清蔵外三名)(第一八八号)
 国鉄在来線の輸送力増強に関する陳情書(中国
 五県議会正副議長会議代表山口県議会議長吹田
 ナ外四名)(第一八九号)
 第二常磐線の建設実現に関する陳情書(水海道
 市議会議長青柳泰太郎)(第一九〇号)
 国鉄五位堂駅設置に関する陳情書(奈良県北葛
 城郡香芝町議会議長辻本三郎)(第一九一号)
 国鉄山口線にSL運行実現に関する陳情書(山
 口県議会議長吹田ナ)(第一九二号)
 武雄市街地区内佐世保線の高架実現に関する陳
 情書(武雄市議会議長富永政美)(第一九三号)
 四国循環鉄道の早期建設等に関する陳情書外一
 件(高知県議会議長細木善一郎外一名)(第一九
 四号)
 四国循環鉄道阿佐東線、海部・宍喰間の早期開
 業に関する陳情書(徳島県議会議長島谷敏男)
 (第一九五号)
 民営鉄道整備に対する利子補給制度の改善に関
 する陳情書外一件(十都道府県議会議長会議代
 表福岡県議会議長早麻清蔵外十名)(第一九六
 号)
 地方交通維持確保に関する陳情書外七件(富山
 市議会議長日南田秀外十三名)(第一九七号)
 地方空港整備に対する国庫補助制度等改善に関
 する陳情書(中国四国九県議会正副議会議長会
 議代表鳥取県議会議長浜崎芳宏外八名)(第一九
 八号)
 福岡空港と中国との定期航空路開設に関する陳
 情書(福岡県議会議長早麻清蔵)(第一九九号)
 造船産業の安定基本計画に関する陳情書(山口
 県議会議長吹田ナ)(第二〇〇号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を
 改正する法律案(内閣提出第一七号)
 陸運に関する件(上越新幹線大清水トンネル坑
 内火災事故に関する問題)
     ――――◇―――――
#2
○箕輪委員長 これより会議を開きます。
 陸運に関する件について調査を進めます。
 本日は、上越新幹線大清水トンネル坑内火災事故に関する問題について調査を進めてまいりたいと存じます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本日、陸運に関する件について、日本鉄道建設公団総裁川島廣守君、理事藤田雅弘君、理事大平拓也君、以上三名の方々を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○箕輪委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#4
○箕輪委員長 まず、上越新幹線大清水トンネル坑内火災事故の概要について森山運輸大臣から説明を求めます。森山運輸大臣。
#5
○森山国務大臣 去る三月二十日午後九時四十分ごろ、日本鉄道建設公団において工事中の上越新幹線大清水トンネルの大宮側より約七キロメートルの坑内において火災事故が発生し、十六名の死者を出すに至りました。
 火災事故の原因は、現在のところ大型削岩作業台を解体中のガス切断器の火花が付近の油類に引火したためではないかと見られておりますが、関係機関においてなお調査中であります。
 日ごろより、工事中の安全確保につきましてはいろいろ指導してきたところでありますが、このたび不幸にしてこのような事故の発生を見ましたことはきわめて遺憾に存ずる次第でありまして、謹んでおわびを申し上げます。
 運輸省といたしましては、事故の重大性にかんがみ、事故発生後直ちに政務次官を現地に派遣し、各般の措置につき遺漏なきを期するとともに、日本鉄道建設公団及び日本国有鉄道に対し、建設中のトンネルについて安全総点検の実施を指示いたしました。今後、同種事故の再発の防止を図るため、今回の事故の原因と安全総点検の結果を踏まえて関係方面の指導を徹底してまいる所存であります。どうぞよろしくお願いいたします。
    ―――――――――――――
#6
○箕輪委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀内光雄君。
#7
○堀内委員 私は、ただいま大臣から報告のありました上越新幹線大清水トンネルの火災事故について若干の質問をさしていただきます。
 三月二十日事故発生以来二十日間の日時が経過いたしたわけであります。この間、新聞報道を初め監督官庁などからの断片的な報告を聞いておりますが、今回の事故についてこういう報告などを聞いております範囲内では、今回の大事故の発生の原因というものは、構造的な問題よりも初歩的な、何か人為的なミスの印象が強いような感じがいたします。その意味では直接的には運輸省あるいは鉄建公団という領域よりも、現場の前田建設の作業ミスというような問題に多くあるような気がいたします。労災事故としての性格が色濃いような感じを受けるわけでございます。
 たとえば酸素溶断機を使う際に付近にある可燃物は除去をしろというような、あるいは可燃性の物には不可燃性の覆いをしろというような、湯沢トンネルの事故の後、労働基準局長からの注意あるいは通達というものが出ていたのにもかかわらず、それが守られていなかったというような問題、あるいは消火器があったのだが作動しなかったとか、あるいは操作に問題があったのではないかというようなことを含めて役に立たなかったというようなことも言われております。あるいは避難訓練というものが行われていなかったために、風上に逃げていくようにという訓練が徹底していなかった、こういうような基本動作というか、基本的な対策が行われていたならば、火災というものは発生しても、事故はここまで大きくはならなかったのではないかというふうに見られるわけでございます。しかし、こういう原因というものも、仄聞するところ、あるいは断片的な報告、こういうものによって判断をしているわけでございまして、公式の事故原因というものは、まだ正式には発表されていないというところでございます。
 そこで、まず私は、警察庁にお伺いをいたしたいのですが、この事故原因についての報告が、もしできるものがあれば伺いたいと思うわけでございます。
 時間がないので三点を一括して伺いたいと思いますが、現在のところ、私どもの聞いているところでは、現場は落石でまだ入ることができない、問題になっている消火器そのものもその中にあってまだ検証が進んでいないというふうに聞いておりますが、捜査はどのところまで進んでいるのかということをまず一つ伺いたいと思います。
 また、捜査の結果としてこれまで新聞などで報道されていること以外に何か確認できたものがあれば、それも伺わしていただきたい。たとえば新聞などで報道されているものの中で、うわさの段階を出ないものがいろいろあるわけですが、そういうものが確認されたようなものがあるかどうか。前の委員会でも質問されておる項目にありますような、同じ日のすぐ前に同じようなぼやがあったというようなこともうわさが出ておりますけれども、そういうものの事実関係はあったのかどうか、あるいはさっき申し上げた消火器が四器とも作動しなかったというような話もございますが、そういうことが捜査の段階ではっきりしてきたのかどうかというような問題、それを聞かしていただきたいと思います。
 そしてもう一つ、警察はこの問題について、人為的なミスによる事故と考えているのかどうか、あるいは別の考えを持っておられるのか、この三点、一括してお答えをいただきたいと思います。
#8
○加藤説明員 本件事故についての捜査状況でございますが、御承知のとおり、三月二十日午後九時四十分ごろ発生いたしたわけでございますが、事故の重大性、社会的影響などを判断いたしました群馬県警察本部におきましては、罹災者の救出、それからそのことによって亡くなられた方の遺体の収容等を終えました直後、直ちに沼田警察署長を長といたします捜査本部を設けまして、強力な捜査を進めているところでございます。捜査本部の陣容は約八十名ということでございますが、現在までに工事関係者約八十名くらいから事情聴取を行いまして、工事の概要及びその作業の実態、事故発生時の状況等を明確にする努力を重ねておるところでございますけれども、ただいま御指摘ありましたように、坑内の事故現場付近が、御承知のとおり落石あるいは土砂の降下等のことがございまして非常に危険でございまして、現場の検証が現在まだ十分行われておらないという状況でございます。
 それで、現在までの捜査活動中、事故原因や責任の所在について新たな事実ないし状況が把握されたかということでございますけれども、事故原因につきましては、現在まで先ほど申しました約八十名くらいの関係者の取り調べないしは事情聴取を行ったわけでございますが、不要となったドリルジャンボを解体撤去するために下請会社の作業員がガス切断器で切断作業中に、それによって生じました火花または焼き切れたボルト、ナット等が、ドリルジャンボ中段に堆積しておりました木くず等の燃えやすいものに引火して燃え上がって坑内火災に発展したと認められるに至っておりますけれども、今後の事情聴取や現場検証等によりまして、さらに事実関係を確認して、その上で責任の所在というものを明らかにしなければならない、そのようにしていく所存でございます。
 その中で出てまいりましたぼやの件でございますけれども、いままでの関係者に対する事情聴取等から、事故当日の一の方というのですか、午前七時から午後六時までの間の作業員十一名がドリルジャンボをガス切断器で解体作業をしておりました中に溶解の火花が飛び散って、数回付近の燃えやすいものが焦げ出したという事案があるとのことでございます。しかし、このときは火花によってちょっと焦げたという程度のものでございまして、ぼやというところにも至らないような状態で、その都度作業員がそれをもみ消す、踏むなどして簡単に消しとめておるという状況があったということでございます。
 以上でございます。
#9
○堀内委員 いまのお話で、ぼやがたびたびあってそれをもみ消していたというような状態だということは、前にも問題になっておりました同じようなぼやが当日発生をしていたというふうに考えていいわけですか。
#10
○加藤説明員 ただいま申し上げましたように、火災といいますか出火して、それが独立に燃え出す程度までは恐らくいってなかったのではないだろうか。ただ、熱によりまして多少くすぶり出したという程度のことが当日にあったという供述を得ておるわけでございます。
#11
○堀内委員 当日あったというのは、それは六時から七時までの問、今度の大事故が、火災が発生する前に、同じような事故が、ぼやが、火災までに至らないものがあったということですか。
#12
○加藤説明員 火災の発生は当日午後九時四十分ごろでございます。それで、一の方の作業員でございますが、先ほど申し上げましたように、これが午前七時から午後六時までの問であるわけですが、その問にそういうことがあったということでございます。
#13
○堀内委員 そのときに消火器が使われていて、その消火器が次の段階のときには役に立たなかったとか、なかったとかいうような話もあるのですけれども、その点についてはいかがですか。
#14
○加藤説明員 消火器の件でございますけれども、いままでの検証できました部分では二十本の消火器を発見押収しております。ただ、事故現場を含みます約三百メートルが検証ができておらないわけでございます。したがいまして、その消火器につきましては、いまのところそれを使ったという人の供述しかとれていない。それが作動しなかったということを言っておりますけれども、それがどういう原因、どういう理由であったかはわかりません。それで、いま申し上げましたぼやのときに消火器を使ったという供述は出ておらないわけでございます。
#15
○堀内委員 これから捜査が進む段階でありましょうから、こういう事故の二度と起こらないためにも、厳重な捜査の上、こういうものを明確にしていただきたいと思います。
 次に、鉄建公団の方に伺いたいと思いますが、この事故によりまして、いままでの大清水トンネルの完成予定というものがおくれるようなことがあるのかどうか、また上越新幹線の完成、五十五年度末開通ということになっておりますが、それにも影響を及ぼすことがあるのかないのか、それをちょっと承りたいと思います。
#16
○川島参考人 ただいまのお尋ねでございますが、先ほども捜査当局から御答弁があったわけでございますけれども、今後、現場検証その他捜査に要する期間がいかほどの長きにわたるのか、その辺のことが必ずしも定かでございませんので、いま正確に申し上げる段階ではないかと存じますけれども、このトンネルの完成につきましてはかなり余裕を見込んでございますので、工程全体については大きな影響は出てこないだろう、また、次にお尋ねの上越新幹線全体の完成の目途は、五十五年度の完成を目途にいたしておりますので、その意味でも工程それ自体に大幅なおくれが来るというようなことにはならない、かように考えておる次第でございます。
#17
○堀内委員 上越新幹線の開通自体には影響がないというようなお話でございまして、その点はまことによいわけでありますが、このような痛ましい事故を繰り返さないためにというか、今回のような人為的なミスを二度と繰り返してはならないと思うわけでありますが、そういう立場から運輸大臣は三月二十一日付で鉄道建設公団の総裁並びに国鉄の総裁あてに「トンネル建設工事の安全確保について」という通達を出されて総点検を指示されているわけでございます。その通達に基づいてまた鉄建公団の総裁から通達が出されておりますが、その総点検の実施が三月の二十六日から四月の七日までということになっておりまして、恐らく現在取りまとめ中だろうというふうに思いますが、そういう現時点の中で判明した範囲内で、この報告の内容について反省点というようなものがあってこういう問題を解決していこう、改善しようというような点で浮かび上がったものがございましたら、その点についてひとつ御説明願いたいというふうに思います。これは鉄建公団で結構でございます。
#18
○森山国務大臣 御説のとおり目下取りまとめ中でありますが、近く報告があると思います。運輸省といたしましては、その内容について従来の防止対策に不備な点がなかったか、慎重に検討して、今後の事故防止について強力に指導監督をしてまいりたいと思います。取りまとめ最中でまだ未報告ということでありますので、現段階においてはこの程度の御答弁でお許しをいただきたいと思います。
#19
○川島参考人 ただいま大臣から御答弁がございましたとおりでございますが、取り急ぎ取りまとめ中ではございますが、その中で二、三の点につきまして厳しく反省しなければならぬと思う点がございますので、参考までにお答えを申し上げたいと思います。
 その第一点は、今回のトンネルの点検としましては、当公団で二十六トンネルございますが、そのうち本社から班をつくりまして、課長をリーダーとしまして点検をしましたのが十六トンネルございます。工区にいたしまして二十五工区でございますが、その全体を総括して第一に申し上げなければならぬと思いますのは、今回もそうでございますけれども、緊急連絡用に使います坑内の電話器でございますとか、あるいは消化器でございますとか、あるいは救命用の諸種の用具がございますけれども、こういうものが停電の際に、格納場所が定かでないと申しましょうか、すぐに容易に見つからない。そういう意味合いで非常灯を備えつけるとか、そういうふうな確認できるような形の措置をとる必要があるだろうということが第一点でございます。
 それから、第二点といたしましては、今回もそうでございましたが、備えつけてございます消火器が、さまざまなメーカーによりまして、それから製作の時期によりまして型式が違ったり、それからまた取り扱いの方法が違うわけでございます。したがって、区々にわたりますので、その点をできるだけ、同じトンネルにつきましては、あるいは同じ個所につきましては、これを統一するというようなことが最小限度必要ではなかろうかということが考えられるわけでございます。
 それから、最後にもう一つございますが、青函トンネルなんかの場合につきましては、重々その点は整備されておるわけでございますけれども、今回のような非常時の場合の連絡回路と申しましょうか、伝達の回路を多重化すると申しましょうか、今回は坑内電話が貫通いたしました直後でありましただけに、ほかにもいろんなあれはあったのでございますが、全部取り払いまして最後に残りましたのが坑内電話だけでございました。したがって、多重化を図りますためにサイレンでございますとか、あるいは警戒灯でございますとか、こういうようなものを多重的に装置しなければならぬということを痛感いたしたわけでございます。
    〔委員長退席、関谷委員長代理着席〕
#20
○堀内委員 まだ調査の段階、報告の前の段階でございますから、ひとつ大臣のところに報告になりました上、こういうものに対しての万全の処置をさらに図っていただきたいと思うわけでございます。
 最後に、大臣に伺いたいと思いますし、また時間がございませんので、一緒に国鉄の問題につきましても伺いたいと思いますが、安全総点検の結果というものを、今後の事故防止に十分生かしていくべきものだというふうに考えておりますが、その点についての運輸大臣の所見あるいはお考えというようなものを承れればありがたいと思います。
 また、国鉄に伺いますが、今回の事故を新聞その他で知っております一般の者にとりましては、開業後の新幹線についても、火災対策というものの点で非常に不安を抱いた人も少なくないと思うわけでございます。そういう意味で、火事になったらともかく走ってトンネルを抜けろというような、例の北陸トンネルの教訓あるいは指導というものはそのままでいいのかどうか、あるいは今回の事故を機会に開業後の新幹線の火災事故対策というものをさらに強化する考えがあるのかどうか、そういう点について国鉄のお考えも承りたいと思います。
#21
○森山国務大臣 新幹線の場合は長大トンネルがあるわけでありますが、その火災事故対策といたしまして車両が燃えにくい難燃化と申しますか、そういうようにする必要があるとか、いま鉄建公団の総裁からお話しましたように、トンネル内の連絡設備、照明設備、消火設備等の整備についてこの教訓を生かしてまいる、火災事故発生時の列車の運転、救援救助、初期消火の取り扱い面の強化策等、いままでも考えてはまいったのでありますが、今後これを強化してまいらなければならないと思っておる次第であります。
 いずれにいたしましても、報告を見まして、従来もトンネル内の火災事故がございましたから、全く無防備ではなかったのであるが、しかもなお、今回のような事故があったのでございますから、その点の教訓を十分に生かしてまいりたい。
 なお、トンネル内の事故につきましては、国鉄がすでに経験もあり、今後備えるところもあろうかと思いますから、国鉄当局の方から御返事をいたさせたいと思います。
#22
○藤田説明員 お答え申し上げます。
 ただいま大臣からお話がありましたが、いま御指摘のように四十七年十一月の北陸トンネル事故を契機に、鉄道火災対策技術委員会を設置いたしました。大学の先生を初め学識経験者を網羅いたしまして、実験としましては実際の車両を燃やすとか、燃えた車両をトンネル内で走行させるとかいろいろな試験の結果、その先生方の提言に基づきまして車両の難燃化、また長大トンネル内におきます情報連絡設備、また各種の照明設備とか消火器等の問題、こういうことに対して対策を講じてきております。また特に、新幹線車両につきましては、地下鉄の電車に近いいわゆる難燃化構造と申しますか、そういうことで火災の危険が非常に少ないというふうに考えております。しかし、今回の事故にかんがみまして、山陽新幹線の新関門トンネル、ここでも相当な対策を講じてございますが、この事故にかんがみまして安全対策につきましては万全を期するよう、見直しをしていきたいというふうに考えております。
#23
○堀内委員 時間ですから終わります。
#24
○関谷委員長代理 渡辺芳男君。
#25
○渡辺(芳)委員 去る三月二十日九時四十分に発生をした大清水トンネルの火災事故で、いろいろと新聞報道のなにもありますが、実は昨日、現地の本間局長あるいは勝山所長ですかに御案内をいただきまして見てまいりました。後、若干時間がありましていろいろ懇談をいたしましたが、ああいう悲惨な事故が起きてから、あのときにはこうだった、このときにはこうだったというふうなことがいろいろ考えられるわけですが、きわめて単純な事故なんですね。私は、このトンネル工事中の事故というのは、工事自体が水と火との闘いだとつくづく痛感をしました。素人の私が現地を見て、坑内は川のように水が流れている、少しくらいの火気には、日常たとえば鉄建公団でずいぶんうるさく注意をしても、これは人間の弱みといいますか警戒心というのが薄らいでいるのではないかというふうに私も感じました。しかし現実には、ああいう大規模な火災が起きまして、火災現場より一キロメートルくらいの水上方、これは風下で約三百メートルの矢板が燃えたのですが、線路があめのように曲がっているんですね。そして電線なども溶けている。まさにあのトンネルが煙突のようになって、これは大変な熱気だと思ったのです。ですから、これではとても、火災事故が起きたらすぐ逃げろと言わなければ救出のしようはないだろう、こんなふうに思いました。
 先ほど堀内さんからもお話がございましたが、これは警察庁に伺いますけれども、確かに落石の危険があって、ここから約三百メートルは立入禁止になっていますが、現地の警察当局としては捜査をやっている、関係者から事情を聞いている、いろいろあると思いますが、あの事故の捜査は早く進めていただかないと手がつかないわけですね。余り長引きますと現地の工事がおくれるということよりも、復旧着工するにまた大変いろいろなことが起きてくるようでございますから、その点についての捜査の進捗状況をひとつお伺いしたいと思うのです。
#26
○加藤説明員 御指摘のとおり、この事故の原因究明というものは早急にやらなければいけないと考えておるところでございます。先ほどお答えいたしましたように、約八十名という捜査体制をもって進めておるわけでございまして、できるところは現在、関係者からの事情聴取とかあるいは一部坑内の検証というふうなものをやっておるわけでございますが、何しろ先ほどお話がございましたように、現場は非常に危険であるという状況でございます。それで、事故発生地点を含めました約三百メートル、この肝心なところが検証できない状態であるわけです。
 そこで、私どもの方といたしましても、一日も早くこういう検証ができるようにということを願っておるわけでございまして、最大の努力をしておるところでございますが、現在、先ほどお話ありましたように、照明関係の配線、それらが役に立たなくなっておるということで、それを工事責任者の方で取りかえ中であるとか、あるいは人車を動かすための作業を進めておられるとか、あるいは矢板を張り直す等の落石防止などもやっておられるということでございますので、それらの進捗とあわせまして捜査をできるだけ早く終えて、その原因、真相を究明いたして工事の方に余り差し支えないようにいたしたいと思っておるところでございます。
#27
○渡辺(芳)委員 これは鉄建公団の方にお答えをいただきたいのですが、ミスをやったから追及するわけではありませんが、前田建設というのは一昨年山形でガス爆発ですか、事故をやりましたね。確かにああいう労務者で、最近は季節労務者というよりはむしろほとんど定着をした労務者が多いというのですが、どうも避難訓練などについて手抜かりがあったのではないか、また火災に対する見方が甘かったのではないか、現場の指導者、責任者といいますか、亡くなられておりますから何とも言いようがございませんが、ともかく事故の発生の現場に十一人作業をしておった、三人が遭難をされた、あとの八人は避難をした、端的に言えば逃げた、二百メートルばかり水上方におって作業しておった人たちが、十四人のうち十
 一人が犠牲になったんですね。現場じゃないんですね。これは火災が発生してどうも二時間ぐらいの余裕があっただろう、しかしその間、一生懸命で消火に努めたか何かいろいろあったと思うのですが、必要以上に犠牲者が出たのじゃないだろうか。
 そんなことを考え合わせまして、いろいろと現地でも火に対する注意はしておる、こう言っているのですが、だがしかし、常に溶接切断はガスでやるのですが、これもトンネルを掘っていきますと、H鋼をはめていきますが、これも常にガス溶接を使う、また今度のように解体をするときにも、ここの部分は使える、ここの部分はスクラップだ、こういう指導でやっておるようですね。現地にそれぞれ責任者はおるにしても、私、痛切に感じたのですが、消火器を持っている、あるいは放水装置もあるわけですが、そういう現地におってそれだけを任務にしているという人がいないわけですね。ですから、火災が発生すると、亡くなった人には非常にお気の毒でございますが、多少周章ろうばいをしたのじゃないだろうか。だから、安全対策というものについてちゃんとした配置というものがどうもなされていないと思うのです。
 そこで、これは今後の対策も含めてお答えをいただきたいと思うのですが、どうですか。
#28
○川島参考人 確かに先生がいまおっしゃいましたように、今回のあのトンネルは、中に入ってごらんになられたそうでございますからあれでございますが、実は保登野沢の工区と申しますのは、五キロ三百あるのでございますけれども、水上からちょうど五キロ地点の、先ほどから話が出ておりますが、三百メートルの巻き立ての終わっていない部分のところまでは実は水浸しで、水がざあざあの中で作業を進めてきたわけでございまして、七年間にわたってこの作業はいままでずっと水に浸りながら仕事をしてきた、こういう状況でございます。したがいまして、どうも火に対しましての感覚があるいは希薄であったのではなかろうかということを考えるわけでございますが、いずれ捜査当局の捜査の結果に待たなければなりませんけれども、ただいま先生から御指摘のございましたようなことが恐らく一々当たっているのではなかろうかと思うのです。
 ただ、作業員の質の問題でございますけれども、この渡辺工業と申しますのは、前田の下請といたしましてはAクラスでございまして、技術的にも専門分野にわたりましてはかなり高い練度を持った作業員の方々の集団であったろうと思うわけでございます。ただ残念ながら、御指摘ございましたように、坑内電話はございましたが、それ以外のものは、貫通をしてしまったものでございますから、ほかにもいろいろな装置はあったのでございますけれども、それを取り外してしまった、それから完成しました後の安心感と申しましょうか、ジャンボを解体するというふうな、言ってみますれば本格的な作業とは申せないような仕事でもあったろうというようなこともあわせ考えますと、あるいはそこに一瞬の気の緩みと申しましょうか、そういうものがあったのではなかろうかというふうに推察をするわけでございます。
 ただ、いまお話もございましたように、今後の問題は、先ほども御答弁申し上げましたが、いま大臣からの御指示で点検をいたしましたその結果を急ぎ取りまとめておりますが、非常に多項目にわたりまして、これはすべてについてさらに安全規則と申しますか、マニュアルをつくりまして、特に何と申しましても安全教育、それから御指摘のような訓練が何よりも大事なことでございますので、反復いたしましてこの安全教育、訓練の徹底を図って万全を期してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#29
○渡辺(芳)委員 現地の人たちとの意見交換をやった中で、たとえば千メートルぐらいのトンネルを掘るときには、火災事故のような場合には走って避難ができますが、ああいう長大トンネルの場合、しかも水が、湧水が非常に多い、これに気を奪われる、火の方の警戒心が少し薄いだろうというのは私も申し上げましたが、結局私は素人で、いろいろ現地の人たちと話をしたところ、やはり長大トンネルの場合は、格別な安全対策を念には念を入れてやらないと、また同じようなことを繰り返すのじゃないか。同じトンネルでも違う、このことをやはり主眼に置いて安全対策をとらなければだめだ。火災事故なんか起きた場合にはもう、すぐ避難をしなさい、人命尊重第一ということになればすぐ避難をしなさい、そしてその避難の仕方だが、坑口から出ていくというには、あの一酸化炭素に追いまくられていきますと、人間には体力のそれぞれの違いがございますが、弱い人ですと一キロメートルを走って一酸化炭素の中にいたらだめだと言うんですね。それ以上は走れない。また地上を走るのと違いますから、工事中ですから、大変足元もよくない、そこで結局、避難用の車というもの、バッテリーカーですが、そういうものも使えないだろう。また、あそこの場合はトンネルが貫通していますから、それで矢板も乾いたのだろう。いろいろな悪条件がありますが、とにかく燃えやすかったということ。貫通していなければ、恐らく湧水で矢板自体が乾いていない、だから、燃えにくかったということもありましょうね。いろいろな悪条件があって、ああいう惨事になった。一番痛切に感じたのは、一体その火災事故の発生のときにどういう避難をすぐさせるか、そしてその避難の手段をどうするかですね。
 それから、もう一つは、ああいうところですから非常に音が激しい、マイクを使ってもだめなんですね。ですから、あのトンネルの中では作業をやるときには笛を吹いて合図をしている。ほかのことでは聞こえないわけですね。坑内と坑外との間の、事務所から早く避難をしろと言っても、そこの人はわかるけれども、ほかのところで働いている人はわからぬ。徹底をするわけにはいかぬ。ですから、この避難に対する警報、これをもう少し考えなければだめじゃないだろうか。
 そこで、先ほど申し上げましたが、長大トンネルの作業をやる場合における安全対策というのは、いろいろな面から検討して、そして一人監督者が余計要るのじゃないかとかいろいろなことはもう抜きにして、念には念を入れる対策というものを練っていただけませんか。これはいかがですか。
#30
○川島参考人 ただいまの先生の御意見でございますが、全く同感でございまして、今回の火災のこのとうとい犠牲を教訓にいたしまして、おっしゃったような緊急時の連絡回路と申しましょうか、連絡手段というものを多重化することがその第一点でございます。特に、その多重化の中には、いま申されましたように視覚、聴覚の双方に訴えるような方法でございませんと徹底しないだろうと思います。
 それから、一番先の、だれがその現場の退避の警報を鳴らすかということでございますが、これも今回の場合は、まだ捜査の結果がはっきりいたしておりませんので定かでございませんが、当初は火災が発生した、どうもこれは自分たちの手で消せそうだ、こういう連絡のままとだえたわけでございまして、亡くなられた方々には大変お気の毒でございますけれども、恐らく当初は、もう自分たちの手で消せるだろうというふうに判断したに違いないと思うのです。それが、火勢が急に強くなってああいうふうな惨事になった、こういうふうに判断せざるを得ないわけでございますけれども、いまおっしゃいましたようなことも含めまして、大臣からの点検の指示がございましたので、いまその結果を十分にくみ取りまして、何と申しましても防火が大事であり、さらには初期消火が大事であり、さらにはいまおっしゃったように退避の方法あるいは誘導、そういうものについての十全なる対策というものを、ふだんから作業員個個が自分の身につけるような、そういうふうな安全教育と訓練を徹底して、現場に即した装置をぜひとも設けてまいりたい。とりあえず、そういうことを考えて事故のないように努力してまいりたい、かように考えている次第でございます。
#31
○渡辺(芳)委員 あそこのトンネルの場合は、たとえば電熱器以外は使わせない。たばこは吸ってもいい、たばこを吸うことは別にとめておりません。いろいろ火気に対する厳しい規制というのは公団の方でやっておるようです。ですから、そのことはまあいいとして、どう考えても、あの火災事故の発生ということが、事情がよくわかりませんから、納得がいかないというのが、私のいまの心境です。警察が調べてみなければわからない。現地の公団の責任者も一切わからない。現場を見ていなかったからわからない、これはそういうことでしょう。だがしかし、事故というのはすべての悪条件が重なって起きるわけですね。ですから、このことは大臣、いろいろと指導されておるようでありますが、ともかく少しきつくても仕方がないじゃないだろうか。余りうるさいことを言うと、ここに勤めるのもいやだと言うような人たちもあるとか聞きましたが、そうばかりではないと思いますね。このことだけは、繰り返して言うようでございますが、大変私もショックを受けたのですが、二度とこういう悲惨な事故は、現場を見ますと、防止をしたいな、こんなことを痛感しました。
 ところで公団の総裁に、遺族補償について伺いたいのですが、これは直接の関係者でございませんで監督者でございますが、いろいろと気を使っておると思いますが、たとえば前田建設が、山形でガス爆発事故が起きたときに、第三者といいますか、山形県知事に中に入っていただいて、労災補償は法律で決まっていますからなんですが、そのほか、遺族に対する補償をやられたようなことを聞いています。このことについても、十分な遺族補償について、工事の発注元でございますから、どのようにお考えをされているか、その点を一言お答えいただきたいのです。
#32
○川島参考人 ただいまお尋ねの件につきましては、元請でございます前田建設の側におきまして、現在、遺族の方々と補償についていろいろ話し合いを進められておるやに承知いたしております。公団といたしましても、一般的な監督の立場にございますので、相応の補償が行われて、御遺族の方々にも納得のいきますような措置がとられますように指導してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#33
○渡辺(芳)委員 まだ若干ありますから、もう一つ……。
 これは今後のトンネル工事にも必要なんですが、たとえば火薬取扱責任者、労働省が来ておりませんからなにですが、あるいは消防訓練、いろいろ資格の必要なものがございますが、ああいうところで作業をやられておる人たちに資格を取るという機会がなかなか恵まれていない。地上に勤めている人たち、作業をしている人たちは恵まれている、教育を受ける機関もある、ところが、なかなかあの人たちにはないと言うんですね。これも安全対策の側面からいろいろと問題があります。
 そういう意味で、トンネル工事に対してただ安全対策、安全対策でなくして、国が資格を与える、国家の認定試験を受ける資格を与える、こういう場合の機会を与える、便宜を図ってやる、こんなようなことをやらないと、実際現場で作業している人たちが、安全問題よりは工事の進捗に目を奪われて、そっちの方だけをやっていくという傾向になりますね。これは安全対策の側面からも必要じゃないかな、こんなことも考えさせられました。この点の対策は、先ほど来いろんなことを申し上げてきましたが、大事じゃないだろうかな、こんなことを思いますが、いかがですか。
#34
○川島参考人 大変貴重な御意見だと考えますので、今後十分に検討してまいりたいと考えております。
#35
○渡辺(芳)委員 以上でございます。
#36
○関谷委員長代理 草野威君。
#37
○草野委員 私は、先ほど大臣から御報告がございました、先日発生しました上越新幹線の大清水トンネル事故につきまして若干お伺いしたいと思います。
 いままでの御答弁、それからこの事故に対する新聞の報道を読んでおりますと、非常に人為的なミスが幾つか重なった結果の事故である、こういう感を非常に深くしたわけでございます。やはりこの種の工事に当たっての安全対策面に対する配慮が非常に欠けていたのではないか。また事故が発生した場合の対処の仕方というものに非常に初歩的なミスが多かった。
    〔関谷委員長代理退席、堀内委員長代理着席〕
さらにまた、その後の避難行動等についてもいろんな問題点があった、こういうことがいままでいろいろと指摘をされているわけでございます。
 そこで私は、まず労働省の方に伺いたいのですけれども、一昨年の七月にやはり同じような種類の事故が、この上越新幹線の湯沢トンネルの建設工事に際して発生しているわけでございますけれども、このときの教訓というものが一体どの程度生かされていたのかということなんです。その当時、五十二年七月二十五日付の労働省労働基準局長による通達を拝見しますと、このことが守られていれば絶対に今度の場合なんかこういう事故が起きるわけはない、そういう内容のことばかりなんですけれども、たとえば易燃性の材料等を使用しない工法の採用をすることであるとか溶接作業等を行う場合の措置はこのようにするとかいうことが決めてあります。こういうことが決められてあるのですけれども、実際にこの教訓が今回の事故の場合、一体どの程度生かされたのか、全然生かされなかったのか、こういう点について、まず労働省の方のお考えをひとつ承りたいと思います。
#38
○津沢説明員 労働省は五十二年七月に、トンネルあるいは地下作業全般に通ずるものといたしまして、ただいま御指摘ございましたようなことを、関係業界に徹底を図ったのでございます。たとえば、ただいま申されました溶接作業におきまして監視員を配置する、あるいは付近にある可燃物を除去する、あるいは可燃物に不燃性の覆いをかけるということに関しまして、ただいままでの調査の段階では、どうも守られていなかったような疑いがございます。さらには、坑外との連絡をとる電話等の連絡設備を設けろということを申しておりますが、これも電話はあったのでございますが、これが有効に使われていなかった。あるいは避難用具として呼吸用の保護具等、いろいろな用具を備えることを指摘しておりますが、これもあるにはあったのでありますが、あった場所とかそうしたものにも問題があるやに言われております。さらには、避難の訓練等につきましても、体制がどうであったとか訓練の実施要項がどうであったということについて若干の疑いがございまして、ただいま鋭意調査をいたしておるところでございます。
#39
○草野委員 いまの労働省の方の御説明のとおり、非常にミスが重なっておるということでありますけれども、こういう火災が発生したときに、もし消火器が正常に作動していれば、このような事故は完全に食いとめることができた、こういう感じがするわけなんです。
 そこで、消火器の問題についてちょっと伺いたいと思いますが、現場に消火器が四本あったということでございますけれども、この消火器の種類だとか、耐用年数だとか、その点検管理だとか、こういうことはどういうふうに決められてあったのか、伺いたいと思うのです。
#40
○津沢説明員 消火器の所管ではございませんので、必ずしも正確ではございませんが、置いてありました消火器は、粉末消火器という種類のものと聞いておるのでございます。現場にあったものをまだ確認しておりませんけれども、同種のものを確認しております。有効期間は五年ということに相なっておるようでございますが、私どもただいままでに聞いておりますところでは、消火器の内部にあります圧縮空気によりまして粉末が外部に放出される仕組みになっておりますが、ああいう場所で長期間、そういう消火器を置いておいた場合に、粉末の固形化、そういうことが起こる可能性があるように考えております。
#41
○草野委員 公団総裁に伺いますが、いま消火器のことについて、現場に置いてあったのは粉末で耐用年数が五年だ、それで、ああいうトンネルの中に置いておくと、湿気が多いから固形化するおそれがある、こういう御説明があったわけでございますが、公団としては、消火器の管理方法、点検といいますか、こういうものはどのようにされていたのでしょうか。
#42
○川島参考人 消火器についての御質問でございますが、御案内のようにトンネルの中と申しますのは、いろいろ湿気が高い場合もございますし、非常に乾燥した場合もございまして、格納の仕方あるいは格納の場所等につきましては常々注意しておるわけでございます。今回の場合は、先ほど先生からのお話にもございましたけれども、湯沢の火災事故の後、われわれといたしましては、安全守則を設けまして、このようなバーナーと申しますか、火を使います場合には、必ず消火器を携行した監視員をつけなければならない、ウォッチャーがそばにおりまして、火花がスパークするわけでございますから、それに対しては直ちに初期の消火ができるような体制を常にとっておけということを、実はふだんから指導しておったわけでございますが、今回の場合、先ほどお話がございましたように、消火器が作動しなかったという情報があるわけでございますけれども、ふだんの場合でございますれば、消火器が作動しないというようなことは常識的には考えられないわけでございますが、いずれ捜査の結果を待ってひとつ対策を考えてまいりたいと考えております。
#43
○草野委員 ちょっとおかしいと思うんですね。確かに上越線湯沢事故ですか、あの事故が起きたときに、今後の対策ということで具体的に何点か指示されていますね。いま総裁がおっしゃったように、消火器を携行した監視員を配置するというふうになっていますね。そうすると、監視員がついている以上は、消火器の操作の仕方について知らなかったということはまずないでしょう。新聞報道によると、消火器の操作の方法にミスがあったかもしれないというような報道もされておりますけれども、少なくとも消火器を携行した監視員が行くのですから、消火器の扱い方も知らないような監督者というのはないわけでしょう。知っているわけですね。そうすると、考えられる問題は、その消火器は粉末の消火器ということですけれども、これが出なかったわけですね。そうでしょう。いまも労働省の方が言ったように、固形化しておったというおそれがあるわけです。
 そこで私は、公団にもう一回伺いたいのですけれども、そういうように固形化するようなおそれがわかっている、予想される、そうしたら、普通の場合だったら半年なら半年ごとに点検するとか、そういうふうに具体的に決められておりますが、ここの場所に取りつけられていた消火器については、そういうことについては公団としてはどのように指示されていましたか。
#44
○川島参考人 私も実は、現場に参りまして、いま先生がお尋ねになられましたと同じような疑問を持ったわけでございます。消火器があっても使えないような消火器では物の役に立たないわけでございますから、しかも消火器というものにつきましては、聞くところによりますれば、納入をいたしました業者の方が、一応耐用命数に従って巡回をして中を取りかえるというのが普通のやり方だと実は聞いておるわけでございますので、現場の所長であります勝山君にも実はそのことを聞いたわけでございますが、勝山君だけではございませんで現場の監督に当たっている者は、年に何回かそういうようなことで注意をすると申しますか、消火器が耐用命数を超えてないかどうかということについて注意をしたこともあるというふうに所長が申しておりましたので、今回の場合使用にたえなかったというのは、恐らく作動の仕方を知らなかったのではなかろうかというふうにしか実は考えられないわけでございますが、いずれ捜査の結果を待ってひとつ判断をいたしてまいりたいと考えております。
#45
○草野委員 これは捜査の結果を待ってから云々なんということではないんですよ。公団はこういう消火器の管理について、点検の方法について、どういう指示を具体的に、前田建設なら前田建設に対してやっていたかということなんです。捜査の結果云々のことではないんですよ。
    〔堀内委員長代理退席、委員長着席〕
#46
○川島参考人 消火器が常に――消火器に限らないわけでございますけれども、そういうものが使えるような状態に、点検をし、そのようにしておくということは、一般的にふだんから注意をしておるところでございまして、今回の場合にどうであったかというのは、残念ながら、どうもどこに原因があったのか、私らも実は大変不審に思っておるのでございまして、だれがどうだというようなことについて、もう少し時間をかしていただいてやっていきたい。
 先生のお尋ねのふだんどうしているかということでございますが、これはもう消火器だけじゃございませんで、救命用具につきましても、使用にたえ得ますように、あるいはまた使用責任者と申しましょうか、それは全部決めておるわけでございますので、こういうものがどこにどういう手違いがあってこうなったのかということについて、その原因を究明いたしたい、実はかように考えておるわけでございます。
#47
○草野委員 要するに公団では、こういう対策を出しておりますけれども、たったこれっぽっちの文書を一枚出しておいて、肝心のことが最末端まで徹底してないわけですよ。消火器を置いてあればいいということじゃないんですよ。特にああいう湿気の多いところで使う消火器なんですから、具体的な指示とかそういうものを、これからもひとつきちっとやってもらいたいと思うのです。何しろ十六名の人命が失われたんですよ。この消火器が完全に作動していれば、こういう事故は起きなかったのです。もう少しこういう点について、安全対策という面について公団はひとつ真剣に取り組んでください。
 それから、もう一つ伺いますが、空気呼吸器というのは十個準備する、こういうことになっていますね、これは準備してあったのですか。
#48
○川島参考人 空気呼吸器につきましては、今回の保登野沢の斜坑口に一個、それから斜坑を出ましたすぐのところに前田の事務所がございますが、そこに九個準備しておりまして、合計十個準備してございます。
 それから、これは大変蛇足でございますけれども、今回のことにつきましては、実は二月の七日に新潟の建設局で関係者全員集まりまして安全対策会議を持ちまして、いま先生のお尋ねにございましたように、消火器の使用も含めまして安全対策について実地に即していろいろ検討会議を開いておった次第でもございます。その点あわせて……。
#49
○草野委員 いまの空気呼吸器にしましても十組用意してあったということなんだけれども、ジャンボドリルの現場ですね、そういう火気を使用したところ、そういうところには全然置いてなかったわけですね。だから、これも実際には何の役にも立ってないわけです。しかもまた、救援隊の人たちが、このうち二人の人がこれを使って窒息をした。この空気呼吸器についても問題はなかったのですか。
#50
○川島参考人 空気呼吸器につきましては、これは使用には資格が必要でございまして、だれでもかれでもが使えるものではないわけでございます。私らが空気呼吸器を十個備えつけろと言いましたのは、これは実は救助用のために準備をしたわけでございます。したがって、建設所ごとに十個ございますから、今回の場合は保登野沢の工区で起こったわけでございますが、近くにも幾つか工区がございますので、いざという場合には、これらのものを全部急いで集めまして救助隊に使っていただこう、こういうことで実は準備をしてあるものでございます。
#51
○草野委員 総裁に続けて伺いますけれども、このような火災が発生したときに、それを知らせる警報ブザー、こういうものがあるのですか。また、あったとした場合、今度の事故の場合、こういうものが作動していたのかどうか。
 それからもう一つは、何かこういう緊急の非常事態が発生したときのいわゆる警報装置といいますか、こういうものはどうなっているか。
 それから、先ほど電話線の問題もございましたけれども、通報の問題ですね、やはり火災等で高温になった場合、そういうものなんかも焼き切れる心配もありますね。こういうものに対する対策はどういうふうになっているのですか。
#52
○川島参考人 お尋ねがございましたように、実は今度の教訓に学ぶところが大変多いわけでございますが、今回の場合には、二月の十九日に貫通を見たものでございますので、連絡手段としましては、残念ながら坑内電話しかなかったわけでございます。それからまた、いまお話のございましたように、火災が発生し、火勢が強まりまして、これらの電話線その他一切のものが焼けてしまった、したがって、全然使用にたえなかった、こういう結果になってしまったわけでございます。したがって、将来の方法といたしましては、いま申しましたような有線電話の埋設を、別途防火といいますか、火災に焼けないような埋設の方法を考えますとか、あるいはまたサイレンでございますとか一斉指令装置でございますとか、あるいはまた警告灯と申しますかアラーム灯でございますとか、視覚、聴覚のすべてに訴えるような多重な連絡手段を考えなければならぬだろう、かように痛切に感じておる次第でございまして、今後はそのような方途で対策に当たってまいりたいと考えておる次第でございます。
#53
○草野委員 最後に、大臣に伺いますが、いまもいろいろ総裁からお話がございましたけれども、過去の事故の教訓が生かされていない。今回の事故についてもいろいろとまたこれから対策を考えられるようでございますけれども、少なくとも、そういう事故が起きたその教訓が完全に守られるように大臣からもひとつ指示、徹底をしていただきたいと思いますが、これからの安全対策という問題について何か大臣のお考えがございましたら承りたいと思います。
#54
○森山国務大臣 お話しのように隣のトンネルで事故があった、その後に今回の事故でありまして、しかもそれは、私どもの聞いておるところでは、そういうことでその教訓を生かしてやろうということであったにかかわらず今回の事故が起きた、まことに遺憾至極のことでございますが、目下調査の結果を取りまとめ中で、近く正式に出てまいると思いますが、それを十分参酌して、今後二度とこういうことが起きないように、やはりトンネルが貫通した後の気の緩みというものがあったのではないかという感じが私はいたすのでありますが、十分徹底をするように今後取り計らってまいりたいと考えておる次第であります。
#55
○草野委員 時間でございますので、これでやめますけれども、総裁にお願いします。先ほどの消火器の件でございますけれども、メーカーとか種類とか、そういうものがわかりましたらそのことと、それから現場の方は管理、点検の方法について、このようにやるということは恐らく徹底されているのじゃないかと思いますが、それはどういうふうになっているのか、これは後でも結構ですから教えてください。
 以上で終わります。
#56
○箕輪委員長 山本悌二郎君。
#57
○山本(悌)委員 今度の上越新幹線の大清水トンネルの事故というのは、私は人災そのものだと思うのです。
 そこで、過去の上越新幹線の事故を見ますと、もうすでに五十人死んでおるわけです。そのうちの四十人がトンネル事故だということであります。また重軽傷も二百六十二人に達しておる。そんなことを考えあわせてみると、トンネルというのはいかに大変であるかということもわかりますし、また日本のトンネル技術が世界に誇るほどりっぱであるということもわかります。だからと言って、すべて業者に任せっきりであっていいのかどうかというところにも大きな問題が残されておるのではないか。私は、大清水トンネルの今度の事故をいろいろ調べてみている中で七つの疑問点を発見いたしております。七不思議というのであります。大臣、ひとつお耳によく入れておいていただきたい。
 第一は、このトンネル工事の基礎作業というものがやはり大きな問題点になっているのではないか。なぜかと申しますと、進むにも撤退するにもいずれにいたしましても、高い山の、いわゆる三国山脈の下を掘っているわけでありますけれども、立て坑の数が少ないのじゃないか、これが大きな問題になるのではないかと私は思います。
 第二番目は、いまも申し上げましたけれども、運輸省は公団に、公団は業者に、業者はそのまた元請、下請、孫請というようなランクに、それぞれ指令だけをしておって、責任の明確なところがないのではないかと思います。
 第三番目は、解体作業の手段と方法に矛盾があった。いままですでに指摘をされておるように、溶接作業をしているそばにおがくずがあった、油があったなどというそんなばかげたことが許されるべきではない。それは末端の作業をしておる者にまで目が届いていないのではないか。
 第四番目、いまも御指摘がありましたけれども、消火対策、消火器も含めてでありますけれども、避難訓練、消火対策に対して適切なる措置がとられていなかった。これはどんなに捜査をこれからするのしないのと言ったって、はっきりしていることであります。
 第五番目は、労働基準法の違反をかなり多くしておる。これは特に孫請に至りますと趣旨が徹底していないのではございませんか。ここの点は後ほど改めてお尋ねを申し上げたいと思います。
 第六番目は、救出作業に多くの不審が残されております。安全、安全と言いますけれども、あの時点で何とか方法はなかったのか。水の中にでも行けといういわゆる遺族や家族の声を無視して安全を大事にしたことも、一つの道ではあったかもしれないけれども、不審が残るわけであります。
 第七番目は、安全対策の徹底。これはもう先ほどから皆さん方すでに指摘をされておりますけれども、どの工事をするにいたしましても、総括してこの点はやはりもう一遍見直されなければならないのではないか。しかも五十二年の湯沢のトンネルのときに、薄氷を踏む思いでやっと救出をしたという事故があったわけであります。まだ一年そこそこしかたっていないのに、そういう安全の問題が一つも改善をされていなかった。
 こういう点について、私は、七つの疑問、七不思議と言っておるのであります。恐らく関係庁あるいは公団もその点は十分指摘をされておると思いますし、同時に、警察庁あるいは地元の警察、それから労働基準監督署、労働省もこれは十分指摘をされておると思いますが、まず大臣の御意向、お考え、私の指摘した点にどう対処されるか、お伺いを申し上げたいと思います。
#58
○川島参考人 ただいま七項目にわたりましての御指摘があったわけでございます。
 最初の基礎作業の問題についての御質問でございますが、立て坑が少ないというお話でございますけれども、今回の大清水トンネルは、御案内のように二十二・三キロございまして、工区を六つに分けて工事を進めておるわけでございます。そこで斜坑を全部掘ってございまして、一工区に一つ、六つの斜坑がございまして、横坑が一つございます。そういうわけでございまして、今回事故が起こりましたのは、万太郎谷工区と保登野沢工区の十キロのところに斜坑をおろしておるわけでございますが、斜坑は保登野沢の方が五百十八メーターで、万太郎谷の方が九百三十三メーターございます。斜坑と申しますのは、技術的に申しまして、大体二、三百が普通でございます。安全度から申しましてもそうだと思います。したがって今回、この斜坑をおろしますにつきましては、御指摘の立て坑の問題も含めて実はいろいろ検討した結果、このような方式をとったわけでございますが、御案内の立て坑と申しますのは、それぞれ地形なり地質にもよりますけれども、ふだん、これは非常に使いにくい、したがって掘りにくいのでございます。今回の場合、谷川岳は二千メーターの標高でございますし、それから土かぶりが千五百ございますから、海抜五百メーターのところを掘っておるわけです。そうでございますと、今度の場合に、もしも仮に立て坑を掘ることになりますれば、それは恐らく数百メーターの大変に長い立て坑にならざるを得ない。これは技術的に申しましても、非常に危険でございますし、能率の面から申しましても、決して得策ではない、こういう技術的判断が出ました結果、今回の大清水につきましては、先ほど申しましたような六工区、六斜坑、一横坑ということで掘削を始めて、無事貫通を見たやさきであったわけでございます。
 第二の元請、下請、孫請の問題でございますが、われわれも契約をいたします場合に、今回のような長大トンネルでもございますので、したがって、御指摘がございましたように、あくまでも元請と下請とは当事者が対等である、対等の関係を持つ、それから御指摘がございましたように、責任範囲を明確にするということがそもそも下請契約の原則でございますので、いろいろ約款がございまして、この約款に従って取り結ぶように行政指導と申しますか指導をしておる、こういう経緯でございます。
 三番目の解体作業の矛盾でございますが、これはまことに御指摘のとおりでございまして、先ほどからたびたびお答え申し上げておりまするように、火を使うわけでございますから、付近に可燃物なり易燃物があっていいはずはないわけでございまするし、それからまた、そういうことはときに間々起こるわけでございますから、それについての消火体制と申しますか、消火措置というものは、先ほど申し上げましたように、監視員をつけるとかなんとかを含めまして、当然とっておかなければならないものがとられていなかった結果起こってしまったということでございますので、これはひとつ厳重に今後教訓として学んでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから、消火器の問題は、先ほど来お答え申し上げたとおりでございますが、ただいままた、先生からまことに適切を欠くという御指摘でございますが、そのとおりに受けとめておるわけでございます。
 それから労基法は、労働省が来ておられますので、別途またお答え願うといたしまして、六番目の救出作業の問題でございますが、実は私も、現場へ参りまして、先生のお考えと同じように、一人でも一刻も早く救出いたしたいということでやったのでございますが、私が着きました当時の一酸化炭素の含有量が大体六〇〇か七〇〇ppmという大変高い濃度でございまして、どうにも入れない。労働基準局なり消防と種々協議を重ねたのでございますけれども、そのような有権的な行政当局の判断では、五〇ppm以下でなければ入ってはいけない、こういうことでございます。
 それから、先ほどお話も出ましたが、空気呼吸器も実はあるにはあったのでございますが、これは残念ながら持ち時間が一時間という短時間でございまして、大体五キロの道のりを行かなければならぬわけでございますので、どう考えて見ても、どうも現在持っておる器械、器材の能力ではだめだということで、関係者が寄り寄り協議しました結果、救出作業をとり得なかったという、大変残念なことでございますが、当時の現場ではそのような結論に達した結果、あのようなことにならざるを得なかったということを御了解いただきたいと思うのでございます。
 それから、七番目の安全対策の徹底でございますが、これはもう御指摘のとおりでございますから、今後周知徹底を図ってまいりたいと思います。
#59
○山本(悌)委員 これは大臣いかがですか。
#60
○森山国務大臣 先ほど申し上げましたように、いま点検の結果というものを取りまとめ中であって、正式に出されてきました段階で、この問題についての私どもの考え方を明確にし、かつ、ただ口先だけで徹底を図ると言うだけでは困るわけでありますから、何とかして実際問題として、鉄建公団を初めとして関係のこういう仕事をするところに対しまして、今回の教訓を本当に生かすというようなことを考えていきたいと思います。
 先ほども申し上げましたけれども、トンネルが貫通してちょっとほっとした気の緩みといいますか、要するに不注意といいますか、そういうところに問題の根源があったのではないかというふうに考えまして、まことに不幸な事態であったと思います。先ほど渡辺委員も現地に行っていただいたということで、私も感激をいたしておりますが、鉄建公団の総裁、当時は副総裁でありましたが、直ちに現場へ飛んでいきましたし、それから私どもの方からも政務次官及び関係官が現地へ急行したのでありますが、ただいま公団総裁からお話しのような経過でございまして、顧みますと、まことに遺憾な点が多かったと思いますが、そういうことのないようにひとつ今後努力をしてまいりたい、そういうふうに考えております。どうかひとつ心情を御了承願いたいと思います。
#61
○山本(悌)委員 大臣は、いま気持ちの緩みと言うのですが、緩みで十六人も死なせてしまったのでは、年じゅう人間が死んでばかりいて仕事はできなくなってしまうと思うのです。災害は忘れたころにやってくる、事故は心の緩みから起きてくるというのでありますから、心の緩みかどうかわかりませんけれども、やはりそれを監督している方の心が緩んでいたのではないか。無論やっている人にも十分注意を払わせなければいけませんけれども、当然そこに問題の所在があるのではないか。
 そこで、時間がございませんから一点にしぼってこれからお尋ねします。労働省の基準局安全課長さんにお尋ねしますが、いま私申し上げましたように、建設工事の元請、下請というのがいろいろ問題で、孫請になりますると違反率が非常に高い。これは現地の私の方の新聞でも、ちゃんと八二%が違反を犯しておる、こう言っているのです。千六百六十一事業所のうちで千三百七十一事業所が違反を犯して、違反率は八二%に達している。これをどういうふうにあなたの方は指導し、あるいは監督し、あるいは指摘をしているのか御説明いただきたいと思います。
#62
○津沢説明員 ただいま御指摘のことでございますが、私どもも、多くの現場を抱えておりますが、ともかく現場につきましては、五十三年中二回の臨検監督をやりまして、軌道装置などについてのいろいろな問題を指摘いたしておりますが、何しろ長大な現場の中でいろいろな施設を使っておりますし、さらには安全衛生関係法令も膨大な規制がございます。しかも工事が日々刻々に変わってまいるという状態の中で私ども特定の日に監督をいたすわけでございます。確かに一つ一つの事業所をとってみれば、違反の割合が非常に高いということは事実でございます。このようなことは、御指摘のように元請、下請という関係においていろいろ問題があるところでございますので、安全衛生法の体系の中でも特定元方という規定がございまして、元請、下請関係の連絡調整を十分にとって、それぞれが講ずべき措置について規定をいたしたわけでございます。こういった意味におきまして、今回の事故にかかわりのある部分といたしましては、緊急時の避難の措置などにつきましても、これは元請、下請の関係において対策を講ずべき事柄でございますが、こういったところにも問題があるような疑いがございまして、ただいま鋭意調査中でございます。
#63
○山本(悌)委員 事故が起きてから鋭意調査中ということでは困るのであります。それはもうすでにデータが出ているのです。たとえば軌道装置、手押し車、そういうものでは三百四十一事業所、あるいは電気装置については百九十事業所、墜落や危険防止で百八十六事業所というようなことで、あなたの方ですでに指摘をしているところがあるわけでしょう。それが改善されてないのです。改善されてないからこういう問題が出てくるのでしょう。改善をするようにもっと厳しく指導するという方法が私はないのかということを申し上げているんですよ。
 時間がもうあと三分しかございませんので、このところをもう少し厳しくやってもらいたいということをあなたに申し上げているのです。どの程度にやっているかということは、いまの答弁では私は納得できないのです。それが一つ。
 それから、公団側にお尋ねしますけれども、これは新聞にあなたの方でコメントを出しています。「大規模な建設工事の場合には違反率も高いのが普通だ」こういうことを言っているのですが、これはどういうことですか。「大きな規模の建設、いわゆるトンネルとかそういうところは必ず違反率は高いのだ、これは普通のことであたりまえだ」こう言うのですが、そんなことでいいのかどうか私は非常に疑問だ。これは新聞に出ておりますので、あれでしたら全部とじてありますから後でお上げします。この二つを御答弁いただいて私の質問を終わりたいと思います。労働省から……。
#64
○津沢説明員 確かに御指摘のように、違反率が建設工事等におきましては大変高くなっております。私どもといたしましても、限られた監督指導能力の中で建設工事現場に対する監督には最重点を置いてやっておるわけではございますが、なおかつ、こういうことになりましたことを大変遺憾に存じております。私どもとしましては、今回の教訓を生かしまして、さらにこのようなことが起こらないように、近く全国一斉にトンネル等の監督をやるべくただいま計画中でございます。
 なお、さらに今後の問題ではございますが、坑内火災防止のための規制は必ずしも十分でないと考えておりますし、安全衛生関係法令の改正等についても検討いたしたいと考えております。
#65
○川島参考人 ただいまお尋ねの件でございますが、初めて耳にしたわけでございまして、そんなことを申し上げる立場にはないというのが私どもの考えでございます。
#66
○山本(悌)委員 これで質問を終わりますが、しかし、公団の総裁としては初耳かどうか、あるいは地元の、現地の方からそういうコメントが出たのかわかりませんけれども、新聞に出ているのだから、新聞がうそを書くわけはない。公団側は「大規模な建設には違反率が高いのは普通だ、あたりまえのことだ」こう言っているのですから間違いないのです。ですから、そんなことはあたりまえだなんて言って仕事をされておったのでは、それはもうけが人も死者も出るのはあたりまえのことなんだ。どうかひとつ労働省も心して、手薄かもわからぬけれども、官庁同士の一つのエゴではなくて、真剣にそういうものに取り組むという姿勢があって監督をされてこそ初めて無事故で安全で、そして順調にトンネルも開通していく。これは私ども乗せていただかなければならぬところでありますから、万が一あんなものが崩れてきたとか、あるいは問題が起きたら大変なことなんだから、そういうことでひとつ十分な安全対策をお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
#67
○箕輪委員長 小林政子君。
#68
○小林(政)委員 三月二十日午後九時四十分に発生をいたしました上越新幹線大清水トンネル火災事故は、十六名の死亡者を出すという大惨事になりまして、この問題についてはすでにいろいろと政府の答弁、また質問も行われておりますけれども、火災発生を未然に防止していくそういう措置、あるいはまた聞いておりまして、初歩的な安全対策、こういった問題がやはり明らかに欠けていたというふうに私はいま委員会の中で痛感をいたしております。
    〔委員長退席、関谷委員長代理着席〕
 したがって、この事故は何と言っても災害というよりも人災ではないのか、このような感を深くしておりますが、この問題についてまず御意見を伺いたいと思いますけれども、警察あるいは消防への通報体制が非常に不備であった、また現場からの出火発生連絡後二時間後に、十一時四十分に救助の連絡をした、こういう内容もございました。
    〔関谷委員長代理退席、委員長着席〕
現場での消火器が作動をしなかった、しかも聞いておりますと、それは点検もされていなかったようであります。またガス溶接機を使う場合の周囲の可燃性の物を除去する作業手続の問題、こういった問題もなおざりにされていた。一体なぜこのようなことになったのか、具体的にどういう監督指導を行っていたのか、国の責任という問題は重要であるというふうに考えますけれども、この問題についての運輸大臣の見解をまずお伺いいたしたいと思います。
#69
○森山国務大臣 十六名の犠牲者が出ましたことは、まことに痛恨にたえません。謹んで御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族の方々については心からお見舞いを申し上げなければならぬと思っている次第であります。
 この事故の問題につきましては、先ほど来再三申し上げましたようにいま総点検をし、また目下、その結果を取りまとめ中であるということでございますから、その結果を見て私どもとしてはそれに対処してまいりたい、お気持ちはよくわかりますが、私の立場で現段階申し上げられるのはその程度であります。
 ただ、どういうふうにするかということでありますが、遺族の方々に対して労災保険から保険金が給付される、これは当然であります。しかし、それを上回る分、それで済むというわけにはまたまいらないかと思っておりますので、したがって、関係者に対して遺族の方々への補償に遺漏ないように指導してまいりたいと思っておるわけであります。後で補償金をお支払いしたから済むというふうなことではありませんけれども、それについてもできるだけのことを尽くしていくということが大事であろうと思います。特に工事に直接当たった下請会社の補償が不十分にならないように親会社に対して協力を求めるという措置も必要ではないかというふうに考えておるわけであります。
 それ以上の問題につきましては、純粋の法律論としては請負工事の場合、発注者である建設公団は完成品を受け取る立場にあって、それまでの責任は受注者側が負うということに法律論はなりますけれども、しかし、こういうような考え方で対応することが許されるかどうか、これは今後の調査の結果によって態度を決めてまいりたい、そういうことであります。
 包括的に申し上げれば、当面そのように考えております。
#70
○小林(政)委員 大臣は先ほどから、やはり気持ちの一つのたるみというか緩みというか、そういうものが思わないこういう大事故の発生を招いたのだ、こういうことを言われておりますけれども、私は、いままでのこの委員会での質疑を聞いておりまして、これはどう見ても初歩的なミス、しかも、その問題について具体的に労働省の労働基準監督局が出しておりましたガス溶接機を使う場合の可燃性の物質の問題とかそういう問題というのは、これは初歩的なものではないか、だとすれば、そういう指導監督という問題が、具体的に国の責任として、これは会社任せにしてあったのか、それとも指導監督という問題は具体的にどうやられていたのか、そしてこれに対しては、指示はしたけれども、現場で具体的にどう実施されているかという点をどのように把握をされていたのか、こういった問題をまず明確にしなければ、この問題については単なる災害なのか、あるいは初歩的なミスから出てきた失敗というか人災なのか、こういう問題というのは、もちろんいま警察当局の捜査中ということでございますけれども、しかし、この問題について私が受けた印象は、これは明らかに人災的な要素が非常に強いのではないか、このように思っておりますが、国が具体的にどのような責任を持ってこれに対処しようとしているのか、単なる補償だけで済むものなのかどうなのか、こういう点についてもう一度御答弁をお願いいたしたいと思います。
 時間の関係もございますので、一九七七年の七月十五日にも湯沢トンネルで、今回の事故と同じような溶接機事故といいますか火災が発生をして三十六人がトンネルの中に閉じ込められる、こういう事故が起こっておりますけれども、このときの教訓が具体的に現場の中にどう指導監督をされ生かされていたのか、こういう点についてもお伺いをいたしたいと思います。
#71
○森山国務大臣 実情はいまいろいろな方面で調査中でありますから、その結果を見なければ言えないわけですが、ただ私は、現場では、かねてから要望しておった貫通で抜けたところですから、ほっとした気持ちがあったのではないかということを想像する。そのほっとした気持ちというのが、不注意というか、十分な注意につながらなかったのではないかというふうに考える。
 先ほど来お話のように、この上越新幹線、五十五年完成は一体どうかということで、恐らく公団や現地のトンネル建設の責任者たちは、これからが工事だと思っておったと私は思うのです。しかし現場としては、とにかく貫通しましたから、そこで当面の掘削作業の用具の撤収というようなことで、ほっとして気の緩みがあったのではないか、そういうふうに私は考えるのですということを、想像ですけれども、率直に言えば、そういう感じを持ったということでございまして、すべての原因というものは、調査の結果を待たなければ、ある意味では何とも言えないわけでありますから、現段階におきましては、先ほど申しましたようなところで、どうかひとつ御了承願いたいと思います。
#72
○小林(政)委員 それでは、避難訓練というのは具体的にどのようにやられていたのか。
 あるいはまた、火災が発生した場合に、これは常識で考えても排煙対策と申しますか、煙に巻かれて倒れるということが一般の場合にも往々にしてありますけれども、これに対して具体的に酸素マスク、あるいは空気呼吸器など、長いトンネルの中でのこういったものに対して具体的にどのようにやられていたのかという点が二点目。
 それから、事故の発生に伴いまして、出かせぎの人たちが非常に多いというふうに言われておりますが、結局、十六人の死亡者のうち十三人の方が前田建設の下請の渡辺工業というところから来ている方でございますので、こういった問題について、やはり人命の安全という問題が、下請だからというようなことで取り扱われることは心外だと思うのです。下請であろうが元請であろうが、あるいは建設公団であろうが、これはやはり人命の安全という問題を最優先して取り扱っていくことが当然だと私は思いますけれども、この点についての恒常的な万全対策という問題はどのようにやられようとしているのか、以上三点についてお伺いして質問を終わります。
#73
○川島参考人 ただいまお尋ねの第一点でございますが、排煙対策でございますけれども、先ほど来大臣から御答弁がございまするように、大清水トンネルが貫通いたしましたので、今回の場合には、新潟側から大体秒速五、六メートルの風が吹いておったわけでございます。風は、このトンネルの中では大体一日のうちで二、三回風向きが変わるような状態でもございます。貫通いたします前までは、通風管で空気を作業現場に送りまして正常な状態を確保しておったわけでございますが、貫通を見たものでございますので、今度は実は自然の風に頼っておったわけでございます。したがって、排煙対策と申しますようなものは、断面が非常に大きゅうございますから、自然の通風と申しますか、自然の風の方がはるかにそういう意味で容量が大きゅうございまして、排煙機械を使っての措置というものは、この場合何の役にも立たないということが今回の場合には申せるかと思うのでございます。
 第二の下請との関係でございますが、先ほど来お話もございましたように、今回の場合には、前田の下請の渡辺工業というところの会社でございます。これは前田の下請といたしましては大体Aクラスにランクされるかなり練度の高い作業員の方々の集まりでございます。具体的に申しますと、十年以上の経験者が六名、五年から十年までが四名というふうなことでございまして、経験度の高い方々でございまして、いまお尋ねございましたように、元請と下請との関係はあくまでも対等の関係でございまして、下請契約書の中にもいろいろ約款はございますけれども、その中でもいま御指摘がございましたようなことは十分に守られまするように契約の中にははっきりうたってございます。実際また居住環境あるいは作業環境等につきましても十全な配慮が行き届いておるように私は考えるわけでございまするし、今後に向かいましては、御指摘のございましたことも含めましてそういうふうな方向で指導してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#74
○箕輪委員長 この際、暫時休憩いたします。
 なお、本会議散会後直ちに再会いたします。
    午後零時十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十二分開議
#75
○佐藤(守)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
#76
○久保(三)委員 外航船舶の建造に対する利子補給に関する法律でありますが、この法律の提案の理由の中では、言うならば国際競争力の低下というか、そういうもの、が原因でわが国の海運企業が不振である、だからこの際、利子補給を大幅にして新しい船をつくろうということと同時に、新しい船をつくるのは、現在の支配船腹構造というか、そういうものが外国用船に偏り過ぎているということが一つあるわけでありまして、そういうものの是正も考え合わせて新しい船をつくらせよう、日本船をつくらせよう、こういうことであるようでありますが、まず第一に、わが国海運企業の経営不振の原因は何であるのか改めてお聞きしたいのであります。国際競争力というのは、いかなる基準で国際競争力と言うのか、どの程度低下しているのか、これをどういうふうに考えているのか、これをまず第一にお聞きします。
#77
○真島政府委員 わが国の外航海運、非常に不況のことは御承知のとおりでございますが、この原因は、わが国海運全体の国際競争力の低下ということでございますが、その国際競争力低下の原因ということになりますと、これは海造審の小委員会報告でもいろいろ述べられておりますように、船員費関係の高騰を中心とする諸経費の高騰ということによりまして特に日本船の競争力が落ちてきておるということでございます。どの程度落ちているかという御質問でございますけれども、これは私どもも試算程度でございまして、これが一〇〇%正しいと強弁するつもりはございませんけれども、たとえば二万四千トン程度の定期船あるいは六万五千トン程度の専用船、七万三千総トン程度のタンカーというようなものにつきまして、現在の状態における日本船の競争力は、外国船に比べましてどの程度かという試算をいたしております。中身はごちゃごちゃしますので結論だけ申し上げますると、外国船が一〇〇といたしました場合に、定期船で一一四、不定期船で一一八、タンカーで一一七程度、つまり一四、五%から二〇%程度競争力が弱いと申しますか、コストが高くなっている、こんなようなことになっているかと存じます。
#78
○久保(三)委員 その試算はいつの時点での試算であるのか。言うなら不確定要素というかそういうものが多分に前提条件としてあると思うのです。その不確定な要素を前提にした試算では必ずしも正確ではないだろうと思うのです。
 そこで、こういう試算は別として、ある時期において、言うならば日本船の船員費、そういうものがどんどんふくれ上がってきたというか高騰してきたというようなことで、どんどん支配すべき船の構造を変えていった。一つは仕組船を中心にする便宜置籍船、そういうもののチャーターバック、それからもう一つは海外売船をした、そしてこれのチャーターバックをしてきた。だから、現在見られるように、支配船腹の構造は、これは五十二年でありますが、日本船が三千三百七十二万グロストン、外国用船が二千九百十万グロストン、比率は五四対四六という比率、これは多少まだ異動があるかもわかりませんが、大体半々ぐらいになってきておる。
 そこで、こういう船腹構造になりますと、片方では、言うならば乗る船がなくなってしまう。人為的に海外売船をする、新船建造も仕組船でやってしまうということでありますから、抱えている船員が予備船員としてプールされる、そういう仕組みでありますから、言うならば、予備員率というかそういうものが六〇%台あるいは七〇%に近い予備員が出てきておる。そういうことで片方では、予備員に当然のごとく賃金を払う、また片方では、外国用船に貸し船料を払う、その中には当然賃金も入っている、ですから、二重に賃金を支払うようなかっこうが出てきたというところに問題が出てきた。最初のうちは比率も外国用船の方が多少低かったけれども、最近のように大体同じような比率になってくると、もはや仕組船や便宜置籍船によるところのメリットというのがデメリットに転換してきているのではないかというふうに思うのであります。
 だからむしろ、先ほど海運局長が試算を発表されましたが、それはある時期の話であって、いまの時期ではちょっととらえ方が違うのではないかというふうにも私は思うのですが、これはどう思いますか。最初のころはあなたの試算が生きて、それで大体計算のできる時期もあったと思うのです。しかし、いまはそうじゃないと思うのです。これはどうですか。
#79
○真島政府委員 先ほど申し上げました試算は、海運造船合理化審議会でいろいろと長期の海運政策のあり方を議論していただいたときに試算をいたしまして、さらに今回の利子補給予算の要求をいたしますときに多少の手直しをしたものでございます。そういう意味では、一、二年以前のものであるということで、現在の状況にまたぴしりと当てはめますれば、多少数字の相違は出てくるかと思いますけれども、現在でも、コスト計算としてはそれほど大きな差が出てこないのではないかと私は思っております。
#80
○久保(三)委員 このあなたの試算は、日本船の場合は予備員の賃金というか人件費というか、そういうものはどういうふうに計算しているのですか。
#81
○真島政府委員 この試算をいたします場合に、日本船につきましては予備員率と申しますか、そういう率につきましては、現状と申しますか、五十二年十月現在程度の乗組員と在籍の予備員との比率、七三%でございますか、これを前提といたしております。さらに予備員の経費といたしましては、これは五十二年度ころの中核六社の実際に報告のありました予備員費、これをもとにしていろいろ計算をいたしております。
#82
○久保(三)委員 予備員の全体を船員費の中に繰り込むのは、通常の場合はそうあるべきだと思います。しかし、いまアブノーマルの状態の予備員の数で、そういうものを船員費の中に入れること自体おかしいのではないかというふうに私は思う。実際に有給休暇で下船しているというふうなものは、当然これは船員費の中に入るんですね、労働協約上これは当然だと思うのです。しかし、労働協約からはみ出したものが全部、七十何%になると入っているのです。しかも、これは仕事をやっている者も、別な場所、陸で仕事をしている、そういう者も何人かいるわけです。そういう者も入れてある。そういうことと、その他というのがありますが、これは不明でありまして、かなりの数がありますが、そういう者も全部突っ込みで入れてある。これでは、国際競争力というか、海運企業としての国際競争力というのは比較になりますかどうか知りませんが、一船ごとの国際競争力の計算にはちょっとそぐわないのじゃないかというふうに思うのですが、どうなんですか。
#83
○真島政府委員 おっしゃる意味はよくわかるわけでございますが、外国船と比較いたします場合には、外国船の場合、御承知のような雇用形態でございますので、予備員というものがいないわけでございます。そこで、日本のやり方で考えます場合に、確かに、いまの制度の善悪は別といたしまして、予備員というものを抱えておる日本の海運企業、それから、そういうもののほとんどない外国船腹、これを比較することが、企業対企業の競争力の比較にもなりますし、一船別の比較にもこれが色濃くにじみ出てくる、こういうことではないだろうかと思っております。
#84
○久保(三)委員 ちょっとこれは船員局長に聞いた方がいいかもしれぬが、外国では全部一航海ごとの雇用になっているのか、それとも日本のように予備員率を持った長期雇用になっているのか、どっちなんです。
#85
○向井政府委員 いまお尋ねの件でございますが、外国におきましては、もちろん一律には申せませんが、おおむね通常行われております雇用形態というのは、いわば短期の期間雇用でございまして、一年程度というのが多いように聞いております。もちろん、それより短いのもありますし、また特殊な船におきましてはもっと長期の契約をしておる、あるいは日本のように終身雇用的なものもあるというように聞いております。
#86
○久保(三)委員 期間雇用というのもあるだろうが、それは全部じゃないですね。
 海運局長に聞くけれども、あなたの計算は、これは期間雇用で予備員ゼロというのが計算のもとになっているわけですね。
#87
○真島政府委員 そうでございます。
#88
○久保(三)委員 それは現状というか、余りにも比較のとり方が現実になじまないのじゃないですか、いかがです。
#89
○真島政府委員 確かに、私どもも、外国の海運企業の全体のやり方を全部細かく調べてやったわけではございませんし、また七三%という数字が、いま先生のおっしゃるようないろいろな問題を含んでおるということで、必ずしもこれが妥当な数字であるかどうか、この辺はもちろんいろいろ議論のあるところかと思いますけれども、期間雇用の外国企業というのも相当あるということになりますれば、やはり一番競争力の強い外国企業を相手にした場合の比較というものが一番妥当ではないか、そんな感じで、そういう企業を相手にした場合の比較表をつくった、こういうことでございます。
#90
○久保(三)委員 そうしますと、いまの比較から言えば、政府の政策として予備員ゼロの船員費、そういう仕組みが一番政策としては正しいのだというお話でありますか。
#91
○真島政府委員 それは決してそういうことではございません。私ども、日本の海運企業がこれまでとってまいりました現在の経営のやり方、これは決して間違ったといいますか、そういう方向に進むべきでないと考えておりません。
    〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕
いまのような経営形態をとったということが、世界的にも非常に優秀な日本船員を育ててきた一つの大きなファクターであったという意味からは、私どもは、今後の日本海運企業が期間雇用に徹すべきだというふうには考えておりません。
#92
○久保(三)委員 そうしますと、政策的にどうなんですか、国際競争力というものの比較でいま予備員ゼロの対比をされているのですが、どういうふうに持っていこうとするのか。予備員ゼロの体制の比較だから、その体制に持っていくというふうに一応はとれるかもしれないが、いまのお話ではそうではない、いままでの体制というか雇用形態をそのままやっていくのだ、こういうことに聞こえますが、どうもどっちをとられるのか、もう一遍聞きましょう。
#93
○真島政府委員 私どもは、いま申し上げましたとおり、現在の雇用形態なり海運企業のやり方を急変して期間雇用に持っていくべきだということではもちろんないわけでございます。そういう意味で、私ども、こういういわば期間雇用をある程度前提にした外国企業にも現在の姿のままで対抗ができる日本船腹、こういうものをつくっていかなければならないだろう、そのために、そういう比較をしながら、それと同程度の競争力を持った船をつくるために利子補給等の助成の方法をもって日本船をこれからできるだけつくっていく、こういう形を理想と申しますか、考えて今度の予算要求をいたしたわけでございます。
#94
○久保(三)委員 どうもよくわかりませんけれども、これは理想像というか、政策としてあるべき姿はこうです、それに近づくために今度は利子補給の制度でやるのだということにならぬというと話がちっとも合わないのじゃないかと思うのですが、それはいかがなんですか。
#95
○真島政府委員 政策的な基本的な考え方といたしましては、これは海運造船合理化審議会の小委員会報告、この基本線をわれわれは踏襲と申しますか、尊重して進めていくべきではないだろうか、このように考えております。その基本的な方向と申しますのは、従来の非常に拡大、拡張の政策から現状維持というような形で、現在非常に比率の高くなっております外国用船と日本船の比率、これをある程度現状凍結を少なくともいたしたい。つまり、日本船が、ほっておけばますます比率が落ちていくのが現状ではないだろうか、放置しておけば、そういう状態に近づくのではないだろうか、それを何とか経済的な安全保障の問題あるいは技術優秀な船員の雇用対策の問題、そういうようなものも絡めまして、できるだけ現状維持、少なくとも当面の問現状維持をしながら、さらに体力の回復を図って、日本船を中核とした昭和四十四、五年ごろの外国用船が三割以下というような形に今後の日本の海運を育てていくべきではないか、これが基本的な政策と申しますか、考え方でございまして、そういう考え方に基づきまして、現状とにかく今後三カ年くらいの間、緊急に何をなすべきかということを考えたわけでございまして、その結果が先ほど申し上げましたような比較表に基づいて日本船を今後つくっていく場合、この競争力の差というものをとりあえず三カ年間、百万総トンぐらいずつの計画造船をやり、利子補給を行ってこういう姿を、まず差し水というとおかしいのでございますけれども、そういう形で日本船の増強をいたしたい、このようなことに考えたわけでございます。
#96
○久保(三)委員 船腹構造というか支配船腹の構造を欠いておるということについていまお話がありましたが、私は、その前の話を聞いているのでありまして、なかなか御答弁がむずかしいだろうと思うのでありますが、七十何%という予備員率は異常なものですね。それはどうしてそういうものになったかという原因についてやはり探求しなければ問題の解決にならないのじゃないかというふうに思うのです。外国用船の比率をいまのようなままにしておいて、それで日本船を多少ふやしてみても、これは問題の解決にならぬと思うのです、はっきり言って。
 だから、仕組船をいままで認知してつくらせてきたという経緯がありますが、そういうものに対する反省はあるのかないのかということ。それから、海外売船という安易な道を通ってきたものもある、そういうものに対して反省というか、反省と言ったらおかしいが、悪いことしたわけじゃないのでしょうけれども、結果的にはそういう結果になるかもしれませんが、いずれにしても、いままでの政策が多少なりとも間違いであったとか、あるいは誤認していたということにならぬというと、新しい方向にきちんと整理できないだろうと思うのです。
 だから、われわれ法律案だけ見ていると、これは何の変哲もないのです、実際言うと。だけれども、中身は大変な問題なんですよ。利子補給するからには、何を目的にするのかという問題があるのです。ただ、いままでの延長線上で何とかやっていこうということでは、はっきり言ってちょっと困る。だから、いままでの仕組船の認知はこれからも続けるのか続けないのか、海外売船もいままでのように安易にやらせるのかどうか、ひいては便宜置籍船というか便宜置籍国というか、そういうもののあり方について政府はどういうふうに考えておられるのか、そういうふうなものも問題としてやはりお聞きをしないと、何かこの法律案が軌道に乗らないのじゃないかというふうに私は思うのですが、いかがですか。
#97
○真島政府委員 外国用船の比率、これが四十七、八年以降非常に高まってきています。その中に相当大きな部分が、いま先生の御指摘になりました仕組船という形でふえてきておることはそのとおりでございます。私ども、やはり仕組船というもののできてきた経緯、これは全体の国際競争の中での海運企業が一つの逃げ道をそこに求めたということであると思っております。しかし、現状のような形になってきて、さらにまた、それが進んでいく、そういうことに歯どめをかけるという意味で、先ほど日本船云々ということで今度の予算をお願いしておるということは申し上げたわけですけれども、そのことは、逆に言いますと、今後、そういう仕組船と申しますか、そういうような形で外国用船がふえていくということに何らかの措置を講じていく必要があるのじゃないだろうかという、反省と申しますか、そういうものがあるわけでございます。
 そういう意味で、実は五十三年度中に、外貨減らしというちょっと別の目的ではございましたけれども、仕組船の買い戻しの問題が起こりました。そういう意味で、仕組船の買い戻しということが、外貨減らしということのほかにも、海運政策本来の姿として一つの方法ではないだろうか。ただ具体的に、これを政策の形で具体的な方法論でどうやっていくかということになりますと、実は現在ある仕組船を買い戻すというだけでは、しり抜けと申しますか、仕組船が自由につくれるという形との関連におきまして、ただ現在仕組船をほとんど買い戻せばいいだろうということにもなかなかならない。その辺を総合勘案いたしまして、これは私ども、一つの今後の宿題だと思っておりますけれども、私の気持ちでは、仕組船を認知しているという気持ちは全くないわけでございます。これは非常に言葉がおかしいかもしれませんけれども、少なくともこの数年の間、必要悪というような形で生まれてきてしまったのではないだろうか、これを今後一体どうするか、これは海運政策の、今後の日本船の増強の政策と並びまして非常に大きな課題になるだろう、このように考えております。
#98
○久保(三)委員 課題にはなるだろうというのでは困るのであって、その課題をいま処理する段階だろうと思うのです。仕組船は、御承知のとおり外国用船の大体七割ぐらい仕組船があるんですね。この前この席で船協の会長からお話を伺っても七百隻ある。これは大体七割ですよ、外国用船の七割。あとの三割が純然たる外国用船なんですね。私は、海運企業の波動性から見て、ある程度やはり外国用船というのも当然あってしかるべきだと思うのです。二割五分か三割ぐらいは従来もずっと前もあったから、これはこれでいいと思うのです。しかし、何としても異常なのは、七割もの仕組船ということ。大体外国用船は、本来なら日本船に切りかえていただくことが当然だと思う。その上で、いわゆる国際競争力の問題を議論しないと、何か仕組船はそのままにしておいて国際競争力を議論して、これからつくる船だけ利子補給をして何とかおっつけようというのは、どうもはっきり言って話がよくわからぬ。しかも、片方では船腹は過剰なんです。この間船主協会の会長さんも、本当のことを言うと実は日本船はつくりたくないのだ、しかし、日本船を確保しなくてはいかぬという大義名分があるから、しかも、政策的にそういう展開があるなら、これはやらざるを得ないだろうというお話がありました。だから、そういう問題の中で利子補給をやってみても、外国用船に対するそういう船腹構造をそのままにしておいて新しい船をつくりましょうというのは、何かどうもちょっとわからない。
 わからないのをいつまでも議論したってしょうがないけれども、じゃ何を基準に利子補給の率を決めたのですか。たとえば従来なら国際的な競争力というと資本費の話ですね。だから、利子補給なり金利の方の関係は外国では大体どの程度だ、そうすると日本の金利はどういうふうにすべきかということで利子補給制度というのを従来やってきた。それを今回は、言うならば国際競争力の中でも御指摘があったように船員費の問題を中心にして議論が出てきているわけですね。船員費となると、どうも資本費とはちょっと違う。だから、何をめどにして二・五五%とか三・六%ということを基準にしてやるのか。大臣、この基準のとり方はどうなんですか。
#99
○真島政府委員 いまお話の基準のとり方でございますが、これは先ほど申し上げましたような試算、こういうものに基づきまして、財政当局といろいろ議論をしながら決めたわけでございまして、全体のコスト比較の上から外国船との競争力を確保するためにこの程度の金利補給が必要ではないだろうか、こういうことで決めてまいったわけでございます。
#100
○久保(三)委員 局長、よくわからぬね。二・五五とか三・六とかいう数字が出てきている、だから、その基準は何ですかと聞いたら、基準というからにはそれに見合った数字が出てくるのが本当だろうと思うけれども、それがわからぬのです。
#101
○真島政府委員 いま細かい数字が手元にございませんが、二・五五、これは三・五%の利子補給をするということ、それは開銀の六・〇五%の金利に対して三・五%を利子補給いたしますので二・五五、こういう数字になるわけでございます。
 私ども、いろいろ要求の当初は、さらに低い金利水準を、試算をもとにして考えておったわけでございますけれども、わが国の中小企業関係の金利水準、全体の金利体系というような観点から、余り低い数字は実現できないということが二・五五と申しますか三・五%の水準になったわけでございます。この辺は実は、非常に詰めて緻密に細かい数字でこれだけこうなるからこうなるというところとはちょっと観点の違ったところから決まっておるということで、先生のおっしゃるような外国船がこうで日本船がこうで船員費の比較がこうこうだから厳密にこうだというところにまで御説明がいたしかねるというのが現状でございます。
#102
○久保(三)委員 別に私は、不見識だとは言いませんけれども、やはり理屈というのはあるものです。何で二・五五になったのか、何で三・六にするのか。それが、何となくそうなったという話ですね、いまのお話は。そうでしょう。それではちょっとわれわれとして法案を審議する立場から見るとどうも納得しかねる。これだけ補給すればこうなる、こうなるからこういうふうにうまくいくというような説明がなければ、何を基準にしているのかわからぬでは困るじゃないですか。それは安い方がいい、ただならなおいいという話になっちゃうですよ。
#103
○真島政府委員 先ほどちょっと触れましたようないろいろな試算をいたしました結果、定期船その他の二万トンから三万トンといったような程度の外航船としては比較的小さい方の船、これにつきましては資本費の比重というものが、たとえば五、六万トンのオアキャリアなりその他の専用船とは違いますし、さらにタンカーということになりますと、小型でも外航の場合五、六万総トン以上というような船型の相当大きな船につきましては、これはさらに資本費の比重が高くなってまいりまして、船員費その他の経費の比重というものは薄まるわけでございます。そういう意味で、一番資本費の比重の少ない定期船、それから技術的に非常にむずかしく、また大変な高額の船になりますLNG船、そういったようなものについては開銀金利の二・五五%ということを考え、やや中型と申しますか、そういうような不定期船関係につきましてはさらにその金利補給を〇・五%下げる、タンカーについてまたさらに〇・五%下げる、こういうような考え方で今度の利子補給の基準を決めたわけでございます。
#104
○久保(三)委員 お答えがなかなかむずかしいのでしょう。何となく結論としてそこへ落ちついたかっこうだろうと思うのですが、もっと端的に言うなら、大体船価の二〇%ぐらいの助成になるのかということだろうと思うのです。そうすれば、西ドイツとかあっちの方と大体均衡がとれるのじゃないだろうかということじゃないのですか。違うのですか。
#105
○真島政府委員 もちろん私どもも、たとえば英国が最高三〇%、その他の国で一七%とか二〇%、そういう船価補助が行われておることは聞いておりますが、必ずしもそれにフィックスしたわけではございませんで、今度の利子補給の考え方で、これを船価補助に直した場合にどのぐらいになるか、まあいろいろな計算の方法がありますけれども、私どもこれでまいりますれば、一四、五%程度の補助になるという計算でこの数字を出しております。
#106
○久保(三)委員 一四、五%、そういうものを基準にしたわけでもないのですな、いまのお話では。何を基準にしたのかちっともわからぬ。ただ何となく安くしよう、利息の負担をいまだかつてないような低金利に持っていこうというようなことでありますが、それは後からゆっくり聞きましょう。お答えができないというか、聞く方が下手なのか御答弁いただく方が下手なのか、どっちかわかりませんが、はっきり言ってどうもよくわかりかねます。わかりかねますが、法案を審議しているのですから、わかりかねたままで通すわけにはまいりません、はっきり言って。
 それからもう一つは、よって来るところの日本海運企業の、言うならば経営ですね、この経営について国際競争力が低下したという中には、先ほどから何遍も申し上げるように、支配船腹構造がいまのままでは残念ながら国際競争には勝てないということだろうと思うのです。そうだとするならば、半分程度あるところの外国用船の中、特に七百隻もある仕組船について、先ほどから申し上げたように、これをどう始末していくのか――始末と言っちゃおかしいが、どういうふうにしていくのか。そういうことをすることは、日本船を増強して、仕組船を含むところの外国用船からの離脱を図る、軽減していく、ノーマルな状態に外国用船の比率を持っていく、そういう政策的な誘導がなければ、恐らく予備員率は七三%のままでいるわけでしょう、適正な予備員率にならない。
 結局いま一番政策的に問題なのは、一つは雇用を確保し、あるいは雇用を拡大するということ。そういうことからいくならば、いまのような外国用船にもたれかかったものを日本船に置きかえるというそのための利子補給であるはずだと思うのです。そうだとすれば、やはり仕組船その他についての方針をきちんと整理して出してもらわぬと問題の解決にはならないのだろうと思うのです。
 だから、さっきから仕組船は課題であると言うが、この課題をどういうふうに解決しようとするのか、この制度と絡んでどういうふうに展開しようとするのか、そういう考えがあるのかないのか、それをお聞きしましょう。
#107
○真島政府委員 仕組船の問題、いま先生からいろいろ御指摘をいただいたわけでございますが、仕組船というのは、この前確かに参考人で船協の会長が七百隻というふうに言っておりますが、実は定義が非常にいろいろございまして、この定義の仕方によって隻数が違ってまいります。私どもが調べましたところでは、チャーターバック船と、いわゆる私どもで考えます仕組船、これを合わせまして約六百隻程度かと思います。
 この中身をながめますと、当然のことでございますけれども、四十六、七年以降にできてまいった船が多いわけでございまして、船齢が非常に若い船が多いわけでございます。したがいまして、仕組船をどういうふうに今後持っていくかということに関しまして、ドル減らし関係のああいう輸銀の金利を下げて、それで買い戻しの方策を講じるというふうなやり方を今後も続けない限りはなかなかむずかしいことかと思います。
 そういう意味で、私ども今後、あのドル減らしの対策自身五十四年度も続けられるということでございますので、そういう線に乗りまして、今後のやり方でございますけれども、雇用対策という面からは確かに日本船になり、日本人船員が乗っていくという形が望ましい、そういうことで買い戻しができるものについては買い戻しをしていく、買い戻しができないといういろいろな事情が出てまいるかもしれませんが、そういう場合には、やはりこれは船員局ともいろいろタイアップしてお願いをしてやっていかなければならないことかと思いますけれども、外国籍ではあってもそういう船に乗れるような措置を考えていく、そういうようなことをいろいろ総合的に進めてまいりたいと思っております。
#108
○久保(三)委員 時間もだんだんなくなってしまうから、先ほどの基準を、これはまだ審議はきょうだけで終わるわけじゃないと思うのですが、後ほど時間を見て、書いたものを下さい。御答弁ではちょっとわかりかねますから、書いたものを下さい。わからぬまま賛成、反対をするわけにもまいりませんから、基準についてはひとつ委員会で書いたもので御答弁いただきたいと思います。
 それから、仕組船についても書いたものをひとつ、どういう御方針でおやりになるのか、運輸大臣とも御相談があるのだろうと思うのですが、出していただきたいと思うのです。
 それからもう一つは、この新しい制度で船をつくる場合、これは条件がつきますか。
#109
○真島政府委員 今度の利子補給対象の船舶につきましては、国際競争力強化ということが大前提になっておりますので、できるだけ近代化、合理化された船にしていただきたい。具体的には、現在考えられておりますような造船技術でできる限り省力化の可能な船舶という条件はつけたいと思っております。
#110
○久保(三)委員 一船で見ると、あなたのおっしゃることはわからぬでもありません。言うなら近代的な、乗組員の少なくて済む新しい船をつくるということは、その限りではわからないわけじゃないのです。ところが、七三%になっている異常な予備員をどうやって消化するかという問題が片方にあるわけですね。その問題と絡めて、新しく船腹増強になる、今度の利子補給制度で七十万あるいは百万トンができるということは、それだけ雇用のチャンス、定員は少なくてもそれだけ雇用の場所は広がるということになると思うのです。しかし、それでは船舶過剰に輪をかけますから、どこかでスクラップをしなければいけませんな。そのことは余り関係ありませんか。
#111
○真島政府委員 スクラップの問題につきましては、確かに船主協会等でいろいろ申しておりますように、現在余り建造意欲がない、船腹過剰であるから建造意欲がないということから考えましても、何らかの形で解撤なり何なりの措置を講じないと、確かに新船がなかなかできてこないということがあるかと思います。船員雇用対策の面から言いますと、これもまた具体的に船主がどういう船をつくりたい、あるいは同じ船主でないかもしれませんけれども、日本海運全体としてこういう船が要らくなってくるという全体の比較をしませんと、具体的にどうなるかというお返事をいまなかなかしかねるわけでございますけれども、非常に大ざっぱに考えますと、今後のできてまいります船舶、これはVLCCのような巨大タンカーといったようなものの船種はできてこないのではないだろうか。タンカーにいたしましても、せいぜい七、八万トン型といったようなところが今後の需給の関係から出てまいりますでしょうし、その他のコンテナ船等につきましても、トン数から言いましてそれほど大きくない船ができてくるという意味では、隻数の点で逆に余っておりますのはそういう大型の船である、これだけで果たしてお答えになるかどうかわかりませんけれども、そういう点でバランスがとれてまいるのではないだろうかというふうに考えておりますが、しかし、現実の問題として、やはり隻数的に同じ程度になってまいるという場合に、その場合の船員対策、これは十分に考えなければならないかと存じております。
#112
○久保(三)委員 局長、時間がないので余り長い答弁はちょっと困る、あと十五分しかありませんから。
 そこで、答弁にならないかもしらぬと言うが、ならないと言ったら失礼だが、半分ぐらいはなりますね、私の聞いていることとちょっと違うので。大体必要な船腹量は、いまの現状あるいはそれ以下、外国用船を含めて支配船腹量は大体この程度だというのは海造審でも決めたようでありますが、海造審が決めたことが全く完全無欠かというと、そうでもなさそうに私は思うのでありまして、そういうことから言って、仕組船を、できればスクラップの対象にしたらどうだろうか。もっとも仕組船というのは新しいのが多いそうでありますから、そう簡単にはいかない。それなら、支配している外国用船の中でそういうものをまずスクラップの対象にして日本船に置きかえれば、それだけ日本船員の雇用の場所は広がりますから、それはそれなりにメリットがあると思うのです。
 しかし、先ほど来からずっとお話を聞いていますと、何かどうも国際競争力が低下したから今度利子補給をする、それは船員費でやる、それには船員費をカバーするのならば利子補給はこの程度ということになるのだろうと思うのですが、ところが、その基準がよくわかりませんから何とも言えませんが、それによってカバーしていくということだろうと思うのですが、しかし、それは一船単位の話であって、海運企業全体から見た場合にそうとばかりにはとれないのではないかという疑問を私は持っているのです。ですから私は、外国用船の中でも仕組船を含めてスクラップの対象に持っていくべきではないのかというふうに思うのです。日本船のスクラップ・アンド・ビルドは雇用のチャンスを減少させることになりますから、かえって予備員率をふやす結果になりはしないか。これは雇用対策ばかりじゃなくて、海運企業の体質から言ってもとるべき筋ではなさそうに思うというふうに私は考えております。
 そこで、時間がありませんから先に参りますが、まず第一に、これは外務省にお聞きした方がいいかもしれませんが、五月にマニラでUNCTADの会議がございます。この会議の中では、かねて懸案である国連の定期船同盟行動憲章条約というか、こういうものが日本も賛成して成立はしているのでありますが、批准はいまだしていない。しかし、今度のUNCTADの中では、問題の発展いかんによっては、単なる定期船ばかりじゃなくて、発展途上国からは不定期船なりその他の問題も含めて問題が提起される心配があるようにも私どもは聞いているわけです。
 ついては、同盟行動憲章の条約について批准の手続は進めているのかどうか。これは運輸大臣から先にお聞きした方がいいと思うのですが、大臣どうですか。この憲章については条約批准の方向でやっているのか、それともまだそこまではいっていないのか。われわれとしては、少なくともこの際、批准の方向で問題を展開しないと困るのではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
#113
○中村説明員 定期船同盟行動は、御指摘のとおりUNCTADの議題の一つになっております。私たちといたしましては、この同盟行動は同盟運営の新しい国際ルールをつくることでございますし、発展途上国との海運問題の摩擦の緩和に役立ちますし、かつ定期船海運の安定した運営にも役立つというふうに考えております。
 したがいまして、来るUNCTAD総会を五月に控えまして、わが国といたしまして、南北問題に対する積極的な姿勢を示すという意味からも、この加入、あるいはこの以前にもこの条約加入の意思を表示することが好ましいというふうに考えております。
 現在、そのような方向で先進海運諸国の動向をも勘案しつつ、事務的な検討を進めております。
#114
○久保(三)委員 先進海運国の動向というのは、たとえばイギリスならイギリスは、彼らの海運の体質というか行動半径からいって余り賛成はしていない。そういうものを考慮に置くと、いまのお話にはちょっとブレーキがかかるのじゃないかと思うのですが、どっちの方向をとるのですか。
#115
○中村説明員 現在ECの中で協議しておりまして、大体ECの中である方向でまとまりつつあるやに聞いておりますが、近くECからの海運委員が本邦を訪れますので、わが国政府の担当者との間で意見の交換をいたしたい、こういうふうに考えております。ECといたしましても、できれば第五回UNCTAD総会を控えまして、何らかの意思表示をしていこうという方向で積極的な解決策を見出していきたいということだと考えております。
#116
○久保(三)委員 それじゃ運輸大臣、その他もありますから後から……。
 もう一つは、ソ連を中心にする東欧圏の海運の問題であります。これは盟外船の問題でありますが、彼らはかなり運賃のダンピングでやってきている、ところが、これに対してやはり何らかの手配をとらなければならぬというのは、海運界のいまの体質から見て当然だと思うのです。ところが、日本の国内でも問題がある。たとえば荷主産業あるいは政府の中でも通産省、こういうものから見ても、言うならば運賃は安い方がいい、だから、これに対して対抗措置などとるべきではないというような意見も政府部内にあるそうでありますが、これはどういうふうに持っていこうとするのか、これは運輸大臣にお尋ねしたいと思います。いかがですか。
#117
○森山国務大臣 先の同盟憲章条約の問題でありますが、これは先ほど外務省から話がありましたように、ECにおいていろいろな相談、いろいろな意見があったようでありますが、その現段階を踏まえてアメリカ及び日本に運輸担当委員が参りまして――まだ来てませんが、今月中に来ると思います。そしてその結果を踏まえてまたECで態度を決めるというようなことでありますが、これは批准の方向で検討していきたいと思います。そういうふうに現段階においては考えております。
 それから、ソ連、東欧の海運関係にいろいろ問題があることは御承知のとおりでありますが、わが国において先進海運国による規制の事例がいろいろありますから、その事例を考慮しながら法改正を含めた対策を目下検討中でありまして、荷主等関係者と十分に意見調整を行いたいというのが現状でございます。
 したがって、前の方は批准の方向、今国会には間に合わないと思いますけれども、後の方は検討して対策を講じていく、こういうふうに考えておるわけであります。
#118
○久保(三)委員 もう時間がありませんからなんですが、先ほども申し上げた便宜置籍船の扱いですね、これも国際海運の中では問題になっているわけなんでありまして、これはどういうふうに日本政府としては考えておられるのか、いかがでしょう。ただ「海運白書」などによると、便宜置籍船については、安全や公害の問題のサイドから考えていこう、こういうことなんだそうでありますが、これは正常な取引というか海運市況というか、そういうものを形成するためには、やはり安全や公害の問題も大事でありますが、それ以上に運航についての運航技術、あるいは乗組員の資質、そういうものもやはり一定水準で統一していくというか、水準を確保しながら公正な競争をやっていくということに持っていかぬと、チープレーバーでもってやっていこう――日本の海運企業もチープレーバーを追いかけていって今日の事態を招いてきているわけなんであって、政策の展開としては、言うなら七三%の予備員を抱えておいて、それで国際競争力が低下したから今度利子補給しようなんというのは、ちょっと逆さまじゃないかというふうにさえ思うのです。
 だから、雇用を拡大するために金が要るとか、あるいは体質を改善するために金が要るというならいいけれども、今度の場合、大体利子補給をしても、そうなるとこれは低い運賃でもたえられるような商船隊をつくろうというのでありますか。低い運賃でもたえられる、国際競争力をつけるということは、利子補給をして、早く言えば安い船を持ってやるのですから、運賃は安くても問に合う、こういうことに短絡した考え方になればなるんですよ。だから、少なくとも予備員をもっと減らす、減らすというか雇用の機会をうんと与える、そうしてこれをノーマルなかっこうに持っていく、そこで国際競争力を発揮していくというなら話の順序としてはわかりますが、どうもいままでのお話を聞いていると、われわれとしては余り納得がいきかねる問題がありますが、いかがですか。
#119
○森山国務大臣 先ほど来久保先生からの御質疑を承っておりまして、方向としては私はごもっともな意見が多いと思います。しかし、日本船の国際競争力というものが問題になっておりますのは、何と言っても運航コストが高いというところにあると思うのです。その運航コストの中のせめて資本費のできるだけの軽減を図る、その方法として利子補給制度等の助成措置を充実強化するということであると思います。
 ただ、二・五ないし三・五%の根拠は何だ、こうおっしゃられますと、これは二%ぐらいのところで大体船費の二〇%程度をカバーするようにということで始まったことでありますが、予算のことでございますから、財政当局とのやりとりの結果こういう数字が出ました。先ほど先進諸国における船価の補助等についてのお話がございましたが、それにとにかく見合うようなということで始まったことでございますが、結果的には二・五ないし三・五ということでございますから、御不満の点は多いと思います。しかし、資本費を軽減しようとすることも運航コストの低下の一つでございますから、そういう意味ではどうかひとつその方向については御理解をいただきたいと思います。この二・五ないし三・五というのは一体何だ、こういうふうにおっしゃられると、先ほど申し上げましたような経過がございますので、そういう方向づけをした意味においてひとつ御評価をお願いいたしたいと思います。
 それから、仕組船の問題等につきましては、すでに御承知のとおりドル減らしの観点から、日本輸出入銀行の外貨貸付等によって買い戻しが進められております、十分ではないかもしれませんけれども。また、その進める過程において、建造時の事情とか外国銀行との関係、船員配乗等の問題がありますので、これらの問題のいま解決を図っているというようなことでございまして、この買い戻しの努力はいたしておる。しかし、十分ではないとおっしゃられれば、その点は問題があると思いますが、やはりこれも一つの方向に向かって一歩踏み出しておるということだけはくみ取っていただけると私は思うわけでございます。
 予備員率の問題も、実勢七〇%という予備員率が多いことは確かでございますから、これはもう少し考えていかなければならない。政府としてもできる限りの努力をし、また海運労使においてもこの局面打開のために血のにじみ出るような御努力を願いたい。政府は拱手傍観をしてこの海運不況をあるがままに任して、そして回復しがたいような破局を招かないように、微力ではございますが、一生懸命やっておるのだ、ひとつそういうことで、その方向についてだけはどうか久保先生におかれまして御了承をお願いいたしたいと思う次第でございます。
#120
○久保(三)委員 それでは時間ですから終わりますが、お話がありました新しい船をつくる場合の条件というか注文、これは合理化について注文をつけるようなお話でありますが、乗組員の基準その他は、これは船舶職員法に基づいてやっているものはその法律どおりでありますし、それ以外のものは、これは労働協約によってやる筋合いであって、政府が利子補給をするからこの船は何人にせいとかどうだとか言うことは、ちょっと筋違いだろうと思うのです。考え方としては一応それはわかりますけれども、条件として付すべきではないだろうと私は思うので、一応念のために申し上げておきます。そうでないと、何か後のめんどうまで全部政府が見ることになりますから、これは大変なことになると思う。そうでなくて、労使の問題は労使にお任せいただくのが一番いいというふうに私は思います。
 それから、いま大臣からそれぞれお話がありましたが、何と言ってもこの七三%というのは、これはつくられた予備員率なんですね。自然にできたのじゃないのです。先ほどから申し上げたように意識的につくられたものです。言うならば日本船をスクラップして外国用船に頼ってきたという単純な法則なんですね。チープレーバーを追ってやってきた。だから、これに対する反省はやはり企業の中でもしてもらうと同時に、七三%を適正なものに置きかえるためには、日本船をふやしていくという以外に方法はないと思うのです。そのためにはこの政策も、外国用船の中で支配しているもののうち何隻でもいいからスクラップする、そして新しい日本船をそのかわりつくるということによって雇用の拡大も図れるのじゃないかというふうに、われわれはメリットの面としてとらえていこうということなんでありますから、その辺この法律案なりいままでの御説明ではさっぱりぴんと来ないのです。どうかそういう意味で、そのようにとらえていただきたいと思います。
 以上、私の考えをちょっと申し上げて終わりにしますが、大臣、御所見ありますか。
#121
○森山国務大臣 久保先生のお話わかるのですけれども、とにかく運航コストの低下という面で、経済法則のままにほっておきますと、やはり適当なる量における日本商船隊の維持というのはなかなかむずかしくなって、かえって雇用の縮小を来すおそれがある。
    〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
この辺でとにかく政府としても、この自然のままに、成り行きのままに放置しないで、先ほど来問題になっているような事態を解消して、少しでも雇用の拡大を図りたいということでこれをやっているわけでございますから、そもそも今日の日本海運の不振の状況の原因が那辺にありやというところに、議論をいたしますといろいろ議論があると思いますが、現段階においてはそういう意図で今度のことをやっておるのだということをぜひひとつ御了解願いたい。大局的な雇用の拡大を目指してこれは努力をしているのである。運航コストを中心に考えて、安い方がいいということで、それには外国船籍のものを、仕組船を含めてのそういうものをどんどんふやしていくというようなことになっては困りますし、そうすれば予備員率はどんどんふえていってしまいますから、したがって、そういうことがないようにということで今度のことは始まったわけでございますから、どうかひとつ今度の立法のわれわれの真意というものを御理解願いたいと思います。
 いまお話がありました利子補給の条件として、企業に対して経営改善に関する考え方をまとめてもらって、計画的かつ積極的に実施していくように求めていきたいと考えておるわけでありますが、その内容は、余剰船員の有効な活用という点が中心となって考えられている。しかし、余剰船員の有効活用の具体的な方策は、これは労使交渉によって決められていくものが多いと考えており、その意味で余剰船員の有効活用の具体的な方策について、御説のとおり政府が介入すべき問題ではないわけでありますから、労使がこの厳しい現実を認識して十分な話し合いを行っていってもらいたい、こういうふうに考えておりまして、雇用の拡大を何とかして図れないかという趣旨に立ってやっておるのでございまして、雇用の拡大という観点から雇用問題を考えているのであって、当面の雇用問題に介入するというようなつもりはいささかもない、こういうふうなことでこの法律を運用してまいりたい、こういうようにひとつ御了解願いたいと思います。
#122
○久保(三)委員 時間ですから終わります。
#123
○佐藤(守)委員長代理 渡辺芳男君。
#124
○渡辺(芳)委員 造船利子補給法の改正案が提案されておりますが、かつては日本船を拡大しよう、強化しよう、あるいは海運会社の集約化、これが目的でやられてまいりましたけれども、どうも今度の場合は、造船不況が大変な重みを持っていますので、その不況対策と、そしてまた合理化船をどんどんつくる、こういうことでありますから、多少二律背反的な矛盾を感じますが、いずれにしても、私どもいま一番心配しているのは、前回の国会で五千トン以上の船舶を製造する船台やドックをスクラップする、約三百四十万トンというのですから、これは三分の一強になりますが、この状況が新聞で報道されていますが、特安事業協会法によって函館ドック、これは中手の上、大きい方ですが、これが八五%の設備破棄をする、五千トン以上の建造能力をすべて破棄してしまう、これは一社にすれば大変な設備削減ですね、大手七社がいまどういうふうな状況で進められているか、私は、特に中手が造船不況の設備破棄の犠牲になるのじゃないか、こんなふうに進められているような気がいたしてなりませんが、この関係はどうなりますか、この見通しですね。
 それから、最近円安になってまいりました。昨年あたりは造船不況のことでこの委員会で大変な議論もありましたが、そうすると海外受注の関係がふえるのかどうなのか、いまの現状、そしてその見通しなり、業界の方でどのような対策をとろうとしているのか、ひとつお伺いをいたしたいのです。
#125
○森山国務大臣 造船が非常な不況であることは御説のとおりです。最盛期の十分の一くらいの注文しかいまないわけですから、したがって、三年分ぐらい抱えておった注文が一年の三分の一くらいの注文でやっていかなければならないわけですから、容易ではございません。そういうことでございますので、この造船不況をそのままに放置してまいりますと、もうすでに一部に倒産等のことが起きておるわけでございますが、今後も起きてくる、したがって、そういう事態をそのままに放置しないで対策を講じていこうということで、昨年十一月に告示された安定基本計画に従ってその設備削減を行っておる、あるいは操業短縮の問題も本来なら業界でカルテルをつくってやってもらえばいいわけですが、もうカルテルをつくるだけの力もないということで、操業短縮も一応大臣命令として実施していくというようなところで現在の仕事をやっておるわけでございますから、これは非常な状態でございます。その間において大手、中小等の問題についてお話がございましたが、その件はひとつ船舶局長の方から答弁させます。
#126
○謝敷政府委員 先生御指摘のように、函館ドックが安定事業協会の第一号の買い上げ対象造船所として三月末に申請をいたしました。これは函館ドックの特殊事情といいますか、協会法そのものが、自力で設備処理ができなくて、かつ信用基金の信用保証だけでは債務の弁済ができないということからつくったものでございまして、そういう意味におきましては、函館ドックは膨大な債務を持っておりまして、これに頼らざるを得ないということで、本来ですと函館ドックは三〇%設備処理をすればいい企業でございますが、先ほど申し上げました別な観点から買い上げの選択をした、こういうことであろうかと思います。
 それで、設備削減が大手に甘く、あるいは中手に厳しくなるような方向に来てないかという第二点の御質問でございますが、この点は、大手七社は三五%平均に対して四〇%という負担率を持ったわけですが、おおむね設備処理の見通しが全部立った状況でございます。あと残っておりますのは、いわゆる中手のA、Bクラスといいますか、十七社と十六社とその他二十一社に分けておりますが、そこもこの夏を目標にしまして、それぞれ関係自治体、あるいは労使の間、あるいは金融機関、大口債権者等の間でどうやったらこの設備削減に適合できるかという方向で努力をしておりまして、大手がやらないで中手にしわ寄せがいくということは、私のいまの見通しではむしろ逆でありまして、中手以下がいかに対応するか、これから十分見てまいりたい、こう思っております。
 それから、最近の円安に伴って造船業界どうだというお話でございますが、確かに昨年の暮れあたりになりました百七十五円から百八十円台に比べまして二百十五円のラインまで円が安くなってきたわけでございますが、これは基本的には造船業界にとって非常に大きなメリットだと思います。ただ、このメリットも現状は、かつてドル建てでとりました中小企業のキャッシュ払いの船、あるいはかって延べ払いでドル建てでやっておりました分の返済分について、いわゆる資金繰りが楽になるという程度でございまして、まだこれによって大幅に外国船が出てくるというというような状況ではないと考えております。したがいまして、最近の実態を見てまいりましても、受注の状況において、五十三年度の前半は前年度に比べましておよそ五割程度でどんどん落ち込んできたのがややとまりかけてきたという状況でございまして、私どもとしましては、先ほど大臣からお話のございましたように、設備処理と操業調整を併用しながらここで安定をさせていきたいということで、国内船なりあるいは官公庁船事業というのがこの安定のためには基本的に不可欠のものだ、こういうふうに考えております。
#127
○渡辺(芳)委員 それでは具体的に伺いますが、安定基本計画で設備を破棄していくあるいは休止していく、この設備破棄というのは中小ではないか、休止をしていくのは大手ではないか、この関係ですね、私はそのような感じを持っておりますが、この運用といいますか安定基本計画に基づいてやられるやり方、これはどうなっていますか。
 それから、需要創出の関係、利子補給法あるいは内航関係の法律でいろいろ手当てをいたしておりますが、五十四年度は船舶局長の見通しですと一番底ではないか、こう見ておるわけですね。こういう法律が出ていけば相当な需要創出が出る。現実問題として、いま法律の関係がなければ、利子補給法もなければ造船発注が二百七十万トン程度だろう。しかし、これで百五十万トンぐらいは需要創出が出ていくのではないか。この関係は事実その見通しどおりいくのか、あるいは海上保安庁なり政府関係のいろいろな発注もあって、もっとよくなるのか、その見通しはどうなんですか。
#128
○謝敷政府委員 第一点ですが、安定基本計画で設備の処理につきましては廃棄、休止となっております。事実、休止につきましては、重要な構成部品を撤去すればいいということになりますが、いずれにいたしましても、廃棄の場合にしても休止の場合にしましても、造船法上の取り扱いは廃止になります。したがって、もう一度法律的な手だてを行わなければ廃止のままということになります。それで、大手の方はむしろ積極的に今後の展開として造船業から陸上工事その他のものに転換するというのが長期的な戦略だ、こう言われておりますし、私どもも、その方が長期的に安定する道であろうと思っておりますので、先生おっしゃるような大手が休止をして中手が廃棄をして、その結果、今後戻ってきたときに大手がまたそれを生かすのではないか、こういう点は、私どもとしては、いずれにしましても、造船法上の廃止の処分をするということでやっております。ただ、五十四年度いっぱいにやればいいことでございますから、計画は聞いておりますが、まだ、具体的に出てきましたのは、先ほど御紹介のありました函館ドックの一件だけでございます。
 それから、第二点でございますが、確かに海造審の見通しで、ほうっておきますと五十四年度の起工量が一番底になりまして、二百七十四万トンということでございます。私どもとしましては、今回の予算でおかげさまで官公庁船等あるいは経済協力等の船が入りまして、解撤とかタンカーの改造その他をのけますと約百二十万トンくらいが追加されまして、その意味では四百万トンをちょっと切る程度である。そうなりますと、操業調整ラインが四百万トン、これは基準を六十社にするか四十社にするかで違いますが、仮に六十社にしまして、一番下のクラスが前年度並みということになれば、大体操業調整ラインのところにくるということで、そうなりますと、ある意味では過当競争が防げて、これまでのような大きな混乱がなくて安定の方向に向かい得るのではないかと考えておりますが、いずれにしましても、円のレートの安定ということが前提であることはもちろんでございます。
#129
○渡辺(芳)委員 計画造船の関係は百万トンと想定している、そのうち七十万トンだけは利子補給をしよう、それで、その差の三十万トンというのは、この法律の改正案が出なくても実質的に計画造船が行われているという前提に立っているわけですね、この点はどういう見方でやっておるのか。
 それから、代替建造をやる、その中で、この利子補給法改正案によって、たとえばコンテナ船、貨物船あるいはまだやっておりませんがLNG船など、どういう船種が船会社から発注されて出てくるのか。このことは、近代化船といいますか合理化船といいますか、その関係とも絡んできますが、船会社の方から見れば、利子補給法の改正案でのメリット、この点はいかがですか。
#130
○真島政府委員 前の方の計画造船百万トンのうちで利子補給対象七十万総トン、その他三十万トンというその三十万トンはどういう性質のものかということでございますが、最近の計画造船の実績、これはもちろん利子補給のない最近の実績を見ながら、五十三年度も計画造船で三十万総トン程度出てきております。そういう観点から、五十四年度においてもまず二、三十万トンは出てくるのではないだろうか。ただ、五十四年度は五十二年度に比べてまた少し落ち込む可能性もございます。そういう意味で、この三十万トンにつきましては、開銀の融資率を従来よりも五%アップいたしまして、この差し水をすることによって、造船業というのは利子補給なしでも大体五十三年度並みに出てくるのではないだろうか。また従来の傾向から言いまして、利子補給制度がありましたときでも、利子補給を受けないで計画造船と申しますか造船を行っておる船種もある、そういういろいろなことから、まず三十万総トン程度は計画造船というだけの差し水で出てくるのではないか、このように考えたわけでございます。
 また、今度の利子補給対象船舶として一体どういう船種が出てくるかという御質問でございますけれども、今後の海運界をながめてみますとコンテナ船、これは確実に出てくるのではないか。タンカーにつきましては、中型と申しますか小型のタンカー、これは全体としても隻数もそれほど多くございませんし、つくられていなかった船種でございますけれども、最近の需給状況から見まして、これがある程度出てくるのではないか。さらにクリーンエネルギーと申しますか省エネルギーの一翼を担ってまいりますLNGの輸入という観点から、現在まだ確たるプロジェクトがないわけでございますけれども、これもプロジェクトの確立で実施可能なものが出てまいりますれば、当然それの輸送に必要でございますLNG船、こんなようなものが出てまいるのではないだろうか、このように考えております。
#131
○謝敷政府委員 先ほどの渡辺先生と私とのやりとりの中のトン数は、全部貨物船換算トン数でございますので、念のために申し添えておきます。
#132
○渡辺(芳)委員 この法案は、簡単に言えば、大きな船会社の関係について利子補給をされるのですから、そういう意味では、中核六社を初めとして大きな会社というのは相当責任を持ってもらわなければならぬと思っているわけです。小さい船に利子補給をしているわけじゃないんですからね。仕組船のことを先ほどお話になりましたが、ともかく中核六社を中心にして、その他ありますけれども、海外に二百六十社も子会社を持って、そして仕組船などを中心にしてどんどんつくられて、そっちの方に主力がいっている。海運当局としては、日本船を維持しなければいけない、六千三百万トンは最低ラインだというふうなことも盛んに言っておりますが、仕組船がふえる可能性があるかどうかということは、いろいろこれからの見通しだろうと思うのですが、海運不況との関係もございますからなんですが、私は、この点の指導といいますか、運輸省当局としては、海運会社も口の先では言っているのだろうけれども、仕組船をふやすということは厳に戒めてもらわなければ困ると思うのです。
 買い戻しをしています、こういうふうなことを大臣先ほど言われましたが、大したことないと思うのです。昨年の三月決算によりますと、海運業界の中核六社のうち日本郵船、大阪商船、川崎汽船、山下汽船それから昭和海運、このジャパンラインを除く五社は、各社とも大幅に増益だと書いてある。それにはいろいろの理由がある。環境は依然厳しいとは言っても減量経営を進めている、いまはやりの減量経営を進めている、この一年間に、各社とも三隻とか五隻とか売ってしまった、不採算船の売船をした、こういうやり方をしているわけですね、そして黒字だ、こう言っている。特に自動車の専用船などは、郵船なり大阪商船なり川崎汽船などは三八%も増益だ、こう言っております。まあ、こういう不況時代に増益だというのは悪いことではないけれども、しかし、いずれにしても、これほどまでやらなければならないのかということを、私どもは、こういう法案を審議していて実は矛盾を感ずるのです。
 ですから、仕組船のことについてはともかくこれからもう絶対にふやさないということをまず第一条件としてこれから指導されないと――指導するというのはなんですが、現に中核六社を中心にして外航船舶を持っている船会社については、これは強く注文をする必要があるが、いかがですか。
#133
○真島政府委員 先ほども久保先生の方から同じような御趣旨の御指摘があったと思います。私どもも、全体の基本的な考え方については久保先生のおっしゃるとおりだと思いますし、いま渡辺先生のおっしゃる御趣旨、非常によくわかるわけでございます。私ども、非常にむずかしいと思っておりますのは、確かにそういう方向を抑えたい、そういう意味を込めての今度の予算要求であり、法案の御審議をお願いしておるわけでございますけれども、なかなかぴしっと非常に効果のある方策が見つからないという点でございます。しかしながら、おっしゃるとおり今後の行政指導と申しますか、各船社に対する私どもの基本的な姿勢なり考え方という意味でそういう方向を推し進めるとともに、先ほど課題で具体的政策がなければだめではないかとおしかりを受けたわけでございますけれども、その方向に沿っての検討を早急に進めたいと思います。
#134
○渡辺(芳)委員 海洋汚染防止について昨年議定書が結ばれまして、これも造船不況対策なんですが、一九八一年六月までに、それぞれ条件がついておりますが、タンカーについて、たとえば二万トン以上、あるいは四万トン以上、四万トンから七万トン、七万トン以上、それぞれ条件がついて、SBT、分離バラストタンク方式をとるか、あるいはCOW、原油洗浄方式、これらが中心になって古い船の改造なりやり方を変えていこうということになると思うのですが、これはいずれわが国でも議定書の批准をしなければなりませんね。そうすると、いつこれをやるのか。関係の国内法がいまありますが、それを改正してやるのか。現実に進めていかなければならぬことでございますからね。世界船舶の五〇%以上、十五カ国が批准をすれば有効だ、こういうのですが、国内法を改正しなければ、海洋汚染防止の改造などをしないそれぞれの船が入ってくるということになると、国際競争には負けてしまいますね。ですから、ちゃんとそういう汚染防止の改造をした船でなければ日本の港へは入ってはいけないということになりますね。この関係の見通しといいますか、いま進めておるでしょうが、いかがですか。
#135
○杉浦政府委員 先生御指摘のように、昨年の二月に国際会議で一九七八年の議定書が採択された際に、この発効の目標日を一九八一年の六月というふうに定めまして、さらに各国が一九八〇年、来年の六月以前にできるだけ早くこれを批准するようにというような決議が採択されたことは事実でございます。
 この議定書は、もう御承知のように、分離バラストタンクあるいは原油の洗浄方式というような設置の義務を、それぞれタンカーの船種別にかけておりますとともに、軽質の油あるいは有害液体物質の排出についての規制など、非常に広い範囲の内容の条約でございます。その条約を批准するためには、技術的な問題あるいは経済的な問題いろいろな角度から十分に検討いたしませんと受け入れることが非常にむずかしい。したがって、十分にそうした点の検討、準備を進めまして、できるだけ決議にも沿うように早い時期にこの条約の批准、それから法令の改正は海洋汚染防止法の改正が主体になると思いますが、そうした法令の改正の準備、こうしたバックグラウンドの準備とあわせまして検討を進めてまいりたいというふうに思う次第でございます。
#136
○渡辺(芳)委員 当然、船会社としてはメリットがありませんから、なかなか踏み切るには大変ですが、批准をして国内法の法改正をするということになれば義務づけますね。政府の方で融資をひとつ頼む、こういうことになりそうですね。これはどういうやり方をするか、なるべく金がかからぬようにやるでしょう。いずれにしても、SBTにするかCOWにするか、船会社の選択なり船の型式にもよりましょうが、当然、政府資金の融資なども考えなければなりませんね。この点を同時に考えていかなければならない。
 それからもう一つ、二万トン以下のタンカーの関係については野放しになる。小型タンカーについて、主として内航海運の方に多くなると思うのですが、これらについての新造船の指導といいますか、汚染防止に対する対策も大きな船だけということですが、当面はこれに取り組むことも大変必要でございますが、小さい船についても新造の場合に考えていく必要があるのじゃないか、この点はいかがですか。
#137
○真島政府委員 先生のおっしゃったいわゆる大きな船、これにつきましては、確かに条約に基づいて義務づけられているということでございまして、採算とかなんとかということにかかわらずやらなければならないわけでございます。したがいまして、私ども実は、五十四年度から、COWとかSBTというような工事をするための費用につきましては、開銀で枠を設けまして、改造融資の措置を講じております。また内航船と申しますか、小さい船でございますが、これは条約上の義務づけではないわけでございます。しかしながら、海洋汚染防止という趣旨から、何らかのことをやる場合、いままでもビルジ排出防止装置といったことについて船舶整備公団におきまして枠を設けて、工事がやりやすくなるように考えるというようなこともやっております。したがいまして、小さな船については船舶整備公団における融資という形で、こういうような公害防止といった大切な施策については私どももできる限りの策を講じてまいりたいと思っております。
#138
○渡辺(芳)委員 これは船舶局長にお伺いしますが、この前参考人においでをいただいたときに、真藤造工会長からは余り歯切れのいいお答えをいただかなかったのですが、今度の特安法で大手が四〇%、中手が三〇%、中小が二七%、その他が二〇%ということで操業度の制限をしていきたい、こう言っておったんですね。お互いに造船不況でどこの造船会社も困っている。中には倒産しているのもたくさんある。四十社以上ありますね。ところが現実に、造船受注をしているところを見てみますと、大きな造船会社が小型の船まで取っているわけです。不況でありますから、過当競争でダンピングをやっているかもしれません。この点は、技術もいろいろあるだろう、会社の大小もあるだろう、だがしかし、小型の船なら小型の船らしくそれは中小なり中手なりに受注をさせるというふうなことを業界にきつく言わなければ、幾ら利子補給法をやって大手の会社に造船需要を仕向けても、中小の方は大きな船はつくれないのですから、ここらの造船の配分というのも、資本主義の自由経済でございますからおかしな話ですが、これは業界としてもそのくらいのことを――勝手にやればいいなんという話ではどうにもならぬと思うのです。
 一つ一つ申し上げるのは時間がありませんので省略をいたしますが、大体一万トンから五百トンに至るまで十八隻、去年の九月からことしの一月の中旬までに日立、住友、川崎、三井、石播、三菱、日本鋼管、佐世保重工、これらが受けているんですよ。だから、この前の参考人のときにも申し上げましたけれども、このことだけはこの委員会で取り上げたということで、造船不況対策を進めているのですから、厳重に船舶局長の方から言っていただきたいと思うのですが、いかがですか。
#139
○謝敷政府委員 確かに現状は、一番大きなもので八、九万重量トンのタンカーから以下の船の種類あるいは船の大きさが多いわけでございます。そういう意味におきまして、大手、中手あるいは中小、どこにもできるわけでございますが、基本的に、先ほども御答弁申し上げましたように、五十四年度の見通しを申し上げますと、操業調整ラインが四百十万トンに対して三百九十五万トン、いずれも造船換算トン数でございます。そういう見通しでございますので、いずれにしても、いっぱい取ってしまえばラインを超えて取れないわけですからその他に移っていく、こういうふうに仕組みとしては考えております。現実に五十三年度の新規受注を見てみますと、これは隻数で申し上げますが、たとえば五十二年度を一〇〇としますと大手は七〇%の隻数を取っておりますが、中手の十七社は一〇〇から九〇というふうに取っております。その下の中手の十六社は、五五でございますが、更生法申請中の会社が六社ありますので、それを除きますと六八%ぐらいになっている、こういうことで、徐々に操業調整なり設備削減の効果が出てきていると考えております。
 五十四年度は五十三年度に比べまして、先ほどの数字で、一段と大手に厳しく、中手に緩く全体の量を下げておりますので、私は、基本的にはいま申し述べたような傾向が来年度はさらに続いていって、決して大手だけに偏重しないというふうに考えております。
 ただ、私どもとしまして、公団船なり、あるいは官公庁船、その他地方公共団体の船で技術的に可能なものは、とにかくどんどん大手から下に落としていくという要望をしておりますので、この点はかなり徹底してきておると考えております。そういう意味で、この考え方は五十四年度もさらに続けていきたい、こういうふうに考えております。
#140
○渡辺(芳)委員 海運局長、先ほど答弁が漏れておるからもう一度答えてください。
 利子補給が具体的に実施されるということになってきますと、いまそれぞれ船会社が準備していると思いますが、一体どういう船種が、七十万トンの内訳といいますか、わかっているのでしょうか。たとえば鉱石船が何%、あるいはコンテナ船が何%、一般貨物船、その他LNG船もあるのかないのか、どんな船を一体発注してくるか、この点はいかがですか。
#141
○真島政府委員 実は、細かいと申しますか、七十万総トン一応私ども予算で利子補給対象といたしておりますけれども、その七十万トンについて現在の時点で全部計画ができておるとは聞いておりません。ただ少なくともLNG船の問題は、当初予定しておりましたイランのカリンガスの状況から考えまして、五十四年度中に出てくることは非常にむずかしいのではないだろうかと思います。私ども、予算の積算の際に一応の予想をしたりはいたしておりますけれども、現実の姿としてどういう船種の船が何隻、何万トンというところまで実は具体的な計画を船主からまだ聞いておるわけではございません。ただ、先ほども申し上げましたように、中小型のタンカーあるいはコンテナ船といったようなものが相当出てくるだろうという予想は立てておりますが、まだ責任を持って何が何万トン、何隻というところまで情報が集まっておりません。
#142
○渡辺(芳)委員 船員雇用の関係で伺いますが、現在失業船員が一万二千人くらいあると言われております。船会社が四十社以上倒産していますね。それに予備員率が六三%というとり方もあれば七〇%というとり方もありますが、これも私、いろいろ内容を聞いてみますと問題があると思います。いずれにしても、こういう情勢の中で、たとえば神戸の商船大学やその他の船員の専門学校、こういうところを卒業された若者が就職がほとんどできない、この事情もいまの状態ではわかります、ただしかし、何のために学校に学ぶかということになると、これも大変ですね。しかも新規採用をしない、そうすると現在の船員が高齢化していきます。現在自体だって四十歳以上でしょう、平均年齢は。これは日本船の中で使われているんですが、どんどん外国用船に肩がわりをしていったという形もありますから、必然的にそうなったと思いますが、この船員雇用対策というのは、単なるこれから出てくる船員関係の改正案、あれだけで事を済まされるということになりますと、これはどうにも問題の解決にはならぬ、アウトサイダーがたくさんいるわけですね。先ほど言ったような一万二千人、学卒者、こういう問題についてどんなことをやられているか。これは船会社の関係も調整していかなければなりませんね。
    〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕
この点、将来展望から見てどういうふうに考えていますか。
#143
○向井政府委員 お答え申し上げます。
 いま先生から、雇用問題並びに船員教育の問題全般にわたりまして包括的な御質問があったわけでございますが、お話のように、いずれも関連した問題でございまして、これらを総合的にどう解決していくかということが、われわれ船員行政の立場に立つものといたしまして非常に大きな問題になっておるわけでございます。確かに商船大学あるいは商船高等専門学校の卒業生を見ましても海上就職が可能なものは非常に少ない。いままでの実情から見ますと、最近の非常に就職率がよかったピークが三、四年前にございますが、それから急落いたしておりまして、非常に就職率が悪くなっている、それのうらはらになりますけれども、先生御指摘のように、海運会社の船員の年齢構成というものが非常にひずんでまいりまして、中高年に厚く若年にきわめて薄いという変形的な形になっておるわけでございます。そのような現象も端的にあらわれておる、その背後には当然雇用問題、離職船員の問題、雇用船員の問題を含めまして船員雇用の大きな問題が伏在するわけでございまして、これらを総合的にかつ具体的にどのように解決していくかということに腐心しているわけでございます。
 大ざっぱに申し上げまして、船員雇用対策といたしましては、緊急対策それから長期対策、長期対策に至りますまでの過渡的対策というような三つの観点があるかと思うのでございますが、まず緊急対策につきましては、先ほど先生のお話にもございましたように、いろいろな立法措置も講じまして、離職船員に対する生活安定、再就職の促進ということを、かなりの予算を計上いたしまして鋭意行っておるわけでございますが、やはり船員雇用の問題の中枢となりますのは、かなり長期的な展望に立ちましたところの政策であろうということでございまして、その際に最も中心になりますのが、船員制度の近代化の問題でございます。これは現在、国際的に非常に大きな動きが出ております。一つには、近代化船に対する対応、近代化船に乗り組みます船員の良好な労働環境のもとでの適正な乗り組み体制の確立ということが一つございます。これにつきましては、五十二年度来調査委員会も設けまして鋭意調査活動を開始いたしました。ごく最近になりまして報告書も出てまいりまして、五十四年度からはいよいよ実証実験、実際の船において実験をしてみるという段階にまで至っておるということでございます。
 もう一つ、さらに大きな動きといたしましては、国際的に船員の資質をこの際大いに向上しようという動きがございます。これは昭和四十二年に「トリー・キャニオン号」という先生御承知と思いますが、イギリス沿岸におきまして非常に大きなタンカー事故がございました。それ以来IMCOの場におきまして会議が持たれまして、非常に長い間かかりまして作業を詰めてまいりました結果、昨年の七月に国際条約の採択が行われたわけでございます。これに対しますところの国内体制の整備にこれから精力的に取り組まなければいかぬのでございますが、これが世界的に体制づくりができますと、世界的に船員の資質が大いに向上する、それに対応いたします監督規定の実施などもございまして、非常に優秀な船員でなければ世界の海を航行できないというような体制を整備いたします。それがやはり資質の優秀な日本船員にとりましては、かなり有利な問題として働いてくるという面もございます。
 そのような国の内外におきますところの情勢、大きな流れと、一口で申せば船員制度近代化の流れというものをつかまえまして、その上に乗りまして先ほどお話に出ましたような教育体制の問題も充実する、それから雇用対策につきましても、いろいろ積極的な考え方で対応していく、このように持っていくのがいいのではないか。
 ただ、その間におきまして、やはり時間的なラグがございますから、過渡的な対策をとらなければならない。先ほど申しましたのは、離職船員対策を若干申しましたが、すでに雇用されている船員につきましても、たとえば予備員率にあらわれておりますような、あるいは年齢構成にあらわれておりますようなひずみがございますので、それに対してはやはり失業者が生じないように雇用安定対策というものもきめ細かく考えていく、このようなことを総合的に行いまして、何とかこの二、三年あるいは数年のむずかしい時期を切り抜けていきたい。その先の情勢というのは、必ずしも暗いものではないというふうにわれわれ考えておる次第でございます。
#144
○渡辺(芳)委員 人件費のコストが高い、そのために仕組船を初めとして外国用船が、日本が必要とする一億一千万トンか二千万トンのうちの半分を占めている、こういうことですね。これは計算の仕方にもよると思うのですが、私は、全部調べたわけではないからわかりませんが、日本の外航船舶の八十社、船員四万人の一人当たりの賃金が、会社側、船主協会といいますかの方で言うのは大体四十六万円、こういうことだそうです。これは退職金全部ひっくるめての話である。だから、実際は税込みで平均三十五万円くらいじゃないか。予備員率を含めてもこの倍くらいではないか、こういうふうに言われていますが、実情は、船員局長の方で調べてあるのでしたならば、ひとつお答えをいただきたい。
 それからもう一つ、時間がありませんから、近代化船といいますか、合理化船ですね、これは貨物船、コンテナ、タンカーそれぞれ多少事情は違いますが、日本船の場合、船長、機関長、航海士三人、機関士が三人、通信士が一人、計九人。労使協約では大体通信士は二人になっているそうですが、大体いま一人ということになっています。甲板員が船員法七十条で六人以上、調理員が三人、どう見ても最低十八人は法律上必要である。この中で船員コストを引き下げるためにどこを少なくするか、最低十八人は削るわけにはいきませんね。船の大きさにもよりますし、種類にもよりますが、船員法七十条の甲板員の六人以上、これがかつては倍ぐらいおりましたが、ここを減らして結果的に総体的の人員を減らしていく、これ以外は減らしようがないでしょう。この点はどういうふうに考えておられますか。
#145
○向井政府委員 乗船中の船員の賃金でございますが、いろいろな調査がございますけれども、われわれの方で調べた一つの数字を申し上げますと、外航の五十三年六月の調べでございますが、職員、これはいわゆる士官でございまして、上級船員でございますが、これの乗船中の賃金が四十万一千円、それから部員、これは下級船員でございますが、二十八万七千円ということで、平均しまして三十二万九千円というような数字になっております。これは乗船中でございますので、下船をいたしました際には、乗船中の賃金の大体六割程度の数字になるわけでございます。
#146
○真島政府委員 現行の船員法、職員法等から見まして、乗組員の十八人がぎりぎりであるということは、先生の御指摘のとおりでございまして、私ども今度、利子補給対象船につきまして、できるだけ省力化のできる船で最低の十八人でも運航可能な設備、装置を備えた船ということでございまして、十八人よりも少ない人数でということは毛頭考えておりません。
#147
○渡辺(芳)委員 できないですよ、一番最低しか雇ってないんだから。
 じゃ終わります。
#148
○箕輪委員長 西中清君。
#149
○西中委員 初めに、外航海運並びに日本造船業の不況に対する政府の基本的な姿勢についてお伺いをしておきたいと思います。
 海運不況の原因の一つは、一九七三年のオイルショック、その前における世界の石油需要の見誤まり、これによって世界的なタンカー船腹量の過剰、さらにはそれ以降の世界的長期不況によって海上の荷動き量の伸びが非常に鈍化した、こういうようなことがあったと思います。
 さらには、議論がございましたが、日本船のコストの急増、さらに、それによって外国船との競争力の低下、こういったような背景があったと存じます。したがって、新造船の需要というものも激減をいたしまして、さらにはまた、円高等もありまして、日本造船業界としてのいわゆる価格競争力が非常に低下した。造船不況、こういうような形だと思います。
 それで、この間に運輸省としては、外航船舶の建造について計画造船政策というものを続けてこられたわけですが、端的に言って、こうした計画造船政策、これは目標を上回る建造、こういうことも言われておるわけでございますけれども、当時としてはそれだけの需要、そしてその見通し、いろいろ理由はあったと思います。したがいまして、そのことについて云々するつもりはございませんけれども、一方で、やはりそれとうらはらに思惑ということもなかったとは言えないと思います。結局需要の見誤まり、これが大きな過去の政策上の問題点だと私は思っております。
 今回こうして利子補給が復活するということでございますから、この際、過去のこういう計画造船政策、これに関して、やはり反省なり自戒なり、いろいろあってしかるべきではないかと私は思っておりますが、どういうふうにお考えなのか、まず伺っておきたいと思います。
#150
○真島政府委員 現在の海運不況は、確かに先生おっしゃるとおり、石油ショック以降の非常に大きな世界的な不況の中で、すでに発注されておりましたタンカーを主とする大型の船腹が就航してくる、一方、貿易量の方は逆に非常な伸び悩みになる、そういうような国際的な背景の中での不況でございます。
 そういう中で、日本海運もその例に漏れず深刻な不況に陥ったというのが実情でございますが、私ども、そういうような情勢が出来いたしましたころから、今後どうすべきかということについては、反省と将来展望を含めまして、海運造船合理化審議会でいろいろ御議論をいただいたわけでございます。
 そこで、第一点といたしましては、いままでのような拡大、拡張ということで突っ走るという形の政策を方向転換すべきじゃないか、今後少なくとも二、三年を見通した場合に、あるいは四、五年と申してもいいのかもしれませんが、決して爆発的な好況というようなものが来るとは考えられない。少しずつ回復基調に乗るかもしれませんけれども、それも運輸と申しますものは、ほかの産業が好況基調に乗りましても、約一年程度のタイムラグを経てやっと好況の方向に向かう、そういうような性質もございます。そういう意味で、ある意味では守りの海運政策に転換すべきじゃないだろうか、そういうことを考えて、海運造船合理化審議会でもそのような方向の報告をいただいておるわけでございます。
 私どもも、そういう方向に従いまして、今後、特に日本船を中心とする日本海運あるいは日本商船隊の再建ということを重要な課題として受けとめながら、種々の施策を展開してまいりたい、その一つのあらわれが、いま御審議をお願いいたしております利子補給法案を中心とする五十四年度予算でございます。これは背景に未曽有の不況に陥っております造船対策ということも絡めまして、海運・造船一体の不況対策という形で、緊急三カ年計画という姿で財政当局その他にもお願いをいたしまして、五十四年度がその初年度に当たっておるわけでございます。
 以上、基本的な考え方といたしましては、そういうことに考えております。
#151
○西中委員 これから利子補給で進んでいくわけですが、当然、これは数量が決まっておるわけですから、それはそれとしてやはりある程度長期的な展望、少なくとも中間的な展望というものをよく踏まえてやっていただきたい、今日までの経過を教訓としてお考えをいただきたい、こう思っております。
 そこで、この海運不況の見通し、これから一体どうなるのかということですが、世界全般の景気の回復というものが必ずしもはかばかしくない、船腹過剰、こういう状態に対しまして輸送需要が沈滞しておるわけですが、この需給ギャップというもの、この回復はまだまだ長引くのではないか。したがいまして、供給力の効果的な削減という努力をしておるわけですが、これはやはり国際的なスケールの問題ですから、当然、国際的な歩調というか合意というか、そういうものがなければならないということが基本だと思います。ただ、それを待っておられないから、日本としてはできるだけのことはする、こういう実情ではないかと思うわけでございますが、世界の海運業界としてはどういう動きになっておるのか、要するに供給力を削減するという点についてはどういう動きになっておるのか、また、こちらから何らかの働きかけが行われておるのかどうなのか、その辺のところを御説明いただきたい。
#152
○真島政府委員 外航海運は世界的な規模で物を考えなければならないことは御指摘のとおりでございます。確かに、ある一国が何らかの措置をとりましても、全体としての連関がない限り余り効果がない、そういう宿命があるわけでございまして、世界的な動きと申しましても、私ども実は、余り詳しい情報を持っておるわけではございませんけれども、タンカーを中心といたしまして、北欧の国々が集まりまして、世界的な規模での係船をやろうというような動きが、去年でございますか、ございましたが、やはり各国のいろいろな利害というようなことが錯綜いたしまして、どうも具体的な方向には動かなかった、そういうような動きの中で、もちろんわが国の海運界にも働きかけがあり、いろいろと議論が行われたと承知しておりますけれども、国際的に一致して動きを進めるということはなかなかむずかしいようでございまして、やはり現在のところ、ある程度の世界景気の回復ということを待たざるを得ない、全体といたしましてはそういう感じでございますが、それを待っておったのでは、先生御指摘のとおり、各国とも深刻な状況に陥るということで、できるだけのことを考えながら、世界的な情勢を見ながら、実行可能な方策をとらざるを得ない、これが実情かと思います。
#153
○西中委員 そこで、国内的な措置によって船腹量を削減する、こういうことですけれども、現状においては船舶の売船市場は非常に低迷しておる、これでは大きな効果は期待できない。さらに別の方法としては、一つはタンカーによる石油備蓄、こういうこともあったと思います。それから船舶のスクラップ・アンド・ビルド、そのほか係船とか、減速運航とか、いろいろ御苦労されておると思いますが、ここでお伺いしておきたいのは、イランの政変による影響で非常な減産になっておるわけですが、こういう状態の中で石油備蓄計画というもの、結局これはタンカーが関係してくるわけですが、この辺のところは見直しが必要なのかどうなのか、通産省おいでいただいておりますが、その点はどうでしょうか。
#154
○森清説明員 昭和五十三年度、昨年、石油開発公団法の改正がございまして、政府みずから石油の備蓄に本腰を入れて取り組もうということになりまして、五十七年度末を目標にしました一千万キロリッター計画というのを打ち出したわけでございます。しかしながら、一千万キロリッターの石油備蓄計画と申しましても、すぐ陸上の備蓄基地ができ上がりませんので、それまでの緊急の石油備蓄の方策といたしまして、タンカー備蓄というものを実施しようということに相なったわけでございます。
 それで、昨年度五百万キロリッターという目標でタンカー備蓄を実施することになりまして、こちらの方は予定どおり、イランの政変の前に五百二十四万キロリッターの原油の買い付けに首尾よく成功しまして、すでにタンカーによる備蓄を実施しております。それに加えまして、今年度からさらに二百五十万キロリッターのタンカー備蓄を追加実施するということで、これは五十四年度、今年度からでございますが、予算を国会の方で御承認いただきまして計上させていただいたわけでございます。
 ところが、あいにく昨年のイランの政変で、世界的な原油の需給情勢が、私ども全く予期しないような混乱を呈することに相なりまして、先月末のOPECのジュネーブ臨時総会である程度量的な面での問題が一ころよりは緩和――緩和と言うと行き過ぎかもしれませんが、改善されたわけでございますが、なおかつ相当程度需給が逼迫しておりますので、いま直ちに二百五十万のタンカー備蓄用の原油を手当てすることは非常にむずかしい情勢でございます。私どもといたしましては、もう少し世界的な原油の需給情勢をウォッチいたしまして、しかる後にこの二百五十万を計画どおり実施するようにいたしたい、かように考えております。
#155
○西中委員 しばらく見守るということですが、運輸省としては、これに対して大体十隻をお考えであったと思うのですが、こういう事態について何らかの対応措置はお考えでしょうか。
#156
○真島政府委員 備蓄政策は政府の基本的な方策でございます。したがいまして、今後さらに二百五十万キロリッターの備蓄を行う、それをタンカーを用いて行うという御方針が決定されますならば、私ども、それに必要なタンカーの船腹の手当てということについては、極力努力をいたしまして、それが実現できるようにいたすつもりでございます。
#157
○西中委員 このタンカーの備蓄というのは、将来の見通しの上でいつごろまでをお考えなのか、確認をしておきたいと思います。
#158
○森清説明員 先ほど申し上げましたように、石油備蓄の基本的な方式としましては、恒久的な陸上の原油基地に備蓄をするというぐあいに考えておりまして、タンカー備蓄は、あくまでもそういう陸上の恒久基地ができ上がるまでの緊急つなぎの措置、かように私どもは考えております。
#159
○西中委員 そうしますと、何年ということは具体的にわからぬでしょうけれども、つなぎの期間を過ぎて陸上の設備ができた場合には、こういうタンカーについてはどういう処置をなさろうとしておるのか。要するに、確定的なタンカー備蓄がいつまでということははっきりしないでしょうが、その点はどういうふうにお考えなのか、確認をしておきたいと思います。
#160
○真島政府委員 タンカー備蓄が陸上基地の完成によってもう必要がなくなった時点において、そのタンカーをどうするのかということかと思いますけれども、その時点がわからないわけでございますので、具体的にどういうふうに処置するか、非常にむずかしい御質問でございます。原則としては、やはり当該の船主にその船が返ってまいるわけでございますので、そのときの石油の輸入状況を勘案してそのときの処置を考えるという程度以上にいまちょっと申し上げられないかと思います。
#161
○西中委員 わからないことを聞いているのですけれども、その理由は、要するに、いま船腹過剰ということを言うのですが、現にことし実施すると三十隻になりますね、ですから、船腹過剰、過剰と言うけれども、その実態は一体どうなのか、もう一つはっきりしない。いつごろバランスするものとお考えになっておるのか。運輸省としては、少なくともある程度の見通しを持ちながら政策を展開していかなければならないと私は思っておるのですが、それをもとの船会社へ戻すのは当然のことですが、そのバランスする船腹量というのは、一体どの程度の量を考えておられるのか、その辺はどうでしょうか。
#162
○真島政府委員 船腹過剰のうちでもタンカーが一番大きいのではないかということは御指摘のとおりでございます。また、どの程度が過剰であるかということでございますが、これはわが国の船腹量だけ考えてもなかなか結論の出ない問題でございます。やはり世界的な全体のタンカーの量が現在相当過剰と見込まれておるわけでございまして、その過剰状況が一体いつごろになれば需給バランスするかという見通しになるわけでございますが、この見方はいろいろございます。一九八二年と言う方もおりますれば、もう少し先ではないかということも言われておるわけでございまして、仮に一九八二年でバランスをすることになりますれば、わが国のタンカー船隊というものもそのころには大体需給バランスがとれる。どうも日本だけで考えにくいところに非常にお答えしにくいところがあるわけでございますが、そんなようなことで、世界的に全体として船腹過剰が解消されるのは、大体四、五年ぐらいのタイムラグをやはり必要とするのではないかというのが、いまのところ通説と申しますとおかしいのですが、そんなような見方ではないかと思います。
#163
○西中委員 最初に、計画造船のことについて過去の問題を若干お聞きしましたけれども、要するに、これからの経済の動向とか石油供給の問題であるとか不確定な要素が多いわけですから、私が質問するのは無理かもしれません。しかし一面、それだけに今日まで、造船不況または海運不況についてそれなりの手当てを相当やってきたわけですから、これからの見通しについてはひとつこれを深刻に受けとめていただいて、また大騒ぎということのないような慎重なこれからの歩みを期待したい、こういう立場で私はいま申し上げておるわけでございます。
 それでは、次に利子補給の問題についてお伺いをいたしますが、先ほどもちょっと質問が出ておりましたように、おのおの船主の負担というものがそれ相当に軽くなるわけですが、この利子補給率というもの、これによって国際競争力をつけようということですが、この率の算定はどういうところからお出しになったのか、伺っておきたいと思います。
    〔委員長退席、関谷委員長代理着席〕
#164
○真島政府委員 先ほども久保先生から大分おしかりを受けたわけでありますけれども、やはり今度の利子補給を考えるに当たりまして、私ども国際競争力の回復という観点から種々の試算をいたしました。非常に大まかに申し上げますと、船価がある程度高くて、しかも外航船としては小型であるコンテナ船、あるいは技術的に非常にむずかしい要素を含んでおりますLNG船、これにつきましては、開銀の船主負担金利が二・五五%程度になるということで考えましたし、さらに、それよりやや船型が大きい不定期船あるいは鉱石専用船的なものにつきましては利子補給率を三%にする、開銀の負担金利が三・〇五、さらに工程的に船価も安いわけでありますが、ただ船型が大きくて資本費の比重が非常に高くなるタンカーにつきましては、さらに〇・五%落とした三・五%、開銀金利三・五五ということで計算をいたしました。それが現在御審議をいただいておる利子補給率でございます。
#165
○西中委員 算定の根拠ですが、要するに、利子補給をして安い船をつくり、そのコストを下げる、実は船員コストが高いのだとよく言われておりますが、それによって穴埋めをする、こういう考えですか。その辺はどうなんですか。
#166
○真島政府委員 結果的に申し上げますと、現在の船員費がそのままであるといたしますと、私どもの最初試算いたしました計算では、船員費の部分というものについてもその利子補給の恩恵が及ぶ、こういうことになろうかと思います。
#167
○西中委員 そうすると、この利子補給で船員を含めた意味で国際競争力がつく、こうお考えですか。
#168
○真島政府委員 ちょっと言葉が足りませんでしたけれども、現在よく言われております予備員率七三%というようなこと、それから乗り組み定員がいろいろございますけれども、二十六、七人から三十人ということで今度の利子補給率の方を計算したのではございませんで、現在、労働協約で理論的に計算いたしますと、予備員率五〇%前後、それから国際競争力のある船という意味で乗り組み定員等につきましても、先ほど渡辺先生から御質問ございましたけれども、法律で許されているぎりぎりのところまで省力化をするという形で大体外国船と見合うのではないかという計算をいたしておるわけでございます。その意味では、現状のままという形で、船員費に補助をするという形にはならないかと思います。
#169
○西中委員 その辺のところがよくわからないんですね。それで国際競争力がつくというのは、互角という認識なんですか。それとも、やはりまだ弱いというお考えなんですか。その辺はどうなんです。数字がわかれば教えてほしいんだな。
#170
○真島政府委員 私どもの試算は、先ほど久保先生にも申し上げましたように、必ずしもこれで全く一〇〇%完璧であるという自信はもちろんないわけでございます。まあ、私どもの試算では大体互角にいけるのではないか、そういう感じでの計算をいたしたわけでございます。
#171
○西中委員 これは試算というものが、実態的にはどういうことになっているか、数字はわかりますか。すぐ出せないなら、後でもらってもいいです。
#172
○真島政府委員 先ほど久保先生にもちょっとお答えをいたしたわけでございますけれども、大体二万四千トン程度のコンテナ船、六・五万総トン程度の専用船、それから七万三千総トン程度のタンカー、三つくらいの船種を選びまして、日本船を今後つくっていく場合の乗組員は十八人程度で、予備員率は五〇%程度と仮定をするということで、大体十年間の船舶経費というものを外国船と比較いたしまして、それでコンテナ船につきましては、やはり資本費部分は大型の船よりも少ないわけでございますので、外国船を一〇〇とした場合に一〇一程度になる、不定期船につきましては大体同じになるだろう、タンカーになりますと、大型になってまいります関係で、外国船を一〇〇とすると日本船が九八ということで、やや有利になるのではないか、こういう試算でございます。
#173
○西中委員 これも先ほどちょっと出ておりましたけれども、利子補給法が成立しますと、早速作業にかかるわけでしょうが、どういう企業が参加してくるのか、現在その辺のところはどの程度出そろっておるのか、これをお聞きしたいと思います。船会社としても、荷主との契約、その他資金手当て、事業計画、いろいろ立てておるわけですから、当然ある程度の輪郭は出ておるのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、どうでしょうか。
#174
○真島政府委員 いままでのところ大体中核六社、これは当然に応募をしてまいると思っておりますが、そのほかの船会社につきましても、これからこの法案を成立さしていただいて、それがいつになるかが問題でございますけれども、その時期以降において計画をする船会社もあるかと思います。具体的には、中核六社は大体出てくるのではないかという程度でございまして、出てくる船種といたしましても、先ほど渡辺先生にもちょっとお答えをしておったわけでございますが、コンテナ船とかあるいは最近需給関係がやや好転しているといわれます中型のタンカーといったようなもの、これが最初に出てくるのではないか、このように思っております。
#175
○西中委員 そこで、将来のために確認をしておきたいわけですが、利子補給対象船の海外への売船、これについてまずお伺いをしておきます。
 これは、たしか四十五年、海運局長通達が出ておったと思います。それがそのまま今回も適用されるのかどうなのか、その辺はどうでしょうか。
#176
○真島政府委員 先生のおっしゃった通達は、竣工後五年間は売船まかりならぬ、こういう内容が骨だと思いますが、私ども今回の場合にもその方針を守ってまいりたいと思っております。
#177
○西中委員 五年未満で売船をする場合はどういうことになりますか。
#178
○真島政府委員 私、ちょっと年度は忘れましたが、三十三年ですか五年ですか、このときに同じように通達が出ておりますが、海運政策上あるいは国際協力といった観点から、やむを得ない場合には五年未満でも売船を認めることができるとなっておりましたが、今回五年以上たったものについて売船を許可する場合には、開銀融資あるいは市中の協調融資、こういうものは当然繰り上げ弁済をいたさせますし、そのころまだ利子補給が続いております場合には、当然利子補給を打ち切る、こういうことで処置をいたしたいと思っております。
#179
○西中委員 すでに利子補給した分についてはそのままですか。
#180
○真島政府委員 原則としては、もちろん五年未満なんというのは許可をしないわけでございますし、五年後におきましては、私どもは、できるだけそういう売船を許可いたしたくないわけでございますが、海運政策の観点あるいは国際協力の観点といったようなことからやむを得ないという場合には、いま申し上げましたようなことで処置いたしまして、利子補給金のいままでもらったものを返せというところまではやっておらないわけでございます。
#181
○西中委員 この利子補給といいますか、計画造船の目的というものを考えれば、先ほど来いろいろ議論がありましたけれども、日本商船隊をある程度維持していくのだという観点からこれが行われるという一面もあるわけですから、やはりそういうことは絶対あってはならぬと私は思います。そういう観点からいけば、それに反する、逆な言い方をすると安い利子で船をつくって高く売れる、もうけがある、これは海運会社が少し利益を上げようとすれば、そういうことも当然考えるだろうと私は思うのです。その点、利子補給の意味が昔のあれとは今回は違うと思います。ですから、やはりその点はもう一度考え直して、そういうことの起こる可能性のないようにきちっとしておこうということが大事な問題だろうと私は思うのです。もう一度洗い直して、そういうことの行われないようにするという考え方はありませんか。
#182
○真島政府委員 今回の利子補給制度の復活、これが従来の考え方とは大分方向的にも違っておるという意味で、特に計画造船のうちでも利子補給金を受けて建造された船舶が軽々に海外に売られるということは、私どもも決していいことだというふうには考えておりません。そういう意味で、先生のおっしゃった趣旨を体しまして、一体どういうふうな歯どめをかけることによってそういう事態が防げるか、十分に検討いたしたいと思います。
#183
○西中委員 この点は大事な問題ですから、大臣からも御答弁をいただきたい。再検討するのか、しないのか。
#184
○森山国務大臣 計画造船で建造された船舶は、竣工後五年間は海外売船を許可しないことになっている。それ以外に売船することが例外的にあった場合には、開銀融資及び市中の協調融資分を繰り上げて弁済させるとともに、利子補給を打ち切るということになっておりますが、実際問題としまして、このむずかしい時期に、この利子補給は日本の公的な利子としては最低ですから、それだけの便宜を図ってやることでございますから、そういうことは現段階においてはない、私はこういうふうに考えております。
#185
○西中委員 可能性の問題として、先ほど、あった場合に利子補給された分については返さない、こういうことですからね。私が当初質問をいたしましたように、過去の計画造船がやはり思惑ということもあったわけです。失礼な言い方になるかもしらぬけれども、役所以上に船会社の方が目先がきくわけだから、もうけたろということも十分考えるわけです。だから、そういうことのないように、そして途中で売ったやつには返させる、これぐらいの処置をきちっとしておかなければだめだと思うのです。もう一遍答弁してください。
#186
○森山国務大臣 いままで計画造船で竣工後二年で海外売船を許可した事例として、竣工した時期が昭和四十八年九月、売船を許可した年月が昭和五十年七月、これは高崎丸という十三万三千二百九十六総トンの第二十八次タンカー、買い主がアラブ八カ国政府の共同出資による海運会社、これに譲ったという例があるのです。
 もしそういうようなことが出てきた場合には、これは例外的にそういうことがいかぬと言えるかどうかはいろいろ考えてみなければならぬと思いますが、こういう例外的な場合を除いてはない、こういうふうに考えたいと思います。私は、このときの情勢はよく知りませんけれども、手元の資料にそういう前例があるということでございますので、そういう場合を考えての、原則としてと、こういうことであろうと理解しておりますから、まずないと考えております。
#187
○西中委員 まずないということですが、これは過去にもいまのお話のようにあったわけで、これは特例だという説明を後からつけようと思えば何ぼでもつくわけなんで、私は絶対にあってはならぬと考えます。ですから、先ほどの三十五年とおっしゃったか、その通達も、その部分についてもう少し歯どめをかけるということでお考えいただきたいと思うのですが、どうですか。
#188
○森山国務大臣 そういう趣旨で今後運用してまいります。
#189
○西中委員 次に、利子補給を認める条件については、対象船舶の条件、そのほかに国際競争力にたえ得るような改造計画、新聞等では船員合理化計画、こういう計画の提出を義務づけておるとか言われておるわけですが、果たしてそうなのか。それから、このような条件を満たすことのできる船主ということになってきますと、ある程度大手の企業でなければならない。また船価も、高度合理化船、LNG船等は建造費が総体的に高い、こうした背景を考えてまいりますと、大手以外の船主は結果的にはこの制度から締め出される、利子補給から締め出されるのだ、こういうようなおそれが強いように思うわけですが、その辺はどうでしょうか。
#190
○真島政府委員 利子補給を受けて今度合理化された船舶を建造したいという申し出があった場合に、船員費合理化計画を出させるかどうかという御質問でございますが、私ども、利子補給対象でできてまいります船について、これが先ほど来いろいろお話しいたしておりますように、回船別に見て省力化が可能な設備、施設を備えた船ということで、一船別の国際競争力の確保について十分考えていただくのは当然だと思っておりますが、企業全体といたしまして今後どういうふうに自分の中で努力ができるのか、その問題については企業としての計画というものがあると思います。そういう意味で、これは具体的にどういう形でどうなるかわかりませんけれども、いずれにいたしましても、主体となるのは、余剰船員を抱えておる場合、余剰船員の有効な活用の方策というものが一体どういうものがあるだろうか、これを出していただくことは考えておりますが、それ以上のことは考えておらないわけでございます。
 また、計画造船でLNG等については、これは大手以外はむずかしいのではないかという御質問でございますが、確かにLNG船ということになりますと、一隻の船価が二百八十億とか三百億というような非常に大きな額になります。中身の構造、施設等についても非常に技術的にもむずかしい部分がございますので、御指摘のようになかなか普通の海運会社ではこれを持ち切れない、運用し切れないという点が出てくるかと思いますが、そのほかのコンテナ船あるいは不定期船あるいは需給関係が好転していると言われます中型のタンカーといったような船につきましては、中核六社、この六社でなければどうにもならぬということはないと私は思っております。
#191
○西中委員 それから、先ほどからいろいろ問題になっておりました仕組船のことについてお伺いをしておきます。
 この便宜置籍船とか仕組船、こうしたものに対する考え方、先ほどもいろいろ議論はありましたけれども、第三次海洋法会議やUNCTADで議題になっておりますとおりに、便宜置籍船が海洋を汚染する、海難事故を続発させる、そして国際世論のいま指弾の的となっておるわけですが、こういう問題の多い便宜置籍船、仕組船、こういうものをこれから先どういうようにしていこうと考えておられるのか。要するに、現状より拡大するというのは、これは経営の上で海運会社というのは当然考えることですが、こうした海洋汚染という問題、海難事故という問題から見れば、そしてそれに対する世界の動向という点から見れば、これは非常に問題が多い。現に「海運白書」でも、その点は発展途上国の問題としてもこれから非常に問題になってくることなんだというようなことが述べられておるわけですが、一方、海造審の小委員会報告によりますと、逆にこれは日本商船隊を構成する役割りとして日本船を補完する意味ではわが国の経済にとって非常に重要なものである、認知するというか認めるというか、そういう立場で報告がなされておる。言うならば、これは世界の趨勢から逆行しておる、こう言ってもいいような感じもしないわけではない、こう考えておるのですが、その辺のところは運輸省としてはどういうお考えなのか、お伺いしておきたい。
#192
○真島政府委員 便宜置籍船問題につきましては、先生の御指摘のとおり、特に「アモコ・カジス号」の大きな油濁事故、そのころから世界的にもそういったような便宜置籍船について、船員の資質の問題、それがひいては事故の問題、安全対策の問題につながるわけでございますけれども、そういう意味で、そういう形の船を一体どうするのか、余り野放しにすべきではないだろうという意見が国際的にも非常に高まってきておるのは、私どももよく承知いたしております。
 私ども自体といたしましても、いわゆる便宜置籍船につきましては、これは従来とも公害防止あるいは安全面という方向からのチェックというか、そういうことは当然しなければならないことであると考えております。ただ、世界的な機運は高まってまいっておりますけれども、では具体的にどうしたら便宜置籍船の資質を向上させ得るのか、資質を向上させ得なければ、では便宜置籍船というものを国際的に全く認めないというような方策がとり得るのかどうか、その辺になりますと、これも先ほどの話ではございませんけれども、国際的にある相当強力な合意ができませんと、なかなかすっきりした形には持っていけない。
 ただ、先生のおっしゃいました小委員会報告で、何となく外国用船と申しますか便宜置籍船と申しますか、そういうものを認知しておるというふうにおっしゃっておるわけでございますが、この呼び方はいろいろあると思いますけれども、私どもの考え方といたしましては、やはり外国用船というのはある意味では必要悪ではないのだろうか。しかし、日本商船隊全体の中のバッファーというような意味で必要最小限度はやはり要るだろうという感じで物を見ておるわけでございます。そういう意味で、外国用船が現在のように非常に比率が高くなってくる、特にその相当部分がいわゆる支配外国用船と申しますか仕組船と申しますか、そういうような形になっていくということについては、これは当然ある歯どめをかけて、少なくともこれ以上事態が進展しないようにする、そういうことのために、私ども、今度の緊急三カ年計画という形での利子補給、日本船の増強ということをとりあえずやっていく、それと並行いたしまして、海運の経営者、従業員一丸となってその方向に向かっての御協力をお願いする、そういう形で今後の物事を進めてまいりたいと思っております。
#193
○西中委員 次に、船員費の問題、船員雇用の問題についてお伺いしておきます。
 国際競争力の回復について、船員費というものが常に問題になるわけでありますが、この国際競争力というその相手、これは一体どんな船のことを言っているのかということですね。先進海運国の船との競争力なのか、先ほどからお話しております便宜置籍船、仕組船、こういったものとの競争力なのか。特にこういう便宜置籍船や仕組船の多くが日本海運企業の支配下にある、こういう現状からいきますと、非常に矛盾に満ちた話だと言わなければならぬと思います。これも「海運白書」にはっきりそういうような趣旨のお話もあったと思いますが、東南アジアの船員を使って船員費を低減し、みずから海運市場に混乱を招き、それによって生じる日本船の競争力の低下、それを理由にして日本船員の労働条件や賃金の切り下げといいますか低下を行うところの要するに労務対策、こういうものにつながってくるのではないかというような心配もあるわけでございますが、そういう点はどう考えておられるのか、ひとつお伺いしておきたいと思います。
#194
○真島政府委員 日本船の国際競争力が落ちておるが、その相手は何を考えておるのかという御質問かと思います。これは当然、当然というとおかしいのですが、外国海運企業との対抗の問題でもありますし、日本商船隊全体の中でのほかの船との競争力の問題でもあるわけでございまして、日本商船隊全体の中でも問題があると思いますけれども、やはり当面の問題といたしましては、外国の海運企業を相手にして考えております。特にそのうちでも、白書に言われておりますような非常に安いコストで運航されておる外国船、これを対象にして考えておるわけでございます。
 そこで、日本船の国際競争力が落ちておるということで、私ども、日本船の労働問題につきましても、これはできる限りの努力ということで経費節減に努力するのは当然のことかと思いますが、それをある程度やりました上で、さらに資本費その他、あるいは期間雇用の船員に対しましては、やはりある程度の予備員の費用、あるいは終身雇用であることによりまして必要になってまいりますいろいろな福利厚生手当、そういったようなものを抱えた日本船が外国船と競争していくということのためには、この際、利子補給という形で助成をしていくしかないのではないか、こういうことでございまして、現在の船員の給料を切り下げるとかなんとかというような目的と申しますか、そういう意図でいろいろ考えておるわけでは毛頭ございません。
#195
○西中委員 海造審の小委員会の報告では、日本船を維持確保するための方策として「日本船の国際競争力の回復には種々の方策があり得ようが、最も重要なことは、日本船の一船ごとの運航コストを直接の競争相手である外国船のコストか、それに極めて近いものとすることにある。」こういうふうに言っておりまして、その具体策として、一つは資本費の低位据え置き、二つ目は船員費の徹底削減、三つ目は外国用船と日本船の効果的組み合わせで平均コストを下げる、こういうようなことを言っているわけですね。この三つの方法を挙げているわけですが、この考え方でいけば、いまの御説明とちょっと矛盾があるのではないかという気もするのですが、日本の一船ごとの船員費を日本の三分の一と言われる便宜置籍船、仕組船、こういう外国船並みに切り下げるということは、現実の問題として非常にむずかしい問題ではないか。これは労使とも御努力はなさっていると思いますけれども、果たしてこういう報告が可能なのかどうなのか、どの程度下げられるというふうにお考えなのか、その辺はどうでしょうか。
#196
○真島政府委員 確かに非常にむずかしい問題を含んでおることだと私どもも考えております。先ほどもお話いたしましたように、私ども、利子補給をすると申しましても、それでどの程度の競争力のアップになるのかということを試算でいろいろ申し上げまして、先ほど一〇〇とか一〇一とか申し上げたわけでございますけれども、その前提といたしまして、船員関係につきましても、法律で許されたぎりぎりの乗組員というような形での状況を前提として計算をいたしておるわけでございます。現実にその船に乗り組んでおられる方々の人数その他につきましては、当然、労使交渉の場で十分な理解のもとに話がついてまいると思いますけれども、そういうような状況を私ども、実は労使問題でございますので、一体どこまでどうなのだといま経営者にも、もちろん組合の方にも聞くわけにもまいりませんし、聞くべきことでもないと思っておりますが、いずれにいたしましても、そういったような経営者側の、あるいは組合側のいろいろな努力の成果が一体どういうふうに出てくるか、それをまた踏まえまして、私ども、それでどうにもならないということならば、第二弾、第三弾ということで今後の施策を立てていかざるを得ない。ただ、現在のところ、緊急三カ年計画という形で、とりあえずこういう利子補給でまず出発をしてみたい、こういうことでございまして、これですべての問題が解決するというほど甘く考えておるわけではございません。
#197
○西中委員 さらに、外航二団体所属の船員、これは船員総数が減少していっておりますが、乗員数がそれ以上の減少をしておる、こういう形になっておるわけですね。そのために予備員数が増加していく。そしていま、数字は若干の違いはありますけれども七三%程度、こういうことになっております。これは労働条件の変更ということも影響しておるのでしょうけれども、不経済船の売却によって余郵船員がふえてくる、それがまた予備員がふえ、そしてさらにまた不経済船の増加を招く、さらに売船する、そして予備員数の増大、こういう循環を繰り返しているのではないかと思うわけでございます。
 その意味で、スクラップも日本船をやるということになると、同じことの繰り返しということになると思うのです。したがって、スクラップそのものは、日本の支配下にある仕組船、こういったものに焦点が合わされていかなければならないのではないか。これは雇用上の問題から非常に重要な問題になると思うのです。
 それから、こういう船員費が高い、高いというので、これに対する助成は全くお考えになっていないのかどうなのか。さらには先ほど来、合理化船等が対象になって、乗員コストを下げるために乗組員の人数を減らしていく、十八人が法律で決められたぎりぎりのところだ、こういうお話がありましたけれども、政府としては、現行の船員法であるとか船舶職員法の枠は動かさない、こういうお考えなのか、これから見直していくというお考えなのか、その辺のところはどうでしょうか。
#198
○森山国務大臣 運航コストを下げるために資本費の切り下げを図る、そのために当初二%程度の利子ということでおおむね二〇%程度の船価の助成をするというところから始まったのですけれども、先ほど申し上げましたように、財政当局のやりとりの間で二・五ないし三・五ということになりました。しかし、二・五というのは、政府関係の金融機関ではいままでの例でも一番低い利率でありまして、できるだけのことはした、こういうことであります。
 それに対して船員費の方でございますが、これを助成する考えはないか、これは私企業でございますから、言葉は悪いのでございますが、親方日の丸でございませんから、そして労使関係の議論することに直接介入するようなことは極力避けていかなければならないということでございますから、この厳しい現実について労使の問で血の出るような御努力を願っていくほか当面方法がないのではないか。しかし、そういうことの中に、三、五年中に、いまはタンカーは国際的に船舶量が二割多い、一般貨物船は一割程度である、これが国際的に解消される時点までとにかく歯を食いしばってがんばっていかなければならない、企業といたしましても、企業内における労使関係におきましても、歯を食いしばって、血の出るような努力をしなければならないということでございます。そういうように努力していくところに進歩がある、また妙味があるということでございますから、そう船員費の赤字が出たから、その補助をするとかなんとかということでやっていくことが、本当に産業として――いまの経済体制のもとにおいて、自由経済体制が基本でございますから、しかも、これは国際経済に関する問題でありますから、そういう意味では、それで成り立っていくように政府のやることには限度がある。当面、今回の外航船舶に対する利子補給は、その意味では現段階においてぎりぎりの努力をしておる、ひとつこういうふうに御理解を願いたいと思います。それだけで片づくかと申せば、先ほど申しましたように、それほど安易な状況にはないということは率直に認めざるを得ません。
#199
○向井政府委員 ただいま御質問のありました法律との関係でございますが、船員局といたしましては、船員行政の一番大きな業務の柱といたしまして船員制度の近代化の問題というのに取り組んでいるわけでございまして、これには二つの流れがございます。
 一つは、先ほどの御質問とも関係が出てくるのでございますが、船舶の技術革新に伴いまして船内の職務体制が変化してくる、それに適合いたしました船員の資格及び乗り組みに関します新しい制度というものを策定する必要がある、もちろん快適な労働条件の確保ということもあるわけでございます。このため、運輸省としましては、五十二年度から官労使及び学識経験者一体となりまして、船員制度近代化調査委員会というものを設けまして、制度の検討を鋭意進めてまいりました結果、つい最近報告書の提出がございました。今後さらにこれを進めまして、実際の船舶で実証実験を行うという段取りになっておりますので、その結果、新しい乗り組み体制の可能性、妥当性の検証が出てくる、その結論を踏まえまして、いろいろな法改正の問題についても考えていきたいというのが一つございます。
 さらに、もう一つ大きな問題といたしましては、国際的な動きといたしまして、例の四十二年の「トリー・キャニオン号」事件を契機といたしまして、国際海事機関でございますIMCOの場におきまして、新しい船員の資質向上を目指す資格制度の問題というのが討議に移されました。これが昨年の七月に一応結論を得まして、条約の採択に至ったわけでございます。これは当然、なるべく早い時期に批准をいたし、国内体制の整備をいたさなければならぬということでございまして、これに伴いまして、当然、関係法令の改正整備ということが必要になるわけでございます。この後者につきましては、すでに海上安全船員教育審議会におきましても、近く調査、討議が開始されるという段取りになっている次第でございます。
#200
○西中委員 次に、造船の質問をいたしたいと思います。
 私どもも、選挙区に造船業がございまして、そこへ行きますと言われることは、需要の創出、こればっかりでございまして、今度のこの法律もそれに若干の力になるのではないか、こう思いますが、なお雇用対策上からも強力な措置というものを期待しておるわけであります。
 そこで、第一にお伺いしたいのは、関西新国際空港の建設であります。この建設計画については、時期を早めて五十六年度には着工できるよう準備を進めるというように聞いているわけですが、何かそういう着工を早めるという背景といったものがあるのか、ないのか、その辺の事情をまずお伺いしておきたいと思います。
#201
○松本(操)政府委員 着工を早めることを決定しておるということではございません。ただ、先生御案内のように、現在の大阪空港の状況というものがきわめて見通しのよくない状態にございます。一方、国内におきます航空網というものは、徐々に整備されてきておりますし、また地方空港の整備も、徐々にではございますけれども、進んできております。したがいまして、日本全国または関西地区の中心となるべき空港というものが、六十年代のなるべく早い時期にでき上がるということはきわめて望ましい、こういうふうに考えられますので、当初、この関西空港問題が議論を始められましたころには、もう六十年、六十一年ごろ運用開始できればな、こういう感じであったのも事実でございます。したがって、そういうふうなことを踏まえまして、なるべく早く着工の運びに至りたい、こういう趣旨でございまして、現時点で明らかに五十六年度からというふうなところまで決めているわけではございません。
#202
○西中委員 この建設工法につきまして、政府としても調査費をつけて各種の調査をなさっておるようでありますが、三月末に報告書が出たとか出ないとかいうふうに聞いておりますが、それは出たのかどうか。そしてこういった計画を順調に進めるためには、やはり何と言っても地元の協力がなければなりません。したがって、調査の状況についていろいろ報告、それが中間的であれ何であれ国民に公表する、そういった処置をとって、できるだけ国民の判断の資料として提示をする、こういったことをしていくことも非常に大事なことではないか、こう考えるわけですが、そういう考えがあるのかないのか、もしも公表するというならば、まずいつごろこういうことをやられるか、伺っておきたいと思います。
#203
○松本(操)政府委員 まず、第一問の三月の末に浮体工法についての調査報告が出ているかいないのかという点でございますが、五十三年度の調査費の中から約一億円余を投入いたしまして、浮体工法及びこの浮体工法によって建造されました浮き島と申しましょうか、これを係留する工法、この両方について研究をしてまいりました。当初の予定では、おっしゃいましたように、三月の末にはまとまった技術的な報告が私ども入手できると期待しておったのでございますが、浮体そのものと浮体を係留いたします、ドルフィンと呼ぶのだそうでございますが、これとの相関関係のところの最後の詰めのところで技術的な議論があるやに聞いております。したがって、現在報告が多少おくれております。今月半ば過ぎに入手できるのではないかということを期待いたしております。したがって、この報告書の内容はまだ私ども入手いたしておりませんので、明確にお答えできる段階でございませんけれども、いわゆる足の生えた形の浮遊物体、これを多数溶接でつなぎ合わせまして、相当規模の大きな平面を構成する、それをドルフィンにつないで、これを海上空港として使用し得ることができるかどうかという点についての技術的な問題点について特に調査をしたものということでございますので、やり方といたしましては、計算によるもの、コンピューターを使ったシミュレーションによるもの及び模型を使ったもの、こういうふうなものの総合的な技術的評価というものが出てくることを期待しておるわけでございます。
 これを踏まえまして五十四年度の予算の中に、まだ内容的に確定するに至っておりませんが、従前から行われておりますところの埋め立て工法でございますとか、あるいはくい打ち桟橋工法、これとこの四月半ばに出てくるであろう浮体工法、これらの基本的な比較検討を行ってみたい、これは委細を詰めるには至らないと思います。基本的な比較検討を行いまして、これによって私どもとしては最終的な判断が、秋から年内ぐらいに大体こういうことかという目安がつけられればいいな、こういう感じでいまおりますが、今後の調査研究に待つ部分が多少残っておりますので、時期的な点については明確に申し上げるのを差し控えたいと思います。
 そこで、こういったような諸般の調査について、当然のことながら、地元の関係の方には深く知っていただく必要があるわけでございまして、五十一年九月に「これらの調査の実施のあり方について」という基本的な考え方を、当時の航空局として決めたわけでございます。これはひとりよがりで決めたというのではなくて、大阪府、兵庫県、和歌山県等とも御相談をいたしまして、こういう形で今後調査をやっていきたいということを決めました。それに従って極力データの公開をしているわけでございまして、たとえば昨年の一月以来連続的にデータをとっております泉南の固定観測点につきましては、毎月毎月気象状況、海象状況等のデータを定期的に公表してきております。ただ、これらは余りにも断片的かつ専門的なデータで、やや見にくい点がございますので、ことしの二月にこれらを一応整理いたしまして小冊子にいたしました。これは技術的資料というほどのものではございませんで、ただ、これだけの範囲にわたって従来調査をし、その大体の傾向はこんなことになっておるというふうなことを広く知っていただくための資料をつくって、地元の方々、関係府県等にもお配りをしたわけでございます。
 さらに今後、これらの研究成果が集まっていきますに従って、それぞれ所要の場を通じて、こういったようなものを積極的にごらんに供し、また積極的に御意見をこちらの方で承るようにいたしまして、それらを踏まえて今後の考え方というものをまとめながら、関係府県あるいは国の機関等とも話を詰めていくようにしてまいりたい、このように考えております。
#204
○西中委員 できるだけそういった意味で、地元民の納得のできる手だてを十分にとっていただきたい、こう考えておりますので、その点を強く要望しておきたいと思います。
 これは大臣、関西でこの問題について担当大臣を設置する必要があるというようなことを言われたように報道されておるのですが、その辺はどういう御意図であったのか、お伺いしておきます。
#205
○森山国務大臣 去る四日に大阪へ参りまして、関経連の日向会長、それから大阪商工会議所の佐伯会頭とお会いいたしました。それで、関西において関西空港の問題で協議体ができたということについて御報告をいただきました。先ほど来お話がありますように、これはきわめて大規模なプロジェクトでありまして、しかも現在の海の中に大規模な空港をつくるということでありますから、技術的、経済的にも非常に大きな問題を持っておる、いわば大きなナショナルプロジェクトとも言うべきものであります。したがって、そういう問題をこれから処理するということについては、先ほど航空局長から話がありましたように、環境調査等を昭和五十四年度中にまとめるということでありますから、それによってできるだけ早く手をつけて、六十年代の前半には何とかこの空港をつくらなければならぬということでもありますから、この大きなナショナルプロジェクトをできるだけ効率的に実現していくためには、成田空港の例等もございますから、これは初めから担当大臣を決めてこの問題について取り組んだらどうかということでございます。関経連の会長さんからも、商工会議所の会頭さんからのお話も、これをやろうと思うと、いろいろ方々に相談しなければならぬことがあって大阪から出ていくのはなかなか容易ではない、だから、政府の窓口をつくってもらう必要があるというようなところから、ひとつ担当大臣でもつくってやったらどうだという話が三者の話の中から生まれ出たものでありまして、私自身が言い出したというよりは、御両所からもそういう御要望があって、それは今回大阪へ行ったときの当面の一つの、結論というのでもありませんけれども、実りということにしようではないかということでお別れをしたわけであります。
 しかし、いずれにしましても、五十四年度末に予定される環境調査の結果等を踏まえて、先ほど航空局長が触れましたようないろんな問題を勘案いたしまして着工ということになるわけでありますから、直ちに五十五年度というふうに、しかく簡単にいくかどうかはわかりませんが、私どもといたしましては、地元の強い要望、地元の大きな期待を持たれているこのナショナルプロジェクトに対しましては、できるだけ早急に手をつけていく、そうしてできるだけ早くこれを実現する、いまおよそ予定されておりますように、六十年代の前半にはこれを実現するようなめどを持って努力をいたしたい、そういうことでございます。
#206
○西中委員 先ほど航空局長にお尋ねするのをちょっと忘れたのですが、一部では、私も確認したわけではありませんけれども、すでにあの東の方の山林を大手建設会社が買っているとかなんとかいう話もありまして、浮体工法というのと埋め立て工法というのと、一体これはどうなるのかということ、これが非常に大きな問題ではなかろうかと私は見ておるわけなんですが、その辺航空局長としてはどういうように考えておるのか。浮体工法の話は先ほど聞いておりましたけれども、その辺の判断をどういうふうに考えておるのか、聞かせていただきたい。
#207
○松本(操)政府委員 大変微妙な御質問でございますので、私もお答えしようか否かと考えておったのですが、埋め立てということでございますと、海砂だけではどうも無理なようでございます。やはりどうしても山土が要るということでございます。その山土を持ってまいります場合に、一昔前のすき取りのように後はどうでもいいというわけにはまいりません。したがって、土砂を取りました跡をきちっと整理をいたしまして、公園にするのか、団地にするのかは別として、少なくとも自然環境の破壊に至らないような形にして後始末をつけるということをしなければならない。その場所をどこにとるかということが、埋め立て工法をとります場合に非常にむずかしい問題になります。これは下手に思惑が世の中にばらまかれてまいりますと、いまおっしゃるような現象が起こってくる。私も、ちらちら耳にしないではございませんが、まさかということで実はそれほど深くは考えておりません。
 一方、浮体の場合にはそういうことがないからいいのだ、こういうお説もございますけれども、何か三百メートルと百メートルくらいのブロックをつくりまして、それを延々と引っ張っていって、たとえば長さ五キロといたしますと、三百のやつを十七個つながないといけないわけですから、これもまた海をそこらじゅういっぱい使わなければいかぬという問題が出てまいりますので、そこら辺のところが、先ほど大臣がおっしゃいました環境評価の非常に大きな眼目になってくるだろうと思うのでございます。
 でありますから、いまの時点では、御質問に対する明快なお答えにはならないのですけれども、そういうふうな点に対しては十分配慮しながら比較をしていきたい、こう考えております。
#208
○西中委員 それでは最後に二点お伺いします。
 一つは、海上保安庁にお伺いしますが、五十四年度予算で見た建造量は、巡視艇等について五十三年度より少ない形になっております。今後ヘリ搭載船、中型巡視艇の増強を図る必要があるということも聞いておりますが、海上監視体制、船舶整備計画、こういうものについては、これからどうなるのか、できればこの程度必要だという船艇の量、船質、こういったものをお伺いしておきたい。
 それからもう一点は、経済協力でございますけれども、発展途上国において借款等によって船の建造ということも希望は相当あるというようなことも聞いておるわけでございますが、なかなか契約というわけにはいかない。今後、発展途上国に対しての船舶による経済協力というものをしっかり推し進めていくということも、需要創出の上でそれなりの大きな意味があると思うわけでございますけれども、この点はどう考えておるのか。
 この二点についてお伺いをしておきたいと思います。
#209
○高橋(壽)政府委員 お答え申し上げます。
 五十三年度と五十四年度を単純に比較いたしますと、確かに五十四年度は五十二年度に比べて金額が少ないではないか、あるいは新規着工の船が少ないではないかというふうにごらんいただくのはごもっともだと思いますが、実は五十三年度の補正予算はいわば五十四年度の前倒しというふうな感じで、特に不況対策の予算ということでございましたものですから、当初予算が百八十四億に対しまして五十三年度の補正は百四十二億をつけた、したがって、両方合わせますと、船だけで三百数十億になったわけでございます。そこで、五十四年度は二百五十五億円の予算でございますけれども、このうち二百六億円というものは、五十三年度の当初予算あるいは補正予算からの継続工事分が四十四隻も入っております。したがいまして、五十三年度補正、五十四年度当初と二つを継続してお考えいただきますと、かなりの造船のための予算がついたというふうにごらんいただけるのじゃないかと考えます。
 このようにいたしまして、いわゆる新海洋秩序、海洋体制の整備と私ども言っておりますが、その仕事が五十二年度予算から始まったと考えまして、現在五十四年度の予算までに決まっているものが全部完成しますのが大体来年度、五十五年度いっぱいでございます。そういたしますと、船の中身といたしましても、たとえば三千八百トン型のヘリコプター搭載型巡視船が四杯もできたのでありますけれども、特に従来、三百五十トンぐらいの船を代替建造という形で耐用年数の来たものを建造したのですが、そのときに千トン型にしているわけです。したがって、代替と言いましても、実は増強になっているわけでございます。したがって、大型巡視船だけで言いまして、五十二年度末に九十一隻あったものが五十五年度末に百二隻、わずか十隻くらいしかふえないではないかという計算になりますけれども、中身で見ますと、千トン以上の船が十杯しかなかったものが五十五年度末には三十九杯になるということで大変な増強になるわけであります。
 この点につきましても、運輸委員会で御決議いただきましたり、その辺のことが大変力になりまして、大幅な増強が現在されつつあることは大変ありがたいことでございまして、厚く御礼を申し上げるわけであります。
 そこで、今後はどうだという点でありますが、ただいま五十五年度いっぱいで大体こんな数になるということを申し上げましたけれども、たとえは五百トン以上のいわゆる大型巡視船が百二隻、それ以下の小型まで入れまして全部で三百三十二隻になります。正直のところ、これができ上がりますとかなり体制が整備されます。私どもが数年前に二百海里対応策として考えましたものは、まあ八、九割方でき上がると考えていいかと存じます。その後は代替建造をきちんとやっていくということであります。従来は予算が縛られたものですから、耐用年数が来ましても代替建造ができなかった時点がございましたけれども、これからは耐用年数が来たら必ず代替建造するということにして船の質をよくしていくことに努力いたしたいと思っております。
 なお、まだ若干内容的にも整備したいと私どもが思っていますのは、ヘリコプター搭載型巡視船がいままで四杯でございますが、もう二杯ぐらいないと仕事にならないのではないか。それから千トン型が増強されまして大変ありがたいのでございますけれども、逆に五百トンクラスのいわば小回りのきく船が若干足らず前になったということもございますので、これをやりたい。さらには小さな船、港の付近で航行安全の指導をしたり、公害監視をしたりするような二十三メートルあるいは十メートル程度のいわゆる巡視艇でございますが、これを必要に応じまして増強したいと思っております。しかし、アメリカのコーストガードなどと比べましても、船艇のようなものは海岸線の長さ、あるいは担任水域の広さ等と比べまして、かなりいいところまでくるということが期待できますので、おかげさまでとお礼を申し上げます。
 ただ、きょうは造船の問題でございますから余談でございますが、航空勢力がアメリカに比べますと大学と中学校ぐらい、あるいは小学校ぐらいで断然差がありまして、今後は二百海里体制に対応しては航空勢力の増強を必要とするのかなと考えておりますが、これらはまだ予算の要求段階でもございませんので、これから十分詰めたいと思っております。
#210
○謝敷政府委員 経済協力の問題でございますが、発展途上国から船舶に関して経済協力の需要が具体的にどの程度出てくるかという見通しを立てることはむずかしいわけでございますが、おかげさまで五十二年度は四カ国百五十四億、それから五十三年度は五カ国三百八十九億ということにそれぞれなってまいりました。
 経済協力をやります場合に、それに先立ちましていわゆる開発調査というものを、相手国に専門家を出してまとめていって、それが具体的に交換公文の締結になる、こういう段取りでございます。
    〔関谷委員長代理退席、委員長着席〕
したがって私どもとしては、今後も発展途上国の内航船とか作業船とか、こういったものの船舶整備計画の推進を積極的にやっておりますし、また、やっていくつもりでございますので、今後とも、船舶の経済協力の要請があった場合には、要請国の事情とかわが国の海外への影響度等を勘案しまして、必要可能なものについては、関係省庁と十分連絡をとりながら積極的に推進していきたいと思っております。
#211
○西中委員 終わります。
#212
○箕輪委員長 次回は、来る二十五日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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