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1978/05/08 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 運輸委員会 第10号
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1978/05/08 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 運輸委員会 第10号

#1
第087回国会 運輸委員会 第10号
昭和五十四年五月八日(火曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
  委員長 箕輪  登君
   理事 佐藤 守良君 理事 関谷 勝嗣君
   理事 堀内 光雄君 理事 三塚  博君
   理事 佐野  進君 理事 渡辺 芳男君
   理事 西中  清君 理事 山本悌二郎君
      石井  一君   小此木彦三郎君
      北川 石松君    田澤 吉郎君
      玉生 孝久君    西村 英一君
      浜田 幸一君    藤本 孝雄君
      古屋  亨君    増岡 博之君
      太田 一夫君    久保 三郎君
      斉藤 正男君    坂本 恭一君
      田畑政一郎君    有島 重武君
      草野  威君    薮仲 義彦君
      河村  勝君    小林 政子君
      中馬 弘毅君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 森山 欽司君
 出席政府委員
        運輸大臣官房総
        務審議官    杉浦 喬也君
        運輸省海運局長 真島  健君
        運輸省船員局長 向井  清君
 委員外の出席者
        運輸省船員局労
        政課長     松木 洋三君
        運輸委員会調査
        室長      榎本 善臣君
    ─────────────
委員の異動
五月八日
 辞任         補欠選任
  中馬 弘毅君     大成 正雄君
同日
 辞任         補欠選任
  大成 正雄君     中馬 弘毅君
    ─────────────
五月八日
 新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第六六号)
同月四日
 小型和船の船舶検査免除に関する請願(足立篤
 郎君紹介)(第三三七六号)
 交通損害保険士の業務資格認定制度創設に関す
 る請願(松本七郎君紹介)(第三三七七号)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を
 改正する法律案(内閣提出第四七号)
 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一
 部を改正する法律案(内閣提出第五六号)
     ────◇─────
#2
○箕輪委員長 これより会議を開きます。
 船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺芳男君。
#3
○渡辺(芳)委員 船特法の一部改正をする法律案ですが、この附則の第二項の期限を昭和五十八年六月三十日までに延長するという御提案ですけれども、離職者法との関係で期限を合わせた、こういうことが提案の理由にありますが、この法律ができましてから一年半になりますが、いままでの求職手帳の発給状況、あるいはこの法律の第三条の就職促進給付金の支給を受けているものがどのくらいありますか、この二つについてとりあえずお伺いをいたします。
    〔委員長退席、三塚委員長代理着席〕
#4
○向井政府委員 御質問の船特法の施行状況でございますが、不況対策法令としてのこの船特法に基づきまして就職促進給付金等の支給を行っているということでございまして、施行以来現在までの数字を申し上げますと、求職手帳の発給者総数、本年の三月末までで一千二百二十二名ということになっております。給付金の支給額で申しますと、三月末まで概算八千万円という数字になっておるわけでございます。
#5
○渡辺(芳)委員 この就職促進手当は、私が言うまでもございませんが、内航海運業など四業種の船員で離職をした人たちが再び船員になる、三十五歳以上の者で、しかも失業保険支給後約一カ年間延長して支給される、こういうふうになっていますが、最近の経済事情から推察をして造船業などは深刻な状況にありますが、ほかの指定業種三業種については少し好転をしているのじゃないだろうかということが考えられますが、いままでの状況から見て、いまお話がございましたが、今後の見通し、不況のためにまだまだ非常に悪化していくのかあるいは横ばいにいくのか、好転していくのか、どういうふうに考えられていますか。
#6
○向井政府委員 船員行政上、ことに離職船員絡みの業の見通しということでございますが、先生いま御発言ございましたように、最近の情勢は微妙な変化も実はあるわけでございますが、他の不況対策、立法等の例を見てみましても、産業経済の全般的な不況現象と申しますものは、そう好転するという情勢ではないということでございまして、いままでの長期の不況の中におきますところの事業活動の停滞、あるいはそれに伴いますところの企業体力の低下というような状況が続いておったわけでございますから、そういう状況下においてこれからの離職者の発生状況というものを見ますと、やはり楽観を許さざるものがあるということでございまして、船特法におきましては、御承知のように四業種が対象になっておるわけでございますが、それらを通じまして、それぞれ事情の差はございますけれども、今後の離職者対策としては力を入れていかざるを得ない。五十四年度予算におきましても、ざっとした数字が五十三年度並みの離職者の発生を一応予想して対処いたすように措置をいたしておる、こういうことでございます。
#7
○渡辺(芳)委員 本年度の予算によりますと、船員離職者職業転換給付金が三十六億二百万円、いま私が質問をしておる船員雇用の促進対策費が三千五百万円、後でまたお伺いしますが、雇用促進センターの補助金が一億一千七百万円。で、この就職促進給付金はもう支給されていますね。どのくらいの人数になっていますか。そうしまして、ことしの予算の執行状態の見通しはどういうふうになりますか。
#8
○向井政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、法施行後本年末までのこの法律関係の求職手帳の発給数は一千二百二十二人ということでございますが、先ほどお答え申し上げましたような今後の客観情勢というものを踏まえまして、五十四年度におきましての対象人員の推計と申しますものは、五十三年度からの継続分が約九百六十五人、これは予算の数字でございますから、細かいところは余り意味がないかもしれませんが、継続分が九百六十数人、新規の分といたしまして約一千人というふうに見ておるわけでございまして、合計しまして約二千人弱というものを基礎といたしまして、さっき先生申されたような予算の算定をいたしておるということでございます。
#9
○渡辺(芳)委員 そうしますと、当初予定したより離職者、失業者が少ないというふうに見ていいですか。
#10
○向井政府委員 五十三年度分で申し上げますと、やはり当初の予算額と比較いたしますと予算の消化率がかなり低いというようなことで、その基礎としましては、給付金の対象者、給付実績というものが下回ったわけでございます。これにはいろいろ理由があるわけでございまして、先生さっき御指摘の業の方の推移、特に内航関係、そういうものについての若干の推移の差があったということと、それから、もう一つは失業保険金の支給が終わった後の給付金の支給という制度になっておりますので、その辺のところが若干時期的なずれが出てきておるというようなこともございまして、実績としてはかなり下回っておる。結果としてはかえってよかったのではないかと思うわけでございますが、予算としてはたっぷりあったということで、五十四年度につきましては、一応こういう義務経費的な経費でございますので、考え得る数字を想定いたしまして、それに対応する予算額を計上しておる、こういうことでございます。
#11
○渡辺(芳)委員 漁業関係の離職者についてどういう状況になっていますか。
#12
○向井政府委員 漁業関係につきましては、この法律と並んで制定されておりますところの国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法という法律に基づいて措置が行われておるわけでございますが、現在までのところ、陸上の公共職安分を含めまして漁業関係の手帳の受給者約七千名ということになっておりまして、給付金の支給額総額にいたしまして約十九億円という実績になっておるわけでございます。これはやはりソ連を初めとする諸外国の漁業規制の強化等に伴いまして、漁業離職者が多数発生しておるということでございまして、特にこの内容として特徴的なのは、やはり離職者の陸上職場への転移というものが、本人の意向が主体でございますけれども、まあ予想ほどはなくてやはり船員志向の形が多いということでかなりの額の支給が行われた、こういうことでございます。
#13
○渡辺(芳)委員 漁業関係の方は、予想したよりそうしますと離職者が非常に多いということになりますね。この点は、貨物船あるいは漁船の失業者の中には、船主が売船してしまう、その売船による離職者の発生というのが非常なウエートを持っておるのじゃないかと、私は推定しているのです。この漁業関係が予想よりも非常に離職者が多いというのは、一体どういうところに原因があるか。それから、貨物船の関係でも相当売船をして、そのために離職者が発生をしている、こういう状況について把握していますか。この二つをひとつお答えいただきたいと思います。
#14
○向井政府委員 漁業離職者関係の御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、全体の数としては、これはやはり大体人数といたしましては見込みに近い数字が出ておる、それから金額的に見ますと、実は予算額をかなり下回っておるわけでございます。これは先ほど申した支給の実態がそのようになったということでございますが、これは海運局の出先として船員職安がございますが、船員職安の窓口に参りますところの離職者給付金の支給というものの実績が予想を上回ったということがあるわけでございまして、これは先ほど申し上げましたように、やはり離職漁船員の陸上志向というものが予想より下回っておった、その反射効果といたしまして海上への再就職というものを望む漁船員が非常に多かったということで、われわれ運輸省サイドといたしましては、予想以上に漁船離職者の方々が船員職安の窓口においでになっておる、こういう関係でございます。
 それから、後でお尋ねになりましたはしけ、船舶製造修理業を含めました海運業関係の減船というような問題でございますが、これは数字で申し上げますと、五十三年の十二月末で隻数にして約百七十隻の船、三月末で約二百七十隻の船がいわゆる減船と申しますか、事業の規模の縮小の数字として上がっておるわけでございまして、まあ、これの数字というものがどういう評価になりますか、この辺のところはいろいろ意見もあるところと思いますが、一応三月末で二百七十隻の減船という数字が上がってきております。
#15
○渡辺(芳)委員 資料によりますと、どういう形態であろうとも、ともかく日本船が少なくなっているというか、五十一年度と五十二年度では百隻ばかり外航船舶が少なくなっていますね。それから内航関係が、これは約千隻、五十一年度と五十二年度では少なくなっていますね。これは売船をしたか廃業をしたか、あるいは老朽船をスクラップしたかわかりませんが、この状況で失業船員が非常に多くなっている。これは海運不況の関係から当然そういうふうになっていくだろうというふうなことは推定されますが、この中身というのは一体売船しているのか、あるいはスクラップしているのか。このことが実は、失業をすると国の方で後ごめんどういただきたいということで売船してしまうのはちょっと無責任じゃないだろうか、こんなふうなことを考えるのですが、この点の内容はどういう状況ですか。
#16
○真島政府委員 近海海運につきましては、おっしゃるとおり売船が相当多いと思います。そこで私どもも、近海は非常に不況と申しますか大変な状況になっておりますが、しかしながら、日本船がそこからどんどん撤退していくということでは困る、そういう観点で実は、五十三年度からそういう売船あるいはできれば解撤という形をとられる業界の方々に対しまして、船舶公団におきまして代替建造としてつくっていくということで、五十三年度は二万総トンの計画を公団で組みまして、大体これは建造が計画どおりに進んでおります。五十四年度につきましても、同じように近海につきましてそういう売船あるいは解撤をされる方々のために、二万総トンの枠を公団において準備をいたしまして、単に売船あるいは解撤ということで船員の職場が縮小していくということをできるだけ少なくしてまいりたい、こういうことでやっておるわけでございます。
 なお、内航につきましては、船が非常に小型のものが多うございますし、売船というケースはもしありましても非常に少ないのじゃないか。これはおおむね内航総連合の船腹調整の中におきまして解撤して代替建造をする、こういう形で船舶の近代化、合理化を進めるとともに、ただ船がなくなっていくということで船員の職場が急速に縮小するということを防いでいきたい、こういうことで私どもやっておるわけでございます。
#17
○渡辺(芳)委員 具体的に把握するのはなかなか大変だと思うのですが、たとえば新聞報道にも出ておるのですが、静岡県の焼津市に小川港という漁港があります。この小川港に、いま近海マグロ漁船などが十数隻係留をしているんですね。長いのになると一年半ぐらいほったらかしてある。船主はだれだかわからない。転々として船が売られていく。いま駿河湾地震がやがてくるだろう、こういう時期でありますから、駿河湾地震が発生しますと、あれは震源地の上ですから、大体地震学者に言わせますと三メートルぐらいの津波と言うし、また萩原先生のように八メートルぐらいの津波が来るだろう、これは駿河湾沿岸、遠州灘などの港は大変な被害をこうむるだろう、こういう想定をされております。それが、だれが持ち主だかわからぬような漁船が係留してある。市でも困っている。あるいは漁港を利用する他の漁船も困っている。この管理者は県であるから、何とかこれを探してちゃんと処理をしてくれぬかというふうに、いま大騒ぎになっておるのです。
 私は、そういう意味では、漁船の関係がいろいろと北洋漁業の関係、二百海里の関係もあって、新しい事態に対応するために非常な犠牲をこうむっている、こういうふうなことが言われていますが、これは単に漁船に限らず、そういう船がどうもこの海運不況の波に押されて全国各港に係留をされているのじゃないかというふうな推定をしているわけです。そのために売船問題をいままで私がお尋ねしているのです。それが結果的には、その後始末が船特法による救済になっていく。これはそういう意味では、経済事情の激変というのはわかりますが、どうもその点は私も船主は無責任ではないだろうかというふうな気がいたします。
 そういう意味で、これから外航船舶の関係は売船をしていったことがわかる。内航の関係はどうもスクラップ・アンド・ビルドになっていくだろう、こういう推定をしています。一体内航海運というのは、これは特に近海、内航両方の業種についてどのくらい船腹が過剰であるか、どの辺まで行ったら落ちつくだろうか、これは私も、別の機会にお伺いしたいと思っていますが、運賃などというものが全く放任状態で、決められていない状況が多い。しかも船主によっては下請、孫請などがあって、孫請ぐらいになるととても仕事をやってもそろばんが合わないというぐらいに言われている。そのぐらい下請関係はいじめられている。
 こういう事情から私は、そういう意味では、この内航関係の船舶が、いまの経済事情の見通しから言って、先ほどもお伺いしましたが、余りわからない――わからないとは言わぬけれども、とうも明確な返事もない。計画的に船舶整備公団でやると言っても、それも何も全体的なことをやっているわけじゃなくて、そんな関係から見て、私も、ずいぶんこの問題を検討してみると矛盾にも突き当たりますけれども、いずれにしても、いままでやってきた行政関係でともかく行き過ぎてしまっているから、いま経済情勢がずっと落ち込んできているので整理をしていかなければならぬということになっていますが、この五年間でできますか。この法律の有効期間で内航関係ができますか、どうですか。
#18
○真島政府委員 内航海運関係、この前船舶整備公団法の改正案の御審議のときにもいろいろ申し上げましたとおりでございまして、現在、特に一般貨物船の分野において非常な過剰状況が見られる、こういうことと、さらに造船不況対策と絡めまして、私ども今後三カ年間、従来内航の船舶の建造量、これは公団も含めまして全体で十五万総トンベース程度でございましたが、これを二十万総トンベースに拡大をする、そのために公団で約三分の一を受け持つといたしましても、その他について債務保証制度というようなものを公団において行うことによりまして、解撤、代替建造を二十万総トンベースで進める、こういうことにいたしておるわけでございます。
 私どものいまの感じでは、ここ三年間二十万総トンベースの建造ということを続けますことによりまして、少なくとも現在過剰であると言われております一般貨物船の状況は、船腹的には需給バランスが見られるのではないだろうか、さらに老齢化、これの近代化ということにつきましても、少なくとも現状よりは相当の改善が見込まれるという考え方で見ております。
#19
○渡辺(芳)委員 この際ですから、船員雇用促進センターの事業状況について伺いますが、この一年間、仕組船やチャーターバック船、その他外国用船など日本人の船員が、いろいろ雇用促進センターの事業によって配乗をしていく、こういう事業が行われていますが、この失業船員に対する配乗が行われる場合に、これは一航海ごとに十二万円ですか、支給されますね、あるいは予備員について一カ月二万円でしたか、これも支給される。この雇用促進センターがやってまいりました事業状況ですね、予算といいますか、国から補助を出していますが、その執行状況などについては報告されなければならぬというふうになっていますが、その状況はどういうふうになっていますか。
#20
○向井政府委員 お尋ねの船員雇用促進センターの事業の実績でございますが、五十三年度の実績というのが、三月末までの数字でございますが、まとまっておるわけでございまして、外国船への配乗実績、先ほど先生も申されましたもろもろの外国船への配乗、隻数にいたしまして、実数二十二隻ということでございまして、配乗船員の数は離職船員が三百十六人、それから雇用船員、すでに会社に雇われておる船員の配乗が十六人ということで三百三十二人ということになっておるわけでございます。
 それで、離職船員につきましては、奨励金が払われるわけでございますが、これは十二万円と申しますのは一回限りのことでございまして、片や雇用船員の方の派遣助成金と申しますのが月に二万円ということになっておるわけでございます。これにつきましては、三月末までの実績は、奨励金が約二千三百万円、派遣助成金が、わずかでございますが、七十八万円というようなことで、予算額に比べますと微々たることになっておるわけでございます。予算としましては、奨励金が一億二千万円、助成金が一億一千万円という数字になっておるわけでございまして、ことに雇用船員の方の実績が不振であったということでございます。
 この不振の原因につきましては、いろいろなことが言われるわけでございますが、やはり一番大きな原因と申しますのが、いわゆる為替相場の変動、円高の著しい高進でございまして、法律ができましてからこの実績が上がります間に、約三割以上も円が上がってしまったということで、それだけ見ましても、条件的に給与条件等が相対的に高くなりますから、どうしても船員の外国船への配乗がうまくいかないということでございます。
 それからもう一つは、そういう激しい変動がございましたために、実例がいろいろあるのでございますが、二十件からのいろいろ引き合いがありまして、センターの会長さん初め皆さんが世界じゅう飛び回りまして非常な努力をなすったのですが、そういう激しい変動の中では、どうも話がまとまりそうになるとまた為替が動くというようなことを繰り返しておりまして、ついに三月末でこの程度の実績にしかならなかったということでございます。今後は、為替相場の落ちつきもございますし、センターのPRというのも世界的にだんだん浸透してまいりましたので、いろいろな措置も講じてまいりますし、かなり安定した実績が上がってくるのではないかというふうに期待している次第でございます。
#21
○渡辺(芳)委員 問題は、日本船が少なくなっていくということ自体は予備員がふえていく。いま、お話がございましたが、特に外航船舶は予備員率が非常に上昇して困っている。五十三年度のことはわかりませんが、五十二年度によりますと、船員数がこれも毎年毎年減っておりますね。五十二年度四万八千五百五十八人で、乗船しているのが二万九千四百六十六人、これは平均ですね。予備員数が一万九千九十二人、これは六四・八%を占めている。五十三年度になると七〇%を超しているのじゃないかと言われているんですね。
    〔三塚委員長代理退席、関谷委員長代理
    着席〕
 そうしますと、雇用促進センターでいろいろ失業船員の就職について骨を折っている、しかし、三百人程度の者でやっていると余り実効がない。海運不況の事情もあるから、乗せてくれ、乗せてくれと言っても、外国用船などにはなかなか乗れないというむずかしさもありましょうし、また十二万円ほどのものでは、お話がございましたように、円高の関係で一度支給しても、なかなか実効が上がらないとはわかりますがね、しかし、雇用促進センターを設置して、この財団法人をつくって、どのくらいの見通しを持ってこの法律でつくられたのか、実際はこんな程度で推移するのかどうなのか、この点の見通しはどうなんですか。
#22
○向井政府委員 お尋ねの船員雇用促進センターの今後の見通しでございますが、予算的には雇用船員、離職船員合わせまして二千人というのが目標に一応なっておるわけでございます。予算積算上の目標としては二千人という数字が出ておるわけでございます。これは隻数にしまして三十数杯というような感じになるかと思いますが、そのくらいの数を努力してやってみようということでございます。さっき申し上げましたように、客観情勢が非常に悪かったわけでございますが、最近になりまして、ぼつぼつと成約ができてきておるという状況を見ますと、非常な努力は要すると思いますけれども、今後一年間の間にそのくらいのことは何とかこなしていけるのではなかろうかということで、センターの会長初め職員一同非常に努力をしており、われわれとしても極力指導に努めておるというところでございますが、ただ、非常に大きな見通しとして、今後どのような考え方に立つのかと申されますと、これは非常にむずかしい問題があるわけでございます。船特法に基づきまして指定を受けた財団法人ということで、さしあたり緊急対策としての、主として離職船員を対象とした雇用対策の柱となっておるわけでございますが、やはり今後の問題としては、それに加えて恒久的な問題というのをかなり考えていかなければならぬ。そこにはいろいろな問題点があるわけでございますが、一つ申し上げられるのは、世界的にいま船員の資質の向上という問題が非常に大きな流れとして出てきております。
 これは先生十分御承知のように、例の昭和四十二年のトリー・キャニオン号以来の相次ぐ大タンカーの大事故ということで、世界各国、ことに先進国におきまして、便宜置籍船等の質の悪い船員による操船ミス、それによる事故、それに基づく安全の阻害、公害の大発生ということが、これはゆゆしい問題であって、とうていこのままに放置するわけにいかないということで、過去七年来、国際会議の場において議論が練られまして、昨年新しい国際条約が採択されたということで、今後は、船が高度化すればするほど、やはり船員も質を上げていかなければいかぬということがはっきり認識せられたわけでございまして、この条約によりますと、監督規定という規定もございまして、締約国はその国に入ってまいります船について立入検査を行って、この条約の基準に著しく合致しないというような船については出港を差しとめることができるという規定まで実は盛り込まれておるわけでございます。
 こういうような強い動きが出てきております現状から察しますと、今後、やはり世界の船員のレベルというのはどうしても上がらざるを得ない、そうしますと、日本船員の優秀性というものがさらに見直されてくる。御承知のように、日本船員の質と申しますのは、世界の一流レベルを超えておると言われております優秀な船員でございますので、やはりそのような優秀な船員の働く場というのが、じわじわとではございましょうが、ふえてくる。その流れに乗りまして、このセンターの業務も、徐々にではございましょうけれども、軌道に乗ってくる、このように考えておりまして、今後の問題としては、決して明るくないわけではない、努力によりましては相当いけるのではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
#23
○渡辺(芳)委員 これは大臣にお伺いしますが、先ほど来、私がいろいろと船員局長と一問一答してまいりましたが、この過剰船員対策にしても失業船員対策にしても、これは海運不況ということもありますから事情はわかりますが、日本船の確保というのが、六千万トンぐらいはどうしても外航船舶では必要だ、こういうことが「海運白書」でも言われておるわけですね。海外に売船をしていく、そのため失業船員がふえている、それをチャーターバックのようなことをやっている。そろばん勘定でやっているわけですね。これはどうしても競争に勝てないからというので外国の安い賃金の船員を雇う。それを、船員局長が言われましたように、近代化船といいますか、高度化船というのですか、合理化船というのですか、とにかく人手の要らないような船をどんどんつくっていく、こういうことになっていけば、人件費もそれだけは従来の古い船よりはいいでしょう。だがしかし、日本の国の状況からして、どうしても言われているような外航船舶六千万トン以下に下回ってはいけないということを至上命題として考えている、これはわかりますが、問題はそうだけ言ったって話にならぬ。ですから、船主対策についてどれだけの指導が行われているか。これから日本の船籍を持つ自国船をどれくらい確保していくか。利子補給法もつくり、従来になく高率な補給が行われる改正案も出た、こんなことから見て、大いにひとつ船主に対する行政指導といいますか、この点はやらなければいけないと思っておるのですが、いかがでしょうか、これは。
#24
○森山国務大臣 船員雇用対策として、緊急臨時措置的対策、それはいま御審議をいただいております船員の雇用の促進に関する特別措置法等の不況対策法令の整備、これに伴う予算措置及び業務体制の整備などがありまして、先ほど来御質疑のごとくいろいろ問題がございますが、それぞれ所要の対策を進めております。
 そこで、長期的対策としましては、先ほど船員局長から話がありましたように、安定した船員職場の確保のために長期的視野に立った施策が必要だ、国際的な海運、漁業の情勢を踏まえて、それら急速な近代化の動向に対応して船員の職場の長期安定を図る必要がある。特に新しい船員制度の確立については、船員の資質の向上についての国際的な動きが強まっておる。昨年この問題では採択された条約があります。船舶の技術革新がさらに進展する見通しがあることに十分着目して、優秀な技術を持つ日本船員の職域の確保に関する施策を講ずる必要があると考えております。
 そういうことでありますが、国際競争力を持ったある程度の日本商船隊を維持するということはぜひとも必要ではないかというお話は全く同感でございます。御承知のとおり、外航部門というのは、激しい国際競争のさなかにあるわけでありますから、したがって、そういう国際競争力がある商船隊を維持するということが必要でありまして、ほっといたら船は古くなる、国際競争におくれをとるということにもなりますから、先般御審議を願いました利子補給法によりまして、船価の低減を図って、国際競争力のある日本商船隊の維持に寄与するという方向をとっております。
 これはこの前も委員会で申し上げたのでありますが、船価自体は、欧米の船価と日本の船価は助成前においてもほぼ同じぐらい、ただ、助成をいたしまして、船価が低減した分は、日本の船員費が、いまの外貨事情等も反映いたしまして割り高になっていることは事実でございます。したがって、運航コストの中の船価の低下分を、やはり船員費の高い部分に補いをつけ、一方、その船員費につきましては、できるだけ合理化船等によりまして優秀な技術力を持った船員によって運営していく。もしそういうことをやらなければ船主側は、これはやはり商売でございますから、したがって、日本船を使うよりは外国船でもって商売をした方がいいというような安易なやり方をとるわけでありますから、国際競争力を持った日本商船隊の維持ということを、経済法則の線に沿ってやっていかなければならない。ただ日本船を使え、使えと申しましても、これはなかなかむずかしいわけでございますし、そのまま拱手傍観することは許されませんから、先般の利子補給法案も提出してやった。ただあれは、船価の低減を図っておるようでありますが、私は、国際競争力という問題は、運航コストの低下にあり、それは船価の低減でありますが、今日の船員費の上がっております状況、これは船員費自体の絶対額よりも外国為替等の関係もございますから、そういう点で補いをつけて、そのままほっとけば、先ほど来御心配のような点の起こることをいささかなりともチェックしてまいりたいという方針で臨んでいるわけでございますが、それは必ずしも十分じゃないぞ、こういうふうにおっしゃられれば、そういう点はあろうかと思います。しかしこの時期、政府は手をこまねいて成り行きに任しているのじゃないという姿勢で臨んでいる、また、その姿勢は船主側についても十分わかっておるはずでございますから、その法律の対象となる利子補給以上の効果があるものであるというふうに私は期待をいたしておる次第でございます。
#25
○渡辺(芳)委員 大臣、せっかくいまお答えにたりましたが、結局、国際競争力にどうも太刀打ちできないからというので、いろいろと売船をしてやっていくというふうなやり方が従来の状況でございましたから、これは逐次計画造船で利子補給をやっていけば、多少は直っていきますが、しかし、船主に対する社会的責任といいますか、日本の船籍を持つというふうなことは、声を大にして運輸省は言っておるんですから、この強い指導というものは大いにやってもらう。単にそろばん勘定だけで、これをもう放任しておったらどうにもならなくなってくる。このことだけは、せっかくいろいろな法律をつくって救済措置といいますか、援助措置といいますか、やっているんですから、責任を感じてもらわなければならぬということを私はつくづく思っています。この点は大臣からひとつ十分船主団体などに申し上げていただきたいと思うのです。これは私の要望です。
 確かに五十二年度、五十三年度の求人倍率を見ると、船員の状況が〇・三三というのはこれはひどいですね。この事情を見ていれば、いま船員対策、失業対策について大変な状況にあるということはわかります。わかるけれども、これらについていろんな対策が講じられていますから、できる限りこれは対策を力を込めてやってもらう。船から陸に上がるということをどうも好まないという傾向もあるようです。しかし、長期的な今日の状況をずっと続けていくということは、これはお互いに、行政をやっている皆さんもそうでありますが、心配でしようがない。このことはいろんな面で、それぞれのポジションで対策を真剣に練っていただきたい、このことは私の要望です。
 最後に、一つ申し上げておきますが、船員の若年層が非常に少なくなって平均年齢が四十歳を超えている。これはこの前も私が指摘をいたしましたが、専門学校を出ても就職口がない。このことも大変なことでありますが、しかし、近き将来を展望しても、やっぱりこれほど高年齢になっていきますと、これは大変心配になることですね。新しく学校を卒業された若年層の皆さんが近代化船といいますか、優秀な船に乗るということは、それ自体日本海運の運航についてはいいことで、これは業界に対する要望などもやっておられると思いますが、これ以上平均年齢から見ても高年齢化するということはゆゆしき問題だと思うのです。
 そこで、いままでどういうふうなことをやってこられたか、これからどんな対策を練られて船主団体に要望していくか、最後にひとつこれだけをお伺いして終わります。
#26
○向井政府委員 先生いま御指摘の年齢構成の点というのは確かに大問題でございまして、企業を存続するためにはやはり適切な年齢構成の職員を抱えておく、ことに海運におきましては、高度な技能集団としての船員をフルに活用することが企業の要諦でございます。その年齢構成が著しくひずんでおるということは、御指摘のとおり、大きな問題であると認識いたしておる次第でございます。
 確かに、統計的に見ましても、五十二年の四月の数字でございますけれども、四十一歳以上の構成、これは外航二団体の職員について見ますと三〇%、それから一般船員である部員について見ますと実に四五%ということで、非常に高年齢化しておる。その反面、二十一歳から三十歳までの年齢構成は職員、部員とも三十数%ということで、非常に右上がりと申しますか、年齢の高いほど上がっているというような感じがするわけでございます。
    〔関谷委員長代理退席、委員長着席〕
これはやはりゆゆしい問題である。反面また、せっかく商船大学、商船高専、海員学校を卒業しました学生の就職率にも大きく影響してまいる話でございますので、ここのところは、私どもとしましても、船主団体を通じまして非常に強く要請をいたし、新規採用を進めるよう指導いたしておるわけでございます。いまの状況では、企業経営のさしあたりの現状からしてなかなか実績が上がらないという残念な結果になっておりますが、これは今後ともひとつ一生懸命やってまいりたい。それから、さらに少し将来の問題といたしましては、先生も御指摘のように、若年層の採用をいつまでも手控えるということは、企業存続の上からもあり得べきことではない。それでは企業発展ができませんから、やはり早晩是正を進めざるを得ないということにはなろうかと思いますので、そこのところをさらに促進するような指導を十分やってまいりたい。それから、世界的傾向でございますけれども、特に若年の職員、これが不足ぎみであるという現象がかなり顕著に出てきております。こういうことをつかまえますると、やはりいまの若年層の養成というのは今後もがっちりやってまいって、そういう客観情勢をできるだけ活用しながら、その職域の確保ということを推し進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#27
○渡辺(芳)委員 終わります。
#28
○箕輪委員長 薮仲義彦君。
#29
○薮仲委員 それでは、船員雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について若干質問をさせていただきます。
 昨年の六月に海造審から答申が出ております。「今後長期にわたる我が国外航海運政策について」この中から何点かお伺いしたいのです。
 この中で、わが国の外航海運というのは、近年に至って幾つかの深刻な問題に直面しておる、これらの諸問題に適切に対応していかない限り、世界海運の中に占めている現在の地位を日本の国は維持することが困難であろうということが指摘されておりまして、その中で、国際海運市場の中で日本の海運が競争力を急進に喪失しつつある、日本船が国際競争力を失っている原因は、近年における船員費の上昇、最近の円高傾向、いわゆる日本船の運航コストの急激な値上がりというものが大きな原因だ、これが第一点です。
 第二点は、日本船の国際競争力の低下に伴う中で、わが国の海運は、石油危機以来の世界的な荷動きの低下、タンカーを中心とする大幅な船腹過剰、発展途上国の自国船優先主義の台頭、こういうような問題のあることがここで指摘をされているわけでございます。
 次に、この「海運白書」の中で、日本の商船隊の現況というものが出てくるわけでございますが、日本商船隊の現状を見ますと、昭和五十二年度日本商船隊の船腹量が総トンでいきますと六千二百八十万総トン、このうち、いわゆる日本船籍の日本船が三千三百七十万総トン、あとは外国用船二千九百十万トン。この比率は、パーセントでいけば日本船が五四%で、外国用船が四六%、半々ということが指摘されております。
 そこで、先ほど来指摘されております船員の予備員率が七三%になっておりますよ、こういうことが、この「白書」の中で出てくるわけでございます。
 ここで、ちょっとそれより数年前にさかのぼって見てみますと、昭和四十五年、このときの日本商船隊の総船腹量は二千八百万総トン、うち日本船が二千百万総トンで七五%、外国用船が七百万総トンで二五%、予備員率がこのときは三三・六と言われております。
 この問題をなぜ私がこう言ったかというと、ここでいま一番問題になっておりますコストが高い、国際競争に負けてはならないからということで、船員費の安い外国用船を船主は積極的に取り入れた、このことは、その時点からすでにどういうことを言っているかというと、予備員率が上がりますよということとうらはらなんですね。国際競争力を外国用船によって強化しようとしたことは、逆に船会社にとっては、予備員率の増ということで国際競争力を劣化させている。片や外国用船を使えば、外国用船には日本船員が乗れないのですから、当然予備員率が上がってくる、予備員率が上がれば国際競争力は低下する。こんなあたりまえのことを、昭和四十五年からぶつ通しやっている。何もいまになって予備員率の増にあるのだということで問題をしわ寄せする前に、これはもっと事前に運輸省として的確な行政指導をして――外国用船をすれば日本の船員が余るんだということぐらいはわかるのです。犬が西向きゃ尾は東、理の当然なんです。だったら、その時点で、余るべき予備員率をどう消化すべきかということは、いまを去る昭和四十五年からこの問題は解決しなければならない問題であって、いま予備員率が多くて大変ですという指摘は誤りだと私は思う。
 これは何も私の言うのは海運だけの問題じゃないのです。繊維だって同じです。発展途上国、人件費の安い国の方から追い上げられて日本の繊維産業はめためたになる。どうやってこれをソフトランディングさせるか、あるいはどうやって行政の的確な指導によって経済に摩擦、混乱を生じないようにやらせるか、それが行政だと思うのです。ところが、何もやってないじゃないですか。こんなことは四十五年からだれが見たって当然なんです。この問題については、海運局長と船員局長のお二人から御意見をお伺いしたい。
 そこで、さらに第二点、特に外国用船の中で――外国用船とは何かと言うと、仕組船とかチャーターバックです。この中で仕組船についてお伺いしたいのです。
 仕組船をつくるについては、わが国の船主が建造資金を債務保証している。それで、外国の船主に日本の船台で船をつくらせて、それを用船しているのが仕組船です。ということは、明らかに、船主みずから予備員率云々と言う資格はないと思うのです、みずから外国用船しているのですから。自分が債務保証して外国用船を仕組船として使用しているわけですから。当然日本船員が余ることはわかっている。船主みずからが債務保証して外国用船したのですから、その結果として予備員率がふえてくるのは当然であって、その点を何ら対策を講じないでやれば今日のような事態を招くのは、これはあたりまえではないかと思うのです。これが第二点。これに対して一体先の見通しもなくそのようなことをおやりになったのかどうか、この点をお伺いしたい。
 第三点、これも同じようなことですから重ねてお伺いしておきますけれども、まず、わが国の海運の推移を見てみますと、昭和四十三年の海造審の答申の中で、今後、日本の海運がどうあるべきかというのは、昭和四十四年以降六年間に二千五十万総トンの外航船舶を建造しなさい、これは日本経済の伸びに対処するために外航船舶を大量につくれ、そしてまた、国際競争力をつけるために国を挙げて助成しなさいということで、国策的に大量に船をつくった。これはきょう時間があればもっと詳しくやるのですが、時間がありませんから詳しくはやりませんが、これはリベリア、パナマ、ああいういわゆる便宜置籍船の建造も、日本が大量につくってやったことはデータで出ているわけです。船腹過剰と言うけれども、当然それも日本の運輸省の政策の中で考えられることがどんどん行われてきて、それに対して、予備員をどうするか、船員の問題をどうするかという具体的な対応がないまま今日に来て、それが単に予備員率が七三%だ、そういう形でこの問題を船員の方だけに押しつけること自体が誤りではないか、私は、こう考えますけれども、この点、海運局長と船員局長のお話をお伺いしたいと思います。
#30
○向井政府委員 お答え申し上げます。
 予備員率の問題を中心にいろいろ御指摘がございましたので、ひとつそこのところを具体的にお答え申し上げたいと思うわけでございます。
 先生御発言のとおり、予備員率を一つの経営指標として使う、それに非常に大きな意味を持たせるということが間々行われているわけでございますが、予備員率と申しますのは、これも御承知のように、本来はきわめて技術的、理論的な話でございまして、乗り組み船員に対しますところの陸上の船員の比率、それがなぜ陸上の船員の比率がかなり大きく出てくるかと申しますと、長期航海によりまして陸上で代償休暇を与えなければいかぬということが大きな原因であるわけでございます。これは労働協約できちんと決まっておる協定がございまして、それに基づきまして算定いたしました数字というのが、いわば理論値として出てくるわけでございます。ただ、その理論値だけでは実際はうまくいきませんので、それに相当アローアンスを持たせる、乗下船の際のロスでございますとか傷病の際のロスでございますとかそういうものを加えまして、一般に言われておりますのは約五〇%という数字が、一応理論値にやや経験値を付加した数字としてあるわけでございまして、それがいまどのようになってきているかと申しますと、確かに御指摘のように七〇%を超えておるということでございます。
 この差というものをどう考えるかということが問題になるわけでございますが、これはやはり海運会社個々の経営の実態、当然その陸上での業務がございますし、関係会社もございますので、その辺への陸上勤務あるいは出向というような問題を含めて考えてみませんと一概には言えないところでございまして、経営指標としてはかなり複雑な内容を実は持っておるということでございます。
 先生御指摘のように、それを単に数字だけで割り切ってどうこうというような単純なものではないということはそのとおりでございまして、やはり経営の面からの判断というのがそこにあるわけでございます。
 それで、御指摘のように、四十五年以来いろいろな動きがございまして、その間船員の余剰という問題がいろいろな形で出てきておる、それがいま御指摘の予備員率の中に一つの現象として出てきておるわけでございますが、先ほどるる申し上げましたように、予備員率そのものの理論的構成、その意味づけというものからしまして、それだけで判断するというわけにもいかない、それは先生御指摘のとおりだと思います。私どもといたしましては、いま非常に重く見ておりますのは、やはり年齢構成を加味したところの船員の状況、これは雇用船員の状況でございまして、やはり多年の不況の中にありましての苦しい経営ということを反映いたしまして、高年齢層が非常に多くなっている、ことに部員、一般船員でございますが、一般船員の年齢構成が非常に高くなっておるというところに問題があるわけでございます。これがやはりその予備員率の問題とうらはらになってくるわけでございますが、それを、さらにいま申したような内容に掘り下げてわれわれとしては検討を進めておりまして、これをどのように処理をいたしていくかということについて、いまいろいろと考えておるところでございます。
 もちろん、先ほど御指摘になりましたような国際海運の現状というものがベースにございます。もう一つは、船員制度の近代化を中心といたします船員社会の国際的な大きな動向というものがございます。それらの客観情勢を踏まえました上で、先生御指摘のような予備員率の問題、その他の指標に出ておりますところの過剰船員の問題について、十分対処いたしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#31
○真島政府委員 第一点でございますが、四十五年当時の日本船と外国用船の比率、それが逐年悪くなってきておる――悪くなってきておるというか、日本船の方が減ってきておる、そういうことは当然予備員率が高まるのではないか、それを座して見ておっていまさら何か、こういう御質問かと思います。
 私ども、そういう意味では、先生のおっしゃることは、非常にごもっともな点があると思います。ただ、四十五年から四十七年、この辺の状況を考えてみますと、実は海上荷動き量、これが非常に増大をしつつあったときでございまして、運賃市況も現在のような非常な低迷状況ではなかった、こういう状況がございましたので、その上昇気流の中で予備員率が多少ふえてくるということについては、まだまだ競争力はこれでも大丈夫だ、こういう感覚が船主側にはあったと思います。
 第三問でおっしゃいました四十三年に二千五十万総トンの計画造船、これは日本船をつくるという意味で海造審が答申をしておるわけですが、そういうような状況の中で、確かに、兆しはあったけれども、それの重大性にまだ気づかなかったという点で、不明と御指摘を受ければ不明であっかかもしれませんが、その後、四十七年から四十八年、特に四十七年の非常に大きなストライキ、これによりまして、御承知のように労働協約上週休二日制というものが導入をされました。そういうことで、ある程度またそれを実施するための予備員率というものがどうしてもふえてくるという状況の中で四十八年の石油ショック、こういうところに直面をいたしまして、急激に長期の不況に入り、その上、御指摘のように円高というもう一つの追い打ちもございました。そこで二重の打撃によりまして、国際競争力の弱さが非常にはっきりと露呈してきたというのが、石油ショック以後の状況であるかと思います。
 そういう意味で、私ども実は、去年海造審で、先ほど先生御指摘になりました小委員会報告、これを受けましたが、これは実は、さらにその一年半前から徐々にそういう状況になってきておるということを踏まえて今後どうあるべきかという審議を、海造審においてお願いをいたしまして、先生が先ほど言われましたような報告をいただいたわけでございます。
 その後私ども、今後の長期の海運政策はどうあるべきかということの一環といたしまして、日本船の維持を何とか図らなければならない、政府としてやれることは何であろうかということで、利子補給制度の復活、相当大きな利子補給率の設定ということで、とにかく何とか日本船をつくっていく努力をいたしたい。先ほどちょっと御指摘ございました仕組船というような形、これはある意味では船主の逃げ道であった。私企業としてはある程度そういうことをしなければ生き延びられないという窮余の策であったとは思いますけれども、私どもといたしましては、決してこれはいい方向ではないと考えております。その仕組船といったようなものを今後できるだけ日本船に置きかえる、日本船に置きかえるためには、利子補給という差し水によって資本費その他について相当大幅な助成をしなければならないのではないか、このように考えて今回の利子補給法案を御審議いただいたわけでございます。
#32
○薮仲委員 きょうは時間がありませんから、長い答弁よりも要点をすかっと答えていただきたいと思います。
 船員局長に私が御質問したのは、仕組船をふやせば予備率は上がりますよ、これに対して船員局長として根本的な対応をしておかないと大変ですよということを申し上げたのです、私の質問の要点は。予備員率云々ということを聞いたのじゃないのです。それはわかっています。私の言いたいのは、雇用関係も違うのですから、予備員率云々だけで言うこと自体おかしいというのはわかって質問しているのですから、私の質問を――重ねて同じようなことを聞きますから、これが一番大事なポイントですからお答えいただきたい。
 というのは、この海造審の答申の二番目に「日本海運の意義と役割」と出てくるのですが、そこの中で日本船の必要性というのが指摘されているのです。それは四つにわたって、この日本商船隊のあるべき姿の中で、いわゆる外国用船と日本船籍の船とをどういうふうにすべきかという中で日本船というのはどうすべきか。これは前々から言われておりますように、ナショナルセキュリティー、いわゆる国家安全保障の立場において必要なのだということが基本です。
 それで、四点のうちの一つだけ読み上げますと「国の経済の大部分を貿易に依存している我が国にとっては、将来において万一何らかの緊急事態が発生した場合、海運は我が国の国民経済に必要な物資を確実に輸送するうえに必要不可欠であり、このような国の経済的安全保障に、日本船は極めて重要な意義を有する。」このようなことを指摘して、四つのことで日本商船隊の中の日本船の必要ということを指摘しているわけです。
 それじゃその中で、今度は日本船の規模というのはどの程度か、日本商船隊の中の日本船の必要規模はどの程度か、昭和六十年までのいわゆる経済成長率を六%と見て、国民生活を守るためにこれだけの日本商船隊の中の日本船が必要ですよということを指摘しているのですが、そこで私はこう言いたいのです。それは何かと言うと、ここでは今後わが国の商船隊の中で日本の船はどうか、そのベースになるこの日本商船隊の総トン数をおよそ六千二百万総トン、ちょうど昭和五十二年におけるわが国の商船隊の船腹量とほぼ同じ六千二百万総トン程度が適当であるという指摘なのです。その中で、さらに日本の船はどの程度かという指摘は、三千四百万総トン程度が適当です、こう言っている。しかも、これは昭和六十年においてどの程度の伸びかと言いますと、いわゆる商船隊の船腹量は一〇%台の伸びでしかないでしょう、しかも、その中の日本船はそれよりも低い伸び率でしょう、これはもう局長がよく御存じのとおりの指摘なのです。ということは、何を私が言いたいかというと、現在七三%の予備員率ということは――先ほど指摘しましたように、五十二年度の船腹量は、いま申し上げた将来のあるべき商船隊の船腹量とぴったんこなんですね。昭和五十二年度の日本の船が三千三百七十万総トンということは、ここで指摘されております将来の船腹量の三千四百万総トンとぴったりこんなんです。ということは、これ以上日本の船はふえないだろうという前提が、この答申の中に出ているのです。
 そうしますと、現在の七三%という予備員率を、いま海運局長は日本船に仕組船をかえてという話ですが、この中では、国際競争力を強くするためには日本船と仕組船とをどのような比率でやることが最も国際競争力の強化につながるか、これは検討の余地があるという指摘なのです。ということは、この数字でいくならば、日本の船をこれ以上ふやすという必要はないのじゃないかという指摘にもなっているわけです。
 私はここで、先ほど海運局長がいみじくもおっしゃった、利子補給によって今度約七十万総トンの船を計画造船でつくりますよ――結構だと思うのです。では、その七十万総トンを、日本の船をスクラップ・アンド・ビルドしていったのでは日本の船員の予備員率は下がらない。だったら、仕組船に該当する外国用船をスクラップ・アンド・ビルドで日本船籍に直していけば予備員率は確かに減るでしょう。そうじゃない限り減らないのじゃないか。そうしますと、利子補給で船をつくりますよ、どんどんつくったはいいけれども、また船腹過剰に輪をかけたり、あるいは日本船をただスクラップ・アンド・ビルドして予備員率が減らなければ、この法案をつくっても海運自体の将来の何らの解決策にはならないだろう。
 ですから私は、先ほどから船員局長に本質的にこの船員の問題をどう解決していくおつもりなのか、昭和六十年代にわたってこの答申をそのまま踏襲するわけではありませんけれども、やはりこれは海運局長とあるいは船舶局との関連の中で、建造に対しては日本船をつくって外国用船の比率をもっと減らします、そして日本の船員を乗せますというようなことにしていかなければ解決できない、あるいはまた、そのほかに日本船員の方をどうなさるのか、その辺のことも含めて簡潔にきょうは御答弁いただきたいと思います。
#33
○向井政府委員 お答え申し上げます。
 海運政策としてのいまおっしゃったような将来の見通しというもの、もちろんこれは船員政策と密接不可分な関係にあるわけでございまして、御指摘のように、日本船に配乗する日本船員というのが大原則としてある、これが一番望ましいかっこうでございますので、そういう線においての今後の推進ということは、海運局とも十分連絡をとりながら一つの太い線として推進してまいりたいというふうに考えております。
 ただ、その船員政策プロパーの問題といたしましては、やはり国際船員社会の中における日本船員の位置づけ、それの力関係というようなものについて十分配慮していかなければならぬわけでございまして、これにつきましては、長い説明にたっては恐縮でございますので簡潔に申し上げますが、やはり国際条約の締結等もございまして、船員制度の近代化というものを背景に、世界的に船員の資質向上、優秀な日本船員の進出の場の可能性というものの増大という一つの大きな流れがございますから、それにのっとりまして、雇用促進センターというような機能もございますし、全体としてやはり日本船員が世界的に海運界の中に進出していけるということもあわせて職場の確保を図ってまいりたいとか、その間に、御指摘のように、やはり日本船の拡充ということについては、できるだけ船員局としても達成されるような協力をしてまいりたい、このように考えている次第でございます。
#34
○真島政府委員 いまの御指摘でございますけれども、確かに、この小委員会報告で、六十年を見通した場合に、五十五年度以降若干日本商船隊全体がふえるだろう、ただ、その中で、日本船はそれほどではなくて若干低い率でふえるのじゃないか、こういうことでございますが、そういう意味では、現在の船員数、これをこの二、三年の非常に苦しい時期、何とかして雇用を確保していくということによりまして、五十五年以降日本船がふえていくという中では相当雇用と申しますか、職場の確保ということが可能になっていくのではないだろうか。問題は、やはり造船、海運、両方の不況の非常に大きな山に差しかかっておりますこの二、三年、この間、どのようにして雇用を確保し、日本船を維持していくか、こういうことだと思いまして、私どもは、先ほども申し上げましたような利子補給という形でこの緊急の二、三年を乗り切ってまいりたい、このように考えております。
#35
○薮仲委員 海運局長にもう一度確認しますけれども、利子補給によってつくる船はどういう船なのですか。いわゆる外国用船を減らすのですか、それとも日本船をふやすのですか、その点なんですがね。
#36
○真島政府委員 計画造船によってつくります船舶は日本船でございます。それで、これをつくる場合に、日本船をつぶせとかなんとかという制限はつけないわけでございます。
#37
○薮仲委員 それじゃ、そういう点での船員問題については、船員の職場を拡大できるような方向で御努力いただきたい、こう思います。
 いま、船員局長の方から船員の雇用の促進に関する問題として船員雇用促進センターがございます、しかも広く船員を海外へというようなお話もございました。私は、ここで何点かまとめてお伺いしたいのですけれども、一つは、この船員雇用センター、いまたとえば横浜の例をちょっとお伺いしますと、五十名で約三カ月程度の研修期間を終えて出ていきますということで、これは大体雇用船員が中心で、離職船員は余り訓練を受けてないというような数字も出ているようですが、それはそれといたしまして、ここで問題は、海事英語であるとかタンカー研修とか自動化関係の研修を受けますよということは伺っております。そこでもう一点は、乙一の免状をもらえますよというようなことも、この雇用促進センターの中でうたわれているわけであります。その乙一の免状を持った船員の方が今度広く外国へ優秀な船員として職場を求めていくというようなことだろうと思うのです。局長もそういう趣旨での御答弁だと思うのですが、そこで私、問題は、そのように外国の船に雇用された場合、ということは、日本船籍の船でございませんから外国の船です、ということは、日本の法律の及ばないところへ一人で行くわけですね、そうしますと、いわゆる日本の国における関係法令における国民としての恩恵は、その時点からぶつんと切れるのじゃないか、たとえば海員保険における年金の問題は一体どうなるのだ、将来の問題についてこれは一番大きな問題だと思うのですが、これが果たして外国の船に乗ったときに継続できるのかどうか、こういうことを考えますと、簡単には乗れないと思うのです。もちろん雇われた会社が、疾病等についての一切の責任は持つでしょう、また、そう言うかもしれませんけれども、その身柄を、ひとり日本の法律の及ばない国で生活をなさるということについての将来にわたっての不安のない生活を保障できるような国内法規が整備されてないで、ただ技術が優秀ですよ、あなたは外国へ行ってどんどん雄飛しなさい、こうおっしゃっても、先ほどのお話の中にあったように中高年の方が行けるかどうか。将来にわたって自分の家族の生活が不安であったら、とても外国の船には乗れない。これは船員局の船員教育の大きな目玉だとは言っておりますが、こういう関係法規をきちんとしなければ、とてもとても無理ではないか。リベリアの船には乗りやすいですよなどというお話はよく聞きますけれども、将来にわたっての日本国民としての生活の保障をきちんとしてあげなければ、片手落ちになって何にもならないのじゃないか、この点が私は問題だと思うのです。
 それと同時に、陸上で働いている者、勤労者は、いわゆる雇用保険によっていろんな形で、四事業と言われますけれども、雇用についての事業が行われておりまして、その人が職業を選ぶとき、あるいは会社の関係でレイオフの場合も、企業に対する助成等が十分でありますから、その仕組みはできているわけです。しかし、船員の方には、それが非常に不十分なんですね。こういう点、将来の船員の方のために雇用保険に準ずる何かがなければ、これは事の解決にはならないのじゃないか、これが第二点。
 三番目は、大型の外航船舶というのは、言うなれば陸上の大きな工場が一つあるようなものだと私は思うのです。その工場の中には、ボイラーもあれば屋内配線もあればペンキもあると思うのです。このペンキなんかもやらなければならない。そうしますと、船員ということで、本当は陸上ならば労働安全法によって全部ライセンスが要るわけですね。屋内配線、屋外配線、ボイラー、全部ライセンスが要る。しかし、船の中ということで、いわゆる船長であるとか機関長とか航海士が免許を持っておれば、何らライセンスがない方でもそれの作業に従事している。しかも実務的には、相当優秀なものを持っておる。ところが、おかへ上がってくれば、船上で幾らボイラーの技術があっても、おかのライセンスには連動しないわけです。
 そういうことで、私は、船員雇用促進センターの中で、本当に船の中でボイラーの技術を習得しております、あるいはアセチレンガスのバーナーの溶接ができます、外航船舶の中ではこれができなければ困るのです。そういう技術が非常にすぐれておれば、この雇用促進センターの中である程度の研修を受ければ陸上のライセンスがもらえますよ、少なくとも互換性のあるようなライセンスを持っておれば予備員率は減るのじゃないか、船員になっても、おかへ上がったときに不安なく新しい職種につけるのじゃないか。いま船員の方については、何らライセンスがないのです。私は、本当の予備員率を減らして、将来陸上でも十分な生活ができるようにするためには、ライセンスの互換性というようなことを、船員局長が真剣になってお考えになることも非常に大事な問題だと思うのですが、以上三点いかがでしょうか。
#38
○向井政府委員 先生から非常に実質的な具体的御指摘がございました。それぞれお答えを申し上げますが、船員雇用促進センター、これの業務は国際通貨情勢の変動などございまして、まだ遅々としておるという状態でございますが、今後は、やはり政策の柱として客観情勢の推移も見きわめながら大いに努力してまいりたいと思っております。
 その際に、御指摘のように、いろいろ具体的な問題が出てくるわけでございます。ことに、これを今後長く続けてまいる、恒久政策として考えました場合の問題点というようなことだと思いますが、いろいろ出てくるということでございます。確かに御指摘のように、外国船に乗船します日本人船員に対する保険の適用については、現行の船員保険の制度上は大きな制約があるということでございます。ただ、その雇用船員につきましては、厚生省とも協議の上、雇用契約が存続している場合には、元船主が保険法上の事業主となって保険の継続維持が図られるというような便法も講じておる面もございますけれども、離職船員につきましては、確かに御指摘のように、外国船に乗りました場合には、雇い入れた外国船主が乗船中の災害疾病につきましては別途の任意保険を掛けておるということが通例でございますが、船員保険につきましては、離職時に切れてしまうということに確かになるわけでございます。このような保険の問題ということに着目する必要があると思うわけでございますが、現段階でのセンターの外国船配乗業務と申しますのは、いわば緊急措置として深刻な雇用情勢に対処するということでやっておるわけでございまして、確かに御指摘のように、船員側にとって見ますと、生涯設計というような観点からすると、必ずしも十分な条件を備えておらないという面がございます。これにつきましては、外国船乗り組みというのを、一つの大きな流れとして育てなければならぬ面がございますので、そのための一つの課題として真剣にひとつ取り組んでみたい、このように考えております。
 いまのところ、この保険制度の問題については、制度そのものは厚生省所管でございまして、そちらとのいろいろ打ち合わせもしなければなりませんし、審議会の審議等もございます。これも現に、基本的な問題についての審議は、これから進むというような問題もございますので、それらの場での審議というものも進められるよう関係者を大いに督励してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
 それから、二番目の四事業の話でございますが、これもいまちょっと申し上げましたように、今後の問題といたしまして運輸省としても真剣に検討すべき問題である。ただ、これは基本的には、保険の問題として関係者の合意が必要な事柄でございますので、厚生省の社会保険審議会という場での議論というものも、これから始められようとしておりますので、そのような結果を見ながら、前向きでひとつ考えてまいりたい、このように考えております。
 それから、もう一つ御指摘がありましたライセンスの問題でございますが、これも非常に具体的な御指摘でございまして、確かに、海陸互換性のあるライセンスというものの有用性、それによりますところの雇用政策の推進というものは一つのかぎではないかということで関係者からもいろいろ話があるところでございます。御承知のように、船内のライセンスと申しますのは、いわば船内職務の包括的ライセンス、片や陸上の方は専門分野おのおのにわたりますところの専門ライセンスというようなことで、なかなか組み合わせ、結びつきがむずかしいという面があるわけでございまして、それに資格付与に至りますところの教育訓練、経験の取り扱い方というものにも差異があるということで、これは非常に検討を進めなければならぬ問題がたくさんあるわけでございます。しかし御指摘のように、船員の陸上転職の際に、その経験知識をより生かすという意味からも、非常に大事なことであると考えておりますので、現に、海技大学校等におきましては、再教育課程におきまして若干の陸上資格の取得というものを踏まえました講習もやっておる、そういうことについてどういうことができるか、これから鋭意詰めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#39
○薮仲委員 以上で終わりたいと思いますけれども、最後に、大臣に御決意だけ伺いたいのですが、定期船同盟行動憲章条約、いまUNCTADの会議も開かれておりますけれども、これは一日も早く加入し、批准すべきであるという国際情勢にあろうかと思います。
 もう一点は、先ほども船員局長からお話があった千九百七十八年の船員の訓練、資格証明及び当直維持の基準に関する国際条約を採択するというようなことで船員の資質を上げるという問題が国際間での大きな問題ですが、この二つの問題、大臣として速やかに批准、加入すべきであると思いますが、一言だけ伺って終わりたいと思います。
#40
○森山国務大臣 定期船同盟行動憲章条約は、一九七四年四月に採択され、現在、三十四カ国、世界船腹量の六・三四%が加盟をしておりますが、発効要件である二十四カ国、二五%にまだ達するに至っておりません。開発途上国は本条約の早期発効を主張し、現在開催中のUNCTAD総会においても本件が討議されるに至っております。こういう状況を勘案いたしまして、わが国といたしましては、本条約加入の意思を明らかにすることが望ましいという考えに基づきまして、昨夏来関係省庁の間で検討もしておりますし、またEC等とも話し合いを進めております。これは前向きに対処をしております。
 船員の資質に関する国際条約につきましても、これから審議会で相談をしまして対処してまいりたいと思います。
#41
○薮仲委員 終わります。
#42
○箕輪委員長 山本悌二郎君。
#43
○山本(悌)委員 簡単に御質問を申し上げます。
 いままでの方が詳しく御質問なさっておるので、大分明確になっておりますけれども、二、三の点についてちょっとお伺いしてみたいと思うのです。
 五十四年から四年間期限を延長しようというわけですが、船員局長、これは実際の問題としてどれほどの効用があったのか、非常に疑問があるのではないか。その効用というのは、私ども演説すると長くなりますから、あなたの方から答弁をもらった方が早いと思いますが、私どもから見ると、余り効用がなかったのではないか。そのお答えによって私が今度は一つ一つ突いてみたい、こう思っておるのですが、いかがでございますか。
#44
○向井政府委員 船員の雇用促進に関します法律の効用ということでございますが、確かに、いままでの実績等を見ました場合に、それほど大きな数字が上がっておるわけではございません。細かい数字は省略させていただきますけれども、それぞれの業種について差はございますけれども、そんな大きな数字が上がっておるわけではございません。ただ、これはやはり雇用情勢の推移、それから制度上の問題もございますけれども、たとえば失業保険の給付が切れた後にこちらの給付金の支給が始まるというような関係もございますし、それから経済情勢の微妙な変化というものもございまして、当初の見込みほどは受給者が出てこなかった。しかし、今後を見まするに、やはり一般情勢が必ずしも好転しておりませんし、先ほど申しましたような制度的な条件というものも変わってまいりますので、五十四年度からはかなりの規模でやはり大きな効用を発揮してまいるのではないか、このように考えております。
 ただ、これはやはり緊急措置でございまして、やはり船員政策、雇用政策の中の一環としての緊急措置ということでございまして、その緊急措置でもって対処しながら長期的な船員政策、雇用政策を樹立し、いわばその過渡的な手当てをこの法律等でやっていく、このような効用としては大きな意味があるものと考えている次第でございます。
#45
○山本(悌)委員 ですから、悪いと言っているのじゃないのです。非常にいいことなんですけれども、その効果、実績というものがそれほど目に見えていないのではないか。
 たとえば、局長にお伺いしますけれども、職業訓練を行う、その中で海技大学校なり海員学校なりいろいろ職業訓練所なりやっておりますが、そういう実績というのはどのくらい上がっておりますか、わかりますか。
#46
○向井政府委員 表面に出ている数字といたしましては、数十人というような微々たる数字でございます。
#47
○山本(悌)委員 だから、非常に少ないわけですね。それほど効果がないということです。後で詳しいデータがありましたら、いただきたいと思うのです。
 そこで、それによって起因するところの、たとえばこれは一つの問題になりますけれども、海員学校あるいは海員高等学校、特に私のところの場合ですと、新潟県の村上に海員学校がありますが、この海員学校の生徒がだんだん減っていくのです。せっかく一生懸命あそこに建てていただいたのですが、船乗りのなり手がなくなってきた。御存じのように、この上海府という地域は、もろ一軒残らず全部船員だというところ、あるいは桃崎浜、新発田、中条あたりの海岸線は船乗りさんばかりでありますが、それがここ数年の間に落ち込んでいる。いわゆる船乗りにさせないという現象が起きているんですね。こういう問題をどうお考えになっておられるか、私は、非常に大きな問題だと思うのです。
 なぜならば、先ほども質問がありましたけれども、船に乗れるか乗れないかがまず一つありますし、乗ってもメリットがそれほどない。
 先般も、私のところに相談に来たのです。これは水産科を来春卒業する男ですけれども、外航船に乗りたくないと言うのです。日魯でも大洋でも世話してやろうと言ったら、いやだめだ、とにかく近海、内航にしておいてくれ、こういうことなんですね。遠くに行きたがらない。
 いろいろありますけれども、こういうことを含めてこの海員学校の問題をお聞きしてみたいと思います。
#48
○向井政府委員 海員学校の問題について具体的な御指摘があったわけでございますが、確かに、いまの船員の養成機関、海員学校を含めまして上は商船大学、商船高専、海員学校、それから水産関係の諸学校、いろんな関係があるわけでございます。これの教育実態、生徒の状態、それと海運界の実情、雇用情勢というものとが、どうもずれと申しますか一つのしっくりしない面が出てきておりまして、学生の就職もなかなか思わしくない。それの反射効果といたしまして、御指摘のように入学者も減ってくるという状態が確かにございます。
 これをどうするかということでございますが、客観情勢というものを考えました場合に、やはり船員制度の近代化の問題を中心にしまして、これからの船員のあり方、それを支えますところの教育という問題が大きく動きつつあるということは確かでございまして、いままでのそぐわなかった点を是正しつつ、今後の新しい問題に対処するという意味において、ここのところで、やはり基本的な議論からし直さなければいかぬということを十分認識いたしておりまして、実は、海上安全船員教育審議会という審議会があるわけでございますが、そこにおきましても、昨年の秋から鋭意調査が始められておりまして、いよいよこれからは御指摘のような具体的な問題にも踏み入りまして、船員の教育訓練問題を大いに議論をしていただいて、なるべく早く結論を出していただき、それに基づきまして、教育機関全体の再編整備と申しますか、新しい形への衣がえというものも含めました対応ということを考えてまいりたいと思っております。これが質的な問題と量的な問題といろいろございますが、どのようにかみ合ってくるか、この辺は非常にむずかしい問題もございます。
 実は、国際条約の内容等もまだ審議会において勉強を始めたばかりという状態でございまして、これから非常に議論を詰めてまいります中で、御指摘のような問題についての解答がだんだん出てくる、できるだけ早くそれを取りまとめまして対処してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#49
○山本(悌)委員 大臣、きょうのこの法案は、船員雇用の法案ですから、学校問題に余り触れたくないと思っておったのですが、こんな機会でないと大臣にもちょっと話を聞いてもらえないので申し上げておきますと、海員学校に入る生徒が減っていくということは全国的な傾向だと思うんですね。特に新潟の場合は、そういうことで減っていく率が非常に大きくなったのには二つ問題がある。一つは、いま局長から話があったような問題です。これは船員問題あるいはそういった一連の問題をちゃんと解決しないといかぬと思っておりますが、もう一つは、教育問題の中で海員学校に入っても高校卒の資格がないのです。これは非常に大きな問題で、それだったら海員高等学校とどこが違うのだと、非常に悩まされておるのです。
 先般も、海洋婦人会のブロック総会がありまして、これが大議論の的になって、おれのところの息子を海員学校にやったのだけれどもまるっきりだめだ、高校卒の資格がない、そうすると甲板員だけに終わってしまって何もできない、どうすればいいのだ、何とか高等学校にしてくれぬか、こういうことなんですね。
 ですから、きょうのこの法案の中の質問では、的確性を欠いているかもわかりませんけれども、これは後々まで大きな問題になることだと思いますので、大臣もしおわかりでしたら、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#50
○森山国務大臣 村上でしたか、そういうことで地元の議員さんから、非常に心配しておられるということは伺っております。
 一般的に海員の需給関係が、特に若年層の就職が非常にむずかしいという問題があることは御承知のとおりでございますけれども、そういう問題と並んで、いま言った学校は二年ですからね、高等学校は三年ですけれども、したがって、高等学校の卒業資格が取れぬという点が大きな問題であろうと思います。
 先ほど船員局長から話がありましたようなことで、優秀な技術者としての船員というものを養成していくという観点からいま見直しておるわけでございますから、そういう中でこの問題についても考えてまいりたい。地元ですから、非常に関心をお持ちなのはよくわかっておりますが、現段階においては、そういうようなお答えでひとつお許しを願いたいと思います。
#51
○山本(悌)委員 本論に戻ります。
 それでは、離職問題でありますけれども、局長、私は、予算の分科会でもたしか御質問したと思いますけれども、もう大分落ちついたようでありますが、漁船員の離職者というのが、数でいきますると大したことはないんですね、この資料を見ましても、そう大した数になっておりませんけれども、実は、外航船員や内航船員、近海船員というのは、わりあいと技術を持っているし使い道があるのです。ところが、漁業の方は、それほど使い道がないと言ったら、語弊があるかもしれませんけれども、魚をとることを主にしている。そうしますと、もともとは沿岸漁業が主であった者が、たとえば北洋漁業に出ていく、あるいはサケ・マス船団、それから今度はニュージーランドのイカ釣りというようなことに駆り出されていっているんですけれども、それが二百海里あるいはサケ・マスの規制を受けましてやはりうまくない状況なんです。これも地元にたくさんいたわけです。そういうことを含めまして、その手当てというのか、実効というのは非常に少ない。
 先ほど最初に申し上げましたように、非常に少ないものですから、とかく問題を起こしておる。その起こしておる問題の一つは、おれは魚しかとれないのだ、かっぱがおかに上がったようなもので、魚をとりたいのだ、だから、自分が漁場へ帰ってきたら魚をとらしてもらいたい、ところが、そうなりますると、地元の方は漁協がこれに反対するということなんですね、そういうトラブルがあったわけです。
 これについて局長も御存じだと思いますけれども、どういうふうに指導されているのか、また今後もこんな問題はたくさん出てくるのか。だんだんいわゆる遠洋から近海へ、近海から沿岸へと漁業が戻ってくるのです。しかし、それほどそれじゃ沿岸漁業がいいかと言うと、それほどよくない。すると、その人たちは結局どうしているかと言うと、漁協からもはみ出てしまうから仕方がない、土方に出ているという現状ですね。土方という言葉がいいか悪いか別でありますけれども、土建業の労務者ということで働いておるというのが実態なんですね。その辺いかが見ておりますか。
#52
○向井政府委員 お答え申し上げます。
 前にも御指摘あった問題でございますが、その漁船乗組員対策というのは、確かにおっしゃいますように、一般の商船の乗組員とは全く様相が違っておりまして、ことに地域性もございますし、それなりにきめの細かい対応が必要であろうということでございます。職業紹介等につきましても、今後はファクシミリの導入等によりまして、これは東北、北海道中心でございますけれども、求職あるいは求人情報の的確迅速な把握というようなことに努めまして、有機的な職業紹介業務の充実を心がけているわけでございますが、やはり一つの大きな問題としましては、先生はっきり御指摘されましたように、漁船乗組員自身がわれわれの予想していたような陸上転職ということを余り望まない、やはり大部分、ほとんどの方がまた海上の職場、漁船の職場を求職なさるというようなことでございまして、こういう問題につきましては、業ぐるみと申しますか、漁業の実態を踏まえまして、地域性もよく勘案いたしまして対応しなければならぬということが、先般の先生の御指摘でも十分わかりましたので、われわれといたしましては、水産庁のみならず県漁連あるいは漁業協同組合というようなところとの連携体制も、いろいろ予算的な手当ても含めましてできるように対処いたしておるということでございます。
 特に新潟の海運局につきましては、実は先般、海運局長を呼びまして、そのような趣旨を伝えました。やはりいろいろ問題があるし、まあ片づいたと申しておりましたけれども、これからもいろいろ出てくる可能性がある、これは先生御指摘のとおりだと思います。これにつきまして、やはり体制を早くつくってくれ、各海運局ごとに指示はしてございますけれども、新潟については、そういう具体的事例もあることだから、実際そういうものに対応できるような実のあるものをつくってくれということを指示いたしましたところ、早速いろいろ措置をいたしました。
 県の水産部局、それから漁業協同組合連合会、その他の漁業関係団体というようなところをメンバーといたします、仮称でございますが、漁業離職船員雇用促進連絡会議というものを、海運局が窓口になりまして、積極的にこれを設けるということにいたしたという連絡がございました。非常に結構なことではないかと思います。
 何をやるかと申しますと、求人、求職情報の収集、交換、これは基本になる問題でございます。それから労働力需給の調査というものを、やはり基礎的にちゃんとしておかなければいかぬ。それから教育訓練をどうするか、先生御指摘の技能の問題と絡めまして、そういう問題についても、いろいろ相談に乗り、指導もしなければいかぬというようなことを協議するための機関でございます。
 いまの予定でございますと、今月中には発足という報告が参っておりますので、ひとつこういうものをフルに活用いたしまして、御指摘のような具体的問題について遺憾なきを期していきたい、このように考えておる次第でございます。
#53
○山本(悌)委員 最後に、もう一度最初に戻りますけれども、この特別措置法、臨時であるにいたしましても、実効がないということは、私は、法案に対して何か無責任だと思うのです。しかも六億八千七百万も予算をつけているわけでありますから、それが十分な効果を発揮しないというのは、私は、やはりその指導のまずさというか、それから調査のまずさというか、そういうものがあるのじゃないかと思いますけれども、大臣、これは十分な実効を上げるようにひとつ指導をし、やっていただきたいということで、御決意を聞いて私の質問を終わります。
#54
○森山国務大臣 御趣旨に沿うように努力いたします。
#55
○山本(悌)委員 終わります。
#56
○箕輪委員長 小林政子君。
#57
○小林(政)委員 船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部改正法案は、ここにも書かれておりますとおり、近海海運業等にかかわる事業規模の縮小に伴い離職船員の発生が今後においても引き続き予想される、こういう状況にかんがみ、就職促進給付金の支給に関する特別措置の対象となる者の離職の日に関する期限が法律の施行の日から起算して二年といままでなっておりましたものを、今回、昭和五十八年六月三十日まで延長しよう、こういう内容でございます。
 この問題に関連をいたしまして、私は、最近の深刻な船員の失業状況、そして雇用不安が一層増している、こういう状況の中で、現在、職安業務の内容、また失業保険等の支払い業務の急増している実態、これに対する船員職安の設置や定員あるいはまた業務上の体制というものが具体的にどうなっているのか、まず、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
#58
○向井政府委員 お答え申し上げます。
 失業船員の再就職の促進に当たりますいわば第一線の業務を行っておるのが船員職業安定所並びにそれと同様の業務を行っている担当係でございます。この状況でございますけれども、本年三月の実績で申しまして、船員職業安定所等が取り扱いました求職者の数は約一万五千人ということでございます。これら求職者の再就職の促進と雇用の安定とを図るために、安定所におきましては、就職指導、職業相談、求人開拓というようないわゆる職業安定業務を総合的に行っているわけでございますが、昨年一年の実績で申しますと、累計で約一万件の件数ということになっております。
 お話がございました失業保険の支払い件数でございますが、これが月平均約七千件ということになっておるわけでございまして、お金の支給業務ということは、これはなかなか大変な業務でございまして、失業保険のほかに、いま御審議願っております船特法あるいは漁臨法というものに基づきます給付金……(小林(政)委員「答弁が聞こえません」と呼ぶ)
#59
○箕輪委員長 御静粛にお願いします。
#60
○向井政府委員 給付金の支給がかなり多忙をきわめておるということは事実でございます。やはり船員職業安定業務、このような給付金の支給だけ、あるいは失業保険金の支給だけの業務じゃございませんで、総合的にやらなければいかぬということでございまして、それの業務の充実に努めておるところでございまして、特に五十四年度におきますところの対策といたしましては、北洋関係を主体といたします漁業離職者がやはり数的に非常に多いことになっておりますので、それが集中的に発生いたしております北海道、東北におきます離職者の再就職促進のための広域的な情報交換を主体としたもろもろの措置をひとつ総合的に考えようということでございまして、一番目玉と申しますか、大きな手段としては、ファクシミリの設置ということをいたしまして、迅速、広範囲な情報の交換ができるように措置をいたしました。また、そういういわば設備の面だけでございませんで、全国的に水産庁及び県と協力いたしまして、あるいは漁業関係の団体と連携を密にいたしまして、漁業にかかわる求人の雇用情報の交換というようなことをやるということでございまして、増員その他の対策とあわせまして職安業務のいわば総合的、有機的な強化ということを図るべく措置をいたしておるところでございます。
#61
○小林(政)委員 いろいろと御協力をされているそのお話でございますけれども、具体的にお出しいただきました資料によりますと、四十八年と現在とを比較いたしまして、船員職業安定所は四十八年当時は五十五カ所であったものが、現在は六カ所ふえて六十一カ所、また、その定員は七十九人から九十四人と、十五人ふえております。しかも、その業務の内容を見てみますと、失業保険金及び給付金の受給者は、四十八年当時は四千三百六十三人であったものが五十三年では六千七百九十人になっている、これは運輸省からお出しいただいた資料でございます。そうしまして、しかも給付金というのが新たに加わりまして、これが結局三千七百四十四人、合計で、現在では約一万人を超す給付金の受給者を抱えている。しかし、四十八年当時に比べれば倍にふえているのに、職員の数はわずか十五人しかふえていない。これで本当にこの法律が定めている目的というものをきちっと果たしていくことができるのかどうなのか。
 前回のあの審議をいたしました決議の中にも、船員の職業安定所の機能の強化ということがうたわれておりますけれども、果たしてこれでできるのかどうかという非常に大きな疑問を持つわけでございます。この点について具体的に今後どのようにされていこうとされているのか、お答えをいただきたいと思います。
#62
○向井政府委員 お答え申し上げます。
 先ほど概括的なお話を申し上げたわけでございますが、先生御指摘のように、確かに、四十八年度と五十四年度の対比におきましては、定員の増加はそれほど大きなものではない、それに対しまして、業務量の方は相当張ってきておるということでございます。月間有効求職数の年間累計等を見ましても、九万三千人が十五万八千人になっておるというような、資料がお手元にあるかと思いますけれども、そのような状態を呈しているわけでございまして、確かに、現場の職員は非常に業務に忙殺されておるということは事実でございます。これをやはり何とかせねばいかぬということで、先ほどのような定員の増ということもいたしておるわけでございますけれども、先生御承知のように、この定員の増加というのは非常に困難でございまして、やはりいろいろな別途の手段を総合的に考えて業務運営をやっていきませんと対応できないということでございます。
 そういうことで、年々いろいろな方法を考えてやってきているわけでございますが、従前の継続も合わせまして五十四年度につきましての事項を申し上げますと、漁業離職者相談員というものを民間の方に委嘱いたしますとか、あるいは賃金職員をかなり大量に雇い入れますとか、年間通じますと、五十四年度で三千人目分の賃金職員の予算があるわけでございますが、こういうものも考えて、いわば正規の職員の補助をさせるという体制を一つ考えておる。それからさらに、職員が遠隔地、安定所等のございません遠隔地におきますところの離職者の就職指導に当たれるように、そういう場所へ出張して相談に乗れる経費というようなものも計上いたしておるわけでございます。
 やはり大きな問題といたしましては、先ほど申しましたファクシミリといういわば新しい手法を中心といたしました広域就職促進対策ということでございまして、これらを合わせましたところの全部のいわば事務経費的な経費と申しますのが、五十三年度と比較いたしまして五十四年度は三三四%、三・三倍に一応ふくれ上がっておるということでございます。
 それなりに一生懸命対応いたしておるということは、ひとつ御理解願いたいわけでございますが、私どもとしましては、やはり一番基礎になります広域情報というものをがっちり踏まえ、水産庁、県等の水産部局との連携をより一層密にし、いろいろな知恵もおかりいたしまして、有機的な総合的な対策としての職安業務というものの充実を図ってまいりたい、それによりまして人間の足らざるところを補ってまいりたい、このように考えているわけでございまして、私どもとしては、これで何とかこの忙しい中を切り抜けていけるというふうに考えている次第でございます。
#63
○小林(政)委員 いろいろと総合的な対策はおとりになっていらっしゃるようでございますけれども、実際には、この失業保険金あるいはまた給付金の支給だけでも四十八年の倍を超すような件数になっている、こういう業務量がふえてきている中で、どうしても現状では職業の開拓というものにしわ寄せがされていくのではないか。そして事実問題としては、船員局の皆さんの悩みもいろいろと私、聞いております。こういう中で、やはりその実態に見合った――たとえは年間の月間有効求職数のこれも、四十八年当時に比べて一・七倍もふえている。これでは、本当に雇用を、再就職を保障していくという立場から公共職業安定所としての基本姿勢を持って臨むならば、いまのような現状では、これは実際にはできないのではないか。しわ寄せが結局そこに寄せられてしまっているというこの現状では、離職者のための再就職を本当に保障していく、雇用の拡大を図っていくという立場から、この問題についてはやはり真剣に今後考えていく必要があるのではないか、このように思いますけれども、具体的な方針をも含めて、これは大臣からもお伺いをいたしたいと思います。
#64
○森山国務大臣 いろいろ御心配ありがとうございました。いろいろ予算措置もとっておりますし、総合的に考えまして、そういう御心配のないようにできるだけ努力をいたします。
#65
○小林(政)委員 もうちょっと静粛にしていただけませんでしょうか、委員長。ちょっと御答弁がよく聞けない面があります。
#66
○箕輪委員長 委員各位にお願いいたします。御静粛に願います。
#67
○小林(政)委員 実は、離職をしてすでに失業保険も切れてしまっている、こういう状態にある船員の人たち、あるいはまた船員職業安定所としてもいろいろとアンケート調査をされたというふうに伺っておりますけれども、その中でもいまいろいろな意見が出てきておりまして、遠距離の求人に対する問い合わせや紹介等は、人手が足らないために、要員が足らないために、求職あるいは求人者がこれを電話で問い合わせをして、労働条件をいろいろと話し合っていくというようなこともされているとか、あるいはまた東京、大阪方面の求人状況がもっと地方でもわかるようにしてほしいとか、あるいはまた求人開拓をもっと実施してもらいたい、こういう切実な要求が、まだ幾つかずっとございますけれども、このアンケートの中にいろいろと述べられております。やはり求人票に労働条件の明示ということが非常に重要ではないかというふうに私はお話を伺って思いました。これが電話などで双方の話し合いということから、どうしても労働条件そのものが一定の公共職業安定所としての水準を保っていくというような方向での指導がやられない、こういう中でいろいろと問題点が出てきているというふうなことも言われておりますし、こういった点を改善していくということは今後の問題として非常に重要ではないか、このように考えております。
 したがって、船員職安の職員の数をもっとふやしていくとか、現在、支局では一人ぐらいでやっているところがずいぶん多いのですが、やはり最低二、三人は必要ではないか。そして職業開拓を本格的に進めていく、あるいは支給業務をやっていく、こういう専門的な係を置いて、そして船員のいまのこの深刻な事態の打開を図っていくということが非常に重要だというふうに思います。この点については特段の配慮をしてもらいたい、このように思いますけれども、いかがでしょう。
#68
○向井政府委員 重ねてのいろいろの御指摘でございますが、確かに、そういうアンケート調査の中にも出てきたかと思いますけれども、末端でのいろいろな不円滑の問題というのはあろうかと思います。これにつきましては、御指摘ありましたような失業保険金あるいは給付金の支給業務といういわば単純業務がございます。ただ、これは量的には大変でございます。あるいは集中して業務が立て込んでくるということがございます。これにつきましては、やはり専門の職安職員以外にも船員関係の職員というのが全国で九百人ぐらい、こういう業務に直接、間接に使える人間もおりますので、そういう者たちの応援体制ということも十分いま考えて対処する。ただもう一つ、御指摘のように職業紹介その他の職場の開拓というような問題につきましては、これはなかなか専門家でないとできないということでございますので、数少ない専門職員がそれに力を注げるように、しかも、それを補助いたしますところの賃金職員なりあるいは民間の相談員なりというものが有機的に働けるように十分考えてまいりたい。御指摘のような地域的な問題というものにつきましても、今後、きめ細かくひとつ調べまして、それぞれ細かい指導をいたしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#69
○小林(政)委員 時間がなくなってまいりましたので、何点か一緒にして御質問いたします。
 船員職業安定法の二十条によれば「求職の開拓」ということが明確にうたわれておりますが、こういう方向を今後一層強めていくことが必要ではないか、この点が第一点。
 それから、船員雇用促進センターの問題につきまして、現在、センターが行っております訓練業務に関連いたしまして、失業船員の場合、特に失業保険も切れてしまった、そして実際にセンターで訓練を受けたい、海で働きたい、こういう希望を持っている船員、こういう人たちが、あるいはまた船員職業安定法十二条で「船員職業紹介の事業を行うにあたり必要があると認めるときは、宿泊施設、食堂、浴場その他の施設を設けるものとする。」ということも明記されておりますけれども、やはり何らかの利用しやすい条件をつくっていくことが非常に大事ではないかと私は思いますけれども、この点について今後の方針を含めて、職を求めている人たちが利用できやすい、そういうものが私は必要だと思いますけれども、お伺いをいたしたいと思います。それが二点目です。
 それから、やはり現在、私どもの耳に伝わってまいりますところによりますと、海運の経営者団体などでは、失業船員の外航船への乗船ということよりも、予備船員を外航船に乗せていくというような方向を一層強めていきたいという意向を持たれているやに聞いておりますけれども、今後一体このような運営というのはどうなっていくのか。さきの本法案による雇用の促進という問題は、離職船員が主たる目的であるということも明記されておりますので、こういった立場から今後の指導については、そのような方向を一層強めてもらいたい。
 以上三点について質問をいたして、終わりたいと思います。
#70
○向井政府委員 まず、求職の開拓の問題でございますが、法律にもうたわれておりますように、これはやはり職安業務の中枢をなす業務でございます。やはりわれわれとしても、現場の第一線の人たちが、いろいろな情報、先ほど申しましたような新しい手法も交えました情報を収集し、それを的確に把握いたしまして、求職活動が円滑にいくような努力をするということとともに、われわれといたしましても、現場職員のそういう働きを助けるために、海運関係、水産関係を問わず、中央の場におきましても求職開拓についての努力というものを総合的に推進してまいりたい、それらをあわせまして、なるべく早い時期に望ましい雇用情勢というものが現出いたしますような努力をしてまいりたい、このように考えております。
 そのような考え方の一環として、次に御指摘ございましたセンターの問題があるわけでございますが、センターの問題について二つ御質問がございましたが、まとめてお答え申し上げますというと、御承知のように、昨年の六月から業務開始ということで船員雇用促進センターが発足したわけでございます。実績を申し上げますと、五十三年度におきましては、三百二十二人のあっせんのうち三百十六人が失業船員ということでございまして、先生御指摘のような失業船員主体という形にいまのところなっております。それで……
#71
○箕輪委員長 委員の諸君に申し上げます。御静粛に願います。
#72
○向井政府委員 この方向というのは今後も変わらないのではないか。われわれとしても、やはり失業船員というものを主体に物を考えていくという姿勢には変わりないということでございます。
 さらに、訓練関係のお話が具体的にございましたが、訓練事業というものをセンターが行っておりまして、海事英語、タンカー研修等をやっているわけでございますが、受講者六百八十三人ということで、そのうち三百二十三名が失業船員ということでかなり大きな割合になっておるわけでございます。
 今年度は、さらにこれを充実させていくということで努力をしているところでございますが、本人の費用負担の問題というのはかなり重要な問題でございます。授業料は確かに無料になっておりますけれども、開催場所がそうたくさんあるわけではございませんで、今度は大阪を加えまして二カ所にする予定でございますけれども、開催場所の少ない点もございますために、受講いたします船員の宿泊施設、これは確かに問題があると思いますので、これにつきましては、法律の規定もあるわけでございますけれども、センターのやり方といたしましては、失業保険給付金等の寄宿手当が支給されている者、これは問題がないわけでございますが、それがない者につきましては、公的な宿泊施設を低廉な料金で提供するということを実はやっておるわけでございまして、これの予算措置もしてございます。たとえば日本船員厚生協会の会員会館、その他の宿泊施設が全国に百三十カ所ぐらいございますが、こういうものをフルに活用していきたい。費用負担の点から申しますと、通常でございますと二千円ぐらいの費用がかかりますところを、いろいろ実質的な補助をしまして六百円ぐらいの本人負担でやっていけるという措置も講じておるところでございまして、割合から申しますと利用者もかなり出ておるという現状でございます。こういうような施策につきましては、先生御指摘のように非常に重要なポイントでございますので、今後とも、十分良好な運営がされるように心がけ、指導してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#73
○小林(政)委員 時間がないからこれでやめます。
#74
○箕輪委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ─────────────
#75
○箕輪委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
 船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#76
○箕輪委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#77
○箕輪委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ─────────────
    〔報告書は附録に掲載〕
    ─────────────
#78
○箕輪委員長 この際、森山運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。森山運輸大臣。
#79
○森山国務大臣 ただいまは船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、御審議の結果、御可決をいただき、まことにありがとうございました。政府といたしましても、本委員会における審議の内容を尊重いたしまして、船員の雇用の促進に関し必要な措置を講ずることにより、船員の職業及び生活の安定を図るために努力を尽くす所存でございます。ありがとうございました。(拍手)
     ────◇─────
#80
○箕輪委員長 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。森山運輸大臣。
#81
○森山国務大臣 ただいま議題となりました海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 海洋汚染の防止につきましては、従来から油及び廃棄物の厳しい排出規制を実施するとともに、監視取り締まり体制の強化等に努めてきたところであり、今後とも、国際的動向にも十分対応しつつ、対策の充実強化を図る必要があるものと考えております。
 今国会に別途提出されております廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約は、主として陸上で発生した廃棄物等の海洋への投棄を規制することを目的として、昭和四十七年に採択された条約でありますが、同条約はすでに昭和五十年に発効しており、その締約国も先進諸国の大部分を網羅する四十カ国に達しておりますので、わが国といたしましても、同条約の批准を急ぐ必要があり、今国会において御承認をお願いしているところであります。
 このため海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正し、同条約の批准に伴い新たに必要となる国内法制の整備を図ることとし、あわせて、従来からの懸案であるビルジの排出規制の対象船舶の範囲を拡大することとした次第であります。
 次に改正案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、海洋環境の保全上注意を払うべき廃棄物の船舶からの排出について海上保安庁長官の確認制度を設けるとともに、航空機からの廃棄物等の排出を新たに規制する等の措置を講ずることといたしております。
 第二に、船舶または海洋施設における廃棄物等の焼却を禁止し、または一定の基準にかからしめる等、排出の規制に準じた制度を設けることにいたしております。
 第三に、現在ビルジの排出規制の対象外である総トン数三百トン未満のタンカー以外の船舶のうち、総トン数百トン以上の船舶を新たにビルジの排出規制の対象とするとともに、既存船舶については経過措置及び適用除外措置を講ずることといたしております。
 以上が、この法律案を提案する理由であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#82
○箕輪委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。次回は、来る十一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時四十七分散会
     ────◇─────
ソース: 国立国会図書館
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