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1978/07/11 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 商工委員会流通問題小委員会 第1号
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1978/07/11 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 商工委員会流通問題小委員会 第1号

#1
第087回国会 商工委員会流通問題小委員会 第1号
本小委員会は昭和五十三年十二月二十三日(土曜
日)委員会において、設置することに決した。
昭和五十四年一月八日
 本小委員は委員長の指名で、次のとおり選任さ
 れた。
      小川 平二君    越智 通雄君
      始関 伊平君    辻  英雄君
      中西 啓介君    野中 英二君
      前田治一郎君    松永  光君
      武藤 嘉文君    山田 久就君
      渋沢 利久君    田口 一男君
      塚田 庄平君    中村 重光君
      渡辺 三郎君    長田 武士君
      宮井 泰良君    宮田 早苗君
      荒木  宏君    大成 正雄君
一月八日
 中村重光君が委員長の指名で、小委員長に選任
 された。
三月十六日
 小委員長中村重光君二月二十八日委員辞任につ
 き、その補欠として中村重光君が委員長の指名
 で小委員長に選任された。
―――――――――――――――――――――
昭和五十四年七月十一日(水曜日)
    午前十時開議
 出席小委員
   小委員長 中村 重光君
      始関 伊平君    武藤 嘉文君
      川崎 寛治君    渋沢 利久君
      田口 一男君    塚田 庄平君
      宮井 泰良君    宮田 早苗君
      荒木  宏君    西岡 武夫君
    ―――――――――――――
 小委員外の出席者
        警察庁刑事局保
        安部保安課長  佐野 国臣君
        法務省民事局参
        事官      浦野 雄幸君
        大蔵省国際金融
        局企画課長   橋本 貞夫君
        通商産業大臣官
        房審議官    島田 春樹君
        通商産業大臣官
        房審議官    小林 慶基君
        通商産業省生活
        産業局長    栗原 昭平君
        通商産業省生活
        産業局通商課長 村田 文男君
        資源エネルギー
        庁長官官房鉱業
        課長      山梨 晃一君
        中小企業庁長官 左近友三郎君
        建設大臣官房会
        計課長     永田 良雄君
        参  考  人
        (本場奄美大島
        紬協同組合理事
        長)      中江 実孝君
        参  考  人
        (全国商品取引
        所連合会会長) 坪野 光男君
        参  考  人
        (全国商品取引
        員協会連合会顧
        問)      清水 正紀君
        参  考  人
        (貴金属地金協
        会会長)    田中淳一郎君
        商工委員会調査
        室長      中西 申一君
    ―――――――――――――
三月十六日
 小委員大成正雄君二月八日委員辞任につき、そ
 の補欠として大成正雄君が委員長の指名で小委
 員に選任された。
同日
 小委員渋沢利久君、田口一男君、中村重光君、
 長田武士君及び宮井泰良君二月二十八日委員辞
 任につき、その補欠として渋沢利久君、田口一
 男君、中村重光君、長田武士君及び宮井泰良君
 が委員長の指名で小委員に選任された。
同日
 小委員荒木宏君同月一日委員辞任につき、その
 補欠として荒木宏君が委員長の指名で小委員に
 選任された。
六月十四日
 小委員中西啓介君、前田治一郎君及び宮井泰良
 君三月二十日委員辞任につき、その補欠として
 中西啓介君、前田治一郎君及び宮井泰良君が委
 員長の指名で小委員に選任された。
同日
 小委員小川平二君、始関伊平君及び松永光君四
 月十一日委員辞任につき、その補欠として小川
 平二君、始関伊平君及び松永光君が委員長の指
 名で小委員に選任された。
同日
 小委員越智通雄君四月二十六日委員辞任につき、
 その補欠として越智通雄君が委員長の指名で小
 委員に選任された。
同日
 小委員大成正雄君五月八日委員辞任につき、そ
 の補欠として大成正雄君が委員長の指名で小委
 員に選任された。
同日
 小委員長田武士君五月二十九日委員辞任につき、
 その補欠として長田武士君が委員長の指名で小
 委員に選任された。
同日
 小委員荒木宏君同日委員辞任につき、その補欠
 として荒木宏君が委員長の指名で小委員に選任
 された。
七月十一日
 小委員田口一男君及び大成正雄君同日委員辞任
 につき、その補欠として川崎寛治君及び西岡武
 夫君が委員長の指名で小委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 流通問題に関する件
     ――――◇―――――
#2
○中村小委員長 これより商工委員会流通問題小委員会を開会いたします。
 流通問題に関する件について調査を進めます。
 本日は、大島つむぎに関する問題について、参考人として本場奄美大島紬協同組合理事長中江実孝君に御出席を願っております。
 この際、参考人に一言あいさつを申し上げます。
 参考人には、御多用のところ本小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 参考人には、本問題について忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。
 なお、議事の順序でございますが、最初に御意見を十分程度取りまとめてお述べいただき、次に、小委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、発言の際は小委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は小委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。それでは、中江参考人にお願いいたします。
#3
○中江参考人 本場奄美大島紬協同組合の理事長の中江でございます。
 大島つむぎに対する韓国つむぎの問題で、政府、国会の皆様方にはいろいろかねてより御配慮をいただきまして、衷心から厚くお礼申し上げたいと思います。
 ことに昨年の九月十五日に施行されましたおみやげ品の十反を三反に制限されたことにつきましても、深く産地側としては感謝申し上げている次第であります。
 次に、鹿児島産地と奄美産地の両産地の大島つむぎの概況を御報告申し上げます。
 昭和五十一年度は両産地で九十七万一千九十反でありましたが、五十二年は八十二万六千三百反と約八五%の前年度対比であります。五十三年は七十一万四千三百二十五反、パーセントにしまして七三・五%。したがいまして、二三・六%くらいの減になっております。生産額は両産地で大体四百三十五億円でありましたが、それに対して約七十億円の減産を示しております。
 次に、韓国側の生産数量を明確にして規制措置を強化していただきたい。韓国側業者の組合の発表によりますと、韓国における大島つむぎの生産量は二十万反を下らないということであります。私のところの組合から五十四年の五月に約十三名ばかり韓国に参りましたが、この数字は韓国側の設備規模状況等からしまして大体推定できる数字であると思います。
 次に、二国間の協定の数量の問題でありますが、現在三万六千五百反という数字の協定がありまして、今年度は目下日韓両国の交渉の過程の中にあるかと思いますので、この三万六千五百反の数量をもっと減らしていただきたいと思うのであります。
 次には、特別ビザの発行の実現、特に無表示製品が紛らわしい形で販売され、これによる損害が大きいのでありますが、韓国側は製品区分が判然しないと主張しているが、輸入業者や産地の調査団が、いわゆる締め機によるものとその他の技法によるものとは韓国業者自体が区分しているので、判別できると思うのであります。
 次には伝産法の改正の必要性についてでありますが、前述の状況からしまして韓国つむぎの流入状況は無秩序な状況にあると言えるかと思えます。韓国にある余剰原料を、香港、中国にて製織させ輸入しようとする国内輸入業者の動向がありますし、現にタイ国におきましてはチェンマイつむぎと称するものが、すでに数量はごくわずかでありますけれども生産されているのであります。韓国以外の諸外国で大島つむぎの生産に目を向けており、両産地は従来以上の最悪事態に直面していると思うのであります。したがいまして、単に韓国のみに限らず、近い将来実現する諸外国における大島つむぎ等つむぎ類の製品の輸入を規制するために、また、特に国内輸入業者の自粛と秩序ある輸入を守らせるためにも伝産法の改正はぜひ必要であり、最低の条件としても同法について下記の条項が盛り込まれるよう、伝産法の改正についてもお願い申し上げたいと思います。
 原産国表示を厳守させる。特に特別ビザを付させ、無表示または虚偽表示製品の輸入を禁止する。違反輸入業者に対する処罰規定を設けてもらう。
 最後に特にお願いいたしたいことは、本場大島つむぎの最も特徴とするものは、奄美独特のどろ染め大島にありますが、ところが韓国ではすでに六年前から研究が進められ、六年目にしてようやく製品の完成に達したと発表しております。製品の内容は、原料糸も本場物と何ら変わっていません。植物染料を使用したどろ染め製品である。いわゆるシャリンバイではないが、韓国に豊富にある広葉植物でタンニン酸の含有量の多い植物である。どろは酸化鉄が多い酸性土壌であるが、本土並みに中和させていると言っております。大島つむぎの最後のとりでとするどろ染め大島つむぎまでが生産されることは、さらに脅威と損害を倍加し、特に奄美産地の崩壊につながるものでありまして、大変心配いたしているところであります。
 以上、産地の概況あるいは御要望等申し上げまして私の意見開陳にかえさせていただきます。ありがとうございました。
#4
○中村小委員長 参考人の意見の開陳は終わりました。
#5
○中村小委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎寛治君。
#6
○川崎小委員 中江参考人には御苦労さまでございました。
 いま現地の生々しい実情を御報告いただいたわけでありますが、私は、産地側出身の議員といたしましてまずお礼申し上げたいと思いますが、いま参考人からも申し述べましたように、この流通小委員会が昨年大変精力的に大島つむぎの問題を取り上げていただき、そして大変困難な問題もあったと思いますが、幾つかの点をこの流通小委員会でおまとめいただき、またそれに基づいて通産省を初め政府側が日韓交渉において、先ほど参考人の申し述べたとおりにおみやげの制限また荷姿の改正ということについて努力をされ、それが実現をしましたことは、大島つむぎにとって大変いい影響を与えております。そのことについては厚くお礼を申し上げたいと思います。しかし、なお、いま参考人が申し述べましたように、これから参考人にお尋ねをしてまいりたいと思うのでありますが、今日のビザの特化という点について、政府も第一回の交渉においては報告をしたというふうに聞いておるわけでありますけれども、ビザを特化する以外にもう規制ができないという点について、大変詰めた議論、考え方に立っておられると思うのです。その点をもう一度お述べいただきたいと思います。
#7
○中江参考人 特別ビザをつけてもらいたいということは、御承知のとおり絹製品で韓国から輸入するものの総枠が私の聞いているところでは千三百五十万平米と聞いておりますが、その中で三万六千五百反だけは大島つむぎとして両国間で協定を結んでいる。そういう協定を結ばれた以上は、やはり確かに大島つむぎは三万六千五百反入っているという保証をしてもらわなければ、われわれとしてはいろいろな道を通って入ってくるものがあるということを現実に推察いたしておりますので、そのために特別ビザをつけて、これは大島つむぎであるということをしていただきたい、かように思う次第であります。
#8
○川崎小委員 それでは通産省側にお尋ねをしたいと思いますが、第一回交渉の経過、それから第二回交渉に臨む姿勢というものをお述べいただきたいと思います。
#9
○小林説明員 私、交渉に従事しております審議官の小林でございます。
 先生からいまお尋ねがございましたように、本年度の韓国との絹の交渉は五月の初旬にソウルで行いまして、絹糸、絹織物の全体の問題のほかに、非常に重要な問題としてこの大島つむぎをどうするかという点を両国でディスカスしたわけでございます。御案内のように昨年はこの大島つむぎの問題につきましては、平畳み両端表示という問題を両国間で取り決めをいたしましたほか、これは交渉マターではございませんけれども、みやげ物の制限をいたしたわけでございます。したがいまして、業界から御要望をいただいております別ビザの問題というのは、これは非常に大きな問題として本年の交渉テーマになったわけでございます。私どもは、残った問題として一番大きな問題でございますので、これは強硬に私ども主張いたしまして、二日間討議をいたしたわけでございます。ただ、韓国側はこれに対して非常に強硬でございまして、たとえば技術的にこれはなかなか区分できない。もちろん大島つむぎは締め機でつくるわけですから、そういう点は別にいたしまして、たとえば私ども行く前に業界からいろいろ御意見を承りまして、たとえば大島つむぎの場合は耳が白くなっているという点で区別ができるのではないかというような御意見をいただいて、韓国側にもその点をただしましたところ、韓国側ではわざわざほかのつむぎ類でも耳を白くして出しているものがあるというようなこと等がございまして、なかなか区別ができないというのが非常に大きな韓国側の反論でございました。
 それからもう一つは、韓国側はこの問題について新しいビザ制度を導入するということは、日韓貿易が非常にインバランスになっております現在、一つの新しい規制を導入するということになるのではないかというような反論もいたしておりまして、二日間討議をいたしたわけでございますけれども、結論に達することは残念ながらできないような状況でございました。したがいまして、私ども帰りまして実情を業界の産地の皆様方にお伝えするとともに、今後予定といたしましては大体今月下旬ぐらいに二回目の韓国との交渉を持ちたいと思っておりますが、この問題につきましては先生御指摘のとおり、引き続き非常に大きな問題として誠意をもって努力して交渉に当たりたいというふうに考えております。
#10
○川崎小委員 まず韓国側の挙げております問題点のうちの第一の技術的な点でありますが、日本政府側が韓国のその大島つむぎのビザを別ビザにしてくれという要求を出したということは、技術的に可能かどうかという判断の上に立っていると思うわけですね。それでなければ実現性がないわけですから、その点はいかがですか。
#11
○小林説明員 これは生産方法で申し上げますと、締め機でつくるものでございますので、韓国側においていわゆる大島つむぎ用の設備、つまり締め機の設備ということになると思いますけれども、そういうものがどのくらいあるかということが一つポイントになると思います。
  〔小委員長退席、塚田(庄)小委員長代理着席〕
その点について韓国側の意見をただしたわけでございますけれども、韓国側はなかなかそれに対する調査に協力はいたしてくれません。それで、これはかつていろいろなルートで調べたこともございますけれども、どうもぴんとしたものがございませんので、公式の交渉の際に、次のときまでには資料を出してくれというふうに頼んでおります。
 それから二番目の点は、税関で区別ができるかという点でございます。私どもの感じでは、これはなかなか区別はできないというのが従来の考え方でございます。ただ、先ほど申し上げましたように、業界の方から両端の耳を見ればわかるではないか、こういう御指摘がございまして、これを韓国側に投げつけたわけでございますけれども、韓国側の方は、これは向こうの一つの売るための政策かと存じますけれども、普通のものでもわざわざ耳を白くして出すといったようなこともやっていると言って、いろいろなつむぎ類の見本を交渉のときに持ってまいったわけでございます。したがいまして、韓国側がわざわざそういうことをいたしますと、通関の段階ではこれは区別することはなかなかむずかしいじゃないかという感じをいまのところは持っております。
#12
○川崎小委員 それから、新たな規制の導入だ、こういう言い方を韓国側はしておるというわけでありますが、そのことははからずも三万六千五百反という自主規制という、つまり友好というか信頼というか、そういうものの上にあるべきものなんですから、そうしますと、それを実行する。しかし、その実行することについて、実行されていないということがもう繰り返し指摘をされているし、問題になっている。とするならば、相手側がむしろ積極的にいやその規制については守られておりますということを示すためには、ビザを別にする。いま中江参考人も御指摘のように、絹織物全体の枠というのと、大島つむぎ三万六千五百反というのがその中でさらに別に数量が明示されておるということは、つまり絹織物全体の中で大島つむぎに問題があるからその数量の提示がなされておるわけなんですね。そうしますと、絹織物全体のビザ、その中で三万六千五百反という数字をもう一つ新たに規制の数量として出しておるわけなんです。だからその出しておる数量を、その中でさらにそれを明確に区別をするということは、絹織物全体と大島つむぎという二つの数字をお互いに確認し合うということの意味において、私は新たな規制でも何でもないし、三万六千五百反というものを明確にする、お互いに信頼感を明確にするという意味でのビザの別枠なんでありますから、私は相手側の言い方というのは、これははからずもいろんな形で流入しているということを相手側が認めたことになる、こう思います。その点についてどう考え、第二回交渉にどう臨もうとされるのか改めてお尋ねしたいと思います。
#13
○小林説明員 先生御指摘のとおり、現行協定では絹織物全体の数量、それから大島つむぎの数量、それぞれ規定がございます。したがいまして、先ほど韓国側はこの新しいビザ制度をもしっくるとすればこれは新しい規制であるというふうにも言っておるわけでございますけれども、先生の御指摘のとおり、私どもは韓国側の言い分に同調しているわけでございません。私どもといたしましては、先生がおっしゃいましたように、協定としては現に存しておりますので、これをお互いの信頼関係で守っていくというのが国際的な取り決めの精神でございますので、もう決まっていることの実行の問題ということで私どもは問題を提起しておるわけでございます。ところが、韓国側は、理屈があるかないかということは別問題でございまして、私どもは韓国側の言い分というのは筋が通らないという感じはしておりますけれども、ただ事実問題としてそういう主張を執拗に繰り返しておりまして、最終的には日本側がこれをあくまでも固執するということになると、絹全体の協定というものはことしは成立しませんよ、これはおどしかもしれませんけれども、そういうことを言っておりますというのが、当否は別として実情でございます。私どもといたしましては、筋といたしましては先生がおっしゃったように、これはあくまでもいままでの規制を何かの形で担保するためのものでございますので、当初方針どおり粘り強く交渉を続けたい、こういうふうに考えております。
#14
○川崎小委員 これは何も特別に無理を言っているわけじゃないのですから、二つの数字があるということを明確にするという意味での実行の問題だと思いますから、あくまでもひとつ貫いてほしい、こう思います。
 なお、先ほども中江参考人からお示しになられましたように、生産実態というものの把握、これはお互いの数量を議論し合う基礎になるわけですから、その数字を日本政府側が明確に把握をして、そしてその数字の上に基づいて相手側と交渉をするということでなければ日本側の主張にも力がない、こういうことになろうかと思います。これはもう繰り返しのことでありますので、私は何万反と向こうが言っているとか業者側がどう言っているとかということは申し上げませんけれども、日本政府として、これは昨年来私も繰り返し御要望いたしてまいっておるところでございますので、その生産実態をどう把握をし交渉を進めようとしておられるか、その基礎の数字をお示しいただきたいと思います。
#15
○小林説明員 生産実態の把握というのは、これは非常に重要な問題でございまして、従来からいろんなルートを通じまして韓国側にも要請しておるところでございますが、現在までのところ、韓国側といたしましては統計が非常に不備である。それから信頼の置ける調査機関がないというようなことで実態が明らかになっておりません。したがいまして、本年度、五十四年度の協議の際には、韓国側には公式に統計資料の提出を席上求めたわけでございますけれども、韓国側としてはそのときには会議の間じゅうはまだ間に合わないということで、次回までにこの資料を出したいということを言っておりまして、次回の会議のときに韓国側から提出された資料に基づいて、再度この問題について韓国側と話し合いをしたいというふうに考えております。
#16
○川崎小委員 時間が来ましたので終わります。
#17
○塚田(庄)小委員長代理 宮井泰良君。
#18
○宮井小委員 私は、ただいまもお話がございましたが、まず最初に通産省にお聞きいたしますが、韓国における大島つむぎとつむぎ類の生産実態についての資料を、政府は去る五月の日韓生糸絹製品の第一回協議会の席上で韓国側に求めたわけでございますが、その資料は参ったのか、その状況をただいまもお話がございましたが、重ねてお伺いいたしたいと思います。
#19
○小林説明員 先ほど申しましたように、本年度の五月の第一回協議の際に資料要求はいたしました。ただ、その当方の要求いたした資料は参っておりません。したがいまして、これは次回の協議に間に合うように韓国側の方から出させまして、それでそれに基づいて討議を進めたい、こういうふうに考えております。
#20
○宮井小委員 そこで中江参考人にお伺いいたしますが、ただいまもお話がございましたように、韓国におきまする大島つむぎとつむぎ類製品の生産実態の数量等につきましては、韓国側の統計上の不備や信頼できる調査機関がないというようなことでただいまも通産省のお話があったわけでございますが、この点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#21
○中江参考人 ただいまの御質問にお答え申し上げます。
 二年ばかり前に、私の方から二回にわたって韓国つむぎを調査に参りましたが、そのときの状況から見ますと約一万七千台の織機がある。これを計算してみますと、やはり三十五、六万反から四十万反ぐらいできるのじゃないか。その中で韓国の輸出組合の尹という専務理事の発言だそうでありますが、その六割方は大体大島つむぎであるということを言っておりますので、私たちは公的機関でありませんので細かい数字は調査できませんけれども、向こうの業界の代表の発表を信頼すれば、六割と申しますと約二十数万反になるかと思います。これらのものは日本人しか着ませんので、これは日本にしか輸出しないものであるということを考えてみますと、三万六千五百反どころでなくて、それの数倍するものが輸入されておる。したがいまして、どうしても先ほど申し上げました三万六千五百反の数字の保証ということをしてもらわないと、本当に申し上げますと、三万六千五百反ぐらいの輸入であったら私たちは余り気にしないのであります。両産地で今日四十七万反くらいできておりますが、それに対して半分以上のものが入ってくるということになりますと、産地にとりましては一大脅威であると思いますので、この点をよろしくお願いを申し上げたいと思います。
#22
○宮井小委員 よくわかりました。
 そこでさらに中江参考人にお伺いしますが、韓国から輸入される大島つむぎ類製品の中には、原産地表示されたもの、または国内産地の表示と紛らわしい表示を付したものが輸入されております。そこで原産国表示の厳守措置や原産地の表示に関する規制措置を盛り込むためには、先ほどもるるお話がございましたが、伝統的工芸品産業の振興に関する法律、いわゆる伝産法を改正する以外にないのか。たとえば不当景品類及び不当表示防止法では困難であるのか、この点をお聞きいたしたいと思います。
#23
○中江参考人 伝統的工芸品産業振興法はやはり日本の古来の伝統である産業を保護育成するという趣旨のもとにできたものと解しておりますが、これが後進国や第三国からの膨大な輸入によってその盛衰を左右されるようなことになったのでは、われわれとしてはたまったものではない。ことに奄美大島あたりでは大島つむぎと砂糖が生命産業でありますけれども、この中で大島つむぎの占める地位はサトウキビの二倍半から三倍くらいの生産額を示しております。これが打撃を受けるということになりますと十六万近くの郡民の生活、生命が絶たれる、かように思いますので、伝産法の趣旨を生かす点から申し上げますと、やはり伝統的産業が危殆に瀕する場合は何らかの規制措置を講じてもらう必要が大いにあると思います。ただ、いまのお話で、公取の不当景品表示法で取り締まりはできないか。もちろんこの法律も適用できると思いますけれども、これは個々の具体的な問題が出てこないと公取委員会は発動しないと私は思いますので、それよりか根本的な伝統産業を守るための法律がある以上、この法律の中に何らかの規制措置を講じていただけたらこれ以上のことはない、かように思うわけであります。
#24
○宮井小委員 よくわかりました。
 最後に通産省にお伺いしますが、韓国の大島つむぎ等つむぎ類産業は、労働者不足等によりましてコスト高を来しており、韓国つむぎを扱う国内輸入業者間では韓国つむぎ取り扱いのメリットがないことから、今後香港、中国進出を企図していると聞いておるわけでございますが、その防止規制措置についてどのような対策をお考えになっておるか、お伺いをいたします。
    〔塚田(庄)小委員長代理退席、小委員長着
    席〕
#25
○小林説明員 先生御指摘のとおり、韓国以外におきまして、たとえば中国等から大島つむぎをつくって輸入しようというような動きがあるという情報は私ども再々聞いております。それで、私どもこれは重要な問題でございますのでいろいろ確かめておりますけれども、現在までのところそういう動きが具体化したという話はまだ聞いておりません。それから、一部、たとえばタイのチェンマイ等からつむぎ類が輸入されているというお話もございまして、これは私どももチェックをいたしました。わずかな数量でございますけれどもこれは確かに輸入はされておりますけれども、これは大島つむぎではなくて、どちらかと言うと十日町つむぎ類似のもののようでございます。一般的に申しまして、大島つむぎは先生お話がございましたように伝産品に指定されているというふうに、高度の技術を使うものでございますので、そう簡単には、全く生産のない地域でこれをまねして生産を始めるということはむずかしいかと存じますけれども、これは業界としても非常に関心を持っておられる問題でもございますし、通産省としても伝産品を守るという立場から、引き続き十分これを注意をしてウォッチしてまいりたいというふうに考えております。
#26
○宮井小委員 終わります。
#27
○中村小委員長 次に宮田早苗君。
#28
○宮田小委員 昨年三月でございましたか、小委員会を開催したときに中江参考人がお見えになりましていろいろ御意見を聞かしていただいたいきさつがございますが、そのときに、通産省側にお問いするわけでございますが、韓国の織機数が大体一万四千程度じゃないか、実働が一万二千台という説明があったと聞いております。さっきも宮井先生おっしゃいましたように、あれから韓国も相当に経済情勢が変化をしてきておる、言うならば工業化でございますが、極端に労働力の不足を来しておると聞いておるわけでございますが、韓国のことでございますから通産省としてもなかなか掌握しにくい面もございましょうけれども、今日どの程度の織機が動いておるものか、もし掌握されておりましたらお知らせ願いたい、こう思います。
#29
○小林説明員 先ほど申し上げましたように、私どもいろいろのルートを使って調べたところによりますと、たとえば韓国での全部の織機の数、それからつむぎ類全体としてどのくらいの生産なり能力があるかということは、大体数字を承知いたしております。ところが、その中で一体大島つむぎがどのくらいの生産であり能力であるかという問題につきましては、先ほどお答え申し上げましたようにこれは公式のデータがございません。私どもとしてもいろいろなルートを使いまして鋭意調べておりますけれども、発表した統計がございませんので、韓国側の政府の協力を得て、韓国側から公式の数字をもらう以外に方法はないわけでございまして、したがいまして先ほど申し上げましたように、先般の交渉において次回の交渉までに数字を出してくれというふうに頼んであるということでございます。
#30
○宮田小委員 ただいまの質問にお答えの説明を聞いておりますと、区分がなかなかしにくいということなんでございます。ところが、中江参考人にお聞きしますけれども、あなたの方は、何としてもつむぎということで一括入ってくるものですから、入ってきたその品種の見分けというものがむずかしい、そこで区分をしろ、こうおっしゃるわけなんですが、担当されております、実際の取り扱いをされますあなたとして、区分の仕方、何かありましたらちょっとおっしゃってくださいませんか。
#31
○中江参考人 先ほど来いろいろ御意見がありますとおりなかなか区分はむずかしいかと思います。問題は、締め機でかすりを出したものが大島つむぎと私たちは見ておるわけです。耳に白い点々ができるのがその特色でありますけれども、ただいま通産省の方のお話では、韓国側は大島つむぎ以外のものについてもそういう耳に白いのが出るのがある、こういう話でありまして、具体的にはなかなかむずかしい問題でありますけれども、向こうの手織り織機を調べて、いわゆる締め機によって原料をつくったものを調べてもらったら生産数量はどれだけあるということはおわかりになるのじゃないか、かように思います。
#32
○宮田小委員 結局、取り決めております内容と、実際につむぎ全体として入ってきております数量とを比較してみますと、相当に開きがあるものですから、その中に十日町つむぎとか村山大島つむぎとか結城つむぎとかというものが含まれておるわけでしょう。これらを全部総合いたしましても向こうから入ってきます数量と、これは綿密に計算はできませんけれども、どうも取り決めた数量との差というものが余りにも大き過ぎるのじゃないかというふうに私は感じるわけなんでございますけれども、まずその辺を参考人、同時に通産省の方のお答えを願いたいと思います。実際に協定した以上の数量が入ってきておるんじゃないかというふうに私ども見るわけなんです。そういう点についてどうですか。
#33
○小林説明員 従来からそういうお話はわれわれも承っておったわけでございますけれども、実際に入ってきておるものの中でどれくらいが大島つむぎで、そうじゃないものがどのくらいかということは、必ずしもこれは明確ではございません。先ほど申し上げましたように、韓国では大島つむぎが非常に高く売れるわけでございますので、ほかで締め機以外でつくったものでも大島つむぎ風に、たとえば地を白くするという問題もそういうことじゃないかと思いますけれども、そういうふうにして出しているようでございまして、したがいまして実際にどれだけがつむぎとして入ってきておるか、トータルの数字はわかりますけれども、大島つむぎがどれだけあるかということは通関時においても明らかでないわけでございまして、したがいまして私どもの方でも確実な数量というものはまだ把握いたしておらないわけでございます。
#34
○宮田小委員 韓国からつむぎという形で全部入ってきますね。その中で大島つむぎが幾ら、あるいは村山大島つむぎが幾ら、あるいはまた十日町つむぎが幾ら、そういう仕分けができるのですか。韓国から入ってきますつむぎ類の中で、産地産地の仕分けがそれぞれどの程度かということが、中江参考人の方でおわかりになるかどうかということを聞いておるのです。
#35
○中江参考人 それはわかりません。
#36
○宮田小委員 最後にお聞きしますが、五十二年では二千六百の業者で、家族の方も全部働いておられますので八万人の方がこれにかかっておいでになるということなんですが、今日ではどの程度の人がそれにかかっておいでになるのですか。
#37
○中江参考人 奄美大島について申し上げますと、人口が十五万何千人でありますけれども、実際につむぎを生産し、その生産によって関連している者あるいはその子供たちの数を考えますと、約半数以上、七万から八万近くの人々がつむぎによって生活していると言えると思います。
#38
○宮田小委員 終わります。
#39
○中村小委員長 荒木宏君。
#40
○荒木小委員 通産省にお尋ねしますが、自主規制という形ではありますけれども一応協定ができているわけですね。韓国側の方では、その大島つむぎ三万六千五百反ですか、それを履行するということを確認する方法はどういうふうにしてやっているか、政府は交渉の中でどう伺っておられますか。
#41
○村田説明員 韓国側は三万六千五百反につきまして、毎月私どもの方にどれだけ出したという報告をよこしておるわけでございますが、その根拠といたしましては、韓国側は業者の申告を信頼している、こういうふうに申しております。
#42
○荒木小委員 そうすると日本政府の方では、たしか去年の四月の国会でしたか、金額をガイドラインにして百四十米ドルでしたか、これを一応の目安にしているということですから、日本政府としてはその大島つむぎに関する自主規制協定の中で決められた規制対象ですね、これはどういうふうに考えているのですか。技術的な点での区別を目安にしているのか、あるいは金額的な点のメルクマールを区別の目安にしているのか、その点はどうですか。
#43
○村田説明員 私ども、基本的には伝産法の規定にありますように、締め機でつくられたものというふうに大島つむぎを理解いたしております。ただ、向こうでつくられたものでございますから製造工程を見ておりませんので、国内でこれをチェックすることは非常にむずかしい。それからでき上がったものを見ましても、先ほどから私どもお答えいたしておりますように、でき上がったもので区別することは現時点ではなかなかむずかしいのじゃないか。そういうふうなことで、一つの目安といたしまして通関のインボイス価格、輸入価格を基準にフォローをしておったことがございます。昨年の例によりますれば、先ほど先生から御指摘のように、一反百四十ドルというものを昨年のある時点で一つの目安としてフォローしておったことは事実でございます。
#44
○荒木小委員 自主規制という形にしろ、一応協定ができておるわけですね。協定ができておるとすると、二国間だから二つの当事者があるわけでしょう。相手方当事者の方では申告によっているからその確認の方法はない、当方では相手の国内事情に関することだからわからない、こういうことですね。ですから規制対象としての概念では、締め機による大島つむぎだということで生産手段なりあるいは生産の技術的方法なりで一致があっても、確認の方法が現実にないわけですね。すると、その協定が実際に履行されているかどうかは確認することが非常に困難だ。これは従来の論議で明らかだし、皆さんもお認めのとおりだと思うのです。だとすると、国内的な行政上の一つの方法ではあるにしても、価格というのはこれは共通ですから、貨幣換算すれば共通の物差しになり得るわけですから、その百四十米ドルというものが妥当であるかどうか、昨年四月の国会で論議がありまして、これは検討するという約束を当時の河本通産大臣からいただいておったはずなんです。御承知と思います。そういう点について検討の経過はどうなったのですか。また、そういうことを物差しにして、そのときの論議では、たとえば百ドルというのに枠を広げてはどうか、こういう提案もありまして検討の返事もいただいておるのですが、業界の方々の意見も聞いて実情にマッチする、共通する、実効性のある物差しをわが方としては考えるべきではないかということなんですが、どうですか。
#45
○小林説明員 去年の国会で価格を決めましてそれでフォローしている、その価格は大体百四十ドルであるということを申し上げたわけであります。その後は、この百四十ドルに相当するものがどのくらいかということは、私ども一応の試算はあるわけでございますけれども、去年からことしにかけまして韓国側が労賃が非常に高騰いたしまして、それから逆に円相場が最近下がっておりまして、大体百四十ドルというのを理想とするものが、現在二百ドル程度ではないかと現在のところ考えておるわけでございますが、ただ、この価格を目安としてフォローするとかあるいはチェックするというようなことはどうかということは、確かに先生のおっしゃるように一つの考え方でございますけれども、私どもの方としては、それによって決めていいものかどうかという判断は、まだもう少し諸般の情勢を見て慎重にすべきではないかというように考えておるわけです。
#46
○荒木小委員 ただ、実際問題としていま有効な手法がないわけでしょう。しかも、国内事情だけでなくて国際的な、相手の国のこともあるわけですからね。ですから、仮に本来の生産技術による方法を追求し努力するとしても、めどがないわけでしょう。産地の実情からいったらエンドレスな検討をいつまでも待つわけにいかぬですね。だとすれば、国内的な一つの手だてにすぎないかもしれませんが、現にそれをやっており、国会でも答弁をし、検討すると言ってもうすでに一年を超えているわけです。早急にその点の、業界も含めてわれわれの納得のいく結論を国会に報告していただきたい、この約束をしていただいて、質問を終わりたいと思います。
#47
○小林説明員 大島つむぎとそれ以外のものをどういうふうにして区別するか、したがいましてそれが別ビザ等の問題にも波及してくるわけでございますけれども、先生がいまおっしゃいました価格による区分というのも確かに一つのやり方でございます。けれども、ほかの問題もあわせまして、今度今月の下旬に韓国と交渉をやる際には、一つの考え方を持って韓国側と交渉に臨みたい、こういうふうに思っております。
#48
○中村小委員長 それでは、開会前の申し合わせによりまして、これより懇談に入ります。
    〔午前十時五十一分懇談に入る〕
    〔午前十一時六分懇談を終わる〕
#49
○中村小委員長 これにて懇談は終わりました。
 以上で中江参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
    ―――――――――――――
#50
○中村小委員長 次に、金の取引に関する問題について、参考人として全国商品取引所連合会会長坪野光男君、全国商品取引員協会連合会顧問清水正紀君、貴金属地金協会会長田中淳一郎君、以上三人の方に御出席を願っております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
 参考人各位には、御多用中のところ本小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 参考人各位には、本問題についてそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。
 なお、議事の順序でございますが、最初に御意見をそれぞれ十分程度取りまとめてお述べいただき、次に小委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、発言の際は小委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は小委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知をお願いいたします。
 それでは、まず坪野参考人にお願いいたします。
#51
○坪野参考人 詳しいことについては私わかりませんが、最近、金が自由取引になって以来、金取引市場と称して何か余り芳しくない取引方法をやっておるように聞き及んでおります。そういうことについては、私は余り感心しないことであると考えております。と同時に、金は自由取引になったのでありますから、自由取引できるのが当然であろうと思います。
 そこで、どういうふうにしてやるかという問題でございますが、従来からの貴金属商というようなものもあるように聞いておりますが、それが独占的にいまごろやっておいでになる、こういうようにも聞き及んでおります。これも余り感心した行為ではないと思います。
 そこで、私、商品取引所連合会の会長でありますが、現在の取引所に金を上場したらいかがという話が持ち上がっております。持ち上がっておりますが、いますぐにこれをするというのはなかなか問題もあろうかと思いますので、私は、これを取引所に上場するにいたしましても、現在の取引所関係者あるいは従来の貴金属商、貴金属の関係者あるいはその他学識経験者等によって何か研究会のようなものをつくって、そうして金の上場に向かって進むようにしてもらいたい、このように商品取引所連合会の会長として考えます。
 それにはいろいろございましょうが、外国の例を聞き及んでおりましても、金はロンドンあるいはニューヨーク等においてできておるように聞いておりますが、日本も経済大国の一員となったのでありますから、金の売買もやはり自由にできるようにするのがいいのじゃないかと思います。それにはどうするかということでありますが、これは先ほど申し上げましたように、大いに研究する必要もあろうかと思います。まあ貴金属商の方々から言わしむれば、自分たちがやっておるんだからそれでいいんじゃないかというお考えがあるかもわかりませんけれども、それだけでは偏るようにも思いますので、みんなが研究して、よりよい金の取引ができるようにしてもらいたい、かように考えるのであります。
 それにはどうするかということですが、これはやはり取引所というものをつくって、これに対して別にりっぱな資格条件を備えた人の取引員を求めまして、金のみならずほかの金属、金、銀、銅等を上場するりっぱな取引所をひとつつくっていくように政府の方で考えていただけたら幸いかと存じます。
 以上、申し上げます。
#52
○中村小委員長 次に、清水参考人にお願いいたします。
#53
○清水参考人 それでは、一言申し上げます。
 私は、商品取引所の中で商いをいたします取引員、その業者の方の立場でございまして、その連合会の会長を昨年の十一月までやっておりました。その昨年の九月に、実は役所である通商産業省、農林水産省の方から声がかりまして、金のブラックマーケットについて調査せいという御指令がありました。その当時、ブラックマーケットは一体幾つあるんだというような実態調査をやりました。当時、十七市場が全国にございました。金の扱い業者といういわゆるやみブローカーは百四の会社を形成して商いをしておりました。その従業員の総数はわかりませんけれども、当業界から流出したと思われる、いままで私どもの業界の外務員として登録された、あるいは役員としてその名簿に載っておったという名前が二百名この業界に流出しておったわけでございます。
 それで、こういうところでいわゆる取引所まがいのことをやっておりまして、現に私ども、古い法律で訓練を受けました、明治二十六年の取引所法、現在の証券市場である株式市場と商品の市場を一律に律しておりました法律によりますと、当然これらは警察の手でも淘汰されなければならないということでございます。たしか昭和七年か八年かに兜町の隣の坂本町という町で、取引所に上場してない株の売買をするブローカーたちが集まったことがありましたけれども、一網打尽に検挙されたことがございます。そういうことから言うと、いまの行政は非常に甘いということが言えるんじゃないかと思うのです。
 それはまずここにおきまして、商品取引所というのは一体どういうことだ。これは委員諸公並びに国会の先生方に申し上げることは釈迦に説法ですけれども、価格形成、値段をつけるということが第一義でございます。値段をつけるということは非常に重要なことでございますが、その次に商品の流通を円滑にするとか保険つなぎのヘッジの場を提供する、あるいは平準化作用をするという幾多の役柄、取引所の存在意義がございますけれども、いわゆる無秩序な投機等の発生を防ぎ、取引所という場内に入れて規制して、規則正しい取引をさせるという義務が取引所にはあろうかと思います。
 まず価格形成でありますけれども、もしも世の中に通貨なかりせば、金がなかったら一体どういうことになるだろうか。物々交換になるだろうと思うのです。そういった場合、まず古代のことを思いますと、金を袋に入れて、そして目方をはかって、これで物をあがないたい、あるいはお米を升ではかってこれで品物を買いたい、北海道の人なら豆を持ってきて物を買いたいと言うでしょうし、横浜や群馬の人なら繭か生糸で物を買いたい。いわゆる通貨に準ずるような物資、第一次産品と申しましょうか、そういうような物の中で規格均等の、価格の格づけのしやすい物が上場商品にいまなっておりますが、じゃこれらのものは通貨があるとすれば幾らの物と取りかえるのが正しい交換の率なのか、これを毎日値洗いするのがつまり商品取引所の価格形成であります。だから、金も商品取引所に上場して価格形成を行わなければならない、こう私は思います。と申しますのは、たとえば現在為替のドルが上がったとか円が安いとか円が高いとかと言っておりますけれども、これは海外為替市場ですが、商品取引所の価格というものは、物々交換をしたとする過程においては国内の為替市場とも言えるわけです、いわゆるこの物資は幾らに通用するんだということを値洗いするわけですから。そういった場合、仮にロンドンでも対日為替をやっている。ニューヨークでも円とドルとは幾らで交換をするかという率を出している。それをただに写真に写し、これを換算しただけで日本で価格形成をしなかったらば、これは非常にまずいと私は思うのです。これでは経済大国だということは言えないと思うのです。経済衛星国、経済属国、こういうことになってしまうのじゃないかと思うのです。やはりその国の通貨あるいはその発行高、その金利、外貨の保有高、産業の趨勢等によって価格形成というのはおのずから違うわけです。ですからドルと円をかえるにしても、ニューヨークの相場が二百十五円だったら、では今度は日本の翌朝の相場が必ず二百十五円かというと、二百十六円の場合もあれば二百十三円の場合もあるというように、これはおのずから違ってあたりまえなんです。それが金の場合はロンドンのものをそのまま換算して、それで経済大国と言えるかどうか。実物市場が必要だというようなことを役所の方では言っているようでありますけれども、実物市場で果たして公正な価格というものを打ち出せるかどうか。価格形成が公正だというのは国民投票のような場においてできるとアメリカでは言っているわけです。アメリカの国民投票は大統領選挙によって代表されますけれども、その大統領選挙の日に、日曜だから自分は彼女とデートだ、とても選挙には行っていられないということで仮に棄権したとしましても、翌日カーターという大統領が決まったら、それはおれの選挙しない者を認めないというわけにはいかないので、この場合をアメリカでは不参加という立場で参加した、こう言っているわけです。それはどなたにも対等の立場で介入してよろしいという機会を与えているからです。ですから、そういう機会を与える場を金の市場に欲しいと私は思うのであります。
 ブラックマーケットをばっこさせるということは困ったことだということで、さきのさきの通産大臣である中曽根さんにもさきの大臣の河本さんにも直に私は二時間も会って長々とお話を申し上げ、わかったというお答えはいただいておりますけれども、いまだに上場にならない。これは一体どこで煙のように消えていくのか、こういうふうになるわけですが、私は、政令の中にこの金を載せる、これは上場する物資だということを役所が決めてくだされば、私ども商品取引員のいまの体制のままでは、おまえら行儀が悪いからおまえらにはやれないということであれば、それはそれでよろしいと思うのです。ブラックマーケットはこれで退治できると思うのです。そして、やがて世の中がよくなってから、隣におわします金の地金の売買をしている方とか、私どものうちでもこれはおまえなら大丈夫だというような、資格を審査していただいて、それらの者たちによって、あるいはいまのブラックマーケットの中にも骨のある人あるいは資産のある人、信用のある人もあるかもわかりません、そういう人の中から選んで、やはり自由化したのですから、徳川時代からおれたちは三百年間金をいじっているのだからおれたちの権益だということはもう解体されたと思うのです。自由化のその日から私どもも参画できる市場である、こういうふうに確信いたしますので、諸先生方にはどうぞひとつ目を大きく開いて、金の市場開設への道を開いていただきたい、このように思います。よろしく。
#54
○中村小委員長 次に、田中参考人にお願いいたします。
#55
○田中参考人 私、貴金属地金協会の会長の田中淳一郎でございます。
 御趣旨の問題につきまして、私ども貴金属地金協会として御理解を願いたいという点を書類にまとめてまいりましたので、時間の節約という意味で初めにこれを読ましていただきたいということでございます。
 現状認識という問題から入るわけでございますけれども、まず第一に金に対する国民の関心、これを考えてみる必要があるであろう。
 最近、わが国においても国民が金を資産として購入する傾向が強まってまいりました。昨年は暦年で三十二トンの金が退蔵用金塊として購入されております。アメリカ合衆国においては同年に金塊九十三トンが同じ目的で購入されております。別表第一参照。ただ、アメリカがわが国の二倍の人口を有しており、一昨年一八%、昨年三一%とかなりの年間値上がり率を示したのに対し、わが国の場合、一昨年約七%、昨年〇・一%とほとんど値上がりをしていない状況下で、これは御承知のとおり為替の関係でございます。円が非常に強かったということです。こういう状況下での退蔵用金塊の購入であり、相当の量であると言えましょう。
 アメリカ合衆国の場合、このほか大衆投資家向けとしてクルガーランド金貨、このクルガーランド金貨というのは、南アフリカの産金鉱山が直接金を南アフリカの中央銀行に提供して、中央銀行がつくって全世界に販売をしているという特異な金貨でございます。クルガーランド金貨が流通しており、昨年の需要は百十六トンでした。別表二参照。クルガーランド金貨は、通貨と同じように高度な加工を施してありますので偽造品がつくりにくく、だれでも取り扱いやすく、大衆投資用に適しておりますが、日本ではこうした高度の加工を施すと物品税がかかるため、投資家に敬遠されほとんど出回っておりません。
 投機の危険性。
 こうした状況を踏まえて民間の金の退蔵を促進することは、国家的な利益であるとの意見もありますが、これは非常な危険を伴います。過去十年間、供給量に対する金の個人退蔵量の割合は確実に金の価格に影響を与えてまいりました。昨年の日本の退蔵量が三十二トンであるのに対して、全世界のそれは、クルガーランド金貨を含めてもわずか五百トン弱です。別表三参照。これは現在の国際経済の中で金の市場がいかに底の浅い市場であるかを物語っております。
 すなわち、日本の家庭で一世帯二万円、約十グラムの金を購入することは、南アフリカの年間生産量の半分を買い占める結果となります。
 もし全世界の年間供給量を全量現在価格で買い占めても、この内容は、財務省、IMF、ソ連、ポルトガル、インドの放出する金全部を含めて、全量現在価格で買い占めても三兆五千億円にすぎません。
 米国の財務省の払い下げを担当しているクーパー経済担当次官が、金は価格変動が激しく資産としては危険であると警告しておりますが、無計画に退蔵目的の購入が加速され、金が過大評価された場合、この警告は現実のものとなる危険性が存在しております。そして、金の退蔵を民間に依存し、こうした事態が生じた場合、被害をこうむるのが国民大衆となることは明らかです。したがって民間の保有は自然な形で徐々に進むのが望ましいと考えます。
 金の購入動機。
 昨年の金に対する購入動機は、(1)年初は、デノミ問題の発生によって金の購入が増加し、(2)そして、昨年末にかけては、円安とインフレ懸念によって金が買われました。これは、過去四年間低迷を続けてきた金価格を背景とすると、かなり強い動機づけでありました。国民大衆は、天下国家のために金を買うわけではありません。あくまで個人財産の保全が目的です。
 今後、金の購入を動機づける要因として考えられるのは、(1)年間インフレ率が一〇%を超える徴候があらわれたり、(2)円が確実に円安に向かう徴候があらわれたり、(3)世界相場が傾向的に相当の幅で上昇し続けるときと考えられます。いずれも、国家利益とは相反する結果となるのは、本質的に通貨より金を信用するときに金が売れる。金そのものの本質からいって当然と言えると思います。
 金の販売窓口。
 金の販売窓口は、デパート、貴金属店等全国二十万以上の人口の都市にはほとんど存在しております。しかし、金は配当も利子もつかない、値上がりだけを期待する商品であります。したがって、アメリカのように過去十年間、年率二〇%の値上がりを続けるのならともかく、過去五年間ほとんど値が動かなかったわが国では、金の私的保有が進まなかったのは当然のことであります。当然のことではありますが、金が本質的に大衆に利益をもたらす状況になったとしたら、現在のデパート、販売店が昨年の実績をはるかに上回る力を発揮することは明らかであります。
 取引所の設置。
 取引所の設置の問題については、御要請があれば別途詳細な意見書を提出いたす所存でございます。これはもうできておりますので、いつでも御提出できますが、いま結論だけを申し上げるならば、
 (1)先物取引は、現物を大量に所持する業者、購入する業者のヘッジのために必要なものであり、その観点からすれば業界としては必要ないと考えます。
 (2)仮に単なる空買い空売りの取引としての先物取引を行うとすれば、国民大衆に投機による損害を与えるだけの結果に終わると考えます。
 (3)現物取引所が円滑に運営できるためには、需要に見合った供給と、供給に見合った需要とが確保されることが必要です。
 わが国の現状では、国内退蔵金の量はわずかであるため、需給の調整機能を果たし得ず、また日本銀行の保有金による調整も、現在のところ期待できません。したがって需要と供給のバランスは、海外の市場や海外のディーラーに依存せざるを得ないこととなります。このため、たとえ国内に東京市場を設けたとしても、国内の業者は東京市場に依存するよりは海外の市場に依存する方がはるかに有利となり、結果的に東京市場の機能は停止いたします。したがってわれわれは時期尚早と判断いたします。
 金取引事故の防止。
 最後に金取引事故の防止に対する意見としては、
 (1)金に関する知識の普及、これは今後とも私どもも努力してまいる所存であります。
 (2)また、現物の流通機構が整備されることが重要と考えますので、われわれとしても販売方法、販売網等の充実に努めたいと考えております。
 (3)そして、現実に金を持っていないで、勝手な数字をつけて、ありもしない売買取引を行っていると考えられる悪質業者に対しては、事実をお調べの上、刑法の詐欺、背任横領等により、しかるべく御処断くださるよう希望する次第でございます。
 以上貴金属地金協会の意見を申し述べさせていただきました。
 以上でございます。
#56
○中村小委員長 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#57
○中村小委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田口一男君
#58
○田口小委員 大変御苦労さんでございます。坪野参考人にちょっとお伺いしたいんですが、確かにいま金が自由化になっていろんな問題が起きておるということは承知をいたしております。そうしますと、ただ単に法律で、いま六つか七つ、上場品目を規定しておりますね。商品取引所で扱う品物としては、政令で豆類、でん粉などの農産物、ゴム、それから繭糸、砂糖、綿糸、それから毛糸、ステープルファイバー糸、こういうふうに七つの品目が指定をされておるのです。法律技術的にいうと、第八としてここに金というふうに入れれば、商品取引所に上場されていれば簡単なことだと思うのですけれども商品指定七項目あるのですが、なぜ金を八番目の品目としてやるのがむずかしいのか。それは自由化になってからまだ期間が若干しか経てないからむずかしいというのか、田中参考人のお話のようにいろいろな理由があって反対意見もあるからむずかしいのか、その辺のお考えをもう少し詳しくお聞かせいただきたいと思います。
#59
○坪野参考人 政令が改正になりまして、取引所に上場でき得る商品については政令でできるということになっておるように承知いたしております。
 そこで、現在は、私の記憶するところでは、鉱業製品といいますか、金属製品については政令に載っておらないように思うのでございます。それで、それを政令ででき得るように改正といいますか、政令に加えていただきたい、かように考えるのであります。これは、先ほどからほかの参考人からもお話がありましたけれども、金はロンドンなりニューヨークなりでできておりますので、それがもし上場して危険であるというならばそこのところがよっぽど危険であろうと思うのであります。
 そこで、日本のように経済大国の一員となった場合に、日本には金属取引はございませんので、ひとつ金属取引所というものをつくってみたら、みたらというのはおかしいのですが、つくってもらったら、こういうものは先ほどからほかの参考人がおっしゃったような危険性はそうないと思うのです。現在聞いておりますいわゆるブラックマーケットといいますか、そういうのはやり方がどうも感心しないというふうに聞いておりますので、本当に正式に上場されるということになれば、そういうことも取引所法によって取り締まることもできるのだというふうに私は考えております。でありますので、きょうあすですぐにこれを上場しようということではなしに、先ほども申し上げましたように大いに研究いたしまして、うまくスムーズに物事がいくようにしていきたい、かように私は考えております。
#60
○田口小委員 じゃもう一度、これから申し上げることに坪野さんと田中さん簡単にお答えをいただきたいのです。そしてそれに対して、審判役じゃありませんけれども、通産の方のお考えを承りたいと思うのであります。
 こういう例があるのです。これは金ではありませんけれども、ダイヤモンドです。実はつい最近の話で、きょう急に質問させてもらったのですけれども、最近OLといいますか、娘さんが、財産保全、財産をふやしていく一つとしてダイヤモンドの指輸なんかを買います。これは、私どもちょっと遠い話かなと思ったら身近にあるのですね。そこで、ある有名百貨店のチラシ、きょう持ってきませんでしたけれども、チラシに市価で五十万のものを二十何万で売ります。それからこれはダイヤモンドの表示で何とかあるそうですが、私は聞いたら、これはごまかされたと言ったのですけれども、ABCDのI、ところが数字でいくとこれはファーストクラスですね。一本ですから。Iですから。ところがダイヤモンドでは最低の表示なんだそうです。それにまんまとひっかかって、五十万の値打ちだと思って二十万払った。それで、ことしボーナスをもらったついでに、五十万あるからそれを下取りに出して、プラス三十万か五十万で百万ぐらいの値打ちのあるダイヤモンドを買おうと思って貴金属屋に行ったというのですね。そうしたら、何ですか、こんなものはただの石ころよりちょっと値打ちがあるというくらいのものですよ、十万もありません。消費者の方では、五十万の値打ちがある、だから五十万の下取りでことしは百万のものを買うのだと思ったら、十万の値打ちもないというのです。かっかして、何とかなりませんかという話だったのです。そこで貴金属、時計屋さんに聞いたら、いやこれは全国で方々でそういう手合いがありますというのですね。ある一カ所の有名百貨店で売った、そしてもうそれだけ売って次はどこかへ行ってしまう、それにひっかかったのでしょう、私どもも憤慨していますという話なんです。
 そこで坪野さんか田中さんにお答えをいただきたいのですが、金を財産保全という意味合いで買う人がまだまだ多いでしょう。さっき本を見ましたが、九九・九%ですか、ほぼ純度一〇〇%に近いものだという。だから下取りに出したら、いま言った例で、次々と財産がふやされていくという期待に対して、取引所で扱うようになればそれが保証されるのか。いま田中さんがおっしゃったような御主張でいくと、やはり財産保全ならば自由に任した方がいいのか。ちょっと判断に困るのですけれども、その端的なお答えと、それを監督する官庁として、いま大蔵に聞いたら、自由化にしたら大蔵じゃない、通産の方で監督するというから、それに対してどういうお考えを持っておるか、お聞かせいただきたいと思います。
#61
○田中参考人 私から申し上げますが、貴金属地金協会といたしましては信頼を売る。いわゆる金を売るにいたしましても単なる商品を売るということではなくして、金に信頼をつけて売り、信頼をつけて買うというようなことで長くやっておりますので、貴金属地金協会十五社は、お互いに金を売りに来られた場合には、新聞に広告した値段、要するにロンドンの値段を換算すればわかるわけでございますので、その値段でわずかの鑑定料をちょうだいするとか、あるいは検定しなければわからないというようなものはある程度の検定料をちょうだいするというようなことで、これはもうまことに明瞭に、お待たせすることもなしに買い取っておるわけでございます。これは目で見ただけではわからないし、ある程度の精製、分析をやらなければならぬというような程度のものでも、一日二日お預かりすればわかるわけでございます。その出た答えも明瞭にやっておりますので、その点については、非常にわれわれの取引の範囲では、金というものはやはり売るにも買うにもごまかしも何もないものだというふうな確信と自信を持っております。
 それからいまのダイヤモンドについては、貴金属地金協会としては全く取り扱っておりませんので、これについてお答えすることはちょっとできない、こういうことでございますが、よろしゅうございましょうか。
#62
○坪野参考人 ダイヤモンドのお話なんですが、私も聞いたところでございますので、それが真実であるかどうかはわかりませんけれども、素人が見たってなかなかわからぬようであります。ものすごい大きいやつが十万円であったり、小さいやつが百万円したりするようでありまして、これはそこの店の信用を買わなければ仕方がない、こういうことであります。そこで、それを買った店で、引き取るときには幾らで引き取るのだということもはっきりして買っておかれた方がいいのじゃないかと思います。
 それから金でございますけれども、私の聞いておる範囲ですから間違っておったら田中さんから訂正してもらったらいいのですが、いまの十五社ですか何社ですかは金に刻印を押しておられるようであります。そこで同じフォーナインですか、九九%の金、いずれのお店もそういう金を扱っておられるようでありますが、そこのお店で買って、それなら同じ成分のものを他の店へ売りに行っても余りいい値で買ってくれない、こういうようなことを聞いておるのでありまして、私の言うことは間違っておるかもわかりません。そこで、余り少数の人に独占してもらっておりますと、口銭について、薄利でやっておられるかどうかわかりませんけれども、ある程度買ったときと売りに行ったときの値段が違うというようなことを聞いております。これは確かであるかどうかわかりませんよ。私の言うことが間違っておったら田中さんから言うてもらったら結構なんですけれども、何かその点やはり口銭を取り過ぎておられるのじゃないかと私は考えております。
 以上、申し上げました。
#63
○山梨説明員 ダイヤモンドにつきましては私どもの所管ではございませんですが、金につきまして、通産省といたしましてはまず現物市場の育成というものを非常に重視しているわけでございまして、一般の消費者の皆様方が安心して金の売買ができるようにするために、まず金に対する知識を普及されることが重要ではないかというふうに考えております。また、次に、金の売買が信頼してできるような店舗というものを拡充していくことが必要ではないかというふうに考えておりまして、そのようにこれからも努めたいというふうに思います。
#64
○中村小委員長 次に、宮井泰良君。
#65
○宮井小委員 それでは、いろいろお話がございましたが、私は、一般の消費者の皆さんを守るという観点に立ちまして、御出席の皆様に若干の御意見をお伺いいたします。
 まず清水参考人にお伺いいたしますが、先ほどもお述べになりましてブラックマーケットが現在横行しておる、これは私よく承知をいたしておりまして、もちろん取り締まっていかねばならない、清水参考人もこういう御意見でございますが、私が考えますのは、そういたしましても、現在の商品取引業界にも不当な勧誘等が行われておるということがございます。その実態として商品取引被害者の会というものが生まれるほどの状態になっておるわけでございますが、公認市場をつくれば本当にブラックマーケットがなくなる、そのように考えておられるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
#66
○清水参考人 いまの商品取引員というものが営業姿勢が悪く、不当な勧誘をして、いわゆる被害者の同盟が結成されるというようなことは事実でございますけれども、この被害者というものの集まりの実態を先生方は御承知かどうかということですね。これまでの昭和四十五、六年ごろは確かに私どもが行き過ぎて、いわゆる余り取引の実態を知らない者を含めての勧誘があったために非常に紛議を起こして、諸先生方にも御迷惑をかけ、業界としても非常に出おくれてしまったという事実はございますけれども、今日はむしろすれっからしの寄り集まりというようなものが被害者同盟を結成しているのじゃないか。その首魁とおぼしき人も、自分のやったことはこれはあたりまえだという本を書いているのです。それで、それは決して取引員を責めるものではないみたいなことを言っていながら、取引員を事実上では責めているんですね。私どもでも現にその人たちから言われるので、役所の方もそういう煩わしいことは困るのでどうにかせいと、こう言うものですから不承不承ながらも支払いをしておりますけれども、この実態は、本当に社会が過保護だから、こういうことじゃないか、こういうふうに判断いたします。
 アメリカなんかでも紛議、紛争ということは非常にこの業界ではあるそうですけれども、証券の八・四倍ですね、去年の売買取引高は。そのように普及しているのです。日本は証券よりもできておらない、こういう実情ですね。
 証券の市場というものはどういうことかというと、あれは利権をめぐって、何商売が繁盛するか、ああいう商売に入りたい、もうすでにその商売は始まっているので、途中から株を買うのだったら高い株を買うぞという、その高い権利はどれくらいするのだということを目で評価しているのですが、先ほど商品取引の価格形成のお話をしましたように、こちらの方はお金との交換の率ですので、ですから金とお金を交換する率ということをこの価格形成でやりますことは、反対にいまの為政者たちの発行している通貨というものは、金にたとえればどれだけの値打ちがあるのかということを、逆に金の方からその真価を問うこともできるということで、この価格形成をしないということはおかしなことだと思うので、これはやはりどなたも参加できるという立場で商品取引所に乗せていただく。しかも先ほどの政令に指定していただければ、そうすれば、われわれがもし営業姿勢が悪いために、おまえたちじゃとても任しておけないというのならば、私どもに許可してくれなくても、その政令の指定が出るだけでいまのブラックマーケットは退治できると思うのです。これから乗せるのだということで、取引所に上場するという商品のやたらみだりの市場を開設するということは今度はできなくなりますから。そういうことで御思案いただきたいと思うのです。
#67
○宮井小委員 私どもの方に指定してもらわなくてもいいというようなお考えのようでございますが、私は、坪野参考人もおっしゃいましたとおり経済大国になった、自由化したということでそれをどんどんやっていくということは、投機の材料にして、金というものは非常に大衆の欲望を、あの黄金の色を見ますと大変な欲望をそそるというようなこともありますし、世界の通貨の基準といいますか、そういう金がどんどん取引され、購入されるというようなことになりましたらどういうことになるか、こういうこともよくよく考えて、慎重でなくちゃならないんじゃないか、こういうように考えております。もちろんそれが正常になるというのなれば、これはもう当然それにこしたことはないわけでございますが、それは意見といたしまして、次に田中参考人にお伺いいたします。
 ブラックマーケットをなくすために公認市場をつくらなくても、他にブラックマーケットをなくす方法はないのか、またその点について行政当局に望むことはないか、これが第一点です。
 第二点は、現物取引業界としては、ブラックマーケットをなくすためにどのような手を今日まで打ってこられたか、これについてお伺いしたいと思います。
#68
○田中参考人 いまのどうするかという問題の中に、商品取引所に金を置かれたらどうかという問題もあろうかと思いますが、元来商品取引所法というのは先物取引を悪いと言って取り締まる法律ではございませんので、商品取引所に金を上場することによって、金の問題が取り締まられて、これがなくなるということには論理的にもならないのではないだろうか、こういうことを考えるわけでございます。
 特に金取引の事故防止をするのに、金に関する正しい知識の普及と現物の流通機構の整備ということが一番大事であると思います。いまも地金屋というのは大変大きな口銭を取って利益を壟断しておるのではないかというようなお話もございましたが、これは一体幾ら取っているか自分でもわからないのだけれどもというようなお話でございました。われわれが買ったり売ったりしている値段というのは、毎日、新聞に出ておるわけでございます。朝刊に出すためには、その日の値段は出ませんので、前日の値段を出すよりほかやむを得ない。為替も十時半にならないと出ませんから前日の値段を出す。しかし、できるだけ間違いが起こらないように当日の値段を何とか出そうというので、毎日新聞が夕刊を比較的早く出しているという関係で、毎日新聞には、午後にはなりますが、当日の売り値買い値というものを発表しておる。そのほかに短波放送でもやっておりますし、各貴金属地金協会のお店では、電話で言っていただけば、それぞれ談合した値段を出すわけじゃございませんから多少の違いはあるにいたしましても、大体その辺のところでわれわれが値段を出しているにもかかわらず、金に対する詳細の知識というのは、雑音が多いものでございますからなかなか入っていかないということで、金取引の事故防止、これからうまくこれを運営していくということのためには、金に関する正しい知識の普及と、現物の流通機構の整備ということはきわめて重要でもありますし、またこれからこの問題をなくしていく一番重要な問題ではないだろうか、こういうふうに考えるわけでございます。
 それから、わが国の金取引につきましては、そういうふうな知識を普及し、それからそういうような販売の組織というものを十分整備していかなければならぬということになりますが、この販売網の整備ということを余り単純にお考えいただきたくないことは、仮に津々浦々にまで販売網を拡充をしていくということになりますと、余り売れないところで金の販売の能力を無理に維持発展させようとすると、そこに無理な販売の仕方というものが生まれてくるということにどうしてもなります。私どもの活躍が非常にほんやりしているので云々というお話もあるやに伺いますけれども、われわれはむしろ国民をあおって金を売るのではなくて、買いに来ていただけるなら、あるいは御必要な方があるならば、できるだけの便宜を図ろうというようなことで、いまでも信頼していただくと北海道あたりから手紙あるいは電話で打ち合わせをして、金の売買がスムーズにいっているという例もあるわけでございます。したがいまして、ただただ販売網を広げてそしてどうというのではなくて、もうすでにデパートでも売っておるわけでございまするし、その他の金属屋でも、約二十万の都市にはそれぞれ金の販売店がございます。それは一体どういうところだというと、「金の常識」という本に、青森県はこうでございます、北海道はこういうところで金を扱っておりますということが詳細に出ておりますので、これ以上にわかに無理にこれを整備するということは、やがて無理な販売というものと手をつながざるを得ないであろう、こういうことになりますので、この点を十分考えてりっぱな市場をつくっていく必要があるし、また不都合な問題につきましては、これは刑法の詐欺、背任、横領というような問題があるならば、それを厳重に取り締まっていく。これは金問題だけではございませんで、ほかの問題と同じですが、ひとつ金なるがゆえに厳重に取り締まっていただくということが必要だと思います。
 それから取引所云々という問題について、これをいますぐつくるべきかどうかということで、先ほど取引所法というのは先物取引を悪として取り締まるのではないからこれは取り締まれないのだと言いましたが、それでは取引所をいますぐに創設すべきかどうかという問題でございますけれども、再三お話があったように、日本は確かに経済大国ではございますけれども、金大国ではございません。金大国でないということは、金をたくさん持っていないのがむしろ日本の特徴だというような現実がございます。そうすると、日本の国民が金が欲しいからといってどんどん買いにいく、取引所に上場されるといったところで、日本の国内で供給を賄う、あるいは需要に耐え得る、あるいはそれが状況の変化でどんどん売られる場合に、売り浴びせられて耐えられるだろうかどうだろうか、これは非常に問題が大きいことになると思うのです。したがいまして、現状ではこれを海外に売りつなぎ、海外から買いつながざるを得ない、こういうことになれば取引所というのは名ばかりであって、ついに機能を果たすことができないであろう。これでは何のための取引所か、こういうことになりますので、むしろこの辺を十分検討した上でございませんと、金の取引所というものがうまく運営される可能性は、たたただ経済大国なるがゆえにという論拠とは関連がないのではないだろうか。
 金の取引所は、やはり取引所を創設するに耐え得るだけの十分な金の力を持っていなければならぬ。ニューヨークにはIMFの金、これは勝手に使えないといたしましても、放出する権利を持ち、財務省がりっぱな金の在庫を持ち、そういうものに耐えようとしております。ロンドンは南アの金、ソビエトの金、オーストラリアの金、すべてイングランド銀行が買ってこれに耐えております。スイスにいたしましても、アフリカあるいはソビエトあるいはスイスの銀行それ自体が莫大な金塊を持っておるわけでございますので、これに耐えられる。香港にいたしましても、テール金がいろいろ貨幣の交換に使われながら、十分そういう裏づけがありますので、そういうことができる、こういうことになるわけでございますので、この辺を十分考える必要があるのではあるまいかということでございます。
 それだけでございます。
#69
○宮井小委員 それでは質疑時間がもう終了いたしておるのですが、もう一点だけ。
 先ほど金は貨幣であるというような考えを私も述べました。したがいまして、商工委員会の小委員会だけではなくして、これは大蔵委員会等幅広く討議していくべきじゃないか、こういう意見も持っておるのです。
 それで、それは意見といたしまして、最後に通産省にお伺いをいたしますが、現在通産省は被害をなくすための消費者PRを行っておりますが、被害は一向に減っていないわけでございまして、どのような点を今後強化していくのか、またブラックマーケットをなくすためのいまの清水参考人、田中参考人の御意見につきまして通産省はどのようにお考えになっておるか、この点を最後にお伺いします。
#70
○島田説明員 まず、消費者に対する被害の防止のためのPRでございますが、すでに先日商工委員会でも御説明いたしたわけでございますが、私どもといたしましては、金のいわゆるブラックマーケットに対する取引被害防止という観点から実態の把握に努めると同時に、一般消費者に対するPR、注意換起というのに努めてきております。
 その詳細につきましては詳しくは申し上げませんが、たとえば当省発行の消費者ニュースというのに載せるとか、あるいは商品取引所連合会それから全国商品取引員協会連合会に対しまして、金取引が商品取引法に基づく取引でないということを消費者に周知して、その誤解を解くように指導いたしまして、その結果関係者の方でも全国紙に意見広告を出していただいたというようなこともやっております。また、先ほど話がありましたように、貴金属地金協会の方も一般大衆に対する金のPR活動というものをやっていただいておるということでございます。それに加えまして、私ども本年の一月、警察庁、経済企画庁、公正取引委員会を交えました連絡会議を持ちましていろいろ議論をいたしました結果、さらに約十万枚のビラというのを全国に配布しましてPRに努めております。
 なお、これからでございますが、被害に遭った人々の状況をいろいろ聞きますと、多くの人が蓄財のための投資に興味を持っておるということが推測されますので、そういう人に接触する機会の多いチャンネルというのを考える必要があるだろうということで、たとえば証券会社とかあるいは商品取引会社というようなところにも協力を求めて、そういったところのチャンネルを通じてPRをするということも現在検討をいたしておるわけでございます。
 なお、先ほど御議論のありました点についての意見はどうかということでございますが、いろいろ御意見があろうかと思いますが、私どもとしましては、商品取引所に金を上場するという問題につきましては、いわゆる先物取引というのは現物の取引市場の十分な成立というのが前提になるものであるというふうに考えておるわけであります。商品取引所法でも先物市場をこういった見地から規定をしておりまして、上場商品の価格の形成及び売買その他の取引を公正にするとともに、当該商品の生産及び流通を円滑にするということを法律の目的にうたっておるわけでございます。こういった取引所法の考え方からまいりますと、金の現物の取引市場の現状というものとの関係で考えますと、現在のところ先物市場の必要性というものを議論するには、まだそれまでの段階には至っていないのではないだろうかというふうにとりあえず考える次第でございます。
#71
○宮井小委員 終わります。
    〔小委員長退席、田口小委員長代理着席〕
#72
○田口小委員長代理 中村重光君。
#73
○中村(重)小委員 先ほど来各参考人から御意見述べていただいたんですが、それぞれ参考に値する御意見があったんですけれども、私どもが期待をしている点、何かこの問題をこうすれば現在のブラックマーケットが大きな被害を善意な委託者といいますか、国民に与えるということを防止することができるという的確な御意見を伺うことができなかったわけです。田中参考人がお述べになった点、私も同感の点もあるのです。いまにわかにこれを商品取引所の上場商品というような形に持っていくということについてはきわめて慎重でなければならぬ。元来金というのは、そういったような市場形成というような形で、一つの先物取引の対象にすべきものではないのじゃないかという考え方を持つわけです。しかし、現実に清水参考人からお述べになったようにブラックマーケットがあって、そして大きな被害を与えている。そういうことならば清水参考人お述べになったように、表に出して正常な取引ということにすることのほうが被害を最小限度に食いとめることにつながっていくんではないかという御意見、これもまたわれわれとしてもそれなりの、そういうことも考えられるなということで伺ったわけです。また坪野参考人がお述べになった、これは両者の中間のような御意見にもなるんですが、研究機関をつくってやる。金の取引所みたいなものをつくったらどうかというようなことも御提言としてあったように伺ったわけでございます。
 そこで、田中参考人、どうなんでしょうかね。現行の法律でこれを取り締まることができる、背任であるとか横領であるとかということでやれるんだということ。ところが警察庁としてもそういうことは何か取り締まりをすることにつながってこないかということで、相当取り組みをなさったと私は思うのですよ。ところがなかなかつかみ得ないのですね。このブラックマーケットをやってはいけないという、これをやったら即そのまま刑法に触れるというそういう法律がないということですね。なるほど金を委託者から預かってそして延べ払いで八月なら八月限ということで決めているでしょう。そのときに決済を求めに行った、ドロンしておった、これは横領罪になるかもしれない、しかしそういうことがすべてではないということになってくると、これ、とてもむずかしい問題ということになっているのであります。あなたの方は金の取引について、企業家として日本の国内においてきわめて信頼の高い商社であるということですから、こうしたらいいんだという、単に理想というのではなくて現実にいま起こっているブラックマーケットのそういう状態、それに対して背任、横領なんということでなかなかつかみ得ないでいるという現実を踏まえながら、やはりもっと何か的確な、専門的な立場から御意見というものがないものだろうかという点ですね、そのことをひとつずばり、私どもがいま困ったものだとこう考えているのはこれは直ちに解消できないにしても、ひとつ道が開けるような御意見を専門的な立場からもお聞かせをいただきたい。
 清水参考人のおっしゃることも、先ほど申し上げたようにそれなりの現状を踏まえていく場合に理解はできるんですけれども、金というのは私がいま触れたようにそういうものであろうか、いわゆる上場商品として取り扱うべき性格のものであろうかという点ですね。いわゆる金は投機の対象とすべきものではないのだ、投機の対象とする場合、ブローカーという言葉を言うと悪いですけれども、少数のプロが利益を得る、大多数の善意の国民がその投機の対象であるがゆえに被害をこうむるということがあり得るのではないか。それは先ほどの同僚の意見の中にもあったわけです。だから、そういう投機の対象となるというと、価格の乱高下ということにつながる。そうすると、金を加工している中小企業者等は絶えず不安定な経営状態に苦しめられるという結果が起こってくるのではないか。そうでないということであるならば、これはひとつ的確なあなたの、あなたも商取の指導者でいらっしゃるわけだから、そういった点から商取が現にやっているいろいろな、姿勢の悪い外務員とかあるいは取引員とかがいるために商取の信頼というものを非常に低下させているという現状、指導者であるあなたから商取の問題点はここなんだ、これはこう改めなければいけないという、証券市場等頭に置きながら、金もそういう点からこうしたら価格の乱高下等、いわゆる投機の対象というものからこれを防止することができるという御意見をお聞かせいただければ幸いだと思います。
 また、坪野参考人、これは研究とおっしゃったわけなんで、研究に悪いことはないわけですが、ところが現実に清水参考人からおっしゃったような事態があるわけなんです。私どもは、さあ研究だ研究だというようなことで、百年河清を待つということにもなりますまいけれども、そういうようなことであってはいけない。先ほど島田審議官も、関係官庁相集まってビラをつくった、そのビラをひとつお見せいただきたいと思うのですが、そして取引所であるとか商品市場あるいは証券市場等にも協力を求める。何を求めようとするのか。私は本委員会でも申し上げました。よくないというなら、どういうPRをすれば、現在ブラックマーケットによって大変不正常な状態で金の取引が行われることによって被害をこうむっている人を救済をすることにつながるのか、よくないというならば、これはやはりそういう不正常な状態をなくする法的整備というものがない限り私は不可能であろう、こういうことを指摘をせざるを得ないわけなんです。
 端的に申し上げると、ネズミ講の問題にいたしましても、政府はきわめてこの法的整備等について腰が重い。結局どうにもならなくなって議員立法によってこの規制をするということになる。サラ金問題についてもしかりであります。こういう深刻な悲劇が起こっている。これに対して、百家争鳴というのでしょうか、あるいはなわ張りというのか、あるいは責任の転嫁というのか、これにすらまだ政府としての具体的な法的措置を講じていこうという態度に出ることができない。ちょうどこの金の問題も同じようなことで、私どもは非常に残念に思っております。
 そういうところでこの小委員会等もきょう開くということになったわけなんですが、三人の参考人からもう一歩進んだ形で、現実のこの状態を放置できないわけなんだから、それに対して具体的な考え方をそれぞれお持ちであろうと思うものですから、ひとつここでお聞かせをいただきたい。
 島田審議官の方からも、何かこうあれをぐるぐる回っているような感じなんだね。どれほどの効果と――それはそのビラを見せていただければなるほどと私ども感じるようなビラであるかもしれませんよ。どういう協力を求め、これをどうしようとしているのか。そういうように国民にPRをすることによって、これは危ないなというような感じを持たせて、そしてそういう金の先物取引、こう言った方がいいのでしょう、現物の売買じゃないわけですから、ほとんどないのですから、そういうのから遠ざかっていこうというような、はるかかなたをながめたようなやり方によってやる以外にないというお考えなのか、もっと的確な法的整備ということをもってこれを除去していくという考え方はできないのか、そういうことについての検討はしなかったのか、それらもひとつお聞かせをいただきたい。
#74
○田口小委員長代理 それでは順次お答えをいただきます。
#75
○田中参考人 いまのお話の中で、取り締まりが非常にむずかしいので云々ということがございましたが、この点については、私もそんなに取り締まりがむずかしいものかどうかということはよく知らないのですが、貴金属地金協会の方に、こういうことを言われたのだけれどもどうなんでしょうか、貴金属地金協会さんに意見があったのですがみたいな話で、いろいろわれわれの常任理事その他に入ってくる話では、これは当然取り締まれるしというふうに私考えたわけでございますので、こういう取り締まりを十分にやっていただきたい、こういう発言をしたわけでございます。
 それから、今後どうすべきかという問題でございますが、日本の金の自由化ということが、五年前に金の輸入が自由化されて、そして昨年四月に輸出の自由化ということになったわけでございますので、日本人は長い間金についてまことに無知でございまして、金とは何ぞや、金とは世界的にどういうものなんだ、どうなんだというふうなことがもう全くわかっておりません。たとえばロンドンで金が一ドル値が上がったという際に、仮に日本の為替レートが二円強くなりますと、日本では金の値段が下がるのです。それを無知な者に、ロンドンで一ドル金が上がったんだから金が高いんですよというような売り方をしようと思えばできないことはない。こういうようなことで、知らないのが悪いのか教えないのが悪いかという、議論の尽きるところがなくなってまいりますけれども、このように、長い間金について知識のない日本人のわれわれでございますから、しばらくの間十分に金についての啓蒙運動をやっていくというようなことで、貴金属地金協会としても昨今はテレビで、テレビももっと盛んにやりたいと思っておるのですが、金の換算はこういうふうにやるのですよ、ロンドン相場と為替レートは毎日、新聞に出ていますよ、その新聞に出ているロンドン相場と為替レートをお使いください。しかし一オンスというのが一体何グラムなんだ、三十一グラム一〇三五でございますから、それでお割りになると金の値段が出るのですよということをテレビでわれわれPRをしているくらいでございますので、買ってください、売ってください、こういうようなことは申しませんで、むしろそういう計算の仕方、売りたい場合にはいつでも買っていただけるしどうだ、こういうようなことをやっておるのが皆さんにとっては非常に迂遠の策で、そんなことでは決め手でないと言われたら確かにそれまででございますけれども、これも確かに重要な部分になってくるであろうということでございます。
 それで、日本人が自分の意思で金を買い、自分の意思で金を売る、こういうような独自性が出てこなければならないわけでございますので、その間に雑音を入れて、いま売るともうかるのどうだの、先物やるとどうだこうだというようなことは非常に害毒を流すことになりますので、この金問題については、啓蒙ということを主として、いまこういうときには国民がかっか来ないように、静めるといったってどう静めようがないかもしれませんけれども、むしろ考え方としてはそうであって、買いにおいでになるのを待つ、売りにおいでになるのを待つので、売らんかな買わんかな、こういうようなことは、これからの業界の発展のために、これから取引所ができるかどうかわからないにしても、しっかりした地盤の上に金問題を解決をしていくということで、しばらく静かにしていくということ、その中で十分にPRをしていく、こういうことが大事ではあるまいか。
 私どものところに来られた場合にいろいろ御注意を申し上げることは、大変に参考になるようなことでもございますし、非常に喜んで帰られるわけでありますが、貴金属地金協会としても、われわれだけが閉鎖的に小さなところに入って固まっていようとは思っておりません。同じような考え方で大いにやろうではないかということであるならば、本当にそういう方と手を取り合っていく、金市場というのは信頼があるから世界の金市場になるのです。言いかえればロンドンの金市場あたり、何の担保も出さないで、何のお金も預けないで何トンという金を黙ってわれわれに預けるくらいな信頼の取引、こういうことになるわけでありますから、閉鎖でもいけないし、信頼の置ける方をどんどんわれわれは迎えながら発展をしていきたい、こういうように考えておりますので、この点はいろいろまた方法もあろうかと思いますが、しばらくPRという問題を重点にして、国民が自分の意思で金を買えるというようなことにいたしませんと、取引所をつくっても何をつくってもいいかげんのことを言うやつがかき回して終わり、こういうことになるのではないかと思いますので、非常に問題としてはむずかしい、決定的な決め手というのはなかなか出てこないむずかしい問題ではなかろうか。大変参考にならないお話で恐縮なんですが、これが実態ではあるまいかと考える次第でございます。
#76
○坪野参考人 私先ほどから申し上げておりますように、ブラックマーケットを取り締まるのに一番いい方法はどうかということでありますけれども、これは先生方の方が法律的にはよりお詳しいので、はっきりいたしませんけれども、一応現実に取引所へ上場するのはもうしばらく研究をするにいたしましても、政令でもって取引所の上場商品として指定された場合には、取引所類似行為でありますから、これは取引所法で取り締まることができる、私はこのように考えておるのでございます。彼らがやっておるのを聞くところによりますと、先物取引と言わずにのみ取引と言っているようでありますけれども、それも取引所の類似行為と考えられるので、政令で指定された場合は、これは取引所法で十分に取り締まりできる、このように私は考えております。
 それからもう一つ申し上げますが、日本に金の保有が少ないから上場してもおかしいんじゃないかというようなお話もありますけれども、砂糖はほとんどロンドン市場によってわれわれは上がるとか下がるとか言っております。イギリスに砂糖なんか全然、全然というとおかしいのですが、生産はできておりませんけれども、ロンドンで売買する値段によって、ロンドンの市場がこうだから砂糖の値段はこうだというふうにやっておりますので、金の保有が日本に少ないから上場すべきではないというような議論には私は賛成しかねます。
#77
○清水参考人 私は田中参考人の御意見を拝聴しておりまして、なるほど日本の国民は金ということに知識がない。それと同じように商品取引所の理解度においても非常にわかっていただけてない、こういうふうに思うのであります。と申しますのは、まず上場のタイミングでありますけれども、金が自由化になった、これは絶好のチャンスです。また取引所に上場させないならば政府は自由化にすべきではありませんでした。今度為替をもし自由化するときには為替を上場さす。国民投票的な手法によって為替の価格を形成するということにならなければ自由化しないでもらいたい、こういうふうに私は世界的に思っております。
 それで例の米価の問題です。渡辺農林水産大臣が毎日テレビでやっておりますけれども、米価にいたしましてももうすでに神田川の方に正米市場みたいなものが形成されておりますけれども、あのように価格形成というものはやはり商売人あるいは投資家等によって、いわゆる利益を追求するために価格形成が行われていくということが自然発生のような形で好ましいのでありまして、あれが、もうすでに戦後三十年を経てしまって上場の機会を失った。これはタイミングを失ったのですね。年齢的に言うともう徴兵検査も過ぎ、たばこも女性も悪い言葉で言うと覚えてしまって、そして入学勉強をしろと言われても、いまさらイロハを覚える気にはならない。上場のタイミングというのはやはり金なら金が自由化になったこのときこそ、初めて上場すべき機会ではないかと私はこれは絶叫いたします。世界に言って恥じないことです。あの金が自由化になると言ったら、いまのCFTCの前の委員長がアメリカから来ておりまして、それでは日本でも金が取引所に乗るな、こういう言葉があったくらいで、当然これはあるべきことで、私は政府のミスだと思います。
 それで、いま田中参考人から拝聴しておりますと、デパートでも売っておるといいますけれども、デパートで売っておりますのは、ここにあります価格でいいますと、千七百六十円のときに千八百七十円で三越が売っているのです。そしてこれは売りっ放しで買い取りません。こういうような販売ですね。これは一キロというものを百八十七万円で買うことになりますけれども、本当の値段は百七十六万円なんです。十一万円も高いものをつかまされて、そして買い取りもしてもらえない、こういうような実情、実態から解放されるのはやはり商品取引所でなければならないと思うのです。商品取引所では金はいまだ上場されておりませんけれども、すべての物資はいわゆる規格品というものがありまして、その九九%、こういうことになりますと、要するにブランドが仮にどこどこのものでなければならぬということになりますと、その規格に対して非常に厳重でありまして、受け渡し後といえども、たとえば品傷みとかあるいは目切れというようなときには、いまの大豆や小豆などにいたしましても必ず斤量を負担させられるとかあるいは値引きをさせられるというような厳重なシステムで、世間で一般に取引所が理解されておらないために非常に危ぶまれておりますけれども、そんなものではないということ。
 それから十五社の、金を買い取っているところであっても、これはある日の、五月七日かのものだと思いますけれども、田中貴金属さんの会社の例ですが、売り値が千六百七十円、買い値が千六百十五円、こういうふうにあるわけです。これは非常に良心的な価格であろうと思いますけれども、しかし商品取引所になりますとこういう値開きというものは一切ありません。売り値と買い値は同値です。一つの値段で売ってよろしい、買ってよろしい、ただ規定の口銭だけをいただく、こういうことになりますのでより公正なものである、こういうふうに判断されようかと思うのであります。先ほど坪野参考人が申し上げましたのは、私が再三言っておりましたことはこれは政令に指定していただきますと取引所に乗るのだということになりますので、坪野参考人の意見をまた言うようになりますけれども、そのとおりで、これは商品取引所法に違反するということで、ブルドーザーのように既存の悪者どもを退治することができる、こういうふうに考えております。私どもの全協連、取引員協会連合会は通商産業省の御指示を得まして確かに広告や宣伝ビラはやっております。新聞広告も数回にわたって、こういうやからにひっかかるな、これは商品取引所で許されたものではないという広告をしておりますし、それからビラ等もりっぱなものをつくりまして、これを役所にお見せしまして、このような文言でよろしゅうございますか、若干手直しされた個所がありましたけれども、それを散布しております。もしなんでしたら中村先生のところへお届けいたします。以上であります。
#78
○中村(重)小委員 まず島田審議官、私が先ほどお尋ねしたことにはお答えいただきますが、いま坪野参考人から、むしろこれは上場すべきであるというような御意見であったわけですが、関係各省との話し合いの中でも上場問題についての議論もされたんだろうと思います。いま各参考人からそれぞれ意見も出たわけですから、それらの点を含めてお答えをいただきたい。
 それから警察庁も大蔵省も見えてございますから、先ほど田中参考人から背任、横領といったような御意見等も実はあったのですが、私もこの前本委員会で申し上げたように、私が調査した範囲ではのみ行為が公然と行われているんです。委託者から十枚なら十枚と委託を受けて、それを一枚か二枚しか玉としては立てない。そうするとこれは明らかにのみ行為だ。これは私は詐欺罪であるというふうに判断をするわけです。その他、決済の時期を八月限なら八月限と決められてそのときに決済を求めにいくと、これは数多くはないのだろうけれども、行ってみたところがどこに行ったかドロンしていていなかったといったようなこと、これは田中参考人の言われた横領という形にもつながっていくのだろうと思う。その他表に出る、いわゆる上場することについては、先ほど私が申し上げたようにこの金の問題については慎重論なんですけれども、いまのような状態で放置しておくということは大変なことなんですから、これがいろいろな犯罪につながることが数多くあるだろうと私は思う。それらの点についていままで調査を進めてこられたと思いますので、その点についてひとつお答えをいただきたい。
 大蔵省には金の上場の問題それから現在ブラックマーケットがこういう形で金の取引を不正常にやっているという状態についてどのような見解をお持ちになっておるのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
#79
○島田説明員 この問題につきましては、いま中村先生からお話がありましたように私どもいろいろ相談を受けておりますので、その実例についてもいろいろ勉強いたしておるわけでございますが、いま先生のお話で、私どももそれに対して一応私どものいまの対策の方法としては、一つはPR、それからもう一つは現物市場の育成ということを頭に置いているわけでございます。それがいわば隔靴掻痒といいますか周辺のことであって、ずばりその対策にならないのではないかという御指摘であろうと思います。私もそういう御指摘があるのはごもっともであろうと思いますけれども、その点につきましていろいろ勉強もいたしておりますけれども、従来の実例をいろいろ調べてみますとやり方が非常にさまざまなやり方であって、手口に多様性がございますし、それに対してどういうようなことをやった場合に効果があるか、あるいは刑法との関係をどう考えるか等々いろいろ考えますと非常に問題は多うございまして、相当慎重な検討が必要ではないかと考えておるわけです。一方、いろいろ被害は出ておるわけでございますので、それに対しては速やかな手を打たなければいけないというふうに考えております。
 そこでいろいろ検討いたしました結果、結局、いままでの被害の実情をいろいろ聞いてみますと、大体やはり金を買いたいというところから話が始まるというような実情でございますので、それに対して一つは、金を買うという場合にどういうところで買えばいいのか、あるいは金を買うというのはどういうふうなものであるかということについての正確な知識を消費者にわかってもらう、それからまたそれが買いやすいようにと申しますか、現物の流通市場の整備、この二つがむしろ当面の、迂遠のようではありますが直接的な対策ではないかというふうに考えておるわけです。
 そこで特にそのPRにつきましては、いままでもやってきておりますが、いろいろ被害を受ける人たちの層というようなものを考えまして、そういう人たちになお一層よくアクセスできるようなチャンネルというものをいろいろ考えて、その辺についてのPRを重点的にやりたいということもいまいろいろ考えておる次第でございます。とりあえずお答え申し上げます。
#80
○佐野説明員 先般も御指摘がございましたので、私の方も実態の関係でわかる範囲の調査をいたしたものが手元にございますが、結果的に申し上げますと必ずしも御期待に沿いかねるような状況でございます。たとえば本年六月、この間御指摘受けましたので、昨年の一月から五月までの間に全国の警察に被害を受けたという届け出あるいは相談のあったものを調査したわけですが、一応十四件という数字になっております。それから警察庁に直接投書が寄せられたものは三件でございました。ただ現場の方、派出所、交番あたりで事実上御相談があったとかというふうな場面になると、その種の数字は計上されておらないかと思います。いわば正規に相談のあったというふうな関係のものは十七件という状況でございます。
 その処理結果について申し上げますと、十七件のうち七件は申告の内容から明らかに犯罪の疑いがないのではないかという判断のものでございます。残る十件の処理の結果でございますが、十件のうち詐欺罪で検挙したものが一件ございます。それから犯罪になるかならないかという調査も含めまして、現在捜査をやっておるという件数が一応四件という数字でございます。それから捜査ないしは調査とでもいいますか、その結果犯罪とは認められないのではないかというふうに判断されたのが五件という数字になってございます。したがいまして、いろいろ御意見など寄せられたりいたします際に、わが方としても誠心誠意それの処理に当たっておるわけでございますが、やはり取引行為の性格といいますかあるいは取引のメカニズムといいますか、そういったものが第三者的にはなかなか実態をつかみにくいという問題もございますし、その他いろいろな状況からいたしますと、詐欺とか横領という問題が、常識的には比較的そういうふうな感じになるのじゃないかというものでありましても、あくまで訴訟法に照らしてみまして、犯罪の容疑なり嫌疑があってからわが方としては捜査を進めるという立場からしますと、投書なり苦情があったからそれを刑事事件で処理するというわけには必ずしもまいらないというふうな実情がございますということを申し添えておきたいと思います。
#81
○橋本説明員 大蔵省といたしましては、為替管理という見地から金の輸出入を管理しておるわけでございまして、為替管理法の目的にもございますように、通貨の安定、国際収支の均衡、外貨の有効利用、そういう見地から、金地金につきましては外貨とほぼ同じような扱いで管理していく、そういうような形でやっております。先ほど金の自由化ということがいろいろ御議論になっておりましたけれども、わが国は国内の金取引とか国民の金保有とか、そういうものを規制しているわけではございません。単に金の輸出入を外貨と同じような見地から規制しておるわけでございまして、わが国の外貨事情、外為市場の動向等を考えますと、外貨管理も次第に自由化されていきまして、また自由経済の原則のもとでは必要な理由がなければ管理することはできないという見地から、いまから六年前、政府で一括して輸入しておりました金を民間の輸入に切りかえたわけでございまして、これを金の自由化と呼ばれておるわけでございます。そういう意味から申しまして、為替管理法上金の輸出入を今後どうしていくかという点につきましては、やはり現在のようなある程度届け出制という形で当分持っていかざるを得ない、これが実情でございます。先ほどから問題になっております国内での取引の上場問題、またブラックマーケットの存在等々につきましては、私ども大蔵省も輸入した金が流れていく先でございますので、大変関心は持っておりますけれども、為替管理という面からこれにどの程度効果的なブロックができるか。これも通産省、警察庁と緊密な連絡をとった上で、注意して見守っておる状況でございます。
#82
○島田説明員 先生のお尋ねの中に、商品取引所に上場することについてどうかという意見についてどう思うかという点の答弁を落としましたので申し上げますが、ブラックマーケットの会員のために上場したらどうか、こういう議論であるとしますと、そういうことであるとすれば、そういった解決ということを考えるとすると、取引所法のたてまえといいますか、本来の目的あるいは先物取引の本来的必要性というものに立ち返って、やはり慎重に検討することが必要ではないか。要するに取引所に上場するということをするわけですから、上場するための目的、理由というものが取引所法の趣旨に沿っていなければいけないという観点から、慎重に検討すべきではないかというふうに考える次第でございます。
#83
○田口小委員長代理 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
    〔田口小委員長代理退席、小委員長着席〕
#84
○中村小委員長 参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
    ―――――――――――――
    〔小委員長退席、田口小委員長代理着席〕
#85
○田口小委員長代理 引き続き、流通問題に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村重光君。
#86
○中村(重)小委員 御承知であるわけですから前置きを除きますが、長崎の大長崎建設が倒産をした。永大産業の場合は別といたしまして、あれは純粋の意味の土木建築業ということには、免許はあったにしてもならないのだろうと思っております。そういう意味では、純然たる土木建築で今回の大長崎建設の倒産というのは最も大きい債務を抱えた倒産ということになるのですけれども、倒産の原因と、その債務額をどの程度把握していらっしゃいますか。
#87
○左近説明員 御指摘の大長崎建設株式会社につきまして会社更生法の申請がございましたので、実態について調査したところでございますが、この倒産の原因でございますが、昭和二十一年に発足して三十六年に一億円の投資をし、それから非常に事業の多角化をしたということが言われておりまして、その後四十六年以降にはボーリング場の建設とか宅地造成というようなことをやりまして、企業のいろんな事業拡張が資金の回収不能、資金繰り悪化ということになりまして、またそれをカバーする意味において建設部門でも赤字受注をしたというようなことが原因になっているというふうに言われておりまして、六月末の手形決済の目途が立たずに会社更生法の申請をしたというふうに承知しております。
 それで、負債総額でございますが、二百四十七億七千万円ということになっておりまして、そのうちでわれわれの関係の中小企業の負債が六十七億というふうに承知をいたしております。
#88
○中村(重)小委員 倒産の原因だね。なるほどボーリング場であるとか、それから北九州地区を中心とした宅地造成といったこと、これが大きな赤字を出しておるということが私どもの調査では明らかになっているわけでありますが、この大長崎建設の帆足社長がテレビでインタビューに答えていたわけですが、放漫経営と、これは社長みずから放漫経営と言うのだから驚き入ったわけなんだけれども、放漫経営とあえて社長が言う、この点はどう見ているのですか。これは建設省の方がむしろつかんでおられるのではないか。
#89
○永田説明員 担当ではございませんが、確かに経営自身についても甘いところがあったのじゃないかという点は、私どもも報告を受けております。ただ、詳細については私どもまだ入手いたしておりません。その程度の話で御了承いただきたいと思います。
#90
○中村(重)小委員 五十三年四月の決算で、百五十八億の売り上げで千五百万円の黒字があった。五十四年四月の決算では、百三十三億の売り上げに対して三十四億円の欠損が見込まれる、こういうことなんですよね。そうすると、昨年度は、もう調査になったのだろうと思うのですが、一〇%内外の配当がなされているのでしょう。途端に一年足らずでこの三十四億円の欠損が見込まれる、そして会社更生法の申請をしなければならぬというのは、私はどうもこれは計画倒産だという感じがするのです。この点は中小企業庁、建設省、どのようにつかんでおられますか。
#91
○左近説明員 御指摘のような決算の数字になっております。これについては、われわれももう少し調べないとなかなかわからないと思います。計画倒産と言えるかどうかについては、いま申し上げましたようにもう少し調査しなければいけませんが、恐らく多角経営というもののつじつまを合わせるためにいろいろ努力をしてきたのだけれども、今度の決算においてそれが、隠すと申しますか、それをカバーし切れずにこういう事態になったということでございまして、やはり原因は大分前からあったのではなかろうかとわれわれも推測しておるところでございます。
#92
○中村(重)小委員 これまで不渡り手形を一回も出していないのですね。
 そこで、現在の手持ち工事量は二百五十億程度でしょう。年商大体百五十億、ところが現在二百五十億程度の手持ち工事量、これほど大きな手持ち工事を持っているのに急に資金繰りが悪化したということ、これは、ボウリングとか宅地造成といったようなことをやってきて、また建設業、土木建築業自体にも放漫な経営というものがあった。それが、どうにも今後の運営がうまくいかないのじゃないかということから、いわゆる大株主は大洋グループですか、それからメーンバンクは十八銀行でしょう、ここらが会社更生法の申請をする以外にないのじゃないか、その方が得策じゃないかというように、いわゆる大株主とメーンバンクと大長崎とが協議をした。そして一時借金をたな上げして、企業は依然として継続していこうとする、そういう意味の協議倒産というか、計画倒産ということじゃないのですか。いかがです。
#93
○左近説明員 先ほど申し上げましたように、その辺はもう少し調査をしないと何とも申し上げかねると思いますけれども、これについて会社更生法の手続の申し立てを行いましたが、裁判所がまたどのような判断を下すかはこれからの問題でございます。したがいまして、われわれといたしましては、さしあたり一番困りますのはこの大長崎建設に関連をしております下請企業あるいは資材を納入しておる中小企業でございますので、その対策を講じ、そして大長崎自身については裁判所の判定にまちたいと考えておるわけで、当面下請企業とか取引企業が連鎖倒産というような事態の起こらないように、対策を進めていくということを重点に置いてやっておる次第でございます。
#94
○中村(重)小委員 調べなければわからない、それはそうだろう。ところが、あなたの方も建設省も、大長崎建設の倒産についてはいち早く行動開始をやって調査をされた、それなりの対策を打ち出された。これは県も市もそうなのです。私は、これは評価したいのですよ。評価をしたいのですが、私の質問に対してきわめて慎重な答弁をしておられるということについては、慎重な答弁が悪いとは私は言わないけれども、今回のような倒産のやり方を悪用するような企業がどんどん出てきたのでは、弱い下請企業なんというのは大変なことになる、こう思うのですよ。それだからこの点を指摘しているわけです。しかも、私は調査に参りましたから、メーンバンクの十八銀行の清島頭取ともお会いいたしましたし、帆足社長とも会ったわけです。しばらく赤字をたな上げにしておきまして、そしてまた事業は継続してやっていくのですと言う。あなたの企業は倒産したのだという私の指摘に対して、倒産じゃないという言い方をするのですよ。いま一つは、十八銀行の頭取は、あなたは後退作戦をおとりになったのではないかという私の問いに対して、いや、そうじゃありませんと言う。ところが、大長崎建設に行って、十八銀行はどの程度融資をしておったのかと聞いたら、大きいときは四十億だと言う。いま二十億を割って十九億幾らでしょう。そして、担保を取っているわけです。倒産によって、これは担保物件の評価なんかをしてみなければわからないのではありましょうけれども、何か痛み分けという感じがする。そして、長崎市内を中心に県下一円あるいは県外でも相当広範にわたって、弱い関連の下請企業が痛手を受けるという結果になっている。だから、建設省といたしましても中小企業庁といたしましても、関係省庁はその原因を突きとめていかなければならぬ。そうしないと、会社更生法が裁判所によって認められたとする。それじゃだれがこれを管理していくのかという問題になる。それから、国あるいは県、市、そういったところが続いてこれを指名していくのかという問題が起こってくるのです。だから、会社更生法の申請をやっても指名はどんどんもらえる、借金はたな上げしておるのだ、当事者は痛くもかゆくもない、こういうようなことが今後生ずるということになってまいりますと、大きな社会的混乱と不安を引き起こすことにつながってくる。それから、指名をする、いわゆる官公需の受注ということを、中小企業を中心に私どもは強調いたしておるわけでありますが、それらとの関連も出てくるわけでございますから、この点は重視して質問をしているわけでございます。もう調査をなさったわけだ。だから、今後調べてみなければわかりませんといったようなことじゃなくて、調査をして感じられたことはそのまま率直にお聞かせいただきたい。
#95
○左近説明員 いま御指摘にありましたように、会社更生法の申請をして、それによって単に債務をたな上げしてしまうというふうなセンスでこういう措置をやられるということは大変遺憾なことでもございますし、関連の中小企業に対して非常に大きな痛手を与えます。したがいまして、こういうことにつきましては、この当事者について、問題発生の後始末を誠心誠意やるようにわれわれとしても指導してまいりたいと思います。
 ただ、この問題につきまして、事業関連につきましては建設省の問題でもございますので、建設省からお聞き取り願いたいと思いますが、中小企業庁の立場といたしましては、安易にこういう事態にならないような対策を十分考えていきたいし、また会社更生法の運営についても、いま中小企業者の間では会社更生法というものの運用が安易に流れて、中小企業に悪い影響を与えておるというような声も上がっております。したがいまして、いまそういう点についてもいろいろ検討を進めておる段階でございますので、今回当事者自身にも十分に注意をいたしますし、それから今後そういう類似の案件が発生しないように十分努力をしてまいりたいと思います。
#96
○永田説明員 ただいま御質問の点につきましては、私どもといたしましても今後詳細に調査を進めてまいりたいと思います。ただ、故意に更生法を適用して支払い債務を延べているのじゃないかという点は非常に判断がむずかしい点もございますので、今後十分調査した上で、御指摘のありました発注の件等につきましても慎重に対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
#97
○中村(重)小委員 判断がむずかしいというのはそのとおりだと思う。ところが、社長自身が言うのだから私は言っておる。倒産ではないという物の考え方、借金をしばらくたな上げにしておきまして、そして会社は事業を継続して支払いをしていくんですよ、こういう言い方。これなら協議倒産、計画倒産と言わずして何だ、計画倒産なんというものはほかにはない。だからそうとさえ言っても私は極言ではないと思っているのですよ。
 そこで、それをいつまで言っておってもしようがないんだけれども、左近長官、お答えになった問題は、関連中小企業は倒産をしないようにどうするかという問題ですね。あなたの方は倒産企業ということに指定をなさったわけですね、信用保険法に基づいての。そうなってくると、普通保険五千万、無担保保険八百万、五千八百万の別枠だから、一億一千六百万という、いわゆる保証協会の保証を受けられる道は開けたわけですね。ところが保証協会も独立採算なんだから、やはり焦げつきを心配するでしょう。そういうことになってくると、担保要求をすることになる。ところが、弱い中小企業、関連下請というものは、なかなか担保物件がないということになりますよ。道は開いたが現実には動かないということになったんじゃどうにもしようがないのですが、この点はどうお進めになりますか。
#98
○左近説明員 取引先の倒産によりまして資金繰りが非常に困窮する、場合によっては連鎖倒産のおそれがあるというような事態が発生するおそれが非常にありますので、それに対する対策といたしまして、いまお話がありましたように、まずやはりつなぎ金融を確立しなければいけないということで、中小公庫、国民公庫、あるいは商工中金というようなものが、倒産対策の緊急融資ということをいたすことになっております。
 ただ、お話のありましたように、緊急融資をいたすにいたしましても、担保等々の条件が整わないとなかなか出ないという問題がございます。したがいまして、一つにはいまお話しのように、信用保険の特例を設けまして、信用保証協会が通常の特別小口保険とか無担保保険と同額の別枠を設けて、その範囲で保証ができることにいたしております。
 ただ、それだけでもいま御指摘のように不十分でございますので、実は先ほど申しました政府系の中小企業金融三機関が行います中小企業倒産対策緊急融資の運用につきましていろいろ指導をいたしておりまして、たとえば担保の徴求、評価というようなものについて、企業の実情に応じてきめ細かな配慮をやるようにということで、担保の評価なども範囲をなるべく広げてやれるような、弾力性を持たすような個別指導もいたしております。したがいまして、そういう措置を十分使いまして、今度の場合、県にも、あるいは通産局と県とも共同して、いろいろ対策の本部等も考えております。
 そういう点で、たとえば長崎県においても中小企業の緊急不況対策相談室というのをすでに置いておりますが、それをことにこの問題に活用するということにいたしたいと思っておりまして、通産局が県とも寄り寄り相談をしておるところでございますので、そういうことで個別的にひとつ円滑な運用を図るように努力をいたしたいというように考えております。
#99
○中村(重)小委員 準備基金等の配分をやって、別枠保証というものは担保をとらないでやはり保証してやるというぐらいの思い切った施策を講じてやらないと、いまお話があったように、いわゆる倒産企業に対する緊急融資のいろんな制度というものがありますわな。それもその制度は活用するけれども、一番問題の担保ということに結局はまたひっかかるということになりかねないから、だから、きょう大蔵省は見えていないんだけれども、大蔵省とも十分話し合いをして、そして保証協会が限度を超えた、頭を押さえるところがあるんだから、焦げつきが余り出ると、それになかなか大蔵省が厳しい。そしてまたいろいろな制約というものが出てくるわけですよ。だからそういったものを超えていくということですね。思い切った、関連倒産というものが起こらないような施策を講じていく。そうしないと、もう大長崎発行の手形は全部割っているのです。あの会社は六カ月ぐらいの長期手形です。しかも管財人が入りますと、債務というものは減免されるということになる。一〇〇%なかなか取れないということになりかねない。しかもそれが非常に長期にわたってしか金が返ってこないということになってしまう。そうするともう大変なんだ。
 もう一つ問題は、そういう関連の下請の連中は、大長崎のみに頼るのではなくて、あっちこっちの親企業に頼っておるのですよ。そうすると、あの下請企業は五千万ひっかかったそうだ、一億ひっかかったそうだということになってくると、その下請企業にほかの親企業が下請をさせても消化できないかもしれないというので、いままで発注しておったのを敬遠するというような傾向すら出てきておるのですよ。もうダブルパンチなんだな。だからもう何かで政府がこういう施策を講じたからもう大丈夫だろうという信頼感というものが起こるようにしておやりにならないと、これはもう深刻な問題になると思うのです。もう一度ひとつそこをお聞かせ願いたい。
#100
○左近説明員 いま御指摘のような問題、われわれも本当にこれはなくするようにしていきたいと思っております。それで、先ほど申し上げましたように、弾力的な運用というふうな指示もいたしておりますので、今回の個々のケースに即して円滑に実施をいたしたいと思っております。長崎県におきましても関係の金融機関を集めまして、通産局、県等も相談をしておりますので、その中で円滑な運用を図っていきたいというふうに考えております。
 それから、いまお話のありました、下請へ次の仕事というものが円滑に流れるようにしなければいけないという問題も、これは県にあります下請振興協会などを活用いたしまして、いまのような心配のないような措置をするように指導してまいりたいというふうに考えております。
#101
○中村(重)小委員 流れるようにといったことは、私がいまお尋ねをした、問題を指摘をして見解を求めたこととは直接つながってこないんだけれども、後でそのことを申し上げようと思ったんですけれども、広い意味ではつながってくるのですが、そういうことでいま親企業が、大長崎に焦げつきになったから、どうもあれに下請をやらせても危ないなというので警戒をして、いままで発注しておったのをとめるとかいったようなことだって起こってきておるから、だから、そこらを十分ひとつ関連倒産ということにならないように取り組んでもらわなければいけませんよ、こう言っておるので、いまあなたのおっしゃるような機関は確かにあるけれども、あの機関はだめだよと私は言いませんよ。言いませんが、あなたが通産省の中におられてながめていることと実態は違う。だからそこのところを十分お考えになって、建設省とお話になって、現地まで長官が出向いていくぐらいの情熱を持って、本当に実態をつかまないと、かゆいところに手が届くような施策は講じられないということになりますよ。
 それから、五十万円以下の債権を持っている者は、県としても対象の外だ、対象としないという態度をとっている。ところが、五十万というと大した金じゃないということかもしれませんけれども、そういう債権しかないものは下請のまたその孫請なんというようなもので、そういった人は痛いんですよ。これも何とかしてやらなければいけないと思うのですが、その点いかがですか。
#102
○左近説明員 仕事の問題につきましては、建設省ともよく御相談をして、適切に対処するようにいたしたいと思います。
 それから、五十万円以下の問題については、県としてそういうふうな方針を決めたのかどうか、ちょっと申しわけございませんが私も承知しておりませんが、そういうふうに一律に切り捨てていいかどうかというのは、われわれもはなはだ研究の余地のあるところだと思います。したがいまして、すぐに現地とよく相談をいたしまして、本当にかわいそうな事態があるというようなときには、そういう金額以下は全く切り捨てということには処理をしないような方針も考えてみたいというふうに考えております。
#103
○中村(重)小委員 それから労務賃金、会社直用の場合の労務賃金とか、それからその下請関係とか、資材はほとんど親企業の大長崎建設が手当てをする、ただ労務提供といったような形の下請がいるわけですが、そういった労務賃金というのは、会社更生法を申請してこれが認められた場合でも何か優先的に扱うということでないといけないと思うのだけれども、その点はどういうような扱いになりましょうか。
#104
○左近説明員 会社更生法の対象になる企業の労働者の労賃につきましては、会社更生法上も優先の規定があるわけでございますが、いま御指摘のように、下請企業の債権というものについては必ずしもそういう特例がございません。ところが、実際は、下請企業と申しましてもいま御指摘のように実は労働力提供だけだということになりますと、下請代金というのはまさにその下請企業の労務費であったというものが多いわけでございまして、これについてどういう措置をするかというのがやはり従来ともいろいろな部面で問題になったわけでございますが、具体的には、実際に裁判所が債権の処理についての決定を下す際に、その点を十分考慮して決定をしていただくということになろうかと思います。いずれこの会社更生法の手続を進めてまいります過程において、中小企業庁からの意見というものもわれわれ出しまして、そういう点についての円滑な運用というものを希望いたしたいというふうに考えております。また、こういう点については、建設省等からもそういうふうな意見を裁判所の方にもひとつ出していただきたいというふうにわれわれも考えておりますが、これは御相談をしなければいけないと思います。
#105
○中村(重)小委員 御承知のとおり、長崎市は特定不況産業である造船業があるという関係もありまして、不況地域に指定をされているわけでございます。最近、高島炭坑が貯炭の問題とかあるいは炭層その他の関係等もありまして、非常に経営が深刻になっておる。労務賃金がカットされるという形で実は労使合意をした。そのために高島炭坑に対しては、中小企業庁としてもその事態を踏まえて特別な扱いをすべく、県当局との話し合いが進められておると私は承知をしておるわけでございます。
 ところが、それら周辺がそのように非常に深刻な不況の中にありますし、したがって、今回の大長崎建設の倒産というものの長崎市全体あるいは県全体に及ぼす影響というものは非常に深刻であろう。そこで、特定不況地域の指定その他産地法も長崎市に対して特別な扱いをされるであろうことを私は期待をしておるわけでございます。一連の不況対策ということによって、いろいろ政府としても救済策を講じつつあることは私も敬意を表しているところでございますが、いま卸売物価の上昇、インフレ傾向というところで、公共事業費というものを抑えていくというような政府の方針でもあるようでございます。長崎の場合は、今回のこの不況というようなこととか、それから倒産の関係もありますから、ひとつ重点的に公共事業を配当していくということ、それは全体的な問題で、大長崎に対して公共事業ということで国が特別な扱いをするということはできることではないと思いますが、しかし長崎市に、長崎県にそういった公共事業を重点的に配分をしていくということが、この深刻な事態を少なくとも非常に軽くしていくことにつながってくるわけでございますから、その点に対しての考え方をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#106
○永田説明員 御指摘のとおり長崎は特定不況地域に指定されておりまして、五十四年度の公共事業の予算配分につきましては、あそこは重点的に優先配分するという措置をとっております。予算が成立いたしまして、直ちに長崎県、市等に対して重点配分された予算の内示をいたしております。また、本年度の予算の執行につきましては、上半期に六五%から七〇%契約をするようにという指示もいたしておりますので、その指示を受けて、長崎県、市がそれぞれ発注を行っていることというふうに感じております。
 ただ、大長崎建設株式会社の場合は、六月の末になって出てきた問題でございますので、今後公共団体が、県、市がどのように対処するかということは、県、市の方で対処をしていただかなければいかぬだろう、かように思っております。私どもといたしましては、五十四年度の予算は全部配分いたしておりますので、五十四年度に関する限りは、四月に重点配分いたしましたことで、県の方に適切な処置をお願いしたい、かように考えておるわけでございます。
#107
○中村(重)小委員 これで終わりますが、建設省としても、五十四年度については配分をしているということですが、いろいろな面で県に対して協力体制をとっていくということのようですね。それから継続事業について、五十五年度のものをまた取り上げてやるという道もあるわけですから、いろいろなことが考えられるわけですから、そういう点についてはあとう限りひとつ積極的に対処していくという措置を講じてほしい。
 くどく申し上げますが、長官、先ほど私が申し上げたこの信用保険の別枠保証の問題、もう担保をとらないというくらいの構えでひとつ大蔵省と話し合いをして、こういう業界に思い切った措置を講ずることをぜひやってほしいということを申し上げておきたいと思います。もう一度、ひとつお答えをいただきたいと思います。
#108
○左近説明員 この関連企業の倒産による被害に対する緊急融資制度でございますが、これにつきましては、先ほど申しましたように信用保険の活用ということで処理をしてまいるわけでございますが、その運用につきましては極力弾力的に措置をいたしまして、実質上担保がないから金融を受けられないというような事態が出ないような指導をいたしてまいりたいというふうに考えております。
    〔田口小委員長代理退席、小委員長着席〕
#109
○中村小委員長 西岡武夫君。
#110
○西岡小委員 中村委員からの質問に引き続きまして、大長崎建設の問題について、ごく限られた十五分足らずの時間でございますから、要点だけを質問させていただきたいと思います。
 今回の問題につきましては、福岡の通産局、日銀の長崎支店、県の経済部を中心とした皆様方が非常に機敏に対応をしていただいておりまして、長崎では、日銀の支店が開設されてから初めてと言ってもいい金融連絡会議等も開いて対応をしていただいたわけでございます。そういう意味では、当初の対応としては、通産省の皆様方の御努力に対して冒頭に心から感謝を申し上げたいと思います。
 問題は、いま中村委員からの御質問にもございましたように、二つの問題がございまして、一つは何とか工事を確保して企業を存続させなければいけない、そういう意味からも、できるだけ早急に会社更生法の適用の決定をしていただきたいということでございまして、この点についての会社更生法の適用にはかなりの時間を要するわけですけれども、見通し等についてどのようにお考えか、まず御見解を承りたいと思います。
#111
○左近説明員 会生更生法の申請がございますと、地方裁判所でこれについて検討をなさるわけでございます。したがいまして、その手続に移りますと裁判所の御判断に任すということでございますけれども、これが長い間決定がおくれますと、いろいろなものの処理に非常に対策がむずかしくなるというふうな点もございますので、今後は十分経済の実態その他を申し上げて、処理が迅速に進むようにお願いをいたしてまいりたいというふうに考えております。
#112
○西岡小委員 ちょっと法務省にお尋ねをいたしますが、大体通常ではどれぐらいの時間がかかるものか。できるだけ早急にこの決定をしていただきたいと思うわけですけれども、ここで、いついつまでにという具体的な日時等はむずかしいと思いますけれども、その点、要望も含めて御質問を申し上げます。
#113
○浦野説明員 会社更生手続の申し立てがございまして開始決定までの期間というのは、いま長官のお答えのように若干時間がかかります。これは、会社の規模、債権者の数、それから会社更生になじむかどうかといういろいろな審査もございますので、具体的にどれくらいということをちょっと申し上げかねますけれども、私が承知しております範囲では大体六カ月ぐらいがスタンダードなところではないだろうか。もちろん、ただいま申しますように、早いものはもっと早くできますし、規模が大きいと若干時間を食うということもございますけれども、大体三カ月か六カ月ぐらいはかかるのじゃないだろうか。もちろん大長崎建設自体がどのくらいのことか存じませんけれども、そんな感じがいたしております。
#114
○西岡小委員 その前の処置として、直ちに財産の保全命令が出たわけでございますが、この財産保全管理人を指定することについて、一般的には原則として社外の方を管理人に指定するというのが常識的な措置ではないか、通常はそうではないかと思うのですが、その問題について、実際はどういうことが行われているか、御承知でしたらばお答えをいただきたい。
#115
○浦野説明員 ただいま申し上げましたように、更生手続の申し立てから開始決定までの間若干の時間を要しますので、その間の会社事業経営あるいは会社の財産の処分を現在の経営者に任せるということは、これは更生手続が開始されましてからもその会社再建について逆な面もございますものですから、したがいまして、事業の経営権を剥奪し、財産の管理処分権を奪うという意味で、先生御指摘のように保全管理人を選ぶというのが通常でございます。保全管理人が選ばれますと、会社の事業経営権とか処分管理権というものは管理人に専属いたしまして、現在の経営者にはその権限がなくなるわけでございます。その趣旨は、あくまでも更生手続を進行して会社の再建を図るということでございますので、したがいまして、その趣旨から申し上げますと、保全管理人も、やはり会社の事業を継続していって、更生手続開始決定までつなげていくのに適するような人を選ぶというのが一般原則だろうというぐあいに思うわけでございます。この点は管財人も同様でございますけれども、管財人の場合ですと、開始決定から管財人がやる行為が若干長うございますので、そういう面も考えまして、たとえば商工会議所に推薦を依頼するとか、あるいは大口債権者と協議して会社再建に役立つような事業手腕のある人を選ぶというようなことで、若干は協議ができるのでございますけれども、御指摘の保全管理人に関しましては緊急を要する選任でございますので、そういうような手続はとれないのが通常でございますので、私どもが承知しております範囲で申し上げますと、大体経理面に明るい弁護士というようなものを管理人に選ぶというのが一番実務的じゃないかというように考えております。
#116
○西岡小委員 私が聞いておりますところでは、財産保全管理人を社長自身が代行しているという形になっているということですが、この点は中小企業庁の方も御確認になっておられましょうか。
#117
○左近説明員 まだその事実はわれわれとしては承知しておりません。
#118
○西岡小委員 法務省の方ではいかがですか。
#119
○浦野説明員 具体的事案につきまして突然のお尋ねでございましたので、確認することはいたしておりません。
#120
○西岡小委員 もしも仮に、先ほど中村委員からもお話がございましたように、社長自身が今度の倒産自体放漫経営の結果であるということを公然と言われたという、そういう社長を財産保全管理人ということにするということが事実とすれば適当ではないと、そう考えてよろしゅうございましょうか。
#121
○浦野説明員 先ほど申し上げましたように、保全管理人の職務あるいはその制度の置かれている趣旨から考えますと、やはり事業経営についていわば責任のある旧経営者と申しますか、現在の経営者が保全管理人になって財産管理に当たるというのは、一般論から申しますと妥当ではないというぐあいに思います。ただ、裁判所が選任することでございますので、もちろん裁判所はそのことを前提にした上で、諸般の事情を勘案して選任したのだろうと思いますけれども、どういう事情があったかちょっと存じませんので、それ以上のことはちょっとお答えいたしかねます。
#122
○西岡小委員 この点についてもぜひ十分な配慮をして対応をしていただきたいということを御要望申し上げておきます。
 今回の大長崎建設の倒産問題については、従業員の皆さんが従業員会社更生対策委員会というものを直ちに設置して、非常に意欲的に会社を守らなければいけないということで対応をしておられるわけであります。私は従業員の皆さん方のそういう真剣な取り組みに対して、行政当局も十分な配慮をしてその期待にこたえるようにしていただきたい。きょうは労働省に来ていただく時間がなかったわけでございますが、会社更生法を適用し、再建をしていく過程の中で、人員整理あるいはそれまでの間の賃金の支払い等について、中小企業庁としても労働省とも十分御連絡をいただいて、従業員の皆さん方の生活を守るという点で御配慮をいただきたいと思うわけでございますが、中小企業庁のこの問題についての今後の取り組み方をぜひお聞かせいただきたい。
#123
○左近説明員 大長崎建設が会社更生法の手続に入るということになりますと、関連の下請企業あるいは取引の中小企業に大きな影響を及ぼすということでございますので、当方といたしましてはいろいろ対策を講じておるわけでございますけれども、大長崎建設に働いておられる方々についても同じことでございまして、こういう事態でそういう方々に非常にむずかしい問題が発生するとすれば、これはやはり何らかの対策を講じなければいけないということで、われわれといたしましては、労働対策というのは一応所管外ではございますけれども、一緒に考えていかなければならぬ問題であろうかと思いますし、こういう関連の対策を進めることが、また従業員の方々にもプラスに響くというふうにわれわれは考えております。労働省ともよく連絡をとりまして、そういう関連企業あるいは関連の労働者の方々に、非常に悪い影響を与えないような措置を考えていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#124
○西岡小委員 もう時間が参りましたので、最後に、先ほど中村委員からも御指摘がございましたように、五十万円以上の債権を持った中小企業、下請の関係が六百八十九件、六十八億ある。五十万円未満も金額は八億程度というふうに私は聞いておりますが、件数から言いますと六百六十三件ばかりある。こういうことは、ややもいたしますと金額が小さいということで切り捨てられがちですけれども、中村委員も御指摘になりましたように、金額が小さければ小さいほどそういう零細な下請関係の企業に与える影響は大きいわけでございますので、そういう点についても十分な配慮をしていただきたいということと、これも中村委員から御指摘がございましたように、現在大長崎建設は長崎県内で三十カ所程度の工事に手をかけているわけでございます。その中ではかなり大きな公共事業、文化会館であるとか学校であるとかいうようなもの、これは工事の請負金額自体が七億とか、そういう大きなものも含めて、下請関係に相当大きな影響を与える工事自体を抱えているわけでございまして、この工事等は、再開されるということが決定をし、緊急融資等の方策も決定をしておりますけれども、下請関係の立場からいたしますと、それについての救済のめどがきちっと立っていないということもございますので、非常にきめの細かい対策等がこの際は必要ではないか。この点について中小企業庁としてぜひ細かい御配慮をいただきたいということを御要望申し上げる次第でございます。長官、最後にその点についての御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
#125
○左近説明員 いま御指摘のように、負債の金額が少なければそれはもういいじゃないかということでは通らないと思いますし、零細な債権を持っておられる方でも、また非常に零細な債権が大切だという方もいらっしゃいますので、これはきめの細かな対策を講じたいと思っております。
 現在長崎県にも不況対策の相談室というのがございますし、また商工会議所にも中小企業の緊急金融相談室というものが設置されるということになっております。したがいまして、そういうところの個別の御相談に応じて具体的な解決を図っていきたいということを考えております。これについては県当局、市当局等とも十分御相談をしながら、われわれの方といたしましても中小企業庁、それから福岡通産局というものが十分具体的な応援を実施してまいりたいというふうに考えております。
#126
○中村小委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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