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1949/04/17 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 地方行政委員会 第31号
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1949/04/17 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 地方行政委員会 第31号

#1
第007回国会 地方行政委員会 第31号
昭和二十五年四月十七日(月曜日)
   午前十時四十四分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○質屋営業法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○地方行政の改革に関する調査の件
 (茨城県下妻町事件に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。
 本日は前回に引続きまして、質屋営業法案の御審議を願います。衆議院の本会議を通過しまして本院に送付して参りましたから、本審査でございます。第二十一條乃至第二十四條の御説明を願います。
#3
○政府委員(武藤文雄君) 第二十一條の規定は、「品触」の規定でございます。賦品が質屋に流れておる、或いは流れるような気配があるという場合に品触というものを警察で出しまして、それを質屋の方に連絡をいたしますと、質屋の方においてその品触書によりまして、該当のものがあるという場合には警察に連絡をして頂いて、以て賦品の発見に努め、盗犯の検挙に資して頂くという趣旨で品触制度というものができておるのであります。現在もこの制度によつて質屋の非常は協力を得て盗犯の検挙に資しているわけでありまして、この制度をこの法規に定めたわけであります。
 第二十二條は、「盗品及び遺失物の回復」に関する規定でございます。御承知の通り盗品、遺失物というものが、公開の市場等から取得した場合においてはそれはこれを取得することができることになつておるのでありますが、質屋のごとき、特に賦品等については愼重な態度で臨まなければならない業態でありますので、この場合においては、質屋の場合におきましては、被害者或いは遺失主が無償で回復を請求できることといたしたわけであります。尤もこれは長くそういう状態に置くことは質屋に対して不当に損害を與えることになりますので、これを一年といたしたわけであります。一年に限つて無償で回復を請求することができるということにいたしたのであります。この規定は古物営業法において先に立法になりましたものと同様の趣旨をここに掲げたわけであります。
 第二十三條は、「差止」の規定であります。これは質屋が質物或いは流質物として処置する物品につきまして、 贓品だ或いは遺失物だというふうに疑うに足りる相当な理由があつた場合において、警察署長がその質屋に対しましてその物品の保管を命ずる、これが臓物である或いは遺失物であるということの相当な理由がなければできないことになつております。而してその期間はここにございます通り「三十日以内」という期間、その期間質屋に保管を命ずる、そして一方において犯罪の検挙に資するという方法でございます。これも古物営業法におけると同様の法制の建前をとりました。
 二十四條は、「立入及び調査」の問題でございます。この法文で御覧の通り、いろいろ許可をしたり、或いはそれについての監督の必要があるわけであります。そういつたために警察において必要があると認めるときは、営業時間中において、その質屋の営業所なり、或いは保管場所に立入つて調査なり、質問なりができるということにいたしたわけであります。これはこの法規の運営上必要な限度に限るものであることは当然のことでございます。この場合におきましては、必ず警察官は身分を証明する証票を携帯してこれを示すということにいたしたわけであります。
#4
○委員長(岡本愛祐君) 御質疑をお願いいたします。
#5
○西郷吉之助君 二十二條の規定ですが、今回は古物営業法と同等の規定を新たに設けたもので、従来はこういう場合には有償でこれは取戻したんですね。
#6
○政府委員(武藤文雄君) 従来二年間……而も警察においてこれを没収いたしまして被害者に還付するという制度をとつておつたわけであります。今回はこれを一年にいたしました。尚警察が物を取上げて、そうして被害者へ返すというふうに、物の移転について警察が直接関與することは好ましくない、そこで当事者間において無償での回復請求権を認めるということにいたしたわけであります。
#7
○西郷吉之助君 今の御説明ですが、善意で営業者から買つた場合でも、従来は警察において無償で没収したんですか。
#8
○政府委員(武藤文雄君) さようでございます。尚先程没収と申しましたが、従来の法律では「徴収」という言葉を使つておりますから申上げて置きます。
#9
○委員長(岡本愛祐君) 外に御質疑ございませんか。……これは古物営業法の時と同じ規定ですが、第二十四條ですね。これがいつも問題になるのです。そこで立入、それから質物、帳簿の検査、これだけのことができることになつておるのですが、この外の捜索、それから押収というようなことは勿論この規定で以てできることじやないと思いますがそれについて御答弁願います。
#10
○政府委員(武藤文雄君) 第二十四條に掲げてございますのは、ここに掲げてございます通り、立入、帳簿の検査、関係者の質問、これに限るとあります。而もこの法の運用上必要な行政的な監督というものに限つておるわけでありまして、犯罪の捜索、押収というようなものは、すべて刑事訴訟法の手続によつてなさなければならないものでございます。
#11
○西郷吉之助君 今の点ですね、二十二條、二十三條ですが、普通の営業だとこういうようなことは余りない、特殊な場合なんだけれども、質屋営業自体にとつては、犯罪とよく関連を持つために、こういうふうな意味合から二十二條、二十三條のような特殊の、他の事業には余りないような規定を設けてあるのですが、そうすると業者にとつては、これは相当自分の営業に干渉を受けるわけなんですが、その点ですね、一方においてはいわゆる庶民金融を取扱つておるわけなんですが、これは実際の場合にこれを運用する場合に、警察方面の人の考え如何によると思うのですが、それを悪意というと言い過ぎだけれども、不必要にこれをやつたならば非常に営業妨害になりますが、例えば営業時間中に、制服の警官が店に入つておるというようなことでは可なり店の信用を害して営業妨害になると思うのですが、そういう点は、この條項を運営する上において非常に考えてやらなければいかんとは思うのですが、そういう点で例えばこういう規定は業者にとつては私は気の毒だと思うのですが、そういう点についてどういう考え方を持つておられるか伺いたい。
#12
○政府委員(武藤文雄君) 御説の通りこの運営については十分戒心してやるべきものでございます。これを濫用するというようなことは嚴に愼まなければならない、本当に監督上この條項に現れておる必要な最小限度において警官がなすべきでありまして、無知に立入をする、無用に質問をする、無用に検査を、するというようなことは嚴に愼まなければならないわけであります。この点につきましては、私共といたしましても、できるだけ現場の警察官に注意を喚起してこの規定を濫用するごときことのないようにいたしたい。例えば原則として警察署長の指示を受けてする、緊急な場合はともかくといたしまして、できる限り署長の指示を受けてから臨検するというふうに、できるだけその運用についてはこれを嚴正にいたすように指導いたすつもりでございます。
#13
○西郷吉之助君 今の御説明で非常に思い遺りのある仕方をやろうとされることで非常に結構なのですが、従来ややともすると、いろいろな場合でもそうなんですが、まだ警察官が勉強が足りませんために好奇心に駆られるというか、用もないのに入つて行くということは、折角警察民主化の途上において遺憾であると思うのですが、そういう点は、そういう特殊の場合を除いては警察署長の許可によつて警察官がやるということは非常によいと思うのですが、そういう点一つこの運用について十分御配慮願いたい。
#14
○政府委員(斎藤昇君) 只今の点は非常に重要な問題だと考えます。質屋或いは古物営業をやつておられる方は、従来からの考え方からいたしますと、警察に対しては非常に弱い状態になつておりますので、警察官が或る程度職権濫用とか、これらの業者に対して行過ぎの態度がありましても泣き寝入りになつておるというような場合が多いと思うのであります。私自身もそういう訴を直接受けたようなこともあるのであります。これにつきましては、只今刑事部長が申しましたように、又只今西郷委員からおつしやいました通り十分の配慮をいたしたいと思うのは勿論でありますが、更に業者の方々自身が強くなつて頂きまして、そして法律上にない事柄又は憲法で十分保障されておる権利を犯されるということのないように、これは各個人々々ではなかなかそれはできにくいと思うのでありますが、幸に質屋につきましても、古物商にいたしましても、それぞれの組合等もあるのでありますから、これらの組合の方々が、こういうような非行或いは面白くないことのないようによく監視して頂き、そして警察署長なり或いは警察隊長などと十分連絡をとつて頂きまして、両々相俟ってそういうことのないように、そして警察自身が翼に民主化して行くようにお骨折願うようにいたしたい、私はかように考えております。
#15
○鈴木直人君 二十二條の場合、流質物の場合は別といたしまして、流質の場合は所有権は質屋に移つておるわけですが、質物として流質物になつていない場合に、それが盗品又は遺失物だということがはつきりしたという場合、その際にそれが遺失物或いは盗品であるということがはつきりした際に、直ちにそれを無償で以て被害者又は遺失主に質屋が側復しなければならないものであるかどうか、例えば今一ケ月経つというと、いわゆる流質期限が来るというときに、それが盗品であるということが分つた。そういう場合に、一ケ月内において或いは質置き主がそれを取りに来るかも知れない。そして金を支拂つて質置き主が自分で引取るかも知れない。そういうふうに引取つて後に、今度は盗品或いは遺矢物を質置き主から本人に無償で返すというような手続は取れるでしようか。若しそういうことであるとすれば、質屋は損はないことになりますのですが、この二十二條は質屋はこの程度の損をするということを義務付けて置く必要がある、そうすることによつて盗品或いは遺失物でないということをはつきり見極めたものだけを質に取るということにするためにも、やはり二十二條にあるように盗品又は遺失物であるということが分つたときに、直ちに無償で質屋は本人に回復しなければならないという義務付をして置いた方がよろしい、こういう観点からこの二十二條があるのだろうとも思うのですが、これについてお答えを願います。
#16
○政府委員(武藤文雄君) 御質問の趣旨がちよつと誤解かも知れませんが、盗品を一遍質屋に預けまして、それを今度は元金及び利子を付けて返還を受けた。そのものが盗品又は遺失物というときには質に預けて又それを取戻した人が、当然民法の百九十三條によつてその遺失主或いは被害者から無償で回復請求を受けるわけであります。この場合は質屋は損害を受けないことになります。第二十二條によりますと、質屋といたしましては盗品、遺失物については、これを預からないようにできるだけ注意して貰う、そういうことが望ましいという、只今のような意味も考えております。
#17
○鈴木直人君 そうしますというと、まだ返還期限というか流質期限、その契約期限内において質屋がそれを持つていたという場合に、それが盗品ということになれば、直ちにその時から無償で本人に回復しなければならんという質屋の義務が出るのであつて、もう一月経つと元利金を持つて本人が取りに来るからそれまで待つて呉れ、それから本人から取つて呉れ、自分は金を前に貸して置いて、受取つて預つておるところの盗品である遺失物を本人に返す、一月経つとそういうことがあるかも知らん、或いは期後日来るかも知らん、或いは本人に言えば金を持つて来て受取つて行くかも知らん、その際に無償で持つて行つて貫いたいということ、こういうことは質屋としてはできないことになるかどうかということです。
#18
○政府委員(武藤文雄君) 「無償で回復することを求めることができる。」、「被害者又は遺失主は、質屋に対し、これを無償で回復することを求めることができる。」として、回復請求権を與えているのであります。従いまして被害者、遺失主が無償回復請求をいたしました場合においては、質屋としてはこれに応じなければならないことになつております。
#19
○鈴木直人君 その際に質を置いた者が明日金を持つて来て返すかも知らん、持つて来るかも知らん、そうすると質を置いた者が……質屋が損がなくなる、本人の手に入ればいい。そういうようなところまで、請求があつた場合に待つて貰いたいということは、この法律では許されないことであるかということです。
#20
○国務大臣(樋貝詮三君) 誰が損をするかという問題になりますね。
#21
○鈴木直人君 質屋が損をしないためには、そのうち、明日か明後日あたり、或いはその盗品を質に入れた者が金を持つて来て質屋からその品を受取つて行くかも知らん、その際に民法上の規定によつて、直ぐ質屋がそれを渡すということもあり得るわけです。その場合には質屋は損をしないで、盗まれた人も損をしない、直ぐ回復になる、そういう処置というのは質屋としてはとることはできないのだ、必ずこれは盗品であるということがはつきりして請求が来た場合には、必ずその時に無償で以て質屋はそれを返さなければならないか、こういうことであるかということです。
#22
○国務大臣(樋貝詮三君) 大体お説の通りだと思いますかね。それで質置主の方のある程度の、非常に嚴格じやないでしようけれども、質置主のパスがあり、或いは配給の通帳などで見ておりますから、それでその人が正当だということを認識して質にとるようなわけですから、まあ質屋の方にその時に、現行漁に近いのですけれども……民法の規定に近いのですけれども、盗品、遺失物は無償で、それを取られた方に損失をかけないで引取れるようにした方がいいじやないかという考えで、この規定をとつたのだと思いますがね。
#23
○委員長(岡本愛祐君) それでいいですね。
 第二十四條、もう一度お尋ねして置きますが、これは第三十三條の二号との関連になる、第三十三條の第二号は「第二十四條第一項の規定による警察官又は警察吏員の立入又は質物若しくは帳簿の検査を拒み、妨げ、又は忌避した者」は一万円以下の罰金に処する。こういうことになつております。そこでこの保管場所たる土蔵に立入つて検査をしようとした、ところが何かの特別の事情があつて質屋の方でそれを拒んだ、こういう仮定を設けまして、そのときは拒んだにも拘わらず、第二十四條の規定で立入することができるのであるかどうか、或いは憲法の第三十五條でしたかの規定に立返つてそういうふうに拒まれたときに侵入する場合は、権限を有する司法官憲の発する令状によつて、令状を取りに帰つてそうして立入するのであるかどうか、その点伺つて置きたいと思います。
#24
○政府委員(武藤文雄君) この第二十四條の場合の、立入等の場合においてこれを拒んだ、その場合においては三十三條による罰則があるわけであります。従つて立入を拒んだ、検査を拒んだというような場合におきましては、罰則はあります。併しこの規定そのものから実力を持つて、相手の抵抗を排除して侵入というか、検査をするということはできないものを解します。
#25
○鈴木直人君 もう一つ二十二條についてお聞きしたいのでありますが、「被害者又は遺失主は、質屋に対し、これを無償で回復することを求めることができる。」となつておるので、先程のお話のように、求められた場合には無償でそれを被害者なり遺失主に返さなければならないというような義務がはつきりしていないと思うのでありますが、普通ならば被害者又は遺失主から質屋に対して、無償で回復の請求があつた場合には、無償でこれを回復しなければならない、こういうような義務付があるのが本当と思うのでありますけれども、これは一つの被害者又は遺失主からの無償回復請求権があるのだというふうな書き方なんですけれども、これでやはり同じような、先のような解釈になりますか。
#26
○政府委員(武藤文雄君) 現行法においては警察署においてこれを徴収する、一遍取上げてそうして遺失主なり、被害者にこれを還付するということになつておりますが、今時においては御説の通り無償で回復することを求めることはできるという回復請求権を認めたわけであります。被害者又は遺失主にこういうものの無償回復請求権を認めたということの裏合せとして、片方としては応じなければならないということは当然出て来ると思います。併しこれは請求権の行使についてで、あとは民事上の問題に移つて行くわけであります。
#27
○鈴木直人君 私は二十二條は民事上の問題を規定しておるものであると実は考えて、無償というものを民事上の問題、民事上の特別法をここに規定したものだと解釈しておるのでありますけれども、そうでないとすれば、やはり無償で被害者にそれを質屋が渡したという場合に、質屋がそれだけのものを損しておるのであるから。前に貸しておるところの質置主に対してその損害を賠償したり、賠償金を請求したり、或いは前に貸しておるところの金の請求をするという権利が残ると思うのです。従つて他の民法に譲るのであるというならば、損害賠償権というものは有すると、まあ残ると思うのですけれども、この規定は、恐らく質屋が無償で返してしまつたならば、前に質置主に貸した金に対する請求権はもうないのだということを規定しているのだろうと思うのですけれども、その点はどういうことになりますか。
#28
○政府委員(武藤文雄君) この規定は、被害者又は遺失主の無償での回復請求権を規定いたしただけであります。従つてこの場合において質屋が損害を受けたというような場合においては、質置主に対して当然求償権はあるのであります。
#29
○鈴木直人君 それがはつきりしておるならば、私の質問はそれで終ります。
#30
○委員長(岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。それでは次に進みます。
 第二十五條から第二十九條まで。武藤政府委員。
#31
○政府委員(武藤文雄君) 第二十五條の規定は、質屋の許可の取消又は営業の停止の規定でございます。これも質屋といたしまして、営業に重大な関係があり、これを行政官庁の一方的な判断によつて或いは許可を取消す、或いは営業の停止をなすべきものではない、飽くまでもこれは法律で列挙いたして、はつきりさして、こういつた場合に営業の取消なり、停止なりがあるということを明示することが適当であるという考えから、従来のごとく單なる一方的判断によつて営業の許可を取消ししたり、停止したりすることをしないと法律に列挙して、明示して、取消、停止の場合をはつきりさせて置くということが望ましいというので、かような立法にいたしたわけであります。この関係につきましては、他の法令、例えば古物営業法等につきましても同じような建前をとつているのでありますが、特に御注意を願いたい点は、この第一項の第四号の但書であります。第四号は質屋の代理人なり、使用人なり、その他の従業者が法令に違反したとき、こういう場合においては、従来許可の取消とか、或いは営業停止の理由となつておつたのでありますが、今回は特に但書を附けまして、その代理人なり、使用人なり、その他の従業者が法令に違反する行為をした場合においてはその主人と申しますか、質屋がそれ等の者の違反行為を防止するために相当な注意を怠らなかつたということが証明された場合においては免責されるという規定を、特に但書として入れたのであります。即ちこれ等の、使用人などが違反行為をした、併し違反行為をしないように十分注意を質屋としてしていたのだということを、質屋側において立証すれば、自分達の責任は免れて、許可の取消なり或いは停止ということは命ぜられない。かような但書を置きまして、営業主としての、質屋の保護を図つたわけであります。勿論この場合においては、自分として相当の注意を怠らなかつたということの立証はしなければなりません。その立証ができた場合においては、たとえ使用人が違反の行為があつても直ちにこれが取消し、或いは停止の原因とはならないということを、今回のこの法案においては特に挿入したような次第であります。第二十五條の第二項は、質屋で営業所を幾つか持つている、その中の一つに違反があつた場合において、他の営業所についての許可の取消なり停止ができる。この場合はたとえ公安委員会の管轄区域が跨つておつて、例えば東京に営業所があり、もう一つの営業所が埼玉にあるというような場合でも構わないというふうな規定を入れたわけであります。許可が営業所単位になつております。一つの営業所で違反があつたという場合には、その他の営業所にも及ぼし得るという規定であります。
 第二十六條は聽聞の規定であります。これは他の法律古物営業法等にも現れておりますが、営業の取消或は停止をやるという場合においては、これは業者にとつては死活の問題として重要な問題である。従つてたとえここに列挙されてある事項に該当したからといつて、直ちに取消なり停止をしない。その前に十分に業者の言い分を聞き、そうしてその上で判断をいたして、取消或は停止をするというふうに、十分愼重を期する、さような意味におきまして聴聞という制度を置いて、取消或は停止を受けようとする質屋から、釈明或は証拠の提出の機会を與えるという制度を設けた次第でございます。
 第二十七條は公安委員会の通知であります。これは公安委員会の管轄区域というものは沢山に分れております。そこで質屋が営業所を他の管内に跨つて持つている。例えば東京にも営業所があるが、埼玉にもあるといつたような場合におきまして、その場合において成る公安委員会において法令の違反というものを認めた場合においては、直ぐにそれは他の営業所のあるところの公安委員会にも通知をするということによつて、相互の連絡を図るということにいたした次第であります。
 第二十八條は質置主の保護の規定であります。これは質屋が廃業をした或は許可の取消を受けた、そういう場合において、直ぐその時に店をしまつてしまうと、その前に質に預けた人達が、さて金を持つて質物を取りに行こうとすると、その店が無くなつてしまつておるといつたことで、不当の損失を與えることになる、それを救済するためにこの規定を置いたわけでありまして、つまり廃業或は取消があつた場合においても、その時以前に成立しておつたところの質契約については、その後例えば貸付金の回収なり質物の返還なり、要するにその質契約を終了するために必要な行為を続けなければならない、これによつて質置主の保護を図つたわけであります。で、ここには死亡の場合はどう、法人の場合はどうというふうな詳細な規定を置きまして、かように廃業或は取消という場合においても、その後に質置主が不当の損失を受けないようにする措置を講じておるわけであります。
 第二十九條は訴の提起であります。これは行政庁の違法の処分に対しては、行政事件訴訟特例法によつて訴を提起することができることになつております。従つてこの法律において警察が違法に処分をした場合には、当然訴の訴訟が提起できるわけでありますが、念のためにこの第二十九條を置いてこういつた場合において訴の提起ができるんだということを明示いたしたわけであります。
#32
○委員長(岡本愛祐君) 御質問をお願いします。
#33
○鈴木直人君 質屋もその一部でありまするが、金融機関等が急に営業の禁止とか取消を受けたような場合には、いつも金をそこに預けておる者とか、貸しておる者、或いは質屋においては質置主という者が、多数のそれに関係していたところの者が非常に迷惑するわけです。恐らく取消されるような場合には、相当赤字が多い場合も多いでありましようし、こういう営業というものは一お互いに動いておるから、営業し続けておるから、その間において金融が流通されて、そうして営業を継続さして行くことができるのですが、急に営業が停止されたり、禁止されたりしてしまうというと、他の関係がぱつたり止つてしまつて、そうして迷惑するのか、大体において質置主ではないかと思うのですが、従つてこの質置主の保護については、余り説明がなかつたのですけれども、むしろこういう方面こそ、私は相当説明して貰う方がいいんじやないかと思うのですが、この点について、どういう点に主力を注いでこれを保護しようとしておるのか、その要点を御説明願いたいと思います。
#34
○政府委員(武藤文雄君) 只今御説明申上げました通り、質屋が急に店をしまつたと、取消を受けたと、或いは営業の停止を受けたという場合に、それを知らずに質置主が行つたところが、店の扉がしまつておつたといつても質置主に損害を與えるということにならないようにしようという趣旨でこの規定を置いたわけでありまして、第二十八條の第一項は、質屋が廃業し、或いは質屋の許可の取消を受けたという場合においては、その廃業なり取消を受けた日以前に成立しておつた質契約については、その質契約の内容に従つて、貸付金の回収、或いは質物を返してやるというふうに、要するにその質契約の結末を付けなければならない。これによつて質置主は、たとえ廃業になつても、その後その質契約の順調な終結ができるようにしようという趣旨であります。第二項におきましては、営業の停止の場合、これは先にもありました通り、一年以内の範囲において停止を受けることがありますが、この場合も同様に扱うという準用の規定を設けたわけであります。それから第三項は、質屋が死亡した場合、或いは法人である場合の規定を置いたわけであります。質屋が死亡した場合においては、その相続人の中から、その当該質屋の営業所ごとに、公安委員会で承認しました者或いは相続財産の管理人、まあ端的に申しますれば、その主人の相続人のような人が、当然その質契約の終末を付けるための措置をとらなければならないということにいたしたわけであります。質屋が法人である場合、合併以外の事由によつて解散したときは、その清算人なり破産管財人において、今の質契約終結の措置をしなければならない。法人が合併によつて消滅した場合は、その合併後存在する法人、又は合併によつて設立された法人において、前の質契約の終末を付けなければならないというふうにいたしまして、いろいろの場合を分けて詳細に規定をいたしまして、要するに店が変つたとか、無くなつたという場合においても、何ら質置主が損を受けることがないように保護をしようということをいたしたわけであります。
#35
○委員長(岡本愛祐君) お尋ねしますが、風俗営業とか、古物営業の取消又は営業の停止の場合に、聽聞制度というものが設けられたのですが、それが円滑に行つておるかどうか。その風俗営業、古物営業について、取消停止なんかをした処分の数なんか分つておりますか。東京都だけでもよろしうございます。
#36
○政府委員(武藤文雄君) ここに数字は持つて来ておりませんので分りませんが、併しそういう場合に聽聞を行なつた模様などを詳細に特に報告を求めております。その模擬によりますれば、この制度が十分円滑に活用されておるように聞いております。
#37
○委員長(岡本愛祐君) 大体何件くらい東京都でありましたか、分りませんか。
#38
○政府委員(武藤文雄君) 余り数は多くないようであります。
#39
○委員長(岡本愛祐君) それでは次に移ります。罰則第三十條から三十五條まで。
#40
○政府委員(武藤文雄君) 罰則の関係でございますが、この罰則は、現行法は何しろ非常に古い法律でございまして、現在の刑罰体系から見て適当でないというところで、特にこの罰則関係を扱つておる主管官庁とも十分協議をいたしまして、現在の刑罰体系というものに即応したものを、ここに規定を置いたわけであります。この中で、特に重い罰則になつておりますのは、第五條、第六條の、いわゆるもぐり営業、或いは名義貸といつた場合は、特に嚴重に処分をするというので、第三十條で、特に重い刑罰にいたしております。これは飽くまでも、無許可営業なり、或いは名義貸というものは、業界を混乱させ、これが又犯罪の温床となる危險があるのでありまして、こういうものには嚴重な態度で臨むというので、第三十條で、この点については重い規定を置いております。その他の点については、各條項に応じまして、度合を付けまして、詳細に刑罰を分けて考えたのでありますが、大体只今申上げました通り、刑罰体系、他の法令との関連というものを十分に勘案いたしまして、かような結論が出たわけであります。
#41
○委員長(岡本愛祐君) 御質疑をお願いいたします。……大臣に伺いますが、こういう罰則に懲役刑を決めて、禁錮刑を決めないのは、どういう理由なんですか。
#42
○国務大臣(樋貝詮三君) 大体が質物なんかのは、財物に関しまして、まあ俗に言う汚い犯罪が多いのです。それで刑期を科した懲役刑をやるのですが、禁錮刑の方は、御承知のように、その行為はいけないけれども、社会的に見れば、財産と余り関係ないような犯罪に科しておるのです。主として質屋営業とか、これらに関しては、財産の多いか少いか、不当に取るかというようなことが主になつて犯罪を犯すのですから、そこで懲役刑の系統の方が適当だろうということを考えて規定しましたようなわけで、こういう種類の犯罪は、禁錮刑より、例えば政治犯のごとき禁錮刑の系統よりか、むしろ懲役系統の方が正しいであろうというような考えで、刑罰規定に規定しておるわけであります。
#43
○鈴木直人君 十三條の後段ですけれども、質屋は、「不正品の疑がある場合においては、直ちに警察官又は警察吏員にその旨を申告しなければならない。」と、こういう規定ですけれども、これは十九條の但書と同じように、何と言いますか、道義的な規定と考えてよいのでしようか、これについての罰則はないのです。前段はありますけれども、後段の罰則はないのです。従つて不正品の疑がある場合において、これを警察官又は警察吏員に申告しなくても、これらの処罰を受けないということになつておりますが、これは一つのまあ道義的な規定となつておりますか。
#44
○政府委員(武藤文雄君) お説の通り第十三條の後段、不正品の疑があるという場合においては、警察に申告しなければならないということは、これは道義的規定で、むしろ業者の率先しての協力を期待したいというつもりで、罰則で強いるよりも、むしろ率先して、協力して頂くという趣旨から罰則を設けなかつたのであります。ただ勿論不正品の疑があるということを十分知つている、而も警察に非協力で申告をしないというような悪質な場合が考えられるのでありますが、その場合は第二十五條の第四号で、法律に違反している、申告しなければならないという点には違反しているというので、営業の取消或いは営業の停止の原因とはなることになります。
#45
○鈴木直人君 罰則も付けることができないような軽いものを理由として行政処分の原因にすることはできないと思うのです。
#46
○政府委員(武藤文雄君) 当然できないという性質のものではなくて、罰則の関係と行政処分との関係はおのずから別個の観点に立つて考えられるべきであります。でこの意味において、質屋が率先して本当に警察に協力して、不正品の疑がある場合は申告するということが望ましい。その意味において、そうしなかつたからといつて直ちに罰則でこれを強いるということは、必ずしも所期の目的を達するゆえんではないと思うのであります。併しながらそういうことをたびたびやつて非常に情状が惡い、非常に惡質であるといつた場合においては、行政処分の対象ともなり得るということであつて、必ずしも罰則がないから行政処分までできないわけではないと、かように考えます。
#47
○堀末治君 今の御説明によりますというと、この罰則は他の法律とそれぞれに均等をとつたとこういうようなお話でございましたが、今提案されておしまするこの地方税法案のうちの附加価値税の罰則を見るというと、附加価値税の罰則が非常に強い。現に第四十一條を御覧下されば分かりますが、僅かに法人の代表者等の自署及び押印の義務に違反した者に対して、「一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。」こういうことがあるのです。四十二條に至つては、附加価値説の脱税に関する罪として、三年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処すると、まあこういう規定があるのです。それから見ると、これは三年以下の懲役で十万円以下の罰金、その次は一年以下の懲役で三万円以下の罰金、まあこういうことになつておる。そのいわゆる附加価値税なんかの罰則に比べるというと、これは非常に軽いように思うのです。あなたのおつしやつたように均等がとれている点からいうとどつちが強いのか、いずれまあこれは地方税のときにこの問題が出ましようと思いますけれども、如何なものでしようか。
#48
○政府委員(武藤文雄君) 罰則をもう少し重くしたらという御意見かも知れませんが……
#49
○堀末治君 ではないのです。(笑声)そういう意味じやありません。
#50
○政府委員(武藤文雄君) 私の申上げておりますのは、この種のいろいろな営業に関連する法令が沢山ございます。そういうものにおきましての法令の罰則の体系と歩調を合わしているもので、地方税法の方は私よく存じませんが、法の性質も違うので、或いは又そちらの方の刑罰体系があるのだろうと思います。私の方のこの体系は他のいろいろの許可営業といつたものについての罰則の体系と歩調を合わしているということを申上げたいと思います。
#51
○堀末治君 三十條の三年以下の懲役が若し妥当なものとすれば、十万円以下の罰金は非常に時節柄低いように思いますね。一方は一年以下で二十万円、一方は懲役が三年で十万円以下だから、いざというときには十万円納めた方があつさりと片付いて……(笑声)三年の懲役に比べて十万円というのは、今の貨幣価値からいつたら非常に低いように思う。そういう均衡がとれている、とれていないということは、私よく分りませんけれども、どうも三年というのは非常に重くて、十万円というのが非常に低いような感じがするのです。それでお尋ねしたのですけれども大してより以上の修正をしようという程の強い意見はございませんけれども、そういう感じがするということを申上げて置きます。
#52
○鈴木直人君 これは一般的な問題でしようが、いわゆる金と何ケ月……六ケ月なら、罰金なら幾らかというふうに、その懲役の月或いは年と金の額というものとの比較ですね、これは何か基準があるのですか。
#53
○政府委員(武藤文雄君) 犯罪の性格によつて違うものがあると思います。財産に関する問題なんかのときには、比較的罰金が重くなつていることもあるようでありまして、その法令の性質というものによつて、必ずしも一律に懲役と罰金との換算率というものができているのではないようであります。営業に関しましては大体この程度の基準に外の法令もなつているようであります。
#54
○国務大臣(樋貝詮三君) 私らが担当しておつたときには、戦前は一年千円であつたものです。今でいえば百倍とすれば一年十方円ですか、そんな標準でやつて見ましたが刑罰の如何によつてなかなか一様には行きませんで、区別しなければならんことを随分考えて、戦争後においては、今お説の通り統一のとれない場合もありまして、先例になつてしまつて急に変えることのできない部分もありまして、そのためにお気付きのような点がないではないのですけれども、大体において類似のものについては同じような傾向をとつております。
 それから選択刑になつております。たまには併科にもなりますけれども、罰金が体刑と共に科せられる場合がありまして、従つて体刑に代うるに罰金を以てするというような考えはないのです。従つて罰金の多少ということによつて体系との比率をとるのは少し無理じやないかと思います。それでまあ以上のようになつている、大ざつぱなことですけれども、そういうわけです。
#55
○鈴木直人君 あれは何でしたか、いわゆる公判によつて罪でないということが確定した場合には、後に刑務所に入れられていた間の補償が、賠償ですね、それが貰えることになつています。あれは五百円ということになつていますが、そうすると三十一日でありますと、一万五千五百円、一ケ月一万五千五百円というふうになりますが、あれに比較しますと、この三十二條のごときは、非常に罰金の方が、さつき堀さんの言われたように少いような気がしますかね。これは六ケ月以下ですから、六ケ月にすれば、一万五千五百円の六倍ということにしてもいいように思うのですが、こういう懲役というものと罰金というものの比較の基準を、今の賠償額のようなものに一定するというようなことはできないものですか。
#56
○政府委員(武藤文雄君) 御説は十分我々としても考えなければならないと存じます。終戰後貨幣価値の著しい変動もありまして、その間において、従つて罰則も只今大臣がお話になつたように、必ずしも画一的基準がとれておらない面もあつたと思われます。その点はいずれ整理さるべき同盟として十分検討を要する問題だと思います。
#57
○委員長(岡本愛祐君) 三十五條の「人の代理人」の中には法定代理人を含みますか。
#58
○政府委員(武藤文雄君) 入ります。
#59
○委員長(岡本愛祐君) そうすると、未成年者の法定代理人がその業務に関して違反行為をしたときは、その法定代理人を罰する外に、未成年者についても罰金刑を科する、こういうことになりますね。
#60
○政局委員(武藤文雄君) さようでございます。
#61
○委員長(岡本愛祐君) 聞違いございませんね。
#62
○政府委員(武藤文雄君) 但し勿論刑法の原則によりまして、十四歳未満の者はこの限りでありません。
#63
○委員長(岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。では附則に移ります。武藤政府委員。
#64
○政府委員(武藤文雄君) 附則の第一項は、本法の施行期日を二十五年七月一日といたしまして、本法が成立いたしますと、十分本満の趣旨を徹底いたさなければなりません、その間を見越しまして七月一日にいたしたわけであります。それで本法が施行になりますれば、当然現行法は廃止されるということを第二項に謳つてあります。第三項におきましては、現行法の過渡的規定を設けたわけであります。特に御注意を願いたいのは、この第四項の規定でございます。従来の古物営業法等においては、本法施行後三ケ月以内に、従来営業しておつた者は許可を受けなければならないということにいたしたのでありますが、今回は三ケ月以内に許可の申請をすればよろしい、つまり七月一日から施行になる、それから後三ケ月以内に改めて許可証の交付の申請をすれば足りるというふうにして、官庁の万一事務が遅延するというようなことによつて、業者に不当の損害を與えないように、ともかくその間に許可証の申請をすればいいという建前をとつたわけであります。その他五項、六項、七項は、いずれも過渡的な規定であります。第八項に公益質屋法において、現在の法律をいろいろ準用している規定があります。この法律が変るに伴いまして、公益質屋法におきましてもいろいろ準用規定が変つて参りますので、公益質屋法を併せてここで修正しておるわけであります。
#65
○委員長(岡本愛祐君) 御質問お願いいたします。
#66
○鈴木直人君 申請をしたけれども、この法律の條項に当嵌まらないという場合においては許可されないということがありますか。
#67
○政府委員(間狩信義君) 今の御質問は、第四項に関連した場合だろうと思いますが、第四項では、現在許可を受けて営業いたしております者は。その許可はそのまま有効でございます。従つて第四項によりまして、許可証の交付の申請をすれば、当然に許可証は交付されるわけであります。但しその場合に、二十五條に規定いたしております取消し又は停止の事由が発見されまして、それによつて新たに行政処分を受けた場合は格別でございます。そうでない以上は当然許可証の交付がされるわけであります。
#68
○鈴木直人君 この法令には特別の施設を必要とするということで、その施設をする義務を與えた條項があつたと思うのですが、あれは第七條第一項ですか、この点に合わないというような場合においてはどうなりますか。
#69
○政府委員(間狩信義君) 御説の通り第七條におきまして、保管設備について一定の基準を定める場合があるのでありますが、そういたしますと現に質屋を営業しております者の保管設備が、その基準に合わないような場合が当然起つて参ります。従いましてその点につきましては何らかの経過的な措置が必要になつて来るのであります。で、ここに第七條の第一項で「一定の基準を定めることができる。」、その基準を定める際に、そういう経過的規定もその中に含めた基準を設定する、かような考えでございます。
#70
○鈴木直人君 そうしますと、その際に基準を決めて交付するわけですが、附則の第四項に基いて、許可証の交付の申請は三ケ月以内にするけれども、その設備が、第七條第一項の設備が完備するまでは許可証の交付は受けられないという経過になりますか。
#71
○政府委員(間狩信義君) 第七條の一定基準を定めました場合に、現に許可を受けておる者につきましては、例えば今後二年乃至三年間猶予するというような規定を設けることになると思います。それで差当りはその基準に合う設備は設けてなくても当然許可証が交付されるわけでありまして、二年なり三年なりの猶予期間中に基準に合う保管設備を設けなければならないというふうになるわけであります。
#72
○委員長(岡本愛祐君) 外に附則について御質疑ございませんか。それでは逐條審議は只今までで終りました。尚この全般の法案につきまして御質疑ございませんか。……別に御発言もございませんようですから質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。
#73
○堀末治君 私最後に折角樋貝国務大臣もいらつしやることでありますから、希望いたしたいのでありますが、東京の質屋だけの営業統計表を先程頂いたのですが、これを見ますというと、東京だけでは千百二十店であつて、要するに品数は六十八万七千九十六口、在質高は五億三千七百万円、一店平均口数が六百十三品で、一店の平均在質高が四十七万九千円、そうして質置主の職業別を調べてみますと、俸給生活者が四九%、労働者二一%、商業者が二二%、工業者が一二%その他が五%、まあこういうことになつておるわけであります。恐らくそうしたお尋ねをしたときも、多分今の俸給生活者が一番質屋を利用しておるのじやないかという気持でお尋ねしたのですが、果して四九%というような非常な高率になつておる。而も今の俸給生活者は給與ベースが低いので非常に生活が困難だということは随分やかましい問題になつておるのでありまして、その質屋を利用するのが今の給與ベースの低い俸給生活者が半分だ、こういうことになつておる。その俸給生活者がいざ利用するというときは少くとも月一割ぐらいの金利を拂わされる、要するに生活困難な上にも生活困難をしておるわけであります。一方私が聞いたところによるというと、この質屋さんの方には銀行あたりも余り喜んで安い金を融通しないということを聞いております。元は御承知の通り、私申上げるまでもありませんが、質屋さんというものは、全国的に見て有産階級、非常にお金持ちの人が多かつたように思うのでありますが、先年の財産税の関係から恐らく戰前程のような資力がないのじやないか、従つていざ金が要るということになつて来ると、銀行も喜んでこれに融資しないということは尤もだと、こういうふうに思われる。この間もこの席上で話が出たが、親質というものがあつて、同業者の中で融通を利かしておる、従つてこれは高利になることは止むを得ないことだと思うのでありますが、これを、分りませんけれども、全国の数に割つてみると恐らく一軒二十五万円ぐらいじやないか、そうすると四百億ぐらいの金になる。少くともこれで全部見ると三百億乃至五百億の金が、質屋というものを通じて庶民階級に金を融通しているのじやないかとこういうことを考えてみると、今のような高い金利でなくもう少し安い金利で庶民階級の金利を図つてやるということが、この金詰りの時節柄非常に必要なことではないかと、さように思うのであります。幸いに東京のごときは協同組合ができておるということでありますから、いわゆる協同組合を通してもう少し政府の低利資金を廻して、金利を安くするということが非常に社会の政策上必要じやないかということを考えるのであります。この点について大臣は如何にお考えですか、大臣の御所見を伺いたいと存じます。
#74
○国務大臣(樋貝詮三君) 今のお説の、何とかこの方向に金融を付けるということは御尤もだと思います。その方面でもしばしば話が出まして、私共で、もう少し国の方の余裕ができるならば、その方にも廻したいというような話が出ましたようなわけでございます。ただ今の統計の勤務者のパーセンテージが多いというのは、私も長い間官吏をやりましたけれども、考えて見ると外に融資が付かんから、一番早い質屋に飛んで行くというのが常例みたいになりまして、それでパーセンテージが割合に勤務者が多いという点もありましようから、その点も考えなければならん。外の金融機関は取引がありませんから、結局質屋に行くのが一番いいのではないかということになるわけでありまして、労働者などは宵越しの金は持たんというような人もあるくらいで、釜を質に置いて肴を食うというような例も随分ありますが、そういうものは別といたしましても、まじめな、金融の方面でも相当に余力がないという人もあるから、賃金べースの関係と今の融通との関係はまあございましようけれども、余り深く考えるべきでないと私は思いますので、融通は融通、金融は金融で考えなければならんとは思いますけれども、而もその間にはもう少し考えなければならん部面も人つておるのではないかということを思います。今の御説のような点は、更に各担当の方面に伝えまして考慮させることにしたいと思います。
#75
○堀末治君 是非今の政府においても、こういう点の、いわゆる社会政策にもう少し重点を置いて政治を行なつて頂きたいということを特に與党の一人として希望いたしまして私の質問を終ります。
#76
○鈴木直人君 公益質屋法にはこの二十三條、二十四條のような規定はございますですか。若しなかつたとすれば、どうして公益質屋だけが特別のそういう点についての保護を受けるものでしようか。
#77
○政府委員(間狩信義君) 公益質屋におきましても準用いたしております。
#78
○鈴木直人君 当然その規定は準用されるのですか。
#79
○政府委員(間狩信義君) そうです。附則の第八項の、二十四頁の一番終りから二行目でございますが、この二十條乃至二十四條の規定は……
#80
○鈴木直人君 そうですか。分りました。
#81
○委員長(岡本愛祐君) 外に御質疑はございませんか――。外に御発言もございませんようですから質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#82
○委員長(岡本愛祐君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
#83
○三木治朗君 大体この法案は仕方がなく賛成いたしますが、質疑の中にもたびたび出ましたように、公安委員がすべての権限を持つてやることになつておるのでありますが、結局公安委員が殆んど飾物であるような町村もありますし、又公安委員が非常に何といいますか、土地のボスであつて横暴を働いておるようなところもあるのであります。従つて私共はこれを市の條例の中で以てすべて條例で決めるという工合にして、公安委員、警察だけでやるのでない方がいいのではないかという工合に考えるのであります。すでに現に公安委員の問題で茨城県の下妻町に署長さんが二人できたというような非常に面倒な問題が起つております。これは後程御説明をお伺いしたと思いますが、これは過渡期であるから仕方がないのかも知れませんが、そういういろいろ問題があるので、又国家警察の方にはそれぞれの上級機関というようなものもありますけれども、自治体警察においては余計心配になるというような気がするのであります。そういう点を一つ十分過ちのないように、何といいますか、指導することをお願いして、大体原案に賛成いたします。
#84
○委員長(岡本愛祐君) 外に御発言ございませんか。……外に御発言もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#85
○委員長(岡本愛祐君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。質屋営業法案について採決いたします。質屋営業法案を原案通り可決することに賛成の方の御起立を願います。
   〔総員起立〕
#86
○委員長(岡本愛祐君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 尚本会議における委員長の口頭報告は、委員長より予め結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#87
○委員長(岡本愛祐君) 御異議ないものと認めます。本院規則第七十二條により委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    鈴木 直人  岡田喜久治
    黒川 武雄  三木 治朗
    岩木 哲夫  堀  末治
    西郷吉之助
  ―――――――――――――
#88
○三木治朗君 只今ちよつと申上げました茨城県下妻町の問題を、一つ当局からその実情を御説明願いたいと思います。
#89
○政府委員(斎藤昇君) 只今の下妻町の問題は、お話の通り公安委員の任免の問題と署長の任免の問題にからみまして、署長が形式上二人できたような形になつているのであります。私の聞きましたのは、三日ばかり前でありますから、今日はどうなつているか分りませんが、その問題の起りは、今までの署長が町会議員の或る一派の人達に不利な事件を捜査したというのが一つの大きな原因になつているようであります。これを基にいたしまして町会議員の中に相当容疑を持たれた人が出て参りまして、そこで町会議員が辞職をするという形になつたのであります。この場合全員辞職ということであつたようでありましたが、最後の蓋を開けた結果は、全員辞職にならなくて、一部の者の辞職になつたわけであります。その再選の結果は、いわゆる署長から捜査をされた方の立場の側が過半数を制するようになつた。この関係からして公安委員の罷免を確か行なつたと思いますが、そうして新らしく公安委員を任命し、従前の署長を罷免をして、そうして新らしく署長を置いたというような形になつているようであります。併しこれらの手続の中には法律上疑問を持つ点があります。殊に公安委員の罷免の点につきましては、その罷免をし、新らしく公安委員を置いたのは適法かどうかという疑わしい問題があります。従つて新たに任命した署長が正当に権限が行使できるのかどうかという問題もあるようであります。目下これらの事情を調査をいたしまして、国警の隊長も相談に乗り、そこを合法的に、そして法律の趣旨に合うようにというようにいろいろ話合つている模様であります。まだその結果は聞いておりませんが、併し実際問題としましては、従前の署長が依然として職務をとつており、新らしく任命されました署長はまだ職務をとつていない、こういう状況のように数日前には私は聞きました。今日の状況は聞いておりませんが、最終の結論に達しましたときには、もう一度改めて機会を見て御説明申上げたいと思います。
#90
○三木治朗君 まあ非常に法的の解釈が面倒なような節もあるように思いますけれども、結局はこういう署長が二人もできて、お互いに争つておるというような状態では、治安に対する責任も十分に負い得ないようになるでしようし、又町民もそういうことを聞き知れば、非常な不安に駆られることだろうと思われますので、一つ成るべく早く適当な解決を図るように希望いたして置きます。
#91
○委員長(岡本愛祐君) 関連しまして樋貝国務大臣にお尋ねいたしますが、この地方行政委員会におきまして、自治体警察のことをいろいろ調査研究をいたしました過程におきまして、どうしても自治体警察を世話をする機関がなくちやいけないだろう、決してそれは統轄したり、指揮監督したりする意味じやありません。ただ人員のでこぼこを融通をしたり、人事の交流を世話をしたり、又いろいろな問題の起つたときに相談に乗つたりする、そういうことをする機関がどうしても必要である。今みたいにばらばらにして置いて、今三木委員の御質問の下妻のような問題は大きな問題だと思います。それが出ても、政府の方としては何もどうすることもできないというようなことは、これは自治の本義から言えば、それでいいと言えばそれまでですけれども、治安の問題からすれば、そうは言い切れない、これに対する御所見を承つておきたい。
#92
○国務大臣(樋貝詮三君) これについては去年の三月頃から私初め関係の者もそうでございましたが、非常に心配しておる。それで日本の今の警察を以てしては、少くとも不経済で、もう少し経済的に警察が行けるようにというわけで、いろいろ政府において、自治体の方向にも少くとも監督をしたいということは、しばしば申したのです。それから或る方面にそのことは申したのですが、なかなか初めの方針を一部では固執しておりまして、これに応じない。他方面においては相当耳をかしたような状態でありますが、今の警察法では政府は自治体警察に入るべからずという考えを持つているのであります。又のみならず国の地方警察にしましても、原則としては地方の方を担当するようにというようにできておりまして、公安委会が国及び各地にありますが、その公安委員で処理して行け、警察のことは処理して行け、別々にやつて行けという考えを持つておりますので、これを何とか事実上においても連絡をし統一しなければならない。そうしなければ、警察の機能が十分に発揮できんからというわけで、いろいろな案を以て昨年以来交渉しているようなわけでありますが、現在の治安は現在の状態で保てるというようなことで、御承知の去年の九月二日においてもマッカーサー元帥の書面もあつたりして、如何にも私共はさように信じますけれども、もう少し細かい点についても巧妙な処置ができるだろうというわけで、いろいろな案を示したようなわけであります。それから最近におきましても、これは、五日ばかり前ですが、自治体方面では警視庁などが主になりまして、公安委員会の連絡会議を拵えました。それから又各署長など、自治体の主な署長が集まりましたが、これらも互いに連絡をとつてやつて行こうというような打合会をいたしました。その席には私も、それから国警長官も連つたようなわけで、国警とも連絡をとり、自治体の方とも互いに国警と連絡をして、円満を期して行きたい、そうして警察の実を挙げて得きたいと考え、又政府とも連絡をして十分に警察の能力を発揮して行きたいというような考えで着々進んでおりますが、更に進んでは消防の方面とも、過日御心配を頂きましたが、更に十分消防団とも警察の方とも関係をして、新らしい明るい警察、民主的な警察は考えるけれども、併し弱い警察を作りたくないと思いまして、日本の治安の維持の上に十分な責任をとれるだけのことをしたいと思つたわけであります。差当つては今與えられた條件で、許される範囲で今日の警察を強くしたい、決して馬鹿にされん警察にしたい、或いは物的設備、自動車とか或いは電話とかいう方面に力を注いでおりますけれども、更に進んでは日本の転換して行く上に応ずるような対策をとらなければならんと考えております。現に今日もいろいろな弊難役の書類を持つておるわけですが、いずれこれらの点についても皆さんのお考えに副うような方向をとれると信じて疑いません。
#93
○岩木哲夫君 ちよつと警察のことについてお尋ねしたいのですが、各地方庁が、各府県の二十五年度の予算等に計上されておる警察消防費というものは、国警の予算でありますか、地方自治警察の予算でありますか。
#94
○政府委員(斎藤昇君) 市町村で組んでおられまする警察、消防の費用は、これは全部警察の費用は自治警察の費用であります。それから府県といたしましては、府県の公安委員会に必要な費用を若干組んでおります。一般の国家地方警察の整備或いは運営というものに要しまする費用は、全部国費であります。
#95
○岩木哲夫君 各府県からの二十五年度予算の内容の報告書によりますと、各都道府県におきましての本年度の、二十五年度の警察、消防費は、前年度に比べて著しく減少しておる府県もあれば、著しく増大しておる府県もあり、僅かに減つておるところ、或いは僅かに多くなつておるところ、誠に千差万別の予算のでこぼこでありますが、これは各府県で勝手にこういうような工合な実情によつてやられるのか、これに対して国家警察と申しますか、国としてはどういうこれに対する対策を持つているのかお聞きしたい。
#96
○政府委員(斎藤昇君) 只今の御質問は、府県とおつしやいましたのは、府県自治体自身の予算でございましようか。
#97
○岩木哲夫君 まあ政府が出しておる昭和二十五年度当初予算の調べで、北海道から鹿児島までの各蔵出入の予算書類が出ております。それによりますと、北海道などはべらぼうにひどいが、又沢山殖えておるところがあります。もう思い思いの予算が組んである……

#98
○政府委員(斎藤昇君) それは警察、消防費となつておりますならば、消防が入つておると思います。で消防は府県が相当市町村に対して奨励費などをやつておるところもある。それから消防の指導連絡に要する費用も消防はとつております。警察の方は今申しましたように、府県の公安委員会に要する費用というものを組んでいるわけでありますが、これも府県によりまして相当多い少ないがございまするので、段段他の府県の様子を聞いて殖やすところもありますし、減らすところもあります。併しこれは国で統一をとるという筋合のものでもありませんので、自然府県間の話合なんかでそれぞれ各府県で決められるのであります。政府の方としましては、これには何にも干渉をいたしておりませんし、又いたす筋合にもなつていないような次第であります。
#99
○岩木哲夫君 警察、消防費と二つ並べて計上されてありますから、今お説のように消防費の分か警察費用の分か、そいつは政府提出の書類だけでは分らんのでありますが、今の御説によりますと、各府県の公安委員会なり警察の費用というものはそれぞれの地方の自由で、中央では何らこれにはタッチしておらないし、又これに関與する何はないということでありますが、ちよつと消防費と混合している実情も分力ませんが、大体警察の費用については、そういつたものでありまするかどうか、ちよつとそこには了解し難い点がありますが……
#100
○国務大臣(樋貝詮三君) 今警察法では、大きなところは市、町、町も大きなところですが、全体の戸数が五千以上の町はみんな自治体で警察を持つているということになつております。従つてその費用も自治体が負担することになつております。その警察吏員の方の総計は、日本中で九万五千と押えられておるのですが、そこで各別の自治体が皆警察を持つて行く、その費用を持つて行くということになる、国ではそれに対してはただ交付金でやろうということになつておる、交付金は御承知の通り一本になりまして、千二十億でしたか、あの交付金を分割するわけですが、その中には警察費、消防費とありますけれども、併しそれに比例して幾らというふうには決めませんで、一括して市や大きな市町対等にも交付金を與えましたので、従つてどういうふうにそれを使うかということは各市町村の随意になつておるわけです。従つて警察費同様、消防費等は多いところもあり、少いところもあるわけなんです。殊に警察吏員は日本全国としては九万五千ですけれども、その基準となるものは、昭和二十一年の十月一日のはまだその統計はありませんで、確か二十一年が標準になりましてその人口で九万五千が配分されて、今日にもまだそれが通じておると思います。従つて実情に副わない分は沢山ありまして、その警察吏員が少いところでは費用も割合口に少いでしようが、又犯罪があつたりして困つております。例えば関東の川崎等においては二十一年の標準では、その当時戰災を受けましたから非常に焼けておる、今日においては非常に膨脹しておるというようなところがあり、殊に競輪等がありまして、いろいろの事件が起つておるから町の中にも警察が多くなければ困るというような事情がありまして、そのときにおいても尚古い状態でなければいけない、暫く待てということで現在やつておりますために、非常に困つておる事情もありますので、今言つた予算においても、そういうようなところからまちまちが起りましたようなわけであります。消防の方では、例えば自動車ポンプを買つたところもありますが、それらにすれば一台で百五十万円かかつたというような事情がありますのでそれが統計の上に現われて来ると来ないとでは非常に相異いたしますから、今齋藤長官からお答え申上げましたように、その点においてもどうも区別がないと考えているようなことによりまして、現在でどうもそれを踏越えることが困難なような事情にありますので、お答え申上げます。
#101
○岩木哲夫君 樋貝国務大臣の地方におけるあの場合、この場合のお議論は分るわけでありますが、併しながらこの二十四年度の予算と二十五年度の地方都道府県における予算の実態を見ますれば、必ずしもそういつたような成り行的な予算の実態でなく、荀くも消防におきまする機材のものは又別個の立場で計上されておる府県もあるのでして、ただ参考書類として出ておるものが、警察消防費として一括しておりますが、実際問題としては警察の予算が地方の実情で自由に減少もでき、自由に又膨脹もできるというような制度の問題は、相当これは大きな問題であろうと思うのでありますが、すべてが地方に一切任されておるのだという問題は、今度地方税法の改正に伴う地方財政確立という観点から見た、これはひとり警察消防ばかりでない、或いは地方におきまする議会費、町費、教育費、社会厚生施設費各般のものについては、全部各府県がでこぼこであります。これは私が先般も質問したのでありますが、或る府県においては知事が今年度七百万円も交際費を取つておる。府県会議員も相当の、事務局が交際費を取つておる。或いは大きなところは、食糧費と称して二億の金を予算に取つておる。段々聞いて見ると地方から来たものや、勿論宴会費用を食糧費として盛つている。知事の七百万円の交際費は、来年度の選挙費用に充当するために使つて漏るということは明らかであり、これはまあ一例でありますが、そういう工合に地方の財政を思いのままに、出任せに計上されるというような姿のままで行われてよいものであるかどうかということは、地方税法案審議に関連して、又警察制度という問題に関連しましても誠に由々しき事態だろうと思う。これは警察の問題ばかりでありません。私の質問せんとすることは、今申上げた総合的な地方財政の確立、基本的な平衡交付金に関連して爾余のものは主として地方財政、地方税制というものが地方に委ねられて来るといつたような状態に対しまする予算の編成方法につきましての基本的の問題でありまして、特に警察面でも今申上げまする治安は、本年度は非常に泥坊が多いから余計盛つたとかいうようなことの程度の財源と違うのです。例えば北海道においては昨年より半減しておる。ところが或る府県のごときは倍近くも計上しておるということで、全く思い思いの出たらめと申していいか、非常に不均衡を来ておるという点に対する私の疑義であります。ただ内容が警察、消防費という項目に一括されておるために、内容を完全把握することはできませんから、私も的確な断言はできませんけれども、これにつきましては相当の関心が各方面にあるようでありますので、この際その点を若しお分りであるならばお聞きして置きたいと、かように思うわけであります。
#102
○国務大臣(樋貝詮三君) その点については、警察、消防費ばかりでなくて、全くお説の通りです。それが自治体の自由に発達いたして行くゆえんだと主張する者もありまして、それから或る程度の監督権を我々に與えよということを言つておる。沢山言つてもそれを皆入れられないで、自治体がそれじや萎縮してしまう、こういうようなことを言つておる人もありまして、まちまちでございますが、お説の通りであります。ただ考えなければならんのは、今も申上げました戦災後の都市におきまして、或る都市では、警察、消防の方へ非常に力を入れなければならないという事情もあつたりいたしまして、外の財政でも同機ですが、海岸沿いの町村など、或いは山の上の町村などとではその費用が非常に違いましようし、それから警察の方面にしましても、戰災を蒙つた都市のその後において、或いはその後において非常に発達しましたような都市等におきまして、警察費が急に膨脹しておるのも事実であります。消防費におきましても、いろいろ考えなければならんというような都市もありまして、でこぼこがありますのは止むを得ない面もあります。又その地方においてどのくらい力を入れるか、入れ方によつて違いますのもあると考えております。そういうことに対して政府の方においても或る程度、統制をとれるようして呉れんかということも、これは確かに要望しておりますけれども、併し今日においてはそれは許されない状態にある、むしろ自治体の発達ということばかり多く唱えておりまして、従つてこの予算等についても自由な意思が入れられるというふうには参つておらんのは事実であります。それでその半面において或る程度には意思を入れられるようにしたいということを考えておりますので、事あることにはそのことを主張しており、又私共考えを盛り込むようにということを願つておりますけれども、全般にはまだそこまで立ち至りませんようなわけであります。
#103
○岩木哲夫君 樋具国務大臣の御見解はう私は満足いたしませず、又何のことやらちよつと分りませんけれども、本日の委員会はそれが主題でないからこれで打切ります。
#104
○委員長(岡本愛祐君) 三木君から御質問のございました下妻事件につきましては、国家地方警察の茨城県本部の警察総長望月重雄君並びに下妻町の公安委員長櫻井幸造君から報告が参つております。委員長宛、あとからこれは御覧願いたいと思います。要するにこれは自治体警察における署長に対して元下妻町警察署勤務の司法主任の警部補から告訴したのがその一つであります。その告訴をした井坂某なる元司法主任が、現存の公安委員の方から署長に任命されておる、こういう経緯になつております。それからその前に公案委員の改選につきまして、選任の点につきまして紛擾を醸しております。それが一つの禍根であります。それから今度は下妻町の町会の監査委員の小島某なる者から署長に対して背任横領起訴罪として、下妻の地検支部に告訴を提起しております。それから三月二十八日に、下妻町の署長の池延某に対して、新たに任命せられた公安委員会が罷免を行なつたところが、その罷免が無効であるというので、その署長が居坐つておるという状況であります。それから町会のリコール問題がありまして、下妻町では町政が一部のボス的人物によつて聾断されているとして、リコール運動が行われておりました。ところがこれが無効であるとかいうようなことでごたごたしておりましたが、県の選挙管理委員会では、三月二十七日にリコール申請、署名者二千百四十二名のうち有効が千八百六十八名で、法定数千八百四名を六十四各超過しておるから、その成立を認めると回答した、こういうことになつております。これが大体国家警察の隊長から報告して来た要点で奉りまして、それから下妻町の新たな公安委員長ですが、それからの報告によりますと、当時の警察署長事件を、署長対司法主任の感情の対立のみだと見ることは絶対にできないもので、本委員長としてはその真相を概略すると、アカハタ掲載のごとく、署長、公安委員長、検事服部良一対元の司法主任、弁護士、町会議長の倉金某、町長の湯澤某の対立であつて、更に署長派に対して本件の国警隊長の望月重雄氏が積極的に支持しておるために惹起したものであると思う、こんなことを報告しております。詳しくはこの報告を御覧下さい。
#105
○堀末治君 只今の報告は、どこから出た報告でございますか。
#106
○委員長(岡本愛祐君) 一つは先程申上げましたように、国家地方警察の茨城県本部から来たもので、それから下妻町の公安委員長の櫻井幸造氏からです。
#107
○堀末治君 この委員会へ来た報告でございますか。
#108
○委員長(岡本愛祐君) そうです。地方行政委員会へ来たのです。これは新聞で、こういう事件が起きますと、報告を求めておりますので、そういうふうにしないと、政府の方でもどうすることもできない。これはやはりこの委員会として確信を持つて、そうして善処しなければならんと思つております。ところが今も紛争の最中でありまして、手の付けようがない状態になつております。
#109
○堀末治君 如何でございましようか、これをちよつとプリントを刷つて皆にお配りになつたら……
#110
○委員長(岡本愛祐君) 御希望によりそういたしましよう。
#111
○堀末治君 要領でも結構ですから。
#112
○委員長(岡本愛祐君) そういたしましよう。それから一つ報告が参つておりますが、これは先月末の報告でありますから、現在までに大分又情勢が変つていると思いますが、新らたに任命された署長、即ち元司法主任であつた、元の署長を告訴をした者、それが段々調べ見ると、朝鮮人であつたというようなことが言われておるのですが、この真相は分りませんか。
#113
○政府委員(斎藤昇君) そういう噂がございました。もう少し愼重に調べまして……
#114
○委員長(岡本愛祐君) 外に御質疑はございませんか。ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#115
○委員長(岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。今日はこれで散会いたします。
   午後零時三十五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     岡本 愛祐君
   理事      岡田喜久治君
   委員
           三木 治朗君
           黒川 武雄君
           堀  末治君
           岩木 哲夫君
           櫻内 辰郎君
           西郷吉之助君
           鈴木 直人君
  国務大臣
   国 務 大 臣 樋貝 詮三君
  政府委員
   国家地方警察本
   部長官     斎藤  昇君
   国家地方警察本
   部部長
   (刑事部長)  武藤 文雄君
   国家地方警察警
   視
   (国家地方警察
   本部防犯課長) 間狩 信義君
ソース: 国立国会図書館
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