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1978/05/09 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 農林水産委員会 第12号
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1978/05/09 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 農林水産委員会 第12号

#1
第087回国会 農林水産委員会 第12号
昭和五十四年五月九日(水曜日)
    午前十時七分開議
 出席委員
   委員長 佐藤  隆君
   理事 今井  勇君 理事 羽田  孜君
   理事 堀之内久男君 理事 島田 琢郎君
   理事 馬場  昇君 理事 古川 雅司君
   理事 稲富 稜人君
      愛野興一郎君    江藤 隆美君
      小渕 恵三君    越智 伊平君
      鹿野 道彦君    熊谷 義雄君
      國場 幸昌君    玉沢徳一郎君
      津島 雄二君    中村喜四郎君
      平泉  渉君    福島 譲二君
      森   清君    森  美秀君
      与謝野 馨君    渡辺 秀央君
      小川 国彦君    角屋堅次郎君
      柴田 健治君    新盛 辰雄君
      竹内  猛君    野坂 浩賢君
      芳賀  貢君    日野 市朗君
      武田 一夫君    野村 光雄君
      吉浦 忠治君    神田  厚君
      津川 武一君    菊池福治郎君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  渡辺美智雄君
 出席政府委員
        総理府統計局長 島村 史郎君
        農林水産政務次
        官       片岡 清一君
        農林水産省構造
        改善局長    大場 敏彦君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    二瓶  博君
        水産庁長官   森  整治君
 委員外の出席者
        厚生省公衆衛生
        局結核成人病課
        長       大池 真澄君
        厚生省年金局企
        画課長     吉原 健二君
        農林水産省構造
        改善局農政部長 森実 孝郎君
        労働大臣官房統
        計情報部情報解
        析課長     中谷  滋君
        労働省職業安定
        局業務指導課長 田淵 孝輔君
        参  考  人
        (農業者年金基
        金理事長)   内村 良英君
        農林水産委員会
        調査室長    尾崎  毅君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月九日
 辞任         補欠選任
  金丸  信君     小渕 恵三君
  久野 忠治君     越智 伊平君
  國場 幸昌君     与謝野 馨君
  瀬戸山三男君     森  美秀君
  中尾 栄一君     渡辺 秀央君
  森   清君     鹿野 道彦君
同日
 辞任         補欠選任
  小渕 恵三君     金丸  信君
  越智 伊平君     久野 忠治君
  鹿野 道彦君     森   清君
  森  美秀君     瀬戸山三男君
  与謝野 馨君     國場 幸昌君
  渡辺 秀央君     中尾 栄一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案起草の
 件
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第五八号)
 肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法
 律案(内閣提出第三九号)(参議院送付)
     ――――◇―――――
#2
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
#3
○野坂委員 農業者年金基金法の一部を改正する法律案について質疑に入るわけですが、法律案の内容は、今回提案されたものは二点であります心
    〔委員長退席、羽田委員長代理着席〕
年金給付の額の物価スライド、それから後継者の加入の救済措置、この二点でありますが、この第一点の、大臣が御説明になっておりますから大臣にお尋ねしますが、国民年金に準じた特例措置として物価スライドによる引き上げができるようにされるわけです。そういたしますと、農業者年金は政策年金ですけれども、この国民年金に準じて措置するということは、公的年金的な位置づけになった、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#4
○渡辺国務大臣 この国が国庫補助をするという点からすれば、公的年金と同じような性格があるという見方も一つあります。ありますが、それは国民年金やあるいは厚生年金などとは違いまして、要するに農業の経営移譲というような一つの農業政策の目的で国民年金に付加した年金でありますから、そういう点からするとまた公的年金だというようには一概に言えないと思います。
#5
○野坂委員 一言で申し上げますと、政策年金でもあり公的年金的でもある、こういうことでございますね。
#6
○渡辺国務大臣 ですから、その公的年金というのは何をとらえて言うかということですね。しかし、これはもともとは国民年金という公的年金があって、そこに農業政策上経営移譲を早めていくという点から付加した付加年金ですから、ですから公的年金が親ならあるいは孫公的年金みたいなものかもわからぬけれども、そういう性格も全然ないということはないでしょう。しかし、本質的には付加年金である。しかし国庫補助はいただいておる。国庫補助をつけているから公的年金だというなら、そういう言い方も俗論としてはないことはないと私は思います。
#7
○野坂委員 わかりました。
 第二番目の後継者の加入の救済ですね。去年は当然加入者に措置を講じました。ことしは任意加入者に措置は講じないで、後継者のみに救済措置を講じた、こういうことになっております。なぜ任意加入者にもそういう門戸を開放されないのか。どうです。
#8
○大場政府委員 任意加入者の中に後継者も入っているわけです。その中の後継者について今度は救済措置をとろうということでありますから、御質問の趣旨は任意加入者の中で後継者以外の任意加入者をなぜ救済措置の対象にしないのか、こういうことだろうと思うのです。これは、当然加入者は加入資格が客観的に把握できるし、発生するわけです。任意加入者というのは当然加入者と違って、手を挙げて私は入りますよと言ったときに加入資格が発生するわけですから、過去にさかのぼっていつ加入資格が発生したかということを認定することは非常にむずかしい話であるということで、任意加入者を取り扱うことは非常に慎重を期する必要がある。ただし、実態を考えますと、後継者は自分が入りたくても親から後継者という指定を受けないとなかなか入れない、そういう事情で入りたくても入れなかったということもあって、そういう者は救済する必要があるだろう。また、そういう希望も強いし、それからまた、それは農政上の目的にも合致するということで後継者を対象にした、こういう理由であります。
#9
○野坂委員 これから一つ一つのことを確認していきますが、去年もおととしも大場さんの前の森さん、その前の松形さんでしたか岡安さんでしたか、そういう方にも一つ一つ確認をして、毎年同じことを言って恐縮ですが、ことしの加入者は百十一万七千人、こういうことになりました。去年は百十二万五千人でした。おととしは百十三万二千人であります。加入者は年々低下しております。
 昨年のこの委員会で、議事録を読みませんが、大場局長は、個別訪問もし徹底をして、当初目標二百二十万を百六十五万に設定され、予算措置がされておるわけですから、それに近づくように努力いたしますと、こういうお話をいただいたわけであります。
 加入の状況を見ますと、三十九歳までが一二・五%で、あと八七・五%はそれ以上の高齢者が加入されておるというのが実態でありますから、受給資格ができれば脱退いたします、掛金を掛けないということになろうかと思うのです。加入、脱退の関係もあって伸びないということもありましょうが、当初予定された人数よりも大きく下回っておるというこの現状について、その数字の詳細と理由、それからこれからの展望についてお話をいただきたいと思います。
#10
○大場政府委員 いまお話しのありましたように、加入者の数が停滞していることは事実でございます。去年が百十二万、ことしが百十一万ということでございますからそういうことでありますが、もう少し中を分析いたしますと、加入、喪失という両者の出入りの関係がありまして、加入はかなり進んでいることは進んでいると言ってもいいと思うのです。たとえば、五十一年には新規加入が四万人であったものが、五十二年には五万一千人、五十三年には五万九千人というぐあいにふえてきている。五十二、五十三の間に約一万人近くはふえているということは事実でありますから、加入の効果は出ているとしていいと思うのです、十分であるかどうかは別として。しかし、一方喪失が非常にふえているということも事実でありまして、五十一年には加入は四万人ありましたのに対しまして喪失が七万一千人、五十二年には加入は五万一千人に対しまして喪失が六万八千人、それから、五十三年には五万九千人という新規加入に対して七万三千人という脱退がある。この脱退、喪失の主な理由は、六十歳に到達したために当然脱退せざるを得ない、こういうことと、あと死亡ということと、安定兼業に移行したために被用者年金に入ったために資格を喪失する、こういったことで、ある程度やむを得ざる事由であるというふうに思うわけであります。
 そこで、加入は進んでいるけれども、そういったやむを得ざる事由による加入資格の喪失によって全体としての加入者は結果としては伸び悩んでいるということでありますが、加入は促進されているということは、大いばりで言わないにしてもある程度評価していただいていいのじゃないかと思うわけであります。
 そこで、未加入者の中身でありますけれども、未加入者の中身は、去年も申し上げましたけれども、いま先生御指摘ありましたが、年齢別割合を見ますと圧倒的に三十歳代、二十歳代、こういったところは九割ぐらい未加入の者の割合がある。そういった年齢に集中しているということでありますから、今後の問題としては、まず第一にそういった未加入者に入ってもらうということでありますが、その中でも特に若齢者を対象にして、そこに加入の促進の運動を集中していくということが第一点だろうと思います。
 第二点といたしましては、加入資格はありながら加入してないという者があることはいま申し上げましたが、そのほかに、すでに加入資格を喪失している者の中で救済措置を講じている者があるわけです。先ほど御指摘のありましたように、去年講じていただきました当然加入者の救済措置と、それからいま御審議をお願いしております後継者、任意加入者である後継者の救済措置、この趣旨を徹底することによって、すでに加入を喪失している者の中から新規加入の方に入ってきてもらう、こういった措置をとることが第二じゃないかと思っております。
 それから、お尋ねの、加入がなかなか進まない理由というのは、先ほど私が申し上げましたが、若年層に多いということと関係するわけでありまして、人間一般の通性として、若いうちには年金というのは将来の問題としてほど遠く感じているということとか、あるいは農業設計がまだはっきり立っていないという個人的な事由もあるでしょうし、もう一つは、農業者年金が発足して間際でありますし、いま現実にもらっている人間は年金の支給水準が低いわけです。これは発足間際でせいぜい六年から八年ぐらいしか掛けていない人であるために、給付水準が低い。そういう意味で、農業者年金について魅力はまだ感じていない、こういったこともあろうと思うのです。しかしながら、現実に長く掛ければそれだけのメリットがあることは事実でありますから、そういった趣旨の徹底が足りない、そういった点についてさらに若齢層を中心としてこの制度の加入の運動を集中していくという対応が今後必要じゃないかというふうに考えております。
#11
○野坂委員 現在、加入資格者というのは同名いますか。
#12
○大場政府委員 五十三年十二月末現在で、加入資格を持っているけれども、まだ入っていないという者が五十一万五千人と踏んでおります。
 なお、加入資格を失っております者が六十八万五千人、こう踏んでおります。
#13
○野坂委員 そうすると、五十一万五千人と六十八万ということになれば、いまの百十七万に百十三万人プラスになるということになりますか。
#14
○大場政府委員 現在入っておりますのが百十一万七千人、そのほかにいま御指摘になりました六十八万五千人と五十一万五千人が今後新規加入の運動をすることによって加入の方へ持ってこられる、そういったマーケットといいますか、そういった対象の範囲の方々であるというふうに認識しております。
#15
○野坂委員 加入率は五〇%ということになります。そうですね。百十七万と百十三万ですから、大体その程度になります。五〇%の加入率というのは成績としては下ですか。大臣はどうお考えですか。
#16
○大場政府委員 加入率を何に対して求めるかということによるわけです。それは、先ほども先生が冒頭におっしゃいました、われわれはこの制度を発足した当時に想定しました百六十五万人に対しては七割弱ということで、任意加入者が全部が全部入るということであれば理想的でありますが、そうはいかないということで、百六十五万人ということを一応設定したわけですが、それに対して七割弱ということで、これも決して高い率ではございませんけれども、五割というのは全部が全部入った場合のものとの比較であって、五割というものが加入率というふうに評価するのは必ずしも妥当ではないのではないかというふうに思っております。
#17
○野坂委員 理屈はいろいろありましょうが、加入資格者が全体で二百三十万いて、それで百十五万だということになれば五割ということになりますから、加入率は五〇%。単純計算をしますとそうなります。
    〔羽田委員長代理退席、委員長着席〕
十分御理解をいただきまして、毎年こういう質問をしなくてもいいように成績を上げていただきたいと思うのです。
 そこで、厚生省はおいでになっておりますか。――厚生省は、新聞にも明らかになっておりますが、「年金支給開始の六十五歳引き上げを中心とする年金制度基本構想懇談会の報告書を踏まえて、五十五年度に四年ぶりの年金大改正を実施する方針を五日までに固めた。」いわゆる厚生年金は六十五歳を支給開始年齢にするという考え方に立ったというふうに昨日の委員会等でも明らかになったようですが、そういう考え方でありますか。
#18
○吉原説明員 現在の年金制度につきまして、各方面からいろいろな問題点が指摘されているわけでございますけれども、年金制度基本構想懇談会から、先般、わが国の年金制度の将来のあり方につきまして御報告をいただいたわけでございます。その中で、将来の改革すべき事項の一つとして、厚生年金の老齢年金の支給開始年齢を、現在六十歳でございますけれども、長期的に六十五歳に引き上げる必要があるという御意見をいただいたわけでございます。
 私どもといたしましては、今後この御意見の趣旨に沿いまして、年金制度の改革を段階的に進めていきたいというふうに思っておるわけでございまして、次の再計算の時期は実は五十六年でございますけれども、それを一年早めまして、五十五年にも、支給開始年齢それから遺族年金の改善等もあわせまして引き上げを考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
#19
○野坂委員 六十歳を六十五歳に段階的にする。今回提案をされました政府の内容は、いわゆる段階的に公務員の年金あるいは農林年金を五十五歳を六十歳にする。それは現在三十九歳の者が六十歳になったときだ。三年一くくりで、十五年とも言いますし、二十年、こういうことにもなると思いますが、それと大体同じような方向でやろうとしておるわけですか。その点はどうですか。
#20
○吉原説明員 年金の支給開始年齢の引き上げというのは、国民の老後の生活にとって大変大きな問題でございますし、一挙に急激に年齢の引き上げを行うということは避けなければならないわけでございます。
 実は、現在の厚生年金の支給開始年齢の六十歳というのが決まりましたのが昭和二十九年でございますけれども、それ以前は五十五歳であったわけであります。昭和二十九年の当時に、約二十年ほどの期間をかけまして五十五歳から六十歳に引き上げたという経緯がございます。
 今回六十歳から六十五歳に引き上げる場合におきましても、前回の経緯にならって、少なくとも二十年程度の期間はかげながら、段階的に六十五歳に引き上げていきたいというふうに思っておるわけでございます。
#21
○野坂委員 そこで大臣にお尋ねをいたします。
 お聞きのように、厚生年金はそういう傾向を示しておる。まあ他の公的年金もそういう傾向である。大臣は、厚生大臣をやっておられたわけですから、いろいろお考えだろうと思いますが、冒頭にお尋ねをしましたように、この農業者年金は政策年金だよと強調されました。それは農業の近代化を図り若返りを図っていかなければならない、それが農業の進むべき道だろう、こういうお話であったわけであります。全体の年金が国民年金のところまで引き上がるという動きがある。しかし、農業者年金は政策年金である。六十歳になれば移譲年金があるというのは、ここが政策年金のみそですね。これが、全体のものが六十五歳になって、これに影響がないだろうかということを心配をするわけです。だから、政策年金で農業の近代化、若返りという意味を含めて、将来ともにこの六十歳という移譲年金の場合の支給開始年齢というものは引き上がることはない、そのための政策年金である、こういう認識をしておるわけですが、変わることはないだろうという認識をしてよろしゅうございますか。
#22
○渡辺国務大臣 厚生年金なりあるいは共済年金なりが六十五歳あるいは五十五から六十歳に引き上げるということは、一つは、日本の平均寿命が非常に延びた、それから老齢化社会が進んだ、したがって、雇用の問題についても、六十近い定年制がだんだん定着しつつある。ヨーロッパ各国を見ても、大体六十五歳の年金支給というのが世界の常識です。そういうところから、一般的には日本も世界一の長寿国になってきたわけですから、財政上の事情もこれあり、そういうような方向に進むのは私は避けがたいと思います。しかしながら、この農業者年金は、御承知のとおり、もともと、国民年金は六十五歳にならなければもらえない、しかし六十五歳まで農業を継続してやるということは非常に、おてんとうさま相手の重労働の仕事でございますし、やはり若い人が意欲を持って働くというためには、政策的に経営者の若返りというものをやっていく必要があるという点から、ともかく六十歳という、農業の引退の時期をその程度に見ておったわけです。したがって、これからうんとまたみんな、六十五になっても丈夫過ぎて幾らでも農業ができるという時代になってくればどうか知りませんけれども、少なくとも現在の段階において、農業者年金というものを国民年金のところまで同じく持っていってしまったのでは政策的な意味がなくなってしまうわけです。また付加年金ですから、よけいに保険料も掛けているわけです。国民年金のほかにかなりのものを出しているわけですから、そういう点を考えると、やはり国民年金が六十五歳の支給年齢である限り、五年ぐらいさきの六十歳というものを経営移譲年金としていくことが妥当なものである、私はこう考えておりますから、変わっておりません。
#23
○野坂委員 渡辺さんが農林大臣の間は大丈夫だということはわかりましたが、大体国民年金よりも五歳若いところでなければいかぬというふうなことは当然だと私は思います。そういうふうに、おっしゃったとおり確認をしておきたいと思います。
 次は、いつも問題になるのですが、附帯決議というものがございます。何回も附帯決議をしておりまして、あなたはそこに立って、善処します、拳々服膺してやります、こういうふうにいつもおっしゃるわけであります。その中に遺族年金を創設せいと自民党もあわせて言っておられます。ここ三年ばかり附帯決議がつくわけでありますが、さっぱり実現をしない。厚生年金にも遺族年金があります。公的な共済年金にも全部遺族年金がありますが、農業者年金だけには不思議に遺族年金というものはない。奥さんの農業に対する貢献度合いというものは他の年金以上にあるということはいつも議論されておるわけでありますから、この附帯決議を尊重して、遺族年金というものの性格は十分考えなければならない、こう思います。なぜ今回御提案にならなかったのか。他の横にらみというようなかっこうで厚生大臣に渡辺農林大臣が屈服するようなことはない、こういうふうに思うわけでありますが、それについてあなたはどう考えるか、その間の経緯をお話しいただきたいと思うわけです。
#24
○渡辺国務大臣 附帯決議につきましては、確かに昭和五十三年四月のときも、四番目で「農業のもつ家族経営体としての特性等を考慮し、遺族年金の創設を図るよう努めること。」という御勧告があったのは事実でございます。この附帯決議に対して時の農林大臣が、「ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力いたしてまいりたいと存じます。」という答弁をいたしております。これはもう決まり文句みたいなものでありまして、国会の決議でございますから尊重しないわけにはいかない、しかし、うのみにできない点もございます。したがって、「十分検討の上、」ということを言っておるわけであります。
 この遺族年金の問題も実は本質的な問題でございまして、尊重するからといって急々に直せるかどうかということは私は非常にむずかしいと思うのです。御承知のとおり国民年金、これは個人個人、妻も夫も両方入っておるわけです。農業はとうちゃんとかあちゃんと二人で働いているんじゃないか、こういう特殊性がありますが、大体国民年金に加入している人はとうちゃんとかあちゃんと両方働いている人が多いのですね。魚屋さんなんかに行ってみたって、おやじさんの方が一杯やっているうちにおかあちゃんの方がよく働いているなんという家も多い。したがって、農業以外の個人商店にしても、それから魚屋さんにしても、弁護士さんとか税理士さんなんというのはおやじさんだけ働いているかもしれませんが、大部分は一緒に働いておるというものが多い。したがって、両方別に入っておるというような中で、付加年金として政策的にこの農業者年金というものが乗っかってきたわけです。したがって、これに対する遺族年金を出すかどうかということについては、国民年金が個人個人入っておって厚生年金のように家族、世帯単位の年金ではないという本質論の問題がありますから、そこらの点がまだ検討の域を出ていないということで、いまの段階でこれに遺族年金を設けるべきであるという結論には残念ながら達していないというのが実情でございます。
#25
○野坂委員 大臣は御就任になってからまだ半年ぐらいですけれども、考えてみますと、確かに魚屋さんや畳屋さんはそういう場合がありますね。しかし、厚生年金や他の共済年金は世帯別にやっておるのだ、こういうお話があります。そのとおりだと思います。ただ、問題は、厚生年金にも共済年金にも御主人が入っておっても、奥さんも任意で国民年金に入られるわけですね。すでに八割入っておるというのが日本の現状であります。そう考えてみますと、大臣がおっしゃるように、魚屋さんの場合だけは国民年金しかない。ほかに年金はないですね。他の年金は全部遺族年金がある。年金と名のつくものはすべてある。ないものはありません。農業者年金だけですね。しかも農業者の奥さんというのは、いまおっしゃったように共同経営してきたものである。こういう認識の上に立って、七党一致して、無所属の田中さんも含めてこういう決議を三年間しておるわけですから、(「出てなかったよ」と呼ぶ者あり)そういう構成人員でありますから、そういうことを考えてみますと、その意味を十分含めて考えてもらわなければならぬだろう。まだ検討の域を脱しないと言いますが、五十三年の決議もそうですが、五十二年も五十一年も同じ決議がしてあるわけです。大体、引き継ぎというものは局長でも大臣でも全然なくて、そういうものの検討の経過というようなものもないものでしょうかね。どの程度まで検討されて、いつ結論が出るものでしょうか。やる気があるかないかという問題になってきますけれども、渡辺さんがやる気がないとは思わぬわけです、年金の神様だというふうにある一部の人は言っておるわけですから。農業者年金に遺族年金は必要です、こう私どもは思っております。立法府はそう考えております。それについて政府はこたえるかどうか、こういう問題だけなんです。その点について、この次の委員会には出してもらうということになることを期待しておりますが、そのように考えてもよろしゅうございますか。
#26
○渡辺国務大臣 立法するのは、政府が提案するばかりでなくて、それぞれの政党も立法権は皆持っておるわけですから、政府が言うことを聞かなかったら法律で政府を縛ることもできるわけです。できるわけですが、年金問題というのはある程度平等性、公平性というか、そういうものも考えていかなければならない。したがって、農業者の場合も夫と妻が働いておる、魚屋の場合はどうするのだ、商店の場合はどうするのだという関連もおのずから出てくるわけです。そこで政府としては、全体のバランスを見ると、農業者だけ遺族年金をつけるということはなかなかむずかしいのじゃないか。
 それから、これは私が厚生大臣当時もよく言われたのですが、サラリーマンの妻が国民年金に任意に加入できる、そのほかに遺族年金が大体五〇%というばかなことがあるか、おやじが死んだって家賃は同じだし、電気料はほとんど同じだし、何が同じだから、ともかく七割くらいに上げろというような話もよく出ました。しかし、そのときには一方で、七割に上げてそのほかに国民年金にも入ってというようなことになってしまうと、おやじさんが死んでかえって収入がふえるのじゃないかというような話も出て、これも一遍交通整理をしなければなかなかそういうわけにいくまい。農業の場合も同じでして、夫だけが農業者年金に入っているんだということには限らないわけですね。それは、ともかく妻の名義で農業をやっておる、夫は役場へ勤めておるというような場合もあるわけです。その場合は妻が農業者年金に入っておって夫が厚生年金なり共済年金に入っておるという反対の場合も実はあるし、それは例外的かもしらぬけれども、夫が農業者年金に入っておって、妻がどこかの役場へ勤めているとか保健所へ働きに行っているというような場合で共済年金なり、あるいは会社へ勤めておって厚生年金へ入っておる場合もある。いまは兼業農家が非常に多くなってきておりますから、そういう場合も実はかなりふえているのですよ。ですから、一概に農業者だけが農業年金以外には加入できないんですよというように断定して決めてかかってしまうということも、非常に兼業農家がふえておるという現状の中では、そうは言い切れない面もあるのは事実なんです。これはどっちがいいものですかね。やはり年金は二つ入っちゃいけません、年金は一世帯で一つだけですというふうに決めていってしまうのがいいものか、いまのように、ある程度、夫と妻が別々な職業を持ったりした場合には二つ入れる場合もあるし、というようなことを認めておいた方がいいものか、これはもう年金制度全体にかかわる大きな問題であるので、この次までにひとつ政府の結論を出せと言われましても、私はここで、次の通常国会までに遺族年金を農業者年金につくるという結論を提出いたしますということは、残念ながらなかなか言い切れない。それなら何で附帯決議のときにそんな調子のいいことを言うのだというおしかりはあるいは受けるかもしれない。しかし、これも十分検討の上ということを言っておるわけですから、いま十分検討をさせてもらっておるんだということもお認めを願いたいのでございます。
#27
○野坂委員 非常に時間がかかりますが、農業者年金は国民年金に入っておるということが前提ですからね、一つ一つということはなかなか――国民年金に入っておることが条件で農業者年金に入っておるわけですからね、非常に問題がある。それは他の年金と比べて非常に安いということですね。他の年金とは格差があるというところに問題点があると私は指摘をしているわけですから、十分御検討いただいて善処していただきたい、こういうふうに思います。
 もう一点は、時間がありませんが、農業者年金というのは完全積立方式ですね。だから、年金の掛金、これも非常な速度で上げていらっしゃいますね。四十六年の七百五十円から現在三千二百九十円、こういうことになっております。これは三段階に上げまして、そして、いままでの物価スライドの上昇分は一応おいて、まとめて五十五年の一月にもってこよう、こういうことになっておりますね。二〇・七%ですか。考えてみますと、いままで、五十二年には四八%上がった、五十三年は一七%上がった、五十四年は一五%上がった。これは完全積立方式ですから、上がる速度は非常に高いわけですね。他の年金というのは修正積立方式です。今度提案をされる農林年金はたしか七七・五だったですね、そうですね。七七・五で、あとの二二・五は後代負担にしておる。そうしなければ掛金が上がって大変だ。私立学校の場合も、あるいは地方公務員も国家公務員も、みんなそういうふうになっておるのであります。これは完全積み立てでありますから、いまの状況から見れば、農林省が一生懸命やったとはいいますけれども、ほとんど加入されておる八七・五%以上の方は現実問題として四十歳以上である。だから、加入者があっても脱退者がその倍数にもなる。これが現状でありますから、百六十五万ではなしに、定着するのは百十五万から百二十五万の間になるだろうという可能性さえいま出ておるというのが現状であります。
 そういたしますと、その掛金というものはやっぱり修正積み立てにしていかなければもたぬじゃなかろうか、こういうふうに思うわけであります。この方向は他の公的年金と同じような方法をとっていかなければ、私が先ほど申し上げました加入率五〇%の域を出ない結果がここにもあるのじゃなかろうか、こういうふうに思いますので、その方向でどうだろうか、こう思いますが、いかがですか。
#28
○渡辺国務大臣 これも実は農業者年金、国民年金も含めた大問題なんです。御承知のとおり、農業者は国民年金に加入をしておるわけですが、これは全部入っておる。ところが、現実には就労人口は、年々農業近代化とともに規模拡大なんかやればやるほど、土地は一定なんですから、減っていく。ということで、要するに農家戸数がどんどんふえる状態じゃないわけですね。農家戸数はむしろ減っていく状況にあるわけです。就労者も、規模拡大、近代化が進めば進むほど就労人口というものは減っていくわけですから、そうすると、新しく加入する人が大幅にふえるなんということは考えられない。ということになると、これはなかなか大変な問題です。厚生年金の場合はまだ若い人がどんどん就職をしていますから、むしろ離農した人がどこか会社に勤めるとかほかへ勤めるとかいって、むしろ農業者年金や国民年金に入るべき人が厚生年金とか何かに入っているということでまだ当面はいいけれども、農業者の場合は本当にそれは大きな問題になってきておる。現実には掛けただけの保険料を形式の上では積み立ててあるはずなんだが、現実にはみんな出ていってしまうというような話なんですね。農業者年金だけがまだそこのところは余裕が多少ありますが、国民年金なんかの場合は、本当に完全積立方式だとはいいながら、現実の姿は賦課方式に似たような現象になっておるというのが事実なんです。したがって、これらの問題については今後どういうふうにしていったらいいのか、なかなかこれは、掛金率との問題もございます。若い世代といいましても、これは若い世代がふえないのですから、というとやはり農業者年金にまだ加入をしてない人をどれだけたくさん加入に取り込んでいくか、ここにはまだスペースがあるわけですよ、どうしたらもっと加入してもらえるか。ところが一方、兼業農家がふえて市街化区域なんかに入ってしまいますと、いまさら農業者年金に入ったって、おれのもらう時代には、もう二十年もあるいはそれ以上も先、しかも市街化区域に入っちゃっている、どんどん周りに住宅が建っちゃっているということになれば、いま菜っぱや大根をつくっているけれども、果たして自分の子供の時代まで農業をやるのかどうかもわからないというようなこと等もあって、ともかく加入者がふえない。加入者がふえない原因というのはそういうところにもあるのですよ。結局、農家が零細な農家になって、そして市街化の中に入っちゃって、そして周りが虫食い状態になっちゃっているということになれば、いまさら何十年も掛けて経営移譲なんかもらえるのかもらえないのか、土地を売っちゃってそこへアパートでもつくっちゃうかどうかわからぬという不安感のある場合も私はかなりあると思うのです。
 したがって、これはいずれにせよ、何々方式というふうな法律上の用語を用いて私はどうだということをここで断定はいたしかねますが、そういうような農業の実態という点から考えると、何らかここらのところは抜本的に一遍検討をしてみる必要がある、こう思っております。
#29
○野坂委員 私の質問事項より、答弁時間の方が長くて、もう終わるわけですが、いま大臣がお話しになったような点はあろうと思いますね。しかし、日本の農政が農業をそのようにした、その責任者は一体だれかということはみずからお考えをいただきたいと思うのであります。いわゆる年金の加入がないというのは、農業に魅力を失って都会へ出て、その若い諸君たちは都会の厚生年金者のバックアップをしておる。だから、農村にはそういうものの労働力を失って、農業者年金を支える人たちがなくなっておる、こういうことが一つありますね。
 それから、先ほど政策年金だ、いわゆる移譲年金だ。この移譲年金と、佐藤さんが当時農民にも恩給をと言ったいわゆる農業者老齢年金、この格差は、七十四歳までを限度として考えれば、いわゆる経営移譲をやった人は六百十八万九千円もらうことができる、農業者老齢年金の七十四歳までの方は百八十二万だ。いわゆる世に言う三・四対一というのが、ここに問題がありますね。そういうことを踏まえて考えられますことは、今度掛金を上げますよ――大臣がおっしゃったように国庫補助金を出しておるのだから公的年金とも言える。拠出のときには七分の三。七分の三と言うけれども実際は十分の三ですね。そして給付時に二分の一を出す。だから十五分の八だ。いいところを出しておるじゃないか、こういうふうにおっしゃる。しかし、掛金を上げるということになりますと、この移譲年金は当初四〇%を予想されておったのです、皆さんの予算書を見れば。いま現実に六二%から八〇%になろうとしております。そうですね。そのとおりだ。八〇%ということになれば、この老齢年金の皆さんはいままででも積み立てた分に五分五厘の利息をつけてもらっておった。これがさらに低下をするのですよ。そうすると全く魅力がなくなってくるという結果になりはしないか。それなれば、政策年金であれば、それだけ移譲年金に金を食われるわけですから、これは離農年金と同じように政府が出すべきでないか。そうしなければ、内村さんにも最後にお答えをいただきたいと思うのですけれども、農業者年金の健全経営はだめになります。その辺はちゃんと移譲年金の際には政府が持つべきではないですか。それが政策年金ではありませんか。そういう意味で、この掛金を上げることをとどめるという方向をやらなければならぬ、これが一つ。
 そういうための修正積み立て、あるいは国庫補助金というものを大幅に上げていかなければ農業者年金がパンクし、動けなくなってくるではなかろうかということを恐れます。その点についてはどうか。この点が一点。
 時間がありませんからもう一つ言っておきます。最初提案をされましたこの加入者の問題です。特定後継者の問題です。これは現実に入る資格者がたくさんありますけれども、そういう学割りの問題とか、当時は三十五歳であって、忘れておっていま手を挙げた。それも罰金、ペナルティーも踏まえて三千六百円を取り上げるぞ、当時は千七百円だったけれども取り上げる、こういう思い切ったことをやっていらっしゃる。取るときはまことに血も涙もない、検事そのもののやり方でありますが、これを出すときになるときわめて冷酷無残なやり方をやっておる、こういうのがいまの農林省の実態である、年金に関する限りは。こういうことになってきます。だから、その加入者の特定という意味の条件というものを緩和をして、そして大量にやはり入れて、富士山のようなすそ野の広い農業者年金体制をつくる、このことがいま一番農業者年金にとっては必要ではなかろうか、こういうふうに思うのであります。
 そういう点については御検討をいただきたいと思うのでありますが、局長にその点についてはお尋ねをしたい。後は、大臣が一番初めに答えていただきまして、その次に内村さんに答えていただきたい。一番初め、大臣にやってもらう、こういうことです。
#30
○渡辺国務大臣 一々ごもっともな話でございます。経営移譲年金と老齢年金との格差が多くなる。しかし、これはもともと仕組みがそういうふうなことになっておりまして、経営移譲年金一本でもいいのです、本当は、政策年金ですから。ところが、経営移譲年金だけだと、経営移譲しない場合もあるかもわからない。そのときには全然メリットがないということで、掛け捨てになってしまうのではないか、加入者がうんと減るのではないかというような思惑もあり、したがって、経営移譲だけでもいいのだけれども、六十五歳過ぎてからももらえるように老齢年金というものを上に乗っけてきたというのがこの発足の趣旨でありますから、これは格差をなくすということは、ちょっと政策目的そのものの変更になってしまいますから、これはむずかしいのじゃないか、そう思います。
 それから、加入者の条件を緩和をしてもっと後継者等が加入できるように何か工夫をしろ、後継者がもっと入るような工夫、これはいろんな工夫を実は考えていきたい。国庫補助の引き上げというような問題につきましても、本当に今後農業の経営者というものの範囲が狭くなって、後継者だけで持ち切れないというような場合にどういうふうに整理をしていきますかね。ここらのところは大きな問題だし、もう一つは、経営移譲と、土地の権利とかなんとか貸す場合もいいのですが、新しく他人に土地を貸す場合はどうなんだという今後の大きな政策課題があるわけです。そういうような場合も含めて、これは十分に検討さしてもらいたいと思っております。
#31
○野坂委員 参考人の内村さんには大変あれですが、いまの私が申し上げたいわゆる財政の措置の問題ですね、経営移譲との関連について御答弁をいただきたいと思います。
 いま大臣がお話しになったように、将来、自分の土地を他人にと一いまの実態から見ますと、大体わが子に経営移譲しておるのが大体九三%ですね。九五%になるという傾向ですね、ほとんどそういうことですね。自分の土地を他人にということは、日本の場合なかなかむずかしいということをよく物語っておると思うのです。
 私が一番問題にしますのは、掛金を上げるでしょう、そうしますと、経営移譲はもう少し上がりますね。いま三万円ですけれども、十年掛ければ六万円になるわけですから、そういう金額の方に上がった分は取られていきますね。取られていくでしょう、局長。取られていくということになると、本当の意味の、佐藤さんが言った農民にも恩給をというのは、この農業者老齢年金を言っておるわけです。だから、この老齢年金を基本にして、それでも政策年金のような移譲年金措置をとらなければならぬじゃなかろうかというふうに自民党の中で変えられたわけですね。これが中心でなしに、老齢年金が始まりだったのです。これは議論があったのです。だからその方向をとったわけでありますから、それが全部取られていきますと、いわゆる後継者のない者は入ったってみんな損になるよという結果になるじゃないかと思うのです、上げた分は。四千円も五千円もになってくる可能性が強い。そうすると、そっちの方に金が流れていくということになれば、五分五厘ではなしに元金だけを返してもらうような結果になるであろうということを私は恐れます。それだったら老齢年金の意味もないじゃないか。だから、その点について、この移譲年金の場合は政策年金なのですから、その保険金を使わないでいわゆる離農年金と同じような方法で政府が持ったらいいじゃないですか、そうしなければこの農業者年金はなかなか持ちにくいことになりますよということを私は申し上げておるわけであります。
 さらに、私の意を十分御理解いただいて再度の御答弁をいただき、内村参考人からもお話しをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#32
○内村参考人 ただいま先生から御指摘があった点は、農業者年金制度の非常に重要な点をついておられる点だと思います。
 御案内のように、農業者年金は八年たったわけでございます。年金制度ができてからまだ時間が短い間は経理が非常に健全でございます。その意味で農業者年金基金の現状は心配ございません。
 ただ、御案内のように加入者が、料率をつくったときにとった数字より少ない、それから経営移譲年金の出方が見込みより倍になっている、それから物価スライド等がございまして、保険料を上げなければならない要因がかなり出ております。これを完全積み立てでやりますと、かなりの額を上げなければならないという問題が今後において出てくるわけでございまして、先ほど渡辺農林水産大臣から御答弁がございましたけれども、この点について、やはり制度の根本問題として考えなければならぬ問題があるのではないかということにつきましては、御指摘のとおりだと思います。
 それから、このような年金財政の現状にかんがみまして、私どもといたしましても加入促進には非常に努力しております。五十三年度に行われました時効保険料の救済措置、それから今度の法律改正で行われます後継者の救済措置等によりまして、かなり加入は上がっております。さらに、私どもといたしましては、資格者の洗い直しあるいは部落座談会その他いろいろやりまして、今後一生懸命努力いたしまして、加入者をふやして、年金財政の健全性というものを極力維持するようにしなければならぬということは御指摘のとおりでございます。
 さらに、特例保険料につきましても、あの制度をもう少しキャンペーンいたしまして、まだ必ずしも十分に下の方でわかっていない面もございますので、こういう制度があるのだということをさらに一層宣伝いたしまして、加入促進に役立てたい、こういうふうに思っているわけでございます。
#33
○大場政府委員 いま御指摘のありましたいろいろの問題、つまり、老齢年金取り扱いの問題だとか、保険料水準をどうするかという問題、加入率の問題、それから、経営移譲率が非常に高まっている、あるいは国庫負担の問題、こういった問題がそれぞれ絡み合っている問題だと思います。これは財政再計算を最近時点においては五十二年の一月一日にやりましたが、従来その例でいきますと、五年後の五十七年の一月一日基準でやらなければならない。場合によってはそれを早めることだってあり得るかと思いますけれども、そういう財政再計算の際に、そういったもろもろの要素というものを、いまは非常にむずかしいということはわかっておりますが、勘案して、今後の年金の設計等について検討していきたいと思っております。
#34
○野坂委員 終わります。
#35
○佐藤委員長 津川武一君。
#36
○津川委員 年金制度の将来像について検討を進めていた年金制度基本構想懇談会、この懇談会は、四月十八日に「わが国年金制度の改革の方向 長期的な均衡と安定を求めて」という報告書を橋本厚生大臣に提出しております。報告書はこの中で、早期に着手すべき事項として、支給開始年齢の引き上げ、これを重要な項目のトップに挙げております。日本の年金制度に対する大きな後退、社会福祉に対する非常に大きな攻撃として、私たちはこの報告書に強い抗議をするものでございます。
 と同時に、きのうの本会議でもきょうのこの委員会でも、厚生省が支給開始年齢の引き上げを五十五年からでもやるというふうな意味の答弁をしております。報告書がよくないのにこれに従う政府にも私たちは強く抗議していかなければならないと思って、この席で抗議をする次第でございます。
 そこで、質問でございますが、厚生省は、この場合六十歳から経営移譲するそういう政策を持っております農業者年金の支給開始を同じように引き上げるつもりであるのか、それは私はいけないと思いますが、まず厚生省の見解を伺わせていただきます。
#37
○吉原説明員 年金制度基本構想懇談会から、将来のわが国の年金制度の改革の方向といたしまして、厚生年金の支給開始年齢を六十歳から六十五歳に引き上げるべきであるという御意見をいただいたわけでございますけれども、これは先ほども農林水産大臣からお話のございましたように、戦後における平均寿命の著しい延長ということと、それから将来の年金の費用負担、財政というものを考えますと、あるいはまた、諸外国の老齢年金の支給開始年齢というものも参考にして考えてみますと、やはり被用者年金におきましては、現在の六十歳の支給開始年齢を六十五歳に引き上げることは避けられないということであるわけでございます。
 お尋ねの経営移譲年金の支給開始年齢をどうするかということでございますけれども、この農業者年金の経営移譲年金ができましたときに、農業経営者につきましても被用者並みの年金を支給すべきである、そういったことで、農政上の目的も達成する必要があるということで発足をしたわけでございまして、そういった意味からは全く関係がないとは言えないと思いますし、やはり平均寿命の延長でありますとか、あるいは将来の年金財政というものを考えますと、農業者年金につきましても決して楽観をすべき状態にはないと思います。ただ、この農業者年金につきましては、単に老後の保障ということではなしに、農業の構造政策の推進という政策的な目的を持ってつくられた制度でございますので、そういった意味におきましては、被用者年金あるいは厚生年金と同列に論ずることはできないというふうに思うわけでございます。
#38
○津川委員 そこで、いま楽観を許さない、こういうお話で出てまいりましたが、やはり農業構造改善上の性格から別な意味を持っておりますので、この農業者年金の支給開始年齢は引き上げるべきでないと思います。これはかなり農林水産大臣の強い決意が必要だと思うのでございますが、この点、大臣いかがでございますか。
#39
○渡辺国務大臣 先ほど野坂委員の質問にお答えしたとおりでございまして、私といたしましては、これは経営移譲の若返りをやらせるという点で、国民年金は六十五歳から、それから支給したのでは同じことで、これは少しも若返りにならない。したがって、六十歳ということでよけいな保険料も出しておるので、私は、よほど特別な問題でもない限りはこれは六十歳の現行どおりでよろしい、そういうふうに考えております。
#40
○津川委員 次は、いろいろ農民と話してみたり、農業委員会に行ってみたり、農協に行ってみたりいたしますと、婦人の加入問題が非常に大きな関心を呼んでいるわけであります。われわれのこの委員会でも、附帯決議でも論議されております。この問題は古くて新しい、そういう状況で、しかも非常に重要になっております。
 そこで、農業をしておる婦人の現状でございますが、就業人口、男の二百七十七万五千人に対して女の方が四百四十八万二千人、こういうのがはっきり農林省の資料でも出ております。女性の方が百七十万人も多くなっておる。農業に従事しておる女性の比率で言うと六二%、基幹的農業従事者でいきますと、女性の方が二百五十七万、男性が二百十六万、ここでも女性の方が全体の五四%を占めております。農業従事における農家主婦の地位がこんなふうに向上しておりますし、農業就業状況を見てみましても、一年に百五十日以上という人が女性で百九十六万人、男性で百八十三万人、ここでも女性が十三万人多い。こういう実態を踏まえまして、いろいろな議論が出てまいりますし、経営の意思決定に参画する程度も婦人の役割りが大きくなっておるわけであります。
 このような現状、これを踏まえまして、こういう農業を実際にやっておる婦人を農業者年金に加入させるべきだと思うわけなんですが、政府の方針を聞かしていただきます。
#41
○大場政府委員 これもいろいろわれわれの課題になっている事柄の一つであります。いろいろ検討しておる最中でございますが、非常に問題点がある。やはり先ほど来農林大臣が申し上げておりますように、付加年金としての政策年金である、経営移譲を目的としているということと、それから地権者でない妻をそれとの関連でどう取り扱うか、それから地権者でない妻の取り扱いによっては農業一般の妻以外の農業に従事しておる者の取り扱いをどうするか、こういったこととも絡む問題で、実は制度の基本問題と関係する事柄であるということだと思っております。
 それから、兼業農家の妻は、夫がたとえば被用者年金に入っているという場合には、夫から妻が名義を借りて使用収益権を設定して、土地を借りるという形で対応すれば農業者年金に入れる、こういったことになると思うのです。
 問題は、専業的農家の妻の場合どうするか、こういう話になるわけですが、それについては、先ほど申し上げました農政上の問題をどう解決するかということと、それからもう一つは老後保障という観点からすれば、それぞれ国民年金に夫も妻も個別で入っている、こういったこととの調整をどうするかという問題がありまして、いま検討中でありますが、なかなか難問題があって十分にはどうも干し切れない、こういうような状況でございます。
#42
○津川委員 ところで、婦人の加入者は五十三年十二月末現在で五万二千人になっておりますが、この中に、一つ、妻が使用収益権の設定を受けている人がどのくらいいるのか。二つ目は、未亡人が名義人になっているのがどのくらいいるのか。三つ目は、夫が外に働きに出て妻が名義人になっているなどのケースがどのくらいあるのか。婦人の加入がぜひ必要だということをいまも局長も言われているし、とすれば、そこいらの実態の把握が必要だと思うのですが、これはどうなっておりましょうか。
#43
○大場政府委員 妻の加入者が五万二千人あるということは事実でございますが、その中の数字的な比率といいますか、内数は残念ながらまだ現在のところ掌握しておりません。これは急いで掌握したいと思います。
 それから、分類から申し上げますと、いまお話しになりましたように、兼業農家の妻が夫から土地を借りるということにして加入しているという例と、それからもう一つは、不幸にして夫が亡くなって未亡人になっていらっしゃる、そういった妻の方々が加入していらっしゃる例が二番目。三番目といたしましては、入り婿で、しかし養子縁組みをしていない、こういう形のときに、妻が地権者になって加入なさっているという形が三番目であります。四番目といたしましては、やはり娘さんしか跡継ぎがいない、こういう場合に、娘さんが後継者指定を受けて後継者として加入している、こういうような場合が大体婦人の加入の態様じゃないかと思いますが、その内訳は先ほど申し上げましたように今後調べたいと思います。
#44
○津川委員 内訳の実態調査は、去年のこの委員会で四月二十六日島田委員の質問に対して、至急調査して把握したいと言っているわけです。一年たってもまだそうなんで、これは速やかに調査して、去年のこともあるし、ことしのこともあるので、この委員会に報告してほしいと思うのです。
 そこで、実際に入ってみますと、先ほど申しましたように、妻が農業の実態は主役になっている。その妻が使用収益権の設定を受けていく、これが一番皆さんが望んでいる、やろうと思っているわけなんですが、ここの手続をもう一度はっきりと明らかにしてくれませんか。農業委員会に行ってどうすればいいか、役場に行ってどうすればいいか、それから農協に行ってどうすればいいのか、そういう状態をもう一度はっきりお示し願いたいのです。
#45
○大場政府委員 妻が夫から土地を借りて農業者年金の加入者になるという場合には、もちろんその妻だけが一括して借りるということが必要でありますし、それから使用収益権の設定は、短くてはやっぱりいわゆる経営移譲ということになりませんので、基本的には十年という期間を必要とするということであります。
 具体的な手続は末端の農業委員会でそういった手続はよく御説明できるし、それから加入申し込み等につきましては、それぞれの組合員でいらっしゃる単協に御相談くだされば、そういう手続はとるようになっております。なおわからない場合には、県の担当課に御照会くださっても、あるいは私の方に御照会くださっても、それなりの御連絡はいたしたいと思います。
#46
○津川委員 もう一つ、この婦人の加入は、農業の実態が婦人の労働に移っているので、私たちはこれは進めたいと思っているわけですが、婦人がたくさん入って喜ばれておる例、地域、具体的な地域など行って調べてもみたいと思っているのですが、内村さんのところにこういう例がありましたら、ひとつ教えていただきたいと思うのです。
#47
○内村参考人 ただいま具体的に何県の何村ということは申し上げることができませんけれども、経営者につきましても被用者並みの年金を支給すべきである、そういったことで、農政上の目的も達成する必要があるということで発足をしたわけでございまして、そういった意味からは全く関係がないとは言えないと思いますし、やはり平均寿命の延長でありますとか、あるいは将来の年金財政というものを考えますと、農業者年金につきましても決して楽観をすべき状態にはないと思います。ただ、この農業者年金につきましては、単に老後の保障ということではなしに、農業の構造政策の推進という政策的な目的を持ってつくられた制度でございますので、そういった意味におきましては、被用者年金あるいは厚生年金と同列に論ずることはできないというふうに思うわけでございます。
#48
○津川委員 そこで、いま楽観を許さない、こういうお話で出てまいりましたが、やはり農業構造改善上の性格から別な意味を持っておりますので、この農業者年金の支給開始年齢は引き上げるべきでないと思います。これはかなり農林水産大臣の強い決意が必要だと思うのでございますが、この点、大臣いかがでございますか。
#49
○渡辺国務大臣 先ほど野坂委員の質問にお答えしたとおりでございまして、私といたしましては、これは経営移譲の若返りをやらせるという点で、国民年金は六十五歳から、それから支給したのでは同じことで、これは少しも若返りにならない。したがって、六十歳ということでよけいな保険料も出しておるので、私は、よほど特別な問題でもない限りはこれは六十歳の現行どおりでよろしい、そういうふうに考えております。
#50
○津川委員 次は、いろいろ農民と話してみたり、農業委員会に行ってみたり、農協に行ってみたりいたしますと、婦人の加入問題が非常に大きな関心を呼んでいるわけであります。われわれのこの委員会でも、附帯決議でも論議されております。この問題は古くて新しい、そういう状況で、しかも非常に重要になっております。
 そこで、農業をしておる婦人の現状でございますが、就業人口、男の二百七十七万五千人に対して女の方が四百四十八万二千人、こういうのがはっきり農林省の資料でも出ております。女性の方が百七十万人も多くなっておる。農業に従事しておる女性の比率で言うと六二%、基幹的農業従事者でいきますと、女性の方が二百五十七万、男性が二百十六万、ここでも女性の方が全体の五四%を占めております。農業従事における農家主婦の地位がこんなふうに向上しておりますし、農業就業状況を見てみましても、一年に百五十日以上という人が女性で百九十六万人、男性で百八十三万人、ここでも女性が十三万人多い。こういう実態を踏まえまして、いろいろな議論が出てまいりますし、経営の意思決定に参画する程度も婦人の役割りが大きくなっておるわけであります。
 このような現状、これを踏まえまして、こういう農業を実際にやっておる婦人を農業者年金に加入させるべきだと思うわけなんですが、政府の方針を聞かしていただきます。
#51
○大場政府委員 これもいろいろわれわれの課題になっている事柄の一つであります。いろいろ検討しておる最中でございますが、非常に問題点がある。やはり先ほど来農林大臣が申し上げておりますように、付加年金としての政策年金である、経営移譲を目的としているということと、それから地権者でない妻をそれとの関連でどう取り扱うか、それから地権者でない妻の取り扱いによっては農業一般の妻以外の農業に従事しておる者の取り扱いをどうするか、こういったこととも絡む問題で、実は制度の基本問題と関係する事柄であるということだと思っております。
 それから、兼業農家の妻は、夫がたとえば被用者年金に入っているという場合には、夫から妻が名義を借りて使用収益権を設定して、土地を借りるという形で対応すれば農業者年金に入れる、こういったことになると思うのです。
 問題は、専業的農家の妻の場合どうするか、こういう話になるわけですが、それについては、先ほど申し上げました農政上の問題をどう解決するかということと、それからもう一つは老後保障という観点からすれば、それぞれ国民年金に夫も妻も個別で入っている、こういったこととの調整をどうするかという問題がありまして、いま検討中でありますが、なかなか難問題があって十分にはどうも干し切れない、こういうような状況でございます。
#52
○津川委員 ところで、婦人の加入者は五十三年十二月末現在で五万二千人になっておりますが、この中に、一つ、妻が使用収益権の設定を受けている人がどのくらいいるのか。二つ目は、未亡人が名義人になっているのがどのくらいいるのか。三つ目は、夫が外に働きに出て妻が名義人になっているなどのケースがどのくらいあるのか。婦人の加入がぜひ必要だということをいまも局長も言われているし、とすれば、そこいらの実態の把握が必要だと思うのですが、これはどうなっておりましょうか。
#53
○大場政府委員 妻の加入者が五万二千人あるということは事実でございますが、その中の数字的な比率といいますか、内数は残念ながらまだ現在のところ掌握しておりません。これは急いで掌握したいと思います。
 それから、分類から申し上げますと、いまお話しになりましたように、兼業農家の妻が夫から土地を借りるということにして加入しているという例と、それからもう一つは、不幸にして夫が亡くなって未亡人になっていらっしゃる、そういった妻の方々が加入していらっしゃる例が二番目。三番目といたしましては、入り婿で、しかし養子縁組みをしていない、こういう形のときに、妻が地権者になって加入なさっているという形が三番目であります。四番目といたしましては、やはり娘さんしか跡継ぎがいない、こういう場合に、娘さんが後継者指定を受けて後継者として加入している、こういうような場合が大体婦人の加入の態様じゃないかと思いますが、その内訳は先ほど申し上げましたように今後調べたいと思います。
#54
○津川委員 内訳の実態調査は、去年のこの委員会で四月二十六日島田委員の質問に対して、至急調査して把握したいと言っているわけです。一年たってもまだそうなんで、これは速やかに調査して、去年のこともあるし、ことしのこともあるので、この委員会に報告してほしいと思うのです。
 そこで、実際に入ってみますと、先ほど申しましたように、妻が農業の実態は主役になっている。その妻が使用収益権の設定を受けていく、これが一番皆さんが望んでいる、やろうと思っているわけなんですが、ここの手続をもう一度はっきりと明らかにしてくれませんか。農業委員会に行ってどうすればいいか、役場に行ってどうすればいいか、それから農協に行ってどうすればいいのか、そういう状態をもう一度はっきりお示し願いたいのです。
#55
○大場政府委員 妻が夫から土地を借りて農業者年金の加入者になるという場合には、もちろんその妻だけが一括して借りるということが必要でありますし、それから使用収益権の設定は、短くてはやっぱりいわゆる経営移譲ということになりませんので、基本的には十年という期間を必要とするということであります。
 具体的な手続は末端の農業委員会でそういった手続はよく御説明できるし、それから加入申し込み等につきましては、それぞれの組合員でいらっしゃる単協に御相談くだされば、そういう手続はとるようになっております。なおわからない場合には、県の担当課に御照会くださっても、あるいは私の方に御照会くださっても、それなりの御連絡はいたしたいと思います。
#56
○津川委員 もう一つ、この婦人の加入は、農業の実態が婦人の労働に移っているので、私たちはこれは進めたいと思っているわけですが、婦人がたくさん入って喜ばれておる例、地域、具体的な地域など行って調べてもみたいと思っているのですが、内村さんのところにこういう例がありましたら、ひとつ教えていただきたいと思うのです。
#57
○内村参考人 ただいま具体的に何県の何村ということは申し上げることができませんけれども、御要望の趣旨に沿って適当な場所を調べてみたいと思います。
#58
○津川委員 農林省もひとつ適当な場所を探して教えていただきたいと思うのですが、いかがです。
#59
○大場政府委員 申しわけございません、私もいま手元に何村というような具体的資料を持っておりませんが、調べまして御連絡はさせていただきたいと思います。
#60
○津川委員 ところで、農業者年金の加入状況は、先ほどもここで議論になりましたが、かなり地域によって差が出ているわけであります。恥ずかしながら私たちの弘前市なんですが、五十三年八月末で三二・七%、五十三年十二月末で三八・五%、五十四年三月末で三九・六%といって、かなり低い。そこで、いろいろ農業委員会について聞いてみましたが、農業者年金のPR不足と農家の関心が不足だ、こういう話も出てまいりました。そういった中で農業者年金を改善する方向がいろいろ議論になりましたが、先ほどの妻が加入すること、これが大きく出てまいりましたし、二つ目には、六十歳以降に経営移譲した場合にも、減額しない経営移譲年金を経営移譲した時点から五年間支給してほしい、これはいろいろな問題がありましたが、こんなものが出ていましたし、夫が保険料を納付して六十歳以前に死亡した場合、妻が夫の死亡後引き続いて加入できるようにする、こういういろいろな議論が出ましたが、きょうはこの農業者年金を進める執行体制について少しお尋ねしてみたいと思います。
 いろいろの例がありますが、弘前市農業委員会の実態でやってみますと、加入者が現在千二百五十一人、加入予定者が千四百三十六人、合わせて二千六百八十七人、これに対して基金から来ている業務委託料は四十三万円なんです。二千六百八十七人を扱うのに四十三万円の予算の内訳を見ますと、役務費が八千円。加入予定者で割ってみますと一人二円、加入者で割ってみると一人四円、こういう状態なんでございます。
 この農業委員会はまた一生懸命これを進めるためにやっておりまして、一年に何度か懇談会も開いているわけですが、来る人も余り多くないのと、農業委員会職員が十分でない。予算が十分でないために何でも十把一からげにしてやって、農業者年金の場合はほんのちょっぴりしかない。これではPRもできないし教育もできないという、こんな状況なんです。これに対して、農業委員会に、正式に必要な分の人、その専従の人を設置する、そのために予算を出さなきゃならぬ、こういうことが何よりも要求されております。これは逆に、お金を扱う農協の側に行っても、農業委員会をもう少し強くさせてくれ、こういう話なんです。
 この農業委員会に対する強化政策を政府から。基金からは、この四十三万円でいいか、これではとてもやれないのでどう考えているか。この二点を伺わせていただきます。
#61
○大場政府委員 専従職員を設置して、それに対して国がめんどうを見ろ、こういう御要望がいろいろ強くあることは事実でありますが、しかし、現実問題として、財政硬直化要因にもなりますし、人件費の補助というのは財政の中でも一番むずかしい事柄でありますから、これは率直に申し上げましてむずかしいというふうに私どもは思っています。膨大な財政負担にもなるということで、やはり現実的な対応としては、基金等から出している委託費を年々増額していく、こういった対応を積み重ねていくということではないかと思っております。
 これはマクロで申し上げますが、私ども、そういった業務委託費につきましては、五十三年度の二百十二億に対しまして五十四年度予算では二百四十億、十三%アップをしているわけであります。それから、末端の単協の金といたしましては、たとえば農協では五十三年度予算では一単協当たり二十七万五千円を三十一万三千円にふやすとか、農業委員会は十四万を十六万にふやすとかという形で、それぞれ一四%あるいは一五、六%というぐあいに予算としては増強しているつもりでありますが、決してこれで十分だというふうには思っておりません。しかし、毎年毎年そういった努力は積み重ねて、予算の増強強化ということには今後とも努力をしていきたいと思っております。
#62
○内村参考人 業務委託費の増加につきましては、私どもも常々努力をしているところでございますけれども、国の予算で定まった範囲のものの中でやらざるを得ないという実情にあるわけでございます。ただ、農林水産省あるいは厚生省非常に努力していただきまして、五十四年度この種の委託費の中では非常に伸び率が高いわけでございます。
 その配分をどうするかという問題でございますが、私どもといたしましては、業務指導を委託しております県の農協中央会あるいは農業会議よりも、現実の事務を担当している農協、農業委員会の予算をふやしたいということで、県段階は大体伸び率が七%ないし六%でございますけれども、農協については一四%あるいは農業委員会については一五・七%というふうに、極力、実際の業務を担当している農協、農業委員会の委託費をふやすということに常々努力しておりますけれども、まことに残念ながら、全体の予算の枠があるということで、必ずしも十分とはもちろん思っておりません。
#63
○津川委員 内村理事長に重ねてお伺いしますけれども、この三千人ぐらい扱っているところに四十三万円、いかにもあれなんですが、具体的には五十四年度の予算でこういう例は、まあはっきり言えないかもしれませんが、どのくらいにふえるつもりなんです。
#64
○内村参考人 一農業委員会当たりでは、ただいま申し上げましたように大体一五・七%、五十三年度に比べて五十四年度は伸びているわけでございます。
#65
○津川委員 そこで、この農業委員会のもう一つの悩みは超過負担なんです。超過負担にたえられなくて、結局業務が片手間になってしまう、これがまた実態なんです。小さな町村に行くとそうでもなくてやっていますが、かなり大規模なところになってくると、超過負担にたえられない、これが実態なんです。本来の農業者年金をやらせようと思うと、この超過負担の圧力を解消しなければなりませんが、農業委員会に対する超過負担を解消する方針、毎々議論になりましたが、どうなっているのか、これからさらにどうするのか、答えていただきたいと思うのです。
#66
○大場政府委員 農業委員会の超過負担の問題はかねてから御議論になっております。私ども、毎年その超過負担の解消ということにつきましては努力はしているつもりでございますが、仰せのとおり、決して十分だとは思っておりません。いま手元に数字を持っておりませんので具体的なことを申し上げられませんが、考え方としては当然その超過負担の解消という形で努力はしていきたいと思っております。
#67
○津川委員 その次は、これもまた業務体制です。
 申請します、そうしたら、実際に大正何年生まれなのを間違って昭和に書いた、書類が一たん基金に、コンピューターにかかって、そこでクレームがついてきた。これが再び動くまでに四カ月かかっている。もしこの業務を解決する機構が県の段階にあれば次の日片づく、こういうことなのです。思い切って業務を簡素化する、下の方に委譲していくということがかなり求められておりますが、これは農林水産省と基金からお答え願います。
#68
○大場政府委員 農業者年金の保険事故というものは、権利の移動ということをつかまえておりますから、たとえば個々の地権とかそういったものにつきまして、使用収益権だとか所有権の移転だとか、そういうことをある程度的確に把握しなければならない。そういう意味で、やや事務が繁雑にわたるということはあろうと思います。しかし、これは習熟という問題と、もう一つは、いまおっしゃいましたコンピューター等をうまく活用していたる改正がなされてまいりまして、今回の改正が第五次に当たるわけでございます。所要の改正のうちで逐次可能なものから改正をされてきた熱意の経過が出ておると思うのでありまして、私はその点には敬意を表しておきたいと思います。
 今回の改正の内容については、大臣の提案理由の説明の中にも明らかにされておりますように、二点の改正をやろうということで、一つは年金給付の額の物価スライド措置をやる。これは附則第十条の二の関係と改正法の附則の第四条関係になるわけです。もう一つの点は、後継者の加入の救済措置をやろう、これは改正法附則第三条関係になるわけでございますが、これらの改正点についてはわれわれも基本的に賛成でございまして、そういうことで処理をしたいと考えております。
 そこで、こういう五次にわたる改正を通じて、農業者年金制度全体の問題からすれば重要な制度の改革というものについてはまだ問題が残されておるわけでありまして、そういうことを農林水産省でも問題意識をされまして、五十二年の十月から農業者年金制度研究会、これは大沢さんが会長でやっておられ、その中の専門部会、松元さんが部会長でやっておられるわけですが、その専門部会で基本問題の検討を続けておる、問題点の整理をもうおおむねまとめかけておるといった段階と承知しておるわけです。
 この農業者年金の制度改正という問題については、午前の質問にもなされてまいりましたように、一つは離農給付金制度の存続問題をどうするか。これは五十五年五月十五日までの期限つきで今日制度が運営されておるわけでありまして、この取り扱いをどうするか。それから遺族年金の創設、これも古くて新しい議論の問題でありますけれども、それをやらなければならぬ。それから、社会党で前回にも修正案を出しましたが、強い要望のございます老齢年金額の引き上げ、さらには農家の奥さんの加入問題。そういう四項目の制度改正の中心テーマに関連をいたしまして、さらに考えてまいりますれば、農業者年金の加入の資格あるいは加入の促進といったような問題、あるいは農家負担の実態から見て保険料の軽減措置の問題、あるいは午前にも質問が出ておりましたが、農協とか農業委員会等に基金から業務委託をしておりますけれども、この業務委託機関の充実の問題、あるいは年金額に対する所得比例方式の導入問題、さらには法律でも書かれておりますが基金の福祉事業の創設等の問題、こういうふうに制度改正の問題についてはメーンになるべき問題あるいはそれと関連する問題というのがまだたくさん宿題として残されておるわけでありまして、これらをこれから十分な検討を経ててきぱきと処理をしていく。そして、本農業者年金が、一つには、農民に恩給をと亡くなられた佐藤さんが訴えたその趣旨に合致する方向の制度の充実、もう一面では、農業の近代化あるいは構造政策というものの産業的性格から取り入れられておりますそういう問題の改革といったような、二つの性格を調和させながらこれからの制度改正をやっていかなければならぬということであろうと思います。
 そこで、第五次の改正を通じ、農業者年金の宿題となっております先ほど述べましたような制度改正問題というものに対して、渡辺農林水産大臣として今後基本的にどういう考え方でこれらの問題をさばいていかれようとするのか、そういう点についてまず御答弁を願いたいと思います。
#69
○渡辺国務大臣 私は、年金制度全体から考えますと、ヨーロッパの先進国と比べて日本の場合はかなりよくできておるというような認識であります。これは負担の問題との関係、それから所得税及び住民税との関係、そういうものを見なければだめなわけでありますから、したがって、負担は余りしない、年金はたくさん上げろと言われても、なかなか、高度経済成長から低成長時代に入って、農政の問題についても抜本的な見直しをしなければにっちもさっちもいかない、国家財政の見地からもそうだ、こういうようなことでございますので、そういうような現実を踏まえまして、現実に合った見直しをしてまいりたいと考えております。
#70
○角屋委員 ぜひ、制度改正問題については、五十六年の財政再計算の問題の前に処理できるものについては、法改正を通じて実現を図るという方向で、農林水産省としても積極的に努力をしてもらいたいというふうに要望をしておきます。
 そこで、農業者年金の問題に入る前提として、きょうは総理府の統計局長あるいは厚生省関係からもおいでを願っておりますので、若干の点をお聞きしたいと思います。
 総理府の統計局から昭和五十年の国勢調査に基づきまして「我が国の人口」という印刷物が天下に公表されておるわけでございますが、農林水産省で言えば統計情報部、あるいは内閣全体で言えば総理府統計局といったようなところの出してまいります統計というのは、本来行政の羅針盤あるいは的確になされておるかどうかという行政の鏡として、これが適正に活用されていくということが本来の姿だと思うのでありますが、そういうことを前提にして「我が国の人口」に書かれておる中身から、若干総理府統計局長にお伺いしたいと思います。
 このパンフレットによりますと、昭和五十年のわが国の人口は一億一千百九十四万人、これは中国、インド、ソ連、アメリカ、インドネシアに次いで第六番目の人口ということになるわけですが、わが国の場合、世界の人口密度が面積一平方キロメートル当たり二十九人に対して、三百人というふうに人口密度が非常に高いわけであります。しかも、この人口密度の中で、いわゆる人口の都市集中というのがこの資料の中にもあらわれておるわけであります。たとえば東京、大阪、名古屋、この市役所を中心にして五十キロの半径で円を描きますと、この三大都市圏の中の面積は全国面積の六%程度でありますけれども、その中に全国人口の四二%が集中をしておるという姿に相なっておるわけですし、しかも、市部の人口あるいは町村等の郡部の人口というものを見ますと、市部人口が七五・九%、郡部人口はわずかに二四・一%、こういったような姿になっておりまして、いわゆる全国の総合開発をどういうふうに進めていくかという問題点を提示をしておるような感を持つわけであります。同時に、この一億一千百九十四万人の年少人口、あるいは生産年齢人口、あるいは老年人口、こういうものを見てまいりますと、ゼロ歳から十四歳までの年少人口というのは五十年時点では二四・三%、生産年齢人口の十五歳から六十四歳までが六七・八%、老年人口の六十五歳以上が七・九%。この六十五歳以上の老齢人口が、この資料によりますと、昭和七十年には一二・七%、昭和九十五年には一八・八%というふうに推定されておるわけでありまして、高齢化社会における福祉問題というのを真剣に考えなければならぬ、そういう数字の趨勢が出ておるというふうにも見られるわけであります。
 午前の同僚議員の質問の中で、先般厚生大臣の私的諮問機関であります年金制度基本構想懇談会の報告という、「わが国年金制度の改革の方向」ということで厚生大臣に出されました問題点について、同僚議員から質問がなされておりましたので、私はこの点についての重複は避けますけれども、しかし、福祉国家の建設を目指し、社会保障制度の充実をやっていくという政治の重要な課題からいくならば、単に財政的見地ばかりでなしに、そういった政治の本来目標とすべき点で、これを今後どうしていくかということをお互いに慎重に検討すべき重要な問題だという受けとめ方をしておるわけであります。われわれとしては、こういう答申のうちで、特に年金支給開始時期の引き上げという問題には賛成することは基本的にできないわけでありますけれども、いずれにしても社会保障制度全般の問題として今後十分検討していくべき宿題であるというふうに思っております。
 そういう前提の中で、総理府の統計局長にお伺いしたいのでありますけれども、昭和五十年のわが国の就業者人口、これは就業者総数というのは五千三百十四万人ということになっておりますが、これの産業部門別の実態というのはどういうふうになっておるか。また、第一次産業の比重の高いところ、比重の比較的低いところ、これは地方別にあるわけでありますけれども、その実態はどういうふうになっておるか。また、農業就業者の年齢別構成というものがどういう実態にあるか。同時に、わが国の場合は年齢別の労働力率の国際比較を見てみますと、特に六十五歳以上の労働力率では、アメリカ、フランス、西ドイツ、イギリス等に比べて非常に高いという数字が出ておるわけでありますけれども、それらの実態はどうかといった点について、総理府の統計局長からお答えを願いたいと思います。
#71
○島村政府委員 お答えいたします。
 昭和五十年の就業者の産業別の構成でございますが、第一次産業の就業者数が七百三十九万人でございまして、全体のパーセンテージにいたしますと十三・九%でございます。第二次産業が千八百十一万人でございまして三四・一%、第三次産業が二千七百四十五万人で五一・七%ということでございます。
 それから第一次産業の就業者の全体の就業者の中に占める割合を地方別に見ますと、東北地方が三〇%を占めておりまして、これが一番高うございます。あと北関東、北陸、四国、九州、沖繩というのが大体二〇%台でございます。その他南関東、西近畿、これが非常に少なくて四・七%、あるいは西近畿が四%でございますが、大体そのほかのところは一〇%台というようなことでございまして、東北地方が非常に多いということでございます。
 それから農業就業者の年齢別構成でございますが、これは四十五歳から五十四歳までが二八%でございまして、これが一番高うございます。それから五十五歳から六十四歳までが二一・七%、三十五歳から四十四歳が一二・二%ということでございまして、特に六十五歳以上の就業者数が一三・八%ということでございます。
 それから、いま言われました日本の特に老齢人口の労働力率、いわゆる労働人口の中で就業している者の割合でございますが、これは昭和五十年の国勢調査によりますと三〇%を占めておりまして、諸外国に比べましても非常に高い数字になっております。ちなみにアメリカが一六・二%、スウェーデンが八・六%、フランスが一二・四%、ドイツが九・八%、イギリスが一一・三%ということでございまして、日本が非常に際立って高い数字を示しているということでございます。
#72
○角屋委員 総理府統計局の「我が国の人口」という昭和五十年国勢調査の中から、若干、農政の問題の審議を進めるに当たっての前提条件といったような幾つかの数字をお答え願ったわけであります。たとえば農林漁業、第一次産業の二次、三次産業に比較しての比率を見ましても、大正九年の時点では五三・八%、昭和二十五年では四八・五%、それが昭和五十年に十三・九%。産業構造の変化が具体的数字で出ておると私は思います。また、産業別の地域分布といったような実態についても、農業の比重が全国的な視野から見ればそれぞれの地域によって相当に差異がある。同時に、私が特にお聞きしました年齢別の労働力率の国際比較ということから見ますと、わが国の場合、六十五歳以上でなおかつ働いているという労働力率は三〇・二%。これはいまお答えになりましたアメリカその他先進諸国から見ると、大体二倍あるいは三倍といったような数字になっておるわけでありまして、こういった問題が社会保障との関連ではやはり大きな関連を持っておるというふうに思うわけであります。
 そこで引き続き、厚生省からもおいで願っておりますので、次の質問をいたしたいと思うのですが、その前に、私、この間新幹線に乗ったときに「フォト」の五月一日号というのを見たのでありますけれども、渡辺農林水産大臣がテレビの司会者の笹田泉さんというのを相手にいたしまして、「お台所に責任をもって食糧をとどけます」という痛快な農政談議を展開されておりまして、それを読んだわけであります。
 私は、その中身というよりも、大臣が九段宿舎でみずからマーケットに行って材料を買って自炊をしているというのを承知しておりませんでして、非常に驚いたのでありますけれども、自分の健康管理という点で、大臣みずから実践されておる姿に感服したのであります。ただ、これは自分の体だけを管理するというのじゃなしに、農林水産大臣という立場からいきますというと、農林漁業者の健康問題、これは若い人々、御年配も含めてそういった健康管理という問題をどうしていくかというのは、政治の舞台では非常に重要であり、しかも、国民の命の糧である食糧生産をやっていく農民の健康問題というのは、主管省であります厚生省に御一任というのじゃなしに、農林水産省は農林水産省の立場で、従来も心がけてそういう方面にも手がけておるわけでありますけれども、これはやはり真剣にやっていかなければならぬというふうに思っております。
 御承知のように農業の姿も変わってまいりまして、農業の機械化が進むということになりますと、そういうことによる事故あるいは障害、あるいは農薬による中毒その他の障害問題、あるいは最近は施設園芸がどんどん進展の傾向にありますけれども、ああいった温室の中における長期の作業ということによって、農民の健康の問題にやはりいろいろ問題が提起されてきているといったようなことがあるわけであります。こういう問題については、もちろん全体としては厚生省がやるわけでありますけれども、農林水産省としても、農林漁業者の労働条件といいますか、作業条件あるいは健康管理といったような問題については、渡辺大臣は厚生大臣もやられた立場でもありまして、やはり積極的に考えていく必要がある。特に都市と農村との医療供給体制一つを見てもきわめてアンバランスな形にあるわけであります。したがって、農村の場合は医者に診てもらったときには手おくれ型というのが相当あるわけであります。たとえば、西成辰雄医師の書かれた「農村・農民の健康問題」といった農政調査委員会から出されている資料を見ますと、いわゆる農業の比率、第一次産業の比率の高いところほど短命であるといったようなデータの指摘もなされているわけでありますが、厚生省に聞いてみますと必ずしもそれは明確に言えないということであります。それにしても、都市と農村との医療供給体制のアンバランスということはこれは天下周知のところでありまして、そういった問題も含めて、農民の健康問題あるいは農作業の変遷というものに対応した配慮というものに真剣に取り組まれていかなければならぬというふうに思うわけであります。
 そういった点について、まず厚生省の方から主管省としての御答弁をいただいて、引き続き渡辺大臣の方から、農林水産省としてこういう問題をどう考えていくのかということをお答え願いたいと思います。
#73
○大池説明員 ただいま御指摘のございました農村におきますところの健康管理の問題でございますが、私どもも、地域の住民の健康確保、これはそれぞれの地域の特性に応じた形でいろいろと展開をしているわけでございますが、御指摘のように、いわゆる農夫症とか農薬障害とかその他ハウス病等、こういったような問題につきましても厚生省としても対応しているところでございます。ただ、農村におきますところの一般的な生活水準の向上というようなこともございまして、都市と農村というような区別での差を見出すということは近年ますます困難になってきておるわけでございます。また、疾病によりましては、地方におきますところの食生活のあり方、あるいはそういった地域におきます気候、風土等の地域特性も密接に関連するわけでございますので、特に農村だけを取り出しての健康の比較ということはむずかしい面がございます。
 しかし、私どもいろいろと農村関係についての研究を推進していただいているわけでございますが、その中で、たとえば農村医学会の研究結果などによりますと、肩こり、神経痛、高血圧、慢性胃炎、筋肉リウマチなど、いわゆる農夫症というようなものが取り上げられておるわけでございますけれども、こういったものにつきましても、私ども、地域におきますところのいろいろな健康管理対策、衛生教育というような面で必要な対応をしているところでございます。
 また、農薬中毒の関係でございますが、昭和五十二年におきまして、死亡統計の方で見ますと、不慮の事故という形で農薬中毒で死亡された方が百四十一名、それから自殺というような形での農薬中毒が九百十五名というような統計も掌握しております。
 ハウス病といわれるものにつきましても、症状としては頭痛、目まい、腰痛、肩こり、かぜを引きやすい等の訴えが多発するということが指摘されておるわけでございますが、医学的な観点からこれを精密にとらえようとすると、必ずしも特異的な変化という形でとらえにくい面もございます。また、高度な障害という形にまで進んだケースもないようでございまして、現在としてはそういったものを包括的にいわゆる農村に比較的多いいろいろな症状それぞれに対応するような対策がとられているところでございます。
 なお農村保健医療対策という観点でお答え申し上げますと、農村の地域に多発する健康障害について、健康管理、健康診断に関する調査研究というものを行っております。さらにそういった成果も踏まえまして、農村検診センターあるいは健康管理指導車等によって健康診断、衛生教育等の推進を図っておるところでございます。また、比較的農村地域を含む地域で脳卒中等が多発をしている地域におきましては、これを重点地区というようなことに指定いたしまして、血圧、検尿等の一次検診のほか、この重点地区におきましては心電図検査、眼底検査というような二次検診も行い、必要な保健指導をその後に行っておるところでございます。
 また、主婦等に比較的多く見られます貧血、糖尿病等の問題に対しましても、健康診査の実施あるいは生活指導も行っているところでございます。
#74
○渡辺国務大臣 非常に広範囲な分野で、簡潔に答弁をしろと言われましても、これはなかなかむずかしい。いま先生のおっしゃったところ全部についてお答えすると質問の時間がなくなってしまいますから、ごく簡単にかいつまんで各項目について所感を申し上げたいと思います。
 私は、やはり農村の健康管理という問題については、非常に重要なことでございまして、まず第一は、自分の健康は自分が守る、この姿勢を徹底させる必要がある。そのために、いろいろな保健衛生の知識の普及、食生活の改善、こういうようなものの指導というものを農協なり市町村役場が中心になってやらなければならぬ、そういう体制をつくっていく。
 第二番目は、いま言ったように、いろいろな定期健康診断、健康管理センター、こういうもので早期に病気の発見ができるようなシステムをつくってもらう、これは厚生省でもスタートを実はしておるのであります。農林省や農協等と一緒になりまして病気の早期発見というものを徹底をしていく必要がある。
 それから、意外と食生活の問題では知識がありそうでなくて、昔は栄養失調で病気になっておったが、最近は銀座のこじきも糖尿病になるぐらい食い過ぎているというようなことが現実の問題としてあるわけです。したがって、それは食生活のバランスというものが意外と知られていない。そういうことについても、私はもっと、もう一遍若妻会とかあるいはそういうもので、そういう正しい栄養のとり方についての講習会の徹底というようなことは、金がかかる話じゃないですから、これはバランスの問題ですから、そういうことをもっと私は生活改善事業なんかで徹底する必要があるのじゃないか。
 無医村問題については、これはある人から言われているのですが、いま政府のやっていることは逆さまで間違っているのじゃないか、農村にりっぱな医者を定住させろと言ったって行くはずがないでしょう。なるほど、そう言ってみれば、青森県あたりに行ったら台湾の医者が八十人も百人も来ているというのが事実なんです、みんな老人の人ばかりで。これはやはり基幹病院をこしらえまして、そこから三カ月とか四カ月の交代でりっぱな医者をやるような方法は何かないものかということで、これは厚生省などとも相談したり、農協病院等が率先して、農協は基幹病院を持っておるわけですから、そういうところで何かそのためによけい出費のかかるものは私は国がある程度見たっていいのじゃないか、そんな研究を少ししてみろといって、実は事務当局にも命じておるのです。
 それから、農村に老人ホームをみんなつくるわけにもいかぬし、それはドイツのような訪問看護制度というようなことで、寝たきりとか何かの老人というものに対するものを、医師会が反対だからといって訪問看護をやらせないというのではなくて、もう少しここらも、簡易な病気とか慢性病みたいなものは、病院へ行ったって治るわけではないですからね。ですから、できるだけ家庭で診てもらって、しかも専門家もちょいちょいのぞくというようなことも考える必要がある。
 それから、ハウス栽培のハウス病、こういうものは私は新しい職業病だと思うのです。こういうふうなものに対する研究や予防措置というようなもの、それから農薬もかなりいろいろなものを使って、そのために病人を出しておるわけですから、これらに対するもっと徹底した研究と体系的な予防、治療というものを進めていく必要があるのじゃないか。農業機械の問題も同じようなことが言えようかと思います。
 簡単でありますが、以上申し上げます。
#75
○角屋委員 私は、この問題を特に制限された時間の中で取り上げたのは、やはり年金制度の所要の改善を積極的に進めることも重要でありますが、対象になる農民あるいは農林漁業者というものが若い世代から年配になっても健康でいけるように、これが基本であって、そういう面に都市と農村にアンバランスがあるとすれば、現実に合った改善方法をどうするか、あるいは農民自身あるいは漁業者それ自身にも、健康管理上積極的に農林水産省として取り上げるべき問題については、宣伝啓蒙、いろいろなことをやっていく、両々相まって、年金制度が整備されてくるときに快適な条件でそれが受けられるというふうに持っていくべきだろうという認識のもとにお聞きしたわけであります。
 きょうは水産庁の長官にも出席願いましたが、ちょうどきょうは二時から大臣から命ぜられておるプロジェクトの水産関係の第一回の会合をやろうというときにおいで願って大変恐縮でありますが、そういう関係もありまして、この問題から御答弁を水産庁長官からいただいておきたいと思います。
 御案内のとおり、昭和四十九年の四月三日に当衆議院の農林水産委員会におきまして、自民、社会、公明、民社四党の共同提案で「水産業の振興に関する件」という決議案を、私が趣旨を説明いたしまして、満場一致で可決をしていただいた経過がございます。その中で、遠洋・沖合漁業対策、沿岸漁業対策、漁業用燃油等の対策、水産金融対策というものにあわせて、農業者年金に対する漁業者年金制度というものについても決議を行っているわけであります。その決議は、前段部分がございますが、「水産教育を充実し、漁業労働環境及び労働条件の改善を推進するとともに、」それから本論でありますけれども、「漁業者年金制度の創設についての検討を含め、漁業者の社会保障制度の整備充実を図り、後継者の育成に努めること。」こういう決議を四十九年四月時点で本委員でやっておるわけであります。
 農業者年金問題については今後とも改善が図られなければなりませんが、農林水産業という点からいきますれば、今日、国際漁業の制約のもとで沿岸、沖合いの振興ということを積極的に進めなければならぬということと関連をいたしまして、漁業者の社会保障制度の整備充実、それと関連する漁業者年金制度の創設についての検討というのは、これからの重要課題だと思うわけでありまして、これらの点について、本決議に基づいて水産庁としてどういう検討を進めてきたかという点について、森長官から御答弁を願っておきたいと思います。
#76
○森政府委員 御指摘の問題、非常に重要な問題であると思っております。そのためにいろいろ環境の整備等には努めておりますが、御指摘の年金制度につきましても、五十二年から全漁連に漁村福祉改善対策事業という金を出しまして、水産庁も入りまして検討を行っているわけでございます。しかし、漁業者の年金の問題になりますと、この対象となる者、年金の集団が非常に少ないという問題、またいろいろの御承知のような問題がございます。農業者とちょっと事情が異なる面があるわけでございます。したがいまして、非常にむずかしい問題でございますけれども、今後とも、漁業者に関します各種の福祉制度の適正な運用を含めて、福祉の向上のための対策の一環として、検討はさらに続けてまいりたいと思っておるわけでございます。
#77
○角屋委員 この点は、委員会決議を受けて、今後の漁民の社会保障制度の重要な問題として、積極的に取り組んでもらいたいということを強く要請をしておきます。
 そこで、農業者年金の制度改正問題という点は、冒頭に取り上げた問題でありまして、大臣もこれらの問題については今後前向きな検討と実践を図るという基本的な考え方の表明があったわけですが、さしあたって来年の五月十五日で離農給付金の支給が制度上では期限が切れるわけでありまして、それをどうするかという問題が来るわけであります。
 関係者からは離農給付金制度の存続という問題について強い要請が出ておることは御承知のとおりでありますが、私は、この問題について、今後存続をしていくことを検討する場合に、きょうは時間がありませんので深く触れることはできないわけでありますけれども、先進諸外国における農業者年金制度については、特にヨーロッパ等において、西ドイツとかフランス、ベルギー、イギリス、オランダといったところで、一九六〇年代以降各国において離農年金制度の採用等を含めていろいろ農業者年金についての充実強化が今日までなされてきているわけであります。これは構造政策上の観点から、フランスでも離農老齢年金を取り上げるとか、ベルギー、西ドイツ、オランダ等においても離農年金制度を取り上げ、国によってはこれを無拠出でやるといった形で取り上げているわけであります。
 そういう先進諸国の先例等も含めて、これからの新しい農業情勢の中で離農給付金あるいは離農年金というものをどう位置づけるかということについて、早急な検討と実現を図ってもらいたいと考えておりますが、その点についてお答えを願っておきたいと思います。
#78
○渡辺国務大臣 これは非常に重要な政策的な問題を含んでおると私は思うのです。いま農林省において、農地の流動化を進めて、農地の賃貸借によるところの規模拡大というものを真剣に考えて、農地法の改正までも検討をしておるさなかでございます。したがいまして、それと一緒に絡めて、要するに子供に譲ったりあるいは土地を売っちゃったり十年以上貸したりというものばかりでなくて、何かいままでと違ったもので、他人に土地を貸しても、一時給付金でなくて貸している間は年金のような形ができないか、ある程度老齢化した場合に。したがって、現行の給付金制度の単純な延長ではなく、もっと別な政策的なものも含めた、有効な規模拡大に役立つための離農年金のようなものあるいは経営譲渡年金のようなものか決まっておりませんが、これは積極的に進めて検討をしていきたいと思っておるところであります。
#79
○角屋委員 離農年金あるいは農業者の離農という問題にはそれぞれ意見があるところでありますけれども、しかし、現実に離農する実態は起こっているわけであります。日本の人口でもそういう減少傾向が、現実に世帯でも農業従事者でも起こっておるわけでありまして、これからの安定した農業者の確保、農業の近代化進展という点から、全面否定という性格のものではなかろうと思いますので、いま大臣のお答えのような趣旨も含めて、早急に結論を出すようにしてもらいたいと思います。
 同時に、そういう構造政策上の問題も一つの側面としてありますけれども、何といっても、亡くなられた佐藤総理が総選挙の際に、農民にも年金をと言ったこの趣旨が、農業者年金制度の今後の改革の中でもさらに充実をされていかなければいかぬ。
 それは、やはり第一点は、老齢年金額の六十五歳以降の引き上げ問題というのが重要な問題になってくる。いろいろな事情で経営移譲できなかったといった人の六十五歳からの老齢年金の支給と、六十歳以降に経営移譲した者の支給とは、七十代の適当な時点で給付金を対比してみますと、三対一くらいの非常に大きな差ができる。同じ掛金を掛けていてもそれだけの差ができるという試算もあるわけであります。
 わが党からは、前回のときにも、少なくとも二倍に引き上げたらどうか、所要の財源も要りますけれども、それを積極的に主張しておるわけでありまして、これはいま直ちにの問題について、政府も、わが党から修正を出す場合に、それは結構ですということで、与野党満場一致でまとめていただければ非常にいいのですけれども、附帯決議は四回にわたってしてきておりますけれども、さて、ささやかに二倍の引き上げはどうかということになると、賛否がいろいろ分かれてくるのは非常に残念でありますけれども、それにしても、この老齢年金の年金額の引き上げという問題は、来年に向けて早急に政府側としても提案をしてくる姿勢が必要であると考えておりますが、この点についてもお答え願いたいと思います。
#80
○渡辺国務大臣 これは午前中にも答弁をいたしましたが、老齢年金は、経営移譲年金がもとになって、しかしそれだけでは加入者が少ないであろう、掛け捨てになるだろうという思惑で、困るから老齢年金を長く延ばしたのじゃないかと私実は思っておるのです。これは国民年金をもらうようになれば本当はいいわけですが、国民年金に上乗せをした形でこれはできているわけですから、これを引き上げることになると当然保険料をふやすという問題が出てくるのです。これは選択の問題だと思うのです。したがって、保険料がふえても結構ですよということならば、私は引き上げにやぶさかではないのですが、現在の国民年金ですら、あと五年もたたないうちに、一人八千八百円ですか、それくらいにふえる、現在の倍以上になるわけですね。そうすると掛金が五年で倍にもなる。米の値段がこれから五年で倍になるかといったら、現実の姿としてなかなかならぬと思うのですね、農産物の価格が。負担が非常に重くなる。しかも、農家の人は財産を持っているから現金を出すのは非常に出し渋るという傾向が実際ある。あるけれども、しかし年金は損しないのだから出してもいいという空気になれば話は別だ。非常に負担が重くなるということと、もう一つは、いまのままでは五年たったら医療費が倍になる。したがって、農家でもちょっとした農家は医療費を年間十七、八万円払っている。これも倍になるということで非常にいろいろな問題もあるから、農家負担の問題も考えて、検討はいたしますが、いまの段階でこれを二倍に上げるということを明言するわけにはまいりません。検討はいたします。
#81
○角屋委員 時間も近づいておりますので、結びにしていきたいと思いますが、制度改正の根本問題では、遺族年金の問題もありますし、婦人加入の問題もありますし、そのほかにも、先ほど挙げましたようないろいろな問題があるわけですが、農業者年金基金理事長の内村さんも御出席でありますので、私からも一、二点質問をして結びにいたしたいと思います。
 御案内のとおり、法第十九条第二項の中には、農業者年金の被保険者等の福祉を増進するために必要な施設で政令で定めるものの設置等を行うことができるというふうに明定されておるわけでありますけれども、こういった被保険者等の福祉を増進するために必要な施設というものは、具体的にどういうふうに取り組んでいかれるつもりであるのか、現状はどうなっておるのかといった点について、第一点お答えを願いたいと思います。
 第二点は、基金の民主的運営という点で、第十七条関係で三十名以内で評議員会が設置されておるわけでありますけれども、これは「基金の業務の運営に関する重要事項を調査審議する。」こういうことで評議員会の運営がなされるわけでありますが、これの運営の実態はどうか。業務委託の問題については同僚委員から質問がありましたのでこれは省略をいたしたい。
 以上の二点、さらに農地等の買い入れ及び売り渡し等の実態と問題点という点にも入りたいと思いますが、時間の関係上、この問題は省略して、いま指摘しました二点の問題についてお答えを願いたいと思います。
#82
○内村参考人 まず、最初に御質問のございました福祉業務の点でございますが、この点につきましては、基金の中に福祉事業研究会というものを設けまして、現在検討中でございます。年金の行います福祉事業につきましては、他の年金、いろいろ行っているわけでございます。私どもといたしましても、法律上そのようなことができるようになっておりますので、できればやりたいと思っておりますけれども、百十万の被保険者、農業者の要求が非常に多岐にわたっておるわけでございます。したがいまして、どれが一番いいかというような問題がございます。それから、その次に、何といいましても積立金を運用するわけでございますから、どの程度の割合をこういったことに使っていいだろうかということも、他の年金の状況等を見ながら検討しております。
 それから、最後に一番問題なのは、福祉事業をやって赤字が出たときが非常に困るわけでございます。先生御案内のように、他の年金では、福祉事業である程度赤字が出まして、それをどうしようかというようなことで困っているところもございます。したがいまして、私どもといたしましては、できるだけ安全にこれをやらなければならないということになりますと、なかなかむずかしいわけでございます。そういった点を考えながら、今後どうしていったらいいかということについて現在検討中でございます。
 それから、評議員会の運営の問題でございますが、評議員会の構成は、ただいま御指摘がございましたように三十名になっておるわけでございます。そのうち約半分の方々は被保険者の代表ということで、農民の中から代表を選びまして、その方々が評議員会に参加しておられるわけでございます。その他は学識経験者でございまして、これは中央段階の方々、あるいは県段階の方々、それから学者の方というようなことでやっておりまして、年に二回やっております。現在までのところ、私は非常に民主的な運営が行われているというふうに確信しております。
#83
○角屋委員 時間が五十分でありまして、参りましたので、最後に、渡辺農林水産大臣の方に、農業者年金制度の制度改革問題についてまだ重要な問題がたくさん宿題として残るわけでございますので、積極的にこれらの問題をさばかれて、農業者の期待にこたえられるように強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#84
○佐藤委員長 芳賀貢君。
#85
○芳賀委員 農業者年金法の改正の内容に対して、まず農林大臣に質問をいたします。
 今回の改正点は、第一は、年金給付の額の自動的改定措置の改定等に関する点でございまして、いわゆる年金給付額に対する物価スライド制の自動適用の問題でございまして、従来は物価上昇率五%を超える場合という前提がございましたが、今度は必ずしも物価上昇率が五%以上でなく、以下であっても適用するという改正でございますので、これは長年にわたるわれわれの委員会等を通じての主張が実現した改正点でございますから、それほど論議の必要はありません。
 もう一つは、後継者の加入の救済措置でございますが、これは時効救済の内容でございますので、この点についても、その指摘が実現したわけでございますから、格別の議論を要しないと思うわけであります。
 そこでお尋ねしたいのは、今日までたびたびの法改正を通じまして、委員会の審議を通じてこのように年金内容の改善あるいは改定を行うべきであるという指摘を行った点に対して、いまだに何ら根本的な解決が行われておらない、その点を重点に、政府の考えを明らかにしてもらいたいと思います。ただ、従来は重要問題についても、検討中検討中ということで単にその場逃れの常套語を使っているにすぎないのでありまして、これが何年に一遍であればなるほどと考える点もありますけれども、もう毎年毎年、毎回毎回、御趣旨の点については検討いたしますということになると、全くそらぞらしい空虚な政府の態度としか受け取ることができませんので、本当に尊重してやるのならやるとか、やらないのならやらぬというようなことを、この際明らかにしてもらいたいと思います。そうでないと、われわれとしても政府に対する対応のはっきりした態度とか方針を決めることができませんので、その点は大臣並びに大場局長においてもしっかり腹を据えて答えてもらいたいと思います。
 その第一の点は、農業者年金制度が発足してもう十年になんなんとしておるわけでございますが、この年金制度は、社会通念的に見れば、当然、これは立法府において制定した年金制度でございますから、公的な年金制度であることは議論の余地がないのです。それにもかかわらず、どうして、農林水産委員会において一日も早くこの農業者年金をいわゆる公的年金に位置づけをしろということをわれわれは主張しておるし、昨年の附帯決議の中にも前段にこれはうたってあるわけです。この点についてその根拠を――これは通算年金通則法という法律がございまして、この法律の第三条において、いわゆる公的年金、つまり法文上は「公的年金各法」とかあるいは「公的年金制度」ということがうたわれておるわけです。この公的年金各法というのは、これはもう言うまでもありませんが、国民年金、厚生年金、船員保険、国家公務員年金、地方公務員年金、私立学校教職員年金、公共企業体職員年金、それから当委員会に付託になりました農林年金と、この八つの年金を通算年金通則法の対象にして、これを制度的には公的年金と言っておるわけです。これらの年金が他の年金に移行したような場合はいずれも対象期間の通算等が行われる仕組みになっておるわけでありますから、いつまでたっても農業者年金は公的年金制度の対象にならぬ、仲間にならぬということを簡単に片づけるわけにはいかぬと思うのですね。これを今後の位置づけの問題として、即刻やるというわけにはいかぬかもしれぬが、これは十分に検討をして、速やかに通算年金通則法の対象年金に加えるということを農林省としても厚生省としても明確に行うべきであると思うのです。その点について、まず農林大臣、厚生省はこの制度の共管の役所でありながらきょうは説明員の課長しか来ておりませんが、農林大臣はかつて厚生大臣として医療問題は権威者と言われましたが、年金問題のところまではわれわれまだ認識が届いておりませんが、まず明解にしてもらいたいと思います。
    〔委員長退席、今井委員長代理着席〕
#86
○渡辺国務大臣 これは釈迦に説法なわけでございますが、公的年金といわれるものは八つあって、それは通算できるような仕組みになっておるわけです。ところが、この年金は国民年金の付加年金としてスタートしておりますから、独立させるという話になってこないと、通算をしてという話にならないのではないか、私はこう思っておるのです。したがいまして、全然独立な法律をこしらえてしまって、農業者だけ別にやるのだということまで行けば公的年金ということになるのでしょうけれども、ただ国庫補助があるというだけでは通算年金通則法のいわゆる公的年金にはならない。したがって、それをしようということになると全然別な話になってくるので、農林省だけが努力をしてみても、現実の問題としてはいわゆる公的年金というものにはなりにくいという仕組みに実はなっておるわけであります。
#87
○芳賀委員 それは大臣、全く幼稚な答弁じゃないですか。幼稚きわまるですよ。それじゃ、農業者年金基金法のどこにこの年金制度は国民年金の付加年金だと書いてあるのですか。
#88
○渡辺国務大臣 それは農業者年金法の目的のところに、国民年金法と相まって云々という文言があるはずであります。したがって、国民年金と相まってでございますから、国民年金から独立したものというふうにはわれわれは考えてないのです。やはり付加年金的な性格が非常に強いものである。農業政策上生まれたものであって、特に経営移譲を促進させようという政策目的を第一とした年金であると考えておるわけであります。
#89
○芳賀委員 その答弁ではまだ幼稚ですよ。これは国民年金と全然関係ないとは言っていませんよ。ただ、国民年金と併存しておる制度ですからね。だから、六十五歳になれば経営移譲年金を五年間受けた者も老齢年金の給付を受ける。経営移譲ができなかった年金加入者も六十五歳から農業者老齢年金の支給を受けるわけでしょう。だから、国民年金と農業者老齢年金の併給制度、国民年金ももらうが、額はこっちの方が少ないが併給という形で両年金の支給を受けることができるということになっておるのであって、これは何も付加年金というようなことじゃないですよ。厚生大臣の時代に厚生省の役人に詰め込まれてそんなことをまだ言っておるのじゃないですか。大場局長、どう考えているのだ。
#90
○大場政府委員 いま大臣がおっしゃったとおりであろうと思います。法律ではたしか付加年金という言葉は使っておりませんが、「国民年金の給付と相まって」という文言もありますし、それから農業者年金の加入資格者は国民年金の資格者、国民年金に入っている者と限定しておりますから、いわば国民年金に入っている者を対象として、それにオンをして、国民年金では満たされない農政上の目的を達成するための付加年金的な性格のものだと理解しております。
#91
○芳賀委員 それも幼稚じゃないですか。農業者年金の加入資格は、加入範囲をできるだけ限定するために、まず国民年金の加入者でなければならない、その第一条件の上に立って、農業に従事する者で農業経営の経営主、それから土地所有者、そういう者は当然加入者として限定的になっておるわけです。だから、この限定の国民年金加入者である場合にはおやじさんもかあちゃんも全部入れるのですよ。土地所有者とか経営主でなければならぬ。それ以外の者は特定後継者と認めた者については一人に限って任意加入ができることになっておるのですね。なるたけ数を減して、農業従事者の婦人――農林省の言うところのいわゆる農業の基幹従事者としての婦人の数は、大場局長、去年委員会で答弁したでしょう。そんなものをめくらなくたって、あなたは言ったのだから、こっちは頭の中に残っているわけだから、二百十万人ありますと。こういう大事な農業の基幹従事者を全部除外するために加入の限定ということをわざわざ法律の精神より前に持ってきておるわけだ。だから、問題は、農業者年金の資格を喪失する場合もあるでしょう。加入条件が失われた場合には、今度は厚生年金に入るとか、あなた方と同じような公務員年金に入るとか、国民皆年金だからどこかに入るわけですよ。そういう場合をおもんぱかって、各年金の通算制度を通算年金通則法でちゃんと守っておるわけだから、これが通算の対象にならぬというのはおかしいじゃないですか。他の年金より不利益な保険料を掛けて少ない年金の給付を受けておるわけであっても、その期間が他の年金に通算される道を講ずるのは当然なことですよ。きょうもまた検討します、検討するけれどもやる気はありませんというのでは済まぬですからね。厚生省の説明員は、これはどう考えているのですか。
#92
○吉原説明員 ただいま農林水産大臣がお答えされたとおりでございまして、通算年金通則法の対象としております公的年金各法と申しますのは、老後保障といいますか社会保障を目的とした年金制度について期間の通算をやろうということでございます。農業者年金制度は、底に国民年金がございまして、その上に農業政策上の目的を持ってこの制度ができておるわけでございますから、農業経営をやっておられる方も社会保障という意味では期間通算の対象になっているということでございます。そういうことで、通算年金通則法の公的年金各法からは除外をされているということでございます。
#93
○芳賀委員 局長も厚生省の課長も農林大臣の言うとおりだと言うが、農林大臣が一番権威者であなた方を指導して答弁させておるのじゃないでしょう。その前に詰め込んでおいて、ああそうかといって答弁するにすぎないわけだから、やはり農林省、厚生省の責任の役人として権威のある答弁をする必要があると思うのです。いまの厚生省の答弁なら、これは老後保障の目的が何らないというのは大きな誤りですからね。そんな無理解なことであれば、何も共管にする必要はないのだ。農林省の専管にして――農林年金制度というのは農林省の専管ですからね。農林年金が農林省専管ができて、こうしたまだ内容のちゃちな農業者年金を厚生省と共管でなければ運用できないなんて、これは情けない話ですよ。これは毎回言っているわけです。だから、農林年金と農業者年金を農林省の責任で所管にして、いまの就業改善課とか農協組合課なんかだけでやっているのではなくて、年金局までいかぬとしても、はっきりした独立の部門というものをきちっとつくって、ここへコンピューターでも権威者を据えて、他の所管省に負けぬぐらいの努力をしてもらわぬと、だんだんよそから押しまくられちゃって、これは消滅するような危険さえあるのじゃないですか。
 次にお尋ねしたいのは、農業者老齢年金が再来年の昭和五十六年からいよいよ第一回の支給が開始されるということになっておりますので、この年金支給開始に先立って、いまのような非常に低額な老齢年金の給付額ではもう価値がないわけでありますからして、この点を事前措置として改正する必要があるということを毎回この委員会の決議等で指摘をしておるわけです。本来であれば今回の改正の中に、一遍に三倍とか五倍にしろというわけではありませんが、現在の年金単価であるところの六百五十円、これを基礎にして保険料納付済期間、これを乗じた額ということになっておるわけですからして、ここを引き上げなければ老齢年金の給付額の引き上げということは絶対にできないのですね。これは局長でもいいですから、来年で農業者年金の払い込み期間というのは十年経過することになるわけですから、いまの六百五十円を基礎にして十年間の払い込み期間というものを乗じて計算した場合、五十六年第一回に受ける月額はどうなるのですか。
#94
○大場政府委員 経営移譲をした者と経営移譲をしなかった者、その場合の給付水準の比較でございますが、これはいろいろの年数のとり方によって違います。違いますが、たとえば二十年掛けたというモデルを前提にしますと、経営移譲をした者につきましては、六十歳から六十四歳までの間月額六万二千七百六十七円という支給があります。それから経営移譲をしなかった者、これは六十五歳から支給が始まるわけでありますが、これは一万五千六百九十二円、こういったことになりまして、した場合としなかった場合の倍率といいますか、それは四倍、四対一であります。
#95
○芳賀委員 いや、そういうことを聞いているのじゃないです。いいですか。年金法の第四十八条「農業者老齢年金の額は、六百五十円に保険料納付済期間の月数を乗じて得た額とする。」これが基礎になるわけでしょう。だから、昭和五十六年の一月からちょうど第一回の給付が始まるでしょう。その場合の第一回目の老齢年金受給者の年金額は一体幾らになるということを聞いているのですよ。だから、六百五十円に払い込み済み期間の月数を掛ければわかるでしょう。
#96
○大場政府委員 五十六年の支給が始まる際の老齢年金の支給月額でありますが、これはちょうど十年掛けたということになりますので七千八百四十二円、こういった数字であります。
#97
○芳賀委員 それに経営移譲年金を五年受けて、六年目、つまり六十五歳からその人も老齢年金をもらうわけだから、その場合の加算があるでしょう、経営移譲年金受給者については。それは幾らになるのですか。
#98
○大場政府委員 経営移譲した者は、これは六十歳から六十四歳でありますが、月額四万一千八百四十二円、経営移譲しない者は先ほど申しましたように七千八百四十二円、こういうことであります。
#99
○芳賀委員 五年過ぎるとその経営移譲年金は終わるのですよ、打ち切りになるのですよ。そして六十五歳から今度は老齢年金だけに、経営移譲年金から若干の加算がされるということになっておる。
#100
○大場政府委員 失礼しました。経営移譲した者は、五年加入という場合で申し上げますと、ちょうどいま五年加入に該当するようでありますが、月額三千百四十二円、これは経営移譲年金。それから経営移譲しない者は農業者老齢年金の支給ということで三千九百二十五円、こういったことでございます。もちろん経営移譲した者は、先ほど申しました三千百四十二円に三千九百二十五円が加算されて、約七千円ということになります。
    〔今井委員長代理退席、委員長着席〕
#101
○芳賀委員 そこで、大臣、再来年からいよいよ老齢年金が支給開始になる。いま局長の説明でも、その額は七千八百五十円ということになるんですね。これでは余りひどいじゃないですか。だから、この点を年金支給開始前にできるだけ改善をする必要があるじゃないかというのが当委員会の主張ですから、これは十分に受けとめて、まだ一年準備期間というのはあるわけですから、ぜひ渡辺農林水産大臣の手元で、この問題くらいはやはりやったかというふうになるように努力をする必要があると思いますが、いかがですか。
#102
○渡辺国務大臣 この話は、先ほども出ておるように、経営移譲した者としない者の差が大きいということでしょう。ですから、これは経営移譲した者と経営移譲しない者の差をつけないことにしてしまえば、何のために農業者年金を政策目的で経営の若返りをするためにつくったかという話とぶつかっちゃうと私は思うのですよ。したがって、本来ならば経営移譲だけで六十五までつなければ一番いいのだけれども、それではまた、経営移譲するつもりでおったのだが、しない場合もあるかもしらぬ、そのときにもらいはぐれてしまうということも考えられるので、やはり経営移譲しなかった場合も老齢年金という形で上積みしていく、こういうような最初のスタートの考え方がそこから来ておるわけですから、やはり経営移譲した者としない者のある程度の差は政策上の問題だからぼくは仕方がない。それが全然差がないということになっちゃったのでは、経営移譲が進まないという逆の結果が出てくるのじゃないでしょうか。
#103
○芳賀委員 その差というのは六十五歳になったときの金額の差じゃないですよ。制度的の差というのは、六十歳から六十四歳までの五年間にわたって経営移譲年金というのを特別に設定して、これに対して経営移譲促進の政策年金というのは優遇措置というようなものですよ。厚生省、五年早くこれをやっているじゃないか。これが厚生年金を六十五にするなんという説が厚生省あたりから出ておる。それに移譲年金の六十歳を合わせていくということになれば、何も意味がない。これはなかなか明快なことを言っているのですよ。差がなくなったら困るというのは、五年先に五年間にわたって若返りのために移譲年金を給付しているでしょう。金額が高いといったって、保険料よけい取っているわけだからね。四十四条は経営移譲年金の基礎単価、これは二千六百円だから農業者老齢年金の六百五十円に対して四倍ですからね。四倍の計算単価というのを設定して、そしてこれは完全積立方式だから、年金が上がれば保険料も同じように上がる。これはそういうことになっているのですよ。だから、私の言うのは、六十五歳になったときの農業者に対する――六十五歳からというのはこれはやはり老後の安定というのが目的ですからね。前の五年間は経営の若返りの促進のための政策年金として経営移譲年金というのはちゃんと支払われておるわけだから。そういう点を、後でいいですよ、局長や部長からでも、大臣ともよく話し合いをして、いまどうせいということではないですよ、十分にこれは検討する必要があると思うのですよ。こういう点、何も厚生省なんかと相談する必要ないでしょう。
 その次に、あわせて問題なのは、経営移譲年金の給付に要する経費に対しては、これは国庫の補助があるでしょう。経営移譲年金の方だけに農林年金と同じように給付額に対する国庫補助というのがあるのですよ。ところが、非常に額の低い老齢年金に対しては国庫補助がないのですね。こういうのも年金制度のたてまえからいうと非常に問題があるのですよ。まあ国庫補助だから、大蔵省が財布を握っていますから、こういうような矛盾に対しては、毎年毎年の予算要求等の場合において、五十六年からいよいよ老齢年金の給付が開始される、それに合わせてこの分についても、給付に要する費用だから、まだことしも来年もいいですよ、再来年から給付開始ということになるのですね、その総額がどれだけになるか局長も計算しておりますね。それに対して、それを対象にしてやはり経営移譲年金と同じように国庫の補助を行うべきである、この点はどうですか。
#104
○渡辺国務大臣 年金というのは、横並びバランス論というのが、これは恩給や何かと同じで非常にやかましいですからね。したがって、経営移譲のものは国の非常な政策的なもので、これはもう離農といいますか経営若返りを促進するという政策目的でやるから、かなり大幅の国庫補助をつけておる、こういうように私は理解をしておるのです。やはり農業者年金は、先ほども言ったように国民年金が母体であって、そのほかに経営移譲をしたり何かした人がそれをやれば国民年金にプラスアルファで厚生年金ともらい額がモデルで同じようにしようというスタートで、そこで、そこの分だけ厚生年金と国民年金の差額にほぼ相当するものを上乗せをしてつくられたものである。したがって、私は、ほかとの年金のバランス論からいって、老齢年金の部分についてだけ特別な国庫補助はしてない、こういうように考えております。
#105
○芳賀委員 それも、大臣、幼稚な答弁じゃないですか。いいですか、年金法の第六十四条に、「国庫は、毎年度、次に掲げる額を負担する。」一項一号では「経営移譲年金の給付に要する費用の額の三分の一に相当する額」、これは法律上国庫が負担しますということをちゃんと書いてあるでしょう。だから、この分は、大臣がどんな答弁したって、法律にちゃんと給付に要する費用の三分の一は負担しますと書いているから、これはもう心配ないのですよ。ところが、これと合わせて、再来年、五十六年から開始される老齢年金の給付に要する費用についても、これは当然対象にする措置が必要だと思うのですね。それを再来年までにちゃんと二つの年金を、三分の一であってもいいですから対象にするというふうに、これは努力する必要があるのじゃないですか。老齢年金は必要ないという理論的な根拠があれば、はっきりしてもらいたいと思うのです。
#106
○渡辺国務大臣 これは、私先ほど言ったようにバランスの問題だと思うのです。だから、農業者年金の付加年金をそこへ乗っけて、それにだけそれじゃ補助するということになれば、ほかの問題が出たときにも、それも補助するという話になってくるから、そのバランス論で、私はできたいきさつは細かくは知りませんけれども、やはりそれはバランス論から出ておる。国民年金の方は助成はあるわけですからね。経営移譲の方も三分の一という大幅な助成をしているわけですから。ですから、ほかの方で付加年金に国庫は補助を出しているという前例があって、これがないから、これはけしからぬという話なら私はわかるけれども、ほかに何かありますか、そういう例は。
#107
○芳賀委員 来週あたり審議に入るかどうかわからぬですよ、しかし農林省の所管の農林年金というのは、給付に要する費用の百分の十八を負担するということ。ほかにあるじゃないの。これ以外みんなあるのですよ、農業者老齢年金以外は。そんなこといま議論している時間ないですよ。常識でもわかるような点は答弁に立つ前にちゃんと整理してもらわぬと、こっちの持ち時間をどんどん大臣に食われちゃうと、これは肝心な質問ができないということになるのですよ。
 次に、来年繰り上げて財政再計算をやるということを午前中も言っておられたが、その場合一番問題は、公的年金の位置づけの問題とちょうど同じですけれども、農業者年金だけに限って財政方式はいわゆる完全積立方式ということになっているのですよ。それ以外の公的年金は全部これは折衷方式とか修正積立方式なんという言葉で扱われておるが、相当これは性格がだんだん変わりつつあるのですよ。そういう点から見ても、この年金の額の改善をするということはもちろん必要ですが、それと同時に、その掛金負担ですね。保険料が同じ比率でどんどんとまるところを知らぬほど上がっていくわけですから、この年金だけに対して厳しく、公的年金の中にも入れぬ、財政計算についてはこれだけに限って完全積立方式にする、こういう点が法律の中にちゃんと書いてあるわけですからね、どうしてもそこを改正しなければやがて大変なことになるのですよ。これも来年の再計算というのは、今後の日本の全般の年金制度のあり方について大きな影響を与えるものですから、私はこの点についてはやはり事前に、そういう方式というものは農林省として十分に主体性を発揮して改善をしておいて、それから年金財政全体の問題というのは、同列の地位につけておいて、それから論議をしなければ、その場所で、一番末席あるいは低い席に座らせて、おまえのところだけは完全積み立てだからこれからもだめなんだぞということになると、これは農業者年金そのものの制度の存廃の問題にまで及ぶということになるので、この点は十分留意して速やかに改善するようにしてもらいたいと思います。
 それから次は、農業者年金についても遺族年金を設定するという問題も、これは重大な問題ですよ。遺族年金の創設と、それから経営者の配偶者並びにせがれであるその後継者の配偶者、こういう常時農業に従事する経営の主体的な基幹従事者に対しては年金加入の道を開くべきであるという点でありますが、なかなかこの問題も解決がつきませんが、盛んに大臣が強調しておる五年間の期限を限定した経営移譲年金の中で、この年金は、農地法の精神から見てもやはり家族経営を主体にした経営体の中で経営主が、これが経営の移譲、所有権の移転であるとか使用収益権の世帯内の設定によって経営移譲年金の受給者が急増しておるわけですが、きょうは少し従来と趣向を変えて、この五年間の経営移譲年金の支給期間の中において、当然受給権者であるおやじさんが第一回の移譲年金を受けた、ところが、その後不幸にしてぽっくり死んでしまったというような場合、二十年も三十年も家族経営体の中で熱心に農業経営に努力をしてきた、現在も農業に従事しておる、こういう世帯内のいわゆる農業従事者、その受給権者の配偶者であるというような場合は、六十五歳からの老齢年金は一応切り離すとして、経営移譲年金の範疇の中で、おやじさんが死んだ場合、いわゆる移譲年金の残期間について、これを家族共同体の経営というものを原則にした移譲年金制度というのができておるわけであるからして、経営移譲年金の権利の共有といいますか、そういう事例はありませんが、そういう点を頭を使って、頭というのは使えば使うほど働くわけだから、使わなければだんだん退化してだめになってしまうのですよ。だから、この点に的をしぼって、五年間の移譲年金の支給期間の中において受給権者が死亡した、あと残り三年とか二年あるという残期間に対して、せめてその配偶者、長年一緒に経営の努力に当たったかあちゃんなりばあちゃんに残りの分の年金を支給する、こういう点は考えれば実現性ということになると一番可能性があると思うのですけれどもね、それはどう考えていますか。
#108
○渡辺国務大臣 これは簡単に言えば夫が死んだ。五年もらえるはずの夫が、三年もらって死んでしまった。あと二年残った分を、妻が夫にかわってもらいなさいということですね。それはいい。もらう方にとっては一番いいかもしらぬが、そういう年金は余り聞いたことはありませんね、ほかには。(芳賀委員「ないから頭を使えと言っているんだ」と呼ぶ)だから、例がないということは、なかなかこれはむずかしい問題なんですよ、頭を使っても、これは年金の根本の問題ですから。
 それからもう一つは、これは個人加入に入っておりますから、また半分ぐらいくれろという話かと思って聞いてたんです、最初のうちは。ところが、全額継承しろという話なので、よけいむずかしい話だというように私は感じたのです。経営移譲した人が、それじゃ六十五歳以上になっても経営移譲の分はもらわない、いまもらっているけれども。それよりも六十五未満で死んだことの方が大変だからという話なら何か考えられるかどうか知らぬけれども、それは検討します。しかし、六十五過ぎても、経営移譲しながら経営移譲年金に相当するものをまた少しもらうわけです、一割分だけ。これは要りません。しかし、万一ひっくり返ったときには妻の方に何か出しなさいという話なら、財源の話や何かになるかもしらぬし、しかしまたもう一つは、国民年金で寡婦年金というのがありますな、六十から六十五までの間でなにの場合は。そことの関連性等もありますから、ここでは簡単にこれは私返事しちゃって引っ込みつかなくなるから、ここでは返事できませんが、よく研究はさせてもらいます。
#109
○芳賀委員 これは大臣の在任中やる気であれば一番やりやすいと思うんですね。その六十歳から六十五歳というところに意味があるのでしょう。だから、おやじさんよりもかあちゃんが年上というのは余りないのですよ。中にはあるけれども、大体同年か、三歳か五歳若いんだから、それは配偶者だって強制加入で国民年金に入っておるのですよ。六十五歳になれば、その配偶者は自分の年金はもらえるのですよ。それ以前は、おやじさんがぽっくり死んでも、遺族年金制度も何もないでしょう。兼業でおやじさんが農協に勤めておるとか役場に勤めておるということであれば、亭主が死ねば、三十歳で後家さんになったという人は遺族年金を、年金額の半額もらえるわけだ。
 これは実現しやすい宿題ですから、渡辺農林大臣あと何年あるかわからぬけれども、とにかく来年の予算要求までに十分に部内に検討を命じて結論を出すように努力してもらいたいと思います。
 次に、加入範囲の拡大でありますが、先ほど言いました農業者年金の加入を限定するため、農業に常時従事しておる基幹従事者であっても経営者でなければだめだという前提のもとに、配偶者は、おやじさんの配偶者もそれからせがれの、後継者の配偶者もこれは全然入れないわけですからね。そういう加入の道を閉ざしておるので、年金計画の将来を考えた場合、どの年金もそうですが、だんだん先細りになって後代者がだんだん減ってしまうから、二十年、三十年たった場合には、もう年金というのは大変だということになるのですよ。この分は加入の道を、当然正当な理由があるわけだから、農業に従事する専業的な家族従事者というものに対して、この加入の道を開いてやれば、どんどん後代者のすそ野というのが広がっていくでしょう。とにかく嫁さんに来てから三十年も五十年も農業に専念して――現在の農村の実情というのは全然嫁さんの来手もないでしょう。農家のせがれに嫁さんに行けば年金の加入の道が開かれる、そうすれば、経営移譲はもらえぬにしても、六十五歳になれば農業者としての老齢年金も受けることができる。一方において国民年金の併給も受けることができる。やはり将来に希望が持てるような農業者に対する社会保障の道というものを開いておかないと、精神訓話だけで、どうして農家に嫁さんに行かぬのだということだけでは問題の解決はできないと思うのです。
 だから、こういう点についても、これも毎年毎年やっていることですからいまさらくどく理由を挙げて説明する必要はないのですが、ぜひ農業従事者、去年大場局長が言ったように二百万人もおるわけだから、おやじさんの配偶者とせがれの嫁さんを入れて、この層が日本の農業を実際に支えておるわけです。だから、この点についても、検討はしますけれどもやる気はありませんでは、これはいつまでたっても改善ができないので、これも十分に努力をしてもらいたいと思います。
 最後に、社会党の各委員の皆さんも言われましたが、昭和五十五年の五月十五日をもって離農給付金制度が終了ということになるわけですが、この点は午前中も大臣から明快に、この分は来年五月になってもやめる考えはないということを言われましたので、これ以上だめ押しをする必要はありませんが、これは来年五月前に、はっきり政府としての方針を明らかにした方がいいと思うのです。いよいよぎりぎりになって、汽車に跳び乗るようなことでは危険が伴うのですから、早目に、本当はきょう、これはもう心配ない、やりますよと言うのが一番いいのだけれども、しかし遅くても切符を買うくらいまでには間に合うようにしてもらわないと、汽車に跳び乗ってから切符を買うようでは間に合わないから、この点は大臣として、延長はするが、早目にやるという点についても意のあるところを明らかにしてもらいたいと思います。
#110
○渡辺国務大臣 離農給付金を延長すると私は言ってはおりません。これは、どちらかといえば延長はしないという考えです。そのかわり、先ほど角屋さんが言ったような、要するに離農をするという仕方がいろいろありまして、土地の流動化というものを含めて、他人にでも土地を貸す、そのために自分は離農するというようなものに、年金のような形で何かとれないか、それはいまない制度ですから前向きに積極的に検討したい。そういうことは農地法の改正等を含めて、規模拡大を図っていく、農地流動化をするというのですから、新しい政策目的なので、現行はそういう制度はありませんが、そういうものを含めて検討したいということを申し上げたのです。
 それから、遺族年金の話は、心情的にはわかりますが、しかし国民年金の方では国庫補助は行っているわけですから、国民年金から抜いてしまって農業者だけで別な老後保障年金をつくるのだということになれば、芳賀さんの言うようなことは私も理屈だと思うのです。しかし、いまの仕組みの中では、何といっても妻は掛金を掛けていないのですし、地権者である夫、あるいは地権者である妻の場合もありますが、大部分が夫です。その人が掛金を掛けて遺族年金なり何なりをもらうという、個人が加入する仕組みになっておりますから、現行の仕組みをまるきり変えないと、私は心情的にはわかるけれども、現行の仕組みの中では非常にむずかしいのじゃないか、こういう気がするのであります。
#111
○芳賀委員 いま言われた、離農給付金を延長する考えはない、これは午前中と答弁が豹変しているのじゃないですか。午前中、私だけでなくて、委員各位はみんな、来年の五月十五日に十年間の措置が期限切れになるという点に対して、これは善処するということになれば、さらに内容を現在よりも改善して延長するというように当然受けとめておるわけです。同僚の角屋さんにしても、これをやめた方がいいということは一言も言ってないです。だから、そういう点ははっきりしておいてもらわないと、間際になって、あのときはやる意思はなかったと言ったはずなんだと言われると困りますからね。そうなると、あなたは在任中に何もやる気はないということになるのじゃないですか。年金問題等にしても、そういう熱意がないのであれば、じゃ、いまの渡辺大臣は早くやめてもらった方がいい、そういうことになるのじゃないですか。当然これは国の制度として改善を行うべきことに対して、真剣に取り組む意思がないと、ちゃらんぽらんに済ましてしまうということになれば、そういう大臣を信頼して、日本の大事な農政全般の担当者としては不向きじゃないかということにもなると思うのです。あなたは大平内閣総理大臣に任命されたのだからいいといっても、これは国民から見た場合、厚生省にいたときはなかなか歯切れがよくて、武見太郎を相手にして一戦交えるという、これはなかなかその意を壮としてわれわれも見ておったけれども、本家に戻ってきて、制度改正、改善ということになると、何にもやる気がないということになるのじゃないですか。余り角が取れてしまって丸みがふえるということは、人間形成上いいけれども、やるときは以前のように果敢にやるということで馬力をかけないとだめです。
 それじゃ、いまのあなたの答弁は、来年の五月十五日をもって離農給付金制度は廃止する、そういうことを当委員会において明らかにしたということですね。ここをはっきりしてください。
#112
○渡辺国務大臣 確かに先ほどはそれは廃止をすると言っていません、角屋さんのときは。しかし、あなたが早く結論を出せ、結論を出せと言うものですから、結論がはっきりしない、検討ばかりしてだめだと言うから、私は、これはどちらかといったならば離農給付金というものは廃止をして、そのかわり農地の流動化に合うような何か別なことを考えた方がいいのじゃないかと思っているということを言ったのです。だから、廃止をしないこともあるかもわかりませんが、別なことを考えた方がいいのじゃないか、私は実際そう思っているのです。ですから、何もほかのことをやらない場合は廃止しない。ほかのことをやる場合は廃止することもある、こういうふうに聞いてもらって結構です。八月までには結論を出します。
#113
○佐藤委員長 武田一夫君。
#114
○武田委員 農業者年金基金法の一部を改正する法律案について、若干質問します。
 まず最初に、農業者年金基金の内村理事長がおいでになっておりますので、多少お聞きいたします。
 現在、御承知のとおり、厚生省が年金の大改正の方針を打ち出した。午前中以来この問題についで触れられておりますが、その中身の柱というのは、要するに保険料率の引き上げ、さらにまた老齢年金の支給開始年齢の引き上げ計画の策定が中心になっている。これは年金全般の相当大きな改革でありますし、今後の大きな問題となるということで、今後いろいろと取り上げていかなくてはならないと私は思います。
 そこで、その大きな原因は財政的な問題である、こういうことが言われておりますし、これは農業者年金にも当てはまる。いますぐというわけではございませんけれども、いずれ近い将来、年金財政においては火を噴くのではないだろうか。聞くところによりますと、一つの年金制度が成熟期に入るには数十年の期間が必要である、こう言われておる。農業者年金制度が昭和四十六年ですから九年、これからいわゆる成熟期に入る段階がこうした改正期に当たるのではないかと思うにつけましても、もっと充実した、安定した今後の年金制度というものをここで考える必要があるのではないか。特に、老齢化社会が一層早まりまして、それが農村においては一段と強いわけであります。せんだっての農業白書でもごらんのとおりに、五十歳以上で跡継ぎのいない農家が百万戸ある、または六十歳以上のそうした農家が四十六万戸もあるというような農業の実態を見ますと、この年金の改正というのは大きな問題だが、特に農村のそうした老齢化社会をいかに守るかという大きな問題でもあります。こういう問題につきまして、理事長としまして、特にどういう点に深い配慮をして今後の改正に当たってもらいたいかという要望とかあるいは意見がございましたら、まず聞かせていただきたい。これが一つ。
 それからもう一つは、いつも問題になります強い制度改善の要求、いまもいろいろとありましたが、それと財政の悪化という相矛盾する二つの問題がございます。この問題は、農業者年金の現状を打開するためにも当然解決しなければならない、取り組まなければならない問題でございますが、この問題についていかが御意見をお持ちか、この二点お聞きしたい、こう思います。
#115
○内村参考人 最初に、年金制度基本構想懇談会で年金支給年齢を延ばすということが言われているけれども、それについてどう考えるかという御質問かと思います。
 御案内のように、私、実は農業者年金制度の運用を担当している者でございます。ですから、私は、常々正確迅速に農業者に年金を払うということを念頭に置いて仕事をしているわけでございまして、制度そのものについて論じていいかどうか、私はちょっとわかりません。
 そこで申し上げておきたいことは、ただいま先生から御指摘がございましたように、農業者年金の財政状態というものは現在は非常に健全でございます。保険料の方がまだ支払いよりも多いという段階でございますけれども、午前中からいろいろ御論議がありましたようなことで、他の年金に比べまして成熟化が早い。もっと極端なことを言いますと、早く老衰化するおそれがあるような状態になっております。したがいまして、私、運用を担当している者といたしましては、そこには非常に深い関心を持っておりますし、将来において制度改正が行われます場合には、その点についても十分な配慮をしてほしいということと、それから、先ほど農林水産大臣もしばしば申されておりますけれども、年金というものには他の年金とのバランスがある。そのバランスの中においてなるべく農業者に有利になるような改正をしてほしいと思っておりますけれども、具体的な問題について意見を述べると、それは私見になりますので、この際、差し控えさせていただきたいと思います。
#116
○武田委員 ありがとうございます。
 それでは、労働省に来ていただいておりますので、まず労働省にお伺いします。
 最近の新聞で、高齢化問題懇談会の設置を決めて二十五日に初会合を開く、こういうことが言われております。これは間違いございませんか。
#117
○中谷説明員 お答えいたします。
 御指摘のように、今年度予算で高齢化問題の長期展望に関します調査研究というのを行うことになりまして、それに関しまして専門的な立場から指導、助言を得るために、高齢化問題懇談会を今月開催することにいたしております。
#118
○武田委員 その懇談の目的は、新聞に書いてあるのをそのまま読みますと、日本の高齢化現象に対して、労働力需給政策、年金など社会保障、定年制など云々についての基礎的データをまとめる会合にしていきたい、こういうようなことなんですが、私は、いま年金の改正問題が出てきているというときにこれを考えてみると、高齢者の雇用の問題とか定年制の延長の問題とかいう問題は、いわゆる高齢化社会の日本における到来度合いとか、あるいはその進化の度合いというのはわかるわけですから、いろいろな角度から検討はしてきていると思うのですが、この基礎的データをまとめる会合にするという意味はどこにあるのか、特に年金など社会保障についての基礎的データをまとめるということを改めてこういう懇談会を通してやろうとしているその意図はどこにあるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
#119
○中谷説明員 高齢化社会の今後の動向につきましては、従来から労働省でもいろいろ検討されてきておるところでございます。それで、基礎的なデータの収集につきましても、従来からいろいろ調査研究をしているところでございますが、今回の高齢化社会の長期展望に関します調査研究といいますのは、やや長期的な観点から、たとえば十年後、二十年後といった長期的な視点に立ちまして、データについては従来からいろいろ言われておりますけれども、それをさらに、定量的に一体どうなるのか。たとえば、二十年後につきまして労働力人口がどうなるのか、あるいはそれに伴いまして賃金とか雇用慣行がどうなるのか、そういったようなことを総合的にモデルをつくりまして、定量的に一種の予測作業をしたいというのが趣旨でございまして、決して従来のデータが不十分だからということではないわけでございます。
    〔委員長退席、羽田委員長代理着席〕
#120
○武田委員 それでは、今回の年金の改正に当たりましても、定年の延長の問題とか雇用の促進の問題についての話し合いというのは、厚生省との連携の中で、深い密度の中で行われてきているわけですか。その点どうでしょうか。
#121
○田淵説明員 お答え申し上げます。
 高齢者の雇用の問題につきましては、昭和五十一年に中高年齢者の雇用促進に関する特別措置法を改正いたしまして、高齢者、五十五歳以上の労働者の雇用率の義務化を図ったところでございまして、これにのっとりまして、労働省としては高齢者の雇用促進に努めてまいっているところでございます。
 今後の高齢化社会の到来を控えまして、労働省としても、さらに高年齢者に安定した雇用の場を確保するために、高齢者雇用率の達成指導とともに、六十歳定年を昭和六十年までに一般化するように具体的な指導をいろいろ進めているところでございまして、定年年齢と年金の支給開始年齢との関係につきましては、老後の生活の保障という観点からできる限り関連していることが望ましいというふうには考えているわけでございますが、何分にも定年の延長ということは賃金、雇用慣行の改善というむずかしい問題と関係しておりまして、一挙にはなかなかむずかしいということで、今後も年金の支給開始年齢の引き上げに際しては定年延長を含む高年齢者の雇用の状況等についても十分配慮がなされ、長期的、段階的な対応が必要である、こういうふうに認識しておりまして、先般来の労働省と厚生省との懇談会においても、この問題については今後とも密接に連絡をとって検討を進めてまいりたい、こういう申し合わせになっております。
#122
○武田委員 私は、どうも年金の改正ということで財政的な問題だけが先走って、老後の生活の安定とか保障というものが後に来るというような感じがしてしようがないので、この問題を確認しておく意味で質問したわけです。やはり年金という一つの性格から言うと、あくまでも老後の生活の安定、保障というのが一番われわれにしては、あるいは農家の方々にとっても重要な課題でありますので、その点ひとつ十分の配慮をした上での話し合いを進めていただきたい。
 そこで、厚生省にお尋ねしますが、財政再計算時が五年が四年に早まったわけですね。これは財政上の破綻が心配だというようでありますけれども、こうした早まった理由が財政上の破綻が心配であるということで五年が一年繰り上がって行われるというものか、あるいはまたそのほかに何か別な要素があるものかどうか、この点まず簡単にひとつ説明していただきたいと思います。
#123
○吉原説明員 私どもが五十六年に予定されております財政再計算を一年繰り上げまして五十五年にしたいと考えておりますのは、いまおっしゃいましたような財政上の破綻という理由ではございませんで、午前中も申し上げたわけでございますけれども、先ほど、年金制度基本構想懇談会から今後のわが国の年金制度のあり方について改革の方向をお示しをいただいたわけでございます。その御意見の中に、当面、支給開始年齢の段階的な引き上げでありますとか遺族年金の改善でありますとか、あるいは福祉年金なり五年年金といったいわゆる経過的年金の改善についてはできるだけ早く実施を実現に移すようにという御意見をいただいたわけでございます。その御趣旨を踏まえまして、財政再計算というものをできれば一年繰り上げて来年にもしたいということでございます。
#124
○武田委員 とすれば、それによっていわゆる老後の安心した生活ができるような、そういう年金の体制というものは可能である、また、そういうふうに進めるために一生懸命努力するための改正であるというふうに伺ってよろしいわけですか。
#125
○吉原説明員 年金制度というものが国民の老後の有力なよりどころといいますか、老後の生活の確たる支えになっていかなければならないわけでございます。しかしながら、一方、人口の高齢化がだんだん進んでまいりますと、それからまた同時に年金の成熟化が進んでまいりますと、現在の年金の給付水準を維持していくためになかなか容易でない問題があるわけでございます。
 そういったことを踏まえまして、年金制度を国民の老後の生活の確たる支えとなり得るように、今後とも十年、二十年あるいは三十年先も考えながら、そういった年金制度たり得るようにということで、あるいは国民の将来の負担というものを考えながら、今後年金制度の改革に取り組んでいきたいという趣旨でございます。
#126
○武田委員 どうもありがとうございます。
 それじゃ、農林水産省に伺いますが、附帯決議、また今回もこれは出ているわけですが、委員会におきまして昨年も一昨年も附帯決議を出されまして、これは大体満場一致で採択されます。そのときに、その後大臣から決意の表明があるわけですが、その内容をちょっと大臣から最初に――いつも最後にやりますね。発言がありますと言って、大臣がやる。それをちょっとここでおっしゃっていただきたいと思います。
#127
○渡辺国務大臣 これは今度のやつじゃないでしょう、きょうのやつは別ですから。
 去年のやつは、「ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。」
#128
○武田委員 そういう発言がございまして、その趣旨を十分尊重して検討するということであります。昨年、一昨年も大体似たような附帯決議がございまして、そういう大臣の決意の表明のように、各機関では一生懸命努力なさっていると私は思うわけでありますが、その中で二つばかり、婦人の農業者年金加入とか遺族年金制度の創設の問題は、これは私が昨年質問したときにも、次期財政再計算期までには一応の結論を出すという答弁もいただいておるわけでありますが、これはそろそろ、まあ夏あたりまでに何か結論めいたものが出ないと、財政的な裏づけもあるわけでございますから、大体こうした一つの姿が出ているのじゃないかと思うのですが、その経過の中で一生懸命努力して、こうしたものに対する結論を一生懸命煮詰めてきている過程の、ちょっとでもいいですから、話せる部分があったら聞かしてもらいたい。確かに一生懸命、附帯決議によって努力しているんだというのをやはり農家の方々に少しは知ってもらいたい、こういう思いで、できるならその内容、こういう状況であるということをちょっと説明してもらえないでしょうか。
#129
○大場政府委員 いろいろな御決議をいただいておるわけでありますが、その中で私ども改善できるものはもちろん逐次解決を図っているつもりであります。たとえば、加入の促進という御決議の中で、いろいろ業務委託費の増額の問題だとか、いま御審議願っている給付水準のスライドアップの改善措置の問題だとか、あるいは任意加入者である後継者の救済措置の問題であるとか、こういったものはやはり決議の御趣旨に沿って私どもは措置しているつもりであります。その後、そのほかにまだいろいろ根本的な問題があるわけであります。遺族年金の問題だとかあるいは婦人の加入の問題だとか、老齢年金の引き上げの問題だとかあるいは離農給付金の問題だとか、そういった問題があるわけでありますが、これは大臣が随時お答え申し上げておりますように、急速に結論を出すことは非常にむずかしい問題だということで、去年の三月以来農業年金制度の研究会というものに研究してもらって、都合五回ぐらい専門会議を開いております。ことしの三月に本委員会に報告をしていただいて、それで、これから後さらに残っております問題は、そういった根本制度の問題と、それから、いま御指摘のありましたように財政再計算の問題をどうするかということとは、実は切り離すことがなかなかむずかしい問題でありますので、財政再計算の問題も含めて研究してもらうということで、本委員会自身の活動を六月ごろから始めて、できるだけ早く結論を出したい、こういうような状況であります。
 いままでの検討経過につきましては、確かに婦人の問題も重要な問題でありますし、遺族年金の問題も同様でありますが、それぞれやはり政策年金としての農業者年金の基本との関係をどう調整するか、他の国民年金あるいは厚生年金との関係をどう調整するか、それから大きな問題は、保険料をかなり上げなければならない、そういった問題、財政問題、そういったものをどうするかということで非常にむずかしい問題を抱えているということは事実でありまして、従来の議論の経過も、そういった問題の指摘というところに従来の議論の焦点が主に割かれております。
#130
○武田委員 そういう研究会の研究の成果を聞かれまして、感触としてはどうですか。農家の皆さん方が希望する方向に行っているというふうに思いますか、それとも、これはかなり厳しいな、期待に沿えないなというふうに局長はそれを聞いて感触として伺っているかどうか。その点どうですか。
#131
○大場政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、農家の御期待なさっている中で行政的に直ちにこなし得るものはそれなりにこなしてきているつもりでありますし、今後もそういうつもりであります。しかし、いま私が申し上げました幾つかの問題はかなり制度の根幹に触れる問題でありますので、そう早急に結論をなかなか出しにくい問題だ、やはり財政再計算と並んで議論しなければならない基本問題だというふうに思っておりますので、率直に申し上げますれば、かなり議論をしていかなければならない問題だというふうに理解をしております。
#132
○武田委員 そこで、婦人の加入の問題、これは毎回、今回もいろいろと論じられておりますけれども、やはりこれは相当深刻に考えなければならない。というのは、やはり若い嫁さんというのがいま深刻に考えています、行ってみますと。ですから、婦人の労働力というのは農村においては相当高い評価をしなければならないし、現実問題としては、そうした若い世代がこの問題について、いわゆる年金というものについて目を向けてきた。要するに、いろいろ努力があったかいがありまして、いろいろと年金というのはどうあるべきか、目を向けてきている。そういうときに、やはりそういう若い人たちに希望を与えるような年金の問題というのは、これはぜひ考えなくてはいけない。これは後継者の問題でも後で触れますけれども、若年の加入が非常に少ないということで、これはほかの年金と比べますと極端に少ないわけですから、大体二十から二十四歳ぐらいで、三十歳ぐらいまでですか、それで全体の二%ぐらいしかない、こういう問題と考えまして、この婦人のやはり存在を高からしめ、そうして大事にしていかなければならない、私はこう思うわけですけれども、いろいろ話を聞いてみますとむずかしいと言うけれども、何かこの救済措置をやはり今回その研究会の中においてもっと一つの大きな問題として取り上げながらひとつ手を打っていくべきじゃなかろうか、こういうふうに思うわけでありますが、その点はいかがでございますか。これは大臣に答えてもらった方がいいですな。
#133
○渡辺国務大臣 農家の後継者の問題とか婦人の問題、特に後継者も妻があるわけですから、いつかは財産の相続人になる。したがって、いま農家に嫁が来ない原因というのは、非常に労働が多いとかあるいは所得が低いとかいう問題もありますが、そのほかに私が聞いてみると、二十年も三十年も一緒になって働いても、財産が大体後継者に来るか来ないかわからないということですよ、憲法上平等な配分ということになっておりますから。そのことの方がむしろ大きな心理的な不安感をつのらしていることも間違いない。したがって、年金の問題以前にもっと大きな問題があるので、こういうことについて、何か二十年も三十年も働いておるのならばその人たちが優先的に跡を継げるようなことを考えてやる、もともと年金がなくたってずっとやってきたわけですから。そのことの方が実はもっともっと大きな問題なんです。その次は、年金の問題もございますけれども、これも専業農家と兼業農家とで違いまして、兼業農家の場合だったら、御主人がほかへ勤めておれば、農地の使用収益は妻の名義にすれば妻は経営移譲年金をもらえるわけです。ですから、そういうようなこともあるし、あるいは妻がほかの厚生年金に入るということもできるわけです。ですから、ただ年金だけでと言われましてもなかなかむずかしいし、先ほど芳賀さんの言ったような問題は、ともかく国民年金の付加年金としてできた現在の仕組みの中では、いずれもこれはむずかしいのです。全然独立した、農林年金みたく独立したものを国民年金から抜けちゃって別のものをつくればそれはまた別な方法もあるかもしらぬが、それはここ半年や一年で、これだけ定着したものをまるっきり変えるというようなことは、少なくとも私の農林大臣在任中にはできるような可能性は全然ないというように私思っているのです。したがって、できる範囲の中で、よくできるようなものがあれば、それは拾っていきたいと思っております。
#134
○武田委員 白書によりますと、専業農家が生活的に非常に大変だ、二種兼業などは大体六〇%から六五%は生活安定だ、収入も上がっているという答えも出ていますけれども、専業の方は都会の生活水準を保つというのはかなりむずかしいという段階を考えると、まず第一段階として、そういうクラスだけでも救済するための手だてをしていくことがなければ、どうしてもやはり二種兼業の方に移っていくような風潮というものを阻止することも、不可能とは言わないけれども困難ではないかという心配があるわけです。そういう風潮が日本の中にびまんしますと、これはえらいことだと私は思うわけです。それは二種兼業農家の存在理由というものは非常に高いと私は思いますけれども、しかしながら、それによって専業農家がみじめな思いをするようでは気の毒でありますし、日本の農業のこれからの発展というものには不安があるというような観点から、この問題についてはやはり相当深刻に、大臣が在任中にできないなんて言わないで、在任中にこのくらいはやるというような決意を持ってほしいと私は思うのですが、どうでしょう。
#135
○渡辺国務大臣 それは決意は持っているのです。持っておりますが、できないことを言っても仕方がない。したがって、兼業農家と専業農家と混在しておるわけですが、専業農家の所得を増大するための一つの手段は、やはり規模拡大なんですよ。しかし、土地を買ったり新しく開墾したりということは言うべくしてできない。できないから、二種兼業農家などで自分が土地を持っているけれども、維持管理にもう大変だ、一人前に機械も入れなければならない、肥料も買わなければならない、所得率はうんと低い、それならむしろ専業農家にお任せをして、そこから一反歩二俵ぐらいの米に相当する地代をもらった方が、実際労働から解放されて所得がよけい入って、しかも所有権は自分が持っておって取り上げられないで済むというようなことを安心感を持たせるように農地法等も改正をして、兼業農家もよくなる、専業農家もよくなるという道はないか。これは私はできない相談ではあるまいということで、それについては真剣に研究会をスタートさせて、ことしの秋までには結論を出そう、それで専業農家対策というものをもっとひとつ思い切ってドラスチックにやろうじゃないかということで、いま勉強させている最中なんです。ですから、決して情熱がないわけではありません。
#136
○武田委員 次に、財政再計算期における農家の負担能力というものを考慮した上での適正な保険料の料率の問題というものはやはり考えていかなければならないと思うのですが、夫婦二人の場合、大体いま月一万七百円ですかね、これに今度子供が一人入っているとなると、一万七千円くらいになるのですか、一万六千四百円か一万六千七百円かその辺になると思うのですが、この保険料率というものがどの程度まで農家の収入の中で負担が可能なものか、これくらいならまあ大丈夫だというような目安というものをやはり真剣に考えなければいけないのじゃないか。私は農家に行っていろいろ聞くのですが、農家自体もはっきりした答えが出てこないということは、私は正直に言って残念なところもあるのですが、しかしながら、これはやはり本格的に国としても、農業生産と農業外の所得とありますけれども、兼業農家と専業農家、いま兼業でも一種と二種とありますけれども、このくらいまでは負担が可能であろうという予測ですね、これは物価がこのくらいいけばこうなるのじゃなかろうか、ここまではやれるのじゃないか、賃金の動向によってこのくらいまでいくのじゃないかというような一つの見通し――見通しというものはときどき狂ってはいろいろと政府もえらい目に遭っているわけですけれども、しかしながら、この時期にそういう一つのものを与えておく方が、かえって農家の方々にとってもいいのじゃないかな、こういうふうに思うのですが、そういう点についてはどうでしょうか。
#137
○渡辺国務大臣 これも実は重大な内容を含んだ問題なんです。私は厚生大臣の当時からも疑問を持っておるのですけれども、要するに、国民年金をうんと充実させなさい。現在は二十八年で、モデルで大体十万円ぐらいのものを支給できることになっておる。しかし、年々保険料も上げていかなければならぬ。五年もたてば幾らですか、一人八千円以上のものも納める仕組みになっておるわけですよ。ところが、五年間で農家の人が倍になるかといったら、とてもじゃないが、米なんかなるはずがないですわな。恐らく横ばいよりもどれくらい上がるかどうかがむしろ問題ですから。そこへもってきて、医療費の問題は一軒の農家で、これも重大な問題であって、普通のうちなら十二万とか十七万とか納めているわけですから、これも五年たてば倍になるわけですね、いまの趨勢でいきますと。したがって、この医療費の中のむだ遣いを切ったり、保険の問題でも、保険は掛けたら政府から補助がついて返ってくるんだからいいと思う人ばかりいないわけですよ。ましてサラリーマンの場合無財産ですから、あるのは家屋敷ぐらいがせいぜいという人にとっては、かなり無理しても保険を掛けて老後の保障は保険でという気持ちがまず優先します。したがって、サラリーマンの奥さんだって国民年金に入ります、黙っていたって。ところが、専業農家の場合は財産を持っていますからね。財産を持っているけれども所得が少ないということで、結局財産はあるけれども現金がない。そういう中で老後の保障のためといいながら、サラリーマンと同じようにどんどん給付の水準も高く、したがって保険料も高くということが実際農村になじむかどうかということは、これまた問題だと私は思っているのです。したがって、あなたの言うようなことは統計上きちっと表に発表できないかもしれないけれども、実際の意識調査というものをやりながら、実態に合うようなことを考えなければならぬ。
 それから、保険の給付水準でも、すでに日本はヨーロッパの水準に行っているわけです。しかも、保険料率はヨーロッパよりもうんと安い。支給年限は、厚生年金はヨーロッパ六十五歳だ。どこだってそうですよ。イギリスなんて夫婦で五万円ですからね。そういうようなことを考える。ただ、給付水準だけを上げるんだ、上げるんだといっても、財政で負担するか保険料で負担するか、二つに一つしかないわけですから、したがって、こういうような低成長時代になっておる場合においては、いままでの高度経済成長の惰性のような考え方だけが必ずしも農家になじむというようにも私は考えません。したがって、そこらのところはもう一遍反省をする必要があると考えております。
#138
○武田委員 農村の場合は、高度経済成長の時点に合わせまして、若者が都会にどんどん出ていったという一つの現象があるわけですね。そういう方々は厚生年金等に入って働いている。言うなれば、都会のお年寄りを農村の青年がめんどう見ているということになって、肝心の自分のおやじやおふくろはそっちのけだ。これはだれがそうしたのかわからないけれども、そういうふうになっちゃった。これは日本の農業政策の過ちではないかと言うような人もいるし、あるいはまた、そういう時代的な背景があるんだ、労働力の需給関係によって。ですから、こう考えますと、農業者年金を支える若年層というのは非常に少ないことも事実だ。Uターン現象があったとしたって、そんなもの微々たるものだ。というと、肝心の自分たちの親を支えるだけの余力がないのがいまの農村の実態だ。こう考えると、その分のマイナスというのはやはり国家の責任においてやるのも、これも一つの道理ではないか。こういう意味において、こうした農業の支え手、担い手となる方々がどんどん年金に加入して、そして財政のある程度の安定というものを長く続けると同時に、そうしたことが非常に危機に陥らない前に財政的な援助を惜しみなくしていくというところに、農業の一つの大きな基盤の充実というものを考えることも必要でないかと私は思うのですが、どうでしょうか、そういう点については。
#139
○渡辺国務大臣 そういう考え方もありましょう。しかし、これは負担の問題と保険の給付の問題というのは裏表なんですよ、だれが負担するかだけの問題ですから。そこで要するに合意ができればいいのです。スウェーデンのように、たしかあそこの年金は十二万五千円ぐらいもらっているでしょう。しかしながら、そのかわり莫大に税金が重いよ。三百万の月給取りの人が、日本なら県民税と所得税で十二万円しか納めませんが、スウェーデンだったらば三百万で約百万円納めます、五百万だったら二百五十万円納めます、一千万円だったら六百五十万円税金を払います、そういうふうに国民が変わってくるのならまたやり方は別ですよ。しかし、税金は納めたくない、保険料は納めたくない、給付はうんと上げろといったって、なかなかそれはできない。現実の問題として、厚生省から聞いてもらえばわかりますが、ヨーロッパのどの国を見たって、日本のように保険と医療に財政負担をしている国はありません。もしあるとすればスウェーデン。スウェーデンはそのかわり莫大な税金を取っています。そこのところ、日本と同じ税金でそれだけの財政負担をしている国はほとんどない。日本だけじゃないか、サウジアラビアとかなんか知りませんけれども。ここらのところもよく知っていただけば納得がいくと思うのです。
#140
○武田委員 そうした納得を得させるような何らかのアクションというのを、やはり国民全体の中で、世論の形成というのは必要なわけですし、それをしながら、どちらを選択するかという最終的な判断というのはこちらでやる。そのための努力をまだまだしなくちゃいけないし、すべきであろうと私は思うので、今後のそうした作業の中でそういう点は考えながら、いずれにしても、農業という一つの大きな産業の中のこれは大事な大事な部門としてとらえているだけに、こうした農業者の生活の安定と、心配なく農業に従事できるためのそういう一つ一つの条件づくりをぜひ一生懸命やっていただきたいというふうに私は願って、次の問題に移ります。
 若年層の加入が非常に低いということですが、毎年何人くらい若者が農業についているか、ここ一、二年の数字をちょっと教えてもらいたいのです。
#141
○大場政府委員 全部のやつはちょっといま手元に数字がありませんが、新規学卒者等の加入ということで見ますと、毎年大体一万人強というのが最近の状況であります。これはもちろん新規学卒者だけであります。
#142
○武田委員 まあ一万人。ところで、五十三年度の数字でいいですが、二十歳から二十四歳の青年の農業者年金の加入というのは、人数にしてどのくらいになっていますか。――そういうのは頭に入っていないとちょっとまずいのじゃないですかな、これは常識ですから。やはり勉強してもらわないと困りますね。
#143
○大場政府委員 五十二年度の数字で申し上げますと、二十歳から二十四歳、これの加入者が三千人余り、それから二十五歳から二十九歳が一万九千人、こういうようなのが加入の状況であります。
#144
○武田委員 三千人ちょっと、こうなると、五年間で割ると六百人ですか、そういうことですね。五十三年は恐らく二千九百九十六人。いずれにしても四百人、五百人、六百人、大体こういうような加入だということですね。非常に少ない。これはどういう理由かということなんです。どういうふうな理由でこういうふうになっているか。
#145
○大場政府委員 若い人の新規加入が少ない。逆に言えば未加入者の中で若年者が多いということになるわけですが、これはいろいろの原因があろうかと思います。やはり人間一般の通性として年金にはなかなかなじみがないということがあるだろうと思うのです。そう急ぐことはない、四十歳になったら入ればいいやということがあるだろうと思うのですね。それから、農業者としてまだ将来の設計、経営目標というものがはっきり立っていないということもあるだろうと思うのです。それから、農業者年金にまだそれほど魅力を感じていない。というのは、支給を開始してからせいぜい二、三年ですから、当然支給水準は現実には低いわけですね。そういう意味ではほかの年金と比べて農業者年金に魅力を感じない、こういったこともあろうと思うのです。それから、後継者加入学割制度をとっていただいているわけですが、その実績等から判断しますと、案外わかっていない、知られていないということもあるわけですから、そういったPR不足ということも関係しているのじゃないかなと思っております。
#146
○武田委員 いまその中で魅力がないとありましたね。魅力あるようにするためにはどういうふうにしようということでいま努力、研究をしているか。
#147
○大場政府委員 私が魅力がないと申し上げたのは、支給が始まって間がない、逆に言えば保険を掛けている期間が少ないから現実にはもらう金が少ない、いま特例を開いているわけですから。そういう意味で、長い期間掛ければそれ相応のちゃんとした給付水準があるのだということを徹底させる必要があるのだ、こういう意味で申し上げたわけであります。
    〔羽田委員長代理退席、委員長着席〕
しかし、魅力がないということであるとすれば、それを改善するためには、たとえば経営移譲が要件になっているわけですから経営移譲をやりやすくする、こういう形で従来からも使用収益権の設定でいい、所有権の移転は必要としない、こういうぐあいにやりやすくもしているわけです。それから、ただいま申し上げました特定後継者について学割制度を敷いているということもそうだろうと思うのです。それから、いま御審議願っている加入資格を失った後継者についての救済措置、こういったこともできるだけ入りやすくする一連の措置の一環だというふうに御理解願っていいと思います。
#148
○武田委員 要するに、入りやすい、また入るに魅力あるような年金の充実にこれから努めていくということだと思うのです。いまいろいろデータを聞きましたが、私が農家をずっと歩きまして、何十年と農業をなさったある地域の指導者の方にお会いしたときにこういうことを言われました。昔は農林省には、農業のことだったらおれに任しておけという人がいたというのですね。この人の情熱というのがいまの農林省にはないのじゃないか。ただ、年金ならおれは何でも知っている、おれに任しておけば大丈夫だという人がいないのだ、こういうような情熱あふれ、一生懸命やるような人を農林省に期待してほしい、このことは言ってもらわなければ、いかにこういう話をしても、本当に一生懸命われわれのためにがんばったというその結果が出てくるはずはないのだ、こう私は強くその農業者に、かなりのお年を召した方でございましたが、話をされまして、そんなものかなと、私もまだ新米でございますので、そういうことであるならば、私も一言この機会に、おれに任せておけば日本の農業は大丈夫なんだ、この部分は大丈夫なんだ、そういう気概のあるものにしていただきたいということをお願いして、五分前ですが、質問を終わらせていただきます。
#149
○佐藤委員長 神田厚君。
#150
○神田委員 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、御質問を申し上げます。
 この改正案の内容は、すでに指摘されておりますように、いわゆる年金給付の額の自動的改定措置の改定、それから後継者の加入の救済措置の二点であります。私は、この改定の問題と農業者年金全体の問題につきまして、若干の御質問をさせていただきたいと思うのであります。
 まず最初に、いまもお話がありましたが、加入の問題が非常に大事でありまして、この加入促進の問題を抜きにして農業者年金の問題を語ることはできない、こういうように言われておりますが、制度発足以来すでに非常に長い期間、八年間にわたる年月を経過したわけでありますけれども、この制度そのものにつきまして関係者にその趣旨が十分に徹底しているというふうに私どもは考えているわけであります、すでに八年間経過しておりますから。しかしながら、加入が依然として進まない理由を、具体的にどういうところに問題があるのか、お聞かせいただきたいと思うのであります。
#151
○大場政府委員 加入者の数はここ数年横ばいということになっております。しかし、その内訳を見ますと、結局、加入する一方脱退というものがありまして、その差し引き計算でトータルとして加入者数は停滞しておるということでございます。現実のこの二、三年の推移を見ますと、加入者の数は、十分であるか不十分であるかは別として、増加してきているということは言えると思います。しかし、一方において六十歳に到達したために脱退せざるを得ないとか、あるいは死亡したとか、安定兼業に移行するために被用者年金に移行したために脱退せざるを得ない、そういったことで差し引き結果としては加入者のトータルは残念ながら横ばいになっておる、こういった状況であります。しかし、加入が思ったとおり進まないということは事実でありまして、それにつきましては、先ほどもお答えいたしましたが、どうも若年層がなかなか入ってこない。若年層が入ってこない理由の中には、やはり若者ですからいますぐ入らなくても四十歳になって入ればいいやという形で待っている、こういった傾向もあるわけです。それから、農業者年金は始まったばかりでありますから、そういう意味でなじみが薄いということもあるだろうと思うのです。自分自身の将来の農業経営設計というものがかっちり固まっていないということもあるでしょう。それから、案外PR不足ということもあって知られていない。こういったことが総合されて若い層を引っ張る力をやや弱くしている、こういったことじゃないかと思っております。
#152
○神田委員 一つの理由にPR不足だという先ほどからの答弁がありますけれども、この年金で一番大事なのは若年層をいかにして加入させるか、こういうことはすでにもう数年前から、この制度ができたときから問題になってきている。それにもかかわらずPR不足が理由で若年層の加入がうまくいっていないということは行政当局の怠慢だと私は思うのですが、その点はどういうようなPRをしておるのですか。
#153
○大場政府委員 特別に即効的な予想外のような対策というものはない。結局じみちな活動を続けていくことだろうと思うのです。加入の実態を見ますと、地区によって、それから団体によって非常にばらつきがある。そういった問題のある地区、問題のある団体を拾い上げて個別につぶしていく、こういったことだと思います。それから、団体に対する新任者の研修の問題、それによってさらに活動を強化させるとかその他もろもろのPR活動ということもあわせてやっていく必要があるだろう。それから、PR活動と同時に、いろいろ先ほど申し上げましたが、制度の改善措置もあわせてやっていって、それとPRというものとあわせながら若い者をこちらのサイドへ持ってくる、こういったことじゃないかと思っております。
#154
○神田委員 資格者総数が約百七十万、そのうち現在、加入が百十一万七千何ぼですね。そうしますと、約六十万人近い人間が未加入の状態で置かれている。それでは、この六十万人近い人間のうち、若年層といわれているいわゆる四十歳未満の人たちはどういう分布で未加入の状況にあるのか。たとえば、二十歳から二十四歳までの人間はそこにどのぐらいいるのか、あるいは二十五歳から二十九歳までの人間はどのぐらいいるのか、ひとつ四十歳までのパーセンテージを示してもらいたい。それから、四十歳以降の年齢の方はそこに未加入者としてどのぐらいいるのか。約六十万人のうちの細かい内訳をひとつ知らせてもらいたいと思います。
#155
○大場政府委員 未加入者の年齢別割合ですが、その中でいまお話ありました二十歳代は約四〇%、それから三十歳代が五二%強、それから四十歳以降が八%弱、こういった分布になっております。
#156
○神田委員 そうしますと、二十歳代で四〇%、三十歳代で五二%。九二%が四十歳以下のいわゆる若年層という中で加入が促進されてない状況でありますね。これは一つは、ただ単にPR不足や何かというような問題ではなくて、これだけ多くの人間を把握をしておきながら加入をさせられないでいるという責任はやはりあるのではないかと私は思うのですね。これをこのままの状況にしておかないで、もう少しきちんとしたこれらに対する具体的な加入促進の手を打つべきだと思うのですが、その辺はどんなふうになっておりますか。
#157
○大場政府委員 いろいろ制度の改善はやっているつもりであります。現在お願いしておる改善措置もその一環だというふうに御理解願っていいと思いますし、過去においてやりました学割制度というものもそういうことでやっておるつもりであります。
 さらに、単なるPRというような従来の延長上の路線だけではなくて、五十四年度におきましては具体的にいま申し上げました数字をもう少ししさいに、丹念に調べまして、未加入者の本当の入っていない理由はどういうところにあるのかということを、地区別のリストあるいは個人別のリスト等を参考にいたしまして調べ上げて、そして、そういうものをつぶして加入の方へ持っていくというような強力な運動は展開いたしたいと思っております。これは基金等を通じ、あるいは系統を通じてやってもらいたいと思っております。
#158
○神田委員 この農業者年金の一番のウイークポイントは若年加入者が少ないということ、そして、その少ない分布がこういうふうな形で明らかになってきている状況ですから、四十歳以降の人は八%しかいないわけですから、ほとんど大部分の人間に対する加入促進をもっと全力を挙げてやらなければこの問題の解決にはならないと思っております。
 どうかひとつ大臣も大号令をかけまして、若年者の加入促進について力いっぱいやっていただきたいと思うのでありますが、御決意はいかがでございますか。
#159
○渡辺国務大臣 極力、若い人にも趣旨を知っていただいて、加入してもらうように努力してまいりたいと存じます。
#160
○神田委員 続いて、これらの問題でいわゆる農業団体等が制度改善の要望を非常に積極的にやっております。たとえば東北、北海道ブロック等では毎年、農業者年金対策協議会、こういうものをつくりまして、そして加入促進などに絡めて各種の制度改善の要望を出している。こういうものについてはすでにお手元の方に達しているとは思っておりますけれども、こうした具体的な要望を政府としてはどういうふうに受けとめて、それにどんな対応をしているのか。さらに、今年度出ている問題につきましてどのように対処しようとしているのか。これから後の質問にそれらの内容の重複するところがありますから具体的な問題については言いませんけれども、こういう団体の要望についての政府としての対応の仕方、その辺をちょとお聞かせいただきたいのであります。
#161
○大場政府委員 国会等でいろいろ御指摘になっているような問題と、それから系統団体、農協とか農業委員会の活動の強化のための予算の充実強化、そういったところが大体中身になっているというふうに私は記憶しております。それはできるものはもちろんすぐやっていくし、そうは言ってもなかなかむずかしいものがありますから、これは慎重に検討の対象にさせてもらうという形で対処しております。
#162
○神田委員 できるものとできないものというふうな形で明確に分けていきますと、これは私はそういう分け方だけでは正解じゃないと思うのです。農業者年金の基金の問題をどういうふうにしてうまく運用ができるようにしていけばいいのかという、そういう農業者年金の基本を守っていこうという姿勢に立ってそれを受けとめるならば、あるいはそのできるとかできないとかということもありますけれども、やれることは積極的にやりまして、さらにその問題として検討しなければならない問題はそういう運動の中からもやはりくみ上げてもらわなければならない。要するに、実態は非常に加入が少ないというような実態、これは制度に問題があるんだろうということも含めまして、地域の実情をやはり相当くみ上げる努力を積極的にやらなければならないんだろう、こんなふうに考えるわけであります。その点ひとつよろしくお願いをします。
 続いて、この問題で非常に重要な問題になっておりますのは、若年農業者の加入については保険料の軽減の対象となる特定後継者、この特定後継者の要件を緩和してほしいという要望があるわけであります。この問題につきましても、特に問題となっておりますのは、現在、都道府県の平均規模以上と言われている面積要件、この面積要件の緩和をしていただきたい。後継者の確保を図るという意味からこれを全部取り外したらどうかというような意見もあるわけでありまして、この特定後継者の要件の緩和の問題についてはどのようにお考えでありますか。
#163
○大場政府委員 特定後継者につきましては要件を四つばかりつけておるわけでありますが、特定後継者というのは将来日本農業を担ってもらう中核的な農家である、そういう意味で、その資格にふさわしいという意味での要件をつけているということでございます。しかし、たとえば、いま御指摘になりました面積要件にいたしましても、親の経営規模がその県の平均以上である、こういったことでありまして、特に厳しいというぐあいには私ども必ずしも考えておりません。ただ、もちろん例外というものをつくる必要がありますから、蔬菜だとかあるいはその他集約的な経営をやる場合には、それは例外措置をとるというようなこととか、あるいは親と子がペアで加入していなければいけない、こういった要件もありますが、これは親が高齢者で入れない場合には必ずしもそういう要件は課さない、こういった形で緩和措置は講じているつもりであります。
 私ども、もちろんそれが非常に邪魔になっているということでありますれば、これは真剣にいろいろ検討していかなければならない事柄だと思っておりますが、特定後継者のいまの入り方を見ると地域によって非常にばらつきがあるわけですから、地域によってはこの学割制度が案外知られていない側面もあるんじゃないか、そういったところもありますので、そういったことの徹底と並んで、いま御指摘のありましたことにつきましても検討させていただきたいと思っております。
#164
○神田委員 何回も言うようですけれども、現在、約九二%というと五十万人くらいの若年の未加入者をいかにして加入させるかということが大事なわけでありますから、そういうことも含めまして、どうして入らないんだろうかという、そのいろんなあらゆる問題を検討し直して、そして、できるだけこの趣旨に沿って、それがうまく運用できるようにひとつよろしくお願いしたいと思っております。
 次に、保険料の問題であります。
 この問題も先ほど来からいろいろ議論をされております。現在の保険料が一月当たり三千二百九十円、これが昭和五十五年一月以降には三千九百七十円に引き上げられるような予定になっております。これを農家単位で国民年金の保険料と合算すると、国民年金の場合は夫婦二人加入と仮定しますと、五十五年一月以降の保険料の負担は約一万一千四百円、こういう高額なものになるわけであります。この保険料の問題で特に憂慮されるのは、次の財政再計算期において完全積立方式、これが踏襲されれば、農業者年金の保険料は現行の倍額程度の引き上げが予想されるわけであります。こういうことになりますと、給付内容の改善に伴う当然の措置といえばそれまでですけれども、農業所得が現在のように低迷をしている中で、果たして農業者がこういうふうな負担増に耐えられるかどうか、これは非常に基本的な問題になってくると思うのであります。
 ですから、このような中で、いわゆる保険料の問題については、政府は国庫負担の引き上げ等も含めまして、この農業者の負担増についてどういうような考え方をお持ちになっているのか、その点をお聞かせいただきたいと思うのであります。
#165
○大場政府委員 五十五年一月以降の保険料の問題につきましては、ことしも含めまして過去三年間スライドアップしておりますから、それは明らかに全部が全部後代負担になってしまうわけですから、これは保険料ということで上げざるを得ないと思っております。その後、いまの予定では五十七年一月一日を基準にいたしまして財政再計算をするということになりますが、その際にはかなりいろいろむずかしい問題が予想されます。いろいろ御指摘になっていらっしゃいます加入が思ったほどはなかなか進んでいない問題とか、それから逆に給付者がふえてきておる、老齢者の割合が多い、こういうこともあって、そのときに給付水準を今後どうするのかということと、それから保険料はどうするのかということ、それから国庫負担を上げろと言っても現在すでにほかの年金に比べてかなり高率の国庫負担をしているわけですから、これ以上上げろと言っても現実問題としてむずかしい。三者、四者というものをどうかみ合わせていくかということが率直に言ってわれわれ非常に頭の痛い問題だろうと思っております。これはいずれまだ間がありますから、保険料水準とその他との関係はよくバランスをとりながら対処していきたいと思っておりますが、かなりむずかしい問題だというふうに考えております。
#166
○神田委員 こういういま指摘したような形でもしも保険料の負担が課せられますと、この農業者年金そのものがますます加入する者が少なくなってきてしまう。あるいは途中で負担にたえられないような状況が方々に出てくると思うのです。ですから、農業収入の問題もありますし、あるいはほかの保険との関係もありますけれども、そういう時点におきまして、農業者年金保険の負担増の問題については、格別な検討機関を置いて十二分に検討を加えていただかなければならないような状況が来るだろうと思うのであります。その点は特に要望として、このような形で保険料が上がってしまったのでは負担増にたえられないだろうということを指摘しておきたい、こういうふうに思っております。
 続いて、これに関係しますが、それでは各国では一体どんなふうな形になっておるのか。たとえば、農業者年金制度の実態として西欧諸国ではどんなふうになっておるのか。特に保険料と国庫負担の実態について、西ドイツ初め日本と関係のある国の資料があったらお聞かせいただきたいと思います。
#167
○大場政府委員 西独の例で申し上げますと、西独の農業者老齢年金の支給総額の中で、保険料と国庫負担ということに分かれるわけでございますが、一九七七年で申し上げますと、保険料が二五%、国庫負担が七五%という比率になっております。これは非常に驚異的な国庫負担の高率ということになっておるわけでありますが、こういうぐあいになっておるゆえんを分析いたしますと、制度創設以来二十年たっておる、そういったこと。また一方、農業就業人口の減少を、日本と同じように西独も反映いたしまして加入者が減少しているということがあります。それから一方、制度がかなり成熟期に達しておって受給者がピークに達しておる、こういう関係で、被保険者と受給者との割合が一九七七年では一対一になっておる、両方とも同じになっておる。こういった関係から、ただいま申し上げましたような比率になってきておる、こういう状況でございます。
 なお、わが国の状況でございますが、いろいろ試算をいたしますと、昭和六十年度で申し上げますと、被保険者と受給者の割合が四対一ぐらいではなかろうか、これは一応の試算であります。それから、さらにもう少し先を見通しまして七十年度を見ますと、大体二対一ぐらいの割合じゃないか。西独みたいに熟して一対一というところにはまだかなり先がある、こういう状況でございます。
#168
○神田委員 被保険者と受給者の割合が一対一という状況やいろいろ違った状況がありますけれども、七五%の国庫負担をしているということは一つの事実であります。このような形で農業者年金制度の中で西欧の一つの明らかな実態もあるわけでありますから、国庫負担がこれ以上出せないというようなかたくなな態度でいる現在の日本の制度、日本の考え方、こういうものをもう少し柔軟にしていかなければならないと思っておりますから、これは一つの参考としてよく検討していただきたい、このように提案しておきます。
 続いて、農業者老齢年金の引き上げ問題であります。この問題は制度発足以来ずっと指摘をされてきまして、国会の決議あるいは年金制度の発足の経緯、こういうものを無視して現在引き上げられておりません。特にこの問題で考えられなければならないのは、何らかの事情によって経営移譲ができないで農業者老齢年金しか受給できない者の立場が現在非常に不利益をこうむっている状況であります。このことは十二分に考えていただきたいのでありますけれども、本年金制度が、一定規模以上の農業経営主は当然加入制度をとっていたにもかかわらず、年金の加入率が低いのは、これらのいわゆる農業者老齢年金しか受給できない人、この人たちが逆選択をしている。つまり、自分たちは余り有利じゃないから入らない。こういう面もあるのではないかというふうにわれわれは考えているわけであります。
 ところで、このことと関連しまして今後問題になると思われるのは、財政再計算期による保険料が大幅に引き上げられた場合、農業者老齢年金しか受給し得ない者が果たして保険料に見合う給付、年金額を受給できるのかどうか、この見通しはきちんとできるのかどうか、この点はいかがでございますか。
#169
○大場政府委員 おっしゃるとおり、農業者年金というものは経営移譲年金を主眼にしているということで、老齢年金はいわば掛け捨て防止的なかっこうでしつらえているといったことでございますから、経営移譲の見込みが本当のところできないという方はなかなか入らない、そういう選択は現実問題としてやはり認めざるを得ないだろうと思います。これはある程度制度の宿命的な要素ではないかと私どもは思っております。
 そこで、老齢年金が今後どういう水準になるかということは、これは今後の財政再計算のときにいろいろ保険料水準の問題と絡んで考えなければならぬ問題ですが、従来みたいな形で保険料、それから年金の給付水準というものを同じような比率でスライドアップしていくという形はなかなかむずかしい。保険料のアップ率が多くなるという場合には、従来みたいな形でのある一定の利回りというものは確保することは、マクロ的な議論からすればむずかしいということもあるかと思います。しかし、これは加入者の加入時期によっていろいろ差があるということでございますから、まだいろいろ不確定要素がありますのでどうということは申し上げられませんが、理論的にはそういった従来みたいな利回りでなかなか回りにくいということはあり得ると思います。
#170
○神田委員 そうだとすると、それではこのいわゆる老齢年金しか受給できない者に対しましては一体どうするのか。そのまま掛け捨てみたいなものだからしようがないという態度をとるのか、それとも何らかもうちょっと違った形の制度を考えていくのか、その辺はどうでございますか。
#171
○渡辺国務大臣 これも重要な問題なんです。あなたのおっしゃるとおり、おやじで農業やめてしまう、市街化区域に入っておるし、ともかく住宅も建ち始まったし、自分の時代になったら農業をやりたくないという人は、幾ら言ったって入りませんよ。いま五十万人のうち何割くらいありますかね、恐らくそれは半分以上あるのじゃないかという気がします。ですから、その人たちに仮にそれでは老齢年金のところに、付加年金であるにかかわらず国庫補助金をつけてでも入れるかということになりますと、企業年金も付加年金ですから、これは一般のサラリーマンの方は補助金はもらってないのですから、そことのバランスが出てくる。農業をやりたくない人に老齢年金で国庫補助を出してその人の老後をよく見るということでは、えらい社会的に矛盾が出てきますね。ですから、農業をやらないという人については無理に入れる必要はないのじゃないか、割り切っていいのじゃないかと私は思います。
#172
○神田委員 非常に大事なことをはっきりおっしゃいましたが、そうしますと、それによってまたいろいろな問題があると思いますが、私の考え方では、農業者老齢年金しかもらえない人がこういう不利な立場に置かれているよりは、大臣の発言もありますけれども、むしろこういう不利な面がないような形で考え方を変えていかなければならないし、そういうことでの指導もあるいはしていかなければならない時期が来ているのかもしれない。その辺は十二分に考えていかなければなりません。しかしながら、そのことは農業者年金全体の政策年金としての根本にかかわる問題でもありますから、それはひとつ慎重に検討していただきたい、このようにきょうは提案しておきます。
 さらに、先ほども問題になりました主婦の加入の問題、これは何といいましてもこれを加入させないという法はないのであります。これは理屈はいろいろあると思いますけれども、現実には農業経営主として主婦が働いている場合も大部分あるわけでありますから、そういう問題についてはもう少し柔軟な態度でこれを認めていかなければならないと思うのでありますが、その点はいかがでございますか。
#173
○大場政府委員 これも、率直に申し上げまして非常にむずかしい話であります。経営移譲を促進するということを目的としております年金でありますから、当然地権者というものを対象とせざるを得ない。その場合に妻との関係をどうするか、地権者でない妻をどう取り扱うかということはなかなか制度の基本と関係する話であります。また同時に、妻を認めれば一般に妻以外の農業従事者をどう取り扱うか、こういった問題とも実は絡んでくる話であって、これは制度論としてなかなか解決困難な話じゃないかと思います。これは農政上の意味からしてどうとらえるかという問題だろうと思うのです。
 それからもう一方、一般的な老後保障という形で考えれば、専業農家の妻は、夫も妻も国民年金加入者でありますから、それは国民年金で解決する、こういうことでありましょうし、安定兼業農家の場合には夫が被用者年金に入っておりますから、それは厚生年金等の被用者年金という形で世帯単位で救済する、こういった形で対応するということじゃないかと思っております。
#174
○神田委員 この問題は農業者年金制度研究会、こういう機関でもかなり真剣に検討されたというふうに聞いておりますから、私はいまの局長の答弁では納得はしませんけれども、当然この主婦の加入についてはもっと前向きに考えていかなければいけない、こういうふうに主張して、時間もありませんので、次に移ります。
 次は、遺族年金の創設の問題であります。これもずっと触れられております。私は、やはりこの農業者年金制度でほかの年金制度と比べて最も欠点とされているのは遺族年金制度がないということだ、このように考えております。この点は本年金制度では死亡一時金制度で対処している。この死亡一時金は支給要件が限定されており、掛け捨て等の事態がしばしば起こっていることは十二分な事実でございます。したがいまして、このような場合で遺族年金をどうして農業者年金の中でつくることができないのか、これをひとつ明確に答えていただきたいと思います。なぜ遺族年金だめなのか。
#175
○大場政府委員 遺族年金がなぜ非常にむずかしいかということは、これはるる申し上げておりますように、一つは農政上どういう意味を遺族年金が持つか、経営移譲促進を目的とする農業者年金の中でどういう位置づけになるかという点が一点であります。
 それからもう一つは、一般的な遺族の老後保障を目的とする制度であれば、それは専業農家の場合で申し上げれば、夫は夫で国民年金、妻は妻で国民年金、それぞれ各個人単位で加入しておりますから、たとえば夫が途中で死んだ、六十歳から六十五歳までの間に死亡したという場合には、それは妻には国民年金制度に基づく寡婦年金あるいは母子年金、そういった救済制度がありますから、そういったことで対応する、こういったたてまえになっているわけでありますから、一般の自営の方々とのバランスもそういったことで考えなければならない。
 そういったことで、農政上の問題をどうとらえるかということと、それから、やはり原則的にはそれぞれ個別に加入している国民年金によって救済すべき事柄であろう、こういうふうに思っております。
#176
○神田委員 農政上の理屈から遺族年金がつくられないというのはちょっと違うと私は思うのです。御案内のように、農業者年金制度は一経営体一人という形でいまやっているわけでありますね。しかしながら、これは特に夫婦なんかは奥さんの方が農業に従事しているような状況でもあるわけでありますから、そういうことから言えば、一経営体一人というような加入のものを是認すること自体やはり問題でありまして、農業の経営委譲が中心だから遺族年金は認められないということは非常に理屈に合わないというように思っているのです。そういうことから言いまして、国民年金との関係がいろいろ言われておりますけれども、国民年金は個人保障を中心にした年金でありますから、これは別だと思うのですよ、農業者年金との対比で考えることは。私は、やはりそういうことからどうしても遺族年金そのものの創設をここで考えていかなければならないのではないか、こういうことを強く要求をしたいのですが、いかがでございますか。
#177
○大場政府委員 厚生年金等との比較がよく問題になるわけでありますが、これは厚生年金と国民年金、それから農業者年金、これは御存じのとおりでありますが、根本的に違うわけで、厚生年金の場合には、世帯単位の年金であります、救済でありますから、それは夫と妻を含めての救済という形で遺族年金というものは創設されている。しかし、国民年金はいま御指摘のとおり、個人それぞれ、夫は夫、妻は妻で個人単位で加入している、そういった年金であります。それから同時にまた、農業者年金も地権者が個人単位で加入している、こういった年金でありますから、まさに個人単位というかっこうで年金が支給される。そういう場合に、その受給権者が死亡したためにあとの遺族に遺族年金を支給するということは、やはりそれは世帯単位で救済するという観念を持ってこないとなかなかむずかしい。しかし、現実には妻は妻、夫は夫という形、それからまた農業者年金は夫が個人で入っている、こういった形になっておりますから、そこはなかなかなじみにくいということを私は申し上げているつもりであります。
#178
○神田委員 農政の性質上、この農業者年金においては遺族年金は認められないということを本気になって農林省が考えているとしたならば、農林省は農業者に対して非常に冷たいと言われても仕方がないと思うのですね。農政のゆえに遺族年金を設けるという態度こそが、やはり農業者を守って、日本の農業を守っていく農林省の態度であってしかるべきだというように私は考えるわけでありますが、その辺はお考えは違いますけれども、私としてはこの問題については強く遺族年金の創設を要求をしておきます。
 次に、離農給付金制度の延長の問題で、先ほど大臣のお話も聞きました。われわれとしてはやはり離農給付金の延長を図るべきだ、こういう態度を持っているわけでありますが、大臣の方から非常にドラスチックに答弁がありましたけれども、現在この離農給付金制度がうまく作用していないというのはどうしてなんでしょうか。
#179
○大場政府委員 離農給付金そのものは、いわば御存じのとおり、高齢のために年金に入りたくても入れない、特例措置を開いて五年掛ければいいという特例を開いているわけですが、五年も掛ける期間がない、こういった高齢者のために、構造政策を推進する意味でいわば年金の補完的な手段としてとっている、それは経過的に五十五年まで、こういったことになっているわけであります。それはそれなりに、数字は申し上げてもよろしゅうございますが、活用はされているというふうに私どもは判断しております。ただ、高齢者を対象としております関係上、人数はおのずから限定されているということだろうと思うのです。
 今後その取り扱いをどうするかという問題につきましては、これは単なる延長という形をとるか、そういうことも含めましてより広範な立場での構造政策の一環としてこの離農給付金制度をどういうぐあいに編成し直していくかということも含めまして検討していきたい。できますれば来年度予算編成期というような一つのタイミングもありますので、そういったことを見計らって結論を出していきたいというふうに考えております。
#180
○神田委員 私は、この離農給付金制度がうまく現在動いていない最大の原因は、支給される金額が少ないからだ、こういうふうに考えているわけです。それで、このような考え方ですね、存続させていくのかあるいはもう少し違う方向をとっていくのか、これはいずれにしろはっきりした形をとらなければならないわけでありますが、その辺はどんなふうな考え方を持っておりますか。
#181
○大場政府委員 単価が低い、こういう御議論でございますが、実は単価の決め方は二通りあるわけです。この離農給付金の交付対象者は、一つはただいま申し上げましたように、高齢のために年金に入りたくても入れない、こういった方々に対して一時金を交付する、こういったことでありますが、これはちょうど五年なら五年入っている、ある程度高齢に達していないために年金に入る資格があって年金にも加入した者、そういった者には国庫負担があるわけですから、ある意味では国庫補助金をその人に交付したと同じような効果があるわけですね。それと同じようなバランスをとった形で国庫補助金を交付する、そういう意味で離農給付金の単価というものをはじいているわけであります。
 それから、厚生年金等の被用者年金に加入しているため農業者年金に入れない、こういった方もいるわけでありますが、そういった場合には、離農する場合に、いろいろ農業の施設があるわけですが、そういったものの減価償却の未済部分、そういったものについてめんどうを見る、こういった考え方で単価をはじいているわけでありますが、先ほど申し上げましたように、この単価を含めて今後離農給付金の取り扱いをどうするかということは、より広い意味での構造政策、農地流動化という視点からいろいろ洗い直して検討していきたいと考えております。
#182
○神田委員 時間が来ました。最後に、大臣にお伺いします。
 農業者年金制度の改正の過程の中で、問題はやはり制度問題にもう少し大きく触れていかなければならない、農業者年金制度を守っていくためにはこの問題を避けては通れないというふうに考えております。私は種々指摘をいたしましたこの制度に対する大胆な問題の触れ方と、さらには財政再計算期に向かってのいろいろな形での問題も含めまして、これからこの農業者年金を守るための大臣の方の、大変危機に瀕しておりますから、この制度に対する取り組み方の総括的な話を最後にお聞かせいただきたい、こんなふうに考えております。
#183
○渡辺国務大臣 いまもお話のあった遺族年金の話とか婦人を加入させる話とか、そういうことは心情的には私はわかるのです。わかるのですが、これはもう根本の仕組みがまるっきり違っているわけですから、農業者年金というものが国民年金から全部抜けちゃって全然別なものをつくるのだというところまでの議論をしないと、この問題は解決つきません。したがって、これは半年、一年で解決のつく問題ではない。私はそれよりもやはり経営移譲というところに一番のポイントがあってできた年金でございますから、そこらのところは、農地の流動化政策と絡めてどういうように改善するか、さらに研究をしてまいりたいと考えております。
#184
○神田委員 終わります。
#185
○佐藤委員長 柴田健治君。
#186
○柴田(健)委員 締めくくりの立場から、農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対して御質問を申し上げたい、こう思います。
 きょう一日、それぞれの議員の皆さんからこの法案のいろいろな問題点を御質問されたわけでありますが、いろいろ角度を変えて御質疑がございました。その中で大体問題点は、われわれの立場から申し上げるとはっきりしておるわけでありまして、まず、この加入促進をどういう方法で今後やっていくのかということ、老齢年金の大幅増額をどういう方法で検討願えるのか、遺族年金の問題はどうするのか、主婦を入れるのにどうするのかという問題もあるし、離農給付金の延長、また経営移譲の問題について、私はいままで問題になって論議された点を集約してお尋ねをしてみたい、こう思うわけです。
 まず私は、この農業者年金のできるときは、われわれ社会党は昭和三十八年の全国大会で農民に恩給をということで大会で提案して大会決議をしておる。そして、それぞれの機関に要請運動を起こしてきた経緯があります。それで中途、昭和四十四年の年末総選挙で佐藤総理が東北で、農民にも恩給をと言うたのが動機になって政府原案として出てきたわけでありますが、われわれ野党の立場から言うと、昭和三十八年から農民に恩給をという立場で、農業従事者に対する老後の社会保障という考え方、あくまでも社会保障という一つの基本方針を持っておる。
 それだから、家族的扶養主義という立場で物を考える場合と、社会的扶養主義という立場で物を考える場合とおのずから考え方が違ってくる。私たちは、子供は国の宝であるから国の責任でめんどうを見るべきだ、お年寄りは国の功労者であるから国において責任を持ってごめんどうを申し上げる、そういう立場で、社会的扶養主義という基調に基づいて社会保障という言葉を使っておるわけです。ところが、いまはそういう考え方よりか、どちらかと言えば従前の家族的扶養主義という立場で、それを路線に置いて、そういうものを基調にして、社会福祉という言葉でどうもややもすれば焦点がぼやかされておる、われわれはこう受けとめておるわけでありまして、われわれのそういう立場から申し上げたら、農民の皆さんも日本の国に対して相当の貢献をしているのだから、年が寄ったら老後の生活の安定というものは国が見るべきだ、産業別にそういう格差をつけるのではなしに人間として取り扱っていくべきだ、そういう立場で、一つの年金制度をつくるにおいてもそういうものを基調にしてわれわれは論陣を張ってきておるところでございます。
 そういう立場から申し上げていくと、先ほどいろいろの御答弁を聞いておると、農林大臣以下農林省の皆さんは、この農業者年金というものは、できた時点からまま子扱いのような、義理でおつき合いで仕方なく、そして不本意ながらこしらえたような、そういうものがどうも発想の原点になっておるのではなかろうか。これをよくするという考え方ではない、仕方がないのだという考え方で答弁をされておるように私は受けとめた。それではわれわれは納得できないわけで、あくまでも社会保障の枠組みの中にどういう形で入れていくか、そういう前向きで答弁を願いたい。そうでないとこの年金制度というものはよくならないと私は思う。
 その点について、基本的に大臣から御答弁を願いたいのです。簡潔にお願いしたい。
#187
○渡辺国務大臣 決してそんなまま子扱いも何もいたしておりません。これは一つの政策目的を持って、離農、経営の移譲、経営の若返りということに最重点を置いてこしらえた政策上の年金制度でございますから、国庫補助もかなり大幅なものをつけておるわけでございます。
#188
○柴田(健)委員 政策的にこしらえたということをあくまでも固守されるのなら、この法律ができた時分から言うたら八年経過しておる。八年間で農林大臣も八人変わっておる。それだから農政も変わってきて、いまや青嵐会農政という天下周知のごとくなってきた。それは渡辺農林大臣、中川前農林大臣がそういう強い印象を国民に与える。それだから、農林大臣が変われば政策もおのずから変わってくるのだから、八年前のそのときの農政のあり方と今日の農政のあり方は大きく変わっておる。だから、それに合わせて政策的問題も変更あってしかるべきだと思うのですが、どうですか。
#189
○渡辺国務大臣 これは時と時代とともに変更あってしかるべきものであります。
#190
○柴田(健)委員 それなら、政策的にやっているこの経営移譲年金の分をもう少し考え方を変える。後継者育成なら後継者育成で、移譲方式でなしに、たとえばカエルの子はカエルという方式で若返り法を考えたらどうか。第一次産業で生まれた人でも第二次産業、第三次産業に飛び込んでいける道があるわけですから、たとえばおやじが第三次産業、サービス業をしておっても農業という産業へ飛び込んでこれる、そういう若返り法も一方では考えたらどうか。農業そのものの若返りなら、ただカエルの子はカエルという方式の若返り法でなしに、もっと多くの若い人が農業へ飛び込んでこれるような後継者育成方式を考えたらどうか、新しい農政の転換の中で考えるべきではなかろうか、こう思うのですが、大臣どうですか。
#191
○渡辺国務大臣 規模拡大を図るということは、面積が一定なのですから、面積を倍にも三倍にもどんどんふやせるというのならば、新しい農業の人を雇うことも受け入れることもできますが、しかし日本の国土は決まっておるわけですから、その中で農家の規模拡大をするためには、逆に農家戸数を減らすということを考えているわけですからね。就労人口を減らして一人当たりの所得を高くするという逆なことを考えているわけですから、ともかく農業にみんながどんどん従事するようになどというわけにはいかないですよ。次男坊、三男坊をみんな分家、分家をやらせるような政策を国に求める人はいないでしょう。第二種兼業等になってしまって、土地は五反歩か七反歩しかないけれども、しかし土地を人に貸せば取られてしまう危険がある。自分はこっちに勤めておるのだけれども、人に取られるのは困るから維持していかなければならぬということで非合理的な土地利用をしている人の土地は、むしろ専業農家がもっと収益の上がるような形で合理的に利用させてもらいたい、そのかわり、兼業農家で土地の利用が上手でない人が自分で利用する以上の報酬を上げましょう、そういうどっちもよくなるような政策をしましょうということをむしろ考えているわけですよ。
 ですから、そういうような意味での土地流動化というものを考えたときに、この経営移譲は息子にだけ移譲するのではなくて、第三者に移譲する場合においても何かそこにうまいことはないかな、そこのところを離農給付金の問題と絡めて検討しましょうということを言っておるわけですよ。これはかなり違ったことを言っているのですよ。よくお考えいただきたい。かなりなものですから、これは。
#192
○柴田(健)委員 まあ聞け、悟れという非常に慎重な答弁で、物の取り方では、おれはここまで考えておるのだけれども、ここから先言うたらまた失言になっては困るということで非常に慎重なところ、腹の中ではこうだという表現の仕方なんですがね。
 農村の悪いしきたりというか習慣というのが、たとえば協同組織をするのでも、おれはあいつとは組まない、こいつとは組んでやってみたい、こういう選別意識がある、より好みがある。ところが、あそこの子供にひとつ譲ってやろうという気はない。おやじとけんかしておるから、おれのところは歴史的にもうだめだというような、農村には口では言えない人間関係のきずなというか、非常に歴史があるわけです。それだから、あそこの若い者はいい人だから譲ってやろうと思っても、いろいろ壁があって譲れないということがあるわけです。
 そういう幅がある後継者育成を考えるなら、たとえば市町村の農業委員会で、都道府県知事の認定を受けて、この人なら大丈夫というような人なら、この後継者育成の枠組みの中で、第三者であっても何でも経営移譲をやれるじゃないか、こういう道を開いていくべきではなかろうかという気がするわけで、われわれはそういう判断に立ってお尋ねを申し上げているのですから、今後離農給付金の問題を含めて、八月十五日までに検討されるということでありますから、ぜひその点を検討の中に入れてもらって、ひとついい案が出ますようにお願いしたい、こう思います。
 それから、いまの政策年金と社会保障という、付加年金、老齢年金、どうしても老齢年金という形で考えると大幅増額しなさいということになる。社会保障という立場からいうと、正直に言っていまの国民年金は低過ぎる。国の政策の中で、農業という産業は第一番に追い詰められてきて、いま農村の高齢化はだれもが認めておる。それだけに、イの一番に社会保障を農村に振り向けるべきだ。農業という産業で苦労してきた老人の皆さんには、思い切って上積みをすべきじゃないか。その上積みは、いまの国民年金という制度ではできないし、農業者年金で思い切って上積みをやるべきだという気がするから、農業者年金の老齢年金をもっと大幅にふやすべきだ。われわれはせめて倍にすべきじゃないかということで、六百五十円を千三百円ということでこの後修正案を出します。農民が悪いんじゃないんだ、国の農政が悪いために農村が高齢化して若年労働力がなくなってしまった、後継者もなくなった、こういうことでいま農業は追い詰められておるわけです。そういう農政を続けてきた国は、思い切ってこの老齢年金の上積みを考えるべきだ。ただ制度的な問題だけを考えるといろいろ意見がありましょう。しかし、われわれは、ひとつ広い意味で国の農政のしわ寄せを老齢年金でカバーしてもらいたい、こういうことで御質問申し上げておるわけですから、同僚議員が申し上げましたが、次の機会には、老齢年金についてはぜひお考えを願いたい、こう思うわけであります。法案の修正を出しますが、恐らく皆さんは否決されるだろうと思います。しかし、われわれは、何年かかっても目的達成に執念を燃やして改善策を要求していきたい、こう思っておるわけです。
 それから、六十歳から六十四歳、この五カ年の経営移譲の受給年限を、六十歳から六十四歳という言葉をなくして、六十歳以上ということにして五カ年という有限年限を設けたらどうか。理由は何かというと、たとえば私が六十歳になった。子供に譲ろうと思ったら、子供は百姓をしないでどこか勤めておる。孫に譲りたい。いま孫は十六歳だ、十七歳だ。農業高校に行かしておる。農業高校に行っておって、ある程度年数があれば経営移譲できる。しかし一、二年足らない。六十二歳になったら完全に経営移譲できる。ところが、六十歳であると、六十二歳で経営移譲すると、六十四歳でくくられておるから、年金が三年しかもらえない。それを弾力運用してもらって、六十一であっても六十二であっても五カ年やる、そのかわり国民年金や付加年金の方は受給年限を延ばしたらいいわけですから、五カ年やるということにしないと不公平が起きやしないかということと同時に、この後継者の若返り法というものの成功が少ないんじゃないか、こういう気がするんです。その点、これは政策的な問題だから、政策年金なら政策年金らしく、ひとつ思い切って農林大臣の権限でやれるじゃないか、こういうことなんですが、大臣どうですか。
#193
○渡辺国務大臣 六十歳というのを決めたのは、その程度が農業から引退をするのにいいだろうということで決めているわけですから、じゃ六十二歳がよければ六十四歳もいいじゃないかという話になってきますね。なかなかむずかしい。ただ、息子は家出して、いない、しかし孫がまだ農学校に行っているという場合に、その間農協に三年なら三年経営移譲をやらしておいて、孫が来たときにはすぐ引き取りますよというようなことは、それは何か考え方があるんじゃないか。そういう問題は、今度の農地の流動化という問題も含めて検討いたします。
#194
○柴田(健)委員 これはぜひ検討して、直せるものなら直してもらいたいと思います。
 内村理事長が見えてますからちょっとお尋ねするんですが、どうもいまの加入状況からすると、移譲年金の方が大幅にふえてきておるわけで、老齢年金の方は明後年から実施されるわけですから、このままいくと加入はふえないわ、移譲年金の方がどんどん出ていくわということになると、この財政の計算という面から見ると、どうしても保険料を早急に上げなければならぬのじゃないかという数字が出てくるんですが、現行の水準の保険料をいつまで維持できるのか、これから大幅に引き上げをするのがいつごろ起きるのか。現状の数字から見て、ひとつ理事長御答弁願いたい。
#195
○内村参考人 五十五年の保険料におきましては、過去においてスライド制で上げた分は上げざるを得ないと思っております。
 それから、本日午前中から申し上げておりますように、農業者年金は非常に若い年金でありながら、かなり成熟度が早いという問題がございまして、年金財政には非常にむずかしい問題が横たわっていることは御指摘のとおりでございます。ただ、これをどういうふうに解決すべきかということは政策事項でございまして、私は運営の最高責任者でございますから、政策事項についてとやかく申し上げるのはちょっと行き過ぎではないかと思いますので、御勘弁願いたいと思います。
#196
○柴田(健)委員 そうなると、加入促進についてはだれの責任なんですか。
#197
○内村参考人 加入促進につきましては私の責任でございます。したがいまして、従来非常に努力しております。本年も、あした担当者を集めて申しますけれども、まず加入の資格のある者をもう一遍洗い直してくれ。それから、関係の農業委員会の職員の方々、農協の職員の方々に、部落にまで行ってよく話をしてほしい。それからさらに、若い方々の加入には、保険料の特例納付のやり方もございますし、そういうようなことについても十分宣伝をして、加入をするようにしてもらいたい。さらに五十三年度に時効保険料の救済がとられましたし、また今般後継者の救済措置がとられますので、そういったものを利用しながら加入を上げていかなければならない。
 いずれにいたしましても、今後の年金財政の健全化の維持のためには加入の促進ということは非常に大事な問題でございますので、私ども一生懸命力を入れてやっているところでございます。
#198
○柴田(健)委員理事長 あなたが加入促進の最高責任者だと、こう言われるのなら、もう八年間で、まあ石の上にも三年といって、三年間だけは大体様子を見なければ何とも言えないという、これは慣例での、昔からの社会通念のとらえ方なんですが、八年もたって伸びないというのは、ただPRというか、努力が足らないのか、この制度にどこか問題があるのか、矛盾があるのか。矛盾も問題も何もありません、ただ加入促進の努力が足らぬのですというだけで終わるのか。その点の考え方はどうですか、理事長。
#199
○内村参考人 実は私も就任いたしましてから、加入促進のために地方を歩いてまいりました。そこで関係者の話をいろいろ聞きました。青年たちとも会って、ひざを交えて話したことがございます。そのとき、異口同音に言うのは、農業の前途がはっきりしない。二十年も三十年も掛金を掛けなければならない。果たして自分の農業がどうなるのかわからない。後継者がいなければむしろ損だ、老齢年金だけもらうのは損だというような、いまの日本農業が直面しておる問題がそこにあるわけでございます。
 したがいまして、そういう問題を持っておりますので、この加入促進というのは非常にむずかしい問題であります。したがって、これは年金の枠以上の大きな日本の農業問題と結びついている問題である。そこについてやはり勇敢にタックルしなければならぬというふうに私は思っております。
#200
○柴田(健)委員 理事長の方が十分適切に現状認識をしておられるのですね。一番の号令をかけるところが認識がはなはだ足らないということが、農林大臣、言えるのじゃないですか。いま内村理事長の発言を聞かれたと思うのですが、加入促進でいろいろの障害になっておる問題は、日本の農業の展望が全然ないということ、そして将来老齢年金をもらうようになっても額が少ないじゃないか、二つの点をはっきり言われたのですよ、理事長は。現場の声を聞いて回ったらそういうことが明らかになった、こう言われた。そういう年金会計運営の責任者が、そういう加入促進をやってみて矛盾はこことここがありますとはっきり言ったのだから、それに対して農林省としてはその矛盾をどう改善するかということが当面の緊急課題ではないか。それを解決してあげなければ、内村理事長に何ぼやれやれ言ったってそれは促進できぬと私は思うのですが、その点については大臣どうですか。
#201
○渡辺国務大臣 それは内村君がそう言ったわけではなくて、そういう声を現場で聞いてきたという話をお伝えしたわけですね。それは私はそう思う人もあると思うのです。
 私の考えといたしましては、日本の農業の前途について明るいか暗いか、これは認識の問題ですから、私は非常に明るいと思っている。それはやり方が問題なんです。早い話が、それはもう長くなるからこれ以上申しませんけれども、ともかくこれだけのたくさんの消費者がおって、高いお金を出して買ってくれる消費者が一番おるところですから、日本は農産物にとっては世界で一番いい市場ですから、一粒百円のイチゴも売れますし、一つ二百円のミカンも売れますし、一つ五百円の何とかリンゴなんというのも売れる国はまず日本ぐらいでしょう。ですから、やはり問題はやり方なんです。そのやり方の仕組みをどう変えていくかということについて、私は先ほど言ったように、一本立ちできる農家をつくるためのいろいろな政策をいま検討しております。その一つの裏打ちとして、この経営移譲年金も、自分の子供にだけというのでなくて第三者に移譲する場合にも何か含めて、角屋さんの質問に関連して私は言ったんですが、別なことも一緒に考えていく必要があるというようなことと、もう一つは、年金に入ったらば普通の貯金や何かよりもはるかに有利であるという認識が足らないのです。よく知らない面もあります。それはサラリーマンの奥さんの方がその点は秀でていますよ。それはやはり財産が自分はありませんから、年金というものはいかなる貯蓄よりも有利であると知っていますよ。それだけの認識の違いはまだ少しあります。そういう点はまだPRが足らないという点も言えると私は思います。
#202
○柴田(健)委員 農林大臣は物をはきはき言う人に似合わぬ。どうでもいいところは大きな声でさっと言うんだけれども、肝心なところになるとぐにゃぐにゃと、こうなっちゃうんだね。なかなか政治家ですわ。
 私は、いままで論議をしてこられた中で、遺族年金の問題、老齢年金の問題、それから経営移譲でも、若い層への若返り法なら、特定後継者育成の枠を広げて――先ほど御答弁があったからいいようなものだけれども、いろいろと問題点が出てきたわけですから、これはきのうきょう起きた問題ではなくて、もうこの制度ができた時分からずっとこの問題として八年間続いてきて、それからこれを早急に改善しないと、この制度はだんだん衰微していくだろう、こういう気がするわけです。だから、一つでも改善を早急にしていく。一遍には改善できなくても一つ一つでも改善をしていくということを農民に示していかないと、これはもう何ぼ内村理事長が声を大にして末端のそれぞれの機関に動員をかけてやってみたところで、加入率はそう伸びないと思う。現在の加入率を見ると、まあ北海道には戸数も多いから多いのですが、正直に言うて、大体もっと入らなければならぬ県が入ってないのですね。なぜこんな数字になっておるのだろうか。結局、ある県においてはこの加入促進で相当の努力をしておられることはわかるが、余り伸びてない県に対しては、これは努力が足らないのか。もういろいろな矛盾が多くて初めから拒絶反応を示して、これ以上加入する気がないのかということ。私はこの点、今後この加入をふやしていかないと、この年金会計というものは魅力がないし、加入率は少ないし、だんだん衰微して大変なことになるという心配があるから申し上げておるのです。
 それで、この加入率をどう上げていくか。それから、もう若い層の加入率をふやさないと、五十歳を越した人をどんどん加入さしてみたところでこれはいけないのです、若い人を入れなければ。若い人ならもう女だ、男だという性別で分けることはいかぬじゃないか。入りたい者は、任意加入の分はこういう法の特典がありますよ、こういうことでいろいろ加入条件を緩和していく。加入条件、いまいろいろありますけれども、これでは加入できないから加入条件を思い切って緩和する、こういうことで加入率を高めていかなければならぬと思うのですが、この点について内村理事長はどうお考えになっておるか。
#203
○内村参考人 加入率の問題でございますが、一般的に言って非常に農業県的色彩が強い県の加入率はいいわけでございます。それに比べて、特に西日本に多いわけでございますけれども、農業が崩れているようなところ、市街化区域がふえているようなところの加入率が非常に悪いということでございます。先ほど申し上げましたように、そういったところの農家は、いわゆる経済の高度成長の時代に農業に非常にしわが寄りまして、どんどん兼業化が進んだ。昔は農家の長男がうちを継がないなんということはだれも考えなかったわけでございますけれども、そういった地帯の農家では、話を聞いてみますと、どうも長男がうちを継ぐ自信がないんだというような農家が出てきているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても、この辺からそういうことを言ってどうかわかりませんけれども、あえて言わしていただきますと、やはり専業農家をもっと力強くして農家らしい農家をつくらなければ日本農業はまいってしまうんじゃないか。極端なことを言いますと、農家栄えて農業滅ぶということになりかねない。そのためにはこの制度というのは非常に大事でございまして、やはり経営移譲のためにこの制度はますます拡充しなければならぬということは御指摘のとおりでございます。しかしながら、そういう基本問題がここにあるんだ、その問題に私ども年金の運用もぶつかっているということでございまして、加入率は農業県らしいところはかなりいいというところを申し上げておきたいと思います。
#204
○柴田(健)委員 大臣に答弁を求めると長う長う言われるから、私は今度は局長に求めますが、農家の婦人を思い切って入れたらどうかという立場をわれわれはとっているわけです。経営移譲でも、主人と奥さんは年が大体三つ四つ違うところが多いんだから、おやじが六十歳になったら女房にすぐ経営移譲をする。そして、女房が六十歳になったら今度は息子に経営移譲をする、こういうことにしたらどうかね。
#205
○大場政府委員 夫が妻に経営移譲をする、経営移譲の中身として一番安易な形は、それは使用収益権の設定という形で名義を妻に移すということは可能であります。それからまた、その後、妻が子供の方に経営移譲する、こういったことも可能であろうというように思っております。
    〔委員長退席、羽田委員長代理着席〕
#206
○柴田(健)委員 それは農地の所有権を地権者として主人が持っておる。所有権の移動を農業委員会で確認する。農業委員会で確認して、それで奥さんが三年なら三年間経営をやる。おやじさんが六十歳になって年金をもらう。三年間たったら今度は奥さんが息子に経営移譲すると、順繰りで全部年金をもらえることになれば、それならそれでどんどん奨励したらみんな入ってくると思う。そういう答弁だからもう局長、それ以上言いません、まあ一つの収穫として。間違いなく実現できるのですから、あるいは農業委員会でも確認したらいいわけですから。
 それから、問題はこの遺族年金の問題で、わが党の芳賀委員からも出ましたが、いまこの制度が発足して八年ですから、今後将来、十五年以上掛金を掛けて、そして経営移譲して亡くなった場合には、結局遺族年金を六〇%出すとかいうことで、いまのこの会計方式から言うと、三年、四年掛金をかけて経営移譲して、そして、ぽっくり死んでパアというのならそれはもうやむを得ない。けれども、十五年以上この年金に加入してそれで経営移譲した場合、そして主人がぽっくり亡くなったといった時分には遺族年金を出していくというような、加入の年数に応じてこの遺族年金制度を考えたらどうかという気がするのですが、局長どうですか。
#207
○大場政府委員 いま遺族年金を導入することの問題点はるる申し上げてありますから繰り返しませんが、遺族年金というものを、たとえば経営移譲を開始して六十五歳になるまでの間に何か導入するということを仮に考えたとすれば、やはりそれは一定の要件というものが必要になると思います。十五年がいいかどうかわかりませんが、何かそういった一定の要件というものが必要になってくると思うのです。しかし、農業者年金というものは世帯単位ではないということであって、やはりあくまで個人単位の加入であるというような本質問題があることは御理解願いたいと思います。
#208
○柴田(健)委員 この年金は、われわれの立場から言うと、先ほど申し上げましたように、社会保障という制度で充実していくべきだ、こういう考え方で昭和三十八年からわれわれは運動してきたのですけれども、いま政策年金の方が九〇%以上持っている。それから、政策年金であるから、日本の農政のあり方でよくにもなるし、悪くにもなるということが言える。今日のように、米をつくってはならぬと、こう言う。第一次産業がだんだん追い込まれてきたら、この年金制度もだんだん下火になっていく。先ほど内村理事長が、専業農家を育成していくという、そういう形をとらないと見通しが暗いということをはっきり言われたわけですから、問題は、この年金制度を若返りをさせる、中身を若返りさせるというのは若年労働者を入れる、ということになれば、もう少し若い人が魅力を持つような制度にしなければ入ってこないのではないか。
 局長、いま一年間に高校を出た人で農業従事者として残る者は何ぼありますか、日本で。
#209
○大場政府委員 五十二年度の例で申し上げますと、新規学卒で農業に新たに入ってくる、新規加入するという者は約一万二千というふうに記憶しております。
#210
○柴田(健)委員 われわれが調べたところでは一万人を割っておると思うのです。あなた一万二千人と、こう言うが、われわれはいまはもう九千人台だ、一万人を割っている、こう思うのですが、その数字で、一万人残ったところで二十年したところで二十万人だ。それから、農業という産業から言うと、二十五年というものを基本に考えなければならぬ。ところが、二十五年たったら二十五万人しか若い人が残らぬじゃないか。これでは日本の農業が発展すると思えないし、この年金会計がよくなるとは思えない。要するに、専業農家だけを対象――専業とか兼業とかいうんでなくして、日本の産業構造が今度どういう形で変わっていくのか。昔は第一次産業というのが基軸であった。そして、第二次産業が基軸になってきた。これからは第三次産業が基軸になる可能性がある。もうこれは明らかになってきた。
    〔羽田委員長代理退席、委員長着席〕
それから、第三次産業が基軸になっていく中で農業という第一次産業がどういう方法で育成強化されていくのか、そういうことを考えたときに、農林省はいま一番力を入れなければならぬのはどこかということをはっきりする必要があると私は思う。
 そうすると、農地をあくまでも守っていくという立場と、それに合わして農業労働者を若返らしていくという、その基本的なものを明確にする必要がある、私はそう思うのです。いまのままなら第一次産業はもうどうにもならぬようになってくるのじゃないか。いまのうちに手を打つのは、優良農地を守ることと農業の従事者を若返らせることだ、私はそう思うのだが、局長どう思う。
#211
○大場政府委員 仰せのとおりであります。
#212
○柴田(健)委員 そういう認識をしておるのなら、もっと農政のあり方、この制度の問題について早くメスを入れる、メスを入れるというか、改正をすべきではないかと思うのですが、どうでしょうか。
#213
○大場政府委員 メスを入れるといいますか、それはそれなりに、十分であるかという議論はあるかもしれませんが改善措置、ことに若い層を入れる改善措置はやってきているつもりであります。たとえば、割引の問題とか経営移譲の要件をやりやすくする、所有権だけではなしに使用収益権の設定でもいいというぐあいにしたこととか、現在お願いしております後継者の救済措置、加入資格を失ってしまってもう入れない者をまた取得させる、そういった救済措置、そういった一連の措置はやってきているつもりでありますが、今後ともそういった努力は、いろいろ課題がありますからその中で可能なものは逐次解決していくという態度はとりたいと思っております。
#214
○柴田(健)委員 経営移譲年金で六十歳から六十四歳まで五年間よしんばもらって、その次は付加年金で国民年金の上積みでもらう、そういうふうに順当に計算どおりもらえる人と、経営移譲もできないし、仕方がない、老齢年金を国民年金の上積みとしてもらう者と非常に格差がひどい。そこが魅力がない。げんこつを入れるのでも平等にもらわないと腹が立つ、痛いけれどもしんぼうする、こういうのが日本人の癖だと思うのですね。だから、要するに均衡論ですね。余り格差のないようにしてくれ、こういう意見が農民の中にあるわけです。そうすると、経営移譲を意識的にやらない人、ところが、やりたくてもやれない人、この二通りあると思うのですね。経営移譲をしたくても全然やれない人と頭からやらない人、こういう点の色分けができないところに問題があるのではなかろうか。あなたは六十歳が来たから経営移譲しなさいよ、こういうPRは余りしていない。もらえるのですよと言うだけであって、末端ではまだ具体的に説明は十分していない。だから、やりたくてもやれない人に対する老齢年金をふやしてあげなさいというのは当然の要求ではないか、こう思うのですが、局長どうですか。
#215
○大場政府委員 経営移譲がどうしてもできない、後継者移譲ができないという場合は、もちろん第三者移譲という道がありますからそれで対応するということだろうと思うのです。しかし、それでもなかなかむずかしいという場合は、これはむしろ農業者一般の老後保障という問題になるわけで、それを農業者年金が担うのか、あるいは国民年金が担うのか、こういったことで、それは農業者年金制度そのものの根本にかかわる議論になってくるのではないかと私どもは思っております。
 それからもう一つは、そこまで行かなくても保険料の負担をどうするかということ、それから財政再計算との関係で年金財政をどう見通していくか、こういうこととの関連でそこは判断していく事柄だと思っております。
#216
○柴田(健)委員 同僚各委員からいろいろと問題点を明らかにしたわけですが、この年金の不合理を、先ほど申し上げたように、加入の資格者を広げるためには主婦を入れてもいいじゃないか、奥さんを入れなさい、そして老齢年金もふやしなさい、こういうことでこれを改善しながら農政のあり方を一方では明確にしていく。日本の産業の中で農業という産業の位置づけを明確にしないとこの制度もうまくいかぬのではないかという心配があるから、渡辺農林大臣に、この制度をより一層発展させていくためには、いままで質疑の中でいろいろ出た点、未加入者の緩和措置、そして老齢年金、離農給付金、移譲年金、遺族年金、そういう点の問題が明らかになってきたわけですが、それらを十分踏まえて早急に、何年か先じゃないのです、早急に解決するというお考えがあれば、きょう一日大臣は御苦労でもお座りになっておったのだから肝に銘じられたと思うので、ひとつ考え方を明らかにしてもらいたい、こう思うのです。
#217
○渡辺国務大臣 柴田先生の御意見は十分拝聴をいたしましたので、農業の諸情勢、経済事情、財政事情その他を踏まえて現実的に処理してまいります。
#218
○柴田(健)委員 それからもう一つ、変わった点でお尋ねしたいのですが、いま特定後継者の中で三十アールの緩和措置があるわけですけれども、これをもう一歩進めて三十アールでなしに二十アールにしたらどうかという気がするのですが、局長、この点について何か御意見ありますか。
#219
○大場政府委員 加入資格者の規模要件として、当然加入者は五十アール以上、それから任意加入者、後継者は三十アールから五十アール、同時に投下労働時間が七百時間でしたか、そういう集約的な農業である場合には三十アールまで任意加入の資格として広げてある、こういったことであります。三十アールというのは、そういった集約的な投下労働をするもの、つまり土地がなくても五十アールに匹敵するような投下労働時間があるものは所有する土地は大体三十アールくらいでなかろうか、こういった観点で三十アールという線を引いているわけでございます。言うならば片手間でやる農業ではない、そういった農業を対象にするということでありますので、現在の三十アール、五十アールと引いておりますので、現実的に考えて、それがためになかなか入りにくいということは余りないのじゃないかと考えておりますが、せっかくの御指摘でございますので、よく実態を調べて研究してまいりたいと思います。
#220
○柴田(健)委員 この政策年金制度の基礎的な要件から見ると、これは人よりか農地がついてまわるわけですから、経営移譲はそれですから、農地の問題に関連すると、この年金制度と農地法との関係が出てくる。そうした場合に、この年金制度を充実発展させるためには農地法を手直ししなくてもやれるのかどうか、関係ないのかどうか。局長、この点どうですか。
#221
○大場政府委員 いまの年金法を実施する際に、すぐ農地法の規定と抵触する、そういった問題はないだろうと思っております。しかし、大臣がお答えしておりますように、広い意味での農地流動化対策ということの中で別途農地法制の見直しを私どもいましている最中でありますので、その中で農地法の各条項につきましてもいろいろ点検はいたしてまいりたいというように考えております。
#222
○柴田(健)委員 これは角度を変えて、特別な問題としてちょっとお尋ねしたいんですが、ダムの建設で四百戸ほど農家が立ち退きをするという問題がある。その場合、立ち退き補償は電源開発法その他で補償基準があるわけですが、農業の基盤が全部なくなってしまう、農業者年金に入っているんだが全部農地はなくなってしまう、その場合に経営移譲になるのかならないのか。農地は全部公共用地に取られてしまう、そういう場合には、同じ公共事業としてやられるのに、経営移譲の年金がもらえないということがある、そうした場合にどうするのか。
#223
○大場政府委員 具体的な法の適用のあれになりますので、ちょっと研究させていただきたいと思います。
#224
○柴田(健)委員 日本は原子力とか火力発電所というものはそう簡単にできない、いずれこの電力開発は水力になってくるという気がするわけですが、水力発電にするとダムを建設しなければならない、ダムにすると農地が取られてしまって農業ができなくなってしまう、経営移譲ということもできないし、何もできない。そういうことになると、いままで農業者年金に掛けておるのに何ももらえない、こんなばかなことはないじゃないかという問題が具体的にいま起きておる。われわれはどう説明していいやらわからない。その点、日本の国土開発、国土利用計画の中でそういう問題が起こることはわかっておることだから、農林省は早急にそういう問題には結論を出しておくべきではないか、こう思うのですが、これはぜひ大臣にお答え願いたいです。
#225
○渡辺国務大臣 筋論から言えば、この法の精神からすると、私は、経営移譲をして当然もらうべき権利がある者がもらえなくなるのですから、それは補償の対象になるというのが筋だと思いますね。
#226
○柴田(健)委員 農業者年金を掛けている農民としては、そういう紋切り型の答弁では納得しない、こう思うので……(渡辺国務大臣「補償金を払う」と呼ぶ)いや、補償と年金とは違うのだから、補償は補償で、それはあなた、いいかげんな答弁では困るのです、年金をもらおうと思って入っている制度が、もらえぬようになるのだから。経営移譲は全然できない。経営移譲をやろうと思うと、完全に公共用地で買収されるわけですから、その点は十分検討を加えて結論を出してもらいたい、こう思うわけです。
 以上、時間が三分ほど余りましたが、これで終わります。
#227
○佐藤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#228
○佐藤委員長 この際、本案に対し、島田琢郎君外三名から修正案が提出されております。
 修正案について、提出者から趣旨の説明を求めます。島田琢郎君。
#229
○島田委員 私は、日本社会党を代表して、農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。
 修正案はお手元に配付いたしたとおりであります。
 その内容は、農業者老齢年金の給付額を二倍に引き上げようとするものであり、具体的には、現行法において、その年金額が「六百五十円に保険料納付済月数を乗じて得た額」となっているのを、「千三百円に保険料納付済月数を乗じて得た額」に修正しようとするものであります。
 以下、修正案を提出した理由を簡単に申し上げます。
 本年金制度に対しましては、制度発足以来、改善を要する各種の問題が指摘されておりますが、中でも、昭和五十六年一月から給付が開始される農業者老齢年金の大幅な引き上げは強い要請となっております。
 かかる要請の背景は、第一に、やむを得ず経営移譲できなかった者が六十五歳以降に受給する農業者老齢年金の額が、保険料に比し、必ずしもメリットがないこと、第二に、同額の保険料の納付にもかかわらず、経営移譲した者としなかった者の年金受給額の格差が余りにも大き過ぎるといったこと等であります。また、こうした制度の欠陥が、本年金への加入率を著しく低くしている要因ともなっているのであります。
 このため、日本社会党においては、昭和四十五年の現行法の制定に際し、純粋に農民の老後の保障を図ることを目的とした農民年金法案を対案として提出したほか、昨年の第八十四回国会においても、今国会と同様の修正案を提出し、農業者老齢年金の引き上げを強く主張してまいりました。また、本問題はひとりわが党のみならず、当農林水産委員会においても重点的に取り上げられ、法律制定時において、少額ではありますが、その引き上げを行う委員会修正を行ったのを初め、過去四回にわたる法律改正に際しても「農業者老齢年金については、速やかにその引き上げを図ること」を旨とした全会一致の附帯決議を付してまいりましたことは各位の御承知のところであります。
 しかるに、その後政府は、この農業者老齢年金の引き上げに対し、何らの特別な措置を講じていないのが実情でありまして、このことは善良な農民の期待を裏切るばかりか、立法府の意思をも無視したものと言わざるを得ません。
 今回、日本社会党が、昨年に引き続きあえて修正案を提出したゆえんは、国会が農民の切なる要望を体し、立法府としての責任を果たし、これにより真の年金制度の確立を図ろうとするものであります。
 何とぞ、全委員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
 以上です。(拍手)
#230
○佐藤委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
 この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見があればお述べをいただきたいと存じます。渡辺農林水産大臣。
#231
○渡辺国務大臣 ただいま御提案のありました修正案につきましては、政府としては反対であります。
    ―――――――――――――
#232
○佐藤委員長 修正案に対して別段御発言もないようでありますので、原案並びに修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、これより農業者年金基金法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 まず、島田琢郎君外三名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#233
○佐藤委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#234
○佐藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
    ―――――――――――――
#235
○佐藤委員長 この際、本案に対し、今井勇君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。柴田健治君。
#236
○柴田(健)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨の御説明を申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本制度が農業者の老後の保障と農業経営の近代化に果たす役割の重要性にかんがみ、本制度を公的年金として位置づけ、制度の一層の整備充実が図られるよう左記事項の実現に努めるべきである。
    記
 一 農業者老齢年金については、農業者の老後生活の安定と後継者の確保に資するため、五十六年の年金支給が開始されるまでに、他の年金制度をも考慮して、速やかに給付額の引上げに努めること。
 二 今後の財政再計算にあたっては、農家の負担能力の実情、本制度の政策年金としての性格等を踏まえて保険料を定めるとともに、この場合、国庫助成の引上げを図るよう努め、現行の財政方式(完全積立方式)についても、他の公的年金の動向を勘案して検討を加えること。
 三 最近における農業就業の実情にかんがみ、農業に専従する主婦及び後継者の配偶者等についても年金への加入の途を開くよう努めること。
 四 農業のもつ家族経営体としての特性等を考慮し、遺族年金の創設を図るよう努めること。
 五 長期にわたり本年金制度の健全な運営が図られるよう、若年未加入者に対する加入の促進について特段の措置を講ずること。特に保険料の軽減の対象となる特定後継者の要件の緩和に努めること。
 六 農地保有の合理化に資するよう、離農給付金制度について、改善策を検討すること。
 七 本制度の円滑な運営が図られるよう、末端における業務体制の整備充実に努めること。
  右決議する。
 以上の附帯決議案の内容につきましては、質疑の過程等を通じて、すでに各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
#237
○佐藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#238
○佐藤委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。
 この際、ただいまの附帯決議について政府より所信を求めます。渡辺農林水産大臣。
#239
○渡辺国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、農業を取り巻く諸情勢の変化を踏まえ、十分検討いたしたいと思います。
    ―――――――――――――
#240
○佐藤委員長 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#241
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#242
○佐藤委員長 次に、肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。渡辺農林水産大臣。
    ―――――――――――――
 肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案
   〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#243
○渡辺国務大臣 肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
 肥料価格安定等臨時措置法は、昭和三十九年に制定され、その後昭和四十五年及び昭和四十九年の二回の法改正により延長されて、今日まで肥料価格の安定、国内需要に対する供給の確保、肥料の輸出調整等について、おおむね所期の成果を上げてまいりました。
 この法律は、昭和五十四年六月三十日までに廃止するものとされておりますが、最近におけるわが国の農業及び肥料工業をめぐる状況にかんがみ、なおこの法律を存続する必要があると考えられます。
 すなわち、農業においては、米などの生産過剰と増産の必要な麦、大豆、飼料作物等の生産が十分でないという事態に対処して、需要の動向に適切に対応し得る農業生産構造を確立することが必要となっております。このため、昭和五十四年度から、新たに、地域農業生産総合振興事業を実施するとともに、水田利用再編対策の推進等により地域農業生産体制の総合整備を図ることとしております。これらの施策を推進し、あわせて農家所得の確保を図っていく上で、農業生産の基礎資材である肥料の安定的な供給を確保することが従来にも増して必要であり、現行の価格取り決め及び国内需要に対する供給の確保措置の存続が強く要請されております。
 一方、肥料工業は、石油危機後の原料価格の高騰による国際競争力の低下、発展途上国における肥料自給化の進展等による輸出の減退等によって構造不況に陥っております。このため、特定不況産業安定臨時措置法に基づき、アンモニア、尿素及び湿式燐酸の製造業につき過剰な設備の処理等を行うことにより不況の克服と経営の安定を図るべく構造改善を進めているところであります。肥料の安定的供給の確保のためには、肥料工業の経営の安定が必要であり、この構造改善に加えて、現行の肥料の価格取り決め及び輸出調整措置の存続が強く要請されております。
 以上申し述べました理由から、この法律が廃止するものとされる期限を、昭和五十九年六月三十日まで五年間延長することとし、本法律案を提案した次第であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#244
○佐藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#245
○佐藤委員長 この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案について、参考人の出席を求め、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#246
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、参考人の人選、出席日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#247
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次回は、来る五月十五日火曜日午前九時四十五分理事会、午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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