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1978/03/02 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 法務委員会 第4号
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1978/03/02 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 法務委員会 第4号

#1
第087回国会 法務委員会 第4号
昭和五十四年三月二日(金曜日)
    午前十時二十分開議
 出席委員
   委員長 佐藤 文生君
   理事 青木 正久君 理事 鳩山 邦夫君
   理事 濱野 清吾君 理事 山崎武三郎君
   理事 西宮  弘君 理事 横山 利秋君
   理事 沖本 泰幸君 理事 中村 正雄君
      篠田 弘作君    田中伊三次君
      福永 健司君    村山 達雄君
      飯田 忠雄君    長谷雄幸久君
      安藤  巖君    小林 正巳君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 古井 喜實君
 出席政府委員
        法務政務次官  最上  進君
        法務大臣官房長 前田  宏君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 枇杷田泰助君
        法務省民事局長 香川 保一君
        法務省刑事局長 伊藤 榮樹君
        法務省保護局長 稲田 克巳君
 委員外の出席者
        最高裁判所事務
        総局総務局長  大西 勝也君
        最高裁判所事務
        総局人事局長  勝見 嘉美君
        最高裁判所事務
        総局民事局長  西山 俊彦君
        最高裁判所事務
        総局刑事局長  岡垣  勲君
        法務委員会調査
        室長      清水 達雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十八日
 辞任         補欠選任
  木原  実君     安井 吉典君
  小林 正巳君     山口 敏夫君
同日
 辞任         補欠選任
  安井 吉典君     木原  実君
  山口 敏夫君     小林 正巳君
三月一日
 辞任         補欠選任
  飯田 忠雄君     広沢 直樹君
同日
 辞任         補欠選任
  広沢 直樹君     飯田 忠雄君
同月二日
 辞任         補欠選任
  正森 成二君     安藤  巌君
同日
 辞任         補欠選任
  安藤  巌君     正森 成二君
同日
 理事西宮弘君二月二十七日委員辞任につき、そ
 の補欠として西宮弘君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第三号)
 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の
 一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)
     ――――◇―――――
#2
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、西宮弘君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
#4
○佐藤委員長 お諮りいたします。
 本日、最高裁判所大西総務局長、勝見人事局長、西山民事局長、岡垣刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#6
○佐藤委員長 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案、同じく下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
#7
○横山委員 私の持ち時間は四十分ぐらいでございますので、簡潔に幾つかのことについて質問をいたします。
 先般来、長良川訴訟が行われております。約二万五千人の原告なのであります。それで訟務局長に事情をお伺いをしたことがございますが、その中でこういうことがあるのです。
 それは、二万五千人全員に公証人の認証をもらってこい。もらってこいという理由は、二万五千人が正確であるかどうかわからないから、公証人の認証をもらってこいと言います。一人千五百円かかるそうであります。それから二万五千人全員に、一人三千三百五十円かかる印紙税を要求されたそうであります。この交通費やその他雑費を含めますと、長良川訴訟の原告二万五千人全員に対して、総額約一億円以上の費用を、裁判を始める前提として要求をされたそうであります。
 これは、もちろん法務省訟務局が指導をしておることだということに理解をしたわけでありますが、こういうことでは実際問題として、大衆の広範な利害関係者が一緒になってやる裁判に門前払いを食わせる傾向になりはしないかということを痛感をいたしたわけでありますが、この点について何らかの便法がないものかどうか、お伺いをいたします。
#8
○西山最高裁判所長官代理者 長良川河口ぜき建設差止訴訟におきます認証命令の経緯及び根拠について申し上げますが、裁判所は、昭和五十三年十二月二十一日に、原告らのうち、被告の方でその代理権を否認いたしました二万五千二百四名について、昭和五十四年九月二十日までに、委任状に公証人の認証を受けるように命じる旨の決定をいたしました。
 この決定は、民事訴訟法の八十条の第二項に基づくものでございます。この規定でございますが、これは訴訟代理人が提出いたしました委任状が私文書である場合には、相手方が代理権を否認したり、また本当に本人が作成したかどうか疑わしいようなときのために、裁判所が代理人に対して当該吏員の認証を受けるよう命じるとしたものでございます。具体的には、私文書の認証権限のあります公証人の認証文言のある委任状を提出するということになるわけでございます。
 この規定に基づきまして、岐阜地方裁判所は先ほどのような認証命令を出したわけでございますが、それについて便法があるかというふうな御質問でございますが、いま申し上げましたような決定がなされました以上は、それに従った委任状を提出していただくということになるわけでございまして、便法としては、ちょっと考えにくいというのが偽らざるところでございます。
#9
○横山委員 大臣、お聞きになったようなことなんで、公害訴訟というものは多数の国民が国ないしは企業に対して争うことになるわけであります。その多数の人たちに対して、法は全部を画一的に公証人の認証をもらってこい、印紙税を張れということが――長良川のような問題は、勝ったとてその人たちの得る利益は何にもないのです。工事をするなということですから、勝ったとて何にも受くるべき利益はない。そういうマンモス訴訟について、もうこの種の問題は、決められておる印紙税なり何なりのときには予想しなかった新しい近代社会の事態だと思うのであります。したがいまして、これらの多数の原告がある場合に、一人でやっても二万五千人でやっても同じように扱うことについて、何か考うべきことがあるのではないか。
 先般、同僚議員からマンモス訴訟の問題が出まして、この問題でなくて、マンモス訴訟のありようについて改善をすべきではないかという質問があったわけでありますが、この問題を含めて、マンモス訴訟についての簡便な裁判のあり方について、あなたは経験豊富な方でありますから、何かお考えなさることはありますまいか。
#10
○古井国務大臣 まあ現行法、いまの制度のもとではしようがない、さっきこういう説明がありましたので、これはそういうことだろう。私もきわめませんけれども、そう担当の人が言っておられるし、そうだろうと思うのですね。将来の問題、結局先の問題になってしまうわけですね。これから先、つまり改正というか新しい問題になってくると思うのですね。
 お話しのように、個人訴訟的なものじゃなくて、一種の集団訴訟のような形のもの、新しいそういう種類のものにどう対応するか。まだ、こういう形にいったらどうだというところまで熟してきていない段階じゃないかと思うのですよ。けれども、何か個人訴訟の形では割り切れぬものが残ってしまうような気がするのであります。どうするか、私も知識貧弱にして経験貧しく、すぐさま考えがありませんけれども、問題はあるなという問題意識は持つのですよ。どうもそれ以上、それじゃこういう考えがある、こうしたらいいに決まっておるとか、ちょっとそこまでは申し上げる考えが熟しておりませんので、それこそ経験豊かなあなたがいい知恵を教えていただきたいと思います。
#11
○横山委員 私が聞いておるんだよ。
 関係者の方にお伺いをするのですが、私も経験豊かではありませんので、この二万五千人の人が訴訟するに際して、みんなが原告である。けれども、二万五千人が平等に並ばなくても、代表者方式、選定当事者方式というものがあると聞いておるのでありますが、それらの方式というものは、判決に勝った場合あるいは負けた場合、権利義務はすべて二万五千人に平等に判決の法益があるのかないのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#12
○西山最高裁判所長官代理者 その点は、全部の人が原告として出てきた場合と全く同じでございます。(横山委員「法益があるわけですね」と呼ぶ)ございます。
#13
○横山委員 そうしますと、この長良川訴訟がなぜ二万五千人を全部原告としたのか。なぜ、その代表者方式なり選定当事者方式をとらなかったのかということについて、私はちょっとわかりかねるわけです。
 私が自分で調べてないので恐縮なんですけれども、全部原告の場合と、それから代表者方式、選定当事者方式との間には、どういう違いがあるのですか、判決の法益が一緒ならば。
#14
○西山最高裁判所長官代理者 初めに、ただいま御説明申し上げましたことで、ちょっと正確でないところがございますが、選定当事者の場合には全部の人が当事者になって出てくる場合と同じでございますが、現在においては代表者訴訟という訴訟形式が認められておらないものですから、そっちの方については全員に効果が及ぶということはございません。その点が違うわけでございます。
 ただ、現在の場合ですと、選定当事者の訴訟あるいは各人が全部訴訟に出てくるという二つの形式がございますが、それをどっちをとるかというのは、当事者の選択に任せられていることでございまして、裁判所の方で、ああしたらいい、こうしたらいいというふうにはまいらないわけでございます。
#15
○横山委員 それはもうあたりまえのことなんでありますが、しかし法益が全部に及ばない、判決効果が全部に及ばないとしたならば、これはやはり二万五千人全部が原告になるより仕方がない。原告になったら、一億円以上代表者は持ってこいということになりましたのでは、これは近代社会におけるマンモス訴訟について、余りにもそれを阻害する結果になる、そう思いますから、ひとつこの点については今後の問題として、法務省としても御検討を願いたいと思います。
 次は、順序不同でございますが、この間、東久邇宮が知らない間に結婚をしておって、宮内庁はびっくりして、知人の女性がすでに入籍をしておったという問題が新聞に出ておりました。実はこの問題は、私の地元の自由民主党の丹羽久章氏も、この種の問題があったわけであります。丹羽久章代議士が知らない間に、ほかの女性が丹羽久章氏と結婚しておったということで、丹羽久章氏はびっくりしまして取り消しをしたというわけであります。
 二つの問題がある。一つは、東久邇宮稔彦という九十二歳のお方でございますが、その事実関係についてはいろいろありますけれども、ここでは言いません。けれども、いずれにしても宮内庁はびっくり、東久邇さんもびっくりということなんであります。
 そうすると、結婚というものは、実印を必要とせずに認め印で、区役所へ行って結婚しましたと言うと、ああそうですかと言うて、すぐに戸籍に入れてしまう。そのことに何か問題はないのだろうか。びっくりして、それはうそだったと言うてやるには、今度は多大の手続が要る。裁判で判決をもらわなければいかぬとか、そのことについて、一体どう考えたらいいのかという点について御意見を承りたい。
#16
○香川政府委員 戸籍の届け出の間違いのないこと、したがって戸籍の記載の適法なことにつきまして、どのような手続構造をとればそれが期せられるかということは、非常に問題だと思います。
 現行の戸籍法は、いわゆる形式的審査主義をとっておりまして、実質に立ち入った審査はしないというたてまえになっておるわけであります。したがって、ただいま問題になっております婚姻届で申しますれば、婚姻の当事者、それから保証人が二人、それの印鑑につきましても、特に印鑑証明書の徴取をしていないわけでございますが、したがって、きわめて希有な例の実績でございますけれども、全く当事者が結婚の意思がないのに婚姻届が出されたというふうなことは、希有ではございますけれども、あるわけです。
 その場合に、そういった希有の違法なと申しますか無効な婚姻届を選別できるようにするためには、全般的に実質審査主義をとらなければならぬということになってくるわけでございます。そういたしますと、これは市町村の窓口行政としては、とてもその能力にはたえないだろうと思いますし、また、過料の制裁のもとで届け出義務を課しておる届け出の励行ということも、手続がそれだけ困難複雑になりますと、なかなか励行しがたいというふうな国民の側からの不便さ、不都合さも派生的には出てくるということになるわけでありまして、そういうことから、どちらがいいかという立法政策の問題として、現行戸籍法は、やはり希有な場合はいたし方ないという踏み切りで、
 一般的には簡易な形式的審査主義のもとにおける手続をとっておるのだろう、こういうふうに理解されるわけでございます。
 そのほかに、さらに工夫していい知恵がないかということをいろいろ従来からも検討されておるわけでございますけれども、事柄は、結婚届と申しますと、形式的にしろ、あるいは何かの書面によってにしろ、両当事者の婚姻の意思があるということを証明すると申しましても、本人しかわからぬわけでありまして、結局、第三者的な者の証明ということは、およそ不可能を強いることになるということになりますので、ただいまのところは、現行法の手続を維持せざるを得ないだろうというふうに考えております。
#17
○横山委員 せめて婚姻届を印鑑証明をとって実印主義にする方法はないかということが、私の質問の焦点なんであります。
 というのは、少なくとも婚姻という厳粛な、戸籍に入れるという厳粛なものが認め印でいいということはいかがかと思う。まあ実印を使うからといって、それでいまのあなたの言う希有な例がなくなるとは思わないけれども、結婚という厳粛な事実、戸籍に入れるという、相互の家族の合意というものもありますから、せめて印鑑証明をとって実印を押す。若い人たちですから、まだ実印がないかもしれぬけれども、結婚と同時に実印をつくるということは意味があることではないか、そう思いますが、いかがですか。
#18
○香川政府委員 確かに、届け出書に押印した印鑑の証明書を添付させるというのも一つの方法でございまして、これは実は戸籍実務家の間でも検討されたことがあるわけでございます。
 ただ、確かにそういたしますれば虚偽のものがある程度防げるという効果は、私はあるだろうと思いますけれども、一方、婚姻届は必ずしも本籍地で出さなければならぬことはございませんし、現住所でなければならぬということはない。つまり、結婚式を挙げたところあるいはどこでも、たとえば新婚旅行中のどこかの場所、どこででもとにかく届け出られることにしておるわけでございまして、そうしますと、あらかじめその婚姻届を出すあるいは結婚式を挙げる前に印鑑届をして印鑑証明書を持って、そして届け出の準備をしておかなければならぬということになるわけでございますけれども、そこまでのPRが十分できまして、みんながそれに協力してくれればスムーズにいくかもしれませんけれども、たとえば保証人の印鑑証明書一つ出すにしましても、非常にめんどうだというふうなことで苦情もあるわけでございまして、その辺のところが、婚姻届が虚偽のものが出されるという事例が非常に多い場合には、少々全般的に不便をかけても印鑑証明書を添付させるということは、立法としては考えなければならぬと思いますけれども、過去の実績から見ますと、婚姻届が無効であったというものはきわめて少ないわけでございまして、そういうことから考えますと、全般的に少しでも手続を複雑にする、不便にするということはどうかというふうな、比較考量の問題だと思いますけれども、そういうことで、その印鑑証明書をつけさせることすら、現在では実務家の間ではなかなか踏み切れないという現状でございます。
#19
○横山委員 戸籍法についてはいろいろ問題があると思うのでありますが、先般来私が経験いたしましたものでも、本人が本当に自分の生年月日を届け出たにかかわらず、どういう間違いか一年戸籍が違っておった。
 韓国の人で帰化するときの要件でございましたが、それが外人登録であったか何か生年月日が間違っておったために、それで国籍帰化に非常に渋滞を生じて、それが訂正の判決をもらわなければいかぬというようなこともあって、戸籍の訂正とかこの種の問題については考うべき点がかなりあると思うのでありますが、戸籍法の改正の作業についてはどうなっておりますか。
#20
○香川政府委員 昭和四十九年に民事行政審議会が、これは法務大臣の諮問機関でございますが、開かれまして、そこで戸籍法のいま御提示の戸籍訂正の問題も含めまして議論された経緯がございます。
 その結果に基づきまして、先般、民法等の一部を改正する法律が、これは戸籍法を含めた法律でございましたが、成立した経緯があるわけでございまして、確かに戸籍法はさらに根本的にいろいろ再検討しなければならぬという問題はあると思うのであります。
 私どもの考えとしましては、御承知のとおり、法制審議会におきまして、親族法、相続法の全面的な見直しをやっておるわけでございまして、これは戸籍法と密接不可分の関係にあるわけでございますので、そちらの方の結論を見て戸籍法の全面的な再検討をしよう、こういうふうなことで考えておるわけでございます。
 ただ、いま取り上げられました戸籍訂正の問題は、これはちょっと具体的な事案を承知いたしませんので何とも申しかねますが、一般論としましては、生年月日が正確に届けられて、しかも戸籍吏が間違って戸籍に違った日付を登載したという場合には、これは裁判所まで持っていかなくても、市町村長からの法務局長に対する許可によりまして簡単に直せるわけでございます。と申しますのは、届け出書が市町村、法務局に保存されておりますので、それを見れば一目瞭然でございますから、簡便な手続きで訂正できることになっておりまして、この点につきましては、さほど改正の必要を見ないというふうに考えております。
#21
○横山委員 次に、刑事局にお伺いするのですが、大臣もよく聞いておってほしいのですが、二つの事件が手元にあります。
 一つは四日市区検の問題でございますが、豊丸産業の代表者永野裕豊が、粂田政治を四日市警察署に対し横領罪で告訴した事件について、嫌疑不十分として不起訴処分にして、いま検察審査会へ申し立てをしておるわけであります。これは私が資料を入手いたしましたところ、どう考えても、なぜ嫌疑不十分にしたのか全く私にはよくわからない、検察審査会に申し立てたことは、これは当然なことではなかろうか、こう思っておる事件であります。
 それからもう一つは徳島の問題であります。業務上横領、補助金等に係る領家高蔵に関する判決書を手に入れて読んだわけでありますが、この判決書の中に驚くべきことが書いてある。途中省略しますが、「第四回公判期日以降は毎期日のように訴因変更申請をなして前回の訴因変更申請を撤回し、第九回公判期日までに五回にわたり訴因変更申請をなし、第五回目の訴因変更にあたっては以前に訴因変更の際変更を命ぜられた事実を復活するありさまで、遂に第一〇回公判期日に検察官のかかる態度は訴訟上の権利の誠実な行使とは認めがたく、起訴状記載の訴因を審判の対象として具体性を有し被告人の防禦権の行使が可能な程度に特定したものとして扱うことは不可能というほかないとして、該公訴事実について公訴棄却の判決がなされた特異なものであり、」等々。それから
 「いずれもいわゆる直捜事件(司法警察の捜査を経ずに直接検察庁の捜査によるもの)と呼ばれるものであるが、本件では、まず公訴事実一の雪害関係にあっては、かかる犯罪類型にとって必要不可欠ともいうべき被害者である被欺罔者の捜査が殆んどなされておらず」とか、中略「特異な訴因であり、」「中央会側の事務担当者および当該事務の管掌者の捜査が不十分であり、」とか、この判決を見ますと、検察陣のあり方に対して、厳重な批判の判決をしておるわけであります。
 しかも、これは被告人が無罪となったもの。嫌疑不十分で警察が手を離した、それを検事が先に出て、おれがやるというふうにやって、裁判では訴因変更ばかりずっとやってきて、関係者の調査がほとんど行われてないではないかという、判決で裁判長が非常な叱責をしておるという特殊な事件であるのでありますが、この二点について、時間がございませんが、お調べ願ったと思いますが、一体どういうふうに考えられますか、お答えを願いたいと思います。
#22
○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘の二つの事件の処理等につきまして、事前にお話がございましたので、実情を調べてみました。それに基づきまして、簡単に御報告申し上げます。
 まず第一の事件は、三重県の四日市警察署から四日市区検察庁に送付されました横領罪に係る告訴事件でございまして、昨年十月に嫌疑不十分ということで不起訴処分になっておるわけでございます。今般お話がございましたので、その不起訴の理由等を詳細聴取いたしましたが、やや検討不十分の点があるのではないかという気もいたしますので、検察当局に、もう一回よく記録を読み直してみてくれ、こういうふうに申しておるところでございます。
 第二の事件は、徳島地方検察庁が昭和四十六年でございましたか処理をいたしました事件でございまして、背任、業務上横領、それから補助金適正化法違反というような罪名で公訴を提起した事件でございますが、そのうちの背任の部分につきまして、先ほどちょっと御指摘がありましたように、訴因が特定されていないのではないかという法律問題をめぐる論争が弁護人側と検察官側で行われまして、御指摘のように、しばしば訴因の変更を繰り返し、時にはまたもとの訴因に戻ったりするというような、やや不体裁な訴訟の追行が行われたわけでございます。その結果、裁判所は、結局この背任の部分については訴因の特定がついにできかねたということで、公訴棄却を言い渡しました。
 残りました業務上横領、補助金適正化法違反につきまして、昨年秋無罪の判決があったわけでございます。その無罪の判決の中に、先ほど御指摘のような説示が含まれておるわけでございます。
 この事件につきましては、いろんな法律問題がございまして、もっぱら法律問題の争いによりまして、公訴棄却あるいは無罪の判決を得たわけでございますが、結果的に、振り返ってみますと、検察としてなお尽くすべきところがあったのではないかということをいろいろ感じさせられる事件でございまして、今後この事件の教訓を全国検察庁で生かしまして、適正な、かつ裁判所からもいろんな御指摘を受けないような、りっぱな検察をやるように努力をしていきたい、こう思っておる次第でございます。
#23
○横山委員 この二件は、いまお話しのように、検察陣の信頼とかあるいは威信とか、そういうものを阻害する残念な事案だと私は思いますから、いまお話しのように十分注意をしていただきたいと強く希望をしておきます。
 ところで、先般の本委員会で私から、弁護人抜き裁判に関連をいたしまして、野党――社会党、公明党、民社党、共産党それから新自由クラブ、社民連一致いたしまして、次のように政府・与党に要望したことがございます。それは、三者協議の成果を期待して政府・与党に善処を求める、こういうことを申し上げておきました。その意味で、三者協議がどんな状況に進んでおるか、御報告をお願いしたいと思います。
#24
○枇杷田政府委員 三者協議会では、現在のところ、いわゆる荒れる法廷と申しますか、特殊事件につきましての国選弁護人の選任方法の問題並びに弁護士会内部におきます綱紀、懲戒問題を中心といたしまして、真剣に議論を進めておるわけでございます。しかしながら、これらの問題は非常に大きな困難な問題もかなりございますので、まだまとまるというふうなところにはなかなか達しないところでございますけれども、三者それぞれ真剣な態度で協議を進めておるところでございます。近く、従来の議論を整理をいたしまして争点を浮かび上がらせて、なお協議を進めてまいりたいというふうな状況にございます。
#25
○横山委員 これは、私どもとして本当に三者協議の円満な妥結ということを望みたいのでありますが、この点について法務大臣の御意見を伺いたいと思います。
#26
○伊藤(榮)政府委員 大臣がお答えになると思いますが、その前に私から一言申し上げます。
 最近、三者協議がただいま調査部長が御説明申しましたように大変真剣に行われておるということは、私どもも注目をしておるところでございます。特に、これまでいろいろ御相談になりました一つの大きな柱でございます国選弁護人の推薦の適正化と申しますか、この問題はかねてから私どもも心から希望しておるものでございまして、これにつきまして三者が真剣に取り組んでおられることにつきましては敬意も表し、評価を申し上げておる次第でございます。
 それから、最近におきまして、特定の弁護士さんに対する懲戒の問題を含めたいわゆる弁護士会の自律機能の強化の問題、これが協議の対象となっておるように伺っておるわけでございますが、この問題は、実は私ども政府で提案させていただいております刑事事件のいわゆる特例法が出るに至りました背景の部分に関するものでございますので、私どもといたしましては、特に深い関心を持って、この協議の内容がどの程度具体化するものかといった点を見守ってまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
#27
○横山委員 大臣に、きわめて微妙な質問でございますから、ひとつ私の意を私ではなく野党全体の意を体してお答えを願いたいと思うのでございますが、三者協議の成果をひたすら国会側としては期待しておる。成果あるように期待したい。もちろん、それは三者でございますから――三者といっても事実上二者かもしれませんね。役所と日弁連なんですが、ニュアンスが多少変わるし名前も三者でございますが、三者がやはり互譲の精神を持たぬと、どっちかが譲らなければだめだということではぐあいが悪いと思うのでありますが、三者の熱心な、円満な妥結を一刻も早く望みたい。その成果に基づいて、全野党としては政府に善処を求めるという点について御了承願いたいと思いますが、いかがでございますか。
#28
○古井国務大臣 いまの三者の間が本当に気持が通じ合い、考えが共通になる、そうなったらしめたもので、それが一番理想で、残っておる問題だと思っておる。いままでの経過もありますし、なかなかいっときにいかないかもしらぬけれども、そう言ってはいけないので、何とかそういう方向に、三者が一つに溶け合ってやれるような方向に行けないものか、そういうふうに思い、願っておるようなわけであります。政府も、何とかそれが前向きに進むように、こういうふうに思っております。
#29
○横山委員 お三人のそういう御答弁がございましたので、次に質問をしようと思いましたことをここで省略をいたします。
 なぜ私が次に質問しようと思ったのか、なぜ、それを省略するに至ったかという点は、大臣、多分おわかりだと思うのです。それがわからなければおかしいと思うくらいでございます。私が次に質問をしようと思った問題を、いまの誠意ある答弁を了としてやめますから、その気持ちをくんでください。よろしゅうございますね。
 それでは、時間がございませんが、本当に一点、二点だけ。
 いまお手元へ差し上げました末期医療の特別措置法の問題でございます。これはお答えを願わなくてもよろしゅうございますから。先ほど理事会で私から各党にお願いしまして、ほぼ私の希望を満たしていただけるような雰囲気で大変ありがたいと思いますが、いわゆる安楽死問題でございます。
 安楽死について、日本安楽死協会の草案が出てまいりました。これに対して、水上勉さんを初め反対の意見が出ておるわけであります。本委員会で二回にわたって私が質問をいたしましたところ、伊藤刑事局長から、親殺しが毎年あるのだから、法案そのものよりもむしろ現実的な問題の処理をせざるを得ない条件下にある、そして判決の積み重ねを注目いたしておるというお話がございました。私は、法案を急いで国会に提案するという気持ちは必ずしもございませんけれども、少なくとも現実社会において現実に親殺しがあるという問題について、私どもがいつまでも放置することはできない。
 ですから、法務省として協会の草案について不日御意見をいただきたいこと、委員長には、この安楽死協会及び水上勉さんを初め反対論者を参考人として、不日ここへ呼んでいただきたいというお願いがございますが、いかがでございましょうか。
#30
○佐藤委員長 先ほどの理事会でお諮りしまして決定したとおりに、今後、御意思に沿って参考人として本委員会に出席を求めて審議をする、こういうことにいたしたいと思います。
#31
○横山委員 ありがとうございました。
 最後に、法務大臣に大須事件について要望をいたしたいと思います。
 御存じのように大須事件は、二十数年の裁判を経て、いま五人の被告が刑務所に入っております。刑務所の服役状況を聞きますと、政府筋の報告を聞きましても、非常にまじめな服役態度であると私も報告を受けました。大変結構だと思います。二十数年裁判をやりながら、社会人としてそれぞれ企業に、それぞれいろいろな活動に従事をしてきた人であるから、普通にやっておっても当然のことだと思うわけであります。家族そのほか従業員等の気持ちを考えますと、なるべく速やかに――法務大臣の裁量とばかりいきますまい。法制審議会やあるいは矯正局、刑務所等の意見も聞かなければなりませんけれども、なるべく速やかに仮釈放をするように関係者の配意を望みたいと思いますが、いかがでございましょう。
#32
○古井国務大臣 大須事件、いまおっしゃったように、五人ともまじめに服役をしておるように聞いております。それから仮釈放はなるべく早いことできないか、この御意見もごもっともでありますけれども、私の考え違いしているかもしれませんが、いかんせん、いまの制度では何か刑期の三分の一か何かは済まない者には扱いがつかぬ、こういうふうになっているかのようでありますので、それがあります限り、ちょっといますぐやってしまえるというわけにもいかぬと思いますので、そこは了としていただいて、できる時期になっての問題にさせていただきたいと思います。
#33
○横山委員 私も、刑期の三分の一問題は了承の上でお願いをしておるわけでございますから、その点お含みの上、善処をお願いしたい、こういうことでございます。
 質問を終わります。
#34
○佐藤委員長 西宮弘君。
#35
○西宮委員 私は、ただいま提案されております裁判官の定員法について、もっぱらお尋ねしたいのでありますが、きょうどういう質問をするかということで係の方が私の意見を、いわゆる取材に来られたのですかな、そのとき、法務大臣にはどういうことを答弁させるのか、そこを特に明確にしてくれというお話であったので、そのことは明瞭にお話しいたしました。そうして、この前の質問で十分そういう連絡がなかったので大臣が大変迷惑した、これは大臣が言っておるのか、そういうふうに観測したというのかわかりませんけれども、私のこの前の質問で大臣がそう迷惑するようなこともなかったろうし、大臣が困るようなことはなかったろうし、第一、いやしくも古井法務大臣ともあろう人が私みたいなチンピラの質問で困るなんということは、およそ想像もできないことなんです。
 ただ、いろいろ考えてみると、やや思い当たるのは、例のせっかく政府が提案している賄賂罪の刑法の改正ですね。あの問題について、これをこの国会で成立させるのかどうかという質問を繰り返ししたときに、繰り返し御答弁があって、何となく歯切れの悪い答弁だったわけですね。それで同じことを繰り返し私も聞かざるを得なかったし、大臣も答えざるを得なかったということで、大変迷惑したということなら、そういうことかもしれないと想像したのですけれども、そういうことで何も答弁にお困りになるような問題では全くないと私は思うので、あれは政府が出している案なんですから、政府としてはぜひあれを通してもらいたい、これを明確に政府の方針としてここでもう一遍言明されること、それから同時に、これが進行しないのは古井さんが所属しておられる自民党の中にそれを延ばしている要素があるわけですから、これは自民党の一員として、あるいはまた閣僚の一人として、ぜひあれは自民党を説得しても通させる、こういう態度を示すべきだと思うのです。だから、これはきわめて簡単明瞭だと思うのです。
 その二点だけ、この前みたいに長くならないように簡単に答えてください。
#36
○古井国務大臣 歯切れが悪いようにお聞きになったようですけれども、悪くはなかったつもりでおったのでありまして、いま出しております法律は出しておるというだけでなしに、いまぶつかっておる問題の後に続く再発防止などの観点からも大切な問題だと思っておるのです。それはそういうふうに申し上げたつもりだし、きょうも繰り返して申し上げておきます。
 それだけ言っておけば歯切れがいいとおっしゃるのでしょうが、ただ、言いわけじゃありませんけれども、それはそうだけれども、きょうのぶつかっておる問題に対する観点が、あなたと私とちょっと違うという点があるのだろうと思うのです。それだけの問題に考えるか、もっと面の広い問題として、再発防止ということを考えなければ実効がないというふうに考えるか、その観点が少し違うのじゃないかと私は思うのですよ。あれを万能こうみたいに考えるか、もっと広い面で考えるかというところがある。私は広い面で考えなければいかぬと思っておりますので、言わない方がよかったのですけれども、申し上げておきたいと思います。
#37
○西宮委員 きょうの本論ではありませんからこれ以上繰り返しませんが、少なくとも二年前から政府が出しておる法律ですから、これを通すために全力を挙げる、そういう決意を簡単に述べてもらいたいと私は考えるのだが、前回も何かいろいろ尾ひれがつくものだから、何となく歯切れが悪いと私は感じたのだけれども、大臣は決して歯切れが悪いのじゃないのだというお答えですから、この問題はこれで終わりにいたします。
 裁判官の定数の問題についてお尋ねをするのでありますが、ちょっと関連をして法務省の刑事局長にお尋ねをしたいのです。
 つい最近の新聞に、人物紹介としてあなたのことが載っておって、その中にある言葉に「一時期、非常に検事が不足、地方の幹部要員が足りず、」云々、東京地検がこれこれとかいろいろ書いてあるわけです。検事の場合、これは一時期とあるから、いまではそうでないのだということかもしれませんけれども、定数は十分満足する状態にあるわけですか。
#38
○伊藤(榮)政府委員 昭和五十三年度におきます検察官の定員は、検事が一千百七十三人、副検事が九百十九人でございます。
 このうちの検事の定員は、従来、ここ十年ばかり変わっておりませんでしたが、いまから十年ぐらい前を振り返ってみますと、司法修習生からの検察官志望者が必ずしも多くない時期がございまして、そのころの採用が比較的少なかったということを私も新聞記者の方のインタビューに答えて申し上げたわけでございます。最近はおかげさまで検察官志望者も大変ふえてまいりまして、実はただいま国会で御審議いただいております昭和五十四年度の予算案で、十年ぶりに検事八人の増員を組んでいただいておるわけでございますが、この増員がございませんと、この四月に修習生を終了する者からの検事希望者全員を受け入れることができないぐらいにきっちりと検事の充員ができております。もっとも沖繩地区におきましては欠員がございますけれども、それを除きましては、いま申し上げるような状況でございます。
 さて、この検事千百七十三人が満杯になれば、これで十分かと申しますと、私どもは必ずしもそうは思っておりません。最近における犯罪の複雑困難性とか、あるいは事件の数も総体的にはふえておりますので、やはり一線検事には相当な負担過重を強いておりますので、今後、検事の給源からの採用可能数等をにらみながら、ここ当分の間検事の増員というものをお願いしていかなければならぬのじゃないか、かように思っている次第でございます。
#39
○西宮委員 新聞に出ておったのですけれども、東京地検の立会検事の数をふやさなくちゃならぬ、これが果たしてふえるかふえないかということが、今度のグラマン事件解明についての検察陣としての姿勢の見どころだというふうに書いている新聞があったわけですけれども、その点はどういう見通しですか。
#40
○伊藤(榮)政府委員 検察庁は全国に地方検察庁だけで五十あるわけでございますが、この五十の検察庁にそれぞれ検事を配置しておって、一応の定員が決めてあったわけでございますが、最近のいろいろな事件の受理状況その他を勘案いたしまして、この三月末の検事の異動におきまして全国的な検事の定員の再配分をいたしまして、繁忙なところには繁忙なように重点的に検事を配置する、久しぶりに定員の配置のやりかえをいたしました。
 そういう間におきまして、東京地検でいまやっております特殊事件要員というものは、全国その余四十九の検察庁の負担において積み増しをして対処する、こういうことでやっております。
#41
○西宮委員 わかりました。いわめるグラマン問題に対処する検察陣としての姿勢がそこにうかがえるということで、了解をいたします。
 ついでで恐縮ですが、きのうきょうあたりに、また有森氏の名前がちょいちょい出ておるので一言だけ、これは直接には警察だと思いますけれども、あの人は何か非常に自分の身辺の危機を感じておるという話なんだけれども、そういう心配はないのかどうか、あるいは本人は第一何におびえているのか、ちょっと一言だけ聞かせてください。
#42
○伊藤(榮)政府委員 これは警察関係者からの伝聞でございますが、御本人は何におびえているかということはおっしゃいませんけれども、何か大変生命、身体の危険を感じておられる、そこで警察に対して保護してくれというお申し出があって、現在警察で二十四時間いつでも保護できる態勢をとっておるそうでございます。ただ、警察当局者の話によりますと、現実に何らかの危険が切迫しておる、そういう客観情勢は警察としては認めていない、こういうことのようでございます。
#43
○西宮委員 最高裁にお尋ねをいたしますが、いま法務省の刑事局長が検察陣の問題について答弁になったわけですけれども、最近は非常に複雑困難なケースが多くなってきた、したがって検察官の負担も大分過重になっているということでありますが、一体、裁判の件数はここ数年間どういうふうに動いているのか、第一減っているのかふえているのか、そして、その内容はいま刑事局長が言われたと同じような、そういう傾向をたどっておるかどうかということをちょっと答えてください。
#44
○大西最高裁判所長官代理者 まず事件の件数の関係でございますが、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案関係資料というのがお手元にいっておると存じますが、その二十一ページから二十三ページあたりまでに高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所の民事、刑事、それぞれの事件数を書きまして差し上げてございます。
 これをごらんいただきましておわかりいただけると存じますが、民事事件、刑事事件とも、これは最近の三年間を書いてございますが、次第に事件の数がふえつつある、そういう傾向でございます。一方、事件の質でございますが、これも民事事件、刑事事件とも次第に複雑困難な事件がふえつつある、こういうふうに申せるかと存じます。
#45
○西宮委員 もしいまの御答弁のとおりだとすれば、最高裁が定数増を要求している要求の仕方がちょっと問題じゃないかと私は思うのですね。
 この間、昭和五十年から五十四年まで、ことしも入れて過去五年間の数字を発表してもらったのだけれども、それによると、今日までいわゆる増員してきたもの、これは純増ではなしに、それで見るのが正しいと思うので、純増ではなしに増員の方を見ると、去年まで、昭和五十年から五十三年までに二百四十四名ふえているわけです。増員になったわけですね。昭和五十年の要求定数が四百四十六名であったわけです。それに比べて、今日まで充足されてきたのが二百四十四名だ、そういうことになれば、当然ことしは二百二名要求しなければ昭和五十年当時の要求数にも達しない、こういうことですね。
 大蔵省の方で査定されて実際に減ってしまったというような、財政関係で減らされたのなら仕方がないとしても、そもそも要求する側で、昭和五十年をベースにして本来ならば二百二名要求しなければならぬところを百十三名、半分程度に減らして要求しておるという姿勢が問題だと思うのですね。どういうことなんですかな、私は昭和五十年をベースにして物を言っておるわけだけれども。ところが、いまお話しのように、最近事件の件数はふえている、質は大変複雑になってきているということなら、ますます足りなくなるというのはあたりまえだと思うのだけれども、要求がすでに大幅にダウンしているというのはまことにおかしいと思う。どういうわけですか。
#46
○大西最高裁判所長官代理者 裁判所は毎年八月末日に概算要求を提出するわけでございますが、その時点におきましては、事件数の増加傾向、減少傾向それぞれ将来の見込みを立てるわけでございます。それとともに、裁判所の職員、特に裁判官の場合は給源に限りがあるわけでございますから、その給源等をも勘案いたしまして、いわば理想的な状況と申しますか、そういうものを設定いたしまして、予算の要求をするわけでございます。
 八月末日と申しましても、実際の作業はもっと前に始まっておるわけでございまして、そのときの時点での理想的な形態を描きまして予算要求をするわけでございますが、毎年、実際に最終的な予算折衝が行われるのは十二月末、場合によっては一月になるということもあるわけでございますが、そこら辺になりますと、翌年の事件の状況というものも、当初の見込みとは若干違う場合もございますし、特に申し上げれば、裁判官の充員状況がどうかということが、夏以後の退官状況あるいは新しく裁判官になってくる希望者の状況等が明らかになってくるわけでございまして、結局は、そういう最終的な時点におきます充員可能な形ということで、実際に定員法に上がってまいります人員の要求ということに落ちつくわけでございます。
 先ほど、五十年の当初要求人員から、実際にその後の増加人員を差し引いた数にまだ差があるじゃないかというお話、まことにそのとおりでございますが、そういうことで理想的な形と、現実に空っぽの定員ではやむを得ない、しようがないものですから、現実に充員が可能な人員ということとの差がそこら辺に出てくる、簡単に申し上げればそういうことになるわけでございます。
#47
○西宮委員 見通しを誤ったり、あるいはまた充員ができないというような実情があってやむを得ないのだということなら、いわばこれはそういう意味では、最高裁総務局として大変な手落ちだと思うのですね。必要な裁判官を補充していかなければ、当然第一線は非常に困るわけですから、私はそういう点で、現実にとにかく第一線の裁判官は非常に困難になっていると思うのですね。
 ところが、私は、いろいろ裁判官の意見を述べているものを若干拾い読みしたのでありますけれども、大変に困っているということを述べているわけですね。これは昭和四十九年二月十日に日本都市センターで行われた全国裁判官懇話会というものの記録でして、東京高裁の三井明裁判官が報告をして、それに対してみんなが意見を述べているわけですね。それを読むと、一々朗読をしませんけれども、数が足らなくて大変困るということをこもごも訴えているわけですね。訴えているのだけれども、ただし、その訴えている人たちは自分の名前を出してないわけですよ。A、B、Cというので名前を表示をしている。これは「判例時報」に載っているのですから、決してインチキなものではない。そのA裁判官、B裁判官というのは明らかに実在する裁判官だと思うのだけれども、その名前を載せない。
 ここに、この間もちょっと申し上げた「ある裁判官の回想記」というのを見ると、これは浦辺衛さんですが、「いま、裁判官の数を見ると、戦前には一五四八名であったものが、戦後二六九六名に増加した。しかし裁判官の仕事の量と質の増大とを考えると、裁判官の数は決して多いとはいえない。これを外国の裁判官の数と比較してみると、明らかである。」ということで、裁判官一人当たりの国民の人口が、わが国は実に四万四百二十一名ということで、フランスの二分の一、英国の五分の一、米国及び西ドイツの八分の一、こういうことを言って、「右のような裁判官数の現状と事件の増加とを対比すると、わが国の裁判官がいかに負担過重であるかが分ると思う。」というようなことを書いているわけですね。この書物が出たのは一年ちょっと前ですから、決して古いことを言っているのではないと思う。
 しかし、こういうふうにやめたら発言するとか、あるいは現職の場合には、発言するときにはA、B、Cで言うとか、こういうのはどういう裁判官の気持ちなんでしょうね。何かそういうことを言うと覚えがめでたくなくなるというようなことを懸念するのでしょうかね。どういうわけでしょう。
#48
○勝見最高裁判所長官代理者 私ども裁判所の中にいる者といたしまして、裁判官を初めとする部内職員のそういう意見の表明について、何か足かせといいますか、そういうものがあるように言われておりますけれども、私どもといたしましては、戦前から裁判所の部内というものは非常に自由濶達なところでございまして、最高裁事務当局がいわばそういう意見を抑えつけているというようなことは、さらさらないというふうに信じております。
 なお、懇話会における発言につきまして、A、B、Cという匿名で記載されていることにつきましては、私どもとしては、なぜそうなのか、むしろ理解いたしかねるところでございます。
#49
○西宮委員 そういう締めつけなどは一切やっていないという話ですが、恐らくそうだろうと思う。しかし、そういう雰囲気をつくり上げているのではないかということを私は非常に心配する。
 いまのA、B、Cで意見を述べているものですね、それにも横田正俊さん、これは裁判官の大先輩ですが、この人が最後に締めくくっているわけですが、それなどを見ても、言いたいことがあったらどんどん言いなさい、言うことによって司法部はりっぱになるんだ、だから率直に意見を述べるということが一番大事なんだということを言っているのだけれども、続いてこの人は、「この考え方こそがこの会の」この会というのは懇話会ですね、懇話会の「使命である。この会に出て来て何か言ったら何かまずいことになるんじゃないかと考えて来ない人もあるようですね。」こういうことを言っているわけです。だから、こういうところに出ると何かにらまれるのじゃないかというような気持ちでいるわけですね。私は、そういう雰囲気を醸し出しているのじゃないかということが一番重大問題だというふうに考える。
 しかし私は、いまこのことを繰り返しても、恐らく同じ答弁しかもらえないと思うので繰り返しませんが、たとえばこの前、札幌の高裁長官でやめた横川さんでしたか、あの人が退官間近に雑誌に最高裁を批判するような意見を述べましたね。ああいうのはどういうふうにごらんになるのですか。私は、恐らくこれもまた、ここで質問したら、いまと同じような答弁しかもらえないと思うのだけれども、あの横川さんがやめると、その次の札幌の高裁長官は最高裁を絶賛しているわけですね。あんなのを見ていると、いま私が申し上げたことが、現実にそういう雰囲気がどこかにあるのじゃないかということを感じざるを得ないのですけれども、それはどういうわけですか。
#50
○勝見最高裁判所長官代理者 横川元札幌高裁長官の論説に対しましては、前国会のときに私どもの牧事務総長からもお答え申し上げているとおりでございますが、先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、戦前から裁判所部内には自由濶達な雰囲気があった、戦後も決して変わっていない、もし御指摘のようなことがあれば、そういうことがあってはならないと考えております。なお、その後の駒田高等裁判所長官の発言が最高裁を絶賛しているとおっしゃいましたけれども、その点はそれぞれの見方があろうかと私どもは考えております。
#51
○西宮委員 いま私が読み上げたA、B、C匿名懇話会は昭和四十九年でありますが、その四十九年当時、数が足りなくて非常に困るということを匿名の裁判官はみんなこもごも訴えているわけです。したがって、恐らくそれを受けて――受けてというか、何もこれを受けたわけじゃないだろうけれども、そういう状況のもとで、昭和五十年の要求は裁判官以外も含めて四百四十六名という要求をしたわけです。ところがさっき申し上げたように、その時点ですでにみんな第一線の裁判官は困っている。そういうときに、それ以後さらに事件の件数はふえ、あるいは質は複雑になってきているというにもかかわらず、要求する人員をダウンしている。こういうことは私どもには、司法当局の姿勢としてどうしても理解できない。
 それでは、裁判官がいない裁判所は幾つありますか。
#52
○大西最高裁判所長官代理者 裁判官がいない裁判所といたしましては、本庁ではもちろんそういうところはございませんが、地方裁判所、家庭裁判所の支部、簡易裁判所等で裁判官が常駐していない、全然いないというわけではございませんが、常駐していないところはございます。およその数は地、家裁支部では九十数カ所あったと存じますが、簡易裁判所では約百五十庁ぐらいあると存じます。
#53
○西宮委員 これが地方の住民にとっては大変な不便を感じているわけです。そういうことで常駐していないから、特に急ぐ事件などは、仮差し押えとか仮処分とか証拠の保全とか保釈、勾留の執行停止とか、時間を争うというような問題があるのだけれども、そういうのはこの次裁判官が来るまで待っていなければならぬということで、現場では非常に不便だということがあるし、あるいはまた、せっかく裁判官がその期日にやってきても、遠いところから時間をかけてやってくるわけですから、来てから書類を読んでいたり、帰りはまた時間が遅くなると大変だから帰りを急ぐということで、中途半端にして、また次に延ばしてしまうというようなことが現に行われているわけです。
 そういう点で、私は、しばしば裁判所にいろいろ厄介にならなければならぬという人たちから、そういう不満を聞くのだけれども、そういうのを少なくとも充足をするように、そのためにこそ定数の確保が当然図られなければならぬと思うのだけれども、その常駐していない裁判所をだんだん解消していくという計画なり、あるいは実情なりはどういう状況にあるのですか。
#54
○大西最高裁判所長官代理者 裁判官の常駐しておりません裁判所の事務量でございますが、どの程度の事件があるかということでございますが、簡易裁判所に例をとって申し上げますと、先ほど約百五十庁ぐらい常駐していないと申し上げましたが、その半数以上のところは、普通の簡易裁判所の事務量を一といたしますと十分の一、一割にも充たないところでございます。これを仮に二割程度の事務量があるというところをとってみますと、常駐しておりません簡易裁判所の九割以上は、二割以下の仕事しかないというふうな実情でございます。平生の事務処理といたしましては、およそ週三回とか二回とか一回とかいうふうに定期的に日を決めまして、最寄りの簡易裁判所等からてん補いたしまして、事務処理をしておるわけでございます。
 ただ、いま御指摘になりましたように、仮処分、保全保分といった事件、それから令状といったような緊急を要する事件につきましては、必ずしもそういう定期的なてん補ということにこだわりませんで、真に緊急を要する場合には直ちにそこへ赴きますとか、あるいは書面審理で足りる場合は申し立て書等を書記官が隣の簡易裁判所に持ってまいりまして、裁判官の判断を受けて決定をするというふうなこともやっておるわけでございまして、それでは全国に絶対そういう御迷惑をかけた例がないかと言われますと、それは必ずしもそうでもないかもしれませんが、私どもとしては、国民の皆様方には御迷惑をかけないように、特に緊急事件の処理については、真に必要なものについては緊急に処理をするようということは十分言っておるわけでございまして、今後もその点の努力は続けたいと考えておるわけでございます。
 なお、不在庁を減らす計画があるかどうかということでございますが、これは現在の時点といたしましては、先ほど申しましたように事件数が非常に少ないわけでございます。それこそ現在の定員内におきましては、全体の一割ぐらいしか事件がないような裁判所にも一人置くということになりますと、勢いほかの裁判所に対するしわ寄せという問題もございますし、それから、そもそもそういう裁判所は事件が今後ふえる見込みがなかなか少ないところが多うございます。事件でも多少ふえてくれば、それはそれでまた考えられるわけでございますが、地方によってはますます、一割よりももっともっと減っていくという地方もかなりあるわけでございまして、私どもとしては、まだまだ情勢の推移を見ませんことには、不在庁を減らしていくというふうにいま直ちにはいかないというのが現状でございます。
#55
○西宮委員 裁判官の数が足りないと勢い負担が過重になる。したがって非常に拙速主義になるとか、そういうことも当然考えられると思います。あるいはまた、いわゆる職権主義を露骨に出してくるというようなことだって当然あると思うのです。そういうことで裁判官が非常に感情的になってしまう、こういう訴えも聞くわけです。物を言おうと思ってもなかなか言えないように、裁判官に非常に感情的にやられてしまうというような訴えなども聞いているわけです。だから、これはその裁判官が悪いというよりも、むしろいま言ったように負担過重だというようなことからくるわけですから、そういうことにならせないためにも、私は、絶対に数の問題は考えなければならぬ重大な問題だということを強く指摘しておきたいのです。
 いま不在庁のことを言いましたけれども、そうでなしに、たとえば地裁などの例を見ても、刑事はもちろんいろいろ被疑者、被告人の身柄拘束という問題があるから、刑事の問題はそう大した時間はかからぬでしょうけれども、民事の場合だとずいぶん長い時間かかって、次の期日までに何カ月もかかる、あるいは証拠調べも三カ月も四カ月も先になるというようなことで、そのときになると、またいろいろ思わない支障が出てきたりして、それもまたお流れになってしまうということがあったりして大変な不便をしている、そういう例が多いようですね。
 もちろんそういう例でないものもあるでしょうけれども、そういう例が少なくないように思う。いま経済のテンポが大変早くなっている。ですから、そのときにそういう問題で争う民事関係がそう時間がかかっておったのでは、テンポの早いいまの経済にとても追いついていけないと思うのですね。そういう点はどうなんですか。
#56
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま民事訴訟が非常におくれているという御指摘、まことにそのとおりと存じます。ただ、審理期間で申しますと、この資料の二十四ページに出ておりますが、長いわけでございますが、たとえば地方裁判所について見ますと、昭和五十年の平均十六・一カ月が五十一年に十五・八、五十二年に十四・七というふうに、次第に状態は改善しつつあるわけでございまして、裁判官も一生懸命努力しておるわけでございます。
 ただ、この訴訟遅延の問題でございますが、これは裁判官の不足が原因ではないと申し上げるわけではございませんが、むしろそれ以上にいろいろな条件がふくそうしておるわけでございます。たとえば期日が先になるというふうなこともいま御指摘がございましたけれども、この期日一つをとってみましても、裁判所が当事者の意見も聞いて決めました期日が当事者の都合で流れる、変更が多いということも事実でございまして、結局、裁判官の増員以外に当事者の協力も含めましたいろいろな施策が必要なわけでございまして、裁判所といたしましては、そういうことも含めまして今後努力してまいりたいと考えております。
#57
○西宮委員 時間がありませんから終わりにいたしますが、いまの当事者の都合で流れるというのも、先が長いとよけい何か新しい障害が出てくるというようなことがあり得るわけですよ。もっと期日が近ければ、無理してもそこに合わせるということになるのだろうが、長くなるとますますそういう傾向が多くなる。したがって、いまのようなことはかえって増幅されているということになると思う。
 私は一言だけ言っておきたいのは、調停で片をつけるというのが非常に多くなっているわけですね。これは、言いかえれば裁判に対する不信だと思うのです。とにかく裁判にすると時間もかかるし金もかかる、だから調停にしたらどうですかというようなことは世間の常識になっているわけですね。それに円満に調停で解決するならば、むろんそれでも結構でしょうけれども、要するに、国民の側で調停に訴えざるを得ないというのは、言いかえれば裁判に対する不信だというふうに私どもは理解すべきだと思う。
 法務大臣にお聞きをすると通告しておいたのだが、いまの定数問題は、さっき申し上げたように、いまの状態ではもうとてもやれない、体が続かないというふうなことを裁判官自身が訴えているわけですよ。こういう状態を踏まえて、特に最高裁の場合は、大蔵省が査定して、こっちの要求どおりいかないという場合には、いわゆる二重予算を出すというような権限さえも持っているのですから、もっと強い姿勢で当たるべきだ。大臣いかがですか。それだけ答えていただいて終わりにします。
#58
○古井国務大臣 いまのごもっともなお話でありまして、まずもって裁判官が足るか足らぬかということは最高裁が責任を持って考えるべきことでありまして、それはたてまえでありますが、私どもも無関心でおられるどころの話ではありませんし、これは一緒に考えなければならぬ問題だと思っております。御了承願います。
 歯切れの悪いことは言わぬ方がいいのでありますが、数が大事であることは、これはまた足らないということも、どうも大局的に見てそうだと私は思うのです。ただ、有能な素質のいい人をそろえなければ、数だけそろえたってだめなんです。ゼロを何ぼ足してもゼロでして、素質のいいのをそろえるということも考えなければいかぬし、事務処理のやり方も改善をしていかないと、数だけでは解決にならぬというような面もありますので、あなたは非常に経験、知識は豊富でありますし、要するに目的は裁判が早くいくように、また裁判で物を処理して実力行使などでいかぬような、そういう社会にしたいのですから、そういう意味で、また少々歯切れの悪いことを言って悪いですけれども、お考え願って御指導願いたいと思います。
#59
○佐藤委員長 飯田忠雄君。
#60
○飯田委員 本日は法案審議の日でございますので、特に提出されました二つの法案に関連する問題についてお尋ねをいたします。
 まず最初に、この法案が法務省の方が原局として提出されておりますことは憲法上の要請であろうと思いますので、そのように理解いたしまするが、この内容を見ますと、内容は全部最高裁判所の所管に属する問題であるように思われます。
 そこで、こうした法案をおつくりになる場合に、最高裁判所だけでおつくりになって、法務省はトンネル機関になっているのか、それとも法務省と最高裁と両方で御審議になっておつくりになっておるのか、その点をお伺いいたします。
#61
○枇杷田政府委員 ただいまお話しのように、内容は裁判所のことになるわけでございますけれども、法案提出の関係で法務省が所管しているということはおっしゃるとおりでございます。その内容を決めます場合、あるいは法案を出すか出さないかというふうな関係につきましては、これは最高裁判所と私どもの方とで十分協議をいたしまして、そして、その内容につきましても十分打ち合わせを遂げた上で法案にまとめるという作業をやっております。
#62
○飯田委員 この法案の内容、管轄区域の方は論議するに当たらぬぐらい明確なものなんですが、定員法の場合になりますと、これはいささか論議になると思います。
 といいますのは、人数を決めるに当たりまして、最高裁判所の方はきわめて謙虚な態度で常におやりになる。遠慮に遠慮を重ねておやりになる傾向がどうもあるのですが、法務省の方では、こういう態度に対して、余り遠慮しなくてもいいからということでおやりになるような態度であるのかないのか、その点をお伺いします。
#63
○枇杷田政府委員 実際上の取り扱いといたしますと、最高裁判所の方が財政当局と折衝されまして決まった員数を法案として私どもの方で取りまとめるということが、定員法の作成の状況でございます。
 私どもといたしましては、ただいまも法務大臣から御答弁ありましたように、最高裁判所の定員の関係につきましては関心を持っておりますけれども、財政当局との折衝その他につきましては、悪い意味で介入するということもできませんので、側面的に精神的な関心は強く持っておりますけれども、法案作成の段階におきますと、もうすでに財政当局との間で決まった数を法案にあらわすというだけのことになりますので、その段階で私どもの方が、この数字が多いとか少ないとかという段階は過ぎてしまっておるというのが実情でございます。
#64
○飯田委員 一応この法案にあらわれております数字がどうこうということを抜きますれば、この二つの法案は至って簡単明瞭な内容でございますので、これ自身について、私は人数以外の問題についてクレームをつける意思はございません。
 そこで、この問題に関連した事項につきまして、少しくお伺いいたしたいと思うわけでございます。特に管轄区域に関する問題についてお尋ねをいたします。
 簡易裁判所の数は、資料を見ましたがわかりませんが、人の話によりますと五百七十五ある、こういう話を聞いておりますが、これは事実であるかどうか。それから、それはどのような分布状況になっておるか、お尋ねいたします。
#65
○大西最高裁判所長官代理者 簡易裁判所の数でございますが、ただいま御指摘のとおり、全国で五百七十五ございます。分布状況という御趣旨がちょっとよくわかりませんが、地方裁判所の本庁というのが五十ございますが、それと同じ場所にやはり五十簡易裁判所がございます。それから、地方裁判所の支部が全国に二百四十ちょっとばかりございますが、そこにもある。五百七十五のうち、いまの五十と二百四十幾つを差し引きました簡易裁判所が簡易裁判所だけ独立に、私どもの方では独立簡裁というふうに便宜呼んでおりますが、独立して簡易裁判所がある、それが全国に散らばっておる、そういう関係に相なっておるわけでございます。
#66
○飯田委員 簡易裁判所には所在地と管轄区域とございますが、管轄区域をお決めになるに当たりまして、どういう条件で決められるのか、お尋ねするわけです。非常に狭い管轄区域のところと広い管轄区域のところがありますが、これはどういうわけでそういうことになるのでしょうか、お尋ねいたします。
#67
○枇杷田政府委員 明確な原則みたいなものを私どもが内規的に持っているわけではございませんけれども、管轄区域の広さ、それから人口、それからまた事件の頻度と申しますか、そういうものを総合して管轄区域を定める。もちろん、その管轄区域の基準になるところはなるべく行政区画と合わす。市町村を半分ずつというふうなやり方はしないで、できるだけ市町村はまとまって一つの簡易裁判所の管轄にするというふうな観点で、大ざっぱに申しますと簡易裁判所の管轄区域というものを考えておるわけでございます。
#68
○飯田委員 簡易裁判所をおつくりになった御趣旨なのですが、地方裁判所の下に簡易裁判所をおつくりになったというのは、どういうような御趣旨でおつくりになったのでしょうか。
#69
○枇杷田政府委員 平たく申し上げますと、市民が日常に起きるような細かい事件も含めまして裁判所に気軽に行ける、そういう市民のための裁判所というふうな考え方で、従前の、戦前の区裁判所とは違った色彩を持たせた裁判所を全国に置こうというのが、簡単に言えば簡易裁判所をつくった趣旨であろうと思っております。
#70
○飯田委員 国民の、市民の便宜を計らって簡易裁判所というものを設けた、小さな簡単な事件においてはできるだけ近くのところで済むように、こういう御趣旨でおつくりになったというふうに受け取ったのですが、もしそうであるといたしますと、市民の交通の便、足の問題距離という問題が非常に問題ではないか。置かれておる場所から管轄区域の端っこまで至る距離がどのくらいあるかという問題、これが非常に問題になるというふうに考えますが、その点についての御考慮はなさっておるでしょうか。
#71
○枇杷田政府委員 もちろん、そういう非常に長時間あるいは何日もかかるところから裁判所に来なければならぬということがないようにということは、管轄区域を定める場合に配慮いたしておるわけでございますけれども、そうかと申しまして、実際問題として余りにも人口の少ないところ、事件も現実問題として余り出ないところまで、全部それを考慮に入れるということはできませんので、ある程度のところでしんぼうしなければならないということは出てまいりますが、考える要素としては、交通機関とかあるいはその交通機関を利用するための時間とかいうふうなことは、当然考慮に入れておるつもりでございます。
#72
○飯田委員 いま大体の原則をお伺いしましたが、こういう問題につきまして法案をおつくりになるときに、法務省の方でも裁判所と一緒になってぜひ重大な関心を持っていただきたい。お願いしたいと思います。これは後でまた関連しますので御質問いたしますが、質問の内容を変えます。
 家事調停事件というのが家庭裁判所にございます。それから簡裁の民事調停事件というものがございますが、こういうものは過去十年間大体どのような発生状況になっておるのか、その増減ですね。もし、それが増加したというのならば増加した理由があるはずです。減少したならば減少した理由があるはずですが、その理由はどういうものとお考えになっておりますか、お伺いいたします。
#73
○大西最高裁判所長官代理者 まず家事調停事件から申し上げますと、十年前の四十三年をとってみますと、四十三年は六万十五件でございまして、その後次第にふえてまいりまして、昭和五十二年をとってみますと八万一千三百三十件ということになっております。
 次に民事調停でございますが、民事調停は実は昭和三十年ごろがピークでございまして、だんだん減ってまいりました。四十三年までずっと減ってきたわけでございますが、四十三年で五万四千三百二十三件でございます。その後も実は非常に減ってまいりまして、昭和四十九年が一番減ったところでございますが、四万三千件弱でございます。それが最低で、その後少しずつふえ始めまして、昭和五十二年をとってみますと六万六千八百件というふうになっておるわけでございます。
 この増減の理由でございますが、家事の関係は、これは大体ずっとふえてきておるというふうに申し上げていいかと存じます。これはいろいろな理由があるかと思いますけれども、主なる理由としては、やはり戦後の家族関係が核家族化したということがございましょう。そういう関係での家族関係の変化と申しますか、そういうものがあると存じますし、それとともに、国民全体の権利意識というものが発達してきたことも一つの原因ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
 民事調停の方は、先ほど訴訟がおくれるから民事調停に走るというお話もあったわけでございますが、実は逆にずっと減ってまいっております。ちょっと理由がよくわからなかったわけでございますが、四十九年を境としましてふえましたのは、御承知の昭和四十九年に民事調停、家事調停もそうでございますが、調停制度が大幅に改正になりまして、調停制度全般にわたる改善が図られたということが一つの大きな理由ではないかというふうに、私どもとしては考えておるわけでございます。
#74
○飯田委員 簡易裁判所の定員の問題につきましては同僚委員から質問したと思いますけれども、この資料によりますと、定員が七百七十九、現在員が七百五十一、欠員二十八、こうありますね。こういうような事態が生じましたのは、そういう簡裁の判事になれるような資格者が少ないから、こういうことになったのか、あるいはそうじゃないのか、いろいろ理由があると思いますが、これはどういうわけでしょうか。
#75
○大西最高裁判所長官代理者 簡裁判事の欠員、ただいま御指摘のように二十八という数字が資料に出ておりますが、これは昭和五十三年十二月一日現在のものでございます。
 簡易裁判所の判事の任用資格は、御承知と存じますが、判事補、検事、弁護士等を三年以上やったというのが一つの資格でございますが、それ以外に裁判所法で簡裁判事の選考任用というものが認められておりまして、徳望、良識のある人で特別に任用することができるという制度がございます。実は毎年春に判事補等からの簡易裁判所判事の任用がございますし、夏ごろに選考任用というものがございます。言ってみますと、夏ごろに現在員といたしましてはいわばピークの状態に達するわけでございまして、その時点においては毎年ほぼ充足されておるということでございます。その後、次第に定年退官その他ございまして減ってまいりまして、十二月には二十八の欠員、まだまだこれからしばらく少し減るという状況がございますが、年間を通じまして、ピーク時においては大体充足されておるという状況でございます。
#76
○飯田委員 簡裁の新受件数、これまた資料によりますと昭和五十二年度で約二百九十万件、こうなっております。そして、この二百九十万件を定員の七百七十九で割りますと、相当数の一人当たりの件数になるのですが、こういうような状態で十分だというふうにお考えなのでしょうか、お尋ねいたします。
#77
○大西最高裁判所長官代理者 簡易裁判所の民事、刑事の事件数は、全体で昭和五十二年で約二百九十万件というのは御指摘のとおりでございます。資料に内訳が出ておりますように、いろいろな事件があるわけでございます。
 ただ、簡易裁判所で中心をなします事件と申しますのはやはり民事、刑事の訴訟事件でございまして、五十二年で見ますと、民事では六万一千何百件、それから刑事が三万一千数百件ということになっておりまして、これが中心でございます。二百九十万件の大多数を占めますのが道路交通法違反の略式命令でございまして、これが約二百二十万件近くあるわけでございまして、この二百二十万件の道交法事件、交通切符というのは、御承知と存じますけれども、非常に定型的なものでございまして、実際上それほど時間がかかるものでもございません。
 そういう意味で、全体として簡易裁判所の判事がこれで足りるかどうかということにつきましては、いろいろ議論があろうかと存じますが、ただ、訴訟事件だけをとってみますと、過去に比べて必ずしもそう負担がふえておるわけではございませんで、むしろ民事の方の訴訟の管轄が、地方裁判所と簡易裁判所との分配が、最近の経済情勢から見まして、だんだん地方裁判所へたくさん事件がいくようになって、簡易裁判所へいく事件数が減ってくるということもございまして、相対的に見ますと、地方裁判所の負担はふえておるというふうに申せても、簡易裁判所の方は必ずしもそう負担がふえておるとは言えないという状況にあるわけでございまして、むしろ、そういう関係での地方裁判所と簡易裁判所の民事事件の分配をどうするかということが一つの問題になってくるのではないかと考えておるような状況でございます。
#78
○飯田委員 民事調停の問題について少しお尋ねいたします。
 今日、経済力が非常に弱い一般庶民にとりましては、民事調停というのは非常に有用な制度になっております。民事裁判をやりますと、これは弁護士さんを雇わねばならぬし、金もかかるし、とかく弁護士さんのところは敷居が高いというわけで、一般庶民にとりましては大変苦痛に感ずる状況であります。したがって、民事調停であればもう少し気安くできるというわけで、最近では一般庶民が民事調停を願い出るというのが多くなってきておるのではないかと思うわけでございます。
 そこで、この簡裁の所在地とか管轄区域というものが重要になってくるわけです。簡易裁判所へ出てきまして民事調停をお願いするに当たりまして、管轄区域が狭ければこれはもう気安く行けるのですが、ずいぶん遠いところになりますと、自動車でも持っているような人はいいですけれども、自動車を買う力がないような者にとりましては大変な努力を必要とする。したがいまして、この管轄区域の広さというものは、余り広いのは実は困るわけでございます。事件数が少ないから管轄区域を広めておくのだということは、私は理由にならないと思うのです。事件数が多いところは定員を多くすればいい。事件数が少ない、多いの問題で管轄区域を決めるべきではない、私はこう考えているわけですが、こういう点についてはいかがお考えでしょうか。
#79
○大西最高裁判所長官代理者 簡易裁判所の管轄区域は、交通事情というものが重要であることは御指摘のとおりでございます。
 先ほども御指摘になりましたが、全国で五百七十五最初につくったわけでございますが、その当時も、それではどれだけつくればいいかということについては、物の本などを拝見いたしますと、いろいろな議論があったようでございますが、ただ、その当時と比較いたしますと、全国的に見て、交通事情はむしろ非常によくなってきておるわけでございまして、事件数が少なくて管轄区域が比較的広いというようなところもあるかもしれませんが、そういうところでも、管轄をしております当該簡易裁判所へ参りますのに、それほど当事者に不便をかけるところは次第になくなってきておるということだけは言えるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#80
○飯田委員 昔と比べて少しは交通事情がよくなった、こういうお話でございますが、もともと簡易裁判所の置き方がおかしいのじゃないか。それは、たまたま交通が便になったから、自動車を持っている人は楽になったというだけでございますが、今日たとえば人口五、六万の都市には簡易裁判所が置かれておるとは限りません。郡部と一緒にしてずいぶん遠いところに一つしかない、こういうところが多いわけですが、そういう状態を放置しておかれるということはどうかと思います。
 そこで、この簡易裁判所の判事さんの数がなかなか求め得ないというのであれば、私は、簡易裁判所の判事の任用よりももう少し程度を下げた簡易裁判所の判事補の制度をおつくりになったらどうかと考えるわけです。これは裁判所法にはありませんから立法問題です。調停事件というものにつきましては、それほど高度な裁判官の知識を要するというほどのものでもない場合もあるのです。ですから、一律には言えませんが、調停事件のむずかしいものは正式の判事さんにやってもらい、そうでもないものは判事補さんで事が足りるものはやれるというふうにしまして、支部を設けていただいたらどうか。人口五万程度のところ、十万程度のところ、いまないのですから、そういうところへ支部を設けていただけばずいぶん助かる、このように考えますが、こういうような点についてどうお考えでしょうか。
#81
○大西最高裁判所長官代理者 簡易裁判所支部を置くとすれば、それをも含めまして、そういう庁の数、庁数と申しますか、それがどの程度がいいかということは、先ほども申し上げておりますように、いろいろな意見があるだろうと存じます。
 確かに、国民の利便ということから考えますと、全国津々浦々にたくさん置けばいいということも、一方において考えられるわけでございますが、他方において、司法の効率的な運用と申しますか、そういう面から考えますと、余り事件がないところへ置くということはどうかということも、片方の意見としてあるわけでございます。現に、先ほどもちょっと他の委員からの御質問にお答え申し上げましたけれども、それこそ年間に調停事件が本当に一件か二件しかないという簡易裁判所もたくさんあるわけでございまして、それ以上にさらにまた置くということになりますと、実際問題として困る。
 簡易裁判所の判事の任用資格は、先ほども申し上げましたように、必ずしもそうむずかしいものではございませんで、実際それでは簡易裁判所判事をたくさん任用しようとする場合には、全然できないというわけのものではございません。任用しようとすればできるわけでございますが、ただ、そういう任用をいたしましても、それこそ現在でも、先ほど不在庁の問題も出ましたけれども、事件が少なくて実際仕事のないところへ、簡易裁判所判事を含めまして職員に行っていただくということは、他の面からの非常な隘路、たとえば人事上の隘路等もあるわけでございまして、なかなかそう簡単にいくわけのものでもございません。
 したがいまして、簡易裁判所判事補の問題でございますが、現在の地方裁判所、家庭裁判所の判事補と申しますのは、地方裁判所、家庭裁判所におります判事の任用資格が高いということで、それがなかなか埋まらないということとの関係で判事補が出てきたわけでございます。一方、簡易裁判所につきましては、ただいま申し上げましたように、簡易裁判所の判事の任用そのものは人がなかなか得られないというものでは必ずしもないけれども、また他方の考慮から、そういう者を選任してたくさん簡易裁判所を置くことがいいかどうかという面からの問題があるわけでございます。
#82
○飯田委員 今日、国民の法律に関する知識は思ったより低いのです。これは私の直接の経験ですが、私は地元で無料で法律の相談にあずかっておりますが、私が地元におる日は毎日五件から十件くらいあるのです。これはもう田舎の方から出て来られる、法律知識がわからないために。しかも、弁護士さんに相談すればいいのだけれども、お金がかかるというので弁護士さんを訪ねるのは何かこわい。それから裁判所へ行きましても、どうもまともに相談には乗ってくれないというわけで、私のところに来ますので、いろいろ教えて裁判所の方へ行くように勧めておるのです。
 こういう事態から考えましても、田舎の方の各市町村におきまして、そうした法律に関するちょっとした相談をしてくれるところが必要であろうと私は思います。今日、もちろん弁護士さんの方で無料相談所をつくりまして巡回してやっておられますけれども、これは月に一回とか二回、しかもその相談はきわめて形式的な相談でありまして、お金になるようなものは後から自分の事務所に来なさいという程度の相談でございます。それではちょっと庶民にとっては困るわけですね。この程度の事件は調停にした方がいいのかあるいは裁判にした方がいいのかという判定をしたり、あるいはこの程度のことならお互いに話し合えば済む、またこれは裁判に出してもだめですよという程度の知識を授けてやる相談所というものがやはり必要ではないか。
 そこで、簡易裁判所の任務の中にそういうものも含めていただくわけにはいかないか、そういうものを入れるということは、裁判所の任務に反するというふうにお考えなのかどうか、この点についてお伺いします。
#83
○大西最高裁判所長官代理者 いわゆる相談でございますが、相談を正式に裁判所の事務として取り入れるかどうかという御質問といたしますと、なかなかこれはいろいろ問題があるわけでございます。
 ただ、現状といたしまして、窓口の民主化と申しますか、そういうことは必要なことでございまして、たとえば簡易裁判所におきましては、窓口でそういう意味での相談ということになると乗っておるわけでございます。
 どういうことかと申しますと、調停はまず口頭で申し立てることができるわけでございますから、その口頭申し立ての受け付けをする。それから、本当の口頭ではなくても、いろいろな書式を整えておきまして、それに記入するという、私どもで準口頭の申し立てというように便宜呼んでおりますけれども、そういうことで申し立てが簡単にできるような便宜も図っておるわけでございます。そういう口頭申し立てであるとか準口頭申し立てであるとかいう申し立ての機会に、当事者から、いろいろ手続の進行のぐあいとか、あるいはどういう手続をやったらいいかというような相談が実際あるわけでございまして、そういう意味での一般的な相談には実際には応じておるわけでございます。
 ただ、先ほど正式に裁判所の事務としては問題があるというふうに申し上げましたが、これはやはり当事者の一方と話し合うことになりますので、たとえば内容などに入ることになりますと、裁判所に対する公平感を害するおそれがある。そういう意味では相談と申しましても、裁判所として実際にやります場合には非常にむずかしいわけでございまして、そこら辺のところをいろいろ考えながら、できる限りの便宜を図るというふうにやっておるところでございます。
#84
○飯田委員 いまの問題、裁判所としては、一方の利益、一方の言い分だけ聞くということになるので大変不都合が生ずるかもしれない、そういうことだと思いますが、それでは、法務省の方でこういう制度をおつくりになるということについてはいかがでしょうか。
#85
○枇杷田政府委員 私どもといたしましては、先ほど最高裁判所の方からお答えがございましたように、裁判所で実体についての相談をするというふうなことは問題であろうという意識を持っております。
 まず最初にやるべきことは、先ほどもお話ございましたけれども、弁護士会の方が各市町村その他のところへ出向いていって無料相談に応ずるというようなこともやっておりますけれども、それをもっと頻繁にやるべきではないかということで、日本弁護士連合会の方でもそういうふうな方針を打ち出しておられるようでございますし、私どもはまずそれに期待をいたしたいという考えでございます。
 その次に、全国に法務局がございまして、そこで人権擁護課を中心とした人権相談をしておるわけでございますが、実情といたしますと、そこで、人権問題ではございますけれども、法律問題が含まれるということがかなり多うございます。その際に、法務局という立場からいたしますと限度はございますけれども、なるべくその御相談に見えた方に御満足いくような法律相談を実質上やっておるわけでございます。
 そういう面を活用していただきまして、また人権擁護の関係ということで市町村の方にも相談所を開設したりいたしておりますので、そういうところを充実してやっていくということを考えておるわけでございます。
#86
○飯田委員 この法案に関しまして関連事項、以上のようにお尋ねしたのですが、こういう問題が現実にあるということは、この法案の管轄区域の問題には当然関連をしてくる問題でございます。
 そこで、いまこういうような私と事務当局とのやりとりを大臣聞いておっていただいたと思いますが、このやりとりから、大臣として、こういう問題についてはどういうふうにお考えになっているのか、その御所信を承りたいと思います。
#87
○古井国務大臣 お話の中に簡易裁判所の区域の問題がありましたり、またそのほかの話も入っておったようでありますが、何よりも実情に合わなければならぬわけでありますから、区域の問題なども大きにそうでありましょう。ただ、さっきも答えておりましたように、広い地区で人口は減ってしまっている。人口は少なくてもずっと設けていけば便利でしょうけれども、そういうことはとても成り立たぬ、こういうこともあったり、そうは考えながら、ある程度のところで考え方を折り合わなければならぬような面もあると思うのです。けれども、お話の辺はわれわれの方もひとつ一緒に重々検討したいと思います。
#88
○飯田委員 これで終わります。
#89
○佐藤委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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