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1978/05/08 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 法務委員会 第11号
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1978/05/08 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 法務委員会 第11号

#1
第087回国会 法務委員会 第11号
昭和五十四年五月八日(火曜日)
    午前十時四分開議
 出席委員
   委員長 佐藤 文生君
   理事 青木 正久君 理事 鳩山 邦夫君
   理事 濱野 清吾君 理事 山崎武三郎君
   理事 西宮  弘君 理事 横山 利秋君
   理事 沖本 泰幸君 理事 中村 正雄君
      篠田 弘作君    田中伊三次君
      二階堂 進君    福永 健司君
      村山 達雄君    稲葉 誠一君
      武藤 山治君    飯田 忠雄君
      長谷雄幸久君    正森 成二君
      加地  和君    阿部 昭吾君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 古井 喜實君
 出席政府委員
        内閣総理大臣官
        房管理室長   小野佐千夫君
        法務大臣官房長 前田  宏君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 枇杷田泰助君
        法務省民事局長 香川 保一君
        法務省刑事局長 伊藤 榮樹君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (日本土地家屋
        調査士会連合会
        会長)     多田 光吉君
        法務委員会調査
        室長      清水 達雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月八日
 辞任         補欠選任
  小林 正巳君     加地  和君
同日
 辞任         補欠選任
  加地  和君     小林 正巳君
    ―――――――――――――
五月四日
 国籍法の一部改正に関する請願外八件(土井た
 か子君紹介)(第三三四五号)
 刑事事件の公判の開廷についての暫定的特例を
 定める法律案反対に関する請願(西宮弘君紹介)
 (第三三四六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 土地家屋調査士法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第六五号)
 民法及び民法施行法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第六四号)
     ――――◇―――――
#2
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、土地家屋調査士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案審査のため、本日は、参考人として日本土地家屋調査士会連合会会長多田光吉君に御出席をいただいております。
 この際、多田参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。参考人におかれましては、本案について、そのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。
 次に、議事の順序について申し上げます。まず、多田参考人に御意見を十分程度取りまとめてお述べいただき、次に、委員からの質疑にお答えしていただきたいと存じます。
 それでは、多田参考人にお願いいたします。
#3
○多田参考人 ただいま御紹介をいただきました日本土地家屋調査士会連合会会長の多田光吉でございます。土地家屋調査士法の一部を改正する法律案につきまして御審議をいただいております衆議院法務委員会に、参考人として意見を述べる機会をいただきましたことを、本当に光栄に存ずるものでございます。
 まず初めに、法改正につきましての結論を申し上げてみたいと存じます。
 今般の土地家屋調査士法の一部を改正する法律案は、原案のとおり本国会において成立されますよう、特段の御配慮を賜りたくお願いを申し上げる次第でございます。
 土地家屋調査士法の一部を改正する法律案に賛成する理由と、これに対処してまいりました経過を述べ、御参考に供したいと存じます。
 土地家屋調査士制度は、御承知のように、不動産登記簿における不動産の表示の正確さを確保するため、その業務の適正を図ることを目的としております。したがいまして、表示に関する登記申請を土地家屋調査士、権利に関する登記申請を司法書士と、それぞれ両制度は、業務区分によりまして、その役割りが登記制度の円滑な運営を支える車の両輪の関係にあるとも言われておるものでございます。
 昨年、所管の法務省民事局から調査士会連合会に対し、司法書士法の一部を改正するに伴い、土地家屋調査士法も横並びに改正が必要であるということから、改正案が示されたわけでございますが、改正案によりますと、調査士資格の第三条に二号を新設して「法務局又は地方法務局において不動産の表示に関する登記の事務に従事した期間が通算して十年以上になる者であって、法務大臣が調査士の業務を行うのに必要な知識及び技能を有すると認めたもの」をして、いわゆる調査士の資格を特別認可によって与えるとしております。
 連合会はこの改正案に対し、法三条二号を除きその他の部分については、調査士会の自主的権限の強化と調査士制度の充実強化に最も必要なものと受けとめ、改正することに賛意を表したのでございます。その後、連合会の法改正に対する対応の不手ぎわから、結果において同法案が国会に上程されないことになりまして、会員の希望する改正がなされなかったわけでございます。
 このことから、連合会役員間に特認条項を含む改正案についての賛否両論がございまして、議論が続けられ、連合会本来の業務執行に大きく影響を来している現状から、このまま論争を続けることは全国一万八千名の会員の利益でないとの考えに立って、連合会本来の正常化を図り、法改正問題については再度法務省民事局との間に新たな問題として取り上げることとし、数次にわたり意見交換を行いまして、法務省民事局におかれては、表示登記事務処理体制の確立、表示登記事務担当者の養成、実地調査体制の強化、地図整備に関する問題等、一連の登記行政に対する積極的な姿勢が示され、さらに連合会の主張する要望、条件をも了解されたのであります。
 連合会は、表示登記制度の充実が調査士制度の発展につながるものであるとの見解から、法改正について二月十六日理事会に諮り、これに同意することを全員の賛成により決定をいたしました。四月六日第三十三回の臨時総会において、これが可決決定されたことをもって法務省民事局長に対し、意見を付して、今回の土地家屋調査士法の一部を改正する法律案をぜひとも今国会に提案されたい旨を要望したのでございます。
 こうしたことから連合会といたしましては、次の六項について要望をいたしておるものでございます。
 第一点といたしまして、新調査士法第三条二号による資格認定及び調査士試験制度の運用については、調査士業務に対し国民が制度の利用を容易にするとともに、調査士が品位保持と業務改善進歩に必要な経済的基盤の確立に適切な配慮をなし、社会的需要の範囲内で運用されることを希望をいたしております。
 第二点につきましては、不動産登記制度の適正な運用を図るために、不動産の表示登記制度の基本をなす不動産登記法第十七条地図を整備することが必要不可欠であると考え、予算措置を含めて効率的に施策を策定して実施されることを要望をいたしております。二の二といたしまして、不動産表示に関する登記事務処理の体制の充実強化を図るため機構の改善が必要であり、表示登記事務処理についてはその特殊性が技術を伴うものであることから、技術系の職員の配置を積極的に配慮されることをお願いしております。
 第三点、調査士業務が公共的性格を持つものであることから、調査士の申請事件については重ねて登記官が現地調査をなすことを省略し、表示登記事務処理の迅速化に活用する等有用な役割りを果たすことを考えております。
 第四点、調査士会が行う会員の研修は、会員が表示登記手続の専門家としての資質の向上を図るものでありまして、こうした研修事業には法務当局が積極的に協力されることをお願いしてございます。
 第五点、報酬について。調査士の報酬制度は会則の一部とされておりまして、法務大臣認可を必要とするものでございますが、報酬が、調査士の生計のみならず、取り扱い事件に関する責任保証、測量精度の保持等、その業務の実態に即した改善を図ることが必要であるといたしております。
 第六点、公共嘱託事件について。調査士に対する公共嘱託事件の委託については種々の隘路がありますが、まず法人格の取得を前提として、会則上に受託あっせんの規定を設けるよう、また、その報酬が大臣認可となっていることから、随意契約によることができるよう配慮されたいといたしております。
 以上、六点の要望を申し上げまして、連合会といたしましては、この実現方を御理解いただきたい、このように要請をしてあるわけでございます。何分にも御理解をいただきまして、本土地家屋調査士法の一部改正については特段の御配慮をお願いを申し上げる次第でございます。
 以上をもって終わります。
#4
○佐藤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎武三郎君。
#5
○山崎(武)委員 参考人には御苦労さまでございます。
 まず今回の法改正については、特に法務大臣による土地家屋調査士資格の認定制度について、調査士会内部に賛否両論の御意見があったようでございますが、最終的に調査士会が賛成するに至ったのは、この制度が表示登記制度の充実強化に資し、ひいては土地家屋調査士制度の充実強化につながるという高度な観点に基づくものと私どもは考えますが、いかがでしょうか。
#6
○多田参考人 お答えを申し上げます。
 そのとおりでございます。資格の認定制度は、反対を表明したことから拒絶反応があり、調査士会内部に賛否両論がありました。先ほど陳述の中で申し上げましたとおり、登記制度の充実が土地家屋調査士制度の充実発展にあることの理解から、表示登記事務処理に従事する職員と調査士との協調のもとに両制度の充実が図られることが必要である、こう理解されたことから賛成することになったわけでございます。
#7
○山崎(武)委員 法務大臣による資格認定制度については、この制度の導入もさることながら、これからの運用にこそ慎重な配慮を必要とすると考えます。
 この運用について、日本土地家屋調査士会連合会としてはどのような御意見を持っていらっしゃるか、お尋ね申し上げます。
#8
○多田参考人 お答えをいたします。
 法務大臣による資格認定制度の運用については、連合会といたしましては、これについて意見を述べ、会の意見を十分くみ取って、制度の発展につながる問題として慎重に配慮して、適正な運用がなされることを期待いたしております。
#9
○山崎(武)委員 表示登記は、権利の客体たる不動産を特定するためのものとしてきわめて重要なものでありますが、現状においては必ずしも十分なものとは言えません。これを改善するために、土地家屋調査士会としては、どのような方策をもって臨むのが必要とお考えになっていらっしゃるか、お尋ね申し上げます。
#10
○多田参考人 お答えをいたします。
 地図整備が最も重要な問題であり、早急に整備をすることが必要であると考えます。さらに登記事務処理に対しては、内部機構の充実に努力することによって、表示登記制度の充実を図ることを要望いたしております。表示登記制度を充実するためには、会員としての直覚による資質の向上が必要であって、これら研修事業に積極的に取り組み、法務当局と一体として地図問題について充実に努力をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#11
○山崎(武)委員 土地家屋調査士制度の充実強化を図るためには、第一に土地家屋調査士の資質の向上を図ること、第二に公共嘱託登記制度の拡大等により業務量をふやすこと、第三に適正な報酬を確保することが必要と考えますが、この点についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺い申し上げます。
#12
○多田参考人 お答えをいたします。
 第一点につきましては、研修事業を実施して資質の向上に努める努力をいたしております。特にこの研修事業については、法務当局の積極的な協力をいただきたいのでございます。
 第二点の土地家屋調査士の行う表示登記事件は、表示登記総事件数の約五〇%程度であって、その他の五〇%程度は官公署が行う公共事業に含まれているものと考えられるのでございます。調査士の専門的技能を積極的に活用するために法務当局の協力をいただきまして、業務の適正な拡大に努力をいたしたい、このように思っておるわけでございます。
 第三点につきましては、調査士の報酬については国民の立場も考える必要があり、品位保持と適正な業務を行うに必要な報酬を考える必要があります。これが正しいかどうかという議論もあるわけでございますが、調査士業務の実情を認識していただいて、連合会の主張を率直に受けとめて体系を樹立することを強く望んでおる次第でございます。
#13
○山崎(武)委員 表示登記制度は、法務当局と土地家屋調査士会が一体となって支えていくべきものであり、そのためには、法務当局と土地家屋調査士会とが円滑かつ緊密な協力関係のもとにこれに当たらなければならないと考えますが、この点についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺い申し上げます。
#14
○多田参考人 御意見のとおりでございまして、表示登記制度は法務御当局と一体となって充実強化に協力して、国民に奉仕することに努力してまいりたい、このような姿勢で臨むつもりでおります。
#15
○山崎(武)委員 終わります。
#16
○佐藤委員長 横山利秋君。
#17
○横山委員 多田参考人にはどうも御苦労さまでございます。
 いま同僚議員から御質問がございましたが、私ども心配をいたします第一の点は、何といっても土地家屋調査士会がまとまってこの法案について賛成をなさったかどうかという点が、昨年の通常国会の司法書士法の改正以来、国会側としては常に心配をしておったところであります。お答えによれば内部の意思統一ができたということでございますが、さらにその意思統一における内部のコンセンサスのための条件といいますか、そういうことを伺っておるわけであります。
 いま多田参考人から十分間にわたって御説明がございました趣旨は、法律改正に伴う内部のコンセンサスの条件である、こう言っては言い過ぎかもしれませんが、そういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
#18
○多田参考人 御意見のとおりでございまして、内部不統一から賛成になったということは、先ほど意見の陳述の中で申し上げたとおりでございまして、この問題につきましては法務省と十分な協議をいたしまして、これを会員各位に徹底をさせまして、自発的な理解のもとに協力をしていくということになったわけでございます。
#19
○横山委員 具体的には後で触れますけれども、いま参考人から御説明があった希望条項といいますか、そういう点について民事局長は御承知だろうと思うのですが、民事局長はその点について御了承をなさっていることでございますか。
#20
○香川政府委員 協議の過程でいろいろ連合会の方からも積極的な、建設的な御意見が出まして、これは長年いろいろお互いに意識しながら議論してまいった点でございまして、そういうことを明確にする意味におきまして、今回連合会の方から書面でそういった点を明らかにしていただきまして、それについて私ども了承するという返事を出したところでございます。
#21
○横山委員 それでは第二番目にお伺いをいたしますが、公共嘱託の問題でございます。
 本件については、本委員会でしばしば私からも取り上げましたが、十分な進展が見られません。特に土地家屋調査士が公共嘱託を受託するについて、承れば会計法によって法人でなければ受託ができない、受注ができないという点が隘路である。本理事会に提起されております附帯決議の要望の中にも、公共嘱託事件の委託を積極的に推進するため、その隘路打開の方策を講ずることを私ども理事会でいま懇談をしているわけでありますが、その隘路は法人でなければ受託をできないということにあると私どもは考えるのでありますが、多田参考人は隘路についてどうお考えでございますか。
#22
○多田参考人 お答えをいたします。
 現実の問題といたしまして一番隘路になりますのは、受託についてただいま御質問のあったとおりでございます。したがいまして、私ども調査士の報酬は大臣認可を原則としております。このことから競争入札というものにそぐわないという点がございます。こういう点につきまして、公共嘱託登記事件に積極的に取り組んでおるわけでございますが、この二点が一番隘路になって発展をしていないわけでございます。連合会といたしましては、ただいまお話のありました会計規則等に随意契約ができるというような施策をぜひお願いをいたしたい、このように考えておるものでございます。
#23
○横山委員 ごもっともでございまして、民事局長に後で御答弁を願うことにいたしますが、かねて本委員会が積極的に主張しております公共嘱託の推進についての隘路は、いまのお話によれば、法人でなければ受注が困難であり、かつ報酬制度が一つの隘路であるというお話でございます。これにはいろいろ議論がございますけれども、一応とにかく私も同感のことでございますから、これはひとつ後で民事局長にお伺いをいたしたいところでございます。
 それから試験制度であります。特認制度について、これが本法をまとめる中で一番問題点になったように伺っております。このことは、司法書士法の改正の中でもずいぶんここで民事局長と質疑応答を重ねたところでございますが、承れば特認制度の運用基準について政府は了解をなさったと承っておりますが、そのことに間違いはございますまいね。――なければ結構でございます。
 それでは間違いがないものとして、今後この運用基準を数年後実行する上において、私は、司法書士法の改正の際に民事局長と意見の交換をしたわけでありますが、同様、本委員会において附帯決議の議論をいたしております過程で、一体、全体の司法書士、調査士の需給のバランス、社会的需要との関係、それからもう一つは、一般試験と特認によって調査士になられる方とのバランスの問題、このことは、法律にどう書きましても、運用の問題だと思うのでありますが、この特認制度と一般試験との運用について、多田参考人、連合会としては、今後どういうふうに運用されることを期待しておみえになるのでありましょうか、伺いたいと思います。
#24
○多田参考人 お答えをいたします。
 試験制度に対する注文といたしまして、私ども常に、土地家屋調査士制度が不動産の表示に関する登記手続の円滑化と不動産に係る国民の権利の明確化に寄与することを目的とするならば、土地家星調査士は、これに適合する技術と法知識を有する能力を備える者にのみ資格が与えられることが望ましいわけでございます。こういうことにつきましては、試験制度の中では一番問題となります仕事の上での調査についての試験が十分に行われていないというように、私ども受け取れるわけでございます。したがって特認制度につきましても、連合会から意見を添えながら、十分に運用の面に反映していただく、このように考えておるわけでございます。
#25
○横山委員 私がお伺いしておりますのは、いままでは特認はなかったわけですね。それが特認制度ができる。特認につきましても、いろいろと細かい規定がお互いの申し合わせでできたようでありますが、それでもやはりさじかげんで特認がわっとふえる。一般試験合格者との間の比率がぐるっと変わるということを私は実は心配をしておるわけで、特認がいかぬということで必ずしも言うわけではありません。急激に特認がふえて、一般試験の合格者はいつものとおりだというと、調査士は非常に数が総体的にふえる。仕事はそれほどあるのか、仕事が増大しておればそれもいいでありましょうが、その辺のバランスについて御心配はないのかということをお伺いをいたしておるわけでありますが、どうでございますか。
#26
○多田参考人 ただいま御指摘の点はごもっともなことであって、私ども反対した理由もそこにあるわけでございます。
 この点につきましては、法務当局と十分な協議をいたしまして、ある一定の試験もいたしまして、厳重な選定のもとに、的確な調査が行えるような調査士をつくっていくのだということと、もう一つには、法務行政の中にそういう将来に向かっての希望を持たして、調査士とともに表示登記の制度の充実に力を注いでいきたい、こういう考え方から特認制度を導入するということになっておりまして、この点につきましては、連合会の要望も厳重に踏まえて、そのような調査士の急激な増大をするというようなことのないように配慮をするということの合意を見ておりますので、その点は御心配がない、このように受け取っております。
#27
○横山委員 その次は、いまもお話がございました報酬制度であります。
 報酬制度についても、私どもいま理事会で、その業務の実態に即して速やかに改善を図ることという項目について議論をしておるわけでありますが、報酬制度についてどういう改善をしたらいいかという点であります。
 私の承知する限りは、土地家屋調査士会も司法書士会も、法律的、形式的には地元の法務局長に申請をする。しかし実質的には、法務省と全国連合会との協議によってまとまったものを地方の単位会で確認をするということになっておりますのが矛盾があると、私どもかねて主張しておるわけであります。
 だから報酬制度は、法務省と連合会との協議について傘下各単位会がこれを組織の下部として了承をする。法務局長の承認は要らない。もし地域的に必要性があるならば、全国の協議の中で地域の特殊性をうたえばいいのではないか。こういうことが一つであり、それから二つ目には、お話しのように、報酬のいまの一つ一つの組み立て方に、業務の実態に応ずるどういう改善を加えればいいかということについて、御意見を伺いたいと思います。
#28
○多田参考人 お答えをいたします。
 報酬制度につきましては、昭和三十一年に土地家屋調査士法が改正され、土地家屋調査士会が強制設立をされたわけでございます。その際に、会則の一部として法務大臣の認可を要することとされたわけでございます。
 調査士報酬は、不動産登記法に定められてあるとおり、表示に関する登記申請については義務を課しております。さらに、懈怠については罰則規定まで設けられてあることから、国民が調査士制度を利用する場合には当然その費用負担をすることになるわけでございます。いわば調査士業務は半ば公共性を有するものとしての考え方から、公共料金に準ずるということで、均一と低額が要求をされておるというのが実態ではなかろうかと思うわけでございます。調査士もこれによって生計を維持してその責任ある業務を行うわけでございますので、私ども業務の実態をとらえて報酬を考えた場合に、非常にアンバランスな報酬体系であるということは言われるわけでございます。
 これらにつきましては、連合会といたしましても、研究した成果をもとに法務省に提出してございまして、改善を求めております。ただいま、各会がそれぞれ地域事情によって決議をいたしまして運用するということは、本当に望ましい姿であろうかと思いますけれども、業務の性格上統一した報酬が望ましいわけでございますので、連合会といたしまして、今後については、業務に適合する報酬の改定をしていきたい、このように考えておるわけでございます。
#29
○横山委員 補助者の問題について、お伺いをいたします。
 いま、私の承知するところによれば、土地家屋調査士が補助者を採用するについては、一々法務局長の承認を要すると聞いている。自分の報酬で、自分の所得で従業員を雇うのに、何でお役所の承認を得なければならないか。責任は、その従業員がやったことは土地家屋調査士の責任であって、何ら免れることはないのだから、従業員がだれがおろうと何人おろうと、何ら差し支えないではないかというのが、私のかねての持論であります。
 しかし、一歩譲って、責任のある土地家屋調査士がお一人でやっていらっしゃるのに、二十人も三十人も従業員がおって責任を持ちかねることがあるとしたならば、少なくとも最小限従業員は何人以下とするというようなことはやむを得ないと思う。しかし、だれを採用するかについて一々名前を届けて、承認を得る必要はないのではないかということをかねがね言っておるわけでありますが、補助者の問題について多田参考人はどうお考えになっておられますか。
#30
○多田参考人 御意見のとおりでございまして、私どももそのような主張をいたしておったわけでございます。
 このことにつきましては、法務御当局の説明によりますと、調査士一人が監督する範囲は五人が限度であるということから、業務の実態を把握する資格者が全体の掌握ができないということの不適格もあるということから制限をしております。
 それともう一つには、認可をすることは法務当局として監督の立場にあるということも一つ言われるかもしれませんけれども、連合会といたしましては、何らかこの点につきましては、ただいま横山先生のおっしゃるとおり、会に申請をするということで、報告的なものでいいのではなかろうか、このように考えておりまして、今後につきましても、この点につきましては法務省当局と連合会が話し合いをいたしまして、その方向に進めてまいりたい、このように考えるわけでございます。
#31
○横山委員 登記法の十七条地図の問題でございます。
 これも本当に私ども、長年法務委員会でその整備を急いでおるのでありますが、なかなかうまくいきません。どうしたら十七条地図が効率的に、具体的に整備がされ得るであろうか、多田参考人の御意見を伺いたいと思います。
#32
○多田参考人 法十七条地図の整備は緊急課題であるとも考えられておるわけでございます。この点は予算の面において困難が伴い、現状においては、いまだその大部分が明治年間に作製された旧土地台帳付属地図に依存している現状でございます。
 現在、法務省民事局におかれましては、法十七条地図作製モデル作業を実施されておりますが、昭和四十三年以降現在まで二十八庁の法務局の管轄において行われ、約二十八平方キロが実施されたにすぎないわけでございます。これを全国的に及ぼすことは、まさに百年河清を待つに似たるものと言うべきでありますが、地図整備については国家的大事業でありますので、これに関連する各関係省庁と業界とが協議をして速やかに実現の方策を立てて、調査士会を主体として協力をしてまいりたい、そして実現を図っていきたい、このように考えておるわけでございます。
#33
○横山委員 ありがとうございました。時間の関係で、これで質問を終わります。
#34
○佐藤委員長 正森成二君。
#35
○正森委員 それでは多田参考人に、私から若干伺わしていただきます。
 今度の土地家屋調査士法の改正に当たっては、内部的にあなたのところでは相当論議が行われたと聞いております。特に特認制度についてはいろいろな検討が行われたと思いますが、この制度の導入についてはどう考えておられますか。
 特に私が伺いますのは、たとえば七九年四月二十八日の朝日新聞の「論壇」には、おたくの方の東京土地家屋調査士会副会長の大橋光雄さんが投稿されまして、その中で、土地家屋調査士の業務報酬認可権が法務大臣に所属していることを一つの奇貨として、法務省側が非常に圧力を加えてきた、それで、もしこの特認制度をのまなければ、三年以上据え置きの調査士報酬改定問題を初め、法務省と日本土地家屋調査士会連合会との間の各種協議に応じられないというようなことも言って、事実上非常な圧迫を加えた、そこでやむなくのんだのだということが書かれておるのですね。
 そうだとしますと、報酬認可権というのは、報酬が一般社会的に見て不当に高価になったり、あるいは不当に低くておたくらの生活ができないということであってはいかぬという、バランスをとるためにある権限であって、法務省が一定の自分の身内の者を特認制度で調査士にするという手段として、圧力として使われてはならない、こう思うのですが、こういうことが新聞紙上に発表された以上、その内部関係について言いたいことがあればおっしゃってください。
#36
○多田参考人 お答えをいたします。
 国家試験制度は、その職域に関する限り、担当する業務の公益性から、それに適合する能力を備えた者に与えられる資格であるということは言うまでもないわけでございます。今回の改正の特認制度は、表示登記事務に十年以上従事した者に与えるとするならば、法第五条のただし書きによる法律についての一部免除規定を整理すべきである、二の問題といたしまして、第三条二号によるものとすれば、表示登記事務に十年以上従事した者であって、五条のただし書きによる者に限定すべきである、こういうような意見がなされたわけでございます。制度の導入については、資格認定者は、当面表示登記事務に十年以上の経験を有する者であって、調査士の業務を行うのにふさわしい技術、能力を備えた者に限定する、さらに社会的な業務とのバランスの上において需要を考慮して運営することを望むものである、こういうような意見がなされたわけでございます。
 結局、ただいま御説のように、朝日新聞の記事の問題でございますが、この問題につきましては、法改正に対していろいろな錯雑があったということで、会長が交代をしております。私が会長になりまして、先ほど陳述の中で申し上げましたように、法務省と十分協議をして皆さんの納得を得て改正をした。これには約七カ月ほど経過をしておりますけれども、そうして皆さん自主的に考えて、調査士の利益になる方法はどれがいいかということで判断して改正をしたわけでございます。しかしながら、反対運動をした中にはまだ釈然としない者もあろうかと思いますけれども、これは組織として決定をしたものであって、決して圧力によってしたものでないということは申し上げられると思います。
 それともう一つには、報酬の問題を取引したというような印象でございますが、この問題につきましては総会にも、法改正と報酬改定は全然別個な取り扱いとして考えている、これは何も関連したものでないということの説明をいたしまして了承され、機関において決定をしたものでございます。
#37
○正森委員 そうすると、私が言いますのは、この大橋光雄さんの「論壇」への投稿が、たとえば半年前の投稿であればそんなに問題にしないのですけれども、七九年四月二十八日というと皆さんが了解をなさったはずであるのに、その後に、なおかつ東京土地家屋調査士会副会長という責任ある立場にある人がこういう投稿をされるのは非常に問題だと思うのですね。
 そうすると、この投稿は誤りであって、そういうことは全然なかったと考えておる、こう言われるのですか。それとも、会員の一部にそういうことを考える者は多少あったと思うけれども、最終的には了承してくれた、こういうニュアンスなのですか。どちらです。
#38
○多田参考人 いま御質問の後段で御意見のあったように、そういう者も必ずしもなしとはしないわけでございます。そういうことから連合会といたしましては、賛成を了承しない者もある、しかしながら組織の決定でございますので、組織の統一を乱すことについては問題があろうかと考えるわけでございます。
#39
○正森委員 それでは、それに関連してもう一つ伺いますが、土地家屋調査士法改正問題について支部長会議を招集なさったことがあると思うのです。
 その招集趣旨というのを見ますと、法務職員が無試験で調査士となる場合の致命的な欠陥は、調査業務にとって生命とも言うべき現場実務を持っていないという点であり、その他の問題点ともあわせ考えるまでもなく、この特認制度導入案はこれだけでも論外ではないかというのが理事会の協議内容であります、こういうことで支部長会議を招集したことになっているのですけれども、そういうことはあるのですか。もしそういう意見があるとすれば、私は、何も法務職員を特認で任命するのに絶対反対だと言うておるのではないので、弊害さえ除かれればそれもいいと思いますが、現場実務を全然持っていないという点についての是正あるいは改善というのは、どういうぐあいにされるのですか。
#40
○多田参考人 ただいま御質問のありましたのは連合会の行事でないと思います、連合会は支部長会議というものを持っておりませんから。
 この問題につきましては、法務当局の説明によりますと、表示登記については職権をもって登記事務の処理をしている、これは法律上は確かにそういうことになっておるわけでございます。却下事件については登記官が積極的に現場の調査をし、測量をし、そして登記を職権によってやるわけでございます。法律上では、資格が十分備わっているということが言われるわけでございますけれども、実際問題としてはそれは不可能であろうということから、法務当局といたしましては、現在、研修のために職員を測量学校に派遣いたしまして、終了した者を表示登記専門官として、この職に当たらせておるわけでございます。したがいまして、全然能力がないということでもございませんので、さらにこの中で厳選をして資格を与えるということについては、理論的には問題がなかろう、このように理解しておるわけでございます。
#41
○正森委員 次に、今回の法改正では、調査士の業務または制度について法務大臣に建議をすることが認められているのですね。それから会員に対する注意勧告権というのがあるわけですが、その職責をどのように発揮しようとされているのか、簡単にお述べください。
#42
○多田参考人 お答えをいたします。
 連合会は、従来から所管法務省に対して、建議的な事項につきましては意見具申を行っております。今回の改正で明文化されたことについては理解される点もございますので、この点については特に連合会としては対処してまいらなければなりませんけれども、その権限が非常に強化された、このように評価しております。
 次に、注意勧告権の問題でございますが、本件は従来明文規定がございませんけれども、調査士法の範囲内において対処してまいっております。今回の改正によって新設されたものでございますが、現在においても何らかの形によって注意、勧告と同様な方法が実施されていることから、違反のおそれのあると推認されるような状態の会員に対しては本制度を発動する、こういうことで、特にこの問題につきましては、運用に十分配慮する必要があると考えております。これらについてもさらに研究をして、基本的人権の侵害にならないように、会の自主性の確立の中で配慮していきたい、このように考えておるわけであります。
#43
○正森委員 時間がございませんので、あと二点続けてお聞きして、お答えを得たいと思います。
 今度、新しい法律では審査請求の業務が認められましたが、これはいままでになかった皆さんの業務ですね。そこで、この業務を適正に遂行するために、どういうような対策を考えておられるかというのが第一点。
 それから、先ほど報酬の点が出ましたが、連合会としては、現在の時点で適正な報酬というのはどのようなものと考えておられるか、報酬制度のあり方について御意見をお聞かせ願いたい。
 以上で終わりたいと思います。
#44
○多田参考人 お答えをいたします。
 審査請求事件が認められた、代理が認められたということについては、表示登記制度は特質的なものでございますので、申請事件が登記官の職権によることとされております関係から、審査請求事件は法務省の統計から見ますと非常に少ない。このことについて私どもどう対処しようかということで、一応は職責の中でございますので、今後、的確な取り扱いがなされるように指導し、その研修を行いたいと考えております。
 報酬制度につきましては、先ほども申し上げておりますように、公共料金に準ずるものとして政策的に低額であるということで、この問題につきましては、私ども現場において作業をいたします調査士業務の問題からいろいろな問題点を提起いたしまして、法務省と話し合いをするわけでございますけれども、こういう点についてはわれわれの主張するものを率直に受けとめていただいて、われわれの求める報酬に改正したい、このように考えております。この問題につきましてはたくさんの隘路があるわけでございますが、こういうふうな配慮をもってしていただくように、せひお願いしたいと思うわけでございます。
#45
○正森委員 香川民事局長が来ておられますので、欠席判決になってもいけませんから、いまの朝日の「論壇」に大橋さんの意見が載っておりましたことについて、何か御発言の御意思がございましたらお聞きして、終わりたいと思います。
#46
○香川政府委員 「論壇」の記事は、私もざっと読んだ限りでございますが、率直なところ、どうしてああいった主張、意見が述べられたのか、私にはきわめて理一解に苦しむところでございます。
#47
○正森委員 終わります。
#48
○佐藤委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 多田参考人には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
    ―――――――――――――
#49
○佐藤委員長 これより、政府当局に対し質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
#50
○横山委員 審議の中途で唐突ではございますが、お許しを願いまして、昨日来報道を通じて国民に衝撃を与えております航空機汚職の問題につきまして、本格的には明日同僚諸君とともに質問をするつもりではございますが、緊急に法務大臣の御意見を伺いたいと存じます。
 いまや国民の中で次第に明らかになりつつありますことは、日商岩井が四十八年以降ダグラス社から事務所経費名目で受領した二百三十八万ドルが、政界工作に関与しているというポイントであり、日商岩井では、四十四年防衛庁と結んだダグラス社戦闘機F4Eファントムの売り込み工作のために百二十万ドル、約四億五千万円でありますが、政界工作資金として米国日商岩井に肩がわりさして支払い、後にダグラス社資金において穴埋めをしたのではないか、こういうところがポイントになっておるわけであります。そのほかにもいろいろございますけれども、それがだんだん明るみに出てまいりまして、いよいよ真相究明の峠に差しかかった瞬間に、松野頼三氏が突如として入院をされました。国民がひとしく疑問を持ちましたのは、本当に病気であろうか、これによって検察陣の事情聴取の障害になるのではないか、そういう不安を持っておるわけであります。
 簡潔に今後のためにもお伺いをしたいと思うのでありますが、松野頼三氏の入院と事情聴取とはどんな関係に発展をするでありましょうか。決意のほどを伺いたいと思います。
#51
○古井国務大臣 ただいまのお尋ねの点は、刑事局長から一遍答弁させたいと思います。
#52
○伊藤(榮)政府委員 申し上げるまでもなく、御承知のとおり、現在海部八郎氏を勾留して取り調べておるわけでございます。
 その偽証の容疑の中に、ただいま御指摘の二百三十八万ドルの関係があるわけでございます。二百三十八万ドルというものの受け取り先を明らかにしたくない操作をしておるわけでございます。その背景には、この二百三十八万ドルがこしらえられる前に若干必要な金があって、これを補てんするためであったということがだんだんわかりつつあるわけでございます。その限りにおきまして、二百三十八万ドルをめぐるいろいろな金の動きというものは明らかにせざるを得ないということで、現在検察当局は一生懸命調べておるわけでございまして、その解明の過程において取り調べなければならぬ参考人等があれば、当然取り調べるわけでございます。
 仮に、その取り調べたいと思う方が御病気でありまして、調べられないということではしょうがこざいませんけれども、検察当局のことでございますから、必要を認める方につきましては、仮に形の上で入院というようなことがあったといたしましても、それ相応の調べをするはずでございまして、ただいま御指摘の人物個人に関してはともかく、一般的に参考人となられる方が入院されたからといって、それで調べができないというわけのものではなかろうとは思うわけでございます。
#53
○横山委員 第二の大臣に対する質問は、大臣は、航空機特別委員会でも本委員会でもそうでありますが、従来、これは刑事事件として自分は処理をしておる、つまり検察陣の限界ということを盛んに力説をしておみえになりました。このために、国会が行うべき政治の粛正という点について、何か協力を渋っておられるような気がいたすのであります。ポイントになりましたのは時効、職務権限ということでありましょう。あなたは、あくまで刑事事件としてその限界を守られるつもりなのか。それとも、政治責任を明らかにするために、法務大臣として国会に積極的に御協力をなさるおつもりなのか。国民が望むところは、刑事責任もさることながら、政治責任の問題について、政治の粛正をしなければならぬ、仮に時効であろうとも、仮に厳密に職務権限でないにしても、政治的な意味においては国民の疑惑を晴らさなければならぬ、そういう点を特に国民が求めておるわけでありますが、法務大臣としてはどういう所信でございますか。
#54
○古井国務大臣 国民から見ますと、法律にぶつかるかぶつからぬかというようなことを抜きにして、政治として見て何かおかしなことがあるのじゃないか、間違ったことがあるのじゃないかということ、ここに関心を持っておるのが実情ではないかと思うのであります。そういう意味で、罪になるかならぬかとかいうような話ではなくて、もっと広い立場で見ているのではないかと思うのであります。
 そこで、毎々申すことですけれども、広い立場でそういうふうに見ますことにこたえるのには、法律に当たるか当たらぬかというようなことばかりではだめなんで、狭いのでして、ところが私どもの方はというか検察の方は、罪になるかならぬかということを究明するのが役目でありまして、こいつが一こいつがという言葉は悪いが、政治的な責任とか道義とかというようなことにまで踏み込んで、くちばしを入れて調べるとかなんとかいうようなことになってはまずい。それはいわゆる検察ファッショです。犯罪以外のこと、そういうことは、大きな筋として私はよくないことだと思うのです。
 そこで、犯罪になるとかならぬとかいうことを抜きにして、広い立場でもって政治責任等を究明するということは、だれがやったらいいかといったら、私は、国会がやるべき立場にあるのではないかと思うのです、罪になろうがなるまいが。そこで、国会がおやりになることは当然だし、大いにおやりになったらどうだ、こういうことを言うのですね。
 それに対して残る問題は、われわれの方がどこまで協力できるかということになってくるのです。そういうことを国会がなさることは当然だと思いますから、基本的に私どもできるだけのことは協力したいと思っております。
 さあそこで、それから先は次のお尋ねになるかもしらぬが、もともとが私どもの方は、これは初めから罪にも何にもならぬ、こういうことは究明する役目でないのです。ところが、そこがどっちかというと必要な欲しい部分だというようなことになってきて、ぴったりこぬところがあるのですよ。ですから、できる協力はいたしますが、そこばかりを頼りにしておやりになるということでは偏る。国会の方でひとつ広い立場からおやりになって、われわれの方はできることは協力したい、こういうことで考えております。
#55
○横山委員 巷間伝えるところによりますと、この航空機汚職は検察陣の中では一応の峠を越えつつあるということを言われておるのでありますが、そういう判断でございますか。
#56
○伊藤(榮)政府委員 さしあたっての問題は、海部氏の勾留満期がこの十五日になるわけでございます。
 その間、まずもって海部氏の容疑について証拠固めをすべく懸命にやっておるわけでございまして、それから先は、御承知のように、捜査は水ものというくらいでございまして、どうなるかわかりませんが、一応の感触としては、これまで一月以来いろいろ提起されました諸問題についての解明が逐次終わりつつある、こういうふうに御理解いただいていいと思います。
#57
○横山委員 その中で、名前を挙げて恐縮でございますが、海部メモに出てまいります人々、福田さんあるいは岸信介さん、三菱重工等の調査は、事情聴取は終わっているのですか、いないのですか。
#58
○伊藤(榮)政府委員 特定のケースについて、どういう方を調べ、あるいは調べないかということはお答えいたしかねるわけでございますが、概略の感触を申し上げますと、海部メモの記載内容につきましては、若干事実と異なる記載がなされておる、ただし、それが海部氏の手になるものであるというような点が次第に解明されております。
 したがいまして、真実に合致せざる部分について、無関係の方から事情を聞くということは不必要になる場合があるわけでございます。そういう意味におきまして、海部メモにお名前が出ておるからといって、直ちに事情聴取の対象になるというふうには考えられないわけでございます。
#59
○横山委員 最後に法務大臣に伺いますが、先般本委員会で私がこの真相解明の後に来たるべき航空機汚職防止政策について質問をしたところ、まだ峠の初めであるから、そこまでいくと問題がそれるおそれがあるからとおっしゃいました。その後、航空機特別委員会でございましたか、防止政策についてやや言及をされました。私ども社会党は総合政策をも提起しておるわけであります。
 いま承れば、峠を越えつつあるやに感触を受けました。しかし、この防止政策について、ロッキードの場合と違いまして、政府・与党内部で今後の絶滅を期するための協議あるいは施策の検討、それらの雰囲気が皆無であるような気がしてならないのであります。その点についてどうお考えになりますか。決意を伺いたいと思います。
#60
○古井国務大臣 いまおっしゃったように、いまは目の前の問題を究明していくということに全力を挙げたい、それを、当面やるべきことを途中で再発防止という方にすぐ飛んでしまっては、どうもうまくないように前から思いますので、究明をやってきながら研究はし、ある段階に来ましてから今度は再発防止の問題に本腰を入れる、そういう順序に考えたらいいだろう、これは前にも申し
 上げたとおりに、同じことを思っておる。
 そこで大体のところは、まだ結末がついておるわけじゃありませんけれども、海部氏の勾留の期限ももう来るということであるし、それからいろいろな調べもだんだん進んでおりますし、そろそろ大詰めという時期に来ましたもので、それを頭に置いて、いまは再発防止の方に本腰を入れる時期を検討しておる、こういう実情であります。それについては社会党の御意見などもいろいろ検討をしてみておるというような状況でありますので、もうそのうちというか、ある時期には今度はそっちの方に本腰を入れたい、それもそうひどく遠くない時期になるのじゃないか、そう思っております。
#61
○横山委員 終わります。
#62
○佐藤委員長 山崎武三郎君。
#63
○山崎(武)委員 まず最初に、今回の土地家屋調査士法の改正の要点を簡単に説明願います。
 昨年の国会において司法書士法の一部改正がされ、それとほぼ同趣旨のものと理解しておりますが、特に違っている点があれば、その内容と理由について説明願います。
#64
○香川政府委員 今回の調査士法の改正の内容は、結果的に見ますと、昨年御審議願いました司法書士法の改正と同じ内容でございます。
 ただ、司法書士法の改正は、国家試験制を導入すると同時に、従来ございました法務局、地方法務局長の特別選考、特認制度と言われているものでございますが、司法書士の資格付与についても国家試験を導入すると同時に、特認制度を法務大臣の認定のもとに行うということにいたしましたのに対比いたしまして、調査士法の方は、従来から国家試験が導入されておるわけでございます。それに、新たに法務大臣の認定による特認制度を取り入れたという点が、調査士法だけで見ますと大きく変わる主要な点だろう、かように考えるわけでございます。
#65
○山崎(武)委員 今回の法改正は、昨年の司法書士法改正とほぼその内容を同じくするものでありますから、個々の改正点についての議論はしばらくおくとして、第三条の改正による土地家屋調査士資格の法務大臣による認定制度については、司法書士についても同様の制度があるとはいうものの、土地家屋調査士制度にとっては、今回初めて導入されようとするものであります。
 このような制度を導入しようとする趣旨、目的は何か、説明願いたい。
#66
○香川政府委員 ほとんどの業法におきまして、何らかの形でいわゆる特認制度が採用されておるわけでございます。もともと土地家屋調査士法がそういった特認制度を取り入れていなかった大きな理由は、御案内のとおり、土地台帳、家屋台帳の制度が戦後、昭和二十五年に登記所の所管になりまして、そこで初めて登記所におきまして、現在で申します不動産の表示登記制度、当時の台帳登録制度を所掌することになったわけでございます。
 さような草創の時期でございますので、したがって特認と申しましても、事務を取り扱う法務局の職員の側にそれだけ知識、能力がないのは当然のことでございまして、徐々にそれらの知識、技能の習得を図りながら、台帳登録制度ひいては今日の不動産表示登記制度の充実を図っていく、かような姿勢で臨まれて、したがって土地家屋調査士法について特認制度が当初は採用されていなかった、かようなことだろうと思うのであります。
 そういったことになりまして、今日まで約三十印の歳月を経ておるわけでございまして、その間私どもといたしまして、不十分ではございますけれども、不動席の表示登記制度の充実を図るべく努力してきたつもりでございまして、ちなみに申し上げますれば、職員のその面での資質の向上を図る意味から、昭和四十三年度以来、測量の専門の学校に一定数の職員を派遣いたしまして、そこで十分な研さんを経て、戻ってきて表示登記制度に従事させる、あわせて表示登記専門官というような官職の新設もいたしまして、今日まで参っておるわけでございます。
 しかし端的に申し上げまして、職員にそういった表示登記制度というものの重要性、ひいてはそれに対処できるみずからの知識、技能を向上させるためには、そういった知識、技能を習得することによって、自分も土地家屋調査士としての資格が付与されるのだという希望あるいは自覚というものを植えつけることが、何よりも大事だと思うのであります。表示登記制度の充実を図る一環として職員の士気の高揚と申しますか、そういったことを考えますならば、特認制度の導入は、一つの方法として非常に重要な意味を持ってくるであろうと考えるわけであります。
 もともと現在の表示登記制度の法制上のあり方を考えますと、土地家屋調査士が調査、測量した結果を登記申請という形で申請してまいりました場合に、必要があれば登記官が実地調査、つまり調査、測量も行いまして、みずからの調査、測量の結果と申請内容がそごするときには、その申請を却下するというふうなたてまえになっておるわけであります。したがって、純粋に法律面だけ見ますれば、本来登記官というものは、調査士と同様あるいはそれ以上の知識、能力を持っていなければ、この仕事は十分にこなせないたてまえになっておるわけであります。
 法律上そういった職責を持っておる登記官というもの、さらにはまた、先ほど申しましたような表示登記制度の充実を図るという両方のことから申しまして、理論的にも実際上も特認制度の導入は決して不合理なものではない、むしろ妥当なものだと私どもは考えておるわけでございます。
 しかし、三十年たったと申しましても、現在の実態をつぶさに見ますと、すべての登記所の従事職員について特認制度によって資格を与えるということは、決してほめたことではないわけであります。したがって、法制上は与えてしかるべきものでありましても、実態はそこまでまだまだ来ていないという現状を十分認識いたしまして、今回の御審議願っている法案の附則には当分の間、法務大臣が調査、測量のための知識、技能について特別の試験を行う、いわば国家試験と同質の試験を行って特認の資格を付与する、こういう暫定措置をとっておるわけであります。この暫定措置の運用のあり方といたしまして、先ほど参考人からの意見聴取の際にも問題になりましたが、連合会としてこういうふうな運用にしてもらいたいという御要望がございまして、十分もっともなことでございますので、私どもとしてそういった点を了承して、その線に沿っていきたい。
 具体的に申し上げますれば、法律的には十年以上表示登記事務に従事した者で知識、技能が調査士としての職務にたえる、こうなっておるわけでありますが、これを具体的に実施いたします場合の基準といたしまして、十年以上のほかに、表示登記専門官として三年間表示登記事務に従事した者、つまり先ほど申しましたように、測量学校で半年の研さんを積んできて、そして表示登記専門官になって三年間その職務に従事した者から選考するというふうなことを考えておるわけであります。ただ、私どもといたしましては、いろいろの試験のやり方あるいは選考の基準等についても実態を見きわめながら、さらにはまた連合会とよく協議をしながら進めてまいる必要がございますので、私の感じといたしましては、そういったことを準備して実施していくためには、この制度は実際は五年間は動かせないというふうな心づもりでおるわけでございます。
#67
○山崎(武)委員 土地家屋調査士会においては、今回の改正については、大臣による資格認定制度を除いては特に異論がなかったが、この制度の導入については種々の意見があったと聞いております。
 最終的には、この制度の道人を含め、今回の改正案について賛成しているということでありますが、法務当局と調査士会との意見調整の経緯について御説明願います。
#68
○香川政府委員 私の感じておりますことは、昨年司法書士法の改正をお願い申し上げたわけでございますが、従来の経緯から、司法書士法の改正が司法書士会連合会の方から強い要望もあり、国会の附帯決議もございまして、そちらの方のためにいろいろの協議を積み重ねてきておったわけであります。司法書士法の方がそういうことで意見がまとまりますと、いわば横並び的に調査士連合会の方にも同様の改正について意見を求めて、従来はそれで賛成を得て両法案同時に国会に提出しておった、こういう経緯があったわけでございます。
 実は、これは私どもの至らなかった点でございますが、昨年、司法書士法の改正についてもいろいろ問題がございまして、もっぱらそちらの方との協議に時間を費やしまして、調査士法の改正について、並行的にそういった協議を連合会と積み重ねる努力をしなかった点がまずあったと思うのであります。そういうことで、司法書士法の改正法案が連合会と私どもの間で内容的にまとまりまして、その段階で調査士連合会に対して、こういう改正でいかがであろうかということを照会したために、時間的に十分議論をする余裕がなかったと申しますか、そういったことから、私どもの先ほど申しましたような趣旨あるいは運用についての考え方等も十分連合会の方に理解が得られなかった。これは私どもとして申しわけなく思っておるわけでございますが、そういった経緯で、端的に申し上げますれば、一つの不信感と申しますかあるいは誤解というふうなことで、反対意見も相当強く出たということで法案提出を見送ったわけでございます。
 さような結果になったわけでございますが、車の両輪であるべき二つの制度について、内容的に非常に不公平なと申しますか、そういう扱いというのは一口も放置できないわけでございますので、昨年来連合会とも協議を重ねてまいりまして、私どもの意図することあるいは連合会のお考えになっておること等も十分意見を交換する時間的な余裕がございまして、そこでお互い理解が深まりまして円満に妥結になった、かような経緯でございます。
#69
○山崎(武)委員 法務大臣による資格認定制度の運用については、土地家屋調査士会においても重大な関心を持たざるを得ないところであると考えます。
 調査士会は、この件についてどのような意見なり要望を法務当局に対して述べているのか、また法務当局としては、これにどのように対処しているのか。なお、今後における運用上の問題点については、土地家屋調査士会の意見を十分に尊重し、運用の適正を図っていくことが必要と考えるが、いかがでございますか。
#70
○香川政府委員 先ほど申しましたように、法律的には、十年以上表示登記事務に従事した職員で、知識、技能が調査士としてふさわしいものを備えておるという者について大臣が認定する、こういうことになっておるわけでありまして、附則で、その調査、測量の技能、知識については、必要があるときに法務大臣は試験をするということになっておるわけでございますが、この運用につきまして、先ほど申しましたように、十年のほかに表示登記専門官として三年従事した者から選定する、そういう要望がございます。
 これは、かねがね私どももさような運用を考えておるわけでありまして、さらにいろいろの、これはあからさまに要望としては出ておりませんが、先ほども参考人に対する質疑で問題になりましたように、やはり需給の関係もあるわけでございます。そういった点についても十分配意していかなければならぬ。これは、そのために特認を少なくするというふうなことのみならず、国家試験制のもとでの需給のバランスを図るにはどうしたらいいかというふうな問題もあるわけでございます。
 したがって、従来からも試験委員は土地家屋調査士連合会から御推薦を得て任命いたしておりますが、そういった問題の内容のみならず、試験の運用と申しますか、そういう点についても今後とも連合会から十分意見を徴して、遺憾のないようにしてまいりたいというふうに考えております。
#71
○山崎(武)委員 大臣による資格認定制度の導入が表示登記制度の充実強化につながるということでありますが、いまさら申し上げるまでもなく、表示登記は権利の客体である不動産の所在、位置等を正確に国民に知らせるためのものとしてきわめて重要なものであります。
 しかしながら、表示登記事務の処理の現状を見ると、法務局における組織、機構、人員の面においてはまだまだ不十分な面があり、また、表示登記を処理するための基本となる一筆ごとの土地の位置、区画等を明らかにするため、不動産登記法第十七条により登記所に備えるべきものとされている地図についても、現状においては、明治の初期に作製されたいわゆる公図に頼っているというのが大方の実情であり、この公図の不正確さに起因する表示登記の混乱も少なくないと聞いております。
 これらの問題は、表示登記の重要性を考えるとき放置できない問題であり、早急にその改善を図るべきものであると考えます。また土地家屋調査士にとっても、その業務を円滑かつ適正に処理し、国民の信頼を得るというためには、これらの問題の早急な解決が望まれているところであります。予算その他の問題を伴う問題であるので、一挙に解決できる問題であるとは考えませんが、法務当局としては、基本的にどのような方針で臨んでいるか、承りたい。
#72
○香川政府委員 表示登記制度の充実を図るためには、その職にたえる職員をできるだけ多く配置するということは、もう言うまでもないわけでございますけれども、実際問題といたしまして、増員の抑制がきわめて厳しい折から、増員のみに頼っておったのでは、百年河清を待つということにならざるを得ないわけでございます。
 私の個人的な考えといたしまして、表示登記制度の充実ということは、やはり役所側でできることには限界があると申しますか、今日の状況のもとでは、やらなければならないことであってもこれ以上はなかなかできない面があることは否定できないと思うのであります。それを補完していただくと言っては言い過ぎかもしれませんが、やはり土地家屋調査士制度をフルに活用いたしまして、調査士の御協力によって表示登記制度を充実していくということを、当面は考えざるを得ないというふうに思うのであります。さような意味から、個々の土地家屋調査士の資質の向上のみならず、調査士連合会あるいは単位会のその面での御理解のある御協力が何よりも大事なことだというふうに考えておるわけであります。
 そういったことも根本的には、表示登記制度の根幹である地図の整備ということが何よりも大事なことであります。この点につきましても、御承知のとおり、現在国土調査法による地籍調査の結果の地図が登記所に送付されてくるわけでございますが、これに大方頼っておる。自前でそういった地図づくりを法務局がやることにつきましても、数年前から予算措置を得て、現在二十八庁ばかりモデル作業を実施しておるわけでありますが、そういったことによって、法務局の手で地図づくりをするにはどういう点に問題があるか、あるいはどの程度の金がかかるかというふうなことも検討しておるわけでございます。
 この地図づくりにつきましても、やはり法務局側と調査士会との協力によりまして、一緒の作業と言っては言い過ぎかもしれませんが、そういう形で地図づくりを進めてまいりたい。この地図の整備ができませんと、幾ら表示登記制度の充実と申しましても基礎がないことになりますので、これが先決の問題であろうというふうに考えておるわけでございますが、何分にも金のかかることでございますので、その辺、はなはだ苦心しておる現状でございます。
#73
○山崎(武)委員 国民が本当に信頼できる表示登記制度をつくり上げていくためには、直接これを所管する法務局側の人的・物的諸条件を整備するとともに、やはり表示に関する登記事務をその業務とする土地家屋調査士制度の充実強化を図る必要があると考えます。
 このためには、一方において、土地家屋調査士に対する研修の強化等によりその資質の向上を図るとともに、他方において、土地家屋調査士の手を経て提出される登記申請に対しては、たとえば原則として登記官が改めて現地調査をする必要がないものとするぐらいの責任と権威を持たせることが考えられます。このような点について、法務当局としてはどのように考えているか承ります。
#74
○香川政府委員 表示登記制度の運用に遺憾のないようにするためには、登記官の側におきまして、申請の間違いがないかどうかのチェック作用が十分行われるということが何よりも大事なことでございます。
 しかし、そのためには、個々の事件についてそれぞれ実地調査をしなければならぬということに相なるわけでございまして、この点が現在、率直に申しまして、人員不足でとてもできる話ではないということになるわけなんでございます。さような意味から、土地家屋調査士の御協力を得て、調査士自身が間違った申請をしないという自覚のもとに、適正な業務を運営していただくということを頼りにしたいわけでございまして、そういったことをやるためには、いま御指摘のような、土地家屋調査士が調査測量したものについては法務局側で実地調査はしないというくらいのことをやってみるのも一つの方法だということで考えておるわけでございます。
 ただ、そういったことを検討しておる反面、あからさまになってまいります調査士の非違事件、全く調査、測量もしない、机上の計算による申請が相当出てまいっておりまして、懲戒処分が相当数なされておるというふうな現状にあるわけでございます。この辺のところも十分勘案いたしませんと、かえってそういった風潮を助長することにもなりかねないという心配が一方にあるわけでございますけれども、その辺のところは今後連合会とも十分協議をいたしまして、何とかそういった御指摘のような方向に持っていくようにいたしたいというふうに考えております。
#75
○山崎(武)委員 土地家屋調査士が品位を保持し適正にその業務を行い得るためには、まず第一に、十分な業務量があることが必要であり、第二に、その業務にふさわしい報酬が確保されることが必要であります。
 まず第一の業務量の点でございますが、表示登記事件のうち、現実に土地家屋調査士の手を経て登記所に提出されるのは半数程度であり、特に官公署、公社公団等から提出される事件の多くは、土地家屋調査士の手を経ないで処理されている実情にあります。土地家屋調査士会においては、これらの事件についても積極的に関与しようとして、いわゆる公共嘱託登記受託団などの組織をつくっているが、法務当局としても積極的にこれを支援すべきものであると考えますが、いかがでしょうか。
 次に、第二の報酬の問題でありますが、現在の報酬体系のあり方が合理的かつ適切なものであるかどうかについては、土地家屋調査士会においても種々の意見があるところであります。どの程度の報酬が適当かは、これを支払う立場にある依頼者たる一般国民の立場も考えなければならないのは当然でありますが、調査士会の意見も十分に聞いて、これを適正なものに改めていく必要があると考えます。この点についてどのように考えているか承ります。
#76
○香川政府委員 前段の公共嘱託の関係でございますが、これは数年来連合会あるいは単位会と私どもとで、いろいろそれなりの努力をしてまいっておるわけでございますが、率直に申し上げまして一番大きな隘路は、一つには集団受託という形が、つまり数人あるいは数十人の調査士さんが集まって共同受託するという関係は、これは相手の立場になりますと、責任の所在が必ずしも明らかでないわけでございますので、なかなか円滑な受託関係が生まれないという点が一つの大きな隘路であろうと思うのでございます。
 それからもう一つは、これは忌憚なく申し上げますと、調査士の間で過当なと申しますか、競争関係というものがやはりどうしてもあるわけでございまして、集団で一体となって共同受託するという方向にいきにくい面があるわけでございます。したがって、この点は、連帯感と申しますか、お互いが共同してよくなるというふうな風潮といいますか、そういうものが醸成されないことには、抜け駆けの功名的な事件の奪い合いというふうなことにもなりかねない、そういったおそれがあるわけでございまして、その点が調査士会の自主的な統制のもとで調整される必要があるだろうというふうに思うわけであります。
 さらに報酬の点でございますが、これは一般的な現在の調査士の報酬規定をそのまま適用いたしますと、どうしても委託する側の負担が大になってまいりますので、そこに一つ難点がある、それを何とか工夫しなければならないという面がある−と思うのであります。それらの点について連合会にも、いろいろ私どもの意見も申し上げておるのでありますけれども、まだなかなか煮詰まってこないという点がございまして、さらに協議を進めて、できるだけ早くこの問題が解決されるように努力したいと考えております。
 それから第二番目の報酬の問題でございますが、実は昨年の十二月に連合会の方から、相当期間検討された結果の報酬改定案の御提示がございました。これは従来の報酬体系を大幅に変更するものでございまして、現在の報酬規定そのものにも、連合会の御指摘のような欠陥は確かにあると思うのであります。ただ、それを是正する仕方といたしましてぜひとも考えなければなりませんのは、参考人の意見にもございましたように、国民に対して表示登記申請の義務を課しておる、過料の制裁のもとにそういった義務を課しておる、その義務を履行しようとする場合に、どうも素人の個々の国民はみずから申請手続をやれないということがあって調査士さんに依頼せざるを得ない、さような面があるわけでございまして、そういう義務を課しておる点、しかも実際的には調査士に依頼せざるを得ないということを考えますと、国民側の納得のいただける、しかも無理なく依頼して申請手続を履行するという方途をやはり費用の面でも十分配慮しなければならないという点があるわけでございます。
 それと同時に、この報酬の問題は、最近の風潮といいますか、やはりおおらかにはまいりませんので、支払う側の人の納得を得て、かくかくの規定だから、これこれ支払うのは当然だというふうなことが十分わかるように、報酬規定の一覧性というものが非常に必要なわけでございます。ところが、現在提出されております連合会の案は、一覧性に非常に欠ける点があるのじゃないか。ちょっと私ども見ましても、ある事件を依頼したときに、一体どれくらい報酬を取られるかという計算が容易にできないような、一覧性に欠ける点があるわけでございます。
 そういった点も何かの工夫をしなければならぬというふうなことがございまして、いま鋭意検討いたしておるわけでございますけれども、なかなか、これは率直に申しまして、現在の連合会の改定案のような姿での報酬改定というのは相当時間がかかるだろうと思うのであります。
 ところが現在の報酬は、全国的には五十一年の一月だったと思いますが、に改定されておりまして、東京は一年半ばかりおくれたわけでございますが、約三年たっておるわけであります。その間の物価上昇等も二十数%見込まれるわけでございまして、したがってさしあたりの問題としては、現行報酬規定の体系のままにして、いわば物価上昇分等をそれに乗じた改定をまずやって、その上で根本的な体系の変更に取り組みたい、かように考えておるわけでございます。
#77
○山崎(武)委員 最後に、土地家屋調査士制度は司法書士制度と並んで登記制度を支えるきわめて重要な制度であり、これらの制度が円滑に作用していくことについては、登記制度に重要なつながりを持つ一般国民にとっては重要な関心事であると言わざるを得ません。
 登記行政を直接所管する法務当局としては、このことに十分に意をいたし、今後においても土地家屋調査士会と密接な連絡協調を保って、両者一体となって登記制度の適正かつ円滑な運用を図る必要があると考えます。この点についての法務当局の所見を問います。
#78
○香川政府委員 先ほども申しましたように、表示登記制度の充実を期するためには、調査士制度の活用と申しますか、個々の調査士の方が表示登記の重要性を認識されて、役所のそういった行政事務についてもできるだけ御協力を賜る、私どもといたしましても、そういった調査士の仕事が適正円滑にできるような、できるだけの協力をするということでまいりたい、かように考えております。
#79
○山崎(武)委員 終わります。
#80
○佐藤委員長 横山利秋君。
#81
○横山委員 もう山崎委員が大要質問いたしましたから、私、ひとつポイントだけ短い時間で当局に聞きたいと思うのであります。
 私の言うことはいつもしちくどいような話でございますが、先ほども話題に出た公共嘱託の問題であります。公共嘱託が、何回ここで附帯決議をつけ、あるいはいろいろやっても発展しない。二年も三年もかかって大衆討議をやって受け入れ体制をしても、公共嘱託がうまく司法書士なり土地家屋調査士の手元へ仕事が進まない。
 この原因は、先ほども一つ二つ出たのですが、一つは、法人でなければ競争入札に参加ができないと言われておる。それから、報酬制度が、これは安いなら幾ら安くてもいいということなんでしょうけれども、やはりそこに一つの問題がある。それから各省が公共嘱託を司法書士及び土地家屋調査士にやらせることについて、法務省民事局のPR、が十分行き届いていない等々の問題であると思いますが、一体どうしたら公共嘱託が軌道に乗るか、司法書士法の改正、土地家屋調査士法の改正をするということは、単に試験制度ばかりでなくて、ここで一つの画期的な展望を開きたいと思いますが、その一つとして、ひとつ御意見を伺いたい。
#82
○香川政府委員 先ほども申し上げましたように、公共嘱託を実施するためには、私は、やはりその受託する側の法人格の問題が一番大切だろうと思うのであります。つまり、各調査士会で調整されまして、地域ごとあるいは相手ごとに一つの受託法人を設立して、それが受託の主体になるということがまず先決だろうと思うのであります。
 この点につきまして、調査士会、司法書士会ともに、そういった私の非公式意見を申し上げておるのでございますけれども、皆さんの御意見はそういう方向ということで一致を見ないようでございます。もう少しその辺のところの検討が要ると思うのでありますが、これは先ほど申しましたように、個々の抜け駆け的なことでなしに、全体的なそういった気持ちが出てこないと、私はうまくいかぬだろうというふうに思っております。
 それから報酬の関係でございますが、これは現在の報酬規定の中で、公共嘱託の特殊性にかんがみまして、それなりの調整を考えていくべきだろう。これはぜひとも近々やりたいというふうに思っております。
 もう一つは、今回、先ほど申しましたように、そういった受託法人の規定を調査士法に設けることができなかったわけでございますが、会則の中に、調査士会の仕事として公共嘱託のそういう受託あっせんなり調整をするというふうな機能を盛り込みまして、そして会が自主的にそういった調整あるいはあっせんをするということで、さしあたりやってみようかというふうな考えでおるわけでございまして、これは今回の報酬改定と同時に、できればやりたいというふうに考えておるわけであります。
 一方、先ほど御指摘の私どものPRが足らぬという点も、まことにそのとおりだと思うのでありますが、各省あるいは各地方公共団体等に、所管課の方では相当折衝しておるわけでございますけれども、それぞれ各団体には、御案内のとおり、お家の事情もございまして、いろいろの面をきめ細かく詰めないことには、向こう側の要請にもなかなか応じられないという面があろうかと思うのであります。その点は今後とも一層努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#83
○横山委員 法律をそのままにしておいて、会則で法人をつくる、その法人が各官庁なりと競争入札で契約をする、法人だから契約当事者になり得る、その法人の中の資格を持つ調査士なり司法書士が登記その他の法律的責任を負う、そういうことになるわけですね、違いますか。その疑問が一つ。
 それからもう一つは、調査士会から、とてもそういうことはできぬから、随意契約によることができる旨を省令か政令にひとつ書いてくれぬか、こういう注文があるのですが、どうなんですか。
#84
○香川政府委員 先ほど申しましたのは、土地家屋調査士法では、土地家屋調査士でなければ調査士の仕事ができないことになっておるわけでございます。
 したがって、法人、つまり調査士が何人か寄って集まって設立された法人がいわば調査士の仕事をするためには、調査士法の中に、調査士業務ができる人格としてその法人を規定しなければならぬわけであります。だから法律改正が要るわけでございます。それを連合会の方にも前にいろいろ意見を申し上げておるのでありますけれども、そういうことでいこうというふうな意見の一致をまだ見ていないようでございます。
 そこで、いたし方ございませんので、先ほど申しましたのは、各調査士会の会則の中に、調査士会の仕事として公共嘱託の関係のあっせんなり調整をするという規定を設けまして、調査士会が音頭をとって、そういう受託機関をつくるということを積極的にやるようにしてはどうか。
 そこで問題は、法人格がない場合でも、いわばそういった団体ができて、そして代表者が決めてございますれば、いわゆる人格なき社団というものになるわけでございますので、法律的にはその人格なき社団が公共嘱託の受託契約を締結することができる、こういうふうに考えておるわけであります。しかし、そういう人格なき社団では、やはり相手方の身になりますと責任が必ずしも明確にならぬというふうな面もございますので、そこで、ベターな方法としては法人格に持っていくべきだろうと考えておるということを申し上げたわけでございます。
 第二の随意契約の問題でございますが、これは非常にむずかしい問題のようでございまして、私も十分勉強しておりませんので、自信のある御回答ができないのですけれども、現在の各国の機関あるいは地方公共団体では、公正を期する意味で入札の方法をとっておるわけであります。調査士会のそういったあっせんした人格なき社団なりの場合でも、やはり入札の制度を曲げることがなかなかむずかしい、随意契約によるということが非常にむずかしい。結局そのものでなければやれない、他に方法がないというふうな特殊な理由づけをしないことには、随意契約によるということがむずかしいようでございます。
 この点は、さらに研究を進めてまいらなければならぬと思うのでありますけれども、それを私どもの省令で書いてみても、これはちょっと適当でないだろう。やはり会計法の問題でございますので、そちらの方で何らかの手当てをする必要があるのかもしれないというふうに思うのであります。随意契約によることを非常に調査士会の方では要望しておられますけれども、実際問題として、そういう法律改正なりをしなくても、入札でもできないことはないと私は思います。
 ただ、その入札の場合に隘路になりますのが現行の報酬規定だと思うのです。報酬規定に違反するということになったのでは困るわけでございますので、その面の手当てさえ何とかすれば、入札で特に支障があるとは私は思わないのでございますけれども、その辺のところも十分検討してみたいというふうに思っております。
#85
○横山委員 いろいろくどくどおっしゃるけれども、結論としては、法律改正によって法人格を付与しなければ、公共嘱託の大量受注はできないということでしょう、結局は。そんなことは三年も四年も、司法書士法の前回の改正以来の課題ではありませんか。それをいままで何をやっておったのですか。それが結論だとすれば、怠慢もはなはだしいと私は思うのであります。
 測量会社がある。測量会社の中に資格を持っている人がある。測量会社がどんどん公共嘱託の仕事は入札で受注してしまう。そういう状況にあるのだから、これからいろいろと、附帯決議の案にありますように、あるいは質疑応答にありましたように、業務量が仮にふえても、それを司法書士なり土地家屋調査士が受注するという可能性というものは、測量会社の発展によって期待ができないと私は心配しておるわけであります。しかも測量会社のやることが時折両法に違反をして勝手なことをやっておる、そういう疑念があるわけです。だから両法の改正に伴って当然必要な法人格の付与、それがやりたい人とやりたくない人とあるだろう。それは承知の上で、今回どうしてそれが実現できなかったのか。そしてまた、今回この法律改正してから、この次に両法を改正するというのはもう数年ないでしょう。そのためにだけやるということはないでしょう。そうだとすれば、まことに怠慢ではないか。あなたの結論が法律改正より仕方がないとわかっておるのに、なぜやらぬか。法務大臣、これは怠慢ですよ、あなたの部下が。
#86
○香川政府委員 怠慢とおっしゃるなら、調査士会連合会なり司法書士会連合会あるいは全国の単位会の皆さんが御納得いただくように私の説得力が足らぬということ、そこに怠慢というそしりは甘受いたしますけれども、そういった問題を提起はいたしまして、どうでしょうかということを問いかけておるわけでございますけれども、司法書士会連合会あるいは調査士会連合会の方からぜひともそうしてくれ、そういうことでいいのだというふうな御回答がいただけないわけでございます。個々の方で、ぜひそうすべきだという御意見の方もございましょうけれども、全体としてそういった受託法人の設立を司法書士法の中に設けてくれということが、まだ一致した御意見としてあるいは組織としての御意見として御提示いただけないものですから、やはりやる方の側がそれだけいろいろ御検討されておる、ちゅうちょしておられるという以上は、私どもの方でそれを押し切ってやるというわけにはまいらぬことではないかというふうに考えておるわけでございます。
#87
○横山委員 その次は、またこれはくどいようですけれども、補助者の問題です。
 要するに、司法書士も土地家屋調査士も、自分の従業員を持っているけれども、それを何のたれべえを事務員に採用するには法務局長の承認が要るというのですね。何でそんなことを司法書士、土地家屋調査士だけやらなければならぬかと私が多年にわたって言っておる。だから、先ほどの多田参考人でも、二十人、三十人やっておったのでは監督責任ができないから、少なくとも五人ぐらいなら法務局長の枠で採用いたしましたという通知だけすればいいではないかということが、最終的な意見としてあったのですが、補助者の問題がいつまでたっても、何のたれべえを採用いたします、これはいかぬ、これは採用してよろしいという権限を法務局長が持っておるということは言語道断なんで、これも民事局は何だかんだ言って、ちっとも解決しないのです。こんな上職がどこにありますか。ほかにあったら例を示してもらいたい。少し法務省民事局並びに法務局長は越権行為をしておると私は感じておるのですが、これはどうなりますか。
#88
○香川政府委員 そこのところは横山委員と私、御意見が一致しない点でございまして、現在法務省令で補助者の承認制をとっておりますのは、一つの大きな理由は、名板貸しを防止するということがあると思うのであります。
 つまり、補助者ということで実は先生の方の名前を貸して、補助者に全く司法書士、調査士と同じ仕事をさせるというふうな実態があるわけでございまして、そういった、いわば名板貸しを防止する一つの方策として承認制が考えられておる。もう一つは、御承知のとおり、司法書士法でも調査士法でも、司法書士あるいは調査士でなければその業務ができない、これは当然のことでございますが、補助者を多数使うことによって、いわば司法書士業務、調査士業務の企業化といいますか、本来は個人の責任においてなすべきそういう業務の運用が、いわば組織体的なものとして運用される、これは名板貸しともオーバーラップするところでございますけれども、そういったことがあるわけであります。
 そういうことになりますと、これも先ほど参考人の意見のところでの質疑でもございましたように、やはり業務量が一定限度限られておるわけでございますから、司法書士、調査士の需給の問題があるわけでございます。補助者の承認制を外しますと、結局、多数の補助者を抱えて、いわば無責任なといいますか、そういう形で補助者一人つくることによって司法書士が半人前生まれてくるというふうな結果にもなりかねないわけでございまして、そういうことから承認制をとっておるわけであります。
 枠の問題でございますけれども、したがって現在承認制の運用といたしまして、五名以内であれば承認する、当然承認されるということにいたしておるわけでありまして、それ以上超えれば、やはりいろいろの観点からそれをチェックするというふうな運用にいたしておるわけでございます。
 確かに、この補助者の承認制については、やめるべきだという意見が司法書士業界あるいは調査士業界にも強くあることは十分承知いたしております。したがって、先ほど申しましたような心配が調査士会あるいは司法書士会の自主的な規制によって十分行われるならば、私どもは承認制を外すことについては何らちゅうちょするところはないのでありますけれども、現在の実態を見ます場合に、私どもとしては、まだまだそういうことを自主的にやってもらえるとは言えない、かような認識でございますので、しばらくこの点についてば実態を見守りながら、撤廃の方向は考えておりますけれども、まだそういった自主性に任せるにはちょっとちゅうちょされる点があるというふうに認識いたしておるわけでございます。
#89
○横山委員 これはもう民事局長は相手にならぬです、こういうがんこな男で。法務大臣にひとつ考えてもらいたい。
 いま説明を聞いたでしょう。それなら司法書士だけが何で、何のたれべえは採用いたしますが、いかがですかと言って、法務局長に司法書士の補助者だけ言わねばならぬか。税理士はどうなのか。公認会計士はどうなのか。ほかの上職で自分の給料で従業員を雇うのに、この人間を雇っていいでしょうかと言って役所の承認を得る上職は何があるかというのですよ。何がありますか。だから強いて譲って、枠の中で五名なら五名とか、そういうことなら私は譲ってもいいと言うのだけれども、それを何のたれべえを採用していいか悪いかということを、何で一々承認制度をとらねばならぬか。
 いまも局長は、実際は五名以内ならば自動承認運用をしておりますと言う。それならそこへ省令ですか政令ですか、直せばいいのであります。司法書士だけがどうしても個々の承認制をとらなければならぬという理由はないですよ。何で民事局長がそういばらねばならぬか、私はわからぬのであります。それをやっていかなければ、避くべからざる、どうにもならない天下国家の重大事件が勃発するということなら話はわかるけれども、たかがそんなことで何がそういばらねばならぬか、私は十年来の問題なんです。
 法務大臣、どうですか。もうあなたが、香川君、まあ横山があんなにうるさいから、おまえ、考えたらどうだと、そこで一言言ってくださいよ。
#90
○古井国務大臣 あなたのお説を聞いておると、お話がうまいのか、説明が上手なのか、ごもっとも千万みたいに聞こえるのですけれども、聞こえることは聞こえるのですが、しかし、さっきの名板貸し乱用になっても困るというようなことも言っておりますので、そこでついあなたの方に感心して、そうしましょうともすぐ言いかねますので、よく研究させてください、これは。本当にごもっとものように聞こえるのですけれども、それなりにまた、これは渋るわけもあるかのような気もしますので、これは研究さしてください。
#91
○横山委員 念のために申しますが、私は、枠の中で採用している人間は、司法書士会なり土地家屋調査士会を通じて届け出だけはしてもいいと言うのですよ。そしてそれが何か問題を起こしたら、法務大臣なり法務局長の権限行使、職務権限で司法書士なり土地家屋調査士に注意なり勧告なりできるのですから、よく考えてもらいたいと思います。
 それから、その次は民法の方へちょっと入るのですが、この間天下一家の会がああいう状況になったのですが、私の承知するところによれば、別に宗教法人をつくってそこへ全部逃げてしまった。それで宗教法人法の適用を受けてもう万々歳、青空だということになったようでありますが、この点について、今回の民法改正の中でどうお考えになりますか。
#92
○香川政府委員 私の聞き及んでいるところによりますと、実質は、おっしゃるとおり宗教法人の方に逃げていったようなことでございますけれども、宗教法人法は、御承知のとおり、これは民法の適用除外でございまして、私どもの所管には属しないわけでございます。
#93
○横山委員 大臣、お聞きのとおりです。
 天下一家の会をやっつけようと言ってあらゆる努力をしてこの法律をつくったら宗教法人に逃げ込んでしまって、万歳と言っておるわけです。万歳も、向こう様のいい方の万歳ですね。私が先ほども、あそこに自民党の先輩がいらっしゃるのですけれども、附帯決議を出して、宗教法人について直接どうのこうのと言うことはいかがかと思うのだけれども、実質的に内部で自主規制ができるように、ひとつ政府の行政指導をしたらどうだという意味もそこにあるのです。そこを押さえればあっちに行ってしまう、ここを押さえれば、また向こうへ行ってしまうというわけで、せっかくの民法改正が、一つは天下一家の会をねらい撃ちにしたのだけれども、何にもならなかったということなんですね。何にもならぬということは、それはないけれども、本体が逃げてしまったということなんであります。
 したがいまして、これはひとつ民法改正をした責任者の法務大臣として、この種公益法人、宗教法人、特殊法人全般について、この機会に総理府とも協議をされて、私がこの間の委員会でくどく言ったように、ひとつ再検討をする、あるいはまた総合調整をする、そういうことがどうしても必要だと思いますが、いかがですか。
#94
○古井国務大臣 特殊法人の問題は、いまもだんだんお説もありましたし、のみならず、これはずいぶん問題が多いように、従来から私ども感じております。といって、それじゃこれを引き受けて、特殊法人を全部どうしましょうとまで大ざっぱなことはちょっとすぐ言いかねますけれども、問題が本当に多いように思っておりますので、研究、研究で悪いようですけれども、検討させてもらいたいと思います。
#95
○横山委員 終わります。
#96
○佐藤委員長 午後二時再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時開議
#97
○佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、民法及び罠法施行法の一部を改正する法律案、同じく土地家屋調査士法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。飯田忠雄君。
#98
○飯田委員 まず、民法の改正案についてお尋ねをいたします。
 民法の法文は、これを拝見いたしまして、大変表現がむずかしくて誤解するところが多いわけですが、この民法の法文を今後もっとわかりやすい形で改正をしていただく御方針はあるのかどうか、お伺いいたします。
#99
○香川政府委員 民法は国民生活に密着する法律でございますので、わかりやすくということは当然でございまして、できれば早急に口語化と申しますか、わかりやすい表現に改正する作業をやりたいと思っているのでございますけれども、何かとそれよりも急ぐと言ってはあれでございますが、なかなかまだ十分作業が進んでおりません。
 ただ、御承知と思いますけれども、現在文語体で書かれておるのを、右から左に単に口語に直すというわけにもちょっとまいらない、なかなか文語それ自身の意味深長なといいますか、あるいは弾力的な表現がございまして、口語化するのに非常にむずかしい問題もあるようでございまして、その辺のところを真剣に取り組むといたしますと、やはり相当人手、時間をかけなければでき上がらないのじゃないかと思っております。しかし、何とか早急にその問題にも取り組みたいと思っている次第でございます。
#100
○飯田委員 この改正案の第十一条の問題でございますが、この条文を読みまして、私どもは、実は正確に理解できるのかどうか非常に疑うわけです。
 私自身が間違っておるのじゃないかと疑うわけですが、「心神耗弱者、聾者、唖者、盲者及ヒ浪費者ハ準禁治産者トシテ」こうありまして、「トシテ」と、こうあるのですけれども、「トシテ」という言葉は何を意味するのか、正確にはわからないのでございまして、私どもは、恐らく「トシテ」というのは、とするという言葉の変化であるから、とするということであれば法律がそういうものとするという意味であろう、このように理解できると思うのであります。
 そこで、法律によって心神耗弱者等は準禁治産者とするのだ、そしてこれに保佐人をつけることができる、こういうふうに読めるのでございますが、そういうように読んでよいものでございましょうか。
#101
○香川政府委員 この民法十一条の「準禁治産者トシテ」というのは、実体法と申しますか、実体的な側面から規定したものでございまして、心神耗弱者を例に考えますと、心神耗弱者は当然にその準禁治産者になるという意味ではなくて、やはり裁判所の準禁治産宣告という手続を介して準禁治産者になる、こういう趣旨だと思うのであります。
#102
○飯田委員 この中には民法第七条の規定が準用されておるのですが、その中に心神耗弱者等には法定の請求権者が書いてありますが、この請求権者の請求によって準禁治産の宣告をするのだ、こうなっております。その法定の請求権者の中に保佐人という言葉が書いてあるわけです。
 そうしますと、保佐人というものは元来準禁治産者につける以前からあったのではないか、こうとれるのですが、いかがでしょうか。
#103
○香川政府委員 大らかな準用規定でございますので、単純に準用しておるわけでございますが、その趣旨は、禁治産宣告の場合にはすでに準禁治産宣告を受けて保佐人が付されている心神耗弱者につきまして、それが心神喪失者になっていくという場合に、保佐人にも申し立てを認めるということでございますので、その部分は準禁治産宣告の手続の中では準用されないことに結果的にはなろうかと思います。
#104
○飯田委員 いろいろいま私お尋ねをいたしましたように、私どものように法律を勉強してきた者でも、実は間違える文句が使ってあるわけなんです。民法という法律は、実際に国民が自分たちの行動を規律する上において、身近において理解しなければならぬ法律なんですが、それがこのように法律を専門に勉強してきた者でも間違える、そういう規定で現在あるわけです。
 こういう問題につきまして、早急にこういう間違いを犯すようなところは検討されることが必要ではないかと思うわけでございますが、先ほどは改正はなかなかうまくいかぬのでというお話でしたが、うまくいかぬとしましても、そうした国民が読んで間違えるような言葉は、ぜひ早急に検討されて改めていただきたいと思うわけでございますが、いかがでしょう。
#105
○香川政府委員 読んで間違えるというのは、これは表現が悪いに決まっているのでございますけれども、私どもの見方が少し狭過ぎるのか、民法というのはなかなかよく書けているように思っておるわけでありまして、ただ、むずかしい言葉が使ってあるために親しみにくいとかあるいは一般国民から見てわかりにくい部分のあることも確かでございまして、特に解釈上非常に説が分かれておるというふうな規定も多々あるわけでございます。
 そういうものをもっと明確にすると申しますか、間違いのないようわかりやすくするということは、確かに大事なことだと思うのでありますけれども、この作業も、まことに後ろ向きのことばかり申し上げて恐縮でございますが、大変な作業でございまして、ここで早急にお約束いたしかねるわけでございます。
#106
○飯田委員 この問題はゆっくりお考え願うといたしまして、次に、この条文につきまして聾者、唖者、盲者を準禁治産から外すということになっておるわけですが、このこと自体については、私は別に異論を申し上げる次第ではございません。
 しかしながら聾、唖、盲の人たちで教育程度もまだそんなに進んでいない人あるいは能力開発程度が弱い人、こういう人もあろうと思いますが、こういうような人たちに対する保護が、これで欠けてしまうのではないかという心配があるわけでございます。そこで、この問題についてどのようにお考えでしょうか、お尋ねいたします。
#107
○香川政府委員 身体障害が一つの原因をなして、心神耗弱といいますか、自分で事理を弁別する能力がないということでございますれば、この三者を削りましても十一条には心神耗弱者が残っておるわけでございますから、心神耗弱者ということで準禁治産宣告ができる、それで保護に欠ける点はないのじゃないか、かように考えておるわけであります。
#108
○飯田委員 盲者、唖者あるいは聾者の場合に、これが心神耗弱と認定できるということになるのかどうか、私は疑わしいと思うのですが、目が見えない、耳が聞こえない、あるいは口がきけない、だから心神耗弱だということにはどうもなりかねるのではないかと思います。
 そこで、問題は、こうした聾、唖、盲の人たちは強度の身体障害を持っておる状態なんですが、そのために責任のある法律行為をすることができないという場合もあるのではないか。たとえば契約を結ぶに当たりまして、契約書に署名押印をするという場合に、目の見えない人が果たしてそれが正確にできるであろうかという問題が起こると思いますが、こういうような場合に、従来は保佐人をつけなければならぬとなっているので、相手方も容認したと思いますが、今度はそうでないので、結局そうした強度な身体障害がある人たちが保護されないで、非常に苦しめられる結果に陥るのではないかという心配があるのですが、いかがでしょうか。
#109
○香川政府委員 目が見えないということで、たとえば契約書が読めないということは確かにあるわけでございますが、そのことを直ちに心神耗弱と同じ程度に民法上無能力者扱いと申しますか、保佐人をつけなければならぬということに結びつけるのが、むしろ、その不平等感と申しますか、そういった要らざる感じを持つことになるわけでございます。
 したがって、目が見えないために契約書が読めないというのであれば、事理は十分自分で弁別できるという、それだけの能力があれば、当然自分の責任で信頼のおける人に代理人になってもらって、その代理人との間で契約をするとか、あるいは自分の信頼できる人と同行して契約書の文字を読ませて、それを聞いて自分が判断するということで事足りるわけでございまして、ことさら、それが半人前だということで準禁治産宣告をして、保佐人をつけなければならぬというふうに法律をするのはいかがか、こういう趣旨で削除したい、こういうことでございます。
#110
○飯田委員 こうした三者の聾者、唖者、盲者の人を準禁治産者にするということはよくないと思います。準禁治産者から外すということは大変いいことだと思いますが、準禁治産者から外したために保護されなくなるのではないか。
 ですから、ほかに何か別の保護対策を講ずる必要がないのかと、こういうことをお尋ねをいたしておるわけですが、いかがでしょうか。
#111
○香川政府委員 能力が十分あるわけでございますから、やはりそれはみずからの責任において、しかるべき人を補助者的に使うというふうに持っていく方が筋だろうと思います。法律が要らざるおせっかいをやいて、半ば強制的に申しますか、そういった保佐人的なもの、別のそういう制度をつくるということになりますと、またそこに要らざる不平等感を醸成するおそれもあるわけでございますので、私どもの考えとしては、自分の責任でしかるべき手段をとるということが本筋ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
#112
○飯田委員 御趣旨はよくわかるのですが、人には気の弱い人と気の強い人がおります。多くの人が事故を起こして後でひどい目に遭うのは、大抵気が弱いから、ある法律行為を結ぶに当たりまして、そのときに率直に自己の権利を主張し得ないために、結果においてとんでもないことになっているということが多いわけなんですが、ことに聾者、唖者、盲者の場合、そういうことがしばしば起こるのではないかという心配があるわけです。
 従来は保護されておった、それを急に保護を外した、そういう場合に、この人たちが本当に法律行為を一人前の人として結んでいく上において障害がないのであろうかということになりますと、大変心配に私は考えるわけですが、何らかほかの方法で、準禁治産者とするのではなしに、あるいは保佐人をつけるのがだめなら、保佐人というものでなくて、何らか身内の人でも構わないから、契約を結ぶ相手方に義務づけることはできないのでしょうか。つまり聾者、唖者、盲者に義務づけるのではなしに、契約を結ぼうとする相手方に特にある拘束を加える、たとえば相手の人が聾者である場合には、その人の身内の人なり何なりの立ち会いのもとに契約を結ぶのだ、そうでなければ無効とするといったような、相手方に一つの拘束を加える保護措置はできないでしょうか、こういう問題なんですが、いかがでしょうか。
#113
○香川政府委員 保護に欠けることがないようにということを考えますと、お説のような方法も考えられないわけではないと思うのでありますけれども、私ども一番気になりますのは、聾者、唖者、盲者というのは確かに身体障害はあるわけでございますけれども、物事を判断する能力には欠けてないという場合、そういうような場合でも何か法律の特別規定によりまして、たとえばいまお示しの相手方に身内の者を代理人にしろとかいうふうな、何か通常人と違った法律的な手続を準備するということ、そのこと自身が、かような身体障害者に要らざる不平等感を感じさせるといいますか、そういうことになるわけでありまして、やはり不便であるならば、それを補う手段をみずからの判断でつくるというふうにした方が、かえって平等に扱っているということになるわけでございまして、さような方がむしろベターではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#114
○飯田委員 この問題は、ここで議論しましても水かけ論になりますので、ゆっくりまた御研究願うといたしまして、次の問題に移ります。
 三十四条ノ二につきまして、社団法人とか財団法人でないものが、その名称の中に社団法人もしくは財団法人という文字あるいはこれと間違うような文字を使ってはいけない、こういう規定を新しく設けられるわけですが、こういう規定を設けなければならなくなりました背景は、どのようなものでございましょうか。
#115
○香川政府委員 きっかけと申しますか、私ども、法律の不備なために起こる事例が、経験しませんとなかなか気がつかぬこともございまして、いまの問題は、御承知のネズミ講の関係での天下一家の会というのが、財団法人でないのに財団法人天下一家の会というふうに名のりまして、そのために一般国民が政府の監督下にある法人だというふうに信用して、不利益を受けるというふうなおそれが十分考えられたわけでございまして、そういうことを契機にいたしまして、やはり民法法人である以上は、他のものが民法法人と紛らわしい名称を使うということを禁止した方が、国民の権利保護にはいいというふうに考えたわけでございます。
#116
○飯田委員 この条文で「社団法人又ハ財団法人」と、こういうふうに書いてありますが、民法によりますと、民法三十四条の公益法人に該当するもののように思いますが、この公益法人に関する規定によりますと「公益ニ関スル社団又ハ財団ニシテ」とありまして、「公益二関スル」という言葉が使ってあるわけですが、公益を目的とするものばかりでなしに、公益に関するものを公益法人とする、しかも公益に関するものであれば社団法人にも財団法人にもなる、こういうふうに読めるのですが、ここで公益を目的とするのではなしに「公益二関スル」と言いますと、一体どのような法人があるのでしょうか、具体的にお尋ねいたします。
#117
○香川政府委員 公益というのは不特定多数一般公益の利益のためということだと思うのでありますが、この「公益二関スル」という規定の解釈としまして、御承知のとおり、これは狭義に解して公益を目的とするという意味だという説が有力でございます。
 そういう説に立ちますと、社団または財団の事業目的それ自身が公益でなければならぬわけでございますが、私どもの解釈といたしまして、公益を目的とするという趣旨には必ずしも解釈しなくていいのじゃないか、もう少し広義に公益に関するという字句どおりに読んで、したがって、直接その事業は公益そのものではないけれども、そういう事業をやることによって不特定多数の者の利益が生まれてくるというふうな、いわば間接的なものも公益に関する事業というふうに考えて財団、社団の設立を認めて差し支えないのじゃないか、さように考えておるわけでございます。
#118
○飯田委員 公益という場合に、従来、不特定多数でなければならぬというふうに解釈されておりますけれども、公益という問題は不特定多数でなければならぬのかどうか、特定の者でも公益があるのではないかと思われますが、いかがでしょうか。
#119
○香川政府委員 現在の学説では、公益というのはやはり不特定多数ということの域を出てないと思うのであります。特定の人が数がいかほど多くても、その人たちだけの利益を考えるというものは、やはり公益という概念からは外れるのではなかろうか。
 ただしかし、特定のそういう者の利益を図る事業というものが、さっき申しましたように、そのことを通じて一般不特定多数の者に利益が還元されていくというふうな場合になってまいりますと、公益を目的とするという解釈と、公益に関するという広義に読む解釈とで、そこは若干違ってくると思うのでありますけれども、公益そのものの定義としては、特定者が多数であっても公益ということにはならないという解釈は、動かしがたいのではなかろうかというふうに考えております。
#120
○飯田委員 たとえば労働組合などになりますと、これはやはり特定多数の者の利益を図るものですか、この場合に、労働組合は単なる私的のものであって公益ではないというふうに解釈しなければならぬ特別の理由があるでしょうか。労働組合も公益に関するものじゃないでしょうか、その点いかがでございますか。
#121
○香川政府委員 労働組合の場合に、労働組合員の福祉と申しますか、そういったことを図るためだけの団体というものを仮に考えるといたしますと、それはやはり不特定多数というわけにはまいらないわけでございまして、民法法人の設立はむずかしいのではなかろうかと思うのであります。
 労働組合そのものの性格と申しますか、そのことと、組合に属する組合員の利益を図るということとは、また別の問題だろうと思うのでありまして、仮に労働組合は公的なものだといたしましても、労働組合に属する特定の組合員の利益を図るための事業というのは、やはり公益事業というわけにはまいらないのじゃなかろうかと解釈するわけでございます。
#122
○飯田委員 これは解釈の問題で議論が非常に対立すると思いますけれども、公益というのは公の利益というわけなんですが、公の利益と公というのは一体何を意味するかという認識の問題だと思います。
 労働組合全体の利益を図るということであれば、やはり労働組合全体も公ではないか、単なる一個人の問題ではないということにもなってまいりますが、公益という言葉の解釈はいろいろございますけれども、従来のような特に不特定多数の利益といったふうに公益を理解しなければならぬというのも、しっかりとした根拠のあるものではないのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
#123
○香川政府委員 公益というのは、先ほど来申し上げておりますように、不特定多数の者の利益ということ、これは動かしがたいと思うのですけれども、先ほどお説のように、公益という言葉は非常にわかりにくい、いろいろの解釈が出てくる字句でございましょうけれども、しかほどさように、これをわかりやすく書き直そうといたしますと非常にむずかしいという問題にぶつかるわけでございまして、公益というわかりにくい言葉を使ってあることによって、かえって世の中の進歩と合わせて弾力的にいろいろ解釈されていくというふうな面は確かにあると思うのであります。
 最近のように、社会全体が一つの連帯的なと申しますか、かかわりがいろいろ非常に深くなってきておるといたしますと、公益という概念も相当広がりを持ってくるというふうなことは十分予想されることでございます。しかし、ただいまのところ、特定の者の利益を図る、その特定の者がいかに多数であっても、その者の利益だけということになりますと、公益という概念にはちょっとなじまないのではなかろうか、繰り返しでございますが、さように考えます。
#124
○飯田委員 いまの御議論で、一つ私が非常に不思議に思いますのは、たとえば日本国民というのがございましょう。日本国民というのは特定ですね。その日本国民の利益を図ることは、一体公益を図ることにならないのかという問題も起こってまいります。
 つまり、公益という言葉を不特定多数という抽象概念でなければとらえられないという考え方自体に、問題があるのではないかと思うわけです。たとえば国家あるいは社会、学校、いろいろ一つの団体がございます。その団体でくくると、それがもう公益でなくなる、そういう考え方に問題があるのじゃないかと私は思いますが、こういう点はどうでしょうか。
#125
○香川政府委員 私が特定と申し上げましたのは、たとえば日本国民と言えば、世界の中で考えれば、これは特定と言えないことはないわけであります。あるいは、ある何々県の県民というのも、日本国の中で考えれば特定かもしれないわけでありますけれども、そういった地域なりある一つのサークルと申しますか、社会のその中でだれ、そういったあれじゃなくて、抽象的に何々県人とかいうふうなことになっておりますれば、これは現在の解釈としては、不特定という枠内に入ってくるというふうに解釈されると思うのです。しかし、たとえばある小さな村の人口が五千人というようなときに何々村民といっても、これはやはり不特定多数という概念に入ると思うのですけれども、同じ従業員を擁している何々株式会社というふうな会社の従業員ということになりますと、それが仮に一万人おりましても特定と言わざるを得ないというふうな違いがあるわけでございます。
 したがって、確かに特定という言葉の使い方と申しますか意味合いを考えれば、日本国民だって特定ではないかというふうにおっしゃればおっしゃれないことはないわけでございますけれども、それは公益という概念の解釈から来る問題でございますので、したがって、日本国民あるいは何々県民、何々村民といった場合には、これは不特定というふうな概念に入るものであり、何々株式会社の従業員といえば特定と解釈すべきだというふうに、従来から言われておるわけでございます。
#126
○飯田委員 特定、不特定の問題は非常にむずかしいので結論を出しがたいのですが、たとえば一つの大学の学生は一体特定か不特定かといいますと、学生は四年ごとに卒業して入ってきて、非常に不特定性を持つわけですね。ある時期で区切れば特定だけれども、少し時期の範囲を広げれば不特定になる。労働組合でも同じだと思うのです。特定としてとらえれば特定だが、不特定としてとらえれば不特定だ、そういうように、どうにでもとらえ得る問題なんですが、この公益という言葉をなぜ特にそういう不特定多数というふうに定義づけなければならぬのかというところに、私は疑問を持つわけです。そういう解釈をなぜとらなければいかぬのか。問題は解釈でしょう。それでそういうことを申し上げたのですが、これは余り議論しておってもしようがありませんので、このくらいにしておきます。
 公益法人監督事務連絡協議会というのが総理府に設けられておるということを聞きましたが、この協議会はどういう目的でおつくりになって、どういうことをおやりになっているところでしょうか。
#127
○小野(佐)政府委員 お答えいたします。公益法人監督事務連絡協議会というのは、昭和四十六年十二月に設けられたものでございまして、公益法人の設立許可並びに監督というのは、各主務官庁でそれぞれ行っておるわけでございますが、各省庁におきます公益法人の監督事務の統一的な改善を図るということを目的にして設置されたものでございます。
#128
○飯田委員 設立審査基準などを申し合わせておられるということを聞きましたが、これはどういうような御方針で、どの範囲でつくられておるのでしょうか。
#129
○小野(佐)政府委員 お答えいたします。
 公益法人設立許可審査基準等に関する申し合わせ、これは昭和四十七年の三月に申し合わされたものでございまして、公益法人の設立許可審査の基準としまして、まず目的をうたっておるわけでございますが、その中では「公益法人は、積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とするものでなければならない。」ということを規定いたしております。したがいまして、同窓会でございますとか同好会等の構成員相互の親睦や意見の交換等を主たる目的とするもの、あるいは特定団体の構成員のみを対象とした福利厚生などを主たる目的とするものなどは、設立を許可しないという方針をこの中でうたっておるわけでございます。
#130
○飯田委員 公益法人の設立許可をなさる場合に、不特定多数の利益の実現を目的とする団体でない団体に対して、公益法人の設立許可をなさった例はないでしょうか。
#131
○小野(佐)政府委員 公益法人は、民法の規定にもございますように、その設立の目的が、不特定多数の者の利益を図るためのものであるというふうに私どもも考えておりますので、主務官庁といたしましては、公益を目的としないものは公益法人としては考えないという立場をとっております。したがいまして、先生先ほど御指摘のような法人を設立を許可したことはございません。
#132
○飯田委員 たとえば、ほかの労働組合法だとかあるいは地方公務員法とかで、職員団体あるいは労働組合、こういうものは法人とするということになっておるのですが、こういう法律に基づく法人は、民法の規定は一切適用にならないのでしょうか。
#133
○香川政府委員 適用になりません。
#134
○飯田委員 先般の当委員会の質問で同僚議員が質問しました中に、法人に関する一般的基本法がないので、基本法を設けたらどうかという質問がございました。そのときに御答弁を聞いておりましたが、私の聞き違いかもしれませんが、一般的な基本法としては民法の法人の規定があります、これが大体基準になるのだ、こういうお答えがあったというふうに記憶しております。あるいは聞き間違いかもしれませんが、そういうお答えがあったと思います。
 それで、民法の法人の規定というのは、そのお答えにもありましたように、一般的基本法としての性格を実質的には持っておると解釈する人もあるわけなのでございますが、特に民法の三十三条の規定を見ますと、「法人ハ本法其他ノ法律ノ規定二依ルニ非サレハ成立スルコトヲ得ス」とありまして、法人というのは、民法あるいはそのほかの法律によるのでなければ設立できないのだ、こう書いてあります。そのことを決めたのはやはり民法三十三条だ。
 そうしますと、そういう意味では、民法の三十三条というものは、法人の一般的な、基礎的な法律ではないかというふうに理解できるわけですが、この点はいかがでしょうか。
#135
○香川政府委員 民法の三十三条の規定は、まさに、民法上と申しますか私法上法人格を認めるものは、法律が根拠になっていなければならないということを言っておるわけでありまして、民法自身はその一般的な法人としては公益法人しか認めていない。公益法人におさまらないものは、それぞれ特別法で特殊法人としておつくりなさい、こういう考え方を鮮明にしておる、かように考えておるわけであります。
#136
○飯田委員 まあそれはそれで結構なんですが、実は私、ここでなぜこういう質問をいたすかと言いますと、民法の三十三条のようなすべての法律にひっかかる法人については、ひっかかる条文というものが民法の中にはかにあるのではないか。つまり、民法というものは元来私的な法人に関する一般的な規定を置いておりますので、したがいまして、ほかの法律で法人が決められたとしましても、そのほかの法律で決めた法人というものは私人的な性格を持つのですね。
 先ほども質問しましたらお答えになりましたが、たとえば労働組合とか職員団体というものは、これは公益法人じゃないのだ、こういうお話でございましたね。それはなせかというと、不特定多数の者の問題でなしに、特定された多数だから、こういうお話でございました。そうしますと、これは公益じゃないのだから、私的なもの。私的なものならば、そういう私的団体というものは民法の規定に従わしても一向差し支えないのではないか、公の団体じゃありませんから。そういう理論も出てくるわけなんです。
 そこで、こうした特別法による法人にも、その特別法に特に決めてあることと民法とが矛盾しない限り――民法を適用すると特別法に矛盾するのだということじゃ困りますけれども、矛盾しない限り、特別法の法人にも民法は適用になるという理解の仕方ができると思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
#137
○香川政府委員 立法論としては、お説のようなやり方も十分可能だと思うのであります。
 と申しますのは、民法に、他の法律で設立される法人については、その法律で排除しない限りは民法が適用になるというふうな規定を設ければ、そういう形でいきますが、現在の民法はそうではなくて、他の法律で民法の規定を使っていいというものは、民法のそれぞれの規定を準用するということで穴埋めをしているわけでありまして、両方立法論と考えるわけでございますが、どちらがいいかということはさして問題はないと思うのであります。
#138
○飯田委員 こういう問題を私はなぜ取り上げたかといいますと、民法の六十七条に法人業務の監督に関する規定がございます。
 この民法の六十七条というのは法人業務の監督、つまり所管官庁の監督に従えという規定なんですが、この規定はすべての法人にひっかけてもいいものではないか。ですから、こういう規定がある以上――ほかの特別法の場合に、そういう監督規定を忘れておって立法していないものがございますね、たとえば弁護士法のごとく。これはそういう監督規定を置くのを忘れているのです。そういう場合に、民法の規定が適用になるなら、それで法の不備を補完しておるということになるわけなんですがね。そこで、民法の法人規定はこれは一般法だという理解のもとにそういうものに適用になる、つまり、特別法に矛盾しない限り適用になるという形の立法、先ほどおっしゃったような一カ条を加えればいいのですからね、そういう法改正というものが必要ではないか。こういうことを言うために、ぐだぐだいままで質問をしたわけですが、この点いかがでしょうか。
#139
○香川政府委員 民法の考え方は、主務官庁の監督に服させるというのは、やはりそれが公益に関するものであるからだろうと思うのであります。
 御承知のとおり、たとえば一番多い株式会社とか有限会社等の会社は、商法、有限会社法等の特別の法律でそれに準拠すれば自由に設立できる、主務官庁の許可なんというのはないわけです。これは私的な、私益に関することだからそれで十分だ、こういう考え方だろうと思うのであります。
 ところが、公益にも関しないし、あるいは営利事業にも関しないという中間的なものがあるわけでございます。そういう中間的なものは、今日までそれぞれ特別法でもって必要なものは法人とするということで、したがって、中間的なものでありながら、やはり主務官庁の監督に服させた方が
 いいというふうに考えているものは、主務官庁、主務大臣というものを決めておるわけでございます。
 そういうやり方をとっておるわけでございますから、それぞれの法人の特殊性と申しますか、それを勘案して、主務大臣の監督に服させるかどうかということをその都度考えなければならぬ問題ではなかろうかというふうに思うのであります。
 したがって、立法論としては、民法ですべての法人についてこの規定が適用になるのだ、こういうふうに、公益法人に関するそういった規定をすべての法人に適用するという原則を打ち立てること自身が若干問題ではなかろうか。だから、そういう規定が必要ならば、それぞれの特殊法人を設立する特別法で民法の規定を準用するという方が、立法技術的には楽なことではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
#140
○飯田委員 それでは次の問題に入ります。
 六十七条の問題でございます。第一項では「主務官庁ノ監督ニ属ス」というふうに、従来の規定ではなっております。「主務官庁ノ監督ニ属ス」という従来の規定があるのに、わざわざ「主務官庁ハ法人二対シ監督上必要ナル命令ヲ為スコトヲ得」という第二項を新設しておられますが、これは重複するのではないかというふうに実は考えられる向きもあるわけです。
 ここの第一項の「法人ノ業務ハ主務官庁ノ監督ニ属ス」という、監督下に置かれておるわけなんですが、監督下に置かれるという意味は「監督上必要ナル命令ヲ為スコト」も含むのではないかというふうに理解がなされると思いますが、特にこれをそうでないのだということで、新しいものをつくられたのはどういう意味でございましょうか。
#141
○香川政府委員 私どもも、六十七条の現在の一項「法人ノ業務ハ主務官庁ノ監督ニ属ス」という規定を根拠にして、必要な監督上の命令は出せるというふうに解釈できると思うのであります。ただ御承知のとおり、六十七条の改正後の三項、現行の二項でございますが、「主務官庁ハ何時ニテモ職権ヲ以テ法人ノ業務及ヒ財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得」こういう規定も設けておるわけでございまして、この規定も業務、財産の状況の検査だから、重要だから特に書いたと言えばそうかもしれませんけれども、監督に服する以上は、こういうことができるのは当然だというふうな読み方もできる一わけでございます。
 そういうこともございますので、一切疑義のないようにという意味でこの二項を新設いたしまして、しかも二項を新設いたしませんと、たとえば次に改正をいたしております七十一条の許可の取り消しの規定との関係、あるいは監督上必要な命令に違背した場合の過料の制裁の規定等が出てまいりませんので、したがって、当然と言えば当然のことでございますけれども、六十七条の二項を新設いたしまして明確にした、かような趣旨でございます。
#142
○飯田委員 この六十七条の第一項の「法人ノ業務ハ主務官庁ノ監督二属ス」とあります法人なんですが、この法人という言葉は、民法三十三条に言う法人ではないでしょうか。
#143
○香川政府委員 これは民法の主務官庁の許可によって設立された法人という意味でございまして、法人一般ではないというふうに解釈すべきだろうと思います。
#144
○飯田委員 現在、弁護士法によって弁護士会は法人とされておりますが――実は例を探したけれども、弁護士会しかないので弁護士会を出して申しわけないけれども、弁護士会は弁護士法によって法人とされておりますが、これは民法の三十三条を基礎としておる法人という理解はできないかどうか。特別法である弁護士法に規定されていない法人に関する事項はやはり民法が適用されるという、そういう理解はできないかどうか。
 つまり法の解釈の態度の問題です。民法というものは、特別法で法人を決めておるその法人にも、原則として矛盾しない限り適用になるのではないかという考え方はとれないか、こういうことなんですが、いかがでしょう。
#145
○枇杷田政府委員 弁護士会の法人格につきましては、民法三十三条の「本法其他ノ法律ノ規定ニ依ル」という「其他ノ法律ノ規定」すなわち弁護士法の規定によって法人格が認められたものでございまして、そういう意味におきましては三十三条とつながりはございますけれども、しかし、もともとその成立の根拠になりました法律は民法そのものではなくて、弁護士法の三十一条あるいは四十五条の規定による法人格の付与ということに相なるわけでございますので、民法の規定を基礎にするということとは若干違うのではないかと思います。
#146
○飯田委員 法人というものは、これはいろいろの法律によってつくられている法人があるわけですが、この法人が、主務官庁の監督に属さない法人があるという考え方は大変疑問が多いと思います。
 結局、行政ですから、行政というものは内閣がやっておいでになるのだが、行政でありながら行政監督に服さないという法人が存在し得るのかどうか、ちょっと疑問だと思いますが、いかがでしょう。
#147
○香川政府委員 ある法人格を付与する団体をつくるということになりました場合に、特別法でつくるわけでございますから、国民生活には非常な関係があるというふうになるわけだろうと思うのであります。
 そういう場合に、国民に対してと申しますか、あるいは国会に対して責任を持つ内閣の部署がないということは、お説のとおり相当疑問だろうと思うのであります。ただ、絶対それは許されないかということになりますと、私も憲法はよく勉強いたしておりませんので、明確には申し上げかねますけれども、やはり本来のオーソドックスのあり方としては、国民生活に非常に関係があるというそういう法人というものについて、内閣が国会つまり国民に対して責任を持つ意味での主務官庁的なものがあるのが、通常の姿だろうというふうに考えます。
#148
○飯田委員 これは弁護士会を例に挙げて申しわけないのですが、弁護士会というのはやはり一つの法人であるし、弁護士の特殊な団体であるにいたしましても利益を図る団体でございますので、そういう意味においては公益法人と理解しても差し支えないのではないか。広い意味で社団法人であることは間違いない。
 そうしますと、そうした民事的な一つの団体であって、しかもそれがその団体員の利益を図るということを目的としておるのならば、それは民法に言う公益に関する法人だという理解をすることがなぜできないのだろうかという一つの疑問があるわけです。もしこの場合に、民法に言う公益に関する、公益を目的をするのではなしに、公益に関する団体だという規定ができますならば、やはり民法を適用しても差し支えない。たとえば民法には明らかに、法人は主務官庁の監督に属すという規定があるわけなんですが、この規定があるので差し支えないと思うわけです。
 そこで弁護士法をつくります場合に、主務官庁との間の監督関係をことさら決めなかったのは、民法という法律があって、そこに規定があるのだから、それを適用するという意味で決めなかったのかどうかという一つの疑問が生ずるわけです。民法があるから決めておかぬでも、民法の規定でうまくいくから――法体系というものは全体として完全なものというふうに理解しておるわけですが、不完全な法体系はないといたしますと、不完全な部分はどこかにそれを補うものがあるから、それで救われておるのではないか、このように理解をいたすことはできないかどうか。もしそういう理解ができないのであれば、立法論として、そういう法人全般にひっかけ得る民法の規定を決める必要があるのではないか、このように思われるのですが、いかがでしょう。
#149
○枇杷田政府委員 弁護士会は弁護士さんという会員が集まってできた法人でございますから、そういう意味では社団という性格になろうかと思いますけれども、しかし、先ほど来議論が出ておりますように、弁護士会の目的というのは、もっぱら弁護士内部のいろいろな規制あるいは事務の改善というようなことを目的とするものでございまして、弁護士会の外に対して何かを働きかけて、公益を行っていくことを目的とするものではございません。したがいまして、そういう意味から、民法の公益法人ということには性格的に申しましてならないのじゃないかと思います。そういうことから、弁護士法で特殊法人として特別の規定で法人格を付与するという立法がなされたものと承知いたしております。
 なお、その立法の際に、民法の監督の規定が弁護士会にも及ぶのではないかという考えのもとに立法されたのではないかという御質問がございましたけれども、これは先生御承知のとおり、弁護士法は議員立法でございまして、当法務委員会で発議されまして成立された法律でございますので、立法者の意思を私どもはちまびらかにするわけにはまいりませんけれども、当時の議事録などで拝見いたしますと、ことさらに弁護士会の特殊性を強くお考えになりまして、むしろ弁護士会というのは深い学識と高い良識を備えた弁護士さんの集まりの会であるから、また国民の人権擁護という立場からすると、国家の監督を受けない方がいいのではないかということを積極的にお考えになって、ことさら国家機関の監督を外されるという意図のもとに立法されたというふうに、議事録上は承知できるわけでございます。
#150
○飯田委員 それでは次の問題に入りたいのですが、第二項に「主務官庁ハ法人ニ対シ監督上必要ナ」とありますが、「監督上必要ナル命令」という言葉の「監督上必要」の中身はどのようなものでしょうか。
 監督に属すならわかるのです。監督下に置かれるという意味だからわかりますが、「監督上必要ナ」と言う以上は、どういうものか中身がはっきりしないと困ると思うのですが、この点はどうでしょうか。
#151
○香川政府委員 私どもの解釈といたしましては、この監督上の必要な命令というのは、たとえば業務、財産の状況について報告すべき旨の命令とか、財務、会計上の処理をこういう基準によってなされるべき旨の命令とか、あるいは目的たる事業をより積極的に行うために、こういう事業計画はこういうふうに変更すべきでないかという命令、そんなものが考えられると思うのであります。
#152
○飯田委員 時間の関係で前へ進みたいと思いますけれども、七十一条の規定についてお伺いをいたします。
 七十一条に「監督上ノ命令ニ違反シ」ということが書いてあります。そうしたものに対しては許可を取り消すというわけなんですが、監督上の命令違反という規定を特に設けられた、現行法にないのを加えられた意味はどういう意味でしょうか、そういうことをおつくりになった理由あるいは背景ですね。
#153
○香川政府委員 民法法人の中におきましても、本来は公益に関する事業をやるということで設立許可を受けながら、もっぱら営利事業のみに専念しておるというふうな法人もちらほら目につくわけでありまして、そういったものにつきまして本来の事業を積極的にやるべきだという命令を出しまして、それでもなお改善されないということになりますと、そういった本来の設立の目的を逸脱しておるわけでございますから、そういった法人を軌道に戻すことがほかの方法でできるならともかくも、本来の目的事業をやれという命令に違反して、なお営利事業のみをやっておるというふうな場合には、もう手だて、方法がございませんので、解散命令を出して設立許可を取り消して解散させてしまう、こういう方途を考えたわけでございます。
#154
○飯田委員 それでは次に、許可取り消し。
 現行法では、許可取り消しの理由を行為に置いておりますね。ある行為をやったときに許可を、取り消すと、こうなっていますが、その行為責任を問うやり方をやめまして、改正法では、監督目的を達成できない場合に取り消すのだ、こうなっております。行為責任ではなしに、一つの状態責任にかえられたわけですが、これはどういうわけでこういうことになったのでしょうか。
#155
○香川政府委員 民法の制定後に、特に戦後でございますが、先ほども御議論になりましたように、特別法で特殊法人をつくってきておるわけでございますが、そういう場合に、ほとんど全部と言っていいくらい、単にある命令に違反したということだけで、直ちに許可を取り消すとか解散させるというふうなことではなくて、他の方法ではどうしようもないというふうな場合にのみ解散させるというふうな立法例になっておるわけでございまして、民法におきましても、やはり近代的なそういった考え方を取り入れて、念には念を入れると申しますか、できるだけ解散というふうな方途には出ないで、改善できるものは改善させるという方向を主眼に考えるべきだろうということで、かような改正をしたわけでございます。
#156
○飯田委員 それでは同じ条文で、七十一条ですが、ここに「正当ノ事由ナクシテ引続キ三年以上事業ヲ為サザルトキ亦同ジ」こういうふうに新しい規定が置かれております。
 これはいわゆる休眠法人だというふうに言われておりますが、休眠法人というものについて、どのように実態を把握されておるのでしょうか、あるいは把握できる可能性はどのくらいのものかという点について、お伺いいたします。
#157
○香川政府委員 的確な把握は遺憾ながらできておりませんが、各主務官庁に御調査願いまして、三年以上報告とか届け出が全くとだえておるという法人の数だけを当たりましても、これは昭和五十四年二月一日現在でございますが、全部で三百五十四あるようでございまして、これは主として中央官庁が所管しておる法人に限るわけでございます。地方の所管法人については、まだ調査ができていないわけでございます。
#158
○飯田委員 「行政監察月報」というのがございます。これの百六十号ですが、行政管理庁の行政監察局が出しているものですが、その十ページのところに「事業活動が行なわれていない法人等の整理について」こういう項目で書かれておりまして、その中に法務省の関係のものがございます。
 そこで、その記事によりますと、「事業活動が行なわれていない法人の整理を促進するための特別な措置については、法制審議会民法部会財産法小委員会において目下検討中である。」こういうふうにかれておりますが、これは一九七三年一月の報告書ですが、その後、この検討結果はどのようになっておるのでございましょうか。
#159
○香川政府委員 昭和四十六年当時問題が二つございまして、先ほど議論のありました公益目的でもないあるいは営利事業でもない、いわゆる中間法人についての問題と、それからいま御指摘の休眠法人の問題、この二つが民法部会で検討されたのでございますけれども、相当問題があるということで中断いたしまして、今日まで結論が出なかったわけでございます。
 ただ法務省所管の法人で、いま御指摘の休眠法人、事業活動を全然やっていないものというのは、これは所管の秘書課の方で整理をすでに終えているというふうに承っております。
#160
○飯田委員 それでは、この条文のうちでもう一つお聞きしておきたい点がございますが、それは、正当の理由なく引き続き三年以上、こうあります。正当の理由というのは、具体的には大体どのような理由を申すのでございましょうか。
#161
○香川政府委員 たとえば、ある事業をやろうということで考えて始めたけれども、その基本財産である土地なら土地が収用法にひっかかったというふうなことで、その土地の替え地を手に入れるまでは事業ができないというふうな場合もあり得るわけでございます。あるいはまた物価の変動、経済事情の大幅な変更によりまして資金が調達できないというふうなこと、そういったやむを得ない事情があれば、正当な事由ということに相なろうと思います。
#162
○飯田委員 それでは次に、民法施行法の改正の方に入りたいと思いますが、この中で改正されておりますが、この民法施行法というのは、恐らく、これが出された当時に存在した法人についてまだ適用になるので、この法律が生きているのではないかと思いますが、そうなりますと、そういう法人の実例は現在どんなものがございましょうか。
#163
○香川政府委員 昭和五十四年一月二十日現在で、登記所を通じて調査いたしましたのによりますと、民法施行前に成立した法人は、現在なお生きているものは社団法人が九つ、財団法人が四つでございます。
 この内訳をちょっと申し上げますと、法人の設立が明治時代にできておるものが全部でございまして、そしてその目的は、地域的にこれは偏在しておるわけでございまして、静岡県が非常に多いのでございますが、二宮尊徳の遺教を遵奉し報徳の業を行うというふうな目的が登記されておる、これが約十ばかりございますか、そういった純風美俗的なことを普及させるというふうな意味のものが大部分でございます。
#164
○飯田委員 それでは、最後にひとつ二十五条の規定ですが、この規定を全面的に削除されて、新しい規定を置かれておりますが、この中に現行法では「行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得」という規定がございます。
 この場合の行政裁判所というのは、恐らく以前は固有名詞だったかもしれませんが、現行法を読む場合には、この行政裁判所ば憲法上存在しませんので、これは行政に関して裁判を行い得る裁判所、こういう意味に読んでおるわけだと思いますが、そこへ出訴できる。こんな規定があってもなくても、現在訴訟法でできるはずですね。わざわざこの規定があるというのは、特にそういう法人の解散については重大視して、訴訟をやることができるということの注意規定であるからだというふうに理解できるのですが、そういうふうに理解していいのでしょうか。
#165
○香川政府委員 そういう趣旨にも言えるわけでございますけれども、まあこの規定がなくても、現在行政訴訟が提起できることば当然のことでございます。
#166
○飯田委員 それでは民法はこれで終わりまして、次に、土地家屋調査士法の方のことについて、若干御質問申し上げたいと思います。
 土地家屋調査士法の各条についての御質問を申し上げます前に、最近土地家屋調査士の方にお会いしましたときに、いろいろ、こういう点はぜひ明らかにしてくれと言うて頼まれた点がございますので、その点につきまして二、三お尋ねいたしたいと思います。
 まず最初の問題は、保存登記をする際に、不動産の表示に関する登記は土地家屋調査士が申請手続をとる、ところが権利に関する登記手続は司法書士が申請手続をする、こういうわけで、依頼する側にしてみれば大変めんどうくさいし、負担が多過ぎる、どっちか一方にしてもらうわけにはいかないか、こういうことを言われたわけですが、この点につきまして、資格に関する制度の合理化ということが今度の法改正の目的なんですが、そういう意味におきまして、どうでございましょうか、これは、何か一つに統一することはできないでしょうか。
#167
○香川政府委員 技術的にはいろいろ複雑な問題がございますけれども、立法論としては、表示の登記を申請する際に、特別の意思表示をすれば保存登記の申請もあるものとみなすというふうな形での立法的な解決はできると思うのであります。
 ただ、大筋はそのようなことが可能だと思いますけれども、問題は、まず第一には、司法書士と調査士の職域の関係の問題の調整をしなければならぬ。これは従来も両連合会で協議をしていただいた経緯がございますけれども、なかなか、そういう立法をするに当たって、どちらの業務に属させるかということの調整は、なおちょっと日にちがかかろうかと思います。
 第二の問題は、手続的に、現在の表示に関する登記の手続と、それから権利に関する登記の手続は、質的に相当違っておるわけでございます。その調整をやはりしなければならぬという問題もあるわけでございまして、これはしかし、相当複雑にはなりますけれども、さほどむずかしいことではなかろうと思います。問題はやはり司法書士と調査士の職域の調整の問題が主たる大きな問題だろうというふうに考えます。
#168
○飯田委員 次の問題は、公共事業についての嘱託登記の問題ですが、これは業者が私に言いましたところでは、大体全体の三、四割が嘱託登記である、そのほかは素人の公務員が申請をしておるので、とかくミスが多い、こういうことを言うておりました。
 そこで、公共嘱託登記というものは、全部これを土地家屋調査士に発注してやらせるという制度にするということは差し支えが生じましょうか、どうでしょうか。
#169
○香川政府委員 公共嘱託の件数は年間約四百八十万件から五百万件近くあるようでございますが、そのうちの約半数ぐらいは調査士の手を経ていない申請でございます。それはもっぱら公共嘱託登記であるわけでございますが、登記法のたてまえとして、すべて申請するには調査士を代理人として申請しなければならないというふうに持っていくわけにはちょっとまいらないわけでありまして、したがって立法的に公共嘱託も調査士の手を経なければならぬというふうに法律で強制するということはいかがかと思うのであります。
 ただ、いまおっしゃいますように、公共嘱託登記というのが、実は率直に申しまして、素人がやっておると言っては言い過ぎかもしれませんけれども、非常に間違いが多いわけでございまして、俗な言葉で登記所泣かせになっておるわけでございます。私どもも、運用としてはそういった登記が、何らかの形で調査士に嘱託して、調査士から手続をとってもらうということになれば、登記所の方もスムーズにいくだろうというふうに考えておるわけでございまして、片や調査士の業務量というものが、先ほど申しましたようなとおりでございますので、この業務量をふやすということも、調査士の生活権の問題等々から必要なことだろうと思うのであります。
 したがって、嘱託官庁、地方公共団体の便益にもなるような形で、公共嘱託を調査士を通じてやるという運用がうまくいかないだろうかというようなことで、従来、調査士会連合会ともども努力をいたしておるわけでございますけれども、いろいろの手だてを講じないと、相手のあることでございますので、なかなかうまくいかないわけでございまして、早急に何かうまくいくような方途を検討して、実現したいものだというふうに考えております。
#170
○飯田委員 それでは次の問題ですが、調査士に対する報酬の点について、調査士には不満が大変多いようです。
 調査が最近は非常に複雑化してきましたのですが、それに比較して報酬が少ない、こういう不平でございます。土地家屋調査士に対する報酬額は現在どのようになっておるのでしょうか、お尋ねいたします。
#171
○香川政府委員 調査士の報酬規定は会則の中に盛り込まれておるわけでございまして、会則全般が法務大臣の認可ということになっております関係上、報酬の規定も法務大臣の認可に係っております。
 現在の報酬規定は昭和五十一年三月に改定されたものでございまして、その後、額についてはもちろんかもしれませんが、体系について調査士会の方でいろいろ異論がございまして、いろいろ検討してこられたようでございます。昨年の十二月に、こういう形で体系を変えてもらいたいというふうな内々の協議がございまして、現在検討しておるところでございますけれども、理屈の上ではごもっともな点も多分にあると思うのでありますけれども、調査士の仕事というのが、結局国民に対して表示に関する登記の申請義務を課しておる、なかなか素人ではできないから、調査士さんに頼んでやる以外にないというふうな関係になってまいりますことから、非常に公共的な色彩が強くなってくるわけでございます。したがって、そういう申請義務を課しておる面を考えますと、やはり報酬の点、相当その面からの配慮を加えなければならぬ。他方、調査士の業務の量が先ほど申しましたようなとおりでございますので、その生活を考えるとすれば、それなりのまた妥当な線を考えなければならぬというふうなことで、相当むずかしい問題だと思うのであります。
 ただ、現在提示されておる連合会の案というのは、私は、率直に申しまして、少し理屈に走り過ぎておる面があるのではないかという感じがいたしております。それと同時に、国民に、こういう事件を依頼すれば幾らぐらい費用がかかるかということがよくわかるような仕組みになっていませんと、さじかげんでどうにでもなるような形のものでございますと、その辺のところから国民の調査士制度に対する信頼が薄れるということにもなりかねないわけでございまして、そういう問題で、いまの提示されておる案については、早急に結論を出すわけにはなかなかまいらないだろうと思うのです。
 さればといって、先ほど申しましたように現在の報酬規定が五十一年三月でございますから、すでに三年以上経過しておるわけでございます。したがって、その間の物価上昇等も考えて、暫定的かもしれませんけれども、現在の体系のままで報酬規定の増額を早急にやらなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
#172
○飯田委員 次の問題ですが、調査士が申請をいたしますときに、法務局の方でそれを取り扱ってやっていただくのに、一件について一週間以上かかる、こういうわけなんでございます。普通調査士としましては、法務局に登記申請をしてから遅くとも二日以内には登記が完成するようにしていただきたいという希望を持つのだけれども、一週間以上かかったのでは大変困る、こういうことでございます。
 そこで、その原因を調査士の人が調べたところによりますと、結局法務局の職員が忙し過ぎて、つまり仕事が多いのに職員が少な過ぎて、そのためにどうも仕事がおくれるようだ。だから、この点の解決をぜひ図ってもらいたい、こういう要望がございましたが、これは法務局といいましても登記所ですが、行ってみますと確かに忙しいようです。この問題の解決はどのようになりましょうか、お尋ねいたします。
#173
○香川政府委員 確かに登記所の従事職員は、絶対必要数から見ますと、私どもも不足しておるということは認識いたしておるのでありますけれども、御承知のとおりの定員抑制の厳しい時節柄でございますので、増員ばかりに頼っておるわけにもまいらないわけであります。
 登記事務の処理が遅延するということは、取引にも非常に重大な影響を与えますので、まことに申しわけない仕儀だと思っておりますけれども、調査士の仕事の面だけで申しますと、本来法律のたてまえは、申請があれば、権利の登記でございますれば、形式的審査で書類が整っておればすぐ登記ができる状態になるわけでございますが、調査士さんの扱われる不動産の表示に関する登記は、原則的には物理的な状況を把握している登記でございますので、実地調査をしなければならぬというたてまえになるわけでございます。余り忙しい登記所では、実地調査をするいとまもないために申請のまま登記をして、とんでもない虚偽の登記ができ上がるという事例も相当あるようでごございますが、何とか実地調査をやろうという登記所は、その都度出かけておったのでは本家が留守になってしまいますものですから、したがって一定数まとめて実地調査をするというふうなやり力をしておるところもあるわけでございまして、そういうところも考えますと、一週間ぐらいで表示に関する登記が全部できるというのは、これはまことに生意気な言い方かもしれませんが、私はまだ、なおいい方だろうと思っておるのであります。なかなか一週間ぐらいではできてない登記所も相当あるように考えております。
#174
○飯田委員 では、法務局の実際の状況の苦しいことはよくわかりますが、こういう問題についてはぜひ御検討の上、定員をふやすような措置をおとりになって解決をされる御努力がいただきたいと思っております。これは希望でございますので、この辺にしておきます。
 それから次に、調査士は、今日の施行規則によりますと、依頼誘致をすることが禁止されておりますが、この場合に、不当な手段による依頼誘致の禁止でありますが、不当な手段という、その「不当」がはっきりしないために、実は調査士が仕事をやる上において困っておるということが多いようでございます。この「不当」というのは、一体どの程度のことを不当というのか知らしてほしいというのが調査士の希望でございました。いかがでございましょうか。
#175
○香川政府委員 抽象的、一般的に申し上げますれば、本来調査士の仕事もある面では商売でございますから、社会通念上許されるような宣伝と申しますか、そういうのはもちろん構わないことだろうと思うのであります。
 したがいまして、不当な誘致というのは、たとえば会で決めておる会則にございます報酬規定を安くして客を誘致するとか、あるいはまたリベートを出すとか、あるいは誇大広告をして宣伝するというふうな、社会通念上の一つの限度を超えた、そういったものが不当だというふうに言うわけでございまして、具体的なケースで確かにむずかしい、判断つきかねるということはございますけれども、現在幸いに、全般的には余り不当誘致の問題というのは起こっていないようでございまして、それぞれ自粛と言っては言葉は悪うございますが、その辺の基準というふうなものは、例示的に示すようなことは考えてみたいと思います。
#176
○飯田委員 この調査士法改正案の問題について二、三お尋ねをいたしますが、第一条の二のところで「常に品位を保持し、」という言葉をお入れになったわけですが、そういう常に品位を保持するというようなことを入れなければならぬ特別な理由があるのでしょうか。
#177
○香川政府委員 土地家屋調査士法も司法書士法も、戦後間もないころにできておるものでございますから、業法でありながら目的とか職責の規定がないわけでございます。その後にできた業法には、こういう目的とか職責規定があるわけでございます。
 司法書士会連合会あるいは調査士会連合会から、こういった目的とか職責に関する規定をぜひとも入れてもらいたい、そしてそれを指針にして資質の向上を図りたい、こういうきわめてまじめな御要望でございますので、そういう趣旨を取り入れて創設したわけでございます。
#178
○飯田委員 第三条の点ですが、第三条の二号、これは特認の調査士のように見えますけれども、法律によりますと、これは試験を課して認定するとなっております。
 試験を課するということになりますと、結局第一号と同じではないか、こう思いますが、何か特別の区別しなければならぬ理由があるのでしょうか。
#179
○香川政府委員 原則的なと申しますか、一応の土地家屋調査士試験というのは毎年一回全国的に行うわけでございます。二号のいわゆる特認の関係は、やめていく職員を考えての規定でございますので、年に一回では足りないわけでございまして、必要がある都度やるわけでございます。
 そういう特殊性があるのと、それからこの関係での附則の規定で、当分の間、法務大臣が必要あるときは調査、測量に関する試験をやるということになっておりますのは、現在の登記従事職員、これが不動産の表示に関する登記に十年間従事いたしましても、なお技能、知識において直ちに調査士にしていいというわけにまいらぬ面もあるわけでございますので、暫定的な措置として、国家試験と同じような程度の試験を調査、測量に関してやるという暫定措置を決めておるわけでございます。これは、おいおい登記所の職員がこの面での知識、技能を持ち合わせてまいりますれば、附則による試験はもちろんやらないで、三条の二号一本で特別選考するというふうに考えておるわけでございます。
#180
○飯田委員 第四条の点ですが、二年から三年に欠格事由を強化されております。これは、どういうわけで二年、三年というのが出てきたのでしょうか。
#181
○香川政府委員 最近、調査士、これは司法書士も同じでございますが、各業務に関してそういう刑罰に処せられるという事例も遺憾ながらふえておりまして、現行法のように二年置いておけばまたなれるのだということは、ちょっとたてまえとしておかしくないだろうか。せめて三年間は資格を奪った方がいいだろうというだけのことでございます。
#182
○飯田委員 第七条の点ですが、これは調査士の登録申請手続を強化しておられますが、こういうことが起こってきましたのには特別な理由があったのでしょうか。
#183
○香川政府委員 御承知のとおり、現行法におきましても、調査士となる資格を取得いたしましても、法務局、地方法務局に登録をいたしまして、そしてその所在地の調査士会に入会をしないと調査士の業務はできない、こういうことになっておるわけであります。
 そこで今回、その入会手続と登録手続をいわば関連づけまして、登録はしたけれども入会がないとか、あるいは調査士会の方で資格を取得した者の把握が容易でないという面もございますので、登録する際に、入会の手続をすると同時に、その調査士会を経由して登録の申請をさせるということにしたわけでございます。
#184
○飯田委員 それでは、最後に第十四条のところでお尋ねしますが、「調査士会は、法人とする。」こういうふうになっております。そしてこれに民法の四十四条と五十条が準用されております。
 四十四条と五十条を準用された意味はわかりますが、法人の行為能力につきましての民法規定の四十三条の準用がないわけでございますが、これはどういうわけでございましょうか。
#185
○香川政府委員 この調査士会は、先ほどもちょっと議論になりましたけれども、特別法による法人であるわけでございまして、調査士会の目的というのはこの十四条の二項に規定があるわけでございまして、特に行為能力の規定を持ってこなくても当然わかるというだけのことでございます。
#186
○飯田委員 そうしますと、結局、調査士会という法人の行為能力については調査士法には書いてございませんが、どの法律によって決めることになりましょうか。
 四十四条、五十条はいいですね。ところが四十三条の準用がないわけです。そうしますと、この調査士会という法人の行為能力の基本的なものはどれによるのか、こういう疑問が生じますが……。
#187
○香川政府委員 民法の考え方は、それぞれの設立申請に対応する主務官庁の許可ということで法人ができ上がってくるわけでございますが、特別法によるいわゆる特殊法人、調査士会もその例に漏れないわけでございますが、これはその特別法自体からおのずから行為能力はわかるというふうなことで、一般的に特別法による法人については、民法の行為能力の規定を準用しないといいますか、あるいは直接書くということをしてない、その例にならっているだけでございます。
#188
○飯田委員 本日は、民法と土地家屋調査士法の改正案の具体的なことについてお伺いいたしましたので、実は大臣にもお伺いしたいことが多々あると思いますけれども、これは機会を得なかったので非常に申しわけございませんでしたが、何か私どもに御訓示いただくことはありますか。
#189
○古井国務大臣 何もありません。
#190
○飯田委員 そうですか。それじゃこれで終わります。
#191
○佐藤委員長 次回は、明九日水曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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