くにさくロゴ
1978/03/20 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 地方行政委員会 第6号
姉妹サイト
 
1978/03/20 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 地方行政委員会 第6号

#1
第087回国会 地方行政委員会 第6号
昭和五十四年三月二十日(火曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 松野 幸泰君
   理事 染谷  誠君 理事 中村 弘海君
   理事 中山 利生君 理事 小川 省吾君
   理事 和田 一郎君 理事 西村 章三君
      石川 要三君    木村武千代君
      宮澤 喜一君    与謝野 馨君
      加藤 万吉君    新村 勝雄君
      古川 喜一君    細谷 治嘉君
      小川新一郎君    斎藤  実君
      永末 英一君    三谷 秀治君
      川合  武君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 澁谷 直藏君
 出席政府委員
        自治政務次官  大石 千八君
        自治大臣官房審
        議官      石原 信雄君
        自治大臣官房審
        議官      花岡 圭三君
        自治省行政局長 柳沢 長治君
        自治省行政局公
        務員部長    砂子田 隆君
        自治省財政局長 森岡  敞君
        自治省税務局長 土屋 佳照君
 委員外の出席者
        経済企画庁調整
        局財政金融課長 畠中 杉夫君
        経済企画庁総合
        計画局審議官  高橋 毅夫君
        大蔵省主税局調
        査課長     亀井 敬之君
        大蔵省主税局税
        制第一課長   水野  勝君
        大蔵省主税局税
        制第二課長   大山 綱明君
        厚生省薬務局企
        画課長     下村  健君
        建設省計画局宅
        地開発課長   渡辺  尚君
        自治大臣官房審
        議官      久世 公堯君
        地方行政委員会
        調査室長    岡田 純夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十日
 辞任         補欠選任
  加地  和君     川合  武君
同日
 辞任         補欠選任
  川合  武君     加地  和君
    ―――――――――――――
三月十六日
 退職地方公務員の共済年金・恩給等改善に関す
 る請願(小川省吾君紹介)(第一八六七号)
 同外一件(新井彬之君紹介)(第一八九六号)
 同(下平正一君紹介)(第一八九七号)
 同(古寺宏君紹介)(第一九七二号)
 市街化区域内農地に対する宅地並み課税撤廃等
 に関する請願(工藤晃君(共)紹介)(第一九
 七一号)
同月十九日
 退職地方公務員の共済年金・恩給等改善に関す
 る請願外五件(上田卓三君紹介)(第二〇二二
 号)
 同外二件(近江巳記夫君紹介)(第二〇二三
 号)
 市街化区域内農地に対する宅地並み課税撤廃等
 に関する請願(工藤晃君(共)紹介)(第二〇
 六七号)
 同(柴田睦夫君紹介)(第二〇六八号)
 行政書士法の一部改正に関する請願(草川昭三
 君紹介)(第二一二二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 第一九号)
     ――――◇―――――
#2
○松野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出に係る地方税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川要三君。
#3
○石川委員 時間が一時間ということでございます。長いような、しかし余り長くないような時間でありますから、きわめて具体的な幾つかの例で質問したいと思います。なるべく簡潔にお答えをいただきたいと思います。
 質問の要点といいますか、今日、地方の時代とか言われているさなかでありまして、地方公共団体の運営の基本的な財源となる地方税、特に固定資産税等の点についての質問と、それから一方、最近は市民の価値観の多様化と同時に、いろいろと行政の需要が非常に多様化してまいりました。こういう中において、経常収支の伸びが鈍化をしております。この経常収支の比率が悪化をいたしまして、したがって、その結果、公債費率というものが非常に高くなっている。特にそれが人口急増都市の中に非常に顕著にあらわれているわけでありますが、こういったような都市の問題点についてこれから質問をさしていただきたいと思います。
 最初に、三大都市圏の市街化区域内の営農農地の固定資産税についてお伺いしたいわけであります。
 今回、A、B農地の課税につきましては、今後三年間移行されることになったわけであります。そこで、現在減額特例農地の課税の減額率が一体どういうふうになっているか、これについて若干先にお伺いしたいと思います。
#4
○土屋政府委員 五十二年度の実績で申し上げますと、御承知のように、対象の都市が百八十三市ございますが、そのうちの百七十四市が減額措置をとっているわけでございまして、そのうちで、固定資産税について申しますと、特定市街化区域農地の税額が百七億ぐらいになっております。そのうち、減額されておる税額が六十億でございまして、五六・二%が減額をされておるということでございます。
 同じく都市計画税について申しますと、三十一億の税額のうち十六億が減額されまして、結果的に五三%が減額をされておる、こういった状況に相なっております。
#5
○石川委員 この税について、ある市におきましては一〇〇%減額、それから九〇%、八〇%、七〇%、こういうふうにいろいろと必ずしも一定しておりません。いま説明されたのは、平均の減額の率、こういうふうに解釈していいものかどうか。そしてまた、一〇〇%、九〇%、八〇%、この辺は幾つぐらいの市が現在そういうふうな処置をとっているか。
#6
○土屋政府委員 ただいま申し上げましたのは、税額についての平均的な減額の率でございます。
 そこで、どういった形で減額をしておるかと申しますと、ただいまの五十二年度で申しますと、百八十三市のうち百七十四市が条例をつくって減額をしておりますが、そのうち一〇〇%減額をしておるというところが、特定市全体の中で三八・三%でございます。あと九〇%から一〇〇%までが六・六%、八〇%から九〇%までが二三・五%、七〇から八〇の間が七・一、それから六〇から七〇の間が一五・八、五〇%未満というところも三・八%ぐらい構成比としてはあるわけでございます。いろいろございますが、こういった形で減額をしております総額が、宅地並み課税として課税されるべき百七億のうちで約六十億が減額、平均的に言えば五六・二%、こういったことになるわけでございます。
#7
○石川委員 これに対して、国の補てん支出は現在どうなっておるか。
#8
○森岡政府委員 特定市街化区域内のいわゆるA、B農地の固定資産税の減額をいたしました場合の財源補てんにつきましては、普通交付税上いまお話のありました平均的な減額割合を勘案いたしまして、普通交付税でございますので画一的な算定をいたさなければなりませんから、減収率を七〇%というふうに計算いたしております。七〇%という意味は、税金自体の減額率は八割程度の平均になっておりますけれども、全体の宅地並み課税されます農地のうちすでに農地課税審議会に出てこない、減額対象に本来ならないと考えられるものが一〇%程度ございますので、九割のものにいま申しました減額率八〇%を掛けまして七二%ということでございます。ちなみに、昨年までは六六%としておりましたが、今年度これを改善いたしたわけでございます。なお今後とも実態の推移を見守ってまいりたい、かように思っております。
#9
○石川委員 いま七〇%ぐらいの率で国の処置がされておるようでございますが、本来ならば法律をつくって、そしてそれによって課税をされている。しかも、その現実はといいますと、いま言ったように、三八・三%の市においては一〇〇%還元されている。平均では五三%ですか、こういうふうになっておる。それに対して国で補てんの支出をされている。この法律というものは国会でもってちゃんと認めて議決をされて執行さるべきなのに、現実の姿はこういうふうな姿になっておる。ここいらについてはどういうふうな見解をお持ちでございますか。これは大臣に……。
#10
○澁谷国務大臣 御指摘の都市地域における農地の課税の問題については、これは互いに相対立する両論があるのは御承知のとおりでございます。したがって、そういう相対立する二つの議論があるという実態を踏まえて、法律上は課税をするというたてまえ。ところが、それに対する反対論が強いというその実態を踏まえて、現実には条例によって減税をしておる、こういうことが実際の姿になっておるわけであります。でありますから、御指摘のように、せっかく法律をつくっても実際はその法律が法律どおりに施行されておらないという点は、まさにそのとおりでございまして、それだけに、この問題は互いに対立する両論が双方とも強い。したがって、今回の税法の改正の際も、政府税調においてもあるいはまた自由民主党の税調においても大変な激論が交わされたわけでございまして、なかなか一致した結論を得るに至らなかった。そういうことで三年間ひとつ十分に掘り下げた検討をしようということで結論が持ち越されたわけでございまして、御議論のような趣旨は私は十分に理解できるわけでございますので、ひとつ十分御趣旨を体して真剣に検討してまいりたいと思います。
#11
○石川委員 この宅地並み課税はいま大臣の御説明のように両論がありまして、法律としては成立をされているけれども、現実問題としてはいろいろとお話があったような実態なんだ、これは両論があってこういうふうな状態になっているというような御回答がございました。しかし、私はこの法律を見ると、少なくとも、一〇〇%まで返している都市が約四〇%近い、こういう現実から見ると、やはりこれはただ単に両論があるというだけではなくて、この法律そのものが、まじめな精農家に対して税をもってして宅地に供給させようという発想そのものに非常に問題点があるのではないかというふうに私は思うのです。ただ両論があるのではなくて、いままでの農地課税に対して約四百倍ですか、五百倍とも言われるような重税を課すということになると、これはまじめな農業者は、自分の時代はもちろんのこと、次の世代に農業を継続させるなんということはとても考えられない。こういうことから大きな反対運動にもなるし、それが両論になってきた、こういうふうに思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
#12
○土屋政府委員 いまお話しのございましたような意見もあるわけでございますが、もう先生よく御承知のように、この制度が四十八年にできました際は、結果的には宅地の中に介在しておる農地、だんだん市街化されていきますと、まさに値上がりを待っておるようなそういった狭い農地というものが介在するようになりまして、そういったことが付近の宅地との均衡上どうも問題があるという声が非常に強かったわけでございます。そういったことから税の均衡を図るということと、あわせて市街化区域というものはそもそも十年以内に計画的に優先的に市街化をするという前提がございましたので、そういうところは住宅化を促進するという意味も含めまして宅地並み課税というものを取り入れたということであるわけでございまして、そのもの自体が私は全く無用なものであったとは思っていないわけでございます。ただ現実には、ただいまおっしゃいましたように、本当に農地として使っていきたいという意思もあり、現に使っておる、そういうところまでどうかという御意見については、いろいろ意見もあるわけでございます。そのための現実的な解決の方法として、ただいまのような減額制度というものを設けて、それは農業に経験を有する人々が集まられた審議会で認定をして減額をする、そういうことで現実に処しておるということでございます。
 本来、そういった市街化区域農地における土地利用のあり方、農業のあり方、そういうところが十分詰められていけばあるいはもっと問題は解決するかもしれませんが、いろいろなものが複雑にふくそうしておる現段階においては、ただいまのような課税をする、現実に合った減額をする、こういうことが現実的ではないかということで、いましばらく、五十六年まで続けて、そこらの先生おっしゃいましたような現実の状況等も踏まえて研究をしよう、こういうことにしておる次第でございます。
#13
○石川委員 時間の関係で先に進みます。
 最近大都市、特に東京などの周辺の都市を見ますと、都市の過密状態から大学の施設が郊外に非常に進出をされております。こういうような傾向の中で、ある市におきましては、もうすでに一つの市の中に十六も大学が来てしまったということでございます。従来は大学が来ることを大変歓迎もし、また市のイメージアップからも大学が市の中に進出をされるということを非常に喜んでおったのですが、最近のような傾向になりまして十六も大学が来てしまうと、大変な問題が起こってまいりました。特にこの市の例を試算しますと、いままでその一帯は山林の地目でしたから、山林地目としての計算をしてその収入をはじき出せるわけです。それと建物ですね、そこの建物を合わせまして土地、建物に対する固定資産税の相当額というものは、十六校で計算しますと六億に相当する。ところが、これは実際には非課税であります。税金は一銭も入らない。それだけではなくて、その関連公共事業もふえてくる。こういうようなことを考えますと、片や都心の転出した方の土地にいろいろと建物が建てられますが、それがいままでの大学と違って、今度は非課税ではなくてその自治体に財政収入が入るわけです。片一方のそれを受けた方は、それが非課税になる。ずいぶん矛盾点があるような感じがするのですが、こういった点どういうふうに考えられるか。
#14
○土屋政府委員 御指摘のように、学校法人等が設置いたします大学を含む学校につきましては、直接、教育の用に供する固定資産に対する固定資産税が非課税とされておるわけでございまして、仰せのように過密都市から分散する学校もございますし、また、新しい環境を求めて出てまいる大学等もあるわけでございます。地元市町村としても誘致をされたというような例もございますけれども、結果的にはただいまのような非課税の結果、本来と申しますか、それが仮に税金として入るならば、ただいまの例では六億ぐらいの税金が入る、こういうようなことでございます。そういった点につきましては、全般的に学校教育の重要性、その資産の性格にかんがみまして、ただいま申し上げましたような直接教育の用に供する固定資産については非課税としておるわけでございまして、これは全国的な措置であるわけでございますから、そういった非課税措置がいいか悪いか一つの判断がございますが、私どもとしては、それはそれなりに意味のあるものとして法律に規定づけておるわけでございます。
 したがいまして、そのための減収をどう考えていくかということになりますと、これはちょっと私の分野を離れるわけでございますが、交付税等においては普通交付税等でそれに対応する措置もとっておるわけでございまして、その点については財政的な措置はある程度とられておると私どもの方では考えておるわけでございます。
#15
○石川委員 いまの説明では、何か普通交付税でめんどうを見ておるのですか。いま、ちょっと聞き取れなかったのですが……。
#16
○森岡政府委員 まず一般論から申しますと、大学施設に固定資産税が非課税になっておる、その分は当然基準財政収入額に計算されませんから、地方交付税としてその減収分に相当する額は交付される。これは基本的な仕組みの問題でございます。
 いま一つの問題は、そのような都市の財政需要を計算いたします場合に、計算の基礎となりますたとえば人口とか、そういうふうな数値について見ますと、大学都市については、やはり関連いたしまして人口がふえてまいりますから、その関係人口の増加に伴って財政需要が増額計算をされますし、さらにまた、それに関連して人口急増補正というふうな補正も加えられます。さらに、学生などの昼間流入の人口につきましては、交付税の計算をいたします場合の基礎となります種地の計算上、五十三年度から国調に基づきます昼間流入人口を種地決定の要素に加えることにいたしました。東京周辺のある都市では、その結果種地が上がった、こういうふうな結果も見ておるわけでございます。
 さらに、関連の公共施設の整備につきましては、投資補正という言葉を使っておりますが、そういう投資補正によりまして必要な財政需要の増額を見込むというふうな万般の措置を講じておるわけでございまして、私どもとしては、大学立地に伴う関係都市の財政事情についてはきめ細かく配慮しておるつもりでございます。
#17
○石川委員 特に、田園都市構想なるものがいま提案されておりますが、こういう田園都市の中の一つのファクターとしては、大学の誘致、設置ということも含まれていると思うのです。ところが、現実的には先ほど言ったような問題があるわけですが、いまお話に聞きますと、多少交付税等でめんどうは確かに見ているようなことになる仕組みにはなっておるようですが、これは見方によればそういう仕組みになっているという説明がつくかもしれませんが、もうちょっと積極的な措置というもの、特定交付金制度というような、何かそういう制度的なものの新設などを考慮することが望ましいと思うのでございますが、これは今後の検討をひとつお願いをしておきたいわけであります。
 次に、大学と同じように、やはり過密都市の中から周辺都市にいろいろな施設が移行されております。その中に最近福祉関係の老人ホーム、社会福祉施設の立地が非常にふえてきております。これもいま言ったように、ある市におきましては、大学が十六校あるようなところでございますが、最近は二十七にもふえてきた。非常にたくさんふえたわけです。一つの町にこういった老人ホームの社会福祉施設が二十七もあるということは、これはきわめて異例なケースかもしれませんが、最近都心から移された数の多い都市であって、この点から見ると非常にいろいろな問題が起こっているわけです。この内容がそもそも社会福祉施設ですから、これを拒否するわけにはまいりません。しかし、これもまた実際、都心からこちらへ移されますと、土地、建物は非課税になる。それだけではなくして、国民健康保険あるいは生活保護費等が着実にふえてまいっております。それからさらに、こういったお年寄りのめんどうを見るケースワーカー、これも増員しなければならない。ほとんどの場合が都心から郊外への移転でありまして、むしろ、その都心のあいたところは有効利用されて地方財源となっておるわけでありまして、受け手の方が非課税、しかも持ち出し、これまた大学と同じような例でございますが、こういった例が最近非常に顕著に見られます。こういうことに対して、これは一体、交付税、特に特交あたりで見ているのかどうかわかりませんが、こういったようなところについては、どういうふうに国のいろいろな制度が運用されているか、その点をちょっと教えていただきたいと思います。
#18
○森岡政府委員 社会福祉施設の場合には、施設の規模が、先ほどのお話しの大学などに比べますとそれほど大規模ではございませんから、質的には若干違うのではないかなという感じがいたしますが、ただ、福祉施設もいまお話しのように一遍にたくさん立地いたしますと、それに伴います各種の施設入所者に対する措置費でありますとか、あるいはもろもろの関連の財政需要がかさんでまいるということは否定できないと思います。そのうち施設入所者のいろいろな措置費につきましては、これは地方交付税の普通交付税の算定の際に基準財政需要額に算入されております。
 問題は、それ以外のもろもろの経費につきまして一体どういう措置をとれるのだ、こういうお話だと思いますが、お話しのような特別の交付金を大学なり社会福祉施設について設けるということは、言うべくしてなかなかこれは実現が困難なことだと思います。したがいまして、私どもはそのような多数一挙に福祉施設等が立地いたします場合の各般の財政需要につきましては、これは特別交付税などによりまして実態に応じた適切な措置を講じていかなければ対処のしようがないのではないかということで、最近、そのような事態も考慮しながら、特別交付税の算定の際にきめ細かな配慮をしてまいるという態度で臨んでおるつもりでございます。
#19
○石川委員 特交の中でそういったようないろいろと国がめんどうを見てこられているということはそれなりに理解をするわけでありますが、私が指摘したいのは、特に大都会の過密の中から、追い出されると言うと言葉が少しきつくなりますけれども、そういう過密の中から外に、さらによりよい環境を求めて立地される。ですから、その市自体がやはり社会福祉として老人施設をつくったり、あるいは精神病院を建てる、こういうものとは出発点が根本的に違うわけですね。都心の過密によって、その結果、そういうところに立地される、こういうことについて、特交の中ではなかなか要素として、はじき出されない面があると思うんですね。そういう一つのファクターを今後十分にひとつめんどうを見てもらうように私は希望するわけです。そうしないと、単なる一般的な特交のそういう要件とはちょっと違った社会的、政治的な要因というものを看過しては困る、私はこういうことを指摘したいわけでございますので、その点を特に今後御検討いただきたい、かように思います。
 次に、これもやはり都心の一つの過密からの周辺都市の関係でありますけれども、過小宅地の固定資産税、これについての軽減措置については、現在二百平米以下が四分の一、そして二百平米から三百平米が二分の一の減額課税ということになっているわけでありますが、これについては各周辺都市についてもいろいろと税の面で大変問題があるわけでありまして、これらの点については多少減額を緩和してもらいたいという意見がかなりあるわけでありますが、これについてはそういう方向で今後検討することについては考えられるかどうか、これをひとつお伺いいたします。
#20
○澁谷国務大臣 御案内のように、住宅に対する国民の需要は依然としてこれは非常に強いものがあるわけでございます。しかも実際にその住宅を手に入れるということに対しては財政的に非常な重い負担がある、障害になっておるというのもこれはもう現実のことでございますから、そういう点に着目して、国民の住宅の入手を少しでも軽減しようということで現在の軽減措置が実施されておるわけでございます。これをもう少し税を強めたらどうかと、こういう御指摘でございますが、私は、現在の日本における住宅事情というものを考えますと、依然として住宅入手に対する障害は相当やはり重いものがある、こういうふうに考えておりますので、ここしばらくは現状のままで継続することが適当ではないか、このように考えております。
#21
○石川委員 いま大臣の御説のように、国民のマイホームの希望というものは大変大きいものがあるわけでありますし、またそれをかなえさせるのが国の政治であるということにつきましては全く同感であります。しかし反面、今度は市の当然得らるべき固定資産税だけの点から見ると、住宅の建設の促進、マイホームの促進ということであるならば、その軽減分というものは国がめんどうを見ていかなければならないと思いますが、現状はどういうふうになっているのかということをお尋ねします。
#22
○森岡政府委員 一般的な普通交付税の仕組みといたしまして、二百平米以下の小規模宅地につきまして、課税標準を四分の一に軽減いたしておりますその分は、四分の一に軽減した後の税収入を基礎として基準財政収入額の計算をいたしておりますから、普通交付税の算定上、いわば財源補てんがなされておる、かように御理解を願いたいと思います。
#23
○石川委員 次に、市街化区域と調整区域の線引きが行われたわけでありますが、この線引きの際に、要するに通常かけ込み申請といいますか、そういうことで一定の区域の中に建設を許可されて住宅が建っている団地等があります。その土地は現在まで依然として調整区域になっている、こういうような状態があるわけでありますが、これらに対しては、当然、都市計画税などを取らなければむしろおかしいのではないかと思うのですけれども、すでに許可申請が出ているものについては、もう住宅が建っておりますので、許可することとされております。そういったようなかけ込みの際のそういう団地等については都市計画税が取れないということに対してちょっと矛盾を感ずるのですが、その点についてはどうですか。
#24
○土屋政府委員 もう御承知のとおり、都市計画税は都市計画事業あるいは土地区画整理事業に要する費用に充てるための目的税として立てられておるわけでございます。したがいまして、課税区域はこうした事業が集中的に行われる市街化区域に限るということ、これは原則とされておるわけでございます。
 したがいまして、御指摘のような、いわゆる線引きをいたします際に許可申請が出ていたという事情だけでは、直ちにこれを課税客体とすることができないと考えられるわけでございます。しかしながら、七百二条に規定があるわけでございますが、市街化調整区域でございましても、一定の開発行為が行われる区域において都市計画事業が実施をされます場合、既存の集落等において街路事業とか下水道事業等、特に地元の利益になるような都市計画事業が施行されます場合、そういった特別な事情がある場合は、その一部を課税区域とすることができるというふうにされておるわけでございます。御指摘のような地域においてもそういった都市計画事業を団地等についてやるという必要がございまして、そういった事情がございますれば市町村の条例で課税区域に含めることもできるわけでございます。
 御質問のところの実態、私もよくわかりませんが、そういった点、十分市町村でも御検討いただいていいなというふうに考えております。
#25
○石川委員 確かに、いま御説のようなことになりますと、これは都市計画税を徴収することができることになるわけです。現実には、ある市におきましては、かなりの規模の団地が、依然としてまだ住宅は建っておるけれども都市計画税が取れないような状態があるということを聞いておりますので、そこいらの点については、その原因がどこにあるのか、それについては私の方もさらに調べていきたいと思います。
 次に、現在、市町村立の公立病院ですね、この経営というものは大変赤字に苦しんでいるわけですが、これに対していま特交ではどういうふうな財政措置がとられているのか、ちょっとこの点については具体的に御説明願いたいと思います。
#26
○森岡政府委員 公立病院の経営なり財政状況につきましては、昭和四十年代の半ば以降私ども大変心配をいたしまして、いろいろな調査及び指導を進め、あるいはまた累積赤字のたな上げ措置なども講じてその経営の健全化を図ってまいったところでございますが、最近の状況を見ますと、二極分化と申しますか、大変経営の状況が悪くなってどうにもどろ沼的状況だというところと、それから経営健全化の努力が実りまして、同時にまた社会保険診療報酬などの改定も相当適時適切に行われるようになりましたので経営状態がかなりよくなってきておる、もう一踏ん張りすれば少なくとも単年度においては赤字を生じないような経営ができるというところも相当出てきております。そういう意味合いで、一律に全部が悪くなってきたというふうに私どもは見ておりません。
 しかし、そういう悪くなっておるところも多いわけでございますので、私どもといたしましては必要な財政措置につきまして、まず普通交付税におきまして保健衛生費という項目がございますが、その項目の中で、公立病院の建設改良費とそれから先ほど申しましたたな上げ債の元金の償還金につきまして一般会計が負担すべき額を算定することにいたしております。と同時に特別交付税におきまして、病床数などを基礎といたしまして一定の金額を算入することにいたしておるわけでございます。普通交付税と特別交付税合わせまして、昭和五十三年度で約四百億円強の公立病院関係の財政措置をいたしておる次第でございます。
#27
○石川委員 経常収支などについての交付税関係でのめんどうはいまベッドだけですか。何か一ベッド幾らとかいうのが出ておると思うのですが、それが要するに経常的な経費のめんどうを見ている要素、こういうふうなものだけですか、それだけですか。
#28
○森岡政府委員 いろいろな計算の仕方があると思うのでございますが、経営努力のあるなしによりまして、端的に申しますと、経営努力が悪くて赤字がたくさん出ておるところにストレートにそれを措置するということも、一生懸命やっておるところから見ればこれはかえって不均衡ということになると思います。
 そこで、特別交付税におきましてベッド数などを基礎にいたしておりますが、ただ、そのベッド数を基礎にいたします場合にも、普通ベッドとその他のベッド、あるいは救急病院というふうなものにつきまして、経費のかかり方について格差を設けております。したがいまして、いま御指摘のようにベッド数に応じて計算しておりますということは、経常経費のかかり方というものにも十分配慮しておるつもりでございます。
#29
○石川委員 次はまた問題を変えまして、ダムの所在市町村に対してはどのような対応をされておりますか。――財政上の処置です。
#30
○森岡政府委員 ダムにも御承知のようにいろいろございますが、たとえば電力会社のダムにつきましては、これは固定資産税が課税されます。それから、公営発電のような地方公共団体が行いますダムにつきましては、国有資産等所在市町村交付金という制度がございまして、固定資産税相当額が地元市町村に税収入として入る、こういう仕組みが講じられております。それから、市町村ではございませんが、府県といたしましては、河川の水利使用料をダムの建設、管理、運営を行います会社等から、主として電力会社等でございますが、徴収をいたしております。
 問題は、公共用の防災ダムの問題でございますが、これにつきましては、むしろ地元の水没住民の問題、あるいはまた、その水没することによって周辺の町村の環境が全く変わってしまう、こういう問題が出てまいりますので、水源地域に関連いたします財政措置といたしまして、建設省所管の特別の立法措置が講ぜられております。各種の周辺整備計画あるいは住民対策計画というものを立てて、それについて政府において必要な財政措置を講じていくという仕組みがとられております。
#31
○石川委員 人口急増都市ということで国でもいろいろとその対応に取り組まれているわけでありますけれども、最近、大都市周辺の都市の実態を見ますと、たとえば東京の場合では、東京の中心の人口が大変短期間のうちに周辺の都市に流出をしております。こういうようなことから、いまいろいろと財政需要が膨大にふくれ上がっているわけでありますが、これに対する公共投資に追われて四苦八苦している。そのために財政の収支の比率が非常に悪化している。特に公共下水道とかあるいは学校とか、いろいろな事業の拡大のために、適債事業でございますから、公債費率というものが非常にふくれ上がっております。特に二〇%に近い、あるいはまたまさに二〇%を超えようというところがすでに最近あらわれておりますが、このままでおきますと、将来、公債の償還のために一般の行政費というものは大変食われてしまうわけであります。こういういまの状況は大変ゆゆしい一つの現象ではないかと思いますが、これに対して何か手を打たないと、このままでいくと大都市周辺の人口急増都市というものは立ち行かなくなってしまう、こういう傾向であります。
 そこで、たとえば戦後、戦災復興事業のような特別なものは考えられた事例がございますが、こういうふうな、何か都市財政ががたがたになってしまうといったようなことに対して対策を考えるべきではないかと思いますが、これについて大臣の所見をお聞かせ願いたいと思います。
#32
○澁谷国務大臣 御指摘のように、大都市周辺の人口急増都市の抱えておる問題は非常に重大な状態であるというふうに私は考えております。とにかく急激な変化が起きてきて、それに伴っていままでは予想しなかったような行政需要が次から次へと起きてくる。当該の市当局としてはこの行政需要に対応しなければならない、膨大な金がかかる、こういう実態だろうと思うのです。したがって、これに対しては、政府全般としてこれに対する対応を急いできておるのは御承知のとおりでございます。各省のそれぞれの施設に対する国庫補助率の充実、それから私どもの自治省としては、それに対する交付税あるいは特別交付税による手当て、こういったことで対応してきておりますが、御承知のように、この公共関連施設の建設に膨大な金がかかる。ところが、それに対する政府としての具体的な対応策がない。これが実は大きな問題となっておるわけでございますが、おくればせではございますけれども、今年度から建設省所管として三百億の国費が計上されたわけでございます。そして五十四年度においてはこれを倍額の六百億円に増額してこういった人口急増都市の抱えておる最大の問題に対処しよう、こういう体制ができ上がってきたわけでございまして、私どもとしてはこの六百億をさらに増額する方向で対処をしていきたい、このように考えておるわけでございます。
#33
○石川委員 予算も三百億から六百億と倍額になったということで大変結構なことですが、私ども、大都市周辺のもろもろの市長さんや何かにお会いしまして自分の町の町づくりに対するいろいろな悩みや問題点を聞きますと、千億やそこらの金ではいまの過密あるいは道路渋滞その他もろもろの都市公害を解決するにはとても財源不足であるというふうな感じを持つわけでございますので、この点については今後積極的に取り組んで前進を図っていただきたい、かように要望いたします。
 そこで、最近新しい、地方の時代とか田園都市の時代とか、大変美しい言葉を耳にするわけでございますが、その田園都市というものも、大平総理の言葉を聞きますと大変哲学的な内容であります。実際、自治大臣としてこの田園都市というものをどういうふうに考えていられるか、そしてまた、具体的に田園都市というのは、強いて言えばこんなところがいま総理大臣や自治大臣がお考えになっている田園都市と言われている都市である、こういうふうな都市をひとつ参考までに教えていただければありがたいと思います。
#34
○澁谷国務大臣 大平さんが田園都市構想というものを提唱して以来、この田園都市構想をめぐる論議が各方面で行われておるわけでございますが、この田園都市という言葉も、それから考え方も、実は非常に古い歴史を持っておるわけです。この間、私びっくりしたのですが、旧内務省の地方局から、これは自治省の前身に当たる局でございますが、明治時代にすでに「田園都市」という表題でこのくらいの書籍が出版されております。この間、見せていただきましてびっくりしたのです。ですから、そういう名前も考え方も明治時代からすでにあるわけですね。それから、この間ある委員から当委員会で指摘をされたのですが、新産都市の文句でもやはり自然と都市との調和というような文句を使っておるわけであります。
 ただ、今回大平さんが打ち出した田園都市構想の背景には、いままで言われてきた田園都市というものと違った特徴が二つあると私は考えておるのです。一つは、高度経済成長が長い間続いた結果、日本の工業社会というものが非常な成熟をした。その反面、その結果として、大きな問題として公害、環境の問題が登場したということですね。これはいま提唱されておる田園都市構想の大きな思想的な背景をなしておるものだと私は考えておるのです。ですから、このような公害、環境の破壊からわれわれの生活、自然というものを防衛しなくちゃならぬ、そういう強い思想がこの根底にある。これが一つ。それから、もう一つのいままでと違う大きな特徴は、地方分権という考え方がその考え方を支える一つの支柱として据えられておる。この二つがいままで言われてきた田園都市という考え方と違う大きな特徴になっておるのではないかと私は考えておるのです。
 したがって、私としてはそのような認識に立ってこれから田園都市の具体化、実現化を推進をしてまいりたいと考えておるわけでございますが、御承知のように関係省庁が十六もあるということで、この関係省庁の思想統一を図らなければならぬ。こういうことで、ことしの初めから数回にわたって各省の連絡会議も開き、だんだんと各省庁の思想の統一が図られつつある、こういう状態に現在来ておるわけであります。
 私は、大平さんがせっかく提唱したこの田園都市という考え方と申しますか哲学、これ自体は何人も否定するはずはないわけでございますから、せっかく打ち立てられたこの田園都市という一つの理念に基づいて、日本の各地域のそれぞれの特性に密着した田園都市というものを具体化するように各関係省庁と緊密な連絡をとりながら努力をしてまいりたい、このように考えております。
#35
○石川委員 いまの大臣の所信を伺いまして、確かに新しい時代の中の田園都市構想はそういうことであろうというふうにはよく理解をいたします。理解はいたしますが、しかし、その実現はまことに道が遠い、こう言わざるを得ないと思うのです。口では田園都市と言い、またその内容は地方分権あるいはまた生活環境のための自然の保持、そういう点は言葉は非常に簡単に使いますけれども、果たして地方分権ということが――どうも社会がだんだん高度になり、メカニックになると、かえって分権に逆行するような行政組織なり機構なりというものが生まれてくるのではないかとさえ危惧されるわけです。ですから、これは口で言うことは非常に簡単ですが、高邁であればこそ到達がむずかしいものであると思うのです。
 特に田園都市なんといいますと、関係省庁が十六もある、われこそはと思っていろいろなアイデアなりを打ち出してきたということが新聞に書いてありましたが、まことにあわただしく拙速を感ぜざるを得ない。こういう田園都市などというのはそんな拙速では絶対できない。そんなことで糊塗されるものではないし、大平内閣がかわろうと何々内閣ができようと、これは別のもので、田園都市というものは、明治時代からそういった言葉があったと同じように、むしろこれからの半永久的な一つの都市理想像ではないか、こういうふうにも思います。
 そういうことになりますと、拙速は非常に禁物であると思います。特にこういうことを前提に、先ほど私がいろいろと質問しました過密過疎の問題、あるいはまたその中の農地の宅地並み課税の問題とか、こういったような問題も、ただ税の問題だけではなくして、農地の空間と都市、こういった角度からも検討していかなければならない問題ではないかと思うのです。ただ住宅をつくるというだけの措置としてこの宅地並み課税を強化するということでは、それは一つの便法としては成り立つかもしれませんが、田園都市というところから見ると、果たしてそれが是か非かということも論じられなければならないことではないかと思うのです。
 そういうことで、ぜひこの田園都市という高邁な都市像を踏まえまして一層の御努力をお願いを申し上げたいと思います。
 最後に、また具体的な例に戻りますが、地方公務員の定年制について若干大臣の御所見をいただきたい、かように思います。
#36
○澁谷国務大臣 私、率直に申し上げますが、世界に例を見ない急激なスピードで老齢化社会に向かって日本が進んでおるのは御承知のとおりでございます。この急激な老齢化社会の到来を前にしてどのような対応策を準備するかというのは、これからのわが国の政治の最も大きな問題である、私はこういうふうに認識をしております。これについてはいろいろな角度からの総合的な対応が必要であるわけでございますが、年金問題はその中の一環としてとらえるべきだという考え方を私は持っております。
 そこで、政府におきましても、昨年国家公務員についても定年制の導入を決めたわけであります。現在人事院でいろいろな角度から、外国の例なども参考にしながらこれに対する対応をどうすべきか、結論を間もなく出す、こういうところまで来ておるわけでございますが、地方公務員の定年制も国の公務員と同様に導入すべき時期に来ておる、私はこのように判断をしております。
 御承知のように、地方公務員法、公務員の定年制についてはすでに過去三回、十数年前から自治省としては国会に提案をして成功しておらないわけでございますが、私は、ただいま申し上げたような日本全体の社会の進度を考えた場合に、定年制の導入はもうその時期に来ておる、こういうふうに判断をしております。したがって、その実施の時期は国家公務員と一緒にやることが適当である、このように考えて準備をしておるわけでございます。
#37
○石川委員 質問を終わります。
#38
○松野委員長 次に、細谷治嘉君。
#39
○細谷委員 最初にお尋ねいたしたい点は、いま地方税法の審議をしておりますが、地方税法以外で地方税の収入にかかわる法律があるはずであります。その一覧表と、それによって税収にどういう影響が及んでくるのか、その資料をこの委員会に提出していただきたいと思います。
#40
○土屋政府委員 ただいまの資料、提出をいたします。ただいま準備中でございます。すぐできると思いますので、いましばらくお待ちを願いたいと存じます。
#41
○細谷委員 配ってもらわぬと質問できないと思うな。
#42
○土屋政府委員 いまお配りします。
#43
○細谷委員 私が調べたといいますか、資料を要求しておったわけでありますけれども、それによりますと、七本法律があることになっておるわけです。それによる税の増減はどうなりますか。
#44
○土屋政府委員 いまの七つの法律案につきましていろいろ検討いたしておりますが、中身について、事業税なり固定資産税なりあるいは特別土地保有税、不動産取得税、いろいろございまして、細かい点の詰めができていない点、技術的な点で数字をはじきにくい点もございます。全体として、合わせましてもこれは億の台には乗らないと思っておりますが、それぞれについていま正確な数字をちょっと持ち合わせておりません。後ほどまた御連絡を申し上げたいと存じます。
#45
○細谷委員 ただいまいただきました資料によりますと、新しく非課税にするものもある。たとえば放送大学学園法案、これは関係税目は事業税だ、こういうことでありますけれども、放送大学学園について非課税措置を講ずるということになりますと、いままでその土地を何に使ったか知りませんけれども、一般的には固定資産税というのが市町村に入っておったはずであります。それが今度は入らないということになるでしょう。そうなってまいりますと、いまいただいた資料では、オリンピック記念青少年総合センターの解散に関する法律案ということで、国立オリンピック記念青少年総合センターを設置する、こういうことで税の減収が千八百万と出ておるわけですけれども、詳細に調べてみますと、億の単位には乗らぬだろう、こう言っておりますけれども、いままでは固定資産税なりその他の税で入ったものが入らなくなるわけでありますから、これなどについては、税収の増減の見通しなんかは全然書いてありませんね。この資料はきわめておざなりですよ。こんなことで税の運営はできませんよ。どうですか。
#46
○土屋政府委員 たとえば、ただいま御指摘いただきましたオリンピック記念青少年総合センター等につきましては、いままで非課税としておったものが課税できるようになるわけでございますから、逆にプラスの千八百万といったようなことになるわけでございまして、そういった意味では、厳格に申しますならば、そこらの見通しがなければ、たとえば税収の見通し、見積もりということもできないではないかということでございます。きわめて微細に検討すればおっしゃるとおりでございまして、ただ、私どもとしてもできれば地方税一本でそういった各関係方面の問題は提案をして、正確なそれに対応する見積もり等もしなければならないというふうに思うのでございますが、なかなかいろいろな政策的な問題があり、関係省庁との調整その他でおくれて出てくるわけでございます。そういったものが、私どももいろいろと協議をしておるさなかにおいて、きわめて膨大な財源に影響するような問題になりますと、そこはそう簡単にはまいらないと思うのでございますが、先ほど申しました、全部合わせましてもまあ億に満たないものでございますから、総体的に見れば計画上支障を来すようなこともないということで、この問題はあわせてやらなくてもいいであろうということで過ごしてきたわけでございます。
 しかし、厳密にとおっしゃいますれば、こういった一本で、かつ全体の公平を考えながら整理と申しますか制度をつくっていくわけでございますから、こういった形が必ずしもいいとは思っておりません。
#47
○細谷委員 これはひとつ大臣にもお願いしておきたいのですけれども、私がはたから見た印象としましては、今度の国税なり地方税の改正にあらわれております土地の増価所得税とかあるいは特別土地保有税とか、こういう問題の議論というのは、新聞に報道される限りにおいては、特別土地保有税は自治省所管の地方税ですよ、そういう問題については自治省のリーダーシップは全くなしに、この問題については土地税制の問題、しかも地方税に関係する問題については国土庁と建設省がこの税の問題についてずっと独走しておりましたね。私の見方が誤りかもしれません。しかし新聞の報道に関する限りは、まさしく税の主管省である自治省は全くかやの外へ出されて、そうして国土庁と建設省が独走しておったという印象を持っておるのですが、大臣はそういう印象をお持ちになりませんか。
#48
○澁谷国務大臣 残念ながら、この問題については従来から国土庁、これは土地の所管省と、こういうことで、それから建設省、これは住宅の宅地の所管省と、こういうような角度で、ややもするとこの税の主管省である自治省の立場が少しかすれておったという印象は否めないのではないかというふうに私も思います。
#49
○細谷委員 宅地は建設省、そのとおりです。国土の問題については国土庁だ、これはそのとおりであります。事、税に関する限りは、自治省はリーダーシップをとらなければなりませんし、責任を持たなければならぬ。ところが、土地税制の問題については建設省と国土庁がずっと成案を得てきた、そうしてそのとおりになっているんですよ。これに対して新聞の報道では、大蔵省がその土地税制について建設省や国土庁の案についてチェックした、異議を唱えてきた、ところが自治省はこれについて無言の行を繰り返してきた、こういう印象を私は持っておるのです。税制については、やはり国税については大蔵省が、地方税については自治省が責任を持って時勢に対応するようなことをやっていかなければならぬと私は思うのです。その一つの面がやはりいまの他法による地方税の問題にあらわれてきていると私は思うのですよ。
 こういう点について、ひとつ大臣、今後、税の問題については、総合的なものでありますし、直接国民負担にかかわる問題でありますから、もっとリーダーシップをとっていただきたい、こう思いますが、いかがですか。
#50
○澁谷国務大臣 まことにありがたい激励をいただきましてお礼を申し上げたいと思いますが、まさに御指摘のとおりだと思います。しかも地方の財政が御承知のように大変な危機的な状態にあるわけでございますから、従来にも増してわが省の所管の税についてはあくまでも自治省がリーダーシップを持って対処していかなければならぬ、ひとつ御指摘の点を十分踏まえて努力してまいりたいと考えます。
#51
○細谷委員 そこで、これに関連いたしまして、私も数年前にこの委員会でこの問題を取り上げて、鋭意解決に努力する、ここ一年くらいで解決をいたしますからしばらくお待ちください、こういう答弁をいただいた問題があるのです。それは何かといいますと、全国にずっとできております高速自動車道ですよ。高速自動車道が通ったたとえば町あたりは、そこで一千万とか二千万の固定資産税が出ておったわけですよ。町の収入、村の収入に入っておったわけです。それがなくなりました。なくなって、何のことはない、その町はインターチェンジもできないし、通っておるから廊下伝い、ほこりだけ、騒音だけかぶっておる、こういう状態ですよ。長い間関係の市町村が全国の協議会すらもつくって、固定資産税がなくなったのですから何とかして見合いの措置を講じていただきたい、できるならば、ひとつ高速自動車道について適正な課税をできるようにしてもらいたい、もしできないならば交納付金的なものをその市町村に与えてほしい、こういうことが全国の声であります。これに対して自治省の考え方というのは、全国プール制の料金になったのですから、当然何らかの税なりあるいは納付金的なものをやるべきであるという主張でありますけれども、天下の公道について税を取るなんてけしからぬという建設省の意見とがぶつかって、それから数年になりますけれども、いまだ解決しないのですよ。委員会でしばらくお待ちくださいと言いながらここ数年解決しない、まことに遺憾だと思うのですが、実情はどうなっておるのか。そして大臣、この問題についてリーダーシップをとって解決する決意なのかどうか、まずお聞きしておきたいと思う。
#52
○花岡政府委員 有料道路の負担問題につきましては、先生おっしゃいましたとおりのいきさつがございまして、これをできるだけ早く解決するように努力してまいったわけでございます。昨年の六月、この問題を解決すべく関係省、それから地方公共団体、学識経験者、こういったそれぞれの代表の方を構成委員とします有料道路負担問題検討委員会というのを発足させました。ここにおきましていろいろと議論がなされておるわけでございますが、やはり問題が問題なだけに議論がなかなかかみ合っておりません。本来ならば年内に結論を得ようというくらいのところで始めたわけでございますけれども、結局、結論が得られないまま年を越したわけでございます。現在、委員会は各委員の方々の都合もございまして中断の状況でございますけれども、近く再開をする運びになっております。また、それぞれの委員の問でもこの辺で何とか解決すべきではないかという機運も生まれておりますので、遅くとも来年度の概算要求の時期までにはこの問題を片づけるということで議論が進められるであろう、このような状況になっておることを御報告申し上げます。
#53
○細谷委員 数年前にはこの年度中に、今度、いま花岡審議官は概算要求までにはというので、ちょっと具体的になったのですが、これもちょっと信用できないのだよ。また来年になったら来年の概算要求まで、ことしは鋭意努力したけれどもできませんでした、いままでの私の経験からこういうことになりかねない。大臣、花岡審議官はそう言っているわけですが、どうなんですか、概算要求までに片づけますか。
#54
○澁谷国務大臣 いま御報告したように、そのための委員会までつくって審議を進めておる、こういうことでございますので、私としては来年になったらまた来年、そういうようなことを繰り返しておっては申しわけないわけでございますから、ただいま御報告申し上げたとおり、来年度の概算要求までにはとにかく結論を出すように努力いたします。
 ただ、これは私の想像ですが、恐らく自治省の主張に対して強い抵抗があるだろうと思います。ですから、自治省の主張がそのとおり認められるかどうかはやってみなければわかりませんが、いずれにしても自治省としては自治省の主張を通さなければならぬ、このように考えておりますし、ただいま報告しましたように、来年度の概算要求までにはとにかく結論を出す、こういうことで努力をいたします。
#55
○細谷委員 これに関連いたしまして、一つ自治省からこの委員会に資料を出していただきたい。この高速自動車道の買い上げによっていま課税されないことになったそのつぶれ地による固定資産税の減収はどの程度になっているのか、それを調査して資料を出していただきたい。いかがですか。
#56
○花岡政府委員 御提出いたします。
#57
○細谷委員 次に、地方税法の中で四十四年に法律の中に書き込まれました宅地開発税の四十四年以降今日の現況はどうなっておるのか、まずお尋ねいたします。
#58
○土屋政府委員 いまお示しのございましたように、四十四年に宅地開発税が設けられたわけでございますが、現実にはこの税を設けておる地方団体はございません。
#59
○細谷委員 四十四年に地方税の税目として設けられて、今日、全然条例化されておらないわけですね。実施されておらないわけですか。こんな税はありますか。私は寡聞にして聞きませんね。あなたの方はこの創設時、四十四年度初年度は一億四千四百万円の収入があります、こういうことですよ。平年度は二億三千四百万の収入になります。これは四十四年度の数ですよ。ところが、調べてみますと、四十四年度の地方財政計画の中における税収の中にはこの一億四千四百万というのは書き込まれておるのですよ。四十五年度から今日までずっと姿を失っているのですよ。税収が見積もられていないのですよ。これはどういうことなんですか。税を生んで後は捨てた、そんなことでいいのですか。
 大臣、実情はそうなんですよ。これはけしからぬことだと思うのです。いかがですか。
#60
○澁谷国務大臣 実は私もこのポストに来るまでこれは知らなかったわけです。今回勉強しまして初めてわかりました。御指摘のように、この宅地開発税が設けられて十年間全然実施されておらない、こういった例は恐らくないと思うのですよ。いやしくも税というものが法律でつくられて、それが十年間も全然実施に移されておらないということは、これはやはり問題があると私は思います。そこで、私はなぜ十年間もせっかく法律でつくられたこの宅地開発税が実行されないのか、その理由は一体どこにあるか、これをひとつ調べてもらいたいということを事務当局に命じております。これはもう間もなく、すぐ結論が出てまいりますから、どうしたらいいか早急にこれの対応策を考えなければならぬ、このように考えています。
#61
○細谷委員 この宅地開発税というのができるとき、私もその審議に参加した。参加した際に、当時開発ブームというのが上り坂にありましたから、その際にこの宅地開発税についての政令なり省令なりあるいは依命通達、こういうものを見てみますと、非常に詳しく宅地開発というものについて、各省との折衝の結果でき上がった法律でありますから、いろいろな慎重な配慮が行われておるわけです。言ってみますと、今日問題の自治権を侵害するような税目、税の内容になっている。たとえば、この宅地開発税の税率は当分の間、平米当たり五百円、その税率を定め、または変更しようとするときは、当分の間、自治大臣に届け出ると、ほかの税にないような大臣への届け出制まで設けたわけですよ。これはやはり開発行政が正常にいくように、混乱が起こらないようにという配慮が行われた。いまにしてこんな税を、一々法律で法定した目的税を、自治大臣にあらかじめ了解を得なければいかぬとかなんとかということもおかしいわけですね。そして奇妙なことには、法律における課税の基準というのが依命通達で出ておるわけですよ。これは非常に配慮したと思うのですが、それだけの配慮をしながら、今日まで十年間、この開発という問題が非常な大きな問題になっている今日においても何らの対応ができないということは、残念ながら、言いにくい言葉でありますけれども、地方税についてのリーダーシップをとるべき自治省の怠慢以外の何物でもないと私は言わざるを得ないのですよ。大臣、そう思いますか。
#62
○澁谷国務大臣 自治省の怠慢ではないかという御指摘をそのとおりでございますと言うわけにはまいりませんけれども、とにかくせっかくつくられた法律が十年間一度も実行に移されていないということは、これはもう本当に珍しいケースでございまして、それにはそれなりの理由がある。ですから、その理由は一体どこにあるのか、これをひとつ検討をして対応策を考えたい、このように考えておるわけです。
#63
○細谷委員 怠慢であったなんてことはちょっと大臣の口から言いにくいでしょうけれども、私はやはり怠慢だと断定してよろしいのじゃないかと思います。
 そこで、ちょっと話が変わりますけれども、いま自治大臣と建設大臣との間でいわゆる要綱行政、武蔵野の要綱行政をめぐって行き過ぎがある、これは是正しなければならぬ。また先ほどの質問の中で、五十四年度六百億円、五十三年度三百億円、こういうもので公共公益施設の整備に予算を取った、こういうことがありましたけれども、石川さんの言葉にあったように、六百億で対応できるような筋のものじゃないぞというお言葉もありました。この問題はこの春の予算委員会でも、大臣、要綱行政をめぐってやりとりがありました。私は大臣のそれを聞いておりましたが、要綱といえども、要綱行政の必要を認めながらも、法治国家は法でありますから、法に違反したものは断固許せない、こういうのが自治大臣の予算委員会における答弁でございました。それは一応形としてはそうでありましょうけれども、こういう問題に対応してこなかった、十年間全くこの問題について取り組まなかった自治省なり建設省の責任もあるのじゃないですか。たとえば建築基準法一本やり、都市計画法一本やりで問題を解決できないことは明らかなのですよ。それで宅地開発税というものができてきた。宅地の供給をふやさなければいかぬ、こういうことでありますけれども、全く対応してないでしょう。税は生みつ放しで捨て子、こういうところに私は根本的な問題があると思うのですよ。地方団体を責めるだけの問題じゃないと思うのですが、いかがですか。
#64
○澁谷国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、人口急増都市の抱えておる問題は非常に大きな、しかも複雑な問題を抱えておるというのはもう御承知のとおりでございまして、これに対する対応は、地方自治体だけではできるようなしろものではございません。それは関係各省がよほど真剣にしっかりした対応策を講じなければ、人口急増都市の行政というものは円滑に進まないわけでございます。
 この十年間、そういった現実の事態に対して怠慢ではなかったかという御指摘でございますが、私は率直に関係各省、自治省も含めて、これに対する政府全般の対応策は十分でなかった、これは遺憾ながら認めざるを得ないと思います。ですから、私はそういった反省に立って、おくればせではございますけれども、関係各省力を合わせてひとつ積極的に取り組んでいこうではないか、こういうことで先般建設大臣以下幹部とわが省幹部との第一回の会合を持った、こういうことでございます。
#65
○渡辺説明員 大都市の周辺におきます人口急増の問題、もう先生御存じのとおりでございますけれども、そういう中で、たとえば昭和四十二年に五省協定というものができまして、何とか対応していこうというような努力もあったわけでございますけれども、その後もいわゆる立てかえ施行制度の改善でありますとか、それから国庫補助事業の積極採択でありますとか、そういった形でいろいろと対応して努力をしてきたわけでございます。ただ、財政の問題もございまして、なかなか現実とのすり合わせが困難であったことも事実であろうと思います。そういう背景の中で、指導要綱というものが地方財政の実情を反映しながらやむを得ざる措置としてできてきたということも、われわれは十分認識しておるところでございます。御案内のように、五十三年度からは三百億、さらに五十四年度は六百億という形で新しい制度もできてきたわけでございますけれども、われわれといたしましては、財政の許す範囲で今後ともこの問題に対して関係各省とも十分協議しながら解決に努力してまいりたいというふうに考えております。
#66
○細谷委員 財政局長いらっしゃいますから、話の議論を展開する前提としてちょっとお聞きしておきたいのですけれども、しばしば例として挙げられる大阪の高槻とそれから茨木という市がございますね。その高槻も茨木も人口急増地帯ですよ。そして、高槻はその急増のために財政が追い立てられまして、いまや私の記憶では二八%を超える地方債になっておって、起債制限団体になっておるというわけですね。保育所もつくれない、こういうふうに新聞では報道されております。私も行って見てきました。その隣にあります茨木という市は、同じような人口急増の環境を持っておるわけでありますけれども、人口の増に対してある程度コントロールをしてきた、規制をしてきた。そのために、高槻はもはや人口がふえても保育所もつくれないという財政事情になってきておるわけですけれども、茨木の方は、そういうコントロールした点で、財政破綻を免れておる。そのいい例として、隣り合った市が挙げられておるわけです。もう一つ、枚方というのがありますけれども。そういうふうに新聞で報道されておりますし、人口急増地帯においては、かつて自治省の調査によりますと、人口が急増したそれに対する財政の需要額の増というものは、人口急増による収入額の増の二倍以上になるという自治省の調査もあるわけですね。そういう観点からいきますと、急増をほったらかしておいたところの高槻、それから、ある程度コントロールを加えたと言われる茨木、その違いが今日やはり出てきておると思うのですね。無論要綱行政等もやってきておるわけです。その事実は認めますか。財政局長、ひとつどうぞ。
#67
○森岡政府委員 高槻市は、いまお示しのように、地方債の詮議方針で決めております起債制限の二〇%を超えておりますので、一般単独事業につきましての起債制限団体になっております。ただ、いま手元に詳細な資料がないのでございますが、高槻市はたしか用地の先行取得などがかなり大幅に行われたというふうなこと、その他特殊の事情が大阪周辺の衛星都市に比べますと累積しておるようでございます。現に、大阪周辺の、いまお示しのありました茨木以外にも、人口急増の都市はかなりあるわけでございますし、また、阪神間の都市にも人口急増都市はかなりございますが、要綱行政に基づきますコントロールという問題ももちろんあり得ましょうが、しかし、高槻市以外はすべて二〇%を超える起債制限団体になっていないということでございますので、人口急増に伴います財政需要の増加が大きな要因であることは事実でございますけれども、しかし、それがすべてではないというふうに私は考えておる次第でございます。
#68
○細谷委員 すべてではない。それはそのとおりですよ。一〇〇・〇〇%なんてことは私は言っていない。大きな決定的な理由というのは人口急増、そのあおり。私も行きました。行きますと、もう小学校、中学校を建てるための土地を買うので大変なんですよ。それは公共事業の先行取得の地方債もありますけれども、大変なので金のやりくりにまいっちゃって、農協資金まで導入してやっておるという実態を見てきました。これは、人口がもう計画にもならぬ予想もせぬような異常なふくれ上がりから来ておるわけですよ。それはあなたも言いたいんでしょう、あすこもちょっと衛星都市ですから人件費も高いよ、こういうことも言いたいでしょうけれども、それは全部でないということで、本末をひっくり返しちゃ困るわけですよ。これは間違いなくそうです。私はそう思いますので、それを確認しろなんて言いませんけれども、大体高槻が保育所も建てられないような財政事情になってしまったというのは、高槻市の財政運営が主たる原因ではなくて、人口急増という決定的な原因があったということだけは紛れもない事実だろうと思うのです。
 そこで、ちょっとお聞きしたいのでありますが、現在の都市計画法と建築基準法で今日の急増する都市について完全に対応できるとお思いですか。やはり今日の状況下という大きなギャップがある、何らかの措置を講じなければならぬ、こういうふうにお思いですか。いかがですか。
#69
○渡辺説明員 都市計画法あるいは建築基準法、それぞれに法目的を持っておるわけでございますけれども、現在の大都市周辺の都市の抱える問題というのは、財政問題も含めたやはり総合的な対応で対処すべき問題ではないかというふうに考えております。
#70
○細谷委員 住宅政策について住宅宅地審議会が建議をしておるわけでありまして、都市計画法なり建築基準法のギャップを埋めるために、町づくりのための今日対応できるような基本法といったものを整備が必要である、こういうふうに住宅政策についての建議は主張をいたしておるようでありますけれども、自治大臣、そう思いませんか。
 なぜ要綱が生まれたのか、ちょっとあなた法律屋さんだから聞きますけれども、何でもかんでもいまはもうあなたの方は機関委任をやっているでしょう。私はよく言うのでありますけれども、地方自治法の二条の規定というのは、二十二年に制定されたときといまでは、機関委任がべったらふえて、実数において何倍になっていると思いますか、項目は何倍ふえていると思いますか。そこまで中央の方で見てやろうという気持ちがあるのならば、ギャップが間違いなくあるわけです。それが要綱行政の形で出てきているわけです、対応できないのですから。そういう対応をしなければならぬ。その対応の一つとして宅地開発税ができたはずでありますけれども、それは生んで捨て子。捨て子どころか、その捨て子を電気冷蔵庫の古物の中へほうり込んでいる、こういうかっこうじゃないですか。いかがですか。
#71
○土屋政府委員 宅地政策全体の問題としては、いろいろ御意見がございましたし、私が全部お答えできるわけではございませんが、ただいまの宅地開発税につきましては、先生もう当時のことはよく御承知のとおり、当時の宅地開発について、いろんな事業が考えられたわけでございますが、非常に身近な公共施設というものについては財源手当てもなかった。そういったことから、いろいろな制度があるけれども、そのうちのまさにいま申し上げました身近な公共施設の整備ということのために、市町村が任意に条例で決めることができるということにされまして、対象もきわめて微細なものに限られておったということでございます。したがいまして、いろいろなほかの制度とあわせてそれは活用されるだろうという考え方であったと存じますけれども、現実には、非常に需要が急増して、なかなかこの税というものが適切に運用できるような状況になかったというようなことで、市町村も条例をつくらなかったというようなことだろうと思うのでございます。そういった意味で、当時考えておったこととその後の推移を見ると、やはり御指摘のようないろいろな問題があったということを私も反省をいたしております。
 ただ、これはいま申したような部分を埋めるという趣旨でございましたから、他のいろいろな制度とあわせて活用されるべきものだ、こう思っておったという点があることは御了承願いたいと思うのでございますが、全体として、それじゃ宅地開発税を全部の需要に見合うような税に仕上げるということになりますと、今度は他の都市計画税等との関連も出てまいるわけでございまして、なかなか限度があると思っております。したがいまして税の立場から申し上げますと、これも合理化を考えなければなりませんが、対応するには限度がある。したがいまして、宅地対策としてはその他もろもろのいろいろな制度を総合して検討していかなければならないと思うのでございます。
 後の方は、これは私の範囲をいささか逸脱しているかもしれませんが、宅地開発税に絡んでの私どもの立場を申し上げた次第でございます。
#72
○細谷委員 昨年十月、宅地開発指導要綱等に関する調査というものを建設省と自治省共同でやったようでございますけれども、この調査の結果を見ましても、圧倒的な部分というのが三大都市圏に集中しているわけですね。そうして注目すべき点は、この要綱を制定する目的としては、良好な生活環境の整備、これが七百五十六件、乱開発の防止七百十八件、財政負担の軽減二百七十四件、人口の抑制九十五件、その他三十八件となっているわけですね。ある新聞に、要綱で人口抑制を目的にした負担金を課すのは行き過ぎだとある自治省の幹部が言っておるわけですけれども、自治体は人口の抑制というのにそんなにウエートを置いていないのですよ。圧倒的なものは良好な生活環境の整備と乱開発の防止。その次に財政負担の軽減。でありますから、宅地開発税ですべて解決すると私は思っておりません。やはり環境の問題、乱開発も環境の問題ですから、ここに圧倒的なウエートが置かれておるわけであります。その次が財政の問題です。それはそうあるべきだと思うのでありますけれども、大臣、この調査結果をごらんになりましたか。どう思っておられますか。
#73
○澁谷国務大臣 私はその報告の結果は、素直に、そういうことになっておるな、そういうふうに理解をしております。
#74
○細谷委員 建設省はどうなんですか。
#75
○渡辺説明員 この調査の結果からしますと、確かに良好な生活環境の整備あるいは乱開発の防止、こういったものが非常に多い目的になっております。
#76
○細谷委員 そうだとすれば、大臣、先ほどの答弁にありましたように、三百億円が今度六百億円になったからこれでやれるのだというのは、この制定の目的ということからいきますと全く沿うていないですよ。六百億というのは財政の問題でしょう。いかに環境を守っていくのか、いかに乱開発を防止していくのか。こういう調査の結果を尊重していくためには、六百億も必要でありましょう、一つの柱でありましょう。宅地開発税を、何とか生まれた子を育てていくということも一つの方向でありましょう。同時に、環境アセスメントといいますか、乱開発を防止する、特にいま横行しているミニ開発というものについてコントロールしていく、そしてやはり自然環境をできるだけ守っていく、日照権を守っていく、こういうことが重要だと私は思うのですよ。
 先ほど大臣は全体のことが必要だと言われた。そのとおりなのですが、自治省と建設省の話し合いというのは、行き過ぎがあるから是正するのだ、協議してこの夏ぐらいまでに結論を出すのだ、こうおっしゃっている。行き過ぎというのは何ですか、具体的にお答えいただきたい。
#77
○澁谷国務大臣 本問題についての細谷委員の先ほど来の御質問、私は非常に傾聴いたしておるわけでありますが、御指摘のとおり、この人口急増都市の抱える問題は、私が先ほど来答弁申し上げておりますように、単純な問題ではありません。したがって、今回建設省が三百億の予算を六百億にした、これでいいのだというような単純なものでないことはもう御指摘のとおりです。私どももそのようには考えておりません。しかし、これも大事な柱であることは間違いない。ですから、先ほど来答弁いたしておりますように、問題が総合的なのですから、それに対する対策もまた総合的でなければならぬ、当然のことであります。したがって、先般行った建設省との会合も、これは第一回でございまして、行き過ぎを是正するというようなことに重点を置いた会合ではございません。私のねらいは、あくまでもこの問題に対して政府が全般として責任を持たなくちゃならぬわけでありますから、総合的な対策をどう立てていくかということに重点を置いてこの会合を持っておるわけであります。今後もひとつそういう角度でこの問題に取り組んでまいりたい。
 行き過ぎとは何だという御指摘でございますが、これは一つは武蔵野市において不幸な例が起きたわけでございまして、私、予算委員会でも答弁いたしましたように、やはり法治国家でありますから、いかに必要があったにせよ、要綱で法律を抑えるということは行き過ぎと認めざるを得ません。それから、この要綱によって宅地開発業者に常識ではちょっと不当と思われるような過重な負担を課しておる向きも、もちろん全部じゃありませんよ、ごく一部でありますが、ございます。そういったこともやはり適当な線まで是正すべきではないかと私は考えておるのです。
 それじゃその適正な線とは一体どの程度だということについても、まだ結論は出ておりません。この間の建設省との会合でも、実はこの問題、私から提起したのです。行き過ぎておる――それじゃこの辺までならいいというものがなければ行き過ぎということは言えないわけであります。ところが、これも実際問題となるとなかなかむずかしい問題でございまして、とても一回くらいの会合でこの辺なら妥当だという結論は出なかったわけでございます。この問題一つとらえても、そういった簡単と思われる問題についても結論が出しにくい、こういう状態でございます。その他、御指摘のようないろいろな問題があるわけでございますから、そういう問題に対して、これをやればもういいのだというような安易な態度ではなしに、総合的な態度で対策を講ずるように真剣に努力をしていきたい、このように考えております。
#78
○細谷委員 建設省にお尋ねいたしますが、三月十八日の日本経済新聞に宅地開発指導要綱をめぐって、建設省は業者負担の軽減を指導する、こういう見出しで書いてございます。たとえば建設省は「国の補助金の対象となっている公共施設は国、自治体が負担し、そのほかの施設は開発業者が負担すべきだ」、こういうことも主張しております。それから「国の都市計画法では開発業者が作らなければならない道路、下水道、公園の最低水準を決めているが、問題は自治体がこれをはるかに上回る水準の公共施設の整備を義務づけていることだ。」非常識な公共施設の整備を義務づけておる。そのために「開発業者に負担させなければ宅地の分譲価格は今より三五、六%下げられる」、こういうふうに日本経済新聞に書いてある。こうなっていると、見出しのとおり業者の負担が過重であるからこれを軽減しようということで両者の意見が一致して、そして話が進められておるのじゃないですか。建設省、どうですか。
#79
○渡辺説明員 宅地開発に伴います地方財政の問題は、先生先ほどからるる申し述べられておるとおりでございます。一方、たとえば三全総等によりましても、相当膨大な宅地需要があるということで、この両者の必要性というものをどこかで調整していかなければならないというのがわれわれの基本的姿勢でございます。
 先ほどの御指摘でございますけれども、業者の負担を軽減する、これは要するに、宅地開発に必要な経費がかかるわけですが、それがすべて宅地の販売価格に上乗せされるわけでございます。結局、それが新たに宅地を必要とする人々の負担となるというメカニズム、これはもう簡単なことでございますけれども、そういった観点から、何とか負担を軽減していきたいというふうに考えておるわけでございます。
#80
○細谷委員 業者の負担を軽減してやるということについては、どなたも異議はないと思うのです。しかし、環境をぶっ壊して、そして業者の負担を軽減するなどということは考えられない。業者の利益のために乱開発を許すということも許されないと私は思うのです。また、この新聞では、不動産の社長さんあたりは、とにかく負担が重過ぎるから直してくれ、地方自治体の意見は、これを初めてつくった市の市長さんも、乱開発防止への厳しさが必要だ、こういうふうに言っておるわけです。
 問題は、どう調整をとるかということだ。私もそれは認めます。何でもかんでも要綱がいいのだ、開発者に幾ら負担させてもいいのだ、こういうことを私は申し上げているわけではありませんけれども、言ってみますと、とにかく要綱で大変な負担を強要されているのだからこれをまけてくれ、その一言で建設省が動き、自治省が動いている、こういうふうにしか思われない。しかもあなた方が調査したとおり、圧倒的なものは乱開発をやめてくれ、生活環境というのは壊してくれるな、第三番目に財政負担の問題がありますよ、こう言っているわけです。ですから、武蔵野の問題で端を発して、こういう問題で行き過ぎだ、こういうことになったと私は思うのです。
 財界展望という雑誌をごらんになりましたか。「謀略説も飛ぶ武蔵野訴訟の「ドンキホーテ探し」」、これは財界展望というのですから、大体財界向けの雑誌ですよ。その中に詳しく書いてあります。(「読んでください」と呼ぶ者あり)読んでくれ、時間がかかるよ。まあひとつこれを読んでみてください。これは、言ってみますと八王子支部が起訴したということになって、いまや要綱など無視の形で横行しておりますよ。よく書かれております。こういうことでありますから、自治体に行き過ぎがあるなら是正しなければならないでしょう。業者にもそういう行き過ぎがあるなら是正しなければならぬでしょう。そういうものに対してどういうふうに指導していくのか。ある意味では法のギャップなのです。間隙を縫っておるわけですから、これは対応していかなければなりません。私はそれを否定するわけじゃありませんけれども、単に、負担が過重で、そのためにそれを買う人に転嫁されておるから困る、だからひとつ抑えよう、こういう単純な権力的なやり方では問題の解決にはほど遠いと私は思います。いかがですか。
#81
○澁谷国務大臣 私は全く同感ですよ。そんな単純な発想でこの複雑な問題が解決をするはずはありません。したがって、私どもはそんな単純な考え方は持っておらないわけであります。先ほどから繰り返し申し上げておりますように、やはりいろいろな角度から総合的な対策を講じていかなければこの問題は解決しない、こういうふうに基本的にも考えておるわけです。
#82
○細谷委員 そこで具体的に、この調査の結果もあるのです。開発事業者の負担基準ということでありますけれども、宅地については一平米当たり三百円未満、三百円から五百円未満というのが五一・一%、調査の結果は占めているわけです。半分は大体五百円未満ということで占めておるわけですね。建物一戸当たりというのも十万円とか五十万円とか、こういうのがございます。それから用地及び施設の提供基準、この内容は新聞にも出たとおりでありますけれども、こういうことについても出ております。
    〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕
私はこの調査の結果を拝見いたしまして、もしも自治省が宅地開発税について実態に即応するようにうまくこれをフォローしていけばこんな事態にならなかった、乱開発も食いとめ、ミニ開発も食いとめることができたと思うのです。決定的なものじゃありませんよ。宅地開発税が設けられるとき、これでは今日の宅地開発の負担には地方団体はたえられない、五百円以下などということでは小さ過ぎるのだよという意見が委員会にもあったのです。あったけれども、一つの柱としてこういうものを育てていけばいいというのが委員の皆さん方の意見でこの宅地開発税が創設されたと私は思うのです。
 こういう点で、この時期に、いま言ったような問題の解決のためには、もっと基本的なものも検討しなければなりませんけれども、一つのポイントとして、やはり宅地開発は財政負担が伴うわけでありますし、保育所もつくらなければいかぬ、小学校もつくらなければいかぬ、大きな団地では中学校もつくらなければいかぬ、単独の小学校、中学校、保育所をつくらぬでも、ある団地ができたために教室をよけいつくらなければならぬという事態もあるわけですから、何とかそういう財政負担に対応できるようなものをつくると同時に、自治体の特有なものもあるわけですから、この要綱行政というのは育てていかなければならぬと私は思うのですが、大臣、いかがですか。
#83
○澁谷国務大臣 要綱行政と言われるものがなぜ発生したか。発生せざるを得ない事由があったということです。したがって、要綱行政の果たした役割りというものを私は評価する立場に立っておるわけです。ただ、行き過ぎはいかぬということでございます。
 そこで、宅地開発税の問題で先ほどから御議論を拝聴しておるのですが、せっかく日本全国にわたって宅地開発がブームに乗ろうとしておったその時期に国会の御賛同で宅地開発税が設けられた、非常に適切な措置であったと思うのですよ。しかも、そういう適切なタイミングで生まれた開発税が一件も活用されておらぬ。私は最近になってこの問題を承知したのですが、一、政治家としてまことに私、不思議でたまらないのです。必要があることは、これは万人が認めますね。その必要にこたえてつくられた税が一回も活用されておらない、そのネックは一体どこにあるのか。先ほど答弁申し上げたように、いま事務局にその活用されなかった原因がどこにあるのか、ネックはどこにあるのか、早急に検討して結論を持ってこい、こう言っておりますので、それを見た上で私としては何らかの対応策をこれは政府としてやらなければいかぬ、このように考えております。
#84
○細谷委員 大臣にちょっとお尋ねしますが、これは渡海建設大臣の足元でありますけれども、神戸市の交通事業に対する開発者負担に対する要綱、こんな要綱があるわけです。一つの団地ができる、そうしますと、損得を抜きにしてその足を民鉄が守るか公営交通が守るかせなければいかぬわけですね。ところが、民鉄ですと、やはりどうしても損得が大前提になるわけですから、そうなりますと、やはり公営交通がやらなければいかぬ、こういうことになりますね。これも行き過ぎと思うのですか。たとえば宅地について、小学校つくるから、保育所つくるからということばかりじゃなくて、その足を守らなければいかぬ神戸市のようなこういう要綱については行き過ぎだと思いますか。これはやはり状況に応じては妥当な措置だ、こういうふうにお考えですか、お答えいただきたい。
#85
○澁谷国務大臣 その要綱も私いま初めて伺ったわけでございまして、詳しく見ないうちに軽率な答弁は差し控えたいと思いますけれども、とにかくある程度の規模の団地ができる、それと都心を結ぶ足が必要であるということは、これは常識でございますから、何らかの形でそこに住む人々の足を確保しなければならぬと要綱で定めるのは、これは常識だと思います。当然だと思いますよ。
#86
○細谷委員 建設省はどう思うのですか。
#87
○渡辺説明員 先生いまお示しの要綱をちょっと見ておりませんので、そのものについて申し上げることを差し控えたいと思いますが、実は団地開発に伴います鉄道建設につきましては、いわゆる開発者負担というようなものを一応ルールとして決めているような助成制度もありまして、そういう形で実態に対応しているところでございます。
#88
○細谷委員 久世さん、あなた開発やっているな。神戸市のこういうもの、知っていますか。
#89
○久世説明員 存じておりません。
#90
○細谷委員 ちょっと驚くな。要綱行政は行き過ぎがあるかもしらぬ、こういう話で両省が話し合う。ところが、こういう問題について、しかも建設大臣の足元ですよ、日本の大都市である神戸市が条例でやっていることについてわからぬで要綱行政を云々するなんていうのは、言葉は適切じゃないけれども、ちゃんちゃらおかしいということになりはせぬですか。どうですか、大臣、全然知らないじゃないですか、要綱行政の個々の実態を。それで行き過ぎがあるんだと言う。行き足りないということは一つも言わないんだ。行き足りないのはあなたの方ですよ。よほどひとつバンドを締め直していただかなければいかぬと思うのですが、大臣、いかがですか。
#91
○澁谷国務大臣 バンドをしっかり締めてがんばってまいります。
#92
○細谷委員 ほかの問題も二、三ありますからこの点はこの程度にいたしまして、次に大臣にお尋ねしたいのであります。
 今度不公平税制を直さなければならぬ、こういうことで政府も取り組みました。その最たるものと言われる医師優遇税制七二%問題、これについては税調は四段階でありましたけれども、最終的には五段階という形で是正をされました。大平総理大臣も、これで不公平が医師優遇税制について完全に直ったとは考えない、今後も検討していくということを言っておるのですが、この問題についての自治大臣の認識はいかがですか。
#93
○澁谷国務大臣 私は総理大臣がお答えいたしましたと全く同じ考え方を持っております。
#94
○細谷委員 要するに、医師優遇税制の今回の改正は不十分だ、こういうことであります。
 そこで、私どもの党の委員が本会議で澁谷大臣に、この医師の所得税の七二%問題は別といたしまして、地方税であります事業税については、医師あるいは歯科医師の社会保険診療報酬については全然税がかからない、七二%どころじゃないですよ、一〇〇%税がかからぬ、こういうことになっておりますが、私どもの方の委員の本会議における質問に対して、澁谷大臣は落としておいて後で追加して答弁をなさったわけですが、その答弁の中で、検討してみます、こういう御答弁でございました。あれからかなりの日数がたってまだ結論は出ておらぬかもしれませんけれども、本当に検討するのですか、前向きで。
#95
○澁谷国務大臣 この問題は、細谷委員はもう私なんかよりもはるかに専門家でございますから御承知なわけなんですが、御承知のようないきさつで医師優遇税制というものが生まれて二十五年間全く手がつかなかった、こういう状態で来たわけです。今度初めて手がついた、そういういきさつの中でこの事業税についても非課税という状態で二十五年間たってきた。そして医師優遇税制、所得税の面では今回初めて改正が行われることになったわけですが、事業税については全く手が触れられておらない、こういう状態であるわけでございます。
 したがって、この事業税を今後どうするのか、こういう御質問でございますが、やはり医師優遇税制全体として検討する、見直さなければならぬという段階に来ておる、そういう空気の中で今回二十六年目で初めて改正のメスが入れられた、こういうことでございますから、そういう全体の空気の変化というものも十分頭に入れてこの事業税をどうするか、ひとつ検討してまいりたい、このように考えておるわけです。
#96
○細谷委員 どうするか検討してみたい、本会議における答弁と変わらないわけです。
 税務局長、この措置によって、大臣は、これはどうも参議院の議員立法でやられたということについて政府は責任ないぞ、こういう認識から来ているのじゃないかと思うのですけれども、政府が出した法律だって議員立法でできた法律だって法律に変わりはないですよ、これは。大臣そうでしょう。
 そこで税務局長、そういう医師についての事業税を課さないということによってどれほどの減収が起こっておりますか、お答えいただきたい。
#97
○土屋政府委員 五十四年のベースで見まして、事業税で全体としては約五百億の減収ということに相なります。
#98
○細谷委員 委員会にきちんと資料も――租税特別措置で非課税による減収が出ているんだから、大ざっぱに五百億なんて言わないで、きちんと数字を分けて言いなさいよ。
#99
○土屋政府委員 考え方によって数の区分けがいろいろございますので、合わせて五百四億と申し上げたわけでございますが、事業税については、先ほどから仰せのとおり社会保険診療報酬については全額非課税ということになっております。しかし、それを分けて考えますならば、従来から国の租税特別措置の分で七二%が経費だったということで、それをもとにして考えますと、その二八%分に当たるものが所得である、その分を幾らまけておるかとなりますと、それが二百六十六億、七二%分に対応するものが二百三十八億、合わせて五百四億、こういうことでございます。
#100
○細谷委員 これも年々ふえているわけです。ちょっと試みに、社会保険診療報酬の所得の計算特例で五十二年度は百七十七億だったんです。これは金額としても一番大きいんです。そして一番大きいものがまた五十四年度では二百三十八億とふえていっておるわけです。そういうことであります。
 税務局長、あなた知っていると思うのですけれども、あなたの方から出ている「地方税」という雑誌がありますね。あれは地方財務協会が出しているが、あなたの方の編集だ。あなたが編集長でしょう。その「地方税」という雑誌の一九七三年七月号に当時の府県税課長がこういうふうに書いているのです。事業税においては、その社会保険診療に係る収入金額にはすべて課税されないこととなっているのであるが、このような特別措置が税負担の公平を阻害する程度がはなはだしいものであることについては議論の余地もなく明白であろう。速やかに是正のための立法措置を講ずべきものと考えられる。大臣、当時の府県税課長が言っているのです。いま元気ですよ。この人はいま知事選挙をやっていますよ。その人が書いているわけです。それから、七三年から今日まで、とにかく七二%問題よりももっと税の不公平の問題としては大きいんだという当時の山崎府県税課長の指摘、私も同感ですよ。ところが、こう書いてありますけれども、この問題については一向に進まない。今度の七二%のものについては議論されておりますけれども、税制度としてはより不公平であると思われる一〇〇%課税してないこの事業税について、あんまやはり、きゅうからは事業税を取っておいて、お医者さん、歯科医師からは一文の税金も取らぬというこの不思議さ、そしてこういうふうに指摘されておりながら、残念ながら、これは今度の税制改正の中の政府税調の中においても議論されておらないところに、自治省の事なかれ主義、逃げ腰があると私は思う。真剣に取り組んでないのですよ、そう言わざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
#101
○土屋政府委員 いまお話がございましたように、この問題は長年の懸案でございましたし、いろいろ問題があるということも私どもも承知しておるわけでございます。ただ、先ほどそういった議員立法でやっても、それは直しても問題ないんだという御趣旨がございましたけれども、御承知のようにやはり経緯もあるわけでございまして、二十六年の社会保険診療報酬の単価等を考慮いたしまして社会保険診療を促進するという見地から二十七年に議員提案によってこの非課税措置というものが設けられたわけでございます。その後、国税においては二十九年にいまの七二%の経費率が設けられたわけでございますが、そういった経があったにかかわらず事業税についてはそのままに残されてきた、そういった経緯があるわけでございまして、そういった経緯も一応考えなければならない。それと同時に、事業税の性格上、事業の経費とされるということになることもございますので、仮に社会保険診療報酬事業に対して課税をするということになりますと、結果的には被保険者に転嫁され、被保険者がそれを負担することも出てくるという可能性があるわけでございます。他のサービスの提供と異なる社会保険診療の性格上、若干問題があるといったようなことも一つの議論でございます。その他公益上の理由から非課税とされております他の事業との均衡も考慮する必要があるのではないか、こういった意見もあるわけでございまして、そういったことから結論的にはそういった問題も幅広く検討しなければならぬ。先ほど第三種事業のあんま、はり、きゅう等の問題もございましたが、これも社会保険診療報酬については非課税としておるわけでございます。そういったこと等もいろいろと考えて対処しなければならぬということで、私どももその議論をしなかったわけではございませんけれども、今回そこを思い切って改正するというところまで踏み切ることができなかったわけでございます。
 しかし、今回、お話しのように、国税、所得税におきまして社会保険診療報酬に係る経費率について改善されるという予定が立っておるわけでございます。その点については、住民税においても五十五年から同様のことが出てまいりますので、同じような方向に進みたいと思っておるわけでございますが、事業税でもただいま申し上げましたようないろいろな問題がございましたけれども、国税のこういった措置等を念頭に置いて今後十分検討したい、ただいま結論的なものを持っておりませんので、大臣から申し上げましたように、全体の経緯なりいろいろな条件を踏まえて、また国税の動き等も踏まえて十分検討したい、かように考えておるところでございます。
#102
○細谷委員 税務局長、いまの言葉では答弁にならないですよ。私が予測したとおり、これは患者にはね返ってきますよ。多かれ少なかれ最終的にはすべて消費者なり患者に負担がかかっていくわけです。これはもう間違いない事実ですよ。そういう中において事業税というものが設けられておるわけでしょう。そうして二十八年に特例措置ができたわけでしょう。そして二十九年にはさらにその範囲が拡大されたでしょう。そのとおりですね。そういうことは言いわけにならないですよ。そうしてあなたが私に答えたい一つは、これは社会保険診療報酬だけですよ、医者でも社会保険診療報酬以外の自由診療については百分の五取られているのですよ、あんま、はり、きゅうというのは零細でありますから、あんま、はり、きゅうについては百分の三でおまけしてあるのですよ、ですから不公平がないというのですか。
 それではお尋ねします。医者の収入の社会保険診療報酬に占める割合とはり、きゅう等の社会保険診療報酬と自由診療との間の比率を教えていただきたい。現実のあれで、ごまかしはいけませんよ。答弁願います。
#103
○澁谷国務大臣 恐らくその答弁の資料の準備はないと思います。ただ、医者における社会診療報酬の占める割合は圧倒的に高い、それからあんま、はり、きゅうの場合の社会診療報酬の占める割合は非常に少ない、両者の間には大変な差があるということは大体常識的に考えられます。
#104
○細谷委員 官僚答弁というのはいつもそれで逃げるわけです。その資料を出してくれときのうから言っているでしょう。第三種の事業税についての業種別の割合を示せと言っているのですよ。ところが、私の要求した資料を出さないでそこへ逃げ込んだ。大臣の答弁が実態でしょう。しかし、それも逃げ口上の答弁で逃げられちゃたまらないです。許さぬ。調べてその資料を出していただきたい。
#105
○澁谷国務大臣 これは調査すれば簡単に出る資料でございますから、早急に整えて提出をいたします。
#106
○細谷委員大臣 適当に答えておったら済むものだという国会答弁はやめていただきたいのですよ。誠実に答えていただきたい。これを特にお願いしておきたいと思います。
 時間も十分ありませんし、どなたもおなかがすいてきたと思うのですけれども、あと一つ。最近出されました地方財政収支試算の問題について若干お尋ねしておきたいと思うのですが、この地方財政収支試算の中の一般財源について、恐らく地方税と地方譲与税と地方交付税でありましょうけれども、この一般財源の内訳を資料として示していただきたいのでありますが、いかがですか。
#107
○森岡政府委員 積算内訳を資料としてお出しいたします。
#108
○細谷委員 資料をいただいたわけでありますけれども、昨年出されたもの、一昨年出されたもの、これは大体全部五カ年計画でありますけれども、いつもほご同然に葬り去られて、今度は七カ年という形で出てまいったわけでありますが、私はつくられた人の労は多とするわけでありますけれども、残念ながら、これはこれからの国と地方の財政のガイドとしては余りにもラフ過ぎるではないかと思うのです。大臣、どうお考えになっていますか。
#109
○澁谷国務大臣 確かに見方によっては、具体的な内容を織り込んでおらないわけでございますから、ラフなものではないかと言われれば、これはもうそのとおりだと答えざるを得ません。これ以上正確なものを出したいとは考えるわけでございますけれども、何分具体的な条件が固まっておりません。いろいろな仮定の上に立って大ざっぱな一つの鳥瞰図をここに描き出したということでございますので、この点は御了承いただきたいと思うのです。
#110
○細谷委員 私は率直に言って、鳥瞰図と言うけれども、前に大きなつい立てのある鳥瞰図で、鳥瞰図のつもりだけれども鳥瞰図になっていない、残念ながらこう言わざるを得ないと思うのです。
 そこで、ひとつお尋ねしておきたい点は、この地方交付税の算定の仕方はどういうことになっているのですか。
#111
○森岡政府委員 一般財源の中での地方交付税の見込み方という御質問だと思いますが、これにつきましては、国の財政収支試算で示されております掲上科目の国税収入を基礎といたしまして、過去四十年代の十年間の国税収入全体に対する所得税、法人税、酒税という現在の交付税対象税目の割合、大体八二・六%でございますが、その分は国税の増収分について当然地方交付税の増額がある、こういう前提で計算をしているものでございます。
#112
○細谷委員 国税全体の中の三税のシェアに対して三二%掛けた、こういうことで交付税を算定しておるようでありますけれども、大臣にちょっとお尋ねしたいのですが、それは現行法は三二でしょうけれども、国の試算によりますと、九兆一千百億円の増税が必要だ、地方の方も要調整額はこれこれある、こういうふうにきておるわけですね。そして、いま、予算委員会でも議論されましたように増税問題というのが出てきておる。その増税問題については、増税はするということでありますけれども、その増税が何物たるかはちょっと鳥瞰ができないのですよ。何ですか、その増税は。
#113
○土屋政府委員 ただいまの一般財源の中の地方税の見込み方でございますが、これもいま大臣から申し上げましたように、全体的な鳥瞰図の中でどういうふうに見込むかという問題でございまして、私ども、一つのめどといたしましては、新経済社会七カ年計画の基本構想に基づきまして、昭和六十年における国民の所得に対する税負担の割合二六・五%、それをめどにいたしまして、その間に国民が負担をだんだん伸ばしていく過程で、どういった形で税が伸びていくかということを試算をしていったわけでございまして、そういった前提のもとに試算した数字でございますから、そういった負担増がない場合それではどうなるかというものと比べた場合に、三兆七千八百億という税収がふえてくる形になるのであるといった一つのめどを立てたわけでございます。そういったことでございますから、その増税の部分をどういった税で具体的にどういうふうにするかというところまでは詰めてないわけでございます。今後そういったものが実際必要であれば何らかの方法でそこを増税で埋めていかなければならないといった考えを持っておるわけでございます。
#114
○細谷委員 何らかのと言って、きわめて抽象的。世間では大体一般消費税というふうに言われているわけですけれども、それはついぞ言わない。
 大蔵省にお尋ねいたしますが、去年は「その他」というところに地方交付税の額が括弧書きで挙げられておったのですが、ことしはないのですよ。どうしてなんですか。
#115
○亀井説明員 御指摘のとおり、昨年は内書きで「地方交付税」というのが入ってございました。今回はそれをやめておりますけれども、これは一般消費税の導入問題を控えまして、これをどういう仕組みでどういう程度に地方に配分をしていくかといったような問題も今後検討を要するという趣旨から、具体的に地方交付税をお示ししていないわけでございます。
#116
○細谷委員 これからの問題が未定であるから、括弧書きはやめた。それを受けて地方財政収支試算ができているわけですから、その辺はどうなんですか。括弧書きが去年はあったのがことしなくなったというのは、いまお聞きしますと、やはり新税という問題もありますから、その辺は話が詰まっておりませんから括弧書きはやめた、こう言っているわけです。ところが、あなたの方ではちゃんとここに出ているわけだ、さっき言ったように地方交付税が。八二・六掛ける三二%、こういう形に出ている。これは食い違いがあるんじゃないですか。意味わかりますか。
#117
○森岡政府委員 地方財政収支試算は自治省が責任を持って国会に提出したものでございます。したがって、私どもといたしましては、大蔵省の財政収支試算に、昨年のように現行の三二%分が幾らであるかというコメントがあるなしにかかわらず、昨年も同じ計算をしております。本年も同じ計算をしております。ただ、増税の金額が違いますから金額には差が生じておりますけれども、計算の方式は全く同じでございます。
 昨年大蔵省から御答弁があったのは、三二%分を計算してみればこうなるということをたまたま示しただけのことである、こういうお話でございました。私どもは、いまお話しでございますけれども、三二%分は幾らだということを書いてあるから、あるいは書いてないからということで、自治省の基本的な算定の方針は変えておりませんので、御理解賜りたいと思います。
#118
○細谷委員 自治省の計算の方式は、去年と変わらぬ。ところが、大蔵省の方は増税の問題の配合が決まっておらぬから括弧書きはしなかったということでありますから、きわめてデリケート、微妙であるようでありますけれども、ちょっと去年と姿が違うように思うのですよ。私は、デリケートで姿が違うように思うのでありますけれども、本当のところは、大臣、私が言うように、将来を展望できるような、鳥瞰図的なものになるためには、ぼやっとでも春がすみのように、花が先に見えるというぐらいになるためには、その辺が詰められないと、新税の創設いかなるものかということは明確におっしゃいませんけれども、この試算にもないわけですけれども、本当の参考になるような、あるいは若干でもガイドになるようなものはできないと私は思うのです。ところが、その辺は全然触れないでつくられているところに問題があると思うのです。でありますから、創設するんならする、その場合にはこうだということを詰めなければいかぬと思うのですけれども、この辺、大臣の決意のほどをちょっと承っておきたいと思います。
#119
○澁谷国務大臣 おっしゃるとおり、この点が明確になりませんと展望できないわけですよ。おっしゃるとおりなんです。ですから、できればそこの点をきちっと詰めて、その詰めたものを基礎にして財政収支試算をつくれば、これはかなり先が見えるようになるわけです。ところが、残念ながら、現在の段階では、仮に一般消費税というものを導入する、その場合の国と地方の配分の割合をどうするかという点について、まだ具体的に両省の意見の詰めをやっておらないわけです。詰まっておらない。したがって、ここでその点を明らかにすることができない。これはまことに残念でありますが、いましばらく時間をおかしいただきたいと思います。
#120
○細谷委員 もう時間が過ぎておりますから。
 私は、一般消費税の問題というのは、やはり不公平税制を徹底的に是正した後に総合判断すべきものだ、こう思っております。いま、残念なことには、大蔵省も自治省も、一般消費税が創設されたならば、国家財政も地方の財政も安定していくという、それにすべてをかけているような印象を持っております。私は、そんなことではできない、こういう見解でありますが、同時に、先ほど議論がありました地方の時代と言われ、そして地方分権というのは財政分権の確立ということが重要でありますから、そういう観点においては、やはり地方においても何らかの税財源の充実ということを考えなければならぬじゃないか。単に租税負担率が二六・五だ、現在との差額を六・何%と出して、それを二対一で分けて、そして地方税がこうだ、それから国の税はこうだ、こんなようなことだけでは済まない抜本的な検討を必要とする段階に来ているんじゃないかと私は思うのですけれども、大臣はどういうお考えですか。
#121
○澁谷国務大臣 二つの問題を指摘されたわけでございますが、一つは、不公平税制とその他の税制の問題というようなものをほとんど考えないで、消費税導入一本で国と地方の財政の再建ができるんだ、こういうふうに思っているんじゃないか、こういう御指摘がございましたが、大蔵省もそう思っておらぬと思いますが、少なくとも私はそのようには考えておりません。そんな安易な態度で財政再建ができると私は毛頭考えておりません。ただ、全般的な財政再建方策の中で、現在の段階では一般消費税というものがその主要な柱であるという認識は持っておりますけれども、これ一本やればそれでもう全部できるんだというような、そんな安易な短絡的な考え方ではとうてい問題にならない、このように考えております。
 それからもう一つは、地方分権の問題。これはもう私は就任以来申し上げておりますように、国が従来余りにも国に偏っていた重点、重心というものを地方に移さなければならない時代に来ておるというのは、これは私の信念でございます。したがって、事務の配分、それから当然大事な財源の配分を通じてそういう方向に国の行財政の構造というものを変えていかなくちゃならぬ、そういう非常に大事な時期に直面しておるというのが私の基本認識なんです。
 ただ、したがって、今後地方の財源の充実というものは当然その方向で推進をしていかなければならぬと考えますけれども、その前に、とにかく国も御承知のような借金で首が回らぬという状況でございますから、まずこれを建て直すということをやりながら、その中で漸次地方の方に重点を移行していく、こういう二つをかみ合わせながら取り組んでいかなければならぬ、私はこのように考えておるわけであります。
#122
○細谷委員 終わります。
#123
○中山(利)委員長代理 新村勝雄君。
#124
○新村委員 最初に大臣にお伺いしたいと思いますが、財政民主主義という言葉、概念がございますけれども、大臣はこれをどういうふうに解釈なさっておられますか。
#125
○森岡政府委員 財政民主主義という言葉をどう理解するかは、場所により人によりそれぞれかなり差があるように思いますけれども、基本的なことは、一つは財源配分なりあるいは歳出の決め方につきまして、現在はいわば政治のシステムが間接民主制でございますから、国においては国会、地方においては地方議会が十分それぞれの審議を尽くされる、それによって財政の中身が決まっていく、これが第一だと思います。
 第二は、同時に地方行政で申しますならば、地域の住民の人たちの意見が財政運営にできるだけ反映されるようにしていく、そういう仕組みなり運営の方法を考えていく、これが第二の問題ではないか、私はそのように思っておりますが、しかし、人によりましていろいろな御意見もあろうかと思います。
#126
○新村委員 人によって解釈が若干違うのはやむを得ないのですけれども、大筋においては、やはりこれは日本国民である以上だれでも一致していなければいけないわけでありまして、いま局長が言われたことでいいと思うのでありますけれども、これが実際に日本の税財政の上で機能していないような感じがするわけであります。特に、いま局長が言われた後段の問題ですね。政府は国会に対して責任を持つ、そしてまた国会は国民に対して最終的には責任を持つわけでありますから、税財政の問題を考える場合にも、国民との関連において最終的には国民に責任を持つ、あるいはまた国民の参加あるいは発言をできるだけ保障していくという方向がなければいけないと思うわけでありますけれども、こういう点からいたしまして、現在の地方自治の全体の体系からしてそういう面が非常に弱いわけであります。
 特に、これは大臣にお伺いをしたいのですけれども、地方自治法七十四条には住民の直接請求という規定があるわけでありますけれども、その中で税の賦課徴収あるいは負担金の賦課徴収については、その請求を許さないという例外規定があるわけですね。これについて大臣はどうお考えでございましょうか。税財政、特に税の賦課徴収ということは政治の基本でありますし、すべての施策の基本をなすものであるわけであります。それだけに住民にとっても最も関心の深い、あるいは最も深い関係を持つ事項でありますけれども、その事項に限って国民の発言ないし参加を許さぬ、こういう法律の姿勢、政治の姿勢でもあると思うのですけれども、これはどういうことを意味するのかをお伺いいたしたいと思います。
#127
○澁谷国務大臣 主権在民という日本の憲法のたてまえから言って、国の政治の運営あるいはまた地方自治体の行政の運営、そういったものが国民あるいは地域住民に対して最終的に責任を持つ、こういう姿勢で臨まなければならぬというのは、もう当然のことだと考えております。
 そこで、いま御質問の、税というものは言うまでもなくこれは国民、住民にとって最も利害関係の深い項目でございますが、その点についてだけ直接請求というものは認めないのは一体どういうわけだ、こういう御質問でございますが、これは私もつまびらかにしておりませんので、政府委員から答弁させます。
#128
○森岡政府委員 地方税なりその他の各種の負担につきまして直接請求の対象にしておらないという趣旨は、私はこう考えます。
 わが国の場合に、たとえばアメリカに見られますような地域地域によりまして租税負担もかなり違うが行政サービスの水準もかなり違う、そういうふうな社会構造なり、あるいは国民のニーズの態様には必ずしもなっていない、むしろ、どちらかと申しますと、地域的な行政水準の均衡化を求める志向が強い、反面また租税負担につきましても地域間で余り大きな負担のアンバランスが出ることを承服しない、こういう要請が強いように思います。地方税法が最初できましたときは、御承知のように住民税の課税の仕方などにつきましてもかなりバラエティーに富んだ仕組みを認めておったわけでございます。その後三十年近くなりまして、むしろ均衡化の要請の方が強まってきたというふうに私どもは見ておるわけでございます。自治法が制定されましたときに、やはりわが国のそういう社会構造なりあるいは国民の意識というものを基本に置いて、このような直接請求の例外規定が設けられたものというふうに考えておる次第でございます。
#129
○新村委員 戦後日本の自治行政の歴史は、戦後新憲法のもとで大幅に認められた自治がやがて中央集権化されていくその過程の歴史であるとも言えるわけでありますし、同時にまた、それは方向としては地方自治の否定の方向に向かっていたことは、これは争うことのできない方向だと思います。均衡化あるいは負担のアンバランスを正すということでありますけれども、それは裏を返せば同時に自治の否定につながるわけでありますし、地域地域に応じて財政事情も変わっておりますし、住民負担もやはり一定の範囲の中では選択が許されるべきわけでありますけれども、それらが否定をされる方向に進んできたということについては、われわれ深く疑問を禁じ得ないわけでありまして、今後ともこの問題については、いま論争するつもりはありませんけれども、大臣におきましても十分御検討をいただきたいということをお願いをいたしておきたいと思います。
 次には、細かい幾つかの点についてお伺いをいたしますが、まず今回の改正におきまして、一つは住民税の問題でありますが、これはまさに改正でありますからその点では賛意を表するわけでありますけれども、特に課税最低限の問題、これはいままで地方税法の審議の際には必ず論議されてきた問題でありますけれども、今回は標準世帯で百四十一万が百四十九万になるということでありまして、改正ではありますけれども、これが果たして妥当な額であるかどうかということについては多くの疑問があるわけでありまして、たとえば人事院が決めております標準生計費との関係におきましては、四人世帯で一カ月十六万六千百二十円というふうに人事院は五十三年四月におきまして決めておるようであります。それから、やはり四人世帯で男子が三十五歳、女子が三十歳、九歳、四歳の子供がいる、こういう家庭における五十四年度の生活保護の基準額は、生活扶助、住宅扶助、それから九歳の男子がおりますので教育扶助も入りますが、合計で月十二万四千六百七十円、年百四十九万六千四十円、こういうことになるようでありますが、これらとの関係において課税最低限が合理的なものであるかどうか、この点を伺いたいと思います。
#130
○澁谷国務大臣 この点は、いままでも本会議あるいは予算委員会等で何回も指摘された点でございまして、いろいろ議論のある点でございます。
 地方財政も御承知のような状態、そういう中で全体としてはどうしても増税を行わなければならないというのが基調であるわけでございます。そういう厳しい条件の中で住民税について大体六百億程度の減税を行うことにしておるわけでございますが、私どもとしては、いまの御指摘のあった生活保護費の水準あるいは標準生計費ですか、そういったものの数字も十分頭に入れながら、現在の地方財政の中でできる最大限度まで努力をしたつもりであるわけでございます。
    〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕
 なお、これでは足りないではないかという議論、これはもう幾多の人からそういった御質問を受けておりますが、私どもとしては、現在のこの状態、地方財政の条件の中では、これが私どもの精いっぱいの努力である、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
#131
○新村委員 御努力はわかるわけでありますが、課税する場合、標準生計費には課税をしないというのが税金の原則だと思います。
 そういう点から言いますと、いかに財政が苦しいからといっても、これは課税の原則を破ってもいいということにはならないわけでありますから、やはりその原則は守っていただかなければいけないのではないか。そして、所得割については課税最低限が百四十九万になりますが、均等割については、住民税がこれ以下でもかかるわけですね。そういたしますと、これは明らかに生計費非課税の原則に反するわけでありまして、百四十九万よりもはるかに低くても均等割はかかっていくということでありますが、それらの点について課税の原則と実態との間の考え方をどうお考えでありますか。
#132
○土屋政府委員 ただいま課税最低限の問題についてお話がございましたが、住民税の性格から見まして、所得税に比べて課税最低限の考え方は、おのずから若干変わってくる点もあると思うのでございますけれども、それでも最低限の生活費部分については課税をしないという趣旨によるものであることはお示しのとおりでございます。
 そういった意味から、一つは、生活保護世帯との関連についてどう考えるかということでございますが、確かに生活保護のうちの生活扶助を受けておる者については、住民税は課税しないというやり方にしておるわけでございます。そういった点から考えますと、今回のこの生活保護基準の改定等と関連してどういうふうに考えるかということになるわけでございますが、私どもとしては、従来から、住民税の課税最低限については住民税が前年所得課税であるという立場から、前年の生活保護基準というものを頭に置いて、それと比較しながら検討してきておるわけでございます。そういった意味で、五十三年における夫婦、子二人の標準世帯の生活保護基準は生活扶助だけではなくて、住宅扶助、教育扶助ということを受けるというふうに考えてみました場合でも、百三十九万二千円ということになっておるわけでございます。ここらも住民税の百四十一万八千円の現行の課税最低限にかなり近づいておるということもございまして、大臣からも申し上げましたように、財政的には大変困窮しておる状況ではございましたけれども、そういった特に低所得者に対する課税の状況にかんがみまして、何らかこれを軽減する必要があるということで、各控除を一万引き上げたということでございます。そして百四十九万になったわけでございますから、全体としては九万八千円上回っておるということになるわけでございます。今後とも、こういった動向等を十分注意しなければならないとは思っておりますが、私どもはそういうことを頭に置いて、前年所得であるという立場も踏まえて今回の改正をしたわけでございます。
 なお、標準生計費の問題についてのお話もあったわけでございますけれども、これは標準生計費というのは、標準的な生活を行うために必要とされる支出でございますから、最低生活費というわけではございません。御承知のとおり、全国平均の食料費とか住居費、光熱費、被服費、雑費、そういったものが月十六万六千円余りでございますが、それを十二倍したもの、これが百九十九万として五十三年に示されておるわけでございます。これはただいま申し上げました最低生活費というわけではございません。そういったことから、私どもとしては、いまのお話しのように最低限の生活費部分については課税を避けようという趣旨を踏まえ、かつまた財政状況等も踏まえて今回の改正をしたということでございます。
#133
○新村委員 最低限を引き上げた努力についてはこれは評価をいたしますけれども、昨年の生活保護とことしの生活保護とでは大分違うわけでありまして、前年の額が基準であるとおっしゃいますけれども、実際に家計から支出をするのはことしでありますから、やはりそれらの点を考慮すべきではないかと思うわけであります。
 それと同時に、生活保護の基準以下であっても、均等割はこれは納めるということになりますが、そうなってくると、均等割の点については明らかに生計費非課税の原則の点に反すると思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
#134
○土屋政府委員 前年所得課税ということでございますから、その意味では前年に所得がなければ本年に非常に大きな所得があってもかからないといったような、そういった意味合いでの問題が出てまいりますから、御指摘のように、すべて払うのはことしの所得からだという点においては、実感としてはおっしゃるようなことがあろうかと思うのでございます。しかし、現実問題としては、前年のものについて払っておりますので、そういった形で従来から比較をしてきたわけでございます。
 なお、均等割につきましては、これは御承知のように応能的な関連よりも応益的な原則に基づいて住民である以上負担を分任するということで、若干最低生活費という観念よりも、いまの所得割の課税最低限よりも低目に、ある程度の所得があればそれは負担分任の精神に基づいて負担してもらうということでございます。額も、御承知のように非常に低い額でもございます。負担しておる方から見れば、それは低いとか高いとかいう問題はないかもしれません。そこらは差をつけておるところでございます。
#135
○新村委員 なお、生計費課税との関係に関連をするわけですが、課税標準を決める場合に諸控除を控除いたしますけれども、そのほかにその人がほかの税金を負担する場合も普通あるわけですが、そういう場合には、ほかの税金も控除をしたその残りが課税標準であるということの方がこれは合理的であると思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
#136
○土屋政府委員 課税所得の場合は、まさにその人の稼得しました所得というものについて課税をするわけでございますから、すべて必要経費を除いた一定の所得について、それに応じて幾らの税を払うという計算をするわけでございます。その他のいろいろな原因があった場合に、それを全部考慮して残りの所得を計算するということは技術的にもなかなかむずかしいわけでございます。税の算出は、やはりまず必要経費を除いた残りの所得について課税するということでございます。ほかの要因を考えてやりますと、どちらが優先するかどうかといったような意味においても、その税額の計算というのはなかなかしにくいだろうと思っております。特定の税は、たとえば事業税等においては、これは経費だといったことで法人税の関係等では差し引かれますが、所得というものに課税する場合は、他のいろいろな公租なり公課なりを全部、後発的なものを最初から予定して控除するといったことはなかなかしにくいのではなかろうかと考えております。
#137
○新村委員 市町村あたりで、特に低所得者の問題でありますけれども、国民健康保険税などは低所得者にとっては住民税よりもかなり重い負担になるわけであります。これらが控除されないということでありますと、所得の中から控除をし、そしてあとは課税をされるということでありまして、結果としては最低生活費の限界付近の方々は明らかにこの分だけは生計費に食い込むという結果を生ずるわけでありますけれども、そういう場合には、当然その人が納める他の税金を所得の中から控除をしたその残りに課税をするというのが合理的なように思いますけれども、その点、もう一回伺いたいと思います。
#138
○土屋政府委員 いま例として国民健康保険税を引き合いに出されたわけでございますが、国民健康保険税の場合においても、これは御承知のようにいろいろ方式がございますけれども、もともとこの国民健康保険そのものは、税で取る形のものもございますが、国民健康保険に要する経費を皆で分担するというものでございまして、所得に応じて当然の税として取り上げるものとは若干性格を異にするわけでございます。そういった場合においても、もちろん応能主義というものは反映をされておるわけでございまして、応益的な部分と応能的な部分両方あわせ持っておりますけれども、たとえば他で支払った社会保険料等は、これは控除されたものが標準にされるということになっておると存じております。
#139
○新村委員 次に、控除の引き上げが行われましたけれども、これは一万円ということで各種の控除が行われますけれども、一万円ということは何か説得力に乏しいようであります。これはどういう根拠に基づくものであるかを伺いたいと思います。
#140
○土屋政府委員 確かにおっしゃいますように、なぜ一万円でなければならなかったかという点については、これでなければならないという不動の理屈はないわけでございます。ただ、私どもとしては、先ほども申し上げましたように、特にこの所得税の控除失格者に対する負担軽減という趣旨も含めて、非常に厳しい財政事情の中で課税最低限を引き上げようということでございますので、財政状況等も見ながら私どものできる範囲でやるとすれば一万円ということでございます。そうすることによって、前年における、先ほどお示しのございました生活保護、生活扶助の額等ともある程度開きも出てくるということもございまして、それがなぜ一万円でなければならないかというと、かなり財政的な意味合いが強かったということは申し上げられます。それと同時に、まあ所得があり、住民税そのものがいわば負担分任の性格を持っておりますので、余り大幅に引き上げることによって納税義務者が大幅に減るということも、これは私どもとしては避けなければならないことでございます。そういったことを彼此勘案しながら今回は一万円程度の控除の引き上げということに踏み切ったわけでございます。
#141
○新村委員 個人住民税の課税最低限と、それから所得税の課税最低限の関係がいつも議論されるわけでありますが、住民税については負担分任ということで低所得者も負担をしてもらうんだということでありますが、それならば、国民としては国に対する負担分任ということはなくてもいいのかどうか、地方税にだけその考え方を強く強調する根拠はどこにあるのか。
 それから、国税についてはもちろん資源再配分、所得再配分の機能が大きくあるわけですけれども、地方税にもそういう機能を否定し去っていいのかどうかという疑問があるわけであります。特に、都市化が進みますと、大都市等においては、所得の、富の不均衡、貧富の差が拡大をする傾向もあるわけでありますから、そういう点を考えますと、地方税においても資源再配分あるいは所得再配分の機能をそこで期待をある程度すべきではないかと思いますけれども、この二点について伺いたいと思います。
#142
○土屋政府委員 所得税の場合でも、国民が国政に必要な経費を負担するという意味においては国民が分担するわけでございますけれども、国の場合は、国の全地一本でこれは国民から税を取るわけでございます。そういった意味で、国全体の状況を見ながら所得再配分的な性格をもってそれを強く押し出すことができると思うのでございます。
 しかし、住民税は、御承知のように府県もございますが、市町村は三千を超える団体それぞれが課税をし、事情の違う、住民構成等も違う中で課税をしておるわけでございますけれども、それぞれの地域において住民が地域社会の費用を能力に応じてできるだけ広く負担するといった性格のものでございます。その点は、同じ国民が負担するといっても、国が全国から取ったものを再配分をするというものとは少し違うのではなかろうかという気がするわけでございます。
 そうは申しましても、広く負担を分任するということではございましても、応能負担の原則というのを全然考えないわけにはまいりませんから、やはり能力に応じて所得の高い方には高い税を取るという仕組みになっておるわけでございまして、その点については所得税とは若干違うと思うのでございます。特に非常に狭い地域になってまいりますと、地域が狭いだけに非常に累進構造がきつくなりますと、それが大きく住民に響くということもございます。
 そういったことから、同じ所得に対して課税するという所得税と住民税とにつきましては、三十七年の改正のときもそうでございましたけれども、両者をあわせた課税の仕組みを考えて、その中で税率構造のあり方というものをそれぞれ分けておるわけでございます。
 そういった意味から、おっしゃるように所得再配分的な性格をもっと強めるという御意見もあるとは思いますけれども、国税の場合とは、それは限度がございます。ある程度応能負担の原則は取り入れても、余り所得再配分ということを強調することはいかがであろうか、それはまさに住民税の性格であろうかと思っております。
#143
○新村委員 そこで、個人住民税の税率、それから所得税の税率、これがやはり二つの税体系の関連をどう考えるかという点において重要なわけでありますけれども、住民税と所得税は、昭和三十七年当時は所得の段階の刻みもほぼ似たような段階の刻みになっておったようでありますし、その場合に、当時の税調としては最高実効税率を八〇%程度に見て、各段階ごとに大体住民税は所得税の二〇%程度とするというふうに決められたと理解をいたしておりますが、その後の経過を見ますと、この関係が大分変わってきたようであります。そして、所得税は一層段階の刻みが多くなって、累進が強化されたわけでありますが、これに対しまして市町村民税と所得税との関係が、当初の関連がかなり乱れてきておるという感じがするわけでありまして、所得税がその後累進が強化された。ところが、市町村民税は依然として三十七年当時の形がそのままになっておりますので、その後の社会情勢の変化あるいは国民各層間の所得格差、そういったものに対応していないような感じがするわけでありますけれども、その点についていかがでしょうか。
#144
○土屋政府委員 いまお話しのございましたように、三十六年当時は所得税は十三段階の税率構成になっております。その当時は道府県民税につきましても、たとえば三十七年度から実施できる予定でつくっておりました標準税率は、大体国税に対応する段階別の税率であったわけでございますし、市町村民税もおおむねそれに対応しておったということが言えるわけでございます。
 ただ、御承知のとおり、この当時国税、所得税を道府県の方へ移譲するという税源配分上の問題が出てまいりました。その際に、ただいま申し上げましたような全体的な税率構造のあり方について、総体的な面で検討するということが行われました。その際に、国税の方は十五段階になりまして、たとえば十万円以下の低所得者の方は八%、十五万円以下の金額が一〇%であったものを十万円以下の金額について八%というような段階を設けるといったようなことをいたしますとともに、五千万円超が三十六年当時七〇%であったものを、今度は四千五百万以上六千万までを七〇%、六千万を超えれば七五%という高い税率を上では設けた。そういったことで、全体としては下を低くし上を高めた、そういったことがございます。それに対応して、道府県民税を二段階の税率にするとか、市町村民税については大きな変化はございませんでしたが、若干低所得の方の税率を変えるといったような、段階の刻みを変えるといったようなこと等をいたしまして、先ほども申しましたように、総合的な税負担という見地から調整をしたということでございます。それが今日に至っておるわけでございまして、当時の状況から見て、もちろん所得税について私どもが云々するわけにはまいりませんけれども、全体として特にこれを変えなければならないといったような事情もございません。もちろん、所得が伸びれば税はふえるという仕組みでございますが、税率そのものについて特にこれを変更しなければならないという特殊な事情もございませんでしたので、今日に大体そういう姿が引き継がれておる、こういうことであろうかと存じます。
#145
○新村委員 税財源の移譲あるいは移動ということと、同じ所得課税である所得税と住民税との関係とは別個に考えるべきだと思います。
 そこでもう一つの見方でありますが、課税最低限の推移を昭和四十年、四十一年、四十二年、四十五年とずっと見てみますと、四十一年、四十二年あたりは最低限の額が八割程度であったものが、四十四年以降においてはこれが七割程度に下がっておる。下がっておるというのは拡大しておるということでありますが、拡大しておるということは課税最低限の引き上げがおくれておるということでありますけれども、それらの点はどうお考えですか。
#146
○土屋政府委員 ただいまおっしゃいましたように、課税最低限の累年比較を見てまいりますと、確かに国税との関連においては八〇%を超える場合もございます。あるいはまた七〇%台になっておる場合もございますが、最近に至ってこれが非常に低くなっておることは事実でございます。これは基本的な点では、国税、所得税と住民税の場合は、先ほど申しましたように、一方は所得再配分的な機能を持っておるということでございます。一方はできるだけ広く負担分任を求めるということでございまして、そういった意味から昭和三十六年ごろだったかと記憶しておりますが、所得税と住民税との所得控除に差を設けるということにしたわけでございます。当時同じような形でまいりますと、非常に納税義務者が減るという事態を生ずるということが憂慮されまして、全国の地方団体からの要望もございまして国税と所得控除を分離した、そういった歴史的な経過がございますが、あといろいろと開きがございますのは、先ほども申し上げましたいろいろな財政的な事情、あるいはまた納税義務者が非常に減るということは住民税の性格から困るといったようなことで、おっしゃいますような形が出てきたわけでございます。
 特に、率直に申し上げますが、五十三年度の場合は、所得税の二百一万五千円の課税最低限に対して七〇・四%でございます。確かに夫婦子二人の世帯で見まして七〇・四%でございますから、低いといえば低いわけでございます。今回そういったことを財政の点を考慮しながらも、できるだけ住民税においても課税最低限を引き上げよう、こういう努力をしようとしておるところでございます。
#147
○新村委員 局長の話を伺いますと、強いて納税義務者の数を維持しよう、無理をしてでも低所得者まで負担を願おうというように聞こえるわけでありますけれども、無理をしてまで多くの方に税負担を願うということはおかしいわけでありまして、低所得者については、負担分任という考え方はありますけれども、免税しても当然なわけであります。生計費に食い込むような課税は当然避けるべきでありますから、そういうお考えはちょっと見当違いのような気がするわけでありますけれども、とにかく四十四年あたりから、課税最低限の引き上げについて努力を怠ったというと語弊がありますけれども、そういう傾向があることは事実でありまして、今後はひとつ課税最低限の引き上げ、それから特に所得税との関係――負担分任ということは一つの理屈ではありますけれども、同じ所得課税でありますから、所得税、住民税との間に課税最低限の格差、あるいは税率の格差がこれほどあっていいのかどうかという疑問が残るわけでありますから、この点については十分御検討いただきたいわけであります。所得税と住民税の総合したところの実効税率を見ますと、イギリスよりは各階層ともはるかに低い。そして全体として、一千万、二千万程度になりますとアメリカよりは高いわけでありますけれども、それ以下は低いということでありまして、仮に一千万という所得段階をめどにした場合には、総合的な実効税率の上から言いましても、担税力、税率を引き上げる余地がまだまだあるのではないかと思うわけであります。そういう意味から言いまして、いま財政難という状況でありますので、一千万程度をめどにして、住民税をそれ以上の高額所得者にはもう少し負担していただくというような考え方ができないものかどうか伺いたいと思います。
#148
○土屋政府委員 各所得段階別に見てまいりますと、日本の場合とアメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス等を比べてみました場合、これは所得税、住民税を総合した負担率でございますけれども、かなり違っておりまして、全般的に日本の場合が低いわけでございます。ただいまお示しの一千万円の場合でも、日本では合わせて二一%でございますが、アメリカは三四・四%、イギリスは四九・四%、西ドイツが二六・六%、フランスが一八%、若干フランスよりは高くなっておりますが、かなり差がございます。そういった意味では、そこらをもっと引き上げる余地があるのではないかということでございます。一方、全体的に見てまいりますと、日本の場合は低所得者の方は各国よりもずっと低いわけでございますけれども、かなりな高額者になってまいりますと、たとえば西ドイツと比べますと、三千五百万のところでもうオーバーしてしまう、それから四千八百万でアメリカをオーバーしてしまうというようなことでございまして、かなり上に累進構造が厳しくなっているということは事実でございます。
 ただ、おっしゃいますように、一千万あたりを中心にということになりますと、これまた所得税の問題は私どもは申し上げにくいわけでございますけれども、今後の所得税なり地方税との兼ね合いも考えながら、どういった負担にしてもらうのがいいかということは、これは相当全般的に緻密に計算をしなければならぬと思っておるわけでございます。ただ、全般的には所得課税について低所得の方は低くなっておるということでございます。今後の国民負担を考える場合に、こういった直接的にふところから払う所得課税というものをどう考えるかということは、これは相当各方面の意見も聞かなければならないと思っております。ただいまおっしゃいました御意見は、それなりに検討の材料にいたしたいと思います。
#149
○新村委員 ひとつ御検討をいただきたいわけであります。
 それから、県民税についてでありますけれども、これはきわめて大ざっぱに二段階ということでありますが、これでは負担の均衡という点から言って低所得者に重く、高所得者に軽いという結果が出ますけれども、これについてはいかがでしょうか。
#150
○土屋政府委員 先ほどもお答え申し上げましたが、所得に対する課税は、最終的に所得の中から国税、地方税を通じてどれだけの負担をしてもらうかという全体的な税率構造として判断する必要があると思うのでございます。
 ただ、おっしゃいますように、所得税は所得税だが、住民税についてもその点については住民税の確保といった点からもう少し考えるべきじゃないかというお話がございましたが、先ほど申し上げましたように、この二段階税率を設けましたのは、三十七年の国税、所得税から府県民税の方へ税源を移譲するという際に、所得税と府県民税と市町村民税合わせて総合的な税負担を考えながらそこで調整をとったという結果でございまして、そういった基礎に基づいて今日の税率が設けられているわけでございますから、これをさらに、たとえば先ほどおっしゃいましたように多段階の税率にして累進構造を強くするということになりますと、これは単にこの県民税だけの問題でなくて、各個人の所得そのものに対する課税を全般的にどういうふうにするかということとも絡んでくるわけでございますので、これは税財源という問題以外に個人の負担という形において、いろいろと国税間においても関連が出てまいることでございます。これをいじるということになると、相当全般的な検討が必要だと思っております。ただいますぐこれをどうするということは私どもも考えてないわけでございます。
#151
○新村委員 次に、細かい問題が続きますけれども、均等割の問題であります。これは先ほど申し上げましたような点があるわけですが、もう一つ、均等割が三段になっている。これが団体の人口規模によって分けられておりますけれども、これの根拠はどこにあるのか。しかもこれは市町村の均等割だけ団体の規模によって分けておるということでありますけれども、この根拠について伺いたいと思います。
#152
○土屋政府委員 均等割というのは、先ほども申し上げた意味におきましては、ある意味では、負担分任という意味での最も応益的なものだと思うのでございます。そういったことで、その負担をどの程度求めてもらうかという場合に、全国一律がいいのか、あるいは負担してもらう以上は、その税源をもとにいろいろな行政を行うわけでございますから、大都市になればなるほどいろいろな都市施設も必要でございますし、また、いろいろな面から需要というものも増大してくるといったようなこともございます。また逆に言えば、そういった施設から受ける恩恵というのも多いということ等もございまして、過去いろいろな経緯を経た上で御承知のような三段階に分けまして税額に差を設けておるということでございます。
#153
○新村委員 この差を設ける根拠となるのは人口規模でありますけれども、大都市の均等割は高い、地方の小都市あるいは市町村は安いということになっておりますが、その根拠が明らかでないわけでありまして、低所得者にとっては大都市はむしろ暮らしにくいわけでありますから、ほかの手当なんかについては、これは大都市は手当をよけい支給をして生活を助けておるわけですね。ところが、大都市の住民、特に大都市の低額所得者からはよけい税金を取るというのはちょっと首肯しがたいのですけれども、その点はいかがでしょうか。
#154
○土屋政府委員 生活の態様はそれぞれ個人によって違うわけでございますので、こういった税率等を設けます際は一般的な状況で判断せざるを得ないわけでございます。先ほども申し上げましたように、大都市地域になるほどいろいろな社会的費用もかかりますし、また、受ける施設の恩恵というものも高いといったことが一般的に言えるわけでございます。そういった施設を全然利用しないといったような人もあるかもしれませんし、それは個々人で申しますといろいろございますが、総体的に考えれば、やはり人口の多い大都市においてはいろいろ行政費用もかかりますし、いろいろな問題があるわけでございますので、一定の人口を境にこういった差を設けておるということでございます。
#155
○新村委員 負担分任ということからすれば、これは低所得者の方にも負担をしてもらうということが前提になっておりますので、そうなった場合には低所得者は、大都会の集積の利益はなくて集積の不利益ばかりこれはかぶるわけであります。そういう点からして、むしろ大都市の方が個人住民税の均等割は下げるべきが当然ではないかと思うわけでありますが、その点、どうも理解できないわけであります。その反対に、集積の利益をフルに受ける法人については、大都市の法人によけい負担してもらう、これは当然だと思いますし、いいのでありますけれども、一般大衆、特に低所得者に重課をする、大都市における低所得者に重課をするという考え方はどうも納得ができないわけでありますが、これについてはさらに一層御検討いただきたいと思うわけであります。
 それから個人均等割については、いわゆる前近代的な人頭割、人頭税であるということで、理論的にはもう時代おくれの課税方法であるというような指摘も行われておるわけでありますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
#156
○土屋政府委員 いろいろ税制度を研究いたします場合には、もう先刻御承知のとおり、その人の能力に応じた応能負担ということもございますれば、やはり応益的な面を強調するものもあるわけでございます。そういった意味では、所得の一定限度以下の者は非課税ではございますけれども、それ以外の点においては一律に均等割として支払ってもらうということは、いまおっしゃいましたような人頭割的な思想だとおっしゃれば大変古めかしく聞こえますし、そういった言い方もあるだろうと思うのでございますけれども、やはり市町村というのはピンからキリまで、御承知のようにあるわけでございます。大都市もございますれば、小さな村もあるわけでございます。そういったところで一応この所得割と均等割と分けまして、住民がそこの地域の社会的な費用というものをお互いに負担し合うということでございますから、所得割では応能的な原則で取りますけれども、均等割というものがあって、これがある程度の所得以上の方には均等に負担をしてもらう、それがやはり地域の行政に参加する自治体としての当然の形であるまいかという思想でございまして、これは昔からあるものではございますけれども、特に時代とともに古くなっていくというものではないだろうと私は考えておるのでございます。
#157
○新村委員 均等割については、特にひとつ御検討いただきたいわけであります。
 次に、法人の法人税割でありますが、これについては税調等においても日本の法人の担税力はまだ相当あるというような見解が示されておるわけであります。そういう状況を踏まえて考えた場合に、各団体の課税の実態を見ますと、個人の住民税については、これはほとんど全部の団体が標準税率をとっておるわけでありますが、法人の住民税、法人税割については超過税率を採用しておる団体がかなりあるわけであります。その実態はどのようになっておりますか、ちょっと伺いたいと思います。
#158
○土屋政府委員 恐縮いたしました。突然のお尋ねでございましたが、超過課税をやっております実態は、府県において四十四団体でございます。市町村につきましては、指定都市が九団体、その他の市町村で千三百九十八団体、合わせて千四百七団体が超過課税を実施をいたしております。
#159
○新村委員 相当多数の団体が超過課税を実施しておるという実態からいたしましても、それから税調等の見方からして、法人にまだ担税力が相当余裕があるというようなこともありますので、法人税割の税率については標準税率あるいは制限税率ともにこれは再検討してもっと引き上げるべきではないかと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
#160
○土屋政府委員 税制調査会等でもいろいろ御検討いただいたわけでございますが、法人税と法人税割を合わせた実効税率というものは五〇%をちょっと切っておるというところでございまして、諸外国に比べて特に低いわけでもございませんが、特に高いという形にもなっていない。そういった意味で今後検討する際は、そういった実態を頭に置いて考えてもよかろう、こういうことは述べられておるわけでございますが、一体、全体の税制の中でどの程度負担を求めたらいいのか、そしてまた法人税割を伸ばす場合に国税の法人税との関連はどうなるのか、いろいろそこは税財源の配分等にも絡む問題でございます。地方団体の税財源が充実されていくことは結構なことだと思うのでございますけれども、全体的にこの税率を引き上げるかどうかということにつきましては、今後の租税体系をどう持っていくかということの中で十分検討すべきだと思っております。
 充実の方向について別に反論するわけではございませんが、今後税体系に及ぼすような大きな改正等も頭に描きながらいろいろ税制を検討しておる段階でございます。そういった中で、いまおっしゃったこと等も含めていろいろ検討をするということに相なろうかと存じます。
#161
○新村委員 大臣、いかがでしょうか。法人についてはまだ担税力が相当あるということが定説みたいになっておるわけであります。こういう中で、地方団体の運営のためには、やはりその中で法人がかなり受益をしておるというような面もありますし、また法人の存在によって財政需要がふえておるというような実態もあるわけでありますので、法人住民税については税率をこの際引き上げの方向で再検討していただくということについて、大臣のお考えを伺いたいと思います。
#162
○澁谷国務大臣 これは税全体をこれから見直していこう、こういうことでございますので、その中でひとつ十分検討してまいりたいと思います。
#163
○新村委員 次に、固定資産税の問題で何点かお伺いしたいのですが、社会党は土地増価税を提案いたしております。これは地方税だけではございませんけれども……。固定資産税の実際の資産価値とそれから課税の実態とがかなり乖離をしておるということが言われているわけであります。この点については従来再評価はされておりますけれども、負担調整率ということで、かなり課税のいわゆる激変緩和という名のもとに税の増加を抑制してきておるわけでございますけれども、その結果として、固定資産の資産価値に対する正当な評価ないしは課税が行われていない、あるいははなはだしく後追い的になっているという実態があるわけであります。税調等においても固定資産税の重課の方向を提案しておるようでありますが、この点についてまず大臣からお答えをいただきたいと思います。
#164
○土屋政府委員 御承知のように、固定資産税は住民税と並んで市町村の税として大宗をなすものでございます。これの税収を確保するということは大事なことだと思っておるのでございます。これはただいまのお話もございましたように、もともと資産の価値に着目して課税をするわけでございますから、その他の収入がどうであろうかどうかということとは違う一種の財産税でございます。そういったことで、この課税標準を決めますに当たりましては、いろいろとそれぞれの地目に応じた考え方を取り入れながら、適正な時価と申しますか、適正な価格というものを決めて、課税をしておるところでございます。しかし、毎年変わることもどうかということもございまして、三年ごとに固定資産の評価額を変えるということにしておるわけでございます。そういったことから、ある一定の課税標準で課税されておったものが、評価額が三年ごとに変わるときに一挙にその評価額に持っていくということになりますと、いろいろと激変ということも出てまいります。そういったこともございますので、私どもとしては負担調整をとるということでございまして、前回の五十一年のときもそういったやり方をしておりますし、また五十四年度におきましても負担調整措置をとりたいというふうに考えておるわけでございまして、確かに一挙に持っていくという方法もあるかとは思いますけれども、やはり激変緩和ということで、従来とられた措置について非常に要望も強かったことでございますので、私どもとしても実態に応じて課税していこうということで負担調整措置をとったわけでございます。
#165
○新村委員 固定資産税の資産別の税収を見ましても、昭和二十六年から四十四年までを見ても、土地はわずかに五倍程度しか伸びていないのに対して、家屋が十倍、償却資産が十数倍伸びておるというようなことでありまして、土地の評価の不適正さが明らかにあらわれておるわけでありますが、課税標準は「適正な時価」というふうに法律では書かれておりますけれども、これが全く空文になっておるわけであります。「適正な時価」というのはどういうものであるか、伺いたいと思います。
#166
○土屋政府委員 「適正な時価」と申しますと、売買実例価格等を基礎に置きながらいろいろその他の特殊な要素というものを除いて、大体通常資産価値としてこの程度であろうということを固定資産の課税標準として求め、出したものでございまして、具体的にいろいろな地域によって売買実例価格というものは違うわけでございますけれども、そういった特殊な要素を除いた資産価値ということを考えておるわけでございます。また、この資産によっても違うわけでございまして、たとえば、農地等についてはそういったものを頭に置きながらも、実際には農業の特殊性にかんがみまして限界費用というものを考えた課税の仕方をしておるとか、いろいろな要素を入れておりますから、一律には申せませんが、ただいま申し上げたような考えに立っておるのでございます。
#167
○新村委員 負担調整率でありますけれども、評価額が実態に比べて全く乖離をしておるということ、これに対してさらに負担調整率によって課税標準を決めていくということでありますけれども、これが完全な後追いの形になっておりまして、課税の公平がはなはだしくそこから損なわれておる。ある意味では、この事態が不公平税制の大きな部分を占めるのではないかと思うわけであります。たとえば、三十八年に評価をしたものを、その後これは三倍以下という仮定のもとに負担調整をやっていきますと、そのときの評価には昭和五十年にならなければ達しない。さらに、三倍から八倍の段階ですと、昭和五十三年にならなければ評価額に達しないというふうに非常にずれていくわけです。性質は若干違いますけれども、資産の価値においては急激な上昇が過去においてあったわけであります。ほかの所得については、前年よりも二倍の所得があれば、これは激変であろうがなかろうが、それに応じた課税がされるわけでありまして、所得がふえればこれは当然そうなるわけであります。土地におきましても、所得が実現はいたしませんけれども、資産価値としては短期間のうちに何倍かに高騰する、この場合に負担調整というきわめてスローな調整によって、その評価額に達するまでには五年も十年もかかるというような調整率で徐々に賦課をしておくということでありますから、明らかにこれは土地所有者にとってきわめて有利な税制であるし、公平な課税という点からいっても大変疑問が多いように思うわけでありますけれども、その点を伺いたいと思います。
#168
○土屋政府委員 私どもといたしましては、この固定資産の評価の際には、一応国税としての相続税との関連を考えながら、できるだけ評価額課税に持っていきたいということで過去ずっと努力をしてまいりました。現在大体九割は評価額課税になっておると思っております。ただ、残りのものは非常にバラエティーに富んでおりまして、積み残されたものの中には評価額と非常にバランスが崩れておるというようなものがございます。そういった特殊なものを拾い出しますと、いまおっしゃいましたように、かなり長時間かからなければ達しないというものもあろうかと思うのでございます。それはそうでございますけれども、やはり一挙にこの負担を上げるということは、社会の現実に反すると申しますか、そういった点からのいろいろな不満、批判というものも出てまいりますので、そういったことから負担調整ということをやっておるわけでございます。たとえば、五十四年で私どもが改正しようと思っております宅地等につきまして、現在の課税標準から新たな評価額になった場合に、三割以下のところのものがかなりな数になっておるわけでございまして、七〇%をたしか超えておったと思うわけでございます。そういったものも負担調整をとって一割ずつ三年でふやしていきますから、結果的には三年たちますと評価額課税にもなっていくわけでございまして、その他のところ、一・三倍から一・七倍のところは二割ずつふやしていくというかっこうになってまいりますと、大体のところはもう三年たてば評価額課税になるというようなことでございまして、そういうことで、一・七倍を超えるものが若干あるわけでございますけれども、こういったものについては、先ほども申し上げましたように、非常にバラエティーに富んでおるわけでございまして、一律にやりにくい点もございます。そういった点は市町村において十分そこらの実態を見きわめて課税をされるということにしていただきたいというふうに指導をしておるところでございます。もう一回申し上げますと、評価額課税にできるだけ近づいていくように努力をしておりますし、また現在でも相当なものがそうなっておる。そして、負担調整をとっても三年たった場合は大体それに近づくといった仕組みでやっておるわけでございまして、ものによって、おっしゃるようになお不公平ではないかといったものがなきにしもあらずでございますが、それは負担の急増ということを避けるといったようなこと、いろいろな意味合いでやっておるわけでございます。いずれにいたしましても、私どもとしては、市町村の非常に大宗をなす税でございますから、これについては十分な税収の確保を図るということが大切ではございますが、一方、現在までずっとやってまいりました、この負担というものについて急激な変化を求めるということも問題があるように存じます。御趣旨もよくわかりますが、そこらのことを勘案しながら今後の負担の方途を見出していきたいというふうに考えております。
#169
○新村委員 三年では評価額に達しない部分がかなりあるようであります。しかし、時間がございませんので、それは結構です。
 それで、五十四年にまた評価が変わるわけでありますが、そして、負担調整率等も改正の中に入っておりますが、この中で疑問に思うのは、宅地についてはいいのですけれども、一般農地について、現在の農業経済の状況からすれば、純粋の農地がこういう状況の中で果たして一・一五あるいは一・三というような上昇があり得るかどうか、純粋の農地の価格形成という点からすると、農地の上昇ということがあり得るかどうか、大変疑問であります。
 それからまた、負担調整率ですが、この負担調整率でいきますと、一・一五以下のものは一・〇五、一・一五以下というのは全く上昇がない場合でも一・〇五の負担調整率で税金を上げていくということでありますけれども、純粋の農業収入はここのところ五十二年、三年にわたってほとんど停滞をして増加していないわけであります。したがいまして、そういう点からすると、農地の価格形成という側面から考えまして、農地の価値が上昇するということはあり得ない。そしてまた、農家の所得も全く停滞をしておるという中で、負担調整率を適用して農地に対する増税をすることが理論的に承認できるものであるかどうか大変疑問でありますが、その点を伺いたいと思います。
#170
○土屋政府委員 固定資産税は、先ほども申し上げましたとおり、資産価値に着目して課税するものでございますから、直接的にその所得と関連して考えることはないと思いますが、固定資産税そのものは資産価値でございますが、全般的な社会情勢の変化に伴って宅地においても農地においても若干上がっていくということは言えると思うのでございます。そういったことでございますから、三年ごとに評価の見直しを行って評価がえをするということでございまして、そういった点では一般農地についても同じような形で評価がえについて検討するわけでございます。その際は、全般的な関連指標の中で反当たりの田とか畑の価格などを日本不動産研究所の調べによって調べまして、そこの上昇率等を見ながら評価をするように私どもは指導をしておるわけでございます。そういったことで、最近の価格の倍率等を見まして、五十四年度は農地については全国平均では一一%程度の評価額の引き上げ、もちろん地域によってばらつきがございますが、そういったことを頭に置いておるわけでございまして、その際にも、直接的なものではございませんけれども、農家経済調査なりその他から農業所得等を調べまして、そういった意味で全般的に負担が過重になるのかならぬのか、そういうことも踏まえて検討しておるわけでございまして、御承知のように、全国平均の農地の反当たりの税額は田が一年間で七百六十七円、畑が一年間で二百五十五円でございます。
    〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕
これは反当たりでございます。九百九十一平方メートルでございます。この程度のものでございますから、一一%ぐらいの増というものはそれほど問題はなかろうと存じますし、また農家経済調査報告等に基づきまして所得の伸び等を勘案しても、それほど大きな問題はないと思っているわけでございます。ただ、特に農地につきましては、五十一年のときは負担調整率でも最低一・一、一割ずつふやしていくというグループしかなかったわけでございますが、今回は相当なものが農地についての税額を据え置いてもらいたいという強い要請がございまして、いろいろ検討された結果、従来よりも低い伸び率、毎年五%ずつ伸ばしていくといったような低い調整率と申しますか、そういったことも取り入れまして全般的に農地に対する課税の適正化を図ろうということにいたした次第でございます。
#171
○新村委員 米価が据え置かれ、蔬菜も非常に暴落をしておるという状況で農家経済が停滞をしておるという中で、金額については多額とは言いませんけれども、農地に対する税を増加していくということは決して農家の納得が得られるものではないと思いますので、その点十分お考えをいただきたいと思います。
 時間がございませんので、あと医師税制の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 医師税制の手直しは五十五年度から地方税に関係してまいりますが、その問題点の幾つかについてお伺いをいたします。
 医師税制が大変な不信を買ったというのは、何といってもどんぶり勘定で七二%という根拠のない数字で経費率を決めたというところに問題があるわけであります。今回の手直しがありましたけれども、やはり経費率を法定するという形を踏襲しておるわけで、その点についての国民の不信は解決できなかったわけであります。何といっても課税というのは実額課税でなければならないわけでありまして、その点を医師の税制についても採用していかなければ、この是正が全くこれに対する不信を解決することにならないわけであります。そこで、今後の基本的な考え方として、実額課税をやっていくのかどうかという点が一つであります。
 それから、実額課税をするとすれば、医師に特有の控除は当然認められなければならないわけであります。
 それからまた、収入の捕捉が、社会保険診療報酬については一〇〇%完全であるというようなこともあります。また、医師の労働そのものが一般の勤労者とは違った労働の実態でありまして、二十四時間拘束されておる。しかも仕事に従事をしなければならない時間なり態様というものが自分の選択によることができない。他律的、他動的に、しかも拘束的な形で仕事をしなければいけない、労働しなければいけないというような実態を考えると、医療労働に対する医療労働控除というようなものが当然認められなければならないと思いますが、それらの考え方。
 それから医師の正当な技術料なり、あるいは養成期間がきわめて長いというような実情もありますので、それらに対する税制の配慮がどういうふうに行われるかということ。
 それからまた、どんぶり勘定ではなくて実額で課税すべきであるという原則に立てば、当然医師が一人であっても法人化を自由に許すべきであると思いますが、その点はどうであるのか。
 それからまた、五十四年度の途中の改正でありますので、五十四年度から青色申告を選択する、あるいはまたみなし法人の経理を行うということについて特例を認めるべきではないか。みなし法人については昨年の末までに届けなければ五十四年度のみなし法人経理はできないというたてまえのようでありますけれども、それらについての特例を考えるお考えはないかどうか。
 それからもう一つ、医薬分業についてでありますけれども、診療部門と調剤あるいは投薬部門とを分割していくという傾向が当然出てくるのではないか。これは脱税ということではないけれども、節税という見地からそういうことが行われるのではないかと思いますが、医薬分業というのは実態的にどういうものが医薬分業であるのか。たとえば医師の同じ家族が薬局を経営するということでもいいのかどうか。あるいはまた医療施設の中へ調剤部門あるいは投薬部門を別につくれば、それで医薬分業になるのかどうか。
 それから、これは法的には禁止規定はないようでありますけれども、そういう形が今後一般化することが厚生省の考え方にとって好ましいか好ましくないか、あるいはそういう傾向に対して何らかのお考えがあるのかどうか、あるいは何らかの手を打たれるお考えがあるのかどうか、これらについて簡単に御答弁を願いたいと思います。
#172
○中山(利)委員長代理 本会議の時間が迫っておりますので、簡潔にお願いしたいと思います。
#173
○水野説明員 先ほどの先生の、実額によって課税すべきで、法定率でというのは問題ではないかというお話でございます。まさに所得税といたしましては実額によりまして課税をいたすのが原則でございますが、何分にも社会保険医師につきましては二十五年間現在の制度になじんできておりますので、一挙にこれを実額課税に移行するのはいかがかということで、昭和四十九年の税制調査会の答申も、これは当分の間現行のやり方でやむを得ないのじゃないかということが答申されておるわけでございます。しかし将来の問題としては、そういう点も頭に置きながら検討してまいるべき問題であろうかと思われます。
 それから先生の御指摘になりました、時間的にいろいろ制約されておりますとか、社会保険医師につきましてはいろいろな特殊性があるわけでございます。そういった特殊性と申しますか、社会保険医師の公共性に配慮いたしまして実額的な経費率の概算率にプラスいたしまして、特別な控除率を上積みいたしましたものを今回四段階に分けまして法定率をつくり上げ、その選択によって納税していただく道を開いたというのが今回の制度でございます。
 それから、今回の制度は七二%から五二%までの四段階あるいは五段階と申すべきか、そういう率でやっておりますが、実際の平均率は五二%程度と私ども承知いたしておりますので、これによってすぐにこれを選択しないで実額に行かれる方というのはどのくらいふえてくるかというのは、私ども必ずしも明らかでございませんが、それほど多くはないのじゃないか。そういたしますと、みなし法人の選択なり青色申告の申請なりにつきまして特例を設けて対処するということは、今回そこまで考える必要はないのじゃないかということでございまして、私ども国税庁は、現時点ではそういう特例につきましては考えておらないわけでございます。
#174
○下村説明員 いわゆる第二薬局の問題でございますが、医療機関と構造的、機能的あるいは経済的に独立していない、そういう種類の薬局につきましては、国民医療の健全化という観点からしますと好ましいこととは考えておりません。したがいまして、従来から薬局の許可に際しましては、構造面であるいは機能面で、経済的にも医療機関から独立して薬局が開設されるような指導を行ってきておるわけでございますが、今後ともそういう方向で指導してまいりたいと思っております。
 しかしながら、先生御指摘のように、そういうふうに構造的、経済的に関連がございましても、薬事法というのは保健衛生法規でございますので、第二薬局を薬事法上で薬局でないと最終的に拒否することはむずかしいというふうに考えているわけでございます。
 ただ、医師の処方せんに基づきまして調剤される限り、これも医薬分業ではないと断定することはむずかしいように思っているわけでございますが、私どもとしては、医薬分業の本来の趣旨には多少反するような点があると思いますので、今後ともそういう指導面での強化という点については十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
#175
○新村委員 終わります。
#176
○中山(利)委員長代理 午後三時より再開することとし、休憩いたします。
    午後二時一分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時二分開議
#177
○松野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 地方税法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。小川新一郎君。
#178
○小川(新)委員 私は、公明党の委員を代表いたしまして、大臣並びに関係当局に昭和五十四年度地方財政、特に税制についての御質問をするに当たりまして、まず第一番目に、昭和五十四年度以降生活不安、雇用不安、こういった問題をどう国が解決していくかという問題を最初にお尋ねをしたいと思います。
 国内問題を解決するためにはどの程度の経済成長がまず必要なのか、これは後ほどの地方税法、地方の法人税収または個人の景気が地方税にどのようにはね返ってくるかという税収の面からいっても、労働問題からいっても、また雇用失業問題から見ても、また、ことしの六月に予定されております先進国の東京サミット、こういった問題も踏まえた上から見ても、経済問題というのはもうわが国だけでこれを解決するには余りにも多角的な七〇年代後半、八〇年代にかけての政治体系でございますので、経済成長率がどのぐらい必要なのか、これをまずお尋ねしたいと思います。
#179
○澁谷国務大臣 国内における雇用の問題というものを一つ考えても、これの解決のためにはなるたけ高目の経済成長が望ましいということは恐らく御異論がないところだと思うのです。しかしながら、これを成長させるための条件がそれだけ整うかどうかということになりますると、いろいろと問題点があることも御承知のとおりでございまして、そういった各般の諸条件を勘案いたしまして、五十四年度では六・二%程度の経済成長、一応こういうことで予算を編成しておるわけであります。
#180
○小川(新)委員 六・三%ではございませんか。
#181
○澁谷国務大臣 御指摘のとおり六・三%であります。
#182
○小川(新)委員 六月に東京で開かれます先進国首脳会議、俗に東京サミットと言われておりますが、わが国は、国内情勢、国外情勢を考えてどの程度GNP、実質経済成長率を主張なさろうとしておりますか。
#183
○澁谷国務大臣 その点、私、担当でございませんので、正確に私も承知いたしておりませんので、誤解を招くといけませんから、答弁は差し控えたいと思います。
#184
○畠中説明員 お答え申し上げます。
 六月に行われます東京サミットにおきましては、過去四回のサミットにおきまして確立されました国際協調の精神、これを引き継ぎまして、世界経済の安定的拡大のための積極的役割りを果たすというのが目的でございます。このためにわが国としましては、これまでも内需の拡大による経常収支の黒字幅の縮減、これによりまして対外調整の進展に努めたところでございまして、御承知のように、その成果があらわれてまいりまして、最近の経常収支黒字幅は目立って縮小しているわけでございます。
 そこで、昭和五十四年度でございますが、先ほども御答弁ございましたように、政府としましては引き続き積極的な経済運営に努める。非常に厳しい財政事情のもとでございますけれども、思い切った手を打ちまして、民間経済の活力ある展開を可能ならしめるということにしておりまして、この結果、先ほど御答弁ありましたように、内需を中心といたしまして着実に景気の回復が進むものと考えられるわけでございます。その結果、五十四年度は実質六・三%程度の経済成長が見込まれるわけでございまして、これによりましてわが国の国際協調面での責務を果たすことができる、各国とも御納得いただけるような経済の結果があらわれる、こういうふうに思っております。
#185
○小川(新)委員 昨年の七月西ドイツのボンで開かれました先進国首脳会議では、福田前首相は七%成長をお約束してそれが達成できなかった、こういうことで、日本の約束に対してはアメリカを初め先進国では非常に不信感を持っているというふうに聞いておりますが、果たしてこの六・三%の実質経済成長率で諸外国は納得するのでございましょうか。
#186
○畠中説明員 昨年のボンサミット以来、わが国としましては秋に総合経済対策を決めまして、内需を拡大し、国際不均衡を是正するという政策をとってきたわけでございます。この結果、内需はこのところ非常に強い勢いで伸びておりまして、他面、輸入が非常に伸び、輸出が縮小するという形で、対外面でのバランスは改善してきておるわけでございます。確かに七%という成長率は現在のところ実現がむずかしくなっておりますけれども、しかしそのねらいとしておりました対外不均衡の是正、この目的は達成されつつあるわけでございまして、この点につきましては、私どももアメリカ初め主要国との間に専門家レベルあるいはもっとハイレベルで御説明申し上げております。現にことしの初めにもアメリカの専門家が参りまして、わが国の努力につきまして詳しく説明いたしましたところ、これは納得したということで、帰りまして政府に報告されるというようなこともございまして、わが国の努力、これはかなり各国に御理解をいただいておる、このように考えております。
 また、この六・三%という来年度の成長率につきましてもいろいろなルートを通じて説明しておるところでございまして、かなり御納得をいただいておる。さらにそういう面で各国の理解を得るように説明を続けていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
#187
○小川(新)委員 これは大きな問題でございますから、五十四年度の問題については大平総理が六・三%を主張するという約束はここでははっきり出ないにしても、自治大臣、閣僚のお一人といたしまして、やはり六・三%が妥当であるということで総理がそのようにお話をなさるような機運――いまそういったお話を聞いておりますと、大体話を進めておる、それで七%が達成できなかったことについての言いわけとしては、内需の拡大に努め、対外経済の黒字についてはこれを縮小してきたから、まあわが国のいまの経済状態をひとつ御理解いただいて、七%なんということはとても成長でき得ない状態だから、昭和五十四年度一般会計で六・三%を基調としたんだから、その辺のところで妥当だ、こう私どもは理解してよろしいでしょうか。
#188
○澁谷国務大臣 大体ただいまお述べになったような趣旨だと私どもも理解しておりますけれども、六・三%、これでもやはり世界どの国に比しても一番高い水準でございますので、日本の抱えておるいろいろな経済的な諸条件を考えれば、日本が精いっぱい努力しておるという点は御理解いただけるのではないか、私もそのように考えます。
#189
○小川(新)委員 そこで経済企画庁さんにお尋ねいたしますが、「昭和五十年代前期経済計画−安定した社会を目指して−」というのによりますと、二十四ページには「完全雇用の確保を図り、昭和五十年度に二・〇%に高まった完全失業率が計画期間末には一・三%台に低下するよう努める。」ところが、これが「新経済社会七カ年計画」になりますと、「昭和六十年度の完全失業率を一・七%程度以下とし、」ということで、最初の「一・三%台に低下するよう努める。」これが今度は「一・七%程度以下とし、」と、大幅に後退しているのではないかと思いますが、これはいかがでございましょうか。
#190
○高橋説明員 ただいま先生が御指摘になりました新しい計画の基本構想の数字でございますけれども、先生御指摘のように、基本構想におきましても、その本文中には「計画期間中できるだけ早く完全雇用を達成するため、あらゆる努力を傾注する。」というふうに述べられております。ただ、この場合の完全雇用の内容でございますけれども、完全失業率だけで完全雇用というものをあらわすのは必ずしも十分ではないということで、いろいろな雇用関係の指標につきまして総合的に判断をしなければならないということは、経済審議会の委員の方々からもいろいろ御意見が出たところでございまして、基本構想におきましては、次の二つの面から完全雇用の内容を一応定義いたしております。
 その一つは、労働力の需給が全体としておおむね均衡しているという状況にあること。たとえばこれは有効求人倍率が一程度というような内容でございます。それからもう一つは、労働市場の状況が物価の安定を損なうことのない状況であること、この二つの要件を満たしている場合には完全雇用の状態にある、かように今回の基本構想で判断をいたしております。今後の計画期間、七カ年でございますけれども、労働力人口の面におきましては、女子の就業志向というものが非常に高まってきております。需要の面におきましては産業構造の変化がかなり大きくなってきております。そういうところから、労働市場をめぐりましての諸条件というものが大きく変化をいたしておりますので、そういう状況のもとでのいま申しました二つの点を満たす目標値といたしまして、完全失業率で一・七%以下というのが適当であるという御判断を経済審議会でいただいておるわけでございます。
 ただいま先生が御指摘になりました前の計画との比較でございますけれども、前の計画におきましては、御指摘のように一・三%台ということを目安にいたしていたわけでございますが、この数値は昭和四十年代のいわば労働力不足が非常に目立っておりました時期の数字と大体見合っておるわけでございまして、いま申しましたような供給、需要両面の今後の変化を考慮いたしますと、一・三%台ということを目安にいたしますと物価上昇に結びつきやすい、そういう懸念がございますので、今回は一・七%程度以下ということに目安を改めたわけでございます。
 ただ、恐らく先生御疑問にお思いになっていらっしゃるかと思うのでございますが、前の計画は六%強の成長率でございましたけれども、今回は六%弱ということで、若干成長率の目安が低くなっているわけでございますが、それで完全雇用が実現できるか、こういう御心配がおありになるんじゃないかと思いますけれども、私どもの見当では、一つは労働力人口の増加率が過去に比べまして今後小さくなっていくという点がございます。四十年から四十八年、平均いたしますと一年間に大体一・三%伸びておりましたけれども、今後の七カ年間につきましては、年率〇・七%程度というふうに鈍化することが予想されております。その大きな理由は、生産年齢人口の変化でございます。二番目には、産業構造の面におきままして製造業では知識集約型の産業が伸びていく、第三次産業が伸びていくということで、成長率は同じでございましても、雇用吸収力が総体的に大きくなるという産業構造を考えておりますので、その面でも吸収できるのではないか。三つ目といたしましては、部分的に、特に中高年層の労働力需給が非常にアンバランスになることが予想されておるわけでございますので、この面につきましては特に構造的な政策努力を進めるということを基本構造において指摘をいたしておるわけでございます。
 以上のようなことで完全雇用の状態に到達することを基本構想では目指しております。
#191
○小川(新)委員 石油危機以降の労働市場の変化ということで、これは総理府からいただいたのでございますけれども、昭和四十四年では労働人口五千九十八万に対して失業者は五十八万、同じく四十八年、四年後は五千三百七十六万に対して五十七万、要するに労働人口がふえていっても失業者というものは横ばいで全く変わらない。これはちょうど高度経済成長政策のピークでございまして、四十八年以降に石油危機が出たのですから、ここからが問題になるのですが、四十八年から五十二年の四年間で五千三百七十六万から五千五百四十三万人に労働人口がふえましたけれども、失業者が百万を超えております。特に家庭内失業者を四十三万加えますと約百五十万突破ということでございます。六十年度までの見通しというものは、労働人口は確かに鈍化はしていくでしょうけれども、失業者の数は潜在的に百万を超えるというようなことがあれば、逆に昭和四十年代の――四十八年ですか、四十年代の二倍の百万人以上の状態が今日まで失業者として続いているのでございますから、当然その目標指数を一・三に、最初の状態に目標を置くというような姿勢がいろいろな施策になってあらわれてくるのだと私は思いますが、この辺は私の理解はどうなんでございましょうか。
 それともう一つは、いま言ったように六%弱と言っていますが、ことしは六・三%、六%を超えておる、そういうパーセントの中で失業者をどれぐらいに見込むのですか。
#192
○高橋説明員 ただいま先生が御指摘になりました点でございますが、今後の計画期間につきまして一つ重要な指摘が基本構想でなされておりますのは、労働力人口の年齢構成を見ましたときに、急速に中高年齢化が進行をする、他面若年層につきましては労働力の供給がむしろ減少する、こういう二極分化の傾向が非常に強くなるという状況にございますので、経済成長率だけでこの失業率を下げるということは非常にむずかしい面がございます。そういうこともございまして、必要な成長率を確保しながら、他面におきましては、そういう構造変化に対応していく施策ということがあわせ併用されなければ完全雇用を実現していくことができないのではないか、かように基本構想では考えておるわけでございます。
 そういう中で、同時にもう一つは、物価の安定という問題も非常に重要な要素でございます。前計画のときに比べまして、物価の諸環境というものも、たとえば最近のイランの情勢の変化等もございまして、エネルギーの供給制約というようなものも出てきておるわけでございますので、それらをあわせ勘案しながら、物価が安定しながら完全雇用が実現される最も望ましい必要な成長率を確保するということで、基本構想は六%弱という一応の目安を掲げているわけでございます。
#193
○小川(新)委員 まあここは労働委員会でございませんので、この問題だけで詳しく論議するわけにはいきませんけれども、私どもが心配しておりますことは、結局六%から七%のわずか一%でありますが、この間で失業者の数または景気浮揚と引き締め、こういった問題がいろいろと反映してきて、物価の問題や、失業雇用問題に大きな影響が出るということはもう御案内のとおりでございますので、私どもの考えといたしましては平均六・九%ぐらいが必要だという考えを党の政策として述べているわけです。
 そこで大臣、五十四年度の経済運営について、政府は六・三%成長を目指しているわけでございますが、五十四年度は、いま言った卸売物価の値上がり、忍び寄るインフレといろいろ心配しております。景気の浮揚に力点を置くのか、また引き締めに力点を置くのか、昭和五十四年度上半期、下半期に分けますと、どのような経済運営を行っていくのか。これは、経済閣僚ではございませんでしょうけれども、地方行政の立場から、地方の財政の面から、非常に注目しているところでございますので、大臣の御所見をひとつ承りたい。
#194
○澁谷国務大臣 予算編成時における五十四年度の経済運営の基本方針については、先ほど経済企画庁からお答えを申し上げたところでございますが、最近になって、御案内のように確かに経済活動は活発になってきておるわけでございます。これは私どもが期待をしておったそういう方向に経済全体としては動いてきておるわけでございますが、他面、どうも物価の動きが心配になってきておるということも事実でございまして、先般も経済閣僚会議――私もそのメンバーなんですよ。やったわけでございますが、結論としては、物価の動向に十分配意しながら、当面は内需の拡大を中心として着実な経済の拡大と申しますか伸び、これに期待をしていこう、こういうのが当面の経済運営の考え方になっておるわけです。
#195
○小川(新)委員 そこで、同じような質問かと思いますけれども、私どもは、この財政の再建を一年間おくらせても景気の浮揚にさらに助走をつけて、そして栄養失調を回復するための体力をつける、こういう方針で予算委員会では代表質問でそれを述べたわけでございます。その考え方の議論についてはいろいろございますでしょう。五十五年度から一般消費税の導入等々、そういった財政再建ということが優先するための、五十四年度に助走をつけるということであれば、五十四年度には景気の浮揚を多少ここで抑えるのかということも考えられてくる。それは六・三%の実質経済成長率の絡みともあわせましてこれは非常に大きな問題でございますが、政府の考え方はどちらに重点を置いていかれるのですか。
#196
○澁谷国務大臣 これはあくまでも五十四年度としては内需の拡大を基調として経済の着実な伸長を期待するというのが基本的な運営でございまして、そのことによって五十五年度以降の財政再建の一つの手がかりをつかむ、こういう考え方に立って運営しておるわけでございまして、いまのところは引き締めというようなものは、現実の問題としては登場してきておらない、こういうことだと思います。
#197
○小川(新)委員 そうすると、やはり景気の浮揚を前面に押し立てて、そしてそれによって生ずる財政の再建というものとあわせながら、増税という含みを持たせつつ五十四年度はいこうとする考えなんですか。そのために昭和五十四年度からの増税を打ち出されたことは、いまの時点で果たしてよいのかという疑問が出てくるのですけれども、昭和五十四年度は、国税で初年度が四千三百四十億、平年度で六千二百七十億、地方税で、初年度で一千二百三十一億、平年度で一千八百二十億、ここ数年の間では相当な大増税であります。しかも、昭和五十五年度からは御案内のとおりの消費税の導入ということで大体固まりつつあるということであれば、わが国の景気の回復というものは、増税との関係においてどのようになっていくのか。
#198
○澁谷国務大臣 景気との関連ももちろんこれは重視しなければなりませんけれども、当面また、われわれが直面しておるこの巨大な財源不足という現実も、当然これは無視するわけにはまいりません。したがって、いま御指摘のように、国、地方を通じてのかなりの増税を実施しよう、こういうことでただいま御審議をいただいておるわけでございますが、私どもは、全体としては、先ほど来申し上げておるように、わが国の経済が幸いにここのところ非常に全体として活力を取り戻して堅調に動いておりますので、この程度の増税によって活発になってきた日本の経済に水をかけるようなことにはならないのではないか、こういう判断をしておるわけでございます。
#199
○小川(新)委員 いま、いみじくも大臣が水をかけるということで言われたのですが、昭和五十三年度からの毎月の税収状況が、当初の予想では、夏から秋にかけて税収に穴があくと言われておりましたところが、現実には昭和五十三年度の十一月から十二月以降は当初の見込みを上回って自然増収が出るかどうかというところまで回復してきた。でありますので、そういうときに増税することが水を差すことになるかということは取り越し苦労ではないのだ。経済の見通しというものは非常にむずかしいものでありまして、いま言ったような穴があくと思われていたものが逆に増収に切りかわってくるし、また、大丈夫だと思っていてもいつ変化を起こすかわからないというような状況の中では、非常にむずかしいのでございますけれども、そういたしますと、昭和五十三年度の最終的の税収見込みというものはどのようになるのでございましょう。
#200
○大山説明員 お尋ねの件でございますが、実は大変申しわけございませんが、私、担当でございませんのでお答えする能力がございません。調べましてお答えをいたしますが、私ども、わきにおりまして聞きかじっておりますのでは、補正予算で組みました見通しよりは幾らかよくなるであろうという程度のことを聞いているところでございます。
 確たるお答えでなくて恐縮でございます。
#201
○土屋政府委員 地方税につきましては、五十三年度地方財政計画で十一兆五千八百億余りを見込んでおりました。途中でいろいろ懸念もしておったわけでございますが、市町村の方はまだ詳細わかりませんけれども、府県税について一月までの状況を見ますと、若干法人関係の伸びも出ておるようでございますので、正確にはまだつかめませんけれども、大体ただいま申し上げました計画額を下回ることはない、大体確保できるという見積もりでございます。
#202
○小川(新)委員 大臣、大体そういうふうに回復体質に入ってきているということになりますと、ここで一挙に締め上げるよりも、いま言ったように、景気の回復にさらに幅を持たせ、栄養を十分に与えた方が、やはり後年度に日本の財政の強化というものは非常に影響が出てくるのじゃないかと思うのです。これが五十五年度一般消費税導入ということで財政再建にここで転換することが、せっかく回復基調に向かってきた病状がこのことによって悪化をするのではなかろうか。私はもう少し一年見送って、ここにもう少し新薬なり、また栄養剤なりを投下して患者の回復を完璧なものまで持っていく。これはわれわれの見込みが間違った場合には財政にさらに大きな穴があくということで、大きな一つのばくちかもしれませんけれども、私はいまの日本の経済体質というものは軌道に乗りつつあるということであるならば、そのような考え方を持つべきであると思っておりますが、いかがでございましょう。
#203
○澁谷国務大臣 これは非常に議論の分かれるところでございまして、この三年来毎年毎年巨大な赤字を抱えながら、投資的経費、公共事業を中心として財政主導型の積極財政を展開してきておるわけですね。これはとりもなおさずいま小川さんが言われたような、借金もここ数年はあえてがまんして、鶏の体質を栄養を与えてどんどん卵を生むように持っていこうという基本的な考え方が私はあったと思うのです。それがようやく効果が出始めてきておるというのが現在の状況でございまして、果たしてそれがどの程度の強まりを持っておるのかどうかというのは、御指摘のように経済は生きものでございますから、なかなかこれを正確に見通すということは何人といえども困難なわけでございますが、私どもとしては、この数年来本当に赤字を抱えながら歯を食いしばって積極財政を展開してきた効果がようやくあらわれてきておる。でありますから、物価の動きが一面気にかかりますけれども、これを抑えることに成功していくならば、私は五十四年度日本の経済というものはかなり予定したような軌道で動いていくのではないか、このように考えております。
#204
○小川(新)委員 福田内閣のころから経済の救済については小出しにし過ぎた、大量投与の薬を使わなかった、小出しにやっていたために効果が半減してきたということで、非常に反省もさせられたと思うのでございますが、では、五十三年度の鉱工業生産、倒産件数などはどのような推移をたどっているのか。昨年十一月からの鉱工業生産は上向き、企業の倒産件数も相当減ったとわれわれ理解しているのでございますが、重ねてくどいようでございますけれども、ここまで政府も国民も歯を食いしばって財政でがんばってきた、最後の年になって答案を書き誤ってしまったのでは、それこそ一挙にいままでやってきた労力を千尋の谷に突き落とすようなものでございますので、これはその推移についてちょっとお尋ねいたしておきます。
#205
○畠中説明員 お答え申し上げます。
 鉱工業生産の推移でございますが、昨年の一―三月に一たん盛り上がりがありまして、その後やや中だるみでございましたけれども、昨年十−十二月期には再び力強く盛り上がりを見せまして、前期比二・四%、年率で一〇%程度の上昇でございます。それからことしに入りましても、一月は〇・一%速報でプラスでございましたが、これが本日三時に発表になりますけれども、〇・三%のプラスということに上方修正されまして、引き続き生産は好調のうちに推移しておるという次第でございます。
 それから、倒産件数でございますけれども、整理状況を見ますと、件数が昨年の三月千五百件を超す数字でございましたが、これがだんだんと減ってまいりまして、ことしの一月には一千件台になりまして、これも顕著な改善を示しておるわけでございます。
#206
○小川(新)委員 大臣、お聞きのとおりの推移をたどりつつそれなりの成果が非常に出てきた、非常にうれしいことではございますけれども、一面また、懸念すべき物価の問題やらいろいろございますけれども、いずれにいたしましても、ここまで体力がついてきた、回復してきたということは大切にしていかなければならない。せっかくの努力をあわにしてはならない。こういうことで、私は先ほどからくどいようなことを何回も何回も繰り返しておるわけでございます。しかし、このことは政府とわれわれとの考えの非常に大きなギャップでございますから、必ずしも私はそれを強制するようなことではございませんけれども、やはり大増税を前提としている体質改善のもとでは非常に危惧感を持つので、私はこの委員会で、非常に経済的な問題でございますけれども、きょうは質問させていただいたわけでございます。
 そこで、一般消費税についてでございますけれども、昨年十二月の税制調査会の答申の中では、一般消費税については昭和五十四年中に諸般の準備を行いたい、昭和五十五年から一般消費税を実施すべきであるということで、政府は昭和五十五年から一般消費税の導入を予定しておりますが、一般消費税を導入した場合の消費者物価の上昇は何%くらいと考えていらっしゃいますか。
#207
○大山説明員 お答え申し上げます。
 政府の税制調査会の答申にございます一般消費税率は五%ということでございます。私ども、課税のベースになりますものと、課税にならない、具体的に申しますと食料品でございますとか、物品税等他の税との調整を要するものとか、そういったものを総合勘案いたしますと、大体五%の半分程度の消費者物価の上昇になろうかという試算をいたしているところでございますが、なお、この点につきましては検討を続けているところでございます。
#208
○小川(新)委員 そうすると、実質経済成長率をどれくらい引き下げる方向にこの一般消費税は働くのでございましょうか。
#209
○大山説明員 経済成長率に与えます影響ということでは、私どもまだ試算をいたしてないところでございますが、確かに税を引き上げるという点におきましては景気にとってマイナスの効果もあろうかと存じますが、それがまた歳出という形で出ていくその効果まで入れますれば、それほど景気抑制の効果というのはない。むしろ学説によりますと、若干景気刺激的な面も持つということも言われているところでございます。
#210
○小川(新)委員 そういう議論もあるかわりに、また逆の議論も出てきているわけですね。結局、これほどの大増税をすることについての諸般の準備というものは、国民にそれだけの角度から理解度を高めなければいかぬ。また、やみくもに抜き打ちにやるのではなくして、当然そのことによる被害――被害と言っちゃ語弊がありますが、影響力というか、その影響力についてはあらゆる角度から準備もしてあげなければならない。これが要するに昭和五十四年度の税制改正に関する答申の中で言われていることだと思うのです。
 ある証券会社の調査によりますと、一般消費税、税率五%で二兆八千七百六十億円の増収を予定した場合に、消費者物価の上昇は二・六二%、実質GNPの減少は二・一五%、また税率一〇%で――倍でございます。五兆七千三百二十億の税収増のときには、消費者物価の上昇は五・二一%、実質GNPの減少は四・二%と、それぞれ大きな影響力があると言っております。
 雑誌「日経ビジネス」の昨年九月十一日号の試算によりますと、昭和五十四年以降税率一〇%の一般消費税を導入し、増税ショックをやわらげるため五十四年度に三兆円の所得減税を行った場合でも、昭和五十四年度の実質経済成長率は、標準型の四・七%から〇・一%へとほぼゼロ成長になってしまう。また、消費者物価指数の上昇率も、標準型の五・五%上昇から一四・七%上昇へと大幅に上回る結果が出ている。経常収支の黒字幅も、昭和五十四年度百十三億ドルから昭和五十七年度二百二十億ドルと黒字がふえるだろう。それからまた、昭和五十四年、五十五年度に税率五%、昭和五十六年度に税率七%、五十七年度に税率一〇%と、一般消費税の税率を段階的に引き上げていく場合でも、昭和五十四年度の実質経済成長率は一・二%に落ち込み、消費者物価上昇率は一〇・二%になるという結果が見込まれている。経常収支の黒字幅は、昭和五十四年度百一億ドルから五十七年度、すなわち三年後には二百三十八億ドルと増加するだろうということが雑誌で出ているわけです。
 大蔵省は、一般消費税を導入する以前に、消費者物価の上昇分やGNPの引き下げ分をどのように国民の前に示すのか。また当然示すべきである。これは昭和五十四年度中に、私がいまもろもろ例を挙げて何例か申し上げましたが、そういった分がこのようなことになる、また、いま言ったようなことと逆ならば、逆のような内容の提示を国民に示すべきである。それがことしじゅうにできるかどうか。
#211
○大山説明員 ただいまいろいろ計数的な御指摘がございましたが、たとえば先ほどの大和証券の試算でございますと、歳出面の経済に与える影響について議論がなされておらないといったような問題とか、私ども内部的にはいろいろ議論しているところでございます。
 物価につきましては、先ほど半分程度とお答え申し上げたわけでございまして、この点については、便乗値上げとかそういうものがございますと別でございますが、理論値としては大体半分ぐらいというのは正確に試算ができるものと思っております。
 経済成長に与える影響につきましては、いろいろな前提条件、どういったものが課税になりますとか、そういった点についての前提条件についてなお詰めるべき事項などが残っておりまして、いまの段階では申し上げるような数字がございませんが、鋭意関係経済官庁とも御相談をいたしながら今後検討して、明らかにすべき段階にいろいろお答え申し上げたい、かようには考えておりますが、現在お答えするだけの材料を持っておりません。
#212
○小川(新)委員 大臣、この大臣の所信表明にも、地方消費税、または地方の譲与税や地方交付税、こういった面で地方財政と国の財政は車の両輪だということでございますから、財政の立て直しということは、先ほどから私も議論の中で、一年間おくらすか、おくらせないか、せっかく栄養の効果が出てきたという日本の経済の体質論とは別にしてお話をしたいと思うのでございますが、そういう場合は、諸般の準備ということになりますと、当然、われわれが試算をしたり、いろいろな経済リサーチなどの問題がありますけれども、何といっても国の大蔵当局や自治省から正確を期し得る、国民に納得させ得る根拠ある数値というものを出さなければならないと思います。これは当然だと思うのです。私は何もあえて無理を言っているわけじゃありませんので、一般消費税を導入するに当たっては、諸般の準備を整えという中には、国民にそういった説得力のある準備も含まれていると私は理解しているわけです。ただ、それを施行するに当たっては税務署のお役人をふやすとか窓口をどうするとか、いろいろな準備もあるでしょうけれども、それよりももっと大事なことは、国民に理解を求める。こういうことをやっても日本の経済にはこういう影響は出ない、また、こういう影響が出る、そして国民生活が向上していくのだ、しかも日本という国を救っていくためにはこれしか手がないのだという説得力ある数値をお出しいただきませんと、われわれとしてもただ単にやみくもに反対ではなくして、ああ、なるほど政府の言うとおりなんだ、しかも不公平税制や特別措置による税の軽減も解除する、それから歳出の洗い直しもやった、ありとあらゆる手を尽くした、そういう説得力あることが、八〇年代を目指す国民対話の中の方針だと私は思います。賢明なる大平内閣はそういう点に鋭意努力している姿も私たちは見受けておりますので、今回の予算の問題につきましても、修正問題については、予算書にこれをきちっと盛ることができるならば予算の賛成も含めて前向きに検討するということで、党首会談の初めにそのことが出たわけであります。そういった問題が踏みにじられたことは遺憾ではありますけれども、私はそういう問題が野党の協力の姿勢をこれから一われわれも何もただやみくもに反対することが野党の使命とは思っていませんから、国民の幸せということを考える土壌の上に立っては政府と全く同じ論点をしなければならぬ場合もあり得るでしょう。そのことを説得させ得る、われわれをそういう気持ちにさせ得るためにも、いまの大蔵当局のような不勉強の姿勢では協力しようにもしようがない。いかがでございましょう。
#213
○澁谷国務大臣 小川さんの非常に建設的な貴重な御意見は、私は敬意を持って拝聴しております。一般消費税の導入というのは、御指摘を待つまでもなく、政治的に大変な問題であるわけです。そのためには御指摘のような諸般の準備をしなければならない。お説のとおりだと思うのです。
 そこで、大きく分けてその準備の一つは、とにかく消費税という税の方式は、御案内のように日本の国民にはなじみがないわけですね。したがって、どういう税になるのだろうという心配が国民サイドにあるわけです。ですから、この国会でいろいろな場で論議されておりますように、消費税というものの内容ができるだけ国民にわかりやすい、受け取りやすい内容の税につくり上げていく努力というものがまず一つ大事だ。大蔵大臣もたびたび答弁の中で、そういう方向でせっかくいま大蔵省で具体的な内容を詰めております、こう言っておりますから、そういう方向で漸次固まっていくものと期待しております。
 それともう一つ、いま小川さん御指摘になった国民に対する理解と協力を得るための必要な努力というものが一番大事だと私は思うのです。増税をお願いするわけでありますから、国民が納得してくれるところまで行けばベストでございますけれども、納得してもらうというところまで期待することはなかなか容易ではないと思いますけれども、少なくともなるほどわかったと国民が理解できるまでの努力というものは政府は全力を挙げてやらなければならぬ。そのためには、御指摘のような消費税、増税というものをお願いしなければならない理由はどこにあるか、それからまた、これを実施した結果が、ただいま御紹介があった雑誌のように、せっかく増税はやったわ、そのために物価は倍にも上がってしまう、それで経済成長はゼロになるというような状態になったとすれば、これは恐らく国民は承知しないだろうと思うのですよ。ですから、これを実施しても、いま雑誌で紹介されたようなことにはなりません、長期的に見れば、これによって国、地方の財政の立て直しが行われて、そして日本の国全体の経済としては前を向いた前進の軌道に乗っていくのですよということを十分説明できるような、具体的な合理的な数字を国民の前に出す責任がある、私はこのように考えております。
#214
○小川(新)委員 私の意見と全く同じ御意見であることは私も非常に喜びにたえませんけれども、それはいつごろお出しいただけますか。
#215
○澁谷国務大臣 とにかく五十四年度はいまいろいろ申し上げたような準備、それから国民との間の対話、議論、こういったものに十分費やして五十五年度から実施に踏み切りたい、こう考えておりますから、ことしいっぱいかけていま申し上げたようなことを精いっぱい努力してやっていきたい、このように考えます。
#216
○小川(新)委員 そこで、私はことしの二月の予算分科会で一般消費税を導入する場合の国と地方の配分割合につきまして、これは自治省の立場といってはおかしいのですけれども、私どもは一般消費税を導入することに賛成しているわけではございませんし、いろいろな面でまだ反対の態度でございますが、一歩踏み込んで、それでは導入された場合における国と地方との配分についてはどうかということで大蔵大臣にお尋ねをいたしました。三十分間という短い分科会でございますので意を尽くせませんでしたけれども、財政局長が当委員会で述べておりました国と地方との配分率についての希望をそのまま私はぶつけたわけでございます。大蔵省としては、いまどのように作業が詰まってきているのでしょうか。
#217
○大山説明員 現在、事務的にお話し合いを続けている段階でございまして、十分な詰め、かなり進んだという段階にはまだございません。
#218
○小川(新)委員 都道府県税として地方消費税、一般消費税の地方交付税の対象税目に加えるか、または地方譲与税を配分するか。地方消費税のほかに一般消費税について譲与税か交付税の対象範囲を広げていくか、これを合算して両方加えて地方と国とが国民からいただく増収分についての半分ずつ、五対五になることが大体自治省の御意見だと私どもは思っておるわけです。大蔵省はこの五対五になるように進めていらっしゃるのか。それとも、とてもそんなことには納得できないという線で検討しているのか。話し合いを詰めているのか。話し合いですからこれから紆余曲折はあると思いますけれども、あくまでも自治省の言っていることが不当なのかどうか。どうですか。
#219
○澁谷国務大臣 これはもうきわめて高度な政治的な課題でございまして、事務当局にお尋ねになっても答弁することはもちろん困難でございますから私からお答えいたしますが、御承知のように、この問題は大蔵省と自治省との間でそういった詰めに入っておりません。恐らくこの国会が一段落しませんと、こういう大問題にじっくり――これは本当に腰を据えてやらなければいけない問題でございますから、タイミングとしてはそういうことになると思うのですが、私としては、いま御指摘のように、財政局長がこの前ここでお答えしたような考え方で臨みたいと思っておるのです。ただ、賢明な小川さんもう十分おわかりのように、大蔵省は、とにかく地方財政より国の方がもっとひどいよ、こういうことですから、半分半分というようなことはとんでもないというような気持ちが基本にある、私はこうにらんでおるのですが、しかし、私の方も、とにかく三千三百の地方自治体が赤字で苦しんでおるわけですから、大蔵省の言うのをそのまま素直にすんなりのむというわけにはもちろんまいりません。私としては、あくまでも地方自治体の財政の立て直しができるように最後まで自治省の主張を貫いてまいりたい、このように考えております。
#220
○小川(新)委員 確かに高度な問題でございますが、こういう問題は、国民の皆様にはよくわからないにしても、少なくとも、こういった専門の委員会におきます各党の議員、特に地方制度の問題を専門に勉強しているところでは、これは自治省も含めて、われわれは未熟ではございますが、皆さんのようには練達の土ではないにしても、私たちのように地方財政のことをいささかなりともお互いに検討し、心にとどめている者にとっても、これは一つの諸般の準備になるわけですね。これも説得の一つの方式なんです。これは、国民に対してどうだこうだというほどの問題とはまた別に、当該委員会や大蔵委員会、または全国三千三百余の地方団体の関係者及び六団体等、こういった方々に対しては、これもやはり非常に大きな一般消費税導入に関する一つのポイントとしての諸般の準備として説得力のある発表をしていただかない限り、これは違った分野からまた賛否の議論が出ると思います。導入はしたけれども地方の方へは回ってこないじゃないか、こういうことではだめだという議論も出ると思います。そこで、そのことはいま非常に大切な問題ですからここでどうということはいま申し上げませんが、それでは、都道府県税としての地方消費税が示されているだけでありますが、これは大臣、市町村の独立税としては公共団体間の財源の配分ということは考えられないのでしょうか。これは全く都道府県だけに地方消費税として入ってしまうのは市町村には非常に不公平である、こう思うのでございます。
#221
○澁谷国務大臣 ただいま、私どもとしては、一般消費税は都道府県税、こういうことでいこう、こういうことにしておりますが、そうなりますと、御指摘のように市町村の財源との間にアンバランスが出てまいります。したがって、別途都道府県と市町村間の財源の調整というものを当然やらなければならぬ、これはもう一体のものとして考えてまいりたい、このように思っております。
#222
○小川(新)委員 そうしますと、都道府県と市町村とは、いただく税の配分は全く五分と五分ということに理解していいのでしょうか。
#223
○土屋政府委員 ただいま大臣から申し上げましたように、一般消費税が導入されます場合は、国と地方のみならず、府県と市町村の間でバランスのとれた財源配分をする予定でおりますが、その場合は、新しくできます地方消費税というものを分けるというよりは、地方消費税というのは、一応事業税の外形標準問題等との絡みもございまして、これは道府県税というかっこうで収納いたしますが、それ以外に、個別消費税がこの一般消費税でどういう形になるかといったこと等もにらみ合わせて、市町村に適切な税目というものを、限られた税目の中ではございますが、移譲することによってバランスをとりたい、そういうふうにいまのところでは考えておる次第でございます。
#224
○小川(新)委員 そこで、一般消費税などの間接税を今後どのような形で地方財政の中に持ち込もうとするのか。一般消費税の導入は税制度の大規模な変革をもたらしますが、どのように変わっていくか明確な構想を私は示していただきたいのですが、国税の現在の直接税と間接税の比較は、いわゆる直間比率を今後どのようにするのか。五十二年度で六七・八%が直ですね。間接の方が三二・二。これが五十四年度では三二・七と六七・三。われわれとしては、現行の七対三から、一般消費税を導入すると国税の直間比率は五対五ぐらいになるのではないかと……。これはどのようになるのでございましょうか。
#225
○大山説明員 直接税と間接税の比率のお尋ねでございますが、ただいま御指摘のとおり、五十四年度の直間の割合は六七・三対三二・七でございます。一般消費税が入りました場合にどうなるか、これは地方との配分が決まっておりませんので、国税分がどのぐらいの割合になるのか、ちょっと試算はむずかしいのでございますが、いま先生の五〇、五〇というような姿にはちょっとならないかと、もっと直接税が高い水準かと存じております。
 そこで、今後の方向として直接税、間接税の割合をどんなふうに持っていくつもりかという点については、いわばそういった直間の比率というものを、先験的にと申しましょうか、初めからどのぐらいの割合がいいのだということでは私ども余り議論をいたしておりませんで、やはりそのときそのときの財政需要、それからそれに対してどういうものに負担能力があると考えるか、それから直接税につきましては負担感が非常に重いといった事情、いろいろなことで一つ一つの税目について、新しい税目も含めましてどう考えていくかといったことの結果の、いわば集約されたものが直間比率でございますので、いま若干直接税の比率が高過ぎるではないかという議論は確かにあるところでございますけれども、いわばアプリオリにどのぐらいの割合というようなことはちょっとむずかしい質問でございまして、私お答えできないところでございます。
#226
○小川(新)委員 大臣、それは確かにそういうことになるのですけれども、これは確かに決まらない過程において五対五になるのか六対四になるのか、現実には七対三ですからそれよりは変わることは間違いありません。
 そこで、地方税は従来から直接税が中心でございまして、安定的な税目が非常に多く、伸びが低かったのですが、直間比率などは今後どういうようになっていくのか、現実には八対二、今後の何対何、これは国と同じように、国の方が決まらないんだから地方も決まらない、逆説も出てくるわけでありますが、これはどうでしょうか、どのくらいまで見込まれますか。それは正額でなくてもよろしいですから。
#227
○澁谷国務大臣 これはもう非常にむずかしい問題でございまして、税について素人の私が大体このくらいがいいだろうというようなことを言うわけにまいりません。ただ、常識的に言えることは、日本の場合は諸外国に比べて間接税の比率が低いですね。ですから、諸外国に比べて直間の比率で間接税が非常に低いということはもうこれは客観的に言われることでございますから、この比率が上がってもそれは決しておかしいことではないという、ごく常識的なことしか私はこの段階で申し上げることができません。
#228
○小川(新)委員 やっぱり一般消費税導入についてはそれも一つ明確にしていただく私の方の要求でございます。直間比率のこれからの構造図というものを明確にしていただきたい。これも導入に際しての諸般の準備の一つとして加えていただく。
 そこで、田園都市構想でございますけれども、田中官房長官はことしの二月の衆議院予算委員会で、わが党の同僚議員の質問に答えまして、田園都市構想をする場合には地方分権もあり得ると、明確に答弁しております。政府としても地方分権の具体的な手法を示せということで質問をしておりますが、このことによって国、県、市町村間の税財源の配分を、今後大増税するためには見直すべきではないか、これは一つの私の提案でございます。こういうときにこそ税源再配分を、国と地方との洗い直し、それから市町村と都道府県との洗い直し、これはやらなければならぬと思います。分権の具体的手法というのは、結局そういった財源の洗い直しを行いながらその再配分を行うことが分権につながっていくわけですね。一挙に何にもないときにやれと言ったってできるわけないのですから、そういう国を挙げて政府が取り組んでいるこの大きな姿勢のときにこそやるべきだ。それが田園都市構想の地方分権につながっていくんだという明確な点が出てこないで、ただ田園都市構想は地方分権でやらせるんだ、中央集権型ではやらないんだといっても、具体的にやるチャンスというものをどこに求めるかというのがいま一番いいチャンスだと思いますが、いかがでしょう。
#229
○澁谷国務大臣 私は当委員会でもたびたび答弁申し上げたと思うのですが、基本的には小川さんがただいま述べられた考え方、私は全く同感なんですよ。地方分権、これは大平さんの提唱されたあの文章の中にはっきりやはり地方分権というものを書いておられるわけです。ですから、考え方としては総理も私どもと恐らく同じだろうと思っておるのです。したがって、これは田園都市ばかりじゃありません。これからの国の政治あるいは行政の全般の動きを推進していく中で、漸次地方に重点を移行していかなくちゃならぬ、これが地方分権だ、こういうふうに私は考えておるのです。ですから、そういう方向で私どもは真剣に取り組んでまいります。
 ただ、チャンスは確かにチャンスではございますけれども、このことは、御指摘のように、まず一つは金の配分をどうするかという問題ですね。それからもう一つは、仕事の再配分という問題がございます。何といってもこの二つが基本ですから、これを地方の方に漸次重心を移していくという仕事は、言うまでもなくいままでずっとやってまいりました日本の政治、特に行政の構造にメスを入れなければできないわけです。ですから、これは短時間で短期でできるというような簡単な仕事ではない、これはもう御了解いただけるだろうと思うのです。ですから、私どもは、基本的にやはり地方分権を確立しなければならないのだ、これから政治、行政の基本的な目標はそこに置かなくてはならぬ、こういう基本認識をしっかりと据えて、そういう方向に向かって着実に、財政の面、仕事の再配分の面、あるいは補助金の整理の問題、そういったような問題にひとつ取り組んで、漸次これを実現する方向に持っていくべきである、このように考えておるわけです。
#230
○小川(新)委員 まことにお言葉を返すようで失礼でございますけれども、確かに総理大臣も自治大臣も皆様そうおっしゃってくださるのです。まことにありがたいことなんですが、私が一番理解に苦しむのは、自治省がことし提出した地方財政収支試算、これは国税二、地方税一という現行の税配分をこのまま認めたものであって、従来の税配分の枠組みの中から一歩も踏み出していない。そういう収支試算を、六十年度までの地方財政のありのままの姿をお出しになられた。これは当然どうすべきか、改革を入れて試算を出すということになると、これまた大変なことになると私は思いますよ。思いますけれども、もう収支試算そのものを国会に提出してこのままでございますよ、そこに何か添え書きなり何々――いや、これはあくまでも現行のままなんであって、本来この現行のままの収支試算ではないんだ。昭和五十五年にはこうなる、五十七年にはこうなる、五十九年にはこうするんだという、そういう収支試算というものをするんだという意気込みがどこにもあれには出ていない。技術的に書けないのか、これだけの問題はできないのかどうか、これは私が理解に苦しむ一つの問題なんです。
 それから地方行財政制度の抜本的改革はたびたび提言されてきておりますが、実行されてない。国も地方も巨額な財源不足を生じた昭和五十年一月の衆議院本会議で当時の三木総理大臣はこう言っています。
 高度成長から安定成長へ、量から質へと経済体質を変革するためには、高度成長時代の制度、慣行の見直しが必要であります。
 制度、慣行は、一たん打ち立てられますと、なかなかそれを変革することは困難ではありますが、困難だといってほうっておくわけにはいきません。
 財政硬直化の問題を含め、行財政のあり方全般にわたり見直しをする考えであります。
 それは決してなまやさしいことではありません。既成の考え方を変え、既存の権利を手放すことには大きな抵抗が伴います。しかし、これを打破して、日本の政治を新しい時代にふさわしいものにしなければなりません。それが時代の要求であり、これにこたえることがわれわれ政治家に課された責務であると考えております。
と言っております。
 また、五十一年二月の予算委員会で三木総理が私の質問に答えて、昭和五十三年度中には「地方行財政のあり方というものには根本的な検討を加えてみたい」、抜本改革を行うという意味の答弁をしております。歴代の総理や大臣がかわっても――三木総理が就任当時の国の財政及び地方の財政危機が続いている今日、三木総理の約束は当然実行すべきだと思っているがどうかという質問を私はしたわけです。それで昭和五十二年にはできないけれども、五十三年度には地方行財政のあり方に根本的な検討を加える、こうおっしゃっておる。自治省や大臣がかわるたびに決意発表だけで終わってしまっています。したがって、自治省だけでなく他の省庁や地方自治体の代表を加えた、仮称国、地方を通ずる行財政再配分を実施する本部というような行財政の再構築をするための施策を私は提言しておりました。これは与野党含めていろいろとそれに参画する。口だけではどうにでもなるのですけれども、大臣、三木総理も自民党の総裁をおやりになられた方であり、福田、大平、こう続いたわけですけれども、総理大臣がかわってもこのことは変わらないでしょう。いかがなんですか。
 それと先ほど質問した収支試算の問題、六十年度まで現行のまま、こういう体制でやっていくということはどうも理解に苦しむわけです。
#231
○澁谷国務大臣 最初に収支試算の点は、繰り返し申し上げておるように、とにかく具体的なものが固まってきておらないわけです、消費税にしても何%をやるのか、その具体的な内容はどうだということも全然詰まっておりません。そういうふうに不確定の要素が多過ぎる。しかし、一応中期的な一つの見通しは持たなければならぬということで、その表題に書いてありますようにまさに試算をいたしまして提出をしておるわけでございますので、御不満の点はよくわかります。しかしながら、実際問題としてその期待に沿うような内容をちゃんと固めた案をお示しができなかったわけでございまして、これは漸次諸条件が固まるにつれてもっと具体的な内容を載せたまさに案をお示ししたいと考えておりますので、しばらく御猶予をいただきたいと思います。
 それから、三木総理の言われた地方の行財政を通ずる抜本的な改革云々ということ、これは内閣がかわりましても同じ自民党内閣でございますから、それは前の総理大臣が言ったことだからおれは知らぬよというわけにはいかぬだろうと思うのです。そしてまた、三木さんが言うと言わざるとにかかわらず――地方ばかりじゃないと思うのです。私は国も同じだと思うのです。高度経済成長から現在のような状態に変わって、基本の条件が大きく変わったのですから、そうして、毎年毎年巨額な赤字を抱えて、このままでいったらこれは完全に破滅するわけですから、そういう絶壁に臨んでおる現在、毎年毎年予想外の税収が転がり込んできたというような時代にできた制度、法律、それから慣行、そういったものを抜本的に見直すということは当然過ぎるほど当然のことで、そういうものをやらないで、それで何とかうまくやっていこうなんということは、これは実際にそんなことはできるはずもありませんし、また、国民も許さないだろうと思うのです。ですから、私はこれは国、地方を通じて全体として洗い直さなければならぬ、こういうふうに考えております。これは、私の前からの持論なんです。特に私は、自治大臣という現在の責任ある立場にあるわけでございますから、私の責任である地方行財政制度の抜本的な見直しということは掛け値なしに真剣にやり抜かなければならぬ、これは私に課せられた使命であり、責任である、こういうふうにはっきりと自覚をしておりまして、小川さん御存じの、地方制度調査会の会長、副会長の方々にも就任問もなくお会いしまして、私はそういう考え方を持っておるのだ、したがって、昨年からこの行財政制度のあり方についての答申を諮問をしておるわけです。そして、昨年から審議、検討していただいておるわけですから、この際おざなりの答申ではなしに、やれるやれないは別として、地方分権というものを基本に据えた地方行財政の抜本的な見直しはこういうことであります、そういう答申を出していただきたい、こういうふうにお願いをしておるわけなんです。ただ、これもいつまで大臣をやれるかわかりませんから、またおまえは決意だけ表明していなくなっちゃったと言われるかもしれませんが、少なくとも私は、大臣として、この問題は本当に性根を据えて取り組んでいかなければならぬとかたく決意をいたしております。
#232
○小川(新)委員 私も自民党の代議士であれば、大臣の派閥に所属したいという気持ちにはなりました。そして、でき得るならば、生涯にわたって自治大臣をやっていただきたい、こういう気持ちでいっぱいでございますけれども、残念ながら公明党でございますので、きょうはおしかりをしておいたり、いろいろと御無礼なことを申し上げなければならぬ立場の中からお話をしているのでございます。
 私も、地方制度調査会の委員をもう五年もやっておりますから、ずいぶんと出した覚えもございます。その中の一例として申し上げますと、地方交付税率のアップ、それから地方事務官制度の撤廃、補助金制度の洗い直し、それから地方公共団体の自主財源の確立のための起債枠の廃止だとか、いろいろな問題を出しております。だけれども、地方制度調査会で幾ら言っても、大概は地方制度調査会の採決のときにだめになってしまう、これはまことに残念なんですけれども。それと、地方事務官制度などというものは昭和五十一年度にこれを全部やるということまで附帯決議をつけた。私も、六年以上もこの委員会でお世話になっておりますから、その中のことはよくわかっております。
 そういう実態の中で、何度も何度も繰り返すように、確かにどなただって、やれないなんと言う人はありませんし、決意を十二分に国民の前に披瀝をし、議員の前に披瀝をするのは当然の責任ですが、では大臣、たくさんとは言いませんから、何か一つでも二つでも、大臣在席中にこれだというものを残される、そのためには私も全力を挙げて応援さしていただきます。だから、大臣、何をいまやりたいのですか。それをまずお聞きして、私も地方制度調査会の委員ですから、大臣がいま言われたことの議事録をもう一遍取り寄せて、大臣は地方制度調査会のメンバーに対してこういうことを提言しようと言った。また、私も委員会において大臣のその情熱あふれる御答弁を聞きましたから、何もかもやれなんと言ったって、できないことを私は言うつもりはございません。何を全力を挙げてやってくださるのか、また、何をみやげに国民に与えようとしているのか、具体的には一つか二つで結構です。抜本的といったって、全部の抜本はできないでしょうから、地方財政、行政の根幹にかかわる問題で大臣の御識見の中からきょうはお述べをいただきたいと思います。
#233
○澁谷国務大臣 何分、問題は基本的なことでございまして、これにメスを入れるということになりますと、これは長い間やってきて定着しておる政治、行政の構造にメスを入れなければならぬ、当然これは猛烈に強い抵抗が出てくるわけでございまして、簡単にまいりません。しかしながら、私は先ほど申し上げたように、とにかく国の財政が危機になっておる、地方の財政もそれに近い。これは立て直さなければならぬ、こういう絶対の至上命令をいわば政府は抱えておるわけでございまして、これはいままでの慣行がこうだから、いままでのやり方がこうだから、法律がこうなっておるからというようなことで回避できる状態ではないと私は思っておるのです。ですから、これは政治家というものが本当に捨て身になって、蛮勇をふるわなければならない時期に来ておると私は思うのです。ですから、私はそういう気持ちで、国、地方全般の改革というものに取り組んでいきたいと思っております。
 それで、おまえの在任中に何か一つやれ、こういうことでございますが、いまそれではこれをどうしてもやりたいというふうにちょっとここで出てきませんけれども、私は、この間から、田園都市構想というものが新大平内閣によって具体化されようとしておるわけですね。それで、この田園都市構想の具体化で特に大事な点は、午前の答弁でも申し上げたのですが、いままで同じようなことを言われてきているわけです。今度の大平内閣によって提唱されておる田園都市構想というものは、いままで言われてきたようなこととどこが違うかというと、一つは、その中心に地方分権というものを据えたということだと思うのです。ですから、これはただそのときの思いつきでそう書いたのだというようなことで済まされては困るのでありまして、あくまでも地方分権というものを根底に据えて、そして、その土台の上に田園都市構想というものを漸次具体化していく、こういうことでなければならぬと私は信じておるわけです。
 そこで、私は率直にきょう小川さんに申し上げますが、田園都市構想の具体化に際して私は自治省の当局に、大臣としてこの二つだけはどうしても自分の主張を貫きたいからそのつもりで諸君もがんばってくれということを申しました。その一つは、地方分権という考え方、つまり、これは当面の問題としてはこの田園都市構想というもの、そういう一つの生活空間をつくっていこうというのですから、それの主体、中心になるものはあくまでも地方自治体であるということ、この主張は、これは各省と渡り合ったわけでありますが、これは断じて譲ってはならぬぞ、私はこの主張だけは断じて引き下がらない、これが一つ。それからもう一つは、従来のように、十六も関係する省庁がおれのところはおれのところはというようななわ張り争いをやっておったのでは、地方自治体が大体もう迷惑千万な話でございますから、各省庁の連絡を密にして思想を統一して、従来のセクショナリズムというものをとにかく脱却しなければいかぬ、この二つはぜひ自治省としての主張として各省庁との連絡会議で最後までひとつがんばってくれ、こういうことを言ったわけです。幸いに自治省の事務当局が私の主張を体してがんばってくれまして、とにかく定住圏というもののモデルを各都道府県一カ所さしあたりつくろう、こういうことを決めたわけですが、そのモデルの都市の選定は、これは都道府県を中心に関係市町村が相談をして決める、こういうことを決めたわけですよ。これは小川さん、いままでやってきた、何もかも中央で決めた新産都市の全国に巻き起こった陳情合戦を思い起こしてもらうといいのですが、ああいうことでなくなるわけですから、地方で決めて持っていらっしゃい、こういうのですから、これはある意味では従来の中央集権でやってきた行政手法の画期的な転換だ、こう私は思っておるのですよ。ですから、とにかくできるものから一つずつ取り上げて粘り強くひとつやっていく、こういうことでがんばりたいと思っております。
#234
○小川(新)委員 広域市町村圏の設立も、あれは地方の公共団体の意向で設定したと思います。それから建設省の流域産業の何と言いましたっけ、ちょっと忘れましたが、建設省のやっておるサイドも地方が選定してくる、これは新産都市とか、いま言ったような問題とは別に、地方の中核拠点というものは田中内閣のころから出てきたわけでございまして、それが第三次全総の中で定住圏構想になり、それが今回の田園都市構想になり、それはいずれも大臣、地方が選定をしているのです。でありますが、私はいま大臣がいみじくも申された中に、十六省庁のなわ張り、これを自治省が排除をしてくれる、これだけでもこれは大変な努力だと思います。これは確かに評価いたします。でありますけれども、何といっても、田園都市構想であろうと何であろうと、国と地方との事務の再配分に関連してもそうですけれども、たとえば本来都道府県の権限の及ばないものについてまで国が通知行政によって一方的に地方自治体に財政負担を押しつけるのは今後やめるべきではないか、全国知事会から問題のある補助金として主なものだけでも三十数件も挙げております。自治省ではどれだけ掌握しているのか。少なくとも全国知事会が指摘しているものぐらいは、大臣、いまの田園都市構想のことも結構でございますけれども、押しつけ行政の補助金の整理、これはおやりになっていただかなければ困りますね。
#235
○森岡政府委員 地方公共団体に新たな事務を義務づけます場合には、これは御指摘のように当然法令に基づきましてきちんと財源措置もしてやらなければならぬ、これは本筋でございます。間々、各省所管行政の遂行に当たりまして、言葉は悪うございますが、便宜に走って通達で事務を地方にお願いするというふうな事例が出がちでございます。私どもは、その点については非常にやかましく各省に対しましてそういうことのないように強く申しておりまして、率直に申して大変煙たがられておるというのが実態でございますが、いかに煙たがられましても、私どもといたしましては、その点について遺憾のないように万全の措置を講じたいと思います。
#236
○小川(新)委員 広島県約千件中百二十五件、愛媛二百四十件、静岡、群馬などの各県では、昭和五十四年度から都道府県知事が持っている許認可権限の一部を市町村長に委譲することを決めております、大臣。私がいま言っておりますことは、知事でさえもその権限を市町村長におろそうとしています。これが地方分権の一番大きな意義だと思うのです。地方の年だ、分権の年だ、地方中心だなんということは、あくまでも市町村長に権限が委譲していかなければならない。その他、現在検討中の県はまずどのくらいあるのか、これをひとつお尋ねいたしますけれども、自治省はこのような自治体内の権限委譲についてはどのように受けとめているのか、そして、これが、国が今度地方に権限を委譲するための下から盛り上がった手本だ、私はこう理解しております。
#237
○澁谷国務大臣 お話しのように、都道府県の許認可の権限を市町村に委譲しようという県、実行しようとしておる県は、いま御指摘になった県、大体その県に限定されておるようでございます。
 それでお話しのように、地方分権の主体というものは都道府県ではなくて市町村であるというお話は、私、全く同感です。したがって、これから行われなければならないこの権限の委譲は、国の権限の委譲すべきものは都道府県に委譲していく、都道府県はさらに市町村にこれを委譲していく、こういう流れになるだろうと思うのです。また、そういう流れに持っていかなければならぬ、その先駆的な役割りをいま御指摘になった数県がすでにもう実行に入っておるわけでございまして、私どもは、これは貴重な実験であり、これからのわれわれが推し進めようとする行政の流れの先駆的な役割りを持っているわけでございますから、これを高く評価すると同時に、私は国の持つ許認可等を中心とした行政事務を大幅に都道府県に委譲すべきであるという基本的な考えを持っておりまして、ぜひひとつそういう方向でこれは実現しなくちゃならぬ、そういうことで努力をしてまいりたいと考えております。
#238
○小川(新)委員 それは非常にありがたいと思います。
 そこで、昭和五十四年度の都道府県の予算案が出そろいましたけれども、骨格予算、四カ月予算、こういうところが非常に出てきておりますが、これはどういうふうに理解したらよろしいのでしょうか。
#239
○澁谷国務大臣 これはいわゆる都道府県の知事、執行者、それから議会、こういったものが全部入れかわる、こういう事態でございますから、たとえば今回の場合について言えば、五十四年度、年度間を通じての予算というものは、新しく間もなく入れかわるわけでありますから、住民の総意の上に立って選ばれる新しい執行部、新しい議会、そういう手によって本格的な予算は編成されるべきであるという考え方に立ってこの骨格予算ということが組まれ、実行されておるわけでございまして、私はこの考え方は素直に評価していいのではないかと思います。
#240
○小川(新)委員 私はまた逆な考え方を持っている一人なんですけれども、当初予算を組むに当たっては、その前任者が一年間は全責任を持つ。しかも、そういった投げやり的な、自分の考え方を四年間という公約の中で貫き通し得ないという、民主主義という一つのルールが逆作用を及ぼすんではないかという懸念さえも出てきておる。でありますから、このことをいつまで二人で議論しておりましても始まりませんけれども、骨格予算やそういった四カ月予算という問題だけで、知事が、もうおれは後は知らないのだということは、その負託を受けた当初から四年間の責任を最後まで負っていくという一つの姿勢を予算の面に出すという、私は私なりの考えを持っておることをひとつこの場で披瀝しておきたいと思うのです。
 そこで、地方税の一般的な問題でございますけれども、現在の地方税制度の中では、一般に標準税率制度が取り入れられておりますけれども、全国一律方式は見直すべきではないかというのがぼくの考え方だ。それは、標準税率以下で徴税している地方自治体は、地方債の許可の面や交付税の基準財政収入額の算定などで不利な扱いを受けることになっております。これの考え方として、地方自治体によっては、重い税金でも手厚い行政サービスが受けられればよい、あるいは軽い税金の場合は行政サービスの水準が低くてもよいという選択の幅を、その当該公共団体所属の地方住民が選定をする権利を持つべきだ、私はこう思っているのですが、こういう考え方は間違っていますでしょうか。
#241
○土屋政府委員 地方税制の基本的な考え方のお尋ねでございますが、税率その他の問題については、地方団体の自主性というものが確保されるように配慮する必要があるという基本的な点においては、仰せのとおりだと思うのでございます。そういった意味では、各国それぞれ生い立ちも違うわけでございますけれども、いろいろな制度もございます。おっしゃいますように、本当に自治体として徹底してまいりますならば、特定の事業をするから新しい税を起こすとか、そこらは非常に自主性に基づいたやり方というのもあり得るだろうと思います。そういったこともございますが、わが国における状況を見ますと、地域間の人なり物なり、いろいろ活発な交流もございますし、細密な社会でございますから、シビルミニマムとかナショナルミニマムとか、いろいろな行政の種類についても均衡というものが要請をされましたり、地方団体間で住民の税負担に非常に著しい不均衡が生じるということになりますと、いろいろと問題が出てくる。そういった社会的な情勢があることも否定できないような気がするわけでございます。
 そういった点から見ると、基本的にはおっしゃる点は理解できるわけでもございますが、国民生活上あるいは国民経済上の見地から、必ずしもそういう自由に任せて余り不均衡が生ずるということは適当でないのじゃなかろうかということから、標準的な負担水準を設けるという形になっておるわけでございます。それであるから直ちに――そこまでおっしゃったわけでもございませんが、基本的に課税の自主権を損なうと申しますか、そういったことになると私どもは思っていないわけでございます。先ほど交付税制度との兼ね合いのお話もございましたが、標準税率制度は、この財源保障制度である地方交付税制度との関連からもそれなりに生きておると思うのでございます。これは地方交付税制度との関連でございまして、基本的にはおっしゃる意味はわかるのでございますが、わが国の実情から見ると、必ずしも標準税率を直ちに廃止して自由にというのは容易じゃないのじゃないかといったような気がするわけでございます。
#242
○小川(新)委員 それから、法定外普通税の実施状況についてでございますけれども、昭和四十八年の石油ショック以降の、法定外普通税を創設したいという申請はどのくらいありますか。また、どのくらい許可したんでしょうか。現在、検討中の法定外普通税にはどんなものがあるのか。また、断ったものはどんなもので、何件ぐらいあったんでございましょうか。
#243
○土屋政府委員 四十八年からの要請に基づきまして法定外普通税について許可いたしましたのが、道府県分につきまして五十一年が二件、五十二年が一件、五十三年が三件でございます。それから市町村につきましては、四十九年に一件、五十年に二件、五十一年に三件、五十二年に一件、五十三年はゼロでございました。
 主なものを申し上げますと、道府県では、石油価格調整税というのが沖繩にございます。それから核燃料税が福井、福島、茨城、愛媛、佐賀の各県でございます。それから、市町村税となると非常に種類が多うございますが、これはこの四十九年以降ではございませんが、総体で申し上げますと、商品切手発行税が市町村で十七ございます。それから犬税でございますが三件、広告税が七件、林産物移出税が七件、砂利採取税が十件、文化観光施設税が二件、別荘等所有税が一件、ヨット・モーターボート税が一件、全体で五十四でございます。なおそのほかに、現在検討中のものも二つほどございます。
 以上でございます。
#244
○小川(新)委員 昭和五十四年度の非課税措置などによる地方税の減収額は、国税の租税特別措置による減収六百九十七億円、地方税法の非課税措置の減収が三千三百三十九億、合計四千三十六億の巨額に上っておりますが、国税の租税特別措置による地方税の減収を遮断することはできないのかどうか、これが一点。
 次に二点目は、地方税法の非課税措置の決め方についてでありますけれども、現在は法律で決めておりますが、これを改めて、地方自治体の課税自主権を尊重して、地方自治体がそれぞれの条例で定められるようにできないでしょうか。この二点でございます。
#245
○土屋政府委員 昭和五十四年度の国税の租税特別措置によります地方税、それの影響を受けます地方税の減収見込み額が、全体で六百九十七億と見込んでおります。
 それから、非課税措置について法律で法定しておるけれども、自治体ごとに弾力的に条例で定めることはできないかといった御意見でございますが、非課税措置を講ずべきかどうかにつきましては、地方自治体に裁量の余地を与えていいのではないか、そういった御意見は私十分了解できるのでございます。しかし、わが国のような非常に稠密な社会におきましては、全国的な視野に立って一律に定めることが適当であるというものもかなりあるわけでございまして、こういったものについては、やはり地方税で規定しなければならない。
 先ほども、その非課税措置でなくて、全般的な標準税率の問題についてもお話があったわけでございますけれども、その際もるる申し上げましたような趣旨において、非課税措置を野放しに、自由にということは、なかなか私どもとしては直ちには踏み切れない気がするわけでございます。それ以外に、地域の実情等に応じまして、税負担の軽減等が必要なものにつきましては、別途地方団体の判断によって、条例によりまして課税免除なり、不均一課税なり、減免ということができるようにされておるわけでございまして、そういった意味で、課税の自主権は十分尊重されておるというふうに考えておるのでございます。
#246
○小川(新)委員 次に二点お尋ねいたしますけれども、一つは医師の事業税。これはいろいろな議論があると思いますが、お医者様は利潤追求の職業ではない、そういう立場から、事業税に対しては免税になって、都道府県税に入らない。国税の租税特別措置で減収が二百三十八億、地方税の非課税措置の減収が二百六十六億、これで五百四億です。これを私どもは、医師会と地方公共団体とがいろんな面でお約束をして、お互いに協力をしておることもよく存じておりますので、速やかに事業税を取れということは、いろいろとあれもございますが、この点について大臣、これは国税の方も今回多少の修正がございました。不公平税制の医師優遇税制についての国税の見直しが行われたんですが、地方の事業税としてはどのような御所見をお持ちでございましょうか。
#247
○澁谷国務大臣 医師の事業税が非課税になって二十五年ですか、ずっと行われてきた、それのいきさつは、もう小川さん十分御承知のとおりでございます。ただ、その二十五年タブーになっておった医師優遇税制が、今回初めて改正という挙に出たわけでございますから、当然これは事業税の取り扱いをどうするかという問題にはね返ってきております。ただ、御指摘のように、医師という職業の持つ特殊な性格、これを無視するわけにはまいりませんし、そういった点も十分踏まえて税制全般について見直しをやっていくわけでございますから、その中で私どもも、この問題もひとつ十分に検討をしていきたい、かように考えます。
#248
○小川(新)委員 次に、高速道路、信用金庫などに対する固定資産税の課税問題については、現在自治省ではどのようにお考えでございますか。
#249
○花岡政府委員 有料道路の問題でございますけれども、この有料道路の負担問題につきましては、昨年の六月に関係省と学識経験者、地方公共団体の代表、日本道路公団等で構成いたします有料道路負担問題検討委員会というのが設けられておりますが、ここで審議がされております。御承知のように、この議論の骨子というのは、自治省あるいは地方団体におきましては、料金収入によって賄われる高速自動車道というものは租税収入によって賄われておる一般の国道、地方道とは根本的に違うじゃないか、したがって課税すべきだという議論でございます。建設省あるいは道路公団におきましては、高速国道も公共の道路である、有料であることを理由にこれに課税を行うことは適当ではない。また、運輸省なりトラック業界、利用者の代表でございますが、その考え方は、高速国道に固定資産税等の負担を求めるということは、高速国道の整備を促進するのに非常に支障になる、また利用者にとって非常に負担が高くなるから物価の上昇の原因にもなる、こういう議論でございますので、なかなかこの根本的なところで議論がかみ合っておりません。したがって、現在のところ中断されておりますけれども、近くこの委員会が再開される見通しでございますし、また関係者の間でも何とかまとめようではないかという機運がございますので、この委員会の検討結果を待って具体化してまいりたい、このように考えております。
 それから、信用金庫の固定資産税の問題でございますけれども、御承知のように、信用金庫は会員の出資によります協同組織の非営利法人でございます。その業務も資金の貸し付けなりあるいは手形の割引というのは原則として会員に限られております。それで、この会員たる資格というのも、事業者につきましては一定規模以下の中小企業者である、こういうふうなことから、現在その事務所及び倉庫については非課税になっておるわけでございますが、この非課税を継続するかどうかという問題につきましては、信用金庫と類似の性格を有します信用事業を行う協同組合、こういったものとの兼ね合いがございますので、これらの非課税措置のあり方ともあわせて検討してまいりたい、このように考えております。
#250
○小川(新)委員 大臣、これは非常に大事なことなのでお聞きしておきたいのですが、心身障害者を多数雇用している事業所の事業主の取得する一定の施設に係る減額措置をさらに二年間延長することは妥当なことだと思いますけれども、心身障害者を多数雇用しているいわゆる福祉的工場については工場名を挙げて表彰してあげてもいいのじゃないかと私は思っておりますが、大臣いかがでしょう。
#251
○澁谷国務大臣 これは御案内のように、身体障害者の雇用の問題は労働大臣の所管でございまして、そういった優良な事業所に対しては労働大臣の表彰制度が実施されていると思います。その上に自治大臣の表彰をやることが適当なのかどうか、いましばらく検討させていただきたいと思います。
#252
○小川(新)委員 次に、個人事業税についてですが、個人事業の形態は時代とともに非常に変わってまいりました。個人事業税を想定した法律が実態と合わなくなっているのではないかと私は思っております。
 現在、証券取引法では個人の証券業はできないことになっておるにもかかわらず、地方税法の中では個人事業としてそのまま列挙されているのはおかしいのではないか。またその逆に、最近ふえてきた個人事業では駐車場や不動産貸付業、探偵業、コンサルタントなどは地方税法の個人事業の中に含まれていないのですが、これらについては自治省はどう考えていらっしゃるのでしょうか。
#253
○土屋政府委員 お話しのございましたように二十九年に現行の事業税が制度化されました際に、従来の事業税と特別所得税とを合わせたかっこうで制度化したわけでございます。そういったことから、その際、整理合理化について十分見直して排除する必要があった点もあると思うのでございますけれども、それが不十分であった点もございまして、ただいまお話しのございましたように、証券取引法の二条でございますか、これで大蔵大臣の免許を受けた株式会社でなければ証券取引は営んではならないとされておりますが、事業税の種目にそれが入っておるといったような点も事実あるのは認めざるを得ないわけでございます。
 それと同時に、またその後の社会経済情勢の変化に伴いまして御指摘のようないろいろな業種も発生してきております。現行の業種で読めるものもございますけれども、なかなかその把握がしにくい探偵業とかコンサルタント業などといったものはどういうふうに位置づけていくか非常にむずかしい点もございまして、私どもとしても課税客体の合理化について、ここらを現在でもいろいろな点で研究を進めておりますけれども、全体として合理化をする段階になりましたら、おっしゃいました趣旨を含めて改正をするということも考えざるを得ないであろうと思っております。いつ、どうということはここで的確に申し上げにくいわけでございますが、研究をいたします。
#254
○小川(新)委員 実態に合わせるのが法律でございますから、ひとつよろしくお願いします。
 時間が参りましたので終わりますが、最後に道路整備と自動車関係諸税についてでございます。自動車関係税が非常に多いわけでございまして、昭和五十三年度国税で一兆九千億、地方税で一兆五千億、合計三兆四千億円、その税目は揮発油税や石油ガス税、自動車重量税など九つもあるわけです。これは税目を整理する考えがあるのかないのか。
 第二点は、第八次道路整備五カ年計画、昭和五十三年から五十七年までは総事業費は二十七兆八千億、その中で事業費に占める道路目的財源の比率は国費で七八%であるのに対し地方費は三九・八%と低いわけです。市町村の道路目的財源の比率は第七次の三二・四%から第八次五カ年計画で二五・四%と逆に減っております。しかもその昭和五十三年度の道路整備の状況は、国道の改良率が九七・七%、県道の改良率が六九・〇%、一番大切な市町村道の改良率は実に二〇・四%であります。舗装率も同様な率でございます。このように市町村道の整備がおくれているのが目立つにもかかわらず、五カ年計画では市町村の道路目的財源の比率が三二・四%から二五・四%に落ちている。そこで、地方道路譲与税、石油ガス譲与税、軽油引取税、自動車取得税、自動車重量譲与税などの地方の特に市町村の特定財源の配分割合を大幅に広げない限り逆三角形になってしまうおそれがございますが、このお考えを尋ねまして私の質問を終わります。
#255
○土屋政府委員 自動車関係諸税はお示しのように九税目に上っており、数としては非常に多いわけでございまして、御承知のように、地方税で四種類、国税で五種類というかっこうになっておるわけでございます。
 ただ、当然のことでございますが、一台の自動車にこれらの九税目がすべて課税されるわけではなくて、それぞれの実態に応じて課税されておるわけでございますが、これらの税は創設の経緯とか性格を異にしておりますし、課税主体がいま申し上げましたように国、都道府県、市町村と分かれております。また、道路財源として使途の特定されておるものと一般財源であるものといろいろふくそうしておるわけでございまして、確かにわかりにくい形ではございますが、私から国税の分まで含めまして統合したりどうこうするといったようなことはなかなか言いにくいわけでございまして、それぞれの目的をもってつくられておるものでございますが、将来こういったものをどうするかは一つの検討項目にはなるだろうと思いますが、国、地方を通じ、あるいはまた地方でも都道府県、市町村と分かれておるものを私として直ちにどういうふうにするということはお答え申し上げにくいわけでございます。
 それともう一つ、道路目的財源の問題で御指摘を受けたわけでございますが、おっしゃるとおりでございまして、数字の問題は別といたしまして、おおむねおっしゃるような数字ではございますが、特に第八次道路五カ年計画が五十三年度から発足をいたしましたけれども、市町村の特定財源比率が非常に低いわけでございます。事業量は地方のうちで市町村が特にふえて二倍を超えているということでございます。にもかかわらず、特定財源がいまのような状況でございますと比率が低くなってくる、そういうこともございますので、私どもといたしましては、今度の税制改正において地方道路税の税率をぜひとも引き上げてもらいたいというお願いをいたしまして、二五%引き上げられるという予定になっておるわけでございます。それが地方道路譲与税として地方に参るわけでございますが、今回引き上げになる額はそのまま全部市町村の方へひとつ渡してもらいたいということで、現在地方道路譲与税の分け方は都道府県が八で市町村が二となっておりますけれども、それを改めまして、市町村を二〇%から三六%に引き上げて、ふえた分は全部市町村に回したい、私どもといたしましてはこういう考えを持っておるわけでございます。
 なお、五十四年度は途中からの引き上げになりますので、若干、その三六%が三二%でございますけれども、ただいま申し上げましたような形で、これでも必ずしも十分であるかどうかについてはまだ御意見があることはわかりますが、私どもとしてもこういった形で御趣旨の線に沿って充実をしてまいりたいと考えておるところでございます。
#256
○小川(新)委員 大臣、足りない分を増税してその分を地方へ回すのでは、結局諸物価高騰、いろいろな結果を巻き起こす、私ども反対なんです。国の方は九八%でき上がっている、市町村は二〇%なんだ、しかも、それが逆に、仕事をやらなければならない方へお金が来ないから、その配分率を改めろと言うのです。それを配分率をそのままにして、足りない分を増税してその分は市町村に上げると言うんだったらこれはだれでもできる。これでは地方分権の年にならないのです。大臣、さっきから何度も言っているように、地方分権というのはそういう精神じゃないでしょう。基本的な問題が解決されてないからぼくは文句を言いたくなっちゃうのですよ。地方分権だ何だってかっこうのいいことを言っているけれども、内容においてはちっとも分権じゃないじゃないですか。増税して国民の負担によってそっちへ回すのだったら、こんなことはだれでもできるのですよ。だから、そういう問題をやるときには、説得力のある地方分権の姿勢を打ち出されてなおかつ足りないから増税をする、その分は市町村道へ回すというのなら何度も言うように理解できるけれども、それをしないで、いまの仕組みをそのままにしておいて足りない分は増税してやるのだというのが一般消費税の考え方であり、いま言ったような道路の税金だってそういうふうにとられてもしようがないじゃないですか。
 だから、私はこういうふうに最後になって、静かに引き下がろうと思ったけれども引き下がれなくなってしまうのです。この姿勢が、私がさっきから何度も言うように、自民党の発想、体質にあるんだ、最後に憎たらしいことを言って申しわけないのですけれども。大臣のように本当に勇断のある方だったら――そこの手をまず打った上で増税に踏み切るのだ、その負担は国民に平等に与えていくのだというなら納得できます。それが全部物価にはね返ったりいろいろな面にはね返る、特に一番弱体なところにはね返ってくる、こういうことは私は納得できません。
#257
○澁谷国務大臣 まことにごもっともな御意見だと思います。
 確かに国道は重立ったところはもうほとんど仕事が終わっておるわけでございます。逆に県道、特に市町村道が一番おくれておるのですね。しかもそれは地域の住民にとっては一番利用する生きた道路であるわけですが、それがまだまだ仕事が大量に残されておる、これからいよいよ仕事をやらなくちゃならぬ、こういう現実でございますから、いまお示しのような第八次道路整備五カ年計画の財源の配分は私は不満であります。ひとつ機会をつかまえて、地方分権にふさわしいようなこの配分の是正に努力してまいりたいと思います。
#258
○小川(新)委員 では終わります。ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#259
○松野委員長 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、来る二十二日、参考人として全日本農民組合書記長谷本魏君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#260
○松野委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
 次回は、来る二十二日午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト